衆議院

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第18号 平成20年5月30日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十年五月三十日(金曜日)

    午前十一時十分開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 鈴木 俊一君

   理事 谷本 龍哉君 理事 やまぎわ大志郎君

   理事 吉川 貴盛君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      伊藤 忠彦君    稲田 朋美君

      江崎洋一郎君    大村 秀章君

      岡部 英明君    片山さつき君

      川条 志嘉君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      柴山 昌彦君    平  将明君

      谷畑  孝君    土井 真樹君

      永岡 桂子君    丹羽 秀樹君

      橋本  岳君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    武藤 容治君

      安井潤一郎君    吉野 正芳君

      菊田真紀子君    後藤  斎君

      郡  和子君    近藤 洋介君

      下条 みつ君    鈴木 克昌君

      三谷 光男君    三井 辨雄君

      柚木 道義君    高木美智代君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   経済産業副大臣      中野 正志君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小原 雅博君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          安達 健祐君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十日

 辞任         補欠選任

  岡部 英明君     稲田 朋美君

  吉田六左エ門君    永岡 桂子君

  太田 和美君     三井 辨雄君

  北神 圭朗君     郡  和子君

  田村 謙治君     菊田真紀子君

  牧  義夫君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     岡部 英明君

  永岡 桂子君     吉田六左エ門君

  菊田真紀子君     田村 謙治君

  郡  和子君     柚木 道義君

  鈴木 克昌君     牧  義夫君

  三井 辨雄君     太田 和美君

同日

 辞任         補欠選任

  柚木 道義君     北神 圭朗君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第三号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官小原雅博君及び経済産業省貿易経済協力局長安達健祐君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三谷光男君。

三谷委員 おはようございます。民主党の三谷光男です。きょうも質問をさせていただきます。

 議題の北朝鮮への経済制裁措置について聞く前に、今原油の異常な高騰が続いています。原油の高騰について先に聞かせていただきます。

 WTI原油、ことし年初に一バレル一時百ドルを突破した後も高水準で推移をしています。また急激に今上昇をしています。五月二十一日には、終わり値で一バレル百三十三・一七ドルと最高値を更新、その後も原油価格は安定する気配がありません。今後の原油価格はどうなるか。

 ちょうど今週のニューズウィークの日本版でありますけれども、ごらんのとおり、表紙の見出しには、「原油二百ドル」という見出しになっています。

 この表題の記事の中にも紹介をされていますように、石油生産はピークに達しているあるいはピークを迎えるとして、こういうアナリストも多いのですけれども、原油価格はさらに高騰を続けるとするピークオイル説、これをどのように考えるか。

 またこの記事の中でも、IEA、国際エネルギー機関が世界の石油生産量を、日量八千七百万バレルから一億一千六百万バレルにふえるとしていた予測を下方に見直すかもしれない、一日当たり一億バレルあたりが天井になりそうだということを書かれております。

 このIEAの石油生産量の予測も踏まえて、さらに今の原油価格の高騰には投機マネーも深く関与をしています。先般出されたエネルギー白書の中にも、投機マネーがどのような影響を及ぼしているかということも触れられています。あるいは、実際のファンダメンタルズをどのように見積もっているかの分析も踏まえて、今後の原油価格の推移、経済産業省はどのようにお考えになっているのか、御説明をいただきたいと思います。

中野副大臣 まず、いわゆるピークオイル説であります。イギリスの地質学者でありますコリン・キャンベルさんが一九八〇年代後半から唱えられておりますけれども、原油が今後何年持続するかという可採年数を計算すると、例えば、二〇〇六年末時点の原油の確認可採埋蔵量約一兆二千八十二億バレル、これを同じ年の世界の原油生産量約二百九十八億バレルで割れば、可採年数は約四十年、詳しくは四十・五四年ということになりますけれども、この年数はこの二十年間大きく変化をいたしておりません。

 ちなみに、一九九六年の数字で申し上げると、確認埋蔵量は一兆四百九十億バレル、生産量が二百五十五億バレルでありますから、可採年数は四十一・一〇年、さらに十年さかのぼって一九八六年でいいますと、確認埋蔵量が八千七百七十四億バレル、生産量は当時二百二十一億バレルでありまして、可採年数は三十九・七六年ということで、申し上げましたように、この二十年間大きく変化はいたしておりません。

 これは、毎年、原油の採掘技術の進歩でありますとか、あるいは新規油田の探鉱開発等によって確認可採埋蔵量の追加があるためと考えております。

 今後につきましても、原油高によって商業採算ベースに乗る油田が増加して確認可採埋蔵量の拡大につながるはずだ、こう考えております。

 例えば非在来型油種の一つでありますカナダのオイルサンドの確認可採埋蔵量はサウジアラビアに次ぐ規模と言われているものの、さっき申し上げました確認可採埋蔵量にはカウントはされておりません。現在の油価水準では、こうした油種の開発、生産も活発化しつつあるところであります。

 ちなみに申し上げれば、サウジアラビアの埋蔵量は二千六百億バレル、今申し上げましたオイルサンドでありますけれども、確認埋蔵量は一千六百三十五億バレルというのでありますから、大変な量だと思っております。

 このように原油の確認可採埋蔵量は変わり得るものでありまして、いわゆるピークオイル説については疑問も多いと考えております。

 次に、今後の価格見通しについてでありますけれども、御指摘のとおり、将来需給が逼迫するのではないかとの不安から、市場に資金が流入して原油価格を押し上げている面があることは間違いありません。

 しかしながら、申し上げましたように、価格上昇によりまして、今後、開発、生産や省エネ、代替エネルギー開発が進んでいけば、中長期的には、ファンダメンタルズを勘案した価格はせいぜい一バレル六十ドルから七十ドル程度と考えられます。

 経済産業省としては、このように価格メカニズムが働いて原油価格が落ちつきを取り戻すよう、産油国に対する増産に向けた働きかけ、開発投資の促進、省エネ、新エネの取り組みについて努力をいたしてまいります。

 また、御賛同いただきました資源探査船「資源」、二月に進水をいたしまして、これから実質的に活動も続けてまいります。中長期的には、私たちの日本国も石油あるいは天然ガス、何とか見つかりまして、産出ができればいい、私たちはそういう明るい望みを持ちながら一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。

三谷委員 私は、中野副大臣のおっしゃるとおりだと思うんです。特にピークオイル説には、これは随分無理があるというふうに思います。思うんだけれども、実態の方は、まさにこの原油二百ドルに向けてどんどん上がっているということがこういう説を勢いづかせているということも事実なのだろうというふうに思います。

 油を使う業界からは、悲鳴はもちろんなんですけれども、異常な高騰が続くことに、果たしてどこまで上がるんだろうか、今も価格見通しのことについても少し触れていただきましたけれども、大変な不安にさいなまれているというふうに思うんです。本当にこのニューズウィークの見出しのとおりのようなことになると、世界の経済構造そのものを変えかねない、そのような事態だというふうにも思います。原油価格はどうなるのか、きちんととらえることが、分析をすることが大事だと思います。そして、きちんと安定に向けての取り組みを中期的にもやっていかなければいけない。

 そして、まさに原油価格の安定、国際石油市場の安定に向けて、その取り組みについて経済産業大臣にお考えをお話しいただきたいと思います。

 アメリカやあるいはEUなど、他の主要消費国は原油価格の安定にどのような取り組みをしているんでしょうか。アメリカこそ日本以上に影響はもっと大きいはずなんですけれども、例えば投機マネーの鎮静化には大変消極的であったり、本当に積極的に取り組んでいるのか。そして、我が国がこれら主要消費国と協調して行う取り組みについても、どんな取り組みをしているのか。あるいは、どうやって安定させようとしているのかについてもお話をいただきたいと思います。

 また、加えてでありますけれども、来月、もう近くなっておりますけれども、洞爺湖サミットに先立ってエネルギー閣僚会議、G8プラス中国、インドがございます。このG8プラス2に向けても、どのような働きかけをして安定化に持っていこうとされているのかもあわせてお答えをいただきたいと思います。

甘利国務大臣 現在の油価の水準は明らかに異常であります。そして、この異常は、先進国のみならず、とりわけ途上国にとっては食料問題とともに耐えられない負担となっていまして、既に世界経済全体にゆがみをもたらしていると言って過言ではないと思います。

 産油国にとっても、ただ高ければ高いほど実入りがふえていいというものじゃないんですね。世界経済が堅調に発展、拡大をしていくという中で産油国の繁栄もあるということを徹底的に認識してもらわなきゃならないと思います。

 しかも、原油の高騰が、他の資源についても実は同じように資源は有限ではないかという思いをもたらして、他の資源、鉱物資源まで引き上げる結果になっている。加えて、食料価格まで引き上げる。私は、すべての原因が油にあるとは言いませんけれども、全体の基調を引き上げてしまったという原因は原油にあると思っているのであります。

 私自身は、ことし一月のスイスのダボス会合や、先月にありましたローマでのIEFの会合におきまして、こうした国際会議の場で、原油問題に世界全体が一枚岩となった対応を図るべきだということをしつこく訴えてきたわけであります。そして、今月初めの中国を初め、産油国であるとかあるいは消費国との数多くバイ会談をしたわけでありますけれども、そこにおいても現在の油価に対する懸念を共有したつもりでございます。

 IEAに対しましても、既に日本から資金を拠出しまして、金融専門家とエネルギー専門家の対話の場を設置し、今研究をしております。

 というのは、私が産油国に、もうちょっと増産のための措置を図れ、設備投資をしろ、あなただけのひとり勝ちというのはあり得ないよ、短期間はそうかもしれないけれども中長期的にはあり得ないんだということを強く申しますと、我々はやることはやっている、第一足りているじゃないか、問題はファンドだ、金融が勝手に値をつり上げているからだということを彼らは言うわけですね。

 ならば日本としても、金融に対してもきちんとした可能な措置はとる。これは、規制するということは、言うのは簡単なんですけれども、いろいろ弊害があってなかなかできないですね。ですから、ある種のプレッシャーをかけるために、金融と油価の関係ということで、エネルギー専門家の勉強会を日本がお金を出して設置させたんですね。今検討しております。

 当初は、私一人だけがこんなことを言っているのかと。世界じゅうを回って私一人が叫んできたわけでありますけれども、今や世界全体で油価問題に対応する必要性を各国、主要消費国、あるいは、まだ十分とは全然言えませんけれども産油国でも、そうだな、このままの状態が続くはずがないなと。消費国はもちろん深刻に共有していますけれども、産油国でも、確かに我々が望むところではないんだけれどもという声は出つつあるんですね。ようやく、私一人じゃなくて、日本が言うのは確かにそうだというふうになってきたわけであります。

 青森でG8プラスのエネルギー大臣会合を行います。この会合への参加者すべてを合わせますと、世界のエネルギー需要の三分の二ぐらいを占めるわけであります。でありますから、主要国が結束して、現行のまさに明確に異常とも言える油価を是正するためのメッセージをぜひ、いわば青森宣言ということで世界に発信したいと思っております。

 各国が取り組んでいるその高騰に対する対策というのはいろいろございます。日本でいえば、先般、高騰対策というのを、中小企業だとかあるいは特定業種だとか、離島、寒冷地対策とかいうものを策定いたしました。あるいは、我々ができることというのは、徹底的に省エネをするということと、それから新エネ、代替エネルギーの開発をどんどんしていく。言ってみれば、こんな状態が続くんだったら石油に依存なんかしないぞというくらいの決意を消費国はみんなでして、死に物狂いでそれにかわる技術開発をしていくということだと思うんですね。

 アメリカにも私は働きかけ、ボドマンともダボスでバイ会談をしました。そのときに、アメリカの製品生産、リファイナリーが台風の影響等も受けて落ちています。製品在庫がタイトになっているというのも一因だと言われていましたので、では日本のリファイナリーを使ってアメリカに供給してあげるよということで、これは具体的に今進んでおります。ガソリンは足りているけれども、何か、軽油、灯油部類ですかね、そういうところがまだタイトだということなので、そのスキームが具体的に進んでおります。

 それから、さすがにブッシュ大統領もサウジに向けて増産要請をしました。たしか三十万BDぐらいですか増産をするということにしましたけれども、まだマーケットが反応しない。

 これはなぜ反応しないかというと、要するに、増産をしますということだけだと設備能力を拡大しますということにならないから、増産余力が減るだけの話、実物はたくさん出ても、実物は供給量に足りているわけですから。つまり、生産する余力を拡大して、この先タイトになったらいつでも増産してやるぞというのがマーケットに対するメッセージなんですね。そうすると、先行きそんなむちゃくちゃなことにならないということになると鎮静化するということですから、上下流の設備投資をするという意思表明が大事なんだと思っております。それをこれからも要請していかなきゃならないと思います。

 欧州とも話し合いをしてきました。英国政府は、五月の二十八日でありますけれども、北海での新規油田の開発認可とか既存油田の活用によって最大日量七万バレルの原油増産を促すという方針を発表しております。フランスのサルコジ大統領も、この一月にサウジを訪問した際に、原油高騰について、尋常ならざる事態という発言をいたしておりまして、各国、次第に足並みがそろって、危機感を共有しつつあるというふうに思っております。

三谷委員 ありがとうございました。

 さまざまな取り組みが必要でありますので、特にまたG8が迫っておりますので、しっかり働きかけていただきたいと思います。

 それでは、本題の話に入らせていただきます。

 まず、直近の話でありますけれども、五月の二十七、二十八、この火曜日、水曜日でありますが、ヒル米国務次官補は、日米韓三カ国会合の結果を踏まえて、北京で金桂冠外務次官と協議をしました。これを受けて、二十八日夜、齋木アジア大洋州局長とヒル次官補との会合、意見交換が持たれました。

 ヒル次官補から北朝鮮問題について伝えられた内容、あるいはここで協議された内容について、外務省から説明をお願いしたいと思います。そのときに、拉致問題に関する言及はあったのかなかったのか、あったならどういう内容か。あるいは六者協議、核問題、申告の内容等について、どのような内容が話し合われたのか、あるいは伝えられたのかについても御説明をいただきたいと思います。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、二十七日及び二十八日に北京で米朝協議が行われましたが、この概要につきましては、ヒル国務次官補から齋木アジア大洋州局長の方に説明がございました。

 説明によりますれば、米朝協議におきましては、米側から北朝鮮に対しまして、十九日に行われました日米韓三カ国会合の結果を踏まえまして、申告を早期に議長国である中国に提出することを求めております。また今後のプロセス、これは六者会合でございますが、プロセスにつきましても議論を行ったという説明を受けております。また米側からは、ただいま御質問のございました拉致問題でございますが、拉致問題を含む日朝関係につきましても、具体的な行動をとるようにということで北朝鮮側に対して働きかけを行ったものと承知しております。

 今般の米朝協議におきましては、北朝鮮が申告を議長国中国に提出する具体的な時期につきましてはめどが立ったという、そういった進展が得られたわけではございませんが、両者間で実質的な意見交換が行われたものと理解しております。

 齋木局長とヒル次官補の間で確認いたしましたとおり、北朝鮮が早期に申告を提出し、六者会合プロセスが前進するよう、引き続き米国を初めとする関係国と努力していく考えでございます。

三谷委員 拉致の話も出たということでありますけれども、五月二十七日付の毎日新聞、これは毎日しか報道しておらないのですけれども、北朝鮮が、日本人拉致事件に絡み、被害者と見られる日本人について、まだ数人が国内におり、帰国させる用意があると米側に伝えていたことが政府関係者の話でわかったと報道をされました。同日、会見で町村官房長官がこれは事実無根だと否定をされましたけれども、まさにこの記事は全く事実無根なのでありましょうか。

 それとも、どうやら政府関係者には確認が全くなかったようでありますので、正確な事実には反するけれども、日本人拉致問題を進展させる何らかの話がここで提示が北朝鮮側からあって、何かが米側に伝えられたということがあったのかどうか、この点に絞って説明をいただきたいと思います。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の報道でございますが、そのような事実があったとは承知しておりません。今般、齋木アジア大洋州局長がヒル米国務次官補と北京で意見交換をいたしました際に、御指摘の報道につきましても確認をいたしました。その結果、同次官補もそのような事実はないと述べておりました。

 いずれにしましても、拉致の問題、これは日朝間で話し合いをしていく問題でございまして、日本側としては、速やかに北朝鮮側との間で交渉のテーブルに着いて、拉致を含む日朝関係の問題について話し合う用意があるということはこれまでも明確にしてきているところでございまして、こうした日本側の姿勢に対しまして北朝鮮側が前向きな反応をするということを我々としては期待しているところでございます。

三谷委員 わかりました。あの記事については、全くの誤報であるということで理解をいたします。

 一方で、アメリカ・ブッシュ政権は、これは非常に心配な点でありますけれども、北朝鮮による核計画の申告が進めば北朝鮮に対するテロ支援国家の指定解除に踏み切るんじゃないか、こういう憶測がさまざま報道で流れております。あるいは、政権の中でもいろいろなせめぎ合いはきっとあるんだろうというふうにも思います。当然、この齋木局長とヒル次官補との協議の中でも、テロ支援国家解除の問題も話し合われたというふうに聞いています。

 政府としては、アメリカのテロ支援国家解除に向けての動きをどのように見ているんでしょうか、これを説明してください。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 テロ支援国家指定解除の問題でございますが、米国は北朝鮮の行動次第であるという立場でございます。現時点で、米国として北朝鮮のテロ支援国家指定解除を決定したわけではないと理解しております。このテロ支援国家指定解除の問題につきましては、これは米国内法の適用に関する問題でございます。

 米国は、北朝鮮のテロ支援国家指定が解除されるかどうかは北朝鮮による非核化措置次第だという立場を維持する一方で、拉致問題に関します我が国の立場をよく理解しており、これまでもあらゆる機会をとらえて北朝鮮に対し拉致問題の解決に向けた具体的行動を働きかけるなど、協力をしてきてくれております。ライス米国務長官も、拉致問題が米国の非常に高い優先事項であって、米国にとっても重要な問題であるということを確認してくれております。

 また、二十七日、二十八日に北京で行われました米朝協議でございますが、この際に、ヒル国務次官補は金桂冠北朝鮮外務副相に対しまして、拉致問題の解決に向けた具体的な行動を働きかけたものと承知しております。

 いずれにいたしましても、米国は、テロ支援国家指定解除の問題につきましても日本側と十分に協議するという立場でございまして、政府としては、この問題を含めまして引き続き米国と緊密に連携していく考えでございます。

三谷委員 今のお話で、アメリカは、北朝鮮の行動次第だと。だけれども、特に我が国が言う完全な申告とアメリカが考えている申告の問題が進むということには少しずれがあるのではないかというふうに、総合的にいろいろな話を考えて、見受けられるんですね。だからこのような質問をさせていただいたわけですけれども、なかなか難しいところもあろうかと思います。注視をしていただきたいと思います。

 そして、今のこうした状況を受けて、今も動いております、北京でさまざまな会合が進んでいます。これから六者会合、六者協議はどのように進展していくんでしょうか。これを、先ほどのお話よりもう少し詳しくお聞かせいただきたいと思います。

小原政府参考人 お答えいたします。

 米朝協議におきましては、米側から北朝鮮に対しまして、日米韓三カ国会合の結果を踏まえまして、申告を早期に議長国中国に提出するということを求めるとともに、米朝間で今後のプロセスについて議論が行われたということでございまして、政府といたしましては、北朝鮮が早期に申告を提出し、六者会合プロセスが前進することを期待しております。

 ただ、次回六者会合の日程につきましては、現時点でめどが立っているわけではございません。また、日朝協議でございますが、これにつきましては、今般の米朝協議におきまして、改めて米国から北朝鮮に対してしっかりと取り組むべきだということを求めたものと承知しておりまして、北朝鮮が、こうした働きかけも踏まえまして、拉致問題の解決に向けて具体的な行動をとることを日本側としては期待しているところでございます。

 いずれにいたしましても、政府としては、非核化と拉致問題を含む日朝関係、この両者がともに前進するよう、引き続き米国を初めとする関係国と緊密に連携しつつ取り組んでいく方針でございます。

三谷委員 今、参事官からは期待という言葉が出ました。まさに期待しかないわけでありまして、難しいことはわかっているんですけれども、どのように進展をしていくのか、なかなか周りの者には見えてこない。関心を持っている我々からすると、非常にもどかしい思いでこのさまざまな会合、協議の行方を見守っております。

 また一方で、話題をかえますけれども、北朝鮮の深刻な穀物事情、食料事情、食料危機と報じられておりますけれども、この様子が内外のメディアを通じて報じられています。

 北朝鮮で米やトウモロコシの市場価格が急騰していると。昨年の水害被害による収穫不足、これもきっとあるのでしょう。最大の輸入相手国の中国は、世界的な穀物価格の高騰を受けて、これはよく言われることであります、いろいろな囲い込みをしております。事実上の輸出制限措置も強めている、これはそのとおりなのでありましょう。

 北朝鮮では、伝えられるところによりますと、米のキロ当たりの価格が、昨年十二月一千ウォンだったものがことし四月には二千百ウォンにはね上がっている。トウモロコシも二倍になっている。

 ほかにも、世界食糧計画、WFPでありますけれども、北朝鮮の食料不足が非常に深刻になるということを四月十六日に指摘、警告をしていますし、また国連食糧農業機関、FAOの報告書では、やはりさまざまな食料危機を報じる報告がなされています。

 韓国政府関係者でも、大変だ、中国の課税措置がそのまま続けば、北朝鮮の生活事情に与える影響ははかり知れないというコメントも出されています。

 外務省が把握されている北朝鮮の食料事情、生活事情、どういう認識を持たれているのか、さまざま情報収集をされているのでしょう、わかるところを説明していただきたいということが一点。

 あわせて、きっと報じられているようなことになっているのでしょう、北朝鮮の食料事情、生活事情が報じられているように深刻であるならば、いかに北朝鮮といえども、我が国の経済制裁措置の解除を求めたい、一部でも求めたい、あるいは何らかの支援を引き出したいと。もちろん表には出さないけれども、本音では考えているだろうと思うんです。

 なかなか北朝鮮政府は表向き歩み寄ってはきませんけれども、北朝鮮側からの、あるいは政府じゃなくても、さまざまなメッセージとかあるいは行動とかを含めまして、この解除を求める動き、支援を求める動き、あるいは何らかの変化があるんだろうか、それを外務省がどのように受けとめておられるのか、聞かせてください。

小原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、北朝鮮の食料事情は非常に厳しいものがあるというふうに外務省としても見ております。ただ、北朝鮮は非常に厳しい閉鎖体制をしいております。その実態は必ずしも明らかではございません。

 ただ、まさに委員が御指摘しましたように、北朝鮮内部の食料事情あるいは生活事情が厳しいということは、日本を含め国際社会において広く指摘されてきているところでございまして、例えば、北朝鮮のことしの食料事情につきましては、FAO、世界食糧機関がございますが、ここの報告によりますと、穀物は約百六十万トン程度が不足するという見通しが示されております。

 また、委員からも御指摘がございましたが、こうした厳しい食料事情を反映いたしまして、北朝鮮内部におきましては食料価格が高騰するといったことがございまして、一般住民の生活事情も困難に直面しているものというふうに我々見ております。

 それから、委員から御質問のございました、我が国の経済制裁措置の解除を求める北朝鮮側の動きでございます。

 これにつきましては、実は、昨年の三月にハノイで第一回日朝国交正常化のための作業部会が行われましたが、その場におきましては、北朝鮮側から、我が国の経済制裁の解除を求めてきております。それから、同年の九月にウランバートルで行われました第二回の同作業部会におきましても、現在の日朝関係は極めて悪化しているという話がございまして、その中で我が国の対北朝鮮措置につきましても言及がございました。

 そのほか、例えば、本年四月の十八日付の北朝鮮の労働党機関紙でございます労働新聞でございますが、この中に論評が掲載されておりまして、その中で、我が国による対北朝鮮措置の延長に関しまして厳しく批判するとともに、直ちに中止されてしかるべきである、制裁延長措置を直ちに撤回すべきであるなどといった主張を行っております。

 このように、北朝鮮は一貫して我が国の対北朝鮮措置の解除を求めてきているということがございます。

三谷委員 北朝鮮の生活事情、食料事情は困難をきわめているというお話で、これはそのとおりなのでありましょう。

 また、この北朝鮮という国からのメッセージというのはなかなか読み取りづらいところがあるのですけれども、今も紹介されたお話のとおり、これはやはり、そこそこのメッセージを出してきているのだろうというふうに思います。あるいは、それは総連のさまざまな行動の変化も含めて、そのように思っておるんです。

 そこで一つ、また話がかわりますが、先ほどもこの六者会合のことで、なかなか進展が見えてこない、こういうお話を申し上げましたけれども、福田総理自身、昨年九月の自民党総裁選で、私の手で拉致問題を解決したいとわざわざ強調をされました。私もよく覚えております。所信表明演説でも施政方針演説でも、あるいはこの四月の日韓首脳の共同記者会見の声明の中でも、日朝国交正常化を実現したい旨の言及はしておられます。

 だけれども、どう取り組んで進展を図るのか、打開を図るのか、物を進めていくのか。イニシアチブを持って問題の解決を図ろうという総理本人の、あるいは福田内閣の意思というものがほとんど読み取れない、感じられないというふうに思います。

 そこで、あえて聞きます。日朝国交正常化に向けて、あるいは拉致問題の解決、核問題等北朝鮮問題の解決に向けて、福田総理あるいは福田政権は、イニシアチブを持って、どういうお考えでこれらの問題打開、解決に取り組んでいこうとするのか、考えがあればお示しください。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、引き続き、日朝平壌宣言にのっとって、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して、不幸な過去を清算して日朝国交正常化を早期に実現するという方針でございまして、この方針に変更はございません。

 まず、北朝鮮の核問題でございますが、これにつきましては、六者会合を通じた問題解決を日本としては目指しているところでございます。

 昨年十月には、六者会合で成果文書ができました。この成果文書の中で、北朝鮮が昨年末までに核計画の申告を行うということが約束されましたが、北朝鮮はいまだにこの申告を行っておりません。北朝鮮が六者会合における約束に従って一刻も早く申告を行い、非核化プロセスが前進するよう、米国を初めとする関係国と緊密に連携しつつ最大限努力をしていくというのが、北朝鮮の核問題に関する我が国の立場でございます。

 それから、拉致問題を含む日朝関係でございます。これにつきましては、昨年十月の六者会合成果文書におきましては、日朝双方が、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として早期に国交を正常化する、そのために誠実に努力する、また、そのために日朝双方が精力的な協議を通じて具体的行動を実施していくということが約束されております。

 我が国は、これまでも日朝協議に真剣に取り組んできておりますが、北朝鮮が拉致問題の解決に向けて具体的な行動をとってきていないということから、残念ながら、日朝関係につきましては具体的な進展がいまだ得られておりません。

 政府としましては、こうした六者会合の共同声明というものを全体としてバランスよく実施するために、朝鮮半島の非核化ということと拉致問題を含む日朝関係、この双方をともに前進させるように引き続き最大限の努力を行っていくという考えでございます。

三谷委員 きょうは、実は、今も議題になっている経済制裁措置の拡充のことを最後に、問題提起も含めて聞かせていただこうと思ったのですが、質疑時間が参りました。最後に、一つだけ大臣にそのお話で尋ねさせていただきます。

 まさに拡充について、ある意味、正直言って、言葉は悪いかもしれませんけれども、今のこの承認の話もなあなあになっているんだと思うんです。交渉のためのカードは、私は今発動しろということを言っているわけではありません。手詰まりのままじゃいけないんだ、持っておくものが……

東委員長 三谷委員、質疑時間は終わっていますので、簡略にお願いします。

三谷委員 はい、わかりました。次の機会でまた問わせていただきます。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

東委員長 これにて三谷光男君の質疑は終わりました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私、きょうは外務省の方に伺っておきたいと思います。

 五月二十七、八日に持たれた米朝会談の内容について、ヒル国務次官補から齋木アジア大洋州局長はどういう説明を受けたのかということと、外務省はこの内容をどう評価しているのか、このことを最初に伺いたいと思います。

小原政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御質問のあった二十七日及び二十八日に北京で行われました米朝協議でございますが、二十八日の夜に、齋木アジア大洋州局長がヒル国務次官補と意見交換を行いまして、米朝協議の結果につきまして詳細に説明を受けております。

 その際の米側の説明によりますと、米朝協議におきましては、米側から北朝鮮側に対しまして、十九日に行われました日米韓三カ国の会合の結果も踏まえまして、申告を早期に議長国中国に提出することを求めるというこの一点と、それから今後のプロセス、これは六者会合でございますが、今後のプロセスにつきましても議論を行ったということでございます。また、米側からは、拉致問題を含む日朝関係につきましても具体的な行動をとるように、北朝鮮側に対して働きかけを行ったというふうに承知しております。

 今般の米朝協議でございますが、北朝鮮が申告を議長国中国に提出する具体的な時期についてのめどが立つなどの進展が得られたわけではございませんが、日本といたしましては、両者間で実質的な意見交換が行われたものと理解しておりまして、今回の齋木局長とヒル次官補との間で確認をいたしましたとおり、北朝鮮が早期に申告を提出して六者会合プロセスが前進するよう、引き続き米国を初めとする関係国と努力していく考えでございます。

吉井委員 テレビでの映像とかそれからマスコミ報道でも、会談の後、ヒル次官補は非常ににこにこして、なかなかいい方向に行っているような感じの雰囲気を見せておりました。

 ヒル国務次官補は、一万八千ページの文書などについては、検証には物理的に時間がかかるものですけれども、第二段階の措置から次のステージに向けてどういうふうな考えを持って臨んでいるのかとか、そういう点についてのお話というのはどういうことだったんですか。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の齋木局長とヒル次官補との意見交換でございますが、その直前に行われました米朝協議の結果につきまして説明を受けておりますが、その際、今後の取り進め方について議論した上で、非核化と拉致問題を含む日朝関係の双方がともに前進するようにということで、引き続き日本と連携して対処していくということで重要性が確認されております。

 ヒル次官補からの説明によりますれば、米側から北朝鮮側に対しまして、申告を早期に中国側に出すようにということ、それから、先ほども言いましたが、今後のプロセスについて議論が行われたということでございます。

 ただいま御指摘がございました北朝鮮から米国に提出されました資料、これはまさに今御指摘のあった一万八千ページという膨大な資料でございますが、この資料については、現在、米側において資料の分析、検討が行われているものと承知しております。

吉井委員 分析しながら次のプロセス、次のステージへの検討なども行われているんでしょうけれども、ヒル国務次官補は、先ほどもおっしゃったように、金桂冠次官に対して、拉致問題の進展が重要だ、日朝間で話し合うべきだというふうに言ったことも伝えられたということですが、日本は日朝間でどういう話し合いを行っているのか、これを伺いたいと思うんです。

 昨年十月の六者会合で、核については第二段階の措置を採択しているわけですね。この十月の合意文書では、寧辺の核施設の無効化の完了とか初期段階の措置などについて完全、正確な申告を行うこと、これは十二月末までにということでした。これは時間はずれておりますけれども、日本も含めて六カ国でそういう合意をしているわけです。ですから、その後、日本として日朝間の話し合いというものをどういうふうに進めているのか、これを伺います。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、昨年十月の六者会合の成果文書でございますが、ここでは、日朝双方が、平壌宣言に従いまして早期に国交正常化するため誠実に努力すること、また、精力的な協議を通じて具体的な行動を実施していくことということが明記されております。このことも踏まえまして、我が国といたしましては、北朝鮮との間で真剣な対話を行う用意があるということはこれまでも明確にしてきているところでございます。しかし、これまでのところ、北朝鮮側から前向きな対応は得られておりません。したがいまして、日朝国交正常化作業部会も昨年九月以降開催されていないということでございます。

 日本といたしましては、日朝平壌宣言にのっとりまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して、不幸な過去を清算して日朝国交正常化を早期に実現するというこの方針には何ら変更はございません。北朝鮮側が真摯に対話に応じることを期待しているところでございます。

吉井委員 ですから、去年の十月の合意文書の前には、昨年二回会合を持っているわけですね。十月に新たな進展があったということなんですが、その以前は会談を持っているんですけれども、それ以降のこの半年間、日本側からはどのような働きかけとか日朝間の話し合いというものを持ってきているのか、このことを伺っておきたいんですが、どうですか。

小原政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国としましては、ただいま答弁させていただきましたように、北朝鮮との間で真剣な対話を行う用意があるということをこれまでも明確にしてきております。

 ただ、残念ながら、これまでのところ、北朝鮮側からは前向きな対応が得られていないというのが実態でございます。

吉井委員 話し合いというのは、双方がやらないと話し合いにならないので、メッセージは一応出したというけれども、双方とも具体的な動きがないような今のお話です。

 そこで、甘利大臣に伺っておきたいんですけれども、もともと二〇〇六年十月の制裁措置は、核実験を行ったという北朝鮮を対話の道に復帰させ、核問題の外交的解決を図る手段として出されてきたものですから、このときは私たち日本共産党も賛成をいたしました。

 今、核問題について言いますと、初期段階から第二ステージへ問題が移ってきて、さらにそれを完全に、十二月末がおくれておりますけれども、一万八千ページ出してきたのを検証しながら次のプロセスへということが議論されていて、米国、韓国、中国など、北朝鮮の核放棄に向けて外交的努力を尽くしているということを読み取ることができますが、日本政府としてはどういう取り組みをしているのか。日本政府としては、この核問題の解決に向けてどう取り組みをやっていくのか、このことを内閣としてどうやっているか、大臣に伺います。

甘利国務大臣 要するに、私どもが取り組んでいる、日本だけじゃなくて国際社会が取り組んでいることは、北朝鮮に、国際社会の懸念に対する誠実な対応をしてくれということなんですね、核、ミサイル、拉致について。

 北朝鮮はどうも、外交交渉のカードとして使いたいとか、ゼロサムゲームをやっているのではないかというふうにとられる節がある。そうじゃなくて、懸念にちゃんとこたえる、あるいは約束をしたことを誠実に実行する、そうすればいいだけの話だということを理解させなければいけない。しかし、幾ら言っても理解をしないので、対話と圧力という手だてをとっているわけであります。

 六者協議で北朝鮮側が約束したというのは、二〇〇七年末までにすべての核計画の完全かつ正確な申告をするということなのでありますけれども、これが約束どおりにきちんと実施されていない。いろいろ北朝鮮側はおっしゃっていますけれども、事実として実施されていない。特に、日本に関しては、拉致問題についての解決を再三再四申し入れているわけでありますけれども、解決済みの一点張り、具体的な対応は何もされていないということであります。

 国際社会が抱いている懸念、あるいは日本が解決をしてほしいと要請をしている問題、すなわち拉致、核、ミサイル等ですね、北朝鮮がこの諸懸案に対する誠実な対応をすればいいだけの話で、これは国際交渉でも何でもないのでありまして、懸念を払拭すれば制裁はちゃんと解除するということになっているわけでありますから、それを誠実に対応してもらいたいと思いますし、これは一種の駆け引き、交渉ではないんだということをしっかり理解させる必要があろうかと思います。

 六者会合であるとか国連の安保理等における国際社会の動き等を踏まえて、我が国政府としても対処をしていくということであろうと思います。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

東委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、いわゆる北朝鮮に対する制裁措置延長に関する承認案件について、反対討論を行います。

 北朝鮮に対する輸入禁止という日本独自の制裁措置は、二〇〇六年十月の北朝鮮による核実験を契機にとられた措置であり、その目的というのは、北朝鮮を対話の道に復帰させ、核問題の外交的解決を図るための手段として実施されたものでありました。

 しかし、その後、北朝鮮の核問題をめぐって、現在、昨年十月の六カ国協議で合意された、核施設の無能力化と核計画の完全申告を柱とする第二段階の措置の履行に向けた協議が行われております。このように、核問題をめぐる情勢が前向きになっているにもかかわらず、日本独自の制裁措置を継続することは、日本政府が核問題の解決で積極的役割を果たす上で障害になりかねないものであります。

 今、日本政府に求められるのは、六カ国協議の合意に基づいて、朝鮮半島の非核化を実現するために先頭に立つことであり、日朝平壌宣言の精神に立ち、核、拉致、過去の清算問題などの諸懸案を包括的に解決するための主体的努力を尽くすことであります。現在進行しているプロセスでの核問題の道理ある解決が図られるならば、拉致問題の解決に向けた進展の道も開かれてきます。そのためにも、制裁措置については、情勢の進展に即した対応をとることが大切であるということを申し述べて、討論といたします。

 以上です。

東委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮からの貨物につき輸入承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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