衆議院

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第17号 平成20年5月28日(水曜日)

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平成二十年五月二十八日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 鈴木 俊一君

   理事 谷本 龍哉君 理事 やまぎわ大志郎君

   理事 吉川 貴盛君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      伊藤 忠彦君    近江屋信広君

      大村 秀章君    岡部 英明君

      片山さつき君    川条 志嘉君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      柴山 昌彦君    平  将明君

      谷畑  孝君    土井 真樹君

      冨岡  勉君    丹羽 秀樹君

      橋本  岳君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    武藤 容治君

      安井潤一郎君   吉田六左エ門君

      吉野 正芳君    太田 和美君

      北神 圭朗君    後藤  斎君

      近藤 洋介君    階   猛君

      下条 みつ君    田村 謙治君

      三谷 光男君    高木美智代君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   経済産業副大臣      新藤 義孝君

   経済産業大臣政務官    山本 香苗君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 堀田  繁君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 川北  力君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           中尾 昭弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       寺坂 信昭君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           橘高 公久君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  江崎洋一郎君     冨岡  勉君

  近藤三津枝君     近江屋信広君

  牧  義夫君     階   猛君

同日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     近藤三津枝君

  冨岡  勉君     江崎洋一郎君

  階   猛君     牧  義夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出第七〇号)

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官堀田繁君、財務省大臣官房審議官川北力君、厚生労働省大臣官房審議官中尾昭弘君、経済産業省大臣官房商務流通審議官寺坂信昭君及び経済産業省大臣官房審議官橘高公久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。階猛君。

階委員 おはようございます。民主党の階猛と申します。本日は、このような場で質疑の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私は今、財務金融委員会の方に所属しておるのですけれども、民主党の方の人権・消費者調査会の方で消費者オンブズマンの検討などにも加わらせていただいております。

 また、昨年七月、議員になったわけですけれども、それまで、銀行ですとか証券会社ですとか、金融機関の社内弁護士として勤務しておりました。その中で、金融商品販売に関する法律問題についてもいろいろ実務経験を積んできております。

 ちょっと宣伝めいてしまいますけれども、こういう「銀行の法律知識」という中で、私が友人の渡邉さんという弁護士と共著で書いたんですけれども、「金融商品販売業務」という章を私書きまして、その中で、金融商品販売のあり方などについて法律の規制がどうなっているかといったことも踏まえて書いております。そういったことに関連づけながら、きょうは、特商法と割販法について事例を交えてちょっと質疑をさせていただきたいと思います。

 お手元に一枚の紙をお配りしているかと思います。これは実は、私の家庭で実際に起きたことでございます。

 店舗販売の事例である、またクレジットカードの翌月一括払いの事例であるということで、今回の法案の直接の適用対象ではないということなんですが、こういうような悪徳商法の事例もあるということで、問題提起の意味も含めて御紹介したい。

 また、眼鏡販売という医療行為と商取引が密接に関連するような分野で所管の官庁がどういうふうになっているかなど、仮に今回の改正部分も含めて、両法の規制、つまり、割販法と特商法の規制がこのようなケースにも適用になるとすれば検討に値する論点がいろいろあるだろうというふうに思いまして、事例を題材にしながら質疑を進めさせていただきたいと思います。

 それで、事例の方をちょっと御説明させていただきます。一枚の紙を見ていただきたいんですが、何が起きたかということでございます。

 まず、私の息子は中一なんですけれども、野球をやっておりまして、外で一日練習をしていると目が疲れるので、紫外線対策のため度つきではない眼鏡の購入を希望しました。

 そこで、眼鏡屋さんに行ったところ、いきなり、視力、乱視の検査をやってくださいと言われまして、それで勧められるままにやりました。そうしたら、両目が〇・四でひどい乱視である、そういうような診断を言われたわけです。

 ちなみに、そのときに、息子は自分は目がいいと思っていたものですから、そんなことはないです、教室の一番後ろの席から黒板の字が見えますと言ったそうなんですが、そこの店員は、お姉さんだったそうですけれども、それは目を細めているから見えるのよというふうに優しく言ったそうです。

 そういうやりとりを踏まえて眼鏡の購入を店員が勧めてきたわけですけれども、その際に、この先、視力も乱視もよくならないので絶対に眼鏡は必要だ、そういうような言われ方をしましたものですから、家内の方も心配になって、当初は度つきの眼鏡など買うつもりはなかったものを買うことにしたということで、クレジットカードの翌月一括払いでお店の方で購入したというのがまずあったわけでございます。

 ところが、自宅に帰って、うちの家内もいろいろ不審に思いました。本人も、実はこの眼鏡店で、自分も念のために視力をはかってみようとして検査をしたんだそうです。そうしたら、自分の方も目がいいと思っていたのに、非常に低い視力になっていて、不思議だなと思ったので、翌日改めて眼科医で検査をしました。

 息子の検査をしたところ、やはり、実は視力も乱視も問題なくて、両目が一・二で乱視も軽微だ、眼鏡をつくったらかえって目が悪くなりますよ、そういうふうに眼科の先生に言われたそうです。

 早速、けしからぬということでお店の方に連絡して、きのう買った眼鏡の契約は取り消してくれと言ったんだそうですが、眼鏡のお店の人は、そんなことはできません、法律上できませんということで、当初取り消しを断ったそうです。

 ところが、うちの家内も、僕が国会議員であるとは言いませんが、弁護士なんだから、そういうことを言うと裁判ざたになりますよとか結構強気で出たところ、お店の方は、では、本来は取り消しはできないんだけれども、今回は特別に、お買い上げになったレンズが壊れたということにして合意解除にしましょう、そういうようなことにして合意解除にしたということでございます。

 こういった事例を踏まえてなんですけれども、まずもって一番最初のところです。度つきでない眼鏡の購入を希望していたにもかかわらず、目的外の商品を勧めているという行為がまずお店の方であったわけでございます。

 私の専門である金融商品の販売の方でいきますと、適合性原則に関する規定というのが金商法ができたときにきっちりと定められていまして、その中では、顧客の知識、経験及び財産の状況に加えて、金融商品取引契約を締結する目的、契約を締結する目的というものもちゃんと勘案して商品を勧めなさいという規定があるわけです。

 ところが、特商法とか割販法の規制を見ますと、適合性原則らしきものは政令の方にありますけれども、契約締結の目的というものが入ってありません。契約締結の目的を入れれば今回のようなケースは防げるんじゃないかと思うんですけれども、この点についていかがでございましょうか。

甘利国務大臣 訪問販売などの場合におきまして、強引、執拗な勧誘など問題のある勧誘行為が行われないのであれば、消費者のニーズを掘り起こすべくさまざまな提案を行うことまで規制をすることは適当ではないと考えますが、一方で、現行の特定商取引法におきましては、消費者が本来必要としていない商品であるとかサービスについて訪問販売業者が虚偽をもって勧誘をする、勧誘をして消費者が誤認をした場合には、契約の取り消しを求めることが可能となっているわけであります。

 例えば、委員御指摘の事例でありますが、すなわち、視力が悪くなっていないのに、実は、検査をした瞬間悪くなっていますよと言って眼鏡を販売するようなことが訪問販売業者によって行われたケース、あるいは、よくある事例でありますが、家の土台がシロアリに食い荒らされている、いないにもかかわらずそう言って説明を行って対応を迫るようなケースが該当し得ると考えられます。

 こういう場合には、指示などの行政処分を行うことが可能となっております。

階委員 金融商品販売の世界では、契約締結の目的も勘案して勧誘しなさいというふうになっていますので、ぜひその点、今後の検討課題としてやっていただければと思うんですけれども、いかがでございますか。

寺坂政府参考人 金融商品取引法に御指摘のような規定が入っておるということは承知をしてございます。

 この規定に関しましては、例えば、資産を堅実に運用したいというようなお客様に対してハイリスク・ハイリターンの商品を勧めるといったようなケース、そういったようなケースを考えて、契約締結の目的に照らして不適当な勧誘というような条項が入っているというふうに理解をしてございます。

 訪問販売の場合は、今大臣から御答弁申し上げましたような、さまざまな提案を行うこと自体、それを規制することが適当かどうかということについては、さまざまな議論があり得るというふうに思ってございます。特定商取引法そのものは、訪問販売等の特定取引を対象にした法律でございます。

 別途、消費者契約法が店舗販売も含めました一般的なルールとしてあるわけでございまして、消費者契約法そのものに関しまして、委員御指摘のような適合性原則にかかわる条文がないわけでございますけれども、そういった消費者行政法体系全般の中で、要すれば、実態を見ながら検討をされるべきものというふうに考えてございます。

階委員 次に、今回の問題は、視力、乱視の検査がいいかげんにされていたということで、こういった眼鏡購入、眼鏡を売らんかながためのいいかげんな視力検査ということについて、これは多分、視力の検査といった医療にかかわることですが、厚労省の御管轄になるのかなと思うんですが、厚労省ではどういう対応をしているのか。

 例えば、眼鏡販売店での視力検査の方法であるとか、視力を検査する機械の性能であるとか、担当者の資質などについて何らかの基準を設けたり、そしてそれへの適合性を定期的に検査したり、あるいは基準に適合しない不適切な業者に指導、処分を行ったりといった行政の対応はされているのかどうか、そこをお聞かせ願えますか。

中尾政府参考人 一般論としてお答えいたしますと、眼鏡を必要とする顧客が、自分の目に適当な眼鏡を選択する場合の補助として行う程度の危険性がほとんどない視力検査であれば、医師等の資格を持たない者でも行うことは可能でありますが、その範囲を超えた、例えば眼圧検査などの検査でありますとか疾病等の判断であれば、原則として医行為であり、医師等の資格を持たない者が業として行うことは法律により禁じられております。

 厚生労働省といたしましては、無資格者による医療行為に対しては、国民の健康と安全を確保する観点から、関係機関と協力し、適切に対処してまいりたいと考えております。

階委員 今のお話からすると、結局、今の眼鏡を売らんかながための検査なんというのは、厚労省は全く関係ないというような感じになると思います。そうすると、まさに甘利大臣が言われるところのぽてんヒットみたいな形になるかなと思うんですよ。

 こういう悪徳的な商法の前提となるような検査については、これはやはり経産省がチェックするべきではないでしょうか、厚労省が何もできないと言っている以上。いかがでしょうか。

甘利国務大臣 専門的な見地から、眼鏡をつくる場合にどういう検査が必要かということは、私どもの範疇というよりも若干所管が違うと思うんです。私どもの方では、事実に見合ったきちんとした対応をする。つまり、矯正が必要なのにいいかげんなものを、これで大丈夫ですと言って不良なものを販売したというのは私どもの方になると思うんです。

 適正な視力を確保するためにどういう手続が必要かということは、私どもの所掌を若干超えているのかなという気もいたします。適正なものを適正な方法で販売するということに関しては、しっかりと対応していきたいと思っております。

階委員 まさに縦割り行政だと思うんです。

 そういったいろいろな官庁から消費者行政を所管する部署が集まって消費者庁をつくるやに、そういう構想があるやに聞いておるんですけれども、結局、そういうところが集まったところでこういう抜け穴はそのまま放置されてしまうんじゃないかなと思うんです。

 その点について、大臣、何か御見解はありますでしょうか。

甘利国務大臣 どこが所掌するかわからない、ぽてんヒット、ヒットというのかぽてんエラーというのかちょっとわからないんですが、それをなくすということは消費者保護の点から極めて大事だと思っております。

 そこで、消費者庁がどういう形になるかというのは、いまだ議論をしているさなかでありますが、それぞれ、原課を所管するところは、その製品に対する情報をきっちり把握して、製品あるいは販売方法に問題がないかということをしっかりチェックする。同時に、省を越えてあるいはまたいでのような事案に関して、全体的に、消費者保護の情報をトータルとして把握するということも大事だというふうに思っております。

 省庁間のはざまに落ちてしまうような問題について、そういう消費者庁構想で、省をまたいでかかわってくる問題について、しっかりと情報を把握して所管官庁に対応する、あるいは、所管がないと思われるようなものについてはそれを明らかにしていくという意味で、貢献できる仕組みであってほしいと思っております。

階委員 次に、今回、うちの家内は、このままでは視力も乱視もよくならないというふうに言われて購入していたわけですけれども、実際のところ、それは虚偽であった。ただ、物自体、眼鏡自体に問題があったわけではなくて、眼鏡を購入する動機、そこが虚偽であった。

 講学上、動機の錯誤と言われるケースでございますけれども、動機の錯誤については、私が調べたところ、消費者契約法には取り消し事由とはなっていなくて、特商法の方で取り消し事由になっているというふうに伺っていますが、実際のところ、この規定は使われていないようです。

 どこに問題があるかというところでございますけれども、私が思うに、これを使おうとした場合に消費者側の立証責任が重い。この動機の錯誤に基づいてなぜ購入に至ったか、この動機があったとしても買うことはあったんじゃないかと。

 ちょっとわかりづらくなってしまいましたけれども、要は、消費者の方でこの取り消し権を使うためにいろいろなことを証明しないと認めてもらえない、そういうようなことが背後にあって、取り消し権が使いにくくなっているんじゃないかと思うんです。

 この点について、立証責任の転換など、法律の改正が必要ではないかと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 特に、高齢者などが不実の告知をもとに事実上だまされて契約を結ぶ、その際に、消費者側に立証責任、立証負担が生ずる、それを立証せよということについて、弱い立場の方々にとってはなかなかつらいことである。その軽減をいかに図っていくかというのは、御指摘のとおり、極めて大事なことであります。

 例えば、今回の法改正には過量販売契約解除の規定というのがありますけれども、消費者が、事業者が不実告知などの悪質な販売行為を行ったことを立証することなく、契約の解除を主張することを可能として、被害者が救済されやすい先進的な制度としております。この、見ればすぐわかるということについては、転換をさせるということはたやすいんだと思います。

 一方、すべてに関して、不実の告知をしたということの立証と、では、事業者側に、不実の告知はしていませんということの立証というのは、先生も弁護士さんでありますから、いかに難しいかというのはよくおわかりだと思うんですね。でありますから、実態から、取り組みやすいところからこういうふうに組み込んでいった。

 それで、悪いやつを懲らしめることはとても大事なんですが、副作用で、健全な事業者に物すごく負担が生ずるということで、健全な業務運営が著しく阻害されるということがあってはならない。

 悪いのだけピンポイントで、きれいにクリアカットに摘発できるのであれば一番いいんですけれども、極力それができるようにして、副作用が健全な事業者に及ぼされない、過度な負担が生じて、健全な事業活動に物すごくコストがかかってしまうということにならないようにバランスをとるということが大事だと思っております。

 過量販売のような、具体的にすぐ確認できて、健全な事業者であればそんなことはしないということが確認できるところについて、こういう立証負担を軽減するという手だてを講じたわけであります。

 改正法の施行状況を踏まえて、引き続きいろいろな視点から検討していきたいと思っております。

階委員 ちょっと内閣府に、今の動機の錯誤の点についてお聞かせ願いたいと思っているんです。

 今、消費者契約法で動機の錯誤は取り消し対象になっていないんですけれども、やはりこれも含めないと、実際、悪徳商法というのは、霊感商法とかにも見られるとおり、商品の物自体について誤解があったというよりは、それを買わないとどうにかなるとか、そういう動機の部分で錯誤があって悪徳商法というのははびこっているという面もあるわけで、ぜひ消費者契約法の中に動機の錯誤の取り消しを認めるような規定を入れてほしいんですが、その点についてどうでしょうか。

堀田政府参考人 お答えいたします。

 現在の消費者契約法上では、不実告知あるいは不利益事実の不告知による契約の取り消しというのは、それぞれについて、重要事項に関してなされた場合にすることができるというふうにされております。

 この重要事項でございますけれども、二つございまして、一つは、当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容に関すること、また二番目に、当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件に関するものということになっております。

 それで、先生御指摘の動機に関する部分ですけれども、いろいろ裁判の例を見ておりますと、一部の裁判におきましては、こういったものも含むというふうに解された事例もございます。

 内閣府といたしましては、こういう裁判例の動向とか、あるいは現場、消費生活相談事例とかそういったものを踏まえまして、重要事項の概念を拡張すべきかどうか検討してまいりたいというふうに考えております。

階委員 消費者契約法でなかなか対応が難しいようであれば、やはりこれは厚労省の方も問題意識を持ってほしいと思うんですね。

 これは単なる悪徳商法という問題だけではなくて、私の息子の場合でいえば、本来目がよかったにもかかわらず目が悪いことにされて、眼鏡をかけさせられて、眼科さんが言うように、ひょっとしたら眼鏡をかけて目が本当に悪くなっていたかもしれない。

 そういうように、人の健康について虚偽の説明を行って不安を与えて、眼鏡などの医療機器を売りつけるような行為というのは、本当にとんでもない話であって、厚労省としても規制すべきではないかと思うんですが、この点について、厚労省としてはどういうふうに考えますか。

中尾政府参考人 先ほどお話しいたしましたとおり、人体に危害を及ぼすおそれのある検査でありますとか疾病等の診断であれば、原則として医行為であり、医師等の資格を持たない者が業として行うことは禁じられております。

 厚生労働省といたしましては、無資格者による医療行為に対しては、関係機関と協力して、適切に対処してまいりたいと考えております。

階委員 全く意味のない答弁だと思います。

 私が問題としているのは、医療行為と密接に、医療行為といいますか、人の体に悪影響を与えるような販売行為をしているわけですよ。そういうことについて、厚労省としては問題意識を持つべきではないか、その販売行為もちゃんと取り締まるべきではないかと言っているんですが、どうなんでしょうか。

中尾政府参考人 薬事法におきましては、医療機器のリスクに応じた規制を行っておりまして、リスクの高いものから、高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器となっておりますが、眼鏡用のレンズ、眼鏡というのは、最もリスクの低い一般医療機器に該当するものでございます。

 その製造につきましては、厚生労働大臣の許可が要るという扱いになっておりますけれども、眼鏡の販売業につきましては、この一般医療機器につきましてはそのような規制はございません。

 取り扱いにつきましては、今の眼鏡については、製造等の規制があるということでございまして、販売につきまして特段の規制があるわけではないということでございます。

階委員 ぜひ、こういう事例もあるということをちゃんと認識していただいて、人の健康を守るのが厚労省の役割だと思うので、ちゃんと取り組んでいただきたいと思います。

 それと、先ほど甘利大臣の方から、動機の錯誤を問わず、広く虚偽事実の説明についてもお話がございました。

 今回のケースでは、実際、売買契約は解除されていますので、どのような眼鏡を業者が我々の方に売るつもりであったのかというのは定かではないんですけれども、私が推測するに、本来目がいい人に対して眼鏡を売るわけだから、もし目が悪い人用の眼鏡を売ったらば、かえって見えにくくなると思うんですね。だから、ひょっとしたら、空レンズといいますか素のレンズをつけた眼鏡を売って、ほら、よく見えるでしょうみたいな、まさに二重のあくどい行為をされかねないんじゃないかなというふうに思ったりするわけです。

 仮に、よく見えるでしょうと言って空レンズを売った場合、この商品自体が、もちろん空レンズですから価値のないものなんですけれども、何か、私がきのう役所の人たちに聞いたところ、よく見えるでしょうと言って変なものを売ったとしても、実際によく見えている以上は、これは虚偽の説明に当たらないんだというような解釈があるようです。

 何かそれもおかしな話であって、客観的に物の性質がいいかげんなものである以上、それ自体問題であって、よく見えるでしょうといったあいまいな言い方ではなくて、何を説明すべきかというときに、物の客観的な性質といいますか客観的な性能をちゃんと説明したかどうか。そして、その点について虚偽があったかどうかによって虚偽説明かどうかというのを判断すべきではないかなというふうに思うわけです。

 さっきのような、よく見えると言って空レンズを売るようなケースについては、やはり虚偽事実の告知に当たるというふうに考えるべきと思うんですが、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 まず、今御審議をいただいている特商法というのは、特定商取引でありますから、一般的に店舗で商店が販売しているというようなことについては対象になりません、もうよく御存じだと思いますが。ただし、キャッチセールスとかアポイントメントセールスで店舗を利用する場合には対象になりますけれども、基本的には訪問販売等を指しているわけです。

 そういう場合において、商品の性能であるとか品質について定量的に説明することは、可能であるならば、顧客の理解の上では望ましいことであると思っております。

 しかし、商品やサービスの性能には、その印象とか使い勝手など、定量的説明になじまないものもあるわけであります。また、使用条件等によって効果、性能が影響を受けるものも多いことも事実でありまして、そうした実態にかんがみれば、数値など客観的性能を用いた説明をしない限り、不実を言ったことになるとの運用をすることは適当ではないと思われます。

 つまり、そういう印象的なこともすべてなるということになると、極めてその説明が難しい。これは、数値的にこういう効果がありますというのを全然うそを言っていたというのであるならば明確になるのでありますが、感情とか印象とか言い回しについて限定してしっかり明確に規定するというのはなかなか難しいことだと思いまして、そういった意味で、その印象とか説明者の感覚とかいうことをとらえて対象とするというのはなかなか難しいかなというふうに思っております。

階委員 よく見えるでしょうとかそういうことを言うのは別にいいんですけれども、それとは別に、やはり〇・四と判断しているわけですから、その〇・四の人に合う性質の眼鏡であるということをちゃんと示していただいた上で売ってもらわないと、売る場面になったら、よく見えるでしょうということで、最初の〇・四の判断とは切り離したような話にされてしまうと、後から責任を追及しようとしても、よく見えることには変わりないんだからという話になってしまって、これは本当におかしな話かなと思うわけです。

 その辺については、解釈はどうなっているんでしょうか。それは問題ないんでしょうか、今のようなケースは。

寺坂政府参考人 ただいま大臣の方から御答弁申し上げましたのは、一般的な数値基準あるいは客観的な基準ということで申し上げたわけでございますけれども、個々の事例におきまして、明らかに数字上の不実といいますかうそを言っているとか、あるいは度つきの眼鏡が必要なのか必要でないのかといったようなことについてのうそがあるとか、そういった個別のケースにおきまして虚偽、不実といったようなことは、それはあり得るんだろうと思います。

 ただ、一般論で申し上げますと、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、一律に数値基準とかそういったものがないと不実というようなことはなかなか難しいのではないか、そういうことでございます。

階委員 あと、事例の最後のところで、今回、解除に応じた理由が、虚偽の事実を告知したことによる取り消しということではなくて、レンズ破損という理由にして売買契約を解除し、またクレジット会社にはその旨報告して代金請求をストップする、そういうふうな処理をしているようなんですよ。

 ということは、クレジット会社の方には、この問題の実態が全然伝わっていないわけですね。こういういいかげんな商売をやっていたという情報が全然伝わっていなくて、ということは、同種の事例が今後も起き得るということでございます。

 私が思うに、こういう不正確な情報が伝わっているのでは、どんどん同じような事例が重なってしまうので、問題事例は情報蓄積を図っていくために、例えば特商法などで、店舗販売の部分なども含めて、販売業者から信販、クレジット会社への事故報告義務みたいなものを定めるべきではないか、真実はどういうことだったのかという事故の報告義務を定めるべきではないかと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

甘利国務大臣 消費者トラブルを隠すということのために、合意による契約の解除を装うということはよくないことであります。

 トラブルについて、消費者と販売事業者が円満に契約解除に至ること自体は問題ないと考えておりますが、そこで契約をめぐるトラブルについて一律に報告義務を課すということは、現時点ではちょっと無理があるのではないかと考えております。

 また、正直な話、悪質事業者ほど正直な報告を期待するということは難しいというふうに考えております。悪質事業者とのトラブルの場合、消費者や相談現場の相談員の方々から、販売事業者のみならずクレジット会社に対しても連絡をしていただくということは、トラブルの円満解決の観点から有効だと考えておりまして、経済産業省といたしましては、この旨を消費者や相談員の方々に十分に周知してまいりたいと考えております。

 ですから、いろいろなルートを使って情報を関係方面に伝達をさせるということについてはしっかりやっていきたいと思っております。

 先ほど来の御質問で私どもが留意をしておりますことは、消費者保護の行政と、それから一方で取引の安定性への要請というのがあります、これをどうバランスさせていくかという観点から、トラブルの実態を踏まえていろいろと検討してきたし、これからも検討していく。

 一方に完璧を期して、アリ一匹入れないようにするというと、片方の健全な取引が極めて萎縮されるということも勘案しなければいけない、両方うまくいくというのが一番いいのでありまして、そこの、取引の安定性と消費者の保護ということを高いレベルでバランスさせたいというふうに考えておりまして、それに向けていろいろと実態からの事案をしっかりと聴取していきたいと思っております。

階委員 この審議の中でも多分、議論として出ていると思うんですが、訪問販売とかだけでなくて店舗販売についても法律の適用範囲を広げるべきであろうとか、あるいはクレジットについても、複数回払う場合だけではなく翌月一括払いのようなケースについても適用すべきであろうとか、そういうような意見もあるかと思います。

 まさに今回のようなケースが実際にあるわけでございますけれども、きょうのこの事案なども見ていただいた上で、その適用範囲の問題、店舗販売に広げたり、あるいは一括払いについても広げたり、そういったことについて、大臣、お考えいかがでしょうか。

甘利国務大臣 一般店舗販売というと、いわゆる地域の商店街になるわけですね。商店街は、地域の信頼性なくしてやっていけないはずなんであります。一般店舗販売についてぎりぎり規制をしていくということになると、それでなくても地域の商店街が疲弊しているという中に、過度の負担を負わせることになりはしないか。取引の安定性について、もちろん、消費者保護をできるだけ図るということはいいことなんでありますけれども、それの副作用が過度に起きてしまわないかということ等々を勘案しながら、両者がバランスするようにしっかり取り組んでいきたいと思っております。

 法改正後も、法の期待することがきちんと確保されたか、あるいは、思わぬ落とし穴がなくはないかということをしっかりと監視しながら、取引の安定と消費者保護、両方が高度なバランスをとれるように目配り、気配りをしていきたいと思っております。

階委員 私が提示した事案についての質疑はここまでで終わりますけれども、そもそも論として私が思いますに、悪徳業者と言われるものについても二種類あるような気がします。一つは、法に触れなければ何をやってもいいという法の抜け穴を探すような業者と、もう一つは、法を破ってもばれなければいいという業者であります。

 これまでの国の対応というのは、今回の改正も含めてですが、どちらかというと前者の、法に触れなければ何をやってもいいという人たちへの対策として、法の抜け穴をなくしていくというのが主眼であったように思います。しかしながら、市場競争が激化する中で、モラルの低下が非常に進んでいるのではないかということを危惧しています。こういった中で後者の、法を破ってもばれなければいいというような業者もふえていると思うんです。

 こういったものについての対策としては、法の抜け穴をなくすというだけでは本当に意味がなくて、監督を厳重にするということも大事でしょうし、ただ、監督を厳重にして行政処分を食らっても、それでも、廃業になっても利益さえ残ればいいというような考えの、さらに悪徳な業者もいます。

 そういったことについて、究極的には、違法収益を剥奪する制度、違法なことをしてもうけた分については全部取り上げるような制度、こういったことを創設するのがやはり最終的には必要ではないかと思うんですけれども、大臣、その点についてお考えはいかがでしょうか。

甘利国務大臣 悪質商法によって被害を受けた消費者の損害の回復を図る上で、返還金の原資となる事業者の財産一般の保全を図って、その資産を恣意的に散逸させないとの観点は重要だと思っております。

 その一方で、その資産の全体を凍結するということは、当該事業者の経済活動を停止させることを意味するわけであります。破産や民事再生手続に入るような場合でない限り、民事手続としては一般的には認められないところであります。

 悪質商法被害者救済のために、事業者に対して、資産凍結などを強制的に行わせる制度を導入すべきかどうかについては、まず、事業者自身の経済的自由の問題に加えまして、同じ事業者に対する他の債権者の権利保護とのバランスなど、非常に難しい問題があるわけであります。消費者法制、民事法制、破産法制全体の問題として慎重な議論が必要な問題と認識をしております。

 御指摘はよくわかりますが、そういうもろもろの、つまり、一人の被害者に対する行為が新たな被害者を生まないようにということ等をしっかりと勘案しながら検討していくべき課題だと思っております。

階委員 ぜひ、今後御検討いただければと思います。

 きょうは財務省にも来ていただいておりますので、ちょっと時間も足りなくなってきたので質問させていただきたいんですが、今、本当に違法な商売をしてもうかったお金を最終的に取り上げることは必要であるということは、大臣もその必要性を認めていただいたのでございます。

 その違法収益を業者から取り上げる上で、現存するものだけではなくて、過去に違法な商売で上げた所得に対して税金を取っていたものを、被害者保護のためにそれを還付する制度とか、あるいは、ちょっと観点は違いますけれども、違法業者に対する損害賠償請求権と租税債権が競合した場合に、損害賠償請求権を優先させて被害者保護を図るといった制度について、財務省におかれても、この被害者問題、いろいろ多々発生している中で検討していただければなと思うんですが、財務省、いかがでしょうか。

川北政府参考人 お答え申し上げます。

 二点御指摘がございました。一つは、違法収益による所得課税を取り戻すという点でございます。

 これは、委員も御案内のとおり、所得課税を行う場合に、税法上は、その収益が他の違法行為から得られたものかどうかというのにかかわらず、税法の規定に該当いたしますと所得課税が行われるということになっております。

 これを、所得が生じているにもかかわらず被害者救済のために返還するという制度ということになりますと、私どもの立場から見ますと税法の範疇をちょっと超えたものでございますので、それは、被害者救済制度ということで、取引規制の根拠法との関係でよく御議論をいただく必要があるのではないか。それについての基本的なことは先ほど大臣から御答弁があったように存じております。

 それから、租税債権と損害賠償請求権との関係でございますが、これは、国税徴収法におきましては、租税債権の公益性、特殊性の観点で一般的に優先権が認められておりますが、その上で、具体的な優先関係につきましては、私債権間の優先順位を前提といたしまして、抵当権により担保されている債権と租税債権の優劣を同等といたしまして、その上で、その被担保債権に常に優先する私債権は租税債権にも優先する、被担保債権に常に劣後する私債権は租税債権にも劣後するというような仕組みで国税徴収法は規定されてございます。

 したがいまして、税法の方から見ますと、損害賠償請求権と租税債権との優先関係という点につきましては、損害賠償請求権を私法上の優先順位の中でどういうふうに位置づけるかということと関係してまいりますので、そうした観点からも御検討が必要かなというふうに考えているところでございます。

階委員 済みません、時間の関係で副大臣の方々にはちょっと質問できません。失礼しました。

 それでは、きょうはこれで終わりたいと思います。本日は、ありがとうございました。

東委員長 これにて階猛君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 前回、大阪の十階建てのビル丸ごと、株式会社愛染蔵というのが店舗販売で、呉服の次々販売で大きな被害を生み出しているという問題を取り上げました。

 きょうは、たけうちという呉服販売問題について最初に伺っておきたいと思います。

 こちらは、従業員で雇ってあげるという形をとって、それでクレジットつきで呉服販売をしたわけです。実態としては従業員として雇用ということにならなくても、従業員として雇っているということを言って、それでいけるんだからとかなんとかいいながらクレジットつき呉服販売をして、これで被害者がグループ十五社で数百人、負債総額約二百五億というものになっておりますが、従業員の形をとった次々販売の被害者には信販会社への高額の支払いだけ残っているわけですね。

 本当に、従業員だといいながらそういう被害だけ残るというものですが、これは割賦販売法八条の適用除外の趣旨とは違うんではないかと思うんです。八条で言っているのは、百貨店などが、いわば社員の福利厚生の意味も持って社員割引というのがありますね。それで、割賦販売も含めてやっている場合がよくありますが、この場合は、百貨店という団体の中で、いろいろな問題が起こらないように適切に処理されていることを想定しているわけですね。

 たけうちが八条の適用除外とするのは、たけうちのやり方は法の悪用じゃないか、こういうふうに思うんですが、この点を伺っておきたいと思います。

橘高政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員お示しの個別の具体的な例につきまして、私も概略は承知をいたしております。これは、現在係争中と伺っております。

 その上で、一般的な御質問ということで二点御答弁を申し上げたいと思います。

 今、御質問の中でも触れておられましたけれども、まず原則的な考え方といたしまして、御指摘のように、割賦販売法の幾つかの適用除外というものを法定してございます。

 この中に、一つは、労働組合その他の組合の内部での販売会あるいはお互いの共済のような形でのもの、これにつきましては、相互の会員とか組合員の間の利益を害することがないという、本来あるべき内部のいい取り組みを尊重しようという発想でございます。

 それで、事業者が従業員に対して行うものも、発想といたしましては、このようないいものを想定して、もともとは企業内部のそういういい関係については尊重しようという発想で導入をしたものと考えてございます。

 また、その背景には、民間の企業体の中で行うそのような従業員向けの販売ということを考えました場合には、一般には、正規の従業員からしますと、自分の会社がどういうものを売っているのか、どういう性能であるのか、どういうコストであるのかというようなことももろもろ事情がよくわかっているので、いわゆる社内でだまされるというようなことが少ないであろうということを期待したものでございます。

 さはさりながら、おっしゃったように、中には相当問題ではないかと思われるようなケースのことをお尋ねでございます。

 第一点としましては、まず割賦販売法の適用除外というものをどこまできちんととらえるべきかということでございます。

 例えば、一般論でございますけれども、アルバイトの募集をしますと、しかしながらそれは、従業員としてのアルバイトの募集が本来の目的ではなくて、そういうことで人を集めて実際には物を売りつけていくというようなことが主眼であるというような場合には、雇用契約とか雇用目的というよりは、いわば販売勧誘のための人集めではないかというふうに考えられるようなケースも実態に応じてはあろうかと思います。

 実態判断は、最終的には裁判所の手もかりないといけないと思いますけれども、偽装というふうな判断がされた場合には、本来内部自治として想定している割賦販売法の適用除外と見ることについては、いささか適当でないんではないかというふうに考えます。

 また、もう少し広く考えますと、民法でございますとか、場合によっては消費者関係の一般法、こういう幅広い法律、特に最終的には、民法の公序良俗でございますとか、もちろん従業員に対する強迫などということは論外でございまして、こういう強迫があった場合には強迫も含めて、民法上の公序良俗や強迫等々の要件に該当するかどうかというようなことも、実際にきちんとした解決を裁判上で求めていかれるような場合には、用いていくことは可能ではないかと考えます。

 これらは、まずもって販売契約が議論になるだろうと思いますけれども、その結果といたしまして、割賦業者も販売業者と文字どおり一体となって関与しているようなケースにつきましては、裁判例においても、民事責任がクレジット業者に対しても発生するようなケースも個々の事例によってはあろうかということで、いずれにせよ、私どもといたしましても、裁判例などを十分見てまいりたいと考えております。

吉井委員 今回の法改正の趣旨は消費者保護という立法趣旨がありますから、こうした条文の悪用、今おっしゃった偽装、こういうものについて、今も御答弁ありましたが、被害者救済の立場に立った対処というものをきちんと進めていく、こういうふうにやっていただきたいと思うんです。

 そういう立場で対処を考えていくということに取り組みますね。そのことだけ確認しておきます。

橘高政府参考人 考え方は、ただいま御答弁申し上げたとおりでございますが、常々申し上げておりますように、制度をつくった上で、かつ我々法執行にきちんと当たっていくということが大事でございますので、業界自身の自主的な取り組みも含め、我々適切に法執行を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

吉井委員 そこで次に、店舗販売であっても加盟店管理を厳格に行って、顧客の誘引方法に問題があれば特商法に基づいて対処を考えるということは大事だと思うんですが、同時に、信販会社に加盟店管理責任をきちんと果たさせる。

 この点では、割賦販売法三十八条で、支払い能力を超える過剰与信禁止ということで臨むはずなんですが、実は個品割賦方式の場合、消費者とクレジット会社の間での事前の契約関係はなく、顧客の獲得、契約条件の交渉、契約書面の作成と提出、すべて販売事業者にゆだねられていることが不正の温床にもなっているということがあります。逆に、個々の割賦販売契約を結ぶ都度、信販会社は契約内容をチェックできるチャンスがあるわけですから、なおさら信販会社の責任は大きいと思うんです。

 全国信販協会は、二〇〇五年八月から、加盟店各社が国や都道府県から業務停止命令を受けた業者と取引があった場合には、取引事実を自社ホームページで公開するという自主ルールをやっておりますね。

 これまでに、業務停止処分を受けた加盟店及び改善指示を受けた加盟店に対して、事前に消費者からのクレームを確認していながらも、当該加盟店が処分を受けるまで取引を継続してきたという事例が多いわけですが、その数はどれぐらいになるのか。つまり、自主ルールだけで、実際にはなかなかそうはいっていないという、その実態はどうなっているのかを伺いたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、信販会社におきましては、二〇〇五年八月以降、自主的取り組みの一つといたしまして、特定商取引法違反による行政処分が公表されましたときに、処分を受けました加盟店との過去の取引関係の事実を公表することとしております。

 二〇〇五年八月からことしの三月末までで、特定商取引法に基づく行政処分を受けた事業者と加盟店契約を締結していた信販会社数は、それぞれ単純に足し上げたものでございますので重複もありますけれども、延べ二百七十六社であるとの報告を受けてございます。

 そのうち、消費者からのクレームを承知していたにもかかわらず、特商法に基づきます行政処分を受けるまで取引を継続していた信販会社の数は、まず業務停止命令を受けるまで取引を継続した信販会社数が、先ほどのように単純足し上げの延べ数でございますけれども、延べ三十七社。それからもう一つ、行政処分におきましての改善指示というのがございますけれども、改善指示を受けるまで取引を継続しておりました信販会社数は二十二社。先ほどの三十七社と二十二社との間のダブりもあるかと思いますけれども、そういう報告を受けてございます。

吉井委員 今のお話で、問題あるところが三四%あった、処分まで取引を継続していたのが一七%。やはりこの点で、店舗である加盟店の状況を把握して、消費者トラブル防止に努めるということが非常に大事なことだと思うんです。

 昨年八月十五日の読売では、「自主規制浸透せず」ということを言っておりましたが、その指摘どおりだと思うんです。業界の自主規制任せで結局被害が拡大しておるわけですから、加盟店が店舗であっても、消費者から苦情が寄せられ、販売方法に問題がある加盟店の状況をつかむということは非常に重要なことだと思います。

 そこで伺いますが、問題のある業者には信販契約をできなくさせるということが必要だと思うんです。食事券等を発行して料理屋で食事をとらせて、それから店舗へ誘導して高額の呉服をクレジットつきで次々売るとか、だから、こういうものに対してあらゆる法令を駆使して、工夫によって、店舗販売であっても規制できるという立場で政省令、通達、ガイドラインの事例集などをつくって臨んでいくことが必要だと思うんです。

 特商法逃れをねらうような脱法的なものをやめさせることなどを含めて、やはり今後、政省令、通達、ガイドラインなどで従来より狭いものにならない、脱法的なものは絶対許さない、そのことが大事だと思うんですが、伺います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、個別クレジット業者との関係で申し上げますと、今回登録制の対象といたしております。したがって、店舗販売の場合も含めまして、消費者からの苦情を適切に処理するよう義務づけもあわせて行ってございます。これによりまして、消費者トラブルに適切に対応するとともに、その拡大防止に資することになっていくというふうに考えてございます。

 店舗販売につきましても、こうした措置を適切に運用することによりまして、消費者被害の発生、拡大の防止に努めてまいりたいと考えてございます。

 それからもう一点、全般的に御指摘がございまして、法の運用に当たりましての解釈、抜け穴防止、そういった点でございますけれども、従来から、政省令のみならず通達やガイドラインなど適宜整備、追加をいたしまして、解釈の明確化に努めてきたところでございます。今回の改正に当たりましても、悪質事業者に都合のよい解釈が行われる余地が生じないよう、法解釈の明確化に努めてまいりたいと考えてございます。

 それから、法解釈を消費者相談の一線に立つ相談現場の方々と共有するということもまた極めて重要なことでございまして、そういったことにつきましても、十分な周知に取り組んでまいりたいと考えてございます。

吉井委員 最後に、大臣に伺っておきたいと思うのです。

 広く店舗も割賦販売法で信販規制をするというのは無理だ、そういう論理構成で来ておるかと思うのですけれども、前回そして本日御紹介しましたように、特商法の規制逃れの脱法的なものとか随分あるわけですけれども、そういう特商法の規制逃れなどの脱法的なものはだめなんだ、そういうことをやはり政令、ガイドラインの中で、これからの取り組みの中で明確にしていくということが大事だと思うのですが、これは大臣に伺っておきたいと思います。

甘利国務大臣 今回の特商法の改正は、基本的に訪問販売とそれに類するもの、店舗でもキャッチセールスやアポイントメントセールスというのは対象にしていますし、展示会商法についても一部規制をしている、物産展みたいなものに影響がないようにということでやっております。

 御指摘のように、政省令だけではなくて通達とかガイドラインを適宜整備して、法律がしっかり定着をしていくように、解釈が明確化されていくようにということは大事なことだというふうに思っております。

 悪質事業者が法改正を機に勝手な解釈をするということがないように徹底するとともに、消費者へもこの情報がしっかり伝わるようにしますし、一つは消費者自身も賢くなることが大事であります。その消費者の賢くなることを助けるような手だて、疑問に思ったらここに相談すればこういう手当てがあるとか、こういうアドバイスが得られるということで消費者も賢くなるし、そのためのツールを用意するし、それから法改正の趣旨が適切に理解されるように徹底をしていくということをあわせてやっていきたいというふうに思っております。

 消費者相談の一線に立つ相談現場の方々としっかり法解釈も共有することによって、より法の趣旨が徹底していくように図っていきたいと思っております。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、谷本龍哉君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  最近の悪質商法による被害の実態を踏まえ、消費者被害の救済及び未然防止を図るため、政府は、本法施行に当たり、健全な事業活動に対する過剰規制とならないよう充分配慮しつつ、次の諸点について適切な措置を講じるべきである。

 一 原則としてすべての商品及び役務が訪問販売等の規制対象となることに伴い、適用除外とする商品・役務については、消費者利益の保護が真に確保されているかどうか等の観点から適切に判断し、安易に拡大することにならないよう配慮するとともに、適用除外とされた商品・役務についても、法の施行状況を踏まえ、適時適切に見直しを行うこと。

 二 訪問販売における再勧誘の禁止及び過量販売による契約解除並びに過剰与信の防止については、消費者及び事業者の双方にとってわかりやすいガイドライン等を可能な限り具体的かつ明確に定めること。また、支払可能見込額の調査に当たっては、利用者の預貯金等のプライバシーに過度に立ち入ることのないよう指導すること。なお、業態をまたがる信用情報機関相互の情報交流等については、個人情報の保護等に充分配慮しつつ、実効性ある過剰与信の防止の観点からその推進に努めること。

 三 悪質商法の手口が巧妙化している現状を踏まえ、新たな手口による消費者被害が多発した場合には、柔軟かつ機動的に対策を講じるよう努めること。また、被害の多発が指摘されている、一部の店舗取引事例におけるクレジット契約やインターネット等の通信手段を利用した売買契約等について、その実態を踏まえ、実効性ある被害の救済のための適切な措置を講じるよう検討すること。

 四 本法の施行に当たっては、事業者及び消費者等に制度の十分な周知徹底を図り、特に高齢者に対しわかりやすい説明を行うなどの工夫に努めること。また、消費者被害の未然防止を図るため、消費者信用等について学校教育のカリキュラムに組み込むなど、学校段階からの啓発活動に努めること。

 五 消費者トラブルの現状に鑑み、関係省庁、地方自治体、警察の連携体制の一層の緊密化を図るとともに、消費者保護に万全を期するためには、地域の現場における執行体制の整備が重要であることにかんがみ、地方自治体における消費者行政の充実強化のための適切な支援に努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、甘利経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。甘利経済産業大臣。

甘利国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

東委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

東委員長 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。甘利経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

甘利国務大臣 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、同年十月十四日より、二度の延長措置を経て、平成二十年四月十三日までの間、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を厳格に実施してまいりました。しかし、北朝鮮が、六者会合で平成十九年末までの実施を約束したすべての核計画の完全かつ正確な申告をいまだに実施しておらず、また、拉致問題についても具体的な対応をとっていないこと等、北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案し、平成二十年四月十一日の閣議において、引き続き、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を実施することとしました。このうち、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第です。

 次に、本件の要旨を御説明申し上げます。

 本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成二十年四月十一日の閣議決定に基づき、同年四月十四日より同年十月十三日までの間、北朝鮮からのすべての貨物について経済産業大臣の輸入承認義務を課す措置を講じたことに加え、北朝鮮から第三国へ輸出する貨物の売買に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。

 以上が、本件の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る三十日金曜日午前十一時理事会、午前十一時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時十五分散会


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