衆議院

メインへスキップ



第4号 平成16年9月29日(水曜日)

会議録本文へ
平成十六年九月二十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今井  宏君 理事 江渡 聡徳君

   理事 櫻田 義孝君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君

   理事 吉田  治君 理事 井上 義久君

      今村 雅弘君    遠藤 利明君

      小島 敏男君    小杉  隆君

      佐藤 信二君    坂本 哲志君

      菅  義偉君    谷  公一君

      平井 卓也君    藤井 孝男君

      松島みどり君    宮路 和明君

      山際大志郎君    梶原 康弘君

      菊田まきこ君    近藤 洋介君

      高山 智司君    樽井 良和君

      辻   惠君    中津川博郷君

      中山 義活君    計屋 圭宏君

      村井 宗明君    村越 祐民君

      渡辺  周君    江田 康幸君

      河上 覃雄君    斉藤 鉄夫君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   経済産業大臣政務官    江田 康幸君

   経済産業大臣政務官    菅  義偉君

   政府参考人

   (内閣府原子力安全委員会事務局長)        上原  哲君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     松永 和夫君

   参考人

   (美浜発電所3号機2次系配管破損事故調査委員会委員長)          朝田 泰英君

   参考人

   (関西電力株式会社取締役社長)          藤  洋作君

   参考人

   (関西電力株式会社取締役副社長)         岸田 哲二君

   参考人

   (関西電力株式会社取締役)            辻倉 米蔵君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月二十九日

 辞任         補欠選任

  今井  宏君     左藤  章君

  小島 敏男君     稲葉 大和君

  塩谷  立君     小野 晋也君

  西銘恒三郎君     山際大志郎君

  江田 康幸君     斉藤 鉄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  山際大志郎君     西銘恒三郎君

  斉藤 鉄夫君     江田 康幸君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 資源エネルギー及び原子力安全・保安に関する件(関西電力美浜発電所3号機二次系配管破損事故に関する中間とりまとめ)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 資源エネルギー及び原子力安全・保安に関する件、特に関西電力美浜発電所三号機二次系配管破損事故に関する中間とりまとめについて調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府原子力安全委員会事務局長上原哲君、資源エネルギー庁長官小平信因君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長松永和夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、本日は、参考人として美浜発電所三号機二次系配管破損事故調査委員会委員長朝田泰英君、関西電力株式会社取締役社長藤洋作君、関西電力株式会社取締役副社長岸田哲二君及び関西電力株式会社取締役辻倉米蔵君に御出席をいただいております。

    ―――――――――――――

根本委員長 この際、関西電力美浜発電所三号機二次系配管破損事故に関する中間とりまとめについて説明を聴取いたします。朝田参考人。

朝田参考人 美浜発電所三号機二次系配管破損事故調査委員会の委員長を務めております朝田泰英でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私から、今般の事故に関しまして、これまでの委員会での審議の経緯並びに一昨日行われました委員会で審議いたしました中間とりまとめの概要を御報告させていただきます。

 まず、委員会でございますけれども、八月九日にこの事故が発生いたしました。関西電力株式会社美浜発電所三号機における二次系配管破損事故が起きたわけでございまして、八月十日に総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会の下部組織としてこの事故調査委員会が設置されております。

 事故調査委員会は、私も含めまして、委員長代理をお願いしております東京大学の班目先生を初めといたしまして、金属の腐食、破壊、あるいは原子力工学、品質保証などの専門家の先生方、合わせて七名のメンバーで構成しております。それぞれの立場から御意見をいただきながら、事故原因の究明と再発防止対策の検討を進めてまいりました。

 委員会では、設置の当日にすぐに東京大学名誉教授辻川先生並びに慶応大学教授宮先生のお二人に事故現場に行っていただきまして、現地の調査を行うことから活動を開始しております。この翌日、八月十一日には第一回委員会を開催いたしまして、一昨日の中間とりまとめ審議まで、合わせて六回の委員会を開催いたしました。この委員会は皆、審議の透明性を確保いたします目的で、すべて公開で行っておりまして、また、第四回の委員会は、地元への情報提供それから地元との意見交換などを趣旨といたしまして、福井県において開催しております。

 この審議の過程では、原子力安全・保安院から事実関係や調査結果などの報告をいたしました。それに限らず、関西電力からも報告をいただいております。福井県関係者の御意見も伺いまして、こういう活動をいたしまして、大変短い期間ではございましたけれども、精力的に活動いたしました。密度の高い検討ができたものと思っております。

 この結果といたしまして、これまで明らかになりました事実を踏まえまして、事故原因と再発防止対策などを中間的に取りまとめました。ただし、配管破損事故について原因の調査その他につきまして、あるいは現象の解明等には詳細な解析や調査などがまだ今後も必要でございまして、今後もこれらの調査検討は継続的に行われる予定でございます。それらの進展があった段階で今後も委員会を開催していく、こういう予定でおります。

 中間とりまとめでございますけれども、事故発生の状況、それから事故の影響といった客観的な事実につきましても広く検討いたしておりますけれども、ここでは、配管の破損メカニズム及び配管破損箇所を含む配管の減肉管理の状況、それから、これらの知見を踏まえまして早急な対応が必要な事項、この三点について、本日、御紹介いたしたいと思っております。

 まず、配管の破損メカニズムでございます。

 破損メカニズムと申しますのは、どのような経過を経て要するに壊れたかということでございます。配管は炭素鋼と呼ばれる材質でできておりまして、この破損はいわゆるエロージョン・コロージョンと申します。日本語では侵食腐食現象と申しますが、管の内面が水で削り取られていく現象が起きました。これによりまして管の厚みが徐々に薄くなりまして、結果として、配管が水の力に耐えられなくなりまして、約十気圧の圧力のときに破壊した、こう考えております。これまでの調査では、このエロージョン・コロージョンに特有のうろこ状の模様が管の内面に観察されております。

 次に、配管の減肉管理がどのように行われてきたか、これを調査いたしまして、その結果を御説明いたします。

 実は、この種の配管減肉の問題というのは今回が初めてではございませんで、昭和六十一年にアメリカのサリー原子力発電所と呼ばれるところで配管の破損事故が起きております。これによりまして、エロージョン・コロージョンによる配管の破損、減肉、これを管理することが非常に大事であるという認識が世界的に広まったわけでございます。日本でも、これを受けまして、事業者等がこれまでの経験を踏まえまして本格的な対策を開始したわけでございます。

 その状況でございますけれども、破損事故の発生した部位を含めまして、加圧水型軽水炉、いわゆるPWRの二次系配管に関しまして、各事業者が、平成二年に、原子力設備二次系配管肉厚の管理指針というものを策定いたしました。これに沿って自主点検を行ってまいりました。この管理指針につきましては、大分昔にできたものでございますから、その後の知見を反映して見直すべきこともございますけれども、一応この指針に基づいた減肉管理が行われている限りは安全上の問題は発生しなかっただろう、こう委員会では判断しております。

 今回の事故が発生いたしました部位は、この指針に照らしまして、肉厚の測定等の減肉管理を行うべき部位であったわけでございます。それにもかかわらず実施されていなかったということがわかっております。具体的には、事故発生部位は、平成二年に三菱重工業株式会社がPWR管理指針に基づく点検対象リストを作成いたしました際に、既に点検リストの記載から漏れておりました。その後、三菱重工業から株式会社日本アームへこの点検業務が移管されたわけでございますけれども、三菱重工業がほかの発電所において破損部と同じ部位の点検リスト漏れを修正したり、あるいは日本アームが破損部位を定期検査時の点検箇所に含めたり、こういうことをやっております。事故部位が点検対象リストから漏れている状況が修正されたわけでございますけれども、関西電力がそれを認識する契機となり得る、そういう状況もあったのでございますが、結果として、関西電力等が記載漏れにかかわるチェックを行ってこなかった、行わなかった、当該部位の肉厚管理が行われてこなかったという状況がございます。

 このように、今回の事故の直接的な原因は、関西電力、三菱重工業、日本アームの三者が関与する二次系主要配管の減肉管理ミスと申しますけれども、これによりまして要管理箇所が当初の管理リストから欠落いたしまして、かつ、事故に至るまで修正できなかったことがございます。関西電力の品質保証、保守管理の能力が機能していなかったというふうに言えると思います。

 関西電力以外の原子力発電所におきましては、調査を行った範囲では減肉管理の漏れはございませんでした。全体として、事業者の点検は適切に行われていたものと考えております。

 それからまた、火力発電所でございますが、火力発電所では配管の肉厚測定は定期事業者検査の対象ではございませんので、原子力安全・保安院による報告徴収の対象となったものの多くにつきまして肉厚の点検が実施されていなかったということがわかっておりますが、各事業者は、目下、順次肉厚測定などを行いまして配管の健全性を確認している最中でございます。

 以上のような事故の原因等を踏まえ、現時点で考えられます国あるいは事業者等が再発防止に向け何をすべきか、その対応策を取りまとめております。

 まず、的確な品質保証及び保守管理を実現することが必要でございまして、例えば、一、事業者は、配管系統図と管理表とを計算機に入力して対応関係を明確にするといった体系的な点検リストを用いる管理体制をつくる。それから、事業者は、保守規定の下部規定といたしまして、保守管理業務の外注管理にかかわる管理方法、責任分担等を明確にし、これを遵守する。それから、原子力安全・保安院は、保安検査におきまして配管の肉厚管理の実施状況及び社内規定の遵守状況などを確認する、こういったことがまず必要でございます。

 また、技術的指針を明確にいたしまして、チェックすべき事項を具体的に示すために、一、原子力安全・保安院は、日本機械学会が策定中の発電設備配管肉厚管理手法に関する規格、これを安全規制の判断基準として早急に活用する、二つ、それまでの間、原子力安全・保安院は、安全規制上の要求事項を行政文書によって明確化する、こういったことも必要でございます。

 それからさらに、定期事業者検査における配管肉厚管理がしっかりと検証されるように、一つ、原子力安全・保安院は、配管の肉厚管理にかかわる定期事業者検査の方法を省令改正により明確化する、二つ、原子力安全・保安院と独立行政法人原子力安全基盤機構は、配管の肉厚管理の実施状況や実施体制を保安検査や定期安全管理審査で確認する、こういったことも必要でございます。

 なお、火力発電所でございますが、この肉厚管理につきましては、原子力安全・保安院において、火力発電所の配管の肉厚管理を定期事業者検査の対象に含めるかどうか、これを検討する、及び火力発電所の配管の肉厚管理につきまして、中立的機関において共通の技術的指針を策定する、こういったことも必要か、こう考えております。

 以上、美浜発電所三号機にかかわる事故調査委員会の審議経過及び中間とりまとめの概要でございますが、今回取りまとめました対応につきましては、これは早期に着手する必要があるだろう、こう考えています。同時に、今後の調査の進展に応じまして、追加的な再発防止対策が必要になることもあり得ます。この点についても留意する必要がございます。

 また、発電所運転中の作業員の安全確保対策あるいは原子力発電所の高経年化に対する指摘への対応、こういったこともこの報告書ではまとめておりまして、ただ、本日、時間の関係がございまして御説明できませんでしたが、お配りいたしました報告書をごらんいただければおわかりいただけるかと思っております。この辺をどうぞ御認識いただくようによろしくお願いいたします。

 大変長くなりましたけれども、以上で私からの御説明を終わらせていただきます。以上でございます。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江渡聡徳君。

江渡委員 自由民主党の江渡聡徳でございます。

 まずもって、質問に入る前に、このたびの事故で亡くなられました五名の方々の御冥福、また、現在負傷されて入院しております六名の方の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。また、御遺族、御負傷された方への万全の対策をしっかりとしていただきたい、その点につきまして、関西電力そして政府にも強く要望させていただきたいと思います。

 また、このたび御留任されました中川大臣におかれましては、引き続き経済産業行政の推進のために御尽力いただきたい、そのことを御期待申し上げたいと思うわけでございます。

 では、一昨日出されましたこのたびの事故の中間報告を踏まえまして、まず初めに原子力安全・保安院にお伺いしたいと思うわけでございます。

 これまで、米国のサリーの原子力発電所の事故あるいはジェー・シー・オーの事故、東京電力あるいは日本原燃等々、本当に多くの事故とか不祥事が起きてきたわけでございますけれども、そのたびに、原子力関連施設の立地地域を初めといたしまして、国民の多くの方々は原子力の安全性あるいは信頼性について不安を抱いてきたわけでございます。

 私の選挙区においても、六ケ所村のサイクル施設、これも抱えておりますし、東通の原発関係の施設あるいは今建設中でありますけれども大間町の原子力発電所、多くの地域を抱えている、そういうところから出てきている者といたしまして、今回の事故というのは本当に厳しいものだなというふうに受けているところでございます。

 特に、今回の美浜事故におきましては、原子力発電所の建屋内、今まで一度も死亡事故がなかった、そういう建屋の中においての死亡事故だったということ、これが一番私は大きいことではないのかなと思っております。それゆえに、ある意味、原子力安全神話というのは完全に崩壊してしまったのではないかな、そう私は考えております。

 一次系の事故による放射能漏れがなかったからといって原発事故ではないというふうにとらえる、そういう考え方もあるかもしれませんけれども、やはり原子力発電というものは、第一義として安全というものが必要でありますし、そしてまた、立地地域並びに国民の信頼というものがなければ成り立たない。ですからこそ、私は、今回の件というものは非常に重大なことだということで受けとめなければならないというふうに思っているところでございます。

 しかしながら、日本は資源がない国であります。ですからこそ、これからの産業関係のことを考えながら、産業行政をよりよい形に進めていこうとするならば、これからも原子力エネルギーというものをしっかりと活用していかなければならない、そんな現実もあると思っております。

 それゆえに、やはり安全と国民の信頼を確保するということはどうしても重要になりますし、この基本的な考え方としてやはり一番大事なことは、この事故の再発防止をいかに進めていくか、これが大事だろうと思っております。そのためにおいては、やはり事業者がしっかりと点検するということは大事であろうと思っております。そして、その上において、安心、安全ということを担保するためにも、国としてどこまで具体的に関与していくか、このことが私は大事な点だと思っております。まさに企業の自主性と国の関与のバランスということ、これをいかにとるかということが大事じゃないのかな、そう私は考えております。

 今回の事故への対応としての措置に対しての基本的な考え方ということをまずお聞かせいただきたいと思いますし、それと同時に、関西電力以外の各事業者の対応を確実なものとするためにも、今まで以上に私は確実なる水平展開というものが必要になってくると思っております。そして、昨年、原子力施設の検査制度改正で安全規制に導入された品質保証、この品質保証という観点から、さらなる調査検討をしていただいて、管理面での各防止対策を徹底されるべきだ、そう私は考えております。その点についてもお聞かせいただきたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力の安全確保のためのいわば大きな枠組みについての御質問でございますけれども、御承知のとおり、原子炉等規制法による許認可を受けて、原子力事業者は国民に原子力の安全を提供する一義的な責任を有しているというふうに考えております。

 一方、今委員御指摘のとおり、国といたしましても、国民からの負託を受けて、原子力事業者が的確に安全を確保できるように、その事業活動、安全確保活動を規制する責務を負っております。このため、安全規制に係る制度や実施体制というものを整えまして、事業者の活動状況を把握して、事業者に必要な措置をとらせる、こういう行政活動を行ってきたわけでございます。

 ただ、ただいま御指摘のとおり、これまで、ジェー・シー・オーの事故、あるいは一昨年の東京電力の自主点検記録に関する問題、あるいは今回の人為的なミスによる美浜発電所の事故によりまして、これまでのいわばトラブル克服についてのハード面での安全確保に主眼を置いた安全規制の手法だけではこうした事案を効果的に防止できないということが明らかになってきているわけでございます。

 こうしたことを踏まえまして、昨年十月に安全規制の抜本的な改正を実施いたしまして、今御指摘のとおり、事業者がみずからの品質保証体制というものを確立するということを原子炉等規制法に基づく保安規定に記載させました。それを保安検査等を通じて国がきっちりと監査をしていく、こういうシステムをつくったわけでございます。

 具体的に申し上げますと、事業者において、第一に、トップマネジメントによりまして、トップから協力事業者の現場に至るまで安全に関する高い意識を持たせること、第二に、計画を立て、実施をして、評価をいたしまして、その改善の過程をきちっとフォローする、それを国は監査型、抜き取り型の検査によりましてその実施状況を確認する、こういうシステムを実施しているところでございます。

 今後は、こうした制度をきちっと充実させて、原子力発電所等の安全確保が効果的に図られるように国といたしましても最大限の努力を続け、国民の信頼を確保していきたいというふうに考えております。

江渡委員 今お答えいただいたわけでございますけれども、しかし、そうはいいながらでも、どうしても人間がやることでございます。ヒューマンエラーというものは必ず起こり得るんだ、そんな観点から、しっかりと管理面での各防止対策というものを打ち出していただければありがたいな、そう思っているところでございます。

 続きまして、実は、九月の二十六日の毎日新聞にこういう記事が出たわけでございます。原子力災害時に防災拠点となりますオフサイトセンター、そのオフサイトセンターの約六割が、放射能の影響を受ける可能性があるEPZの内側に存在している、そしてまた、近接地のヘリポートを持つセンターも全国の中においてたった二カ所だけという、こんな記事が出ました。

 そういうことを考えますと、果たして立地の現状というものを、問題があるのかないのか、この辺のところをお聞かせいただきたいと思うわけでございます。特に、私の選挙区の六ケ所村にもあるわけですけれども、いざというときにきちんとした対応ができるのかな、この記事だけを見ますと、国民の方々はそんな思いをどうしても受けると思うわけでございます。ですから、もし国がいいかげんな対応をしたというふうになれば、そのそしりを受けるのではないのかなと思っていますので、この点についてお答えいただければありがたいなと思っております。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のオフサイトセンターでございますけれども、御承知のとおり、原子力災害が発生した際に、国や都道府県、市町村等の関係者が一堂に会しまして、原子力施設の災害の迅速な復旧あるいは初動体制の早期確立等に取り組む原子力防災の拠点施設でございます。

 このため、オフサイトセンターにつきましては、関係者の施設内における被曝放射線量を低減するために、コンクリート壁の設置あるいは換気設備の設置等の要件を満たす施設が指定されることになっております。このように、仮に放射線環境下にありましても原子力防災活動が円滑に実施されるような構造の施設になっております。

 また、通信手段でございますけれども、テレビ会議システムあるいは中央防災無線等、多様な通信手段が確保されております。したがいまして、仮に原子力災害による電波障害が発生したといたしましても、通信が可能となるような万全の体制を講じているところでございます。

 以上申し上げましたとおり、確かにオフサイトセンターの多くがいわゆるEPZ内にあることは事実でございますけれども、放射性物質が放出された場合であっても、オフサイトセンターの利用に関し、安全面や設備について全く問題がないというふうに考えております。

 なお、ヘリポートにつきましては、法律上は、駐車場や校庭等、緊急時にヘリコプターが離着陸可能な場所をあらかじめ用意しておけば十分とされているところでございます。ただ、地域の実情の変化等によりまして、その必要性が生じた場合には、関係自治体とも相談をいたしまして、その整備について十分に検討してまいりたいというふうに考えております。

江渡委員 そういたしますと、この毎日新聞の記事というのはちょっと内容的には間違いもあるというふうに受けとめてよろしいわけでしょうか。もう一度お聞かせください。

松永政府参考人 今申し上げたとおり、その記事の内容は、国民に誤解を与えるおそれがある記事ではないかというふうに考えております。

江渡委員 そうであればあるほど、しっかりと国民の方々にその辺のところを御理解いただけるような形のPA活動をきちんとやっていただければありがたいなと思っています。

 先ほどから私、どうしても原子力というものは、安心と安全、そして国民の信頼がなければ成り立たないということを繰り返してお話ししているわけでございますから、この辺のところもきちんとやっていく、このことが私は大事ではないのかなと思っております。

 続きまして、関西電力さんの方にお聞かせいただきたいと思うわけでございますけれども、さきの委員会におきましても、同僚の議員の方々から今回の事故に対しての保守管理のありようについて再三の質問がなされたわけでございますけれども、私自身、このたびの質問におきまして、もう一度議事録あるいは今回の中間報告等を読ませていただいたわけでございますけれども、何度見直してもやはり疑問点というものは大きく出てまいります。それは、なぜ何度も見直しができる機会がありながらなされなかったのか、そういう疑問が膨らんでくるわけであります。

 ある意味、この辺のところは関西電力さんの体質的な問題なのかな、それとも、長年の積み重ねによる業務上のなれ、これが一番私は大きな問題があるかもしれませんけれども、そのなれによって、関電さんあるいは三菱重工さん、日本アーム、この方々がお互いに、相互に信頼し合って、お互いにうまくやれるだろう、そんな思いの中によってのチェック機能がなされずに起こった事故であるというふうに結論づけてもおかしくないのではないかな、そんなふうにも感じているところでございます。

 あるいは、電力自由化の波の中において、経営の効率化とかリストラ等によって、ある意味、有能な現場職員というものが不足して、そして管理上においてはマニュアル化してしまった。そのマニュアル化された業務の中で、保守管理のチェック機能というものが麻痺したために起こった事故ではないのかな、そんなふうにも受けとめられるわけでございます。

 先ほどから申しているように、原子力発電というのは、あくまでも安全を第一にして、地域住民並びに国民の信頼がなければ成り立たないわけでございます。そして、業務遂行に当たりましては、常に原点に戻って、役員から現場の第一線の方々まで、同じ思いで、同じ規範の中で取り組んでいくということが大事でありますし、それと同時に、OJTあるいはオフJT等々の社員教育の徹底というものが図られていかなければ、このような事故の再発を防ぐということは厳しいのではないのかなというふうに思っているところでございます。

 ですからこそ、三点ほどちょっとお聞かせいただきたいわけでございますけれども、まず一点には、やはり起こってしまったものは起こったわけでございますけれども、ですからこそ、事故に遭われた方々への対応というものをいかに考えてどのようにされているかということ。第二点においては、やはり風評被害、これは大きいものでございます。ですからこそ、風評被害に対しての地元の対策をどう考えているか。そして第三点に、二度とこのような事故を起こさないために、いかに取り組んでいくか、どういうおつもりなのかということをお聞かせいただければありがたいと思っております。

藤参考人 お答え申し上げます。

 まず最初の、事故に遭われた方への対応でございます。

 このたび、五名のお方が亡くなられて、六名のお方が重傷を負われたという大変重大な事故を起こしまして、私ども本当に申しわけない気持ちでいっぱいでございます。私ども、全役員、全従業員、心から反省しております。

 弊社、御遺族の方々、それから負傷されて入院されている方々への対応でございますが、まず、御遺族の方々に対しましても、それぞれチームをつくって担当者を決めまして、それで御遺族のお心に沿うような対応を続けております。(発言する者あり)続けております。

 それで、先般も四十九日がございましたけれども、お許しいただけたところには、秋山会長と私と、二十三日の日でございましたけれども、再度おわびに参りました。今後、いわゆる補償という面も含めまして、御遺族の方のお心に沿うように、私ども、できる限りのことをさせていただく所存でございます。

 一方、入院されているお方につきましても、お一人ずつに私どもの担当者を割り当てまして、それで、特に付き添いの御家族の方に御不便がないように、いろいろと御家族の方のお心に沿うような対応をそれぞれさせていただいております。

 幸い、今、六名入院されておられましたけれども、お一人が御退院になりまして復帰されている状態でございまして、もうお一人が、退院されましたが、まだ御自宅から通院されております。こういう皆様に対しましても、きちっとした対応をそれぞれさせていただいております。

 それからもう一つは、木内計測様という十一名の方が死傷されたお会社でございますけれども、このお会社に対しましても、私ども会社といたしましてできる限りのことをやらせていただきたいということで、誠意を持って対応しておる次第でございます。

 それから、二番目の風評被害という問題でございます。

 これにつきましては、特に……(江渡委員「済みません、時間もありますので、簡潔にちょっと」と呼ぶ)はい、わかりました。地元の観光協会、それから町の皆さん方とよく協議をいたしまして、御意向に沿うような方法で、本当に御被害を受けておられるところがあるわけですので、それに対しても誠意を持って対応し、今協議をさせていただいているところでございます。

 最後の、二度と起こさないという再発防止でございますが、一番大事なことは、まずは職場の安全でございます。

 現在、この事故が不幸にして起こりました建屋等につきましては、一切立ち入りを制限いたしまして、特別に必要なときには安全服を着るようなことで、そういうことで作業員の安全を今完全に維持しております。

 なお、今回、定検の前の準備作業ということで被害に遭われたわけでございますけれども、この定検前の準備作業につきましても、安全が確保され、地元の皆さん方に十分御理解いただくまでは準備作業はしないということにしております。

 それから、さらには、御指摘賜りました品質保証、保守管理の問題でございます。

 これにつきましても、特に一番大事なことはやはり配管肉厚管理、前回の委員会でも御指摘ありましたが、どうしても丸投げと思われるような、そういうことをしておりましたが、これを全部私どもの会社で直営でやりまして、配管の肉厚の点検だけは、これは外注に頼りますけれども、そういう仕組みに変えます。

 それとともに、外注管理を的確にいたしまして、今まで契約上非常に不明確な点があったということも今回御指摘を賜っておりますので、その点につきましてもきちっとした対応をして、少しでも私どもの品質保証それから保守管理のレベルを上げるということで、社内に社外の専門家の方も入っていただいた委員会をつくりまして、それで二度と起こさないというちゃんとした品質保証体制をこれから構築するべく早急にいたしまして、これは経済産業省さんの方にできるだけ早く御報告をさせていただきたいというふうに思っております。

 以上でございます。ありがとうございました。

江渡委員 今、社長の方からお答えがあったわけでございますけれども、このたびの事故というものを大変大きなものだということでとらえていただきながら、社内一丸となって対応していただければありがたいなと思っております。

 時間の関係上、最後に大臣にお聞かせいただきたいと思うわけでございますけれども、今回の事故は本当に大変大きなことでありまして、日本のエネルギー政策上、大変厳しい状況になったのではないのかなと思っております。ただ、それでもやはり資源のない国ですから、原子力というのは大切になってまいります。

 ですから、この辺のところにつきまして、エネルギー所管大臣として、今後の原子力政策のあり方、どのようにお考えになっているかということをお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 まず冒頭、このたび、また引き続き重責をやれということでございまして、委員長、理事の先生方、委員の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 また、何回繰り返しても尽きることございませんが、このたびの八月九日のあの関西電力美浜三号機、五名の方のとうとい命、六名の方の負傷、そして地元福井県、美浜町初め関係者の皆さんに大変な御迷惑をおかけしたこと、これは、今江渡議員からも御指摘のように、エネルギー行政、原子力行政を担う立場として非常に重たく受けとめているところでございます。

 また、先ほど御報告いただきました事故調査委員会、大変、この時節柄、何かとお忙しい時期にもかかわりませず、朝田委員長さんを初め調査委員会の皆様に、六回にわたって大変鋭意にこの中間取りまとめをしていただきましたことを、この場をおかりいたしまして心から厚く御礼を申し上げたいと思います。

 さて、今御質問の件でございますが、日本は電力を初めとしてエネルギーをどうしても外国に依存せざるを得ない。原子力は、昨年の基本計画においても基幹エネルギーである、基幹電源であるという位置づけでございますけれども、しかし、これはあくまでも、安全あるいはまた安心、そしてまた関係者の皆様へのきちっとした御説明と御理解というものが大前提であることは言うまでもありません。

 今の御報告を伺いましても、何となく、点検漏れとかあるいは連絡漏れとか、日本を代表する企業の間のやりとりとしてはちょっとお粗末過ぎるなというところを率直に思わざるを得ないわけでありまして、二度とこういうことがないようにという前提で、安全、安心、そして関係者の皆さんの御理解、そのための説明責任というものを、十分過ぎることはないということで、文字どおりこれから大いに、大きな責任を持ってやっていらっしゃるわけでございますので、なお一層精励をしていただきながら、それを前提にしてエネルギー行政に、また当委員会の先生方の御指導をいただきながら、私自身、心を入れかえて邁進していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

江渡委員 大臣、今のお答えのとおりしっかりと頑張っていただければありがたいなと思っているところでございます。

 時間が参りました。質問を終わります。

根本委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 前回に引き続きまして二回目の質問をさせていただきます。

 質問の前に、再度となりますけれども、亡くなられた五名の方の御冥福、そして今負傷中の六名の方の御回復、一日も早い御回復をお祈り申し上げます。

 前回の質問では、原子力災害対策特別措置法と今回の事故との関係、それから減肉現象を国そして事業者としてどのように理解、管理していたのかという点、そして地元美浜町長の山口町長さんからの避難道路に関する御要望、この三点を中心に質問をさせていただきました。

 そのときにいろいろなお答えがあったわけですけれども、今回、その問題意識を整理する、大変うまく整理できるような形で中間とりまとめが一昨日発表されました。今回、この中間とりまとめを中心に質問をさせていただきます。

 この中間とりまとめ、読ませていただきましたけれども、非常に短時間の調査にもかかわらず包括的に取りまとめられているなという率直な感想でございます。

 今回の事故の事実関係、そして破損に至るメカニズム、また破損した箇所の過去の調査、点検作業契約の推移、それから、今回の美浜に限らず、PWR全体の減肉管理の状況、また、BWRまた火力発電所の同じような管理の状況ということについて、大変しっかりとまとめられているということを感じました。朝田委員長初め委員の方に敬意を表するところでございます。

 この事実関係の調査に基づいて、事故の原因として、国が反省すべき点、安全規制の不明確な部分があった。また、関西電力が下請に丸投げをして、品質保証や保守管理がきちんと行われていなかった、事業者として改善すべき、反省すべき点、これも明確になっております。また、下請会社の問題意識の低さということも指摘をされておりまして、同様の事態を引き起こさないために必要となる当面の対応が端的に取りまとめられていると思います。

 事故原因の究明については、関西電力と三菱重工、日本アームとの関係など、今後、解明されるべき問題が残っているということでございますが、一方で、これまでの調査により、今回の事故原因の大筋や必要な対策は見えてきたのかなというのをこの中間とりまとめを読んで感じた次第でございます。

 そこで、まず、朝田委員長にお伺いをいたします。

 今回の事故が起きてしまった原因の本質はどこにあったとお感じか、それをまずお伺いしたいと思います。

朝田参考人 お答えいたします。

 中間とりまとめにも記載したとおりでございますけれども、今回の事故の直接原因は、二次系配管の減肉管理が、ミスによりまして、管理しなければならない場所が管理対象から抜け落ちており、それがそのまま放置されてしまった、こういうことにあると考えております。もし、関西電力が、あるいは関西電力の指針に従いましてきちんと点検すべき箇所を点検していれば事故は起きなかったであろう、我々はこう考えております。

 このように、事業者が安全確保の取り組みとしてやるべきことがわかっていながらそれが実施されなかった、これが今回の事故の本質であろうと我々は考えております。

 こういう次第でございまして、やるべきことが実施されなかった事業者の品質保証上の問題、これを事業者が克服していく、こういう取り組みが大事であろう、こう考えている次第でございます。

 よろしゅうございましょうか。

斉藤(鉄)委員 事業者がやるべきことをやらなかったということが事故の本質である、こういう理解でよろしいでしょうか。

朝田参考人 そのとおりでございます。

斉藤(鉄)委員 それでは次に、原子力安全・保安院にお伺いいたします。

 朝田委員長の御見解にあった事故の本質を踏まえれば、関西電力がみずから行うべきことを行わなかったというところに事故の本質があるということで、そこがまずポイントだということは明らかでございます。しかし、中間とりまとめを見ますと、安全規制に責任を持つ国にも反省すべき点、改善すべき点が多々あるというふうに読めるわけでございます。

 ということで、国としては、また原子力安全・保安院としては、これをどのように反省し、安全規制にかかわる再発防止策は具体的にどのように考えているのか、この点についてお伺いをいたします。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事故は、原子力発電所で十一人の方が死傷されたという大変痛ましいものでございまして、私ども、国、安全規制当局といたしましても、重大に受けとめております。

 今御紹介ございました一昨日の中間とりまとめを受けまして、国として、今回の事故をきちんと反省し、教訓として受けとめて、きちっとした対策をとる必要があると考えております。

 事故が起きた箇所は、定期事業者検査、これは一昨年の法律改正によりまして位置づけられた制度でございますけれども、そういった検査を行うべきところと位置づけられておりまして、対象となるところは、これまでも省令あるいは解釈通達等で示されておりますけれども、今回の事故を踏まえまして、省令を早急に改正いたしまして、より一層明確化をする、こういう対策をとりたいと考えております。

 それから、二点目でございますけれども、事業者が二次系の配管を点検する際の管理指針でございます。これは、平成二年にPWRについてはできているわけでございますが、十四年以上たちますので、その間の知見や技術の発展を織り込みまして新しい規格とすることを日本機械学会に求めているところでございます。これを国といたしましても評価をいたしまして、管理指針として明確に位置づける、こういう方針でございます。

 さらに、今、委員御指摘の品質保証上の問題でございますけれども、平成十五年十月から、電気事業者の品質管理につきましては、下請事業者の管理も含めまして、事業者の保安規定に規定することを義務づけております。この保安規定は、国が年四回実施いたします保安検査でその遵守状況を監視することとなっておりますが、今回の事故を教訓に、二次系の配管に関するこうした品質保証上の社内規定の遵守状況を含めまして、国としてもきっちりと検査をしていきたいというふうに考えているところでございます。

斉藤(鉄)委員 今の御答弁の確認ですが、そうしますと、本来事業者が自主検査、自主点検を行うべき項目であったとしても、国としてはそれがきちんと行われているか関与して、しっかり見ていく、こういう理解でよろしいでしょうか。

松永政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘のとおりでございます。事業者がきちっと品質保証体制を確立し、それを回すということを国が監査、監督をする、こういう観点から国としてもきちっと対応していきたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 そういたしますと、原子力安全・保安院、現場に検査官がいらっしゃるわけですけれども、その検査官の役目というのは非常に大きいと思います。そういう国の大きな方針が現場できちんと実行されている、まさにその保証は検査官が担っているわけでございまして、その検査官の役割というのも、今後、明確にして、充実をさせていく必要があるかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、原子力安全にとりまして現場が最も重要な場所でございまして、そういう意味で、保安検査官の役割というのは非常に重要でございますし、ますます大事になってくると考えております。

 こうした観点から、私ども、保安検査官の能力向上ということが非常に重要な政策課題だと考えておりまして、そのいわば資質向上のための政策を展開しているところでございます。また、こうした観点から、ベテランの検査官による若手の検査官の現場指導ということも実施をしておりまして、いずれにしましても、さまざまな取り組みを通じまして、保安検査官の継続的な資質向上というものを図ってまいりたいと思っております。

 若干補足をいたしますと、今回の事故対応というところで、保安検査官の役割、活動というものを検証いたしましたけれども、事故直後の対応、あるいはその後の必要な箇所の点検活動ということについて、各サイトの現地保安検査官はきちっとした対応をしているというふうに評価をしているところでございます。

斉藤(鉄)委員 実際に安全の一番キーポイントを握るのが保安検査官だと思いますので、しっかりと充実をしていっていただきたいと思います。

 もう一つ、先ほど江渡委員の質問にも出ておりましたけれども、国、検査官、そして事業者、これらの関係が、そして地域一体となってうまくこの安全サイクルが回るためには、やはり信頼関係の醸成ということが大変重要になってくると思います。地元の声を聞いて、そしてまた、積極的に国からもその情報を提示していく、検査官が得た情報については地域にもきちっと情報公開をしていく、悪いこともちゃんと全部一〇〇%情報公開をしていくということが信頼関係を醸成していく上で大変重要になってくると思います。国は、今回の事故に関して、地元に丁寧に情報提供を行うとともに、今後、地域の声に十分耳を傾ける必要があると考えておりますけれども、どのように対応されますでしょうか。

中川国務大臣 まさに委員御指摘のとおりでありまして、自分のことを言うのはなにかと思いますけれども、事故発生の翌日に現地にお邪魔をして、とにかく専門家の皆さんに、この事故の一刻も早い事故自身の収束と、被災された方々の一日も早い御回復、と同時に、私としては、専門家ではございませんけれども、責任者といたしまして、二度と再発させない、そしてまた御地元の皆さん方、知事さん、町長さんに代表される御地元の方々の御要望というものを折に触れて最大限聞くことが私の今やるべき最大のポイントの一つだろうと。

 もちろん負傷された方々の御全快ということ等も大事でございますけれども、何といっても御地元が一番よく御承知でございますので、そういう意味では、経済産業省としても、また調査委員会の先生方お二人にもすぐ飛んでいただきましたけれども、保安院長を初め保安院の職員が何回となく行っていろいろと御説明をし、また御意見を聞いてまいりました。

 また、そして事故調査報告書が、中間とりまとめが出る直前にも、日程がセットされた段階で、知事さん、町長さんに私からも直接お電話をして、そして二十九日に、取りまとめ報告書をいただいた直後に保安院長等を現地に派遣させていただきまして、こういうものをつくっていただきました。これをまた御精査の上、引き続き、いろいろとまた地元ならではの御要望があると思いますので、ぜひともそれにつきまして、今御地元から見て信頼関係があるかどうかというのは大変不安ではありますけれども、何としても信頼関係構築のために、我々としても全力を挙げて取り組むことが、今けがをされた方の御回復あるいは亡くなられた方の御冥福を祈ると同時に、このことが二度と起こってはならないという前提での信頼関係の再構築、醸成というものが一番大きな我々の仕事だというふうに肝に銘じているところでございます。

斉藤(鉄)委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 今回の事故を大臣が大変重く受けとめられて対処されているということは、国民全体よく認識をしておりまして、その姿勢で頑張っていただきたい、このように思います。

 次に、関西電力にお伺いをいたします。

 先ほど朝田委員長から、今回の事故の本質は、事業者がやるべきことをやっていなかった、そこに本質があるという大変厳しい御指摘がございました。この指摘を受けて、三点ほどお伺いしたいと思います。

 一点は、今回の問題は減肉という現象でございました。原子力発電所全体のシステムからすれば、一つの部分でございます。今回、この指摘を受けて、減肉ということについてきちんとした管理体制を確立していくというのは当然として、一部で明らかになった、やるべきことをやっていなかった、この教訓をシステム全体に水平展開をしていく必要があると思いますけれども、このことについてどのように決意をされているかという点。

 それから、原子力発電、推進していかなくてはなりません。そういう中で、関西電力さんといえば原子力発電についてはもうトップランナーだという評価がございました。ぜひその評価を取り戻していただきたいと思うわけですけれども、その原子力安全への取り組み。

 そして、先ほども大臣、お答えいただきましたけれども、事業者として、地元との信頼関係の構築を、今回崩れてしまった信頼関係の構築をどのように醸成していくのか、この三点についてお伺いをいたします。

藤参考人 お答えいたします。

 まず最初の、今回の、先ほど朝田先生からも御指摘を受けました、私どもがすることをしていなかったという問題に関して、決してこれは減肉管理だけの問題と考えておりません。この苦い経験を原子力発電全体のシステムに広め、そして確実なものにするために、そのために、先ほどちょっと御紹介いたしましたけれども、社外の先生も入っていただいた保全業務機能強化委員会というのを社内につくりまして、これで、それ以外の、いわゆるいろいろな品質管理、減肉管理以外にございます、その部分をより高度なものにしていくという対応をしまして、そしてこの教訓をうまく生かさしていただきたいというふうに思っております。

 二番目の、信頼並びにその評価を取り戻すという問題でございます。

 まずは、先ほど御指摘もございましたように、やはり信頼関係、特に地元との信頼関係というのが一番大事でございます。三番目の問題とも関連いたしますけれども、このたび、私も地元の地区との全員協議会等に出席してまいりました。町の議会にも参っております。県議会にも行ってまいりました。それで、これから、そちらでも御提案ございましたけれども、ぜひ、関西電力とそれから地元の皆様方の定期的な意見交換、そういう場をいろいろなレベルで、私は私のレベルで、あるいは発電所長、社長、支社長あるいは課長といったレベルで、そういうレベルで地元の皆さん方と、定期的に御意見を拝聴し、その中で少しでも信頼関係を取り戻していく、そういう活動をすることにいたしました。

 さらには、大事なことは、二番の問題に入りますけれども、大事なことは、やはり実際に仕事をしていただいている下請の皆さん方、協力会社の皆さん方の御意見がちゃんと上がってくるということであります。そういう意味で、発電所の中の実際に工事管理をしている人間、現場の管理をしている人間と、そういう協力会社の皆さん方との間の情報交換、それをきちっとやるということによって、少しでも品質管理のレベルを上げる、そういう仕組みも導入することにいたしました。

 また、今まで定期点検の工事などに関しまして、私どもの管理が不十分であったということも御指摘をされておりますので、それを専門にやるようなチームをつくりまして、定期点検の万全の管理をするように、これから改善していく所存でございます。

 そういうことで、総括いたしますと、今回の苦い経験を、関西電力の原子力全体の品質保証の向上ということにするために、しっかりと反映させていくということを私どもこれから全力をもって進めたいというふうに思います。

 以上でございます。

斉藤(鉄)委員 以上、終わります。

根本委員長 塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 美浜原発事故について質問をいたします。

 今回の事故で亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、おけがをされた方々が一日も早く回復されることを願います。また、御家族の方や県民、国民の信頼にこたえるような事故原因の解明、対策が求められていると思います。

 その点で、今回の中間とりまとめというのがそれにこたえ得るものかどうかという点について、お聞きいたします。特に、破損箇所の記載漏れの経緯が解明をされているのか、この点、最初にお聞きします。

 特に、三菱重工業がプラントメーカーとしても点検管理の事業者としても重要な役割を果たしているわけで、三菱重工業の関与がどうだったか、この点についてお聞きします。

 平成七年に三菱重工業が北海道電力の泊一号機で記載漏れを発見しました。それから、平成十年に三菱重工業がこの泊原発の減肉情報の水平展開を原電の敦賀二号機に対して実施し、平成十二年にこの原電敦賀二号機で記載漏れを発見しています。ですから、三菱重工業の記載漏れ自身は極めて重大ですけれども、同時に、二カ所でそれを発見しているという経過があるわけですね。

 そこでお聞きしますが、三菱重工業は泊一号機でどのようなきっかけで記載漏れを発見したのか。つまり、記載漏れに気づく前に減肉検査は行っていたのかどうか、その辺の経過についてお聞かせください。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 調査委員会の中間とりまとめが作成されるに当たりまして、私ども、関西電力はもちろんでございますけれども、今御指摘の下請事業者でございます、協力事業者でございます三菱重工業、それから日本アームに対しましても報告徴収命令を発しまして報告を徴収し、経緯の事実関係について検討を進めてまいったところでございます。

 今御指摘の北海道電力泊発電所一号機における点検リストの記載漏れでございますけれども、これは今回の事故が起きてから明らかになったわけでございますけれども、平成七年の時点で三菱重工業が、記載漏れがあったということが明らかになっております。ただ、この点につきましては、中間報告の中でも述べておりますように、どういう形でこの記載漏れが発見をされて、どういう形でこれが修正をされたのかということについては明確にはまだなっておりません。

 それから、この当該部分につきましては、その後、平成十年に三菱重工が点検をした際に、減肉をしているということが明らかになりました。それを三菱重工業といたしまして、みずからが点検をしている他のプラントについていわゆる水平展開を実施した、こういう結果として日本原電の敦賀発電所についてやはり同じような点検漏れがあったということが明らかになった、こういう経緯でございます。

塩川委員 お聞きした点については明確になっていない、わからないままだという話ですよね。同時に、敦賀の場合で見ても、減肉情報の水平展開で、結果として記載漏れが見つかったということになっているわけです。記載漏れについての情報提供は日本アーム側にはなかった、こういう話ですけれども、しかし、減肉情報の水平展開などがきちんと行われれば記載漏れが発見できる可能性も極めて高かったということも物語っているわけなんです。

 そこでお聞きしますが、三菱重工業はこの減肉情報の水平展開を行うよう日本アームに対しアドバイスを行ったんですか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 三菱重工業から徴した結果でございますけれども、関西電力の各プラントへの減肉情報の水平展開は、基本的には点検を平成八年以降実施しております日本アームの役割である、そういう旨の合意がございました。ただ、重工業といたしましては、この敦賀発電所での減肉情報につきまして日本アームに情報を提供した、こういうふうに述べておりまして、その旨中間報告にも記載をさせております。

 他方、日本アームにつきましては、三菱重工から提供を受けた当該部位の減肉情報につきましては、一般的な技術情報であって、いわゆる記載漏れについての指摘は重工業からはなかったというふうに説明をしているというところでございます。

塩川委員 記載漏れの話じゃなくて、減肉情報の水平展開を三菱重工は日本アームにやりなさいよ、こういうふうに言ったのかどうかというのを聞きたいのと、それを受けて日本アームは実際に減肉情報の水平展開というのをしたのか、その二点、お答えください。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 三菱重工業から日本アームに提供された情報でございますけれども、これはまさに日本原電で、オリフィスの下流部で減肉があったわけでございますので、オリフィスの下流部で減肉が起きた、こういうことを日本アームに情報として提供したということでございます。

 私どもの推測といたしましては、日本アームといたしましては、オリフィスの下流部で減肉があるということはいわば既知の事実でございますので、いわゆる一般的な技術情報だというふうに受けとめたのではないかと思いますが、いずれにしましても、それを受けて、日本アームとしていわば点検漏れとしての水平展開というものはこの時点では行われなかったと承知をしております。

塩川委員 では、日本アームとして減肉情報の水平展開をしたということなんですか。日本アームとして減肉情報の水平展開を行ったということなんですか。

松永政府参考人 既にその時点では、日本アームといたしましては、オリフィスの下流部を含めまして、管理指針に記載をされている主要点検部位については点検をしている、こういう認識でございますので、日本アームの理解といたしましては、そういう一般的な技術情報を三菱重工業からは受けましたけれども、いわばそれに基づいて、そういう情報、基本的な知識に基づいて点検をしている、こういう認識ではなかったかと推測いたします。

塩川委員 まあ、わかっていることだよということでわきに置いてしまったというような話として受けとめるわけですね。日本アームの認識不足のせいだという部分もあるのかもしれないですけれども、それにとどまらない問題だと思うんです。

 私は、やはり三菱重工業がもともとこの発電所をつくったわけですし、配管点検管理業務自身も担当していたわけですし、一番情報が集中し、情報を集積している企業であるわけで、そういう意味での三菱重工業の責任が極めて重いと思うんです。管理指針についても、PWRのものについては、これは三菱重工業が主導で実際につくったわけですから、そういう点でも、三菱重工業の関与について、冒頭聞いたように不明確なままであるわけですよね。

 それなのに、今回出された政府、経済産業省の文書を見ても、関電とか他の電力事業者に、電気事業者に対してはあっても、三菱重工業に対しては発出をされていないわけなんですよ。問題があると言われている三菱重工業に対して、何らの対応策なりの文書を今回出していないわけですよね。私、その点でやはり政府の責任も問われるんじゃないかなと思うんです。こういう事故原因についての核心部分が未解明のままでいいのかということが問われると思うんです。三菱重工業の関与が不明確であれば、これをきちっと明らかにする。

 特にそこでお聞きしたいのが、報告徴収命令を発出しているというふうにおっしゃっておられますが、これをきちっとやるべきだと思うんですよね。上がってきているのが不十分なんですから、もう一回出し直せということを含めてやる必要があるんじゃないかと思うんです。

 というのは、電気事業法の百六条の二項に、原発の「保守点検を行つた事業者に対し、必要な事項の報告又は資料の提出をさせることができる。」とあるわけです。求めた報告や資料を出さなければ、罰則の規定もあるわけですね。これは一昨年の東電不祥事をきっかけに、点検管理事業者に対してもきちんと報告徴収を求めることができるようにするという意味での強化を行ったわけですよね。まさに今回使うべきときに来ているわけで、不十分であればきちんと出させるということを三菱重工業に対して厳しく求めていく必要があるんじゃないでしょうか。この点、いかがでしょうか。

松永政府参考人 お答えいたします。

 今回の点検漏れに関するいわば平成二年以降の経緯でございますけれども、中間とりまとめにおきましては、そこに記載されておりますとおり、当面早急に実施をしなければならない再発防止策というものを明らかにする観点から必要な調査としてまとめたものでございまして、そういう意味では、十分な経緯は、必要な経緯は明らかになっているというふうに認識をしております。

 ただ、今御指摘のとおり、まだ関西電力、三菱重工業、日本アームのこの三社の関係、あるいはどういうところに問題があったのか、技術的な問題のみならず、管理的な側面から引き続き究明すべき課題というものもございます。

 どういう課題があるのかということにつきましては中間報告にも明記をしておりますので、私ども、今御指摘の電気事業法に基づきます報告徴収命令規定等も活用しながら、引き続き必要な調査あるいは経緯の究明というものに努めていきたいというふうに考えております。

塩川委員 先ほど申し上げましたように、三菱重工業に対しては何らの文書も発出をしていないわけですよね。問題がある、責任があるというのにこういう対応になっている。

 そこで、大臣にお伺いしますが、私は、今の中間とりまとめでは、原因究明が現状では不明確なままになっている、これではやはり現地の福井県民の方や国民の方の納得が得られないんじゃないか、このように思いますが、その点どのようにお考えかお聞きしたいのと、もう一つ、こういうときだからこそ改めて事故調査委員会のあり方についても見直して、独立した事故調査委員会を設けよという声は福井県からの要望としても出されているところです。このことについてもこの機会に検討すべきではないか。

 以上、二点についてお伺いいたします。

中川国務大臣 今回の事故調査委員会はあくまでも中間取りまとめでございますから、先ほど委員長からも御答弁していただきましたように、今やるべきことと今後まだ残っていることと、二段階に分けて早急かつ詳細な中間取りまとめをしていただいたということで、これで事故調査委員会の報告なり作業が終わりだとは私は思っておりません。今後とも、必要があればまたお願いをしなければいけないと思っております。

 他方、この中間報告書は、原子力安全委員会の方にも、これはもう全くの八条委員会としての独立した機関の方にお出しをし、また御検討をいただいているところでもございますので、そこでのまた御検討なり御指示なり、また、いろいろと各機関、捜査機関を含めて今いろいろと調査中でもございますので、そういう意味で、あくまでもこれでもって一つ終わった、けじめがついたということではなく、今後ともやるべきことが私はあるのではないかというふうに思っておりますので、そういうふうに御理解いただきたいと思います。

塩川委員 事故調査委員会のことについて一言だけお伺いします。

菅大臣政務官 委員御承知のとおり、この委員会は、政府でもなく事業者でもない、まさに専門家の委員によって構成をされており、今日までの審議というのはすべて公開をされ、その議事内容についても、事後、プレスにブリーフィングされるなど、さらにまた、地元の福井県や美浜町に対しても説明をさせていただいています。

 専門性と公正性の双方が担保された形での委員会の運営である、こういうふうに思っていますし、先ほど大臣が申し上げましたように、原子力安全委員会の中にも保安院をチェックする、ダブルチェック体制もありますので、委員の御懸念には値しないというふうに思っております。

塩川委員 納得できる対応というのを今後求めていきたいと思います。

 関西電力さんにお伺いいたします。

 「クローズアップ現代」がちょうど前回の閉会中審査のその夜にありました。そこで関電の美浜事故の特集が行われて、事故の背景として九五年からの電力自由化のことが指摘をされ、発電をとめると一日一億円の損失、だから定検を短縮するという問題を指摘しました。

 定検短縮のために、作業員の意識改革ということで、事前に作業前に目標日数を示して、達成をすると記念品や感謝状を出す、その中では、記念Tシャツが大きく絵になって出ました。そこには、大飯原発について三十七日四時間四十分達成ということが胸に入っている、そういう定検短縮を誇るTシャツがつくられているわけです。そういう中で、事前の運転中からの準備作業も日常化をしていたということが指摘をされておりました。

 これは、産経新聞でも、中でのいろいろな矛盾のことを指摘しています。美浜原発の点検担当者が点検業務のコスト削減をめぐり、上から締めつけがあった、上に報告してもだめだと言われることがあったと話していた。そういう中で、今回の配管の点検管理業務について三菱重工業から日本アームに切りかえたわけですが、この産経の記事では、その委託費は三菱重工業が高く、日本アームに変えることでコスト削減につなげていたという指摘があります。この委託費についてですが、三菱重工業より日本アームの方が安くなったということでよろしいでしょうか。

岸田参考人 お答えします。

 日本アームへ三菱重工から変えましたのは、検査とそれから工事、それに伴う修理工事等との独立性を保つということでアームへ変えたわけでございまして、それともう一つは、アームへ変えました目的としましては、アームが私たちの協力会社でございますので、グループの中で技術をしっかりと育てる、育成する、そういう二つの面でアームに変えたわけでございます。

塩川委員 委託費が安くなったかどうか。

岸田参考人 委託費とかコストを目的にしたものではございません。

塩川委員 いやいや、だから、安くなったかどうか、その点だけ。

岸田参考人 委託費そのものは、トータルとして委託している額は余り変わっておりません。箇所数等もございますので、点検箇所とかいろいろなことがございますので。

 以上でございます。

塩川委員 ちょっと納得できないところですけれども、経費は変わらないと。ちょっと時間もありませんから、後で事実経過はもう一回確認させていただきたいと思います。

 あるいは、日刊工業新聞では、日本アームが行う業務も、点検そのものはまた下請の事業者を使っているんだという記事なんですよね。ですから、日本アームの下請会社が引き受けるような検査価格では実際には赤字だという指摘もあるわけです。

 つまり、関電から日本アーム、日本アームからさらにその下請の点検業者、その段階では赤字だという指摘もあるんですが、私はそのコスト削減というのが背景にあるからだと思うんですが、その点はどうですか。

岸田参考人 今先生がおっしゃったことでございますが、もし下請の方がそういうふうなことがあるというふうなことでございますと、私ども、常々実際に第一線で働いている方の御意見を聞けるような風通しのよい職場をつくるということに頑張ってまいりましたけれども、まだまだ不足なのかもしれません。私どもはやはりそういうことを通じて直接的に、もしそういうことでございますと、当然私どもとして対策をとるべきでございますし、今そういう風通しのよさで、もし不十分であるとすれば、もっとこれからしっかりとやっていきたい、まさにそれが今回の対策の大きな一つでございまして、いろんな風通しのよい職場をつくりたいということで頑張っていきたいと思っております。

 以上でございます。

塩川委員 地元の福井新聞では、このコスト削減の問題での特集記事も組んでいまして、以前は関電の中では改善提案という形で、安全確保の提案なんかがあればそれを受け入れて、その提案をした事業者にその仕事を出すという形での取り組みなんかでやっていたというわけですよ。そういう意味では、マイプラント、自分たちの原発という自覚と誇りというのが事業者の方にはあったという話なんですね。それがコスト削減の中でどんどん削られて、こういう改善提案もないがしろにされる、予算がない、必要がないと次々却下をされる。

 そういうことで、結果として、異常に気づいても見て見ぬふりをするような事態になったんだ、私、そういう現状というのが今率直に生まれていると思うんです。三十七日の四時間四十分という、時間短縮だけを競うような形で、結果として安全対策が軽視をされる、これが今起こっている事態の背景の大きな一つじゃないか。

 資料としてお配りしたグラフにもありますように、私、今稼働率を上げるということが大きな命題となって、結果として定検の日数をどんどんどんどん短縮をする、この数年間大きく点検日数が短縮しているところに、そこに端的にあらわれていると思うんです。こういったコスト優先で安全軽視というやり方、そのままでは事故をなくすことはできない、克服することができない。

 時間が参りましたので、この点、強く指摘をして、終わります。

根本委員長 吉田治君。

吉田(治)委員 民主党の吉田治でございます。

 前回の質疑のときに、私、四十九日というお話をさせていただきまして、事故調査委員会の皆さんに、本当に御苦労をされて、何とか、最初事故の時期にお亡くなりになられた方々の四十九日に間に合わすように中間報告を出していただいたことについては、私は大変感謝を申し上げたいと思います。そして、それを受けて、委員、理事皆様方の御賛同を得てこうして経済産業委員会が開かれるということ、大変私はありがたいことだと思っております。

 一つの区切りでありますけれども、まあ、事故後にお亡くなりになられた方がおいででございますので、まだ正式には全員の四十九日が終わったということではございませんけれども、こうして国会において、遺族の皆様方のお気持ちも含めて、委員会が開催をできるということ、大変私は皆様方に感謝すると同時に、ありがたいなと思っております。

 まず最初に、先ほど社長の答弁の中で、四十九日の法要に関しては、会長と一緒に三カ所ですか、行かせていただけたので行ったとおっしゃられました。たしか、前回の質疑の中で、私、お葬式等になぜ会長は行かないのかとお話を申し上げましたら、私が業務執行者で最高責任者だから行くんだと御答弁をいただいたんですけれども、四十九日のときに会長が御一緒されたことを否定することはありませんけれども、何か変更があったんでしょうか。一部には、上海に行けても福井には行けないのかという指摘があったということも事実でございますけれども、その辺はいかがなんですか。

藤参考人 お答えいたします。

 四十九日そのものの法要に参ったのではございません。それの二、三日前に、四十九日を前にして、許された御遺族のところへ秋山会長と私とで改めておわびに参ったということでございます。

 前回御質問のありましたときに、お葬式の問題、今回のこの問題に関して私が業務執行の統括責任を持っているので私が行かせていただきましたということを申しました。今回、四十九日の前ということで、もう一度改めておわびをしに行ったということでございます。

 以上です。

吉田(治)委員 事故調査委員会の中間報告にも言っておりますように、おわびをしたということは、自分たちが悪かった、責任があったということを認めたんだと私は理解をしております。また、大臣も事故後すぐに入られて、人災だということを言われたということ、これは前回の委員会でも確認がなされている。

 私は、改めて、前回の委員会で、一番基本的な問題について、参考人並びに行政の方から、大臣初め皆様方からお聞きすることが二つほど抜けておりました。

 まず第一点目は、この原子力発電というもの、その前提として、大臣、今原油価格が急騰しておりますね。非常な勢いで上がっている。航空運賃も上がるんじゃないか。ガソリンの値段は毎月のように上がってきている。原油価格は、私が言うまでもなく、中近東から運ばれてまいりますので、時差もこれは確かにございます、運ぶ間の。このことについて、今どういうふうに認識をされて対応方というのをお考えになられているのでしょうか。

中川国務大臣 ことしの初めまでは、いわゆる原材料、天然資源が総じて上がっていたわけでありまして、これは、中国、インド等の大変な経済発展の勢いというもの、あるいは船賃等々いろいろあったんだろうと思いますけれども、ここに来て、特に原油価格が大変急騰している。WTIでついに五十ドルという線も行ってしまったということであります。

 この原因については、もう委員も御存じのように、一つは、生産余力がない、OPECももうほとんど目いっぱいになってきている、あるいはまた、アフリカ等々の地域でもなかなか余力がないということ。他方、需要の勢いは依然として強いという需給のアンバランスということが一つあると思います。

 それからもう一つは、いろいろな不安定要因、例えばいわゆる中東の地政学リスクというものもよく言われますし、最大の供給国の一つになりつつありますロシアでいろいろと供給不安の要素が出つつあるとか、あるいはまた、中東から主に東アジアに来るときに、マラッカ海峡での海賊問題なんというのも我々にとっては非常に大きな問題になってきている。

 他方、アメリカは、この前のアイバンとかいう大変なハリケーンの影響も出ているというふうにも聞いておりまして、総じてこれは上げ要因であることは間違いないと思います。

 そこで、経済産業省といたしましても、ことしの春から特に原油について、毎週、特にガソリン、全国のガソリンについてレギュラー、ハイオク、灯油、軽油、三種類ウオッチをしておりますけれども、じりじりと上がってきているのはもう委員御指摘のとおりであります。

 ただ、これはあくまでもサンプルでありますけれども、都道府県別に四十七を並べてみますと、たしか一番最近のデータでは、百十二円から百二十八円、九円までちょっとばらつきがあるわけでありまして、これはいろいろな状況にもよるんだろうと思いますけれども、一割以上のばらつきがあることも、我々のこれはあくまでもサンプル調査でございますけれども、そういう状況になっております。

 他方、その他の産業界に与える影響についても、何とかこのコストをカバーできるという業界もありますし、あるいはまた、これが直接的に影響を受ける、あるいはまた、取引先からそれによって値上げができない圧力みたいなものがあるということも我々としてはウオッチをしていかなければいけないと思っております。業界まちまちではございますけれども、日本がオイルショックのときのように石油に大変な依存をしているという状況ではなくなってきたことは他方事実でございますけれども、しかし、やはり主要な日本のエネルギー、あるいはまたいろいろな素材のもとになる重要製品でございますので、引き続き注意深く見守っていかなければならないというふうに考えております。

吉田(治)委員 大臣の答弁を聞かせていただいても、やはり日本にとってこのエネルギーの問題というのは大変大きな、私たちの生活、産業を含めて大きな問題だということは大変よく理解をしていける。やはり国の独立というものは、そういう中において、エネルギーの安全保障がなければ成り立っていかないという認識は、これは大臣も、また私たち民主党、野党の立場であっても、私は変わらないと思うんです。

 そういう中で、いかにこの安全保障というもの、独立というものを守るかという中で私は原子力政策がある。そういうふうな中において、原子力というものをそもそも論から考えていきますと、例えばIAEAであるとかさまざまな国際機関の枠がある。考えてみれば、この原子力というのはだれでも発電所を設けることはできませんよね。私は、原則禁止のものが原子力である。火力発電所、水力発電所のように、例えば今の電力の自由化の中で、ある程度の要件が満たせば自由に発電所を設けられるものでは決してないということ。これは、原子炉等規制法を含めて、原則禁止のものを原子力事業者として国が許可をしているということ、それに対する管理責任というふうなもの、この報告書にも出ておりますように、大変重いものがあると思いますけれども、そこの部分について、大臣並びに参考人として、どういうふうに、この国の許可というもの、原則禁止の原子力を運用するということ、どれほどのものであるかということを御認識をいただければと思います。

菅大臣政務官 今の委員の御指摘のとおり、この原子力事業というのは、原子炉等規制法のもとに、国による技術的能力及び経理的基礎などの審査を受けて、特別の事業者に許可をされる極めて重要な事業でありますので、この認可を受けた事業者は、国民に対して、その特別な地位に見合うような、大前提としての原子力安全を提供しなきゃならないという義務をまず有している。さらに、他の発電方式と比べ、安全についてより真剣な取り組みが求められる、このように考えております。

藤参考人 事業者としてお答えいたします。

 私どもは、今先生おっしゃいましたように、原子力事業者として国の許可を得て、十一基の原子力を運転させていただいております。その中で、国の規制、それから私どもの自主保安活動、これが両輪となって、そうして原子力発電所の安全確保がなされておる、そして私たちがそういうことを許されているというふうに考えております。でございますので、今先生おっしゃいましたように、原子力を運転させていただいているということに関しまして私たちとしては大変重い責任を持っているということは、十分自覚しております。

吉田(治)委員 社長、ちょっとこういうことを聞くのはいかがかと思うんですけれども、これは原子力事業という形で、国で許可を得て回していらっしゃる。今政務官の方から、安全提供義務、安全な取り組みを求められているというお話がございました。原子力事業というものは、会社にとっては利益を生んでいるものなんでしょうか、それとも、赤字で困ったもので、こんなものはもう早くやめたいというふうなものなんでしょうか。いかがでしょうか。

藤参考人 お答えいたします。

 私どもは、原子力発電を安全確保を大前提に遂行させていただいております。

 その上で、原子力につきましては、先ほどお話ございましたように、いわゆる原油の値上がりというふうなことから申しますと、原子力発電に関しましては、燃料、そういう原油の高騰の影響を受けるということはございません。さらに、地球環境問題につきましても、CO2を発生しないという非常によい面も持っております。

 そういうわけで、私どもといたしましては、原子力発電というのは、これは我が国にとって欠くことのできない大事なエネルギー源だと思いまして、そして私ども、安全運転第一に原子炉を運転させていただいているということでございます。安全運転が第一でございます。

吉田(治)委員 質問にもう一つ答えが抜けているんですけれども、原子力発電というものは、会社にとって利益を生むものなんですか、それともボランティアで、今言われたように、お国のためにやっているんだというものなのか、いかがなんですか。どちらですか。

藤参考人 お答えいたします。

 私ども、原子力発電、火力発電、そして水力発電、全体をベストミックスで、一つのミクスチャーといたしまして、そして経済性がある電源としてお客様に電気を供給させていただいておる次第でございます。

吉田(治)委員 そこの部分というのは、私はある意味で非常に大事だと思うんですね。いろいろな部分でボランティアで一生懸命やられているという部分であるならば、先ほど同僚議員のさまざまな質問というふうなものも、ちょっとという部分もあるかもしれませんけれども、やはりそういうことによって経済性を生む、会社にとって利益を生むものであるということであるならば、今言われた安全というもののバランスというもの、後ほど質問しようかと思ったんですけれども、まあ、後ほどにさせていただきます。そういうふうな中でいきますと、では、今回の事故によって、国の原子力政策、これに対する信頼喪失というものが私は起こったんだと思います。安全、安心があって信頼感がある、その辺の認識については政府側はどういうふうにお考えになられて、そして参考人として、これは会社の問題ではなく、国家国民に対して信頼喪失というふうなものについてどういうふうに認識をされているのか、お答えをいただきたいと思います。

菅大臣政務官 今回の事故は死傷者十一名を出す大変痛ましいものであり、これまで築いてきた国民の原子力に対しての信頼を損なう結果となった、このことについては極めて遺憾に思っています。

 この事故調査委員会の中間とりまとめを踏まえまして、事業者に対策の徹底を求めて、また国の保安検査での厳正なチェックを行うなど、事故の再発防止に万全を期していきたいというふうに思っていますし、さらに、この原子力政策については、中長期を見据えて着実に取り組んでいくものと考えております。このために、こうした安全面での取り組みに加えて、積極的な情報公開や国民に開かれた形での議論などを進めることにより、原子力政策に対する国民の理解と信頼を回復できるように私どもも全力で取り組んでいきたい、こう思っています。

藤参考人 お答えいたします。

 まず、事業者といたしましては、一昨日大臣からいただきました厳重注意並びに御処分、これをきちっと厳粛に受けとめて、この報告をきちっと出し、そして品質保証システムを完全なものにしていくということがまず第一でございます。

 その上で、地元の立地町、隣接町、それから福井県の県民の皆様に、私どもが失いました信頼を少しでも取り戻せるように地元の皆様方に御説明し、御理解を賜り、非常にこの活動は粘り強くやっていかなくてはならないと思っております。そういう活動をこれからも真摯にさせていただきたいというふうに考えております。

吉田(治)委員 政務官、大臣でも結構です。信頼は喪失をされたと、政務官、そう認識していいんですか。

菅大臣政務官 そのように考えています。

吉田(治)委員 藤参考人、ちょっとお答えが、私は、信頼喪失が行われたのかどうか、どう認識をしているのかと。もちろん地元対策も大事ですけれども、私は、国家国民に対してどう信頼喪失というふうなものを認識されているのかということ。

 もう一点は、私も関西電力の電気をある意味で買っているエンドユーザーになるわけですね、消費者。これは隣接、立地、もちろん大事であります。それを買っている私たち消費者は、こんな言い方はよくないかもしれないけれども、関西電力さん、物すごく広告をされて、私たちが使っている電力の半分以上は原子力だとわかっております。また、風評被害というお話もございましたが、あの事故の翌々日に参ったときに、あの発電所の周りの海水浴場はいっぱいの人でした。やはり、その部分は、非常に国民というのはある意味、この事故というものは、原子力発電所、目の前の発電所で起こっても放射能の問題はないんだ、自分たちは遊びに行っても大丈夫なんだというふうに、それほどみんな認識をしている。

 しかし、さはさりながら、原子力というもの全体に対して、私たちは電気料金を払うと同時に、その中には原子力の安全のためのお金も払っているわけなんですね、エンドユーザーとして。それに対する信頼というものが失われたと認識ができているのかどうか。それは、私たちエンドユーザーである消費者だけではなく、日本の国というもの、そして国民、ほとんどの電力会社は、いや、すべての電力会社が原子力発電所を持っている中で、何がしかの電気の何分か何十分の一かは原子力を使っているわけですよね。それに対して、ある意味で安全、安心というものに対する信頼感を喪失させた、そのことはどう認識をしているのか。喪失をした、喪失をさせてしまったと思われているのかどうかということであります。

藤参考人 失礼いたしました。

 大変、国民の皆様方、お客様含めまして、私どもの原子力に対する信頼感を失わせてしまったというふうに思っております。これは大変重く受けとめております。そのとおりでございます。

吉田(治)委員 そういう中で、大臣お戻りになられました、きょうはエネ庁の長官もおいでいただいております。原子力政策といった場合には、これから核燃料の問題も出てまいります。MOXの問題、核燃料の問題、今後この問題についてはどう影響が出てくるのかということ。そして私は、政務官ではなくて大臣に、では、今後のこういう状況の中における原子力政策をどう進めていくのかという御決意というんですか、信頼回復を、これは取り戻していかなければならないという中において、この先を見ていくのは大変厳しいことかと思いますけれども、エネ庁の長官、きょうもおいででございます。今回の与える影響、それから今申し上げました、大臣から原子力政策の今後の展開についての御決意のほどを賜りたいと思っております。

小平政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の事故は、死傷者十一名を出します大変痛ましいものになったわけでございますけれども、同時に、ただいま先生からも御指摘がございましたように、原子力に対する国民の皆様の信頼を失わせる結果になったというふうに考えております。

 これまで政府といたしましては、原子力政策を、原子力を国の基幹電源と位置づけて推進をしてきたわけでございますけれども、今回の事故、あるいは信頼が失われたということによりまして、これからの原子力政策を推進していく上で大きな問題になっているというふうに認識をしております。これをこれからどのように回復をしながら原子力政策をしっかりと推進していくかというのが私どもの課題であるというふうに認識をいたしております。

中川国務大臣 今、エネ庁長官から答弁いたしたとおりでありますけれども、やはり取り返しのつかない人命を失ってしまったこと、そしてまた、原子力発電あるいは原子力行政に対して御地元、国民の皆さんに大変な不信というものを与えてしまったこと、本当に何回言ってもこれは言い尽くせない、実行あるのみ、信頼回復の、信頼性の、信任といいましょうか、それを取り戻すために結果を出さなければいけないということだろうと思います。

 その上で、昨年の原子力基本計画というもので、今後、中長期的なエネルギーについての見通しというものを立てたところでございますので、その安全性なり信頼なりを前提にして、この原子力も含めた、日本国民にとって、日本国にとって、冒頭吉田委員からも御指摘のありました日本がとるべきエネルギー政策というものを引き続きとっていきたいというふうに考えております。

吉田(治)委員 そういう中で、中間報告のことについてちょっと、きょうも委員長おいででございます、ぜひとも今わかり得る限り、中間でございますので、報告書の中でお聞きさせていただきます。

 「破損箇所に対する管理」という中で、点検リスト漏れというふうなもの、先ほどの委員長の御発言の中でも、最終的には関西電力の責任であると。十五ページに行きますと、「委託元の関西電力は、最終成果物である当該点検リスト等の記載漏れのチェックを行っていなかった。」という部分、これは非常に、三つの会社がある中でも非常に重たいと思うんです、許可を受けて行っている会社という部分。ここについて、どういうふうに委員長としてお感じになられているのか。

 そして二点目は、これは私は反対側の側面からすると、チェックの項目が、私はわかりません、専門家じゃありません、素人目に見ても多過ぎるんじゃないか。何万、何千ということになると、それは申しわけないけれども、一つぐらい忘れてしまう可能性もあるんじゃないかな。これは、今回の委員会の中でヒューマンエラーという言葉が、後ほど、今後の調査報告についての部分でも新たにこれが追加を、九月十七日の調査委員会の案から、この「今後の調査事項」という部分で、人の部分、管理の側面という部分も調査をする必要があるというふうに、またこの一昨日のペーパーの中にも、報告書の中にも出てきております。やはり、人がやる部分というもの、それと同時に、全体的な流れとして責任はある、そしてそこは人がやっている。一方では、ちょっと私らからすると数が多過ぎるんじゃないかというふうな部分、その辺の関係というのはどういうふうにお感じになられたのかということをお願いします。

朝田参考人 お答え申し上げます。

 まず、点検箇所が非常に多過ぎるのではないか、こういう点でございますけれども、それは事実でございます。しかし、これはやらなければいけないことでございます。あとは、これをいかにミスなく、かつ能率的に進めるかという、こういう技術の問題になるかと思います。

 委員会といたしましては、例えばコンピューターを多用するとかシステムをつくり上げる、こういうことで対応していただきたい、こういう御提案をしている次第でございます。

 よろしゅうございましょうか。

吉田(治)委員 そういう部分で、あと、十九ページの「今後の調査事項」という形で追加が入ってまいりました。

 ちょっと振り返ることになるかもしれませんが、今回の事故調査委員会第四回目からマネジメントの専門家の先生もお入りになられて、この事故は、大臣の人災ということもあるかと思いますけれども、機械だとか部品だとかいう部分でなく、先ほど委員長も、指針どおりしていったら発生をしなかった、いわゆる丸投げをしていたからこんなことが起こったというふうな認識、まずその認識に変わりはないかということと、二点目、今後の管理的、人的過誤の調査というふうなもの、これは具体的にどういうふうになされていくのかということを、ちょっと二点お願いしたいと思います。

朝田参考人 第四回から品質保証の専門家として飯塚東大教授に委員をお願いいたしましたけれども、実はこの品質保証という問題が非常に大切であるということは第一回の委員会で既に委員から指摘されておりまして、この指摘に対応するために実は飯塚委員に加入をお願いした、こういうことがございます。

 今後どのように進めていくか、それは我々としても十分検討いたしますけれども、やはり品質保証体制、これを徹底していくというよりも、日本では品質保証というものに対する考え方、概念が明快でないのでございます。ここをもっと明快にして、日本全体として考えていただくようにしたい、こういう方向で多分検討することになると思います。

 いずれ委員の皆さんと議論をいたします。どうぞ、また結果につきまして御報告をすることがあるかもしれませんが、御意見をいただきたいと思っています。

 よろしゅうございましょうか。

吉田(治)委員 その中で、先ほどから議論ありましたように、要するに日本の二層構造とよく言われます。大企業と中小企業であるとか、元請と下請であるとか、ここでも外務委託という形で、先ほど丸投げという言葉も申し上げましたけれども、その関係というふうなものは、今回にはどういうふうな影響が及ぼされているかという、報告書の中で検証されているのか、これから検証がなされていくのでしょうか、いかがですか。

朝田参考人 お答えいたします。

 この点につきましては、報告書の中では十分検討しておりません。もしこれが非常に大事な問題であるという判断になりましたら、今後検討することになると思います。

 よろしゅうございましょうか。

吉田(治)委員 多分、今後の検討課題の中で、契約関係というのが大きく関係してくると思うんです、関電さんと重工さんと日本アームさんと。そういう中で、契約関係というのはあいまいなのか、それとも、今申し上げたように発注元それから受注先というふうな、そういう二層関係、そして日本アームさんから、御承知のとおり、木内計測さんという下請に入っていくという、この辺の部分というのを少し、検討項目という形で、日本の、この事故だけではなく全体としての大きなバックグラウンドとしてお考えをいただく必要があるんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

朝田参考人 お答えいたします。

 御注意いただいたとおりであるかと考えます。検討させていただきます。

吉田(治)委員 あと、これは次は国のかかわりの中で、きょう保安院長もおいでいただき、調査委員長の、この報告書をずっと読んでいきますと、「定期事業者検査における配管肉厚管理の検証」というものが入っておりまして、私はこれを読ませていただいて、国が関与すべき、先ほど省令も変えていかれるということを言われた、大変大切なことであると同時に、一番最後の中に、慎重な検討も必要であると。やはり、国がやるべきことと余りにもやり過ぎてはいけないということ、これは報告書にこうして両論併記をされているんですけれども、それを受けて保安院長としてまずどうお考えになられたか。

 そして委員長、今回のこの事故を受けて、何でもかんでも国ができるわけじゃありませんよね、また先ほど藤社長の方からも自主保安という言葉が出てまいりました。会社としてすべきこともあると。そして、一昨年から定期事業者検査という新しい制度も入った。私の個人的な考えとしては、こういう事故が起こったとき、何でも国が国がと言うけれども、やるべきこととやらないべきこと、そして民間にお任せすべきことというのは、まあそういう意味でいったら省令を変えるということになるかもしれませんけれども、慎重な検討という言葉が入っているのは非常に大事だと思うんですけれども、委員長としてそこのお考えはどういうふうにお考えになられ、委員会としての議論はどうなっているのか。

 そして、それを受けて、保安院長としてどう対応方をしていくのかということをお願いしたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の二次系配管の点検というのは事業者の自主点検の対象でございましたけれども、今御指摘のとおり、二年前、法律を改正いたしまして、定期自主検査という形で法律上位置づけて、一定の国の関与を行っているところでございます。

 これに従いまして、先ほども御答弁させていただきましたけれども、今回の事案を踏まえまして省令を改正いたしまして、定期事業者検査についての対象の明確化等を初めとする省令改正を通じた国の関与の明確化を行っていきたいというふうに考えております。

 こうしたことを踏まえまして、さらに保安検査あるいは独立行政法人原子力安全基盤機構、いわゆるJNESでございますけれども、この定期安全管理審査の中で、事業者の行います定期事業者検査がきちっとした形で行われているのかどうかということを検証していきたいというふうに考えております。

朝田参考人 お答え申し上げます。

 これは、私の主観による回答でございますけれども、実は、おっしゃるように、規制というものは適切な規制が必要、しかし、し過ぎてはいけない。それで、我々がいつも考えますのは、これは恐らく保安院においても同じだと思いますけれども、どこでつり合いのとれた規制になっているか、これを判断するのは非常に大事でございまして、これは永遠の問題でございます。すぐにはお答えできないかと思います。

 ただ、我々は、今回の件につきましては、基本的にはまず事業者がきっちりとやっておく問題であった、こういう認識でございまして、これ以上規制を強化することが本当に必要かどうか、これについてはもう少し検討させていただきたい、こう考えている次第でございます。

吉田(治)委員 保安院長、ちょっとペーパーを見ていましたら、一昨年の、昨年ですか、これは法律が変わりまして、炉規制法の三十三条、三十五条、三十七条を読んでいきますと、後ほど行政処分のお話をさせていただきたいと思うんですけれども、これはどうなんですか。この新しい法律、これは遡及はしませんけれども、新しい法律ということでいうならば、今回のこの事故は法律違反の疑いが大変濃い。私は法律の専門家でもございませんし、行政の立場でもありませんけれども、私はそう感じたんですけれども、その辺は保安院長として、もしも今の段階で、今の法律で対応がということになってきたら、どうなんでしょうね、法律違反の要件というか疑いというのは大変濃いと思うんですけれども、いかがですか、その辺は。

松永政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員の御指摘の点は、品質保証体制というものを保安規定の中に位置づけて、保安検査で国が監査をする、こういうシステムを二年前に導入したわけでございます。したがいまして、今回の点検漏れ、管理漏れというのは、品質保証がきちっと回っていないということの証左ということになりますると、法律上は、概念的には保安規定違反というような形になり得る、可能性はあるというふうに考えております。

 ただ、この問題につきましては、まさにことし、具体的にこれから本格的にシステムとして回していこうという段階でございますので、今回の事案についてこの観点から責任を問うということはできないということは明らかでございます。

吉田(治)委員 今言われるように、法律違反の疑いが強いけれども、法は遡及しないということだそうでございます。

 作業員の安全確保という部分でいいますと、これはもう前回も質問させていただきましたので、これはしっかりとしていただきたいということ。

 それから、あと、これは事故調査委員会の委員長さんにちょっとお聞きしたいんですけれども、前回の委員会でも質問したんですけれども、この人材の部分、会社側は、もうこんなこと言うとよくないですけれども、原子力やった人はまずどこへ就職試験を受けに行くんだといったら、東電受けて、次、関電受けてと。こんなこと言うとよくないですけれども、行政は後、最後というふうに言われておりますけれども、保安院なり、こうして原子力安全基盤機構等の人材育成というふうなものを、まだ中間報告でそれはないと思うんですけれども、今後検討項目として入っていくのかということが一点。

 それから、ダブルチェックという部分で、原子力安全委員会が分科会を設けられて、今作業を進められております。この中間報告を受けて、また来月、その分科会の方からも報告書が出るやに聞いておりますが、このダブルチェック体制については、まあ、いいとか悪いとかじゃなくて、そういうものがあるということは認識がなされているのか、そのダブルチェックについてはどれほどの重さというものがあるのかということ、ちょっとこの二点、お願いをしたいと思います。

朝田参考人 お答えいたします。

 まず、今回の件で、保安院あるいは原子力安全基盤機構等の人の能力が不足していたために発生した、こういう発想は持っております。したがいまして、もちろんこういった規制担当官の、あるいは規制担当者の能力を、技術能力をどんどん向上させていくということは非常に大切でございますけれども、特にその点について検討することになるかどうか、多分そういうことはないと思っております。

 それから、次の問題でございますが、ダブルチェックの問題でございますね。既に報告書は安全委員会の方に提出されたと聞いております。御意見をいろいろと伺い、さらに我々としてもその御意見を受けて検討を進めたいと思っております。非常に大事なダブルチェックである、そう考えている次第でございます。

 以上でございます。

吉田(治)委員 そのダブルチェックが出た段階で、私が委員長とこの委員会にお願いをしたいのは、原子力安全委員会の方にもおいでいただいて、もう一度、この問題について、ダブルチェック、分科会の中間報告が出た段階で委員会を開催していただくということを要請したいと思います。

根本委員長 理事会で協議します。

吉田(治)委員 そういう中間報告を受けて一昨日行政処分がなされたということ、これは、大臣、だれあてになされて、その相手方はどういうことでその対象者にお渡しをなさったのかということ、いかがでしょうか。

中川国務大臣 先ほど朝田委員長から御報告があった中間とりまとめを、経済産業省を代表して私が受け取らせていただきました。

 それを踏まえまして、関西電力藤社長さんに来ていただきまして、厳重注意、それから今後の関電の対応ぶりを見ること、それから電気事業法に基づく技術基準への適合が不十分であるということによりまして、これが適合するまで美浜三号機の稼働をストップするといったような内容について、藤社長さんにお伝えをしたところでございます。

吉田(治)委員 済みません、大臣に答弁してもらって。

 委員長、申しわけない、これは、中間報告が出ましたけれども、最終報告は出す予定があるのか、出すのならいつになるのか、ちょっとお答えください。

朝田参考人 お答えいたします。

 最終報告書は出す予定でおります。ただ、調査がどのように進むかということが問題になりますので、いつ最終報告書をお出しできるか、それはちょっと現在のところ確定しておりません。

 以上でございます。

吉田(治)委員 大臣、先ほどの同僚議員の質問に対して、今回の処分については、これで終わりではない、中間的なものだ、最終報告書も今委員長の方から出すということですけれども、また最終報告書を受けての何らかの対応方というのは行政として今お考えになられているんでしょうか。

中川国務大臣 今、調査委員長からもお話ありましたように、これはあくまでも中間取りまとめでございますから、可及的速やかにと同時に全容の究明をという、ある意味では二つのことを同時にやっていかなければいけない作業でございましたので、そういう意味でおととい出していただきました。大変な御努力をしていただいたことに重ねて御礼を申し上げますが、まだまだ事故等の原因、あるいは事故によって飛び散ったいろいろなもの、あるいはまた捜査当局等の取り調べも現在行われておりますので、経済産業省原子力安全・保安院としての最終報告は、改めて今調査委員長がおっしゃられたようなことになろうかと思っております。

吉田(治)委員 では、受けたら対応方をするということで。

 行政処分という形で三通出されて、藤社長に出されて、これは会社の責任者として出されたのか、それとも、これは原子炉等規制法において原子炉の設置者は社長という形になっております、原子炉の設置者という形で社長あてにお出しになられたのか。それはどうなんでしょうか。

中川国務大臣 藤社長は関西電力の原子炉の設置者でございますので、原子炉行政を行っている私から、藤社長をお呼びして処分を申し上げたということでございます。

吉田(治)委員 それで理解をさせていただくことができました。

 それを受けて、社長、今後の対応方というのはどういうふうにお考えになられているんでしょうか。

 まず一点は、美浜三号機がとまりました。このまま一時停止という形ですけれども、大体どれぐらいの期間をめどに頑張って再稼働をされる予定になっているんでしょうか。

藤参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたように、いただきました厳重注意並びに御処分を厳粛に受けとめまして、これを、ちゃんとした品質保証体系をつくって、できるだけ早く御報告をし、御指導賜りたいというふうに思っております。

 ただ、今御質問のございました美浜三号機の停止期間はいつまでかということについては、現時点ではいつとは、私、申し上げられる立場にございません。きちっとした報告が出て、御指導を賜り、御許可をいただかなければだめだということでございますので、私の方から今言う立場にはちょっとございませんでございます。

吉田(治)委員 先ほどからのお話の中で、原子炉は一日とまると一億円だというお話がございました。これが何日とまるんでしょうね。三月で九十億、半年で百八十億、一年ということはないでしょう。先ほどの保安院長の答弁の中で、原子炉規制法の中で、処分の取り消しで一年間の停止ということがあるということは、それが最大限ということになると、半年としても百八十億。私は関西電力の株主でもありませんし、一エンドユーザーでありますけれども、それだけは会社に対して利益を失わせた。

 私は、藤社長が平生、もったいない、もったいないと言って、さまざまなことで、ある意味ではコストカッターとして頑張られているのを聞いております。一日も、やはりできるだけ検査の日にちも少なくして稼働日をふやしていく、私は、これは経営者としてしかるべき対応だと思います。

 しかしながら、一度事故が起こってこういうことが起こると、一日一億円もかかるものがどんどんとまっていく。また、この事故が起こったときに、ほかの原発もみんなとめて順繰り検査をしているわけですよね。それだけ利益がどんどん失われていく。経営者として、コストカッター、大事だ、私はこれは否定はいたしません。しかし、一度こうして安全というものが失われ、国民に対する信頼を失われたということは、ある意味で利益も失わせていくということではないかと私は強く感じる次第であります。

 もう時間もございません。この委員会におきまして、前回、私、会長にぜひとも御出席をいただきたいということを御要請いたしました。理事会で諮られましたら、やはり、いやいや、最高経営責任者だから社長にということで協議調わずだったんですけれども、私は、これは大臣初め経産省の皆さんにもよく知っていただきたいんですけれども、ここに関西電力株式会社の定款がございます。

 定款の第二十七条を読みますと、こう書かれております。「取締役会の決議により、会長及び副会長各一名を置くことができる。」「会長を置いた場合には、社長は会社の業務の執行を統括する。」これは、ずうっと社長がこの場所で、私は業務の統括者だと言われていたこと、これはもう定款に書かれているとおり。「この場合」、つまり会長を置いた場合には、「第十二条、第十三条、第二十条及び第二十一条中「社長」とあるのは「会長」と読み替えるものとする。」

 では、十二条、十三条、二十条、二十一条は何なのかというと、十二条、十三条は、株主総会の招集者であり、そして株主総会の議長であるということ。二十条、二十一条というのは、取締役会の招集者であり、取締役会の議長である。

 まさに関西電力におかれては、会長というものは、私たちが平生イメージする社長と同じではないかということ。会長にぜひともこの委員会に来ていただいてお話をお聞きしたいと私ども民主党が要請を申し上げましたのは、まさに定款においても、会社の最高経営責任者は会長であるということ、これが明らかであるということ。

 私は前回、CEOという言葉を申し上げました、COOという言葉も申し上げました。しかし、定款にはもうそのことが既に読み込まれているということ。先ほど、行政処分の相手は設置者としての社長にお渡しをしたと。私はその場合に、経営責任者としての社長だというんだったら、そのときにこのお話を申し上げようと思いました。

 理事会におきましては、このことを申し上げましたら、各理事の先生方、中には、それだったら会長さんをお呼びしたらいいじゃないかと言うお方もおいででございましたが、これから次の委員会に向けて、会長においでいただくように検討していくというふうな結論をいただいているということ。

 私は、行政におかれても、またさまざまな部分においても、やはりそれぞれの会社会社でこのごろ経営の仕方が変わってきております。ぜひとも定款というものをしっかりと読んで、そして、そこでだれがどういう責任を持っているのかということに基づいて、委員会、また行政等の運営をしていただきたい。

 最後、そのことを申し上げまして、ちょうど時間になりました。質問を終わらせていただきます。

根本委員長 田中慶秋君。

田中(慶)委員 民主党の田中慶秋です。

 このたびの関電の美浜原発の事故に対し、五名の亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げますと同時に、六人の方が負傷されました。一日も早い回復と、また社会復帰を望むものであります。

 そこで、お伺いしたいのは、まず今回の事故その他についてでありますが、きょう、中間報告が出ました。中間報告の中に、事故原因についての疑問点の一つ、破損配管がなぜ長期間にわたってリストから漏れていたのかということについては明確になっておりません。

 事故調査委員長、この辺について、まずひとつお答えをいただきたいと思います。

朝田参考人 お答えいたします。

 調査が不十分で申しわけございませんが、時間も短かったので、どうか御容赦いただきたいと思っております。今後、鋭意調査を進めていく予定でございます。

 よろしゅうございましょうか。

田中(慶)委員 まず、今回の問題は、一つには関電の管理ミスとも言われておりますけれども、しかし、長年にわたってこの事故が明らかにできなかったというものは、一つには企業体質ということと、さらには、エネルギーそして原子力産業に対する、従事をされているという意識が欠けているのではないか、安全というものと、さらにはエネルギーというものと、これらについての認識が欠けていたからこういう問題の原因が長年にわたって明らかにできていなかったんじゃないかな、私はこういうふうに考えておりますので、調査委員会としても、この点も含めて、意識の問題でありますけれども、なかなか難しいかもわかりませんが、その辺を明確にしておいていただきたいと思います。

 特に、私は今回の、事業者はもちろんでありますけれども、今の原子力安全委員会なり保安院は、自己点検ということの法令の中で、任意調査という前提を考えますと、ある面では一つの限界があるのかな、こんなふうに考えて、かねがね私どもは、この原子力に対する安全ということを認識させていただきながら、先般も、今回の報告の中にも明確になっているように、第三者によるチェック項目が指摘をされました。

 私どもはかねてから、この原子力の安全規制委員会というものを第三条委員会のような形の中で別に設けて、そして安心、安全というものを確保すべきであるということをかねがね主張しておりました。特に、この保安院が現実には独立したような形の中でチェックをされるということが望ましい。私どもはエネルギー基本法のときにもそのことを申し上げていたわけであります。特に、今回のような問題も含めながら、この安全委員会の独立というものがやはり今、原子力発電所を設置されている知事会では、この独立を求められております。

 大臣は、担当大臣としてこれらについてどうお考えになりますか、お答えいただきたいと思います。

中川国務大臣 かねがねそういう御意見があることは私もよく承知をしております。そういう中で、今回の大変悲惨な、重大な事故を、どうやって二度とこういうことを起こさないようにしなければならないかということで、保安院から、八月のあの時期に、日本を代表する専門家の先生方に、本当に猛スピードで中間取りまとめをしていただいたわけでございます。これは、先ほどから委員長もまた私も申し上げているとおり、あくまでも中間取りまとめでございまして、最終取りまとめというものが必要であろうと私も考え、また、委員会の先生方にそのことを御期待しているところでございます。他方、原子力安全の最高の独立機関であります原子力安全委員会、ここにもこの調査報告書を経済産業省として出させていただきましたので、最終的なチェックをここでもやっていただけるものというふうに思っております。

 決して二重にならないように、適時適切に原子力安全行政あるいはまた原子力安全そのものができるようにということで保安院そして原子力安全委員会があり、私は、その中での原子力安全のためのシステムが機能しているというふうに思っております。冒頭申し上げたように、そうではないという御意見もあることは承知しておりますけれども、私としてはそういう考えで取り組まさせていただいておることを御理解いただきたいと思います。

田中(慶)委員 今回の事故の中では、特に管理責任、管理ミスということがよく言われます。事業者は、今の電力の自由化やあるいはコストダウン、こういうことを踏まえて、品質検査についての簡素化、いろいろな形の中で合理化をすることは企業として当然だと思いますけれども、肝心な検査とかこういうことについての簡素化というものが今回の事故の原因になっているのではないかというふうに言われております。特に、関電さんから日本アームさんなり、またそれから次の系列のところに行く委託先、そういう点での品質管理の簡素化というもの、それからもう一方においては、情報の共有化というものがなされていない、ここに大きな問題があるんだろうと思っております。

 そのことについて、事業者としてどのように考え、どう対応されようとしているのか、お伺いしたいと思います。

藤参考人 お答えいたします。

 田中先生からコストダウン、自由化、そしてそのための検査の簡素化というお話がございましたが、私どもは、自由化の中でも、あるいはコストダウンをする場合でも、原子力の安全、作業者の安全というのは第一に考えた上での効率化を進めております。そういうわけで、決して自由化、コストダウンというようなことで、検査を簡素化して、安全を犠牲にするというようなことはいたしておりませんので、その点だけは御理解賜りたいというふうに思います。

 その上で、情報の共有化の問題でございます。これは、今回、測定すべきところが漏れていたという、その情報を共有することが結局できませんでした。その点につきましては、電気事業者の間でも、今後は、そういうものをニューシアという組織を通じてできるだけ情報を共有しようということを考えておりますし、私どもの発電所の中でも、発電所間の情報の共有、それから、特に、私先ほどちょっと御説明申し上げましたときに、実際に点検あるいは工事、そういうものをやっていらっしゃる協力業者の皆さんと、実際にそれの工事管理をする私どもの職員との間の情報の共有化、風通しのよさというのが大変大事だというふうに考えておりまして、その点についてもこれから重点を置いて取り組むつもりでございます。

 以上でございます。

田中(慶)委員 私がなぜそういうことを申し上げたかというと、今回の検査マニュアルから点検漏れが出てきたということは、少なくても一九八六年のアメリカの事故以来、こういう問題が生かされていない。あるいはまた、日本においても、皆さんも御承知のようにジェー・シー・オーの事故以来、三十日、明日でちょうど五年になるわけでありますけれども、こういうことを含めながら、この事故防止について、委託先の管理とか、あるいは当時は情報の共有化とか、こういうことを盛んに言われました。しかし、それがそのとおり実行されていたならば、今回のような事故は起きなかっただろう。

 もう一つは、この問題の中で、関電さんは、少なくても独自の点検の安全基準といいますか、マニュアルをつくって、その結果、この減肉の問題等について漏れが起きていたということであろうと思います。

 ですから、こういう一連のことを含めて、なぜ私は水平展開とかあるいは情報の共有とかということを申し上げているかというと、先ほども質問がありましたように、泊の問題なり敦賀の問題、あるいは今のアメリカの事故の問題等々も含めて、こういうことが今回の一連の中に情報共有されていなかった。されていたならば、今回のような問題は絶対起きなかったと思います。あるいはまた、されていても、逆に、その点検について、極端なことを言えば、事業者として真剣に受けとめていないのではないか、こういうことが指摘をされているんじゃないかなと私は思いますが、その辺、どうですか。

藤参考人 先生の御指摘のとおり、私どもの取り組みが真剣でなかった、チェックの仕組みがなかったということは、今回厳重注意をいただいた、そのとおりでございます。

 なお、泊とそれから敦賀の問題については、私ども、実は、この件については、事故があってから、こういうことを今回報告書にも書かれましたけれども、私どもそれまではちょっと存じておりませんでしたので、申しわけありません。ですけれども、私どものチェックの仕組みが悪かったということでございます。

田中(慶)委員 そこで、大臣にお伺いします。

 原子力行政で、今のように泊の問題やらあるいは敦賀の問題が、この減肉というものが明らかになった段階で、自主点検といえども、九電力なり事業者すべてのところに、こういうものがあるから総点検をしろとか、あるいは総点検すべきであるというような、本来ならば指導をしなければいけないんだろうと思います。安全ということをより、そしてまた減肉の問題が当時、三年、四年前ですか、明らかになったわけですから、その段階でやるべきだったろう。今は聞いておりませんということでありますけれども、その辺はどうお考えになりますか。

中川国務大臣 個々のケース、いろいろあるんだろうと思いますけれども、今の新しい言葉、さっき覚えたんですけれども忘れましたが、事故なりなんなりが起きたときに、その情報を共有するという共通情報、水平展開と田中委員おっしゃいましたけれども、まさに迅速かつ適切に、そういうことを各原発事業者がやっていくということは当然必要だと思います。今後、今回のことも、冒頭の委員長の御報告にもございましたけれども、ちょっとした連絡ミスということもあったということでございますから、程度にもよりますけれども、そういうことがあれば、関係事業者がリアルタイムでそういう情報を共有できて、そしてどういう対策をとったらいいのかということは当然必要でありますし、これはまさに原子力安全行政に携わっている我々としての仕事だろうというふうに思っております。

田中(慶)委員 そこで、保安院の院長にお伺いしますけれども、今大臣が答弁されました。それで、あなたは、このジェー・シー・オーなり、先ほど申し上げたように、ジェー・シー・オーがちょうど五年、あすでなるわけであります。こういう一連の事故、そして、あのときには、事故対策の中で、不可欠な問題として、委託先あるいは下請さんなり孫請さんに対する徹底した管理や教育、さらには情報の共有ということをそれぞれ述べられておりました。そして、これは、保安院として、委員会として、少なくても原子力エネルギーあるいは原子力の安全ということを考えたときには、それぞれ各電力事業者に徹底すべきではなかったか、その責任は当然あなたが問われてもやむを得ないと思いますけれども、その辺を含めて、答弁をいただきたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣が答弁申し上げましたとおり、とりわけ電力事業者間の情報共有ということが非常に大事でございますし、そういうことを私ども規制当局といたしましてもきちっと指導監督するということが大事だと考えております。

 この辺の重要性につきましては、ややさかのぼりますけれども、平成十四年六月の総合資源エネルギー調査会の部会報告でも指摘をされておりますし、また二年前の、いわゆる東電問題の際にも、こうした保安活動において得られた知見をきちっと反映して各電力事業者は保安活動に当たらなければならないといったようなことが、法令上明確に書かれたところでございます。

 また、先ほど藤社長も答弁されましたけれども、これを受けまして、平成十五年十月からでございますけれども、ニューシアという情報共有のための組織を電力事業者がつくりまして、その運用を開始しているところでございます。

 さらにまた、今御指摘の下請事業者につきましても、今回、中間とりまとめにおきましては、「原子力発電所の保守点検の実施状況、事業者の姿勢等について実態に即した情報収集を図り、」その成果を今御説明いたしております情報共有の中に加えていくということを、私ども規制当局としても対応してまいりたいと思っております。

田中(慶)委員 かねてから保安院の皆さんは、法令点検と自主点検を使い分けをされております。私は、自主点検であろうとも、骨太のところは、少なくても省令とかあるいは指導とか指導要綱とか、そういう形で法律ではない部分について事業者に指導すべきではないか、それが今回ある面では欠けていた。そして、いや、法令点検ではないから、自主点検であるからと、こういう形のものが随所に聞かれるわけであります。

 ですけれども、エネルギーという問題、原子力という問題、そしてなおかつ安全という問題を考えますと、省令とか指導要綱とかという形の中で、法の規制とは別枠でも検討すべきだろうと思います。その辺について、保安院長、答弁いただきたいと思います。

松永政府参考人 御指摘のとおり、原子力の安全規制におきましては、私ども規制当局が立ち会う、あるいは記録を確認するというような、いわゆる法令点検のものと、事業者が自主的に行う自主点検のもの、これが分かれております。こうした枠組みは、基本的には今後とも維持されるべきものだというふうに認識をしておりますけれども、一昨年の東電問題を契機といたしまして、こうした自主点検を、法律上、定期自主検査という形で位置づけて、国もきちっとした関与をしていく、こういう枠組みのもとに今規制を進めているというところでございます。

 また、先ほども御説明いたしましたけれども、原子力の安全にとって重要な役割を担っております下請事業者、協力事業者につきましても、中間とりまとめの中では、私どもの努力として、きちっとした情報収集を図り、また電力事業者を含めて、情報共有を図るためのいわば指導を行っていくということが大事であるというふうに指摘をされておりますので、こうした考え方にのっとって、私ども、十分な規制活動を行っていきたいというふうに考えております。

田中(慶)委員 そこで、当然、私たちは、世の中には企業責任、社会的責任、行政の責任というものがついて回ると思います。今回も当然ながら、今回の事故、この問題等について、私は、この危機管理やあらゆることを、そして日本のエネルギーという、原子力という事業に携わっている皆さんは、事業者としての経営責任、あるいはまた製造責任、保安院としての責任は当然ながら免れないと思っております。そういう中で、今回の関西電力の問題等については、この管理手法、そして長年にわたって、この点検、あるいはまた今のような減肉の問題等々を考えてまいりますと、保安院としての責任も当然ついて回ると思います。

 特に、今回のようなこの配管がそれぞれ百八十度の熱、そしてスピードの、秒速のその流量に対する力、そして腐食の問題等々を考えたときに、設計段階から疲労試験をやったり、あるいはまた当然のごとく破壊試験等についてもおやりになっているかどうか、私は、その辺から材質の点検は行うべきであったと思います。SUSにして、今ステンレスに取りかえている部分もありますけれども、そういう点をどのように事業者として注文をつけられたのか、お伺いいたします。

藤参考人 先生、お答えいたします。

 設計段階から試験、それから破壊試験などもやったのかという御質問でございますが、これはちょっと、私、事実関係がわかりませんので、技術関係の役員に答えさせてよろしゅうございますでしょうか。――恐れ入ります。

 それから、今、最後に、SUSにかえるべきかという、ステンレスにかえるべきかというお話がございまして、本件につきましては、ステンレスにかえたところも幾つか当然ございます。多くのものはまだ今の炭素鋼のままで残っておりますが、SUSにかえたところもございます。

 それでは、お許しを得まして、最初に設計の件、破壊試験の件をちょっとお答えさせます。

辻倉参考人 お答えいたします。

 二次系の当該配管等の建設、設計段階での品質管理でございますけれども、私どもは、お国の定められております構造規格、その中で定めております材料、こういったようなものにまず適合するようなものを選定し、施工段階におきましては、例えば溶接等がございますと溶接検査等、所定の手続を踏んでやってまいっております。

 当該二次系の減肉現象につきましては、私どもが最初に経験をいたしました、認識いたしましたのは昭和の五十年代でございました。そのころから、減肉現象ということにつきまして早期に知見を得まして、これに対する管理、それからそれに対します対処の仕方、こういったようなことにつきまして私どもなりに管理指針を定めまして、これを運用することによりまして二次系の配管の健全性を維持してまいりましたということでございます。

 当該の事故につきましては、この枠組みはございましたけれども、この枠組みの中で点検すべき点が欠落していたというところが原因だと考えてございます。

 以上でございます。

田中(慶)委員 強度試験その他は全部おやりになっていたということですね。

辻倉参考人 お答えいたします。

 国の法令等に要求されておりますことにつきましては、きっちりとやっております。

 以上でございます。

田中(慶)委員 今回の事故が起きたという問題は、逆算をして二十八年間使用されていた。しかし、検査その他のことを考えてみますと、当然のごとく、減肉がどのぐらいまで、逆算をして、どういう程度でどういう力がかかっていけば何年ぐらいで交換をしなきゃいけないかということは当然計算ができるわけであります。それがしていなかったというのは、少なくても国の責任でもなければ、これは自主点検であり、二次配管ですから事業者の責任であります。設計段階の責任であります。そのことを国の基準によって云々という問題ではない。それが今言われている企業モラルの問題でありますから、やはりそのことをはっきりしてこれからやっていかないと至るところに事故の原因が出てくる、私はそう思っております。

辻倉参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおりでございまして、今回、当該部が欠落をしていて事故を起こしたということにつきましては、設備の設置、運用の管理者としての責任だと考えております。

田中(慶)委員 そこで、若干また角度を変えて、事業者であります社長にお伺いしますが、現在入院している人たちは、この作業に当たった人たちが五人、今入院しているんですかね。それから、今回事故に遭わなかった人、だけれども当然その作業の現場におられた人は何人おられますか。

藤参考人 お答えいたします。

 全体として、作業の、あの建屋の中に当時おられた人は百五名でございます。

田中(慶)委員 当然、手厚いいろいろなケアをされるということでありますけれども、現在入院されている人たち、あるいは作業に当時当たった人たちは、大変精神的な打撃を受けておられます。そして、なおかつ、社会復帰、現場復帰できるような状態になっていないということを聞いております。その辺についてのカウンセリングやケアはどうしておりますか。

藤参考人 お答えいたします。

 入院されているお方につきましては、先ほどいろいろと申し上げましたけれども、働いていらっしゃったお方につきましては当然ケアが必要でございます。それで、やはりいわゆる心理的なそういうダメージを受けていらっしゃいますので、そういう関係の専門医を現地に派遣いたしまして、週一回のカウンセリングをやっております。

 それから、現地にはおられませんでしたけれども、だけれども発電所の中で働いていらっしゃる方もございますので、そういうお方につきましては、相談室をつくりまして、そちらの方へいろいろと御相談に来ていただいている状況でございます。

 カウンセリングを受けられた人数もわかっております、ちょっと私、今あれでございますけれども。そういうことで、精神的な面につきましても十分専門医によるカウンセリングをさせていただいております。

田中(慶)委員 特に、協力事業者について、一次下請、二次下請、そういう形になると思いますけれども、完全なカウンセリングをして現場復帰なり社会復帰を完全にできるようにしておいていただきたい。要望しておきます。大変、現場の人たちはいまだ社会復帰というか現場復帰をできない状態にあるということを聞いておりますので、そのことを明確にしておいていただきたいと思います。

 そこで、実は今から三年前に、東京電力の原発の事故がございました。

 あのとき、記録の改ざんの問題があって、そして、関西電力の当時会長さんですね、秋山会長さんは、この東電の原発トラブル問題について、国の原子力行政の根幹にかかわることで、大きな社会的な不安や不信感を招いたことは大変残念であり、あってはならないことでありますということを述べられました。

 そして、なおかつ、今回も、関西電力さんも火力発電については記録の改ざんをしておりますね。その辺、明確にしてください。

藤参考人 お答えいたします。

 火力発電所の問題については、これは関空エネルギーセンター、ほかの発電所において、一部記録の改ざんに当たることがございました。まだ調査中でございますが、ございました。

田中(慶)委員 東京電力の関係においては、この原発事故について、データの改ざん等々を含めて、企業責任として、当時の社長を初め関係の担当の重役さんが辞任をされました。

 今回の関西電力さんは、とうとい生命、五人のとうとい生命を失っているわけであります。人間の命は地球よりも重いという格言がある。この五人のとうとい生命、さらには多くの人たちが、さらに六名の人たちが入院をされた、そして百名の人たちがカウンセリングを受けなければならない状態にある、こういうことでありますけれども、私は、企業責任としてこのことは何らかの責任を、当然のごとくあってしかるべきではないか、このように考えられます。

 そこで大臣にお伺いしますが、私的の見解で結構であります。

 東電のこういう一つの、ちょうど三年前にありました、そして、社会的な責任、企業責任としておやめになりました。先般大臣は、行政指導でこの三号機に対する具体的な指導をされました。そして、今回のこの原因その他について、社会的責任、企業責任として普通ならばどのようにされるだろうかということを含めて、大変答えにくいかもわかりませんけれども、大臣の私見としてお伺いできませんでしょうか。

中川国務大臣 中間とりまとめをいただいた後、先ほども申し上げましたが、藤社長さんに来ていただきまして、厳重注意、厳しく重たい注意を申し伝え、そしてまた、今後についてきちっと報告をしろと。そして、多分これは初めてのことだろうと思いますけれども、電気事業法四十条に基づいて美浜三号を停止にした、これは私は極めて重い処分だろうと思っております。

 これはあくまでも、これでもって最終処分だと私は考えておりません。あくまでも、先ほどから各皆さん方が答弁されているように中間取りまとめであり、最終的な判断というのはまだまだこれから先の作業、大きな作業になっていくんだろうと思っております。

 そういう中で、最近よく言われます企業の社会的責任、特にこの公益事業に携わっている会社の皆様方には、特にトップの方にはとりわけそういう社会的責任というものがより強く、高く要求されるのではないかというふうに思っておりますので、今後推移を見守っていきたいというふうに考えております。

田中(慶)委員 今、大臣から責任のあり方について述べられました。事業者であります社長さんとして、あなたはどのように認識し、どのようにお考えになっていますか。

藤参考人 私、今大臣がおっしゃいましたお言葉は大変重く受けとめております。

 その上で、今当面私は、事故の再発防止、原子力に対する信頼の回復、これを今当面私に課せられた使命というふうに考えておりまして、それをさせていただきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

田中(慶)委員 これは中間報告ですから、先ほど事故調査委員長さんから、最終報告が出ますという、日にちはまだ明確ではないけれども出ますということであります。

 藤社長から今述べられましたが、先ほど同僚の吉田議員から述べられているように、関西電力の総責任者はあなたですか、それとも会長の秋山さんですか。

藤参考人 先ほど吉田先生から定款の御説明がございましたように、会長の秋山は会社の業務を総理しております。私は社長として業務執行の統括をしております。そういう仕事の区分けでございます。

 以上でございます。

田中(慶)委員 かつて、東京電力の場合においても、会長、社長、さらには担当重役がその責任を明らかにして、そして企業としての、あるいはまた社会的責任、そして原子力の事業者として信頼回復のために努力をされました。よしあしは別にして、やはりそれが私は責任のあり方だと思います。

 我々も絶えずその立場で仕事をさせていただいているわけでありますから、こういう一連のことも含めて、やはり、これからの日本のエネルギー政策に従事している、原子力政策に従事している、そして、日本が国際的に約束をしております地球温暖化を初めとする、その一番大きな対策として原子力エネルギーが大きな仕事をされている、こういうことでありますから、そのことも含めて、やはり責任の重大さというものをより認識していただきたいということを要望しておきたいと思います。

 最後になりますが、この調査委員会の方で具体的な問題として述べられております、「当面の対応」という形で四点ほど掲げております。これらについては、統一的な管理マニュアルとかあるいはまた外注の管理、管理といってもいろいろ幅広いと思うんですね。私は、少なくても教育というものを徹底的におやりになるんだろうと思います。あるいはまた配管の肉厚の管理の規定、今回は二次配管の中、そうすると、これは原子力だけじゃなく火力の問題にもあります。こういう問題点を未然に防ぐために、情報の共有ということでありますから、これはぜひ調査委員会でしっかりとまとめていただいて、これが中間ではなく最後のまとめの段階ではもっと具体的にしておきませんと、事業者の人たちというのは、比較的に抽象的な物の処理方になってくるとその解釈の相違が出ると思います。

 そういう点で、もう少し突っ込んで具体的にこのまとめをされた方がいいと思いますが、委員長さん、どうでしょう。

朝田参考人 お答えいたします。

 まことにありがたい御指示をいただきました。よく心して最終報告書をまとめたいと思っております。よろしくお願いいたします。

田中(慶)委員 以上で私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

根本委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.