衆議院

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第17号 平成19年6月15日(金曜日)

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平成十九年六月十五日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 上田  勇君

   理事 金子善次郎君 理事 河井 克行君

   理事 新藤 義孝君 理事 中山 泰秀君

   理事 宮腰 光寛君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 赤羽 一嘉君

      阿部 俊子君    小此木八郎君

      岡部 英明君    片山さつき君

      川条 志嘉君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      平  将明君    谷川 弥一君

      土井 真樹君    丹羽 秀樹君

      橋本  岳君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    増原 義剛君

      松本  純君    武藤 容治君

      森  英介君    山本 明彦君

      吉川 貴盛君    大畠 章宏君

      太田 和美君    川端 達夫君

      北神 圭朗君    田村 謙治君

      武正 公一君    三谷 光男君

      柚木 道義君    鷲尾英一郎君

      高木美智代君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   内閣官房副長官      下村 博文君

   厚生労働副大臣      武見 敬三君

   経済産業副大臣      山本 幸三君

   経済産業副大臣      渡辺 博道君

   国土交通副大臣      渡辺 具能君

   経済産業大臣政務官    高木美智代君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山崎 史郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房独占禁止法基本問題検討室長)   土肥原 洋君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房総括審議官)     舟橋 和幸君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田  務君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 後藤  博君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 古谷 一之君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 岡崎 淳一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       松井 英生君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中富 道隆君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    加藤 文彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           大森 雅夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           加藤 利男君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十五日

 辞任         補欠選任

  片山さつき君     阿部 俊子君

  森  英介君     松本  純君

  太田 和美君     武正 公一君

  鷲尾英一郎君     田村 謙治君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     片山さつき君

  松本  純君     森  英介君

  田村 謙治君     鷲尾英一郎君

  武正 公一君     太田 和美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

上田委員長 これより会議を開きます。

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官山崎史郎君、内閣府大臣官房独占禁止法基本問題検討室長土肥原洋君、公正取引委員会事務総局官房総括審議官舟橋和幸君、公正取引委員会事務総局審査局長山田務君、法務省大臣官房審議官後藤博君、財務省大臣官房審議官古谷一之君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長岡崎淳一君、経済産業省大臣官房商務流通審議官松井英生君、経済産業省大臣官房審議官中富道隆君、中小企業庁次長加藤文彦君、国土交通省大臣官房審議官大森雅夫君及び国土交通省大臣官房審議官加藤利男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤容治君。

武藤委員 おはようございます。

 経済産業委員会、今国会ひょっとすると最後かなという委員会だと思っておりますけれども、このような質疑の最後の場を与えていただきまして、大変感謝申し上げております。

 いろいろと今、新聞報道の中で経済について報道がされておりますが、この前の三月の上場企業の決算状況を見ましても、五年超えの景気拡大の中、経常利益の総額が四期連続過去最高を更新する見通しだという記事も載っておりました。四月から六月期の機械受注統計は若干今一服感を出しているようでございますけれども、大変着実な日本経済の回復の鼓動というのがはっきり聞こえてくるような気がしている昨今でございます。

 いよいよ最後の委員会だろうということで、ここで甘利経済産業大臣にこれまでの総括を、とりあえず御意見として拝聴したいと思っております。よろしくお願いいたします。

甘利国務大臣 まだ会期末まで一週間ありますが、今国会を振り返ってみますと、先生を初め与野党の委員の先生方の本当に熱心な御議論をいただきまして、提出案件、八法案ありましたが、おかげさまですべて成立をいたしました。

 その八本の中には、経済成長戦略大綱関連の三法案、これは、日本の経済成長に資するあるいは地域の格差是正に資する大事な法案だと思っておりますが、この法案もありましたし、あるいは、中小企業にとって大事な金融政策をしっかりと充実させていくということに関連する中小企業金融二法案等がございました。これらはすべて、まさに成長なくして日本の未来なしとうたっています安倍内閣のスローガンを実現していくための法案であります。

 そして、経済状況にも若干お触れをいただいたわけでありますが、今月十一日に直近のGDPの二次速報が発表されましたけれども、これによりますれば、平成十八年度の実質GDP成長率はプラス二・一%となったわけでありまして、十五年度、十六年度、十七年度、十八年度と、これで四年連続で実質GDPは二%を超えているわけでありまして、安定的な景気回復が持続しているのではないかと思います。

 ただ、まだ地域間で濃淡がありますし、大企業は元気いっぱいだけれども、中小企業も一部、一部といいますか、回復をしているところも随分出てきましたが、まだ回復におくれが見られるところもございます。これらには留意をしなければならないというふうに思っております。全面冬景色から、一部夏景色、それから春の景色になってきておりますが、まだ雪の残っている部分についてはしっかりと注意を払って、施策の効果が上がるようにしていきたいというふうに思っております。

武藤委員 大変ありがとうございます。

 大臣おっしゃられるように、今、八法案ですか、無事通ったのも、上田委員長のもとに、与野党の先生方の本当に熱心な御議論もこの委員会では聞かせていただきまして、本当にこの日本を思っていらっしゃる皆さんの心意気に改めて敬意を表するわけでございます。今国会は、ちょっと法務委員会の方もございまして、なかなかこの経済産業委員会に出られなかったのでございますけれども、何でこう委員会で違うのかなというのが率直なところでございまして、こんなことが議事録に載るとまたいろいろありますのであれでございますけれども。

 今の大臣のお話の中で、経済成長が大変確実なものになっているというのはわかってきております。ただ、経営者の感覚からしますと、やはり、大手もそうですけれども、一つはオイルの高騰の問題、それから、今回のは大分円安の影響があるのではないか。そして気になるのは、米国の今後の景気、あるいは中国、アジアの動向、またロシアの最近の動向というのも非常に気になるところでございます。

 そういう中で、経済産業大臣、これまで以上にぜひ日本を引っ張っていただくように、大変尊敬申し上げておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、先般開かれましたハイリゲンダムのサミットでございますけれども、ここも、地球環境分野、京都議定書においてはなかなか参画でき得なかったアメリカ、中国、インド、これが取り組むことの新しい形の枠組みができたのではないかと思っております。

 また、日本におきましては、来年、洞爺湖のサミットが、開催国ということでございまして、その辺の道筋ができたというのは、安倍総理のもとの大変なリーダーシップ、また甘利大臣のエネルギー戦略における大変なリーダーシップのたまものではないかと思っております。

 カザフにおいて、大臣、この前行かれまして、ウランの問題についても日本にとって大変大きな貢献をされました。また、この前新聞に出ておりましたけれども、UAEの、丸紅の例の淡水化プラント、それから発電の関係、こういうものなんかも、やはり総理の中東訪問の中での位置づけもあるのではないかと思っております。このプロジェクトについて、我が国のエネルギーの問題、これは我が国にとっては大変なアキレス腱の問題でございますので、着実にそういう形で、世界の中での、共生の中での環境という位置づけの中で大変なリーダーシップを発揮されているのではないかと思って敬意を申し上げます。

 サミットの件でございますけれども、甘利大臣の評価というのをちょっとお伺いしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

甘利国務大臣 今回のドイツ・ハイリゲンダム・サミットにおいて最大のテーマというのは、エネルギーと気候変動の問題でありました。

 我が国は、安倍総理が、クールアース50、美しい星50という構想を既に発表しておりましたけれども、これを起点に各国間の合意形成をリードされたわけであります。

 当初は、EUとアメリカが本当に真っ正面からぶつかっておりまして、G8での合意形成が危ぶまれておりましたけれども、安倍総理が熱心に両方を説得されて、事実上、安倍提案のもとに各国が集うということになったんだと思っております。

 この結果、主要排出国がみんな参加をする、それから各国事情に応じた多様なアプローチを認める、ただし、二〇五〇年半減の長期目標についてはそれをしっかりと検討していく、それからG8及び主要途上国による省エネルギーを推進する、これはもちろん日本の省エネ技術が貢献するわけでありますけれども、そして原子力発電であるとか技術開発の重要性等について共通認識が得られたわけであります。

 気候変動、地球温暖化問題の解決とエネルギー安全保障というのは、まさに一体不可分のものでありますけれども、これを一体的に実現するための実効的な、国際的な枠組みづくりに向けて大きなステップとなったというふうに考えております。

 来年の洞爺湖サミットにおいて、これをより具体化する道筋をつくっていかなければならないというふうに思っております。洞爺湖サミットまでに向けて各種の国際会議が行われます。アメリカが主催するものもあればCOPもあるわけであります。そういう洞爺湖サミットに向けての各種国際会議が、そういうG8サミットで合意された枠組みの具体的な道筋としてちゃんと整合性よくつながっていくように努力をする必要があろうかと思っております。

 日本のリードでまとまった、これは大きな成果だったというふうに総括をいたしております。

武藤委員 大臣からまた心強い御意見をいただきまして、大変ありがたいと思っております。

 大臣がおっしゃられるように、エネルギー、安全保障そして環境、そしてまた、そこに外交というものが本当に一体となって、日本が世界においてリーダーシップを発揮できる、そこのまさに国家的戦略というのが大変大事なことだというふうに思っております。これからもひとつ、日本の国益のもとに引っ張っていただきたいというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、オイルの高騰の問題とかいろいろありますけれども、やはり経営者のそういう不安感も若干ぬぐい去れない。そこは確かに地方の格差の問題もありますけれども、内需拡大についてちょっとやはりお話を伺いたいなというふうに思います。

 日本がこれから世界の中で確固たる経済地盤をつくっていくという意味では、やはり内需拡大をどうしてもやっていかなきゃいけないと思っております。地方の問題も含めて、政府からいろいろなビジョンが出ておりますけれども、これについての何かいい案がないのかなと思うんですけれども、率直に、それについては山本副大臣にお答えいただければと思います。

山本(幸)副大臣 御指摘のように、内需拡大が経済の安定的成長に大変重要だということはそのとおりだと思います。ただ、その場合にやはり、GDPの六割以上を占める消費の拡大がなければ、なかなか本物にならないということだろうと思います。ところが今、日本の場合は、なかなかユニット・レーバー・コスト、賃金の水準自体が十分に上がっていない状況にございます。そこに、やはり賃金上昇に結びつけるというような方向で経済が運営されないと本物にならないということだろうと思います。

 そのためには、やはり企業はまだまだ本当の意味で自信が持てるような状況になっていないのではないか。つまり、まだデフレが完全に脱却できておりません。デフレが脱却できていないということは、つくった商品の値段が上げられるという状況にないんではないかという不安を持つわけですから、企業経営者にとっては、そう簡単に賃金をどんどん上げていいという気になりません。

 したがって、まずデフレを完全に脱却するということを最優先でやらなければいけない話だと思いますし、実質の経済成長率が伸びているとはいえ、名目はむしろそれより下ですから、そういうことがやはり大きな問題で、しかも、御指摘のように、アメリカの経済等、原油価格とか、あるいは中国のバブル的な状況とかのことを考えますと、先行指標も若干心配するような数字も出ておりますので、こういうことを含めて、やはり我々としては、まず完全にデフレを脱却して、そして経済成長戦略、通していただきました法案をしっかりと活用して、だれもが本当の意味で、もう経済は成長軌道に完全に乗ったんだ、そういう状況につくり上げていくことが大変大事だろうというふうに思っております。

武藤委員 副大臣、どうもありがとうございます。

 まさにデフレ克服のためにまだまだ時間がかかっている、私もそう思っております。また、地方の問題についても、やはり賃金そのものについても、これも大分格差がありますけれども、なかなか浸透していくまでに時間がかかるだろうと思っています。克服のためにさまざまなプランが今出ておりますので、ぜひまた御指導をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 ここでちょっと、今その中で若干地元の話もしておきますと、銀行の調査によりますと、消費者動向調査で、消費者の消費支出の指数が四五%ふえているという結果が出ています。内容を見ると、まず携帯の通信費、これはもう田舎でもそういうものがふえております。それと、やはり大きなのはガソリン、いわゆる自動車社会ですので、それが家計にはね上がってきている。逆に、減っているのが交際費ですとかレジャー費、そういうものが減ってきている。だから、消費者の動向というのも、やはり厳しい中で、そういう中で社会、生活の変化をしているので、多少は変わっていますけれども、やはり全体的には厳しい状況が続いているんではないかと思っています。

 実際、中小企業も賃金がなかなか上がらない以上に、まずは役員の賃金が、給与を下げて一生懸命頑張っているのが現状ですので、なかなか、その辺までどうやってこれから持っていくのかなというところが、まだまだ道が長いという判断でございますので、ひとつよろしくまた御指導をお願いしたいと思います。

 それと、岐阜の方でも大変、先ほど大臣もちょっとおっしゃられましたけれども、いいところと悪いところが非常に差がまた出てきておりまして、特に自動車それから航空宇宙産業が非常に今活況を帯びておりまして、求人倍率も二倍近いものがあるわけですけれども、逆に、そこで漏れている中小企業の雇用が非常にまずくなってきております。うちも中小企業をやっておりますけれども、声をかけてもなかなか来ていただけないような状況が続いているのが現状でございまして、この辺について、雇用の問題というのは非常に大きな問題だと思っております。

 その中で、ちょっときょうは話があれでございますけれども、経産省さんからも出ている、例の外国人労働の問題についてでございますけれども、とりあえず研修制度をどうしようかというところで、厚生労働省、経産省、それぞれ案を出していただいています。また、そこに法務省からもまた新たな案が出てきて、内閣府の方で今取りまとめをしていただけるというふうに思っておりますけれども、経産省のお立場をちょっとここで改めて御報告いただきたいと思います。

山本(幸)副大臣 御指摘の外国人研修・技能実習制度でございますけれども、技能移転による国際貢献の制度としてはうまく機能している事例も大変多いと考えております。しかも、産業界からは、より高度な技能の習得機会の付与など、研修・技能実習生及び受け入れ企業双方にとってさらに望ましい制度に拡充してほしい、そういう要望が寄せられております。

 他方で、昨今、一部の受け入れ機関で、制度の趣旨に反して、割り増し賃金の不払いなど不適正な管理の例なども指摘されておりまして、制度運用の適正化はしっかりと図っていかなきゃいけない、そういう必要があると認識しております。

 これらを踏まえて、経済産業省におきましては、先般、本制度の運用の適正化と、それを前提とした制度の高度化、拡充を図る見直し案を研究会で取りまとめたところでございます。

 本制度の見直しにつきましては、厚生労働省からも、あるいは長勢法務大臣からも私案が提示されておりますが、今後、よりよい制度を構築すべく、関係省庁や産業界等、諸方面と議論をしっかりと深めてまいりたいと考えておるところであります。

武藤委員 ありがとうございます。

 副大臣おっしゃるとおりでございまして、ここでちょっとうちの自慢話なんですけれども、私の地元の車体屋さん、トヨタの関係ですけれども、十七年間で約二十万の韓国人の研修生を受け入れて、この前ソウルに行かれまして、向こうの外務大臣から修交勲章という大変すばらしい表彰を受けられました。大変な実績を評価されたということで、いわゆる人間を育てるという形の中での表彰だったそうでございます。そんなような表彰も受けられて、その教えた子たちが、トヨタ・スピリッツを、今サムソン電子とかLGとか、そこの副会長クラスにもうなっていらっしゃるということで、ある意味では国際貢献の本当の模範たる姿を示していただいているわけです。

 またそういう一方、岐阜にも縫製が随分あります。今副大臣がおっしゃられたような中国人研修生を、ある意味で本当に不当な労働を使って摘発を受けているところも大変耳にするところが多いわけでございまして、この中でも本当にさまざまな形があるわけでして、各省それぞれうまく連携をとり合いながら、本当に日本の国際貢献というのは絶対必要なスタンスだと私も思っておりますので、ぜひそういう形でいい策をまた練り上げていただけたらと思いますし、立法府としても、当然そういう意味ではいろいろな形で今やっていますので、御指導いただければ、またそこの中で新しいいいものができるのではないかと思っております。ぜひ、それについてはまたよろしくお願いしたいと思っております。

 それと、中小企業関連で引き続きちょっと御質問させていただきますが、十九年度の税制改正の中で留保金課税が撤廃されて、大変中小企業の方々に喜んでいただいております。しかし、三十五条の特殊支配同族会社の役員給与の不算入の案件でございますけれども、これについては、十九年度の決算をもって、来年の三月以降、八百万から千六百万円に適用除外がふえましたけれども、ことしの決算を見て、これは多分財務省さんの方だと思いますけれども、調査結果、フォローが出ているのか。三月決算ですからまだ時間がかかるのかもしれませんけれども、今の状況報告だけお願いできたらと思っています。

古谷政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のございました制度、十八年度税制改正で導入をさせていただいておりますが、その際には基準所得八百万円以下の場合が適用除外ということでございました。これを今度の十九年度税制改正で一千六百万円に引き上げておるわけでございますけれども、御指摘ございましたように、この一千六百万円という適用除外基準は本年四月以降開始する事業年度からでございまして、それ以前は、具体的に申し上げますと、ことしの三月決算法人までは従前の八百万円ということが適用になります。

 この措置の適用実態につきましては、私どももきちんと把握する必要があるというふうに考えておりますけれども、この八百万円の適用される申告納税が、三月決算法人、きれいに終わりますのが六月の末でございます。それ以降、私ども鋭意検証したいと思っておりますけれども、全国ベースでの検証ということになりますので、まとめられますのが九月ごろというふうに考えております。その点御理解をいただければと思います。

 以上でございます。

武藤委員 わかりました。

 九月ということですので、それについては表に出される、公開をされるのか、ちょっと確認をしたいと思っています。

古谷政府参考人 お答えをいたします。

 この制度につきましてはいろいろと御議論がございまして、適用の実態をきちんと把握すべきだということは各方面からも言われておりますので、この年末の税制改正の中であるいはまた議論になろうかと思いますので、きちんと説明できるように準備をさせていただきたいと思っております。

武藤委員 わかりました。ありがとうございます。

 時間がだんだんなくなってきましたけれども、一つだけちょっとお伺いします。

 中小企業の再生協議会、今、経済産業省さんの御指導のもとで全国的に大分いい結果を伸ばしてきていただいているようでございます。たしか一万社超えの該当者になっていると思いますけれども。先般、内閣府の方で、やはりこれも地方版のRCCを創設するという形が報道されておりました。民間の事業再生ファンドというのも全国に少しずつあるようでございますけれども、やはり中小企業の活性化という意味で、本当に親身になってくれるところがないと困るわけでございまして、またそこには、今回、再生協議会のノウハウを全国で共有しようという動きについては大変私も期待をしておりますけれども、この辺のRCCとの取り組みの関係というのは今どういう形で考えられているのか、ちょっと御質問します。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の件は、地域力再生機構と中小企業再生支援協議会の役割分担についてということだと承知してございます。

 この地域力再生機構でございますが、これは、経済財政諮問会議におきまして、民間有識者議員等からの御提案に基づくものでございます。その基本的な考え方でございますが、中小企業再生支援協議会との対比におきましては、例えば、まず対象でございますが、いわゆる中規模以上の企業を対象にするということ、さらに、支援方法に関しましても、経営参画型のいわゆるハンズオンの支援を中心にする、また、対象でございますけれども、地域の面的再生ということで、地域の金融機関とか地方自治体との連携による、いわば複数企業をまとめて再生する、そういったものも対象にするといったことで指摘されているところでございます。

 今後、政府としまして、当然、中小企業の再生支援協議会との役割分担、連携等も踏まえながら具体的な検討を進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。

武藤委員 本当に、国民から見て不統一、いわゆる縦割りの、また役所は何をやっているんだというふうにならないように、全国隅々、それぞれの役割をもっとはっきりしてぜひ形づくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、余り時間がなくなってまいりましたので、やっときょうの案件の私的独占の件でございます。

 先般、国交省さんの発注の中で、夕張のダムの関連で大林さんと大成に、ゼネコンとして初めてじゃないかと私、思いますけれども、不当廉売の警告を出されました。今までゼネコンについては談合、これはもう前回のこの委員会でも大変厳しい皆さんの御意見があったとおりでございますけれども、いわゆる支配型じゃなくて排除型において出てきたのは初めてのケースではないかと思っておりますけれども、これについて状況報告をお願いします。

山田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘がありました、建設工事におきますいわゆるダンピング受注につきましては、公正取引委員会といたしましても不当廉売規制の観点から関心を持っておりまして、現在、所要の調査を行っているところでございます。

 それで、先生御指摘ございましたけれども、現在、この調査につきましては調査中の段階でございまして、最終的に公取としての措置をとるための現在事前手続の段階にございます。現在、関係人に対しまして予定される措置の内容を通知したところでありまして、今後、その意見等を踏まえまして、公取として最終的な結論を出していきたいと考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、ダンピング受注の問題につきましては、独禁法上問題点があれば厳正に対処してやっていきたいと考えております。

武藤委員 新聞の先走り報道だということでございますね。ただ、方向的にはそういう方向で進んでいるという方向でしょうね。ここでは言えませんよということですね。はい、わかりました。

 いや、これは大変ある意味で、ゼネコンさんに対して、過当競争、ダンピングが今非常に問題になっているということは御理解いただけると思っています。私も会社で材料屋をやっていましたので、よくゼネコンさんの価格に対応せざるを得ない。これは、材料屋の宿命もありますし、また下請も当然そういう形であるわけです。これが今の一般競争入札で全国的にどんどんこういう形で入っていきますと、いわゆる材料屋もその値段に、安い値段についていかざるを得ない。ただ、赤字を覚悟といいますか、もう赤字でやるしかないんです。そういう形の中で、どんどん広がっていきますと、これはもう本当に、今以上に大変な惨劇がこの業界にはあるだろうというのが予測されるわけです。

 また、ダンピングした建設会社さん自体も、いわゆる最低予定価格という制度が今もあるわけですけれども、予定価格でくじ引きをしてとらざるを得ないという現状の中で、順番が回ってこない限り、要するに、くじ引きで負けている限りは仕事もないということで、大変な中でございますので、ダンピングに対する対策をどうしていったらいいのか、これは早急にやはり対策を練らなきゃいけないと思っています。

 品確法、総合評価制度、これも導入されておりますけれども、国交省直轄ではもう既に実施され、大分ふえております。ところが、市町村においては、その制度を導入したとしても、その審査をする人間を用意できないのが実態だというふうに思っています。

 ですから、そういう中で、果たして市町村の、地域まで含めて、どういう形でこのダンピングに対してあるスキームをつくっていくのかというのは本当の知恵の使いどころじゃないかと思っていますので、党内でもいろいろな調査会の中で御議論いただいていますけれども、経産省の方も、また国交省それぞれと連携をとって、中小企業の立場からも、ひとつぜひ後押しをよろしくお願いしたいと思います。

 それと、時間がなくなりました。一つだけさせていただければと思いますが、公正取引の関係については、十七年の法改正で、昨年から施行されて、二年間の見直し条項が入っております。その条項の中で、内閣府に協議会が設置されて、鋭意ずっと議論を重ねられております。

 党内でも、独禁法調査会また司法制度調査会の改革の中で準司法制度の取り組みをやってまいりまして、三月に、臼井会長また棚橋委員長の中で報告が出されました。大変すばらしいまとめ方をされています。独禁法の扱いについても、今問題になっています審判の問題についてもこうあるべきという、大変広い議論の中から提案をさせていただきました。

 その辺について、時間もなくなりましたので、懇談会あるいは公取の方も、これからの二年間の見直しについて、ぜひ参考にしていただきたいというお願いでございますので、イエスかノーかというか、その思いを公取さんの方からお聞きして、質問を終わりたいと思います。

土肥原政府参考人 独禁法基本問題懇談会の件でございますけれども、これは、改正独禁法の附則の見直し規定に載っておりまして、内閣官房長官の懇談会ということで、幅広い分野の有識者にお集まりいただいて開催されているものでございます。

 現在、懇談会の方におきまして、改正独占禁止法の附則や両院の附帯決議を踏まえまして、幅広い論点について鋭意検討を行っているところでございまして、結論が出ているわけではございませんが、今月中の報告取りまとめに向けまして議論を行っているところでございます。

武藤委員 どうもありがとうございました。終わります。

上田委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾英一郎でございます。

 きょうは、公取の竹島委員長に答弁をお願いするのが一点と、国交省の水門談合の問題について質問をさせていただこうと思っております。

 事前の通告に従いまして質問をさせていただこうと思いますが、一点だけ、事前に通告のない質問をさせていただけたらなというふうに思っております。申しわけないんですけれども。

 と申しますのは、国交省の水門談合の問題で、元職員さん四名がかかわっていたというのが従来の話であったんですけれども、けさほどの報道で、現役職員も関与したというのが明らかになりました。これは国交省さんの内部調査で明らかになったということでございますが、この明らかになった内容について、この委員会でも概要について説明していただけたらと思います。

 事前に通告していないので申しわけないんですけれども、恐らく聞かれるだろうなというふうに思っていらっしゃるとは思いますので、国交省さん、御説明をお願いできますでしょうか。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の水門設備工事に係る官製談合事件につきましては、我々、元検察官である弁護士等の調査委員の方々にも御参画をいただきまして、鋭意、事実関係の調査や今後の入札談合防止対策について検討を進めてきたところでございます。

 公正取引委員会による三月八日の改善措置要求及び要請の内容はおおむね事実であるということが確認されております。

 ただし、この調査、検討の結果については、本日、委員会の方から御報告をいただくことになっているところでございまして、この段階で具体的な調査結果等にかかわる内容についてのコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。したがいまして、今先生御指摘のきょうの報道内容についても、ここでのコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにしても、委員会からの報告を踏まえまして、今回の談合に関係したと認められる職員に対して、厳正かつ適切な対応を行うとともに、談合の再発防止に向けて再発防止策の具体化を図り、国民からの信頼回復に努めてまいりたいと思います。

鷲尾委員 事前に通告してはいないんですけれども、報道に出ている問題でございますし、その報道に出ている情報について立法府が説明をしてくれというのを、三時まで待てというのは、ちょっと納得できないわけでありまして、これだけ重要な話で説明を求めているにもかかわらず説明をしないというのは、国民の信頼を取り戻すと今いみじくもおっしゃったことに若干矛盾しているのではないかというふうに私自身は思うわけですが、どうしても話せないということでよろしいですか。

渡辺(具)副大臣 ただいま答弁申し上げましたとおり、きょう第五回目の委員会をやって、そして、事実関係を最後に確認するわけでございますので、それを受けないと、我々としては、大変微妙で重大な問題でございますので、委員会でもう一回やるわけですから、きょうやって報告を決めるわけでございますので、それを踏まえてまたお答えしたいと思います。

鷲尾委員 今知っている範囲のことをお答えいただきたいというふうに思ったわけでして、ちょっと時間もないので、確かに事前通告はしておりませんが、次の質問に移らせていただこうと思います。(発言する者あり)

 そうですね。では、この経済産業委員会においてもしっかりと報告をしていただきたい。これは委員長にお願いをして、報告を求めていただきたいというふうに思います。

上田委員長 理事会で協議します。

鷲尾委員 では、改めまして、事前の通告に従いまして質問をさせていただきたいと思います。

 この水門談合事件は、改正独禁法の施行があって、そのことによりまして、課徴金減免制度が有効に働いたというふうに言われる事案でありますが、この水門談合事件で、公取が、ある意味異例といいましょうか、国交省に対して、ちゃんとOBに対してもしっかりと調査をするようにという旨の要請をしたやに聞いております。巷間言われておりますのは、OBが退職して天下って、そのOBが官製談合に深く深く関与しておる、そういう実態が明らかになったわけです。

 この点をかんがみまして、我が党といたしましては、官製談合防止法の改正案ということで、公務員のみならず公務員OBも法律の対象にして、談合に関与したおそれがあると認められるときは、公正取引委員会が各省庁の長にこれを通知して、通知を受けた省庁がちゃんと必要な調査を行って、再発防止策、改善措置をとらなきゃいけない、そういう規定を盛り込んでいるわけです。

 やはり公取さんも、OBに対する調査をしっかりするようにという指摘があるように、これはOBもちゃんと適用対象にした方がいいのではないかというふうに我々としては思うわけですけれども、この点、竹島委員長にきょうはお越しいただいておりますので、御見解をお伺いしたいと思います。

竹島政府特別補佐人 御案内のとおり、官製談合防止法自体が議員立法で制定され、また最近も改正されたということでございまして、今委員の御提案の点、OBも適用対象にすべきではないかということについては、まさに国会で御議論をいただくのが正しい道だと思っております。

 ただ、御質問でございますのであえて私の考えを申し上げますと、一方で、今、公務員制度改革法が国会にかかっておるわけでございまして、官製談合の温床と言われる天下りについてあのような抜本的な見直し案が入っている、かつ行為規制というものも入っているわけでございまして、そういうことになってまいりますと、官製談合防止法であえてOBまで網をかけるということが本当に必要になってくるかどうかという問題と、そもそもOBというのは、これはまさに民間人でございますので、それに対してどういうかかわりを持てるかというのはそもそも論としてあると思います。

 そういうふうに申し上げますと、消極的に考えているのかというふうにお受け取りになるかもしれませんが、そうじゃありませんで、私どもは、OBであっても現役であっても、かつて旧道路公団の場合にそうであるように、それから防衛施設庁の談合事件のときにそうであるように、これは、談合について、また独禁法違反について、正犯であるとか共同正犯であるとか、少なくとも幇助犯であるという場合には、きちっとそういうことでもって立件をしているわけでございますので、官製談合防止法にOBをしなければできないというものではない。

 やるべきものはやっておりますので、その上で後はどうするかは、まさに議員立法でございますので、国会で御検討いただきたいというふうに思います。

鷲尾委員 竹島委員長のお話の中で、抜本的で行為規制も入れている公務員制度改革案が今審議されているというお話がありましたけれども、これについては、大分委員長も誤解されているのではないかなというふうに私自身は思うわけであります。

 今委員長がおっしゃっておりました、我々自身はしっかりと摘発しておると。確かに、実際に水門談合事件を含めて、正すべきところは正すということで公取の皆さんが一生懸命動いていらっしゃるということは我々も認識しておるわけでありますが、立法府といたしましては、公取が動かないと省庁が調査しない、こういう事態はやはりあってはならないんじゃないか。むしろ省庁側に自浄作用を促すような仕組みを立法府としてつくっていかなきゃいけない。

 そういう意味におきまして、捜査の実行部隊である公取としてはどっちがいいのかなというお話を私自身は聞いたつもりであります。この点は、確かにおっしゃるとおり、今議論すべき点でありまして、いろいろな問題点も含んでおりますから、あえて更問いはしないでおこうとは思いますが、やはり省庁側の自浄作用というのが大きくこういう談合防止にかかわってくるのであろうと思います。

 ですから、今回、国交省の方で内部調査で、それこそ現役職員の関与が明らかになったと報道されていることについては、私自身は一定の評価をいたしたいと思います。ただ、これが本当にその現役職員一人だけなのかという話になりますと、もっと深い実態があるのではないか、これはもう一般国民レベルで私自身もやはりそうなんじゃないかなという疑念はぬぐえないわけでありまして、だからこそ、自浄作用がしっかりと働く仕組みをつくっていかなきゃいけない。

 そこで、また竹島委員長に違う問いをさせていただきたいと思います。

 民主党の官製談合防止法の改正案ですけれども、第三者による調査委員会を設置して、国会報告の義務づけをするという規定も盛り込んでおります。この議会に対する報告義務というのは、報告しなきゃいけない、これは建前論なのかもしれませんが、それがやはり自浄作用の一助になるんじゃないかなと思うわけでありまして、この点についての竹島委員長の御見解もお聞きしたいと思います。

竹島政府特別補佐人 委員おっしゃるとおりの効果はある御提案だろうと思っております。したがって、これも先ほどと同じになりますが、よく国会の中で御審議いただければと思います。

 ただ、実態から申し上げますと、今回の国土交通省さんにおかれても、ほかの官製談合事件について公正取引委員会が改善措置要求を出した場合の受けとめ側の対応は、第三者性をやはりきちっと入れて調査なり対応策を検討するということをやっておられるわけでございまして、実際問題としては、そういうことで、自分たちだけじゃなくて第三者の目もちゃんと中に入れて検討しておられるという実態にございます。

 したがって、法律に書かなくてもそういう運用が現に行われている。行われているなら書いてもいいじゃないか、こういう御議論もあるかと思いますが、その辺は国会で御審議いただきたいと思います。

 それから、国会への報告も、これもあっても別に私どもは困るわけではございませんので。

 ただ、実際問題、このように公表もされ、公表ということが大事だと思うんですね。この間の官製談合法の改正でも、懲戒処分にしても損害賠償請求にしても、調査結果について公表するということに変わったわけでございまして、公表して、それを受けて国会でこのように御議論をなさっておられるわけなので、これも事実上は、改正の趣旨は運用上生かされているということでもあろうかと思っております。

鷲尾委員 多分、いい案だというふうに言っていただいたと思います。

 ただ、公表という趣旨にかなうような実態があれば確かにいいのかもしれませんが、ちょっとへ理屈になるかもしれませんけれども、やはり国会に対して報告するというのは非常に重要な手続であるというふうに思っております。

 冒頭、事前通告なしで申し上げました内部調査の実態、報道機関で報道されても、やはり我々立法府として確かめたい。立法府として、どういうものなんだ、やはりそういうところをしっかりしていくことが国会の権威を高める上でも重要なんじゃないかなと。私は、議会運営を含めまして、最近はどうも立法府が軽んじられているなというふうに本当に思うところがありますので、あえてこの国会の権威を高める、国会にしっかりと報告させるという手続は、皆さんが思っている以上に重要なんじゃないかな、この規定は本当に意義深いものじゃないかなというふうに私自身は感じておる次第であります。

 続きまして、もう一点質問させていただきます。

 官製談合防止法の改正ですけれども、談合が行われるおそれがあることを知りながら防止措置を講じないという不作為ということを適用対象にするかどうかについて、これは大変議論があるわけでありまして、では逆に、捜査を行う側としてどのように感じていらっしゃるか、この点についてもお聞きしたいと思います。

竹島政府特別補佐人 不作為に対してペナルティーを科すという考え方はわからないではないんですが、実際問題、法律の運用を考えてみますと、非常に難しいのではないか。一体どこまでだったら不作為になってということをきちっと知らしめるということは難しいので、これは下手をすると、正常なる職務に対して、職員の取り組み姿勢が非常に萎縮するということになりかねない、そういう弊害も一方でありますので、不作為についてペナルティーというのはなかなか難しい問題じゃないかというふうに思っております。

鷲尾委員 確かに、これは限定して、いろいろ段階を踏んで、もし、例えばその規定についての故意または重過失がなければとか、そういう限定的な運用になるとは思いますが、これについても有効であれば取り入れていく態度が必要なんじゃないかなというふうに思います。ありがとうございました。大変勉強になりました。

 続きまして、この官製談合の話で、天下り後のOBが関与するケースにつきまして、先ほど委員長が、今、国家公務員法等の改正案について審議をされていると。参議院に送られて審議されておりますけれども、この法案は、官製談合の撲滅に役に立つという認識でおられるかどうかということを改めてお聞きしたいというふうに思いますけれども、委員長、どうですか。

竹島政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 官製談合ということもあって、あのような公務員制度改革というものが具体的な話としてなってきたということでもあると私は思っております。いずれにしても、官製談合にせよ、談合一般に言えるんですが、これはもう意識の問題でございまして、談合はいけない、いかに談合されないようにするかというふうに発注者側が考えるかどうかでもって変わってきちゃう。一般競争入札とかいろいろなことをやっても、談合しようと思ったら幾らでもできるわけでございまして、談合させないよという意識を持つということが非常に大事。

 そういう意味で、天下りを含め、それから、やめた後、行為規制で、接触しちゃいかぬ、陳情しちゃいかぬ、取り次いじゃいかぬというようなことにもなっていると理解しておりますので、そういうことになりますと、やはり公務員に対する意識改革という意味で大変大きなインパクトがあるし、現にそれをやれば処罰されるということにもなるわけでございますので、私は意味があるというふうに思っております。

鷲尾委員 この天下りの規制ですけれども、今、参議院で審議されている法案について言えば、事前規制がなくなる、ですから、それこそ知識と経験を生かして、今までと関連のある部署に対してやめた次の日から天下りができる、それこそ、省庁としての人事の一環でなければ、天下りバンクというのを通せばできてしまうという話なんですね。

 ですから、それこそ、今回、水門談合事件でも大分報道されましたけれども、受注企業が天下りの受け入れ人数に応じて受注実績があったという実態も明らかになっているわけですし、このことがやはり変わらないと、本当に官製談合が防止されたというふうに言えないんじゃないかなというふうに思いますし、この点については、これからもやはり注視していかなきゃいけない。ですから、単純に、官製談合撲滅に役立つのかどうかなと私自身は大変疑問に思っているところです。そういう意味では、公取の皆さんは、これからより大変になってしまうんじゃないかなと思います。

 この官製談合事件でもそうなんですけれども、元課長補佐と言われる方が、報道機関で、要するに、今回官製談合に加わったんですかというインタビューを受けたときに、例えば入札の情報を流したんですかというインタビューをされたときに、今もう関与したと言われている元課長補佐の方は、入札情報なんて取り扱ったことがないんだ、今までそんな業務なんて取り扱ったことがないんだから、ましてや入札情報なんて触れたことがないんだという答え方をされていたわけですね。

 これは、何とでも言えるということなんですね。官製談合にだれも直接かかわるなんて当然言わないと思いますし、今までの業務が、例えば入札情報にどのようにかかわっているかなんというのはわからないわけであります。そう考えますと、それこそ省庁の人事の一環としてのあっせんがなくなったとしても、天下りの実態は減らないんじゃないかなというふうに私は思う次第です。

 取り締まる側として、今の公取の体制、七百人ぐらいの規模だというふうにお聞きしておりますけれども、この規模が適切なのかどうなのか、この先の展望も含めて、どれぐらいの組織規模があるべき形なのかなということについてのお話をお聞きしたいというふうに思います。

竹島政府特別補佐人 今、政府全体で公務員の定数削減、純減に取り組んでいる、そういう厳しい中で、公正取引委員会は、おかげさまで、関係当局の御理解をいただいて、この数年純増を例外的にお認めいただいております。この五年間で百五十名以上の純増になっておりまして、十九年度末では七百六十五名の定員ということになっております。

 これから先について、これは、やはり仕事量を考えて私ども毎年要求をさせていただきたいと思いますが、何人を最終目標にするというような、そういう具体的な数値は持ち合わせておりません。

鷲尾委員 日本国内の規制が緩和されて、事後規制というか、監視機関の補充というのは絶対にしていかなきゃいけない。この監視機関の補充がないと、それこそ、法の抜け穴といいましょうか、うまいことすり抜けるやからがどんどんふえてしまいまして、それで結局、事前規制があった方がうまく回ったんじゃないかという話になりかねないわけであります。

 そういう意味におきまして、歴史上そうである、規制が緩和された後は必ず事後の監視機関、この人員を拡充していかないとうまくいかないんだということを踏まえて、立法府としても行政に対して進言していくということが大事なんじゃないかなと個人的に思っております。

 きょうは、国交省さんがお見えなので、国交省さんに質問をさせていただきたいと思います。

 水門談合の事件について、公取さんからいろいろな要請があった中での、改善措置、現在の取り組み状況についてお聞かせ願いたいというふうに思います。

大森政府参考人 入札談合防止対策でございますけれども、三月八日、公正取引委員会から改善措置要求を受けました。その日に、考えられる対策から速やかに実施するという方針のもとで、当面の入札談合防止対策を取りまとめたところでございます。

 その主なものを申し上げますと、職員に対する研修、講習の実施などのコンプライアンスの徹底、また一般競争方式の拡大、入札ボンドの導入などの入札方式の改善、また指名停止、営業停止の強化などのペナルティー強化、そして水門談合関連企業への再就職の自粛などの再就職の見直し等の取り組みを進めているところでございます。

 ただ、先ほども申し上げましたように、現在、入札談合防止対策委員会で、さらなる背景、要因の分析をしております。その分析の結果、さらなる対策の検討を行っているところでございまして、公共工事の品質確保や総合評価方式における入札談合防止対策などの取り組みも進めてまいりたいというように考えているところでございます。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 この国交省さんの話で、当初、国交省としては関与していないと全面否定しまして、さらに、OBへの調査ということを、国交省さん、大分拒んだやに聞いております。公取さんが調べる範囲である、民間人であるからという理由で、余り積極的ではなかったという話が伝わっておるわけです。一方、防衛施設庁の方は、OBも含めてしっかりとヒアリングされたわけですね。

 ですから、当時の国交省としては、民間人だという理由はあったとしても、民間人であるという理由よりも、むしろ、OBというのは自分たちのそれこそ仲間であり、先輩であり、そういう部分でなかなか調査が進まなかったんじゃないかなというふうに思っておりますが、この点、OBに対する調査も含めてしっかりとやらないと組織全体としての自浄作用というのはなかなか働かないんじゃないかなと。

 今、公務員制度改革法をやっていますけれども、組織ぐるみの天下りというのが今まであって、それを今改正する。これはもう官邸の方も認めておるわけでありますから、組織ぐるみであるということは、やはりそれはもう身内の意識なわけでありまして、OBに対する聴取を含めた取り組みというのはどうなっておるのかということを国交省さんにお聞きしたいと思います。

大森政府参考人 お答え申し上げます。

 本年一月の上旬に官製談合の実名報道がなされました。それを我々重く受けとめまして、一月十一日に入札談合防止対策検討委員会を設置し、先ほど申し上げた実名報道された者を初めとして、おおむね過去十年間、この水門設備工事の入札契約に携わったOB職員及び現職員五百六十六名を含む全体として六百名強の方を対象に、直接の面談による事情聴取方式で調査を行ったところでございます。

 なお、この調査に当たりましては、実名報道された者など主な調査対象者につきましては職員以外の有識者の同席のもとで行う、また四月には、元検察官である弁護士等を調査委員とする新たなチームも結成いたしまして、詳細な聞き取りを行ったところでございます。

 この結果、立入検査等の強制権限がなく、相手方の任意の協力を得て進めざるを得ないという一定の限界がある中で、水門設備業界における談合の実態、そして国土交通省職員及びOB職員による談合への関与などについて、可能な限り明らかにすることができたものと考えております。

 なお、この調査結果につきましては、先ほど申し上げましたように、本日、委員会が開催され、取りまとめられる予定になっております。

鷲尾委員 実名報道があったのでというお話がありましたけれども、もし同じようなことが起こってしまうと、これはもう国交省さんの信頼というのは地に落ちるというふうに思っております。

 その危機感は当然もう御認識であるというふうに思いますけれども、こういうことは、報道が起こる前にちゃんと内部調査で判明できるような仕組みづくりというのをやっていただきたいと思いますし、公取さんの要請の後、改善措置をなされている中で、水門談合の案件を含めて、再就職の見直しもされたというふうにお聞きしましたけれども、水門談合の案件があったから再就職の見直しをするのではなくて、こういう談合が起こらないように積極的な再就職の見直しというのをしなきゃいけないというふうに思うわけでありまして、この点、もう二度と起こしてはいけないということを強く認識していただいて、この先も営々と業務に取り組んでいただきたいというふうに思うわけであります。

 最後に、ちょっと皆さんに感想を聞きたかったんですけれども、もう質疑時間が終了しておりますので、時間どおりに終了させていただこうと思います。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 本日は一般質疑でございますが、私は、公正取引委員会の竹島一彦委員長に対して、競争政策及び談合問題を中心に伺ってまいりたいと思います。

 竹島委員長、委員長の再任について政府側から正式な提案があり、さきの衆議院議院運営委員会の理事会において、私も委員長の所信をお伺いしました。

 当委員会でも私申し上げましたが、私は、竹島委員長の気骨のあるお人柄、人格、見識には敬意を表している一人でありますし、この五年間の行われてきた職務についても一定の評価をするものであります。竹島委員長におかれましては、映画のタイトルではありませんけれども、「ラストサムライ」のような古きよき時代の大蔵官僚の気風を持たれている方だなと感じておるわけでありますけれども、いずれにしろ、そうはいっても、この五年間は五年間として、今後五年間、果たして公取委員長としてふさわしいかどうか、本日の質疑も踏まえて、我が党としてしっかり判断をしていきたい、こう思うわけであります。

 そこで、まずお伺いしたいんですけれども、公取はいわゆる八条委員会として独立性を持った行政組織であり、その役割は今後も一段と重要になる。同時に、そのトップたる委員長の権限も必然的に総体的に大きくなるでしょうし、我が国経済に与える影響も大変大きい。今回再任されれば、また委員長の年齢等を勘案すると、十年間連続してその立場に立つわけであります。

 権力は腐敗するという格言が委員長の場合当たるかどうかは別にしましても、十年というのは、やはり他の同様の、証券等監視委員会の歴代の委員長、さらには、また同じ独立性を持った行政機関としては日本銀行とあるわけでありますけれども、そういった他の機関と比べても非常に長い、また歴代の公取委員長と比べても非常に長い在任期間になるわけであります。総理大臣も十年やるということはないわけでありますし、基本的には党のトップの任期というのがあるわけですから、十年間その地位にとどまるということはないわけであります。

 これは一般的に、私はちょっと十年はやや長いのかなと。どんな方でも、例えば八年であるとか、そういったものが一つの目安ではないのかな、こういう見方もできると思うわけであります。

 こうした観点から、竹島委員長が再任をされた場合、委員長の任期というのは独禁法の法律事項でありますから、独禁法を今般、現在見直しの作業が進んでいるところでありますけれども、この独禁法の見直しの作業の論点にはなっておりませんけれども、この任期問題について、あえて一定の制限を設けるということを提起することも一つの御見識かと思うわけですけれども、竹島委員長、いかがでしょうか。

竹島政府特別補佐人 御指摘のとおり、公正取引委員会の委員長及び委員の任期は五年というふうに法律で決められておりまして、定年は七十歳というふうに書かれておるわけでございます。このことについては、それを短くするのか、再任をどうするのかというのは、私自身、お答えはなかなか申し上げかねるというふうに思っております。

 ただ、一つ申し上げたいのは、公正取引委員会というのは国家行政組織法の第三条に基づく独立行政委員会でございまして、各個別事件の処理をどうするかとか法律改正をどういうふうに提案するかといったことを、私及び他の四人、計五人の委員会ですべて合議の上で決めておるわけでございまして、長いから弊害という意味では、独任庁ではございませんので、そういう弊害は制度上ないのではないかと。

 現に、今いらっしゃるほかの四人の委員も、皆さんそれぞれ立派な経歴をお持ちの方でございまして、私が何か言ったら、みんな、わかりましたと言ってくれるような委員ではございませんので、そういう意味でも、ただ単に年数だけで弊害ということにはならない、そういう行政組織であるということだと思っております。

近藤(洋)委員 年数だけを問題にするつもりはないわけでありますけれども、ただ、まさに委員長がおっしゃったとおり、大変独立性の高い行政組織なわけです。

 身分保障も委員長の場合されているわけですね。この三十一条で、委員及び委員長のしっかりした身分保障がされている。在任中、少なくとも、例えば破産手続を受けた方であるとか犯罪を犯した場合とか、または禁錮刑以上に処せられた場合、こういった特殊な場合を除いて、その意に反して解任されることはないという非常に強い身分保障がされているんですね。それはやはり独立性を維持するためということでありましょう。

 したがって、委員長に右へ倣えの委員ではありませんよということではありますが、しかし、そのトップに立つ方がやはり七年、八年、九年、十年とたっていけば、新任される方は新人なわけですから、それはおのずと、合議制とはいえ、会の議長役のリーダーというのは当然影響力が増すだろうというのが想定されるわけであります。

 ですから、私が申し上げたいのは、もし任期の制限を設けないんだとすれば、大臣、どうぞ行かれて結構です、竹島委員長との一本勝負をやらせていただきたいと思っておりますので、ぜひ何らかの制度的な仕組みは検討するということもあっていいのではないか、こういうことでございますが、いかがですか。

竹島政府特別補佐人 それはまさに国会でそういう御議論をしていただければと思います。

 私どもとしましては、今月中に内閣府の基本問題懇談会が最終提言を出されるということになっておりまして、それを踏まえて独禁法の再改正に取り組むという仕事が待っているわけでございますが、その際にまた御議論をいただければと思います。

近藤(洋)委員 それでは、次に伺います。

 公取委員も委員長も大変強い身分保障がされ、また権限を持つ公正取引委員会でありますけれども、同時に、組織としても大変強い権限を持っていると私は思うんですね。

 というのは、公正取引委員会というのは、事案を調査し行政処分を下すいわゆる審査部門と、そして不服等がある場合に審判をする審判部門の双方を一つの組織で持っておるわけであります。いわば検察、警察と、そして裁判所が同じ組織の中にある、こういうことであります。同じような機能を持っている行政機関の中に証券等監視委員会があるわけでありますけれども、こちらの方は、審査部門は持っているけれども、審判部門は金融庁の方に分かれてある、こういうことであります。

 二年前の独禁法改正議論のときにも私ども指摘をさせていただきましたけれども、審査と審判が同じ組織の中にある、また人事異動も人事交流もある。となると、同僚ないしは後輩が審査したものについて否と下すというのは、組織上も果たして公平公正を担保できるのだろうか、どこかファイアウオールをしっかり設けなきゃいけないんではないかということを指摘させていただきました。

 今回の独禁法の改正議論の中には、手続の議論は盛り込まれておりますけれども、審判の分離について余りはっきりした論点が私は見えなかったんですが、この審判部門の分離について、委員長はどのようにお考えでしょうか。

竹島政府特別補佐人 審判部門を分離すべしという経済界の御意見もありまして、それに関して、いや、独立行政委員会というものは審判機能を持っているからこそ独立行政委員会なんだ、だから今のままでいいんだ、そういう両方の議論があるわけでございます。

 それらをまさに、過去二年間、内閣府の基本問題懇談会の審議事項の一つの大きなテーマとして審議がされてきているわけでございまして、それが今月中に出てくるということでございます。

 それを踏まえて我々としては対応するし、その後、関係方面との調整という問題が残っていると思っておりますが、私なり公正取引委員会の考え方は、これは先ほども申し上げましたように、公正取引委員会というのは三条機関、八条機関ではないわけでございまして、諮問する立場にあるわけじゃなくて、自分自身が行政権をみずから行使できるという、大変独立性の高い、日本の政府の中では大変希有な存在として認められているわけでございまして、そういう行政委員会が審判機能を持つことがどうなのか、こういうふうにやはり考えるべきだろう。

 それで、もう一つ申し上げたいのは、もしもそれが、審査と審判を同じ傘のもとでやっているがゆえに、審判の結果である審決が何らかゆがめられているということであれば、その後、東京高裁、最高裁ということがあるわけなんで、そういうところでそれは是正されるはずなんであります。過去を見ましても、実質的なところで、事実認定がおかしいとか法の適用が間違っているとかいうようなことで、実質的な事案の処理について裁判所で負けたことはないわけでございます。

 そういう意味で、私ども、審査と審判が同じ傘のもとにあって、最終的には委員会が、審判官が当然独立してはやってきていますけれども、その審判官が出してくる審決案というものを委員会としてきちっと吟味した上で、委員会として審決を出すわけでございますが、そういうことについて、実績から見ても、きちんと今までやってきているなと思っているわけです。

 したがって、ほかの国はそうじゃないじゃないかと、確かにそれぞれの国で違います。審判というものを外に出しているところもあります。内部にあっても、アメリカのように行政判事というものがおりまして、これが各役所に、例えば連邦取引委員会に派遣されて、それがヒアリングといういわば日本の審判に当たるようなことをやっているというようなことで、それぞれ事情が違います。

 これは、それぞれの国のやはり立て方が違うわけでありまして、ほかの競争当局がこうだから日本もというのは、私はちょっと、全体の位置づけというものを見失った、その部分だけに注目した議論で、うまくいかないんではないか。

 日本の場合に行政判事という制度もありませんし、ほかの制度においてだって、特許庁における特許の不服はやはり特許庁の審判官がやっているわけでございまして、それでも問題があれば高裁に行くという建前になっているというようなことです。

 証券取引等監視委員会は八条機関でございますし、それがそうだからこっちもそうであるべきだとかいうことには、私は機械的には言えない。むしろ、日本にはどっちがよりふさわしいんだ、審判をやめちゃって、いきなり地方裁判所に排除措置命令の取り消し訴訟を行うという方がいいのかどうかというのは、やはり日本の実態を見て、また実績を見て御判断いただきたい。

 私どもは、現行制度が基本的にはいいと。ほかの条件が全部そろって行政審判庁みたいなものができて、あらゆることをそこでやりますというようなことに変われば、またそれはそのときでございますが、そうでもない現段階において審判をやめるというようなことは、結局、行政委員会の機能を弱化させるということになるし、当事者にとっての実害も起きていないというふうに私は思っております。

近藤(洋)委員 確かに、最高裁で公取の判断が負けたことはないのは承知しております。

 ただ、一つ指摘をしたいのは、やはりこれから案件もどんどんふえてくると思うんですね。そういった時代の要請に、まさに公正取引委員会が市場の番人として限られた人材を活用する中で、案件もどんどんふえてくる、そうしたときに、審判というものが果たして、どうしても一つの組織になければいけないという固定観念で見る必要はないだろう、こう思っているんですね。

 また、事実、審判官七名のうち、これも我々がさきの独禁法改正のときも随分指摘をして、民主党案も提案いたしましたが、七名のうち四名は法曹資格者の方がなっている、現在五名ですか、四名ですか、随分そういう形でふえているということは聞いておりますけれども、さらに、一つの組織に置くのであれば全員がそういった資格者でもいいわけでありますし、よりファイアウオールを高めて、そして的確な体制がとれるようなものを工夫していただきたいと思うわけであります。

 話題をかえて、委員長、委員長のこの五年間の中で、さきの独禁法の大改正も含め、そして今進んでいる、これからの話でありますけれども、独禁法の改正も控えているわけでありますけれども、また談合の摘発等々、積極的に行われてこられました。その中で唯一試みてできなかったことが、私は、新聞販売の特殊指定の撤廃だったと思います。委員長はこの件についてはある意味で果敢に挑戦をされたわけでありますけれども、新聞業界による猛反発により見送られた、こういうことであります。

 私は、かつて新聞に勤務した経験もございますし、その新聞界に個人的には育てていただいたという恩義は感じておりますし、また、その社会的な役割というのも十二分に認識しております。しかしながら、冷静に考えて、独占禁止法上というか競争政策上、公正な市場をつくるという観点から見ると、新聞販売だけが値引きを禁止という特殊指定を受けているというのはさていかがなものかという気もするわけであります。合理的な理由が果たしてどこまであるのか、こういう気もするわけであります。

 経済憲法独禁法をつかさどる行政機関のトップとして、新聞販売の特殊指定の維持は、私は、そちらのお立場からすると問題だという考えに立つのが自然かなと思うわけですが、竹島委員長の現在のお考えをお伺いしたい。また、任期中この見直しに着手するお考えはあるのかどうか、お伺いしたいと思います。

竹島政府特別補佐人 お答えを申し上げます。

 おととしからになりますが、昭和三十年前後に定められました特殊指定は五本ございまして、最近はそれを適用したこともない、もう時代に合わないというようなものがありましたので、それらをゼロベースで見直しをいたしました。結論を申し上げますと、四本は廃止をいたしました。残るのが新聞の特殊指定でございました。

 これについては、近藤委員が今おっしゃったように、新聞業界の大変な反対というものがございました。それが、実は国会におかれましても、各政党、与野党を通じて、どの政党も私の提案に賛成してくださる政党はなかったわけでございまして、内容的には今近藤委員がおっしゃったのと同じ問題意識を私は持っております。

 これは、再販のように、独禁法、法律に書いてあるのならともかくとして、本来、再販維持契約というものは独禁法違反であるわけですが、新聞、その他出版については例外として法律に書いてある、ですからこれはいいんですが、特殊指定というのは法律じゃございません、公正取引委員会の一片の告示でございます。その告示に書いてある内容が、今委員がおっしゃったような、一言で申し上げると、価格競争はしてはいけない、すれば独禁法違反になりますよ、そういう内容の特殊指定なわけでございます。そういうことが何ゆえ成り立つのか、法律上どうしてそういう特殊指定が成り立つのかということについて、私は基本的な疑念を持っております。

 したがって、実際問題、適用もされておりませんし、これはやめるべきであるということを申し上げたわけですが、先ほど申し上げましたように、各政党、どなたも賛成してくださるところはなくて、新聞業界の意見を反映して、公正取引委員会がこの特殊指定を廃止するのであれば議員立法で同じことを独禁法に入れるというお話になったものですから、そういうことになって、議論がかみ合わないことをいつまでも続けていてもこれはよくないということで、昨年の六月に、ほかの四本は廃止し、新聞の特殊指定については、これは今回の見直しではもう結論は出さないということで打ち切りをさせていただきました。

 これからどうするかということについて、私は今全く白紙でございます。これはまだ一年しかたっておりませんし、もともとそういう問題があるということは御理解をいただくところにはいただいていると思いますが、何と申しましても、国会においてそういうことだということには全然なっておらない、その状態はきょう現在も変わっていないと私は思っておりますので、現在は白紙のつもりでおります。

近藤(洋)委員 委員長、先ほど、これは法律でもない事項で出ている、おかしいのではないかという問題意識を持っている、こういう話がございました。これは私も全く同感であります。

 その上で、ただ、そもそもの再販制度というこの法律自体も、では、平成十三年に公正取引委員会は営々と議論を重ねて一つの結論を出されていますよね。それは、競争政策の観点から廃止すべきと考える、これが公正取引委員会の見解であります。再販制度についても基本的には廃止すべきである、こういう見解ですね。

 私は、レコード、CD、書籍、新聞の再販制度について、大もとの話でありますけれども、例えばレコード、CD等については相当、もう既にこの再販売価格制度、再販問題が実態からしても崩壊しているんじゃないか、こういう感じがするわけであります。さまざま、それは書籍の世界、新聞の世界、それぞれまた別々だとは思いますけれども、この基本的な公取の認識というか、これは委員長も踏襲されている、こういうことでよろしいんでしょうか。確認でございます。

竹島政府特別補佐人 今委員御指摘の、平成十三年三月に、それまで何年にもわたって、再販の例外規定は廃止すべきだという公取の提案に対して議論がずっと行われてきて、それで、これも先ほどの特殊指定と同じようなことなんですが、公正取引委員会としてはこれは廃止すべきであるというふうに思うけれども、国会を含め国民的合意がそれについて得られないということで、当面その例外措置を存置することが相当であるという見解を発表させていただいているということでございます。その考え方は、すなわち、再販制度も、競争法から考えました場合には、これは好ましくないという考え方は私も同じでございます。

近藤(洋)委員 新聞の社会的な価値というのは、ないしはその宅配制度というのは当然重要だとは思いますが、しかし、特殊指定もそうでありますけれども、では、特殊指定がなかったら宅配が維持できないか、これは因果関係は明らかでないわけでありますし、そういったさまざまなことも含めて、私は、この議論というのはやはりきちんと国会でやるべきではないかと思うんですね。先ほど委員長が、各党から大反対だ、こういう話でございましたけれども、確かにそれぞれの党はそれぞれの考え方を出したんでしょうが、しかし、国会の中でやはり議論すべき問題ではないか。

 地方に戻ると、地域において新聞は大企業であります。その意味では、放送局も関連会社に持っているわけでして、大変なロビー活動をされたというのを、私も受けておりますし、物言えば唇寒し、こういうことも感じておりますが、あえてこの委員会で指摘をしているのは、やはりこの問題は、メディアの集中の問題も含めまして重要な問題ではないか。新聞だけが特別扱いされているというのは、結果として、新聞の信頼性を維持するという意味でもマイナスだ、私はこういう信念に基づいているものですから、あえてこの議論、逃げずに取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思います。

 最後に、談合問題について伺いたいと思います。

 委員長、以前の質疑で、競争政策上はよい談合、悪い談合があるかと伺ったときに、それはございませんという趣旨の御答弁をいただきました。それを踏まえて、やはり談合については、よいも悪いも競争政策上はないわけであります。

 その上で、私どもが提案した官製談合防止法でありますけれども、この官製談合防止法について刑法の談合罪の改正も入れております。それはすなわち、談合罪について、現在のいわゆる不正な利益を得ることを目的とするという目的犯の規定を削除して、談合をすればそのまま罪になるという、刑法九十六条の改正をさせていただいているところであります。

 この談合罪は戦前にできた法律でありますけれども、戦前の昭和十六年、政府案ではもともとこれは目的犯ではなかった。ところが、国家総動員法の議論の中で、目的犯、よい談合も悪い談合もあるという判断の中で目的犯になったわけでありますが、あれから六十年以上たって、これはもうよい談合も悪い談合もないわけですから、談合はすべて悪だ、こういう認識に立てば、私は、目的犯ではなく、談合罪を広くとらえるということが適切かと思いますが、委員長の個人的な見解でも結構です、お答えいただけますか。

竹島政府特別補佐人 刑法の談合罪についての経緯は、近藤委員がおっしゃるとおり、私どももそのように勉強させていただいています。

 ただ、その後の運用、これは、公正で自由な競争によって形成されたであろう落札価格というのは公正な価格であるという昭和三十二年の最高裁の判例がありますので、今おっしゃるような、「公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で、」という規定は、実は余りそのまま適用されていないといいますか、これがないのと同じような法律の解釈がもうなされているというふうに私は理解をしております。

 いずれにしても、実態的には、おっしゃるとおりでございまして、よい談合も悪い談合もないのであって、競争を実質的に制限するような不当な取引制限に当たるようなものはすべて、これは少なくとも独禁法違反でございますので、そういうことで対応すべきである、これからもそうしていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 何で私が談合罪の定義のことを取り上げたかというと、どうもやはり、今の法体系だと公取の対応もばらばらになる気がするから申し上げているんです。

 というのは、要するに、先ほど同僚議員の鷲尾議員が指摘をした水門談合でございますね。現役の職員も関与したことが明らかになった、なることと報じられています、現段階では。これは明らかに談合ですよね。談合です。片っ方で、緑資源機構のも、あちらも明らかに談合ですね。公正取引委員会は、両方とも談合だと認定をして、片っ方では刑事告発をされた。片っ方は、こちらの国土交通省については刑事告発をしていないんですね。勧告というか改善要求だけなんです。

 同じ談合で、中身を見るとこちらも、元技監、技術系のトップが関与をして、現職の職員も関与している、典型的な官製談合であります。世話人もいて、水門事件の方も。緑資源機構も全く同じです。なぜ公取は、片っ方だけ刑事告発をして刑事事件になって、こちらだけは、ワンランク、ツーランク、場合によってはスリーランク、実質的には効果の薄い改善要求になってしまったのか、これの対応がばらばらなのが非常に国民から見て不透明だと思うからなんです。

 談合罪というのを広くつくれば、これは有無を言わさず談合罪で摘発できるわけですから、そういう形になるわけでありますけれども、そこがやはり、目的犯という一つの制約があるから、どうも運用が幅広く使われていないんではないか、そういう気もするものですから伺っているわけであります。

 あえて伺いますが、委員長、きょうのこの水門談合事件、現役も天の声を発したことが明らかになった時点で、これを受けて公取は刑事告発に踏み切りますか。

竹島政府特別補佐人 今、刑法の談合罪の目的規定というんでしょうか、それがあるから、公正取引委員会の判断が影響を受けるんではないかというような御趣旨のお話があったと思うんですが、それは、我々は独禁法をやっているわけで、独禁法にはそういうことは何も書いておりませんので、そういう影響は一切ありません。

 その上で申し上げますが、水門の工事については刑事告発せずに、緑資源について刑事告発した、どうしてかということです。

 まず、水門につきましては、その前に鉄橋の談合事件という大型の談合事件がございました。これは刑事告発いたしました。それと水門の談合はダブっているわけです。時期も大体ダブっていますし、メンバーもダブっているわけです。したがって、水門の方は、鉄橋の談合事件で刑事告発されたということを見て、これはまずいというのでやめたわけです。そういう経緯もありますので、したがって、あえて同じ事業者に対してもう一度刑事告発することまでは必要ないだろうという判断をそのときはしたわけでございます。

 一方、緑資源につきましては、確かに、マーケット規模はちっちゃいといえばちっちゃいのでございますが、これは一つに、近い過去にやはり同じようなことで談合をやっておったわけです。それに対しては公正取引委員会が勧告を出してやめさせたという経緯があるにもかかわらず、それに懲りずにまたやっているということ、もう一つは、言ってみると、典型的な官製談合だということで、これは、やめなさいという公取の行政処分だけでは関係者は考え方を改めないなというふうに判断いたしましたものですから、刑事告発をしたということでございます。

 その辺は、どういう場合にどうするかというのは、基本的な考え方は刑事告発方針ということで明らかにしているわけです。それは二つあって、国民生活に大変大きな影響がある、重大な影響があって悪質であるというものに該当するかどうか、もう一つは、行政処分だけでは効果が出ない、典型的なのは、何回もやっておる、やっていて改めない。こういうものについては、やはり行政処分だけじゃだめだ、やめなさいとか課徴金を払いなさいだけじゃだめだ、やはり刑事告発をしてきちっと悔い改めていただく必要がある。この二つの基準を持っているわけです。

 これをどういうふうに適用するかは、まさに公正取引委員会の適切な、妥当な裁量の問題だというふうに思っておりまして、具体的な二つの事件の取り扱いに違いがあったのは、今御説明申し上げたような考え方によるものでございます。

近藤(洋)委員 時間が参りましたのでやめますが、私は、国土交通省の水門談合も典型的な談合事件だと思うんですね。前にも同じようなことをやった、構成員が同じだからということでありますが、だからといって告発をやめるという理由にはならないと私は思うんです。どうも合理的な理由ではない。

 やはり、この件でも刑事告発をし、検察の手でしっかり調査をする、そして必要があれば罰を科すということが再発防止に極めて重要ですし、刑罰を受けるのと受けないのでは全く違うわけでありますから、そこは、どうも合理的でないなというか、ちょっと違いがわからないということは申し上げたいと思いますし、談合罪の見直しも含めて、我々民主党が提案をしている官製談合防止法関連法案等の早期の成立をすることで談合撤廃の大きな一歩を踏み出すんだ、こういうことを申し上げ、時間ですので、質問を終えたいと思います。

 以上でございます。

上田委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 きょうは、経済産業委員会で質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げます。

 民主党提出の官製談合防止法関連法案、この早期成立を願う一人でございますし、これは二〇〇二年の七月十七日に最初民主党が提出をしたということも、官製談合撲滅、天下り根絶、そしてさまざまな税金の無駄遣いを徹底してなくしていく、これが民主党としての姿勢であることも改めて申し述べたいというふうに思います。

 今、水門談合の、水資源機構のお話がございましたが、この後触れる独立行政法人に対する予備的調査でも、水資源機構に対して、十七年度の支出の内訳を出していただきました。全契約二千三百四十六件のうち、随契が二八・三%、指名競争入札が七一・二%、一般競争入札がわずか〇・五%、また、指名競争入札千六百七十一件のうち、落札率九五%以上が四三・三%、九〇%以上が七〇・二%。

 こういった水資源機構、これは改めて、もう既に参議院の委員会でも、国土交通大臣は、水資源機構のこうした契約の不適正さを指摘されて、これを見直す、もう一回調査する、こういうふうに言っていることも含めて、今、竹島委員長は出られましたけれども、先ほどの、公取としての毅然たる対応を求めたいというふうに思います。

 そこで、お手元に資料を配付させていただきましたが、私は、官製談合と随意契約というものは表裏一体、あるいは随意契約は実は官製談合の一部ではないか、こういう指摘もあるところを踏まえて、独立行政法人国立病院機構の調査票を配らせていただいたところでございます。

 きょうは、厚生労働副大臣がお見えでございます。民主党のこの予備的調査に対して、お手元に資料がございますが、下を見ていただくと、二十三ページから百二ページまで、これは間を抜いておりますので、二十三ページと百二ページの百件弱の間に七千五百八十件、ですから七千七百件ぐらいの平成十七年度の国立病院機構の支出目的、相手先等、これを調査票で御回答いただいたんですね。

 これは百一の独法すべて御回答をいただきましたが、唯一国立病院機構だけが金額の欄が横棒になっております。なぜですかということで、百二ページ、資料の二ページを見ますと、ちょっとちっちゃい字であれなんですが、欄外のところの上側の星印、「「金額欄」については、個々の契約に係る取引業者の不利益となること並びに確認が取れていないことから「−」で記載する。」こういうことで御回答をいただいているんです。

 これは、私ども、衆議院の総務委員会から衆議院の調査局を通じて全独法への調査、唯一国立病院機構のみが御回答いただけないんですけれども、その理由、そしてまた、改めてこれは調査を求めたいと思いますが、副大臣としての御所見を伺いたいと思います。

武見副大臣 委員御指摘の件でありますけれども、平成十六年度に独立行政法人としてこの国立病院機構が発足をいたしました。その際、会計規程の中にこうした公開に関する規定がございませんでした。それで、改めて、平成十七年度、国会でも御指摘を受け、そして参議院の決算委員会においてもこうした随意契約の是正等について警告決議が出されたわけであります。

 そして、こうした状況の中で、そもそもこうした独立行政法人というものは、実際にある一定の自由度を持って合理的な経営を行うということを一つの目的としていると同時に、その自由度というものがあるがゆえに、裏づけとして経営の透明性というものは国民に対してきちんと確保することがその一つの責務になっていると私は考えます。

 その上で、病院等で大量に物品を購入する、医薬品等を購入する、こういった場合に、相当の取引が現実には行われます。そして、その価格、大量に購入するだけに相当に低く、それを買いたたくというようなことも現実には行われます。その際に、随意契約の中でこれを買いたたくようなことも現実には相当程度あるようであります。それから、一般競争入札というものの中で、実際には落札価格よりもさらに低く価格が設定されて購入するというようなことも現実にはあるというふうに承っております。

 そのような取引状況というものがあることによって、合理的、効率的な経営をするときに、でき得る限り物品等を安く購入するという際の取引業者とのいわゆる取引環境、これを考えたときに、価格を公表することによって取引を有利に行うことがしづらくなるというケースが現実にはございます。

 しかし、それと同時に、独立行政法人としての経営の透明性というものをきちんと確保する、そういう立場もあるものでありますから、当然にそれらをきちんと踏まえた上でのルールの設定が必要だということで、平成十八年度、改めて会計の見直しを行いました。

 そして、随意契約が多い等の指摘も受けたわけでありますので、まず、国の会計法令に準じて一般競争を原則とすること、それから少額の随意契約について国と同額の基準を設定し、また国の基準と同じ随意契約の公表基準を設定するということといたしております。その際、国の基準の額というのは百万円以上ということになっております。

 なお、一般競争入札についての件は、落札額については、物品調達は一千六百万円以上、工事は七億二千万円以上について、政府調達のルールに従って官報に公表をしているわけであります。一千六百万であるとか七億二千万であるとか、どういう形で定められたのかという点も私確認をいたしましたけれども、これは、WTOに基づく政府調達のルールに基づいてこの額が設定されているということであります。

 しかしながら、独立行政法人国立病院機構については、国の契約方式と異なる独自のルールを会計規程で設けておりまして、落札額の範囲内において、先ほど申し上げたように、落札業者との価格交渉をさらに行っておりまして、その部分については公表していないわけであります。この結果、契約金額の記載を求められた予備的調査については記載がなされていない、そういう結果となったわけであります。

武正委員 お答えいただいていないんです。再調査を求めたいんですが、いかがでしょうか。できないということでしょうか。今の理由は、理由になっていないと思うんですね。

 再度指摘をさせていただきますが、日本の医療費は三十兆円を超えて、特に高齢者医療費は十兆円を超えて、国家財政にとっても、ある面、やはり大変圧迫の要因になっている。しかし、医療提供者からすれば、いや、先進国と比べるとまだまだ少ないんだ、こういう議論がいろいろある中で、実は、医療にかかわるこうした医材料の調達というものが非常に不透明である。特にカテーテルなんかは、欧米に比べると五倍とかする。

 こうした医療の器材にかかわる契約というものが、実は医療費のそれこそ一割、二割削減に効果を発揮するのではないのか、こういう指摘があるのに、今は、何ですか、買いたたいていて安くなっていて、それで、そうした契約がわかってしまうから公表できないなんて、こんなことは百一の独法で唯一ここだけですよ。こんなことは許されようはずないんですけれども、再調査をするのかしないのか、お答えをいただきたいと思います。

武見副大臣 この点について、きちんと再調査することはお約束をいたします。その上で、その具体的内容については今後検討させていただきます。

武正委員 これは、予備的調査は去年からもう求めているんですね。ですから、速やかに御提出をいただきたい。唯一国立病院機構だけが出ていないんですけれども、速やかに。これはもう半年も前からやっているわけですから、金額が出ていないはずないんですよ。全部、八千件近くを出さないというのは今言った理由唯一にかかっているわけですから、再調査とかいうものじゃなくて、国会ももう閉会するわけですから、今国会中にぜひ御提出をいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。いかがでしょうか。

武見副大臣 これは平成十七年度の件ですよね。平成十七年度の随意契約については、こうした公表に基づいた随意契約になっていないために、改めてそれぞれの業者と確認をとって、そして了解をとった上での公表ということが必要になります。したがって、そのでき得る限りの範囲内できちんと対応をさせていただきたいと思います。

武正委員 これは、衆議院の調査局が衆議院の総務委員長名で行った調査なんですね。今の、その公表基準になっていないとかいうことが、この国立病院だけが許されるということが本当にいいのかどうか。これはやはりおかしいと思うんですね。

 官房副長官もお見えですけれども、今お聞きになっていてちょっとわからないかもしれませんが、全独法の中で国立病院だけが金額を一切公表してくれなかった、予備的調査の結果なんですが、今、透明性の確保ということで、競争入札について説明責任が求められているわけですから、やはりこれは内閣としても速やかに全独法、独立行政法人の改革も安倍総理は経済財政諮問会議の民間議員の提案を受けて命じられましたよね、総務大臣にも。そういう中で、十七年度、この国立病院機構だけ出さないでいいというふうにお考えでしょうか。いかがでしょうか。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 すべての独立行政法人の随意契約について、国の取り組みを踏まえ、一般競争入札の拡大や個々の随意契約に係る情報の公表等を通じて調達の効率性、透明性の向上に取り組むよう、総務省、所管大臣から要請されているものと承知をしております。こうした取り組みを着実に実施することで業務運営の一層の効率化を図る必要があると考えておりますので、すべての関係機関で対応をしていただきたいと考えております。

武正委員 重ねて、副大臣、もう一度御答弁をいただいて、ぜひ今国会中に御提出をいただきたいと再度お願いをしたいと思います。いかがでしょうか。

武見副大臣 一般競争入札については、落札価格を公表することは、直ちに確認をしてできると思います。

 そして、随意契約、こちらについて、改めて、先ほど申し上げたような形で、業者側との確認をきちんととった上で公表させていただきたいと思います。

武正委員 業者がだめだと言ったら公表できないということですか。

武見副大臣 政府としてでき得る限りの努力をさせていただきます。

武正委員 唯一この独法だけが八千件近くの金額を出していないということは、先ほど武見副大臣が言われた、価格を低く抑えているんじゃなくて、逆に高い価格で特に医材料の物品を調達しているという疑念を払拭できないわけでありますので、これは、武見副大臣がかねてより言っておられると思うんですね、日本の医療費は欧米に比べると実はまだまだ、もっとふやしてもいいぐらいだということを、多分医師会の方も言っておられると思うんですが、でも、もし、ここにそうした不適正な契約があるとすれば、これをまず正すのが先じゃないでしょうか。ぜひ今国会中に御提出を、再度お願いしたいと思います。

 それでは、副大臣、もう一問ありましたが、ちょっとこれで時間をとりましたので、どうぞお引き取りください。よろしくお願いします。

 それでは、官房副長官がお見えですので、お伺いをしたいんですが、随意契約の見直しを昨年の内閣におきまして指示され、もう四月からも、新しい契約締結に、それぞれの省庁、内閣官房で官房長を全省庁集めて取り組みを指示していると思うんですが、四月以降の取り組み状況をお知らせいただきたいと思います。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 随意契約については国民の納得が得られるよう、その透明化、適正化に政府を挙げて全力で取り組んでいく必要がございます。このことから、御指摘がございましたが、昨年二月に公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議を設置し、一般競争入札が原則であるとの原点に立ち返り、徹底した見直しを行ったところでございます。

 まず昨年六月には、所管公益法人等との随意契約についての見直しを行い、さらにことしの一月に、そのほかの随意契約についての見直しを行ったところでございまして、その結果、これまで競争を行っていなかった随意契約合計三・四兆円のうち金額にして約六割強の二・一兆円を一般競争入札等の方式に改めていくこととなったところでございます。現在、各省庁において、この計画に基づき、見直しを行っているところでございます。

 その見直し状況については、各省庁で見直し状況のフォローアップを行うとともに、公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議におきましても、各省庁の取り組み状況について、毎年度フォローアップを行うこととしております。

 ちなみに、各省庁の平成十八年度の見直し状況のフォローアップについては、決算報告が国会に提出される時期、平成十七年度のときには十一月の下旬でございましたが、この十一月を目途に取りまとめて公表する予定でございます。

 なお、年度途中での御指摘の各省庁的なフォローアップをどう行っているかということでございますが、これは相当な事務量、期間を要するということでございますので、まず、個々において、競争契約及び随意契約に係る情報について、各省庁で契約を締結したときに、契約の相手方、契約内容また契約の金額、それから、随意契約の場合にはその随意契約をした理由等を、ホームページで一つ一つ公表することにしております。

 個別の契約に係る見直しが行われたかどうかについて、そういう意味では、年度途中において個々に明らかにしているものと考えております。

武正委員 三兆円強のうち二・一兆円見直し、改めていくこととするということなんですけれども、要は、これは、これからの契約締結で一般競争入札にしていく、そういう計画が示されたというふうなことでありまして、問題は、この四月以降ちゃんとそれを履行しているかどうかなんですね。

 今のお話ですと、関係省庁の官房長の会議、これは今年度、四月以降はまだ開かれていないというふうに私は事前に聞いておりまして、秋にあるいは年末に発表ということじゃなくて、やはりこれは、随契見直しということで計画を出して、ちょうどこの五月、六月、契約のときですよ。それこそ、この間、天下りバンク法案と我々は言っておりますが、あの審議の際も、官房長官も渡辺大臣もお見えでしたけれども、例のわたりについて、各省にそれこそ十六名と出てきたら、それ以上調べる権限はないんだ、そういうことを内閣官房なり内閣官房長官あるいは担当大臣が言ったり、あるいは調べない、調べてもどうせ出てこないと。

 そんなことでこの随意契約、本当に二・一兆円、見直しができるんでしょうか。私は非常に、そこら辺も、十一月まで待っていていいのかなというふうに思うんですね。

 ですから、やはり改めて、まだ今年度一回も会議をやっていませんので、全官房長を集めて、この随意契約の見直しの徹底を、もう一度履行を確認するべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

下村内閣官房副長官 お答えいたします。

 先ほどもお答えいたしましたが、年度途中における全庁的なフォローアップということになりますと、一つ一つ精査をしていくということで、相当なプラスアルファの事務量等がかかるわけでございますが、今の委員御指摘のことについては、これは一つ一つの契約について、それを一般競争入札にした、あるいはなぜ随意契約のままなのかということも含めて、その内容についてはそれぞれかなり詳細にホームページ等で公表しておりますので、その一つ一つの段階で、どの程度一般競争入札に変えていったかということはわかるというふうに思います。

 節目節目の中でできるだけ、トータル的なフォローアップをすべきだという御指摘でございますけれども、四月、始まったばかりでございますので、その推移も見ながら、改めて今の御指摘について検討させていただきたいと思います。

武正委員 そこで、随契のお話から今度は官製談合防止法、故意及び重過失の話に移ろうというところなんですが、せっかく官房副長官もお見えなので、総務省のきのう立ち上がった検証委員会、それから第三者委員会、これは総理の強い命令で、総務省にそれぞれ立ち上げたんですね。きのう総務委員会で総務大臣に聞きましたら、六月四日に総理から検証委員会を立ち上げるように総務大臣に指示があった、今度六月十一日には第三者委員会をつくるように指示があった、いずれも総務省だと。

 一部報道では、やはり総務省の行政監視、行政評価、これが適切であるという理由と、総務大臣は非常に安倍総理の信任が厚くて、そういうような報道もあったんですけれども、私は最初聞いて、検証委員会と第三者委員会が非常にごちゃごちゃで聞こえたんですね。何でこれは二つとも総務省なのかなと。しかも、聞くと、総務省の行政評価局、八百人強の職員がそれぞれ両方やる。全国に、四十七都道府県に支分部局があるんですが、一カ所大体十人ぐらいの職員がいる。そこでも、第三者委員会も立ち上げるし、それから検証委員会の検証作業もやる。

 私は作業的にとても難しいんじゃないですかときのう総務大臣に聞きましたら、いや、厚生労働省、社会保険庁から出向してもらうんだ、こういうことを総務大臣は言っておられました。

 官房長官のもとに社会保険庁の見直しの委員会が二〇〇四年ですか既に立ち上がっていることは報じられているとおりでありますが、いや、そこの職員も、社保庁とか厚労省から事務局が出向していたから大したことが社保庁に対して言えなかったんだと、一部社説でもきょう書かれているところなんですが、今回、第三者委員会も同じ轍を踏もうとしているとすれば、私は結局また同じことじゃないのかと。

 あるいは、年金について苦情を申し立てても社保庁で却下された、では今度はすがる思いで総務省に、第三者委員会に来たら、そこの事務局は社保庁から出向していたら、これはまた同じことじゃないかなというふうに思うんです。

 これはちょっと通告にありませんが、官房長官のもとに第三者委員会というか検証委員会も置かれている経緯もありますので、こういうやりとりがきのう総務大臣とあったんですが、内閣官房副長官として、今度の第三者委員会の事務局のあり方、私は社保庁から出向者は入れるべきでないというふうに思うんですが、御見解をお伺いしたいと思います。

下村内閣官房副長官 本来であれば、この年金問題については、厚生労働省なりあるいは社会保険庁なりが対応すべきであります。しかし、平成八年以来の年金問題について、多くの国民から不信感を買っている、また、年金等が明らかになっていないものがたくさんあるということの中で、国民の視点に立った改革をしていかなければならないということの中で、例えば第三者委員会の場合には、今まで社保庁で領収書等証拠書類等がなければこれは年金の受給を認めないということについて、たとえそういうものがなくても、申立人の立場からもう一度調査をして、そして客観的な状況が、確証が得られれば、これは年金受給も考えてもいいのではないかという視点から、つまり国民の立場に立った視点からもう一度考えていく必要があるという安倍総理の御判断で、総務省の中に第三者委員会を設置することになったわけでございます。

 また、検証委員会についても、なぜこの十年間、三億の年金個数がいまだに五千まで突合がされないまま来ているのかということを含めましたことを検証する、チェックするということで、それぞれ役割分担は明確に違っているというふうに思います。

 具体的にその中で、検証委員会の場合には有識者の方々に実際に集まっていただく。ただ、そのときの有識者の方々が判断をしていただく事例等は、これは現場の方々でないと出すことができませんから、そういう意味で社会保険庁等の職員に協力してもらうということであると思いますし、そこに社会保険庁の関係の方が入っても、それが恣意的に今までと同じような形になるということではなくて、仕組みが違いますから、これはきちっと、総務省における検証委員会それから第三者委員会、それぞれのスタンスで、国民にとってわかりやすい、そして国民の立場に立った結論が出るのではないかというふうに思っております。

武正委員 今の御答弁で、検証委員会にも社保庁から出向者があるということを副長官はお認めになられたんですが、きのうの質疑の中では、民主党の逢坂委員の質疑に、社保庁は、社保庁の中の不服審査会というものがあります、その不服審査会で例えば却下されたような事案を第三者委員会に持っていった場合には受け付けてくれますけれども、その中で裁決されたもの、そこでもう完全にだめですよといったものは第三者委員会では受け付けることができない、こういうことも言っているんですよ。

 ですから、実はこの第三者委員会というものの制度設計、今の言われたような総理の発想、スキームとやはり実際やってみると全然違うだろうということがもう既に露呈をし始めましたし、私は、やはりそこに社保庁から出向者を受け入れるべきでないということを重ねて申し上げておきます。

 そこで、いや、ちょっと時間もあれなので。では、手短に。

下村内閣官房副長官 済みません。今のお話の中で、検証委員会には社保庁の職員が出向するわけではありません。検証委員会は有識者の方々に議論していただきます。ただ、有識者の方々が議論していただく中の材料として、社保庁の方に事務的に協力をしてもらうことがあるということで、直接入るわけではないということで訂正させていただきます。

武正委員 両方とも事務局に出向するということは、私は問題があるというふうに思っておりますので、ぜひそれは、国民の側から見ても、やはり特に第三者委員会には出向者を社保庁から受け入れるべきでないということを申し上げておきます。

 そこで、次の質問ですけれども、最後になりました。経済産業大臣、お待たせいたしました。民主党の官製談合防止法には、故意及び重過失という、国家公務員、地方公務員、これは重過失ということなのでかなりハードルが高いんですね。

 これは平成十七年度ですか、平成十八年度ですか、懲戒処分の内訳なんかも見ても、郵政職員が八割近くということで、逆に、昨年は社保庁が八百人ぐらい減っちゃったり、厚生労働省が五十一人ぐらい減ったり、こういったところもあったりして、結局私は、国家公務員法や地方公務員法、あるいは予責法にある故意及び重過失ということで、公務員の方々はよっぽど悪いことをしても懲戒処分の対象にならない、実はここがやはり官民イコールフッティングからしておかしなところだと思うんですが、民主党はこれを故意及び過失と改正案を提出しております。

 これについて、経済産業大臣としてどのようにお考えになるか、御所見を伺いたいと思います。

甘利国務大臣 違法行為に対しまして厳正な対処というのは当然のことでありますけれども、御指摘がありました官製談合防止法案における損害賠償の構成要件を、重過失とするかあるいは過失とするかという議論でありますが、この点につきましては、昨年の臨時国会において審議がされたというふうに承知をいたしております。

 その審議の過程では幾つかの点が議論されておりまして、国家賠償法においては公務員に対する求償が過失でなく重過失である、その整合性、他の法律との整合性を考えるべきではないか。それから、公共事業の円滑な執行という観点からも、故意またはそれに準ずる重大な過失という要件を維持すべきではないか。それから、重過失を過失にすることによって職員の執行が萎縮するのではないかという議論がなされたわけでありまして、それらの議論を踏まえて、重過失という要件が維持されたものというふうに理解をしております。

 そういうさきの国会における立法過程での審議結果を尊重したいというふうに考えております。

武正委員 時間が参りましたが、検証委員会で年金の過去の問題を検証しよう、それには、これが重過失だったら結局検証できないんですね。

 あと、あわせて、一カ月後に中間報告を出すというのはやはり順番が違って、選挙目当ての検証委員会ではないかという批判が私はあろうかと思います。検証委員会よりも先に第三者委員会を立ち上げるべきであるということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 きょうは、公正取引に係る件ということで、一般質疑でありますけれども、まず最初に、昨日の朝刊各紙でも大きく報道をされました、駅前留学のキャッチコピーで有名な、英会話学校としては最大手、NOVAに対して、特定商取引法違反により業務停止命令を含む行政処分が出されました。一昨日、六月十三日付の行政処分でございます。まず、このことについて質問をさせていただきます。

 まず、このNOVAへの行政処分に至った経緯、そしてこの処分の概要について、簡潔で結構でございます、経済産業省から説明をお願いいたします。

松井政府参考人 お答えいたします。

 株式会社ノヴァは、外国語会話教室の役務提供を行うに際しまして、虚偽の説明による勧誘を行うなど特定商取法違反を行っておりました。

 このため、経済産業省は、特定商取法に基づきまして、業務の一部、すなわち一年を超えるコース及び授業時間七十時間を超えるコースの新規契約を六カ月間停止するように命じるとともに、こども英会話「NOVA KIDS」等の役務について業務改善の指示を行いました。さらに、今後二年間にわたりまして、四半期ごとに苦情及び苦情対応などについて報告をさせることといたしております。

 主な違反の内容でございます。

 一点目が不実告知でございます。時間帯等によっては予約がとりにくい状況であったにもかかわらず、勧誘の際、レッスンの予約は好きなときに入れればよいなどと不実のことを告げておりました。もう一つは、契約内容を決めず、氏名、住所のみ登録した日から八日以上経過いたしますと、実際の契約締結後に契約書面を交付された日から八日を経過していない場合でも、もうクーリングオフはできませんなどと不実のことを告げておりました。

 二つ目の問題は、役務提供契約の解除により生じます債務の履行拒否でございます。予約がとれないあるいは教室が閉鎖されたなど、NOVA側の責に帰すべき事由で中途解約の申し出があった場合にまで、契約時のポイント単価よりも高い単価を用いて解約の精算をしており、本来消費者に返金すべき金銭を返還していなかったということでございます。

 三つ目が、関連商品販売契約の解除に生じる債務の履行拒否でございまして、外国語会話レッスンの中途解約を行った場合に、レッスンを受けるのに購入する必要があると同社から告げられて消費者が購入したテレビ電話につきまして、関連商品には該当しないとして契約の解除に応じず、本来消費者に返金すべき金銭を返還していなかった、こういうものでございます。

 NOVAにつきましては、ここ二年ぐらい、非常に消費者からの苦情がふえておりまして、国民生活センターのPIO―NETに寄せられました苦情が、十八年度は二千件近くになっているということで、ことしの二月に立入検査を行って、以上の違反事実を認定して、六月十三日に、先ほど申し上げました処分を実施、公表いたした次第でございます。

三谷委員 ありがとうございました。

 今、るる簡潔に処分の事由等についても審議官から述べていただきましたけれども、中でも、もちろん誇大広告もございました、キャンペーンを実施中入学金無料とか、いつも無料のように、まさに誇大広告でありますし、特に二番目に今審議官がお話をされました役務提供契約の解除によって生じる債務の履行拒否、まさに一番の問題ですし、また苦情がこのことでは相次いでおりました。

 今のお話の中にもありましたけれども、消費者の苦情が二千件、そして二月に立入検査ということでありましたけれども、こうして並べられた、今審議官からも御説明がありました特定商取引法の明らかな違反行為だけで、まさに六項目の条文、そして十八種類の行為に及んでおります。そして、違反行為の疑いが強い、これからも見ていかなきゃいけないものを加えますと、さらにまた二種類もございます。そして、各教室において、本社作成のマニュアルや通達、指導があるなど、違反行為はまさに全社的にそして組織的に行われていた。

 四百拠点からございますので、ここのところを調べるのに時間がかかったというようなことがあったのかもしれません。だけれども、今の審議官のお話の中でも、消費者の苦情、PIO―NETに寄せられたものは二千件ということがありましたけれども、ただ、これは随分前から、ここに挙げられているさまざまな違反行為によって、まさにトラブル、苦情がPIO―NETだけではなくて相次いでいたわけであります。

 そして、訴訟も随分起こされています。そのことごとく負けているわけであります。一番最初は〇三年十一月の京都簡裁、地裁でも〇四年七月から、ここから始まってずっと負け続けているわけであります。そして、これは後でわかったことですけれども、当然経済産業省は御存じだったんだろうと思います。二〇〇二年には、NOVAに対して、東京都が行政指導で業務改善報告を求めていたということもございました。これはもう五年前の話であります。

 そして、ことし二月にやっと立入検査に経済産業省が入ったわけであります。そして、今回の六月十三日付の処分であります。どうしてこのように対応が遅いんでしょうか。まず、その理由から聞かせていただきたい。お願いします。

松井政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、東京都がNOVAに対して平成十四年の二月と六月に行政指導を行っております。当時は行政指導に一応従って対策をNOVA側は講じておりました。

 しかしながら、平成十七年度以降、店舗数が急激に拡大をしております。ちなみに、十七年三月末が六百八十七店でございましたけれども、これが十八年三月末で九百九十四店でございます。ちなみにことしの三月末では九百二十五店とちょっと減っておりますけれども、このように店舗数を急拡大したことなどもありまして、質の高い講師を十分に確保することができなかったと見られまして、特に、この一、二年、予約がとりにくいなどによりますトラブルが目立ってまいりました。そこで、こういう状況を踏まえて、ことしの二月に立入検査を行ったものでございます。

 立入検査から四カ月たっているわけでございますけれども、このように、全国で大規模に展開しております事業者について立入検査を行った場合、やはりその違反事実の全容を詳細に把握いたしますには、相当時間を要することが多うございます。NOVAの場合も大きな段ボール箱四つか五つほどございまして、そういうものを全部分析しなくてはいけないということで、時間がかかったものでございます。

 ちなみに、昨年同様の処分をいたしました上場会社については、立入検査後処分までに約半年を要しております。他方、本件におきましては、適正手続に配慮し、また、事実認定作業において十分に慎重を期すと同時に迅速処理に努めたこともあって、四カ月で処分することができたわけでございます。

 確かに、もっと昔の段階でやるべきだったという御指摘はあるかもしれませんけれども、特に、昨年以来、経済産業省としては、パロマの瞬間湯沸かし器の事故などもございまして、消費者保護というものを大きな政策の柱に据えたということで、ハード面だけではなく、こういう消費者トラブルについても積極的に対応をしていく、法律を厳正に執行していく、こういうふうに政策を強く打ち出しました関係上、ことしの二月に立ち入りを行った、こういう経緯でございます。

三谷委員 今審議官からのお話の中に、最初のうちはしばらくの間対策を講じていた、こういうお話がありましたけれども、少なくとも外形上、我々のところから見える話では、先ほども申し上げました、訴訟に負けるたびに、さまざまなコメントも出されておりますけれども、その都度都度、ある意味、開き直ったお答えを猿橋社長初め会社の方々はされ続けてきました。あるいは、公に対しても、最高裁の判決がまだ出ていないというようなことを援用しながら、変わらぬやり方で業務を続けてきた。

 本当に対策を講じていたんですか。そして、ちぐはぐだと私は思うんですけれども、なぜこの時期に行政処分の発表をされたかという問題も指摘させていただきます。

 先ほども申し上げましたように、全体としては対応が遅い。そして、今のまさに審議官のお話の中にもございましたように、最初、六カ月ということを私も聞きました。立入検査から処分が出るまでおよそ六カ月ぐらい、そういうふうに見込んでいた、そういうお話を聞いておりました。

 迅速に答えを出していただくのはいいことではありますけれども、だけれども、ちょっとうがった見方をすれば、先日のコムスンへの処分がございました。これも大きな影響がございました。そして、一昨日のNOVAへの処分。これも、各種テレビで報道されましたように、大変大きな事件と受けとめられています。そういう処分が続いています。うがった見方をすれば、あの大きな問題となっている消えた年金の話から目をそらすかのようにも受けとめられるわけです。こういう見方をされないためにも、何か意図があってのことなんでしょうか、迅速な対応をお願いいたします。

 そして、甘利大臣にお伺いをいたします。

 行政処分を受けたNOVAの事案、そして処分につきまして、所管大臣である経済産業大臣、どのような受けとめ方をされていますか。そして、この時期にこういう処分を発表するのは何か意味があってのことなのかどうかも含めて、お考えを聞かせていただきたいと思います。

甘利国務大臣 商務流通審議官から答弁させていただきましたとおりが事実でありますが、NOVAは消費者等からの苦情が近年かなりふえてまいりました。これは、多店舗展開をかなり無理をして行っているのかなと思われますが、それに従って優秀な外国人講師の確保がままならなかったのであろうと思いますが、この二、三年の間に苦情件数が二倍に上がったわけであります。

 そこで、経産省といたしましても、同社に対して調査を行ったというところでありまして、この結果、虚偽の説明による勧誘を初めとする二十近くもの特定商取法違反行為を組織的に行っていたということが判明したわけであります。このために、今般、消費者保護の観点から厳正に処分を行ったということでありまして、経済産業省といたしましては、今後とも、悪質な事業者に対しては厳正に対処していく所存であります。

 このタイミングはどういうことかということでありますが、事案が発生をして、調査をして事実関係が明らかになって、そして、それに対する対処を行ったということであります。それ以上のものではありません。

三谷委員 わかりました。

 続いて、このNOVAの件で、先般、自民党の中山泰秀衆議院議員が、まさに中山議員は当経済産業委員会の委員のお一人でもございますけれども、NOVAの猿橋社長とともに関淳一大阪市長を訪ねられたことが判明をいたしました。もちろんこの特定商取引法、経済産業省だけではなくて、都道府県も処分を行うことができますが、大阪市の場合は市消費者保護条例を出されています。市は、あっせんのほかにも、悪質な業者に指導、勧告ができ、勧告に従わない場合は業者名を公表することができるということになっています。

 この訪問は、大阪市消費者センターが市民とのトラブルをあっせんで解決するために、昨年の四月十八日、猿橋社長に市条例に基づく出頭通知を出したその後に、五月二十二日に行われました。関大阪市長に対し中山議員は、最高裁で争われていることや、そして、次のところですけれども、経済産業省とも十分に協議していることを訴えたということであります。

 結果として、大阪市消費者センターはあっせんを打ち切りました。関市長は因果関係を否定されています。否定されていますけれども、因果関係を疑われても私は仕方がないと思います。そして、経済産業省とも十分に協議しているということを市長に訴えられたということであります。

 経済産業省にお伺いをします。このNOVAの件で中山議員と協議をされるということがあったんでしょうか、お答えをお願いします。

松井政府参考人 お答えいたします。

 まず最初に、先ほど今回の処分のタイミングについて御指摘がございました。

 これは、私がこの職につきまして、特に去年、消費生活用製品安全法の改正の御質疑等々の中で、何としても消費者の被害、こういうものを一人でも救いたい、こういう思いで私はこの職についております。私がやっていることで一人の方が救われれば、それが私の生きがいである、こういう強い信念でこの仕事を行っております。

 そういう関係で、このNOVAの問題については、何としても被害を受けている方を救済したい、こういう思いで、この大きな案件に私は全力で取り組みました。この四カ月、必死に私はやってまいりましたし、この一週間ほとんど寝ないで、この問題についてどうしようか悩んで、やりました。決して他意があるものではないというのを申し上げておきたいと思います。申しわけございません。

 それから、もう一点、中山衆議院議員に関する今回の報道につきましては、経済産業省と全く関係のあるものではございません。コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、中山衆議院議員から今回のNOVAの件について何らかの働きかけがあったことは全くなく、今回の経済産業省の行政処分との間には何の関係もございません。

三谷委員 立派な決意を聞かせていただきました。また、関係がないということでありますので安心をいたしました。

 ただ、中山議員の大阪市長への訪問でありますけれども、一部大きく報じられました。その報道の中で、業者側に立った行動だというようなことを書いた新聞もございましたけれども、むしろこれは、この中山議員の行動は決して褒められるものではありません、消費者側とか業界側とか、どちらの側に立つとかということを超えた話だというふうに思っています。

 立入検査の一年前ですから、前とはいいましても、今も申し上げましたように、経済産業省は関係ないということでありますけれども、経産省とも協議をしていると本人も市長に向けて言われたように、まさにNOVAをめぐるトラブルというのは、苦情件数のこと一つとってみても先ほどの御紹介のとおりで、随分以前から大きく顕在化をしていました。トラブルは相次いでいたわけであります。訴訟も十にわたって相次いでいました。ことごとく負けているわけであります。

 要するに、猿橋社長を連れて、大阪市に向けて威圧のために行ったと考えられても仕方がないと思います。国会議員が行くだけで、市の当局、大阪市も、先ほど申し上げたように条例を出されています、そしてあっせんをされようとした、出頭通知を出された、結果的にそのあっせんはやめられた。市長そのものは、それは因果関係はないとおっしゃるに決まっています。だけれども、国会議員が行くだけで、当該職員、市の当局に対しては、私は威圧になるんだというふうに思います、あるいは萎縮をさせることになるんだというふうに思います。それだけで、私は働きかけにほかならないというふうに思います。

 甘利大臣にお尋ねをいたします。

 この中山議員の猿橋社長と大阪市長への一年前の訪問、特定商取引法を所管する所管大臣として、また同じ党の先輩議員として、大臣、どのように受けとめておられますでしょうか、どのように考えられていますでしょうか、お答えをお願いいたします。

甘利国務大臣 私も、この件は新聞報道で知ったわけでありまして、中山さんの行動によって行政判断が変わってくるということはありませんし、今回の行政処分の結果を見ていただければそれは一目瞭然だと思っております。

三谷委員 いや、それ以上は何もお感じになられることはありませんか。

甘利国務大臣 御本人がどういう思いでそういう行動をとられたかというのは本人に聞いていただかないとわからないんですが、私個人は、うちの秘書には、事業者と同道するということは誤解を招きやすいから慎重にするようにと、私自身はそう言っておりますが、中山先生の御心配はどういう点であったかはちょっと私にはわかりません。

三谷委員 話をまたこの事案への対応に戻させていただきます。

 審議官、もう一回聞かせていただきますけれども、最後の立入検査のところに踏み込むのに、私が申し上げたいのは、明白な違反行為というのはここまでにも随分あったと思います。そこまでにどうして時間がかかったのか。踏み切るための何かハードルがあったんでしょうか。もう一回お答えください。

松井政府参考人 お答えいたします。

 現在、我々消費経済対策課で特定商取法の執行を行っております。限られた人数で、やはり問題が生じている案件に応じて優先順位をつけて対応をしているわけでございます。

 したがいまして、これまでもほかの案件でさまざまな対応をやってまいりまして、ちなみに、十八年度に業務停止命令を経済産業省で行ったものは二十五件ございます。そのほかに、都道府県とも連携をしておりまして、全部で八十四件を行ったわけでございます。

 そういうさまざまな案件に対応していく一環の中で、このNOVAについても対応しなくてはいけないということで決断をしたわけでございますけれども、当然のことですけれども、立入検査を行うためにはそれなりの確証を持って行うということで、若干の時間を要したことは事実でございます。

三谷委員 まさに今の審議官のお話の中にもありましたように、限られたメンバーで、どう考えても、法執行をこの特定商取引法違反行為に向けて行うに当たって、その陣容が、幾らか強化をされたとはいいましても、大いに不足をしている、そのように思えてなりません。

 時間がありません。大臣にもお答えをお願いいたします。

 不足する、そして十分でないこの法執行のための陣容、そして事案そのものは、苦情件数そのものは飛躍的にふえているわけではありませんけれども、内容が悪質化をしているところもございます。その意味でも、強化に向けてのお考え、そして意気込みがもしございましたら、お聞かせいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 特定商取引法を適切に運用し、厳正な行政処分を行っていくということは、消費者保護の視点から必要不可欠なものでありまして、今後とも、執行体制の強化をより一層図りつつ、悪質な事業者に対して厳正に対処してまいります。

三谷委員 最後になりますけれども、割賦販売法を含めて、次期国会に提出予定で、今審議会の中でも議論が進められているというふうに聞いております、まさにこの特定商取引法の改正、さまざまな問題が今でもございます。特に、訪問販売についての規制がまだまだ不十分であるとか、この改正に向けての取り組み、もう時間がありませんので大臣に直接伺います。意気込みについて、お答えをお願いいたします。

甘利国務大臣 近年、クレジットを利用した訪問販売等によりまして、特に高齢者に対する高額な被害が深刻化していると認識をしております。その場で現金を払う必要がないのでありますから、どうも口車に乗せられやすいという点はあろうかと思います。

 そこで、これまで、特商法に基づいた悪質訪問販売事業者に対する業務停止等の行政処分を行うとともに、クレジット業者に対しましては、悪質訪問販売業者の排除を指導してきているところでありますけれども、しかしながら、この種のトラブルが依然として続いているということで、抜本的な対策が必要というふうに考えております。

 そこで、悪質商法を助長するようなクレジット業者による不適切な与信を排除しつつ、被害者が適切に救済されることが重要であります。こうした観点から、現在、割賦販売法及び特定商取引に関する法律の改正を視野に入れまして、産業構造審議会において、適切な措置についての御検討をいただいているところであります。

 今後とも、消費者保護行政に万全を尽くしてまいりたいと思います。

三谷委員 消費者保護に向けての改正に向けて進んでいただくようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

上田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十四分開議

上田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎です。

 大臣、来週からWTOで御出張というお話もお聞きをしておりますが、また外交の方も、六月末のいろいろな取りまとめもあるようでございますので、ぜひ精力的にお願いをしたいというふうに思います。

 午前中も、我が党の官製談合防止法案も含めていろいろな話がございました。私も、やはり官製談合という問題は本当に民間の方々から見ても大変おかしな形でありますし、当然あってはならないということで考えております。

 そして、公正取引委員会が、この十五年くらいで人数をかなりふやす中で、公正な取引という観点からお仕事をされております。ただ、私ちょっと気になるのは、経済取引局や審査局という大きな二つの、独占禁止政策の企画の部門と、取り締まりをする、違反の事件を処理する部門があるんですが、この十五年くらいの中でどのように人的な配置が変わってきたのか、簡単で結構ですから、お尋ねをしたいというふうに思います。

舟橋政府参考人 公正取引委員会事務総局の定員の推移について、ちょっと御説明させていただきたいと思います。

 今先生、十五年とおっしゃいましたけれども、平成元年との比較で申し上げますと、平成元年度で四百六十一名の定員でございました。それが現在、平成十九年度末の定員でございますが、七百六十五名ということでございまして、三百名ほどの増が図られておる。特に、やはり独禁法の施行というのが我々に課された最大の使命でございますので、審査部門を中心にその増が図られておる、こういうことでございます。

後藤(斎)委員 委員長、今、国会に同意人事が、委員長自体、来週になると思いますが、いずれ再任をされるという前提で言えば、午前中も近藤委員の方からもお話がありましたように、十年という長きにわたることになります。

 私、その前に委員長に、やはりこれから国際的な三角合併も進んでいくでしょうし、独禁法に係る、公正取引に係る国際的ないろいろなルールを実態の把握も含めて整備をしていかなければいけないのかなというふうにも思いますし、先ほど審議官がお話をしていただいたように、審査部門を強化しなきゃいけないということで、今公務員に対する世の中の厳しい目もありますが、私はやはり、その中で職員の方々の能力をどんな形で高めるかということが大変必要なことではないかなというふうに思います。

 この五年間も、人数増ということも含めて量的な面でも、大臣の、いろいろな連携等も含めて、向上というか充実をしてきましたから、今後、どんな形で職員の質的な向上、能力の向上という点でお考えになっているのか、委員長にお尋ねをしたいと思います。

竹島政府特別補佐人 大きく二つの方法で能力アップを図っていかなければいけないと思っております。

 一つは、既存の職員または新規に採用される職員に対する研修。これはいろいろなレベルで、新規採用者の研修はもちろんやっておりますが、それ以外にも、中堅、係長、課長補佐、それから新任の管理職の研修というようなことを階層別に行っております。それから、専門の研修ということで、企業会計の研修でありますとか経済分析、さらには語学の研修というようなこともやって、プロパーの職員の研修に力を入れてきておりますし、これからもそれは頑張っていかなきゃいけないと思っております。

 それ以外に、やはりこれだけ経済取引なり実態が高度化、複雑化しておりますので、やはり法曹資格者それからエコノミストといった専門職の方々を、幸い、任期つきの採用とか中途採用という道がございますので、そういうことで増強してきております。これからも、ロースクールで司法試験の合格者もふえてくるという時代になりますと、そういうことを背景に、我々としても中途採用なり任期つきの採用ということにさらに努力していく必要があるなと思っております。

後藤(斎)委員 竹島委員長、私も、十年になる委員長のこれからのお話をさせていただきたいと思います。

 独禁法の二十九条に、「公正取引委員会は、委員長及び委員四人を以て、これを組織する。」ということがありまして、「両議院の同意を得て、これを任命する。」という規定がその次にございます。そして、私、初めて読んで知ったんですが、公取の委員長というのは天皇陛下がこれを認証するというふうなことで、非常に重い職責になっています。

 一方で、今回また同意人事でかかわっています公害等調整委員会設置法の八条に、委員長、委員の任期は五年ということがあって、再任規定もあり、その七条で、両院の同意ということで、陛下の認証ということにはなっておりません。そういう中で、この公害等調整委員会は、再任規定があるものの、基本的には、余り長く委員長の職責にという思いもあって、通常、一期五年で対応なさっているというお話を事務局からお伺いしました。

 今回、この同意人事の案件の部分、確かに卓越した能力、見識で今まで五年間、委員長がお仕事をされたことは、私もそういうふうに思っています。ただ、やはり再任をされるときの十年間という中で、午前中近藤委員からもお話がありましたように、長過ぎたときの弊害というものをどうするかということを当然委員長もお考えになっていると思います。

 先ほど、職員の方の能力をということで、いろいろな施策で対応している、これからもしていくということでありますが、やはり職員の方々が委員長の方ばかり見てしまう。これは多分あってはいけないし、基本的には四人の委員の方の合議制でいろいろなお話し合いをされて、独占的にならないというふうなことでもありますけれども、まさに独占的にならないように、委員長みずからがやはりよく職員の方の話も聞き、逆に言えば、職員の方が委員長の方だけ見るのではなくて、国民や、公正で自由な競争というものをきちっと仕事をするように、やはり委員長みずからがその思いを持ちながらやっていただかなければいけないと思うんですが、委員長、その点について、どのようにこれから対応なさっていくおつもりでしょうか。

竹島政府特別補佐人 私自身は、とにかく、万機公論に決すべしといいますか、みんなで議論した方がよりよい、またより間違いのない答えが出てくるというふうに信じておりますので、そういうふうにやってきたつもりでありますし、これからもそういう心構えでやらせていただきたいと思います。

 任期の問題は、五年ということに法律上なっておりますが、それは私の気力と体力の続く限りやらせていただくということでありまして、何年になったらどうするというようなことは今もちろん考えているわけではございませんが、いずれにしましても、当面、独禁法の再改正問題もございますし、来年は、ICNといいますか、国際競争ネットワークという大きな、八十八カ国から成る国際会議が京都で行われるということで、それの主催もしなきゃいけないというようなこともございますので、そういうことにまず全力投球をしていきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 竹島委員長、ぜひお願いしておきたいことがあります。

 当然、先ほどもお話ししたように、二つの側面を公取は持って、一方では取り締まりをしという権能と、もう一つは、今の独禁法は自由で公正な市場を目指し、事前に強制にならないような形でいろいろな提案も、政策提言もたくさんなさっています。私は、いろいろな企業の方々、特に経営者の方がそういうものをきちっと理解し、そして対応していくことがやはり必要であると思いますし、やはり取り締まる前の予防というかそういう政策提言を、これからもそれぞれのいろいろな事業分野も含めて積極的にぜひお願いをしたいというふうに思っています。

 やはり、これからは事後規制という部分での、ただ、新しいいろいろな法体系がいろいろな部分で出てきますし、国際的な競争の中での体質強化という点ももちろんありますので、そこのバランスというものがどういうふうになっていくかということは、これからの公取の役割としても非常に重要な部分だと思いますので、ぜひその点のお仕事の方にも目を向けて対応していただきたいというふうに要望しておきたいと思います。

 経産省の方にメーンをちょっと移らせていただきます。

 商工中金法の改正のときにもちょっと議論をさせてもらいましたが、今、ややもすれば国家公務員のいわゆる天下り、OBの方々のいろいろな問題が、今回の官製談合の部分でも大きくクローズアップされております。しかしながら、地方でもそういうことが、大きく報じられてはいませんが、いろいろな分野分野であるというお話を聞いています。

 特に、商工中金法の際にも、あわせて中小企業信用保険法という、いわゆる信用保証協会の部分での議論もしたところでありますが、ここに県庁OBの方々、また現役の方の出向という問題も含めて、やはり実態がどうなっているのかということを、まず、簡単で結構ですから、今の実態についてお尋ねをしたいと思います。

高木大臣政務官 お答えいたします。

 信用保証制度を支える信用保証協会の性格からいきまして、その役員につきましては、中小企業政策や地域中小企業の実態、また金融実務に理解があることなどが重要でございます。個別の役員の人選につきましては、こうした観点を踏まえて、それぞれの協会ごとに適材適所で選定されているものと承知しております。

 現時点におきましては、全国五十二の信用保証協会におけます計五十二名の会長、理事長のうち、四十九名が地方公共団体出身者となっております。また、これ以外の常勤役員につきましては、ことしの四月現在、会長、理事長を除きます計百八十七名の常勤役員のうち、五十一名が地方公共団体出身者となっております。

後藤(斎)委員 参議院の方で今、国家公務員法の改正の問題が議論されております。今国会には間に合いませんでしたが、本来であれば、国家公務員の改正とあわせて地方公務員の改正ということも予定をされていたようでありますが、余りにも固定化をされ過ぎて、ウエートも非常に高いというふうな地方公務員の方々が保証協会の会長や副会長になられるというこの実態について、大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。

甘利国務大臣 中小企業全体に対する融資額、融資残高のうちの一割強が信用保証を利用されているわけでありますし、地域の中小企業にとっては頼みの綱になっているわけであります。それだけに、ただいま高木政務官から御答弁させていただきましたとおり、地域の実情とか地域の中小企業の実態をちゃんと把握している人という要件が大事だというふうに思っておりまして、金融の知識ももちろんあわせ備えている人が役職につくべきだと思っております。

 ただ、目きき能力というのは大事なんでありますけれども、情実融資とか情実保証になってしまってはいけないわけであります。そこは厳しく、企業の将来性とか経営者の能力をしっかり査定してもらいたいと思いますし、そういう人物が指揮をきちんととれるようにしてもらいたいというふうに思っているわけであります。

 人数の問題でありますけれども、先ほど答弁がありましたとおり、会長、理事長でいうと五十二名中四十九名ということでありますから、相当多いわけですね。理事とか役員関係、監事も含めてですが、この辺はバランスをよく見てもらいたいなというふうに、私としては県に要請をするところだと思っております。

 もちろん、そういう有識者の方が、地域の実情もよくわかっていて、中小企業の実態も把握している人がつくということは、それ自体悪いことじゃないことでありますけれども、当然、プロパーとのバランスとか全体のバランスの中での配置を見ていくべきだと思います。

 個人的に言いますと、ちょっと多いかなという感想があります。

後藤(斎)委員 大臣、やはりこの信用保証協会というのは、まさに保証をつけるかどうかで銀行の融資が本当に決まってしまうということで、非常に、従来以上に多分重い職責ではないかなと。特に、役所の部分と固定化をすると、短期間というか、一年、二年でかわってしまうというケースもよくあるというふうにお聞きをしています。

 私は、後ほどちょっと輸出の話もさせていただきますが、少なくとも日本の今のマーケットは、国内だけのマーケットを見ていると、飽和状態になっているところも実際たくさんありますし、この国会でも大臣が、中小企業、地方という部分もできるだけ元気にしようという点での金融という面、そしてあわせて私が思っているのは、やはりこれから輸出ということを、地域資源も成熟をし、国内マーケットにまず売る、そのお手伝いをする、ひいてはそれをもう少し元気にして、海外にも売れるようにしたいというお話を地域資源活性化法のときにもさせていただきました。

 そういうときに、少なくとも今の日本全体を見れば、もうこの二年間、人口減少時代に入り、高齢化が進むということは、私もそうですが、昔、三杯くらい一食に御飯を食べていましたが、最近はどんぶり飯も一つ食べられなくなりましたので、全体的にやはり例えば米の消費量も減っている。もう成熟した市場になっているというふうに言われて久しいわけですから、先ほど追悼演説の中にもあったように、例えば、今の農林水産業も国内市場だけだと輸入農産物も含めて飽和であるから、平成二十五年までに一兆円まで頑張るということで、かなり細かな工程表も、五月二十五日、松岡前大臣のお亡くなりになる三日前にまとめられたというものもございます。

 大臣、一般論で言えば、成熟してしまった日本市場、そこに、中小企業というのは大企業と比べれば当然競争力も国際競争も乏しいという中で、海外に向けてその市場を求めていかざるを得ない中小企業をどんな形で、販路拡大ということも含めて、中心に支援をしていくかということもこれから中小企業政策で非常に大切な点だと思うんですが、その点については経産省としてどんなふうにこれから取り組むおつもりなのか、簡潔で結構ですから、お尋ねをしたいと思います。

高木大臣政務官 ただいま御指摘いただきましたとおり、我が国におきまして、人口の減少等により国内市場の伸びが大きく見込めない中で、中小企業がその活力を維持向上するためには、国内市場だけではなくて、海外市場への取り組みを強化するという、この必要性が増大していると考えております。

 加えまして、御承知のとおり、近年、国境を越えた経済活動が進展しておりまして、例えば東アジアでは、実体上の共同体ともいうべき緊密な経済活動のネットワークが構成をされております。このことは、技術や品質などを強みとします我が国の中小企業にとりましては、むしろビジネスチャンスであると積極的にとらえることができると考えております。こうしたことからも、アジアの成長力を取り込みながら、我が国の中小企業がより一層活性化するためにも、国際展開支援に取り組むことは重要であると考えております。

 先日、経済産業省とOECDが共催いたしましたOECD国際カンファレンスにおきましても、中小企業の国際展開がテーマとして取り上げられておりまして、今このことは各国共通の課題となっております。

 その一方で、中小企業は大企業に比べまして経営資源が限られている、また、海外市場に関する情報の入手であるとか、海外事業を担う人材や資金の確保、そしてまた進出先での代金回収トラブル、そしてまた知的財産保護等の課題を抱えることが多いのが実態でございます。

 こうしたことを踏まえまして、経済産業省では、ジェトロやまた中小企業基盤整備機構におきまして、中小企業に対して、海外の市場、法制度等に関する情報の提供、そしてまた海外への進出についての相談業務を、昨年度の実績でございますが、こうしたことを約四万四千件行っております。また、現地の日系中小企業の技術、管理能力向上のために、これは人材育成でございますが、海外技術者研修協会におきまして研修事業であるとか、また海外貿易開発協会におきまして専門家派遣等を行っております。

 今後とも、こうした支援を通じまして、国際展開に中小企業が円滑に取り組めるための支援を行ってまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 ことしの中小企業白書をずっときのう読ませていただきました。特に、地域資源の部分でいろいろな分析をして、非常に興味深かったんですね。例えば販路というところでは、先ほどちょっと農業について触れましたが、農林水産型という部分では、地域資源では海外へのマーケットというのはパーセンテージがほとんどありませんで、いわゆる地産地消で近いところに売る、売りたいという方が大変多い。一方で、産地技術型、要するに技術を持っている中小企業の方々は、海外にマーケットをこれから求めていくという方が一〇%を超える。農林水産型から比べれば、十倍以上の形で海外に目を向けているというふうなことが分析をされています。

 この分析というのは、本当であれば、もう少し早くこういう数字をいろいろな形で出していただくと、地域資源活性化法のときにも議論がもっと深まったかなと思うものの、大臣、これはもっとおもしろいのがありまして、過去五年間の付加価値の変化というのもあります。その次に、過去五年間の販売数量の変化ということで、中小企業全体の平均単価よりも高い値段で販売している企業は、五年前と比べて販売数量が大幅に減少している割合が低いということ。ですから、単価が低いところよりも元気に頑張っているという分析が出ていまして、地域資源と輸出みたいなものを今政務官がお話しした点はどう連動を上手にさせるかということが必要だし、農林水産物という食品という部分にもこれは関係して、少なくとも地域資源の部分だけで見ると、先ほどもお話をしましたように、農林水産型というのはまだまだ海外市場に目が向け切れていない。

 この総合的な輸出戦略という中には、今政務官が触れていただいたように、ジェトロも含めてかなり大きなウエートで協力、連携をしながら農林水産省やっていますし、これは経産省も含めて協力をしている事業のはずであります。やはりそういう部分では、中小企業白書の分析と、この二十五年、あと六年後には一兆円という形で三倍増くらいしなきゃいけないということが、まだまだ十二分に連携し尽くしていないのかなというふうに思います。

 実は、私も以前ジェトロに御厄介になったことがあるんですが、ジェトロが新しく独法になって生まれたときから既に三年、四年以上たっている中で、やはり昔であれば補助金、一括交付金みたいなものを出して、それでほとんど業務を予算上対応していたということが、私、もう十数年前ですが、記憶がございます。

 現状で言えば、交付金のウエートというのは減っているようですが、やはり独法として、そういう交付金に依存をしない、いわゆる自主収入みたいなものをふやしていくという必要性が、多分、先ほど政務官がお答えいただいたものがメーンになって仕事の量がふえていけば、その交付金の依存度というのは減っていくと思うんですが、どのような形で財政的な足腰を強くしていく政策をジェトロとして考えていくのか、端的にお答えをいただければと思います。

中富政府参考人 先生御指摘のように、また今高木政務官からの答弁にもございましたように、中小企業の国際展開支援に取り組むことは極めて重要と考えておりまして、ジェトロといたしましても、今農産物の話がございましたが、販路開拓を含めました国際展開支援策をさまざまな形で講じまして、また体制の整備を図ってきているところでございます。

 その中には、やはり中小企業への貿易投資相談への対応とか、輸出有望案件発掘の支援とか、それから海外見本市への参加、開催の支援とか、さまざまな事業が含まれているわけでございます。これらの事業を実施する上で、関係の中小企業者等の負担もございますが、やはり公的な事業の軸が非常に多いものでございまして、交付金に頼らざるを得ないという部分もございます。

 運営費交付金を充当して行う業務につきましては、行財政改革の観点等から、原則として、毎年度一定割合の効率化を行うことが求められておりまして、これに従いまして業務に関する交付金も削減をしてきているところでございます。他方で、我が国企業のグローバル展開の進展等によりまして、ジェトロの事業に対する量的な、また質的なニーズも高まっておりますので、サービスの質の向上ということも必要となります。

 したがいまして、こうした状況の中で、受益者負担を伴うサービスメニューの充実、それから定期刊行物、出版物の購読者拡大等を通じまして、交付金以外の収入を増加しながら、中小企業等のニーズに対応して事業を拡充していきたい、また、積極的なPRも必要だというように考えております。

後藤(斎)委員 審議官、その中で、中央省庁からのOBないし現役の出向者の実態について、簡潔で結構ですからお答えいただけますか。

中富政府参考人 お答えいたします。

 ことし六月一日の時点で、ジェトロにおきます中央省庁からの出向を見ますと、現役出向は職員で百二十九名、中央省庁OBの役員が四名、職員が二名となっております。

後藤(斎)委員 私もこの現役出向の中に昔は入っておったので、人材交流という点では、思い出せば非常に今経験が生きているかなと思うんです。

 大臣、この独法になったときの通則法の中の二十条で、理事長と監事は主務大臣が任命するという規定がございます。先ほども信用保証協会の部分で触れさせていただいたんですが、やはりそれが、大臣もいつもおっしゃっているように、当然、能力もあるし見識もある方なんですが、ポストが固定化をされる、特に役員のポストが固定化されるというのは余り望ましくはないのかなというふうに私は思います。

 特に、地方の信用保証協会とは違って、ジェトロの場合は、役員の任命については大臣が任命をすることになっておりますので、そういう意味で、私は大臣にぜひお願いをしたいのは、プロパーの方の仕事の意欲も含めて、当然大臣はお考えになっていると思うんですが、やはり固定をしない理事長や監事の選任というものが必要だと思うんです。それがひいては組織全体の活力、そして、先ほど政務官や審議官がお答えになっていただいたように、その仕事の持つこれからの有用性というか必要性というのは、多分、従来以上にあるということも含めて、ジェトロのプロパーの方が理事長になるということも含めて、やはり固定化をしないということで、ぜひ大臣、これから新しく理事長、監事を御選任になる際には、今の理事長はかわったばかりのようでありますけれども、ぜひそういう観点から対応をお願いしたいと思うんですが、最後に大臣、御見解をお伺いできますか。

甘利国務大臣 御案内のとおり、現状、理事長、副理事長は経産省出身で、理事は、ジェトロプロパーが五名中三名、監事は、ジェトロプロパーと、非常勤では三井物産出身の民間であります。

 先生おっしゃるように、ジェトロプロパーのモチベーションをしっかり保っていくということがとても大事で、この運営の指揮をとるところにプロパーが入っていくということは、そういう点で大事なことだと思います。でありますから、理事クラスについては相当数入っているわけでありますが、もちろん、理事長も含めて、必ず経産省出身でなければならないという規定ではありませんし、かつて民間がなったこともあります。

 ただ、同時に、私は海外に出て、資源外交その他、産業政策外交もやっているんですけれども、経産省は政策の企画立案部署で、それを実行する部隊がジェトロになるわけでありますけれども、経産省本体との一体性といいますか、政府の政策実行機関だということの期待度が相手に物すごく強いんですね。その一体性をどう図っていくかということも勘案しながら人選していくことが必要かなというふうに思っております。

 民間に任せっ切りで大丈夫なの、政府が約束してきたことを実際に産業政策で本当にやってくれるのかというような、向こうの信頼関係もありますから、その点も勘案しつつ人事を取り計らっていくべきかなというふうに思っております。

後藤(斎)委員 時間が来たので、終わります。ありがとうございました。

上田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、最初に公正取引委員会に伺います。

 公共工事の官製談合の防止とともに、公共工事における不当廉売、ダンピング、この監視強化というのが重要だ。昨年秋の臨時国会の質問でその点を求めたわけです。低入札価格調査制度の対象となる案件について、国、都道府県から情報提供を求めて、その中身について調査を行い、指導を行っていくことが必要ではないかと求めておりましたが、その後の、去年秋以降の公正取引委員会の取り組みについてお示しください。

竹島政府特別補佐人 談合事件を摘発してまいりますと、今度は、反対側に行って、赤字受注といいますかダンピング受注というものが大変目につくということになってまいりまして、各方面から、そちらについてもきちんと公正取引委員会として対応すべきではないかというお話をいただいておりました。

 実は、平成十六年にも、私ども、今委員がおっしゃるような発想で調査をいたしまして、二件の警告を出したという経緯がございますが、今回も、十八年の十月下旬から、前回と同じように、国土交通省、それから各都道府県等に対しまして、低入札価格調査にひっかかった事案についての情報提供をお願いいたしました。

 それを受けまして、約二千二百件の情報提供をいただいたわけですが、これに対しまして、独禁法が禁止する不当廉売に当たるかどうかという観点から絞りをかけました。それぞれの地域においてある程度有力な事業者が行ったものかどうかとか、低入札価格による受注を複数物件受注しているかどうかとかいうことで絞りをかけまして、これらにつきまして、昨年の暮れ、十二月に調査票を送付いたしまして、詳しいことを調べました。

 今回は、平成十六年度から平成十八年度の上半期までという二年半の期間にわたって、そのような調査をしてまいりました。その後、さらに詰めまして、私どもとしては、まあ、こういうことではないかという案を実はもう固めておりまして、関係の事業者に対して、これは事前手続と我々は言っておりますが、あなたの会社ではこういうことをされましたね、これはかくかくしかじかで独禁法の不当廉売に当たるおそれがあるということで、事前の説明をしております。それに対して、各事業者からいろいろ意見が出されるかもしれない、その段階に今ございまして、その取りまとめをいたしまして、ごく近いうちに公正取引委員会として、前回と同様、必要な措置を公表してまいりたいと思っております。

塩川委員 二千二百件ということでした。

 これは、平成十六年に警告二件を出した、その際の低入札価格調査制度の対象の件数というのは何件ぐらいか、お示しいただけますか。

竹島政府特別補佐人 そのときは約七百件でございました。

塩川委員 七百件のときの期間の方が二年足らずということですから、若干幅もあるでしょうけれども、七百に対して二千二百ですから、そういう点でも非常にダンピングを疑われるような事案がふえているという現状があるわけであります。

 報道でもありましたように、国交省が発注をした大型ダムの関連工事の受注をめぐって不当廉売のおそれがあったとして、大林、大成に対し独禁法違反で警告する方針を固めた、そういう報道でありました。そういう点でも、官製談合の防止に全力を挙げると同時に、ダンピングの防止についても全力を挙げていただきたい。

 近々というお話がありましたけれども、改めて決意を一言聞かせていただきたいと思います。

竹島政府特別補佐人 まさにそういう事実に接した場合は、今後とも厳正に対処していくつもりでございます。

塩川委員 ありがとうございます。

 竹島委員長、ここで退席いただいても構いません。ありがとうございます。

 それでは、経済産業省に大型店の出店問題で話を聞かせていただきたいと思っています。

 この間の、全国的にも、大型店の出店の問題についての社会的な影響を与えるという中から、まちづくり三法、実質二法の改正のようでしたけれども、改正都市計画法を中心にした取り組みが行われました。この委員会でも審議をいたしました。そういう背景として、世論の変化もあるんだろうと思っております。

 内閣府の行いました小売店舗等に関する世論調査が二〇〇五年七月発表で行われていますけれども、その際に、新たな大型店の出店は必要か、こういう問いに対して、必要だというのは四〇%なのに、不要だというのが五一%という回答でありました。これは、比較が可能な以前の資料で、一九八二年十二月の調査の際に、新たに大型スーパーに開店してほしいか、こういう問いに対して、イエスが五〇・五%、ノーが二八・二%でしたから、この賛否が逆転をするという状況になっているわけであります。

 大臣に伺いますが、こういった逆転をしているという点でも、従来、消費者は大型店を歓迎しているんだということがよく言われているんですけれども、そういう見方を覆すものでもあり、大臣はこういう世論の変化をどのように受けとめているのかをお聞かせください。

甘利国務大臣 これ以上必要か、それとも必要でないかという設問に対して、もうこれ以上はいいかなという方が逆転してふえたということであります。

 その理由には、大型店の立地による交通渋滞とかあるいは交通事故の心配、自分たちの住環境が変わる、生活環境が変わるということ、それから中心市街地が寂れていくということの懸念等々、いろいろな理由だというふうに思っております。

 中心市街地の活力を取り戻すということは、地域社会にとって極めて大事なことだと思います。商業政策だけじゃなくて、地域の伝統文化、お祭りを支えているのも商店街の方々がかなり関与をしているわけでありますし、いろいろな意味で大事だと思いますが、その際に、従来は町の活性化と大型店が対峙するものという考え方が強かったと思いますが、大型店も場合によっては町の魅力を、中心市街地の魅力を引き上げる大事な要素でもあるわけですから、まちづくりの中でどうやってこれを活用するか、これはひとえに市町村長さんの、町をどうつくっていくかというプランと実行力にかかっているんだと思います。

 そういう都市計画によって、どういうまちづくりでもできるようにしていこうということで、まちづくり三法、厳密に言えば二法とおっしゃいましたけれども、一つはそのままなんですけれども、まちづくりに関連する法案といえば三法なんですが、この三法を改正し活用してもらうということであります。

塩川委員 その議論の際にも、例えば、まちづくりに関しての大店立地法につきまして、本来、生活環境の保持のためのルールがあるのが、実際、中心市街地であればそれを外しますよ、実質的になきものになるような規定というのは、本来、住環境を保持するという立場からいったら、そういったものを保持されてしかるべきだと私どもは思っております。

 その上で、大臣もおっしゃいましたように、やはり世論の変化を背景として、交通渋滞の問題や住環境が変わる問題や中心市街地が寂れる、それに郊外の大型店が影響しているんじゃないか、これ以上はもう要らないという声になってあらわれているんだと思います。

 そこで、大型店の出店状況について資料をつくってみました。これは、改正都市計画法が公布をされて以降、ですから二〇〇六年六月から直近の四月まで、大店立地法の届け出があった大型店、改正都市計画法の大規模集客施設が床面積が一万平米なものですから、これを売り場面積に換算すると、七掛けぐらいかと言われていますので、ちょっと多目に八千平米ととったものですけれども、用途地域別の立地状況と、右側は国土交通省の資料ですが、大規模商業施設ということで、床面積一万平米以上、用途地域別の立地状況であります。左側にある網のかかっているところが今回の制限をされるところになっております。

 ごらんいただいてわかりますように、左側の方でいえば、全体で百六、出店の届け出が出されています。そのうち、網のかかっている制限の対象になるところが四三・三%、四十五件に上っております。

 では、過去はどうだったかと見ると、二〇〇三年には八十六件、この中で網のかかる相当部分、今回制限されるに相当する部分を足し合わせると三十八件、二〇〇四年は八十八件と同三十一件ということで、そういう点で、網のかかっている、制限をされる地域の件数が三十八、三十一に対して、十一カ月ぐらいで四十五件という形で、大変ふえているというところであります。

 本来、全面施行される十一月三十日からはこの地域は制限をされるわけですけれども、現状はここに届け出が出されている。それも、過去に比べても届け出の件数が多いという点では、駆け込み出店という状況が生まれているんじゃないか。率直に見てとれるのではないか。

 国土交通省に伺いますけれども、十一月三十日が法律の全面施行なのに、制限対象となるような、工業地域含めて、これから土地を確保して出店をしようという事業者もあるわけです。

 前回の質問の際にお答えいただいた中で、法律の公布後、新たに土地を確保して出店しようという事業者については、大規模小売店舗立地法等の手続に要する期間が最長で十二カ月を要する、準備期間も勘案すれば、施行までに駆け込み出店をするということは実態上難しいと答弁をしておりましたけれども、難しいどころか、いまだに駆け込みをしているわけですが、これはどういうことなんでしょうか。

加藤(利)政府参考人 失礼いたします。

 私ども、先生今お話がございましたように、新たに土地を取得して、確保して出店しようという場合には、今申し上げたように、大規模小売店舗立地法の手続とかを勘案すれば、施行までに駆け込み出店することは実態上難しいのではないかというお答えをいたしましたが、今、現に届け出が出ているものについていえば、恐らくは、それ以前に土地を確保されて、開店に向けてといいますか、いろいろ準備を重ねてきたものが結果として届け出件数という形であらわれてきているのではないかなと。

 個々の案件について私どもちょっとよくわかりませんけれども、恐らくは、仕掛かり案件というんでしょうか、そういうものが出てきているのではないかなというふうに考えております。

塩川委員 本来、財産権を守る立場から一年六カ月ということの周知期間があったわけですけれども、逆に言えばその期間に法律の趣旨を徹底するということでもあるわけですから、これからやろうなんということについては、それはちょっとおかしいですよというのが筋だろうと率直に考えるわけです。

 幾つかの事例の中で、例えば広島市にイオンが出店をするという計画がございます。中国新聞で紹介していますが、「流通最大手のイオンが広島市安佐南区祇園の三菱重工業広島工場跡地に、スーパーのジャスコを核にした大型ショッピングセンターを二〇〇八年中にもオープンさせる」との報道です。工場跡地約十三万五千平米に、店舗面積三万八千平米の施設を建設する。開店したらさらに増床する計画もあるということです。

 ここなんかも、三菱がまだ土地は持っているんですけれどもね。周りは住宅地で、学校もたくさんあります。先ほど聞きましたら、地元の河井理事がこの場所のすぐそばの幼稚園で学んだそうですから、近隣は学校も多い、そういう地域であるわけですね。道路も狭い。もちろん歓迎する声もありますけれども、やはり、住居のある中にどおんと新しい大型店ができることについて、生活環境が大きく変わる、渋滞を招くんじゃないのか、そういう心配、懸念の声も大変強いわけです。

 そこで、国土交通省にお聞きしますが、改正都市計画法において、ここは工業地域なわけですけれども、工業地域が制限をされた理由というのは何なんですか。

加藤(利)政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正では、我が国が人口減少、超高齢社会を迎える中で、都市機能の無秩序な格差に歯どめをかけ、都市機能がコンパクトに集約した都市構造を実現することが重要である、こういう考え方のもとで、広域的に都市構造ですとかインフラに大きな影響を与える大規模な集客施設について、商業地域等を除いて立地を一たん制限する、その上で、立地しようとする場合には都市計画の手続を要することとする等の見直しを行ったところでございます。

 御指摘の工業地域についてでございますが、この工業地域というのは、主として工業の利便を増進するために定める地域であるということでございます。したがって、危険物を扱う工場を含めて無制限に工場の立地が用途地域上認められる、こういう地域でございます。

 ただ、そういう地域の特性があるわけですが、近年では、こうした地域において、従来想定していなかった大規模集客施設が立地をするということで、大変多くの人も来ますし、車も進入する。その結果、工業地域が本来目的としている工場の生産活動に必要な輸送の効率性を低下させ、工場の生産活動に大きな支障が生じているという実態にある。

 一方で、今申し上げたような区域の性格から、危険物を取り扱う工場の付近に大規模な集客施設が立地する場合には、万一当該工場において爆発とか火災等の災害が発生したときに、多数の人々の避難に支障が生じてしまう可能性が高いということから、今般、工業地域での大規模集客施設の立地を制限するということにしたものでございます。

塩川委員 工場の生産活動に支障とか災害時に対しての安全の確保の観点から、工業地域については制限をしましょうと。ただ、ここの場所というのは、もともと三菱重工業の工場があった跡地だけが工業地域で、周辺は第一種住居地域です。ですから、その跡地がそっくり工業地域のまま残っているのを、大型店が入ってくる。そうしますと、工業地域として制限するというよりも、周辺の第一種住居地域に調和をするような場所として本来は立地などを考えていく、都市計画を考えていくというのがある意味では筋だと思うんですが、その点、どうですか。

加藤(利)政府参考人 今のお話ですと、個別の中身については十分承知しておりませんが、従来利用していた土地の利用形態が変わる、そのときにそのままの用途地域を当てはめていいのかどうかというのは、当然、都市計画の土地利用配分を考えるときには必要になってまいります。

 したがって、当該土地が、今先生お話しのように、工業地域にはなっているけれども工場跡地として残ったままになっているというような場合にあって、その土地をどう使っていくかというのは、都市計画の中で、将来の土地利用を見越して、周辺の土地利用との関係の調和も図りながら、都市計画も必要であれば、都市計画の用途地域の見直しを行うということになろうかと思います。

 当然、そのときには、都市計画でございますので、周辺の人たちの意見、関係権利者の意見を含めて都計審で幅広く議論をされて、地域の実情に一番即した、将来展望に合ったような形で都市計画が決められるということが望ましいものと考えております。

塩川委員 周辺の土地利用との調和が重要だと思います。イオングループなどは、新しい町をつくる、まちづくりを行うんだということを大きくうたうわけですね。そうであるならば、なおさらのこと、周辺の住民の皆さんの要望も踏まえた、周辺住民がそのまちづくりにかかわっていくということが本来必要なわけで、そういうのが担保されないような形での現状というのはいいのかということが問われていると思います。

 それから、交通渋滞の問題でも、立地法に基づく都道府県等の意見が出される大半が交通に関するもので、七四%に上ると言われています。生活環境の保持という点で交通に関する地域の要望が極めて強いわけで、広島のイオン出店の場合も、遠く離れた国道にも影響を与えることを懸念する声があり、警察なども国道五十四号線から右折をしながら入っていくという話について、国道五十四号線の道路改良抜きには無理だという要望があるという話もお聞きしました。

 大店立地法に基づく指針でも、こういうふうに書いてあります。「大規模小売店舗の立地により新たな渋滞の発生が予測される場合等には、関係する地方公共団体や道路管理者・公安委員会において都市計画の見直しや付加車線の設置、信号設置、信号現示の調整等が必要となる場合もある。したがって、設置者は、大規模小売店舗立地法に基づく以下の対応策」、ここには駐車場とか駐輪場の話が出るわけですけれども、そういった「対応策を検討するとともに、併せて道路管理者、公安委員会等の関係機関との間で関連する法令に係る所要の調整を行うことがあり得ることに留意しなければならない。」こういうふうに述べています。

 経済産業省に伺いますが、この大店立地法の手続だけではなくて、こういった関係機関との関連法令に基づく調整をしっかり行うということが必要だ。先ほど言ったように渋滞が遠く離れた場所で起こるような、そういう際に関係機関との調整、関係法令との調整を行っていく、こういうことが必要だと思いますが、その点、いかがですか。

松井政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘のように、現在の大店立地法におきましては、新しく店舗を開設する前に周辺の生活環境との調整をしっかりするように、そういう形になっているわけでございますけれども、開設した後さまざまな状況変化も生じてくる、こういうふうに考えております。

 現在、経済産業省におきましては、流通産業の今後の方向性を議論する会合を流通各位に集まっていただいて今鋭意議論をしております。その中におきまして、やはりまちづくりへ流通産業が、特に大型小売店がまちづくりへ積極的に貢献するというのが非常に大きな課題として取り上げられておりまして、駐車場の確保ですとか、あるいは交通渋滞対策などの生活環境との調和が確保されるように努めることの重要性が非常に大事だ、こういう認識で一致をしております。

 したがいまして、出店前のみならず、出店後の周辺の生活環境との調和の状況について、法運用主体を通じてフォローをして行っていきたい、こういうふうに考えております。

塩川委員 交通渋滞の問題について関係機関との調整を行っていく、そういう際に、事業者に対して社会的責任を求めていく、地域貢献を求めていく、こういうことは重要だと思います。

 そういう点でも、火を見るよりも明らかな渋滞が起こる懸念がある際に、では、オープンだけはオーケーですよ、それでいいのかというのはやはり地元の感情ですよね。しかし、立地法の届け出が始まると、実際にはその点について十分な歯どめがないままで、駐車場周辺だけは、大型店の周辺だけは多少対応をとったとしても、離れた国道からの進入路線についての対応までが十分こなせないんじゃないか、こういう懸念が出てくるわけですから、こういう意味でもふさわしい対策が必要だと思います。

 同時に、この立地法の運用主体である都道府県などが、いろいろな形で取り組みも行えるだろう。当然のことながら、立地法の手続でいえば、届け出が出されてからの都道府県等の意見、あるいはその意見に従わない場合についての勧告という措置も当然あるわけです。

 勧告の事例はまだ仙台市の一件だけということですけれども、仙台市なども、イオンの、ジャスコの出店に対して、離れている駐車場が通学路に当たるので危ないから変えてくれ、こういうのに対して意見を出したのにイオンが従わなかった、改めて勧告をすることによって是正をさせる。住環境、生活環境の保持のための取り組みというのも行えるわけですから、こういうところはやはりしっかりと担保していくということが重要だ。

 あわせて、今、各運用主体の都道府県などで、事業者に対して情報開示を求めるとか説明会を開かせるとか、こういう取り組みなども行われています。北海道とか熊本県とか山口県などでもそういう例が紹介されておりまして、山口県の例などでも、出店計画書の提出とか、地域に対する説明会の開催などの実施を大型店に求める、こういうガイドラインをつくっているわけです。こういうことで担保をしていく、立地法の申請の届け出の前から、いわば情報公開を求めて住民の声もそこに反映をしていく、こういう取り組みというのが重要だと考えています。

 こういうのもあわせて、やはり大きな影響を与える大規模集客施設の進出に対して、何よりも地域の住民の人がまちづくりの立場から物が言えるということが必要だと思うんです。

 そこで、最後に大臣に伺いますが、日本商工会議所を初めとした中小四団体がこの間、改正都市計画法を初めとして要望を寄せてこられました。この日本商工会議所の「実践!まちづくり」という冊子でも、その中身が紹介され、これは冒頭の方で大臣に申し入れている。当時は、まちづくり三法見直し検討ワーキングチーム座長という立場での申し入れということで紹介もされています。

 そこで伺うんですが、この中小四団体の平成十七年七月五日の要望書の中で、大規模集客施設立地法というのをつくってほしいという要望の中に、その中身として、「本法の目的は、大規模集客施設の立地とまちづくり推進計画との整合性及び当該立地により発生する地域の生活環境、社会環境、経済環境に対する影響を事前に評価するとともに、立地後もフォローアップするための社会的規制とすること。」と求めています。

 生活・社会・経済環境に対してのアセスを行う、こういう立法措置が必要だという要望なんですけれども、こういった要望というのは、今回のまちづくり三法などにどういうふうに反映をされ、あるいは反映をされていないのか、当時、与党としての立場でかかわった大臣でありますけれども、その点についてのお考えをお聞かせください。

甘利国務大臣 大型店の問題は、遠くさかのぼっていきますと、ピンポイントで一店ごとに許可をするかしないかという縛りをかけていた大店法の時代に、それは極めてアンフェアだといういわば通商摩擦になっていって、そこで、環境という視点から大型店に対して対応を求めるという大店立地法に変わったわけですね。

 ただ、そうなっても、中心市街地から離れている白地地域には事実上ノーズロで幾らでも立地することができる。そうすると、市が、どんなに我が市はこういうまちづくりをすると言っても、商業集積が全く別なところにどんとできて、航空母艦みたいなものができて、そこに全部流れが行ってしまう、まちづくり自身が台なしになってしまうという危機感があったわけです。あわせて、そこを中心に新しい町ができるというのも一つの考え方だったかもしれませんが、ある一定期間過ぎて売り上げが伸びないとそのまま撤収をしてしまうと、そこがゴーストタウンみたいになってしまうと。二重、三重に問題が指摘されたわけです。

 そこで、私は、当時、見直しの責任者をやらされまして、そのときに考えたのは、やはりまちづくりというのは、ちゃんと都市計画でグランドデザインを描いて、それに基づいてすべてが進んでいく、そういう体制をとらなければだめだということで、都市計画の改正まで踏み込んで取り組んだわけです。事実上、濃い薄いは別として、農地まで含めて都市計画の網がかかるという、まさに、建設省、農林省の三十年戦争にピリオドを打ったという画期的な仕組みができたわけであります。

 ですから、これからは、市町村長、まちづくりの主体が、どういうまちづくりにするかというデザインを描いて、そして都市計画をきちっとして、それに従って構成する要素として大型店をどう使うかということを考えていけばいいわけでありまして、すべてがまちづくりのグランドデザインの指揮下に入るというふうに理解していいんだと思います。

 大型店が来さえしなければ町が栄えるかといえば、では、大型店を使って栄えた隣の町にみんな持っていかれてしまうということもありますから、どう使うかということをまちづくりの都市計画の中で首長が従来以上に真剣に考えなきゃならない。その際に、消費者の視点とか識者の視点とか、いろいろな視点が入ってそのプランができるという仕組みにもしてあるはずであります。

 また、大型店自身のお行儀をよくするということに関しても、大規模小売店舗立地法の指針をことしの二月に改定しまして、サービス施設を併設する大規模小売店舗の必要駐車台数の算定方式を新たに定めるとか、あるいは、大型店のまちづくりに対する責任については、日本チェーンストア協会等の小売業団体に対するガイドライン策定の指導を行っている。

 当時、この法律をつくる過程の中でも、撤退するときに責任を持ってくれという要請もプロジェクトチームとしてチェーンストア協会に申し入れまして、チェーンストア協会はすぐ対応して、撤退するときにはちゃんと、ほうったままゴーストタウンみたいなことにしません、きちんと撤収しますということも自主的なルールとして決めて、表明をしてくれたところであります。

 でありますから、これからは、整然たるまちづくりが進んでいく、しかし、そのためには首長も今までの二倍、三倍の努力をしなけりゃならないということだと思っております。

塩川委員 いろいろな視点でプランができる、大型店のお行儀をよくする、その点はまさにそのとおりで、それを実効あるものにしていくということも必要で、そういう点でも、私たち、アセスの取り組みというのは、経済的規制を含めてしっかり行うことが実効あるものになるということを述べて、質問を終わります。

上田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十分散会


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