衆議院

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第4号 平成17年3月11日(金曜日)

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平成十七年三月十一日(金曜日)

    午前九時十九分開議

 出席委員

   委員長 河上 覃雄君

   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君

   理事 平井 卓也君 理事 松島みどり君

   理事 鈴木 康友君 理事 細野 豪志君

   理事 吉田  治君 理事 高木 陽介君

      遠藤 利明君    嘉数 知賢君

      北川 知克君    小杉  隆君

      佐藤 信二君    坂本 剛二君

      菅  義偉君    鈴木 恒夫君

      竹本 直一君    谷畑  孝君

      寺田  稔君    西川 京子君

      西銘恒三郎君    野田  毅君

      平田 耕一君    望月 義夫君

      森  英介君    山口 泰明君

      山本 明彦君    大畠 章宏君

      奥田  建君    海江田万里君

      梶原 康弘君    菊田まきこ君

      近藤 洋介君    佐藤 公治君

      高山 智司君    中山 義活君

      計屋 圭宏君    村井 宗明君

      渡辺  周君    江田 康幸君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   議員           近藤 洋介君

   経済産業大臣       中川 昭一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     細田 博之君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   経済産業副大臣      保坂 三蔵君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   衆議院法制局第三部長   夜久  仁君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房審議官)       和泉澤 衞君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      伊東 章二君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   山木 康孝君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            大藤 俊行君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    大林  宏君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 岡本 佳郎君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  中西 一善君     西川 京子君

同月十一日

 辞任         補欠選任

  竹本 直一君     寺田  稔君

  西川 京子君     武田 良太君

  森  英介君     鈴木 恒夫君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 恒夫君     森  英介君

  寺田  稔君     竹本 直一君

    ―――――――――――――

三月十日

 中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百六十一回国会閣法第一九号)

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(仙谷由人君外十六名提出、第百六十一回国会衆法第四号)

 中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

河上委員長 これより会議を開きます。

 第百六十一回国会、内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案並びに第百六十一回国会、仙谷由人君外十六名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局官房審議官和泉澤衞君、公正取引委員会事務総局経済取引局長伊東章二君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長山木康孝君、金融庁総務企画局参事官大藤俊行君、法務省刑事局長大林宏君及び国税庁長官官房審議官岡本佳郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松島みどり君。

松島委員 おはようございます。自民党の松島みどりでございます。

 独占禁止法について、自民党最後の質問をさせていただきます。時間が迫ってまいりましたので早口で質問しますので、答弁の方も簡潔に、スピーディーにやっていただければと思う次第でございます。

 まず第一に、今回、画期的な新しいことといたしまして、課徴金の減免制度がございます。

 今回の独占禁止法の改正によりまして、カルテルや入札談合に参加している会社が違反行為をみずから公正取引委員会に通報した場合、自白といいますか自首といいますか名乗り出た場合、最初の通報者は課徴金を一〇〇%免除される、二番目の通報者は五〇%免除、三番目の通報者は三〇%免除されることになっております。

 この措置減免制度が設けられましたが、しかしながら、現行制度、これからの制度もともに課徴金と刑事罰が併科される制度でございます。企業にしてみると、たとえ課徴金をかけられなくても、公正取引委員会にみずから名乗り出て、その結果、独占禁止法違反の罪で刑事告発されると元も子もない、怖いじゃないか、とてもそんなことだったら、せっかく特典をもらってもみずから名乗り出ることはできない、そういうふうに心配する向きが起こるのではないかと思いますが、竹島委員長、みずから通報した場合に、一番目の通報者、さらに二番目、三番目の通報者、これは刑事告発はされるおそれはあるのかどうか、御答弁いただきたいと思います。

竹島政府特別補佐人 御指摘のとおりの問題点といいますか懸念が企業側にありますので、私どもは、一番目の通報者につきましては刑事告発をしない、企業を刑事告発しないのみならず、その社内調査に協力をした役員なり社員についても、個人についても刑事告発をしないという方針を持っておりまして、これは、この国会で法律が成立しましたら、私どもはこのリーニエンシープログラムについての方針を示しますので、その中で、告発方針の一つとしてそのことをきちんとさせていただきたい。したがって、専属告発権を持っている公正取引委員会として、一番目の企業のみならず、それに協力した役員、社員、これは刑事告発をしないという方針でいきます。

 二番目、三番目につきましては、ケース・バイ・ケースということでございまして、一〇〇%刑事告発を免れるというものではございません。

松島委員 これは画期的なお言葉だなという気がするわけでございます。今方針として示すというふうに言われました。今回、議事録にこれが竹島委員長の言葉として、答弁として書かれて、それを根拠といたしまして、きちっとした方針を世に知らしめていただきたいと思っております。

 今伺いますと、一番目の通報者は、通報した企業及びその役員などは刑事告発されない、免責されるということでございます。二番目、三番目は考慮の余地ありというようなことでございまして、そういたしますと、会社にしてみれば、イの一番に名乗り出ると得、二番目、三番目は課徴金は免れるけれども刑事告発はされるかもしれない、かなり一番目と二番目で差がつくわけでございます。

 そこで、もう一つ確認なんですが、今度は法務省に確認させていただきたいと思います。

 今公取としては、一番目の通報者は刑事告発されない、公取からは刑事告発されません。しかしながら、これが検察によって別個の立場で、ああ、こういう事件があるのか、ではこれは問題にしようと事件として取り上げられたならば、これもまた企業にとっては心配ということになりますので、検察の立場ではいかがか、法務省に御答弁願います。

大林政府参考人 お答え申し上げます。

 独占禁止法違反事件は、いわゆる親告罪であり、当該事件について公正取引委員会からいずれの事業者に対しても告発がなされなければ刑事訴追をすることはできません。

 一部の事業者を被疑者とする告発がなされた場合、告発されなかった被疑者につきましては、検察官において、その訴追裁量権の行使に当たり、専属告発権限を有する公正取引委員会があえて刑事告発を行わなかったという事実を十分考慮することになると考えられますので、措置減免制度は有効に機能するものと考えております。

松島委員 相変わらず刑事局長の答弁は、前半物すごく難しくて意味がよくわからなかったのですが、後半のくだりにおきまして、公取が刑事告発しないのに検察がしゃしゃり出てやるようなことはない、そういうふうに受け取れましたので、よろしいでしょうか。そうですね。ありがとうございます。

 そして、今質問で、最初の通報者は免れるけれども、二番目、三番目はどうなるかわからないということ。さらに、課徴金の減免率についても、一番目は一〇〇%で二番目が五〇%、三番目が三〇%とかなり差がついてきます。そうした場合に、何か同時に何社もが一遍にみずから名乗り出て通報したり、あるいは一番ははっきりしていても二番と三番が一緒だったり、そういうようなおそれはないんですか。つまり、公取に何か土曜日か日曜日に書類を放り込んでいたらそれが順番がわからないとか、そういうおそれはないかどうか、確認したいと思います。

竹島政府特別補佐人 おっしゃいますとおり、順番が大変大事でございます。したがって、私どもは、同時に相談し合って措置減免制度を申告してくるということは、これはもう論外と考えておりますが、偶然の一致として、たまたま同時になることがあり得るじゃないか、そういう場合でもきちんと順番を確定できるようにするために、諸外国等において行われている方式も勉強しまして、例えばファクス番号を一つにして、ファクスで順番を決めるというようなことをやっておるところもあるわけですが、いずれにしても、フェアに、かつ客観的に順位が確定できるように、同時ということがないような仕組みにしたいと思っております。

松島委員 今、技術的にファクスというお話がありました。電話であれファクスであれメールであれ、電話の場合は何時に受けたかはっきり書き得ないかもしれませんけれども、ファクスやメールですと受信の記録が残るわけですから、ぜひ、ささいなことかもしれないけれども、これは決定的な意味を持ちますので、きちっと定めて広く周知させていただきたいと思う次第でございます。

 次に、私ずっと、前の臨時国会でも、中小企業を守るための独占禁止法の中の優越的地位の乱用の問題ですとか、不公正取引の問題、そういったことを一生懸命取り組んでいるものでございます。そして、今回もその観点で、これから先は質問させていただきたいと思っております。

 一つ、これは私ども与党が議員立法でつくった法律で、酒類小売業者の経営改善緊急措置法、お酒ですね、町の酒屋さんがどんどんつぶれて消えていく、これを何とかしなければいけない。きょうお越しの保坂経済産業副大臣も先頭に立ってこれに取り組まれたわけですが、平成十五年五月に法律ができて、七月に施行されました。この八条で、国税局長または税務署長は、酒類販売業者の取引に関して、独禁法の不公正取引に該当すると思われるときは、公正取引委員会に対して、その事実を報告して、適当な措置をとるべきことを求めることができる、そういう条文がございます。

 つまり、もともと酒類というのは、ビールや酒などは高い税率の酒税をかけている特殊な商品でございまして、そういった商品を扱う会社やお店の経営安定を図る必要があるということで、もともと酒類業組合法という法律の九十一条で、国税局長または税務署長は、メーカーや卸業者、小売業者に取引価格を質問できる検査権というのを持っております。非常に強い権限でございます。これによって入手したメーカー、卸、小売間の取引価格の情報、本来であれば守秘義務がかけられているところを、これを材料にして、こういうデータがあるから不公正な取引がなされているのではないかということを国税局長や税務署長が公取に対して措置を要求できる、こういう強い権限を持たせるという法律でございます。

 これで、まず、国税庁に質問なんですが、これまでこの法律に基づいて何件公正取引委員会に措置請求をされたのか。そして、この法律があること、議員立法でつくりましたこの法律があることが不公正取引に対する抑止効果を持つとお考えになるかどうか、伺いたいと思います。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 国税庁としては、従来からいろいろな形で不当廉売などの不公正な取引を行うことがないよう指導してきたところでありますけれども、お尋ねの措置請求につきましては、平成十五年七月に、御指摘のありました緊急措置法が施行され、その第八条に基づき……(松島委員「簡潔にお答えいただけますか、私が言ったことだけで結構ですから」と呼ぶ)はい。国税庁から公正取引委員会に対して四件の措置請求を行ったところです。

 こうして公正取引委員会が警告等を行い、独占禁止法違反のおそれがある行為が是正されることにより、酒類の公正な取引環境の整備が図られるものと考えております。

松島委員 公正取引委員会にお伺いします。

 今国税庁が挙げました四件というのは、そのうち何件が実際にそういう措置がとられたか。そしてまた、国税庁による措置請求があるということは、証拠の入手などの点におきまして、非常にそれによって調べやすい、有効だとお考えになるかどうか、そういうことを伺いたいと思っております。

 公正取引委員会の皆さんは一生懸命やっていただいていると思いますけれども、独禁法の不公正取引というのはもう山ほどあって、それについては山ほどあってというか潜在的案件は膨大にあるわけでございまして、これに対して、限られた人数ではなかなか警告に至ることが難しいというふうに考えております。そういう意味におきまして、この法律はかなり、この法律に基づいて通報があることは調査をしやすくしていると考えますけれども、実際いかがでしょうか。

山木政府参考人 国税当局から措置請求の申し出がございました案件につきましては、二件につきまして四事業者でございますけれども警告という措置をとりましたほか、これは中部の富山の事件、それから愛知県の事件でございますが、二件四事業者につきまして警告を行いましたほか、近畿の二事業者につきまして注意を行ったところでございます。

 国税当局の資料につきましては活用させていただいておりますほか、私どもも権限がございますので、そういう資料に基づいて今申し上げたような措置をとったわけでございます。

松島委員 この緊急措置法というのを、この法律はことし八月までの時限立法でございますが、このように有効的に機能しているということを考えまして、私は、町の酒屋さんを守るために、また議員立法で期限の延長を試みたい、そういうふうに思っている次第でございます。

 さらに、この法律の中に、九条として、酒類の取引条件に関する基準という項目がございまして、ここでは、努力規定なんですが、これは意訳すると、メーカーと卸業者は、リベートの支払いや景品、それから販売促進のスタッフを派遣するとか、そういったような取引条件について、どういう場合にはこういう有利な取り扱いをするというような基準を定めるとともに、これを取引している販売業者に提示するよう努めなければならないという中身のことが書かれております。

 このことは、つまり、リベートとかその他の優遇の条件について明確な基準を決めるということ、さらに取引業者に知らせる、透明化するということは、私は、単にお酒の世界だけでなくすべての業界でこれがしっかり透明化されること、これはあるべき姿だと思っていますが、残念ながら、独占禁止法ではここまでいろいろな分野については具体的なことを決めていないのが残念な状況でございます。

 これについてどのようにお考えになるか、御感想ございましたら、国税庁、公正取引委員会、それぞれ簡単に伺いたいと思います。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 今の第九条などを受けまして、酒類業界におきましては、酒類製造業者を中心にリベートなどの自社基準の策定とか取引の相手方への提示などといった取り組みは進んできていると思います。国税庁としても、引き続きこうしたことに指導をするとともに、フォローアップにも努めてまいりたいと思っております。

山木政府参考人 私どもといたしましても、取引条件の公正化、明確化、透明化ということは非常に大事だと考えておりまして、お酒の業界におきましてもガイドラインで、こういう場合には問題になるよという考え方を出しておりますし、個別の指導ということもいたしております。また、違反事件として差別的な取り扱いについて処理をするということも行っておりまして、こういう取り組みもございまして、相当程度取引の明確化というものは進んできていると考えております。今後とも、今申し上げたような手段でやっていきたいと考えておるところでございます。

松島委員 お酒のこの法律で国税庁が果たしていることを他の一般的な商品や業種に当てはめますと、次の二つのことが言えると思います。

 一つは、不当廉売や差別対価など不公正取引で被害を受けた中小零細企業が差しどめ請求訴訟をする場合には、加害者側の企業の証拠がなかなか入手できない。これを入手しやすいように、裁判所による文書提出命令の特則を規定することが私は必要だと考えております。

 そしてもう一つは、零細な個々のお店が差しどめ請求を起こすことは非常に困難でございます。どうして困難かというと、もちろん弁護士を雇おうと思ったらお金がかかるし、弁護士を雇って裁判をしてまで訴えるべきことが、どれだけ返ってくるかというと非常に問題である。時間もかかる。ですから、同業組合やあるいは商店街、なぜ商店街かといいますと、これは例えば近所にスーパーやドラッグストアなどが一つの品種だけじゃなしに多品種、ビールと洗剤とお米とかいろいろなものについて不当廉売を行った場合に、影響を受けるのはその商圏内にある商店街全体でございますから、いろいろなお店が影響を受けるわけですから、こういった同業組合や商店街などが被害を受けた個々のお店にかわって団体で訴える権利、団体訴権というのを付与すべきであると私は思っております。

 これらのことは、文書提出命令の特則と団体訴権、この二つにつきましては、公取が意見募集されたときにも要望が出てきておりますし、ぜひ次の、二年以内の再改正の中で盛り込んでいただきたいと思いまして、私もきょう附帯決議の中にも盛り込んでいただけるように一生懸命努めているところでございます。

 以上、申し上げさせていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 ちょっと順番を変えさせていただきたいと思いますけれども、金融機関と融資先企業との関係、これも優越的地位の乱用に該当いたします。しかし、なかなかこれは知られていないことでございます。

 平成十三年七月に公正取引委員会は金融機関と取引先、融資先に対して調査をしまして、具体的な違反行為について列挙しています。例えば、債権保全に必要な限度を超えて過剰な担保を差し入れさせるのはいけないとか、そういったことをきちっと列挙しておりまして、このことは金融庁の監督指針にも盛り込まれております。いわばこれは大規模小売店だとか、あるいは今回、最近私ども一生懸命動きましてやっていただきました運送業界や倉庫業界に対するもののように、業界を指定した特殊指定に当たるようなことを、もう事実上金融機関と融資先との関係についてはガイドラインなどで示しておられるわけでございます。

 このことについて、金融機関がしっかりと守るように金融庁は指導監督をされているのかどうか、確認させていただきたいと思います。

大藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の点につきましては、金融庁としましても、金融機関が独占禁止法上問題となる優越的地位の乱用と誤認されかねない行為を防止する説明態勢が整備されていることが重要であると考えております。事務ガイドラインに、こうした行為が行われないように法令遵守態勢を確立するとともに、主債務者との融資契約に係る金利の見直し等の客観的、合理的理由について、顧客の理解と納得を得ることを目的とした説明態勢が整備されているかどうかを監督上の留意点として明示しているところでございます。

 金融庁といたしましては、今後とも、金融機関の説明態勢につきまして、事務ガイドラインに沿ってしっかりと監督してまいりたいと考えております。

松島委員 同じことを、お越しいただいております保坂経済産業副大臣に伺いたいと思っております。

 つまり、このことですね。金融機関と融資先の関係が独禁法の優越的地位の乱用に該当するということ、これは、融資先というのは大企業も中小企業も含むわけですけれども、例えば中小企業の方々はこれは御存じありません。中小企業の悩みというのは、金融機関には、銀行にはとても勝てないやという悩みがあるわけでございます。ぜひ、このことを、中小企業庁は、経済産業省は、中小企業を守る、そういう立場から、公正取引委員会や金融庁に任せるだけじゃなくて、金融庁というのは、いわばこの件に関しては加害者側になり得る銀行を所管している、金融機関を所管しているわけです。それに対して物を言えるように、中小企業がこういうことだって盾にできるように、ぜひ理論武装の手段にするためにこの解釈というものを広めていただきたいんですが、保坂副大臣、どうでしょうか。

保坂副大臣 おはようございます。

 松島委員からただいまお尋ねのあった件でございますが、中小企業を担当する経済産業省の立場から御答弁を申し上げたいと存じております。

 ただいま金融庁からお話がございましたとおり、現に不公正な、商慣行を破るような取引慣行が横行していることは、さきの調査でも明白になっております。例えば金利の不当な引き上げだとか、先ほど御紹介がありました追加担保の問題だとか、数え上げれば切りがないぐらいいろいろあります。

 先ほどの御答弁のように、いささか誤解を持たれるような、こうお話がありましたけれども、貸す方と借りる側という立場もさることながら、やはり優越的な地位にある金融機関と中小企業との関係というのは微妙な関係でございます。そういう点では、むしろその優越的な地位をもって不公正な商取引、金融取引を要求されることのないように、私どもといたしましては、公正取引委員会とよく話し合って厳正な対処をしていきたいと思っております。

 ただ、一言申し上げますけれども、どの程度という問題の基準がないものでございますから、今まで勧告が一回もなかったんです。そういう反省も持ちまして、借り手側の中小企業に対してあらゆる機会を通じまして徹底してまいります。また、ペイオフなどの実施によりますところの非常に不利益をこうむるような要求がないように厳に対処してまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

松島委員 今、基準がないので勧告が一件もないというお話でございました。本当に、中小企業庁の立場からもぜひこれを働きかけて、きちっとなるようにお願いしたいと思います。

 最後に、大規模小売業者の納入業者に対する不公正取引の問題について伺いたいと思っております。

 一昨日、三月九日にも、ドン・キホーテに対して、特定の不公正な取引方法ということで公正取引委員会から勧告がなされました。納入業者の従業員に新規開店する店のための商品の陳列作業をさせたり、あるいは棚卸しや棚がえの作業をさせたり協賛金を出させた、そういったのが違反内容でございます。

 この特定業種について、先ほども言いました特定業種についてやってはいけない不公正取引の例を具体的に示しました百貨店業における特定の不公正取引方法、これの違反も含まれているわけですが、この同じような事例で、一年間に公正取引委員会は、ポスフール、山陽マルナカ、ミスターマックス、コーナン商事、ユニーにも勧告しておりまして、これまでに比べてハイペースで、これについてはよく頑張っているなというのが私の率直な感想でございます。

 これはいずれも従来の百貨店ということからは随分変わってきて、業態の変化をなしているわけでございます。最近は大型小売店といっても、百貨店やスーパーのほかに、ホームセンターもドラッグストアも、紳士服や家電や、あるいはカメラのディスカウントストアなど、いろいろなものがございます。あるいは、一店一店は小さくても、コンビニエンスストアなどというのはフランチャイズを全部合わせると購買力としては非常に強い立場にこの本部はある、そういうこともあると思うんです。それについて公正取引委員会は二月に調査をされて、そして、これらをもとに、その特殊指定というのを新しく指定するための動きを進められているようでございます。

 今までの百貨店業における特定の不公正取引というのは、何と昭和二十九年にできたものがそのままでずっとあった。昭和二十九年にできたものがずっとあったのも不思議なんだけれども、それが通用するぐらい、同じような悪い事例がいっぱい、毎回毎回繰り返されていたというのも実態だと思います。

 今度、今の検討しておられるこの新しい指定のための、告示のための原案がつくられているようでございますけれども、これについて新しく加えられたことは、今の多様な大型店というものを考えて新しく加えられていることはどんな点か、伺いたいと思います。

竹島政府特別補佐人 まず、二つ大きくあるわけでございますが、対象をどうするかということでございます。おっしゃるとおり業態もいろいろございまして、百貨店やスーパーマーケットだけじゃない、通販の世界もあればコンビニもあります。したがって、こういうものを全部対象にしましょうということで、新しく次のような内容で案をまとめさせていただいています。前事業年度の売上高が百億円以上、または一定の店舗面積を有する者、具体的には東京都特別区、政令指定都市の場合は三千平米以上、その他の市町村の場合は千五百平米以上、こういう要件に該当した者はまずこの特殊指定の対象になりますというのが大きな一つでございます。

 もう一つは具体的な禁止事例の問題でございますが、従来七つございましたが、それに三つ加えさせていただきたい。一つは押しつけ販売。二つ目が不当な経済上の利益の収受。典型的なものは協賛金でございます。三つ目は公正取引委員会への報告に対する不利益な取り扱い。納入業者が公正取引委員会に言ってきたときに、それを知った大手小売業者が何らかの制裁的なことをすることを禁ずる。その三つを従来の百貨店で挙げております七つの違反類型に加えまして全部で十にしたい、こういうことでございます。

松島委員 今伺った中で押しつけ販売というのは、現場サイドで伺いますと、例えばクリスマスケーキですとかお節料理だとか、そういう季節商品の生鮮品もかなり含まれると伺っております。せっかくこのように変えていくのでございますから、ぜひそういう具体的事例も書き込んで、押しつけ販売と言われただけだと、納入業者の方が、うちのはこれに当たるのかなとよくイメージがわかないときもあるといけないと思いますので、そういう具体的な事例も踏まえて、わかるような形にしていただきたい。

 そして、それらを、先ほども申し上げましたが、金融機関との関係におきましても、あるいはこういう購買力の強い大型、大規模小売業者との関係におきましてもそうですが、中小企業の方々が、あ、これはまずいんじゃないか、法律違反を明確にやられているな、そういうことがわかるように、これは公正取引委員会だけではなかなか、七百人のスタッフの方、そして全国へ行き渡るといってもなかなかでございます。

 中小企業庁が頑張っていただいて、そして、中小企業がそういうことを知った上で行動ができるように、もちろん、その理屈を知ってもなかなか弱い立場にあるから訴えることは難しいかもしれない。例えば元請、発注側と下請という関係ですと、自分がそれを通報したことがばれたらもう切られるということでなかなかできない。しかしながら、例えばこの大規模小売業者と納入企業の関係、あるいは金融機関と融資先企業の場合は、まあ、垂れ込んでもという言葉は悪いですけれども、それを情報を通報しても、あそこがやったなとそんなにばれない、被害者が同時に大量に発生しているものですからそれほどはばれないので、下請関係よりはまだ通報がしやすいと思います。

 どうか、そういうチャンスを、そして理屈をわかってチャンスがあるように、中小企業を守るために、各省庁ともに一緒に取り組んでいただきたいと思うところでございます。

 これからこの法改正がなされて、この新しい独占禁止法に基づきまして犯則調査権を持って力が強くなった公正取引委員会が、どうぞ中小企業や大企業に痛めつけられることのない日本の経済社会をつくるように、今後とも頑張っていただきたいと思います。

 以上、質問を終わります。

河上委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 おはようございます。日本共産党の塩川鉄也です。

 冒頭、緊急の課題として、三宅村噴火災害に対する被災中小企業者支援策について一点、保坂副大臣に要望させていただきたいと思っております。

 政府系金融機関による貸し付け等の支援策、その期限がこの間延長を繰り返されてまいりましたが、三月の三十一日ということが現時点の期限となっております。

 御案内のとおり、二月の一日に三宅村において避難指示が解除をされました。島民の方は第一陣の方が戻られて、御商売を始められる方も始まっております。商店も四軒、あるいはくさやづくりですとか、また観光のダイビングの事業などを始められる、豆腐屋さんも開業される、こんなことが続いております。

 そういう中で、現時点でも、今島の四六%が制限地区ということで指定をされる、島の生活というのはガスマスクが必要とされるような義務づけがされる中で、体に影響はないのか、観光客が来るのか、こういう心配をなさっておられるわけです。特に自営業者の方は、今申し上げました災害復旧支援が三月三十一日が期限だ。中小企業者の方への既往債務の利子補給が行われていたわけですが、それも三十一日で打ち切りになるんじゃないか、ぜひ事業が軌道に乗るまで継続してほしい、こういう要望を出されておられます。

 この既往債務への利子補給を初めとした三宅島の被災中小企業者への支援策について、ぜひともこの期限の延長を図っていただきたい、このことを要望したいんですが、保坂副大臣、いかがでしょうか。

保坂副大臣 お答え申し上げます。

 三宅島が噴火いたしましたのが平成十二年六月でございました。足かけ五年になります。三千七百名に及ぶ島民が九月から全島避難をいたしまして、おかげさまで何とか無事来ることができました。しかし、この間四百名の方々が島外で既に亡くなられました。

 こんな事態でございますが、日本共産党さんを初めあらゆるこちらの政党の皆様の御支援をいただきまして、政府、東京都、三宅村一体となって支援に当たってまいりまして、お話しのとおり、SO2がまだ出ておりまして、極めて危険な地域もございますが、二月一日から島民の帰還が始まったわけでございます。ある意味では強行的なものもございますけれども、生活がもう支えられないという強い悲鳴にこたえられた部分がございまして、これを政府といたしましては全面的に支援してまいりたいと思っております。

 全省庁からいろいろな御支援をいただいてまいりましたが、経済産業省関係といたしましては、生活再建、災害復旧支援、このことに一点焦点を当ててやってまいりました。一般貸し付けといたしまして一・六五の貸付制度がございますが、この別枠にいたしまして、災害復旧特別貸し付け〇・七五%という制度を援用いたしまして、これで支援をいたしました。その残りの〇・七五に関しましても、政府、国と東京都、三宅島、三者一体になりまして負担をいたしまして、無利子融資ということでやってまいりまして、これは非常に喜ばれております。それからもう一つは、一般金融機関、これは政府三公庫からの支援でございますが、一般金融機関からは、セーフティーネット四号の災害指定を受けまして、これも倍の枠を設けて支援しております。

 これがいずれも三月いっぱいで特別措置の期限が切れるわけでございます。そこで、本省といたしましても、これから、これらの金融措置を待たれる方々がお待ちでございますから、何としても延伸したいということで今対応しておりまして、特別貸し付けに関しましては一年間を目標に、そしてまた利子補給に関しましては、ずっとというわけにはいきませんから、せめて半年は延ばしたい、こういうことで骨子を固めまして、期限いっぱいの三月の下旬の閣議にかけてこれを正式決定したい、このように思っておりますので、どうぞこちらにおいでの各先生方にも御支援をいただきたいと思っております。

 以上でございます。

塩川委員 利子補給を初めとして延長の措置をとっていただけるということで、島民の方にとっても未来への希望が見えるという点が政治に求められている、そういう対策としてぜひともお願いをしたいと思っております。これも第一弾ということで、引き続き支援策について取り組んでいただきたい、この点を御要望いたします。

 保坂副大臣、参議院の本会議だそうで、御退席ください。ありがとうございました。

 それでは、独禁法の質問をさせていただきます。価格の同調的引き上げに関する報告徴収規定の廃止についてお伺いをいたします。

 最初に、この価格の同調的引き上げに関する報告徴収が設けられた、その制度の趣旨は何なのか、この点について御説明をください。

竹島政府特別補佐人 十八条の二、価格の同調的引き上げに関する報告徴収の規定でございますが、これは昭和五十二年の法律改正で導入されたわけでございますが、その背景、趣旨は、昭和四十年代以降の物価上昇、そういう状況のもとで、マーケットでは寡占市場化が進んでいる、価格の下方硬直性が見られる、加えて同調的な値上げといういわゆる管理価格問題というのが大変強く指摘された、そういう時代背景がございます。

 そこで、独禁法のカルテルというのは、企業間に合意がなければカルテルではないわけでございます。カルテル規制ではそういった事態を処理できないということで、一定の分野、寡占的な事業分野において三カ月以内に同じような値上げが行われたというような場合には、これを公正取引委員会が調査いたしまして、その結果を国会に年次報告の中で御報告する、こういう規定が入ったわけでございまして、これは、このことによってそれぞれの企業が価格決定に当然より慎重になるだろうという期待が込められた規定であるというふうに理解しております。

塩川委員 意思の連絡のない同調的な行為について、やはり望ましくない、独禁法違反ではないけれどもそれについて何らかの対策が必要だということが制度の趣旨だと思います。

 それを今回廃止する理由は何なのか、この点をお聞きします。

竹島政府特別補佐人 この報告につきましては、私ども公正取引委員会も定期的に市場構造の変化を捕捉して、どういう事業分野がこれに該当するかということを調査しなきゃならない、かなりの行政コストを要します。一方、企業側も、我々の調査に協力をしなきゃならない、いろいろなデータを出さなきゃならぬということで、行政、企業、双方にとってそれなりのコストがかかっております。

 一方、この効果はどうなのかということを考えてみますと、場合によっては、同調的な調査を受けた、しかしこれは独禁法違反ではない、言ってみれば、これで公正取引委員会のお墨つきが得られているんだというふうにとられる向きもある。そういうことを考えますと、これはコストと社会全体が得られるメリットとを考えてバランスしないと言わざるを得ない。

 かつ、調査対象は全国的な価格変動を見ているわけでございます。しかしながら、御存じのように、今企業の価格戦略というのは全国一律ということではございませんで、分割してなされる場合もある、そういったものは対象にならない。

 それから、当時のように企業間取引が建て値制で行われているときはわかるわけでございますが、今建て値というのはかなり形骸化しておりまして、実際幾らで売っているかというのは別な価格でやっているわけでございまして、そういった二十五年間のうちにいろいろな変化もある。

 そういうことからしますと、現行の十八条の二というのは、これはもう廃止すべき時期ではないのか。それで、それによる弊害が仮にあるとすれば、これは、疑わしきはきちんと調べてカルテルとして摘発をしていくというのが本筋ではないか。そのために今回、犯則調査権限でありますとか措置減免制度を導入させていただいて、違反行為はきちんとやっていく、こういう方向に転換をさせていただきたい、こういう趣旨でございます。

塩川委員 時代によって変化するのは当然のことでありまして、問題は、その効果があるかどうかの検証が行われたのかということだと思うんですよ。お話をお聞きしても、効果があるのかないのかについての具体的な検証作業のお話は一つもありませんでした。理由として出ているのは、いや、公取もコストがかかるんです、企業側も負担がかかりますと。それが廃止の理由というのでは消費者が置いてきぼりであるわけで、消費者にとって利益があるのかどうかということが問われなくちゃいけない。

 そういう点で、この制度の、機能していないというのであればどのように機能していないのかということをきちんと事実で検証していただきたいと思うんですね。制度として機能していないという検証作業というのは行ったんでしょうか。

竹島政府特別補佐人 これは定量的な検証ができる性格のものじゃございませんで、私どもが実態を見て、この調査によってカルテル事件が摘発されたことがあるわけでもない、同調的引き上げがやまったことでもない。したがって、消費者にとってこの十八条の二というものが具体的なメリットを及ぼしたということはないわけでございます。

 一方、先ほど申し上げましたような理由から、時代の変化に対応して、より適切な手段を得、限られた七百名足らずのマンパワーをより集中的に投ずるということの方が、国民、消費者のためになるだろう、こういう判断でございます。

塩川委員 この制度が導入をされたとき、これがどのように機能しているのかという検証作業というのは、当然公正取引委員会としてされたわけですよね。私が承知しているのでも、かつて公正取引委員会は、昭和五十二年を一〇〇とした卸売物価指数は昭和五十五年二月時点で一一八・九に上昇しているけれども、同調的値上げ監視対象の五十六品目の指数は一〇五・七と平均より低くなっているので、同調的値上げの監視はかなりの効果があるとしているわけですよ、効果があると。

 ですから、こういう検証作業こそ今やって、それを踏まえて、廃止するんだったら廃止をするということが必要なんじゃないんですか。このような検証も行わずに、抑止効果が薄れたとどうして言えるんでしょうか。

竹島政府特別補佐人 そういう検証であれば、もう御案内のように、デフレで厳しい価格情勢で、かつてのようなインフレに困った時代とは全然さま変わりしているということでございますし、今先生がおっしゃった数字も、それはこの十八条の二の報告規定があったからそうなったのか、そこは私は昔のことでその点は知りませんが、経済現象というのはそんな単純なものじゃないわけでございまして、むしろ違う要因でそうなったということだと思います。

塩川委員 今読み上げたのは公正取引委員会が言っているんですよ、当時。公正取引委員会が、自分たちのこの制度がどのように機能しているのかということを検証するということで行っているわけですよ。

 だから、そういう作業を行う必要があるんじゃないですかということを言っているんです。根拠として、効果があるないというのはこういう検証作業をもって行うべきじゃないですか。その点についてお答えください。

竹島政府特別補佐人 検証作業は、そういう特定の事業分野の価格動向がどうだったということをもってこの規定の効果をはかるということは、少なくとも、二十五年前はわかりませんが、今そういう手法でもってこの規定の効果をはかるというのは私は説得的ではないと。むしろ、今るる申し上げたようなことから判断して、この規定がより価値、意味があるかどうかということを今なりに考えるべきだと思います。価格が仮に下がっていても、別な要因でカルテルということがあるわけでございますので、きちんとそれを取り締まるというのが一番肝心なことでございまして、罰則もない、何もない、コストはたくさんかかるという規定を置いておくことというのは、今の時代ではやはり慎重に考える、むしろ私は否定的に考えるべきだと思います。

塩川委員 いや、私、ですから、そういう検証作業もしていないのに大変だからやめましょうというのでは、消費者の方には納得を得られないんじゃないかなということを申し上げているわけです。

 その上で、当然、廃止をするということに当たってパブリックコメントをかければいろいろな御意見が寄せられると思うんです。お聞きしますが、消費者団体から、こういう制度は残してほしいという意見が出されていると思います。そういう声がどういうところからどういう意見として上がっているのかお聞きしたいのと、あわせて、企業側からはこういう制度は手間がかかるという声も上がっていると聞いているわけですが、どういうところからどんな声が上がっているのかについて、あわせて御説明をお願いします。

伊東政府参考人 研究会報告書等につきましてパブリックコメントを求めたわけでございますが、そうした意見の中には、十八条の二、価格の同調的引き上げの報告徴収制度に関するものも当然含まれておりまして、かつ、その廃止につきまして、賛成、反対という両方の意見が寄せられたわけでございます。

 御指摘のように、消費者サイドの団体からの意見としましては、カルテルとして現実に摘発できなかった同調的な値上げが、すべてカルテルではないとは言い切れない以上、報告を徴収できる制度を残しておく必要があると考えると、ある意味抽象的ですが、そういう存続すべきじゃないかというような意見も寄せられておるところでございます。

 あと、企業の負担ということでございますけれども、これはだれがどこで言っているということではございませんで、実務的なあれから申し上げますと、同調的な引き上げが見られる場合は、相手の協力を求めて、まず予備調査をして、要件に該当するとなると報告命令を出す。それで、引き上げ状況、時期、理由、さらには原材料の値上げが理由ということであればその内容等も求めるわけでございますから、当然に相手の負担はあるわけでございますけれども、我々、企業が負担感を持っているから廃止するということでは決してございませんで、先ほど委員長から御説明させていただいたような理由で総合的に判断して、廃止をするのが適当であると考えたものでございます。

塩川委員 いや、竹島委員長が廃止の理由の一つとして、公取としての行政コストもかかるし、企業側のコストもかかるということをおっしゃったので、その点を確認したわけですけれども、私、そのあり方そのものが問題なんじゃないかなと。現状は、企業側から引き上げという理由を聞くわけですけれども、それは原材料が上がったりとか、そういうことが出るわけですよね。それが、まあそういう意味では抽象的な理由になっているわけですよ。

 ですから、こういう声というのもあるわけですけれども、報告徴収の内容そのものが抽象的で、価格引き上げの理由を十分に理解するにはほど遠いような内容なんだ、これでは価格の同調的引き上げの抑制効果を期待するのは困難だ、むしろ価格引き上げの正当化の機会を提供するにすぎないことになりかねない、逆にそういう抽象的な報告徴収というのが企業側の引き上げの言いわけに使われているんじゃないのか、逆の意味でこの点が問題なんだと。

 そういう点では、もう少し突っ込んだ報告をきちんと求めるという方向での改善策こそとるべきじゃないですか。その点、いかがでしょうか。

竹島政府特別補佐人 私ども、それなりの権限を持っているわけでございますが、権限の行使は、これは公正取引委員会に限らずですが、やはり保守的でなければならない。何でもかんでも企業に行って調べてくるということではいけないわけでございまして、違反行為をより迅速かつ効率的に最少のコストでもって摘発をし、処分ができるということが大事でございます。

 価格のあり方について、企業秘密という問題もございますし、何を根拠に調査をするかということがはっきりしていませんと、企業に対する調査も当然壁があるわけでございまして、そういうことを考えますと、この同調的な価格動向を調査して報告するというときの調査についてもおのずと限界があると私は思いますので、そういう意味では、それをより分析せよというのは、この制度のもとではやはりふさわしくないし、こういう制度をもとにそういう非常に詳しいことを企業に対して調査をするということは慎むべきであるというふうに思っております。

塩川委員 これをなくすということになれば、当然のことながら、企業側に逆に同調的引き上げについて容認するような誤ったメッセージを送ることになりはしないか、そういう懸念も生まれるわけです。どう対応されていかれるのか、具体的な対応方法について御答弁いただきたいと思います。

竹島政府特別補佐人 繰り返しになりますが、要するに、疑わしきは罰せずという大きな壁がある中で、今回は、特に密室性それから証拠も残さないという行動が見られる独占禁止法違反行為について、措置減免制度を導入することにより、またあわせて強制調査権限である犯則調査権限をいただくことによってきちんとした証拠を得る、それによって違反行為を的確に摘発するということが何よりも大事なことであり、そういうことによって、仮に同調的価格引き上げの裏にカルテルが潜んでいれば、それを暴き出すということが可能になってくるだろう、今よりははるかに可能になってくるだろう、それが本筋であると思っておりますし、そういう方向でこれからの公正取引委員会の活動をしていきたいと思っております。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

河上委員長 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司です。

 今回改正されるこの独禁法で公正取引委員会の権限がどんどん強化される部分もありますので、それにつきまして、公正取引委員会の方に、財団法人公正取引協会というのがありますので、その件についてまず伺いたいと思います。

 この財団法人公正取引協会といいますのは、虎ノ門にありまして、財団法人なんですけれども、ホームページなんかを見ますと、「入会のご案内」、こうなっておりまして、その中で、独占禁止法の専門調査機関として公正取引委員会の施策について情報提供しておりますなどといろいろ書いてあります。

 その中で、会員になってくれれば多くの特典がありますというふうにホームページの方に書いてありましたので、私もきちんと名乗りまして、取材といいますか聞いてみました。どういう特典があるんですか、またどういう事業をやっているんですかということを聞いてみましたら、ちょっとびっくりするようなことが出てきたんです。まず、会員になってくれると特典がある、その特典は何なんですかと言いましたら、現職の公正取引委員会の職員の方から講習を受けられる、そういうようなことが書いてあって、しかも、普通の会員で四万円、それで特別賛助会員というのがありまして、それは一社当たり十五万円だ、それを取っていて勉強会をやっているんです、こういう話でした。

 まず、ちょっと確認したいんですけれども、現職の職員の方あるいは公正取引委員会の委員長は、この公正取引協会の講習会等に出かけられたことはありますか。

和泉澤政府参考人 お尋ねの公正取引協会でございますけれども、お話しのとおり、独禁法及び関係法令の普及啓蒙などを目的といたしまして、昭和二十五年に設立された財団法人でございます。会員は現在約七百二十名でございます。一般企業、事業者団体のほか、法律事務所それから大学、さらに弁護士や学者等の個人が会員になってございます。

 公正取引協会の事業内容でございますけれども、独占禁止法等に関する調査研究などをしてございまして、その中で、講演会、講習会の開催も行ってございます。

 それから、講師としてあるいは講演に行くことがあるのかというお尋ねでございますけれども、公正取引協会につきましては、今申し上げました独禁法の普及、また違反行為の未然防止という観点から、講習会、講演会を開催してございます。それで、私どものいわゆる職員また公正取引委員会委員長もその講演に出るということはございます。公正取引委員会委員長の場合には、年一回、一月でございますけれども、そうした講演会というものがございます。

高山委員 つまり、去年もことしも、公正取引委員会の委員長及び現職の職員の方はこの公正取引協会の主催する講習会に講師として行ったことがあるということですか。もう一回この点だけ確認させてください。

和泉澤政府参考人 さようでございます。

高山委員 あと、こちらに今、理事・監事名簿というのがあるんです。これは公正取引協会のものなんですけれども、会長をやられています柴田章平さんという方がいらっしゃいますけれども、この方は公正取引委員会の委員だったことはありますか。

和泉澤政府参考人 現在会長の柴田章平氏につきましては、公正取引委員会委員ということで、公取の在職経験がございます。

高山委員 あと、この副会長の矢部さんという方、この方も公正取引委員会にいたことはありますか。

和泉澤政府参考人 副会長の矢部氏につきましては、現在実践女子大の教授でございますが、公正取引委員会事務局に勤務経験がございます。

高山委員 私、ほかの予算委員会で質問したんですけれども、裁判官の訴追委員会というのが衆議院にあるんですよ。弾劾裁判所というのは参議院の中に事務局があるんですね。その訴追委員会の事務局長、これは実質的にいっぱいこういう裁判官けしからぬと来たのを精査する役の人、この人が裁判官だったと。裁判官訴追委員会の訴追側の、いわば検察官の役の人ですよ、これが裁判官の人が事務局長をやっていた、だから問題じゃないですか、こういう質問をしましたら、確かに問題だなというようなことでした。

 それで、お聞きしたいんですけれども、公正取引委員会というのは準司法的機関で、審判機能あるいは訴追機能、こういう裁判所とか検察官に似た仕事をしていると思うんですけれども、その点いかがですか、準司法機関だと思うんですけれども。準司法機関ですかという確認です。

和泉澤政府参考人 公正取引委員会につきましては、講学上の独立行政委員会で、準司法的機能を持つということは言われてございます。

高山委員 そうしますと、ほかの官庁にもこういう協会があって、いろいろ業界の人たちを集めて勉強会を開いてというのはあると思いますけれども、特にこの公正取引委員会というのは準司法機関で、訴追側になる可能性もあるわけですよね。その人たちが会長とか副会長とか理事に結構大勢天下っていて、しかも職員、現職の人まで派遣しているということは、これはかなり問題だと思いますよ。実質的に問題がないとしても、形式的にこれは問題だと思います。だから、実質的に害がないということではなくて、形式的に区別していただかないと困ると思うんですね。

 しかも、私、いろいろこの公正取引協会に伺いましたら、公正取引協会に公正取引委員会からいわゆる天下りみたいなのを受け入れていますかというような話を聞きましたら、いや、これは必要なことなんだ、当然受け入れていますよ、これは押しつけられたということではなくて必要なことなので我々はいわゆる天下りを受け入れておりますというお答えもありました。

 また、先ほど会員企業がたくさんあるということでしたけれども、私がいろいろ聞いたら、結構重厚長大産業、石油ですとか建設ですとか、そういう方がすごく多いんですね。

 参考までに、この間排除勧告されたインテル社ですとかドン・キホーテ、こういった会社がこの協会の会員になっているかどうかというのは御存じですか。

和泉澤政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の企業については、会員ではないということでございます。

高山委員 今回のインテル社の排除勧告、あるいはドン・キホーテの不当廉売というか不公正取引、こういうことに問題があったかなかったかという実質的な議論は、この後また同僚議員の方で厳しくしていただけますから、それはいいんですけれども、入っていない企業だからばんばん排除勧告を出して、そうじゃない既存の企業に関しては、こういう勉強会なんかを開いてこの辺がさじかげんであるということをひょっとしたら教えているんじゃないかというような疑念を持たれかねないと思いますけれども、これはこの後も、来年、再来年も、公正取引協会の方から講師の依頼があった場合には、公正取引委員会の方では、現職の職員の方あるいは委員長、これは派遣に応ずるつもりですか、来年度とか。

竹島政府特別補佐人 私どもは、財団法人公正取引協会の活動、それと公正取引委員会の関係について、何らおかしなところはないと思っております。

 要するに、独占禁止法の趣旨、目的、これをきちんと普及啓発するということは大事なことでございまして、その中核を担うものとしてこの公正取引協会が活動しているわけでございます。

 したがって……(発言する者あり)それは、そういうことでございまして、その機会を公正取引協会において設けられた場合は、私は委員長として、当然の社会的な責務として、講演をするということはこれからもしていかなければならないと思っております。

高山委員 今回この後、かなりこの独禁法の条文やら指針やらがあいまいなのでおかしくなっているということを今から質問しますけれども、これは結構わかりにくいんですよ。それで、何か独禁法の関連集とか指針ですとか考え方についてとか、いろいろ出ているわけですよ。かなりわかりにくい。

 それで、わかりにくいんですけれども、例えば元公正取引委員会の委員をやっていた人が弁護士さんを開業されて、自分は独禁法に強いんだということでいろいろなところの顧問弁護士になるのであればまだわかりますけれども、こういう公正取引協会に協力するという形をとって現職の方が行って、実際このくらいがさじかげんであるということを教えているというのは、これは僕は形式的に利益相反だと思いますよ。訴追側の人が訴追されるかもしれない人たちに勉強会だといって、しかも会費を取って、しかも、いろいろ聞きましたら、いろいろなほかの会社ごとの勉強会でも講師を派遣しますですとか、あるいは団体で何社か集まってやってくれた場合にも講師を派遣しますと。それは、公正取引委員会の方でわざとこういうわかりにくい運用をしているか、何かさじかげんができる部分をつくっておいて、御丁寧に教えに行っている、そういうような気がいたします。

 とにかく、公正取引委員会は、これからとにかく経済憲法の独禁法を運用していく立場で、私も個人的には、これは中にファイアウオールがあったりなんなりということで信頼はしていますよ。ですけれども、これは李下に冠を正さずというか、形式的に訴追側と訴追される側が懇親の機会を持ったり、そういうお金を払えば講習を受けられるということは、これは問題だと思いますね。ですから、もし改められるのであれば、この後講師の派遣の依頼があっても、ぜひ行かないようにしていただきたいというふうに私は思います。

 それで、ちょっと質問を変えたいと思います。公正取引協会のことは以上でございますけれども……(発言する者あり)これはもう問題なんでまだやってもいいんですけれども、私ほかにやりたいことがあるものでちょっとやらせていただきます。

 それで、この独禁法の問題で、最近知的財産の保護だということで、これは中川大臣に伺いたいんですけれども、日本はコンテンツ重視の時代に入ったということですけれども、まず、この法で言うコンテンツというのはいかなるものを言うのかという漠然とした質問なんです。コンテンツ産業というときに、コンテンツ保護だと言っていますけれども、これはどういうものをまず保護していけばいいとお考えですか。

中川国務大臣 おはようございます。

 今高山委員からコンテンツの保護の対象、つまりコンテンツとはどういうものを指すかという御指摘でございますが、法律上コンテンツとはどういうものかという定義はないというふうに承知をしております。

 ただ、事例としては、もう委員御承知のように、映画であるとか、あるいはまたコンピューターのソフトであるとか、あるいはまた漫画であるとか、そういうものであって、そして、日本は資源がないとかいろいろ制約のある中で、日本として今後産業競争力を強化していく部門の一つとしてコンテンツの育成というものが非常に重要であるという認識を持っておりますので、新産業創造戦略の重点七分野の中でもコンテンツというものを位置づけしているわけでございます。

 したがって、委員の御指摘に関しては、きちっとした有権解釈的な定義はございませんけれども、いわゆる我々の頭の中から出てきて、そして、それでもって音楽ソフト等も含めていろんな事例について、ある意味ではコンテンツ保護という観点からは幅広く考えていきたいというふうに考えております。

高山委員 ありがとうございました。

 今大臣がおっしゃるとおり、コンテンツというのは映画だったりコンピューターのソフトだったりいろいろあるわけです。これは、今私は四枚CDみたいなものを持ってきたんですけれども、それぞれこれはどうですか、大臣、見て区別がつきますか。例えば、これはコンピューターのソフトが入っています。これは音楽ソフトですね。これも音楽が入っている。これは中に何も入っていないものなんですよね。

 これをごらんになってわかるように、コンテンツ保護といったときは、やはり内容ですよね、保護されなきゃいけないのは。こういうデータが入っているメディア、CDだとかあるいはフラッシュメモリーだとか、こういうメディアというものと、この内容であるコンテンツ、これは一応分けて考えるべきだと思うんですけれども、こういうものを一応分けて整理して考えるということに関しまして、まず中川大臣、これが形式的には全然区別がつかない、だけれども中身によって一応これは差がついているんだということの御理解でよろしいかどうか、まずその確認だけさせてください。

中川国務大臣 今御指摘のように、それが表の部分でない、銀盤というか、裏の部分だけで見ますと、音楽なのかあるいは広辞苑の辞書なのかあるいは私の個人的なものを記録したものか全くわかりません。したがって、コンテンツというものを保護するということは、その中身を保護することというふうに御理解をいただきたいと思います。

高山委員 それで、私もコンテンツはこれから非常に保護していかなければいけない、著作権だとかあるいはクリエーター保護、こういうことは非常に大事である、日本も非常によくそれはやっていると思います。

 その中で、これは今回独禁法のということで、再販制度について伺いたいんですけれども、まず、これは例えばコンピューターのウイルスソフトなんですよね。これは日本で発売されている日本の歌手が歌っているCDです。これは海外の映画のサウンドトラック盤なんですね。あとこれは生のただのCDなんです。公正取引委員会に伺いたいんですけれども、この中で再販制度で保護されているものというのはどれなんですか、今いろいろソフトのある中で。

山木政府参考人 私どもが、独占禁止法二十三条第四項の規定に基づきます著作物の再販制度として独占禁止法上適用除外されておりますと考えておりますのは、先生御指摘の中では音楽用CDについてでございます。これ以外に書籍、雑誌、新聞というものもございますけれども、お示しのものにつきましては、最近レコードというのは少なくなっておりますけれども、レコードと機能、効用が同様である音楽用CDという解釈をいたしております。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

高山委員 そうしますと、例えば、これは映画が入っているDVDなんかは再販価格は維持しちゃいけないんですか。再販制度はもう禁止されているということですか、映画の入っているDVDなんかは。

山木政府参考人 私どもの解釈といたしましては、映画が入っておりますDVDにつきましては許容されている著作物とは考えておりません。

高山委員 これは要するに、CDみたいなものがありますよね、これそのものはほとんど価値がなくて、何にも入っていないCDであれば、これは大体一枚五十円とか八十円ぐらいなわけですよ。それで、音楽が入っているCDだと、日本のものであれば三千八百円。それで、例えば海外からの輸入のであれば二千円ぐらい。DVDソフトだと、昔の映画だったら九百八十円だけれども、最新のは例えば三千八百九十円。ウィンドウズだ何だ、こういうソフトが入ったものは四万円とか、結構高いのもありますよね。

 これはちょっと中川大臣に伺いたいんですけれども、コンテンツを保護していくということで、これはわかるんですけれども、何かこの媒体だけで見たら、実はこれは全部同じなんですよ。これに何が載っかってくるかということで値段が変わっていくわけですよね。まず、媒体としては全部同じものということで、中身によって値段が変わる、これは私は納得ができます。

 だけれども、これはただの媒体なんですけれども、中身がいろいろ載ってくる中で、日本で発売されている音楽が入っているこういう物体だけどうして再販価格が維持されているんですか。それをちょっと中川大臣に伺いたいんです。

中川国務大臣 再販価格の議論、これは独禁法、したがって公取委員会の方の所管として、今も条文を読みましたけれども、今、高山委員がおっしゃったとおり、中身が入っているものの、例えばテープであるとかCDであるとかレコードであるとかの価格について再販価格が認められているというものであります。

 私の方が先ほど申し上げたいわゆるコンテンツというものは、広い意味の知的財産という観点から、例えば有名な人気ある作曲家のレコードの歌とかあるいはまた映画とか、そういうものを保護するというのは、例えば著作権であったり、そういう観点からの権利保護であり、また、それによって経済的な利益が得られるということもあると思いますから、そういう意味で著作権を保護するということでございまして、今御指摘のように、その中身が、例えばCDだとかテープだとかレコードだとか、だから再販価格が維持されるんですよという議論とは実体的には重なる部分もこういう媒体についてはあるのかもしれませんけれども、我々の方のコンテンツ保護、知的財産の保護というのは、あくまでも中身の価値に対しての保護だというふうに御理解いただきたいと思います。

高山委員 大臣にまたちょっと質問したいんですけれども、そうしますと、例えば音楽CDは中に入っているのが音楽である、要するに、コンピューターソフトの何かデータだとかそういうのとはまた違って音楽データが入っている、だからこれは保護しなきゃいけないんだ、それをしかも手段として再販という制度を使ってまで保護しなきゃいけないんだ、こういうようなお考えでしょうか。

中川国務大臣 再販についてはちょっと公取の方からお答え願いたいんですけれども、例えば、ある音楽についての知的財産の保護というのは著作権によって保護されているわけですが、それは、著作権法上はレコードであろうがCDであろうが、あるいはまた極端に言えばテレビで流れているものを録音してばっと売っちゃった場合も含めて、これはいけないわけでございますから、そういう意味で、中身についての保護という意味であります。

高山委員 いや、ちょっと今自分の質問とかみ合わなかったんですけれども、要するに、いろいろコンテンツがあって中身を保護しなきゃいけないというのはわかりますけれども、この中で再販がとられているのは音楽用のデータだけなんですよ。要するにいろいろなデータが載っているわけですよね、この中に映画のもあるし海外の曲もあるし、いろいろ載っている中、日本で発売されている音楽データだけ価格維持が認められている。では、それを認めるのであれば、DVDだとかゲームソフトも全部認めていいというようなことになるんでしょうか。これは大臣にちょっと伺いたいんですが。

中川国務大臣 率直に申し上げて、けさ打ち合わせをしているときに、DVDはなぜ入らないのというふうに私は事務当局に聞いたんですが、その辺は公取の方に御質問いただければ、私自身も、率直に、なぜDVDとかそういう新しいものについては再販の対象にならないんですかということで、私からも公取の方にぜひお聞きしたいなというふうに思っているところでございます。

高山委員 それでは公取の方にも伺いますけれども、まず、音楽CDの再販が認められている根拠なんですけれども、これは根拠条文は何ですか。

竹島政府特別補佐人 根拠条文は二十三条の四項でございます。

 それから、ちょっと御説明申し上げてよろしいでしょうか。今、音楽用のCDだけでそれ以外の似たようなものは、DVDはどうして認められないのかと。これは沿革を申し上げないと御理解いただけないと思います。そもそも……(高山委員「ちょっと、そんな長くなるんだったらいいですよ」と呼ぶ)

 いずれにしても、音楽CDだけをレコード盤と同一の機能を有しているということで認めているわけでございまして、それ以降出てきているものについては、これは認めておりません。

高山委員 済みません、今二十三条ということだったんですけれども、そこに何かレコード盤とどうのこうのですとか同一の機能だとかどこにも書いていないんですけれども、これは何を根拠にやっているんですか、音楽CDだけ。

山木政府参考人 独禁法の条文では、著作物を発行する事業者が再販売価格をコントロールできるということでございます。

 私ども、その著作物の内容として書籍、雑誌、新聞、それから、これは昭和二十八年に導入されたわけでございますが、当時はレコード盤ということでございまして、そういう……(高山委員「どこに書いてある、何を根拠に言っているんですか、それは」と呼ぶ)それは、解釈として申し上げているわけで、法律の条文としては著作物という概念でございます。

高山委員 これは著作物と書いてあるだけで、いろいろなものがメディアでどんどん出てきていますよね、著作物でいろいろなものが出てきている。この中で、どうして音楽のCDだけ再販を認めて、ほかは認めない。例えば、音楽のCDだけが再販価格維持しているのは問題じゃないかと言っても、いやこれは認められているものなんですと言うんですけれども、この根拠が物すごくあいまいなんです。

 私、これからちょっと公取の方に質問したいのは、これが文化的なものであるとか、例えばコンテンツを振興しなきゃいけないとかいう実質面に入る前に、また形式論で恐縮なんですけれども、法律にも書いていなくて、何を根拠に音楽CDだけ再販の維持を認めているんですか。ちょっと根拠のものを出していただけませんか。

山木政府参考人 根拠と申しますのは、まさに独占禁止法の著作物という文言を私どもとして解釈して運用をしているわけでございます。

 それから、そもそも昭和二十八年に適用除外制度ができたものは、書籍、雑誌、新聞それからレコードの定価販売の慣行を追認すると申しますか、是認するという趣旨で適用除外制度が導入されたわけでございます。

 そういうことで、レコード盤と同視できる音楽用CDについてはこれを著作物として解釈して、それ以外については、再販制度といいますのは独禁法の例外的な措置でございますので、限定的に解釈をするということで運用しているわけでございます。

高山委員 昭和二十八年とか言いますけれども、そのときにこんなCDなんかないですよ。昭和二十八年の慣行といいますけれども、そのときにいろいろ定価販売で売られていたものというのはほかにもいっぱいあったわけですよね。化粧品だとかいろいろなものが売られていて、僕なんかも小学校のときは定価幾らとか書いてあって、それがだんだん大人になっていくと標準小売希望価格とかとだんだん書き方が変わってきて、あ、定価というのはいけなかったんだなというふうにわかったぐらい、昔はむしろ定価販売というのが慣行だった。それがだんだん崩れてきて、自由競争で、競争促進なんだということだと思うんです。

 これは公取の委員長に聞きたいんですけれども、こういう再販制度というのはこれからも維持しなきゃいけないですか。

竹島政府特別補佐人 公正取引委員会の立場は、従来から再販制度は廃止をしたいというものでございまして、現に、あまたあった適用除外制度をどんどん削減してきました。今残っているのは、ハードコアの部分が残っておる、その最たるものが著作物に係るものであるということでございまして、基本的には、独禁法上の精神、趣旨からいいますと、再販維持価格というものは、これは違法であるというものでございます。

 したがって、商品が次から次へ開発されてきますけれども、我々は極めて限定的に、廃止しようと思っているわけでございますから、拡大する方向での運用は認めていない。

 そのことについて、音楽用CDにつきましては、レコード盤と同じ、その前にはテープがあって、その次にCDが出てきて、これはレコード盤と同じではないかと。これについては確かに同じなので、平成四年に公正取引委員会として、音楽用CDに関してはレコード盤と同様の扱いをしますということを有権解釈のもとで公表しているところでございます。

高山委員 委員長、今、CDについては何かレコード盤と同じみたいなことをおっしゃっていましたけれども、根本的に違いますよ。

 レコードとかテープというのは、いろいろダビングしていったらどんどんどんどん劣化しますよね。だけれども、このCDというものに、CDでもいいしMDでも何でもいいんですけれども、そういうものに載っているのは音楽のデータですよね。音楽のデータというのは、幾らコピーしても全然劣化しないじゃないですか。だから、根本的にちょっと考え方が違うんじゃないですか。レコードは、そのものを全く同じようにプレスしなければあれかもしれないけれども、これはだって中のデータでしょう、取引の対象となっているのは。

 委員長にまた伺いますけれども、これはたまたまCDにそういう音楽の歌とかのデータが載っかっているものですけれども、音楽データあるいはコンピューターソフトのデータそのものは、じゃ保護しなきゃいけないということで、これは再販価格の適用除外になりますか。

竹島政府特別補佐人 先ほど取引部長から申し上げましたように、認められているのは物(ぶつ)なんです。著作物、物(もの)なんです。したがって、今おっしゃったものはすべて情報でございますので、それは再販価格の例外にはなりません。

高山委員 そうしましたら、一つ伺いたいことがあるんですけれども、最近、家電量販店とか行けばわかりますけれども、こういうCDの、CDウォークマンというんですかCDプレーヤー、これはもうほとんど売っていないですよ。ずっと隅っこの方に追いやられてしまっています。カセットなんて言うに及ばず。今、一番主流は、こういうMP3プレーヤーというものですね。これは、全部この中に音楽のデータが入ってきて、気軽に持ち運べて聞ける。大体これが一番主流になってきています。だから、音楽を聞く方法というのは、こういうMP3プレーヤーだったり、携帯電話にダウンロードして「着うたフル」とかいって音楽を聞いたり、いろいろ音楽データというのは今聞く方法がふえているわけですよね。

 先ほど、今、委員長の見解では、情報だったりデータというのは再販価格の適用除外にはならないということでしたけれども、今、ダウンロードして、アイポッドとかの中に入れて音を聞こうかなと思って、特に日本の歌を聞こうかなと思いますと、いろいろな音楽サイトが結構立ち上がっているわけですね。

 まず初めに、これはこの間も聞きましたけれども、確認ですけれども、その原盤権を持っているレコード会社さんが自分のサイトでその曲を売るときに価格コントロールする、これは違法ですか、合法ですか。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

山木政府参考人 メーカーが自分のサイトで物を売る、情報を売るというときに、自分の価格を決めるのは当然でございますので、それは何ら問題ないわけでございます。

高山委員 これは、実際いろいろ調べてきますと、日本の場合、例えばA社のサイトに行って、じゃこの曲を買おうかなとすると、ダウンロード方式を選んでくださいとなってそこへ行きますと、何かこういうレーベルゲート共通ショッピングカートというページに行くんですよ。それで、ほかのレコード会社、だからA社じゃなくて例えばB社のサイトから行っても、結局買うときに、一曲幾らというのを行くときにはレーベルゲート共通ショッピングカートというところに行くんですよね。

 このレーベルゲートというのは一体何なのかなと思って調べてみましたら、日本にあるレコード会社の三十九社全社が、インディーズとかありますけれども、大手レコード会社全部が共同出資してつくっている会社だ。つまり、音楽配信をして、じゃ買おうかなと思って実際に決済を受けるときは、ほぼ九〇%以上、このレーベルゲートのページに行くんですよ。

 これは、価格カルテルといいますか、しかも、一曲二百十円、外国の曲は百五十八円、全部同じ値段なんですよね。これは再販価格維持しているということになりませんか、公正取引委員会に伺いたいんですけれども。

山木政府参考人 レーベルゲートの詳細についてしっかり把握しておりませんので、個別の事案についてはコメントは差し控えさせていただきますけれども、一般的に申して、共同出資である会社をつくって事業を運営するということは許容されているわけでございますし、そのこと自体が直ちに問題ということではないと思いますが、それ以外に、例えばそれで個々のレコード会社が配信することを相互に制限し合っているとか、そういうレコード会社間の競争を制限するというような取り決め、これは明示、黙示を問いませんけれども、そういうことが起これば独禁法上の問題は生じるのかな、そういう考えでおります。

高山委員 今、公取のお答えでは、共同で事業をやることはどうのこうのということでしたけれども、だって、事実上、音楽配信で曲を買おうと思ったら、日本の楽曲はここからしか買えないんですよ。

 それで、ここで価格コントロールをひょっとしたらしているんじゃないのかなと。形的には別会社ですよ。だけれども、出資しているのは、今までのレコード会社が全部出資しているわけですよね。こういうような形態というのは、これは価格コントロールのためにわざわざ一社でやっているんじゃないかというふうに思わざるを得ないんですけれども、改めて公取の見解をまず確認しておきたいんです。

山木政府参考人 先ほども申しましたように、レーベルゲートとレコードメーカー間の関係とか詳細な契約関係がわかりませんので、一般的なことを申し上げますけれども、レコード会社とレーベルゲートの間の契約関係が例えば委託だといたしますと、一般的には、物の委託をする場合に価格を決めるということは、メーカーで決めてその価格で配信してくださいということは十分考えられるわけでございますので、そういう会社間の契約関係とか事実関係を把握しないと、直ちに再販かどうかとかは申し上げられないということでございます。

高山委員 恐らく相当考えてつくったんじゃないかと思うんですよ。いろいろサイトを見ていくと、僕みたいなこういう調べる人じゃないとわからないようなところに、確かに、各レコード会社から受託を受けて運営しておりますというふうに書いてあるんですよ。

 ですけれども、これは伺いたいんですけれども、受託であれば価格を維持するのはしようがないねという場合の、公取が言っている場合というのは、例えばいわゆる一坪ショップみたいな棚だけ貸しているみたいなもので、ここの棚だけお店の場所を貸してちょうだいね、ここに置くこのかばんは幾らで売ってくださいねというような、そういうものをイメージされているんじゃないですか。まず、その受託形態というのはほかにどういうものがあるか聞きたいんですけれども。

山木政府参考人 委託と申しましても、物の委託、こういう場合の情報の委託、いろいろな形態があろうかと思います。したがいまして、どういう事実関係、契約関係になっているかというのが重要だと思っております。

 一般的に、物の所有権を委託側に留保し、危険負担も委託側が持っている、そういう場合に価格をコントロールするということは、再販価格維持は原則違法ですけれども、再販価格の維持にはならないということで、一般には許容されているところでございます。

高山委員 ただ、これは、インターネット上ですから、ぴっとクリックすると次のページにすぐどんどんどんどん飛んでいくということで、これは体裁的に見ますと、各音楽配信のダウンロードできますよというサイトは、あたかも一般のCDショップのように、いろいろな曲が選べる、各レーベルのものもいろいろ選べるよ、こういうふうになっているんですよ。それで、いざ買おうと思うと必ずここに行っちゃう、選ぶところに。

 だから、CDショップで、仮に再販価格が維持されていなくても、レジのところには必ず同じ会社の人がいて値段をチェックしているというような状況とこれは似ていると思うんですよね。要するに、クリックして変わるだけですから、画面上の体裁で見ると、いろいろなものが選べるようになっていても、結局一カ所に行ってしまうということで、これは僕はかなり問題だと思います。

 それで、もっと問題なことを言いますね。

 MP3プレーヤーというのでいろいろな配信方式があると言いましたけれども、実はこれは、今、すごく大きく分けて二大方式といいますか、ソニー方式とアップル社の方式と二大勢力でやっているわけですよ。日本でもアイポッドというのは物すごく売れているんですけれども、残念ながら日本では、アイポッドにダウンロードして、音楽配信でもって音楽を入れるということが今できないんですよ。

 それは何でかというと、このアップル方式の方に日本のレコードメーカーが楽曲の提供をしてくれないからだ。アイポッドそのものは、もう三年も前から売っているんですよ。でも、全然楽曲の提供がないから、今実際上聞けていない。それで、ユーザー側からすると非常に使い勝手の悪い機械である方の、ソニー方式といいますか、MP3プレーヤーを買わないと日本の曲は聞けないというのが今現状なんです。

 これは公取の方に聞きたいんですけれども、もし、両陣営の制度の争いがあって、一方の機械の方式に対して楽曲を提供していないということであれば、これは独禁法の違反になりますか。

山木政府参考人 これも一般論でございますけれども、ある事業者がどういう技術、どういう規格を採用するかということは、それはその事業者の判断でございますので、直ちに独禁法上の問題は生じないというふうに思っております。

 ただ、御指摘の点につきましては、その詳細な事実関係がわかりませんので、これ以上のコメントはこの場では差し控えさせていただきたいと思います。

高山委員 中川大臣にも伺いたいんですけれども、とにかく、これからコンテンツは大事だ、コピーコントロールだとかそういう技術をどんどん発達させて、適正な著作権の利用をしていかなきゃいけないねということでございますけれども、この音楽配信ですけれども、今までの慣行どおり、今までレコードは定価で売っていた、CDも定価で慣行で売っている、だからまた音楽配信も定価販売なんだ、こういうふうになるのが好ましいかどうか、これを中川大臣に伺います。

中川国務大臣 先ほどの竹島委員長の御答弁と私の申し上げたこととは、高山委員のおっしゃり方ですと、これは形式的な違いになるのかもしれませんけれども、私は、あくまでも著作物に対しての権利保護ということで、相当の対価を得られるとか、あるいは海賊版とか模倣品を退治するとか、また今後御審議いただくことをお願いしております不正競争防止法の問題であるとか、そういう観点から、そういう知的財産の保護に値するものについての権利保護という観点からこの問題をとらえるのが私の立場でございまして、外形的あるいはまた独禁法上の再販制度の問題というのはあくまでも公取の御判断ということで、私としては、それ以上申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。

高山委員 いや、これは政治家として、しかもコンテンツ振興というもののほぼ責任者ですよね。

 それで、伺いたいんですけれども、これは音楽配信の問題だけじゃなくて、これからビデオというか映画ですね、ああいったものも当然、ビデオ・オン・ディマンドといいますか、どんどん配信して買うように形態が変わってくると思うんです。今もVHSのああいうビデオ、DVD、両方並んでいますよね、レンタルビデオ屋さんへ行くと。それが今度、音楽配信と同じようなビデオ配信になるかもしれない。

 ですから、先ほど公取委員長が言いましたように、物ではなくて、情報ですとかデータというのを、しかも特にコンテンツだと、これをどういうふうに取り扱うのか、それの価格をどういうふうに決めるのかというのは、非常にこれは国策だと思うんです。

 これは中川大臣に伺いたいんですけれども、そういうデータのやりとり、これも再販価格という制度を使って保護する必要があるのか、これをまず伺います。

中川国務大臣 ですから、あくまでも私どもはコンテンツを振興したいということで、例えば人材の育成であるとか先ほど申し上げた権利の保護だとか、いろいろな形で振興する、そしてまた、いろいろなもの、すばらしい知的財産をどんどん生んでほしい、それに対する支援というものは、大いにそのために努力をしていきたいというふうに考えておりますし、他方、その保護のためのいろいろな制度も充実させていきたいというふうに思っておりますが、それを再販の観点からというよりも、むしろすばらしい著作物に対してはそれだけの、さっき対価というふうに申し上げましたけれども、例えば印税であるとか音楽の著作権であるとかそういう形で、権利の保護と同時に、やはりインセンティブとして、いいものに対しては多少高いお金を払っても聞きたいとか読みたいとかということは、当然これはビジネスの世界としてあり得ることだろうと思います。

 ただ、それと再販の形式、さっき委員長は物というふうにおっしゃいましたけれども、物という観点からとは、あくまでも私どものコンテンツ振興の観点とは直接的にはちょっと別の話に、さっき経緯、沿革という話をちょっと言いかかっておりましたけれども、そういう観点もあるんだろうということで、あくまでも我々はコンテンツ振興のためにこれからも頑張っていきたいということで御理解いただきたいと思います。

高山委員 いや、コンテンツの振興ということでは全く異論はないし、むしろ私もやるべきだと思っています。ただ、それは、要するにコピーをさせないですとか、そういう不正コピーを防止する、そういう技術によって克服されるべきであって、再販制度という市場ルールを曲げるような、できればもうない方がいいんだというような制度を持ってやるのがふさわしいかどうか。しかも、これは諸外国にはないんです。音楽CDの再販があるのは日本だけです。

 ですから、中川大臣、コンテンツを隆盛させる責任者として、大事なことは、お客様に向いているかどうかですよね。コンテンツを消費するのは一般の我々消費者。それで、例えば、あいつはすぐ万引きするかもしれないからといって、買い物行くのにずっと警備員が見張っているような今状態なわけですよ。やたらコピーするじゃないか、あいつはいけないじゃないかと。そうじゃなくて、もうちょっとコンテンツの消費者を信頼するような立法をする必要があるんじゃないんですかね。

 それで、コピーも、ここまでなら許すけれども、ここまではもう違法だという線引きをする必要がある。私としては、コンテンツ隆盛のためには、どちらかといえば、コピーをどこまでやるかというコントロールでやるべきであって、それを市場ルールの例外中の例外である再販制度というのを使ってやるのはいかがなものかと思いますけれども、中川大臣に最後に、コンテンツ隆盛の手段としてはコピー防止というのを重視していただきたいということをお願いして、質問を終わります。

河上委員長 次に、中山義活君。

中山(義)委員 ただいま高山さんからいろいろ質問がありましたけれども、間違えちゃいけないのは、彼は文学青年で、書籍や新聞の再販については大変制度として重要に考えておりますことをまずお話をしたいというふうに思います。それから、プロパテント政策についても彼は非常に関心を持って、高い知識を持っておりまして、あえてこのCDの問題について疑問があるということで質問をされたんだというふうな理解をいたしております。

 それと同時に、今、委員長は答弁の中で、もともとこの再販制度は廃止をしたいというような声が聞こえたんですが、そういうことをちょっと、幾らうまい質問が来たからといって、これの間に入れて、再販制度なんかは変えた方がいいとかなんとかと言っちゃったんじゃないでしょうか。ちょっと答弁してください。

竹島政府特別補佐人 これは、従来から公正取引委員会は、再販制度というものは廃止をしたいということでいろいろ努力をしてきたわけですが、平成十二、三年に特に著作物についての再販問題が大きな議論になって、結局、国会を含め国民の皆さんの理解が得られなかった。世論が再販廃止で一致していないということに当面いたしまして、当面は存続するということにいたしますということを申し上げているわけですが、私は今、その物の考え方、それから姿勢は変わっておりません。基本的に、これはいいものだとは思っておりません。

中山(義)委員 しかし、町の本屋さんがありますね、こういう本屋さんがだんだんなくなっていくというような現実があるわけですよ。私たちが学生のときには、本を立ち読みしながら、申しわけないけれども買わないで、いろいろな本を読みながら知識を蓄積してきたわけですよ。大学のときなんかは、近くの本屋さんに学術書なんかありまして、学校の授業の合間にそういうものも読んで勉強したわけですね。でも、そういう懐かしい本屋さんが、大学の近くに行くと、なくなっている。つまり、本というものの性格をよくわきまえていただいて、書籍とか新聞とかこういうものに関してはやはり再販というものが、制度そのものが必要であるということを我々は立場上とってきたわけです。

 そういうので、簡単に答弁の中で、おっ、いい質問をしてくれたからといって答えて、再販制度なんかもう反対ですとか、そんなこと言わないでくださいよ。やはり我々が本当に政策として考えたときには、それなりによく考えた上で質問しなきゃいかぬし、またプロパテント政策の中からも著作物に対する重要性というものを私たちは非常に高く感じておりますので、それは委員長にまず申し上げたいと思います。簡単に廃止するなんという言葉を軽々しく言わないでもらいたい、これを要望いたします。

 それから、ちょうど細田官房長官がいらっしゃったのでぜひ聞きたいんですが、きのうのテレビを見ると、BSEの問題で、電話で総理が大統領と話をした。大統領の言ったことは、総理の手腕に期待すると。恐らく、牛肉を日本に輸出して、アメリカの出した肉を日本がしっかり受け取れ、こういうような非常に、あれは優越的地位にアメリカはあるんですかね。優越的な地位にあってもし日本にそういうことをやるとなると、今回の問題にも触れるわけですが、あれは内閣府にありまして、何となく私は今回の、ドン・キホーテやヤマダ電機が弱い方に向かってこれをしろ、あれをしろと要求を突きつけているのと似ているような気がするんですが、官房長官、テレビであそこまでやって、国民はどう思っているか。安全でないそういう肉を優越的な地位を利用して日本に押しつける、そんなふうに思われたら、日本は何でアメリカに対して下位の立場にあるのか。ここによく法律案が出ていますが、下位のものにあるのと一緒ですよ、あんなやり方をされたら。官房長官、ぜひそれを答えてください。

細田国務大臣 決して優越的地位にあるわけではございません。また、日米の首脳電話会談においても、総理は、自分も牛肉貿易を早く再開したい気持ちではあるが、いつ再開できるとは言えない、ただし、この問題が日米関係を害することがないよう努力したいと述べております。

 しかし、他方、日本の国内の全頭検査の問題についても食品安全委員会において今検討中であり、本日もプリオン調査会が開かれ、さらに検討をし、パブリックコメントをして、二十カ月と言われておりますが、この是非について議論をしている。その先にまた米国の問題があるわけでございます。

 私も、去年以来、何回も米国の駐日大使やあるいは各省の人たちとは直接話をしております。先方の言いぶりは、自分たち二億五千万人は安全と認定して毎日米国産牛肉を食しておる、なぜ日本人はこれが有害であるとして輸入ができないのかというような、ちょっと論理の飛躍がありますが、そういう論で、かなり政治問題化もしておるということが実態でございますので、今後とも日米間でよく協議してまいりたいと思います。

中山(義)委員 農水大臣は、やはり心配だから三年間全頭検査をするために都道府県に補助金を出したんでしょう、その本人ですよね。その本人のやったことが、自分でそれが非常識と言ったんですよね。そうじゃありませんか。何で自分のやったことを非常識と言ったのか、自信を持ってやってくださいよ。中川大臣なんか、いつも何かやるときは自信を持って言いますものね。何で農水大臣が、自分のやったことに対して、これは世界の非常識だと言っちゃったんです。こんなおかしなことってありますか。我々の国がやっていることは非常識じゃありませんよ。三年間全頭検査をすれば一番安全なんです。だから、こういうところが今すごく大きな問題だと思うんですね。

 これは、ウォルマートという会社が、つい四日ぐらい前にBS1か何かでテレビでやったんです。ここはすごく安売りだ、本当にこの安売りが消費者のためになるかどうかという議論をテレビの中でやっているんです。大変興味深かった。

 初めは、商品というものを入れるときに、メーカーの方でいい商品をつくって、そしてウォルマートに入れる、それで値段を設定する。これはいい商品だから売れた。そのうちそれに対抗するところが出てきて、それに類似したものをつくる。そうすると、ウォルマートは今まで仕入れをしてそれに値段をつけたんですが、今度はウォルマートは、だんだん売れてくると、いや、この値段でやってくれという形に変わるんだそうですよ、この値段でやってくれと。それはいろいろな会社にビジネスチャンスを与えている、こうテレビで言っているんですね。そのうち、その商品だけじゃなくてすべてそういうシステムをウォルマートはやり出したんです。自分たちが優越的な地位にあるからですね。つまり、この物はこの値段で売るためにこの仕入れでやってくれと。

 そうすると、どういうことが起きるか。初めは国内でいいものをつくった、ところが、安くするためにはどうしても工場を中国に持たなきゃならない、こういうことで確かに安くした。だけれども、ウォルマートがそういうことをやったことによって、その国のいわゆる工場、物づくり、こういうものがみんな中国へ行っちゃったんです。しかも、中国でつくった商品がアメリカでちゃんとつくった商品よりいいか悪いかというのは、一般の人には判断できないんですよ。だけれども、どう見ても品物がよくない、こういう判断をしているんですね。だから、本当に安くする、うんと値段を下げるということが消費者のためなのかどうか、ここを考えなきゃいけないと思うんですね。

 ですから、優越的な地位を利用して、本当にいい商品を入れるのかというと、必ずしもそうではないわけですよ。シイタケはこの値段で持ってこい、どこでつくったらいいか、中国でつくる、しかし、これには含有農薬がすごく多かった、その方が栽培費用が安いから、こういう問題が起きてくるわけですよ。ですから、安売りをするということが必ず消費者のためになるかどうか、まずこの問題について中川大臣から見解をお聞きしたいと思うんですが、どうでしょうか。

中川国務大臣 消費者も安ければいいというだけで物を買うというふうにはなっていない、特にここ数年の、BSEの問題を初めとして食品の安全性あるいは子供たちへの配慮、例えばおもちゃとかああいうものを含めて。

 ですから、消費者は、特に食べ物とか、子供たちあるいはお年寄り、あるいは病気にかかっている方に対しての情報というものを非常に厳しく見たいというふうに考えます。ですから、例えばスーパーあるいは町の八百屋さん、肉屋さんに並んでいるものでも、いつ、どこでとれて、材料はどういうものでできているか。お米で言うと、産地、年産、品種というもの、これはもう義務的に表示しなければならないということが数年前に決まっているわけでありますから、そういう意味で、消費者は必ずしも安ければいいということで買うのではなくて、安全性とか目に見えるとか、例えば中山さんちでつくったお米だから食べるんだとか、中川のところのものは何かよくわからないから買わないとか、そういうことに対して極めて関心が高いのが今の消費者だというふうに理解しております。

中山(義)委員 今のお話のとおり、やはり食品の安全とかなんとか、または商品の製造物が安全な機械であるかどうか、これを判断する基準がもしなければ、一般的には安ければ安いほどいいということになるわけですね。しかし、その安さには危険があるということも考えなきゃいけないと思うんですよ。

 メーカーがつくって、これはこれだけのお金がかかる、コストがかかる、それに利益を乗っけてきたものならばある程度安全なんですが、初めからこの値段でつくれ、この値段で持ってくればビジネスチャンスを与えてやるとなると、やはり、例えば食べ物にしても安いものを入れていくという形になるわけですよね、少しでも安いところから買ってこようと。

 今回のアメリカの牛肉は、今本当に望んでいる業者の方もたくさんいると思うんです。アメリカの牛肉が安い、しかし、そこにやはり安全性という問題があることで我々はいろいろ国会や何かで議論をしているわけですね。しかも、国が三年間補助金を出して全頭検査をやるということを決めたんです。これは非常識なことじゃないですよ、非常に日本人が自信を持ってやはり常識的にやったことだと思うんですが、官房長官、まだこれは非常識だと思っていますか、そこだけ。もし非常識じゃなければ、アメリカの牛肉なんかとても入れられないですよ。この辺をはっきりしてください。

細田国務大臣 日本では全頭検査という最も国民にわかりやすい制度を導入したということは、もう世界に冠たる制度であります。

 そして、これについて、全頭を調べてみますといろいろな実績が出てまいりまして、BSE、いわゆるプリオン発生の月齢がどうであるかというようなことがだんだん知見として出てまいりまして、今、食品安全委員会の専門家の方がいろいろ検討しておられます。さまざまな意見があります。せっかく全頭検査をしたんだから全頭これからも継続しろという話もありますし、今までこれが発生していないことがはっきりしている月齢の、具体的には今二十カ月が議論されておりますが、それについては全頭検査から外していいのではないかという議論もあって、これは客観的に今議論をされておりますね。

 米国の主張というのは、向こうに言わせれば、随分待っておった、随分時間がかかっているけれども待っていた、それで、いよいよ日本においても一定のものが安全であるということになれば、基準に合致するものを早く輸出したいのであるというような主張でございます。したがって、しっかりと科学的な見地によって今進めておるということなんです。

 これは、経済産業委員会ですから申し上げますと、長年こういう問題というのは日米間でもありまして、例えば、日本で自動車の排ガス規制を物すごくきつくしたんですね。そうしたら、アメリカ車は一台も入らないということになった経緯があります。そうすると、アメリカ側からけしからぬと言って貿易摩擦になったり、半導体の問題、繊維の問題、非常に歴史的にもたくさんあって、それは向こうにも一つの理屈があるんですが、こっちにも一つの理屈がある。それがぶつかる場合がありますね。そうすると、何かいろいろな措置をとったり、さんざんいろいろな日米間で貿易摩擦が生じたという経験があります。このところ十年ぐらい非常に平穏であったんですが、これは、この扱い一つで大きなまた経済摩擦にもなりかねない。

 ですから、そういった面では、慎重かつ科学的に対応していく、向こうの世論にもしっかり働きかけていくということが大切である、こう思っております。

中山(義)委員 日米構造協議からずっと日本がいろいろなものを、法律まで変えて、外資を導入したり、または輸入も、本当にアメリカの企業が自由に入ってこれるようにした。大店法なんかの緩和もその一つだと思うんですね。これも、年次改革要望書とかそういうものに入っていて、日本は受け入れざるを得なかった。つまり、本当に優越的な地位にあって、下位の者に要求を押しつけるというドン・キホーテのやり方によく似ているんですよ。だから、優越的な地位というのは、それがあれば必ず相手に力で押しつけられるという構造が常に、大型店舗と中小企業の納入者とは、そこに必ずそういう関係があるということをまず御認識いただきたいんです。

 私は、公取委員長にもちょっと申し上げたいんですが、どうもあのドン・キホーテのふてぶてしい態度、やれば得だ、やっちゃった方が得だ、しかも何の制裁も、大した制裁は来ない、こういうふうに思っているんだと思うんですよ。テレビはごらんになりましたか。テレビにも、それから新聞にもいろいろな記事が出ていましたね。すべてごらんになれば、全く公取をばかにしたような態度ですよ。これは怒ってもいいんですよ。テレビに向かって公取委員長が、ふざけるな、取り締まるぞと。こういう怖い顔が見えていない。

 ちょっとこの辺を、反発というよりも、しっかりここで、こらと言ってもらいたい。

竹島政府特別補佐人 ドン・キホーテに対しましては、三月九日に、独禁法違反ということで、優越的地位の乱用に当たるということで勧告をしております。

 今、先方がそれに対してどう応ずるのか、争うのかということを検討しておられると思いますが、私どもは、きちんとした事実に基づきまして、あれだけの、何万人にわたる従業員の事実上の無償での提供、それから協賛金、何億に及ぶということでございまして、これらにつきましては、きちんとした証拠に基づいて勧告しておりますので、これから先もきちんと適正に処理していきたいと思っております。

中山(義)委員 つまり、ビジネスチャンスを納入者に出すということを言っているわけですよ。つまり、競争させて一番安いところにチャンスを与える、こういうやり方でしょう。それにはいろいろな方法がある。例えば、ヘルパーをつけて商品を売るとか、陳列台に圧縮陳列といってどんどん品物を積んでいく、そういう大変な作業を全部納入業者がやっていくとか、いろいろなのがありますね。

 でも、これは、結果的には全部商品を安く売ろうというためのことなんですね。優越的な地位を乱用して、いろいろなサービスをさせる。うっかりすれば、返品だってぱんとさせられるかもしれない。いつも納入業者は怖がってやっているわけですよ。

 だから、そこで、今度新しい店を出すから協賛金をよこせと言えば断れない、こういう実情が書いてありますけれども、こういうものは、調査権みたいなものを使って中へ入って厳格に調べたんですか、それとも事情聴取をしたというだけなんですか。

山木政府参考人 ドン・キホーテにつきましては、正式な調査権限、独占禁止法第四十六条に立入検査をすることができるということも規定されておりますので、そういう手段も使いまして、あと、いろいろな報告を徴収する、これは罰則も担保されておりますけれども、そういう正式な手続をもちまして事実認定をして、先ほど委員長が申し上げたように、勧告をしたということでございます。

中山(義)委員 これはちょっと違うことかもしれませんが、火事が起きましたね、ドン・キホーテで。あのときに、中に誘導する人がいなかった。これも、ヘルパーやなんかを呼んで、なるべく人件費を使わないというあそこの営業方針に問題があったと思うんですが、これも、少しでも値段を安く、効率よく商売をやっていこう、自分たちはもうければいいんだ、こういうものにつながっていませんかね。

 火事の点についてはどうですか。恐らく、あの中にヘルパーやなんかもいたと思うんですね。だけれども、本当に店の中のことを知らない。だから、ああいうような事故が起きたんじゃありませんかね。だから、その店が安い、安い店はやはりそういう危険があるというふうに考えられるわけですよ。調査したときに、その辺の指導とかはなかったんですか。店内、安全にお客さんが買っているというふうに思いましたか。

山木政府参考人 御指摘の点につきましては、消防とかそういう安全面の問題でございますので、私ども、そういう観点からはお答えする立場にもございませんし、そういう観点から調査をしているということではございません。

中山(義)委員 我々がさっきから言っているように、商品を入れるときに、安全性であるとか、やはりそういうものも加味しなきゃいけない。だから、やはり物を買う側からすれば、そこで物を買っていて危ないところじゃ困るわけですよ。我々からいえば、物を安く買うということの裏返しに、危険なところで物を買っている。やはりそれなりの経費を使えば、値段も高くなるでしょうけれども、その安全性はあるということなんです。だから、安いということは必ずしも、いわゆる公正取引委員会の考えている、競争によって消費者のために商品が安くなった、こういうふうに言えるのかどうかですよね。

 私は、中川大臣にもお聞きしたいんですが、商品が安い、自由に競争すれば安くなる、自民党の憲法草案がどうなっているかわかりませんが、少なくとも鳩山由紀夫さんが出した新しい憲法の考え方の中には、何でも自由に競争する、保安官がピストルを持ってがんがんとやって取り締まっていくというような荒っぽいものじゃなくて、本当にアメリカ社会とは違った共存共栄、そういう社会を憲法の中にも盛り込んでいるんですよ。

 つまり、これからの社会、何でも競争させればいいのか、安くさせればいいのか、強い者が勝てばいいのか。こういう社会を目指していると、これから、大店立地法の問題だとか、いろいろなことも私は議論しなきゃいけないと思うんですよ。だんだんだんだん商店街がなくなってきているというか、本当にシャッター通りになっている。

 私は、中小企業庁の皆さんにも聞きましたけれども、まだまだ駅前の商店街はしっかりやっていると言うんですよ。どこの地域でも駅前の商店街はなかなかやっている。ところが、山手線の駅の中に全部JRが今度店をつくるというんですよ。なぜ店をつくるのか、株式会社だからもうけるのが当たり前だ。しかも株主から怒られる、やらないと。そうすると、駅前の商店街、やっと成り立っているところが、今度店を駅の中へどんどんつくったらどうなりますかね。

 こういうような問題についても、私たちは、単に弱肉強食でいいのか、こういうことを常に考えているわけですが、今回のこの独禁法の中に、我々は、日本にアメリカの企業もどうぞ参入してください、自由に参入してください。しかし、同時に、日本の中小企業の本当に弱いところはどうなるんだろうか、この辺のことを配慮して、これもやらなきゃいけないわけですね。

 ですから、自由にどんな企業でも入ってくる。その反面、おかしなことは、不公正なものはやはり取り締まらなきゃいけないと思うんですが、大臣、ひとつこの辺の感覚、これから後、次の週には中小企業の問題が入ってきますので、その予告編ぐらいにちょっと言っていただきたいんです。本当にこの弱肉強食、安くして大きな商店だけ勝っていいのか、この辺、ちょっと。

中川国務大臣 自由な国家あるいはまた市場経済の国家ですから、適正な競争というものは必要だという前提で中山委員は御質問だと思います。

 そういう中で、弱肉強食とかあるいはまた昔のリヴァイアサンとかああいうものが実際に起こって、その結果、さっきある世界的なスーパーマーケットのお話をされておりましたけれども、最終的には寡占、独占になって、そのツケが消費者に行く、あるいはまた納入業者に行くということは、私は、それが例えば法律的に違反であるとか、あるいはまたそれが過度に社会的に問題がある、公序良俗に違反をするということはやはりあってはならないことだと思います。もちろん、消費者は安いものを買うにこしたことはないわけでありますけれども、さっき委員御指摘のように、安全性とかあるいはまた顔が見えるとか、そういうものにコストを払うことに対してはノーではないというのが委員と私との共通の認識であったわけでございますので、そういう観点から、弱肉強食とか力ずくでというものがあってはならない。

 と同時に、今商店街のお話がありましたけれども、やはり商店街の役割というもの、中小企業庁のアンケート調査で見ますと、防犯とか環境とかいろいろありますが、やはりお祭りというニーズも非常に商店街の役割として果たしているというデータも我々持っているわけでございますので、単に物を売り買いする、それが、巨大な店舗に比べてたまたま、値段的に比べただけで商店街は不要だということは決してないと私は思っております。

 商店街、あるいはいわゆる平仮名でいう「まち」というものの役割は今までも大きかったわけでありますし、今後もその重要性というものは私は意味のあるものだというふうに思っておりますので、ちょっと先走ったお答えになるかもしれませんけれども、いわゆるまちづくり三法についても、今後も、変更も含めて今鋭意検討しているところであり、また、当委員会初め国会でもいろいろな貴重な御指摘をいただいているところでございます。

中山(義)委員 とても一般の小売屋じゃ勝負のできない値段でよく大型店が売っていく。これは、不当廉売という定義の中にはいろいろあると思うんですがね、原価を切っているとか、いろいろなあれがあると思います。

 それで、私どもは、やはりこれは、不当な利益をそれによって受けているというふうに思っているんですが、実はこういう反発がありました。安く売っているんだからそんな不当な利益得ているわけないじゃないか、こう言うんですよ。安く売っているんだからいいじゃないか、それが何で不当な利益を得ているんだ、こう言うから、いや、実はそうじゃないんだ。半期では確かに赤字が出ているような場合もあるんですよ。しかし、最終的な決算になると利益が出てくる。何が介在しているかといったら、リベートなんですよ。こんなのは普通の力の弱い小売店じゃできません。そういうことによって不当廉売をしていく。それから、先ほど言いましたように、ヘルパーを商品につけさせてくる。または、棚卸しから何から全部納入業者にやらせていく。返品は自由にやる。こういうことでいろいろなことが、結果的には、不当廉売はおかしい、こうなるわけですね。

 これ、課徴金の問題を私らはもうずっと何回も言っているんですが、自民党さんにも、内閣法制局に、証券法の有価証券報告書に虚偽記載をしたらばこれに課徴金をかける、ところが、法制局がその積算根拠がないからといって全然それを認めない、だから自民党議員が怒って、何やっているんだ、こう言っているらしいんですが、この課徴金に対する積算根拠というのは、委員長、これは何か法制局からもいろいろ、問題点があったんですか。

 それからもう一つは、課徴金の計算の仕方とか積算の仕方とか、こういうことを検討したことがあるんですか、ないんですか。その辺、ちょっとお願いします。

竹島政府特別補佐人 今回の改正で、大企業の場合は六%から一〇%に課徴金の引き上げをさせていただいて、我々は、数十の実績に基づいて、いわゆる不当利得というものが一六・五%ぐらいあります、したがって二倍程度の引き上げというのは、これはぜひお願いをしたい、こういうことでやってまいりましたが、その点に関しましては、もちろん法制局と法律的な吟味はいたしました。二重処罰との関係云々も議論いたしましたが、認められたわけでございます。

 今先生がお触れになったのは、要するに虚偽記載に対して課徴金をかけたい、そのときにどう計算すればいいのかという問題だと思いますが、これは今金融庁の方の問題でございますので、私ども、いずれ優越的地位の乱用とか不当廉売について別途の、こちらにも課徴金の対象ないしは罰則の対象にすべきだという御議論がありますが、そのときは同じような問題が出てくるのでないかと想像いたしておりますけれども、今回の改正ではその議論を私どもはしておりません。

中山(義)委員 いや、これは先ほど言いましたように、罰則のない法律、やり得、これは許せないと我々は思っているわけですよ。ですから、恐らく民主党の法案には、やり得は許さない、ごまかしはきかないぞという熱意がこもっていると思うんですね。民主党の法案で、この課徴金または行政制裁金、どういうふうに言っているかわかりませんが、この辺についてどういうふうにお考えでしょうか。

近藤(洋)議員 中山委員の質問にお答えいたします。

 もう熱意は同じなわけでございますが、今回の法案については、相当法制局とも議論いたしました。研究もいたしました。残念ながら時間切れで今回の法案そのものには入っていないわけですが、しかしながら、もう二年後を待たずに、今鋭意研究を進めているところでございます。不当廉売と優越的地位の乱用につきまして行政制裁金の対象とする法制度を大至急つくってまいりたいという不退転の決意を持っているところでございますし、この点については、中小商店街を何とかしたいというこの思いを実現すべく作業を進めていきたい、二年を待たずに作業を進めていきたいと思っているところでございます。

 恐らく与党の先生方も合意していただけるのではないかという期待感を持っておりますし、ぜひこれから議論をしていきたい、作業を進めていきたいと思っているところでございます。

中山(義)委員 つまり、罰則のない、こういう今までのやり方というのはやり得になってしまう、こういうことで私は指摘をしているんですが、今、二年後にというのは、民主党の法案の中で「二年以内に」、またはできるだけ早くというような話があったんですが、委員長、これは予算委員会でちょっと私委員長に質問しまして、二年ぐらいの次の見直しには必ずこういうものを入れるというように私は聞こえたんですね。必ずとか絶対とかと聞こえたような気がしたんですが、その辺、いかがでしょうか、ちょっと。

竹島政府特別補佐人 今回の改正でも、不当廉売ないしは優越的地位の乱用について課徴金の対象なり罰則の対象にすべきだという御議論がありまして、私どもも大変真剣に検討いたしましたけれども、残念ながら成案を得ることができなかった。しかしながら、この委員会でもたびたび御指摘いただいていますように、そこをよく検討せよということになっておりますので、附則十三条の見直しの一つのテーマであるというふうに私ども認識しております。

 当然、これだけの御議論をいただいていますから、引き続き、いろいろ問題があることは事実でございます。法制上の問題もございますし、構成要件をどうするか、課徴金、仮に課徴金でも罰金でも同じでございますが、では金額的にどうするのか、こういったことを考えるといろいろ難しい問題があることはわかっておりますが、そこは内閣府に置かれる検討の場でよく検討していただいて、私どもとしてはそれに積極的に御協力申し上げていきたいと思っております。

中山(義)委員 今委員長から、そういう非常に前向きなお話をいただきましたけれども、民主党の法案は、かなりそれは事細かく書いてあるんですが、再度ちょっと御答弁をいただきたいんですが、やはりこの二年という期間は、その間に中小企業としては相当ひどい目に遭う可能性もあるわけですね。私は、これは、二年という年を置くことが、本当に市場から中小の小売屋が全部いなくなっても構わないというような、そんな気すらするんですよ。今、本当にこの二年間は大きいと思うんですね。

 そういう面では、前向きな話として、より積極的な答弁を、こうしたいという答弁をもう一度民主党の近藤議員からお願いします。

近藤(洋)議員 中山委員の御存じのとおり、既にドイツでは行政制裁金の、課徴金の対象になっておるんですね。九八年、既にドイツは独禁法を改正して導入しております。ドイツ・カルテル庁は二〇〇〇年に既に処分をドイツ・ウォルマートに対してしているという実績があるわけでございますから、行政制裁金の対象にすること、そして罰金の対象に刑罰も含めて考えていくこと、これを、具体的にドイツ・スタイルを研究しているところでございます。

中山(義)委員 今のドイツ・スタイルというのは、恐らくウォルマートが牛乳の安売りとチーズの安売りで排斥されたんだというふうに私は思うんですが、本当にしっかり考えませんと、中小の企業がどんどんどんどん排斥されちゃう。これは二年を待たずしていろいろなことが考えられるわけです。例えばお酒屋さんを見てくださいよ。最近、本当にひどい目に遭っていますよ。だから、小売屋さんの現状を見て歩いている、町でどぶ板選挙をしている我々なんかはすべてわかっているんです。だけれども、わからないのが皆さんの感覚だと思うんですよ。二年置きまして、二年後は必ずやりますという前向きな答弁は、もう絶対やらなきゃだめだというふうに私は考えているわけだし、本当はもっと前にやってもらいたい。今回の法律でなぜできなかったのかというのが残念でたまらないんですよ。

 一つ聞きたいんですが、前の委員長の根来委員長は、公正取引委員会というのは取り締まるところで、どちらかといえば、立法府と警察とどっちだといったら、私たちはお巡りさんですとはっきり言った。警察だ、取り締まるんだと。取り締まるんだったらば、それなりの罰金や罰則がなきゃ取り締まれないと思うんです。

 そういう面で、不当廉売の、今回のこのドン・キホーテ、これはどういう結果になるんですか、最終的に。どういう結果になるんですか。これは、皆さんがいろいろ新聞に出て、いろいろ公正取引委員会がやったと。だけれども、これはどういう結果になるのか、それを教えていただけませんかね。

竹島政府特別補佐人 二つありまして、勧告を応諾されるか、それに不満があって審決開始請求をなさるか、その場合には審判が行われて審決が出る、こういうことでございます。

 私どもは、先ほども申し上げましたが、端的に申し上げますと、納入業者の利益にならないような労務提供、それから、事前に合意もされていない協賛金、こういったものはやめなさいということを言って、そういうことを再度行ってはいけませんと。また、そういったことにしたということを納入業者にきちんと通知しなさい、それから、一般にもわかるようにしなさい、それから、社内におけるコンプライアンスをしっかりしなさい、こういうことを概要申し上げているわけでございまして、これを守っていただくべく今やっているわけでございます。

 いずれにしましても、どのみち審決ということで答えが出る、長くかかってもですね。今回同意されればそれで審決が確定するわけでございますが、その後同様な行為が行われた場合には、これは現行法にもございますけれども、確定審決に対する違反行為でございますので、これは罰則の対象になる、こういうことになっております。

中山(義)委員 今、罰則の対象になってと、いろいろお話をされましたけれども、最終的には、効果が上がることをやってもらわない限り世の中は変わらないということでございますので、私どももちょっと簡単な例を申し上げますと、これは個々の個名は挙げませんが、ある電機会社は五百億円ぐらい売っているんですが、平成十三年には四十八億円の赤字が出ているんですね。ところが、販売協力金というのを足すと利益が出ているんですね。それから、十四年にはやはり同じくらい売り上げて、五十九億円という赤字が出ているんです。ところが、最後になると八十七億円の販売協力金でプラスになっているんですね。ということは、赤字が出ているということは、仕切りを割っている、原価を割って売っている可能性があるんですよ。だから、不当廉売の定義も非常に難しくて、捕まえようと思ったときになかなか相手もうまく逃げる口実を既につくっているんです。だから、取り締まる側というのはその上をいかなきゃ取り締まれないんですね、現実は。

 私どももこの実態を調べても、これはすごいですよ。私ども、こういうのをよく見せてやるんですが、こういうのでも、よく四割、五割当たり前とか、三割、四割当たり前というのがあるでしょう。それの中で、オープニングポイント何とかというのがあるんですが、そのオープニング何とかというのは、入り口に六割とか七割とかとんでもない安い商品を置くと、中の商品は全部安く感じるんだそうです。こういうだましをやっているんですよ。だから、まずはお客さんを呼ぶために、これは五割引きだとか六割引きだとか七割引きだとかとやっていて、それが店頭に並んでいる。これはこの間BS1で、ウォルマートがそういう手法を使っているということを聞きました。ですから、全般的に言って、これは不当廉売だけじゃなくて不当表示であるとか、要するに、買いに来る人を目くらましをしているというような部分も随分あるわけですね。

 ですから、委員長、こういうようなものを見ても、これはポイントカードというものですね。ポイントカードは値引きじゃないんだ、次に安くするんだ、だから値引きじゃないとか、いろいろな新しい手法をもって公正取引委員会に挑戦をしているんですよ、ある意味では。私は、すばらしい公正取引委員会だといつも思っております。そこに対してずうずうしく挑戦をしてくるようなことがあったら、やはりこれは負けちゃいけませんよ。委員長、もっと意欲を持って、絶対負けないという宣言をしてください、ここで。お願いします。

竹島政府特別補佐人 このたびも、大規模小売業者と納入業者との取引に関する特殊指定ということを、新しい案をまとめて公表して、パブリックコメントに付しているわけでございますが、それに見られるように、きちんと、こういうことをやったら独禁法違反になりますよということを大規模小売業者のみならず納入業者の方にも言っているわけでございます。

 先ほど、ビジネスモデルだというような言い方をされていましたが、納入業者も納得し、全員納得し、利益になるビジネスモデルなら結構なんですが、それに藉口して優越的地位の乱用のもとにこれはビジネスモデルだと一方が称しても、公正取引委員会としてはそれはビジネスモデルとは認めません。そのように、これからは個別のケースごとに、新しい特殊指定に基づいて厳正に扱っていきたいと思っております。

中山(義)委員 官房長官、いろいろ内閣府にもお願いしたいんですが、今、見ていると、ライブドアの問題でも、お金で八百億円がぱっと動いたり、お金のためにいろいろやっていますね。しかし、町の商店街のラーメン屋さんは、一杯ラーメンつくって四百五十円だ、これで幾ら利益が上がるんだ、こういう本当に結構ぎりぎりの生活の中で商売をやっているという現実を把握していただきたいんです。そして、やはり小さな小売屋がやっていけるような形がなければいけないと思うんですね。ただ自分たちは甘えて、一生懸命やらなくてもお金が入ってくる、これはいけませんよ。だけれども、本当に同じ土俵で相撲がとれないような形になってきちゃったというか、これが現実ですよ。不当に安く売られたらかなわない。そういう面では、やはり商店街がシャッター通りにならないように幾つかの提言をしたいというふうに思うんです。

 一つは、郵政民営化で、何でも民営化すればいいというふうな考えがどこかにあるのかもしれません、民営化して競争させてとかという考えがあるかもしれませんけれども、先ほど言ったように、JRは駅にどんどん大きな商店を入れているんです。駅の中に商店街をつくっています。駅前の商店街はそれによってだんだん疲弊してくる。山手線の駅は全部商店街にする、こういうふうに豪語している。こうやって大きなところはどんどん商業展開をしていますが、強いところが勝って弱いところが負ける、こういうような社会、弱肉強食、自由競争、竹中さんや小泉さんはそういうものを目指して、自由競争をやる社会がいいんだ、こういうふうに言っているようにしか我々には聞こえないんですね。だから、今回、公取の委員長を励まして、公取委員長にはしっかり公正な、不公正な取引は絶対させない、こういうことで、きょうは励ましの質問をしているわけです。

 どうか細田官房長官からも、本当に、共生の世界、友愛の世界、こういうものを描いていただいて、何でもかんでも競争で弱肉強食、こうじゃないということをやはり国民の前に訴えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

細田国務大臣 私も一議員として、党内でこれはもう五年以上前から、○○電機は扇風機を千円で売って大量な顧客運用をやっているとか、酒の量販店は普通の小売業者が仕入れるよりも安い値段で売っているとか、何とかしろということで公取にも強い要請を出し続けてきたところであります。これは議員としてですね。

 最近は、先ほどの例にもありますが、非常に不当なものについて、販売員を置かせるとか、さまざまな優越的地位を乱用するとか、どうも差別対価も、ビールなどの価格変化を見るとだんだん意識が多少は変わってきたのかなと思います。従来の発想というのは、物が安ければいいんだ、これはデフレ時代随分続いて、消費者にはいいじゃないかという人はいますけれども、その陰に本当に困っている人はたくさんいるわけですね。その中で、背景にある経済実態、つまり、従来から営業し、まじめにやってきた者が、どうしても営業が続けられなくなるようなことがある不当な行為のもとに影響を受けるのでは、それはいけない、発想の転換を早くして取り組むべきであると思っております。

 そういった中で、今後、内閣府にも検討の場を設置することにしております。優越的地位の乱用等に対しても、これは、御存じのように、法律的にはいろいろな問題があります。罪刑法定主義の関係でいうと、次々新しい取引形態があらわれますね。インターネットとかソフトとか、いろいろな価格設定も、大変な乱戦状態になっていますから次から次へ新しい状態が起きますから、余りきっちりとしたものを法文上書いて直ちに罰則ということになると問題になるということから、従来、排除措置をやればいいじゃないかということでやってきたと思います。勧告、排除措置をもっと機動的にどんどん出した方が現行法制下では私はいいと思いまして、もちろん、要件には合致しなきゃいけませんよ。

 それから、今後の問題は、そういった法律論をよく検討していきたいと思います。そのための審議をいたしていきたいと思います。

中山(義)委員 最後に、要するに、優越的地位の者が下位の者に違法な要求をするということがいけないので、アメリカの皆さんにも言ってください。日本は別に下位の位置にあるわけじゃありませんから、優越的地位で肉を強引に日本に入れるようなことはやめていただきたい、こう思います。

 それから、竹島委員長には御健勝で、警察としての取り締まりをしっかり強化するようにお願いしまして、質問を終わります。

河上委員長 次に、吉田治君。

吉田(治)委員 民主党の吉田治でございます。

 経済憲法と言われている独禁法の改正、その前に、同僚議員も質問をいたしましたように、ドン・キホーテの問題、これは竹島委員長にお聞きしたいんですけれども、きのうの朝のワイドショーは見られましたか、ドン・キホーテの記者会見の状況というのを。いかがですか。

竹島政府特別補佐人 ドン・キホーテの役員と複数名の納入業者の方々がテレビに映っているのは見ましたが、私、朝はちょっと、それをずっと見ている時間はございませんでしたので、内容はわかっておりません。

吉田(治)委員 見ておいた方がいいですよ。納入業者はどう言っていたか。公取の排除勧告はけしからぬ、棚卸しした商品のお手伝いは我々にとっての大事なビジネスチャンスだ、これほど重要なことはないと納入業者はテレビの前で言い切った。なおかつ、それを見ていたコメンテーターはみんな、そうだ、そうだ、何てことを公取はするんだと。

 委員長、先ほど公取の公正取引協会のことを同僚議員が質問いたしました。あなたはそこに対して、いや、PRだ、広報の活動だと言われた。しかし、一番大事な私たちの目の前にあるドン・キホーテのこの問題に対して、テレビも見なければ、事務総局の中でだれかがそれをウオッチして、そしてそれに対して何らかの反論をしたのか、何もされていないじゃないですか。そういうことじゃないですか。

 我々が公取に対して、今同僚議員の質問にもありましたように、大変な欲求不満に陥っているのは、あの業者の顔を見たら、かわいそうでしたよ。本当にそう思って来ているのかというと、テレビというのは画面で表情が出ます、決してそうじゃなかった、嫌々、仕方なしに。しかし、彼らの言うことも一分あったんですよね。我々中小零細の問屋はこうでもしないと大きなところに取引をしてもらえないんだと。これは、経産大臣、今の日本の経済の状況をあらわしていると思うんです。その中でいろいろな問題が起こっている。

 まず、公取委員長はその件についてどう思うのか、そして、経産大臣としてどうお感じになられるのか。

竹島政府特別補佐人 私は、ドン・キホーテの会見のテレビはちらっと見ただけでございますが、向こうさんが言っておられることについては間接的に承知をしております。私どもはその零細業者が排除されるという理屈がまずわかりません、優越的地位の乱用に当たらない大手企業と取引さえすればいいのか、形式的にはそういうことを言っておられるやに私は受けとめておりますが、そういうものではございません。

 要するに、ルールに基づいた、相手と事前に話し合ったそういう条件のもとでの店員の派遣であったり、協賛金の支払いであればよろしいのでございますが、そうではないわけでございますので、幾ら特別の圧縮陳列ということで、そこに納める納入業者が、これは自分の商品がそこに置いてもらえるので、それが売れるからいいんだというのであれば、それを事前に了解のもとでやるのは何ら問題はないのでございますが、全く関係ない日に、関係ないところで、人様の納めたものを棚がえとか棚卸しとかをさせる、それも、深夜に及ぶ、そういうことが何万人というオーダーで行われているわけでございまして、そういう実態について、私は、調査した結果に基づいて勧告をしているわけでございます。

 勧告に対してはルールがあって、先方さんが十日以内にどうするかということになっておりますから、それがまだたっていない段階でどうのこうの言うのは、それこそ公正取引委員会としてあるべき姿ではない。テレビでいろいろおっしゃるのは自由でございますが、私がそれに対して一々反論するというものではないと思っております。

中川国務大臣 日本経済は少しずつよくなっているというのがマクロ的な話でありますけれども、今、吉田委員御指摘のように、特に中小零細企業あるいは個人商店、商店街はまだまだ厳しいところがたくさんあって、今必死に御苦労をされているということはこの委員会でも何回も申し上げているところでございます。

 したがいまして、我々としても、いわゆる中小企業対策あるいはまちづくり対策につきまして、委員会でもいろいろな御指導をいただきながらできるだけの対策をとっていきたいというふうに考え、そのことは、ますます今経済が重要な時期に来ておりますので、大事な施策だと考えております。

 また、不公正取引については、公正取引委員会の方で適切に対処していただけるものというふうに考えております。

吉田(治)委員 委員長、今言ったようなことをなぜテレビの前で言ってあげないんですか。

 ドン・キホーテが納入業者を集めてワイドショーでわあっとやった。なぜ事務総局は、そういうふうなものをずうっとチェックして、これはまずいなと委員長に出てもらって、あなたの口から、こういう機会だからこそ、ドン・キホーテという日本全国に名前が売れている、それがこんなことをしているんだ、実はこれはルールに基づいてやらなければいけないんだ、公正取引というのはこういうものだと。一番いいPRの機会だったじゃないですか。テレビは全部流しますよ。そういうこともせずして、国会の場で言われて、いや、こうでああでそうでと。私はそこが問題だと言うんです、体質の問題として。

 公正取引委員会がいろいろなことを、独禁法の改正をいろいろやる。結果として、国民の理解がなければ進まないでしょう。業者、業界のための公正取引委員会じゃないじゃないですか。私は、そのことを改めて委員長並びに事務総局に、この問題についてはそこの観点というものが大事だということを強く申し上げる。

 と同時に、委員長は国税庁の長官をやられていました。二万三千人のただ働きというんですか、これは、国税庁の長官をやられていた経験からすると、不当利得という形で課税の対象になるのかということ。それから、いや、個別案件で答えられないというならば、例えばこういうふうな状況でさまざまな会社にとって利益が生まれたら、それは公正取引委員会として国税庁に連絡をして、こういう不当利得をしているんだという連絡をするシステムか何かあるんでしょうか。

竹島政府特別補佐人 今回の検査の場合には、恐らく、納入業者の方で人件費、要するに社員を派遣する場合は当然でございますし、そうじゃなくて、人材派遣会社の費用を負担してという場合もあると思いますが、前者の場合は、人件費として、まさに経費として納入業者側が負担しているはずでございます。それから、派遣の会社をあっせんされてその費用を払ったとすれば、当然それも経費で落ちているはずでございます。そういう形で税務上は処理されているはずでございますし、協賛金みたいなものは値引きということで恐らく処理されているのではないかということでございますから、それは買った方のコストがそれだけ安かったという形になって反映されているんだろうと思います。

 それから、今回のようなケースについて国税庁に連絡をするのかということは、これはお互いでございますが、国税庁は国税庁で、査察等に行った場合に使途不明金なんというのがありまして、その中に談合金を払ったなんということもあり得るわけでございますが、そういう情報は当方にはもたらしてはいけないということになっておりまして、これはお互いそうなっておりますので、そういったことの情報交換はございません。

吉田(治)委員 いや、私が聞いたのは、ドン・キホーテとして二万三千人も、本来だったら自分が払うべきお金だったわけでしょう、二万三千人もただで人を集めたということは。払わなかった部分は、それは利益になったということじゃないんですか。それについては国税当局はどうされるのかということですよ。

竹島政府特別補佐人 税法は、そういう不当とかということじゃございませんで、とにかく入ったか入らないかが問題でございまして、不当性を議論するのが税法の定めるところじゃないんです。

 ですから、今言った自分で払うべきだというものを人に払わせたというのは、独禁法上は問題になりますけれども、税法上はあくまでもだれが払ったかということが問題になるわけです。

吉田(治)委員 というふうな理屈があるわけですわ。そうすると、ドン・キホーテとしたら、徹底的に闘うわ、これからもやるわ、納入業者はそう思っているんだということは続いていくということ。

 そして、今回の法案でも、二年後の法改正、抜本改正というのは十三条附則に入っている。委員長も言われたし、書いてある。

 結果としては、そもそも論としては、この法案というのは何のために今出てきたのか。二年先に抜本改革をしなければならない法案をなぜ今慌てて出してやっているのか。これは、この委員会のこの法案審議のそもそものところで始まった議論でもあったということ。そして、二年後の見直しについて、では、具体的にどういう抜本的な見直しを行うのか、公正取引委員会そのものの組織のあり方についても踏み込んでいくのかということ、このことは政府並びに民主党提案者にもお聞きをしたい。

 今、官房長官の方から、見直しについては内閣府の中において議論をしていくということでありますけれども、改正論議、先ほどの同僚議員の質問の中で、再販の問題、CD、MD、ドン・キホーテ、そして卸問屋の問題含めて経済にも大変大きな影響を及ぼしてまいります。きょうは経産大臣おいででございますが、内閣府が主体になるのはわかりますけれども、経済産業省や法務省も協力して政府一丸で行っていかなければならない。その辺、各省庁の連絡というもの、また意見というものをどういうふうに考えているのか、官房長官、経産大臣並びに民主党提案者、お答えをお願いしたいと思います。

細田国務大臣 今後検討してまいりますが、それぞれの案件ごとに担当省庁からもお伺いすることもありますし、しかし、基本的には専門の委員の皆様方に御検討をお願いするということになると思います。

中川国務大臣 二年後のことにつきましては内閣府の方でやられるというのが条文上の規定でございますけれども、この検討の場には消費者、学識経験者、経済界等さまざまな方がいらっしゃるわけでありますし、その方々とまた経済産業省ともいろいろな意見交換をすることも当然考えられますので、そのことも含めて、経済産業省としても、何らかの形で内閣府と検討の場を、意見を言う場合には意見を申し上げさせていただきたいというふうに思っております。

近藤(洋)議員 二年後の見直しの方向についてお答えいたします。

 このたび私どもの民主党案は、措置体系を抜本的に見直して、行政制裁金を入れました。そして、政府案でも同じでございますけれども、公正取引委員会の権限が大変強くなっています。犯則調査権が加わりました。今後のポイントは、そうした権限が強くなった公正取引委員会がそれにふさわしい体制かどうか、これをきっちりつくっていかなければいけないと思っております。

 具体的には、経済司法の体制を組み直すことが必要であろうと思っております。当然、公正取引委員会の審判部局のあり方、ここに踏み込んだ改正案を、骨太のものをつくっていきたいと思っております。また、なお、その二年を待たずに、先ほど中山議員からも御指摘ございました、不当廉売については、これは二年を待たずに大至急やっていく。そして、官製談合防止法についても、二年を待たずにこれはどんどんやっていく。

 第一段階、第二段ロケットの二年後は、そうした経済司法のあり方につきまして、準司法機関として本当にふさわしい体制をどうつくるのかという、政府のあり方、司法当局との連携の仕方も含めた組織論に踏み込んでいきたいと思っておるところでございます。

 いずれにしろ、二年後は民主党が政権をとっている可能性が大変高いと思っておりますし、政権準備政党として恥ずかしくない対案をつくっていきたいと思っておるところでございます。

吉田(治)委員 官房長官、今、提案者の近藤議員の答弁は、私の質問にちゃんと答えてくれているんですよ。大臣には答弁に答えてくれていない部分があるんです。

 二年後の抜本改正について、官房長官は案件という言葉で済まされましたけれども、具体的にどんなものを見直していくのか、公取の組織のあり方にも踏み込んで見直しというものをしていくのか。今、民主党提案者が答えたものに対応するような形でお答えをいただきたいと思います。

竹島政府特別補佐人 お手元にある、まさに附則十三条に書いてありますとおり、施行後二年以内に、新法の施行の状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、これからが内容でございますが、課徴金に係る制度のあり方、排除措置を命ずるための手続のあり方、審判手続のあり方等について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるというのが附則十三条でございまして、ここに三つございまして、「等」がついておる。

 要するに、課徴金を行政制裁金に一本化するか、両方ある場合でもどちらかに選択適用するかという問題。それから審判手続の問題、これは、独立にすべきか、いや今のままでいいかといったこと。それから、「等」の中の一番大きなものが、先ほど来出ております不公正な取引方法、優越的地位の乱用ないしは不当廉売に対する罰則、課徴金をどうすべきか、それを導入すべきかどうか、こういったことでございまして、それ以外の問題を排除はいたしませんが、附則に書いてあることはそういうことでございます。

吉田(治)委員 今の言い方は、本当に排除するというのがにじみ出たような答弁であります。

 これは後、公取じゃなくて内閣府が担当されるので、その責任者である官房長官の口から、今、近藤議員が言ったような案件がありますよね、このことについては「等」という便利な言葉があります。今回、この委員会でも付託をされる法案の中で、「等」がついてとんでもない法案になっている部分もありまして、これはちょっと審議するのはいかがかと思っているんですけれども、まさにこの「等」というのを、今そういうふうな意味で広く解釈していくということが私は必要だと思うんですけれども、官房長官として、これから二年間の取りまとめの中でどういうふうに、今、民主党の提案者を含めた案件について対応方をしていくんですか。

細田国務大臣 今後の検討におきまして、当然ながらこの道の専門家を集めてさまざまな角度から議論するわけですから、その過程におきまして、あくまでも附則十三条において定めておることが中心課題でございますが、この国会の衆議院経済産業委員会でそういう御質問があり、また野党の御提案もあったということは非常に重く受けとめて、検討を幅広くしていきたいと思います。

吉田(治)委員 ここは大事なことですね。今回、公取の中にこの議論をするところじゃなくて内閣府に持ってきたということは、これはまず先ほど経産大臣の方が、検討メンバーについて、これは決まったかのごとくと言ったら大変失礼かもしれないけれども、経済界、消費者、学識経験者等というふうなお話もなさいました。

 議論というのは、これは単にその専門の、私らから見るといわゆる御用学者だけではなく、やはり経済、法務省、法務関係の専門家というものにも開かれなければならないと思うんです。経済、司法を含めた幅広い観点から行われていく必要があるし、また、専門家だけが、先ほどの委員長の御答弁、それに、専門家のみが理解できるような閉ざされた議論になってはならないと考えているんですけれども、この検討メンバーについてはもうほぼ確定がしたんですか。それとも、これからどういうふうな形でしていこうかというふうに検討中なのか、その辺はいかがでしょうか。

細田国務大臣 まだこれからでございます。法案も御審議いただいている段階でございますので、この法案が成立いたしますとその附則という目的も出ますので、至急始めたいと思いますが、過去においても、例えば平成二年の懇談会も非常に幅広く、学者等の専門家とか、あるいは経済の評論家、法曹関係、あるいは主婦連とか弁護士とか、さまざまな各界の方に御参加をいただいて、当時、二十四名で御検討をいただいておりますので、そのようなできるだけ幅広い議論ができるような場にいたしたいと考えております。

吉田(治)委員 とりわけこれは、やはり、経済の本当に著しい進歩の中で、技術を含めて、経済産業省の関与というのは必要だと思うんです。敵対するもの、相反するものじゃないと思うんですけれども、経産大臣の方から、この辺の検討会、メンバーのことについてどうこう言うことはないかと思いますけれども、関与というものの重要性についての認識を一言いただければと思います。

中川国務大臣 これはもう先ほどから何回も言葉が出ておりますけれども、経済憲法という位置づけでありますし、自由主義、そしてまた、公正な経済ルールの確保のための憲法という位置づけでありますから、今、官房長官からも平成二年の例が出されましたけれども、やはり多くのいわゆる関係者の皆さん方の広い意見というものを聞くことがその目的に合致するものというふうに理解しております。

吉田(治)委員 今、大臣の方から経済憲法という言葉、私も申し上げました、この委員会でも多々出てまいりました。まさに経済憲法と言われる独占禁止法を抜本的に見直すということでありますから、本物の憲法の見直しで憲法調査会が国会に設けられておりますので、それと同じものをつくれ、つくった方がいいんじゃないかという、私は考えを持っておりますけれども、そこまでいかなくても、この検討会については、議論の途中で、途中途中で国会に中間報告等をするなど、他の法律よりはより厳正な手続というものをしていかなければならないと考えておりますが、政府として、この検討会のありようについて、今後の課題だ、決まってからだとよく政府は答弁するんですけれども、大体ほぼもう骨格も決まっているんだと思います。どういう形、審議会方式なのか、国家行政組織法に基づいた形をとるのか、また、折々の状況についてどういうふうな形を考えているのか、また、国会に対してどういうふうにその説明責任を果たしていくのか、政府としてのお考えを述べていただきたいと思います。

細田国務大臣 この検討会は、必ずしも法的に根拠というわけにもいきませんので、官房長官の諮問する懇談会という位置づけにはなろうかと思いますが、できるだけ幅広く公正な議論をいただきたいと思いますし、これは昨年来、各議員からの御質問もいただきましたけれども、個々の議論につきましては、情報公開をしてまいりまして、そして、どういう議論が行われているかということを公表いたしながら、各方面の意見も徴しながら、できるだけいいものをつくってまいりたいと考えております。

吉田(治)委員 答弁漏れですわ。国会への説明責任をどう考えているのかというのが一点目。そして二点目は、今答弁の中にもありましたように、改正議論の情報公開について今重要性を述べられました、どのような仕組みで、どのような形でこの情報公開というのを考えているのか。この二点。

細田国務大臣 今、例えば総理官邸でいろいろな審議会や経済財政諮問会議をやりますと、直ちに次回の開催のときに前回の詳細な議事録をすべて配付しております。そういう形の公開になるのが一つだと思います。

 それから、結論がだんだん出てまいりますときには、当然パブリックコメント等もやって、公表して一般の意見もいただくというようなことも考えてまいることは、当然だと考えております。

 それからもう一つ、国会の関係というのは、行政側が国会に押しかけてどうしても聞いてくれというようなことではなくて、むしろ、国会は国権の最高機関ですから、折に触れて、ぜひこういう御審議をしようじゃないかとか、あるいは内容を聞きたい、こういうふうにぜひおっしゃっていただきたいと思います。

吉田(治)委員 折に触れてそれは要請をして、おいでいただきたいと思っております。

 改正案の抜本改正の中で一つ項目をふやしてほしいのは、先ほどから公取委員長は、再販項目は一切なくすべきだと言うんですけれども、この部分を読んでいておかしいなと思うのは、この再販の項目を公取が決めていっているという部分、これはやはり国会が、国民の負託を受けた国会が決めていくことではないかな。私は、ぜひとも検討項目の中に再販項目、公取の恣意で、公取の判断で決めるのではなくて、しっかりと国会がこの再販項目というものを決める、そういう枠組みを入れてもらいたいということを要請させていただいて、最後の点ですけれども、官製談合防止法が施行されました。

 公共調達のあり方を、しかしながら官製談合については改めて抜本から見直すべきときが来ている。ここの委員会でなく別の委員会では、例えば品確法というんですか、品質確保法等の話も出ておりますけれども、やはり公共調達のあり方については二年先の独禁法の改正を待たずに大至急取り組んでいく、そういう大変大きなテーマ、また政策課題だと思うんですけれども、これについて、政府並びに民主党の提出者の方針、考え等はいかがでしょうか。

細田国務大臣 議員立法によりまして制定されました官製談合防止法、これは平成十五年一月施行でございますが、見直しについては、与党において、また民主党においても検討がなされていると承知しております。政府としても、骨太方針二〇〇四において、発注機関側に談合への関与があった場合の制裁の厳格化を検討するといたしました。そのことを踏まえまして、同法の積極的な運用に努めながら所要の検討を行ってまいりたいと思います。

近藤(洋)議員 お答えいたします。

 公共調達、大変な巨額な、国、地方を合わせて六十兆円を超える、鉛筆からミサイルまで広がる公共調達でありますから、この分野について厳しいメスを入れていくというのが我が民主党の考え方でございます。

 官製談合防止法の改正は、そそのかし罪を提起するであるとか、罰則を入れるであるとか、こちらは鋭意進めてまいりますが、これだけでは公共調達、官製談合を撤廃することはできませんので、公共調達制度のあり方全体を見直す必要があるかと思っておるところでございます。

 また、会計検査院のあり方も既に党内で研究が進んでいるところでございますし、まさに会計法、会計検査のあり方、そして独占禁止法、さまざまな分野から総合戦略をこれから党内で議論するのかなと考えておるところでございます。

吉田(治)委員 もう時間になりましたので終わりますけれども、やはり経済憲法といいながら、今、日本国憲法のあり方も随分変わってまいりました。さまざま、改正、創憲、加憲という言葉が出ておりますように、これはもう経済憲法である独占禁止法、またそれを含めて、公共調達を含めて、生き物の経済を相手にしておりますから、まさにスピード感というのが大事だ。場合によれば、二年を待たずしてやっていくことも必要だ。折に触れて、例えば議員立法からでもやっていく必要があるということを私は強く訴えかけをさせていただきまして、この独占禁止法にかかわる質問について終了をさせていただきます。

河上委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

河上委員長 この際、ただいま議題となっております両案中、第百六十一回国会、内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対し、平井卓也君外一名から、自由民主党及び公明党の二派共同提案による修正案、また、塩川鉄也君から、日本共産党提案による修正案が提出されております。

 両修正案について、提出者より順次趣旨の説明を求めます。高木陽介君。

    ―――――――――――――

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高木(陽)委員 ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党及び公明党を代表しまして、その趣旨の説明を申し上げます。

 本修正案は、審議の現況を踏まえ、

 第一に、附則第五条第五項及び第六項において、この法律に係る法律番号中、「平成十六年」とされているところを「平成十七年」に改めるものであります。

 第二に、一部規定の施行期日について、行政事件訴訟法改正法の施行日とされているところを、同日またはこの法律の公布の日のいずれか遅い日とするものであります。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

河上委員長 次に、塩川鉄也君。

    ―――――――――――――

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

塩川委員 内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する日本共産党修正案の趣旨を御説明いたします。

 後を絶たない大企業カルテル、公共事業の入札談合事件の根絶に向け、課徴金算定率の引き上げと課徴金減免制度の導入、刑事告発の積極化等による企業犯罪に対する独占禁止法の抑止力強化を柱とする方向は、大筋評価できるところであります。

 しかしながら、その内容は極めて不十分なものであります。本修正案は、新たに導入する制度の意義、効果の実効性を高めるため、その骨格部分に限って最小限の補強を行おうとするものであります。

 以下、修正案の内容について御説明します。

 第一に、課徴金算定率を大企業につき現行の三倍に引き上げます。近年のカルテル、談合による不当利得の平均は一六・五%であり、また欧米諸国に比べてもけた違いに低い現行水準を改めるものです。中小企業については改正案のままとしております。

 第二に、違反行為を早期にやめた場合、算定率を二割軽減する規定を削除します。

 第三に、課徴金減免制度の適用対象者を先着二名までに限定します。

 第四に、価格の同調的引き上げに対する報告徴収規定は廃止せず維持します。

 最後に、法施行後の見直しについて二点、補強します。

 一つは、課徴金の適用対象範囲に不当廉売、優越的地位の乱用、再販価格の維持その他不公正な取引方法を加えること、もう一つは、入札談合等に係る実態調査を行い、いわゆる官製談合の防止制度のあり方を見直すこと、以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

河上委員長 以上で両修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

河上委員長 これより第百六十一回国会、内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案並びに第百六十一回国会、仙谷由人君外十六名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の各案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。河村建夫君。

河村(建)委員 自由民主党の河村建夫です。

 私は、自由民主党、公明党を代表し、ただいま議題となっております政府提案の独占禁止法改正法案並びにそれに対する自由民主党及び公明党提出の修正案につきまして、賛成の立場から討論を行うものであります。

 今回の独占禁止法の改正に当たりましては、我が自由民主党におきまして、一昨年十二月から一年近くの間、独禁法調査会を開催し、また公明党におきましても同様に独禁法改正問題プロジェクトチームを開催し、それぞれ討議に討議を重ねてまいったところでありまして、そうした討議の結果が本法律案の形となって、さきの臨時国会に提出されたわけであります。

 その後、本委員会におきましては、長時間の審議を行い、さまざまな角度から議論を尽くしてきたほか、参考人からも意見聴取を行ってきたところであります。

 これまでの討議の結果を踏まえますと、与党といたしましては、以下に述べますように、本法律案を一刻も早く成立させることが重要であると確信した次第であります。

 すなわち、カルテル、入札談合事件は依然として後を絶ちません。本法律案に盛り込まれている課徴金算定率の大幅な引き上げは、こうしたカルテル、談合体質を一掃する上で十分な内容になっているものと評価できます。

 また、課徴金減免制度の導入は、カルテルが密室の行為であり、発見、解明が困難であることを踏まえますと、これもカルテルの一掃に多大な効果を発揮することが期待されるほか、事業者みずからが法令を遵守する体制の推進を後押しするものとして評価できます。

 さらに、犯則調査権限の導入は、適正手続の確保、事案解明能力の強化の両面から評価できます。

 最後に、審判手続の見直しは、公正取引委員会の審判手続について、一層の適正手続の保障を図るものであると同時に、違反行為に対する迅速な対応を可能にするものとして評価できます。

 なお、本法律案の附則では、法律の施行状況について検討し、見直し等必要な措置を講ずる旨の規定も置かれております。本委員会での討議における官房長官、竹島委員長の御答弁によれば、本法律案が成立した後、内閣府において検討の場を設け、不公正な取引方法等に対する措置体系の望ましいあり方を含めて、じっくり御検討いただくとの御説明を伺っております。

 以上の点を踏まえますと、本法律案が施行されることによりまして、公正かつ自由な競争が促進され、我が国経済の持続的な成長が一層確実なものになるものと期待されます。

 なお、民主党提出の独占禁止法改正法案及び共産党提出の修正案につきましては、私たちとは基本的な認識の相違があり、賛成することはできません。

 我々与党といたしましては、本法律案の一日も早い成立を期待するとともに、我が国経済がますます発展することを祈念いたしまして、私の賛成討論といたします。

河上委員長 次に、鈴木康友君。

鈴木(康)委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました民主党・無所属クラブ提出の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に賛成、政府提出の法案及び修正案に対して反対の立場から討論を行います。

 私たちは、規制改革の道筋を確立することとあわせて、独占禁止法を抜本改正し、官製談合に関して行政に対する強制調査権や業務改善命令権を付与することを提言してきました。

 しかるに、政府・与党は、自民党の二〇〇四年中に国会に独占禁止法改正案を提出するとの公約を形式的に守るためだけに、急転直下、政府案提出に向けかじを切り、ぬえ的な独禁法のひずみは是正しないまま、理念も哲学もなく、場当たり的な内容の独占禁止法改正案を提出するに至りました。

 民主党は、こうした矛盾と欠陥に満ちた政府案とは一線を画し、脱談合社会の確立、二十一世紀型経済憲法の制定を視野に入れ、独自の対案をまとめ、提出いたしました。

 民主党案は、三つの理念に基づく柱から成っています。

 第一は、明確、公正なルールの確立のため、事業者の自主申告や法令遵守の度合い、繰り返し違反などに対し、柔軟に制裁金を減らしたり、ふやしたりする行政制裁金を導入することです。

 第二は、透明な手続、審判の確立のため、公平な審判を行うために、法律、司法に通じた専門家を積極的に登用し、審査・調査部門に明確なファイアウオールを設けることです。

 第三は、官製談合の撤廃のため、官製談合の横行を許している現行制度の抜本改正を図り、民間だけが悪者になる官尊民卑の構造を是正することです。

 哲学、理念、法体系などにおいて、民主党案と政府案は大きく異なっております。政府案には、大きな矛盾と欠陥が含まれています。

 第一に、政府案においては、あいまいで実効性の低い課徴金制度が温存されています。

 第二に、勧告制度を廃止する政府案はデュープロセスを軽視するもので、白紙撤回すべきものと考えます。

 第三に、政府案には、官製談合防止法の改正への道筋が欠落し、発注官庁職員の行為申告者の減免措置も盛り込まれていません。

 以上の理由により、民主党案に賛成、政府案及びその修正案に反対すべきものと考えます。

 民主党は、唆し罪の創設などを視野に入れ、官製談合防止法の強化に取り組むこと、さらに、不当廉売に対する課徴金の適用など、引き続き独占禁止法改正に取り組むことを申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)

河上委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、閣法に賛成、民主党案に反対の討論を行います。

 まず、政府案です。これは、一昨年来、日本経団連や建設業界が公正取引委員会の当初案に対して反対攻勢を強める中で、根拠なき妥協を重ねた産物であり、また内容的にも、さきの修正案の趣旨説明で指摘したとおり、極めて不十分なものでありますが、全体としては現状より強化改正であると判断し、賛成いたします。

 一方、民主党案は、次の二つの点で現行法を後退させかねない懸念があり、反対せざるを得ません。

 第一に、行政制裁金から法人に対する罰金を全額免除し、将来は法人罰を廃止することに道筋をつけると位置づけている点であります。

 悪質かつ重大な企業ぐるみ犯罪であるカルテル、談合への最大、最後の抑止力である法人に対する刑罰を事実上なくし、大企業の経営トップ、役員を無罪放免することとなるおそれが大きく、容認できません。我が国では、刑罰と行政処分である課徴金を併科して抑止力を持たせる現行の仕組みを強化する方向こそが現実的かつ効果的な方策であると考えます。

 刑事罰を肩がわりするほど高水準のEU並みの制裁金は、将来、我が国の刑法、行政法など他法令を含む法体系全体の見直しの中で検討され得るものと考えます。

 第二に、自首、申告もないのに、法令遵守、コンプライアンス体制を有するだけで、先着枠もなしに行政制裁金を最大三割も減額する減免制度は容認できません。

 日本経団連加盟の一流大企業は、既に、法令遵守マニュアルの作成初め、コンプライアンス体制を整備しております。ところが、経団連役員のうちおよそ半数もの企業が、この十年余の間に、国際カルテルや談合事件に関与して摘発されており、繰り返し犯も多数に上っております。談合をやった違法企業が遵法企業と認定され、減免されるというのでは、減免制度を導入する意義と効果を損ないかねません。

 我が党は、政府案の背景にある小泉構造改革や日米規制改革イニシアチブに基づく規制緩和の押しつけにはもちろん反対であります。今後、より一層国民のための独占禁止法改正が実現できるよう、抜本的見直しに向け全力を尽くすことを表明して、討論を終わります。

河上委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

河上委員長 これより採決に入ります。

 まず、第百六十一回国会、仙谷由人君外十六名提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河上委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、第百六十一回国会、内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、塩川鉄也君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河上委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、平井卓也君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河上委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河上委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、平井卓也君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。平井卓也君。

平井委員 ただいま議題となりました附帯決議につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 課徴金減免制度の運用にあたり、悪用防止に万全を期するとともに、違反行為の申告の順序の決定方法等について、明確かつ具体的な基準を適切な形で策定し、早期に公表すること。

 二 本改正の施行後二年以内に所要の措置を講ずるため行われる検討に際しては、委員の構成を含め広く国民各層の意見が適切に反映されるよう十分配慮するとともに、詳細な議事録の公表を原則とする等その透明性の確保に努めること。

 三 独占禁止法の措置体系の望ましい在り方について、実効性の確保や国際的調和等の観点を十分に踏まえつつ、議論が尽くされるよう努めるとともに、特に中小企業等に不当な不利益を与える不当廉売、優越的地位の濫用等の不公正な取引方法に対する措置に関しては、課徴金適用の対象とすることも含めてその方策を早急かつ前向きに検討すること。

 四 不公正な取引方法については、公正取引委員会において厳正に対処するとともに、不公正な取引方法の差止請求について、文書提出命令、団体訴権など一層効果的な措置を講ずることができる方策について早急に検討すること。

 五 犯則調査権限を適正に行使して、悪質な違反行為に対する刑事告発を積極的に行うとともに、公正取引委員会事務総局において人員や情報の遮断等の措置を講じ、犯則調査部門と行政調査部門との明確な分離を図ること。

 六 独占禁止法違反行為について、審判で争う事例の増加が予想されることにかんがみ、個別の事件についての審判手続においても、迅速性や効率性への配慮と適正手続の保障との両立に遺漏なきを期するとともに、審判官の中立性や公正性を十分に確保すること。なお、法律上明確な規定のない警告に関しては、その運用に慎重を期すること。

 七 価格の同調的引上げに関して、消費者の不利益となる懸念が存することにかんがみ、引き続き適切に対処するように努めること。

 八 入札談合等関与行為の排除及び防止に関する法律に則った積極的な対応を引き続き進めること。併せて、入札談合等関与行為の一方当事者たる官公庁等においては、職員に対して談合への関与が不正行為であるとの認識を持たせるよう努めるとともに、職員の不正行為に対して厳格な制裁を科する等、具体的な対策を講ずること。

 九 地方公共団体等における入札談合等関与行為の排除及び防止並びに予算の適正かつ効率的な執行に向けた自主的な取組みを促進するとともに、公共調達制度の望ましい在り方について、全般的な検討を進めること。

 十 公正取引委員会による立入検査等の事実のみをもって、地方公共団体等が当該事業者の指名回避を行う事例が見られるところ、このような事実上の制裁は、公共調達における公正な競争の確保の観点からも好ましいものではなく、早急に改善策が講じられるよう働きかけること。

 十一 本改正による課徴金制度の整備強化、審判手続の変更等の円滑な実施に資するため、事業者及び国民に法改正の趣旨及び内容の周知徹底を図るとともに、いわゆる法令遵守管理体制の構築の重要性に対する事業者の認識を高めるよう努めること。

 十二 経済の国際化に伴い、我が国の市場に影響を及ぼす国際カルテルや反競争的な企業結合等に対応するため、競争分野における二国間協力協定の締結を進めるとともに、多国間での協定締結に向けて我が国が主導的な役割を果たすこと。

 十三 公正取引委員会の委員長及び委員にあっては、その職務に関する活動内容について、国民から十分な理解が得られるよう説明責任を果たすこと。また、公正取引委員会事務総局の一層の整備、強化を図りつつ、法曹資格者や経済学の分野において高度な専門知識を有する者等の登用を積極的に進めること。

以上であります。

 附帯決議の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

河上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河上委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、細田内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。細田内閣官房長官。

細田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

河上委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

河上委員長 次に、内閣提出、中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。中川経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律



    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中川国務大臣 中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国経済を取り巻く状況は、緩やかな回復が見られるものの、中小企業や地域経済を取り巻く状況はまだまだ厳しい状況であります。中小企業は我が国経済の基盤であり、その創業や経営革新への取り組みを従来から支援してまいりましたが、施策体系を利用者にとってわかりやすくするとともに、必要な拡充を行い、中小企業の新たな事業活動への取り組みを強力に支援する必要があります。

 さらに、経済のグローバル化が進展し、大企業のみならず、中小企業についても世界規模の競争が不可避となりつつある中、中小企業においてはむしろそれを好機ととらえ、自身の機動性、柔軟性を生かし、それぞれの強みを持ち寄って事業展開を図るという新しい形の連携が見られます。このような中小企業の新たな連携への取り組みに対し、積極的な支援を行っていく必要があります。

 以上が、本法律案を提案した理由であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 本法律案は、中小企業経営革新支援法を柱として、新事業創出促進法、中小企業の創造的事業活動の促進に関する臨時措置法に規定する支援措置を発展的に整理統合するとともに、中小企業の新たな連携による新事業分野の開拓を支援する制度を創設することにより、中小企業の新たな事業活動を総合的に促進するものであります。そのため、中小企業経営革新支援法の題名を「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」に改めるとともに、経営革新に対する支援に加え、以下の措置を講ずることとしております。

 第一に、経済活力の源泉である創業を幅広く支援いたします。具体的には、創業及び創業間もない事業者について、中小企業信用保険法の特例等によって資金調達を支援いたします。

 第二に、異分野の事業者と連携することにより新事業分野の開拓を図る中小企業者に対し、中小企業信用保険法の特例、設備投資減税等の支援措置を講ずることとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願いをいたします。

河上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

河上委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 経済産業の基本施策に関する件、特に中小企業問題について調査のため、来る十五日火曜日午前十時より、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十五日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十三分散会


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