衆議院

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第5号 平成18年3月17日(金曜日)

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平成十八年三月十七日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 石田 祝稔君

   理事 今井  宏君 理事 新藤 義孝君

   理事 平田 耕一君 理事 増原 義剛君

   理事 吉川 貴盛君 理事 近藤 洋介君

   理事 達増 拓也君 理事 桝屋 敬悟君

      伊藤 忠彦君    小此木八郎君

      岡部 英明君    奥野 信亮君

      片山さつき君    木原 誠二君

      北川 知克君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      塩谷  立君    平  将明君

      長崎幸太郎君    丹羽 秀樹君

      野田  毅君    橋本  岳君

      早川 忠孝君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    松島みどり君

      武藤 容治君    望月 義夫君

      森  英介君    山本 明彦君

      大畠 章宏君    吉良 州司君

      北神 圭朗君    北橋 健治君

      後藤  斎君    佐々木隆博君

      野田 佳彦君    松原  仁君

      三谷 光男君    高木 陽介君

      塩川 鉄也君    武田 良太君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業大臣政務官    片山さつき君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 加藤 治彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山中 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           泉 紳一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           草野 隆彦君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            石毛 博行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        近藤 賢二君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      安達 健祐君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十七日

 辞任         補欠選任

  佐藤ゆかり君     木原 誠二君

  早川 忠孝君     奥野 信亮君

  牧原 秀樹君     丹羽 秀樹君

  北橋 健治君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     早川 忠孝君

  木原 誠二君     佐藤ゆかり君

  丹羽 秀樹君     伊藤 忠彦君

  北神 圭朗君     北橋 健治君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     牧原 秀樹君

    ―――――――――――――

三月十六日

 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出第三二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人工業所有権情報・研修館法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人工業所有権情報・研修館法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案につきましては、去る八日質疑を終局いたしております。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。吉川貴盛君。

吉川委員 私は、自由民主党及び公明党を代表し、政府提出の独立行政法人工業所有権情報・研修館法の一部を改正する法律案に対し、賛成の立場から討論を行うものであります。

 本法律案は、これまで公務員型であった独立行政法人工業所有権情報・研修館を非公務員化するものであります。

 与党としましては、さきに行われました質疑を通じまして、非公務員化することは、知的財産権に関する情報の提供、相談、人材育成を求める国民に対する利便性を大幅に高める点で重要な意義があることから、本法律案を成立させることが必要であると確信するに至りました。

 本法律案の成立に伴い、非公務員化することにより柔軟な雇用形態の導入や弾力的な勤務形態の導入が可能となり、具体的には、外部から専門家を採用し、業務の企画立案にその専門的知見を活用することで、よりユーザーのニーズに即した質の高いサービスを提供することができるようになります。また、相談窓口の開設時間を延長することや土日にも研修を実施することで、これまでサービスを享受できなかった方々もそのサービスを受けられるようになるのであります。

 このように、独立行政法人工業所有権情報・研修館を非公務員化し、より質の高いサービスをより広範な人々に提供することを可能とすることは、企業の研究開発効率の向上や産業の高付加価値化を通じて、我が国の国際競争力の強化に資することとなります。

 なお、国内外からの信頼性の維持につきましては、これまでと同様の秘密保持義務が本法律案上措置されていることに加え、関係者に対する適切な説明を行うことで十分に担保されるものと考えられるものであります。

 以上により、我々自由民主党及び公明党といたしましては、本法律案を速やかに成立させることが必要と考えるものであり、これにより知的財産立国が早期に実現することを祈念いたしまして、私の賛成討論といたします。各位の賛同をお願いいたします。

 以上であります。(拍手)

石田委員長 次に、達増拓也君。

達増委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、独立行政法人工業所有権情報・研修館法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。

 本改正案は、独立行政法人工業所有権情報・研修館を非公務員型の独立行政法人に移行させようとするものでありますが、法改正後も官庁との人事交流は、従前どおりに可能な仕組みとなっております。現在、同法人は、常勤職員のすべてが特許庁等からの出向者で占められていることから、本改正が実現すれば、実態は何ら変わることがないまま、見かけ上の公務員数は減少することになり、いわば公務員数削減の隠れみのを提供することになるものであります。

 一方、同法人が行っている特許公報等の閲覧業務は、古くから国際条約に基づいて行われているものであり、こうした業務が国家公務員以外の手によって行われている例は国際的にも皆無であります。むしろ、我が国においても国の責任のもとに遺漏なく遂行すべきと考えられる業務であり、なぜ、組織の国際的な信頼性の確保を犠牲にしてまで、何ら実態を伴わない非公務員化を推し進めなければならないのか、疑問を呈せざるを得ません。

 また、独立行政法人工業所有権情報・研修館は、業務経費の八〇%以上が外部への委託により実施されておりますが、それらのうち、大口の契約先のほとんどは毎年の随意契約によって官僚OBの天下り先が占めているといった、不透明な運営の実態が法案審査の過程における質疑によって明らかにされております。

 もとより、知的財産立国の実現のため、産業財産権に関する円滑な情報提供等の必要性について否定するものではありませんが、その実施の任に当たる組織をめぐって、このように、本来行わなければならない独立行政法人の組織運営の効率化等の課題が置き去りにされたまま、独立行政法人改革に名をかりた公務員定数の不適切な簿外処理が制度化されることは、認められるものではありません。

 私は、以上の理由から本案に対する反対を表明し、討論を終わります。(拍手)

石田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、ただいま議題となりました独立行政法人工業所有権情報・研修館法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、本来、特許行政は国の権限と責任で行わなければならないものであるにもかかわらず、本法案により情報・研修館の職員の身分を非公務員化することです。

 経済産業省自身、特許庁の業務は国の権限として特許権を付与するという制度だと述べています。であるならば、特許情報の取り扱いについては、国が直接責任を持って行うべきであり、独立行政法人に行わせること自体がそもそも問題です。今でも情報・研修館は、特許の審査官や審判官の資格取得に欠かせない研修業務を担っているにもかかわらず、その職員の身分を非公務員化することは、特許行政の信頼性と質の向上についての国の責任を放棄するものだと言わざるを得ません。

 第二は、非公務員化により利用者サービスが後退することです。

 情報・研修館は、行政組織である特許庁が蓄積している工業所有権に関する情報やノウハウを、中小企業や個人など広く国民に確実かつ公平に提供するという使命を有しており、これまで無料でそのサービスを提供してきました。経済産業省は、非公務員化に当たって、自己収入の拡大を図るため、実費徴収を拡大するとしていますが、これは明らかに利用者サービスの後退につながるものであり、容認できません。

 第三は、情報・研修館の非公務員化が、我が国特許行政に対する国際的信頼に重大な影響を与えかねないからです。

 情報・研修館は、海外特許庁への資料の提供・交換業務などの国際的業務を担っています。この業務は、海外ではすべて、国の機関と国家公務員が実施しています。我が国において、国際条約に基づく業務を国の機関以外に行わせることは、特許行政に対する国際的信頼に重大な影響を与えかねません。

 昨年九月、経済産業省の独立行政法人評価委員会は、情報・研修館は公務員型を維持すべきだと明確な決定を下しています。本法案は非公務員化の結論ありきで持ち出されたものであることを指摘して、反対討論といたします。

石田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人工業所有権情報・研修館法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

石田委員長 次に、内閣提出、中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房審議官深山卓也君、財務省大臣官房審議官加藤治彦君、文部科学省大臣官房審議官山中伸一君、文部科学省大臣官房審議官泉紳一郎君、厚生労働省大臣官房審議官草野隆彦君、経済産業省製造産業局長石毛博行君、資源エネルギー庁資源・燃料部長近藤賢二君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長安達健祐君及び中小企業庁長官望月晴文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。増原義剛君。

増原委員 自由民主党の増原でございます。

 先日、この委員会で、四人の参考人の方々に御出席を賜りまして、いろいろ御意見をお伺いいたしました。なかなかおもしろい御意見の開陳があったなというふうに思っておりますが、折がありましたら、ぜひ、事務当局の方から、大臣、お聞きになったらいかがかなというふうに思っております。

 そうしたものも踏まえながら、きょう、自由民主党を代表しまして、四十分のお時間をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。

 大臣御承知のように、バブル崩壊後、かれこれもう十五年がたっておりますが、その間、債務そして設備、雇用といった三つの過剰、さらには製造業の空洞化といったような問題、そしてデフレといった極めて厳しい状況下にあって、我が国経済は、本当にそれに対応した非常に痛みの伴うリストラを行いながら、ここ数年見てみますと、新たな発展、成長の軌道に乗ってきているのではないかというふうに思っております。いわゆる構造調整ということの最後の仕上げが今ここに来ているのかなというふうに思います。先週行われました日銀の量的緩和の解除、これも一つのその象徴ではないかなというふうに思っております。

 そして今、我々の小泉内閣でございますが、改革断行内閣といたしまして、小泉総理御就任以来、ずっと改革を続けてきております。そのポイントは、時代のニーズに合わなくなったもの、そういったものについては大胆に見直し、廃止あるいはリニューアルをしていく。一方で、これからの将来を見据えて、我が国のために必要なことは勇気を持ってしっかりと新たな施策を打ち出していく、こういうところにやはり小泉改革のポイントがあるのではないかというふうに私は思っております。

 そして、その流れで、今般、経済産業省が、工業再配置促進法とか民活法とかFAZ法ですか、そういった既存の法体系、法律、こういったものの廃止を思い切って行いまして、新たに、これからの我が国経済が発展していくべき軸となるものづくり、こういったものに着目をして政策を全面的に打ち出されたということは、私は意義のあることだと思っております。

 そこで、まず大臣にお聞きをいたしたいのでございますが、このたびの中小企業ものづくり基盤技術高度化促進法案、この法案を提出された背景あるいはその最大のねらいはどういうところにあるのか、お教えいただきたいと思います。

二階国務大臣 ただいま増原議員から、今日の日本経済がようやく立ち直ってきたその経過、そして、今日まで産業界が大変な苦しみの中から、ようやく成長軌道に乗ろうとしている、そういう状況につきましてまとめてお話をいただきましたが、私も全く同じような思いを持っております。

 そこで、我が国の経済もようやく回復の動き、これはもう確かなものだというふうに受けとめても間違いはないだろう、そういう状況に立ち至りました。

 さらに、民需主導の成長を今後実現していくためには、製造業の競争力の強化、これが最も重要な点であろうと思っております。その際、特に、我が国のすぐれた中小企業の果たす役割、これは極めて大きいものがあろうと思います。

 議員も御承知のとおり、プレスやメッキ等、ものつくりの技術におきましては極めてすぐれたものを日本の中小企業は持ち合わせておるわけでありますから、ここのところをしっかり支えることによって、私は新たな展開が期待できるというふうに考えております。

 ものつくり中小企業も、しかし、さまざまな課題に直面していることは事実であります。

 具体的には、固定的な系列取引関係が変化しております。下請企業が発注企業の情報を入手しにくくなっていることも現状であります。これにより、中小企業が目指すべき技術開発の方向性を見定めることそのものがまた難しい状況にあることも、我々、察することができるわけであります。さらに、人材の確保、そして人材を育成していくというためには幾多の課題があることも事実であります。

 加えて、韓国、台湾などアジアの追い上げも見られるものの、今こそものつくりの中小企業がこうした課題に挑戦し克服していくということが重要であることは、もう論をまたないわけであります。ここで、私たちは、本法案を提出し、製造業の競争力の中核をなすものつくりの中小企業の強化に向けた総合的な支援を打ち出したところであります。

 そこで、これも議員御承知のとおり、日本の中小企業の中には、世界の企業に伍して、シェア五〇%以上を獲得しておる企業もたくさんあるわけであります。

 この際、全国各地で御活躍をいただいておる中小企業の中で、世界のそうした競争の中で打ちかっていっておる立派な中小企業に対して、ベスト三百というぐらいのことを考えまして、今、一冊の出版物にまとめようとしております。ただまとめて発表しただけではなくて、これらの皆さんから直接、今日に至るまでの御苦労も、そしてその人たちが胸に描いておる日本経済の発展、みずからの企業の進展に対する夢もあろうと思います。そうしたことも直接承る機会を得たいと思っております。その出版物が準備できました際に、この当委員会にもお示しして、またいろいろ御意見をちょうだいしたい、このように考えておる次第であります。

増原委員 大臣、どうもありがとうございました。我々、大体のフレームは理解できました。

 そうした中で、少しブレークダウンして御質問を続けさせていただきたいというふうに思います。

 御承知のように、かつて製造業の空洞化というものが言われましたときは、人件費や物流などの国内の高コスト体質というのが随分指摘されました。もちろん、それに加えて円高といったものもございましたが、ある意味では、我が国の大企業を中心としましてグローバル化が進んでいく、そういう過程であったんだろうなというふうに思っております。

 それにつれて、その川上にある関連中小企業、これも随分海外展開をされてきておりますが、それが、例えば三十年ぶりにホンダが我が国の国内工場を建設するといった、国内への立地というものが大企業でも進んできております。一方で、例えば私の広島県なんでありますが、選挙区としては政調会長の中川先生のところなんですが、東広島市に、六千億をかけて東洋一のエルピーダメモリの工場をつくる、こういったこともございます。

 そういった形で、大企業はもとより、今度は中小企業の方々も、国内回帰というんでしょうかUターンというんでしょうか、そういったものが今起きてきている。なぜ、今日、国内に回帰をしてくるというんでしょうか、そういったものについて、各大企業はもとより、中小企業につきましてもそういったことが起きているんだろうか。

 既に中国に進出した、今度は、それをやめてこっちに帰ってくるというよりも、どうもそれにプラスして日本に帰ってくるというふうなことをお聞きしているのでございますが、恐らくその背景には、ただいま大臣が御指摘されましたような、我が国の中小企業が持つ高度なあるいは潜在的な技術力、こういったものがあるのではないかと思うのでありますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

片山大臣政務官 まさに委員御指摘のとおり、三十年ぶりの自動車の大型国内工場の例もございますように、近年、我が国の製造業の中でも、液晶ですとか半導体ですとか、最先端技術を必要とする分野を特に中心に、工場の国内立地というか国内回帰が非常に活発化しております。

 その要因はいろいろ考えられるわけでございますが、最も大きな要因の一つが、御指摘のとおり、先端の産業分野で大企業がいろいろ行います製品開発が、部品メーカーや素材メーカーといった中小・中堅企業とのすり合わせに事実上支えられているということがあるということが考えられるわけでございまして、この企業間の連携の多くをメッキですとか金型ですとか鋳造等のすぐれた技術を持ったものづくり中小企業が担っているという指摘を踏まえて、今回のような法案のフレームも私どもとして御提言しているわけでございます。

 まさに、こういった中小企業の存在が、最近の国内回帰と申しますか、国内立地見直しの背景の大きな要素の一つとしてあるというふうに考えております。

増原委員 ただいま片山政務官の御答弁がございましたように、恐らくそういうことなんだろうなというふうに私も思っておりますが、そうした中にあって、いわゆる海外展開の過程で、かつては系列型と言われた川下、川中、川上、ちょっと逆流しますけれども、川下の大企業の関係でくっついていった、そういう系列型の中小企業、こういったものが実は相当メッシュ化したというふうに言われております。

 現に、私のところでは、マツダという自動車産業があるのでございますが、そのもとにありました中堅の部品会社、例えば西川ゴムとかモルテン、これはまさにゴムでありますが、あるいは、個別の部品ではヒロテックというようなところがありました。

 先日の参考人質疑のときもあったんですが、あれはヨロズの社長さんでしたか、その系列から切られた、非常に厳しかったんだけれども、いろいろと自分たちで努力をして、そして系列から抜け出していった。これは非常にある意味ではプラスの面なんだろう。それを自分たちで広げた、技術も広げていった、開拓した、こういうことも言われていまして、それはよかったと思いますということなんでありますが。

 結局として、そういうプラス面もあれば、一方において、系列が崩れてきてメッシュ化したわけでありますから、では、エンドユーザーに直接結びついている川下の大企業、こういったところが持っている消費者のニーズをとらまえたような、そういった新たな展開をしていくときの課題、そういったものが技術的にもいろいろあるんだろうなと思っております。それが実は今、余りうまくいっていないというふうに私はお聞きいたしておりまして、そこらあたりを、この法律、法案でもってそれに突破口を開いていこうというような位置づけなのではないかと思っております。

 先ほど来ありましたように、私も今例に挙げましたように、本当に我が国中小企業は非常に大きな潜在的な技術力を持っております。そういう点を加味しながら、この法案と絡めながら、そういった中小企業の川上、川中、ここらあたりをどのように川下とくっつけていくのか、このことにつきまして御答弁を賜れればと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃいましたように、発注企業と下請の関係がメッシュ化をしてきた、そのこと自身は、技術力のある中小企業にとっては、さまざまな企業から発注を受けられるという意味で、先ほどのヨロズの社長さんのように、メリットもあることでございます。

 しかしながら、その中小企業にとっても、五年先、十年先の自分たちの技術開発の方向はどっちへ持っていったらいいんだろうか、どういうものを事前に用意しておく必要があるのだろうかということについて、これまでは、かちっとした下請関係の中で割と自然な形で親企業から、発注企業から、五年先、十年先にはおれたちはこういう製品をつくっていくんだというような情報が流れてきたわけでございますけれども、いろいろな人の下請をするようになってからは、そういった自然な形での情報流通がなかなか困難になっているという問題点も生じてきているわけでございます。

 そういった新しい取引関係の中で、そうしますと、下請中小企業自身が先を予測して技術開発を自分自身でしていかなきゃいけないという、不確実の持つリスクというのが高まってきたわけでございます。ここは何とか今のところ一生懸命頑張ってやっているわけでございますけれども、これからの五年先、十年先を考えていった場合に、こういった中小企業のリスクをどうやったら少しでも軽減できるか、不確実性のリスクを下げられるかということが非常に大事なわけでございまして、今回の法律の中でも、それを手助けするような仕組みを幾つか盛り込んでいるわけでございます。

 一つは、この法律の体系の中で、特定技術についての技術別指針というものを策定することになっております。これは、発注側も入って、あるいは専門の先生方もお入りになって将来のビジョンをつくるということでございまして、そのことは中小企業にとって、自分たちの先行きの準備のためにも大変役に立つことになるのではないか。

 一例だけ申し上げますと、鋳造技術などでよく半導体の製造装置などをつくっている中小企業、鋳物屋さんにしてみれば、それの軽量化、超精密化ということが非常に重要になってきているわけでございますけれども、どういう方向で軽量化をしていくのか、どういう部分で超精密化をしていくのかというようなニーズについて、発注側も入った格好でざくっとした絵をかいてもらおうということ自身が、下請側にとっても大変重要な情報になるわけでございます。

 そういった情報流通の仕方であるとか、あるいは取引関係で申し上げれば、発注側と受注側の出会いの場というのも非常に大切なことになっていると思います。たまたまいろいろな偶然でこういういい下請企業を知ったということで取引が始まる場合もあるわけでございますけれども、もう少し幅広い、数多い日本の優秀な中小企業の方々が幅広い取引先を得られるようなチャンスをなるだけつくっていく。そういうことにつきましても、この法律の体系の中でいろいろな提言をしていきたいというふうに考えているわけでございます。

増原委員 どうもありがとうございました。

 私も、技術別指針というのが極めて大きな意義を有するんだろうというふうに思っておりますので、その点については、また後ほど少し詳し目にお聞きをしたいと思います。

 実は、昨年、中小企業支援関連法三法を一本にまとめまして、異なる技術あるいは強みを持った中小企業同士が連携して企業化、事業化に近い新たなビジネスモデルを展開する、こういったことを支援するための中小企業新事業活動促進法、これを制定いたしました。私もそのときにこの委員会におりましたけれども、そのときは主として、恐らく、中小企業が自分の技術プラスアルファがあれば新しい市場のニーズにこたえられる、こういうものをサポートしていこう、こういうところにあったんだろう。言ってみれば横の連携、これをきちっとサポートしていこうというところにポイントがあったんだろうというふうに思います。

 そういう意味では、すぐれて目の前にニーズがある、それをどういうふうに自分たちがキャッチをして、プラスアルファの技術を持つところと合わせわざでそれにこたえていくかという横の連携であったんだろうというふうに思っておりますが、このたびの法案について、中を見せていただきますと、必ずしも目の前のニーズ、今売れているニーズについてどうこうというようなことではない。どうも、あすというよりもあさって、しあさってといったようなところ、研究開発も含めて、じっくりと取り組んでいこうということなんだろうと思いますが、そうすると、将来のニーズ、今のニーズじゃなくて将来のニーズに対してどうこたえていくかというところがやはり最大のポイントなんだろうなというふうに考えております。

 そうしたときに、先ほど長官も言われましたけれども、今メッシュ化している中小企業と大企業との関係、この中にどういうふうな、ある意味では、先日の参考人の方も、そうしたものをきちんとつかまえるには大変な労力とコストがかかると言われておりました。それをいかに効率的に結び合わせていくか、それをすり合わせというふうにさっき片山政務官言われましたけれども、そういうことなんだろうと思います。これがやはりこの法律の持つ、今度は縦の連携がポイントなんだろうというふうに思います。それは、技術力を持つ中小企業はもとより、グローバルに展開している大企業にとりましても非常に大きなポイントなのではないかというふうに思っております。

 では、その縦の連携を進めていくための具体的な施策につきまして、長官の方からお話をいただければと思います。

望月政府参考人 先ほどのお話の続きになりますけれども、大企業サイドにおいても、こういった優秀な中小企業をどうやって発見できるかということは非常に大切なことでございますし、中小企業にとっても、自分の力を発揮する場を得られるという意味でも、大変大切なことであるわけでございます。そういった出会いの場をつくる、あるいはそういう関係をつくり上げるという努力は、実は今でも少しずつ民間ベースでも努力が起こっているわけでございます。

 例えば、これは大企業でございますけれども、ある大手の部品メーカーなどは、二次、三次の通常の下請関係の中で将来の共同研究開発とかいろいろやってきていたわけでございますけれども、それではどうも日本国の中小企業の力を全部使えていないな、もっといいことができるんじゃないかということで、逆見本市というようなことをやっているわけでございます。

 そこでは、今の自動車部品の大手の大企業が、自分たちはこういう技術を求めているんだということを情報開示して、今までの取引関係の外にある中小企業の方々にそれを提示して、提案できるものはないかということを提案しているような、逆見本市と彼らは言っているようでございますけれども、そういったこともやられているわけです。細々とではございますけれども、始まっているわけでございます。

 私どもは、こういった試みがもっと幅広く日本の中で広まってくれば、もっともっといい関係がたくさん生まれるのではないかと思っております。

 ただ、こういう試みは大変苦労してやっているようでございまして、もし可能であれば、民間の工業界の団体であるとか、そういうものを組織したり、それから、実は発注側と下請側の関係も、従来の自動車関係の人ではない下請の人たちもここへ呼び込んでくるということも大事なわけでございまして、これは全く縁のないところでございまして、こういったことについて、私どものようにいろいろな産業界とつき合っているところが、そういう場を設定するについて手助けができるのではないか。そういったことも含めて、この出会いの場というものを、今あるいろいろなやり方も頭に置きながら工夫をして組成していきたいということは、場合によっては見本市であるかもしれませんけれども、そういったものをつくる。

 あるいは、私どもの基盤整備機構という中小企業を支援する機構、独立行政法人がございますけれども、ここには数多くの民間のコーディネーターという方、技術の専門家、それぞれの分野の専門家の方々を抱えております。こういう方々にも御努力していただいて、個々の中小企業と大企業の間の技術の綱渡しというようなこともやっていただくというさまざまな方法を今工夫していきたいと思いますし、その工夫のやり方についてはまた、この法律が成立いたしましてからも、民間のそういう方々からの御提案を受けて、私どもが手助けをして、あるいは予算を多少使いまして、その場を設定するということも可能ではないかというふうに考えております。

増原委員 長官、どうもありがとうございました。

 今度、少し視点を変えて見てみたいと思うのでありますけれども、我が国の将来の政治やあるいは経済といったものを見通した場合、一体どういうふうな形でこれをやっていくかというのは大きな問題があるんだろうと思います。私は、個人的な見解ですけれども、日本の安全保障というものを考えてみた場合に、軍事力というのはそれなりのものはあるんだと思うのですが、やはり何といっても、そこに経済力というものが求められているのではないかなというふうに考えております。それを裏返して言えば、貿易収支の黒字ということにもなるんだろうと思っております。

 かつて、円高で、さらには大企業がグローバルに展開するというときのいわゆる空洞化問題が出ましたときには、これはもうかれこれ五年ぐらい前でしょうか、我が国の貿易黒字は半分に行きました。一千億ドルを超えているものが六百億ドルという形で落ちたわけであります。私は、そのときに極めて危機感を持ちました。我が国の経済のあり方として、これでいいんだろうかという危機感を持ちました。なぜならば、御承知のように、かつて世界の工場と言われたイギリスにしましても、結局、貿易収支の赤字から、どんどんどんどんヨーロッパの病人と言われるような状況になっていったわけでありますけれども、そういうことを考えますと、やはり、一定の貿易収支の黒字、これをしっかり確保する必要があるのではないかというふうに思っております。

 かつてのいわゆる円高不況というんでしょうか、そういうときに貿易収支の黒字が六百億ドルに半減しましたように、今現在でありますが、原油価格の高騰あるいは原料の高騰によりまして、まさにまた同じ状況が、貿易収支の黒字が半減、去年、六百億ドルでしたか七百億ドル、そのくらいまで落ちております。ついに、今度は逆に、これまで海外展開、直接投資、間接投資を通じてやってきたものに伴う果実、利子配当ですが、この所得収支がそれを上回ったという状況であります。

 それはそれといたしまして、今起きているエネルギーや原材料の高騰というものは、今世界人口は六十四億ですか、もっとふえていくだろうと言われているんですね。さらに、中国あるいはインド、BRICsと言われているところがどんどん台頭してくればよりエネルギーを使う。そしてまた、よりいい食料を食べる。俗に、鳥肉から牛肉に移るだけでも、それに要する飼料が二倍、三倍もかかると言われております。トウモロコシ、人間が食べてカロリーをとるよりも、それを豚に食べさせて、そして豚肉を食べる、その場合、四倍、五倍のいわゆる飼料が要るというふうに言われておるわけです。

 そういう意味で、これからは、エネルギー、原材料のみならず、食料の高騰というものも将来起きてくるのではないか。いわゆる第二、第三のショック、波が到来するというふうに考えた方がいいんだろう、私はそのように思っております。

 そういうときに、我が国の貿易黒字というものはどのように位置づけられるべきか。やはり、製造業を中心とした分野でそこそこの貿易黒字をしっかりと確保していませんと、この第二、第三の波に耐えることができないのではないか、こういう危惧を私は持っておるわけであります。

 現在、かつての韓国や台湾に加えて、中国の物すごい追い上げを受けておりますが、我が国製造業は、まだまだ一日の長があるというふうに聞いております。これをこれからどのようにしっかりと保っていくのかというのが、我々のこれからとるべき施策なのではないかというふうに思います。もちろん、追いかけてくるところを追い払うのではなくて、それとすみ分けをしながら、しっかりと共存共栄を図っていくということなんだろうと思っております。

 そういう意味で、これからの我が国のあるべき将来像、あるべき姿、そういったものの関係におきまして、今般の施策は、従来の施策とどういうところが異なり、またどういうふうに位置づけておられるのか、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

二階国務大臣 今、増原議員からるるお話がありましたとおり、貿易黒字というものが、日本の安全、あるいはまた経済的な、世界経済の中での日本の存在感ということにつながるというお説、私は、まことにそのとおりだと思っております。

 私も最近、WTOだ、あるいはAPECだ、その他の国際会議に出席をさせていただく機会が多いわけでありますが、やはり、日本という国に対する、他国が日本との接触の際に、常に、日本経済がどこまで伸びておるか、あるいは本当に元気なのか、この行き先はどうなるのかということを真剣にお考えになっておられるわけでありまして、最近は、会うたびに、日本経済もようやく明るくなってきてよかったですね、おめでとうございますとまでおっしゃってくれる人もあります。

 中には、先般韓国からおいでになりました将来の大統領候補の一人は、日本経済のこうした復活への力強いステップは、どうしてこういうふうな状況になったか、今後、経済産業省としては、明るい未来を展望しながら新経済成長戦略なるものをおつくりになっているようだが、それはいつごろできるのかという熱心なお尋ねがありました。私は、余りにもそのアプローチが熱心でございましたので、サービスをしまして、それでは、でき上がったらハングル語に直してあなたの方へお届けしよう、こう申し上げたわけでございますが、それほど日本経済について各国が注目しておる。

 その中で、私たちは、人口減少社会に突入するという大きな問題を控えております。しかしそれは、日本経済にとっても日本の社会にとっても重大な問題には違いありませんが、このことにばかり私は目を奪われておったのでは政治にならないのではないかと思っております。

 これは、猪口さんを担当大臣にして今、この少子化ということに対して取り組んでおります。いろいろな御意見や御主張をいただければどんどん取り入れてやっていこうという政府の姿勢でありますが、それはそれとして、我々も協力して一生懸命取り組まなきゃいけない。経済産業省は、あらゆる経済界にもお願いをして、子育てが円満に推移するように御協力を願いたい、そういう気持ちがあって、機会あるごとに御協力をお願い申し上げておるわけであります。

 私は、少子化、高齢化の社会だから、日本経済はこの先、非常に困難に直面するのではないかという見方は、賛成ではありません。それは、まさに逆風をついてということになるかもしれませんが、我々は、あえてこのことに挑戦をしようということから、人口減少社会、高齢化社会を承知の上で新経済成長戦略なるものを打ち立てようとしております。言いかえれば、だからこそ今、こういう思いもあります。ぜひ御理解を賜りたいと思うわけであります。

 そこで、製造業の国際競争力、これが一番大事だと思うんですが、それを担うのは中小企業の技術力だということを最近しみじみと思うようになってまいりました。ですから、先ほど来申し上げてまいりましたように、全国で優秀な中小企業を三百社選んで、近くそうした皆さんにも御上京願って、一緒になって議論しようというようなことも考えておるわけでありますが、これは、やはり国際的に、ほとんどが五〇%以上のシェアを持っておるという驚くべきデータが出てまいりました。そして、自信を持っております。

 大企業の皆さんが、しょっちゅう大企業の偉い人が私たちの工場を訪れてくれて、こんなものをつくってもらいたい、こんなものはできないか、何か新しいものができておるのがあれば見せてもらいたい、そして、自慢に言うわけではありませんが、大企業がこのごろは私たちのところへ足を運んでいろいろなお話をしてくれる、そういう時代に今なったんですと。しかしまた、こうした中小企業の皆さんは、大勢が働いているわけではないところの社長みずからがインターネット等を駆使して、経済財政諮問会議における議論はと、こうおっしゃるわけですね。それから、白書もちゃんと読んでおります、この委員会での議論もまた録画、撮っておいて、夜落ちついてからこれを拝見しておる、こう言われるわけでありますから、本当に御苦労をしておりますが、私は、将来に明るいものを感ずることがしばしばございます。

 そういう次第で、これから、選び抜いた基盤技術というものに対して積極的に支援して、これを基本として我が国の経済力をさらに高める、そして、議員御指摘のように、それが日本経済の安全保障にもなる、日本経済の将来を担っていただくことにもなる、こういう思いを込めて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

増原委員 大臣、どうもありがとうございました。

 いわゆるニッチマーケットから、今から十数年前に名古屋でお聞きしたトヨタと日本電装、今デンソーですか、それとの関係を何となく思い起こしたような次第でございます。

 残された時間が相当迫ってまいりましたので、質問をはしょって、あと二点だけ申し上げたいと思います。

 第一点は、先ほど御指摘がありました技術別指針、これは非常に大きな役割を占めるんではないかと思っておりますので、簡単で結構ですから、ポイントだけをお願いしたいと思います。それから、今言われております知的財産の問題、知財関係について、これもポイント。あとは、何といっても人材、人材の確保、育成かなというふうに思っておりますので、長官の方で結構でございますので、手短に、簡潔にお願いしたいと思います。

望月政府参考人 技術別指針につきましては、これは、ものづくりのそれぞれの基盤技術ごとに、川下の大企業のニーズや技術課題というものを整理いたしまして、川上の中小企業の技術の高度化の方向性を示すものであります。いわば技術開発の羅針盤になるようなものだと思っておりまして、大変重要なものだと思っております。

 この指針の具体的中身でございますけれども、例えば燃料電池の触媒などのことを考えてみますと、白金メッキというのが非常に重要な技術なわけでございます。燃料電池はこれから大変コストダウンを図らないと使い物にならない、要するに値段の問題になってきているわけで、そのときに白金のような高いものをどれだけ少なくて済むかということが一つの開発の要素になっているようでございますけれども、その際の基本技術がメッキになるわけで、薄膜メッキをどれだけできるか。

 こういった具体的な個別技術の高度化の目標、この程度までやるべきだという目標、あるいは実施方法などについて、できれば英知を集めてそこにかけたいというのが技術別指針の基本的な要素でございます。

 それから、知財のお尋ねがございましたけれども、これにつきましては、中小企業にとっては知財を維持するというのは大変なことでございますけれども、何とかその一助にもなるようにということで、この法律におきましても、特許の審査請求料や特許料の負担につきましてこれを軽減する、私どもとしては具体的には六年ぐらいの間に半額にしたいというふうに思っておりますけれども、そういったもの。

 あるいは、地域におきましては弁理士さんも数少なくてなかなか難しいわけでございまして、地域のそういう問題に対処するために、いわば知財駆け込み寺となるような場所を、商工会議所とか商工会と連携をいたしまして、対応できるような相談窓口をつくりたいというようなことを今考えております。

 それから、人材の育成や確保につきましては、ことしから実は、地域の産業界と大学が連携をして、ものづくり現場の技術を地域の若者でその人材を育成するということをやり始めておりますけれども、さらにこの法律成立後には、地域に確立をしてきました工業高専など、あるいは場合によっては工業高校かもしれませんが、工業高専などとその地域の中小企業が連携をいたしまして若手技術者の育成事業をするというようなことを支援してまいりたいと考えているわけでございます。

増原委員 最後に一点だけお願いを申し上げたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、これからの世界の経済情勢等を考えますれば、原燃料はもとより、食料につきましても大幅な価格の高騰が起きるんではないかというふうに懸念をいたしております。

 歴史を振り返ってみまして、世界の工場イギリスが、貿易赤字になった瞬間から転落を始めたわけであります。当時まだイギリスは、基軸通貨であるポンドを持っていたわけですね。ポンドが、基軸通貨、ドルに取ってかわられました。今のアメリカは大幅な貿易赤字をやっておりますが、これは、ドルが世界の基軸通貨だからもっているわけでありまして、残念ながら、我が国の円はそういった存在にございません。そういう意味で、もし我が国の貿易収支の黒字が赤に転化をするということになった場合は、恐らく、大変な勢いで、奈落の底に落ちるような円安が生じるとか、大変な我が国の経済に混乱をもたらし、また、安全保障の観点からいっても問題があるんだろうというふうに思っております。

 そういう意味で、製造業をより力強いものにしていただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

石田委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 おはようございます。

 公明党の桝屋敬悟でございます。

 本題に入ります前に、大臣に二つほどお話を申し上げたいと思います。

 一つは、大臣、いよいよ昨日の本会議で行革の特別委員会が設置されることになりました。どういう中身でどういうふうにやっていくかというのはこれからでありますけれども、とりわけ私、行革も担当しておりますから、経済産業の部会長、それから行革の担当という二足のわらじを履いておりまして、まことに苦しい思いをしておるんでありますが、先日も、商工中金のあり方について特段の御要請を官邸にいたしました。いたしましたが、安倍官房長官からは、あなたは行革もやっているんでしょう、しっかり行革やってくれ、こうも言われて、いやいや、それはそうだと言って帰ってきたわけでありますけれども。

 先日のこの委員会の参考人質疑でも、川上企業の橋本さんだったと思います、参考人から、あえてこの場においでになって、商工中金の役割というものについて論及をしていただきました。一応、行政改革推進法案の中では、随分苦労しましたけれども、完全民営化という言葉も入った、そして、政府出資の処分という言葉も入り、さらには、しかしながら、中小企業等に対する金融機能、この根幹はぜひ維持するような必要な措置を講ずるんだ、こういう法文の構成になっているわけであります。この中身、しっかり今から特別委員会で議論していきたいというふうに思いますが、先日の参考人の思いもしっかり受けとめて、私は、やはりぜひ必要な措置ということについて、与党の一員として、しっかり行革の委員会で頑張っていきたいと思っております。

 私は、政府、与党一体となって、この行革推進法案、どれぐらいの時間がかかるかわかりませんが、きちっとした議論をしなきゃならぬ、いい結論を出さなきゃならぬ、こう思っているわけでありまして、今から、恐らく来月の頭からだろうと思いますが、具体的な議論が始まるこの段階において、政府一体となった取り組みを、その環境づくりにしっかりと取り組んでいただきますように、冒頭、大臣にお願いもし、大臣の思いを改めて聞かせていただきたいと思います。

二階国務大臣 桝屋議員には、郵政民営化の難しい法案を処理する上におきまして大変な御活躍をいただいたわけでございますが、今回また政府にとって極めて重要な意味合いを持つ行革法の中心的な役割を果たしていただくことになりまして、一度お目にかかって詳しく御意見等を拝聴したいと思っておりました。きょうは大変いい機会に恵まれたという思いを持っております。

 先ほど桝屋先生からお話がありましたとおり、今回のこの商工中金民営化に伴う今後の運営等につきまして、先般、公明党の白浜先生を本部長とする中小企業活性化対策本部、その中の経済産業部会長としての桝屋先生が官邸においでになりまして、商工中金を民営化するときにはきっちりと行うことだと、これは行革の立場からそういうことであります。私ども経済産業省も、商工中金の民営化、完全民営化については、イの一番に賛成したのがこの経済産業省であります。行革は賛成します、当然のことであります。しかし、中小企業のこの金融という問題については、中小企業の皆さんにとっては、改革をしてくださったことが、本当に使いでのいい、我々の頼りになる商工中金になったと思っていただけるような、そういう改革であってほしい、またそうでなければならないと思っております。

 私は、そういう意味で、この行革法案の審議というものは極めて重要な意味合いを持つ委員会になるであろうと思っております。全国の中小企業の皆さんがこの委員会に、まさにかたずをのんで注視をしております。それは、自分たちの今日まで頼りにしてきた商工中金のその機能が存続されるのかどうかということであります。我々は、与野党通じて、特に経済産業委員会の皆様のお力添えをちょうだいしながら、私どもとしては、政府一体の中で、この問題に関して、いわゆる中小企業の金融に関しては、全力を尽くして中小企業を守るという立場で、この私たちの考えを貫徹したいというふうに考えております。

桝屋委員 ありがとうございました。

 私自身も特別委員会に参画させていただくようになりましたので、今の大臣の思いや、あるいはこの経済産業委員会から特別委員会に行くんだ、こんな思いで頑張りたいと思いますので、しっかり連携をとらせていただきたいと思います。

 さて、中小ものづくり高度化法案の審議、中身に入りたいと思っております。

 私は、この経済産業委員会は本当に初めてでありますから、ずっといろんな資料を読みまして、ころころころころいろんなプランやいろんな計画が次から次に出ていて、これは追っかけるだけで、今までの整理をするだけで、まだ頭が十分整理できておりません。先ほどの同僚の増原委員の議論を聞いておりまして、今回の法案の意義づけといいますか位置づけといいますか、随分理解をさせていただいたように思っております。ものづくりということがこれからの日本の産業競争力にとってどうしても必要なことである、まさにそういうときを迎えている、こういう論点であります。

 私は、最初に大臣に伺いたいのは、経済産業省の政策として、例えば、平成十一年、あれは議員立法でありましたけれども、ものづくり基盤技術振興基本法、基本法をつくりまして、さらには十二年に具体的な基本計画も策定をされ、具体的な取り組みが今日まで行われてきた、こういう経緯があるだろうと思いますが、その中で、なぜ今回新たな法律を制定しなきゃならぬのか、その必要性が経済産業省の政策としてどこにあるのかと。そして、大臣が、今から二階大臣のもとで三プランの策定という作業、これからの展開の中でプランの策定をされているというふうに理解をしておりますが、そうしたこれからの展開の中でこの法案がどういう役割を果たすのか。そうした観点から、いま一度大臣の御所見を伺いたいと思います。

二階国務大臣 今御審議をいただいておりますものつくりの法案につきましては、私ども、やはり日本の産業を支える最も大事な産業はものつくり産業であると。同時に、それは日本の産業の大宗を占める中小企業の皆さんが幸いにしてこの中心を担っていただいておる。そういう観点から、私たちは、日本の中小企業を立派に支えていくために、新たな観点、それは、グローバルな点を重視しなくてはならないと同時に、地方の活性化という点にも大いに力を注いでいかなくてはならない。私は、この二つの極めて、ある意味では種類の変わった命題でありますが、しかし、あえてこれを、連立方程式を乗り越えていくその気概がなくてはならないと思っておるところであります。

 加えて、少子高齢化の時代を迎えております。少子高齢化の時代を迎えたということになると、すぐ経済の成長率が落ちる、あるいは産業の勢いがそがれてしまうということを短絡的におっしゃる方は多いわけでありますが、私はそうではないと。

 つまり、今生まれたお子さんが日本の産業界を担うまでにはあとどれだけ時間がかかるかということになりますと、現在、日本のあらゆる分野で指導的立場あるいはまたそれを支えている立場の方々、この人たちは、少子高齢化の時代だからといって何もしないでおってそれを嘆くだけでは、本当の意味での社会人といいますか、いわゆる日本の大人という点からいいますと、私は、ここで踏ん張らなきゃいけないと。

 それで、あえて逆風をついて、この時代にも経済の新しい成長戦略を編み出していこうという決意から、前にお出しいただいた経済計画の表紙を変えるという程度のものではなくて、全く一からつくり直す。同時に、今度の場合には、学者の意見を聞く、それも参考にしなくてはなりません。いろいろな社会の指導者の皆さんの御意見を聞くことも大事であります。同時に、全国に点在、駐在をいたしております地方局の二千人の職員がおります。そこを総動員して聞き取り調査を今させていただいております。そんなことを中心にして、生きた経済計画に仕上げていきたい。

 そして、でき上がった経済計画は、一行たりともおろそかにしない。その一行の中から生み出す新しい施策、それは何々課の担当であり、何々課長の担当であり、何々係長の担当になるわけでありますから、そこでお互いに英知を結集していこう、そういうもう役所を挙げて取り組んでいこうという気概でありますから、従来のことに対して私は批判を加える立場にはありませんが、従来のものとはいささか趣を異にするものであって、皆さんの御協力をいただきながら、各党の御協力をちょうだいしながら立派なものに仕上げてみせる、そういう気概を持っております。

桝屋委員 大臣のかたい決意を聞かせていただきました。

 今大臣おっしゃったように、表紙を変える程度の取り組みではないんだ、そっくり中身を入れかえるような決意でと、こういうお話をいただきました。そうしたお話を聞けば聞くほど、私自身も、経済産業省の今までの取り組みというものをよく踏まえて勉強してみたい、こういうふうに思っているところであります。

 具体的な中身に入りたいと思いますが、先ほどもお話が出ました、今回のスキームの中でまずやはり最も大事なことは、特定ものづくりの基盤技術高度化指針をつくる、こういうことでありまして、この指針の策定ということが極めて大事なことだろうと思っております。

 そこで、まず最初に、具体的なことを確認したいんですが、指定される特定ものづくり基盤技術、この技術がどの程度になるのか。技術ごとに指針をつくるという、国が将来を展望し、つくるわけで、極めて国の責任も重たいと思っておりますけれども、この技術が、基本法では二十六の技術を想定しておりますが、そのうちどの程度のものになるのか、今どういう準備をされておられるのか、確認をさせていただきたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、基本法にある二十六の技術の中から、特に製造業の分業工程の中で中小企業が相当程度を担っている生産工程であるか、あるいは川下製造業の品質、性能、コストなどの競争力にとって重大不可欠であるかというような点につきまして、川上の中小企業や川下の製造業の関係の民間の有識者あるいは学識経験者などで構成されます技術ごとの検討会でしっかりとした議論をした上で指定することといたしております。

 現時点では、鋳造、鍛造、プレス加工を初め、もう既に準備として十七程度の技術の検討会を今組成をして検討中ではございますけれども、法律が成立いたしましたところでこの検討会を正式に、技術選定の手続に入っていきたいというふうに思っております。

 ただいまのところは十七でございますけれども、技術は常に進歩するものでございますし、それから我が国の製造業の競争力の強化に資する中小企業の技術については、必要に応じて柔軟かつ迅速に追加指定もやっていきたいというような仕組みを考えているわけでございます。

桝屋委員 そうしますと、今十七ほど事前準備として検討会を始めていると。これはもちろん、現場の川下、川上も関係者が入って、それぞれの技術ごとに検討されるんだろうと。しかも、その技術については、基本法に言うところの二十六ではなくて、新たに技術そのものを今一緒にしたり、検討されているということだろうと思います。

 端的に言いますと、この指針をつくるときの目標年次あるいは目標の期間というものはどれぐらいのスパンで、技術開発でありますから、どのぐらいかなんて、私は全く素人でありますから、どんなふうにされるのか、それについては当然変更、見直しということもあるのか、そんなことを確認したいと思います。

望月政府参考人 指針の中では、恐らく多くの分野において、高度化の方向性や目標を示すに当たって、一定程度の目標年次とか目標期間というものを定めていくことが多いのではないかと思いますし、それが川下大企業に部品を納入することの多い中小企業にとって研究開発の目標にもなるということだろうと思います。

 こういうふうに考えますと、余り過度に長期にわたる目標というのは適当ではないと思っておりまして、これは技術のケースで検討はされることと思いますけれども、おおむね三年から五年ぐらい以内に川下産業に必要とされる技術開発の目標というものが一つ考えられるターゲットではないかと思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。わかりました。

 今御説明ありましたように、指針は技術ごとにつくる、そして、とりわけ川下産業の最先端のニーズを反映させたものにしなきゃなりませんし、人材育成とか知的資産の活用のあり方、こうしたことまで含まれるというふうに理解をしております。

 参考人からは、特に伊丹参考人からは、この策定のプロセスが大事なんだと。伊丹参考人はその席から、この際、中小企業のお役人の頭も変えたいんだみたいな発言もあったわけでありまして、そういう意味では、先ほど大臣がおっしゃった、それこそ地方局二千人の皆さん方のやはり現場との交流とか調査、そうしたものを積み上げながら作業していかれるんだろうと思いますが、具体的に策定作業はどのように進めるのか、現場の事業主等から幅広い意見を聞く必要があるんじゃないか、こういうふうに思っておりますが、その辺の具体的なプロセスについてお答えをいただきたいと思います。

片山大臣政務官 御指摘のとおり、参考人の方々からも、このプロセスが非常に大事であって、これがうまくいくかどうかによって、まさに魂が入った制度になるかというようなことがあるという御指摘がありましたが、私どももまさにそのように考えております。

 具体的には、その対象となります基盤技術を有しております中小企業の方々、そしてそのニーズを有している川下の製造業者の方々、それから基盤技術に精通した学識経験者などから構成されます検討会を立ち上げまして、これらの有識者の知見を結集させることなどによりまして、指針をつくっていくというプロセスを考えております。

 当然、民間の知見の中には、委員御指摘の現場の声的なもの、現場の感覚が一番大事でございますから、現場の声的なものも結集した取り組みとなるようにすることによりまして、ものづくりの中小企業が目指すべき、実効性のある、具体的な研究開発の目標を示すことができるようにプロセスを考えてまいりたいというふうに思っております。

桝屋委員 この指針は国が、大臣がつくるわけでありますから、指針をつくって、しかもその指針の中には具体的に目標年次や目標設定がされるわけでありますから、実際に振り返ってみると大きな成果が得られないということでは、これはもう本当に意味がないわけでありまして、そういう意味でもこのプロセス、しっかりやっていただきたい、こう思っております。

 こうした声があるかどうかでありますけれども、結局は、ターゲットを決めて事業展開をするわけでありますので、やはり特定の技術開発あるいはその高度化という特定の分野だけに、十七であれば十七でしょうか、限られるのではないかと。結局、一定のところ、一部の者だけが恩恵を受けるということになりはしないか、こうした全体のスキームが中小ものづくりの皆さん方にどこまで普遍化できるかということもいささか心配するところがあるんですが、そうはいいながら、選択と集中ということで今回はターゲットを決めてやっていくんだ、こういうことかもしれませんが、そうした一部の人に限られたものになりはしませんかという声に対しては、どのように御説明をされるのか、伺いたいと思います。

片山大臣政務官 まさに今回は、すぐれたものづくりの基盤技術のさらなる高度化ということになりますから、相当すぐれたレベルというか、実践的であり、かつすぐれた技術開発をつくっていくということになるので、もちろん選択ということはなされるわけでございますが、他方、そのようなすぐれた技術を持っている中小企業というのは、よく一定規模以上になるのではないかということをおっしゃる向きもあるんですが、総理もいろいろな中小企業を御視察されておりますように、まさに中堅企業ではなくて大きさ的に小規模企業の中にでも非常にすぐれた技術を実際に有しているところが頑張っております。

 まさに、そういった規模や特定の業種、特定の地域にかかわらず、このようないろいろな技術を開発できる潜在的な能力を持った幅広い中小企業が今回の施策の支援の対象になるように、またそれらの方々が意欲を持ってこの政策を活用していただけるように、我々もそういった展開に努めますし、政策の広報にも相努めて、できるだけ幅広く、偏りなく、また規模が大きいところだけになるようなことにはならないようにということを考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 次に、実際にその指針に基づいて、それぞれの業者がグループをつくりまして、コンソーシアムをつくって計画をつくる、そして認定を受ける、こういう段取りになるわけでありますが、その認定の考え方であります。

 今もお話がありましたように、まさにターゲットを決めてこの事業というのは展開されるわけでありまして、この前の伊丹参考人もトップの次のグループあるいは富士山の七合目とかという話もありましたけれども、そうした非常に戦略的な目標があるわけであります。

 ところが、法律をずっと読んでおりますと、提出された特定研究開発計画につきましてどういうふうに認定をするか、法文の中では、国が決めた高度化指針への整合性あるいは計画の遂行可能性、当然その中には協力者とか資金の調達といったことが入るんだろうと思いますが、いわゆるトップの次のグループを認定するんだということが法文上出てまいりませんが、そこはどのように認定をされるのか。これは、認定基準を明らかにするということも大事だろうと思っておりますが、御説明をいただきたいと思います。

望月政府参考人 今回の法律のねらいが、我が国製造業の国際競争力を支えるすぐれた技術力を備えたものづくり中小企業群、その層を厚くするということが非常に大きな目的でございます。

 そのためには、もちろん手続的には、先ほど来御質問ございましたように、指針を幅広い民間の英知も集めて、日本国の英知を集めてつくるというプロセス、これも非常に大事でございますけれども、そこで書かれたことの中で我々が共通にイメージしなきゃいけないことは、今申し上げたすぐれた技術力を備えたものづくり中小企業群の層を厚くする。それは、今その層にいる方々もそうでございますし、それから、その層になろうとして挑戦する中小企業もこの政策の対象にしなければ意味がないわけでございます。そういうものも含めて今回の政策の対象にしたい、こう思っているわけでございます。

 確かに、トップ下とかトップ層だとか、あるいは伊丹先生おっしゃった七合目とか、そういうお言葉はございますけれども、これは確かに私どもの答申にトップ下、トップとか書いてありますけれども、最近なるたけ政府の答申も一般にわかりやすくということで文章をわかりやすく工夫されてございますけれども、そのトップというのは何だあるいは七合目とは何だということについて、これを現実の法律の世界へ移しかえていった場合になかなか難しいわけでございます。

 そういう意味で、私どもは、原点に返って、今回の目的が我が国製造業の国際競争力を支えているような技術あるいはそういう技術力を持っている層を厚くするというところに常に戻ってまいりたいと思っているわけであります。その層に入りたいと思って努力をしよう、挑戦しようとする中小企業の方々すべてを対象にするということが原点ではないかと思います。

 具体的な指針の書き方になってまいりますと、これが川下企業の製造に関して、先ほどちょっと申し上げましたけれども、製造プロセスに重大、不可欠な効果をもたらすものであるかとか、そういった個別の技術についての評価基準はおのずと書かれていくというふうに考えておりますけれども、最終的な物の考える原点はさようなことでございます。

桝屋委員 今回は、認定を受けたグループが、支援として戦略的な技術基盤高度化支援事業、六十四億円、これを使うわけですね。したがって、そこは非常に重要、その支援策に絡むんだろうと思うんですね。

 それはやはり、この支援を受けてぜひとも開発にかかりたいというところが出てくると思うんですが、トップの次のグループなんというのは、今いみじくもおっしゃったように、その概念というのは、言葉としてはわかりますけれども、それが本当に認定をされるのかどうか。下手をしたらトップの皆さんが、トップの次と思ったけれどもトップだけがみんな持っていっちゃうということがあったのではならぬわけでありまして、そこは本当に大丈夫かなと思うんです。

 申請は、それぞれの地方の経済産業局を通じて申請をするということになるんでしょうが、具体的な認定に係る審査というようなことは具体的にどうなるのか、いま少し御説明をいただきたいと思っております。

望月政府参考人 これは通常、私ども研究開発の委託、補助などのときによく、最低やらなきゃいけない話でございますけれども、外部の有識者の知恵をかりて審査、判定をするということでございますから、いかなる形になるか、きちっとはまだ詳細は決めておりませんけれども、審査委員を外部委託して、その中で客観的にやっていくということが一つでございます。

 それから、今回の場合には技術指針というのが先につくられるわけですから、それとの関係で適合性があるかどうか、役人の目で見たところも審査の過程では必ず必要だろうということだと思いますし、技術の中身についての正確な理解ということも非常に重要だろうと思います。

 そういう外部と内部と合わせた委員会のようなものをつくって、客観的に評定をしていくということになろうかと思います。

桝屋委員 仮にも、役人の目で見てというお話もありましたが、恣意的な認定ということがあってはならぬわけでありまして、そういう意味では、ちょっと具体的な執行で御説明いただきたいと思うんです。

 順番ちょっと入れかえますけれども、今回の六十四億の予算執行に当たりまして、経済産業省とそれから独立行政法人中小企業基盤整備機構との役割、両方の役割があるようでありまして、予算執行も非常に分かれておやりになるようでありますが、そこの辺は、今の、恣意的な認定がないか、本当に的確なところへ認定をされるという担保があるのかどうかということ、それが一点。

 それから、参考人は、一億円というのはちょっとでかいな、びっくりするような数字ですという説明もありまして、いや、うちはどんなにやるにしても一千万とか二千万とかという単位もあったのですが、その辺の、認定される事業の規模についてどのぐらい幅があるのか。あわせて御説明をいただきたいと思います。

望月政府参考人 今回の研究開発の際に一番標準に考えておりますのは、やはりこれに関心を持つ数社の方々が共同で研究開発する、こういうことになろうかと思います。

 その際に、これはいろいろな技術を対象にしておりますので、業態がそれぞれ違う場合がございます。比較的狭い地域の中で協力する方々が近く存在しているようなところ、かつ小規模でやられるような場合は、私どもはむしろ現場に近い局経由でその審査をしていただいた方がいいのじゃないかと。

 それから、日本全体にかかわるような比較的幅広い効果のある技術開発をするような場合、業界全体がある程度やっていかなきゃいけないというような場合になりますと、これはむしろ中央で全体を見ていかなきゃいけないし、技術の広がりも非常に広いものでございますので、スタッフを抱えた中小企業の基盤整備機構の窓口でやることが、もちろん私どもも協力して共同でやりますけれども、窓口としてはそういうふうにした方がいいのじゃないかと。

 そうなりますと、これはある種観念的にはなりますけれども、一つの外形標準として一億というところで切って、小規模のコンソーシアムみたいなものは地域で、大規模のコンソーシアムみたいなものは中央で、こういう形になろうかと思っております。

 それから、先ほどのお尋ねの、参考人が言っておられた、一億円というのはなかなか大き過ぎてという話でございますが、今の私の御説明で申し上げましたように、数社でコンソーシアムでやるケースがございますので、一つの目安の一億円程度の話であっても、数百万から一千万とかそういう個々の企業単位に分けて分担が行われるというのが例えば地域のケースなどでは多いのではないかと思っておりますので、予算の有効活用という観点からは、そういうものを拾っていくというのは大変大事なことではないかと思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。大分イメージが見えてまいりました。

 そこで、これも同じく参考人が若干吐露された意見でありますけれども、そうした中小企業が大企業とともにコンソーシアムを組んで研究開発に当たるというスキームでありますけれども、一緒にやりますと、確かにメッシュ構造になった、今までの系列関係は壊れてきたという状況がありますものの、やはり大企業が中心になって引っ張られるのではないか、こういう不安。あるいは、仮に一緒にやる場合でも、やはり中小企業の側が不当不利な扱いを受けることになりはしませんかという質問もありましたし、お答えも、やはり若干不安なんですという声もあったように感じておりますけれども、こうしたコンソーシアムを組む場合の中小企業の不安に対してどういう対策が講じられているのか、お答えいただきたいと思います。

片山大臣政務官 まさに御指摘の点は、参考人質疑のときもございますが、伝統的にやはり大企業が中堅・中小企業と組んでさまざまなプロジェクトや技術開発を行ってきたという我が国の産業のさまざまな過程の中では非常に多く聞かれるお話でございまして、その辺の御懸念があるということも全く十分な理由があるわけでございます。

 特に縦の系列の関係が強かった場合によく起きたことですが、中堅・中小企業側の技術者が本来発明者であったのじゃないのかなという場合に、最終的な特許がどこに所属しているかというと、大企業になっているなというようなこともなくはなかったわけでございますが、今回の場合、そのスキームの組み方として、やはり中小企業側がある程度の素材、部材の技術を提言しながら相手を見つけていくというような流れの方も考えられるようなスキームでございます。

 また、開発の寄与度等をもとに適切な成果配分がなされるのかということは、最終的にはおのおののコンソーシアムにおいて民間のある程度の契約をもって決めることにはなりますが、そういった全体のプロセスも含めて、経済産業省も、あるいは独法である中小企業基盤整備機構も、そしてその外部の経験者等を入れた審査委員会も、プロジェクトの公募の時点から提案を受けてその経過を見ていく事態までずっとフォローして、ある程度プラン・ドゥー・チェック・アクションでフォローしていけるわけですから、その過程で余りにもおかしいということがあれば、定期的な評価を行ってその実施状況を確認するということなどによりまして、適切なやり方で行われるようにというような見守り方は十分できるようなことになっていると考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 先日の参考人の質疑を聞いておりましても、中小企業って決して弱くないなと。本当に意欲を持っているような方々は大変なパワーを感じておりまして、私はこのスキームではそんなに不安は感じていないのでありますけれども、そうした配慮もお願いをしたい。

 もう二点だけちょっと確認をしたいのですが、一つは、川上・川下ネットワーク構築支援事業、新しい予算が入っておりますけれども、この予算でやるまさにすり合わせの場づくりみたいなことをおやりになるのでしょうが、これが今の全体のスキームの中でどういう位置づけになっているのか、この予算の執行がどんなイメージなのか。

 それから、もう一点だけ、技術の伝承ということで、データベースというのは、この前も参考人に聞いてみましたけれども、いや、それは確かにITでやられるところもあるけれども、まさに職人のわざというのは、ITでやるというのは、最後のところはそれは無理ですねというような発言もあったのですが、この二点、どういう取り組みなのか、伺いたいと思います。

望月政府参考人 先ほどのネットワークの構築支援事業、これは、やはり個々の業態によって相当違います。したがって、自動車産業なのか情報家電なのかで随分違うと思います。したがって、先ほどの技術別指針をつくるときに、その中の項目の一つとしても、これは関係業界が入ってつくるわけでございますので、それぞれの業界に即した形でこういう川上、川下の出会いの場をつくるのに有効だ。例えばフォーラムをやって、シンポジウムをやることも有効であろうかと思いますし、先ほどちょっと申し上げた逆見本市みたいなものをやってみたらどうかということもあろうと思いますから、それはそれぞれの業態に応じて、その指針の中で検討しつつ提案をしていただくということが基本ではないかというふうに思っております。

 それから、技術のデータベースの問題でございます。

 これは実は、あの参考人のおっしゃっていることが非常に正しいことでございます。それで、我々、多分過去にデータベースを、事業承継をしたり後継者に承継させるためにIT化するという努力を相当したわけです。一定の成果は上がっているわけでございますが、実は、それにプラスその熟練者の隠し味みたいな修正を加えないと、単純には承継できないというのが現実の非常に難しい部分の問題でございます。

 したがって、今回の承継の話は、そういう単純にデータだけでIT化をした部分に加えまして、熟練工が、今まで実は知らず知らず勘でやっていた部分だとか、頭の中で重きを置いていた部分だとかいうものを、できる限りフォーマットのような形で、定性的ではあるのですけれども、書き出させた上で、それを隠し味としてデータベースの中に加味させていく。これは、例えばプロの後継者、彼の後を継ぎたいと思うある程度の能力のある方がごらんになると、ああ、こういうことをするときに、実はこの人は、温度についてもうちょっと関心を持ってある数字をつくったんだなとか、あるいは、この強度の壊れやすさについて相当心配していたんだなというようなことを、そのフォーマットの中から読み取ることができることが可能じゃないかというのを今一生懸命研究しているわけでございます。

 そういう今までの単なるIT化から一歩進んだようなデータベースをつくってみようじゃないか、あるいはそういうことでもしない限りは技術伝承というのはなかなか難しいなということを今研究しているところでございまして、予算額としては大変少ない予算額ではございますけれども、そういうデータの取り込み方みたいなことを共通に研究するということでございますので、今あるIT化について議論を申されれば、参考人がおっしゃったように、なかなか難しいというのは正解だろうと思っております。

桝屋委員 ありがとうございました。

 IT化によってより高度化、今後の高度化を目指していこうと、私は大事な作業だろうと思っております。

 最後に大臣に御決意を伺いたいと思ったんですが、先ほどの大臣の大変な御決意を伺いまして、この法律もさることながら、大変な決意で今大きなプラン策定に向けて取り組まれているということを伺わせていただきましたので、我々も与党の一員としてしっかり頑張っていきたいと思っておりますので、これで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、松原仁君。

松原委員 松原仁でございます。

 私、地元が大田区、品川区ということでありまして、大田区の特に町工場をずっと長い間歩いてまいりました。特に、二十八歳から約二年間、大田区の商工会議所の中に机を置かせていただいて、さまざまな勉強をする機会がありまして、特にやはり、大田区の商工会議所、もちろん、商業というんですか、商店街の振興ということも極めて重要でありますが、ものつくりというのは、大田区においては大変に高度な技術力が集積をしていたわけであります。

 関満博さんという方が、当時、東京都の指導主事でおりまして、彼が、今大学の先生をやっておりますが、大田区もしくは品川区の城南地域の中小企業というのは、言ってみれば母工場機能を持っている、こういうことをよく語っておりました。

 母なる工場機能というのは一体どういうものかというと、抽象的ではありますが、工場をつくる工場だと。つまり、工場をつくる工場、例えばベルトコンベヤーのアセンブリーライン等をつくって、大量生産は、日本の他の地域や、もしくは他の途上国とか人件費の安いところで行われることがあるだろう、しかしながら、大田区において、品川区において、城南地域において、そういったものの大量生産に行く前の工場をどのようにしてつくるか、どういう技術を使うかというのはそこで決まるんだというふうな話で母工場機能ということを言っていたわけであります。

 しかしながら、実際、そういった中小企業、大田区も品川区も大分歯抜け状態になってまいりました。事業承継がなかなかうまくいかない、相続税が高い。

 これは前から議論があったわけでありまして、やはり、農地の相続に比べて工業用地というのは相続が厳しいから、一つの工場で、では相続税を払おうね、ここだけ売るか、そこを売っちゃうと一つの有機的な工場の機能はなくなってしまうから、できませんよと。

 こういう部分のことに私はさらに二階大臣が率先して取り組んでいただきたいと思うんです。これは質問通告していなかったわけでありますが、事業承継のこういった相続税の部分に関して、この辺から、二階大臣が扱う課題として、一つ頭の中にあるのかどうかも含め、ちょっとお答えいただきたいと思います。

二階国務大臣 松原議員は大田区を中心にして長い政治活動を続けてこられたわけでありますが、その経験に基づいての発想だと思って、先ほどから傾聴しておりました。

 私は、ただいまの御発言の趣旨は、例えば私の郷里なんかは林業がかつて大変盛んでありました。この林業のいわゆる山持ちと言われる人たちも、相続税という問題が一番の悩みであります。それと同じように、今おっしゃるように、一定の工場を持っておって活動しておった、それを次の時代に譲ったときに、相続税の関係で売り出さざるを得ないというふうな状況にあるという今のお話を伺いながら、我々は、これから中小企業を中心にして日本のものつくり産業をさらに活発にしていこうという上において、今お話をいただきましたことなどは、今後、大いに検討をしなければならない問題の一つであろうというふうに受けとめております。

松原委員 大変に前向きな御答弁をいただいたと思っておりますが、昔からよく言われているのは、今の部分に関して言えば、あきらめながら中小企業の社長方は言っている。農業は、政治がそういった意味で、相続のときにいろいろな、通常の例えば百分の一だったり、正確には、計算すると七百分の一で贈与が行われる。中小企業は、例えばそれが株式会社形態であっても、株式は実際は流通していないわけですから、結果として個人と同じ扱いで相続税を払う。その段階で、今言ったように工場の三分の一を売らないと相続税が払えないとなったら、もう廃業するしかない。

 つまり、もっと極端に言えば、農業は農業で、これは大事な基幹産業でありますが、農業の場合は三分の一の土地を仮に売っても三分の二でできるかもしれぬ、しかし工場は、ベルトコンベヤーの三分の一がなくなっちゃったらできなくなってしまう。

 こういう税制上の問題というのは極めて重要でありまして、もちろん、今回経済産業省が出してきた、ものつくりの基盤技術振興基本法を超えた新しい高度化の法案は大事でありますが、実は、これだけではなくて、もっと周辺を固めていただきたいというふうに思うわけであります。

 きょうも時間があれば最後にちょっとお伺いしたいと思っていたのは、先ほど桝屋さんの質問でもありましたが、政府系金融機関で商工中金とかがある。いわゆる中小企業にとって、これも二階大臣御案内のとおりに、べったり貸しというのがあるわけです。

 それは何かというと、中小企業は、日本の場合は、税率が極めて高い状況で、法人税が今まで高かったわけですね。世界の中で日本というのは法人税が最も高い国であったから、それであるがゆえに、なかなか資金の内部留保は歴史的にできない経緯があった。だから、何か新しい新規事業や開発をする場合は金融機関からの借り入れでやる。これはヨーロッパやアメリカとかなり違う部分だと私は思うんです。

 借り入れでやるそのお金は、短期借りというよりは、イメージとしては、べったり貸しと俗に言うのは、資本としてお金を出資するような認識を、実際それは、建前は違うけれども、本音は、出す側も資本参加をするような意識で、一緒に共同開発ができるかどうか本気で考えましょう、中小企業も、一緒になってやってくださいというふうな認識の、そういうお互いのコミュニケーションが政府系金融機関との間には成立をしてきたわけであります。

 それが、単純に、いわゆる銀行屋的な発想で、おたくにこれだけ貸せばこれだけ利益が上がります、これだけ利息を払ってもらえますか、元本をこのときまでに返せますか、そういうのではなくて、資本参加的なイメージでお金を貸す政府系金融機関がなくなったら、私は日本の中小企業は大ダメージだと思うんですね。

 ですから、今、小泉さんは行革行革と言っているけれども、それは結構であります。しかし、彼に、総理大臣に、この点について、恐らく総理大臣は認識が十分いっていないと思うので、ぜひとも二階大臣には、中小企業に対する金融機関の貸し付けのあり方は、通常の貸し付けとは違うんだ、五年返済とかではないんだ、やはり商品開発を含めての長期のスパンの中で資本的な参入をしているんだということを訴えていただきたいと思います。

 私は、恐らくアメリカの、アメリカにこういう閣議があるかわかりませんが、であれば、アメリカの中小企業担当大臣は、烈火のごとく、この政府系金融機関の統合で中小企業のための金融機関をつぶすことは断固として私は許さない、私の後ろにいるたくさんの、何百万の中小企業もそれを許さないだろうと言って、それは徹底的に闘うと思うんですよ。

 そういった部分で、先ほど桝屋さんの質疑に対しても大臣は本当に前向きな御答弁をいただきましたが、もう一回御答弁いただきたいと思います。

二階国務大臣 構造改革、行政改革、小泉総理がまさに長年心に温めてきたものを政治生命をかけて改革に取り組んでこられたということは、私は、国民の皆さんも高く評価をしてくださっておると思っております。そして、今度の金融改革、これもなかなか簡単に手がつけられるようなテーマではありませんでしたが、ようやくこれもここまで進んでまいりました。

 そこで、私ども経済産業省としましても、中小企業をお預かりする立場から、この問題は極めて重大なテーマだと思っております。それだけに、今度の金融改革、政府系金融機関の改革に際しましては、基本的には完全民営化に賛成をいたしますが、中小企業の皆さんに不安を与えることのないように、現在、商工中金を頼りにして活躍をしていただいておる中小企業の皆さんが、今よりも使いでがよく、今よりもよくなったと思っていただけるような改革に持っていかなければ合格点にはならぬだろう、私はこういう思いを込めて、この改革に協力をし、また取り組んできたわけであります。私は、あくまでも中小企業を守るという立場を貫く決意であります。

松原委員 そうした周辺が極めて大事でありますが、それが整備されるという前提の上に立って、この特定ものづくり基盤技術とは、どのような基準により指定され、具体的にはどのような技術が指定されるのか、お伺いいたします。

望月政府参考人 今回の支援対象となる特定ものづくり基盤技術は、ものづくり基本法の方で指定されているものづくり基盤技術のうち、「中小企業者がその高度化を図ることが我が国製造業の国際競争力の強化又は新たな事業の創出に特に資するもの」について、経済産業大臣が指定することにいたしておるわけでございますが、具体的には、指定しようとする技術が、製造業の分業構造の中で、中小企業が相当程度を担っている生産工程で使用されているか、あるいは、川下製造業の品質、性能、コストなどの競争力にとって重大、不可欠であるかなどの点につきまして、川上の中小企業や川下の製造業等の民間の有識者で構成される技術ごとの検討会などでしっかりと議論した上で、指定することになります。

 ただ、支援対象となる技術につきましては、施策の必要性、中小企業者などのニーズなども踏まえまして、必要に応じ柔軟に見直していくことも考えております。

松原委員 先ほどこれも桝屋議員の質問があったので、同じような趣旨の質問でありますので、簡潔にお答えをいただいて結構でありますが、ものづくり基盤技術振興基本法と本法案はどのような関係にあるのか。また、ものづくり基盤技術振興基本法との関連を有する既存の施策の成果と今回の新たな施策との関係はどのようになっているのか、お伺いをいたします。

望月政府参考人 基本法七条では、ものづくり基盤技術の振興に関する施策を講じなければならないということを基本的に定めております。これに基づいて、今回の高度化法は、すぐれた技術力を備えたものづくり中小企業の技術を振興するための必要な法制上の措置を講ずるものであります。

 平成十一年の基本法制定以来、ものづくり基盤技術の振興施策につきましては、研究開発の推進、産学連携の推進、知的財産権の保護など、幅広い施策を、大企業、中小企業問わず講じてまいりました。

 今般の施策は、基盤技術を担うものづくり中小企業群の存在こそが、我が国製造業の競争力の源泉であるということの認識に立った上で、ものづくり基盤技術の強化のために重点的、戦略的な支援をものづくりの中小企業に焦点を当てて行うものでございます。

松原委員 次に、この法律案の各論をちょっと議論したいと思うわけでありますが、この中に、出会いの場、こういったものも書いてあります。この出会いの場、私もかつて大田区の商工会議所の嘱託でいたころに、神奈川に、かながわサイエンスパーク、KSPというものがありましたが、こういったイメージとほぼ同じようなものなのか、特に、どのような新しい創意工夫がなされているのか、理事方にこのことをお伺いいたします。

望月政府参考人 出会いの場とは、先ほど来話題になっておりますが、川上中小企業と技術的課題を抱える川下の大企業とが出会うためのものでありまして、どちらかと申しますと、かながわサイエンスパークなどに代表されますように、箱物をつくって何かを新しくするということは今回は余り考えておりません。

 むしろ、特定のものづくり基盤技術を中心に、その技術のユーザーとなるような産業を集めたフォーラムの開催であるとか、川下企業がみずからの技術的課題を開示する、先ほどちょっと議論で申し上げましたけれども、逆見本市の開催であるとか、そういったソフトの事業を中心に考えようと思っております。

 また、工業会などの民間団体に事務局を設置いたしまして、川下企業の技術的課題の解決に必要な基盤技術や、その技術を有する中小企業を知っているコーディネーターを配置いたしまして、両者の橋渡しを行うなどということも検討をいたしております。

 基盤技術の特性も考慮しながら、川上、川下の戦略的な提携につながる有意義な出会いの機会の創出に向けて、民間の御提案をベースにしながら効果的な手法をさらに検討してまいりたいと思っています。

松原委員 先般の参考人の先生方のお話で、鋳物の重量取引についてということの問題提起もありましたが、この具体的な対応策というものはどのようなものがあるのか、お教えいただきたい。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 鋳物の取引につきましては、一キログラム当たり何円というように重量ベースで価格決定するという慣行が簡便な価格決定方法ということで広く使用されております。

 ただ、技術革新によりまして強度を高めて軽量化を達成した鋳物、そういうものについて重量取引慣行が適用されてしまいますと、製品当たりの重量がむしろ減る、そういうことで製品単価がかえって安くなってしまう、そういうことですと鋳物メーカーの研究開発の意欲が薄れてしまう、そういう問題がございます。

 こうした問題は、基本的には民間企業の間の取引の中で解決されるというべきものではございますけれども、一たんこういうような慣行が確立すると、合理性がないものであっても改善されないで残っているというようなことだと思っております。

 そこで、今度のこの法律の中では、法案の十条におきまして、国の施策として、研究開発の成果に係る取引慣行の改善に努める、そういうように規定をしております。こういうものを受けまして、経済産業省といたしましても、鋳物取引につきましては、その実態を踏まえて、より適切な取引が行われるよう対処をしていきたいというふうに考えております。

松原委員 一つ一つ具体的なことをお伺いしていきたいと思うわけであります。総括して最後にまた大臣に御質問はしたいと思っておりますが。

 まず、理事方にお伺いしたいのは、今回の人材の確保・育成施策、こういったものに予算が計上されているわけでありますが、これはどのような効果をねらっているものなのか、この全体像についてお伺いをいたします。

片山大臣政務官 効果ということでございますが、当然、今、一部の中小企業では人が採りにくくなっているような状況も生じているようなところがございますが、今回の施策の中で、地域の中小企業と高専等と連携して若手技術者を育成する事業というのも開始することを考えておりまして、高専というのは東京都内には四つございますが、うち一つは品川にもあるわけですが。

 また、既に今年度から、地域の産業界と大学等が連携いたしまして、ものづくりの現場の若手技術者を育成するという事業もやっておりまして、これは全国の三十六カ所で実施しておりまして、こういったところの施策を通じて、中小企業にとって、若い人材の確保、育成がよりやりやすいようにという効果をねらっておりますし、またさらに、その産業界と教育機関との交流が進んで、その地域一丸となって中小企業における人材も含めた活性化に向けた取り組みが進むという効果を期待しておるわけでございます。

松原委員 今、工業高校とか、今言った高専とか、こういう技術を習得する、訓練のできる学校機関もある、一方においては中小企業も人材不足である。まさにこういったことをする上で、もちろんそのことはアクションプログラムの中には入っていると思いますが、そういった学校の教師また校長、そして中小企業の経営者、こういった両者の連携というものがこういったものの実現には不可欠だと思うんですが、これについてはこの中で当然取り組む、こういう認識でよろしいですか。

望月政府参考人 ここで対象にしたいと思っております地域のプログラムは、高専なり工業高校なりと地域の中小企業の方々が共同して共同作業プログラムみたいなものを出していただいたものについて私ども支援していきたいと思っておりますので、学校の幹部の方々と地域の中小企業の方々のコミュニケーションがまずスタートだと思っております。

松原委員 ぜひそれを、官製ではない、民民のニーズに即した形で行っていただきたいと思うわけであります。

 次に、技術者に対するきちんとした評価制度のようなものを新たに設けることは人材の確保などに資すると考えるが、この評価制度というものは政策として取り組みの中に入っているのかどうか、お伺いいたします。

望月政府参考人 今回のものづくり法案自身は、企業としての取り組みを中心として、先ほど来申し上げている、優秀な中小企業の層を伸ばしていきたいということでございます。直接的には、技術者個々人の技能、あるいはそういったものについての新しい評価制度をつくるという工夫にはなってございませんけれども、その中で取り上げられるべき技術の課題などに即したレベルの技術を、個々の企業の中で技術者がどれぐらい持っておられるかということは、当然、参加していく上での前提だとは考えております。

松原委員 これは後で、今の件はまとめて二階大臣にもお伺いしたいと思っているわけでありますが、やはり、このものつくりの評価というものが、私は極めて重要だと思っております。例えば、工業高校に進学を希望する中学生というのは必ずしも多くない。それは、ものつくりというものの評価自体が、本当は、例えば裏千家とか表千家の、淡交会なんかで使っている茶わんは、これは一わんで何千万とか、大変高額なものがある。そういったものについては、人間国宝だとか、この萩焼はすごいとか伊万里焼がすごいとか、こういうのはあるんですが、近代の工業品というのも、そういうふうな水準に日本は達しているがゆえに、世界の中で圧倒的なシェアを確保することになったわけであります。

 ドイツにはマイスターというのがある。ワーグナーにマイスタージンガーという有名な楽劇があるんですが、そのマイスター。このマイスターというのは、これは言ってみれば徒弟制度の親方でありますが、親方というだけではなくて、尊敬を集める師匠、先生、それは、こういったものの立場というのが高いところにあると私は思うんですね。芸術家ではないけれども高い評価を得るということは、これは大事だと思うので、私は、できれば、こういった技術者に対する評価制度、これは、最後に七十、八十になって勲章を渡せばいいというふうなことではなくて、きちっとした現役の段階における評価制度を出す。

 評価する人間は、今回のオリンピックだって、荒川静香さんが金メダルをとった、評価する側もそれなりの技術がなければ評価できないだろう。同じでありますが、そういったものをやはり国がある程度、日本の国益の中で、日本の国の今日の繁栄を支えてきた中小企業、その技術力ということを考えるならば、私はそこを、やはり頂門の一点、一押しする必要があるんじゃないか、こういうふうに思っております。

 次の質問に入りますが、技術継承に関して、今のこととラップします。また、桝屋さんも話をしました。すべてをデータベース化で対応することは困難であると考えるが、さっき言ったように、非常に精妙な部分、もう職人芸と言われるもの、しかし、それは伝承は可能なのであります。伝承は可能だけれども、もちろん、データベースによる伝承というのがどこまで可能かということになるわけであって、このことについてどういう対策を持っておられるか、お伺いします。

望月政府参考人 現在、ものづくり中小企業におきましては、熟練技術者の高齢化が非常に進んでおりますので、技術伝承についての必要性というのも、まさに一番高まっている時期ではないかと思っております。

 こうした観点から、技術者の暗黙知と言われるものになっている技術や技能を円滑かつ確実に継承するために、このものづくり中小企業の技術を抽出して体系化していく手法を開発することが必要だという声が強まっているわけでございます。

 具体的には、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、熟練技能者がものづくりの現場で行いました製造手順や手法にかかわる判断あるいはその根拠をデータベースとして蓄積できるような手法を開発し、中小企業者に提供していきたいというふうに思っております。ただ単に数値のデジタル化だけで対応できる話じゃないと思いますけれども、この辺について、新しいデータベースのフォーマットを考えていくということが非常に重要ではないかというふうに認識しております。

松原委員 いや、本当に、大分長官も哲学書を読んでいるようでありまして、ポランニーの暗黙知という言葉が出てきて非常に感激をしておりますが、この暗黙知がきちっと伝わるかどうかが極めて大事であります。

 そうした中で、私は、実は、後継者人材の確保、育成、そしてこの技術継承の円滑化、こういったものと技術者に対する評価制度というのは、三位一体ではないだろうか。つまり、中小企業に行くと、それは三Kだというふうな印象があって、そこに対してのステータスが低い。実際、私も大田区へ行ってみると、確かに汚い工場があるんですよ。下は油まみれで、そのおやじがまた、出てくると話が長くて、仁さん、ああだ、こうだと。しかし、そういう人間が、そのときはわからないんです、後で周りに聞くと、何言っているんだ、松原君、あの人は日本に一人だけなんだよと。そういう技術がこんな工場にあるのかと。それはまさに暗黙知なんですね。

 そういうふうなことをやはりデータとして、一つのそれは高められた水準でありますから、それが、一回彼がもし途絶えてしまって、だれも継承しなければ、それは終わってしまうわけであります。こういうものに対しての評価を高める。つまり、製造業の地位を向上させ、そして製造業に対して取り組もうという若い人をたくさん、あそこへ行けば、それは尊敬にも値されるんだ、そして、例えば評価の中でこういう評価を得られるんだ、そういうふうなものがあって、そして、だからこそ若い人材、後継者人材も行く、そして技術も継承できる、そして評価は評価でされる。こういう、まさにトライアングル、中小企業の技術とその資質を継承させる、三位一体という問題だと私は思うんですが、これはどの一面だけでも足りない、この三つを一緒にやっていくということが必要だと思うんです。

 今、特に評価制度については、まだ今後の検討課題だということを長官はおっしゃったんですが、こういったことも含め総合的に、これがない限り、中小企業が三Kでなくなり、尊敬される仕事に変わらない限り、製造業、私はこの未来はないと思うんですが、大臣の御所見をお伺いいたします。

二階国務大臣 おっしゃるように、ものつくりのすぐれた資質を持った人材、この継承、そして同時に、その人材を社会がどのように評価し、また認知し、さらにそうした皆さんを顕彰していく、そういう制度が必要ではないかというお話でございますが、私も、先ほど来御意見を拝聴しておりまして、まことに大事な視点だというふうに思っております。

 特に、高校教育等につきましても、例えば、工業高等専門学校あるいは工業高校、そうしたことの活用なども、中小企業ものつくりを支える人材の育成にも大事でありますが、同時に、その工業高等学校や高専が持っている知見をさらに中小企業に活用して、そして大きな成果を得られるように努力をするということが大事なことではないかというふうに考えておるところであります。

 今、松原議員の御意見の中にもありましたが、私は、特に子供の時代から、若い時代からものつくりということの重要性を理解していただくということで、中部地域でありますが、観光関係者の皆さんの御意見を伺っておりますと、産業観光という視点が大事だということで、修学旅行のみならず、一般の観光客にも中部地方の持つ、そういう工業の実態について見学する、そういう場を設けて、それを観光の目玉にしていこうとしているわけでありますが、私は、これは極めて大事なことだというふうに思っております。

 若いときから、子供のころからものつくりということに理解させる、そのものつくりで貢献してきた、実績の上がった人を顕彰する、また、資格を与えて、みんなで、あの人は何々の資格を持っておる人だというふうに周りが認知をするというふうなことが大事ではないかということでありますが、今回、私どもは新成長戦略なるものの検討の過程におきまして、今後、こうしたことについても積極的に取り入れていけるように努力をしたいと思っております。

松原委員 例えば、工業高校、専門学校、ものつくりの熟練した中小企業の経営者、技術者、こういった人が、いきなり行くといったって、水準が違うかもしれないけれども、例えば、かなり高度なところまで来た学生に対しては、そういった現場のミクロン単位での暗黙知を持っている技能者が生徒に授業をする。そういうふうなことをすることによって、彼らは、プライドというんですか、やはりそうなる。その立場が権威あるものであれば、子供たちは、おれも技術者になってやがておれの母校で授業のこまを持ちたい、こういうふうなことにもなってくるわけで、こういったこともぜひとも御検討をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕

二階国務大臣 職業訓練センター等におきましても、例えば、大工仕事をやっておられる人が、あるとき先生として生徒を教えておられる、その生き生きとした姿を私は若いころ拝見したことを今でも記憶いたしております。そしてまた海外でも、学校は社会のために門戸を開け、社会はまた学校のために門戸を開けということで、お互いに相互乗り入れが可能なようなことになっている場合もありますが、今、松原議員がおっしゃったように、先生として教壇に立つということによって、御本人のプライドはもちろんのこと、また、そういう道を将来選びたいと思っておられる生徒の皆さんに奮起をさせる大きな材料になるであろうということをおっしゃったと思います。

 我々は、そういうことを取り入れていこうと思って、今いろいろな工夫を凝らしているところであります。やがて、そういうところまで経済産業省は考えておるかと、松原議員にもそれこそ評価していただけるようなものになるであろうと思っております。

松原委員 これで申し上げたいのは、そういったことが極めて重要なソフトの部分である。法整備としては、事業承継のときに、例えば農地であれば、通常の五百分の一、六百分の一という時代がありました。それで相続が済む。ほとんどお金は払わなくていい。それは、農業というこの財産が分割されて、産業として成り立たなくなることを避けるためにそういう税制をやっていた。中小企業においては、工場の三分の一がなくなったら、これは事業そのものができなくなる。

 この税制について、先ほども前向きに取り組むとおっしゃっていただきましたので、これもぜひやっていただきたいし、また、政府系金融機関の話、いわゆるべったり貸し、資本的参加をするような金融機関がなければ中小企業のあすはないということも、前向きな御答弁をいただきました。

 あわせて、これはまた後で時間があれば質問いたしますが、今般、財務省が同族会社の増税をやろうとしている。これもとんでもない話であり、それは、違う観点からするとそうだという議論があるのかもしれない。しかし、中小企業が活力を持つことが日本の経済戦略上重要だとするならば、いわゆるそういった一方的な平等論ではなくて、違う戦略的発想は私はあってしかるべきだと思うんです。これも、さらに質問を後でしていきたいと思います。

 続きまして、経済産業大臣、二階大臣の関係で、東シナ海資源開発問題、日中関係についてお伺いしたいと思います。第四回日中局長級会議というものが行われましたが、この評価についてお伺いいたします。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 東シナ海の資源の開発問題につきましては、東シナ海を協力の海とすべく努力するというのが政府全体の基本方針でございます。この基本方針のもとで、日中間の対話を通じた解決を図ることが最も望ましいという考え方に立ちまして、一昨年でございますが、平成十六年十月から中国側と局長級の協議を行ってきたところでございます。

 昨年の十月以来、協議は一時中断をしておりましたわけでございますけれども、二階大臣御就任以来、中国要人に対し協議の早期再開を働きかけてこられたところでございます。その結果、三月六日及び七日に、約五カ月ぶりに第四回目の局長級の協議が開催されたところでございます。また、日中双方は、この協議全体を通じまして、対話を通じたできるだけ早い解決を目指すという認識を共有し、次回協議をできるだけ早期に開催するということで一致をしたところでございます。

 問題の解決に向けた協議が再開され、いよいよ本格的なやりとりを行う段階に至った、こういう状況であるというように認識をしておるところでございます。

松原委員 中国側提案の内容及びそれに対する我が国の対応ということでお伺いいたします。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 第四回の局長級協議におきましては、中国側から東シナ海の北及び南の二地点につきまして、共同開発の提案がございました。この提案の詳細につきましては、中国側との申し合わせ、それから、交渉中のことでもあるということで、中身の詳細を申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。

 しかしながら、我が国といたしましては、粘り強く、かつできるだけ早く話し合いを行っていくということが必要である、このように考えておるところでございます。次回の局長級協議におきましては、日中双方の提案をお互いにそれぞれ意見として述べ合うということになっております。

 日中間のこの問題の解決に向けた本格的な協議が始まったところでございますので、日本の国益を考え、また、我が国の主権的権利の確保に万全を期しながら、引き続き、対話を通じたこの問題のできるだけ早い解決を図るべく努力してまいる所存でございます。

松原委員 北と南で、こういうことでありますが、まず一点は、中国側の今四つないし五つ開発をしようとしている中国名の天外天、これは日本名で樫ですか、白樺、こういったところですね。これに関しては中国側は全く触れていなかったということなのかどうか。そして、南というのはこれは尖閣諸島周辺を意味しているのか。お答えできる範囲でお答えください。

近藤政府参考人 これは、先ほどの繰り返しになってまことに恐縮でございますけれども、これは交渉中のことでございますし、中国側との申し合わせもございますので、私が今申し上げられることは、東シナ海の北及び南の二地点、こういうことだけでございまして、その詳細について申し上げられないことをお許しいただきたいと思います。

松原委員 きょうの産経新聞に載っているのは、「中国「領土問題」認知狙う」という表現があって、「東シナ海ガス田開発」。ここに政府関係者の発言として産経新聞が載っけているのは、日本の拒否は織り込み済み、尖閣諸島の、つまり南を尖閣というふうに定めているということでありますが、尖閣諸島の帰属を領土問題として日本に認知させるねらいがあると。つまり、この資源問題を領土問題とも絡めてやっていこうという戦略があるのではないか、産経新聞はそういうことをこの中で言っているわけであります。

 中国側のこの提案に対して、安倍晋三官房長官は、受け入れられない、我が国も試掘に踏み切るべきだとの意見が強まっていることについて、そういう意見が強いということを中国に理解してもらいたい、こういうことを安倍さんは発言をしているわけであります。また、麻生さんは、この部分に関しては、尖閣周辺のガス田開発について、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も疑うべくもない日本の領土である、共同開発するつもりはないということをはっきりと言っているわけであります。

 私は、これはいろいろな見方があるんですが、産経が今言ったように、領土問題の認知をねらうための、一つの戦略も含めての今回向こう側の提案ではなかったか。そして、日本側のその四つについてはほとんど向こうは触れていない、それはもう議論の外だ、こういうニュアンスで報道はされているわけであります。

 これは同時に、一方において、東シナ海における中国の油田開発、ガス田開発は着々と進んでいるわけでありまして、中には、ことしの一月に中国の担当している人間が発言したのは、三月中にはこれは実行する、三月中には実際にそれを稼働するということも言っている。従来から言ってきて、若干おくれおくれで来ていますので、三月中になるかどうかわかりませんが、そういったことも言っている。

 つまり、時間稼ぎをしているんじゃないか、こういうふうな見方も、我々もそういう認識を持つ人間がいるし、マスメディアにもいる。そういった意味では、大変にこれは中国側のペースにはまっているのではないかな、こういうふうに思うわけでありますが、この中国側の提案について、二階大臣はどのような御所見を持っておられるか、お伺いいたします。

二階国務大臣 私がこの経済産業省をお預かりする状況になったときには、このガス田の問題は日中間で交渉が中断をしておりました。したがって、この中断をいかに再開させるかということが当面の目標であったわけであります。再開をするに際して、日本側から中国側に刺激的な発言を繰り返すだけで再開ができるかどうかということは、政治家なら考えてみればわかることであります。

 したがって、私は、まずWTOにおいて、APECにおいて、私のカウンターパートでありました薄熙来という商務部長を相手にして、日中間のもろもろの問題があるが、日本では格別関心の深いこの東シナ海の局長クラスの会談を早く再開して、この問題に対して、お互いに、両国協力できるところは協力し合って、この開発が日本の国民の利益のために、中国の国民の利益のためになるような方法を見出していく努力を両国ですべきではないかということを私は再三申し上げてまいりました。二度にわたってそうした会談を申し入れました。最近において、大臣間の会談というのはそれが最初でございました。

 それから、先般中国を訪問しました際に、第三回目の会談ということになりますが、当然この薄熙来部長はこのガス田の問題を、同じ商工部長と、あるいは経済産業大臣といっても、ガス田の問題を担当なさってはおりませんので、私との会談ではガス田の問題についてはお触れになりませんでした。そして、トウカセン国務委員からこの問題についての御発言があったわけでありますが、この際にも、私も領土の問題等についての我が国の意見等についてもはっきり述べておりますし、今後交渉をお互いに続けていくことによって解決を見出していくということが大事であって、今度は第五回目になりますか、一日も早く会合ができることが大事であります。

 その際、日本政府は、やはり一つの方針をまとめて対応していかなければ、ばらばらの発言をしていくことこそ相手の思うつぼに入るのではないかと。相手の思うつぼに入ったのではないかという御意見があるとすれば、私は、別々の行動をとり、それぞれ思い思いの発言をすること自体が相手の思うつぼに入るのではないかとさえ思っております。

松原委員 今、二階大臣が、ばらばらの発言を、こうおっしゃったわけでありますが、このばらばらの発言というのは具体的にどういう、例えば、今、麻生さんが言った発言、安倍官房長官が言った発言、これがばらばらな発言ということなんでしょうか。

二階国務大臣 先ほども事務当局から御説明申し上げましたように、第四回目の会談がごく最近行われたわけであります。その会談において、少なくとも両国政府の代表が会談に臨んで、この会談の内容については次の会談の際にさらに双方が答えを持ち寄るということにして、今回はこれを外には出さないことにしようということになったということでありますから、私もそれ以上のことは細かく聞いてはおりません。しかし、そういう状況にあるときに、どうすればいい、こうすればいいということをそれぞれマスコミを通じておっしゃっておられるようでありますが、そういうことは、私は相手の思うつぼに入るのではないか、こう申し上げたんです。

松原委員 つまり、麻生さんや安倍さんの発言は相手の思うつぼになる、そういった要素を持っている、こういう認識を二階さんは持っているということですね。

二階国務大臣 政府が一体となって取り組むことが必要であるということを申し上げておるわけであります。

 けさも私はある大臣にこの問題についての話を伺いましたが、お互いに対立になることのないように交渉をするのが政治だということをおっしゃっておりましたが、大変印象深くその話を聞いてきたところであります。

松原委員 お互い対立なく交渉するのは、私は政治の極めて重要なスキルだと思っております。また、政治家であれば、中断されていた交渉をどうやったら再開するかというのを考えるのも、当然政治家としての、これは仕事だと思います。しかし、同時に、そうした中で、私は、相手の言い分もある、日本の言い分もあると。これは極めて政治家の判断に属する問題でありますが、私は、その中において、我々の国益を守るためには、時としては交渉を行うことが少し先延ばしになっても、我々のさまざまな意思を表示することも政治の大きなやり方である、使命であると思っております。

 質問の順番がまだありますので、ちょっと行きますが、日本はこの地域、特に一部地域に、日中中間線のこちら側に試掘権を、四月十三日に設定の手続を始めたということでありますが、これは、時系列はいかがなっておりますか。

    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 試掘権の設定につきましては、昨年の四月に試掘権を設定するということで、大臣からお話をした上で、帝国石油の方からその具体的な場所についての申請があったわけでございます。七月にその試掘権についての許可をいたしまして、昨年の八月に登録税を支払いまして、その登録税の納付をもちまして登録原簿に登録をしたという現状でございます。

松原委員 この試掘権の設定というのは、四十年間認められていなかったものが今認められた。今認められた理由というのは何かあるんですか。

近藤政府参考人 これは、もともとの申請は約四十年ぐらい前にあったわけでございますけれども、こういう二国間の間でいろいろと紛争のある場合、議論のある場合には、その周辺に鉱業権の設定をしないというのが国際的な対応の基本的なルールになっておるわけでございます。

 そういう中で、私どもはこの地域についての鉱業権の設定を避けてきたわけでございますけれども、中国側が幾つか具体的な、鉱業権の設定なりをした上で試掘なりいろいろな行動をとり始めたという状況の中で、昨年の春にそういう決断をし、鉱業権の設定につながってきたところでございます。

松原委員 つまり、四十年間試掘権を設定してこなかったけれども、中国側、私もこれ、外務委員会で前に質問したことがあるんですよ、何で日本は試掘権を設定しないんだと。いや、これは日中中間線が画定していません、中国側は認めていません、したがって、そういうふうな紛争地域というんですか、画定していないところではこういった試掘権を設定したりはなかなかできませんと。私はそのとき、じゃ、中国側は試掘権を設定してやっているではないかという話をしたときに、向こうは向こうの事情があるでしょうが、我々はできないんです、こう言っていた。しかし、国民世論もあって、この部分でついに決断をして試掘権を設定し、帝国石油が名乗り出た。帝国石油が名乗り出て、順序からいくと、これから試掘をされる場合どういう順序で進むのか、時系列を教えてください。

近藤政府参考人 手続について御説明をいたしますと、試掘権を、権利を付与してございますので、もし事業者の方が具体的に試掘をしようということになる場合には、その計画書を出してくることになるわけでございます。ただ、その前に前もって経済産業省の方に相談をするようにということを言っておりますので、事前に鉱業権者の方から相談があろうかと思います。相談がありましたら、その時点で政府としての対応を図ろうということになろうと思いますけれども、現時点では、帝国石油からそのような要望は来ておらないというのが現状でございます。

松原委員 先ほどの事務方の答弁で、中国側は既に試掘に関して行動を起こしているがゆえに、日本としても四十年ぶりに試掘権を設定したと、これは事実の認識だと思うんですよ。

 つまり、先に行動を起こしたのは中国側であります。日中中間線が画定していない段階で、普通は、国際的な良識であれば、双方がこういった試掘については我慢している、画定するまではちょっと見ようかと。それを、中国側は試掘権を設定してどんどんと始め、そしてそれに対して日本が対抗措置として、四十年間ほったらかしになっていたと言うと恐縮でありますが、その試掘権を設定して、帝国石油がやると。

 私がお伺いしたいのは、大臣が、一月でありますか、東シナ海ガス田開発について、国内には試掘をやったらいいと元気のよい発言をする人もいるが、私はその道をとらない、こういう御発言をしているわけであります。

 私は、今試掘をする帝国石油にしてみれば、まず、施業案を出す前に相談をするわけであります。経済産業省に相談をして施業案を出す。経済産業省に対して相談をする。相談をする先の経済産業省の二階大臣が、元気のよい発言をする人もいるが、私はその道をとらないと、試掘について極めて慎重なというか、こういう発言をしたら、私は、それは帝国石油が試掘権に関してのまず施業案の前の相談を経済産業省にするのに対して、出ばなをくじくことになるのではないかと思うんですが、二階大臣、いかがでしょうか。

二階国務大臣 時系列ということを申されますが、そのときによく考えていただければ、第四回目の会談が中断をされて、中断といいますか、交渉が途絶しておる状況であります。相手がテーブルに着いて、そして交渉が開始されるまでの間は、刺激的な発言をするよりも、一緒になってこの問題を、開発を協力しようという発言をして、こちらのシグナルを発するということが大事でありますから、そういうふうな発言をしたわけであります。

 現に、私は就任後、ただの一度も帝国石油側から何のお話もありませんから、一度帝国石油側の現状と将来についての本当の意見を聞いておく必要がある、ただ試掘権を持っておるだけなのか、あすからでもやろうと思ったら試掘できる状況にあるのか、企業側の考えも確かめておく必要があると思いましたので、先般、会長、社長にお出ましをいただきまして、お話を伺ってみました。そのときに、やはり私たちが試掘をしようということになるためには、平和の海でなければならないというお話をされました。

 私は、そのお話を聞いておりまして、なるほど、そういう考えを持っておられるのかということでありましたが、なお、今度の国会でこの問題について当然議論があるわけでありますから、私は、昨日、資源・燃料部長に会社の方へ、きょう現在はどうなのかということを確かめてみました。そうしましたら、試掘をしたいという気持ちは持っておりますが、現時点で試掘をするのは難しいと考えている、ただし、状況が整えばすぐにでも対応できるようにさまざまな準備を進めたいと考えておる、そこで、今後経済産業省としてもいろいろ御支援をいただきたい、こういうことでありますから、極めて常識的な御意見を述べておられるわけであります。

 そこで、試掘の問題について私が発言したその状況と、既にもう日中間で新たに正式な交渉に入っておるわけでありますから、正式な交渉の中でこの問題が進められておるわけであって、試掘だけではなくて本当に石油をそこから取り出すことを国益として我が国がやっていきたい、そういう気持ちを、意思を持って、日中間、今交渉が進んでおる、こういう状況であります。

松原委員 帝国石油が、試掘をしたい気持ちはあるが現状難しいとおっしゃるのは、それは、二階大臣が御自身でそういったみずからの認識を持っておられるかは別にして、経済産業大臣という経済界におけるスーパーパワーが、試掘に対してはその道をとらないというふうな発言をしているので、それを見たときに難しいと思うのは、私は、特にこういった事業であれば当然だと思うんです。

 もちろん、中国側の、例えば海軍が近くまで来るかもしれないとか、それはさまざまな危険もあるでしょう。民間事業にはそういう状況でやるのは難しい、であるがゆえに、国としてどうバックアップするかが私は問われるんだと思うんです。

 私がお伺いしたいのは、今この四回目の交渉をするために刺激的な言葉を避ける、中国は日本に対して刺激的な言葉は数々言ってきております。数々言ってきている。李肇星さんが言った、ナチス・ドイツを引き合いに出した靖国参拝の批判も含めて、彼らは刺激的な言葉を日本に対してどんどん言ってきている。しかし、我々は、この試掘の問題も、中国があそこまでやってからスタートした。

 つまり、今、二階大臣は、第四回の日中交渉を再開するがために、このむちの言葉、刺激する言葉は使わなかった、使わないということで、試掘権の道をとらないというニュアンスまでおっしゃったと。私は、これは少なくとも日本の国益上、そこまで言うのはどうなのかなというふうに思うわけであります。

二階国務大臣 いきなり直ちに試掘をするということではない、そういう当時の、つまり、中国を交渉のテーブルに出すために、我々としてはそういう中国側へのメッセージでありまして、そのことが国益を侵すとかなんとかということは、全くお門違いの話であります。

松原委員 交渉を再開するための経済産業大臣の御発言としては、私はこれは重過ぎると思うんですよ。こういう発言は、私は政治家としてするべきではないと思います。

 麻生外務大臣が一昨日の外務委員会で、中国が具体的に本格的な生産をしたときどうするのか、日本として対抗措置をとる考えを表明した。外務大臣は、採掘が始まったら改めて対抗措置を検討しなければいけない、いろいろなやり方はあるが、今の段階で手のうちを示すのはどうかと述べたと。これについて二階大臣はいかがお思いになりますか。

二階国務大臣 外務大臣から特段のお話を承っておりませんので、伺った段階で判断をいたします。

松原委員 先ほど大臣が、政府として一体である、これはもう大変大事なことなんですよ。政府として一体である以上、この問題に対して、この発言をする前に、二階大臣が行って温家宝さんまで会っているわけですよ。温家宝さんまで会って話をし、それに対して外務大臣、安倍官房長官、安倍官房長官や外務大臣の発言を指して二階さんはおっしゃったと私は思うわけでありますが、ばらばらな発言をすると中国につけ込まれると言った。

 内閣がこの点についてきちっとした議論をしているのかいないのか。何か今の話を聞いていると、どうも議論をしていないような気がする。これだけ国益の重要な話、これはどうなっておりますか。

二階国務大臣 当面、我々は外務省と協力し、先般の会議あるいはまたこの中間で一度非公式協議というのを行っておりますが、いずれも、外務省アジア大洋州局長、そして同時に私どもの資源エネルギー庁長官、この二人が中心となった我々の専門家チームが中国と交渉しているわけでありますから、そしてその担当者の間におきましては毎日のように連携をとっておりますから、政府間では十分な連携がとれておるというふうに判断をいたしております。

松原委員 時間が来ましたから、次回にまた、さらにこの議論をしていきたいんですが、二階大臣はこうおっしゃった、同じことを麻生さんに聞いたら麻生さんはどう言うんだろう、安倍官房長官に対して言ったらどう言うんだろう。これは、資源問題であると同時に領土問題であります。

 少なくとも二階大臣は、第四回目の協議を進めるために、我々は試掘は今の段階ではしないということをおっしゃった。私はこれは国益に極めて反するということを申し上げた。この発言をするときには、こういう発言は、安倍さんや麻生さんなんかとの、一つの同じような共通認識の中でなされた発言なんでしょうか。

二階国務大臣 経済産業大臣の責任において発言したものであって、一々私の発言を官房長官や外務大臣にすり合わせに行ってお伺いを立てる立場にはありません。

松原委員 この問題、私はまだ重要な問題だと思っておりますが、質疑時間が参りましたので、以上で終了いたします。

石田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十七分開議

石田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 きょうは、中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律案というものについて質問をさせていただきます。

 この法律案の質問に入る前に少し大臣のお考えを伺いたいと思うんですが、実は私、いつも自分自身の心に戒めを持っております。「心は豊かに 生活は質素に」という一つのある経営者からの手帳をいただいて、それを胸にしながら、そうあるべきだなという思いを持っておるんですが、逆に、日本の今の社会の中は、どちらかというと生活が豊かで心が貧しくという、そんな感じになり始めております。

 今回のこのものづくり法案に当たって地域社会の中のいろいろなお話を伺いますと、どうも大畠さん、このものづくりに関する高度化の法案はわかるんだけれども、地上を一生懸命自転車こいで走っている人に対して、高度一万メーターの上空を飛んでいる飛行機に急いで飛び乗れという感じの法律案にも見えると。どうも今回の法律案、趣旨はわかるんだけれども、我々も飛行機に乗りたいんだけれども、毎日毎日、地上で自転車をこぎ、一生懸命車を走らせている立場からすると、何かいま一つ何か欠けているんじゃないかという感じがするという話がございました。

 現在、小泉政権の中では、改革、加速という標語が各議員の部屋にたくさんあるわけでありますけれども、どうも選択と集中、それも大事かもしれませんけれども、大臣、大きな企業あり、中規模な企業あり、小規模な企業がある。結局どこがどこを担っているかというと、やはり地域社会の中で下請という企業があって初めて大きな企業も成り立つわけなんですね。

 ですから、今回のこの法律案の方針というのは理解しながらも、大臣として、今の小泉改革の、いわゆる改革を加速しようということなんですが、その視点からすると、地域社会における中小企業、あるいは都市部に対しての地方の町並みというのがどうも眼中に入らないで、選択と集中、選択と集中というので、そっちの方ばかりに向いておられるんじゃないか、こういう御指摘がございましたけれども、この件について、一番最初に大臣の、まさに小泉政権の中核であります経済産業大臣としての御認識を伺いたいと思います。

二階国務大臣 ただいま大畠議員から、心は豊かに生活は質素にと、まことに含蓄に富むお言葉をいただき、大変感心をいたしております。

 まさに小泉内閣は改革続行内閣、こういう意気込みで、改革をさらに加速することを願っておるわけでありますが、一方、その改革の後に何があるかと、その将来を展望して、我々は、今こそ日本が、日本の経済が、大企業のみならず中小企業の皆さんにも、大都市だけではなくて地方も、お互いに元気の出る産業の育成を考えていくことが私どもに課せられた重要な使命だというふうに考えております。

 したがいまして、私も就任以来、いろいろな場所で御質問をいただいたり意見を述べさせていただく機会がありますが、中小企業のことを言わなかった日はないわけでありまして、やがてそのうち大企業の方から抗議が来るのではないかと思うぐらい中小企業、中小企業と一つ覚えにずっと言ってまいりました。

 しかし、私は政治に携わる者として、今こそ、中小企業の皆さんの今日までの長いトンネルの中での痛みと、地方の皆さんが、ややもすれば希望を失いがちになるほどの苦しい状況の中で今必死で頑張っていただいている姿を思うと、まさに中小企業と地方に力点を置く政治が大事だということを私は痛感をいたしております。

 したがいまして、今、大畠議員から御指摘のありましたような点につきまして我々も十分心得て、中小企業と地方の皆さんが元気を出す、そして改革をしてよかった、改革の恩典が地方、中央を問わず、大企業、中小企業を問わず均てんされるような世の中でなくてはならない、かように思っておる次第であります。

大畠委員 基本的な御認識は今伺いました。

 確かに大臣がおっしゃるように、経済産業省管轄の調査室からいただいた資料によりますと、二百九十九人までの従業員の企業が三十万社、そして三百人以上の企業が大体三千百五十二社ということなのでありまして、九九%はまさに中小企業という構図でございます。従業員数でいいますと、七三%がいわゆる中小企業、大企業と称する三百人以上という企業が二七・三%。出荷額なんかも、中小企業で五〇・五%、三百人以上の企業で四九・五%。

 まさに日本の国というのは、何となく経済界の動きを見ていますと、大規模企業といいますかが中核となって動かしているようでありますが、その実は中小企業がしっかりと支えてやっているということが実態だと思います。

 もう一つ、過去の経済産業省の、昔の通産省でありますが、あの時代、小規模企業は中規模企業になり、中規模企業は将来大企業になる、中小企業というのはその一通過点であって、大規模企業に対して集中的に政策を展開すればそれで事足りるんだというような一つの考え方があったんですが、ここら辺、大臣はどういうふうに今改めて御認識をされているのか。

 そしてもう一つは、最近のライブドア問題でもそうなんですが、株を買った買わない、あるいはあの企業を買収しよう、企業というのは株主のものだという発想が随分世の中に出てきておりますが、私は、日本のものづくりという観点からいっても、企業というのは株主のものという発想は日本にはなじまない。企業というのは、その企業の経営者、あるいはまた創業者の方もいるかもしれません、そしてそこで一生懸命仕事をしている従業員にとっては、まさに地域社会の中における生活をしていく基盤なんですね。

 そういう意味では、単にその株を買ったからおれのものだとかなんかという社会的な風潮に対して、経済産業大臣として一つ警鐘を鳴らしながら、そして大臣の御認識を、御見識をここで改めてお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 私は、中小企業の皆さんがやがて大企業に、あるいは中企業に発展していくということに関しては、それはそれで結構なことだと思いますが、そればかりが中小企業の皆さんの願い、ねらいではないと思うんです。

 中小企業でなければできない仕事がたくさんあります。そして、今我が国は、だんだんと長いトンネルから抜け出して明るさが見えかけてきたところでありますが、その根幹をなすものは、やはりものつくり産業の奮起であったと思うんです。そのまたもとは何かというと、中小企業の皆さんの頑張りであったと思います。

 私も時々、中小企業の現場を訪ねていろいろ教えてもらったり、あるいはまた御意見を聞かせていただいたり、あるいは私どもには中小企業庁のメンバーもたくさんおっていただきますし、地方の出先にもそれぞれ経済産業局がございますが、こうした諸君にも一層奮起してもらうために、私も率先してできる限り現場を歩くようにいたしております。

 そんな中で思うことは、やはり中小企業の皆さんの今日までの蓄えてきた技術、それは大変なものであって、もう今では大企業が私たちのところに相談に来てくれるようになった、何か新しいものはこの考えの中にありますか、あるいはまたこんなものをつくってくれないでしょうか、あるいは外国でこんなものができておるんですが日本でできないでしょうか、そんなことを私ども中小企業に大企業の幹部が相談に来てくれるようになった。私は、それを聞きながら、やはり中小企業に力点を置いて日本の経済の再活性化を図るというこの視点は間違いではないというふうに改めて思うわけであります。

 そういう意味で、私どもは、これからも中小企業を中心としたものつくり、このことにもっともっと力を入れて支援していかなくてはならない。法律ができたから、その法律一本で何もかも立ち上がるというものではなくて、その法律は一つのきっかけをつくるわけであって、これからもこの法律の、皆さんのお力で成立をさせていただいた場合に、それから先の発展について、我々は中小企業の皆さんと一体になって取り組んでいきたいと思っておる次第であります。

 今、ライブドアの話を引用されてのことでありましたが、ライブドアのこの事件そのものについては、今私が意見を述べる立場にはありませんが、しかし、御意見のように、子供が小さいときから株等のゲーム遊びがはやってきたなんという話を聞きながら、お互いの子供のころは、そんなことが評価されたり優先される社会ではなかったはずであります。

 しかし、そんな我々の時代が本当に一番よかったのかというと、今の子供たちの方がある意味では進んでおるのかもしれませんが、そこは、もう少し社会が落ちついて、何でも金もうけすれば偉いんだというふうなこの風潮は、やはりぬぐい去っていくべきだと思っております。

 日本人の本当のよさ、日本人の魂、そういうものはどこへ行ったか、今言われるわけでありますが、我々は、もう一度自信を取り直して、日本が国際社会の中でも尊敬される日本であり続けるためには、やはりいま一度立ちどまって考えてみる必要があると私は思っております。

大畠委員 大臣の御認識、わかりました。

 大臣もごらんになったかもしれませんが、「ALWAYS 三丁目の夕日」というのが、今国内でも非常に評価されているんですが、昭和三十三年代、貧しかったけれども、なぜみんな心は明るかったんだろうか。そこのところをもう一回たずねてみなきゃいかぬと思うんですね。

 お互いの助け合いとか町内会とか、そういう社会があって、お互いに頑張れよと励ましながらの状況があったんですが、今じゃ、家庭も地域社会も何かつま先立っちゃって、お互いに助け合うという気持ちがほとんど見えなくなってきている。そのときに、株の売買というので、企業をお金を持っている人がばっと買って、そして大きくなったらまた売ってしまうという、これは一つの経済行為だと思うんですが、私は、どうも日本の国に、こんなことをいつまでもやっていたら、いわゆるモラルというのがなくなってしまうんじゃないかと。

 私も、かつて株式会社におりましたけれども、株主のために一生懸命頑張ろうなんというので仕事していたわけじゃないんですね。やはり、日本の国を支える一つの装置、あるいはそういう技術というものを私たちが担っているんだという誇りを持ってやっていたわけなんで、そういうモラルを雲散させてしまうような経済政策あるいは社会の風潮というのは、私は、戒めなければという感じがいたします。

 そこで、今回の法律案の質問に入るわけでありますが、実は、今回、法律案についての質問をするに当たって、おとといの午後ですか、一枚のアンケート用紙を私自身つくりまして、各関連の企業、中小企業に送りました。

 そうしたら、二十四社から集まってまいりまして、おおよそこの法律案を知っているかというのは、二十四社のうち六社が知っていました。それから、一番困っていることは何ですかと、金融とか人材とかいろいろ聞いたんですが、人材というもの、いい作業員といいますか、なかなか集まらないというのが十五社ありました。金融というものが二社、あるいは、仕事量が減っている、あるいは単価の切り下げで困っているというのが三社、その他二社というんですが、中小企業、人の問題で一番困っているようですね。

 それで、企業は人なりという言葉がもちろんありますが、あるいは、中小企業にとっては社長の魅力とかあるいは会社の魅力というのも人集めの大変重要なものでありますが、午前中、御質問がありましたが、どうも技能者というか、ホワイトカラー対ブルーカラーにすればホワイトカラーをどうも目指してしまいがちであって、ブルーカラーに対する日本国内の社会的な地位が余り高くないんじゃないか、こういう御指摘もいただいております。

 したがって、機械加工でまさに社会的に一級の腕を持つとか、そういう方の社会的な地位を高めてもらいたい。例えば、結婚式のときに、新郎か新婦かいろいろありますが、この方は、国の検定を受けて機械加工のまさに一級の腕を持つ機械加工士です、これからの人生の発展が期待される人なんですとか、そういうときに披露できるような、社会的な地位までやってもらいたい。

 そうすると、学卒の人で、現場の作業員として入ろうとなかなかしない、学卒で現場に入った人は非常にやはり伸びるというんですね。だから、高卒であろうと学卒であろうと、よし、おれは機械加工の一級の人間として人生を生きようという、そういう流れを少し社会的につくっていただかないと、なかなか優秀な人材が集まらないというような趣旨の御意見が非常に多かったわけでございます。

 この点、経済産業省というよりも、これは厚生労働省の所轄かもしれません。先ほど、午前中もドイツのマイスター制度の話が出ましたが、厚生労働省、たしかきょう来ておられますね。厚生労働省として、直接企業経営には携わっておりませんが、そういうものが非常に大事だという指摘があるんですが、この件について厚生労働省から御意見をいただきたいと思います。

草野政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、技能者の社会的位置づけを明確にし、その地位の向上を図るということは、極めて重要な課題であるというふうに認識しております。

 こうした観点から、第一に、技能検定制度を初めとします職業能力評価制度の整備を進めておりますほか、第二に、すぐれた技能者を顕彰する制度としまして、高度熟練技能者の認定でありますとか、あるいは、卓越した技能者、これは現代の名工と言っておりますが、そうした方の表彰、それから、十七年度よりは、経済産業省と共同でものづくり日本大賞の創設などを行っているところでございます。

 特に、技能検定制度でございますが、これは、ドイツのマイスター制度のように、広範な職種にわたって職業資格や営業権と直接結びつくものではございませんが、労働者の職業能力を公証し、品質、生産性の向上などの産業活動にも寄与するものでございます。

 したがいまして、こうした技能検定合格者の社会的評価を高めていくための取り組みといたしまして、例えば、第一に、官庁の営繕工事の発注の際に、一級技能士を地域の実情において常駐するような制度、あるいは、特級、一級技能士が製作した商品に技能士名を表示いたしまして、それを顕彰する、こういう製作技能士名表示事業の普及促進などの措置を講じているところでございます。

 なお、企業におきましても、技能検定に合格したことを昇格、昇進の前提条件としたり、あるいは月々の資格手当の支給などに反映している企業も相当数に上っているというふうに承知しております。

 このほか、技能を評価していく上で、社会全体として技能尊重機運を醸成することが重要であると考えておりまして、各種の技能競技大会の開催をいたしているところでございます。特に、二〇〇七年には、静岡におきましてユニバーサル技能五輪国際大会が開催されることになっておりまして、こうした大会などを契機として、技能尊重機運を盛り上げていきたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、今後とも、技能士などの資格を有することによる特例的な取り扱いでありますとか技能士の積極的な活用、こういったことを関係省庁や業界団体、企業に働きかけまして、技能を有する方の社会的評価を高めてまいりたいというふうに思っております。

大畠委員 大臣、今お話があったように、厚生労働省としてはそういう認識なんですが、実際問題、一番冒頭にお答えがありましたように、マイスター制度に比較すると非常に社会的な影響力は少ないですという認識を持っているんです。それではやはりだめなんですね。だめなんです。

 私も、午前中も大田区の選出の議員からお話ありましたが、大田区で加工業の仕事をしている社長さんがいまして、分析をしたら、九割ぐらいがコンピューターでできる、でも最後の一割はどうしても、いわゆる技術者、技能者でなければできないという分野が残ると言うんですね。そういう人間をどうやって確保するかなんですよ。

 皆さんも、ここにおられる人はほとんどホワイトカラーなんですが、実際に物をつくるという仕事につこうとする人が枯渇してしまったら、まさにものづくりというのは、高度一万メーターに乗ろうという人がいるのはいいんですが、その周辺というか支えるところがだめになってしまうんですね。

 したがって、大臣、この件はもうちょっと、午前中、小泉内閣の閣僚で発言が異なるとかなんかという話もありましたが、この件については、ぜひ厚生労働大臣ともよく話をして、社会的な地位を上げようよ、そして、その地位についたら社会的な影響力も、ほぼマイスター制度と同じぐらいの社会的評価が得られるようなものをつくろうよ、それはぜひ調整といいますか話し合いをしていただきたいと思うんですが、大臣、どうでしょうか。

二階国務大臣 私どもは、今、問題ごとに各閣僚と連携をして、いろいろなことに対応しております。

 例えば、塾の問題なんかは御承知のとおり経済産業省の所管なんですね。しかしこれを、我々だけの所管ではなくて学校も関係してくるし警察も関係してくる、それならば一緒にやろうよということで今対応しております。川崎大臣には今大畠議員からの御提言を必ず伝えまして、一緒に対応できるような道を考えていきたいと思っております。

 そのためにも、今回の法律もお願いしておりますが、同時に、私ども、三百社ばかりの優秀な企業をピックアップして一冊の書物にして皆さんにごらんに入れるということにいたしておりますが、その際に何か考えたいということをずっと思っております。ただその書物に入ったということではなくて、その位置づけをしていきたい。そして、この次には、選外優秀校ではありませんが、その選に漏れた新たな三百社がおられるわけですから、みんなが希望を持てるように。

 そのことによって銀行も、ああ、あの企業は技術的にも立派なんだな、経済産業省もそれを認めているんだなというふうな御判断をいただく。同時に、人格を伴うそうした技術者に対して、マイスター制度のような、そういう社会から尊敬を浴びることのできるようなことをどうすればいいか、一度改めて研究してみたいと思っております。

大畠委員 ぜひお願いしたいのは、今御指摘ありましたが、やはり気持ちなんですね、どういう気持ちでそれに取り組むかという。誇りを持つというのは非常に大事でありまして、私も一人の技術者でありましたが、現場の人にかなわないものはたくさんあります。それは、指でさわっただけで表面粗さがわかるとか、ちょっとしたかげんでちゃんと百分の一ミリの精度でもって機械加工ができるとか、すごい人がたくさんいますよ。そういう人を、やはりすごいということで社会的にも評価する。

 大臣もベルギーに行ったことがあると思うんですが、あそこの国では、非常に、技術者というか技能者といいますか、時計修理工もそうですし、みんな大事にしているんですね。三、四人の企業だけれども、代々お父さんの後を継いで、時計の修理会社をやったりあるいはこういう小さな工場をやっていたり、非常にうまくいっているんですね。なぜ日本が最近崩れ始めてきたのか、そこら辺、社会的な位置づけというのは大変重要だと思いますので、ぜひ取り組んでいただきたい、これは要望しておきます。

 それから、幾つかアンケートの中に、この法律案、第一歩になるのでぜひとも成立させてほしいという御意見とか、あるいは中小企業の定義がこの法律案ではっきりしていない、零細企業でも頑張っているところもあるので零細企業なんかも、三百社に入ることは難しいかもしれませんが、大規模、小規模を問わず、ぜひやる気があるところは認定してほしいという意見ですとか。

 特許を取りたいんだけれども特許を取る費用が大変だ、かつ、特許を取っても維持費が大変だ。したがって、零細企業なんだけれども出したい特許はある、しかしなかなか経費なんかを考えると二の足を踏んでしまう。法律案の中では、大臣認定がなくてもぜひそういうのは認可してほしいとか。

 研究開発問題で、この企業は年商二億ぐらいの程度ですが、一〇%程度を研究開発に投資している。しかし、銀行はこういう研究開発のための融資はしてくれない、これが実態なんだ。

 金融機関の問題で悩んでいる方は、金利二%で貸し出しをする民間金融機関はない、現在、銀行関係は金利三から五%、保証協会が一・三で、合計四・三%から六・三%の金利を取られるという状況にある、したがって、今回さまざまな動きがありますが、政府系金融機関についてもぜひそういう実態を配慮した形でやってほしいとか、いろいろ御指摘がございます。

 後継ぎがいない、やめたい人とやりたい人の窓口をつくってはどうかとか。

 ものづくりの高度化も重要だけれども、まず、世界に対して日本の位置づけ、ポジションをどこに持ってくるのかで基盤技術の高度化を図る業種が変わってくると思う、個人的な意見ではエネルギー云々という話もありますし、中小企業の経営者の方々も非常に真剣にこの問題についても取り組んでおられます。

 また、もう一つは、六十歳代になって基礎年金が受給できるけれども、働いていると収入があると引かれてしまう、このようなことでは能力のある技能者が集まらない、基礎年金は収入に関係なく満額受給できるようにしてくれないかとかいう、いろいろな話が来ております。これが正直言って地域の中小企業の実態なんですね。

 そこで、先ほどの人の問題に戻りますが、学卒関係はなかなか中小企業に来てくれない、あるいは工業高等学校を出た学生もなかなか中小企業には来てくれないという意見がありまして、その中でこういう提案がありました。例えば、中学校を卒業した生徒を中小企業が採用する、そして採用を決めた後にその生徒を工業高等学校とか高専に進学させる、そうすると、その生徒は意識を持って三年間の工業高校の生活をしたりあるいは勉学に入るわけですね。

 そういう制度を少し考えてくれないかという提言がございましたが、この件については、文部科学省、きょうお見えになっていますね、ちょっとその件についての今の見解をお聞かせください。

山中政府参考人 先生、今の御提言でございますけれども、中学を卒業するときにまず中小企業に就職した、そこで進学先を確保するということでございますけれども、現在、働きながら学ぶという形で就業の形態もいろいろな形になっていることから、例えば、従来の定時制高校というふうなところだけでなくて単位制高校というような形で、非常に単位を積み上げやすくするという形での専門高校等もふえているところでございます。

 また一方で、現在九七%が中学を卒業して高校に進学しております。そういう中で、高校教育の中で、専門高校の中でも、しっかりとした職業意識を持って学べるような環境づくり、そういうことも進めていきたいというふうに考えております。

大畠委員 私の地元できのう、日本版デュアルシステムの成果発表会というのがあったという新聞記事が今届いたんですが、これも一つの大事なことではないかと思うんですね。日立工業高校の生徒が、実習先、企業内に入って実習をして、それでその成果を発表した。学生も、何で三角関数をやっているんだかわからなかったけれども、やっとわかった、これで、こういうふうにやるときちっとした計算ができてこういう図面が引けるんだとわかりましたというので、非常に生き生きして帰ってきたというんですね。

 ですから、こういうことを少し応用しながら、各国いろいろ努力をしておりますが、ものづくりという観点から意識、動機づけをした上で、工業高校で三年間仕事をするとか高専で仕事をするとか、そしてそれをうまく利用しながら、中小企業にも就職の流れが一つ起こるような形で、ぜひこれはさらに検討を進めていただきたいと考えます。

 それから、金融問題の御指摘がございました。金融も、先ほどちょっと御披露申し上げましたが、中小企業の金融面で、中小企業金融公庫、商工中金、国民生活金融公庫などが果たしてきた役割は大きいという意見が大変多くありました。今回、内部で構造改革の一環として検討されていると伺っておるんですが、今回の撤退あるいは実質的な廃止計画について心配する声がたくさん出ています。

 特に、民間金融機関では大体五年返済というのが主流でありまして、十年とか十五年返済という政府系金融機関というのは民間の金融機関では見当たらないんですね。したがって、中小企業にとって非常に高いリスクといいますか、大きなリスクを背負いながらの真剣勝負をやらなきゃならない。一発間違えると返済ができないからアウトになるという、そのリスクもあるので、何とかここら辺の地域の中小企業の実態を踏まえた金融制度というものの維持を図ってもらいたいという意見がありますが、中小企業庁、きょうお見えになっていますか。

望月政府参考人 今回の政策金融改革では、中小企業向けの、先生今御指摘になった三機関、三機関のうちの中小公庫と国民公庫は一つの政策金融機関への統合、それから、商工中金は民営化の方針ということで示されております。

 統合された政策金融機関におきましても、中小企業者の資金調達支援が重要分野の一つということで法定されるようでございますし、中小公庫、国民公庫の機能は改革後もきちっと残ることになるというふうに私どもは考えております。

 また、商工中金につきましては、所属団体中小企業向けフルバンキング機能を行う金融機関として完全民営化する。組合金融を中心とした中小企業金融でございますけれども、完全民営化するときにはそういうものとしてなるということでございまして、中小企業向け金融機能を維持するためにしっかりとした措置を講ずるということを、大臣以下経済産業省を挙げて、これから詳細設計の際に努力をしていかなきゃいけないと思っております。

 いずれにいたしましても、大臣がたびたび申し上げておりますように、中小企業の方々が不安感を抱くことのないよう、政策金融改革にしっかりと取り組むとともに、長期資金の供給を含め、中小企業向け資金供給の円滑化ということには万全を期してまいりたいと思っております。

大畠委員 そうすると、先ほども指摘がありましたが、金利二%ぐらいで貸し出しをする民間機関というのはない。民間の金融機関に入ると四%から六%ぐらいになっちゃう。それも大体五年返済というのが、たががはめられているんですね。中小企業を支える金融機関としては、公的な金融機関は大変ありがたかった。十年とか十五年、そして、金利問題についても大体現在の水準を維持するような形で統合されるというふうに受けとめてよろしいですか。

望月政府参考人 先ほども申し上げましたように、今回統合される政策金融機関においては、現行の中小公庫、国民公庫の機能をきちっと維持して、新しい金融機関の中でも、真ん中にその中小企業金融を据えて行われるというふうに理解しておりますので、その点において、今回統合されたからどうこうということにはならないというふうに考えております。

大畠委員 もう一つ、このアンケートの中ではちょっとなかったんですが、連絡がありまして、午前中もありましたが、遺産相続のお話が出まして、工場敷地の個人資産の遺産相続の減免を求める声があるんですね。

 私の田舎の方では、大体五百坪ぐらいの小規模の工場、大田区とは違いまして地価が非常に安いものですから、五百坪ぐらいの企業が結構あるんです。それが社長の個人の所有となっておりまして、こういう遺産相続のときに非常に困るという意見、何とか、企業が存続しているうちは遺産相続税というのを非常に軽減させてもらえないかという話とか、あるいは、遺産相続時の子供の人数によって分割をしなければならないんですね、今の法律上は。

 それで、かつて浅草のしにせのお菓子屋さんが、子供三人いたので、兄弟から三分割だと言われて、結局、由緒ある建物を畳んで、更地にして土地を売って、商売をやめちゃったというニュースが四、五年前にありましたけれども、どうも私は、ここら辺から考えると、平等論というのもいいんだけれども、伝統あるそういうしにせ、一生懸命やっている企業経営、あるいは農地なんかでも同じなんですね、各子供さんは一人ずつ等分に遺産相続を受ける権利がありますから、それを主張して非常に困っているケースが随分各所で見られるんですね。

 ここら辺は法務省の管轄かもしれませんが、少し見直してほしいという声が、少しといいますか、これからの伝承、継承というものから考えると、その法律自体を見直すべきじゃないかという意見が出ています。

 ここら辺について、財務省、法務省から、それぞれ今の見解をお伺いしたいと思います。

加藤政府参考人 まず、相続税の関係でございます。

 先生の御指摘については、私どもも、いろいろ事業承継の問題というのは議論をかねてからさせていただいております。ただ、まず基本的には、その相続によって取得した財産、これはすべて、いろいろな種類はございますが、資産価値、時価に置きかえて評価して課税をする、これがまさに法律の平等の精神でございます。

 ただ、私ども、いろいろ過去において、ずっとこの議論の過程で、特に相続税全体を何回も改正することによって負担軽減を図っております。それから、さらに、平成十五年度の税制改正で、特に生前贈与の円滑化ができるように、精算課税制度という制度も導入しました。

 それから、これは今お話のございました工場敷地がまさに該当するわけですが、事業用の宅地につきましては、四百平米までは課税価額を八割減額する。だから、逆に言えば二割で済む。こういうふうに、できる範囲のことはいろいろしています。

 先ほどお話がございましたが、全体としての相続税負担の問題というのをかなりこれまで軽減してきておりますので、特に土地の価格の低いところは、相続税の課税最低限との関係において、かなり負担は軽減されていると私どもは考えております。

深山政府参考人 今の相続の話です。

 中小企業の経営者の相続人が複数存在する場合に、遺産の分割という問題が生じますが、これは、物理的に分割をしてしまいますと事業の継続が困難になってしまう、こういう問題が生ずるわけです。

 民法上ある制度として、遺産を分割する方法として、例えば、事業の後継者である相続人が、事業用の資産は相続するかわりに、ほかの相続人に対しては債務を負担する、お金をお支払いすると約束をする。こういう形で、財産そのものを分割しないで、最終的には、ほかの相続人には例えばお金を分割でお支払いするというような形で遺産分割協議を行う、こういうような方法もございます。

 また、もともとの経営者の方、被相続人が、事業の継続に必要な資産を後継者である相続人に相続させるという趣旨の遺言をあらかじめしておきまして、そのことによって、その事業用の資産はその人に確実に行く。ほかの資産はほかの相続人に行くという形で、遺言でこういう事態を回避する方法もございます。

 もっとも、相続人は基本的に平等の権限を持っていますし、遺留分というものがございまして、これ以上遺言で自由にできない部分というものもございますので、遺留分を侵害しない範囲でという限定はどうしてもついてしまいますけれども、この財産はもう承継者に渡すという、遺言でそういう指示をすることもできる。

 さらに、後継者である相続人の方は、よく先代の方と一緒に事業をやっているというようなことで、そもそもの相続財産の形成に寄与しているというようなこともしばしばございましたので、そういう特別な貢献をしている場合には、遺産分割の際にその寄与分が認められます。

 したがって、この場合には均分相続ではなくて、その寄与分は承継者の方にお渡しして、残りの部分を均分相続するというような形で、事業承継に必要な資産をその人に残すというような方法もございますので、これらの民法上のさまざまな手段をぜひ御活用いただきたいと思っております。

大畠委員 時間が来ましたので、これで終わりますが、今の話だけでは解決していないんですよ。だから、現実をもうちょっと見て、きちっと継承できるようなことを少し考えていただかないといけないんじゃないかということと、大臣には、本当は質問しようと思ったんですが、中小企業大国を日本は目指すんだという宣言でもしていただいて、中小企業庁じゃなくて中小企業省というのをつくるべきじゃないかという意見もありましたので、また別な機会にいろいろ御意見をいただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 民主党の吉良州司でございます。

 まず最初に、二階大臣にお伺いしたいと思います。

 先ほどの同僚議員の質問に対する二階大臣の答えの中で、中小企業と地方に光を当てることこそが政治の役割だ、このような答弁をされたかと思いまして、そのような思いというのは私も全く同感するところであります。

 実は私は、今民主党に属していまして、二期目なのですが、二〇〇三年の最初の総選挙のときは無所属で出馬しまして、実はその際に「経済の活性化と雇用対策」と、とことん安い選挙費用でやっていますので、こんな一枚ビラでありますけれども、こういうものをつくった中で、私自身、「「ものづくり」にこだわる国の追求。二兆円を投じて頑張る中小零細企業を支援。また新産業、未来フロンティア産業(ナノテク、バイオ、環境技術)への一兆円投資」、こういうようなことを、無所属だから言えたのかもしれませんけれども、それぐらい、この辺は政府また与野党を問わず、日本の繁栄の根幹はものづくりにあり、そしてものづくりを支えているのは中小企業だ、そしてその中小企業を支えていくのが政治の役割だ、このように思っております。

 そういう観点から見た場合に、今回のこの中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律案とそれに基づく予算措置、例えば研究開発六十四億円、またもろもろありますけれども、出会いサイトとでもいうのですか、そういうものに二億円とか、余りにも私からしてみると予算的に小さいのではないかというふうに思っています。

 断っておきますけれども、私も小さな政府主義でありますので、何でもかんでもばらまいて拡大しろというふうには思っていません。この法律の背景にもありますまさに選択と集中、そういう中で、二階大臣もそうでした、先ほど言いました、政府も与野党も共通しているのは、ものづくりこそが日本を支えている、こういう認識であるならば、ほかの予算を削ってでも、またほかの省庁から分捕ってきてでもこの分野に予算を集中投資すべきだ、私はこのように思っているところであります。

 なかなか腕力も旺盛な二階大臣とお聞きしていますけれども、先ほどの、中小企業と地方に光を当てることこそが政治の役割だという御認識と決意、それと今回の予算措置、私から見ますと大きな乖離があると思うのですけれども、その辺についての御見解をお聞きしたいと思います。

二階国務大臣 おっしゃるように、我々の中小企業育成あるいは中小企業の繁栄のために何をなさなくてはならないかという観点に立ちますと、今まだ予算は十分なものとは決して思っておりません。しかし、議員も御承知のとおり、今与えられた条件の中で予算を編成するといえばこの程度にならざるを得ないことは極めて残念であります。

 しかし、今後、委員各位の御理解、御協力をいただいて、このものつくりに対して後押しをするということを積極的に進めていくと同時に、全国で中小企業の皆さんが各地で頑張っていただくこの姿を、国民の皆さんにもまた財政当局にも十分御認識をいただいて、また将来に向けて考えていきたい。

 私は、先般のいわゆる予算の大臣折衝におきましても、経済産業大臣の御発言は以上でございますか、こう言われましたときに、その際、中小企業に特化して、中小企業の問題だけを最後の大臣折衝のテーマにいたしました。しかし、こんな程度が私の本当の要望ではありませんよということで、もう一つペーパーを出して、谷垣大臣に、これはすぐ回答をよこせというものではありませんが、十分お考えをいただいて、こんなことだけでは現在の経済産業省が日本の経済を立て直していこうなんということはとても、言うはやすく、今議員おっしゃったように、現実と理想との乖離が大き過ぎる、だからこれだけのことはやはり考えてもらわなきゃ困るということを申し上げたことがあります。

 我々は、そうした主張を根底に持って新経済成長戦略なるものを打ち立てて、今後に思い切った産業政策を展開していきたいという理想だけは持ち続けていきたいと思っておりますので、よろしく御協力のほどをお願いいたします。

吉良委員 非常に前向きな答弁、決意をお聞きできて、非常にありがたく思っておりますが、財政再建というのも国政上のもう待ったなしの改革テーマでありますので。予算措置に限界があるというのは私も存じ上げております。存じておりますけれども、ならば、この限られた予算を、じゃどうやって有効にしていくのかと。

 私は、実は、先日の参考人質疑それからここしばらくの質疑を聞いておりまして一つ気になっておりますのが、マラソンで言うと、今回のこの法案及び予算措置が大事なんだけれども、ただメガホン持って頑張れ、頑張れと叫んでいて、その価値はある。確かに、先日の参考人の清川さんですか、メッキ工業の方が、もう光を当てていただいただけでもう十分だ、そのことを盛んに強調されていましたけれども、裏を返せば、今言ったように、メガホンで頑張れ、頑張れと応援をしてもらったことは大変感謝するけれども、この程度の予算と、それから、ここに書いてある運用というのですか、それでは恐らく実質的な効果はなかろう、こういうような思いが裏から読み取れたのであります。

 そういう意味で、メガホンでただ頑張れ、頑張れと言うだけではなくて、本当に筋力を鍛え、高地トレーニングをやるというような、どうやってそこまで持っていくか、そういう意味での実効性についての質問をちょっとさせていただきたいと思っています。

 そして、一つ、まだそういう話をする前提として、私自身、この法案作成の背景に、今までは中小企業イコール弱者なんだ、そしてその弱者には手を差し伸べなきゃいけないということで、いわばお涙といいますかばらまきのような政策から、はっきりと意欲がある、やる気があってかつ可能性がある、技術があるという、また、伊丹先生の言葉をかりれば、頂上に近い七合目、そこらあたりにいる企業というところにターゲットを絞って支援をしていくという選択をしたこと自体は高く評価しております。

 ただ、その先の運用ということになったときに、果たして今のもろもろ書いております施策の中でどれだけ実効性があるのかということに、正直言って疑問を持っているわけなのであります。

 まず第一が、これは事務方でも結構ですけれども、これまでの質疑の中で、学者または役人の意見を聞きながら技術の選定をし、そしてまた評価をしていくというようなことがあったのですけれども、同じく参考人の伊丹教授からあったように、最終的に技術の発展とその技術を担う人材の育成というのは、その当該技術を含む事業がどれだけ拡大していくか、そこにかかっているという趣旨の話をされたと思うのです。

 そういう意味で、今回のこの法案、それを運用していくときに、どれだけ実需、現実的な取引、現実的な契約というものを反映させていくのか、この法案それからこれまで経産のお役所の方から受けたレク等では、ちょっとイメージができないのです。その辺について、実需それから現実的な取引、契約というものをどう反映させていくのかということについて答弁を願いたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案について、朝から累次議論になっておりますのは、この法案が単に中小企業一つ一つについて、その技術開発を支援するということではなくて、その中小企業が、日本経済の強みである製造業を支えている強みの部分としての中小企業の力を涵養することによって、経済全体の推進役にしようという高い期待をこの中小企業群に持ってやっているわけでございます。

 したがって、この中小企業の役割というものが、川下の組み立て産業であるところの製造業の人たち、これは大手企業の方々が多いわけでございますけれども、のニーズに合致して、言ってみれば彼らの求めているような技術の方向というものとうまくマッチングさせて、それで中小企業の方がみずから技術開発をしていく、こういう組み合わせをうまくどうやってつくれるかということがかぎになるわけでございます。

 したがって、先ほど先生が御質問になりました、特定の技術というものをどういうものを選ぶんだということになれば、まずおのずと、川下の製造業の、組み立て産業の方々から成る有識者の方々、それから、今、技術開発をしてこれに納めようと思っておられる川上の中小企業の方、この方々の対話をいかにスムーズに正しい方向へ持っていくかというのが原点だろうと思いますから、この構成員がまずあって、加えまして、やはりもう少し高い立場で全体の技術の動向をよくわかっていて、あるいは産業技術の流れをよくわかっている学識経験者、先生方にお集まりいただいて、その流れをつくっていただく、こういうのが基本だろうと思います。そういう中で、この特定技術というものがどういう方向へ向かっていくのかというものを、共通認識を持つということが大事だろうと思います。

 私どもは、この法律の目的とか構成がそういう趣旨でつくっていって運営されるべき法律であるということをむしろバックオフィスでしっかりと見詰めて、全体がうまくいっていただくことをお支えするという役割ではないかと思っております。そんな格好で組織をされております。

吉良委員 正直言って、今の答弁でも全くすとんと落ちていない、得心できないんです。

 今の答弁であれば、筑波とかそのあたりで研究していけばいい話であって、やはり中小企業というのは必ず、ここでもいろいろな場でもあっていますけれども、川上があり川中があり川下がありという中で、取引の中で、実需があって、ニーズがあって、初めてそこで要望が出てくる。しかも、それにこたえられたら、その製品が売れていく、その技術が汎用性を持っていく、こういうことですから。

 繰り返しますけれども、具体的な、例えば大企業なら大企業と、その下請なら下請の契約の中で、または、ニーズにこたえる、どうやってこたえようかという中で出てくるものだ、こう思っているんです。答弁の中では、私は正直、いや、僕が一番理解ないのかもしれないけれども、皆さん全くイメージがわかないと思うんです。

 例えば、自動車の部品産業でも結構です、携帯の部品でも結構です、または液晶メーカーとその下請でも結構です、メッキでもいいです。具体的にどういう取引なりどういうニーズの中で、どういう具体的な申請が上がって、そしてそれに対してどういう審査がありという具体的なイメージのわく漫画で答えていただきたいと思います。

望月政府参考人 これは、現実の今の世界の中で、産業界の方が大変苦労されて、この法律抜きにまず手始めにおやりになったことを申し上げますと、先ほどもちょっと一例を申し上げましたけれども、燃料電池車をつくらなきゃいかぬと。

 今、燃料電池車が走っておりますけれども、一億円するとか、そういう高い燃料電池車。これをコストダウンするというのがやはり非常に大事なことでございますし、日本経済にとっても非常に大事だと。その燃料電池のコストダウンをするというのは、いろいろな面がありますけれども、やはり一番大きいのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、あそこに白金の触媒を使わなければいけない。ところが、これは非常に高いものでございますから、その白金の量をいかに少なく使ってこの燃料電池をつくるかというのが大手の燃料電池メーカー、電機メーカーの方々の共通のターゲットなわけでございます。

 ところが、このメッキの世界、これは白金メッキ、いかに量を少なくやるかということは、薄膜のメッキをつくらなければいけない。このメッキの世界について、現実に実行しノウハウを持っておられる方というのは、中小のメッキ産業の方々でございます。この中で、すべてではございませんけれども、そういう能力を持っておられる方が数社おられるわけです。その会社というものは実はそんなにたくさんないものでございますから、大手の電機メーカーが通常つき合っているメッキ屋さんでないケースが結構あるわけでございまして、みんながあるメッキ屋さんに集中する場合があります。このメッキ屋さんに発注をして、それで薄膜化についての努力をしてほしい、こうやるわけです。

 ところが、ちょっと短く言いますが、この燃料電池については、それぞれの電機メーカーが別々のスペックで開発をしているわけです。そこに秘密のカーテンがあるわけです。受けたメッキ屋さんの中で、二十人ぐらいの小さい会社の中で、この中でファイアウオールをつくって、横の秘密を漏らさないようにして開発計画をつくってやるということになるわけでございますから、この中小企業にとってみれば、無駄な負担が物すごくかかるわけです。

 こいつをどうやって短期間に低コスト化するかということになれば、おのずと電機メーカーさんの方も気がつかれたのは、このスペックを共通化しなければうまくいかないということに結論がなったわけでございます。その辺から、大変申しわけないですけれども、だれか中立的な第三者が入ってこれをやらないと、このスペックの共通化は、開示などなかなかできないので、工業界の中心にある方がやるか、あるいはそういう燃料電池みたいなエネルギー政策の一環でもございますから、役所の方に声をおかけになって、スペックの開示ということを、ある中における開示というのを行って、共通スペックの中でこの開発に新しく着手し始めた、こういうのが一例あるわけでございます。

 そこで申し上げましたのは、朝から出ております、系列関係が緩やかになったことによって自然に秘密が流れるような体制がなかなかできなくなってきたというのが現在における一つのこういう中小開発型の企業の悩みであるわけでございまして、こういう悩みを解決するためにも、ここの情報流通を速やかにするような仕組みをどうやってつくったらいいか。

 先生がおっしゃいます、たった二億円か三億円の予算で川上と川下の情報流通をなだらかにする仕組みをつくるというのは、お金を幾らかけるかではなくて、むしろこの仕組みをどうやって工夫してできるか。工業界一体になったり、あるいは役所も絡んだりして、先生方も絡んで、どうやってつくるかというような仕組みづくりが大切なので、額は少ないですけれども、大事な政策だと思っているわけでございます。そういうことも一端でございますが、ちょっと長くなりますから、このぐらいで。

吉良委員 まず最初に言いましたように、私は、メガホンで頑張れという意味での効果はあると思っていますし、それから、先ほど二階大臣の方で、この法律自体で満足はしていない、ただ、この法律は一つのきっかけとして、今後、中小企業支援の実効を高めていくんだという趣旨の答弁がありましたので、そのこと自体を否定するものではないんですけれども、正直、今でもすとんと落ちない。基礎研究的なものと、まさに実需というか実ニーズに基づく対応。

 私ももう現場を離れて数年になりますので偉そうなことは言えないんですけれども、やはり具体的な商談の中で困るところは、先行手配がというか、材料にしろ人手にしろ、先に資金が出ていってしまう。それで、上からの支払いというのは数カ月かかる。場合によって、ある一定の成果を出せなければ、それまでの投資が全部無駄になる。こういうようなところで中小企業というのは一番困っているわけですね。特に研究開発も含めた高い技術を持っているところが。そういう中小企業の一番のどから手が出るぐらい欲しい支援というものがなかなか頭に浮かばない。

 今おっしゃられたことも間違いではないんでしょうけれども、間違いじゃないというかニーズであるんでしょうけれども、どちらかというと、基礎研究的な、今言ったメッキならメッキ、今の国際競争力を支える産業に共通するような技術を研究したいみたいに聞こえるんです。それだったら筑波の世界じゃないか、ちょっとこう思っていますが、これをやりとりしてもしようがないので、先に進みたいと思います。

 もう一つお聞きしたいのは、審査委員。

 先ほど来の答弁の中では、学識経験者、そして役所の方になるんだろうと思っていますけれども、それ以外にあるのかというと、民間企業の人間がここに参画できるのかということと、日本の場合、いつも問題になることですけれども、ある技術を持った民間企業というのが複数社ありますので、どこかを代表に出すと、そこに情報が漏れるんではないかとか、特別に優遇されるんではないかということで、結局、民間は入れずに、公平公正を保つということで、どうしても学者と役人ばかりになってしまう。その結果、先ほど言いました実需だとか、そういう現場の取引からかけ離れて、何かいい技術をただただ追い求めていって、実際の大手メーカー等のニーズからはかけ離れたものを求めていく、こういうことを恐れるわけですけれども、審査委員の選定方法・基準、そして、今言った民間企業の委員が入っていくのかどうか、その辺についてお答え願います。

望月政府参考人 例えば、これは金型なんかのケースでございますけれども、先生おっしゃいますように、一番中立的な方は、この場合は大学の先生でございます。大学の先生も今や産学連携とかいろいろやっておられますから、そういう意味で、現場について十分御理解になった上で御見識を示していただけると思いますけれども、大学の先生。それから、金型なんかの場合には、ユーザーの企業の方々、この方々が民間企業としては入られます。それから、つくる方の企業の方々で申し上げれば、どちらかというと、今や個別の企業は卒業したけれども、地方自治体の関係のものづくりセンターのような、そういう中小企業を支援するようなお立場に立つようなところで活躍しておられる、言ってみれば企業のOB人材の方々というような方々を中心として構成をするというのが実際の場合のつくり方ではないかと思っております。

 いずれにしても、この方々の名前はもちろん公開をされますし、そうなったときに、しかるべき納得性のある権威ある方がおられなければ、この選定についての公平性、公正性は疑われるということでございますので、非常に慎重に今有為の方々を選んでいるということでございます。

吉良委員 この種の話というのは審査委員にだれを選ぶかという時点で方向性が決まる場合もよくありますので、繰り返しますけれども、本当に、現場の声がよりよく反映されるような選定をお願いしたいと思っています。

 あと、質問なりお願いになるかもしれませんけれども、一つは、先ほども言ったように、私自身も何回読んでもなかなかイメージがわかないという意味で、この法律と具体的な施策についての広報戦略といいますか、周知徹底というもの、これが非常に大事になると思うんです。その辺についてどうされるのか、その辺についてのことが一点。

 それから二番目として、出会いサイトと言っていますけれども、交流の場。これは先ほどの答弁の中ではフォーラムだとか逆見本市でソフト面を重視したいというような話がございました。

 私がやはり心配していますのは、結局、いつもこの種のことをやるときに、やれフォーラムだシンポジウムだ何だとやって、そこで名刺交換が行われて、何となく交流ができました、これでお茶を濁されるということがよくあるので、これでは本当の生きた交流にはならないと思っています。

 そういう意味で、今、あるメーカーのOBの方の活用というようなことをおっしゃいましたけれども、まさに中小企業、それから大手の企業、また商社等々、その方々のOBなりを例えばプールして、その方々との出会いの場をつくって、その方々をいわばスカウトできるような場、そして、今回の予算措置ではないんでしょうけれども、将来的には、例えばそういう人たちの就職の際に、中小企業がプラスアルファ、インセンティブを払えるような支援、そういうようなことを考え、やってもらいたいと私は思っているんですが、その二点についてお答えをいただけますか。

望月政府参考人 私どもの中小企業政策の広報下手というのは、この委員会でも二年ほど前に徹底的に追及していただきまして、例えばその当時につくっていたパンフレットが、これは私ども三十種類ぐらいあるわけでございますけれども、全部その時点でつくり直して、それで、人が読む気になるパンフレットにするという原点からつくり直して、今、そういう意味では一通りの試練を経た後の資料でございますので、また後ほどお届けしますけれども、少し見る気になる資料になっているかなということから始まりまして、広報について、きちっといい広報素材をつくるということと、それからいい広報ルート、つまり中小企業の方々が自然に行くところはどこだろうかと。

 先ほど来ありましたけれども、一番行かれるのはやはり金融機関でございます。政府系金融機関とか信金とか地銀とか、そういうところをフルに活用して広報するとかいうことを含めて、広報については相当工夫を始めているところでございますけれども、なかなかその効果はそう一朝一夕に上がるわけではございませんので、日々また訓練をしていきたいと思っておりますが、御指導賜りたいと思っております。

 それから、そのあらわれみたいなところでありますけれども、実は先生が今おっしゃったOB人材の話は、私ども、これは非常に、今も大切ですし、これからまさに二〇〇七年問題を迎えるに当たって大変重要だと思っておりまして、三年ほど前から大企業のOB人材の中小企業への活用というものを考えて、商工会議所のデータベースに御本人から全部登録していただきまして、今約四千名ぐらいの大企業のOBの方々が登録されておりまして、どういう能力があって、どういうことだったらできるというようなことがデータベースに入っております。

 中小企業の方々はそこへアクセスをして、自分の欲しい人材にマッチする人がいたら、そこでマッチングのお手伝いを商工会議所がするということを今やっておりまして、約四千人ぐらいの人が登録されて、既に千数百件についてマッチングが行われつつございます。

 これなども割と盛大にやっているわけで、最近私も気がついたんですが、今、東横線の電車の中のあれでやっておりますけれども、そういうことで、広報をもっとしていかないといけないということでございます。

 そんなことを含めて、中小企業にとっては大企業のOBの方々というのは、何のあれもないOBの方かもしれませんけれども、物すごい人材であるということは自覚をしておりますので、何とか上手に活用をしていただきたいと思っております。

吉良委員 OB活用について、もう一つの視点で、熟練工の海外貢献ということについて簡単に提案をさせてもらいたいと思っています。

 ものづくり白書というか、この法律の背景になった危機感として、日本は今、上がっている日本を支える技術というもののおかげで成り立っている、これの海外流出を防ぎたいと。製造技術のノウハウの海外流出を回避するということも大事なんですが、一方で、日本が発展を続けていくためには、やはりアジア、世界と共存共栄していかなきゃいけない。

 こういう中で、私は実は、自分の地元、大分ですけれども、そこの工場出身のOBの方々によく言うのは、私も商社なんかにいた割には英語はむちゃくちゃ下手ですが、皆さん方もほんの片言でいいから英語を勉強してくださいという話をするんです。

 実は、数年前、大分にある新日本製鉄の大分工場があるんですが、そこである工程の大トラブルが生じたことがありまして、大分工場というのはオートメーションの最先端を行っていますので、コンピューターであれやこれや探して何とか修正しようとしたんですけれども、結局直らずに、どうしたかというと、定年退職した人、または早期退職した日鉄のOBの熟練工の方全員に声をかけて呼んだら、もうあっという間に直ったというようなことがあるんです。

 そういうふうなことがあって、私がよく言っているのは、例えば今、東南アジア、中国もそうですけれども、日本の十年前、二十年前、三十年前を追いかけながら経済発展をしている。日本というのは、中小企業が大事だと言っているもとになるんですが、非常に中間層が厚い。トップレベル、それから中間層が厚い。ただ、発展途上国というのは、一番トップはアメリカの大学院帰り、だけれども、その次はもう一挙にマニュアルどおりにしかできないという労働力ということになって、現場で即座に判断をして、そしてすぐに自分の経験を生かして対応できる、こういう人材が圧倒的に不足しているんですね。

 そういう意味で、日本の現場で経験、ノウハウを積んだ方々を、今発展途上にあるそういう国にもぜひ活用していただく。彼らはノウハウと経験を持っていますので、もう英語なんか本当に片言でいいわけですよね。

 そういう意味で、この中小企業に光をというのは、もちろん企業に光をですけれども、同時に、そこで働く人たちに光をというかやる気を、またプライドをということでありますので、その方々に、そういう自分の経験、ノウハウが評価され、尊敬されるんだ、こういうような場をぜひつくっていきたい、そのような施策を考えていただきたいと思いますが、二階大臣、いかがでしょうか。

二階国務大臣 今議員御指摘のようなことを、私もかねてシンガポールのチャンギ空港の建設ができ上がったころに伺ったことがあるんですが、その当時、いろいろな関係者のお話を聞いておりますと、日本の技術に支えられている点が多いと。

 そこで、技術者の皆さんの言葉の障壁はどうであるかということも伺ったわけでありますが、ネクタイの人よりも技術の人の方が言葉は早い、そして、言葉の要らない技術交流というのがあって、しかも具体的なことであるだけに意思の疎通が非常にスムースにいっておる、ですから、そんなことは心配ないと。日本の技術者の方が給料は断然高いわけだけれども、それでも二倍、三倍の効果があるから、かえって日本の人に来ていただく方がいいんだと、両方の側から、シンガポールの方で雇っておる方からも、日本の方からもそんな声を聞きまして、なるほどということを思ったことがあります。

 今議員御指摘のようなことで、日本のリタイアをされておる技術職の方の持っておる経験、これはやはりある意味では、今までは何々製鉄、何々自動車、何々産業というところの財産であったかもしれませんが、OBとなって一般の社会へ出られますと日本国全体の宝物でもあるわけですね。この宝物をどう生かすかというのは、これからの日本が躍進していくためのヒントであろうと思っています。

 というのは、学校においても、こうした皆さんから直接授業を受けることができるようなことになれば、小学校、中学校、高等学校を問わず、理科教育、技術教育に対して子供たちが目を輝かせるのではないかと思うことがしばしばであります。そして、他の国々では既に、学校は社会のために、社会は学校のためにということで、お互いに門戸を開き合って相互乗り入れができておるわけでありますから、日本ももっとその点をスムースにして対応していきたい。

 今、しばしば私は、文部科学大臣と機会あるごとに、私たちは国立高専に期待するところが大きい、同時に工業高等学校にも多くの期待を寄せている。ですから、我々経済産業省が、聞きようによってはのりを越えて言っておるのではないかと思われることがあるかもしれないが、そういう教育の本質に我々は触れるつもりはないが、その技術力を日本の国の産業に生かしたい。

 そして、世の中に、卒業してからニートだ何だといってぶらぶらしているような人たち、こういう人たちは、働く場所また働く道を選ぶ選び方によっては幾らでも輝く未来があるわけですから、そうした面でも、こういう国立高専、工業高校等を活用させていただきたいということを我々は謙虚にお願いをしておるわけでありますが、ともに力を合わせようということを約束し合っているところであります。

吉良委員 ありがとうございました。

 本当に、諸外国から見れば日本の熟練工というのは宝の宝庫でありますので、ぜひこれを生かすということを官民挙げてやっていきたいというふうに思っています。

 時間がなくなってきたんですが、私は、この経済産業委員会での自分としての一つの大きなテーマが経済安全保障というものでありまして、十月にも質問をさせてもらったんです。きょうはちょっと時間がなくなってきたので細かに突っ込めないのですが、最近注目を浴び始めた原子力技術といいますか、原子力の平和利用の海外展開ということをちょっとお話しさせてもらいたいと思っています。

 経済安全保障、特に、日本はエネルギー資源の安定確保というものが日本を支える根幹だと思っています。特に、原子力という環境に優しく、かつ原子力発電が行われることによって既存の化石燃料の消費を減らせる、これは、結果的にはエネルギー資源、原材料の価格を低位安定化させて日本の国際競争力が保てる、このように思っているわけであります。

 そういう意味で、最近は、アメリカも原子力の見直しを始めていますし、お隣の中国でも新しい原発計画がたくさんある。そういう中で、次回以降もっと詳しく突っ込みたいと思いますが、きょうは中国の原発計画に対する日本の関与ということで大臣の御所見をお伺いしたいんです。

 中国が今、三十基ほどの新しい建設計画を持っている、具体的に日本企業も参画を表明しているプロジェクトもございます。そういう中で、日本は、ぜひ政府も全面的に支援して中国の原子力発電所を受注していく、このことを官民挙げて追求していかなければならないと思っています。

 その理由の一つは、今申し上げましたように、今のエネルギー資源の高騰というのは、中国を中心として、BRICsの資源の爆食にあるということが一つ。そして、ウクライナのチェルノブイリ、中国において中国版チェルノブイリが起こって困るのは日本である、そういう意味での安全の問題。

 それから、アメリカもそうですけれども、ここしばらく原子力発電所計画というのはなかったこともあって、日本の原子力に携わる高いレベルの技術者もそうですし、現場の技術者もそうですけれども、なかなか実践経験がなくなっているということがございまして、二〇三〇年に既存の原発がリプレースされていくことを考えますと、今のうちにその技術の伝承というものをやっていかなければいけない。

 そのときに、今言いました、日本の国益のために資源を安定させる、そして日本の安全を図っていく、そして技術の伝承をしていくという意味で、中国における原子力発電所を日本が受注していく、これは非常に大事なことだと思っていますけれども、その辺についての政府の御見解をお願いしたいと思います。

安達政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電導入の拡大期にある中国とかそういった国に対しましては、核不拡散や安全確保を大前提に、我が国原子力産業の参画を最大限支持する姿勢を政府が表明するのに加えまして、安全面、人材面での協力や資金面での支援を行っていきたいと考えてございます。

 委員御指摘の中国におきましては、二〇三〇年には石油依存度が八〇%に迫ると予想される一方で、一年でメキシコやスペインの電力需要を超える需要が増加しております。こうしたエネルギー需給逼迫に対処するため、原子力発電を中国では、現在の九基から、二〇二〇年までに新たに二十基から三十基程度建設する予定でございます。

 こうした中国の原子力発電の健全な発展に資するためには、我が国原子力産業が中国の原子力発電所の建設事業に参画することを通じまして、我が国の安全で信頼性の高い原子力技術が中国で最大限活用されることが有意義であると考えてございます。

 経済産業省といたしましては、こうした我が国原子力産業の進出に対し、貿易保険等を活用した資金面での支援を行っていくのに加えまして、中国の運転管理者向けの研修事業や中国の規制機関向けの研修事業を行う等、原子力安全に資する人材育成の協力を進めてまいる所存でございます。

吉良委員 時間がなくなりましたので、ちょっとこれ以上は突っ込めないんですけれども、先ほど言いました経済安全保障とエネルギー安全保障という観点から、このエネルギー政策については、本当に、過度に米国におもねることもなく、日本として、まさに原子力そのものが今後エネルギー源の主力になっていくと思っていますので、日本の技術それから運転、ノウハウを、世界のデファクトスタンダードにしていくというような気概でエネルギー政策を追求していただきたいということを申し上げて、私のきょうの質問を終わらせていただきます。

石田委員長 次に、三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男でございます。

 先輩、同僚委員に引き続きまして、本案、中小企業ものづくり基盤技術の高度化に関する法律案につきまして質問をさせていただきます。

 我が国は、まさにものづくりを中心に成り立っている国だと思っています。今もそうですし、これから先も、未来もそうだと思います。そのものづくり、製造業の国際競争力を強化するために、中小企業の強化はまさに不可欠な課題です。我が国製造業、我が国の経済と置きかえてもいいと思います。その競争力を支えているのはまさに基盤技術を持った中小、あえて零細と申し上げますけれども、中小零細企業だということは疑う余地のないことだと思っています。

 本法案はまさに、この中小企業のものづくりの基盤技術を強化しよう、高度化をしよう、それも、これまでありがちだったあいまいな産業全体、あるいは業界への支援策あるいは方策とは異なりまして、ねらいを定めた特定の有望な基盤技術そのものに支援を行う、予算措置を行うもので、これまでなかった画期的な施策だというふうに評価をしています。

 これまでにも、この法案に至るさまざまな取り組みがございました。まず、これまで政府が取り組んでこられたものづくり関連の施策、新規創業施策など、意欲ある中小企業に対する施策につきまして、その成果、効果をどのように認識をしておられるのか、政府のお考えをお聞きしたいと思います。

片山大臣政務官 今までの施策の中で、平成十一年に中小企業基本法を改正したということが一つの契機としてあるというふうに考えておりますが、ここでの基本的な理念の転換としては、やはりやる気、能力重視ということで、やる気を持った中小企業を支援するということを政策理念として明確に打ち出しまして、それ以来、創業ですとか経営革新などのリスクを伴う事業活動に意欲的に挑戦する中小企業への支援を経済産業省としては積極的に行ってきております。

 具体的な実績をというお話でございますが、幾つか申し上げますと、創業対策といたしましては、いわゆる一円でもできる起業、平成十四年から、最低資本金規制の特例というのもございまして、これを活用したものが今までに約三万四千社設立されております。また、累計いたしますと約二万一千の中小企業が、経営革新に取り組む事業者を支援する法律を活用いたしまして、新製品の開発などに挑戦しております。さらに、昨年から、複数の中小企業がおのおのの強みを持ち寄って連携して、さらに新しいビジネスモデルを展開するということで、私ども、かぎ括弧新連携というふうに呼んでいるんですが、この新連携を支援する法律ができまして、この制度に基づきまして、既に百六十二件の連携体が生まれております。

 このように、その時々のニーズや事業者の方々の意欲に応じまして、ある程度柔軟にいろいろ考えまして、それなりに相応の成果が上がってきてまいっておるものと考えております。

三谷委員 その認識を踏まえていただきまして、また今回の法案についての、これまでずっと行ってこられた、まさにその意欲ある中小企業に対する施策との違い、その効果を明確にしていただきたい。御説明をお願いいたします。

片山大臣政務官 まさにこの延長でございますが、今のお話に加えまして、今般のこの中小ものづくりの高度化法は、今までの政策に加えまして、さらに国全体の国際競争力の強化をも達成しようという試みの中にとらえておりまして、我が国製造業の強みの源泉であるのは中小企業だという議論を本日はずっとさせていただいておるわけですが、その技術をさらに高度化を図るということで、産業政策の一翼を担うという意義づけをしているわけでございます。

 今も、いろいろな技術の種類の話の議論をずっと午前中からさせていただいているわけでございますが、具体的に、鋳造ですとかメッキですとかいろいろございますが、これらの我が国製造業の競争力の強化の観点から特に重要と認識されております基盤技術を選びまして、これらの技術に徹底して重点を置いて総合的な支援を行うという、非常に基本的な政策であるというふうに考えております。

三谷委員 ありがとうございました。

 まさに冒頭申し上げたように、そういう意味では、この本法案に集結したとあえて申し上げますけれども、まさに基盤技術そのものに国際競争力を高めていくために予算措置を行う、まさにこれまでなかった画期的な施策だと評価をしています。

 またさらに、この法案にしたためられたこの一連の施策、本当に大事な施策だと私は思うのですが、中でも一番大事な施策は、まさにメーンとなっております戦略的基盤技術高度化支援事業、外向きにはものづくり基盤技術の経営開発支援ということになっておりますけれども、まさにこの事業についての具体的な考え方、実はこれ、予算措置であるために、条文上なかなかこれが明らかになっておりません。まさにここはこの法案の命ともいうべき大事なところだと思います。当該措置の政府の基本的な考え方、そして実施体制、タイムスケジュール、そして認定の基準、指針、支援を行う採択、採択の基準、そのことについてお伺いをしたいと思います。特に、認定、採択の指針、基準につきましては、なるべく具体的にその基準、指針についてお答えをいただきたいと思います。

望月政府参考人 御指摘の戦略基盤事業は、認定計画に沿って研究開発を行うものづくり中小企業に対する中心的な支援措置であります。この実施体制につきましては、経済産業省と中小企業基盤整備機構が一体になりまして、関係機関とも相互に連携をし、効果的に事業を実施するというふうにしていきたいと思っております。

 本事業の実施スケジュールにつきましては、まずもって、本法案が成立をするというのが前提でございますけれども、予算関連法案ということで御審議をいただいておりますので、できるだけ早期に成立をさせていただいたという前提に立ちますと、私どもとしてはできれば夏前に、これも予算の執行上、残された月数が少なくなりますと、いろいろ事業者の皆様方にも御迷惑をかけることになりますので、成立後、できるだけ速やかに執行したいと思っておりますので、例えば、夏前の六月ごろを目途に計画認定を開始したいと考えております。それから、計画認定を受けたものづくり中小企業を対象として、それから一月ぐらいの間に本事業への公募を開始する予定でございます。

 それから、計画の認定に当たりましては、その内容が技術高度化指針において定める技術の高度化の目標等に適合しているかどうかという当てはめの判断が、これは先ほど来御議論になっております、民間有識者あるいは学識経験者を集めて行われることになると思いますので、その判断が行われます。

 また、予算による支援対象の選定に際しましては、基準はどういうことかということでございますけれども、私どもが着目をすべきだと思っておりますのは、技術の新規性、革新性、それからその波及効果、事業化計画の妥当性、技術面、事業化面、両面からの評価を行った上ですぐれた研究開発テーマを選定していくということになろうかと思っております。

三谷委員 具体的と申し上げたんですが、考えているより余り具体的ではなかったような説明だったように思います。

 それじゃ、先に伺わせていただきます。

 本法案におけるまさに認定と、予算措置を伴う支援措置が施されます採択、これが別なんですね。そこで、一番強く申し上げなければならないのは、認定を乱発してはならないということを思っています。強く申し上げたいと思います。

 過去におきましても、例えばさまざまな融資支援策、これでも、認定はされたけれども実行されない、こういうことがよくありました。そのときに、受け取る企業側からいたしますと、さまざまな、まず落胆はします、当たり前のことです。混乱もありました。また、事業へのやる気を持った中小企業の期待、これは冒頭申し上げましたように、私、本当に高いものがあると予想いたします。必ずそうなると思います。それだけに、認定をされて採択をされなかった、大きな混乱を招きますし、また落胆も大きいと思います。

 そしてまた、ちょうど先般の参考人質疑の際に、先ほど来清川参考人の御意見がいろいろ引用もされております。清川さんがちょっと逆の話もされております。引用いたしますと、目指していることを認めていただいたということが大きな成果だ、こういう話をされております。金額そのものよりも、それを認めていただく、我々は認めていただくということで一生懸命やりますので、そういう話がございました。

 だけれども、この話は、なかなか清川さんのお話どおりには受けとめられない話だと思っているんです。清川さん、確かにいい方でもありますし、また立派な経営者だと思います。しかし、ここにノミネートをする中小企業、やる気のある中小企業、多くはそのように考えないと思うのです。認めてもらうんだけれども、一億円あるいは五千万円、自社が求める研究開発を支援で行ってもらえる。もらえる、もらえない、そのギャップは物すごく大きいものがあると思います。

 また、清川さんが言われた、まさに認めていただけたら、もちろん予算措置がありますので、それは限られたところしか採択はできないでしょう。だけれども、乱発は絶対にしてはならない、過去の例のように。清川さんが言われた受けとめ方をしていただく上でも、認定というものはやはりオーソライズされたものじゃないといけないと思うんです。

 そのためにも、先ほどおっしゃられたものよりももっと明確な基準、厳正と言ってもいいかもしれません、明確な基準を決める、そして乱発はしない。ある意味、基準があいまいに定められますと、認定は数多くされますけれども、採択されるのは、予算措置六十四億円、六十四億円の中でもちろん限られたものしか、積算では一件一億、六十四件、そんな話になっておりますけれども。これはまた後でお話をさせていただきますけれども、やはり明確にきちんとしていただかなければならないと思います。

 そこで、その前に一つ確認なんですけれども、もしこの認定企業、認定するだけでも意味があるとするならば、支援策の一つの中に中小企業金融公庫による特利三、〇・九五%の、それも、貸し付け条件も非常に有利な設定がございますけれども、認定されることによって、まさにこの中小公庫の特利三、適用がされるのか。そうじゃないんだと思うんですけれども、ちょっと確認の上で、同じ融資がしてもらえるのか、認定によって。それをちょっと御説明いただけますでしょうか。

望月政府参考人 先生、ちょっとその前に、先ほどの清川さんの御意見でございますけれども、単に認定されることだけにうれしいと言っておられるだけではなくて、実は、自分たちのプロジェクトがオーソライズされることによる社会的認知に伴う大変な効果がいろいろあると思うんです。

 今回の政策、先ほど過去の政策を御説明申し上げましたときに、昨年、新連携というのをやりました。これはやはり認定事業でございますけれども、物づくりの技術開発とはちょっと別のもので、新しい事業化のための中小企業支援策でございます。これも全く同じ議論が当時されまして、認定はされたけれども予算措置がつかないというようなことがあってはならないとか、認定されても意味が、効果がない、支援策について何の効果がないというのは問題だということがございましたので、私どもはできる限り、それこそ厳しい認定をしてやったわけでございますけれども、予算措置とのギャップが比較的少なかったと思います。

 ただ、言えたことは、新連携で認定を受けた方は、金融措置があっという間に、政府系金融機関はもちろんございますけれども、民間金融機関も含めて非常についたわけです。金融が少し緩和基調にあるということも背景にあろうかと思いますけれども、むしろいい中小企業の借り手に対する貸し込み競争があるぐらいのことでございますので、そういう意味では、社会的信用を得るということは非常に大事なことで、私は、今回、それで済ませるつもりはございませんけれども、認定行為自身はこの方々に対して大変大きな力になるというふうに思っております。

 それから、先ほど基準について、新規性だとか技術の有用性だとか、そういう基準を申し上げました。これは実は、先ほど来申し上げましたように、今ですらもう十七個の技術分野についてそれぞれ基準をつくることになってございますので、そういう意味では、一般的に共通する部分についてのことを抽象的に申し上げましたけれども、これから技術指針をつくってやっていく際には、その技術のレベルについてもう少し詳細な基準が技術指針の中に書かれていくということになると思います。

 それも公表されますから、そういう意味で、透明性を持った公平な基準というものにのっとってこういった計画が認定される、それから認定された結果についても一定の公表が行われるということでございますので、その辺については私どもも十分配慮していかなければいけないという、先生の御指摘のとおりだと思います。

三谷委員 よくわかりました。

 あわせて、まさにこの予算措置が行われます支援対象についてでございますけれども、ちょっと懸念がございます。

 中小企業審議会の報告書を見ますと、まず、製造業の国際競争力を支えるトップレベルの技術力を備えた中小企業者の層に厚みを持たせていくことが政策のねらいだとした上で、まさに支援対象、ターゲットのどこにねらいを定めているのか、こういう話ですけれども、政策ターゲットを明示すれば、現状では技術的にトップ層にはないものの、日本あるいは世界的に見ても最高水準の技術を実現し得る潜在的な能力を有し、その目標に向けて企業努力を続けるトップの次の段階、階層に位置する中小企業とすべきということになっています。いわゆるトップ下の階層が対象、ターゲットのように見受けられます。ちょっとねらいを定めるイメージが違うような気がしてなりません。

 トップ下の企業の実態というのは、むしろその規模でありますとか、もちろん中小企業の中には五人、十人、そういう中小零細があれば、あるいは五百人、千人、そういう中小企業がございます。トップ下の企業の実態というのは、規模あるいは経営、人材、技術等、むしろ自助努力で厳しい競争に勝ち抜いていけるんじゃないかと思います。むしろ、本来まさにこの支援措置でターゲットと考えなければならないのは、小さくても地域の中にあって、私の地元も呉市というところでございまして、昔からの海軍工廠の技術集積がございまして、本当に小さくてもきらりと光る技術を持っているところ、煙突をつくらせたら日本一とかグレーチングをつくらせたら日本一とか、そんな企業がたくさんございます。決して大きいところではありません。小さくてもやる気を持って、光る技術、すぐれた技術を持ちながら、資金の関係で、あるいは人材の関係でなかなか研究開発まで踏み込めない、まさにそうした地域の小規模の中小企業、それがターゲットになるべきだと考えますが、この政策ターゲットについて、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

片山大臣政務官 まさに委員の御指摘のとおり、小さくて強い企業というのは強みの源泉でございまして、実は私、今を去ることもう十八年ぐらい前に、委員の御地元で税務署長をしておりまして、呉市から海田市に至るあたりに、いかに小さくて強い企業がたくさんあって、まさに海軍工廠以来の伝統を持って、何代にもわたって非常にすばらしい技術を持っておられて、それがまた現代の名工的なものにもつながっているという方々を直接存じ上げておりますので、御指摘の点、非常によく理解するものでございます。

 まさに、規模の大小ということを今回別に特段条件にしておりませんので、規模が小さいものの中でも、高い能力を当然持っておって、強みの源泉になるような潜在力がある、ものづくり技術の高度化に資するようなところは、当然対象になるのでございまして、そういった企業が今後も意欲的な取り組みを行っていただくことを期待して、それを全面的に支援してまいるというのが今法の趣旨でございます。

三谷委員 まさに今のお話は大変大事なところですので、経済産業大臣、今のようなお話でまさによろしいんでしょうか。お考えをちょっと聞かせてください、まさに今の政策ターゲットのお話なんですけれども。

二階国務大臣 ただいま片山政務官から御答弁申し上げたとおりでありまして、私たちは、大きい、小さいということだけではなくて、まさに、小さくても立派な企業、先般も、総理が現場に参りましてごらんになってこられた企業で、たった六人でやっている企業で世界で有数の企業があるということを、本当に驚きと感激の気持ちを持って私どもに語ってくれておりましたが、そうした企業が全国にたくさん存在していること、それをどう育てていくか、それをもっと押し上げていく、その努力が私どもに課せられたものと思っております。

三谷委員 ありがとうございました。それで安心をいたしました。

 また、まさに大きさの問題じゃないというお話をわざわざ大臣から御答弁をいただきました。特定の中小企業層が対象ターゲットとされることがないように、本当に十分に留意をしていただきたいと思います。

 また、この支援措置の、先ほども少しお話を申し上げましたけれども、その中身なんですけれども、積算で一件一億、六十四件六十四億、これはあくまでも積算の話だということはよくわかっております。

 また、同じように、先般の参考人質疑の際の橋本参考人のお話の中にもございました。一億円というような話が出てきたけれども、私どもの企業規模、特に、二百六十社ぐらいありますけれども、その辺の企業ではとても金額が大き過ぎる。一千万円の研究費を費やすというのは我々の企業にとって大変なこと、数字がちょっと違うような気がすると。三千万から一億というような案もあるけれども、少なくとも一千万円ぐらいかけられるという企業は、要するにかなり力のあるところじゃないかと思う。こんな話がございました。

 これもちょっと念押しの話なんですけれども、まさに、この研究開発の予算執行の一件当たりの額ですけれども、弾力的にもかなり幅があるものと思いますが、これはどのようにお考えになっているのか、これも御説明をお願いいたします。

    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕

望月政府参考人 積算根拠は、一件当たり一億円で六十四億円になってございまして、それも、一件というのはこの場合、比較的、一つの中小企業が単独で研究開発計画をつくるよりも、いろいろな強みを持った企業同士が連携をして、共同で研究開発計画をつくるというようなことがある程度前提になってございます。特に、川上、川下の共同開発なんということも頭に置いておりますので、そういった意味では、例えば一件一億円のケースであったとしても、数社集まれば数千万円ずつになるということになるわけでございます。

 それから、もともと一億円のお金を無理に使うためにやるわけではございませんから、需要が数社集まっても一千万円であって、数百万円ずつの計画であったとしても、私どもは、計画の中身がこの法律の趣旨あるいは政策の趣旨に沿っていれば、当然認定されると思っております。

 そういった意味で、きめ細かい対応をしなきゃいけないということでございますので、例えば、この窓口を地方の局にも窓口をやらせることにしておりますけれども、これは、例えば地域の比較的小規模な中小企業の方々のプロジェクトであっても、これが現実に日本の経済の強みを支えているというようなものであるとすれば、当然、取り上げていくことが非常に大切なことである。その場合には、金額も小さい規模で非常に十分な効果を上げられるんじゃないかと思っております。

三谷委員 大変よくわかりました。

 そして、予算の執行におきまして、経済産業省分が三十一・五億円、そして独立行政法人中小企業基盤整備機構が三十二・五億円、約半分ずつの執行ということになっています。なぜこのような執行体制になるのか、そのことも御説明をお願いいたします。

望月政府参考人 今回のプロジェクトは、先ほど来御説明申し上げましたように、日本の製造業全般にかかわるものでございまして、日本の強みをいかに強化していくかという、ある意味では割と大きい政策でございますので、関係する技術も幅広い技術を取り上げたいと思っております。そうしますと、特に地域で集約している企業群が一生懸命やっているような場合と、あるいは、もう少し全国的な規模で、同じ業態にあるような人たちが協力して研究開発をしていくというような場合もあろうかと思います。

 簡単に申し上げれば、ある工業界の有力者の方々がみんな集まって一緒にやらないと、日本のこの産業はやっていけないというような重要な技術開発もございます。こういう場合には、その対象となる企業の方々も、比較的全国に散らばっている人たちをネットワークにしてやっていかなきゃいけないので、中央である程度中心になっている方が申請をしてこられるということが大事なことだと思いますし、地域の話は、先ほど申し上げましたように、比較的小ぶりのケースも取り上げたいと思っておりますので、地域として取り上げるということでございます。

 これが半々かというのは、これは少し腰だめ的な数字であろうかと思います。初年度でございますので、とりあえず、そういう大きな二つの政策目標を達成するために、大きく分けて積算をしているということでございます。

三谷委員 今の長官の御説明で、要するに、半分は中小機構で、横断的なもので、残りの半分は経産省、直接やるのがまさに経産局で、いわゆる先ほどまさに政策ターゲットの話で聞きましたように、地域にある企業を選定してそこに執行するんだ、こういうお話なんだと思います。

 この話が、わかっております、もしとった予算を独法中小機構にシェアをしたのであるならばよくない話だと思ったんですけれども、ただ、これは中小企業基盤整備機構にもともとあった予算なんですよね。そういうことなんですよね。つまり、申し上げたいのは、実は、新規で六十四億ということにはなっておりますが、確かに新規には、組み替えているわけですから、違いはありません。ただ、少し過大なアナウンスにはなっているんじゃないかと思うんです。

 そのことをあえて問いませんが、むしろ先ほど吉良委員の話の中にも出てまいりましたけれども、やはり余りに少な過ぎる、少な過ぎる。申し上げたいのは、中小機構分の話というのは、話が組みかわっているだけで、ある意味、その予算、もともとあったものを組み替えて使っているわけです。本当にふえた部分というのは、まさにその経産省分の三十一・五億じゃないかと思うんです。

 冒頭申し上げましたように、非常に大事な大事な支援措置であり、大事な事業だと思いますので、やはり確かに財政事情厳しいものがありまして、なかなか予算措置とれないとは思いますけれども、やはりここを本当に膨らませていかなければ、先ほど来ずっと出ておりますように、中小企業は大事だ、国際競争力を高めるためにここの技術を高度化しなければならないと言うにしては余りに、約三十億円、少な過ぎるという気がしてなりません。これから先の話ですけれども、まさにもっともっとつけていただきたい、このことが申し上げたいわけでございます。

 話を変えさせていただきます。

 まさに先ほどの長官のお話の中にも出てまいりましたけれども、研究開発、想定されておりますのは、単独でということも書かれておりますけれども、川下の大企業と連携して参加するコンソーシアムが想定をされています。ちょっと懸念がこれもございますのは、川上、川下の密接な連携ということでは確かに好ましいのですけれども、一方で、この力関係、川下大企業の影響力は非常に大きいものがございますので、力関係は全く違います。

 まさにこの政策、予算措置のねらいは、中小企業の中小企業のための基盤技術の高度化であります。研究開発の成果を川下の大企業に持っていかれるという危惧を抱かないわけではありません。その成果を着実に、その開発した中小企業、当該中小企業のものにすることは、何か担保になるようなことは考えておられるんでしょうか。

望月政府参考人 一般的に、大企業と中小企業の共同研究開発といった場合に、先生御懸念のような、研究開発成果を一体どこが持つのかということについて、なかなか難しい問題が私企業間であることも事実でございます。

 最近では、知財についての意識の高まりなどから、中小企業側もしっかりその辺について対応しておられる方々、研究開発の冒頭のところできちっとした契約を結んで開始しているという例も多いことも事実でございますが、これはもうしょせんその企業と企業の間の力関係の問題もあろうかと思います。

 幸いなことに、今回の私どもの振興のための支援措置は、言ってみれば、私どもだけに限らず、学識経験者とか、先ほど申し上げたような第三者的な支援の方々がしっかり入って、計画についてのチェックをし、認定をされた計画に基づいて研究開発が行われるわけでございますので、そういう意味では、透明性、公正性というのは確保しやすい計画だと思います。

 したがって、その中で、当然この政策の目的が中小企業の基盤的技術の強みを強化するためのものであって、ユーザー、川下企業の直接の利益を目指すものではないということがこの政策の目的でありますから、そういう意味で、十分なチェックがかかる体制にあるというふうに考えております。

    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕

三谷委員 最後に、ちょっと二つ、少し話はかわるのですが、聞かせていただきたいことがございます。

 これは取引慣行の話なんですけれども、先般も、まさにこの法案を考えるに当たりまして、ちょうどヒアリングで聞いておるときに出た話でもございます。私の地域でも実際こういうことがあるんですが、地域の鋳造業界によりますと、いわゆる重量取引、トン当たり幾ら、技術じゃなくてまさに量を基準に価格が決められている、あるというよりも当たり前のように行われているところがございます。

 これは民民の話で非常に難しい話だと思いますけれども、まさに本法案の話も、技術に向けてそれを何とかしていこう、そこに重きをかけていく話にしていかなければならない、そういう話でこの法案が立てられたわけですけれども、この重量取引の改善に向けまして、今、中小企業庁、政府として取り組んでおられることがあるのかどうか、それをちょっと伺わせていただきます。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 午前中も同じような御指摘をいただきましてお答え申し上げたんですが、今、三谷先生おっしゃいましたように、そういう鋳物の取引について、重量をベースにして取引している、そういう慣行が広くあるんだということは私どもも承知しております。

 この問題は、技術革新が進んでいくことによって、むしろ強度を高めながら、なおかつ重量は軽くする、そういうような努力をいろいろな鋳物についてやってきているわけです。そうしますと、おっしゃいますような、重量ベースで値段が決まるということになりますと、かえって製品単価が下がってしまうというおかしなことになるものですから、そのメーカーの研究開発意欲もそがれてしまう。

 こういう問題は、今先生おっしゃいましたように、基本的に民間企業同士の取引の問題ですから、そういうものをきちっと反映して取引をしていけばいいということでございますけれども、こうした慣行が前々から慣行としてまだ残っている部分も相当ございます。

 そこで、今度の法律の十条で、国の施策として、研究開発の成果に係る取引慣行の改善に努めるようにというふうに規定をされております。私どもこれを受けまして、鋳物取引につきましても、その実態をよくさらに把握をしまして、適正な取引ができますように対応していきたいというふうに考えております。

三谷委員 質問時間が参りました。

 最後に、ちょっと大きな話なんですけれども、アメリカでSBIR制度がございます。日本版のSBIR制度ができておりますけれども、ちょっとこのことについて説明をお願いいたします。

望月政府参考人 中小企業の技術革新制度、いわゆるSBIR制度は、中小企業の新技術を利用した事業活動を促進するために、関係省庁が連携いたしまして、中小企業の研究開発とその成果の事業化を支援する制度でございます。

 関係省庁の中で、特に研究開発的要素の強い予算につきまして、これを中小企業が積極的に活用できるように情報開示をし、あるいは関係各省における補助金の支出手続におきまして中小企業をできるだけ優遇していく、こういう制度でございまして、それを私ども中小企業庁が、政府全体の取りまとめを行い、毎年その目標を公表し、その目標がだんだんふえるようにというふうに努力しているところでございます。

三谷委員 これは、また改めて取り上げさせていただきたいと思います。

 まさに、申し上げたいのは、もうよくわかっておられると思うんですけれども、文科省、厚労省、七省にまたがって、今の日本版SBIR制度、実態は、まさにメニューをそこに提供しているだけ、載せているだけと言っても言い過ぎではないかと思います。

 また、目標額も、さっきも支援措置の額のお話を申し上げましたけれども、目標がたったの三百億円なんです。これだけ中小企業関連大事だと言いながら、また、幾ら財政事情が厳しいからといって、また、科学技術立国を、そして中小企業が大事だ、こういうことを標榜しながら、全部足し合わせて目標としているものが三百億円しかないんです。また、有機的な連関もありません。決してイニシアチブを中小企業庁、経産省がとっているとも思えないんです。一律的、統一的な運用のガイドラインがあるとも思えません。これは、ぜひとも御検討をいただきまして、まさに我々も一緒につくっていかないといけない話だと思います。

 そのことを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

石田委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 民主党の北神圭朗でございます。

 本日、本委員会におきまして質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、今、三谷委員も話がございましたが、中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律案について質問をさせていただきたいと思います。さっきから審議を聞いていますと、重なる質問もあるかもしれませんが、その辺、さらに踏み込んで答弁をいただければありがたいなというふうに思います。

 本法律案は、新産業創造戦略に基づいているというふうに私も伺っております。総論から申し上げますと、私もこの戦略的な産業振興政策というものは極めて大事だというふうに思っております。というのも、小泉内閣の構造改革の柱として、財政再建というものが一つの太い柱だと思いますが、これについては、やはり、増税を初め歳入をふやしたり、あるいは歳出を削減する、主にこの二つの手法を用いてきたというふうに私も思っているんですが、これは、古今東西の財政再建の例を見ていきますと、必ずしもこの二つの方法だけでは達成できないというふうに思っているんです。

 やはり、経済が活性化しなければ自然増収はふえない。逆に言えば、ただただ歳出予算を減らして増税ばかりしておったら、経済というものは縮小均衡という下降的なスパイラルを描いてしまって、当然自然増収も図れない。幾ら歳出削減をして増税をしても、まさに、焼け石に水を注ぐ、そういったことになるというふうに思います。

 現在日本においては、幸いというのか、民間の血のにじむようなリストラをしてきて、非常に力強い外需があるから、何とか今景気も回復の兆候があるかもしれませんが、基本は私が今申し上げたようなことだと思いますし、数カ月前に内閣府が、アメリカの八〇年代、九〇年代の財政再建の分析をやっているんですね。これに歳出削減の効果とか増税の効果とかそういったものがあるんですが、やはり一番大きかったのは、経済成長による自然増収の効果なんですね。こういったところを私たちもやはり踏まえていかなければ、今の天文学的な借金というものはなかなか返すことはできないというふうに思っております。

 もちろん、従来型のいわゆる財政出動だけによるそんな景気刺激政策というものは効果が限定的だと思いますが、アメリカのヤング・レポートに基づいた戦略的かつ効果的な産業政策というものは、私は日本においてももっと力強くやるべきだと思います。その辺の産業政策の意義と、さらに言えば、この厳しい財政の状況の中で、今、三谷委員も話がありましたが、大変厳しいと。今回も、六十二億円の研究開発費がありますが、本当は多分皆さんにしてみればもっと力強い支援策をしたいという思いがあるというふうに思います。その点、産業政策の意義と、特に財政再建との関係について、ぜひ二階経済産業大臣に御所見を伺いたいと思います。

二階国務大臣 かつて大蔵省で御活躍をいただいた北神議員からただいま御質問がございましたが、私は、今お話を聞いておりながら、全くほとんど意見を同じくするものであります。

 財政再建に当たりまして、歳出削減と増税ありきということでは、私は、将来の展望が見えにくい、こう思っております。したがいまして、やはりお説のとおり、経済全体のパイをふやす政策がいま一度重要ではないかという観点に立って、私たちは民間の経済活力を引き出す産業政策を思い切ってとろう。そして、議員も御承知のとおり、かつては、ものつくりによって日本経済は必ず改めて日の目を見ることができる。これは、東海大学の唐津一先生が常に御主張なさっておられたことであります。しかし、正確にこの著書を出されたときを見ますと、今から十一年前なんです。したがいまして、十五年間の長い暗いトンネルをくぐってきましたから、十一年前の御主張はだんだんの間に、先生の理論は立派なんですが、勢いが少しそがれてしまったような状況の中で、先般、ロンドン・エコノミストのビル・エモットさんが改めて、日はまた上るということを主張されました。

 私どもは、そうした周囲の勢いに背中を押していただいたような形で、今こそ経済成長戦略を考えるべきではないかということから、思い切って新経済成長戦略なるものを世に問うということで決意をした次第であります。

 最初、この話を言い始めたころは、周囲もなかなか、まだまだそんな状況ではないよ、経済の回復も本物であるかどうかはまだまだ先が見えないというふうな消極的な御意見も我々の周囲にもありましたが、しかし、ここは思い切っていこうということで、まさに挑戦をする、そういう気持ちで今取り組んでおるところであります。

 幸いにして新経済成長戦略も三月いっぱいに大体のこの方針を明らかにすることができますから、五月いっぱいにきちっとまとめて、国民の皆さんにもお示しできるようにしようということであります。中間報告のような形で各政党にもお示しして御意見をちょうだいしたい。そしてさらに、すばらしい政策、そして、多くの人たちの合意に基づいて、新しい経済成長に向かってみんなで力を尽くしていこう、そういう状況をつくっていきたいと思っております。

 一部の地域や中小企業には回復のおくれが見られるわけでありますが、急速な少子高齢化の時代が来たということで、人口減少と国際競争の激化がこの中長期的な課題だということ、これも我々の眼前にのしかかっている問題でありますが、このことはもう以前からわかり切っておった問題でありまして、今直ちに氷河が押し寄せてきたようにそれが我々の目の前にあらわれたわけではありません。

 したがいまして、このことは少し時間をかけて回復に向けて努力をしなければなりませんが、喫緊の問題として、我が国の経済をどうするか、せっかく芽が出てきた今の産業界のこの勢いを我々は持続発展させるために全力を尽くすべきだ、そのように考えて、思い切った政策を打ち出そうとしておるところであります。

北神委員 ありがとうございます。

 ちょっと財政再建との関係の話が具体的に言及がなかったんですが、恐らく同じ考えだということだと思います。

 閣内においては歳出削減か増税かという議論がありますが、ぜひ戦略的な産業政策というものが大事なんだということを言っていただければと。総裁の候補に名乗りを上げるかどうか、これはまた別の問題でございますが、ぜひその論戦に違う次元から提案をしていただければと思います。

 もちろん、問題は中身の部分でございまして、私も、今まで中小企業対策、よく補正予算にいろいろ盛り込まれたりしておりました。ここ最近はございませんが、そういったこともありましたし、いろいろな中小企業対策が今まで行われてきたわけで、簡単には言えないと思いますが、イメージとしてはばらまきが多かったとか効果もなかなかよくわからない、検証がなされていない、そういったイメージがございます。その目的や手法において、今回画期的な法案だという説明も受けておりますが、どこが違うのか、先ほども質問があったんですが、ぜひそこを、特徴をちょっと教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

望月政府参考人 平成十一年に中小企業基本法を改正いたしましてから、中小企業政策の理念というのは大きく変わって、できる限り個々のやる気と能力のある中小企業を伸ばしていくという政策に、かつての歴史を顧みれば、日本経済の二重構造論の中の弱者保護の中小企業施策から転換をしたわけでございます。平成十一年といえばいささか遅い感じはいたしますけれども、それぐらいやはりかじを切るのに大変だったということではございます。

 その新しい中小企業基本法の理念にのっとりまして、ここ数年来、そういう前向きな中小企業を支援してまいりました。その際に、多くは中小企業のみずからの意欲というものに対して私どもが後押しをするという格好になってきたわけでございますし、中小企業のそれぞれの工夫というものをまず前面に打ち出して、それについての支援をしてきたというのが恐らく昨今の中小企業施策のものではないかと思います、大きなラインは政策として示すとしても。

 このたびの中小ものづくり高度化法案というものは、先ほど来大臣御説明になっておられます新産業創造戦略であるとか、日本経済の新成長に向けた、経済成長に向けたエンジンとして、日本の我が国製造業の国際競争力というものをいま一度きちっとエンジンとして働かそうということから発想されたものでございます。その国際競争力をじっと見てみれば、その根幹にある強みはまさに中小企業のものづくりの強さである、技術開発力の強さであるということになったわけでございます。

 そういった大きな経済政策の流れの中で、この中小企業のものづくりの技術開発力というものをより一層高度化をして、今強いわけでございますけれども、これを五年、十年持続可能なものにしていくということが今回の政策の中心でございますので、言ってみれば、私どもが今度やろうとしている産業政策のど真ん中に据えてやっていくべき政策であろうかというふうになっているわけでございます。

北神委員 目的の部分では確かにそういった趣旨を伺っております。ばらまき、すべての中小企業を保護するという意味じゃなくて、やる気のある、可能性のあるところを伸ばしていくということだと思いますし、それは非常にいいことだというふうに思います。

 しかし、中身を見ると、特に手法の部分が極めて従来型のものが多いように見受けられます。中小企業金融公庫とか信用保証の枠を拡大するとか研究開発費を投入する。これはまあ基本的に今までの従来型のやり方だと。それは決して全部悪いというわけではないと思いますが、例えば、今回の中身で一つ画期的な部分で、中小企業と川下の大企業の製造業の意向を、ニーズをマッチングさせてすり合わせをしていく、そこの部分を、国が二億円を投じてそういった場を設けるという話がございます。私は、それは国の方で網羅的に、かつ公の立場でやるというのも一つの方法だと思いますが、まさに今小泉内閣がやや、私に言わせれば熱狂的な信仰にまでなっておりますが、官から民という言葉があります。そういった意味では、民間金融機関の活用というものは非常に大事だと思うんですね。

 と申しますのは、民間の金融機関は今、メガバンクもそうですし地銀もそうなんですが、今までの融資取引とかそういった中で非常に多様な、そして厚みのある顧客がいる、こういった中でまさに中小企業の技術と大企業のニーズというものを結びつけたり、そういったマッチングを実際に行おうとしている。例えば、具体的な名前は挙げられませんが、そういう大手の銀行でたくさんそういったことをやり始めているところもあります。そういったマッチングを一つ、彼らはビジネスチャンスとしてとらえているわけですね。

 今一番ネックになっているのは、一つは、それをやる場合は、別にそこで融資をするわけじゃないので、なかなか直接もうからないから、マッチングのサービスの対価としてコンサルタントフィーというものを受ける。それは、なかなか今の日本の企業の慣行の中にそういったコンサルタントフィーという出すというのは定着していないというのが一つの障害になっている。もう一つは、金融庁なんかは厳しい目を光らせている。融資関係にあるわけだから、やや優位な立場にあるんじゃないか。そこで無理やりコンサルタントフィーをむしり取られるような、そういったことが懸念されるという話があるわけでございます。

 そういった状況の中で、二億円の税金を使って国がやるというのも一つのやり方だと思いますが、少なくともこういう民間の動きとどうやって連携をするのか、あるいは役割分担を図っていくのか。そういったところに私は力を入れていかなければならないんじゃないかというふうに思いますので、ぜひその辺の御見解を伺いたいと思います。

望月政府参考人 元来、金融機関の役割というのはさまざまでございますし、企業と企業の、言ってみれば一番情報の集まるところの中でさまざまな手助けを中小企業にしたり、あるいは大企業との関係をつくるというのも大きな役割であると思います。

 ただ、この数年あるいは十年、バブル以降の姿をずっと見てまいりますと、金融機関が、これはもう私のような立場の者が断定するのはいかがかと思いますので申しませんけれども、そういった企業の中身に入ってしかるべくアドバイスをしたりコンサルタントをしたり、そういうことを少し手を抜いてきたのではないかというふうに思っております。そういうことが逆に、私どもに対しても、実は、金融機関が特に中小企業の目ききをする能力を失ってきたということが言われてきて、例えば中小企業大学校で金融機関の方を診断士の資格を取るために勉強させてくれとか、そういうふうになってきた。その意欲は非常にいいことだと思いますし、いい流れだと思いますが、必ずしもかつてのように金融機関が世間の万能のような格好で企業と企業の本当のベストのあれを仲介するというような機能が落ちてきたことも事実でございます。

 もう一つ、商社のような大企業も、かつては中小企業を育ててまいりました。その育てていく過程でその商社の大きなネットワークの中で中小企業をいろいろなニーズに合わせてマッチングさせるということも、ある意味では薄い利益の中で、商売抜きにそういうこともやってこられた商社の方々も随分いたわけです。こちらの方も、結構みずからリストラをしていかなきゃいけない過程でそういう余裕の部分を切ってきて、すぐMアンドAで買ってしまうというようなビジネスになってきたというのも事実でございます。

 そんな中で、一体、じゃ、この中小企業が今、先ほど申し上げましたように、下請関係が緩くなった中で、新しい出会いというものをどうやって探していくのか、それから、世間が激動する中でどうやって新しい自分の技術の発揮の場を探していくのかというのがまさに大きな課題になっているので、私どもは、この法律の手法は、先生おっしゃいますように、信用保証だとか予算であるとか、そういうこともちりばめてはおりますけれども、一つの大きな課題は、そういう情報流通が中小企業にとって本当にきちっといっていないということと先ほど来の人材の問題、これが大きな課題だと思っております。

 二億円というのは、大きいと言われたり小さいと言われたりするんですけれども、この二億円を、国が何か官の仕組みをつくって、そこへ呼び込んでお見合いをさせようなんという、官製何とか紹介所みたいなものをつくるつもりは全くございませんで、今少しずつ民間の中でいろんな工夫が出てきております、そういう情報流通の。一つ例を挙げたのは、自動車部品の会社がやっている逆見本市みたいなものもございます。

 そういうようないろいろな工夫があった場合に、工夫は工夫としても、実際に実施しようと思ったら、そのマネジメントに結構費用がかかったりしてすぐ実現しなかったりするわけでございますので、私どもはそこを横からちょっとだけ押してあげたらいかがかということでございます。こういう民間の御提案を受けて、その御提案について支援する価値があるというふうに皆様が判断をしたら、それに少し予算をつけてやっていくということでございますから、二億円の予算を、ぼんと一億差し上げるとかそういう話ではございませんので、結構数多くのものに使い勝手がいいんじゃないかというふうに思っております。

北神委員 今の話を聞いてよくわかりました。何かお見合いの場所をつくるように私は思っていたので、ぜひ、金融機関だけじゃなくて、地方自治体とか大学とかいろいろなところでそういうマッチングを行っているところがあります。そういったことをむしろ活用していくのが大事だというふうに思いますので、そこをお願いしたいと思います。

 余り時間がないので。私、この質問に立つということになりまして、きのう地元に戻りまして、この法案の対象になりそうな企業の皆さんとお話をしてきたわけでございますが、少しその現場の声というものを皆さんにぶつけて、ぜひお答えをいただきたいというふうに思います。

 一つは、先ほども話がありました認定基準です。これは、私も、審議をする際には、本当は税金が入る話ですから、認定基準という少なくとももう少し具体的なイメージがあるべきだ、それじゃないと本当は私たちはなかなか審議はできないというのが本筋だと思いますが、それはきょうは余り時間がないので余り言いませんが、中小企業の皆さんにしてみても、今後この法案が仮に通ったとするならば、どんどんこの認定基準が具体化されていく。今までだったら段階的に、二カ月たったらちょっと具体化して、またその後一カ月たってさらに具体化していくというのがあるんですが、中小企業の皆さんが非常に厳しい状況の中で、もっとそれを大々的に教えてほしい、通知してほしい、そういった声がありますので、そこを何とか工夫していただきたいと思いますが、長官、いかがでしょうか。

望月政府参考人 予算を活用されようとされる立場からいえば、おっしゃるとおりだと思います。私どもも、この予算を有効に活用しようという面で申すれば、できるだけ早期にその仕組みを、詳細を皆様方に、ニーズのある方にお知らせして応募を募るということが大事だと思います。

 ちょっと早くやり過ぎて、予算成立前にやって相当しかられたこともかつてございますものですから、その辺も、ころ合いを見ながら、きちっとした、なるだけ速やかな時期に公開をしたいというふうに思っております。

北神委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 あともう一つは、今回、研究開発費の話がありますが、この開発費の補助の対象として、なかなか中小企業においては人件費が対象とならない。これはどういうことかといいますと、私も恐らく税法上の関係だと思うんですが、税法上、その研究開発費を短期償却する際に、専ら研究開発に従事している、専念している従業員じゃないとその償却が認められない、計上できないという部分があるので、恐らくそれに引きずられて、今までの少なくともこういう中小企業支援策については、研究開発費を投じても、中小企業というのは御存じのようにもう厳しい厳しい状況の中でやっているわけですから、基本的には皆兼任なんですよね、研究開発もやるわ経理もやるわ営業もやる。だからなかなか人件費として認められないんだと。その人件費というのは非常に大きな部分を占めるので、やはりそういったところを対象にしてもらわなければなかなか中小企業としてこういった政策に手を挙げられないという声がございますので、ぜひそこのところの御説明をいただきたいと思います。

望月政府参考人 経営資源が脆弱な中小企業では、研究開発に取り組んでいる従業員の方が他の業務も兼務しているという場合も当然多いと思っております。限られた人的資源の中で研究開発に取り組まざるを得ない中小企業の実態にかんがみますと、例えば、従業員が研究開発に加えまして営業や経理などの他の業務を兼任しているような場合であっても、その従業員が研究開発を行う際の人件費については研究開発費の対象とすることが適当だと考えております。

 ただ、予算の適正な執行という観点から申しますと、そこのところをできるだけ明確に区分して証明しておくことが必要だと思っておりまして、通常、研究開発費の請求の場合には、きちっとした日誌をつくり、その従業員の研究開発に従事した時間と他の業務に従事した時間を厳密に区別して、それで研究開発に従事した時間のみにかかる人件費を研究開発費の対象とするというのが通例でございますので、その辺につきましては、どちらかと申しますと、私どもはできれば、採択をされました企業との関係で、できるだけ丁寧な御説明を申し上げながら、そういうやり方についても適正を期してまいりたいと思っております。

北神委員 ぜひそこのところも手当てをしていただきたいと思います。

 もう一つは、これは国の予算の単年度主義の関係から生まれる弊害だと思うんですが、こういった支援策においても基本的には年度主義で運用されている。ということは、例えば本法律案が四月に通ったとする、その計画が認定されるのが例えば半年後ぐらいになって、先ほど六月ぐらいに認定基準を出すという話もありましたが、そこからもう少したって認定をされる、半年ぐらいたって、そこでようやく研究開発費とか補助がおりてくる、しかし、年度主義でいけばあと半年しか残っていない。こういったこともひとつ、少なくとも今までの支援策で一番現場では困っている部分なので、そういったところも何か工夫策がないのかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

片山大臣政務官 まさに委員御指摘のお話は、私も委員も共通の職場でございました財務省の方の担当のお話でございますが、いわゆる科振費と言われている研究開発費を強化してまいりましたときにそういった問題が実際に指摘されて起きてまいりまして、そのときに私は担当になっておったわけでございます。

 確かに、憲法八十六条及びこれを受けている財政法上予算は単年度が原則ですが、三つ例外規定が既に法制上ありまして、国庫債務負担行為と継続費のほか繰越明許というのがありまして、科振費の場合はその性質上、その後の事由によって年度内に支出を終わらない見込みが当然出てくるわけですね、研究でございますから。そういったことでございますので、あらかじめ国会の議決を経て繰越明許することもできるという条文が財政法上ございますし、それが、当初その予定がなくても、その後、事後繰り越しということもできます。

 今回の予算につきましては、まず、その研究開発予算の執行機関の中小企業基盤整備機構の方に半分ぐらいついておりますが、こちらはやはり独法になったことで非常に柔軟になっておりまして、事業年度を超えた予算の交付というのが既にできるようになっておりますので、このメリットを生かして弾力的な執行を行うことも考えております。

 その直接の部分でございますが、今回は初年度で、初めてということで、これがどのぐらい時間がかかるかどうかということが今時点ではわかっておりませんでしたので、明許の手続は今現在とっていないんですが、今後これは続けていくことでございますから、繰越明許の活用というのも、ほかの科振費でも経済産業省や文部科学省は既にそういうことをやっておりますので、柔軟に対応できるようなことも考えてまいりまして、このような重要な予算が実効性を持って効率的に使われるような配意もしてまいりたいと考えております。

北神委員 ありがとうございます。

 一つ、さっきの審議でも話が出たんですが、新連携という中小企業の対策がありまして、たしかこれは、認定を受けた時点から一年間補助をもらえるとか、そういった話になっているというふうに思うんですが、どうですか。ちょっと通告がなかったんですが、こういった方法はないのかなというふうに思うんですが。地元の企業の人たちが言っているのはそういうことなんですよ、そういった方法はないのかと。

 今、片山先輩が言われていたそういった方法も非常に大事だと思うんですが、認定されてから、そこから一年間継続してもらえるという方法があるやに聞いているんですが、それはいかがでしょうか。

望月政府参考人 新連携につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、十七年度から始まったわけですけれども、できるだけ早く執行できる体制をつくるようにということで、法律が去年、四月十三日に成立をいたしまして、それで、五月ごろには直ちにもう体制ができるという格好で、予算についても手を挙げ始めたわけでございます。したがって、比較的無駄なくできたという、そういう意味では、ほぼ丸一年十分に活用しながらできるような体制をできるだけ早期に組んだということはございます。ただ、予算上の何か特別な措置をそのためにしたかと申しますと、ちょっと私は、記憶にないのですが。済みません。

北神委員 わかりました。

 もう一つ、これはもう古典的な問題でありますが、地元の皆さんも基本的にはこういった法律案は歓迎だというふうに言っているんですが、いつも彼らが困るのは、役所の担当の窓口とかあるいは役所のキーパーソンの人が二年ぐらいですぐかわっちゃう。これは、私も役所にいたこともありまして、嫌な部下がいたり上司がいたりして、二年ごとにぱっとかわる方がいい、そういったお話もありましたが、やはり企業にとっては、今回の法案も五年で見直すということになっているので、五年間きちっと自分のミッションとして最初から最後まで見届けるという、民間だったらそういう発想だと思うんですが、そういった工夫というのはできないんでしょうか。ぜひそこをお願いしたいと思います。

望月政府参考人 私のところの部下が言っているのだとすると、私が三年やっているのがいけないのかもしれませんが。

 先生おっしゃいますように、法律を一貫性を持って運用していくということは極めて重要なことだと思っておりますし、運用基準をはっきりさせるということはもとより、適任者をできるだけ長く配置する、人的な面でもやはり十分にそういう配慮は必要だと思っております。

 特に、例えば運用基準のような場合でも、各局がございます、こういう政策をスタートするときに各局の代表者を集めて議論をいたしますけれども、こういう新しい政策の場合には、お互いのイメージがなかなか、すり合わせがきちっといくまでに時間がかかりまして、激論をあれします。最後に一つの合意をつくって形をつくりますけれども、こういったプロセスを通じて、外の人から見てもできるだけ明確な運用基準にならないと、中で、あの局に行ったらこんな甘いやり方だった、こういうことになるというのはまずいわけでございますので、そういった面で、なるだけ詳細でわかりやすい運用基準をお互いに持って、それを公表していくということが非常に大事だと思います。

 それから、職員に仮に人事異動があるような場合でも、担当部局として理念や運用に一貫性を保つような職員への指導というのは、私どもの責任だと思っております。

北神委員 ぜひ、人脈とかノウハウというものが継続されていくような、そういった仕組みとか工夫をしていただければ、運用面で非常に円滑になるというふうに思います。

 質問時間も大分押してきていますが、最後に、今回の法案、一つの目玉は、さっき申し上げたように、国内の中小企業、そして川下の大企業、製造業、このつながりというものを大事にする、そしてそのすり合わせをして、本当に必要な技術という部分を支援していくといったところにあると思います。これはこれで大変大事な話だと思いますが、先ほど申し上げていますように、民間金融機関もやっていますし、地方自治体、こういったところもやっている、産学連携で、大学とかもそういうことをやっている部分もあります。こういったところを活用していただくのも大事なんですが、他方で、系列もだんだん崩れているという中で、余り昔ほどではないのかもしれませんが、中小企業が下請関係ということで無理難題を押しつけられて、本当に苦しい苦しい状況に追い込まれる場合もある。これは今でも現実的な問題だと思うんですね。

 そして、今回も中小企業支援というものが中心なわけです。なかなかあいまいなんですけれども、中小企業の支援でもありますし、大企業の戦略的な産業の支援でもあるというふうに思うんですが、中小企業の支援に立ちますと、やはり国内でのすり合わせとかマッチングだけではなくて、本当は彼らは海外の企業と取引をしたい、そして海外の方がむしろ、中小企業にとってはコストとかリスクというものが重くのしかかるわけですよね。もちろん、技術が流出したり、これは絶対あってはならない話だというふうに思いますが、中小企業が自立して、活力を持って、みずからの足で立つような、そういった基盤づくりをするためには、これは非常に、まさに旧通産省が得意とする、海外の情報というものを集めて、情報提供するという意味では、大事な発想じゃないか。

 もちろん、今回の法案には盛り込むことは難しいかもしれませんが、ぜひその点、今後の検討課題としてどうかということを、ひとつ御見解を伺いたいと思います。

二階国務大臣 大変すばらしい御指摘だと思うわけでありますが、私も積極的な意味で、中小企業の皆さんが海外での市場開拓をされる、それを経済産業省もバックアップをするということが大変大事であります。

 私も先般から、WTO等でしょっちゅう出会うインドの商工大臣から、ぜひ日本の中小企業に学びたい、日本の中小企業に進出していただきたい、こういう強い、本当に熱心な御要請がありました。したがいまして、今私どもの関係する団体の皆様にお願いをしまして、インドへ中小企業のミッションを派遣したいということを申し上げましたら、五つの団体から、私たちは行ってもよろしいということで、今そのうち四班がインドに出向きまして、あと一班が追加して出ます。そして、六月に商工大臣が日本へやってまいります。そこで、そのメンバーに加えて、新たにインドへの進出を希望する中小企業の皆さんとお互いに勉強会を開きたいというふうに思っておるところであります。

 そこで、私は、他の国々との関係も当然あるわけでありますが、インドの場合は、日本の経済産業省も、進出する企業にはバックアップをします、しかしインドもまさに国を挙げてバックアップをしていただきたい、そして五つでも十でも成功事例が出れば、次々に、進出を希望する方々、あれだけ大きなマーケットが控えておるわけでありますから、そういうことは可能であるということを思っておるわけであります。

 そのときの大臣の言われることには、我々のところにはトヨタも来てくれている、スズキも来てくれている、極めて立派な企業だということで感謝をしておる、しかし我々は、すぐあすからトヨタをまねたりスズキをまねたりすることは簡単にいかない、日本の中小企業の皆さんに来ていただくなら、そこから我々の地域の、国の産業もさらに奮起をしたい、こんなふうに思っておりますので、お手本として来てください、これがインドの大臣の要望であります。

 また一方、ロシアのエネルギー大臣等と先般話し合ったときに、ロシアに投資をする、ロシアに進出をするというような企業でも、いろいろな苦情に出くわすというか、直面することがあるわけであります。それはもう詳しく申し述べる必要もないことであります。

 そこで、私はロシアの大臣と話し合いまして、お互いにそれはあるだろう、だから苦情相談所をそれぞれの国で設けようではないか、そして苦情的なものが起こった場合にそこに駆け込めば何でも直ちに解決できるということをやろうと言って、先般私はそのことを申し上げましたところ、それでは私の補佐官、ここに連れてきております補佐官をその所長といいますか、責任者に充てますと言うから、私もここにおる我が方の審議官を責任者に充てましょうということで進めましたら、先般発生しました苦情につきまして直ちに解決をしたというふうな報告が入っておりまして、そうした事例はこれからどんどんと他の国々にも展開をしていきたいと思っております。

 今議員御指摘のとおり、中小企業の支援ということがこの法案の根底にもあることは事実であります。我々は、だれはばかることなく中小企業を支援する、地方を支援する、これは我々経済産業省のみならず、政治として、与野党を超えて大事な課題だと思っております。

北神委員 ありがとうございました。

石田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 中小企業のものづくり基盤技術高度化法案に関して質問させていただきます。

 最初に、中小企業の現状推移ですけれども、お手元に配付しました資料をごらんいただきたいんですが、一枚目が、中小企業白書から引用しました、財務省の法人企業統計季報に基づいた一社当たりの経常利益の動向であります。左上にコメントもありますけれども、「中小企業の経常利益回復は、大企業と比較して弱い」ということがここでも紹介をされています。大企業の収益が急回復している一方で、中小企業の現状が低迷している、こういうことが見てとれると思います。大企業と中小企業の収益格差が拡大をしているということであります。

 二枚目が、日本のものづくりの誇るべき集積地でもあります大田区における中小企業の推移がどうなっているのか、大田区の従業者規模別工場数の推移ということで、工業統計調査報告、二〇〇三年の数字は東京都が実施をしました工業統計調査報告に基づいておりますけれども、大田区全体での事業所の規模が、八三年のときには九千百九十、これが二十年後の二〇〇三年、一番直近の把握できる数字ですけれども、五千四十と、四五%事業所が減少しております。そういう中でも、家族的な経営から労働者を雇用していく、そういう規模の四人から九人の事業所の規模、三角であらわしているグラフですけれども、これがこの二十年間で五三%減少と、大きく落ち込んでいるわけであります。

 実際、大田区に行きますと、看板はあるけれども実際にはもう仕事をされておられないような、そういう事業所もありますから、実際には今、五千よりももっとさらに少ないんじゃないかということが現地の事業者の皆さんの声であります。

 今回の法案のたたき台を議論いたしました中小企業政策審議会の経営支援部会の議論の中で、大田区を代表して、大田区の産業振興協会の方が出席をされて発言をしておられたのも拝見をいたしました。そういう中で、この大田区の方は、四半世紀の大企業などのコストダウン要求で中小企業の余力が全くなくなってしまった、こういうことを述べておられました。

 私も大田に足を運びまして、中小事業者の方のお話を伺いました。とにかく、五年前に中国に仕事が移ったときには、もう戦後初めてと言っていいほど仕事がなくなった、本当に手をぶら下げているような状況だったということをおっしゃっておられました。それが三、四年前になって戻ってきた。やはり大企業なども、日本の方が技術もいい、また材料もいいということで、ぜひ仕事をお願いしたいということを言うわけですけれども、仕事も戻ってきたんだけれども、単価も中国並みで戻ってきている、これが実態だと。だから、幾ら仕事があっても、売り上げがあったとしてももうけにならないというのが今の大田の中小事業者の方の実態だ、そういう声を上げておられました。

 そういう点では、技術もいい、材料もいい、そういう日本の中小企業にほれ込んでいるのであれば、それに見合ったコストを出すのは当たり前じゃないのか。このように大企業は大きく収益を回復している中で、中小企業の収益がそれに追いついていないような状況があるわけですから、そういう点でも、こういう大企業の身勝手なコストダウン要求に対して、おかしい、きっぱりと見直せと、経済産業省としても物を申すべきではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

望月政府参考人 実態の一部は、そういうことはかなりあろうかと思います、ある時期。それで、基本的には、取引関係の中で価格が決まっていくということを抜け出すわけにはなかなかまいらないと思います。

 ただ、下請代金法あるいは下請振興法の中には、やはり特に強い下請関係にあるような場合には、下請振興基準に基づいて、できるだけ適正なコストを支払うようにというような振興基準もございますので、そういった点も十分に配慮しながら、私どもは、今の川上と川下の関係の推移を見ているところでございます。

塩川委員 今回の法案をつくる上でも、いわば基本法に当たると言っていいんでしょうか、一九九九年に成立をしましたものづくり基盤技術振興基本法、その基本理念の一つに、ものづくり基盤技術の振興に当たっては、中小企業の経営基盤の強化及び取引条件に関する不利の補正が図られなければならないと、やはり、ものづくりの基盤技術を振興する上で中小企業の不利益を是正することが必要なんだということが述べられておるわけです。そういう点でも、この取引条件に関する不利の補正こそ図るべきだ。

 そういう点で、今回の法案でどういう取り組みが行われるのか、この点について簡潔にお答えいただけますでしょうか。

望月政府参考人 今回の法律は、基本法の精神を酌んで、個別の実施法を中小企業の分野でもつくりたいということでできたわけでございますので、特に中小企業の分野で、私どもとしては、今後、将来を見据えて直していかなきゃいけない部分というのは取引慣行の中であるだろうということで、その取引慣行にも着目した措置を考えるということを考えているわけでございます。

塩川委員 この間、大企業が系列外取引を拡大するという点では、やはりコストダウン要求が一番のポイントだということがいろいろなアンケート調査などでも示されております。系列を壊して、ある意味ではその部分でのものづくりの基盤技術が失われたんじゃないのか、こういうことが問題となりますし、系列外取引でも実際にはコストダウンしか要求しないのでは、そういった技術を持つような中小企業の経営も困難にするような、コストダウン要求を中心とした今の大企業の実態がみずからものづくりの基盤技術を壊しているのではないか、このことが問われるわけであります。

 大田の中小事業者の方のお話の中で、今、大手のユーザーから来る仕事というのは少量多品種の注文ばかりだという話なんですね。小規模な事業者ですから、そういう仕事でも受けてやっていけるということもあるんでしょう。

 例えば、やはり試作品づくりですよね。新しいものに挑むときにその試作品をつくるときに、やはり中小企業の事業者の方、大田の技術というのを本当に高く買っているということもありますし、またマザーマシンをつくる、そういった場合においても、その技術をつくる上でやはり大田の事業者、この前の橋本さんなどもその一つだと思っております。いわば一品ものが多いといいますか、そういったことへの非常に強い期待が大手ユーザーからあるわけです。こういった少量多品種の注文にこたえてきたのが小規模な零細企業であります。

 そういう際に、今回の法案では、トップ下の支援という話があります。この前の参考人質疑でも、七合目の支援という話がありました。富士山に例えれば七合目あたりの中小企業を支援するものであり、五合目以下は視野の外だという話がありました。

 大臣にお伺いしますけれども、私、トップとトップ下という、ある意味じゃ一握りですよ、選択と集中という話もありましたから。もちろんそれをしっかりやるというのと同時に、今言ったように、一品ものにこたえられるような、少量多品種にこたえられるような広いすそ野があってこそ、日本のものづくりの産業が成り立っていくんじゃないのか。そういう意味でも、このすそ野の支援こそ今改めて求められているんじゃないか、このことを思いますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

二階国務大臣 今御質問にありました七合目云々というのは、先般の参考人質疑における参考人の表現でありましょうが、今般の私たちの施策のねらいは、我が国製造業の国際競争力を支える、すぐれた技術力を備えたものつくり中小企業群の層を厚くするということにあるわけであります。

 他方、今後、ものつくり中小企業の担う技術の高度化の方向性等を示す指針を策定し、広く周知してまいりたいと思います。この指針は、いわば市場のニーズを踏まえた技術開発の羅針盤とも言えるものであり、比較的技術的な水準の低い中小企業にとっても極めて有益であると考えております。

 したがいまして、従来からの技術開発に対する支援やあるいは経営革新支援、セーフティーネット制度等を活用することにより、こうした中小企業のやる気にこたえていくことが可能であると考えております。

塩川委員 富士山は、やはり広いすそ野があるからこそ美しいし、力強さがあるんだと思っております。そういう点でも、トップを引き上げるという取り組みと同時に、広いすそ野を形づくっていく、この両面の支援があってこそ、本当の意味でのものづくりの支援につながるんじゃないのか。改めていかがでしょうか。

二階国務大臣 ただいま塩川委員のおっしゃるとおりでありまして、中小企業というのは極めて多くの事業者が存在するわけでありますから、できるだけ広く、すそ野を大切にするということが大事であることはもう申すまでもありません。

 そこで、私どもは、先般から申し上げておりますように、優良中小企業といいますか、国際的に活躍しておる中小企業の例を今、三百事業種集めておるわけであります。

 そこで、それはそれで成功事例でありますが、もう一つ、かつて長い低迷の時期に、運悪く事業を持続的に成功していくということにはならなかった、早く言えば一度つまずいた、そういう企業がまさに敗者復活で、リターンマッチに成功した企業がこれまた全国にたくさん存在するわけでありまして、今そういう方々の事例も集めて、これからも次なる時代に成功に導いていけるように、まさに議員がおっしゃるようにすそ野を広くという観点から、そうしたことにも対応しようと考えているところであります。

塩川委員 ぜひ、広いすそ野を視野に入れた中小企業支援策に取り組んでいただきたい。そういう点では、後で述べますけれども、中小企業へのきちんとした支援策と同時に、大企業との不公正取引の是正というところをしっかりと押さえた対応というのも求められていると思うんです。

 そういう意味でも、ものづくりの技術開発支援についてお尋ねしたいんですが、そういった中小企業者の方のところに大手のメーカーの営業の人が来ると、何のための部品なのかという説明もなしに、とにかくこれをつくってくれと図面だけ置いてくる。つくる方にしてみれば、どういう部品に使うのか、どういうところにあるのか、そういうことが念頭にあれば、いろいろな工夫ができるわけですよ。あっ、一番大事なのはここの面なんだなということでここに力を入れる、あとは企画どおりにやればいいとか、そういうことを考えながら自分の技術を生かしていこうと思うわけだけれども、そういうことについてほとんど説明もしない。設計図、図面どおりつくればいいんだという対応だというのが、今、黙って仕事をしろというようなことが言われると言っていました。

 今、大企業の技術のブラックボックス化ということが随分言われておりまして、そういう点では、大企業側からすると、とにかくばらばらに発注して、それを組み立てるのはおれがやるという意味では、技術流出を防ぐという観点なのかもしれないけれども、今言ったこういうやり方というのが中小企業との技術連携を断ち切っているんじゃないか、こういう技術開発における大企業の身勝手さというのがこういうところにもあらわれているんじゃないかと思っております。

 その点で、今度の法案のスキームにおいて、技術開発の支援を行う、そういう際に、ニーズに基づく技術開発を求める大企業側が本来は開発の費用を負担するのは当然だと思います、自分のニーズに基づいて技術開発を行うわけですから。それを今回、公費として国がお金を出すことになります。

 それは、やはり中小企業のものづくりの基盤技術の支援という観点からになっているわけですけれども、では、この国の助成金が、中小企業のためであり、ニーズを持っている大企業の技術開発費の肩がわりにならないという担保、保証というのはどういうところにしっかりあるのか、その点をお聞きしたいと思います。

望月政府参考人 先生、先ほどおっしゃいました大企業と中小企業の関係において、いろいろな場面があろうかと思います、これだけ数多い中小企業の話でございますから。その中で、図面を渡してこれをつくってほしいというやり方が減ってきたのも最近の事実でございます。大企業がリストラし過ぎてそういう開発能力が落ちた結果でもあるんですけれども、こういう機能のものをつくってほしい、工夫はお任せすると。これはどちらかというと機能発注と言われるものがあるわけでございます。

 したがって、特に優秀な中小企業、技術の高い中小企業にとってはそういった機能発注がふえていることも他方で事実でございますので、私どもは、そういう中小企業からみれば、大企業がまさにべったり頼りにしている中小企業が多くなっているんじゃないかと。そういう中小企業というのは、これはまさに強みだからこそ大企業が日本に回帰してきた。

 こういうことの構図から考えますと、今回、大企業と中小企業、大企業も入って、川下側も入って新しい研究開発をするというプロジェクトにおける中小企業の地位は、それは相対的にはかなり高いものがあるんじゃないかというふうに思っております。また、そういうものを選びたいと思っておるわけでございます。

 その際に、当然、先ほど先生もおっしゃいましたように、今回の予算措置はあくまで中小企業のものづくりの基盤を強化するためのものでございますから、中小企業の費用に充てるということがもちろん中心であることは間違いないと思います。

 ただ、その中で、できたものについて、例えばこれが機能としての、ねらっている機能に合致しているかという性能評価とかそういうものをする場合に、中小企業自身の機器では評価できないような場合がある。そういう場合には、チームを組んでいる大企業のところで性能評価をしたりすることがあるわけで、その場合の費用などを含めて、若干の費用は大企業側のコストに対して充てられることも、プロジェクト全体の中で割り振られることがあろうかと思います。

 ただ、私どもは、もともとの趣旨がそがれないように、中小企業のところのまさに役に立つ予算という観点から申し上げれば、そういうものはできる限り限定すべきだと思っておりますし、予算の使われ方につきましても、私どもとしては、きちっと情報把握をしていきたいというつもりでございます。

塩川委員 次に、中小企業の振興策のあり方の問題ですけれども、一つは、金融の問題であります。

 経済産業省として、信用保証、信用補完制度の見直しの議論が行われ、政令改正を行って、保証料率の弾力化を図るということであります。もともと、信用保証、信用補完制度というのは、担保力や信用力が不足をしている中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にすることが目的だと思うんですけれども、その点だけちょっと確認させていただけますか。

望月政府参考人 それは、国と都道府県とが協力してそういうようなことをやっているわけでございます。

塩川委員 信用力が不足をしている中小企業者を支えるのが信用保証制度、信用補完制度になっているわけであります。

 その点で、その保証料率の弾力化ですけれども、これについていろいろなパブリックコメントを拝見しましたら、例えば、全国商工会連合会などでも、この料率の弾力化については、小規模零細企業においては財務内容が脆弱なところが多いことから、中小企業者を一律の基準で評価をし保証料体系を構築した場合、小規模零細企業は割高の保証料率を余儀なくされるおそれがあるという声があります。

 そうしますと、担保力や信用力が不足をしている中小企業者を支援するという信用保証の目的に逆行するようなことをやることになるんじゃありませんか。

望月政府参考人 信用保証制度の保証料率は、先生おっしゃいますように、現在一律となっております。このため、幾つかの弊害が指摘されております。過去にきちんと、何回も何回も信用保証制度を使って返済を行ってきた企業であっても料率の割引が行われない、これは不平等だ、そういうような指摘がなされていることも事実でございます。

 そういう面も受けまして、本年四月から、中小企業の経営状況に応じた料率体系を導入するということで、こうした企業の保証料率を割り引くことが可能になっているわけであります。

 他方、経営状態がよくないため、保証制度に乗せようと思ってもなかなか保証を引き受けてもらえなかった。先生おっしゃいますように、一定のレベルのリスクまでであれば信用を補完するというのが当然信用保証協会の機能でございますけれども、その程度にもよりますけれども、保証が利用できなかったような企業も、一定の保証料を支払うことによって保証利用の可能性が拡大するという面での評価もあるわけでございます。

 いずれにいたしましても、国が関与した制度でございますから、完全に市場原理に基づいた、幅広い中での差をつけた保証料率の弾力的な導入ということはできるはずもございません。したがいまして、ごく細い幅の中における一定の弾力性のある保証料率を導入するということが今回の、他方面からの、逆の方面からのいろいろな不平等の御批判を受けて私どもが対応するところでございます。

 先ほど、全国連ということでございましたか、一部の商工団体からのパブリックコメントに対しても、私どもとしては、もちろん弱者の、そこの一番弱いところについては十分な配慮をしつつ、ただし若干の差はつけるということで、先ほどの不平等にも対応するというような範囲内における料率の弾力化というものを導入しようとしているということでございます。

塩川委員 業績のいい企業にとってみれば不公平だという話ですけれども、もともと信用力、担保力の少ない、乏しい中小企業への支援策ですから、そこのところがやはり押さえておかなくちゃいけない点で、私は、パブリックコメントを拝見した中でなるほどと思ったのが、中小企業家同友会全国協議会の意見ですけれども、「経営状況の良好な中小企業者に対して安い保証料で融資を提供できることは結構なことではあるが、そのような企業は民間金融機関からプロパー融資を受けることができる。また、良好な中小企業者に対して保証料を安くした分を良好でない中小企業者から取るとも読める。問題は、「相当信用リスクの高まった中小企業者」に「リスクに応じた適正な金利と保証料」を課して経営の安定的な継続ができるか、ということである。激しい競争の中で、低い利益率で経営を維持してきた中小企業者にとって保証料率の引き上げは命取りになる可能性もある。このような中小企業層に対してこそ政策的対象として政策金融を厚くするべきである。」私は、このとおりだと思うんです。

 今金利は低いですけれども、この間の量的緩和の問題の見直しも含めて、これから上がるかもしれない。そうすると、信用保証料率というそのものが大きな意味を今持ってきていますので、それの見直しというのが信用力の乏しい中小企業者にとって大きなマイナスとならざるを得ません。

 もともと、中小企業庁が行ったこの間のヒアリング調査結果などでも、二〇〇五年十月のですが、金融機関は債務者区分に基づく選別志向を強めており、業績が好調な業種は無担保や低利な融資を受けることが可能だが、そうでないところは借り入れがより困難になっているとの声が聞かれると。

 こういう実情を踏まえているのに保証料率の見直しをするというのはおかしいんじゃないですか。民間と同じことをやってどうするんですか。

望月政府参考人 先生おっしゃいますことを、抽象的に受け取られますと、そういうことになろうかと思います。ただし、物事には幅がございます。私どもは、民間と同じにやるとすれば、この保証料率は、ある種の信用リスクの客観的な計算をもとに試算をいたしますと、恐らく、いいところは〇・五%になるかもしれませんけれども、悪いところは七%でございます。そういう保証料を取らなきゃいけないようなことが民間ベースのやることだと思っております。

 私ども、今回、一つの試算として、全体としての収支は変わらない現行の一・三五%のものを中心にいたしまして、よくなる方は〇・五%、悪くなる方につきましては二・二%。つまり、本来、どうかすると信用リスクを客観的に市場原理で計算をすれば七%になるところを二・二%で頭打ちをするということが、ある意味では公的なものが関与した制度の限界ではないかということで、一つの提案をさせていただいているということでございます。

塩川委員 そうはいっても、その基本には民間と同じ論理を持ち込んでいるわけですよ。民間の補完という点での信用保証制度のあり方から考えても、こういうやり方は認められません。

 そういう点でも、中小企業庁として、料率の弾力化を図ることに対し、自治体に対しては現行よりも保証料率が引き上がる層に対する財政支援の重点化を要望すると。そういう点では保証料率が引き上がる層に対して手当てが必要だということを求めているわけですよね。そういう点でも理屈が通らないんではないかなと思っております。

 また、もう一点、支援策として、高専について伺いたいと思います。

 文部科学省に伺いますが、高等専門学校、ものづくりの高専についての、人材育成などに果たしてきた役割について御説明をいただきたいと思います。

泉政府参考人 高等専門学校の目的あるいは役割等についてのお尋ねかと存じますけれども、高等専門学校は、学校教育法の第七十条の二に、「深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成することを目的とする。」と規定されておりまして、主として中学校卒業者を受け入れ、五年一貫の教育により実践的な技術者を養成するということを目的として、昭和三十七年度に制度化されたものでございます。

 現在、全国に六十三校が設置されてございますけれども、このうち五十八校が工業系の分野でございまして、そういう意味で、ものづくりに関する教育を行うことは高等専門学校の重要な役割であるわけでございまして、各高専におきましては、従来から、産業界のニーズに即した実践的、創造的な技術者の養成に努めているところでございます。

 具体的には、地域の産業界との連携による実践的な教育、あるいはインターンシップ等の就業体験の積極的な実施、こういったことを通じて、いわば実験あるいは実習を重視した教育の実施、あるいは、地域共同テクノセンターの設置を初めとした産学の連携による研究の推進、さらには、日本技術者教育認定機構、JABEEでございますけれども、その認定を積極的に取ることによって、国際的に通用する技術者教育の質の確保を図るといったことに取り組んでおります。

 こういった取り組みの結果といたしまして、昨今の経済状況の中でも、毎年おおむね十倍以上の求人倍率、ほぼ一〇〇%の就職内定率を維持するなど、その実績は高く評価されているというふうに認識をいたしております。

塩川委員 今、高専におきまして三Kの責務を果たすということで、これは、教育と研究と社会・地域に対する貢献ということでの役割を果たす。地域貢献というのを大きな柱に据えて取り組んでおられるそうであります。

 そういった高専の支援に当たりまして、ものづくりの支援、人材の育成の観点から、経済産業省として積極的に取り組むことが必要だと思うんですけれども、この点についての大臣の御決意をお聞かせいただけますでしょうか。

二階国務大臣 先ほども申し上げましたが、私は、日本のこの経済を守り立てていくために、特に地域の中小企業にさらに研究の成果を分かち与えていただくという意味で、国立高専と地域との連携を図るということは極めて重要なことだと思っております。

 かつては、国立高専ができた当時は、周りの期待も非常に高かったわけであります。ただいま文部科学省から御答弁がありましたが、この御答弁の状況よりも、なお一層周囲の期待は高かった。蔵前の高専のようなものをつくるんだというふうな大変な意気込みであったわけですが、全国に今相当数ふえておりますし、まだまだ高専ならばふやしてほしいという地域も存在するわけであります。

 そこで、これも先ほど申し上げましたが、小坂大臣とも話をいたしまして、これからの経済産業省の政策の上で、国立高専また工業高等学校、お世話になることもたくさんあるから、我々は教育の本質にかかわるところには関与しませんが、国立高専をさらに活用する、むしろ、言いかえれば国立高専をさらにプレーアップする、そういう意味でお互いに協力し合いたいということを申し上げておって、快く了解を得ておるところであります。

塩川委員 高専におきましては、残念ながら、今毎年のように文科省の予算は減らされております。そういう点では、なかなか現場の苦労というのもある。

 同時に、今度は独法になったということもありまして、独法になったことによって、独法の高専機構というのができて、そこが事務局になった。今までは五十五の国立高専が直に文科省とやりとりしていたのが、逆に中二階をつくってしまった。これで本当に現場の声が生きるのかという声がそれぞれの高専の職場にあるんだということについてもぜひ留意をしていただきまして、是正策について検討いただきたい、このことをお願いして、質問を終わります。

石田委員長 次回は、来る二十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十三分散会


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