衆議院

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第8号 平成18年3月29日(水曜日)

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平成十八年三月二十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 石田 祝稔君

   理事 今井  宏君 理事 新藤 義孝君

   理事 平田 耕一君 理事 増原 義剛君

   理事 吉川 貴盛君 理事 近藤 洋介君

   理事 達増 拓也君 理事 桝屋 敬悟君

      小此木八郎君    岡部 英明君

      片山さつき君    北川 知克君

      小杉  隆君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      塩谷  立君    平  将明君

      とかしきなおみ君    中山 泰秀君

      長崎幸太郎君    野田  毅君

      橋本  岳君    早川 忠孝君

      広津 素子君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    松島みどり君

      武藤 容治君    望月 義夫君

      森  英介君    山本 明彦君

      大畠 章宏君    吉良 州司君

      北神 圭朗君    後藤  斎君

      佐々木隆博君    野田 佳彦君

      松原  仁君    三谷 光男君

      高木 陽介君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      西野あきら君

   経済産業大臣政務官    片山さつき君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 巽  高英君

   政府参考人

   (総務省大臣官房技術総括審議官)         松本 正夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           深野 弘行君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西川 泰藏君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          肥塚 雅博君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            高原 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           平山 芳昭君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小林  光君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  北橋 健治君     北神 圭朗君

同月二十九日

 辞任         補欠選任

  塩谷  立君     小杉  隆君

  牧原 秀樹君     広津 素子君

  松島みどり君     中山 泰秀君

同日

 辞任         補欠選任

  小杉  隆君     塩谷  立君

  中山 泰秀君     松島みどり君

  広津 素子君     とかしきなおみ君

同日

 辞任         補欠選任

  とかしきなおみ君   牧原 秀樹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官巽高英君、総務省大臣官房技術総括審議官松本正夫君、経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君、経済産業省大臣官房審議官西川泰藏君及び資源エネルギー庁長官小平信因君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤三津枝君。

近藤(三)委員 本日は、通信手段としてだけではなく、カメラ、テレビ、音楽プレーヤー、ゲームそしてお財布など、機能の高度化が目覚ましい携帯電話についてお伺いさせていただきます。

 携帯電話本体のリサイクルについてまず一点目、二点目は携帯電話の充電器の再利用について、そして三点目はICタグリーダーつき携帯電話の普及、以上の三点について質問をさせていただきます。

 家電リサイクル法の施行によりまして、エアコンにテレビ、冷蔵庫、洗濯機の四家電製品のリサイクル率、いずれも六〇%から八〇%以上と、リサイクルが確実に進んでいることを聞いております。一方、携帯電話のリサイクル率はといいますと、家電リサイクル率のおよそ三分の一程度、二〇%程度と、極めて低い実態にあるようです。このことから、資源の有効利用の観点から、携帯電話のリサイクルの促進について、第一に質問をさせていただきます。

 社団法人電気通信事業者協会の発表によりますと、我が国の携帯電話の契約数は、ことし一月時点でおよそ九千万台と、ほぼ横ばいに推移しているようでございます。この九千万台の普及台数、別の計算をしますと国民一・四人に一台、まさに携帯電話は、私たちの生活になくてはならない通信手段となっております。

 また、携帯電話の平均利用年数を見てみますとおよそ二年でございます。家電製品のおよそ十年に比べますと、携帯電話の使用期間が極めて短いということが言えると思います。

 一方、携帯電話のリサイクルの現状を見ますと、関係団体の発表によりますと、平成十六年度、一年間の使用済みの携帯電話の回収台数は八百五十二万台であったとのことです。前年、平成十五年度の回収台数は一千百七十一万台ということですから、一千百七十一万台引く八百五十二万台ですから、三百十九万台も減少しており、近年、携帯電話のリサイクルが後退していることを意味していると思います。

 一年間の携帯電話の販売台数を見てみますと四千三百五十万台、回収台数が八百五十二万台ということですから、これを比較しますと、冒頭申し上げましたように、携帯電話のリサイクル率は二〇%ということが推定できます。このことは、裏返しますと、販売台数四千三百五十万台と回収台数八百五十三万台の差であるおよそ三千五百万台の携帯電話が、結局、一年間の不燃ごみとして廃棄されている可能性が高いわけです。

 さらに、携帯電話には金、銀などの貴金属が使われております。また、携帯電話に使用されているリチウム電池の安全な処理が求められている。このようなことを考えますと、携帯電話のリサイクルを促進していく必要があるかと思われます。

 以上のように、携帯電話本体の買いかえ時の回収、リサイクルが進まない状況にある要因を経済産業省としてどのようにとらえられているのか、お伺いさせていただきたいと思います。また、回収された携帯電話をリサイクルするために必要となるコストが採算ベースに乗らないとすれば、国が、利用者、通信事業者、携帯電話製造メーカーなどの間の適正なリサイクルコストの負担のあり方について、ガイドラインなどにより一定の方向性を示していくことが重要と考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話のリサイクルにつきましては、情報通信ネットワーク産業協会と社団法人の電気通信事業者協会によります自主的な取り組みということで、平成十三年の四月から既に始まっております。具体的には、通信事業者の販売店、全国に約八千七百店ございますけれども、そこにおきまして携帯電話等につきまして引き取りを行いまして、その上でリサイクルがされておるわけでございます。

 リサイクル率につきましては、委員御指摘のとおり二〇%程度にとどまっているわけでございますが、その理由といたしましては、消費者がリサイクルに出さずに引き続き保有したいと思っているという事情があるようでございまして、これは、情報通信ネットワーク産業協会と電気通信事業者協会が平成十六年に行いましたアンケート調査の結果を見てみますと、思い出として残すとか、あるいは電話帳とかゲーム機として引き続き使うといったようなことが保有し続ける理由ということで挙がっているところでございます。

 御質問のリサイクルコストの負担につきましては、消費者は使用済みの携帯電話等を無償で通信事業者の販売店で引き取ってもらうことができる仕組み、既にそういった制度ができてございますので、そのコスト負担のあり方について特段の問題点は現時点ではないのではなかろうかというふうに考えているところでございます。

近藤(三)委員 携帯電話のリサイクルが進まない理由として、一つには、携帯電話のリサイクルコストが採算面で合わないという経済的な側面、そして二つには、使用済みの携帯の機能を引き続き持っていたいとする利用者の意向が高まっていることに起因すると理解しております。

 前者の経済的側面については、考えてみますと、携帯電話製造メーカーの一つ、NECさんなんですけれども、「IT、で、エコ」を自社の環境目標のキャッチフレーズに掲げて、積極的な取り組みをしていらっしゃいます。その一つの取り組みとして、植物からつくったプラスチックでエコ携帯を開発されました。

 このような取り組みは注目されるべきなんですが、一方で、使用済みの携帯電話のリサイクル率が二〇%程度である実態に対応していくためには、このようなプロダクツ、すなわち製造の部門だけではなく、製造、販売、利用、回収、再利用、このリサイクルの循環全体について携帯電話のリサイクル市場の状況、リサイクル技術開発の動向を見きわめながら、利害関係者間の調整を行い、適正なリサイクルコストの負担のあり方を定めていくべきだと考えております。この面で政府など公的セクターの役割は大変重要だと考えておりますので、引き続き、関係府省庁とも連携されて、適切な御対応をお願いしたいと思っております。

 一方、後者、今お答えいただきました、利用者の、新しい携帯電話のバックアップとして使用済みの携帯電話を引き続き持っていたいとするニーズ、すなわち、カメラやゲーム機能を引き続き使いたい、カメラ画像やメールを思い出としてとっておきたいなどの利用者側のニーズは、今後も、携帯電話の機能が高機能になればなるほど高まるのではないかと考えられます。

 これに対応するためには、新旧の携帯電話のデータ、機能の互換性を高める一つの方法として、例えば、携帯電話をパソコンのように、現在携帯電話本体に組み込まれていますメール、それからゲームやスケジュールなどのソフトをアプリケーション化して分離してしまうんです。そして、これらのソフトの機能を、使用済みの古い方の携帯電話から新しい方の携帯電話に自動的に引き継ぐことができるシステムとしていくことが考えられるのではないかと思われます。

 これによりまして、使用済みの携帯電話を引き続き持っている必要がなくなるわけでして、リサイクルを促していけると考えられますが、このような方式の導入については、経済産業省の御見解はいかがなものでしょうか。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者が使用済みの携帯電話を引き続き保持したい理由はさまざまでございますが、御指摘のアドレス帳とかあるいは送受信メール、こういった一定のデータは、既に現在でも、古い携帯電話から新しい携帯電話に移動させることができます。そういったサービスを行っているところも既にございます。

 パソコンのようにハード機能とソフト機能を分離して、ソフトをアプリケーション化するという御指摘の点、これは一つの考え方であろうかと考えております。

 他方で、これを実現しようといたしますと、携帯電話メーカーによります設計の考え方の変更が必要になるだけではございませんで、通信事業者のサービスでございますとか音楽等のコンテンツを配信するサービスにおきましても、どのようなデータを機器に保存しまたは移動できるようにするか、そういった、サービスの仕方あるいは著作権の処理といったようなサービス業者のビジネスモデルにかかわるような問題も出てまいります。したがいまして、御指摘の点につきましては、携帯電話メーカー、通信事業者及びコンテンツ事業者など関連事業者におきまして、消費者の利便性の向上を図りつつ、どういうビジネスが可能なのかということを考える中で検討していく課題であろうというふうに認識しているところでございます。

近藤(三)委員 新旧の携帯電話のデータ、機能の互換性を高めるもう一つの方法についてお伺いさせていただきたいと思います。

 現在、携帯電話は、大量のデータを本体にため込む仕組みになっています。近い将来の移動体通信スピード、爆発的に増加するというふうに予想されます。このことを前提として、新旧の携帯電話のリサイクルを促進し、かつ携帯電話の機能の高度化を図るためには、先ほど質問させていただきましたように、携帯電話のソフトのアプリケーション化をさらに進めて、携帯電話のデータ保存機能をネットワーク側で管理し、携帯電話にデータを蓄積しないシステムにしていく。すなわち、携帯電話のハードディスクの機能をネットワーク側に移換するシステムとしていく方法が考えられます。

 総務省では携帯電話の高度化に向けて技術開発などの取り組みを行っているというふうに思いますが、このようなシステムの導入について、総務省の見解をお伺いいたします。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、我が国におきます携帯電話の加入者、先ほど約九千万というお話がございましたが、現在、第三世代の携帯電話、いわゆるIMT二〇〇〇への移行というのが大変進んでおるところでございます。今後ともこの携帯電話システムの高度化、高機能化というのが急速に進展するものというふうに我々考えておりますが、こうした中で、次世代の携帯電話システムというものについて、いろいろ研究開発が進められているところでございます。

 一つの大きな動きといたしましては、高速移動中でもハイビジョンクラスの超高精細の映像がやりとりできるというようなシステム、あるいは、一台の端末で、いわゆる携帯電話システムから無線LANのようないろいろなサービスを同時に受けられる、幾つかのネットワークにアクセスできるような機能を持ったものとか、あるいは、他人による成り済ましを不可能にするような個人認証機能を高度化したようなシステム、こういったものの機能の開発、実現に向けて研究開発が行われているところでございます。

 私どもとしましては、先生先ほど御指摘になりましたようなネットワーク側にデータを保持するような機能、そういったものを実現するためには、こういった大容量で超高速のシステムがどうしても必要になります。その都度ネットワーク側にある情報をアクセスしてダウンロードして、写真でありますとか電話帳でありますとか、そういうものを実現するためにはそういう技術が不可欠でございます。

 そういう意味におきまして、私ども第四世代と呼んでおりますが、この第四世代の携帯電話システムの早期の実現に向けて、今後とも研究開発等に取り組んでまいりたいというふうに思っているところでございます。

近藤(三)委員 ありがとうございました。

 新旧の携帯電話のリサイクルの促進も視野に置きまして、次世代携帯電話のグランドデザインについて経済産業省そして総務省の見解をお聞きしましたが、携帯電話に関する身近なもう一つのリサイクルの問題として、携帯電話の充電器、いわゆるACアダプターの再利用の問題があります。第二点目として、この点について御質問させていただきます。

 携帯電話を購入するたびに、充電に必要となるACアダプターが附属品としてついてくる場合が多うございます。多分、議員の皆様方の中にも、使用済みの携帯電話の附属品である充電器、ACアダプターが新しい携帯電話につけることができない、つまり使うことができないという御経験があると思います。また、外出中に、旅行先でACアダプターをお忘れになって、お友達に借りようとして、それが機種が違うということで充電できなくてアウトになってしまったということもおありだと思います。これは非常に不便を感じていらっしゃる方が非常に多いのではないかと思っております。

 少し古いデータになりますが、平成十三年度、二〇〇一年度のNTTドコモ環境レポートによりますと、NTTドコモが一年間に回収した携帯電話端末は一千五十七万台でございます。これに対しまして、ACアダプターなどの附属品の回収個数は二百九十二万個、本体のさらに三分の一以下の回収率にとどまっております。リサイクルが、携帯電話本体以上にACアダプターにつきましては進んでいないというデータがございます。

 日本はこのような状況にありますが、韓国では既に二〇〇二年からACアダプターの共通化に関する法令が施行され、二〇〇三年からACアダプターの共通化が国の政策として導入されていると聞いております。その具体的な法制化の内容についてお聞かせください。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、韓国では、情報通信基本法に基づきます型式承認の基準といたしまして、携帯電話の入出力端子に関する接続標準が二〇〇二年に既に制定、施行されてございます。その標準に基づきまして韓国の情報通信技術協会というところが携帯電話の充電器の認証を行っておりまして、その認証を受けていない充電器は販売、輸入できないといったような状況になっていると承知いたしております。

近藤(三)委員 携帯電話の充電器、ACアダプターの問題は、通信事業者ごとあるいは携帯電話の機種ごとに異なる現状が、携帯電話の買いかえのたびにACアダプターが附属品としてついてくるという状況を引き起こしていると思っております。現在、通信事業者、すなわちキャリアごとに特定のシリーズの中でACアダプターの共通化は進められておりますが、先ほど申し上げましたとおり、利用者の利便性のみならず資源の有効利用の面からも、キャリアの壁を乗り越えて機種間のACアダプターの共通化を進めていくことが大変重要だと考えております。

 共通化に当たりましては、このパネルにお示しいたしますように、第一の方法は、左側をごらんいただきますと、実は韓国は左側の事例、A案なんですけれども、携帯電話本体の購入のときにデータ通信ケーブルだけを附属品といたしまして、ACアダプターは別売りとしております。ACアダプターとデータ通信ケーブルの接続部分、この部分、すなわちコネクターを共通化するという方法がA案でございます。

 第二の方法、B案、右側の図でございますが、この第二の方法は、ACアダプターとデータ通信ケーブルを一体化させる、この上で、携帯電話本体との接続部分、すなわちこのコネクターを共通化させる、携帯電話の機種によらず統一化するという方法、この二つが考えられるのではないかと思いますが、この二つ、どちらの方法をとりましても、携帯電話を買いかえるたびにACアダプターを購入する必要がなくなるということでございます。

 したがって、資源の有効利用、利用者の利便性の向上の観点に立ちますと、事業者の枠組みを超えて、携帯電話本体とは切り離して、協調した取り組みを急ぐべきだと考えております。

 先ほど提案させていただきました二つの方式も含めまして、事業者の枠を超えた共通化に向けた現在の経済産業省のお取り組み状況及びこの問題に関する政府の考え方をお聞かせくださいませ。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、第三世代の携帯電話になりまして以降は、NTTドコモ対応機種及びKDDI対応機種と、事業者の中では共通化が図られておりますが、通信事業者の枠を超えたACアダプターの共通化を検討すべしと、非常に重要な御指摘だと考えております。この点につきましては、情報通信ネットワーク産業協会と電気通信事業者協会、昨年の七月に合同の部会を設置いたしておりまして、その解決策につきまして検討を行い、昨年の年末に取りまとめたところでございます。

 その内容といたしましては、まず第一番といたしまして、第三世代の携帯電話につきましては、通信事業者の枠を超えた共通化を図るべく、複数の規格に対応したアダプターの技術標準をまず策定し、その上でその標準に合っているかどうかということを、適合性を確認するための仕組み、こういったものを創設することで共通アダプターの提供を可能とするというのが一点目でございます。二点目は、第三世代の次の世代の第四世代の携帯電話におきましては、共通ACアダプター仕様をもう最初から標準化して、強制的にそういった共通のアダプターを組み込んだ製品が展開されるように、そういった対応をすることが適切だという内容が第二点目でございます。

 経済産業省といたしましては、こうした携帯電話のアダプターの共通化、これは消費者の利便性の向上につながるものでございますし、また省資源化にもつながるもの、非常に重要と認識いたしておりまして、この点につきましては、関係省庁と連携いたしながら積極的に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

近藤(三)委員 積極的なお取り組みを期待いたしております。

 では、三点目に移らせていただきます。

 今後の携帯電話のさらなる機能の進化の方向性についてお尋ねいたします。

 まず、(パネルを示す)左の図をごらんいただきますと、株式会社NTTドコモがサービスを始めましたおサイフケータイでございます。御存じだと思いますが、携帯電話に内蔵されましたICカードの情報を外部の機器に読み込ませ、書きかえることができます。切符や清涼飲料などの商品を購入する前に、ICカードにチャージされている金額からその都度決済するシステムです。

 右の図をごらんいただきます。右の図は、今後の開発と普及が注目されています携帯電話でありますICタグリーダーつき携帯電話です。ICタグリーダーつき携帯電話は、おサイフケータイとは違っておりまして、携帯電話の中に、外部に張りつけられたICタグを逆に読み取る読み取り機、すなわちリーダーが携帯電話の中に内蔵されているものでございます。

 ICタグは、偽造がしにくい極小の集積回路チップで、かつ安値であることから、ICタグリーダーつき携帯電話が広く普及いたしますと、これまでにはない多様なサービスが受けられることになるかと思われます。

 例えば、食品トレーサビリティーです。食品に張られましたICタグをICタグリーダーつき携帯で読み込みますと、その食品がどこで生産され、どのような農薬が使われて、どのように調理すればおいしく食べることができるかなどの情報を、商品を購入する前に消費者は知ることができるようになります。

 また、我が国は世界に例を見ない高齢化が進んでおります。非常に速いスピードで高齢化が進んでおります。ICタグリーダーつき携帯電話を例えば薬品の瓶や電化製品のICタグに近づけますと、お薬の飲み方を読み上げてくれたり、電化製品の正しい使用方法を音声で説明したり、危険な使い方をしている場合には警告するなど、物が高齢者に話しかけるサービスが受けられるようになります。高齢者の自立した生活を支援することにもつながるかと思われます。

 また、観光地でも、それぞれの場所に張られましたICタグにICタグリーダーつき携帯電話を近づけますと、観光情報、地域の歴史や文化、食の情報など、高度情報ネットワークから知りたい情報を瞬時に手に入れることが可能になります。また、英語、中国語、韓国語などの多言語での情報提供も可能ですから、ビジット・ジャパンにも有効となるかと思われます。

 経済産業省におかれましては、このユビキタス社会の実現に向けて、産業界などと連携してICタグの技術開発に取り組まれているというふうにお聞きしておりますが、本日は、将来、私たちの身の回りに張りつけられたICタグの情報を携帯電話で読み取ることができるICタグリーダーつき携帯電話について質問をさせていただきたいと思っております。

 国民生活や経済活動を大きく変える可能性のあるこの夢のICタグリーダーつき携帯電話は我が国で先進的に技術開発が進められているというふうに聞いておりますが、その開発状況を経済産業省にお伺いいたします。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 電子タグリーダーつきの携帯電話、これは多様かつ高度な利用が可能になることが期待されているわけでございますが、この携帯電話につきましては、携帯電話事業者が中心になりまして試作機を現在開発しているところで、その製品化に向けたサービスのあり方について目下検討中というふうに承知いたしております。

 私ども経済産業省といたしましては、この電子タグリーダーつきの携帯電話の普及には、まずその前提といたしまして、電子タグそのものの普及、これも非常に重要であろうというふうに考えております。このため、経済産業省では、ことしじゅうをめどに電子タグの低価格化と規格の国際標準化に積極的に取り組んでおりまして、私ども、こういった電子タグの普及と相まって、電子タグリーダーつきの携帯電話を初めとしたさまざまな機器の利用が拡大することを期待しているところでございます。

近藤(三)委員 ICタグリーダーつき携帯電話を普及させていくためには、情報を提供するICタグが社会インフラとして広く普及し、社会に定着し、このサービスを、いつでも、どこでも、だれでも受けることができる環境にしていくことが重要だと考えております。

 政府は、あらゆる人や物が結びつくユビキタス社会などの実現に向け、u―Japan構想を打ち出していますが、その中で、ICタグリーダーつき携帯電話の普及を念頭に置いたICタグネットワークを形成していくために具体的にどのような取り組みを進めておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。また、u―Japan構想の目標年度である二〇一〇年に、どのようなICタグネットワークインフラの普及を念頭に置いて計画を進めておられるのか、総務省にお伺いいたします。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のとおりで、総務省では、いつでも、どこでも、何でも、だれでもがこのネットワークに簡単につながる、あるいは情報通信が日常生活の隅々まで活用されまして豊かな国民生活が実現できるということで、いわゆるユビキタスネット社会というものを実現したいということでu―Japan政策を推進しているところでございますが、このユビキタスネット社会におきましては、人の情報のみならず、物の情報というものが大変重要だということで、その役割を電子タグが担うものというふうに考えております。先ほど、さまざまな分野の利用の仕方が御紹介されましたが、そういった分野での利用を私どもも期待しているところでございます。

 この電子タグがユビキタスネット社会のICT基盤、情報通信基盤として広く利用されていくためには、この電子タグに関するさまざまな情報、電子タグに関連した情報と言っていいかもしれませんが、これが完全かつ容易に利用できるような技術が必要だということでございます。

 例えば、総務省といたしましては、この電子タグの、ICT社会でのインフラとなるために必要な技術といたしまして、主として三つの技術の研究開発を推進しておるところでございます。

 一つは、電子タグについておりますID、一つの番号が振られておるわけですが、IDナンバーと実際の物の情報、これはデータベースの方に蓄えられているものでございますが、そういったものがお互い結びつくという、物とIDの番号の情報を結びつけるための検索あるいは逆検索の技術でありますとか、セキュリティーでございますが、特に電子タグの情報の内容を守るためのセキュリティー技術、それから電子タグの情報を自動的かつ効率的に関連づけるような技術、そういったさまざまな電子タグのネットワーク化技術について研究開発を推進しているところでございます。

 現在の目標といたしましては、二〇〇七年度までにこれを確立したいということで鋭意研究を進めているところでございます。

近藤(三)委員 本日は、携帯電話について三つの質問をさせていただきました。まず一つ目は、データの使用済み携帯からの移行などがスムーズにいかないなどのために、買いかえ時の使用済み携帯電話のリサイクル率がおよそ二〇%と低い現状にある問題、二つ目は、携帯電話の充電器が買いかえるたびに附属品としてついてくる場合が多く、共通化が図られていないという問題、そして三つ目は、ICタグを活用したユビキタス社会の実現に向けたICタグリーダーつき携帯電話の普及の必要性など、この三つについて質問をさせていただきましたが、最後に、これまでの三点についての質問を踏まえまして、経済産業大臣に、今後の携帯電話の機能の高度化、携帯電話のリサイクルなどを通じた資源の有効利用に向けた政府のお取り組みについて、総括的な御所見をお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 ただいま近藤議員から、携帯電話につきましてさまざまな角度から御質問をいただきました。

 今、携帯電話一つ考えてみましても、国際社会の競争の中でも、御承知のように、日本には十一社の携帯電話の会社が存在しておるわけでありますが、これらはできるだけ、一つというわけにいかなくとも、もっと統合して競争力のあるものにしてはどうかというふうな御提言を私もちょうだいすることがあります。先般、ニュービジネス協議会という協議会の皆さんとの意見交換の場でも、そういう御意見が強く出されました。また、我が党の先輩議員からも時々、携帯電話のさらに近代化、有効活用についての御意見をちょうだいしております。

 そして、近藤議員からもお話ありましたが、海外で携帯電話を使用する場合のもっと便利な方法をして、国際社会で日本がこの場面でもおくれをとらないように、こういう御意見がありますし、我々自身も、みずからそういうことにぶつかっておるわけでありますから、これらの問題を考えていかなくてはならない。

 また、先ほど、ユビキタス社会の到来ということで、観光問題等についてもお話ありましたが、二〇三〇年にはもう間違いなく来日観光客四千万人時代というものが言われておるわけでありますが、そうなりますと、結局は、言葉の問題、情報の問題、文化の問題等で、携帯電話等を活用してそれを乗り越えていく準備を今からやらなくてはならない。

 そしてもう一つ、高度医療の情報をもっと簡便に伝達することができればどれだけ国民の多くの皆さんの幸せにつながるか。特に、遠隔医療という問題に対しては我々も随分前から取り組んでまいりましたが、ようやく今、政府挙げてこの問題に取り組む体制ができ上がったところであります。遠隔医療と、患者あるいは御家庭の皆さんに対する情報の伝達等を考えれば、携帯電話等についてもう一つ工夫が要るのではないかということをしばしば考えておりました。

 そうしたことからいたしまして、先ほど来御質問にありました点につきまして、今後、経済産業省としては、産業界や関係省庁とよく連携して、御指摘の問題点につきまして、解決に積極的に取り組んでまいりたいと思います。また、私自身も、関係者をお招きして現在の状況等をつぶさにお尋ねし、ただいまも答弁に立っていただいておりましたが、総務省ともよく連携をして対応してまいりたいと思っております。

近藤(三)委員 前向きなお取り組みを期待いたしております。

 どうもありがとうございました。

石田委員長 次に、達増拓也君。

達増委員 私は、電気用品安全法と、それに基づくPSEマークの問題について質問をいたします。

 このPSEマークについては、現場が大変混乱をしております。特に中古販売事業者の皆さん、もともと、古物商ということで、古物営業法に基づき、警察庁の所管であって、経済産業省の所管の法律ではない法律で監督されている。なかなか経済産業省からの情報が届きにくいような体制になっていて、また、業界の中での団体の組織化ということについても、ほかのさまざまな製造事業者等の団体に比べますと組織化が進んでおらず、本当に、地域の一軒一軒の中古販売事業者の皆さんは、一体何が何だかわからない、そういう不安に悩まされているという現状だと思います。

 最近になって報道も、マスコミ、盛んに行われているわけでありますが、これも、ややセンセーショナルな報道もありまして、四月一日をもってPSEマークがついていない中古品はもう資産価値がゼロになってしまうとか、全部ごみになってしまう、ごみの山になってしまうとか、そういう極端な報道もあります。一方では、先週金曜日の経済産業省の動きについて、翌日の報道の中では、実質、PSEマークなしでも販売できるように経産省が転換したというような報道も行われ、これはもう現場の事業者の皆さんからすると、法律がどうなっているのかよくわからない、法律を遵守したい気持ちはもちろんあるけれども、どうすれば遵守することになるのかがわからないということ、おととい、月曜の時点でも、まだそういう声を聞いております。なかなか、中央で決まったことが地方の現場に伝わっていくにもタイムラグがありますし、その伝わり方も、きちっと伝わっていかない。そういう中で、何が何だかわからないがゆえに、ではもう店を畳まなきゃならないのかなとか、もう首をくくるしかないかななんという、そういう話にまでなっていってしまう。

 したがいまして、まずきょうは、私は、電気用品安全法とPSEマークについて、中古販売事業者の皆さんの知りたいこと、聞きたいことを質問していくということで、具体的な中身の質問をしていきたいと思います。そのため政府参考人への質問が主になりますけれども、よろしくお願いをいたします。

 さて、まず、そもそも、この電気用品安全法二十七条で販売制限が設けられ、PSEマークがついてなければ販売できないというふうに書いてあるわけですけれども、本当に中古品も対象になるのか。中古品というのは、旧法、電気用品取締法のもとで適正に製造や販売をされた電気用品という意味でありますけれども、この点については、もともと、七年前の立法時、中古品は想定されてなかったのではないか、そもそもこの電気用品安全法、販売制限の対象にはなってないんじゃないかという主張もありますので、質問をいたします。

迎政府参考人 お答え申し上げます。

 電気用品安全法におきまして、電気用品という概念につきましては中古品を除くというふうな規定ぶりをしておりませんで、新品及び中古品を区別せずに、電気用品として扱っております。この点につきましては、電気用品取締法の時代からそういうことになっておりまして、中古品も規制対象であるという旨、その時代からお問い合わせに対しては回答をしております。

 したがいまして、旧法下で製造、販売をされた電気用品の中古品につきましても、電気用品安全法第二十七条第一項の対象となるということでございます。

達増委員 二十七条一項の対象として販売制限の対象になるということですが、二十七条の二項には、経済産業大臣が承認をすれば販売制限の例外を設けることができると規定されています。

 そこで、電子楽器等のいわゆるビンテージ品については、この二十七条二項の経済産業大臣承認ということで、PSEマークをつけなくても販売ができるようにするというふうにしているところだと思いますけれども、同様に、中古品全般、中古品といっても、旧法、電気用品取締法のもとで適正に製造や販売をされた電気用品であります。そうしたものをこの二十七条一項の販売制限の対象外にするというようなことを二項の経済産業大臣承認で、政府の決断としてそこはできないんでしょうか。

迎政府参考人 電気用品安全法は、電気用品の安全に関する国民の安全を確保するというための法律でございまして、中古電気用品を販売されるのであれば、安全確認の検査を行ってPSEマークを付していただくというのが安全確保の道であると考えております。

 しかしながら、今御指摘のございました古い音響楽器、いわゆるビンテージ品等につきましては、希少価値、文化的価値等が高いというふうなことで、試験検査を実施することの機器への悪影響を懸念するお声がある、それから、実際に販売される場合にも取り扱いになれた専門の方等に販売される、こういうふうな場合には二十七条二項の特別承認の制度を適用して、PSEマークがなくとも簡単な手続で販売できるようにしようということを先般発表した次第でございます。

 これを中古電気用品全般について適用することができないかということでございますけれども、一般的な中古電気用品につきましては、多くの方が日常的に一般にお使いになるものでございますし、それから希少価値という点についても、数多くあるものでございますので、これについては、検査をして合格するものを販売していただくということで、そういう形で安全を確保していきたい、こういうふうに考えております。

達増委員 そうしますと、現行法、今の電気用品安全法に基づいて、その法の執行をするという立場からすると、中古品もこの販売制限の対象になるのだという答弁だったと思います。

 そうしますと、そういうPSEマークのついていない中古品を抱えた中古販売事業者としては、何とかこれを売りたいということで、例えば個人の資格で知人に売り渡したり、ネットオークションで売ったり、フリーマーケットで売ったりということはできないんでしょうか。

迎政府参考人 電気用品安全法におきまして規制しておりますのは業としての販売でございまして、個人個人の取引までは規制しているものではございません。

 でありますから、例えば個人の方が、御自身使っておられたものを知人の方にお譲りになる、あるいはネットオークションですとかフリーマーケットにおいて売るのであれば、そこについてまではこの法律は規制をしていないということでございます。

 しかしながら、販売事業者の方が在庫処分のためにネットの場で個人の名前を使って大量にお売りになるとか、あるいは繰り返し販売をするというふうな行為につきましては、これは個人の名であっても業としての販売ということで、法律の対象になると考えております。

達増委員 個人の資格で売ったりするわけにはいかない。そうすると、やはり業として中古販売事業をやっている事業者さんは、この電気用品安全法上のいわゆる製造業者になって、届けを出して製造業者になって、自分で検査した上でPSEマークをつけて販売するという、基本的にもうそれをするしかない。逆に言えば、それをやりさえすれば、今現在PSEマークがついていないような中古品でも自由にどんどん四月一日以降販売することができる、そういうことでよろしいんでしょうか。

迎政府参考人 ただいま御指摘のとおりでございます。

 法律第三条の事業者の届け出を行っていただきまして、法律所要の検査をみずから行った上でPSEマークをつけて販売していただくということが可能でございますし、こうしていただくことが安全な中古品が提供されることにつながるというふうに考えております。

達増委員 確認ができました。

 もっとも、この電気用品安全法第三条の事業者としての届け出、三条には「電気用品の製造又は輸入の事業を行う者は、」その届けをして云々と書いてありまして、中古販売事業者は本当は、製造業者なのかそれとも輸入業者なのかというと、販売業者なわけであって、いわばみなし製造業者になるような形になるんだと思います。

 これは、現行法を前提として解釈をすればそれしかないということなんでしょうが、法律そのものの、かなりこれはアクロバティックなやり方でその法を守っていかなきゃならないということで、やはり私は、この法律には問題があるんだと思います。

 ただ、その問題というものに施行から五年間だれも気がつかなかった。また、成立から数えると七年間気がつかなかった。最終的な責任はやはりこの立法者、国会にあるんだと思っております。経済産業省の周知の不足とかいろいろありますけれども、そういったことをチェックすることはやはり立法者、国会がやるべきことでありました。

 ただ、そういう国会議員を選ぶ国民やまた事業者さんから国会議員に言っていただければ、調べて、そのときに発覚するとかあり得たわけですし、またそれは、マスコミがおかしいなと思って調べてみれば、そのときにわかったことかもしれません。いわば日本国民一億二千万が五年間なり七年間なり法律の不備に気がつかなかったという異常事態が発生している。

 しかし、この異常事態、では、法律を変える議論に入っていけばいいかというと、今、わけがわからないということで、店を畳まなきゃならないんじゃないか、首をくくらなきゃならないんじゃないか、そういう皆さんが現にいるわけで、私としては、今はもう危機管理状態、非常事態ということで、とにかく現行法の解釈というものを、その中身を明らかにすることで、わけがわからなくて、そういう生活や仕事を失ってしまうような人たちが出ないようにすることがせめてものこの国会としての役割の一つではないかなと思って、きょうの質問をいたしております。

 この法律ができたときの九九年、平成十一年というのは、コンピューター二〇〇〇年問題前夜でもありまして、まさにそういう二〇〇〇年問題ということにそれまでだれも気がついていなかった。それがインターネットの中で、大変なことが起きるぞという情報が広まり、やがて国会や政府も動き出し、そして全国民、二〇〇〇年に備えた、そういうことがございました。

 今回のことについても、インターネットの中で気づいた人たちがまず問題にして、そしてそういった情報交換を始め、政府も気づき、国会も気づき、関係者、とにかく無事に二〇〇〇年の元旦を迎えようという形で、今、とにかく四月一日を迎えようということだと思います。

 それを乗り越えた上でまたこの法律の見直しということはしていかなければならないと思っておりますが、その四月一日をできるだけ安定して無事に迎えていかなきゃならないときに、三月二十五日付の新聞等でございますが、PSEマークがなくても中古電器販売実質オーケーというような報道をしていまして、経済産業省が二十四日に政策転換をしたんだ、事実上の本格施行先送りだなどという報道がありまして、これは月曜日になって現場の事業者の方々に話を聞きましたら、新聞でそう読んで、では、もう検査しなくても、PSEマークがなくても売っていいようになったのか、そう思ってしまったという証言を聞いております。検査の体制ができるまではもう検査はしなくていいんだ、検査なしで、PSEマークなしで売っちゃっていいんだと東京の事業者からも聞いたと、そういう情報の混乱が起きておりまして、ここはちょっとたださなきゃならないと思うので、質問をいたします。

 新聞報道などもよく中身を見ますと、販売を容認するわけではなく、あくまでレンタルならオーケーだというふうに書かれているわけです。そうしますと、経済産業省が発表していたのは、レンタルであれば、販売ではないのだから、PSEマークがなくてもできるということは当初からそういう説明だったはずでありまして、実は、先週金曜、二十四日にそういう政策転換があったわけではなく、このPSEマークをめぐるルールというものは、この二十四日、何ら変更は行われていない、それ以前の経済産業省の説明等々、そこに従っていけばいいんだという理解でこれはいいんでしょうか。

迎政府参考人 この問題は電気用品の安全に関する問題でございまして、電気用品販売の際には、中古品といえども検査を行ってPSEマークを付していただくとの方針については、何ら変わるものではございません。

 ただ、一方で、新制度の開始まであとわずかになった段階で、事業者の方々の中に、検査機器等が十分備わっていなくて、直ちに検査を実施してPSEマークをつけて販売することができないというふうな状況の方々がおられまして、そうした方々が、検査ができるまでの間、例えばレンタルを行って、商品は引き渡した上で、事後的に検査をした上で所有権の移転をするとか、こういうふうないろいろな方法、工夫を考えておられるという状況がございます。

 私ども、いろいろ御説明あるいは話し合いをする中で、従来より、レンタルについては販売に当たらないという見解を示しているところでございまして、そういうものについては違法と言えないというふうな再確認を行ったという事実はございます。しかしながら、基本の方針を転換したとか、あるいは、法的にできることはできる、できないことはできないということでございまして、何か政策を転換した、あるいは方針を変えたというふうなことではないと考えております。

 いずれにせよ、事業者の方々が一日も早く円滑に検査が行える体制を早急に整えていく、そのために、私どもも、十四日に発表いたしました支援策を可及的速やかに実施していくということで、一日も早い円滑な移行に最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。

達増委員 いずれにせよ、PSEマークをつけなければ売ることはできない、逆に言うと、PSEマークをつけさえすれば自由に売ることができるということが確認できたと思います。

 それをやるためには、電気用品安全法上の製造事業者ということの届け出を出さなければならないわけですが、これは、普通の一般の中古販売事業者の皆さんからすると、なかなか敷居が高いことではないかと思います。

 その届け出というのは簡単なものなのかどうか。地方経済産業局にA4一枚紙ぐらいのものを郵送すればそれでいいのか。何か、免許とかあるいは届け出を受理した通知とか、受け取って初めて製造事業者として認められるのか。それとも、届け出を郵送した時点で、検査してPSEマークを張ることができる製造事業者になるのか。また、製造事業者になることで、頻繁に役所に出頭しなきゃならないとかいろいろ報告をしなきゃならないとか、何か面倒な義務を負うことにならないのか。そういった疑問を販売事業者の皆さんは抱いていると思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

迎政府参考人 まず、届け出書類の煩雑さという点につきましては、従来、場合によって何十枚というふうな届け出が必要になるケースもあったわけでございまして、この点につきまして、先般発表いたしました対策の中で、手続の届け出書が一枚で足りるように大幅な簡素化をするということで発表いたしました。既にこれは実施に移しております。

 それから、届け出は、書類に記載の不備がなければ直ちに受理をされるものでございまして、これは郵送で送っていただくのでも構いません。現実に郵送で届け出が行われております。また、届け出さえすればいいわけで、受理通知とかそういったものが効力発生のために必要だというふうなことはございません。ただ、実際問題として、事業者の方からお求めがある場合には、受理番号のついた届け出書のコピーを御返送する、あるいはお渡しするというふうな対応を行っております。

 それから、実際に届け出事業者になった場合には、検査記録を作成し保存する義務、こういったような義務はございます。また、法律の執行として、報告徴収ですとか立入検査の対象となるというふうなことはあるわけでございますけれども、何か頻繁に出頭を求められるとか頻繁に報告を求められるとか、こういうふうなことではございません。

達増委員 思ったよりは敷居は低いということがわかったと思います。

 さて、そうやって届け出をすれば、いよいよ検査をしてPSEマークを張るという段取りになるわけですけれども、検査ということは電気用品安全法では第八条二項に書いてあるんですが、ただ、そこには具体的にどういう検査をすればいいかは書いておらず、政省令を見なければわからないことになっております。

 ただ、この電気用品安全法の関連政省令というのはすごい膨大なもので、また別表の方に行ったりしなければならなくて、インターネットで見ることはできるんですが、私もそれを探し出すのはかなり苦労いたしました。法律になれていない普通の人であると、なかなか容易に、どういう検査をすればいいかというのを確認することは難しいと思います。

 一方で、三月二十二日付の「中古品販売事業者等が電気用品安全法に基づき行う自主検査記録の取り扱いについて」という通達、その検査記録のつけ方の例を見ますと、検査内容として、外観検査、絶縁耐力検査、通電検査の三種類の検査しかそこに書いていないんですけれども、結局、やらなきゃならない検査というのはその三つの検査なんでしょうか。

迎政府参考人 検査につきましては、電気用品安全法施行規則におきまして検査の方式が定められておりますけれども、特定電気用品以外の電気用品につきまして必要な検査は、基本的に、今御指摘のありました外観検査、絶縁耐力検査、通電検査の三検査とされております。一部の、電線管ですとかヒューズですとか、こういったものについて外観検査のみで足りるというふうな、それ自体電気を通すものではないので検査が省略されておるものはございますけれども、大方のものは三つの検査ということでございます。

達増委員 外観検査というのは、見て壊れていないかとかいうことで、これは簡単にできる、本当にだれでもできる検査だと思います。三番目の通電検査というのも、これは、プラグをコンセントに差し込んでスイッチを入れて、ちゃんと電気が通って動くかという、スイッチオンできるかということですから、これもだれにでもできる簡単な検査だと思います。

 ただ、二番目にある絶縁耐力検査というのが、ちょっとこれは、私もぱっと見てぎょっとするわけでありますが、この絶縁耐力検査というのは必ず必要なんでしょうか。

 例えば、新品同様のいわゆる新古品という、製造されて一度も販売はされてないけれども、古いものなので中古販売業者の方に来て中古品として売られるような、出荷されたときの箱に入ったままで、そういうのは、まず外観検査だけで、見て壊れていない、水にもつかっていない、それでいいんじゃないかなと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。

迎政府参考人 今お話のありました絶縁耐力検査というものにつきましては、電気が漏れていないかという検査をするわけでございまして、感電ですとか漏電ですとかの危険を避けるために重要な検査であるというふうに認識しております。

 それで、要するに、いわゆる新古品についても検査が必要なのかというお尋ねでございますけれども、これにつきましては、PSEマークのついていない旧法制度下では個別品目ごとにこういった検査をするという義務がかかっておりませんで、そういうことで、必ずしもこういう検査を経ていないということでございますので、いわゆる新古品であっても、新しくPSEマークを付すためには、先ほど来申し上げている外観、絶縁耐力、通電の検査をしていただくということでございます。

達増委員 この絶縁耐力検査というのが一つ敷居が高い印象を受けるわけですけれども、これについて、経済産業省、三月十四日付の「電気用品安全法の経過措置の一部終了に伴う対策について」、ここで絶縁耐力検査への支援、協力をいろいろ盛り込んでいるんだと思いますけれども、これは普通の人でも簡単にできるものなのでしょうか。簡単にできるものだとしても、でもやはり専門家にやってほしいなという場合には委託をしてやっていいものなのでしょうか。

迎政府参考人 検査自体は、何か資格が必要であるとかあるいは非常に難しいというふうなものではございません。実際に私どもで、いろいろな場所で何回か機械で実演なんかもやっておりますけれども、機械の使用に若干習熟していただければどなたでもできるような検査であるというふうに考えております。

 それから、検査の方法については、今言ったような、簡単かという御質問もあるものですから、私ども、こういった検査機器の使用方法についての講習会も、これは明日から開始をいたしますけれども、全国で実施をしようと考えております。

 ただ、一方で、非常に少数のものについて、自分で検査機械を買って検査をするのではなくて、検査をするようなところにお願いをするというふうなことも、そういう形で第三者に委託をするというふうなことでも、法律上、構いません。ただ、その場合でも、検査記録の保存義務というのはその事業者にかかってくるわけですし、PSEマークを付する主体は、受託者ではなくて、委託をした事業者の方ということになります。

    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕

達増委員 念のために確認しますけれども、何の資格がなくてもできる検査だということで、電流を流す検査というのは聞くとちょっと怖いような感じもするんですけれども、それは、普通の人がやって危険がないような、そういう検査なわけですね。

迎政府参考人 絶縁耐力を見るために千ボルトの電圧をかけるわけでございます。ただ、千ボルトというとすごく危険かというと、電流量は非常に小さいわけでございますけれども、ただ、実際に検査をする場合は、ゴム手袋をはめるとか、そういった注意は払っていただかなければならないということでございます。

達増委員 そういう検査をしてPSEマークを張るわけですけれども、これも、初めてそういうことをやるという一般の中古販売事業者からしますと、PSEマークというのはどこかに行けばくれるものなのか、役所かどこかが交付して、それをもらってきて張るものなのかと疑問に思うと思うんですが、これは事業者が自分でつくって張るものなわけですね。その場合も、これは法令に従った形であれば手書きでやってもいいんでしょうか。また、他人につくってもらう、何か、ラベル屋さんとかにささっとつくってもらってもいい、そういうたぐいのものなんでしょうか。

迎政府参考人 まさに、電気用品の安全の確保については、自己で検査をして自己で認証するという体系になっているわけでございまして、表示についても、役所が交付するというふうなものではございません。

 それで、表示の方法については、電気用品ごとに定められておるわけでございますけれども、基本的には、電気用品の表面に容易に消えない方法で表示をしていただくということになっておりまして、この条件さえ満たせば、手書きであるということでも構いませんし、あるいはシールみたいな形で、ほかの人につくってもらったものを張るというふうなことでも問題ありません。

達増委員 手書きでいいということは実はこの法律全体の象徴的なことだと思うんですけれども、要は自己責任ということなわけですよね。

 七年前に、規制緩和規制緩和という規制緩和の中で、国がそれまでチェックしていた安全について、それを製造事業者、輸入事業者が自分で、自己責任で安全性をチェックし、それを示して販売すればいいという自己責任の原則だという、その感覚というのはなかなか一般には伝わりにくいんだと思うんですけれども、なるほどそういうものなのかという得心が得られれば、本当にお金をかけずに、手間暇かけずに事業者の人たちが安全を保証して消費者に売る。

 実は、これは事業者の人たちに聞いているんですけれども、もともと安全に気をつけて売っていたぞ、そんな壊れたものを壊れたままで売ったりはしていなかったし、ちゃんと消費者の人たちが安全に使えるようにということは気をつけて今までも売っていたんだと。そういう意味では、そういうあきんどとしての当然の心構えということを、きちっとルールを理解して形にしてやればスムーズに対応できるのかなというふうにも思います。

 ただ、一つ留保しておくと、そういう安全に関する自己責任ということについて、中古品販売事業者に今まで以上の負担がかかるというのは間違いないことで、法律の設計の仕方としてそれでいいのかということは残ると思います。法律はやはり製造事業者、輸入事業者のところに負担をかける仕組みでありますし、本当に自己責任自己責任というのであれば、消費者の自己責任ということで、PSEマークのない中古品を買うかというところを消費者の自己責任で、ビンテージを例外扱いするところにはそういう思想が出てきていると思うんです。

 ただ、今これを蒸し返してああでもないこうでもないとやることでかえって現場が混乱して、仕事や生活を失わなくていい人が失ってしまう危険を冒すよりは、私は、今は仕方がない、現行法のもと、経産省の解釈のもとで現場でやってもらうしかないと思うので、質問を続けていきたいと思います。

 これは現場の事業者さんから聞かれた質問で、非常に深刻な面持ちで聞かれたんですが、PSEマークを付して販売したものが事故を起こした場合、そのとき、そのPSEマークをつけた中古販売事業者が責任を負うことになるのかという質問ですけれども、これはいかがでしょうか。

迎政府参考人 製造物責任法上、製造物責任をだれが負うかという点につきましては、基本的には、最初につくった方に責任があるというふうに考えております。

 ただ、実際問題として、中古品を売る段階でいろいろ中古品事業者の方が何か手を加えて、そこの部分に起因して何か事故が起こったというふうな場合には手を加えた方に責任が生じてくるケースがあると思いますけれども、まず、何も手を加えないで検査をして、PSEマークを張ったがゆえに製造物責任が発生をするというふうなことは考えられないと思います。

 ただ、もう一つは、製造物責任については、変な表示をした場合に責任が生じるケースがございます。例えばもとの製造者の表示を削り取るとかそれの上に張るとか、そういうふうな誤認を生じさせるような表示をするとそういう表示者が責任を負う場合があるわけでございますけれども、通常、PSEマークを付したことによってそういった誤認が生じて、責任が発生するというふうなこともないと考えております。

達増委員 もう一つ現場の事業者さんから強く言われたことがございまして、それは、相談窓口を整備してほしいということであります。現状、きちんとした対応ができる相談窓口というのは地方経済産業局だけということかと思います。最新のこのことについてのビラでも、電気用品安全法のお問い合わせ御相談窓口ということで、地方経済産業局の担当課担当室の住所、電話番号が書かれているわけであります。

 これは、例えば岩手県の事業者さん、東北経済産業局は仙台でありますから、一々仙台に行くのも大変だし、電話で済めばいいんですけれども、なかなかそこは敷居が高いんですが、政府として、相談窓口は地方経済産業局以外には設けないんでしょうか。

迎政府参考人 まず、法律執行についていろいろ御相談に応じる責任というのは私ども経済産業省にあるわけでございますので、経済産業本省それから経済産業局において御相談に応じるということで、今現在、非常に数が多いものですから、お待たせするとか、そういう御不便をかけているということに御不満があるやに聞いておりますので、そうした体制は極力充実をしてまいりたいというふうに思っております。

 さらに、技術的な御相談については、国内に六つの登録検査機関がございまして、こういったところでも御相談に応じておるところでございます。現在、そのスタッフを増強して対応を図っておるということでございます。

 それから、都道府県、市町村につきましては、三月十四日に対策を発表した際に、これらの対策の周知、それから、あるいは公設試験機関での検査を実施していただく、こういったいろいろな協力を考えてくださいというお願いをしておりまして、今お話しのように、例えば自治体の方で、自分たちの方でも相談窓口をつくろうというふうなことであれば、これは我々としては大変歓迎するところでございまして、そういうところがございますれば、よく連携をとって、全体として御相談に十分応じられるように努めてまいりたい、こういうふうに思っております。

    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕

達増委員 警察庁からの政府参考人に伺いたいんですけれども、中古販売事業者は、実は、警察庁所管の古物営業法に基づいて都道府県の公安委員会から営業許可が与えられ、ふだんは都道府県警、都道府県の警察が業者を監督しているということで、今回のこのPSEマークについてなんですけれども、周知はどのようにしていたんでしょうか。

巽政府参考人 お答えいたします。

 警察は、盗品等の売買の防止あるいは速やかな発見、回復などを目的といたしまして、古物商などを指導監督する立場にございます。他方、電気用品安全法は、電気用品の危険及び障害の発生を防止することを目的とするものでありまして、警察は、従来、同法の趣旨等についての積極的な周知は行っていなかったところでございます。

 しかしながら、警察庁におきましては、経済産業省から本年二月十五日に文書で周知についての協力依頼を受けまして、十七日に、全国質屋組合連合会、全国古物商組合防犯協力会連合会など十八の業界団体にあてて連絡文書を発出いたしまして、加盟業者に対する周知を依頼いたしました。

 また、都道府県警察に対しましては、二月十六日、都道府県警察からも管内の古物商等に対する周知を図るように指示いたしたところでございます。

 以後、都道府県単位の業界団体に加盟業者に対する周知を依頼したり、あるいは、警察署から個別の古物商に対して直接周知するなど、各都道府県警察において鋭意周知を図っているところでございます。

達増委員 設置法上、警察、いろいろ予算や人員の都合もあるでしょうから、所管じゃないところの法律についてまでそういう人員や予算を割けないという事情なんだと思います。

 中古販売事業者が、この電気用品安全法、PSEマークについて、どうしていいかわからなくて困った状態になるというのは、さっきも言いましたが、二〇〇〇年問題と似たような状況があると思っております。

 というのは、法律の不備あるいは法律の不存在で、行政が適切に、情報を必要としている、何か行動を必要としている、そういう暮らしや仕事の現場のところにきちんとそういう情報を届けられないし、また支援ができない。二〇〇〇年問題のときもそうだったわけであります。

 二〇〇〇年問題のときは、それを補うように、いわばネット時代の、新しいネット的な課題にはネット的なソリューションということで、そもそもインターネットの中で情報が流通し、そしてそれが行政や国を動かし、また現場の必要なところを支援していく。行政や国を動かすというよりも、むしろ現場を直接支援していくような形で自治体でありますとかいろいろな市民団体、NPOとかいったところがあの二〇〇〇年問題のときには活躍して越年、年を越えるという作業を支援していったんだと思います。

 この中古販売事業者が直面する課題を解決するに当たっても、政府が法律に基づいてやれるだけのことをやるというのはもちろんなんですけれども、やはり自治体とかあるいは市民団体、NPO、まちづくり、循環型社会推進、環境保全とか、そういったことをやっている市民団体、NPOが相談体制をつくって中古販売事業者を支援していくような、そういうソリューションをとりあえずこの四月一日を越えるというところ、緊急事態、危機管理については、そういう形で越えていくのが望ましいんじゃないかと思います。

 経済産業省や警察がもっときちっと団体を監督して、団体を組織化して、グリップきかせて指導しろということになると、それは、旧来型の政官業癒着の体制に戻れ、それを進めろという話にもなりますし、そうした形でこれを解決するよりは、むしろ新しい市民社会型、ネットワーク型のソリューションでいくのが望ましいんではないかと思っております。

 私が実際に会った現場の事業者さんの中には、福祉とリサイクルを組み合わせて障害者の方々に仕事をしてもらって、中古品の回収、修理、清掃そして販売といった、要所要所に障害者の皆さんが参加してそして販売をする、そういう、福祉と組み合わせ、また、そういうお店の存在がまちづくりの核、中心市街地活性化の核にもなっていたりする、そういう事例もございます。

 そうしたところは、まさにそういう福祉に関心のある人やまちづくりに関心のある人みんなで支えていかなければならないのかなというふうに考えておりまして、七年間、五年間、この法律の問題についてきちっと対応してこなかった立法府の一員として、まずそういったところで努力をしようと思っておりますが、一方、七年間、五年間、こういう事態になる、引き起こすようにしてしまった経済産業省、政府の方も、この非常事態、危機管理については、やはり非常な決意で対応していただかなければならないと思います。

 最後に、二階大臣にこの点、決意を伺いまして、終わりたいと思います。

二階国務大臣 達増議員から詳細にわたって、しかも具体的に御質問いただきました。これに対する答弁によって、疑問とされておった問題点をよく理解していただける方もまた増してくるというふうに思っておりますが、今、議員がお尋ねのように、経済産業省としても極めて重い責任を担っていることは当然であります。七年前のことだとはいえ、私ども、当面、この責任があるわけであります。

 そこで、改めて確認をさせていただきたいと思いますが、この電気用品安全法たるものは「電気用品の製造、販売等を規制するとともに、電気用品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進することにより、電気用品による危険及び障害の発生を防止することを目的とする。」、議員御承知のとおり、このような目的に沿って誕生した法律であります。

 今、実際四月一日から具体的に新制度をスタートさせるに当たりまして、各方面から御意見をちょうだいしたことは事実でありまして、私は、このたびちょうだいした各方面からの御意見を、今後とも、経済産業省としては、この四月一日にたどり着いたところで仕事が終わるのではなくて、これから仕事が始まるんだ、そういう気概を込めて取り組めということを、きのう、省議においても関係者に徹底させたところであります。これは、地方局を通じましても、ともに取り組んでまいりたいと思います。また、各県知事に対しましても既に協力の要請をいたしておりますが、これから具体的に取り組んでいきたいと思います。

 もう一つ最後に申し上げておきたいのは、年間の火災が三万件発生しておる、これは各議員の皆さんが御承知のとおりでありまして、消防庁からもそういうデータが出ておるわけであります。

 この出火件数の中で、電気用品が出火原因となった建物等の火災による被害の規模につきまして改めて確認をしておきたいと思いますが、出火件数は、二千九百七十六件、約三千件。火災のうちの約一割がこの電気用品に起因して発生しておる。しかも、死傷者五百二十九人、うち死亡六十五人。加えて、損害額は百二十一億円。こういう状況の中で、私は、この法律の必要性が当時検討されたものとさかのぼって思うわけであります。

 それはそれとして、必要な法律であることには違いありませんが、いかにもこの周知徹底におきまして少し工夫が足りなかったのではないか。

 そして、先ほどたびたび議員からも御指摘になりました、中古品の販売に御尽力といいますか、そういうことで一生懸命やっていただいている方々、時々休みの日なんか町へ出ますと、中古の関係者の皆さんが、テレビあるいは冷蔵庫の古いのがあれば、声をかけていただければ高いマンションなんかへでも上っていってすぐ受け取りに行きますよと放送で言っていますよね。ああいう方々にもむしろ、この法律の内容について、市民の皆さん、国民の皆さんに徹底するために御協力をいただくことができなかったのか。そういう呼びかけをもっと早い段階でしておくことによって、中古業者等の御意見を経済産業省として吸収することができたのではないか。

 そうしますと、それは、先ほど御議論のあったように警察が担当しておる、こういうことになるのですが、私は、国民の皆さんから見れば、警察であれ経済産業省であれ、政府ということには違いないのですから、我々は他の省庁とも連絡をとって、これから、四月一日からさらに気合いを込めてこの問題に対しての対応をし、経済産業省としての名誉を挽回したいと思っております。

達増委員 時間ですので、終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 おはようございます。

 これまで懲罰委員会にいたのですが、諸般の事情により経済産業委員会に参りました。今までの議員経験で経済産業委員会は初めて属しますので、恐らく、大臣初め各委員の皆さんはおなじみの質問になるかもしれませんし、あるいはストライクゾーンを外す質問になるかもしれませんけれども、ぜひお許しをいただきたいと思います。

 きょう私がお尋ねをするテーマは、イランのアザデガン油田開発と、それから東シナ海のガス田開発、主に資源エネルギー外交にかかわるテーマでございます。

 まずアザデガン油田開発についてお尋ねをさせていただきたいと思いますが、二〇〇〇年にサウジのカフジ油田の権益を失ってから、自主開発油田といいますか日の丸原油の確保で本当に必死になってきた中で、二〇〇四年にこのアザデガン油田の契約をまとめました。これは一九八〇年以降の新規発見油田では世界第二位の規模ということで、大変規模の大きな油田でございまして、この開発が順調に進めばこれは本当にすばらしいことなんだろうというふうに思いますけれども、しかしながら、このアザデガン油田、規模は大きいのですが、一方でリスクも大変大きな油田開発だと承知しておりまして、イランというカントリーリスク、それから、油田そのものが持っている油質の問題であるとか、イラクと近接している地域でありますから地雷がたくさん敷設をされていることとか、あるいはバイバック方式という契約方式を含めて、油田自体にも大変リスクがかなり高いものがあるだろうと思います。

 こういうリスクの高い開発だということについての二階大臣の基本認識をまずお尋ねしたいと思います。

西野副大臣 お答えをいたします。

 今、野田先生から御質問がありましたとおり、アザデガン油田につきましては、自主開発油田として大変希望を持てるといいますか期待のある地域であるわけであります。がしかし、本契約につきましては、いわゆる民間企業であります国際石油開発株式会社とイラン側が締結をいたしておるわけでございます。我が国としては、いわゆる民間企業がこの契約については当事者であるわけでございまして、政府として、これについて、その内容等々を含めてお答えする立場ではないのかなというふうにも思っておるところでありますけれども、しかしながら、この国際石油開発株式会社は、この油田開発に伴うリスクというもの、あるいは逆にメリットというもの、そういうものも相互に勘案をして締結、判断をされたというふうに思っておるところでございます。

 ただ、先生が御指摘をされましたとおり、当地におきますイラン自身の国情その他核開発疑念等にかかわる問題、あるいは隣接する中東の状況、安全保障の問題等々からいたしますと、大変一般的にはリスクを抱えての地域であろうかというふうに思っておるところでございます。それだけに、この推移は、私どもとしても、願わくば、エネルギー安全保障という観点から、スムーズにこの問題がクリアされて、締結、実施されるようなことを期待いたしておる、こういう状況でございます。

野田(佳)委員 今、副大臣のお答えの中で、民間ベースでやっていることだからというような一応前提、前置きのお話がありましたけれども、実態としては、これはやはり官民挙げて今取り組んでいることであることは私は間違いないと思いますし、そもそもこの国際石油開発の役員を見ると、経済産業省のOBの方がたくさんいらっしゃるわけですし、今度、帝国石油と経営統合ということですが、一層それが強まるということですよね。しかも、最大の株主は政府ですし、上場企業の中で唯一黄金株を持っているという状況ですから、これは当然政府の意向とか、あるいは力量が問われるテーマだろうというふうに私は思っています。

 その前提で、核開発の話も出ましたが、その前に、これだけリスクの高いアザデガンに必死で取り組んでいるという状況、その割には、二〇〇〇年のカフジの油田の権益を放棄したときはいともあっさりというような感じを受けたんです。この辺がちょっと私は矛盾として感じているんですけれども、過去のことは余りさかのぼってもしようがないんですが、なぜ、あの二〇〇〇年のときのサウジのカフジ油田の権益をあれだけ簡単に放棄したのか、説明をしていただきたいと思います。

小平政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま副大臣から申し上げましたとおり、日本は石油のほとんどすべてを海外に依存いたしておりますので、日本の企業が海外で油田の開発を進める、あるいは産油国との関係強化を図るということは、これは従来からの基本的な方針として取り組んできておりますけれども、今後、なお一層力を入れていく必要があると思っております。

 お尋ねでございますアラビア石油がサウジアラビアに持っておりましたカフジ油田の権益の件でございます。

 これにつきましては、まずはアラビア石油が、期限が参りましたので、この権利の更新の交渉をしていたわけでございますけれども、これは国にとっても重要であるということで、環境整備の観点から、政府間でも協議、交渉をしたところでございます。結果といたしましては、二〇〇〇年二月に、両方合意に至らず、契約に従いまして権益が終了したところでございます。

 この協議につきましては、かなり長期間にわたって、下準備も含めますと、会社を含めて長年やったわけでございますけれども、サウジアラビアが最後までこだわりましたのは、この契約を更新する上では、サウジアラビアに鉱物鉄道を無償でつくるということが条件である、これが当時の推定で二十億ドル必要であるということでございましたので、全体のプロジェクトの中での二十億ドルの位置づけ、これを政府が出すということについての当時のさまざまな判断から、これはサウジアラビアとの間でなかなか合意できない、こういうようなやむを得ない状況のもとで断念するに至ったということでございます。

 なお、クウェートに残りの半分の権益がございますけれども、こちらにつきましては、平成十四年にアラビア石油とクウェート政府の間で新しい契約が締結されておりまして、引き続きアラビア石油が操業に関与しているところでございます。

野田(佳)委員 今、二十億ドルというお話が出ましたけれども、このアザデガン油田開発の投資資金も多分二十億ドルですから、それが本当に高かったのか低かったのかというのは本当によくわからない話だと思います。

 過去のことはそれはそれとして、当面のアザデガンをめぐる一番緊急性を要するテーマというと、やはりイランの核兵器開発の動きが明白になってきて、それに対してアメリカを初めとする国際世論が大変態度を硬化してきているという現状だろうというふうに私は思います。

 表向きにアメリカがどういう発言をしているかということは余りつまびらかに承知していませんけれども、少なくとも、ボルトン国連大使が、日本のエネルギー事情も理解できるが、国際的な核拡散防止への日本の年来の強い政策からすれば、イランの核兵器保有阻止への協力の方がより重要なはずだと述べて、これはある種アザデガン開発に対する凍結を求めるような発言をされているとか、あるいは、アメリカの議会においてもイランに投資する外資企業に制裁を科すような法案が可決されているとか、だんだんと環境としては厳しくなってきているように思うわけであります。

 こうした中で、米国から日本政府に対して、アザデガン油田開発を凍結するようにとか中断するようにとかという具体的な要請が現段階であるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

片山大臣政務官 確かに委員御指摘のように、最近、米議会における法案、またいろいろな議員の方の御発言、それからボルトン国連大使を初めとして強硬な御意見をお持ちの方はいらっしゃいますが、結論だけ申し上げますと、最近、一部報道されましたように、米政府関係者から日本政府に対して、アザデガン油田の計画を凍結してくれといった要請があるといった事実はございません。

野田(佳)委員 これは、ブッシュ政権のゼーリック国務副長官とかジョゼフ国務次官らが非公式に要請したという報道がありました。では、それはないということでよろしいわけですね。わかりました。

 そこで、アメリカから具体的な要請はまだないとしても、環境的にはとても厳しくなっていることは事実であって、その中で、二月にイランの外相が訪日されたときに、外相会談などをやって、日本の懸念とか、あるいは国際社会の懸念というものを伝えて、核開発中止の呼びかけをされたという事実はあったと思うんです。外交努力というのは外務省だけではなくて、この自主開発油田をしっかりと維持発展させていきたいと思っている経済産業省としても、やはり具体的な取り組みがあってしかるべきだろうというふうに思いますが、そういう具体的な取り組みをされているのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

二階国務大臣 ただいま御指摘のように、二月二十八日、イランのモッタキ外務大臣が来日の際に、私は、経済産業省にお越しになった外相と会談をさせていただきました。私からは、当然、我が国は唯一の被爆国として、早期のイランの核問題解決を強く願っておるということ、そして、国際原子力機関の理事会決議に従い国際社会と信頼関係を構築することが平和的、外交的解決のために極めて重要である旨を強く申し述べ、イランの再考を促したところであります。

 モッタキ外務大臣は、イランは原子力の平和的利用の権利を有するなどということを述べておられました。従来のイラン政府の立場を繰り返したというわけであります。その上で、我が国の懸念をイラン国の幹部に対して必ずお伝えする、こういう発言がありました。

 また、これに先立ち、経済産業省としては、二月十五日でありましたが、私の指示で、西野経済産業副大臣とエネルギー庁長官がタライ駐日イラン大使を経済産業省に招き、同様の懸念を伝えております。

 政府としては、イランがこうした懸念を正面から真摯に受けとめ、核問題の解決に向け真剣に取り組むよう、引き続き政府挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

野田(佳)委員 今、大臣から、これまでの取り組みについてお答えがございました。これは、日米同盟も大事ですし、大臣が御指摘になられたとおり我が国は唯一の被爆国でありますから、核不拡散を目指して、やはり国際社会と連携しながら、イランの核開発を抑止していく、阻止していくという努力は当然やっていかなければいけないし、その環境整備ができて初めてこのアザデガン油田開発を進める状況が生まれてくるだろうと思いますので、日米か、日本・イラン関係を大事にするか、どっちも大事でありますので、これからもぜひ粘り強くその取り組みを引き続きやっていただきたいということを要請させていただきたいと思います。

 その上で、余り仮定の話をしてもしようがないんですが、これはIAEAから国連安保理に付託をされるような動きになってきて、場合によっては経済制裁という、せっかく日本が一生懸命取り組みをしてもイランの態度が変わらない場合の、最悪の場合ということもやはりある程度想定をしなければならないだろうと思います。

 そのときに、その最悪なケースですが、そうすると、この後東シナ海の問題でも取り上げたい、また中国との関係が出てくるだろうと私は思っていまして、そういう国際的な包囲網の中に恐らく中国は実利を優先して入ってこないだろう、そして、アザデガンに近接をするヤダバランという油田についての権益を確保しているという中で、アザデガンについても、日本が中断をしたり撤退をするようなケースになれば、おのずと今度は中国がその権益を引き継ぐというような動きというものは十分想定をされるというふうに私は思っておりますけれども、この認識について、どういう御感想を持っているか、お尋ねをしたいと思います。

小平政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま大臣からお話ございましたように、私どもといたしましては、まず、この核問題につきまして、イランが国際社会の信頼を得るような努力を引き続きしていただいて、この問題が円満に解決に向かう、そのために最大の努力をするということが重要であるというふうに思っております。

 他方で、石油につきましては、イランは日本の石油輸入の一五%を占める相手先でございますので、資源エネルギー庁、経済産業省といたしましては、石油の観点からも、このイランというのは大変重要な国であるというふうに思っているところでございます。

 また、国際石油開発も、このプロジェクトはぜひ進めたいということで、懸命な努力をしているところでございますので、先生から冒頭ございましたように、仮にこのプロジェクトがうまくいかなくなった場合というような仮定の御質問に現時点でお答えを申し上げるのは適切ではないというふうに思いますので、答弁を差し控えさせていただきます。

野田(佳)委員 可能性を言ったらいろいろありますから、仮定の話は答えにくいというのはわかりますけれども、一%、二%の可能性だったら、それは答える必要がないと思いますが、私は、十分に可能性のあることですので、それを想定しながらの現時点での御判断をお伺いしたかったということなんですが、多分これは変わらないだろうと思うので、しようがないですね。私は、そういう懸念を非常に強く持っているということは重ねて申し上げておきたいと思っております。

 その上で、カントリーリスクだけではなくて、バイバック方式という契約方式も、我が国にとっては、あるいは国際石油開発にとっては非常に不都合の多い契約方式なんだろうと思うんです。開発を断念せざるような、そんな最悪の状況にならなくても、なかなか開発が進まない、進捗ができないというようなケースになったときに、おくれた分だけ相当な損失、ロスが生じるというような契約だと私は思います。

 このリスク回避のための努力とか方策づくりというのを具体的に今やっているのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生から御指摘ございましたように、このバイバック契約は、生産に移行しました後、あらかじめ決められた期間におきます石油生産から、あらかじめこれも契約で決められましたコスト、報酬を回収する契約ということでございまして、論理的には、開発が大幅におくれました場合には経済性に影響が生ずる可能性があるというのは、御指摘のとおりでございます。

 イランにおきましては、石油を開発いたします外国企業は、このようなリスクがございますバイバック契約のもとですべて開発を進めているということでございます。

 このアザデガン・プロジェクトにつきましても、ただいま申し上げましたようなバイバック契約の特色を踏まえました上で、国際石油開発は、契約の交渉、あるいはプロジェクトを進める上で開発のおくれに伴います経済性の悪化のリスクをできるだけ小さくするということで、イラン側と交渉を進めてきたというふうに承知をいたしております。そうしたリスクとともにイランという大石油生産国での開発を進めることのメリット、リスクとメリットの両方を総合的に判断いたしましてこの契約を締結したものというふうに理解をいたしております。

 国際石油開発はこれからも、経済性の確保に配慮しながら、このプロジェクトに引き続き対応していくというふうに承知をいたしております。

野田(佳)委員 二〇〇四年の二月にこうやって合意をしてから、既に二年が経過をしています。バイバック方式の内容は今おっしゃったとおりなんですが、これは、第一ステージ六年、第二ステージ六年半、十二年半で投資回収とそして報酬を得るという契約ですけれども、今おっしゃったように、開発がおくれればおくれるほど深刻なロスが発生する。それをどう回避するかという具体策を今お尋ねしたので、それについてのお答えは今なかったと思いますので、再度御答弁をいただきたいと思います。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、イランとの間で、契約の内容につきましては実は守秘義務がございますので、ただいま申し上げましたように、開発のおくれに伴って生じるリスクにつきましては、イランとの間で、どのように分担するのか、あるいは、開発のおくれの原因が会社側、イラン側のどちらにあるのかというようなことを含めまして、そうしたリスクに契約の中で対応するということの議論の結果、契約が結ばれておりますけれども、ただいま申し上げましたとおり、契約の内容、具体的なリスク回避の方法等につきましては、イランとの間で内容を公開しないということになっておりますので、さらに具体的な答弁につきましては、大変申しわけございませんけれども、差し控えさせていただきたいと存じます。

野田(佳)委員 具体的な内容は、それは守秘義務があるということだったらおっしゃらなくて結構なんですが、イラン国内でもバイバック方式についての見直しの動きというのが出てきているんですよね。そういうことも踏まえて、国際石油開発とそれからイランの側とで具体的にリスク回避のための話し合いとか取り組みは行われているのかどうか、これについてはどうですか。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 イラン国内でバイバック契約の見直しをすべきであるという議論が出てきていることは事実だというふうに情報として伺っております。これは、今の政権がむしろ、どちらかといいますと、外資に対しまして一段と厳しい態度をとっているということも一つの背景にあろうかと思います。

 それから、お尋ねの、国際石油開発が先方とそういう協議、交渉をしているのかという点につきましては、これは、国際石油開発の幹部は頻繁にテヘランに参りまして、先方石油省との間で協議、交渉をしているところでございます。

野田(佳)委員 では、頻繁に協議、交渉されている中で、当然入っているんだろうというふうに思います。

 次に、当初からこのアザデガンの油田開発についてはシェルも参加するかもしれないという動きがあったように、メジャーの参加というのは、技術力から資金力から含めて、やはり不可欠だったんだろうと思いますが、その後、メジャーの参加というのがあるのかないのか、お尋ねをしたいと思います。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 この点につきましても、国際石油開発は、一般的には、大きなリスクのございますプロジェクトにつきましては、リスクの分散と最適な事業体制の構築という観点から、国際石油開発がアザデガンにおいて持っております権益の一部を国際石油企業、具体的にはメジャーに譲渡するということを検討しているというふうに聞いております。

 ただこれも、具体的な相手先の名前につきましては、相手との協議、交渉等の秘密保持上の問題もございますので、引き続き国際石油開発はそういう検討、話し合いをしているということで御理解をいただきたいと思います。

野田(佳)委員 名前は公表できないということですが、メジャーと権益の一部譲渡の交渉をしているという事実があるということでございましたが、では、そのほかに、例えば国内の商社の参加とかという動きは具体的にあるんでしょうか。

小平政府参考人 お答えを申し上げます。

 これも先ほどお答え申し上げたことと同じでございますけれども、国内におきましても、国際石油開発は、権益の一部を国内企業に譲渡するということで検討、話し合いをしているというふうに聞いております。

野田(佳)委員 これは随分長い間そういう話が伝わってきていますが、一個も何か具体的に名前が出てこないというのは不思議な感じがしてしようがないんです。恐らくメジャーはフランスのトタールあたりなんでしょうけれども、トタールの名前も随分前から出てきている割には具体的な進展が見えない。いろいろな意味で何か行き詰まりを感じているところでございます。

 その中で、リスクマネーがこれからどんどん膨らんでいくという予想が当然立つんですが、リスクマネーの供給はどれぐらいになる見込みなのか、現時点でどういう判断をされているか、お尋ねしたいと思います。

小平政府参考人 お答えを申し上げます。

 国際石油開発は、まず、イラン側によります現地での地雷除去作業の完了を待っているという状況にございまして、この進捗状況を踏まえながら、本格的な開発移行に向けまして、資材調達等の準備作業を現在進めていると承知をいたしております。

 お尋ねのリスクマネーの調達の件でございますけれども、具体的にどのような形でリスクマネーを国際石油開発が調達をするのかというのは、基本的には企業の判断でございますけれども、国際石油開発が独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構などによる支援、具体的には出資等を希望いたします場合には、今後、プロジェクトが進むに従いまして、申請に基づいて、これらの機関によって適切に審査が行われ、その上で対応が決まっていくものというふうに考えております。

野田(佳)委員 このアザデガンに関連してというか、言ってみれば石油開発戦略に関連して、この問題の最後に大臣にお尋ねをしたいと思うんです。

 アザデガンもちょうどイラン、中東なんですが、一月三十一日の経産省資源エネルギー庁が発表した石油統計速報を見ますと、日本が平成十七年に輸入した原油に占める中東産の割合は前年比一・三%増の九〇・二%に達した、これは昭和四十三年の九〇・九%以来、三十七年ぶりに九割を上回った、そういう速報値が出ました。調査を始めた昭和三十五年以降では過去三番目の水準であるということでございます。

 オイルショック以降、やはり脱中東を掲げて多角的にエネルギーを確保する努力を本来はやってきたはずだと思いますが、数字を見ると、また中東産原油のシェアが九割突破という現実があるわけであります。脱中東依存というかけ声は今まで随分聞いてきたように思うんですけれども、実態は九割を超えた。

 そこで、改めてお伺いしたいのは、脱中東に向けた具体的な戦略というのを経産省としてお持ちなのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

二階国務大臣 ただいま議員からの御指摘のように、約九割を我が国は中東から輸入していることは事実であります。このため、石油の供給源の多様化を進めてまいるということは最大のエネルギー政策であります。

 したがいまして、太平洋パイプラインプロジェクトやサハリンのプロジェクトなどの日ロ協力につきまして、先般もプーチン大統領がお見えになりましたときにも協定を結ぶなど、さらにまた、近くはロシアでエネルギー問題の関係国の協議等も行われるわけでありますが、それに我が国も積極的に参加をして道を開いていきたいと思っております。また、東アジア、オーストラリア、リビアなどの非中東地域における石油開発も並行して推進してまいりたいと考えております。

 しかしながら、世界の石油埋蔵量は、議員も御承知のとおり、六割が中東地域に集中しているということも事実であります。これを踏まえれば、我が国の石油輸入の相当分は、引き続き中東地域に依存せざるを得ないという状況であります。このため、経済関係の強化あるいは中東産の石油との関係強化を図ることも重要であり、中東諸国と引き続き円満な関係を維持していきたいと思っております。

 かねて、これも議員各位が御承知のとおり、第一次オイルショックの際には、ちょうど田中内閣、中曽根通産大臣という時代でありましたが、当時は、三木武夫副総理が一カ月かけて中東諸国を訪問して、中東との関係強化に乗り出し、一応の成功をおさめたことは御承知のとおりでありますが、私どもも今改めて、中東との関係、そして、先ほど申し上げましたように、ロシア、中央アジア、オーストラリア、リビア等との関係、これを並行的に進めていくことを考えていく。

 一方、新エネルギー政策でありますが、原子力、太陽光、風力、バイオマス等の新エネルギーにつきまして、今積極的に取り組んでいるところでありますが、こうしたこととあわせて、総合エネルギー対策ということを考えていかなくてはなりません。同時にまた、省エネということも極めて重要なことでありますから、この面も怠ってはならないと思っております。

 したがって、総合的に新国家エネルギー戦略なるものを私どもはこの五月中に打ち立てるということで、今懸命の準備を進めているところであります。この点がまとまりましたら、また委員会にも御報告申し上げ、委員各位の御協力を得ながら、まさに国家戦略としてエネルギー問題に真剣に取り組んでまいりたいと考えておる次第であります。

野田(佳)委員 また機会がありましたら、新国家エネルギー戦略とか、この間中間報告があったあの新経済成長戦略、こういう戦略のお話も改めてじっくりとお尋ねをしたいと思います。

 東シナ海のガス田開発についてたくさん質問を用意してきたんですが、時間がなくなってきたのでどんどんと行きたいと思っておりますけれども、まず、事実関係からお尋ねしたいと思います。

 三月六日、七日、第四回日中の局長級協議が行われました。このとき、中国側から、東シナ海の北及び南の二カ所について共同開発対象地域として提案があったということでございましたけれども、この提案の仕方についてお尋ねをしたいと思うんです。

 これは、報道によると、海図を配付されただけで、対象海域はエリアではなくて黒い丸がついていただけで、日本の主張している日中中間線も書いていないというような提案の仕方であったという報道もあるんですが、これは事実かどうか、お尋ねします。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 三月六日、七日に北京で開催をされました東シナ海等に関します第四回日中局長級協議におきまして、中国側から、東シナ海の北それから南の二地点につきまして共同開発の提案がございました。ただいま先生お尋ねの、この具体的な提案の仕方あるいはその詳細につきましては、中国側とのこの協議の席におきます申し合わせがございますし、また交渉中でございますので、これ以上具体的に申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。

野田(佳)委員 提案の海域がどこかという具体的な情報を今私はお尋ねしたんじゃなくて、提案の仕方の確認なんです。黒い丸を二つ塗っただけのものを持ち帰ってきたのかどうか。私は、これは正式な提案と受けとめるべきかどうかという大事なことだと思っていますので、緯度や経度の説明を受けたのか、そういうことも含めてもう一回お尋ねをしたいと思います。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しで恐縮でございますけれども、これからいよいよ交渉を本格的に詰めていく段階でございますので、双方具体的にどういう話をしているのかということについて詳細を申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、中国側の提案につきましては、これは、まず中国側から席上説明があったわけでございますし、その内容につきましては日本側からも質問をいたしまして、その内容について把握をした上で、国内に持ち帰ってこの提案の内容を慎重に吟味するということで、持ち帰った後、注意深く検討評価作業を行うということにしたところでございます。

野田(佳)委員 詳細な説明を受けて持ち帰ったのならば、それは一つの提案でそれを受けとめて持ち帰ったということだと思うんですが、これ、報道によって全然違うんですよね。どの海域だったのかということも。それは当然政府が明かしてないからなんだろうと思いますけれども、あの黒い丸をつけられたところを後で詳細に分析、精査をしたその後の結果なんですけれども、それが果たして、例えば北側海域というのは、中間線より日本側なのか、中間線をまたいでいるのか、これも報道によって違うんです。少なくともそれぐらいはぜひ教えてほしいと思うのは、北側海域は、中間線より日本側なのか、またいでいるのか。またいでいるならば次の日中局長級協議の意義はあるかもしれない、だけれども、またいでないで日本側だけだったらば、もう一つ南側は尖閣の周辺だと言われていますから、これは提案として受けとめる必要のないものだったと私は思うんです。そこの一点、確認をさせてください。

小平政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどから繰り返しで恐縮でございますけれども、具体的な提案が中国側からあったわけでございまして、これは中国側の正式な提案ということでございます。その内容につきましては、今、中間線をまたがっているのかどうかという点も含めまして御質問がございましたけれども、これにつきましては、中国側の提案の詳細は明らかにしないということで、先生、これも御指摘のとおり、政府といたしまして公表したことはございませんので。したがいまして、報道によりまして、かなり推測を交えてさまざまな報道がなされているところでございますけれども、今後、この協議、交渉を日中双方それぞれの立場を踏まえて建設的に進めていきます上でも、中国側の提案が具体的にどういうもので、それについての日本の政府としての評価がどういうものであるかということを今の時点で、これから交渉でございますので、申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

野田(佳)委員 だから、これは中身がわからないから確定的なことは申し上げられませんけれども、中間線をまたがるようなものでないんだったらば、本当に、それは提案として持ち帰るべきではなくて、その場で突き返す内容だったと私は思うし、その意味では、例えば試掘のことも含めて、日本の覚悟というものを示す交渉だったのではないか。これは、具体的におっしゃってくれないから何とも言えませんけれども、自分の意見として申し上げておきたいと思いますが、少なくとも、これは日中の局長級協議が終わった後、安倍官房長官とかあるいは麻生外務大臣の評価というのは厳しいコメントが続いていたように思います。検討に値しないとかですね。

 そこで、二階大臣にお尋ねをしたいんですが、この第四回の日中局長協議を大臣はどのように評価をされていらっしゃるでしょうか。

二階国務大臣 日中局長級会議につきまして簡単に振り返ってみますと、第一回が二〇〇四年の十月、第二回が二〇〇五年の五月、第三回が二〇〇五年の九月三十日及び十月一日。この後、交渉が中断されて、私がこの経済産業省に参りました当時は日中協議は中断されたままになっておりました。このまま放置しておいていいのかという考えから、中国側と機会あるごとに、お互いに交渉のテーブルに着くことを提案し、中国側に強く要請をしてまいりました。

 そこで、ようやくにして一月九日、二〇〇六年でありますが、非公式の局長級会議、しかし、主要メンバーは同じでございますから、非公式とはいえ三プラス一というふうな感じであったかと思いますが、行われました。

 そこで、先般、私が訪中をした際に、トウカセン国務委員との会談の際に、三月の上旬に再開をしようという提案がありまして、私の方からも、望むところであり、その提案に応じたところであります。

 そこで、三月六日及び七日にわたって、外務省の佐々江アジア大洋州局長、そして、ただいま御答弁に立っております小平エネルギー庁長官等を中心とする我が国の代表者、そして中国側の代表等で意見の交換があったわけでありますが、先ほど来、この小平長官からたびたび申し上げておりますとおり、今、中断された後に正式協議に入ったばかりでありまして、これから、お互いに意見の交換、そして協議が続いていくわけであります。私は、この専門家の協議を見守るべきであって、もし御支援をいただくならば、その協議の促進についてそれぞれ御意見を出していただくことは大いに歓迎をいたしますが、ここは静かに、外務省の局長、経済産業省の局長が現地に赴いてやっておるわけですから、外交はこれらのこの交渉団に任せるということが私は大事じゃないか、これが日本にとっての国益につながるものと確信をしておる次第であります。

野田(佳)委員 これまでの日中局長級協議の経過とその中断をしていた協議を二階大臣のリーダーシップで、温家宝首相に会ったり、トウカセン国務委員に会ったりしながら環境整備をされてきたことは私も承知をしております。

 ただ、この日中局長協議で、いつも我が国が主張をしているあの中間線付近における中国の開発行為について中止を求めたり、データの提供を求めていることについては、これはずっとゼロ回答が続いているわけですね。

 その上で、我が国からも共同開発の提案をしたりした経緯もありましたけれども、具体的には、今までの経緯を見てくる限りにおいて、確かに、外交交渉はお任せをしている人たちに任せてじっと見守るというのも一つの方法かもしれませんが、私は余り成果がこれまで上がってきていないという認識をしています。だから、心配をしてお尋ねをしているわけですが。

 その上で、次回の日中局長協議というのは、これはいつごろ開かれる見通しであって、そして、その際は、従来どおり、今、静かなる対話をやるのか、あるいはもう春暁のガス田などは生産開始の可能性も出てきているというときでありますので、試掘ということもほのめかすような交渉をするのか、試掘は封印をした対話なのか、具体的な基本姿勢をお尋ねしたいと思います。

片山大臣政務官 まず、日程でございますが、六、七の協議で、できるだけ迅速な解決という認識は日中で共有いたしましたので、今、できるだけ早期に開催する次回協議の日程については、まだ決まっておりませんが、鋭意調整を行っております。

 この問題は、先ほど大臣から何回かお話をしておりますように、まだ本格的協議が始まったばかりのところでございまして、このような状況におきまして、いきなり試掘云々ということではなくて、あくまで日本の国益を考えて局長級の協議をやって、引き続き、対話を通じてできるだけ早い解決を図るべく、努力してまいるというのが当省の方針でございます。

野田(佳)委員 私、だから、対話をすることは別に反対じゃないし、対話がないと進展は間違いなくないということは事実だと思うんですが、その対話の基本姿勢の問題、これは麻生外務大臣と二階大臣との間には随分ちょっと考え方の開きがあるような報道等もあります。実際に民放のテレビでも拝見をしましたけれども、随分と閣内でも異なる考えでこの問題については当たっているのかなという印象を受けざるを得ないんです。

 やはり、フォークボールが投げられるのに直球しか投げないといったら、それは相手にとっては非常に見やすい立場だと思いますから、私は、あらゆる措置を講ずる可能性を構えとして持ちながら対話をするというのが交渉ではないかと思うし、二階大臣は本当にタフネゴシエーターのイメージを持っていますので、その対抗措置を封印した対話路線というのは、私はどうもすとんと腑に落ちないということがあります。ぜひその見解をお尋ねしたいと思います。

二階国務大臣 交渉は、あらゆる角度から交渉することは当然でありますし、そうしたいろいろな御意見は、新聞、テレビ等を通じて恐らく中国側にも伝わっておるでしょうから、それはそれで、発言者の意図といいますか御意見、真意は伝わっておると思います。

 私は、小泉総理大臣の指示を受けて、内閣の閣僚として中国を訪問し、中国の要人と面談をして、以後、第四回目の会議を開催しようということで、お互いに山積するいろいろな問題があってもそれらは一たん横に置いて交渉に入ろうということを決めたわけであります。これには、外務省の幹部もその席に立ち会っておったわけでありますし、それは私の訪中に同行させてほしいという要請がありましたから、大いに結構ですということで外務省の幹部も同席をしておるわけでありますし、日本の大使もその席に同席をしておったわけであります。

 続いて、今後の交渉については、まだ交渉の日程が定まっておりませんが、これについても、外交ルートを通じて調整するわけでありますから、第一義的には外務省が中国政府と交渉を進めておるはずであります。それを受けて、日程が決まれば、政府としてきちっとした方針を立てます。

 だれそれの御意見だとかあるいは評論家の御意見だとか、それは参考にはいたしますが、方針は小泉総理の方針に従って、小泉内閣として交渉することを御承知おきいただきたいと思います。

野田(佳)委員 まさに内閣一体となって交渉に臨んでいただきたいと思いますけれども、その際に、やはり先ほどの試掘の件ですが、大臣は地元で、元気のよい発言をする人もいるが、私はその道をとらないと明言をされました。

 これは、元気がいいかどうかじゃなくて、私は民主党の中で今一番元気のない一人でありますけれども、元気がなくてもやはり主権国家として試掘をする環境整備だけはしておくべきだろうと思いますので、我が党は、海洋権益にかかわる法案を昨年提出しました。与党でもそういう動きがあるそうですが、そういう動きについて大臣はどのようにお考えになるのかということと、対中円借款、年度内に決めるということをことしは持ち越しました、この措置について大臣はどのように評価をされているのか、あわせてお尋ねします。

二階国務大臣 ただいまの御質問でありますが、試掘の問題というのは、これは今後専門家同士で、いつ、どうしてやるかということを交渉する、話し合いをする、そのために今交渉をやっておるわけであります。ただ、私が試掘の道をとらないと言ったのは、緊迫しておる中で、交渉のテーブルに着けないままにずっとおった、そのときに直ちに試掘をして、どういうことになりますかと。

 私は、先般帝国石油の会長、社長を呼んで、会社としての意向はどうか。これは、試掘、試掘と言ったって、政府がやるわけでもなければどこかの役所がやるわけでもない、結局は帝国石油がおやりになるかどうかということであります。帝国石油は現にもう試掘権を持っておるわけですから、やろうと思えば政府と相談してやるということになっておるので、どういう考えにあるかということを会長、社長を呼んで私の方から伺ってみました。そうしましたら、私たちは、平和の状況でなければとても試掘に乗り出すということにはまいりません、ぜひ日中間で円満な交渉をしていただいて、私たちが試掘にも乗り出せるような状況を一日も早くつくっていただきたい、そのことを期待しておりますと。私は、極めて常識的なことであり、そのとおりだと思うわけであります。

 また、今、円借款の問題についてのお話がありましたが、これは外務省の事務当局から私どもの方へ、ほとんど事後的な報告を受けたようでありますが、私どもは直接、このことの真意、そしてこのことによってどれだけ我が国の国益に益するところがあるのか、あるいはまた将来どういうふうな状況の中でこの凍結を解除していくのか、そういう方針については現段階では承っておりません。

野田(佳)委員 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。

石田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、この間取り上げてまいりましたPSE法、中古家電販売問題について質問をいたします。

 この中古電気用品の販売禁止問題が、大変な大混乱でありました。検査機器がそもそも間に合わない、五百カ所の無料の貸出場所をつくるといっても、年度末までに確保できる台数が百数十台だというお話なんかもありました。そのため、もう営業は続けられないと廃業された方もいらっしゃいましたし、在庫を廃棄処分されるという方もあったわけであります。

 その点で、三月二十四日に経済産業省と中古家電の販売事業者の方との話し合いが持たれまして、共通理解が図られたというふうに承知をしております。その内容について、何が確認をされたのかを最初にお尋ねしたいと思います。

迎政府参考人 二十四日に中古家電販売の事業者の方々と話をいたしました。

 その結果として、共通の理解に立ったことにつきましては、事業者の方々は、検査ができる体制が整い次第検査をしてPSEマークを張って販売をしたい、しかしながら、一方で検査機器が備わっていない等によりまして今すぐ検査をして販売するというふうなことができない状況下で、レンタルですとか、あるいはレンタルと事後検査を組み合わすとか、こういった形で営業を継続することとしたいというふうなお話がございました。私ども従来から、販売というのは法の規制にかかっておるけれどもレンタルというのは法の規制にかかっていないというふうなことで、この点については違法とは言えないという旨の再確認をいたしました。

 またそれから、検査機器の無償貸し出し等行っておるわけでございますけれども、検査機器の使用方法ですとか、あるいは届け出書類の書き方について説明会を全国でやってほしい、こういうふうなお話がございました。私ども、無償機器を貸し出したりあるいは検査をするだけではなくて、そういったことも十四日の対策の延長としてやっていこうというふうなことをお話し申し上げたわけでございます。

 それから、今後こういった話し合いはしていこうというふうなお話を申し上げました。こういうふうなことで、共通の理解を見たということでございます。

 私どもといたしましては、十四日に発表いたしました対策というのを極力、一日も早く実施するということで、事業者の方々が円滑に検査を実施できるというふうなことを実現していく、それを私ども最大限支援していくということで、円滑な法の施行に向けて全力で努力をしていきたいと考えておるところでございます。

塩川委員 四月一日を目前にしまして、緊急避難措置という形ではありますけれども、経済産業省と事業者の方が歩み寄って、実質的に中古電気用品の販売が可能になったと受けとめております。しかし、課題は残るわけで、広く今リサイクル社会の推進ということが言われております。

 法律でも、循環型社会形成推進基本法の五条を読みますと、「原材料、製品等については、これが循環資源となった場合におけるその循環的な利用又は処分に伴う環境への負荷ができる限り低減される必要があることにかんがみ、原材料にあっては効率的に利用されること、製品にあってはなるべく長期間使用されること等により、廃棄物等となることができるだけ抑制されなければならない。」とうたってあります。

 使えるものは長期間使おうということがうたわれておるわけで、政府は、リデュース、リユース、リサイクルの三R政策を推進しているわけです。

 先週末、日曜日に、新宿駅東口のアルタ前で、この電気用品安全法の問題での集会がございました。若者がネットで集まって、それぞれ自分の好きな、歌を歌ったり含めて、パフォーマンスをするという集会で、私もあいさつをさせてもらいました。参加された若者の方にどんな思いで来たのかということを聞きましたら、貧乏劇団で、音響機器は全部中古でそろえざるを得ないんだ、そういう意味でも切実だという話ですとか、電子楽器ですとかあるいはゲーム機とか、七〇年代、八〇年代のものがいいという声もありましたし、何より、所得の少ない若者にとって、中古家電で暮らしを支えているという声がありました。

 共通しているのは、使えるものを捨てろというのはおかしいという声であるわけで、いわば、この三Rの理念が広く国民の中に定着していることを示すと思います。そういう点で、中古家電販売を禁止しようというのは、そもそもこの三R政策の推進と矛盾するんじゃないのか、このことを率直に思うわけです。

 大臣に伺いますけれども、二十六日付の読売新聞で、二十五日に中古品販売業者の開いた集会で、経済産業省の消費経済政策課長が、「メーカーとばかり話してきて、循環型社会という大切な役割を(中古品販売業者と)十分話し合わずに進んだのが一番の反省点」だと。要するに、メーカーサイドの話しか聞いてなかったということを反省として述べたということが報道されていました。

 その点で一点大臣に伺いますが、そもそも、リサイクル品を販売する中古家電販売業者、中古家電販売業界というのが三R政策の重要な担い手だと思っております。中古家電販売業界は、リユースなどリサイクル社会を支える不可欠な産業だ、こういう認識が必要だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

西野副大臣 お答えをいたします。

 かつては、消費は美徳である、そういう時代もありました。しかし、今日では、ワンガリ・マータイさんではありませんが、もったいない精神というものがむしろとうとばれる時代になったわけであります。

 今、先生が御指摘の循環型社会の形成、すなわちスリーRを形成するリデュース、リユース、リサイクル、そのためには、中古品業者もいわばそのスリーRを担っていただく大きな役割があるわけでございます。そういうことの立場にあるということを申し上げながら、今御質問されております電気用品につきましては、まず何よりも国民の安全ということ、そういうことに課題を私どもは置いておるわけであります。

 ちなみに、先ほど大臣も少しだけ触れましたけれども、電気用品によって起こりました昨年一年間の火災の件数を見ますと、約三千件近くあります。何と、この数字を私今見まして、三千件の中で死者が六十五人、死傷者が五百二十九人もあるというこの数字を見まして、これはおろそかにできるものではない、この数値が既にこういう結果を出してしまっておるわけであります。それだけに、消費者におきましても、安全な中古製品が供給をされて、先生のおっしゃいます循環型社会の形成の一翼を中古品業者もしっかり担っていただく、そういう考えのもとに、経産省としても今後とも可能な限りのサポートをしていきたいというふうに思っております。

塩川委員 大臣に伺いますけれども、中古家電販売業界、中古電気用品を販売する事業者、業界の方の社会的な役割について、大臣はどのように受けとめておられるのかということをぜひお聞きしたい。

 あわせて、私自身が、この間何度も質問してまいりました。今回、そういう意味では、事業者の方や消費者の立場で私求めてまいりましたけれども、そのことに対するこの間の経産省の対応についての大臣の率直なお考えをお聞きしたいと思っています。

二階国務大臣 塩川議員からたびたび適切な御質問をちょうだいし、私ども経済産業省としては、そうした議員各位のそれぞれの御提言に対しては、謙虚に受けとめて、そして、そのまま押し切るというのではなくて、一つ一つ丁寧に対応してまいったところであります。

 今後とも、中古電気製品の販売の業界の皆様ともこれで御縁ができたわけでありますから、経済産業省としては、積極的にそれらの業界の皆さんとも意見交換の場をしばしば持って、これからの中古電気製品の、安全で、そして消費者の皆さんにとって使いでのいい、しかも新品の製品に比べれば比較的安いわけでありますから、安い製品を希望される方々に、需要と供給がバランスとれるようなことを、これも考えてまいりたいと思っております。何せ、各方面から一挙に吹き出してくるほどの御意見をちょうだいしたものですから、若干経済産業省も混乱をしておったような様相でありましたが、今、自信を取り戻して、これからの対応にきっちりとこたえていきたいと思っておるわけであります。

 それにしても、七年前、この法案が誕生する経過におきまして十分な御議論が国会の場でなかったということに対して、先ほど達増議員からも御指摘がありましたが、私もその点につきましてはやや残念だなという思いはいたしますが、後ろを振り返るよりも、我々はきょうから、四月一日に向けて、さらに四月一日の後、これが円満にお互いの国民生活の中に定着していきますように、そして、過去、誤解があったとすれば、その誤解を解消できますように、経済産業省としては懸命に取り組んでまいる決意であります。それも、この委員会におきまして皆さん方からちょうだいしたたくさんの御意見について、大いに参考にしながら前に進んでまいりたいと思います。

塩川委員 七年前の審議のことがございました。私どもは、この全体の法案については、事業者任せの安全、規制緩和という点での反対をいたしました。同時に、七年前に気がつかなかったから問題だというのではなくて、そもそも、私は、この取締法、その以前から、中古品というのはこの法スキームの中の対象の外だった、その点についてこそ経産省の責任が問われなければならないということをこの間もお話ししてまいりました。

 この点でのそもそも論について何点か伺おうと思っていますけれども、例えば、この電気用品取締法が審議をされました一九六一年、衆参の審議の状況を拝見いたしました。そういう中で、例えば、この販売の制限の問題について、どういうふうに言っていたか。

 一九六一年十月二十七日の衆議院の商工委員会で、田中武夫議員という方が、この二十七条の販売の制限の問題について、この販売というのは新品を指しておる。それならば、再生品だとかあるいは改善をした修理品、手直しをした修理品、こういうものについては販売規制から逃れるのかどうか。つまり、修理したものについてもきちっとした販売の制限をかけるようなことは必要なんじゃないのかという立場での質問だったんですけれども、これに対して、政府の答弁というのは、店で売る限りは、これはちゃんとした検査のマークがついておらなければ売れないわけです。ですから、最初のものがちゃんとテー・マークがついておる、それをいろいろ修理してそうしてまた売るということであれば、一番最初にそのテー・マークがついておる限りは、これは一応本法では売ってもよろしいという形になっている。

 つまり、今の電安法もそうですけれども、製造事業者、輸入事業者が安全についての技術基準の適合確認を行って、電安法でいえばいわば自主検査を行うわけですけれども、それによって市場に出る。ですから、一度市場に出た製品というのは、一度はそういう安全の確認が行われているということをここでも改めて言っているわけですね。

 一番最初に、マークがついていれば販売ができますよというのが電取法をつくったときのそもそもの審議なんじゃないでしょうか。そこからいっても、中古品というのは電気用品取締法においてもそもそもから対象外だったということになると思うんですが、この点どうでしょう。

迎政府参考人 これは、先ほど御答弁申し上げましたように、電気用品安全法におきましては、中古品を除くというふうな規定はございませず、新品と中古品を区別せず電気用品として扱ってきておるわけでございます。電気用品取締法の時代においても、こういうふうな解釈で問い合わせ等に答えておるところでございます。

 実際問題として、一番川上のところでPSEマークがつけられている場合については、これで販売をするというふうなことで、今先生がおっしゃったように問題はなくなるわけでございますけれども、今回、制度が変わりまして、PSEマークが製造、輸入の段階ではつけられて、年数が経過しておるわけでございますけれども、これらのものについては、中古品であろうと、新品であろうと、販売をするということにおいて何らかの検査をする、こういうふうなことは必要なくなるわけでございますけれども、こういったものがついていないものについては、所要の検査をして、安全の確認をして、PSEマークを付して売っていただくことが必要であるということでございます。

塩川委員 もともと、電気用品安全法のマークとそれ以前の電気用品取締法のマークで、安全性についての違いがあるわけじゃないわけですよ。ですから、中古品というのは、もともと一度は技術基準適合確認をクリアして流通している製品ですから、既に安全性が一度は確認はされているものなんだということが、これは一貫しているわけですよね。それをもう一回もとに戻してやれということから混乱が起こっているわけです。そこに問題があるということをずっと指摘をしてきたわけです。

 ですから、もともと販売の制限の対象として念頭に置いていたのは何なのかということにもなるわけです。この点については、やはり一九六一年四月四日の参議院の商工委員会で、通産省の局長が、委員会において補足の説明を、電取法についての法案の説明を行っています。

 要するに、販売の制限、念頭に置いているのは潜りの製造事業者なんだということを言っているんですよ。「新しく製造業者だけを取り締まっても、もぐりの製造業者があるいは型式承認を受けない不良品が相当市中に出回っておりまして、これが漏電をしたり感電をしたりして事故を起こしているということもございますので、販売の制限をいたしまして、電気用品の販売の事業を営む者は、ただいま申し上げましたテイ・マークの表示がついてないものは、電気用品を販売の目的で陳列してはならないという規定を入れた」んだ。つまり、潜りの製造事業者が不良品をつくって事故を起こしている、だから販売の制限をするということが、これは法案を提出している通産省がこういう説明を委員会に行っているわけです。

 ですから、二十七条の販売制限というのは、そもそも潜りの製造事業者を規制するという趣旨ということではないですか。いかがですか。

迎政府参考人 立法当時において、もちろんその潜りの製造事業、要するに、所要のマークがついていないものを販売段階でもチェックをするというふうな趣旨を持っていたというふうなことは、そういうことは事実であろうかと思います。

 ただ、ここで申し上げておきたいのは、先ほど技術基準をクリアしていて同様だというふうにお話がございましたけれども、従来の電気用品取締法の乙種の電気用品というのは、技術基準適合義務というのはかかっておったわけですけれども、個別の単品ごとの検査というのは義務づけられておらなかったわけでございまして、電気用品安全法になった段階で、新しくそういう義務がかかったわけでございます。

 したがいまして、そういうものを経ていないものについては、五年間の猶予期間が終わった段階以降は、検査をしてPSEマークを付して売っていただきたい、こういうことでございます。

塩川委員 中古品については含まれないと書いていないということを言っているものですから、私は、そもそも、では立法時のその議論はどうだったかと振り返ったときに、販売制限の対象というのは潜りの製造事業者だと説明しているじゃないか。ここに中古品について言明がない。具体的に例示がある。潜りの製造事業者というのが販売の制限の対象だとここではっきりしているじゃないかということを申し上げたわけです。

 そもそも中古品は電気用品安全法の対象外だということをはっきりさせるべきだ、このことを改めて指摘をするものです。いわば、役所が勝手に法律の解釈を変えて、結局、実態にするともとに戻さざるを得ないような、法治国家としてあるまじき混乱を生み出した責任は大きい。

 あと、中古電気用品の火災のお話も西野副大臣からございました。当然のことながら対策は必要であります。ただし、もともと製品の耐用年数の問題なんだと思うんですよ。ですから、中古品を販売することの問題とイコールじゃないんですよね。ですから、製品の耐用年数についてはメーカーの製造責任にかかわる問題であって、それこそ問われるものであって、中古品販売業者にその責任を転嫁するというのは筋違いじゃないのか、このことを最後に指摘をして、質問を終わります。

石田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

石田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官深野弘行君、経済産業省産業技術環境局長肥塚雅博君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長高原一郎君、国土交通省総合政策局次長平山芳昭君及び環境省地球環境局長小林光君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小杉隆君。

小杉委員 小杉でございます。

 きょうは、石田委員長初め与野党の理事、委員の皆様の御理解をいただきまして、貴重な機会を与えていただきましたことを、まず冒頭、お礼を申し上げます。また、二階大臣を初め副大臣、政務官、政府関係の皆さん、御苦労さまでございます。

 時間が限られておりますから、端的に質問をしてまいりたいと思います。

 昨年の二月に京都議定書が発効いたしました。そして、昨年十一月には、発効後初めてのCOP11、moP1が開かれたわけです。私も、自費でモントリオールに出かけまして、ずっと会議を見、あるいはまた会議に参加して発言もさせていただきました。私が感動したのは、京都という名前が百数十カ国の首脳の口から機関銃のように出てきた、これを聞いていて、この京都議定書において日本が世界の外交の中で大きなリーダーシップをとったなということを感じました。

 そこで、きょうお伺いする第一点は、これからの気候変動問題に関する国際交渉への我が国の基本姿勢についてであります。

 先日のモントリオール会議では二つの大きな成果がありました。一つは、京都議定書の具体的な運用ルールが決まったこと。二つ目は、将来の対話にアメリカや中国、インドも参加をしてやる、そして次期の枠組みをどうするかということを協議する。こういう成果があったと思います。

 最終日はとうとう徹夜になりまして、明け方になって最後の合意ができたんですが、これで大会は非常に盛り上がったわけですけれども、私は手放しで楽観はできないと思います。アメリカは依然として京都議定書には厳しい態度を示しておりますし、中国、インドを初めとする途上国は、やはり先進国の責任ということを強く打ち出しております。

 そこで、私は、地球環境、特に地球温暖化を防止するためには、やはり、先進国、途上国問わず、すべての国がその能力に応じてその責任を果たすということが必要だと思います。

 特に、アメリカが最大の排出国、全世界の四分の一を排出している、あるいは、中国、インドなど途上国は猛烈な勢いでふえていって、二〇三〇年には、アジアを中心にして現在より大体六割ぐらい需要がふえていく。最近の石油の高騰などの状況も考え合わせますと、私は、国際的な枠組み、京都議定書に参加をする、あるいは排出義務を負ってもらうということはなかなか至難のことであろうと思います。

 そういう点で一つ、我が国の政府としてこうした国際的な環境の中でどういう態度で臨むのか、経産大臣の基本的な姿勢について伺いたいと思います。

西野副大臣 小杉先生に御答弁を申し上げます前に、一言。

 先生は、かねてから環境、エネルギー問題については大変御造詣の深い先生でございますし、私どもの先輩として、こういう問題につきましては平素から逆に御指導をいただいておるところでございまして、この機会をおかりしてお礼を申し上げておきたいというふうに思っております。

 その証拠に、先生は、既に党の環境調査会会長に御就任もされた経験もございますし、加えて、国内だけではなくて国外におきましても、かつては、GLOBE国際会議、いわゆる地球環境の国際会議の元総裁まで就任をされておったわけでございまして、国内外ともにわたり大変な御活躍でございます。

 そのことは、今お話がみずからありましたとおり、COP11の会合にもわざわざ御参加をされまして、熱心に御意見を開陳されたという由でございまして、平素からの環境、エネルギーに対する御尽力に改めて敬意を表しておきたいというふうに思っております。

 そんな中で、地球規模で温室効果ガスの排出を削減するという問題につきましては、お示しのとおり、京都議定書の枠内にあります我が国を含めての締結国、それのみならず、半ば大層を占めるであろう排出国であります米国を初めとする中国、インド、これらの国々の削減も、これは地球規模での大きな課題であることはお示しのとおりでございます。

 したがいまして、これらの次期枠組みにつきましても、実際に実効あらしめる取り組みがなされなければならない、そういうところであろうというふうに思っております。

 今お話がありましたとおり、昨年十二月のCOP11でも、米国や主要途上国も含めまして、それぞれが同じテーブルといいますか、対話の開始をするという合意がされたということは、これまた大変意義深いことであるというふうに思っておるところでございます。引き続いて、これらにつきましては、早速ことしの五月に第一回の対話が開始をされるというふうに認識をいたしておるところでございます。

 ただ、だからといいまして、必ずしも楽観的に見ることはできないんではないかというふうに思っております。それは、そういう中ではありますが、願わくば、国際交渉を早期に開始して、それらを軌道に乗せられれば、これにまさるものはないというふうに思っておるところでございます。そのように目指して、やはり努力も必要だろうというふうに思っております。

 加えて、お示しのありましたとおり、京都議定書をいわば補完する意味合いもございまして、私も、二階大臣にかわりまして参画をいたしましたAPP、いわゆるアジア太平洋パートナーシップ閣僚会議がございました。まさにこれは、最大の排出国であります米国が主導をしているというところに大きな意義がありますし、中国もインドも参画をいたしております。

 そして、国に対しての割り当てを、国別に目標値を与えるのではなくて、いわゆる部門別、セクターごとにそれぞれの目標を定めていくという、こういう仕組みの中で、文字どおり、これまた京都議定書を補完しながら実効がある仕組みになっていけばな、このようにも思っておる次第でございまして、いずれにいたしましても、総合的に、私どもも精いっぱいこの目標達成に向けて努力をしていきたいというふうに思っております。

小杉委員 今APPの話が出ましたけれども、アメリカの主導でこの六カ国の会議が始まったということは評価すべきだと思いますし、また、G8のグレンイーグルズ・サミットでも、この気候変動、エネルギー問題が大きなテーマとなっておりました。

 そして、私はこの間の会議で感動したのは、アメリカのブッシュ政権は非常に京都議定書にネガティブでありますけれども、ロサンゼルスとかニューヨークとか、そういう地方自治体、州レベルでは非常に熱心に取り組んでいる、あるいは企業の方も関心を抱き始めているということです。

 それから、最近のブッシュ政権はエネルギー政策を非常に大きく変えようとしていますね。そういう動きを見ますと、やはりアメリカは、大統領選挙ももう二年後ですし、政権がどうなるかわかりません、したがって、アメリカを説得する萌芽はあるというふうに私は感じております。

 それと、中国にしても、今資源開発の問題あるいは新エネルギー、再生可能エネルギーにも非常に熱心です。私も、昨年十一月に、北京の再生可能エネルギー国際会議に出まして、中国は政府を挙げて再生可能エネルギー、新エネルギー、省エネルギーという分野に取り組んでいるということで、彼らにとっても、物すごく今需要がふえているという中でどうしてもこの問題に取り組まざるを得ない、こういう状況があります。

 インドも同様の境遇に置かれていると私は思います。したがって、前途は非常に厳しいとはいいましても、やはり二階大臣を先頭に、国際交渉の場で、日本がリーダーシップをとってアメリカや中国やインドやそのほかの途上国を世界的な枠組みに組み入れる、こういう努力をぜひしていただきたいと思うんですが、ひとつお考えをお聞きしたいと思います。

二階国務大臣 ただいま西野副大臣も申し上げたとおり、先生には今日まで自由民主党のエネルギー政策を推進していただいてまいりました。このお立場からの御提言でありますので、私どももこの御意見に真剣に取り組んでいきたいと思っております。

 私は、まず先般来、中国との交渉におきましては、エネルギーの問題、これは中国のエネルギー問題だけではなくて、我が国のエネルギー問題とは、全く、ほとんど境界線がないくらいエネルギー問題に対しては相互に関連を持っておるわけでありますし、いわんや環境問題におきましては、中国の空も日本の空も、もうほとんど、まさに隣接というか近接しておるわけでありますから、ここで私たちは、エネルギーと、そして同時に環境問題について、両国でしっかりとした話し合いをしておくことが大事だ、お互いに相手の非を打ち鳴らすことだけではなくて、双方で協力し合うということが大事だ。

 私は、このことに対して三回、私のカウンターパートの大臣と話をしてまいりました。今中国の首脳部もそのことに賛成の意を明確にされましたので、この五月の下旬に日本で、そしてでき得ればそれぞれの地方を視察して実際の日本のエネルギーに対する取り組み、環境に対する真剣な取り組みに対しても中国の方々にもわかっていただくようにしたい、このようにしておるところであります。

 また一方、アメリカとの関係でありますが、最近は、アメリカの経済界の人たちも、時々私の方をお訪ねいただく方々が言われるのには、これからは、日中も大事でしょうけれども、アメリカも加えて日米中、この関係でエネルギー問題等についても対応していく必要があるのではないか、こういう示唆に富んだ御意見を言われる方もいらっしゃいます。

 そこで、アメリカのWTOの代表に対しまして、中国問題にアメリカ側も大変関心を持っておりますから、それでは将来この三カ国で話し合いの場を設けるということを考えてはどうかということを私も提案いたしております。アメリカは、しばらくの猶予、考えさせてもらおう、こういうことになっております。

 今小杉委員が御指摘のようなことをずっと延長していきますと、インドの問題も重要であります。インドは、近くインドの、これまた私のカウンターパートであります商工大臣が日本を訪れることになっております。インドの首相も日本においでになるようなことになっておるようでありますが、そうした場を、チャンスを生かして、このエネルギー問題、そして環境問題にインドも積極的に参加してくれるよう大いに説得をしていきたいと思っております。

 インドが今私どもに期待をかけておるのは、日本の中小企業にインドに出てきてもらいたいということでありますので、今関係団体総動員をしてインドへ調査に出かけております。これらの企業の中に、ぜひインドに出よう、そういう決意をなさる企業があれば、私どもはまさに経済産業省を挙げてバックアップをしたいと思っておりますし、受け入れの側のインドにおきましても、ナートさんという担当大臣は、国を挙げて受け入れの協力をする、こういうことを言っておりますので、そういうところからも窓口を開いてインドとの関係を構築していきたいと思っております。

 いずれにしましても、この環境問題、日本一国がどうだこうだということを言ってみても始まらない、地球上全体が対応していかなきゃいけない。そういう意味で、京都議定書、先ほどもお話のありましたとおり、京都という名前が世界じゅうに理解をされるようになってきた。これにアメリカ、中国、インド等の積極的な参加を得ることができれば、これは地球の将来にも明るいものが差してくるわけでありますから、我々もたゆまざる努力を重ねていきたい、このように思っておる次第であります。

小杉委員 そうした経産大臣の御努力に期待をしたいと思います。

 日中米とかインドも含めた会議とかさっき申し上げたAPP、そういう努力も私は大事だと思うんですが、そういうことでそちらの方に目を奪われて、やはり京都議定書というのは世界で初めてこういった一つの枠組みができたので、それがおろそかになってしまうようではいけないと思うんですね。

 APPとかその他のいろいろな会合が足を引っ張るということのないように考えていくべきだと思うんです。京都議定書は形骸化させないということを私は申し上げたいと思うんですが、きょうは環境省からも来ておられるから、その関係について。

小林政府参考人 環境省地球環境局でございますけれども、今もう二階大臣そして西野副大臣からお話ございましたように、京都議定書と、そして今御紹介のありましたAPP等との取り組みというのは、補足的なものということで、決して京都議定書をないがしろにする代替的なものではないというふうにされております。

 そういうことでございますので、先ほど二階大臣からお話もございました日中の環境協力のことも含め、政府一体になって、こういった取り組みをしていきたいというふうに考えてございます。

小杉委員 ちょっと実務的な話に移ります。法案の中身について、幾つか疑問点あるいは懸念材料がございます。それは、時間と量と質の問題なんですね。

 今度、今年度の予算で五十四億円のクレジットの予算を計上しています。債務負担も含めまして百二十二億円ですね。私は画期的だと思うのは、環境省と経済産業省が一緒になって予算を計上し、また、一緒になってNEDOに委託をする、こういうことでありまして、いわゆる省庁の壁とかばらばらな行政ということではなくて、これは画期的な一つの仕組みであり、法案であろうと私は思っております。

 そこで、私は、従来のような、お互いにいがみ合うんじゃなくて、一体となってやるような体制を、大臣を初め両省の皆さんにぜひお願いしたいと思います。

 それで、そのことはまたちょっと置きまして、一つ気になる点、幾つかありますので、ちょっと時間の関係で、少し羅列的に申し上げます。

 まず、クレジットを取得するのに大体四、五年かかると言われているんですね。今までも随分遅いなという感じがしていたんですけれども、これから予算がついて本格的に始まるということですけれども、日本は一億トンの温室効果ガスを削減しようということですけれども、これはもう二〇〇八年から、再来年から第一約束期間が始まるわけですね。そういう時間的な問題、本当にこの期間内に、二〇一二年、八年間のあれですと、二〇一三年までに本当にこのクレジットをきちっと取得ができるのかどうか。その辺を聞きたい。

 それから、取得費用、これは世界銀行の予想でも、現在トン当たり五ドル、それが二〇一〇年には十ドル、倍になるということですけれども、これは、世界の経済がどうなるか、あるいは原油の価格がどうなるか、いろいろな要素が絡み合って予測は難しいと思うんですけれども、今後この経費がどんどんかさんでいくということになったら一体どうなるのか。現に今、オランダはもう既に七百億円、そして、スペインは三百億円の費用を投入してやっています。恐らく、クレジット取得の争奪戦が始まると価格はさらに上昇していくという懸念があります。

 それから、今度は需要と供給なんですけれども、最近の国会の答弁では、供給は大体八億トンぐらいだろうと言われているんですけれども、政府や企業によるクレジットの需要、あるいはまた途上国側の供給というのは、どういうふうに見通しておられるのか。

 それから、あと質の問題が大事だと思うんです。今までの実績を見ますと、代替フロンとか燃料転換とかメタンとか、そういう分野にはこのクレジットが認められてやっているんですけれども、日本が一番得意とする省エネルギーの技術、省エネとかあるいは新エネルギーとか、そういう分野がどうも、あれは気候変動枠組み条約の事務局ですか、CDM委員会等ではなかなか認めてくれない。こういうことで一体いいんだろうか。やはり全地球的に見て、日本のすぐれた環境技術、省エネルギー技術を供与して、途上国の環境にもプラスになるし、また、日本もそういうクレジットを持つことができる。そういうことから考えると、この質の問題についても、私は本当に考えなきゃいけないと思います。

 時間が制約されておりますから、今幾つか挙げた疑問点について、政府の方で答弁していただければと思います。

肥塚政府参考人 まず、今先生から御指摘がありました、間に合うのかという点と需給について、今後の価格の見通しといいますか必要額の見通し、それから質の問題という三点についてありました。

 まず、需給と、それから間に合うのかという点でございますけれども、一緒にお答えさせていただきます。

 いわゆるクレジットについては、ある民間調査機関の調査によりますと、二〇一二年までに約六億九千万トンの需要が見込まれているという見通しがございます。一方で、クレジットの供給につきましては、既に国連のCDM理事会に登録済み、あるいは登録手続中のプロジェクトから、約八億五千五百万トンのクレジットが出るというふうに見込まれています。

 これを見ますと、一見供給の方が上回っているようなんですけれども、ただ、今この見通しの中には、プロジェクトの操業状況あるいはまた制度的な問題で、実際にクレジットにならない可能性もあるということで、こういう需給状況を踏まえますと、一つは、できるだけ世界全体のクレジットの供給量を拡大していくということが必要だというふうに思っていまして、私どもも従来から、フィージビリティースタディーでございますとかキャパシティービルディングとか、いろいろな政策をとってきておりますけれども、国連におけるルールの改善等を含めまして、まず第一点は、クレジットの供給量拡大に向けての取り組みも進めていく必要があるんじゃないか。

 それから、今、間に合うのかというお話ですけれども、既にオランダ、スペイン等がいろいろな取得制度を持っております。ただ、フィンランドのように、これから整えていこうという国もございますので、我が国としても、できるだけこの制度を速やかに整えて、取得を始めるということが大事だというふうに思っています。

 それから、見通しでございますけれども、私どもとしては、目標達成に不足する差分約一・六%、一億トンをクレジットで取得するということを今念頭に置いているわけですけれども、今の、価格見通しはなかなか難しいんでございますけれども、いろいろな予測を使いますと、五ドルとか十ドルとか十一ドルとかいうような想定がございまして、掛け算をしますと約六百億とか千五百億円程度。このうち来年度の、先生先ほどお話がありました、国庫債務負担行為百二十二億円というのは、昨年時点でのいろいろな世銀等の調査を見ますと、大体五・六三ドルとか五・九ドルという価格でございますので、それで単純に割り算をしますと、約一千八百万トンぐらいに相当するという予算額をとりあえずちょうだいしているというのが今の状況でございます。

 それから、質の点でございますけれども、これは先生のお話のとおりでございまして、私どもも、省エネルギーあるいは再生エネルギーに関するCDM事業というのは、途上国の発展にもつながりますし、我が国のエネルギー安全保障にもつながるということで、非常に大事だと考えています。

 ただ、これも先生御存じのとおり、CDM理事会で承認されるためには、通常の設備投資とは異なる追加性の証明ということが必要になっているものですから、その点で、代替フロン、燃料転換というのが非常に認められやすいということで、そういうプロジェクトが多いというのは事実でございます。

 したがいまして、私どもとしては、エネルギー分野のCDM事業が広がっていくように、国際的にも関係国と語らって、いろいろな活動を通じて国連のルールの改善を図っていきたい。

 それからもう一つは、さっき先生のお話にございましたけれども、私どもは非常にすぐれた省エネルギー技術を持っておりますので、これをできるだけ途上国の政府や企業に対して紹介をする。今、フォーラムとかいろいろな場所を通じてやっていきたいというふうに考えておりまして、そういうルールの改善とそういう努力を通じて、先生がお話しの省エネルギーのプロジェクトが拡大していくという方向を目指して、先生、質というお話がございましたけれども、方向としてはそういうことを目指したいというふうに私どもは考えております。

小杉委員 もう時間が来ましたから、これで終わりますが、やはり京都メカニズムというのは、今お話しのとおり、あくまでも補完的なものであって、一・六%、本体はやはり六・五%削減をするというのが主で、あと森林吸収三・九%というのはありますけれども、政府は京都議定書目標達成計画を策定して、今一生懸命各省でやっているわけですけれども、これをあくまでも実現する、そういうことの先頭に、やはり経済産業省が一番大きい分野だと私は思いますので、ぜひそこはしっかりとやっていただきたいなと思うので、大臣、最後に一言だけ決意を聞かせてください。

二階国務大臣 エネルギーの問題とともに環境問題ということは、我が国の産業の極めて重要な命題であるわけでありますから、私どもは、関係省庁とよく連携をしながら、京都議定書の問題は当然のことでありますが、環境問題、省エネの問題等について懸命に取り組んでまいりたいと思っております。

小杉委員 ありがとうございました。

石田委員長 次に、北川知克君。

北川委員 自由民主党の北川知克でございます。

 きょうは、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案という、大変長い名前になりますけれども、後ほどはNEDO法もしくは特別会計の改正、こういう省略をした形で申し述べさせていただきます。

 先ほど小杉議員の方からも質問をされました環境に基づいての質問になりますので、小杉議員の質問と重なる点があろうと思いますけれども、その点もお許しをいただきながら、二階経済産業大臣初め経済産業省、そしてきょうは、政府参考人として環境省、国土交通省の方からもこの委員会にお越しをいただいておりますので、質問にお答えをいただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 さて、本日のこのNEDO法と石油特別会計法の改正案ということでありますけれども、この法案の中身を質問する前に、まず、先ほどの小杉議員の方からもありました地球温暖化対策等についての今までの国内の取り組み等々について質問をしていきたいと思っております。

 特に今、二酸化炭素の排出量、一九九〇年レベルに比べると六%カットをしなければいけないのに、逆に八%ふえて、一四%の削減が必要である、その大部分が民生部門と運輸・流通部門が占めている、こういう点にもあるわけでありまして、ちょうど一九九〇年レベルというこの年でありますけれども、私は、当時の環境庁長官の秘書官をさせていただきまして、非常にその思い入れの強い一九九〇年という年でありますので、その当時のことも思い起こしながら質問をしていきたいと思っております。

 ちょうど九〇年四月に、アメリカのワシントンにおきまして、今のブッシュ大統領のお父さんであります親ブッシュさんが主宰をされまして、地球的規模の変動に関する科学的・経済的研究についてのホワイトハウス会議というのが行われました。そのとき、世界の十八カ国の首脳が集まられまして、これからこの地球全体の問題を世界各国が一緒に取り組んでいかなければならないというような方向性が打ち出されて、九二年にリオデジャネイロにおいて気候変動の最初の国際会議が開かれたと思っておりまして、そういう点から、やはり一九八〇年代後半からこの地球環境の問題が非常に大きくクローズアップをされてきたと思っております。

 そういう点においても、我が国に課せられたこの六%の削減約束の重要性、そしてそれを達成するための最大限の努力をしていく必要性があると思っておりますし、先ほど来小杉議員からも、京都という名前がついている、国際的におきましても、私は、日本の国の信頼を世界の中で得るためにもこの約束を守ることが非常に重要であろうと思っております。

 ただ、あの当時を思い起こしますと、環境と経済の両立ということを言った途端に、とんでもないというような意見もありました。まず経済が優先して、そしてその後環境対策をしていくんだというような方向があったと思っておりますけれども、しかし、十六年たちまして、産業界の皆さん方、御協力もいただいて、排ガス規制等々、そして技術的な進歩の中で、産業部門においての二酸化炭素の排出の削減というものは本当に効果が出ておると思います。しかし、先ほど申し上げました民生部門そして流通部門におけるこの問題をどう解決していくかということがやはり重要な課題であろうと思っております。

 そういう点におきまして、今まで環境省そしてそれぞれの省庁も取り組んでこられていると思いますけれども、この民生部門の削減につきまして、どのような対策を講じられてきたのか、そして今後の対策について、御意見をいただければと思います。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 民生部門は、委員御指摘のとおり、今非常に大きなウエートを我が国の最終エネルギー消費量の中で占めておりまして、約三割弱でございます。産業部門のエネルギー消費が石油危機以降おおむね横ばいであったことを考えますと、急速に伸びている部分と言うことができるわけでございます。大きく分けて三つの手法の組み合わせで、私ども省エネ対策を民生部門について強力に進めております。省エネ法に基づく規制、それから省エネ効果が高い機器の導入支援、補助、そしてまた情報提供でございますとか広報、この三つを組み合わせております。

 やや細かく申し上げますと、例えば、省エネ法に基づきまして、これは世界に冠たる制度でございますけれども、トップランナー方式。これは今十八機種が対象になっておりますけれども、この機種をさらにふやすとか、あるいはさらに、既に指定されているものについてもより高い性能を求めるといったことをしております。それから、床面積が二千平米以上の大規模ビル等の新築でございますとか増改築には、省エネ法に基づきまして届け出を、どういう省エネ措置をとったかということで、とっておりますけれども、これを住宅にも新たに広げるというようなこともいたしております。

 それから、第二番目の柱でございます省エネ機器の導入支援あるいは補助でございますけれども、これにつきましても、高効率の給湯器などの導入につきまして支援を行っております。

 そして、民生部門におきましては、国民一人一人の方々がやはりエネルギーの大切さを理解していただくということが必要でございますので、夏季あるいは冬季に省エネルギーキャンペーンの実施でございますとか、あるいは、学童の間から省エネに対する意識を持っていただくということで、省エネ教室というようなものを開いてございまして、これも十二年度から十七年度までの累計で四百三十七校に省エネ教室を設けさせていただいております。

 いずれにいたしましても、民生部門は省エネにとっては非常に重要な部門でございますので、今後とも積極的に取り組んでいきたいというふうに考えておる次第でございます。

北川委員 今お答えにありましたように、積極的に取り組んでいただかなければならない問題でありますし、政府目達計画を立てられておりますけれども、あらゆる施策を総動員しなければこの一四%のカットというものは到底おぼつかないものであろうと思っておりまして、そのうちの一・六%を今回の法改正で確保していくということでありますけれども。

 やはり私は、基本的には国内で最大限その削減に努力をする、あらゆる施策を講じて努力をする、その上で、足らざる部分をこの京都メカニズムを使って確保するということが、やはり世界から、なるほど日本で決められた京都議定書という中で日本が環境の問題に努力をしたなということが評価をされるんではないかなと思っておりますので、今後、ぜひ政府として断固たる決意を示していただいて、そして、日本の国内、各界各層の協力、そして国民の皆様方一人一人の理解と協力と意識改革が必要ではないかなと思っておりますので、ぜひ政府がまた先頭に立ってこの二酸化炭素の排出の削減に向けて御努力をしていただきたいと思っております。

 民生部門と同時に、先ほど申し上げました運輸・流通部門、この点につきまして、特に旅客部門といいますか、マイカーをそれぞれが持たれて、この車の流通等々で便利になっております。宅配、いろいろな形で世の中が便利になりましたけれども、それによって運輸・流通部門のところがふえている経緯もあろうと思いますので、今後、こういう運輸・流通部門に対しての施策ということについて、国土交通省の方から御意見をいただければと思います。

平山政府参考人 お答えさせていただきます。

 今御指摘のとおり、運輸部門というのも非常に大きな割合をCO2の排出について占めておりまして、約二割が運輸部門からでございます。それも、一九九〇年以降、相当大幅にふえてしまった。

 そういう中で、いわゆる自動車の単体対策、非常に効率のいい省エネ自動車を普及させるという単体対策、あるいは、自動車のグリーン税制、いい車には税制を安くし悪いものは高くなる、こういうグリーン税制、さらには、物流部門でいきますと、効率のいい営業用トラックに自家用トラックをできるだけ転換させていただく、いわゆる営自転換と呼んでおりますが、こういう政策を総動員いたしまして、ようやく一九九七年にピークを打ちまして、それ以後、この運輸部門では、若干ではございますが減る方向にあります。それでも相当高い伸びを九〇年と比べると示してしまっている。

 実は、その大きな原因が、御指摘にございました自家用自動車からの排出でございまして、一九九〇年、運輸部門の中で自家用乗用車が占める割合は四割だったんですが、それが十年間で五割というふうに比重を上げてきてしまっている。やはりここをどうにかしないことには運輸部門の対策が非常に厳しい、そういう非常に重い課題だというふうに認識をいたしております。

 そのための対策といたしまして、いわゆる単体対策、当然マイカーについても必要だと思っておりますが、それだけではなく、走行環境、渋滞箇所を減らすような対策も打っておりますが、いろいろなものを組み合わせましたCO2削減アクションプログラムというのを一つ国土交通省、実施をしております。

 ただ、それだけではなかなか足りませんので、特に利用者の方々の意識を変えなければいけない、そういうことから、いわゆる通勤交通マネジメントという対策をとっております。これは、経済産業省さん、あるいは交通事業者さん、あるいは経済界の方々と一緒になりまして、協議会というものを全国に立ち上げまして、いわゆるマイカー通勤から公共交通利用の方に転換をしていただく、そういうモデル的な取り組みをしていただけるようなところを支援していくというようなことをまず進めております。

 さらに、過度に自家用車に依存しないということから、いわゆる環境的に持続可能な交通を実現する、ESTと呼んでおりますが、こういう施策を全国的に展開しておりまして、地域でこういう先進的な取り組みをしていただいている場所、そういうところに積極的に総合的に支援をするというような仕組みを導入させていただいております。

 いずれにいたしましても、このいわゆるマイカー部門の強化といいますか規制というか、減らすことに全力を尽くしませんと実現が不可能だということは十分認識をしておりまして、総動員して頑張っていきたいと考えております。

北川委員 ありがとうございます。

 今、ノーマイカーデーといいますか、そういうお話も出ましたけれども、ちょうど一九九〇年の年であったと思いますけれども、東京都や大阪府、都市部におきまして、毎週水曜日をノーマイカーデー、ノーカーデーにしようということで、政府それから都庁や府庁を初め公共の方々、それと民間にも協力をお願いして、そういう運動をたしか展開されたと思っております。あの当時は、二酸化炭素の排出ではなく、二酸化窒素、大気汚染、こういうものに対して車の使用を少しでも少なくしていこう、こういう中での運動であったと思うんですけれども、いつの間にかそのノーマイカーデー運動というのがしぼんでしまったというか、なくなってしまったわけであります。

 しかし、政府もたしか月一度、第一月曜ですか、一応ノーカーデーというか、そういう運動をされているやに聞きます。そして、小泉内閣になりまして、政府の公用車を七千台低公害車にする、これは実現をされたようでありますけれども、今のお話の中でのノーマイカーデー、政府が率先し、そして国民の皆さん方にも協力を求めながらやっていくような運動等が必要ではないかなと思っております。政府が今、月一度取り組んでいる、私は少ないと思いますけれども、こういうノーマイカーデーをやっているんだというような告知といいますか、国民の皆さん方に知っていただくような運動も必要ではないかなと思っております。

 そして、今、当時の排気ガスへの対応でのノーマイカーデーということがありましたけれども、実際には、これから大気中の温室効果ガスの濃度を安定化していくために、中長期的に温室効果ガスの排出量を現在の半分以下に抑えなければならないという試算があると聞いております。そのためには、先ほど来いろいろ政府の対応をおっしゃっていただきましたけれども、対症療法的な対策では限界があると思っておりまして、まちづくり一つにしても、自動車の利用が極力少なくできるようなコンパクトなまちづくりの推進や、抜本的な生活スタイルの変革等々を大胆に講じていく必要があると考えておるんですけれども、この点につきまして、環境省の方から対応等についてお聞かせ願えればと思います。

小林政府参考人 環境省といたしましても、先ほどの国交省からの答弁にもございましたように、まちづくり等々の対応が必要だと強く考えてございます。

 京都議定書の目標達成計画におきましては、この二〇〇八年から一二年の間の取り組みを超えて、二〇一三年以降の取り組みもにらみまして、都市改造、まちづくりといったようなことを取り上げてございます。土地利用と交通の密接な関係ということも考えて、この都市改造にも取り組んでいきたいということでございます。

 実は、先ほど国交省の方からお話がございました、ESTと言っておりますけれども、環境的に持続可能な交通、そしてそれを実現するようなまちづくりに政府を挙げて取り組んでございます。モデル地域というようなことで具体的な場所で取り組んでおります。その成果はまだお披露目するほどではないのかもしれませんけれども、ぜひ、こういった動きも今の御意見のとおり進めてまいりたいというふうに考えてございます。

北川委員 ありがとうございます。ぜひ、そういう点について積極的に取り組んでいただきたいと思っております。

 今のお話をお聞かせいただきまして、国内対策を今後とも最大限講じていかなければならないということを確認させてもらったわけでありますけれども、いずれにしても、縦割り的にそれぞれの省庁が対応するのではなく、今回も政府においての目達計画を立てていただいて、各省庁連携をされておりますけれども、もっと積極的にそれぞれの省庁が協力をしていただき、今の交通施策、そして土地利用の施策等々、連携をとっていくような政策が必要、そして相乗効果をぜひねらっていっていただきたいと思っております。

 一方で、先ほど小杉議員の方からもお話がありました、この地球温暖化問題は、日本の国だけが幾ら努力をしても、世界的な規模、地球というもの全体での二酸化炭素の排出というのは削減できないわけでありまして、ちょうど一九九〇年、私のおやじがよく言っていたんですけれども、国は異なれど地球は一つ、こういう観点があろうと思います。そういう意味においても、先進国、途上国、そういう世界の国々がそれぞれ協力し合ってこの問題を解決していくべきであろうと思っております。

 先ほど、中国に対する経済産業大臣の取り組みのお話も聞かせていただきました。後ほどお聞きしようと思っておりましたけれども、小杉先生へのお答えでそれは重々承知いたしましたので、その経済産業大臣への中国の質問というのは控えさせていただきますが、その前に、今、中国におきましての環境汚染、河川の汚染や土壌の汚染等々、いろいろな公害問題が起きてきております。

 こういう公害問題、今、中国はやはり、オリンピック、万博を控えまして、ちょうど昭和三十年代から四十年代の日本のようにまず経済を優先させているような状況であります。これはそれぞれのお国の事情でありましょうけれども、しかし、我が国がかつて経験した、こういう経済成長時代に必ず一緒に出てくる環境汚染といいますか、こういう点について、中国に対しまして、日本が積極的にこの環境問題に対しての協力をしていくべきであろうと思っておりますけれども、この点について環境省の方から御意見をいただければと思います。

小林政府参考人 中国との環境協力の方針につきましては、既に二階大臣の方から御答弁がありました。そういうことでございまして、頑張っていきたいと思っております。

 ちなみに、中国の二酸化炭素の排出量は、二〇〇三年時点で既に世界の第二位、四十一億トン、日本の一人頭の排出量に比べましても三分の一にまで迫っているというふうなことで、大変排出量が多い。また、硫黄酸化物についても日本の約二十倍、また、水質汚濁でも深刻な汚染点が測定点の六割というようなことで、大変環境問題に苦しまれているということでございまして、つい先日決定されました第十一次の五カ年計画におきましても、中国御自身が資源節約型、環境友好型の社会をつくるということで考えていらっしゃるということでございます。

 我が方といたしましても、先ほど二階大臣からお話がありましたようなことで、環境協力、公害対策を通じてまた温暖化防止も図っていくというようなことが可能かと思っております。一生懸命取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

 以上です。

北川委員 ありがとうございます。

 今の環境問題への協力も含めまして、先ほど二階大臣にもお答えをいただきましたが、中国に対するこういう環境問題と同時に、やはりエネルギー等に対する技術の協力といいますか、こういう点もぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思っております。

 特に二階大臣は、中国への造詣もお深いようでありますので、歴史的、政治的なさまざまな問題はありましょうけれども、ぜひこの点について、中国との関係改善に向けて、経済、環境そしてエネルギーという分野を生かしていただければと思っております。

 では、法案の内容等についてお聞きをしていきたいと思っております。

 我が国のエネルギーの大半は海外に依存をしておるわけでありますけれども、エネルギー安全保障の観点から、国内の省エネ対策と同時にエネルギーの海外依存度の低下と多様化を講じる必要があると考えておりまして、今回のこの法案が、我が国の京都議定書の削減目標を達成するための、国内対策の足らざる部分の一・六%を予定して、先ほども申し上げましたが、あくまで国内対策はするべきでありますけれども、その足らざる点の一・六%、約一億トンについて、クリーン開発メカニズムを初めとする京都メカニズムを活用していくという中での海外から排出削減量を調達するための新たなスキームをつくるものであり、そして、地球全体で温室効果ガスの排出量を費用効果的に減らすためには重要なスキームであると理解をしております。

 このスキームを戦略的に利用していくことで、我が国にとってのエネルギー安全保障の観点から有効な外交ツールとなる可能性があろうと思っております。そのためには、大きな戦略を持って排出削減量の調達に臨む必要があると考えております。

 先ほど中国の問題で二階大臣にお答えいただきましたけれども、今後、具体的にどのような調達方針で臨んでいかれるのか、そして、この調達方針というものをどういう点に位置づけていかれるのか、経済産業省の方からお聞かせをいただきたいと思います。

肥塚政府参考人 今お話しのように、政府が、他国における温室効果ガスの排出削減量、クレジットを取得するのに際して、費用対効果を考えて必要な量のクレジットを確実に取得するというのが基本でございますけれども、その際、今先生の御指摘のように、地球規模での温暖化防止あるいは途上国の持続可能な発展への貢献という観点、視点が非常に重要だというふうに考えております。

 それから、具体的な案件でいいますと、先ほど小杉先生からもお話がありましたけれども、省エネルギーというのは、今先生からお話がありましたように、途上国における持続可能な発展に資する、それからエネルギー安全保障、大気保全など、いろいろな社会経済的な便益が期待できるということだというふうに考えています。

 したがいまして、具体的な取得方針を考えるに際しましては、一つは、途上国やあるいは中東欧諸国などで実際に排出削減事業が行われ、その結果生じた排出削減分をクレジットとして取得する制度、いわゆるCDMとJIでございますとか、それから、具体的な環境対策と関連づけされた排出量取引の仕組み、グリーン投資メカニズムといったような点を活用するというのが大事だというふうに考えております。

 私どもとしましては、こういう方針で、地球規模での温暖化防止あるいは途上国での持続可能な発展への貢献という観点を踏まえながら、費用対効果を考えながら必要なクレジットを確実に取得するように取り組むということを考えております。

北川委員 ありがとうございます。

 そのクレジットの取得に当たりまして、NEDOは、これまでの省エネ、新エネの技術等に関する知識があろうと思いますし、京都メカニズムのルールに関する知識は涵養されているようでありますけれども、そのプロジェクトの今後の審査面での能力をどのように補強されていくのか。そして、もう一点。今回、石油特会からこの予算を計上されるということでありますけれども、石油特会自体は今まで省エネ、新エネ対策に支出をされてきた経費であります。なぜ今回この石油特会から予算を計上されたのか。この二点についてお聞かせを願えればと思います。

肥塚政府参考人 まず、審査能力の点でございますけれども、NEDOは、従来から新エネルギー、省エネルギーに関する技術開発でございますとか海外への省エネルギー協力を行ってきておりまして、これらに関します知見でございますとか経験は積み重ねてきていると思っております。

 また、そういう経験の上で、京都メカニズムに関します排出削減に関する事業化の実現可能性調査でございますとか、途上国での実施体制の整備、キャパシティービルディングのような支援も実施してきています。これらの支援が我が国企業によるクレジットの取得につながっているケースも既に十数件ございます。

 したがいまして、こういう事業を通じまして、京都メカニズムでございますとか新エネルギーあるいは省エネルギーに関する専門的知見を有する人材が育ってきているというふうに思っていますし、それから、海外におけるネットワークも築いてきているというふうに考えています。

 ただ、今先生お話ありましたように、NEDOが具体的にクレジットの取得業務を行うということになりますと、こういう人材やネットワークを最大限生かすことに加えて、プロジェクト審査の専門家というようなものを補強することも必要かというふうに考えておりまして、そういうことを通じて万全な体制をとりたいというふうに考えております。

 それから、特別会計の点でございますけれども、京都メカニズムの活用は、国内でのいろいろな努力をしてなお目標達成に不足する分についてクレジットを取得するということでございますけれども、このクレジットの取得というのは、エネルギーの利用あるいは産業活動に対する制約を避けながら、さっき先生のお言葉にございましたように、環境と経済の両立を目指すということでございまして、石油特別会計の趣旨も、環境配慮と経済の両立を可能とするようなエネルギー需給構造の構築を図るということで、既に環境省ともいろいろな事業を一緒にやってきております。

 クレジットの取得はエネルギーの利用に対する制約を避けるということでもございますので、石特会計の制度の趣旨に合っているのではないかということで、経済産業省、環境省の両省において必要な経費の一部を石特会計から歳出するということにさせていただいております。

北川委員 ありがとうございます。

 もう一点だけちょっとお聞きをしたいんですけれども、基本的なことでまことに申しわけないんですが、なぜNEDOでこのクレジットの枠組みを取り扱えるのか、この点だけ、もう一点聞かせていただければと思います。

肥塚政府参考人 先ほど申し上げましたように、NEDOはこれまで、フィージビリティースタディーでございますとかキャパシティービルディングを通じて、今までの省エネ技術協力の知見を生かしましていろいろなことをやってきております。今度の取得制度はその延長線上だということで、実務的な仕事でもございますし、そういう知見、能力を生かしてNEDOにやってもらうのが一番効率的ではないかというふうに考えております。

北川委員 ありがとうございます。

 先ほど来から今回の取り組み等々をお聞きしてまりました。いずれにいたしましても、この地球温暖化問題というものは、先ほど申し上げましたけれども、政府が断固たる意思を持って取り組んでいただく、そして、国民の皆さん方一人一人の理解と協力が必要であろうと思っております。

 今回、国民の血税を投入して海外からの排出削減量を調達する以上、こういう国民の皆さん方の理解が必要であろうと思っております。そして、二酸化炭素というのは無色無臭であるわけでありまして、どれだけ濃度が濃くなっているかということもわからない部分であります。そういう点におきましても、地球温暖化による影響も慢性的にしかあらわれない。要は、気がついたときには遅いかもわかりません。

 そういう点において、国民の皆さん方に、二酸化炭素の排出を削減していかなければ大変なことになる、こういう啓蒙活動ですね。小泉内閣が事前調整型の社会から事後チェック型の社会へと、こういう移行をされるのが効率のいい小さな政府であろうと思いますけれども、その前提として、やはり国民の皆さん方の一人一人の理解と協力があってこそ、こういうものも実現をできると思います。

 私は、目に見えない、いざ症状があらわれてきてから対応しては、これはやはり遅いと思います。やはりまず事前にきちっと対応していく、こういうある意味の事前調整型の大事な部分を地球温暖化対策というものに講じていかなければならないと思っておりまして、こういう点において、今回、経済産業省、PSEの問題、啓発運動等々の問題点も出てまいりましたけれども、やはり国民の皆さん方に対してのきちっとしたこれからの啓蒙活動、これは環境省にぜひお答えをしていただきたいと思いますし、これと同時に、大臣からこういうような取り組みの決意をぜひお聞かせ願えればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

小林政府参考人 国民の理解と参加、そして行動というのが必要だというふうに肝に銘じてございます。私ども、チーム・マイナス六%という運動を、これは小泉総理を先頭に行っているところでございますけれども、単に理解と関心を求めるだけではなくて、共感してもらえるような具体的な取り組みということを訴えてございます。

 例えばクールビズといったようなことで、夏の省エネでございますけれども、国民の認知率九〇%を超える、そして、削減量からしても、四十万トンを超えるといったようなCO2の削減というのを果たしてございますが、そういった形で、わかりやすい取り組みを、いろいろなチャンネル、あらゆるチャンネル、場合によっては各省の大臣に先頭に立っていただいて取り組んでいきたいというふうに考えております。

 以上のような御意見を踏まえまして、一生懸命やらせていただきたいと思います。

二階国務大臣 先ほどから再々お話が出ておりますが、北川先生は、御尊父が環境庁長官として大変な実績を残され、私どもの郷里におきましても、環境問題の先駆者として先生のお名前を知らない者はいないというぐらい、みんなが感謝をしているところであります。議員も大臣の秘書官として御活躍をいただいておったことを私も承知をいたしておりますが、ただいま、各般にわたって説得力のある御意見をちょうだいいたしました。

 京都議定書目標達成計画、これは既に閣議決定をいたしておるわけでありますが、これらにつきましても、政府挙げて、そして関係国との間でも外交努力を通じて、地球温暖化を阻止するという意味で懸命に取り組んでいかなくてはならないと思っております。

 そして、何と申しましても、そうしたことを実現すると同時に、省エネルギー対策また新エネルギー対策、これも極めて重要でありますし、代替フロン対策、安全確保を大前提とした原子力の推進。

 私も先ほど、お昼の休みに福井県知事とお目にかかりまして、美浜原発の再開に向けての経済産業省の取り組みと、また地元の知事から伺っておりましたもろもろの御要請があるわけでありますが、それらは誠実に実行するとともに、原子力の重要性を御認識いただき、御協力を願いたいということを申し上げてまいりました。

 こうしたことを通じまして、原子力につきましても大いに力を注いで、我が国がまさに、省エネルギー、また新エネルギー、さらに環境問題、ともに他の国に範を垂れる、それぐらいの意気込みで取り組んでいきたいと思っております。

北川委員 ありがとうございます。ぜひ、積極的にこの政府の目標達成計画の実現に向けて取り組んでいただきたいと思います。

 本当にきょうは貴重な質問をさせていただきましたことを感謝申し上げ、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

石田委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 皆さん大変にお疲れでございますが、私で終わりでありますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣、お疲れでございます。いよいよNEDO法の改正であります。

 今、同僚議員二人は非常に専門家でありまして、聞きごたえのある、私も大変勉強になった議論を聞かせていただきながら私が感じておりますのは、私は環境問題についてはずぶの素人でありますが、私、誕生日が四月の三日なんですね。大体、桜が咲いて散りかけると私は年をとる、一つ年をとるのにこういう区切りがあるのでありますが、最近、年をとらないうちに桜が咲いて、大変にリズムが狂っておるといいますか、本当に、もう既に満開を通り過ぎているわけでありまして、まさに地球温暖化対策が必要だなということを肌身で感じている一人であります。

 そうした一人でありますが、きょうは、その関連法案、NEDO法の改正案の審議であります。

 先ほどから同僚議員のお話の中で、今回のNEDO法の改正はいわゆる京都メカニズムを活用するための法整備でありますが、京都メカニズムそのものはあくまでも補完的な対応なんだというお話もるるございました。したがいまして、京都議定書の目標達成に向けて、エネルギー起源の二酸化炭素を初めとする温室効果ガスの国内での排出抑制の対策というものが大事だという議論が随分ありました。私も大変に勉強させていただいた次第であります。改めてもう政府の方針は伺いませんが、あくまでも今回のNEDO法というのは、まさに京都メカニズム、これが補完的な対策だということを私自身も確認させていただいたわけであります。

 そこで、政府全体のエネルギー対策の中でちょっと気になることがありまして、最初に大臣に、政府全体のエネルギー対策、エネルギー政策の中で、一つ、原子力の問題、原発の問題について確認をさせていただきたいと思います。

 最近、世界の動きを見ておりますと、米国でもそうでありますけれども、一つは、やはり原油あるいは天然ガスが大変高くなっているというようなこと、あるいはエネルギー需要が非常に伸びておる、こういうことから、改めて原子力発電を再評価するというような動きがあるような感じがいたします。米国におきましても、久しぶりに新設をしよう、こんな報道があったり、あるいは欧州におきましても、脱原発の流れというものが、潮目が変わっているのではないか、こんなふうに言われているわけであります。

 もちろん、我が国といたしましては、核拡散の防止あるいはその安全性の確保、向上ということが最大のテーマであろうと思いますが、こうした世界全体の動向を眺めながら、大臣として、原子力発電をどうとらえて、どのように今後取り組んでいこうとされているのか、ちょっと最初に確認をさせていただきたいと思います。

二階国務大臣 御指摘のとおり、原子力問題は極めて重要であり、政府としては、京都議定書等の閣議決定を受けて、さらに、省エネルギー対策とともに、原子力対策に大いに力を注いでまいらなくてはならないと思っております。

 もう既に勉強家の議員におかれては御承知のとおりでありますが、例えば、外国の例でいいますと、アメリカで今稼働している原子力は百三基、フランスが五十九基、イギリスが二十三基、中国が九基、我が日本は五十五基、このようになっておるわけであります。

 そこで、具体的に使用済み燃料の再処理につきまして、去る二十一日に、私自身、六ケ所村を訪問しまして、知事及び関係の皆さんと会談をし、また再処理工場の現場も見てまいりました。二十七日には、核燃料サイクル協議会を開催し、政府一体となって核燃料サイクルを推進する方針を青森県知事に約束した次第であります。これを受けて青森県知事は、御承知のとおり、昨日、実際の使用済み燃料を使用した最終的な試験運転開始の受け入れを表明されたわけであります。

 使用済み燃料を原子力発電で再び有効利用するいわゆるプルサーマルについても、二十六日に私が九州佐賀県の玄海発電所を訪ね、知事及び関係者と会談を重ねてまいりました。同日、佐賀県知事は、プルサーマル実施を了解され、内外にその御意向を表明されました。また、愛媛県の伊方発電所のプルサーマル計画にかかわる申請に対し、昨日、経済産業大臣として、これに許可を与えた次第であります。

 さらに、事故で停止中でありました福井県美浜発電所の三号機につきましても、昨日、事故調査委員会で関西電力と再発防止対策が確実に実行されていることを確認いたしました上に、昨年十二月の暮れでありましたが、私も事故現場に参りまして関係者等の御意見等も十分承ってまいりました。昨日、関西電力及び三菱重工の社長に今後の安全について厳重に申し入れをするとともに、この状況は、先ほども御答弁を申し上げましたが、福井県知事が上京されましたので御説明をした次第であります。

 二酸化炭素を排出しないで、供給安定性にもすぐれた原子力発電が極めて重要であると認識をいたしております。このため、現在検討中の新国家エネルギー戦略におきましても、大きな柱の一つとして位置づける予定であります。発電量の三、四割程度かそれ以上、この明確な目標とその実現に向けた取り組みについて、基本的な考え方を明らかにしたいと考えておる次第であります。

桝屋委員 御丁寧な御報告をいただきまして、ありがとうございます。

 いずれにしても、京都議定書の目標達成に向けて、国内対策として、私はやはり、原発の安全性の確保ということ、そして確実に進めていくという観点が大事だろう、こう思っております。

 なお、その新エネルギー戦略、この内容についても、与党の一員としてしっかりと取り組みをさせていただきたいし、内容を注意していきたいと思っております。

 内容に入りたいと思いますが、先ほどから同僚議員の質疑で大体イメージはつかめたのでありますけれども、今回のクレジットの取得の予算として、平成十八年度予算で五十四億、国庫債務負担行為として百二十二億が計上されているわけでありますが、目標は一・六%、いわゆる一億トンという数字がありましたけれども、こうした予算で確実にこれから一・六%というこのクレジットを取得することができるのかどうか。恐らく、先ほど一千五百億という数字の開陳がありましたけれども、毎年の予算の中でこれらの必要な経費を確保する、こういうことだろうと思いますが、改めて確認をさせていただきたいと思います。

肥塚政府参考人 取得するクレジットでございますけれども、国内対策に最大限努力しても目標達成に不足する差分ということで約一・六%、一億トン分のいわゆるクレジットを取得するということにしております。

 この一億トン分のクレジットの取得に必要な予算額について、将来の価格の見通しはなかなか、いろいろな見通しがあるのでございますけれども、いろいろな予測を用いて計算をしますと、おおむね約六百億から約一千五百億程度という想定がされております。

 初年度に当たります十八年度予算においては、百二十二億円を限度とする国庫債務負担行為を計上させていただいております。これは、二〇〇五年の価格に関する世界銀行でございますとか民間調査機関の調査結果として、約五・六三ドルとか約五・九ドルといったような価格が示されております。このクレジット単価を約五・九ドルとして計算しますと、百二十二億円が約一千八百万トンの二酸化炭素クレジットに相当するということでございます。

 それから、費用対効果を考えた取得のためには一定程度の前払い、実際は第一約束期間であります二〇〇八年から二〇一二年というところでクレジットは入ってきて、そこでお金を払うというケースもございますけれども、優良な案件などにつきましては前払いが必要となるということもございまして、各国とも前払いを可能にするような仕組みを設けております。我が国でも、この百二十二億円の内数として、平成十八年度予算に前払い可能な予算として五十四億円を計上させていただいているということでございます。

 今後とも、クレジットの需給状況でございますとか毎年の財政状況を踏まえて、適切に対応したいというふうに考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 この五十四億円というのはまさに前払いの準備金、こういう性格のものだ、こういう御説明でありました。

 そこで、今もお話がありましたし、先ほどの同僚議員の議論でもありましたけれども、クレジットというのは、まさにこれから、国際的な買い増しといいましょうか、どんどんふえてくるということになりますと、ある意味ではクレジットは金融商品でありますから、価格の高騰とか、あるいはさまざまなリスクも想定をされるわけでありまして、価格変動もあるだろうと。そういう意味で、先ほど六百億から千五百億と随分幅のある話でありますけれども、それでも大変な経費であります。

 こうした状況の中で、限られた予算の中で効率的にクレジットを調達するためには適切なクレジットの評価というものが必要ではないか、こう思っておりますが、政府の取り組みの姿勢を明らかにしていただきたいと思います。

肥塚政府参考人 まず、価格の点でございますけれども、クレジットの価格は、これからの途上国における排出削減事業の発掘とか形成、プロジェクトがどれだけ生み出されてくるかということと、先進国側の排出量の推移によって変動するんだというふうに考えています。二〇一〇年時点での平均価格がトン当たり十一・四ドルという、これは世界銀行でございますけれども、見通しもございます。ただ、先ほど申し上げましたように、供給側と需要側というさまざまな要因で変動していくんだと。

 ただ、いずれにしましても、財政負担に配慮しながら必要なクレジットを確実に確保するということを考えますと、世界的にその供給を拡大させるための取り組みに日本としても貢献するというのが非常に重要だというふうに思っております。

 このために、先進国あるいは我々の技術を活用した途上国における排出削減を行うCDM事業をできるだけ活発化させるようなルールの整備でございますとか、CDMの手続の改善、審査の迅速化、それから途上国における体制整備ということにこれまでもNEDOとして取り組んできておりますけれども、なお一層努力する必要があるんじゃないかというふうに思っております。

 それから、もう一点は、これは価格とちょっとまた別でございますけれども、クレジット事業について、御指摘のように、予定した排出量が達成できるか、事業の実施が着実に行われるか、プロジェクトが進むかということでございますけれども、それから、プロジェクトが行われる国の制度運用が適切になされるかといういろいろなリスクがございます。

 こうしたリスクに対応するためには、いわゆるNEDOでクレジット取得契約の相手方を選定する際に、排出削減事業の成否あるいは相手方の財務状況、提案されたクレジット価格等について厳正なリスク評価を行うということが必要であろうというふうに思っておりますし、それから、排出削減事業の種類でございますとか事業が実施される国を分散させる、国が偏らないというようなことでクレジット取得事業全体としてのリスクを低減させることも必要ではないかというふうに考えております。こういういろいろな努力によりまして、リスクに適切に対応しながら、確実で、なおかつ費用対効果を考えたクレジット取得を図っていく必要があるというふうに考えております。

桝屋委員 時間がないので全部確認をさせていただきますが、もう一点は、私が理解できないのが、国がクレジットを取得するというものと、もう一つは民間事業者による取り組み、この関係はどうなるのかな、こういうことであります。

 我が国は、CDM、クリーン開発メカニズムあるいは共同実施というようなことで、既に四十四件事業を承認したということでありますけれども、一つは、民間事業者の進捗状況を教えていただきたい。今回の法整備がされまして、どの程度の民間事業者の取り組みを期待されているのか。そして、産業界の中には、自主行動計画の目標の達成に向けて自主的に京都メカニズムを活用する動きがあるというふうに聞いております。当然そういう動きが出てくるだろうと思うんですが、そうしたものとの関係、政府におけるクレジット取得制度との関係についても改めて考え方を教えていただきたいと思います。

肥塚政府参考人 まず、数字を含めまして現状を御報告いたします。

 我が国が承認をいたしました事業は、途上国で排出削減事業を行うCDM事業が四十一件、それから、中東欧等の先進国で排出削減事業を行ういわゆるJIと言っております事業が三件、計四十四件でございます。これらの事業から生ずるクレジットは、既に年間約三千六百八十万トンと見込まれております。それから、我が国が承認したCDM事業で、国連の審査を受けて既に国連に正式登録されたものがそのうち十七件ございます。これが約三千二百八十六トンございます。

 さらに、これに加えまして、我が国のすぐれた省エネ技術でございますとか新エネルギーの技術を有します我が国企業がCDMなりJI事業に取り組むということは、一つは、政府が、先ほど申し上げました財政負担に配慮しながら必要な量のクレジットを確実に取得するという意味で、非常に重要だというふうに考えておりますし、それから、地球規模での温暖化防止、相手国の発展に資する、それから我が国企業の海外事業展開にもつながっていくということで、非常に重要なことだというふうに考えております。

 今回、政府がクレジットを取得するという制度は、既に民間にありますクレジットをスムーズに政府に移転してくるということと同時に、地球規模での温暖化防止、あるいは我が国企業のCDMなりJIの事業を通じた海外事業展開を後押しする、さらにこれからそういう活動を広げていただくという効果があるんじゃないかというふうに期待しております。それがまた、政府の円滑なクレジット取得につながっていくということだろうと思います。

 次が、自主行動計画に基づくクレジット取得との関係でございますけれども、産業界の中には、自主行動計画を初めとするみずからの目標を達成するために京都メカニズムを活用するということを考えておられる企業がございます。こうした産業界の自主的取り組みに沿ったクレジットの取得というのは国内対策の一環というふうに位置づけられておりまして、一方で、政府のクレジット取得は、これとは別に、国内対策に最大限取り組んでもなお目標達成に不足する部分への差分としての対応というふうに考えております。したがいまして、産業界が自主的取り組みの一環として位置づけられているようなクレジットは、政府のクレジット取得の対象とはならないというふうに考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 それともう一つ、私も心配なのは、今の民間事業者の話の続きでありますけれども、当然ながら、取得したクレジットを、これは商品でありますから、例えば海外に売却するということもあるんじゃないか。こうした中で、我が国政府はどのように必要な量を取得していくのか、確保していくのか、その辺、いささか疑問でありまして、重ねてお示しをいただきたいと思います。

肥塚政府参考人 先ほども申し上げましたように、我が国の企業は、海外事業展開の新しいチャンスということで、途上国での排出削減事業を行うCDMとかJI事業に積極的に取り組んでいると思います。

 政府も、これを後押しすべく、ルール整備でございますとかキャパシティービルディングなり、いろいろな努力をしていきたいというふうに考えておりまして、それを通じて、我が国企業の海外事業展開のさらなる促進とクレジット供給の量の拡大ということを図りたいというふうに考えています。

 民間事業者が海外に売却する可能性でございますけれども、この点については、まず第一に、こうしたクレジットの供給量そのものを拡大するということを通じて必要なクレジット量の確保を図るということと、それから、我が国企業が、先ほど申し上げましたように既に三千数百万トンというクレジットを持っておりますけれども、できるだけ円滑にクレジットを移転していただくという意味でも、政府のクレジット取得制度を速やかに構築するということが必要ではないかというふうに考えております。

桝屋委員 なかなか、私も素人で、初めてこのスキームを見せていただいて、にわかには理解できないわけでありますが、先ほども話がありましたように、こうした大きな動きを国民の皆さんにしっかり理解していただく必要があるだろう、こう思っております。

 ちょっと話は変わりますけれども、我が党の冬柴幹事長を初め、最近盛んに言っておりますのが、例の釧路の太平洋炭鉱に参りまして、我が国のすぐれた採炭技術というものを海外に移転していきたい、ぜひこれは進めていきたい、こういつも我々党内で議論しているのでありますが、経済産業省、この採炭技術の移転についてどのように取り組んでおられるのか。また、今回の京都メカニズムのスキームといいましょうか、こうしたことが活用可能なのかどうか。御見解を伺いたいと思います。

肥塚政府参考人 我が国は、坑内掘りによる採炭活動について、安全対策を含めましてすぐれた技術と豊富な経験を有しているというふうに認識しております。その一方で、途上国においては、採炭活動の結果発生するメタンガスによる爆発事故がたびたび発生しておりまして、大きな社会問題になっているというふうにも聞いております。

 このために、我が国といたしましては、我が国の持つすぐれた採炭技術を中国、インドネシア、ベトナムに移転するために、平成十四年度から炭鉱技術移転五カ年事業を実施しております。平成十七年度までにアジア産炭国から千八十九名の研修生を受け入れるとともに、我が国から五百十二名の専門家を派遣して、採炭技術等に関する研修事業を実施してきております。

 メタンガスでございますけれども、これは二酸化炭素の二十一倍もの地球温暖化効果があるということになっております。したがいまして、炭坑から発生するメタンガスの回収を進めるということは、先ほど申しました坑内掘りによる事故の未然防止という安全対策であると同時に、地球温暖化対策にも大変大きく寄与するというふうに考えております。

 現在、幾つかの日本企業が途上国でこの炭坑メタンの回収、削減を行うCDMプロジェクトに取り組んでいるというふうに聞いておりまして、こうした動きに対しましては、既に日本政府としても、NEDOによるフィージビリティースタディー、実現可能性調査などを通じて支援を行ってきております。

 今後、こういう、先生のお話の採炭技術に関するプロジェクトがクレジットの取得の対象となっていくということを、非常に強く私どもとしても期待しております。

二階国務大臣 ただいま肥塚局長から答弁申し上げたとおりでありますが、本件につきましては、既に、冬柴幹事長みずから経済産業省においでになりまして、この問題につきまして熱心な御意見の開陳がありました。同時に、北海道ということで、武部幹事長からもこの問題につきまして御意見がありました。

 したがって、我が方としましては、松副大臣を現地に派遣しまして、そして炭坑の中等にも入ってよく調査をしてまいりました。

 私どもは、今後も引き続き、相当の実績を内外に上げてきたわけでありますから、今議員御指摘のとおり、懸命に取り組んでいくことをお約束したいと思います。

桝屋委員 ありがとうございます。

 我が党も引き続き、こうした京都メカニズムのスキームの中でも活用できるように取り組んでまいりたいと思います。

 最後の質問にしたいと思っております。

 二〇一三年以降の取り組みです。これも、先ほど小杉委員の議論で随分ありましたけれども、一点だけ、私は、これは片山政務官にでもお聞きしてみたいのであります。

 アメリカへのアプローチというのはもちろんでありますけれども、私、この前インドへ行きましてつくづく感じたのは、中国は余り行ったことないのでありますけれども、インドのデリーの、喧騒と同時に空気の汚さといいましょうか、大使館に聞きましても、大変危険な地域だ、こういう話も聞かせていただいて、それこそ居室には必ず空気清浄機が必要だというようなことも伺いまして、CO2は色もない、においもないという話も先ほどありましたが、これは相当の汚染だなということを感じました。

 確かに先進国の責任というのはあるのでありましょうけれども、しかし、我が国が歩んできた歴史を振り返るときに、やはり今のインドの状況というのは私は決して看過してはならない、何とかグローバルな話し合いの場で、できればともに目標を立てて進んでいくような、ぜひともそんな粘り強い取り組みが必要だろう、こう思っております。本年四月までに日本の考え方を提出するというふうに聞いておりますが、少しお考えを伺いたいと思います。

片山大臣政務官 御指摘のとおり、中国につきましては、二〇三〇年には米国を超えて世界一の排出国になる予測でございますし、今後の途上国からの排出増分を見ましても、中国がその半分を占めるのに次いで、インドの排出増も非常に大きなものになるというふうに予測されております。

 これらの国に対する排出抑制なくして、気候変動、またCO2排出問題の解決というのは当然あり得ませんので、国連でも、米国や途上国も参加して長期的な協力に対する対話というのを始めますが、我が国といたしましても、このような場を通じて、すべての主要排出国による取り組みの必要性を今後とも主張してまいる所存でございます。

 また、国連の外におきましても、G8サミットの合意に基づいて、中国、インドを含めた主要二十カ国によるクリーンエネルギーに関する議論が既に開始されております。またさらに、中国、インドも参加するアジア太平洋パートナーシップというのがございますが、こちらも、産業セクター別に省エネに向けた官民の取り組みを始めようとしているところでございます。

 いずれにしても、省エネの問題と気候変動の問題とは表裏一体でございまして、このようなさまざまな場を通じました協力を通じまして、中国、インドにおけますCO2等の排出抑制を積極的に進めていただくことが大変重要というふうに考えております。

桝屋委員 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

石田委員長 次回は、来る三十一日金曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十二分散会


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