衆議院

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第5号 平成19年4月4日(水曜日)

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平成十九年四月四日(水曜日)

    午前九時三十五分開議

 出席委員

   委員長 上田  勇君

   理事 金子善次郎君 理事 河井 克行君

   理事 新藤 義孝君 理事 中山 泰秀君

   理事 宮腰 光寛君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 赤羽 一嘉君

      小此木八郎君    大塚  拓君

      岡部 英明君    片山さつき君

      川条 志嘉君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      平  将明君    寺田  稔君

      土井 真樹君    冨岡  勉君

      丹羽 秀樹君    西本 勝子君

      野田  毅君    橋本  岳君

      藤井 勇治君    古川 禎久君

      牧原 秀樹君    松本 洋平君

      武藤 容治君    盛山 正仁君

      森  英介君    矢野 隆司君

      山本 明彦君    大畠 章宏君

      太田 和美君    川端 達夫君

      北神 圭朗君    田名部匡代君

      細野 豪志君    馬淵 澄夫君

      三谷 光男君    柚木 道義君

      鷲尾英一郎君    高木美智代君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   経済産業副大臣      山本 幸三君

   経済産業副大臣      渡辺 博道君

   文部科学大臣政務官    小渕 優子君

   経済産業大臣政務官    高木美智代君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (内閣官房都市再生本部事務局次長)        松葉 佳文君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田  務君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           合田 隆史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           布村 幸彦君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           鳥生  隆君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 松永 和夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     福水 健文君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       松井 英生君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           大辻 義弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           立岡 恒良君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           古谷  毅君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           石黒 憲彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西川 泰藏君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          鈴木 隆史君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局調査統計部長)     細川 政弘君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          石田  徹君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          小島 康壽君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          肥塚 雅博君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        岩井 良行君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    石毛 博行君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    加藤 文彦君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            松井 哲夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         竹内 直文君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月四日

 辞任         補欠選任

  武田 良太君     古川 禎久君

  谷川 弥一君     冨岡  勉君

  土井 真樹君     矢野 隆司君

  橋本  岳君     西本 勝子君

  増原 義剛君     大塚  拓君

  吉川 貴盛君     盛山 正仁君

  三谷 光男君     馬淵 澄夫君

  鷲尾英一郎君     田名部匡代君

同日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     松本 洋平君

  冨岡  勉君     谷川 弥一君

  西本 勝子君     橋本  岳君

  古川 禎久君     武田 良太君

  盛山 正仁君     寺田  稔君

  矢野 隆司君     土井 真樹君

  田名部匡代君     鷲尾英一郎君

  馬淵 澄夫君     三谷 光男君

同日

 辞任         補欠選任

  寺田  稔君     吉川 貴盛君

  松本 洋平君     増原 義剛君

    ―――――――――――――

四月四日

 海底資源開発推進法案(細野豪志君外三名提出、第百六十三回国会衆法第一五号)

 排他的経済水域等における天然資源の探査及び海洋の科学的調査に関する主権的権利その他の権利の行使に関する法律案(細野豪志君外三名提出、第百六十三回国会衆法第一六号)

は委員会の許可を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 海底資源開発推進法案(細野豪志君外三名提出、第百六十三回国会衆法第一五号)及び排他的経済水域等における天然資源の探査及び海洋の科学的調査に関する主権的権利その他の権利の行使に関する法律案(細野豪志君外三名提出、第百六十三回国会衆法第一六号)の撤回許可に関する件

 産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案(内閣提出第一四号)

 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

上田委員長 これより会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 第百六十三回国会、細野豪志君外三名提出、海底資源開発推進法案及び第百六十三回国会、細野豪志君外三名提出、排他的経済水域等における天然資源の探査及び海洋の科学的調査に関する主権的権利その他の権利の行使に関する法律案について、それぞれ提出者全員より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

上田委員長 内閣提出、産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案及び企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房都市再生本部事務局次長松葉佳文君、公正取引委員会事務総局審査局長山田務君、金融庁総務企画局審議官河野正道君、文部科学省大臣官房審議官合田隆史君、文部科学省大臣官房審議官布村幸彦君、厚生労働省職業安定局次長鳥生隆君、経済産業省大臣官房長松永和夫君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官福水健文君、経済産業省大臣官房商務流通審議官松井英生君、経済産業省大臣官房審議官大辻義弘君、経済産業省大臣官房審議官立岡恒良君、経済産業省大臣官房審議官古谷毅君、経済産業省大臣官房審議官石黒憲彦君、経済産業省大臣官房審議官西川泰藏君、経済産業省経済産業政策局長鈴木隆史君、経済産業省経済産業政策局調査統計部長細川政弘君、経済産業省貿易経済協力局長石田徹君、経済産業省産業技術環境局長小島康壽君、経済産業省商務情報政策局長肥塚雅博君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長上田隆之君、資源エネルギー庁資源・燃料部長岩井良行君、中小企業庁長官石毛博行君、中小企業庁次長加藤文彦君、中小企業庁経営支援部長松井哲夫君及び国土交通省大臣官房技術審議官竹内直文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本岳君。

橋本委員 おはようございます。自由民主党の橋本岳でございます。

 さて、本題に入ります前に、まず一つ伺いたいことがあります。

 それは、去る三月二十五日に発生をいたしました能登半島地震についてであります。こちらの方、規模はマグニチュード六・九、震度六強を感じたところが石川県の能登町、七尾市、輪島市、穴水町、それで、お一人の方が亡くなられまして、重傷、軽傷合わせて三百人弱の方がそういうけがを負われた、住宅の被害も三百六十三棟全壊云々、そういった大きな被害が出た地震なわけであります。特に、そうした被害に遭われた方々には、一日も早い復旧を願う、一日も早く普通の生活へ戻っていただくように支援をするのが国の仕事だというふうに思っております。

 この経済産業省所管のことでも、いろいろな分野、多岐にわたると思うんですけれども、特に、今回大きな打撃を受けたであろうと思う部分が、やはり中小企業の方々ではないかというふうに思う次第であります。

 特に、石川県のこの地域の場合、特産の輪島塗の産地ということもありまして、そうしたところも大変大きな損害を受けた。例えば、これは毎日新聞の記事ですけれども、「市内に約六百三十ある輪島塗関連事業所の大半が何らかの被害を受け、六千万円の被害を受けた事業所もあるという。」ということであります。もともと、年間生産額が最盛期の四割まで落ち込んでいる、その中で被災をされたということで、大変大きな打撃となったであろうということは想像にかたくないわけであります。

 ぜひそうした方々にも元気を取り戻して頑張っていただけるように、国としていろいろな御支援をしていただいていると思いますけれども、そうした中小企業、あるいは輪島塗のような伝統工芸品を含めて、どのような御支援を考えておられるのか、されておられるのか、教えていただければ幸いです。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 能登半島地震では、伝統的工芸品産業やホテル、旅館等も多くの被害を受けております。経済産業省におきましては、石川県に災害救助法が適用されたことを踏まえまして、地震の翌日、三月二十六日月曜から、被災した中小企業者対策として、次のような措置を講じております。

 第一は、政府系の中小企業金融三機関、商工会連合会、それから主要な商工会議所に特別相談窓口を設置いたしました。窓口は合計で十五カ所でございます。

 第二は、政府系中小企業金融三機関において、災害復旧貸し付けの適用、既往債務の返済条件の緩和を行っているところでございます。

 そして第三は、小規模企業共済の災害時即日貸し付けの適用でございます。

 第一に申し上げました特別相談窓口には、四月二日までに九十一件の相談が寄せられております。主に、先生御指摘のような関係の運転資金の融資の相談等でございます。言うまでもありませんが、伝統産業に従事する個人事業者、あるいはホテル、旅館などの中小企業の方々にもこれらの措置が適用になります。

 経済産業省といたしましては、関係機関との連携を密にしつつ、被災した中小企業の支援等に万全を期してまいる所存でございます。

橋本委員 ぜひこの点は、災害に遭われた方々に対して私たちとしても一刻も早い復旧を願うばかりでもありますし、引き続きしっかりと取り組んでいただきたい。今後、激甚災害指定ということになるかどうかは今調査中というふうに伺っておりますけれども、それが要件が満たされるようであれば、また素早くしっかりと対応をしていただきますように要望を申し上げます。

 それでは本題の方に入りまして、今回、経済活性化三法ということで、三つの法律がきょうはその案件として取り上げられているわけですけれども、私は、その中の一つ、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案というものについて、特に注目をして御質問をしたいと思っております。

 この法律については、これまでのそうした地域の企業立地に関する法律と異なりまして、産業の業種を指定することなく、地域の方でこんな産業を集積したいのだという計画を立て、国の方で同意をし、それに支援策を講じるということで、地域の特性、強みを生かした企業立地促進を通じ地域産業活性化の実現を目指す、そうしたことで今回新たな法案としてあるというわけであります。

 それで、この法律の話をするときによく出てくる例として挙げられるのが、例えば三重県のシャープの工場の話でありますとか、あるいは、そうした製造業だけじゃなくてという話のときに出てくるのは、沖縄県がコールセンターを誘致しているというような話でありまして、どうしても、新たな企業を立地させる、新規の企業立地を引っ張ってくるときに役に立つのだというようなイメージがあるわけですけれども、法律のタイトルをよく見てみると、地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案というふうになっていて、実は、既存のそうした産業集積や活性化をするときにも、この法律は、あるいはこの法律によるスキームというのはぜひ役立てていただきたいというお心が入っているというふうに承っております。

 それで、実際のところ、私の地元、岡山県倉敷市には水島というコンビナートがございまして、この法律の制定というのは大変喜ばしいものである、その立地の企業の方々からも言われている。

 それはなぜかと申しますと、水島のコンビナートは、既に立地をしてから三十年以上が経過をしている。したがって、施設が大分古くなってきているので、それを建てかえをしたいという気持ちがあるわけですけれども、工場立地法の緑地の規制がかかっていて、その規制がかかる前にコンビナートができているので、要するに、緑地の規制が今はかかっていないわけですけれども、これから建てかえをすると、それを守らなければいけない。

 そうすると、原則的には二割緑地をつくって工場をつくらないといけないということで、実際に今建てかえをするということが、その規制がかかっていることによって現実的には困難になっているということがあり、それは経産省の方にもそうした要望というのはお伝えをしていたようでありますけれども、今回、そうしたものを取り入れていただいてこの法律の中で採用していただいたということでありますので、この点につきましては、私の地元の企業の方々からも、ぜひしっかりやっていただきたい、今回取り入れていただいてありがたいというような言葉もいただいております。そうした意味で、大変にありがたいことであると私も思っております。

 それで、それに関しまして、今回、都道府県及び市町村が基本計画をつくり、国がそれに同意をして、今申し上げたような、そのほかにたくさんありますけれども、支援策が受けられる。緑地規制について言いますと、その緑地規制を緩和する権限を市町村に与えるということであります。ですから、あとは、水島の場合であれば、倉敷市がそうした条例を設けることによって規制が緩和をされる。

 ところが、何でそもそもそういう設計になったかというと、要は、これまでの工場立地法でも、都道府県は、及び政令市というのもありますけれども、条例によって地域準則を設けて既に緩和することができたんですね。ところが、これは一都六県四政令都市のみの策定にとどまっていて、なかなか活用されていないというのが現状としてあるわけであります。

 何でこの地域準則の決まりがなかなか使われていないかというと、政令市は別ですけれども、都道府県の場合は、要は、何でその地域だけこの規制を緩めるのかということが県内全般での調整というのがなかなか難しくて、ある地域の規制緩和をするということが県では難しかったというところもあるのだというふうに承っております。したがって、今回、市町村にその権限をおろすのだということは、その現場、その地域の実情を反映させるために適切な対応だったんだと思うんです。

 ただ、その前提として、今回は都道府県と市町村が共同で基本計画をつくるということになっております。あるいは、そのほか関係者の方も入れて地域産業活性化協議会というのをつくる、そこでの協議をするのだということでありますが、逆に、そういうふうになっていることによって、市町村は例えば緑地規制を緩和したいと思っている、けれども、県としては合意ができない、同意できないといったことになって、円滑なこのスキームの適用みたいなものが阻害されることがあり得るのではないかということを危惧するわけであります。

 そうした意味で、例えば今のような話で申しますと、できるだけその権限、地方分権という言い方をしますけれども、現場に近い、地域に近い市町村が例えば基本計画をつくるときについても、より主体的な役割を持つべきではないか、このように考えておりますけれども、この基本計画づくりにおいて都道府県と市町村の役割についてどのように考えておられるか、教えていただきたいと思います。

福水政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、あの水島コンビナート、日本有数のコンビナートの一つで、そういう集積があるところも今回は活性化していこうというのが法案の一つの大きな目的になっているのも事実でございます。

 企業にとりまして、魅力的な立地環境でありますとか事業環境を整備するというのは非常に大事なことでありまして、その際に、許認可、手続というのは非常にたくさんございます。一説では五十ぐらいあるんじゃないかというようなことも言われておりますが、そうしますと、市町村の担当のものと県の担当のもの、いろいろな種類があるわけでございます。

 そういう意味で、企業立地を円滑にやっていくというふうなことを考えますと、県と市が一丸となってやっていくというのが不可欠じゃないかというふうに思っていまして、先ほどの立地法の関係でいいますと、今度は市町村の方にも提案権があるというようなことになってくると思っていますので、ぜひその辺は、共同して基本計画をおつくりいただいて、立地法の適用等も大いに議論していただければありがたいというふうに思っております。

橋本委員 そうですね、しっかりした連携ができれば、もちろんそれにこしたことはないと思います。ただ、もしかすると、場合によっては市町村と県とで見解が食い違ってうまくいかないといったことも考えられるわけでありまして、もしかしたら、そういった場合には国が少し助言をしてあげる、アドバイスをするといったことも機能としては必要になってくるのかもしれないと思いますので、ぜひそういった点、御留意をいただければと考えております。

 それから、ちょっとこれはこの法律本体とは離れる議論になるわけですけれども、今回の法律を通じまして、例えば海外に進出しようとしていた工場が日本国内のどこかの地域に入ってきた、あるいは、今までの企業集積みたいなものも活性化して、よりたくさん生産をするようになったというふうなことを期待するわけでありますけれども、そうなったときに一つネックになってくるかもしれないと思うのが、地域における雇用の確保の問題だと思っております。

 これは、もう既に実は現実でも、景気がよくなったとか、あるいは二〇〇七年問題の対応とかいろいろ要因はありますけれども、水島などのいろいろな企業の方の声を聞くと、現時点で既に雇用の確保はとても難しくなっている。特に、ことし、コンビナートの大企業がたくさん採用を採ったものですから、中小の企業の方々までなかなか人手が来ないということで、そうした声をよく聞くわけであります。

 実は、工場を誘致しても、それを支える、働いてくださる方々がいらっしゃらなければ機能しないわけでありまして、さらに長期的なことも言えば、少子化ということもあって、だんだんそうした労働人口というのも減ってくるであろう。まあそれは大分長期の話ですけれども、そうしたことも予想されるわけでありまして、いかにして工場を誘致してきても、そこを担っていただく方がいなければ話が始まらないと思うわけであります。

 そうした地域の労働者の方々が不足をしている、あるいはするのではないかということについて今どのように経産省さんとしてお考えか、教えていただけますでしょうか。

渡辺(博)副大臣 お答えをいたします。

 現在の景気回復の状況の中で、完全失業率というのも四・一%に低下しております。また、失業者数も二百七十五万人ということで、前年に対して十九万人減っている。こういう実態でございます。

 一方において、多くの中小企業において、今委員御指摘のとおり、人材不足であるという調査結果がございます。ちなみに、中小企業庁が行いました中小企業人材確保に関するアンケート調査の結果でありますけれども、不足しているというふうに答えた企業が八・五%、やや不足しているということで三二%、両方合わせて四〇・五%の中小企業が不足ぎみであるという回答をいただいておりまして、そういったことを考えますと、中小企業の人手不足感は否めない、そのように思っております。

 それでは、中小企業にどのような形で人を確保していくか、これは大変重要な問題でございます。

 まず、中小企業がなぜ人材確保が難しいかという要因の一つとして、自社の魅力を求職者にしっかりと伝えることができなかった、できない、こういう現状があるというふうに思います。大企業であれば、知名度によって、または広告によって、この会社があるということを多くの方に知られていますけれども、中小企業はなかなかそういった実態がございません。

 こういった観点から、若者の地元中小企業への就職を促進するため、地域の中小企業の魅力とそれから仕事のやりがいを若者に体験してもらうなど、若者と中小企業の橋渡しを進める取り組み、いわゆる若者と中小企業とのネットワーク構築事業というものを、平成十八年度から全国三十八カ所のモデル地域で始めているところでございます。

 さらに、中小企業の製造現場で働く若者の人材育成にも取り組みを始めておるわけであります。地域の産業界と工業高等専門学校とが連携いたしまして、若手技術者の育成のためのプログラムを開発、実践する事業、いわゆる中小企業ものづくり人材育成事業ということで、全国三十のモデル地域で始めているところでございます。

 ちなみに岡山の例でございますが、岡山においては、つやま新産業開発推進機構というものがございますが、この機構が中心となりまして、津山地域のステンレス加工に携わる中小企業の若手技術者の育成を実施しているところでございます。

 このように、平成十八年から実施している事業については、ことし十九年度においても、引き続き、これらの施策を通じて中小企業に優秀な人材が確保できるように取り組みを支援してまいりたいと思っております。

橋本委員 そうした若者に対するいろいろな体験などを促進するということは大変重要なことだと思っております。ぜひしっかりと取り組んでいただきたい。

 さらに関連をいたしまして、例えば私などで申しますと、小学校のときに遠足で例えばコンビナートの製鉄所だとかそういうところに見学に行って、なるほど、こういうところで皆さん働いているんだというのを感心して帰ってくる、そうした原体験みたいなものがあるわけでありまして、実は、そうしたことに小さいころからなじんでいるというのは大事なことなんだろうというふうに思います。

 そうした意味で、小学校、中学校、高校など段階はありますけれども、教育の中において、そうした職業、産業に関する体験、あるいはカリキュラムの中に取り上げること、今、そうしたことについて実はさらに充実をしていかないといけないのではないか。もちろん、学力不足だの何だので勉強も大事なんですけれども、そうした社会科見学というか、体験みたいなものも大変重要だと思っております。

 そうしたことにつきまして、ぜひ、きょう文部科学省さんにもお越しをいただいておりますので、文部科学省さん、経済産業省さんそれぞれ、教育の中での職業教育と申しますか、そうしたものについての取り組み、お考えを教えてください。

布村政府参考人 お答えいたします。

 職業教育についてのお尋ねでございますけれども、学校教育においては、先生の御指摘のとおり、早い段階から児童生徒に、職業観、勤労観、そして職業に関する知識、技能を身につけさせることが重要でありまして、その際にも、体験的な活動が極めて有効であると認識してございます。

 具体的には、小学校三、四年生ですと、既に教科書の方でも、近所のスーパーマーケットの見学や職場インタビューという記述を載せ、あるいは五年生の段階では、町工場や自動車工場の見学や職場インタビューという形で教科書にも記述されております。それを参考に、全国の学校で具体的な工場見学などを展開いただいているところでございます。

 また、特に平成十七年度からは、公立中学校において、五日間以上の職場体験をキャリア・スタート・ウイークという言い方をして、全国の中学校でできるだけ五日間以上の職場体験をしていただこうということを推進しているところでございます。

 今後とも、多様な形で、小学校の段階であれば職場の知識を得る、中学校で職場体験、そして高校でインターンシップという形で、体系的な形で、学ぶこと、働くこと、そして生きることのとうとさを実感させるという教育の充実に努めてまいりたいと思っております。

 そういった際には、経済産業省との連携、また経済団体との連携協力を図りながら、充実に努めてまいりたいと考えてございます。

渡辺(博)副大臣 早期における職業教育というのは大変重要であるということは私も同感でございます。

 したがいまして、経済産業省といたしましては、小中高を対象にいたしまして、働くことのおもしろさを体系的に体験、理解できるようにするための、地域の産業界の協力のもと、民間主体の経験やアイデアを生かした地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクトというものを推進しております。

 具体的に申し上げます。全国二十九のプロジェクトが立ち上がっておりまして、約三百校、約三万五千人の生徒を対象に、産学連携によるキャリア教育が展開されるよう支援しております。子供の多様な職業観の醸成につながったというふうに思っております。

 具体的に申し上げます。特徴的なところでございますが、佐賀県のNPO法人であります。この佐賀県のNPO法人は、事前学習で十五時間、地元の商店街の買い物客や商店主にインタビュー、売れ筋のニーズ、こういったものを調査しております。

 そして、体験学習で約三十三時間、空き店舗を利用して、販売体験、陳列、値づけ、売り方等を事前学習をもとに工夫して実際に体験をする。その際特徴的なのは、銀行が融資をしているということでございます。

 そして、事後学習で三時間でございます。収支決算を行います。会社設立時に融資を受けた金額を返済するということでございまして、利益を寄附や学校の植林に還元しているというような実態事例がございます。

 このように、さまざまな取り組みに経済産業省としても取り組んでいく、推進していく所存でございます。

橋本委員 ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 それではもう一点、最後になりますけれども、今回のこの法律のさまざまな支援措置の中で、いろいろ国として補助したり、あるいは税の減免をしたりとかそういうことがあるわけですけれども、これはやらなきゃいけないだろうというのが、実は、手続のワンストップ化の話だと思います。

 先ほど、答弁の中でも五十程度の手続がというのがありまして、また資料をちょっと配っておりますけれども、もう詳細は読みませんけれども、これだけたくさんの規制がかかっていて、企業の方にとってみると、これだけ全部クリアしないと企業立地できないということになっているわけであります。

 そうした現状を踏まえて、今回の中で、例えば第二十七条の中で、関係の省庁、関係される団体は連携をするのだということで、また、関係省庁連絡会議というのも設置をされているというふうに伺っていますし、ブロックごとにそうしたワンストップサービスをする窓口をつくるのだということも伺っております。また、県、市町村についても、今回の基本計画の中でそうしたことをつくるということに、つくるというか、そうした方針を基本計画に書いてねということになっているわけでありますけれども、そうしたことをどのように進めていかれようと思っているのかということで、その取り組み。

 あともう一つ、そうした企業と実際に接する窓口というのができるわけでありまして、そうした方々は、逆に、今の規制あるいは実態に合わない点などが一番よくわかるわけですよ。センサーになるわけです。そうした意味で、新たな政策をつくるためにその窓口からフィードバックをしていくような機能というのが、ただ窓口をやるだけじゃなくて、大事なのではないか、そうした現場の知恵をくみ上げる場所としても機能するのではないかと思っておりますが、そうした機能を持たせてはいかがかということで、御見解を伺えれば幸いです。

甘利国務大臣 外国に出ている企業が撤退をするとか、あるいは再投資をためらう理由の中に、行政に対する不満というのがあります。それは、行政が不透明であるということと、結論がちっとも出ない、見通しが立たない。ですから、それを逆手にとって、今回の企業立地産業集積法では、できるだけワンストップサービスを進めていく、それから透明な手続にする、結論を早く出す。それを中央省庁でもやるし、中央の出先機関でもやるし、地方でもやってくださいということになっているんですね。

 これによって行政に対する不満が相当解消されると思いますし、その窓口では、現場のニーズがどこにあるかということをしっかり把握できると思います。その情報をしっかりフィードバックして、より企業立地促進に資するような、問題点解決に資するような体制をとっていきたいというふうに考えておりまして、おっしゃるように、現場の情報をそのワンストップ窓口でしっかり把握するということは極めて大事だと思っております。

橋本委員 それでは、もう残り時間一分ほどですけれども、最後に一点だけ。

 ワンストップ窓口をつくるということは大変いいことだと思うし、今大臣がおっしゃっていたように、機能されることを私も望みますが、その前提として、要はこれだけさまざまな規制がかかっているのだということが、実は、簡素化をすることも長期的には考えていかないといけない問題なのかなというふうにも思うわけであります。

 そうした点につきまして、現時点でのお考えを最後に一言聞かせていただければ幸いです。

甘利国務大臣 いろいろな許認可手続があります。そういう中、もちろん、整合性をとって迅速に進めていくために連携体制というのはとっておりますし、それは中央でも現場でもとっているわけであります。

 そうした中から、現場の知恵として出てくるものについては、行政の側で、組み入れることのできるものについては適宜組み入れていくという姿勢はとっていきたいというふうに思っております。

橋本委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

上田委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 きょうは、この経済産業委員会におきまして質疑の機会をいただきました。本日は、経済成長戦略大綱関連三法案、法案審議ということでございます。ぜひ甘利大臣に、この経済成長関連三法案、これにもお尋ねをさせていただき、また、経済産業省としてさまざまな中小企業向けの施策あるいは経済施策をされてこられておりますが、これら大枠についてもお尋ねをさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、この三法案ございます中で、本日、私、甘利大臣にお尋ねをさせていただきたいなと思っておりましたのが、中小企業地域資源活用促進法案、この法案の中にその他関連施策として組み込まれました地域中小企業応援ファンド、これについてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 いわゆる甘利ファンドと称されているとお聞きをしておりますが、地域中小企業応援ファンド、これは、甘利大臣が就任後、昨年の十二月二十二日、記者会見におきまして、伸びゆく中小企業あるいは地域で自生的に活動する中小企業、こうした企業に対する応援のファンドというものを考えたい、このように表明されて、地域中小企業応援ファンドとして新たな活用の方法ということを模索されたというふうに理解しております。

 五年間で二千億円程度の投資あるいは無利子の融資枠をつくっていく、そしてこれは、新たに組成するのではなく、現行独立行政法人中小企業基盤整備機構、以下、中小機構と呼ばせていただきますが、この機構の中にあります高度化事業に対する融資の枠を使ってこのファンドの中で中小企業の応援をしていこう、このように考えられたというふうに理解をしております。

 さて、今回、このような形で中小企業の自生的な活動をさらに高める、あるいは地域における資源の活用をしていただくために、何といっても中小企業というのは財政的基盤が弱いものです、そこに対して金融措置を図る、それを現行の独法中小機構の資金を使ってより機動的に資金が流れる仕組みをつくる、私は、これ自体は大変すばらしい発想であると思っております。甘利大臣がまさに力を入れて甘利ファンドと呼ばれる形で進めようというこうした思いというのは、私もよく理解できるわけであります。

 ところが、こうした資金を、新たに事業として造成する、別途予算措置を図るというのではなく、現行の独法の中小機構で行われている高度化事業、ここで用意されている資金枠を使うんだということでございます。

 では、なぜ、ある意味、余剰の資金、こうしたものが生まれているのかということに目を向けますと、昨年の九月二十一日に会計検査院がこの独立行政法人の中小機構の事業に対して会計検査を行っております。そして、その中では、会計検査院から、高度化事業、これは中小企業の支援を行うということで貸付事業を行うわけでありますが、この高度化事業において、十分な貸付残高がない、逆に言えば、余り借りられていない、あるいは繰り上げ償還が行われている、それがゆえに資金的な余裕ができているということが指摘されております。

 この中小機構の高度化事業、まずこの事業の中でのお金の使われ方ということをしっかり見直さなければ、当然ながら、同じようにファンドを組成しようとしても、結果としては何ら中小企業の資金の流動化に寄与するものではないということになってしまいます。

 そこで、お尋ねをさせていただきますが、この中小機構の高度化事業のしっかりとした結果の見直し、評価というものがなければ、この甘利ファンドというのは絵にかいたもちになってしまう。大臣は、この中小機構の高度化事業に関してどのような御評価をなされているか、そして、今回、この甘利ファンドと呼ばれる資金枠の中で、その問題点をどう解決していこうとされているのかということについて、まず御所見を伺いたいと思います。

甘利国務大臣 中小機構の高度化資金、具体的には、商店街の高度化であるとか工場団地の整備に使われているわけであります。

 まず、全体の規模と中身がどうなって、例えば不良債権比率はどうだとかいうことに関してですが、十七年度末で六千百億が融資残高であります。このうちの不良債権と言われる分類に入るものが一千九百億円、三割強であります。

 会計検査院の報告においては、利用者の立場に立って制度の利用を促進すべきという考え方のもとに、一つ、不良債権処理がおくれているではないかということ、それから、高度化事業に対する新規の貸し付けが減少しているというのは、現行のスキームでは資金ニーズがそんなにないのではないか、だから余裕金が増加していると。つまり、返ってくるお金で新たに出ているお金、その間が今三千八百億ぐらいあるわけであります。それでこの高度化事業に資する金融というものが経営環境に十分に対応できていない、そういう旨の指摘をいただいているわけであります。

 この指摘を受けまして、目標としては、五年間で不良債権額をおおむね半減させることといたしております。これは、債権回収会社を登録するとかいろいろなことをやるわけでありますけれども、目標として、五年間で半減をさせていく。

 それから、時代のニーズに合った高度化に資する金融というためにどうあるかということで、これまでも、いわゆる商店街高度化、いろいろな高度化と工場団地整備とあわせてベンチャーファンドというものを組成してきたわけでありまして、これまでの実績でいいますと、百十のファンドに対して八百九十億を出資している。具体的には、百十ファンドは千七百社に出資をしている、千七百社のうち七十六社がマザーズ等上場を果たしているということであります。

 従来の資金ニーズが落ちてきている原因は、低金利の時代に現行の枠組みでは余り魅力がないのではないか、今後ニーズが上がっていくのは、むしろ、ベンチャーを育てる、あるいはある程度までシーズが少し実ってきた中からもう一押ししてあげる、そういう資金ニーズの方が高いのではないかということで、いわゆる甘利ファンドと呼ばれていますけれども、二つのファンドを組成して活用していこうということに至ったわけであります。

馬淵委員 事業の高度化よりも、むしろ、事業の立ち上げ、事業がちょうど成長期のときに資金の供給を円滑にしていこうという、繰り返し申し上げますが、私はその発想自体は大変すばらしいと思います。

 しかし、私が申し上げているのは、この会計検査院の指摘というものをもう少し大臣にはしっかりとごらんいただきたいなと思うんですね。確かに資金ニーズが十分マッチしていないんだということもありますが、会計検査院は、この九月二十一日の会計検査院法三十条三の規定に基づく報告書では、中小企業側の要因として、このように指摘をされています。

 まず、なぜ貸付実績が減少しているのかという要因につきましては、中小企業側の要因として指摘しているもの第一位は、貸し金交付まで長期間を要するということなんです。

 中小企業というのは、それこそ運転資金を豊富に持っているわけではありません。本当に、回転をしながら、今必要なお金を今貸してもらわなければ困る。十分な資産担保があるわけではありません。その意味で、この貸し金交付までの時間がかかり過ぎるというのは大きな問題なんですね。だから、仮に大臣が組成期、企業の成長期のときにファンドをつくるとおっしゃっても、この会計検査院の指摘の部分、交付までの期間がかかるようでは、これは何にもならないわけです。

 私は、この甘利ファンドの中では、これに対するこのような貸し金を交付するまでの期間の短縮化ということが重要なポイントだと思うわけでありますが、事務方で結構です、現行の中小機構の高度化事業の平均の貸し付けまでの期間は、事業認定までにどれぐらい要していますか。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 高度化事業、ファンドで出資をしていく場合と旧来の高度化事業、先ほど大臣が申し上げました商店街の共同化とか、そういうようなケースと二つあるわけですが、会計検査院の指摘で言っているのは、商店街を共同化する共同化事業、割合規模の大きい事業、そういうことについて時間がかかっているんじゃないか、そういう指摘だと思っております。

 そういう大きな規模でございますから、そのプロジェクトを形成するのにそれなりの時間が必要でございまして、それで、そのプロジェクトフォーメーションに時間がかかっているということであります。大体、半年から一年ぐらいの期間がかかるというのが多いというふうに承知をしております。

馬淵委員 質問にだけお答えいただけますでしょうか。

 私が指摘をさせていただいているこの会計検査院の報告書では、もちろん、今、プロジェクト等大規模の事業というのもお話にございました、半年から一年ぐらいということもございましたが、例えば、事業計画書の修正を経て貸付決定の前提となる事業認定までに要した平均期間、これは検査院は五・〇カ月と指摘しています。このような長期間にわたりますと、中小企業としてはこれは非常に使い勝手が悪い。

 そして、単に規模が大きいということだけでございません。

 もう一点、第二位は、低金利のメリットが受けにくい。これは先ほど大臣のお話にもございましたが、市場の金利が低下されている中、いわゆる金融機関の貸し金というのは低金利で供されるわけですから、この高度化の事業が十分メリットがないとお感じなのもわかります。

 もう一つございますが、この三番目に入っているのが、連帯保証人の負担が重いということでございます。

 結局は、中小企業がお金を必要とするときに、素早く、かつ連帯保証等も含めた負担等、こうしたハードルを下げることが実は重要であるということがこの会計検査院の中小機構の高度化事業に対する指摘なわけであります。

 この中身の問題、私も違うということは十分理解をしておりますが、大臣、この甘利ファンドなる中小企業の支援ファンド、地域中小企業応援ファンド、これを組成するということの大方針、今回の法案の中でのその他の実施措置の中に組み込まれているとするならば、今申し上げたように、早急な、貸し金交付の期間短縮ということがまず第一義、そして、連帯保証人等、これは中小企業にとってはハードルが高いわけですから、この部分に対する緩和措置も含めて、この二点について大臣はどのようなお考えを今回の法案に付する政策としてお持ちか、端的にお答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 私みずから、今回提出をしている法案の中で、ワンストップサービスが大事だ、行政の透明性とスピード感が大事だと言っている当事者のスピード感がないのではかなえの軽重が問われる、おっしゃるとおりであります。企業にとって、投資判断をするのは、結論を早く出してもらわないと、事業資金を寝かせるわけでありますから、このスピードアップは極めて大事だと受けとめたいと思っております。

 それから、従来の高度化資金で、この職になる前のときに全国から陳情をいただいているのは、人の借金まで背負うわけでして、この負担がたまらぬということで、そうでなくても返すのが大変なのに、撤退した人の借金まで背負ってどうやっていくんだという話がいっぱい来ました。これは私も何とかならぬのかと。

 現状では、つまり、自分の分ともう一人分までということになっているんです。正直な話が、これがどれくらいの軽減になるのかというのは、画期的とはなかなか言えないという思いがします。では、自分の分だけできるかというと、なかなかそれは連帯保証の世界ですから難しい。できるだけ私は何か知恵を出していきたいなというふうに現状では思っております。

馬淵委員 私も中小企業の経営者でございました。この中小企業の支援というのは、手続の部分あるいはハードルの部分というところで大きな阻害要因となってしまいますので、今大臣の方からも、どのような形でやれば一番具体的に早急な措置となるのかというのは難しいというお答えもございましたが、ぜひこの二点につきましてお取り組みをいただきたいというふうに思います。

 さて、経済産業省、こうした形で、中小企業支援という形での支援を行われているわけでありますが、私自身は、もちろん予算措置をしてさまざまな支援という方法があると思うんですが、中小企業側でいえば、もちろん補助金をいただけるというのはありがたいんですが、ただ、補助金をいただこうとする意思を持って事業を立ち上げるというのは全く逆だと思っております。事業を立ち上げる意思があって、マーケティングをみずから行い、そしてお客様のニーズに合った商品やサービスを提供する、その中で補助金に目を向けるというのは、経営者としてはやはりその次の段階、あるいはよっぽどの状況のときということではないかというふうに思います。

 その意味では、経済産業省の支援の仕方としては補助金というのは一つの取り組みの方法なのかもしれませんが、所管ではないかもしれませんが、経営者側からすれば、人件費等の負担やあるいはコスト減ということを考えたときに、例えば社会保障費の事業主負担側を減ずるとか、そういった方策の方が現実的な中小企業の支援策になるのではないかと私自身は思っております。これは当委員会の議論ではないかもしれませんが、中小企業支援策というのを今申し上げたような全体の大きなスキームの中で考えていく必要があるということを申し上げたいというふうに思います。

 さて、この中小企業支援策、補助金という形でさまざまな施策が行われるわけでありますが、この補助金の使われ方ということについて一歩踏み出して議論をさせていただきたいと思うわけでございます。きょうは、この三法案の審議ではございますが、補助金の使われ方という部分について、一つの例を取り上げてみたいと思います。

 エコ・ステーション事業というのがございます。「エコ・ステーション クリーンエネルギー自動車の普及をめざして」ということで、私の手元に今パンフレットがございますが、これは、ガソリンで走る、あるいはディーゼルで走るといった車とは違って、石油に頼らない低公害なクリーンエネルギー自動車、今ハイブリッド車等々普及が進められておりますが、まさに、電気あるいは天然ガス、メタノール、LPガス、こうしたクリーンエネルギーで走る車を普及させていこう。

 車をつくるのは当然自動車会社なわけですから、車をつくる側への支援、あるいはそれを購入する側への支援もさることながら、燃料の補給というインフラ整備も重要なポイントとなります。この燃料の補給のステーション、いわゆるガソリンスタンドのかわりになるもの、これも経済産業省としては支援していこうということで、これについては補助金を出してさまざまな事業を進めてこられました。

 このエコ・ステーション補助事業というものでございますが、これは、エコ・ステーションと呼ばれるガソリンスタンドにかわる電気やあるいは天然ガス等のエネルギー供給スタンド、基地ですね、それをつくっていく上にさまざまな補助金が交付されます。

 このエコ・ステーションのパンフレットを見ますと、三つの補助金が準備されております。一つは、設置費補助金ということで、電気自動車用であれば一基当たり三百万円、天然ガス自動車用であれば一件当たり八千万円の補助金が交付されるということでございます。それ以外にも、運営費補助金というのがございまして、天然ガス自動車向けに関しまして年間一件当たり百九十八万六百円、これも補助金が交付されます。また、改造費補助金というのがございまして、これは、天然ガスの自動車向けに一件当たり一千七百万。三つの補助金が経済産業省・資源エネルギー庁から交付されるわけでございます。

 そして、この交付の仕組みとしては、公益法人でございますが、財団法人エコ・ステーション推進協会というのを設置され、そこから補助金が申請事業者に渡されるという仕組みになっていると私は理解をしております。

 さて、こうした補助金の制度でございますが、今申し上げたような制度、この目的と、そして、今三つの補助事業ということで私このパンフレットから読み取らせていただいているわけでありますが、概要ということで補足する部分がございましたら、事務方の方から御答弁いただけますでしょうか。

上田政府参考人 ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、平成五年から平成十八年度までそういった事業、設置費補助金、運営費補助金、それから改造費に関する補助金、この三つの事業を行っておりました。

馬淵委員 平成五年からということでございました。

 さて、この天然ガス自動車向けのエコ・ステーション、天然ガスを車に注入するんでしょうか、ガソリンスタンドのようなもの、これを設置するのに一件当たり八千万円の補助金が出るということでございました。これが金額が変わっておりますね。何年にどのように変わりましたか。これは事務方で結構です。お答えください。

上田政府参考人 ただいま一件当たり八千万円の補助を行っておりますが、平成十七年度にこれを見直しまして、それ以前は九千万円だったものを八千万円に引き下げました。そう減額いたしました。そういう経緯がございます。

馬淵委員 平成十七年度までは九千万円出ていたわけですね。そして、平成十八年度から一件当たり八千万円に減額されました。

 さて、この天然ガスのエコ・ステーション、現在、平成十九年の三月末、これは何基ございますでしょうか。今私の手元にあるのが平成十八年三月末現在なんですが、全国で二百六十五カ所の天然ガスのステーションがあるわけですが、現時点、三月末で何カ所ございますでしょうか。そして、昨年末は何カ所でございましたでしょうか。二点、お願いします。

上田政府参考人 現時点、平成十九年の三月末でございますが、天然ガスステーションにつきましては、現在、累積で二百八十の補助事業がございます。その他、電気、LPガス等々まぜますと……(馬淵委員「天然ガスだけ」と呼ぶ)天然ガスだけですと二百八十でございます。

 それから、平成十七年度末の数字でございますが、手元の資料によりますと、天然ガスのスタンドだけの累積の補助件数で二百六十七であったと承知しております。

馬淵委員 十七年の三月末が二百六十七、十八年の三月末が二百六十五、そして、ことしの三月末が二百八十。ちょっと減って、またふえたんでしょうか。こうした形でエコ・ステーションの設置状況がある。天然ガスですね。

 さて、この天然ガスのエコ・ステーションの建設費用というのは大体どれぐらいなんでしょうか。これも事務方で結構です。端的に数値だけお答えください。

上田政府参考人 低公害車ガイドブックというのを二〇〇四年に環境省、経産省、国交省で作成しております。それの設置に要する費用は、概算、今のさまざまな費用、圧縮機のユニット、それからガスを蓄積するユニット、ディスペンサー等々を含めまして、費用といたしまして大体九千万円から一億二千万円ぐらいと試算されているところでございます。

馬淵委員 九千万円から一億二千万ということでございますが、ほぼ九千万円が補助金の上限額として準備されていたわけですから、設置のお金の九割方あるいは全額に近い形でこの補助金が出るという事業として経産省・資源エネ庁はこれをつくってこられたわけであります。

 さて、昨年の六月でございました。六月二十七日に、全国で一斉に各紙が報道いたしました。

 私の手元の記事にございますのは、これは東京ガスさんでありますが、昨年の六月の二十六日、これは東京ガスさんが外に発表されたわけでありますが、国が補助金を拠出する天然ガス自動車向けの燃料スタンド、エコ・ステーションの建設工事の入札をめぐりグループ会社四社が談合と疑われる行為を行っていたと発表した、このように新聞でも全国に報道されました。

 これは東京ガスさんだけでなく、全国同じような形で、各地域地域のガス会社さんが、グループ会社の中で談合と疑われる行為を行っていたと発表されているわけであります。これはみずからが発表されました。

 さて、これを受けまして、昨年の七月二十五日、公正取引委員会は、この問題に対しまして、独占禁止法違反の疑いで立入検査を始められたわけであります。

 つまり、この一億円、九千万から一億二千万とおっしゃっていますが、その大半が公費で賄われるこうしたエコ・ステーションの建設工事が、談合が行われている。これは公正取引委員会が指摘したのではなく、まず、みずからが公表されたわけであります。みずからが公表されて、そして、それを受けて公取は独禁法違反の疑いでの立入検査を始められたわけであります。

 公取の独禁法違反行為への対処は、これは、一般からの報告、申告という形で、いわゆるその事件の端緒となる部分として情報を入手する。これは、一般からの報告、自身が言われているわけですから申告でございます。そこで、次に行政調査に入られた。これが立入検査でございます。

 個別のことをお聞きしているわけではありません。今、現状の中で、行政調査が終わってどういう状況であるのかということを、その手続として、公取の方から端的にお答えいただけますでしょうか。

山田政府参考人 御指摘ありましたように、エコ・ステーションの事件につきましては、現在、鋭意審査をしているところでございます。

 現状を申しますと、現在、最終的な措置をとるための事前手続の段階にございまして、関係人に対しまして、今後予定される排除措置命令及び課徴金納付命令の内容を通知したところでございます。

 今後、関係人からの意見の提出を受けまして、公取としての最終的な決定をしたいと思っております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 いわゆる排除措置命令あるいは課徴金納付命令の前の段階で、事前通知、これは排除措置と呼ばれる行政手続に入られたわけですね。この次に、意見申し述べや証拠提出の機会等々を経て、そして命令が出される、そこに来ているということであります。

 民間のこうした取引の中で公正取引委員会が立入検査まで行う、これは極めてまれなことではないかと私は思うわけでありますが、これは、どうしてこのような形でこうした民間の取引というところに踏み込まれているんでしょうか。公取の方でお答えいただけますでしょうか。

山田政府参考人 このエコ・ステーションの建設工事につきましては、補助金が出ているということもありまして、工事を施行するに当たりましては競争入札を義務づけられている、そういう状況でございますので、入札の段階での競争が制限されている疑いがあるんじゃないかということで調査をしているものでございます。

馬淵委員 公取の御指摘のように、競争入札の中で談合の疑いがあるということでありますが、つまり、これは補助金が出ているというのが非常に重要なポイントなんですね。これは、民間が民で行っていることということではなくて、公費が、建設費の大半が国の補助金で賄われているという点をまさに重視したということのあらわれであると、今の公取のお答えの中に私は思いが込められていると思うわけであります。

 さて、経済産業省としては、当然ながらに、こうしたエコ・ステーション事業を推進する上で、この談合問題、これは、公取は、国のお金、公費が使われていることに対して十分な是正なり行政措置を行わねばならないとして行動を起こされているわけでありますが、所管する省庁として、このような事件あるいは疑いがあるという状況の企業に対して、あるいは関係者に対して、どのような対応をされてこられていましたでしょうか、お答えください。

甘利国務大臣 先生お話しのように、事業の大半が補助金で行われている、それから、発注は財団でありますけれども、財団に対して、そういうこともこれあり、競争入札で業者の選定を行うようにという指導がなされているわけであります。にもかかわらず、談合を疑われるような行為があったということで、これは当事者から申し出があったということであります。こういうルールに従ってちゃんとやってもらわなきゃならないのは、もう言われるまでもありません。

 今、公取からも答弁がありましたように、調査をしているさなかでありまして、当方としても、今結果を見守っているというところでありまして、今後、調査の結果、本事業に関する問題が明らかになったという場合には、法令に照らして厳正に対処をするということにいたしております。

馬淵委員 当然ながら、所管省庁として、この疑いがあるという行為について、結果が明らかになれば厳正な対処をすると今大臣から明確な御答弁をいただきましたが、さて、この補助金、九千万が八千万に減額をされ、今日どのような形になっておりますでしょうか。これは事務方で結構です。端的にお答えください。

上田政府参考人 エコ・ステーション補助事業でございますが、この事業については、平成十八年度で終了をすることにいたしました。したがって、平成十九年については予算の要求をしておりません。

馬淵委員 つまり、この設置補助金は廃止をされたわけであります。

 エコ・ステーションを推進するそのエコ・ステーション推進協会、私の手元には、先ほど申し上げたように、十八年三月末現在二百六十五カ所設置をされているということを状況報告されている、公益法人、財団法人のパンフレットがございます。

 ここには、少なくとも十八年三月末を過ぎた以降、「なぜ、エコ・ステーションが必要なのでしょうか」と、パンフレットにも明確に、その理由をみずから問い、みずから書かれています。「エコ・ステーションの整備の充実が望まれていて、車とインフラが相伴って普及してこそ大きな効果が生まれるのです。」そのとおりです。そしてさらに、ここには「今後もさらなるエコ・ステーションの整備が期待されています。」と書かれています。つまり、エコ・ステーションの事業については、少なくとも、推進をしていくという意思がこの協会のパンフレットの中にも盛り込まれていると思われます。

 しかし、この設置補助金に関しては廃止ということになりました。この廃止の経緯、これを端的にお答えいただけませんでしょうか。つまり、このような補助事業を行ったけれども、談合の疑いがあるような形になってしまっている、これによって廃止をされたのか。この廃止の経緯、これを端的にお答えいただけませんでしょうか。大臣、お願いします。

甘利国務大臣 結論から申し上げますと、目的が達成をされたと理解をしたわけでありまして、天然ガスも含めて、天然ガス以外にもあると申し上げましたが、電気とかエタノールとかありますが、全部含めて全国に三百七十カ所の整備が行われた。エコ・ステーション補助事業が所期の目的を達成したということで廃止をするということであります。

馬淵委員 当初の目的が達成されたと言われておりますが、当初の目的が達成する直前の段階でも、まだ推進するとこの公益法人は明確に明示されているわけです。そして、このエコ・ステーション談合問題が発生した段階で、この設置補助金の廃止を決定された。

 別の観点からお尋ねをします。

 さて、このエコ・ステーション推進協会、これは公益法人でございます。財団法人エコ・ステーション推進協会、これが設置をされたのが平成の五年でございます。エコ・ステーション推進協会設立許可申請書というのが当時の通産大臣森喜朗殿という形で、当時の所管省庁大臣に設置許可願が出されているわけであります。

 このエコ・ステーションの運営については、実はさまざまな指摘がございました。昨年の四月の十一日、行革特と呼ばれる行政改革特別委員会におきまして、我が民主党の同僚の小川議員がこのエコ・ステーション推進協会の運営について指摘をしています。

 先ほど申し上げたように、このエコ・ステーション推進協会の三つの事業、設置補助金は今廃止とおっしゃいましたが、もう一つございます。運営費補助金。これは、年間百九十八万六百円、エコ・ステーションを設置した事業者には一カ所当たり百九十八万六百円、二百万円弱のお金がおりるわけでありますが、このエコ・ステーションを設置した事業者にこの公益法人は賛助会費というものを徴求しております。

 この賛助会費、見ますと、これが一口当たり五万円、そしてエコ・ステーション会員と呼ばれる補助金の受給事業者に対しては五十万円以上、十口以上の賛助金の参画というのを要望されています。賛助会費は、これは「賛助会員となることができる。」という、できる規定になっているわけですね。なければならないではないんですが、これはできる規定ではありますが、少なくとも、補助金を出すのはエコ・ステーション、公益法人です。そして、このエコ・ステーションから九割方、ほとんどの建設資金を受けてつくった事業者に対して、当初三年間は十口以上の、五十万円以上の賛助金を賛助会員として払うことができるとなっているわけであります。

 これは、昨年の行革特で我が同僚議員がこれを指摘しました。そして、これは幾ら何でも、できる規定といっても実質はキックバックと同じじゃないか、このような指摘をしているわけであります。これについては、昨年のその行革特の委員会の中で、いや、これは四月一日から、昨年ですね、四月一日からこの規定は修正をしましたと答弁をされています。

 今回もその確認をさせていただいたわけでありますが、確かに、このできる規定というのはございますが、少なくとも区分、エコ・ステーション会員区分というのをなくしたということであります。当初三年間五十万円以上をその公益法人に支払うことができる、でも実質はこれは支払えと言っているのと同じだと思うわけでありますが、この規定を削除した。当初三年間というのは運営費補助金がいただける期間なんですね。運営費補助金が国から出る間はこの中間に立っている公益法人に渡しなさいと、まあ私から見れば、言っているに等しいですよ。こういう規定があった。これを、これはいかぬということで取りやめられたんだと思います。

 私には、資源エネ庁から、石油流通課の方から、「経済産業省としては、いやしくも不適正な補助金執行が行われているのではないかという誤解を招くようなことがあってはならないということから、平成十八年度からは、補助金受給者を他の事業者と区分している規定を廃止するよう協会を指導し、協会はこれを受け、平成十八年度から当該区分を廃止しています。」こういう御回答をいただきました。

 さて、昨年、行革特で我が同僚議員がお尋ねをしておりますが、改めてこの賛助金の廃止の経緯について、その理由と、今私には、「いやしくも不適正な補助金執行が行われているのではないかという誤解を招くような」と、こういうふうに示されているわけでありますが、経産省としてはどのようなお考えでこれを指導されたのか、明確な御答弁をいただきたいというふうに思います。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のエコ・ステーション推進協会は、今まさに御指摘がありましたように、平成十七年度までは、エコ・ステーション運営補助事業を受給している事業者とそれ以外の事業者を区別いたしまして賛助会費をいただいておりました。そのような規定を持ってございました。

 その根拠でございますけれども、まさに今御指摘がありましたように、賛助会員規則に規定されているとおり、あくまで協会の事業に賛同する方の自発的な協力をいただくという趣旨でございました。

 しかしながら、今まさに御指摘がございましたように、先生御質問いただいたことの繰り返しになりますけれども、私ども経済産業省といたしましては、いやしくも不適正な補助金執行が行われているのではないかという誤解を招くことがあってはならないという考えのもと、この区分を廃止するよう協会を指導いたしまして、協会は、昨年の三月十六日の理事会において、当該規定、区別を取りやめるということを決めまして、四月一日から実施をしておるということでございます。

馬淵委員 いやしくも不適正な補助金執行の誤解を招くというふうに言われるわけですが、経産省は所管の省庁なわけですから、これは不適切だった、このようにはっきりと断じるべきじゃないんでしょうか。

 さて、エコ・ステーション推進協会、この公益法人に対して、経産省のOB、いわゆる経産省を退官された方がこの推進協会には行かれていますでしょうか、お答えください。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の財団法人エコ・ステーション推進協会でございますけれども、本年三月末をもって解散をしたところでございますけれども、この協会の専務理事として、国家公務員出身者でございました当省の出身者が在籍をしておりました。

馬淵委員 解散の話は後ほどお尋ねをしたいと思いますが、このエコ・ステーション推進協会にはOBが勤められておりました。常勤の専務理事、この方が経済産業省の出身の方でおられます。その方の最終官職は何でしょうか。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 最終官職は、通商産業省資源エネルギー庁長官官房総務課経理審査官の地位でございます。

馬淵委員 資源エネルギー庁からこのエコ・ステーションに、いわゆる天下りをされているわけですね。

 そして、このエコ・ステーションという公益法人にどのような形で他に天下りがあるかなとちょっと見てみますと、つい先日、我が党が予備的調査を要求し、そして予備的調査報告書が届けられました。いわゆる省庁から事業という形で契約なり補助金が出ている、そこに対して、天下りと称される公務員が行かれている法人ということで、独立行政法人や公益法人、さまざまな法人をピックアップしていただきました。これは大変な分量で報告書が上がってきたわけでありますが、そのうちの一つを見ますと、ここにちゃんと載っております。

 財団法人エコ・ステーション推進協会、公益法人として、当該団体における取締役相当役職員数ということで、総数二十一、うち常勤一。そのうち国家公務員再就職者数は五で、常勤が一。一分の一で、うち常勤一〇〇%ということで、つまり、常勤で勤められている方は、まさに天下りの指定席のようにエコ・ステーション推進協会の中に資源エネ庁の方々が勤められている。そういう公益法人でございます。

 そして、この公益法人、繰り返し申し上げますが、大半が国のお金でその設置事業費を出していく。この公益法人が運営されるために必要だとして、年間二百万の補助金も運営費として出していく中で、五十万円以上を賛助金として要求している。

 私、繰り返しお尋ねしたいんですが、この仕組みが、先ほど来、当初の目的は達成されているとか、あるいは誤解を招くなどという言葉で大臣が語られるのは、私はいかがなものかと思うんですね。大臣が、経済産業省の中で、まさに安倍内閣の重要な閣僚のお立場で、やはりこういうものについては徹底的にうみを出すんだ、こういう強い姿勢を示していただかねばならないんではないかと思うわけであります。

 甘利大臣、今事務方の御説明をいただきました。そして私は、事務方から御説明をいだいたことの補足を加えながらこの当委員会において指摘をさせていただいているわけでありますが、大臣、今こうした議論の中で、このような公益法人のあり方ということについてはいかがお考えでしょうか。大臣の政治家としての御所見、お願いしたいと思います。

甘利国務大臣 当省に限らず、その役所が所管する業務に関して、公益法人に事業のための補助金が出る。その補助金が、この一部がフィードバックをされるようなスキームではないかと疑われるようなことは排除していかなきゃいけない。そのための改正の指導は行ったわけであります。

 そうした公益法人に対するいわゆる天下りと言われている問題でありますが、私としては、とにかく、そこに出向いた人間が技術的な指導等々、必要な人材であるかどうかということをしっかり確認するということが大事だと思っております。

 民間との人事交流は別といたしまして、公務員の再就職については、今、総理の指示のもと、渡辺大臣のところで全体のスキームを組んでいるわけでありますから、そこのできばえをしっかり見て御議論をいただければというふうに思っております。

馬淵委員 大臣、私、これは本当に問題だと思うんですね。こういったことは経産省のみならずだと思うんですよ。

 国民が、まさに中小企業、私なんか、何度も申し上げるように中小企業のおやじです。中小企業の立場からすれば、本当に毎日、運転資金を必死になって集めて、そして、わずかな社員かもしれませんが、その社員や社員の家族のためにと汗水流して働いている。そういう庶民の感覚からすれば、一方で、公益法人を、国がある意味所管ですから、財団法人をつくって、国の事業で補助金が出て、そして、そのお金を九割方以上、ほとんどの建設費を出して渡している。その渡した上に運営費もさらに渡すから、キックバックでそこにお金を出させる。そして、さらにはそこで談合が起きる。これは、天下り、談合。そして、この法人、国の公費を、まあ無駄遣いとは私はあえて申しませんよ。でも、これはそう見えるじゃないですか。

 この仕組みを、経産省の中で、どんなことがあってもこれは正さにゃならぬというぐらいの強い意思を、大臣、これはこの場でお示しをいただくことはできませんですか。いかがですか。

甘利国務大臣 出た補助金、さっきフィードバックと言いましたけれども、正確にはキックバックですね。(馬淵委員「ごめんなさい」と呼ぶ)いやいや、私が間違えた。先生の表現が正しいんだと思います。そういうことを疑われるようなことは排除していくというきちっとした姿勢で、その種のことがあるかどうかは注意をしていきたいと思っております。

馬淵委員 注意どころか、厳しい対応をしていただきたいと思うわけであります。

 さて、この財団法人、どうなっていますか。先ほど解散ということでございましたが、これについてちょっと経緯を、端的で結構です、御説明いただけますか。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 この財団法人エコ・ステーション推進協会は、平成五年に設立されたわけでありますけれども、その目的としておりましたエコ・ステーションの普及や広報といった事業を実施し、天然ガス自動車等の普及を促進してきたところであります。

 この協会は、設立以来、十四年間の活動を振り返りまして、全国的な天然ガス自動車等の普及促進に一定の成果を上げてきたという認識をみずから示した上で、先ほど御説明を申し上げましたように、エコ・ステーションの設置に関する当省の補助事業が十八年度をもって終了するという事態を見据えまして、協会が本年二月に解散の決定をされました。

 定款上は、解散の決定を理事会でした上で経済産業省の解散の許可を受けるという手続になっておりましたので、本年三月二十七日にこの許可を受け、三月末をもちまして同協会を解散いたしました。四月一日以降は、関係法令に従いまして、清算手続に入っていると聞いております。

馬淵委員 先ほどお尋ねをした、天然ガスエコ・ステーションは何基ございますかというお話でありましたが、平成十八年三月末、二百六十五カ所から二百八十カ所、十五カ所ふえただけでございます。

 そして、繰り返し申し上げますが、この推進協会は、「なぜ、エコ・ステーションが必要なのでしょうか」と、十八年の三月末以降のパンフレットでも、「今後もさらなるエコ・ステーションの整備が期待されています。」とうたっているんですね。

 そして、先ほど、三月二十七日に解散決議をこの公益法人において行ったとお話しになられましたが、三月二十日の段階のエコ・ステーション協会のホームページには、その設置の補助金は廃止になった、しかし、「運営費補助金については、交付決定を受けた事業者の方には、予定どおり平成十九年度以降も交付される予定です。詳細については、追って当協会からご連絡いたします。」このように書かれているんですね。

 つまり、先ほどのお話を聞いていても、当初の目的は達成されたというのは余りにも唐突ではありませんか。これは、推進協会が、二百六十五カ所、そして一年後に二百八十カ所、しかし、設立の申請許可書を見ると、その当初の目標設置数等々、別に書かれていません。そして、このような形で外向けにも発信をされているわけであります。

 ところが、今御指摘をさせていただいたように、この推進協会には、談合が行われる、そんな談合の温床となっている事業を十分に管理監督ができていなかった。さらには、キックバックと見られても仕方がないようなお金が推進協会に戻るような仕組みとなっていた。また、天下りという形で進め、この協会の中に資源エネ庁からの役人の方が入っていかれる。さまざまな問題が起きていく中で、今の状況でいえば、私から見れば、これは慌てて店じまいさせたとしか言いようがないんじゃないでしょうか。

 これは逆に、大臣が、こういったことに対しては厳正に対応していくんだという姿勢を示されるのであれば、このようなものを改めて問題ありと判断したのでこれは解散をさせたんだというぐらいの明確な意思を示していただく必要があるのではないかと思うわけであります。それでも大臣は、当初目的は達成されたとおっしゃいますでしょうか。いかがですか。

甘利国務大臣 先方は二月の十四日に決めたわけでありますが、こういう政策は国が主導しますけれども、最終的には民間でやってもらわなきゃならないわけであります。いつまでも補助金漬けでやるということは民間経済上も適切ではない。ですから、基本的に、この種の政策はすべてフェードアウトしていくということになると思います。

 ただ、フェードアウト的であったかというよりも、唐突ではないのか、その裏にはそういう思いがあったのではないかということであります。私は、国が先導するのはいつまでもやってはいけない、民間の力が育ってくるのを待って、それと入れかわらなきゃいけないという基本的な思いであります。

 この財団の設立趣旨を持ってこいということで、私、実は、この質問が出たときに持ってこさせたわけでありまして、そういう中で、この財団自身の設立趣旨というものが、低公害自動車の普及促進ということのためにつくってあるということでありますから、国がやるべきは、初期動作を立ち上げる、ある程度のところに行ったらもう民間とバトンタッチをして、必要があれば自分たちでやっていくということでスイッチをする、そういう大方針に従って解散をしたというふうに理解しております。

馬淵委員 解散をしたこと自体は、私はよかれと思っていますよ。しかし、繰り返し申し上げますが、国がお金を出して事業をさせて、それは大半のお金を出して、そしてさらに、運営費を渡したうちの一部を戻させて、そこに天下りをしていく、さらには談合が生じている。これは、今、この国の抱えている最大の課題の部分なんですよ。

 ですから、私は、大臣が経産省のトップとしてこのような形に対しては明確な姿勢を今後も示していただきたい。これはもう解散をしていますからよかれですよ。しかし、ほかにもあるかもしれない。これは、大臣、所管のトップとしてしっかりと御対応いただきたいと重ねて申し上げたいと思います。

 そして、最後になりますが、この天下りの問題、まさに今渡辺大臣が取り組まれています。我が民主党も、この天下り禁止に対しては明確な対案を示していきたい。我々は、中途半端な人材バンクなどという話ではなくて、完全禁止を訴えていくわけであります。

 一方、与党の中でもさまざまな議論があるようでありますが、三月九日付の朝日新聞には、経済財政諮問会議の席上で反対をするという、その論調の大臣の所見がここに書かれております。

 甘利経産相、甘利大臣のお名前が載っておりますが、ここには、「「途中から自分の行き先を心配して就職先とのコネクションをつけるような思いを(官僚に)抱かせながら仕事をさせるのはいかがなものか」と続いた。」と書かれております。「続いた。」というのは、その先に語られているのは尾身財務大臣でございます。尾身大臣は、「「五十歳ぐらいからポストのない人を転職させるのは公務員制度全体、国全体として必要だ。机の上で考えていることと話が違う」と一喝。」つまり、反対をされているわけであります。

 甘利大臣は、この天下りの禁止に対してはどういうスタンスなんでしょうか。

 そして、きょうの新聞にも出ておりますが、この天下りの禁止に対しては、すべての非営利法人、つまり公益法人、今回のようなエコ・ステーションのような財団法人も含めるべきであるという一歩を与党も踏み出されたと書かれています。

 この天下り、認可法人等、公益法人、独法、特殊法人、認可法人、これをすべて合わせると四二・六%、いわゆる官職を離れられた方の大半がここに行かれるわけです。営利企業に就職されているのは一三・四%。これは、〇六年八月十五日までの一年間に退職した国家公務員の内訳であります。

 公益法人やこのような法人にまで踏み込まない限り、この天下りの温床というのは断ち切れないんです。そして、今申し上げているように、天下りの法人は、談合や、あるいはキックバックや、そして、慌てて大臣が解散を命じなきゃならぬような、そんな状況が生まれるわけですよ。

 大臣、この天下り規制に対して、大臣は新聞紙上では批判的なお立場の論調の御意見を述べられていますが、大臣がどのようなお考えを持っているかをこの国会の場の答弁としてお答えいただけませんでしょうか。

甘利国務大臣 私がずっと通して申し上げているのは、透明な仕組みをつくらなきゃいけない、それから、公務員のモチベーションが喪失するような仕組みであってはならない、国家のために奉職しようという意気に燃える才能豊かな人間が集まってくれるような仕組みでなければならないというのが基本であります。

 勧奨退職というのが事実としてあるわけであります。やめてくださいという話ですね。やめるのは勧めるけれども、後はあなた、自分でハローワークに行って勝手に探してねということにはしたくないのであります。また、そうなってしまうと、現職の公務員が、もうそろそろそういう時期かなと思うころに、自分の本来業務の仕事もそぞろで、次にどう生活の道筋をつけていこうかということに気持ちの半分以上がそがれているのであればいい仕事ができないということを申し上げたのであります。

 民間企業でも勧奨退職というのはあります。その際に、恐らく民主党さんとしては、雇用者を守るという立場から、やめていってください、多少退職金積み増してあげますから、後はあなた、ハローワークでねという対応はとらぬと思います。ちゃんと企業の責任として、第二の人生を考えろと。

 ですから、全体のパッケージとして、では、勧奨退職というのをなくすのか、全員が定年まで勤め上げて、しかも定年と年金開始がちゃんとつながるというようにするのか。それも、私自身は余り活力の上からいうと賛成できませんが、一つの考え方です。そういう全体のパッケージで示さないと、勧奨退職というのは現実としてある、後は知りませんということで本当にいい公務員が集まってくるかということを心配しているということでございまして、今、全体パッケージを政府が提案いたします。それをぜひ御議論いただきたいと思います。

馬淵委員 全体でということでございましたので、その部分については我が党も対案を示しながら、天下り禁止、公務員制度改革についてはまた別の場で議論をさせていただきたいと思いますが、大臣に、きょうは明確に、このような公益法人等々に対しては厳しい姿勢で臨むという御答弁をいただきましたことを糧といたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 三法に入る前に、先週の質疑からいろいろな、都市と地方であるとか、中小企業のあり方とか、今回のこの法案に間接的にかかわる事項が幾つか数字的に公表されたものがあるので、その点について冒頭ちょっとお尋ねをしたいと思います。

 先週、国土交通省から〇七年の地価公示がされました。その中では、いろいろな見方があるとは思うんですが、十六年ぶりに全体として公示価が上がってきたということであります。

 ただ、内容を見ると、やはり東京圏、名古屋圏、大阪圏、いわゆる都市部の部分が、そうではない地方の分がまだ減少している中で、引っ張る部分で上がったというふうな見方が正しいのではないかなと思うんですが、これは、この三法にもかかわってこれがこれから続いていくのかどうか。

 そして、この地価というのは、いろいろな見方がありますが、経済の体温だというふうにも言う方もいらっしゃいます。地価が上がっているところは体温が正常ないし若干異常値もありますが、そうではない地方は体温が今低下をして非常に元気がないというふうな見方もあります。

 大臣は、〇七年の地価公示のこの数字、どのようにとらえられておりますでしょうか。冒頭、お尋ねをしたいと思います。

甘利国務大臣 まず、前段の景気の状況、日銀短観等々に関してでありますが、四月の二日に日銀短観の三月調査が公表されました。製造業や中小企業で景況感に一服感が見られるのではないか、立ちどまってはいないけれども、ちょっと一息ついているという部分が見られるということであります。業況のよしあし全体を図る業況判断DI、いいと思うのからそうではないというのを引いたあの数値でありますけれども、この水準はまだ高いわけであります。

 それから、〇六年度の設備投資計画の実績の見込みも前年度比でいうと九・五%の増加でありますから、堅調と言っていいかと思います。

 総じて見ると、企業部門というのは引き続き好調であるということを全体として評価ができると思います。

 それから、公示地価の件であります。三月の二十二日に公表をされたわけでありますが、三大都市圏の地価は十六年ぶりに上昇に転じた。その一方で、地方圏の地価は、これは十五年連続で下落をしているわけであります。こういう中で、三大都市圏それから地方都市ともに、高級住宅地であるとか、高度な商業、業務機能が集積した一部の地域で地価が上昇しているわけであります。

 これらの最近の指標は、我が国経済が民間中心の成長を続けていることを示しております。他方で、都市部と地域の間では景況感にばらつきがあるということを示しているわけでありまして、景気の回復におくれのある地域に景気のいいところのエネルギーを波及させていくということがこれから重要だというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣、日銀短観の部分でいえばそういうお答えになるなと思うんですが、ただ、大企業と中小企業で、現在の景況感と先行き、三カ月後ということでありますが、特に中小企業の方々は製造業、非製造業ともよくない。「さほど良くない」、「悪い」という部分が増加をしているということは事実であります。

 これは、今回のこの三法も、中小企業の観点というものも当然あるんですが、やはりここをまずどうとらまえるかということと、一方で、新経済成長戦略ということで全体の成長力を上げていくという部分と、その中のこの三法の位置づけというものがあるんですが、直近の意向調査でも、まだ中小企業はやはりなかなかよくならないという考えが強いというこの点については、大臣、どのようにお考えでしょうか。

甘利国務大臣 景気の回復過程というのは、まず製造業から立ち上がってくる、それで非製造業がついてくる。もう一つの見方は、大企業が立ち上がって、後で中小企業がついてくる。だから、この二つをあわせると、一番時差があるのは、大企業の製造業から立ち上がって、一番最後は中小の非製造業という順序になってくるわけであります。

 今回も、大企業製造業に一服感で、非製造業が少しいいのかなというふうに、そこの部分では景気の立ち上がりのタイムラグに従って立ち上がってくるということが言えているんだと思いますが、要は、中小企業が、製造業はともかく、非製造業は余り元気がないし、製造業も少し一服しているというところであります。

 でありますから、今回の三法、特に地域資源活用法と新企業立地法、これは地域の自立成長力をつけるという意味で極めて大事でありますから、これの政策効果をできるだけ早く、時差がないように立ち上げていきたいというふうに思っておりまして、それをもって地域間格差あるいは大小間格差あるいは業種間格差をできるだけ埋める、あるいは景気の上昇の追随性をよくしていきたいというふうに考えております。

後藤(斎)委員 大臣、これでこの項は終わりますが、そうはいっても、大企業も、やはり三月調査では、製造業においても、最近で、「良い」と言われている部分が三一ポイントから先行きの部分では二六に落ち込んだり、非製造業においても、「良い」というのが三〇ポイントから二八ポイントに落ち込んだり、中小企業の方がもう少し落ち込み率は高いんですが。

 ということも考えると、やはりこの足踏みというか、さっきは大臣が冒頭おっしゃられた、成長戦略というふうに言っても、なかなかそうはならないよというのがこの実態ではないかなという思いがありまして、大臣、ここはやはりよくウオッチをしていただきながら、後でちょっとそれぞれの制度の評価とかいろいろお聞きをしますが、やはりそういうものと関連をさせながら、先ほどの馬淵議員の話のように、税投入をする企業としない企業の差とか、このまま普通の市場原理に任せれば都市と地方の格差がもっと大きくなって、そこで政策的にこの三法のような予算や制度をつくって対応する、この趣旨自体は私は全然間違ってはいないと思うんですが、こういう実態に現在あるということはぜひベースに置きながらやはり議論をしなければいけないということを申し上げたいと思います。

 大臣、それともう一点、これは一部の新聞だけですが、きのうの夕刊にかなり大きく出た、いわゆるNOVA商法、ちょっと違ったところで有名になりましたが、最高裁の判決が出ました。そしてこれは、後ほどお尋ねをする産活法の中で、サービス産業の生産性の向上という項がございます。それにも関連するので、あえてちょっとお尋ねをしたいと思います。

 昨日の最高裁の判決では、NOVA、これは外国語学校のNOVAであります、の中途解約の清算方法、従来やったものを違法という判断を下しました。これは、過去いろいろな経緯があるというふうなお話を聞いております。そして、これは特定商取引法のいわゆる六業種の中の一つであって、そしてこの法の解釈があいまいだということで、利用者の方とNOVA、会社側といろいろ裁判の幾つかケースになったこの判決であります。

 従来から経産省は、NOVAとしたら、経産省と十分相談をしながら今の割高清算方式という形で清算をしたことをとりあえず許してきた。しかし、利用者側から見れば、いや、中途解約金が高過ぎて、実際、自分の手元に少ないということで法廷闘争に持ち込まれたわけなんです。

 ただ、これも、いわゆる生産性ということをサービス産業で言っているときに、これはポイント制ということで対応しておるらしいんですが、一ポイントで一レッスンを受講できるポイント制ということで、例えば契約時に六百ポイントをまとめて購入すると、一レッスンが四十分当たり千五百円になり、例えば二十五ポイントしか購入しない受講者は一レッスン四十分当たり四千円と、二・六倍の開きがある。要するに、まとめてやったらお得ですよと。

 ただ、実際、教える先生が少ないとかいうことも含めてのトラブルであるというふうにお聞きをしていますが、やはりこれは、生産性というものを余りサービス産業で集中し過ぎるとこういうことも起こるのかなという一つの事例だと思うんです。

 少なくとも、この判決を踏まえて、特定商取引法の解釈のあり方も含めてやはり見直すべきだというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

甘利国務大臣 今、具体的事例として出されましたNOVAは、この案件は私は別に悪質な案件だとはこの今の解約に限って言えば思っていないのは、我が省もそれでいいですよと言ったわけですから。

 例えば、スケールメリットの話ですね。百まとめて買うのと五十まとめて買うのと、一個当たり単位は百まとめて買った方が安いというのは商売の原則ですから。それで、百まとめて買っておいて、五十使ったところでやめた。それは百まとめて買った単価でいいですよということにしますと、例えば私がユーザーだとしたら、最初から五十しかやるつもりがなくても、百買いますよ、それで五十のところで、やはりやめましたと言えば、正直に五十必要だから五十買うという人が不利になって、うそをついて、百買うと言っておいて実は五十のところでやめちゃったという人が有利になっちゃうから、だとしたら、それに近いところの単価、例えば六十だと幾らですよ、四十だと幾らですよという中の安い方を使いますけれどもいいですかという問い合わせがあって、それについてはそうですねと我が省が答えた。それ自体は悪質な行為でも何でもないと思うんですが、ただ、裁判所は、それはだめよ、やはり百でしてくださいということです。これは裁判所の判断ですから、それはその判断に従うというのが法治国家ですから。NOVA自身も、もう既にそういうスタイルでちゃんと以降はやっているということであります。

 ただ、考えようによっては、ちょっと頭のいい人は、百で申し込んで途中でやめちゃうというのが横行しないか。そうすると、商売原則自身がなかなか難しくなるなという思いはあります。

 法は法で、裁判所の判断は判断で、これは民事ですけれども、判断は判断ですから、それに従ってやっていただくということになります。

後藤(斎)委員 これは後ほどの産活法でもう一度確認をしますが、大臣が最後にお答えになった部分で、やはり消費者保護という立場を契約の自由よりも、上位に置いたと言うと言い方がちょっと適切でないかもしれませんが、をより優先したということではないかなと思うんですね。

 これは、例えばサービスの生産性を考えるときにも、労働力、資本の単価、一単位当たりどのくらいの効率性があるかどうかといういわゆる生産性ではなく、後でも触れますが、やはり、お客様、消費者が満足をするかどうかという指標というものが正しいという一つのある意味では事例なのかなというふうに、私、この報道というか判決を見て思いました。

 そして、私、この三法というのは、前回も御質問したように、方向性は決して間違っていませんし、正しいと思います。ただ、前回もお尋ねを、ちょっと時間がなかったので、きょうは少しきちっとしますが、大臣の前々任者の平沼大臣の際に、〇一年の五月二十五日に新市場・雇用創出に向けた重点プラン、十五項目が出されています。

 きのう、これは、どのくらいの予算を使ってどのような効果がこれについてあらわれたのかという、いわゆる政策評価というペーパーをまとめていただきました。いろいろ効果があったということもお書きになられているんですが、ただ、私は、大臣、常にとは決して言いませんが、往々にして、先ほどの補助金の問題もそうですが、それぞれ大臣が責任を持ってまとめられるもの、政府として全体としてやられるもの、いろいろなパターンがありますが、それぞれ評価をしながら新しい制度にやはりつなげていかなきゃいけないと思うんです。

 私は、いわゆる平沼プランと言われているものがきちっと評価をされた上で今回のこの三法や新経済成長戦略が出たのかなというふうに考えると、ちょっとクエスチョンマークがつくんです。特にそれは、このいわゆる平沼プランの三項目めにある「開業創業倍増プログラム」というところであります。前回、これも若干触れさせていただきましたが、当時の〇一年のときから「新規開業を五年間で倍増させることを目標として、」というくだりがございます。大臣、これを数字的に見ると、実際そうなっていないわけですね。むしろ、〇一年の当時からいうと減少傾向にある。大臣、よろしいですか。減少傾向にあるというのが現実であります。

 開業の数がたくさんになると、もちろん廃業なさる方もたくさんいらっしゃることも事実であります。それが、開業の方が廃業よりも多い方が経済全体としては元気になる。これは、地域という部分でもそうですし、国全体でもそうです。ですから、この開業創業倍増プログラムというのは本当に正しい方向性だったと思うんですが、これについて資料をきょう朝いただいたんですが、数字的に見てもそうではないという数字をいただいています。

 大臣、私は、これから企業で、いろいろな地域や中小企業やという冒頭大臣に申し上げた部分、短観の話や地価の話もそうですが、仕事をみずからつくり上げていくという経営者がたくさん出てこなければ、いわゆるこの三法も、絵にかいたもちになってしまうような可能性もやはりあると思うんですね。ですから、この平沼プラン、特に開業創業倍増プログラム、五年間で倍増といったものが、結局それが倍増ではなくてむしろ減少になってしまっている、これについてはどういうふうに大臣は評価されますか。

甘利国務大臣 おっしゃるように、平沼プランがスタートして、改善しない、事態が悪化しているじゃないかと。開廃業率の変化を見ますと確かにそうなんでありますが、ただ、平沼プランの中にはいろいろな案件があって、大学発ベンチャー千社とか、それはうまくいったわけであります。

 それで、政策を打ち出すときに全項目うまくいくのが一番いいのでありますけれども、なかなかそうはいかないというところに葛藤があるのであります。施策を打つときには、過去の施策の効果を検証して次に打っていくのか。政策評価の部署もちゃんと各省ごとにあるわけでありますし、それを政府全体として評価もしているわけであります。

 そうした中で今何が必要かということが問われているわけでありまして、私自身は、海外に進出した企業が結構国内回帰を考えている、その際に、では、なぜ海外で再投資をしないのか、帰ろうかなと思っているのか、そこをちゃんと洗ってみると、行政のスピード、透明化、ワンストップ、そういう点に課題がある、だったら、それを対処できるような国内整備をすべきではないかと。

 それから、都市部と地方の格差が指摘をされている。その際に地ならし政策も必要である。交付税で最低限の地ならしは必要である。あるいは地方共通税みたいな議論もされている。東京にばかりお金が集まっちゃわない仕組みをどうするんだ。まあ、東京からは反対されていますけれども。そういういわば地ならし政策と同時に、実は、地方の自立を考えるとしたら、地方自身に税収や雇用を生み出す仕組みをつくっていかなきゃいけない。それには、地域の資源を活用して、それをどう企業化していくかが課題だ、そう思って提案したつもりであります。

 これが政策効果が上がるように、いずれにしても国民の血税を使うわけでありますから、無駄がないように、政策効果が上がるように努めていきたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣のおっしゃるとおりの部分があると思うんですが、こういうパッケージというか、トータルとして大臣もいろいろなお考えが当然あって、今の中小企業や地方をもっと元気にしたい、産業立国もエネルギーも、もう多岐にわたるのはよくわかるんですが、新経済成長戦略も前の二階大臣からの流れの中でもちろんおつくりになっている部分も当然あるんですが、大きなパッケージでつくったものを、やはり全体を評価するということも私は必要ではないかなと。もちろん、パーツのそれぞれの項目をどうだということも必要だと思うんですが、そうでないと、本当に税が投入されるときにどういうふうな効果があったのかなかったのか、なかったときには、では、それをどういうふうな形で例えば新規に振り向けるとか、やはりそういう議論でないと、何か目くらましみたいなことでやっていると酷評をする方も、今回の三法、そんな指摘もありましたが、私はそういう部分はある意味では少しは当たっているのかなと。

 むしろ、きちっとそういうそれぞれの時点でまとまって評価をした中で、足りない部分、新規にどうしても必要な部分、そういう視点からやはりやらないと、三千近くあるという法律がベースをつくってそこに予算や制度というのが具体的に回っていくわけですから、そういうものが、全部その三千を読み通した人というのは世の中には大変少ないかもしれませんが、重点でこういう形でまとめて、今回も新経済成長戦略の中の特に三法だということで議論をしているわけなので、ぜひそういう視点を持ちながら対応していただきたいという要望であります。

 大臣、次に産活法の部分に入りますが、今回、サービス産業の生産性の指標というふうにいって、法律の中にも、三十条ですか、実際、サービス産業の生産性を上げるというふうな項目がございます。ただ、先ほどもちょっと御指摘をさせていただいたように、だから、生産性という議論だけで果たしていいのかなというふうに思います。

 特に、サービス産業の中に例えば流通業、小売業も入りますが、昨年、いわゆるまちづくり三法の中で、大規模小売店舗、ことしの十一月以降は一万平米以下に基本的には立地が制限されるということでありますが、トータルとしたら、例えば売り場面積の生産性ということを考えると、売り場面積当たりの単価、売り上げであるとか利益率であるとか、多分そういう指標が出てくると思うんですが、それだけで計算をしていくと、本当に大きな日本の数社というのが今ジャイアンツでやっていますが、そうではない中小の、地方の例えばスーパーマーケットの経営者の方は、そうではない、立地であるとか品ぞろえであるとかで努力をされています。

 ただ、これから流通業が本当に寡占状態に例えばなると、消費者の方から見れば、五百メートルから一キロ離れたところにスーパーがあったものが例えば廃業をしてしまった、そういう事例は今全国でたくさんありますが、では、実際、先ほどお話をした顧客、消費者の方の利便性ということを考えると、確かに生産性は、坪単価はもしかしたらマクロで見れば上がったかもしれませんが、そうではないという状況が当然あるわけですよ。

 昨日、いろいろ経産省の中でも御議論をした資料をちょっと見させていただきました。私も土日に本を一冊だけ買って、「いかに「サービス」を収益化するか」という、これはハーバード・ビジネス・レビューというもので、結構簡単に読める本だったんですが、この中にも重点的にポイントで書いてあるのは、顧客、消費者の方がどういうふうに満足をしていただけるか、そのときに一番大切なことは、今までの終身雇用の日本的な経営戦略ではありませんが、どんな形でその企業に尽くして、自分の会社をもっと収益性を上げるかということをきちっと従業員の方も理解をするかというような、要するに従業員満足度みたいなことが書かれています。という多分裏返しでないと、サービスの生産性だけを議論すると、ちょっと違った方向にいってしまうのかなという気持ちがしてなりません。

 そして、具体的にこの産活法の中の三十条の中に、これから生産性を高めながら、そしてほかの方に具体的に認定機関も設けながら、サービス、生産性の向上について検討していくというふうな規定になっておりますが、では、具体的にその認定をどうするかということと、そして、そのサービスの生産性ということだけで議論をすると違った方向にいってしまうのかなというふうに思うので、やはりそこには、お客様の満足、例えば、大臣はよく行かれるかもしれませんが、東京には一泊百万円くらいのスイートルームのホテルがあるというふうにも言われて、テレビで見ましたけれども、京都とかいろいろなところのしにせの旅館では一泊二十万、三十万でお泊まりになる方がいらっしゃって、そこでは、おもてなしの心とか個室で食事ができるとか、要するに、生産性がもしかして低いのか高いのかというのも、お客様が満足するということの中でやはりお金を支払うということだと思うんです。

 ですから、安ければ収益性を上げればということだけではないという感じがしてならないんですが、大臣はその点についてどのようにお考えでしょうか。

甘利国務大臣 サービス産業に製造業の改善手法を持ち込むということはできるし、やるべきだということはよく理解しますけれども、サービス産業の効率というのを他の産業の効率性でそっくり当てはめることができるかというと、そうもいかないところがある。サービスは目に見えないし、供給と消費が同時であります。

 例えば、一時間二万円のエステサロンがあったとする。至れり尽くせりのサービスが行われる。では、効率を上げるために、うちはよそが一時間でやっているのを十五分でやってあげます、料金は二万円ですと言ったら、来る人はいませんから。

 そこで大事なのは、生産性というのは、ある資本投下が付加価値を生む効率をいうわけでありますから、サービス産業においては、おっしゃるように、お客さんがどう満足するか、CSI、コンシューマー・サティスファクション・インデックス、顧客満足度指数ということが大事で、お客様がどう満足度を上げてくれるか、この視点が大事だということはおっしゃるとおりであります。

 サービス産業のすそ野というのは広過ぎるんですね。物を販売するのから、小売流通もサービスだ。あるいは、エステその他のような、お客さんにいわゆる見えないサービス、そういうのもサービスだ。あるいは、BツーBでいえば、業務をアウトソーシングするの、その受ける方もサービスだ。いろいろあるわけですね、一概の物差しではかって一概の処方せんが書けないというところがありますから。

 今、サービスの生産性、この生産性というのは、付加価値を効果的に生むという意味での生産性ですけれども、それを上げるための研究会というのを立ち上げて、それが一通り作業が終わって提言を取りまとめまして、これをサービス産業の各業種ごとに具体的な施策として落とし込んでいくための協議会というのを、広範な識者を集めて立ち上げる予定になっております。そこで業種ごとの処方せんというかガイドラインといいますか、そういう手法といいますか、そういうものができればというふうに思っておりますし、先ほどお話が出た、認定とおっしゃいましたか。(後藤(斎)委員「認定」と呼ぶ)認定についても、サービス産業は多種多様でありますから、一律に何をするということではないですね。機微に合った対応ができればというふうに考えておりまして、間もなく協議会というのを立ち上げたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、わかりました。私もかなり共通する部分があって、やはりそこで、まさに多種多様だというところがサービス産業というのは一番重要じゃないかなと。例えば定食屋に行って、サービスですよというふうに大臣もおしんこをもらったことがあるでしょう。そのときは、サービスという概念は、その使い方は無料だという部分ですよね。ですから、いろいろなものが絡み合ってサービス産業というものがいろいろな部分ででき上がっているというところはぜひ配慮していただきながら、認定をする作業、そして生産性という概念を、私は生産性という言葉が本当に正しいかどうかよく理解がまだできないんですが、やはりそこの工夫というものをぜひお願いしたいなと。

 これは事務方にその観点でちょっと一点お尋ねをしたいんですが、法案の概要という資料でもいただいておるんですが、日本のサービス産業は米国の六割程度の水準にとどまっているという指標を、ぼんと六割というのを出されているんですが、これはどういうふうなことで計算をしているんでしょうか。簡単で結構ですが、その根拠をちょっと教えてください。

西川政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカと比べて日本のサービス産業の生産性が六割程度だというその根拠ということでございますが、これは、各国の産業別の付加価値額を労働投入量で割ったそういったデータをOECDがデータベース化いたしておりまして、そのデータの中の二〇〇二年度のデータ、具体的なサービス産業の労働生産性、これを米国と比較いたしました結果、我が国の卸・小売業あるいはホテル、外食等のサービス産業、これがおおむね米国に対して六割程度の生産性の水準になっているということでございます。

 例えば、コンピューター関連サービスだと六一%とか、卸売・小売業では五八%とか、ホテル、外食では五七%、そういった数字がございます。そういった数字を参考にしているということでございます。

後藤(斎)委員 今お答えをいただいた部分で、やはり労働生産性というところに特化をした数字であるということでよろしいんですよね。いわゆる労働生産性ですよね。

 ですから、六割という数字が出ると、我が国のサービス産業全体として米国よりも何か比較劣位にあるようなイメージが直観的に言えばするんですね。やはり、そうではない要素がたくさんあってというふうなことで先ほど大臣お答えをいただいたようなことで、やはりこの六割がベースではなくて、いかにこれからサービス産業全体がある意味では消費者の方に支持をされて、収益性を個々の企業が上げながら、なおかつそれがマクロでよくなっていくかということでないと、六割だからもっと上げるという視点ではないというふうに私は思うんです。

 大臣、これは、先ほどもちょっと指摘をさせていただいた、要するに、いろいろな業種で仕事を改めてしたい、いわゆる開業をしたいという方がいらっしゃいます。でも、身近で見ると、ほとんどが例えば飲食関係のチェーン店であるとかエステ関係のチェーン店であるとか、本当にそこの地場で工夫をしていわゆるサービス産業ということでやっているというのは結構少ないですよね、周りを見ても。ですから、よく言われる、去年のまちづくりのときも議論になりましたが、どこの地域に行っても、同じような全国チェーン店の看板が並んでというふうなことであります。

 これは、それぞれの地域でやはり創業したい、開業したいという方々がたくさん出てくる、そういう意欲を持つ、それを後押しする施策というのが、平沼プランが、基本的には、少なくとも開業創業倍増プログラムが失敗をした、成功はしなかったということをベースにすれば、開業をもっと促進する、特にサービス産業を身近に見ても、がすごく多いと思うので、改めて、その点についてどのような目標を設けながら、そして、サービス産業全体をチェーン店化することが生産性を上げる一つの手段なのかもしれませんが、経産省としては、どのような目標づくりと、それを後押しすることを開業という部分でお考えでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生御指摘になりました、廃業社の数が開業社の数を上回っているということは、経済活動を担っている企業の数が減少するということでございまして、先生御指摘のとおり、経済活性化を図る観点からは好ましいことではないというふうに考えております。

 我が国の経済の活性化を図っていくためには、やはり、ベンチャー企業あるいはサービス業を中心といたしました中小企業等の創業とか、そういう成長を促進していくということが非常に重要なことであるというふうに私ども考えております。

 そのため、政府といたしましては、これまで、例えば最低資本金規制の撤廃であるとか、それから、無担保、無保証人で融資できる新創業融資制度の創設、それから、国民各層の起業とか独立意識の喚起を目的としましたドリームゲート事業とか、こういういろいろな開業促進策を講じてまいったところでございます。

 このような施策の効果もありまして、我が国の開業数でございますけれども、平成十一年―十三年の平均では十五・一万社から、平成十三年―十六年の平均では十六・八万社というふうに、先生のあれでは微々でございますけれども、着実に増加をしてきているというふうに考えております。

 しかし、長期にわたる景気後退とか、それから、個人や銀行等の非常に厳しい経済状況の中でのリスク回避志向という高まりの影響もございまして、開業、創業数の目標達成、これは、先生御指摘のとおり、非常に難しい状況になっております。

 そこで、経済産業省といたしましては、平成十九年度におきましても、新創業融資制度とかエンジェル税制の拡充、こういうものを実施いたしまして、さらなる開業の拡大を図るための取り組みを進めていきたいというふうに考えております。

 それから、開業と別に廃業の問題もございます。この廃業を低下させるという政策もまた非常に重要だと考えておりまして、そのため、本法案での強化をねらいにしております中小企業再生支援協議会、これによりまして、全国での事業再生の支援とか、それから、最近人手が足りないということで事業承継がなかなか難しくなって、そのために廃業せざるを得ない中小企業の皆さんがおられますので、そういう事業承継支援などの施策を引き続き推進してまいって、経済活性化に資するように努力してまいりたいというふうに考えております。

後藤(斎)委員 大臣、今の局長の答弁の部分は確かに方向性としたらこれも正しくて、ただ、実際にやはり目標どおりになっていない。私自身は会社の経営者ではありませんが、私はよくよくいろいろな方とお話をすると、やはり個人保証が諸外国と比べれば非常に重い部分。私も連帯保証人になってくれという方がいらっしゃいます。私はお断りをしていますが、やはり、連帯保証人にならなければ銀行が融資を実際してくれない。むしろ、今月の百万、二百万をどう運転資金で銀行から、友達から借りられるかと悩んでいる経営者の方がたくさんいらっしゃると思うんですね。

 それで、アメリカが日本よりもまだ元気だと言われているのは、前回の委員会でも御指摘をしたとおり、基本的には開業数の方が廃業数よりも多いという多分あかしではないかな。そのときに、例えば倒産をしたり破産をしたりしたとき、どこまで個人や企業に例えば食べるくらいのお金が残るかという、いわゆる差し押さえ禁止財産の範囲というのも関係してくると思うんですね。特に、アメリカの連邦倒産法では、例えば、結婚しているということで経営者の方を見ると、事業に失敗しても四百万程度の住居が残り、七十万程度の自動車が残り、家具や身の回り品、生命保険契約に基づく権利など、一応生活できる財産は残されているというふうな差し押さえ禁止財産の範囲だそうです。

 日本はそうにはなっていない。日本の法体系も、民法や破産法の部分でいろいろな改正はされておりますが、一方で、開業するときに、不動産を買うんじゃなくて、借りたりして店舗をつくったりするケースだと、いろいろな部分で大体五百万円から一千万円くらいの開業費用がかかるというふうに一般的に言われています。

 逆に言えば、大臣、例えば一度失敗しても、これは、再チャレンジということで大臣もこの委員会でも何度もお話をされますが、再挑戦をする。一方、多分連休明けになるのかどうかわかりませんが、これから商工中金法とかも含めて金融法案でも議論が出ますが、失敗した後でも融資が受けやすくするようなことを考えて、そのめどというのは、差し押さえ禁止財産の範囲というものが、多分、開業に必要な経費と仮にとんとんの例えば五百万から一千万くらいあれば、またチャレンジをしよう、開業しようという気分に普通なると思うんですね、大臣。だけれども、日本の法体系や制度はそうなっていないというところが一つの大きな問題ではないかなというふうに思うんです。

 ですから、大臣、今は政府系金融機関も統合されようとしておりますし、商工中金もこれから民営化をされるというふうな方向性の中で、個人保証の部分や連帯保証というのは、制度として原則それは要らないんだ、廃止をするんだということと、仮に倒産をしたりしても、差し押さえ禁止財産の部分が、再チャレンジをできる、また開業する意欲があるくらいの財産が保証される、そういうふうなことの制度づくりというところが非常に重要だというふうに思うんですが、大臣、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

渡辺(博)副大臣 事業を起こすときには、当然のことでありますけれども、お金が必要であります。そのときに、現行の仕組みからいきますと、必ず物的担保を提供しなさい、個人保証をとりますよ、そういうような形で行われているのが現状であるというふうに思っておりますが、こういったものをやはり改革していかなければ、新たな開業はなかなかできないというふうに思っております。

 そうした中で、昨年の四月からは、信用保証協会が行う保証については、第三者保証を原則として徴求しないというふうにしております。

 さらに、本年の四月からでありますが、国民公庫においては、ビジネスプランとして審査をして、無担保、無保証で貸し付けを行う新創業融資制度の貸付限度額の引き上げを行ったところでございます。具体的には、七百五十万から一千万までということになりました。

 また、中小公庫においては、定期的な財務報告等の約束が履行される場合においては、経営者本人の保証を免除する保証人猶予特例制度の創設を実施しているところでございます。

 このように、いわゆる公的機関において第三者保証や本人の保証というものをできるだけとらないという方向をとっておりますが、実際には、民間企業、民間の銀行が果たして貸してくれるかということが大変問題だというふうに思います。

 そういった中で、一度失敗しますと、現在の仕組みでいきますと、銀行協会というのがありまして、そこに五年間、破産をしたとか、要するに手続上問題があったということで登録されてしまう。そうすると、絶対に民間の銀行からは借りられないという仕組みが現在あるわけであります。こういったものをしっかりとまた今後は、これは私どもの範疇ではございませんけれども、トータルで考えていかなければならないというふうに思っております。

 さらに、先ほどの、一度破産しますと、現在、日本の制度でいきますと、自由財産の範囲というものを、平成十七年から拡充はしたわけでありますけれども、現金は九十九万円、そして、現金以外の各財産については、預金、自動車等を含めて二十万円までということになっておりまして、こういった中で果たしていいのかということは、トータルで検討していくことになると思いますが、破産法の関係については法務省の管轄ということでありますけれども、やはり、中小企業がしっかりと再チャレンジできる体制をつくっていくことが大変重要だというふうに思っております。

後藤(斎)委員 今、副大臣がおっしゃったとおりだと思うんですが、大臣、これは副大臣にもぜひお願いしたいことは、今、この三法についても各省庁と連携ということが言われています。破産法、倒産法の今の副大臣がお答えいただいた部分も、やはりきちっと法務省にも、もちろん、長いいろいろな積み重ねというものがあるのはよくわかるんですが、何が一番メーンなのか。金融だけ例えば手をつけても、やはりベースが解決していなければだめだという、多分、僕はこれが一つの実例ではないかなと。

 ですから、これは大臣みずから、副大臣がみずからということでなくて、経済産業省としたら、これから中小企業の経営者の育成が日本経済全体、地域にとっても必要だということで当然お考えだと思うので、法務省の方にもそういう検討を前向きにしてくれという話はやはりきちっとしていただく必要があると思いますし、金融庁についても、検査マニュアル、いろいろな形で変えてきているようではありますが、まだまだそうではない部分があるというお話も聞いているので、ぜひこれは、省を挙げて各省連携ということで、今まで縦割りの部分から、必要なことは一緒にやっていくということは今の時代に必要だと思うので、その点についてぜひ大臣、一言で結構ですから。

甘利国務大臣 政策はすべからく、一省庁の範囲ではなくて、政府全体として効果が上がるように取り組んでいかなければならない、おっしゃるとおりであります。

 破産法制と自由財産の関係は、法改正をして、これがどれくらい自由に合っているものかを見定めなければならない。確かに、先生がおっしゃるように、次の事業を立ち上げるぐらいの資金をそっくり残すのがいいじゃないか、それはそうなんですけれども、一般的に、そうして事業を起こさないで実はそれを生活として云々というと、いろいろな不公平感もあるでしょうし、アメリカはかなりその幅が大きいですけれども、次の事業資金というところまではいっていないんじゃないかと思います。

 要は、これは、三カ月の当面の生活費とあとは中古の車ぐらいは持てるようにする、あとは、事業を起こすという意思があるときには資金調達がしやすいという仕組みを整備していくということが大事だと思って、渡辺副大臣が答弁しましたような各般の整備をしているところであります。

 もちろん、金融庁の検査マニュアル、地域の金融機関と中小企業との関係、リレーションシップバンキングという話も今注目されているところでありますし、大銀行のように、既定のマニュアルに従ってばさっとやる、判断をするというんじゃなくて、もっとそこの経営者の経営能力とか従業員のモチベーションとかビジネスプランとか、その辺に着目して融資をする。その銀行に対してはそれなりの検査マニュアルがあってしかるべき、そこに若干のダブルスタンダードがあってもいいんじゃないかというのが私の思いでもありますから、金融庁も含めて、これら業を起こしていくということについて総合的に取り組めるように、引き続きしていきたいと思っております。

後藤(斎)委員 私も、無制限に自由財産の保全をしろという話をしているつもりはありませんけれども、ぜひ、そういう観点もあるということを、引き続き連携をしながら対応していただきたいというふうに思います。

 それでは、地域資源活用促進法の方に移らせていただきます。

 これは、二条の二項で地域産業資源ということを規定しております。その中では、一、二、三に分けて、特産物として相当程度認識されている農林水産物または鉱工業品、そしてそれに係る技術、文化財、風景、自然ですね、温泉その他観光資源、相当程度認識されているものというふうな規定があって、その後三条に基本方針が、主務大臣が定めるもの、都道府県知事が地域資源活用事業を促進する基本的な構想ということで、基本構想を四条で策定することになっています。

 大臣、これを読んでもイメージがよくわかないんですね。ですから、ある意味では、さっきの特定商取引法じゃありませんが、大臣もよく理解はされておると思いますが、解釈が変わってしまって、また担当の事務方の方でいろいろ悩んでしまうということではないように、私はちょっとお尋ねをします。

 この三条の基本方針、これは、具体的に例えば三条二項に一号から五号まで書いてあるんですが、具体的にはこれから政令か省令で詰めていくということで理解をした方がよろしいんでしょうか。

甘利国務大臣 このスキームは、国が基本方針をつくる、それに準じて県が基本計画をつくって、その際には、県がつくりますけれども、市町村や商工会、商工会議所等々とよく意見交換をし、議論をします。我が県内の地域資源とは何ぞやということで具体的に挙げていくわけであります。それを活用した事業化とか企業化を、申請者がこれを使ってこうしますということを申請を出して、それを認定するということになります。

 国の基本方針は、そんなに余りがちがちなものにしたらかえってよくないと思いますから、国による支援の基本的な考え方とか、都道府県が地域資源を指定する際の基準であるとか、あるいは、中小企業者が作成する事業計画の認定基準等の内容になると思います。余りがちんがちんで、ちょっと踏み外れたらだめみたいな話じゃなくて、国の基本的な方向性、考え方ですから、それを受けて都道府県が基本構想を策定する。

 だから、都道府県の基本構想が極めて大事だというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣がおっしゃったことはよくわかるので。

 では、第四条で、基本構想の認定というのを、先ほどちょっと指摘した、知事がつくりますよね。これを読んでも、これもイメージが実際よくわかないんですよ。多分、このまま知事というか県につくってと言っても、なかなかすぐつくれるという感じでは正直言ってないんではないかなと。いずれにしても、この四条の基本構想の認定をして、都道府県が基本構想を策定して地域資源を指定して、国がそれを認定するという流れになります。

 きのうちょっとお渡ししてありますが、私の地元に、身延山という日蓮宗の総本山の久遠寺があるところに、これはモウソウダケで大変に有名な地域であります。一年間に三千五百ミリくらい、三千ミリを超すような雨が降って、モウソウダケが伸びるときには一日に一メートルくらいわっとこう大きくなるところ。そこでもう十年近くになりますが、身延竹炭企業組合という、平均年齢が七十を超えるくらいの方が四十人から五十人くらいでお仕事をされて、竹を焼いていわゆる竹炭ということで、炭をいろいろなものに使って生産、販売をしているところであります。

 この企業は、〇一年に農林水産大臣賞を受賞したり、〇三年に国土交通省の地域活性化貢献賞というものを受賞されたりというところで、非常に高齢者の方、それも男女問わず、一時間当たり例えば七百円なら七百円という同一の賃金で平等にやられているという、結構珍しいというか意欲的な企業体なんですが、こういう、過去に地域活性化貢献賞とか農林水産大臣賞とか、先ほどちょっと御指摘したように、身延という地域ではこの竹というものは多分地域資源ということであると思うんですが、例えばこの事例というのは、指定をされるんでしょうか。

石毛政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、後藤委員がるる説明されましたような性質の特産品だというふうに私ども承知をしております。そういう竹炭について、今でも、工芸品に使うだけではなくて、例えばおふろで使うとか安眠まくらに入れるとか、いろいろな使い方をしているようであります。今までやっていることではなくて、そういう新しい取り組みをその中からするのであれば、このような竹炭を地域資源として考えて進めるということは十分可能だというふうに思います。

 ただ、いずれにしましても、仕組みとしては都道府県がまずそういう判断をすることになっておりますので、そういう判断の中で決めていっていただくということが必要だと思います。

後藤(斎)委員 大臣、先ほどもちょっとあれしましたが、この四条の基本構想の策定を知事がして、四条二項以下に細かくというか、具体的ではないんですが、あるんですが、ある程度マニュアルをつくると、また国が一律的に指導するみたいであれなんですが、やはり少しわかりやすいような形でないと、例えば、県とどういう形で相談したらいいかということも、多分実際、中小企業の方、特に経営主体が高齢者の方であれば、なおさらわかりにくいと思うんですね。

 それと、この身延竹炭組合の方にもお話を聞いたら、実際、いいものを自分たちは一生懸命考えながらつくれるけれども、マーケティング、販路ということになるとやはり非常に難しい。今回のこの制度も、マーケティングの専門家の方をという制度になっていますが、実際、このスキームを見させていただいても、支援措置が決定をされたから、この専門家にアドバイス、例えば、どこか買ってくれるところありませんかという相談をするんだと思うんです。

 この専門家というのが、そのときに特にマーケティングということで非常に重要になると思うんですけれども、中小企業庁の方にお聞きをして、実際、常勤のこの専門家の方は大体六十名くらいいらっしゃって、外部委託をする方も含めてですが、専門家の費用が大体一日五万円。何か短期だけで計算をして、長期で一年とか二年の方がいらっしゃるのかもしれませんが、やはり熱心にそれを本当に育てるという意識がその専門家の方にないと、この間も、政務官にチョコレートは一年間に新製品は二百ですか二千ですかというお話を聞いたのと同じように、やはりどんどん新製品ということで製品はかわってきますから、それをやはり大臣がおっしゃるように、いや、地域にあって継続性のあるものだというお話もあるんですが、この専門家という役割も非常に大切だというふうに思うんです。すごく短期で、例えば一日無料の弁護士相談とかそういうものではなくて、長期間、それを本当に育て上げるというくらいまでやるというふうに考えていく必要があると私は思うんですが、その専門家の役割も含めて、その点、どういうふうにお考えなのか。

 それとあわせて、その専門家という方が、もし五万円が日当であれば、三百日働いたら一千五百万の年間収入になるわけですが、この事業が例えば五年後に終わるときにその専門家の方をどういうふうに評価をするのか。

 時間も来ましたので、その二点についてあわせてお答えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 従来から、専門家を派遣するとか相談するという仕組みはありますが、今度の地域支援策では、もうちょっと腰を据えてやろうというふうに思っております。やはり、地域資源はあっても、それをうまくデビューさせていく人がいないとうまくいかないというのはよくわかっておりますから、そこはしっかりサポートする。

 それから、そういううまくデビューをさせた成功体験者がいますから、これはサポーターとして、百三十八名だったかな、お願いをしておりますし、また必要があればふやしていきます。地域に点在しているそういう人たちの力もかりていきたいと思います。

 それから、これは毎年予算をつけていくことでありますから、単年度限りの政策ではありませんし、もちろん政策評価もしっかりとしながら、よりいいものにはぐくんでいきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 済みません。時間が来たので、大変たくさんの方に来ていただいて恐縮ですが、きょうのところは以上で終わらせていただきます。時間がありましたら、また来週よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

上田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

上田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、連合審査会開会申入れの件についてお諮りいたします。

 内閣委員会において審査中の内閣提出、株式会社日本政策金融公庫法案及び株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の両案について、内閣委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、内閣委員長と協議の上、公報をもってお知らせしますので、御了承願います。

     ――――◇―――――

上田委員長 質疑を続行いたします。大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 甘利大臣を初めとして関係の皆さんに、今回の経済成長戦略大綱関連三法案といいますが、言ってみますと、日本の現在の持てる力をもう一度掘り起こして強い体質をつくろうという趣旨だと思いますが、この法律案について質問をさせていただきます。

 現在、甘利大臣も経済産業大臣として日夜大変な努力をされているわけですが、日本の努力は努力としながらも、アメリカと韓国でFTAが締結をされる、あるいは、日本とアメリカ、FTAも課題になってくるんじゃないかという趣旨の話も報道でされておるところであります。この話はまた別な機会にさせていただきますが、ぜひ甘利大臣には、地域社会あるいは日本の企業あるいは日本の企業を取り巻く環境あるいは地域における現実、そういうことをしっかりと踏まえて、堅実な日本の経済体質になるようにさらに一層努力をしていただくことを冒頭にお願いをしておきたいと思うところであります。

 今回の法律案の内容等については、既に馬淵議員あるいは後藤委員から質疑がされているところでありますが、馬淵議員からは甘利ファンドという名前もちょっと出されましたが、いずれにしても、あらゆる手を尽くして日本のものづくり、あるいは地域経済の再生に向けてみんなで力を合わせていかなければなりませんので、そういうことも踏まえて質問をさせていただきます。

 特に、きょうは、地域においてはどんな声が上がっているのか、あるいはこの三法案にどんな期待があるのかということを少し尋ねてまいりました。私の地元にも、茨城大学の工学部もございますし、商工会とか商工会議所、あるいは市の方も、どうやったら地域の経済を再生できるかということでかなり真剣に取り組んでいるという実態もわかりました。

 二、三御紹介申し上げますと、例えば、日立市においては、一生懸命努力しているんだけれども、せっかく茨城大学の工学部があるんだけれども、それを十分に生かされていない。地元の中小企業との接点がなかなかないとか、大学の方に言っても、なかなか企業の方がこっちを向いてくれないとかいろいろな悩みもあるようですが、そこら辺の連携をして、再生のための基盤をどうつくるか、こういうことも真剣に考えているようであります。また、高萩とか北茨城の方でも、山と海、そういう観光をどう織りまぜて再生を図るかとか、いろいろそれぞれ努力をしているようでございます。

 そういう状況で幾つか具体的な質問もさせていただきますが、まず甘利大臣には、今回の三法案、これまでの御経験等を踏まえての法案提出と伺っておりますが、この三法案を提出するに至った背景について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

甘利国務大臣 安倍内閣のスローガンは、成長なくして日本の未来なしであります。これは何を意味するかといえば、ほうっておけば、日本は、制約要因を抱えているし、経済はマイナス成長になりかねない。つまり、人口が減っていきます。少子高齢社会にもう既に突入をしている、労働力人口はどんどん減っていく。そういう中で、一方で財政赤字に正面から対処をしなければならない。つまり、借金をしっかり返さなきゃいけない、未来にツケは残せない。そうすると、歳入の中から返済に回る金額はどうしても多くなる。あるいは、高齢化社会に入っていって社会保障費の自然増というのはふえていく、この予算を確保しなければならない。でありますから、経済が成長して税収をしっかり確保していかないと実は大変なことになるということで、成長なくして日本の未来なしというスローガンになっているわけであります。

 では、その成長をどう確保するか。イノベーションによって産業の力を強くしていく。あるいは、オープンという姿勢、先ほど先生が御指摘になりましたが、EPAというのはオープンな姿勢をもとに市場を広げるというわけでありますが、日本国内と同じように商売ができる地域を広げていく、こういう施策をとっていかなければならないわけであります。

 国内に目を転じますと、経済成長を確保していくためには、やはり地域の力が必要であります。地域経済がしっかりと立ち上がっていってくれないと日本経済自身が回復をしていかない。しかも、中小企業が全企業に占める比率は九九%以上であります。雇用も七割以上を支えている。中小企業が再生をしていくということと地域が再生をしていくということは、かなりオーバーラップするわけであります。そういう視点から中小企業と地域を再生していく、たくましく成長路線に乗せていく、そのためにこの三法案を提出した次第であります。

大畠委員 今、甘利大臣からもそういう背景についてのお話、御意見がありましたが、私が見るところ、確かに、日本のものづくりもあるいは地域の方も、非常に疲弊していることは事実でありますから、この三法案、産業活力再生特別措置法の改正、これで産業再生。あるいは、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案、これも、農林ですとか観光ですとかそういうもののてこ入れ。あるいは、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案、これは、企業の立地あるいは大学との連携とか人材育成。

 どれも大変大事な法案だと思うんですが、私は、日本が進んでいる、これも一つの現象面をどうするかということなんですが、なぜそういう現象が起こったのかという根本のところをしっかりと踏まえておかないと、常に何か後手後手のといいますか、現象が起こってきたらそれに対応するという、これまでの日本の国の施策と同じような形になるんじゃないか。

 その根本は何かというと、甘利大臣と私は意見を異にするかもしれませんが、市場原理主義経済というもののとらえ方だと思うんです。すべてを規制撤廃して自由競争させればうまくいくんだというような話で、一九九〇年のバブル崩壊以降どうするんだというときに、アメリカが、助け舟なのかあるいはまた別な意図があったのかわかりませんが、いわゆる年次改革要望書というものを次々と日本に要求しては、それを日本がのんできたんですね。それをのめば何とか日本はやっていけるんじゃないかという形でここまで来てしまったんですが、特に小泉政権になってから顕著に、構造改革と称する小泉改革を進めてきたんですが、その結果として、こういう三法案を提出しないと地域の経済あるいは地域の社会が非常に疲弊するということになってしまったんじゃないかという感じも私は受けるわけです。

 そこで、では市場原理主義経済に対抗するものは何かということでございますが、これについても前回質問をいろいろさせていただいたところでありますが、一つは、前回も取り上げたかもしれませんが、「世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す」という、ノーベル賞を受賞したスティグリッツ博士の提案でございます。この方の提唱だと、最初は市場原理主義経済がすべて問題を解決するという考えで進めてきたんだけれども、どうもそうではないという主張がこの本の中にも提言されているわけでありまして、ここのところを甘利大臣にも、経済産業大臣として、この三法案は三法案としながらもぜひ研究をしていただきたい。

 このまま突き進むと、例えば十年後、二十年後のものづくり、あるいは地方経済はどうなるのか。これはこれとして私は非常に大事な法案だと思うんですが、少し長期的なビジョンで、経済産業省にも優秀な方がおられます。特に、四月一日付で、何人かわかりませんが、二十名か三十名、入省されたんでしょう。もっとたくさんされたかもしれませんね。その方々も非常に意欲を持って経済産業省に入ったし、各省庁にもみんな夢を持って入ってきたんですね。

 その官僚の方々のやる気あるいは英知を結集しながら、私は、経済産業省というところは日本のまさに経済の中枢をなすところですから、少なくとも、十年後、二十年後、三十年後の日本の経済あるいは社会というものを念頭に置いた長期的ビジョンというものを掲げて、その上でこういう法律案を提出するということがあってしかるべきだと思うんですが、この問題についての甘利大臣としての御所見をお伺いしたいと思うんです。

甘利国務大臣 経済財政諮問会議でも私と民間委員がよくぶつかる場面があります。それは、私は、規制緩和というのは、経済を発展させる、企業の競争力を伸ばす有力な武器であることは間違いない、間違いないけれども、しかし、これは極めてよく切れる刀だから、扱い方を慎重にしないとけがをするおそれもあるという種類のことを言っているわけであります。

 かつて、私は予算委員会の理事として小泉総理に質問をしました。そのときに、規制緩和、規制改革は極めて有効な武器だけれども、その武器を使うときには、ある面、慎重に判断をする必要がある。その判断をする、使うべしという基準はイノベーションで、イノベーションが起こることが予想される分野には大胆に振るって、それから、単に過当競争だけしか起こらないのではないかというところには慎重に対処してほしいという話をいたしました。

 そのときに申し上げたのが、タクシーの業界の例を挙げました。私自身がいろいろな場面で接していたのは、もちろん、サービスがよくなった、運転手の態度が変わった、愛想がよくなったというような報告もありますけれども、従業員の生活環境が劣悪になったという報告も当然あるわけであります。結局、イノベーションというよりも過当競争が起きてしまっていて、過剰に事業者が参入をして、パイの取り合いになった部分がかなり指摘されているわけであります。

 そこにどうイノベーションを持ち込むか。それは、効率的なお客さんのピックアップをする、そういう優良運転手の業務行動をGPSでソフト化して、それを他の効率の悪い運転手さんにもこういう方法でということをすれば効率が上がるという部分もあるのかもしれません。しかし、パイが決まっているところに台数を大幅にふやすと、やはり弊害も起きる。ですから、イノベーションが起きるか過当競争になるか、そういう判断、視点が必要ではないですかという問題提起をしたことがかつてあります。

 それで、政府側の人間になってもそういう思いが私自身はありますので、経済財政諮問会議において、規制緩和、規制改革は極めて有効な武器であり、それ自身はお金が実はかからないから使いやすいんだけれども、弊害も副作用もあるということを考えながら有効に使うべしという発言をしているところであります。

大畠委員 このスティグリッツ博士の主張は、今、甘利大臣からもちょっとございましたけれども、市場原理主義経済に身をゆだねると、貧富の格差だとか、国と国の間の格差も非常に開いたり、非常に弊害が多い、そして、そのためにセーフティーネットの充実を図らなきゃならないというのが彼の後半の部分の主張なんですね。

 ところが、残念ながら、今、小泉、安倍政権のやっていることは、セーフティーネットを十分張ってきたんだけれども、お金がかかるからこれを少しずつ外していこうというのが、医療ですとかあるいは教育あるいは福祉の分野。そういう分野での社会的弱者の人が少しずつ悲鳴を上げ始めている。再チャレンジという言葉がありますが、再チャレンジする意欲すらわかないという社会現象にほうり込まれつつあるというのが私の見方でございまして、これは、大臣は大臣としてまた別な御見解があると思いますが、もしも市場原理主義経済に国民をほうり込むのであれば、せめてそういうセーフティーネットの充実というものと一緒に考えていかないといけないという考えを私は持っております。

 そこで、具体的な話に少しずつ入ってまいりますが、まず、今回この対象になっているのは地域経済と中小企業ということでありますが、経済産業省として中小企業の現状というものをどう見ているのか。すべてお医者さんが判断するときには、患者の体力ですとか現状をよく把握した上で治療を施さないと別な弊害が起こる可能性もありますので、この中小企業の現状というものをどう見ているのか。

 一部、景気が回復したという声もありますし、四月二日の日銀の三月の企業短観では、悪化しているという声もございます。人手不足になってきているという声もありますし、それも、私も団塊の世代の一人でありますが、ことし六十で退職する人が非常に多くなるということで、いわゆる熟年労働、非常に経験豊かな、社会を支えてきたメンバーが大量に退職するということで、経営者の方でもそれを何とか補わなきゃならないというので人手不足感も上がっているのかなと思うんですが、現在の中小企業を経済産業省としてどのように見ているのかという、ここのことについてまずお伺いしたいと思います。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業をめぐる景気の状況でございますけれども、今先生もお触れになりました日銀の短観によりますと、業況がよいとする企業、それから悪いとする企業、その割合がほぼ等しいというのが、日銀短観による中小企業の景況になっております。

 ただ、私どもの中小企業景況調査、これは小規模企業を多く含んでいる景況調査でございますけれども、それで見ますと、製造業、非製造業とも、悪化というふうに答える企業の比率が好転というふうに答える企業の比率を大きく上回っているという状況にございます。

 それから、今先生も御指摘になりましたように、業種とか地域によりまして非常に回復の度合いにばらつきがございます。全国の中小企業を見てみますと、いまだ景気の回復を実感できるという状況にはなっていないのかなというふうに判断をしております。

 それから、こういう景気回復が日本全体としては進んでいるというふうに言われているわけですけれども、その中で、今御指摘のありましたような人手不足の問題、そういうものが中小企業においても徐々に実感はされてきております。そういう中で、中小企業の側でも売り上げをふやしたいというようなことで雇用をふやすというようなことをする企業もかなりあるわけですけれども、どうしても人件費が上がってきている、その人件費がなかなか売り上げの方に転嫁できない、価格の方に転嫁できない、そういう厳しい状況にあるというふうに認識をしております。

 したがいまして、私どもは、そういう中小企業の状況は厳しいものでございますから、引き続きよくその動向を注視していかなくてはいけないというふうに思っております。

大畠委員 今、報告がありましたけれども、基本的には私もそうなんだと思うんですね。よくなってきた、よくなってきたと言うけれども、地方の方の商工会とか商工会議所のお話を伺うと、いや、とてもそんな気持ちにはならないと。その気持ち、景気も気の問題という話もありますが、気持ちはやはり重いんですね。それで、今後どうなんだろうかという不安感が非常に強いというのが、地域における経営者の基本的な考えだと思うんです。それが今の報告にあるような形で、決して好転はしていない。中小企業の地域におけるマインドは非常に悪化しているんじゃないかという意識に集約されるという報告も前段ありましたけれども、だから、そこのところは大事なことだと思うんです。

 六本木ヒルズとかそういうところは、あそこは日本の国なのかどうか、私は見間違うような感じがします、正直言って。私の地元の方から見ると、ここは何なんだろうかと私は思いますが、そういうところも生まれてきていることは事実なんです。だから、それだけ非常に差が激しくなっているという現状を認識しておかなければなりません。

 それから、人手不足の問題ですが、人数さえそろえばいいというんじゃなくて、どういう人が集まってくるか、マインドですね。経済産業省にも入った人がいろいろたくさんおられるでしょうけれども、どんなマインドで来たか、その入省したときの気持ちをずっと持ち続けられるとこれは非常にいいことですが、テンションが下がってくると、だんだん自分の未来ばかり見ていて、公務員というのは公に尽くすのが公務員ですから、自分の、私的に務める意識になってもらったのでは困るので、これもすべて意識なんですね。だから、どういう意識を持った人が地域で産業を支え町を支えるかという、そのことも非常に大事なので、私は、そこも含めて後ほど人材確保の問題についてもお伺いしたいと思うんですが、まず、現状をしっかりと踏まえた形で対処をすべきだということを申し上げさせていただきます。

 それで、具体的な話の二番目に、地域商店街あるいは地域経済対策としていろいろと経済産業省も考えておられると思うのでありますが、今回の三つも、基本的には、企業、それから農林水産、観光、人材確保等々は考えているわけですが、これまでも、バブル経済の崩壊以来、いろいろな施策を経済産業省はやってきたんです。でも、なかなかその薬が効いていないのも事実なんですね。それで、今回の三法案をベースとして、経済産業省は地域経済をどう好転させようと考えているのか、その基本的な戦略をお伺いしたいと思います。

福水政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘にございますように、全体、景気の方が回復過程にある中で、地域によりましてはその回復度合いにかなりばらつきがあるというのも事実でございまして、足取りが弱いおくれている地域につきましては、一般的に言えることは、一次産業でありますとかあるいは公共事業に依存度が高い、そういう地域じゃないかというふうに思っております。

 また、人口減少とか少子高齢化、これが進んでまいりますし、公共事業費の削減につきましてもますます厳しくなってくる中で、何も手を打たないと、ますます地域間の格差が開いて、取り残される懸念も出てくるというふうに考えております。

 こういう中で、地域経済あるいは中小企業の活性化を図るためには、企業立地を進めたり、あるいは既にあります既存産業の高付加価値化、これはイノベーションを通じてでございますが、高付加価値化を進めたり、あるいは地場にあります農林水産品をさらに付加価値を強めて売り出していく、こういう取り組みが極めて重要じゃないかというふうに考えております。

 このため、私ども今国会に、企業立地の促進を通じまして、みずからの強みを生かした個性ある産業集積を目指した地域の取り組みを支援するという意味で企業立地促進法案を出させていただいておりますし、農林水産品や産地の技術を生かしまして新商品、新サービスをつくっていこう、こういうことで中小企業地域資源活用法案を出させていただいております。また、地域の中小企業の再生を円滑に進めるという意味で産活法の一部改正案、これは大綱三法でございますが、提出させていただいているところでございます。

 さらに、これに加えまして、昨年度から施行になっております中心市街地の活性化、いわゆるまちづくりでございますね、これにも注力いたしております。これも、昨年おつくりいただきましたものづくりの基盤を担う中小企業、金型でありますとかプレスでありますとか、こういうサポーティングインダストリーを育てていこう、強くしていこう、こういうこともやっております。

 また、産業クラスター計画、先ほど先生の方から茨城大学という話がありましたが、大学と地場の中小企業のネットワークをいかにつくっていくかという意味で、産業クラスター計画などを通じまして、地域発の新事業あるいは新しい取り組み、新産業、こういうものを進めておるところでございまして、各種いろいろな施策を総合的に使いまして、地域経済の活性化に全力で取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

大畠委員 基本的なお話を伺いましたが、ぜひセンサーをあっちこっちに張りめぐらせて、そういう考え方で本当に効くのかどうか、お医者さんがいい薬だからと投与してもそれが功を奏せないときもありますから、十分に地域の声、実態を把握しながらの戦略をとっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 次に、人材。先ほども私、人が大事だというお話を申し上げましたが、人材、人ですね。商店でもそうですし、中小企業でもそうですし、すべて私は人なんだと思います。

 そこで、この問題についてもいろいろお話を伺ってくると、なかなかいい人が来てくれないという悩みは、これはどこでもあるんですね。ちょうど今、来年卒業する学生にとっては就職活動をやっているところだと思うんですが、目につくところの企業には入るけれども、なかなか小規模あるいは中規模の企業にはいい人が来てくれないという悩みはずっと抱えています。

 同時に、後継ぎがいない。これは市場原理主義経済で言えば、後継ぎがいないというのは魅力がないんだからそれでいいんだということかもしれませんが、いい技術を持って、いい伝統的な産業なんかも、そういうことはやらない、手っ取り早く株の売買とか、堀江社長とか村上さんを目指して手っ取り早く巨額のお金を得た方がいいという風潮もなぜか社会的に吹聴されてきたところでありますが、もっと私は、日本人は正直でまじめで、こつこつと物事をこなしていく、そういう大多数の国民がいて初めて日本は成り立ってきたんです。堀江さんとか村上さんもそれはすばらしい能力を持っているかもしれませんが、みんな一獲千金みたいな形のものだけを追い求めたのでは、私は日本の国が崩壊してしまうと思うんですよ。

 ですから、もっと私は、まじめにこつこつと仕事をこなす、ルールがあればルールをきちっと守ってやっていく、そういう人間的な基盤をどうつくっていくかというのは、本当に長期的にも大事なことだと思うんですが、次代を担うといいますか、商店街あるいは中小企業でも、後継者がいなくて困っているという方には何か、仕事がない方も随分いるわけですから、そこの橋渡し。まあ、ハローワークには出ないんですね、この話は。

 ですから、経済産業省として、中小企業の人材確保、商店あるいは特異な業、なりわい業をやっているところの後継者をどうやって確保していくか、ここのところも私は大事なんだと思うんです。経営権を意欲がある人には譲ってもいい、ぜひこれを残したいという人もいるわけで、そういうことに対する対策をどう行うかということが一つ。

 それから二つ目には、もうかるかもうからないかというのもおもしろいのかもしれませんが、私もものづくりの世界でやってきましたけれども、物をつくるということは非常に楽しいことなんですね。金属を削ったり、あるいは組み立てたり、動くものをつくる、あるいはユーザーが使用していいものをつくってくれてありがとうと言う、そういうお金以外の部分のよさも随分あるんです。

 ここのところも、どうも片隅に追いやられているような感じがするんですが、各市町村にある工業高校、高専も含めて、あるいは工業大学とか、そういうところの学生同士の交流が正直言って余りないんです。余りというか、ほとんどないでしょうね。地元の人も余り関心を持たないというので、ここのところが、行き来がなければ理解もされませんし、理解がなければ就職しようという気にもなりません。

 そういうことで、これは、もう既に欧米ではインターンシップ制というものを導入して、地元の企業に高校生とか大学生が夏休み等で、経験を積みながら物をつくる、あるいはこういう仕事をするということで非常によく認識をしながら、地元に就職しようという活動のベースになっているという話も聞くんです。ここら辺、文部科学省が管轄かもしれませんが、経済産業省と文部科学省が連携をとって、いかに地元の企業を理解し、そして仕事を理解しながらそこの場に勤めてもらう、そういう努力も日本としては足らないんじゃないかと考えております。

 いずれにしても、そういう交流が非常に乏しいという声も上がってきておりますので、経済産業省、文部科学省の方もきょう来ていると思うんですが、ここら辺、本当に大事なことなので、お二方からこの問題についての基本的な考え方をお伺いしたいと思うんです。

石毛政府参考人 お答えいたします。

 二つの大きな問題をいただいたと思います。最初に、後の方の問題からお答えしたいと思います。交流をもっと深めていかないと人材はなかなか育たないぞ、そういうお話だったと思います。

 御案内のとおり、少子化が進行して団塊の世代の退職ということを考えると、ものづくりの人材の育成というのは、今先生がおっしゃったように、待ったなしの課題になっている。そういう中で、実践的な人材育成というのが非常に重要だというふうに思っております。こういう認識のもとに、私ども、三つの段階で製造現場と企業の間の交流を深めて人材育成をしていこうということに取り組んでおります。

 ちょっと時系列的に申し上げますと、最初に、工業高等専門学校、いわゆる高専でございますけれども、平成十八年度から、地域の産業界と高専が連携をして中小の製造現場を担っていく若手技術者を育成する、そういう事業を始めております。地元の企業のニーズを踏まえまして、特に高専の場合は割合いい研究設備を持っているものですから、例えばクリーンルームなんかを持っている高専もございます、そういう場所で中小企業の若手技術者を訓練するというような事業を立ち上げております。

 それから、本年度からでございますけれども、地元の産業界あるいは教育委員会、そういうものの協力を得まして、文部科学省と連携をして、工業高校にものづくり人材を育成するための実践的な教育を導入する事業を立ち上げております。具体的には、企業の技術者を高校へ派遣して実践教育をするとか、それから、生徒あるいは教員の方が生産現場に行って研修を受けるとか、そういったような事業を始めようとしております。

 それからもう一点、大学のレベルに関係するわけですけれども、製造現場の中核になる人材を育てようということで、産業界と大学が連携をしまして実践的な人材育成を行うという事業を、これも十八年度からですけれども、行っております。

 こういう形で、ものづくり人材のところにつきましては、単に教育の施設でやるだけでは不十分なものですから、企業と密接な連携をとって、それから、関係の省庁、とりわけ文部科学省と連携をとってそういう人材育成に努めていきたいというふうに思っております。

 それからもう一点、事業承継といいますか、後継者不足の点について御質問がございました。

 中小企業の場合は、数の多いことはパワーであります。そういう中小企業をふやしていくこと、無駄に減らさないこと、そういうことが必要だと思っております。そういう中で、私ども、事業承継の円滑化というのは非常に重要だというふうに認識をしております。

 そういう事業承継、そういう人材をきちっと確保するということが必要だという認識を強く持っておりまして、私ども、二つの場所でそういう後継者の育成というものに取り組んでおります。一つは、商工会議所、商工会。こういうところでは、大体二十時間から三十時間ぐらいの研修で後継者を養成しようということで、今まで一万人ぐらいの方がそういう研修を受けております。それから、もうちょっとインテンシブに研修を受けるという形のものとして、中小企業大学校で、後継者を育成するセミナーをずっと実施してきております。中小企業大学校の場合、十カ月ぐらいかけてそこで訓練をしていくというようなことをやっております。

 それから、事業承継を現実にやっていくということになりますと、いろいろな問題が出てまいります。大畠先生も御案内のとおり、事業承継に係る税制面の改正というのを累次行ってきているわけですけれども、これに加えまして、昨年度、事業承継ガイドラインというものを公表しております。この中で、後継者の教育は早く始めなくてはいけない、後継者への資産の引き継ぎ方はどうするのか、種類株の使い方だとか法律の問題等々、そういうようなものをその事業承継ガイドラインの中でお示しをしているわけでございます。

 それから、平成十九年度からでございますけれども、後継者問題にさらに突っ込んで対応しようということで、専門家によるネットワークを組んで、法律問題であればこの先生、会計問題であればこの先生、そういうような形で、ネットワークを組んで対応するということのための予算措置を講じてきております。

 それから、先ほど、例えば事業を売却するというようなケースもあるんじゃないかというお話がございました。

 御指摘のとおり、事業承継の形も随分変わってまいりまして、二十年ぐらい前ですと、大体自分の息子さん、お嬢さん、あるいは親族の方に引き継ぐというのが九十数%でございました。ところが、最近時点で見てみますと、そういうふうに親族に引き継ぐというのは大体六〇%ぐらいになっておりまして、四〇%が親族外に引き継ぐという形になってきております。そういうことを受けまして、私たちは、外に事業を譲渡する、そういうような場合に、その譲渡を受けようとする者に、お金が不足しているだろうということで、そういう面での制度的な金融をつけるというような措置を十九年度から実行するということをやろうとしております。

 こういったような形で、事業承継にかかわるものは、人材面だけではなくて広い範囲の問題をいろいろ含んでおるものですから、さらに検討を進めて、役に立つ承継制度をつくっていきたいというふうに思っております。

合田政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘ございましたように、工業高校、大学、高等専門学校の生徒、学生が企業で仕事の実体験をする、インターンシップなどを通じて実習をするといったようなことは、生徒、学生の実践力の習得のみならず、次代を担う人材の育成確保あるいは職業観、勤労観の育成といったような観点からも、極めて重要であるというふうに認識をしております。

 インターンシップにつきましては、高等学校におきましても、インターンシップなどの学校外における学習をそれぞれの学校で単位として認めるという制度を私ども用意しているわけでございますけれども、広がりと申しますか、日数とか内容につきましても充実がまだまだ必要であろうというふうに考えておりまして、各都道府県における取り組みの充実を促進していきたいというふうに考えております。

 さらに、先ほど御紹介のございましたものづくり人材育成のための専門高校・地域産業連携事業を、経済産業省と共同で、連携をして十九年度から新たに推進をしてまいりたいというふうに考えております。

 また、大学段階におきましても、いろいろと、インターンシップの普及啓発のためのフォーラムの開催でございますとか、あるいは私立大学等に対します特別補助でございますとか、大学院生を対象とする質の高い長期インターンシップの開発、実施の支援といったようなことを実施しているわけでございますけれども、十九年度からは、新たにものづくり技術者育成支援事業というものをスタートさせまして、地域の企業とも連携をいたしまして、実験、実習あるいは講義といったようなものを有機的に組み合わせて実践的な教育を行う。そういったようなことで、企業でのものづくりをリードする技術者の育成を図ることとしているところでございます。

 今後とも、経済産業省とも連携をしながら、次代を担う人材の育成確保に努めてまいりたいと考えております。

大畠委員 今、合田大臣官房審議官から、インターンシップ制について、メニューは準備したんだけれどもまだ十分に広がりがないというお話がございましたが、なぜメニューが準備されても広がりがないんですか。

 やはり、メニューを準備して、せっかく出したらそれが生かせるように、皆さんはメニューさえ準備すればいいんじゃなくて、それが実際に使われないと、せっかく法律をつくっても生かされないのと同じですから、それだけのインターンシップ制度があるのであれば、地元の高等学校とか工業高校あるいは高専、大学等でももっと、学生だってそういう機会を求めているし、地元の企業だってそれを求めているはずですよ。ところが、実際上はなかなか普及していない。

 アメリカ、ヨーロッパでは、学生たちが、自主的かどうかわかりませんが、非常に積極的に入っていって、そういうインターンシップ制度を利用して企業の実態を学んでいる。私の地元の、選挙区外ですが、ひたちなか市では、去年、四人ぐらい高専の方が地元の企業に就職してくれたと非常に喜んでいるんですね、四人でも。

 だから、どうもそこら辺、文部科学省の合田大臣官房審議官のいわゆる認識、緊張感のある認識が少し足らないんじゃないか。せっかく、制度をつくったら、なぜそれが生かされないんだ、そこら辺まで踏み込んで、少しサーベイして、さらに普及できるように努力していただきたいと思いますが、もう一度そこら辺の背景を教えてください。

合田政府参考人 お答えをいたします。

 まさに御指摘のとおりでございまして、インターンシップを初めといたします企業での実体験を通じて学ぶということにつきましては、これは高等学校の努力だけでは実現をしないわけでございまして、実際に、中小企業を初め、企業の方々との連携がきちんとできないと成立をしないわけでございまして、これまで、お互いに求めていたということだろうとは思いますけれども、そこのところがなかなかうまくいっていないことがあったというふうに思っております。

 そういうことでございまして、私ども、実は平成十六年度から、地域の産業界と連携をして学校での教育と企業実習を組み合わせた実践的な職業教育を行ういわゆる日本版デュアルシステム、諸外国で行われておりますようなデュアルシステムを日本にも導入しようということで事業を実施してきたわけでございますけれども、これをもう一段、本格的に進める必要があるということで、先ほども御紹介のありました、経済産業省と共同で、専門高校と地域産業界が連携、協働をして若手のものづくり人材を育成する、ものづくり人材育成のための専門高校・地域産業連携事業といったようなものを開始したいというふうに考えているところでございます。

 こういったようなことで、高校、あるいは大学も含めて、産業界との連携を強めていく中で御指摘のような点について取り組んでまいりたいというふうに考えております。

大畠委員 これは経済産業省だね。要するに、文部科学省はメニューを提示して、それを使うのは経済産業省ですよ。だから、せっかくそういうメニューがあるのであれば、私も余り聞いたことなかったんだけれども、なぜ経済産業省でもうちょっと真剣にこれをやろうとしないんですか。

 ここら辺について、これはどなたでしょう。いいツールがあるのであれば、つくってあるんだから、それを商工会議所とか何かで話をしてもうちょっと積極的に使ってもらうような、多分、商工会議所なんかもこのルールをみんな知らないかもしれません、経済産業省としてもうちょっと真剣に取り組んでもらいたいと思いますが、経済産業省としての考えをお伺いしたいと思います。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、私どもが行っている事業についてずっと申し上げましたけれども、もちろん、今先生おっしゃいますように、文部科学省が持っている制度についてもしっかり中小企業者によく行き渡るようにして、必要な場合は私たちが仲立ちをしながらそういう制度を活用できるようにしていきたい。商工会議所、商工会などの協力も得て進めていきたいというふうに思っております。

大畠委員 とにかく、これだけ経済関係の三法案を出して、地域を何とか活性化しようというんですから、その原点は人材、人なんです。どんなに優秀な人でも、だんだん年をとってきてこの世を去るんです。次代を担う人が後から供給されなければ、その産業も町も死んでしまうんですよ。

 だから、意欲がある人をいかに供給するかということは非常に大事なので、そういう意味では、地元の企業を理解するというチャンスはひょっとしたらそういうときしかないのかもしれません。だから、ぜひ真剣に取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 その次に、もう一つ、地元の企業から要求があるのは資金問題です、融資の問題。これも、日立市ですとか高萩、北茨城からも要求があるわけですが、特に、連帯保証人制度の廃止というのはずっと昔から要求があって、最近この問題については一歩前進していると聞いております。

 連帯保証人制度の廃止、いわゆるお金を借りるときに、だれか第三者の判こを、保証をもらってきなさい、そうしないと貸しませんよという制度が、日本には古くからあったのかどうかわかりませんが、ここ二、三十年、これで泣いている人が随分いますし、簡単に判こを押したために、連鎖倒産したとか、あるいは保証人の企業とか個人財産も全部押さえられたという悲劇があちこちにありました。ですから、世界に類を見ない連帯保証人制度は廃止すべきだということも私も申し上げておりましたが、この問題についてはかなり前進し始めたということであります。

 このことについて中小企業庁、金融庁の報告を求めると同時に、今回のさまざまな制度改正によって公的金融機関が徐々に縮小して民間金融機関に変わる。これも小泉改革の一環かもしれませんが、これまでだって、貸し渋り、貸しはがし、担保割れしたときには返せと言われた。こういうことで、中小零細企業にとっては何か懐寂しいといいますか、先行き寂しい環境にどんどん追い立てられている。これも市場原理主義経済の一つの影響だと思うんです。

 ここら辺の金融問題について、特に、金融庁は金融庁で一つの考えを持っているんでしょうけれども、中小企業庁というのはまさに中小企業の立場に立って物を言い、考え、対策するというのが中小企業庁ですから、現状の流れの中で、中小企業庁はこの金融改革といいますか一つの流れについてどう考えておられるのか、金融庁はどう考えているのか、ここら辺をあわせてお伺いしたいと思います。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 最初に、第三者保証、連帯保証の問題についてお答えしたいと思います。

 今、大畠先生も御指摘になったとおり、経営に関係のない第三者まで取り立てを受けて連鎖倒産を引き起こすというようなことで、いろいろな問題を起こすということで社会問題として取り上げられてきているところでございます。私ども中小企業庁は、そういう中で、個人保証に過度に依存しない融資というものを積極的に推進してきております。

 私どもが直接かかわっている機関について申し上げますと、中小公庫それから商工中金、これらの機関については、原則として経営に関係ない第三者の個人保証というのは求めておりません。

 それから、国民公庫でございますけれども、国民公庫は非常に小さい企業を相手にしているものですから、第三者保証を求めるケースも多々あるわけでございますけれども、このところ、そういう第三者保証を不要とするような制度を新たにつくってきております。

 御案内のとおり、いわゆるマル経制度というもの、これは無担保、無保証人の制度ということでやってきております。それと、新創業融資制度、これは午前中ちょっと議論になりましたけれども、その中で第三者保証をとらない、それは新創業ということに重点を置いた制度でございますけれども。

 さらに、一般的に第三者保証人を不要とする融資制度というものを新たにつくってきているわけですけれども、これを平成十九年度に制度拡充いたしまして、貸し付けの上限額を一千五百万円であるのを二千万円にする、そういうような制度拡充をするということを承知しております。

 それからもう一つは、信用保証協会。これも午前中議論になっておりましたけれども、昨年の四月から、原則として第三者保証人を徴求しない、そういうように保証協会に求めておりまして、そういう趣旨が徹底されてきているのではないかというふうに思っております。

 いずれにしましても、中小企業庁としましては、今後とも、こういう保証人に過度に依存しない融資というものを一生懸命進めていきたいというふうに思っております。

 それから、政策金融機関のいわゆる改革についてどういうふうに取り組むつもりであるかというお尋ねでございます。

 今さら申すまでもないわけですけれども、日本の産業の競争力は大企業に部品、素材を供給する中小企業が支えている、あるいは、地域経済は各地域にある特色のある中小企業が支えているというふうに言っても過言でないと思っております。中小企業は日本経済を支える、その発展を支える原動力だというふうに思っております。そういう中で、資金調達の円滑化というのは非常に重要な要素だというふうに思っております。

 こういうことで、政策金融機関の再編の議論の中で、中小企業金融の取り扱いをどうするのかというのが議論になったのは先生も御承知のとおりでございますけれども、行政改革推進法の中で、まず株式会社日本政策金融公庫についてでございますけれども、いわゆるマル経制度、そういうものの制度を含めまして、今まで中小公庫あるいは国民公庫が担ってきたそういう機能は、その新しく設立される日本政策金融公庫にしっかりと承継されるんだということが明記されております。それから、商工中金につきましても、民営化後も中小企業に対する金融機能の根幹が維持される、そういうようにするんだということが決定をされております。

 今回の政策金融機関の再編後におきましても、このように新たに設立される日本政策金融公庫それから商工組合中央金庫、こういうところによりまして、中小、小規模向けの資金供給が円滑に行われるように、そういう資金繰りに支障を来すことがないように、中小企業者の方々にとってそういう機関が引き続き頼りになる金融機関として機能し続けるように、そういうふうに私どもはしていきたいというふうに思っております。

河野政府参考人 金融庁からお答え申し上げます。

 金融庁は民間金融機関を監督する立場でございますので、この保証人をめぐる問題につきましては、私どもとしましても、いろいろなトラブルの原因となったという点についてはよく承知をしております。また、大変厳しい状況があったということをさまざまなルートで伺っております。

 そういう中で、私どもといたしましては、この四年間、地域密着型金融の推進ということを行ってまいりました。

 これは、民間金融機関、特に地域金融機関に対しましていろいろ事業再生などへの取り組みや地域再生への一層の貢献等を求めるものでございますけれども、この中で、担保、保証に過度に依存しない融資ということを一項目挙げまして、多様な融資手法の活用、これは動産や債権を担保とする融資の活用なども含めてでございますけれども、こういう、担保、保証に過度に依存しない融資の活用ということを求めますとともに、やはりお客様への十分な説明が必要であるということを申し上げてきております。

 トラブルに至りましたケースの中身を見ますと、やはり金融機関による十分な説明がなされていない、あるいは、保証人の方が負うべき責任について理解をしない、あるいは負担をすることについて全くその能力がないといったようなことがあった場合に非常に深刻な事態が生じておると認識しておりますので、こういった点につきまして、金融機関に対して、保証を要求する場合には客観的、合理的な理由を求める、それから、その理由について保証人となるべき方に十分な説明をし、その納得を得て保証をいただくのであればいただくというような対応をするように監督指針に明記をいたしまして、これまでこれを推進してきておるところでございます。

 今後とも、この地域密着型金融の推進につきましては、一層の取り組みということを行うべく、現在、金融審議会で取りまとめに入っておるところでございますので、私どもとしましても一層努力をしてまいりたいと考えております。

大畠委員 民間の金融機関を監督する立場ですからという話がありましたが、私は、いろいろ聞いていますと、要するに、貸し手と借り手というのは五分五分のリスクを抱えているはずなんだ、本来は。金融機関だけがリスクがなくて借りる側だけがリスクがあるという、今の連帯保証人制度というのはそうなってきますがね、とにかく判こをついてこい、そうすれば貸してやる、万が一のときは連帯保証人からがさっと取るという。だから、金融機関中心の融資制度という制度そのものが余りにも近代国家にはなじまないんじゃないかという認識を私は持っているものですから、そういうふうなお話を申し上げたんです。

 金融庁としては、さらに、今前提条件をおっしゃっておられましたが、基本的には、欧米にない連帯保証人制度というのは日本独特なんですよ。ですから、そういうものはもうやめて。だから、金利の幅があるわけですよね。この人はどうもまだまだ不十分だなと思えば金利を上げればいいし、下げたりして、少なくとも、第三者の連帯保証人制度、判こをついてこいという制度についてはもうそろそろやめるべきだと思いますよ。私はそう感じておりますが、金融庁のお考えをもう一度お伺いしたいと思います。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 この連帯保証という契約形態そのものにつきましては、民法上の制度でございまして、私どもとしまして、これを一律に廃止することにつきましては、状況によってはということになりますけれども、これはこれでまたさまざまな弊害を招くおそれもあると考えますので、この点については、一律廃止ということはなかなか困難という点は御理解をいただければと思います。

 他方、やはりこれは、先生まさに御指摘のように、各金融機関の現場においてこれまでいろいろなトラブルの原因となってきたことは事実でございますし、その点については十分社会的批判も踏まえた監督指針の書き方によりまして金融機関の指導をしておりますので、今後ともその努力を続けさせていただきたいと考えております。

大畠委員 今のお話を伺っていると、ひょっとしたらこれは政治の責任かもしれませんね、ルールですから、法律という意味では。ぜひそういう地域の実態に即した金融庁としての行動をお願いしておきたいと思います。

 それから、公正取引委員長がおられます、顔が見えましたので。お待ちいただきまして、一問だけ御質問して、お答えいただいたらお帰りいただいて結構なんですが、地域の声の中に相変わらず毎回入っているんですが、下請代金の遅延の問題ですとか下請代金の切り下げ、こういうのがやはり横行している。

 大手の企業が高収益を上げている中で、小規模企業あるいは零細企業あるいは中堅企業の収益というのは非常に悪くなっているというのが私の感覚なんです。ですから、地域の方では、先ほど中小企業庁から報告があったように、中小企業の総体としての認識は、悪化している、どちらかというと悪くなっているという認識が広がっているんですね。

 そこで、公正取引委員長にはいつも各方面で御奮闘いただいているわけでありますが、どこに活路といいますか御助力を願うかというと、公正取引委員会なんですね。優越的地位の濫用ですとか、優越的地位を利用してこれでやれと、ここのところは難しいんですが、それに文句言うとまた次に仕事をもらえないということがあるから、わかりましたという話になっちゃうんですが、ほかにもたくさん、安売りの問題ですとか談合の問題もあるし、公取委員長も大変だと思うんです。

 ただ、こういう問題も非常に幅広いところに影響があるものですから、中小企業のまじめにこつこつやっているメンバーが泣き寝入りということについては、ぜひ私は是正させなければならない、政治的にもそう思うんですが、公正取引委員長の下請代金についての現状の認識と、そしてそれをどういう形で是正していくか、そのことについてお伺いしたいと思います。

竹島政府特別補佐人 御指摘の下請法の問題、それから、独禁法に基づく優越的地位の濫用に対する対応ということでございますが、最近も成長力底上げ戦略の中で、下請法の厳正な運用等がうたわれているわけでございます。私ども公正取引委員会は、従来から、デフレ経済が長引いて下請にしわ寄せが来る、また原料が上がっても価格はなかなか転嫁できないという話がたくさんございましたので、下請法の厳正な執行ということには特段力を注いできたつもりでございます。

 平成十六年に法律を改正して、単なる製造業、修理業だけではなくて、役務、いわゆるサービス関係の下請にも法律の適用を拡大しますということをいたしました。それからもう三年強たっておりますが、その間に二十五件の勧告、公表、これは法律に基づく一番厳しい措置でございます。それから、八千八百件の警告ということで、多いケースは、下請代金を一方的に事後的にさかのぼって減額する。百円だったものを九十五円にしてくれというようなことを事後的に要求をして、これはおっしゃったようなことで、下請事業者がのまざるを得なくて泣き寝入りする。それから、支払いがそもそもおくれる。こういったものにつきましては、しかるべきものをちゃんと払いなさい、それから、おくれた場合には利子をちゃんと払いなさいということで、原状回復措置を命じてきております。

 そういう意味で、いかに情報を、そういうときに泣き寝入りせずに公正取引委員会に言ってきていただくかということでございまして、年に二回、中小企業庁と手分けして、言ってみると、官の側から掘り起こしをして、その中で、ああ、この親事業者はどうも複数の下請事業者からこういうことを言われているなということについては、さらに調査をして事件に結びつけていくというようなことを、我々としては、例外的に大変踏み込んだ仕事をさせていただいていると思っていますが、これからもそういうことできちんとやっていきたいと思っています。

 それから、下請関係にない場合でも、大規模小売業者が納入業者をいじめるというようなことで、性格的には同じようなことで、これは独禁法のまさに優越的地位の濫用になるわけですが、これらについても相変わらずあるわけでございます。

 最近も、そういうことで、九州の方のディスカウントショップを展開しているようなところで、簡単に言うと、ただで相変わらず従業員を納入業者から出させて、棚がえ、棚卸しの作業とか新規開店、改装のための作業に当たらせている、それでお金を払わないというようなことだとか。それから、全く理由がないのに、納入業者に何の責めもないのに、売れないからといって返品、本来買い取りであったはずのものが返品をされる、それも、納入業者から見れば大変な額になるというようなことがかなり行われている。

 これらについては、本当にこの三年ぐらい厳正に取り扱っておりまして、わざわざ大規模小売業者に係る告示も出しまして、こういうことをやればきちんと厳正に対処しますぞということを言ってきているわけですが、大分よくなったというふうなことは聞いていますが、まだまだなくなったと言える状態ではございませんので、これからもそこは厳正に目を光らせていきたいと思っております。

大畠委員 最後にまだまだという話がございましたが、私は、竹島委員長になって、本当に公正取引委員会は、公正取引委員会が出っ張らなくても済む社会にしなければならないとは思うんですが、残念ながら、今のところは、市場原理主義経済の社会というのは、まさに公正取引委員会がかなりしっかりしていないと公正な経済社会にならないということで、大変残念ながらというんでしょうか、竹島委員長には大奮闘をしていただいているところです。今まだまだという御認識がありましたが、公正な商業ルール、経済ルールを守らせるという意味で、さらにぜひ御奮闘いただきたいと考えているところであります。

 竹島委員長、どうもありがとうございました。結構でございます。

 さて、今、中小企業の抱える問題について幾つか質疑をさせていただきました。ほかにも準備はしておったんですが、時間的な配分等もございますので、御準備いただいた方には大変申しわけないんですが、少し飛ばさせていただいて次の質問に入らせていただきます。

 ものづくり問題について、先ほど甘利大臣からもいろいろ御指摘をいただいたところでありますが、生産現場における派遣労働問題がやはり私は気になるところでございます。技術、技能を伝承するためには最低限の人が必要なんですが、その人さえ、確保していると価格競争に負けてしまうということで、そこまで削ってまで経営者はコストダウンに努めております。

 確かに、中国製品とどうするか、あるいは国内のメーカー同士がしのぎを削っているんですが、市場原理主義経済に勝ち残るためには手段を選ばずという状況に入ってきていまして、私は、ものづくりというのが今どちらかというと非常に亜流になってしまって、主流は、もうかるかもうからないかという論理が動き始めている。ここのところを放置すると、私は、日本という国は物をつくれなくなる。安いものは中国でつくればいい、海外でつくればいい、日本は、そうすると、農産物も魚もものづくりもなくなって、金融あるいはサービス、観光という国になってしまうんじゃないかというぐらいの危機感を私は持っておるんです。

 厚生労働省が派遣労働問題については平成十五年に法案を改正しまして、ものづくりの現場まで派遣労働をよしとしたわけですが、経済産業省はこれをどう見ておられるのか、厚生労働省は現状についてどう考えておられるのか、このことについてそれぞれお伺いしたい。

 実は、私の住んでおります日立市ですが、かつては日立製作所を中心とする企業城下町と言われておりました。日立製作所に関連する企業が中心となって企業群をつくっておったんですが、最近、この日立市の資料を見て、私は、びっくりといいますか、驚いたわけでございますけれども、それはどういうことかといいますと、「日立製作所グループ企業を頂点とした生産ピラミッドの崩壊」という文書といいますか、報告書が私のところにも寄せられました。今はなかなか、日立製作所からおりてくる仕事だけを受けていればいいという時代は終わろうとしている。逆に言えば、ほかのところからもいろいろと仕事を受注しないとやっていけないということになってしまいまして、それで、生産の従業員数も、平成三年には四万三千人ぐらいいたんですが、今では二万七千、事業所でも、八百五ぐらいあったんですが、今は五百七、出荷額も落ちてきております。

 しかしながら、日立市としては、日立製作所を中心とする企業あるいはそれを取り巻く優秀な基盤技術を持つ中小企業群があります、それから日立港という港もあるし後背地の常磐道路のインターチェンジもありますし、また企業立地の土地の利用計画もありますが、ここら辺があるので、ちょうど今回の法案を利用させていただいて、いわゆる企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案、まさにこの法律案をベースに、改めて日立市として再生の道を歩みたいという提案書が出て、入手させていただきました。

 特にその中でも、茨城県それから茨城大学共同研究開発センター、日立製作所、日立地区産業支援センター、日立商工会議所工業部会等々でひたちものづくり協議会を設置して、いろいろと検討をし始めたし、ひたちものづくりサロンというものを設置して、大学との共同研究とかさまざまなニーズのマッチングを図っていきたいというような提案書も上がってまいりました。このことが、言ってみますと、この法律に一番なじむ事例かなという感じもするわけでありますが、こういう提案書といいますか構想について、今回の法律を適用するという意味ではどういう受けとめ方をしたらいいのか、このことについてお伺いしたいと思います。

鳥生政府参考人 お答え申し上げます。

 製造現場への労働者派遣についてのお尋ねでございますが、製造現場への労働者派遣につきましては、日々変動する業務量に応じまして労働力需要に迅速、的確に対応するというニーズがございまして、必要なものだと考えております。しかしながら、単に人件費削減という観点などから安易に派遣を活用するということは、製造現場における技能継承や人材育成という面から見て問題であるというふうに考えております。

 労働者派遣により常用雇用が代替されるといったことを防ぐことが重要だという点から、最長三年の派遣受け入れ期間の制限等の仕組みを設けているところでございまして、こうした法令の遵守に努めてまいりたいと考えております。

福水政府参考人 お答え申し上げます。

 日立市あるいは日立周辺の再生プランの件でございますが、今回の企業立地促進法案では、地域、既存の産業集積がどうなっているかとか、あるいは、日立を中心にこれはすばらしい技術があるというのはもう十分承知しておりますし、日立港を初め那珂湊港、いろいろな産業施設が整っております。そういう中で、我々、できるだけ支援していきたいというふうに考えております。

 既に私ども、一月に、茨城県あるいは茨城県関係市町村、三十九市町村に法案の概要のようなものを説明いたしておりまして、先生御紹介ありましたような議論がいろいろなところで進んでいるんじゃないかというふうに思っております。関係者の意見を十分協議していただいて、地域の強みを生かした基本計画をおつくりいただいて、私ども、同意を受けていただければ、予算措置、税制措置等々が御活用いただけるんじゃないかというふうに期待いたしております。

大畠委員 幾つかの具体的な事例も踏まえて質問をさせていただきましたが、いずれにしても、この法律案が生きるかどうかも、結局、この法律案の中身がみんなに行き渡らなければなりません。

 最後に内閣官房に、ワンストップサービス等々について、こういうツールがあるんだということを商工会議所等々を活用しながら一生懸命頑張っていきますという事前のお話もございましたので、時間ですから、この質問はやめますが、いずれにしても、せっかくいいツールをつくろうとしているんですから、これを最大限活用して、地域の実態に即した形の振興策がとられるように要望して、また機会があれば御質問させていただきますが、きょうはこの質問を終わります。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 きょうといいますか、この時期は全国各地で同志が戦っているわけであります。各政党の同志の方々が統一地方選挙を戦っているわけでありますが、国会議員は、それは国政で、国会で審議をするのが本来の仕事でありますから、同志がふるさとで戦っていることを思い浮かべながら、しっかり気合いを込めて議論をしていきたい、こう思っております。

 本日は、いわゆる成長戦略三法案について同僚議員に引き続き質問いたします。

 最初に、地域資源活用促進法、地域ブランド戦略についてお伺いしていきたいと思うんですが、大臣は先週末、山形県をお訪ねいただいた、山形県の地域ブランド創出の取り組みである山形カロッツェリアプロジェクトを御視察されたと伺っております。私の愛する山形県に注目していただいたことにまずもって感謝を申し上げたいと思います。最初に、視察をされた御感想をお伺いしたいんですが。

甘利国務大臣 先生の許可をいただかないで行ってしまったんですけれども、行ってみまして、やはり現場に行かないとだめだなという思いを強くしたのは、地域資源というのは、私が期待している以上に結構すごいのがあるなという思いがいたしました。これは、ブラッシュアップしてそれからデビューさせるというのはあるんですが、みずからもうブラッシュアップしているところというのはいっぱいあるということ、そういういい素材がある、ポテンシャルがあるというのがまず一つ。

 それからもう一点、強烈に印象に残ったのは、その地域で取り組んでいる方々が、どんなにいい資源でも裸のままではだめなんです、いいものだから売れるとならないのが難しいところだ、それを、いいものを売れるようにするには人の知恵が大事ですと。どういうコンセプトをつくって市場にアプローチしていくかという、そのコンセプトをつくる、そして提唱し、投げかけるコンセプターというものの存在が大事、プロデューサーとでもいうんですかね。だから、いいものがあるということと、それをちゃんとしかけられる人がいるということ、これがくっつかないとだめなんですということを言われて、なるほどという思いがして帰ってきました。

近藤(洋)委員 まさに大臣、やはり現地をごらんいただくということは大変ありがたいことでありまして、また大臣がお感じになられた、まあこれは私の地元山形県に限らず、全国各地でもすばらしいものが、ダイヤモンドの原石がたくさんあるわけでありますが、おっしゃったとおり、そのコンセプター、大臣が言うところのプロデューサーがやはり大きいんだなという御感想のとおりだろうと、私も全く同感であります。

 とりわけ、山形のカロッツェリアプロジェクトについては、大臣もお会いになられたかと思いますが、このプロジェクトについてはリーダーの存在が非常に大きかったと思います。フェラーリのカーデザイナーをやられた奥山さん、代表者を務めていますが、あわせて奥山さんとその同級生たちといいますか、地元の地場産業の経営者の方々が非常に連携をして事業をつくってこられました。そして、山形でいえば鋳物であるとかカーペットだとか、そういったさまざまなものを奥山さんがデザインして、そしてフランスに出展をして、今こういう形で世界に飛び立とうとしている。筆と並んで経済産業省に御注目をいただいて、大変山形県民は喜んでおるわけでありますが、その御期待にこたえられるように、これはちゃんとやらなきゃいけないんだろうなと一方で思うわけです。

 そこで大臣、お伺いしたいんですけれども、今回の法案の目標では、五年間で千のプロジェクトを創出しましょう、こういう計画であります。この委員会の前の質疑でも同じような指摘があったんですが、一つ一つの原石のプロジェクトを千つくるということは、これはこれで私もいいことだろうと思います。ぜひ、日本全国津々浦々、発掘をし売り出していく。千という規模は大事だとは思うんですけれども、もう一方で、やはり象徴となるような大きなといいますか、何も規模が大きいというわけではないわけですけれども、象徴となるような目玉のプロジェクトを総力を結集してつくっていくということも、これまた大事じゃないかな、こう思っておるんです。

 例えば、大臣が御視察をされた山形県のカロッツェリアプロジェクトでありますけれども、山形のさまざまなものづくり企業が今、一つのコンセプトで物をつくっているわけですけれども、コンセプトのデザインでやっているわけでありますが、彼らと奥山代表なんかと議論しているのは、例えば、彼らの最終形は、大臣も乗られたでしょうけれども、山形にミニ新幹線で行かれるわけですね、山形ミニ新幹線をぜひカロッツェリアプロジェクトでコーディネートしたいと。それは、カーデザイナー、フェラーリのデザイナーですから、デザインは地元出身のフェラーリのデザイナーがデザインをする。内装は、大臣ごらんになった、そういうじゅうたんを内装に使う。家具も、地元の有名な家具メーカーも入っていますから、いすはそれを使う。ディスプレーはものづくりの有機ELを使う、これは地元の米沢で今開発中でありますとか、あらゆるものを、ひとつショールームをつくろうじゃないかというので非常に意気投合して、私も話を聞きますし、また地元の金融機関、地元の銀行の方々も、おもしろいじゃないかということで今盛り上がっているところであります。

 ただ、やはりそこまで大きくなってくると、これはお金もあるんですけれども、お金というより、むしろ規制。国土交通省さんにどうやってタッチしたらいいんだろうかとか、JRとどうやって動いたらいいんだろうかとか、そういうさまざまな、やはりこの研究会だけでは難しい交渉事も出てくるわけですね。

 そういう場面などは、例えばきょうの議論でもやりましたけれども、せっかく各省連携と掲げるのであれば、そういった意味で、何も私の地元のものを取り上げろとは言いません。そういった取り組みを幾つか、各省連携でできるようなものについては、やはり大臣も旗を振って、ワンストップサービスだ、各省の担当者を集めろ、こういうことでやられたわけですから、そういう取り組みも例えば幾つか、各ブロック一つでもいい、まあ個数にこだわるわけではありませんけれども、やってもいいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 山形カロッツェリアを訪問したときには、そのプランは直接出ませんでしたけれども、今お話を伺って、おもしろいなと思いますし、夢と勇気がわいてくるような象徴的プランになりそうだなと。フェラーリデザイナーがデザインをしたミニ新幹線、内装、あそこはオリエンタルカーペットでしたね、世界に冠たる高品質。私も機械で打つのをやってみましたけれども、それで内装をつくり、あるいはあそこの工房の、家具をつくっている工房の内装技術等々、どんなものができるのかなという本当に夢が広がる案件であります。

 そういう象徴的な地域資源型の大型プロジェクトみたいなものというのは、ぜひチャレンジしていただきたいと思いますし、ワンストップサービス、今回、企業立地では、それこそその立地案件に全部が絡んでくるワンストップでありますし、もう一つの連携は、それぞれの各省が、省が所管しているもので地域おこしをしていくという意味でみんなまとめているのでありますが、それもせっかくまとまっているのでありますから、そういう行政のいろいろな手続上のことも含めてワンストップで進むように、仮にそういうプロジェクトが上がってきたら、ぜひ応援をしていきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 大臣おっしゃったように、夢なんですよね。やはり、へえ、おもしろいな、わくわくするなというのは、大臣もおっしゃっていただきましたけれども、大事なんだろうと思っておりますし、地域を歩くと、本当につらい、悲しい話ばかりが、要するに介護疲れで命を絶ったとか、そういう話を我々政治家はいろいろ聞くわけですけれども、そういった時期だからこそ、こういうわくわくするようなものをつくるというのはやはり政治の役割なんだろうと思いますし、大臣おっしゃったコーディネーター、プロデューサーが重要なんですよね。これは経済産業省、やはり霞が関のコーディネーターたらんという役所だろうと思いますので、ぜひ、そういうものが地域から上がってきた場合には、門前払いせずにやってみようかという姿勢で臨んでいただきたいと思うわけであります。

 前の方と質問が重なっているので、通告したのを多少はしょってまいりますけれども、地方のブランド戦略にせよ立地にせよ、重要なのは、大畠議員も指摘をされましたが、やはり人材の育成というものが極めて重要になるかと思います。そういう意味で、我々、地域を歩くと非常に気になることが起きています。それは高校が、工業高校とか商業高校の数が減ってしまっている、どんどん普通科高校になっている。

 これは、要は少子化ですし、普通科高校の方が定員が埋まりやすい、こういう理由も、決めるのは各県でありますから、そういう高校再編の中で行われているんでしょうけれども、私は、ものづくりだとか、例えばそれは観光であれ、やはり工業高校、商業高校というところの教育というのが大事になるのだろう、そういうスペシャリティーを持った人材供給というのは非常に大事なんだろうと思っているんですね。特にものづくりの観点でいくと、高専もありますけれども、地元の工業高校がしっかりしているということは、進出した企業の方々に話を聞くと、これは非常に大切な要素になっております。

 ところが、一方で教育の現場の方を見ると、どうも工業高校が疲弊していって普通科高校になっちゃっている。これは、ある大手メーカーの工場長さんの話ですけれども、高校生を採用しても、もちろん、いろいろものづくりの基本から教えなきゃいけないし、そもそもあいさつから教えなきゃいかぬ、こういう状況ですから、大変レベルが下がっているという嘆きは、やはり現場の方からよく聞くわけであります。要するに、人材のミスマッチというのが地方で起きているんじゃないかな、こういう認識であります。

 そこで、経産省、文部省に伺ったところ、どうなんだ、こういうものをやっているのかと聞いたところ、いやいや、やっていますというお話でございました。新規で、ものづくり人材育成のための専門高校・地域産業連携事業、これは、この新法案にひとつ先駆けた形で予算化されたものでありますが、これ自体は非常にいいんだろうと私も思います。

 ただ、ちょっと寂しいのは、両省合わせてその予算が六億六千万円ということなんですね。予算の額で言うわけではありませんけれども、あとその他さまざま、目指せスペシャリスト(スーパー専門高校)構想、一億八千万円とか、さまざまいただきましたけれども、どれもちょっと、これは全国ですから、我が山形県内の工業高校育成で一億八千万円なら、うん、なるほど、こう思うんですけれども、日本全土でありますから、ちょっとこれは寂しいのではないか、こう思うわけであります。経済産業省としてはいかがですか。

山本(幸)副大臣 先生がおっしゃることはよくわかります。私も地元で高校の整理統合ということがございまして、何とか地元の工業高校は今回は守り通したわけでありますけれども、そういう意味で、しっかりと工業高校の教育を充実させて、そして、最近私どもの地元には自動車産業も来てもおりますので、そのための人材を育てる、その供給ができるというようにすることが大変大事だと思っております。

 そういう意味で、経済産業省は文部科学省と協力いたしまして、昨年は高専だけやっていたんですが、今年度からは文部科学省とともに、工業高校を含めて、中小企業ものづくり人材育成事業ということで、予算を五億四千万計上いたしました。工業高校の実践教育導入事業はこのうち二億九千万円でありますけれども、確かに要求は五億でありましたので十分ではないということはありますが、新規で、今回、全力を挙げて中小企業予算全体をプラス三・四にするという努力の中で何とか獲得したということで、これは今、対象で考えておりますのは、全国で工業高校が大体六百二十八あるんですが、そのうち一割、六十校程度にはできるんじゃないかと思っております。

 今後、文部科学省と協力してどんどん拡大していって、そして工業高校の教育を実践的な意味で高めていく。産業界そして行政等と協力してやる。企業技術者を派遣したり、あるいは生徒や教員を現場研修させる。最近は、生徒のレベルだけではなくて現場の教師の方もやはり現場感覚が不足しているんじゃないかということが言われておりますので、今回の予算でそういうことを含めてやっていきたいと思っております。ぜひ、今後とも拡大する努力をしたいと思いますので、お力添えを賜ればと思います。

近藤(洋)委員 小渕文部科学政務官にいらしていただいていますのでお伺いしたいんですけれども、今の話と関連して、やはり予算には限りがある。先ほどの午前中の質疑で、馬淵議員の方から補助金の使い方の議論がございました。ぜひ注目をして、やはりああいう例も含めてちゃんときっちり整理をして、必要なところにちゃんとお金をつけるという努力は、それは文部科学省も経済産業省も引き続きお願いをしたいというように思うわけであります。

 あわせて、そうはいっても予算には限りがある。限りがあるならば、やはり知恵を出さなきゃいけないと思うんですよね。これは文部科学省にきのう事務的に伺いましたらば、工業高校では高校生ものづくりコンテスト全国大会なんというのをやっています。資料もいただきました。工業高校校長協会さんの主催でやられているという話であるとか、あと、技能検定であるジュニアマイスター制度とか、そういうことをやられている。やはり現場の工業高校自体はそれなりに努力をしているんだと思うんです。ジュニアマイスター制度をつくろう、ものづくりコンテストをやろう、そういうことで技能検定のようなことをやっていこうと。

 こういう現場の努力というか工業高校側の努力というのに対して、文部科学省として、そういったジュニアマイスターの制度を取った学生に対しては、例えば進学する人は、高専への推薦枠を広げてあげるとか、大学工学部に入りたいという人は、そういうマイスターを取った人は特待生でいいよとか。ものづくりコンテスト全国大会、これは甲子園ですよね。甲子園の優勝投手は、やはりそれは大学に入るわけですよ、枠で。卓球の福原愛さんも早稲田大学に入るわけですよね。だから、ものづくりコンテストの銀メダリストはそういうところに、例えば早稲田大学工学部にも入るとか、早稲田がいいかどうか別にして、どこでもいいんですが、そういう枠をつくるだとか、知恵を使って何かインセンティブを与える。

 さらには、例えば授業料を免除するということだっていいと思うんですよ。マイスター制度を取った子供たちには授業料を免除するとか、そういう制度を、技能を、技術を持った人、工業高校にはそういう制度があるんだよ、普通高校にはない特別の制度があるよというものを例えば文部科学省としてつくられるとかいうお考えはどうでしょうか。予算の獲得も含めてお答えいただきたいんですが。

小渕大臣政務官 委員が今御指摘いただきましたように、やはりものづくりの人材を育成していかなければならないという観点から、こうした工業高校に通うことによって、その意欲や能力のある学生さんたちを大学などでも積極的に受け入れていくということは大変重要なことだというふうに考えております。

 今御指摘ありましたジュニアマイスターの制度というのがありますけれども、例えば立命館大学の情報理工学部では、AO入試において、このジュニアマイスター制度の評価を受けている者に関しては、入試においてこれを受けている人を対象としているということもありますし、例えば先ほどお話がありました奨学金のお話でありますけれども、日本工業大学におきましては、工業高校出身の学生を対象とした特別奨学金の選抜に当たりまして、ジュニアマイスターの顕彰を受けていることを考慮しているというところもあります。

 そんなことも踏まえまして、文科省といたしましては、専門高校卒業生を対象とした入学定員枠の設定など、入学者選抜において多様な工夫を大学の方に判断してもらいたいということを促しております。今後も、やはり、大学におけるものづくりの教育を充実するという観点から、各大学の特色を生かした多様な取り組みが進められるように後押しをするよう考えてまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 御答弁ございましたように、今既に導入されていると。これをもっと、政務官も御地元を歩かれれば当然御存じだと思います、やはり工業高校というのはなかなか、今の学校の統廃合の標的になっている部分がありまして、商業高校もそうなんですけれども、実際、県のレベルでいくと、ここをどうやって統合するかという話になるわけですね。ですから、やはり相当力強くこの部分を政府として制度をつくって、多様な取り組み、大学の自治の関係もありますからそう簡単にはいかないのは私も承知しておりますが、ぜひ多様な取り組みを促す。それは野方図というのではなくて、御答弁の中でも前向きにという意欲はとられたので期待をしたいと思いますが、ぜひ後押しをするという観点で取り組んでいただきたいとこの場では御要望をさせていただきたい、強く申し上げたいと思います。お忙しいところ、どうもありがとうございました。

 いずれにしろ、そういう取り組みの中で工業高校を強化して、さらには、これは大企業、中小企業にかかわらずですけれども、ものづくりの基盤を強化しなければいけないわけでありますが、本法案ではやはりさまざまな中小企業対策が盛り込まれております。

 そこで、甘利大臣にまず伺いたいんですけれども、大臣は三月一日に東京大手町の経団連を訪問されて、経団連の常任理事会に御出席をされております。出向かれた趣旨、目的は何だったのか、お教えいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 幾つかの理由と思いがあって訪問したわけであります。

 一つは、最低賃金の論議がございます。全体の底上げを図るという戦略上、最低賃金の引き上げについて議論をし、結論を出す、これは悪いことではないわけでありまして、ただし、そのまま実行した場合、一番影響を受けるのは中小零細企業であります。

 法律によって賃金の下限を引き上げる、そうすると、頭を抑えられたままでありますと、自分の利益を削るということになります。もちろん十分な利益があれば、それはそれでも対応はちゃんとできるんだと思いますが、しかし、このところ大企業の収益が上がっているのに比して、中小企業は利益が減っております。生産が拡大をして、人はたくさん雇わなきゃいけない、しかし下請代金は思うほど伸びていないので、どうしても自分の利益を削って対処するということになるわけであります。その上にさらに上げていくことになりますと、下請企業が一番窮地に追い込まれるわけでありますから、元請から下請への代金の適正化といいますか、それを図らなきゃいけない。

 その要請、適正な下請取引、法律があって、下請いじめは許さないという下請二法がちゃんとありますけれども、ただ、元請と下請の関係というのは、それはどちらが強いかといえば元請が強いに決まっているのでありまして、そういう関係できちんと契約がつくられていますよといった場合に、法律どおりになされているという解釈しかないのでありますけれども、実はそういう中に優越的な地位の濫用がないかという問題等々あるわけであります。元請と下請の適正な関係というのは逆に、いいものをつくっていく、生産性を上げていくという点で必ずいい効果になるわけでありますから、そういう適正な関係を築いてくれというのが一つであります。つまり、下が上がってくるから上も上げてくださいというのが一つであります。

 それからもう一点は、日本の大手と中小企業、元請と協力会社のいい関係を、生産性の向上、技術革新、競争力強化につなげたいという思いがあります。それは、日本ではよく下請企業側から、現場で部品なりなんなりをつくっている、そうすると、こういうことを改善したらもっといいものができますよとか、あるいはこういう課題に対処できますよとか、あるいはもっと生産性が上がりますよという改善提案がよくなされます。その改善提案を元請がしっかり受けて、共同で改善に向けた努力をして、成果が上がったらそのプロフィットをシェアする、そうしますと競争力にも資するし、下請のモチベーションを上げるということにもなるわけであります。

 そういう日本のある意味伝統的なよさ、先ほど来市場万能主義みたいな議論がありましたけれども、日本のものが競争力を持っている中では、お互いが協力していって成果が上がる、そういういい関係を競争力としてしっかり定着させていきたい、そういう意味もあって要請に行った次第であります。

近藤(洋)委員 ここは私も、これは役所の方からいただきました、この「下請取引の適正化について 中小企業底上げ戦略「生産性向上プロジェクト」」、三月一日付、経済産業省。大臣がこの資料に基づいて御説明をされたというお話も伺っております。

 まさに二つの思いから伺われたという話でありますが、その第一点の部分、適正化という話ですが、要するに、大臣がまずお忙しい中わざわざ出向かれて要請を行ったということは、法律が二法、下請代金法、そして振興法、二法あるわけですが、この二法が残念ながら現在はきちんと守られていないという認識を大臣はお持ちである、こういうことでよろしいんでしょうか。

甘利国務大臣 法律違反があれば、中小企業庁から告発もした案件もあります。これは調べてくれと、公取に。そうやって対応していますし、公取も、先ほど来委員長が意欲的に、実効が担保されているか調査をし、時として立ち入りをするわけであります。ただ、法律は守られていても、法律の構成からはちゃんと履行されていても、もっと、本来法律が期待するいい関係というのを築くべき部分というのは実は隠れてあるんじゃないかというふうに思っております。

 法律は守られている、立ち入ろうにも、ちゃんと法律どおりやっていますよと。しかし、より改善すべき点はあるのではないか。それをガイドラインで業種ごとにつくって、あらまほしき姿というんですかね、我々が描いているあらまほしき関係、姿、それを定着させていきたいということであります。

近藤(洋)委員 これは言葉の使い方の問題になるのかもしれませんが、大臣、私は、やはり実際は守られていないのではないかという認識に立つべきだと思うんですね。そして、それが世間のといいますか、世の中の空気、常識なのではないか。

 公正取引委員会、先ほど竹島委員長がおっしゃったとおり、公取の資料によると、そもそも下請法違反の警告はこの十年間毎年千件、警告で千件あるわけであります。そして、もちろん範囲が広がったということもありますが、ここ数年は二千件を超えている、十七年度は四千件に達している、これは警告ベースであります。これだけ警告があるということは、法律が守られている状況とは少なくとも言えないというのが実態ではないか。だから大臣も行かれたわけでしょうし、だから守れよという注意喚起で、通達を二万社ですか、大臣名と公正取引委員長名で出された、こういうことなんじゃないんでしょうか。あらまほしき姿になればいいということでありましたが、要するに今はあらまほしき姿ではない、すなわち法令違反が頻発というか、よく見られるというのが実態だと私は思います。

 そういう実態だとすると、大臣、ここは、経団連というのはある意味でそれは名立たる大企業の団体ではありますが、基本的には経済産業省が所管する団体であります。だとすると、その団体に出向いて説明というよりは、呼んで指導する。出向いて要請じゃなくて、経団連会長なり副会長を本省に呼んで、そして指導するというのが筋ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 法律を守れということについては、指導であります。実は下請企業に聴取をしますと、法律は守られているかどうかということでいえば、書面を交わして、こうして両方納得していますということですけれども、しかし、相当無理をしている部分があるんですという話もあるわけですね。もちろん、法律が守られていない部分について警告が何千件も出ている、これはちゃんとそのとおりなされていない部分があるから当然出ているのでありましょうし、それは厳正に対処をします。それについては呼びつけて指導もできますし、します。

 要は、実は守られているかといえば守られていると言わざるを得ませんけれども、しかし相当無理していますよという案件も聞こえてくるわけですね。それについてはちゃんとガイドラインをつくって、もっとよりよい姿になってもらわなきゃならない。この部分は要請をしなきゃならないと思います。

 ですから、法律違反については、我が省から先般は告発もしましたし、公取からも法令遵守をびしびしやってもらいます。もっといい姿にした方がいいというガイドラインの部分は、私から要請をする。両方あわせて進めていきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 それでは、経済産業省としてはやっているということでございましたけれども、私ちょっとやはり気になるのは、経済産業省、中小企業庁は、これまで、告発というか公取への措置要求を出しましたという話でしたが、確かに出されました、つい最近。だけれども、それは平成に入ってからわずか五回目。約十九年間、十八年間でたった五件しか改善措置要求を出していないんですね。これはまた余りにも少ない件数。要するに、年によっては四千件警告が発せられているのに、実際改善措置要求を公取に申し入れているのは十七、八年間でわずか五件。

 さらに言えば、昭和三十一年に下請法ができ上がって以来、事務方にきのう、これまで過去何回改善措置要求をやったのだと言ったら、昭和時代はわかりません、こういう話だったんです。わからないということは恐らくやっていないんじゃないかと思うんですね。多過ぎて、何件、やり過ぎてわからない、毎回百件やっていて数えていませんというのではなくて、忘れたぐらいやっていない、こういうレベルなんですよ。

 要するに、全くもってその改善措置要求を中小企業庁はやってこなかった、少なくとも法の運用をして、少なくとも甘利大臣就任前まではやってこなかったんじゃないか、こう思わざるを得ないし、非常に消極的だったんじゃないか、こう思わざるを得ないんですけれども、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、中山(泰)委員長代理着席〕

高木大臣政務官 ただいま御指摘ありましたとおり、下請事業者が親事業者との関係で不公正な取引を強いられることのないよう、下請代金法に基づきまして、これは平成十七年度の数字でございますが、書面調査を十四万三千九百三十五件、また、親事業者に対する立入検査を千五百九十八件を積極的に実施してきております。下請代金の減額また下請代金の支払い遅延、発注書面の未交付など違反のある親事業者に対しましては、改善指導等五千三百六十一件を積極的に行ってきており、法に基づいて厳格に下請対策に対処してきたところでございます。

 こうした中で、特に重大な違反行為につきましては、ただいま御指摘ありましたとおり、公正取引委員会に対して措置請求を行うこととしておりますが、先月三月二十三日には、東芝ライテック株式会社の違反行為につきまして措置請求を行ったところでございます。

 今後とも、大企業が優越的地位を濫用しないよう、公正取引委員会と十分に連携をとりつつ、厳正に対処してまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 調査はそれは当たり前、されると思うんですね。だけれども、私が指摘しているのは、少なくとも、措置要求をほとんどしていないというこの事実です。片っ方で、公正取引委員会は毎年十件以上、件数でいいわけではありませんが、やっているわけです。

 では、人員はどうか。中小企業庁はまさに中小企業の声を聞くための専門の役所ですよ。公正取引委員会はそれだけじゃない、さまざまなことをやっている。人員でいっても遜色はないはずであります。にもかかわらず、公取よりもほとんど仕事をしていないという結果、これは消極的だったと思わざるを得ません。

 もう一点言えば、大臣がおっしゃったガイドラインでございますが、まさに、業種によってガイドラインをつくるようにという要請をされていますけれども、そもそも、下請法上のガイドライン、昭和三十一年にこの法律が施行されて以来つくっていなかったということ自体が不思議であります。今さらというか、要するに、これは急に、今まではやはり手抜きだったと反省をして、そしてつくるように急遽要請をされた、こういうことではないでしょうか。なぜ今までつくってこなかったのか。そしてさらに言えば、では、このガイドラインをどの業種に対していつまでに策定させるおつもりなのか、お答えいただきたい。

石毛政府参考人 お答え申し上げます。

 初めに、私どもの執行状況ですけれども、確かに、措置要求という形で公正取引委員会に行っているものは、最近については先生のおっしゃるとおりでございますけれども、その前に私ども書面調査を行って、下請事業者それから親事業者、両方をこう見て、これはおかしいぞということで立入検査をするわけですけれども、そういうものが、毎年データをとっておりますけれども、二千数百件、こうずっとございます。

 その中で、立入検査を行って、さらにこれはやはり改善すべきだということで、改善指導措置というものを毎年とっております。それは大体千五百件、千六百件あるいは千二百件、そういうようなオーダーでとっております。

 そういう中で、私どもが見て、はっきり言いましてこれはやはり相当程度が悪い、そういうようなケースについては、やはり措置請求をすべきだということを判断して公正取引委員会に出しております。

 ただ、私どもが公正取引委員会に措置請求の要求を出して公表するといったようなことは、昨年度、そういう形にしようということを決めたものですから、今回、そういう、具体的に会社の名前も挙げて措置請求の要求を行っているということでございます。

 それから、もう一つお尋ねのガイドラインの点ですけれども、御案内のとおり、一般的なガイドラインについては委員御指摘のとおり出しておりまして、それをその都度、経済環境の変化に応じて見直しをしてきているわけであります。それとあわせまして、各業種に、業界団体あるいは親事業者に、必要に応じて、例えば原油価格が上昇した場合にそのコストについて、できるだけそれを下請価格に反映すべきである、そういうような要請を行っております。

 ただ、私たちそういうことを実施してくる中で、やはり業種ごとに深くこれを見ていく必要があるだろうというようなことで、もう二年ぐらい前になりますけれども、素形材産業、鋳物、金型、そういうようなものを中心とする産業でございますけれども、深く勉強いたしまして、それで、昨年の十一月に素形材取引についてのガイドラインを公表したところでございます。

 その内容につきましては、先ほど大臣が言いましたように、そもそも法律を守るのは当然として、ただ、こういうような事例がいろいろあるので、そういうものはしっかり守るべきだということを例を挙げて言うとともに、それから、法令違反ではないけれども、例えば鋳物の重量取引なんというのがありますけれども、これは法令違反とは直ちには言えないわけですけれども、望ましくない慣行である、こういうものは直すべきだというようなことを言ったり。それから、そういうような鋳物の取引の中でも、全員がその重量取引をやっているわけではなくて、下請業者と親事業者の間で、こういう考え方でこういうふうに分けようじゃないか、価格設定しようじゃないか、そういうような、ベストプラクティスとその中で言っておりますけれども、そういう望ましい取引慣行というものもその中に含めて公表しておるところでございます。

 そういったようなものをほかの業種にも広めようということで、現在、自動車、コンテンツ、広告の関係、ソフトウエア、それから情報電気機器の関係だったと記憶しておりますけれども、そういうような業種について六月ぐらいをめどにガイドラインを策定しようということで取り組んでいるところでございます。

近藤(洋)委員 今、長官から、六月をめどに各業界と、だけれども、自動車、情報家電ですね、情報電気、こういった主要な産業について今までなかったということ自体が、やっていなかったということだと思うんです。

 もう一つ言えば、この法律、下請振興法には、これは法律で、下請事業者の取引価格の一般的な基準、下請振興基準として、取引価格は、数量、納期、支払い方法、材料費、労務費等の要素を考慮した、合理的な算出方法に基づき、下請企業の適正な利益を含み、下請事業者と親事業者が十分に協議して決定されるものとしている、こう書いている。こう法律には書いているけれども、そうでないのがいっぱいあるから問題になっている、格差だ何だという議論になっているわけですよ。空証文になっている、念仏になっているんじゃないですか。

 だから、一生懸命調査したというような実績はよくわかりました、やられているんでしょう。だけれども、実際には、これが、この法令と違う事態が起きていることは恥ずかしい事態である、恥ずかしい事態であるから、大急ぎで六月までにつくるというわけです。それはそれでやっていただきたいと思います。やっていただきたい。だけれども、やはりそこは、体制として、では、この法律が、法律のとおりになっていないなら法律を見直さなければいけないし、体制を見直さなければいけないということは必要ではないかというのは提起させていただきたいと思いますし、やはり当局におかれては、これは今回、たまさか東芝系の子会社が摘発をされました。ぜひ、何かこの子会社だけが交通事故に遭ったと思われないようにしていただきたい。

 やはりきちっと、バーが変わったんだと思います。結構です、行政裁量ですからバーが変わるのは。ある日突然バーが変わる、あるでしょう。ぜひ、このバーに合わせて厳しく対処していただきたいと思います。そこは要請をしていきたいと思いますし、あわせて、民主党としては、こういった問題意識を含めて、さまざまな政策提言を今後もしていきたいということを申し上げたいと思います。

 いずれにしろ、現実の姿を直視しない限り政策というのはなかなか実らないというのは論をまたないわけでありますが、ちょっと話題をかえまして、活性化法につきまして大臣にお伺いしたいと思います。

 サービス産業活性化法には、サービス産業の生産性向上を掲げておるわけであります。これは、実は私、本会議でも伺った点ではありますが、改めてお伺いしたいわけですけれども、サービス産業というのは大変多岐にわたる分野でもあり、この実態をどこまで役所が把握しているのか、こういうことであります。実態をちゃんと把握しないで、政策というのはあり得ない。

 だとすると、現実はどうかというと、現在の経済産業省のサービス産業の調査というのは、一年間に七業種、あまたある業種の中の七業種、しかも全体ではなくて三年に一度の割合でしかやっていない、非常に、俗な言葉ですがシャビーな、お寒い状況であるわけですね。これから、政策をきっちりこの活性化法に盛り込んだのであれば、問題意識は結構だと思いますし、大変いいことだと思いますけれども、やはりきっちりとした調査統計体制というのをまずつくることが大至急の課題だろう、こう思うわけですが、いかがでしょうか。

山本(幸)副大臣 先生御指摘のとおり、統計調査がこれまで十分にできておりませんでした。これはサービス産業の特徴でもありまして、業種が多様にわたるとか所管が各省にまたがっているとか、あるいは新陳代謝が激しいというようなことから、これまで包括的な網羅的な統計ができておりませんでした。

 この点は、遅きに失したとはいえ、我々も十分に反省した上で、昨年の二月、副大臣会合で最初に政府全体でのサービス統計整備を行おうということを提案いたしまして、関係府省で力を合わせて取り組んでいくことを確認いたしました。そして、昨年五月の経済財政諮問会議でこれを積極的に推進していこうということで決まりまして、経済成長戦略大綱や骨太方針二〇〇六においてこの方針が決まったわけでございます。

 そこで、各府省連携いたしまして、サービス産業全体の概括的な状況を毎月調査する動態統計を平成二十年度につくり上げるということで、今鋭意準備を進めております。

 また、業種別の統計につきましては、経済産業省が現在実施しておりますサービス業の個別業種の統計調査、サービスの構造統計については、御指摘のように毎年調査する業種と三年ごとの業種があったわけでありますけれども、これは平成十八年から毎年調査ということにいたしました。

 それからまた、業種の範囲も御指摘のとおり七業種だったのでありますけれども、これも平成二十一年度までに、インターネット関係サービス、コンテンツ産業等を含めて、所管の二十八業種全部、段階的に拡大してまいりたいと思っております。

 統計は国の重要なインフラでありますので、ぜひ、そのスケジュールでありますけれども、大変遅かったということは反省した上で、早急に整備して、これを政策立案に生かしていきたいと考えております。

近藤(洋)委員 やはり統計というのは国民の財産でもありますし、地味な作業ではありますけれども、ぜひきっちり進めていただきたい、こう思います。

 あわせて、今度は企業の立地関連法についてお伺いしたいのですが、たびたび指摘を受けているとおり、地方の窮状というのは、大変、去年から急に始まったわけではありませんで、ここ少なくとも、私どもに言わせれば小泉さんが総理になってから加速度的に悪くなった、こう思っておるわけであります。

 そこで、今回の立地促進法はいわゆる産業集積法の後継法案でありますけれども、この集積法というのは十年以内に廃止するということになって、ことし十年目を迎えたから今度は衣がえです、こういう御説明でありました。

 しかし、経済の実態ということに合わせれば、昨年に工業再配置法を廃止しているわけであります。田中角栄さんがつくられた代表的な法律である工配法を、時代の区切りということで廃止された。そういう観点から見れば、もっと早く立地促進法を、この法律の考え方自体は私も賛同するものでありますけれども、もっと早く機動的にやるべきだったのではないのかなという気がしてならないわけであります。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですが、経済というのは、やはり産業も生き物でありますから、この立地法も、もちろん生まれたばかりで、すぐどうする、生まれてまだこれから、採決もこれからですし、今議論している最中でありますが、やはり生き物ですから、この十年というのは、経済のこういった産業法というのは十年もつというのはおよそあり得ないのではないか、適宜必要な手だてを講ずるという前提に立って運用に当たるべきではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。

    〔中山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

甘利国務大臣 新企業立地法といいますか、新産業集積法は大がかりな仕掛けでありますから、もちろん、半年、一年ですぐ効果が出るというものではありませんから、ある一定の期間が必要であります。

 しかし同時に、政策効果というのを適宜見直していかなければなりませんし、効果が期待されて出なかったのにはどの部分があるかとか、あるいは追加すべきものは何があるかとか、適宜見直していかなければならないというふうに思っておりますし、随時状況を把握しまして、政策効果をチェックしながら、適切な施策を講じていくつもりでございます。

 関係省庁と設置をします地域ブロック会議というのがあります。中央でも六省庁体制、それから地方局でも同じ六省庁体制をとっているわけでありますから、その地域ブロック会議を通じまして、事業者あるいは自治体から支援措置等についてのニーズとかあるいは政策効果を把握してまいりたい、具体的にはそうしたいというふうに思っております。

 特に、地域の策定します基本計画というのがありますが、計画期間はおおむね五年ぐらいを目途、めどに全体の計画をつくってくれ、こう想定をしているわけでありますから、五年後をめどに、各地域における目標達成適合度等をもとに、支援措置の効果についての検証を行っていきたいと思っております。

 もちろん、五年間何もしないのかということではなくて、随時見直しを行っていきますが、地域の基本計画が五年を目途としていますから、そこで一たんちょっと全体の検証をするということを考えております。

近藤(洋)委員 ぜひ、プラン・ドゥー・シー・アクション、進めていただきたいと思うわけであります。

 大臣、本委員会の法案質疑の答弁でも、イノベーションとオープンにより日本経済を安定的に成長させるんだ、こういう御発言をされています。そうだとすると、まず、イノベーション、これは広い定義ですけれども、基本的には狭義で言うと技術革新、技術力、こういうことでありましょうから、せっかく技術が花開いたとしても、果実といいますか、技術の情報が野方図に海外に不正な形で流出するとか、こういうことがどんどん進んでしまうと日本の競争力にとって大変マイナスになる、こういうことだろうと思います。

 その意味で、非常に気になる調査結果を経済産業省は昨年十二月にまとめられています。我が国製造業における技術流出問題に関する実態調査、こういう調査、私、これを見て大変、ああ、ここまで来ているのかというのでちょっと驚きました。それによると、回答された企業の三五%、三分の一は大体、企業の技術流出の被害に遭っている、こう答えている、回答の三分の一が。さらに四割が、不安である、こう答えているということなんですね。実際に、最近でも技術流出、企業の機密漏えいの事件が非常にふえている。

 一つショッキングだったのは、個別の会社の名前で恐縮ですが、三月十六日、愛知県警は、自動車部品のデンソーの中国籍社員を横領容疑で逮捕しています。この事案は、報道によると、千六百六十八製品分、約十三万件分の設計図のデータをダウンロードし、社外へ持ち出した疑いと。この方自身は、中国人としての、部品関係の技術者の在留協会の副代表まで務めていた、こういう方だった、こういうことですね。

 自動車のことはもう釈迦に説法でありますが、まさに自動車部品こそ、ある意味では日本の自動車の中枢の部分ですから、それが十三万設計図も盗まれていたというのは、これはゆゆしき事態だろうと思います。

 こういった事態をどう受けとめているのか、簡潔にお答えいただきたいと思うんですが。

山本(幸)副大臣 御指摘のように、昨年の十二月に経済産業省が行いました調査で、約三五%強の企業が技術流出と思われる事象があったと回答しております。これは、さらに経路について質問をいたしましたところ、主なものとしては、最終製品を分解して後で見てというリバースエンジニアリングあるいは企業の退職者を通じた流出などが挙がっております。

 こういうふうに必ずしも法令違反とは言えないというところもございますけれども、御指摘のように、三割以上の企業で意図せざる技術流出が発生しているということは大変重要なことだと考えております。

 こうした調査結果を踏まえて、経済産業省としては、企業の競争力を維持強化する観点からは、コアとなる企業の技術を適切に管理していくことが重要との認識のもとに、そのような企業の取り組みを積極的に促進するように指導しております。あわせて、国の安全を損なうような技術の流出については、国際的な枠組みがございますけれども、これにのっとりまして厳格に規制してまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 本来、技術流出については、これはちょっと、もう一つ残念というかショックだったのは、これが横領容疑で逮捕されているんですね。さまざまな事案を見ても、横領だとか窃盗だとか、これで逮捕されている。よくよく見てみれば、不正競争防止法の営業機密漏えい罪または外為法の無許可技術取引罪、こういうのがしっかりあるにもかかわらず、横領とかそういったもので摘発されている。

 本来、不競法、不正競争防止法で法益を守っているわけですから、だとすると、ちょっとやや、もちろん企業の取り組みを経済産業省として支援するのも結構だし、やっていただきたいと思いますが、取り締まりの体制とともに、法律の体制ということについて、法律の運用、法律の中身についても、不競法については、前々国会ですか、ちょっと随時見直しはしていますけれども、どうなんだろうか、政府としてのとるべき対応がもう一つあるんじゃないかと思いますが、いかがですか、大臣は。

山本(幸)副大臣 おっしゃったように、一応、不正競争防止法というのがあるわけで、改正して罰則の強化を図ったところでございますけれども、これを適用するときに厳格な秘密管理性というのを要求されるわけであります、犯罪として立件をする場合には。

 これが大変難しいわけでありまして、企業としてちゃんと秘密保持協定を退職者にも結んでいるかとかいうこととともに、しっかりと秘密を管理するような体制をどこまで築いているか、それをまた具体的にどこでそれに違反したのかということがなかなか立証しにくいところがございます。したがって、このアンケートを見ても、一応、退職者を含めて秘密保持契約は結んでいるのがほとんどですけれども、それでも出ているというところがございまして、それをこの秘密管理性が厳格になされていなかったのではないかということで、捜査するときには非常に難しい点があります。

 そういう意味では、やはり最大の方策は、企業がしっかりとそういう体制をつくって、漏れてこれを立証するというのはなかなか難しいところがありますので、そうしないようにすることが一番の点だと思っております。

 ただ、御指摘のように、防止法あるいは外為法の規定が完全に空文化してもいけませんので、その点は我々としても十分に注意を払っていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 いずれにしろ、非常にゆゆしき状況に、ある意味で危機的と言うと言葉は過ぎるか、でもやはりある意味で危機的な状況なのかもしれない、そういう認識を持つ必要があるんだろう、こう思っております。

 もう一つ、オープンな姿勢ということでありますが、オープンというのは外を受け入れるということであります。

 外を受け入れるということは海外の資金を受け入れる、こういうことでもあろうかと思います。これ自体は日本経済を発展させる意味で非常に大事なことだと私も思うわけでありますけれども、今回いわゆる三角合併も五月に解禁をされ、会社法も昨年新しくなり、三角合併も解禁されということで、MアンドA自体、非常にふえてくるということだろうと思います。円も安くなっていますから、日本の企業はお買い得、こういうことも言えるかもしれません。

 そうなると、それ自体は、海外の資金が入ることはいいことですが、大事なのは、国の、我が国の安全を確保するような、左右するような重要な技術というものを維持する、守るということは、一方できっちりとしたことを、ルールをつくらなきゃいかぬだろう、こう思うわけであります。

 そうしてみますと、我が国の外為法の規制、当然、武器、航空機、宇宙開発、原子力、火薬製造等につきましては一定の規制が上場企業についてはあるわけでありますけれども、これは十五年前につくられた規制である。最近の先進国の流れを見ると、世界的なMアンドAの動きを受けて、改正を、米国にしろ、イギリスにしろ、フランスにしろ、各国しているわけでありますが、ややちょっと時代おくれのルールと言ってもいいのではないかと思うわけですが、ぜひ見直すべきだろう、早急に見直すべきだろうと思いますが、大臣、お考えはいかがですか。

甘利国務大臣 日本及び日本国民の安全にかかわる、あるいは生活に重大な影響を及ぼすようなことについて、外為法での縛りがかかっているわけであります。

 アメリカは、まさに一網打尽に、何でも投網をかけて個々を精査できるようになっておりますが、日本は具体的な案件を列挙されているわけであります、外為法で。ただし、それが現在の時流に合っているかどうかというと、例えば素材産業等々、安全保障に随分かかわってくるのではないかというものが旧来の枠組みで漏れていたりしておりますから、ここは今どうあるべきかという検討をさせているところであります。

 それと、先ほどの話に戻りますけれども、それとあわせて、不正競争防止法を随時見直しをして、大事な技術が不正に外へ流れないようにする。あるいは、今やはり一番考えなきゃいけないのは、技術を持っているOBをどう囲い込んでいくかというか、外国の発展に寄与するのもいいのでありますけれども、日本の根幹の技術だけ吸い取られてしまって、あとは使い捨てみたいなことになっては、これはその技術者にとっても余りハッピーなことじゃないと思いますし、その辺をどう日本の発展に役立てていくか等々のこともあるわけであります。アメリカのエクソン・フロリオみたいなぐあいにはなかなかいきませんけれども、そこのところはしっかり見直しをしていく。

 それから、MアンドAにつきましては、私は、党にいるときに、この問題が起きたときに、日本は余りにも準備不足ではないかということで、施行に待ったをかけまして、大分、米商工会議所からとか、あるいはヨーロッパから、EUから問い合わせが、どういうことなんだと私のところに来ましたけれども、それは、ちゃんと準備をするだけの時間をもらいたいということで、MアンドAの対抗策をどう企業がそれぞれ構築するかということを検討するだけの時間ということで、一年延ばしたわけであります。

 その中では、とにかくMアンドAをしかける方は企業価値を上げるプランをちゃんと開示してくれ、企業側も、いや我々が取り組んでいる方がより企業価値が上がるんだということを比較できるようにしてくれ、情報開示をしろと。しかも、その場合の企業価値というのは、何も株主利益だけじゃないです。従業員もあり、取引先もあり、社会、その地域についてもそうであり、ステークホルダー全体の利益ということの視点が大事だというようなガイドラインをつくらせていただいた次第でございまして、まだまだ不備な点はあるかもしれませんけれども、それらをもって日本の企業が健全に発展をし、国民生活の安定と向上に資するようにしたいと思っております。

近藤(洋)委員 やはり守るべきものは守るというルールというのをつくるという、日本がここで意思を出すということが非常に大事だと思います。

 ですから、このルール、外為法の見直し、アメリカ的なエクソン・フロリオがいいのかというのは議論はあるかと思います。ただ、技術は日進月歩ですから、すぐこうやって後追い的になってもいいのか、この辺は難しいところだとは思いますが、やはり大至急ここの部分については、MアンドAに伴う技術流出、案件チェックについて体制を整えるべきだろうということを私の方からも指摘をさせていただきたいと思います。

 あわせて、そういうことをしたからといって海外の資金が逃げるというわけではなくて、大臣が御指摘したようなちゃんとした情報開示を企業側がやっていれば、それは資金を呼び込めるんではないか、こう思うわけです。

 もう一点、そのMアンドA関連で伺います。

 買収、合併がふえる中で、最近、例えばMBOという手法なんですが、これはマネジメント・バイアウトというんでしょうか、会社の経営陣が受け皿会社をつくって自分の株を買収する手法、要するに、リストラとか、あと、まさに買収防衛策のために上場会社を非公開にするために使う手法ですけれども、こういう手法が行われている。

 これはこれ自体であるんでしょうけれども、こういうことで少数株主が不当に安い価格で購入を迫られるというケースも出ているわけであります。具体例で言うと、これは刑事告発もされているんでしょうか、カネボウについてもそういうケースがありました。これは産業再生機構がかかわった案件ではありますけれども、少数株主がもぬけの殻の会社の株主になってしまったということで被害を訴えているケースも実際にあります。

 いずれにしろ、この少数株主の権利をちゃんと守る手だてというのも、やはりこれは健全なマーケットとして重要かと思いますが、簡潔に、大臣、いかがお考えでしょうか。

甘利国務大臣 MアンドAが行われる際に、それ自身に反対する少数株主は、直ちに会社側に対して自己所有の株を買い取るという請求の権利がありますから、事が終わってしまった後に買いたたかれるということではなくて、そのこと自身に反対する意思表示をする者について、買い取り請求をかけるということは担保されているわけでありますから、それをしっかり交渉する。

 それ以前に、MアンドA自身が本当にしかけた方がいいプランであるのかどうか、これをしかけた方と経営陣とが企業価値を上げるプランの競争をするという意味で、それを株主にさらすという行為が前段にあります。そのための時間と、それから経営陣からMアンドAをかける当事者に対して開示要求をできますから、そういうことで株主が適正に判断をする。しかも、その企業価値というのは、先ほど申し上げましたが、単なる配当をふやしますなんというだけの話ではなくて、ステークホルダー全体にとってどういうメリットがあるのかをプランとして提示をすべきという考え方を政府としても出させていただいているところであります。

近藤(洋)委員 いずれにしろ、かたい言葉ですが、情報の非対称性というのが常にあるわけで、少数株主について、情報は開示されていても、例えばこのマネジメント・バイアウトにしても、なかなか情報が伝わらない、わからなかったというケースもあるやに聞いておりますから、不断の制度のチェックというのはやはり必要なんだろうなという気はしております。

 最後になりますが、いずれにしろ、この法律を施行するのは人、人材であります。前段でも議論がありましたが、いわゆる官僚システムについて最後にお伺いしたいんですけれども、人材バンク構想、これについては大臣の御所見は伺いましたので割愛いたします。ただ、私は、個人的には、この人材バンク構想というのは成功しないんじゃないか、こう思っております。

 ただし、ここで最後に一点伺いたいのは、大事なのは、情報の漏えいの話をさせていただきましたけれども、僕は、霞が関の情報管理システム、要するに、だれがどの情報にアクセスできるのか、どこまで守秘義務があるのか、どういう形で開示するのか、アクセスするのか、管理できるのかということを、OBがもう職場を離れたらみだりにアクセスできないという形のことをしっかりつくる必要があるんだろうと思うんですね。

 天下りによる官製談合なんというのは、ほとんど大体OBが情報を適当に入手している。後輩のところに行って、よう元気かと言って入手してくるのが大体の通例であるわけですから、そういう情報管理システムというのも含めて、もちろん、ある一定年次を過ぎたらすべて公開という原則のもとでアクセスコードをつくりチェックする、こういうインフラをつくらないと、バンクをつくろうが何をしようが機能しないと思うのですが、簡単に一言、大臣、お答えいただけますか、御感想を。

山本(幸)副大臣 おっしゃるように、役所の中の情報管理、非常に大事なあれでございまして、経済産業省は行政文書管理規程というのをつくって、秘密文書の管理を行っております。

 それから、情報セキュリティー全体について、政府全体として、政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準が平成十七年の十二月に策定されまして、十八年三月に、これを受けて経済産業省情報セキュリティ管理規程及び経済産業省情報セキュリティ対策基準を策定しております。これによって、体制の整備、それから機密性に応じた取り扱いの制限、情報システム上の簡単に入れないというような、そういう対策をきちっとしておりまして、一切情報が漏れないように全力を挙げているところでございます。

 これをしっかりとやっていきたいと思います。

近藤(洋)委員 時間ですので、終わります。

 漏れないというのではなくて、もうちょっと抜本的なことを申し上げたかったので、また次回に譲りたいと思います。

 失礼します。

上田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、産業活力再生法案、産活法案に関連して質問をしたいと思います。

 産活法案は、サービス産業の生産性向上をうたっている中身となっているのが特徴の一つであります。

 そこで、先日まとまりました「サービス産業におけるイノベーションと生産性向上に向けて」という報告書を拝見しておりますと、アメリカとの比較の部分がございます。

 アメリカよりも低い我が国サービス産業の生産性とその要因ということで、サービス産業の対米比較における生産性は総じて低い、こういうふうに例示されておりますけれども、例えば、対個人サービスですとかホテル、外食の場合は、総じて展開規模が小さく、チェーン化が進んでいない、チェーン化されたアメリカと比べ低い生産率にとどまるというような書き方がされているわけですね。

 そこで、お尋ねしますけれども、こういった対個人サービスとかホテル、外食では、チェーン化が進んでいないということで生産性が低いということをアメリカとの対比で例示しているわけですけれども、要するに、こういった対個人サービスとかホテル、外食でフランチャイズのチェーン化が望ましい、そういうふうに考えているということなのか、その点をお聞かせください。

肥塚政府参考人 今お話ございましたように、アメリカのあるシンクタンクの分析では、例えば、対個人サービスについて、アメリカに比べて、総じて展開規模が小さくてチェーン化が進んでいないということも背景にあるんじゃないかという指摘があるのは事実でございます。

 ただし、生産性というのは、市場における価値を創出する際に使われる資源について、その活用の効率をあらわすということでございますので、生産性の向上のためには、必ずしも効率性の向上というだけじゃなくて、付加価値の向上あるいは市場の拡大というようなことが両輪になって追求されていくということが必要だろうというふうに思っております。

 生産性の議論になると効率性の向上ということに目が向きがちでございますけれども、効率性だけではなくて、今御紹介ありました研究会でも議論がございましたけれども、ホスピタリティーというのはサービス産業の非常に重要な要素だ、あるいは顧客満足度というようなことが非常に重要だということでございまして、付加価値の向上というのも生産性向上にとって非常に重要な要素であるというふうに考えております。

 したがいまして、私どもとしては、そういう効率性の向上と付加価値あるいは市場の拡大という両方の視点からサービス産業の生産性の向上に取り組むべきだというふうに考えております。

塩川委員 分母と分子の話になるわけですけれども、生産性の向上そのものを、効率性の向上の方を重視するということも当然二つのうちの一つとして取り上げているわけですね。そこは否定をされておられないわけです。

 小売の場合あるいは運輸の場合なども、アメリカとの比較で小規模事業者が多いという形で言っているわけで、生産性の低い小規模事業者が多数を占めることが、アメリカに比べて日本のサービス産業の生産性が低いという対比として取り上げられているわけです。ですから、結局、こういう対比が念頭にあるということは、例えば、小売業は小規模事業者ではなくてアメリカのように大規模化あるいはチェーン店化、そういうのが望ましいということが立脚点としてあるということなんじゃないですか。改めてお聞きします。

肥塚政府参考人 今、あるシンクタンクで、さっき申し上げましたように、展開規模が小さくてチェーン化をしていないというのが一つの背景、要素としてあるという分析がございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、サービス業の生産性が低いということの背景には、サービス業のいろいろな特性からくるIT技術の活用のおくれでございますとか、それから製造業に比べて研究開発が少ない、あるいはサービスプロセスの効率化が進んでいないとか、さまざまな要素があるというふうに考えておりまして、そういうサービス業の特性を踏まえた対策が必要だろうというふうに考えております。

塩川委員 では、確認ですけれども、そういった要因の一つとして、アメリカとの対比でチェーン店化が進んでいないということも挙げられるわけですよね。

肥塚政府参考人 そういうことが要素に挙げられる場合もあるだろうということは、そのレポートでは指摘しております。

塩川委員 いろいろな要因があるというふうにおっしゃりましたけれども、もちろん、効率性の向上一辺倒ではいかないということはおっしゃるとおりですけれども、しかし、効率性の向上ということも重視をする。アメリカとの対比で、チェーン店化、大規模化との対比の中で生産性が低いということを日本で例示しているわけですから、私は、これを追求するということが小規模事業者の淘汰につながるような懸念というのが生まれるというのは、率直に指摘をしたいと思っています。

 そういう意味でも、商店街などの機能として、効率性一辺倒ではなくて、やはりその地域における、例えば、何よりも利便性を提供するという場でもあるわけですし、祭りですとか伝統文化の担い手という側面も当然ありますし、そういう多面的な社会的な役割、社会的機能が小売の事業者、小規模事業者、商店街にあるということをわきに置くような生産性の向上の議論というのは実態に合わないものだということを指摘しておきます。

 その上で、サービス産業においての重点六分野、その一つとして、ビジネス支援サービスというのを挙げております。その中に派遣・請負業もあるわけですが、政府として、この派遣・請負業の拡大も重点六分野の一つの要素として支援をしていくということだと思いますけれども、派遣・請負業の拡大を支援するというお立場だと思うんですが、確認させてください。

肥塚政府参考人 派遣・請負業も含んでおりますけれども、ビジネス支援サービスという場合には、私どもは、企業活動と密接にかかわる、企業活動を代替するサービスを行うという分野を指しておりまして、具体的には、極めて広いというふうに考えております。

 一つは、コンサルティングサービスでございますとか広告サービスのような経営支援サービス、あるいは、研究開発の受託ですとかデザイン受託、製造請負のような直接的に業務を実施するようなサービス、それから三番目に、ITサービスあるいは人事業務の代行、経理、財務の業務代行というような間接業務の支援サービス、こういうような三つの類型を考えておりますけれども、幅広い分野を含んでいるというふうに考えております。

 ユーザー企業は、こういうビジネス支援サービスを活用することで経営資源をコア業務に集中する、ビジネス支援サービスを提供する側は、専門性を高めて、単なる代替以上の生産性の高いサービスを提供するという可能性があるというふうに考えております。

 私ども、ビジネス支援サービスを含めまして、サービス分野においては、先ほど申し上げましたように、人材育成、あるいは科学的な、工学的なアプローチ、あるいは産学連携、製造ノウハウの活用といったようなことを通じて、サービスの効率性を高める取り組みですとか、あるいは付加価値を高めていく取り組みというのが必要だろうというふうに考えております。

塩川委員 質問にお答えいただいていないんですが、派遣・請負業を含むビジネス支援サービスについて「サービス産業の革新に向けて 中間とりまとめ」でも例示しておりますけれども、直近で雇用規模が六百三十万、二〇一五年で六百八十一万人ですから、派遣・請負業を含むビジネス支援サービスが将来拡大をするものだということを前提に支援をするということは確かですね。

肥塚政府参考人 ビジネス支援サービスは、先ほど申し上げましたように、企業活動の代替を行うサービスということでありますので、派遣サービスのようなものもビジネス支援サービスの一分野というふうに考えております。

 なお、一言申し上げますと、労働者派遣サービスなどの一部のサービス分野において労働力の大宗を非正規社員に依存しているというようなことで、自分の意に反して低所得の非正規社員にとどまるというような者が多く存在するような場合には、将来の格差の固定化につながらないように、非正規社員のスキルアップのための訓練あるいは正規社員への登用といったようなことを一層促進するというようなことを通じて生産性の向上を図っていくということも必要だろうと考えております。

塩川委員 お答えにならないんですけれども、ここにありますように、ビジネス支援サービス全体に拡大するだろうということを前提に支援をされておるわけで、この間も拡大しているわけですね。この「中間とりまとめ」でも、労働者派遣サービスというのが九〇年から直近にかけて三倍にふえているということですから、今後についても拡大するということですし、最近の経産省の企業行動基本調査速報などにおきましても、正社員等は減りながら、派遣については、この一年間で一七・一%も急増するという形で実態としてはふえておりますし、将来さらに拡大することになるわけです。

 そこで、大企業の製造現場におきまして、今非正規の話がちょっと出ましたけれども、正社員から派遣、請負への雇用の置きかえが実際には行われてきた。正規雇用から非正規の派遣、請負などへの雇用の置きかえに産活法も使われてきたんだということを一つ指摘したいと思っております。

 例えば松下電器産業であります。〇一年の二月に経済産業省が松下電器の事業再構築計画を認定しました。これは、プラズマディスプレイ事業の生産性向上を目的としたものであります。今の松下のプラズマテレビですね。これの立ち上げのときの支援ということでした。その際に、子会社として松下プラズマディスプレイ社の設立ということがこの計画にも掲げられています。

 そこで、経産省に確認でお聞きしますけれども、この〇一年二月の松下の事業再構築計画、認定を受けた計画の中で「事業再構築に伴い出向又は解雇される従業員数」についての記述があるんですが、これはどのように書かれているのか、紹介していただけますか。

肥塚政府参考人 出向予定の従業員数、松下電器(株)から松下ディスプレイ(株)に五百八十一名の従業員の出向が予定されている。出向形態は在籍出向で、出向による雇用条件の変更はない。解雇予定の従業員数、解雇の予定はない。

 以上でございます。

塩川委員 この松下の本体から子会社の松下ディスプレイに五百八十一名の従業員の出向があるわけですね。出向は在籍出向だ、転籍じゃないと。それから、出向による雇用条件の変更はないということです。これは計画にあるわけです。

 もう一点、同じ計画書で、事業再構築計画に伴って松下ディスプレイ社に新規採用される従業員数というのも書かれているんですけれども、この計画にあります松下ディスプレイ社に新規採用される従業員数は何人と書かれていますか。

肥塚政府参考人 新規採用する従業員数、松下電器株式会社十名、松下プラズマディスプレイ株式会社ゼロ名でございます。

塩川委員 今ありましたように、新しく立ち上がった子会社の松下ディスプレイ社への新規採用の従業員数はゼロなんです。新しく会社が立ち上がったけれども、新採用はゼロ。つまり、社員は在籍出向で本体から来るわけですね。それが今言った五百八十一名です。

 それだけで賄えるかというと、そうではなくて、そこには大量の請負労働者が入ってくるわけです。ですから、新規採用がなく、松下の正社員の在籍出向で立ち上げられて、それ以外の製造現場の労働者は請負労働者だったわけです。

 ですから、立ち上がって三年後の〇四年九月時点で、大阪の茨木工場は、プラズマディスプレイの工場ですけれども、P1、P2、第一、第二工場合わせて正社員が五百人。これは出向ですね。それ以外に、社外工、請負労働者が千四百人存在をするということでした。つまり、松下プラズマディスプレイ社に大量の派遣、請負労働者が働いているわけです。この間、松下は大リストラを行いまして、合わせてこの間に人員削減で二万二千人。結果として、正社員のリストラの他方で派遣、請負労働者が大量に雇用されるという形で、正社員を非正規に置きかえるということが行われたわけです。

 その請負労働の実態がどうかということについて、これは去年の八月一日付の朝日新聞で、「松下系社員 請負会社に大量出向 違法性回避策か」という見出しの記事があります。ここにもありますように、「「松下プラズマディスプレイ」が今年五月、」去年の五月ですね、「茨木工場内でパネル製造を委託する請負会社に、同工場勤務の松下社員を大量に出向させたことが分かった。同工場は昨年七月、請負労働者を直接指揮命令する「偽装請負」で行政指導を受けている。今回の出向は、これまでの労働実態を変えないまま、松下社員による指揮命令の違法性を形式的に回避したものだ」と指摘をしております。

 つまり、実質労働は請負会社がやっているんだけれども、請負会社だけでは仕事ができないから、指揮命令をするために請負会社に松下の社員が出向するという形をとって、いわば請負会社の一員になるわけですから指揮命令ができるようになる。つまり、偽装請負を回避するためにこういった偽装出向が行われていたということがありました。

 それで、結果として、去年の十月二十七日に厚生労働省は、松下の社員の請負会社への大量出向については、出向の実態というのが職業安定法に違反する労働者供給事業だ、出向型の偽装請負だとして是正指導を行っております。

 ですから、そこで聞きますけれども、この松下の認定計画にある「出向形態は在籍出向で、出向による雇用条件の変更はない」としていることに反して、現場の実態では、松下プラズマディスプレイ社に出向させた松下の社員をさらに請負会社に偽装出向させていたわけですね。認定計画にも反する違法な実態があったわけですけれども、こういう事態について、認定をした経済産業省としてどのように把握をしていたのか、どのように対応したのか、お聞かせください。

肥塚政府参考人 私どもとしましては、出向予定の従業員数がその後増加しているという報告は受けておりますけれども、「出向形態は在籍出向で、出向による雇用条件の変更はない」、その部分については変更がないというふうに聞いております。

塩川委員 そういう意味では、経産省に報告しているのと違う実態というのが松下の側にあったわけであります。こういったときにどうするのかということが問われるんじゃないでしょうか。

 大臣に伺いますけれども、大臣は、九九年に産業活力再生法ができた際に、当時労働大臣でいらっしゃいました。委員会でも連合審査がありまして、経済産業委員会と労働委員会の連合審査の場で大臣も答弁に立たれております。

 そこで伺いますけれども、そもそも産業活力再生法に基づいて国が認定をする、そういった認定を受けた企業が登録免許税などの減税も受けているわけですね。今回の松下の場合でいえば五千九百万ぐらいだそうですけれども、そういう意味での恩恵を受けているわけです。しかし、そのやっている中身が、計画で出しているのと違うようなことを生み出している。偽装出向、偽装請負のような事態が生まれているということが実態であります。そこで計画と異なることが行われているのに、現状では、経産省として把握もしていないということでした。

 当時、九九年の議論の際にも、もともと法案の中に、従業員の地位を不当に害するものではないことという一文も当然入っておりますし、それからあと、衆議院の商工委員会の附帯決議においても、関連中小企業等の労働者を含めた雇用の安定に最大限の努力を払うという点では、ある意味では、関連中小企業という点では、この下請の請負会社なども当然そういうものに含まれるわけです。

 そういう意味でも、雇用の安定についてしっかりとした責任を、偽装請負や偽装出向などの事態はまかり間違ってもあってはならないということが前提だと思うんですけれども、こういった事態についてどう考えるのか。こういうものについてきちっとチェックをする必要がそもそもあるんじゃないのか。大臣のお考えをお聞かせください。

甘利国務大臣 偽装請負等、法令に反するようなことがあれば、これは直ちに改善をさせていくというのは当然のことであります。

塩川委員 産業活力再生法に基づいて認定を受けた計画で、雇用の問題についてきちんと記述をしている、それと違うような実態になっているということについて何も言わなくていいのか、そういう実態についてチェックをする必要があるんじゃないのか、その点をお聞きしているんですが。

甘利国務大臣 これは企業の事業再編を促す仕組みでありましたけれども、それがきちんと法律どおりにやっておらないというのであるならば、それは当然正していくべきだと思いますし、当時どこまで通産省が把握できたのか、ちょっと私も確認をしておりませんけれども、法の施行を担当する役所としては、きちんと法律の規定どおりに事がなされていくよう注意を払うべきだということは当然であります。

塩川委員 そういう意味では、済んだ話、計画は立てて、それによっていろいろな恩典、特典を受けるけれども、それが過ぎた後、実際にリストラですとか偽装請負のようないろいろな違法行為が行われていても、それについてチェックもしないということでは、これはやはりバランスを欠く問題ではないかというのは率直に思います。

 現実に、〇一年以降、松下が計画の認定を受けて以降〇五年までに、グループ全体で労働者の削減数が二万七千人に上ります。ですから、実際に把握している数字と違ってくるわけですよ。

 そういう意味でも、一方で正社員を減らして、他方で松下プラズマディスプレイのように大量の派遣、請負労働者に置きかえる、こういうやり方はやはり許すわけにはいかない。偽装請負を告発した非正規の労働者が現場で解雇されるような、労働者の雇用が奪われるような事態もあるわけですから、産活法が非正規雇用、不安定雇用を拡大するツールとして使われる懸念というのはぬぐえないということは重ねて申し上げたいと思います。

 その上で、派遣・請負業の話を進めたいのですが、派遣・請負業を活用する大手ユーザー側の実態がどうなっているのかということを、前回も紹介しましたキヤノンを例にお聞きしたいと思っています。

 大臣に伺いたいんですが、この間の答弁で、生産のフレキシビリティー確保の観点から派遣はあり得るという話をされておりました。季節調整などもあるだろう、そういうお話があったんですけれども、このキヤノンの製造現場は今はどうなっているか。

 例えば読売新聞などでも、キヤノングループの製造部門では、従業員の七五%に当たる約二万一千四百人が間接雇用、派遣が一万三千、請負が八千四百人であります。これを直すと、つまり、キヤノングループの製造部門には二万八千五百人ぐらいの人がいて、そのうち二万一千四百人が間接雇用の派遣や請負だ、残りの七千百人が直接雇用ですけれども、直接雇用の中には期間工、期間従業員も含まれているんですね。ですから、いわゆる正規雇用、正社員というのは、この七千百人よりもっと小さい数字というのが実態だと思います。

 そういう点でも、職場の圧倒的多数が非正規、期間工、派遣、請負と言われる状況になっている。私が現場に行きました大分キヤノンでも、キヤノンの方の説明では八五%が外部人材を活用しているという話ですから、そういう意味では非常に高い比率になっているわけです。

 こういった七五%とか八五%という間接雇用、非正規雇用の活用というのは、大臣もおっしゃっているフレキシビリティーの範囲を大きく逸脱するものになっているんじゃないのかと率直に思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

甘利国務大臣 今、具体的な数字に言及をされましたが、私の考え方は、ベース労働になる雇用者、労働者は極力正規雇用であってほしいと思いますし、フレキシビリティーの部分は、なかなか正規ですと、その人の労働力が要らないときも抱えていなきゃならないということがありますから、非正規を活用するというのは選択肢としてあり得ると思います。

 私が申し上げているのは、安直に調達コストが安いから非正規を使うという発想であってはいけないんじゃないでしょうかと。生産のフレキシビリティーとか、あるいは特殊な、特異な技術力が一時的に必要となるというようなときに効力を発揮するということであります。

 今の全体の数と、正規、非正規の分類でいうと、非正規が随分多いんですねという印象であります。ただ、基本は、競争の中で企業が生き残ってくれなきゃいけない、大もとの雇用まで失われちゃいけないというのがまず第一の選択でありますから、会社が根こそぎ倒れちゃったら、もともとある正規雇用まで全部倒れてしまう、そういうことは避けなきゃならない。そういう避けなきゃならない範囲で、できるだけ正規の雇用を、ベース労働としての雇用をふやしてもらいたいというのが私の思いであります。

塩川委員 キヤノンは過去最高の収益を更新しておりまして、株主の配当もふやして、役員の報酬もふやしているわけですよ。それで現場がこれだというのは、やり過ぎなんじゃないかと率直に思うわけです。

 それで、大臣も繰り返しおっしゃるように、安直に低廉な労働を求めることのみを動機とする派遣や請負の拡大は適当ではないと、そうだと思います。

 では、キヤノンの場合はどうかということなんです。

 資料を配付したんですけれども、済みません、ちょっと順番が逆で、一番後ろ、三枚目に、これはキヤノンの内部文書なんですが、「外部要員適正管理の手引き」、去年の二月ぐらいにまとめたものだと思いますけれども、キヤノン株式会社の人事本部がつくったものであります。現場に、外部要員活用の際にこれを参考にしろということで出しているものですけれども、2の「請負の拡大と問題点」で、二つ目の段落、つまり五行目を見てほしいんです。「キヤノンにおいても一九九〇年代前半までは、生産現場において多くの期間従業員を直接雇用していましたが、コスト面や管理負荷の軽減といったメリットから、期間従業員から請負労働者へのシフトが起こり、多数の請負労働者を活用するようになりました。」こういうふうに述べております。

 つまり、キヤノンにおいては、以前は期間従業員、これ自身も低廉な労働力に当たると思いますけれども、それよりもコスト面でメリットのある請負労働者に切りかえてきたというわけですよ。そういう点では、まさに大臣がおっしゃるように、安直に低廉な労働を求めることのみを動機とする請負の拡大がキヤノンにおいて行われているということじゃないでしょうか。こういうことについて、率直にどうお考えになりますか。

甘利国務大臣 派遣や請負の労働の方が圧倒的にコストが安いということであると、企業側にとってはそういう思いに駆られるというのは当然起こり得ることだと思います。

 そこで、安倍内閣では、同一労働、均衡待遇ということを掲げています。同一労働を同一としないのはなぜかというと、正規には正規の責務、ロイヤリティーとか、あるいは業務命令に対応する責任であるとか、あるいは残業の要請があるとか転勤とか、いろいろなことがあると思いますが、そういうところの部分は考慮して、それらを除いた対等待遇ということに同一労働、均衡待遇というのはなっているわけでありますが、それを進めていくということが抜本的な策になろうかと思います。

 つまり、安直に低廉な労働力を求めるということではなくて、事業のフレキシビリティーへの対応とか特殊技能への一時的な対応とか、そういうことの選択肢をふやす、あるいは働く側の、一時的に働くけれどもそれから先はちょっとやりたいことがあるとか、そういう双方のニーズにこたえられるという仕組みとして健全に機能していくことが大切かと思っております。

塩川委員 私の質問に改めてお答えいただきたいんですが、こういった安直に低廉な労働を求めることのみを動機とする請負の拡大が行われているというキヤノンに対して、一言申し上げることはありませんか。

甘利国務大臣 企業の競争力と、そして働く者の待遇の改善に向けて、我々も努力をしていきますし、企業側もしっかりと対処していただきたいと思っております。

塩川委員 終わります。

上田委員長 次回は、来る十日火曜日午前九時十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十八分散会


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