衆議院

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第3号 平成18年11月1日(水曜日)

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平成十八年十一月一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 上田  勇君

   理事 金子善次郎君 理事 河井 克行君

   理事 新藤 義孝君 理事 中山 泰秀君

   理事 宮腰 光寛君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 赤羽 一嘉君

      小此木八郎君    大塚 高司君

      岡部 英明君    片山さつき君

      川条 志嘉君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      杉田 元司君    平  将明君

      土井 真樹君    丹羽 秀樹君

      野田  毅君    橋本  岳君

      福田 良彦君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    増原 義剛君

      三ッ林隆志君    武藤 容治君

      森  英介君    吉川 貴盛君

      大畠 章宏君    太田 和美君

      川内 博史君    川端 達夫君

      北神 圭朗君    長妻  昭君

      細野 豪志君    三谷 光男君

      柚木 道義君    鷲尾英一郎君

      高木美智代君    塩川 鉄也君

      武田 良太君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   内閣府副大臣       平沢 勝栄君

   総務副大臣        大野 松茂君

   経済産業副大臣      山本 幸三君

   経済産業副大臣      渡辺 博道君

   文部科学大臣政務官    小渕 優子君

   経済産業大臣政務官    高木美智代君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 堀田  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           黒川 達夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房参事官)           中林 圭一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           貝谷  伸君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       松井 英生君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           石黒 憲彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西川 泰藏君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          石田  徹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     広瀬 研吉君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    石毛 博行君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    加藤 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           加藤 利男君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和泉 洋人君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月一日

 辞任         補欠選任

  平  将明君     大塚 高司君

  谷川 弥一君     杉田 元司君

  山本 明彦君     三ッ林隆志君

  北神 圭朗君     川内 博史君

  鷲尾英一郎君     長妻  昭君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚 高司君     平  将明君

  杉田 元司君     福田 良彦君

  三ッ林隆志君     山本 明彦君

  川内 博史君     北神 圭朗君

  長妻  昭君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  福田 良彦君     谷川 弥一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――

上田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官堀田繁君、厚生労働省大臣官房審議官黒川達夫君、厚生労働省大臣官房参事官中林圭一君、農林水産省大臣官房審議官貝谷伸君、経済産業省大臣官房商務流通審議官松井英生君、経済産業省大臣官房審議官石黒憲彦君、経済産業省大臣官房審議官西川泰藏君、経済産業省貿易経済協力局長石田徹君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長広瀬研吉君、中小企業庁長官石毛博行君、中小企業庁次長加藤文彦君、国土交通省大臣官房審議官加藤利男君及び国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧原秀樹君。

牧原委員 おはようございます。自由民主党の牧原秀樹でございます。

 私のライフワークにしたいと思っていますこの分野におきまして、引き続き留任をさせていただきました。そして、質問の機会をいただきますこと、本当にありがとうございます。

 そして、大臣、副大臣、また政務官、御就任おめでとうございます。特に大臣におかれましては、この分野の日本きってのエキスパートでございます。少子高齢化あるいは国際競争の激化という非常に日本の経済が正念場を迎え、今後とも経済成長を続けることができるか、あるいは、昔はよかったなと懐かしむ時代になってしまうのか、そうした厳しい時代の中、大臣の登場というのはまことに私は喜ばしいことであり、私個人もしっかりとお支えしたい、そういう気持ちでいっぱいでございます。

 さて、本件の消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案でございますが、まず、本件の背景になっておると思われるガス湯沸かし器やシュレッダー等の事故がありました。一昨日にも浴室暖房乾燥機の発火事件が明らかにされ、本日の朝刊においても食器洗い乾燥機の発火事件というのが明らかにされております。

 国民の安全、安心を守る、これは私たち政治家だけではなく、国家にとって根本的な責務であるべきであります。こうした根本的な私たちの責務に照らして、このように製品事故が多発するというのは、大変重大な事態、問題であると考えております。

 まず、このような安全、安心の確保につきまして、大臣の基本的な取り組み姿勢をお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 御指摘のように、国民の安全、安心を守るということは、我が省の所管だけではなくて、すべての分野を通じて果たすべき最大の国の責務だというふうに思っております。

 我が省に関しまして、御指摘をいただきました一連の製品事故でありますが、これらの事故を通じてとうとい国民の生命が多数失われました。そういう結果を生じたことは、まことに遺憾だと存じております。

 経済産業省といたしましては、例えばパロマの事故に関しまして、事故情報の連絡・共有体制に不備があった、こういう御指摘を謙虚に受けとめなければならないというふうに思っております。そこで、事故情報の適切な分析、処理を行うための省内体制の整備、そして関係省庁や関係機関の間での製品事故情報の緊密な交換などの措置を直ちに行ったところであります。

 事故情報というのは、経済産業省だけじゃなくて、いろいろなところに寄せられます。警察に行くこともあれば、消防署に行くこともあります。省内の情報共有体制をまず行うことと、省外との情報共有体制の連絡網をしっかりつくるということが大事であります。あるいは、苦情であれば、国民生活センターや都道府県レベルの消費生活センターにも寄せられます。その中には、情報をいち早くとっていれば未然に事故防止ができるという情報もたくさん含まれているはずでありますから、それらとの情報共有体制をつくるということが大事でございます。

 その上で、事業者に対する国への製品事故の報告の義務づけを行う、それから、国から消費者への事故情報の迅速かつ的確な提供を図る仕組みを構築する、このことが大事でありますので、それに基づいて、消費生活用製品安全法の改正案を今国会に提出し、本日御審議をいただいているところでございます。

 それから、製品安全を確保するためには、事業者それから消費者自身が安心や安全を重要な価値とするという製品安全文化、これが定着をしていく、つまり、製造事業者は、性能のいいものを安く、デザインもそうでありますが、何よりも安全なものを供給するという文化を今以上にしっかり定着していかなきゃならないですし、消費者も、見ばえがよくて性能がよくて安いから買うというだけではなくて、いかに安全なものを供給している事業者であるかという厳しい視点を持つということも大事だというふうに思っております。

 政府といたしましては、これらの施策を総合的に実施して、我が国の製品安全確保に万全を期してまいる所存でございます。

牧原委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃられたように、この改正案の中核というのは、報告を義務づけるというところにあります。そうすると、今までは強制的な義務づけではなかったわけですが、私は、この法律が一体どの程度のインパクトがあるのかということでお調べしたのが、きょうお配りしておりますお手元の資料一でございます。

 これは、報告が義務づけされていなかった段階で、過去五年間に報告がされた重大事故の件数であります。これを見ると、死亡事故で報告されたというものが七百二十六件、重傷事故、指切断等がございますけれども、こうしたもので四百四十九件、火災事故に至っては三千七百四十三件と極めて多数の件数が発生しており、これは、実は私にとっては想像をはるかに超える数であったわけでございますけれども、これだけの重大な数が発生してしまったのか、こういうことについて事前に防ぐことはできなかったのか、こうした点につきまして政府の御説明をいただきたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 今、配付資料をちょっと拝見いたしました。これにございます事故報告件数は、現在、経済産業省が通達に基づきまして集計をしているものでありますが、この中には、当該事故原因が製品自体にあるもののみならず、使用者の誤使用等であるものも含まれておりますので、この件数自体が製品の欠陥等に直接起因する事故件数をあらわしているわけではございません。

 また、平成十七年度分の数字、特に事故報告件数が増加をしております。この背景には、最近、製品事故に関する関心が高まってきたことが影響している部分もあると認識してございます。

 しかしながら、年間、大体ならしますと、二百件から四百件程度の死亡・重傷事故、それから五百件から千二百件の火災事故が報告されておりますことは、国民生活の安全を確保する上で、製品安全問題にしっかりと取り組んでいく必要があることを示していると認識してございます。

 製品の機能の高度化や消費者の使用方法の多様化が進む中で、製品自体やその使用説明書に不適切な部分があった場合、使用方法や維持管理が不適切であった場合など、さまざまな要因によって事故が生じていると認識をしております。これらの中には、先ほど大臣も申し上げましたように、事故情報の早期収集や公表等の政府の取り組みによって防げるものもあったと考えております。今後、引き続き、製品安全確保のため適切に取り組んでまいりたいと考えております。

牧原委員 この点はぜひお願いいたします。

 私たちは、こうした統計を見ると数だけしか目に見えないわけですけれども、この数一つ一つが仮に自分の子供だったら、自分の家族だったら、自分の愛する者であったら、そうした気持ちでこうした数字を見なきゃいけないわけでございまして、たった一つの事故でも大変重要な、私たちにとって防がなければならない事故である、そうした気持ちで取り組まなきゃいけないと思いますし、私たちも取り組んでいきたいというふうに思っております。

 さて、本法案は、最大の目的として、重大な事故が発生をしたときに報告を義務づけるものですから、再度同種の事故を起こさせないというところにあると思われます。この観点からは、単に報告を義務づけたというだけではだめであって、事故情報をきっちりとみんなに周知をして、そしてその問題製品について適切に回収しなければならない。このプロセスまできっちりと行わなければ、事故を防ぐということができないわけでございます。

 そこで、お伺いします。

 事故の情報を周知するというのは、なかなか単純なことではありません。世の中、新聞を見る人、見ない人、テレビを見る人、見ない人、インターネットを見る人、見ない人、いろいろな方がいるわけでございますが、その周知について国としてはどのような方法をお考えなのか、お伺いしたいと思います。

山本(幸)副大臣 御指摘のように、国民にこうした事故情報を的確に提供するというのは非常に重要なことであると考えております。

 ただ、まさに先生今御指摘されましたように、完全に周知ができるようにするというのはなかなか大変なことだと思っておりますが、そういう意味で、私どももありとあらゆるチャネルを活用して、その周知に努めたいと思っております。もちろん、経済産業省のホームページに掲載するとともに、マスコミの協力を全面的に得たいというように思っておりますし、積極的にマスコミを通じても情報提供をやっていきたいと思っております。

 また、こうした消費生活用製品等についての情報を扱っております独立行政法人製品評価技術基盤機構というのもございますし、あるいは各都道府県等の消費生活センター、あるいは消費者団体や業界団体などの関係機関の協力もぜひ得てまいりたい。

 そういう意味で、最大限のチャネルを活用していきたいと思っておりますが、また先生のアイデア等もございましたらお教えいただいて、全面的に必要な情報をしっかりと提供できるように頑張っていきたいと思っております。

牧原委員 ありがとうございます。

 今、副大臣がおっしゃられたとおり、周知というのは、これだけ情報がはんらんしつつも全員が全部の情報を見るわけではないという状況ですから、なかなか難しいと思います。一つとしては、商品を売って、よく購入者、ユーザー登録というのをしますけれども、ああいう形でもユーザーの側にもしっかりと、そういうことがそういう情報の伝達に重要だぞということをわかっていただくことかなというふうには思っています。

 今の周知の問題、ある大阪の電器会社は、相当CM等々で事故情報を流して、これに何億も使って製品の回収に努めているというふうに伺っております。こうしたお金を使ってやるというのは一つの方法ですが、これは、事業者によって資力がない場合もございます。この辺は、周知というのは国の責務であるととらえていただき、御協力をいただければと思います。

 もう一つの、回収についてです。

 回収につきましては、国家がお金を出して回収するというよりは、やはり、より事業者側にその回収の責務がある、こう考えざるを得ません。今でも、現実には回収というのは事業者、あとは輸入業者も義務づけられておりますが、そうした方々がされているものと思いますが、この場合について同じ問題が生じます。すなわち、資力のない中小事業者が責務を負う場合、あるいは、例えば今回明らかにされた一つの事故のように、事故が起きてから大分時期がたったという場合もあり得ます。その場合には、事業者自体が破産になってしまって、いないという場合もあって、回収をする主体がそもそも存在しないという場合も十分考えられると思われます。

 こうした状況になった場合、問題がある製品はわかっている、しかし回収はできないという事態があり得ると思うんですが、こうした回収困難あるいは不可能な事態について、国はどのような方法をお考えなんでしょうか。

高木大臣政務官 今回の改正におきましては、製造事業者等につきまして、危険な製品の回収等を行う努力義務があることを新たに定めております。また、既に規定が存在しますが、主務大臣は、危害の発生及び拡大を防止するために特に必要があると認めるときは、製造事業者等に対しまして、回収、修理等の措置をとるべきことを命ずることができます。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、資力が不足しております中小企業の場合、製品安全に関する責任を全うする意思を有しながらも、これらの責任を果たすための十分な対応をとることができない場合もあり得ると考えられます。このような場合に備えまして、経済産業省としては、民間における保険制度の創設を慫慂するとともに、必要に応じ、一時的な資金繰りの問題に直面した中小企業につきまして、既存の中小企業融資制度を的確に活用することにより、意思ある中小企業を適切に支援してまいりたいと考えております。

 また、ただいま御指摘ありました製造事業者等が倒産している場合等につきましては、経済産業省や独立行政法人製品評価技術基盤機構が当該製造事業者等にかわりまして製品の危険性に関する情報を消費者に周知し、消費者が危険を回避できるよう努めてまいる考えでございます。

牧原委員 ありがとうございます。

 こういう場合、消費者側というのは、いわば何も責任がない、悪くないわけでございますから、製造した側、加工した側、こうした方々によって消費者に危害が及ばないように、私たちは全面的に対応を考えていかなければならないと思いますし、こうした事態というのはもうこうやって事前に予想もされることですから、ぜひとも保険制度等の活用や、あるいは海外でも同じような問題があるはずです、参考にしながら考えていただきたい、そのように思います。

 さて、これまでのところは、この法律に関して事故を未然に防ぐという観点から質問をさせていただきましたが、全体的なこうした製品事故の問題解決のためには、被害に遭われた人の救済という視点も考えざるを得ません。

 こうした場合に、私が弁護士時代にPL法というものができたわけですけれども、その以前には、こうした製造者と消費者というのは、販売者、小売業者が間に入っているために直接的な契約関係がないという問題から、民法上の不法行為という一般的な不法行為でいくか、あるいは、保証をしているという、保証債務を概念的に考えて債務不履行でいくか、どちらかをというような法的構成を一生懸命みんなで考えていたわけですけれども、いずれにせよ、直接的な関係がないために立証が極めて困難であるという問題にぶつかっておりました。

 そこで、その問題を解決するために、国の方でもお考えいただき、製造物責任法というものを考えていただいたわけでございますけれども、この製造物責任法において、責任を負う、つまり被害者側が欠陥を立証すれば責任を原則は負うというふうに立証責任が転換されている相手の主体というのは、製造者か加工者ということになっております。

 私は、これはこれでいいと思いますが、本件の法改正の背景になっている、具体的にはパロマの事件では、修理業者やあるいは本人等々が改造を加えてしまっているという状況があるようでございます。その改造がどこまで本質的なのかというのは、今後、もしこれが訴訟になれば、争いの焦点になっていくわけだと思いますけれども、法律の解釈として、仮にこのような改造等が加えられた場合に製造物責任法というのが適用可能なのかどうか、この点について見解を伺いたいと思います。

堀田政府参考人 御質問にございました製造物責任法、いわゆるPL法でございますけれども、これは、製造物の欠陥によりまして人の生命、身体または財産に係る被害が生じた場合における製造業者の損害賠償責任について定めた、いわば民事ルールでございます。同法の第二条第三項第一号では、製造業者というのを定義しておりまして、製造物を業として製造または加工または輸入した者であるという定義がなされております。

 御指摘のように、製品に改造を加えている場合に、その改造を行った事業者が同法の製造業者に該当するかどうかということが問題になるわけですが、個別具体的な事例につきましては、これは司法の判断に任せられるべきものですので、一般論として申し上げますけれども、その改造した製品に新しい属性が加えられているというふうに判断されるのであれば、製造または加工に当たりまして、その改造を行った事業者が製造業者というふうに解されるということでございます。

 他方、近い概念としまして製品の修理といったこともございまして、こういった修理につきましては、基本的に、ある動産の本来存在する性質に回復とか維持を行うといったことでございまして、新たな物品をつくり出したりとか、あるいは新しい属性をつけ加えたりしたものではないというふうに考えられますので、その修理を行った事業者は製造業者には基本的に当たらないというふうに考えられるということだと思われます。

牧原委員 ありがとうございます。

 ここは、まさに今おっしゃられたように、最終的には司法判断になると思います。ただ、製造物責任法というものを定めた趣旨というのは、あくまで、先ほど私が申し上げたとおり、消費者と製造者との間でもしまともに裁判で戦うということになれば、圧倒的に消費者側が不利な状況になるということにかんがみて、アメリカ等々、外国の制度にもかんがみて定められたものであります。

 これが不当に製造業者等に負担となるものであってはいけないというふうには思いますが、他方で、この法律の趣旨を全うできないような事態というのが起こった場合というのは十分考えられますので、今回のまさに大変多くの死亡者も出しているという事故にかんがみて、これは私たち政治家の責任でもありますが、考えていかなければならないなというふうに考えております。

 さて、この手の事故を防ぐということでは、今申し上げた製造物責任法も海外の例に見習ってもいるわけでございますが、この消費事故につきましては、これについて、先進国という言い方がいいかどうかは別として、大変訴訟も多く起こっていて、問題も早くから明らかにされていたのがアメリカになります。アメリカがこうした意味では先進的なところもあるわけですから、そうしたいいところというのは見習っていくべきであろうと私自身は考えております。

 資料二をごらんください。これは、いわゆる本法案と同等の法律を、日本と米国で報告義務について比較したものでございます。

 このうちの、一番目の報告要件というところをごらんいただきたいと思います。

 日本の場合は、今回の法改正ですが、重大製品事故が発生したことを知った場合に報告が義務づけられております。死亡等の事故、あるいは人に重大な危害が発生する可能性のある火災事故ということです。

 アメリカの場合には、次のいずれかに該当することを合理的に立証する情報を得た場合とあって、これは、知った場合ではなく、合理的に立証する情報を得た場合という要件になっていて、その該当要件は、規則、基準に適合していない、欠陥を有している、重傷または死亡という重大なリスクをもたらす。Bとして、同一製品について、三件以上の死亡または重大な身体傷害を理由とする民事訴訟の対象となり、これは訴訟があった場合ということで、いわば二段重ねの義務づけになっているというふうに見えます。

 この違いというところは、日本の場合には、重大な事故が発生したことを知った場合ということですから、この(二)の火災の場合には可能性というところが入っていますけれども、(一)の場合には、死亡や一酸化炭素中毒や身体欠損等を伴う事故が一件でも発生することが前提とされているわけです。つまり、変な話ですが、義務づけとしては、ああ、これはひょっとすると危ない、死亡するかもしれないぞというように、しかし事故は起こっていませんという段階では報告の義務づけはされていないわけでございます。

 他方で、アメリカの場合には、死亡事故等々の事故が起こっていなくても、規則や基準に明らかに適合していなくて、これは大変まずいなということを合理的に立証する情報を得た場合には報告が義務づけられているということになっているわけでございます。

 この違いということにつきまして、単純に見ると、一件事故が発生するのを待たなければならない、義務づけにならないということは果たしてどうなんだろうかというようにも思われます。むしろ、アメリカのように、事故が起こっていなくたって、これは規則や基準に合致していないなと、仮に例えば経営陣が現場の情報をつかんで、そして上まで上がってきた段階ではきちんと報告を義務づける、そうしたことの方が適切であるようにも思われますけれども、このように米国の方式をとらなかったことについて、政府の御見解を承りたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の資料にもございますように、米国の制度におきます報告要件は、基本的に、基準不適合や欠陥あるいは死亡等重大なリスクをもたらすことを合理的に立証する情報を得た場合等とされていると承知しております。

 しかしながら、このような規定を我が国に直接導入した場合、合理的に立証する情報を得たという事実関係や時点を客観的に確定することが困難であります。第一番目としては、報告者の考え方次第で報告がなされないことがあり得ます。また、事業者による情報の内容確認などに時間を要することを否定し得ず、結局報告がおくれる可能性がございます。このような懸念があるところでございます。

 このため、本法案につきましては、重大製品事故が生じたことを知ったときは報告しなければならないこととすることによりまして、重大な製品事故の報告が迅速かつ確実に行われることを確保しようとしているものでございます。

牧原委員 ありがとうございます。

 今の説明でも、なるほどと思う点とそうかなと思う点と、両方あり得ると思います。いずれにしても、今回は第一歩ということで、重大な製品事故を知ったときには必ず義務づける、今まで、そこですら報告をしていなかった業者もいるわけでございますから、ここはしっかりと義務づけをしていただきたいと思います。

 以上で私の質問は終わりますけれども、先ほど申し上げたように、この消費生活用製品の事故というのは、私たち本人にも家族にも、だれにでも、いつでも起こり得るということでありまして、例えば、こういう事故が頻発すれば、私たちは安心して暖房をつけながら冬寝ることもできない、安心しておふろに入ることもできない、安心して食器を洗うこともできない、そうしたような事態が広がるということだって十分考えられるわけでございます。そして、実際に命を落とされたり、あるいは身体の一部を失われたりした方というのは、これはもう一生取り返しのつかないことでございます。

 ぜひともこうした観点に立って、この事故を教訓に、この方がもし亡くなったとしたら、あるいは身体が傷ついたとしたら、そうしたことを無駄にすることなく私たちの教訓として、今後二度とこうした事故がなるべく起きない、いずれはゼロにする、そうした思いでやっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、橋本岳君。

橋本委員 自由民主党の橋本岳でございます。

 資料をお配りいただいていると思いますけれども、お手元にありますでしょうか。

 では、まず最初に、大臣、副大臣、政務官、御就任おめでとうございます。今後ますますの御活躍をお祈りしております。

 そして、まず、私の質問に入ります前に、今回の法改正について、いろいろな製品事故が多発をして出てきている、あるいは、きょうも新聞を読んだら、新聞の下の方に、「屋根下設置型融雪装置ご使用のお客様へ重要なお知らせとお詫び」だとか「卓上型食器洗い乾燥機をご愛用の皆様へお詫びとお願い」云々というようなことが出てきている。本当に製品の安全というものに対する関心が高く、また、それに対していろいろな問題が起こっているということなんだろうと思いますが、そういう現状に立ちまして、今回、経済産業省様としてどのような考えに立ってこの法案の改正をされたのかということをお伺いしたいと思います。

山本(幸)副大臣 今先生御指摘のように、最近いろいろな事故が起こっているわけでありますけれども、国民生活の安全、安心を確保するということは、我が省のみならず、重要な国としての責務でございます。

 御指摘のようないろいろな事故が明らかとなっておりまして、若干、製品の安全性に関する国民の信頼が揺らいできているということを懸念しております。そこで、国民が日々の生活で用いる製品の安全性をぜひ確保しなければいけない、そのためには、製品事故に関する情報をまず社会で共有する、そしてその再発を防止することがどうしても必要だというように考えております。

 そこで、今回、事業者に対して国への製品事故の報告を義務づける、そして、国から消費者への事故情報の迅速かつ的確な提供を図る仕組みを構築する、そういう目的で本法案を提出した次第でございます。

橋本委員 ありがとうございます。

 まさに、いろいろなことが起こっているところですから、タイムリーな法改正だと思いますし、ぜひ迅速な成立というのが求められるんだろうというふうに私も思っておりますが、やはり、今回の審議に当たりまして、パロマ工業のガス湯沸かし器の事故、松下の温風機の事故、そういったもので多数の命が奪われる、あるいは身体を損なわれる、そういったことがあります。それは、一義的には、メーカーさんだったり、その改造をしたんだったら改造した人だったり、そういった方々の責任なんだろうとは思うんですが、やはり、規制官庁としての経済産業省さんの責任というのは重く受けとめていただかなければならないだろうと思います。

 資料をつくっておりまして、死亡二名とか重症何名、入院何人というような数字を自分でパソコンで入力しておりますと……(発言する者あり)はい、自分でつくりました。お一人お一人にそれぞれ無念の思いもあったでしょうし、それぞれがどなたかの息子さん、娘さん、あるいはお父さん、お母さんだったり、兄弟姉妹、知人、そういった方々であっただろうし、こうしたお一人お一人という方々がそうした事故に遭われたという重さというのは本当に重いものだと思います。その重さを受けとめて、今回の法改正、そのほかいろいろな事故防止に当たっていただきたいということをお願いしたいわけであります。

 既に本会議におきましても、北神委員の質問に大臣の方から遺憾の意を表していただいておりますけれども、やはり、なぜそうした事故が起こってしまったのか、なぜ防げなかったのか、そして、それを教訓にして今後どう対応していくのか、きょう、私はその取り組み姿勢というものをお伺いしたいと思っております。

 その審議に当たりまして資料を作成させていただいたのが、今お配りをしたとおりでございます。資料一から三まであると思います。こちらの方、経産省または衆議院あるいは報道そのほかの資料をもとに、私の方でつくらせていただいたんですけれども、まず、事実の誤りなどがないか、御確認をいただければと思っております。

松井政府参考人 今拝見させていただきまして、このような事実に間違いないと存じます。

橋本委員 ありがとうございます。

 こうしたものをつくったのは、やはり、きちんとそれぞれの、どのような事故が起こったのか、それが、例えば、どういう順番で起こってきたのか、いつごろ起こったのか、どういう対応をとられてきたのか、そういったものをきちんと整理して丁寧な議論をしていかなければならないだろうということで、自分の方で整理をさせていただいた次第であります。

 資料一がいろいろな事故などの年表。資料二が、製品安全行政としていろいろな規制がかかっていたりするものの対象がどういうふうな分かれ方をしているか。資料三は、これは経産省さんのパンフレットですけれども、法令体系図ということになっておりますけれども、どういった規制が事前、事後にかかっているのかということでありまして、以後の審議にもぜひ御活用いただければと思っております。

 こうしたものを見ますと、本会議の際、北神委員は、こうした製品事故多発の背景として、例えば非正規雇用の増加、労働市場の安易な規制緩和、あるいは軽佻浮薄な鹿鳴館経済学というお言葉も使われておられました。いや、おもしろい言葉で、学ぶべきことはあるんだろうと思いますが、ただ、例えばパロマの製品について申しますと、大体二十年ぐらい前につくられたものである、松下電産の石油温風機についてもそうしたものであるということであって、要するに、ごく最近の事象と結びつけて考えるのは、必ずしもそのすべての説明はできないんだろうというふうに思うわけであります。

 もちろん、今後、そういった北神委員が本会議で御指摘になったようなことが影響を与えてくるという可能性については否定しませんし、それは注意をして見なければならないだろうと思うわけですが、きっとそれだけで説明はできない。だから、きちんと物事を見ていかなければならないだろうということであります。

 ここで、私は、この消費生活用品の行政というものが事前規制と事後規制によって成り立っているということについて注目をしたいと思っております。

 事前規制というのは、要は幾つかの製品を特定製品として指定して、国で安全基準を設け、きちんとテストを行ってから市場に出すということが事前の規制。事後の規制というのは、今回の法改正は事後の規制の強化なわけですけれども、事故が起こってしまったときに経産省が何ができるか、どうするかというところであります。

 やはり事前規制というのは、これだけ消費生活用製品というものが世の中に山のように出回っている中で、事前規制というのは大変難しいものなんだろうとは思います。また、実際に、目には見えない形でそうした規制があることで起こり得たであろう事故を防いできたということも当然ながらあるんだろう、そうした意味で事前規制の役割というのは果たされているのだろうということ。これは防いでしまったので目に見えないわけですけれども、まずそうしたことは現状としてはあるんだろうと思いますが、やはり昨今の事故というものが事前規制によってなぜ防げなかったのかということはきちんと明らかにしていただいて、対策をとっていただきたい、このように思うわけであります。

 そこで、最近話題となっているというか問題とされている幾つかの製品、五つ、ちょっと具体的にお伺いをしたいと思うんですけれども、石油温風機、石油ファンヒーターですね。それから、パロマ工業の話ですけれども、ガスの湯沸かし器。そして、電子レンジ式の湯たんぽ、電子レンジをあけると熱いものが飛び散ってやけどをするといった事故があった。あるいはシュレッダーですね、子供さんの指が切れてしまったという話。それから、最近、ノートパソコンの電池、バッテリーから発火をするという問題がやはり問題として報道されております。

 この五つの品目について、まず、それぞれ事前規制の対象になっているのかどうか、何法に基づく事前規制の対象なのかということを教えていただきたいと思います。

松井政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘の五品目でございますけれども、石油温風暖房機及びシュレッダーにつきましては、電気用品安全法により事前規制の対象となっております。また、ガス瞬間湯沸かし器につきましては、ガス事業法及び液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律により事前規制の対象となっております。しかしながら、電子レンジ加熱式湯たんぽ、それからソニー製のリチウム電池事故、これにつきましては事前規制の対象にはなってございません。

橋本委員 では、今五つ申し上げた中で、石油温風暖房機、ガスの湯沸かし器、それからシュレッダー、この三つが規制の対象になって基準が設けられているということでございますけれども、では、今の三つにつきまして、なぜ、それぞれそういった規制のかかっているもの、安全であるというある意味マークがついているわけですよね、その製品について事故が起こってしまったのか、防げなかったのか、それぞれお教えいただきたい。

松井政府参考人 今先生御指摘の石油温風暖房機、シュレッダー、ガス瞬間湯沸かし器につきましては、製造時におきまして一定の安全基準を満たしていたものの、まず、ガス瞬間湯沸かし器につきましては、製造時の技術基準で安全装置が容易に不正改造されないような構造を要求していなかったこと、また、使用時における安全基準で安全装置が確実に作動することを要求していなかったことなどからパロマ工業湯沸かし器の事故を防ぐことができなかったと考えられます。

 また、シュレッダーにつきましては、その技術基準を定めた時点では業務利用が主目的であったため、成人の使用を前提とした技術基準となっておりました。しかしながら、昨今、シュレッダーが御家庭で使われるようになるなど利用形態の変化が生じ、幼児に対する事故が発生してしまったものでございます。

橋本委員 ありがとうございます。

 そうしますと、安全基準というのを設けていたわけですけれども、それぞれ予想もしない、例えば改造されると予想していなかった、あるいはシュレッダーについて言えば、業務用のものだと思っていて、家庭でシュレッダーを使うという想定が安全基準をしたときに想定をされていなかった。これは伺った話では、大人の指程度のものは入らないような基準はあったけれども、子供さんの指、要するに細い、もっと細いものまでは入らないようにということになっていなかったということでありまして、安全基準というものがもちろん設けられていること、それは意義のあることですが、いろいろな利用の変化などによってそれが必ずしも効果的に働かなかったということなんだろうと思います。

 では、そうした反省を踏まえて、さきに申しました五つの品目について、要するに対象外のものも含めて、それぞれ安全基準の見直しをされる、あるいはそのほかどういった対応をされるのか、教えてください。

松井政府参考人 今先生御指摘のガス瞬間湯沸かし器につきましては、安全装置が容易に不正改造されない構造の技術基準等に強化することを現在もくろんでございます。シュレッダーにつきましても、投入口の幅を幼児の指でも入らないような基準に強化すること、この対応を今図っております。その他の製品につきましても、必要に応じまして既存の安全基準を見直す等の措置を図っていく所存でございます。

橋本委員 せっかく、せっかくと言うと語弊がありますけれども、事故が起こってしまった、その教訓というのをしっかり生かして、安全な基準にするなり枠組みを設けるなりといった対応をしていただきたいと思います。

 先ほどの五つの例、それぞれ見ていただいて、まず、製品自体、今の流れとして製品が複合化をしている。例えば石油温風機は電気用品安全法の規制の中なんだけれども、事故が何で起こったかというと、電気で起こったのではなくて、石油が燃えるというところで管に穴があいたり破損があって、一酸化炭素が漏れ出して中毒が起こったという意味で、電気用品としての問題ではなかった、電気用品の規制の中にもかかわらずということ。それは製品が複合化をしているということなんだろうと思いますし、あるいは、そもそも消費者が用いるいろいろな製品というのが本当に多様化をしている。

 それは、例えばその辺のホームセンターに行ったり百円ショップに行ったりすればいろいろなものが並んでいるわけでありまして、それらがすべて消費生活用製品というものにほぼ言えるような状態の中で、どれに対して基準を設ける、設けない、あるいはどういった基準を設けるというのを想定するのはどんどん難しくなっていっているんだろうなと。

 あるいは、シュレッダーの話がまさにそうですけれども、職場で使うと思っていたものが家庭で使われるようになっていた、そうしたライフスタイル、生活がいろいろ多様化をしている中で、製品の使われ方自体も、これまでの安全基準が想定していなかった状態というのが出てきた、ふえてきた。これはきっとシュレッダーだけに限った話ではないのだろうと思います。

 そういった製品の複合化、多様化、あるいは使用形態の多様化といった状況というのをどのように認識しておられ、そして全体として今後どのように経産省として対応されていくお考えか、教えてください。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、消費者のニーズはますます多様化してまいります。それから、技術の進歩もどんどん進んでおります。このようなことを背景に、さまざまな機能を持った製品が次々と市場に送り出されております。また、ITの家庭への進出などを背景に、これまで業務用とされてきた各種事務機器が家庭に普及するなど、使用形態の変化と多様化が急速に進展をしております。このような製品をめぐる環境変化は今後もますます拡大していくものと認識しております。

 製品の安全確保を進めていくためには、あらかじめ技術基準を定めて、それに適合した製造を義務づける、いわゆる事前規制対象品の柔軟な追加あるいは見直しや、関連技術基準の的確かつ迅速な整備に努めてまいることはもちろんでありますが、御指摘のような現実を踏まえますと、常に完全な事前規制を行うことには限界がございます。このため、本日御審議いただいております法案に盛り込みました、迅速な製品事故情報の収集及び消費者への情報提供、さらには危険な製品の回収措置など事後規制の機動的な発動と組み合わせて製品安全確保に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。

橋本委員 ぜひ、これだけの数字、数字じゃないんです、本当は、一人一人のお話です、の積み重ねがあったわけですから、事前規制、限界はあるとはいえ、的確迅速に反応していっていただき、変えていって改善をして進め続けていっていただきたいということをお願いをする次第であります。

 そして、今、松井審議官おっしゃったように、事前規制というのはやはり限界があるというのも、それはそれで事実でありまして、今回の法改正を初めとして、事後どうするのかということもきちんと対応していかなければならないわけでありますが、そもそも、行政が頑張るのだ、経済産業省が頑張るのだといっても限界がある。要するに、基本的には事業者の方がつくり、もしくは輸入をし、販売しておられる方が販売し、消費者が買ってというサイクルで物が動いている中で、行政が規制をかけていくのだということには間違いなく限界があるわけであります。

 そもそも、要するに、規制などがなくても製品の安全が保たれるという状態が本当は最も望ましいんだろう。要するに、それは、製造者の方あるいは販売者の方、もちろんそれを利用する方も安全というものにしっかりと気を配り、注意し、取り組んでいくということが本当はあるべき姿なんだろうなと思うわけであります。

 今回の消費生活用製品安全法の改正の中で、第一条の「目的」のところで、実は、「民間事業者の自主的な活動を促進し、」という言葉が削除をされております。こちらにつきましては、いろいろお話を伺ったところ、今回の法律としては、この言葉、法律の中のその後の規定を整合するという点で今回は外しましたということを伺っておりますが、この法律としてはそれはそれでよいのかもしれないんですけれども、製品安全行政という視点では、政府の規制だけの話ではなくて、社会全体として製品安全の向上というものにどう取り組んでいくのか、それが大事なんだろう。実は、行政の規制をかけるんだ、あるいはその報告を求め対応していくんだということよりも、そうした社会全体として意識を高めていくのだということが大事なんだろうと私は思います。

 そうした社会全体の枠組みあるいは意識づくりというものに対して、今後経産省さんがどのように取り組まれるか、ぜひ、大臣から御決意のほどを伺いたいと思います。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、規制だけですべてをカバーするということは、事実上不可能であります。そして、事後の制度として、被害を最小限に抑えるという体制をとる。しかし、基本は、先生御指摘のとおり、製品安全文化というものを、つくる方にも、売る方にも、買う方にも、家庭にも徹底していくということが一番大事なことでございます。

 製造事業者、販売事業者等に対しましては、国が策定するガイドラインにのっとって製品安全の向上を目指した自主的な行動をとるためのプログラムを策定するように要請をする等、企業がその社会的責任の必要な要素としての製品の安全問題に主体的、積極的に取り組んでいくことを促していきたいというふうに考えておりますし、消費者も、製品を選択するのにいろいろな視点があります。性能がよくて見ばえがよくて安いというのが一番ですけれども、この会社は本当に安全な製品をつくるということを、まさに安全第一を心がけているか否か、そういう厳しい目をしっかり持っていただくということが大事でありますし、あるいは家庭においてもそういう意識を徹底する。お父さん、お母さんが業務用の製品を家庭に持ち込むときには、うちに小さい子供がいるけれども、間違ってこの機器に近づいたときに大丈夫かという視点を持つということも大事なことでございます。

 経済産業省といたしましては、本年の十一月二十日から一週間にわたりまして、製品安全総点検週間というのを実施いたします。家庭内における製品の点検方法であるとか注意事項等を消費者に周知する努力をしていこうというふうに考えております。社会全体で安全に対して注意を払うという製品安全文化というのを徹底することが、より安全な製品が市場に出ていくことになろうかというふうに考えております。

橋本委員 ありがとうございました。

 製品安全文化というお言葉をいただきました。本当に大事なことだろうと思います。そういった取り組み、もちろん、経産省さんが今されているいろいろな規制などの取り組み、そういったものが有効に働きまして、また、企業あるいは消費者の方、そういった皆にそうした製品安全の文化というものが普及をし、これまで起こってきた、私が年表につくったようないろいろな出来事が今後起こらないようになることを強く願って、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、太田和美君。

太田(和)委員 民主党の太田和美でございます。

 四月の補欠選挙で、私、当選させていただきまして、常任委員会ではきょうが初めての質問になります。私は、選挙の際、負け組ゼロをキャッチフレーズに掲げ、小泉政権のもとで進んだ格差の拡大に歯どめをかけ、努力をする者が報われる政治の実現を公約にいたしました。この経済産業委員会におきましても、我が国の経済産業の活性化を追求するのは当然といたしましても、イザナギ超えだと勇ましい大企業をよそに、いまだに景気回復を実感できない日本の経済社会に大きなひずみをもたらしている構造に立ち向かっていきたい、そして、何よりも消費者優先の立場に立って一生懸命活動させていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、消費生活用製品安全法改正案について質問するに先立ち、まず、パロマ社のガス湯沸かし器、松下電器の石油温風機など、この間、消費生活用製品の事故によって亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げます。また、シュレッダーや浴室乾燥機などによってけがをしたり火災に遭われた方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 私は、安全性に欠陥のある商品を製造したメーカーには大きな責任があると思いますし、また、パロマ社のように、当初は責任を認めず、開き直ったりうそをついたりと、その対応には大きな怒りを感じていました。しかし一方、安全軽視の制度や仕組みを今日まで温存させてきた行政の怠慢、政治の怠慢も強く指摘しておきたいと思います。

 私たち民主党は、パロマ事故が社会問題になる以前から、消費生活用製品等及び特定生活関連物品に係る危険情報の提供の促進等に関する法案、略称危険情報公表法案を作成し、二〇〇四年の国会から提出してまいりました。継続審議となり、内閣委員会に付託をされております。与党の拒否によりいまだ審議されておりませんが、もし、この民主党案が早期に成立しておれば、今日また違った事態になっていただろうと思うと残念でなりません。

 民主党の法案との関連では、後ほど我が党の先輩議員の皆様からじっくりと質疑をされるだろうと思います。私は、民主党で最初に質問させていただきますので、まず、パロマ社のガス瞬間湯沸かし器による事故の経過と経済産業省の責任から質問させていただきたいと思います。

 今回の改正案は、消費生活用製品をつくったメーカー、輸入業者が、重大事故が起こった場合に、経産省への報告を義務づけるという点が最大の目玉だと認識をしております。これは遅きに失しているとも言えますが、消費者安全行政として一歩前進であることは間違いないと思います。しかし、メーカーから報告が漏れなく上がれば大丈夫なのでしょうか。二十八件の事故のうち二十件についてはガス事業者から報告があったと聞いております。幾ら報告があっても、処理体制が不十分だったり安全性に敏感に反応するセンスが欠けていれば、原因究明や再発防止につながっていかないのではないでしょうか。

 ガス事業者からの報告はどのように処理されたのか、なぜこの報告を生かして事故の連鎖に歯どめがかけられなかったのかをお伺いいたします。

甘利国務大臣 お答えいたします。

 経済産業省は、パロマ工業株式会社製のガス瞬間湯沸かし器事故につきまして、ガス事業者から事故報告を受けておりました。これらの事故に対しましては、個別に事故原因の分析を行い、対応してまいったわけであります。またあわせて、パロマ工業株式会社に対する再発防止のための指導であるとか、ガス事業者等に対する保安対策の徹底の指導などを行ってきたところであります。

 当時の対応を現時点から振り返ってみますと、まず第一点として、事案を個別に処理して、その情報の集約、分析が不十分であったと思います。二点目といたしましては、事業者に対する指導の実効性が維持されているかどうか、十分なフォローアップを行うことが必要であったのではないか。これが二点目。そして三点目として、消費者に対しまして積極的に事故情報を公開すべきであった。こういう点を今から考えると反省をしているわけでありますが、こういう点を踏まえて、今後の製品安全対策に資するようにしたいと思っております。

 先般、製品安全についての総点検を実施しまして、三十一項目の対策を公表したところでありまして、今後、これらの対策を確実に実施してまいります。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 この際、パロマ社からの直接の報告もあったはずです。経産省の製品安全対策に係る総点検結果取りまとめによれば、パロマ工業株式会社は、平成二年及び三年に、通産省生活産業局日用品課に事故報告を行ったとしているという記述があります。さらに、これら二件の事故報告では、いずれも、コンセントに電源コードを差し込まなくても燃焼するように不正改造がなされたということが報告されています。

 経産省にこの平成二年及び三年のパロマからの事故報告を資料要求したのですが、ないということでした。経産省の取りまとめには、事故報告があった、そして不正改造があったと内容まで記載されているのに、肝心の報告書がないというのはどういうことなのでしょうか。

高木大臣政務官 パロマ工業株式会社から、十五、六年前のことになりますが、平成二年及び平成三年に事故報告書の提出があったか否かにつきましては、あらゆる書類、そしてまた当時の担当者にも確認をさせていただきました。平成三年に報告がなされたことは確認できましたけれども、平成二年の報告は確認できておりません。また、残念ながら、こうした報告を踏まえまして、当時どのような対応がとられたかにつきましても確認できませんでした。

 いずれにいたしましても、当時の対応を現時点から考えてみますと、省内における情報の共有化及び関係部署間の連携が十分ではなかったことは否めないと考えております。

 こうした反省を踏まえまして、経済産業省といたしましては、省内の検討、フォローアップ体制を整備するとともに、事故リスク情報を国民に提供することなどによりまして、製品安全対策に万全を期してまいります。

太田(和)委員 報告書がないのではっきりと申し上げられませんが、不正改造というのは大きな端緒になるのではないでしょうか。

 どうして不正改造がなされたのか、不正改造にパロマ社は関与していないのか、不正改造を許さない措置はどうするのか、消費者にはどのように知らせるのか等々、疑問点について、現行法八十三条に基づき追加的に報告徴収しようと思えばできるでしょう。さらに、現行法八十四条で立入調査もできることになっています。

 これらの法的根拠に基づいてどうしてこの時点でしっかり掘り下げた調査を行わなかったのか。平成四年以降十人の方が事故で亡くなられているだけに、どうしてこの平成二年、三年の報告が生かされなかったのかをお尋ねいたします。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 通商産業省では、御指摘のとおり、ガス事業者からの報告に加えまして、パロマ工業株式会社からも平成四年に同社製のガス湯沸かし器に関する三件の事故報告を受けております。これは当省から求めて報告を出させたものでございます。この事故報告を踏まえまして、その時点でも、ガス事業者に対しまして、一酸化炭素中毒事故等の防止を徹底する旨の通達を出すなどの対応をしてまいりました。

 しかしながら、より有効な対策をとるためには、これらの事故の原因の徹底的な究明のための情報の集約作業を行う必要があったのではないかと考えております。情報の集約のためには、事業者に対して徹底的に不足のある情報を提出させ、長期間にわたって情報を集約し、都市ガスとLPガスの区別なく横断的に事故情報を収集し、メーカー名、型式名、事故原因などをキーワードとして系統的にデータベースを整備すること、これらのことによりまして、ガス消費機器の事故事例を系統的に分析できる体制を整える必要があると考えております。

 このため、今後の対応といたしましては、ガス消費機器メーカーから事故報告を求めることに加えまして、高圧ガス保安協会において都市ガス、LPガスの区別によることなく統一的な事故原因分析を実施すること、外部有識者によるワーキンググループにおいて事故原因分析及び対応状況のフォローアップをすること、ガス事業者からの事故報告にメーカー名、型式名等の情報を追加することなどにより原因究明の徹底を図り、有効な対策をとってまいりたいと考えております。

太田(和)委員 平成四年三月二十六日に経産省LP保安室が三件の事故についてパロマから報告をさせています。この報告書については、個人情報を墨で消した写しを経産省からいただきました。この三件の報告書には、それぞれの事故原因についての記述があります。

 「電源コンセントに差し込まなくても燃焼する状態になっていた。パイロット安全装置の回路上に、何らかの異常があると思われる。」「湯沸器現品は改造された疑いがあるので、県警の科学捜査研究所で鑑定される。」

 そして、「これは強制排気式でコンセントから電気をとることでファンが回るしくみになっていた。またコンセントをつながなければ点火しないはずであるにもかかわらず、未接続で点火することを確認した。事故当時コンセントをつながずに湯沸器を使用していたため、不完全燃焼を起こし室内に一酸化炭素が充満した。」

 そして三件目ですが、「強制排気式給湯器を点火しており、」「事故を起した給湯器は台所及び浴室兼用」「何者かにより人為的に手が加えられ、排気ファンの作動がなくても点火が可能な状態になっており、事故発生当時も排気ファンの作動がなかったものと推定される。」

 つまり、共通しているのは、コントロールボックスに何らかの故障があり不正改造が行われていること、コンセントに電源プラグが入っていない状態で使用されていることが三件に共通していることであります。

 繰り返しになりますが、この段階でLP保安室がもっと感度を上げてというか、まあ常識だと思いますが、過去の同様の事故もすべて報告せよと現行法八十三条によって命じていたならば、平成二年、三年に日用品課に報告した事故についてもLP保安室で集約できたのではないですか。そうであるならば、この段階でもっと調査分析を深めるなり、場合によっては回収命令が出せたのではないでしょうか。

広瀬政府参考人 先生御指摘のとおり、パロマからの三件の報告につきましては、いずれも瞬間湯沸かし器のコントロールボックスの不正改造がある、ないし疑われるものであるとの報告をその当時受けております。それぞれの事案に対しまして個別に見たわけでございますが、これらを、共通した要因として、また共通した機種等から追跡をしていくという努力が必ずしも徹底していなかったということは反省をいたしております。

 今後、先ほど申し上げましたように、徹底的に情報を求め、情報の集約作業を図っていくということを念頭に対応していきたいというふうに考えております。

太田(和)委員 しつこく思われるかもしれませんが、大事な点なのでもう少し続けます。

 報道によると、パロマは平成九年、十三年にも経産省に死亡事故の報告を口頭で行ったとあります。この点は事実ですか。そして、どこが窓口だったのか、また口頭報告を聞き取ったメモは残っていますか。

広瀬政府参考人 平成九年に発生した関連事故のうち、七月十九日に北海道で発生した三名軽症の一酸化炭素中毒事故につきましては、ガス事業者からの事故報告におきまして、事故原因は水漏れによるマイクロスイッチという部品が故障したためとされております。当時の通商産業省ガス保安課の担当者に確認をしましたところ、この事故報告を受けまして、パロマ工業株式会社に対し、当該部品のふぐあいの状況等について問い合わせを行ったとのことでありました。これを受けまして、パロマ工業株式会社からは、当該部品を製造した部品メーカーの見解として非常にまれな現象との報告を受けたため、それ以上の原因究明には至らなかったということでございました。

 また、平成十三年に発生した関連事故は、平成十三年一月四日に東京都で発生した二名死亡の一酸化炭素中毒事故の一件のみでございます。当該事故につきましても当時の担当者に確認をいたしましたが、関係のガス事業者と面談した記憶はありますが、パロマ工業株式会社との面談については定かな記憶はないということでございました。

太田(和)委員 定かな記憶がない、またメモも残っていない、これは安全性に対する感度を疑う話だと思います。

 いずれにせよ、平成二年、三年、四年、九年、十三年の五回にわたって経産省はパロマから報告を受けているということでよろしいですか。

広瀬政府参考人 平成二年と平成三年につきましてはパロマ工業から報告がございました。平成三年から四年にかけましての三件につきましては、当省からパロマ工業に報告を求め、パロマ工業から報告の提出があったものでございます。

 いずれにしましても、これらの件についてはパロマ工業から当省に報告がございました。

太田(和)委員 複数のセクションが別々に受けて連携がとれていなかったり、いろいろな言いわけはできると思いますが、しかし、結果として、最初の事故から二十一年間回収命令が出せず、二十一人の方々が命を落としました。これは報告義務、私は一歩前進と評価しますが、報告を義務化したから製品の安全性が確立するという性質のものじゃないと思います。連携がとれていなかったり、情報の共有化ができていなかった。体制や制度の問題、これはこれで大事なことですが、肝心なのはそれを運用する側の安全性に関する資質ではないでしょうか。五回も報告があったのに有効な対策を出せなかったのは安全性に対する感度が鈍かったのではないか。その点、どう総括し今後生かすのか、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 感度が悪かったのではないかと御指摘されればそのとおりだと思います。委員御指摘のとおり、要は、情報をきちんと共有し、それを分析して対処する対応が極めて甘かったというふうに反省をいたしております。

 これを受けまして、具体的には先般公表しました三十一項目の対策におきまして、まず省内に事故リスク情報統合データベースを構築する、情報の共有を図る、危険が予知されるような案件について緊張感を持ってすべての情報が共有できるようにする、これを徹底しなければならない。そして、外部有識者によりまして事故原因の分析及び対応状況のフォローアップを行うこと。かつても、単発で情報が寄せられた、それに対する対処をそれなりに行った。しかし、その後のフォローアップがしっかりできていたか、これについても甚だわきが甘い状況があったんではないかという反省もしているわけでございます。そして、三点目といたしまして、経済産業省における事故原因分析及び対応に係る組織体制の強化を図る等々、情報の共有であるとか分析体制を強化していくことといたしております。

 これらの取り組みの適切な実施によりまして、製品安全対策に万全を期してまいりたいと思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 情報の共有化を強化していくとか、それだけの決意を示すのであれば、改正案第三十三条、「主務大臣の責務」、「主務大臣は、重大製品事故に関する情報の収集に努めなければならない。」この条文は努力義務になっていますが、情報を収集しなければならない。つまり、義務規定にすべきものではないでしょうか。そのことが今回の反省を生かし、二度と繰り返さないという経産省としてのメッセージにもなると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 三十三条の規定は、製品の安全性を確保し、消費者への危害の発生及び拡大を防止するという観点から、主務大臣が重大製品事故に関する情報収集を行う責務を有することを改めて明示しているものであります。

 御指摘の件でありますが、規定方法につきましては、こうした責務を定める際のより一般的な方法に倣って「努めなければならない。」としたところであります。

 例えば、公共工事の入札契約適正化法におきましても、国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、情報の収集、整理及び提供に努めなければならない。それから、薬事法におきましても、厚生労働大臣は、情報の収集に努めるとともに、途中ちょっといろいろなことが書いてありますが、努めるということが記載されております。それから、容器包装リサイクル法に関しましても、環境大臣は、情報の収集、整理及び提供に努めなければならない。

 こういう一般的な、大臣はどうするということの書き方は、各法令に、一般的な方法に倣って記載していることであります。もちろん、こういう書き方をしているからといって、負っている責務の重さがいささかも減ずるものではないと考えております。

太田(和)委員 一般論ということでしたが、メーカーや輸入業者には事故情報を報告しなければならないと義務を負わせたわけです。それなのに、主務大臣の情報収集が努力義務というのは、何かがくっとしませんか。一連の製品事故をめぐる経産省の反省は、情報が集まらなかったということだと思います。メーカーの報告義務に見合うのは主務大臣の収集義務でしょう。もう一度お尋ねしますが、考え直すおつもりはありませんか。

甘利国務大臣 各個別の法による大臣の責務は、その省の責任者が当然きちんとした義務として受けとめているわけでございまして、各法令の書き方に準じて書いてありますが、それは、それによって義務を減ずるというような意識は、私を含め、すべての大臣は持っておりません。

太田(和)委員 納得できませんが、時間もないので次に移ります。

 事故情報の報告義務の問題です。本改正案は、産構審消費経済部会製品安全小委員会の審議とその取りまとめを反映したものと理解してよろしいでしょうか。

松井政府参考人 お答え申します。

 本改正案を作成するに当たりましては、学者、業界関係者、消費者代表などから構成されます産業構造審議会消費経済部会製品安全小委員会において、その基本的方向性について御審議いただき、その結果に沿って改正案の策定を行ったところでございます。

 閣議決定されました改正案自体につきましては、第一回目と第二回目の審議会におきまして基本的な考え方を御了解いただき、それに沿って閣議決定を行ったわけでございます。その閣議決定案自体につきましても、十月十七日の製品安全小委員会において御確認をいただいております。

 このように、安全問題という非常に大事なものでございますので、若干順序が逆になりまして、本来であれば審議会の答申をいただいた上で法案の閣議決定に至るのが順序でございましたけれども、閣議決定の方がちょっと先になってしまいましたのは、案件の重要性にかんがみ、こういう順番になってしまいました。

 以上でございます。

太田(和)委員 小委員会の取りまとめによれば、国が何らかの方法で重大製品事故の発生を知り、当該事故に関する製造事業者または輸入事業者に対して報告徴収を行った結果、当該輸入事業者が報告義務を意図的に履行していない等が認められる場合には、製品一般名、事故概要、受理日、事故発生日に加え、製造事業者または輸入事業者名、機種、型式名についても、可及的速やかにホームページで公表するとともに、必要に応じて、記者発表を行うようにすべきである、このように提言しております。

 つまり、意図的に報告しなかったり虚偽報告をした場合には企業名を公表せよということですか。条文ではこの部分は入っておりません。これはどういった経過があるのでしょうか。

松井政府参考人 企業から事故情報が報告されました場合は、原則としてその企業名と再発防止策も含めて早急に公表をしていきたい、こういうふうに思っております。ただし、当該事故がその企業の責任に帰すものであるかどうか、それを分析いたしますのは時間がかかる場合もございますので、そういう場合は、当該事故が起きたという事実とその製品の一般名だけは早急に迅速に公表をして、次の事故が起きないように消費者に注意を促していきたい、こういうふうに思っております。

太田(和)委員 つまり、大臣の裁量任せということですか。甘利大臣の裁量ならば大丈夫かという気もしないでもないですが。私は、この点は非常に重要であり、条文に書き込んだ方がいいと思っております。

 今回のパロマ製品の事故では、制度の不備もありますが、報告漏れが随分あった。また、パロマとして不正改造に関与していないとか、責任はないとか、虚偽ではないかと思える報告もありました。それが明るみに出た結果、パロマは大変な世論の批判を浴び、売り上げは二割とか三割に激減しました。これは企業として罰金百万円より痛い制裁だと思うんです。意図的な事故隠しや虚偽報告を許さない、場合によっては公表するぞという決意を条文に書き込むことは、今回の改正案をより機能させる上で非常に重要ではないかと思えるのですが、大臣、もう一度お願いいたします。

甘利国務大臣 大事なことは、重大事故が起きたら直ちに消費者に情報を周知徹底して、まず気をつけてもらうということであります。これは、真っ先にやらなければなりません。

 ただし、その企業のその製品のものに明確によるものか、あるいは違うものか、その判断に時間を要することがあります。実はそのメーカーの責任によるものではないというようなことが仮に明らかになった場合に、この社のこの製品がけしからぬという周知徹底をしてしまった場合には、実は、原因は別にありましたということを後から言っても取り返しがつかない場合がありますから、まず真っ先に注意喚起をする、その後に因果関係をきちんと調べるというタイムラグがあるんだと思います。

 調査の結果、明確になった場合にきちんと対処するという、多少の時間差を認識してこういう対応になっていると承知しております。

太田(和)委員 必要があると認めるときは公表できるとか、そういう言い回しもあると思います。

 私は、この法案は、消費者の安全確保が最大の目的とは思いますが、決して企業いじめの法案ではなく、むしろ企業の危機管理を通じ、利益にもつながるものだと思っております。例えば、ある事故が発生し、その概要が公表された場合、同種の製品を製造するメーカーにとっては、その危険性を早急に発見し、あらかじめ対処するということができるでしょう。情報を早く出していただくことにより、同時に、情報を早く手に入れることが可能となるのです。この点で、各メーカーの協力は不可欠です。

 企業の危機管理にとっても大事な法案であることについて、大臣はどのように考えておられますか。

甘利国務大臣 安全な製品を製造、輸入するということは、消費者に製品を供給しています企業にとりましては、欠くことのできない基本的な姿勢であるべきだと考えております。先ほど来御指摘のとおり、こうした製品安全への取り組みというのは、企業の健全な発展や危機管理にとっても重要であるというふうに認識をしています。

 経済産業省といたしましては、事業者による製品の安全性への取り組みであるとか事故情報等の積極的な提供を促す観点から、改正法案において、重大製品事故の報告の義務づけや主務大臣による公表、事業者の努力義務を規定する、事故を隠す事業者には厳正な措置をとる、事業者の製品安全の意識向上のために取り組みを行う、製品安全を重視する企業風土の醸成に努めると。

 安全なものをつくるということは、安くて性能のいいものをつくるということと全く同義語あるいはそれ以上の製品価値、企業価値があるんだということを企業マインドとして徹底させていくということが何より重要だと考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 次に、製造・輸入事業者が義務として報告をしなければいけない重大製品事故、この定義についてお伺いをいたします。

 これも明確にしておかないと、消費者の安全だけではなく、企業の活動にも大きな影響を及ぼしかねないと思っております。政令で定めることとなっておりますが、その要件についてお伺いいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 法の対象となります製品事故につきましては、事故の原因にかかわらず、製品の使用に伴って生じた事故を幅広く対象としております。ただし、製品の欠陥によるものでないことが明らかな事故につきましては対象外としております。

 ここで、欠陥によるものでないことが明らかな事故とは、典型的には、まず第一点目は、製品の使用者が故意に人を傷つけた場合、第二点目としては、製品自体は安全に機能している状態で偶然交通事故に遭うなど、外的な要因により事故が起きた場合を考えております。また、著しい誤使用による事故等につきましては、限定的に報告義務の対象から除外する必要があり、具体的な事例をホームページ等で列挙し、該当する場合は報告を要しないものとしたい、こういうふうに考えております。

 報告義務の対象となります重大製品事故は、危害の内容や事故の態様が重大な事故に限定することとし、具体的には、政令で定める要件に該当する事故を対象とすることとしております。政令では、死亡、身体欠損、機能喪失を含む重傷、一酸化炭素中毒症、火災などを定めることを想定しております。

太田(和)委員 重大事故の定義がいささかあいまいになっています。

 治療に要する期間が三十日以上のほか、継続的機能喪失や身体欠損となっていますが、これは、より一般的な後遺障害という言葉に置きかえた方がよいのではないでしょうか。後遺障害の定義については、労災の障害等級表などで明確になっていると思いますが、いかがでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 製品事故として報告の対象となります重傷事故につきましては、治療に要する期間が三十日以上の負傷、中毒のみならず、治療行為自体は三十日未満だといたしましても、失明のように、その後、体の機能が継続的に失われるような場合も含めることを想定しております。

太田(和)委員 後になって、この政令の要件に入っていないからという理由によって、実際に大きな被害が出ているにもかかわらず、事業者が報告をしないというような事態にならないよう、できるだけ明確化することを要望しておきます。

 そこで、次の質問に移ります。

 この重大事故情報についての報告ですが、販売・修理業者に義務をかけなかったのはなぜですか。

山本(幸)副大臣 もともとこの消費生活用製品安全法の体系自体が製造・輸入事業者を対象にしておりますが、これは、こういう製造・輸入事業者というものが、我が国の市場に最初に製品を投入する、かつ、製品の設計、加工、組み立てや輸入行為等を通じまして製品事故の原因を結果的に生ぜしめる者であるということからでございます。

 そこで、消費生活用製品安全法の体系を通じまして、こうした一義的に責任を負うべき者として製造・輸入事業者ということにしているわけでございます。今回の重大製品事故の報告義務についてもこの考え方を踏襲して、製造・輸入事業者に義務づけをしているところでございます。

 御指摘の販売事業者等でございますけれども、彼らは、製品の安全性に一義的に責任を負う製造・輸入事業者から製品を購入、販売する立場にございまして、安全性の確保に関しては、製造・輸入事業者と同等の責任を負わせることは適当ではないのではないかと考えております。

 また、仮に販売事業者等に報告義務を課しますと、こうした販売事業者等は非常に多種多様な製品を取り扱っておりますので、販売後等、長期間にわたってそうした製品すべてについて把握をしているということはなかなか難しいと考えられますし、特に、多くの零細な事業者等にとっては過度な負担となりかねないということもございます。

 そこで、一義的な責任を持つ製造・輸入事業者にこうした報告義務を課しておるという体系にしたわけでございますが、なお、こうした小売販売事業者等につきましても、努力義務、協力義務として、消費者から事故情報を得た場合には製造事業者等に通知をするということを求めております。あるいはまた、第二の事故が生じないように注意喚起を行うことを、販売事業者等については製造事業者等が行う製品回収等に協力することをお願いするという形になっておるところでございます。

太田(和)委員 パロマ事故では、販売・修理業者は不正改造に関与したわけで、事故の原因を知り得る立場にあると思います。また、地域に密着していますから、事故情報をいち早く知り得るケースもあるかと思います。製品事故の一義的な責任が製造・輸入業者にあるというのはわかりますが、だからといって、販売・修理業者は義務ではなく努力義務にしてしまったということがよくわかりません。

 次の質問に入りたいと思います。

 製造・輸入業者の中には中小零細企業が多いと思います。中小零細であっても安全のためにしっかり対応してもらう、しかし、しっかり対応する体力はなかなかないだろうから、その部分は支援するというような考えが大事になってくると思います。

 例えば回収命令が出ても、中小零細ではなかなか、松下電器のようにスポットCMをしたり、チラシを大量にまいたりという、消費者に周知するのは大変難しいと思います。融資とか保険とか、手段はあると思うのですが、この点、どのような支援措置を考えておられるのか、お伺いをいたします。

山本(幸)副大臣 御指摘のように、資力が不足しております中小企業の場合、製品安全に関する責任を全うする意思を有しながらも、これらの責任を果たすために十分な対応をすることができないという場合もあり得ると考えられます。

 そこで、経済産業省としては、こうした場合に備えまして、一つは民間における保険制度の創設を慫慂したいと思っておりまして、現実に、ある損害保険会社は、そうしたリコール保険というようなものを考えたいというようなことを言ってきておりますので、ぜひしっかりとした打ち合わせをして、そうしたものが民間の保険でまずできるというように慫慂してまいりたいと思っております。

 また、資金繰りについては、既存の中小企業金融制度で、例えば経営環境変化対応資金という制度がございまして、一時的に売上高や利益が減少するということが起こっても中長期的には回復できるというような場合には、中小公庫で一般貸し付けと合わせて四億八千万円以下とか、国民公庫では四千八百万円までとか、商工中金で四億八千万円までとか、そういう融資制度がございますので、それをぜひ活用するように努力してまいりたいというふうに考えております。

太田(和)委員 経済産業省としては支援をとるのはなかなか難しいのは承知しておりますが、中小零細も含めてしっかり取り組まないと、消費者の安全は守られないと思います。ぜひ、経産省としても前向きに取り組んでいただきたいと要望をしておきます。

 そこで、次の質問ですが、現行法九十三条には、「主務大臣に対する申出」として、「何人も、消費生活用製品による一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生を防止するために必要な措置がとられていないため一般消費者の生命又は身体について危害が発生するおそれがあると認めるときは、主務大臣に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができる。」とあります。また、二項には、「主務大臣は、前項の規定による申出があつたときは、必要な調査を行ない、その申出の内容が事実であると認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。」とあります。

 私は、これはなかなかいい、制定当時としては画期的な条文だったと思うのですが、この条文を使った申し出は過去何件あったのでしょうか。

高木大臣政務官 今お話ありました第九十三条でございますが、現行法で定めております申し出制度は、一般消費者の生命または身体につきまして危害が発生するおそれがあると認める場合、思われる場合も含めまして、一般消費者の方々が関係省庁に対して申し出ができるとしております。

 一方、経済産業省では、昭和四十八年の法制定当初から任意の事故情報収集制度を運用しておりまして、そこで幅広く事故情報を収集してきたところです。こちらの方の任意制度が一般消費者の方々においても活用されてきたこともありまして、本条項の制度がこれまで活用されてこなかったものと認識をしております。

 今後につきましては、今回の法改正による事故報告制度とあわせまして、本制度につきましても、まず一般消費者の方に知っていただくことが大事でございますので、周知活動に努め、消費者保護の徹底を図ってまいりたいと思っております。

太田(和)委員 この法律の制定当時、昭和四十八年ですが、そのときの議事録を見ますと、九十三条の申し出に基づいて主務大臣がアクションをする、その結果がどうなったのか消費者に公表することが大事だという議論が出ております。条文でも結果の公表について盛り込むべきだという議論があって、結局は条文にまで盛り込まれなかったと承知しておりますが、私は、この公表が条文に入らなかったというのも影響しているのではないかと思うのです。

 というのも、申し出をしても、どうせナシのつぶてになるのではないか、お役所の中でたらい回しになってやみに葬られるのではないか。つまり、当時の通産省に対し、企業べったり、消費者軽視ではないかという不信があったのではないか、それが活用されなかった一つの原因ではないかと推測をしております。

 そこで、消費者に九十三条をPRしていく際に、結果は公表されますよということをしっかりアピールしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

松井政府参考人 先生御指摘のとおり、この法律の主目的は、製品に関する事故情報を経済産業省が受けた場合は、迅速にそれを消費者の方に御提供をして、次の事故が起きないように注意を促すことでございますので、御指摘のような申し出があった場合には迅速に公表をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

太田(和)委員 最後の質問に移ります。

 一連の製品事故に関し、経産省の対応が後手に回った原因の一つとして、自治体の消費生活センターや独立行政法人の国民生活センター、そして警察や消防との連携がうまくいかなかったことが挙げられております。これは私も全くそのとおりであり、一刻も早く連携へ向けた体制整備を行うべきだと思います。

 具体的にどのような措置をとっているのか、まず経産省にお伺いをいたします。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、まず省内で情報を共有、集約するということと、省外との連携をしっかり図る、情報収集に関してはこの二点が大事だということで、直ちに対応をとっているわけであります。警察庁であるとか、あるいは消防庁の協力を得まして、製品事故に関する連絡会合というのを開催いたします。省を超えて情報を共有するためのシステムをつくっていくことといたしております。

 あわせて、消費者から情報が寄せられます国民生活センターそれから都道府県レベルでの消費生活センター、こことの連携、情報共有をしっかり図りたいと思います。

 実は、国民生活センターと連携をとるという経緯の中で、個人情報保護をどうするということがありまして、なかなか前に進みづらいという点がありました。この点は、高市担当大臣と私と話をしまして、とにかく、事は安全にかかわることなので、できるだけ迅速に対応ができるように大臣からも要請をしてほしいということで、大臣間で話をしまして、この体制が迅速にとれるようにいたしました。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 内閣府にもお尋ねをしたいと思います。

 この間の反省に立ち、国民生活センターに集まってくるPIO―NETの情報は、経産省ともつないで、消費者行政に活用していくことが重要だと思うのですが、いかがでしょうか。

平沢副大臣 内閣府としましては、最近の製品の事故等にかんがみまして、関係行政機関等と事故情報を共有していくことは極めて重要であるということは考えております。そのため、内閣府では、去る九月の末に、全国消費生活情報ネットワークシステム、PIO―NETを通じまして、国民生活センターが入手した死亡あるいは重篤事故情報の関係省庁への連絡を徹底しているところでございます。それから、関係省庁間の広範な情報共有のため、消費者政策会議のもとに設置される消費者政策担当課長会議を定期的に開催する、これも決めたところでございます。また、苦情相談情報の効果的な活用方策に関する検討会、これも立ち上げたところでございまして、こういったことを通じまして、情報の共有を検討していきたいと思います。

 今先生御指摘の、PIO―NETの経産省との接続についてでございますけれども、今経産大臣からお話がありましたように、これは個人情報でございまして、情報を提供してくださる方は、消費生活センターということで提供してくれたわけでございまして、これを直ちに国民生活センターあるいは経産省の方に流すことができるかどうかということにつきましては、私自身はこれは将来ぜひそういう方向に持っていった方がいいんじゃないかなと思いますけれども、いろいろな問題がないわけではございませんので、現在、苦情相談情報の効果的な活用のための検討会議、こういうものをスタートさせまして、こうした問題について、果たして可能かどうかということも含めて、具体的な検討に入っているところでございます。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 PIO―NETの活用をめぐる内閣府の検討は来年の春までかかると聞いております。まず、どうしてもっと早くできないのかということです。個人情報という問題もあると思いますが、個人情報ではなく事故情報が欲しいのです。接続に当たって、どのような難しい問題があるのか、もう一度お伺いしたいと思います。お願いします。

堀田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、PIO―NETは、国民生活センターとそれから地方の消費生活センターをオンラインで結びまして、消費生活相談情報を収集、蓄積するものでございます。その収集した情報というのは、これまで主に、消費生活相談員の方が相談業務をするときのいろいろデータベースにするといったこととか、あるいは、消費者に対して危険な情報があればそれを周知徹底するための情報提供手段といった意味でも使われてきたもので、原則クローズドなシステムとして構成されてまいりました。したがいまして、個々の事例を外部に提供するということは、これまで余り念頭には置かれてこなかったというものでございます。

 このため、PIO―NET、経済産業省あるいは警察庁といった法執行官庁と接続した場合には、PIO―NETに蓄積されております消費者の生の声、例えば多重債務に陥っている方、そういった方とか、あるいは出会い系のサイトの閲覧で架空請求されたといった、家族にも余り知られたくないような、本当に生の声が入っているといった問題がございます。

 仮にそういったものを外部の方にどんどん提供いたしますと、消費者とセンターとの間での信頼関係というのが毀損されてしまうおそれがあるという懸念がございます。また、消費生活センターからPIO―NETを接続した場合に、これら法執行機関から照会業務が今後増加するということになりまして、センターの本来業務であります相談業務になかなか手が回らなくなってしまうんではないかといった懸念を示す地方自治体等の声もございます。

 他方、有用性につきましても我々認識しているところでございまして、この接続の問題につきましては、地方のさまざまな声も聞きながら、学識経験者等の意見も聞きながら、検討会議でさらに検討してまいりたい、三月末ごろまでを目途に一定の結論を得たいというふうに考えております。

太田(和)委員 私は、今回の質疑に先立ち、地元の消費生活センターに行って現場のお話を伺ってまいりました。消費者行政の第一線で頑張っておられるセンターの職員さんや相談員さんは、経産省と早くつないでもらって結構だというふうに言っていました。今答弁にもありましたように、相談業務に手が回らないというようなこともありましたが、そのようなことはないということです。その方が問題の解決に早くつながるんだというようなお話でした。経産省につなぐと、省からの問い合わせがふえ、相談に来られた方に確認したりする事務量がふえるから嫌だなんということは言っておりませんでした。

 この問題には、役所間の縄張り意識などがひょっとしたらあるのかもしれませんが、変な縄張り意識は捨て、ひたすら消費者の安全のため、早急にPIO―NET情報を活用する仕組みを整えていただきたいと思います。

 最後に、内閣府にもう一度お尋ねをいたします。

 十月二十二日付の読売新聞朝刊の一面に、「「暮らしの事故」対策新組織 〇九年設置政府検討 縦割り排除、情報集約」という記事が出ております。要は、米国で一元的に消費者製品安全行政を行っているCPSCをモデルに、縦割りじゃない新組織をつくるため、これから国民生活審議会が検討していくんだという内容です。この報道は事実でしょうか。これが事実だとしたら、大胆かついいセンスしているなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

平沢副大臣 今先生御指摘のとおり、役所が縦割りじゃないかなと、私自身も長年役人生活をやっていまして、全くそのとおりだなという感じがしておりまして、特に今のこの問題は、国民の生命、安全にかかわることなので、こうした縦割りの意識を排除して、まさに役所一体となって、国民の生命、安全を守っていく必要があるんじゃないかなということで考えております。

 先ほど申し上げましたように、内閣府でも、今、いろいろと対策を講じているところでございますけれども、新聞に報道されました新しい縦割り排除のための組織をつくるということを今直ちに決めたわけではございません。先ほど申し上げましたように、国民生活審議会におきまして、今いろいろと検討を進めているところでございます。

 もしここの審議会でそういった組織をつくった方がいいというような結論が出ればまた話は別でございますけれども、いずれにしましても、既存の組織の中でいかに有機的な連携を図っていくか、そして問題のないようにするかということが大事なわけでございまして、今のところ、内閣府としましては、既存の組織の中で問題が起こらないように、新組織ということではなくて、最大限国民の生命、安全を守るべく努力していきたい、このように考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 この記事が事実としたら、経産省の改正案も大きな影響を受けると思います。法案審議どころの話ではないわけです。しかし、今後、記事に出ているような新組織も含めて検討がなされていくのだろうと思います。現在の、エレベーターや回転ドアは国土交通省、薬や食品は厚生労働省、電気製品や消費用品は経産省という縦割りではなく、情報を集約して安全行政に取り組む、それぞれの産業振興と安全規制は切り離して別のセクションでやるんだというのであれば、消費者にとっても大きな前進だろうと思います。ただ、実際には、省庁の抵抗もあり、簡単に進まない話であろうと思います。

 そこで、個別法に基づく各省ごとの安全行政、これを前提としつつも、この国民生活審議会の委員会の方の表現をかりれば、各省間に横ぐしを通す検討を行う、このことは早急にやらなければならないと思います。各省間にまたがる安全行政に横ぐしを通す。例えば、今回は経産省の法案で事故情報の報告義務をかけるわけですが、エレベーター事故などを監督する国土交通省の建築基準法には事故情報の報告制度はないわけです。今、遅まきながら検討はしているようですが、各省ばらばらの対応ではだめなのではないでしょうか。内閣府として、安全行政に手薄な分野が出ないよう、政府でもっと調整していくべきではないかということを申し上げまして、時間になりましたので、私からの質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 ただいま太田和美さんの方から、子細にわたって質問がございました。私もそれを踏まえて質問をさせていただきます。

 質問に入る前に、まずは甘利大臣に、大臣就任に対するお祝いを申し上げます。

 たしか一般質問のときにどなたかが発言されていましたが、商工族とおっしゃっていましたが、余りいいイメージがございませんので、私は、経済産業分野に精通している代議士として、ぜひ日本国と国民のために御奮闘をいただきたいと考えております。特に、小泉政権の中でいわゆる光と影という部分がありますが、甘利大臣は情に厚いと伺っておりますから、陰で泣く人々に対する配慮といいますか考え方を十分に施策の中に織り込むように、全力での御活躍を期待いたします。

 今回のパロマ事故、シュレッダー事故、一連の問題を契機として消費生活用製品安全法の改正ということに至ったわけでありますが、この問題について質問に入ります。

 先ほど太田和美委員からるる御指摘がありましたように、国がやるべきことはまさに国家国民の生命財産を守るというのが真髄でありますが、どうもそこら辺で抜かりがあって今回のような、パロマでは合計で、この報告書によりますと、死亡二十一人、重体・重症三名、軽症三十六名、こういうことが言ってみますと放置されてきたわけでありまして、もっと早く手を打っていたら、この方々の命が助かったんじゃないかと思いますが、結果的にこういう残念なことになりました。

 きょう質問に立つに当たって、太田委員の方からは、今回の事故に絡んでの法あるいは体制の不備等について指摘があったわけですが、私が今回特に注目しておりますのは、犠牲になられた方の数の中には入っていないということなんですけれども、北見の男性がおふろの中で亡くなっていた、そして、パロマの方は、この亡くなった方についてはガス湯沸かし器が原因かどうか判断できない方と言うんですが、その後に、また同じアパートに入った方が今度は一酸化炭素中毒で亡くなっているんですね。私は、こういう、同じアパートに入っている方が前におふろで、溺死ということですが、亡くなった、そして後に入った方がまた、男女二人が一酸化炭素中毒で亡くなっているという、この事実の背景をひもときながら、一体私たちは、この事故をどうやって未然に防いで、そしてどうやって、事後対処方式になるかもしれませんが、そういうときに当たったらいいかという観点から質問をさせていただきたいと考えているところであります。

 特に、甘利大臣もかつて民間企業にお勤めの方でございますが、私も民間企業で、ものづくりの世界で仕事をしてまいりました。特にこのパロマの問題については、不正改造をやった作業者とそれを指示した人はもうわかっているはずなんです。こういう改造をやったら死ぬんじゃないかということはわかっているはずなんです。というのは、ガス湯沸かし器が点火されて換気扇が動かなければ一酸化炭素中毒になる可能性は強い、これはもう作業者もそれを指示した人もわかっているんですよ。

 ですから、こういう事件があって、どなたがやったかわかりませんが、この委員会の質疑を聞いている中で、作業したという人がいれば、その作業者の方も指示した方も、これは殺人行為そのものだった、その可能性があったということを強く意識してもらわなきゃならないし、そこまで日本のそういうモラルが落ちたのかなということで、私は非常に残念なんです。

 そこで、最初にお伺いしたいのは、大臣にお伺いしますが、パロマ事故あるいはシュレッダー事故などの一連の重大事故の要因と経済産業省としての反省を伺いたいと思います。

甘利国務大臣 前途有為な青年を一酸化炭素事故で失った両親の思い、あるいは、小さな子がシュレッダーに指を挟まれて、両手を血だらけにして泣き叫んでいる光景、思い浮かべるだけで目を覆いたくなるような悲惨な光景であります。こういう製品に係る事故は世の中から一掃していかなければならないわけでございます。

 どういう点が足りなかったか、反省点は多々あると思います。まず、個々に来た情報について、一応の対処をしたつもりでも、その後どうなったかフォローアップができていない。あるいは、同じような事故が起きた場合に、基本的な欠陥ではないかという疑いをもっと強く持つべきではなかったか。あるいは、そういう事故が起きた場合に、直ちに、次なる事故が起きないように警鐘を鳴らすための周知徹底がなされていなかった。反省点はいろいろあります。

 先ほど来申し上げておりますが、省としての情報を一元化、共有する体制ができていない。それから、情報は、経済産業省だけではなくて、いろいろなところに第一次情報は来るわけであります。事故であれば、消防署に行く、あるいは警察に行く。こんな問題があってどうなんだという苦情であれば、国民生活センター、都道府県レベルの消費生活センターに行く。そういうところとの情報の共有があればさらに迅速に対応できたのではないか、あるいは、そういう事故が起きたときの情報を法律によってきちんと届け出なければならないという仕組みがあれば防げたのではないか、いろいろな反省点があるわけでございます。

 そこで、省内、情報を共有する体制、そして省外との連絡会議を設けましたし、今、先ほど来指摘されていますように、国民生活センターとどう情報を共有するか、これは個人情報保護の視点はあります。ありますが、それに配慮しつつも、事は生命にかかわることでありますから、これはもう省の壁を越えて方法はあるはずだと、私からは強く高市大臣に迅速な検討を申し入れているところでございます。

 過去の反省をしっかりと受けとめて、安全行政に遺漏なきよう行いたいというふうに思っております。

大畠委員 省として、情報のいわゆる収集、あるいはそれを得たときの対応について不備があったということを率直に大臣は認めておられるわけで、今回の法改正もそういうことから行われたと思うんです。

 最近の製品もそうだし、私たちの生活もそうだけれども、いろいろなものが錯綜していまして、これは経済産業省だとか、これは農水省だとか、これは国土交通省だとか、これは何とかだといったって、生活している人は一人でやっているわけですから、経済産業省だけ、この事故を契機として事故情報の共有化を図って、自分のところだけは再発させませんという宣言をしたとしても、国民生活からすれば、ごく一部だけ安全が担保されたということにしかなりません。

 政治はまさに、住民の方々が何のために税金を払っているのかというと、やはり地域社会で生活する上で安全を保障してもらいたい、できるだけ、防衛問題もそうでありますが、あらゆるところで、食料品もそうでありますが、私たちが買ったり食べたり使ったりするものは安全であるということを担保してもらいたいという意識があるのでありましょう。

 きょう、ちょうどその話になりましたので、農水省からも来ていただいておりますので、ちょっとお伺いしたいと思うんです。

 雪印食品の商品偽装事件というものがありました。私は、これが一番最初に社会的に浮き上がった事件だったなと思うんですが、もうかればいい、当面、とにかくわからなくて、もうかればいいということで、賞味期限切れの牛乳を売ってしまって、いろいろな被害が出たということもありますが、この雪印食品以来、農水省としては、この問題についてどういう対応をしてきたのか。

 甘利大臣は、経済産業省だけの大臣じゃなくて、すべての省庁のそういう事項は全部掌握するぐらいの力量の方だと思いますから、それはまた後ほどお伺いしますが、まず、農水省として、この食品問題に対してどのような手を打ってきたのかということを答弁いただきたいと思います。

貝谷政府参考人 お答えいたします。

 農水省といたしましては、食品の安全という立場から所管をしております。

 先生今お尋ねの雪印食品、これはさまざまな問題を起こしております。例えば、今御指摘の十四年、平成十四年でございますけれども、肉の表示の偽装事件という形で起こしております。これは、いわゆるJAS法と言われておりますが、こういったJAS法の規定に違反をし、表示を偽ったということでございまして、この雪印食品以後、食品の表示ということにつきましての不祥事案が続発をいたしました。

 食品に対する安全それから国民の安心ということを考えますと、農水省といたしましては、この大変な事件の中で消費者、国民の信頼が失われたというふうに考えております。消費者の信頼確保、回復のために、それを受けまして、私ども、このJAS法の改正を行いました。平成十四年の改正ということでございまして、それ以前、罰則も比較的緩いものでございましたので、こういったJASに違反した業者に対する罰則の大幅な強化、それから消費者に対するこういった違反事例の迅速な公表、こういった措置を講じたところでございます。

 また、食品の表示というのは国民にとっては情報ということで大変大事でございまして、この対策の強化ということで、私ども、地方農政局あるいは農政事務所におきまして大幅な増員を図りまして、この食品表示の監視体制を強化したところでございます。

 また、同じころでございますけれども、農水省の関係出先機関、県におきまして、食品の安全に関する一一〇番、ホットラインという形でつくりましたし、また、これは一般消費者、国民の方々からの声ということで、食品表示のウオッチャーということを制度化いたしまして、活用しております。

 こういった違反事例に対する、これを踏まえた取り組みということを、私ども食品分野を預かる者として強化をしてまいっております。

 とりもなおさず、この食品の問題、先ほど来議論ございますが、私ども行政がやるという前に、やはり最も大事だと思っておりますのは、この食品関連事業者はみずからが第一義責任を負っているんだ、食品の安全性についての第一義的責任を有しているということを私どもは考えておりまして、そういう意味からの企業のコンプライアンス意識、こういった点については、大変私ども、こういったことを機会に真剣に取り組んできているところでございます。

 この十四年の雪印食品の事案を契機にいたしまして、食品業界全体といたしましての取り組みを進めるために、私ども、関係の食品の企業、団体が広く参加しております食品産業センターというものがございますが、そういったところなどを中心にいたしまして、いわば業界みずからが行動規範をつくる、そして、つくっただけではなくて、その実効性をきちんと担保するようなことをちゃんと考えていくということを進めてきております。平成十四年の六月でございますけれども、各事業者が取り組むべき行動規範策定のための手引というものをこういった団体を通じまして作成し、講習会などを通じまして、食品事業者みずからが取り組んでいく、そういう取り組みを促してきているところでございます。

 また、少し長目になって恐縮でございますけれども、こういった食品にかかわる不祥事案、さまざまございます。雪印以外にもさまざまございまして、私ども農水省におきましては、食品の安全を確保するということで、抜本的な組織改革を行いました。食品分野におきます安全の確保は当然でございますけれども、もう一つはやはり消費者行政、消費者に向けた行政というものを大変大事にしたいということで、この両行政を一元的に扱います消費・安全局というものを平成十五年に設置いたしまして、現在、体制を強化して取り組んでおるところでございます。

 繰り返しになりますけれども、食品の安全確保、それから消費者の信頼を得る、この二つの大きなテーマを私ども常に頭に置きながら、また、関係行政機関とも連携をしまして、食品の安全ということに尽力をさせていただいております。今後とも、先ほど申しました消費者の視点ということを大事にしながら、国民の健康保護ということを旨として、食品の安全確保に取り組んでいきたいということを考えています。

 少し長目でございまして、恐縮でございます。

大畠委員 今農水省から食品に関するお話がございましたけれども、確かに、第一の責任は製造者だ、だから製造者が安全な食品をつくるようにというのは、これは当たり前なことでございます。

 例えば、先ほど太田委員からもお話ございましたが、なぜ今回の法律案が経済産業省だけなんだ、その疑念は私も払拭できないんです。例えば、私たちの生活を取り巻くのは、自動車もあるし医薬品もあるし、ここに参考にありますが、エレベーターとか自動ドアとか、それからおもちゃ、包装容器、器具、添加物、もちろん今言った食品もありますし、化粧品とか医療器具、考えてみれば本当にたくさんのものがあるわけなんだけれども、今回は、たまたまパロマとシュレッダーというので経済産業省関係が中心ですが。

 私は、甘利大臣、政府として、こういう危険情報といいますか、民主党でも危険情報公開法というのを提案していますが、これはずっとつるされたままであるんですけれども、政府として、こういう危険情報を一元にして、経済産業省だけの管轄じゃなくて、内閣府あたりにそういうものをセットして、こういうものが、食品でも、あるいはおもちゃでも、包装容器でも、医療でも、化粧品でも、そういう危険情報が入った場合にはここに全部集約して、国民の皆さんが知りたい方はどうぞ、そういう一元化したデータベースを政府としてつくるべき。

 これが国民のための、残念ながら亡くなられた二十一人の方がおられるし、おふろで溺死した方はパロマの事故との関係性は関係ないんだといって突っぱねられておりますが、こういう方々の死を無駄にしないためにも、そういう危険情報を全部一元管理したようなものを、内閣府にデータベースをつくって対処すべきものが、今回の事故で亡くなった方々に対する政府としての誠意ある対応だと思うんですが、大臣としてのお考えをお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 その製品を所管しているところが情報を把握して、どういう対処をすべきかというのは、一番専門家だと思うんですね。つまり、自動車をつくっているところが冷蔵庫をつくっているところの問題点を把握というのはなかなかしづらいですから、それぞれを所管しているところが情報に対して迅速に対応できる、情報の出と入りというのを把握するのがいいと思うんですが、問題は、個別の製品安全にかかわる法律がきちんと網羅して所管をしているかどうか、穴があいているところがあるかないかというところがまず第一に問題だと思います。

 そういうところがあるとしたらどう対処、その所管するところはちゃんと対処をできないのかどうか。そして、全般的に事故情報が集まるところとそういうところとの連携。私が国民生活センターということを何で強く申しますかといいますと、消費者が何かあれば真っ先に電話するという意識が一番根づいているのが恐らく国民生活センター、地域消費センターだと思うんですね。そことちゃんと情報の振り分けで専門部署に話が行くという体制をとるということが、まず今の体制からすぐにできることだと思いますので、それで、担当大臣には、とにかく個人情報保護の壁はあるけれども、それに配慮しつつ対処する方法があるんではないかということを強く言っている理由なんでありまして、大畠先生御指摘のとおり、ちゃんと網羅できているか、これはきちんと検証する必要はあろうかと思います。

大畠委員 まあそういうことだと思うんですが、私は、今回の法対応は一つの手段として当然政府がやるべきだと思うんですが、何となくこんな感じがするんですね。交通事故が起こったらその交差点に信号機がつくんです。また死亡事故が起こるとまた信号機がつくんです。これと同じように、何か事後対処方式で後追い的にやっている感じがする。これでまた多分今度、おもちゃなんかでそういう死亡事故が起こるとおもちゃに対する何かやろうという話もあるし、容器包装とか化粧品とか、あるいは医薬品で何か事故があればこれに対応する何か法律をつくろうという。

 これは、甘利大臣が就任のときに、経済産業省というところは毎回毎回新しいいいものを出すんだけれども、過去にやったものはどうだったんだ、それを結構忘れちゃうところがある、それをフォローしなければいけないというお話がありましたけれども、私も、毎年いろいろな法律案が出てきますが、確かにすばらしい法律ができてくるんです。しかし、つくったものがどうだったのかという結構フォローが抜けていまして、だから今回のものも、これは方向性としてはいいと思うんですが、全体的なものを見ると、やはり事故が起こって亡くなった交差点に一個信号をつけたということにすぎないし、もっとほかにも、事故の可能性がある、あるいは接触事故を起こしているようなところが結構あるわけですね。それを集中して一元管理して国民に知らせるという、いわゆる役所でいえばワンストップサービス的な発想がこれから私は必要じゃないかと思うんですが、再度、大臣にこの点についてお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 大畠先生の御指摘、問題意識としてはそのとおりだと思います。

 何か事件が発生しないと対処ができない後追い方式ではなくて、事前にその種の事故を防ぐための措置が広範にとられるということは大事なことであります。これは、消費者も含めて、生産者も含めて、安全なものをつくる、消費者も安全なものに対する監視の目をしっかり持つ。自身も、安全について、業務用のものに子供が近づくということもしっかり、意識として、その場合にはふたをしておこうとかいう意識が働くように。もちろん、たとえ手を突っ込んでも手が入らないというものをつくることが大前提なんでありますけれども、想定外のことに対して消費者もしっかりと警戒心を持つ、そういう安全文化を徹底させていくこと、それから、そのための体制を整備していくこと、非常に重要な御指摘だと思っております。しっかりと受けとめさせていただいて、何ができるか考えてみたいと思います。

大畠委員 本当に悲惨な事故が、特に私が心を痛めているのは北見の事故ですね、事件といいますかね。息子さんが亡くなった。その後五カ月後にまた男女が亡くなった。これは警察ももうちょっと、これは保安院の話なんですかね。なぜ斎藤慎也さんは、パロマの湯沸かし器のふぐあいによる死亡ということにはカウントされないんですか。これはどなたか、わかる方いますか。

松井政府参考人 事故原因につきましては、警察の方に再度調査を依頼してございます。

 ただ、警察からの最終的な御返事は、やはり一酸化炭素中毒では断定できない、溺死である、こういう警察からの報告がございました。

大畠委員 警察の報告をうのみにしちゃだめなんですよ。松井さんが、例えばおふろに入っていて一酸化炭素中毒状態になったら、意識を失ってくるんですよ。そのときにおふろに沈んだかもしれない。警察は事故として、水死だ、溺死だということで、パロマとの関係ないと言うけれども、五カ月後に死んでいるんだから、現実に。男性と女性が、入室した人が死んでいるんだから。これを再捜査でも、私はさせるべきだと思いますよ。

 今この御両親はパロマに真相を求める手紙を送りましたが、パロマ側はガス湯沸かし器が原因かどうか判断できないという回答をしてきて、これまたいろいろ再審査を求めるということなんだけれども、これは、死んでも死に切れないということですよ。御両親からすれば、何でうちの息子が死んだんだ。死んだ後また入った男女が五カ月後にまた死んでいるんですから。だから、警察がそう言っていますというだけでは済ませないで、この際、警察に再捜査でもさせるべきだと私は思うんですが、もう一回答弁してください。

松井政府参考人 パロマに対しましては、事故原因が警察の調査では明確になっておりませんけれども、御親族の方には誠意ある対応をとるように現在指導をしてございます。

 先生御指摘のように、再度警察の方には話をいたします。

大畠委員 少子高齢化、少子高齢化と私たちは、子供を何とか守ろう、青年を一生懸命未来ある形でやろうというんだけれども、この青年も残念ながら亡くなっちゃったので、この御両親にとっては、もう本当に、どこに不満といいますか疑問をぶつけていいかわからない状態なんで、ぜひそこら辺は、まあ甘利大臣は情あふれる代議士ですから、よく話して、この問題についても現状、現実の原因をよく再調査させて、ぜひ、これからのことに生かせるような形に対応していただきたいということを申し上げさせていただきます。

 貝谷さん、結構でございますので、どうぞ。ありがとうございました。

 さて、大臣の御答弁の方から、こういうことで質疑を進めてきましたが、私は、この事故の背景を少し尋ねてみたいと思うんです、いわゆる未然防止という観点から。

 それは何かというと、先ほど申し上げましたとおり、国民の生命財産を守るというのが国の責務だということはみんな意識していることなんです。国内で販売されたり海外から製品とか商品が輸入されたり、私たちの周りにはさまざまな製品が山積みされています。その中から、まあ売っているんだから大丈夫だろうということで買っているんですが、小泉政権になってから自律と自己責任が強く求められているし、官から民ということでいろいろなものが、官の仕事を民にしてもらおうという話なんですが、国は一体何をやるのかというのが余り明確じゃないまま官から民という流れが強まっているように私は感じます。国の責務というのは、冒頭に申し上げましたとおり国民の生命財産を守ること、これを履行していただきたいということで国民は税金を払っているわけですから、このことについては明確に、国がやるべき仕事として全省庁が意識しなければならないのは当然であります。

 今回の事故で国は十分にその責務を果たしているのかというと、どうも、牛肉の日米間の交渉で輸入再開の問題しかり、今回のパロマの事故が起こってからずっと放置されて、若い青年の、あるいは男女の命がなくなったり、本当に国は国民の生命財産を守ることに真剣に取り組んでもらっているんだろうかという疑念が今生じていることも事実だと思うんです。

 それからもう一つ、家電品でも安売り合戦が今行われておりまして、安全性よりも価格の低下と市場競争の原理が最優先されている。これも、小泉改革と称するものの中で、市場万能主義、競争に勝てばいい、そういう社会的背景がかなり広がっていて、とにかく瞬発芸でもって売り抜いてしまえばいいというような、私は、市場競争万能主義社会の一つの弊害が今回のさまざまな事故原因の背景にはあるように考えています。

 そこで、さまざまな事故、事件が今多いわけでありますけれども、この市場競争万能主義社会における弊害というものを経済産業としてどのように受けとめているのか、見解をお伺いします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の製品が国際競争力を得ることができた要因といたしましては、価格競争力だけではなく、安全性を含めた品質の高さがあったと認識をしております。自動車しかり、家電製品しかり、日本の製品は壊れなくて安全だ、この安全神話が日本のこれまでの大きな経済成長を支えてきた、こういうふうに認識をしております。

 また、安全な製品を製造することは、消費者に製品を供給しております企業にとりまして欠くことのできない基本的な姿勢であるべきだと考えております。まさにものづくりの原点である、こういうふうに認識をしているところでございます。

 しかしながら、こうした視点が最近の厳しい市場競争の中で忘れられがちとなっているのではないかという大畠先生の御指摘につきましては、私どもといたしましても懸念を有しているところでございます。

 このため、経済産業省といたしましては、企業がその事業活動の前提であります社会的責任を的確に果たすことができるよう、製品安全の向上を目指した自主的な行動をとるためのプログラムの策定などを通じて支援をしてまいりたいと思います。

 他方、製品を日々使用し、維持管理するのは消費者でございます。したがいまして、製品の安全確保を事業者のみで達成するのは困難でありまして、消費者もみずからの安全はみずから守る、こういう自覚を持って行動していただく必要があるのではないかと思っております。

 このため、経済産業省といたしましては、家庭内における製品安全の点検方法や注意事項などを効果的に消費者に周知するため、十一月二十日の週に製品安全総点検週間を行うなど、製品安全点検に係る普及活動を広く行い、消費者の活動を促して、製品安全文化の定着に貢献をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

大畠委員 そういうことであろうと思いますが。

 私はいつもある手帳を持っておるんです。安全第一、奉仕が第二、収益第三という、これは中小企業の方の一つの信条でありますけれども、前にも申し上げたように、今は、収益第一、奉仕が第二、安全第三、そういう社会に私はなり始めているんじゃないかと。だから、商売というもの、あるいは物をつくること、あるいは物を売って利益を得ることというのはどういうことかというと、やはり買った人の役に立つものを売る、こういうことが第一でなければと思うんですね。

 そういう意味では、安全第一というものを念頭に置きながら、そして奉仕をして、結果として収益を得る、こういう社会風潮を私は経済産業省としても打ち出す必要があるし、今のホリエモンですとかあるいは村上ファンドで象徴されていますが、瞬間わざで巨額のお金を得ればいいという社会風潮は厳しくいさめなければならないし、もっと、まじめに働くことを社会的な評価をきちっとしていく、あるいは、正直者がばかを見るというのはもう昔から言われていますが、正直者がばかを見ない、あるいは、こつこつと物をつくるとか働くということが社会的にきちっと評価されるような社会にしていくことが私は大事だと思うんです。

 ここら辺は、ぜひ甘利大臣も心して、通産大臣としてリーダーシップを発揮していただきたいと考えるところであります。

 そこで、ただいまの答弁の中で、製造側は一生懸命安全な商品を、製品をつくった、しかし、使い方が悪くて事故に遭うという趣旨のお話が最後の方にちょっとあったんですが、確かにそういうこともあるんでしょう。完璧に事故が起きない製品をつくれといっても、これはなかなか難しい。九九・九九%事故が起こらなくても、〇・〇〇一%の事故の確率というのはどうしても免れないところがあるんですね。

 ですから、消費者の方、使う側もそういう趣旨のことを意識しなければなりませんが、ただ、パロマの問題だけについては、消費者がどんなに意識しても、そういうふうに安全装置が外されているのはわからないからね。パロマの製品自体が、点火すれば換気扇が回る、そういう商品だったんだから。ところが、換気扇が回らなくても点火するというような仕組みに変えちゃったわけだから、これは消費者の使用方法が悪かった話では全くない話で、だからそこら辺は明確にしなければなりませんが、その一方、消費者の方も安全に気をつけなければならないことはそのとおりなんです。

 そこで、私は、最近の、さまざまな商品が山積みされて縦横無尽に売りまくられているんだけれども、今度は、製造責任、販売責任あるいは消費者の責任と三つがあると思うんですね。製造者の方ではきちっとして、安全対策を行ってつくった。ところが、販売店が、メンテナンスするときに今回は不正な改造を行ったんですが、この販売店の責任というのが、今回の中では、いろいろ先ほどお話がありましたけれども、余り明確ではないんですね。

 私は、販売店の方も、自分で大量に売ってしまえばいいというのではなくて、自分で売ったものに対するメンテナンスといいますか、例えば、この商品は発売してから三年なり五年たったときにはちょっと見た方がいい、ずっとどういうふうにして使われているのかなというので点検に回るとか、そういうことで注意を促す。

 もちろん消費者の注意も喚起することは大事だけれども、インターネットを見られる人ばかりじゃないから、そういう意味では、消費者に注意を促すという意味で販売店の人が自分の売った製品がどんな形で使われているのか、この対象物もある程度限定してもいいと思うんですが、五年たち、あるいは十年たったときに、どういうふうに利用されているのか点検に回る。こういうことも未然事故防止という意味では意味があるんだと思うんですが、この件に関する見解をお伺いしたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 国民の安全を、消費者の安全を確保するためには、やはり製品の販売店側の積極的な対応も先生のおっしゃるとおり重要だと思っております。

 今回の改正法案におきましても、小売販売店側に対して、事故情報の積極的収集と消費者への提供、それからメーカー等が行う回収業務等への協力などの責務を求めることとしております。経済産業省といたしましては、このような販売店の努力義務を果たす上でとるべき対応を具体的に示すことによりまして、販売業者側の積極的な対応を促していきたいと考えております。

 このため、販売店側が自主的に行動をとるためのプログラムの策定等を通じて支援をしてまいりたいと思います。もちろん、販売業者につきましては、大きなスーパーもあれば、百貨店もあれば、フランチャイズチェーンもあれば、小さなお店もございます。それぞれいろいろ態様が違うと思いますので、それぞれの規模、態様に応じてさまざまなガイドラインをつくってまいりたいと思います。

 いずれにいたしましても、消費者から事故の情報を得る可能性は非常に多うございますので、そういう情報を得た場合には、当然メーカーにそれを通知する。それから、同様の事故が起きないように、消費者に対してこういう事故が起きましたよという情報を迅速に提供する。あるいは、同じような製品をお買いになる消費者に対して、こういう事故が起きたので気をつけてください、こういうような提案をする。さらには、メーカーに対して、消費者安全の観点からの製品設計、ものづくりというものを提案していく等々の対応があると思います。

 そのような対応をガイドラインという形でお示しして、それに基づいて、具体的に個別の企業がいわゆるコンプライアンスプログラムというような形で消費者安全問題に積極的に対応を行えるように支援してまいりたい、こういうふうに思っております。

大畠委員 数が多いから一つ一つの商品あるいは製品に対してずっと点検するのは難しいかもしれませんが、今回のパロマの事例等でも、修理業者が入って不正な改造をやったんですが、何か別な形で点検をすれば、これはおかしな行動をやっているというのがわかって、それをリカバリーできたはずなんですね。

 だから、私が申し上げているのは、今のお話は、事故が起こった場合にはそれを横に通告して同類の事故の再発を防ごうという、それはわかるんですが、未然に、点検をして、例えば技術者であれば、見て、設置状況あるいはコンセントに入れている状況、ほこりがたまっているとか、何かちょっとしたことで火災も起きますから、そういうところをちょっと点検して指導をすれば、私は火災事故とかそういう死亡につながることが防げるんじゃないかと。

 どんなに情報を発信しても、消費者の方がそれを受けとめるだけの能力と言ってはなんですが行動力がなければ、そうですかで終わっちゃうんだよね。そうすると、事故に遭って残念でしたねという話になるんだけれども。何とかそういう、今大量に販売されているんだけれども、小売店の方の一つの責務として、売った製品に対する安全な使い方を、五年に一遍でも結構ですが、まあ商品によるでしょうけれども、指導を奨励するとか義務づけるとか、そういうことができないかということを私は質問したんです。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、小売事業者といいましても、スーパー、百貨店みたいに非常にたくさん、大量の商品を多くの消費者の方に販売している方から、非常に地元に密着をして、消費者の顔も見ながら販売活動を行っている事業者の方、さまざまでございます。

 したがいまして、それぞれの事業者の規模と態様に応じまして、できる限り消費者の安全確保に貢献できるようなプログラムをつくって指導をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

大畠委員 なかなか難しい話でございますけれども、悲惨な事故が起こらないように、それぞれの小売店でもできる限り、できる範囲でそういう注意を喚起するという行為も、ぜひ経済産業省としても奨励していただきたいということを指摘しておきたいと思います。

 次に、さまざまな事件が最近起こっているんですが、この事件の背景の中に、私は、先ほどもちょっと市場競争万能主義社会の弊害の一部があらわれているということを申し上げさせていただきましたけれども、物をつくることに対する社会的な評価が今落ちてきているんじゃないかと思うんです。

 経済産業省はまさにものづくり省でもございますし、そういう意味では、経済産業省を挙げて、競争主義だけでなく、物をつくるという技能者とか技術者というものが世界的に尊重される、あるいは、私の地元でも、魚をとったり野菜をつくったりという農家とか漁業者の方がいるんだけれども、実際に魚をとったり実際に農産物をつくっている人はなかなかもうからないんですね。それで、流通とかの方で随分とられちゃうんですね。

 だから、魚をとっている人も、私のところで売った値段の三倍ぐらいで小売店で売られている、もうちょっと、魚をとったところにも買価を上げていただけるとありがたいなという話をよく聞きます。農家でも、過日行ったときに、百円の野菜を売るのは大変なんですって言うね。百円の値段をつけるとなかなか売れないんです。九十五円とか九十円とか、そういう値段じゃないと一袋が売れないと言う。だから、百円のお金を得ることがどれほど大変かということを農家の方から伺いました。

 だから、これは、物をつくること、農業あるいは漁業もそうなんだけれども、実際にそういう作業をしている人に対する経済的な観念というのは社会的に薄くなっちゃったんですね。巨大な流通経路に乗せないと売れない。酒屋さんなんかも、造り酒屋もそうなんだけれども、地酒なんかはなかなか販売ルートを確保できないために倒産に追い込まれるところがあるんだけれども、物をつくるということを日本の国でもっと大事にしなければと思うんです。

 そこで、私自身としては、経済産業省としても、経済の流通の中で、ものづくり、農業も漁業も、中小企業で物をつくるところもそうですが、実際に現場で物をつくる人に経済的な流れが、環境がよくなるような仕組みに転換をすべきときではないかと思うんですが、この件についての経済産業省としての見解をお伺いしたいと思います。

石黒政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ものづくりは人づくりという言葉もございますけれども、ものづくりにおきます人材の果たす役割というのは非常に重要だというふうに思っております。

 我が国製造業の競争力につきましては、特に社会的に日の目を見ることのないような町工場においてつくられている部品、材料、金型といったようなものに支えられている面がございます。こういったところでひたむきかつ地道に努力をしている方々のやる気をいかに高めていくか、そういったところにどうやって社会的な光を当てていくかといったことは、我が国の製造業の競争力を支える上でも非常に重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 そうした認識に立ちまして、まずは、私ども自身が現場主義を徹底して現場を回り、工場の方々の現場を見ながら、どういった技術にすぐれているのか、またどういった点に困っておられるのかといったことにつきまして、実態の把握に努めているところでございます。

 こうした成果を踏まえまして、毎年、ものづくり白書といったような格好で中小企業のさまざまな現状、問題点、今後の課題といったようなものについて紹介をさせていただいているということでございます。

 また、昨年はものづくり日本大賞というのを創設いたしまして、ものづくりの中核を担う優秀な人材を内閣総理大臣表彰という格好で二十五件、五十九名の方々を表彰させていただきました。

 それからさらに、これも委員御案内のとおりでございますが、本年、先般でございますけれども、「元気なモノ作り中小企業三百社」を選定いたしまして、これを九千部全国に配付いたしまして、中国語に訳す、あるいは英語に訳すといったような努力をさせていただいております。選定された中小企業の方々からは、これによって自社の知名度が上がったとか、取引先が広がったといったような声が寄せられておりますし、また、ある大田区の金型の社長さんからは、四国の銀行から、お金を借りてほしいといったような申し出を受けたといったような話も伺っております。

 当省としまして、先生の御指摘のとおり、ものづくりにかける人々の認知度をいかに高めていくかといったことにつきましては、今後も全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

大畠委員 事故を防ぐというのは、溶接工あるいは組み立てとか、そういう本当に先端というか末端というか、現場の人の意識なんですよ。その人の意識一つで事故は未然に防がれるし、その事故の再発というのを防止できるんですよね。

 だから、私は、今の世相の中で、先ほども申し上げましたけれども、株の売買で四百億をもうけたのどうのこうの、証券会社をつくってすごい所得を得たの、そんなことがもてはやされる中で、汗をかいて物をつくるということが何か社会の中で片隅に追いやられてしまったんじゃないか。物をつくることを粗末にすることは日本国の未来も問われるということなんだと思うんですね。

 私は、日本国というのはやはりものづくりの国で、日本人というのはまじめで正直でうそをつかない、人様をだまして売り抜けちゃおうなんという話じゃなくて、本当に地道につくった。だから、さっきのお話のように、日本製品は品質がよくて安全だという傾向にありましたが、最近それが、この十年でこの定説が崩れつつあるんじゃないかという危惧を持っているんです。それが一つの、ホリエモンブームだったし、村上ファンドのブームだったんじゃないかと私は思うんですね。

 だから、経済産業省の方としても、ものづくりにもう一回、私たちの原点はものづくりなんだということをひとつ基盤に、基本に置いて行動していただきたいと考えております。

 もう一つお伺いしたいことは、いわゆる小泉改革の光と影ということを冒頭に申し上げさせていただきましたけれども、影の部分で非常に苦労している方々がいるわけですね。医療格差ですとか教育格差、福祉格差ということが社会的にも指摘されておりますが、経済産業省的にいえば、大企業と中小企業の格差です。

 地域経済、地方の雇用と経済を支えているのはまさに地域の中小企業なわけでありますけれども、この中小企業の現状というのがどうも寂しくなっている。全体的によくなった、よくなったと言うんだけれども、どうも寂しくなっている。さらには、平成十八年度税制改正で、特殊同族会社の社長さんの給料というのは損金算入しちゃだめ、それを含めて法人税を払いなさい、そして社長さんの給料に対しては所得税をかけますよという、これは二重課税じゃないかというので、中小企業の事業者の方々に対する弱い者いじめじゃないかという指摘があるわけであります。来年の三月からこれが適用になると聞いております。

 いずれにしても、物をつくるときにはやはりそれだけの気構えとやる気を出さなければならないんですが、どうも逆の方向に行っているような感じがするんですが、この二点について、経済産業省の現状の認識を伺います。

石毛政府参考人 今御質問の二点についてお答え申し上げます。

 中小企業の日本経済に占めるウエートは非常に大きなものがあるのは、先生御存じのとおりでございます。四百三十万の中小企業、その中でも特に小規模企業というのが、これは製造業で従業員二十人以下、卸、小売で五人以下という規模でございますけれども、そういう規模になりますと、企業数で三百七十七万六千社という形で、全体の八七%、そういうウエートを占めています。従業員でも、小規模企業の部分だけとっても、九百八十五万人、約二五%。中小企業ですと大体七割、そういうようなウエートを占めておりまして、私ども、ものづくりも含めまして、中小企業の活性化というのが非常に重要で、それが我が国の経済の全体の活性化を図る上で重要なかぎだというふうに認識をしております。

 そういう中で、これらの中小企業あるいは小規模企業の現状でございますけれども、大企業に比べますと売り上げがちょっと伸び悩んでいる、原油あるいは原材料価格が上昇している、そういう中で、なかなかコストを販売価格の方に転嫁できない、そういうような状況が見られる。そういうことで、中小企業あるいは小規模企業に景況感を伺いますと、大企業に比べて相当厳しい認識を私どもの調査の中でもお答えをいただいております。

 そういう認識でございますけれども、もう一点の、いわゆる特殊支配同族会社の関係の損金不算入制度ということでございますけれども、この制度は、大畠先生も御案内のとおり、個人で事業を行っている者、それから法人形態で事業を行っている者、この間でどうも税負担の格差がある、その税負担の格差を是正して、それで節税目的で法人を設立することを抑制するんだ、そういう観点で導入されたものであるということでございます。

 そういう中で、この措置を導入するに当たりまして、中小零細企業への配慮ということで非常に広範な適用除外措置をとっております。私ども経済産業省中小企業庁としましては、昨年度の税制改正全般の中で、中小企業の投資促進税制の拡充だとかあるいは交際費の損金算入範囲の見直しだとか、いろいろな面で中小企業に手厚い配慮をした形の税制改正もあわせて行っております。冒頭申しました趣旨にかんがみまして、この措置もあわせて受け入れるということが可能だというふうに判断をしているところでございます。

 もう一点申し述べますと、財務省の推計によりますと、この措置の対象者については非常に限られた数であるというふうに試算をされております。

 もちろん、大畠先生御指摘のように、この措置については、本当に大丈夫なのかというような別の見方もあるということも私ども承知をしているところでございます。

大畠委員 時間になりましたが、大臣からこの事故の防止、今回の悲惨な事故を受けての防止にかける担当大臣としての決意を伺って、質問を終わります。

甘利国務大臣 きょうも一時間、民主党きっての、商工族ではない、経済産業政策のエキスパートであります大畠先生から各種御指摘をいただきました。それをしっかり拳々服膺受けとめまして、省を挙げて万全を期したいと思っております。

上田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

上田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る七日火曜日午前九時三十分、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 質疑を続行いたします。川内博史君。

川内委員 民主党の川内博史でございます。

 甘利大臣、おめでとうございます。そして、本日は、山本副大臣、渡辺副大臣、高木政務官にも御同席をいただいております。よろしくお願いを申し上げます。

 五十分のお時間を、委員長、与野党の理事の先生方にお許しをいただきまして、いただきましたので、本日は、法案に関して、あるいは具体の事例に即して、製品安全行政全般についてお伺いをさせていただきたいというふうに考えております。

 まず、ソニーの、甘利大臣が一時期お勤めになられていらっしゃったソニーのノートパソコン用リチウムイオン電池の事故について質問をさせていただきます。

 経産省から、まず、パソコンの電池が発火する、ある新聞などでは爆発みたいなニュアンスでも記事が出ていたかと存じますが、このノートパソコン用リチウムイオン電池の事故について、概要を御説明いただきたいと存じます。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 事故の概要に関するお尋ねでございます。

 ソニーによりますと、同社製リチウムイオン電池、一連のその発火事故、最初に事故が発生して、それをソニーが初めて知ったのは平成十六年十二月。ソニーは直ちに事故原因の調査を開始いたしまして、当時は個別品目のふぐあいと判断したというふうに聞いております。

 事故原因がいつ判明したのかという点についてでございますが、ソニーは、平成十七年の夏から秋にかけまして、事故の原因が同社製電池のふぐあいにあると特定いたしまして、同年十二月には、デルがソニー製電池の自主回収、無償交換を発表いたしました。

 その後、金属の微粒子が電池内部に混入して幾つかの条件が重なるとショートを起こして発火に至るおそれがあるという事故原因を突きとめたとソニーが認識いたしましたのは、平成十八年八月の前半であったというふうに聞いております。

 経済産業省がソニーから事故の報告を受けましたのは、その後の、同年、平成十八年八月十五日でございます。同日、デルが電池の自主交換、無償交換を発表いたしております。また、同じ時期に、ソニーは、事故が起きたパソコン以外のパソコンメーカーに対しまして、事故原因の連絡及び事故の拡大可能性の有無の確認、これを行ったと聞いております。

 また、ソニーは八月二十五日に、アップルが電池の自主回収、無償交換を発表するのに合わせまして、事故原因等を公表いたしました。

 その後、九月の中旬にレノボ製のパソコンの発火事故が起こったことを受けまして、九月二十九日にソニーは、同社製電池の自主交換プログラム、これを全世界で実施する旨を発表したというのが一連の経緯でございます。

川内委員 大臣、今の御説明は若干ごまかしがあるんですが、それは後で明らかにします。

 それでは、要点だけ申し上げておきますと、今の御説明では、平成十六年十二月、一昨年の十二月にソニーは、このリチウム電池のふぐあいについては知ったということですね。ここは事実としてちょっと押さえておいていただきたいというふうに思います。

 さらに、全世界で、電池九百六十万個、ノートパソコン九百六十万台余りにふぐあいの可能性があるわけでございますが、回収と交換が行われるということですが、九百六十万件のうち、日本国内で販売されたのは何個、何台なのかということについて、経済産業省からお答えいただきたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 パソコンメーカーが電池パックの自主回収、自主交換の対象として発表いたしておりますパソコンの台数、これは足し上げますと約八百万台になります。このうち、お尋ねの国内の台数についてでございますが、これは、一部内訳を公表していないパソコンメーカーがございますので、公表されている分の合計をいたしますと、約二十八万台ということでございます。

川内委員 公表をしていないメーカーの名前はここで言えますか、台数を公表していないメーカーの名前。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 公表をしていないメーカーは三社ございまして、デル、アップル及びレノボの三社でございます。

川内委員 大臣、デルは全世界にソニーの電池をつけたパソコンを四百二十万台出荷しております。そのうち国内で何台出回っているかということについては公表をしていない、アップルは全世界で百八十万台、うち、国内台数がわからない、レノボが五十二・六万台、これも国内台数がわからないということです。

 今わかっているのは、国内メーカー。国内メーカーが国内で流通させているこのソニー製のリチウム電池を装着したものはほぼ二十八万台ということでございますが、これは数として言えば、デル、アップル、レノボのパソコンの台数が圧倒的なんですね、圧倒的。シェアがこの三社でほぼ九割と言っていいと思います。この三社の製品で国内にどのくらい出回っているのかということが、経済産業省として、相手の会社が発表していないからわからないというのでは、これは日本国内の消費者に対して製品安全行政の責任を果たせないのではないかというふうに私は思います。

 この三社に対して、国内に流通している台数を可及的にお教えいただいた上で、国内もこれだけ出回っているので、早く回収して電池を交換した方がいいということを経済産業省としても措置をとるべきであるというふうに思いますが、いかがですか。

西川政府参考人 この三社の国内で出荷している台数、個々の数字は公表されておりませんが、私ども、この三社を含めましてトータルで足し合わせてみますと、約五十六万台という数字を把握いたしております。したがって、公表済みの数字が二十八万台ということでございますので、トータルそれの約倍程度のパソコンが流通しているということかと存じます。

川内委員 そういうことを最初から正直に言えばいいのに、いろいろ言って初めて、いや、五十六万台国内で流通していることは知っておりましたと。各社別の数字がわからなかったということなんでしょうけれども、最初からどうしてそういうことをちゃんと言わないのかなと私は思うんです。

 では、質問を続けていきますが、このソニーのふぐあいの可能性のある電池は、いつからいつまで、どこの工場で製造をされたものなのかということについて教えていただきたいと思います。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 いつまで製造していたのかという点につきましては、本年の二月までというふうに承知いたしております。製造した場所につきましては、ソニーの国内の工場において製造したというふうに承知いたしております。

川内委員 大臣、冒頭で、平成十六年十二月にソニーは電池のふぐあいを知ったと。いつまで製造されていましたかという質問に対しては、ことしの二月まで製造していたと答えていますね、今。ということは、ソニーは、平成十六年の十二月からことしの二月までの間に原因を特定し、製造ラインをふぐあいが起こることのないように変えたということですよ。ことしの二月には対処が終わっていたということです。

 大臣は閣議後の記者会見で、出身のソニーがこういう事故を起こしているということに関して、技術のソニーがどうしたことかとの思いだとお答えになられ、重大事故になっていないのが幸い、技術的な問題を一刻も早く解決しというふうにおっしゃっていらっしゃるんです。

 ことしの二月には、この技術的な問題、いわゆる製造工程における問題というのは解消しているんですね。しかし、こういう事故が起きています、製品回収しますという発表はそこからさらに半年おくれているわけです。八月になって初めて発表するわけですよ、ソニーは。

 これは、法令違反ではないけれども、しかし、社会に責任を持つ、あるいは消費者に責任を持つ企業の態度として私は不適切ではないかというふうに思いますが、このように、報告をおくらせること、あるいは消費者に対してプレスリリースをおくらせることということに関して、大臣はどのような御所見をお持ちになられますか。

甘利国務大臣 速やかに事件、事故等は関係省庁に連絡をしてもらう、これは当然の企業の社会的義務だと思います。そして、製品の優秀性は、その技術、性能ももちろんそうでありますが、安全性もその商品にとって大事な基本的な要件であります。それが企業のブランドイメージに必ずつながるはずでありますから、こうした行為が事実であるとするならば、それはブランドイメージを落とすことにもなりますから、企業戦略としても不適切なことだと思います。

川内委員 もう一つ事実関係を。

 今大臣は、企業戦略として不適切ではないかということを御答弁されたわけですが、じゃ、ソニーが、デル社製のパソコン以外の電池についても同じような発火事故が起きるのではないかというような問題意識のもとに、アップル、レノボ、東芝、富士通、日立、シャープ、ゲートウェイなどの、ノートパソコンにソニー社製のリチウム電池を使っているパソコンメーカーに対して、こういう事故が発生するかもしれませんのでお調べください、あるいは発生しているかもしれませんからお調べくださいというふうに連絡をされたのはいつかということについて御答弁をいただきたいと思います。

西川政府参考人 ソニーがデル以外のパソコンメーカーにいつそのふぐあいの事実を連絡したのかというお尋ねでございますが、これは平成十八年、本年の八月十五日前後というふうに承知いたしております。

川内委員 今大臣、ことしの八月十五日前後と。電池自身にふぐあいがあるからこそ、製造ラインを二月には変更して、電池自身のふぐあいをソニーは解消しているんですよ。しかし、そこから他のパソコンメーカーに連絡するのさえも半年またおくらせているわけですね、今の御報告の事例でいいますと。

 では、そもそも電池パックの中のどういうことが原因で発火事故が起きたのかということについて、その原因を教えていただきたいと思います。

西川政府参考人 ふぐあいの原因はソニー自身が公表いたしておりますけれども、要約して申し上げれば、金属の微粒子が製造工程の中で電池の内部に混入して、なおかつ幾つかの条件、これは、電池だけではなくて、パソコンにつないで充電するときの充電の仕方、例えば電圧のかけ方とか電流の制御の仕方だとか、そういったいろいろな条件が重なった場合に金属微粒子が原因となって内部ショートを起こす、その結果、熱を持って発火に至るおそれがある、そういうふうにソニーとしてはその事故原因を特定しているというように承知いたしております。

川内委員 幾つかの条件はあるにせよ、電池パックの中に金属粉が混入をしていること、あるいはしたことが発火の直接的なショートの原因になっているということでございますけれども、私は、今の経済産業省の御報告を聞いておりまして、経済産業大臣は企業の行動として適切ではなかったのではないかという認識を示されましたが、製品安全行政上も、このソニーの一連の行動というのは、法令に違反しているとまでは言えないわけですが、しかし、何らかの行政処分、業務改善命令なりの対象にすべきではないか。それは、今申し上げたように、自分たちでわかっていた、製造ラインを変えているにもかかわらず、そこから半年さらに報告を、公表をおくらせるということ、さらには他のパソコンメーカーにも全く知らせないということ等から見て、何らかの処分の対象にすべきではないか。

 そうしていかなければ、これは大臣がおっしゃるとおり重大事故につながっていないからまだいいですけれども、これがもし重大事故になっていたら大変なことだ。知っていたにもかかわらず、それを連絡しなかったために重大事故が発生したということであれば、これは、関係者は大変な責任を免れ得ないわけでありまして、そういうことを未然に防いでいくためにも、今後はなるべく速やかに公表していただくという企業の行動を促すためにも、何らかの行政処分の対象にすべきであるというふうに思いますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。

渡辺(博)副大臣 行政処分を科すためには、それなりの根拠が必要になってまいります。

 お尋ねの、新たな処分ということを考えますと、例えば業務改善命令、こういったものが当然考えられるわけでありますが、現行法制上は、当然現行法もそれは認めております。特に、ただ、要件として特定製品ということについて、製造、輸入及び販売事業者が適切な表示をつけずに特定製品を販売した場合、あるいは届け出事業者が技術基準に適合していないものを製造、輸入、販売した場合で一般消費者の生命または身体について危害が発生するおそれがあると認める場合に、その製品による重大な危害の拡大を防止するために必要な措置をとるべきことを命ずることができるというふうに定められております。したがって、現行法制上はこういった要件を具備しないと結果的には難しいということになると思うんですね。

 ぜひとも、今お尋ねのような状況の中では、早く一般の消費者にわかるような仕組みをつくっていかなければならないわけでありまして、この改正法の趣旨を生かして今後しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

川内委員 大臣、現行法制でも、そしてまた今我々が議論している改正案でも、重大事故あるいは重大事故につながるような製品のふぐあいでなければ、報告をおくらすことは何ら法令に違反しないんですよ。要するに、軽微なものであれば企業は黙っていていいというのがコンプライアンスです。法令上の決まりですね。しかし、私は、それでは製品安全行政というのは不十分ではないかという問題意識のもとに、何らかの行政処分というものが必要ではないかということを申し上げているわけです。

 技術基準という言葉を副大臣はお使いになられましたが、電池パックの技術基準に金属粉が混入してよろしいということは書いてないわけですね。金属粉が混入する、あるいはそれによって回路がショートするというのは明らかに技術基準に適合していないから回路がショートするわけであって、要件を具備していないというふうには私は思いません。要件は、国が定めた技術基準に適合しないからこそ回路がショートするのであって、それによって発火事故が起こるのであって、であれば、知っていながら報告をおくらせたということに関しては何らかの行政処分を御検討いただけるのではないかというふうに思います。どうぞ、何かありますか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 そもそも、このような事故が発生したこと自体極めて遺憾なことと考えております。また、ソニーによる事故原因や対策の発表までが非常に時間がかかったことも、結果として消費者に不安を与えることとなっておりまして、もっと迅速な対応がとれなかったのかと大変残念に思っているところでございます。

 先ほど副大臣から、特定製品、いわゆる技術基準がある場合の業務改善命令の要件について御説明をいたしました。パソコンリチウム電池につきましては、現在のところ電安法に基づきます技術基準はございません。(川内委員「ないんですか」と呼ぶ)はい、ございません。したがいまして、技術基準のない製品につきましては、業務改善命令を出す場合は、製品の欠陥により一般の消費者の生命または身体について重大な危害が発生し、または発生する急迫した危険がある場合で、その製品による重大な危害の拡大を防止するために必要な応急の措置をとるべきことを命ずることができるとされております。したがって、この命令の一環として、例えば、製品回収命令ですとか業務改善命令というのが出せることになっておるわけでございます。

 ところで、今申し上げましたように、ソニー製のリチウムイオン電池の場合は、特定製品ではございませんので、技術基準がないということでございます。したがいまして、経済産業省といたしましては、消費生活用製品安全法に基づきまして、ソニーに対して、事故原因の究明、再発防止策等に関する報告徴収は実施いたしました。しかしながら、現段階におきまして、先ほど御説明いたしましたように、人の生命等を脅かしたり、延焼して火災に至るような重大な事故は発生しておらず、また、消費者の生命または身体について急迫した危険を発生させるような欠陥があると断定するには至っておりません。

 したがいまして、まずはソニー及び関係パソコンメーカーによります自主回収、自主交換の取り組み状況の進捗を注視し、今後、必要があれば適切に対処してまいりたい、こういうふうに思っております。

 ただ、いずれにいたしましても、このような案件につきましても、従来から行っております行政指導によります報告徴収に基づきまして国に迅速に出してくる、これを望んでいるところでございます。

川内委員 特定製品でなければ技術基準がないということですが、パソコンとか、あるいはその中に入っているリチウム電池などは技術基準に類するものもないんですか。

松井政府参考人 現在の電気用品安全法におきましては……(川内委員「電安法上のものじゃなくて」と呼ぶ)ほかもございません。

川内委員 それでは、現状のところでは何らかの行政処分を科していくという御方針ではないということでございますが、それこそソニー社のためにも何らかの処分をされた方がいいのではないかということを、改めてここで私の見解として主張をさせていただいておきたいというふうに思います。

 続いて、次の論点でございますが、今回の消費生活用製品安全法の改正のきっかけとなったパロマのガス瞬間湯沸かし器の事故について御質問をさせていただきますが、このパロマのガス瞬間湯沸かし器の技術基準の適合を確認したのはどの機関であったのか。公的機関が確認したとすれば、そのパロマの瞬間湯沸かし器について何らかの技術基準上の問題があったのかということを経済産業省から教えていただきたいと思います。

松井政府参考人 パロマが今回事故を起こしましたガス瞬間湯沸かし器を製造いたしましたのは一九八〇年から一九八九年の間でございます。当時は、パロマ工業株式会社が製造したガス瞬間湯沸かし器につきましては、政府認証品目でありましたことから、政府が指定した検査機関であります財団法人日本ガス機器検査協会が技術基準の適合性について検定を行いました。

川内委員 政府が認定した機関で技術基準の適合を確認した。大臣、技術基準というのは製品の安全を担保するための基準ですからね。しかし、政府が認定をしたパロマのガス瞬間湯沸かし器が実に二十一名の方々の人命を奪った。午前中の大畠先生の質疑ではそれよりもさらに多いのではないかという指摘がされていたわけでございます。

 私は、これは政府にも大きな責任があるのではないか。なぜなら、国が定めた技術基準で製品が製造をされ、さらにその製品を国が認定した機関で、この製品を売ってもいいですよということで認定をしているわけです。これは大きな責任があると思いますが、大臣はいかがお思いになられますか。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、安全の基準たる技術基準は、時代の要請や技術の進歩、それによって不断に見直していく必要があることは事実だと思います。

 パロマの問題も、まさかああいうふうに不正改造をするということを想定しない技術基準であったと思います。ですから、そこの部分は外からいじられないようにしてしまうというのも新しい基準になり得ると思います。

 シュレッダーの事故も、業務用が、いろいろ業態の変化によって、家庭で業務を担う、インターネットの時代にホームオフィスということにもなってくるし、個人企業ではまさに生活と仕事が一緒になっているわけでありますから、業務用だから、大人しかいないから大人の指が入らないようにしておけば大丈夫というのから、家庭に業務用機器が入り込んでくれば、当然、子供が周りをうろうろすることだってあり得る。

 そういう時代の変化や技術の変化に機敏に対応していくということは適切に行っていかなければならない。その適切に行わなければならないというところで、さらに努力をしていかなければならなかったというふうに思っております。

川内委員 いや、大臣、シュレッダーなどの技術基準を見直す、あるいは瞬間湯沸かし器などについても技術基準を不断に見直していくという御決意が表明されたものというふうに理解をいたしますが、私が聞いているのは、世間一般的には、パロマが悪いとか、あるいはそのシュレッダーをつくった会社は一体何をやっているんだというような消費者の認識があるわけですが、国も、製品安全行政を担い、製品について法令に基づいて安全を担保するための技術基準を定め、そしてまた、今は規制緩和されて認定などは民間に移ったりしているわけですが、当時は国の機関でその製品の技術基準の認定などをしていたということから、国にも大きな責任があるのではないかということを私は申し上げているわけでございます。

 これは、すなわち、損害賠償上の責めを国も負うべきではないかという趣旨におとりいただいていいわけですが、大臣の御所見を承りたいと思います。

甘利国務大臣 時代の変化、使用形態の変化がある、その変化を迅速に把握をして、その変化に対応する技術基準となっているかどうかということを適宜見直すということは、国の責任であると思います。

 ただ、その技術基準を設定した当時想定していないことが後で起こり得る、それをどれくらい迅速に把握することに関して国の責務があるか、どこより手前は国の責務、どこから後はその及ばないところというところはなかなか判断が難しいということだとは思いますが、適宜、時代なり技術の変化を製品に還元していくという目は常に厳しく持っていなければならないというふうに思っております。

川内委員 次の問題に移りたいと思います。

 消費生活用製品安全法改正案の中心となる第三十五条には、「消費生活用製品の製造又は輸入の事業を行う者は、その製造又は輸入に係る消費生活用製品について重大製品事故が生じたことを知つたときは、当該消費生活用製品の名称及び型式、事故の内容並びに当該消費生活用製品を製造し、又は輸入した数量及び販売した数量を主務大臣に報告しなければならない。」と書いてあります。

 ここで言う製造の事業を行う者、経産省が作成をした法律改正の概要を示した文書には、この製造の事業を行う者というのを製造事業者という言葉で表現をしております。この消安法上の製造事業者という言葉と、ことしの通常国会で大きな議論になりました電気用品安全法第三条の製造の事業を行う者、製造事業者という言葉は、その意味、内容が違うという説明を私は受けております。

 同じ製造事業者という言葉が、消費生活用製品安全法と電気用品安全法、同じ製品安全四法の中の二つの法律ですが、では意味、内容が違うと。どちらも製品安全課が所管する法律なわけですけれども、これはどのように意味が違うのかということをちょっと教えていただきたいというふうに思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 いかなる事業者が製造事業者に当たるかは、それぞれの法の趣旨、個々の事業者の実態などを踏まえ、個別に判断することが必要であると考えております。

 今回の消費生活用製品安全法における製造事業者は、当該製品の安全性に一義的な責任を負うものでありますから、現に当該製品を製造した者を製造事業者としております。他方、電気用品安全法におきましては、製造行為を行う可能性のある者を含めて製造の事業を行う者に届け出をしていただいておりまして、この届け出を行った事業者は消費生活用製品安全法の製造事業者よりも広い範囲の事業者を対象としております。

川内委員 消費生活用製品安全法では一般的な製造事業者を製造事業者という、電気用品安全法では製造の事業を行う可能性のある者も含めて製造事業者というと、今お答えになられました。

 それでは、製品安全四法の中で、電気用品安全法上の製造事業者の定義と同じ定義の製造事業者という言葉を使う法律はありますか。要するに、わかりやすく言えば、製品安全四法の中で電気用品安全法だけは製造事業者の定義が違うでしょうと。イエスということを言ってください。

松井政府参考人 先生のおっしゃるとおり、現状はそのような理解になっております。

川内委員 大臣、同じ製品安全四法で製造事業者という言葉の定義が違っている、電気用品安全法だけは製造を行う可能性のある者まで含めて製造事業者と言っている。これは、通常国会で大きな議論になりましたから私がわざわざ御説明申し上げるまでもなく、リサイクル事業者が中古の家電製品なり電気製品を販売するときには、製造事業者の届け出をして、PSEマークを張って売りなさいということに、これは経済産業省が強引にこじつけたんですからね。強引にこじつけたんですよ。これは結局、自分たちのミスを隠すという、さっきのソニーと全く同じですよ、やっていることが。

 これは、ミスしたものはミスしたものとしてしっかりそれをカバーしていく。それは、こじつけでカバーするのではなくて、やはり国民から見てすっきりわかりやすい形でやっていくのがいいのではないかというふうに私は思います。

 それでは、電気用品安全法上の製造事業者という言葉の定義は、平成十七年、去年の十一月一日時点では、製品安全四法の他の法律の製造事業者と同じ定義だったのではないですか。

松井政府参考人 先生のおっしゃるように理解をしております。

川内委員 大臣、今、定義が変わったとおっしゃったんですよ。(発言する者あり)変えたんです。電気用品安全法上の製造事業者という言葉の意味は、立法府の審議もなく行政府の都合で変わったということでありまして、これはゆゆしき問題で、実は経済産業省の解釈が変わったために、これは、ちょっともう一つお認めいただかなければならないんですけれども、経済産業省は、中古の販売事業者に対して、技術基準の適合を確認して販売してくださいということをホームページ上で書いているんですね。

 ところが、いろいろ法令をずっと詰めていくと、ちょっとこれは難しいんですけれども、製造という行為を行わない、要するに、消費者からリサイクル事業者が買い受けて、ほこりを払ってそのまま次の人に売るという、要するに、製造という行為を行わない品物については、技術基準の適合を確認する必要はないということを私は質問主意書でお聞きしたらば、経済産業省は、そのとおりでございますというふうに御答弁されていますよね。確認してください。

松井政府参考人 当時は、六月十五日に御提出になりました質問主意書へのお答えとして、そのように回答をしております。

川内委員 大臣、もうちょっと具体的に申し上げますと、「経過措置期間終了後の電気用品の取扱について」、これは経済産業省のホームページですね、自主検査等を行って技術基準に適合していることを確認した上で、PSEマークを付すことが可能ですと書いてあります。しかし、私の質問主意書に対する答弁書で、「届出事業者は、「製造行為を行わない電気用品」については、」要するに中古の電気用品についてはということですよ、「法第八条第一項の規定に基づく義務」、これは技術基準の適合確認義務です、技術基準の適合確認義務「は負わないと考える。」というふうに、経済産業省は無理やりいろいろな解釈をしたために、最終的にはホームページに載っけたことと答弁書で言っていることが食い違う。このホームページで言っていることは、間違いだとは言いませんが、不正確ですよね。どうですか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十八年六月十五日の質問主意書で回答を申し上げましたとおり、製造行為を行わない電気用品を扱う事業者につきましては、電気用品安全法上の製造事業者には該当せず、したがって、同法第八条第一項に基づく基準適合義務を負うものではありません。

 また、先生御指摘の経済産業省のホームページでは、製造行為を行う事業者につきまして、「電気用品安全法に基づく届出を行った事業者は、旧法に基づく表示が付された電気用品について、自主検査等を行って技術基準に適合していることを確認した上で、新たにPSEマークを付すことが可能です。」こういうふうにしております。

 したがいまして、これらの考えに矛盾はないものと考えております。

川内委員 大臣、今の事務方の説明、わかりましたか。何を言っているかさっぱりわからないですね。製品安全行政というのは、消費者のためにあるのであって、小難しい理屈をこねて自分たちのミスを覆い隠すためにあるわけではない。

 これは、前任の二階大臣は、私が電話で、電気用品安全法は見直さないと、言葉の定義もめちゃめちゃだし、おかしくなりますよということを申し上げたら、国会の場では御答弁いただけなかったですけれども、電話では、法改正するから心配するなと私に言ってくれたんですよ。私もそれを信じて通常国会は過ごしていたわけでございますが、しかし、もう秋になりました。

 今、大臣も審議官の御答弁をお聞きになられて、言葉の定義がいきなり変わった、そして製品安全四法の中で電気用品安全法だけが違っているということに関しては、やはりこれは素直におかしい、製品安全行政の中で言葉の定義を統一し、そして消費者のために安全行政を行っていくというためには、可及的速やかに、この消安法だけではなく、電気用品安全法についても見直しをすべきであるというふうに私は考えますが、甘利大臣に、見直しの検討に着手するぐらいはちょっと言っていただきたいんですけれども。

甘利国務大臣 当時、私は党の政調会長代理をしておりまして、この説明を聞きまして、正直な話が、なかなか、便法としては理解するけれども、かなり複雑怪奇、無理があるんではないかなという印象を持ちました。

 結局、当時、中古販売事業者の方から、周知徹底の義務がなされていないではないか、突然降ってわいたような、期限が目の前に来ているというふうに理解する者が多いというお話だったと思います。私自身は、周知徹底の義務を怠ったと関係者がみんな思うのであるならば、もう一度ある期間を周知徹底させて、ちゃんとやるべきものはやるのが筋だというふうに思いましたが、それは党の立場で、とにかく本当は期限が来たらちゃんと実行するというのが本来の姿ですよとだけお話をいたしました。

 川内先生から、この問題がたびたび御指摘をされていると。確かに、幾つかある法律、まあ、法律ごとに、当然その法によって規定するものが違いますから、その違いがあることは認めますけれども、かなり混乱を来していることも事実だと思います。これはきちんと問題点を整理していく必要があると思います。その中には、法改正に向けての検討も選択肢の中に入れて問題を整理する必要があるというふうに思って、それが私の問題意識でございます。

川内委員 法改正も選択肢の中に入れて問題点を整理していくという大臣の御決意が示されました。法改正も視野に入れて問題点を整理していくと。これは審議官、事務方としては、今の答弁を受けて、速やかに電気用品安全法の問題点について検討に着手をしていただきたいと思いますが、どうですか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省におきましては、パロマ工業株式会社のガス瞬間湯沸かし器によります一酸化中毒死傷事故を契機といたしまして、この八月、製品安全施策の全般にわたり総点検を行いました。その結果、八月末に取りまとめを行ったところでございます。

 これを受けまして、本法案によります事故報告の義務化を図るとともに、製品に係る安全基準の見直しを早急に行うほか、消費者の安全が確保されるような製品安全体系を構築するべく、製品安全政策全般について検討することとしております。

 したがいまして、電気用品に関する規制につきましても、先生御指摘の点のみならず、幅広く検討を進めてまいりたいと思います。大臣のおっしゃったとおり、我々、一生懸命、本問題が終わった後、こういう問題、幅広く検討をしてまいりたいと思います。

川内委員 ぼかしておっしゃられたが、ちょっと、質疑は終わっていまして、すぐ終わりますので、一言だけ申し上げたいんです。

 大臣がせっかく決意を示したんですから、幅広く検討するとか、そういう何か、何もやりませんみたいなことを言わずにもっと、言うんだったら、事務方なんですから、審議会に諮りますとかそういう答弁をこっちは期待しているんであって、幅広く検討しますみたいなことを言われたんじゃ、大臣を無視しているということになりますよ。無礼なことを言っちゃだめですよ。製品安全行政を審議する審議会で電気用品安全法上の問題点について議論いたしますと言わなきゃだめでしょう。何かわけのわからぬことを言っちゃだめだよ。もう一回。

松井政府参考人 お答え申します。

 法改正の可能性も排除することなく検討をしていきたいと思います。

川内委員 終わります。

上田委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻でございます。

 きょうは、端的に御答弁をいただければ幸いでございます。

 本日は、本当に理事の皆様を初め、質問をさせていただく機会をいただきまして、どうもありがとうございます。

 きょうは消費者の立場に立った法案の審議ということでございますけれども、これまで私が先進国等の消費者行政を拝見しておりますと、残念ながら、日本の消費者行政というのは先進国でも最もお粗末の中に入るのではないのか。

 消費者と一概に言いましても、例えば、先般話題になりました耐震偽装問題などでは、消費者というのは、ある意味では、マンションでいえば居住者。あるいは、広い意味で消費者と言えるかどうかというのもありますけれども、株式市場においては一般投資家、個人という方も広い意味ではそういう立場に入るのではないかというふうに考えております。

 そういう消費者行政というのは、これまで、通産省や経済産業省の発想というのは、消費者を直接保護するよりも、企業を育成、指導して、そして企業の先にいる消費者にとって利益が出る、そういうような形で、企業指導という一環の中で消費者行政というのがなされてきたのではないかというような認識を私はしておりますけれども、いまだにその域をまだまだ出ていないというふうに感じるわけでございます。

 そういう意味では、我々は直接、消費者の、あるいは生活者という言い方もあるかもしれませんけれども、立場に立った制度をつくる、業界、役所の立場に立った制度というのを全部見直していく、川下から見直していく、消費者、川下の視点で制度を変えていくということが重要ではないかと思います。

 しかし、その一方で、それでは昔の、かつて一部考え方もあったような消費者運動、大企業は敵だ、こういうような消費者運動とも私は一線を画しておりまして、そういう意味では、本当に消費者の立場に立った制度をつくると、強い市場ができる。つまり、いいかげんな企業はそこに参入できなくなる、本当にまじめに消費者の立場に立った製品をつくっておられる、仕事をしておられる事業主あるいは会社が生き残って、利益も大きくなっていくということで、国際競争力も強くなる。こういう意味で、消費者行政というのを広い視点でとらえていただきたい、こういう思いもございまして、質問をさせていただくわけでございます。

 まず、今お手元にお配りを申し上げております資料の一ページ目に、これは私の事務所でまとめたものですが、今回、法案は、政府案と、我々民主党は、いわゆる危険情報公表法、そういう名前で、二〇〇一年の十二月、これは与党の反対で廃案になった。二〇〇四年の六月に提出いたしましたが、民主党案が廃案になった。ことしの五月にも危険情報公表法を民主党で提案させていただいておりますけれども、これは内閣委員会で今継続審議になっているということでございまして、ぜひともこの民主党案を成立させていただきたいと願うものでございますけれども、この一ページ目は、政府案と民主党案に含まれる製品の対象を書いているところでございます。

 政府から出された法案は、基本的にはほとんどが、もう九九%ぐらいが経済産業省の所管の製品に限定されているということでございますけれども、なぜ経産省に限定をされているのか。これは、内閣府からもきょう来られておられますので、どなたかお答えをいただきたいと思います。

渡辺(博)副大臣 今回の対象について、特に経済産業部分というだけではないと思います。

 今回の改正の趣旨は、製品の事故によって消費者に対する危害が発生し、また拡大することを防止することを目的としておりまして、消費生活用の製品を幅広く対象にしておりまして、事故の報告を求める等の措置を講ずるものであります。(長妻委員「いや、なぜ経済産業省だけなのか」と呼ぶ)産業省だけではないと思います。というのは、例えば、他の製品について、製品安全法という一つの、他の製品安全法制がございます。この法制は、既に、やはりそれぞれの立法趣旨に基づいてそれで規制しているわけであります。

 例えば、食品の添加物については食品衛生法、そして、高圧ガスの容器については高圧ガス保安法、さらには医薬品や化粧品については薬事法というように、それぞれの個別法でそれぞれの規制をしているわけでありまして、今回の改正から除外する必要があるというふうに感じてこのようにしたわけであります。

長妻委員 それでは、政府案というのは経済産業省以外の所管もかなりあるというお話ですけれども、どこですか。

渡辺(博)副大臣 今私が答えたのは、それぞれの個別法がありますね……(長妻委員「いや、だから、どこですかと、経産省以外の」と呼ぶ)幅広いです。すべてです。(長妻委員「どこの省庁ですか、例えば」と呼ぶ)省庁ですか。他の省庁のものということであれば、農機具類の農水省です。(長妻委員「あとは」と呼び、その他発言する者あり)

長妻委員 いや、手を挙げてからと言われますけれども、的確に答弁いただきたいということを冒頭申し上げたわけでございますけれども、経済産業省以外の所管の分野もたくさんあると言われましたから、聞いたわけです。農水省以外はどこがあるんですか。

 ちょっと、時間をとめてください。そんな、基本的なことじゃないですか。

渡辺(博)副大臣 今、私の方のちょっと認識不足でありまして、他の省庁というのは、農水省のものと経済産業省のものということでございます。

長妻委員 私が聞いておりますのは、もう九九%が経済産業省のもので、一部、家庭用園芸機器、芝刈り機などのみが農水省所管と聞いておりますけれども、その基本的な認識を持っていただきたい。ちょっと、どうなっているんですか。

 これは、私どもの民主党案では、お配りをしておりますけれども、政府が出してきております経済産業省所管の製品はすべて含まれる、これはもちろんでございます。それに加えて、政府案に含まれない、以下の製品も対象になります。読み上げますと、例えば、食品・健康食品、医薬品・医薬部外品・化粧品、家庭用血圧計など医療機器、消火器、自動車、バイク、自家用モーターボート、プロパンガスのタンク、建築物、例えば建材、これはシックハウス等々もございます、家庭用・業務用エレベーター、回転扉、エスカレーター、プール、遊具なども、我々は、機動的に政令で指定できる、こういうような形にしておりまして、個別法で規制をされている商品、製品に関しては、我々は消費生活用製品というふうに名前をつけまして、九法案が今ございますけれども、これは対象になります。

 そして、特定生活関連物品という概念をつくりまして、これは、「その構造、材質、使用状況等からみて一般消費者の生命又は身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多い製品、建築物、工作物その他の物」として「政令で定めるもの」ということで、これは新製品も今後いろいろ出てくる可能性がございますので、政令で機動的に定められる、こういうような仕組みにしております。

 それでは、これは内閣府に、きょうは平沢副大臣おいででございますけれども、お伺いするんですが、内閣府、全省見ておられると思いますけれども、なぜここに限定して、政府として取り組むのであれば幅広く製品にしなかったのか、あるいはそれを今後検討するという予定で第一弾として出されてきているのか、それをお答えいただきます。

平沢副大臣 私も今初めてお伺いしたんですけれども、質問通告がなかったものですから。

 恐らく製品としては経産省所管のが一番大きなというかほとんど該当するということでこういった法令になったんだろうと思いますけれども、内閣府は各地の消費者生活センターからいろいろな相談等を受けているわけで、それをいわば国民生活センターで集約しているわけでございますので、そういった中で、商品の中にも、経産省のものもありますし、場合によっては経産省以外のものもいろいろあるだろうと思いますので、それは今先生御指摘の点も踏まえましてよく分析しまして、もし必要があれば法案の中にこれは追加していくべきだろうと思います。

長妻委員 若干前向きの御答弁が、法案の修正も視野に入れたようなお話がございました。

 これ、今申し上げた製品でございますけれども、例えば、午前中も大畠委員から話題がございましたけれども、雪印乳業の食中毒の事件、牛乳でございますが、これは即日公表すればいいものを、つまり大阪市の保健所が、二〇〇〇年の六月に発生しましたけれども、回収命令を雪印に出した、これはもう回収しなさいと。ところが、それをすぐに発表しないで延ばしたことによって、その間知らずに牛乳を飲んだ方が、少なくとも三百人以上が食中毒になって、お一人が亡くなっておられます。これは食品でございますので、今回の製品の範疇には残念ながら入らない。民主党案では入りますが。

 そして、例えば健康食品、これの被害で死亡者がかなり出た事件もございました。これも民主党案は当然含まれますが、政府案は、これは経産省所管ではありませんので除外される。あるいはコンニャクゼリー。当時私も小さい子供がおりましたから、幼児がのどに詰まらせて何人もの方が亡くなった、しかし、それが周知されずに死亡者が続発した、こういう事故もございましたけれども、これも民主党案には含まれますが、政府案には入らない。

 あるいは自動車も、誤解を時々される方がいらっしゃるんですが、自動車はリコールがあるからこれはもう含まれないでいいんだ、重大な事故というのはすぐ公表されるから大丈夫だ。これも誤解でございまして、自動車の場合も、リコールする場合には、前提として、原因と対応策が確定している、できるだけ早く無償修理を終える、そのために部品を確保して修理する体制を整備する、こういうことが全部できた後にリコールということで公表するわけでございまして、非常に時間がかかる。最近は、ある条件下では速やかに発表するような事例も散見されますけれども、これが法律的に担保されているものではございません。

 そういう意味では、私どもの法律というのは自動車も含まれておりまして、これはある条件下では危険な状況になるということが確認されている場合は、速やかに、リコールとは別に公表する。ですから、その場合、消費者、車を持っている人がメーカー、ディーラーに行って修理してくれと言っても部品はありませんということになりますけれども、しかし、それよりも、やはり命をまず大切にしていこう、命を守るために公表を迅速にしようということで本法案にも含んでいるわけでございます。

 そして、例えばプールに関しましても、先般痛ましい事件が起こりましたけれども、この九ページにございますが、これは公立の小学校、中学校を調査していただいて、ふたの固定がない学校が三百一、吸い込み防止金具がない学校数が千六百七十七、こういうような結果が出たようでありますけれども、これも学校の名前が公表がなされていない。こういう、もう今季節はプールの季節ではありませんけれども、学校の名前、具体的な校名というのはどのくらい公表されましたですか。

小渕大臣政務官 委員のお尋ねでありますけれども、こちらの資料ですが、文部科学省が八月一日付で各都道府県教育委員会等を通じて調査した結果、こちらにありますように、延べ千九百七十八校の水泳プールにおいて排水口のふたの固定等に不備があるということが判明しております。この調査は、安全点検、確認、使用中止の要請や国民への情報提供を敏速に行うため、まずは件数のみの報告を求めたところであります。

 学校のプールの安全につきましては、まず設置者が責任を持って行うものでありますが、文部科学省といたしましては、来シーズンのプールの使用開始までに、不備があった学校につきましては再度調査を行うということとともに、改善が行われていない学校名を公表し、改めて安全確保の措置に徹底を図る予定であります。

 以上です。

長妻委員 今文部省としては公表していないということでございますけれども、これも、当時、事故が起こってこれを調査して、まだシーズン中でもございましたけれども学校の名前が公表されなかったということで、幸いにして、これだけ不備があるのに大きな事故は起こっていないというふうに承知しておりますけれども、こういうことも含めまして、この際、幅広い範囲で危険情報を公表するスキーム、仕組みをやっていくということが、これが本当に必要ではないかというふうに思います。

 そして、もう一つ、非常に不可解な、今回、ケースもございます。

 この一ページの資料の下にございますけれども、事故原因によっては今政府が出してきているこの法案の範疇から、範囲から外れる製品があるということなんです。これは例えばどういうことですか。

甘利国務大臣 これらは大くくりが化学物質関係なので、厚生労働省という仕分けをしております。

 消費生活用製品をどこまでとらえるか。もちろん、プールが消費生活用製品かどうかという議論、いろいろあると思いますが、個別法できちんと対処をするもの、それから所管の省がきちんと目を配らせて対応するもの、縦割り行政と言われるかもしれませんけれども、業界の指導ということもあわせて一体的に行われるわけであります。情報の収集と業界に対する是正指導等々、収集とそれからその後の行動が一体的に行われますので、我が省の所管に関してのものを対象に行っていると。

長妻委員 これは、私、きのう長時間経済産業省の方に事前に、いきなり質問するのも気の毒ですので、こういう質問をさせていただくということで、かなり長時間やりとりしたはずなんですけれども、これはどういうことになっているんですか。大臣に伝わっていないんですかね。これは根本的なことだと思うわけでございます。

 例えば、おもちゃとか鉛のアクセサリーとか食器類とかなべとか包丁とか容器包装などは、例えばなべの取っ手が折れてやけどをしてしまう、これは経済産業省の範疇でこの法案に入る。ところが、なべから変な化学物質が漏れ出して、ちょっと人体に影響が出てきたという場合は、この法案のスキームから外れて厚生労働省の範疇になって、この法案は関知しなくなる、こういうことなんですね。それは食品衛生法で書いてあるわけです。例えば鉛のアクセサリーでもおもちゃでも、子供が口に入れて有害物質が出てしまったときは、この法案の範疇から外れて食品衛生法にいく。あるいは、布団とか洋服に関しても、これも洋服でかぶれたりしますと、洋服自体は経済産業省の、本法案の所管でございますけれども、洋服でかぶれる、布団でかぶれるなどした場合は、このスキームには入らずに、厚生労働省の有害物質含有家庭用品規制法、こっちになるということなんです、大臣。

 つまり、どういうことかといいますと、これは公表するわけでありますから、重大事故の場合は。まず、一報は多分、経済産業省に入ってくる。しかし、中身の原因を分析して、化学物質が溶け出したものである場合は、重大事故でもこれはそこでストップして厚生労働省に渡して、しかし厚生労働省はそれを公表するスキームがないんですね、仕組みが。こういうおかしなことになるということなんです。

 これはちょっと、事務方の方、説明されているんですかね、大臣に。この法案のいろいろな問題点があるわけですけれども。これ、大臣、改善されませんか。

甘利国務大臣 我が省に入ってくる消費生活用製品安全法にかかわる情報で、重大事故でありながら我が省の所管でないものについては、その行政指導を行う担当省に速やかに情報は伝達をするというふうにしてまいります。

 個別法で各省が所管しておりますものについて不備があれば、その問題点を指摘し、所管省庁で改善に向けた努力をしていただけるものと思っております。

長妻委員 今の御答弁でありますけれども、そんな悠長なことを言っていられる状況なのかどうか。非常に重大事故の場合は、ほかの省庁に渡してもこの仕組みがないわけですから、厚生労働省に渡しても、それはそれでもうさたやみというか、公表されないわけでありますので、食品衛生法の中にはそういう仕組みはありませんので。ですから、そういう意味でも、網を我々の法案のようにかける。

 回転扉も、例の六本木ヒルズで起こってお亡くなりになった。しかし、その前に無数の事故が起こっていた。これ、何で公表しないんだ、こういう国民の皆さんの怒りがあった。しかし、本政府案は対応が全くできません。あるいは、シンドラーのエレベーターで有望な若者がお亡くなりになる。その前には幾つかの事故が起こっていたけれども、それが隠されていた、こういうことであります。プールでも、先般起きた事故でも、その前にふたが外れている状況があったわけでございますけれども、それが上に上がらなかった。こういうような、期待にこたえるところがすっぽりと抜けて、省益と言ったら変ですけれども、省庁の縦割りの製品にしかこれがかからない。

 私もこの民主党案に携わった一人でございますけれども、そのときにある官僚の方に、その方は親切に私にアドバイスいただいたんだと思いますが、こういうことを言われました。いや、長妻さん、民主党のこういう法律というのは多分ほとんどだめですよと。つまり、複数の省庁にまたがるものというのは日本の国では官僚が反対するから、縄張りが、切り分けが難しい、引っ張り合いがあって反対をするからなかなか通りにくいんですよと。通りやすい法律としては縦割りの省庁だけで完結できる、もしこういう法律を議員立法で出せばまだ通る可能性がありますよと。その官僚の方は親切に私に多分アドバイスいただいたんだと思いますが、私は、これは日本の病気だと思いますので。

 こういう消費者の問題というのは、別にその製品が、これは経済産業省だ、これは何省だなんて考えて使っていないんですね、皆さん。これは横ぐしにきちっと切っていただかないと、これは目的を達成できないわけでありますので、ぜひ、平沢副大臣、前向きな御答弁をしておりますので、内閣府と連携をしながら、商品の拡大、これ、ぜひ御検討いただけますか。

平沢副大臣 先ほど申し上げましたように、全国の消費生活センターに持ち込まれる相談というのは百三十万件ほどあるわけですけれども、それが国民生活センターに入ってくるわけで、もちろん、その中には製品のものもありますし、製品以外の医療過誤とかいろいろな問題ももちろんあるわけでございますけれども、製品のものについては、内閣府で独自に調査して欠陥があるかどうかと調べているものもありますし、これは欠陥があるということがわかれば、それぞれの関係省庁に連絡するというようなシステムになっているわけでございます。

 今委員が御指摘のように、今の体制で本当に十分かということになりますと、とりわけ各省庁にまたがる問題については内閣府の役割というか、責任は極めて大きいと思いますので、その辺については今後しっかり取り組んでいくように努力したいと思います。

長妻委員 これは甘利大臣にもぜひ一言。

 これは、別に我々野党、与党の対決法案とかそういうものじゃありませんので、本当に国民の皆さんにとって何がいいのかということで、やはり大臣は経済産業省所管であると同時に、当然、内閣の責任者、全省庁の法案も見るわけでございますので、ぜひ、この対象をもうちょっと考える必要があるんじゃないかと。こういう本法案、どうですか。

甘利国務大臣 この種の安全にかかわる法案は、与党、野党にかかわらず前向きな御質問をいただいておりますし、きょうもこれからもいただくんだと思います。

 我が省の所管の法案の限りにおいて来る情報で我が省以外のものについては、所管省庁に連絡をとるということはきちんとやってまいります。その上で、恐らく、あらゆるものについての情報が収集できるような仕組みをつくったらどうか、それがそれぞれ所管省庁に適切に情報が行って、迅速に対応ができるようにせよという御指摘だと思います。

 これはどういう仕組みが適切か、まあ、そういう法律をつくるとしたら私の所管ではありませんが、問題提起として受けとめさせていただきたいと思います。

長妻委員 問題提起だけではなくて、ぜひ実行を御検討いただきたいと思います。

 そして、もう一つの問題点、政府案でございますけれども、この重大製品事故というのは、では被害はどういう場合に公表のスキームに、仕組みに入っていくのかということでございますけれども、これは政令に入るということでございますが、既に審議会等では一定の決着がついていると聞いております。つまり、被害としては死亡あるいは重傷事故。重傷事故というのは、治療に要する期間が三十日以上の負傷、中毒。身体欠損、失明等のいわゆる重傷。そして一酸化炭素中毒。これに関してこういう被害の場合は、これは重大製品事故だと。

 そしてもう一つは、火災が入っています。火災というのも定義が限定されておりまして、「各消防本部が火災として認定したものであって、製造事業者又は輸入事業者がその事実を覚知したもの。」という言葉がございます。

 つまり、消防署が行かないといけないということでございますが、その中で、これはお配りした資料二ページでございますけれども、私もこれを見てびっくりいたしましたが、経済産業省に製品による火災事故を平成十七年度の受け付け分だけ出してほしいと申し上げましたら、調査が終わったものだけでも三百五十三件あったということでございます。この三百五十三件は、コンセントとか延長コード類は除いて、かつ使用者、消費者の誤使用とか不注意のものは除いております。つまり、製品にある程度の疑いがあるというような案件でございますけれども。しかも、平成十七年度受け付け中では、これ以外にも別に製品の火災事故が千二百十六件あって、それは調査中ですからここには入っていないということでございますので、千五百件以上の製品による火災を経済産業省は把握をされておられるということでございます。

 この中で主要なものを見てまいりますと、エアコンは室内機、室外機入れると二十五件。カラーテレビは十二件。四輪自動車四十七件。食器洗い機、これは昨日も、報道がきょうございましたけれども、これも五件。石油ストーブが十三件。充電器、直流電源装置四十五件。電気ストーブ十六件。電気乾燥洗濯機十三件。電気冷蔵庫十三件。こういうようなものがございますけれども、今回この政府案が成立しますと、この中で重大事故、つまり火災と考えられるのは何件でございますか。

甘利国務大臣 まだ全部精査はしておりません。

長妻委員 結局、消防車が出動しないと重大事故に入らない。このスキーム、義務にはならない、公表が。ですから、例えば発火とか、煙が出たとか、焦げたとか、あるいは、ぱっと火が出て、ちょっと焦がしたけれども、簡単に言うと消防車を呼ぶまでもないというか呼ばないでも済んだというようなことが入らないわけでございますが、今申し上げた中を細かく見ますと、ノートパソコンも四台燃えておりますね。この四台は、二〇〇五年の四月、神奈川県。二〇〇五年の三月、京都府。二〇〇五年の四月、東京都。二〇〇五年の十月、東京都。四台燃えておりますけれども、この四台は、消防署は出動しているんですか。

甘利国務大臣 出動しておりません。

長妻委員 出動していないということは、この四台のケース、例えば、ノートパソコン用バッテリー、昨年四月の東京都。ノートパソコンを使用中、バッテリーが過熱し、発煙した。パソコンをベランダに移動し水をかけたため、化学反応を起こし、発火した。

 あるいは、昨年の三月、京都府。ノートパソコンのバッテリーが過熱発火し、製品の外装部分が溶解した。机の一部が炭化し、近くにあった紙が焦げ、パソコンを移動させる際に指にやけどを負った。

 しかし、消防車は呼ぶまでもなかったわけで、ですから、これは重大事故という政府案の定義では確かにないでしょう、この狭い定義。ただ、これは、火災というのは重大事故につながる可能性が高いわけでありますから、何でこういう、限定した火災ということで、消防自動車出動のみにしているのか。

 この四つのノートパソコンのケースというのは、今回の法案でいうと重大製品事故の中の火災には入らないということでよろしいですか。

甘利国務大臣 消防が火災と認知するということを要件としておりますから、入っておりません。

長妻委員 ですから、非常に限定、限定なんですね。

 例えば、エアコンの室外機。これは二〇〇五年の六月、京都府。エアコン室外機から発煙し、焼損した。これはコンデンサー内部粒子の絶縁劣化だということでありますけれども、これも聞きますと、消防署は出ていない。

 あるいは、カラーテレビでございますね。カラーテレビでは、岡山県で、二〇〇五年の八月、テレビから発煙し、天井と壁が焦げた。これも、当該品の水平偏向回路が焼損していることから、プリントパターン部分の基板割れによる割れ部分での放電現象。これも、消防署が出ていないから今回はいい、報告義務がかからない、公表義務にならない。

 あるいは、ラジカセ。これも、二〇〇五年の五月、宮崎県。イヤホンでラジオを聞いていたら突然ぽんと音がして炎が上がり、ラジカセ本体とごみ箱、カーペット、たんす等を焼損したということもございまして、これも、消防署が出ないので、これも今回はなし。

 あるいは、昨年の一月、都内で、ノートパソコンが燃え、布団などを焦がした。消火時に被害者は足を打撲した。使用期間はたった十カ月だった。これは、出動しないので、原因もわからないので、商品名も非公開。これも今までどおりですね、政府案が通っても。

 そして、例えば、ヘアドライヤーの件でありますけれども、平成十五年の十二月、大分県。ブラシ式のヘアドライヤー使用中にぱちぱちという音がして、右胸の上に二センチほどのやけどを負った。これも消防署が出ていないので、なし、範疇に含まれない。

 こういうようなことで果たして、私も何でもかんでも含めろと言っているわけじゃないですよ。ただ、火というのは重大事故につながる危険性もあるわけでありまして、民主党案では、法令基準等に適合しないことを知った場合において、一般消費者の生命または身体について危害が発生するおそれがあるときという、個別法があるものはそういうくくりにして、先ほど申し上げました特定生活関連物品に関しては、対象製品の欠陥等により人の生命または身体に重大な危害が発生する急迫した危険があることを知ったときというのが民主党案でございまして、今のようなケースも我が党案では含まれるわけでございます。

 さらに申し上げますと、例えば、かつて、一九九六年の七月以降、冷蔵庫の扉が外れて下に落ちてしまう、非常に冷蔵庫の扉というのは重いわけですけれども、これが百三十九件起きて十二人がけがをしたということで、これも公表おくれが問題になりましたが、これも政府案では当然、死亡とか重傷ではないわけですから、公表されない。しかし、もし下に赤ちゃんがいたり幼児がいたりしたら大変なことになる。

 あるいは、昨年の四月、富山県で起こった、片手なべ、手で持つなべ、これでうどんをガスコンロでゆでていたら持ち手が破損した、傍らにいた家族に汁やうどんがかかってやけどをした。これは製品に原因があるというふうに経済産業省も認定しましたが、今回の公表スキームでは入らないわけです、重傷ではありません。

 あるいは、シュレッダーの場合でも、今回、例えば指がとれるという身体欠損に関しては重傷ということでスキームに乗ると思いますけれども、今でこそシュレッダーはこれだけ問題になりましたが、例えばシュレッダーの場合、指を子供が挟みそうになって、指先だけがちょっと血が出た、お父さんがさっと指を抜いて助かったというケースは当然今回のスキームにも入らないということで、これは、私は重大事故が発生する急迫した危険があるというふうに考えるべきだと思うんです。

 そういう意味では、大臣、重大事故の内容、要件、これがちょっと限定し過ぎるんじゃないか。課題として今後検討するというような御答弁をぜひいただきたいと思うんです。

甘利国務大臣 報告義務と公表をするというのは全く同列ではありません。火災でも、消防車が出動するような事態にならない、つまり本当に小さな発火事故でもすべてに報告義務をかけるとすると、これはもう膨大な数になります。

 その事実認定について、消費者と報告義務者との間での見解の相違も生ずる。つまり、何かプラスチック製の上でマッチでいたずらをしていたとか……(長妻委員「いや、それは公表しないでしょう。政府案でも欠陥でなければ公表しないんでしょう」と呼ぶ)ええ、ですから、小さな発火事故でもということになると、見解の相違も出てくるし、膨大になる。

 ですから、報告義務はかけないけれども、しかし、任意にこうした事件、事故を徴収する体制はあるわけですから、その中で因果関係がはっきりしている、欠陥によるものである場合には、重大事故でなくとも公表するわけですから。この重大事故というのは、輸入事業者とか製造事業者に法律上の義務をかけるという意味での線引きでありますから、こちらが把握をして発表する、公表するのは、重大事故に限るということではありません。任意の徴収の中で因果関係がはっきりしているものについては公表をいたします。

長妻委員 私も何でもかんでも全部入れろと言っているんじゃないですよ、先ほどから申し上げておりますが。ただ、今私が申し上げたような事例で本当に重大事故に結びつくようなものは、しゃくし定規に、こういうふうに限定しないで、先ほどの民主党案のような発想も持つ必要があるんじゃないのか。

 そして四ページが、これは消防庁からいただいた資料ですけれども、消防庁が、平成十七年度中、出火原因が電気製品である、こういうふうに認定したものが九百六十三件ございます。こういう九百六十三件の情報というのは経済産業省にきちっと届いていますか。

渡辺(博)副大臣 これについては、経産省は特に通知を受けてはおりません。

長妻委員 これも、私も今の答弁は驚くわけでございますけれども。つまり、これまで私どもに経済産業省が説明していたのは、いや、経済産業省は消防から製品の火事とかは情報が入るから、消防とは連絡をとって通達も、ここにいただきました、こういう通達が出ているわけですね、経済産業省から消防に。商品の欠陥が原因と疑われるものは消防が認知したらすぐ報告してくれ、こういうふうに言っているのに、それも非常にずさんだった。

 そしてもう一つ、公表でございますけれども、経済産業省がこれは主務大臣、公表するわけでございますが、これは二段階に分かれて公表するというわけですね、今回の政府案は。第一段階は、製品の一般名称で事故状況を公表する、これは重大事故に限定してでございますけれども。これは、平日で、発生して、報告を事業者から受けてから五日以内ぐらいにやるということでございます。第二弾は、その重大事故が、危害等の再発防止のために必要があるときは製品の個別名称を公表するということで、つまり、再発するかどうか認定されれば具体的なメーカー名と型番を第二弾として公表する。

 第一弾は、メーカー名は公表しないんですね、例えばカラーテレビとか冷蔵庫とかそういう抽象的な名前で、第二弾は、再発するかどうか認定したら製品名を公表するというんですが、これは三、四カ月かかる場合もあるんではないかということを経済産業省から聞いておりますけれども、そんなに長いんですか。

甘利国務大臣 まず、重大事故を公表するということは、同類の事故を未然に防止するという意味があります。

 そして、メーカー名その他ということについては、因果関係をはっきりさせなければなりません、はっきりした時点で公表する。中には長くかかることもございます。

長妻委員 これは、国民の皆さんにこの法案を説明するときに、どのくらいが目安なのか。具体的に製品名が業者から上がってきます、重大事故ということで。それを公表するときに、やはり三、四カ月ぐらいかかるのかどうか。

 いや、正直に言っていただきたいんですよ、ごまかさないで。それが大体平均というか、そのくらいを想定しているのかということなんです。

甘利国務大臣 できるだけ早く、可能なものは一週間程度で公表できる……(長妻委員「製品名」と呼ぶ)ええ、ようにしたいと思います。ただ、因果関係の特定をするわけですから、きちんとした調査をしなければなりませんから、物によっては時間もかかるということであります。

長妻委員 今大臣から、一週間で製品名も公表するケースもある、そういう御答弁。うなずいておられます。しかし、その因果関係ということは実はクリアしているはずなんですね、経済産業省の事前の説明だと。

 というのは、経済産業省は、ここに書いてあるのは、欠陥によって生じたものではないということが明らかな事故以外のものは公表するということで、つまり、この製品が原因だと認定しなくても重大製品事故はこのスキームに入るということでございますので、そういう意味では、因果関係というのは非常に以前に比べるとすっきりしているのではないかというふうに考えております。

 例えばこの中で、パロマというのは、かつて経済産業省に対して、機器の構造上の欠陥ではなく安全装置の機能を無効にするという市場での不当な改造の結果だということで、パロマ製品自体は問題ないんだ、その後の改造なんだからうちは欠陥がありません、こう言ったわけであります。この政府案でも、そういう意味では、欠陥によって生じたものでないことが明らかというふうに、パロマがこの言い分のときに認定されているとすれば、このスキーム、仕組みには乗らないということになります。今でこそ大騒ぎしていますから、その当時、だれも知らないときにそういうふうに言われたとしたら、果たして乗るのかどうか。

 あるいは、昨年の四月十二日に石川県で起こった電気こたつでの火事でございます。これは、焦げ臭いにおいがしたため部屋の電気こたつのかけ布団をまくったところ、発煙しており、水をかけて消火した、確認するとヒーターユニット部分が溶融、脱落しており、布団及び畳を焼いた。原因、これは経済産業省が認定しましたが、事故品は安全装置の温度ヒューズが取り外され、サーモスタットが常に通電状態になるように改造されていたため過熱をした。対応としては、修理不良であるので措置はとりませんでしたということであります。

 これは、ある意味ではパロマと似ているケースでありまして、出荷時はちゃんとしていた、しかしその後、改造をしたりしていろいろな問題が出てきた、こういうこともございますので、ここら辺が私は非常に心もとないと思います。

 最後に指摘をしておきたいわけでございますけれども、八ページ目に、お配りした資料でございます。

 これは、重大製品事故でない場合、非常に限定されておりますけれども、今、政府案で重大製品事故でない場合はいろいろな、今でも製品名を時と場合によっては公表するという仕組みがございますけれども、この今の仕組みも、政府が重大事故でない場合でも製品に原因があると認定をしたとしても、公表前に事業者が公表内容を公表していい、こういう同意を得ないと公表ができない、こういう規定があるわけでございます。

 そういう意味では、経済産業省がきちっと製品が原因なんだと断定したとしても、事業者の同意がないと公表しない。「公表前に公表内容を通知し、同意を得ることとする。」という基準がございますので、これも検討する御予定というのはございませんか、最後に。

甘利国務大臣 因果関係が明確になりましたら、同意がなくても公表いたします。

長妻委員 では、質問を終わります。

 よろしくお願いします。

上田委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 甘利大臣、長時間お疲れさまでございます。

 そして、大臣は、実は私の郷里のルーツをたどると大先輩だそうでございまして、武田二十四将の甘利虎秦の御子孫だというふうにお伺いをしています。今、Jリーグではありませんが、サッカーで有名な中田さんの母校が韮崎高校というところでありまして、そこの御出身だということを聞いて大変私もうれしく思っている一人でございます。

 大臣、そんなことも含めて、先日来、大臣の造詣が経済産業行政全般にわたって大変お詳しいということ、そして、今いろいろな意味で、経済政策、きょうの法案の一番のメーンは消費者行政、安全性行政の問題でもありますが、多岐にわたっている行政の中に、ちょっと法案に入る前に二点ほど確認しておきたいというふうに思います。

 四百五十年ほど前、多分、私は、大臣の御先祖に雇われておった足軽か百姓かわかりませんが、そんな身分をずっと続けて、ルーツが、そこに根っこが生えてしまいましたが、大臣の今の選挙区は、多分、都市型、特に消費者の方が多い地域、裏返して言えば、働く方も多い地域だというふうに承知をしております。

 そんな中で、大臣、今景気という問題を見るときに、これはこの委員会でも何度となく話がされておりますが、いわゆる月例経済報告では、今回の景気の命名が平成景気とも言われておりますが、政府としてはまだ命名がされておりません。いろいろ数字を拝見させていただくと、やはり、よく言われる大企業と中小企業、この景気回復の格差。さらには、企業の回復が行われているものの、給与、要するに個人の所得という点では、今回の景気回復が始まったと言われております二〇〇二年の二月から比べると、給与所得ではそれから五年近く、下がり続けてはおりませんが、比較をすると下がっているという現実。

 さらには、来年はいわゆる二〇〇七年問題ということで、団塊世代の方が一斉に退職をするという、労働力不足ということが中期的には言われておりますが、実際、この現在のいわゆる平成景気を見ても、労働力人口が逆に減っているという現実。

 そんな中で、大臣、経済成長戦略というものもさきの国会でもいろいろ質疑をされましたが、現在のこのいわゆる平成景気について、大臣はどんな形で評価をし、または認識をなされているのか、冒頭、お尋ねをしたいと思います。

甘利国務大臣 ルーツが一緒ということで、この委員会でも仲間が一人いたということで、本当にうれしく思っております。

 イザナギに並びイザナギを超えるという今の景気に関してどういう認識を持っているか、あるいはどういう実感を持っているかというお尋ねであります。結論から申し上げますと、そんなにすばらしい景気なのかなという思いは心のどこかで持ち続けております。その原因は、期間は長いけれども厚みがないということに尽きると思います。

 イザナギ景気のころは、実質で言っても一一・五%ぐらい、名目で一八%以上。今は、実質二・四、名目一・〇くらいでありますから、平行線で移動しているのにちょっと毛が生えているという程度が一番の原因だと思います。大企業はいいですけれども中小企業はそれほどよくない、中にはいいところもありますが。都市部はいいけれども地方はよくないというのが実態だと思います。

 先般も、経済産業局長会議というのを開きました。全国各地の経済産業局から景気動向を聴取いたしました。総じてよくはなってきてはいますけれども、地域によっては相当ばらつきがあります。北海道、沖縄、九州、四国、東北、山陰方面は、ほかと比べてそれほど順調ではありません。一方で、順調なところはかなり有効求人倍率も伸びているという、ばらつきがあると思います。

 御指摘のように、雇用者の賃金というのは下がり続けてようやく下げどまりになった、これから大いに反転攻勢に転じてもらいたいと思います。

 私は、先般、経団連との会合のときに経団連側に要請をしたことは、経団連傘下の大企業の収益が史上最高を更新している、有利子債務をできるだけ少なくする、あるいは設備投資をする、あるいは、まさかに備えて内部留保をする、株主に還元をする、もちろん大事でありますけれども、それを雇用者に一部はできるだけ早く還元をしてほしいと。つまり、企業から家計への所得移転を進めてほしいという要請をいたしました。それが消費の力をつけることになると。ここのところ、消費が若干停滞ぎみであります。設備投資牽引型から、それも大事だけれども、消費が牽引をしていくように利益を上げている企業としても思いをはせてほしいという要請をいたしました。

 そういう状況が今の景気の私の認識でございます。

後藤(斎)委員 大臣、来年のNHKの大河ドラマが、大臣の御先祖と一緒に武田信玄にお仕えをした山本勘助が主役になるんですね。「風林火山」というもので、山梨県内では来年のその大河ドラマに向けていろいろなイベントを実はしております。

 今、大臣がお触れになっていただいたように、地域によって景気回復の格差が非常にある。格差という言葉は大臣のお立場では非常にさわってほしくない部分かもしれませんが、実際ございます。

 そして、これは四年ぶりだということでありますが、倒産件数が十八年度の上期で実はふえております。特に小規模、中小規模の資本金の倒産件数がかなりふえているというふうなこともございます。これは、今景気回復がされているという中で倒産件数がふえているという、ある意味では、新陳代謝があるかないかというのは別としても、こういう現実もございます。

 大臣、やはり地方という部分は、人的、特に資本的な資源も含めて、大変乏しいものもございます。十九年度の予算のいろいろな仕組みを見させていただくと、大臣の肝いりで、地域にあるすぐれた地方資源の活用ということもうたいながら、実際プログラムを策定することになります。

 大臣、このプログラムを策定するときは、これはもう何年も前から、ある意味では同趣旨のことを歴代の大臣はおっしゃっていたはずなんです。ただ、それがまだまだ、人的な資本の部分、よく参考人で中小企業の団体の方、経営者の方がいらっしゃるときも話をされるのは、いや、大企業が、雇用環境が、そんなに求人しないときの方がむしろ人的にはいい方が来るとか、ある意味ではそういう話もしていたので、逆に、大企業が景気回復すると、やはり今まで人材の新規抑制をしていたものがふえていく、これからは人的にも大変な時代になる。資本もなかなか、新しく銀行からスムーズに融資なんて、今、むしろまだ貸しはがし的なものが続いている時代ですから。

 だから、実際にそれぞれの地域が持った地域資源ということを明確に規定していただいたのは非常にありがたいことだと思うんですが、それをどういうふうにそれぞれの地域で、具体的に地域の中小企業の方々をモデルでもいいから育てていくという支援策を総合的にやっていく、今こそまさに総合的という言葉が来年度本当に具体化するようにぜひお願いをしたいと思っていますし、そんな意味で、昔大臣と一緒に地域で過ごした子孫として、ぜひそんな意味での、これからの地域格差という現状を踏まえた地域の中小企業支援策について大臣にお伺いをしたいと思います。

甘利国務大臣 私は、地域振興に我が省とそれから関係省庁が力を合わせて具体的に取り組んでいこうということで、先般、地域資源活用企業化プログラムということに関して、我が省を含めて六省庁に集まってもらいました。そこの席でその趣旨を説明させていただきました。

 ともすれば、縦割り行政ですから、経済産業省が農水省に出張っていく、あるいは総務省に出張っていくと嫌がられるわけであります。その省はその省の中で完結する施策をやってくれというようなことになりがちですが、私は、あえてこういうときだからこそ、お互いに、相手にとってお邪魔虫でいいから、どんどん乗り込んでいこうよと、そこで協力をしていくことが大事だと。

 具体的に、では経済産業省と農水省が協力したらこういうのができたというのを、具体的なものをつくれと。そうすれば、では、うちとあそこが組んでもこういうのができるなということがうまくいくじゃないかと。

 例えば、今、北海道だったと思いましたけれども、サケをとって、サケの皮というのは捨てちゃっていた、しかし、そのサケの皮からコラーゲンがとれて、それが化粧品だとか薬だとかに使える。それを企業として市場にうまくデビューをさせていく、マーケティングという発想。ただ、サケの皮からこんなものができましたというのは、ああそうで終わっちゃいますから、これをどうやって市場にデビューさせていくか。マーケティング戦略が必要。そして、これにブランド力をつけたらどうだと。ブランド戦略。そういうものを農水省と経産省と相まって、力を合わせれば、そこから、捨てていたものから新しい産業が育つじゃないかと。

 あるいは、よく言われる、とてもわかりやすい例で引き合いに出されるのが、広島県熊野町の筆ですね。筆という視点で見ていくと、あの筆は斜陽産業です。しかしそれを、材料が同じでも、形状を変えて別なものにしていく、つまり化粧筆にしたという、別な産業の視点から見ていくと、これがリーディングインダストリーになった。同じ斜陽産業からリーディングインダストリーが生まれる。こういう発想の転換をやろうよと。そして、例えばマーケティング人材なんというのは、外部から登用して、登録制にして、各省がその人材を使えるようにしたらどうだと。

 とにかく、例を早く一つつくろう、そしてこんなことができますよと。しかも、それは地域の資源ですから。サケの皮というのは、東京に探したってないわけで、大阪にもないわけですね。どこの地域にも誇れる農産品というのはあるから、それを単なる農業という視点から見るんじゃなくて、産業、工業という視点から見るとどうなるか。そこは農水と経産省とのコラボレーションがあるじゃないかと。あるいは、地域には観光資源だって歴史資源だってあるはずです。これは国土交通省の所管のもの、それを使って中国とか韓国とか台湾のお金持ちをどうやって引き込んでいって、お金を落として帰ってもらうか、こういう発想だってできるんじゃないですかと。

 つまり、省庁を超えて一つの例をどんどんつくっていって、こういうことができますよということを地域に投げかけて、あなたのところにだって誇れる資源があるでしょう、それを引っ張り出してブラッシュアップして、他省庁の政策と連携したらどうかということを提言していきたいというふうに思っているのであります。

後藤(斎)委員 大臣、これは後でも触れさせていただきますが、まさに今度の地方の中小企業の支援プログラムというのは、六省庁が一緒になってやる、十九年度にやっていくということで、まさに今回の法律も、もっとまとまって、連携をしながらやっていただく必要がある。これは後でもう一度指摘をさせていただきます。

 大臣、やはり伝統文化、歴史資源ということでいえば、大臣の御先祖の終焉の、勝頼の終焉の地には新府城という、もう何もないんですが、廃墟になっていますが、そういうものをどう、復元をするかどうかは別として、ほとんどの方が知らない。なおかつ、私は、これからのあり方として、本当に具体化をどうしていくかという、大臣がお答えになったような部分をぜひ経産省全体で取り組みを、関係省庁と連携して対応していただきたいということを要望しておきます。

 もう一点、法案に入る前に、早ければ来週にも北朝鮮の輸入承認の問題を議論することになると思いますが、その前に、私、ちょっと今いろいろ懸念をしているものがありまして、きのうの夕刊にも、生物化学兵器の関連物資、国連の委員会では対北朝鮮禁輸の見送りの記事がございました。いわゆる輸出というときに、経済産業省所管の物資でも、迂回であるとか輸出承認もとらなくて輸出をしたケースが今までございました。今、政府としては、輸出規制の強化ということを、やはり対北朝鮮問題を念頭に置きながら対応しているというお話をお伺いしています。

 そして、あわせてお答えをいただきたいんですが、いわゆるアジアの国、日本以外のアジアの国は、この輸出管理というものに対する意識や、そしてその制度の構築というものが十分なされていないという話を聞いております。一部日本の専門家がJICAのスキームの中で、アジア諸国の方に輸出管理のあり方の研修をしているというお話も聞いていますが、私は、輸入はもちろんかもしれませんが、大量破壊兵器関連等々の問題、これは、生物化学兵器というものは若干除外を、当然輸出する場合ではしなければいけませんが、ぜひ、輸出規制についてどんなお考えなのか、アジア諸国のこれからの支援のあり方も含めて、あわせてお答えをいただきたいと思います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生の方で何点かおっしゃられたかと思いますけれども、最初にちょっと言及されました国連安保理での制裁リストの検討状況でございますが、生物化学兵器について見送りになったというのは、若干これはミス報道でございまして、現実には、生物化学兵器の規制品目については今調整をいたしております。それとは別に、核関連でありますとか、あるいはミサイル関連でありますとか、こういうものについては既にある国際レジームのリストを使おうということで合意ができたということで、生物化学兵器のものについて少しおくれるというのがきのうの状況でございます。

 当然、この安保理の決議を受けた輸出についての制裁については、これは国際レジームに参加していない国連参加国も縛られるということで、私どもも非常に意義があると思っておりますが、日本としても、生物化学兵器関連のリストも含めて、制裁委員会で結論が出た場合には的確に実施をしてまいりたいというふうに思っております。

 それからもう一つ、そもそもアジア諸国の輸出管理の問題も含めてどのように取り組んでいくのかという御質問でございますけれども、先生おっしゃるように、アジアの国についてはまだまだ輸出管理という意識そのもの、あるいはその体制、法制度も含めて十分でないところがほとんどでございます。現実に今四つの国際レジームがございますけれども、四つすべてに加盟をしておりますのはアジアでも韓国ぐらいでございますし、あと中国も核関連だけに加盟をしているという状況でございます。

 私どもとして、効果的な輸出管理をアジア全体で実施していくためには、やはりアジア諸国のそういった輸出管理に関する意識あるいは体制の強化を図っていただく必要があるということで、言ってみればキャパシティービルディングというんでしょうか、こういうもののお手伝いをすべく、いろいろなことを取り組みとして行ってきております。

 例えば、アジア輸出管理セミナーというのをこれは日本で毎年開催いたしております。ことしも二十二カ国から七十五名参加をいただいたり、あるいはアジア各国で、これは平成十六年以降十四回開催をいたしております。それからJICAの輸出管理についての運用技術の向上研修でありますとか、それからアジアの主要港を有しますシンガポールあるいは香港との間でも情報交換あるいはノウハウの交換等を中心といたします協力協定を締結したりというようなことで、その周辺の底上げについても努力をいたしておるところでございますけれども、今後とも、そういったアジア諸国との連携強化も含めて輸出管理体制の強化に努めていきたい、こう思っております。

後藤(斎)委員 今お答えをいただいたように、やはりこれが実質的に、日本から見れば輸出というものがきちっと実効性を担保できるかどうかというのは、大臣、やはり迂回的なものをどう防いでいくかということは大変重要なので、これはまた引き続きこの委員会でもぜひ議論をしたいと思いますので、その点、ぜひきちっと対応していただくようにお願いをしたいと思います。

 それでは、法案の方に入らせていただきます。

 まず、今回の消費生活用製品安全法の対象の品目数、そして当該法律が関係をするであろう製造・輸入業者数、そしてあわせて、時間もありませんから、省内の関係課は幾つあるのか、これについてまず冒頭お尋ねをしたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 消費生活用製品に該当し得るものは、消費生活用製品の対象品目につきまして正確な統計はございませんが、御参考までに申し上げますと、日本標準商品分類上の六けた分類で約五千六百品目と考えられます。

 また、消費生活用製品の製造事業者数についてですが、これも統計上の正確な数値はないものの、平成十五年度の工業統計によれば、従業員数が四名以上の製造に関連する事業者は約二十七万社でございます。そのうちの相当数が消費生活用製品の製造に関する事業者だと考えられます。

 さらに、経済産業省におきます消費生活用製品の関係課は全部で十七課となっております。

後藤(斎)委員 今審議官がお答えをいただいたように、たくさんの品目数、これは多分これに掛け算をして、実際の品目、ホームセンターだとかで売られているものはもっと品目数は当然多いわけなんですが、関係省庁ということは、先ほどどなたかがお尋ねをいただいたように、経済産業省と一部農林水産省の対象品目があるということでありました。

 そもそもこの法律が出た部分というのは、いわゆるこの法案がパロマ法案という命名をされる方もいらっしゃいましたが、やはりここに来て、はっきり言ってこの夏からばたばたばたという改正をしたのかなという感じが私はします。

 実は、五年前の同時多発テロの際に、ちょうど二〇〇一年の九月二十一日、BSE、いわゆる狂牛病の国内で第一頭目が見つかってかなり大きなことになりました。その年度に既に内閣府では、内閣府の委託調査ということで、製品安全に係る情報開示のあり方、これは研究会でかなり分厚い資料、これは違いますが。その翌年に、今手元に持っているものは消費者の安全のあり方に関する研究会報告書ということで、委託をしてかなり精力的に取りまとめをしています。

 私は、この時点でなぜ今回のような法改正ができなかったのかなと。要するに、情報を報告させ、それを公表するということは確かにいろいろな抑止になって大切なことだと思うという指摘は、既に今御指摘をした平成十四年三月の製品安全に係る情報開示のあり方、この研究会の報告書の中でも指摘をされておりますし、あわせて、この平成十五年十一月の消費者の安全のあり方に関する研究会の報告書も指摘をされております。

 なぜ今になってしまったのかということを簡潔にお答えいただけますでしょうか。

松井政府参考人 先生御指摘のとおり、今回の法改正は、パロマのガス瞬間湯沸かし器や家庭用シュレッダーなど、消費生活用製品の使用に伴う一般消費者の生命または身体に対する危害が発生する事故が相次いだことを受けて行うものでございます。

 経産省といたしましては、とうとい生命が失われました一連の事故に関しまして、これまで省内の事故情報の連絡・共有体制に不備があったとの指摘を謙虚に受けまして、原点に立ち返り、製品安全の確保に万全を期す考えでございます。

 先生御指摘の平成十三年にBSE問題を契機とした食品安全問題が取り上げられた際、また内閣府が製品安全に関する研究会を行っていた際には、企業の情報開示を促すための方策につきましてさまざまな議論が行われたものの、消費生活用製品安全法の改正につながるような議論を省内で行うには至らなかったものと承知しております。

後藤(斎)委員 大臣、まさに今の御発言がいわゆる縦割りの意識であり、そしてやはり他山の石ということで、常にあらゆる情報をみずからの所掌している部分に置きかえて考えていかなければ、これは今回、仮に、この法改正というものは第一歩だと私は思いますけれども、やはり十分ではないというふうに言わざるを得ないと思うんです。

 そして、先ほど大臣が地方振興のプログラムを六省庁でやっていくという中で、私、非常に疑問に思うのは、これは事務当局で結構なんですが、先ほど午前中に牧原委員がこの事故情報収集制度報告書から抜粋をされた重大事故の件数の推移、これはちょっと質問通告しておりませんが、これは十六年度から十七年度で倍増に近いものと倍増以上のものがあるんですが、なぜ十七年度、この重大事故というのがこんなに過去の平均に比べれば多くなったんでしょうか。何かこの要因があるんでしょうか。

松井政府参考人 先生御指摘のとおり、十七年度に事故情報の報告の数が飛躍的にふえております。その内容につきましては、まだ十分に分析はできておりません。

 しかしながら、考えられますことは、一つには、やはり社会において製品安全問題に関する関心が非常に高まってきて、このような事故をすべて報告するような雰囲気が高まってきたことが一つ。

 もう一つは、現に事故がふえているんだと思います。その理由といたしましては、機器自身が高度化をしてまいりまして、安全面に関するマージンが少しないがしろにされていた、それから、今度は、使い方も、例えば先ほどシュレッダーが、一般的には企業で使われていたものが御家庭でお使いになるというような形で、製品の使われ方が変わってきたということで、やはり想定されなかった事故がふえてきた等々が考えられます。

 詳細についてはまだ分析できておりませんけれども、このようなことが一つの要因であったのではないかというふうに考えております。

後藤(斎)委員 今回の法改正に当たって、先ほども狂牛病、BSEの話にちょっと触れていただきましたが、当時も、いわゆるリスク管理を担当している部局とリスク評価をする部分、リスクコミュニケーションをする部分、これは分離をして評価をする部分の独立を高めなければいけないということで、食品安全基本法ができ、そして食品安全委員会ができたというふうに承知をしております。

 今回も多分同じことが言えると思うんです。今まで経産省は、特に通産省時代は産業育成という部分がやはり強い官庁でした。この法案のいろいろな説明をお伺いするときも、いや、これは、消費者保護の部分に配慮したのは経産省でいえば画期的だったかもしれませんよというお話も実はお聞きをしました。

 であればこそ、今回は製品安全課というのが、先ほどお話をされた十七の経産省の中にある担当、原課と言っていいかもしれませんけれども、からいろいろな情報をとったり、みずから情報をとりながら、これからこの法の施行をしていくということなんですが、本当に、ただ、消費者の皆さんから信頼をされ、なおかつ、後でも少し触れますが、いわゆる企業の中のあり方自体が、先ほど審議官がお話をされたように、社会の雰囲気が変わってきて、こういう情報も重大事故が十七年度にふえたうちの要因の一つだという、的なお話をされましたが、まさに私そうだと思うんです。やはり、重大事故が起こったとき、事故が起こったとき、情報を隠すのではなくて、それを出しやすい環境が、社会全体、これは経産省が幾ら行政指導をやっても法律で縛ってもだめだと思うんです。

 アメリカなんかでは、いわゆるペナルティーを科す際に、迅速かつまじめに、まじめというか内容を隠さず報告をすれば、その課徴金、ペナルティー的なものを下げる、そういうふうな仕組みもとっているようであります。

 特に米国では、消費者製品安全委員会ということを、きちっと、連邦法の消費者用製品安全法という法律に基づいて、独立性を保持しながら、やはり消費者の皆さんが使う製品の安全を担保するということで、なぜ、独立機関を設置した方がいいんじゃないかという議論は今回の改正の中ではなかったんでしょうか。そして、これから、もし一年ないし二年たってこの改正が不十分だということであれば、その独立機関の設置も含めて検討していくんでしょうか。

松井政府参考人 我が国の製造業がここまで発展した背景には、やはり安全性を含めた製品の品質の高さが重要な要素であると考えております。このように、安全な製品を製造、輸入することは、消費者に製品を供給している企業の大前提でございます。これらの事業者が健全な発展をするために不可欠の要素でございます。したがいまして、産業育成と製品安全を含む消費者保護とは表裏一体の関係でございまして、決して相反する政策課題ではないと考えております。

 また、多岐にわたります消費生活用製品につきまして、安全な製品の設計、製造、迅速な事故原因の究明、適切な再発防止措置の実施などを行うためには、個々の製品をめぐる事業環境をも考慮に入れつつ、適切に事業者を指導していく必要がございます。

 こうした観点からも、消費生活用製品の大部分を所管しております経済産業省が責任を持って対応することが効率的かつ実効的であると考えております。

後藤(斎)委員 これは、五年前のときにも大議論になって、今審議官がおっしゃったそういう意見もありました。しかし、評価や情報収集をしてそれをニュートラルに公表という、情報提供ということで対応する部局は独立制の機関の方がいいという結論に達して、立法行為で食品安全基本法を明定し、その中に食品安全委員会の設置をしたというのは、審議官も大臣も御承知のとおりであります。

 だから、今は確かに時間が、ある意味ではパロマの七月のいろいろな問題から三カ月くらいでまとめたから、まず第一歩だというふうに私はお話をしていただいた方が正しいと思うんです。

 そこで、表裏一体だからということを余り強調すると、消費者や産業育成行政もしているから、じゃ、そっちの違う方を締めるよということでは、やはり企業からは、報告を隠そうという意識がどうしても出てきてしまう可能性の方が高くなるのではないかなということを、私は五年前に食品安全基本法を民主党の中でも検討した一人としてつくづく思うので、ぜひそれは、後でもう一度お話を聞きますが、念頭に置いていただきたいと御要望しておきます。

 そして、アメリカの消費者製品安全委員会では、製造業者、流通業者の方は、これは流通業者も含めてでありますが、二つの報告義務を課すことにしているようであります。一つは、できるだけ早くということで、警戒システムということで、安全基準に不適合である場合、もしくは安全欠陥を認識した場合、直ちに、これは二十四時間以内だということだそうであります。我が国は、今回の法改正では、製造業者または輸入業者は重大事故の発生を知った日から十日以内に行政庁へ事故報告を行うべきであると。この一日と十日の違いというのは、確かにいろいろな事故原因云々とありますが、少なくとも報告をするか否かというのは、なぜ日米で十倍の差があるんでしょうか。

 私は、この法案のそもそもの目的が、何度も大臣や当局の皆さんがお答えになっているように、いや、これは予防をできるだけして、公表を通じて新たな事故拡大も含めて抑止をしていくんだということがメーンですよね。であれば、できるだけ早くやはり報告を受け、それを精査する時間が、仮に一日なのか、一週間なのか、二日なのか三日なのかは別としても、少なくとも迅速にやるというスタンスが日米の法律の仕組みを見ていると違い過ぎるので、私はここは全く納得できないんです。

 今の十日というものを、今パブリックヒアリングにかけているようでありますが、これを一日ないし三日とかにもっと短縮するというお気持ちはございませんか。

    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕

松井政府参考人 事業者が重大事故の発生を知り、国に報告しようとする場合には、事故によります被害の概要、事故に関係しました製品の型式など、事業者側において把握、確認する必要がございます。かかる把握・確認行為には、早ければ早い方がいいと思いますけれども、やはり、ある程度の日数を要するものと考えられますところ、休日等を勘案すれば、報告義務づけの期限を十日とすることが適切であると考えております。

 なお、先生御指摘のアメリカの制度でございますけれども、事業者が製品の技術基準違反や欠陥を認識した場合に報告を義務づけるものでございまして、二十四時間の報告期限も違反や欠陥を認識した時点から起算されるものでございますから、我が国の制度とは一概に比較できるものではないというふうに考えております。

後藤(斎)委員 私も別に、一日と言っても、二十四時間以内に、アメリカの何か有名なテレビで「24」というのがあるんですが、ぜひ見たいと思っているんですが、それらしきものを言っているので、できるだけ早くということを私は言っている。

 それと、先ほど同僚の長妻議員からも指摘がありましたように、私、今審議官が言ったことでちょっと納得できない部分があって、では火災が仮に起きたときに、消防白書、これは消防庁がまとめているものですけれども、例えば件数とか、現場に消防職員が行って火を消す、これは多分重大な部分だと思うんですよね、火災の部分でも。その後、亡くなった方がいたら、事故検視ということで今度は警察の方がそこで検視をする。

 実は私、私的なことですが、七月におやじを亡くして消防、救急隊と警察に御厄介になったもので、そのルートがやっと現実にわかったんですが、消防と警察と連携をする、するというふうに言っているんですが、先ほども、要するに、要請書を出して、これから現場でもちゃんとやろうねということじゃなくて、よく言われますが、事件は現場で起こっているわけですよね。そこで、現場同士できちっと情報の共有ができてその聴取ができれば、今審議官がお答えになったように、これは、例えば湯沸かしであれば、この湯沸かし自体に問題があったかどうかというのは、そこは消防や警察もどうだったかなということを火災原因としてチェックするでしょう、当然。

 だから、そこでの連携があればもっと早く情報収集ができるじゃないですか。そこに経産省ないし製品評価技術基盤機構の職員の方が多分行かれるにしても、そこでの共同作業をすればもっと早く情報収集ができ、公表もするタイミングになれば、未然に防ぐという、事故がもっと広がらないということになりませんか。当然なりますよね。

 だから、その連携も含めてちゃんとしてくださいよと。なぜ、救急隊や消防の部分や警察がそれぞれ地方の、これは市町村の部分で基本的には対応していますけれども、あって、皆さんの経産省で六十数人増員したといっても、六十数人で、先ほど言った、全国の二十七万企業で五千六百の六けた分類での対象品目、それができるわけがないじゃないですか。だから、体制をきちっと現場レベルでもして対応していただければ、事故の原因やそれに基づいた情報の公表がスムーズにいくというふうに思うんですけれども、大臣、その点いかがでしょうか、この連携ということについて。

甘利国務大臣 消防署や警察や国民生活センター、消費生活センターとの連携をきちっとやって重大事故の情報の漏れがないようにするということについては、当然とっていくわけであります。

 私も、今お話を伺っていただけできちんと認識しているかどうかちょっと不安なのでありますが、アメリカは違反や事故が認識をされたときから一日以内ですか、日本の場合は規定している重大事故があったらいついつ以内ということで規定をされているわけですが、欠陥であるとかあるいは違反であるとか、その確認に手間取るようなことがあると、その認識の時点までに時間が随分かかるんだと思います。とにかく、死亡や重傷やあるいは火災そして身体欠損のようなものは、把握をしてできるだけ早く報告をしてもらう。その因果関係その他はまだその専門の調査等が必要でしょうから、いずれにしても、その種の事故が次に起きないようにどう聴取し、それから消費者に伝達する手当てをとるかということをまず第一に考えて組んだ法律だというふうに承知をしております。

後藤(斎)委員 先ほども指摘をされた部分でもありますが、この法律の一条を改正しました。それで、その一条を、従来の現行法でいえば「消費生活用製品の安全性の確保につき民間事業者の自主的な活動を促進し、」というところを、「製品事故に関する情報の収集及び提供等の措置を講じ、」ということに変えました。ここで、現行法の方が、「消費生活用製品の安全性の確保」という部分が入っているわけですよ。

 先ほどもちょっと指摘をした報告書、これはすごくいいことが書いてありまして、まさに今のグローバル化をした、特にこの法律で対象になっているものは輸出もしていくわけですね。今まで、高度成長のときには、アメリカやヨーロッパの企業に追いつけ、追い越せということで、安くて品質のいいものをつくったという時代がありました。それが今、メード・イン・ジャパンというものは、品質のよさでは世界で大きな信用をかち取っています。このような、例えば先ほどのソニーの話を初め、いろいろなブランドを持った企業でも、ある不祥事や情報隠しみたいなものがあると、世界も含めてメディアが大きくバッシングをし、これは世論ということでもイコールだと思いますが、そして、国境を越えた日本製品の消費者も視野に置きながら、市場に置くものには合理的な安全性が備わっていなければいけないとの公法的な意味での一般規定を国内法で明定してはどうかという指摘が実はございます。

 これは既にEUの一般製品安全指令というものが一九九二年にできて、公法的に全体に網をかぶせるという法律の形、制度の形をつくっているのですが、ここでは、その基本が、製造者は安全な製品のみを市場に置く義務を有するという原則を定めています。私は、今回の法律改正に当たって、それを実は入れるべきだということをずっと思った一人でもありますし、もしこの法律がすべてをカバーしていないから入れないなんということであれば、私は、これからの課題として、この一般法でも結構ですから、ぜひ消費者の権利ないし消費者に安全なものを提供するという義務を事業者に責務として課すことが必要だと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。

    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案では明確には書いておりませんけれども、第一条に、先生御指摘のとおり、情報の収集、提供等の措置を講じて一般消費者の利益を保護することを目的とするという形で、いち早く事故の情報を知り、それを消費者の方に早く流して、次の事故が起こらないように警鐘を鳴らしていく、こういう形で法体系を組むことによりまして、事業者が安全な製品をつくる方向に進むことを期待してございます。

後藤(斎)委員 大臣、もう時間がそろそろ来ますけれども、私、輸出についても、やはり輸出国の皆さんに安全だという、それがもう日本製品の今までと同じようだというものをもっときちっと言っていくことも含めて、今御質問したように、何らかの法律的な、制度的な担保をやはりとる必要が一点あると思う。

 そして、輸出先で仮に事故が起こった、例えばアメリカで事故があったというのは、お話を聞きますと、これから協定を結んで、そういう事故情報があったら国内の製造・輸入業者と同様にその報告義務に近いものを、要するに報告をしてもらうような制度をつくるようであります。これからヨーロッパやアジアについても同趣旨のものをつくるというお話を聞いていまして、これはこの法律が成立した段階でできるだけ早く対応してもらいたいという要望が一点。

 大臣、先ほどもお話をしたように、日本の社会、経産省も含めた、業界をこれからも指導、育成をする立場にある省庁が、会社法もこの春に改正をされましたけれども、やはり法令を遵守するという基本的な位置づけ、そして、情報というのは隠すものではなくて公開をすることの方がより企業リスクというものは長期的に見れば軽減をするんだよという意識や、それには、できるだけその企業の中でそういう意識を持っていただく、情報を隠すんではないという部分を対応してもらうことがぜひ必要だと私は思うんです。

 大臣、ぜひ、関係省庁の連携も含めて、そしてこれからそういう風土を、これは周知ということでは、二十七万ある企業体にどうするかは別としても、ぜひその周知も含めて、そういうことで、要するに情報というものは開示をして、それでできるだけ、それが企業のブランド力にもなるし、日本全体の製品は安全だということを、これから輸出ということで、やはりお金を稼いでいかなければならない仕組みをこの国は当然持っているわけですから、ぜひそんな意味での大臣のリーダーシップを発揮していただきたいと思いますけれども、あわせて御答弁を総括的にお願いします。

甘利国務大臣 この法律に基づいて製造事業者や輸入事業者に課する義務というのは当然あるわけでありますが、それ以前に、御指摘のように、企業文化として安全なものをつくっていく、それが製品の評価につながる、そういうことをしっかりと指導していきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

上田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今回の法案は、パロマのガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故をきっかけに行われるものであります。その点で、このパロマの事故に対して、特に経済産業省、当時の通産省の対応がどうだったかという点について、まず検証したいと思っております。

 パロマの製品事故を振り返って思わずにいられないのは、もっと早く対策がとれていれば助かった命があったはずだということであります。この点は、大臣も同じお気持ちだと思います。

 昨年十一月の港区の事故の場合でも、マンションで亡くなった上嶋浩幸さんという当時十八歳の青年、週末実家に帰るたびに頭が痛いと言っていた。要するに、一酸化炭素中毒に日常的にあったんだろう。しかし、家族の人はそんなことはわかりませんから、風邪を引いたんじゃないのか、医者に行ったらどうか、こんなやりとりをしていた。ですから、結果として一酸化炭素中毒で亡くなったというときに、あのときガス会社を呼んでいればと、自分たちのそのときの対応を悔やんだというお話でした。

 しかし、この間明らかになったことを見れば、パロマのこういったCO中毒事故というのは過去ずうっと続いていた。同じ製品でそういうことが行われていた。いわば、死ななくてもいい人が亡くなっていたという事故だった。ですから、謝罪に来たパロマの副社長に対して、何でもっと早く回収してくれなかったのかと強く訴えたそうであります。

 メーカーの責任が問われるのは当然のことでありますが、監督・規制官庁の経済産業省の対応がどうだったのかの検証も必要であります。

 今回の法改正のポイントの一つが、事故情報収集体制の強化、事故情報の報告義務化であります。当然の措置であります。しかし、パロマ製品事故については、ガス事業法及び高圧ガス保安法に基づく事故情報報告義務規定により、ガス事業者から経済産業省に事故情報は届いていたわけであります。

 大臣に伺いますが、ガス事業者から事故情報は届いていたんです、パロマについても。なぜ事故の拡大を防げなかったのか、伺いたいと思います。

甘利国務大臣 ガス事業者から情報は届いておりました。それで、当時の通商産業省が何もしなかったかといえば、それに対する対応はしたのでありますが、それが十分でなかったために事故が防げなかったと思います。

 一九九一年から九二年の間に、ガス事業者から、パロマ工業株式会社製のガス湯沸かし器に関する三件の事故報告を受けておりました。

 この事故報告を受けて、当時の通産省では何をしたかというと、まず一点として、パロマ工業株式会社に対しまして、販売店等に対し安全装置の不正改造等の禁止などを教育すること等の再発防止策をとらせるように指導をいたしました。二点目として、ガス事業者に対して、不正改造機器の点検であるとか、一酸化炭素中毒防止策の消費者への周知といった保安対策の徹底を求めるということなどの対応はいたしました。

 しかしながら、今から振り返りますと、十分でなかった点が三点、やるべき点が三点あったと思います。一つは、こうした指導の実効性が維持されているかどうか十分なフォローアップというものを行う必要があったということであります。二点目は、情報の集約、分析が不十分であったということであります。三点目は、消費者に対して積極的に、この種の事故がありますからということを、事故情報を公開すべきだったというふうに考えております。

 これらの反省を踏まえて、経済産業省といたしましては、製品事故に関する省内の検討、フォローアップの体制を整備する。同時に、事故リスク情報を国民に提供することなどによりまして、製品安全対策に万全を期してまいりたいと考えております。

塩川委員 当時、大臣もお答えいただきましたけれども、特に九一年、九二年と事故が続いた。資料を配付させていただきましたが、その一枚目にありますように、九二年に多数の事故が起こっております。もちろん、これは未報告のものもありましたから、この時点ではわからなかった場合もあったのかもしれないけれども、例えば、経産省、当時の通産省で、右側にありますように、LPガス保安課、ガス安全課、日用品室にそれぞれ情報は届いております。例えば一つの課、LPガス保安課におきましても、九二年までの間には七件の情報が届けられていた。

 ですから、それを踏まえて何をやったかが問われている。大臣お答えになりましたけれども、教育の徹底や周知徹底という話でしたけれども、問題は事故原因の解明なんですよ。事故原因の究明で何をやったのか、通産省がどういうことをやったのかということが問われているわけです。

 ですから、これを見てもわかるように、例えば九二年に集中をしているということもあります。それから、発生場所というのも、ごらんいただいてわかるように、北海道に大変多いわけですね。ですから、寒冷地というところで事故が多いんではないかという推測というのは当然のことながら成り立つわけでありますし、原因としても、改造によるものということが、ここにも明らかなように、九二年までで五件、六件、七件と出ているわけであります。

 ですから、発生場所が北海道に集中している、何かあるんじゃないのか、原因が改造が多数だ、ここにやはり原因を解明するポイントがあるんじゃないのか、こういった角度から分析ができたんじゃないのか。通産省の原因分析の取り組みがどうだったのかというのが聞きたいんです。いかがですか。

広瀬政府参考人 大臣から答弁させていただきましたとおり、平成四年当時、当省からガス事業者等には、一酸化炭素中毒事故に今後十分対応するようにという通達等を出しておるところでございます。

 しかしながら、これらの事故の原因の徹底的な究明のための情報の集約作業ということは必ずしもできていなかったと考えております。

 情報の集約のためには、事業者に対して、徹底的に不足のある情報を提出させ、長期間にわたって情報を集約し、都市ガスとLPガスの区別なく、横断的に事故情報を収集し、またメーカー名、型式名、事故原因などをキーワードとして系統的にデータベースを整備することにより、ガス消費機器の事故事例を系統的に分析する体制を整える必要があると考えております。

 このため、今後の対応としては、ガス消費機器メーカーから事故報告を求めることに加えまして、高圧ガス保安協会において都市ガス、LPガスの区別なく統一的な事故原因分析を実施すること、外部有識者によるワーキンググループにおいて事故原因分析及び対応状況のフォローアップをすること、ガス事業者からの事故報告にメーカー名、型式名等の情報を追加することなどにより、今後、原因究明の徹底を図っていきたいと考えております。

塩川委員 いや、答えてませんよ。事故原因を解明するために何をやったのかについて、情報の集約、そして事故原因の分析ができていませんでしたというんですから。分析ができていないのはなぜかと言ったのに、分析ができていませんでしたとしか答えていないでしょう。そこを聞きたいんですよ。

 というのは、これは資料の二枚目にもあるように、当時、それこそ通達で、これだけの事故が起きていますよと。CO中毒について、上はLPガス、下は都市ガス、九一年、九二年にかけてこういう事故が発生していますよというのは、通産省は通達を出しているんですよ。気をつけてくださいねと。しっかりやってくれと。しっかりやってくれというのじゃなくて、通産省自身が、何が原因で事故が多発したのかという解明をすべきだったんですよ。そのことについてまともな検証がないというのが今の答弁ということになります。

 大体、集約が不十分だったというのは、だって、ガス事業者から事故情報の集約しているんですよ、義務づけて。ですから、問題は、集約とかじゃなくて、分析をする気がなかったという通産省の問題になるんじゃないですか。いかがですか。

広瀬政府参考人 現在、原子力安全・保安院では、LPガスの保安を担当する課、それから都市ガスの安全を担当する課を合わせた組織にいたしております。先生御指摘の平成四年当時は、LPガスの保安を担当する部局と都市ガスを担当する部局が分かれておることもございました。このようなことから、一つ一つの事故をそれぞれの部局で見ていくということはやっていたわけでございますが、一つの機種から見てどうか、一つの原因から見てどうかという、キーワードで検索をしていく、徹底的に原因究明をしていく、そのような体制はその当時は十分でなかったというふうに考えております。

 この反省を踏まえまして、今後、事故原因の徹底的な究明を図る体制を強化していきたいと考えております。

塩川委員 二つの課に分かれているといっても、これ見てくださいよ。LPガス保安課で九二年までに七件の情報が寄せられているじゃないですか、未報告もあるから。もしこの時点でしっかり調べようと思えば、さらにたくさんの件数が出てきたわけなんですよ。課が分かれているからなんて、そんな無責任な答弁じゃ通りませんよ。

 もともと、事故情報をきちっと集めようとなれば、そのための制度も当然持っていたわけですよね。ガス事業者から事故情報を求めるだけではなくて、ガス機器のメーカーからだってとれるわけですよ。そのための報告徴収や立入検査というのはあるわけです。

 今回のパロマ製品の事故について、ことしは別にして、それ以前の、二〇〇五年以前のこの一連の事故について、通産省は報告徴収、立入検査を行った実績がありますか。

広瀬政府参考人 ガスの事故に関連しまして、法律に基づく立入検査、報告徴収は行っておりませんでした。

 ただ、ことしの七月に、パロマ事故に対しまして当省として的確に対応するという基本方針を立て、その後は、必要な報告徴収、立入検査等を行い、徹底的な原因究明等を行ってきたところでございます。その結果を踏まえて、八月二十八日に報告書を取りまとめ、今後の対応策三十一項目を立てたところでございます。

塩川委員 まあ、やったことがないということですから、何でやらなかったんですか。なぜ活用しなかったのか、当時。例えば九二年。

広瀬政府参考人 当時の状況、必ずしもつまびらかに申し上げることはできないわけでございますが、今から思いますと、まず、このような事故に関係する事業者等に、事故を起こさないように指導するということが重要だと考えて事業者等に対する通達等を行ったことかと思います。

 また、一方、この三件の事故につきましては、やはりパロマの製品ということがございまして、当省からパロマに対して、改めてこれらの三件の事故について報告を求め、その結果、パロマに対しまして、十分、今後このような事故がないように対応するようにという指導をしたところでございます。

塩川委員 事業者に対して事故を起こさないように指導するということをやったんだと、それが理由ということですけれども、そもそも、では、立入検査、報告徴収というのは何のためにあるのか。ガス機器メーカーに対して立入検査、報告徴収をやる、そういう権限が通産省にある。それは何のためなんですか。

広瀬政府参考人 私どもの法律に基づきます立入検査、報告徴収の権限でございますが、これは、いろいろな事故等がありましたときに、不足のある情報を徹底的に提出させていく、求めていくというためのものでございます。

 その当時十分な活用がなかったかと思うわけでございますが、本年七月以降は、パロマ事故に対しまして、このような法的な手段を最大限に活用して、徹底的な原因究明に努めてきたところでございます。

塩川委員 事故の防止のために不足のある情報を提出させていくものだと。そうだと思います。この取りまとめの中でも書いてありますよね。もともと、事故原因究明作業に当たっては、メーカーに不利益な情報を、報告徴収、立入検査を行って収集することも求められると指摘をしています。消費者ですとか、あとガスの事業者もありますから、そういった人たちの安全確保そして事故防止のために、メーカーにとって不利益となるような情報であっても、きちんと出させる、収集するというのが目的であります。

 そもそも、事故を起こしたパロマ製品というのは、半密閉燃焼式と言われて、一貫して政府認証、九九年までは。そういう意味では一番危ない機器ということがあったわけですよね、当然のことながら。

 通産省、経産省は、問われているのは事故原因究明の問題なんです。事故原因究明の責任があるのに、報告徴収や立入検査など、メーカーに不利益な情報を収集するということを行わなかった。ですから、報告徴収や立入検査をやっていないということは、結局、事故原因究明については、通産省、経産省はみずから解明するつもりはなくて、メーカー任せにしてきたということが事故の拡大につながった、このことが言えるんじゃありませんか。大臣、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 決してメーカーをかばったわけではありません。事故に対してガス事業者なりなんなりに指導はしたわけでありますが、認識が甘かったということに尽きると思っております。

塩川委員 いや、認識が甘かったというよりも、事故原因究明について何ら手だてをとらなかったというところ、そこが既にメーカー任せになっている。事業団体、業界団体を指導するということで、いわば、メーカー、業界団体に丸投げをしていったということが今回の事故拡大の一番の問題だ、このことが問われていると思います。そこに事故拡大の背景があるということをやはりしっかり見据えて対応しなければいけないということが言えると思うんです。

 そもそも、一九七三年に消費生活用製品安全法が制定された際に、法案のもととなった産構審の答申では、国が講ずるべき施策の一つとして、事故情報収集制度の法定化を挙げておりました。それが法案には盛り込まれませんでしたから、国会の方で、衆参の商工委員会の附帯決議として、こういった事故情報収集制度をとるべきということが盛り込まれたわけであります。

 この事故情報収集制度を盛り込まなかった理由及びそれにかわる代替策、補完策について、これは配付資料の四枚目の上から三段目のところが該当するところですけれども、傍線がありますように、この法律案には事故の報告の条項がございません、その点を落とされている理由なり、今後書き加えるお考えはないのかという質問に対して、政府委員が、技術的な面、公平の面からいって今回はあきらめた、それを補う意味で、八十三条の報告の徴収権を明定して、これの運用によって随時必要な報告をとっていく、もう一つは、工業品検査所、今のNITEにつながる報告システム、これで補っていくと。

 事故報告義務づけの規定は盛り込まないけれども、工業品検査所も使うが、報告徴収権を使って必要な情報を集めるんだとはっきり言っているじゃないですか。法律でつくらないけれども、つくらなくてもこれで補えるということを言っておきながら、報告徴収をパロマについて一度も使わない、これほどの無責任はない。このことが問われていると思います。

 消安法の報告徴収権の対象というのがどのように変わったのか。制定時はどのぐらいの品目で、この間の法改正でその品目はどんなふうに変わりましたか。

松井政府参考人 昭和四十八年の法律制定当時は、消費生活用製品安全法におきます報告徴収の対象は、事前規制の対象となる特定製品のみとなっておりました。その後、平成十一年におきます法改正におきまして、報告の対象を特定製品から消費生活用製品に拡大いたしまして、緊急命令を実効的に発動するための事故情報収集を可能としたところでございます。

塩川委員 ですから、九九年の法改正で、事前規制から事後規制とおっしゃっておられましたけれども、そういう点では、特定製品からすべての消費生活用製品に拡大したんですよ、報告徴収を。ですから、いわば、今まで数点だったものが、さっきの御答弁では五千六百品目ですか、という形で広がったということになるわけです。

 これは、資料の三枚目のところに、製品安全四法の一番上の段で、消費生活用製品安全法の報告の徴収それから立入検査の件数、これは、ずっと過去、七三年から全部出せと、大臣、私は要求したんですけれども、これしかないというんですよ。この九五、九六、九七の数字というのも、衆議院の経済産業の調査室がつくった資料に載っていただけなんです。検証もしていないということがこういうところにもはっきりあらわれていると思うんですけれども、いずれにせよ、その九九年の前と後を比べても、消安法、ほとんど変わりがないじゃないですか。対象品目が数項目なのに、それが九九年以降五千六百にも拡大をしたのに、まともに、こういう形で報告徴収も立入検査もふえていない。

 そのための体制はどうだったんですか。品目が五千六百にも拡大をするという点で、こういった事故情報の収集や分析の体制、これはどういうふうに強化をされたのか。例えば、事故情報の分析をやるNITEの人数なんかは変わりましたか。

松井政府参考人 現時点でNITEの職員数の推移は把握しておりませんけれども、経済産業省といたしましては、通達で、事故があった場合には報告をするようにという制度をつくりまして、それで今情報を把握しております。

 ちなみに、現時点におきましては、大体、週に五十件から、多いときで八十件でございます。年間にならしますと、大体二千数百件の報告を任意の情報収集制度で把握してございます。

塩川委員 いや、ふえたと答えられないように、体制上の変化というのはほとんどないんですよ。

 もちろん、ガス関係のものの担当が製品安全課に変わりましたから、その辺の機構上の違いはあるでしょう。しかし、NITEというのはどんどん絞っていく、独立行政法人として。体制はどんどん細っていくんですよ。そういう中で対象品目だけ広げるというのが実態として機能するのかということが今問われているわけです。事後規制で、対象もすべての消費生活用製品になったのに、まともに権限も活用しないだけではなくて、まともな体制もないというのが現状であります。

 それで、つけ加えて、消費者保護の制度が活用されたのかどうか。これは、消安法の九十三条に申し出制度というのがあります。これも資料の四枚目のところの一番上の段の会議録に書いてありますが、質問者が九十三条についてということで聞いて、政府委員が、「この条項は、私どもが原案作成にあたりまして、進んで挿入したいと努力して入れた条項」だ、「この条文をできるだけ生かしてゆきたい。」と答弁しています。

 これは、消費者保護の徹底を図るために、消費生活用製品の安全確保に関し必要な措置がとられていないことにより消費者の生命とか身体に危害が発生するおそれがあると認めるものの申し出を主務大臣が受理、必要な調査を行い、申し出の内容が事実であると認めるときには適当な措置をとらなければいけないと規定をされている、消費者保護の立場に立った重要な規定だ。当時の通産省の局長の答弁でも、我々は進んで挿入しましたと自慢をするぐらい重視をしていた制度であります。

 この九十三条の申し出制度の実績はどうなっていますか。

松井政府参考人 先生御指摘の現行法第九十三条で定めております申し出制度は、一般消費者の生命または身体に危害が発生するおそれがあると認める場合に、一般消費者の方々が関係省庁に対して申し出ができるものでございます。

 一方、経済産業省におきましては、法制定当初から、任意の事故情報収集制度を運用しておりまして、幅広く事故情報を収集してまいったところでございます。本任意制度が一般消費者の方々においても活用されたこともございまして、本条項の制度がこれまで活用されてこなかったものと認識しております。

 今後は、今回の法改正によります事故報告制度とあわせ、本制度につきましても、一般消費者に対して周知活動に努め、消費者の保護の徹底を図ってまいりたいと思っております。

塩川委員 自分が入れたと自慢しているような制度の周知徹底そのものをやっていないわけですから、いかにやる気がないかということだけがはっきりした。消費者保護の制度を全くやる気がないということがこの事実ではっきりしたと思います。

 大臣に伺いますが、私が申し上げましたように、結局、事故情報分析といっても、みずからはやらずに、指導という格好でメーカー任せで行ってきたのが実態だった。規制緩和で、安全基準も、政府認証、第三者認証から、事業者のみずからの責任になっていく。事後チェックといっても、実際には、ここにあったように、事後チェックという権限としての報告徴収や立入検査も使われていなかった。その上、消費者保護の制度そのものが棚上げにされているわけであります。経産省の消費者保護行政の無策ぶりというのがはっきりしているんじゃないでしょうか。

 ですから、経産省にはもちろん大いに頑張ってもらおう、もともとその所掌事務にも消費者保護が入っていますからね、これは大いにやってもらうと同時に、それにとどまらず、消費者保護の観点に立った横断的、一体的な事故情報収集、分析、それに対する必要な施策の打てる権限のある体制をつくるべきじゃないか、この点はぜひ伺いたいと思いますし、関連して内閣府にその点について一言いただきたいと思います。

甘利国務大臣 所管をしている品目に関する情報の迅速な収集それから対処は当然でありますが、所管外のものについて把握した情報については、迅速に所管官庁に情報伝達をして、対処方をしていただけるように要請をいたします。

堀田政府参考人 お答えいたします。

 内閣府といたしましても、最近の製品事故等にかんがみまして、関係行政機関が事故情報を共有していくなど、一体として対策に取り組んでいくことが事故防止のために重要であるというふうに考えております。

 このため、内閣府では、去る九月末に、以下の三点を柱とします消費者の安全、安心に向けた取り組みといったものを公表しております。その中身ですけれども、第一に、PIO―NETを通じて国民生活センターが入手した死亡・重篤事故情報を関係省庁へ迅速かつ積極的に提供すること、第二に、関係省庁間の広範な情報共有のための、消費者政策会議の下に設置されております消費者政策担当課長会議といったものを定期的に開催する、第三には、死亡・重篤情報のみならず、広く苦情相談情報の効果的な活用方策に関する検討会を立ち上げるといった三点を発表しております。

 さらに、十月二十日に開催されました国民生活審議会でも、身近な場におきます安心、安全の問題につきまして、官と民の新たな役割分担のあり方を含めて検討するということが決まっております。

 内閣府としては、こうした取り組みを今後も取り組んでまいりたいと思っております。

塩川委員 特に経産省には、NITEのような事故情報分析機関の拡大充実、このことを強く求めて、質問を終わります。

上田委員長 次回は、来る七日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二分散会


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