衆議院

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第14号 平成17年5月11日(水曜日)

会議録本文へ
平成十七年五月十一日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 河上 覃雄君

   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君

   理事 平井 卓也君 理事 松島みどり君

   理事 鈴木 康友君 理事 細野 豪志君

   理事 吉田  治君 理事 高木 陽介君

      遠藤 利明君    加藤 勝信君

      嘉数 知賢君    北川 知克君

      小杉  隆君    左藤  章君

      佐藤 信二君    坂本 剛二君

      菅  義偉君    竹本 直一君

      武田 良太君    谷畑  孝君

      西銘恒三郎君    野田  毅君

      平田 耕一君    森  英介君

      山本 明彦君    大畠 章宏君

      奥田  建君    海江田万里君

      梶原 康弘君    菊田まきこ君

      近藤 洋介君    佐藤 公治君

      高山 智司君    中山 義活君

      計屋 圭宏君    村井 宗明君

      渡辺  周君    江田 康幸君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   農林水産副大臣      岩永 峯一君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   国土交通副大臣      岩井 國臣君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   山木 康孝君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          北畑 隆生君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            石毛 博行君

   政府参考人

   (特許庁長官)      小川  洋君

   政府参考人

   (特許庁審査業務部長)  脇本 眞也君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 杉山 篤史君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  望月 義夫君     左藤  章君

  山口 泰明君     加藤 勝信君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     山口 泰明君

  左藤  章君     望月 義夫君

    ―――――――――――――

四月二十七日

 クリアランス制度導入のための法改定に関する請願(山本喜代宏君紹介)(第一〇二二号)

 中小業者への経営支援に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一一二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 商標法の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇号)


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     ――――◇―――――

河上委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、商標法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長山木康孝君、経済産業省経済産業政策局長北畑隆生君、経済産業省製造産業局長石毛博行君、特許庁長官小川洋君、特許庁審査業務部長脇本眞也君、中小企業庁長官望月晴文君及び国土交通省鉄道局次長杉山篤史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江田康幸君。

江田委員 おはようございます。公明党の江田康幸でございます。

 本日は、短い時間ではございますが、与党を代表して質問させていただきます。

 地域ブランド化の取り組みにつきましては、今、地域経済の活性化に資するものとして各地域で積極的にその取り組みが進められているところでございます。しかし、そうした取り組みが進む中で、そのブランドに便乗して悪用するというような者が出てくることも否定はできないわけでございます。この地域ブランドを保護するのが商標法に基づく地名入り商標であるわけであります。

 今回の法改正は、地域名と商品名から成る地名入り商標について、使用により一定程度の周知性を獲得した段階で、一定要件を満たす団体に地域団体商標として登録を認めることとしました。これによりまして、全国的な知名度を有する前から一般の産品と差別化を図ることができるようになるわけでございまして、地域ブランド化の推進や地域経済の活性化に大きな効果が期待されます。その意味で、今回の法改正は私は高く評価されるものと考えます。

 質問に入らせていただきますけれども、まず最初は、地域との密接な関連性、周知性等の基準の明確化についてお伺いをしたいと思っております。

 今回認められる地域団体商標は、当該商標の構成部分である地域名が対象となる商品と密接な関係性を有していることを登録要件として規定しておりますが、どの程度の密接な関係性が求められるのか、お伺いします。また、需要者の間に広く認識されること、すなわち周知性の要件も重要な要素でありますが、登録に際しましてどの程度の周知性が求められるのか、お伺いをいたします。さらに、どのような団体が登録を受けられますか。これらについて、特許庁としての具体的な基準を示していただきたいと思います。また、これらの基準については、可能な限り広く公表すべきと考えますけれども、どのように公表をされていくのか、あわせてお伺いいたします。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 要件についてのお尋ねでございます。

 まず、地域団体商標におきましては、地域と密接な関連性を有することを要件といたしておりますが、具体的には、商標中に用いられます地域名がまず商品の産地あるいは役務の提供地であることのほか、製法の由来地それから原材料の産地であることなども考慮いたしまして、その関連性を判断したいと思ってございます。

 それから次に、需要者の間における周知性でございますけれども、一定の範囲の需要者に認識されるに至ったか否かを判断するわけでございますが、その需要者の広がりにつきましては、商品、役務の特性にもよりますけれども、例えば隣接都道府県に及ぶ程度の範囲における浸透が必要であるというふうに考えております。

 それから、登録を受けられます主体といたしましては、地域ぐるみの活動という観点から今回制度を仕組んでおりますので、法人格を有する事業者の団体であって、構成員たる資格を有する者の加入を不当に制限してはならない旨の規定が法律上置かれているものに限定をさせていただいております。具体的には、事業協同組合、農業協同組合、漁業協同組合等が対象となります。

 それから、このような団体商標の要件につきましては、法律の施行までに、関係者の意見を十分に踏まえましてさらに検討を行いまして、審査基準を作成しまして、対外的にも明確化したいというふうに考えてございます。

 その内容につきましては、地方の団体、事業者等の関係者を対象に全国各地で説明会を開催いたしましたり、特許庁のホームページに掲載いたしましたり、そういったことを通じまして、きめ細かくこの制度の周知徹底を図りたい、審査基準の周知徹底を図りたいというふうに考えてございます。

江田委員 今申していただきましたけれども、地域との密接な関係性、それから周知性、また主体となる団体、それらについて明確な基準を、しっかりとわかるように公表をきちんとしていただきたいと思っております。

 特に、これまでは原則的に認められなかった地名入り商標がこれで認められることになりまして、これは、地域におきましては、地域ブランドに取り組んでいる主体、団体等の皆さんにとっては本当に大きな変化だと思いますので、それをしっかりと周知徹底していただきたいと思います。

 次の質問でございますが、地域との関連性、特に商品の品質の確保についてお伺いをしたいと思っております。

 今回の法改正によりまして、地名入り商標が登録によって保護されることになり、地域ブランドの高い価値に便乗するようなまがいものを排除することが可能となってきます。その一方で、この登録による保護に甘んじて、当該地域と何ら関係のない商品にこの商標を使用することや、対象商品の品質を誤認させるような使用がなされることも想定されるわけでございます。

 商標と地域との関係性、原産地の表示や商品の品質については、地域ブランドの信用、ひいては消費者の選択にまで影響を及ぼすものでございます。これらに対して、今回の商標法の改正やほかの法令、例えばJAS法、景品表示法ではどのような対応を講じておるのでしょうか。お伺いいたします。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の地域団体商標におきましては、地域と商品、役務の密接な関連性を登録の要件といたしている、先ほど申し上げたとおりでございますが、その際、商品の産地、主要原材料の産地、役務の提供地などの関係について審査をいたします。その結果登録されました地域団体商標につきましては、指定商品あるいは役務につきまして、○○産の△△、あるいは○○で提供される△△、役務といったような形で限定をかけることといたしておりますが、こうした関連性を失った場合には無効審判の対象にするということにしてございます。

 それから、商品の産地や品質が正しく表示されているかどうかにつきましては、JAS法でありますとか景表法などによりまして規制が行われておりまして、商標登録を受ける、受けないにかかわりませず、事業者はこれらの法令を遵守しなければならないということであります。

 我々といたしましては、関係省庁とも情報交換を行いながら、各関係制度がそれぞれの役割に応じながら的確に運用されるように努めてまいりたいというふうに考えてございます。

江田委員 それでは、時間がございませんので、次に参りますが、皆さんが最も関心の高い、また注目されている模倣品対策についても、この商標法との関連性についてお伺いをいたします。

 海外で製造しました商品に勝手に商標を付したものを輸入する行為というのは、商標法によってとめることができるのでしょうか。また、商標登録を受けていないものや、商標登録を受けていても商品区分が異なる商品の模倣品、そういうものがございますけれども、これを不正に輸入しようとする者については、商標法では対応が困難と私は考えますが、このようなものについてはどのような対応が可能になりますでしょうか、お伺いいたします。より具体的に。

小川政府参考人 お尋ねの点でございますが、商標法上、他人が商標権者の許諾なく登録商標あるいは類似の商標を付した指定商品または類似の商品を輸入する行為は、商標権の侵害となります。民事上の差しとめと並びまして、刑事罰の対象になります。また、商標権を侵害する物品は、関税定率法におきまして輸入禁制品という扱いになりますので、税関で輸入差しとめ手続がとられることになります。

 今御指摘のありました、商標登録を受けていない商品、また商標登録を受けていても登録された指定商品あるいはその類似商品ではないような商品、これに商標が使われたような場合には、不正競争防止法の二条一項一号から三号に規定する事案として違反になる可能性があると思っております。

 今国会に別途提出させていただいております不正競争防止法等の一部改正法案では、模倣品の輸入等に対する刑事罰を強化することといたしております。また、既に成立をいたしました改正関税定率法におきましては、これら不正競争防止法に違反する商品を輸入禁制品に追加をするとともに、輸入差しとめ申し立て制度が導入されることになりました。

 こうした制度によりまして、商標登録を受けていない商品、それから商標登録された指定商品またはその類似商品と異なる商品の模倣品につきましても、商標権侵害品と同様に、従来の民事訴訟に加えて、国内の刑事取り締まり及び税関の水際での対策がとり得ることになると思っております。

江田委員 模倣品対策というのは非常に大事なことでございまして、今般の国会にも提出されております、後々議論すると思いますが、不正競争防止法で商標法が及ばない範囲についても模倣品対策がとられてきているということだと思います。そのことを確認させていただきました。

 時間が、最後になってまいりました。最後の質問でございますが、地域ブランド化の取り組み支援についてお伺いをさせていただきます。

 各地域の地域ブランド化の取り組みを後押しするためには、商標の権利取得だけでは不十分でございまして、より広い見地からの総合的な支援が求められます。地方公共団体では、独自性や将来性があると見込まれるブランドを認定し、商品の販売を支援するといった認証制度に基づく支援策を講じておるところでございます。

 国におきましても、産地ぐるみの推進体制の整備が図られますように、情報提供、販路開拓支援を初めとした施策を講ずることが私は重要と考えますが、経済産業省では、平成十六年度より、新商品、デザインの研究開発から販路開拓までサポートするJAPANブランド育成強化支援事業を実施されているところでございます。しかし、その採択件数は三十一件であり、単年度の支援となっております。今回の商標法の改正によりまして、商標登録される地域ブランドというのは急増することが想定されます。したがって、今後の地域ブランドの育成支援のためには、単年度というよりも継続的な支援策、それと採択数のさらなる拡大が必要かと考えますが、いかがでしょうか。

 そして、最後に、この地域ブランド化の推進につきましては、中川大臣も新産業創造戦略に明確に位置づけられているところでございます。地域ブランドの育成に向けた今後の取り組みについて、中川大臣の考えをあわせてお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 最初に、ジャパン・ブランド事業についてお答え申し上げます。

 地域でそこそこ既に力のある製品をさらに全国あるいは海外のマーケットにおいても通用するブランドにするというために、商工会とか商工会議所などが地域の中小企業をコーディネートして行う取り組みに対して総合的に支援をするというのがジャパン・ブランド育成事業、これを十六年度に新設をいたしました。本事業におきましては、ブランド確立に向けた起爆剤になりますように、比較的まとまった金額の支援を単年度で行うことにいたしております。

 こういった支援を行いました案件につきましては、海外への販路開拓をさらにジェトロが支援する制度を十七年度から実施するということをつくるなど、継続的な支援を行える体制というものも一部に整備しつつございます。

 今後とも、十六年度に最初に行いました事業についての評価などをじっくり行いました上で、ニーズを踏まえて地域ブランド育成支援政策というものを考えてまいりたいというふうに思っているところでございます。

中川国務大臣 おはようございます。

 今の江田委員の御質問は、今回の法律改正は、広い意味で、江田委員が政務官当時、一緒につくりました新産業創造戦略の中のいわゆる地域ブランドあるいはまた地域産業おこしの一環として私は位置づけているわけでございまして、まさに江田委員も生みの親としてこの作業にかかわっていただいたわけでございます。

 これは、ある意味でブランド、商標というものを確立、保護することによってインセンティブを与える、地域に元気、意欲を与える、そして地域おこしにつながっていくというふうに考え、そして、これがまた行く行くはジャパン・ブランドということで海外にも発展をしていくわけでございますので、国としても、それから主体である地域においても大いに取り組んで、この法律の目標にどんどん合致するようなものが出ていくことを期待しているところでございます。

江田委員 大臣の地域ブランド化の推進に対する熱い熱意を最後にお伺いして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河上委員長 次に、吉田治君。

吉田(治)委員 まず最初に、この法案とは直接関係ないんですけれども、昨日来新聞等をにぎわしておりますNEDOの問題について、総理の飯島秘書官ですか、この御子息が何らかのかかわり合いを持ったということで、詳しくはまた私どもの同僚議員が質問をさせていただく予定になっておりますけれども、大臣の方にはその件についてどういうふうな報告が今行っているんでしょうか。

中川国務大臣 申しわけありません。これは、昨日来というよりも、前からいろいろと報道されておりますけれども、きのう、きょうですか、新聞に報道されているところでございますけれども、現時点においては、NEDOから官邸への働きかけはなかったというふうに聞いております。

 それから、具体的には、NEDOからは、当該会社に対しては相談に乗ってくれということでございましたので、相談に乗ったということでございます。NEDOの担当課長が同席しているということでございますけれども、現時点においては、まだ、これだけ大きなことでございますので、経済産業省としても詳しく今調査をしているところでございます。

吉田(治)委員 今申し上げましたように、今大臣の答弁がこれは記録に残りまして、また私どもの同僚議員がそれに基づきまして質問等をする予定に聞いておりますので、日を改めてかわかりませんが、対応方していきたいと思います。

 そして、地域ブランドという形で地域の振興という中で、きょうは国土交通副大臣においでいただいています。

 まず、大臣、今回のJRの福知山線の事故、これは安全という部分、この委員会でも関西電力の秋山会長並びに皆さん方においでいただいて、関西電力の美浜の事故についての集中審議を何度となくさせていただきました。そういうような中で、これはまず、経済産業にかかわる問題で言いますと、JRのあの線路が、今福知山線が運休をしていることによって、地域の商店街に多大な影響が及ぼされているということが報じられておりますが、大臣として、また役所として、県なり地域の地方自治体、商工会議所、商店街の方から何らかの報告であるとか、またそれについての調査をする予定はあるんでしょうか。

中川国務大臣 まず、今回のあのJR西日本福知山線の事故で百人を超える人命が失われたということは大変ショッキングであり、私も心から御冥福をお祈りさせていただきたいと思います。

 今の吉田委員の御指摘、率直に言って大変ありがたい御指摘だと思っております。大勢の方が何か途中の駅で乗りかえをして大変不便をされているということは、報道で知っておりますけれども、不通になったことによって地元経済に与えている影響、御指摘があって、正直言ってなるほどなと今思っているところでございますので、早速調査したいと思います。

吉田(治)委員 それでは、国土交通副大臣、おいででございます。私は、ここの場で、亡くなられた方の御冥福と、そしておけがをなさった方の一日も早い御回復というものを申し上げさせていただいて、副大臣に質問をさせていただきたいのは、まず一点目、今もJR西日本の責任問題、これは事故調査委員会という国の機関で行われるということですけれども、この中に、民間企業のJRの責任ということだけでなく、先ほどお話ししました関西電力の美浜の事故のときでも、やはり国の責任というもの、この経済産業委員会でもその決議案の中にその文章が入れられておりますけれども、国の責任といったものをこの事故調査委員会並びに国土交通省なりがどういうふうにこの事故について考えているのか。

 例えば、私たち、日常、車を運転すると、道路には制限速度があります。これは警察庁が決めてまいります。例えば鉄道のダイヤは届け出制であります。しかし、鉄道の線路の電車の速度は、これはたしか国土交通省が決めるはずであります。届け出に基づいて許可をする。いろいろ話を聞きますと、関西の民間鉄道会社、いわゆる私鉄の速度では考えられない制限速度を、実はJRに対しては、線路が多いであるとか敷地が広いであるとかいう部分も勘案したとしながらも、あの速度を、ある程度の許容範囲を私鉄よりも緩くしていた。やはり競争競争で、どうも国がJRをバックアップしていたのではないかというふうなとらえ方もされるような、そういうことも私は実際あると思います。

 ですから、その辺を含めて、国というものが、また国土交通省というものが今度の事故に対しての責任の一端を、私は絶対ゼロではないと思いますけれども、その辺は事故調査委員会並びに担当副大臣としてどういうふうにお考えになられていますでしょうか。

岩井副大臣 まことに悲惨な、まことに遺憾な事故が発生いたしました。大変ショックを受けておるわけでございます。

 言うまでもないことでございますけれども、輸送の安全確保というものは鉄道事業の最大の使命でございまして、このために、国土交通省といたしましても、鉄道事業規制の中で安全面について種々の規制を行ってきております。具体的には、今先生からもお話が出ましたけれども、施設の面、車両の面、運転面にわたりまして技術上の基準などを決めまして、これをしっかりと遵守してもらうように、指導、命令等によりやってきておるわけでございます。

 今回の事故に関連してでございますけれども、国土交通省といたしましては、今申し上げましたような考え方に基づきまして、JR西日本に対して、機会あるごとに輸送の安全確保に関しまして指導をしてきているところでございます。しかし、今回このような事故が発生し、まことに重大なことであると認識しております。したがいまして、鉄道に関する今までの安全行政につきまして、技術基準や監査など、組織一丸となって真摯に検証してまいりたいというふうに考えておるところでございます。

吉田(治)委員 今、検証という言葉で言うと、今の副大臣の話を聞きますと、要するに、私たちは指導してきたんだ、命令もしてきたんだ、守らなかったあなたたちが悪いんだと。自分たちはそれを守らせるように、自分たちがそれを検証していく、今事故が起こって検証じゃなくてその場で検証していくということを、今回の事故について役所としてどう反省をするのか、そこのところが一点。

 二点目は、この委員会でも、経営者の責任というものが大変大きな話題になりました。今、現にJR西日本の経営首脳陣というものは、職を賭してという部分でそういうふうな発言というのはあったんですか。

岩井副大臣 先ほど申し上げましたのは、私ども国土交通省としての今までの行政について真摯に検討してまいりたいということでございます。まだ事故調査をやっているさなかでございますので、JR西日本の責任者の責任ある言葉は出ておりますけれども、最終的にその責任問題についてどうなるかというのは、これからの問題であるというふうに認識しております。

吉田(治)委員 検討ということだとちょっと弱いんですよね。事故調査委員会の中で、国がしてきたことについてちゃんと調査をするのかということ。副大臣が言われた責任者が責任ある発言、何をもって具体的に責任ある発言だったんですか。

岩井副大臣 まだ、事故の原因そのものにつきましては事故調査委で調査中でございますし、JR西日本におかれてもそれなりの検討を進めておられるさなかでございますので、そういった結果についての発言ではなくて、結果責任といいますか、まことに遺憾なことであるという周囲の発言は何度もあるわけでございます。(吉田(治)委員「国の」と呼ぶ)

 国の方は、先ほどから申していますように、今までの私ども国土交通省のとってきた技術基準あるいは監査、そういったことについてしっかりと検証をしてまいりたい、そういうことでございます。

吉田(治)委員 その上で、私は、遺族の方だとか事故を受けられた方、また沿線のマンションの住人を含めた被害者の方々のお気持ちを察すると、軽々に鉄道の再開というもの、しかしながら、線路を運び出され、大臣の方は、ATS―Pとかいうものをつければいいという発言がありました。また、先ほど中川大臣の方の発言の中でもありましたように、今ほとんどが阪急電車に振りかえ輸送されている。阪急電車の現状を乗っている方に聞きますと、はっきり申し上げて、やはり先頭車両にはだれも乗らないですね。後ろの方へ全部JRの分まできつきつになってやってくる。

 私は、被害者のお気持ちも本当に大事だと思います。しかしながら、現実に日々生活をされている方々のお立場も考えたときには、できれば、事故の調査、事故のさまざまなことを、そして、遺族の皆さん方のお気持ち、被害者の方の気持ちが整理がつくのであれば、やはり一日も早い回復というものをしなければ、これは利用者の方、沿線の御商売をされている方にも大変多大な影響を及ぼしますけれども、その辺のめど、見込み等について改めて御見解をお願いしたいと思います。

岩井副大臣 もうお聞き及びのことかもわかりませんけれども、当初、JR西日本につきましては、すぐにATS―Pをつけるという考えはなかったのでございますけれども、国土交通大臣の方からその点についての厳しい指導がございまして、できるだけ早い時期にATS―Pをつけるように検討してまいりたいと考えております。一日も早い再開を目指していきたいと思います。

吉田(治)委員 大体、めどはどれぐらいですか。

岩井副大臣 ちょっと現段階では、まだそれは申し上げるのは難しいと思います。

吉田(治)委員 本当に、日本では私も含めて仏教の方が多うございまして、四十九日という言葉もございます。その辺を含めての対応方をお願いしたいと思っております。

 もう時間が参りましたので、最後に、この商標法の改正について、多分これからさまざまな議論があると思いますけれども、私は一点だけ、地域ブランド、地域にとって、これから日本全体を底上げしていこうという中でこの法案が成立をしていった後に、必要なことは、こういう法案があるんだ、こういうことがあって、自分たちが頑張れば、みんなで手を携えて頑張っていけば、自分たちの町の名前がつけられて、そして地域からいいものを日本じゅう、先ほどの議論の中で言うなら世界じゅうに輸出をしていけるという中で、こういうことがあるという周知というもの、末端の方と言うと語弊がありますけれども、頑張られている方々まで、こういうことがどういうふうにされていったらできるのかというその周知の方法。

 それから二点目は、やはり商標法ということになりますと、弁理士の方々にお手をおかしいただいて、登録等いろいろな業務をしていかなければならない。そうしますと、弁理士の方々というのは、御承知のとおり、都市部に集中をしておりますと、なかなか、本来この商標法において頑張ろうと思われている地方の方々にとったらアクセスが非常にしづらいという部分がある。この辺をどういうふうに対応方していくのかということ。

 そして、最後に一言、大臣の方で、それらを含めて、御決意というんですか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。

小川政府参考人 先生御指摘のとおり、制度の内容が理解され、積極的に活用していただくためには、きめ細かく制度の周知徹底が必要だというふうに思っております。

 具体的には、施行までの間、私どもの政府広報、あるいは私どものホームページを活用して積極的にPRをしたい。それから、経済産業局、ブロックごとにございますが、連携いたしまして、各地で説明会を開きたい。それから、今御指摘の日本弁理士会等関係団体の協力を得ながら、全国規模での普及活動を行いたいというふうに考えてございます。可能な限りの周知徹底策を講じたいと思ってございます。

 それから、特に地域からの出願を容易にするということの観点からは、インターネットによる出願を可能にしたいというふうに考えてございます。それから、各経済産業局を活用し、また弁理士会の関係団体と連携することによりまして、地域の団体の方々の出願手続に関する相談にきめ細かく応じる、そういった形を整えたいというふうに考えてございます。

中川国務大臣 今、長官が申し上げたことをきちっと、要するに、発信する側だけがこれだけやりましたではなくて、受け取る側がしっかりと受けとめることを確認することが大事だろうというふうに思っております。

 それから、やはり成功事例というものも具体的に紹介をして、こういう成功事例、実はけさ、いわゆるレクをやっているときに、北海道の夕張メロン、かかるのに三十年かかったそうでありまして、この法律が改正されればもう少し短い期間でできるんだろうと思いますから、やはり、成功事例とスピード化、簡略化、そして、冒頭申し上げたように、それを目指そうとする人のインセンティブになるように、わかりやすく、そしてメリットが実感できるように、説明を受けただけである程度実感ができて、よし頑張ってみようかというふうになれるように、結果が見えるような形ができて初めて我々の普及のための努力が実ったということだろうと考えております。

吉田(治)委員 もう時間で終わりますけれども、各地方の経産局、それから、もちろん商工会議所、商工会、農協、漁協等を活用されていくんだと思いますけれども、やはり広くさまざまな部分、具体的には私もアイデアは浮かびませんけれども、時間がかかる仕事でもありますので、しっかりと頑張っていただきたいと思います。

 以上です。

河上委員長 次に、鈴木康友君。

鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。

 今度の商標法の改正によりまして、これから地域団体商標という新しい商標が認められるようになる、その地域ブランドを保護して地域経済を活性化する、あるいは日本全体の産業を活性化して、もって経済の活力に資するということで、私は非常にこれは総論としては賛成でございます。いいものだなというふうに思うんですが、半面、これは今まで認められなかった地域名プラス商品名あるいは役務ということで、こういう難しかった商標が認められるということになると、ある特定のグループに排他性というものを付与していくわけでありますから、やはりそこは登録要件、あるいはどういう主体にそれを認めるのか、あるいはその構成員等々、その辺は非常に公正を期していく必要があるなというふうに思います。

 そういう意味で何点か確認をしておきたいことがございますので、これから質問をさせていただきたいと思います。

 まず、この地域ブランドと呼ばれるもの、これが商標として今後認められていくというときには、要件の一つとして周知性というのが非常に重要な要件となってくる。どれだけそれが知れ渡ったら商標として認められるのか。今、大臣がおっしゃったように、夕張メロンのように、もう全国津々浦々、みんなが知っているような名前になるというのは、これは三十年営々と努力した結果、全国ブランドになったわけでありますが、これではとてもじゃないけれども時間も労力もかかり過ぎる。

 とりあえず、これから一発、地域で一つ何か特産品をつくろうやなんということで、いきなり地域名に商品名をプラスして、まだビジネスがスタートしていないのにそれを商標登録するというのも乱れる原因となりますので、では、どの辺まで周知性ができたらこれが商標として認められるかというのは、ここは非常に重要なポイントだと思うんですが、そこの具体的な基準あるいは審査のポイント、その点につきましてまずお伺いをしたいというふうに思います。

小川政府参考人 周知性につきましては、商品あるいは役務の特性にもよりますけれども、隣接都道府県に及ぶ程度の範囲の浸透が必要ではないかというふうに考えてございます。これを具体的に判断するに当たりましては、例えばその商標がどれだけの期間使われているか、どの地域で使われているか、それから、その使われております商品や役務がどれだけ生産、販売、提供されているのか、どの地域でそれが行われているのか、それから、宣伝広告がどのように行われているか、回数あるいは内容、さらには、そういった地域の取り組みについて一般紙、業界紙でどれだけ記事として紹介されたか、そういったもろもろの内容を総合的に勘案いたしまして判断をしたいというふうに考えてございます。

 こういった事項についてできる限り定量化をしたいと思ってございますが、なかなか難しいところがございますので、いろいろな形で出願者から資料を出していただいて、総合的に判断をさせていただきたいと思います。一般的には、使用期間が長ければ長いほど、あるいは使用地域が広ければ広いほど、それから販売等の数量が多いものほど、また広告の回数が非常に多いものほど周知の程度が高いというふうに傾向としては言えると思いますが、そういった事項につきまして、関係者の意見も踏まえながらさらに検討を進めまして、施行までに審査基準という形で明らかにさせていただきたいと思ってございます。

鈴木(康)委員 今、どちらかというと抽象的に御答弁いただいたんですが、ある程度のガイドラインとか客観的基準というのはつくられる予定があるんでしょうか。

小川政府参考人 実際に商品、役務に商標が使われまして、一定の範囲内、周知性を獲得しているという実態があるわけでございますので、その実態を具体的にいろいろな書類、資料でもって立証していただく、そこの中でもって判断をしていくということになりますが、このケースでいくと何%だとか、その辺はなかなか難しいかと思ってございます。

鈴木(康)委員 これも通告していなかったんですが、では、ちょっと具体的にお伺いしたいと思います。

 私の地元は三ケ日ミカンと浜名湖ウナギというのがあるんですね。恐らくきょうここにお集まりの皆さんも、多くの方がこれは御存じだと思うんですね。ところが、最近、これは経産省のJAPANブランド育成支援事業にも採択をされました遠州灘天然トラフグというのがあるんですね。これは、これから地域がこれを地域の産業として育てよう、こういうものでありますけれども、これは恐らくまだほとんどの方が知られていないと思うんですね。

 では、三ケ日ミカンや浜名湖ウナギは恐らく商標として認められるんでしょうけれども、遠州灘天然トラフグというのは、これはいかがか。これは具体的な事例としてお伺いしたいと思います。

小川政府参考人 具体的な事例をお挙げいただきましたけれども、先ほどの繰り返しで恐縮でございますが、遠州トラフグにつきまして、どのような形で商売が行われているか、どれだけ商標が使用されて、どれぐらいの販売区域でそれが市場として確保されているのか、そういったことを、とりたいと思われる出願者の方がいろいろな形で立証されると思います。そういう中で総合的に判断をしていくということになろうかと思います。

 具体的なケース、今のケースについてどうかというのは、精緻な審査をした結果でないと正確なことは申し上げられないことをお許しいただきたいと思います。

鈴木(康)委員 次の質問に行きたいと思いますが、このブランド化のためには、ある一定の期間、周知性を高めるために実態をつくっていかなきゃいけないわけですね。そうしますと、長ければ長いほど、既にそれをもって御商売をやられている方の数も多くなってくると思うんですね。

 そうすると、では、これから商標として認めましょうとある特定の団体にそれを商標として認めると、そこに加盟をしていない方で今まで商売をそれでもってやってきたといういわゆる先使用者という皆さんが、長くやればやるほど、あるいは規模が大きければ大きいほどその数というのは多くなると思うんですが、例えばそういうところで商標が認められたとすると、そういうアウトサイダーの人というか先使用者という人たちがどこまで保護されるのか、その具体的な目安とか基準というのは設けていらっしゃるんでしょうか。

小川政府参考人 これまで地名入り商標というのはだれもが自由に使えたということでございますので、ある一定の特定の団体が周知性を獲得する過程で、今先生御指摘のとおり、知名度が上がれば上がるほど、アウトサイダーといいますか第三者もふえているわけでございます。

 そういう場合のために先使用権を認めるということで、今回、三十二条の二第一項に規定をさせていただいているわけでございますけれども、この先使用権につきましては、先使用権を確保する目的だけのために商標を使用しているとか、不正競争目的で商標を使用する場合には認められないということになってございますし、地域団体商標が登録された後も継続してみずからの事業として使用しているということが要件になってございますので、アウトサイダーと今先生御指摘がありましたけれども、そういった方々の場合であっても、今申し上げました要件に当たっているかどうかというのを判断されまして、先使用権が認められたり認められなかったりするということでございます。

鈴木(康)委員 もし私がそういう商売をやっていて、ある特定の団体に加盟していなかったら、これは結構大変な問題だと思うんですが、いや、私はちゃんとこれまでこれできちっとまじめに、まともに商売をやってきましたよという実態があれば、これは特別な手続がなくても継続的に使用が認められるというふうに理解してよろしいんでしょうか。

小川政府参考人 そのとおりでございます。

鈴木(康)委員 それでは、次に類似性について少しお伺いしたいと思います。

 今度、商標として認められるというと、その周辺に影響が及ぶわけですね。例えば、先ほど私が例として出しました三ケ日ミカンというのが認められるとなると、同じ果物だと類似性があるということで、本来であれば商標登録にならない、例えば三ケ日リンゴあるいは三ケ日イチゴとかそういうものが出てきた場合には、これはやはり類似性があるとして却下をされるというふうに理解してよろしいんでしょうか。

脇本政府参考人 お答え申し上げます。

 類似性についての御質問でございますが、地域団体商標としての商標の類否は、当該地域名の部分のみの共通性ではなく、地域名と商品名から成る商標全体の構成で判断することが適当と考えております。

 このため、例えば先生御指摘の三ケ日ミカンが商標登録された場合であっても、三ケ日リンゴとか三ケ日イチゴといった表示は、三ケ日ミカンとは類似せず、商標権侵害とはならないというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

鈴木(康)委員 今、三ケ日リンゴあるいは三ケ日イチゴは大丈夫だという御答弁でございました。我が地域は割と果物の産地として有名でありますけれども、その気候を利用して、じゃこれからイチゴをこの産地の名産にしようということで力を入れてやっても、それは大丈夫だというふうに私も理解したんですが。

 今、三ケ日ミカンと言いましたけれども、一方で、実は浜名湖ミカンというのもこの地域でブランドとしてあるんですね。三ケ日というのは地域的にいうと浜名湖の北部、北の地域の町名を指すのでありますが、浜名湖全体としては浜名湖ミカンというような名称をつけているケースもあるんですが、この場合はどうなりますか。

脇本政府参考人 お答え申し上げます。

 浜名湖ミカンにつきましても、同様に、商品名ミカンの部分が共通しておりますが、地域名の部分が明らかに異なりますので、商標権侵害にはならないものと考えております。

鈴木(康)委員 地域名は明らかに違っているんですが、地域としてはほぼ同一の地域でありますが、それでも構わないということでありますね。

脇本政府参考人 御指摘のとおり、それでも構わないということでございます。

鈴木(康)委員 わかりました。

 次に、今度、商標と普通名称の関係についてお伺いしたいと思うんですけれども、地域名と商品名でいきますと、例えば札幌ラーメンというのも本来でいけば地域団体商標として認められるというふうに思うんですが、ただ、札幌ラーメンの場合はもう既にほとんど普通名称化しているということで、恐らく地域団体商標としては認められないということになると思うんですね。ただ、何となく、そのぎりぎりの線のところにそういう例というのはたくさんあるんですね。

 例えば、ラーメンでいけば喜多方ラーメン。これは普通名称なのか、あるいは今度の地域団体商標に当たるのかという非常にグレーゾーンにあると思うんです。こういうケースは多々あると思うんですが、こういうものに対する処理というのはどのようにされるんでしょうか。

脇本政府参考人 普通名称に関する御質問でございますが、普通名称になりかけている商標でありましてもいまだ普通名称とはなっていないということでありますれば、出願人の適格性、商標の周知性、地域との関連性といった要件を満たす場合には、地域団体商標の登録を受けることができるものと考えております。

 しかしながら、商品、役務の内容によりますが、一般的に、いろいろな地域でいろいろな事業者によって使用される結果普通名称になりかけている商標につきましては、出願人である団体または構成員の商品を表示するものとして周知となっているとは認められないことが多いと考えられるので、地域団体商標の登録を受けることは一般的には難しいのではないかと考えております。

鈴木(康)委員 ちょっと具体的なケースで聞いて申しわけないんですが、じゃ、今の喜多方ラーメンの例でいきましょう。

 もちろん、喜多方ラーメンは、喜多方へ行きますとたくさんのラーメン店があって、地域の一つの産業として成り立っているわけですね。ですから、じゃ、これを地域ブランドとしてこれから育てようということで、地域団体商標に登録しようと思ったら、実はもう食品メーカーなんかで喜多方ラーメンという商品を出しているわけですね。既にそうやってもう全国的に商売をやっている、あるいはチェーン展開で、今、全国に喜多方ラーメンというラーメン店が展開されている、そういうビジネスをやっているところもあるわけですね。そうすると、じゃ、もしこれが商標登録されちゃうと、そういう方々の既存のビジネスはどうなるのか。先ほどの先使用権の延長線上でそういうものは認めていくというふうに理解してよろしいんでしょうか。

脇本政府参考人 喜多方ラーメンが認められるかどうかにつきましては、審査をしてみないとわからないわけでございますけれども、仮に喜多方ラーメンが地域団体商標で登録されたと仮定した場合には、先ほどの先生の御指摘した方々は、先使用権ということで使用が認められるというふうに考えているところでございます。

鈴木(康)委員 わかりました。

 次に、登録の主体についてお伺いをしたいと思います。

 今回の地域団体商標というのは、その名称でもわかるとおり、一つの企業とか個人じゃなくて団体に対してその商標を認めようということでありまして、その要件として法人格を持った団体であるという、まあ一定の事業組合のようなところにその商標を認めるということだと思うんですが、例えば一つの商品あるいは役務でも、違った団体がそれを取り扱っているというケースがあると思うんですね。例えば生産者の団体であったり、あるいはそれを使って料理なんかを出している料飲組合だったり、じゃ、それぞれが同じ名称で商標を登録しようということになったら、それぞれその地域に根を張って、あるいは法人格を持った団体で登録要件として同じように有資格者であった場合に、それが同時にそういう商標登録をしてきた場合には、これはどういう扱いになるんでしょうか。

小川政府参考人 まず、ケースを分けて申し上げたいと思います。

 同一の商品、役務を対象にいたしまして、登録の主体として同等な要件を満たす複数の組合が存在した場合には、一般的には、その商標が一つの団体あるいはその構成員の業務に係る商品、役務を表示するものとして周知になっているというのは、なかなか認めにくいのではないかと思ってございます。

 いずれの団体も独自に登録を受けることはできないということになろうかと思いますので、混乱はさほど起こらないのではないかと思ってございますが、もっとも、同一の商標を使用しております複数の団体がまとまって共同出願をした場合、その地域団体商標の登録要件を一緒になって出願された方々が全体として満たすと判断される場合には、これらの複数の団体あるいはその構成員の業務に係る商品、役務を表示するものとして周知となっているということで、登録が認められるということはあろうかと思います。

 それから、今の同じようなもので、ジャンルといいますか、業務が違う場合は、例えば、材料と、それを加工して料理屋さんが提供するような場合があるわけですが、そういった生鮮食材の出荷という事業と食材を加工した飲食品の提供というものは、物の生産、販売というジャンルと、それから役務の提供、サービスの提供といって分かれますので、お互いに非類似ということになることが多いのではないかと思っておりますが、いずれにしましても、実態に合わせた審査をしていくことになろうかと思います。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

鈴木(康)委員 例えば、生産者の組合と、そうしたものを使った加工業を営んだり、それを料理なんかで出している、つまり料飲を業としている組合さんと違うという今の御答弁でありましたけれども、今、結構重なるケースがあるんですね。

 例えば、インターネットで物を販売できますから、生産者であっても加工工場なんかを持っていてそれを販売するというケースもありますし、あるいは料理屋さんでもそうした、通販なんかで自分の商品を販売するというケースもありますし、つまり、かなりオーバーラップしてくるんですけれども、その辺はきちっと厳密に審査のときに調べられるんでしょうか。

小川政府参考人 先ほどのお答えの冒頭でお答え申し上げましたが、同一の商品、役務、それを対象に登録主体が同等の要件を満たすものが複数あった場合ということに当たる場合ではないかと思います。そういったことになっている方がどれを対象にしているか、何を対象にしているかというのを厳密に審査したいと思ってございます。

鈴木(康)委員 例えば、じゃ、水産の、漁業をなりわいとしている組合と加工をなりわいとしている組合と基本的には違うわけですが、一部の業務でオーバーラップするというのは結構今あると思うんですね。その辺、きちっとやはりチェックをする必要があるのではないかなというふうに思います。

 ちょっと時間もなくなってまいりましたので、次に行きたいと思いますが、今度は、ある特定の団体に商標というものが認められてくると、そこの加入が制約があるとこれはちょっと問題だと思うわけですね。ですから、今回のこの法律の中でも、やはり加入の自由が保障されているということが登録のときの団体の適格要件であるということでありますが、加入の自由が保障されているというのは、どのように担保をする、あるいはその審査のときにそれをどう評価するのか、その点についてお伺いしたいと思います。

小川政府参考人 今回の制度は、従来特定の者に独占させてはいけないということの地名入り商標を一部認めるわけでございますので、使いたいと希望する地域の人たちが使えるようにすることは担保する必要がある。そういう考え方から、主体となります団体については、構成員たるべき資格を有する者の加入を不当に制限してはならないということが法律上担保されているということが求められているわけですが、なぜこの法律上の担保を求めたかといいますと、その法律に基づきまして加入の自由が罰則によって担保される、あるいは所管行政庁によって検査、命令等で裏打ちされているということがあるからでございます。

 審査に当たりまして、具体的にそういった団体であるかどうかにつきましては、各出願団体から団体の資格証明、それを証する書面あるいは設立根拠法の写し、そういったものを出していただきまして、主体適格を審査したいというふうに考えてございます。

鈴木(康)委員 私、想像するに、例えば、だんだん商売がうまくいってきた、これはいい商売だなとなってくると、やはり加入したいという人がふえてくると思うんですね、おれも一丁これをやりたいなと。

 だけれども、逆に言うと、もう既に加入している構成員の人たちからすれば、競争相手がふえるのは嫌だからなるべく入ってもらいたくないということになりますと、幾らいろいろ条件があっても、そこはすべて客観的な条件で加入の可否というものが判断されるかというと、いろいろな理由をくっつけて拒否したりするという、実際にそういうケースなんかが起こるような気がするんですね。

 そういうことにもきちっと、そういう状況も想定して対応されているのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

小川政府参考人 先ほど言いましたように、法律の根拠に基づきまして、根拠法におきまして正当な理由がないのに加入を拒み、加入につき現組合員が課された以上の困難な条件を課してはいかぬというふうになってございますので、所管省庁と連携をしながらきちっとその団体は管理をしていただくということになろうかと思いますし、我々も、先生が御指摘ありましたような点につきまして審査の中で気をつけながら当たりたいと思ってございます。

鈴木(康)委員 しつこいようですけれども、私、ここは結構大事だと思うんですね。

 例えば、じゃ、商標をとった後しばらくして加入要件を、ちょっとハードルを上げたりしたような場合、こういう加入条件を変更するということはあってはならないことというふうに理解してよろしいんでしょうか。

小川政府参考人 先ほど言いました、設立根拠法に基づきまして正当な理由がないのに加入を拒むとか、従来の組合員よりも不当に難しい条件を課したという実態判断の世界になろうかと思いますが、そういう場合に、トートロジーで恐縮でございますが、そういうふうに当たる場合には、それは加入の自由が保障された団体ではないという形になろうかと思います。

 それで、仮にそういうことで登録された場合に、登録要件が、団体適格が一つありますので、加入、脱退の自由が保障されている団体であることが要件になってございますので、利害関係者が登録要件、今言いました団体適格を満たしていないという理由でもって無効審判の請求の対象になり得る可能性があると思います。

鈴木(康)委員 そういう手続、もちろん団体の適格性が欠如してきたから無効審判の対象になり得るということは私も理解できるんですが、なかなかそういう手続というのは難しいと思うんですね。例えば、二、三の業者が何かその団体から拒否されている、これは不当じゃないかというときに、なかなか、そういうことに対して無抵抗になるような気がするんですね、一部の弱い業者さんですと。ですから、私は、そこの部分、加入条件の部分はやはり厳しく事後もチェックしていただく必要があるのではないかな、こんなふうに思います。

 それから、先ほど同僚議員からも、商標の登録について、専門家の支援のことについて質問があったんですが、弁理士の皆さんが今こういう商標についてのお仕事をされているわけですが、やはりどうしても、今全国に一律に弁理士の専門家の皆さんがいらっしゃるというわけではないんですね。

 今度の地域ブランドというのは、むしろ地方の方から商標を登録させようということでありますから、そこにちょっとギャップが出てくるので、今弁理士の皆さんも、例えば地方に支援センターみたいなのをつくって、そういうところにそごが生じないようにしていこうといういろいろな努力をされているんですが、弁理士の地方展開について、やはり国としても私は支援が必要だと思うんですが、その点についてお伺いしたいと思います。

小此木副大臣 先ほど長官もお答えをいたしましたが、現在弁理士は約六千名ということであります。しかし、平成十二年の弁理士試験制度改革等によりまして、この三年間で約千三百名増加しております。最近では弁理士が一人もいないという都道府県はなくなったということであります。

 加えて、都市部の弁理士事務所が地域にも支所が設けられるように日本弁理士会も会則を改正したことなどにより、現在、約二百四十の支所がありまして、弁理士活動の地方展開に寄与しております。しかしながら、御指摘のようにやはり都市部に集中しているということは、いまだにこれは変わらない事実としてございます。

 そこで、日本弁理士会では、商標制度に関して全国各地でセミナー等の普及活動を行うほか、弁理士に関する情報の提供や無料相談会の実施を行うための相談窓口を設置し、地域ブランドに詳しい弁理士の紹介などの相談に対応すると聞いています。さらに、弁理士会では各都道府県ごとに弁理士を指名するとともに、日本弁理士会本部では、これらの指名された弁理士のみでは対応が十分でない場合に、これをバックアップすべく都市部在住の弁理士を約三百名ほどリストアップし、地域ユーザーの弁理士ニーズに積極的に対応することとしており、地域団体商標制度の出願についても対応すると聞いています。

 特許庁においても、経済産業局を活用し、全国的に制度説明会を開催することとしておりますけれども、以上の日本弁理士会の取り組みとも密接に連携を図り、地方の活性化に貢献してまいりたいと考えています。

鈴木(康)委員 やはり地域によって便利、不便という差が生じないように、ぜひ弁理士会の皆さんと密接にその辺連携をとりながらやっていただきたいというふうに思います。

 時間も参りましたので、あと一点だけお伺いしたいと思いますが、先ほど江田議員からも御質問がございましたけれども、やはりこれは商標として登録させるだけではなくて、地域ブランドとして育てていくためにはその後の支援というのが非常に重要だと思うんですけれども、JAPANブランド育成強化支援事業、十七年度の予算で約十億三千万ですか、私は予算が非常に少ないなと思うんですね。しかも、先ほどおっしゃっていたように単年度でございますし、これは継続性と、あとやはり予算規模もふやさなきゃいけないと思うんですが、大臣、その辺の御決意をお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 私も鈴木委員と同じで、法案説明を受けていて、この場合はどうなる、あの場合はどうなるといろいろ聞きながら法案の説明を改めて受けていたわけでありますけれども、とにかくこれによってどんどん実績を上げていただきたい。認められるものがどんどんふえて、そして、それによって地域おこしあるいはまたジャパン・ブランドになっていく、それが地域の経済の活性化につながっていく、あるいは消費者のニーズにこたえていくということだろうと思っております。

 そういう意味で、支援するための必要な予算は大いに私は重要だと思っておりますので、この面での予算獲得についての御支援もよろしくお願いいたします。

鈴木(康)委員 私は基本的に非常にいい制度だと思いますので、これが生きた制度として活用されるように、今後もぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。そのことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高木(陽)委員長代理 続いて、菊田まきこ君。

菊田委員 おはようございます。民主党の菊田まきこでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私の地元、新潟県でございますけれども、この春、市町村合併が行われておりまして、平成十一年の段階では百十二の市町村があったんですけれども、これが来年の三月には三十五の市町村になるということで、まさに今大変革、大変化のときを迎えております。

 合併といいますのは非常にバラ色のようなことも最初は言われておりましたけれども、しかし、実際合併をしてみますと、まず町の皆さんが非常に戸惑うことは、町の長く親しんできた名前がなくなってしまうという、これに対する抵抗感、あるいは寂しさというものは実際本当に大きいものがございました。そんな中でも、特に小さな町村は、これから合併をして、町の名前がなくなったけれども、どういう生き残りをかけていくのか、町の名前がなくなったからこそ、これまでの伝統産業とかあるいは地場産業、地域のさまざまな技術というものを生かしながら、活性化、村おこし、地域おこしをやっていきたいということで、今これから元気を出していかなければならないというふうに思っております。

 そんな中で今回商標法の改正が行われるわけですから、私は、地域にとって、これが本当に地域の起爆剤となって夢や希望を与える、そういう改正にしていかなければならないということを願いながら質問させていただきたいと思っております。

 それでは、まず最初に、商標登録されることによって産地や地域団体にはどのようなメリットがあるのか、お聞きしたいと思います。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

小此木副大臣 おはようございます。

 今委員が御指摘になりました地域の皆さんの活力というものが本当に出てこれますように、私どもも一生懸命頑張ってまいりたいと思いますが、御質問では、地域団体商標の登録がされますと、団体の構成員以外の第三者が、団体から許諾を受けずにその地域団体商標と同一または類似する商標を使用する行為は、商標権侵害となります。地域団体商標の登録を受けた地域の団体は、商標権を侵害する第三者に対して、商標の使用の差しとめ等の請求をすることが可能となります。

 これにより、地域の団体は、みずからの地域のブランドの評価や信用が、いわゆるフリーライダーが出てくることにより毀損されることを防ぐことができ、より安定的な地域ブランド戦略を展開することが可能となり、競争力の強化、地域経済の活性化にも資するものと考えております。

菊田委員 それでは、これまで商標登録していなかった産地あるいは団体というものがありますけれども、なぜ登録していないのか、お聞かせをください。

小川政府参考人 商標登録をするかしないかというのはその主体のブランド戦略によるところが大きいわけですけれども、個々のケースによって違うかもしれませんが、模倣品の被害に遭ったこともないというために登録の必要性がないというふうに考えたところもあろうかと思いますが、一方で、現行の商標法にも事業者のニーズに十分対応できていなかった部分があったのではないかというふうに思ってございます。

 具体的に申し上げますと、地名と商品、役務名から成ります商標につきましては、全国的に知られている場合や、他の図形との組み合わせで使用する場合に限って登録を認める制度となってございまして、それより早い段階、発展段階におけるブランドを保護するには十分な制度になっていなかったという面があったのではないかと思います。このため、今回、地域団体商標制度を新たに導入させていただくこととしたわけでございます。

菊田委員 今回、商標法を改正しまして、より使いやすいもの、よりメリットのある効果を目指していくということでございますので、やはりこうしたメリット、それから新制度の概要というものをきちんと周知していかなければ意味がないというふうに思いますが、その周知に関しまして、これからどのように働きかけを行っていくのかということをお聞きしたいと思います。

小此木副大臣 大変大切なことでありまして、これはどの法案でも言えることでありますけれども、周知の徹底は、それぞれの地域にいろいろ専門家を派遣してしっかりとPRをしてまいりたいというふうに思っています。

 政府広報や特許庁のホームページを利用して積極的にPRをするとともに、特許庁やあるいは地域の経済産業局、こういったところと連携をいたしまして、全国の約二十の都市で説明会を開催したり、弁理士会等の関係団体を通じた全国規模での普及活動を行うなど、制度の周知のため、可能な限りの方策を講じてまいる所存であります。

菊田委員 できるだけ具体的な例を挙げて、細かな周知に取り組んでいただきたいというふうに思っておりますし、商標登録制度の存在そのものを知らないという産地も私はまだ多いのではないかというふうに思っております。これまでの取り組みも決して十分であるとは思いませんので、もっともっと積極的に、例えば地方自治体との連携をどうしていくのか、あるいは事業組合への直接的な働きかけはどういうふうに行っていくのか、積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それでは、続きまして、消費者の側にはどのようなメリットがあるのか、お聞かせください。

山本(明)大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 この法律は、先ほどからお話ありますように、地域の活性化というのが大変大きな目標の一つでありますけれども、やはり地域の活性化だけでなくて、一番大事なのは、それが消費者のためにならなければだめでありますから、消費者のためにどういうふうになるかということであります。

 余談でありまして申しわけありませんけれども、先ほどの鈴木委員のお話に三ケ日ミカンの話が大分出ましたけれども、私はその隣でありまして、豊橋なんですけれども、豊橋でも三ケ日ミカンをつくっていまして、これが今後どうなるかはわかりませんが、地域も隣ですから、三ケ日ミカンとして出せるだけの品物であればその団体に多分入れてもらえるでありましょうし、だめであれば恐らく入れてもらえないというふうに思いますけれども、もしそうなれば、いいものをつくろうというふうにもなるわけでありますから、そういった意味で、いいものが間違いなく手に入りますし、認定を受けた、承認を受けた団体が間違いなく生産者ですよということがはっきりわかるということが一番であります。

 そしてもう一つは、地域が、沖縄でつくっておって北海道で売るということはやはりあり得ないわけでありますから、北海道の名前をつけて沖縄の人がつくるということは、やはりこれは信頼性がなくなりますので、そういったものを、この商標があれば、間違いなくこの地域と関連のあるものですよということが言えるわけでありますので、消費者はその商標を見れば安心していいものが買える、こういうメリットがあるというふうに思います。

菊田委員 商標登録をされている商品というものは、消費者から見たら、これはまがいものではない、そしてこれは良質の、品質のいいものであるという判断をされるのではないかと思います。消費者は、商標登録を見て品質に対してもこれは保証されているんだというふうに判断するのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

小川政府参考人 したがいまして、今回、商標登録に当たりましては、商標中の地域名と商品あるいは役務との関連性を審査した上で、その関連性を担保するため、指定商品あるいは役務について、登録されたときに、どういう分野で、何についてということを限定して登録をすることといたしております。

 商標法といたしましては、商品あるいは役務の品質を直接保証するものではございませんけれども、登録を受けることによりまして、第三者によります不正なただ乗りといいますか、フリーライドを防止することが可能になりますので、安んじて、安心してみずからの商品、役務の品質向上に向けた努力あるいは投資といったものが可能になるのではないかというふうに期待をしているわけでございます。

 それから、産地あるいは品質を正しく表示しているかどうかにつきましては、基本的にJAS法や景表法などによりまして規制されているところでございまして、地域団体商標登録に至った事業者は、需要者から周知性を早い段階で獲得していくその段階、さらに、登録を受けた後においてもこれらの法令を遵守していかなければならないのは、当然のことであります。

 私どもといたしましては、私どもの地域団体商標制度の趣旨、性格というものを十分関係者に周知を図りたいと考えてございますし、関係省庁とも情報交換を行いながら、それぞれの法制度が役割分担をしながら、それぞれ的確に運用されるよう努めてまいりたいというふうに考えてございます。

菊田委員 JAS法や景品表示法との関連が出てくるということでございますね。

 地域ブランドのイメージを長く維持していくためには、品質の劣るものを除外したり、一定水準以上の製品だけにブランド使用を認めなければならないと思うんですけれども、登録時にそうした基準設定などの指導は行うのでしょうか。

小川政府参考人 今回の地域団体商標制度は、地域の事業者による努力の結果、その地域ブランドに対する市場の評価がどんどん上がってきて周知性を獲得し、そういった実態があることを踏まえて登録を行うものでございます。

 したがいまして、こうした地域ブランドの信用を高める努力というのは、国等が品質基準を設定してやる仕組みではなくて、さまざまな規制法の体系を守りながら、あくまでもその関係主体の創意工夫を凝らしていただきながら、自主的な取り組みとして高めていただくというのがいいのではないかというふうに考えたわけでございます。

 そうして、今回、地域団体商標の登録がなされることによりまして、地域ブランドに取り組む地域の事業者がフリーライドしてくる人たちを排除することができることになりますので、より安定的に、品質向上に腰を落ちつけた努力ができるのではないかというふうに思っております。

菊田委員 関連してお伺いしますけれども、事業組合に加入しているメーカーの間には、技術に格差があったり、外国産の原材料を使って安価な製品をつくっているメーカーと、純国産材料を使用して高価な製品をつくっているメーカーとが同じ一つの組合に加入しているという場合があると思いますけれども、このような場合は登録時にはどのような判断がなされるんでしょうか。

小川政府参考人 今回の制度の登録に当たりましては、地域名が商品の産地、役務の提供の場所であるなど、密接な関連性を有するということを求めております。具体的に、地域名が商品の産地あるいは役務が提供される地であるといったことのほか、製法の由来地あるいは主要な原材料の産地でありますとか、そういったことを考慮して審査を行うことといたしておりまして、出願人において、こうした地域と商品、役務との関連性についてきちっと立証していただくわけでございます。

 今御指摘のようなケースでございますけれども、組合の構成員の生産する商品の原材料や価格が異なる場合には、同一の商標のもとで商品の生産や販売を行うことがなかなか実態論としては難しいところがあるのではないかというふうに思いますけれども、団体において何らか共通する特徴をその中で打ち出していって、そのもとで、同じ商標のもとでそういった商品、役務が周知となった場合には、地域と密接な関連性を有することが立証された場合には登録が可能になるのではないかと思ってございます。

菊田委員 それでは、商標登録された後に、災害や何かやむを得ない事情によって、ある一定の期間、本来使用されていた原材料が全く調達できなくなる場合があると思うんですけれども、例えば、○○地域の何々ブドウを使ってつくられているワインが、その年あるいはその翌年、災害によってその産地のブドウを使うことができなくなった、したがって、やむを得ず外国から輸入したブドウを主原料として使うようになった。このような場合は、主要な原材料がブランドの価値に大きく影響を及ぼすというふうに私は思いますけれども、そういう場合、この商品は、商品と地域との密接関連性が失われた場合というものに該当するのでしょうか。

小川政府参考人 具体的な個別の細かな情報を得て判断することになろうかと思いますけれども、御指摘のとおり、登録後に商品と地域の密接関連性が失われた場合には、利害関係人は無効審判の請求ができる制度になってございます。このため、主要な原材料の産地として密接な関連性が認められている場合に、その産地と全く異なる産地の原材料を使用したときには、無効となる可能性はあろうかと思います。

 しかしながら、具体的な個別の事情を見ていかなければならないと思います。例えば、別の原材料の使用期間が万やむを得ず行われたケースであって、非常に短期間であった、無効審判を請求時点ではもう解消しちゃっているとか、そういった場合でありますとか、原材料は少し変わったかもしれないけれども、主要なプロセスが残っていてその主要プロセスに特色があるといったケースなんかもございましょう。したがいまして、そういったもろもろのことを考えて判断をしていくことになろうかと思っております。

菊田委員 それでは、ケース・バイ・ケースで行われていく、審査をされていくということになるかと思いますけれども、そういったことに対する具体的なガイドラインというものはできているのでしょうか。

小川政府参考人 今回御提案させていただいております制度につきまして、その運用の具体的な審査に当たりましての審査基準につきましては、関係者の意見を聞きまして、それから、案を固めてパブリックコメントにも付し、広く意見を求める、それから関係審議会の先生方にも御意見を承りながら、より具体的、明確なものを目指して審査基準をつくりたいと思ってございます。

菊田委員 それでは、周知性のことについて、先ほど先輩議員からも質問がありましたけれども、私の方からももう一度確認させていただきたいと思っています。

 周知性の要件も地域団体商標の登録要件として重要な要素を占めるわけですけれども、一定程度の周知性を獲得したというのは、どのような条件を満たすことなのでしょうか。複数都道府県に及ぶということでございますけれども、イメージとしては、大体、関東なら関東ブロックとか、東北ブロックとか、そういう地域ブロックごとのイメージでよろしいんでしょうか。

小川政府参考人 お答えから申し上げますと、関東ブロックでありますとか東北ブロック、そういった広がりよりも狭い範囲内でも、商品、役務によりますけれども、ある県がありまして、その隣あるいはその隣、ないしは両側とか、そういった場合でも周知になっている場合があり得ると思っております。

菊田委員 それでは、その周知度や消費者の信頼性を把握するのにどのような調査を行うのか、お聞かせください。

小川政府参考人 具体的な周知性の判断でございますが、先ほどもお答えいたしましたが、その商標がどれくらいの期間使われているか、どのような地域でそれが使われているか、それから、その商標が使われております商品や役務というのがどれだけ生産、販売され、または提供されているか、その販売地域、営業地域というのはどれぐらいの広がりになっているか、それから、広告や宣伝というのが具体的にどのように行われているか、何回ほど行われたか、その内容あるいはそういった地域の取り組みが一般紙や業界紙に記事としてどれだけ取材され、報じられたか。

 そういったいろいろな内容のものを出願人の方が提出されることになりますので、そういった材料をもとに総合的に判断をしたいと思ってございますが、できるだけ定量的にやりたいと思ってございます。限界があるところもあろうかと思いますが、なるべく定量的な判断をしていきたいと思ってございます。

 一般に、使用期間が長いもの、長ければ長いほど、また使用地域が広ければ広いほど、また販売数量が大きければ大きいほど、広告の回数が多いものほど周知性は高くなっているというのが一般的な考え方ではないかと思います。

 いずれにいたしましても、関係者の意見を踏まえまして、審査基準等におきまして具体的な内容を明らかにしていきたいというふうに思ってございます。

菊田委員 これは出願人が提出をするということで、特許庁が独自に客観的に調査をするということではないということでございますね。

 それから、全国的な知名度を獲得するには、先ほど大臣が夕張メロンには三十年かかったということで、私も大変びっくりしましたけれども、夕張メロン以外にも西陣織などいろいろありますけれども、これまで全国的知名度を獲得するのに平均どれくらいの年数がかかったのか、夕張メロン以外の例がございましたら、お聞かせいただきたいと思います。

小川政府参考人 申しわけございません。手元に、個々の登録商標、いわゆる全国的な知名度を得たために例外的に登録をされたというのは、これまでのところ、大体八十件ぐらいございます。それぞれについて、どれぐらいの期間がかかったのか、調べまして、後刻御報告させていただきたいと思います。

菊田委員 恐らく似たような年数がかかったのではないかなと想像するわけですけれども、それだけ年数がかかってしまいますと何のための商標登録なのかわかりませんので、今回の商標法の改正によりましてできるだけ年数がかからないようなことを望んでおきたいと思います。

 続きまして、商標登録の出願に当たっての主な手続をお聞かせください。

脇本政府参考人 手続についてお答え申し上げます。

 商標登録の出願に当たりましては、所定の様式に従いまして、出願人、登録を受けようとする商標、指定商品、役務などを記載し、かつ、所定の出願手数料を添えて特許庁に提出していただくことが必要でございます。

 出願の方法につきましては、書類を郵送もしくは特許庁に直接持参していただく方法、またはペーパーレスでオンラインによる出願が可能でございます。昨年の場合であれば、ペーパーレスでオンラインによる出願が全体の八三%を占めておるという実績でございます。なお、書類の願書の様式等は、特許庁のホームページから入手することが可能でございます。

 出願がなされました後、商標登録の要件を満たしているか否かにつきまして特許庁で審査を行い、その結果、登録要件を満たしていると判断されました場合には、登録料を納付していただきまして、設定登録が行われ、商標権が発生するという手続でございます。

菊田委員 そのような手続をするのに、事業組合や地域団体が直接出願することは現実には可能なのかどうかということをお聞かせいただきたいと思います。

 もっと言うならば、例えば二〇〇三年の商標登録出願件数のうち、弁理士を介して申請されたものがどれくらいあって、弁理士を介さずとも事業者が直接申請したものは何件だったのか、お聞かせください。

脇本政府参考人 お答えいたします。

 商標登録の出願は、出願人自身または弁理士等の代理人を通じて行うことができることとなっております。お尋ねの事業組合や地域団体につきましても、直接出願することは当然可能でございます。

 その際、出願人を支援するために、特許庁の関係部署を初めといたしまして、全国の経済産業局や独立行政法人工業所有権情報・研修館におきまして、きめ細かく出願手続に関する相談に応じております。なお、手続に関しましても、特許庁のホームページでも御案内しておるところでございます。

 それから、先生お尋ねの、二〇〇三年の商標登録出願件数のうち、弁理士を含む代理人を介しているものとそうでないものとの割合はどうなっておるかということでございますが、二〇〇三年の件数は、十一万八千件の出願がなされてございます。そのうち、弁理士を含む代理人を介して出願されたものは約八万件、出願人が直接出願したものは約三万八千件ということで、出願人が直接出願したものが三二%を占めておるということでございます。

菊田委員 先ほどから質問がいろいろ出ておりましたけれども、そうすると、現実にはなかなか弁理士さんを通さないとできないというような面があるのではないかなと思います。その弁理士さんが、全国に六千百二十三人登録されている方がいらっしゃるけれども、地域によってかなり偏在している、そういう現実をやはり変えていかなければならないというふうに思うわけでございます。

 都道府県によって全く弁理士さんがいない県はなくなったというお話ですけれども、それでも、例えば岩手県なんかは二人しかいらっしゃらないとか、山口県も二人とか、どちらかというと中国、四国ブロックなんかはかなり弁理士さんが少なくて、出願したくてもなかなかそれが遠のいてしまうという問題があるのではないかというふうに思っておりますので、先輩議員も質問されておりましたけれども、こういう弁理士さんが偏在しているという障壁をどのように取り払っていくのか。今までのような取り組みでは私は不十分だと思っておりますが、それについての御意見をお聞かせいただきたいと思います。

小川政府参考人 これからの取り組みでございますが、従来から行っております特許庁の委託事業にかかわります相談事業におきまして、ことしから、今年度からでございますが、地域の要請に合わせまして、従来から地元の弁理士さんにお願いをしていろいろな相談を受けたり派遣をしたりしていたわけですけれども、その地域のニーズに合わせて専門分野の方々を派遣できるようにする、お手伝いできるようにする、そういった形での全国からの弁理士の適切な派遣といったことをやろうと思ってございます。

 また、弁理士会におきましても、都道府県ごとに相談に対応する弁理士を指名されまして、日本弁理士会本部で指名された弁理士さんだけでは足りない場合には全国的にバックアップをする、都市在住の弁理士も三百名ほどリストアップをいたしまして、地域のいろいろな弁理士に関連するニーズにこたえていこうということで御努力をされていますので、こういった努力と相まって、我々、地域のいわゆる知的財産に関連するニーズにこたえていきたいというふうに考えてございます。

菊田委員 続きまして、商標登録するにはどれくらいの費用が必要なのか、お聞かせいただきたいと思います。あわせて、通常、弁理士さんにはどれくらいの費用が払われているのか、もしわかったらお聞かせください。

脇本政府参考人 地域団体商標も通常の商標登録出願と同様の料金でございます。商標登録出願のための手数料は、六千円に指定商品、役務の一区分ごとに一万五千円を加えた額でございます。商標権の設定登録を受けるための登録料は、六万六千円に区分数を乗じた額となっております。具体的には、例えば一区分の商品を出願する場合には、出願、登録の両費用を合わせて八万七千円が必要でございます。

 なお、これ以外の費用といたしましては、弁理士等の代理人を依頼する場合には、別途代理人手数料が必要となります。

 弁理士費用等に関する御質問でございますが、日本弁理士会が平成十四年十二月から平成十五年一月にかけて実施したアンケート調査によりますと、商標出願におけます弁理士の費用は、平均して、出願時が七万円、登録料納付時が一万円の、合計八万円となっております。また、拒絶理由が通知され、意見書、補正書を作成した場合には、それぞれ平均しまして五万円、四万円の費用が別途必要となっております。

菊田委員 ありがとうございました。

 商標登録に限らないんですけれども、特許庁全般に関してのことですけれども、例えば中小企業や小さな事業組合に対する費用負担軽減などの支援措置というのは行っていますでしょうか。

小川政府参考人 中小企業者に対しましては、今回新しく中小企業でお通しいただいた法律に基づく事業に関連します中小企業者、あるいは従来の中小企業三法に関連する事業に関連する知的財産の申請、それから、資力に乏しい、特にベンチャー企業なんかは、でき上がって間もないときにはなかなか苦労が絶たないものですから赤字企業が多いわけですけれども、そういった場合、それから、研究開発型の企業につきましては、特許料の減免について措置をとっているところでございます。

 大ざっぱに、まず出願のところ、審査請求、それから特許料とあるわけでございますけれども、審査請求のところと特許料のところにつきましては、中小企業に対して減免をしているという状況でございます。

菊田委員 それでは、時間がなくなってまいりましたので、最後にまとめてお伺いしたいと思いますけれども、登録審査に当たっては、現在何人の審査官で行われているんでしょうか。審査官一人当たりの審査件数というものがどれくらいであるかということと、それから審査官一人当たり一日にどれくらいの審査を行っているのか、平均で結構でございますけれども、お聞かせをいただきたいと思います。

脇本政府参考人 体制に関する御質問でございますけれども、商標登録出願の審査に当たっている商標審査官は、二〇〇四年度末時点で百四十八人でございます。

 一人当たりの件数ということでございますけれども、二〇〇四年におけます商標の登録査定及び拒絶査定などの審査件数は合計で約十二万七千件であり、これを審査官一人当たりに換算すると、一年間に約八百六十件ということでございます。これは、一日当たりに換算いたしますと、一人が四、五件ということになるかと思います。

菊田委員 それでは、最後にお聞かせいただきたいと思いますけれども、そういう意味では、審査の迅速化ということが言われている中で、この人員で十分なのか不十分なのか、人員の確保について今どのような認識をお持ちでしょうか。

小川政府参考人 現在審査をどれぐらいこなしているかというのは、先ほど部長から答弁させていただいたとおりでございますが、今回、私どもが制度を検討するに当たって、いろいろ実態を調べさせていただきました。いろいろな希望を聞いてまいりましたが、かなりの希望があろうかと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、今回の制度は、これまでの地域の取り組みによって一定の周知度、周知性を獲得した、そういったものが商標として登録されるものでございますから、これまでの努力の積み重ねというのが実績としてあるということでございますので、むやみやたらとたくさんの数が出てくるというふうには思っておりません。

 そういう意味では、数百件ぐらい初年度出てくるのではないかと思ってございますが、現在、毎年十二万から十三万件の商標出願がありますので、そういう中にありましては十分対応できると思ってございますが、その際、先ほど来申し上げておりますように、審査基準をきちっとつくりまして、それから、所要の研修を審査官に施しまして、またこういった地域団体商標についてはベテランの商標審査官を充てるとか、それから、部内でよく協議をしながら審査プロセスを進めていく、そういった実態面の努力によりまして、現行の体制でやっていけるというふうに考えてございます。

菊田委員 審査の迅速化をお願いしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河上委員長 次に、村井宗明君。

村井(宗)委員 民主党の村井宗明です。

 諸先輩方に引き続きまして、本日議題となっております商標法の一部を改正する法律案について質問します。

 なお、本日は民主党から五人が質問に立ち、私が四番目ということで、先に質問された先生方と重複したり似通ったりする質問もあるかと思いますが、お許しいただきたいと思います。

 今回のこの商標法の一部を改正する法律案は、地域経済の活性化、地方の中小企業の支援、あるいは地方の農林水産業や伝統工芸の活性化を支援するものだと思います。その目的から考えますと、どうして今まで制度ができていなかったのかと素朴に疑問を感じてしまいます。私は、昨年、平成十六年三月十九日、この経済産業委員会で、商工会議所法及び商工会法の質疑のとき、JAPANブランド育成支援事業を取り上げました。大変すばらしい事業だと思いまして、一層の推進を大臣にもお願いしたと記憶しています。しかし、肝心の制度は、それから一年以上経過した今、審議されております。本当に地方の経済を救うため、地方の商工業を立ち直らせるためなら、支援事業と商標制度の立ち上げが同時になされてもよかったのではないかなと思っています。

 まず、この点からお伺いいたします。平成十六年度から中小企業庁が推進しているJAPANブランド育成支援事業と同時にこの地域団体商標を導入すべきだったと考えますが、なぜおくれたのでしょうか。特許庁にお伺いいたします。

小川政府参考人 地域ブランドの取り組みの地域の中小企業あるいは農林水産業の振興にも関連した重要性というのは言うまでもないことでございますが、御指摘のとおり、JAPANブランド育成支援事業というのが十六年度からスタートしてございます。

 今回の地域団体商標制度というのは、先ほど来申し上げております、一定の範囲内で周知性を獲得した実態を有する商標を登録していこう、保護していこうというものでございますので、地域ブランドをつくって、またそれを育てる努力をしていった者が保護をされるという状況になってございまして、ある一定の時間が必要でございます。

 そういう意味では、JAPANブランド育成支援事業の結果、周知性を獲得した商標が出てくれば、逆に、この地域団体商標制度、来年の四月から施行させていただきたいと思ってございますが、乗りやすくなるのではないかというふうに思っておりまして、必ずしも導入が遅いということではないのではないかと私ども思っております。

 ただ、制度をつくるに当たりましては、昨年来いろいろ検討したわけでございますが、実態を調査したり、関係団体あるいは事業者、消費者の方々からも意見を聞きながら、また産業構造審議会で四回にわたり議論をさせていただきまして、そういう中で、今回、地域ブランド保護のあり方ということで結論を得ましたので、御提案をさせていただいたわけでございます。

村井(宗)委員 では、今回の改正案の内容について幾つか質問させていただきます。

 まず、地域団体商標の登録要件についてお聞きします。

 改正案の第七条の二第一項の関係ですが、地域団体商標の登録要件として、需要者の間に広く認識されているものという規定があります。何となく私たち議員にも当てはまりそうな規定ですよね。国会議員も、有権者の間に広く認識されている者でなければ、当選は難しいわけです。この広く認識されているかどうかを確認することはそんなに簡単ではないと思います。証明することもなかなか大変だと思います。

 そこで、特許庁にお伺いします。需要者の間に広く認識されているとは、具体的にどの程度の周知性、認知度を要件とするんでしょうか、また、その確認の方法、証明の方法はどういった手段によるものでしょうか、御説明をお願いします。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 一定範囲の需要者に認識される、すなわち一定の周知性を得ているかどうかにつきましては、商品あるいは役務の特性にもよりますけれども、例えば、隣接都道府県に及ぶ程度の範囲における浸透が必要であるというふうに考えているところでございます。

 具体的な判断に当たりましては、先ほど来お答えしておりますけれども、その商標がどれぐらいの期間使われたか、どの地域で使われたのか、その商標が使われております商品や役務がどの程度生産、販売、提供されているのか、その取引地域、販売地域、営業地域はどれぐらい広がっているのか、それから広告宣伝がどれぐらい打たれているのか、ないしはその地域の取り組みがどの程度報じられたか、そういったことを総合的に勘案して判断したいと思ってございます。

 その際、出願人の方からいろいろな資料を出していただきまして、できる限り定量的な把握を通じまして需要者への浸透度を推定したいと思ってございます。適切に判断をしていきたいと思ってございますが、こうした事項につきましては、関係者の意見も踏まえてさらに検討を行いまして、審査基準という形で対外的に明らかにしたいと思ってございます。

村井(宗)委員 できるだけ公平に、そして迅速に対応していただければと思います。

 同じく第七条の二第一項の関係になりますが、登録要件の一つに適格団体であることが規定されています。法人格を有する組合となっています。ところが、最近は、地方の町おこしや村おこしでNPO法人が活躍しています。また、中小企業庁が強力に推進している新連携、とりわけ新規創業やベンチャー支援においても、今国会ではLLP、有限責任事業組合が制度化されようとしています。

 そこで、特許庁にお伺いします。法人格を有する組合が適格団体とされていますが、町おこしや村おこしに取り組むNPO法人や新規創業やベンチャーとして期待されるLLP、有限責任事業組合は対象外とされる理由を御説明をお願いします。

小川政府参考人 まず、権利の主体となるためには法人格を求められている、これは知的財産共通の要件でございます。

 それから、これまで原則として認められていなかった地域名と商品、役務名から成ります商標というのは、本来、その地域で事業をやっておられる方皆さんが使いたいと思われる、使おうということでお考えになるようなものでございますので、従来、原則として登録が認められなかったわけでございます。

 したがいまして、今回認めるに当たりましても、地域ぐるみの取り組みと言える程度のものじゃないといかぬだろうということで、地域内で商品、役務の生産、販売、提供等を行っております事業者を構成員とする団体である、それを一つの要件にいたしました。

 それから、その際、地域で今までも自由に使えたわけでございますので、誰かが団体が登録したからといって急に使えなくなるというのもおかしゅうございますので、入りたい、一緒になってやりたいという人について差別的な取り扱いを行われると困りますので、それを行わないということが設立根拠法上担保されている、そういった組合に限らせていただいたわけでございます。

 事業協同組合等の団体になるということで、使用したい事業者は団体に加入すればいいことになろうかと思いますし、現実、昨年来いろいろ調査をしましたところ、地域のいろいろな取り組みにおきまして、事業協同組合といった事業者団体がほとんど主体となって取り組まれているようでございます。

 御指摘のNPOにつきましては、法人格はございますけれども、法律上加入の自由性の担保された主体にはなっていないということでございますし、LLPにつきましても、これはそもそも法人格を有しない組合になりますから、登録主体に含めないことにしたわけでございます。

村井(宗)委員 次に、第七条の二第二項に移ります。

 地域団体商標の登録要件に商品や役務と密接な関連性を有する地域名という規定が出てきます。この規定も、先ほどの広く認識されているという規定と同じように、非常に定義が難しいと思います。

 例えば、私の地元、富山でいうと薬、薬といえば富山、富山といえば薬というように、商品や役務が特定の地名に密接に結びついているかどうか、これをどこで判断するかというのはそんなに簡単でないと思います。例えば、帯広でいえば中川大臣、中川大臣といえば帯広というぐあいに、だれもが連想できるぐらいに密接な関連性ができ上がっているかどうか。

 しかも、商品の場合は、衆議院の小選挙区と違って、一対一の関係にはならないと思います。私の地元、富山県では、富山湾の深層水ブランドマーク事業を県のブランド認証制度として実施しています。ところが、静岡県でも駿河湾の深層水ブランドマーク事業を県のブランド認証事業としてやっています。同じように、例えば牛肉も、松阪牛もあれば山形牛も前沢牛もあります。ラーメンでも、札幌ラーメンもあれば博多ラーメンも喜多方ラーメンもあります。この近くでは赤坂ラーメンもあります。果たしてどこまでが商品と役務と密接な関連性を有する地域名と言えるのでしょうか。

 そこで、特許庁にお聞きします。商品や役務と密接な関連性を有する地名とは、具体的にどの程度の関連性を要件とするのか、御説明をお願いします。

小川政府参考人 地域名が商品の産地、役務の提供の場所であるなど密接な関連性を有することを要件にいたしておりますけれども、具体的には、その地域名が、商品の産地でありますとか役務が提供されている地域でありますとか、そういったもののほか、製法の由来地あるいは主要な原材料の産地である、そういったことを考慮して審査をすることといたしております。これにつきまして、出願人がこれらを立証するいろいろな資料を出していただいて審査をすることになるわけでございます。

 具体的な基準につきまして、関係者の意見も踏まえてさらに検討を進めまして、できるだけ具体的な審査基準を明らかにしたいと思ってございます。

村井(宗)委員 地域名に関連して、続いてお聞きします。

 地域名のカバーする広さの問題です。商品や役務と密接な関連性を有する地域名といっても、小さな集落だけを指す地名もあれば、幾つかの県にまたがる広い地域を指す地名もあると思います。地域団体商標の登録要件としての地域名では、その対象とする範囲をどのように考えていますでしょうか、御説明をお願いします。

小川政府参考人 地域の大小についてのお尋ねでございますが、今回の制度におきましては、登録可能な地域名につきまして、その大小について特段の要件を設けておりません。その商標の周知性、あるいは地域と商品、役務との密接な関連性、そういった登録要件を満たしている限り、登録を受けることが可能になります。したがいまして、御指摘のような広い地名であっても、そのことをもって登録できないということにはならないかと思います。

 しかしながら、一方で、現実的には、地域名がいたずらに広いものである場合には、その商標を需要者が受け入れて周知となるかどうか、あの地域の何というふうに受け入れられるかどうかというところがございますので、受け入れにくいのではないかというふうに考えられます。地域と商品、役務の密接な関連性も、その結果、なかなかつかなくなる可能性もあるのではないかというふうに思ってございます。

 いずれにいたしましても、商標中の地域名と商品、役務との関係につきましては、具体的な事例に則しましてその密接な関連の有無を判断します。そのための審査基準をできるだけ具体的にしたいというのは、先ほどお答えしたとおりでございます。

村井(宗)委員 地域名について、もう一点お聞きしたいと思います。

 現在の住居表示に使用されている都道府県名、郡、市、区、町、村名、これ以外にも地名として通用している地域名があります。例えば、東京でいえば下町とか山手、さらに、最近では湾岸のことをベイエリアと呼んだりします。また、昔から使われていた古い地名も使われたりしています。例えば江戸、地下鉄の名前や温泉の名前に使われています。そして、最近は市町村合併によって南アルプス市ができたり、西東京市ができたりしています。

 そこで、特許庁にお伺いいたします。地域団体商標の地域名については、現在使用されている都道府県名や市町村名だけではなく、昔の地名とか、ある一定の範囲を昔から呼んでいる地域名が想定されますが、商標としての考え方をお伺いします。

小川政府参考人 地域団体商標におきます地域名につきましては、都道府県、市町村といった現在の行政区画の名称だけではなくて、越前とか越中とか信州といった歴史的な地名等も含まれているというふうに考えております。こうした古くから用いられております地名が商標中に使用されている場合にも、その商標が商品、役務と一緒になって周知性を有しており、それから、その歴史的な地名で示された地域と商品、役務との間で密接な関連性がある、そういった場合には地域団体商標の登録を受けることができるというふうに考えております。

村井(宗)委員 今の関連質問なんですが、例えば都道府県を超えるような広いエリア、北信越だとか東北とか、そういったものはどうなるんでしょうか。

小川政府参考人 北信越とか東北でどういう具体的な商品、役務というのを思いつかないわけですが、仮にそういった形の地域の方が大同団結されて、特定の商品、役務というものと結びつけて、その地域名と合わせて周知性を獲得できた場合には、ほかの要件を満たしておれば登録することもあり得ると思っております。

村井(宗)委員 今回の法案では、地域団体商標には地域名が必ず必要となってきます。地域の特産品や伝統工芸品を保護育成していくためには、この地域名との密接な関連性が重要だということはよく理解できます。ただ、一〇〇%地域名だけでカバーできるのかどうかという疑問も残ります。地名ではなく、最初に発明、発見した人物の名前やその地域を代表する歴史上の人物名、あるいは最初につくり始めた時代の年号や都が置かれていた歴史上の時代の呼び名をかぶせた商品名も存在します。

 この点を特許庁にお聞きいたします。地域名ではなく、商品や役務と密接な関連性を有する人名や年号を組み合わせた特産品も想定されますが、対象外とされた理由をお聞きします。

小川政府参考人 今回御提案させていただきましたのは、地域振興という観点から、地域の名前とそこの地域の特性を生かした商品、役務、それを結びつけた商標についてどう保護をするかということでやったわけでございます。と申しますのは、そういった商標は、その地域で事業を行っておられる方はだれもが使いたいと思われる商標でございますので、原則として登録をしないということだったわけですが、それを例外的に今回登録をしていこうということで制度を御提案させていただいたわけでございます。

 今御指摘の人の名前とか年号とか、何かそういうことを組み合わせしてブランドをつくっていくということも当然可能でございまして、それはそれとして現行の商標法で認められる世界であるわけです。

 今回のものは、前から言いましたように、地域あるいは商品名、役務名との組み合わせというのが従来原則としてできなかったものですから、それについて新しい制度を御提案させていただいたということでございます。

村井(宗)委員 次に、時間の問題についてお聞きしたいと思うんです。

 例えば、我々が役所に行った場合、何かを、申請を出したけれども二、三カ月待たされるということは、非常によくある話なんです。特許庁においては、今回の地域団体商標が実際に出願された場合、登録から審査までをどのぐらいの日数で処理する計画なのかをお伺いいたします。

小川政府参考人 現在、商標につきましては、出願をされてから審査結果の最初の通知が出願人の方に発送されるまでの間、ファーストアクション期間と我々申しておりますが、平均が約六カ月でございます。地域団体商標につきましても、同様に、審査の結果何らかの拒絶理由が見当たらない場合には、平均で出願から六、七カ月で登録を受けることが可能ではないかというふうに思っております。

村井(宗)委員 さて、その六、七カ月というのは非常に短い時間と言えるでしょうか、長く感じますでしょうか。ちょっと時間が余ったので、大臣もしくは副大臣、六、七カ月というのは短いでしょうか、長いでしょうか。

中川国務大臣 昨年ですか、特許のときに御議論いただきました、いわゆる待機待ちがもう何十万件もあるという状況を打開するためにスピードアップの御議論をいただきまして、任期つき審査官というものをお認めいただきましたけれども、六カ月というものが、それだけの実務的作業としてかかるということであれば、ある程度やむを得ないのかなとも思いますけれども、たまりにたまってということであれば、これはやはり早くするにこしたことはございません。

 いずれにしても、そうでなくても出願した人は一日も早くイエス、ノーを待っていると思いますので、六カ月かかるんだから六カ月でいいんだということではなくて、早くできるものであれば早くするというのが行政サービスの今求められていることの一つだろうというふうに思っております。

村井(宗)委員 今の大臣の御答弁に基づいて、もう一度特許庁にお伺いします。より迅速にするための取り組みや、こうしていこうとかいう御決意をお聞かせいただければと思います。

小川政府参考人 現在、商標出願は年間平均しますと十二、三万件出ております。先ほど申し上げました六、七カ月はかかっておりますが、その六、七カ月ずれて全部こなしているという状況でございます。

 今大臣から御答弁いたしましたように、できるだけそれを早くやることにこしたことはありませんので、そのため、審査基準をできるだけ具体的に明確なものをつくる、それから所要の研修を審査官に施す、それから、審査に当たる審査官と周りの関係者で、部内でいろいろ意見交換をしながらさまざまな審査を進めていく。そういったことを工夫しながら、少しでも短い期間で登録手続、審査の手続が完了するように努力したいと思っております。

村井(宗)委員 十二から十三万件出されているということなんですが、その中で、それを処理するための人員や事務体制の整備、そういったものをもっと拡充しなければならないと思うんですが、どうお考えでしょうか。

小川政府参考人 現在、商標の審査官は百四十八名働いております。その審査官が今申し上げた数字をその期間でこなしているというわけでございます。

 今回、新しい制度を導入いたしまして、我々実態調査をした感じでは、かなり地域の御希望あるいは関心が高いということであるわけでございますが、今回の制度が、一定の商標を使い込んで周知性を獲得した段階でその実績に基づいて登録をされる、実態に基づいて登録をするという制度でございますので、そういう実態、実績があって初めて出てくるものでございますので、急激に大量の出願がなされるというふうには考えていないわけでございます。

 それでも初年度は年間数百件ぐらい出てくるのではないかと見込んでおりますが、今の処理体制、処理の件数からいきまして、先ほど言いました工夫を凝らしていけば、現行審査官の体制でやっていけるのではないかというふうに思っております。いずれにしましても、できるだけ迅速に審査をしていきたいと思っております。

村井(宗)委員 さて、役所に資料を出す場合、よく言われることがあるんですね。でっかいと書類、何枚も同じものを書かされることがあると。そこで、今回のこの出願に当たっては、おおよそ何枚ぐらいの資料を提出しなきゃならないんでしょうか。特に、どれだけ周知性を認知しているというものが、資料は物によって違うと思うんですが、それを省いたとすれば、大体どのぐらいの分量の資料を提出されるんでしょうか。お聞きいたします。

小川政府参考人 商標登録の出願のいわば願書というものは、一枚でございます。

 先ほど来、登録の要件になっておりますいろいろな要件がございますので、それを出願人の方が立証するということで、自分たちがそういう要件を満足しているんだということをできるだけ彼らは立証しようとしますので、その結果どれだけの量が出てくるかというのは、その出願人の方に依存するということでございます。

村井(宗)委員 今一枚とおっしゃられましたけれども、その一枚以外に多分いろいろな登記の資料とかいろいろつくと思うんですが、本当に一枚だけだとしたらもっと迅速に処理できると思うんですが、その辺はどうなんでしょうか。

小川政府参考人 今、私の答弁がまずかったのかもしれませんが、御答弁しましたとおり、願書それ自身は一枚でございます。出願人がだれだ、どういう商品に、どういう地域でとか、そういうことを出すわけですが、登録要件を立証する資料を出願人の方がいろいろ集めてそれに添付したり追加的に出されたりするということで、逆に言えば、たくさん出していただければ審査しやすいという面もありますので、そこのところは出願人の方がどういう立証をしていきたいのかということによるということで、出願人の方に依存すると申し上げたわけでございます。

村井(宗)委員 それでは、最後に大臣にお聞きいたします。

 今、特許庁の方々とやりとりさせていただいたとおり、中小企業支援の立場からいいますと、いつも申し上げていることですが、制度をつくっただけではだめだと思うんです。広く、そしてわかりやすく周知徹底することと、利用する人の立場に立った手続の簡素化と迅速化が必要だと考えます。中川大臣の御所見をお願いいたします。

中川国務大臣 結論的には村井委員の御指摘のとおりでありまして、そもそもこれは、新産業創造戦略に位置づけられております地域おこし、地域産業の活性化、そしてまた新たなチャレンジということに資するためにやっているわけでありますから、答弁の中で、これから検討、これから検討という答弁が比較的多かったのではないかと私も思っておりますけれども、私は、できるだけ前向きに、そういう目的に沿うようにするためにどんどん出してもらいたい。そして、私としてはできるだけ前広に商標権が設定できればいいなと思っておりますけれども、そこには、もちろん法律に基づく手続でありますから、きちっとしたものがなければいけないわけでございまして、そういう意味で、これからいろいろな実務上の作業というものをきちっとして、その上で、御指摘のようなスピード、あるいはわかりやすさというものが実現できるようにしたいと思っております。

 いずれにしても、先ほども申し上げましたように、これだけセミナーをやりました、説明会をやりました、パンフレットをつくりました、広報をしましただけでは、発信する側だけの都合でございますので、全国津々浦々の方々に、ああ、こういうものがあるんだ、こういうものによって権利保護がされるんだということで、インセンティブになるために、しっかり相手側に情報と目的が到達できるように、法案が成立した暁には全力を挙げて努力をしていきたいというふうに考えております。

村井(宗)委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

河上委員長 次に、高山智司君。

高山委員 民主党の高山智司です。

 きょうは、地域ブランドということですけれども、地域ブランドというと結構格好いい感じがして、非常にいい法案だなと思うんですけれども、こういうものにも大抵落とし穴があったりするので、そういうところをまた、細かいところも聞いていきたいというふうに思っております。

 まず、これは大臣に、一番簡単なところからですけれども、失礼、訂正いたします、一番基本的な、重要な中心部分というところですけれども、この法案が出てきた背景と、この法案で要するに何をやりたいのかというところを簡潔にお願いします。

中川国務大臣 簡単なのでお答えさせていただきますが、重複になりますけれども、やはり新産業創造戦略というのは、全面で、世界の中で勝ち抜いていくための、例えばロボットとか燃料電池とか、情報家電とかコンテンツとか、それももちろん大事でありますけれども、全国津々浦々にある大事なもの、あるいはまた掘り起こさなければならないもの、そしてそれによって地域経済が活性化していくもの。先ほど、年代とか歴史上のその地域にゆかりのある人物とか、そういうものもいいのではないかという御指摘がありました。私は、趣旨からいえば、そういう御質問も実はなるほどなと思って聞いていたわけでありますけれども、そういうものを、地域にあるものを生かして、ある意味では、その地域の伝統文化を守る、そしてそれによって産業としても興していくということ、これが地域活性化の一つの大きな柱になっていくんだろうと思います。

 そういう意味で、既に確立しているものでも、全国ブランドになっていないから現在の商標権の対象にならないというものを、ある程度の範囲があれば、組合が申請をすればという条件つきで緩やかにやっていくことによって、地域としてのブランドイメージを高めていく。もちろん、ブランドというのは、これはお客さんの方がある意味では判断するものでありますけれども、消費者ニーズにかなうようなブランドの権利保護、あるいはまたこれからやっていくものに対しての権利保護がきちっと守られるということが、これからやっていく上でのインセンティブになっていくというふうに考えております。

 そういう意味で、ぜひこれを大いに活用していただいて、守るべきものはきちっと守り、そしてまた、これからやっていこうとしていく人に対しても、きちっと自分たちの権利が守られていくんだということをもって、冒頭申し上げたような目的達成のためのインセンティブにも大いになりますし、権利保護にしたいというふうに考えております。

高山委員 今回のこの商標法の改正で、権利性も強化されるというか、権利が付与されるということでやる気が出るじゃないかということで、それは非常に結構なことだと思うんですけれども、先ほど大臣がおっしゃったように、ブランドというのはお客さんが、ああ、いいねとか、悪いねとか判断するものだと。しかも、現行の商標法ではなくて、今回、地域ブランドで特にローカルながらも認められるものというのは、例えば肉だとか野菜とかそんなような、農産品だとか、要するにプロダクツとしてできてきてラベルがきちんとあるというものよりは、それはもう今の商標法で登録すればいいわけですから、大間のマグロとか関サバとか、何か魚だったり肉だったり、なかなかシールなんかを張りにくいようなものを保護するというようなつもりだと思うんです。

 そういうものに関して、農水副大臣の方に伺いたいんですけれども、これはそもそも、そういう農産物なんかの表示に関して、日本の場合は、JAS法で保護できると思うんですけれども、これはJAS法で、例えば原産地どこどことか、あるいはどこのリンゴだとか、あるいはどこでとれた魚だとかということはまだ保護されていないんですか、今。

岩永副大臣 JAS法において、名称と原産地の表示は義務づけを行っております。

高山委員 これはちょっと中川大臣に伺いたいんですけれども、消費者の側から見れば、そこの、例えば関サバとか書いてあったというのを買いたいなというので行くんですけれども、別に、ぱっと見て、佐賀関でとれたサバですというふうに表示があれば、それで足りるんじゃないんですか。これは、わざわざ地域ブランドということで、とりたてて、現行の商標法で、例えば絵柄を入れればもう十分認められる。でも、絵柄もなくても、関サバなりあるいは大間のマグロなり、そういう名前そのものをもう保護していこうということですよね。これはJAS法で十分なんじゃないんですか。

中川国務大臣 ですから、JAS法というのは、原産地表示というか、これは不当表示防止法とも重なってくるんでしょうけれども、例えば大間のマグロとか関アジ、関サバといったものは、どこでとれたものか、それから、これはJAS法とは違うもっと厳しい部分として、私、ちょっと関係したのでお話ししますと、米については、産地、年産、それから銘柄、三つを表示しなさいということを、これは農水省の方で決めて、業界の方もそれをきちっと守っているわけであります。

 他方、ちょっと話が脱線ぎみになりますけれども、昔、最上川沿いである農産物をつくって最上何とかというふうに書いたら、もとのところからクレームがつきまして、モガミというのは漢字で書くと最上(さいじょう)になっちゃうから最上(さいじょう)何とかになるじゃないかといって実は裁判になったことがございます。しかし、最上は最上で、昔からのこれは地名でございますから、最上を譲ることはできないということでかなりトラブったことがございますけれども、最終的には和解が成立して、これは肉なんですけれども、最上何とか牛というのに振り仮名を振って最上(もがみ)と書いたということもございました。

 なかなかこれは難しいんだと思います。特に農林水産物になると難しいんだろうと思います。どこの海でとったかということと、どこの船がとったかということと、どこで水揚げをしたかということで、それぞれ、本当は厳密に言うと同じというか違うというか、混同になります。

 それと今回の商標法の話は、あくまでも商標権という広い意味の知的財産権を守っていこうという意味でございますので、高山委員も私も多分共通認識だと今思いましたけれども、ブランドというのはお客さん側が判断するもの、そして、権利者として、つくる側、出す側から見て、その権利というものを守らなければいけないというものに対して守っていく知的財産権としての位置づけが商標権だというふうに理解をしております。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

高山委員 いや、大臣、だから、JAS法でこういう表示ですよ、あるいは、先ほどのお米の話もありましたけれども、こういう製法でつくられたこういうお米でございますとか、あるいは有機JASなんというのが最近ありますけれども、こういう製法でつくられた野菜です、これがわかって、それなら十分であって、わざわざ埼玉どこぞのブロッコリーとか大間のマグロだとかということまで、本来商標は、全国で認められるぐらい非常に品質もよく有名なものでしかできなかったのを、北海道なら北海道、あるいは関東の一部なら一部ということでも認めるという、これは特例みたいなものですよね、地域団体ブランドというのは。そういう、特に、JAS法でもひょっとしたら保護できるかもしれないんだけれども、上乗せ的に今回はやろうということなんですか。それとも、これはやはりJAS法ではちょっと保護が足らぬなということだったんでしょうか。

中川国務大臣 ですから、JAS法上は原産地を表示しなければいけない。全然ブランド性のない北海道の私の地元の何かの農産物であっても、これをどこかの有名なところの名前を出しちゃいけない。あるいはまた、スーパーへ行くと、単体のものについては必ず、原産地がどこどこ、国でどこどことか、あるいはまた栃木県のイチゴとか、いろいろ書いてあるわけであります。

 これは、単体の農産物として産地を表示するということと、今回の商標権という、自分の権利として出願をして認められるものというものとはおのずから性格が違うものでありまして、その商標権の守るべき法益というものは、やはりそれを出願して認められることによるメリットというものを当然出願者は考える。だからコストも払う、時間もかけるということになるわけでございますので、それと、単なると言っては失礼ですけれども、産地表示とは別の次元のものだというふうに私は理解をしております。

高山委員 いや、確かに大臣の言うことはそのとおりなんですけれども、要するに、産地がきちんと表示されていてそこにうそがなければ、内容がよければ、それは自然とどんどん有名になる可能性というのはあるわけですよ。

 それで、現在商標法がない国ならいざ知らず、もう商標法はあるわけですよね。本当は、全国的に有名になった夕張メロンみたいに、頑張ってやってくれたところを認めるというのはわかりますけれども、今回は、その要件を大幅に緩和して、周知性が一部地域に限られていてもいいんだということでこれは認めるわけですよね。だから、これは、現在商標法がないんだったら今の大臣の説明はわかりますけれども、現在もう商標法があって、それで、例えば関サバだったら、今度は魚がはねているみたいなシールをつくってそういうのをぺたぺた張るとか、そういう努力をされているところもあるわけですよ。そういう行き方をされる漁業組合だ何だとある中で、わざわざ地域ブランドだということで上乗せした理由というのは何ですか。

中川国務大臣 ですから、夕張メロンの場合には、全国的なブランドとして、そしてしかも守っていかなければならないということで、商標として権利を申請し、時間がかかって認められたわけですね。JAS法、それから両方ともかかわってきますけれども、不当表示の問題というのは、それがとれた場所についての事実関係を表示しなさい、事実を情報提供として最低限、消費者が求める、この海産物は一体どの国でとれたんだろうか、例えばサケ・マスであればノルウェーでとれたのか、チリでとれたのか、あるいは日本でとれたのかということを消費者は知りたい、それにこたえていかなければいけないという最低限の情報提供であって、商標権というのは、守るべき権利があるから先ほど申し上げたように申請し、またこういうブランドのものを消費者が求めるというさらなる付加価値というものを、お互いにというか、特に確立されたブランド、あるいは消費者が求めるブランドというものは、極端に言えば高くても売れる、あるいはまたにせが出てきやすいということになりますので、おのずから、似ているようで、その守るべき法益というものは私は違うというふうに理解をしております。

高山委員 いや、大臣、守るべき法益が違うこともわかっておりますし、商標法とJAS法の制度趣旨の違いを聞いているんじゃなくて、もう商標法もあるのに、どうして、さらに上乗せするよというか要件を緩和する形でこの地域ブランドということをしなきゃならなかったのかと。それは、例えばJAS法が十分あるわけだから、きちんと、ここの青森のリンゴというのはおいしいんだなということがみんなにわかってくれば、それは自然とブランドとなるはずであって、それをわざわざ要件を緩和してやった理由は何なのかなということを伺ったんです。

中川国務大臣 ですから、それは地域おこしのためのインセンティブということで要件を緩和したということです。

高山委員 要件を緩和したというのはいいんですけれども、次にちょっと、本当にこれは権利性を持たせて、その持った団体が訴権を持っていくという形がいいのか悪いのか。いい面もあると思いますけれども、この権利の主体ですけれども、先ほどから、権利の主体は組合で、農業組合だとか漁業組合だとか、そういう話をされていますけれども、岩永副大臣なんかは当然御存じだと思いますけれども、今全農とかがすごい問題になっていますよね。そういう、本当に地域の農民の方が頑張って、例えば秋田のお米というのを非常においしくしていこうと頑張っている、だけれども秋田の全農というのはちょっといまいち信用できないな、こういうときに、その地域ブランドの主体となるのが、既存のこういう農協だとか漁協だとか、こういうところで果たしていいのかどうか。ちょっと岩永副大臣にまず伺いたいんですけれども、農村振興という点からも。

岩永副大臣 私は、今、中川大臣がおっしゃったように、それぞれの産地のネームバリューを上げて、そしてそれを普及していくことのために大変大事だと思っていますし、そのことがより生産者の大きな励みになるのではないか、このように思っております。

高山委員 ちょっと岩永副大臣、私の質問は、農協ですとか漁協ですとか、そういう既存の組合が、実際の農家の方、漁師の方、そういうのから余り信頼されていないんじゃないか、要するに、関係が余りよくないんじゃないかというところも多々あると思うんですよ。ですから、今、省内でプロジェクトチームなんかも立ち上げられていると思うんですけれども、そういう既存の団体に商標を与えて、例えば秋田でせっかく有機栽培でお米をいろいろつくっている方なんかがいて、それは当然、当然ということはないでしょうけれども、憶測するに、農協の幹部なんかと仲が悪かったりして、ではおまえのところは排除だというふうになる可能性もありますよね、今の体質のままだと。そういう、既存の農協だったりあるいは漁協だったりがこの権利の受け手となることに関して、岩永副大臣はどうお考えですか。

中川国務大臣 商標法は私の法律ですから、岩永副大臣に答弁を求めるのはちょっとあれなので、多少両方知っている私からお答えさせていただきますと、これはあくまでも商標法の世界であって、それについては、高山委員も御承知のとおりだと思います。それと今回の全農の事件とは切り離して考えていただきたい。これは何も、経済産業省所管のところでも起こり得る、起こってはなりませんけれども、起こり得ることでございますので、農協、漁協の組合員と組合との信頼関係についての御質問であれば副大臣からの御答弁ということになりますけれども、商標法における組合が前提になっているということの御趣旨というものは、これは私の所管でございますので。

高山委員 ではちょっと質問を変えますけれども、これは当然、魚だとか野菜だとかこういう農産品の振興、あるいは地域振興に今回の地域ブランドは非常に役立つと思うんですけれども、農水省の方としては、これが成立した後、どういうような支援策といいますか、これをうまく利用してやっていこうというのは、何か考えられていることはまずありますか。なければないで、もちろん結構ですけれども。

岩永副大臣 先ほどの中川大臣の御答弁に関連してなんですが、全農の今回の問題については、我々しっかり取り組みます。そして、やはり農業改革のために、そののど首を握っているのは全農でございますので、これが生産者のためにならなきゃ困るということでございますので、今回、秋田の問題が出ましたけれども、これは秋田の検査だけではなしに全国の県本部の検査を徹底しながら、こういう腐敗体質がないようにひとつしていきたい。そしてまた、全農というのと農協というのとごっちゃにしないでほしいと思うんですが、案外地域の単位農協というのはしっかりやっているわけですね。そして、そういう状況の中で、生産者とうまく結びついて効果を上げている。またそれをよりよく上げていかそうというのが今回の基本計画の見直しの改革でございますので、その点については頑張ってまいりたいと思います。

 それから次に、農水省としては、地域ブランドの振興の重要性を踏まえて、ブランド確立に向けた関係者の意識の醸成というものをやはりきちっとしていきたい。そのことのために研修だとか人材育成等を考えていきたいということと、それから、ブランドを高めて支えていくための技術開発、これはやはりうちでしなきゃならぬのじゃないかというようなことでございますので、技術開発への助成等も考えていきたい。

 それから、商標を含む知的財産権の取得の推進として知的財産マニュアルというものをつくって、そして、それの普及をしていきたいというようなことで予算措置も講じていきたい、このように考えております。

高山委員 今、農水副大臣の方から、既存の農協や漁協は非常にしっかりやっているところが多いと。確かにそのとおりだと思うんですよ。だけれども、今の組合だったりが本当に主体となることが適切なのかどうかということに関しては、少し疑問があると思います。

 例えば、この法案を見ますと、その他の事業協同組合なんかも主体になれると書いてありますけれども、細かいことなのでこれは事務方の方で結構なんですけれども、これは例えばどういうものなんですか、農業組合とか漁協以外の。

小川政府参考人 中小企業等協同組合法に基づきます事業協同組合とか小組合、あるいは、私どもの所管でいいますと、中小企業の団体法に関連します商工組合、それから商店街振興組合法に基づきます商店街振興組合、それから輸出水産業の振興に関する法律の輸出水産業組合、そういう特別の法律で根拠を持つ組合を考えております。

高山委員 これはちょっといろいろ調べましたら、この組合というのは大体、最低四名からつくれるそうなんですよ。監督官庁の許認可さえ受ければできるということなので、例えば、では今から、地域ブランド、商標法というすごくいい法律が通ったので、ぜひこれを利用して、今から組合を四人でつくってやっていこうというようなことも当然可能になるわけですよね。

 そうすると、例えば秋葉原の中で、秋葉原ゲームとかというのをもう普及させちゃおうということになって、秋葉原ゲーム組合とか、こういうのを勝手につくってやることも可能なんですか、これは長官に伺いたいんですけれども。

小川政府参考人 組合を法律に基づきまして設立いたしまして、組合事業としてそういった事業に取り組むということはできると思います。

 その結果、市場において需要家の間で周知性を、その組合の商標、その提供する役務ないしは販売する商品との一緒になった商標がどの程度需用者の間で周知になるかということで決まってくるんだと思いますね。

高山委員 そうしますと、この法案が通った後で、新たに、よし、ではこのところで新しく自分でもう地域ブランドをとっちゃえということで、事業組合をつくって、それで事業を始めて、それこそ秋葉原ゲームとかいうのを売り出したりすることは、これは可能ということになりますよね、大臣。

中川国務大臣 ですから、それが地域、地域というのは、別に秋葉原も地域という意味で、それをやってもらいたいんですよ。組合がどんどん、守りたい、売りたい、要するに商標をとっても売れなきゃ単なるコスト倒れですから、やってもらいたいんです。

 ですけれども、そのときの商標権を獲得するためには、周知性とか加入についての制限を設けてはならないという一枠をはめないと、単に自分たちだけでやって、そしてもうかって、あとは排除しちゃうということになるとこれまたいろいろな弊害が出てまいりますので、そういうことがないという前提でどんどん組合を、新しくつくっても結構です、今の組合でも結構ですから、地域の、地場の産業をどんどん振興してもらいたいというのが私の希望であります。

高山委員 いや、大臣のおっしゃるとおりです。これは普通のケースで考えれば、非常にそういうのが多いと思うんですよ。よし、ではうちの町でもそういうのをつくって、どんどんみんなでやろうと。だけれども、これは目端のきく人だけがさささっと先行利益のようにやってしまう可能性も否めないなと思います。

 だから、例えば、マグロで有名な、大間マグロのところには漁協が二つあって、青森の大間町の中に漁協が二つあるんですよ。それで、さらに北海道側の方にも漁協があって、みんなあそこでマグロを一本釣りで釣っているらしいんですよ。そうすると、同じマグロを釣っているわけですよね。それで、もし、では大間マグロというのを認めようじゃないかとなったときに、漁協というのは大抵隣と仲が悪いんですよ。大間の漁協と荒川の漁協がけんかするということはほとんどないと思うんですよね、争いがないから。だけれども、漁業権で、ここまでがうちのだ、ここまでが何だといって、常にやはり隣の人とけんかしているので、例えば、これは大間が本当にけんかしているかとかいうことではなくて、どっちの漁協に与えるかというのは非常に重大な問題になってくると思うんです。例えば片一方が、では、規模が大きいからということでとってしまった、そうすると、もう片一方の方はその商号が使えなくなってしまうということになりはしないか、あるいは先使用ということだけになってしまうのか、その辺をまずちょっと長官に伺いたいんです。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

中川国務大臣 大間のマグロというのは大間というところでとれたマグロであって、しかもブランド化したんですね。関アジ、関サバというのは、豊後水道を通る関アジ、関サバであって、反対側の愛媛県の漁協でとったものも、同じものをとっているんです。でも、残念ながら、そこが何とか漁協かちょっと私、今思い出せませんけれども、そこで関アジ、関サバとは実は――これはちょっと例が正確じゃないですね、関というのはあそこの関のことをいいますから。

 しかし、愛媛県側でとったものは関アジ、関サバとは名乗れないようになっているわけですね。ブランド価値が全然違っちゃっているんです、同じ魚なのに。では、大間の場合に、同じものをとって、大間と隣町の何とか町の漁協で何とかマグロと大間マグロとやったときに、なぜこんなに値段が違うのかというと、ブランド力なんです。

 ですから、どうぞ競争して、横の何とか町でとれたマグロであろうが何であろうが、あるいは農産物でも、あるいは工業品でも何でもいいんですけれども、まさに商標というものは、さっきから申し上げているように、権利申請をすることによって、取得するためのメリットがあるからやるわけでありますから、そのためにどんどん商標登録をするだけの意欲が持てるだけの力をつけてくださいというのが、ある意味では、逆からいった今回の改正法案の目的なんです。

高山委員 いや、大臣、今のは違うと思いますよ。

 関サバ、関アジは今の商標法でも、シールに魚の何かマークみたいなのを入れて、まず登録しているんですよ。それで、一本釣りで釣って、こういう絞め方をしてとかいろいろなのがあって、それに自分たちの佐賀関漁協が、ではこういうシールを使う権利を与えるという形で、今ブランドを保護しているんですよね。

 でも、大間の場合であれば、大間の町に二つ漁協があるわけですよ。両方、大間の港の方に、こういうときは水揚げして大間マグロにしちゃえだとか、こっちに揚げたらどうだとかということで、今グレーゾーンなわけですよ。しかも、それだけじゃなくて、そこで例えば大間マグロにこういうスタンプを押しましょうとかということを決めて、今ブランド価値にしているならいいですけれども、今回のこの地域ブランドが通った場合には、そういう絵柄とか関係なく、大間マグロというのを使えなくなるわけですよね、ほかの人は。そうすると、ではその近隣で、例えばおすしを食わせているところで大間マグロを食べられますとかそういうのを書いてあるところは、権利者ではなくて単なる先使用者になっちゃうということですよね、今回のこの法案が通ると。

中川国務大臣 大間マグロを食べたい人は大間でとれたマグロを食べたいんだろうと思いますけれども、権利を取得するのは、今、大間の町に二つ漁協がある、その場合には、とれた漁協はこれは共同でやるんだな、そういう例がもう既に想定されております。何も最初にとった人が、同じ大間の町で漁協が二つあるから早い者勝ちだじゃなくて、そういう場合には、たしか共同で申請をして、そして共同でその組合、二つの組合なら二つの組合に権利が与えられるということです。

 間違っていたらちょっと訂正してください。

高山委員 そのとおりなんです。そのとおりなんだけれども、大抵、漁協というのは隣と仲が悪いんですよ。それで、入れなかった人とかそういう村八分みたいになっている人は、今までずっと自分の方でも使っていたのに、単なる先使用者の地位におとしめられてしまうのは非常にかわいそうだと思いますという指摘です。

 それと、ちょっと時間がなくなってきたので、もう一つ言わせてもらいます。

 ちょっと農水の方にもあれなんですけれども、例えば、先ほど同僚議員の方から、ブランド価値を上げるためには品質もやはり上げなければいけないというようなお話がありました。大臣、これ、きょうの今までのやりとりを聞いていますと、例えば弁理士さんに早く頼んだ方がいいとか、広告代理店に頼んだ方がいいとか、要するに僕が言いたいのは、品質を上げるより、ばんばんチラシをつくって配った方がよっぽど地域ブランドはとりやすいということなんですよ。品質のいかんをこれは問われず、広告宣伝のうまい方がとれてしまうということになりはしないか。それでもいいんだというのであれば、これは現在の商標法でも十分で、要件をこれだけ緩和する理由というのはなぜなのか。

中川国務大臣 ですから、JAS法とかJIS法というのは品質が求められているんです。その品質、消費者が求める品質の中に原産地も求められているんです。新潟県の何とかのコシヒカリなら食べるけれども、北海道の私のところでつくったコシヒカリは……(高山委員「その違いはわかっているんです。商標法の要件を緩和した理由」と呼ぶ)ですから、それは、守るべき法益、ブランド力、これと品質とは別だということです。

 先ほど菊田委員の御質問の中で、例えばワインが云々という話がありましたが、あの中越地震で新潟を代表する全国ブランドのお酒屋さんが大変なダメージを受けましたね。あれで、さて、ではそのお酒屋さんはどうするのか。日本じゅうから酒米を集めて、千とか百とか万とかというお酒をではつくるかというと、私はつくるかどうかわからない。なぜならば、そのブランド力を守りたいから。

 つまり、同じラベルであっても、味が変わったり、ましてや、これは実は今までと違うところの酒米を引っ張ってきてつくっているんだというと、果たして消費者は同じように買うでしょうかという話であって、さて、要件を広くしたというのは、とにかくそのブランド力を高めるために頑張ってもらうというインセンティブ、あるいは、そこそこブランド力がついたということについて、より要件緩和をして商標権で守りましょうということでありまして、ちょっとそれと安全性とか品質とかいうもの、それは別のところできちっと担保されておりますので、この商標権のお話とは違って、そういう意味で緩和をしたということであります。

高山委員 時間がなくなりましたので、今の緩和の件に関しまして、ちょっと問題点の指摘だけさせていただきます。

 要件を緩和して商標をとりやすくしたというのは、地域活性化のためにも競争力強化のためにも非常にいいことだと思います。だけれども、例えば異議申し立ての期間ですとか無効審判の期間が、条文を読みますと、普通の商標法と全く同じ。異議申し立て期間も二カ月、無効審判も五年間というふうに、これは同じなんですよね。

 だから、例えば先ほどの単なる先使用者の地位に落ちてしまうような人とかもいるわけですから、その人たちから無効審判だったりなんだりする要件も本来は緩和することでバランスをとるべきだったと思うんですけれども、その点、権利取得を容易にするところに非常に重点が置かれていまして、無効審判の申し立てという点では除斥期間と消滅時効の違いぐらい、そのぐらい緩和されているぐらいで、あとの点が非常に今までの商標法と同じということで、これは権利取得に随分傾いた法案じゃないかな。

 ただ、それも、日本の国家戦略としてこれからどんどん地域ブランドを例えばボルドー・ワインみたいな形で売っていこうということであるのであれば、まあいいのではないかなとは思います。ですけれども、ちょっと立法論としてバランスが悪いのではないのかなということだけは指摘させていただいて、質問を終わりたいと思います。

河上委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。商標法の改正案について質問させていただきます。

 今回、地域の特産品や工芸品など、その土地の歴史や文化と結びついた商品を活用して地域全体の産業の活性化を図ろうとする取り組みというのが各地で行われているわけであります。農水産品ですとか伝産品ですとか、それぞれの地場産品など、つくり手の顔の見えるこういう物づくりというのは、消費者側のニーズとしても大変高いときだと思っております。その際、商標登録が、その名前を登録するのみにとどまらず、地域おこしのインセンティブとして、よりよいものを提供していくという気運の高まりに使えるという点では、非常にそのことを期待するものであります。その上で、何点か法案の内容について確認をさせていただきたいと思っております。

 最初に、先使用者の保護の問題ですけれども、地域ブランドの取り組みを現に行っている産地の組合が地域団体商標を出願して登録をされた際に、その組合に属さない、アウトサイダーと説明を受けましたけれども、その地域内で同じものあるいは類似の商標を使用している事業者の権利をどうするかが問題となってまいります。

 例えば、農産品などの場合では、地元の農協が登録をした際に、その地域で消費者との契約での産直に取り組んでいるようなグループもあったりしますよね。そういった場合、こういった任意のグループが引き続き登録地域団体商標を使用することができるのか。この点、確認ということでお聞かせください。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 地域団体商標の出願前から不正競争の目的ではなくて継続的に自分のためにその商標を使用していた事業者につきましては、地域団体商標の登録を受けた団体ができ上がり、その団体に加入していない場合であっても、御指摘の先使用権に基づきまして、商標を自己のために使用し続けることができます。

 したがいまして、ある農協が地域団体商標の登録を受けた場合に、以前から同一商標を継続的に使用しておられた任意グループあるいはそのグループに属する事業者の方々は、農協の構成員にならなくても、自己のためであれば引き続き当該商標を使用することができるということになってございます。

塩川委員 わかりました。

 次に、制度の周知徹底の問題であります。

 地域団体商標で登録が可能となる地名プラス普通名詞の商標は、これまでは一定の要件のもとでしか登録を認められてこなかったわけであります。栃木の宇都宮ですと、宇都宮ギョーザというのがある。これはこういう形でとることができたわけですけれども、実際にはいろいろマークをつけるですとか工夫しなければ難しかったわけですが、今回それが可能になってくるわけであります。実際、伝産品なども地名プラス普通名詞ですし、こういったこれまで商標登録を出願したけれども登録を拒絶された事例というのが、経産省のアンケートでも全体の中で一二・五%あるというふうにお聞きをしております。

 そこで、これまで登録拒絶されていたものが登録可能となるわけで、新たな制度の中身をよく知らなければ活用が進まないわけですから、その点、どのように周知徹底を図っていくのか、この点をお聞かせください。

小川政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、新しいこの制度を積極的に関係者の方々に活用していただくためには、その内容を十分理解していただくということが必要になります。そのために、地方の団体、事業者初め関係者の方々に、きめ細かくいろいろなルート、いろいろな場を使いまして、制度の周知徹底を図っていきたいというふうに考えてございます。

 政府広報あるいは私どものホームページを活用して積極的なPRをやりたいと思ってございますし、全国にございますブロック機関であります経済産業局と連携をしまして、全国の主要都市あるいはそういった地域ブランドの取り組みを一生懸命やっているような団体が多く集まっている地域、そういったところで説明会を開催いたしましたり、弁理士会と連携を通じまして普及活動を行う、そういったことで可能な限りの周知徹底の方策をとりたいと思ってございます。

塩川委員 その上で、登録希望の産地への支援策というのは、ぜひ積極的にとっていただきたいと思っております。

 中小企業庁の産地の概況調査を見ましても、この間、産地の企業数が九二年からの十一年間では半減をしている。大変企業数が激減をしております。産地の将来展望について、五年後はどうなっているのかといったら、衰退をしているという回答が五六・一%。そういう中で、将来に向けての明るい材料がなかなか見えてこない中で、今後重点的にとるべき対応策は何かという問いに対して、製品の高付加価値化を求める声が八割、また、新製品の開発ですとか新分野への進出というのが七五%。

 そういう意味でも、製品の付加価値化の取り組みとして商標が活用できるというのは、積極的な取り組みにつながっていくことと思います。

 同時に、産地は零細な企業がほとんどでもありますし、いろいろな組合に聞きましても、専従の事務局がないような組合などもあるというふうにお聞きをしております。こういうところでは、地域団体商標の登録の作業そのものも大変なことだと思っております。

 そういう意味でも、商標登録の手続が簡便に行えるような支援策というのをもう少し踏み込んだ形でお願いしたいと思っておりまして、自治体の産業振興策との連携についてもう少し工夫をされるですとか、日本弁理士会、先ほどの答弁も少し触れておられましたけれども、商標キャラバンという形で商標を通じた地域の掘り起こしを支援する取り組みを行っておられるとお聞きしておりますので、こうした取り組みとの連携を含めた積極的な支援策に取り組んでいただきたいと思っているんですが、その点で、大臣の御決意も含めてお話を聞かせていただければなと思っております。

中川国務大臣 目的は、今、塩川委員も御指摘のとおりであります。

 そして、そのアンケートですか、ちょっと今、中座していましたのであれですけれども、やはり高付加価値化を目指したい、まさにそのために支援したいと思っておりますので、できる限りの支援、その前にまず広報ですね。こういうものができたんだということ、現在の商標法に加えてこういうものができたんだということの周知徹底と、こういうものの商標権取得のための支援をしていきたいというふうに考えております。

塩川委員 今回の商標法改正というのは、地域性に着目をして、その地域の歴史や文化や風土などに根差したものをブランドとして大いに地域おこしへのインセンティブにつなげるようなものとしてあると思うんです。

 そういう点での積極的な活用策というのは望まれるところですけれども、同時に、個々の地域経済を考えますと、地場産業におきましても、産地として全体として底上げという取り組みも重要であるのと同時に、個々の企業にしてみれば、自分の製品、商品について磨きをかけて、その差別化によって、大いに企業努力を通じて切磋琢磨でその地域全体が大きく立ち上がっていくということもあると思っています。ですから、こういう商標についての取り組みとあわせて、私はやはり、今、地域経済の活性化という今回の改正の趣旨を考えた上でも、現状において困難となっている地域経済の振興策に省を挙げて大いに取り組んでいただきたいと思っております。

 そういう点で、今、地域経済を支える中小の製造業の皆さんにとって、原材料の逼迫、高騰の問題というのが大変大きな問題だと受けとめております。この間、二月に日本商工会議所が「原材料価格の高騰対策に関する要望」を提出されましたし、三月には、全国中小企業団体中央会もやはり同様に、中小企業向け原材料の安定供給を要望されておられます。

 そこで、具体的に、原材料の中で鋼材に関して何点かお聞きをしたいと思っているんですが、経済産業省が一月にアンケート調査も行われました。こういった鋼材の供給問題、あわせて、特に鋼材価格の高騰とあわせたその転嫁の状況について現状をどのように認識しておられるのか、その点をお聞きしたいと思っています。

山本(明)大臣政務官 塩川委員の質問にお答え申し上げます。

 委員今お話にございましたように、一月に調査をさせていただきました。

 基本的に申し上げますと、鋼材価格の上昇というのは、中小企業にとりましては約九割近くが間違いなく困難になってきておるということでありますし、そして価格転嫁については、約四分の一が転嫁が全くできないという状況でありますので、中小企業に大変大きな影響を与えておることは間違いないわけであります。

 ちょっと細かく申し上げさせていただきたいと思いますが、困難であるといった中小企業が一六%でありまして、やや困難といったのが七六・六%、困難ではない、問題がないというのも七・四%ありまして、これは比較いたしますと、大企業は、困難が二三・四%、やや困難が七一・七%、困難ではないというのが四・九%。

 ということは、中小企業の方は困難ではないの方が大企業よりちょっと多いんですけれども、これは恐らく大企業の鋼材が支給をされておる状況ではないか、こんなふうに予想されておりますので、したがって、数字はこう出ておりますけれども、中小企業はやはり大変だということであります。

 価格転嫁の問題でありますけれども、価格転嫁が一番大きな問題でありまして、先ほど申し上げましたように、中小企業は価格転嫁が全くできていないというのが二五・四%でありまして、価格の二〇%ぐらいまでは転嫁ができておるというのが三一・二%ということであります。これは大企業はどうかといいますと、全く転嫁できていないのが五四・一%、二〇%までしか転嫁できていないというのが二六・四%であります。

 これは、中身をちょっと見ますと、電機機械だとか精密機械というのがほとんど転嫁ができていないようでありまして、ということは、いわゆる川下産業が転嫁ができていないのではないかな、こんなふうに判断をされるところでありますけれども、川下産業は大半が大企業でありまして、中小企業は大企業に納めておるわけでありますから、大企業が価格転嫁できないうちはなかなか中小企業も価格転嫁できない、そんなように考えております。

 大企業は価格転嫁しなくても体力的にはもてるわけでありますけれども、問題は、中小企業は価格転嫁ができなければ体力がもたないというのが一番大きな問題でありますので、やはりそうしたことを我々はしっかりと考えていくべきだというふうに考えておりますが、何にいたしましても、価格転嫁するためには景気がよくなければだめでありますから、景気対策が一番かな、こんなふうに思います。

塩川委員 現状についてもう少しリアルにつかむ必要があるんじゃないかなと思っているんですが、金属機械関係の中小企業の労働組合で、JMIUやJAMの皆さんからも経産省に対しての要請も行われたというふうにお聞きしております。

 私、そういう中で、例えばJMIUの傘下の組合の職場の状況を聞いたときも、この一年で鋼材価格が一六〇%値上げをされる、四月以降も一〇%から一五%値上げをされるだろうと言われているわけです。売り惜しみもあるんだというふうに聞いていますし、また、自動車部品のメーカーなどでも製品への転嫁の割合が五〇%ぐらいだと。転嫁できるようになったといっても全部はできないわけですから、こういう状況というのは残されておりますし、昨年は販売価格にある程度転嫁できたが、今回はもうできないという声も現実に起こってきているわけですね。

 そういう意味でも、素材メーカー、鋼材メーカーという大手と、川下の最終製品をつくっている大手の親企業との間に挟まれた中小の部品メーカーの皆さんが大変なんじゃないかなというのは率直にあると思うんです。自動車メーカーなども当然鋼材価格の影響を受けますけれども、最終製品に占める鋼材の割合というのは小さいわけですよ。それに対して、中小の部品メーカーなどのつくっている製品、例えばエンジンなんかでいえばほとんどが金属ですから、そういう点でも鋼材価格の占める比重が高いわけですよね。そういった違いというのも念頭に置いて見ないといけないんじゃないかということを率直に思うわけです。

 四月以降さらに値上げということが言われておりますし、そもそも鉄鉱石と原料炭が大幅に引き上げられるということも言われているときですから、そういう意味では、四月以降の一段の値上げも踏まえた、鋼材価格の引き上げに対応した転嫁の状況についてリアルな実態をつかむ必要があるんじゃないか。アンケートというんじゃなくて現場にも足を運んでそういうことを調査していただきたい、この点をぜひお願いしたいと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

山本(明)大臣政務官 塩川委員御指摘のとおりでございまして、やはりデータというのはなかなか中身がわからないわけでありまして、こうだろうという予想だけでありますから、したがって、今委員御指摘のように、個別のヒアリングを行いたいということで、今、既に職員が直接出向きまして十四社についてヒアリングをしておる最中であります。そういった意味で、まさに生の、どんな内容であるかということがはっきりつかめると思いますので、またその都度御報告を申し上げたいというふうに思います。

塩川委員 ぜひ大臣にこの点でも御要望と、後で御答弁もいただきたいと思っているわけですけれども、いわゆる中小企業の部品メーカーなどにおいての鋼材価格の影響というのは大変大きい。

 例えば、ことし一月の経産省の調査などを見ましても、過去三カ月の仕入れ価格の上昇分というのが一三・七%という数字が出ているわけですよ。これは、去年の三月の調査との比較ということもあって三カ月に限って出した数字だというんですけれども、大体鋼材価格の見直しの時期というのは四月と十月ぐらいで行われるというわけなんですね。そういう意味では、十月から十二月ぐらいの数字をとってもなかなか、どの程度リアルな数字に出てくるのかな、特にこの四月以降の引き上げは大きいものですから。

 そういう意味でも、今、現場のメーカーにも足を運ぶということのお話もありました。そういう現場の実態を踏まえた上で、この四月以降のさまざまな原材料価格、鋼材価格の引き上げ、これも踏まえた対応策というのをより一段突っ込んだものとしてお願いしたいと思っています。

 下請振興基準の徹底の問題もそうですし、下請法などの連携も含めて、これについての積極的な対応策をぜひ大臣からも御指示をお願いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

中川国務大臣 塩川委員御指摘のとおり、去年来、原材料あるいは石油が値上がりをしているということで、経済産業省の中に状況をウオッチする場、部門を設けて注意深く見てきておるわけでありますけれども、塩川委員は特に鉄鋼についての御質問で、御指摘のように、先日、鉄鋼関係の組合の皆さん方、私のところに来られまして、実情の一端を聞かせていただきました。言うまでもなく、下請法に基づいて、しわ寄せができるだけないように、あってはならないことであるというふうに思っております。

 それから、これは、メーカーは量の問題、量がまず確保できないという問題と、価格が上がっていくという問題。それからあと、ほかのさっき申し上げた、例えば石炭のお話もありましたし、石油も今じりじり、ガソリンが典型的ですけれども、上がってきておりますので、トータルとして、こういう原材料が高騰したり不足したりすることによって、メーカー、とりわけ中小企業に与える影響というものを、これは地域によってもばらつきがあると思います、業種によってもばらつきがあると思いますので、注意深く見守っていく。

 したがって、今政務官から答弁いたしましたように、できるだけ現場に足を運んで、この地域では比較的いいけれども、この地域ではそうではないとか、この業界がどうだとか、あるいはまた同じところでもばらつきがあると思いますので、できるだけ現場の生の実態を、今後じりじり上がっていくという御指摘も今いただきましたので、注意深く実態を把握し、そして、とるべき対策をきちっととっていって、とりわけ中小企業に影響のないように対応をしていかなければいけないというふうに思っております。

塩川委員 積極的な対応策をぜひともお願いしたいと思っております。

 最後に、公正取引委員会にこの点について一問お尋ねします。

 こういった鋼材価格の転嫁の問題などについて、親企業などから実際に見合うだけの転嫁がなされないような状況が生まれかねない、そういう懸念というのがあるわけであります。

 そういう点でも、独禁法や下請法に基づいた監視強化をぜひともきちっとやってもらいたい。書面調査なども当然やられると思うんですけれども、書面調査につきましても、買いたたきがあるということの懸念を念頭に置いた形での調査というのをぜひとも積極的に行ってもらいたいと思いますし、問題のある事例があれば厳正な対処をお願いしたい。その点についての御回答をいただきたいと思っています。

山木政府参考人 先生御指摘のように、私ども、下請法それから独占禁止法を運用しているわけでございますけれども、下請取引については、特に下請事業者の苦情と申しますか、問題意識が積極的には、申告という形で把握できない、期待できないということから、私ども、大がかりな書面調査を実施しているわけでございまして、毎年十数万、昨年度におきましては二十万の親事業者、下請事業者に対しまして下請取引の適正化に関する調査を実施しております。

 その中で、買いたたきの問題も含めて調査しておりますので、その中で問題のある者につきましては指導しているという状況でございます。

 引き続き、下請取引法それから独占禁止法に基づきまして厳正に対応していきたいと考えております。

塩川委員 しっかりとした対応策を求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

河上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

河上委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、商標法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河上委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、平井卓也君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。細野豪志君。

細野委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    商標法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、産業競争力の強化と地域経済の活性化に資するため、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 地域団体商標制度の円滑な導入を期するため、商標権者である組合と組合に属していない事業者等との関係において、無用な混乱を引き起こすことのないよう、組合及び事業者をはじめとする関係者に対して、本改正の趣旨及び内容の周知徹底を図ること。

 二 地域団体商標に対する消費者からの信用を確保するため、地域団体商標に係る商品と地域との関連性及び商品の品質等について、組合等が安全規制や表示規制に関する法令を遵守しつつ当該商標を適正に使用するよう、関係省庁間の連携を密にするとともに、その運用に万全を期すること。

 三 本制度の導入に当たり、より迅速かつ的確な審査に資するため、審査官の資質の向上及び人材育成をはじめとする審査体制の強化に努めること。

 四 本制度が地域ブランド化の取組みにおいて有効に機能するよう、広報活動等を通じた積極的な情報提供に努めること。また、地域ブランド化の取組みを促進するため、地方公共団体や地域内の関係者への働きかけを強化するとともに、関係省庁においても総合的な支援策を講ずること。

 五 本制度の実施に当たり、地域間の格差や地域の取組みに支障が生じないよう、地域の団体、事業者からの相談へのきめ細かな対応を図るとともに、日本弁理士会の活動と連携しつつ、弁理士制度の地方展開を促進するための適切な措置を講ずること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

河上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河上委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川経済産業大臣。

中川国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

河上委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

河上委員長 次回は、来る十三日金曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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