衆議院

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第17号 平成17年6月8日(水曜日)

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平成十七年六月八日(水曜日)

    午前九時十二分開議

 出席委員

   委員長 河上 覃雄君

   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君

   理事 平井 卓也君 理事 松島みどり君

   理事 鈴木 康友君 理事 細野 豪志君

   理事 吉田  治君 理事 高木 陽介君

      遠藤 利明君    嘉数 知賢君

      北川 知克君    小杉  隆君

      左藤  章君    佐藤 信二君

      坂本 剛二君    菅  義偉君

      竹本 直一君    武田 良太君

      谷畑  孝君    西銘恒三郎君

      野田  毅君    馳   浩君

      平田 耕一君    増田 敏男君

      望月 義夫君    森  英介君

      山口 泰明君    山本 明彦君

      吉野 正芳君    大畠 章宏君

      奥田  建君    海江田万里君

      梶原 康弘君    菊田まきこ君

      近藤 洋介君    佐藤 公治君

      高山 智司君    中山 義活君

      計屋 圭宏君    村井 宗明君

      渡辺  周君    江田 康幸君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   山木 康孝君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        楢崎 憲安君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           高橋  満君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           舟木  隆君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          北畑 隆生君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            石毛 博行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (特許庁長官)      小川  洋君

   政府参考人

   (特許庁総務部長)    澁谷  隆君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         中尾 成邦君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 増田 優一君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月八日

 辞任         補欠選任

  竹本 直一君     左藤  章君

  谷畑  孝君     馳   浩君

  山口 泰明君     増田 敏男君

  山本 明彦君     吉野 正芳君

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     竹本 直一君

  馳   浩君     谷畑  孝君

  増田 敏男君     山口 泰明君

  吉野 正芳君     山本 明彦君

  吉井 英勝君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

六月八日

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)

同月三日

 中小業者への経営支援に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一六四六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六四七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六四八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 不正競争防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)


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     ――――◇―――――

河上委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、不正競争防止法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長山木康孝君、公正取引委員会事務総局審査局長楢崎憲安君、厚生労働省職業安定局次長高橋満君、経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君、経済産業省大臣官房審議官舟木隆君、経済産業省経済産業政策局長北畑隆生君、経済産業省製造産業局長石毛博行君、資源エネルギー庁長官小平信因君、特許庁長官小川洋君、特許庁総務部長澁谷隆君、国土交通省大臣官房技術参事官中尾成邦君及び国土交通省道路局次長増田優一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤公治君。

佐藤(公)委員 佐藤公治でございます。

 きょうの質疑、私にとりましては大変久しぶりな質疑でございまして、多少失礼な言い方、失礼な発言もあるかもしれませんので、お許しを願いたく、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず、今国会、まさに郵政民営化法案が特別委員会で議論されている状況だと思いますが、この郵政民営化法案に関しまして、最初にやはり中川大臣のお考えというか思いというか、そういったものをお聞かせ願えればありがたいと思います。

中川国務大臣 今郵政民営化法案を国会で御審議いただいているわけでございますが、これは小泉総理が主張し、そしてまた党内でもいろいろな御議論があるわけでございますけれども、国会の御審議を通じて国民的な御理解やいろいろな御意見を踏まえた上で、民営化することによって、日本の金融あるいはまたいわゆる三事業、窓口業務を含めた四事業のサービス向上によって国民の利便に資するという観点から法案を政府として決定し、今御審議をいただいているものというふうに理解しております。

佐藤(公)委員 今、大臣は法案の中身のお話、もしくは小泉総理の思いといったことを簡単にお触れになられたと思いますけれども、私が聞いていることは、中川大臣はこの法案をどう思われているのか、またどう考えているのか。中川大臣のお考えなり、また今後における問題点とか、将来の日本のあるべき姿、そして日本の社会がこの法案によってどうなっていくのか、こういったお考えを聞かせていただければと思い、質問させていただいております。もう一度お願いします。

中川国務大臣 これは内閣が決定した法律であり、私も閣議で署名をした一人でございますので、この法案について、この法案が成立するということを前提にして署名をさせていただいているわけでございます。

 他方、議院内閣制におきまして、今熱心に御議論をいただいている最中でございますから、その審議というものも、当然政府としては、いろいろと全国津々浦々、私の北海道あるいは佐藤議員の広島あるいは九州、いろいろなところで、いろいろな国民的な関心もまたまた高くなってきているというふうに考えておりますので、これが国家にとって、国民にとってプラスになるという前提での法案提出であり、また、審議を通じて、さらにそのことが国民的なそういう御理解あるいは利便性の向上につながるということを期待している閣僚の一人でございます。

佐藤(公)委員 閣議決定をされた、まさにそこに中川大臣が署名をされたということ、これは大変重たいことだと思います。

 今のお話からすれば、この法案が日本そして国民にとって大変プラスになる、こういうふうにお話をされたわけですけれども、じゃ、そこの部分で、細かいことは結構です、細かいことはこれは特別委員会なりなんなりで議論するべきことだと思いますけれども、大きな概略で結構ですけれども、今おっしゃられたプラスというのは、一体全体何がプラスなんですか。その辺を詳しく御説明願えたらありがたいと思います。(発言する者あり)

中川国務大臣 私は所管じゃないので、余り詳しいこと、あるいはまた責任を持った立場ではございませんが、内閣の一員としては、先ほど申し上げたように、署名をし、内閣一体として法案を提出しているわけでございますので、内閣の一員として私がいるということはもう言うまでもないことでございます。

 総理が常日ごろ言っておりますように、民でできることは民で、それによるメリットがある。あるいはまた、三百四十兆という郵便貯金のお金がより効率的に、国民あるいはまたそれを使う側の企業、とりわけ中小企業、あるいは全国津々浦々の企業、中小企業にとって使いやすい形で資金が供給できるということになれば、これは資金の受け手にとってもプラスになっていくと思いますし、また、民営化することによって、三事業サービスの、国民の皆さん方にとってさらに利便が向上する、中長期的にそういう方向になっていくということになれば大変結構だというふうに思っておりますので、そういう思いで法案に署名をし、そしてまたこれを議院内閣制の中でいろいろな観点から御議論をいただき、そしてまたそれを参考にし、政府としての、また国会としての役割を果たしていくということが必要なんだろうというふうに考えております。

佐藤(公)委員 今の御答弁ですと、三百五十兆円という大変な資金といったものが国民のために使われていく、確かに私は大ざっぱで結構だとはいうものの、それじゃ余りにもプラスになる、プラスになるということだけであって、その根拠というものがよくわからない部分があります。

 先ほど自民党の先生の方からやじがございましたけれども、今回のこの郵政の民営化がいかに経済産業省にとって大事なことなのか、そして、これがまさに、不正競争防止法というもともとのこの法案の根拠的な部分、条約は、法律はどういうところから出ていますか。いかがですか。

北畑政府参考人 不正競争防止法の位置づけについての御質問でございますけれども、この法律は、事業者間の公正な競争及びこれに関する国際約束の的確な実施を確保することを目的としております。具体的には、工業所有権の保護に関するパリ条約の国際約束を国内的に実施することを担保する法律でございます。

佐藤(公)委員 不正競争防止、まさに、今大きな大きな郵政の民営化ということの議論がなされている中、この法案が、今後日本の、そして世界における不正競争防止、こういった部分に大きく関係している、不正競争の部分に関して大きく関与している、こういうことが予想される、そういう分野での話で、これは全く法案と関係のないことじゃないんですよ。それを関係ないから特別委員会でやれなんというのは、ほかのが全部かかわって当たり前ですよ、かかわっている中で、大事なところだけ私たちはピックアップして議論しているんですから、それを一々やじを飛ばすのはおかしい。それはもっと勉強してもらわなきゃ困りますね。

 ところで、大臣、今回の郵政のことにまた戻させていただきますけれども、この郵政の民営化のことに関して大臣は先ほどプラスになるということをおっしゃった。私は、この郵政の民営化法案、まさに今特別委員会で議論されておりますけれども、今、六大臣が呼ばれていますよね。これは郵政民営化の推進本部の副本部長ということで呼ばれているというふうに私は聞いております。僕は、なぜ経済産業大臣が副本部長の中に入らなかったのかなと大変不思議に思っているんですよ。

 経済産業省、まさに大臣の所管していることが、実はこの郵政民営化、これが民営化することによってどれだけ民業を圧迫するようなことになり得るのか、また中小企業に対してどういうようなことが起きていくのか。先ほどプラスと言いましたけれども、私自身、どう考えても中小企業にとってマイナス部分が多いのではないか、また、経済産業省にとってマイナス部分というところが大変目立つようなことばかりになっているような気がする。

 そういう部分で、中川大臣は、今回の郵政民営化法案、これが通ることによって、一体全体、所管のところ、日本の経済や産業にどういった影響を及ぼすのか、また、そういったことをどういうふうに、よりプラスのように、いい形に持っていくように考えていくのか、この辺、御説明くださいませ。

中川国務大臣 私の方は、所管は産業あるいはまた産業の活性化のためのいろいろな政策を実行するのが所管でございます。

 そういう観点からは、この郵政三事業、とりわけ郵便貯金と簡易保険の潤沢な資金が、全国津々浦々の事業体、とりわけ中小零細企業に対して、効果的に、民間のいい面、例えばスピード感とか、あるいはまた多少のリスクというものもある程度判断をしながらでもそういう必要なニーズに対して資金供給にこたえていかれるようになるとするならば、私は、とりわけ地方を含めた日本の中小企業、零細企業の活性化につながっていくというふうに期待をしております。

佐藤(公)委員 ちょっと今のお話では、まだまだ全体像、意味、話、内容にはなっているとは思えません。

 今、地方における中小企業と言いましたけれども、郵政の民営化、これが通ることによって、地方に大きな大きな銀行ができてくる、そうすると、地方銀行の再編、信金、組金等々の再編が行われる可能性もあるかと思います。そういうときになると、そういうところから借りている中小零細というものが一体全体どうなってしまうんだろうか。これがまさに、借りかえ等によってプラスになっていくようなこともあるかもしれません。そういう部分で金利が下がっていくこともあるかもしれません。よりサービスがよくなることもあるかもしれませんが、私は、今のままでいったら、逆に、地銀や何かの統廃合等々によって中小零細というものが非常に困るような事態が考えられると思いますが、大臣、いかがですか。

中川国務大臣 それは、ここ数年、バブル崩壊の後、いわゆる大銀行もいろいろとつぶれたり合併したり、あるいはまたペイオフ等で四月からは地方の銀行もある意味では金融の荒波の中に入っていっているという中で、民間として、金融機関も適切な競争というものを経験し、また必要なことだろうというふうに思っております。ですから、健全な民間間の競争というものが今後も必要になってくると思います。

 他方、私は前から、官の民業の圧迫というものがあってはならない、あくまでも官は民の補完に徹すべしというのが私の考えでございましたけれども、民営化することによって官ではなくなるわけでありますが、佐藤委員御指摘のように、巨大な資金量を持った、全国にネットワークを持った金融機関が出てくるということも事実でございますから、そこはいわゆるイコールフッティングといいましょうか、元官の郵貯なり簡保が、特に地方の金融機関に対して、必要以上なといいましょうか不当なといいましょうか、その大きさと力でもって、地方の民間金融機関を力に任せて圧倒していくということも健全な金融ではないというふうに思っておりますので、そこはおのずから、うまく、できればすみ分け、すみ分けは過去においても大銀行と地方銀行の間ではある程度あったわけでございますから、そこはおのずからすみ分けといいましょうか、何も地方の銀行をなぎ倒してどんどん力に任せてやっていくということではなくて、地方の、そういう民営化、郵貯に頼る、希望を持ったところに適切に対応できるような金融機関としての位置づけというものがこれから期待されていくんだろうというふうに思っております。

 決してゼロか一〇〇かということにはなってはならないと思いますし、ならないようになっていくんだろうというふうに考えております。

佐藤(公)委員 今の大臣の御答弁からすると、やってみなければわからないということであり、事前に経済産業省として、まさに所管としてのグランドデザインというものが私はまだまだ感じられない部分がある。やってみなきゃわからない、そのモデルケースも含めて、非常に今議論でも、私も特別委員会聞いておりますけれども、そういったものが全く内閣に、政府に見えない、それで推し進めていく。

 大臣はおっしゃいましたよね、確かに官が民業を圧迫する。私たちも、自由でそして規制のない、撤廃した公平な社会というものを実現する。でもそこには、自由ということは、規制撤廃ということは、表裏一体の部分で、原則論や、もしくは弱者の救済、安定した基盤というものをきちっとつくっていく、これは逆に言えば規制の強化にもなると思います。この表裏一体があって初めてやはり自由であり公平であり規制の撤廃というものが存在をする。

 私は、今回の郵政公社というものはこのまさに表裏一体の裏の部分というか、日本の安全、安定、安心、この部分を築いている基礎だと思います。そういう意味でいえば、今すぐ民営化する必要は私は全くないと思っています。きちっと検討し、そして皆さんの議論を踏まえ、将来において本当に国家国民のためになるように考えるべきなのに、全く小泉内閣は、これを急いで今国会で無理やり通そうなんという状況を考えている。

 中川大臣、本音で話をしてください。私は、確かに中川大臣はサインをした、でも、中川大臣はこの法案には賛成しているとは思えません。私は、中川大臣、本当に政治家として自分の意思を貫いてもらいたい。そして、それを通すためには自分の今の大臣を辞しても、それを通して国家国民のために考えていただきたい、私はこれを言いたいんですよ。(発言する者あり)そのとおりなんですよ。

 私も聞きたい。中川大臣の、本当に亀井静香先生のグループ、私も選挙区の事情上、よく亀井静香先生の御発言を聞かせていただいております。その中で、あれだけ反対しているところのグループに今いらっしゃるのか、内閣に入ったから出ておられているのか、私はちょっとわかりませんけれども、師として仰いでいる方があれだけ言っていることに関して真っ向から反対して今回サインをしているわけじゃないですか。

 この辺、中川大臣、本音のところを聞かせてくださいよ。だって、経済財政諮問会議の議員でもありますよね。これは実は郵政民営化の法案をつくった生みの親ですよね。そこに大臣もいらっしゃり、そして今回サインもした。でも、大臣、今まで大臣が記者会見等でお話ししていることを今までできる限り調べてみました。はっきり言っていないんですよ、推し進めるべきだとか賛成だということを。

 これは大臣、サインをしたということはわかります。その本当の気持ち、今のこの内閣で審議されている郵政民営化、本当は反対なんじゃないですか。正直に言ってみてください。

中川国務大臣 私は、項目によっては聞かれもしないことも言うことも多々ございますけれども、この件は余り聞かれたことがないので、きょうは佐藤委員から大変鋭い、そして大事な御指摘をいただいております。

 実は、民間銀行に私はいたんですね、政治家になる前に。決して地方の中小というほどのものではない、いわゆる大手銀行でございました。しかし、今はなくなってしまいましたけれども。そういう中で、先ほど申し上げたように、私としては、安全、安心、安定ということとそれから自由な競争ということは、さっき私が申し上げたように、ゼロか一〇〇か、トレードオフではなくて、そこにやはり、特に最近の企業、金融機関も含めた企業というものは、社会的責任であるとか、もちろん一定のコンプライアンスとか、そういうものがますます求められているわけでございますから、そういう中で、一般論として、私は昔から、官が民を圧迫するということは決してよくない、しかし、官の重要性というものもございますから、それは民の補完に徹すべきであるというのがかねてからの持論でございました。

 他方、私も北海道という過疎地域でございますから、農協も含めた地元金融機関の重要性というものも重々承知しているわけでございますから、幾ら民営化になったとはいっても、全国二万四千幾つの窓口があって、郵貯だけで三百四十兆、五十兆という資金、今まではこれは主に政府系に使われていたわけでございますけれども、それが一度にどっと民に流れてくるということになると、いわゆる激変緩和という措置も必要になってくると思います。

 私は、そういう民としての役割の中で、その民での巨大な、いわゆる現在存在している大手銀行の預金量の倍ぐらいの金融機関が出現する。しかし、それは突然出現するのではなくて、時間的な余裕もございますし、何よりも、本国会で佐藤委員を初め多くの与野党の議員の皆様方が、共通の、国のためを思い、そしてどうあるべきかという真剣な議論をされているということは、極めて大事な健全な民主主義国家の手続だろうと思いますから、そういうものも、私自身、もちろん法案の条文全部が頭の中に入っているわけではございません。内閣の一員ではございますけれども、所管大臣ではないということもあって、あえて自分の所管から申し上げますならば、いろいろな政府系の金融機関が存在します、民間にもいわゆるメガバンクから地方の中小金融機関までありますけれども、その中でどういうふうに競争もしながらある程度のすみ分けもしていくかということについては、これからそれぞれの金融機関の判断もあると思いますし、まさにこの国会の中でいろいろな観点から御議論をいただくことによって私はできるだけいい結果が得られると思いますので、どうぞ、佐藤委員初め議員の皆様方が本当に広く深く、中長期的な視野から御議論いただくということに関しまして、条文そのものについては私はそういう観点からぜひいい成果を上げたいとは思っておりますけれども、貴重な国会での御審議の御議論というものも私自身大いに勉強させていただき、拝聴させていただいているところでございます。

佐藤(公)委員 大臣、大臣就任のときにマスコミに対して、郵政民営化等々のアンケート、コメントの中で、絶対民営化ありきとは言えるか、最終的な判断をしたい、大臣になられたときにこういうふうにおっしゃったんです。まだ悩んでいらっしゃるんですか。一応もうサインしたから、民営化やるべしと判断したというふうに大臣はおっしゃられるんですか。

 つまり、賛成か反対か。当然、サインをしたから賛成だと思います。でも、そのちゃんとした民営化すべしというようなはっきりした意思表示というのが、私、なかなか大臣のいろいろな発言を見ても感じられない。中には、記者会見等々の中で、直接関係が所管でないですけれども、やっぱり小泉総理が思う気持ちが執念として実ったのではないかというふうに思います、直接的には私の担当ではないので発言はできないのですけれども、前にも申し上げたように、内閣一丸となってと、全部すりかえているじゃないですか。大臣はどう考え、どう思って、そして、おれはやるべきだ、いや、これはやめるべきだ、または、こういう部分をきちっとすべきだということをはっきり意思表示すべきじゃないですか。

 私、大臣の地元の人から、実を言うといろいろな陳情を受けました。その陳情の一つが、特定郵便局、これは大臣、地元の方で十勝特定郵便局長会の顧問を大臣はされていますね。こういう関係者の方々からも実は話がありました。大臣がなかなかはっきり反対と言ってくれないんだ、こういう話なんですよ。この点に関して、でもサインをしているから、閣議決定しているから、これは大臣は賛成じゃないですかと言ったら、いやいやと。実は地元の方では、大臣の関係者の方が、これが間違っていたら訂正をしなきゃいけない、大臣の名誉のためにも。中川大臣自身は、郵政民営化に関してはっきりと地元では話しておりません、大臣のスタンスは変わっていない、変わっていないというのはどういうことかというと、反対なんです、こういうような話が出ているんですけれども、この辺、大臣、いかがでしょうか。

中川国務大臣 まず、私が就任のときに申し上げたコメントというのは、法案もできておりませんし、閣議決定の作業もなされておりませんから、一体どういう法案ができるのかと。議院内閣制でございますから、与党の中での議論、これはまだ続いているようでございますけれども、を踏まえて法案を決定し、そして私としてもサインをしたわけでありますから、私は、サインをした以上はこの法案については拘束されますし、この法案がさっき言ったような目的を達成するという意味でぜひ成立してもらいたい。これはもう、内閣の一員としてのある意味では御理解いただける当然の行動というふうに思っております。

 他方、地元で私も特定郵便局長会の顧問をやっておりますが、これを言うとまた何か言い逃れみたいに怒られるかもしれませんけれども、毎年新年会あるいはまたいろいろな総会等々で意見交換をさせていただくことがありますけれども、残念ながら、法案ができる前後、できた前後について、ことしの新年会も含めまして、関係者の皆さんとじっくりとこの件についてお話をしていない。したがって、地元の皆さんに私の考えが正確に伝わっていないということも事実だろうと残念ながら思います。

 ただ、私の地元を含め、佐藤委員の御地元の広島であろうが、全国の郵便局の皆さんが大変頑張っておられるということも、私も重々承知しております。今から十年ほど前、私は衆議院の逓信委員長を経験しておりますので、多少の知識なり実態は存じ上げているつもりでございますから、そういうエネルギーを、民ができることは民によってということで、さらに住民サービス、あるいはまた、先ほどから申し上げておりますように、経済産業大臣という私の所掌する立場からは、北海道から広島、九州、沖縄に至るまでの企業、産業の活性化のためにどういうふうにやっていったらいいかと。その中で私は、資金をそういう形で効率的に運用できるような郵政の改革というものができれば、産業政策上も大変、我々としてもありがたいし、それから、その中で、地元の中小等に対して力ずくで何か圧迫をするということがあってもならない。うまくすみ分けをしながら、その土台の中で自由競争をやっていくということで、繰り返しになりますけれども、自由イコール自然淘汰、強者の論理ということでは決してないということも、私は期待をし、信じているところでございます。

佐藤(公)委員 今丁寧にいろいろとお話をしていただきましたけれども、私は、もうこういう聞き方はしたくないです。こういう聞き方はしたくないですけれども、では、中川大臣は、今回の郵政民営化すべしとはっきりおっしゃるわけですね。それを言ってください。私は、いや反対なんだということを言ってもらいたい。言ってもらいたいけれども、今のお話ですと民営化すべしと。それなら、私はそう決断し、日本のためにはそうなると言ってください。

中川国務大臣 そういうことも含めた法案が、国会の十分な審議を踏まえた上で、私が署名をした法案が成立するということを私は期待しているところであります。

佐藤(公)委員 大臣、きのうも特別委員会等々で議論がありましたけれども、まあ公的だの私的だの、大臣の内閣としての発言ではないだとか、いや私的な信条だとか、こんなばかげた議論なんですよ。これは、私は一回出直すべきだと思う。それぐらい考えてもらいたいと思います。今のお話、今何遍もお話を聞いても、郵政民営化やるべしということでとらせていただく、今の回答からそういうふうに私は感じ取らせていただきました。

 ところで、小此木副大臣、大臣のお話をいろいろと聞かれていたかと思いますが、大変申しわけございません、小此木副大臣のことに関しても、いろいろと御発言を調べさせていただきました。郵政民営化のこと、これに関して小此木副大臣もはっきりお答えになられていない部分が多くあるんですけれども、率直に、民営化やるべし、やらなくていい、やるべきじゃない、大臣と違ってサインをしたわけではないとは思いますけれども、同じ、中川大臣に仕える形での副大臣だと思いますが、副大臣、いかがでしょうか。

小此木副大臣 私は、これまでそういうような問題が、副大臣に就任する前までも、いろいろ議論としてはありました。決して賛成論者でない立場でおりました。はっきり申し上げて、法案の中身というより郵政民営化そのものの中身が、この世の中にどのようないい影響をもたらすのか悪い影響をもたらすのかということを、ずっと政治家なりに、専門的では決してありませんけれども、かじりながら勉強してきたことは確かでありまして、それが必ずしもいい影響が出るとは思っていない考え方をしておりました。

 昨年の九月二十八日でしたか、副大臣に就任をいたしましてから、この内閣の方針というものは、一つに、大きな課題として郵政事業を民営化するということでございます。私も、そういう中で、選挙区がありますから、あるいは選挙区外のところでも、いろいろな方々に聞いてまいりました。民営化することに、もちろん世間には賛成する方もいらっしゃいますし、不安を抱く方も多くいらっしゃいます。自身も民営化をするという内閣の一員として、少しでも理解を得るべく、ちょっとおかしな答弁かもしれませんけれども、自分自身もあわせて、多くの方に理解をすべく努力するのが今の立場だというふうに思っています。

佐藤(公)委員 副大臣、理解を求める、理解していただく。僕は、副大臣としてのお考え、賛否というものを聞いたつもりだったんですけれども、大変に答えづらいかもしれません、内閣の一員としてやっている以上。でも本当の、やはりこれは、大臣、副大臣、考えてくださいよ。こんな法案、今通すべきじゃないし、成立させるべきじゃない。

 そういう意味で、副大臣、もう一回賛否をはっきり言ってみてください。

小此木副大臣 はっきり言って、はっきり言うことができません。

佐藤(公)委員 副大臣は正直ですよ、正直。それはわかる。でも、やはり政治家としてなられている以上、間違っていると思ったら、それはすべてを投げ出しても、なげうってでも、国家国民のためになるべきことを選択していただきたい。

 大臣、先ほどいろいろとお話を聞きましたけれども、地元の方では大臣は反対だというような話がいろいろと出ている。では、これは間違いということで訂正をしてよろしいですね。

中川国務大臣 ですから、少なくともこのところ、去年以来、いわゆる地元の普通局、特定郵便局、あるいはOB会その他の方々と個別にこの問題を話し合ったことはございませんので、そういう意味では、地元にとっても関心事項について話し合っていないというのは大変残念ですし、地元の支援していただいている方には申しわけないと思っております。

 ひょっとしたら、中川義雄という参議院議員がおりまして、ことしの正月の新年会で、反対でかなり激しい意見を表されたということでございますから、おじがそう言っているから私も同じ考えなんだろうというふうに御地元の人が思われているのかもしれませんし、そうではないかもしれません。

 いずれにしても、私は顧問であることは間違いありませんから、地元の皆さん、それから、民営化法案は私としては署名した立場ですから、国会の議論を通じて成立を期待している立場でございますけれども、御地元の皆さん、関係者の皆さんにとってのメリット、あるいはデメリットをできるだけ小さくすることによって地域が発展をする、そして、とうといあの郵便局の皆さん方のお仕事が、さらに地元経済あるいは預金者、あるいはまた保険の資金提供者の皆さんにとってもプラスになるようにしていく必要があるというふうに考えております。

佐藤(公)委員 私は本当に、副大臣、今お答えできないというようなことのお話がありましたけれども、私は、そういう中途半端だったら、即座に副大臣をやめてでも、大臣をやめてでも、この法案に反対してもらいたい。それを最後に、まだまだ日数はあります、まだありますので、どうかお二人のこの法案に対しての異議申し立て、反対ということも含めて、私は、その行動、発言を今後とも期待をしたいと思っております。こういうことで、かなりの時間を費やしてしまいましたけれども、郵政民営化の話を終わらせていただきます。

 でも、大臣、副大臣、さっきの答弁だったら、普通の厳しい方だったら、即刻やめるべきだということをもっと主張すると思います。ただし、本当にお二人とも、ある意味正直に話をされている部分があるのかなと思い、この程度にさせていただきます。

 では、具体的な……(発言する者あり)全くそう、全然説得できない、納得できないし、言っていることもわからない。

 では、法案の方に少し入らせていただきたいと思います。

 この不正競争防止法等の一部を改正する法律案におきまして、やはり、営業秘密の保護という分野に関して管理性ということがうたわれております。この管理性といったもの、実際問題、私も、営業秘密管理指針、経済産業省が平成十五年一月に出しているもの、こういったものを全部読ませていただきました。いろいろな分野において、かぎをかける、アクセス制限、もしくはマル秘印が押してある、ちゃんとした区分けができる、こういったことがいろいろと並べられている。そして、判例集もいろいろと出ているような状況。

 営業秘密管理指針というものを出しているんですけれども、では、その管理性ということを考えた場合に、一体全体どこまでをきちっとしていると管理性というのが認められるのか、その具体的なマニュアルというか枠組み、こういったことに関して、どう経済産業省は考えられているのか。これは、判例をいろいろと見させていただくと、状況状況によってかなり違いがあるようにも思えます。そういうことからするといかがお考えか、どうでしょうか。

北畑政府参考人 営業秘密の管理についての御質問でございますが、この法律で営業秘密の定義をしている三つの要件のうちの最も重要な要件が、営業秘密の管理でございます。これは、個々の企業がどういう管理をしているかということとの関連で、不正競争防止法上の保護が受けられるかどうか、ケース・バイ・ケースの裁判所の判断でございます。

 私どもが出しておる営業秘密の管理指針は、できるだけそういう保護が受けられるように、判例に基づいて、こういう管理をしなさいということを具体的に提示したものでございまして、十分丁寧に指針を定めたつもりでございますけれども、さらに工夫をいたしまして、事業者が的確に対応できるような指針にしてまいりたいと考えております。

佐藤(公)委員 大臣、副大臣、この管理性の部分、よく見ておいてください。大企業はそれだけの余裕もあり、経済力もあり、人的なものもある。でも、私が心配しているのは中小企業なんですね。中小企業がこの管理性ということに関して一体全体どこまで最低限やれば管理性として安全、安心、そういったことになるのか。私もいろいろと見させていただく中で、中小企業に対して、やはりわかりやすく、そして一つの基準をある程度設け、これだけは最低限やりなさいよ、そうすればこの管理性というのは裁判になったときでも認められる、ここの基準というものが非常に不明確な状況だと私は思っております。

 大企業の場合ですと、そういうことを考える時間もあれば経済力もあれば、そういったものは、大きいことによって逆に管理性ということがしづらい部分もあるかもしれませんが、そういった基準でやっていくということに関しては非常に中小企業というのが、この管理性のある一定のレベルの枠組みというものが、はっきり指針を出してあげないと、これでも丁寧に出しているということかもしれませんけれども、三つ、四つ、五つ、こういったことはきちっとしなさい、これをしておかないと管理性としては全く論外ですよというふうになるのではないかと思います。この辺をきちっと、しっかり今後とも詰めていただけたらありがたいと思います。

 これは、裁判の判例や何かを見ていると、管理性は不十分なんですが、情報によっては、だれが見ても秘密性、こういったことがあり得る、そのバランス性によって認められるケースと認められないケースが存在しているのではないかというのを私は判例をいろいろと見ていると感じる部分があります。

 ではお尋ねしますけれども、管理性というものがある程度不十分だった、しかし、やはりだれが見てもこれはやばい情報だよ、とても大事な秘密だよということがわかる場合、こういう場合の対応、指針というか、そこのバランスというのはどういうふうにお考えなんでしょうか。

北畑政府参考人 これまでの判例は民事の事例が多いわけでありますけれども、その事例を見てみますと、中小企業がこの法律を活用して損害賠償請求をしたとか、差しとめ請求が認められたというケースがございまして、大企業が利用しやすい法律ということではないと私は考えております。

 それから、営業秘密の管理というのはそれほど難しいことではございません。簡単に言えば、普通の情報と、今委員がおっしゃったように会社にとって重要な情報、やばい情報とおっしゃいましたけれども、非常に重要な情報というのは区分けをするということが第一でございまして、これは大企業でなくても、中小企業はそう難しいことではないと思います。それから、秘密であることの表示、要するに極秘とかマル秘という判こを押すとか、そういうものについて特別の場所に保管をする、金庫に入れる、それについて、その金庫をあけられる人間はこの範囲に限るとか、そう難しいことではございません。今の指針でも中小企業はかなり対応できると思いますけれども、委員の御指摘がございますので、さらに中小企業が使いやすいようなものにするよう、工夫をしてまいりたいと考えております。

佐藤(公)委員 その辺は、中小企業に対してのやはりきめ細やかな指針というか指導ということが必要であり、また、そういった浸透というか啓蒙というか、そういうことに力を注いで、また、わからないことがあればきちっと相談に乗ってあげる、そういう体制というのが今後非常に大事だと私は思いますので、大臣、副大臣、ぜひともそういったことを考えていただけたらありがたいと思います。

 この営業秘密の保護の強化の中で、こちらの簡単なペーパーには元従業員というふうに書いてあります。しかし、法律の方には従業者というふうに書いてあります。従業員と従業者というのは違うんでしょうか。

北畑政府参考人 同じでございます。法律上は従業者という言葉を使っております。

佐藤(公)委員 これは、法律的な言葉の使い方、定義によっては、従業員と従業者は違うとも言われております。つまり、派遣者等が入っているのが従業者であって、従業員というのは派遣社員等々は入っていない、こういう解釈論もあるかとも思います。そういう意味で、同じだと言うのであれば先に進めさせていただきます。でも、こういう部分はやはり同じ言葉を使った方がよろしいかと思いますね。

 そこの中で、派遣社員の件が今回、従業者ということでいえば入っている。この派遣者のことなんですけれども、これに関して、まさに営業秘密の保護強化の中で派遣社員も入っている。しかし、派遣社員の方は派遣法の二十四条において守秘義務があるというふうになっております。そういう部分もあるにもかかわらず、実際、こういう形での不正競争防止法の中でも営業秘密ということをやっていく。ここの秘密ということに関しての定義及び関係というのはどういうことになるんでしょうか。

北畑政府参考人 不正競争防止法上の営業秘密は、営業秘密でございまして、事業に有用な秘密、こういうふうに解釈をしております。

佐藤(公)委員 ということは、派遣法に書いてある秘密とは、範囲がかなり限定的なものという解釈でよろしいでしょうか。

北畑政府参考人 今申し上げましたように、営業秘密というのは、秘密一般よりは狭い概念かと考えております。

佐藤(公)委員 その秘密のことなんですけれども、まさに今いろいろと問題になっていることを一点お話しさせていただきます。

 本来は、派遣先と派遣元の間で契約がなされる、そして、派遣元と派遣社員との間で契約がなされる。しかし今、だんだん派遣先と派遣社員との間での契約、秘密、これは契約の自由ですから、守秘義務に関して契約することは一向に構いませんし、トラブルにならないことでは非常に有効な契約だと私は思います。

 しかし、ここの部分で、派遣先が守秘義務を派遣社員に課すような契約をする場合に、秘密保持に関してのみだけではなく、まさにそれ以外の情報も一緒になって契約をしろ、こういうようなケースが今いろいろと出てきております。わかりやすく言うと、派遣先が、おまえを使ってやるんだからおれの言うことを聞け、秘密を守るんだと。そのほかに、個人の情報に関してかなり事細かに聞く。本人の同意があれば聞くことは、それは自由です。だけれども、本人の同意を、結局のところ、一つの地位の優位性によって、全部の事細かな情報まで出さないと雇わないぞ、そういうような状況の契約というのが幾つか事例として出てきていると思うんですけれども、厚生労働省の方でそういった実態に関してどういうふうに今考えているのか、見ているのか、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御案内のとおり、労働者派遣事業制度、これは、言うまでもございませんけれども、派遣先と派遣労働者との間の関係というのは指揮命令関係が存在するのみでございまして、雇用関係というのは存在をいたしておりません。

 こういうことから申し上げますと、派遣先が派遣労働者にかかわる個人情報を収集しようといたします場合には、当然ながら、雇用主であります派遣元事業主を通じまして、就業管理上必要なものに限って収集をするということが基本であろうというふうに考えております。

 今お尋ねの件でございますが、就業管理上必要性が認められないような、今、委員、犯罪歴等々の事例をお挙げになられましたが、そうした情報を収集する、あるいは収集するに当たって派遣元に強要をする、あるいは本人に強要する、こういうことになりますと、言うまでもございませんが、民事上のプライバシーの侵害ということで、民法第七百九条の不法行為となるおそれがあると考えられますし、それに加えまして、情報の内容とか強要の態様によりましては、派遣労働者と派遣先との間に実質的な雇用関係がある、そういうような実態にあると判断されるに至るケースもございます。そういうことになりますと、今度は、職業安定法で禁止をされております労働者供給事業に当たる、こういうことも考えられるわけでございます。

 私ども、こうした立場で派遣先が派遣労働者について必要な情報を収集するような場合には、派遣元を通じて収集をする、それ以外の方法でやります場合には、今申し上げました職業安定法に違反するような事案ということにならないように、やはり指導していく必要があるというふうに受けとめております。

佐藤(公)委員 今、局長がお話ししたとおりなんですよね。

 実際に、これは大臣、現実問題として出てきていることは、例えば、秘密保持という契約に付随して、あなたは犯罪によって逮捕または有罪の判決を受けたことがありますかとか、民事事件の対象になったことがありますかとか、ちょっと普通では余り聞かれないようなことを事細かに聞いてきている。そういうことを一緒にあわせてこれに契約してくれ、こういうようなことが出てきているわけですね。これは実際にあったケースです。そのほかに、あなたは元構成員でしたかとか、暴力団でしたかとか、こういうことも聞かれているようなケースもあります。

 これは、雇う側にしてみれば、そういったことを心配し、そういったことを考えられることもわからないでもない。しかしそれは、つまるところ、派遣元との間での話なんですよ、そういった細かいことに関して。また、逆に言えば、個人情報的にいったら、派遣元がそういったことをすべてわかっている、もしくは聞くべきことならわかるんですけれども、派遣先がそういったことを一々全部聞いている。

 実際問題、実態的には、派遣元と派遣先との間では、雇用関係というのは派遣元にあるにもかかわらず、使われているうちに、もしくは雇ってやるというようなことからすると、派遣先が派遣元と同じようになっていく。こういう意識の変化というのが生じているのも事実であります。

 これは経済産業省の担当分野ではないかもしれませんが、実際、この派遣社員ということに関して、大臣も厚生労働省といろいろと密に連携をとりながら、これだけ派遣社員がふえている現状、きょうも新聞にも出ていましたけれども、二百万人を超すとか、労働力における、人口的にはかなり多くなっていますので、この辺はよく考えていただかなきゃいけないかと思います。

 つまるところ、派遣先がそういった情報を得る、これは個人情報ということで、個人情報の保護法にもひっかかることになりますけれども、きょうは局長さんしかいらっしゃっておりませんけれども、実際、局長、いかがですか。やはり、派遣先の方で得た情報、もしくは得方、その個人情報というものをきちっと規制、管理するような法律というのが今存在しないと思いますけれども、個人情報ということの部分での保護法における最低限のことしかない。でも、それ以上にこの個人情報の扱い方というのをきちっと決めていく法律なりシステムが必要だと思いますが、いかがですか。

高橋政府参考人 今のお尋ねの件でございますが、先ほどお答えしましたとおり、派遣事業制度におきましては、雇用関係に立つのは派遣元である。そういう観点から、派遣元が雇用主としての立場でしっかりと個人情報たる派遣労働者の情報管理というものに対応していくということが基本的な課題だろうというふうに受けとめております。

佐藤(公)委員 局長の答弁では、こういったことを前向きにとか言えないのかもしれませんけれども、大臣、副大臣、派遣先と派遣元、派遣社員、確かに、法律違反を犯しているのであれば、それはきちっと訴えろとか言えというんですけれども、やはり物事の商売の優位性によって、優位な立場によって、わかっちゃいるけれどもやめられない、これを言ったらば仕事がなくなっちゃう、だから結局、黙ってやっていかなきゃいけない、受けていかなきゃいけない、契約をしなきゃいけない、こういう実態があることを御理解いただいて、こういうことにも目を配って改善をしていくようなことをやはり考えていかなきゃいけないかと思いますので、何とぞよろしくお願いします。

 ちょっと時間がもうあとわずかになってしまいましたので、最後に、水際措置の導入ということで、模倣品、海賊版等々の対策としても挙げられております。ここでお書きになられているように、「税関が水際において迅速・適正に侵害の」ということで、水際での防止ということ、これはこれで私はいいことだと思います。

 ただし、ここに「著名」というふうにあるんですけれども、一体全体この「著名」というのは、どういう基準で、どういった形で判断をしていくのか。いかがでしょうか。

北畑政府参考人 法律上の「著名」の定義についての御質問かと存じます。

 不正競争防止法第二条第一項第二号に「著名な商品等表示」という文章が出てくるわけでございますが、著名であるというふうに認められるためには、通常の経済活動において、相当の注意を払うことによってその表示の使用を避けることができる程度に表示が知られていること、回りくどい言い方ですが、これが公的な解釈でございます。具体的に申し上げますと、全国的に知られているもの、全国的に知られるように努力をしたもの、こういうふうに解釈をいたしております。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

佐藤(公)委員 全国的に知られている、こういうことですけれども、それが非常に抽象的でわかりづらい部分がある。より具体的に、いかがでしょうか。

北畑政府参考人 同じ第二条第一号の広く知られているということとの比較なのでございます。

 第一号の方は、特定の地方でも、知られておればこれは法の対象になる。特定の地方あるいは特定の業界で知られておれば第一号に該当する。この場合には「混同」という別の要件が入っておりますので、そういう定義にしてございます。

 これに対して第二号の方は、混同要件が入っておりませんので、一番有名なのは、全国的に有名というふうに表示をしておりますけれども、判例で申し上げますと、例えばセイロガン事件とかアリナビッグ事件というのが、正露丸をつくった会社、あるいはアリナミンをつくった会社がどの程度にコマーシャルをしているか、こういうことを見て裁判所で具体的に判断をされております。

佐藤(公)委員 結局、今おっしゃられた知られているという部分を、抽象的な話しかないんですけれども、具体的なマニュアルはないんですか。どういう基準でという部分をどういうふうに判断するのか。いかがですか。もうちょっと具体的な話をしてくださいよ。

北畑政府参考人 「著名」の解釈は、先ほどから申し上げましたように、通常の経済活動において相当の注意を払っておればその表示が著名なものであるということが相手方に認識される、こういう解釈でございます。具体的には、判例の中で、原告側の商品名についてどのような周知のための努力をしていたということをケース・バイ・ケースで判断しております。

 御指摘がございますので、こういった判例をもう少し詳しく研究いたしまして、先ほどの営業秘密管理指針の中でもう少し工夫をしてみたいと考えております。

佐藤(公)委員 そうなると、大臣、つまり、出たとこ勝負みたいに思ったんですよね。つまり、水際。ふまじめな人たちばかりの話が今割と出ておりますけれども、決してふまじめな人たちだけじゃなくて、まじめにやろうとしている人たちがいる。じゃ、これは通るのかな、通らないのかな。結局、送ってみないと、持っていかないと、荷物が来なきゃわからない。これを見る限り、こういう現状だと私は思います。

 これは、実は不正競争防止法だけじゃなくて、ほかのいろいろな随所にも見られることなんですけれども、事前審査機能とかチェック機能というのは、一体全体、今回の法案含めて、あるんでしょうか。

舟木政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねの事前審査機能等々でございますが、関税定率法によりまして、不正競争防止法の著名表示ですとか、そういったものを勝手に使ったような場合、税関で差しとめることができるわけでございますが、この場合に、税関におきまして疑わしいということになりました場合、税関長が経済産業大臣に該当するかどうかという意見を求めることができることになっております。

 経済産業相としましては、税関長から意見の求めがあれば、適正な手続のもとに判断をして、三十日以内に書面により意見を述べるということになっておりまして、これは一つの事前の手続かと考えております。

佐藤(公)委員 済みません、ちょっと。事前チェック機能があるかどうかということを聞いているんであって、ないんですよね。ないんですよ。ないんです。

 それで、大臣、もう時間がないので簡単に、簡潔に言います。つまり、物が着かないときちっとした判断ができない。まして、もしかして疑わしいと思ったらば一カ月ぐらい荷もとめられちゃう。まだ通ればいいですけれども、通らなくて、それが没収なのか、また追い返されるようなこともあるかもしれない。

 私が言いたいことは、民間的発想でいえば、つまり、これがきちっと通るか通らないか、事前に一個でも送って、それできちっと審査してもらって、きちっとお墨つきをもらう、そうすると安心して送れるわけですよね。でも、その事前審査というか事前チェック機能というのが、実はここには、私の調べている限りではございません。民間だとしたらば、送ってみなきゃわからないなんというこんなリスクの高いこと、まじめにやろうとする人たちにとってみれば非常にやりづらいことになります。

 私は、この不正競争防止法等だけではなく、各随所に事前チェック機能というもの、審査機能というものがあってしかるべきじゃないか。それによってお互いが効率よく、また民間の活力、まさに血を回すようなことに、手伝うことになるんじゃないか。

 これは大臣も副大臣も御経験していると思いますが、そういう実際チェック機能がないために、代議士がわざわざ担当官に電話して、何々企業が行くから事前にちょっと聞いてみてくれとか、そこでお墨つきをもらう、もらわない、こういったことで作業を進める。まさにこういったことも、今の政治の健全な状態とは私は言えないんじゃないか。

 そういったことを除いて、やはり事前審査とかチェック機能というものをきちっと持って、民間が役所との間で、活力が、経済が元気になるようなシステムに気を配っていくのが我々の仕事だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

中川国務大臣 この法律改正の趣旨は知的財産をどうやって保護していくかということが根っこにあるわけで、つまり、そういうルールにのっとれば、ある意味では特許等々を利用していいわけであります。

 そこで、佐藤委員の御質問も、性善説の人と、性悪説で、もともと模造品、今のアリナミンだか正露丸だか、過去においてそういう明らかに違う物を、模造品として入ってきたときには水際でストップをさせる。それも、できるだけだらだらやるんではなくて、税関長から私のところに来たときには三十日以内ということですから、これもある意味では我々の努力目標としてはできるだけ早くしなければならないと思っておりますが、最終的には税関長の判断ということになります。

 したがって、確かに、似たような物が、果たしてそれが模造なのか、あるいはまた海賊なのか、あるいはそうではないのかというところは、実際にはかなりファジーな部分があるんだろうと思いますけれども、性善説に立って言えば、いや、私は全く知らなかった、結果的にそういう物ができちゃったという場合と、それからまた税関で模造品ではないと否認される場合もあるわけでございますから、その辺は、今回はあくまでも海賊品、模造品あるいは知的財産権侵害という観点からこの法律改正を御審議いただいているところでございます。

 確かにそういうところはあるとは思いますけれども、しかし逆に、どんどんどんどん税関長に言ってストップさせるということがないような防止策も他方とっているわけでございますので、ここは、この法律が施行された後、関係業界、あるいはまた実質行政、最終的な判断、裁判の判断等々もある程度見ていかないと、きちっとしたものに最初からなっていくかどうかということについては、委員御指摘のように、いろいろなスタートにおいては予想外のこともあるのかもしれないというのは、私の率直な印象でございます。

佐藤(公)委員 もう時間が来ましたので、これで終わらせていただきますけれども、その事前審査とかチェック機能というのはやはり民間的発想だと私は思います。

 性善説、そういうのはそういうものでわかりますとは言っていますけれども、それをぜひとも大臣、副大臣、担当局長も考えていただいて、民間がやりやすい社会状況、環境をつくっていただきたくお願いを申し上げたいと思います。

 聞きたいことは実は全部の中の三分の一ぐらいしか聞けませんで、またぜひ違う機会でいろいろと聞かせていただきたくお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

河上委員長 次に、中山義活君。

中山(義)委員 今、佐藤さんの質問を聞いておりまして、郵政民営化の問題、今一番白熱はしていますが、実はもっと大事な問題がたくさんある、日本の国には。

 特に、この特許を中心とした新しい日本の戦略なんというのは、これからどういう国家を日本がつくるのかという面に関しては、郵政民営化なんか問題じゃありませんよ、はっきり言って。それから、中国との今の東シナ海の問題やなんかでも、しっかりやってもらわないと、経済産業省だって困るでしょう。もっと国と国のレベル、世界を大きく考えたときに、特許の問題や対中国の問題、アジアの問題、もっと山積した問題がたくさんあるんです。

 そういう面では、私も郵政民営化の問題をちょっと質問しようかと思いましたが、やはりもっと大切な問題は特許や東シナ海のああいうようなエネルギーの問題だということがよくわかりますので、郵政民営化の問題については、私が実際あっちの方の委員会に差しかえて入らせてもらって質問することにします。

 大臣には、まず、日本が今置かれている立場、日中の問題について、東シナ海の問題がありますね。これは石油を探索したり、採掘したりしているんですが、実は、この間杏林大学の平松さんという方から聞いたんですが、中国は、今いわゆるエネルギーがなくなってきた、石油も大事だ、原子力もだ、だから慌ててやっているんだ、こういうような説がありましたが、実は全然違うんですね。一九七〇年代からもう既に東シナ海を探索して、ここに石油や天然ガスがあるということをつかんでいたと言っているんです。そういう面では、日本は何やっているんだと、全然そういうことをやっていないんじゃないかと。

 私たちは石油公団のときによく論議したんですが、石油なんというのは千に三つしかなかなかヒットできないとなると、やはりこれは民間企業よりも、ある意味では公団みたいなところがある程度将来のことについて、必ずもうかるというならもうとっくに民間がやっているわけですから、民間以外の国が、国の関連した企業または公団みたいなものがやらなきゃいけない、そういうふうに思っていたんですが、その辺、東シナ海の問題、今後の問題として、私たちはちょっと幾つか問題点を指摘するんです。

 まずは、民間企業がやると今言っておりますけれども、本当にこれについてはちゃんとした保障を与えてやっているのかどうか。その辺がまず心配で、本気になって話ができるのかどうか。

 そしてもう一つは、話し合いのテーブルなんですが、これはもちろん総理大臣と中国との関係、大変大きな問題があります。それ以外にも、日本は今まで備蓄を百七十日間したり、いろいろなノウハウを持っているわけですよ。安定的な石油の供給が中国でできるようにいろいろなアドバイスができるんじゃないですか。技術であるとか、また省エネの技術であるとか、こういうものもテーブルにのせて、やはり中国との話し合いというのがまず第一に大事だと思うんですね。

 もう一つは、やはり本当に探索する場合に、ある意味では、今回、こういう中国とのことに接して、非常に急がれるときですから、お金より、むしろ公団であるとか、そういう者が責任を持ってやっていくというようなことが二番目に必要だと思うんですが、この辺、どうなんでしょうかね。

 先行きが全然不透明でわからないんですが、いつまでも、日中の関係が悪い、中国リスクがどんどん出てくる、中国なんかは怖い国だから適当にうまくというよりも、踏み込んでやるんだったらば、日本の持っている技術、今までの知恵、こういうのも出して、しっかりしたテーブルに着いてやるべきじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

中川国務大臣 御指摘のように、これはもう七十年代から日本の民間企業が鉱業法に基づいてあの海域で試掘をしたいという申請が出て、それがずっと政府としての作業をしないまま今日まで来たわけでございます。その一つは、みずからの力でデータを解析することができなかったということがあったんだろうと思います、もちろん周辺情報はいろいろありましたけれども。

 したがいまして、去年の夏以降、これは外国船のチャーターでございましたけれども、三次元調査をやり、物理探査等をきちっとやった結果、あれは、主に中間線の構造の問題がマスコミ的には大きく報道されましたけれども、その他の広い海域についてもいろいろ調査をしたわけでございまして、民間がかねてより申請していた地域について、民間としてはどうも掘ってみる価値がある。千に三つか四つかわかりません、過去においても日韓でやってうまくいかなかった例もございますけれども、そういう法律に基づく申請があったことは、政府としては粛々と作業を進めていく必要があるというふうに思っております。

 ただ、その際には政府内部だけの作業ではなくて近隣自治体の方々の御理解、御協力も必要でございますので、そういう面も含めて今作業をやっているところでございまして、付与に値するかどうかということはできるだけ早く判断をしていきたいというふうに思っております。

 それから、省エネ技術につきましては、これはもう私も去年以来、産油国、消費国、全体の世界の主要国、あるいはことしの一月にはインドで東アジアから中東までの産油国と消費国が集まってやった折、あるいは、先日突然お帰りになりましたけれども、たまたま呉儀副首相と万博の前の日に懇談する機会があったときに、日本としても、エネルギーに関して省エネ技術というものをぜひ中国に活用してもらうことが中国だけではなくて日本、世界に貢献をするということで、その点に関しては非常に有意義な話し合いができたというふうに思っております。

 いずれにしても、石油公団というお話がありましたが、民間が今後作業を進めていくとするならば、国としてこれをバックアップするということは言うまでもなく当然のことで、現在、その付与をするかどうかの作業を、政府あるいはまた自治体と相談しながらやっているというのが現状でございます。

中山(義)委員 今は石油、天然ガス、それから鉱物、鉱山ですか、公団ではないですね、独法ですね。私たちもこれを法律案で審議するときに、民間のやるべきこととそれから国がやるべきことをしっかり、やはりうまくやっていかないと、海外で採掘をするわけですから非常に難しい問題がありますよね。

 今まで日本はサウジアラビア専門であった。ところが、カフジの権益が失効してから、次に今度はイランへ来た。アザデガンでいろいろやっているけれども、これも核問題か何かでがたがたしている。じゃ、今度はロシアへ行こう。何か足元が定まらないで、あっちに行ったりこっちに行ったり、全体のエネルギーに対する政策そのものが非常に落ちつかないと思うんですね。

 私たちは、やはりもうちょっと石油に対する考え方、これは、アメリカだってもしかしたらば石油によってイラクの戦争をおっ始めたという可能性が何%かはあるのかもしれません。私たちは、それだけエネルギーに関しては国家の一番基本的なものだ、このように思っているわけですから、もうちょっとしっかりとした、どこまで国がやる、どこまで民間企業がやる。サウジアラビアのアラ石だってそうでしょう。最後の結論は、私もあのときの通産大臣に聞きましたけれども、通産大臣は何と言ったかといったら、民間のことなんですよ、民間企業なんです、アラビア石油は。そこに二千億円出せないというような、そういう話で、最終的にはこれは民の仕事でできませんという形になったけれども、やはりこういう大きなプロジェクトに関しては国がどこまでしっかりやるのか。

 特に、今回の問題なんかは、大きなことをあそこへ提起しなければいけないと思うんですよ。各アジアで全部備蓄をするとか、それから省エネ技術はこうだとか、日本がリーダーシップをとって彼らを説得することが大事なんじゃないですか。単にこれは日中の靖国問題みたいなものが大きくはだかっていてできないというんじゃなくて、むしろ日本の技術をかりてやっていきたい、こういうような形にしなければいけないんじゃないかと思うんですね。

 ですから、アジア全体の備蓄の問題から何から含めて、もっと国家がしっかり外交問題としてやっていくべきだと思うんですが、この辺の見解を聞かせてください。

 私は、外交問題だから外務省と、外務省なんか全然当てにしていませんよ。やはり経済産業省ですよ、中川大臣に期待しているんです。外交といったってちっとも、何もやっていないじゃないか、石油なんかの問題についてだって、今まで。京都議定書の問題になると環境省がやっていて、こういうような問題になってくると、エネルギーだと経済産業省。外務省は何やっているんだということになりますが、とにかく、やはり中川大臣のリーダーシップでしっかりやるという決意をしてくださいよ。やはり、国家も力を入れてやらなかったら、民間企業の探索船やなんかがやっているからというんで見ているだけじゃ困ると思うので、その辺の決意を述べてください。

中川国務大臣 まず一般論として、日本のエネルギー政策を今後どうしていくかということは、当委員会でも何回も御議論をいただいたところでございまして、今後も石油あるいは天然ガスがどうしても大きな柱の一つであることは間違いないと思います。メリットもあると思います。他方、環境面等々からいってデメリットもあるということで、新エネとか再生可能エネルギーとかクリーンエネルギー、そして原子力エネルギーというものを、多種多様に確保していくということが大事だろうと思っております。

 その中での石油についてどう考えるのかということでございますが、御指摘のように、世界じゅうで日本としてもいろいろな権益確保のために民間が中心になって今努力をしているところでございますけれども、それにつきましては、もちろん民間の公開株式会社が中心になってやっている。そうじゃない元政府系みたいなところもございますけれども、そういうものがやっていくというのが現在のエネルギー、石油確保作業でございますけれども、例えば、サウジにおいてはサウジのやり方、あるいは、イランの話が出ましたけれども、イランはイランのやり方、いろいろあったと思います。

 東シナ海に関しましては、これはあくまでも係争水域である、一体どっちの海なんだというところから長い間の議論があるわけでございますから、そういう意味で、どこの地域におきましても、とりわけ東シナ海のあの係争水域については、民間に付与されれば民間が権利を独占的、排他的に持つわけでございますけれども、場所が場所だけに、自前の、日本のEEZの中のエネルギー確保という民間の経済活動に関しては、エネルギー政策という大きな国家的政策とも合致いたしますので、やるとするならば政府としても全力を挙げてバックアップをしていくということは、当然のことだろうというふうに思っております。

中山(義)委員 決意はよくわかりましたけれども、今言ったような日本の持っている技術とか知恵とかそういうものを使ってお互いに一緒にやっていこうという気持ちにさせるように、やはり考えてもらいたいと思うんですよね。やはり、アジア全体を考えたときに、当然備蓄は少な過ぎるし、全体に備蓄してもらわなきゃならない。

 それからもう一つは、中東の国というのは、アラブ諸国、特に宗教上の問題やなんかでわかりにくい。だけれども、やはりそういう石油政策によって、逆に一体となって彼らの文化やいろいろなことを知ることもできると思うんですよ。

 だから、石油政策というのは、日本でとれないために外国でやるということで、むしろ外交上にも非常に今後大きな影響があるし、サウジアラビアだって、あれを残しておけば、サウジアラビアと日本の関係というのはもっとうまく保たれたかもしれません。そういう面でも、情報が入ってくるということもあるわけですね。だから、外交手段としてもそこに例えば商社があるということは極めて有効なことだし、もっと大きな視野でぜひこの問題を考えて、こんな靖国問題にとらわれてこれの方で後退していくことのないように要望いたします。

 今お話しした技術や知恵ということで考えていきますと、一番大きなのは、やはり新しいプロパテント政策だと思うんですね。私は、どんな国にしていくかということを考えたときに、皆さんにもいろいろ提起したいんですが、要するに今まで、郵政民営化もそうだけれども、自由に競争させれば物はどんどん活性化していく。だけれども、自由に競争させたら物の安売り競争、たたき売りになってしまうんですよ。もう一つは、人件費の安いところがどんどんつくっていく、そうしたら、これは必ず人件費が高いところは負けるんです。そうですよね、中国と日本を見ていても。ただ物をつくっていくということであれば、どんどん値段は下がっていく、デフレになっていく、たたき合いになる。

 だけれども、そこに、自分たちが新しいものをつくったときには十年または何年かの間市場を独占できるというのが、これがプロパテント政策でしょう。だから新しいものを発明しようという意欲も出てくる。そういうことが基本なんですが、最近ちょっと、私たちは、あくまでもこのパテントに関係したものは創造物であり、クリエーターがつくって、新しいものを何か世の中に出そうという人がその特典を与えられる、こう思っていたんですが、実は早い者勝ち、出願競争。

 これはレッサーパンダの風太君というのを使って商品価値を生み出して、何か商品をつくってこれを独占しよう、こういうもくろみがあるんですね。これ以外にも、今までも阪神優勝とか、要するに商標を早くとって、それでお金にしちゃう。これはプロパテント政策の本質とちょっと違うと思うんですが、やはりそこには、ものをつくろうとか、新しいクリエーター、芸術家、そして何かを発明する、こういう正しい努力や行為、またはそういう新しい発想で何かをやることについての特典だと思うんですが、これについての見解はいかがでしょうか。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 商標登録の件でございますけれども、商標制度というのは、特許や意匠といった他の産業財産権とは異なりまして、新しいアイデア、そういったものを考えた人に独占権を付与することによって発明や創作を奨励しようという性格ではなくて、自己の業務に商標を使用する者がその商標を通じて蓄積する業務上の信用を保護しようというものでございまして、産業財産権四権のうちでは特異な性格のものがございます。

 商標制度におきましては、商標登録出願があれば、公序良俗に反しないか、あるいは他人の業務に係る商品や役務と混同を生じないかといった審査を行いまして、これらの不登録事由に該当しない限りは、その商標は登録することになります。ただし、一たん登録を受けたとしましても、商標が使用されることが商標制度における保護の前提となっておりますので、商標権者や使用権者が三年以上にわたりまして使用していない場合には、取り消し審判の対象となります。また、商品や品質の誤認または他人の商品との混同を生ずる場合についても、取り消し審判の対象になるということでございます。

 お尋ねの風太につきましては、商標登録出願がされているか否かにつきまして、また、仮に出願されていた場合の登録の可能性につきましては、現時点においてつまびらかにすることはできませんけれども、当庁といたしましては、仮に出願があった場合には、登録要件に適合しているか否かにつきまして厳正に審査を行ってまいりたい、このように考えております。

中山(義)委員 一応わかるんですけれども、やはり商標というのは商品にくっついてくるもので、この場合は、単純にこれを使って何か物を売ろうという、早い者勝ちだということなんですよ。

 だけれども、やはりそこに例えば関連性があって、その動物園がレッサーパンダをここまで育ててきてとか、そういう背景があるわけでしょう。背景が全部なしで、早い方がこれをとれるんだという単純なものだと、いわゆる皆さんが考えているプロパテント政策の中で、さっき言った知恵とか新しい発想とか、新しい、何か世の中がこれは一番先端のものだとか、こういうものに与えられるのならわかるけれども、早い者勝ちでただ持っていっちゃう。

 こういう動物の立った姿の絵だけならいいけれども、今後とも、せっかく相当な知恵を絞ってまた発明をしたり、新しい商品として売り出そうとするときにぱっと先に名前をとられちゃったとか、こういうこともあり得るんじゃないですか。今言っている話は、もともとのプロパテント政策に合っているんですかと聞いているんですよ。いわゆる制度の趣旨、それに合っているのかどうかを聞いているんです。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 合っているかどうかということにつきましては、現在の法体系のもとで、例えば商標法条約のもとにつきましては、これは出願人の便宜のために、余り出願に当たっていろいろな資料を要求してはならない、これはユーザーフレンドリーのもとにそういった考え方があったり、職権でそういった事実を調べるのはこれまた効率が悪いといったような、歴史的な検討の経緯を踏まえてこういう制度になっているというふうに考えておりますので、そういう意味では、先ほど申し上げたラインの中で特許庁としてはきちんと審査をしてまいりたい、こういうことでございます。

中山(義)委員 今までも、ちょっとこれは随分疑問が出てきて、さっき言った阪神優勝なんというものもあるんですよ。これは、今こういうような立ち姿があって、これを例えば商品の一番正面に張って売るということに非常に意味があるかもしれないけれども、例えば阪神が優勝したら阪神優勝とか、いろいろな、そういうようなものまで登録できるとなると、やはり本来の趣旨から外れているんじゃないですかということを言っているので、この一件だけの例じゃなくていろいろなものがあるじゃないですか。その辺は、見解をもう一回言ってください。はっきりしてください。

澁谷政府参考人 先ほど、登録を受けましたときの審査の項目の一つとして誤認、混同というのがございます。そういったところで、状況を含めて判断していく、こういうことになろうかと思います。

中山(義)委員 できる限りプロパテント政策の趣旨に合うようにやっていっていただきたいと思います。

 きょうの法律の一番大事なところは、グローバル企業が外国へ行って変な扱いを受けたり、または、せっかく新しいものをつくっても外国にまねされちゃうというようなことがあると思うんですが、これも日経でございますけれども、中国のGDPの中で、模造品をつくってそれをGDPに加えて、その率が八%だというんですが、これは経済産業省でどういうようなつかみ方をしていますかね、八%。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の八%というのは、五月十六日、アメリカの議会でそのような数字を、これは国際知的財産同盟のスミス会長が発言したものだというふうに承知をしております。

 私ども政府の中では、それに類するデータとしましては、特許庁の試算で、中国、これは日本企業が被害を受けているという数字でございますけれども、約九兆円という推計をしております。また、中国の国務院のデータで、中国の中では約三兆円のそういう模倣品の被害があるというようなデータがございます。

中山(義)委員 これは皆さん相当強い気持ちで、これを変えるためにはやはり罰則をかけて、もっと刑事的な罰則をかけてやっていこうとするんですが、先ほど来お話しのように、中国と日本の関係であるとか、いろいろありますね、難しい点が。

 私たちは、もともとプロパテント政策そのものは、日本も一時、一九七〇年代はキャッチアップ政策、要するに何とかアメリカに追いつけ追い越せということで、向こうのトランジスタを分解して、文句言われない程度にまねながらもっといいものをつくっちゃうというような、そういう技術を日本が持っていて、どんどんどんどん進展していって、一九八〇年代になってヤング・レポートなるものが、アメリカでも、これは単に人件費の安いところでもし能力があったら、幾らいいものをつくってもすぐつくられちゃうぞ、こういうことなわけですよ。これはこれから大変大きな問題になってくると思うんですね。

 今度は日本が中国にそれをやられているわけでございますが、こういう問題は、一番大きな抑止力というのは、最近の新聞では、懲役最高十年とか、海外にも条約をつくって向こうから犯罪人をこちらへ引き渡してもらうとか、いろいろなことを言っていますけれども、現実問題として、実効性の上がる方法というのはもう既に頭の中にあって、こういうふうに実効性のある問題を考えている、だから今回法案を出したんだというんだけれども、どうも余りにも抽象的で、また具体的でもないので、その辺ちょっと、意欲をまず見せるのと同時に、もうこれとこれは絶対やる、相当強い決意を持ってやるんだというのを見せていただきたいと思うんです。

中川国務大臣 今回の不正競争防止法は、まず海外で情報を漏らしたという場合には罰せられないわけですね。それから、外国に、自分が持っている知識なり会社が持っている情報なりを外に漏らすというか渡す場合でも、現職中にその約束ができているということが大前提になっておりまして、実はこれだけでは、あくまでも国内法もしくは国内法の若干の延長という位置づけですから、中山委員おっしゃるように、根本的な知的財産の保護のために、とりわけよく中国のことが言われますので、これでもってGDPの九%ですか八%ですか、とりわけ日本あるいはまたアメリカ、EU等々といつも問題にしている問題を根本的に根絶できるかというと、正直言って私は、効果はありますけれども、根絶の方向に向かっていくとは残念ながら思っておりません。

 よく中国の方とお話しすると、中国は実は、中国企業が一番被害を受けているんだ、こうおっしゃるわけで、だったらしっかりやってくださいよということをいつも申し上げ、中国政府もこの問題には真剣に取り組んでいるものというふうに私自身は認識をしております。これはアメリカなりEUなりの知財関係の人と話をしていてもやっておりますけれども、ただ、それは甘い。したがって、実効性なり再犯防止なりについての効果が上がっていない。あるいはまた罰則も、聞くところによると、内外の企業の被害で違っているとか、地方の協力が足りないとか、いろいろと不備があり、没収だけで終わるとかいう例もございますので、WTOの加盟国として今中国は一生懸命努力をされているわけでありますから、そういう中でこの知財の問題というのは、やがて中国も技術水準、知的財産水準が上がっていけばこういう問題に直面をするという観点からも、ぜひ中国には真剣に取り組んでもらいたい。そうしませんと、国家の経済地位としての信用力にもかかわってまいります。

 そういう意味で、中国も努力しておりますということですけれども、現に被害が起き、それから、まだ水際でチェックできるんならいいですけれども、日本製品が、日本に入らずに中国から東南アジアなりアメリカに行っちゃった場合には全くノーズロということにもなりかねませんので、そういう意味で、アメリカ、EUあるいはまたEU以外のヨーロッパの国々等、いわゆる先進国が中国に対して共同歩調をとるように常日ごろ努力をして、それによって中国がきちっとした対応をとることによって初めてこの問題が根本的に解決する方向に向かっていくんだろうと思いますが、いずれにしても、この法律改正はそれに向かっての第一歩であろうというふうには考えております。

中山(義)委員 水際とかいろいろ言っているんですが、特許を侵害した商品というのは、本当に侵害したものかどうかシロクロつけられるというのは、内部に機械がいろいろあってわかりにくいものもあるわけですね。はっきり言って、水際でシロクロつけるというけれども、相当な、ぱっと見ただけで技術というかそういうものがわからないとこれは難しいと思うんですが、人的な配慮というか、そういうのがちゃんと整った上で今回の法律案を出しているんでしょうね。これから努力するというんじゃ、ちょっと困るんだけれども。

 侵害した商品とかそういうものがぱっと見ただけでわかる、またはそういうものがわかる技術や能力を持っているということが前提だと思うんですが、その辺はいかがですか。

舟木政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに御指摘のとおり、いろいろな事例に対して難しい点もございますが、税関の方でも努力をしているところでございます。物を申立人から提供してもらって、それを分解して調べてみるとかというようなことも始めようとしているところでございます。

 経済産業省としましても、確かに水際で差しとめるような場合に税関だけの判断で難しい場合がございますので、関税定率法に基づきまして経済産業大臣に税関長から意見の照会ができるような制度が創設をされたところでございます。それに基づきまして経済産業省に問い合わせがありました場合には、迅速かつ適正に判断ができるような体制を組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

中山(義)委員 水際というのは、商品を見つけた場合にやはりもとを断たなければだめなわけですね。そういう、すぐに捜査に入るとか、やはりそれによっていろいろな情報が入ってくるわけですね、その侵害品を捕まえたときに。そういうようなことというのはこの法律案の中に読み取れてはいるんですけれども、そういうようなしっかりとした人材を確保してやっていくという状況ですか、現在。

舟木政府参考人 お答え申し上げます。

 国内におきましては、警察も取り締まりのために人員を拡充しているというふうに聞いております。政府全体としまして知財戦略本部を設けまして、そこら辺のところを力を入れているところでございます。

 ただし、海外のこういった模倣品に対する取り締まりに関しましては、これはそれぞれの国の取り締まり当局が責任を持ってやるということになっておりますので、そこら辺につきましては、私どもとしましては日本政府として国際的ないろいろな働きかけをやってまいりたいというふうに考えているところでございます。

中山(義)委員 中小企業なんかも水際で捕まったもの、これは実はうちでもともと開発したものであるとか、うちで発明したものであるとか、うちでつくったものが向こうで侵害されたというようなことで、水際でちゃんと捕まえた、この後について、しっかりとした考え方でやられているのかどうか、ちょっと心配なんです。

 例えば中小企業なんかは、もしそれを訴えるという場合に、税関で捕まったもの、これは訴えるときにはやはり中小企業が訴えなきゃならないんですか。それは刑事事件で、そこでそれを捕まえて、どこがいろいろ処分やなんかをするんですか。

舟木政府参考人 お答え申し上げます。

 税関における差しとめは、刑事罰ではなくて、関税定率法に基づきます税関長の権限で差しとめるということでございます。この差しとめに際しまして、中小企業の方が自分の製品の模倣品が輸入されようとしているということ、そういう情報をつかみました場合は、差しとめの申し立てを税関長に対してすることができることになっております。そういった申し立てに基づいたり、ないしは税関が職権でそういった模倣品の国内への流入を差しとめるという制度になっているところでございます。

中山(義)委員 とにかく実効性の上がる方法じゃないと、もうこれは本当に十年ぐらい、特許をとったからと思っていても、あっという間に、後半はもう模造品がうんと出ちゃって、自分たちが元手をかけてやったことが結果的には利益が出ないということがあり得るわけですから、やはり即座にやっていくということが大事だと思うんです。

 私たち、今まで特許庁に対していろいろ言ってきたことの中で、どうも人材がそれだけそろっていなくて、法律ができちゃってそれに追われてやっているというような感じがいつもするんですよ。

 例えば、特許の出願をして、それを審査請求してどんどんやっていくと、どのくらいの人数がかかるのか。では、アメリカはどのくらいの人数でやっているのか。こういうふうに比べたときに、アメリカと遜色ないくらい、そういう特許やなんかについてしっかり人材がいなかったらば、結局審査はおくれるとかどんどんアメリカに負けてしまうとか、そういうことはあり得るわけですね。

 そういう面でも、ちょっと特許庁長官に聞きたいんですが、例えば、審査請求があって審査をする、これだって、アメリカが三千人ぐらいいるのに日本は千人ぐらいしかいないとか、人数の点でもはっきりデータは出ていますよ。私どもも今まで、前々回とか前回ぐらいにもいろいろ質問したときに、そちらのデータが出ている。そういうことは改善されているのかどうか。やはり、まず、特許を申請したときに、全然日本の受け入れ体制が、アメリカに比べたら人間も三分の一だとか、そういうことがあったのなら、初めからかなわないわけですよ。初めから負けていると言わなきゃならない。それから、水際作戦でも、そういう人がいるのかいないのか。この辺をはっきり答弁してもらっておいた方がいいんじゃないかと思いますが、どうですか。

小川政府参考人 特許審査の現状でございます。

 現在、特許の審査の順番待ち期間、これは審査請求が行われまして審査をして、その結果、第一報がなされるまでの間でございますが、二十六カ月ということになってございます。アメリカが二十カ月、もっと最近は上がっているかもしれませんが、欧州が二十一カ月でございます。それと比較して少し長くなってございますが、これまでペーパーレス化、あるいは先行技術調査を外注いたしまして、審査官一人当たりの審査件数が、日本の審査官は今二百三件でございます、一年間二百三件。アメリカが八十二件、それからヨーロッパが六十一件ということで、効率的な審査を行ってきているところでございますが、御指摘のありましたように、審査官の数でいきますと、日本は約千四百人でございますが、アメリカが三千八百、ヨーロッパが三千四百ということでございます。

 その開きというのが一つあるわけでございますが、そのため、昨年、特許審査迅速化法というものを御審議いただきまして成立をさせていただいたわけでございますが、それを受けまして、昨年度それから本年度と、九十八名ずつ任期つき審査官ということで採用させていただいております。それに従来の通常の審査官の増員というのと今あわせてやってきているところで、所要の予算も確保させてきていただいているわけでございます。

 引き続き、私どもとしましては、先行技術調査をできるだけ効率的に外注していく。これも昨年制度改正をしていただきまして、従来公益法人を指定しまして限られたところに外注をお願いしておったわけですけれども、一定の登録要件を満足いたします機関については、株式会社も含めてお願いをすることができるようになってございます。そういった制度も使いながら、いわば出の部分、審査のところ、それから入りの部分のところにつきましては、実用新案をいろいろ使い勝手のいいものに見直す、魅力を高めた、あるいは、リアルタイムでいろいろな特許の情報を提供することによって、出願、審査請求行動に生かしていただく。

 そういった入りと出、両面とあわせまして、引き続き審査官の着実ないわゆる増員と、それから特に、私どもが昨年度から開始しております、毎年百人程度、五年間五百人の任期つき審査官。これは、いろいろな大学、企業の研究開発の第一線で働いておられた方、ないしは企業の知財部、それから弁理士事務所、いわば一線で研ぎ澄まされた経験をお持ちの方々ばかりが採用されておりますので、そういう方々の考え方あるいは活力、そういうのも組織に入れ込みながら、全体として審査の効率を上げていきまして、私どもは、二〇一三年には、審査待ち期間十一カ月、これは世界で一番早い期間、これをぜひとも達成したいというふうに考えてございます。

中山(義)委員 さっきからいろいろ、郵政民営化じゃないんだけれども、知財立国というのが本当に国の根幹をなすものだとすれば、僕は、当然人件費とか人間もふやさなきゃならないと思うんですよ。

 ただふやせばいいというわけでもありませんから、やはり弁理士さんの活用とか、そういう技術を知っている、わかる人たちを集中的に集めていくということは、今後の日本の国家にすごく大きな、ある意味では工業的なものもそうだし、それから創造的な、いわゆる著作権や何かを含めて、映画であるとかコンテンツのことも含めて、やはり相当処理をする仕事がふえてくると思うんですよ。そういう面で、私どもは、もうちょっとしっかりした体制、少なくとも今アメリカが三千で日本が大体千人ちょっとだということはわかり切っているわけですから、この考え方がすごく大切であれば、これは当然対策本部でしっかりやってもらわなきゃならないと思うんです。

 中川大臣、今まで質問したのは、人員や何かでやはりアメリカに劣っているのじゃないかということを今指摘したんです。私らは、郵政民営化なんかよりもよほどこっちの方が、日本の工業だとか、これから日本のいわゆる貿易に関しても大きなことですよと言っているんです。

 だから、当然人をふやせばいいという単純な問題じゃなくて、やはり横から、これは優秀な人間、よその部局からもこういう人は使えるという人をふやして、本当に日本が早く知財をとって、権利をとって外国で勝負ができるように、そういう面についてはちょっと人数の点や何か、私はアメリカに比べると見劣りがするような気がするんですが、大臣、この辺の話をぜひ答えてもらいたいと思います。

中川国務大臣 これから知的財産立国を目指すという大方針のもとで、公開して権利を守るという観点から、去年の特許法改正のときでも、たしか待ち件数が六十万件とか平均二十六カ月とかいうことは、このスピード化の時代に、それだけで、幾ら先願主義とはいっても、権利が十分に保護されないということは問題だろうと思っております。

 そこで、予算でもお認めいただきました任期つき特許審査官ですか、百人ずつ五年をめどにということで、この前テレビを見ておりましたら、企業の知財のプロとかそういう方々も積極的に参加をしていただいているということでございますから、そういう、ある意味では民間の知恵も利用しながら、とはいっても、これはうれしい悲鳴なんですけれども、これからますます出願数がふえてくるのではないかという予想もしておりますので、アメリカ、ヨーロッパあるいはお隣の中国、韓国等との競争にこの面でも負けないように、さらに充実していく必要があると思います。

 中山委員には御理解いただけると思いますので、御指導のほどをよろしくお願いいたします。

中山(義)委員 長官、大臣もああいうふうに言っているんですから、積極的に、このくらいの人がいなければアメリカに勝てない、だったらやはり予算要求するとか、いろいろ大臣と話し合ってくださいよ。どうもその辺で負けるのじゃ、やはり悔しくてしようがないね、本当は優秀な人がうんといるのに。

 私たちが知財に対して今こういう話をしているのは、次の問題にも関連するんですよ。

 職務発明とかいろいろありますね。会社にいても、物を創造する人、新しいものをつくる人、そしてまた発明なんかでも、実用新案だ何だ、会社のためにいろいろなことをやっていく、こういう人たちが大事にされていれば、この会社の技術や何かが外へ流出するなんということは余りないはずなんですよ。何か会社の中でも発明している人が大した扱いを受けなかったり、こういうことがあるから、やめてからすぐにどこかへ自分の持っている知識を、または何かを持ち出していっちゃうとか、そういうことも起こり得るんだと思うんですね。

 ですから、やはり知財に対する重要度といいますか、会社の将来というのは知財にかかっているんだ、新しい発明に。そういう意識があれば、きょうのこの法律案の中で、会社の持っている秘密を外へ持ち出す、こういうことがないようにするためには、発明や何かした人は定年とはいっても会社に再雇用するとか、そういうような違った工夫が必要なんじゃないでしょうか。単に向こうへ行ったから罰則を加えるというよりも、もともと知財に対する意識というものが日本の国は低いと私は思うんですよ。だから職務発明なんかでああいう問題が起きたんだと思うんですね。

 そういう面では、知財に対する認識といいますか、その辺がもっと高まってくれば、そういうような職務発明とか、外へ自分のところの会社の一番大事な秘密を売ってしまうとか、そんなことはないと思うんですが、その辺はどうですか、長官。

小川政府参考人 御指摘のとおりだと私どもも思っておりまして、まず、知的財産立国というのは、良質な技術を一個でも多く、また良質なコンテンツを一個でも多く生み出す、それから、それが早期に権利化をされる、それを利活用してまた新しい知の創造活動に再投資をされる、このサイクルを確立するわけでございますが、何よりも増してそこで大事なのは人材でございます。意欲のある人たちが報われるということが大事だろうと思います。

 昨年、制度改正をお認めいただきまして、職務発明制度について変えさせていただいたわけでございますが、これは、いわゆる企業で働いている研究者の方あるいは企業、いわゆる研究開発あるいは事業の実態を一番知っている現場の方々の間で話し合いをすることによって、従業員、研究者の方についてはよりインセンティブを高める、企業については予測可能性を高めていく、その両方の利益、ウィン・ウィンだろうと思いますが、それを目指して制度改正をしていただいたわけでございます。

 私ども、いろいろその後フォローアップをさせていただくということで、一つは説明会をいろいろやりまして、考え方を説明し、企業のいろいろな意識改革というものをお願いしていったわけでございますが、最近報告を受けますと、企業も相当いろいろな見直しをしておりまして、方向としては、一人一人の従業員、研究者の方々のやる気と意欲を高めていく方向での見直しが行われているというふうに理解をしておりますし、より透明性のある形になっております。

 それから、処遇の問題が一つございます。どういう研究環境で、研究開発活動が続けられるかどうか、そういったトータルでもって企業の従業員の方もいろいろ評価をされていく。

 まさに先生の御指摘の、ハッピーリタイアメントじゃなかった形でやめられたときの後の、どういう立ち居振る舞いになるかということも、働いておられるときの思いというのがあろうかと思いますので、そういうことも含めて、職務発明制度についていいますと、私どもは、新しい、会社がいろいろな取り組みをしておりますので、それもまた情報として集めまして、事例集をより充実して、皆さんにわかりやすい形で、またその意識を高めていただくということを続けていきたいと思ってございます。

中山(義)委員 これは、刑罰でというような問題よりも、知財というものに対して、本当に重要性のあるものだという認識がまだまだ日本に欠けているのかなという気持ちがあるんですね。特に、まだ国内で持っていった場合はいいですよ、国外にそれを持っていった、国家の国益にも反するようなこと、例えば軍事技術であるとか医療の技術であるとか、まだ諸外国でやっていないようなことまで外国へ先に持っていっちゃった、こういうこともあり得ると思うんですね。

 ですから、やはり、ちゃんとした発明をした、また職務で、これは企業にとってどの程度の価値があるかという判断や何かも、単純にお金じゃなくて、ふだんからやはり社長がそういう人たちを大切にするという気持ちがまず大事で、外国の例を聞きますと、やはりいいものを発明して、いいことをやってくれたというので、社長のお宅に呼ばれて一緒に食事をしたとか、そういうことも含まれているというんですね。

 だから、その辺は特許庁長官が、こういうものですよ、おたくの会社でこういうことがあったけれども、実は、発明とか発見、新しいものを世の中に出すということはこれだけ重要性のあることだということをしかとやはり頭に入れてやっていかないと、ただ刑罰をかける、そういうのは犯罪だ、こう言うよりも、そういうところに重点を特に置いていただきたいというふうに思います。

 それから、今EUなんかは、すべて広く特許庁というものがあると思うんですよ。だけれども日本はやはり日本だけの、もっとアジアを巻き込んだ特許庁というか、そのくらいの大きな発想がないと、これからはもう大変だと思うんですね。

 中小企業の人がよく言うんだけれども、やはりアメリカでも特許を取らないとどうも通用しないからとか、それでどうしたらいいかなんということを、ちょっと相談があったりするんですね。何かとめ金の、ちょっとした、アウトドアの商品なんですが、これは恐らくアメリカで特許を取るのは大変だから、じゃ、ナイキの傘下に入っちゃえば、日本で特許を取っているから訴えられてもナイキの方でやってくれるとか、本来自分のところで売りたいものでも、大きなメーカーの傘下に入れば裁判や何かになったときに向こうがバックアップしてくれるとか、もう中小企業はありとあらゆる知恵でやっているわけですよ。だから、中小企業の中からも相当大きな知恵が生まれているので、これも大切にしていかなきゃならないと思うんですね。

 スモールエンティティー、アメリカでは相当それが効力を発揮しているんですが、前回、大畠章宏議員の質問から、私らも資料をもらいましたけれども、やはり中小企業を見ていると、出願実績や、または、大企業が八一なのに中小企業が一三%だとか、TLOのところでまだ六%しかとか、どうも今まで中小企業を受け入れようという、いろいろなところから人間の知恵を絞り出していこうという、何か特許庁にそういうところがちょっと見えないような気がするんです。

 もともと、特許庁にもっと誇りを持ってもらうためには、著作権なんかも全部一緒にして、知的財産権庁ぐらいの大きな形でやっていってもらうのが一番いいと思うんですが、そういう面で、中小企業に対する今までのやり方としてはこれは十分ですか、十分だと思っていますか。これは実績から見ても、この間、大畠議員への資料提出、皆さんに出してもらいましたけれども、これを見たって、相当中小企業は少ないんですよ。外国の例を見たら、もっともっと中小企業が一生懸命頑張られている。それは特許庁の受け入れ方だと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

小川政府参考人 中小企業の方々に知的財産に関連する権利を取得してもらって、それをうまく活用してもらう、私どもも同じ思いを持っております。

 このため、今、私ども、中小企業に対しましては、料金減免という形で減免制度を設けさせていただいているわけでございますが、設立間もない資力に乏しい中小企業あるいは研究開発型の中小企業につきまして、請求料と特許料を軽減しております。

 去年から新しい料金制度が発足してございまして、いわゆる出願から特許になりました平均的な特許の出願の場合、トータルの、全体のコストは日本が一番低い形に去年の改定でやらせていただいているわけですが、一方で、本当に特許性がある、事業性のあるものについて出願あるいは審査請求をしていただきたいという思いもございまして、その関係で、審査請求料については実費を勘案して、結果としては上がった形になってございます。

 それがございますので、審査請求に関連する先行技術調査につきまして、中小企業の方には私どもが補助をいたしまして先行技術調査ができるようにする、それがついてまいりますと早く審査ができるとか料金が下がるということになり得るわけでございます。

 そういった形で、私どもは、まず、今ある制度を利活用してもらおうということで、今、私、手続全部洗いがえをしておりまして、中小企業の方々が使い勝手のいい、または対応のしやすい、申請がしやすいような形でやりかえるにはどうしたらいいか、ないしは、より利用してもらうためにどういうお知らせの仕方がいいのか、それも含めて、皆さんにまず知っていただかないと利用もしていただけませんので、そこをまずやりまして、ことし、今ある制度を大幅に利用を拡大していくように努力をしたいと思ってございます。

 そこから先、今後どうあるべきかにつきましては、いろいろな観点から、前回の御審議でもいろいろ言わせていただきましたけれども、ああいう観点、いろいろな観点を含めまして、研究をさせていただきたいと思ってございます。

中山(義)委員 根本に、やはり中小企業が新たに特許というものに参加をして、知的財産を持って商売したいといろいろ考えている人たちがいる。それに、一番初めにやるのは出願をするということで、次に、審査請求料が外国に比べて高いというふうなこともよく言われているんですよ。

 これも、やはり本当にアメリカに比べて高いのか安いのか。アメリカへ持っていった方が期間は早いし、審査請求料は安いし、アメリカで特許とった方がいいと、どんどん日本でとった特許がアメリカの方へ先に申請されちゃうというふうなことを先ほどから僕らは文句を言っていて、アメリカの方は三千人でこっちは千人で大丈夫かとか、それからあとは、審査請求料の問題、こういうものもアメリカと比べて遜色がないのか、それとも高いのか安いのか。

 絶対安くして、アメリカよりも早く、審査も機能もすべてよくしていく、こういう意欲があるのかないのか。この辺、ちょっと、もしあるというんだったらやってくださいよ、必ず。ちょっと、ぜひ。

小川政府参考人 料金の比較につきましては、前の段階、それから後ろ、全体、トータルコストと、御指摘のとおりでございますが、私どもとしましては、結論的には、前向きにいろいろやらせていただきたいというふうに思ってございます。

 そのときに、いろいろなことの考慮要因がありますので、そのときの考慮要因も考慮してでございますけれども、大きな方向としては、知的財産立国ということでこの国でこれを実現する、知的創造サイクル、好循環が自律的に起こるような国、社会にしていくという思いで、いろいろな研究をさせていただきたいと思います。

中山(義)委員 大臣、今特許庁長官がいろいろお答えになりました。しかし、まだまだ、少なくともヨーロッパ圏、EU、この辺は同じような特許庁を持っていて、みんなでやっているわけで、アジアもそういう方向でいくのが望ましいわけですね。それで、アメリカと日本との関係。だから、欧州とアジアとアメリカ、こういう三極でやっていければ一番いいわけですね。ところが、今はもうその国で全部とらなきゃならないから、大変なわけですよ、特許料とか。

 だから、私が申し上げたいのは、日本の中小企業やそれから日本の企業が世界に伍してやっていくためには、少なくとも、アメリカに人数の点であるとか予算の点であるとか、こういうもので負けていたら勝てっこないわけですよ。だけれども、知財の戦略本部、これは日経なんですが、十日に決定すると書いてありますが、知的財産侵害の刑罰上限を懲役十年に引き上げるとか、模倣品だとか海賊版防止条約を提唱するとか、インターネットオークションでの模倣品被害防止対策は業界の自主規制や現行法の運用強化で対応する、特許出願による技術流出を防ぐ新証明制度の整備、日米欧での特許の相互承認の実現とか、中小企業支援へ特許料などの減免拡大、中小企業用の知財駆け込み寺の整備、知財専門家を十年で十二万人に倍増すると。

 これは、守っていただけますか。これは、そのくらいのことをやらなかったら、日本が知財立国として頑張っていけないですよ。こうやって新聞に載って、二〇〇四年のときも載ったけれども、その人数やなんかは達成されていません。今回は、これをこういうふうに書いた以上は、これは達成してくださいよ。

 本当に知財というものがしっかりしなかったら、日本の貿易は成り立たない。日本はやはり技術でいくしかないんですから、その辺、大臣、最後に決意を述べて、これは、出した限りは、総理が本当はここの本部長なんでしょう。だけれども、総理は何か郵政民営化のことで頭いっぱいで、そんな方よりこっちの方が大事なんですよ。あんな法律とは言いませんけれども、ちょっとおかしな法律だと我々は思っているし、審議に値しないぐらいに初めは思ってたんです。こっちの方が大切なんです、何回も言うけれども。

 大臣、ちょっと、こっちの方が大切だから、こっちを一生懸命やるという意味の答弁を最後にしていただいて、絶対やるという決意を述べてください。

中川国務大臣 どっちが大事かというと、国会で御審議いただいているわけですから、一つ一つの法律みんな大事だと思っております。

 しかし、私としては、去年来、新産業創造戦略の大きな柱でございます知的財産戦略、これは政府挙げて取り組んでいるわけでございますし、きょうも中山委員からもいろいろ御指摘いただきました。まさに知財というのは人間力の競争の一つの成果でありますから、それをきちっとある意味では評価すると同時に、権利を守り、またルールにのっとって権利を利用していくということが大事だろうと思っております。

 そういう中で、違反の問題、侵害の問題、いろいろあります。国内にもあるんでしょう、あるいは海外にもあるという中で、国際機関WIPOでありますとか、あるいはWTOでも今TRIPs協定の見直しなんという議論もあるわけでございます。他方、特許権になりますと、各国でやり方が若干違うところもあって、御承知のように、アメリカは先発明主義である。これを何とか、世界有数の知財保有国であるアメリカは世界標準、デファクトではやはり先願主義ですから、これにぜひ合わせていただきたいと思っております。

 他方、アメリカ初め幾つかの国々は、単なる財産権としての権利ではなくて、国家的な財産、国益という観点から知財をとらえているところもございますので、そういう中で日本が知財立国として生きていく上で、人数の面でも能力の面でもまた成果の面でもアメリカ初め各国に負けないような体制づくりをやるということは、もう当然の御指摘だと思います。と同時に、そのためには、いい成果を持って知財立国としてこれから日本が世界にある意味では貢献をしていけるような国家にしていかなければならないと思っております。

中山(義)委員 知財国家として本当に頑張っていただいて、先端的な技術、機能、いろいろなものは全部日本が発信しているというぐらいの気持ちを持って頑張っていただきたいと思います。

 御健闘をお祈りして、私の質問を終わります。

河上委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 大臣が参議院の本会議に出席のため退席をされましたので、当初の予定は民主党の質問でございましたけれども、与党の方でこの三十分間は担当させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、今回の不正競争防止法の改正案、これは、営業秘密の侵害に関する刑事罰の強化が大きなテーマとなっておりますけれども、確かに、企業が保有している営業秘密、現在の企業は、国際競争にさらされているというか、その保護をしっかりしていくことが本当に重要であると思うんですね。特に最近の企業、特に中小企業も含めてグローバルに活動しているということで、この営業秘密を外国に持ち出される、そういうふうになって、これについてしっかりと守っていくということは本当に今回大きなテーマであると思いますが、一方で、刑事罰を導入して強化していくということでありますから、どのようなものがその対象になっているのか、これははっきりしていかないといけないと思うんですね。

 ここの基準がはっきりしていないと後々さまざまな裁判でいろいろなトラブルとなりかねないと思うんですけれども、これまでの審議、特に前回の審議でも、研究開発補助のアイデアのような個人の頭の中に入っているもの、この情報はどうなるんだとか、また、記憶力のいい人がたくさんの情報を覚えて退職したらどうなるかだとか、あと職人の体にしみついた技能、技術、コツ、こういったものに対して具体的に即した論議がなされておりました。特に中小企業にとってみますと、どのようなものが営業秘密として保護をされるのかということをはっきりわかるような基準があるとよいのではという指摘もございました。

 そこで、最初に伺いたいのは、営業秘密というのはどのようなものを指すと定義されているのか、また、前回議論になったようなことについてはどのように考えるべきか、この点を伺いたいと思います。

北畑政府参考人 営業秘密の定義についての御質問でございますけれども、不正競争防止法第二条第四項に営業秘密の定義が規定されております。三つの要件が規定されておりまして、一つは秘密管理性、会社の方で秘密として管理をしていることというのが第一要件でございます。二番目が有用性、事業活動に有用なものであること。それから三番目は、非公知性と言っていますけれども、公然と知られていないもの。秘密の中でこの三つの要件を満たすものが営業秘密だというふうに定義されておるところでございます。

 最も重要なのは秘密の管理性の要件でございまして、これまでの裁判例を見ますと、二つの要件が裁判の際の判断になっていると思います。一つは、当該情報にアクセスした者に当該情報が営業秘密であることを客観的に認識できるようにしていることということが第一でございます。第二が、当該情報にアクセスできる者が制限されていること。この二つが重要なポイントだというのがこれまでの裁判例でございます。

 それから、具体的なケースについて、前回のこの委員会での御審議で出たことも含めまして御説明を申し上げたいと思いますが、御質問の中にありました、個人の頭の中だけに存在するようなアイデアとかデータ、これは、事業者が秘密として管理をしておりませんので、営業秘密に該当しないということになるのではないかと考えております。

 一方、事業者が既に秘密として管理をしているノウハウとかデータを個人が頭の中に非常に大量に、記憶能力の高い方が記憶をしておる、こういう場合には、もとのノウハウやデータが営業秘密であれば、記憶されたものも営業秘密としてこの法律の対象になる、こういうふうに考えております。

 また、職人の体にしみついた技能だとかコツというものにつきましては、その技能やコツを実際にどのような状況で管理しているかによりますけれども、一般的には、このような技能とかコツについては、事業者が秘密管理性を満たすような形で管理して営業秘密に該当するようにすることは難しい、営業秘密にならないケースが大半であろうかと考えております。

 このような裁判例における考え方とか秘密の管理性に関する要件を満たすための情報の具体的な管理方法につきましては、営業秘密管理指針を改訂いたしまして、その中でできる限り具体的に明確にしていくとともに、適正な営業秘密の管理のあり方を、中小企業も含めまして企業に普及啓発を図ってまいりたいと考えております。

高木(陽)委員 ただいまの御説明で、営業秘密、この概念、考え方、いろいろと御説明をいただきましたけれども、一つのキーワードは管理ということだと思うんですね。そういった中で、営業秘密そのものではないかもしれませんけれども、一つ話題となるのは、やはり個人情報の問題も出てくるのではないかな。

 前回の質疑のときに、平井委員の方からも個人情報との兼ね合いについてかなり御質問もありましたけれども、四月の一日から個人情報保護法が施行されて、各企業、この管理のあり方についてかなりナーバスになっているんですね。いろいろなノウハウ本だとかも売れていますし、どこまで管理すればいいのか、どうすればいいのか、こういった部分もいろいろと混乱を来している現状もあると思うんです。

 そこで、個人情報と営業秘密の関係について伺いたいと思うんですが、今の説明の中で、事業者によって秘密として管理されているものは営業秘密になり得ると。一方、現実には、名簿屋さん、さまざまなところから情報をいろいろと集めていく、この名簿、個人情報ですね、ここにアクセスをして名簿を買っていく、こういうようなケースもあると思うんです。また、インターネットの時代ですから、情報というのは、あっという間に日本だけじゃなくて全世界に広がっていく、こういうこともあるんですけれども、こういう形で転々と個人情報が移っていく。

 こういうような状況の中にあって、不正競争防止法で言う営業秘密に該当して、それを不正に使ったり開示したりすると処罰の対象になり得るのかどうか、この点を伺いたいと思います。

北畑政府参考人 個人情報を含んだ顧客名簿につきましても、先ほど御答弁申し上げました三つの要件を満たしておれば、営業秘密ということに該当する場合があろうかと存じます。

 したがいまして、そういう営業秘密である顧客名簿を不正競争の目的で、主観的要件が入りますが、不正競争の目的で他の事業者に販売する場合には、処罰の対象になります。

 それから、転々流通している場合というのは、先ほどの営業秘密の関係でいえば、非公知性の関係があろうかと思います。したがいまして、個々には具体的に個別に判断をすべきものであろうと思いますけれども、通常は処罰の対象にならないんだろうと思います。

 ただし、営業秘密である顧客名簿が流出をしたということが例えば新聞等で報道されている、しかしまだ非公知という状態が保たれているというものについて、たまたま顧客名簿を手に入れた方がそれを使用、開示する行為は、不正競争防止法に基づく民事上の措置、差しとめ請求や損害賠償の対象になるケースはあり得るものかと考えております。

高木(陽)委員 続いて、内部告発の問題、そしてもう一つ、報道の自由という問題、これもいろいろと絡んでくると思うんですね。

 前回の改正のときに、平成十五年の不正競争防止法改正、このときに、営業秘密を不正に使ったり開示したりする行為については刑事罰が設けられましたけれども、そのときの説明によれば、例えば、ある企業が有害物質を不法に環境中に漏出させているといった秘密情報がその企業の内部者からの内部告発によって外部に暴露されたケース、その秘密情報をつかんだ記者が新聞、雑誌の記事にする、このようなケースは、企業にとって有用な情報でない、あるいは不正競争の目的に当たらないから営業秘密の侵害にはならない。したがって、刑事罰を導入しても、内部告発ができなくなったり報道の自由が阻害されたりすることはないということ、こういうふうに説明があったというふうに承知していますけれども、先ほどの営業秘密の定義に関する説明によれば、営業秘密の定義は従来と変更がなくて、事業活動にとって有用な情報であることが営業秘密の要件となる、また、不正競争の目的という要件も維持されているようなので、今後も内部告発の自由ということや報道の自由が阻害されたりすることはないと考えてよいかどうか、これについて伺いたいと思います。

北畑政府参考人 御指摘のとおりでございます。

 まず、例えば、有害物質を不法に排出しているといった反社会的な行為に関する情報というのは、保護の社会的意義と必要性に欠けます。法律上の定義によれば有用性がないという判断になろうかと思いますので、営業秘密には該当しないと考えております。

 それから、不正競争の目的という主観的要件が刑事罰の対象だ、これも御指摘のとおりでございます。したがいまして、報道目的や内部告発目的であれば、これは処罰の対象にはなりません。

 したがいまして、御指摘のような、今回の営業秘密侵害罪を創設することによって内部告発の自由や報道の自由が阻害される、こういった事態は招かないものと考えております。

高木(陽)委員 今回の改正において新たに退職者についての処罰が導入される、こういうふうになっていますけれども、今の時代、終身雇用制というのが大分崩れてきて、職業を転々とする方、転々とするというよりは、ある意味ではステップアップしていく、いろいろとあると思うんです。

 これまでから、職業選択の自由との関係、いろいろな議論がありましたけれども、例えば、ある営業マンが、引き抜きのような形じゃなくて、会社を円満に退社する、よくあることですね。しばらくしてからライバル会社に就職するということもあるわけですね。その場合、その営業マンがもとの会社で営業していた、名刺交換等々して、顧客に関する詳細なデータ、情報を名刺とともに退職後持っていっちゃう。最初は円満退社ですから、ここら辺のところは、当初は問題ないと思うわけですね。ところが、それを手がかりにして、ライバル会社でいろいろな営業活動をしていく。それでもって、その営業マンは成績がどんどん上がっていく。

 御本人にとってみれば、これはすごい有益なことなんですけれども、こういうような円満退社のケースについてまでも、退職者の処罰ということで罰則の対象範囲が広げられているかどうか、そういうようであれば、職業選択の自由との関係で、これはまたかなり問題が生じてくるのではないか、このように考えるわけですけれども、今回の改正で、どこまで処罰の対象になって、職業選択の自由との調整、こういうのはどうなっているのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。

北畑政府参考人 御指摘の、円満に退社をした後、かつて勤めていた会社での営業秘密をライバル会社に漏らすということについての御質問だったと思いますけれども、これは審議会でもいろいろ議論いたしましたけれども、職業選択の自由との兼ね合いがあるということで、刑事罰の対象とすることは見送っております。現行法で言えば、民事救済の世界で対処をすべきものかと考えております。

 今回、新たに刑事罰の対象といたしました退職者は、現役の時代、在職中に自分の方から営業秘密の開示の申し込みをしたとか、あるいは、相手方から使用、開示の請託を受けるという、在職中に不正使用、開示の準備行為があった場合、こういう場合に限定をして刑事罰の対象にいたしております。

 これは、いわば現役時代の営業秘密の漏えい、これは現在でも刑事罰の対象ですが、その延長線上で、非常に悪質なものに限って刑事罰の対象に追加をした、こういう改正でございますので、御指摘のような職業選択の自由を十分に配慮した上のものでございますので、職業選択の自由を阻害するという性格のものではないと考えております。

高木(陽)委員 職業選択の自由を阻害するものでないと。

 まさに、これから本当に時代が大きく変化していく中で、先ほど申し上げたように、今まで職業というのは終身雇用制が一般的だったのが、もう今の時代、違うわけですから、まさにここら辺、いろいろとステップアップしようと思っている人と、それがまたこういうようないろいろな足かせとなる。ここの兼ね合いというものは本当に難しいと思うので、ここは慎重にというか、きっちりとやっていただきたいと思います。

 次に、本来大臣にお伺いしようと思っていたんですが、大臣がいらっしゃらないので、副大臣か、また局長でも結構なんですが、営業秘密というと、高度なノウハウ、こういうふうに考えがちで、大体こうなると、大企業が持っているんじゃないか、こういうふうに思われがちですけれども、逆に今、中小企業というのはさまざまなオンリーワンの技術、そういったもので日々努力している、それがまた日本の産業の中核をなしているといった部分もあると思うんですね。

 これは、中川大臣がまとめられた新産業創造戦略、これにおいても、我が国の物づくりにおける国際競争力の源泉としてすり合わせが取り上げられているなど、まさに中小企業のノウハウがいかに重要であるか、こういうことをよく大臣もおっしゃっておられましたけれども、そういった観点から、今回の営業秘密の保護強化は中小企業にとってどのようなメリットがあるのか、この点、ちょっと伺いたいんです。

小此木副大臣 言われましたとおり、中小企業、特に日本の中小企業の持っているノウハウやあるいは技術というものは、国際的に競争力があるものであり、これは誇れるものであるというふうに思います。

 こういったものが、つまり、こういったものに関する営業秘密というものが法的にしっかり保護される。この不正競争防止法によってこういう営業秘密の保護というものは、先ほど局長も答えましたけれども、三つの要件、秘密管理性、有用性、非公知性、こういった要件を満たせば、このノウハウ、技術、特許権等の取得、維持にかかるコストをかけることもないだろう。あるいは、力の強い大企業に公開することもなく、法的な保護というものが可能となるということにおいて重要なメリットがあるというふうに思いますし、そういう関係から、中小企業にとっても極めて重要なノウハウ、技術などをより的確に保護するということが可能になる、こういったことがメリットだというふうに考えております。

高木(陽)委員 続きまして、模倣品・海賊版対策ということで伺いたいと思うんです。

 以前、にせものというと、海外でいろいろとそういう海賊版、模倣品をつかまされる、こういうようなことがありまして、今も日本でもいっぱいあるわけですね。それは、発売後間もない商品についてまで模倣されてしまう、海賊版が出回っちゃう。いろいろな分野にわたって被害を受けているんですけれども、どの程度の被害か。前回の説明によりますと、中国における日本企業の被害総額というのは九兆円との試算があるとのことでしたし、中国政府の公式統計でも三兆円と言われている。

 今回の法改正ではそうしたことを背景として保護の強化が行われるものだと思うんですけれども、そもそも我が国の企業にとって、模倣品、海賊版による被害、どの国によるものが多いと認識しているか、また分野別ではどういう分野が模倣品の被害が特に多いと認識しているか、この点についてまず伺いたいと思います。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 特許庁が平成十五年度に日本企業八千社に対してアンケート調査をしているわけでございますけれども、そのときに、模倣品の関係で被害を受けたというふうに回答した企業のうちの約半数以上の企業が中国、具体的には五四%という数字でございますけれども、そういう回答をしております。それから、二六%の企業が台湾でございます。それからあと、二三%の企業は韓国、そういうところで模倣品、海賊版によって被害を受けたというふうに回答をしております。

 それから、どのような業種でというお尋ねでございますけれども、被害を受けた企業のほとんどは製造業でございまして、大体八八%がそういうふうに答えております。その中でも、ミシンとかベアリングといったような一般機械、産業機械、そういうものが大体一七%、電子計算機、電池といったような電子・電気機器に関するものが一五%、あるいは文具、玩具といったような雑貨に関するものが一三%、そういう分野で被害が多いということになっております。

高木(陽)委員 中国が半数以上、こういうお話でございました。

 中国という国は十億以上も人口がおりまして、これがにせもの製造に対して力を入れられますと、これは大変な問題になる。この生産力というものが、ちゃんとしたものをつくってくれればいいんですけれども、そちらの方に力を入れられたら本当に困ることなんです。前回の議論でもあったように、日本の法律で中国における模倣品の製造などを直接禁止する、これは難しいわけですね。そうなると、中国との二国間での協議、または欧米と連携したりして、中国自身に国内での対策をしっかりさせなければならない。

 この点、大臣も前回、積極的に対応していくという答弁もございましたけれども、国内に入ってくる模倣品の中で、特に今、中国だけではなくて台湾、韓国も指摘されましたけれども、アジアの国々を中心として製造されたもの、こういうものが多いことから、入ってくる段階、水際でこれをとめることが重要なわけですね。この水際で差しとめ、これは税関がやりますから、財務省が担当する。海外との関係ということでは外務省だ。また、ビデオやゲームの海賊版、商標権、著作権等の問題、著作権の問題ですと文化庁になってくる。このように、国内市場に関する模倣品、海賊版についての対策の実施というのは、経産省だけでどんなに頑張ったってやはり無理というか、限界があるのは確かなわけですね。

 こういう観点から、模倣品・海賊版対策は、政府が一丸となってやっていかなければいけない。ここら辺のところの取り組みについて、その考えを聞きたいと思います。

山本(明)大臣政務官 今委員御指摘のように、中国の関係が大変多いわけでありますけれども、政府としては、APECだとかWTOなどの多国間協議だとか、そして中国との二国間協議で、模倣品とか海賊版というものの取り締まりだとか罰則を要望しておりますし、官民で訪中ミッションをつくりまして、そういったところでも申し込み等をしております。この一環で、六月三日の日に韓国の済州島でAPECの貿易担当大臣の会議がございまして、日本は小此木副大臣が御出席されましたけれども、その中で、この海賊版、模倣品だとか、そして著作権ですね、インターネットを使った著作権、そういったものの対策をAPEC模倣品・海賊版対策イニシアチブとして日米韓で共同提案いたしまして、各国の賛同を得て合意をされたところであります。

 何にいたしましても、日本が、中国との取引が一番多いこともありまして、世界で最大の被害国でありますので、欧米とも連絡をとりながらこれからも対応していきたいというふうに思っております。

高木(陽)委員 APECでそういう対応をしている。本当にあらゆるチャンネルを通じてやっていかなきゃいけない問題なんですね。

 あと、被害を受けている人たち、これは、もともとの製造していた人たちも被害者ですけれども、それをつかまされた人たちも被害者なわけですね。こういった部分で、経産省が政府模倣品・海賊版対策総合窓口、こういうものをつくって窓口機能を果たしているというふうに聞いておりますけれども、ここら辺のところ、情報が集まってきても、その情報が、こういうものなんだ、またはこういうものに注意しなきゃいけない、いろいろな形で利用者、つかまされる側ですね、または、つくって製造者としての被害を受けている、こういう人たちにもちゃんとした情報が届いていないといけないと思うんですね。ここら辺の情報をどのように扱って、どのように成果が上がっているか、この点、ちょっと伺いたいと思うんですけれども、どうでしょう。

石毛政府参考人 先生御指摘のとおり、去年の八月に政府全体の模倣品・海賊版対策の総合窓口を設置いたしまして、五月末までに百二十二件の相談を受けております。

 相談した内容は関係省庁にそれぞれ流しまして、相談者に対して十日以内に回答するということで今処理をしてきております。基礎的な情報につきましては、私どもも、模倣品対策をこれからさらにステップアップする上で活用しているということでございます。

 具体的にどういうような成果があったか、多少触れさせていただきたいと思うんですけれども、一つは、これはトルコで、YKKという日本の企業の商標について侵害するケースがございました。これは、民間企業がトルコで話をしていたんですけれどもなかなか解決に至らないということで、私ども、それを、外務省も通じましてトルコの現地で折衝をいたしまして、適切な保護措置がとれるという形に今なってきております。それから、国内でも自動車部品の模倣品の問題がございまして、これは、私ども、警察庁の方につなぎまして、その中で解決策が得られております。

 さらに、そういうものに加えまして、この四月から、仮に何かそういう侵害的な行為があった場合に、民間企業からの申し立て制度というものを入れまして、その申し立てに基づいて我々がその内容を調査いたしまして、仮に相手国の方で何か問題があるというような結論に至れば相手国の方と協議をする、そういう仕組みを導入してきております。現に、四月四日に電子情報技術産業協会から、いわゆる香港松下電器問題ということでそういう提起がございました。私ども、その案件につきまして今調査を開始しておりまして、今後、六カ月以内に調査を完了しまして、必要があれば、関係の国と、この場合は香港でございますけれども、協議をしていくというふうに考えております。

高木(陽)委員 その対策を、さらに、強化というよりは、情報を開示する中で本当に充実させていっていただきたいというふうに要望を申し上げたいと思います。

 あと、今回の法改正で弁理士法の改正も含まれておりますけれども、弁理士関係の問題、これについてもちょっと伺いたいと思うんです。

 知的財産立国の実現、これは国を挙げて本当に重要な課題だと思うんですけれども、知的創造サイクルの確立、すなわち、研究開発部門またはコンテンツ制作現場、これらにおいて質の高い知的財産を生み出して、迅速に権利として保護していく、最大限に活用していくことが重要であると思うんですが、政府の知財の戦略本部、ここにおいても、この知的創造サイクルの確立に向けて、特許審査の迅速化と模倣品・海賊版対策、コンテンツビジネスの振興など、多様な取り組みがなされています。

 このような政府の取り組みを受けて、企業においても、事業戦略だとか研究開発戦略、それらが一体となった知財戦略を構築していく動きというのが活発になっているんですけれども、そういった知財戦略を支える人材、具体的に言えば、知的財産の権利化、紛争処理、ライセンス契約等の高度な専門サービスを提供する人材に対するニーズが高まっているわけであります。

 このような知財立国の実現に向けて、知的財産関連人材、とりわけ権利化または紛争解決を初めとして、幅広くユーザーを支援することのできる弁理士への期待というのはますます高まっている状況なんですけれども、これまでの弁理士制度がどのように整備されてきたのか、また、この弁理士制度の一連の整備が行われてきた中で、今回の法改正というのはどうやって位置づけられているのか、特許庁の方に伺いたいと思います。

小川政府参考人 先生御指摘のとおり、知的財産立国実現のために、知的創造サイクルを支えます知的財産専門人材という役割は非常に重要でございます。その中で、弁理士の役割も高くなってきているわけでございますが、これまでの制度改正についてのお尋ねでございます。

 平成十二年でございますが、弁理士法を全面改正させていただきまして、従来の権利設定業務のほかに、契約代理、相談、仲裁代理といった、いわゆる権利化後の活用業務というものを追加させていただきました。また、試験制度を簡素化しまして、弁理士の量的拡大ということを図ろうとしたわけでございます。

 それから、続きまして十四年度でございますが、所要の能力担保措置を前提といたしまして、弁護士との共同受任を条件にいたしまして、弁理士に侵害訴訟代理権というものを付与し、これもまた権利化後の業務の充実という側面があろうかと思います。

 こうした形で、社会的ニーズに対応いたしまして弁理士制度を整備してまいりましたけれども、近年、知財が重視されます関係から、紛争もいろいろふえてございます。その関係で、裁判外の紛争解決手続をより充実させるということで、昨年でございますけれども、いわゆる裁判外紛争解決手続利用促進法、ADR法が制定をされました。あわせて、隣接法律専門職種の活用について司法制度改革推進本部の決定がなされたわけでございます。

 今回、私どもは、模倣品・海賊版対策を強化するということで決断をいたしまして、その一環といたしまして、また、今述べました昨年の司法制度改革推進本部の決定をも踏まえまして、模倣品、海賊版を含む民事紛争にかかわる裁判外紛争解決手続につきまして弁理士の代理業務の範囲を明確にするということと、あわせて、著作権に関連する紛争を追加させていただいた、今回はそういう提案をさせていただいたわけでございます。

高木(陽)委員 もう時間も参りました。大臣も戻ってこられましたので、民主党の質疑者にバトンタッチもしたいと思うんですが、最後に大臣に、ちょっと要望というか、今、参議院の方の本会議に出られている間にずっと質疑をさせていただいて、今回の法改正、不正競争防止法の法改正ということで、本当に今まで日本の中でさまざまな被害に遭ってきた、海賊版の問題、模倣品の問題。さらに、そういう知財全体の問題を考えた上で今回の法改正というのがなされていると思うんですけれども、やはりスピード感がこれからもっと大切なんだろうなと。

 どうしても今までの流れというのは、一つ何か問題が起きて、ああ、これはまずいなということで法改正に着手して、いろいろな審議会をやる。それで、ようやく着手する。着手して法が改正されたときには、もう次の段階に物事というのがどんどん進んでいる場面が多いなと。ここら辺のところで、閣法で出す場合にはさまざまな手続等もなかなか大変だとは思うんですけれども、こういったスピード感あふれる、そうしていかないと、今後の国際競争力の中ではかなわない、勝っていけない、こういうこともございますので、この点、要望を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

河上委員長 次に、吉田治君。

吉田(治)委員 民主党の吉田治でございます。

 戦後復興だとか戦後政治の総決算ということがよく言われていますけれども、この法案に入る前に一点だけちょっとお聞きをし、今後もこの委員会でも質疑、審議等をしていただきたいなと思うのが、経産省所轄の日本自転車振興会が行っております競輪事業というものがある。戦後復興のかけ声の中で始まったといいながら、現状は、ピーク時に比べたら、競輪の売り上げというんですか、これは半分になった。しかしながら、売り上げが足らない分、今度は、場外車券場をどんどんふやして、そこで買え買えとやる。

 基本的にはギャンブルでありますから、ギャンブルは是か非かというと、世の中的な論理でいうと非でありまして、その中で特別に認めてなされているのがこういう公営ギャンブルというものでありますけれども、この点についてのお考えというものを、一点、大臣にお聞きしたいと思います。

中川国務大臣 経済産業省は競輪とオートレースということをやっておりますけれども、確かに売り上げは全体として下がっております。これは、もう一つの大きな娯楽といいましょうか、ギャンブルであります競馬も同じような状況にあるわけでございますけれども、これは、一つには、いわゆる庶民の楽しみというものが非常に多様化してきたということもあるんだろうと思います。

 そういう中で、庶民に親しまれるギャンブルとして、明るく楽しく参加できるようにしていくということも大事だろうと思いますけれども、必要以上に、これのために不自然な形でやるということも、事の性格上、慎まなければいけないとは思っております。場外売り場等についても、いろいろな配慮をしながら、必要に応じて、ニーズに応じてやっているということで、この場外売り場、車券売り場のシェアも、全体が縮小はしておりますけれども、着実に延びているというニーズもあるわけでございます。

 いずれにいたしましても、法の趣旨、あるいは法令に基づいて、適切な形で、この競輪あるいはオートレースについても、我々としてもこの存在というものを位置づけていきたいというふうに考えております。

吉田(治)委員 余り多くの時間を使うつもりもございませんが、現実問題、売り上げも減って、その競輪事業をする事業者、地方自治体も減っていき、また、私の地元、大阪の近くでありましたら、西宮、甲子園という競輪場自身もなくなって、縮小になっている中で、車券場だけの拡大というのは非常に奇異に感じる。

 なぜかなというと、この委員会でも過去に法改正のときに随分審議がされて、議事録等も読んでいきますと、やはり、そのお金の使い道、上納金と言われているものの使い道が三百億円近くある。それがさまざまなところで使われている。

 担当局長おいでですけれども、その使われ先についてすべて、一号だとか二号だとかあるそうですけれども、それぞれの使われ先の名称、そしてそこの役員構成、役員はどこから出ているのか、どこが出身母体なのか、プロパーなのか役所のOBなのか、そして年収は幾らもらっているのかというふうな資料を改めてこの委員会にお出しいただきたいと思いますが、それは可能ですか可能ではありませんか。

石毛政府参考人 日本自転車振興会の補助事業について、どういうところにお金を出しているかということについては、インターネットでも大半のものが開示をされております、公表してきております。そういう状況でございますので、今御質問の点についてはお出しできるものだというふうに私は理解をしております。

吉田(治)委員 その場合に、その団体の役員、そしてその出身というんですか、前職、プロパーなのか役所のOBなのかというのを全部含めてお出しをいただける、年収も含めて出せるということですね。

石毛政府参考人 役員の年収については、公益法人のそういう情報開示についてのガイドラインがございますので、それに従ってお出しすることは可能だというふうに思っております。

吉田(治)委員 役員の経歴もお出しをしていただけるということですね。

石毛政府参考人 経歴についてもお出しすることは可能だと思います。

吉田(治)委員 では、それを改めてこの委員会に、全部、三百億円をまいているところを出していただいて、その上で、また改めてこの件についてはゆっくりと時間をかけて質疑の方をさせていただきたいと思っております。

 もちろん、今お話し申し上げました使い道だけじゃなくて、競輪事業のあり方、また場外車券場についても進めさせていただきたいと思います。

 それでは、改めてこの法案についての質疑、私ども民主党の最後の質疑として二点ほど、大臣並びに担当参考人にお話を聞かせていただきたいと思うのは、まず一点は、同僚議員の質疑の中にもございましたように、今回は営業秘密の漏えいに関する刑事罰の導入というふうな部分があるということ、そして、それと合わせて、それが職業選択の自由を阻害しないように十分配慮をなされるという答弁が先ほどございました。

 私自身は、そのことに加えて、刑事罰導入に関して、前回も質問させていただきましたけれども、実際、多くのこの可能性のあるお方というのは、円満退職をしたわけでもなく、定年退職をしたというよりも、必要に迫られるというんですか、言葉をかえて言うならば会社を首になった、おまえはもう要らぬと言われてやめたお方が、仕方なしに、食うに困ってそういう方向に走ってしまう可能性もある。

 運用は厳格にするという答弁を先ほど局長がなさいましたけれども、ある意味でそういう市井の状況をかんがみて、運用というものに対しては慎重を期していく必要があると思うんですけれども、その辺、担当局長、どういうふうにお考えになられますでしょうか。

北畑政府参考人 先ほども御答弁いたしましたが、今回、退職者の一部について刑事罰の対象に加えるということにいたしましたが、その対象となるのは、在職中にみずから営業秘密を漏えいする、将来営業秘密を漏らすということについて自分の方から申し込みをし、あるいは相手からそういう請託を受けた、こういう場合に限定をいたしております。審議会でも、退職者が漏らす場合の極めて悪質なケースに限定した、こういう位置づけになっておりまして、運用といいますか、法律上そういう規定になっておりますので、御心配のようなことにはならないと考えております。

吉田(治)委員 退職された方の刑事罰のことはるる御説明もありましたけれども、じゃ、一方、企業側のこの情報管理というんですか、企業側自身がそうならないようにするという方策については、具体的に例えばガイドラインであるとか、政省令を含めて、また経済団体との懇談というんですか、そういうことを含めてやっていかなければならないと思いますが、企業自身の企業風土というんですか、そういうふうなものはどういうふうに進められる予定になっていますか。

北畑政府参考人 会社にとって重要なノウハウとか技術を持った従業員を大切にする経営を行うというのが基本であろうかと思います。

 私どもは、この法律の外でございますけれども、そういった経営が日本の企業の強さにつながるということで、いわばコア人材の処遇という観点から、そういう経営がむしろ会社のためになるんだ、こういう研究を今後進めていく予定でございます。

吉田(治)委員 ごめんなさい、局長、コア事業の研究を進めて、それをどうするんですか。

北畑政府参考人 まだ省内で検討中でございますけれども、知的資産経営の勧めのようなものを検討してまいりたい。そういった経営をすることを積極的に企業が開示をして、それが会社にとって、例えば資金調達とか会社の評価、具体的には株価が上がるとか、そういうものにつながるような方策はないものかということで、省内で現在検討中でございます。

吉田(治)委員 その検討は法務省等ともやっている企業価値研究会というんですか、ああいうふうな形をモデルにした形で、外部の方もお入りいただいて、業界の方またそこに働く方々もお入りいただいて、そういう企業風土というんですか、醸成をしていく。これは、単に役所が決めてこうだよというふうに押しつけるという形じゃなくて、みんなで考えてやっていきましょうというふうな形をイメージしたらいいんでしょうか。

北畑政府参考人 御指摘のとおりでございまして、現在、産業構造審議会の中で議論をしておるのでございますけれども、委員の構成は、御指摘のように、各産業界、中小企業を含めた産業界、それから学識経験者、こういう人たちの中で議論をいたしております。

吉田(治)委員 先ほど局長の答弁の中で、やはり勤めている人を大切にする、これは基本は雇用というか、その人をずっと、できれば勤めたいという限りは一生勤めるんだという方向を、よく言われたように一生勤めるんだというふうなその方向というのは、もう一度やはり日本の企業風土として、いい意味で醸成していく必要があるのではないかなというふうに感じております。

 続いて、弁理士法の改正、事前に、この法案というのは本当に大切な法案でありながら、なかなか審議入りもできなかったですし、審議に入りましたら、国会の関係の中で最終終結まで、きょうまでかかってしまったというのは、ある意味で私も残念なところがあります。やはりこれは、今後、行政、政府・与党一体の中で、法案の出し方というのもひとつお考えをいただかなければならないと思うんですけれども、現実としてADRという形で、これから弁理士さんの皆さんの業務がふえていく。

 前回も質問をさせていただいたと思いますけれども、弁理士業務にADRがふえていくということは、やはり今までと違う業務に入っていくという中で、例えば弁護士会の皆さんだとか、法務省を含めて、さまざまな協力関係の中で、技能というんですか、そちら方面の研さんを進めていく、研修を進めていくということなんですけれども、今の現実はもう結構です、これから先、具体的にADRを進めていく中で、弁理士さんのそういう部分での能力というんですか、ADR的な要素をどういうふうに高めていくのか、どういうふうな予定をされているんですか。

小川政府参考人 これまで弁理士の業務の追加に当たりましては、社会的なニーズ、それから資質、能力、経験、そういうのを総合的に見ながら、制度設計、制度改革をさせていただいてきたわけでございます。

 これまで、権利の設定業務から、権利を設定した後の権利化後の業務あるいは紛争処理ということで、ニーズに伴って業務を拡大されておりますので、それに見合った形で研修等を行ってきているわけでございますし、また今後ともやるつもりでおります。

 また、日本弁理士会もいろいろな研修を充実していっているところでございますが、その際、大事なことは、関係の士業の方、特に弁護士の方、それから法曹の関係、いわゆる裁判官とか、そういった方々のネットワーク、それからその方も交えた勉強会、そういったものを、いろいろ現場の方では進んでおりますので、我々はそういったものの環境整備、あるいはいろいろお声かけをしていきたいというふうには考えてございます。

 それから、今後の展望をいたしますと、経済はグローバル化しておりますし、技術革新が急速に進んでおります。そういう意味で、改めて国際性、それから先端技術についての知識、高度な専門性というのが弁理士に求められておりますので、日々御研さんだと思いますけれども、今まで以上に、研修等ありとあらゆる機会を使って、日々自己研さんに努めていただくことを期待したいと思いますし、私ども、独立行政法人の情報・研修館というのがございますが、先端技術研修をやっておりますが、審査官と一緒になりまして、弁理士さんの方にも参加をしていただきまして、そういった意味での弁理士さんの資質向上、自己研さんのお手伝いをさせていただきたいと思ってございます。

吉田(治)委員 法案も終結にかかってまいりますので、あえてこれは言い方がよくないかもしれませんが、やはり弁理士さんも弁護士さんも日本では一番難しいと言われる試験を通ってこられた。しかしながら、弁理士さんというのは、やはり弁護士さんではありませんから、業務をやっていく中で、おれはこれだけの難しい試験を通ったんだ、弁護士と変わらないんだと思われても、やはり弁護士は弁護士としての専門領域として何十年もやってこられたこと、そこは、弁護士さんから見られると、弁理士さんがいろいろ言われても、結果としてADRの部分でもっと勉強してもらいたいというのは、私はこれは正直な気持ちだと思うんです。

 そこの部分を、弁理士の先生方もぜひとも、謙虚に受けとめられていると思いますけれども、より一層謙虚さを持って受け入れていただくということが、私は、あえてきつく申し上げるならばそれが必要じゃないかなと。そうでないと、権限というものをふやしたら、付与したらそれで終わりじゃなくて、それを今度持った方々がどう活用し、また現実問題として、国民の皆さんが、いや、やはりああいう形で、ADRという形で広げてよかったねと、何であんなものを広げたんだと言われないということが私たち立法の立場、また行政の立場も必要だと思うんですけれども、長官、その辺はどういうふうにお考えになられますか。

小川政府参考人 今回も、弁理士の方々の今までの経験、知見、ノウハウ、そういったものを踏まえまして、新しく裁判外紛争解決手続における代理権の対象範囲が広がったわけでございます。そこの重要性とそれに求められる資質といいますか経験、その重さというのは、弁理士の方々と話し合っておりましてもお感じになっていただけると私は信じております。

 そういう意味で、日ごろから御研さんを積んでおられると思いますが、今後ますます弁護士さんとも連携を図りながら、あるいは裁判官の方々といろいろな交流を通じまして、それも含めて自己研さんに努めていただく、我々はそのお手伝いをしていきたいと思ってございます。

吉田(治)委員 今、司法制度改革のいろいろな改正の中で、ADRが入ってくることによって士業と言われる方々、いわば権限が広がっていく、私は権限が広がっても決してそれを乱用してはならないと思うんです。ただ、残念なことに、場合によってはそれを乱用して、弁理士会ではございません、問題が起こっているところもあり、いろいろな士業の総会へ行くと謙虚に反省をされているところもおいでになります。そうなりますと、権限を与えられれば与えられるほど、高い倫理観というんですか、今まで以上の高い倫理観を私は持たなければならないと思うんです。

 ですから、技能だとか力だとか研さんを積むと同時に、倫理観というのをいかに高めていくかというのが私は非常に大事だと思うんですけれども、もう時間にもなってまいりました。長官、その辺は、倫理観という部分でいうと、具体的な権限、ADRの中のノウハウ、やり方を学ぶだけじゃなくて、やはり道徳的なもの、倫理的なものというのをどう高めていくのか、そこの部分は今現実どうなっているんですか。

小川政府参考人 今先生御指摘のとおりでございまして、職責が重くなればなるほど、当然責任と倫理観が高いものを求められるわけでございます。

 これを踏まえまして、日本弁理士会では、今倫理研修というものをいろいろな形で打っております。初めて登録をされて弁理士になられる初々しいときにきちっと倫理観を身につけていただく、それから業務を継続されている途中途中、節目節目でまた研修をやっていただいております。それから、倫理規定をきちっと整備しておりまして、それに反するような行為の弁理士さんがいらっしゃったらみんなでそれを注意する、喚起する、あるいは手続にのせる、そういった御努力をされているというふうに承知しております。

吉田(治)委員 本当にそういう意味では、弁理士業務の範囲拡大という部分については私たちは反対するものではありませんけれども、その裏返しの部分、責任と倫理というものは非常に私は大切だとあえて申し上げさせていただきたいと思います。

 もう時間も終わりになってまいりましたので、大臣に最後に改めて、今回の法律に基づいて知的財産の部分、そして、やはり大きなテーマとしては退職者の営業秘密漏えいに関する新たな刑事罰の導入等、そして今質疑させていただきました弁理士に関するADRを含めたさまざまな問題点等ございますけれども、大臣としてこれらを含めて法案に対する決意、熱意というんですか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 大変長い間、途中、今吉田委員も御指摘ありましたが、いろいろなことがあって御審議をいただきました。本当にスピード感とかあるいはまた倫理観とかあるいは世界との調和と競争とか、いろいろな貴重な御指摘をいただきました。

 要は、法律を仮にこの後御審議をいただいて成立しても、こういったものが十分配慮されなければ日本の知的財産システムというものは機能していかない。機能していかなければ知的財産立国としてのこれからの戦略に大きなそごが生じるわけでございますから、我々も、執行をする行政としても、特許庁を初め経済産業省としても、執行をするに当たっては身を引き締めてやっていくと同時に、関係する出願者の方あるいはまた知的財産をお持ちの人、企業、あるいはまた弁理士さん、弁護士さんを初めとする専門家の皆様方、みんなでそういう共通認識を持ってやってこそ知的財産立国としての大きな前進のスタートになると思いますので、これからの執行において緊張感を持ってやっていかなければならないというふうに思っております。

吉田(治)委員 時間になりましたので終わりますけれども、やはり知財立国という言葉、アメリカから来て、でもやはり私は、日本人というのは楽観主義者ですからこれはうまくやっていくと思うんですよ。ただ、やむなくやってきたときに、アメリカみたいに金もうけのための知財立国であっては決してならないと私は思います。世界各国が見て、やはりああいう知財立国になりたいなというふうな、倫理も責任感もある、そういう知財立国を、これは与野党関係なしに目指していきたいなと思います。

 以上で質疑を終わります。

河上委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、きょうは、不正競争防止法そのものについてと、もう一つ、現行法も徹底的に活用して、それで不正取引とか不正競争による消費者とか中小業者などが被害を受けることのないように不正の発生を未然に防止し、そして被害者の損害の補償とか被害者救済ですね、経産省も被害者救済をうたっておりますが。そして、不正を働いた者には罰を与えて、やはり公正で安心できる社会をつくっていく、こういう角度から幾つかの問題を質問したいと思っております。

 最初に、大臣も随分今関心を持って見てはると思うんですが、訪問リフォームの問題ですね。埼玉県の認知症の老姉妹が訪問リフォーム十九社から約五千万円の被害、これは大阪でも八十三歳の認知症の女性が千五百万円の被害に遭っています。

 国民生活センターの住宅リフォーム苦情相談件数というのをいただいて見たんですが、二〇〇〇年度から二〇〇四年度、一・四六倍、短い期間に急増していますね。

 一例を見ると、株式会社幸輝というリフォーム会社が六百四十一万円のクレジットを被害者の認知症の姉妹に組ませて、信販会社オリエントコーポレーションから業者の方は金を受け取るわけですね。ところが、工事の中身というのはひどいもので、天井裏に半径一メートルの中に耐震用補強金具数十個を取りつけたとか、床下に換気扇を三十個取りつけて、そのうち電源に接続されていて動かないというのが九割もある。

 本当にひどいものですが、二千五百万円も受注したある会社は、被害者の氏名、住所をここの会社から退職した職員が使ってさらに老姉妹をだます、それとともに、同業の悪徳業者にこの情報を回していたということで、このために被害総額は五千万円に膨れ上って、預金四千万円を全部巻き上げられた上で、住みなれた家を競売にかけられて取り上げられるというところまで来ているという被害、これは一例ですが、深刻な事態、随分あります。

 点検商法と結びついた耐震住宅等へのリフォームなど、不正な取引や契約というのは無効であり、業者には業務停止を命じ、そして被害者救済、被害金を返還させ損害を償わさせるということが私は経産省の大事な役割の一つだと思っておるんですが、最初に大臣の取り組む決意というものを伺っておきたいと思います。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

中川国務大臣 いわゆる悪徳商法というのは、次から次へといいましょうか、あってはいけないんですけれども、いろいろな悪知恵を絞って出てくるわけでございます。

 去年のこの経産委員会でも随分と審議をしていただきまして法律も強化していただきましたけれども、今吉井委員の御指摘のこの悪徳商法、リフォーム点検商法というんでしょうか、何か点検商法でしょうか、これは特に高齢者をねらって、しかもお年寄りですから若干判断においても、こんなばかなはずがないんだろうという中で大変な被害をこうむったということで、これはもう犯罪ですから、特定商取引法違反ということで厳正に対処をすると同時に、これは次から次へ出てくるということで、その都度に適切、厳正に対処はしておりますけれども、やはりこういうことは今後もう二度と起こってはならないという気持ちで、厳正に対処をしていく必要があるというふうに考えております。

吉井委員 法律としてはいろいろあるわけですね。私も以前、消費者契約法をこの委員会でやりましたが、消費者保護法、特定商取引法、割賦販売法、景表法、不正競争防止法、独禁法を適用できる場合もあるでしょうし、独禁法第二条九項による不公正取引方法の告示とか、法律はいっぱいつくってきて、法の執行状況や問題点を調べて法を機能させるということをやらないと、法律は生きてきませんから。

 この訪問リフォーム事件で見たときに、例えば金のない人でもクレジットを組ませて悪徳業者は利益を上げ、被害者と家族を苦しめる。一方、オリエントコーポレーションとか、それ以外にも業者の名前はありますけれども、ジャックスというのが出てきたり、あるいはアプラスだとかいろいろなものが出てきますが、こういう信販会社の審査も、見ているとちょっとひどいんじゃないかと思うんですね。七十七歳の老人に六百四十一万円貸し付けるもので、七十九歳の姉を連帯保証人として、本人のお勤め先というのは、これは年金となっているんですね。年金がお勤め先なんですよね。四十二回払いの契約に応じて、どうもまともな審査を行った形跡というのは見られないんですね。

 経産省は昨年十二月二十二日に、「割賦購入あっせん業者における加盟店管理の強化・徹底について」という通達を出しておりますが、これは全国信販協会などに出しているんですが、今度問題になっているような幸輝という会社とこの信金、オリエントコーポレーションなどについてきちんと調査をし、信販会社を調べたのかどうか、これは政府参考人の方に伺っておきたいと思います。

迎政府参考人 御指摘の埼玉県のリフォーム業者の事案については、与信を行っておりました信販会社から、加盟店との取引の状況などについて現在報告を受けているところでございます。現在、各信販会社において、本件事案、このようなものが生じた原因についていろいろ御検討いただいておりまして、対応策も含めて報告をいただくことにしておるところでございます。

 私どもといたしましては、昨年十二月、加盟店の不正販売行為による消費者とのトラブルを防止する観点から、日本クレジット産業協会及び全国信販協会に対しまして、「割賦購入あっせん業者における加盟店管理の強化・徹底について」という指導文書を発出いたしまして、信販業者におきましても加盟店の取引の実態の把握を強化するように、それから、クレジットを供与するに当たっての消費者の契約の意思の確認を徹底するようにということを各社に対して徹底を求めたところでございまして、引き続きこうした加盟店管理というものの徹底を求めていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

吉井委員 これは、実は幸輝という会社がオリエントコーポレーションに立てかえの依頼を出しているというのは昨年の十一月十七日で、この工事、終わりましたからというので立てかえ払いの依頼をする、それでお金がおりる。ですから、私は、通達を出したら事足れりということじゃなくて、通達を出すのはこれは当然で、徹底的にやってもらわなきゃいけない。

 例えばこのオリエントコーポレーションなどをきちっと調べて、そして審査に問題ありとなれば、これは皆さんの出した文書の中でも被害の救済というのをうたっているんですね。だから、被害の救済をきちっとやっていく。信販会社の聴取は当然なんですけれども、やはりそこをきちっとやっていかなかったら本当に期待されているものにならないと思うんですが、これはちゃんと被害の救済というところまで踏み込んでやっているんですね。

迎政府参考人 割賦購入あっせん業者に対する指導というのは、割賦販売法のもとでは、民事上の効果として抗弁権の接続というのが規定されておるわけでございまして、加盟店の実態の把握等につきましては、その文書については指導にかかわるものでございまして、具体的にどういう義務というふうなことは、民事上の義務なりなんなりを指導でやるというふうなことはできないわけでございますけれども、ただ、実際にその加盟店にかかわる苦情申し立てがあったような場合には、誠実に、速やかに対応するようにということを求めておるわけでございます。

吉井委員 だから具体的に、例えばこのオリエントコーポレーションについては、ちゃんと誠実に対応せいと言っているわけですね。

迎政府参考人 先ほど申し上げましたように、現在、取引の状況等を報告を受けて、原因等についても具体的にその会社においてきちっと分析をするように求めているところでございますので、そうしたものを踏まえてしかるべく対応するということであろうかと考えております。

吉井委員 ちょっと暑いので、服、脱がせてもらいます。大臣も暑かったら脱いでくださいね。

 それで、要するに、大臣、今お聞きいただいたように、いろいろな法律をつくる、たくさん法律をつくったわけですよ。しかし、これが本当に生きてこないと、被害者の救済とかそこまで行くこととか、それから、特定商取引法六条の不当な行為の禁止、十五条の業務の停止、十四条の主務大臣の指示、罰則では二年以下の懲役または三百万円以下の罰金ですね。だから、法律をつくっているわけですから、訪問リフォームの実態を調べて、悪徳企業の行為はもう厳しく禁止するとともに、一日も早くやはり被害者が、お年を召した方たちが救済されるようにやっていただきたいと思うんです。改めて伺っておきます。

中川国務大臣 これはもう去年からの当委員会でのたび重なる御審議でもそうだったんですけれども、国民生活センター等々、あるいはまた当委員会の委員の先生方のいろいろな情報等も参考にさせていただき、また、経済産業省としても、こういうことがあってはならないということでアンテナを高くして、そして迅速に対応していかなければなりません。

 ただ、これは先ほど申し上げたように、何といいましょうか、法律の穴をねらって、そしてまた、去年の委員会でも質疑を聞いておりまして、最初のうちはわからない消費者といいましょうか、一般の方も随分多くて、気がついたら大勢の人がこういう形で違法行為の犠牲になっているということもあるようでございますから、なかなかこれはイタチごっこみたいなところも過去にはあったわけでございますので、いろいろな法律が何となくばらばらにならないように、きちっとした適正な対応をして、特にお年寄りとかいろいろな弱い立場の方々を特にねらいやすいようでございますから、我々としても注意深く、そして迅速に対応していかなければならないと思っています。

吉井委員 この幸輝の役員の代表取締役の米盛昌敏ら幹部は中国で買春事件を引き起こして、中国側の関係者は既に懲役刑に服しているわけですね。ところが、この株式会社幸輝の役員らはICPOを通じて国際手配をされているんですが、日本政府の方が泳がせているという、泳がせるということはないと思うけれども、要するにきちっとまだそこは対応し切れていないために、その後も日本国内で次々と訪問リフォーム犯罪を犯しているわけですね。

 この米盛という社長らは、社員には成績優秀だと御褒美として中国への買春旅行に連れていっていたが、自分たちが中国へ行けなくなって、今度は福岡市内の売春街へ旅行に行かせているということも言われておりますが、もともとこの幸輝の幹部らが中国で刑に服しておれば、この認知症の姉妹ら多数の被害というのは生まれてこないということにもなるわけですね。

 ですから、少なくとも私は、悪徳会社名の公表とか取り締まり、罰則強化というものについては本当に徹底してやっていただきたい。特にこういう問題を起こしている悪徳業者名の公表というのは、いい業者はグループで、自分たちはまじめにやっています、そういう努力も当然されると思いますが、やはり悪徳業者については公表しないと、本当にはびこりますからね。この点もきちっとやっていただきたいと思うんですが、大臣、この問題を最後に伺っておきます。

迎政府参考人 住宅リフォームの訪問販売の場合は特定商取引法の規制対象になるわけでございますけれども、同法の執行の抜本的強化には私ども努めておるところでございまして、平成十三年度以降、毎年二十件以上の行政処分を実施してまいったわけでございますけれども、平成十六年度においては過去の倍ぐらいの四十件の処分を行ったところでございます。

 また、こういった処分を行うに際しては、その内容等、企業名を含めて公表を行っておるところでございまして、今後ともその法執行に全力を挙げて取り組んでまいりたい、こういうふうに思っております。

吉井委員 冒頭に言いましたように、一・四六倍も、大体一・五倍ぐらいこの短い期間にふえているんですからね。一生懸命やっているというけれども、やっておったら減らなきゃいけないのにふえているんですから、これは本当に徹底したことをやっていただきたい。これはもう大臣が直接命令を出していいと思いますが、もうやらせるぐらいしっかり頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、橋梁、港湾等の談合問題が今出ておりますので伺っておきますが、資料を配っていただいております。その一の方をごらんいただきたいと思うんです。

 今回、鋼鉄製橋梁工事や道路公団の工事で公正取引委員会が談合入札と認めた橋梁メーカー二十八社のうち、多くは港湾工事の入札にも参加しております。それで、受注しています。国交省九州地方整備局が発注した港湾工事の入札例を見ると、これは資料の一をごらんいただくとよくわかりますが、九七年から二〇〇一年度に十七件ありまして、橋梁談合グループがずらりと顔を並べています。むだな大型公共事業と批判を浴びてきた北九州市ひびきコンテナターミナルの岸壁とか、福岡市人工島建設にも絡む橋梁工事などの入札などなんですが、この入札に参加した企業はほとんどすべて談合グループで占められています。

 ここで問題は、資料一の方に載せてありますが、落札率をごらんいただきますと、最低で九八・一%と一〇〇%に限りなく近いんですが、実は予定価格イコール入札価格、つまり一〇〇%というものもあります。

 公取に伺っておきますが、今回談合と認めたのは、関東、東北、北陸、各地方整備局が発注した鋼鉄製橋梁だったんですが、九州地方整備局発注の港湾工事においても談合がこの間ずっとやられてきたと見られるものです。公取として、まず調査を行うべきだと思うんですが、どうですか。

楢崎政府参考人 御指摘の橋梁の入札談合事件につきましては、昨年十月以来、立入検査等して審査を行ってきたわけでございますけれども、その一つの過程として、関東地方整備局、東北地方整備局、北陸地方整備局が発注する橋梁工事につきまして独占禁止法に違反する犯罪があると思料して、五月二十三日、検事総長に告発をしたものでございます。

 本件につきましては、検察当局において捜査が行われていると承知しておりますし、また、公正取引委員会としても告発で終わるということじゃございませんで、行政処分等もございますので、今審査を継続しているところでございます。

 そういう状況でございますので、審査の状況あるいは措置の見通し等につきましてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

吉井委員 九州地方整備局のものについてもちゃんと調査するんですね。

楢崎政府参考人 全体的に橋梁の入札談合について審査をしているところでございますので、どこどこについて調査するとかしないとかということは個別の案件にかかわりますので、コメントを差し控えさせていただきます。

吉井委員 この表を見たってわかるように、ずっと前から疑いがある話を今言っているんだから、個別がどうのこうのの話じゃないわけです。

 国土交通省の八地方整備局全体の九七年度から二〇〇一年度までの港湾工事の落札率を調べてみて驚いたんですよ。これは資料二をごらんいただきたいと思いますが、合計四千二百五十四件の入札、発注額合計一兆六百三十四億五千六百万円について見ると、落札率一〇〇%というのが全体の九・三%、三百九十五件です。九八から九九・九九%が六五・八%の二千七百九十八件です。九〇%未満というのは、わずか一・五%。

 さらに、地方整備局ごとに契約の状況、落札率を調べると、九州地方整備局は最高ですね。落札率一〇〇%の入札が、全体で八百十五件のうち一三%ですよ。百六件。なぜ、事前に知り得ないはずの予定価格と業者の札入れ額が全く同じで、一三%にもなるのか。これは余りに異常だと思うんですが、国交省、なぜこういうことが頻発するんですか。

中尾政府参考人 港湾の工事についてでございますので、お答えいたします。

 まず、予定価格の積算でございますけれども、これを作成するために積算基準というのがございます。これは公に公表されておりまして、建設業者はこれを参考に見積もりを行っていると思います。そのために、予定価格に近い積算をすることは可能であると思っております。

 したがいまして、予定価格に近いということはあるということでございます。

吉井委員 私、一件や二件やったらそれはあり得ると思うんですよ、一件や二件やったら。大臣もおかしいと思わはると思うんよね、大体こんなのは。落札率一〇〇%の入札が一三%。これはもう一件や二件の話じゃないんですよ。あり得ない話ですよ。

 九州地方整備局発注の港湾工事の異常なほど高いこの落札率を九七年度から二〇〇二年度まで年度別に見ると、不思議なことがあるんです。一〇〇%がそれまで全体の一割を超えていたのが、実は、これはお手元の資料につけてありますが、資料二の三枚目をごらんいただいたらおわかりのように、一割を超えていたのが、二〇〇二年度はゼロなんですね。皆無なんです。九八%から九九・九九%が六割以上だったのが、二〇〇二年度は五割台に低下するんです。

 なぜかということで見てみたんですが、実は、二〇〇一年の九月に海洋土木の大手五社、地元二十社に公取が立ち入りに入っているんですね。二〇〇二年六月には公取は、長崎県が発注した港湾工事、漁港工事で海洋ゼネコン二十五社、長年談合を繰り返してきたと、この調査に基づいて排除勧告をやっているんですよ。つまり、前年には調査に入ったわけですよ。そうしたら、一〇〇%の落札率がどんと落ちるわけですよ。ゼロになる。二十五社は国土交通省などから指名停止の処分を受けているんですが、この二十五社は九州地方整備局発注の港湾工事も受注しているゼネコンに共通しているんですね。

 今回の鋼鉄製橋梁工事をめぐる談合では、談合組織加盟十一社の担当者十四名が独禁法違反で逮捕されたその直後に、どうですか、見事に道路公団発注の橋梁工事の入札で落札率が急落して、それまで大体九七、八%台だった落札率が八五%未満でしょう。九州地方整備局発注の港湾工事の入札で二〇〇二年度に落札率が低下し、一〇〇%がゼロになる。これは、公取がきちんと調査すると一遍に変わるんですよ。この変化は、入札したゼネコン群は公取から排除勧告を受けるまでは談合を繰り返しておるということですよ。

 こういうことについて私が国交省に伺いたいのは、一体、予定価格を決定するのは国交省の中ではどの部局のどんな役職の方なんですか。道路公団でいえばだれがやるんですか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省発注の公共工事の予定価格の決定権者、これは、予算決算及び会計令第七十九条の規定によりまして、各発注機関の契約担当官等になっております。具体的に申しますと、本省にあっては大臣官房官庁営繕部長、地方支分部局にあっては地方整備局長、地方航空局長等でございます。

吉井委員 これは一件、二件やったらあり得るかもしれぬけれども、これだけ落札率一〇〇%が多数に上るというのはおかしいんです。あり得ない話なんです。

 そうすると、私、公取に聞いておきたいんですが、予定価格を入札企業が事前に知り得るのは、発注者が入札者に情報を漏えいする以外にはあり得ないんですよ。幾ら積算したって、一〇〇%一致というのは一、二件しか本来あり得ないんです。そうしたら、結局、談合が発覚した、これは垂れ込み調査にしろ職権調査にしろ、いつも業者側の責任は確かに調べもされるし、あるいは検察に告発もされる。しかし、公取は発注者側についての調査をしたことはあるんですか。

楢崎政府参考人 いわゆる官製談合防止法が成立したわけでございますけれども、それ以前におきましても、我々公正取引委員会が審査を開始して、官の方でかかわっている、入札談合に関与しているというふうな場合に、法的措置はとれなかったわけですけれども要望としてそういったことがないように改善を求めてきたわけでございますけれども、この法律ができましてからは、正式に法律に基づいて改善措置要求ができるという形になったわけでございますけれども、岩見沢の事件と、それから、昨年の七月でございますけれども、新潟市発注の建設工事につきまして職員が談合に関与していた。あるいは、新潟の場合ですと、設計価格を開示していたということがその法律に違反するということで、改善措置要求をしたという経緯がございます。

吉井委員 過去の一つ、二つの経緯の説明ぐらいじゃ頼りのうてしゃあないわけよ。やはり改善措置要求ができるできぬの話じゃなくて、大体、一割を超えるほどの契約が落札率一〇〇%と異常なんですから、そうしたらこれは今問題になっている事案、発注者についても全部調査されますね。

楢崎政府参考人 この整備局発注の橋梁工事だけじゃなくて、今、我々全体的に審査を進めているわけでございますけれども、発注者の関与も含めて、そういったものを視野に置いて全体的な調査をしているところでございます。

吉井委員 私がきょう提起しました問題は、今初めて言うた話じゃないんですよ。もうずっとこの話をしてきました。我々が高い落札率や入札結果を示しても、公取の方はなかなか調査をおやりにならない。調査をされても発注者側にまでは入っていっていないんですよ。だから続くんですよ。官製談合そのものなんですよ、これは。だから、橋梁メーカー談合による不正入札で、道路公団発注の平均落札率が三年間で九七%、道路公団発注の鋼鉄製橋梁の昨年度までの五年間落札率九九%以上が三十八件とか、九百三十億円もの不当利益を得ていたというのが計算上出てきますが、物すごいものが、つまり、国民の財産が奪われているわけですよ。

 ですから、今回指摘した国交省の港湾工事の入札は、完全に予定価格と一致するものが、全国で見れば四千二百五十四件の工事中三百九十五件ですよ。めちゃくちゃや。平均落札率九八・七%なんですが、橋梁談合事件にかかわった企業と共通する入札者、落札者があるわけですから、国交省の港湾工事でも談合入札が行われているという疑いは極めて濃厚なわけですから、公取として、これは一〇〇%官製談合と言われる話なんですから、発注者について厳しく調査されますね。

楢崎政府参考人 今、審査を継続しているところでございます。そしてまた、仮に審査の結果、発注者が関与しているかどうかという問題は、法と証拠に基づいて判断すべきものでございますので、全体的な審査の中で適切な措置をとっていきたいというふうに考えてございます。

吉井委員 独禁法の担当がたしか今は官房長官かな。これは、担当大臣がだれかかれかという話じゃなくて、私は、この点では公取の姿勢をきちっとさせること、公取の体制も強化すること、それから独禁法の罰則強化、欧米並みに課徴金を引き上げることとか、やはりこうして本当にこの問題を繰り返させないという、これは内閣を挙げて取り組むべき課題だと思うんですよ。この点だけは、担当から少しそれるかなと思わぬと、内閣を挙げての課題だと思いますから大臣に伺っておきます。

中川国務大臣 個別の案件は別にいたしまして、日本は自由主義経済、そして法治国家でございますから、きちっとした法律に基づかない契約あるいは商取引というものに対しては、公取を初めとするその法律の所掌機関が適正かつ厳正に対応をしていかないと、法治国家としての信頼性が影響を受けるというふうに考えております。

吉井委員 談合の自由はないんだということを申し上げて、残念ながら時間が少なくなってきましたので、次に鋼材価格の方に移りたいと思うんですが、鋼材価格高騰については大臣も調査を指示して取り組んでいらっしゃいます。

 ことし五月二十七日に中小公庫研究所の発表した景況調査報告によると、二〇〇二年初めから金属機械関連製造業の仕入れ価格DIが上昇し続けております。販売価格DIも少しは上乗せして上昇傾向なんですが、しかし、依然としてここはマイナスなんですね。この結果、利益が出ない、利益マイナスという状況ですが、不思議なことに、鉄鉱石など原材料価格が高騰した中で、鋼材メーカーの新日鉄は二〇〇三年度千七百二十八億円の利益、二〇〇四年度は三千七百十億円の経常利益を上げているんですね。だから、これは産経新聞が書いておりましたが、「鉄鋼各社の経常利益はそろって倍増」と。鋼材を大量に使う自動車のトヨタの方は、二〇〇三年度も二〇〇四年度も一兆一千億円を超える利益を上げている。大手四社は皆そろって過去最高益なんですね。

 つまり、鋼材価格高騰の中で、川上も利益を上げて伸びている、川下の産業でも大手は伸びているんですね。真ん中の機械金属製造業の利益がマイナスということは、結局、この鋼材価格の値上げ分を川下の自動車メーカーから値上げを抑えられて、この真ん中の部分が吸収しているというふうになるのではないかと思うんですが、この点はどう見ていらっしゃるか伺います。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

山本(明)大臣政務官 お答えさせていただきます。

 鉄鋼価格はずっと上昇しておりまして、今高値安定のような、そんなふうでありまして、一月から、一月に調査いたしまして、二、三カ月また上がったんですが、最近ちょっとまた一月のレベルまで下がってきたということであります。(吉井委員「吸収されている」と呼ぶ)はい。高値安定ということでありまして、今御指摘いただきましたように、川下の業界が価格が転嫁できていないというのは事実であります。大企業、中小企業はどうかというと、大企業よりも中小企業の方が転嫁ができておりまして、大企業の方が転嫁ができていない、こういった結果が出ております。

 これはどういうことかといいますと、やはり川下でありますから、どうしても消費者に対応して価格は転嫁できるかできないか決まるわけでありまして、いわゆる需要と供給の関係だというふうに考えております。やはり中小企業は大企業に材料の支給等がありますので、そういった意味で影響が少ないのではないかなというふうに考えております。

 そういった意味で、何が問題かというと、やはり景気が一番でありまして、景気がよくなってくれば価格は転嫁できるわけでありますので、それまではなかなか大変難しいのではないかな、そんなふうに私は思っております。

吉井委員 大臣は、五月十一日のこの委員会で、しわ寄せができるだけないように、あってはならないと思っているとおっしゃいました。これは当然の答弁だと思うんです。

 ところで、全国中小企業団体中央会の「下請中小企業の最近の動向 主要下請業種団体へのヒアリング等調査結果」を見ると、自動車関連のダイカスト、金属プレス、輸送用機械、金型、鋳物の各業者の声としては、材料費転嫁問題で苦慮している、これはダイカストです。依然値下げ要請が多い、金属価格上昇で採算悪化だというのはメッキ分野ですね。大企業の好況の割には好転しないというのが金型です。一〇〇%転嫁難しく採算悪化しているというのが鋳物です。

 この報告書のポイントとして書いてあるのは、価格転嫁ができず採算は悪化しているというんですよ。これが中小企業の実態なんです。親企業の動向として、ポイントのところでは、コストダウン要請は相変わらず厳しいと。大臣はあってはならないと思っておられても、現実には深刻な事態が進行しているというのが実態です。

 そこで、中小企業の中でも深刻な従業員十人以下の中小企業について経産省として調査をしておられるかどうか、これは政府参考人に伺っておきます。

中川国務大臣 前に、塩川委員だったと思いますけれども、同趣旨の質問がございました。

 いわゆる鉄鋼に限らず、石油とかほかの部門もそうですけれども、今の大手鉄鋼メーカーが史上最高売り上げ云々というのは、何もあれだけの鉄鋼メーカーは、鉄鋼を売り買い、買って鉄にして売っているだけじゃございませんから、トータルとしてそういう結果になったんだろうというふうに思います。

 鉄鋼メーカーの話、いわゆる高炉メーカーの話を聞くと、やはり物そのものの確保も大変ですし、価格も上がっているということですから、今一番強い分野である自動車ですら価格を上げるということでございますから、したがって、そういう中で、中小企業、今御指摘があったような分野について弱い立場になりやすいということは想像できるわけでございます。

 すんなりと価格転嫁ができればいいですけれども、できない可能性も重々ございますので、我々としては、原材料の流れ、川上から川下に至る流れをきちっと把握して、下請代金法等の観点からも、川上と末端だけがきちっとできて、真ん中の、特に中小企業分野にしわ寄せがいくということがあってはならない、場合によっては、いろいろな我々のとれる措置を含めて対応することももちろん必要があれば考えなければいけないというふうに思っております。

吉井委員 実は事前に、業者の方たちが行かれたとき、従業員十人以下の中小企業は調査していないということを、経産省としての対応だということを伺っておりますので、やはりここはきちんとした調査をやっていただきたいと思います。

 もう時間が来ましたから最後にしておきますが、帝国データバンク産業部も、昨日発表のもので、八割が販売価格転嫁できず、中でも中小深刻と、大臣の認識のとおりなんですね。

 中小企業家同友会の景況調査報告でもそのことがずっと触れられておって、川上流通の供給絞りと先行き品不足で値上がり感が先行し、一方的に仕入れコストは上昇しているとか、川上流通では下へ材料を流すより仲間内で転がしている、バブル期の土地転がしの感がするというのまでコメントがあったりして、なかなか深刻で、最後に、機敏な行政対応が求められるというのが同友会の声として出されております。

 ですから、要望はいろいろお聞きいただいているんですが、最後にどんな機敏な対応をしていこうとお考えか、この点を確認したいと思います。

中川国務大臣 鉄鋼に限れば、鉄鉱石から始まる、川上から始まる部分と、それから再利用というのでしょうか、電炉によるくず鉄の処理というものと、大きく分けて二つあるんでしょうけれども、特にくず鉄の部分が中国等へのニーズが非常に高いということも供給不足の原因の一つになっているんだろうと思います。

 中小企業、あるいは中小の鉄鋼を使ったメーカーといいましょうか工場については、我々としても、原材料の調査委員会、中小企業庁あるいは各経済産業局含めてきめ細かく見ていかなければならないと思っておりますし、万が一それによって資金繰り等々の影響が出れば、いわゆるセーフティーネットの対策なんかも考えることも当然念頭に置かなければいけないというふうに思っております。

吉井委員 もう時間が参りましたので、せっかく法案について答弁準備していただいた方には、先ほど来議論がありました、職業選択の自由を侵すおそれはないかとか、確認を幾つかする予定でしたが、あらかじめ確認しておきましたので、これで質問を終わりたいと思います。

河上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

河上委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、不正競争防止法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河上委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、平井卓也君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。

鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    不正競争防止法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  経済のグローバル化の進展に伴う我が国産業の国際競争力強化の必要性にかんがみ、知的財産保護の更なる強化を図るため、政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。

 一 知的財産関連施策については、その実施状況及び成果について的確に評価を加えることとし、よりスピード感をもって適切な実施を図るとともに、新たな知的財産推進計画の策定に十分反映させるよう努めること。その際、中小・ベンチャー企業の知的財産保護に対してきめ細かな配慮を行うべきこと。また、模倣品・海賊版被害が頻発している現状にかんがみ、今後、関係省庁間の連携を一層深め、国際協調を図りつつ、侵害事例が多発している地域をはじめ関係諸国への働きかけを更に強化すること。

 二 退職者の営業秘密漏洩に関する刑事罰導入については、職業選択の自由が阻害されないよう十分に配慮し、その運用に慎重を期すこと。加えて、企業等において適切な秘密管理が行われるよう、営業秘密の管理方法等についての事例を蓄積し、経営者等に幅広く情報提供を行うとともに、安易な流出につながらないよう従業者を大切にする企業風土の醸成に努めること。

 三 弁理士が関与する裁判外紛争解決手続については、利用者にとって利便性の高い制度とするため不断の見直しを行うとともに、手続の利用方法及びメリット等に関して積極的に広報活動を行う等、利用の増進を図ること。

 四 知的財産に係る業務が増加・複雑化する状況を踏まえ、弁理士が中小企業への支援など多様なニーズに応えうるよう、その実務能力の強化を図るため、研修のあり方等について検討すること。また、弁理士の更なる活用を図るため、弁理士法第二条第四項に規定する「特定不正競争」に関し、弁理士の技術的性格及び弁理士制度の趣旨にかんがみ、弁理士の業務の範囲の拡大について検討すること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

河上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河上委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川経済産業大臣。

中川国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

河上委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

河上委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時開議

河上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 本日付託になりました内閣提出、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。中川経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中川国務大臣 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 エネルギー供給の大部分を海外に頼る我が国としては、限られた燃料資源の有効な利用を図っていくことが必要であります。また、我が国の温室効果ガスの排出削減目標を定めた京都議定書が本年二月に発効したことを踏まえ、温室効果ガスの約九割を占めるエネルギー起源の二酸化炭素の排出をより一層抑制する必要があります。燃料資源の有効利用と地球温暖化防止という双方の要請にこたえた省エネルギー対策を着実に実施することは、極めて重要な課題であります。

 このような状況を踏まえ、本法律案は、エネルギーの使用の合理化に関する措置の抜本的強化と一層の拡充を目的として、所要の措置を講ずるものであります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、工場及び事業場での規制について、熱と電気の区分を廃止し、熱と電気を合算して一定規模以上のエネルギーを使用する者に対して省エネルギー対策を義務づけることとしております。また、法律の執行体制を強化する観点から、登録調査機関による確認調査制度を導入することとしております。

 第二に、エネルギー消費量の伸びが著しい運輸分野について、一定規模以上の輸送事業者、荷主に対し、省エネルギー計画の策定、エネルギー使用量の報告を義務づけるとともに、省エネルギーの取り組みが著しく不十分な場合に、主務大臣が、勧告、公表、罰則つきの命令を行う等の措置を新たに定めることとしております。

 第三に、建築分野におきまして、一定規模以上のオフィスビル等の非住宅建築物の大規模修繕等を行う場合において、省エネ措置を届け出させることとします。また、住宅分野においても、新たに一定規模以上の共同住宅の新増築等の場合において、省エネ措置の届け出を義務づけることとしております。

 第四に、消費者による省エネルギーの取り組みを促すため、電力会社、ガス会社等のエネルギー供給事業者や家電機器の小売販売事業者に、消費者への省エネルギー情報の提供を促すための規定を整備することとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

河上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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