衆議院

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第18号 平成17年6月10日(金曜日)

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平成十七年六月十日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 河上 覃雄君

   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君

   理事 平井 卓也君 理事 松島みどり君

   理事 鈴木 康友君 理事 細野 豪志君

   理事 吉田  治君 理事 高木 陽介君

      嘉数 知賢君    北川 知克君

      小杉  隆君    佐藤 信二君

      佐藤  勉君    坂本 剛二君

      菅  義偉君    竹本 直一君

      武田 良太君    谷畑  孝君

      西銘恒三郎君    平田 耕一君

      望月 義夫君    森  英介君

      山口 泰明君    山本 明彦君

      大畠 章宏君    奥田  建君

      海江田万里君    梶原 康弘君

      近藤 洋介君    佐藤 公治君

      高山 智司君    中山 義活君

      計屋 圭宏君    松木 謙公君

      村井 宗明君    渡辺  周君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          齋藤  浩君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            岩井 良行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           平田憲一郎君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十日

 辞任         補欠選任

  遠藤 利明君     佐藤  勉君

  菊田まきこ君     松木 謙公君

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤  勉君     遠藤 利明君

  松木 謙公君     菊田まきこ君

  吉井 英勝君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)


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     ――――◇―――――

河上委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省産業技術環境局長齋藤浩君、資源エネルギー庁長官小平信因君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長岩井良行君、国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君及び国土交通省総合政策局次長平田憲一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小杉隆君。

小杉委員 クールビズが実施されてから初めての委員会でありますので、私も大臣と同じように、こういうノーネクタイで質問します。

 今、東京都議会議員選挙が間もなくありますので、毎晩のように、座談会とか集会へ行きますと、必ず話題に出るのが郵政民営化の問題、それと、やや時間がたちましたけれども、クールビズの問題なんです。

 今度の法案というのは、先日、大臣から説明をいただきましたが、主として二つの側面、つまり、エネルギーの有効活用それから地球温暖化防止、こういう二大テーマに対処する法案だ、こういう説明がありました。

 一方、京都議定書が発効されて、京都議定書目標達成計画が発表されましたが、これの中心的な柱は、経済と環境との両立、こういうことでございますね。

 そこで、この法案についても私はその精神は貫かれるべきだと思っておりますが、改めて、大臣のこの法案に関する決意というか所感というか、お聞かせいただきたいと思います。

中川国務大臣 おはようございます。

 まず、この省エネ法の第一質問の委員が小杉先生ということで、この問題に自由民主党だけではなく国会の中でも第一人者である小杉先生のきょうは御質問と御教示をいただくということで、大変感謝と、若干緊張しております。

 御指摘のように、この法案は、主に四つの柱から成っております。いわゆる電力と熱とのトータルとしての省エネへの産業部門での努力というか削減義務、あるいはまた輸送部門での、九〇年比で一番伸びている部門でございますので、これをどうやって、運輸関係だけではなくて荷主さんも含めてトータルで省エネできるか、それから民生、建築部門ですね、これの一定の要件の建築物に対しての省エネ届け出義務、そして消費者の理解という四本柱。

 いずれも省エネというのは、言うまでもなく、国民一人一人の、このクールビズも多分その一つだろうと思いますけれども、国民的な理解、協力が大前提でございます。それは、エネルギーの大半を海外に頼っているだけに、その使用量を減らすということは、ある意味ではエネルギーの安全保障という観点からも重要だと思いますし、また、世界のエネルギー事情、アジアを中心に急増しているエネルギー事情に対しても貢献をいたしますし、また、日本は世界一の省エネ技術を持っておりますので、そういうことも含めてこの法律によって貢献ができるというふうに考えております。

 と同時に、御指摘のように、環境と経済の両立という大方針に合致し、京都議定書、大変達成が厳しい現状でございますけれども、政府としても改めて決意を決定しているところでございますので、温暖化防止、温暖化対策に向けても大きく貢献できるものというふうに考えて、ぜひとも実効性のある、国民一人一人の、あるいは産業・経済セクターの努力、成果を期待したいと思っている次第でございます。

小杉委員 省エネ法は、たしか、今までの歴史を振り返ると、一九七〇年代の二度にわたる石油ショック、それに端を発していると思うんですが、その後何度か改正されてきましたね。今回はもう四度目か五度目の改正になると思うんですけれども、その中で、この法律の一番の根幹ともいうべき目的のところに、今大臣が再三今までもお話しされたように地球温暖化対策ということが入っているんですけれども、この第一条の「目的」の中を見ますと、前の改正のときの原案に、今四つの新しい柱を申されましたけれども、その中の運輸部門だけが追加になっただけということなんですね。

 ですから、私はやはり、この法案というのは京都議定書の発効を受けたという新しい時点での法案なんですから、何も改正だからといって前の法案をそのまま踏襲するんじゃなくて、やはり目的の中に、エネルギーの利用効率を上げるということと同時に、地球温暖化防止という視点を盛り込むべきではなかったかなと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘ございましたように、この法律は一九七九年に制定をされまして、その後、今まで三回改正をされております。

 九三年に最初の改正がなされておりますけれども、それまでは、この法律の目的は、燃料資源の大部分を輸入に依存せざるを得ない我が国のエネルギー事情にかんがみて法律を制定するというふうにされていたところでございます。これを、一九九二年の気候変動枠組み条約に署名をされましたので、これを機会に、温室効果ガスの削減の必要性に対する国際的な認識が高まったことを踏まえまして、九三年の改正をいたしましたときに、現在の目的規定でございます「内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため、」というふうに改めたところでございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、現在の目的規定は、こういう経緯にもかんがみますと、幅広い目的を含んでいるというふうに考えておりまして、地球温暖化問題への対応、エネルギー起源CO2の削減といった趣旨はその幅広い目的の中に含まれているものというふうに考えているところでございます。

小杉委員 今までの経緯はわかりました。石油ショックのとき、あるいはリオ・サミットの後ですね。

 しかし、やはり法律というのは、その都度その都度、その時代の要請にこたえて発展していくべきものだと思うんですよ。ですから、前回をただそのまま延長するだけじゃなくて、やはりきっちりと地球温暖化防止という項目を明示すべきではなかったかということを私は指摘したいんです。

 というのは、さっき大臣が言われたように、やはり今度の省エネ法は、消費者の省エネ努力を促す、こういうことが入っているわけでしょう。ですから、それで新しい分野として運輸部門も入ったわけですから、そういう点はやはり節目節目で、そのときにふさわしい表現で目的をきちっと書くべきだということを申し上げて、次の議題に入ります。

 時間の制約がありますから、他の同僚議員からもいろいろな視点から質問があろうかと思いますので、私は特に、大臣がさっき言われた省エネ法の四つの主要な中身の中で、今回、新規に運輸分野の省エネというものを導入する、こういうことがありましたので、それに関連して質問をさせていただきたいと思います。

 今回の改正で、運輸部門、これは多岐にわたるわけですが、特にトラックとかタクシーとか、そのほかにも航空とか鉄道とか船舶とか、いろいろな分野がありますが、その中で、特にトラック業界というのは本当に非常に幅がありまして、何百台という自動車を持っているところもあれば、全く一人で一台というようなところもありますし、加えて最近のディーゼルトラックの排ガス規制で、もう大変ひいひい言っているわけですよね。そういうさなかにまた新たに義務を課する、規制対象に加えるということになると、これは大変な負担増になるわけでありますが、そういう点でひとつ、中小企業の多いこういう分野についての対象についてどう考えるのか、この辺をお聞かせいただきたい。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 トラック事業者を省エネ法の規制対象にする場合に、そのすそ切りについてのお尋ねでございます。

 運輸分野のエネルギー消費量でございますが、我が国全体のエネルギー使用量の約二割を占めておるところでございます。この中で、トラックは運輸分野におきますエネルギー使用量の約三分の一を占めるエネルギー使用量の大きな分野でございまして、トラックにおきます省エネ対策の推進ということは、地球温暖化対策を進めていく上においても極めて重要な問題であると私ども認識してございます。

 このため、今回の改正において、トラック事業者を省エネ法の規制対象としているところでございますが、具体的な義務対象者の範囲につきましては政令で定めることといたしております。

 省エネ法では、省エネ効果の高い、エネルギー使用量の多い事業者を対象とするということを基本的な考え方としておりまして、トラック事業者につきましては、委員御指摘のように、中小企業の比率が九九・九%にも上るような業界実態、こういうものも踏まえまして、エネルギー使用量の多い大手トラック事業者を指定するという考え方でございます。

 具体的に申し上げますと、現在の省エネ法におきまして、工場、事業場については年間三千キロリットルのエネルギー使用量をすそ切り基準としていることを踏まえまして、これと同等程度のエネルギー使用量があると推定されます大手トラック事業者を指定したいと考えておりまして、おおむね二百台以上のトラックを使用する三百余りの事業者を指定することを検討してございます。

 いずれにいたしましても、委員御指摘のように、中小企業比率が極めて高いというトラック事業の実態を十分に踏まえながら、関係者と調整を図りつつ、具体的な基準の策定をしてまいりたいと考えておるところでございます。

小杉委員 次に、トップランナー方式について伺いたいと思うんです。

 今まで経済産業省が非常にリーダーシップをとってトップランナー方式を導入した結果、非常に家電製品とか自動車においては効果があったという実績があります。私も、国際会議なんか出ますと、トップランナーの話をすると、各国議員から、日本のトップランナー制度についてぜひもっと説明を聞きたい、あるいは資料を送ってほしい、こういう要請があるわけであります。

 そういったトップランナーが、従来、対象が今十八品目になっておりますけれども、これを拡大すると聞いていますけれども、どういう方に拡大していくのか、その点、御説明いただきたいと思います。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からお話ございましたとおり、現在トップランナー制度の対象品目は十八品目でございます。これにつきまして、民生、運輸部門におきます省エネルギー対策を強化いたしますために、対象機器の追加、それから基準の見直しにつきまして検討いたしております。

 具体的に申し上げますと、既に目標年度を迎えておりますエアコン、電気冷蔵庫、電気冷凍庫の三品目につきましては基準の見直しを行っております。また、従来の品目の中身そのものを見直しまして、品目の対象を拡大するということで、トラック、バス、液晶テレビ、プラズマテレビを対象に含める、これは品目の増加ではございませんで、従来の品目の対象の拡大でございます。これに加えまして、新しい追加品目といたしまして、DVDレコーダー、電気炊飯器、電子レンジ、それからルーターの四品目を追加するということで検討を行っておりまして、対象品目は十八品目から二十二品目にする予定でございます。

小杉委員 次に、経団連の自主行動計画について聞きたいと思うんです。

 最近のエネルギー消費あるいはCO2の排出の実態を見ますと、再三大臣も説明されているように、産業部門は横ばい、しかし民生、運輸部門は急増している。こういう中で、やはりこれは政府だけの努力、あるいは自治体の努力だけでは限界がある。やはり経済界が自発的にやっていくということが重要な柱と思っているわけでありますし、今度、京都議定書目標達成計画の中で、従来と同じように、やはり経団連の自主行動計画というものを柱に据えるべきだと思っておりますし、また、従来、この行動計画についてフォローされてきたのかどうか、それから今後はどういう姿勢で臨むのか、この点について伺いたいと思います。

齋藤政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、日本全体として九〇年比六%削減という大変厳しい目標を達成するということで、各分野ごとの対策を積み上げてございます。

 その中で、特に産業分野につきましては、九〇年比マイナス八・六%と大幅なカットをお願いしたいということで努力をしておりますが、その中で、経団連の自主行動計画において、エネルギーの消費原単位を下げていただく、あるいは二酸化炭素の排出量の原単位を改善していただくという目標を達成していただくということを前提に、実はその八・六%という数字を計算させていただいているということでございますので、大きな柱として位置づけをさせていただいております。

 具体的に、それでは、それだけ大きな柱でございますので、しっかり役所としても、政府としてもフォローが必要だということで、産業構造審議会と総合エネルギー調査会のもとに自主行動計画フォローアップ合同小委員会というのを設けてございます。これで、毎年一回必ず、対策の進捗状況、それから一番重要でございます目標が達成可能かどうかということについて、学識経験者の方々にも入っていただきまして、評価をさせていただいております。

 最新時点の例を申し上げますと、ことしの二月にも行いました。その結果、三十業種、当省所管でございますが、すべて達成は何とかなるでしょうということなんですが、例えば十一業種につきましては今後相当頑張っていただくということを前提に目標が達成できるでしょう、そのような評価をいただいているところでございます。

 今後につきましては、先生も御指摘ございました、産業界がみずから高い目標を掲げて、それに向かって努力をしていただくという、まさに自主行動計画というもののメリットを最大限に生かしながらも、一方では、対策の内容の進捗状況などにつきましてはしっかり情報開示をしていただきまして、客観的な目にも触れさせるということで、データの信頼性を増していく。何よりも、我々としましては、目標の達成が可能となりますよう、それにつきましてはしっかりフォローしてまいりたいというふうに思っております。

小杉委員 この辺がまさに私は環境と経済の両立の決め手になると思うんですね。

 今消費者が家電製品を買うときには、やはり効率のいい、エネルギーを余り使わない、そういうもの、あるいは自動車にしても、燃費効率のいい、そういう製品を買っていく。つまり、環境とエネルギーに配慮した製品をつくれば必ず売れる。こういうことで、この省エネ対策でやっている政策が、すなわち日本の経済の活性化にも非常に貢献している、こういう側面があると思うので、この辺はひとつしっかりフォローアップしていっていただきたいと思います。

 次に、運輸部門で、さっきトラックの話が出ましたけれども、だんだんトラックのシェアというのは全体の消費量の中では減っているわけですよね。むしろマイカーが非常にふえているわけです。したがって、このトラックとかバスだけを規制対象にするんじゃなくて、膨大なシェアを占めている自家用車をどう抑制していくかというのが私は非常に肝要だと思うんです。

 マイカーの通勤というのが依然として多いわけですが、こういうものをどうしたらいわゆる公共交通に転換していけるか。もちろん、地方へ行きますと、交通機関が余り十分じゃないから、それはどうしても最小限度軽自動車で足として使わざるを得ないと思うんですけれども、特に都市部においては、やはりもっともっと通勤の交通手段に公共交通機関を使うようにしなきゃいけないと思うんですが、その促進策についてどう考えているのか。

 それと、もう一つ、これは意見ですけれども、私の今やっている仕事は、超党派で自転車活用推進議員連盟というものをつくっております。適当な距離のところはなるべく自転車を活用して、できるだけ排気ガスの少ない乗り物、都市交通の中に自転車を位置づけようということでやっております。

 こういうことも参考にしていただいて、できるだけ公共交通機関に移っていただく、その方策について聞きたいと思います。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、エネルギー消費のトレンドを見てみますと、我が国全体のエネルギー消費の約二割を占めているのが運輸部門でございます。この運輸部門からのエネルギー消費につきましては、トップランナー基準などによる自動車の単体対策、それから自動車のグリーン化税制、さらにはトラックの自家用から営業用への転換、営自転換といっておりますが、この進展によりまして、一九九七年度をピークにいたしまして、抑制傾向、鈍化傾向が示されております。

 しかしながら、委員御指摘のように、自家用自動車につきましては、運輸分野からのエネルギー消費に占める割合が一九九〇年の約四割から十年間で約五割へふえている、上昇しているということでございまして、運輸部門の目標達成のためには自家用車の対策に取り組むことが極めて重要であるというのは委員御指摘のとおりでございます。

 このため、現在御審議をお願いしております省エネ法の改正法案第七十条でございますが、企業などの事業者に対しまして、通勤時における公共交通機関の利用促進の努力義務を課すというような規定が入ってございます。

 先生御指摘のように、マイカー通勤を自粛して、公共交通機関の利用促進をしていこうとしていくような動きにつきましては、幾つかの先進的な企業においても始まってきております。

 具体的な事例を申し上げますと、例えば、トヨタ自動車におきましては、最寄りの鉄道駅から通勤専用のシャトルバスの運行を行っているとか、ヤマハ発動機では、エコ通勤のキャンペーンによりまして、社員が通勤のために電動二輪車を含めた二輪車の購入をした場合には社内の補助制度を創設するなど、一部企業による取り組みも前向きな形で出てきておるところでございます。

 私ども国土交通省といたしましては、こうした取り組みを今回の省エネ法の改正を契機といたしましてさらに一層促進させたい、こういうような思いでおりまして、経済産業省とともに、交通事業者、地元の経済界から成る公共交通利用推進等マネジメント協議会というものを全国レベルでは立ち上げましたが、地方レベルにおいても立ち上げて、具体的な取り組みを積極的に進めてまいる所存でございます。

 いずれにいたしましても、このような対策を通じまして、自家用車からのエネルギー消費の抑制に努めてまいりたいと考えているところでございます。

小杉委員 時間がもう五分余りとなりましたので、私最後に、やはり省エネということを考えた場合に、日本だけのことを考えていたのではこれはもう絶対だめだと思うんですよ。やはり地球規模で考えていく。特にアジア地域は、インド、中国、人口がこれからもどんどんふえていく、生活水準の向上とともにエネルギー消費もCO2の排出も激増すると予測されています。ところが、エネルギー効率の面から見ると非常におくれている。そういう面で、私はやはり、アジア諸国のエネルギー事情というものを十分調べて、日本として何ができるのか、日本が努力をして、アジア諸国も全部その成果を取り入れてもらえばかなり効果が上がると思うんですね。

 したがって、現在のアジアのエネルギー事情あるいは再生可能エネルギーというのは、まだアジア地域では電線のない地域、地方がいっぱいあるわけですよ。そういうところにとっては、再生可能エネルギー、例えば風力とかあるいは小水力とかバイオマスとか、そういうものの利用をする余地というのはたくさんあると思うんですよね。そういうところで大いにバックアップしてあげるという姿勢が必要だと私は思うのですが、その辺について、ちょっと見解を伺いたいと思うのです。

中川国務大臣 全く小杉委員の御指摘のとおりでございまして、これからのエネルギー需要をIEAが試算いたしますと、二〇三〇年には現在に比べて一・六倍になる、その大半が中国、インドを含めたアジアであるということでございます。

 そういう中で、一つは、先ほど申し上げた省エネ技術。日本は、そのIEAのデータによりますと、日本が一単位エネルギーをつくるのに、アメリカでも三、中国になると十ということでございますから、これがどんどんふえていくにしても、日本の技術をそのまま持っていって、十分の一とは言わないまでも、二倍のエネルギー効率にするだけでも、中国はもとより世界のエネルギー事情に大きく貢献するわけでございますから、その辺は、私自身を含めて日本としても、中国、東南アジア、インド等に、あるいは世界に積極的に貢献していきたいと思いますし、これについては受け入れ側も非常に期待をしているというふうに私は理解をしております。

 また、それ以外の自然エネルギー、再生エネルギーについても、日本の技術を生かし、国際的な取り組みが必要だと思っております。

 いずれにしても、先ほど自転車を利用すべきだという小杉先生の御指摘でありますが、小杉先生は、御自分で走って御地元、御自宅に戻られるという究極の省エネを実行されているわけでございまして、そういう心がけを一人一人が、世界のエネルギー事情に貢献するために世界の指導者は小杉隆に学べということもこれから我々も積極的に訴えていきたいというふうに思いますので、御指導よろしくお願いします。

小杉委員 新エネルギー、再生可能エネルギーはとてもこの時間内では質問し尽くせません。これから随時、機会をいただいて質問していきたいと思います。

 本当の最後ですけれども、今、欧米諸国も再生可能エネルギー、特に風力などに物すごい力を入れて、中国もそうですね、これから急速に再生可能エネルギー、自然エネルギーあるいは新エネルギーがふえていくという予測があります。

 ヨーロッパ諸国などと比較しますと、日本の新エネルギー、再生可能エネルギーの普及が二〇一〇年度でたしか新エネルギーで三%かな、この辺もちょっと伺いたいんですけれども、どうも我々、国際会議に出て恥をかくんですが、日本はそんなに少ないのか、こう言われるんですよ。

 それは、今までの法律の経緯があって、新エネルギーというのは水力、地熱が入らない。再生可能エネルギーというとそれも含める。それを含めるとかなりの数字になるんですが、どうも新エネルギーというふうに固定した考えで定義すると非常に数字が小さくなる。その辺の概念の統一というか用語の統一も、やはり国際的に合うようなことを考えていくべきじゃないか。これは、今すぐできないにしても、ぜひ検討していただきたいと思うんですね。

 欧米事情について、そして日本のこれからの新エネルギー、再生可能エネルギーについての展望、本当に時間はないんですが、簡単にひとつ。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 水力等を含みます再生可能エネルギーということで申しますと、二〇〇一年におきます一次エネルギー供給に占めます再生可能エネルギーの割合は、アメリカが五・三、イギリスが一・三、ドイツが三・四、我が国は四・六ということでございまして、二〇一〇年におきましても、アメリカは六・四、イギリス五・四、ドイツが四・二、我が国の目標は七%ということになっているところでございます。

 再生可能エネルギーは、それぞれの国の状況によりまして、自然条件も含めましてかなり状況が違うわけでございますけれども、いずれにいたしましても、再生可能エネルギー、新エネルギーにつきまして今先生御指摘の定義の問題もございますけれども、大変重要なエネルギーでございますので、これからも、その導入推進のために、さまざまな支援措置も含めまして、全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに考えております。

小杉委員 今、数字を並べられましたが、現状では遜色ないというお話ですが、これからヨーロッパ、アメリカあるいはアジアは物すごい勢いで再生可能エネルギーに力を入れていきますので、そのこともお忘れなく取り組んでいただきたいと思います。

 終わります。

河上委員長 次に、村井宗明君。

村井(宗)委員 民主党の村井宗明です。

 本日議題となっておりますエネルギー使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 昨年十一月十日の経済産業委員会で、地球温暖化対策について中川大臣に質問させていただきました。そのときは、ちょうど十一月五日にロシアのプーチン大統領が京都議定書の批准書に署名した直後で、京都議定書の発効が確実になったときでした。そのときはアンチダンピング法が議題でしたが、京都議定書から離脱しているアメリカに対し、何とか日本が説得して、地球温暖化対策という人類共通の課題に日米が連携協力していくことこそこれからの日本の果たすべき大切な役割ではないかという趣旨で、大臣にお話を申し上げたと記憶しています。

 ことしに入り、二月十六日、記念すべき京都議定書が発効しました。この日は、国会前での記念イベントを超党派で企画させていただき、先ほど質問に立たれました自民党の小杉先生にもありがたいお力添えを賜りました。そして、政府の地球温暖化対策推進本部は、三月二十九日、京都議定書目標達成計画の案を決定し、四月二十八日には閣議決定をされたわけです。

 この間、私は環境委員会にも籍を置いていますので、四月二十六日、五月十日、五月十七日と、三回続けて地球温暖化対策を小池環境大臣に質問させていただきました。そして、地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の委員会採決に当たっては、附帯決議の提案者にもさせていただきました。民主党では、地球温暖化対策ということで、主に私がこうやって立たせていただいているわけですが、常に言い続けていることが一つあります。

 京都議定書の目標達成計画、これは二つの数字の足し算ででき上がるものです。一つは排出量の削減、もう一つは森林吸収や京都メカニズムなどお金で解決する部分、この二つを合わせて六%を達成するということが約束なんですが、日本の場合、特にその六%の数字の中は偏っています。政府が提出したCO2排出量削減案は〇・五%の削減、残り五・五%はお金で解決するという案です。これは非常に偏っている。こんなことで本当に議定書の議長国として世界にリーダーシップが保たれるのか、そして世界に誇りが持てるのか、明らかにこれはノーです。六%のうち〇・五%と五・五%、こんなに配分の悪い数字があり得るでしょうか。

 私は、まずそこで、しっかりと六%削減に取り組まなければならないと考えているんですが、中川大臣にお聞きしたいと思います。京都議定書目標達成計画の閣議決定を受けて、今後地球温暖化対策に取り組んでいく経済産業大臣としての御決意をお聞きしたいと思います。

中川国務大臣 村井委員も環境問題、温暖化問題、省エネ問題に大変御熱心でございまして、日ごろから大変尊敬しておりますけれども、この京都議定書、御指摘のように、四月二十八日に達成計画を閣議決定いたしました。閣議決定ということでございますから、ある意味では政府としての約束になったわけでございます。

 他方、六%目標に対して二〇〇三年ではプラス八%ぐらいですから、一四%近く果たして二〇一〇年までにできるのかなという御指摘に対しては、そう簡単にはできませんと率直に申し上げているところでございます。

 ただ、二〇〇三年というのは、ある意味では特殊な年でございまして、CO2をほとんど排出しない原子力発電所がかなり多くストップをして、その分火力に頼って、それがCO2の排出にプラスに働いたという、ある意味では特殊な年でございますから、原発が安全を前提にきちっと稼働すれば、そういうベースが多少低くなるのだろうと思っております。

 いずれにいたしましても、この御審議いただいている法案は、各経済セクターのみならず、一人一人の国民の皆さんの、例えば、こういう二十八度以下になると冷房を切るとか、あるいは家庭のコンセントを小まめに抜くとか、電気のスイッチを小まめにオン、オフをするとか、そういう心がけ、ちょっとした心がけ、それこそ電気料金にすると月何十円か、ひょっとしたら何円かもしれませんけれども、しかし、全国八千万世帯を足し算すると大変な額になってくるということもございますから、そういうことも大事だろうと思っております。

 そしてまた、経済産業省としては特に、経済と環境との両立、つまり、省エネを達成することは、国民経済的にもまた国民生活にとってもプラスになるんだ。先ほどの小杉委員の御指摘のように、省エネ製品は機械であろうとこういうものであろうと売れるという意識というものが根づいていると思いますので、このまま単純にいくと難しいわけでありますけれども、この省エネ法もその達成に大きく貢献すると思いますし、そういう趣旨から、この温暖化対策、京都議定書目標達成に向けて、さらに経済産業省としても努力していきたいと考えております。

村井(宗)委員 さて、私がお話ししたい内容は、特に、今もう一回聞き直そうと思うんですが、〇・五%の削減計画でいくのか、六%の削減計画でいくのかという話なんです。

 今、皆さんもここで、ほら、きょうはクールビズをしておられると思うんですが、クールビズ、大分宣伝されました。そのときに、例えば国会議事堂前駅なんかでも、きょう見たらやはりでかいポスターが張ってあるんですね。「チーム・マイナス六%」、ほお、チーム・マイナス六%か。えっ、これはJAROに訴えるべきなんじゃないのか。JAROは、うそ、大げさ、紛らわしいというものを言うものなんですけれども、そういう広告を訴えてくれという話をよくやられるんですが、日本が今目指しているのは〇・五%の削減達成計画なんです。あくまでマイナス六%というのは、だれにもどこにも言っていないのに、チーム・マイナス六%と言われても、それはおかしいだろうと。チーム・マイナス〇・五%のポスターをつくるのが本来の筋なのに、どうも国民の方に誤解を与えるようにわざとやっているようにしか思えない。だとしたら、チーム・マイナス六%に合わせて六%削減、排出量自身を六%削減することの計画をつくり直すべきだと思うんですが、大臣はいかがでしょうか。

中川国務大臣 京都議定書という国際約束、先ほど御指摘のありました、注目されていたロシアがこれに参加をする。他方、世界一のCO2、エネルギー大国であるアメリカが参加していない。あるいはまた、後ほど御質問があるかもしれませんけれども、中国とかインドといった急成長の国を含めた途上国が参加していない。でも、途上国は参加していなくてもいいですよ、アメリカは参加しなければいけないんですけれども参加していない。

 いずれにしても、京都議定書の二〇一〇年目標というのは一定のルールの中でやっているわけでございますから、実質六%マイナスということができれば実質的な温暖化対策になるのでしょうけれども、例えば木を植えるとか、あるいはまた、海外にも協力をするとか、そしてもちろん実際に排出している各経済セクターあるいは個人が努力をするということ、トータルとして達成できるということが京都議定書のルールだと私は思っております、決してそれでベストとは言いませんけれども。

 日本は、ある意味では、先ほどもありましたが、環境問題、あるいはまたオイルショックで、あるいはまたマスキー法なんというアメリカの自動車の厳しい環境規制に適合するためにいち早く努力を、ある意味では先取りをしてきた。他方、京都議定書というのは、ヨーロッパ等が火力、石化エネルギーから、自然、環境に優しいエネルギーへの対策がある程度めどが立った上で先導的にやっているというような事情もあるやに聞いております。

 いずれにしても、京都議定書の約束を達成するために各部門が最大限の努力をするということがポイントで、先ほどの経団連の一つの目標もございますし、そういう意味で、経済産業省としてもこの法案をさらなる推進力として目標達成に努力をしていきたいというふうに考えております。

村井(宗)委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 今後も、補完的措置であるお金で解決する部分が余りにも多過ぎる、これではいけない。今回の省エネ法、私も基本的にいいと思うんですが、もっともっと省エネを厳しくしていく、本当に排出量を削減するんだという強い決意で私たちが、国会が進んでいかなきゃならないのではないかということを御提言申し上げ、次の質問にかえさせていただきます。

 それでは、法案の具体的な中身について、部門別にお伺いしていきたいと思います。

 まず一つ目は、工場など産業分野における省エネ対策の強化です。

 産業部門の取り組み強化として、工場や事業所における従来からの熱と電気の区分を廃止し、原油換算に合算することとしています。

 そこで、経済産業省にお伺いしますが、今回の改正で工場、事業所の規制対象は、消費するエネルギー量から見て何%から何%に拡大されるでしょうか。また、その結果、省エネルギーの効果や温室効果ガスの削減量はどの程度見込まれるのか、お聞きいたします。

小平政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の改正によりまして規制対象になります工場、事業場数、現在約一万でございますけれども、これが一万三千程度に拡大するというふうに見込んでおりまして、この結果、エネルギー消費量全体、産業部門の消費量に対します割合は、現在七割でございますけれども、八割まで対象になるというふうに考えております。その結果といたしまして、原油換算で約六十万キロリットルの省エネルギー効果と約二百五十万トンCO2の温室効果ガスの排出削減効果を見込んでいるところでございます。

村井(宗)委員 次に、今回の改正では、登録調査機関による確認調査制度が新設されることになっています。工場などは、登録調査機関の確認調査を受ければ、今まで義務づけられていた定期報告などが免除されるということになっています。そうなると、当然ですが、この調査を実施する登録調査機関には高い中立性とモラルが要求されてしかるべきだと考えます。

 そこでお聞きしますが、工場、事業所の確認調査を実施することとなる登録調査機関には具体的にどんな組織が予定されているんでしょうか、また、登録に当たっての基準はどうされるんでしょうか、御説明をお願いします。

 さらに、登録調査機関として、公的組織だけではなく、民間からの参入もあってよいと思いますが、実際に行われる確認調査が技術的にも適正な水準で、しかも厳正に実施されなければならないと思います。この登録調査機関による確認調査の中立性や信頼性を確保するための具体的な方策について御説明をお願いします。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正で創設したいと考えております登録調査機関制度についてのお尋ねでございます。

 これによりまして新たに登録してこられた方が出てきて具体的なことが出てまいりますので、現時点では想像することになるわけでございますけれども、例えば会計事務所でございますとかコンサルタントでございますとか、かなり幅広く民間から御登録があることを期待しているわけでございますけれども、登録機関の登録の基準につきましては、今回の法律におきまして、確認調査を行う者としてエネルギー管理士を二名以上置くということを具体的に求めた上で、確認調査を行う部門に専任の管理者を置くことなど、確認調査の信頼性を確保するための措置を法律上求めておるところでございます。

 また、法律上措置をしてございますけれども、登録調査機関は著しい利害関係を有する事業者が設置している工場について確認調査を行ってはならないということも法律上決めておりまして、中立性の確保を法的に求めておる次第でございます。

 さらに、これが具体的に運用されていく段階で、経済産業大臣は登録調査機関に対しまして業務や経理の状況を報告させ、また事務所に立ち入り、帳簿や書類等の検査を行うことができることとしておりまして、こうした措置を通じまして、改善すべきことが仮にあれば命令をし、登録の後も確認調査の中立性や信頼性を確保するという仕組みを考えているところでございます。

村井(宗)委員 ありがとうございます。

 次に、運輸部門についてもお聞きしたいと思うんです。

 運輸部門は、今までなかった部門が新設されること、私は非常にすばらしいことだと思い、評価したいと思います。

 そこでお聞きいたします。

 その規制の対象になる運輸部門の一定規模以上という、この法律の文言の輸送業者から旅客輸送業者の一定規模以上とは具体的にどの程度のことをいうんでしょうか、御説明をお願いします。

 また、その一定規模以上で計算すると運輸部門全体のどの程度をカバーすることになるのか、そして、その結果、省エネルギーと温室効果ガスの削減量はどのぐらい見込まれるんでしょうか、お伺いいたします。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 運輸分野につきましては、我が国のエネルギー使用量の約二割を占める分野でございまして、運輸分野におきます省エネ対策の推進というのは、委員御指摘のとおり、地球温暖化対策の上からも極めて重要な課題でございます。このため、今回の改正において、新たに運輸分野を省エネ法の規制対象とすることにしたわけでございます。

 具体的な義務対象者の範囲を定めるに当たりましては、運輸分野は、例えばトラック事業では中小企業の比率が九九・九%に上るなど、中小企業の割合が高い業界実態にあることを考慮する必要がある一方で、京都議定書の目標達成計画の目標の達成に向けて効果的な基準としなければいけないという必要がありまして、これらの要請を総合的に勘案しまして、環境と経済の調和を図るというような観点から、適切な基準を設定する必要があると考えておるところでございます。

 運輸分野のエネルギー使用量の大半を占めます自動車輸送につきましては、現在の省エネ法において工場、事業場について年間三千キロリットルのエネルギー使用量をすそ切り基準としていることを踏まえまして、これと同程度のエネルギー使用量があると推定される事業者を指定し、工場、事業場と比較してバランスのとれた規制としたいと考えております。また、自動車以外の他の海運、鉄道、航空のそれぞれの輸送機関につきましては、それぞれの輸送機関ごとに輸送能力の半分以上をカバーできる基準を設定することを検討しているところでございます。この結果、おおむね運輸事業者のエネルギー使用量の四割程度をカバーすることとなると推計しております。

 また、省エネ法によりますエネルギー、CO2削減効果につきましては、私どもの一定の前提を置いた試算ではございますが、荷主側の削減効果も合わせて、運輸部門のエネルギー使用量、CO2排出量につきまして、一九九〇年度比で約二%程度、CO2換算で約五百万トンの削減効果があるものと推計しているところでございます。

 念のため、さらに精査をしてまいりたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、このすそ切りの基準につきましては、関係者とも十分調整を図りつつ、実効性を確実にしていくということが大事だと思っておりますが、一方、エネルギー使用量、CO2の削減が適切な形で進んでいくような基準づくりを進めていきたいと考えているところでございます。

村井(宗)委員 今お答えいただいたように、今回の法律では運輸部門、大体四割程度が対象だということで、六割程度はまだ省エネ法で対象になっていない方向なようです。

 私は、この省エネ法自身、それほど問題がないと思うんですが、勘違いをしてはならないのは、今回すべての分野にどっと、省エネの分野で進んだんじゃないんだ、あくまで大規模な部分だけなんだということを考えなければならない。今回は、運輸においては四割が対象になったけれども、六割は手つかずのまま。この辺はまた後日、お話をさせていただけたらと思っています。

 また、もう一つ、全部の対象になっていないということで、えっと思ったのが、住宅分野において、二千平米以上だけを基準にするという話なんです。二千平米といえば、二百メートル掛ける百メートル。さて、ここにおられる国会議員の先生方でも、二千平米の家に住んでいる方というのはおられますでしょうか。ほんの数人しかおられないかもしれませんけれども、少なくても私の家はそうではございません。二階建てだとしても、百メートル掛ける百メートル、普通に考えたらなかなかならない、本当に一部のマンションだけなんじゃないのかというふうに考えたいと思うんです。

 そこで、新たな規制対象になる二千平米以上の住宅というのは、日本の全住宅のうち何%になるんでしょうか、また、削減される温室効果ガスはどのぐらいだと想定されていますか、お聞きいたします。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十五年度の新規着工住宅のうち、二千平米以上のものは、棟数ベースで〇・六%、床面積ベースで一九・三%でございます。

 京都議定書目標達成計画においては、省エネ法改正による届け出義務化に加えまして、住宅金融公庫融資及び証券化ローンの枠組みの活用による省エネルギーに配慮した住宅への誘導、住宅性能表示制度の活用による省エネ性能に関する情報提供等の施策を講じることを通じまして、二〇〇八年には、新築住宅の省エネ基準適合率を五割とすることを目標にしまして、結果として、温室効果ガス八百五十万トン、これはCO2換算でございますが、削減されることを見込んでおります。

村井(宗)委員 二千平米の定義、先ほどちょっと間違えました。二百掛ける百ではございませんで、二十掛ける百ですね。二万になっちゃいました。済みません、ちょっと訂正します。

 少なくても、どっちにしても二千平米の建物というのはほとんどないわけです。よっぽどの大金持ちでもなければそういうところに住まない中で、私はもっと、この二千平米未満のところにどう取り組んでいくかというのも非常に重要な問題じゃないかというふうに考えております。

 確かに、新築住宅におきましては、和泉審議官や住宅局の皆さんの御努力があり、省エネに限らず、耐震化やバリアフリー、そしてシックハウス対策などの空気環境の新しい基準が作成され、それに適合した住宅性能の等級の高い住宅が着実に普及しつつあります。品確法の成果が確実に上がってきていると思います。しかし問題は、圧倒的多数の中古住宅、既存の住宅のリフォームによる省エネの促進であり、耐震化やバリアフリーの普及拡大ではないかとは考えています。

 そこで、国交省にお伺いします。

 日本の住宅のうちで、これら圧倒的多数を占める中古住宅の省エネを推進するためのより一層の取り組み、さらに、もう一歩の知恵と工夫を出していただくことが期待されていると思いますが、これらの取り組みについて再度お聞きいたします。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるとおりでございます。住宅を初めとします民生部門におきますCO2排出量を削減するために、新築住宅に加えまして、委員御指摘のとおり、中古住宅についても省エネリフォームを促進しまして省エネ性能の向上を図ることは、極めて重要な課題と認識しております。

 こうしたことから、今般の省エネ法の改正によりまして、住宅の新築、増改築に加えまして、リフォームを行う際におきましても省エネ措置を講じる努力義務を課すとともに、省エネ基準にリフォームを行う場合の指針を位置づけまして、省エネリフォームの促進を図りたいと考えております。

 さらに今、二千平米というのは大き過ぎるとおっしゃいましたが、二千平米以上の共同住宅につきましては、大規模修繕等を行う場合には、省エネ措置を所轄行政庁へ届け出ることを義務づけるなどの対策の強化を図ることとしております。

 加えまして、省エネリフォームを促進するために、住宅金融公庫融資における金利の優遇や融資額の増額、あるいは民間事業者等による省エネリフォームの効果的手法等に関する技術開発等に関する支援、こういったことを続けてまいりたいと考えております。

 あわせまして、パンフレットの作成、配布、省エネ住宅の設計、施工技術講習の開催等によって、省エネ業務の普及に努めてきたところでございますが、既存住宅の省エネリフォームの意義や効果、施工方法等につきまして、消費者、住宅供給者を初め広く社会に普及させることにより、積極的に中古住宅の省エネについて努力してまいりたいと考えてございます。

村井(宗)委員 ありがとうございます。

 昨年十一月の内閣府が実施した住宅に関する世論調査によりますと、地球温暖化対策には関心があるが、費用負担が難しいと答えた人が三八・五%で、一番多くなっています。次は、行政からの支援、例えば工事費の一部補助や低利融資、税の優遇などがあれば前向きに考えるが三四・三%です。やはり、自費で省エネをするのは実際大変だというのが現実です。

 そこで、この面での行政の支援策についてお聞きいたします。

 住宅金融公庫の金利優遇措置は、省エネ住宅の普及にどの程度貢献していますでしょうか、実績はいかがでしょうか。特に、団塊の世代が大量に定年を迎える二〇〇七年を控え、高齢者向け返済特例制度、バリアフリーリフォームの対象を省エネ、例えば温熱バリアフリーなどに拡大し、その融資限度額の引き上げや融資対象の年齢制限の撤廃などを検討してはいかがかと考えますが、どうでしょうか。国交省にお伺いします。

和泉政府参考人 御指摘のとおり、これまで住宅金融公庫の融資におきまして、一定の省エネルギー性能を備えた住宅に対しまして、金利の優遇とかあるいは融資額の割り増しを行うことによりまして、その促進を図ってまいったところでございます。この結果でございますが、公庫の個人向けの住宅建設融資を受ける住宅のうち、平成四年の基準でございましたが、こういった基準を満たす住宅のシェアが、平成八年度の二八・五%から平成十五年度には六八・六%へと大幅に拡大し、省エネ住宅の普及に大きく貢献してきたものと考えてございます。

 お尋ねの高齢者向け返済特例制度は、メーンの目的はバリアフリーリフォームでございますが、そういったものにつきまして、生前は利息のみを返済し、元金は死亡時に一括償還する特別な償還方法による融資を行い、定期的収入の少ない高齢者の住宅のバリアフリー化を支援するものでございます。リフォーム工事自体はさまざまな目的の工事をまとめて行うことも多いことを踏まえまして、本制度においては、バリアフリーリフォームに付随して行われる工事等についても融資対象としてございます。このため、特に高齢者のニーズの高いバリアフリーリフォームに合わせまして実施される省エネリフォームについても、本制度の対象となってございます。

 こうした死亡時一括償還する仕組みは、償還時期が未確定であるために、特にこういった制度を設けるに際しまして、融資対象を六十歳以上の高齢者とする、あるいは融資限度額を五百万円とするといった条件を設定してございますが、今申し上げましたとおり、省エネリフォームを含めまして対象としてございますので、定期的な収入の少ない高齢者の省エネリフォームについても大きな効果がある、こう考えてございます。

 以上でございます。

村井(宗)委員 省エネリフォームを進めるためには、融資対象の拡大、それから融資限度額の引き上げ、こういったものが非常に重要になってくると考えます。なお、そこの部分でのますますの検討、それから審議を進めていただきたいとお願い申し上げます。

 次に移ります。

 省エネや地球温暖化対策に配慮した製品が、価格だけを尺度とする市場の価格競争では敗退してしまうことがないように、国の入札や官公庁の調達面での配慮も欠かせないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。経済産業省にお聞きいたします。

齋藤政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、環境配慮商品は、大変環境に優しいわけでございますが、特に初期段階ではコスト、価格面で不利でございます。

 そこで、政府調達におきましては、平成十二年に国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律、我々、通称グリーン購入法と呼んでおりますが、これを制定いたしました。これは何かといいますと、省エネあるいはリサイクルなど、環境に優しい製品に需要を転換していきたい、そのためにはやはり国が率先垂範すべきであろうということでございまして、現在、二百一品目を指定いたしまして、その中で、例えばOA用の用紙でございますと、古紙混入率が非常に高いものを買いますという形で調達のスペックを決める、そうしまして、安いものに負けてしまうということがないようにということでやっております。

 一番劇的に効果が出ましたのは、例えば官公庁のクリーン自動車でございまして、平成十二年五%でございましたが、平成十六年度では一〇〇%が低公害車になっているということでございまして、今後とも、こういうやり方で環境に優しい商品について需要を喚起する、あるいは、国が率先垂範することによって民間にもそういう動きがはっきりしていくように努めてまいりたいと考えております。

村井(宗)委員 今の御答弁、ありがとうございます。

 ただ、もちろん動産についてはそうやって取り組んでいただくというので結構なんですが、二千平米未満の公的な建物をつくる場合においても、そういった環境面での配慮、住宅ではないですが、省エネ建築物などにしていただきたいと考えているんですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。

齋藤政府参考人 直接住宅は指定物品になってございませんが、例えば、我々がつくります場合は公共工事ということでございます。公共工事に際しましては、現在、例えばどういうものを入れているかといいますと、再生スラグを使って、非常に使い道に困っているものについて優先的にやるというようなことをやっております。

 ただ、先生御指摘のように、断熱性能を高めるとか、そういうやり方は今のところしておりません。ちょっと検討をいたしたいと思います。

村井(宗)委員 もちろん、リサイクルとか、そういう分野でも結構なんですが、今回の趣旨は省エネでございましたので、公共工事でつくる新たな不動産物件、建築物についても省エネ、特に、二千平米を超えていれば今回の法にかかるのでそうなんですが、二千平米未満の公共工事の分野においても、断熱、省エネ、そういったものを徹底していただければと。検討してください。

 最後に、中川大臣にお聞きいたします。

 温室効果ガスの排出量が世界第二位の中国は、京都議定書の批准国ですが、排出削減が課せられていないため、エネルギー消費の急速な伸びに比例して、温室効果ガスの排出を拡大させ続けています。

 この中国について、二つの面でお聞きします。まず第一は、規制の厳しい日本から脱出し、規制の緩い中国に生産拠点が移転してしまい、日本の産業の空洞化に拍車をかける要因になりはしないかという問題です。第二は、最大の排出国アメリカの問題を除けば、日本に近い中国の二酸化炭素は、直接的に酸性雨などで日本に被害を及ぼす懸念があるという問題です。日中関係にも非常に造詣の深い、尊敬する中川大臣の御所見を最後にお伺いいたします。

中川国務大臣 二点御質問でございまして、一点目は、環境対策はコストがかかるから、義務がかかっていない中国に今まで以上に生産拠点が移転するのではないかという御懸念。コスト的にそっちの方がプラスだということになれば、当然、企業としてはそういうことも考える可能性はあるんだろうと思います。

 しかし、先ほどから小杉先生あるいは村井先生、そして私が何回も強調しているように、国民の理解が深まっておりますし、深まれば深まるほど、そういうコストのみによって環境悪化の方に加担、そういう企業だということが仮に公知になれば、その企業のブランドイメージというのは大変マイナスになる時代に入ってきているんだろうというふうに思います。今後ますますそうなっていくと思いますから、そういうリスクを果たして冒すのか冒さないのかというのは、最終的に企業判断でありますけれども、これからはかなりそういうことも判断材料の一つになっていくんだろうと思います。

 それから、二点目につきましても、私も先日、例の呉儀副首相と名古屋でお話をしまして、余りデリケートな話はあえて両方からしませんでしたけれども、唯一、呉儀副首相との間で実質的な話し合い、そして合意ができたのは、中国の経済成長による環境問題について日本の省エネ技術でできるだけ協力しますということについて、私は、呉儀さんとその場で意見の一致を見たというふうに理解をしております。

 これは、中国がエネルギーをどんどん消費する、それによって世界のエネルギー状況が悪くなるというだけではなくて、中国の環境問題は、お隣ですから、空か、あるいは海を通じて、あるいは中国で生産される工業品や自然物を通じて日本に直接的に影響を受ける話でありますから、これは他国の問題ではなくて日本にとっても大きな問題になるので、私は、折に触れて中国に、呉儀副首相を初めいろいろな方に申し上げているところでありますが、この点に関しては、私と中国との間では非常に合意されております。

村井(宗)委員 本日は、どうもありがとうございました。

 最後に一言、まとめだけさせていただきます。

 我々は、〇・五%削減を目指すんじゃない、六%削減を目指すためのチーム・マイナス六%として活動していかなければならないということです。そして、今回の省エネ法においては二千平米以上の住宅だけを対象ということにしましたが、今後は、ほとんどを占める二千平米未満の住宅についても、融資制度の問題、いろいろな税制面での問題、そして公共発注での問題などを含めて、しっかりと省エネ住宅などを推進していかなければならないと申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

河上委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十四日火曜日午前九時より、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十四日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時三十六分散会


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