衆議院

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第4号 平成20年12月3日(水曜日)

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平成二十年十二月三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 中野 正志君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      飯島 夕雁君    小此木八郎君

      小野 次郎君    近江屋信広君

      岡部 英明君    片山さつき君

      川条 志嘉君    木原 誠二君

      木挽  司君    高村 正彦君

      近藤三津枝君    清水清一朗君

      新藤 義孝君    杉田 元司君

      平  将明君    谷畑  孝君

      とかしきなおみ君    土井 真樹君

      中川 泰宏君    中野  清君

      林  幹雄君    福岡 資麿君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      松本 洋平君    武藤 容治君

      山本 明彦君    若宮 健嗣君

      太田 和美君    川内 博史君

      北神 圭朗君    小宮山泰子君

      後藤  斎君    下条 みつ君

      田村 謙治君    古本伸一郎君

      牧  義夫君    三谷 光男君

      高木美智代君    吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   内閣府副大臣       谷本 龍哉君

   厚生労働副大臣      渡辺 孝男君

   経済産業副大臣      吉川 貴盛君

   経済産業大臣政務官    谷合 正明君

   経済産業大臣政務官    松村 祥史君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 湯元 健治君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            細溝 清史君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            岳野万里夫君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            河野 正道君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            居戸 利明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 望月 達史君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           川北  力君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂本 森男君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           大槻 勝啓君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    木倉 敬之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     桑山 信也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       寺坂 信昭君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西本 淳哉君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          松永 和夫君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          鈴木 正徳君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 石田  徹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      西山 英彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     薦田 康久君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   平岡 英治君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           内田  要君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小川 富由君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月三日

 辞任         補欠選任

  片山さつき君     中川 泰宏君

  佐藤ゆかり君     杉田 元司君

  橋本  岳君     木原 誠二君

  安井潤一郎君     とかしきなおみ君

  太田 和美君     川内 博史君

  後藤  斎君     小宮山泰子君

  近藤 洋介君     古本伸一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     福岡 資麿君

  杉田 元司君     佐藤ゆかり君

  とかしきなおみ君   近江屋信広君

  中川 泰宏君     片山さつき君

  川内 博史君     太田 和美君

  小宮山泰子君     後藤  斎君

  古本伸一郎君     近藤 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     小野 次郎君

  福岡 資麿君     若宮 健嗣君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     飯島 夕雁君

  若宮 健嗣君     松本 洋平君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     安井潤一郎君

  松本 洋平君     橋本  岳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官湯元健治君、金融庁総務企画局審議官細溝清史君、金融庁総務企画局審議官岳野万里夫君、金融庁総務企画局審議官河野正道君、金融庁総務企画局参事官居戸利明君、財務省大臣官房総括審議官川北力君、厚生労働省大臣官房審議官坂本森男君、厚生労働省職業安定局次長大槻勝啓君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長木倉敬之君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官桑山信也君、経済産業省大臣官房商務流通審議官寺坂信昭君、経済産業省大臣官房審議官西本淳哉君、経済産業省経済産業政策局長松永和夫君、経済産業省産業技術環境局長鈴木正徳君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君、資源エネルギー庁長官石田徹君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長羽藤秀雄君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長西山英彦君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長薦田康久君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官平岡英治君、中小企業庁長官長谷川榮一君、国土交通省大臣官房審議官内田要君及び国土交通省大臣官房審議官小川富由君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井真樹君。

土井(真)委員 おはようございます。自由民主党の土井真樹でございます。

 きょうは、二階大臣になりまして初めての質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 ことしの初めにも私一度質問させていただいたんですけれども、きょうは経済産業の基本施策ということでございまして、最近、大変後ろ向きというか、アメリカ発の金融危機の話であるとかあるいは景気の非常に悪くなる話、後ろ向きの話が非常に多いわけでございますけれども、きょうの私の質問は、むしろ我々の経済をいかに前向きに持っていくか、そのための施策をいかにきちっとやっていくかという観点から質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず一点目は、先ほど申し上げた、ことしの初めにも質問させていただいたんですけれども、まず、経済を大きく前向きに成長させていくためには、一つは新規事業をどんどん開発して新しい産業を起こしていく、そういう施策をやっていく。そしてまたもう一つは、新たな研究開発をして新たな価値を生み出していく、そういう施策をやっていくことによって新しい産業、企業が生まれていくというふうに考えております。

 そんな中で、新規企業をいかに生んでいくか、成長させていくかということで、十数年前に導入されましたエンジェル税制についてお伺いしたいというふうに思います。

 当時、私は前職公認会計士をやっておりまして、この税制ができたときには、大変画期的ですばらしい税制だなというふうに感じたんですけれども、では実際に適用しようといって検討したときに、ほとんど現実的には使えないような税制だったということで非常に失望したことをよく覚えております。

 その後ずっと私も忘れていたんですけれども、この経済産業委員会の委員になりましてエンジェル税制についてもう一回検討していたところ、やはり余り利用度が高くなかったということで、今年度から、エンジェル税制、使い勝手のいいように、多くの方が利用できるように大幅に税制を拡充して、資産家、個人投資家がベンチャー企業にどんどん投資ができるように、そういう流れをつくるような税制になったんじゃないかと私も大変期待しておりました。

 それで、ことし四月から新しい税制が導入されて、では今現実に、新しいエンジェル税制の利用状況がどのような状況であり、そしてまた、より多くの方がこの税制を使えるように政府の方としてどのような取り組みを行っているか、お伺いしたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、エンジェル税制につきましては、今年度より、個人投資家が、創業三年未満で一定の要件を満たすベンチャー企業に投資をした場合、投資額を総所得金額等から控除できる新たな所得控除制度が導入をされまして、エンジェル税制の使い勝手が大幅に向上いたしました。

 今年度のエンジェル税制の利用状況につきましては、既に四十三社のベンチャー企業がエンジェル税制利用のための確認手続を行ったところでございます。例年、確認の手続は確定申告の時期に本格化いたしますけれども、既に確認企業数といたしましては、これまでの実績、過去最高は三十社でございますけれども、これを上回っております。

 また、エンジェル税制の対象となるベンチャー企業に投資を行う個人投資家向けのファンドを立ち上げる、こうした動きも出てきております。

 経済産業省といたしましては、今御指摘のとおり、全国各地で説明会等を開催いたしまして、ベンチャー企業や投資家、税理士等にパンフレットを配布するなどいたしまして制度の普及拡大に努めますとともに、ベンチャー投資の情報交換や共同投資を行います投資家グループの拡大にも取り組んでおります。

 今後とも、御指摘のとおり、新しい技術やビジネスモデルを有するベンチャー企業の創出、育成を促進するために、ベンチャー税制の普及拡大とベンチャー投資の促進に向けた環境整備を進めてまいりたい、このように考えております。

土井(真)委員 ありがとうございます。

 今、具体的に、現時点での利用の事前確認が四十三社ということでお話をいただきましたが、現実に日本で新しく企業を起こす会社というのは、もっとけたが何けたも違う多くの会社が新たに立ち上がっているわけでございまして、この利用件数、過去に比較すれば確かに随分またふえている、これからまた確定申告に向けてふえると思いますけれども、やはり全体としてはもう一けた、二けた多い会社、企業が利用できるように、広報活動というんですか、あとまた使い勝手の改正もあるかもしれませんけれども、多くの方に知っていただいて、利用いただけるようにしていただきたいというふうに思います。

 知らない方がまだかなり多くおります。税理士の先生たちも知らない方がたくさんいらっしゃいますので、やはり知らないと利用もされません。また、利用すれば新規事業をどんどんやりたいという意欲ある方も出てくると思いますので、そういう広報活動に一生懸命取り組んで、利用していただけるようにしていただきたいというふうに思います。もっともっとこの税制を大きくしていきたいというふうに思っております。

 次は、新規事業じゃなくて、もう一つ前向きな話として、研究開発投資の方についてお伺いしたいというふうに思います。

 先ほど申し上げた、非常に不況期というか、経済的には停滞している、後ろ向きな話が多いとき、こういうときこそ、前向きな研究開発投資を維持して、そしてまた企業の競争力を高めていかなきゃいけないというふうに思います。

 ところが、きょうお手元に資料をお配りさせていただいたんですけれども、昨今、研究開発投資だけではなくて、効率ですね、効果を含めた効率が非常に日本の場合低下しているという数字が出ております。一枚目の資料を見ていただきますと、これはちょっと白黒で恐縮なんですけれども、三角の線が日本です。左のグラフでいうと、一番高いのがイギリスですけれども、日本が一番下になってきている。

 あと、技術連携自体も、右の表のように、アメリカに比べて日本はもう半分以下ということでございます。

 このように、非常に研究開発の効率が落ちている。せっかくいろいろな研究開発投資をしているのに、それが効果が得られていないという状況がございます。

 こういう状況を克服していくためには、技術連携、すなわち共同開発やオープンイノベーションにふさわしい共同研究開発制度、組織を早急に整備していく必要があるのではないかというふうに思いますが、経産省の方としてどのようにお考えになるか、お聞かせいただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、我が国の産業競争力を強化するためには、苦しい中でも研究開発を続け、かつその成果を早期に実用化するということが非常に重要と考えております。そのためには、委員御指摘のとおり、企業同士で協調できるところは協調いたしまして、効率のよい研究開発を促進することが極めて重要だと考えております。

 現在、企業が共同で研究開発を行うための仕組みといたしましては鉱工業技術研究組合制度がございますけれども、実は、そこで得られました研究開発の成果、それを早期に実用化するという仕組みも私ども必要と考えておりまして、現在、その仕組みについて鋭意検討を進めさせていただいているところでございます。

土井(真)委員 なかなか、企業というのは自分のところの研究成果を他に出したがらない、あるいは他と共同したがらないというのが本能的な体質だと思いますけれども、とはいえ、やはり全体として、連携することによって効果がより得られるということがわかれば、一般の企業もどんどんそういう取り組みをして、より大きな成果を効率よく得られるという研究開発ができるのではないかというふうに思いますので、そういう制度、組織をなるべく充実させていただけると効率が上がるというふうに思います。

 それでは次に、同じく研究開発投資でございます。

 我が国はどうしても、科学技術創造立国ということで、資源もない、あるいは国土も狭いという中で、科学技術に非常に力を入れて政策を行ってきているわけでございますけれども、そういう制約の中で我が国が経済成長を果たしていくためには、今現在は、日本の環境技術とかあるいは省エネ技術というものが他国に、世界に比較して非常に進んでいる、その技術を最大限利用して、今環境問題等言われております、低炭素社会を実現することなど、社会における実用化を見据えた研究開発を進めることによって、イノベーションの創出、新たな付加価値の創出を加速することが必要であるというふうに考えております。

 経済産業省の、イノベーション創出に関する、今言った環境技術、省エネの技術を含めて、どのように認識されているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

鈴木政府参考人 委員御指摘のとおり、イノベーションにつきましては、我が国にとって大変重要なことと考えております。

 現在、我が国経済は、資源価格の乱高下や新興国、資源国の台頭による世界経済の多極化などの構造的な課題に直面しております。これを克服いたしまして、将来にわたり発展していくためには、世界に誇る技術力を最大限に生かしまして、資源生産性競争時代における新たな経済産業構造を構築していかなければならないと考えております。

 このため、一昨年六月に、二階経済産業大臣のもとで私ども新経済成長戦略を定めましたけれども、これを本年九月に改定いたしまして、新たな成長を実現するために強化、加速する施策を取りまとめたところでございます。

 今後、この戦略に基づきまして、革新的太陽光発電や蓄電池など、低炭素社会の実現に向けた省エネ、新エネに関する技術開発を推進いたしますとともに、イノベーション創造機構を創設するなど、イノベーションの一層の加速に向けて鋭意取り組んでまいりたいと考えております。

土井(真)委員 今、前向きな取り組みをされているということでございますので、少しここのところを深めて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 環境とかエネルギー分野の技術開発競争が、今世界じゅうで繰り広げられているわけでございます。今回新たにアメリカで誕生しましたオバマ次期大統領のいろいろな政策を見ましても、投資インセンティブ、税制だけでも、もう既に大きく打ち出しているのが、再生化のエネルギーのための減税措置であるとか国内の研究開発投資に係る税制であるとかあるいは先端技術を使った自動車のための税制措置であるとか、多くのそういう投資インセンティブを新しい大統領も打ち出そうというふうにしております。当然、アメリカでの競争も激しくなり、我々日本も同じような技術開発の競争に巻き込まれていくわけでございます。

 そんな中で、順番にちょっとお伺いしますが、その環境エネルギー分野の中でまず、今ちょっとお話がございました新エネルギーの技術開発、これも大変重要であるというふうに思っております。この新エネルギーの技術開発について、具体的にどのような取り組みをされているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の新エネルギーの技術開発でございますけれども、これは、エネルギーセキュリティーの強化、それから地球温暖化対策といった観点のみならず、我が国の産業競争力の強化という観点からも非常に重要な課題であるというふうに認識しております。

 また、今御指摘ございました国際的な現状ということを考えてみましても、アメリカではオバマ次期大統領が、この十年間で千五百億ドルの投資を、例えばプラグインハイブリッド自動車の実用化の促進などに投入するという方針を既に打ち出されておりまして、我が国としても、これはしっかり取り組んでいかなければならない課題であるというふうに思っております。

 これまでも、新エネルギー関連の技術開発でございますけれども、本年度の補正予算において、省エネルギー、新エネルギーの技術開発促進対策として約九十八億円を計上させていただいたところでございますし、また、来年度の概算要求では約二百七十億円の要求をさせていただいているところでございます。

 例えば、これは内訳で申しますと、太陽光発電をいかに効率を上げて、そしてそのコストを汎用の電力料金並みに下げていくかといったようなことについて三十五億円、あるいは蓄電池の出力の安定化といったようなことに対して約八十八億円、バイオマスの技術開発について四十七億円などの取り組みをしているところでもございます。

 今後とも、積極的に、新エネルギー関連の技術開発の予算あるいは税制といった点に取り組んでまいりたいと思っております。

土井(真)委員 ぜひとも、この新エネルギーの技術開発、今言ったような方面にしっかりと取り組んで、特に我が国は資源がございません、油もなければ原子力のウラン等もありません。やはりそういう意味で、新しいエネルギーを開発するということは、我が国のエネルギーの安全保障上も非常に大きな意味を持ってくるというふうに思っておりますので、ぜひしっかりと後押しし、取り組んでいただきたいというふうに思います。

 あわせて、環境エネルギー技術についてなんですけれども、今、少し最後の方に触れられました。

 こういう省エネルギー等の推進のために、導入者側の支援策、今、税制等ありますね。導入者側に支援策を講じるということとあわせて、省エネ家電などの製品を製造する事業者に対してもいろいろな支援が必要であるというふうに考えますが、現在、そういう観点からの新しい税制も検討中であるというふうにお聞きしましたが、現状どのような内容であるのか、お聞かせ願えますでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども鈴木局長の方から御答弁をさせていただきましたけれども、我が国といたしましては、世界的な景気低迷や資源価格の乱高下等の構造的な課題に直面しておりますが、こうしたピンチをチャンスに変えて、新しい成長の道を切り開いていくために、本年九月十九日に新経済成長戦略の改訂版を閣議決定していただきました。

 この戦略に基づきまして、我が国の全体の資源生産性を向上させるために、二十一年度の税制改正におきまして、委員御指摘のとおり、省エネ家電製品等の製造設備投資に対する税制措置といたしまして、これを強力に後押しができる税制措置といたしまして、初年度即時償却制度の創設をただいま要望しているところでございます。

 省エネ・新エネ設備への投資減税につきましては、今般策定をされました生活対策においても言及されているところでございまして、本税制改正要望の実現に向けまして現在全力で取り組んでいるところでございます。

土井(真)委員 ぜひとも、こういう政策をなるべく多く、そして充実した形にしていただいて、より多くの企業が環境エネルギーの技術開発にどんどん研究開発投資をするように誘導していっていただきたいというふうに思います。

 そして、この環境エネルギー技術について具体的に何点か、少しその政策の中身についてお聞きいたします。

 特にこの新エネルギー、太陽光であるとか、あるいはバイオマスであるとか風力という新エネルギーです。これはもう当然のことながら、それぞれ環境に非常にプラス、いい技術であるということでございますので、これをさらに後押しし、そしてまた強力に推進していかなきゃいけないと思うのですけれども、その中の太陽光発電についてお伺いします。

 資料を二枚ほど用意したのですけれども、私も、数年前、日本は太陽光発電について、国も後押ししているし、非常に生産も多い、利用も多い、世界の各国と比較して先行しているという認識がございました。ところが、つい最近この資料をいただきまして、二枚目、三枚目になります、まず二枚目、これもちょっと色が白黒で見にくくて恐縮なんですけれども、太陽電池そのものの生産量、国別の比較のグラフを見ますと、日本がずっとトップを走ってきたのが、去年の数字を見ると、もう日本の伸びがちょっとマイナスになって、かわりにドイツと、特に中国がすごい勢いで伸びてきております。ひょっとしたら、ことしはもう生産量で抜かれるんじゃないかというぐらいのグラフの勢いでございます。

 生産だけじゃなくて、また導入量も、次の三枚目の資料を見ていただきますと、これは日本が三角でドイツが四角。一番上のラインが世界全体ですので、国別の比較だとその下になるのですけれども、どうもドイツに我が国は二〇〇五年に逆転されて、ドイツの次になる。これは導入量ですね、太陽光発電の累積導入量。

 このように、導入自体はもう既に追い抜かれ、そしてまた生産量ももうすぐ追い抜かれそうになっているということでございます。こういうのを見ると、やはり他国に比較してまだ日本は、この太陽光発電、最初はよかったのですけれども、その後の政策的な後押しがちょっとおくれているんじゃないかというふうに思います。

 そこで、こういう太陽光発電の生産シェアが今低下しつつある状況、こういう状況を踏まえて、特に新エネルギーの中でも太陽光発電というのは非常に可能性がある、将来に向けて可能性があるし、力を入れていかなきゃいけないという新エネルギーだと私は思うのですけれども、この太陽光発電について、今まで以上の振興を図る、そういう取り組み、どのような取り組みを今行っているのかを含めてお聞かせいただけますでしょうか。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の太陽光発電の導入、生産に向けての現状でございますけれども、確かに、一九九九年度に世界第一位となって、世界トップを維持しておるわけでありますけれども、この背景として、これまで長年にわたる国の支援を通じた技術開発への取り組みを背景としまして、非常に産業としての競争力が高い、強いというものがございます。そして、関連産業のすそ野も広い、地域の経済、雇用も支えている、そういう意味では将来の我が国の産業の一翼を担うものである、そのように基本的に認識をしております。

 去る十一月の十一日でございますけれども、二階大臣の御指示に基づきまして、太陽光発電の導入拡大のためのアクションプランを、これは関係省と連携をいたしまして取りまとめたところでございますけれども、その中でも、今後の太陽光発電の産業戦略について、これの策定を行うということが位置づけられているところでもございます。したがいまして、このように、技術開発あるいは競争力の強化といった観点から、省内の関係セクションと共同いたしまして研究会を立ち上げまして、今後の戦略も含めて集中的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

土井(真)委員 ぜひとも、この太陽光発電、今お話しいただいたような取り組みをしっかりとしていただいて、やはり太陽光発電は日本が最もすぐれているし、進んでいるし、そしてまた普及も進んでいるという状況に持っていっていただきたいというふうに思います。

 そして、新エネルギー、今太陽光発電の話をしましたけれども、太陽光発電以外にも、風力発電とかいろいろ省エネ技術を普及させていくときに、私も実感するのですけれども、すべてその技術のときに、ボトルネックというのですか、開発が一番重要視されるのが、いわゆる電池、蓄電池が非常に重要になってくる。

 携帯電話、私も十何年前に携帯を持ったときは、本当に大きかった。大きな携帯電話。今は本当に薄型で、ポケットに入れるようになった。たった十年ぐらいでそのような技術開発が進んだんですけれども、それは、当時聞いたとき、何が大きいかと聞いたら、電池の部分が一番大きかったわけなんですね。ですから、電池の部分がよりコンパクトに開発が進めば全体も小さくなるということを携帯電話のとき聞きました。

 今、特に、それ以外を含めて、パソコンもそうですけれども、自動車の産業の方でも聞きますと、いわゆるハイブリッドの車とか、あるいはその後に来るだろう電気自動車の話をいろいろ聞きましても、何が一番ネックかというとやはり電池、蓄電池をいかにコンパクトにし、そしてまた容量も大きくしていくか、安全なものをつくっていくかということが非常に重要である、また難しいということをお聞きしました。

 では、蓄電池について、日本が今どういう技術開発の状況にあるかということをちょっとお聞きしたところ、四枚目の資料、蓄電池の技術競争ということで、各国の取り組みの資料をきょうはお手元にお配りさせていただいたんですけれども、やはりこれも太陽光と同じですね、日本がかつてトップを走っていたのが、随分シェアを他国に奪われてしまっている。

 このシェアランキングでも、二〇〇〇年と二〇〇五年を比較しても、当時、二〇〇〇年は一位から六位まで独占していましたね、日本が。ところが、二〇〇五年になると、上位二位とか四位は日本ですけれども、それ以外に韓国とか中国が台頭してきて、非常にシェアは奪われている。

 あわせて、右の方に、技術開発の取り組みも、もうほとんど国家プロジェクトというような形で、国を挙げてそれぞれ、プロジェクトを組んで蓄電池の技術開発競争に取り組んでいるという状況がございます。

 各国は国家プロジェクトでございますけれども、我が国としてこの蓄電池の技術開発についてどのような取り組みを行っているのか、最後にお聞かせいただけますでしょうか。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の蓄電池でございますけれども、これは、携帯電話を初めとする個人携帯の電子・電気機器のみならず、太陽光発電の出力を安定させる、あるいは電気自動車の普及ということでの動力源として非常に重要な課題であるというふうに考えております。

 特に、容量を高めたり、あるいはコストを下げる、それから安全性を高める等、こういった観点からの課題を解決するために、来年度の概算要求におきまして、革新型蓄電池先端科学基礎研究事業として三十億円、次世代の蓄電システム実用化戦略的技術開発事業として約五十八億円を要求しておるところでもございます。

 そして特に、高性能それから低コストな革新型蓄電池を実現しまして、例えば電気自動車につきましては、航続距離を五百キロメートルに延ばす、コストも約四十分の一を目指すといったような目標を掲げまして、来年度から約七年間ということでの革新型蓄電池先端科学基礎研究事業ということを打ち出して、こういう技術開発に積極的に取り組んでいくというふうなことで今臨んでおるところでもございます。

 日本の蓄電池技術は世界の中でも競争優位を有しておりますので、今後とも、この技術を高めていくということで積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

土井(真)委員 この蓄電池、本当に汎用性があるというか、今言った太陽光だけじゃない、携帯もパソコンもあるいは自動車もすべてこの蓄電池によって技術開発が促進されるわけでございますので、ぜひとも、今言った取り組みをより深めて、あるいはより広げて行って、技術開発競争に我が国が負けないように政策を進めていっていただけることをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて土井真樹君の質疑は終了いたしました。

 次に、岡部英明君。

岡部委員 おはようございます。自由民主党の岡部英明でございます。

 本日は、質問する機会をいただき、本当にありがとうございます。

 まず初めに、緊急保証について幾つか御質問させていただきたいと思います。

 今回のアメリカのサブプライムローンに端を発しました世界金融恐慌ですけれども、ヨーロッパそして世界各地に飛び火し、大変深刻化をきわめているところでございます。また、その影響で、比較的安定していると言われていた日本の国内金融市場でも資金の逼迫化が高まり、企業のコマーシャルペーパーの金利が上がるなど、次第に不安定さを増しております。昨日も日銀より、企業資金繰り支援を発表されたところでございます。

 さらに、実体経済の落ち込みはひどく、アメリカでも、景気後退に昨年の十二月から入ったと正式に昨日発表されました。多分、日本もそのころが山でなかったのかなと思っております。アメリカの景気後退、既に一年がたち、前回の景気後退局面を超えた、そしてこれは、戦後最長の一年四カ月を超すおそれがあると言われております。

 日本でも不景気は大変深刻でございます。十一月の新車販売台数、前年同月比で二七%のダウン。また、軒並み消費が落ち込んでおります。また、あらゆる指標が大変ひどい状態になってきております。

 私の地元は、茨城県の日立市というところでございます。電機産業を中心とした製造業の町でございます。多くの中小企業、私も以前、中小企業の経営に携わっておりましたので、多くの仲間がいるわけでございます。そこの経営者の方々のお話を地元に帰って聞きますと、十一月まではまだ仕事があったが、十二月以降全然見通しが立っていないと。また、自動車部品関連の会社などでは発注がストップし、十二月になると仕事がゼロである、そんなお話も聞くわけでございます。

 そういう中で、中小零細企業に対する資金繰り対策として、三十兆円の緊急保証、セーフティーネット貸し付けの強化を実施したわけです。始まって一カ月がたって、かなりの申請数と貸出額、承諾数になっており、すばらしい経過ではないか、成果を上げているのではないかと感じております。

 もう一方、地元に帰って、地元の経営者の皆さん、また金融機関の担当支店長さんのお話を聞きますと、業種など新たに拡充された部分は大変結構なことだ、よかったと評価しておるわけでございます。もう一方で、信用保証協会の審査について、今までのセーフティーネットと比べて余り変わらないなと、実感として前進しているというようなイメージではとらえていないような気がいたしました。

 申請数と承諾数、もちろんこれは乖離があるわけですが、茨城県の県北地区では十一月の実績で、保証申込数が四百二十五件、承諾件数が二百九十六件、申込金額が約七十二億円、承諾された保証金額が三十四億円でございます。承諾された割合は、現在のところ、契約ベースで七割、金額ベースで五割であります。言いかえれば、いまだに承諾されていない割合というのが件数ベースで三割、金額ベースで五割でもあります。

 もちろん、この数字の中にはまだ審査中のものも含まれているわけですので、当然この数字は上がってくるかとは思うんですが、今述べたような承諾されていない申請の割合を含めて、緊急保証の現状の評価についてお伺いしたいと思います。

 また、承諾されない割合というのは今後どのぐらいになるだろうと予想しているのか、数値があればお示し願いたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 政府・与党で決定いたしました対策に基づきまして、国会で補正予算、今お話がございました保証の関係では四千億円をお決めいただきました。そして、この貴重な財政資金をフルに活用するということで、十月一日からセーフティーネット貸し付け、そして三十一日から緊急保証制度、今御指摘ございましたものを開始させていただいております。

 お尋ねの実績ということでございますけれども、速報ベースということで御勘弁いただきたいわけでございますが、昨日終了した時点で、全国での数字になりますけれども、承諾件数で四万三百五十九件、保証承諾、総額にいたしまして九千九百七十七億三千八百万円ということでございます。

 先生からお話ございました、必ずしも申請をされたものがそのまま承諾されていないケースがあるじゃないか、こういうようなお話でございます。これはやはり、この予算をいただきましたときにも、基本的には、中小企業の皆さんの資金繰りをお助けし、そして中小企業の方もそれを使って経営努力をしていただいて、何とかこの難局を皆さんと国が一体となって、そして自治体も一体となって乗り越えようということでございますので、おのずとそこは、御申請いただいたもの全件が自動的に認められるというものではないということも御理解いただいていると思います。

 私ども、そういうことで、しかし、そうはいっても、極力多くの方に御利用いただくということで、先ほど申し上げました繰り返しで恐縮でございますけれども、財政資金、この大変財政が厳しい中で、四千億円という大きい額をいただいておりますので、国家としてそういう投入をしているという意思を十分理解をした、その趣旨を踏まえた審査をしてほしいということを、これは私というよりも、むしろ二階経済産業大臣が直接保証協会の幹部にその分お願いをし、訓示をしているところでございます。

 実は、十月二十二日、この制度が始まります前に全国の保証協会のトップにお集まりいただきましたし、昨日も、中小・小規模企業者にとっては年末を控えた大変大事な時期でございますので、改めて運用が始まったというような状況の中で、その旨再度徹底をしていただきました。

 同時に、自治体の現場では窓口が混雑しているとか、それから保証協会や金融機関が消極的な態度をとることがあるというようなお話も私どもの耳に入っておりますので、その辺は、この趣旨が徹底いたしますように、少しでも窓口の緩和をするということで、商工会議所、商工会、こういった方々の御協力を得まして、市区町村の方々と職員の方々と、超勤あるいは休日も返上でお願いをしております。

 それからあと、これを御利用いただくためには、やはり何といってもまだまだ知っていただく努力が必要だと思いますので、テレビ、新聞、チラシ、こういったものを総動員しまして、また、大臣、両副大臣、両政務官にはお忙しい中全国に飛んでいただきまして、それぞれ中小企業の方と、あるいは各経済産業局、あるいはそういった実務に携わっている者を直接励まし、また同時に趣旨を改めて徹底し、そして中小企業の方にお役に立つようにということをお願いさせていただいております。

 長くなりまして申しわけございませんでした。

岡部委員 ありがとうございます。

 二階大臣を初め皆さんが大変御努力されている、大変評価しているところでございます。

 しかし、もう一方で、先ほど言ったような、保証を承諾されなかった企業というのは、一般金融機関でもかなり条件が厳しく、融資を受けられない可能性というのは高いわけでございます。そういう企業が倒産する確率というのは、非常に高まってくるんだろうと思っております。

 そういうときに思い出しますのが、平成十年度、小渕内閣のときに実施されました特別信用保証であります。市町村の認定とネガティブリストに当たらないものは原則的に保証をするという、私も当時は中小企業におりましたので、画期的でびっくりしたというのが感想でございました。しかしながら、中小企業にとっては大変厳しい状況であったので、政府に、国に助けられたなという、本当にそういう感じを持っていたのではないかと思います。

 いろいろ評価はあるかと思うんですが、中小企業庁の方の特別保証の成果と評価について簡潔によろしくお願いします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 お話の件でございますが、平成十年十月から十三年三月までの実施期間の間に、約二十九兆円の保証実績を上げました。そして、直接的には、約一万社の倒産を防止し、十万人の雇用維持に効果があったというような評価をしております。

 これは直接的でございますので、もちろん直接的な倒産を防げば連鎖倒産も防げたはずでございますし、倒産というのは、金銭的にいろいろ大変だという面のみならず、事業者及び従業者の御家族も含めまして、いろいろなむしろ金銭的なものではない苦しみ、そういったものもありますので、そこが防げたということで、政府としては大変役割を果たせたと思っておりますけれども、ただ同時に、この制度を運用した過程でいろいろな問題も指摘されました。

 一つは、保証を政府がつけるために、金融機関がみずからのリスクを政府につけかえた。ちょっと言葉はどぎついんですが、旧債振りかえと言っていますが、そういったようなことをやった金融機関もございましたし、また、とにかくその趣旨にかんがみというような雰囲気もあったせいかもしれませんけれども、実は中小企業者に成りかわって、あるいは成り済まして、それで保証をしてもらって、その分金銭を引き出したという大変許しがたい例もあったわけでございます。

 そういったようなことを踏まえまして、そういった正の効果が少しでも負の効果を最小限にしてできるようにということで、私ども、制度の工夫をしなければいけないということで今日に至っているわけでございます。

岡部委員 ありがとうございます。

 一万件の倒産を防いだと。何か、もっと成果があったように私は感じているところでございます。そういう中で、リスクをあのときには大きな決断を持って政府がとったということでございます。

 この状況下で、我々政治家が金融機関に貸し渋りをするなと言っても、なかなか金融機関にとって、この経済環境では大きなリスクをとれない、貸し付けに慎重になるのはある意味やむを得ないことなのかもしれません。もしかすると、信用保証協会でさえ、状況が厳しくなってくると、そのリスクをとることをちゅうちょするかもしれないと思っております。特別保証のときには政府が大きなリスクをとったわけです。今回も、リスクを肩がわりしリスクをとれるのは、状況が厳しくなればなるほど政府の責任でありましょうし、政府しかできないことなんだろうと思います。

 そういうことで、ぜひ、経済産業省、特に中小企業庁さんに望むのは、中小企業の味方として、資金繰りで倒産することなくできるだけ多くの中小企業がこの不況を乗り越えられるよう、また制度の運用や改善に細心の注意を払っていただきたいと思うわけです。そのために、中小企業庁として、運用、審査内容、審査状況のヒアリング、また個別の事例の洗い出しに少しでも小まめに動いていただき、運用や審査に課題がないか調査していただきたいと思います。

 現在も取り組んでいることは承知しておりますが、今後も含めてどのように取り組むのか、お聞きしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業、小規模企業の金融につきましては、やはり計数的なものだけで物を見るということは絶対あってはならないことでございます。そういう意味で、金融庁とも連携をいたしておりまして、私ども、特に信用保証に限って申し上げますと、先ほど申し上げました大臣からの訓示要請もありますが、あわせまして、十月二十九日に私の職から信用保証協会のトップに対しまして、中小企業の実態、中小企業の経営者の経営姿勢、そういったものをよく見た具体的な例示を入れました。こういったような例をぜひ前向きに拾い出してほしいということを要請いたしました。

 また、先ほど申し上げましたように、どうしても審査ということが不可欠でございますので、承諾をする方と、あるいは申し込みをした方とどうしてもいろいろ言い分がございます。そういう意味で、中小業者あるいは小規模企業者の皆さんのそういう声を直接、なるべく重く聴取といいますか私ども把握いたしまして、運用の改善にしむけるという努力は怠りなくしていきたいというふうに思っております。

岡部委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと話は細かい話になるんですが、実は地元を回ったときに金融機関の担当者の方からお聞きしましたのが、承諾されない中に比較的、リスケ、いわゆる貸し出しの金融緩和を以前行った、そういう経歴がある企業についてはかなり厳しいようであると。当然、今の経営状況、返済状況が悪ければ、将来についても大変リスクがあるわけでございます。

 しかし、もう一方で、それほどひどくない条件緩和、例えば月々五十万返していたところを期間を延長して月々三十万円ぐらいにした、そういう中でも、それが原因かどうかわからないんですが、そういう中で貸し出しが承諾されなかったというようなお話を幾つか聞きますと、やはりそういう経歴を持っている企業については大変厳しいということがございました。

 その点について、それが条件ではないと思うんですが、そういうことが審査条件の中、基準に入っているのかどうか、ちょっと確認したいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 過去にリスケがあったかなかったかということは、もちろん事実として我々は把握しなければいけないと思っております。しかし同時に、一番大事なことは、今この時点において経営の改善努力が大変真摯なものであるか、そしてまた見通しが立つか、それぞれの経営者の方々がおつくりになる改善計画が単にペーパーの上のものだけではないかということが大事でございます。そういう意味では、過去にリスケがあったかどうかというのは、だからだめだとか、だからいいとかというように一刀両断的にはしていないつもりでございます。

 ただ、ここに至ります過程で、金融庁の検査の扱いにおいていわゆる条件変更、リスケもその中に入るわけでございますけれども、そういったようなものがありました場合には、一般論ですけれども要管理債権になりやすい、こういうような扱いがあったことも事実でございます。そういう意味では、これまでは要素として、金融庁の検査ですから、それはやはりしかるべくその考慮はされる。

 これにつきまして私どもからもいろいろお願いをし、金融庁御自身もその辺の状況を把握されまして、十一月七日に、中小企業の方、小規模企業の方に限りましては、再建のプランというものにつきまして、再建の期間を延長し、そして、少しでもその方向に向かって歩んでいるということがはっきり確認された場合にはさらにその期間を延長して、そういうような場合には要管理債権にしなくてよろしいということを金融庁の方から全国の金融機関に徹底をしていただき始めておりますので、そういう意味では、今御指摘されたような懸念というのは少しでも早く解消されなければいけないというふうに期待をしているところでございます。

岡部委員 ぜひ、周知の徹底をよろしくお願いします。この保証につきまして風聞で伝わりますと、そういう企業だと大変後ろ向きになってしまう。申し込みさえしないというような状況がないように、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 最後に、大臣の方にお伺いしたいと思います。

 保証協会が現場で積極的に保証できるよう運用面で万全を期すことが重要だと思っています。もちろん、今大臣がリーダーシップをとって頑張っていらっしゃると伺っております。ぜひ、大臣に御見解をお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 先ほど来、岡部議員が企業の経営者としての御経験に基づいて御地元の状況等についてお述べになりましたが、私どもも、北海道から九州、沖縄に至るまで目をみはって、この私どもの緊急融資にかける熱意が末端まで届くようにということで何回も何回もいろいろな試みをやらせていただいております。

 まず、出先の経済産業省がその気にならなくてはなりませんから、出先の局長を呼んで、普通のときの局長会議とは異なり六時間もかけていろいろなケースについて徹底的に議論をして、だれもが中小企業庁長官に成りかわって地元の皆さんと対応できるように、同時に、地元の地方公共団体及び金融機関との対応等についても万全の対応を図っておくようにということなどをやってみました。

 そして、私ども、副大臣、政務官、私も含めて全国十カ所にみずから出張して、関係者にお集まりを願って、その場で意見交換等をやり、いろいろな地元の事業者の皆さんとの間に認識に大きな開きがないかということを調査したり、やってみました。

 また昨日は、信用保証協会の各代表の皆さんに全国からお集まりをいただきまして、私から改めて、今日の状況、しかも年末を控えて、窓口の増員体制、そして金融の問題で、この年末をいかに越すかということでみんなが心配をして駆けつけてこられるわけですから、その皆さんに対する対応についても、やはり言葉遣い一つ、第一線の窓口の皆さんには中小企業者、小規模事業者の借り手の立場に立って親切な対応を十分してもらいたいなどということも申し上げました。

 きょう、私はお昼の時間を活用させていただいて、金融担当大臣とともに、金融機関の代表者にお集まりを願ってこの年末金融の協力を要請するところでありますが、このせっかくの制度を効果的に運用するために、しかも地域の実情にこたえて対応できるようにしたいと思っております。

 幾つかの例の中には、もう倒産寸前というときに政府系のそういう配慮によって自分は再起することができて、今、隆々と事業を営むことができるようになったと。こういううれしいお話もたまにはお聞かせ願うんです。私は、今度のことで、全国でこんな話が幾つか出てくるようにみんなで頑張ろうではないかということを申し上げております。具体的な点でお気づきの点がございましたら遠慮なくおっしゃっていただいて、私どもはまさに昼夜兼行の決意でやっております。

 この間も、私、中小企業庁の仕事を実際している方々のところへちょっと様子を拝見しに伺ったのですが、昼間は電話が鳴りっ放しで仕事にならないそうです。ですから、仕事は夜しかできませんと。そういうお話をされておりましたが、本庁の方も頑張っておりますが、出先の方は土曜も日曜も返上してやっております。これは、きのう、融資を直接担当していただいている窓口の皆さんの御苦労を伺いながら、これ以上厳しいことを申し上げるのはいかがかと、控えなくてはならないと思うほどみんなが一生懸命やっております。

 それでも、効果が上がらなければ何にもならぬわけでありますから、私ども、関係者と連携をとって、懸命の努力をここに誓うものであります。どうぞ、先生方の御協力、与野党通じて御協力をいただきますように、これまた切にお願いを申し上げる次第であります。

岡部委員 大臣、ありがとうございます。

 本当に中小企業は大変厳しい状況でございます。大臣を初め、関係各位の御尽力をよろしくお願いします。

 時間がなくなってきたのですが、太陽光についてちょっとお伺いしたいと思います。

 太陽光、先ほどお話もございましたが、国としても、環境、また低炭素社会の実現のためにこれは普及を促進していかなくてはならないんだろうと思っています。しかしながら、数年前、補助事業が一たん中止いたしました。そして今回、復活したわけでございます。その間の経緯を、経産省自体の方針が揺らいだわけではないと思うんですが、どのような方針を持っているのか、お示しいただきたいと思います。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の太陽光発電の補助金でございますが、これは住宅用でございますけれども、平成六年度から平成十七年度まで十二年間にわたりまして助成を行ってまいりました。

 この助成事業の導入を行いました当時は、太陽光発電のシステム価格が下がるということを目的といたしておりまして、助成開始前年の平成五年度当時は一軒当たりの導入費用が平均大体千三百万円かかっておりましたけれども、これが平成十七年度には約五分の一の二百三十万円に低下をしたということでございました。こうした状況のもと、十二年間にもわたりましたものですので、導入量は全体として約六十倍に増加をしておったということから、助成事業の創設当初の目的は達したものと考えまして、平成十七年度で終了をいたしたものでございます。

 ただ、その後、太陽光発電につきまして、エネルギー源の多様化、地球温暖化対策の観点ということで、本年七月に低炭素社会づくり行動計画が閣議決定されまして、二〇二〇年に十倍、二〇三〇年に四十倍という高い目標が掲げられたということなども踏まえまして、今般のいろいろな助成策についての抜本的な見直しも図りまして具体化を進めておる、そういうことでございます。

岡部委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 その中で、太陽光の発電コストというものは、いわゆる火力発電と比べて実際には非常に高いわけでございます。例えば、ドイツ並みに買い取り価格を三倍にするとかいろいろ施策をとったときに、最終的には国にとってコスト高になってくるという要因もあるわけでございます。その中で、国として平成十四年度にRPS法を制定したわけでございます。

 この低炭素社会の実現、環境に対する配慮、その辺について役所の方によろしくお願いいたします。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の新エネルギーの導入について、現在、電気事業者による新エネルギー等利用促進法がございます。いわゆるRPS法と言っておりますけれども、このもとで新エネルギーの導入について一定の方向性というものを打ち出しておるところでございます。

 今後、長期エネルギー需給見通しの最大導入ケースといったような水準、そして野心的な導入ということを考えてまいりますと、どうしてもこのRPS法の利用目標量を設定していくことは非常に重要な課題であるというふうに考えております。

 そういうことでございますので、現在、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会でRPS法の今後のあり方について検討中でございます。今の委員の御指摘も踏まえまして、RPS法の運用にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

岡部委員 レアメタルのリサイクルについてお伺いしたかったんですが、時間が来てしまいましたので、次回に回させていただきたいと思います。松村大臣政務官には大変申しわけございませんでした。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて岡部英明君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤井勇治君。

藤井(勇)委員 自民党の藤井勇治でございます。何点か質問いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 十二月に入りまして、ことしも残り一カ月を切ってまいりました。振り返りますと、この一年間は、原油価格の未曾有の高騰から始まりまして、米国のリーマン・ショック、それに続く欧米各国の金融の危機、そして株価の急落、まさに世界経済が激変した年であったと思います。そして、その影響は金融のみならず実体経済にまで及びまして、生産の縮小や雇用の悪化、また消費の縮小と、負の連鎖反応が出ました。そして、日本経済は後退色が強まったと言えるのではないかと思います。特に我が国においては、地域の中小零細企業に大きな波となって押し寄せてきているというふうに思います。

 そこで、本日は、このような難局について、政府、中小企業庁はどのような対策をとっていくのかということについて質問したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 今、地方では、公共事業の削減、そして建設業の不振、農業の低迷、都市部との格差が拡大するなど、特に厳しい不況の真っただ中にあります。地方の中小零細企業の方々が経営に苦しみ、そして、住民の皆さんが日々暮らしの中で不安を抱えている。それにしっかりとこたえる、手助けができる体制にあるかというと、必ずしもそうではないというふうに思います。

 今、市町村の大合併、平成の大合併が進んでいるわけでございますが、この十年近くでちょうど市町村の数が半分になりました。平成十一年には市町村三千二百三十二あったとのことでございます。その後の合併法におきまして合併が進んでおりまして、この合併法が切れる平成二十二年三月には、見込みでは千七百七十三くらいになると言われております。おおよそこの十年で半分の市町村になったわけであります。

 こうした中で、特に旧町村部においては高齢化のスピードが物すごい勢いで進んでおりまして、六十五歳以上の高齢者が集落の人口の半分を超える、いわゆる限界集落が増加いたしまして、著しく疲弊をいたしております。合併した新しい市も、決して予算がふえたわけではありません。厳しい財政の中で大きくなった市の隅々まできめ細かな行政サービスができているかというと、これもまた不足しているという事態も発生しております。

 これは中小零細企業に対しても同じでございまして、今まで身近にあった役所がなくなって、非常に遠い市役所まで行けないという、負担もふえてきたという声も聞こえてくるわけでございます。

 そこで、経済産業省では、ことしから全国に三百十六カ所の地域力連携拠点という、中小零細企業をワンストップで経営支援する地域の中核となる支援拠点を整備したということでございますが、私はこうした取り組みも実は大変大事な政策だと思います。

 先ほど話しましたように市町村の合併が進んでまいりまして、自治体も半分となりまして、地域を支える体制が非常に脆弱化しているという事態になりました。商工会や商工会議所といった、今も地域の市町村に非常に根づきまして中小企業の身近でしっかり活動をしている団体に、引き続き地域の中小零細企業の支援をしっかりしてもらう体制を守っていくということも大変重要な政策だと思います。

 もちろん、商工会や商工会議所も合併によってその数は相当減ってきているようでございます。それでも、現在、全国に商工会は千九百三、また商工会議所は五百十六あるそうでございまして、全国で二千四百の商工団体が存在しているわけであります。こうした団体が引き続いてしっかり地域に根差して活発に活動して、地方が元気になり活力を出すために中小零細企業を支援していくよう国の中小企業政策としてぜひしっかりとサポートをしていく必要があると思っています。

 一方、地方分権改革委員会では、商工会議所と商工会の合併を進めるべきではないかという議論がなされているようでございます。地域に根差した中小企業をしっかり支援していくためには、余り無理やりに合併を進めないでほしいという声が私どものところにも届いております。

 そこで経済産業省にお聞きしたいのは、私が先ほど申し上げました中小零細企業や地方の将来を担う地域の産業創出、例えば地域の伝統や技術を生かした、地域の風味といいますか地域の味を生かした商品づくりをしっかりサポートして、地域の活力を維持して高めていくためには、商工会と商工会議所の合併を無理して進めるべきではないというふうに思うのでございます。

 これらのことについて、大臣のお考えをぜひとも聞かせていただきたいと思います。

二階国務大臣 地域の経済を担っていただいております商工会議所や商工会の活動というものは極めて重要だということを認識し、同時に、私ども、一緒に行政をやらせていただいておる、また御協力をいただいておる、今日の金融問題等につきましても、商工会議所や商工会の役割というものは大変大きいと思っております。

 したがって、ただいま藤井議員からの御質問でありますが、私は基本的には藤井議員と考えを同じくするものであります。

 地方分権改革推進委員会のみならず、いろいろな委員会からいろいろの御提言がなされます。これは依頼をし、お願いをして御審議いただいているわけですから、その審議の結果については傾聴し、また実行できるものは実行していかなきゃいけないというのは当然のことでありますが、しかし、やはり国民の皆さんに一番責任を持っているのはこの議会であります。やはり議会の御判断というものは極めて重要だと思います。

 ただいま藤井議員から御指摘の点を十分念頭に入れながら対応してまいりたいと思っておりますが、私は商工会議所と商工会、それぞれの団体が担っている責任の分野がやや異なるように思います。それでは、仮に合併をした場合に、商工会議所が吸収したとしますと、今まで商工会が分担しておったような団体、集落に及ぶ末端のきめの細かい商工事業の相談相手になり、あるいは金融問題について、今日の政府がやらんとしておることに対して周知徹底のお手伝いをしていただくというようなことを期待できるかどうかということを考えても、合併すれば何でもいいというふうな問題ではないわけでありまして、今、商工会の役割というものは、小さくなっていっている地域の町村部の、そうした村落のようなところで大変熱心な中小企業の経営支援を行っていただいておると同時に、地域おこしあるいは防犯、防災さらに福祉といった、いわゆる人と人とのつながりを大切にしながら地域の暮らしを支えていただいているこの役割というものを私は大きく評価をすべきだというふうに考えております。

 したがって、商工会議所、商工会の担っている役割を十分勘案した上で、検討を重ねて、合併すれば合理化が成るというふうな程度のことで、そう簡単に判断をすべきではない。先般、私も商工会の全国大会へ参りまして、そのような趣旨でごあいさつを申し上げてまいりました。少なくとも、私がこのお役を担当している間は慎重に対応したいと思っております。

藤井(勇)委員 大臣、ありがとうございます。

 商工会、商工会議所、それぞれ経過もあります。誕生した形も違いまして、地域の活性化のために担っていただいておりますので、それぞれが個性のある運営をしていくということで、これからもぜひ商工会活動に御理解いただいて、無理やりな合併がないようにお願いをいたします。

 続きまして、農商工連携について一点お尋ねをいたします。

 申し上げましたように、地方経済を支えているのは文字どおり中小企業でございますが、一方、地方経済を支えている最大の産業は農林水産業であります。農林水産業は、地域の外からのお金を引っ張ってくるという大事な役割を果たしておりまして、今や、食品関連産業や関連機器設備の製造業、施工業などへの波及効果も大きい、地域の基幹産業であります。

 最近の食料価格や食の安全への国民の関心の増大は日本の農林水産物にとって大変な追い風になってきたと思います。今こそ商工業との連携で、生産そして流通から販売における大革新を起こして、新しい事業を生み出していくということが今や地方には必要とされていると思います。

 先般、二階大臣が取りまとめられました新経済成長戦略二〇〇八においても、農商工連携は未来志向の地域活性化のかぎであるというふうに指摘されております。ぜひ、来年度もより一層、農商工連携の取り組みへの支援を強化していくべきであると思いますが、農商工連携に対する今後の取り組みまた意気込みについて、ぜひ経済産業省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

松村大臣政務官 お答え申し上げたいと思います。

 委員御指摘のとおり、農商工連携は、地域の農林漁業者と商工業者が連携することによりまして、それぞれの強みを生かしてすばらしいものをつくり上げて、そのことによって地域外からの所得を得る、非常にすばらしい法案であると私ども思っております。大臣がお示しになりました新経済成長戦略の改訂版でもこれからの地域活性化のかぎである、このように強いリーダーシップで推進をいただいております。

 既に、本年九月において、この法案に基づきまして六十九件の事業計画を認定いたしました。委員の御地元滋賀県でも二件ほど認定をさせていただいております。また、その予備軍もたくさんいらっしゃると聞いております。今後、こういう認定を受けた方々のさらなる支援、また研究開発、ITの活用等なども支援をしてまいりたいと思っております。

 また、農商工連携によりまして、地域産品の国内の市場の開拓の支援、販路の拡大等の支援というものを、これは具体的に申し上げますと小規模事業者新事業全国展開支援事業と申しますけれども、これは商工会議所、商工会を窓口といたしまして、販路拡大の支援事業がございます。

 また、そこででき上がりまして、非常にそのブランドの確立ができたものは、今後海外へというような、これはジャパン・ブランドと称して、支援事業もございます。農商工連携をもとにいたしまして、地域活性化の一つの手段として、ストーリー性のある支援策を展開しておるところでございます。

 今後、農林水産省ともより緊密な連絡をとり合いまして、この支援の充実に努めてまいりたい、全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

藤井(勇)委員 ありがとうございました。

 ぜひとも農商工連携を推し進めていく必要がありますので、よろしくお願いいたします。

 私の地元の滋賀県でも、この九月に認定をいただきまして、発芽大豆というものでございます。大豆を発芽させまして、新商品開発に今取り組んで成功しております。新しい食材としてということで、地元の農事組合と製造業さん、自治体、そして学者さんも入りまして、今、新しい分野に取り組んで、非常に意気高揚としておりますので、引き続いて、この政策を強力に進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次にもう一点、私は下請対策ということについて質問いたします。

 地方において新事業をこうして起こしていくということは大変大切なことでありますが、一方、この事業によって中小企業者が得る正当な利益をしっかり守っていくということも実は大事であります。しかしながら、現実には、大企業と比べ、中小企業は、価格決定などにおきまして非常に弱い立場にありまして、大企業の買いたたきなどによりしわ寄せが真っ先に及ぶのは、事実、下請中小企業者であります。

 我が国の産業競争力を支えているのは文字どおり下請中小企業であり、国はその利益をしっかり守っていくという責務を負っているというふうに思います。経済産業省では、下請代金支払い遅延防止法に基づく取り締まりを強化して、ことしの上半期には四百社に対して一千件の指導を行い、約十億円を下請業者に対して返還させたというお話を聞かせていただきましたが、これは恐らく氷山の一角ではないかな、まだまだ中小零細企業の方はいじめられて困っておられるのではないかなというふうに思います。

 こうした下請中小企業者が、もっと相談しやすくなり、迅速に問題解決ができる、こういう環境をぜひつくっていくべきだと思っておりますが、これについての経済産業省の見解をお願いいたします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたように、経済環境が大変厳しくなりますと、本当はあってはいけないことなんですけれども、下請企業にしわが寄りがちであるというのは否定しがたい事実だと思っております。

 とりわけ本年は、資源高あるいは原材料高、そしてここに来て、先行きへの注文減少、こういったような不安がございますので、どうしても、発注者の方から、転嫁を認めない、あるいはより安く納入しろ、こういう声が起こりがちでございます。

 こういうことで、今御指摘ございましたように、下請代金支払い遅延防止法という法律を、これは国会から私ども権限をいただいておりますので、大臣のリーダーシップのもと、これをフルに適用するということで取り組んできております。

 お話ございましたように、調査の対象件数もふやしますが、むしろこの調査から、問題がある事例を役所が率先してそこを抜き出しまして、今お話がございましたような法律上問題がある件につきましては、指導して減額を返金させているというようなことがございますし、特に、その中でも私どもから見まして悪性が強い場合には、これは法律上、職責の者が公正取引委員会に措置請求というものをすることが認められております。

 実は、最近も一件措置請求をさせていただきました。この措置請求というのは、この法律で与えられましたいろいろな措置の中で最も強い手段でございますけれども、これにつきまして、今後もそれにふさわしいといいますか、それに値するようなことがあれば、断固適用していきたいというふうに思っております。

 ただ、この過程で、やはり下請の方はどうしても親の方にいろいろな意味で遠慮されるということがございますので、今お話がございましたように、なるべく物が言いやすい環境、相談しやすい環境ということで、さきに国会で認めていただきました補正予算等も活用いたしまして、既に全国各都道府県にございます相談窓口に弁護士さんを配置いたしまして、約百六十人弱でございますけれども、下請企業の方が少しでも身近に御相談をして、そして弁護士とともに正当な利益を主張できるというようなことで体制を整えたところでございます。

 また、あわせまして、役所からは親企業に対してももう一遍こういうことを言わなければいけないということで、この補正予算もフルに活用させていただきまして、これから年度末にかけまして、全国約百カ所でそういった親企業への周知徹底のためのセミナーを開催させていただくということで考えております。

藤井(勇)委員 厳しい経済環境が続きます。ぜひ、どうぞ引き続いて、中小零細企業、弱い立場にあるわけでございますから、こういうときこそしっかりと政治や行政が機能をして、弱い人の立場を守るという役目が本来の政治、行政の機能だと思いますので、経済産業省が先頭に立ってやっていただきたいと思います。

 それからもう一点、最後に資金繰り対策について質問をいたします。

 改めて申し上げるまでもないわけでありますが、中小企業にとって命綱と言えるのが資金繰りであります。世界的な経済不況の中で中小零細企業がこれを乗り越えていくためには、資金繰りのセーフティーネットに万全を期すことが何よりも重要である。しかしながら、世界的金融危機を発端とした信用収縮、また中小零細企業への貸し渋りや貸しはがし、これが全国で続発するわけでございますが、金融機関が雨が降ったときに傘を貸さないということが問題となってきております。

 昨今では、非常に商売が順調でも、黒字倒産といって、利益が出ているにもかかわらず資金繰りがうまくいかないために倒産するという企業もあちこちで出てきまして、問題となっております。これから特に、年末に入ってまいります、年末の資金需要期に入り、中小零細企業の倒産を一件でも減らすために、資金繰り対策に全力を尽くしていかなければならないと思います。

 このため、補正予算に基づきまして、十月末から全国の信用保証協会で一斉の緊急保証制度がスタートいたしました。開始から一カ月余でございますが、緊急保証制度を活用した貸し付けは急速な勢いで活用されているということを承っております。中小企業からは、これで何とか年を越せるんだという声も聞こえてくるようになりました。

 もちろん、こうした公的金融において万全を期すと同時に、民間の金融機関もしっかりと資金供給の役割を担っていただくということが一方重要であるんだろうと思います。金融庁も、中川大臣が先頭に立って、中小企業金融の円滑化の要請や大臣目安箱を設置して積極的に取り組んでおられることは承知をいたしております。

 しかしながら、末端の金融機関の窓口に行きますと、やはり依然として、門前払いを食らいました、また、非常に審査に長い時間をかけて、いまだに結論をいただいていませんという実態が一方あることも事実でございます。また、民融機関といいましても、すべてが一枚岩ではございませんで、地域で中小企業を頑張って支える金融機関がある一方、信用保証抜きでは貸さない、こういった利益優先の態度をとっている金融機関もあることも事実でございます。また、特定の業者には非常に冷たい取り扱いをする、こういう話も現にございます。

 昨年以降、中小企業向け融資残高が減少しているといいますが、月次のフローベースで金融機関の貸出実績がどうなっているのか、貸出先の業種別、また金融機関の業態別、地域別にどのような動きを見せているのか、金融庁はしっかりときめ細かく金融機関の取り組みをフォローすべきであると思います。これを前提に、中小企業金融の円滑化について、民間金融機関に働きかけをすべきだと考えます。

 先ほど二階大臣も申されましたが、きょうのお昼どきに、二階大臣や金融大臣、また農林水産大臣出席のもとで、金融機関を金融庁に集めて中小企業金融の円滑化に関する意見交換会を開催される、そういう予定もあると伺っておりますが、これまでの対応状況も含めて、今申し上げました金融庁の見解を求めます。

居戸政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業あるいは零細企業に対する円滑な資金供給は、金融機関の最も重要な役割の一つというふうに認識をいたしております。

 民間金融機関におきましても、借り手企業の経営実態や特性に応じたリスクテークとリスク管理をきめ細かく行い、適切かつ積極的な金融仲介機能を発揮することが求められております。このような観点から、金融庁としては、金融機関に対し、繰り返し中小企業に対する円滑な資金供給を要請しているところでございます。

 そういう資金供給の要請をするに当たりましては、委員御指摘のとおり、業態別あるいは地域別にできるだけきめ細かく把握をした上で、それを金融機関にフィードバックする形で要請をしております。例えば、秋には、全国の財務局等を通じて中小企業のお声を聞いて、それをアンケート結果にまとめて金融機関にフィードバックをしてそれを反映させるとか、あるいは、さらに十月からは、中小企業庁と合同で、全国百五十カ所で各地域のさまざまな業種の中小企業者と業況や金融の状況等について意見交換を行うなどの取り組みを行っております。こういうようなきめ細かい実態把握を行った上で、金融機関に対し繰り返し中小企業に対する円滑な資金供給を要請しております。

 今委員お話ございましたように、本日、二階大臣にもお越しをいただいて、中川大臣、二階大臣と民間金融機関及び政策金融機関の代表の方々に御参加をいただきまして、年末の中小企業金融の円滑化に向けた意見交換会を予定しております。

 今後とも、中小企業庁とも連携をして、中小企業金融の円滑化に向けて各般の施策に取り組んでまいりたいと考えております。

藤井(勇)委員 非常に厳しい経済情勢の中でございまして、今こそ金融庁の出番だと私は思いますので、どうぞ、中小企業庁、経済産業省とも連携をとっていただきまして、きめ細かいフォローをしていただきますようにお願いをいたします。

 それから最後に、私は、質問というよりも、税制のことについて大臣にもお願いをしておきます。今、党税調でも協議していることでございますが、事業承継の件でございます。

 中小企業者の高齢化が非常に進んでまいりました。そして、事業承継の円滑化は、地域の雇用確保や経済活力維持の観点から極めて重要な課題であります。地域中小企業からも地元の皆さんからも非常に要請をされている政策であります。

 これは、二十年度の税制改正で、取引相場のない株式に係る相続税の納税猶予制度を二十一年度税制改正で創設し、現行の一〇%減額から八〇%納税猶予に大幅拡大することを閣議決定しております。そのための事業承継法も前の通常国会で成立いたしました。ぜひ二十一年度税改正でこれらが予定どおり実現をいたしますように、非常に地元の方からの要望も届いておりますので、大臣にもお願いをしておきます。

 お願いといたしまして、私の質問をこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

東委員長 これにて藤井勇治君の質疑は終了いたしました。

 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 おはようございます。公明党の高木美智代でございます。

 本日は、初めて二階大臣に御質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 過日、インド・ムンバイにおきまして同時テロにおいて亡くなられた方、そしてまた多くの方たちが大変多くの苦痛をお受けになりました。私はまず、その方たちに対しまして心よりお悔やみを申し上げさせていただきたいと思います。

 また、今なお現地で活躍をしておられる方々に対しまして、安全の確保のために政府として全力を挙げていただきたいことを要請させていただきます。

 さて、今般、経済の状況につきましては、ただいまも多くの議員の皆様から御質問ございました。麻生総理は、景気回復、全治三年、それを目指して頑張るということだと思っておりますが、いずれにしましても、一九二九年以降の世界恐慌に匹敵するような事態が今予測をされております。これを予測しながら、どう乗り越えていくか。当然、その予測を覆すためには、総合的な戦略を描き、そしてその危機に対しまして、その都度的確にスピーディーに反応していくということが求められていると思っております。

 そういう状況を考えた上で、今回、十月の自動車輸出額につきましては、前年同月比四・二%減、二十三年ぶりの低水準、また、十一月の国内新車販売台数は、前年同月比二七・三%減、三十九年ぶりの落ち込みと伝えられており、自動車製造業で派遣契約が中途で解除されるなど、米国発の金融危機の我が国実体経済に対する影響といいますのは深刻化の一途をたどっております。

 政府・与党におきまして生活対策を決定いたしまして、今後、第二次補正予算等を通じて実現をしてまいる予定でございますが、いずれにしても、今後の日本経済はますます厳しいものになると予想をされております。

 大臣がどのような事態を予想され、また今後どのようにお考えになられるのか、御見解をお伺いいたします。

二階国務大臣 我が国の景気は確かに弱まってきておるわけでありますが、先行きについては、原油等の下落等によって一定の効果も期待できるものの、世界景気全体の下振れの懸念、あるいは株式・為替市場の大幅な変動等から、雇用情勢を含め景気の状況はさらに厳しいものとなることが予想されるわけでありまして、これらに対してあらゆる施策を総動員して対策を講じなくてはならないと思っております。

 我々は今日まで、何かあるたびにアメリカを頼りにして、アメリカの景気ということを大いに気にしながら経済運営あるいは企業の経営等をやってきたことは事実であります。

 しかし、きのう、実はアメリカの上院の知日派の長老でありますダニエル・イノウエ議員がシーファー大使と御一緒にお越しになりました。上院の歳出委員長に今度選ばれるということでありますから、大変アメリカで影響力のある議員でありますが、やはり今日の経済情勢につきまして議会人としても大変心配しておられて、日本とともにこの回復、復活に努力をしたい、日本の協力をぜひ得たい、また、日本が今日、十年前のあの状況をどのようにして回復の道を歩んだか、そういうことに対して大変関心を持って御発言をなさっておられました。

 私は、それらの様子から見て、国際的にも、どの国を見ても大変な状況にある、元気のあるのはアジアが少しあるだけだというふうな感じでございます。したがいまして、我々は、対アジア政策ということももう一度大きくこれに踏み込んで考えていかなくてはならないと思っております。

 それらの状況につきましては、経済産業省で、御指導いただいた、高木先生も御参加いただいた新経済成長戦略、今改めて新経済成長戦略二〇〇八改訂版というものを出させていただいていることは御承知のとおりでありますが、ここに描いております姿を着実に実行できるように対応してまいりたいと思っております。

 そして、何よりも、やはり新しい技術の開発が大事であるということは申すまでもありません。先般、新エネルギー、省エネルギーの問題、環境問題等をテーマとする日中の大々的なフォーラムを開催したところであります。これは御承知のとおり、日中間の第三回目のフォーラムでありましたが、ことしは日中双方で千百人の参加者を呼んで、大変熱気のこもったフォーラムでありました。

 その中で、中国側の提案、日本側の提案、双方合わせて十九の新しいプロジェクトが日中の協力によって新たな展開をしようとしております。お見合いから交際期間を経てさらに進んでおるわけでありまして、あちらの方のお話を聞けば、交際から子供が生まれ、また孫が生まれるような時代がすぐそこに見えておる。日本も、大企業の方々も積極的に参加をされて、そういうことが具体化しようとしている。

 我々は、うつむいて今の状況を嘆いているだけでは、景気の回復も日本の産業の躍進もない。したがって、今の厳しい状況は厳しい状況として受けとめながら、とりあえずは、私どもは、中小企業の倒産等を一社でも防ぐということで全力を尽くしますが、また、議員御指摘のように、明るい未来に向けての対応もしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

高木(美)委員 大臣の長い間にわたりますアジア重視のお取り組みに対しまして、心より敬意を表する一人でございます。

 いずれにしましても、ERIA、そしてまたさらに東アジア共同体、こういう構想に向けまして、私は、こういうピンチだからこそ大きく足を踏み出して、そこで日本として何ができるか、そしてまたどういうことを先方は期待をするのか、ともに繁栄をしていくという、ここの目標に向かいましてしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、また、そうした経済産業省のお取り組みを心から後押しさせていただきたいと思っております。

 先ほど大臣から、緊急保証制度、一社たりとも倒産させてはならないというお話がございましたが、先ほど来多くの質問にありましたとおり、やはりまだまだ対応されない企業がある、そこに対してどのようにしていくか、ぜひとも一重、二重のさらなるお取り組みをお願い申し上げる次第でございます。

 続きまして、きょうは財務省にお越しいただきました。危機対応につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 今、中小企業はどうあれ緊急保証制度、しかしながら、一方で大手企業、中堅企業からは、資金繰りが苦しい、こういうお声もいただいております。

 そこで、昨日、日銀が、年末、年度末に向けました企業の資金繰りを支援するために、金融機関に対する臨時の資金供給策を決定いたしました。日銀におきましても、「大企業においても市場での資金調達環境が悪化している先が増えるなど、全体として緩和度合いが低下している。」このような認識を踏まえて、年末、年度末に向けまして、二〇〇九年四月末までの時限措置として発表されたところでございます。金融機関に資金供給する際に、担保としての格付要件を今のA格以上からトリプルB格以上に緩和をする、引き下げる、また、社債やコマーシャルペーパーなどの担保金額の範囲内で資金を無制限に供給する新しいオペを実施する、こういう措置を講じました。

 いずれにしても、金融機関による企業向け貸し出しを後押しするというのが大きなねらいであると承知をしております。日銀は、こうした措置で金融機関への資金供給が少なくとも三兆円はふやせる、このように見込んでいるようでございます。

 しかしながら、現実、今、足下の状況といいますのは、社債の起債状況は、大企業、中堅企業とも実質的に起債できていないという調査も聞いております。発行する場合も、ダブルA格、またトリプルA、また今後の社債償還見込みはこれから二十年度下期三・一兆円、このようにも言われておりますけれども、起債が現実困難な環境下におきましては、当然のことながら、今年度下期に三・一兆円の銀行借り入れ需要が出てくるわけでございます。果たして金融機関が担保として社債を受け取ってくれるのかどうかもわからない、そうした声も出てきております。

 財務省におかれましては、このような厳しい経済情勢をどのように認識しておられるのか。そしてまた、きょうお手元に資料をお配りさせていただいておりますが、危機対応制度の発動につきまして、私は速やかに実施をするべきではないかと思います。既に原油また原材料の価格高騰等につきましては発動されておりまして、その中でも商工中金は既に十一月時点で四十八億円の貸付実績の報告を受けております。

 こうした今回の新しい危機対応体制、十月一日に商工中金また政策投資銀行がそれぞれ民営化になりまして、主務大臣、財務大臣、農水大臣、経産大臣の三大臣が危機を認定した場合、日本政策金融公庫からリスク補完等をする、そしてそれに対応しまして業務を実施する。

 当然のことながら、商工中金、政策投資銀行、これは既に実施をしておりますが、民間金融機関につきましても、申請をすれば一定の基準を満たすものを認定する、こういう流れを聞いておりますけれども、私は、こうした危機対応体制をすぐに発動いたしまして、大企業そして中堅企業に対する資金供給を速やかに行うべきかと思います。財務省の見解を求めます。

川北政府参考人 お答え申し上げます。

 昨今の国際金融市場の混乱やアメリカ経済の景気後退によりまして、我が国におきましても、先生御指摘のとおり、社債市場あるいはコマーシャルペーパーの市場の起債環境が悪化しておりまして、中小企業のみならず、大企業、中堅企業の資金繰りが急速に悪化しているという状況にあるというふうに私どもも認識してございます。

 この点を踏まえまして、先ほど先生からも御指摘ございましたように、日本銀行が昨日、臨時の政策決定会合を開きまして、御紹介いただきましたように、企業の資金繰りにも配慮した措置を決定いたしました。

 私どもといたしましても、こうした日銀の努力が企業の資金調達環境の改善につながることを期待しておりますし、引き続き日銀と密接に意思疎通を図りつつ、金融市場の安定確保に取り組んでまいりたいと思っております。

 さて、政策金融の領域の件でございます。先般の生活対策におきまして、政策金融の分野につきましては、中小・小規模企業向けの日本政策金融公庫のセーフティーネット貸し付けの金利あるいは貸し付け条件の見直しを含めた拡充に加えまして、資料を配付いただきました日本政策金融公庫からの信用供与を受けて指定金融機関が行う危機対応業務についても活用することとされてございます。

 したがいまして、私ども財務省といたしましても、こうした状況を踏まえまして、この措置を含めまして、金融の円滑化が確保されますように万全の対策を講じてまいりたいというふうに思っております。

高木(美)委員 これは質疑通告しておりませんので大変恐縮なんですが、川北審議官、実は私、民間金融機関がまだどこも申請をしていないという事態を聞いております。ともすれば、こうした危機対応を発動いたしますと、民業圧迫ではないかとか、そうした批判もあるかと思いますけれども、民間金融機関がまだ申請していないことに対しまして、今後財務省としてどのように対応されるのか、もしお答えいただけるようでしたら答弁をお願いしたいと思います。

川北政府参考人 お答えします。

 先生配付いただきました資料にございますように、この制度では、指定金融機関として商工中金と政策投資銀行は既に指定を受けたものとみなされておりますが、民間の金融機関は申請に応じて指定することになっております。何分、十月にこの制度が発足したばかりでございますので、これまでのところ、民間金融機関からの指定の申請が行われておりません。

 私どもといたしましては、今後とも、例えば全銀協等を通じまして、この制度につきまして民間金融機関にも説明を実施いたすこと等によりまして、参加を促してまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 ぜひともそのような対応をスピーディーにお願いしたいと思います。

 今回、この危機対応制度の主務大臣が財務大臣、そしてまた二階大臣、農水大臣であられるわけでございまして、この三省にまたがる所管でございますが、やはり私は、ぜひ財務省、財務大臣がリーダーシップをおとりいただきまして、また、二階大臣とも協議の上で速やかな発動、そしてまた、それにより、民間金融機関も手を挙げようか、こういう大きな流れができますように、お取り組みを重ねてお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。

 さて、内閣府がまとめました資料によりますと、雇用情勢は悪化をしております。来年度の新卒者の内定取り消しであるとか、また、金融機関を中心に契約終了、また契約期間の短縮化、こうした動きが今目立ってきております。特に、来年四月からの一年間で製造業における稼働者の七割の契約が終了するという見込みも伝えられており、来年の厳しい失業率も予測をされております。

 私は、雇用を守ることはまさに企業の社会的責任を果たすことであると考えている一人でございますが、中でも、まだまだ雇用のミスマッチがあるのではないか、こういうお声もあります。雇用関係につきまして、主な所管は厚生労働省と聞いておりますが、いずれにしても、このミスマッチにつきましては経済産業省であると思っております。

 そこで、きょうは、日ごろから青年の雇用に全力で取り組んでおられる谷合大臣政務官にお越しをいただきました。御答弁をお願いしたいと思います。

谷合大臣政務官 高木委員御指摘のとおり、雇用のミスマッチが現在生じております。今、有効求人倍率が前の月より〇・〇四ポイント低下しまして〇・八〇倍になって、雇用情勢が悪化する一方で、地域、業種によっては一定の求人倍率が存在をしております。

 例えば、建設業、製造業では雇用環境は悪化しておりますけれども、情報サービス産業等では依然として雇用不足感が強い。また、地域によっても、瀬戸内の造船業等では金属溶接の求人倍率は大変高うございます。

 経済産業省としては、雇用ミスマッチの解消に向けて、平成十六年度から五年間で、ジョブカフェ関連事業を通じまして、若者に対する就業意識の喚起と求人企業の魅力的な情報発信のための支援を行ってまいりました。このジョブカフェについては、十月三日には二階大臣とともに私も視察をしまして、関係者からの意見を聴取してまいりました。

 今年度の補正予算におきましては、地域間の雇用ミスマッチを解消するために、ジョブカフェ等により広域的な連携体制を構築し、従来の地域を超えた合同イベント等を開催してまいります。すなわち、これまでのジョブカフェですと、単県単位での職業紹介というのが主でございましたが、地方から大都市圏に企業、ジョブカフェが乗り込んで職業紹介等のイベントを行っていくということでありますが、こうした取り組みを引き続きしっかりやってまいりまして、雇用のミスマッチの改善に取り組んでまいります。

高木(美)委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 また、報道によりますと、麻生総理は一昨日、産業界との懇談会に臨まれまして、雇用の維持に関する要請を行われたと伺っております。ぜひとも政治のリーダーシップで頑張っていただきたいと思っておりますが、企業の具体的な取り組み例、そしてまた、そうした報告もあったかと聞いております。それに対しまして、経産省としてどのように評価をしているのか。事例とあわせて、恐縮でございますが、簡潔にお答えいただけましたらありがたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のとおり、総理と産業界の雇用等に関する懇談会におきまして、先進的な人事制度に取り組んでいただいている企業から、その内容につきまして御紹介がございました。

 経営理念として雇用を守る経営の推進を掲げて、合理化手段としての解雇、希望退職は一切行わないとしている事例、また、同一労働同一賃金の実現のために、社員の区分の基準を時間ではなくて仕事の内容と発揮する能力に変えた事例等が紹介されました。中には、こうした厳しい経済状況の中でも、こうした取り組みによりまして人件費が上昇したけれども、その分は先行投資だと位置づけている、こんなお話もございました。

 経済産業省といたしましては、こうした取り組みを通じて労働者の処遇が改善されていくということは労働者全体の賃金の底上げにもつながるものだということで、重要なことだというふうに考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 今、大臣がお戻りになられたところで、重ねてお伺いをしたいのですが、危機対応業務につきまして、今中小企業等につきましては、既に緊急保証制度の一段の拡充をお願いしているところでございますが、一方で、大手また中堅企業は大変厳しい状況がございます。

 私は、既に今、危機対応業務につきましては、原油、原材料価格高騰につきましては発動されておりますが、金融危機そのものにつきましてはまだ発動されていないという状況があります。これを速やかに発動すべきと考えますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 私どももただいまの問題点を共有しておるつもりでありますが、毎日のように関係閣僚集まって、今対応しておる中小企業対策と、あるいはまた金融の対策等については、これはこれで進めていきながら、次なる目標、そして、先ほども申し上げましたが、明るい未来を現場の皆さんが展望できるような、そういう施策を講じていかなくてはならないのではないかということで、今いろいろ検討をいたしておるところであります。

 きょうも経済財政諮問会議が開かれますが、今や農業の分野にまで及んで新しい対策の検討をいたしておりますから、やがて私たちはそれをできるだけ早い時期に打ち出す準備をしておるところであります。

高木(美)委員 今私が伺わせていただきましたのは、大企業、中堅企業に対する資金繰りということから、先般おまとめいただきました商工中金そしてまた政策投資銀行、こういう内容につきまして、いち早く危機対応体制の発動をすべきではないか、このことを先ほど財務省の答弁を求めました。恐らく財務省も今検討されているところかと思いますけれども、この主務大臣は財務大臣、農水大臣そして二階大臣であられますので、やはりできることはぜひ早目に、また早くに発動していただきまして、その上でまた、大企業、中堅企業が安心して年末を越せる、また来年の年度末を越せるという、この対応を重ねてお願い申し上げます。

二階国務大臣 先ほどからもたびたび話題になっておりますが、きょうこの後、お昼の時間に三大臣が集まります。そこでも協議をしたいと思っておりますから、できるだけ速やかなる対応ができるようにいたしたいと思っております。

高木(美)委員 大変力強い御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 最後に、重ねて大臣にお伺いをいたします。

 先ほど来、大臣が、明るい未来展望というお話を何度かしていただきました。私もそのとおりであると思っております。当然のことながら、二〇〇八年の我が国の実質GDP成長率の見通し予測はマイナス〇・五%とか、来年の二〇〇九年はマイナス〇・一%、大変厳しいことが伝えられているわけですが、やはり経営者の方たちは、今何とか融資で乗り切る、だけれども、ではその先はどうするんだ、もっとその先は日本はどうなっていくんだ、こういう未来展望が欲しいという、一面そういうお声もいただいております。

 アメリカのオバマ次期大統領も、さまざまな気候変動に関する演説等の中で、毎年百五十億ドルを投資して、十年間、その間に、太陽光、風力、次世代バイオ燃料、こういうところに民間セクターが向かっていくように変革を促していく、さまざまな対策を打ち出し、五百万人のグリーン雇用、こういう約束もしているわけで、ここと学者の方たちが合わさって、グリーンニューディールというようなネーミングも今多く聞いている昨今でございます。

 そういうことから、今二階大臣が、経済成長戦略、そしてまた新経済成長戦略、ここまで策定してこられました。今後、どのような未来図を描いていらっしゃるのか。私は、そのメッセージが国民にストレートに伝わること、わかりやすく、しかも希望を持って伝わっていく、こういう見せ方も大変大事であると思っております。

 大臣のお考えをお伺いいたします。

二階国務大臣 これからどのような形で未来に向かっていくか、つまり、日本経済の成長のアクセルをどう踏んでいくかということでありますが、これは分野ごとに目指すべき将来像を大胆に描きながら対応していきたいと思っております。こうした考えを実現するために、新市場創造プラン、仮称でありますが、策定を目下事務方に指示いたしておりますが、これは既に先月二十八日の経済財政諮問会議でも私から表明をさせていただきました。

 このプランにおいては、例えば太陽光発電、蓄電池、電気自動車を最大限活用した低炭素社会の具体像を進めていく。高い生産性、企業的経営、多層的流通システムの実現により、地域の若者が例えば一億円プレーヤーになれるような農業の具体像、大変大きな夢でありますが、これは夢だということで抑えてしまうのではなくて、こういうことを実現するためには何が必要か、もちろんみずからの頑張りが重要であることは申すまでもありませんが、研究開発等に政府としてどのような支援をするか、あるいは農商工連携でどう取り組んでいくかということであります。

 コンテンツの産業も二十兆円を目指すということを明確にいたしておりますが、東京をパリやミラノに並ぶファッション発信のセンターとして、日本のブランド力を発揮する。

 このような夢を描いて、これを具体的に着実に進めていくように取り組んでいきたいと思っております。

 時間が来たようでございますが、今度いつかの機会にまた少し夢を語らせていただきたいと思いますので、どうぞ頑張ってください。

高木(美)委員 大臣にお願いでございますが、やはり、まずタイトルの新市場創造プランというのをもう少し国民にわかりやすく、そしてまた国民がそうだなと、グリーンニューディールとまではいきませんが、何かそういうスマートなネーミングにしていただきますようにお願いをして、最後に答弁をお願いいたします。

二階国務大臣 ネーミングをスマートに、私もそう思っております。そう思っておりますが、これを経済財政諮問会議の中で、それぞれ御意見をたくさん持っている人たちの中で、これをやろうという方向性を決めることが難しいわけでありますが、おかげさまで、これをやろうという方向が一応決まりました。

 きょうもまた、このすべての日程が終わった後で経済財政諮問会議が開かれます。そこでもさらに次なる議論が始まるわけでありますが、今のネーミングも含めて、議員各位の御協力もいただきながら新しい未来を描いてみたい、このように思っております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

東委員長 これにて高木美智代さんの質疑は終了いたしました。

 次に、太田和美さん。

太田(和)委員 民主党の太田和美でございます。本日、二階大臣になられて初めての質疑になると思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 本来であれば、十一月三十日に選挙が行われて、今ごろ新聞の見出しに民主党政権へという言葉が躍っていたのかなというふうに思うと、甚だ残念でなりません。

 まず大臣にお尋ねをさせていただきたいのが、十月三十日に政府が発表した定額給付金について、まずお尋ねをしたいと思います。

 本来なら総務大臣にお尋ねしなければならないことだとは思いますけれども、生活対策は、景気対策、経済対策として世間の期待を集めているところもありますので、あえて経済大臣にお尋ねをいたしたいと思います。

 まず、二兆円の定額給付金の経済効果、これはどの程度あるとお考えでしょうか。

二階国務大臣 効果がどの程度あるかということも極めて重要なことでありますが、私どもは、今日のこのような冷え切ったような経済情勢の中で、あらゆる政策を総動員してこの状況を突破していこうという考えであります。

 生活対策で、仰せのとおり、総額二兆円を限度として生活支援定額給付金、仮称が実施されることになったわけでありますが、定額給付金については、現時点では、市町村における制度の具体的な運用をどうするかということを検討されている最中でございますが、雇用の下支えの強化等いろいろな施策とあわせてこれが消費拡大につながることを期待いたしております。

 今議員も御指摘になりましたように、これは総務大臣の担当であっても、私ども生活対策というそのものをお預かりする経済産業省としては、こうした面から政府が生活者の不安を少しでも取り除くということにきめ細かく対応しようとしていることでありますから、当然経済産業省としても歓迎であります。

太田(和)委員 内閣府では、〇・一%から〇・二%しかGDPを押し上げる効果がないとしております。六割、七割が貯蓄に向かうだろうとも言われております。支給方法は、迷走の末、自治体に丸投げとなりました。所得制限がないことから、福祉対策、生活者対策と考えるのも難しい、しかも年度内の実施すら難しい、そして国民の六割から七割が評価していない。二兆円も使って、こんなに評判の悪い減税というか給付金はかつてなかったのではないかと思います。まさに百年に一度の暴風雨どころか、百年に一度の愚策ではないかというふうな声も上がっておるぐらいです。

 政策はタイミングだと思います。だから、もし仮に百点満点の政策でなかったとしても、四十点の政策でも、とにかくスピーディー、タイムリーにやれば効果を発揮する場合もあります。しかし、十点の政策をだらだらと遂行するなら、何の効果もないどころか、かえってマイナスになる場合もあります。

 この定額給付金の裏づけとなる第二次補正予算案を来年の通常国会に出すということですが、思い切って給付金を補正予算から外す、撤回する、大臣はこのようなお考えはお持ちにならないでしょうか。

二階国務大臣 定額給付金の問題につきましては、既に政府内でもあるいは与党との交渉においても了承されて成立していることでありますから、今経済産業大臣が撤回するとかしないとかということを言及すべき議題ではないと思います。

太田(和)委員 国民の大切な税金でございますので、かじを切り直す勇気も大切だと思います。経済を担当する責任ある大臣として、ぜひとも責任のある行動、発言をしていただきたく、お願いを申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、先日の党首討論でも、また本委員会でも既にいろいろな議論が行われている問題ではありますが、非常に重要な事柄でありますので、私からも改めて質問をさせていただきたいと思います。つまり、なぜこの臨時国会に第二次補正予算を提出しなかったのかという問題であります。

 麻生総理は、小沢代表に対して、年末の資金繰りは第一次補正で何とかなる、法人税の歳入不足額がわかるのが十二月中旬になるから臨時国会には出さないんだという趣旨の答弁をいたしました。

 大臣も、先月二十六日の本委員会で、北神委員の質問に対し、できるだけ早く提出して成立を願うという気持ちはあると答弁をしながらも、緊急保証とセーフティーネット貸し付けの九兆円の枠に関しては、年内はこれで乗り越えていけるだろうという答弁をされております。

 しかし、中小企業の年末の資金繰り、第一次補正に盛り込まれた緊急保証六兆円とセーフティーネットの貸し付け三兆円の合計九兆円で本当に十分なのかどうか。緊急保証についての中小企業のデータによりますと、十一月二十六日から連日、一日当たり実績が一千億円を超えています。二十八日には一千五百億円近く保証しております。十二月三十日まであと十九営業日ありますので、仮に保証のペースが上がって一日二千億円近く保証するようになれば、それだけで三兆八千億。さらに、十二月一日までの実績、九千二百五十億を加えると、五兆円近くになるわけです。

 たとえ、六兆円の枠内だから大丈夫と言えるのでしょうか。もしもっとペースが上がったり、あるいは二次補正の審議に予想以上に時間がかかったりしたら、これは六兆円の上限が見えてきて、保証に影響が出てくるのではないかというような気がしております。

 なぜ二次補正を臨時国会に出さないのか。これには先ほど来大臣が高く評価している定額給付金も入っているわけです。早く出して成立させれば、年度内に実施できるかもしれません。また、年末にも向けた緊急保証の枠は一次補正の分だけで本当に十分なのか。この二点について、改めてお伺いをします。

二階国務大臣 大変御心配をいただいてありがたく思いますが、補正予算は、第一次の補正予算で九兆円という保証及び金融の枠をお認め願っておりますから、これを活用することによって、年内はもとより、年を明けても、いつまでもいつまでもというわけにはまいりませんが、ここ当分の間、今議員が御質問になり、御心配をいただいているような期限においては、心配はありません。

 私どもは、毎日毎日、全国の保証枠、金融の状況等を把握いたしておりますが、今日この状況で年末を迎えたとしても、保証枠あるいは緊急融資の点において、足りなくなったというふうな事態はないということを判断いたしております。

 そして、第二次補正予算についてでありますが、生活対策の予算化をする、金融機能強化法が成立した場合の予算化を考える、二十年度税収の大幅減への対応が必要である、これらの三点を特に考え、総理が年明け早々の国会に提出するという御決断でありますから、我々は、この方針に従って予算を提出し、一日も早い成立に向けて努力をしていきたい、このように思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 いまだ私はなぜ二次補正を出さないのか理解に苦しみます。なぜこの臨時国会で審議をさせていただけないのか。本音は、国民から評判の悪い定額給付金が入っている二次補正予算案をこの臨時国会で出せば、野党や国民から集中砲火を浴びてしまって立ち往生してしまうのではないかというのが本音なのではないかなというふうな気がしております。

 私は、選挙は政治空白につながるという麻生政権のとらえ方は、世界的に見ると極めて異質な論理ではないかと思っております。アメリカは選挙を通じてどちらの経済対策の方が危機を克服できるか論争をしてきたわけです。そして、国民の信を得た政権が一気に強力な経済対策を実行する。麻生総理の言い方は、こういうアメリカ民主主義を否定しているようにしか聞こえません。選挙は政治空白ではありません。今からでも遅くないので、改めて、第二次補正予算を今国会に提出すること、そして、一日も早く衆議院の解散・総選挙を行うことを政府に強く求めたいと思います。

 解散の時期についてはこの委員会で聞くのも少し変かと思いますけれども、ただ、解散のことについても二階大臣にもお尋ねしたいことが一点ございます。

 解散の時期については、確かに十月には、経済危機の深刻さから、景気対策を優先するから選挙を先送りにするという声が多かったのが世論だと思います。しかし、選挙を先送りしても有効な経済対策をスピード感を持って実行しないので、世論もそっぽを向きました。十二月一日に出た日経新聞の調査では、解散・総選挙の時期について、できるだけ早くが三六%、年明けの通常国会冒頭が一五%と、年明けまでの解散を求める声が五割を超えました。解散を急ぐ必要はないが前回の三六%から一八%に半減しました。

 解散は総理の大権と言われていますので、ちょっと二階大臣にお尋ねしにくいところもあるんですが、早急に解散し、選挙で経済対策を闘わせる、そして国民の民意を背景にした政党が、信を得た政権が強力な経済対策を実行するべきであるという、私たち民主党の主張に対する大臣の感想をお尋ねしたいと思います。

二階国務大臣 与野党で議論を闘わせ、そしてより国民の皆様にいい政策を実現していく道筋を決めていく、私は民主主義のルールだと思います。ですから、例えば、党首討論などというものは、特に予算も何も特別たくさん必要だというわけでもないわけですから、しょっちゅうやってもいいわけなんです。一週間に一回やってもいいわけです。そして、テーマのないときはお休みを続けておいてもいいわけでありますが、それこそ政治のそのときそのときの状況によって、開かれたり開かれなかったり。

 私は、あの党首討論という制度を英国から導入していろいろ対応したときに、自民党の国対の責任者の一人が今の国対委員長の大島さんであったと記憶をしております。余り進んでおりませんでした。しかし、また一方は、これを早くやろうということで、席の位置までいろいろ指図をして、こうしようああしようといってようやくあれができ上がったんですが、いざふたをあけてみると、なかなか開かれない。ですから、ああいうことをもっと盛んにやることが合理的ではないかと思っております。

 なお、アメリカの大統領のこと、あるいはアメリカの政策について引用されておりますが、それは我々は一応傾聴すべきことだと思いますし、先ほども申し上げましたが、きのうも民主党の長老で大変有力なダニエル・イノウエ議員あるいはシーファー大使等がお見えになりまして、アメリカの実情についていろいろなお話がありましたが、私は、アメリカはアメリカだと思っています。私たちは私たちとしての政策を自信を持って遂行していくことが重要な時期だと思っております。

 以上です。

太田(和)委員 御答弁ありがとうございます。

 選挙をすれば毎日のように党首討論ができると思います。これ以上はこの問題については質問をいたしませんけれども。

 次の質問に移りたいと思います。

 一昨日、麻生総理は、経済団体のトップに来春闘での賃上げを要請されたと報道されております。二階大臣も同行されたと伺っております。大臣は、たしか九月にも経団連に賃上げを要請されておりますよね。何度も何度も頭を下げられて、私も本委員会で同じことを何度も申し上げておりますが、お願いはしないよりした方がいいに決まっております。しかし、問題は、効果があるのかという一点であります。

 九月のときは、これはリーマン・ショックの前だと思いますが、経団連の会長も、重く受けとめる、来春闘ではできるだけのことをしたいとやや前向きとも受けとめられる発言をしていたのに、一昨日は、賃金交渉のスタンスは検討の最中で、本日の要請を踏まえさらに検討したいとトーンダウンをしました。明らかに空振り、国民向けのポーズにしかすぎないのではないかというふうに思ってしまいます。お願いの効果があったということでしたらこの場で御披露をしていただきたいんですが、しかし、そうはいっても、経済団体首脳に厳しく要請をしてもらわなければならないこともあります。

 厳しい雇用環境を反映して、企業の就職内定の取り消しが既に三百件以上にも上っているということであります。水面下ではもっともっと多くの学生が泣き寝入りをしているのかとも思います。合理的な理由のない内定取り消しは違法であります。経済界を所管する経済産業大臣として、違法な内定取り消しはやめるように明確なメッセージを出すべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

二階国務大臣 経済界に対して、賃上げの要求を、経済団体の幹部の皆さんがおそろいの場で私の方から申し上げたことは事実であります。

 過去にそうしたことをそういう場所で明確に発言をするというふうなことは余り例のないことでありますが、私は、この事態におって、この事態といいますか九月のあの状況の中でも、景気対策ということを考えていかなきゃいけないということで、経済界に協力を要請したわけであります。

 本来、これは労働組合とか野党の皆さんがしっかりおやりになる仕事でありますが、これは、私の方は、与党も野党もともに国民や労働者の立場に立たなくてはならないという見解から対応をしておるわけでありますが、これはこれからも粘り強く我々は対応していくつもりであります。(発言する者あり)

東委員長 御静粛に。

二階国務大臣 しかし、そのためには、経済界が経済界としてこたえられるようなバックグラウンドをつくっていくことも、これも私ども与党や経済産業省の責任の一端であろうと思っております。

 要は、幾らかでもこの世の中が明るくなるように、そして、景気回復されて消費が拡大されていくように配慮することが大事である、こう考えております。

太田(和)委員 内定取り消しの件について、メッセージをお願いします。

二階国務大臣 内定取り消しということは、極めて新卒の人たちにとっては残酷なことでありますから、こうしたことをできるだけ少なくするように、いろいろな面から働きかけていきたいと思っておりますが、そうした企業に対しては、私どもは、具体的に取り消しなどの行為に走らないように説得をしていくつもりであります。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 内定取り消しの件については、若い人たちのこれからの将来、人生がかかっていることですので、ぜひ経済産業大臣として、これからもしっかりと、違法な内定取り消しはやめるように粘り強く明確なメッセージを出すなどしていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。

 次に、十月三十日の生活対策に盛り込まれた中小企業の軽減税率の時限的引き下げについてお尋ねをしたいと思います。

 これは、与党の方で検討が始まっているのでしょうか、私どもの耳には入ってきませんが、民主党が軽減税率の半減を以前から主張しております。選挙対策でこれもちょっとぱくってしまえというような政府の考えなのかわかりませんが、生活対策に盛り込まれたという説もあるやに伺っておるんです。私は、生活対策にある高速道路の週末千円の乗り放題も、子育て応援特別手当も同様だと思うのですが、民主党の目玉政策の上澄みだけ取り出して、適当に薄めてメニューに並べるというやり方はいかがなものかなと思います。

 本来なら、みずからの主張を一部でも取り入れてもらえたということで、政策の一部が実現したと喜んでいいのかもしれませんけれども、抜本的な改革を必要としている今の日本の危機的な状況を考えると、こんな中途半端な政策では全く喜べません。中小企業の軽減税率も、どのぐらいの期間そしてどれだけ下げるのか、これからの検討にかかっているでしょうが、私は、思い切って半減する、こういうことを打ち出したら、資金繰りに苦しむ世の中の中小企業の人がどれほど勇気づけられるのかと思います。

 民主党の政策の一部を取り入れて上澄みだけとってというのではなく、危機に当たって政治は中小企業を応援するんだという、半減ならはっきりとしたメッセージになると考えますが、政治家として、大臣は来年度の税制改正に当たってどのような期待と注文をお持ちなのか、ぜひお聞かせいただきたいなと思います。

二階国務大臣 まず、時間も短いことですから長く議論するつもりはありませんが、よく、政策が盗まれた、こう言われますね。これは、皆さんがそうおっしゃっておるというわけではないんです。かつて、社会党がずっと野党を担当しておった時代も、すぐ、自民党は政策を盗んだ、こう言うわけですね。私は、政策なんというものは、みんなで考えてこれはいいなということがあれば一緒にやっていけばいいものですから、これは、盗んだとか盗まれたとかというそういう次元の話ではないということだけぜひ御了解をいただきたい。

 次に、世界経済の今日の減速に伴う輸出の減少や我が国の景気後退の影響によって、中小・小規模企業の業況、資金繰りが一段と厳しさを増しておることは先ほど来議員御指摘のとおりであります。このような極めて厳しい経済状況に直面する中で何よりも重要なことは、資金繰りのことが大事であると同時に、税制面でも効果的に支援をするということが政府としての大きな役割であろうと思っております。

 そのため、十月三十日に策定しました生活対策に従いまして、中小・小規模企業に対する軽減税率の時限的引き下げや、欠損金の繰り戻し還付の復活等の措置を確実に実現していくことが重要であり、目下与党の方でその審議をいたしております。

 軽減税率の時限的引き下げの具体的な措置については、今まさに与党の税調において真剣な議論が展開されておりますから、私たちとしても、与党と十分相談をし、同時に、今御指摘のあった点についても、議員のそうした真摯な御意見に対して我々は十分耳を傾けていきたいと思っております。

 中小企業を担当する立場で、軽減税率の時限的引き下げが中小・小規模企業の資金繰りや事業の継続につながることを私自身も強く期待をしておるものであります。

太田(和)委員 ありがとうございます。我々の法人税、中小企業に対しての軽減税率半減ということに関して耳を傾けていただけるというようなお答えをいただきましたことに、本当に心から感謝を申し上げたいと思います。

 時間がありませんので終わりにしたいと思いますけれども、いずれにしても、私たちは、この直面する危機に対応するために、一日でも早く経済政策を議論していかなければならないと思っています。野党には政府の政策をチェックするという責任があります。一刻も早く二次補正案を提出していただくことを二階大臣にも切にお願い申し上げまして、私からの質疑とさせていただきたいと思います。

 大臣、ありがとうございました。

東委員長 これにて太田和美さんの質疑は終了いたしました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 きょうは、各論の方から質問をさせていただきます。

 まず、きょうは厚生労働省においでいただいておりまして、先ほど太田議員からの指摘がございました十月三十日の生活対策の中で、生活者の暮らしの安心というところに家計緊急支援対策というのがございまして、その中で、雇用保険の保険料について、平成二十一年度の一年に限りコンマ四%の範囲内の幅で引き下げるということが書かれております。

 この雇用保険の積立金は多分五兆から六兆ぐらい積み上がっているかと思うんですけれども、私もこれまで厚生労働委員会等に所属していたときにはずっと雇用の問題を扱っておりまして、特に二〇〇〇年以降、この雇用保険の積立金については相当金額が目減りをして、どうしようかということを非常に悩んだことがございます。

 まず、現時点でこの雇用保険の積立金の残高が何兆円ぐらい積み上がっていて、これまでどういうようなトレンドで推移をしてきたのか、その点について冒頭質問をさせてください。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用保険の失業等給付に係る積立金についてのお尋ねでございます。

 一番新しい数字は十九年度決算ということになりますけれども、積立金残高は四兆八千八百億円でございます。

 この推移ということについてでございます。

 過去を振り返りますと、雇用保険の積立金につきましては、平成五年当時にやはり五兆円弱あったという経過がございます。その後の雇用失業情勢の悪化等によりまして、失業給付費が増大する中で、平成十四年度におきまして四千億円程度にまで下がったというような経過がございます。その後、景気回復等々の中で、最近におきましては、先ほど申し上げた額まで積立金が増加しているという状況でございます。

大島(敦)委員 厚労省も大分悩んでいると思うんですよ。官邸の皆さんが、今回の雇用保険の保険料について引き下げるというお話が出たときに、法律改正を伴うのかなと思うんですけれども、ちょっとこの点について確認をさせてください。

 私の理解では、現行では一・二%、一・二%よりも雇用保険料の料率を下げるとなると、これは法改正が必要だという理解でよろしいでしょうか。

大槻政府参考人 雇用保険の料率の仕組みにつきまして簡単に申し上げますけれども、現在、法定雇用保険料率、失業等給付に充てる部分につきましては、千分の十六、一・六%が法律の原則でございます。

 今度は、法律の規定の中で、積立金残高の状況等に応じまして、これを弾力的に、審議会の意見を聞いて大臣の判断で変更できるということがございまして、その変更幅につきましては、十九年改正で上下千分の四ずつの変更幅がございます。十九年度、二十年度におきましては、この弾力条項を発動いたしまして、現在、失業等給付に係る雇用保険料率は千分の十二としているところでございます。

 千分の十二というのがこの弾力条項の中の下限でございますので、さらにこれを生活対策におけますように〇・四%の幅で引き下げるということになりますと、法改正が必要になるところでございます。

大島(敦)委員 今回の生活対策は景気対策の第二弾だと思うんですけれども、そうすると、次の通常国会では、この点について法律を出す準備をされているという理解でよろしいでしょうか。

大槻政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、雇用情勢は下降局面にございます。また、いろいろ報道等もされておりますように、非正規労働者を中心に離職者が増加するという動向がございます。こういった中で、生活対策にもございますように、セーフティーネットの強化とあわせまして、この雇用保険料率の一年を限っての引き下げということにつきましても、現在、労働政策審議会の関係部会におきまして審議をしておるところでございまして、できますれば、年末までに結論を得まして、次の国会に関係法案を提出したいと考えております。

大島(敦)委員 本当にそう考えているのか、現状認識を問いたいと私は思うんです。

 これまでの積立金の残高というのは、先ほどお話がございました平成五年、平成六年に五兆円弱積み上がっていて、その後の景気後退に伴って、五千億円を割って枯渇するまで行ったわけですよ。その後、先ほどの保険料率は千分の十二から千分の十四、千分の十六まで、上限まで上げて、平成十九年に雇用保険の積立金の残高が四兆八千八百億円積み上がったので、千分の四下げて千分の十二まで下げたわけですよね、下限値に。

 今これだけ雇用が不安定で、今後、失業者が多分これまで以上に出てくると自分は予測をしているわけですよ。この五兆円も多分あっという間に枯渇してくるかなという危惧を私は持っているわけです。さらにここで雇用保険の保険料率を下げるということは、僕は、皆さんにとって無駄な仕事だと思うんですよ。一たん下げて大騒ぎをして、また雇用保険の積立残高が枯渇するようになったからもう一回法改正をして上げるという方向に、そう見えるじゃありませんか。

 これまでの政府の皆さんの御答弁は、これから景気は相当大変だよというお話をされていて、雇用についても相当厳しいという御発言があって、その中でこの雇用保険の保険料率をさらに下げるという話は、上げるという話は議論してもいいかもしれないが、法改正までして下げるという話はどうも自分の理解を超えているところがあるんだけれども、その点について、副大臣の方から御答弁をいただければ助かります。

渡辺副大臣 委員から御指摘ございまして、大変雇用状況も悪化する危険性をはらんでおるわけでありますけれども、また一方で、十月三十日に取りまとめられました生活対策において、家計の緊急支援対策の一環として、国民の負担軽減の観点から、先ほどお話がありましたとおり、平成二十一年度の一年間に限り、雇用保険料率を〇・四%引き下げる、そういうことを議論するということになっているわけでありますけれども、当然ながらセーフティーネットの強化とあわせてやるということでありまして、今、関係審議会、労働政策審議会でありますけれども、ここで議論をしていただいているというところであります。

 そして、審議会は十一月十一日から始まっているところでありますけれども、給付と負担の両面から、また厳しい雇用状況も踏まえて、セーフティーネットの機能強化も十分留意しながら、保険料率をどのようにしていくか議論をしていただく。当然ながら、労使の議論を伺いながら必要な見直しについて検討していく。そういう状況でございます。

大島(敦)委員 政府参考人に数値の確認をしたいんですけれども、今回千分の四下げた場合に、どのくらいの雇用保険の保険料になるのか、その点について確認をさせてください。

大槻政府参考人 雇用保険料率を千分の四引き下げた場合の保険料収入の減でございますけれども、約六千四百億円の見込みでございます。

大島(敦)委員 済みません。あと、家計ですから、モデルケースでいいんだけれども、サラリーマン一人当たりのところに置きかえてください。

大槻政府参考人 雇用保険の被保険者の平均的な収入が月収で三十六万円程度ということでございます。仮に千分の四引き下げたという場合でございますけれども、月額でいいますと、家計ということでは七百円ぐらいという計算になろうかと思っています。

大島(敦)委員 よく格差という言葉あるいは非正規労働という言葉があって、大きな会社に勤められている方は雇用が比較的安定している。中小零細企業とか小さな会社に勤められている方は雇用が安定していないわけですよ。これは保険という仕組みを使って、できるだけここはお互いに助け合っていこうという精神があるべきかなと思っているわけです。そうすると、大きな会社に勤めている方の一カ月七百円を法改正してまで下げる必要があるのかと。ですから、それを考えれば、サラリーマンの連帯という言葉よりも、サラリーマンの助け合いの精神の中でしっかりと皆さんを守っていくという姿勢があってもいいかなと自分は思っているんです。

 したがいまして、もう一度副大臣に御答弁いただきたいんですけれども、ここについては、十月三十日からまだ一カ月ぐらいしかたっていないんだけれども、状況は相当悪化しているかなと思っておりまして、自分も最初にこのペーパーというよりもこの対策を見たときに、ちょっと時代を読んでいないなと違和感を覚えたんですよ。ですから、この点については、官邸の強い要望があるやには聞いているんですけれども、もう一度慎重に検討された方がいいかなと思うんです。その点について御答弁をお願いします。

渡辺副大臣 最初に、先ほど雇用保険料率に関しまして〇・四%とお答えしたかもしれませんが、その範囲内でということでありまして、修正をさせていただきます。

 今も御指摘ございました、雇用者に関しましては、月額七百円程度だということで、どの程度の効果があるのかというような御懸念だと思いますけれども、企業負担も同じ額で減るわけであります。額は七百円程度でありますけれども、やはりこの分でも家計の可処分所得をふやすということに貢献するのではないか、そのように考えておりますので、現在のところ、審議会の方で、セーフティーネットの強化と両面で検討いただいて、労使の議論の中で御検討いただいて、それを受けて対応したい、そのように考えております。

大島(敦)委員 この点につきましては、副大臣の答弁としては多分そこまでが限界かなとは思うんですけれども、自分としては、本当のセーフティーネットというのは雇用保険なわけですよ。雇用保険の財源がこれから従来にも増してどんどん減っていくことが予想されている中で、さらにこの雇用保険の保険料率を下げるという議論は、現状認識とは大分かけ離れているとまでは言いませんけれども、法改正してまでのことが効果的にあるのかなと。

 ですから、そのところは無駄な仕事がないようにしてほしいと思いますので、きょうはここまででとどめます。

 以上で、厚生労働省に対する質問は終わりましたので、御退席していただいて結構でございます。どうもありがとうございます。

 続きまして、金融庁の方にも来ていただいておりまして、ことし、私は一回金融庁の副大臣の方に質問をしております。五月の十四日の当委員会の質問で、三谷議員も質問されているんですけれども、そのときに、金融機能強化法、三月で期限が切れてしまったんだけれども、これから相当金融は厳しくなるから、延長した方がよかったんじゃないのかと聞いたわけですよ。

 そうしたところ、副大臣の答弁として、多分政府の答弁になるかとは思うんですけれども、あのときよりは今の方が大分対策が強化されておりますから、まさにこれ以上やるとモラルハザードになるかもしれない、そんな意味合いもあって、ここで見送らせていただくとか、それが実際に強化されてきておるということも数字上はっきりしているわけでありまして、本当に今回の延長というのは必要ないという御答弁をいただいたわけなんです。

 僕は、わざわざ政府参考人ではなくて副大臣を呼んだのは、政治家としての見通しというのが結構必要かなと思っていまして、役所の方は個々ヒアリングして正しい数字を上に上げるというのが仕事で、それを見て先を読んで、ちょっとこの政策は無駄っぽいから、先ほどの雇用保険の料率を法改正してまで下げるような、こういう無駄な仕事はやめた方がいいかどうかというのは政治家が判断すべき内容だと思っていまして、このときには、ちょっと違うんじゃないのかな、地域金融も相当傷んでいるので、私たちとしては賛成、延長してもいいんじゃないんですかというお話をさせていただいたんです。

 もちろん、政府参考人の方からも、るる数字を挙げていただきまして、補足の説明もされております。これもちょっと読み上げますと、当庁、金融庁といたしましては、「各業態で不良債権比率や自己資本比率にばらつきがあるものの、全体としては不良債権比率は低下傾向にある、一方で、自己資本比率は上昇傾向にありまして、我が国の預金取扱機関の財務の健全性の向上が図られているものと認識しております。」という五月の答弁をいただいておりまして、まだ半年しかたっていないのに相当事情が変わってきたのかなと。

 その点につきまして、当時の認識とは大分変わったのかというところについて御答弁いただければ幸いです。

谷本副大臣 大島委員の御質問にお答えをしたいと思います。

 見通し云々を言われれば、確かに、これだけ変化をしましたから、甘かったと言われれば甘い部分はあったかもしれませんが、当時の、三月末の資本参加の申請期限の延長の問題があったころ、昨年の末から本年初頭にかけて、これをどうするかという議論をずっと行ってまいりました。

 その中で、当時の判断としては、制定時と比較をして、まず一点としては、五月十四日もあったと思いますけれども、地域金融機関は総じて自己資本比率は改善していた、二点目として、資金の出し手の多様化も相まって自力調達による資本増強等が可能な状況となっていた、三点目として、地域金融機関のリスク管理に対する信頼性が向上するとともに、早期発見、早期対処のメカニズムが定着してきた。

 こういった認識を三月末時点ではしておりまして、これをもって延長しないという判断をしたところでありますが、もう委員御案内のとおり、リーマン・ショックに象徴されるように、米国発の金融ショックが起こって以来、世界の金融機関は今非常に混乱をきわめておる。こういった外的要因によって日本の金融機関も損失が生じておりますし、自己資本への影響が懸念をされてきている。こういう状況が長く続けば、金融機関による仲介機能に大きな支障が出るおそれがあるというふうに考えまして、このような認識の変化のもとで、このたび金融機能強化法の改正案を提出させていただいたということでございます。

大島(敦)委員 そうなんですよ。五月の時点でも、私たちの認識としては、相当今後景気は悪くなるなという認識を持っていまして、ちょうど昨年の今ごろだったと思うんですけれども、日本経団連の御手洗会長は、来年の春闘、ことしの春闘は賃上げをしてくれという御発言があったと思うんですよ。それを聞いたときに、僕は不思議な思いにとらわれまして、年を越すと景気は悪くなるんだけれども、本当に三月の春闘でそういうことを経団連の皆さん言っても大丈夫なのかと思ったら、案の定、もう年明け早々株価が非常に下がって、去年のエコノミストの皆さんの予測がすべて一週間のうちに外れてしまう事態があって、それで賃上げどころではなくなったということで、皆さんお持ちのその辺の景気の見通しというのがちょっと甘いんじゃないのかなと。

 一月の時点では、よく言われているサブプライムですか、週刊エコノミストが非常にいい記事を書いていたものですから、私自身も何人かの方を一通り取材させていただいて、クロスマーケットとか、あるいはプレーンバニラ、エキゾチックと、金融システムについて大体頭に入れさせていただいて、まあ、ことしの賀詞交換会等では、ひょっとしたら金融恐慌があるかもしれないななんてお話をさせていただいているんですよ。

 ですから、その辺の先の見通しをしっかり見て、先手先手で経済対策を打っていくことが必要かなと思っております。

 次の質問が、これまでも何人もの方が質問しているかと思うんですけれども、農林中金なんです。

 農林中金、なかなか大変でして、今回一兆円の増資をするというお話を伺っておりまして、外資系の皆さんの評判の非常によろしかった銀行だと聞いております。本当に一兆円で足りるのかなという危惧もあったり、本当に大丈夫なのかなと。

 今回の金融機能強化法というのはターゲットが地域金融だと思うんですよ。地域金融をターゲットにしているということについて政府参考人の方から手短に御確認の答弁をいただいてから、副大臣に今回の新しい金融機能強化法でどの程度までカバーできるのかについての御答弁をいただければありがたいんですけれども。

細溝政府参考人 お答え申し上げます。

 金融機能強化法の目的といいますか趣旨についてのお尋ねでございました。

 手短に申し上げますと、これは国の資本参加によりまして金融機関の金融機能を強化しようということが目的でございまして、その趣旨としては、地域における経済の活性化が図られるようにしたいということでございます。

大島(敦)委員 副大臣にお伺いしたいのは、地域金融と農林中金の話、プラスアルファ、ノンバンクさんとかあるいはメガバンクさんとかもまだあるわけですよ。そこの対策もとらなくていいのかな、大丈夫なのかなというところについて確認の答弁もいただければ幸いです。お願いします。

谷本副大臣 今、大島委員の御質問、金融機能強化法改正以外にも他の抜本的な制度改正が要るんじゃないかという御質問だというふうに思います。

 これも何度も答弁をさせていただいておりますが、我が国の金融システム、ほかの国に比べれば、相対的にはまだ安定をしている、ただ、御心配のとおり、今、株価が乱高下をしたり、あるいは実体経済がこれから悪くなってくる、金融機関に影響が出てくるだろうという中ですけれども、金融庁といたしましては、現在、我が国の金融機関のセーフティーネットというのは、例えば保険契約者保護機構であったり、預金保険制度であったり、あるいは投資者保護基金であったりと、今多岐にわたって、一応準備というか対応の整備をしております。

 ですから、現時点の判断では、法改正によって対応が必要なものとしてはこの金融機能強化法、これをしっかりお願いしているという状況でございまして、加えて……(大島(敦)委員「あと、農林中金」と呼ぶ)農林中金につきましても、これは申請してくるかどうかまだわかりませんけれども、本来、この法律の目的は中小企業、地域金融に対してしっかりと仲介機能を強化するということが基本でございますので、その趣旨に沿っているかどうかということはしっかり確認をしながら対応していくという考え方でございます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 結構、これからさまざまなことを危惧しながら対策を打っていかなくてはいけないなと実感をしております。

 もう一つは、金融機関について、もっと人材が育っていらっしゃるのかなと思っていたんですよ。バブルが崩壊してから、国としても大分資本を注入したり手当てをしてきましたから。しかしながら、今の金融機関の内実を見ると、バンカーとしてしっかりと仕事をされている方もいらっしゃるんですけれども、サラリーマン的に上の方を見る方が非常にふえているかなと思うんですよ。上の方というのは、融資の担当の人は支店長を見、支店長は本店を見て、本店は金融庁を見て、できるだけリスクは上にとってもらうというふうになっているのかなと。

 ですから、そこのところの人材の面についても、なかなか難しいとは思うんですけれども、バンカーの人材を片方では育成していかないと今後の金融というのは強くならないのかなという危惧を抱いておりまして、その点につきまして、現状認識でもいいんですけれども、副大臣の感想をいただければ幸いでございます。

谷本副大臣 大島委員の御質問にお答えをしたいと思います。

 人材がなかなか十分には育っていないのではないかというお話、確かに今回のサブプライムローンの問題にいたしましても、もう少ししっかり予見をして対応できたんじゃないかというようなところの思いはあるんだろうと思います。

 金融庁といたしましては、常に金融機関に対しては、こういった複雑な証券化商品だけではなくて、あらゆる投資の場合においてもしっかりそのリスクの特性に応じてリスク管理をしろという監督指導はしておりますけれども、今回、サブプライムの場合はいろいろこういう問題も起こってしまった。ただ、これは恐らく我が国金融機関だけではなくて、世界じゅうの金融機関にとってもまだまだこれからこういう複雑な金融商品に対する対応というものに関しては課題であろうかというふうに思っておりますので、その充実強化のためにまた不断の取り組みが必要であるというふうに考えております。

 金融庁としても、しっかり監督指導を通じてその辺の能力強化のために努めてまいりたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 橋本内閣のときに、恐らく、金融ビッグバンで金融を我が国としては自由化することに大きくかじを切ったときに、当時、本当にいいのかなと危惧をした一人なんです。金融ビジネスが本当に私たち国民にとって世界に伍してやっていけるかどうかというのは、非常に家業的な面、子供のころからの金利の感覚とか事業家の感覚とかがないとなかなか伍していけないところがあるのかなという危惧を持っていたものですから、今を迎えて、今、谷本副大臣からの御答弁がございましたとおり、ちょっと違うのかなと思っております。

 あと五分しかないので、ほかの質問は午後に移していくんですけれども、一九八九年に書かれた本で、MITが書いた「メード・イン・アメリカ」という本がございまして、十八年ぶり、十七年ぶりぐらいにもう一回読み直してみておりまして、結局は産業政策が本当に必要なのかな、産業政策が本当に必要な時代に今我が国は入っているのかなと認識をしております。

 もう一つは、前回のオイルショックのときに、一九七九年に、MITが書かれた「メード・イン・アメリカ」の十年前に「テクノクラシー」という本がやはり書かれておりまして、当時、ビジネスウイークの記者が世界じゅう投資家を取材していると、スイスの投資家が妙な投資行動をしている、要は日本のコンピューターメーカーに投資をしている、そこをひもといていくと、七九年にソ連が崩壊するというシナリオを書いている方がいらっしゃいまして、今世界で起きていることというのは、それに匹敵することが起きているのかなと自分は認識をしているんです。

 ですから、全く違うパラダイムの中で我が国の産業政策をこれから三年から五年の間につくって、次の世界の景気回復のときに自然と先頭に立つというような、今の厳しく、雇用を守っていく面と、二階大臣等が多分進めていらっしゃって、私たちも考えている、産業政策で重点的な分野、この委員会でも与野党ともに太陽光発電とか電気自動車とかいう、そこに投資すべきという話がございました。しっかりとかじを切って、産業界と政府が一体となって一つの時代を切り開く時期に来ているのかなと。多分我が国にとってはこれがラストチャンスかもしれないなと思っているんです。ですから、このことについて午後にでも地味な質問と織りまぜながらやっていきたいと思いますので、きょうはここで一たん質疑の方は終了をさせていただきます。

 本日はまことにありがとうございました。

東委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、委員会冒頭でお諮りした政府参考人に追加して総務省大臣官房審議官望月達史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑を続行いたします。大島敦君。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 午前中に引き続きまして、二十分間程度質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 大臣、今の経済、世の中の流れについて、私の考えなんですけれども、先ほどちょっと触れたんですけれども、一九七〇年代のオイルショックでどういう結果が導き出されたのかと思うと、技術の急激な進歩によって、多分、それについていけなかったソ連が崩壊して、ドイツが統一を果たしたのかなというのが時代の結果だと思うんです。ですから、先ほど述べた一九七九年の「テクノクラシー」という著作物はソ連の崩壊とドイツの統一というのを予測していたわけなんです。

 一九八九年にMITが書かれた「メード・イン・アメリカ」という研究レポートは、どうしてアメリカの産業がこんなに悪くなってしまったかということについて、鉄鋼、コンピューター、あるいは航空宇宙初め全業界を網羅してレポートを掲げています。

 その中で、アメリカの製造業には時代おくれの戦略、人的資源の浪費、企業間協調の欠如、製品開発力の弱さ、エンジニアリングのなさ、生産技術の弱さ、産業と政府の足並みの乱れ、短期的な視野と発想という問題点があるということを指摘して、結局、そのMITの研究レポートは、当時私は製造業にいたものですから、製造業の私たちは読んだんですけれども、MITのレポートではなく、その次に出た、多分ヤング・レポートによって金融という分野にはまってしまったのかなと。

 ですから、当時アメリカの自動車業界は全く今と同じような指摘をされているわけなんです。二十年間、それに対する対応が何もとれなかったのかなと。

 ことしの夏、これをもう一度、十数年ぶりに読み返してみると、アメリカという名前を日本に置きかえると、またこれも非常によく当てはまっているところがありまして、今の非常に大きな時代の変化、短期的にはサブプライムとかあるいは金融の破綻によって、多分一時的に原材料の値段は安くなってくると思うんです。穀物の値段、あるいはオイルの値段、あるいは石炭の値段。しかしながら、中長期のトレンドを見れば、ある程度、つい最近までは、オイルショック後の二十数年間にわたり、原材料、一次産品は大体同じ値段だったわけです。

 今、新しいステージに入っていて、そこに一時的、三年から五年ぐらいの中期的なスパンで金融がクラッシュして、多くの打撃をこうむっていて、短期的にどうしようかということが一つ。中長期的に見れば産業構造を、オイルショックが七〇年代に起こってソ連が崩壊したという結論があるように、今しっかりとした準備をしておかないと、我が国としては、今後衰えてしまうのかなという危惧を持っているんです。

 ですから、当委員会でも、太陽光発電とか電気自動車の話題が非常に多く取り上げられているのは一つの見識かなと思っていまして、中長期的に見て、次の四年から五年後の世界的に景気がよくなったときに、自然と我が国がそれについていける、あるいはそれに乗っかってより多くの、富と言ってはなんですけれども、富を我が国が集めることができる。

 それは年金あるいは医療を中心とする社会保障が充実するという結論にもなるのかなと思っているので、その準備を、一つには雇用を守って国民の皆さんに安心感を持ってもらうという政策とともに、中長期的にどういう産業構造に変えていくかという議論をもう一度私たち日本国民は早急に行って、対策を、これは政治の意思として大きなカーブを切っていかなければいけないかなという実感をしているんです。

 ですから、きょうの質問は、一点については太陽光発電、これまでここで何回も取り上げられました。

 ことしの七月、八月だったかと思うんですけれども、産業技術総合研究所に私一人で訪問させていただきまして、一日、これは吉川理事長さんかな、意見交換させていただいたり、そして各研究テーマについての意見交換あるいは視察をさせていただいたときに、太陽光についても非常にいい研究をされておりまして、そのときに伺ったのが、太陽光の今のシリコンの発電のパネルというのは劣化はしないんだ、未来永劫、発電の量は落ちないんだという話を伺ったわけなんです。

 今は太陽光を電気に変換する率というのが一五%ぐらい、これを二〇%、将来的には四〇%に上げていくという計画を持っているんですけれども、今の一五%の発電量であっても、パネルを多く並べれば一定の発電量は確保できることが一つと、もう一つは、前の福田首相が二百年住宅というのを打ち上げられて、できるだけ長もちするものを社会資本として日本の中に整備していくというお話がございました。

 そうしますと、今回、与野党ともに太陽光についてはしっかりと助成措置を行いなさいと政治の意思が明確になっていて、今の政府・与党としてもしっかりと財政措置をしていくかとは思うんです。

 その中で、十年ごとに家電とか自動車については買いかえ需要があるから、十年ごとに買いかえた方が経済的にはいいんだよという議論もあるかとは思うんですけれども、自分としては、せっかく一たん太陽光発電を設置したら、例えば三十年間だったら親と子ぐらいは、まあ五十年間は極端かもしれないけれども、親、子供、孫ぐらいは使えるものが社会インフラとして整備されるわけですよ。

 その点につきまして、まずは太陽光発電のパネルとか部材の耐久性がどのくらいもつかということについて、政府参考人の方から御意見を賜れればありがたいんですけれども。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光発電システムのうち、家の屋根に取りつけられております太陽電池でございますが、一般的に二十年以上使用可能であるというふうに言われております。

 ただ、直流から交流に変換する変換器、パワーコンディショナーと言っていますが、これにつきましては、まだ設置してからそんなに長い年月はたっておりませんけれども、十年程度で交換が必要になるようなものも一部出てくるのではないかというふうに言われております。

大島(敦)委員 今の太陽光発電は二つあって、太陽光のパネルの部分、太陽電池のモジュールという部分と、あとそこに直流を交流に変えるパワーコンディショナーというこの二つの機械、部材があって、その一つのモジュール、太陽光のパネルの方は大体二十年間ぐらいもつということでいいのかな。

 これは私もちょっと調べてみますと、シャープさんとか三洋さんのホームページ上には、期待寿命ということで、期待される寿命としては、太陽電池モジュール、このパネルの方は二十年ぐらい、これはシャープさん、三洋さんも平均して二十年以上の期待寿命があるということですので、例えば今回助成措置を行う場合に、十年ではなくて、自分の経験からして、多分そんなに難しくないと思うんです。今回のこの太陽光発電のモジュールにつきまして、太陽電池モジュールにつきましての耐久検査というのが十年間はギャランティーできる、二十年間もギャランティーするということは、機械の性格からそんなに難しくないなとは思うんです。

 そうすると、助成措置として、例えば二十年以上もつものについてはより多く助成して、三十年ぐらいもつものについてはさらに助成するというような、社会に発電プラントを埋め込むという一つの意思も必要なのかなと。

 なぜかというと、中東から大分石油を買っていまして、去年一年間の原油を我が国はどのぐらい買ったかというと、当時の原油価格で十兆円ぐらい、あと天然ガスとかもろもろ含めると二十兆ぐらい購入しているわけですよ。その部分を太陽光発電あるいは電池、電気自動車にすれば、中東依存度を下げることができるかなと。余計なコストを諸外国に払う必要がなくなるということにつながるので、僕はできるだけ長くていいものについてはより多くの助成をするような工夫をしていただけるとありがたいなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

吉川副大臣 私の方からお答えをさせていただきたいと存じます。

 先ほど大島先生が、産総研にまでおいでをいただきまして、いろいろと御研究をされ、御視察をいただいたということでありまして、私も、そのことをお伺いいたしまして、大変心から敬意を表したいと存じます。

 ただいま、さきにも答弁がございましたけれども、今回の補正予算におきましても約九十億円を確保いたしまして、住宅用の太陽光補助金におきましても、太陽電池の性能保証や設置後のサポートが太陽電池メーカーによって確保されているものを補助対象とすることといたしております。

 十年程度の長期にわたる信頼性が確保されているものに対して集中的に支援をしていくことと今回の補正予算ではいたしておるところでありまするけれども、先生の御指摘のとおり、今後、とりわけ新築住宅への普及を進める観点から、太陽電池の二十年以上の長期信頼性の確保も重要な課題だと考えているところでございます。

 他方、現在、太陽電池の長期の信頼性を客観的に確保する試験方法が確立されていない、完璧ではないということだと思っておりまして、経済産業省といたしましても、試験方法の確立に向けて一日も早く確立ができるように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

 なお、この試験方法が確立された段階におきましては、例えば二十年程度の長期保証のあり方につきましてもさらに検討をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 太陽光発電でも、既設の住宅の上に太陽光発電のモジュールをつけることもあるし、新築の場合には、今後、部材として屋根材の一部の中に太陽光を組み込んで、それをそのまま屋根にかけていけば、大分コストも少なくなるわけですよ。そうすると、大体、長く住宅がもつとすれば、二十年、三十年、場合によっては五十年ということも必要なのかなと思います。

 太陽光、太陽電池モジュールについては、今、吉川副大臣の方から、検討するということなんだけれども、多分会社の方は大丈夫だと思うんですよ。自分もメーカーでもっと難しい試験にたくさん携わっていますから、この程度のことは日本の家電メーカーでしたら今でもギャランティーできるぐらいの技術力はあるので、そこは政治の方で強く言っていただけると、補助金をたくさん出すから君たちも頑張れと言ったりすると、いや、実は二十年、三十年でも大丈夫だよという声が何か聞こえてきそうな気がするものですから、ぜひ国としてもその点については取り組んでいただきたいなと考えております。

 もう一つが、電気自動車というお話もこの場で出たと思うんです。

 技術の進歩、昔はインターネットを使うときに、自分は一九九四年ぐらいから使っているのかな、黎明期から使っています。そのときにはまだ同軸ケーブルで、なかなか通信速度が上がらないから光ファイバーということを言われたんですけれども、いや、そんなことないな、ソフトの開発によって相当通信速度は速くなるなと思っていたら、ADSLという手法、新しい手順が出て通信速度が速くなったり、技術の進歩は私たちの想像を超えるかなと。

 大臣とかあるいは吉川副大臣は知らないかもしれないんですけれども、前に鈴木保奈美さんが出ていた「東京ラブストーリー」というテレビドラマがあって、当時は携帯電話がなかったんです。普通の公衆電話で鈴木保奈美さんは電話をしていたんですよ。今は携帯電話が小さくなってポケットに入るようになったので、この技術の進歩というのはなかなか侮れないなと。

 いろいろな自動車会社の方にことし三月ごろ聞いてみると、まずはバッテリーだけの電気自動車じゃなくて、中継ぎとしてプラグインのハイブリッドがあったり、あるいは水素を入れる燃料電池があるなんというお話を伺っていたんですけれども、もっと急速な速度でバッテリーの開発が進む予感がするんです。

 今までは国としても、そんなに電気自動車は真剣にアクセルを踏んでいないはずなんです、物すごく産業に及ぼす影響が大きいから。要はエンジン回りがなくなるわけですから、中小の部品メーカーが大きな影響を受ける。ガソリンスタンドだって影響を受ける。整備士さんを養成している学校だって影響を受けるわけだから、なかなかそこまではアクセルを踏んでいなかったと思うんです。それが今回の原油の非常な高騰とこの間の洞爺湖サミットによって、一斉にアクセルが全世界で踏まれている感じがするんですよ。

 そうすると世界じゅうの、天才か変人か知らないですけれども、いろいろな人たちがバッテリーの開発競争に加わってくると、今日本は一番かもしれない、聞いてみると、日本の電池、バッテリーの開発が一番と言われていても、今後ある一人の天才があらわれることによって次のパラダイムにシフトして、次の段階に来ると、我が国がおくれてしまうことだってあり得ると思うんです。

 ですから、電池の開発については、ぜひ国として、大臣も予算の分捕り、なかなか大変だと思うんですけれども、電池については集中的に資本、研究開発を進めていくという国主導の考え方も必要かなとは思うんですけれども、その点につきまして、御所見があれば伺わせていただければ幸いでございます。

二階国務大臣 大変広範囲にわたって、現代の我が国の技術的な問題についての重要な点を御指摘いただきました。

 一々もっともだという気持ちを持ってお聞かせを願ったわけでありますが、私は今こそ、こういう時期だからこそ、電気自動車の導入等については、税制の優遇というふうな点だけではなくて、もっと思い切った対応をしなけりゃならぬという認識を持っております。

 そこで、私はちょっと御報告をしておきたいことがあります。

 ちょうど小泉内閣のころでございました。同じように経済産業大臣を担当しておるときに、アメリカへ参りましたので、その際、平成十八年の九月でございますが、私はアメリカのニューメキシコ州にあるロスアラモスの研究所を訪問いたしました。

 これは議員も御案内のとおり、水素貯蔵材料の解析技術においては既に世界のトップレベルということで有名でありますが、ちょうどそこにウォーレスという副所長がおりまして、日本と共同研究、共同開発について大変関心をお持ちになって、その後、交流を続けておるところであります。

 ちょうど平成十九年の十月に、NEDO、今お話しの産総研とロスアラモス国立研究所で、水素の貯蔵材料と燃料電池に関する共同研究等を実施することで覚書を結びました。その後十二月に、産総研とロスアラモス国立研究所で水素貯蔵材料に関する共同研究の契約が締結され、研究が開始されました。お時間の都合もありますから簡潔に申し上げますが、テーマは水素貯蔵材料分野の共同研究、平成十九年度より三年間でやろうということであります。

 今、着々と研究が進められておりますが、これによりますと、自動車の航続距離でありますが、七百キロメートル程度が想定される。燃料電池自動車の実現という意味で、現在は三百キロ程度と言われておるわけですが、七百キロといいますとその倍以上になるわけですから、日本のおくれとか、日本がこの分野にまだまだ対応がなっていないということを言われるわけですが、私の方は大体でき上がったところでごらんに入れるようにしたいと思っておりましたが、今予告編を一応申し上げておく次第であります。

 もう一つ、高温の超電導材料等の研究開発も、双方で覚書を締結して研究に取り組んでおります。また、ちょうど明日でありますが、ヒューストンにおきまして専門家会合を実施することになっております。来年四月には日本の研究者をある程度まとめて現地に派遣をしよう、こういうことで取り組みが進んでおるわけです。

 ロスアラモスの研究所というのは、御承知のとおりでありますが、一万四千人の研究員がおられて、うち四千人が博士だ、こういうふうな研究所でございます。過去にはいろいろなことがありましたが、それはそれとして、我々は、将来を見据えて、ともに提携し、協力し合えるところは協力していこう、これが私の考えでありますが、今ようやくそういう状況に進んでおりますことを御報告しておきたいと思います。

大島(敦)委員 大臣の取り組みについての御報告、しっかりと受けとめさせていただきます。ありがとうございます。

 特に、今の水素を入れる燃料電池というものと、もう一つは電池だけ、要はバッテリーだけで動かそうとする二つの流れになっていまして、恐らく将来的には、水素を入れるというのは水素スタンドをつくるという設備投資が結構必要なものですから、本来であれば、水素を入れる燃料電池、次にバッテリーなんですけれども、直接バッテリーにと時代としては流れが変わってきている感じもしないでもないものですから、そこのところも、経済産業省さん、国としては注力をして、研究開発について方針としてやっていただければなと思います。

 もう一つは、原子力なんです。

 原子力については、恐らく今後、電池とか電気とか言われると、ではどこで発電するかというと原子力ということに大きくは依存せざるを得ないのかなと思っております。

 原子力発電所の検査制度についての見直しが行われているかと思うんですけれども、その点につきまして手短に私の方から考え方だけ述べさせていただきたいのですけれども、工場の管理というのがこれまでとは違うスタイルの管理に移行する時代に入ってきたのかなという気持ちもしないでもないんです。

 なぜかというと、発電所においても重大な災害が起きたり、あるいはほかの産業界においてもこれまでにはないようなミスによる火事とか事故が多発しておりまして、今までの日本の現場、現業の管理、生産とか品質管理というのは、優秀な人材を採って、任せて、自主管理活動等でやっていただくというのがこれまでの日本の管理だったと思うのです。

 でも、私たちの国もなかなか優秀な方も多いんですけれども、レベルというのかな、そうでもないという方も中にはいらっしゃる嫌いもあるので、管理のスタイルというのを、任せてお願いする管理から、ある程度マニュアルをしっかりつくって、ヒューマンエラーを前提とした管理とか検査に変える時期に来ているのかなと僕は数年前から考えておりまして、今回の原子力発電所の検査制度を見直すという中に一つの思想があった方が、多分あるかもしれない、あった方がいいかなと思うんです。

 それは、要は任せてお願いする。例えば、電力会社の発電所ごとにその手順が違っていたり、会社が違うと手順が違うということよりも、すべてが統一されている、お互いに一定の、大中小分類ぐらいまであって、一定の操業レベルあるいは検査項目がいつも確保されているということが必要かなと思っているのです。

 その点につきまして、今回、原子力発電所の検査制度の見直しでそのような論点も入っているかと思うんですけれども、もう一度その点について御説明いただければ幸いと存じます。

薦田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のございました原子力発電所の新たな検査制度というものは、あくまでも安全性の向上を図るということで現在検討を進めている、あるいは実施に移そうとしているものでございます。

 具体的には、これまで行っていなかった運転中のポンプの振動測定による状態監視を義務づけるとか、あるいは、これまではよい悪いとしか見てこなかったものに対しまして、例えば、機器を分解した際にその劣化状態のデータを体系的に取得、蓄積して、以降の点検に反映させるとか、こういうことで、従来に比べましてより高度な技術を要するような体系になっているものでございます。

 そういう点で、今委員から御指摘のございましたように、実際の現場の従事者にどのような管理体制をこれに合わせて行わせるかということは非常に重要なテーマでございまして、これにつきましては、また別途、保安規定等におきまして品質保証という形できちんと各電気事業者が職員に、そして下請の方に一定の水準を守らせる、あるいは、ある方がミスをしたというときにはこれを是正する、これをちゃんとやらせるような体系をとるようにしておるところでございます。

 以上でございます。

大島(敦)委員 もう一点ちょっと伺いたいのですけれども、今の製造業あるいは電力産業もそうだと思うんですけれども、系列とか下請とか孫請に細かく分けてお願いしているところがあると思うんです。各発電プラントの要は歴史を背負っていますから、それぞれの発電所ごとあるいは会社ごとに、どこまでが本体としての業務範囲で、どこからが系列になって、どこからが下請さんになるかというのがなかなか全国統一していないなと自分は思うんです。

 自分の思想としては、できるだけ安全についてはコストをかけてもいいと思っている立場なので、できるだけ、あくまで最終的には電力会社が責任を持つといっても、なかなか会社対会社になるとその辺の情報共有がうまくいかない面もありますから、その点についての検討なりをしていただいたり、自分もこの点についてはまだ素人なものですから、そういう方向の方がいいと思うんですけれども、そのことについて、御所見があれば、伺わせていただければ幸いです。

薦田政府参考人 お答えいたします。

 今の体制の問題でございますけれども、法律上あるいは安全の実態上からまずお話しいたしますと、原子力発電所のメンテナンスにおきまして協力会社がどの程度関与するかにつきましては、基本的に事業者がプラントごとに自主的に定めるべきものであると考えているところでございます。

 ただ、今お話がございましたように、まさにプラントの安全性確保につきましては、最終的には電力会社が責任を負っておりまして、電力会社は協力会社に対してどのような調達管理を行うかということにつきましては、きちんと品質保証体系に基づいてやるように法律上なっているところでございまして、私どもも見ておるところでございます。

 また、実際に我が国の原子力発電所の安全性が海外に比べてどうかということでございますけれども、例えば運転中に急にシャットダウンするような比率なんかを見ておりますと、海外に比べましてはるかにいいパフォーマンスを示しておりまして、そういう点で、安全性の面から、特に私どもとして電力会社にこうあるべきと言う段階にはないのではないかと思っておるところでございます。

 ただ、他方、今お話ございましたように、まずアメリカでは、電力会社の職員がメンテナンスを中心に行うということは事実でございます。こういうことは広く行われております。

 また、新しい検査制度におきましては、先ほどお話をしましたように、例えばポンプの劣化度を、従来はいいか悪いかだけを見ておりましたけれども、今後、詳しく定点観測的に見ていくということになりますと、これまで以上に、何度も、ここ何年にわたってちゃんと見ていく、こういう技術者が要る、あるいは高い技術能力を持った者が求められるということでございまして、御指摘の点につきましては、電力会社みずからがまずしっかりと考えて対応していく必要があると考えておりまして、私どももそのように問題提起をしていきたいと考えております。

大島(敦)委員 繰り返しになるんですけれども、今までのように、ある程度経験を積まれたり、同じ会社にずっと長くいる時代から、徐々に、時代の経過によって、ともに仕事をする方たちのメンタリティーも変わってきているかなと思うんですよ。ですから、多分、これまでの前提で品質管理なり操業管理を行うと重大事故が発生するおそれもあるかなと思っているので、その点をもう一度、多分検討されているとは思うんだけれども、ちょっと頭にとめていただいて、現業の、要は働く人たちの、しっかりやっていただいているとは思うんだけれども、将来的にどうかというところを踏まえて、検査なり操業の仕組み、あるいは思想を整えていただけるとありがたいなというのが自分のお願いなので、よろしくお願いをいたします。

 これは大臣に伺いたいんですけれども、今言った私の、環境変化に注意しながら制度をつくるということが必要なんですけれども、その点につきまして、大臣の御所見を最後に伺わせていただければ幸いでございます。

二階国務大臣 これからの我が国の将来を思うときに、やはり科学技術というものを第一番に押し出していかなきゃならぬ。また、そういうことで、我が経済産業省としても取り組みを進めてきておるところでありますが、今委員がるる述べられましたとおり、これからの社会の変化に対して、あるいは次の時代を読み取って対応していくためには、技術の変化にどう対応していくかというのは、産業界や一般社会にお任せしているだけではなくて、政府がもっと前面に立って支援をし、また引っ張っていく、それぐらいの迫力がなくてはならぬと思っております。我々は、その責任を十分痛感しながら対応してまいりたいと思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。質問を終わります。

東委員長 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、古川元久君。

古川(元)委員 民主党の古川元久でございます。

 きょうは、不動産の経済や産業に与える影響について議論をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、大臣の御見解をちょっと伺わせていただきたいと思っているんですが、経済、特に日本経済や日本の産業において不動産がどのような役割を果たしている、あるいは不動産価格などがどのような影響を経済や産業に与えているというふうにお考えになっているか。

 今回、いろいろ私も質問するので聞いてみましたが、経済産業省の中で不動産というのは担当しているところがないということなので、役所としての見解ではなくて、二階大臣の個人的な見解で結構でございますので、不動産が経済や産業に占める役割や、あるいはそれに及ぼす影響についてどのようにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。

二階国務大臣 国民生活そして産業活動に与える影響、私は不動産というのは極めて大きなものがあると思っております。我が国経済において、重要な役割を今日までも果たしてきているわけであります。

 そこで、平成十八年の末において、国民が保有する土地、住宅等の資産は約千七百兆円であったということが言われておりますが、非金融資産全体の七割程度を占めております。こうした不動産は、金融機関からの融資に当たり担保に供されることを通じて、資金供給の円滑化にも寄与しております。

 また、不動産市場の動向についてでありますが、地価については、本年七月一日時点において、全国平均で前年度マイナス一・二%、地方圏では二・三%マイナスになるほど下落をしております。十月時点において、首都圏のマンション価格は若干上昇していますが、その契約率は依然として低い水準で推移しておると伺っております。

 このように、総じて見れば、不動産市場というのは厳しい状況にあるということを思うわけでありますが、経済産業省としては、我が国経済における不動産の役割にかんがみまして、不動産市場の動向については、今御指摘をいただきましたが、今後、家計消費、設備投資等の実体経済の動向を見るときにも極めて重要なファクターを持っておるわけでありますから、細心の注意を払ってまいりたいと思っております。

古川(元)委員 想定問答ではなくて、大臣の、個人的にどんなふうに考えていらっしゃるかという、そのお考えをお伺いしたかったんです。

 私は、今回の世界的な景気後退の発端というのは、アメリカのサブプライムローンの問題に端を発するというふうに言われているんですが、これはまさに住宅の問題ですから、これは不動産の問題ですね。またヨーロッパの方でも、アメリカと同じか、あるいは私はアメリカよりも状況は深刻なんじゃないかと思いますが、この景気後退もやはり引き金は住宅価格、これはもう明らかにバブルだというふうに言われていましたけれども、その価格の下落が景気後退の引き金になっているというふうにも言われております。

 また、途上国なども、やはり外資、お金が入っていくのは開発とかそういうので、不動産絡みでお金が投資される例が多いんですね。ですから、不動産市況が悪くなりますと、不調になると、途上国から外資の引き揚げ、お金の引き揚げにつながって、それが途上国経済の足を引っ張る。

 そういう意味で、先日、ドバイで世界経済フォーラムの会議が開かれまして、今、経済危機を初めとする世界が直面するさまざまな課題についての議論が行われまして、私もその場に参加をさせていただいたんですけれども、そこでもやはりこの不動産市場の今後の動向に対する懸念というのが示されたんですね。

 日本では、後からちょっと議論させていただきますが、商業用不動産の方の価格の下落が先行している感があるんですが、世界においては、むしろ、アメリカのサブプライムではないですけれども、住宅用不動産の方の価格の下落が進んでいて、商業用不動産に波及するのはこれからじゃないか、そのことがまた世界経済を大きく冷え込ませる引き金になるんじゃないか、そういう懸念が示されたんですね。

 ですから、世界経済においても、やはり不動産というものが経済に及ぼす影響というものは極めて大きいというふうに認識されているわけなんですね。

 特に、日本におきましては、それこそ昔は土地神話というのがありました。それがなくなったとはいうものの、しかし、まだまだやはり、例えば不動産担保で融資を受けている、特に中小企業になればそういうところが多いわけであって、全然担保もなくて、不動産担保もなくて借りられるかと。最近はよく保証人というのがかわったりもしているんですが、では、保証人の保証も、その人の保証でいい、何でいいと言うかといったら、その保証人の後ろに不動産があるとか、よく分析していくと、結局は、やはり最後は不動産に担保されるというような状況があるわけですね。

 ですから、この不動産価格がどんどんと下落をしている状況、そしてまた今後とも続いていくと、これはやはりさまざまな経路を通じて企業経営に影響を与え、あるいは銀行の経営にも影響を与え、そしてそれは日本経済にも大きな悪影響を及ぼしていく。そういう意味では、私は、不動産市場の動向というのは、経済産業政策を考える上でも、これは見逃してはならない重要な要因ではないかというふうに考えているんですね。

 そこで、今、大臣の方の経済産業省は所管していないわけですから、余り経済産業省の今の不動産市況がどうかというのは政府の公式見解にならないでしょうから、所管している官庁の見解をお伺いしたいと思いますけれども、現在の日本の不動産市場についてどのように認識しているか、また、今後の動向についてはどのように予測しておられるのか、まずは国交省の見解をお伺いさせていただけますか。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 不動産でございますけれども、先ほど二階大臣からもお答えがございましたが、不動産が適正に取引され、有効に利用されることが我が国経済社会にとっても極めて重要と考えております。

 現在の不動産市場でございますが、マンション分譲などの市況の悪化に加えまして、やはりサブプライムローンに端を発しました世界的な金融市場の混乱によりまして、不動産業における金融機関及び金融市場からの資金調達が困難になっておるというように認識しております。

 そのように不動産市場が大変低迷した結果、例えば今年度四月から十月までの倒産件数でございますが、二百七十二件ということで、前年度同月比二四・八%の大幅な増加となっているというように承知しておりますが、引き続き厳しい状況が続くというように見込んでいるところでございます。

 以上でございます。

古川(元)委員 では、次に、今不動産は証券化されてJ―REITなんかで取引されているんですが、J―REIT市場を監督している金融庁は、この市場の現状についてどういう認識を持っておられるか、また、今後の動向についてはどういうふうに予測しておられるのか、その見解を聞かせていただけますか。

岳野政府参考人 ただいまJ―REIT市場についてのお尋ねがございました。

 不動産市場の中でもJ―REIT市場と申しますのは、投資家から資金を集めまして、オフィスビルや賃貸マンション等の不動産に投資をいたしまして、そこから得られる賃貸収入や売却益をもって投資家に分配する仕組みでございます。

 このJ―REITにつきましては、証券取引所に上場されておりまして、一般の投資家が投資をすることが可能となっている手段でございまして、不動産につきまして、こうしたJ―REITという手段を通じまして投資家の投資手段が提供されておりますことは、投資家の利便性の向上の観点から重要な意義を果たしているものと考えております。不動産市場の一部ではございますが、J―REIT市場について意義があるというふうに考えておるところでございます。

 続きまして、市場の動向についてでございます。

 先ほど国土交通省さんの方から、不動産市場全体についての御説明をさせていただいておりますが、J―REITにつきましてでございますが、J―REITを代表いたします指数といたしまして、東京証券取引所で東証REIT指数というものを発表してございます。この指数の推移を見ていただきますと、昨年五月に二六〇〇ポイント強の最高値をつけました後、直近の十二月二日におきましては七九三ポイントということで、この昨年の最高値から比較いたしますと、七割程度の下落ということになっているわけでございます。

 他方、こういった指数の動きのほかに、売買動向その他の動きを見てまいりますと、例えばJ―REITにつきましては、従来、買い手でありました外国の投資家が、世界的な金融資本市場の混乱を受けまして、昨年後半以降、大きな売り手の方に回っているといったような状況。逆に、価格が大分下がってきておりますので、いわゆる分配金の利回りと申しましょうか、配当金の利回りが非常に高くなっておりまして、もう七%から一〇%といった利回りで回っている状況でございます。

 したがいまして、直近の状況では、従来、J―REIT市場で売り手でございました個人投資家がネットの買い手になって登場しているといったような動きが出ているわけでございます。

 市場の今後についてということでございますが、上場している証券につきまして、しかも不動産市場全体の一部でございますので、この動向について確たることを申し上げることは難しいわけでございますが、私どもといたしましては、J―REITがまず投資家に魅力のある形で適正に運営されて、そのパフォーマンスがディスクロージャーされ、かつ投資家が適正な判断で、有利なものにはきちんと買いが入ってくるという形で、J―REIT市場が引き続き重要な役割を果たしていっていただきたい、かように考えている次第でございます。

古川(元)委員 今の金融庁の岳野さんのお話だと、要は、J―REITは、今の利回りとかそういうところから見れば、本来は十分買いが入っておかしくないような、そういう意味では底を打っている、そういうような認識でいらっしゃるということですか。

岳野政府参考人 失礼いたしました。

 やや個人的な思いが走ったような御説明をさせていただきまして、恐縮でございます。

 今後の市場につきまして、私どもも、J―REIT市場という、取引所なり市場という観点で見た場合には、先ほど申し上げましたように、売買動向なりリターンというものを見ていく、そういう観点からのコメントを申し上げさせていただいたわけでございます。

 さらに、まさにJ―REITが投資しております投資物件、先ほど申し上げましたが、商業用不動産から賃貸マンション、こういったものは、当然のことながら、先生から御指摘をいただいております我が国の不動産市場そのものの影響を受けますし、そのものの一部でございますので、そういった不動産市場そのものの動向が今後のJ―REITのリターン、利回り、もしくは売却益、そういったものに影響はしてまいるわけでございます。

 ただ、大変恐縮でございますが、J―REITの投資商品につきましての今後ということについては、将来はこういうことだということはなかなか申し上げにくいことは御理解いただければと存じます。

 先ほど私が、もう底を打った、今買いどきだというつもりで御説明したということであれば、それは訂正させていただきます。大変失礼いたしました。

古川(元)委員 私が聞きたかったのはそういうわけじゃなくて、要は、本来であれば、もともとJ―REITなんかを、こういうのを入れたのには、ちゃんと借り手、借り先がいて、お金がちゃんと入ってきているのであれば、そんなに、ちょっと資料の二ページ目を見ていただければわかりますけれども、株と同じぐらいの形で暴落をしているわけですよね。本来は、J―REITの、これはそもそも市場の情報開示とかいろいろなものがあって、市場環境の問題もまだあるのかもしれません。

 ですから、そういう要因があるのかもしれませんが、理論的に考えれば、さっき利回りが七から一〇という話がありましたけれども、ほとんど今ゼロ金利の時代に、それだけ利回りが回る、また、中には二〇%ぐらいの利回りになっているような、そういう銘柄もあるというふうにも聞いております。

 そうであれば、理論的に言えば、今のこの市場というのは理論値からいうと相当乖離したような価格になっている。それは別に、今後どうなるかということはもちろん市場ですからわからないんですが、理論的なところからいえば、いわば過度な利回りがあれば当然そこには買いが入っていって、適切な、今のほかの金融商品と比べて似たような利回りに収れんしていく、理論値としてはそういう形になっていくんじゃないのかな、そんなふうに私は思うんですが、その点についての見解はどうですか。

岳野政府参考人 恐縮でございます。

 まず、現状につきまして、古川先生が配付されました資料の二ページに、東証のREIT指数と日経平均株価の推移が出ております。株価と同じように動いているではないかという点でございますが、まさに今こういう状況になっているわけでございますが、世界のREIT全体を見ましても、アメリカ、ヨーロッパ、あるいはオーストラリアのREITも、実は同じような動きをしております。

 ちなみに、手元の資料で、昨年の年始からここ約二年ぐらいの動きを見てみますと、世界のREIT指数、これはスタンダード・アンド・プアーズとシティグループが試算しております指数でございますが、世界全体で六割下げております。フランスが五割、日本が五七%、米国、オーストラリアが五七、五八ということで、全体として実は世界のREITが下がっている、こういう状況にございます。

 そういう中で、現在のREITの投資水準がどうかということにつきまして、現在のこの数字自体を見る限りでは、先生がおっしゃいますように、私も申し上げましたけれども、配当利回りは非常に高い水準でございまして、同じリスクキャピタルでございます株式の配当利回りが二%ぐらいだということから見ても、REITというのは有利な投資物件のように見えるということは、そのとおりでございます。

 また、これは今の株式市場そのものがそうなんですが、PBRといいますか、ブックバリューと価格を比べますと、平均して我が国の株式市場でも株価が純資産より下回っているということで、全体として今非常に世界の株式市場が、リスクからの回避といいますか、フライト・ツー・クオリティーとかフライト・ツー・キャッシュという動きの中でリスク商品からお金が逃避をしておりまして、REITに限らず、非常にリスク性の商品が売られ過ぎている、こういうふうな認識は持っているところでございます。

 ただ、では先々どうかということにつきましては、やはりREITと申しますのが、その投資の中身が商業用不動産であり賃貸マンションといったようなものでございますので、そういったものの先行きのリターンがどうなるかということにつきましては、全体の不動産市場の動向、あるいは世界全体の不動産というよりは経済、金融動向、そういったものに左右されますので、将来の投資の利回りなりリターンの的確性なり確実性につきましては、大変申しわけございませんが、確たることは申し上げられないということで御容赦いただきたいと思います。

古川(元)委員 それはわかるんです。国交省もさっき何となくあっさり言われましたけれども、今まさに岳野さんがおっしゃいましたが、要は、株式市場もそうなんですけれども、普通から考えたらここまで売られるのはちょっと理論的に考えておかしいというくらいに売られている。しかし、売られている。売られているというのは、裏返せば買い手がいないということですね。

 マーケットというのが、株式市場もそうですが、REITなんかもそうなんですけれども、そういう意味でのマーケットが普通に機能していればつくはずでないような値がついているというか、気配値のようなものかもしれませんが、今そういう状況に陥ってしまっているんじゃないか。ですから、そこが、今回の経済危機は百年に一度というふうに言われていますけれども、今までの不況とかそういうのとはちょっとやはり質的に異なる状況に陥ってしまっているんじゃないか。

 ですから、実はこれはREITなんかでも、十月二十八日に東証のREIT指数も最安値を記録してそれから戻ってきているから底を打ったかのように見えますが、私は、まだまだ今後の経済動向によっては、もっと下がっていくといいますか、どんどんどんどん落ちていくリスクだってあるし、むしろそのリスクは、今の景気の状況とかそういうものを考えると、その方が高まっているんじゃないかなと。

 そういう意味では、さっきの国交省の認識もちょっと、単純にこれからも厳しいですという、何か普通の不況がこれから始まりますよというその程度の認識でいいのかなという気が私なんかはするんですね。

 資料の一枚目を見ていただければわかるんですが、先ほど申し上げたように、日本の場合、商業用不動産、不動産流通業の中で商業地のところが、昨年からことしの一月までで九〇ポイントも悪化している。多分、もっとこれは今悪くなっているでしょうね。薄くて見えにくくなっているんですけれども、そのちょっと上の方に住宅地の不動産流通の方もあるんですけれども、結局、商業地がどんどん悪くなっている。それにいわば共連れするように住宅地の方も悪くなっているという状況にあるわけですね。

 REITは、資料の二枚目でさっき申し上げたとおり。

 先ほど岳野さんからもお話がありましたけれども、結局、REITの買い手というのを見てみますと、三ページを見ていただきますと、昨年一年間で構成比は外人が五五%も占めているんですね。

 これは私は、日本の株式市場も、今後の景気については必ずしも日本が世界の中ではいい方だというふうには言えないんじゃないかと思いますが、しかし、今までのところを見れば、世界に比べれば日本の被害といいますか景気後退はまだ軽微な面があったにもかかわらず、株価の下落がニューヨーク・ダウよりも大きいというのは、私がかつて役所にいたころも、まあ岳野さんも同じところだった、違ったかもしれませんが、あのころ証券局でしたね、岳野さんは、毎週毎週私が大臣官房調査企画課で課長に上げていたマーケット動向というので、今週の外人の買いは、売りはという、もう十七、八年前から外人の売り買いで結局市場動向が影響されるような状況がありましたけれども、今や東証なんかでもやはり外人が占める割合がますます多くなっていて、結局、これだけ株価が理論値からいっても考えられないほど売り込まれているのは、やはり外人の割合が多い、こういう構成になっているところが日本の金融市場の脆弱性を非常にあらわしている。

 諸外国と比較して、国内にお金がないなら別なんですけれども、お金がこんなにあるのに、日本人がわざわざ為替リスクや何かをとって外に投資して、外人が日本のところに投資している。外人が逃げていっちゃうと、それで株価も下落するし、また、外人は大体、ゼロ金利政策で日本の中で円を引っ張ってそれを投資するみたいなのをやっていましたから、今度はその円をどんどんと戻してくると、これまた円高になって景気も悪くなる、そういう非常に脆弱な構造をつくってしまったことがあらわれている。

 そのことは、REIT市場を見ても、資料の四を見ていただければわかるように、十月なんかで見ると、日本勢はほとんどむしろ買っているんですが、外人だけは大量に売り越しをしている、そういう状況からもあらわれているわけなんですね。

 要は、こういう状況を見ていきますと、今、特に商業用不動産市場なんかで考えてみますと、これは後からもちょっと議論させていただきますけれども、業者なんかはとにかく資金繰り、もう逼迫していますから、とにかく現金が必要だ、たたき売る、何でもとにかく売れるものから出す。

 しかし、買い手がなかなか見つからないから、どんどんどんどん価格だけ下がっていって、ようやく買い手がついたときの値段は、普通から考えるとそんなに安いのというような値段で買いたたかれてしまって、結局それがまた新しい地価とかになってしまって下落していくという、買い手不在の中で、地価の下落、地価だけじゃなくて、住宅などの不動産も、あるいは商業用不動産、ビルなんかもそうなんですが、どんどんと下落していってしまう。

 そういう意味では、今の問題というのは、結局、買い手がつかないというところに問題が、不動産の市況がどんどんと悪化している。今後とも、私は今のままいったら悪化は深刻になるんじゃないかと思うんですが、そこのところのやはり一番ポイントは買い手がいない、ちゃんといわゆるマーケット価格で買うような人というのがいない。

 先ほど、いや、個人の方は買い始めていますといっても、個人がどんなに買うといったって知れているんですね。やはり機関投資家が買わないといけない。しかし、機関投資家が今もう全くお金をとめられちゃっているような、あるいはもうむしろお金を回収して、投資してきた人に返さなきゃいけないとかそういうような状況になって、そういう意味では、買い手が不在だという状況がこういうずるずるという状況を生んでいるというふうに思いますが、国交省はその辺についてはどのように考えていらっしゃいますか。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生から御質問あった点でございますが、幾つかの業態に分けて考えますと、私どもの認識でございますが、まずマンションなどの不動産分譲でございます。

 これはもとより、建築原価でございますとか地価上昇、販売価格の上昇という面も一方ではございます。また、個人所得の伸び悩みということで需要の頭打ちもございます。ということで、マンションの販売戸数、契約戸数が大幅に減少いたしまして、在庫が増加しているというような状況がございます。

 また、先ほどもお話がございました、いわゆる不動産の流通化事業でございます。

 これは賃貸マンション、オフィス等を開発、取得して、それをファンド等に売却するものでございますが、これはやはりサブプライムローン問題等に端を発しました世界的な金融収縮によりまして、買い手であるファンド等に対する融資が大きく減少したために、出口である仕入れた不動産の売却先が激減しておる。例えば商業用証券、CMBSでございますが、二十年上半期の発行額が昨年の同月比から実に七割、六九・七%減少しているような状況というようにとらえているところでございます。

 以上申し上げましたような要因によりまして、不動産業の業況が悪化し、それによりまして必要な資金調達が困難になり、さらに業況悪化を招くという状況になっているというように認識しているところでございます。

    〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕

古川(元)委員 本当にこれは負のスパイラルに陥っていると思うんですね。こうした不動産価格の下落というのは、金融機関の経営にもやはり非常に大きな影響を及ぼしてくるんですね。

 資料五を見ていただきたいと思うんです。

 金融機関の業種別の貸出金残高を見ていただくと、個人向けとかを除いて、要は業種別のところの企業向けの貸し出しのところだけ見ていると、不動産業で二二・九%、不動産関係の住宅とか何かの建設なんかも入れたら三〇%ぐらいが不動産関係の業界に貸し出しされているわけですよね。

 これは製造業の二〇%よりも大きいわけでありまして、ここの不動産のところでどんどん今起きているように、中小はもちろんですけれども、大企業の上場している不動産業なんかも、あるいは建設業なんかもどんどん倒産がふえていて、今後もっとふえるんじゃないかと言われていますから、そういうものが起きれば、これは当然金融機関にも大きな影響を与えてくるんじゃないかと思うんです。

 特に、また次の六ページを見ていただきますと、これは地銀のところで見ますと、地銀の不動産とか建設向けの融資というのはやはり大きいんですね。

 これは全体の融資ですから、個人への融資とかそういうのも含めての中ですから、さっきの業態別よりも数字的に見ると小さいように見えますが、全体で見ればこれはかなり大きいと思うんです。全体の中だと、今、金融機関の全貸し出しの中だと不動産向けは大体一四%というふうに言われていますが、そういうのから見ても、これはもう四割ぐらい貸しているとか非常に大きな割合を占めているところが多いですよね。しかも、これだけじゃなくて、これも、この中にはJ―REITなんかのいわゆる債券投資されている部分は、これは不動産向けの貸し付けというふうにならないでしょうから、そういうものも含めて考えると、不動産の下落が金融機関に与える影響というのは相当に大きいというふうに考えなきゃいけないんじゃないかなと思うんですね。

 七ページ目、少しわかりやすいために、これは週刊ダイヤモンドに書いてあった図をそのまま持ってきたんです。

 今いろいろな問題が起きて、とにかく景気自体が悪化していますけれども、ここの中では、不動産価格の下落というのは担保価値の下落を通じて貸し渋りや貸しはがしにつながる、そこにしか矢印がありませんけれども。業況が悪化して破綻するような中小企業や、あるいは上場企業も含めてそういうところが破綻すれば、当然、不良債権の拡大という形で銀行のバランスシートの悪化につながりますし、そしてまた、REIT価格がどんどん下落すれば、REITを持っている、これはさっきの保有の中を見ても、国内で投資家で一番REITを持っているのはやはり金融機関ですから、金融機関の方も含み損がどんどんどんどんと拡大をしているわけですから、そうなると、バランスシートが悪化して、これまた自己資本比率改善のために資産圧縮しなきゃいかぬ。そうすると、また中小企業を中心に貸しはがし、貸し渋りということが起きる。

 そういう悪循環が今起き始めているというふうに認識をしなきゃいけないんじゃないかと思いますが、金融庁はそういう認識は持っていますか、どうですか。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の金融につきまして、そういった世界同時景気減速の中で、非常に厳しい環境に置かれているということにつきましては認識しております。

古川(元)委員 いや、この不動産価格の下落が金融機関の経営にも影響を及ぼしていって、このまま続いていくと、それは金融機関の経営にも相当深刻な影響になってくるんじゃないですか、そういう認識はありますかと聞いているんです。

河野政府参考人 失礼しました。

 ただいま委員の御指摘いただきましたような一連の動きにつきましての因果関係そのものはそのとおりであると認識しておりますが、その中で金融機関として何ができるかという点につきましては、もちろんさまざまな見方もございますので、私どもとしましても、金融仲介機能の発揮ということを金融機関がしてもらえるような環境をつくることに全力を注ぎたいと考えております。

古川(元)委員 私の聞いていることにちゃんと答えてもらいたいんですけれども、要は、不動産価格がどんどん下落してとか、REIT価格も下がっていけば当然これは金融機関の経営にも影響は及びますよね、そういう認識でいいですね、ここは。

 そういうふうに考えれば、これは皆さんもわかっていらっしゃると思いますけれども、不動産の関係者の間では、不動産が下落し始めたのは別に今回のリーマン・ショックがあったからじゃなくて、むしろ金融庁ショック、これは金融庁がその引き金を引いたんじゃないかというふうに言われているわけですね。

 資料八に、新聞記事のところでちょっと引かせていただきましたけれども、「金融庁悪玉論」「不動産市況を悪化させた責任の多くが、銀行に不動産向け融資を絞らせた金融庁の指導にある」、そういうふうに見方として言われているわけですよね。金融庁長官は全面否定をしているけれども、しかし、業界の方では金融庁への不信感というのが募っているというふうに言われているわけなんですね。

 これはもう、最近、官製不況というのも、またかという感じなんですが、官製不況だという声があるんですけれども、これについて、不動産業界を所管している国交省はどういう認識を持っていますか。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもも、もとより、不動産業者団体、業界団体について、たび重なるヒアリングを通じまして、不動産業を取り巻く融資の状況について事業者の声をお聞きしているところでございます。

 もちろん、その中で、国土交通省といたしまして、金融庁による金融機関検査が原因かどうかについては定かに把握しているわけではございませんが、業界の声といたしましては、例えば、マンションの完成時に返済する予定の借り入れの返済や借りかえができないとか、これら資金について在庫処分により返済資金を確保するため、さらに市況が悪化するとかでございます。また、担保不動産についての評価、担保掛け目が厳格化したとか、あるいは急激に在庫、業績が悪化している企業についても、過去の実績等を踏まえ、直近の在庫だけを過度に重視しないでやってほしいとか、あるいは事業サイドの住宅ローンについての融資審査の条件が厳格化し過ぎているんじゃないかというようなきめ細かい声をいただいておりまして、そのような結果をお伝えして金融庁とも意見交換をしているところでございます。

 以上でございます。

古川(元)委員 お伝えして意見交換しているだけでは、国交省としての役割を果たしていないんじゃないですかね。

 金融庁の方は、これは官製不況だと言われて、そのとおりですという認識はないんでしょう。どうですか。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもとしましては、金融機関は、預金者の方々の大切な預金をお預かりしております以上、当然リスク管理をきちんと行っていただく必要はありますけれども、やはり融資に当たりまして、借り手企業の経営実態でございますとか特性を、きめ細かく行うことでリスクテークをするということが大変重要であるということは申しております。

 したがいまして、今の委員の御質問に対しましては、私どもとしましては、決して金融庁の現場の検査監督のせいでこういった問題が起こっているという認識ではございませんけれども、しかし、そういった御指摘があることにつきましては大変重く受けとめさせていただきます。

古川(元)委員 重く受けて、ではどうなったかということです。意見交換するのはいいんですけれども、何か国交省も単なる、不動産業課ですか、課をつくって、その業界から声を聞いて、それを金融庁にお伝えして、それで終わりですか。実態が何も変わっていないというふうに不動産業界の人たちは認識しているんじゃないですかね。何のために、意見交換というか、単にお伝えしているだけなんじゃないですか。本当にそうじゃないと言うんだったら、ちゃんとそうでない効果というものが出てこなきゃおかしいし、こうやって、まだこの新聞はそんなに古い新聞じゃないですから。最近でも言われているわけですからね。

 国交省は、金融庁の方にお伝えして、善処してください、そこで終わりですか。それ以上何もやらないんですか。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 お伝えして意見交換しているということでございますが、もとより私ども不動産業界を担当する組織といたしまして、このようなきめ細かい金融機関の姿勢に対する意見を吸い上げまして、資金調達がさらに円滑化するようにということを金融庁に強くお願いして、連携を保っているところでございます。

    〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕

古川(元)委員 連携を保っているといっても、実際には最近何というふうに不動産業界で言われているか知っていますか。最近は、銀行は、銀行と親戚か友達の業者じゃないと、新規融資はもちろん、融資のロールオーバーにも応じてくれないというふうに言われているらしいんですね。親戚か友達というのは、銀行の名前の一部がついている、要するに系列の不動産の会社じゃないと、新規はもちろんだけれども、ロールオーバーも応じてくれないと。

 そういう情報というのは国交省や金融庁の方の耳に入っていますか。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員がおっしゃいました事例そのものではないかもしれませんけれども、不動産業者の皆様の方で今銀行から非常に厳しい対応を受けているという声につきましては直接お聞きをしておりますし、そういった厳しい声が寄せられます都度、私どもとしましては、必要に応じましてヒアリングを行うなどしております。

 また、先ほど国土交通省の方から必ずしも御説明がございませんでしたが、例えば、耐震偽装問題を原因として金融機関が貸し渋りのようなことをしないようにということで、国土交通省の方からの要請を受けまして、私どもから金融機関に対しまして融資の適正を要請するなど、さまざまな取り組みを進めさせていただいているところでございます。

内田政府参考人 お答えいたします。

 不動産流通企業でございますとか分譲企業、あるいは、先ほど議論がございましたが、J―REITを通じまして、最近の金融機関の状況によりましてロールオーバーが厳しくなっているという事例は耳にし、きめ細かく金融庁にもお伝えしている、こういう状況でございます。

古川(元)委員 お伝えをしても、対応していますと言っても、実際に、本当にみんな困っちゃっているわけですよね。そのことが、とにかくたたき売りみたいになってしまう。

 よく、破綻する不動産業者が、前期には最高の収益を上げていたということがあるんですけれども、何であんなに上げて倒産するのかなと思って聞いてみると、要は、現金を、期限が来たのをとにかく返さなきゃいけないから、売れるものから売ってといいますか、足元を見られて安値買いされてもとにかく売って、売り上げを上げてそれで返す。結局それで、売れなくなった、お金がなくなった途端にバンザイする。だから破綻する前の会社というのは逆に非常に売り上げが上がるんですよ、そんな話も聞きました。

 これは相当深刻な状況にあって、別に私はいろいろ問題がある業者を救えとかそういう話をしているわけでは全くないんですが、結局そういうことに業者が走ることが不動産価格が必要以上にどんどんと引き下げになって、そのことが結局は金融機関なんかの経営にも悪影響を及ぼしていって、それがまた、金融機関だけではなくて、そこから借りている中小企業なんかの資金繰りにも影響を与えて、またこれが経済を悪化させる。

 そういう意味では、不動産というものの、先ほどもちょっと議論させていただきましたけれども、いわばちゃんと適正な価格で買い手がいない、とにかく幾らでもいいから売りたい、売ってお金を手にしないといけないという人たちばかりがたくさんいる今のこの状況、いわば底値も見えない中でだんだんだんだんと全体が下がっている状況というのを相当深刻に考えなきゃいけないんじゃないか。意見は伝えています、金融機関にも言っていますという程度でいいのか。

 むしろ、金融機関がとても貸せないんだったら、では、借りたいという人にお金が貸せるような仕組みをほかに考えるとか、何らかの方策をやはり政府としても考えるべきじゃないかと思うんですけれども、何かその点は国交省は考えていないんですか。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 過去、さきの経済対策のようなものでも、経済対策の中で、中小企業庁さん、金融庁さん、連携してこのことに対処しようと大臣からも発言しましたし、その件につきまして各機関と連携して対処していこうということでございます。

 以上でございます。

古川(元)委員 あの対策の中に入っているのは中小のところなんですよね。でも結局、不動産価格とか何かの全体の市場動向に影響を与えるのは、要するに、大手が破綻をしてそういうところが投げ売りするとか、逆に大手が生き残るためにとにかく幾ら損が出ても現金を確保しろというのでファイアセールをやる、そういうことの方がやはり影響は大きいわけですよ。そういう対策というのは全く含まれていないわけであって、やはりここのところは相当深刻に考えていただかないといけないと思うんですね。

 ここで二階大臣にちょっと申し上げたいんですが、やはり不動産市況の経済に及ぼす影響というのは相当深刻というか大きいというふうに考えなきゃいけなくて、私は、今回これを質問しようと思っていた中で、経済産業省は全然不動産市況とか何かをウオッチする部門もない、それは国交省さんですというようなことで、これは経済産業政策を考える上でもちょっと問題じゃないかと思うんですね。

 やはり、これは経済産業省の中でもしっかり不動産についてウオッチしていく、そういう部署といいますか、そういうことができるようなところをきちんとつくるべきだと思いますが、いかがですか、大臣。

二階国務大臣 経済産業省の中にそうした部門がないということは大変残念でありますが、今御指摘のようなことから、景気回復の責任の一端を担っております経済産業省としては、当然この部門においての対応をもっと綿密にウオッチし、また大胆に対策を講じていかなきゃいけない責任があるわけでありますから、我々はこれについて直ちに検討できるように取り組んでみたいと思います。

古川(元)委員 ぜひお願いしたいと思います。

 最後に、きょうは金融庁にもう少し聞くつもりでしたが時間がなくなったのでやめますが、官製不況という言葉が金融庁とか国交省とかいろいろなところで言われるんですね。

 私は、この官製不況という言葉が世の中にはんらんしている状況というのは政府が極めて深刻に受けとめなきゃいけないと思うんですね。本来国民経済を豊かにするための政府が、国民経済の足を引っ張っている。こういうことが、うわさであっても、実態はそうではなくても、そういうことが言われるということ自体も、やはりこれは政府に対する信頼を失わせるということになるんです。

 政府に対する信頼が、これはほかの問題でも失っているんですが、失われれば、仮にどんなにいいことをやったって、それはやはり評価されないし、またうまく機能しないんですね。やはり国民の皆さんが政府を信頼して初めて政府がやる政策というのも信頼されるわけですから、ぜひその点を御認識いただいて、官製不況というふうに言われているような状況があって、それが本当ではなくて、事実ではないんだったら、きちんと、ああそうではないんだなとわかる、やはり説明責任を政府としても果たす必要がある。そのことを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

東委員長 これにて古川元久君の質疑は終了いたしました。

 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。

 委員長や与野党の理事の先生方にお許しをいただきまして、発言する機会をいただきました。心から感謝を申し上げます。二階大臣とは電気用品安全法以来の議論になりますが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 きょうは朝から、百年に一度の経済危機である、金融危機である、そしてまた、日本も今大変な状況になりつつあるのではないか、特に年末の中小企業の資金繰りについては十分に注意をし、対策をとっていかなければならないのではないかという議論がされているわけでございます。

 今、同僚の古川議員からも、不動産業の皆さん方が置かれている現状について非常に厳しい状況認識が示されました。マクロで大きく、百年に一度の危機、あるいは不動産業は厳しいと。では、現場はどうなんだろうということでございますが、私に一通のメールが来まして、これは不動産業の方です。

 日本の現在の景気は下向きであると言われておりますが、特に最近はひどい状況ではないかと如実に痛感いたしております。私の会社は不動産業を営んでおります。以前は五十カ所ほどの物件を所有し、各テナント様と契約をいたしておりましたが、今では経営の悪化からだんだんとその物件も売却していき、現在では複数の建物で十八カ所程度のテナント様との賃貸契約を行い、何とか経営を続けている状態です。テナント様の業種は、飲食業(喫茶店、レストラン)、ゴルフ用品店、ビデオレンタル店などなどさまざまですが、所有している十八カ所のうち、三カ所は昨年倒産のため退去し一年以上空き室のまま、二カ所は先月倒産、四カ所は一年間家賃未納、六カ所は家賃減額の申し入れがあり交渉中、十八カ所のうちきちんと当初契約したお家賃をいただいているのは三カ所。本当にひどい状況です。何とかしてくださいというメールが私のところに参りまして、これは多分、この会社だけではなく、日本全体の今の経済状況を反映しているメールではないかというふうに思います。そういう現状認識をまず申し上げた上で質問に入らせていただきます。

 きょうは信用保証協会の緊急保証についてお伺いするわけでございますが、その前に二点、お伺いをさせていただきたいことがございます。

 まず、総務省にお伺いいたします。

 経済の急激な落ち込みで、総理も、税収が相当に落ち込むであろうということを御発言されていらっしゃいます。国の税収も落ち込むわけでありますが、地方も税収が落ち込む、あるいは交付税の法定率分もそれに連動して減収するということになるわけでございますが、地方自治体への対策について、総務省として今いかなることをお考えかということを教えていただきたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 平成二十年度の地方税収の決算見込み額につきましては、現時点におきましては確たることを申し上げるまでには至っておりませんが、足元の都道府県税収の徴収実績等を見ますと、法人関係税を中心に相当程度の減収が見込まれております。

 地方税に減収が生じる場合、地方財政の運営に支障がないよう、これまでも適切な補てん措置を講じてきたところでございますが、先日の生活対策におきましても、景気後退や生活対策に伴う地方税や地方交付税の原資となります国税五税の減収等につきまして、地方公共団体への適切な財政措置を講じるとされております。

 今後、地方税の減収状況を的確に把握する中で、減収補てん債等によりまして補てん措置を講じてまいりたいと考えております。

川内委員 よろしくお願いいたします。

 次に、電気用品安全法のことについてお伺いをさせていただきます。

 三年前のちょうど今ごろだったと思いますが、翌年の四月ごろまで、中古電気用品の取り扱いについて二階大臣とさまざまにやりとりをさせていただきました。この電気用品安全法については、二階大臣の御尽力によりまして法律が改正をされて一定の結論に達したわけでありますが、本日は法の運用の実際例について若干お伺いをさせていただきたいと思います。

 私の地元の鹿児島県で、私の選挙区ではないんですけれども、美野里会という社会福祉法人が身体障害者授産施設を運営されていらっしゃいます。そこの責任者の方からことしの六月に相談がありました。

 どういう相談の内容かというと、その授産施設では、要するにでき合いの木工品などの中にこれまたでき合いの電球などを組み合わせて電気スタンドを製造し、それが障害を持つ方々の仕事、生きがいにつながっているわけでございますが、これは電気スタンドですから、電気用品安全法に基づいて製造事業者の届け出をして、電気スタンドとしての技術基準の適合確認を受け、一品一品について絶縁耐力試験などを行ってPSEマークをつけなければ販売できないという電気用品安全法の規制にかかってしまうわけでございます。

 この美野里会の代表者の方は、電気用品安全法のことを知って九州経済産業局に相談したところ、JET、財団法人電気安全環境研究所という公益法人を紹介されました。そこで、技術基準の適合試験を受けたいんですけれども手数料がかかるということを知るわけでございまして、この電気スタンドの試験料が約二十七万円という見積もりをこの公益法人からもらったわけでございます。しかし、この美野里会の施設でつくるスタンドは八十個ぐらいなんですね。そうすると、一つのスタンドに試験料だけで約三千三百円とか三千四百円かかってしまうということで、何とかならないだろうかと。

 この技術基準の適合確認というのは、こういう障害者は電気スタンドを製造はするけれども、業としてなりわいとして製造しているわけではなく、障害を持つ方が御自身の生きがいを得るために製造をしている、決してなりわいとは呼べないと私は思うんですけれども、製造業としてなりわいとしてやっていらっしゃる例えばパナソニックとかソニーとかそういう大メーカーもみんな同じ手数料なんですね。それはやや公正さを欠くのではないか。

 こういう授産施設で、障害を持つ方々が生きがいを得るためにでき合いの部品を使って組み立てる。組み立てるに際して、電気とつながっていますから、ランプにはPSEマークは既についているわけですね、しかし組み立てるという行為が製造だから、電気用品安全法ではもう一つPSEマークをとってねということになっているわけですけれども、そこは、授産施設、福祉施設などに対して余り厳しくする必要はないのではないかというふうにも思ったりするんです。

 そこで、この公益法人にさまざまに相談をさせていただいたわけですけれども、結果としてどうなったのか、きょうはその結論をちょっと教えていただきたいというふうに思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 電気用品安全法の運用に関しましては、ただいま川内先生御指摘のとおりでございまして、その料金につきましては、それぞれの検査をする機関におきまして決まっておるものでございます。

 今回、そういったような問題提起なども踏まえたと考えておりますけれども、ただいまございました財団法人の電気安全環境研究所、JETにおきましては、ここは電気用品の試験、検査、そういったことを業務としているわけでございますけれども、先般、社会福祉法人に対します検査料金に関しまして割引制度を設けて、これによりまして対応をしていく、そういう割引制度を設けたというふうに承知をしているところでございます。

川内委員 検査料について割引制度を設けていただいたと。本当にありがたいことだというふうに思いますが、割引は、具体的にどのぐらい割り引いていただけるんでしょうか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 個々の事業体の料金制度ではございますけれども、私どもが承知しておりますのは、最大六割程度割り引くことができるのではないか。個別の事例によるかと思いますけれども、そういったことを検討してきたというふうに承知をしておるところでございます。

川内委員 社会福祉法人、社会福祉施設についてはこの検査料を最大で六割割り引いていただけるということで、大変感謝をさせていただきたいというふうに思います。

 そこで、きょうは厚生労働省にもお運びをいただいておりますので、お尋ねをさせていただきます。

 この件について経済産業省から連絡があった、あるいは相談、協議があったというふうに思いますが、厚生労働省の御対応について教えていただきたいと思います。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の、授産施設等福祉施設が電気用品を製造販売する際に必要な電気用品安全法の検査費用を六割程度軽減を図っていただけるということについて、この法人の方の措置につきまして、私どもも承知をしたところでございます。

 これは授産施設のコストの軽減になりますし、それがひいてはそこで働いていらっしゃる方々の工賃、今、工賃という形で、それをなるべくふやしていこうという努力を自治体ともどもやらせていただいておりますが、その増につながるものというふうに思っておりますし、大変有益なことと思っております。

 これにつきましては、私ども、経済産業省さんの御協力を得まして、授産の現場になるべく伝えて、利用する際によく御相談するようにということを周知してまいりたいというふうに思っております。

 なお、この検査費用につきましては、残りのもの、なかなか難しい面があろうかと思いますけれども、我々は、工賃倍増ということで、なるべく販路をふやして、それがしっかり事業として成り立つようにということで工賃倍増五カ年計画というものをやっておりますので、その中でしっかりとそういうものが成り立つような仕組みを応援してまいりたいと思っております。

川内委員 今、期待してよいのかよくないのかわからないような説明が、最後に工賃倍増五カ年計画という言葉があったんですけれども、経済産業省さん、あるいはこの公益法人JETの大変な御努力で、社会福祉法人に関しては検査料を六割引きにしますよということで施策を講じていただいた。

 厚生労働省としては、それはありがとうね、経済産業省さん、ありがとうねと言うだけではなく、やはり障害者の皆さんの生きがいというものをつくり出していく上では、一義的に厚生労働省さんがしっかり頑張っていただかなければならないわけでございます。

 六割引きであったとしても、この例でいくと一つの電気スタンド当たり約千三百円の検査料ということになるわけでございますが、工賃倍増五カ年計画の中で、具体的に、社会福祉法人でこういう電気用品安全法に係る電気用品を製造する場合に、検査料を何かの枠組みで支援することを考えるよという趣旨と受けとめてよろしいですか。それを考えますよということですね。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 この検査費用のコストでございますけれども、こういうふうな割引を講じていただきましても、なお今御指摘のようにコストがかかるわけでございます。福祉事業者でございましても、コストがかかる分につきましては、ほかの福祉事業でいろいろ商品をつくって販売する、食品等もありますけれども、そういうことにつきましても、いろいろな検査費用については、事業者として何とかコストを抑えられる努力をみずからしてもらうのが前提であるというふうに思っている次第でございます。

 それで、今少し申し上げました、障害者の方々の働く場をなるべく拡大していこうという中で工賃倍増五カ年計画ということをやっておりますのは、直接的な費用の補てんというよりも、なるべく販路を拡大する。コスト削減のノウハウを身につけて、新たな商品開発もでき、販路も拡大していく。それによりまして、全体として事業として成り立つような工夫を凝らすようなことを私どもは都道府県ともども応援をさせていただく、直接的な支援というところまで至っていないというような現状でございます。

川内委員 ちょっと何だかよくわからなかったんですけれども、とにかく、工賃倍増五カ年計画の中で、社会福祉法人あるいは授産施設で障害を持つ皆さんが一生懸命何かをおつくりになられるということに関して、経済産業省さんもここまで頑張っていただいたので、厚生労働省さんとしても恐らく、こういう検査の実態、検査料を払わなければいけなかったということを厚生労働省さんは今回初めてお知りになったというふうに思いますので、全国の授産施設で恐らくこういう電気スタンドなり電気用品なりを製造されていらっしゃる施設もあろうかと思います、そういうところにいかなる支援ができるか、また私もいろいろ提案をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 さて次に、本題の中小企業の資金繰り支援策でございます。

 先日の党首討論で、麻生総理は、一次補正の九兆円の保証枠と貸出枠は順調にはけているので、年内についてはこれで対応できるとおっしゃられたわけでございます。私は、麻生総理の判断は若干認識が違っていらっしゃるのではないかというふうに思っています。

 一次補正でこの保証枠というのは設けられたわけでございますが、十月三十一日からスタートをした六兆円の緊急保証枠と三兆円のセーフティーネット貸し付け、これは八月二十九日の福田内閣の安心実現のための緊急総合対策の中の原油高、原材料高に対して価格転嫁が困難な中小零細企業の資金繰り対策であって、そのもとになる景気判断は八月の月例経済報告がその基盤をなしているというふうに聞いておりますが、内閣府、それでよろしいでしょうか。

湯元政府参考人 お答えいたします。

 八月の月例経済報告は八月七日に発表させていただいておりますが、輸出や生産の弱い動きを背景に、景気の基調について、「景気は、このところ弱含んでいる。」と下方修正したところでございます。

 九月中旬以降でございますが、欧米では金融機関の破綻が相次いだことから、世界的な株安が進行し、我が国においても株価下落と円高の同時進行が見られました。こうした動きを受けまして、九月の月例経済報告、九月十九日でございますけれども、景気の基調につきまして、判断自体は据え置いておりますが、先行きに関しまして、「アメリカにおける金融不安の高まりや株式・為替市場の変動などから、景気がさらに下振れするリスクが存在することに留意する必要がある。」というふうにいたしております。

川内委員 今私が聞いたのは、八月二十九日の福田内閣の安心実現のための緊急総合対策というのは、内閣府が政府としてお取りまとめになっていらっしゃる八月の月例経済報告をもとに、その対策が取りまとめられているという理解でよろしいですかということをお聞きしております。

湯元政府参考人 八月の下旬に対策が取りまとめられたところでございますが、もともとこの対策の取りまとめは、八月の上旬段階で、こういった原油価格、資源価格の高騰等に対して何らかの対応が必要であるという認識のもとにとられたと思っておりますので、八月七日時点の月例経済報告が一つのベースになっておると考えております。

川内委員 もう一つ、麻生総理が発表された十月三十日の生活対策は、その後の九月、十月の月例経済報告の景気判断がもとになって、緊急保証枠を六兆円から二十兆円に、セーフティーネット貸し付けを三兆円から十兆円に拡大する、これを二次補正でやりますということだったわけでございますけれども、十月の月例経済報告の景気判断というのは、一次補正のもとになっている八月の月例経済報告よりも悪化しているという理解でよろしいでしょうか。

湯元政府参考人 お答えいたします。

 十月の月例経済報告は十月二十日時点で公表させていただいておりますが、景気の基調を「景気は、弱まっている。」というふうに下方修正をいたしております。そういう意味では、八月時点の判断を下方に修正したということでございます。

川内委員 さらに、十月の月例経済報告の景気判断に基づく生活対策、二次補正というのはいまだ提出をされていないわけでございますけれども、その後の十一月の月例経済報告の景気判断はさらに悪化していると思いますが、いかがでしょうか。

湯元政府参考人 お答えいたします。

 先月二十一日に十一月の月例経済報告を公表させていただいております。そのときの判断は、「景気は、弱まっている。さらに、世界経済が一段と減速するなかで、下押し圧力が急速に高まっている。」ということで、判断を重ねて下方に変更いたしました。

川内委員 二階大臣、八月の月例経済報告をもとに、保証枠を六兆円、セーフティーネット貸し付けを三兆円、合計九兆円つくりましたと、その後、九月、十月、十一月とどんどんどんどん悪くなっている、政府の認識としても悪くなっているということでございます。

 さらに、十二月に入って、きのうも日銀が緊急政策決定会合、私は日銀が緊急政策決定会合を開くのを久しぶりに見たという気がしておりますが、通常の政策決定会合ではなく緊急の政策決定会合で、金融の円滑化のための措置を講ずるということを発表されたわけでございます。

 そこで、内閣府の方に、十二月の月例経済報告の景気判断というのはどんなことになるのか、見通しをちょっと教えていただきたいというふうに思います。

湯元政府参考人 お答えいたします。

 現在、十二月の月例経済報告に関しましては、前回の月例経済報告以降の経済指標等を詳細に分析している最中でございます。

 十一月の月例報告の後に公表されました十月分の指標などを見ますと、生産や有効求人倍率が大きく落ち込んでいることから、実際に、十一月時点で判断いたしました下押し圧力が確認されたというふうに考えております。

 それから、先行きにつきましては、生産の予測指数につきまして、十一月、十二月と大幅な減少が予測されております。それから、雇用面につきましても、派遣労働者の雇用過剰感が急速に高まるといった警戒すべき動きが見られると考えております。

 さらに、中小企業を中心に資金繰りに関しまして悪化をしているような判断DI等が出ているということで、こういったものをもろもろ分析、検討いたしながら十二月の判断をいたしたいというふうに考えております。

川内委員 今、内閣府の湯元審議官から、中小企業の資金繰りが悪化しているという御報告もございました。

 二階大臣、私は、二階大臣は恐らくだれよりも中小企業、中小零細企業の現場をよく御存じでいらっしゃるというふうに思います。本当に、麻生総理がおっしゃられたように、年内の中小企業の資金繰り対策というものができている、大丈夫だという状況なのだろうか。

 二階大臣の現下の景気判断とともに、この中小零細企業の資金繰り対策について、まず御見解を承りたいと思います。

二階国務大臣 現下の経済情勢、そして中小企業の皆さんの資金繰りに御苦労されておるこの状況というのは、大げさに言えばまさに百年に一度、そういう事態を受けておりますから、我々はできることは何でもやろうということで、中小企業の皆さんの貸し出しにつきまして、これは恐らく経済産業省としても異例のことであろうと思うのですが、保証協会の会長、代表の皆さんに二度にわたって東京にお集まりをいただきまして、私どもの方から直接、今回の景気浮揚のために、また中小企業の倒産を一社でも少なくするためにとっておる緊急措置の意義を改めて申し上げて、しかも政府が一〇〇%保証するというこの状況の中で、円滑な金融、年末を控えた金融対策が講じられるようにということで、私たちはまさに祈るような気持ちで現場の皆さんに奮起を促しているところでございます。

 先ほども、ちょうどお昼の時間に金融庁に参りまして、金融担当大臣やあるいは農林副大臣等と御一緒に、これは金融機関の幹部の皆さんにお集まりをいただいて、年末融資の問題等についての要請をしてきたところであります。

 今お尋ねの件でありますが、私ども、幸いにいたしまして、第一次補正予算で、御案内のとおり、九兆円の保証枠及び緊急融資をお認め願っておりますので、この中で保証の作業を急いでおるところであります。中小企業庁におきましても、ほとんど昼間は電話が鳴りっ放しでありますから、仕事も手につかないという話をしておりました。電話そのものも仕事のうちでございますが、いわゆる実務をやっていこうといってもどんどん人が訪ねてこられたり、そういう状況ですから、どうしても仕事をするのは夜になってしまいますと。経済産業省、しっかり頑張って、みんなでこの重要な時期の国民の皆さんの期待にこたえてもらいたい、これが私の願いであります。

 今度は、出先の信用保証協会の皆さんも土曜、日曜返上で対応していただいておるところもあるやに聞いております。おかげさまで、今のところ、一日一千億円を超える、そういう状況になってまいりました。きのうだけちょっと一千億を切ったわけでありますが。それは、この制度を大体御理解いただいたということで、皆さんおいでをいただいているわけでございます。

 こういう状況がずっと年末まで続いたとしても、今、国会でお認めをいただいた第一次補正予算の中において我々は十分対処できる、こういうことでございます。

川内委員 大臣、私は思うのですけれども、今現在の枠組みの中では対応できている、しかし、今の日本の経済を、あるいは中小零細企業の皆さんを覆っている状況というのは、この枠組みからこぼれ落ちる、外れてしまう、あるいは枠組みに入れないという人たちが膨大にいるんだということをまず私たちが認識するところから、この百年に一度の危機をいかにして乗り切っていくかということの対策が始まるんだろうと思います。もちろん、今大臣が御紹介いただきました、現在の枠組みの中で現場の皆さんが一生懸命頑張っていただいているということについては、私も敬意を表させていただきます。

 他方で、その枠組みからこぼれてしまっているたくさんの中小零細事業者がいる。では、どのくらいこぼれているんだろうということをまず知ることから始めなければならないわけでございますが、この緊急保証というのは市町村の窓口に行って業種の認定を受けなきゃいけないわけでございます。

 まず、中小企業庁長官にお伺いいたしますが、六兆円の緊急保証枠について、十月三十一日から現在まで、市区町村の窓口に全体で何件の相談があったのかということを教えていただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、川内委員のお話、緊急保証、大臣から御答弁申し上げましたように、大変厳しい経済状況の中で呻吟しておられます中小・小規模企業の方々に、業種を決めまして御利用いただいているわけでございますけれども、この国会で、先ほど九兆円という御答弁が大臣からございましたうちの三兆円は、これは業種を問わずに、中小・小規模企業者の方どなたでも、ただしこれは金融ですから自動的というわけではありませんけれども、御利用いただける貸し付けの制度があるということは、まず御答弁をさせていただきたいわけであります。

 その上で、今直接のお尋ねでございます市区町村窓口への相談件数でございますけれども、これは私どもが、十一月の二十六日まで、ちょうど制度が始まりまして約一カ月弱の間に把握しております範囲で申し上げますと、七百十五市区町村から五万一千百二十六件ということでございます。

 七百十五というのは、御案内のとおり、全国の市区町村千八百五の半分を割っているわけでございます。原則としては、これはすべからく把握すべきであるというのは一方でわかるのですけれども、何せ市区町村もこの事業のために大変奔走しております関係で、相談件数を完璧に報告しろということをなかなか強く申し上げられない状況でございますので、現在私どもがつかんでいる範囲の数字として今御答弁申し上げました。

川内委員 市区町村の窓口に何件の相談が来たのかということについて今の中小企業庁長官の御答弁は、これは実は、私が質問するから答えてくださいねと申し上げてお調べいただいたわけですけれども、それまで全く把握していないんですよ。

 もちろん、市区町村の窓口がお忙しいということはわかります。みんなが一生懸命やっているというのもわかります。しかし、まず第一の関門である市区町村の窓口にどのくらいの相談があるのか、そして相談に来た人たちがどのくらい認定を受けたのか、そしてその人たちが実際に保証協会なり金融機関に行ってどのくらい申し込めたのか、そして申し込めた中で実際に支払いの承諾、保証の承諾を受けられたのが何件あるのか、その幾つかの関門の最も入り口の数字を中小企業庁は把握していない。要するに、枠からこぼれ落ちる人たちがどのくらいいるんですかということのスタートの数字をつかんでいないというのは、私は、百年に一度の危機だ、大変なんだということの認識が甘いんじゃないかと思います。

 なぜかなら、大臣、忙しいから、大変だから数を把握できませんと言っていたら、それは闘えませんよね。まず現状がどうなっているのか。やはり、中小企業庁にしても経済産業省にしても、日本の経済や中小零細企業をしっかりと応援していく司令塔なわけですから、その司令塔が、とにかく今は大変だから、まあいいからやれみたいなことではなくて、まず現状がどうなっているのかということをしっかりと把握するということは、これはどうしてもやらなきゃいかぬことだというふうに思いますが、長官、どうですか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 行政すべて、事実の把握が原点でございますので、一般論としては御指摘のとおりだと思います。

 ただ、川内委員も御存じだと思いますけれども、保証の申請というのは、申請書が来て、その答案が五十点だとか六十点だとか、六十点だったらマルで五十点ならバツ、こういう話じゃありませんで、むしろそこで、御相談に応じて少しでも、実態に即した、中小企業の経営に即した形で承諾につなげる。承諾をして、そこで初めて実際の御融資につながるわけですから、私どもの事務のやり方としては、保証協会にも、これは大臣を筆頭にお力をかりて徹底していただいておりますけれども、極力実情を酌み上げて承諾をふやしてほしい、国家として四千億円という貴重な財政資金を入れたということを、その趣旨を体してやってほしいということを繰り返し申し上げております。

 そういう意味で、十月の二十九日だったと思いますけれども、私どもの方から、これは私の職の名前で改めて文書で徹底いたしました。中小企業、小規模企業の経営の実態に即して、二期連続で赤字が続いたからだめだとか債務超過だからだめだとか、そういうようなしゃくし定規なことはするな、むしろ実態を見ろということを文書でも改めて通達いたしました。

 同時に、今お話がございましたように、御利用される方に、お困りの事情に漏れがあってはいけない、少しでも漏れを少なくしたいということで、貸し渋り一一〇番というもの、あるいは商工会議所、商工会のお力をかりまして、九百カ所の窓口、金融庁と連携いたしまして、そういった事例については個別に、一件でも漏らさないように、御不自由がないようにつかむように努力をし、そしてまたそれをフィードバックするという努力をしているところについては御理解を賜りたいと存じます。

川内委員 御理解を賜りたいということですから、御理解をさせていただきたいというふうに思いますが、しかし大臣、私は、長官が冒頭おっしゃられた、行政としては事実の認識をしなければならないというのは川内が言うとおりだとお認めになられたわけですから、この最初の関門である市区町村での相談件数というものは、今現在枠組みを動かすということについては一生懸命頑張って順調に動いているよということは評価しますと申し上げているわけです。しかし、そこからこぼれ落ちる人たちがどのくらいいるのか、その人たちに対する対策も政府としてはしっかりやらなければならないことなわけですよね。

 緊急保証という枠組みと同時に、そこからこぼれ落ちる人たちにどういう対策ができるのかということも中小零細企業対策としてしっかりやらなければならない。そうすると、どのくらい相談に来ているのかということの数字というのは、これはどうしても把握しなきゃいかぬと思います。

 きょうからで結構ですから、あるいはあしたからで結構ですから、これから年末に向けてますます市町村の相談件数はふえると思います。どのくらいの市区町村での相談件数があるのかということについては、数字は把握するよというふうに大臣から御答弁をいただきたいと思います。

二階国務大臣 私としては、副大臣、政務官等にも現場にも出向いていただいて、そして地元の関係者とも徹底的に議論をし、また御意見も承りながら、その心は、やれることは何でもしよう、こういう気持ちでありますから、今川内議員御指摘の点につきましては、出先の局長を通じて各県知事に要請をして、そしてそこから、市町村からの現場の状況等を把握できるように努めてみたい、こう思っています。

川内委員 二階大臣の中小零細企業の現場を救っていこうという気迫を、今私は感じさせていただきました。ありがとうございます。

 そこでさらに、この市町村の窓口での認定について問題となるのが緊急保証制度の対象業種の指定。これは中小企業庁でやられているわけですが、実態としては、経済産業大臣が認定するということになっております。一次補正で百八十五業種から五百四十五業種に拡大され、十一月十四日には七十三業種がふえて六百十八業種となり、十二月中旬にはさらに拡大をする方針であるというふうに聞いております。

 そこでお伺いいたしますが、私の地元である鹿児島市の介護保険分野の福祉用具レンタル業の方から、自分の業種は対象業種ではない、しかし、今こういう状況でもう大変だ、窓口に行ったら、あなたのところは対象業種じゃないといって断られたということで、業界として具体的なデータもきちんとそろえていただいて、二階大臣あての陳情書をお預かりし、担当の方にお届けをさせていただきました。

 この介護保険分野の福祉用具レンタル業、これを早急に業種拡大の検討対象に加えていただきたい、加えていただかなければならないというふうに思いますが、中小企業庁としての見解を教えていただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 この緊急保証制度でございますけれども、すべての業種を問わず御利用いただける貸付制度に加えまして、特に売り上げ、あるいは介護の場合に売り上げという言葉が適切かどうかわかりませんが、一応売り上げ、それと収益、この二点から、要するに売り上げが上がりましても、材料の高騰によりまして収益が圧迫されているという場合もお困りだということで、いわば二階建てといいますか二回目の、さっき大臣から御答弁申し上げましたように、一〇〇%保証協会が保証する、そういう一段深掘りをした制度は御案内のとおりでございます。

 したがいまして、その要件にかなっているかどうかということを私どもは精査した上で、その結果答えが出るというような性格のものでございますので、これにつきましては、現在、関係省庁等から具体的に裏づけるデータ等々もいただきながら、追加の対象になじむかどうかということを、私ども事務レベルで現在検討させていただいているところでございます。

川内委員 まことに事務的な答弁だったわけでございますけれども、経済産業省というか中小企業庁自体が中小企業景況調査というものを四半期ごとに出していらっしゃいますよね、長官の名前で出しているわけですけれども。もうこの九月の時点ですべての業種はぼろぼろだ、大変なことになっているよとこのレポートに出ております。

 そうすると、要件をさまざま検討しますと今御答弁されたわけでございますが、少なくともこの陳情書を私が見せていただく範囲では、この緊急保証の要件を満たしているのではないかというふうに思われますが、同様の見解でしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業全体を見ますと大変状況は厳しゅうございますし、先ほど来の御審議の中でもございましたように、日本の経済全体が期を追いまして厳しくなっていることはおっしゃるとおりでございます。その中で、限られた財政資金を特に厚目に御利用いただくという意味で、業種によりましても濃淡があることもこれまた事実でございます。

 したがいまして、川内委員の御発言は、この委員会におけます公式のお話として重く受けとめますけれども、私どもは、しかしながら、政府でございますので、関係省庁からきちんと裏づけがあるデータ等をいただきまして、これを利用ができ次第、我々の知見も含めまして早急に答えを出したいというふうに思っております。

川内委員 早急に答えを出したいということでございますので。

 それでは、厚生労働省にも来ていただいておりますので、福祉用具レンタル業を含めて介護事業というのは、担い手が中小零細事業者が多いわけですよね。中小零細事業者が担い手として多いが、マーケットの規模としては三兆円ぐらいの大きなマーケットである。まさしく、中小零細企業が支えている市場なわけです。

 今、マスコミの報道などでも、介護をめぐる現場というのは本当に厳しい、大変な状況になっているというのは、きょうこの場の皆さんも御案内のとおりなわけでございまして、しかし、緊急保証の業種指定の中には、この介護事業を営まれていらっしゃる方々というのは入っていないわけです。

 厚生労働省にお伺いいたしますけれども、福祉用具レンタル業だけではなく、特別養護老人ホームや介護老人保健施設やあるいは通所、短期入所介護施設や認知症老人グループホームや有料老人ホーム、その他の老人福祉、介護事業、訪問介護事業などの介護保険分野の事業、これらは緊急保証の枠組みに厚生労働省としてぜひ入れてもらいたい、入れるべきであるというふうにお考えになられていらっしゃると思います。どのような取り組みを中小企業庁に対してされているのかということを教えていただきたいと思います。

坂本政府参考人 介護事業につきましては、総じて人件費のウエートの高い事業でございます。食事、宿泊、あるいは滞在、移送というようなサービスの提供など、原油や原材料の高騰の影響を直接受ける分野もあるわけでございますが、中小企業の事業者も多く、昨今の経済情勢の中で非常に経営状況が苦しいという認識はいたしております。

 こうした状況を踏まえまして、介護関係の事業の中でありましても、御指摘の福祉用具の貸与事業は仕入れ価格の高騰の影響を一番受けやすいということも勘案しながら、介護関係事業全般の取り扱いにつきまして、報酬の引き上げなんかも含めまして検討しているところでございますので、いろいろと中小企業庁と協議してまいりたいと考えております。

川内委員 いや、ちょっとはっきりおっしゃっていただきたかったんですけれども。

 緊急保証の枠組みの中に、福祉用具レンタル業を含めて、介護事業を営まれていらっしゃるすべての業種を枠組みとして取り入れるべきである、取り入れてほしいというふうに厚生労働省としては望んでいるかということをお聞きしております。

坂本政府参考人 先ほど中小企業庁長官から御答弁ございましたように、中小企業で経営が苦しいという観点と、緊急対策としての対応ということの二点があるというふうに伺っております。

 その中で、御指摘の施設のサービスにつきましては、人件費の比率につきまして五割ぐらいでありますけれども、居宅サービスにつきましては、労働集約型の産業でございましてかなり人件費のウエートが高うございます。したがいまして、そういった部分につきましては、今回の原油高等の影響を理論的に直接受けるのかといいますと、その影響はほかの事業種に比べまして若干少ないのではないか、そういった議論を含めまして、先ほど、特に福祉用具につきましては仕入れ価格が直接影響いたします、大体半分ぐらいのウエートが仕入れに近いコストではないかなというふうに考えておりまして、人件費のウエートはほかの介護事業の中でも少のうございますので、そういった特殊性も踏まえまして、中小企業庁と相談させていただきたいと考えております。

川内委員 ちょっとこんなところで時間を使う予定はなかったんですけれども。

 厚生労働省老健局総務課は、中小企業庁に対して、すべての介護にかかわる事業の業種を緊急保証の枠組みに入れてもらいたいという要望をしていますよね。要望していますかということを私は聞いたんです。中身についてどうこうということは聞いていないですよ。要望しているかということを聞いたんです。

坂本政府参考人 要望をして、その中身につきまして中小企業庁と相談をしていると。(川内委員「やりとりしていると」と呼ぶ)はい。そういうことでございます。

川内委員 最初からそう答えてくれればよかったんですが。

 中小企業庁としては、介護分野全体の業種指定についてどのように考えるかということを、もう時間もないので手短にお願いします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御答弁ございましたように、厚生労働省の方から、制度についての仕組み、それから経費についての中身等々を正確に把握した上で結論を出してまいりたいと思います。

川内委員 大臣、今中小企業庁長官がずっと答弁していましたけれども、実は業種を指定するのは二階大臣なんですよ。大臣告示ですからいつでもできるわけですよね。

 緊急保証制度の業種指定要件というのは実は一次補正のときにできているわけですから、業種指定の要件というものは、現在のこの厳しい経済の状況からすれば、私はもっと違う要件であっていいと思います。すべての業種をこの緊急保証の対象にしてもいいぐらいだと思いますよ。八月の状況と今この十二月の状況は全く違う、どんどんどんどん加速度がついて悪くなっているという状況ですから。しかし、中小企業庁は、要件に合っているかどうかよく精査してそれから判断します、こうおっしゃるわけです。

 私は、指定すべきものは二階大臣としてしっかりと指定をしていくべきだというふうに思いますので、福祉用具レンタル業を含めて介護事業全般についても、介護事業が厳しいというのはみんな知っているわけですよね。今厚生労働省からも、福祉用具レンタル業は仕入れ値が上がっているから特に厳しいんだという御説明がありました。

 二階大臣として、業種指定に向けて中小企業庁をしっかりと指導するということを御答弁いただきたいと思いますが、御見解はいかがでしょうか。

二階国務大臣 川内議員から、今度の緊急保証の対象枠を広げるようにという御意見であろうと思いますが、中小企業に対する大変御理解の深い御質問をいただき、ありがとうございます。

 私は、先ほど金融機関の皆さんやあるいは金融担当大臣等ともお昼休みを返上して会議に臨んできたわけですが、そこでもやはり、具体的な業種の言及はありませんでしたが、業種拡大についての御意見等がありました。

 私は、一度は、前向きに対応します、こう言ったんですが、どうも何だか役人の答弁みたいな感じがしましたので、もう一度、今週中に拡大について対応しますという答弁をしてきましたが、その中に、今川内議員が言われていることを入れられるかどうか。それはやはり、国の予算を活用してやることですから、慎重の上にも慎重に、厳正の上にも厳正でなくてはなりません。しかし、私は、排除するんじゃなくてなるべく採用して、一社でも一人でも倒産の憂き目に遭う人を少なくする、そのために我々は全力を尽くすべきだという基本は、中小企業庁にも、もちろん経済産業省全体にも徹底をしているつもりであります。さらにそういう精神で対応しますが、今週いっぱい最大の努力をいたします。

川内委員 大臣、ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思います。介護事業は、中小零細企業が担い手の中心であり、そしてまた、現下の経済状況の中で非常に厳しい状況に置かれているということは、もうだれもが否定できないことであろうというふうに思いますので。

 原油高、原材料高に対して価格転嫁が困難な中小零細企業の資金繰り対策ということで業種指定要件ができているわけですけれども、今現在の日本を取り巻く経済状況というのは、原油高、原材料高だけではなくて、金融危機に端を発する百年に一度の経済危機である。これはすべての人が認識を共有させていることでしょうから、そういう意味でも、今大臣がおっしゃられた、排除するのではなくなるべく入れていくというところで、長官、ぜひ今週作業を進めていただきたいというふうに思いますが、今週中ですね。

二階国務大臣 特に今、来年度の予算編成その他、役所の方も錯綜しているところでございますが、私がきょうはあえて今週ということを言い切ってきたのは、年末の融資に間に合わせるようにしよう、こういうことでございますから、そのように御理解ください。

川内委員 そのように理解をさせていただきたいと思います。

 大臣、冒頭申し上げたとおり、私は、大臣は日本の中小零細企業の置かれている現状に関してだれよりも思いをいたしていらっしゃる方だというふうに思います。本当に厳しい状況がみんなを取り巻いておりますので、ぜひとも頑張っていただきたい。もしかしたら、こんなところでエールを送ることはないのかもしれませんが、本当に厳しいので、あえて大臣にエールを送らせていただいて、終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

東委員長 これにて川内博史君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私、きょうは最初に、電気料金の値上げ問題から伺っていきたいと思います。

 お手元の方に資料を配らせていただいております。これはいろいろいただいている資料をもとにつくったものですが、「東京電力の標準家庭世帯における、料金改定による電気料金の比較」というものを配らせていただきました。この内容は、実は、二ページ目の方にグラフの計算式はどういう根拠によるものかということを挙げておりますから、これをごらんいただきたいと思うわけです。

 それで、一般家庭の電気料金の方ですけれども、これは、東京、関西では七月二十八日から、他の電力会社もほぼ同じころに改定をしました。東京電力の場合は、標準世帯で二百七十三円アップするということなんですが、十月―十二月については、この間は燃料費調整を行わないから燃料費調整額二百七十三円を下げて差し引きゼロにする、こういうことで電気料金としては据え置きだ、こういうことにしていたわけです。

 しかし、よく見てみると、これは二ページ目の方で見てもわかるんですが、旧料金の方の基準燃料価格二万七千四百円が九月改定のところでは四万二千七百円へ、基準単価の十四・七銭が十九・〇銭へと、これはそれぞれに、基準燃料価格でいったら五五・八%の引き上げ、基準単価でいったら二九・三%の引き上げ。

 それから、電力量料金の燃料費調整以外の、従量料金になる分ですが、これで百二十キロワット時使ったら幾ら、それから百七十キロワット時使う人については幾らという、三段階に分けておりますけれども、この最初の二段階の合計額でとってみましても、標準家庭ですからそんなに使わないわけですから、そうすると、実は従量料金なるものが五千五百三円から六千三十一円へと九・六%の値上げになっているんです。実際に徴収する分だけは、十月―十二月は燃料費調整額の分を減らしているものですから、本当は二カ月前からいったら自動的に上がる話なんですが、それで実は、値上げをしない、値段が上がっていないということで公聴会が開催されていないと思うんですが、公聴会はやっていませんね。最初、政府参考人に伺っておきます。

西山政府参考人 お答えいたします。

 今回の措置につきましては、公聴会は開催しておりません。

吉井委員 昨年の秋からことし夏にかけて投機マネーが暴れて、ですから、原油等燃料価格は物すごく高騰しているわけです。電力会社の輸入燃料価格ももちろん上昇しているわけです。こういうときに燃料費調整額というのは、輸入価格の変動で一定幅、一・五倍以内だったら公聴会なしに自動的に引き上げ。これは、一九九五年七月の料金制度部会の中間報告で定められたのが制度化されてなっているわけですね。ですから、普通だったら、二四半期前でいったって物すごく上がっているときですから、本来は価格が上がりますから、公聴会を開いて、そしてきちんとデータを皆公開して国民の意見を聞くというのが当たり前だと思うんですが、実はそれを避けるために、最後の徴収する価格だけが上がらないようにするように、実は値上げの仕掛けの方はつくってあるんだけれども、従量料金などは上がっているんですけれどもね。ところが、そういうやり方で公聴会を避けているというのが実態です。

 伺っておきたいのは、燃料費調整制度というのをつくったんだけれども、しかし、電力会社のさじかげんによって電力料金の燃料費調整額の調整もできるし、調整せずに引き下げていくこともできる、そういうものなんですか。これは、もともとは自動的に上がるときには上がるということになっているはずなんですが、どうなんですか。

西山政府参考人 燃料費調整制度は、一定の燃料構造、コスト構造を電力会社が料金改定で定めたときに、その後の燃料費の変化については自動的に反映させるというものでございます。もしその燃料の、あるいはコストの構造が変わったといたしましたときには、電力会社の判断で料金を改定するということもできるわけでございます。

吉井委員 いや、そうじゃないんですね。これは、燃料価格が急激かつ大幅に上昇した場合、これをすべて料金に反映させることは需要家に大きな影響を与える、したがって、燃料費調整制度によって自動的に調整される仕組みを設けている。上限も設けているわけですね。

 電力量料金の方の従量料金の値上げの実績を、既に始まっているんですね。だから、いつでも値上げはどんどんできるという仕掛けはつくっておいて、油の方は、実は自動的に上がることになるんだけれども、電力会社の方が上げなかったと。徴収金額は同じにしたから料金は上がっていません、上がっていませんということで公聴会を回避する、こういうやり方がやられているというのが実態ですね。

 ですから、このグラフにも書いておきましたけれども、一月からの値上げは、本来、基準燃料価格を基準点にして一・五倍以内の燃料費調整額ですから、届け出だけで公聴会なしに自動的に値上げができるということになってきているわけですね。

 この一・五倍で決まる天井価格というのを、これは実は改定前は、一ページ目のグラフの左の方ですね、六千八百五十二円で天井になっているんです。ところが、改定によってどうなったかといったら、この天井が七千九百七十一円となっていますから、それ以下であれば自由に電気料金は変えられるわけです。これは、調整制度ということで、上がったときには自動的にという話ではあったけれども、そういう恣意的なやり方というものが今やられているというのは問題だと思うんです。

 なぜかといいますと、本来、電気料金というのは独占物価ですから、電気事業法百八条で、公聴会を開かなきゃいけないんですね。国民にはそういう場で、この換算係数がなぜそうなっているのか、あるいは基準燃料価格も、二枚目にあるように、これは結局、基準燃料価格を引き上げなかったらはみ出してしまうわけですね。それで変えているんですが、この基準燃料価格がなぜこういう価格になるのか、基準単価がなぜそうなるのかというのは全く国民には説明がないままなんですよ。

 しかし、何とはなしに、本来上がるのかと思ったら、最初、十月―十二月段階では、値上げ分を、燃料費調整で上がるはずのものを、上がる計算分をちょうどマイナスすることによって徴収金額を一緒にしてしまう。だから、公共料金は上がっていません、公聴会は必要ありませんと。しかし、中身をよく見れば、従量料金の方はちゃんと上がっているというのが実態なんですね。さっき言いました九・六%ですから、大方一割既に上がっているんですね。今度は、上がったものを基準にしておいて、燃料費調整の分を見ながら自動的に、公聴会も開かないで上げていくという仕掛けができてしまっているというのが今回の問題です。

 大臣、東京電力というのは一兆二千七百億円の内部留保もあるんですよ。高い株主配当も維持しているわけですし、独占事業、総括原価で料金の保証された企業体なんですね。ですから、やはり料金決定額も、基準燃料価格も、基準価格の値上げ、いずれについても、この値上げについてはやはりきちんと公聴会を開催して、国民の前でなぜこうなるのかきちんとした説明がないと、総括原価というのはもともと適正利潤をちゃんと考えましょうという仕組みのもとでつくられているわけですから、しかし、何がどうなっているかさっぱりわからない、こういうことはやはりおかしいわけですから、公聴会開催は当然じゃないかと思いますので、この点について大臣に伺っておきます。

西山政府参考人 電力会社がことしの七月に届け出を行ったわけですけれども、この料金改定と申しますのは、厳しい経営環境のもとで、効率化努力も織り込みまして、改定時の需要家の負担増とならない料金を設定しているわけでございます。そのほか、先生御指摘にもありましたが、需要家への負担を緩和すべく、ことしの十―十二月分の電気料金につきましては燃料費調整を行わないという二重の手当てをしているわけでございます。

 確かに、こうした料金改定の内容については、電力各社が十分な需要家の納得が得られるように説明を行うことが必要だと考えておりまして、今、電力会社もその努力をしているところというふうに考えております。

吉井委員 そういう内容も含めて全部公開して、公聴会を持って、実はかくかくしかじか、この原価はこういうふうになっておりますとか、これはちゃんと公開して説明して、公聴会を開いていろいろな意見も聞いて、もちろん説明もきちんとされて、そういう中で公共料金というのは本来決まっていくべきものなんじゃないですか。九月に電力会社が呼ばれたときに、大臣は、現下の経済状況は、今おっしゃったことですね、国民生活への影響を考えて対策を打ち出す必要があるとあいさつされたわけです。

 では、重ねて聞いておきますが、今回電力が出してきた特例認可申請というのは二十三条の大臣命令によるものですか。

西山政府参考人 大臣命令ではございません。

吉井委員 この激変緩和の措置を、大臣命令でないにしても、意を体してしておられるんでしょうが、激変緩和として一月から三月分の燃料費調整額の徴収分を半分にして、これで公聴会を逃れて、この取り立ての方は四月以降に先延ばししただけで、負担が別に減るわけじゃないんですよ。

 独占事業を認めるかわりに不当な値上げを許さない、料金を構成する原価の公開、その説明、国民からの意見聴取という手続を求めているというのは、やはりこれは独占物価、公共料金という性格からして公聴会開催という手続を踏むようにとやっているわけですが、私、今回の改定のやり方というのは、かなり脱法的手法をやっているように思われます。

 だから、大臣に改めて、彼が大臣になったらまた答えてもらいますから、大臣に今度は伺いますが、やはりこういう場合、公聴会開催をきちんとやって、公共料金なんですから、説明もきちんとする、国民の意見も聞く。それは大変だなと国民の皆さんが思われたら納得ということもあるわけですし、やはりそういう法律にのっとった手続というものはきちんと進めていかないと、何か脱法的なやり方がまかり通っては大変だと私は思うので、伺っておきます。

二階国務大臣 ただいま吉井議員からもお話がありましたとおり、私は、電気事業の各社の社長会との意見交換の場で、現下の経済情勢というものを考えて、ありていに言えば、いろいろな物価が次から次へと上がっておる、こういう状況の中で、電気料金というのは全国に影響を及ぼすことでございますから、この引き上げについては慎重であってもらいたいということを厳しく申し上げました。そして、電気事業連合会の会長が私のところへお越しになったときも、国民の皆さんの今日の経済状況等を見るときに、私たちとしては何としても値上げを回避したいというこの我々の考えに理解をしてもらいたいということを、あえて申し上げた次第であります。

 したがって、私どもの方が積極的に値上げしないようにということを働きかけたわけであって、脱法行為をして何か彼らを擁護しよう、そういうことは毛頭ありません。ありませんが、今議員が御指摘のようなことについて、私どもの方で一度調べて、また回答をさせていただくことにします。

吉井委員 私は、大臣がおっしゃったように、ぜひこれはよく調べていただきたいと思うんです。

 実は、電力料金の公聴会というものを昔はやっておったんですよ。ところが、燃料費調整制度の導入とそれから小売の自由化、これ以降、この十年間は全く公聴会を開いていないんですね。ですから、こういう点では、やはり電気事業法の趣旨にのっとって、これはきちんとしたものにする。

 とにかく、値上げなんだけれども、届け出だけにしておいて、大臣に認可申請したら公聴会をやらなきゃいけないから、それを避けようとする電力側の脱法的なやり方というのはあってはならないと思いますから、これはぜひよく研究していただきたいと思います。

 次に、資料の二の方をごらんいただきたいんですが、三ページ目になります。

 自由化されてからの家庭電力と大企業を中心とした大口の販売電力の価格ですね。一番右端に単価の欄がありますが、これをごらんいただきますと、キロワット時当たり、大口の大企業向け電力は十円四十一銭、家庭用の方は二十円七十八銭ということです。二〇〇七年度はこうなっていると思いますが、これは念のために確認しておきます。

西山政府参考人 これは、このとおりでございます。

吉井委員 それで、家庭用の方は一月からさらに上がるという話があるんですが、大口電力は幾らに上がることになるんですか。何%の値上げということになるのかを伺います。

西山政府参考人 先生御質問の自由化範囲の電気料金といいますものは、相対交渉の結果として各需要家ごとに決まってまいります。そういうものでありますので、個々の契約に基づく料金水準につきましては、行政が把握する仕組みはございません。

 ただ、自由化部門から規制部門への悪影響の防止策というものがございまして、一般の電気事業者に対して、電気事業法に基づきまして部門別収支の提出というのを求めております。電気料金情報公開ガイドラインというものがございますので、これなどに基づいて、自由化部門が赤字の場合の赤字要因の説明とか、黒字の場合でも、規制部門の料金設定の適切性の説明などを求めております。

 なお、今直接の御質問の一般電気事業者からの聞き取りによりますと、自由化部門のほとんどの契約において、規制部門の燃料費調整制度と同じような調整条項が契約上盛り込まれております。したがいまして、今後の契約変更がなければ、本年七―九月の燃料価格の上昇を受けまして、来年一月には自由化部門についても大幅な料金上昇があるものと想定されております。

吉井委員 それは、既に家庭の方が大体二倍高いわけですけれども、その高いのがさらに上がるわけですね。大口の場合も、上がる率といいますか、割合は大体同じぐらい上がっていくということなんですか。

西山政府参考人 申し上げました事情で、概要しかわかりませんけれども、基本的に同じようなものと考えております。

吉井委員 今も取り上げましたが、電気料金というのは総括原価方式なんですね。

 ですから、今度は再生可能エネルギーの方について少し見ていきたいと思うんですが、燃料費構成別に見ますと、実は再生可能エネルギーの場合、どれだけ発電しても、太陽光にしても風力にしても、燃料費はただなんですね。他社購入費の中で再生可能エネルギーを買った場合は他社購入費の方に入ってきますけれども、現在、この比率は二・五%と非常に小さいんです。しかも、購入によって、実は電力会社の方は、再生可能エネルギーを買う方じゃなくて、例えば、みずから新たに原発なら原発を建設して進めるとしますと、大規模な投資を必要としますから資本費がぐっとかかってくるわけですが、再生可能エネルギーというのは、これを購入している限り、別に、資本費が減ることはあってもふえることはないんです。

 ですから、再生可能エネルギーを進めるということは、電気料金の値上げの抑制につながっていく非常に大事な分野だと思うんですが、この点についてのお考えというものを、総括原価の中ではそういう位置にあるということを最初に政府参考人に確認しておきます。

西山政府参考人 先生が最初の方でおっしゃいました料金の計上のされ方については、先生のおっしゃるとおりでございます。それが電気料金にどの程度の影響を与えるかというのは、やはり買う量、建設する量などによりますので、そこに依存すると思います。

吉井委員 次に、資料三をごらんいただきたいと思うんですが、これは二酸化炭素排出抑制、地球温暖化対策等にかかわっての資料です。一番右端の方に対インド一人当たり年間CO2排出量の比較を載せておきましたけれども、インドは一人の方の排出量が一年間に大体一トンですね。アメリカは二十一トン。ですから、そういうふうに出てきますから、二十一倍、十倍、十倍と、日本は今インドの十倍出しているわけです。

 そういうことが現実の問題としてありますから、共通だが差異ある責任ということを国際的にも確認し合って、日本の場合などは特に二酸化炭素排出量の削減に非常に大きな努力をしなければならない国だと思いますが、残念ながら、アメリカとともに、二〇〇六年の排出実績では京都議定書目標のマイナス六%より逆にプラス五・三%と。日本は、二〇二〇年の中間目標がなくて、二〇五〇年には現状から一応六〇ないし八〇%削減ということは言葉としては聞いておりますが、まだそういうものはないわけですから、その点では、私はかなり思い切った取り組みというものを日本はやっていかなきゃならないというふうに思うんです。

 この点では、太陽光発電についてですが、実は六月に、ほかの委員会ですけれども、内閣委員会の方で紹介したんですが、アメリカ軍の基地面積、これは大体一千十平方キロメートル、約一千平方キロメートルなんですよね。駐車場の屋根でも何でもいいんですけれども、これに太陽光パネルを設置したとすると、メンテナンススペース二〇%を差し引いたとしても、発電電力量としては一千億キロワット時なんです。これは柏崎刈羽原発の一号機から七号機でつくっているものの二カ所分なんです。太陽光発電というのは非常に大きな可能性があるものです。

 エネ庁の方で以前出してもらったもので計算しても、物理的限界潜在量と言われているものは、日本で年間起こしている電力量が大体九千億キロワット時ですが、その八倍を超えるぐらいありますから、この可能性を現実のものにするということは日本の環境対策にとっても大事ですし、後ほど触れますが、日本の地域経済をどう発展させるかということにもつながってまいりますから、ここのところを少し見ておきたいと思うんです。

 最初に政府参考人に伺っておきます。

 今年度の補正とそれから来年度予算要求を出しているもので、太陽光設置補助金というのは三百二十八億円を考えておられますが、これで一戸平均三・五キロワットのシステムで考えると、かかる費用の一〇%補助金、だから、一戸当たり二十五万円ということでいくと、十三万五千戸に設置を考えているということになりますが、仮に一戸当たり三・五キロワットのシステムとして、十三万五千戸だと幾らの電力量が得られるということになってくるのかを最初に伺います。

石田政府参考人 ただいまのお尋ねでございますが、一戸当たり三・五キロワットのシステム、十三・五万戸ということで、まさに補助金、補正予算と概算要求を合わせて補助いたしますと十三・五万戸分ということになるわけでございますが、これに二十四時間の、一日のあれと三百六十五日を掛けまして、それから最後は設備利用率というのを見なきゃいかぬわけですが、これが大体太陽光発電の場合ですと一二%ぐらいということで、〇・一二を掛けますと四・九七億キロワットアワー、約五億キロワットアワーということになります。

吉井委員 それで、実は、電源開発促進税の税収の方も資料をいただきましたけれども、多いときは年間三千七百億円を超えたりとかしておりますが、直近のもので三千四百八十億円ということですから、電源開発促進税、昔は巨大ダムをつくって水力発電とかに使ったわけですが、仮に太陽光発電の施設設置補助金に使うとすると、この二〇〇八年の三千四百八十億円でいきますと、百三十九万二千戸の住宅に設置できるということになります。

 資源エネルギー庁にわかりやすく三千億円の予算で計算してもらったら、百二十万戸で四百二十万キロワットのシステムとして、年間約四十四億キロワット時の発電電力量を生み出すということだったんですが、これは今の三千四百八十億円ですと百三十九万二千戸の住宅に設置できるということになりますから、改めてこれで試算した場合に電促税を丸々使うとすると、五十一億二千万キロワット時の発電電力量になるというふうに計算上はなると思うんですが、確認しておきます。

石田政府参考人 今先生おっしゃられたような仮定を置いて計算しますと、そのような数字になります。

吉井委員 それで、さっきも言いましたように、柏崎刈羽原発の七つの原発で五百億キロワット時という発電電力量です。そうすると、太陽光発電の設置を、日本が爆発的に既存住宅などを中心に広げていこうというので本格的に取り組んだら、これは電源開発促進税を例えば十年間ずっと使い続けたとすると、今の計算に十倍したらいいわけですから、五百十二億キロワット時が生み出せる。つまり、柏崎刈羽原発の七つの原発を超える電力を再生可能エネルギーで生み出すことができるということになりますし、これはエネルギー資源に乏しい日本にとって大事なことであるだけじゃなしに、燃料費ただの電力を生み出すことができますし、しかも、柏崎の停止によって、この一年間で、逆に火力に頼ったために三千万トンのCO2の追加排出をしてしまいましたが、こういう心配もないわけですね。

 ですから、今後十年間、電促税を再生可能エネルギーの開発普及に振り向けると、地球温暖化でも前進があるし、そして、その分を仮に原発で電気をつくろうとした場合にかかる大体資本費で三兆五千億円分ぐらいが要らないということになりますし、三兆五千億というのは、これはもともと電力料金にはね返る総括原価ですから、資本費がゼロになり、電気料金の抑制にもつながってくるということに、これは総括原価の面から見てもなってくると思うんです。

 これはあくまでも現実のものにするにはいろいろな取り組みが必要ですから、余り単純化してはということはありますけれども、計算上はそういうふうになると思うんですが、これは政府参考人に確認しておきます。

石田政府参考人 ちょっと今、にわかに御指摘いただきましたので、もう少し詰める必要があろうかと思いますけれども、今のお話を伺っている限りは、そういう仮定も成り立つのではと思います。

吉井委員 次に伺っておきたいのは、太陽光発電をどう進めるかという点で、これは同時に、それがどのように地域の中小企業の仕事と結びつくものとなっていくか、不況の中で国民の太陽光発電設置という消費需要が伸びるようにするという、やはりそういう取り組みが大事だと思うんです。大手ハウスメーカーが設置補助金の多くを使って仕事を持っていったのでは、地域の中小企業になかなか仕事が回ってきませんし、環境対策の促進とも結びついてまいりませんから。

 ですから、例えば、自治体によっては、既存の住宅のリフォーム補助制度とか、そういうのをつくっている自治体もあります。中小業者の方が仕事をするときに、住宅改造工事をするときの補助金、それが実質的に地域の業者に回るようにという、いろいろな工夫を自治体でやってはりますけれども。

 一つは、やはり太陽光の設置補助金を使った仕事が地元の中小企業に回るように、大手の下請ばかりやっておったのでは、利益は、大手の方は別なところへ納税しても、地域にも入らないし、地域経済は回りませんから。地域で工務店や電気工事業者の方たちがネットワークを組んで仕事が進むようにする、そうしてこそ、既存住宅での太陽光発電施設の設置も進むし、爆発的普及にもつながっていくことになりますし、同時に中小企業の支援ということにもつながっていくものになると思うんですが、そういうことを考えた中小企業対策の面からの太陽光発電の促進というものについて、どういうふうに今考えておられるか、伺っておきたいと思います。

二階国務大臣 太陽光発電の導入拡大は、エネルギーセキュリティーの確保や地球温暖化対策の観点から、先ほど来御主張のとおりであります。

 経済産業省におきまして、さきの補正予算において九十億円の予算を確保して、住宅用太陽光発電の導入補助事業を開始することにしております。この補助事業においては、新築のみならず既築向けにもこれを対象とすることにいたしております。

 このような住宅用太陽光発電の導入補助事業により、住宅分野での太陽光発電の市場が拡大することが期待されます。大手ハウスメーカーは新築向けが中心でありますが、太陽光発電システムの販売を行う販売店や施工を行う工務店等の中小企業においては、新築、既築の双方を手がけており、大きなビジネスチャンスがあるものと考えております。

 このような地域の販売店、工務店等の中小企業がそのビジネスチャンスを生かして、住宅用太陽光発電の導入補助事業が開始されることについて、新聞広告やパンフレットなどを通じて広く普及、広報を行っていきたいと考えております。

 これらの点については、やはり地元の施工業に関係をするいわゆる工務店の皆さん等で太陽光発電の導入について研修等を行って、安心、安全の状況をつくっておく必要があると思うんですが、その点については、私どもも新たな対応を考えていきたいと思っております。

吉井委員 今のおっしゃった補助金はJPEAという大手ハウスメーカーも加入している組織へ、まずそこを補助金の交付の窓口機関の役割を担わせる。相談、直接の受付は都道府県で考えられるわけですが、私は、こういうときに、特に中小企業という観点から、大臣にも注目をして取り組んでいただきたいと思いますのは、家庭電器なんかの大手家電量販店におりるメーカーからのマージン率は物すごく高いんですね。ですから、めちゃめちゃ値引きをしてやるものですから、町の電器屋さんが次々とつぶされていくという事態がありました。町の電器屋さん、電気工事などをされる方たちというのは、いわば地域で電気製品その他の安全を守る非常に大事な役割を本来果たしてもらっているんですが、大型量販店の大量進出によってそれが次々とつぶされていくという事態が現実に起こっております。

 私が心配しておりますのは、大手ハウスメーカーが、メーカーから非常に高いマージン率で太陽電池をとって、それで次々と地域へ入っていって仕事をやり出すと、実は、地域の中小企業の皆さん方がからされてしまうということになります。この点はやはり、本来は公取の方の独禁法を使って、優越的地位の濫用だとか不公正取引の規制ということでやれるはずなんですが、しかし現実には、家電量販店ではそういう現実があります。

 ですから、せっかく取り組んでいく太陽光発電を、その補助金が、別に大手のハウスメーカーが商売したらいかぬと言っているんじゃないんですよ。そこにおいしいところをどんどん持っていかれて全国の地域経済が成り立たないようなことでは、環境対策の面でもうまくいかないし、地域経済を、この金融危機、不況の中でどう仕事を起こしてどう発展させるかということを考えたときにも、それじゃなかなかうまくいかない。

 ですから、そういう点で、私はいろいろな研修会その他のお話を今お聞きしましたけれども、やはり大手の力でせっかくの取り組みが、地域がからされるようなことのないように、文字どおり、それぞれの地域の中小の工務店や、電気工事をやられる皆さん方、電器屋さんなどの仕事が伸びることによって、今の日本の経済を、仕事が回って下から経済を回復するというその軌道にどう乗せていくかということについては、やはり大臣としても特別力を入れてもらうことが大事じゃないかと思うんですが、伺います。

二階国務大臣 ただいま仰せのとおり、中小企業、特に地元の工務店の皆さん等は今仕事が少なくていずこも困っておる状態であるわけですから、太陽光発電の事業等に新しく参加できるような状況をつくっていくことが私どもの務めの一つであろうと思っております。

 なお、この際、先ほども申し上げましたように、安全技術の面で大手の皆さんやあるいは直接発注する方々の信頼を得なきゃなりませんから、どうしてそういう面での研修といいますか経験をお持ちいただくかということも考えていかなきゃいけないと思いますが、地元、都道府県等ともよく連携をして、ただいま御指摘のありましたことは全く同感でございますから、そういう点について配慮していきたい。そして、そのことは何よりも、太陽光発電の事業を宣伝し、そして啓蒙し、住民の皆さんに御理解を得てこれを活用していただくということに一番直結することでありますから、しっかり対応したいと思います。

吉井委員 二〇三〇年に四十倍という話がありましたけれども、余りにも志が小さいと思うんですよ。二〇三〇年に四十倍にしたところで、今御紹介しました電促税を十年間使い続けて補助すればできる発電電力量に少し及ばないぐらいのところですから、そういう点ではやはりまず補助金を、もっと予算をふやして需要が伸びるようにする。

 需要が伸びることは、補助金の充実と、もう一つは実はドイツ等でも行われておりますような固定価格買い取り制度、こういう制度を進めることによって、何年たったら元が取れるなという見通しが立つことで進む。需要の面でも伸ばすし、中小企業も支援する、そういうことが大事だと思いますので、最後に、需要を伸ばす固定価格買い取り制度と補助金の充実だけ伺って、質問を終わるようにしたいと思います。

二階国務大臣 ただいまの御指摘を十分参考にしながら、経済産業省としても改めてこの問題に対しての取り組みを考えていきたいと思っています。

吉井委員 終わります。

東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五分散会


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