衆議院

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第10号 平成18年4月5日(水曜日)

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平成十八年四月五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 石田 祝稔君

   理事 今井  宏君 理事 新藤 義孝君

   理事 平田 耕一君 理事 増原 義剛君

   理事 吉川 貴盛君 理事 近藤 洋介君

   理事 達増 拓也君 理事 上田  勇君

      赤池 誠章君    小此木八郎君

      岡部 英明君    片山さつき君

      北川 知克君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      塩谷  立君    平  将明君

      長崎幸太郎君    野田  毅君

      橋本  岳君    早川 忠孝君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      松島みどり君    武藤 容治君

      望月 義夫君    森  英介君

      山本 明彦君    大畠 章宏君

      吉良 州司君    北神 圭朗君

      後藤  斎君    佐々木隆博君

      野田 佳彦君    松原  仁君

      三谷 光男君    高木 陽介君

      塩川 鉄也君    武田 良太君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      西野あきら君

   経済産業大臣政務官    片山さつき君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際社会協力部長)        神余 隆博君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    石川  薫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           深野 弘行君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          肥塚 雅博君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     広瀬 研吉君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  小林  光君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  松島みどり君     赤池 誠章君

同日

 辞任         補欠選任

  赤池 誠章君     松島みどり君

    ―――――――――――――

四月四日

 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)

同日

 電気用品安全法改正に関する請願(大前繁雄君紹介)(第一〇七八号)

 同(奥村展三君紹介)(第一〇七九号)

 同(荒井聰君紹介)(第一〇九六号)

 同(中川正春君紹介)(第一〇九七号)

 同(牧義夫君紹介)(第一〇九八号)

 同(泉健太君紹介)(第一一七六号)

 同(川内博史君紹介)(第一一七七号)

 同(細川律夫君紹介)(第一一七八号)

 同(田島一成君紹介)(第一二七二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第二九号)

 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出第三二号)

 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房国際社会協力部長神余隆博君、外務省経済局長石川薫君、経済産業省大臣官房審議官深野弘行君、経済産業省産業技術環境局長肥塚雅博君、資源エネルギー庁長官小平信因君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長広瀬研吉君及び環境省地球環境局長小林光君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。

大畠委員 おはようございます。民主党の大畠章宏でございます。

 本日は、ただいま議題となりましたこの法律案に関して質問をさせていただきます。きょうは、二階経済産業大臣を初めとして関係の皆さんおいででありますが、どうやら二階大臣は環境大臣も兼ねているということでありますから、時折、環境大臣としての御所見を伺うことがあると思いますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今回のこの法律案に関する種々の問題点あるいは課題等については同僚議員から既に質疑がされておりますので、私は、この法律案が提出される背景、特にエネルギー問題を含めて少し御質問をさせていただきたいと考えているところでございます。

 結論からいえば、私は、日本におけるエネルギー問題についての対応姿勢には非常に不十分な点があると。言ってみますと、二階大臣は経済産業大臣として一生懸命頑張っておられますが、日本におけるエネルギー政策というものについては非常に不透明になってきておりますし、中国との問題、あるいはアメリカ、ヨーロッパ、ロシアとの関係においてもどうも心もとない感じがするわけであります。

 したがって、私はこの際、日本としては、さまざまな改革論がありますけれども、本来はエネルギー省というものを立ち上げて、防衛あるいはエネルギー、そして外交も大事でありますし、教育も大事でありますけれども、その中でもエネルギーをどうするかということに対する明確なメッセージを国内外に発するべきだと思うんですが、そこら辺がどうも経済の陰に隠れて、エネルギー論というのが低調な感じがするわけでございます。そういうことも含めて、きょうは質問をさせていただきたいと考えるところであります。

 最初に、現在のエネルギーの世界情勢について、私も資料を入手させていただきましたけれども、二〇〇五年八月三十日、原油価格が六十九ドル、一バレル七十ドル近くに達しまして、史上最高の価格を更新した、九・一一テロ直後の価格一バレル二十ドルに比べると、四年間で約三倍という水準になったという報道がございました。

 これから、一九九〇年には地球人口五十億、それが二〇三〇年には約八十億人ということが予想されておりますけれども、こういう世界の趨勢を考えますと、日本としてこれからエネルギー政策はどうするのかということが問われるわけでありますが、私は、明確な方針というのがまだ打ち出されていない、経済問題をどうするかということが主流になってしまって、それを裏打ちするエネルギー政策というのがどうも明確じゃないというように思われて仕方ありません。

 特に、最近、私が通勤で使っている、通勤といいますか時々行き来する常磐線も強風によってとまることが多いんですね。私もまだ生後五十八年でありますけれども、あんな強い風を子供のころ経験したことはないし、なぜあんな強い風が起こるんだろうと考えると、今度はヨーロッパの方では洪水ですね。一時間に一センチずつ上昇していて、たしかきょうあたりが最高水位になると聞いておるんですが、いずれにしても、環境問題も非常におかしくなってきています。

 そこで、この問題について、京都議定書が発効されて推移をしているわけでありますけれども、最初に、CO2の排出割合のトップテンというものを私も調べさせていただきました。このCO2の排出トップテンの国をちょっと挙げますと、一番目がやはりアメリカなんですね。二番目が中国、それから三番目がEU、四番目がロシア。日本、インド、カナダ、韓国という話になっておるんですが、一番CO2を排出しているアメリカに対する対応というのが国際的にもよくわかりません。

 アメリカは最大のCO2排出国であるにもかかわらず、なぜ京都議定書を批准しないのか。この件について、まず最初に外務省からこの状況についてお伺いしたいと思うんですね。外務省、来ておられますか。

神余政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカが京都議定書を批准していない理由としては、三つぐらい考えられると思います。

 まず第一に、途上国がその批准をしていないこと。途上国は京都議定書におきまして削減義務を課されておりませんので、そういう途上国が入っていないということ。もう一つは、アメリカの経済にとってネガティブな影響があるだろうということが第二の点でございます。第三の点は、科学的にCO2が温暖化に与える影響について必ずしも確立された見解がないというふうにアメリカは主張しているところでございます。

大畠委員 これを見ると、世界のCO2の排出量の大体四分の一はアメリカなんですね。しかし、アメリカの主張は、途上国がまだそういうのを批准していないから、経済的にマイナスだから、科学的根拠がないからという話なんですが、こんなことを言っていたら、では、どうしたらいいんだと。全く解決策がないんですね。こういうアメリカの姿勢に対して、外務省はこれまでどういう行動をとってきたんですか。

神余政府参考人 お答えいたします。

 アメリカにつきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますけれども、我が国は、これまでも、合計二十回以上にわたる、さまざまなレベルにおきまして、アメリカに対して京都議定書に参加すべきであるということを申し入れしております。

 他方、アメリカは、先ほど申しましたような理由で、必ずしもこれを批准するに至っておりません。しかしながら、アメリカも、CO2の排出削減につきましては努力をしなくちゃいけないという立場から、特に、昨年七月でございますけれども、アメリカがイニシアチブをとって、日本も参加する格好になっておりますけれども、クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ、APPというものを発足させておりまして、アメリカを初め我が国など六カ国の官民のセクターの協力を進める取り組みが始まっております。今後もこういう枠組みのもとで協力をしていくということでございます。

大畠委員 外務省は外務省として努力しているかもしれないけれども、我が国でこういう法律を出して今やろうとしているときに、日本の、どのくらいですかね、CO2の排出量は、ほぼ五倍ぐらいを排出している、世界のCO2の排出量の四分の一を占めるアメリカが全くこういう問題について何らやろうとしていない。日本ではNEDOを使ってそういう京都議定書を守ろうという行動をしているにもかかわらず、全く、途上国がまだ批准していないから、経済にとってマイナスだから、そんなことを、アメリカの議会じゃないからここで言ってもしようがない話かもしれませんけれども、私は、経済問題でマイナスというんだったら、日本だってそれはマイナスかもしれませんよ。

 経済大臣、そういう状況をおいておいて、これは経済産業大臣と、そして今度は環境大臣も兼ねて複合的な答弁をいただきたいんですが、アメリカに対してなぜこういう問題について日本は弱腰なのか。

 だって、経済にとってマイナスだと言っているんでしょう、アメリカが批准しない理由を。日本だって同じかもしれません。環境問題関係なしにやった方が安い製品ができるし、小泉さんが大好きな競争という意味では勝つかもしれない。しかし、経済問題は環境問題も考えなきゃいけない。よくスリーEと言われていますね、エネルギーのセキュリティー、経済成長、環境保全。この三つを考えなきゃならないという話だけれども、私は、経済産業大臣として、アメリカの経済担当、通商大臣とも話し合うでしょうけれども、我々もそういう地球全体、環境を考えてこれを批准してやっているんだ、アメリカもこれは率先してやるべきじゃないかということの外交交渉を、通商問題だけじゃなくて、まあ経済にも絡んでいますから、大臣として大いにやるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

二階国務大臣 ただいま大畠議員の御主張は、私どもも常々、環境問題の重要性ということはもう言うまでもないわけでありますが、今私たち日本の中では、国民的な盛り上がりといいますか、環境という問題をだれでもが政治的な課題として重要視しておるわけでありますが、今御質問にありましたように、一番肝心なアメリカが今のような態度をずっと持ち続けているということに関して日本として積極的な働きかけをすべきだ、私もそう思います。

 今、御意見をちょうだいしましたように、私は、たった今は環境大臣の臨時代理も務めておりますから、よく環境省とも今日までの経過等を十分調査した上、アメリカに対し、これからの説得といいますか話し合い、そしてあらゆるルートを通じてこれはやるべきだと思っております。最も重要なことは首脳会談でありますが、そこまで持っていくための道筋をきちっとやって、世界的、地球規模で環境問題を解決しなくてはならない。

 そして、今もお話にありましたとおり、環境問題に力を入れることは経済的にマイナスであるというのは、それは一時的な見方でありまして、長期に、長いスパンで考えていきますと、環境問題に力を注ぐことが結果的に経済問題、またその国が富める国として成長し続けていくためには重要であるということは、アメリカに対して日本が堂々と友情ある説得を試みるべきであると私は考えております。

大畠委員 二階大臣の御性格からすると、こういう問題について黙っている性格ではないと思いますので、アメリカに対しても堂々と言ってもらいたいんですね。

 どうも日本とアメリカの関係は主従の関係みたいな形になっちゃって、アメリカが言うことは、日本は言うこと聞かなきゃならないという、そんなムードがすごくあるんですね。牛肉の問題なんかもそうなんです。アメリカから要求されたら、何となく日本では、いかに国内の体制を整えて受け入れるかとか、こういうふうな雰囲気が非常に最近濃厚でありますから。アメリカと日本が日米同盟基軸ということで強めることは大事だと思うんですけれども、言うべきことも言えないような独立国なんかあり得ないんです。アメリカの国益と日本の国益がぶつかることだってあり得るんですね。そのときには、アメリカの国益をとるわけにはいかないんです、日本の国は。

 だから、そういう意味でも、エネルギー問題についても環境問題についても、あるいは食料問題についても、ある程度の備えを持っていないと、私は、言うべきことも言えなくなると思うんですね。

 ですから、この環境問題についても、あるいは、確かに大臣がおっしゃるように自動車産業では環境問題にいち早く着手した企業が非常に世界を席巻し始めていますね。あれは、環境問題にいち早く取り組んだという、その一つだと思うんです。しかし、アメリカ全体としては環境なんというのはとても、広い国であるし、とても我々としては身近な問題ではない、そして経済的にもマイナスだという経済界の声に押されて、現在放置されているわけでありますが、私は、この問題は、二階大臣から今お話がありましたけれども、日米会談等で、あるいは日米首脳会談等でも、日本が独立国ということであれば、やはりアメリカにきちっと忠告をする、あるいはそういう意見を言う、それをぜひ二階大臣におかれましても閣議等での御発言をされて総理に促していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

二階国務大臣 私は、WTO等におきましてアメリカの通商代表と再三お目にかかることもあり、意見を交換することもありますが、牛肉の問題につきましても、私に対しても昨年の末御意見がありましたが、そうした場合に、我々日本の立場というものを明確に述べて、アメリカの考え方が間違っている点は間違っているということを正しておりまして、従属した日米関係にあるということは、国会の場でそういう議論をお互いに交わし合って、私が黙っておるというわけにもまいりませんので、日米関係は従属的な関係ではありません。

 しかし、今大畠議員が言われたように、それでは環境問題については、これはどうだ、アメリカは常に世界のリーダーとしての役割を果たしておられるにかかわらず、最も地球上また人類の将来の幸せのために重要な環境問題についてもう少し先頭を走ってもらいたいということを日本が説得するということは大事だと思います。

 これは、お互いに対立して意見を述べ合うのではなくて、お互いに協調をしながら進めていくということで、アメリカとしっかりした話し合いをしなければならないと思いますが、私も、近々エネルギー関係の閣僚会議がカタールで開かれるわけでありますが、もし国会のお許しを得て出席がかなえば、アメリカのエネルギー担当閣僚とも、きょうこうした御意見のあったことを十分伝えて、これからお互いに協力し合おうということを申し述べるつもりであります。

大畠委員 ぜひ今の御姿勢を保っていただきたいと思いますし、私も尊敬する福沢諭吉先生が、独立自尊という精神で明治時代をつくられました。その独立自尊という精神で幕末から新しい日本をつくり始めたんですが、日本の国は、残念ながら、第二次世界大戦で負けてから、何となく独立自尊という精神が薄らいできてしまって、まあ、アメリカと仲よくしていれば何とかうまくいけるという、何かそういう、気持ちが小さくなっているような感じがするんですね。

 もう一度、日本の国、二千年の歴史を持つ日本の国でありますから、文化も伝統も歴史もアメリカとは違います。そういう国がアジアにあり、そして、経済的にも大きな発展を遂げ今日あるんだと。そういう一億二千万人の日本人の代表として、今お話があったような形の御発言をし、外交問題に踏み込んでいただきたいということは要望をしておきたいと思います。

 その次に、今度は、中国とインドについてお伺いしたいんです。

 中国は、アメリカに次ぐCO2の排出国であります。中国もインドも京都議定書には批准しているわけでありますけれども、中国、インドのカテゴリーは途上国ということで、ほとんど責務というものが課せられていないということであります。このところは、確かに途上国であるかもしれませんが、御存じのとおり、経済的には八%の伸びを示し、今では、外貨準備高は日本を抜いて世界一、そういう経済国になっているにもかかわらず、相変わらず途上国扱いで、この環境問題、京都議定書は推移しているということであります。

 私は、これはおかしいのではないか、どこかできちっとしなきゃいかぬと思いますが、環境省の担当官がおいでであると思いますが、その点についての御所見をお伺いしたいと思うんです。

小林政府参考人 京都議定書、そのものの御質問でございます。

 御案内のとおりで、地球温暖化問題、今るる御議論ありましたように、人類の生存基盤にかかわる重要な問題ということでございますし、将来のことを考えますと、この温暖化が進むのをとめるということになりますと、少なくとも世界の現状の排出量を半分以下にするというぐらいの大幅な削減が必要だ、これを長期にわたって進めていく、こういうことになろうかと思います。

 そうしたことになりますと、今御指摘のとおり、途上国といえども、排出量の多い国々に御参加をいただくということが行く行くは必要になってくるというふうに考えてございます。

 そういう意味で、今後、京都議定書をさらに発展させる過程の中で、そういった二〇一三年以降の取り組みということが今議論をされてございます。その中で、例えば、米国のお話ございましたが、それ以外に、今御指摘の京都議定書上は参加はしておりますが、削減義務のない中国、インド等の途上国を含むすべての国が、その能力に応じて排出削減に取り組むことが可能になっていくということが必要だというふうに思っております。

 いわば、主要排出国による最大限の削減努力を促す実効ある取り組みをつくっていくということが重要だということで、そのラインに従って、我が国としても、これは環境省だけではございません、政府一体となって、そういった訴えをしているところでございます。

大畠委員 今環境省からお話しいただきましたけれども、環境省として、例えば、環境問題の国際会議、あるいは中国、アメリカ等々と直接外交的に交渉している実績はありますか。

小林政府参考人 先ほどアメリカのお話もございました。アメリカともいろいろ直接、小池大臣、交渉しておりますけれども、お尋ねの中国、インドでございます。

 例えば、日中韓の三カ国の環境大臣会合というのを定期的に催させていただいております。去年は十月ということで実施をしておりますが、この場におきまして、いつも温暖化問題を取り上げておりまして、ぜひ、対策の強化をすべきであるということについて、率直な意見交換をしてございます。

 具体的に申しますと、直近のこの日中韓の三大臣会合では、次のようなコミュニケが結ばれております。読み上げさせていただきますと、京都議定書が、去年でございますが、二月に発効したことを、三大臣は、歓迎をする。そして、国連気候変動枠組み条約の究極目標の達成に向けた第一歩としての重要性を共通認識で再確認する。これに関連して、三大臣は、世界のコミュニティーが気候変動問題に対処するためさらなる行動をとることが必要であるということも再確認したというような共通認識を得ております。

大畠委員 二階環境大臣にちょっと質問をさせていただきますが、交渉事というのは、単なる話し合いなんですが、理屈が通っていればそれが通るという社会ではないですね。町内会だってそうなんですね。声が大きいとかなんかというと、ついその意見にとらわれがちでありますが、やはり、どんなに理屈が正しくても、集まったときに話し合えばその方向性に行くというわけではないんですね。

 この問題は、日本だけがこれを主張してもだめなわけであります。ヨーロッパなんかとも連携をとったり、アメリカは批准していないわけですから、ロシアとも連携をとったりして、あるいはアジア各国とも連携して、中国に対する、あるいはインドもそうなんですが、中国、インドに対する、この途上国待遇でありますけれども、上海見たって、大連見たって、北京見たって、途上国とはもう言えない町並みになっていますし、ものづくりの世界でいえば、生産の半分は中国でつくられているという話もありますから。

 そういう意味では、何らかの形で、単に靖国問題だけで中国ともめているだけじゃなくて、今、非常にこの国際問題がおかしくなってきていますが、こういう真っ当な問題について、中国ともアジアとも、アメリカはこれに批准していないんだけれども、ヨーロッパとかロシアと連携をとって、この環境問題どうするか、まさにアジアのリーダー国の一角として、日本が、まさにこういう問題についてリーダーシップをとりながら、アジア諸国をまとめて、中国、インドに譲歩を迫る、そういうことも私は必要だと思うんです、経済問題も絡めながらね。

 今度は、環境大臣としてちょっと御所見をいただきたい。

二階国務大臣 環境大臣臨時代理として、御答弁を申し上げます。

 仰せのとおり、私自身も一国会議員として、何で中国とかインドが発展途上国なのか、途上国、途上国と、こう会議で言うわけですけれども、途上国と言うのもはばかるほど彼らは大きな成長をいたしておりますし、今、日本経済は、いつも大体世界の第二番目にいるということですが、やがてこの中国やインドがそれを追い越していくだろうということを定説のようにもう言われておる昨今ですね。その両大国をつかまえて、途上国、途上国と言っているのはいかがと思うんですが、先方もどうも使い分けをしておるようで、ある場面においては、世界のトップリーダーをうかがうような勢いで経済成長に挑んでいく、その姿勢は堅持しながらも、一方では発展途上国だ、こういうことでありますが、その辺は、国際会議の場においてどこかで整理をする必要が私はあると思うんです。それは、日本が、あらゆる国際会議を通じて、そういうこともやはり提案をしておく必要があると思っております。

 今、どれくらい大国かということをこの間うちから調べておりました。日本、中国、インド、アメリカという主要指標を並べてみますと、これは、大畠議員も既に承知のことでありますから、今ここで改めて申し上げませんが、けた外れに大きい、偉大なる国であるわけであります。

 そこで、環境問題でありますが、私は、先般、中国との間で、環境問題そして省エネ問題について話し合おうということを、経済産業大臣のカウンターパートであります商工大臣と、このことを過去三回にわたって話し合って、ようやくそのフォーラムの開催にこぎつけたところであります。

 一方、小池環境大臣にも話をしまして、これは環境問題もありますから、環境省もどうぞ御参加をいただきたいということで、大臣の了解も得て、そういう態勢で今準備をいたしておりますが、一昨日、薄熙来商工大臣のもとの陳健事務次官が私のところへ参りまして、我が国のフォーラムに臨む準備もだんだん整ってまいりました、今回は、開催する会場、そして日程等の詳細な詰めを経済産業省と行わせていただきたいということで来日しましたと。きょうは恐らく関西の方へ行っておられて、きょう、すべての協議が調ったわけでありますから、私どもはこれから、私どもというとなかなか言いにくいんですが、経済産業省と環境省がこれから詳細の打ち合わせをさせていただくということになっております。

 環境大臣の代理の立場から、極めてこれは重要な、しかも絶好のチャンスでありますから、このフォーラムを通じて中国側にも私たちの考え方を伝えると同時に、我々も今、環境先進国とか環境関係では世界一番だとかということをよく聞くわけです。意気込みとしては私は大変すばらしいものがあると思いますが、少し前は我々も環境で随分苦労した、そして、環境でこの国はどうなっていくんだろうかというところまで追い込まれたわけです。そこから、お互いに研さんし、また環境の基本法も制定するなどしながら、先輩たちのいろいろな御努力があったわけであります。

 私も、若いころの経験でありますが、地元の製紙工場の排煙が大変な問題になり、そして、やがてそれが、スラッジはヘドロとなって湾を埋め尽くすというふうな、そういうことを目の当たりに経験したことがございます。しかし、大企業というのは大したものだなというふうに思いましたのは、そのスラッジを今度湾に流さないようにするために、それを未然に防止する方策を編み出したために、パルプの原料を捨ててしまわないでこれを製紙に使える、それから、排煙の煙の中から新たな薬品を抽出して、この金額が脱硫の装置よりもはるかに上回るということで、ああ、大企業というのはどこまでも、転んでも起きてくるときには強いんだなということと同時に、こういうことを徹底的にやっていけば、日本の空もきれいになるし、お互いの健康を保持するという極めて重要な視点も解決できるだろうというふうに思ってまいりました。

 そこで、今、幸いにして小池大臣も大変元気になられて、昨日も電話でもいろいろな打ち合わせをしたところでありますが、我々、ちょうどこういう機会に、経済産業省と環境省、お互いに相協力して日本の環境を守る。そして、今御提言のありました世界の重要な国々、これは面積から考えても大変な国、地球上の存在ですね、このインドと中国とアメリカ。そして、人口においてもこれまた大変なものでありますし、GDPにおきましてもこれは大きな位置を占めるわけでありますから、これらの国に対して、日本が少し環境で進んでいるからといって居丈高に言っていくのではなくて、十分環境問題に投資をし、環境問題に努力をすることがその国の経済発展に必ず結果としてつながってくるんだということを粘り強く説得することが大事でありますし、議員連盟等も各党にもたくさんできておるわけでありますから、議員外交等を通じてもこういうことをやっていくことが大事だと思います。

 なお、インドにつきましては、商工大臣が五月か六月の初めに日本にやってまいります。カマル・ナートという大臣でありますが、私はもう五、六回会っておりますから、この方とも、今のような御意見を十分紹介しながらインドの環境問題を話し合いたいと思いますが、シン首相もその後、夏休みのころまでの間に日本においでになることになっておりますので、これは首脳外交でもってお話し合いをしていただくという努力をしたいと思っています。

大畠委員 経済産業大臣と環境大臣と兼ねて大変だと思うんですが、今御指摘のような形でやってもらいたいと思うんです。要するに、もう中国と日本との政治的な信頼関係がなくなっちゃっているんですよね、経済はあっても。私は、それが国益に反しているんじゃないかと。小泉総理が靖国に行きたい行きたいというのは、それは個人的な心情としてわかりますが、国益をとるのかあるいは私情をとるのかというときは、総理なんだから本来は国益を大事にしなきゃならないんですよ、当然。

 ところが、そんなの関係なしに、いや、おれは行きたいんだから、二度と戦争をしないということを誓いに行っているんだから、外から言われる筋合いはないというので、個人的な話をしていますが、こういう問題についても、中国政府との信頼関係がなくなっちゃったら、あとまだ九月まで半年近くあるわけですよ。その間、ほとんど政治的な空白になってしまうという意味では、私は、四点セットと言われていますが、外交問題もこの環境問題についても非常にマイナスなんじゃないか、それだけは指摘をさせていただきたいと思うんです。

 それで、もう一つ、非批准国、アメリカでございますけれども、あるいは中国、インドもそうで、途上国と言われているんだけれども、この環境問題についてほとんど何にも義務といいますかを負っていないというのは、アメリカも経済的なマイナスだからというんだから、逆に言うと、それを超すぐらいの経済的なペナルティーというものをやはり発動すべきだということでもやらないと、いや、経済に影響するからおれは批准したくない、それが通ってしまうんだったら、みんなの申し合わせなんか何にもなくなっちゃうわけでありまして、ここら辺、経済産業省あるいは外務省、どういう考えでこれから臨むのか。

 私は、何らかのペナルティーというものをそろそろ発動しないといけないんじゃないか。単に大国が経済的にマイナスだからというだけでは、よしとするわけにいかない。だって、五十四億円ですか、今度この予算でも準備するわけなんで、そういうことをやる国もあれば、全く何もやらない国があって、それが地球上で半分、結局、中国、インド、アメリカ、これで大体四八%ぐらいを占めるんだと思うんですが、そういうところが全く手つかずの状態で、日本という国、五%のCO2の排出国がこういうことをやったって、私は無駄なんじゃないかという感じもするんですね。

 ここら辺、外務省か経済産業省、この問題についての見解をお伺いしたいと思います。

肥塚政府参考人 今先生のお話のように、現在の京都議定書の枠組みでは、排出削減義務が課せられている国というのは、世界全体で見ますと、二〇一〇年で三分の一にすぎないということになる。その中で、アメリカ、中国、インドという主要排出国の削減努力が要るというのはそのとおりだろうというふうに考えております。

 これらの国を排出削減を促すための国際的な取り組みに参加させるというのは、先ほどから話がありましたように非常に大事でありまして、そういう意味では、昨年十二月のCOP11でアメリカなどを含むすべての国が参加する対話の場を設置したということでありますので、この対話の場を通じて働きかけるということと、それから、先ほどから話がございますアジア太平洋パートナーシップのようなところで協力を進めていくというのを通じて、アメリカ、中国、インドなどの国際的な取り組み参加を促していくという努力が大事ではないかというふうに考えております。

大畠委員 努力をしていくことは大事だと思うんですが、経済的にマイナスだからやらないんだという国に対しては、私はそんなものでいいのかなと思うんですね。地球上の半分を占める国が結局何にもやらないんだ、委員長。日本だけがこうやって一生懸命、後生大事に京都議定書、京都でやったからやろうというのでやっているんだけれども、それが世界のCO2の排出の五%ですよ。世界の半分の国が、大国がほとんどこの問題については何にもやっていない。何か私は矛盾を感ずるんですね。

 したがって、この問題については、やはり地球環境を考えてそういうことをやろうということを二階大臣にはぜひアジアのリーダーとしてやっていただきたいと要望しておきたいと思います。

 それから、次に、この地球環境問題についてのエネルギー問題でございますが、私は、今資料を見ますと、日本のエネルギーの自給率は四%と言われているんですね、エネルギー自給率。先進国中でも最低。そういう状態にある中で、ではこれからどうするんだという見通しがどうも打ち出されていないと思うんですね。

 例えば、この間ニュース番組を見ていましたら、オーストラリアのウランの鉱石が、九〇年に比べると五倍近くになっているというんですね。このウラン燃料の高騰というものと日本の原子力発電所のウラン燃料の確保、そういう意味では、どういう認識で、どういう努力をされているのか、お伺いしたいと思います。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、ウランの需給が大変逼迫をしてきておりまして、これから世界的に原子力発電が拡大をしてまいりますので、さらに需給が逼迫をし、価額が上昇する可能性があるというふうに考えておりまして、日本にとりましても、ウラン資源の安定供給確保というのがますます重要になっております。

 日本といたしましては、これまで以上に、供給源の多角化でございますとか長期購入契約の確保、開発輸入の促進に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。中でも、我が国企業自身によります海外のウラン鉱山の開発が効果的な安定供給確保策になるというふうに考えております。

 このため、民間企業によります探鉱権益取得に対しまして、石油天然ガス・金属鉱物資源機構によりますリスクマネーの供給を進めるということを初めといたしまして、日本の企業の海外でのウラン鉱山開発への参画支援策を検討いたしております。

 また、昨年十一月には、世界第二位のウランの埋蔵量を有しておりますカザフスタンとの間でハイレベルの協議を行いまして、ウラン鉱山開発分野におきます戦略的な協力関係構築が必要であるという認識を共有いたしました。また、民間企業におきましては、本年一月に、住友商事株式会社と関西電力株式会社が、カザフスタン国営原子力公社でございますカザトムプロム社の新規ウラン鉱山開発プロジェクトに参画をすることとなりました。

 経済産業省といたしましては、こうしたウラン資源国との関係強化も含めまして、ウランの確保に引き続き、民間企業と協力しながら、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

大畠委員 努力はしているということでありますが、私は、その努力の真剣さというのが、中国に比べると日本は非常に希薄。中国は、軍を出してまで、日本の境界線にストローを差し込んで地下資源を吸い取ろうという話ですよね。日本の方は何か、ここら辺は何となくよくわからないところだから推移をよく見きわめてからやろうなんという話なので、それは、では、日本のエネルギーの供給体制というのが盤石かというと、大変残念ながら盤石じゃないんです。自給率四%というんですから。先進国中で最低、最下位ですね。

 そういう意味では、私は、中国がなぜあれだけ軍を出してまで境界線上のエネルギー源を確保しようとしているかというと、中国国内のエネルギーの不足が大変深刻なんですね。日本の過去と同じように急激な経済成長があって、エネルギーが非常に不足し始めている。また、エネルギーが農業問題に使われるという話で、大変中国は不足しています。その真剣さ、切実さというのが、日本の場合にはどうも緩慢じゃないかという感じが私はするんです。

 そこで、日本における、例えば石油もそうなんです、石炭もどうもおかしくなってきていますね。世界の石炭もまだまだあるとはいいながら、どうも頭打ちじゃないか。石油の方も大体、どんどんどんどんふえてきたんだけれども、どうやらこれから下降線をたどるみたいだ。では、日本はどうするのか。

 外交問題において、食料の自給率も三割台、アメリカからの穀物輸出がストップさせられた場合には、日本の食料関係はストップしてしまう。ロシアがその影響を受けて、アメリカの政治的な要求に対してはそれを丸のみせざるを得なかったという報道番組を見せていただきましたけれども、日本の独立国としてのエネルギー、食料、非常に私は大事だと思うんですね。では、日本は、エネルギーのどういう路線でいくんだ、それが明確じゃないんです。

 私は、ここで原子力発電所の使用済み燃料のリサイクル計画についてお伺いしたいんですが、これもまだ明確じゃない。何となくだれかがやるだろうということを言っちゃ失礼かもしれませんが、お互いにまあこの程度やっておくかという、いま一つ私は真剣さが見えないんですね。日本における、もちろん、FBRが途中で例のナトリウムの漏えい事故で九年間も運転休止していましたからそういう背景はわかるんだけれども、ではどうするんだという関係者の真剣さ、あるいは国の真剣さというのがいま一つ政策にあらわれていないんです。

 この問題について、日本のエネルギーの、特に原子力の使用済み燃料の再利用も含めて、どういう方針でやるんだという、真剣な方針についての御見解を少しお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 原子力エネルギーの問題につきましては、私どもエネルギーの安全保障ということを考えた場合に、ぜひこのことに対して、国民の皆さんの御理解を得ながら、核燃料サイクルを初めとする原子力政策に御協力をお願いしたい。

 私も、先般、青森県、佐賀県、そして昨年の末には福井県、それぞれお伺いをして、知事とも懇談すると同時に、地元の市町村長さん、県会の議長さん、その他の方々とも会談をし、安全の確立につきまして、私ども経済産業省が取り組んでおる経過について御理解をいただくと同時に、このことに対して、私どもは責任を持って安全の確保に今後とも努力をするということを申し上げてまいりました。四国の伊方のプルサーマル計画につきましても、厳正な審査をした上で許可をしておるところであります。

 これには程度がありますから、私ども、こういう、現在与えられた環境、与えられた条件の中での対応としては、精いっぱいの努力をしておるところでありますが、これでもほとんど努力が足りないような御指摘でありますが、私どもは自信を持って、核燃料サイクルを含む原子力発電を我が国のエネルギー政策の大きな柱として考え、真剣な取り組みを行っておるところであります。

 いずれにしましても、安全の確保ということが大前提であることは申すまでもありません。国民の皆さんの御理解、御協力を得ながら、核燃料サイクルの推進に今後とも万全を期してまいりたいと思っております。私もこの委員会終了後、福島県の知事とも電話で会談をしたいというふうに思っておるわけでありますが、あらゆる面について私ども努力をしてまいりますから、それぞれの政党におきましても一層の御協力を心からお願いしておきたいと思います。

大畠委員 今のお話はわかりますが、私が、日本の国がいま一つ明確な方針を打ち出していないんじゃないかという指摘をさせていただいたのは、フランスでは、既に二〇二〇年をめどに第四世代の原子炉のプロトタイプ炉の開発に取り組むということをシラク大統領がもう打ち出しているわけですね。それから、一九九二年にいわゆるバタイユ法が制定されて十五年間、廃棄物の処理処分に関して一兆円投入して、研究開発をしながら、国民に対する説明責任を原子力関係者、研究者も含めて全員に課しているんですね、そしてこの十五年間やってきたわけです、それまで。

 ところが、日本の場合には、何かそこら辺が緩慢で、事故が起こると事故対策ということでやるわけですが、じゃ、先はどうするんだということを指し示す人がいないんです。小泉総理が、原子力発電所に関して、エネルギー問題について発言したというのは私は記憶にないんですが、やはり、食料問題、エネルギー問題あるいは防衛問題、これは非常に大事なんです。だから、このエネルギー問題についても今やっているんだよというお話がございましたが、それであるのであれば将来を見通した、例えばフランスのバタイユ法に見合うような、処理処分というのは非常にわかりにくいんですね。ガラス固化体だとか、いわゆる百年だとか三百年だとか、一万年とか三十万年だというふうな話も出るし、一体どれがどうなのか、説明を聞いても紙を見てもよくわからない。

 やはり、現物で、国民の皆さんにわかってもらおうというので、この十五年間、フランスは廃棄物の処理処分に関して集中的にお金を、税金を投入しながら国民の理解を得る努力をしてきたんです。ことしの夏にもまた改めて廃棄物法案というのをフランスでつくるそうでありますが、日本の場合にはそういう動きが見えないんです。

 六ケ所がやっとこの間稼働し始めましたけれども、先はどうするんだというのが、どうも手探り状態をずっと続けてきたんじゃないかという思いが私はあるんですね。したがって、もっと先を見通した方針を国が打ち出すべきじゃないかという考えを持っているんですが、この件についてお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 今、日本の経済界からも、やはりエネルギー問題が極めて重要だという視点で、いろいろな方々からアドバイスをいただいておりますが、私自身も、先ほど申し上げましたような、原子力の立地地点にみずから参りまして、関係者の皆さんの御意見、また市町村長さんやあるいは知事の取り組みの様子をつぶさに拝見して、この方々にだけ任せておいていいのかと。やはりオール日本でこの問題に取り組まなくてはならないのではないかという思いを深くいたしております。そういう面で、今、大畠議員からの御指摘等を踏まえても、今後、必要な法的な整備、あるいは予算の確保、こうした面について思い切った対策をしていく必要があると思います。

 私は、随分若いころにフランスを訪ねましたときに、日本で廃棄物の処理とかいろいろなことでいつもごたごたしているようだが、何か問題があったらフランスへ持っていらっしゃい、こう言うんですね。私は、持っていくような立場でもそのころないわけですから、答えのしようもないんですが、そのときジョークとして、フランスにはカーターはいないからね、こう言われたことを印象深く覚えておるわけでございます。別にカーター大統領に私は特別の考えを持っているわけじゃないんですが、そう申し上げたら時期が大体わかると思って申し上げました。というのは、フランスはフランスで歴史的にやはり取り組みの気概が違うわけですね。

 そういう面で、今、大畠議員から御指摘いただいたこと、きょうは経済産業省だけではなくて外務省も環境省も幹部がこの質疑に参加をいたしておりますから、それらの閣僚とも相談をしながら、ただいま御指摘をいただいたことなどを受けて、今後、日本のエネルギーの確立のために、ここでやはり将来を見据えた対策を講じていかなくてはならない、そういう思いを持っておりましたが、ただいまの御意見を大いに参考にさせていただきたいと思います。

大畠委員 ぜひそれは二階大臣に取り組んでいただきたい。これは、自民党とか民主党が、政権をとった、とられたの話じゃなくて、まさにエネルギー問題というのは、長期的なものでありますから、これは継続が必要だし、また、外交上もこのエネルギーというのは非常に大事なんですね。だから、日本がエネルギーの使用済み燃料を含めてサイクルシステムというのをきちっと確立したときに、初めて日本はエネルギー問題について強い立場になるんですね。

 今、石油関係でも、中東に九割でしょうか依存しているというお話もございますが、非常に不安定なところもあります。石油もだんだん上がってきてどうなるかということでもございますから、エネルギー問題について、日本の国内で自前で担うことができるというその力を持つことが私は大事なんだと思うのですね。独立自尊という意味からいっても、ぜひその点を御理解いただいて、今御指摘のような形のものを進めていただきたい。

 そこで、放射性廃棄物の処理処分について国民への説明責任というものを、国は、どうも私は果たしていないんじゃないか。関係者の皆さんも、国民に対する説明責任を負っているんだという意識が私はまだ少ないような感じがするんですね。

 フランスの方に行きますと、研究所でも何でもそうですが、実際の作業場にパネルが四、五枚置いてありまして、フランス語と英語ですけれども、その現場で仕事をしている人が全部説明してくれるんですね。そういう意味では、日本の研究機関あるいは研究に携わっている方々の意識も、あるいはエネルギー庁の方でも、委員会ではやりとりしますが、一般国民に対する説明責任という意識が私はまだまだ不足していると思うのです。

 先ほど大臣が、法的な措置というお話もありましたが、その中には、国民に対する、納税者に対する説明責任を負っているんだということも織り込んだ形の法律案が私は必要だと考えておりまして、ぜひ関係者に一層の奮起を求めるところであります。

 あと二、三分でございますけれども、私は、そんなことからしますと、これまで日本も原子力発電所に取り組んできて四十年、いろいろイギリスからコールダーホール型の炉を完成品を輸入して、設置して始まってから四十年たったわけですが、技術を随分蓄積もし、ある程度のレベルまで達して、逆に言えば世界でも有数な原子力技術国になったと私は思います。この技術を今後どうするんだというところがどうも見えないんですね。

 日中間の政治的な対立構造の中で、中国がこれから五十基とか百基とか原子力発電所をつくりたい、それは、PWRでフランス関係から入れたいというような状況もありますが、日本のこの蓄積した技術というものをこのまま私は放置してもいいとは思いませんし、日本の担った技術あるいはプラント建設というものも含めて、技術を大いに生かして、私は、アジアに対する貢献をすべきだと考えておるんですが、ここら辺についての基本的な考え方についてお伺いしたいと思うんです。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、アジア、中国を初めといたしまして、原子力発電所、特に中国は相当多数の原子力発電所をこれから建設する予定になっております。これまで中国に対しましても、研修生の受け入れ等原子力安全の確保のための人材育成にも協力をしてきておりますし、また、四基の原子力発電所の建設には日本企業が応札をいたしておりますけれども、これにつきましても、昨年二月に、日本政府としてもこの参画を支援するという経済産業大臣からの書簡を発出していただき、かつ中国政府ともいろいろな形で接触をしてきております。

 また、ベトナム、インドネシア等におきましても、原子力発電の導入の計画がございますけれども、まず、その前提といたしまして、制度の整備が必要でございます。この制度整備に協力をするということで、十八年度から五千五百万円の予算を確保いたしまして、こうした国に対しまして、ソフトな形での協力をする事業を始めたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、先生の御指摘のように、アジアを中心にいたしまして、原子力分野でも、日本の持っている技術を生かして積極的に協力を進めていきたいと考えております。

大畠委員 おおよそこれで私の質問は終わりますが、今まで質疑を重ねてまいりましたが、私はやはり、日本のエネルギー問題についての政府の御認識というのはまだまだ薄いと。アメリカだってエネルギー省を出しているわけですね。世界の主な国はエネルギー省というのを持っているんです。やはり、エネルギーというのが大変国の中枢であるという意識を持っているんですが、日本の場合にはどうも経済というものが大変重みになって、その大変重要なエネルギー問題についてはどうも私は軽んぜられているような感じがして仕方ありません。

 ぜひ大臣におかれましては、エネルギー省をつくろう、この行政改革の中でありますから難しいかもしれませんが、やはり国の中枢にエネルギー省というものがあるということを実現すべきだと私は考えておりまして、これを申し上げまして質問を終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 民主党の北神圭朗でございます。

 先日も当委員会で質問をさせていただいたわけでございますが、もともと産業政策とかエネルギー政策に関心もありましたが、先輩議員の圧力もこれありまして、当委員会に先週の水曜日から正式メンバーとなりましたので、よろしくお願い申し上げます。

 本日は、NEDO及びいわゆる石特ですね、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。

 今回の法案は、京都議定書目標達成計画に基づいて国内での取り組みというものが優先される、最大限努力して、それでもなお排出削減目標に届かなければ、不足する排出削減量についてNEDOによってクレジット取得業務というものを実施するための改正だというふうに理解しております。私は、地元が京都ということでございまして、この京都で締結された議定書に基づく環境対策を実効性のあるものにぜひしていただきたい、そして私もぜひ頑張っていきたいという強い思いがございます。

 他方、この京都メカニズムなるものは、環境対策の側面からいえば決して王道とは言えない。まず、やはり王道というのは、国内での削減努力というものがあると。

 しかし、王道ではないかわりに、この京都メカニズムというものは、環境対策に限らない広がりがあるというふうに思っております。一つは、当委員会でも何度も審議に上がってきた事項でございまして、国内の企業のビジネスチャンスの拡大ということが挙げられると思います。もう一つは、先ほども大畠議員が語っておられましたが、外国に対する技術移転を通じての外交政策、外交的な側面というものもあるのだろうと。少なくとも、私は、その点について、本日強調して議論をしていきたいというふうに思います。

 運用次第では、この京都メカニズムというものも、世界で最もすぐれた環境技術、エネルギー技術を誇る日本が、その優位性を保って、あるいは優位性を生かして、諸外国との外交というものをより国益にかなったものにできるのではないか、そういった外交的な視点から、非常に大事な課題だというふうに思っております。

 今申し上げたのは、ある意味では変則的なとらえ方なのかもしれません。しかし、そういった視点も大事だというふうに私は思っておりまして、ぜひそこは、二階経済産業大臣におかれまして、今回の京都メカニズムに係る改正法律案の意義をどのようにお考えなのかというものをお聞かせ願いたいと思います。

二階国務大臣 地球温暖化防止のために京都議定書の約束達成ということは我が国にとってはもう極めて重要なことでありますので、政府挙げて最大限努力をしてまいりたいというのが決意の第一であります。

 このため、政府として、京都議定書の発効を踏まえ、平成十七年四月、京都議定書目標達成計画を閣議で決定しておりますことは御承知のとおりであります。この計画に基づきまして、まず、先ほどお述べになりましたように、国内での取り組みに最大限努力する、私もこのことが重要だと思っております。地球の裏側で何かをやるということだけではなくて、やはり私たちとしては、国内の環境問題を他の国の模範になるようなことに仕上げていかなくてはならないと思っております。

 なお、そうした努力をしてもなお目標達成に不足するその差につきまして、議定書で既に認められておりますとおり、京都メカニズムによる対応をすることになっておることはこれまた御承知のとおりであります。

 この法律案は、京都メカニズムのもとで、政府が、温室効果ガス排出削減量等、いわゆるクレジットを取得するための制度を構築するものであります。予算としては五十四億円、そしてまた国庫債務負担行為として百二十二億円お認めを願っておりますので、これらを最大限活用しまして、より効果が上がるように努力をしてまいりたいと思いますが、あわせて、先ほど御質問の中でもお述べになりましたビジネスチャンスやあるいは海外への技術移転、そうしたことも踏まえて、日本の国際的な地位の確立に環境を通じて努力をしてまいりたい、このように思っております。

北神委員 今、経済産業大臣から、主にCO2削減の観点から今回の法律案の意義をお聞きしました。それはもうおっしゃるとおりで、第一義的にはこれは環境対策としてとらえるべきだ、附属的にビジネスチャンスの拡大とか技術移転の部分があるというふうにおっしゃったことだと思いますが、私は、それはそれで本当に一番大事な部分で、最大限政府としても努力すべきだというふうに思います。

 しかし、一方で、先ほど申し上げたように、日本の政府があらゆる手だてを尽くして総合的な外交政策というものを実行するのであれば、その外交政策というのは当然そういうものであるべきだというふうに私は思いますが、本法律案の運用の段階において、やはりそういう外交的な見地というものも加味していくべきじゃないか、いや、むしろそういうことが可能で、そういったことをやるべきではないかというふうに思っているわけでございます。

 抽象論に聞こえるかもしれませんが、具体的に言えば、日本の環境技術、省エネ技術、こういったものをどういった国に積極的に移転するのか。そして、そうすることによって、当然そうした国と外交的な連携が深まるわけでございます。逆に言えば、積極的に移転しない国もあるかもしれない。そういった国とは疎遠になるかもしれないし、場合によっては外交的な牽制になる側面もあるというふうに思うわけでございます。私が申し上げているのは、そういう外交的な視点だということでございます。

 そうした視点から、今回の京都議定書の京都メカニズムのスキームというものは、基本的には、民間会社がそれぞれプロジェクトを見つけてきて、それをNEDOに認定していただく、そこでこのクレジットの話が進むわけですよね。

 そういった意味では、私は、もちろん法律でがんじがらめにすることは必要ないと思いますが、民間会社にプロジェクトあるいはホスト国の選別、決定をただ放任するというかお任せするのではなくて、ある程度政府の方針というものがあるべきではないかと。

 具体的には、今回のクレジット取得スキームの中で、対象となるホスト国について戦略的な色づけというものも可能であるし、すべきではないかというふうに私は思っているんですが、これを政務官の方に伺いたいと思います。

片山大臣政務官 先ほどから我が国のエネルギー戦略についての御質問も相次いでおるわけですが、私どもも新国家エネルギー戦略というのを今策定中でございまして、先般大臣の方から経済財政諮問会議でも中間報告をいただいて、小泉総理の方からも、非常に重要な問題であるというお話をいただいておるわけです。

 そういった中でも、エネルギー戦略の中でさまざまな協力の分野が重要だと。特に、アジア、中国、インドを中心としたBRICs的な中進国になりそうな途上国であったり、あるいは一般の、我が国が従来から援助対象としてきた途上国であったり、そういったところに日本の冠たる新エネルギーや省エネルギーの技術も提供していかなければいけないし、また原子力の問題もあるということは盛り込まれております。

 今般、今回法律でお願いしております、NEDOがクレジットを取得するというこのメカニズムでございますが、やはり前回の御審議のときにも御質問にお答えしておりますが、原則公募によってプロジェクト事業者を選定するということにしておりまして、その選定に当たっては、やはり確実性と費用対効果を考えております。それはもう委員にまさに釈迦に説法でございますが、今回初めてこういったスキームをお願いして、また予算もお願いしているということでございますので、確実性と費用対効果ということをまず最優先に考えております。

 事業者の選定に当たっては、まず、その排出削減事業の成否、要するにできなかったらそこからはクレジットにカウントしてもらえない最終結果になりますので。それから財務能力とか提案された価格の問題もございますし、ここに厳正な評価をしなければいけないんですが、さらに、こういった要素に加えて、事業が行われる国の政治経済状況も十分要素に入れるということになります。ですから、政情不安定であるとかそういった問題は、そこである程度評価に入ってくることにはなると思います。

 いずれにしましても、政府といたしましては、クレジット取得の可能性をまず広げていかなければなりませんので、我が国企業の排出削減事業の実施の円滑化を含めまして、今まで以上に、おっしゃったような点も踏まえ、発展途上国との協力には主体的に取り組んでいくということになると思います。

北神委員 今、プロジェクトの公募によって、選定基準として、当然税金が入っているから、そのコストの面というものもしっかり見ないといけない、あとホスト国の政治経済の安定度というものも見ないといけない、それは本当におっしゃるとおりであると思います。

 しかし、私が申し上げたいのは、これは極端な例ですけれども、例えば、北朝鮮というのはちょっとおかしな話かもしれませんが、北朝鮮ほど日本にとって懸念を示すような存在じゃないかもしれませんけれども、ある程度、今後、近い将来の中で、東南アジアの国あるいは発展途上国の中で、あるいは中国とかこういった国が日本と外交的に緊張関係になっていくことも当然想定できるわけでございます。

 そういったときに、ただただ純粋に環境、CO2の視点とかあるいはそのコストの面とか、そういった観点だけでは、私は、これは国の政策であるわけですから、そういった点についてはやはり国益というものを踏まえていかなければならないし、総合的な外交戦略というものが我が国に余り見えていないというふうに思いますが、やはりそういった観点からもこの京都メカニズムというものをとらえなければならないし、このプロジェクトの選定、ホスト国の選定というものも、その中に、運用の面で、運用の段階でそういった視点というものを加味していただきたいというふうに思います。

 そういった趣旨ですので、ぜひそういった視点からプロジェクトあるいはホスト国の認定というものをとらえていただきたいということでございます。

 それで、今、発展途上国という話がありましたが、そういった発展途上国は、今、残念ながら、京都議定書のスキームの中に入っていない。今申し上げた技術移転を通じた外交についても、やはり彼らがこの枠組みの中に入った方が当然この日本の優位性というものも確保できるわけですよね。向こうもある程度CO2の削減というものも義務づけられる中で、日本に対する省エネ、エネルギーの技術というもののニーズも高まる、そういったところに日本というのは外交上のレバレッジというものが生じるわけでございます。

 そういった意味で、先ほど大畠委員からも話がありましたが、既にお隣の中国とかインドとかさらにはブラジルとか、こういった発展途上国、先ほど大臣から、都合よく使い分けて、時々発展途上国、時々先進国という話もありましたが、もう事実上巨大な工業国家として世界有数のCO2の排出国となっているわけです。こうした国が京都議定書のスキームの中に入ってもらって、我が国が今回の京都メカニズムのこの枠組みというものを、私が申し上げている視点からいえば、外交戦略的に活用することが可能になる、そしてこういった国との重要な一種交渉手段となるというふうに思うんですが、ぜひ早急に、中国とかインドとかブラジルとか、こうした発展途上国を京都議定書の枠組みの中に入れていただきたい。

 その辺の大臣の努力というか、そういったものをぜひお聞かせ願いたいというふうに思います。

二階国務大臣 ただいまの御指摘は、先ほどの大畠議員の御質問に続いて、大変もっともなことであります。

 何分、この超大国が、面積の面におきましては、今の仰せのブラジルを加えれば大変な面積を地球上有するわけでありますが、それらの国々がこの地球温暖化問題に積極的に参画、またそれなりの役割を果たしていただけるかどうかということが地球温暖化の防止に対してどれほどの効果を及ぼすかということになるわけであります。

 先ほどお話のありましたところはもう答弁を繰り返しませんが、ブラジルからは、エタノールをぜひ日本で活用してほしいなどということを、外務大臣やあるいはエネルギー担当大臣からしばしばお話があり、近くエネルギー担当大臣も日本にお越しになります。私は、その際、バイの会談におきまして、今御質問にありましたような点につきまして、我が国の国会でもこの問題が取り上げられておる、貴国のエネルギー問題そして環境問題に対してこのような意見があるということをしっかり御紹介をして、お考えをいただくように努めてまいりたいと思います。

北神委員 ぜひその点について強く要請したいというふうに思います。

 これは、発展途上国だけではなくて、当然、先ほどこれも大畠さんから話がありましたが、アメリカの方も一番CO2を産出している国である、しかも最初にこの枠組みの中に入っていて、聞くところによると、京都メカニズム自体が割とアメリカの、当時は民主党ですか、民主党政権が推奨していた。

 当然、私も初めて法案を読ませていただいたときに、環境対策というよりは何となくアングロサクソン的な、何でもビジネスに変えていくような、そういった発想が色濃いなというふうに思ったわけでございますが、どうも、経緯的に見ると、これはアメリカを枠組みの中に入れていくための一つの呼び水みたいなものであったというふうに聞いております。そして、そういったことをしながら、結局、京都議定書の中から逃げてしまった、経済がマイナスになるからと。

 まさに京都メカニズムというのは、その点、経済的なところも配慮しているわけですよね。国内の企業にとってもある程度ビジネスチャンスがふえていく。そういった視点というものを、私も今までの経緯というものを詳しくわからないんですが、アメリカを引き入れるためには、もう一回こういったところをもっと強調したり、実際、日本でも件数がもう既に挙がっているわけでございますし、ヨーロッパとかでもいろいろな国がもう既に実績を上げている。

 こういった側面というものを強調すべきでもあるし、さっき申し上げた発展途上国と一緒に入る。アメリカの一つの懸念というのは、発展途上国が入らないのであれば我々も入る必要ない、そういったことも言っているらしいので、ぜひ、そういった二点を踏まえて、アメリカもぜひ入っていただかなければ本来の京都議定書の目的というものは達成できないわけですから、その点についてもう一度、大臣の、あるいは政務官の決意をお聞きしたいと思います。

片山大臣政務官 この法案の御審議に入りましてから、一連の御質問の中でその件は非常に大きく取り上げておりまして、御承知のように、昨年十二月のCOP11それからCOP/moP1におきまして将来枠組みについて一定の合意は得られたわけでございますが、それは御承知のように完全に十分なものではありません。

 条約のもとでの対話を開始するということについては、御指摘のような米国それからCO2削減により大きな貢献が期待されるような途上国も含めて参加するということについては一定の合意は得られたのですが、新しいコミットにつながる交渉を開始するものではないということになっておりますし、後は、先進国の第二約束期間の削減目標の交渉ですとか議定書全体のレビューのための準備ということについては合意が得られたのですが、結局は、先進国の第二約束期間の削減目標の交渉という部分の交渉ということ以外には開始のめどが立っていないわけでございます。

 ただ、ことしになりましてから、ブッシュ政権は、エネルギー問題についてかなり軟化というか変化を見せておりまして、GNEPのようなこともありましたし、それから、諸外国との対話また政府高官の発言等を見ましても、先ほどの御質問で核燃料サイクルの問題もありましたが、やや、クリーンエネルギーに対する大変な関心も高まっておりますし、また国際協力についても、やはり米国としても今までのとおりでいいのかというような機運が上がってきております。

 ここは、今現在はそういうコミットメントにつながる交渉ができているわけではないのですが、まずアメリカにおいては国内の目標をつくるという方向で動いていただけないのかというお話と、アジア太平洋パートナーシップというのが本年一月、シドニーで行われまして、西野副大臣が御出張されて、ここでも一定のセクターがあったわけで、これは官民セクター協力でございますが、日、米、豪、中国、インド、韓国の六カ国でございますので、こういった枠組みもうまく動かしながら、何とかそういった方向で努力したい。こういう方向につきましては、政府全体で一致しているものと考えております。

北神委員 ぜひ、この件については、日本側に大義名分があるわけでございますから、堂々とアメリカに対して主張していただきたいというふうに思います。

 先ほども福沢諭吉の独立自尊という言葉もございましたが、これは私の個人的な考えですが、本来日本というのは、それ以前に、聖徳太子のときから隣国の隋帝国に対して対等であると。それが日本の国是だというふうに私は思っているわけでございまして、そういった意味では、決してアメリカというのは、先ほど大臣からも強く、我が国は従属国ではないと。当然のことでございます。

 私は、別にあえていわゆる自虐的な観点から言っているわけでもないし、逆に言えば、ただただ、現実を見据えずに、いや、日本とアメリカは対等なんだ、日本は主権国家なんだということを言っているのも、現実をやや冷徹に見ていなくて、ある意味では思考停止に陥っている、そういった部分もあるというふうに思っております。やはり独立の気概というものを持ち直して、こういった問題についてアメリカに対して強く申し入れるべきだというふうに思っているわけでございます。

 これは、私が今申し上げている外交的な視点でいえば、京都議定書に入る入らない、こういった部分もありますし、今回の京都メカニズムの中に、実際にどういった国を技術移転の対象とするか、そういった運用の部分についても外交的な配慮が必要なんじゃないか、そういった趣旨を申し上げた次第でございます。やや大上段にかぶったわけでございますが、ぜひ、こうした外交的な視点を政府にもあわせ持っていただきたい、そういうふうに思っているわけでございます。

 これからちょっと細かい具体論に入りたいというふうに思いますが、まずは、今回の京都メカニズムの改正法律案に関する財源論についてお聞きしたいと思います。

 今回の法律案は、NEDOが行うクレジット業務の取得に必要な事業の一部について、平成十八年度の予算に限っていえば、八億円ほどは一般会計から歳出をするということになっておりますが、大半の四十六億円については石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計、石特とこれから言いますが、石特から支出することになっております。

 まず、あえて石特を活用する趣旨というのはどういうところにあるのか、お聞きしたいと思います。

肥塚政府参考人 京都メカニズムの活用は、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、国民各界各層が最大限努力してもなお京都議定書の約束達成に不足する分についてのクレジット取得を制度化するということでございます。

 このクレジットの取得は、エネルギーの利用及び産業活動に対する制約を避け、環境及び経済の両立を目指すというものだと考えております。

 石特会計制度の趣旨は、環境配慮と経済成長の両立を可能とするエネルギー需給構造の構築を図るということでございますので、クレジットの取得は、エネルギー利用に対する制約を避けるためのもので、石特会計制度の趣旨に沿ったものであるというふうに考えております。

北神委員 基本的に、私は、この法律案については大枠は賛成でありますが、ちょっとこの財源のとり方についてやや戸惑いを覚えているわけでございます。

 今、石特で使う趣旨の話もされたわけでございますが、御存じのように、現在、行政改革特別委員会というものが開かれて、行政改革の流れの中で最も大きな目玉として特別会計の改革というものが議論されているわけでございます。そういった状況で、今回の改正法律案では石特で財源措置を行っている。

 私も、今お話がありましたが、絶対特別会計を使っちゃだめだと言うつもりはございませんが、今いわゆる特別会計の改革というものがいろいろ議論されている。当然、経済産業省としてもそういったことに対して敏感であるはずだというふうに思いますが、そういった中で、先ほど趣旨の話もありましたが、あえて特別会計というものを活用した趣旨について、もう一遍再度お聞きしたいと思います。

肥塚政府参考人 平成十八年度の石特会計予算におきましては、厳しい財政事情の中で、特別会計改革の推進とエネルギー政策の遂行という両面を念頭に置きまして、事業の効率化、重点化を図り、歳出も大幅に削減しております。石特会計の歳出予算につきまして言いますと、十七年度の六千四百三十二億円に対しまして五千七百八十億円と、六百五十二億円の削減を図っているわけでございます。

 今回のクレジット取得につきましては、エネルギー政策上極めて重要な政策であるということで、今申し上げましたような事業の効率化、重点化、あるいは歳出の大幅削減という中で厳しく選別した施策の一つとして歳出根拠を与えるということをお願いしている次第でございます。

北神委員 一生懸命これまでも特別会計の歳出を削減してきたという趣旨だというふうに思います。

 あと、エネルギー対策にとって非常に重要な政策だから特別会計というものが正当化されるというお話でございますが、特別会計というのは、御存じのように、受益と負担の原則というものがなければならない。そういったところについて、この石油特別会計を活用するに当たって、今回のスキームの中でどこに受益があって、どこに負担があるのか、それをお聞きしたいと思います。

肥塚政府参考人 先ほど申し上げましたように、京都メカニズムの活用は、国民各界各層が最大限努力してもなお約束達成に不足する差分についてのクレジット取得ということでございますので、このクレジット取得は、エネルギー利用に対する制約を避けるためというふうに考えられます。したがいまして、エネルギーの利用者がその財源を負担する石特会計に計上するということが適当だというふうに考えております。

 ちなみに、先ほど先生からもお話ございましたけれども、予算をお願いしているうち約八六%分を特別会計でお願いしておりますけれども、これは、エネルギー使用による二酸化炭素の排出状況が約八六%、それ以外の代替フロンその他の温室効果ガスが残りの一四%ということで、この比率を反映させて特別会計と一般会計に計上しているということでございます。

北神委員 一つ私がこの特別会計を使っておられるのを見まして思ったのは、国内の省エネ対策に特別会計を使って、それによってCO2が削減される、それによってその受益というものが国内に生ずる、こういったことで今までも省エネ対策に石特を使っているというのは私も承知しているわけでございますが、今回のスキームというのは一種バーチャルな制度でありまして、外国に技術、省エネ対策というものを移転して、あるいは省エネ対策というものを実施して、外国におけるCO2の削減というものを図るわけであります。そのクレジットというものを日本で取得して、あたかも日本の目標を削減するということになっているわけでございますが、そういった点でいえば、これはちょっと考え方が違うのかもしれませんが、受益と負担という関係がやや飛躍しているんではないか、あいまいじゃないかというふうに思うんですね。

 その点についてちょっと見解をお願いしたいと思います。

片山大臣政務官 委員は、特会、財政法の問題についても大変お詳しいので御質問をいただいているわけでございますが、まさに今回NEDOがクレジット取得を行うというこの京都メカニズムのスキームにつきましては、海外で行われる部分をカウントできるという、最後にこの京都メカニズム部分が入ったわけですね。認められるということは、いろいろな努力を総合的に行った上でどうしてもそれが目達できない場合はそちらを使っても構わないということでございまして、やはり総合的には、いろいろな努力を国内で、さまざまな努力、今までも御説明させていただきました努力を行うわけですが、今後の目標達成期間までの間におきましては、産業界のことですから変動等もあり得ますので、そういったことを踏まえて、京都メカニズムを使う分につきましては、それが効率的にかつ確実的に実施できるようにすることの方が、我が国全体のエネルギーの需給が逼迫しないという意味からも適切ではないかという判断で、そういった条約上の枠組みに合意し、今回も法律をお願いしているわけでございます。

 また、特会の改革が今回、通称行革プログラム法につきまして非常に重要な要素になっておりますが、全体の特会の数が、三十一から、二分の一から三分の一になるというのは、私の承知しております限りでは、戦後、昭和二十二年に財政法ができて以来これだけのドラスチックな改革を行ったことがない中で、私どもが所掌しております両エネルギー特会につきましても六百億円ぐらいを一般会計に貢献させていただくとともに、二〇〇七年度をめどに両特会を統合するということも考えております。特に剰余金や積立金の点検につきましては厳しく行い、また、前国会でも指摘されました広報予算等につきましては、多くのものをゼロ項目にもさせていただきました。

 また、余剰の問題につきましては、やはり備蓄の問題等のタイムラグがあるということを今までは申し上げてきたわけですが、さらにそれを厳しく、できる限りのところまで抑えさせていただいて、全体におきまして相当な減額を、具体的には歳出削減分、当省分だけで六百五十一億という前例のないものですが、させていただいた上で、新エネ、省エネ対策と並んで、今回の環境と経済の両立という意味からでのエネルギー確保、エネルギー逼迫にならないような責任あるエネルギー政策の中で、この計上はやはり必要欠くべからざる重要なもの、取捨選択を重ねて、選択と集中をした上でも重要なものということでお願いをしているわけでございます。

北神委員 私が今申し上げた受益と負担のところについてちょっと政務官は触れられなかったんですけれども、要はこれ、国内の省エネ対策だったら私はわかるんですよ。要は、エネルギー利用者にとって、日本の環境がよくなる、空気がきれいになる、そういった受益があると。

 でも、これは外国に対して削減を求めるものであって、あるいは促進するものであって、外国の受益にはなるかもしれないけれども日本の受益にはならないというふうに考えているわけですけれども、これはどういうふうに整理されているのかお聞きしたいと思います。

肥塚政府参考人 いわゆる石特会計におきましては、例えば石油資源の開発でございますとかいうことで、エネルギーの開発あるいは導入といったようなものにも使われておりますけれども、今先生のお話の省エネルギーは、エネルギーの利用を全体として効率化させる、あるいは減少させるということを通じてエネルギーの制約を避けていくという効果なんだろうと思います。

 したがいまして、省エネルギーについても、エネルギーの利用者が負担している。そういう意味でいいますと、海外でクレジットを取得するということも、国内におけるエネルギー利用に対する制約を避けるという意味では同じだというふうに考えておりまして、したがって、エネルギーの利用者がその財源を負担する石特会計でお願いしているというふうに考えております。

北神委員 つまり、その事業者にとって便益があるということですね、エネルギー制約がなくなるということで。

 今いろいろ御説明を聞きましたが、特別会計についてちょっと、百歩までいかないかもしれないけれども、十歩ぐらい譲って、これはふさわしい、あるいは特別会計を使う十分な条件がそろっているということかもしれませんが、私が申し上げたいのは、消極的な理由としてはそういったことも、特別会計を使っても問題ないということは言えるかもしれません。しかし今、特別会計の改革の議論の流れの中で、逆に言えば、一般会計を使ったらだめだということもないと思うんですよね、実際に今回も一般会計も一部使っているわけでございますし。

 そういったことからいえば、今回の法律案についてどうこう申し上げるつもりはないですが、これまた来年度も予算措置というものもあると思います。そういったときにぜひこういった論点も踏まえて議論をしていただきたいなというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

肥塚政府参考人 私どもとしましては、石特会計の制度、趣旨自身が環境配慮と経済成長の両立を可能とするような、省エネルギーを含めましてですけれども、エネルギー需給構造の構築を図るということが特会制度の趣旨だというふうに考えておりますので、クレジットの取得も、そういう意味では特別会計の趣旨に沿ったものではないかというふうに考えています。

北神委員 しつこいようでございますが、石油特別会計も剰余金がたくさん生じている。先ほど削減をされてきたという話もありましたが、去年の、ちょっとファクスの上の方が切れていて正確にはあれなんですけれども、平成十七年十一月の財政制度等審議会においても、確かに、石油特別会計において、「一般会計からの繰入れを縮減している。」そして、「この結果剰余金は縮減しているが、なお高い水準にある。」というふうにも指摘されているわけですよね。

 だから、要らぬ誤解というか、そういったことを避けるためにも、一般会計で措置するというのも非常に賢明な判断かなというふうに思うんですが、もう質問の時間もあれなので、それについてぜひ議論いただきたいということを要請申し上げまして、本日は、外交的な視点、そして財源論について質問をさせていただきましたが、そういった点についてまた今後も検討いただきたいというふうに思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

石田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 NEDO法、石特法の質疑に当たりまして、エネルギー政策、環境政策の議論のいわば前提として、原子力の安全確保の問題、また、原発立地地域との信頼関係が問われる問題として、東京電力の第二原発三号機におきまして再循環系配管にいわば維持基準を満たさないひび割れがあったという問題について、関連して質問をさせていただきます。

 東京電力は、先月、三月二十二日に、福島第二原発三号機の再循環系配管のほぼ全周にわたって、一周するようなひび割れがあったことを明らかにし、これを超音波探傷検査で見落としていたと発表しました。

 去年の三月から五月の定期検査の際に、超音波探傷検査で長さ十七ミリ、深さ五・八ミリのひびを見つけていたが、国の維持基準に基づいて、五年間以上運転を続けても問題ない、配管の交換は不要と判断をしました。しかしながら、交換してもらいたいという福島県の要求を踏まえて、その配管を交換しました。

 この切り出した配管を東電が調べたところ、ひびがあると言われていたすぐそばの溶接部分で、直径六十センチの配管ですから、六十センチ、厚さ三十八ミリの管の内壁をほぼ一周するひびが、最大のところでは約八・八ミリのひび割れが見つかったということです。

 国の維持基準では、この配管の全周、一周の六分の一を超えるひび割れがあった場合は、深さにかかわらず交換が必要とされたわけであります。それが、東電の行った検査においてはそれが発見されなかった。そのまま放置されれば問題のある事態となったわけであります。

 こういった、交換が必要となるような全周にわたるひび、これを見逃した原因というのは何だったのか、この点をお聞かせください。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力安全・保安院は、福島第二原子力発電所三号機におきまして、東京電力が交換のために切断した原子炉再循環系配管、これは原子炉を冷却するための水を再循環させる配管でございますが、この配管に、切断前の現場での超音波探傷試験では確認されなかったひびがあった旨の報告を受けました。その後、当院は、本年二月八日、東京電力に対しまして、ひびがないと判断した経緯、技術的根拠等について調査し、報告するよう指示をいたしました。

 これを受けまして、三月二十三日に東京電力から、現場での超音波探傷試験においてひびからの反射波は検出はされていたが、測定者が、過去の試験結果などから、配管溶接部の内側面の凹凸による反射波であると考えたことなどの理由によりまして誤判定したとの報告を受けております。

 保安院といたしましては、この東京電力の調査結果を妥当と判断いたしております。

塩川委員 配管を交換してほしいという福島県の要求がなければ、保安院、東電はこのひびを発見することができたんでしょうか。

広瀬政府参考人 今回のひびにつきましては、今お答え申し上げましたとおり、今までの超音波探傷試験のやり方で、測定者がその結果を間違って判断したということでございました。

 健全性評価制度をこれから私どもさらに向上させていく必要があると考えておりますが、このような経験を踏まえて、さらに制度の向上に努めていきたいと考えております。

塩川委員 不十分な検査技術、検査技能であった、いわば福島県の配管交換の要求がなければ維持基準を満たさないひびが放置されたままだったということになるわけであります。

 もともと、維持基準の導入には技術的な問題がありました。二〇〇二年夏の東電の不正事件で、その直後に、その秋に維持基準の導入が図られる法改正が行われた。その時期のタイミングの問題も問題だったわけですけれども、法案審議の際にも私どもは検査技術の不十分さを指摘し、維持基準導入は時期尚早じゃないのか、このことを申し上げて反対をいたしました。

 それで、東電の不正事件を取りまとめた二〇〇三年三月の保安院の中間とりまとめ、ここでは、詳細な検査の中で、低炭素ステンレス材でひびの進展というのが従来の認識とは異なるようなものになっているということが明らかになって、再循環系配管についての超音波探傷検査の精度というのは「健全性を評価するのには不確実性が大きい」として、〇三年の十月に維持基準は導入されましたけれども、再循環系配管への適用は延期をされました。

 その一年後の二〇〇四年十月に、再循環系配管にも維持基準が適用をされました。そうしましたら、その半年後の二〇〇五年の三月から五月に行われた、2F3、福島第二原発の三号機の再循環系配管に交換が必要な全周にわたるひびがあったにもかかわらず、見逃すということに結果としてなってしまった。

 お尋ねしますが、少なくとも再循環系配管について維持基準を導入したというのは時期尚早だったんじゃないのか、このように率直に思いますけれども、いかがでしょうか。

広瀬政府参考人 原子力施設におきます経年変化によって生じた亀裂につきまして、科学的、合理的な判断に基づく対応が必要だというふうに考えております。

 健全性評価制度は、原子力発電設備に亀裂が生じた場合に、その設備の構造、健全性を評価するための制度でございます。再循環系配管に関しましても、専門家の先生方によく検討をしていただきまして、この再循環系配管に健全性評価制度を導入することは可能であるという結論を得て導入に踏み切ったところでございます。

塩川委員 いや、ですから、今回の事態を踏まえまして、現場では見逃していたわけですから、もう一回慎重に判断する必要があるのじゃないのか。具体的に、今回の件を含めて、再循環系配管についての維持基準の導入について、もう一度立ちどまって対応することが必要なんじゃないのかということを申し上げているんですが、その点はいかがでしょうか。

広瀬政府参考人 私ども、今回のひび割れの反射波が見逃されたことにつきまして、その原因をよく検討いたしました。この原因、それから再発防止のための対策がどのようなものがあり得るかということを検討いたしました。

 その結果、再発防止の観点から、ひびでないと判定する場合には、今後、詳細な厚さ測定を行い、図面を作成の上、測定を行うこと、測定者のほかに第三者を交え、客観性を確保した上で評価を行うことなど、安全サイドに立って行うべき旨の留意事項を含め、今後の試験におけるひびの判定に当たっての手順等を明確にいたしました。そして、これを三月二十三日に全事業者に対して通知をいたしたところでございます。

 今回、ひびの反射波の見逃しがあったわけでございますが、今申し上げました再発防止対策をとることによりまして、再循環系配管に対する健全性評価の信頼性を向上させることができるというふうに考えております。

塩川委員 今回の事件、ひび割れについて、反射波の見逃しがあった、この件についての再発防止策をとるのは当然のことであります。同じようなことがほかの場合にも想定されるんじゃないかということが問われているわけで、ですから、こちらが想定していないような事態が生まれるかもしれないということを前提に、もう一度立ちどまって、少なくとも再循環系配管についての維持基準の導入については、改めて、もう少し先延ばしをするという判断が必要なんじゃないかということを申し上げているわけです。

 これ自身が地元、原発立地地域の福島県の声でもあるわけであります。福島県議会は、例の東電のトラブル隠し事件が発覚した直後に、国が維持基準の導入を見合わせるよう意見書を決議いたしました。今回の全周にわたるひび割れが明らかになったということを東電が発表した直後に、福島県が見解を出しております。

  今回の事例は、原子炉再循環系配管の全周にわたる重大なひびが超音波探傷検査において見落とされ、それを基に、本来であれば交換すべきものにもかかわらず、引き続き使用可能とする誤った健全性評価がなされ、国に報告されていたものであり、健全性評価制度、いわゆる維持基準の信頼性に関わる重要な問題点が提示されたものと考えている。

  本県は、維持基準について、これまで、導入の経緯、制度が途上段階にあるなどの問題点もあることから、国及び事業者には、立地地域の信頼を確保する観点から、安全・安心の確保を最優先にした点検・補修を行うなど慎重に対応するとともに、点検の手法や結果等を県民へ適時・適切に情報公開するなど十分な説明責任を果たしていくことを求めてきたが、今回の事例を踏まえると、国及び事業者には、引き続き慎重な対応が求められていると考えている。

と述べています。

 そういう点では、維持基準について、国がやるからオーケーだ、そういうふうにはいかないというのが率直な福島県の声であります。

 二階大臣に伺いますが、こういう福島県の声をどう受けとめておられるのか、また、どう信頼関係をつくっていくのか、この点について御見解をお聞かせください。

二階国務大臣 原子力の安全を確保するための規制につきましての最終責任は当然国にあるわけでありますから、国はこれに全力を尽くして取り組んでいるところであります。

 一方、地方自治体、今仰せの福島県、住民の安全を確保する責任を負っており、そのお立場から、県議会あるいは知事におかれてはいろいろ御意見をちょうだいしていること、そのお立場は私どもとしては十分理解をしております。

 したがいまして、国は、地元の皆さんとの信頼関係を構築していくためにいかにすればいいか、いかにすれば信頼関係を維持することができるか、これに大いに努力をすべきであると考えております。

 国は、事業者に対し、原子力発電所の維持基準として、配管等に生じるひび割れの進展を予測し、健全性を評価する義務を課しております。今後は、今回の事案を踏まえた再発防止策の徹底により、技術的にさらにこの制度の信頼性の向上に努めてまいりたいと考えております。

 こうした取り組みについては、福島県を初めとする立地地域に対し、引き続き丁寧に説明してまいりたいと思いますが、私自身も、佐藤知事と連絡をとって、原子力立地の自治体の関係者の方々とは、場合によっては直接お目にかかってお話をするように今日までも努めてまいりましたが、福島県の問題につきましてもそのような対応を考慮しておるところであります。

塩川委員 ぜひ、そういう機会をつくっていただきたいと思っております。

 二月の福島の佐藤知事の記者会見でも、そもそもこの維持基準は、原発の不正問題が起きて非常に混乱した中で国が決めたといういきさつ、状況もあり、私どもはずっと問題提起をしてきました、これは火事場に油を注ぐようなやり方だという厳しい指摘があるわけであります。これを受けとめた対応というのが求められているわけです。

 その点で、私が看過できないのが今回におけるみなし交付金制度の改正の問題であります。

 原子力発電所の円滑な運転を確保するための措置ということで、「平成十八年度以降の計画外停止について、原子力安全・保安院が起動前検査等によって安全を確認した後、地元との調整を行うための一定期間を経過しても引き続き運転が再開できない場合は、みなし交付金制度の対象としないこととする。」とありますが、維持基準の不十分さが明らかになる、そういうきっかけをつくったのも、保安院の判断、事業者の判断ではなくて、地元自治体の要請を受けて東電が配管を取りかえて検査した結果であります。住民の安全を第一に判断する地元自治体の要求が安全性を担保するものとなりました。

 今回のようなみなし交付金制度の改正というのは、かえって安全性を損なって、地元自治体との信頼関係を損なうものになるのではないか、このことを思うんですけれども、いかがでしょうか。

小平政府参考人 お答えを申し上げます。

 これまで電源三法交付金制度におきましては、算定の基礎として二つございます。一つは出力を基礎とした部分、それからもう一つが発電電力量を基礎として算定をする部分でございます。

 この発電電力量を基礎として算定される部分につきまして、本来、運転をしておりますことで発電がされるわけでございますので、この部分については、運転をされていない場合には基礎とならないわけでございますけれども、今の制度におきましては、安全性確保のために原子力発電所の運転を停止しております場合には、運転が行われているものというふうにみなしまして、交付金を算定するということで運用をしてきております。

 これは、こうした場合の原子力発電所等の運転停止につきましては、立地地域に責任がなく、立地地域を不利に扱うべきではないという考え方に基づいているものでございます。

 しかしながら、この制度の運用につきまして、昨年来、当委員会を初めといたしますさまざまな場で、さまざまな方々から、特別会計の問題も含めて、国が安全を確認した以降については適用すべきではないという御指摘をたびたびいただいております。

 経済産業省といたしましては、安全の確保を大前提といたしまして、こうした御指摘に対応いたしまして、平成十八年度の予算におきまして、この制度の見直しを行うということで、現在、交付規則の見直し作業を行っております。

 この見直しに当たりましては、平成十八年度以降は、原子力安全・保安院が安全を確認した後、地元調整を行うため一定期間を経過した後においても、引き続き運転が再開されない場合には、交付金額の算定上も、運転が行われていないという現実を踏まえて見直しをするということで、現在、検討しているところでございます。

 ただいま申し上げましたように、地元との信頼関係は大変重要でございまして、その観点から、地元との調整の期間というものを考えた上での制度とするということで検討をしているわけでございまして、引き続き、立地地域の声に耳を傾けながら、原子力発電所の立地地域の振興、原子力発電所と地域の共生に取り組んでまいりたいと考えております。

塩川委員 プルサーマル計画につきまして、九州電力の玄海原発、地元での受け入れということのこの間の変化がありました。

 佐賀県議会が、知事に対して、慎重な推進という立場であっても、こういう安全の問題についての対策を求める決議を県議会として上げております。その中に、原発立地県としてプルサーマル計画への反対の声は広く、根強くあり、特に、十キロ圏に多くが含まれる唐津市民の不安は大きい、背景には原子力施設の情報公開をめぐる不適切な対応があり、事業者は原子力安全に関する諸問題の透明性を確保する必要がある。このように述べて、幾つかの要望項目がありますが、その一つに、過去に起きた不祥事と類似する危険な事態が発生した場合、当該炉を運転中止するとあるように、地元自治体の立場から、住民の安全を確保する立場から物を言うということは当然必要なことだと。そういう安全を求める地元自治体に圧力をかけるような形になるというのは、本当の意味での安全確保につながらないということを申し上げて、時間が参りましたので、終わります。

石田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、増原義剛君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、京都メカニズムの適正な活用を通じ、温室効果ガス排出量を着実に削減するとともに、我が国の国際的な貢献を一層確実なものとするため、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構を通じた事業者等からの温室効果ガスの排出削減量等の取得制度を活用するに当たって、当該事業者等の選定における公平性、透明性を確保し、関係者等への説明に万全を期すとともに、無駄な支出を防止するため、排出削減量等の価格及びリスクを適正に評価する体制を早急に構築すること。

 二 本制度は、京都議定書の目標達成に向けた取組みの中で、国内対策に対して補足的に活用されるものであるとの原則を踏まえ、化石燃料への依存度低減や省エネルギー対策をはじめとする国内対策を引き続き着実に推進し、その進捗状況の評価を適切に行いつつ、制度の慎重かつ確実な運用に努めること。併せて、他国において排出削減に係る事業を実施する事業者に対する支援を適切に行い、我が国の優れた技術の国際的な普及を図ること。

 三 地球規模での温室効果ガス排出量の削減のため、米国、中国等、二酸化炭素を大量に排出している国々に対する働きかけを一層強化するとともに、京都議定書の第一約束期間以降の枠組みを巡る議論においても、発展途上国を含め全ての主要排出国が参加し得る枠組みの構築を図り、かつ他の国々と我が国との負担ができる限り公平なものとなるよう、更なる多面的な外交の展開に努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

石田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、二階経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。二階経済産業大臣。

二階国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

石田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

石田委員長 次に、内閣提出、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。二階経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

二階国務大臣 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 近年、消費生活の変化等を背景として、地域における社会的、経済的及び文化的活動の拠点でもある中心市街地の衰退が目立っております。また、少子高齢化が急速に進展していることから、高齢者も含めた地域住民が手軽に買い物に行けるような、住民にとって住みやすい、コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりを進めていくことが求められております。こうした中で、中心市街地における都市機能の増進及び経済活力の向上を図り、地域における社会、経済及び文化の発展に重要な役割を担う中心市街地の活性化を推進することは、喫緊の課題であります。

 こうした状況を踏まえ、今般、本法律案を提案した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、政府全体として中心市街地の活性化に関する施策を総合的かつ一体的に推進するため、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律を改正することとし、法律の題名を中心市街地の活性化に関する法律に改めます。具体的な措置としては、まず、政府が中心市街地の活性化に関する基本方針を策定することとするとともに、内閣に中心市街地活性化本部を設置します。また、市町村が作成する中心市街地の活性化に関する基本計画について内閣総理大臣が認定をして、認定を受けた基本計画に基づく事業に対して各種支援措置を講ずることとします。さらに、中心市街地の活性化に取り組む民間事業者等が協議を行う場である中心市街地活性化協議会に関する規定を設けることとしております。

 第二に、主に郊外における商業基盤施設等の整備について支援措置を定めている特定商業集積の整備の促進に関する特別措置法について、商業の活性化に関する支援措置を中心市街地において集中的に講ずる観点から、廃止することとします。

 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

石田委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま審査中の本案に対し、国土交通委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、国土交通委員長と協議の上、公報をもってお知らせいたしますので、御了承願います。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明または意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

石田委員長 次に、内閣提出、経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。二階経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

二階国務大臣 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国は、昨年十二月、マレーシアとの間の貿易、投資等の一層の拡大を目指して、経済上の連携に関する日本国政府とマレーシア政府との間の協定に署名しました。この協定の確実な実施を確保するとともに、現在、締結に向けた取り組みを推進しているタイ、フィリピン等との間の経済連携協定に円滑に対応していくため、メキシコ合衆国との間の協定のみを対象とした現在の法律を改正して一般法化するとともに、原産地証明書の発給等を適正かつ確実に行うための追加的な措置を講ずる必要があります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、題名を経済連携協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律に改めるとともに、定義等について所要の改正を加え、今後、国会承認を経た経済連携協定について、順次、政令により追加できるようにします。

 第二に、物品の生産者が、原産地証明書の発給申請者の求めに応じ、経済産業大臣または指定発給機関に対して直接に当該物品が原産品であることを明らかにする資料を提出する手続を整備します。

 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十四分散会


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