衆議院

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第15号 平成17年5月13日(金曜日)

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平成十七年五月十三日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 河上 覃雄君

   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君

   理事 平井 卓也君 理事 松島みどり君

   理事 鈴木 康友君 理事 細野 豪志君

   理事 吉田  治君 理事 高木 陽介君

      遠藤 利明君    嘉数 知賢君

      北川 知克君    小杉  隆君

      佐藤 信二君    坂本 剛二君

      菅  義偉君    竹本 直一君

      武田 良太君    谷畑  孝君

      西銘恒三郎君    野田  毅君

      平田 耕一君    望月 義夫君

      森  英介君    山口 泰明君

      山本 明彦君    大畠 章宏君

      奥田  建君    海江田万里君

      梶原 康弘君    菊田まきこ君

      近藤 洋介君    佐藤 公治君

      田中 慶秋君    高山 智司君

      計屋 圭宏君    村井 宗明君

      渡辺  周君    江田 康幸君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   外務副大臣        逢沢 一郎君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   国土交通副大臣      岩井 國臣君

   環境副大臣        高野 博師君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   会計検査院事務総局次長  石野 秀世君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   山木 康孝君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 河野  栄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 西宮 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           木谷 雅人君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         南部 明弘君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            北村 俊昭君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       小川 恒弘君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          齋藤  浩君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            石毛 博行君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          豊田 正和君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            岩井 良行君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    石井 健児君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小島 敏郎君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  中山 義活君     田中 慶秋君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 慶秋君     中山 義活君

    ―――――――――――――

五月十三日

 不正競争防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 不正競争防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

河上委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長山木康孝君、総務省大臣官房審議官河野栄君、外務省大臣官房審議官西宮伸一君、文部科学省大臣官房審議官木谷雅人君、農林水産省農村振興局整備部長南部明弘君、経済産業省通商政策局長北村俊昭君、経済産業省通商政策局通商機構部長小川恒弘君、経済産業省産業技術環境局長齋藤浩君、経済産業省製造産業局長石毛博行君、経済産業省商務情報政策局長豊田正和君、資源エネルギー庁長官小平信因君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長岩井良行君、中小企業庁長官望月晴文君、海上保安庁次長石井健児君及び環境省地球環境局長小島敏郎君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局次長石野秀世君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中慶秋君。

田中(慶)委員 民主党の田中でございます。

 まず最初に、昨今の日本の、きょうの新聞でも、愛国心の問題なり、あるいは企業に対する愛社精神なりというものが大変低下されている、先進国の中でも、一〇%以下だ、こういうことを言われているわけであります。そういう中で、今問題になっておりますコンプライアンスという問題が盛んに使われる。すなわち遵法精神だと思います。

 そこで、お伺いしたいのは、やはり政治の中で議会と政府というものをはっきりさせる、こういうことで、政治主導でやろうじゃないかといういきさつの中で組織の変更がされ、大臣、副大臣、さらに政務官という制度が誕生されました。私はそう認識しております。

 それぞれの役割、大臣としての役割、副大臣としての役割、政務官の役割、最近は、ある面ではこのコンプライアンスが守られていないんじゃないか。特に政務官、何のために誕生しているのか。少なくても、いろいろな形で質問をとる、質問取りをするということがこの組織の改編のときにはっきりと位置づけをされたと思います。しかし、それが最近は形骸化をされ、質問は役所にとらせる。それだったら、政務官も要らないわけであります。こういうことを含めて、役割を明確にしないで、監督官庁である皆さん方は部下に対する示しがつかないと思います。

 まして、質問取りをして、そしてそのことに対する答弁を役所が書く、こんなことを言ったら、都合の悪いことは書かないわけでありますから、そういうことを含めて、今こういう流れが経産の中にもある。きのう、実は、質問を通告させていただきながら、質問取りは政務官、政務官は電話一本、とんでもない。私は、政務官、では、この質問は通告できないということを申し上げておきましたけれども、現実にはそれが横行している。

 この辺でしっかりとしてけじめをつけないと、やはりいろいろなことに支障を来すんじゃないかと思いますので、大臣の見解をお伺いします。

中川国務大臣 おはようございます。

 まず、田中委員の御指摘の企業に求められるコンプライアンス、これはこの場でも何回も御議論いただいております原発事故、あれは私は人災、事故ではなく事件であるということも言ったこともございますし、最近のあの、百七名ですか、大勢の方が亡くなった鉄道事故も、コンプライアンスの問題だと思います。

 もとより、法治国家であり民主国家、議院内閣制である日本においては、政府においても当然、それを指導する、あるいはまた国の根幹がそういう体制である以上は法令に基づいてやっていく、あるいは、議院内閣制でありますから、国会の御指導をいただき、国会との間の約束、決められたルールに基づいてやっていかなければならないことは言うまでもないことでございます。

 コンプライアンスということでございますので、国家行政組織法を今ちょっと調べさせたんですけれども、大臣政務官は、各省に政務官を置く、政務官の数は云々、政務官は、その長である大臣を助け、特定の政策及び企画に参画し、政務を処理する、大臣政務官の行う前項の職務の範囲については云々、政務官の任免は大臣の申し出により内閣が行う等々書いてございます。これを守り、そしてまた、議院内閣制において国会との間で命ぜられたといいましょうか、約束されたことについては、当然それもコンプライアンスの大きな一つだと思っております。

 具体的に、田中委員に対しまして昨日いろいろなことがあったことはきょう朝報告を受けておりまして、質問を事前にいただくということは、それに対してきちっとした答弁をさせていただくという意味で、できれば事前に準備をさせていただきたい。そして、それについては政務官が来いということであれば政務官が対応をさせていただくわけでございますけれども、そこに、田中委員に対して一部大変失礼な部分があったというふうに私は今の御質問の全体を拝聴しながら感じたところでございますので、そういう約束に違反するようなこと、あるいはまた委員に対して失礼なことがあったとするならば、責任者、長といたしまして私としてはきちっとしなければならないということで、この場をおかりいたしましておわびし、また、今後は決められた約束に基づいて職務を遂行しなければならないというふうに思っております。

田中(慶)委員 企業にコンプライアンスを要求する大きな時代になってきておりますから、みずからそのことに範を垂れなければいけないだろう、このように思いますので、ぜひそのことを徹底するようにしておいていただきたいと思います。

 そこで、大臣にお伺いします。

 特殊法人の一つに新エネルギー・産業技術総合開発機構、すなわちNEDOというものがありますが、NEDOの役割と存在意義について、まず大臣の見解をお伺いします。

中川国務大臣 NEDOというのは新エネルギー・産業技術開発機構の略称、横文字の略称でございますが、これは、新エネルギー・省エネルギー関連技術あるいはまた産業関連技術の研究開発及び新エネルギーの導入促進に関し、民間企業に対する助成を行う機関ということでございます。これらの実施を通じまして、NEDOは、我が国の産業競争力の強化、エネルギーの安定供給の確保及び環境問題の解決を推進するという極めて重要な職務を遂行しているということでございます。

田中(慶)委員 そのNEDOに関連する問題でありますけれども、群馬県の産業廃棄物処理会社、株式会社明輪に対するNEDOの助成金の支出経過に関する問題として、その事実関係、政府の把握状況及び助成金の仕組みについてお伺いします。

小此木副大臣 おはようございます。私からお答えをさせていただきます。

 報道されましたNEDOの助成事業は、平成十四年度の戦略的産業技術実用化開発補助事業でありまして、助成事業終了後三年以内の実用化を目的とした研究開発について、民間から広く公募を行い、その中から新規性がある技術の実用化に資する事業を選定し、二分の一の助成を行う制度であります。

 本助成事業については、平成十四年四月に公募が開始されましたが、株式会社明輪から同年五月に申請があり、外部の有識者による書類審査及び採択委員会での審査を経て、同年六月二十八日に株式会社明輪を含む事業者の採択が決定いたしました。これを受け、同年七月に交付が決定し、翌平成十五年三月まで事業が実施されました。NEDOはその間に二度の現地調査を実施するなど、事業の実施状況を確認し、同年四月に助成金を支払ったとNEDOから報告を受けております。

田中(慶)委員 質問にちゃんと明確に答えてくださいね。NEDOの役割を聞いているわけじゃありませんから、もう先ほどわかっておりますので。ですから私は大臣に質問しているわけです。同じことを答弁する必要はありませんから。

 そこで、このNEDOについてでありますけれども、過去三年間の該当助成金の予算額と決算額がどうなっているのか、これを明確にしていただきたいと思います。

中川国務大臣 ちょっと事実関係なので、いつもと違って答弁書を読まさせていただきますけれども、過去三年間、平成十五年度までの三年間でございますけれども、予算額が四十八億円、決算額が四十一・八億円、平成十四年度が、予算額が六十一・四億円、決算額が五十・一億円、平成十五年度が、予算額が六十一・三億円、決算額が五十四・八億円でございます。

田中(慶)委員 その内容ももう少し精査されればいいと思いますが、そこまでいっていないと思います。大体四割程度じゃないかと、執行されている決算額はそのように調査の上ではなっておりますので、まずそのことも含めて、しっかりと調査をしておいていただきたいと思います。

 そこでお伺いしますが、先ほど副大臣の方から、この明輪の問題についてしっかりと精査をし、補助金を出したということであります。この明輪は、一億八百万円の助成が行われたわけでありますけれども、しかし現実には、下請業者に対する代金の未払いトラブル等が現在起きております。そして、現実には事業化のめどが立っていない、これが実態であります。専門知識なりあるいはまた技術開発職員等々が架空の申請であったという疑いも現実に出ております。

 私が調べた中で、この明輪は資本金一千万円、従業員十名規模の零細企業であります。その零細企業に対する助成金の決定がなされた当時、明輪の年間の売り上げは二億円程度であります。利益はほとんど出ていない状態であります。企業規模、業績から見て、助成金の規模、すなわち一億八百万円というのは適当な額かどうか、こういうことであります。同時に、それを採択する、今いろいろ精査をされて決定されたということでありますけれども、いささか私はそこに疑問、疑義を抱かざるを得ない。

 今日までの同じような金額で、この短期的なエネルギー分野に対する貢献も含めながら補助金を出されたのは、例えば日立造船であるとかJFEスチールといった我が国最大の、大きな企業に対しての国家目標を達成する意味で助成をされている。しかし、このような、資本金一千万円足らずと言っては大変失礼ですけれども、そこに特殊な技術があったり、特殊ないろいろな問題が、社会的に大きな貢献ができるような問題がなされていないところにどのように着目をされ、そして、どのようにしてこのような多額の一億八百万という助成が採択された経過がさっぱりわからない。明確にお答えいただきたいと思います。

中川国務大臣 株式会社明輪というのは、田中委員御指摘のように、資本金一千万円、私の手元の資料では従業員三十二名となっておりますけれども、産業廃棄物、とりわけ廃タイヤを再生するという事業で、毎月の処理能力が千八百七十トン、年間の廃タイヤ取扱量が一万三千五百十七トンの会社というのが手元の資料でございます。

 今回の明輪の提案は、焼却処理をしている廃タイヤのリサイクルを可能とするということで、具体的には活性炭製造技術の実用化あるいは脱消臭剤等の利用価値があるということで、非常に政策的環境面、リサイクル面で意義があるというふうに外部の専門家が客観的に判断をしたということでございます。

 そういう意味で、今お挙げになった日本を代表するような企業もそういう技術を持っているんでしょうけれども、この会社の提案、そしてまたその実用化の可能性、先ほど四割が、実用化比率が低いではないかという御指摘がありましたが、これは田中委員御指摘のように、支援したものが全部実用化できるかどうかということは、若干リスキーな部分を補完するということがあることは御承知のとおりだと思いますけれども、現時点で実用化に向けて修正をしながら作業を続けているというふうな報告を受けております。

田中(慶)委員 この明輪というのは専門的な技術開発の職員もいないというふうに承っております。いいですか、そればかりでなく、年間二億円程度の売り上げですね、そこに一億八百万、これは多いでしょうか少ないでしょうか。大臣に。

中川国務大臣 これはあくまでも一般論でございますけれども、まさに中小企業で技術を持っているところに助成をするということが先ほど申し上げました産業競争力という国家戦略の一つの大きな柱でございますので、一概に売り上げと助成額、あるいは実績と助成額とで、私は、こういう言い方をすると怒られるかもしれませんけれども、一般論としてはむしろそういう力があるであろう企業が大化けするための一つの役に立ってもらいたいなということを考えております。これはあくまでも一般論でございます。

田中(慶)委員 それはしっかりとした技術を持ち、知的財産の特許を持ち、そういうことに対する財政支援だったらいいわけでありますけれども、そういうことではないということを言われている。だから問題なんです。

 会計検査院、来ていますね。お伺いします。

 会計検査院は、この明輪に対するNEDOの助成について具体的に調査をし、そして一定の見解を持たれていると承っておりますが、答弁を願います。

石野会計検査院当局者 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の交付いたします助成金に関しまして、今お話しのとおり、各種の報道がなされているということは会計検査院としても承知いたしております。

 会計検査院といたしましては、こういった報道の内容、議論等も参考にしながら、新エネルギー・産業技術総合開発機構の行います事業につきまして、引き続き厳正に検査してまいりたいというふうに考えております。

田中(慶)委員 NEDOについて言っているんじゃないんですよ。明輪についてのNEDOから執行されている補助金について、具体的にどう思いますかと聞いているんです。

石野会計検査院当局者 会計検査院といたしましては、今の独立行政法人の行います各種事業について重点的に検査を行ってきたところでございまして、過去にも、その助成金等について不適切な事態があったということについては指摘をしてきたところでございます。

 今お話しの明輪でございますが、これにつきましても、新エネルギー・産業技術総合開発機構の審査体制などがどういう状況にあるのかということにも十分留意するなどいたしまして、引き続き、そういった事業の実施状況につきまして厳正に検査を行っていきたいというふうに考えております。

田中(慶)委員 これは本当に、これだけ厳しい経済環境の中でこれだけの補助金が出る、そして、そのことが適正に使われているかどうかというのがあなたたちの仕事なんですよ。それがもう既に執行されているんですから、一億八百万という金は決して少ない金じゃないと私は思いますよ。ですから、しっかりと今後やるかどうか。現実問題として、この明輪だけの問題じゃないですけれども、NEDOのあり方そのものが問われているんですから、しっかり答弁くださいよ。

石野会計検査院当局者 お話のとおり、新エネルギー・産業技術総合開発機構の事業というものは従来から重点を置いて検査をしてきているというところでございます。今お話しの明輪等につきましても、引き続き厳正に検査を行ってまいりたいというふうに考えております。

田中(慶)委員 しっかりと検査してほしいですね。いいですね。

 そこで、大臣にお伺いしますが、このNEDOの構成は、御案内だと思いますが、大臣、これを差し上げましょうか、理事長を初め、十名の役員のうち八名が天下りであります。八名が天下り。いいですか。理事長が昔の事務次官、こういうことを含めて、NEDOそのものがある面ではこの天下りの受け皿になっているんじゃないですか。こういう形でこの目的が達成できますか。

 NEDOの役割、いいですか、産業技術総合開発機構として、新エネルギーの問題を含めて、こういうことでありますけれども、この天下りが、大臣、十人のうち八人というのは、あなたが見てどう思いますか。答弁ください。

中川国務大臣 申しわけございません。私の手元の資料では、十人のうち、民間が二名、プロパーが二名、それから退職公務員、現役出向者が六名、合わせて六名ということでございますが、八名でも六名にしても、多いか少ないかといえば、多いと私も思います。

 ただ、それは、こういう御時世と言ったら怒られますけれども、こういう国会、国民の御指摘等の流れの中で、過去のように、これはもう、指定席であるとかあるいは自動的に何名が流れていくという時代ではございませんで、専門知識あるいはまた適材適所ということも当然重要な、一番重要なファクターになるわけでございます。

 そういう意味で、例えば経済産業省の退職者も、こういう関連の仕事の経験があるとか、そういうこともNEDOの業務に当然役立っていくわけでございますので、多いか少ないかと言われれば、多いということでございますけれども、それはやはり、そういういろいろな条件を判断した上での数字ということで、私は、一概に多い少ないで判断する時代ではなくなっている。小泉総理からも、できるだけ少なくしろ、適材適所でやれという強い指示を受けてやっているということを御理解いただきたいと思います。

田中(慶)委員 それでは百歩譲って、この人たちの勤務状態をあなたは把握していますか、賃金も。適材適所なり、すばらしい人材ということなら、そこまで把握して言われるんじゃないですか。把握していないでそういうことを言ったのでは困りますよ。

中川国務大臣 御指摘のように、把握しておりません。ただ、それは、私は最高責任者として、それぞれの部署がしっかりやっていることの報告を受けておりますので、その報告が万が一間違っていたり、また実情と違っていたりすれば、それは最終的には私の責任でございます。

田中(慶)委員 ここにペーパーがありますから、どうぞ後で見ておいてください。あなたが言うように、十名のうち六名がどうのこうのじゃない。迂回とかなんとかは別にしても、いずれにしても、そういう形の天下りの受け皿にしちゃいかぬです、現実にこれがもう既得権益みたいになっているんですから。それが一つ。やはりそのことが今回のような問題に、関連するしがらみというものがこういうふうになってきているわけでありますから、ぜひこのこともしっかりと対応していただきたい。

 そこで、会計検査院、最近のNEDOに対する、補助金、業務委託、不当の事実関係を指摘されていると思いますが、そのことを明確にお答えください。

石野会計検査院当局者 お答えします。

 会計検査院では、十四年度の決算検査報告におきまして、新エネルギー・産業技術総合開発機構の助成金等に関し、二件の不当事項を指摘してございます。

 その一件は、業務委託契約に係る委託費の支払いに当たり、使用していない設備の使用時間数を含めるなどしていたため、支払い額が過大となっているものということでございます。これは、同機構におきまして、財団法人日本自動車研究所と締結いたしました業務委託契約に係る委託費の支払いに当たり、自動車研究所が、設備を使用していない時間数を含めて設備使用料を算出したり、委託業務に従事していない時間数を含めて労務費を算出したりなどして経費発生額を水増ししていたため、支払い額が過大となっていたというものでございます。

 さらに、もう一件は、省エネルギー設備導入事業の実施が著しく適切を欠いていて不当と認められるものでございまして、これは、同機構におきまして、地球環境平和財団が実施いたしました省エネルギー設備導入事業が、補助金の交付決定を受けた際の事業費に合わせた虚偽の契約書あるいは領収書等を業者に作成させる一方、実際には機器を設置していないなどしていまして、その事業の実施内容も判然としないというふうな状況でありまして、その実施が著しく適切を欠いていたというものでございます。

 発生原因でございますけれども、いずれも、事業主体におきまして当該事業の適正な実施に対する認識が十分でないということ、それから機構におきまする検査確認等も十分でなかったということによるものだと考えております。

田中(慶)委員 今御報告されましたけれども、さらにこの内容を分析してみてください。いいですか。大口の委託先、みんな子会社ですよ、先ほどの問題も。それから、今の財団法人日本自動車研究所も、副理事長以下三名の職員のうち二名は天下り、こういうことであります。

 こういうことを含めながら、このNEDOとの関係等々を含めて、やはり今のような、先ほどの補助金の問題もさることながら、その使途も、そしてなおかつ今のようなはっきりとした、会計検査院ももう少し徹底的に、これは随契ですよ、ほとんどは。随契ですよ。こういう問題も含めて、しっかりと答弁ください。

石野会計検査院当局者 今申し上げましたとおり、二件の指摘の実績もございます。ということで、新エネルギー機構につきましても、やはり重要な検査先だというふうに認識しておりますので、引き続きまして、従来からも検査してきたところでございますけれども、今お話しのような点も踏まえまして、今後さらに一層厳正に検査をしてまいりたいというふうに考えております。

田中(慶)委員 まず、こういう一連のことを含めて、今回のNEDOのしっかりとした補助金のあり方、今のような、実態がないところに、はっきりとした技術屋もいないと言われている、別に特許もあると言われているわけじゃない、知的財産があるわけじゃない、こういうところに不透明な形で補助金が決まるということ自体、いささか問題だと思うんです。

 大臣、その辺をどういうふうに認識をされ、今の質疑の中でこのことをどう感じられているのか、答弁ください。

中川国務大臣 この件に関しましては、実は去年もマスコミに出て、そのときも調べさせましたし、今回改めて調べさせましたが、補助金を出した過程、手続については適正であるという報告を受けておりますが、いずれにいたしましても、最終チェックは会計検査院の御判断ということになるんだろうと思っております。

 それから、いわゆる国の予算を、これは一般会計、特会含めてですね、適正に使うべしであるということは、この委員会で原子力発電関係の広報云々で御指摘をいただき、それだけではなく、全体としての特会のあり方について今内部でチェックをさせていただいておりまして、これは当委員会での御指摘を受けとめさせていただいて今作業をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、この件については適正という報告は受けておりますけれども、田中委員の、もっと大きな意味でしっかりチェックをし、そして適正にやるべしという御指摘は当然の御指摘でございますので、きちっと対応して、そして正すべきところは正し、国会に御報告するところは御報告するということにさせていただきたいと思います。

田中(慶)委員 もともとこの問題というのは、やはり石特会計、潤沢な資金というもの、これから連動されているわけですね。ですから、こういう形の中で、会計検査院は、NEDOの補助金の不正支出に関する指摘を行った十四年度全体、恐らく決算報告において、特に石特会計及び石油エネルギーの需給高度化の勘定に発する多額の剰余金等の問題について指摘をされていると思いますが、その辺を具体的に答弁ください。

石野会計検査院当局者 今お話しの石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計につきましては、同じく平成十四年度の決算検査報告におきまして、特定検査対象に関する検査状況として掲記してございます。

 その概要を申し上げます。

 石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計石油及びエネルギー需給構造高度化勘定では、石油税を財源として、石油等資源の開発の促進、石油の備蓄の増強、石油代替エネルギーの開発及び利用の促進等を行う石油及びエネルギー需給構造高度化対策に関する経理を行っているということでございます。

 お話のとおり、この勘定において多額の剰余金が生じているということがございましたので、その要因について検査いたしましたところ、同対策実施のため、毎年度多額の石油税収入が一般会計から同特別会計に繰り入れられているという一方で、石油安定供給対策費を中心としまして、相当額の不用額が生じている状況が長期間継続して繰り返されてきたというふうなことがその主な要因となっていたということでございます。

 また、近年は、こういった剰余金が増加している一方で、石油税収入のうち同特別会計に繰り入れない非繰入金というものがほぼ横ばいで推移しており、これも多額に上っているという状況でありました。

 したがいまして、こういった状況を踏まえまして、この剰余金の減少策、あるいは今後多額の剰余金が発生しないための方策ということについて検討することが望まれるというふうにしたものでございます。

田中(慶)委員 このような形で、一方においては一般会計を含めて財源が大変厳しい状態、そして国債を発行する、一方においては余剰金がたくさん出ている。結果として、その余剰金がむだに使われる可能性が出てきている。

 今のような、だれが考えても、年商二億足らずのところに一億八百万の補助金を出すということは、一般常識的には考えられない。しかし、根本には、潤沢な資金があって、いろいろなことがあるから、お金があるから、結果としてこういうことになる。現実問題として、技術屋もいないということが明確になっているんですよ、はっきりと。特許もあるわけじゃないんですよ。そういうところに今のような補助金の決定がされるということは、不思議と思いませんか、大臣。

中川国務大臣 石特については、今会計検査院から答弁がありましたような御指摘を受けているところでございまして、どんどんたまっていくということはよくないということで、そうでないように、一般会計からの繰り入れを減らし、剰余金を減らす努力を今やっているところでございます。

 それから、他方、たまたま去年、ことしと東シナ海の緊急探査とか新造船の建設費用なんかにこのお金を充てておりまして、緊急事態で必要な部分も結果的にはあった。そのために剰余金を残せということを申し上げているのでは決してございませんけれども、そういうこともあったということはちょっと御報告させていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、剰余金がある、だから必要以上に助成をするということは、これはあってはならないことでございまして、先ほども申し上げましたように、本件については外部審査を経て適正に処理されたというふうに報告を受けておりますが、最終的には会計検査院の御指摘をいただく。それから、特会そのものの剰余金、使い方のあり方については、現在、省内でチェックをさせていただいているという状況でございます。

田中(慶)委員 大臣の答弁、私は頭が悪いものだから理解できません。

 なぜかというと、現実に、あなたが言われるように、調査をして、あるいはそういう形で審査をした。その審査の過程で、私は、現実問題として、専門職の問題やら、あるいは、普通ならば補助金の対象は、これだけの技術なり、あるいはこれだけの知的財産と言われる特許があるからその対象としてということが普通の審査対象になると思います。ところが、今回はそういうことじゃない。廃タイヤの問題だけで環境問題がどうのこうのという形でなるべき問題じゃないと思う。

 この補助金の支出のあり方がどうしても納得いかないからここで質問しているんだから、あなた、もう少し謙虚になって、この問題を徹底的に、結果的にそれがNEDOであり、石特会計であり、こういうことの一連の関係なんですから、しっかりともう一度内部の調査をしてください、過程を含めて。そうでしょう、これは。

 まして、あなた、NEDOの役員さんを見ても、全部OBですよ。あなたに差し上げますけれども、十人のうち八人ですから。その人たちの職務内容を見てくださいよ。現実問題として、この理事さんたちは、勤務状態も含めて、我々が想像以上の勤務状態ですから。もっと明確に言いましょうか。給与だって我々よりもっといいですよ、理事長さんは。

 こういう状態が現実問題として天下りの温床になっているんですから、大臣だったらそのぐらい、勇気を持って、任せておけ、おれがそのぐらい一掃するぐらい、あなたの発言があっていいと思うんですよ。やはり悪いところは悪いとちゃんとしっかり正していかないと、これは金があるからこういう形の使い方をするんですから、そのことをちゃんと答えてください。

中川国務大臣 外部チェックに基づいて適正にやっているという報告を受けておりますが、残念ながら、それ以上の細かい過程については、今ちょっと担当がおりませんので、私は、政治家として、経済産業省の長として、そういう報告を受けて、私は結果責任を負う立場にあるというふうに思っております。

 今の御指摘は天下りの受け皿の問題、これは、私としても、総理からの命により、そうでないように一々私自身はチェックをしているつもりでございます。ただ、それは改選期というタイミングでないとなかなかできないという現状もございます。

 それから、先ほども申し上げましたが、剰余金がどんどんたまっていることがいいことだとは決して思っておりませんので、どんどん削減しろという指示も出しております。したがって、金があるんだから少し甘目にやれなんということがあるとするならば、これはもう御指摘を待つまでもなく、そういうことのないように厳しく指示をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、御指摘そのものは当然のことであり、そうであってはならないわけでございますから、この件を含めて、全体として、特会のあり方、あるいはまた審査のあり方含めてもう一度チェックをすることにしていきたいというふうに考えて、今、田中委員の御指摘をいただいて、そういうふうにしたいというふうに思います。

田中(慶)委員 ぜひ、今こういうことは疑惑を持たれないようにしないといけないと思います。

 例えば、石特の問題もそうであります。石油公団の廃止の問題があると言いましたね。大体、ここで、今まで二兆三千億等の資金が投入されましたね。そこで約三百社の会社が誕生し、また、会社がある面では廃止をされる、倒産をする等々の問題があったわけでありますけれども、現実には多数のところが採算をとれず、結果的にそれがある面では、そのお金も非常に、むだ遣いのような形になってしまった、こういうことであります。

 さらに、今現在、約二十社残っております未清算部分、こういうことについてもはっきりと、これから石油公団の後処理としてしっかりと清算をしていかないと、最終的に欠損額がどのぐらい見込まれるとか、あるいは欠損金が生じた場合、それをどういうふうな処理をするのか、これも不透明であります。

 もう会社が、この石油公団そのものがなくなっちゃったという形、しかし、その業務は残っていると私は思います。これも、今回のような石油特会の問題も関連する問題でありますから、十四年の石油公団廃止のときにさんざんこの議論をされておりましたけれども、現実問題として、いまだにそのことが明確に処理をされていない、これが実態でありますから、大臣、その辺をどうこれから処理をされていくのか、そして、現在どういう形で見込まれているのか、お答えいただきたいと思います。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 公団は四月一日に解散をされているわけでございますけれども、未処分となりました公団の保有株式につきましては、原則として国の石特会計に承継をされまして、経済産業省が総合資源エネルギー調査会の答申の方針に従いまして、売却価値の最大化とエネルギーの安定供給の確保の両立を目指しながら、適切に処分を進めていくこととしております。

 石油公団に対しましては、石特会計等国から約一兆二千億円の出資が行われておりますけれども、出融資元本の回収や配当、利息収入を合わせまして、石油公団から開発会社に対しまして、累計で約二兆三千億円の出融資が行われました。

 平成十五年度の石油公団決算におきましては、前年度比約五百一億円少ない七千百九十九億円の欠損金を計上しております。平成十六年度につきましては、今後の決算の結果を待たなければ正確な数字は申し上げられませんけれども、国際石油開発株式会社の上場等によりまして、合計で約千九百億円の株式処分益等を計上いたしております。

 また、既に上場済みの国際石油開発株式会社及び石油資源開発株式会社の未売却株式の含み益でございますけれども、ことしの三月末日の東証終わり値と簿価に基づきまして試算をいたしますと、合計約四千五百三十億円の含み益があるということでございますので、今後の資産処分の進展によりまして、さらなる株式処分益の増加が期待できるものと考えております。

 処分益が最終的に幾らの金額になるかにつきましては、今後の株式市況等にもよりますので、現時点で申し上げることはできませんけれども、公団解散後、経済産業省といたしまして、国に承継されました株式の処分等を引き続き進めまして、さらなる株式処分益の増加に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

田中(慶)委員 いずれにしても、この問題をはっきりと、早目にちゃんとさせないといけない問題。もう既に処理は終わっているわけでありますから、こういうことを含めて、これが今のような石特会計も含めてあらゆるところに連動するわけでありますし、そして、なおかつ、不透明なと言うと大変失礼な言い方ですけれども、つくっちゃ壊し、つくっちゃ壊しみたいなことを、結果的にそういう表現が当たるんだと私は思いますが、そんな状態であります。

 特に、今のようなやり方でも、審議会の問題とかいろいろなことを含めて、特に石油資源開発の問題、国際石油開発の問題等々の問題もありました。結果的に、これは和風メジャーというものを目指そうということでありますけれども、現実には、このことについても、ある面では、天下り官僚では、はっきり言って、こういう問題について本気で和風メジャーというものはできていかないと私は思うんです。それは、大臣みずからのリーダーシップしかないだろうと思います。

 資源のない日本、ましてやエネルギーそのものが乏しい日本でありますから、有効に今のような問題も含めてやっていかないといけないだろうと思うし、いつも、今回のようにそれぞれ外的要因によって日本の経済が全部左右される。ましてエネルギーに乏しい日本でありますから、そういう点で、石油のあり方、原油のあり方等々が十分対応していかないと、それはかつて、私たちが想像していた和風メジャーという問題も含めて検討されていたわけでありますけれども、しかし、今、それがどうなっていくのかわからない。それは、ある面では丸投げして天下りの人たちに任せっ放しでは、そういうことが政策として実現できないと私は思いますので、大臣のリーダーシップでそのことをしっかりとしていただけるように、最後にあなたの考え方を聞かせていただいて、私の質問を終わります。

中川国務大臣 石油公団関連の会社については、今、小平長官から答弁ありましたように、できるだけ早く整理をしていかなければいけないと思っております。

 他方、石油開発、これはリスクを伴うものでございますから、過去においては一プロジェクト一会社みたいな形でやってきたわけでありまして、それはそれで、当時としての一つの政策判断だったんだろうと思います。

 ただ、自主開発が日本の石油の約一割を占めている現状でございますけれども、私自身、世界の状況を見ると、御承知のように、ロシアはどんどん統合して、いわゆる新メジャー、アメリカあるいはイギリスのメジャーに匹敵するようなメジャーをつくろうとしている動き、これはかなり中央集権がリーダーシップというか、強権的にやっておりますけれども、そういう動きがありますね。あるいはまた、中国もどんどんメジャー化しているという流れの中で、日本だけがばらばらばらといていいのかという、諸外国との比較においてそういう認識を持っていることは事実でございます。

 しかし、民営化したわけでございますから、経営者の最終判断ということになって、政府がどうこうということを指示することはできませんけれども、一定の株主の立場で政府がどういうふうにするかを早急に決めていきたいと私自身思っております。

 いずれにしても、行政のむだ、あるいはまた、もちろんあってはならないようにしておりますけれども、天下り、あるいはまたお金のむだ遣い、さらには石油戦略の見直し等について、田中委員から厳しい御指摘を受けたことをしっかり踏まえてやっていきたいと思っております。

田中(慶)委員 時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。

河上委員長 次に、松島みどり君。

松島委員 まず大臣に、人民元の切り上げの関係のことでお伺いしたいと思います。

 私も、当選以来五年になりますが、世界の工場ともいうべき中国と日本は貿易、競争をしながらやっていく、その中では絶対に日本としても求めなきゃいけないテーマだとずっと思ってきました。日本の場合はいろいろなことで遠慮があるのかもしれないけれども、今、アメリカが先頭に立って、報復関税ということも視野に置いて、これを随分発言して、それに対して、中国もいろいろな制度の準備はできているという言い方で、微妙な時期に差しかかっていると思います。

 それで、一つは日本としてのこれについてのスタンスということと、もう一つは、実際にタイミングがいつになるかどうかもちろんわからないし、形としては、全くの変動相場になるのか、あるゾーンを決めた切り上げにするのか、それはもちろん中国の主体の問題でございますけれども、その移行するまでの間、今、円が連動していろいろな影響を受けている、このことについて。そして、何より伺いたいのは、無事に何らかの形で人民元の切り上げがなされたときに、日本の経済に対する影響、これはプラスの方が総体としては多いと思うんですが、どのようにお考えになっていらっしゃるか、伺いたいと思います。

中川国務大臣 人民元の問題というのは、急速に大きな経済主体になっております中国が、いわゆるドルペッグ、ドル連動の実質的な固定相場的になっている、しかもそれが安目に抑えられているという問題は、金融あるいはまた経済、通商の面でよく議論に出てくる話でございます。

 私も、いろいろな中国の人あるいは欧米の人ともよくこの話をしますけれども、最終的には、G8のメンバーでもございませんし、中国自身の判断ということになるんだろうと思いますけれども、松島委員御指摘のように、最近、特にアメリカの方からかなり強いメッセージが出ていることも承知をしております。

 ただ、まず中国において、為替というのは、御承知のとおり、安目に抑えておくと輸出はいいけれども輸入は厳しいわけで、中国というのは、輸出大国であると同時に、今エネルギーや食糧を初め膨大に輸入をしておりますので、安目に抑えているということは、輸入には厳しいから上げた方がプラスになるわけですけれども、逆に上げると外貨を稼いでいる方の輸出に影響するということで、中国も一長一短だろうと思うんですね。

 それから、日本との関係においては、もちろん輸出輸入については、安目でありますと中国からどうっと入ってまいりますけれども、逆に高くすると、日本からの輸出もしやすくなると同時に、実は二万社とも言われております日本から進出している中国にある企業、日本の企業、いわゆる現地法人にとっては決してプラスにならないということで、この為替というのは、必ずしも一方にいけばすべてハッピーということじゃなくて、必ずトレードオフの関係にありますので、日本にとってもなかなか判断の難しいところだろうと思います。

 いずれにしても、実勢をどう判断し、それとの関係においてどう修正をしていくのかということは、日本を含めて世界じゅうが注目をしているというのが現状でございます。

松島委員 大臣には、後ほどまた同じ中国絡みで、「クレヨンしんちゃん」のにせものの話とソフトの海賊版対策の話を伺いたいと思いますが、ちょっとしばらく公正取引委員会の方にお話を伺いたいと思います。

 独占禁止法の改正、この四月に私ども成立させたわけですけれども、ちょっと個別事案というか品目の話ですが、公正取引委員会は昨年の秋、九月に、ガソリンの流通実態に関する調査報告書という分厚い資料を出しております。この資料は、私、非常に丁寧に、初めてこういうことを丁寧に調べたなという感想でございます。というのは、石油元売会社二十一社、それから商社二十五社に書面や聞き取りで調査をしている。ガソリン販売業者、いわゆるガソリンスタンドを経営している業者に対しては、三千二百十一社に書面調査して三割が回答、それから五十九社にもヒアリングをかけているという大規模なものでございます。

 でも、これは、調査はせっかくしているけれども、その生かし方が私は非常に不満足なんです。と申しますのは、石油の元請と中小のガソリンスタンドの関係。

 そもそも、ガソリンスタンドというのは三つパターンがございまして、圧倒的に数が多いのは、大体平均一・七スタンドずつ持っている中小の在来地場型会社です。それ以外に、大手の元売の直接の子会社が経営している、大きい規模でチェーン展開しているのと、あるいは商社が経営している系列のというのがございますが、これが、卸価格が、元売からの卸のやり方が二本立てになっている。つまり、中小に対しては非常に高い卸値で、片や自分の元売の子会社や商社経営のものに対しては安い卸値で、この調査報告書でもその差が一リットル当たり三円から八円はあるということをしっかりと書かれています。

 なおかつ、単なる値段の差だけでなしに、設定の決め方というものが基本的に違って、中小業者に対しては、地域ごとにガソリンの末端価格をもとにした基準価格を定めて、それから販売量が多かったら値引きするというような、エリア市況リンク方式とこの報告書でも言っているんですが、一方、元売の子会社や商社経営、つまり大どころに対する卸価格は、RIMリンク方式、ガソリンの各種取引の中で最も低い価格で推移している指標、いわゆる業転価格、業者間転売の低い値段のもので決める。そのように決め方のスタイルそのものが違うということもこの中に出てきます。これは、独占禁止法の中でも明らかな差別対価ではないかと私は思うんです。

 さらに、自分のところの元売の子会社に対しては、もともと三円から八円の幅があって安い上に、赤字になりそうだったら、そこで決算前に赤字にならないように卸価格を事後的に引き下げる、調整をする、いよいよ差が開く。こういう非常に不当な形であるということまでここで暴いているというか、明らかにしている。

 せっかくこういう報告書を出しながら、でもそれが許容の範囲であるかのような、関係者だけで話し合いなさいみたいな結論になっております。私は、これはちょっとおかしいんじゃないかと。

 と申しますのは、もともと元売対中小の小売スタンドの関係というのは、これも一応いろいろなガソリンスタンドの看板を掲げて系列化されている。ただ、系列というのは、資本の系列じゃなくて、ここからだけ仕入れるみたいな、入れてくる石油の――大臣がもういなくなっちゃいますね。仕方がないですね。残念ですけれども、あとの質問はほかの方にします。ごめんなさい。

 それで、済みません、公正取引委員会なんですが、スタンドの中小会社から見ると、価格決定権を全面的に元売の大きな力を持つところが勝手に決めている。これだけでも強い者にいじめられているような形です。それに加えて、元売の子会社だとか商社の系列というのは自分のライバルになるわけで、それで、ライバルの方に安値で卸しておいて、その部分の補てんみたいなのを自分たちに高く卸し売る。これじゃ、踏んだりけったりというのはまさにこのことじゃないかという気が私はするわけでございます。

 もちろん、消費者から見ると安売りの店があるというのはいいことではございますけれども、これは独占禁止法の改正のときにも議論になった話ですが、我々政治というスタンスで見ますと、やはり自営業者の中小零細企業というのは日本に残ってもらわないと困る、私はそういうふうに思っております。

 今どういうことが起こっているかというと、見かけは全然変わらないんだけれども、中小の、平均一・七店舗持っている小さい会社がつぶれちゃって、そこの社長さんだった人が元売の子会社の系列でそのまま働いているんだけれども、でも、経営がかわっちゃって、そこの従業員として変わって、一見ガソリンスタンドは営業しているけれども、そういう変化というのがあちこちで見られるようになってきております。

 数字で申し上げますと、ガソリンスタンドの数というのは、一年前ですけれども、平成十六年三月は全国に五万六十七店ございました。一年前に比べて千二百二十七店減っている。しかし、その中で元売の子会社だけ見ると、二百十七店ふえて二千五百四十六店になっているんです。全体のスタンドの大多数を占めている中小は、千三百四十二店減って四万二千六百二十二店になっている。こういうふうに、全体が減る中での交代みたいなことが起こっております。こういう問題点がある。

 そして、もう一つ問題で申しますと、これは卸価格の話を今申し上げましたが、それ以外に、ちょっとこれは難しいんですけれども、発券店値づけ法人カード、いわゆる元売が出しているカードがある。そのカードを持っていくと全国どこへ行っても同じ値段で、共通の値段で、大体大どころの法人相手にそのカードを渡しているわけですけれども、どこでも一律の値段で給油できる。ガソリンスタンドは給油の手数料だけ受け取る形になっています。この手数料が元売の会社によって違うんですけれども、七円または五円、そういう形でございまして、非常に低い。これでは、実質的に粗利も出ない状況に抑えられているわけです。

 これについて、東京都石油商業組合は去年の八月、公正取引委員会に対して申し立てを行っています。この取扱手数料に関して、元売会社の優越的地位の乱用の疑いがあるんじゃないか。違反に当たる具体的な事例を挙げて、なおかつ、組合員に対するアンケート調査の結果も添えて訴えております。

 これは、要約しますと、元売から、給油代行をするかしないか、自由に選択できるかどうか、選択できるんだよという説明があったという会社はどれぐらいあるか、そういうふうに聞いてみたら、七七%の小売は元売から自由選択の説明はなかったと回答しております。非常に説明が不十分で、とにかく押しつけられていると。給油代行手数料についても、九五%の小売が、元売から一方的に通知がある、そういうふうに回答しております。これは優越的地位の乱用でなくて何と言えるんだろうかという気が私はしております。

 もう一つの問題、手数料について言うと、手数料は全国一律になっておりますけれども、これは、固定資産税や人件費も違う、各地の市況も違うのにこういうものを全国一律に決めるというのはやはりおかしいんじゃないかという気がいたします。東京都内全域の十四社の調査でも、二割近くが、今までのお得意さんも、今まで自分の個別のお得意さんだったと思っているところも、法人カードで入れた方が安いからといって元売に全部持っていかれるというようなことになっているわけでございます。

 今、石油の値段は非常に上がっている。仕入れ価格、卸価格も本来は上がっている基調ですけれども、例えばオリックスが持っている自動車リース部門の子会社が利用者向けに発行している給油カードは、ガソリンを四月から一リットル当たり二円九十銭値下げして、百七円四十銭としました。また、三井物産系の会社が発行しているカードも、四月から八月までの給油価格をレギュラーで一リットル百四円として、全国三千六百のエッソ、モービル、ゼネラルスタンドで利用できますと宣伝しているんですね。その一方、都内の中小小売店というのは元売からの仕入れ値段が百六円五十銭ですから、逆転しているような状況です。こういうのは何かおかしいからくりがあるんじゃないか。

 つまり、申し上げたいのは、せっかくこうやって調査報告をされながら、それを生かしていない。取引の中にこういう特殊指定というのが、例えば大型店と納入業者の関係、あるいは、私も随分主張して入れていただいたんですけれども、トラック運送会社や倉庫会社と荷主の関係で結ばれました。この独特な元売と小売の関係があるガソリンの業界についても特殊指定なりをして、こういうのは問題だとか基準を決める、あるいは、せっかくここまで調査で出しているのに、これを生かして、やはり警告なりする、是正させるというような考え方をお持ちにならないかどうか。お持ちにならないかというか、やるべきだと私は考えているんですが、委員長、いかがでしょうか。

竹島政府特別補佐人 今、大変具体的な内容を含んだ御指摘をいただきまして、私どもも前から、石油の商業組合の方々と私自身も何回かお会いもしていろいろなことを伺っているし、先生が今御指摘のように、去年は東京都の組合の方から申し立てもあったということもそのとおりでございまして、我々は、そういう実態を踏まえまして、実態調査もいたしましたし、その上で、こういう場合には独禁法に違反するおそれがありますよということも、考え方も示している。具体的には、不当廉売についても差別対価についても、物の考え方を示しているということでございます。

 特殊指定にしてはどうかというお話もございましたけれども、私どもは、今のような考え方を示し、それに触れる具体的なケースについてはきちんとやっていくというスタンスでもう少しやらしていただきたいと思っております。

 決して、何か甘くするということじゃなくて、元売に対しても、それからガソリンスタンドを経営している中小の方々、どちらも公平に当然扱っていかなきゃならないんですが、どうも見てみますと、もうちょっとお互いの立場を考えて、厳しい状況であるにしても、共存共栄というか、もう少し節度を持ったことが行われてほしいな。そういう意味でも、私は経営者、関係者の良識というものに期待したいと思っていますが、その中でも、それだけでは甘いということで、具体的にこういうケースがあるではないかということであれば、積極的に取り上げていきたい。今までも、具体的なケースとして取り上げまして、これは不当廉売というところまでいかないというケースもございましたけれども、いずれにしても、個別の事件について取り上げることはやぶさかではございません。

 それから、法人カードのことにつきましてもありましたが、これは、言ってみると中抜きみたいなことが元売と大口需要者の間で行われているということで、そのこと自体、これはだめというわけにもいかない話だろうと思います。それにまつわって、例えばそれが選択できないというふうなことであれば、確かに、おっしゃるように優越的地位の乱用という問題もあるかと思いますが、私ども、アンケートの結果も調べてみましたけれども、必ずしもこれはみんな困っているわけじゃなくて、このカードのために便利であってよろしいという方も中にはいらっしゃる。

 ですから、ガソリン商の中もそれはいろいろでございまして、それにしても、その中で個別に、いわば限度を超えてまさに不当な立場に置かれているという場合にはきちっと取り上げていきたいということでございますので、抽象的といいますか総論的なお話だけではなくて、どこどこでこういうことがあった、これは明らかに同じ量を売っているのにこれだけ値段が違うというようなことを、個別に公取に持ってきていただきたいと思っております。

松島委員 公正取引委員会が例えば中小企業いじめについてどうやって調べるかというと、そのときに、書類を送るけれどもなかなか本音が聞き出せないということを言われるんですね。この場合は皆さん答えているわけですから、それはきちっと取り上げていただきたい。

 なおかつ、今原油の値段が上がっている中で、法人カードだけ安い値段を提供できるというのは、そこに対しては卸価格が非常に安いわけで、そして一方、法人カードによる小売値よりも高い値段で一般の小売屋さんに卸しているというのはやはりおかしいということ。そして、私、さっきちょっとトラックなどの話をしたんですけれども、あのときは特殊指定にしてもらいまして、例えば、荷主の側に長期契約だからこの値段で我慢しろと言われたから引き受けていたら、短期で打ち切られたとか、そういう場合は問題だとか、あるいは、荷主の都合に合わせて荷台の形を整えろと言って、それから契約を打ち切ったら問題だと具体的に定めてもらったわけです。

 やはり、具体的基準があると訴えやすいわけですね。訴えると非常に労力がかかるわけでして、それについて幾つかの事例をせっかく業界として出しているところは、もちろん、法人カードがあってよかったというところもいるかもしれないけれども、しかし、よかった分はよかった、もちろん全体やめろという話じゃないんですから、それはきちっと取り上げる姿勢を見せてもらわないと、独占禁止法の改正というのは、やはり大企業が中小零細企業をいじめるということをなくす、そうやって生きていける社会にしないと。普通の業界ですと、売ってくれるところがなくなっちゃうと、つぶれると元のところは本当は困るんだけれども、石油業界は困らないんですね、自分のところの子会社を持っていてそっちに移管していけばいいわけですから。

 それで、ガソリンスタンドはどういう立場かというと、仕入れようと思うときに、もともと、月商の、月の仕入れの二カ月分を、小売店がつぶれたら困るからといって、元売は保証金で積ませているわけですよ、現金とか銀行の保証書とか。だからつぶれても困らない。そうやって、元売の方は、自分たちは困らない立場にあって、小売店は、かといって、掛け売りしている相手に対して、お客さんたちに先に保証金積めなんて言えないんですから、これは完全に弱い立場にあるわけですから、やはりこういうことが中小企業、零細企業に対する配慮だと思います。

 せっかく独占禁止法の改正で、公正取引委員会が犯則調査権を持ったり、非常に大きな力を持つことができる。私は、それは非常に賛成です。それはこういうことで生かしてもらわないと意味がないと思っておりますので、ぜひ、現実のものとしていってください。お願いいたします。

 次の質問に移ります。

 大臣、いらっしゃらなくなりましたが、私は非常に印象に残った記事で持ち歩いているのが、タイトルが中国「偽物しんちゃん」「本物駆逐」というのがございまして、これはどういうことかといいますと、日本の人気アニメ「クレヨンしんちゃん」は中国でも人気があって、私も発音が余りわからないんですけれども、「蝋筆小新」というんですか、そういうまさに漢字で四文字であるんですが、「クレヨンしんちゃん」というのは人気がある。

 漫画の出版元の双葉社が、ライセンス契約を結んだ上海の業者を通じて子供服やかばんなどの販売を中国で始めたら、中国のにせものの方が先に商標登録を済ませていて、日本の本物が、商標権の侵害品だからといってデパートの店頭から撤去させられたという事件が昨年ございました。

 これは結局どうなったのかというてんまつを知りたいのと、それから次に、経済産業省としての対策、姿勢なんですけれども、こういう本末転倒というか、むちゃくちゃな話が起こらないようにしてもらいたい。

 製造業でいいますと、有名な話は、中国でホンダをまねた名前のオートバイがHONDAのNとDの間にGを入れたりしてHONGDA、そういうのが問題になったり、それもタイやフィリピンなど、東南アジアまで輸出されているというような問題もございます。

 製造業の場合もいろいろ大変なんですけれども、さっき申し上げましたソフトの分野、いわゆるコンテンツと言われている映画やアニメや漫画、音楽などというのは取り扱っているのが小さな企業である場合が多いので、各社がそれぞれ、中国に進出するときに法律の制度を調べるとか、非常に難しいです。あるいは、摩擦があったときに中国の裁判に訴えたりするというのは、経済的にも非常に困難でございます。

 これは、やはり政府として、経済産業省としてバックアップをすべきだ。なおかつ、こうした分野というのは、今後、日本の輸出の中で伸びが期待される分野でもございます。政府として、海賊版対策など積極的な対応や取り組みについて既にどのように対処しているのか、これからどうしていかれるか、お伺いしたいと思います。

小此木副大臣 御指摘の問題は、中国での「クレヨンしんちゃん」、言われたとおりでありますけれども、現地事業者が、正規の権利者、双葉社に無断で中国語で「蝋筆小新」という商標を現地において登録して、この商標を使ったキャラクター商品の販売を行おうとしたものであると認識をしておりまして、昨年の七月の末、双葉社が、現地取り締まり当局に対して、同商標の使用差しとめ請求を行って、八月に同商標の使用差しとめの仮処分決定がなされました。その後、同社は、その商標の無効審判請求を行って、現在、審理中でございます。このように、現地において事業者による適切な対策が今講じられているものと聞いております。

 このように、我が国のコンテンツ事業者が海賊版対策について断固たる対応をしていくことは、日本コンテンツの海外展開において極めて重要でありまして、当省といたしましても、コンテンツ事業者等により構成されるコンテンツ海外流通促進機構、CODA、ここと協力をいたしまして、積極的な支援措置を講じているところであります。

 具体的には、海賊版による侵害が深刻な中国の北京、上海に海賊版対策に係る専門調査員を常駐させて、市場モニタリング、企業相談業務等を実施するということ。中国に官民合同のミッションを派遣して、中国の政府に対して、刑事罰の引き上げ等、海賊版取り締まりの一層の強化を働きかけること。先ほどのコンテンツ海外流通促進機構、CODAと協力をして、日本コンテンツ共通のコンテンツ海外流通マークを策定し、海外でその商標を登録することにより、海賊版の簡易、迅速な摘発を可能にする。こういった取り組みを進めているというところであります。

松島委員 最後に、特許のことで伺いたいと思っております。

 製造方法などについて特許を出願すると、特許が認められても、一年半たてばだれでも見られるようになってしまいますし、第一、出願の公開により技術情報が流出する。特に今、インターネットで全世界に知られてしまうリスクがある。かといって、企業でノウハウとして秘密にしておくと、ほかの人が特許を取得した際に権利侵害として訴えられる、そういう悩みを抱える会社がふえてきております。その結果、特許法七十九条に定める先使用権を確保する会社もあるんですが、これは、ほかの人が特許を出願した際に、既にそれを自分の会社が実施している、または準備していたということを証明する必要があり、その立証が難しいという産業界の声も強いわけでございます。

 このような悩みにこたえて、特許出願前の発明を証明したり保護したりする制度が整えば、防衛目的の出願をなくして特許審査のスピードアップにもつながると考えられるんですが、特許庁の対策はいかがでしょうか。

山本(明)大臣政務官 松島先生の質問にお答えしたいと思います。

 御指摘のとおり、先使用権というのは後から証明というのが非常に難しいということで、多くの企業から苦情をいただいておるところであります。

 そして、特許庁といたしましては、来月から、この先使用権につきまして、制度の利用実態だとか判例だとか、海外、特にフランスではもう先使用権というのも実際にやっておりますので、海外に行って調査したりということでありまして、ことしじゅうにはどういうふうにしたらいいかということを検討してまとめたい、こう思っておりますので、よろしくお願いいたします。

松島委員 ぜひよろしくお願いします。

 もう一つ、特許でございますけれども、平成十六年度にスタートさせた任期つき審査官の制度は、七年間務めると弁理士の資格が与えられるということもあって、応募者も多くて、一流の人材を相当数確保できて効果を発揮していると聞きますけれども、その実情がいかがかということ。

 それから、最近、アメリカやヨーロッパの特許審査官は急増しているのに対して、アメリカは三千七百五十三人、ヨーロッパは三千三百六十五人、それに対して日本は、千三百五十八人にすぎません。日本では審査待ちの件数が、去年は六十一万件で、五年前に比べて一・七倍に膨らみ、審査待ち期間は一・三倍、最終審査まで一・二倍と、五年間でふえています。

 これにつきまして、日本としてまだまだ足りないわけですけれども、この状況、そしてさらに、知財の重要性の高まりから、ことし四月から東京に知財高裁も開かれましたけれども、そうすると、審査官もさることながら、今度は審判官の充実も必要になるのじゃないかと思います。このあたりについてどのように取り組んでおられるのか。

山本(明)大臣政務官 御承知のように、特許申請して大分日にちがかかるのは確かでありますけれども、日本は外国と比べて体制が非常におくれておりまして、人数が少ない。ただし、効率は大変よくて、外国の何倍もの効率を上げておりますけれども、まず絶対数を上げることが大事であります。

 今御指摘いただきましたように、任期つき審査官を昨年から、毎年百名を目安にして、五年間にかけて採用しようということで、実績として、昨年もことしも九十八人を採用しておりまして、非常に優秀な方が集まってきておりまして、博士号取得者とか弁理士とかたくさんいるわけでありますけれども、非常に優秀な方が集まってきておりますので、大変期待が持てる、こういった点があります。

 そしてもう一つ、登録調査機関をこれから外注できるようになりましたので、二機関決定いたしまして、財団法人とともに三機関になりましたので、これも非常に迅速化が図られるというふうに思います。

 そしてもう一点、この審判の内容につきましては、先ほど御指摘ございましたように知財高裁ができましたので、そこと情報交換をしっかりと図って効率のいい審判をしていきたいということでありまして、この審判合議体制が、三人ワンセットでありますけれども、今百九セット、百九体制あるわけですけれども、これを毎年一つずつふやしておりますので、そうした体制を含めて審査を速めていきたい、こう思っております。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

松島委員 ぜひそういう体制の拡充を進めていただいて、日本の競争力を高めるようによろしくお願いいたしたいと思います。

 ありがとうございました。

高木(陽)委員長代理 以上で松島みどり君の質疑は終わりました。

 続いて、渡辺周君。

渡辺(周)委員 それでは、民主党の渡辺でございます。四十五分間質問をさせていただきます。

 何か前半、参議院の方に中川大臣並びに資源エネルギー庁長官が行っておられるということでございますので、その間は、ちょっとハードな質問は後に回しまして、商店街の支援策ということでちょっとお話をさせていただき、また質問をさせていただきたいと思います。

 この委員会でもずっといろいろやりとりがされてまいりました。その中でも、やはりそれぞれが抱える商店街の現状、衰退する中で非常に厳しい状況にあるわけでございまして、これは御多分に漏れず、それぞれが商店街からの悲鳴を受けて、どうしたらいいのかという相談を受けました。私は、経済産業省がさまざまな活性化のための方策、支援策を、たくさんメニューをつくられまして、それは大変評価をしているところなんです。

 私は、いろいろな省庁数ある中で、経済産業省というところは、かなり柔軟に、いろいろフレキシブルに、今こうしてほしいというニーズに対してそれなりのやはり支援策を毎年毎年新規の政策として講じてきたということについて大変評価をしているところでございますけれども、そうした中で、これまで幾つかやってきました例えば商店街の活性化、こういう政策について、ただたくさん毎年毎年新しいものが出るんですけれども、いろいろなものがあり過ぎてわからなくて、似たような、類似するような名前もいっぱいありますけれども、これを例えば結果的にフォローして、どうなっているのかなと聞きたいんです。

 つまり、たくさんメニューがある、いろいろな申請を受ける、いろいろ審査をしていろいろ支援をしてきたんでしょうけれども、実際に、その結果、商店街が活性化したというところの事例はあるんですかね。つまり、メニューはたくさんあるんですけれども、現実問題として、そういうことで息を吹き返しました、こういう施策で一時期に比べて大分人手が、人の足が戻ってきたというようなことというのは、これはどういうふうな形でこれをフォローしているのか。その点について、まず冒頭お尋ねをしたいと思います。

望月政府参考人 お答えを申し上げます。

 商店街の現状は、先生先ほどちょっと御指摘なさいましたように、私ども、最近の調査をとりましても、やはり九十数%の商店街が何らかの意味で停滞しているとか、そういう状況にある、大変厳しい状況にあると思います。したがいまして、これをきちっとにぎわいを取り戻していくためにはかなり抜本的な対策を今後とも考えていかなきゃいけないということで、私どもは今、まちづくり三法の見直しというか、三法の体制を再評価して検討している最中でございますので、そういった意味で、本当にどういう効果が上がっているのかというのを総合的に評価するのはなかなか難しいと思います。

 そういった中で、この商店街の振興策というものは、前向きに一生懸命やろうとしている商店街の皆様の活動を支援するという意味では、大変役に立っているという声を私どもは伺います。ただ、それだけで当該商店街が全部復活するというような生易しい状況にないことも事実でございまして、私どもは、私どもがいろいろやっている支援策はもちろん今後とも有効活用していただくこととあわせまして、全体の環境、町のにぎわいをどうやって取り戻していくかという政策を今後ともむしろ積み重ねることによって結果を出していかなければいけないのではないかと。

 個別には、申し上げたような商店街の振興策について、にぎわいを取り戻した例というのは幾つもございまして、それについては、私どもとして、他の商店街について参考になるように資料をつくり、情報公開をしているところでございます。

渡辺(周)委員 御存じかと思いますけれども、私もまだ行ったことないんですけれども、最近では、大分県の豊後高田市というところに商店街が復活をした。これは奇跡のような復活だというふうに言う方もいる。ワイドショーだとかさまざまな旅番組なんかでも随分取り上げられるようになりましたけれども、この大分県の豊後高田市というところに、昭和の町、市内の四商店街が二〇〇一年、六十店ぐらいのうちの十二店が参加して立ち上げた。これ、キーワードは昭和三十年代をイメージして、もともと古い商店街だったということでございます。

 ただ、御多分に漏れず大型の量販店が出店をして、バイパス沿いに例えば大型の量販店ができて、当然のことながら、疲弊していった。しかも、悪いことに、昭和四十年代に参宮線という電車が廃線になってしまった。これはもうだめだと、みんなが息の根がほぼとめられるというふうな状況になったんですけれども、それはもう本当に起死回生の一策、商店街の建物が幸運なことに七割以上が昭和三十年代以前のもので、昭和の町並みを外観の化粧直しをすることによってやろうじゃないかと。

 当初は、こんなばかげた企画、昭和三十年代の町並みを戻そうなんということは随分ドン・キホーテだと言われたようなんですけれども、ここまで来たら思い切ってやってみようということで一か八かやったら、今ではこの人口一万八千人の町に観光客が大体毎月一万人の人が来るようになった。

 これは私も見たんですけれども、例えば地元で昔からやっているお肉屋さんがある。これが、家族のおかずにつくっていたコロッケというのが一個五十円なんですけれども、今や平均で一日千個、売れる日は、観光客に一日三千個も売れるというんですね。そこには、例えば昔ながらのアイスキャンデー屋さんを復活させたり、昔ながらの電気屋さんが自分の家にあった昭和三十年代の、いわゆるレトロな家電製品を見せることによって町並みを、昭和三十年代の懐かしいなとタイムスリップをしたような町並みを再現したことによって、地元は一万八千人しかいないんだけれども一万人の人が来るようになった。

 それもやはりノスタルジックな町並みに引かれて、私も一度行ってみたいなと思うんですけれども、何か昭和の博物館のようなイメージができ上がっていった。そうしたら、空き店舗にどこかテナントをといったら、世の中にはいろいろな人がいるもんだなと思ったが、グリコのおまけをコレクションしている人がどこかにいて、そういうことなら、せっかくだからそこに寄附するから展示して見せていいよと。今度は何かその昭和のグリコのおまけのこういう記念館みたいなものをつくって、それがまた集客をする。

 結局、これは本当に、さっきお話ありましたけれども、やはり地元の方の熱意、努力、ある意味では、あるところまで本当にこれは追い詰められて、だめかもしれないと。ここの町の場合は、たまたま豊後高田市の場合は昭和の町並みが再現できるように昔の建物がそのまま残っていて、それをちょっとお化粧直しすることによってできたという、もともと非常に恵まれた財産があったんだと思いますけれども、私自身は、やはりこの地元の方々の熱意あるいは発想というものが突き動かしていくのかなと思います。

 ただ、そうはいいながら、商店街の方々、では本当にやれるかというと、残念ながら、それぞれ御商売を抱えている。商店街のそこそこの役員さんになりますと、いろいろ、行政の充て職、地方の何とか振興組合なんかやったり、市の何かの審議会の委員になったりして、結構忙しい人は忙しいんですよ。だから、なかなかこういう仕事に全部手が回らないというところもあるんですけれども、そういう人材をぜひこれからつくるということも含めて、ひとつ、支援をさらにさらにしていただきたいと思います。

 さっきの御答弁にありましたけれども、もう町並み整備、特にハードの整備というのは、カラー舗装だとかあるいは街路整備だとか、ベンチをつくったり駐車場を整備したり、ある程度のメニューはもう大体行き届いたんじゃないかと思います。あとは、そういうことをする人と、今のアップ・ツー・デートな、今風の例えば何かやり方があるのかとリアルタイムで教えていくような情報を提供することじゃないかと私は思うんです。

 その点、田舎へ行くと、いろいろな商店の経営者が集まって商店活性化のための何とかといっても、来る人というのは大体全国に行っている経営コンサルタントの人だとか、まちづくり何とかだ、町おこし何とかプランナーみたいな人がいるんですけれども、じゃ、その人の話を聞いて何かできるかといったら、実際はなかなか難しいんですよ。

 ですから、ちょっとだらだらとお話をしてしまいましたけれども、人を育てるということについて、特に、東京のど真ん中にいてここの目から届くところになりますと、まあ、そうは言ったってと思うかもしれませんけれども、ちょっと地方へ百キロも離れれば、なかなか人材、まず人をどう育てるかということが大事なんですね。その点について、ぜひ人材育成ということについてお尋ねをしたいと思います。

 もう一つ、これに関連して商店街活性化コミュニティー事業、空き店舗対策をやっています。例えば、今多いのが高齢者の交流施設、あるいは子育て支援施設、こういうものがございますけれども、平成十四年度からコミュニティー施設の活用事業、十四年度が大体平均三百万円ぐらいだったのが、年々補助件数もふえてきて、予算もふえて、今、一件当たり大体平均五百万円ぐらいでしょうか、となっております。

 その中で、例えば厚生労働省の補助金が出るというんですね。人件費補助があるというシステムがありますけれども、こういうことというのは意外と知らないですよ。国の方が例えば商工会なんかに行きますと、こういう空き店舗対策事業があるよ、だけれども、例えば子供預かり施設だとか社会福祉法人が委託を受けてやるようなところでは厚生労働省の補助金が出ますよと言っても、意外と町の担当者は知らなかったりするんですね。

 ここにもありますけれども、国の方の資料にありますけれども、例えば相談・申請窓口は「地方自治体 都道府県又は市町村の商工担当課」というんですけれども、参考書きに、厚生労働省の支援を受ける場合の相談・申請窓口は「保育担当部局」と。つまり一つになっていないんですよ。つまり、市町村の商工担当課あるいは都道府県の商工担当課に空き店舗対策のことはできるけれども、その後の、厚生労働省の支援施策でいうと、少子化対策企画室が所管をしている「つどいの広場事業」、対象者は「商店街振興組合、NPO法人、社会福祉法人」で、「主に公共施設内のスペース、商店街の空き店舗等において、子育て親子の交流の場の提供、子育て相談、地域子育て関連情報の提供、講習を実施する」場合が対象になっておりまして、この人件費については厚生労働省が補助してくれるというふうにあるんですけれども、これは結局、こういう地方の窓口で商工課担当者のところへ行くと、実は厚生労働省からもこういうのが出るというのはなかなかわからないんです。

 例えば地方の縦割りも、地方の窓口が違うと情報が一元化されていないというのもあるでしょうけれども、国の方でも、つまり経済産業省が、こういう事業をやっています、空き店舗の改装費やあるいは事業運営にかかる経費の補助があるけれども、その後の人件費については厚生労働省からこういう場合は出ますよということをもうちょっときめ細かく教えなきゃいかぬのじゃないかと私は思うんですけれども、その辺についてはどうなんですか。今どうなっていますか。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

望月政府参考人 お答えいたします。

 最初の先生の御質問の人材育成でございますけれども、これは大変重要なことでございます。私どもが中央からすべてはなかなかできないわけでございますので、十六年度から開始した事業で、まずはネットを使って研修するe―ラーニング事業というのをやりまして、例えば、それに参加した人間が五百十名ぐらいおられます。その中で特に関心のある方について現地実習をするとか、そういう次のステップに行くようになっておりますけれども、三十名が現地実習を行い、それから、さらにスクーリングをすることができるわけですが、六十名が受講をしたというような、ステップ、ステップで特に関心のある人を絞ってそういう人材育成をしようという政策を実施し始めておりますので、私ども、これもさらに広報していきたいというふうに思っております。

 それから、御指摘の厚生労働省と一緒にいろいろやっているコミュニティー事業でございます。

 これは、おっしゃるように私どもの事業も都道府県経由の事業でございますので、両方とも都道府県経由ですが、お互い、国も担当部局が二つあって都道府県も担当部局が二つあるわけでございますので、ここのところの連携がうまくいかないといけないので、実は、私どものやっている努力といたしましては、両省の担当課が共同でパンフレットをつくって配る、それから、同時に都道府県における担当部局についても連携をとるように、ある意味では広報事業それから情報提供説明会なども同時にやっているわけでございます。したがって、もちろん、やっている本人、行政官、国も地方も行政官の本人は、共同でやっているという意識は一応今のところは浸透しつつあると思います。

 問題は、中小企業、商店街の方々がそういうものをワンストップで情報がきちっととられるようになっているかどうかということを、我々としてもこれからも十分気をつけていかなきゃいけないと思いますが、できる限り共同で資料をつくらないといけませんので、お互いの資料の中に両方のことが載っているわけでございますので、先生が御指摘のようなことを十分頭に置きながら具体的に行動をしていきたいというふうに思っております。ステップとしては一歩一歩やっているということではございます。

渡辺(周)委員 ちょっとさっき言い忘れましたけれども、豊後高田市というところの中でなるほどなと思ったのは、一万八千人の町に月に一万人も来てくれるようになった、でも、観光客というのはやはり観光客ですから、もともと地元の商店街という意味においては、今は観光ということで脚光を浴びているけれども、これで甘んじてはいけないよということなんです。結果的には地域で、これからこの人たちが模索をしているのは、やはり本当に地元の人たちが商店街と生活というものを一体化して考えていかなきゃいけないという中で、それが住民のニーズにできるだけこたえられるようになって、そこに子育てであるとかあるいはお年寄りの交流とか、もっと言えば、私は、観光客の方が来られて、ちょっと歩き疲れた人がそこでお茶を飲んでくつろいで、地元のおじいさんとおばあさんと話をするような会があったり、ちょっとした民芸品を教わったり、何かそういうサロンみたいなものもあってもいいと思うんですよ。

 ですから、地方はどこも疲弊化している中で、これからいかにしてこの商店街というところを生活の場の一部とするか。つまり、商業者といわゆる住民というのは、今、何か感覚的に分かれているんですよね。そうじゃなくて、生活の中に商店街があるんだという形に変えていかないと、一時的には脚光を浴びても、いずれはまた新しいものができればそっちへ行ってしまうでしょうし、そういう意味では、ぜひ人材をまず育成する、そういう認識を持った人をこれからふやしていただけるようなことをやっていただきたいと思いますし、コミュニティーの活性化事業についてもぜひ柔軟に対応していただきたいなと思うんです。

 先ほどお話ありましたけれども、例えば四十七都道府県の担当者が東京に来て新規事業の説明会をやる、そのときやはり横に厚生労働省の方もいて、あるいはほかの、文部科学省もあるのかもしれませんけれども、例えばこういうところにはこういう補助金で補助メニューがありますと。縦割りでやったらだめなんですね。経済産業省だから何だとか、厚生労働省の方についてはあんたら勝手に勉強してくれみたいな話ではなくて、それはやはり、縦割りの弊害と言われる中で、ぜひとも、できるだけ使いやすく理解しやすいような形で周知をしていただきたいなと思います。

 この問題の結びに申し上げたいんですが、昨年の九月十五日に総務省が「中心市街地の活性化に関する行政評価・監視」というのを出しました。これは、もちろん総務省も含めて、これは私も当時商工委員会で質疑をやりましたけれども、中心市街地の活性化法においてやった、その後今どうなっているかという話が、統計も平成九年と平成十五年を人口について比較したり、商業機能については平成九年と十四年を比較したりして、ちょっとばらつきがあるんですけれども、これを見ると、いずれの統計指標を見ても中心市街地の数値が減少している市町が大半である、結局中心市街地の活性化が図られていると認められる市町は少ない状況なんだ、こんなふうに結論づけられている。これは去年の資料ですけれども、せっかく私はこの商店街としていろいろなことをやってきている中で、もう結論としては、結局は中心市街地の活性化が図られていると認められている市町は少ない状況にあるというふうなことでばさりとやられているわけですよね。

 これは、もちろん中心市街地の活性化の中心を担うのは、私は、商業集積地あるいは商店街のやはり活性化にかかっていると思いますので、その辺については今後どうされるかということについて、御所見をできればあるいは大臣にも一言聞いて、次の質問に移りたいと思います。

中川国務大臣 まず、中座して失礼しました。途中からですけれども、今、渡辺委員の実例あるいはお考え方、全く私も同感でございます。

 たまたまきのうテレビを見ていましたら、お年寄りのお休みどころを商店街の空き店舗にやるといって大変成功している。つまり、人が集まる、滞留時間が多い、それだけでやはり活性化の一つのインセンティブになりますし、最終的には売り上げがふえるということになるんだろうと思います。

 私は、いろいろな地域から陳情をいただくわけでありますけれども、やはり全国に六百ですか、中心市街地と言われている地域があるそうでありますけれども、それぞれ違いますから、やはり活性化の主役は地元であり、関係者、そして自治体だと思っております。そこに政府として何ができるかということが我々の役目で、今その三法の見直し作業をやっておりますけれども、自治体、厚生労働省や文部科学省、そして経済産業省がばらばらであっては当然いけないんですけれども、自治体の方も一体として、中心市街地を活性化するんだということを自治体が先頭になってやっていただくということがなければ完成形にならないんだろうと思っております。

 そういう意味で、いろいろな知恵も聞いておりますので、そういう活性化によって、文字どおりコミュニティー、要するにソフトの部分の活性化ができるというふうに思っております。我々としても、制度上の不備あるいはまた制度の中身の不備も含めまして今検討しているところでございますので、また引き続きいろいろな御指導をいただいて、きちっとした広報を含めて、ニーズに国がお役に立てるように、実効性が上がって結果が出るようになるような努力をしていきたいというふうに考えております。

渡辺(周)委員 それでは、この問題はまたこれからもぜひやりとりをしたいので、私も地元の関係の方々の生の声を聞きながら、何が今求められているのかということにつきましてまた改めて質問したいと思います。

 大臣もお戻りになられましたので、それでは、東シナ海の開発の問題につきましてぜひ質問をさせていただきたいと思います。

 ちょっと時系列的に言うと、一番最新のことで言うと、二〇〇五年の、ですからことしの五月七日、日中外相会談、これは外務省にきょう来ていただいているんですが、五月の下旬に局長級協議を開くことで正式合意だ、李肇星外務大臣が、日中双方が受け入れられる解決方法を探ろうと表明して、東シナ海の境界線画定についても協議しようというふうな提案があったということなんですが、この報道というのは事実なんですか。

 まず、五月の下旬に局長級協議を開くということが合意されているということは事実かどうか、それから、確認ですけれども、そういうことで申し出があったのかどうか、その点について冒頭お尋ねします。

西宮政府参考人 先ほど委員御指摘の五月七日の日中外相会談におきまして、東シナ海等に関する日中協議を五月末をめどに開催するということで合意いたしました。今、中国側と具体的日程について調整しているところでございます。

渡辺(周)委員 だから、そういうふうな日中双方が受け入れられる解決方法を探ろうというような話で申し出があったんですか。つまり、境界線についても触れるんですか、ここで。そういうふうに報道された、そこら辺はどうですか。

西宮政府参考人 失礼いたしました。

 この五月七日の会議におきまして、李肇星外交部長の方からは、現在存在する問題について解決するために協力したいということ、共同開発について中国側の考えも述べるので日本側の意見も聞きたいということ、問題の根本的解決を図るために境界画定等についても協議したいというふうに述べ、東シナ海を友好協力の海にしたいとの考え方が示されたということでございます。

渡辺(周)委員 それを受けて急速に、最近新聞報道を見ていますと、世論が少し何か、世論というよりもちょっと報道のあれが変わってきたり、何かこう共同開発しか落としどころがないんじゃないか、共同開発が一番望ましいのではないか。見出しが、ガス田の共同開発を協議へ、共同開発が国益であるということがいろいろ出てきていますけれども、何かもう共同開発を前提に話し合うのかなというふうに思っていますが、ここでちょっとお尋ねしたいのは、そもそも共同開発というのはどういうことを意味するんですか。我々がとらえている開発というのと彼らが言う開発というところに例えばニュアンスの差があるといけませんので、日本側の言う共同開発というのはどういうふうにとらえているんですか、開発という言葉。その辺はだれかお答えいただけますか、大臣に。

中川国務大臣 共同開発というのは、私の理解では、企業同士の共同開発もあるでしょうけれども、この場合には、多分複数の主権国家同士で一つのプロジェクトをやる。なぜやるかということについては、今頭の中で浮かんできたのは、一つは技術の差があるとか、やることによってメリットがあるということ、いろいろあるんだろうと思いますけれども、日中においての共同開発という言葉が出てくる場合には、やはり境界線が画定できていないからということが前提で、お互いにそれでは一緒にやることが、今答弁のありました友好の海ということは私も否定をしておりませんので、そういう観点から共同開発という話が先方から出てくるかどうか知りませんけれども、言葉が最近使われているのではないかというふうに理解をしております。

渡辺(周)委員 そうなると、これは共同開発ということが、ここで、かねてから中国側は説明をしたい、我々としても当然これは日本側として譲れない条件があると思うんですね、最低限。つまり、今やっている中国側の開発、これを一回やはり休止、停止、やめなきゃいけないということですね。それで、現実問題として向こうが持っているデータと我々日本側が調査をしたデータと突き合わせてどういう構造になっているかというのは、やはりある程度のコンセンサスを得た上でやらないと、結果的には、何か向こうの境界線の主張は今変わらないわけですね、これは結局大陸棚延長論の上でいくとこうなんだと。だから、共同開発を提案したこと自体が、ある意味では中国側にしてみると、それを百歩譲って自分たちは共同開発を提案しているじゃないかなんということになると、まさに向こうのいいような条件でというよりは、これは日本が非常に不利益をこうむる形で話が進められるような懸念を持っているわけなんですけれども、今回、もしこれが共同開発ということを一つ選択肢として考えた場合は、大臣、やはり譲れない条件、あるいはこれは絶対必要だというところはどういうふうにお考えですか。

中川国務大臣 渡辺委員も現場を視察されたというふうに聞いておりますけれども、まず共同開発の議論が出てくるかどうかは今の段階では予測できませんし、今政府部内でいろいろそれに向けて作業を進めているところでございますけれども、共同開発の議論が出る前に、私としての理解は、まず、去年、そのもっと前、おととしの十月、つまり八月にこの春暁の契約が締結したことがわかって以来、おととしの十月以降、向こう側にずっと問い合わせをやっているわけであります。私になりましてからも、去年の新聞で大きく報道されて以来、向こう側に問い合わせをやっております。つまり、今あるデータで判断しても、特に春暁ガス田については、日本の主張している中間線をまたいでいる可能性が非常に高いので、そのデータをまずよこしてほしい、それから、可能性が高いから、その作業を中止してもらいたいということをずうっと言い続けているわけであります。

 私としては、次の局長級会議が行われるときには、そのデータをぜひ出していただき、そして作業を一たん中止してもらって、とりあえずイコールフッティングにしないとすべてが進まない。もちろん、その間、日本としても三次元の探査をやりまして、最終ではございませんけれども、地形のデータはそろいましたので、そういうような、日本側としても、今、渡辺委員がおっしゃるとおり、データの突き合わせをするということが共同作業として必要なんだろうというふうに思っております。

 それらを踏まえた上で、仮に境界線に従って、こっちが日本のEEZ、こっちが中国側のEEZということができない場合に、次のステップとしての選択肢として共同開発という議論が出てくるんだろうと思います。

 そこで、御質問になるわけでありますけれども、その場合の共同開発の原則は、ちょっと政府として正式にまだ決めた話ではございませんけれども、お互いにプラスになるような、そしてお互いに、文字どおり共同、つまりイコールな利益が得られるということが、言葉の、抽象的な話でありますけれども、それがきちっと確保されるということがお互いにとっての共同開発の意味だろうというふうに思っております。

渡辺(周)委員 この春暁のガス田、これは私も前回の委員会でもたしか質問をいたしました。ストローが差されていて今吸い取られているところを、日本は非常に後手後手に回って、結局、試掘権の付与が、結果四十年間も、ついこの間の、あれは四月の十八日だったでしょうか、手続を開始するまでの間、これはもう何度となくそのままにされてきた。

 これを見ますと、私は、経済産業省、昔は通産省、それから外務省、この両者がこの問題の当事者であるんですけれども、結果的に、外交政策の上において、そっちに結局は引っ張られてきたではないか。引っ張られたというのか、それによって抑え込まれてきたではないかということが、これまでの議論でもありました。

 つまり、今回も外務省が主導でやるのか、経済産業省が主導でやるのか。当然のことながら、これは両者が局長級会談でも、前回のときには薮中当時のアジア大洋州局長と小平エネルギー庁長官が一緒になって出席されていたというふうなことは存じておりますけれども、そこに至るまでの、つまり、ここまでは我が国としては譲れないところだ、そこをどちらがどうリードしていくかということ。要は、向こうは当然、向こうから持ちかけてきた提案ですから、これはあらゆる交渉にたけた、かの中国がいろいろなことを出してくるでしょうから、我が国として、つまり経済産業省の、大臣の言い分が一番筋が通っていると私は思うんですけれども、これがただ外交という形でやるとなると、そこはそうはいいながらということで、このまま角を突き合わせていても、結局結論が出ないんだったら、いわゆる落としどころということが見えてきたときに、どこか私は外務省ベースで進むのではないかなというふうなことを想像するわけなんです。

 その点について、これから五月の下旬に局長級会議をやる中で、経済産業省あるいは資源エネルギー庁としての意向をどう外務省とすり合わせをするというか、一つにしておくかということについて、これはどういう準備を進めていらっしゃいますか、先ほどはまだというふうな話でしたけれども。

中川国務大臣 現在やっている最中ですけれども、私は、外交、日中友好も国益、それからエネルギー政策も国益、どちらも守るべきものは守り、そして協議すべきところは協議していくということだろうと思いますけれども、それが原則でありまして、中間線の内側で一方的に日本の貴重な資源が中国側によって採掘され、そして利用されていくということは、これは譲れないということであります。

 そういう意味で、どっちが主導権をとるのかということは、それは日本政府として行くわけでありますから、当然、行くときには、去年の十月もそうでありましたけれども、統一した考えで行くわけでありまして、外交全般は外務省、エネルギー政策は経済産業省・エネルギー庁ということでございますから、その他関係省庁を含めてやっていくということです。

 過去のことは別にしまして、去年の十月の局長級もそうだったと私は認識しておりますし、今回の局長級が行われるとするならば、日本のそういう国益をきちっと主張して、落としどころなんというものは今の段階で私はないというふうに思っておりますので、それはマスコミが勝手に書いておられる話だというふうに理解をしております。

渡辺(周)委員 その決意を聞いて安心をしたわけなんですけれども。

 つまり、私が言いたいのは、ストローを二本差し込んで、向こうは一本もう差し込んであるわけですよね。もう一本をこっちが差し込んで、この一本の方を半分ずつにしましょうみたいな、つまり、今進んでいることはそのままにして、新しいところ、つまり中間線の日本側のところで共同開発だなんという話になって、それだけでもありがたいと思えみたいなことが根底にもし中国側にあったとすれば、これは、全くその議論が、結果的に今までやってきたことは一体何だったのかということになりますし、まさに国益を損なうことになると思いますので、その落としどころなんというところをぜひ、これは外交ですから、何の成果も得られない外交ほど一番むだなものはないんでしょうけれども、かといって、余りにも成果を得ることを急ぐ余り、国益を損なうようなことがないように、強いリーダーシップをぜひとも発揮していただきたいと思います。

 さて、そうなると、さっき申し上げた、時系列的に言うと、帝国石油という会社が、連休の前ですか、出されている試掘権の設定願、九州産業局に出されていましたけれども、これは、今審査をして、当然出すという方向で行くんでしょう。もし、共同開発ということが例えば検討事案として出てきた場合に、試掘権の手続というのはどういうふうに変わるのか、この辺はどうなっていますか。

中川国務大臣 日本の法律によって、いわゆる先願主義で、先ほど渡辺委員も御指摘あったように、もう四十年ぐらい前から複数の会社がそれぞれの鉱区の申請をしているわけでありますけれども、具体的には、一社から試掘権の申請が出ております。

 それと、共同開発に、私は共同開発という選択肢は排除はしておりませんけれども、現時点では考えておりませんが、仮にそうなったとしても、日本側としての権利者は、その権利を与えた者、したがって、これは先願主義でございますから、与えられた者、先願者がおりない限りは、一番最初に先願した会社が引き続き権利を有するということであります。

渡辺(周)委員 ここで、共同開発ということ自体がこれまでにも例がなかった、ところが、ないのかなと思ったら、例があるのは、実はこの地図にあります。私もこれは余りよく知らなくて調べたら、日韓共同開発区域というのがございます。

 そもそもこの日韓共同開発区域というものは一体何であるのか。つまり日韓で、当時は朴正熙大統領の時代に、当時の大平外務大臣、中曽根通産大臣、田中内閣だったんですかね、一九七二年でしょうか。いろいろ当時の議事録なんかを見ましたけれども、何となくよくわからないうちに何か共同開発が、持ちかけたのか持ちかけられたのかわかりませんけれども、着手をした。

 その後、聞くところによりますと、試掘をしてみたけれども、結局商業ベースに乗るような成果が得られなくて、今はほとんど開店休業状態、だれもここで試掘権を行使しようという人はいないということなんですが、ちょっと聞きたいのは、この日韓共同開発区域というのは、今も生きていて、一体どういう決着が今はついているのか。つまり、領海、境界線の問題を棚上げして、とにかく、何はともあれここに眠っている資源をこのまま眠らせてしまうのはもったいないということで急ぎ手をつけたようなんですけれども、これは今どうなっているんですかね、この日韓共同開発区域というのは。

小平政府参考人 私からお答えを申し上げます。

 ただいま先生から御指摘ございましたように、日韓共同開発区域、昭和五十四年から八年間、日本と韓国の企業、それぞれの区域で共同で開発をいたしました。試掘を行いましたけれども、基本的には、石油、天然ガス、商業量に達するものは出なかったということで、商業ベースの生産には至らなかったということでございます。

 昭和六十二年に終わったわけでございますが、その後、さらなる探鉱を行うということで区域の見直しが行われたわけでございまして、平成三年に日韓で共同開発事業契約が締結をされましたけれども、過去の探査データを再度分析いたしました結果、探鉱リスクが高いという判断がされたことから探査を実施するには至らなかったわけでございまして、平成五年には日韓双方の鉱業権が放棄をされておるわけでございます。

渡辺(周)委員 確認なんですけれども、そうすると、この開発区域というのは放棄をされている、この区域自体がもう存在しないということですか。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 これは日本と韓国との間の協定に基づく共同開発でございますので、この協定自体は現在も有効でございますので、この共同開発は、形式的には今も生きている、こういうことでございます。

渡辺(周)委員 としますと、これは日中中間線のいわゆる境界線がある。実は日韓共同開発をするときには、境界線は、日韓の南部と言われる地域は棚上げしたんですよね。つまり、ここに三つの国の境界線が混在するというか存在するということを考えた場合に、この後、今の日韓関係を考えた場合、何かそれがぶり返されて、つまり日中の境界線以外にも日韓の境界線が、もっと言えば、ここに中韓ということも出てくるわけですね。これが当然出てくる可能性というのは、可能性としてはあり得るわけですか。

西宮政府参考人 ただいま資源エネルギー庁長官の方からございましたけれども、具体的な大陸棚の共同開発区域につきましては、これは実は南部共同開発協定ということで、五十年間有効だ、七八年発効で五十年間ということでございますが、日韓の間ではこの協定を終了させるといったような話は一切出ておりません。

 先生御指摘のとおり、この協定におきましては、境界画定についてはお互いの立場は留保しておりますけれども、今のところ、五十年有効の協定を終了させて別途境界を画定しようといったような動きはございません。

渡辺(周)委員 ちょっと時間が思いのほか短かったものですから時間がなくなってしまったんですけれども、この日韓の共同開発区域、これが、今のところは境界の問題については棚上げするということはいい、ただ、これは一方的に韓国側が破棄することは当然あり得るわけでございますか。そういうことが考えられるんですか、ないわけではないというふうに考えておいていいのかどうなのか、その備えをしておかなきゃいけないときも来るのかどうかということが最後に一つ。

 もう一つは、最後に大臣にお願いといいましょうか、ぜひ要望をしたいわけでございますけれども、経済産業省のお立場、また大臣のこれまで言ってこられたお立場で、ぜひ強く言っておきたいのは、共同開発がもし提案をされて、それを前提に外交政策上進めるとしても、これはやはり境界線の問題とは裏表の問題でございまして、境界線の問題をある程度国民のコンセンサスを得ずして共同開発ということもこれはあり得ないと思いますので、その点についてはもう一回御決意を、つまり、境界線と共同開発の問題というのは同時進行で決着させなければいけない問題だということを私は思っていますけれども、その点について決意のほどを聞きまして、その前に外務省に御答弁いただいて、私の質問を終わりたいと思います。

西宮政府参考人 この協定の第三十一条というのがございまして、三十一条の三項というところが先生お尋ねの部分でございますが、「いずれの一方の締約国も、三年前に他方の締約国に対して書面による予告を与えることにより、最初の五十年の期間の終わりに又はその後いつでもこの協定を終了させることができる。」ということでございまして、三年の予告と。基本的には五十年間有効であるということでございまして、五十年過ぎてからということであれば、三年の予告で終了させることができる、こういう書き方になってございます。

中川国務大臣 今の段階で共同開発なんということは私は考えておりませんけれども、先ほどのような理由で共同開発という選択肢もあり得る。それは、係争水域、境界が画定していない係争水域についてということになるんだろうと思います。その場合の係争水域は、先ほど渡辺委員もちょっとおっしゃったように、中間線から沖縄トラフではなくて、そもそもの原則は日本からの二百海里ですから、二百海里と、向こう側が主張している沖縄トラフまでの間の全体の中でのどの地域を共同開発区域にするのかということが大原則になるんだろうというふうに理解しています。

渡辺(周)委員 終わります。

河上委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、自然エネルギーの普及促進にかかわって、ダムを伴わない小規模な水力発電の問題について、他の省庁も含めてお聞きをしたいと思っております。

 日本のエネルギー政策ということでは、地球温暖化対策や自給率の向上や安全優先体制の確立などの課題がある中で、これらに対処する上で、私どもは、原発推進や石油大量輸入というエネルギー政策を転換して、エネルギーの利用効率の向上、化石燃料の中でも温暖化ガスの少ない天然ガスなどへの切りかえとともに、自然エネルギーの推進が重要だと考えております。この小規模分散の自然エネルギーは地域振興にもつながる、また新産業育成にもつながるという観点でも重要だと考えております。太陽光や風力やバイオマスなどの代表的な自然エネルギーとともに重要なのが、ダム建設を伴わない小規模な水力発電、仮に小水力発電と呼びますけれども、重要ではないかなと思っております。

 NEDOが発行しております「マイクロ水力発電導入ガイドブック」というのがありまして、NEDOの補助金の問題はまたこれはこれで違う機会にもぜひやりたいと思っておりますけれども、推進ということではこういう取り組みもNEDOとしてもやっておるというのは、非常に重要に思っております。

 その点で、政府として小水力発電をどのように位置づけておられるのか、まずその点を最初に確認をしたいと思っております。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 水力発電は、発電過程で二酸化炭素を排出しないクリーンで、かつ純国産の再生可能エネルギーでございます。このため、従来から地球温暖化対策やエネルギーの安定供給の確保に重要な役割を果たしてきております。

 特に、今先生お触れになりました小規模な水力、いわゆるマイクロ水力でございますけれども、これは一般的に、周辺環境に与える影響が小さい、集落など個々の地域の電力需要に対応した分散型電源として大変有効な役割を果たし得るものと考えております。

 こうしたことから、経済産業省といたしましては、これらのマイクロ水力の開発につきまして、河川環境等の地域環境への影響にも配慮しながら、着実に推進をしていきたいというふうに考えているところでございます。

塩川委員 やはり、環境への負荷が小さい問題、小規模、分散という点、それぞれの地域でつくることが可能だという点でも重要だと思います。特に、水車といえば、昔から多くの人が身近にも感じていた存在ですし、昔あった水車みたいなものを地域の振興策としても活用しようじゃないか、そういう点でも、導入に当たっては入りやすい分野ではないかなというふうに思っておるわけであります。

 その点で、こういう小水力発電の可能性について、どのような調査をしてこられたのか。経済産業省が包蔵水力調査も行っていると聞いております。この未開発の中小水力発電のポテンシャルがどの程度あるのか、お聞きしたいと思っています。大体、いろいろな中小水力発電というので、補助メニューがある三万キロワット未満、あるいはRPSで支援の対象としております一千キロワット未満、それに、このガイドブックでは百キロワット未満という切り方もありますから、そういうところで出力ですとか発電電力量などがどのくらいなのか、お示しいただきたいと思っています。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましては、今先生からお話ございましたような包蔵水力調査というものをかねてから行ってきているところでございます。その直近の調査でございますけれども、昭和五十五年度から六十年度に実施をいたしました第五次包蔵水力調査が最新のものでございます。この調査で得られましたデータを基礎にいたしまして、その後開発をされたもの、あるいは工事中であるものを除いて計算をいたしますと、平成十五年度末現在で、包蔵水力は、出力ベースで約千二百万キロワット、発電電力ベースで約四百六十億キロワットアワーが未開発となっております。

 その中で、今御指摘のございました、まず三万キロワット未満一千キロワット以上のものにつきましては、それぞれ九百八十万キロワット、三百九十億キロワットアワーというふうになっております。また、一千キロワット未満百キロワット以上のものは、それぞれ約二十四万キロワット、約十億キロワットアワーとなっております。また、百キロワット未満のものにつきましては、それぞれ九十キロワット、約三十万キロワットアワーというふうになっているところでございます。

塩川委員 第五次包蔵水力調査の話が出ました。配付をしました資料の二枚目で紹介しているのがそのデータですけれども、下のグラフを見ていただきますとわかりますように、これは地点数なんですよね。ですから、大きいものの数が少ない、下の方ですけれども。小さい規模になるに従ってふえてくるんですけれどもね。ただ、一千から三千が、右側、未開発の部分、千二百三十五地点なのに、一千未満が三百七十一と少なくなっているんですよ。要するに、本来であればもっと地点数があってしかるべきなのに、地点数が極めて少ないというのがこれでも見ていただけると思うんです。

 そういう意味でも、これまでの調査というのが、一千キロワット未満の地点数が大規模地点よりも少ないという点でも不十分な調査ではないかなと思っておりますし、百キロワット未満という点でいいますとなおさらそういう件数が少ないということが実態だと思っております。

 今、いろいろな地域で、市民団体の方などが包蔵水力の調査なども始めて、どのくらいのポテンシャルがあるのかという調査なども行っておられます。山梨でも、八ケ岳の山ろくで、NPOでハイドロクリーン21という団体の方がいらっしゃいまして、この方などが、一千キロワット未満の小水力発電についてのポテンシャルというので、その人たちなりの試算ということで、包蔵量が三百万から四百万キロワットあるんじゃないか。そうなればかなり大きなポテンシャルでもありますし、そういう意味では、国の調査で十分手が届いていないようなところでの可能性ということを訴えているというのも重要だと思うんですね。

 そういう意味でも、一千キロワット未満ですとか百キロワット未満の実態を反映した包蔵水力調査にぜひ取り組んでいただきたい。この点、強く要望したいと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生から御指摘がございましたとおり、既に大規模な地点の多くが開発済みとなっておりますので、今後は、ダムなど新たに大規模な施設をつくることなく利用が可能な水力エネルギーの活用が重要になっているというふうに考えております。

 こうした考え方に立ちまして、平成十一年度から未利用落差発電包蔵水力調査を始めておりまして、その第一段階であります既設のダムを活用いたしました水力発電にかかわります調査が、平成十五年度に終わっております。この調査によりますと、三十地点、約二万キロワットが技術的、経済的に開発有望な地点となっております。

 この調査に加えまして、平成十六年度からは、第二段階といたしまして、工業用水道や農業用水路などの既設水路を利用いたしました水力発電計画の調査を行っているところでございます。今後とも、引き続きこのような調査を実施いたしまして、小規模な水力の開発の促進に努めてまいりたいと考えております。

塩川委員 今御答弁いただいたのは、既設のダム、これは砂防堰堤のようなものなどを想定しているわけですけれども、それ以外にも、農業用の調節池、ため池に落ちる水、そこの落差を利用した、そういった発電ということですし、あと、農業用水や上水道という点では、既設の水路、これは非常に重要だと思っているんですね。同時に、自然河川でどれだけ小規模なものをくみ尽くすのかという点で、ぜひもう一歩踏み込んだ調査が必要じゃないかなというふうに思っているんですが、その点、いかがでしょうかね。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま申し上げましたように、順次、段階を追って調査を進めておりますので、今、先生の御指摘も踏まえまして、自然の水路につきましても今後の調査の中で取り組んでいきたいというふうに考えております。

塩川委員 いろいろな取り組みがありまして、大臣の選挙区でもあります北海道で、これは北檜山ですからちょっと南の方ですけれども、北檜山、ここで、これは経産省の助成も受けたエネルギーマップづくりということで、小水力の可能性がどれだけあるのかというのを河川ごとに地図に落として、これだけの可能性がありますよ、ポテンシャルがありますよという調査なんかも行っておられるわけですね。

 そういう意味でも、こういう地元でのクリーンエネルギー研究会などに町民の方や地元の高校生とか学校の先生なども参加をして、地域ぐるみでこういった自然エネルギーの開発などについても位置づけておられる。そういう点でも、こういった全国で小水力発電をやってみようという取り組みが始まっているという点でも、これは大いに応援をしていただきたいなというふうに思っております。

 その上で、積極的な導入目標を持った取り組みが重要じゃないかと思っていまして、これは一方でRPSができましたから、再生可能エネルギーということで、それぞれ導入に向けた取り組みが始まっているわけです。このRPSに基づく新エネルギー等電気の中に、一千キロワット未満、小水力発電も含まれているわけですけれども、平成十五年度での実績、この水力の供給量が幾らになっているのかということをお答えください。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問のRPS法に基づきます平成十五年度の水力発電からの電気の供給量でございますけれども、約八億四千万キロワットアワーを記録してございます。

塩川委員 その上で、今、二〇一〇年度を目標に取り組んでいるわけで、全体とすると百二十二億キロワットアワーを目標に掲げているわけです、内訳はどれでもいいわけですけれどもね。

 ただ、実際にその目標をつくる上でも、それなりの積算根拠を持って行われているわけであります。私が承知をしているのでも、新エネ部会などの資料で、水力についても、一定のめどといいますか、目安などを持っていたと思うんですが、この二〇一〇年度で水力についてはどのような数字を持っておられたんでしょうか。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 このRPS法に基づきます二〇一〇年度の義務量でございますけれども、御質問の中でも触れていただきましたように、いろいろな電源を上手に使っていきながら、総量として百二十二億キロワットアワーを目指していこうということでつくられているものでございますけれども、この百二十二億キロワットアワーをつくるときに、試算の目途として電源別のものを計算もしてございまして、その中では、水力発電と地熱で七億キロワットアワーというものを一つの目安として、百二十二億キロワットアワーという全体の目標をつくったという経緯がございます。

塩川委員 既に十五年度の実績で八億四千万キロワットアワーなんです。目標として、目途とされるその参考にということで、地熱と水力合わせて七億キロワットアワーですよね。地熱が幾らなのかというのもあるんでしょうけれども、既に目標を達成している、実績がもう既に上回っているんですよね。これはやはりちょっと考える必要があるんじゃないかなと思っているんですが、いかがでしょうか。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたように、この法律は、全体として百二十二億キロワットアワーという義務量を達成しようということでございまして、その全体の義務量と申しますのは、昨年の実績が四十億キロワットアワーでございますので、これを三倍にふやしていかなきゃいけないという意味で、全体としての義務の達成というのは、これはなかなか努力が要る目標であるというふうに考えてございます。

 したがいまして、この全体の義務量の目標の達成のためには、官民挙げて、水力発電も含めまして、しっかり取り組んでいかなければいけないということでございまして、先ほども申し上げましたように、電源別の義務量ができているわけではございませんので、一定のところまでできればそれでいいとか、あるいは必ずこれだけできなければならないというものではないわけでありますけれども、進めていける新エネルギーの導入につきましては、水力発電も含めまして、全体の義務量達成のために官民挙げて頑張っていきたい、このように考えてございます。

塩川委員 全体の義務量達成のために大いに頑張るというのと同時に、水力について、そういう意味ではより条件があるということですよね。つまり、水力で頑張れば、そういう意味で目標達成の上でも大きな役割を果たすわけですから、そういう点で一層積極的な推進策というのが重要じゃないかなと思っておるわけです。

 大臣なども、水車ですとか、身近に感じておられたときもおありだったのか。私が生まれた埼玉県の日高市というところには高麗川という川が流れていまして、そこにかつて四十カ所も水車があったんですよね。それなどは、製粉などに使うのが中心で、発電というのは幾つかに限られていましたけれども、そういう点では身近なエネルギー源として水力というのが随分活用はされてきた。そういう点でも、これを今風に位置づけるということが重要で、自家用も含めて、小さな規模のものを大いに普及するというのが経済的にも地域経済振興にもつながっていく。そういう点での、大臣としての率直な御意見といいますか、お考えを聞かせていただければなと思います。

中川国務大臣 実は私は、小水力発電というのは四、五年前から興味を持ちまして、農林水産省と勉強会をずうっとやって、項目としては小さかったんですけれども、予算の目玉にしようといって頑張っていたことがございます。

 栃木県あたりは既に実用化をしているという話も当時聞きました。こういうものがあるんだということを知ると熱心になる地域も結構ふえているようでございまして、例えば、田んぼ一枚一枚の較差、数十センチぐらいの較差でも、その田んぼの水の落差を利用してささやかな発電をして周りの道路の街路灯の電源にしようとか、そんなようなこと、あるいは、今、塩川委員おっしゃったようにちっちゃな小川も利用してとか、そういう意味で、私は実は小水力発電推進派でございますので、今の塩川委員のお考えには私は賛成でございます。

 RPSの目標達成は全体として難しいというのが実情ではございますけれども、ちりも積もれば山となるという言い方はちょっと不適切な言い方かもしれませんけれども、小水力の、本当に小さいものでもやっていくということは、ある意味では、地元の、自分たちがつくったエネルギーだという意識も非常に強くなっているようでありますから、そういう意味で、今までも助成措置はありますけれども、私は、小水力発電は、全国津々浦々できるわけでありますから、もっともっと活用すべきである。いろいろな意味で有効だと思っておりますので、経済産業省だけではなく、農水省含めて政府全体で、国土交通省とかいろいろな役所を含めて、私は大いに振興すべきだと、前からの持論でございますので、そういうふうに思っております。

塩川委員 この点では同じ方向で頑張っていただけるということで、うれしく思っております。

 その上で、実際に推進をする上でのいろいろな支援策の必要というのが具体的に求められてくるわけですね。そういう意味でも、財政的な支援も重要で、特に小規模水力発電についての設備、建設に当たっての補助メニューというのが、大体三万キロワット以下五千キロワットまでに一割、五千キロワット以下が二割、RPS対応になれば、一千キロワット以下についてさらにプラス一割で三割というのは承知をしているんですけれども、小規模のものを導入促進していくという点では、やはりもう少しインセンティブが働くような財政措置が必要じゃないかなと思っているんです。

 例えば、太陽光発電などは、大臣なども御承知のように、導入時には五割補助ということで、大きな比率での支援策がありました。自家発電などもできるような小規模なもの、水力発電でもそういうのを行おうとした場合に、こういった太陽光発電のように五割にするとか、補助率を引き上げるような取り組みというのは大いに考えてほしいと思っているんですけれども、この点は資源エネルギー庁などはいかがでしょうか。

小平政府参考人 現在の補助の状況につきましては、ただいま先生から御指摘があったとおりでございます。

 こうした措置によりまして、小規模水力がどのように進んでいくのか。この補助を使いましてかなりいろいろなところで取り組んでおられますので、私どもといたしましては、どのようなニーズがさらにあるのかというようなことも踏まえながら、これからさらに検討をしていきたいというふうに考えております。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

塩川委員 中小水力発電開発費補助金の実績額というのがあるんですけれども、平成十二年度が四十億円、平成十三年度が二十億円、十四年度が九億円、十五年度が八億円で、十六年度の実績までは少し聞いておりませんけれども、集計がこれからなのかもしれませんが。予算を立てても使い切れていない部分もかなりあるんですよ。つまり、やりたいなと思っても、補助率の点でもう少し色をつけてもらわないと、もう一歩踏み出そうというふうにいかないというのが現状なんじゃないかなと率直に思っているわけです。そういう点でも、補助率が低いというところが使い勝手が悪いという形にあらわれている状況じゃないかなと思っているんです。

 そういう点での補助率を上げるというのが、結果として予算を使い切れていないんですよね、だったら、高くして幾つでも導入するということが、かえって認知度を高めて普及につながるんじゃないかということも率直に思うわけです。そういう点での工夫をぜひしていただきたい。

 あわせて、地方自治体ですとか非営利のNPOなどが行う事業については、風力発電などでは五割の補助があるんですよね。特に、地方自治体が旗振り役を果たすという点では、やはり非常にシンボルにもなりますから重要ですし、非営利団体などが行うものについて大いにこれを促すという点で、こういった地方自治体とか非営利団体について五割補助にするとか、こういった工夫をもう一歩するという点についても、この二点、ぜひ工夫してもらいたいと思っているんですけれども、どうでしょうか。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として申し上げますと、補助金につきまして、補助率二分の一というのはかなり補助率としては高い部類に入るかと思います。

 そういうことで、今一番高くても三割というようなことで、技術的な難しさとかそういうことを踏まえて、三割が実態に合った補助率だということで、今最高でも三〇%、こういうことになっているかと思いますけれども、今の先生の御指摘を踏まえまして、さらに工夫の余地がないかどうかにつきまして検討をさせていただきたいと思います。

塩川委員 いろいろな支援の対策という点で工夫してほしいなと思っていますのが、例えば新エネルギー法などもあります。新エネルギー法の対象に小水力というのは入っていないんですよね。なぜかというと、新エネルギーの規定というのが、経済性の面で制約がある。それから、やはり石油代替ということを前提に、経済性の制約があるものが、しかし普及が必要だということで新エネルギーという位置づけをして、先ほど言ったような太陽光とかバイオマスとか風力が入るんですけれども、水力一般について言えば、大規模水力がもう既に経済性がありますから、新エネルギーにならないわけですよ。それを切り分けて、小規模なものについてはまだ開発が進んでいないわけですから、経済性も伴わないわけで、技術的にも技術開発が求められているという点でも、これはきちんと新エネルギーに位置づける。これで位置づけたからといってどれだけのメニューが整うのかという点だと、なかなかちょっと十分なものではないなと思っているんですけれども、そういった工夫などもしてもらったらどうかなと思っているんですけれども、その辺も検討してもらえませんか。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる新エネルギーにつきましては、新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法がございまして、今議員から御指摘がございましたように、新エネルギーを考える一つの基本的な考え方として、経済性の面における制約から普及が十分でないものについて特に支援をしていこう、こういう考え方になっているわけでございます。風力とか太陽光とかのエネルギー源は、この意味で非常に、まだまだ残念ながら経済的な制約がある。他方で、水力におきましては、そういったエネルギーに比べますと随分と進んだ技術というか開発された技術であって、経済的な困難が少ないという頭の整理で区別がされてきたというところでございます。

 一方で、RPS法の議論をいたしますときには、委員御指摘のように、水力であっても、大規模な水力と小規模な水力ではその経済性に差がある、そういうところに着目をして、RPS法の世界においては、環境負荷の少ない小水力について推進していくべきだという考え方から義務の対象にしたというような議論の整理もございます。

 その意味で、現行の新エネ法の考え方は、なお今区切っていきますと小規模水力であっても経済性があるということでございますけれども、きょうの御指摘、あるいはRPS法設定のときの議論でありましたような、小規模な水力についてどのように推進をしていくべきであるかということを切り分けてなお検討すべきだという考え方を踏まえまして、どのような施策がとっていけるか、引き続き勉強していきたいと考えております。

塩川委員 よろしくお願いします。

 それから、経産省がポテンシャル調査も行っていますように、これから具体的に手がかかる上水道ですとか農業用水、ここにも発電できないかというのを今調査を始めているわけですよね。これはやはり重要で、既存の水路がありますから、そこに中に置けばできるわけですよね。そういう点で、地方自治体などがそれを先導してやるなんということも当然大きな意味も持ってくると思うんです。

 そういう点で、ぜひ農水省、総務省さんの方で持っている支援のメニューなども大いに活用していただきたいと思っているんです。

 農水省さんと総務省さんにお聞きしますが、農水省の場合でいえば、農業用水路等を活用した発電についての既存の支援メニューがどんなものがあって、ぜひ今後経産省とも連携をとって積極的な対応策をとってもらいたいと思うが、いかがか。また、総務省につきましては、浄水場施設等を活用した発電について地方自治体への支援メニューがどのようなものがあり、今後経産省とも連携をして積極的な対策をとるべきではないかと思いますが、その点、続けてで結構ですので、お願いします。

南部政府参考人 お答えいたします。

 農業用水を利用した小水力発電につきましては、農業用の資源であります農業用水の利活用というような観点から見ましても、私ども、意義があるというふうに考えておりまして、現在、事業といたしましては、かんがい排水事業などによりまして、農業用の水利施設の整備と一体的に、土地改良施設に電力を供給するという目的の発電施設でありますとか、農村振興総合整備事業という事業によりまして、これは地域の農業生産の基盤を総合的に整備するものとあわせて、農業用の施設や市町村におきます公共施設等に電力を供給する発電施設を整備する場合について助成の対象ということで、小水力発電を進めているところであります。

 この農業用水を利用した小水力発電の円滑な推進を図りますために、昨年三月に、私どもといたしまして、経済産業省さんとその他関係省庁さんと連絡会を設置させていただいておりまして、その連絡会の中で、関係各省の小水力発電の取り組みなどにつきまして情報交換などを行っておりまして、農林水産省といたしましては、今後とも関係省庁と連携して農業用水施設を利用いたしました小水力発電を推進してまいりたいと考えております。

河野政府参考人 お答えをいたします。

 水道事業の附帯事業といたしまして、水路の落差などを利用いたしまして小規模水力発電施設を設置する場合につきましては、水道事業債、地方債の対象としているところでございます。こうした小規模の水力発電につきましては、未利用エネルギー源の有効活用を図るものでございますし、それからクリーンなエネルギー源でございますので、総務省といたしましては、こうした事業に取り組む地方団体に対しましては、適切な地方債制度の運用に努めてまいりたいと存じております。

中川国務大臣 今、農林水産省が答弁したメニューというのは、我々の勉強会の成果としてやったんですけれども、予算はあるのに使われていないじゃないか、だから補助率を上げればいいじゃないか、それも一つの理由だと思いますけれども、我々の勉強の過程では、やはり知らないんですね。これは集落単位の規模の事業ですから、その地域でやろうよということになると、結構、さっきの栃木の例とか幾つか実例がありますけれども、ですから、普及を各省にまたがって本当に集落単位に至るまでやっていくことはこの普及の大きなインセンティブだというふうに私は考えて、こういういい制度というか、いろいろな意味でいい制度がありますよということをもっともっと、全国に数万ある集落の、特に農村地域に知らしめるということも大事なことだというふうに思っています。

塩川委員 いろいろな支援策の中で、やはり財政的な支援が大きな役割を果たしているというのは思うんですね。財源の問題についても、我々はぜひ、電特などの剰余金が二千五百億円あるとか、こういう問題について大いに、こういう自然エネルギー、水力発電などに回すということが必要じゃないかと率直に思います。そういう検討などもぜひお願いしたいと思います。

 大臣、もう一点お願いしたいのが、手続の問題なんですよ。こういった水利権の調整ですとかさまざまな手続というのが、いわば黒四ダムをつくるのと同じ手続を小規模水力発電も行わなくちゃいけない。この点の簡素化といいますか、実態に合った対応策というのもぜひ各省連携の中で工夫もしていただきたい。その点だけぜひお願いしたいと思うんです。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

中川国務大臣 確かに、水利権というのは非常に強い権利ですけれども、それから各省連携することも大事ですけれども、だから、さっき申し上げたように集落単位でやれば、水利権に関しては、やろうということになればこれは集落の昔からのみんなの権利ですから、その水利権のネックというのは、私はそういう集落単位でやるというインセンティブがあればクリアできると思いますけれども、いずれにしても、手続の簡素化はできるだけやっていかなければいけないと思っています。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

河上委員長 次に、吉田治君。

吉田(治)委員 民主党の吉田治でございます。

 冒頭、このゴールデンウイーク、テレビのニュース等にも出られていましたけれども、経産大臣、今世界のエネルギー情勢というのは非常にタイトな状況になってきて、中国の問題を含めて、私が言うまでもございません。そういう中で、IEAの閣僚会議に参加をされたということで報道されておりますが、長くは必要ございません、簡単に、どういう会議で、どういう発言で、どういう方向性などが出たのか、一言御報告をお願いしたいと思います。

中川国務大臣 IEAというのは、御承知のとおり、OPECという産油国側に対抗してではございませんけれども、主要な消費国が集まってできた組織でありますけれども、これの閣僚会議に、正式メンバー以外にも途上国のメンバーも数カ国呼んで行いました。

 冒頭、私からプレゼンテーションをいたしまして、これは、省エネルギー対策の強化、日本は世界一の省エネ国家であるという自負と同時に、それを世界に普及していく。例えば、エネルギー効率、IEAのデータですと、日本を一とすると、アメリカは三、中国は一〇、ロシアは一六というデータも出ておりますので、各国に技術移転をする用意がある。二点目は、石油の安定供給の強化。三点目が、エネルギー多様化。新エネ等々、そして原発ということも、安全性を前提にクリーンなエネルギーであるということで、最終的な共同宣言の中には原子力発電所の選択肢もあるということが明記されたということは、一つの成果であり、その技術移転に対しては各国から評価をいただいたというふうに理解しております。

吉田(治)委員 そういうふうな中で、やはり中国というふうな大きな悩ましい問題があると思うんです。後ほどお聞きしようかと思ったんですけれども、今原発の話が出ましたので、環境副大臣、原発というのはまさにCO2を減らすという、一昨年ですか、東京電力の原子力発電所が全部とまった段階で、約二%でしたか、日本のCO2の排出量がどっとふえた。まさに、日本において原子力発電というのは、単にエネルギーの安全保障だけではなく、環境問題にとっても大切だと私は認識しているんですけれども、環境省として、原発というものについてどうとらえ、どう考え、そしてこれは推進すべきものである、そういうふうに考えているのかどうか、いかがでしょうか。

高野副大臣 地球温暖化問題との関係でいいますと、さまざまな施策の中で、エネルギー分野、供給面での分野におきましては、原子力発電というのは、我々としましては安全性というのを大前提にした上で、やはりCO2を削減という目標から見ますと、これは推進するという立場にあります。

 以上でございます。

吉田(治)委員 推進するというお立場でございます。それだけは踏まえさせていただきたいと思います。

 そういう中で、大臣、先ほどから同僚議員との議論の中でも、中国、東シナ海の油田の開発について、大臣は積極的に発言もし、また行動もなされていると見聞きをしておるんですけれども、中国との関係というのは、ある部分ではコンペティターであり、また、ある部分では協力をしていかなければならないと感じるんですけれども、具体的に、この中国と何らかのコンタクトをし、また、そのエネルギー担当の中国政府の閣僚というんですか、そういうのとお会いして、いろいろな話をする予定などは今あるんでしょうか。

中川国務大臣 既にやっておりますし、実は先週のパリのときにも、国家発展委員会の方、これはトップではございません、それから、私のカウンターパートの薄熙来商工大臣がいらっしゃいましたけれども、残念ながら立ち話だけでした。

 技術移転、省エネあるいは原子力発電、あるいはまた東シナ海も含めて、例えばWTOの非公式閣僚会合が七月の初めにあるとか、あるいはAPECがあるとか、これは国会のお許しをいただかなければなりませんけれども、その場に中国の代表も来ますので、実際にIEAで提案したことについて具体的にバイでやっていく、ぜひやっていきたいと思っています。

吉田(治)委員 この質問は、また同僚議員の後の質問に引き続いてもらいたいと思うんですけれども、ただ、一点気になるのは、やはりエネルギーの安全保障というのは、私が言うまでもなく、中近東から日本にエネルギーがやってきています。

 大臣は、エネルギーの所轄をすると同時に、シーレーンという非常に大事な石油を運ぶタンカーというんですか、ここの部分の安全保障というのも大事にしていかなければならないんですけれども、具体的に今、現実、この問題について、これは一元的に防衛並びに外交がやるべきことではないと私は思うんですね。経済産業大臣として、ここの部分についてどうかかわっていくべきなのか。シーレーンというものをどういうふうに、今回は国内のエネルギー、日本のエネルギーの安全保障という一つの安全保障の中で、軍事的な安全保障も含めて、どういうふうにとらえているのか、大臣の御所見を賜りたいと思います。

中川国務大臣 吉田委員の御指摘、大事な点だと思っております。

 エネルギーの安定供給の一つは、地政学的リスク、またシーレーンということで、例えば、中東から日本に来る場合に、まずホルムズ海峡を通り、そしてインド洋を通ってマラッカ海峡に入る前に、アンダマン・ニコバルというところにインドの海軍施設があり、その北にココ島というミャンマーの島に中国のレーダー基地があって、その横を通ってマラッカ海峡に入り、そしてロンボク海峡でもいいんですけれども、それから台湾海峡、あるいはフィリピンと台湾の間の海峡を通り、入ってくるわけですから、かなりリスクがあって、現に、マラッカ海峡においては、先日、日本の船がシージャックされたということであります。

 具体的には、私がASEANに提案をしておりますのは、マラッカ海峡は非常に今までも大変な被害があるわけでございますから、あそこは、インドネシア、マレーシア、シンガポールが海賊船対策をやっておりますので、日本として何か協力はできないかということで、政府の中でも、関係省庁とともに、その三国に対して積極的な貢献ができるように今努力をしている最中でございます。

吉田(治)委員 本当にシーレーンの問題、それから東シナ海の問題、国家の主権というものがかかわっておりますので、これは与党、野党関係ないテーマであるということを、私どもも強く申し上げさせていただきたいと思います。

 そして、そういう中でエネルギーの問題、先ほど環境副大臣にも御答弁いただきましたように、京都議定書というものが発効されていき、そしてこの委員会でも近々、省エネルギー法の審議というものもなされていく。まさに日本の国が世界にお約束した、しかしながら、アメリカは、それは関係ないよといって入っていないものなんですけれども、私たちはそこまで協力していくお人よしであっていいのか。

 また、この京都議定書のときに、私たちは、私はもうそのとき議員でございましたので、今考えてみると、ひょっとしたら熱にうなされたのかなと。どうも、京都でやる、環境も、すばらしいことなんだと。一九九〇年という年度というものがいかに環境の問題において大きな意味を持つ年度なのかということを余り深く考えずに、いいことだ、いいことだと。当時、国会決議も出ましたけれども、そろそろそれの、まあ見直しと言ったら語弊があります、お約束したことを守っていかなければならない。

 守るについては、今のままであるならば、ほとんどの方は、どうも守れないのじゃないかなと。そうしますと、規制を厳しくしていく。そうしますと、お隣に中国という広大な京都議定書にも入っていない国がある。中国もこれからこういう環境問題に大きなウエートを占めていくと聞いておりますし、WTOにも加盟していったということは、後々、京都議定書のようなものにまた加盟もしなければならない国になっていくかと思いますけれども。

 私は、一つこの場で危惧の念を持つのは、この京都議定書を進めることによって、日本の製造というか日本で物をつくる、そういうふうなものがより海外に出ていく、ようやく今また戻ってきているのをどうも結果として追い出す形になりはしないかなと。これも、経済の部分、雇用の部分、国民生活で大変大きな影響を持つと思いますけれども、その辺についての経済産業大臣としての御所見。そして、環境省として、経済というもの、製造というもの、日本の国民の生活というもの、世界の約束さえ守ればそんなものはどうでもいいんだというお考えでは決してないと思うんですけれども、改めて、環境というものと実体経済というものの、どういう連携、どういうふうな考え方を持って取り組んでいられるのか、それぞれ大臣、副大臣から御答弁をお願いしたいと思います。

中川国務大臣 我々の住んでおる日本というのは、経済も発展させていかなければなりませんし、環境もきちっと守っていかなければならない。そして、それが両立できる国であり、そうしなければならないと思っております。

 例えば、七〇年代でしたでしょうか八〇年代でしたでしょうか、アメリカでマスキー法という自動車に大変厳しい環境規制があって、大変だ大変だと言っておりましたけれども、それを乗り越え、今、日本の自動車が世界で大変人気がある。ブランド力がある一つのポイントは燃費と環境ということでありますから、それがまさに証明しているんだろうと思いますし、今後ますますやっていかなければならないというふうに思っております。そういう意味で、環境と経済とは両立しながら発展をさせていくということがポイントだと思っております。

 京都議定書につきましても、大変厳しいという見方、我々もそう簡単ではないと思っておりますけれども、例えば産業分野については九〇年に比べてマイナス一・七であるとか、あるいは他方、民生とか運輸がふえているとか、そういうことがございますから、産業部門もさらに努力していただき、運輸、民生部門も頑張っていただいて、何とかこの二〇一〇年の目標を達成するべく、さらなる努力をしていく決意でございます。

高野副大臣 今、大臣から御指摘がありましたように、環境と経済の両立というのを基本的な原則、考え方として我々も進めております。地球温暖化問題、京都議定書の達成約束、国際公約の達成のためには、産業界そして国民全般にわたってこれは努力をする必要があります。

 そういう意味では、国民全体としてこれにかかわっていくということでありますが、環境省としましては、今議員が御指摘になりましたように、産業界との関係でいいますと、昨年の七月から、自動車業界、石油業界、金融業界、さまざまな十の主な団体とも意見交換をずっと進めてまいりました。今回の地球温暖化対策推進法の改正に当たりましても、排出量の算定、報告、公表、こういう制度をつくるに当たっても各業界との話し合いをずっと進めてまいりまして、その積み重ねの上で今回こういう法改正ということになったということでございます。

吉田(治)委員 高野副大臣、私は一つぜひともこの場でお約束というか、してもらいたいなと思うのは、運輸、民生部門のCO2の削減量が、やはり私たち一人一人国民が日常で使う部分で、要するにミクロのものが結果としてマクロになる、なかなか厳しく達成できないとなると、ふっと横を見るとやはり産業という部分、これはもう工場だとか決まって大きいものですから、ここをばさっと切れば早いというふうになってしまいますけれども、安易なその枠組みを振り分けるというんですか、過大な負担だけを産業の部分にしないということ、そのことだけはちょっとこの場でお約束していただけませんでしょうか。

高野副大臣 この温暖化対策としましては、産業界ばかりでなくて、国民全般、国民一人一人の協力が必要でありますので、その意味での国民的なキャンペーンも、これから環境月間として六月にやっていく予定であります。したがって、負担が産業界だけにかかるということはないようにしたいと思っております。

吉田(治)委員 この委員会でも、このことについてはこれからもっと進めていくべきだと私は思っております。省エネ法の審議も十二分にこういうことを踏まえてやらせていただくということをお話し申し上げさせていただきます。

 きょう、今国土交通委員会、多分そろそろ終わっていると思いますけれども、JRの福知山線の事故、前回のこの委員会で時間が余りございませんでしたので、大臣並びに担当の局長の方から、ここに新聞にもございますように、事故後の駅前商店、スーパー等への経済的な影響が非常に大きいということ、これは単に経済だから経済産業省だけではなく、これは、国土交通副大臣もおいででございますが、国交省にも大きくかかわります。前回から比べてほんの数日ですけれども、地域経済に与えた影響というもの、とりわけ地元商店街、スーパー等々への影響というものについての何らかの調査等が始まったのかどうか、また国交省としてそのことについてどういう認識を持っているのか、それぞれ御答弁をお願いしたいと思います。

中川国務大臣 前回、吉田委員から正直言って私自身気がつかなかった大変重要なポイントを御指摘いただきましたので、早速調べさせました。詳細は中小企業庁長官から答弁させます。

 なお、最近聞いた話では、あの事故が起こったことを知った企業が、わざわざ工場をとめて、社員挙げて、社長さん、工場長さん先頭になって救出活動に参加したという企業が複数あるという話を聞いて、大変、感動するというと月並みな言い方ですけれども、そういう企業も複数あったという話を聞いております。これは阪神・淡路の一つの経験だろうと思っておりますけれども、そういう大変いい話もあったということも、ぜひこの場でお話をさせていただきたかったわけでございます。

望月政府参考人 お答えいたします。

 大臣の御指示がございまして、早速私ども、例えば大規模店の本店経由あるいは地域の、私どもの出先の局が現場の聞き取り等をやりました。

 JR福知山線の不通区間には六つの駅がございますけれども、この六つの駅の周辺にはいわゆる道路沿いの商店街というようなものはございませんで、唯一集積といたしましては、JR伊丹駅近くの商業ビルの名店会がございます。例えばこの名店会について申し上げれば、全体として、一〇%から一五%の売り上げ減というものが続いているということでございます。ただ、特に影響の大きいのは、むしろ駅利用客の顧客が多い書店だとか喫茶店だとか、そういったところに影響が多いようでございます。

 大型小売店につきましては、車での来場者が多いというようなもともとの状況の理由から影響が出ていない店舗が多いものの、一部のスーパーで売り上げの減少が見られます。また、駅利用客が多い一部のコンビニでは、売り上げが大きく減少している店舗がございます。

 総体で申し上げれば、実はあそこの福知山線と並行して走っておられます阪急電鉄の方がむしろ市街地の集積が多うございますので、商店街はどちらかというとそちらの方に多うございますので、そういった面では不幸中の幸いでございますけれども、地域経済の核の中心市街地のようなところは影響が軽微であるのではないかと思っております。

 しかしながら、そういった点で影響を受けている商業者につきましては、政府系中小企業金融三機関などが特に気をつけて、セーフティーネット貸し付けの活用など前向きに対応するようにということで、規模から申し上げまして、国民金融公庫には、私どもからもよく十分な対応をするように指示をしているところでございます。

岩井副大臣 今、長官の方から地域経済の問題についてるるお話ございましたけれども、私どもも今回の事故が地域経済に与える影響は大変深刻なものがあるというふうに認識しておりまして、一日も早い運転の再開が望まれると考えております。運転の再開のためには、今回のような事故が二度と起こらないため十分な安全対策が講ぜられる、そういうことがしっかりと確認されなければならないものと思います。したがいまして、JR西日本に対しまして安全性向上計画というものをこの五月末までに提出するよう今求めているところでございます。

 運転再開につきましては、今のところ、私どもの考えとしては、現在工事中の新型ATS―Pの方でございますけれども、その整備が大前提になるのではないか。また、JR西日本におきまして、新型ATSの設置工事を鋭意進めるとともに、それだけじゃなくて、列車ダイヤ、運転再開時の列車ダイヤについて今見直しを行っておられるということでございますので、そういった具体的な内容につきまして確認いたしまして、再開の時期というものを判断してまいりたいと考えております。

吉田(治)委員 今御説明ありましたように、本当に今まで開発がされていなかった沿線でありますから、今、中小企業庁長官が言われたように、お店もそういう商店街ほどでもない、本当にお父さん、お母さんで頑張っておられているちいちゃな店ばかりですので、かえってそこの部分だから、こういう不幸なことが起こった後、手厚いというか、できる限りみんなで応援してやってほしいということと同時に、国土交通でいうと、やはり駅前にはタクシーが全部並んでいる、このタクシーが本当に今お客さんもいないし、ほかへ今営業しに行っているという現状もあります。

 安易に、すぐに何でも再開せよということは申し上げませんが、やはり一日大体百万人ぐらいに影響ですか、されているということですから、できる限り安全対策を講じた上の運転再開というものをすると同時に、先回の質問でも申し上げましたように、副大臣、もう一度再開をする、では、この事故の調査というものの中で国の責任であるとか国の今までの鉄道施策というものをもう一度検証するということも必要だと思いますけれども、その辺はするということでよろしいんですね。

岩井副大臣 今回の事故の重大性にかんがみまして、今までの鉄道行政がどうであったのかということを十分慎重に検証してまいりたいと考えております。

吉田(治)委員 本当に、そういう部分で国の方にも責任があるのであればそれを明らかにすべきである、そういうふうに私は考えております。

 時間の都合上、もっとお聞きしたいんですけれども、所轄委員会もございますので。

 私は、最後の部分として、自動車産業というもの、ここ数日、非常に新聞等もにぎわせております。ゼネラル・モーターズ、フォードというのが当期の格付が大分落ちたと。この一、二年、日米関係というのは非常に、戦後初めて平和なときというんですか、余り大きな問題も起こらない。ちょうど米中関係が昔の日米経済摩擦のかかりのような状況の中においても、日米関係だけは非常にいい状況ではないかとよく言われております。

 しかしながら、今回のブッシュ政権、例えば人事を見ていきましても、知日派という、日本が大好きであるアーミテージというお方は国務省の副長官を去られましたし、まあ去られてからの方のさまざまな原稿、寄稿を読む方がなかなか勉強になって、ああ、こういうことを考えているんだなということを非常に感じるんですけれども、どうも今回の駐日大使もブッシュ大統領のお友達だ、そこの後の駐日公使にも日本語よりも中国語がお得意なお方がおいでになられている。そして、アメリカの通商代表部の代表はどうも製造業がある地域の連邦下院議員のお方がなってこられたというふうになってきますと、日本の自動車産業というもの、これほど現地生産もして頑張られています、現地で広報活動もさまざまされています、私はこれを否定するものではありませんけれども、やはり非常に厳しい状況になれば、どこかを何かをたたきたい、どこかのせいにしたいというふうな思いに駆られるのは必定でございます。

 自動車産業というものの中において、日米関係、特に通産省から経済産業省になりますと、通商の部分がどうもこのごろ余り見えてこないというんですか、日米関係の話ですよ、まあそれだけ問題がないからいいのかもしれませんけれども、ちょっとその危惧の念を持っているということ、それについて大臣の御所見をいただければいいということ。

 と同時に、日本の自動車産業の中において、世界的な自動車産業の合従連衡が大体終わって、トヨタさんも非常に好調で日産さんもよくなったという中で、一つ気がかりなのは、三菱自動車さんがさまざまな問題を起こして、処分もし、警察も入りした中で、これからもう一度復活していかなければならない。これは国土交通省というよりも、物をつくるという部分で経済産業省として、今申し上げましたように、一つは日米関係の部分、もう一点は三菱自動車というものの現状それから今後について、どういうふうに認識をされて対応方されていくのか、この二点、お願いしたいと思います。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、日米経済関係全体の文脈の中での現在の、御指摘がありましたような日米の自動車あるいは日米の企業間での業績の大きな差ができていること、これについてどう考えるかという御質問に対してお答え申し上げます。

 一九九〇年前後に、自動車分野で日米のいわゆる貿易摩擦ということが政治問題化した状況がございました。その当時と現在を比べてみますと、二つ大きな違いがあると思います。

 一つは、一九九〇年前後の日米経済関係全体、あるいは、日本、アメリカの経済全体の状況の差でございます。これはもう先生十分御存じのことだと思いますけれども、念のために数字を見てみますと、九〇年代、九〇年前後を見ますと、アメリカは経済成長率あるいは失業率ともになかなか厳しい状況でございましたし、アメリカの対外貿易赤字に占める対日貿易赤字の割合は大変大きなものがございました。そういったことと比べますと、現在、御案内のように、アメリカ経済全体の状況は大きく変わってきている、あるいはアメリカの対外貿易赤字に占める日本に対する赤字のウエートは相当小さくなってきている、そういった大きな状況の変化がございます。

 それから、先生が御指摘になった点でございますけれども、自動車産業を見てみましても、日系のメーカーは、現在、アメリカで日本車として販売しておりますもののうちの約七割が現地で生産をしております。この現地生産の割合が大変高くなってきているわけでございまして、そういう面では雇用を創出している。公表資料によりますと、二〇〇三年の時点で五万六千人の雇用を創出しているという統計もあるようでございますけれども、そういった面では日系メーカーがアメリカの経済に大変大きな貢献をしている、そういったことがございます。

 そういった中で見ますと、御指摘がございました現在のような問題が、かつて一九九〇年前後にございましたような自動車摩擦あるいは貿易摩擦といったことに直ちに深刻化していくという状況にはないものだろうというふうに認識はしておりますけれども、いずれにしましても、日米経済関係の推移につきましては細心の注意を払ってまいりたいと思います。

 以上でございます。

石毛政府参考人 アメリカの自動車産業の状況について多少補足をしながら、あと、三菱自動車についてお答えをしたいと思っています。

 今、北村局長の方から説明がありましたけれども、アメリカの自動車産業と日本の自動車産業、簡単に言いますと、どうしてこういう差が起こったのかということをちょっと申し上げますと、今、アメリカの自動車産業は、やはり商品力が、こういう石油価格が非常に上がってしまったという環境の中で非常に苦しんでいるという状態にあるのが一つございます。それからもう一点は、従業員、退職者の年金医療、レガシーコストと言っておりますけれども、そういうところの負担が非常に大きい。そういうのがアメリカの自動車産業の業績が悪くなっている一つの理由であるというふうに理解をしております。

 それに対しまして、今先生もお話がありましたように、トヨタ自動車が今好業績なわけでございますけれども、伝統的に物づくりを非常に重視している日本の自動車業界でありますので、非常に高品質のものを供給している。それから、こういう石油価格が上がっている時点でございますので、非常に省エネタイプの自動車がやはり売れているというようなことが大きいかと思っております。

 そういうふうに言った後、もう一つの三菱自動車の問題でございますけれども、御案内のとおり、本年一月に三菱自動車の方から三菱自動車の再生計画というのを、昨年一度つくったわけですけれども、それを改定いたしまして、一層の信頼回復、事業再生に向けて努力をするんだということで、私たち、その計画を見させていただいたところでございます。

 経済産業省としましても、今度のこの計画は株主による支援を相当入れている、それから、雇用、下請企業、販社、地域経済、ユーザー、そういうものへの影響、そういうものも私たちよく検討させていただきまして、この三菱自動車の再生計画につきましては、産業活力再生法の計画認定をするということで対応したところでございます。

 いずれにしましても、三菱自動車を取り巻く経営環境は、ほかの自動車メーカーとちょっと違いましてやはり非常に厳しい状況でございますので、私たち、この自動車の経営状況、その再建の状況を引き続き注意深く見守りながら必要な対応を図っていきたいというふうに思っております。

中川国務大臣 今、吉田委員冒頭におっしゃった人的な日米関係ですけれども、確かに、アーミテージさんあるいはその下のジム・ケリーさん、そして大使のジム・ベーカーさんが辞任されたということは、私も大変残念だと個人的にも思っております。

 ただ、じゃ次の体制はどうかといえば、例えば今度のシーファーさんという大使さんは、前任の地でも、初めて行って、そして米・オーストラリア関係を大変いいものにしたわけでございますし、それからUSTRのポートマンさん、先週私は何回もパリでお会いしましたけれども、産業地の出身ではありますけれども、下院で自由主義の議員のリーダーとして大変活躍されて、非常に自由貿易ルールというものの重要性を既にわかっている方でございます。

 要は、最初から日本語ができて親日だということじゃなくて、本当に日米関係のためにどういうふうに働いてくれるように日本側がしていくかということが大事だと思っておりますので、これは、我々も含めた国会あるいは行政を含めて、我々自身が努力することによって真の日米関係のためにいい仕事がしていただけるようになるんだろうというふうに考えております。

吉田(治)委員 通商担当のお方としてはまさにそういう答弁が出るのは必定ではないかなと思っております。

 もう時間でございますから、ただ、あと二点だけ言わせていただきたいのは、やはり今自動車のお話をさせていただいて、初めのマスキー法の大臣の答弁、環境、石油、エネルギー、そしてすそ野ということを含めると、非常に自動車産業というのは日本国内でも大変大きなものですが、アメリカも大きなものですし、その辺の考えからすると、やはり三菱自動車が例えば本当にいい物をつくって、みんなで応援しようというのであれば、昔マツダがだめなときに広島の皆さんがバイ・マツダという形でマツダの車を買おうとしたように、我々が、日本の国にとって必要であるなら、バイ・ミツビシ、みんなで三菱の車を買おうじゃないか。私たちが乗って運転することによって、安全なんだ、すばらしいものだということができるように私はしなければならないし、大臣、今経団連の会長はトヨタの社長さんです。安全というものに大変大きな不信を持った自動車産業のトップの方がそうなられている。経団連の奥田会長は、さまざまな部分で安全についてJRのことを含めて言われた。まさに関西電力の問題、JRの問題、国民が非常に安全というものに対して、経済人はどう思っているのかというのは、私はどこかの部分であると思うんです。

 一度また大臣の方から、やはりそういう国民の声もあるんだということを、経済産業の所轄大臣として、経団連の奥田さんなりつかさつかさのそういうお方にぜひとも知っていただく、そういうことも、もうその方々自身知られているかもしれないが、国会でこういう議論もあったんだということをぜひともお伝えいただきますように、改めてお願いを申し上げたいと思います。

中川国務大臣 バイ・ミツビシというお気持ちは、大変日本のブランドを守るという意味では大事なことだと思います。ただその前に、国民に対して、大変な、みずからの責任においてブランドイメージをダウンさせ、事故を起こしたということをきちっと総括することが大前提だということは、言うまでもないことだと思います。

 それから、経済界のトップの方も、最近は特にコンプライアンス、冒頭田中委員からも御指摘がありましたコンプライアンス、あるいは社会的責任というものを重々承知していると思いますし、何よりもそれ以前にブランドイメージが落ちるということの恐ろしさは、今の一流企業はみんなわかっているはずでございますので、そういう意味で、国会の御議論があったことは何かの機会にお伝えしたいと思います。

吉田(治)委員 以上で終わります。

河上委員長 次に、細野豪志君。

細野委員 きょうは一時までという異例の委員会になっておりまして、大分委員長もおなかが減ってきたという、そんな状況でございますが、三十分でございますので、ちょっと気持ちを入れかえて、また頑張ってまいりたいというふうに思います。

 特会についてずっと質問をしてきたんですが、あればかりやっていると何かちょっと自分も性格が悪くなりそうでございますので、きょうは特会を聞かずに別の質問を進めてまいりたいというふうに思います。

 まず大臣に、サマータイムについてどのようにお考えかということを、余り省庁としての取り組みではなくて、大臣の個人的な御所見を端的にお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 サマータイムは導入している国も多いわけですし、日本もたしか昭和二十年代に一度導入してすぐやめちゃったという経験があるわけでありまして、議論が特に議員のレベルで大変盛んになっております。

 率直に言って、一長一短あるんだろうと思いますので、経済産業省としても私自身としても、もう少し議論を深めて、特に経済産業省の場合は、産業界、労働界ということもございますし、いろいろな立場の意見を聞いてということになると思いますし、私自身もいろいろな議論を実はよく聞かないと、自分自身賛成なのか反対なのかというのは、正直言ってまだ決めかねているというのが本心でございます。

細野委員 議連があってそこで活発に活動されている方がいらっしゃると。実は私も議連のメンバーではございませんで、大臣と同じように若干迷っている者の一人なんです。ただ、率直に感じるのは、ちょっと議連の方に丸投げし過ぎているのではないかと。

 過去、平沼大臣、この議連の会長もやられていたんですが、その時分には、いろいろ調査もして、メリット、デメリット、国民の支持率なども出されているわけでございます。その後大臣がかわったことが影響したのか影響していないのか、その辺は定かではありませんが、現実にこの委員会でその法律を議論するということになるわけでございますので、経済産業省としてもう少し、民間の事業者、そして国民に対してメッセージがあってもいいのではないかというふうに思ったものですから、御所見を伺いました。これはこれで結構でございます。

 次に、東シナ海のガス田の問題について、先ほど渡辺委員の方からもかなり私と重複する部分について質問がありました。それに対して中川大臣の方からかなり明確に御答弁をいただいたので、外務省、きょうは逢沢副大臣に来ていただいていますので、ちょっとその方向性について確認をさせていただいた上で、最後に御答弁をいただきたいというふうに思います。

 まず、実務者協議なんですが、今月中にやるんだということで話が進んでいるというふうに承知していますが、きょうはもう十三日でございますので、あと二週間ちょっとで今月が終わるわけですね、今月中に実務者協議がきちっとこれはできるのか、その辺の確証を副大臣としてどう思っておられるかということ。そして、その中で共同開発について中国側から、外務大臣という責任のある地位の方からかなり強いメッセージが出てきているわけでございますが、これは当然事前に入っていることでございますので、外務省としてこれはどう対応するのか、検討されていると思いますが、この二点について副大臣にお伺いしたいと思います。

逢沢副大臣 東シナ海の資源開発の日中協議の今後の見通しということでありますが、昨年の十月に局長級の会談を行い、その後いろいろ経緯がありましたけれども、今日まで特にこのことについて具体的な協議は行われてまいりませんでした。しかし、先般の日中外相会談におきまして、東シナ海等に関する日中協議を五月末を目途に開催することで正式に合意をいたしました。これは町村・李肇星両外務大臣間の合意でありますので、その合意を踏まえて、事務的に今、日中間でその日程を調整いたしております。

 私どもの認識としては、外相間で確認をしたことでありますので、必ず五月末、下旬には開かれる、またぜひ開かなくてはならない、そういう立場で調整をさせていただいております。

 共同開発のことでありますけれども、実は先般の日中外相会談で、今先生がお話をいただきましたように、中国側から改めてと申し上げてよろしいのかどうか、共同開発について積極性のある発言があったわけであります。李肇星外交部長より、次回の日中協議において共同開発について中国側の考えが改めて示されるものというふうに承知をいたしておりますが、実は、今日までどういう状況であったかは、御承知のとおり、共同開発やろうではないか、ある種の呼びかけ、働きかけはあるものの、その具体的な中身というものについては、必ずしもというよりは、もうほとんど中身については個別具体的なものが示されていないという状況でございます。

 中国がそういうふうに言ってきたということは、ある程度のものが、あるいはかなりのものが今度出されるのかなというふうにも思うわけでありますが、同時に中国側は、その際、今度の五月末の協議の際には、日本側の意見も聞きたいといったようなことでございます。

 これは政府間でいろいろ関係省庁調整をしてということが必要になろうかと思うわけでありますが、ある意味では共同開発に向かって具体的な動きが出てくるのかどうか、大切な時期を迎えつつあるというふうに理解をいたしております。

細野委員 今まさに日本側の意見も聞きたいという、そういう投げかけがあるというお話が副大臣からありました。委員会の方には先ほどいらっしゃいませんでしたけれども、中川大臣の方からは、共同開発ということが仮にあるとすれば、それはイコールな条件だ、すなわち日本側から見たときの係争水域である、これはもう東シナ海全体ということになるわけですが、そこと中国側との係争水域、この広い範囲における共同開発以外は選択肢としてあり得ないという趣旨の答弁が経済産業大臣からはありましたが、外務省もそこは間違いありませんね。確認させてください。

逢沢副大臣 それは日本側の立場とすれば、ちょうど私同席はいたしておりませんでしたけれども、かねてから政府間で調整も行っております。中川大臣が答弁をなさったとおり、私ども外務省もその立場にあるというふうに理解をいただいて結構であります。

 日本のあるいは日本側の主権的権利をあくまで守りながら、擁護しながら、対等な立場であるいは将来を見据えた立場で、この共同開発があるならば、そういう条件を整備していかなくてはならない、当然のことであります。

細野委員 一つのポイントは、仮に共同開発といったときにどこで一線を引くのか、ここにあると思うんですね。もう一つ、私はやはりポイントだと思うのは、日本としては、日本側の排他的経済水域において、試掘手続も含めて、きちっとそこは共同開発云々の話にかかわらず粛々とやるんだ、このことが二点目のポイントだと私は思っています。

 先ほど中川大臣から、そこはやるべし、当然だというお話がございましたので、その答弁は求めませんが、中川大臣として、来週、中国の副総理が来られて名古屋でという話も先ほど理事会でございましたが、そこでエネルギーの話をされる可能性があるのかどうか、また外務省との連携について、ちょっと一言ちょうだいをいただければと思います。

中川国務大臣 細野委員も東シナ海を御視察されたというふうに聞いておりますけれども、今、逢沢副大臣からお話がありましたように、今政府内で調整中でありますけれども、基本的考えは一緒であります。

 昨年の十月のときも向こうから言ってきたんですけれども、実質何言っているか、具体性がない。日本としては、とにかくまず、日本が数年来要求している事実関係についてきちっと対応してもらいたい、そして共同開発を提案するのであれば、なおさら、今やっていることをとりあえず、平湖の方はもう数年来実際にやっておりますけれども、夏にも開始されるという報道があるような、またがっている地域についてはストップをしてもらいたいということを言い続けて、まずそれが私は大先決だと思っております。

 来週、中国の政府のトップの方が来られる、実は万博で五月十九日が中国デーということで、大変なハイレベルの方が来られるので、私はフランスのシラク大統領のときにも担当大臣としてお供をさせていただきました。ですから、政府賓客として来られるわけでございますので、国会の御事情が許せば、お出迎えをし、そして御案内というか、全体を御案内し、中国館も一緒に行くということになるんだろうと思います。これはまだ日程上決まっておりません。

 また、あの副首相は私個人的に昔ちょっと知っていたものでありますから、そういうことで、お話をする。しかも、向こうは副首相ですし、私は日中関係、いろいろなWTO等も含めた担当大臣でございますので、お会いすることになれば、いろいろな話が多分されるいいチャンスになるのかなというふうに思っております。

 あくまでもこれはまだ未定でございます。

細野委員 外交ですので、全部手のうちを明かしてくれとは申し上げませんが、お会いするせっかくの機会でございますので、大臣が今まで取り組まれたことでございますので、きちっとした日本としての交渉をできればしていただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。

 東シナ海の問題についてあと一点だけ、ちょっと海上保安庁の方にも来ていただいているので、御質問させていただきたいと思います。

 中川大臣に、再三にわたりまして、日本が掘るときは公船でという話を私は申し上げました。それについては前向きに検討していただいているようでございますので、私も中川大臣にこの点はお任せをして、大船に乗ったつもりでおるわけでございますが、一方で、大臣、私がちょっと心配しておりますのは、日本が試掘をした場合に、中国側が排他的経済水域の日本側でさまざまな面での調査を頻発化してくるのではないかと。もう既に昨年一年間だけでも二十二件ですか、東シナ海で四件、そして東シナ海以外で十八件の違法な調査が行われているわけでございます。これは科学的な調査ですね、これがさらに加速してくる可能性があります。さらには、私は、場合によっては日本側で日本がやっているような資源の存在を音波で探るような調査、中国、これはもう船も持っていますから、やってくる可能性があるというふうに思っています。

 私の知る限り、そういうことがやられた場合、日本は、外交上、中国にやめてください、これは事前通告違反ですよということは言えるんだけれども、海上保安庁としてやれることはほとんどないのではないかというのを心配しています。これはもちろん、法律の部分でございますので、海上保安庁に責任はないんですが、そういう科学的調査、事前通告違反の科学的調査、そしてさらには、資源の存在を確認するような音波による調査をしたような場合に、海上保安庁として何ができるか。政府参考人に来ていただいているので、お答えいただけますでしょうか。

石井政府参考人 お答えいたします。

 中国海洋調査船が中間線の日本側で事前通報違反の科学的調査等を行う場合ということでございますが、これにつきましては、私ども海上保安庁におきましては、現場におきまして、巡視船艇、航空機によって繰り返し中止要求を行うということがまず第一点でございます。その上で、当該船舶の我が国の排他的経済水域を出域するまでの追尾監視というものを行いまして、外に出ていただくということでございます。

 また、これにあわせまして、私どもの方から外務省にも速報をいたしまして、外交ルートによる中止要求及び厳重な抗議というものをその都度要請しているというのが現状でございます。

 また、もう一点お尋ねの、同水域におきます資源探査を行う場合ということでございますが、これにつきましては我が国の同意が必要でございますし、また、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律によりまして、国内法令が適用になるというふうに認識をしているところでございます。こうした我が国の同意を得ない資源探査活動を認めました場合には、現場におきまして、国際法、国内法令に基づき、必要適切な措置をとることとしております。

 ただ、先生御指摘のように、当該船舶が他の国が所有しまたは運航するいわゆる公船であります場合には、国連海洋法条約の規定によりまして、旗国以外の国の管轄権から完全に免除されるというルールがございますので、これについて我が国国内法令に基づく措置がとれません。このため、先ほど申し上げました科学的調査と同様の対応を海上保安庁としてはとることになるというところでございます。

細野委員 私の知る限り、国際法に基づいて日本がそれを取り締まるということは、日本の今までの法律解釈からはやり得ないと思います。やるとすれば、鉱業法という法律があって、それに違反をしている場合にこれは取り締まれるわけでございますが、大臣、例えば試掘をすれば、鉱業法違反で取り締まって、それこそ場合によっては逮捕できますよ。ただ、仮に音波による調査をしたような場合は、これは取り締まり対象にならないですね。そういう科学的調査と、資源探査まで行くか行かないかのグレーゾーンについては、日本は法律はありません。

 各国調べてみると、お隣の韓国もそしてロシアも、そういう違法な科学的調査についてはきちっと取り締まれる法律をつくっています。これがないことが今もう既に懸案になっていますし、これからさらに大きな懸案になる可能性があると思っていまして、私ども、今、その部分についてきちっと取り締まれるような国内法の整備を進めているんですが、その必要性について、大臣、御所見をお伺いします。

中川国務大臣 過去において、中国は、現在もそうですけれども、いろいろなところで資源探査をやっておりますけれども、過去において、たしか日本のかなり入ったところで資源探査、実際に試掘をして、それに対して、すぐ帰ったそうですけれども、日本は外交ルートを通じて厳重に抗議をした。厳重に抗議をしたというか、それ以上のことはしなかった、できなかったということかもしれません。

 確かに、今、細野委員がおっしゃるように、今海上保安庁も答弁あったように、公船で堂々とやってきた場合には、しかも事前通告という約束を無視してやってきたということになると、これはもう日中友好条約第一条違反ということが適用になるのかなと。でも、だからその先どうだというと何もないんですけれども、まさに日中友好あるいは友好の海にしようと言っていることの趣旨に反するという政治外交的な問題ですけれども、法的担保がない。それはおっしゃるとおりだろうと思います。

 いずれにしても、中間線そのものを向こうは認めておりませんし、もちろん、向こうが主張している沖縄トラフそのものも日本は認めていないわけでありますけれども、日本の法律に基づいて、今御指摘のように、鉱業法に基づいてやってまいりますし、鉱業法に重大な、こちら側から見ると落ちている部分があるということの必要性があれば、それは、初めに法ありきではございませんので、実態に合わせる。つまり、日本の国益に合わせるために法の整備ということも十分考えなければいけませんし、民主党が今御準備されているということも我々は大変関心を持って見ているところでございます。

細野委員 この委員会でも再三指摘してきたんですが、日本も本来は、国際法に基づいてやれることをきちっとその条約に基づいてやっていいんですよね。ただ、日本の場合は、国際法で何らかの批准をしたような場合には、実際に行動をする場合は必ず国内法をつくってきています。今までの議論の積み重ねからいっても、ここは一つの法の空白なんですね。ですので、後ほどまたお示しをする機会があろうかと思いますが、そこはぜひ前向きに受けとめていただきたいというふうに思います。

 時間も限られてまいりましたので、ちょっとITERの話もしようかと思ったんですが、それは最後に飛ばしまして、NPTの会合について少し伺ってまいりたいというふうに思います。

 運用検討会議というんですか、今まさにやられている最中で、大変この問題に対しては、議論としては紛糾をしているという報道がなされております。最近、報道を見ておりまして私が感じていることは、今まではNPTの会議というのは、核兵器を持っている国と持っていない国の一つのある種の不平等条約だったんですが、その間での議論であった。ところが、今回議論されているのは、原子力の平和利用に関してある枠をはめていこうという流れがあって、これが一方では途上国のこれからの原子力利用について制約を課すものではないかということで、例えばブラジルであるとか南アフリカであるとかマレーシアなどから、いろいろな見解、それに対して異議が申し立てられている、そんな状況だというふうに私は承知しています。

 どうもそういう部分において、日本の考えていること、メッセージが非常に見えにくくなっているのではないかというふうに私個人的には思っておりまして、逢沢副大臣にぜひまずお伺いしたいんですが、この数年、一、二年の間にいろいろ構想が出てまいりました。まず、IAEAの事務局長であるエルバラダイ構想、再処理についてはモラトリアムを設けよう、これ以上核の拡散を防ぐ意味でモラトリアムを設けようというこのエルバラダイ構想に関して、日本政府としてはどう判断をしているのか。

 そして、もう一つは、国防大学でブッシュ大統領が行った演説、これも大変話題になっておりますが、核濃縮についてはP5プラス五カ国、そして再処理についてはP5プラス日本だけは認めていって、そのほかはやめておこう。

 両方に対して賛成意見、反対意見あるわけでございますが、日本としてはどういう姿勢なのか、短目に、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

逢沢副大臣 二つのことについてお尋ねをいただいたわけでありますが、まず最初のお尋ねでありますが、細野先生御指摘のいわゆるエルバラダイ構想の一つ、ことしの二月にファイナンシャル・タイムズにおいて、ウラン濃縮や再処理施設の新規建設を五年間凍結すべき、こういう趣旨の論文といいますか発言がなされたわけであります。

 これは、雑誌に出たという段階で、IAEAその他で正式な形で提案、議論はされていないというふうに承知をいたしているわけでありますけれども、日本の立場を今の段階で率直に申し上げるとすれば、日本は、我が国が国際社会の信頼を得て行っている核燃料サイクル活動を含め、原子力の平和的利用を阻害する可能性がこのエルバラダイ構想にはやはりあると言わざるを得ない。その立場で申し上げれば、適切なアプローチではないと考えております。したがって、ウィーン代表部の高須大使が正式に、日本としてはこの構想、まだ正式なものではないにしても、今日の段階で日本の意思、つまり賛同はしかねるという意思を表明しているということを申し上げておきたいと思います。

 また、ブッシュ大統領の発言でございますけれども、昨年二月に国防大学で演説を行われました。原子力供給国グループの四十カ国は、既に機能しているフルスケールの濃縮及び再処理施設を有していないいかなる国に対しても、濃縮、再処理の機材及び技術の売却を拒否すべきである、こういう趣旨でございます。

 実は、去年六月のG8シーアイランド・サミットにおきまして、次回のG8サミットまでに、つまり、ことしのイギリスでのサミットでありますが、サミットまでに適切な措置を導入することを目指すといったような一応の合意がなされております。いよいよ一年間が来るわけでありますが、イギリスのサミットが近づくという段階で、具体的な方法について引き続きNSGの中で議論が続けられているというふうに理解をいたしております。

 拡散について非常に厳重な、新たな枠をはめていこう、一つの構想でありますが、日本の立場といたしましては、この議論には比較的積極的な姿勢を持って参画をしていっていいのではないか、そのような立場であることを申し上げておきます。

細野委員 ブッシュ提案に関しては積極的、日本が認められていますから、日本の政策との整合性があるという意味で、積極的な姿勢で挑んでいる。片やエルバラダイ構想については、いろいろな日本の政策との整合性がないので、これは受け入れられない、そういう趣旨だと思うんですが、これはこれで一つの判断としては理解はできます。

 ただ、ちょっとひっかかるのは、エルバラダイ構想も決してこれはいいかげんな構想で出しているわけではなくて、一応、専門家グループを立ち上げてそれで見解を出しているんですね。例えば、地域管理をしていった方がいいのではないかとか、場合によっては多国間でいろいろやっていった方がいいのではないかという提案も実はしています。ただ、それが確定をするまではモラトリアムでしばらくおいておきましょう、そういう提案なんですね。

 ブッシュ提案とこのエルバラダイ構想を見ていて思うのは、じゃ、日本はこの地域管理というものをどう考えるのか。日本は認められるということでいいんですが、例えば近隣を見たときに、お隣の韓国でも原子力発電をしているわけでございますから、再処理の問題はあるわけですよね。台湾も、こっちは、日本が輸出して原発をつくって、それに対して当然使用済みの核燃料は出るわけですから、再処理をどうするのか、直接処分するのかという議論になります。

 このブッシュ構想にそのまま乗るというのは、日本としてはそれはいいんだけれども、じゃ、地域の問題はどうするのか。こっちの方が場合によっては、安全保障上、日本にとっては脅威なわけですから、どういう判断をしていくのかというのが見えないのが、今回、日本がNPT会議で、少々立場が見えにくい、ほかの国からいろいろな批判もあり、評価する声もあるわけでございますが、スタンスとして若干弱い要因かなと私は思っています。

 大臣にお伺いしたいのは、地域管理のような問題、また韓国や台湾の再処理の問題、そういった問題にも日本はかかわっていくべきだというふうに思いますが、その辺について、どうお考えになるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 まず、エルバラダイ構想、日本にとってはエネルギー政策上、はっきり言って、非常に困るというか迷惑しているわけであります。平和利用という実績もあり、そのために大変な努力をしてきており、ある意味では核不拡散の平和利用のお手本としての自負もあるわけでありますから、そういう平和利用の方向をも阻害する可能性があるという意味で、日本のみならず各国への影響が大きいというふうに思っておりますので、私は、このエルバラダイ構想なるものは、エネルギー政策上は日本としては認めるわけにはいかない。

 他方、じゃ、韓国、台湾はどうするのかということでありますけれども、要するに、使用済み燃料をどうするかという問題でありますから、これを直接処分するのか、あるいはまた日本のように再処理していく国、それぞれ二つに分かれるわけであります。

 韓国、台湾といったお隣、同じような地域についてはどうするかということ、そもそもがエルバラダイ構想になっちゃうわけでありますけれども、これはやはり、韓国や台湾になぜ現時点においても認められていないのかという根拠があるわけでございますから、そこを十分踏まえた上でやるべき話であって、日本として一国だけで、韓国に対して再処理を認めてあげますよとか、台湾はいいですよ、だめですよとかは、言うべき話ではない。あくまでも、これは国際体制の中で核兵器の不拡散、平和利用という方向に向かっていくのが多分IAEAの方向性であり、またその中の日本の位置づけである、こういうふうに考えております。

細野委員 時間もなくなってきましたので、最後に一問やって終わりたいと思うんですが、大臣、私も、韓国や台湾がそれこそ再処理をしてプルトニウムを取り出せるような状況をつくることは、日本の国益にかなわないし、アジアを不安定にすると思っています。ですから、逆に日本としてどうするのかということが求められるわけですね。

 ましてや、中国に対しても台湾に対しても、日本は原発を輸出しているんですね。言い方は余りよくないかもしれないけれども、トイレのないマンションを建てているようなもので、トイレ、どうするんですかという問題についてきちっと見解を持たないのは、私は無責任だと思うんですよ。それも含めて、いや、それぞれの国が考えてくださいということではなくて、ブッシュ提案、エルバラダイ構想があるわけだから、それにかわる日本提案は何なんだというのを出さないと無責任になるということを考えているということを申し上げておきたいと思います。

 最後に一点だけ、せっかく資料を配りましたので、ITERの問題について聞きたいと思います。

 文部科学省の方からは、私も再三確認をさせていただいておりまして、まだITERの誘致は続けているんだ、次のG8まで、七月の冒頭まで頑張るんだ、そんな話を聞いておるんですが、きょう配った資料は、フランスのホームページからとった資料です。科学技術大臣が直接プレス用に出している資料なんですね。下から二番目のパラグラフ、棒を引っ張っておきましたが、日本語訳すると、バランスのよい合意により、日本は非立地国の立場を受け入れ、ITERはカダラッシュに建設されるだろう、合意は間近だ、そういう文書がフランスから出ているんですね。

 我々は、何が何でもITERを全部持ってこなきゃならないというふうには申し上げていませんので、これについてだれの責任だとか言うつもりはありません。ただ、やはり六百億円以上お金をかけて誘致活動をしてきた責任があるわけですね。青森県に対しても六ケ所村に対しても責任はあるわけで、では、誘致が仮に失敗したときに非立地国としてどういったものが日本としてメリットがあるのかということについてはもっともっと丁寧に説明すべきだし、そこを、あけてびっくりという話は、責任のなすりつけだ、それは責任放棄だというふうに思うんですが、最後、政府参考人の方に聞いて、質問を終わりたいと思います。

木谷政府参考人 お答え申し上げます。

 ITERにつきましては、我が国は平成十四年五月に閣議了解をいたしまして、政府一体となってITERの国内誘致に向けて取り組んでいるところでございます。

 そういった中で、ITER計画の成功のためには、日欧双方が納得のいく解決策を見出し、六極の枠組みのもとで実施することが重要という考え方のもとで、昨年秋以降、サイトの前提を置かずに、ホスト国と非ホスト国との役割分担のあり方について、欧州との間で議論を重ねてまいりました。

 直近では、四月十二日の中山文部科学大臣とポトチュニク欧州委員との会談におきまして、日欧の考え方が共通理解に近づきつつあり、七月のG8サミットまでに建設について六極で合意することを目指すということで意見が一致したところでございます。

 一方、先生御指摘のように、フランス側があたかもITERの建設地がフランスに決まるかのような声明を五月五日に出したということは事実でございますが、しかし、フランス側が言及しております五月五日の日欧の次官級会議というものにおきましては、サイト地をどうするかということについての議論は全く行われておりませんで、サイト地の前提を置かないでホスト国、非ホスト国の役割分担について議論したものでございます。

 そして、この役割分担と申しますのは、今後国内外の協議、検討を経まして、やはりサイト問題と一体のものとして、六極のコンセンサスにより最終的に決定されるものと考えておりまして、フランス側の言っておりますように、サイト地について合意がなされたというふうな事実はないわけでございまして、この点につきましては、フランス側に対しまして既に外交ルートを通じまして適切な対応をとるように申し入れ、フランス側よりも、日本側の申し入れの趣旨を理解し、慎重に対応するという発言を得ているところでございます。

 一方、日本が非ホスト側になった場合にどのようなメリットがあるのかというふうな問題でございますけれども、こうした問題につきましては、今申し上げましたとおり、まず基本的に、我が国としては、六ケ所誘致を目指すという基本方針のもとで、交渉の最終的な決着まで、地元青森県とも密接な連携をとりながら協議を続ける、最善の努力をするということでございまして、したがいまして、現時点におきまして、そのような仮定の問題といいますか、非ホスト国になった場合というようなことについて具体的なお答えを申し上げることは適当ではない、差し控えさせていただきたいというふうに考えております。

細野委員 時間がないので終わりますが、私は、無責任だと思いますよ。やはり、きちっとこれは国民に対して、税金も使っているわけだし、説明をすべきである。

 最後に、大臣に申し上げたいのは、これは、実験炉だから文科省ということなんですね。ただ、文科大臣の姿はほとんど見えてきません。フランスがこれだけ力を入れて、それこそ大統領みずから前面に立ってやっていたのと比べると、日本の交渉力というのが弱かったというのは間違いない事実だと思います。でも、それを今さらひっくり返せとは言いませんが、やはり大臣として、これは実験炉ですが、将来的にはエネルギー政策全般にかかわる問題でございますので、では日本にどういうメリットがあるのかということについてしっかりかかわって、結果を出していただきたい、そのことをお願い申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

河上委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、不正競争防止法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。中川経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 不正競争防止法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中川国務大臣 不正競争防止法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 この法律案は、我が国産業の国際競争力の強化を図る必要性が増大していることなどから、知的財産の保護を強化するため、所要の改正を行うものであります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一は、日本国内で管理されていた営業秘密を不正に持ち出して日本国外で使用、開示する行為や、在職中の約束に基づき退職者が営業秘密を不正に使用、開示する行為について、処罰規定を設けることとするものであります。

 第二は、他人の著名な商品等表示を冒用した商品や、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡、輸入する行為等について、処罰規定を設けることとするものであります。

 第三は、不正競争を行った者等に対する罰則を強化するとともに、特許法、弁理士法等、関連法の規定の整備を行うものであります。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願いをいたします。

河上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時十八分散会


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