衆議院

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第5号 平成21年4月1日(水曜日)

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平成二十一年四月一日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 中野 正志君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      秋葉 賢也君    飯島 夕雁君

      稲田 朋美君    猪口 邦子君

      小此木八郎君    岡部 英明君

      片山さつき君    川条 志嘉君

      木挽  司君    高村 正彦君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    新藤 義孝君

      鈴木 馨祐君    平  将明君

      谷畑  孝君    土井 真樹君

      中野  清君    橋本  岳君

      広津 素子君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    武藤 容治君

      安井潤一郎君    山本 明彦君

      山本ともひろ君    太田 和美君

      北神 圭朗君    後藤  斎君

      近藤 洋介君    下条 みつ君

      田村 謙治君    牧  義夫君

      三谷 光男君    高木美智代君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   総務大臣政務官      鈴木 淳司君

   厚生労働大臣政務官    金子善次郎君

   経済産業大臣政務官    松村 祥史君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  青木 一郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局総括審議官)          大藤 俊行君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            居戸 利明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 望月 達史君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 久保田誠之君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 田中 一穂君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 宮内  豊君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           杉浦 信平君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       飯高  悟君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           石黒 憲彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西本 淳哉君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          松永 和夫君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          鈴木 正徳君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            細野 哲弘君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          近藤 賢二君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 石田  徹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        北川 慎介君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            横尾 英博君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月一日

 辞任         補欠選任

  片山さつき君     山本ともひろ君

  林  幹雄君     秋葉 賢也君

  牧原 秀樹君     飯島 夕雁君

  武藤 容治君     鈴木 馨祐君

同日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     林  幹雄君

  飯島 夕雁君     牧原 秀樹君

  鈴木 馨祐君     武藤 容治君

  山本ともひろ君    猪口 邦子君

同日

 辞任         補欠選任

  猪口 邦子君     広津 素子君

同日

 辞任         補欠選任

  広津 素子君     稲田 朋美君

同日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     片山さつき君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官青木一郎君、金融庁総務企画局総括審議官大藤俊行君、金融庁総務企画局参事官居戸利明君、総務省大臣官房審議官望月達史君、総務省大臣官房審議官久保田誠之君、財務省大臣官房審議官田中一穂君、財務省大臣官房参事官宮内豊君、厚生労働省大臣官房審議官杉浦信平君、農林水産省農村振興局農村政策部長飯高悟君、経済産業省大臣官房審議官石黒憲彦君、経済産業省大臣官房審議官西本淳哉君、経済産業省経済産業政策局長松永和夫君、経済産業省産業技術環境局長鈴木正徳君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君、経済産業省商務情報政策局長近藤賢二君、資源エネルギー庁長官石田徹君、資源エネルギー庁資源・燃料部長北川慎介君、中小企業庁長官長谷川榮一君及び中小企業庁事業環境部長横尾英博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片山さつきさん。

片山委員 委員長、ありがとうございます。

 この経産委員会、今回の景気対策の目玉法の一つでもございます産業再生法のトップに立たせていただいて、大変光栄でございます。

 失われた十年に終止符を打つため、金融の目詰まりを解いたら次は産業だということで、この法律をつくり始めたときに不良債権処理側の方に私もおりましたが、それから指折り数えて三回目の改正になるんですかね。今回は、環境・省エネという要素も加えて、やはり未来への投資ということで、これでこの難局をしっかり乗り切るということのための非常に重要な法案でございますので、ぜひ今国会で成立させなければいけないと思っている次第です。

 まず、この法案の前提として、私どもも、自由民主党の政調と日本経済再生戦略会議として、今の景気の最前線を議論し、また、現場にも足を運んでいるんですが、その唯一の視察地が私の地元の浜松でございました。三月の二十三日でございました。

 そこで町村会長以下我が党の幹部が目にした状況でございますが、お手元の資料にもつけているんですけれども、このパネルです。非常に小さくて済みません。地元の経済界から示したパネルで一同青くなった。私は毎日それを見ていますから別にびっくりはしませんが、この状況。業況DIですね。数百社のアンケートを実際にとっております、静岡県西部ですが。つまり、業況がマイナス八五、売り上げがマイナス八一ということは、九十の会社が売り上げが下がったと言っている、そして十だけが上がったと言っている状況で、特に自動車関連の下請に関しますと、売り上げが六割、七割という減少になっております。

 こういう状態の中で、何とか当面の止血措置をして、かつ未来に向けた投資を積極化する、そのことによって失われつつある雇用を下支えし、かつ雇用を生み出すのがこの法改正の目的でございますが、その前提として、非常に大きな生産のギャップ、GDPギャップがあります。二十兆と言う人もあれば三十兆と言う人もいますが。経済政策のセオリーとして一番即効性のあるものとして、やはりGI、公共投資をある程度進めるということがある。

 昨日、日本経済再生戦略会議の方から総理の方にもその中間報告を提出させていただきました。これもお手元に配付させていただいておりますが、日本経済再生への戦略プログラム、その中で二十一世紀型のインフラ整備というものを一つ項目として挙げております。国土のミッシングリンクの結合により地域経済を活性化するんだと。過去三年を大幅に上回るペースでの整備。

 まさに、私どもの地元でも、あるいは三遠南信地域でも、第二東名、三遠南信といった完全にミッシングリンクになっているものを何とか前倒していただきたい。そうでないと、これだけ、六割、七割製造が落ちたGDPギャップを早急に埋める方法はないということが強く要望されたわけでございます。これは他地域でも同じようなことがございます。

 そして、まず、先般成立いたしましたばかりの二十一年度当初予算についても、過去最大級の前倒し移行が必要だと。既に九〇%以上という話が出ておりますが、まず最初に、今回、国土交通省の方から西銘政務官、予算委員会のときからこのお話をさせていただいておりますが、来ていただきました。そのことについての国土交通省の意欲をお聞かせいただきたいと思います。

西銘大臣政務官 公共投資による雇用創出効果につきましては、内閣府の経済財政報告平成十九年版によりますと、一兆円の公共投資で約十三万六千人の雇用創出効果があると報告をされております。そのほかにも、道路や港湾等の整備によって周辺に企業が立地をし、さらなる雇用創出が期待されるなど、公共投資が生み出す社会資本整備の効果で、雇用拡大の効果がさらに出てくるものと考えております。

 例えば、地方の鳥取県の事例でも、姫路と鳥取の道路がつながることによって、過去六年間で五十社あるいは八百人の雇用が実現した事例等もあるようであります。

 また、昨日、平成二十一年度の公共事業予算については、可能な限りの前倒しをして執行することとされております。国土交通省といたしましても、社会資本の整備を速やかに実施することにより雇用創出の効果を図ってまいりたいと考えております。

 また、委員御指摘のように、昨日総理から、現下の経済危機を乗り切り、未来への明るい展望を開くために、追加の経済対策の取りまとめが指示されたところであります。国土交通省といたしましても、その方針に従いまして、前倒しも含めて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

片山委員 ありがとうございます。大変心強いお言葉で、二月以来西銘政務官と議論させていただいた結果が一歩一歩着実に前に出ているということで、東海でも沖縄でも頑張りたいなと思う次第でございます。

 同じような産業インフラという意味で、非常に切望が強いのがデジタルデバイド、ブロードバンド系でございますね。これについても、まさに産業活力を活性化させるための生産や研究拠点のインフラとしては非常に経済誘導効果が高いと言われております。これにつきましても、日本経済再生への戦略プログラムといたしまして、党の方から総理に申し入れております。

 具体的に、地上波デジタルに移行する場合、それからブロードバンドの設備をさらに進める場合に、今までの僻地に限った問題ではなくて、工業地帯、あるいは、それこそミッシングリンクの結合のようなものも含めていろいろあると思いますし、当然前倒しという話もあると思うんですが、その辺につきまして、同じ東海の、総務省の鈴木政務官からぜひ方針を伺いたいと思います。

鈴木大臣政務官 まず、テレビでありますけれども、テレビは国民生活に最も深く浸透しておりまして、二〇一一年七月の移行期限においてテレビが見られない、こういう状況は絶対に生じてはなりません。そのため、デジタル中継局の整備支援、あるいは辺地共聴施設の整備支援等の難視聴対策を初めとして、地上デジタル放送への完全移行に向けた各種対策を平成二十一年度予算に盛り込んでおります。まずはこれらの施策を着実に、またできる限り前倒しで執行してまいりたいと思っております。

 一方、昨日総理から御指示のありました経済対策でありますけれども、今後の検討に当たりましては、地デジへの完全移行が経済活性化に最も大きな効果を有する部分がありますので、それについても十分留意をしてまいりたいと思っております。

 また、ブロードバンドでありますけれども、これにつきましても、地域住民の生活向上や地域の産業分野に恩恵をもたらし、地域活性化に寄与するものであります。したがって、ブロードバンド・ゼロ地域の解消は極めて重要な政策課題であると考えておりまして、その解消に向けても努めておるところでございます。

 まず、平成二十年の九月末現在におきましてのブロードバンドのサービスエリアのカバー率の推計値、世帯カバー率でありますが、これは九八・六%までいってはおりますけれども、全体として整備は進んでおります。しかしながら、先生のお地元もそうでありますけれども、中山間地域などの条件の不利な地域におきましては、整備のおくれからいまだにブロードバンドが利用できない方々があるのもまた事実でございます。先生のお地元の工業団地もそのように聞いておりますけれども。

 こうした中で総務省では、民間のみでは整備が進まない条件不利地域におけるブロードバンド基盤整備を推進するために、地域情報通信基盤整備推進交付金、いわゆるICT交付金でありますけれども、これによりまして、ブロードバンド基盤を整備する地方公共団体等の支援を行っておりまして、平成二十年度補正予算としましては合計百五億円、また平成二十一年度予算におきましても約七十九億円、これは対前年度当初予算比で十七億円増でありますけれども、これを措置しているところでございます。

 これらの取り組みによりまして、また、きのう総理から指示のありました追加経済対策の指示も踏まえつつ、一層の整備推進を図るつもりでありますので、どうぞよろしくお願いいたします。

片山委員 ありがとうございました。

 遠隔地におきまして、やはりブロードバンドが使えない、あるいは、携帯それから地上波デジタルの、地デジの放送のアンテナが立たないということは、一番取り残され感があることなんですね。私の地域でも、面積的に非常に大きなところがみなし過疎で、ことしはどの地域、来年はどの地域というような、一つずつ予定を立てて臨まざるを得ないんですね。地域や何かの負担もとても耐えられる状況にない、集落も小さいということになりますと、やはりこの大きな景気対策をかりて、多少地元負担を軽減し、前倒しで進めるということをやることは、地域の安心感を確保するという今回の大きな対策の中で非常に意味がある、費用対効果が大きいと思います。

 それから、まさに産業再生法で、我々の大切な日本のリーディングカンパニーの地歩を固めて新しい形に打って出るためにも、工業立地や研究開発立地をするためにも、やはり大容量ブロードバンド等を先行投資として国ももう少し大きな負担をして進めると。それじゃベトナム、中国じゃないかと言われるかもしれませんが、こういうものは後発の利益がありまして、どんと引いてしまうと、あのベトナムの方が大容量の利用率が高くなることは実際にあり得る話でございますので、ぜひ総務省、経済産業省、連携して頑張っていただきたいと思います。

 そこででございますが、もう一つの重要項目というか、最大のGDPの重要項目は、やはり消費でございます。昨日の申し入れの中にもありましたが、余りにも耐久消費財が売れません。これが先ほどの状況を生んでいるわけでございまして、自動車それから家電といった二大最大消費項目について、何とか買いかえ促進策を講じたいという話を戦略の中に入れているわけでございます。

 自動車につきましては、既に税制の方で、ハイブリッドの取得、それから、重量税を三年間時限でゼロにするという思い切ったことをやりましたが、それでもまだラインは大幅にとまっております。ですから、全体的に環境負荷が低いあるいは何らかの理由で、あるいは、ドイツがやったように車齢が長いものを買いかえたら一律にとか、中国の方では、一連の白物・箱物家電一三%キャッシュバックのようなことも考えているようでございます。

 その辺につきまして、製造業のラインをこれ以上とめ陳腐化させないための買いかえ促進策をどのように進めていただけるのか、私どもの強い要望もありますので、経済産業省の方からお答えをいただきたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、自動車の関係からでございますけれども、御指摘のとおり、自動車産業というのは、我が国の産業構造に占めるその位置づけとかあるいは波及効果という意味では大変重要でございまして、それの活性化を図るということは非常に喫緊の課題だと認識をしております。

 今御指摘ありましたように、こうした観点から、既に本年度の税制改正におきまして、環境性能にすぐれた自動車に対する重量税あるいは取得税を時限的に減免するというようなことで、税制面からの思い切った対策をいたしまして、その買いかえ促進を図っております。

 同時に予算面でも、電気自動車あるいはプラグインハイブリッド車の購入支援についても補助するという措置を講じているところでございます。

 それから、先ほど委員がおっしゃいました未来への投資という観点では、長距離走行を可能とするような蓄電池の高性能化とかあるいは低価格化のための技術開発をやっておりますが、御指摘のとおり、昨日、麻生総理から新しい経済対策の考え方と取りまとめの方向が示されたところでございます。

 経済産業省といたしましては、外国で今何が対策として行われているかということも十分念頭に置きまして、新たな成長につながる環境対応車の普及促進の方向については、なるべく幅広く実効性のあるものを検討してまいりたいと思っております。

近藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま製造産業局長の方から自動車の関係がございましたけれども、私の方から電機電子産業についてもお答え申し上げたいと思います。

 今先生御指摘のように、電機電子産業も非常に数多くの部品を取り扱うすそ野の広い産業でございます。そういう中で、この電機電子産業の国際競争力の強化を図りまして再び活性化させるということは非常に重要な効果を持つ、こういうように考えているところでございます。

 我が国の電機電子産業は、国際的にも極めてすぐれた環境力それから技術力を有しているわけでございます。この環境力、技術力を生かした省エネ型の家電製品、いわゆるグリーン家電、こういったものを広く普及させていくことは、地球環境問題の克服に資することとなると同時に、電機電子産業の国際競争力を強化することにもつながるわけでございます。

 こうした認識のもとで、経済産業省では、平成二十年度の第一次補正を活用いたしまして、省エネ型の家電製品に実際に買いかえた場合の効果を見える化をする、見えるようにしていく、こういうことをしまして、効果を消費者に実感していただく取り組みを行っているところでございます。また、税制の改正の中でも、すぐれた省エネ家電の製造設備の投資につきましては、全額即時償却という制度を盛り込ませていただいたところでございます。

 また、加えまして、現在、政府において新たな経済成長戦略の策定に向けた議論が行われているところでございますけれども、先生御指摘のように、昨日、総理から新たな経済対策の策定に向けた指示もございました。こういう中で、経済産業省といたしましては、グリーン家電の普及が環境対策及び景気対策として大きな意味があるという認識のもとで、その推進のための方策を検討しているところでございます。とりわけ、家庭の中で電力消費量が多い冷蔵庫、エアコン、テレビ、この冷蔵庫は一六%、エアコンは二五%、テレビは一〇%、家庭の中で電力を使っております。そういったところのグリーン化の効果が大きいと考えておりますので、環境省などとも連携をしながら、この普及促進に努めてまいりたい、こんなふうに思っております。

 こういった取り組みを通じて、我が国の電機電子産業、さらには部品産業を含む幅広いすそ野産業の活動を活性化させるということで我が国の経済全体を元気にしてまいりたい、このように考えているところでございます。

片山委員 入念なお話を両局長から伺い、ありがとうございました。車の場合は、乗用車のみならず、今、運送運輸産業それからトラック、バス関係も、非常に製造業不況で傷んでおります。大型車のエコカーへの買いかえ等も政府内で御検討いただいているやに聞いておりますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 また、私どもの方もエコポイント制度というような言葉も出しながらやっているわけでございますが、ブルーチップではありませんが、このポイントをある程度うまみのあるものにしていかないと、これだけ消費が落ちていると、家計の手取りが落ちている中で実際に消費につなげていくのは難しいので、ここから先は、補正予算の議論も含めて、その辺にかかってくるのかなと思いますので、ぜひ御一緒に頑張ってまいりたいと思っております。

 そこで、この産業再生法の目的とする、雇用の下支えをし雇用を生み出すお話でございますが、きのうの夕刊は、みんなショックをもって受けとめた夕刊の一面の見出しとして、全国での平均の有効求人倍率〇・五九。実は、静岡県では一面にとった数字が〇・五六でした。えっ、静岡は全国平均より悪いの。これは史上初ですよ。今まで人が足りないことはあっても余ることはなかった私の地元の浜松のハローワーク管内でも、ついに〇・六三になりました。十人お仕事を求めていて、六人しかお仕事がないということです。日本経済再生戦略会議の視察のときも、ぜひハローワークにという日程を組んだんですが、ちょっと場所が離れておりまして、翌週、私、代理で行ってまいりましたが、本当にごった返している状況でございます。

 そこで、これはお手元にもございますし、このパネルにもあるんですが、県の方で、また地域の方でまとめている職業別の求人と求職の状況なんですが、極端なばらつきがあるんですね。つまり、こういって悪いときは普通ここまでばらつかないことが多いんですが、今回は極端でございまして、この大きな真ん中の方で求職者数が図抜けておりますのが、大体、製造業、生産工程、労務管理ですね。次が事務的職業ですから、いわゆる製造業関係の企業が人を減らしたりリストラしたり、あるいは派遣や雇いどめをした場合に出てくる方の求職がここにぽんと二つ立っているわけでございます。それに対する求人の方はほとんどない。求職倍率が有効求人倍率の三倍というような状況になっておりまして、では、これをどうやってこの地域で労働移動させるのよと。

 日本の労働市場の常日ごろの問題として、硬直化していて流動性がないということをずっと、これをならすということが重要なんですが、これは産業再生法で企業側を元気にして、こちらで少しは吸収するということをこの法律を通じてやるわけですが、当面、足りないところはまだあるんですね。何が足りないかというと、右側の方にあります介護と福祉ですよ。それからサービス関係の職業、これは飲食からビル管理からいろいろあります。夜も含めて非常にきつい仕事が多いんですが、こういうところは有効求人がまだいっぱいあるのに、それが簡単に移動しないんですよ。

 これは別にうちの地元だけではないです。静岡県とか浜松市というのは全国の平均値でよくとられるマインドのところです、愛知もそうですけれども。実際に、先日、自民党として視察を組みました。日本全国でも最大の社会福祉法人、介護サービスを提供しております聖隷事業団、こちらの方では、全国最大級、最新の介護の訓練センターを設けているんですが、そこに収容できるだけのキャパシティーの介護訓練の応募がこの雇用情勢になっても来ないんですよ。

 なぜ来ないか。理由はいろいろございますが、これもまたお手元に、ちょっと細かいグラフで申しわけないんですけれども、一連の希望職業の賃金、これは希望する側、雇う側両方ありますが、賃金グラフがございます。はっきり見てとれるのは、やはり、製造業や自動車運転といったところは高く、介護福祉関係は端的に言って低いんですよ。その給与差が、例えば介護の関係では、応募の方でも十八万円ぐらいしか出てこないんですね。実際の妥結賃金はもっと低いので、今まで何とかブルーカラーのエリート工員さんが子供を養っていた給料には到底足りないんですよ。

 そこで、そのことがあるので、介護従事者への処遇改善ということで、年末、我々も頑張って、介護支援議連等で頑張って、何とか三%アップを初めて決めたわけですよ。にもかかわらず、最近の統計によると、これが、施設がやはり非常に経営が苦しいことによって、せいぜい一%か二%しか上がらない。これでは、期待値が裏切られてしまうのと、この大きな産業再生の中での労働移動の実効性も、これだけ目に見えて数字が違えば無理ですよ。そこで働けという命令はできない、みんな生活を支えていますから。

 その分野につきまして、きょうは厚生労働省から先輩の金子善次郎政務官にも来ていただいているんですが、何とかこれを国費から出しても、介護保険料の方は、三月、四月ですから、もう保険料を切っちゃっているから今から無理ですが、国費から補正予算で出しても何とか我々が目標で掲げた二万円をアップしていただかないと、目に見えてこれは無理だということになってしまう。(発言する者あり)出しますということを言っていただければありがたいんですが。

 それから、訓練も、訓練を受けるあらゆる施設の声を集計しますと、訓練のコストとして見合っているだけのものを払ってもらっていない。それでは、訓練する方も、施設はつくった、減価償却は要る、人件費はかかる、この問題になっちゃって、結局ボトルネックが厳然とあるものですから、その点につきましてお願いしたい。

 それから、介護人材を二十万人、三十万人、こういう形で動かさなきゃならないときに確実に施設があるのかということで、これも介護保険施設等の増床計画を我々の経済再生戦略プランでも出しております。

 それら三つ総合して、金子政務官、ぜひ力強い御答弁をいただきたいと思います。

金子大臣政務官 お答え申し上げます。

 大変厳しい経済情勢の中で、与党におきましてもさまざまな議論が行われまして、昨日の自由民主党の政調の日本経済再生戦略会議の中間取りまとめがございました。また、こうした中で、昨日、総理から新しい経済対策を策定する旨の御指示もございました。

 議員御指摘のとおり、介護人材の処遇改善は極めて重要な課題であるというふうに厚生労働省としても認識しているところでございまして、ただいまお話ございました、今月からでございますが、三%の介護報酬改定等を行うことにしているわけでございますが、これまでの与党による御提言や御意見、また議員御指摘の点も含め、さらには総理からの御指示に基づきまして新しい経済対策をつくる、この検討の中で、特に介護分野につきまして、非常に重要なことであるという認識に基づきまして取り組んで検討してまいりたい、このように考えているところでございます。

片山委員 実は、正月以来やっております我々の、これは六十名議員がいるんですが、危機と戦う!セーフティーネット政策議員連盟、実は先般、民主党さんの方とも話し合いをさせていただきましたが、現場を救うという観点は、もうこの部屋にいらっしゃる委員の方は全員共通しておられると思うんですが、厚生労働大臣の方にも申し入れをさせていただいております。

 何とか処遇改善を行っていただきたいという話の中で、では現場でどういう方たちが今雇用のはざまで悩んでいるかということですが、私の地元は日系人も非常に多いところです。実際、一九八九年の入管法改正前後の議論によって、生産現場にブラジルやペルーの方をある程度ラインごとのパッケージとしてお連れして、中では日本語が必ずしも堪能でなくてもマニュアルによって正確な作業ができるということで、人件費を抑制することで生き残ってきた製造現場が過去十数年相当あります。

 それはそれで、日本が製造業を日本の国内に残し、グローバル競争という、選択できるものではなくて、そこから逃げることはできないファクトと闘うものとしては、一つのやり方としてしようがなかったんですね。ただ、その努力はそろそろ限界に達してきております。

 実は、派遣村というのが何と浜松にもできました。私は、初日に行ってあいさつまでしてきて、なれないボランティアのかわりに記録までとってまいりましたが、何が起きているかというと、そういうマニュアル型の現場に来られていた日系人の方、あるいは日本人の工員さんもそうなんですよ、昔と違って、製造現場が徒弟制のオーダーメード的なものから極めてマニュアル的になっているんですね。ですから、もっといろいろ新しいことを、たとえある社の、大手から注文が来ていたもののラインがほかのものに変わっても柔軟に転向できるような技術や何かを毎日学べる、と思って正社員で入った二十代、三十代の若者が、今非常に、これでいいのかということになっているんですよ。

 ですから、産業再生を行うことの前提として、日本型経営、いかなる状況でも、オイルショックでも円高でも、規制緩和、グローバル競争社会の中でも、覇者として日本企業が今でも生き残っている中で、ずっとやってきた、日本型経営と人を大事にするということが、大変申しわけないけれども、着実に漸減して落ちてきているんですね。その部分を、今回産業再生法で新たな恩典を与える上で、絶対に外しちゃいけないと思うんですよ。そこがなければ、現場からの、現場力による新たなデバイスというのは、まず絶対に生まれてこないんですね。

 ですから、今回、この産活法の資源生産性の向上策による新たな政策支援、即時償却もあり、金融もあり、規制の特例もあり、物流の見直しもいい、これをすべて使えるような企業となるために、付加価値の向上を条件に入れている。事務方の方が説明に来られたときに、付加価値に何を入れているのかと言ったら、ちゃんと人件費も入っていると。これは当然ですが、非常にいいことでありまして、つまり、人件費を抑制すればするほどいいという評価ではなくて、やはり人件費やあるいは労働分配率に配慮ができるインセンティブがきくことになっているから、これは非常にいいと思っております。

 実際に、派遣村で会った方は、まだ解雇されていない方がたくさんいたんですよ。そこがポイントで、つまり、派遣切りや雇いどめに遭った、これは十八万人とも十九万人とも言われる、四・四%の失業率を構成している方だけではなくて、まだ労働者ではあるんだけれども極端に休業がふえている、夜勤も残業も全くないという状態で、月の手取りが十万円台前半になっている元エリートブルーカラーサラリーマンがいっぱいいるんですよ。これでは子供の教育費や住宅ローンは払えないんですね。その状態をいつまでも置いておいたら、いかに産業再生しても消費は絶対に伸びないし、そのインセンティブでは現場からの現場力も出てこない。

 つまり、技能を維持し、日本の国益、国力を回復する、競争力の源泉である現場力を維持するためには、優秀な人材にしっかりと報い、あるいは団塊の世代の引退でも、それが中国やベトナムに教えに行くのではなくて、現場で鬼監督として残ってもらわなければならない。そのための処遇改善等も必要であり、これが今回の法律でちりばめられております一連の審査項目の中に私は入れ得る構成になっていると思うんですが、そのことも含めて二階大臣の御見解をぜひ伺いたいと思います。

二階国務大臣 片山議員からただいま、浜松の現場の状況等を例に挙げて詳しくお述べをいただきました。今後の中小企業対策、大企業も含めてでございますが、浜松のそうした事例を大いに参考にさせていただきたいと思います。

 ブラジルのお話も出ましたが、先般、私、国際会議でブラジルのアモリン外相と話をしましたときに、浜松という言葉を挙げて、ブラジルの人々が大変お世話になっておる、どうしても引き揚げざるを得ないような状況にあれば、これは国として最善を尽くして受け入れをしなきゃならぬと思っておりますが、せっかく希望を持って日本にお伺いしたわけですから、子供たちは、もう日本語をすっかりマスターしている子供たちもおるわけですから、そこは、所期のそういう、日本とブラジルとのかけ橋になろうという気持ちを大切にしていただきたいということを言われておりました。

 この際、ぜひ片山議員にもそのことをお伝えしておきたいと思います。

 御指摘の、従業員を大切にして、その意欲を引き出して関係を強化する経営が結果的には企業の価値を高めて企業の中長期的な発展に役立つんだという片山議員の御指摘は、私は全くそのとおりだと思っております。

 今までは、穏やかな豊かな経営が進んでおるときには、それぞれの企業は一家という気持ちをみんな持っておりまして、やがてはうちの子供たちもこの会社に採用されることができれば一番いいのにな、みんな言わず語らずそういうことを気持ちとして持っておった。そして、あらゆるスポーツにも、会社のマークをつけた選手が出れば、町を挙げて応援するというような風景があったわけですけれども、このごろは、あれも整理され、これも整理されというふうな、そういう状況になっておる。

 従業員の家計所得の安定ということ、これも一にかかって消費につながるわけでありますから、企業の売り上げを増加させたり、家計所得と企業所得の好循環、これが大変大事だと思うわけでありますが、そうしたことにも配慮しなければならないわけであります。

 御指摘のように、将来のことを考えると、極めて重要な御指摘であり、私も昨年九月に、経済界の皆様に、当時としてはまだまだ難しい環境に差しかかったときでありましたが、何とか経済界の皆さんの御協力で賃上げをお願いしたいということを申し上げたことがございました。その後、世界経済の急激な減速によって、今そのことを重ねて申し上げるということの状況にはありませんが、私は、この気持ちを我々は絶対に忘れてはならないということを考えていきたいと思っております。

 現在は、企業は、御案内のとおり、雇用の維持確保、同時に休業やワークシェアリングの活用等も含めて、厳しい経営判断を迫られながらも、いろいろ努力をしていただいております。その際、私は、各企業は、人ということの重要性、先ほどお説のとおりであります、このことにかんがみて最善の経営判断をいただくように、我々としては助言をし、また場合によっては、恐縮なことではありますが、指導をしてまいりたい、このように思っております。

片山委員 力強いお言葉、ありがとうございました。

 そして、私は、今回の産業再生法の中で、過去十年の苦闘の歴史で学んだ部分を非常に生かしておられるなと思っているところが、中小企業の第二会社方式による再生でございます。

 この中で、いわゆるグッドカンパニーとバッドカンパニーを分けて、グッドの方を生き残らせてうまくスポンサーを見つけ、不採算部門の方はさっと切り捨てて債権処理をやりやすくするということですが、余り宣伝されていないメリットとして、この中で、商事債権の扱いについて一工夫しているということが非常に大きいと思うんですよ。

 実は、産業再生機構の初期のときに、マツヤデンキという超大手の物販会社がつぶれまして、これは何千という取引先があって、一つ一つが小さいので、マツヤデンキの本体とそこで働く人は救われても、仕入れ先がみんなばたばたと、二、三人の個人事業者が何百も倒産する。ですから、そういう企業というのは事実上事業再生ができないのかという話になったときに、何とか私的整理をうまく裁判所にも御理解いただいて、商事債権を守ったんですね。これと同じパターンが、今回この我々の産業再生法の方にも入っている。ぜひ、そのメリットを強調し、これを上手に使っていただきたい。

 まあ、チャプターイレブンに近い形かもしれませんが、これであれば金融機関も債権放棄に応じやすいんですね。それから、先般も問題にさせていただいたハウスメーカーの倒産や、それから製造メーカーでも仕入れ先が多いところをうまく生かしていくこともできると思います。その辺について、この点に非常にお詳しい松村政務官からお答えをいただきたいと思います。

松村大臣政務官 お答え申し上げます。

 片山先生には、大変重要な点を御指摘いただいたと思っております。

 今般の改正産活法案において創設をいたします中小企業承継事業再生計画におきましては、中小・小規模企業の将来性のある事業を再生するだけではなくて、地域の雇用を守ること、また取引先の連鎖倒産を防ぐことができることが大変重要なポイントであると私どもも考えております。

 このため、計画の認定に当たりましては、まず、取引の相手方である事業者の利益を不当に害するものではないことを認定基準の一つとして規定してございます。また、御指摘がございました売り掛け債権につきましては、原則として取引先企業の売り掛け債権を毀損させない旨を改正産活法案の実施のための指針において規定する考えでございます。

 このような措置によって、適切な事業再生計画に限って、本法案に基づく支援を行うこととしてございます。

片山委員 本当に、現場では、突然倒産に対する被害の怨嗟の声が、波のようにありまして、早くこれを実施に移したいと思っております。

 また、今般、九兆円にも達した緊急保証、恐らくこの一年間の経済対策の中で最も有効に使われたものですが、これにつきまして、やはりまだそれでも足りない、据置期間を一年を二年にしてほしいとか、八千万円じゃ足りないから一億円とか、あるいは、もう業種制限は撤廃してほしいとか、そういう声が商工会議所からも全国の経済団体からも相次いでおります。

 さらに加えて、今回の産業再生法で手当てされるのは、この上の段階の中堅でございます。その部分につきまして、今回、新しく中小基盤機構の今ある二百二十億円を当面使った、大体想定で二十億円ぐらいまでオーケーの、新しい信用補完制度が入っておりまして、これも一日も早い法律の成立が必要な大きな原因なんです。

 最初に申し上げました緊急保証制度をさらに広げる、利便性を向上するお話とともに、この当然切望され、膨大な需要が出てくるであろう中堅企業向けの保証制度につきまして、何とか二百二十億ということを言わずに、今回の補正で大幅に増額していただきたい。その点につきまして、両方あわせて、ちょっと大臣の方からお願いいたします。

二階国務大臣 世界的な金融危機の影響によって、ただいま御指摘のように、取引先の中小企業の雇用の安定化などにとっても重要な中堅企業の資金繰りが大変厳しさを増しておりますことは十分承知をいたしております。中堅企業に対する支援措置がいま一歩というか、このことに対して大変重要だという御指摘がありましたが、私どもは、中小企業から中堅企業へ、さらに大企業へと企業の資金繰り等について十分な対応ができるように、いろいろの対策を今検討しておる最中でございます。

 そして、多くの皆さんの声を背景にして、政策投資銀行や商工中金を通じた総額三兆円規模の低利融資等の対策に加えて、主に中堅企業の資金繰りを容易にするように、独立行政法人中小企業基盤整備機構、略称して中小機構と呼んでおりますが、債務保証制度を改正産活法の中に盛り込んでいることは御承知のとおりであります。

 本制度には、既に中小機構にある約二百二十億円の基金をまず活用することを想定しておりますが、今後、企業の関係者の御要望等も十分配慮しながら、財政当局とも相談の上、この対応に万全を期してまいりたいと思います。財政当局御出身の片山議員からもっと上げろ、もっと上げろという声がありますが、これは在職中にそういうふうに言ってもらったらよかったわけですが、私の方は、与謝野大臣とも相談をして、必ず皆さんの声にこたえるようにしたいと思います。

 緊急保証の問題は、もう御案内のとおり、七百六十業種に拡大して大体の御要望におこたえをしたつもりでありますが、今後、売り上げが落ち込んで資金繰りが苦しい中小企業の皆さんや、あるいはまた長期安定的な劣後ローンの貸し付けを拡大し、中小・小規模企業の再建資金を強化するなど、しっかりした対応をしていきたいと思っております。

 政策あるいは我々の持てるものを出し惜しみすることなく、全力を尽くして、小規模中小企業、中堅企業、そして大企業の皆さんに対して経済産業省としてなし得るすべてをかけて頑張ることをお約束したいと思います。

片山委員 力強いお言葉、なし得るすべてを使って、この資金繰りというか信用収縮不況に立ち向かっていただきたいと思います。

 信用収縮不況というのは、やはり今の国際金融の中で非常に当たっていると思うんですが、前の世界大恐慌のときには、各国が自国の産業を守るために関税障壁をぐんと引き上げた。今回は、お互いに資金を引き揚げ合ってしまう、それで金融不況を輸出して世界じゅうこうなっている。ですから、今回の金融サミットでは、ぜひ日本は、BIS規制の地域化というんですか、こういう平時には適用できないようなルールについては、地域化して緩めるべき、ということを本格的に言うべき状況になっております。

 その中で、大企業も例外ではないので、今回の産活法で、大企業で、特に三月末、九月末に向けて、資本が毀損することによって融資が受けにくくなりそうなところについては出資ができる。この制度は非常に注目されておりますし、ほかの国でも製造業を守るための出資、融資を大幅にやっておるわけで、大いに使われるし、使っていただきたいわけでございます。

 これをやっていく上で、猶予期間三年の間に再生ができるかどうかということがあるわけです。その後を見据えてみますと、単なるこういう止血組織ではなくて、新商品の開発や産業再編がなければそれは無理だと思うということでございます。

東委員長 片山委員、時間が参っておりますので。

片山委員 はい。では、それで終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

東委員長 次に、橋本岳君。

橋本委員 おはようございます。自由民主党の橋本岳でございます。

 きょうは四月一日でございます。何の日かと申しますと、言わずと知れたエープリルフールでございまして、だからといって、うそをついちゃいけません。けれども、委員会の公正さを守る範囲の中で、ジョークの一つぐらい飛ばしたって僕は構いやしないんだろうと思うんですね。

 最近、報道などで、ジョークを飛ばしたらそれが記事になってしまって、不適切だとか言われるようなこともあるようでございますが、難しい顔で、しかめっ面していても決して景気はよくならない。日本を元気にするこの委員会でありたいと思うので、そういうようなことも含めて、二階大臣初め、ぜひ景気よく御答弁をいただけるとうれしいな、こう思っております。

 さて、今回の法改正という本題に入る前に、幾つかお伺いしたいことがあるんです。

 まずその一つとして、何がどう転んだとしても、我々衆議院議員の残り任期が半年を切ったという状況の中で、早かれ遅かれ、国民の御審判を総選挙という形でいただく身でございます。ここにいる皆すべてそうですね。大臣もそうですし、私も自由民主党という政党に所属をしている身でございますので、その自由民主党の経済産業政策における立ち位置というものを私はここではっきりさせておきたいなと思うんです。そして、それを大臣に御指導いただきたいというふうに思っております。

 というのは、よく、最近の自民党の政策というのは大企業中心だ、こういう御指摘があるわけです。例えば吉井先生とか、おられませんね、席を外しておられますが、御指摘がよくある話でございます。それが当たっているかどうかとか、あるいは個別の政策がその時々に適切だったかどうか、そういう見方ではなくて、その時々の状況に応じて判断をされるべき、議論すべきだと思いますが、指摘としてそういう指摘があるというのは事実。特に、小泉政権以降そうじゃないかと言われているということはあります。

 また、民主党さん、これは推測でございますので、違っていたら後で訂正をいただきたいと思うんですけれども、主要ないろいろな方からの支援を受けておられる中で、やはり大きなものは労働組合の団体の連合さんということでありまして、もちろん、大きな企業から小さな企業まで、組合があればそこに参加をされておられるわけですが、推測するに、やはり大きな企業の方々の組合さんの影響というのも決して小さくはないんじゃないかな、こう思うわけであります。

 そうすると、政権交代をするかどうかということが言われている選挙の中で、どっちも、大企業の方々に対するこっちとこっちの争いじゃないかという見方があるということです。私がそう思っているかどうかじゃない。

 そうなんだけれども、ここで私たち自由民主党のそもそもというものに立ち返ってみたときに、私たち、五十年以上の歴史を持っております。振り返ってみれば、本当は、日本経済を支えてくださった中小企業の方々やその事業主さん、従業員の方あるいはその御家族の方々、それは企業だけじゃない、個人事業主だとか商店街の商店主さんだとか、そういう方々まで含めて御支援をいただいていたし、そういう方々に御信頼をいただいていて、その方々と一緒に国をつくってきたし、そして、私たち自民党は今後もそうあるのだということを、私はそう思っているし、選挙に向かうに当たってぜひ確認をしたい、こう思うわけでございます。

 経済産業大臣というお立場でありますが、自民党の大先輩の議員でもあります二階大臣に、そういう自民党の経済産業という分野におけるあるべき立ち位置を、ぜひ御所感をお伺いしたい、こう思っております。

二階国務大臣 ただいま橋本議員から大変大事な視点でお尋ねをいただきました。

 今日の景気低迷の中から脱出をしていくためには我が国として何が大事だということをよく議論されるわけでありますが、私は、一つには、中小企業の対策をしっかり打って、そして中小企業関係者の皆さんの奮起を促すということが大変大事だと思うわけであります。その中小企業は、イコールほとんどが地方だからであります。地方に立脚点を置いておられるのが多い。

 また、農林水産業に対して、農業というと、何か補助金の対象のような感覚でとらえられておったような期間がなかったとは言えない。しかし、今日、ようやく関係者の皆さんも相当の意気込みを持って農業に対応いたしておりますし、私ども経済産業省も、農商工連携という新しい法律をつくって、経済産業省の一階のフロアには植物工場というものを、これは小さいものでございますが、約二カ月ほど設置して、多くの皆さんにごらんをいただきました。経済産業省がこんなことを考えておるのかということを言われましたが、最近では、それをごらんになった全国各地の市町村長さんの方々からも、ああいうものを自分の町にも置きたい、あるいは農協の幹部の皆さんが、農協にもああいうものを設置したい、そして農業というものを改めて考え直す、改めて新しい方向を見出す努力をお互いにやっていくということが大事だ、こういう御指摘もいただいております。

 これも先ほど申し上げたとおり、やはり地方に根づいておる産業であるということ、ここに関係者の皆さんの一層の協力と奮起をお願いする。それによって初めて、中小企業と農林水産業両方にウエートを置いて対応していく。

 一言申し添えれば、農林水産業という中に、いわゆる豊作貧乏、何かあると大変残念な思いをするのは、営々としておつくりになった生産物が、豊作であるがゆえに市場の値崩れを招いて御商売にならない、こういうことは極めて残念なことであって、また申しわけないという気持ちを我々は持つわけでありますが、最近になって急速冷凍の技術が大変盛んになってまいりました。私は、このことを採用することによって、農業、漁業いわゆる水産業、ここに新しい革命が生じてくるのではないかとさえ思っております。

 経済産業省、分をわきまえながら、これらの面についても懸命の努力をしてまいりたい。今度の経済対策の中でも大いに取り上げていくと同時に、成長戦略においても、具体的な事例としてこうしたものに挑戦をしていきたいというふうに思っております。

橋本委員 要するに、地域で頑張っておられる中小企業、あるいは農業の方々との連携も含めて奮起を促すのだという力強いメッセージをいただいたと思っておりますし、私たち政党の立場にある者としては、それを頑張るんだぞということでこれからも闘っていくのだということを改めて確認させていただいた次第であります。ありがとうございました。

 今、中小企業ということも含めて御答弁をいただいたわけでありますが、現下の金融経済の情勢、もう言うまでもございません、厳しい状態があるわけです。麻生総理も、きのう新たな対策を指示されたということがございます。ショックを和らげて早期の回復を促すということで政府が万全の手を打つということは、ここにいる者、そんなに反論する方はおられないだろうということであります。

 そこで、きょう質問の機会をいただきましたので、御提案をさせていただきたいことが幾つかございます。

 まず一つ、中小企業の方々の金融の対策としていろいろなメニューがあります。緊急保証制度あるいはセーフティーネット貸し付け、それから、もっと小規模の方向けのマル経融資制度というのもあります。これら、これまで打ってきた対策について、私も地元の倉敷の商工会議所に行ってまいりました。お話を伺ってまいりましたが、大変助かっている、ありがたいということを聞きまして、大変評価をいただきました。ぜひ率直に伝えてくれというお話だったので、そのように申し上げます。

 その上で、やはりそうはいったってまだまだ続いているわけで、これですぐ済んだ、よかったという話ではない。やはり、さらなる拡大、拡充という声はあるわけでございます。

 そのうちの一つで、マル経融資制度というのがございます。これは商工会議所に行ったら、ロビーの一番わかりやすいところにチラシが置いてありました。小規模の事業者向けの経営改善資金融資制度ということでありまして、今、融資限度額一千万円、無担保無保証、低利率で、融資期間が、運転資金は五年以内、設備資金は七年以内、こういうことになっておりまして、利用要件は、従業員二十人以下、商業、サービス業で五人以下の法人、個人事業主の方ということで、大変小規模な事業をされている方々に対して有効に使われているんだろう、こう思うわけであります。

 商工会議所でも、わざわざ利子補給をしますといって独自の追加上乗せをさらにしていて、全力でこれを応援しているということがございますが、やはりこれも、例えば、限度額一千万円をもっとふやしてくれとか、あるいは融資期間を五年とか七年といっているのをさらに長くしてくれ、こういう要望というのはあるわけでございます。それこそ、新しい経済対策を打つのだという中にこのマル経制度の拡大というものをぜひ含めていただきたいと思うわけですが、いかがでしょうか。大臣、お願いします。

二階国務大臣 マル経融資制度についてのお尋ねをいただきました。

 先般、麻生総理のリーダーシップのもとに、有識者会合というのを開いて、各界の代表の皆さんに御意見をずっと伺ってまいりましたが、事中小企業ということを改めて重要視しなければならないということで、その有識者会合とは別に、中小企業、いわゆる商工会議所の岡村会頭、商店街振興組合の桑島理事長、さらには商工会の清家会長、中央会の佐伯会長、こうしたトップの皆さんに官邸にお越しをいただきまして、今、橋本議員がお述べになりましたような中小企業の実情、そして、マル経融資制度に対しての切実な関係者の声を直接、麻生総理にお話しいただきました。

 我々は、こうしたことを受けて、いかにすれば中小企業の皆さんの期待にこたえられるかということをずっと検討を加えてまいりました。小規模事業者の経営改善資金融資制度ということは極めて評価が高いわけでありますが、今、橋本議員が御指摘になりましたように、これを一段と動かせ、もっと拡大しなさい、もっと使いでのいいようにしなさい、こういう声であろうと思います。そこで、我々検討の結果を、昨日、ロンドンに御出発前の総理に御報告を申し上げて、こういう方針で取り組んでいきたいということで申し上げました。

 それは、返済期間については、運転資金は現行の五年から七年にしよう、設備資金は現行の七年から十年にしよう、それぞれ延長したいという旨を申し上げました。また、元本返済の据置期間でありますが、現行六カ月から、運転資金は一年、設備資金については二年、それぞれ延長させていただきたい、さらに融資限度額は、現行一千万円を一千五百万円まで引き上げ、拡大をしたい、そういう私どもの方針を総理に御説明申し上げましたところ、それでいこうということで決裁をいただきました。これから先のことについては、財務当局とも打ち合わせをして、できるだけ早くこのことが実行できるようにということで御相談をいたしておりましたが、財務当局の御理解もほぼ得られましたので、今申し上げたことを、これから事務手続をやってまいります。

 これでもう、ほうっておけば一カ月でも二カ月でも平気でやるわけでありますが、私は、そういうことは許されない。これは政治主導でこういうことを決断したわけでありますから、それを事務方が、コンピューターがどうしたとか、データを入れかえるためにどうするんだというようなことでは、そろばんの時代よりも遅いじゃないですかと言わざるを得ない。ですから、私は、相当の気合いをかけてこれはやってもらいたい。

 今お話しのように、党においてもいろいろお考えをいただいておるならば、党の方でそういうことを、指揮監督もお手伝いをいただいて、一緒になって対応していきたい。そして、商工会、商工団体を通じて、全国で中小企業、小規模企業等で頑張っていただいている皆様にできるだけ元気をつける、頑張っていただくというふうに、どうぞお伝えをいただきたいと思う次第であります。

橋本委員 ありがとうございました。

 もう要望を、既に総理の決裁もいただいて決断されたということでありますから、それこそそろばんよりも早く実現をするように、これは事務方の皆さんにもぜひお願いをしたいと思っておりますし、しっかり今の御答弁を地域の皆さんにもお伝えして、希望を持って頑張っていこうと思ってもらえるようになるといいな、こう思っております。ありがとうございました。

 マル経制度というのは今拡充というお話があったわけですが、今度は、緊急保証制度についてお伺いをしたいと思うんです。

 対象業種をこれまで拡大していただいております。ただ、そうはいっても、やはりまだまだ、うちもうちもという話はある。それから、無担保保証の上限額などもございますが、これも拡大という話もあるのではないかと思います。セーフティーネット貸し付け、緊急保証制度のことをよく言われますけれども、この緊急保証制度について、今申し上げたような対象業種の拡大だとか無担保保証上限額の拡大といったことについてどうお考えでしょうか、教えてください。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の今までの御指摘にございましたように、この緊急保証制度、セーフティーネット貸し付け、これは国会の先生方の大変な御支持もいただきまして、特別の予算を政府としても用意させていただきまして、これまでのところ、保証で申し上げますと四十三万五千件、それから、同じく貸し付けの方も実績が一兆を超えまして、御利用いただいているということでございます。

 お尋ねの二点、簡潔に申し上げます。

 まず、無担保保険の限度額でございます。確かに、原則は八千万円ということでございます。この緊急保証をお使いいただいております中小企業の皆さんを、データは少し古いんですけれども、年末までで集計できておりますので申し上げますと、従業員の規模がゼロ、すなわち御本人だけが事業に携わっている方、それから従業員が二人、こういう規模の方が全体の約三分の一を超える御利用でございます。すなわち、かなり小さい規模の方々の資金繰りに役立っている反面、こうした実態があるものですから、なるべく使っていただきたいが、同時に、やはり保証というのは債務がふえるわけですから、いわば経営の実態をよくお話を伺いながら決めていくというのが実態でございます。

 したがいまして、平均的にも、保証している額というのは二千数百万ということでございますが、大体、これまで御利用いただいた方で約五%になる方は、この上限の八千万近くまでいわば張りついている。したがいまして、ここにつきましては、この現下の景況でございますので、さらにもうちょっと保証してくれという声があるというのも認識しております。

 そこで、問題は、そういった大変規模の小さい、あるいは厳しい業況の方の中の実情をお伺いして、八千万を超えると担保をいただくのが原則であるのですけれども、その担保というのも、かつてのように不動産というふうに頭を硬直的に考えるのではなくて、御利用いただいている方々の在庫であったりあるいは売り掛け債権であったり、そういったような実態をよくお伺いしながら、この上限の八千万を超える部分の要求につきましての運用をしていきたいなというのが実情でございます。

 なお、セーフティーネット貸し付けにつきましては、この保証とは別枠で御利用いただけますので、その辺につきましても、御利用いただく方々の実情をよく伺いながら、制度の万全な運用に努めてまいりたいと思います。

 それから、その業種でございます。幾つかの業種から、さらに追加というお話がございます。したがいまして、これにつきましては、大臣の御指示を仰ぎながら、しかるべき時期にまた見直すということでございます。

 一つ申し上げますと、予算で国会の先生方から大変応援をいただきましたが、そうはいいましても一定額でございますので、やはり、これをお使いいただく業種というのが野方図にふえる、あるいは、別の制度で公的な支援がある、こういったような業種の方々にはそこで一義的には使っていただきたいという点で、配慮しながら運用してまいりたいと思います。

橋本委員 業種の拡大という点について、今、金額的な限度もあるのでと言われまして、ほかの制度もあるかもしれない、そういうところを見てというお話をいただきました。

 では、一個具体的に挙げさせていただきたいんですけれども、診療所とか病院とか、歯科、医科、ありますけれども、こちらも、経営が厳しいのはいろいろなほかの理由があるわけですけれども、ただ、景気悪化に伴って受診抑制というのは起こっていて、何せ患者さんが来なかったら、それは病院や診療所だって経営がなお苦しくなるということはある。そういう意味を込めて、今回の政策の対象として医療機関を含めてはどうかというふうに考えておりますが、この点についてどうお考えでしょうか。

横尾政府参考人 ただいま委員から、歯科、医科等の医業関係業種について御指摘がございました。

 緊急保証制度は、特に業況の厳しい業種に対する上乗せの支援措置でございまして、今、長谷川長官からも答弁申し上げましたとおり、限られた財源を有効に活用するという観点で、業種ごとに、売り上げの減少等のデータをもとに、これを確認した上で業種を指定しておるということでございます。御指摘の歯科、医科等の医業関係業種につきましては、業の所管当局あるいは業界にも確認をしておりますが、売り上げの減少等に関するデータについて十分に確認できておらない現状でございます。

 また、この医業関係業種は、言ってみればその売り上げの大部分が公的な保険制度によるものであって、基本的にはコストが保険でカバーされているという格好になっておりますので、経済環境の悪化の影響を直接こうむる、ものづくりあるいは商店といった中小企業の方とは状況が異なります。こうしたことから、この公的保険制度の関係というのをどう考えるかという整理も必要かと思っております。

 なお、医業関係業種につきましては、独立行政法人の福祉医療機構による業種特有の支援制度というのも用意されているというふうに承知をしております。いかなる支援策を強化すべきか、業所管当局において十分御検討いただくというのがまずは必要ではないかというふうに考えております。

橋本委員 実はこの話というのは、今私が言い出したことではなくて、一月の二十一日に、参議院の予算委員会で石井みどり議員が尋ねているはずです。それは、大臣もおられましたけれども、経産省さんと厚労省さんにそれぞれ聞いて、今おっしゃったような話というのは出ているわけです。

 おっしゃった理屈としてはわかるんですが、要は、それからもう大分日が過ぎておりまして、それは所管省庁と言われました厚労省さんでしょうけれども、厚労省さんの方が何なのか、そこはちょっと、きょうお越しいただいていませんからそこまで突っ込みませんけれども、そうやって役所の間でやりとりしているうちにどんどん時は過ぎていって、つぶれるものはつぶれていくということが現実として進んでいきかねない、あるいはいっているわけでございますから。

 それはもちろん、整理することはしないといけない、あるいは既に使えるものがあったらそれも考えてほしい、それはおっしゃるとおりだとは思いますが、それこそ状況というのが、あるいはデータが来ない、いやデータが来なくたって、その辺のドクターの方とかに聞いてみれば、いや、減りましたね、これは言われるわけでございます。まあそんないいかげんに政策を決めちゃいけないという話はあるかもしれませんが、ただ、事態は相当緊急なのであって、役所の間でやりとりをしているから云々ということで済む問題じゃないと思っております。ぜひそれは、所管の省庁の方ともあわせて早急なる検討をお願いしたい、こう思う次第であります。

 さて、中小企業の方に話を戻しますが、金曜日の参考人質疑で、現場の技術継承を図るべきだというお話がありました。これは倉敷の商工会議所、大原会頭初め、多くの方がおっしゃっておられます。

 何困っているんですかといったら、去年まで景気がよかったわけですね。大変いろいろな設備投資をしていた。特に倉敷は、水島にコンビナートがあって、三菱自工の工場があったりしますから、その関係の会社があちらこちらにある。あるいはそのほかにもそういう工場というのがある。そこが設備投資を去年までしていたわけですけれども、その設備ができてきた、よし使えるぞということになったら、今度は受注がなくなってしまいまして、遊んでいる。固定資産税もかかるし、維持にも体力がどんどん使われていく。そういう中で、体力がない中小企業が危機に陥っているという状況があるわけです。

 そこで、これは御提案なんですが、こういう中小企業の遊んでいる生産設備を国が、直接というわけにはいかないでしょうが、関与するような機関などで買い上げて、使うときにリースバックするような仕組み、そういう枠組みがぜひつくれないか検討していただきたいと思うんです。これは、昭和四十年代に繊維業でそういう設備の買い上げというのをやった例があるというふうに聞いております。背景などは違いますけれども、困っているということでは同じなわけで、そういう方法も一つの手段ではないかと思うんです。ぜひ考えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

松村大臣政務官 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のように、増産のために設備投資を行ったばかりで、過大な設備を抱えて資金繰りに苦しんでいる企業が多数存在していることは、私どもも理解をしております。

 こうした状況の中で、親企業が下請企業の投資した設備を買い取ってまた貸与しまして償却負担を減らす取り組み事例などもあることも存じ上げております。こういった取り組みは大変有用でございますし、下請企業にとりましても大変ありがたいことでもございます。こういったものは、私どもも今後大企業に対しまして、しっかりとこういうことをやってくださいと要請をしてまいりたいと思っております。

 そこで、先生御指摘の、リースバックするための公的制度を創設することができないかという御指摘でございますが、現段階においては、多種多様な資産評価や物品管理、リース債権のリスクを補てんするための仕組み等、クリアしなければならない課題が山積しておりまして、現段階では大変慎重な検討が必要だというふうに認識をしております。

 引き続き、企業にとりましては、こういった制度もさることながら、資金繰りが大変厳しい事情ではございますので、緊急保証制度やセーフティーネット貸し付け、このことに全力で取り組みまして、資金補てんに全力で取り組んでまいりたいと思っております。

橋本委員 最後におっしゃったように、結局、つまるところ資金繰りという話になるので、もちろんそこは金融的な対応というのを、先ほども拡充というお話をいただきましたけれども、なおニーズとしてはある。ただ、結局、金融機関がだめになっているから不況になっているというところが根っことしてあるわけで、もちろん公的な支援というのはたくさんあるわけですが、限界、それで全部は賄い切れるわけでもない。そういった中でやはり一つ考えられる方策だろうと思うので、ぜひ前向きに御検討をいただきたいという要望を申し上げます。よろしくお願いいたします。

 なお、余談になりますが若干付言をいたしますと、その繊維業という話、私の地元倉敷市には児島という繊維の町がございます。今回の不況いかんにかかわらず、繊維業というのは全体に厳しい中であります。今は不況対応というので手いっぱいだろうとも思いますが、そういう最初から厳しかった業界にもぜひ愛を注いでいただきたいなということをあわせて要望申し上げたい。

 きょうはこういうスーツを着ていますけれども、これはデニムのスーツなんです。児島でつくらせていただきました。いいでしょう。ぜひ、二階大臣初め経産省の皆様、そしてきょうおられる委員の皆様も児島にお越しをいただきまして、いいスーツなりいいジーパンなりをあつらえていただけるといいなということもあわせて申し添えさせていただきます。若干宣伝が入りましたが。

 では、次の話に行きましょう。

 先ほど、水島に三菱自工さんの工場がありましてというお話をいたしました。岡山県の総社市というところでは、その三菱自工の下請の会社、協力企業がたくさんありますから、そこの維持をするため、あるいは活性化をするために、三菱自工の車を一台買うと十万円補助しますというのをやりました。先着二百名ということで、予算はそれこそ二千万円ということですが、これは話題になりまして、あっという間にはけたというか、その枠を全部消化したということがあります。

 伺いますと、海外でも、フランスだとか幾つかの国で、自動車を買うと幾ら補助というようなものがあるようでございます。どの業種に絞るのかとかそういう難しいところはあろうかとは思いますが、ただ、今回の不況に対する打撃が大きかったところ、あるいは地域の経済に与える影響の大きさ、そういうところを勘案して、需要を刺激するのだということで、例えば車を買うというものに対して直接支援するということを国でも御検討いただけないか、こう思うわけでございますが、いかがでございましょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 自動車産業というのは、御指摘のように大変すそ野の広い中小企業のバックアップを持っております。したがいまして、現在低迷をしております自動車の需要をいかに喚起するかということは大変重要なことと認識をしております。

 欧州あるいはカナダといったところにおいて、急激な自動車の販売不振、かの地においても同じでございまして、いかに需要を喚起し、しかも環境の面でもいいことがないかということで、格別の自動車の買いかえ優遇策を講じておるわけでございます。ドイツ、フランス、イタリア等々たくさんございます。

 ちなみに、ドイツにおきましては、九年以上の車齢の長いものにつきまして、これを廃車にしまして新しいのに乗りかえる、こういう場合には、邦貨換算で三十万円強ぐらいの助成金を交付するというような制度を今運用しております。これは本年一年限りということでございますけれども、いわゆる環境プレミアムという名前で対策が講じられておるのは、御指摘のとおりでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、既に本年度の税制で、環境性能にすぐれた車については、重量税あるいは自動車取得税の減免措置をいたしました。あるいは予算措置も、電気自動車あるいはプラグインハイブリッド等についてはやっておりますけれども、御指摘のように、この現下の情勢にかんがみて、それで十分かということは十分勘案をしなくちゃいけないことだろうと思っております。

 昨日の総理の指示も承りましたので、今後、どのような形にしたら、あるいはどういうふうにしたら有効に、あるいは意味のある格好で需要を喚起できるかということにつきまして、総理の御指示に即しまして幅広く検討をしてまいりたいと思っています。

橋本委員 幅広く検討ということでございますけれども、海外で既にやっている例とかを見ると、始めたらやはり売り上げが上がっている例というのは既にデータとして出ているわけでございまして、前向きに御検討いただきたい、ぜひ実現をしていただきたい、そう思います。

 それから、先ほど紹介した岡山県総社市というのは、要するに、そういう自治体で特色を生かした制度をやっているわけでございまして、国ではできないことも自治体だったら小回りがきいてできるということはやはりあるんだろうと思うわけです。

 そこで、そうした自治体の特色のある取り組みをさらに活性化するという観点で、次の経済対策で、自治体に対する交付金ですとか、そういう意味での財政支援をさらに拡大してはと思いますが、いかがでしょうか。ぜひお願いします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、地元の企業が製造いたしました自動車の購入の補助でありますとか、あるいは公用車の更新に地元の企業の自動車を購入したらどうか、こういった施策に取り組んでいる自治体がございます。

 その財源といたしまして、平成二十年度第二次補正予算で創設いたしました地域活性化・生活対策臨時交付金六千億円でございますが、これを活用している団体もございます。

 この交付金でございますが、自由度が高く大きな効果が期待できるという評価をいただいておりまして、地方六団体からは、この交付金を大幅に拡充すべき、こういった御意見もいただいております。

 昨日の総理からの、包括的な経済危機対策を早急に策定するようという指示も踏まえまして、今後、私どもといたしましては、まず、地域の実情をよく知る地方公共団体がきめ細かな対策を実施することにより経済効果が高まること、また、極めて厳しい地方財政の現状を踏まえますと、地方公共団体が協力できる適切な財政措置を講ずる必要があること、こういった点に留意いたしまして、地方の御意見も十分に踏まえながら、地方公共団体が積極的に地域活性化に取り組むことができるよう支援策を検討してまいりたいと考えております。

橋本委員 では、ぜひ積極的に御検討をお願いいたします。

 さて、残り十分を切ってしまいましたが、法改正の話をしたい、こう思っております。

 新しく産活法を改正するということが今回のテーマですが、これまでの成果、効果というものはぜひ振り返っておかなければいかぬのだろうと思うのです。

 経産省として、これまでの産活法の意義、効果、過去の実績、どういうものがあったのか、そういうことも含めて教えていただけますでしょうか。

高市副大臣 平成十一年度に本法が施行されましてからことしの四月一日までに、全省庁で合計四百九十二の計画を認定して、企業の組織再編や新規事業への取り組みを積極的に支援してまいりました。

 こうした実績を通じまして、事業者の生産性を向上させ、我が国の産業活力の再生に一定の成果を上げてきたと考えております。

 今回の法改正によりまして、資源価格の乱高下といいました構造変化に対応した中長期的な成長を実現するといった視点、それから、世界的な金融危機に対応して経済、雇用を下支えするという視点、こういった考え方から、既存の計画の見直し、それから新たな計画、支援措置の追加などによりまして、これまで以上に強力に事業者の取り組みを後押しして、我が国の経済が持続的に発展していけるようにしてまいりたいと思っております。

橋本委員 ありがとうございました。

 四百九十二計画を認定されて一定の成果があったということで、これはそうなんだろうと思うんですね。

 ただ、計画を認定する制度で、既存に六計画があります、事業再構築計画云々かんぬん。今度、二つの計画の認定制度を追加して二つの制度をやめるということになるわけですが、実は、数が結構偏っているんですね。

 要するに、事業再構築計画というのが四百九十二の全計画のうち四百三十七個ですから、九割近くになっているのであって、そのほかは、経営資源再活用計画というのが四十四件、残りは一けただったりする。

 これはニーズがなかったのか。そうであればめでたい話なのかもしれませんが、さはさりながら、こういうスキームは用意したんだけれども、例えば周知、広報ができていなかったとか、そのほか何か阻害要因があって使われなかったのであれば、それは改善の対象にもなるかもしれない数字なんだと思うんです。

 その周知、広報という点について、今回、新たに法改正をしてそれが活用されないと意味ないですから、そういう意味で、本法及び法改正したということも含めて、周知、広報というのをぜひ充実していかなければいけないのではないかと思いますが、その点についていかがでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、産活法でございますけれども、幅広い事業者の方に利用していただいて初めて効果を発揮する制度でございますので、御指摘を重く受けとめさせていただきまして、今後の行政に生かしていきたいと思っております。

 具体的には、これまでもホームページでございますとかパンフレット等で内容の解説をいたしました資料を配布いたしておりますし、また、地方経済産業局や業界団体等を通じた説明会を実施する、あるいは銀行でございますとか監査法人など企業経営のアドバイスを行う専門家の皆様にも説明をするというような周知、広報を行ってきております。

 さらに、今回の改正を踏まえまして、説明資料の内容をよりわかりやすいものにする、あるいは全国各地の商工会議所など、説明先を大幅に拡大いたしまして、地域の中小企業も含めまして、くまなく周知徹底が行われるように最大限の努力を図っていきたいというふうに考えております。

橋本委員 ぜひ周知徹底を図っていきたいということですから、その気持ちでお願いをしたい、こう思うわけであります。

 今回の改正は大変多岐にわたっておりまして、ちょっと全部について質問をすることができないんですが、資源生産性革新計画、それから資源制約対応製品生産設備導入計画という新しく認定する制度の創設というのが含まれておりますが、その前提として、今後その資源の価格上昇というのがあるだろうということだと思います。

 これについてはもう議論をいたしません。きっとそうだと私も思います。この認定の基準ですね。要するに、省エネだとか省資源ということは、これから企業としても取り組んでいかなければいけないのであって、それをわざわざ支援する制度をつくるわけですから、どのぐらいの努力をした企業を支援するのかということがやはり問われるべきだろうと思うのです。

 そこで、今申し上げた二つの計画について、資源節約ということについて頑張ったところはできるだけたくさん認めたいというものなのか。あるいは、トップランナーみたいなところを集中的にやるのだという趣旨のものなのか。そこの基準といいますかあんばいと申しますか、そこのところを教えていただけませんでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 今回追加をいたします二つの計画でございます。

 最初は資源生産性革新計画でございますが、これは資源生産性、いわば一つの付加価値を生み出すのに投入をするエネルギー消費量あるいはCO2排出量というものを下げさせる、下げていただく、こういう計画でございます。

 御指摘のとおり、今後の資源制約あるいは資源価格の高騰に左右されない、強い経済産業構造に移行していくという目標でございますので、可能な限り高い目標を設定していくというふうにしていきたいと思いますが、ただ、同時に、企業が努力をしていけばそういうものに対してきちっと対応できるような制度ということにもしたいと思っております。

 具体的な数値でございますけれども、今詳細検討中でございますけれども、省エネ法で、エネルギー資源の使用の効率化につきまして、毎年一%以上の効率アップというものを努力目標として掲げておりますので、そういうことを踏まえまして、計画の認定要件というのを定めていきたいというふうに考えております。

 それから二番目の、資源制約対応製品生産設備導入計画でございます。

 これは、その製品を利用する社会全体の資源生産性の向上というものを期待しているものでございまして、そういう製品を生産する計画というものを認定するものでございます。これにつきましては、省エネ法で定めますトップランナー基準をさらに一定程度上回る製品、あるいはLED照明設備でございますとか家庭用の燃料電池設備といったような、法律でございましたか閣議決定でエネルギー効率が高いということが明確にされている、そういう製品を対象にしていきたいというふうに考えております。

橋本委員 ありがとうございました。

 結局、前向きに企業のインセンティブにつながるような目標ということが大事であろうと思いますから、そして結果に残るということですね、そうした基準をぜひ考えていただきたいと思います。

 時間がなくなりましたので質問は以上にさせていただきたいと思いますが、生産性向上というところで、既存のコンビナートというもの、要するに工場がいっぱい近くにあるわけですから、そこでの効率化というのをぜひ考えていただきたいという、これは一つ要望。

 それから、これは委員長に申し上げたいんですが、ぜひ委員会としても、みんなで頑張ろう、景気をよくしようということを、何か取り組みを考えていただいたらいかがか、こう思っております。例えば、倉敷市議会ではジーンズ議会というのをやっておりまして、みんながこういうのを着てくるわけですね、ジーパンをはいて。そういうようなこともぜひ委員会でも御検討いただきたい、最後に要望いたしまして、質問を終わります。

 以上です。

東委員長 理事会で協議いたします。

 次に、田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 今私、こちらに座っておりまして、橋本先生のスーツを間近に見て、その斬新性に大変驚いて一言言おうと思っておりましたが、最後にも宣伝しておりましたが、確かにその斬新性は、支援に値するのかどうかは知りませんけれども、驚きました。

 それはともかく、今回の産活法改正について御質問をさせていただきます。

 まず、登録免許税について質問させていただきたいと思います。

 大きな争点にはなっていないのは重々承知をしておりますけれども、そもそも、産活法の支援策として大変大きな手法の一つとなっておりまして、その効果はともかく、ほとんどの企業が利用して、一番利用されている支援措置。さまざまな支援措置のメニューがありますけれども、その中で、登免税、登録免許税の軽減措置というのが非常に有力というか一番使われている制度になっておりますので、かつ、私も税制というのは専門にしておりますので、今回、この産活法について勉強していく中で問題意識を持ちましたので、まず最初に、それについて質問させていただきたいなというふうに思います。

 そもそも、この産活法、支援を受けたい各企業が計画を策定して、そして担当省庁がそれを認定して、その認定された企業に対してさまざまな支援メニューがあるということであるわけですけれども、現在の産活法で認定を受けた企業の数、実績を教えてください。

石黒政府参考人 お答え申し上げます。

 現在までのところの認定をした件数、先ほども副大臣の方から答弁させていただきましたけれども、四百九十二件でございます。

田村(謙)委員 今私が申し上げましたように、まさに支援措置に登録免許税の軽減あるいは免除というメニューがあるわけですけれども、基本的には、私も認定企業の過去の実績の一覧表というものをいただいて、何となく見ていたわけでありますが、登免税の減免措置もほとんどすべての企業が利用していますけれども、登録免許税の減免措置だけを受けている、さまざまな支援メニューの中で登免税の減免措置だけが適用されている企業というのは、今おっしゃった数字の中の、大体でいいんです、イメージで、別に正確な数字は求めておりませんので、大体どれぐらいでしょうか。

    〔委員長退席、やまぎわ委員長代理着席〕

石黒政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問ございました登録免許税だけということでちょっと統計は、私、今手元に数字はございませんが、四百九十二の計画のうち、四百六十の計画で税制措置を利用または利用見込みということになっております。

田村(謙)委員 済みません。私は一般人の意味の大体という質問でしたので、要は六、七割とか、そういうお答えを求めていたんですけれども、お役人さんですと、お立場もあるから、そういういいかげんな答えはできないんだと思います。

 私もちゃんと数えてはおりませんが、要は、支援措置があって、登免税だけというのは、見ていると、最低五割、恐らく六割以上ありますよね。うなずいていらっしゃるので、六割は少なくともある。要は、六割以上の企業というのは、この産活法の適用を受けても、受けてもというか、もともと登免税の減免のためだけに、まずは計画をつくって認定を受けて、登免税の減免を受けるだけという企業が、結局、適用対象企業の六割以上あるという状況なわけであります。

 ちなみに、減免の金額というのは、例えば一社当たりとか、具体例でもいいんですけれども、大体どんな程度の金額的な規模なんでしょう。

石黒政府参考人 お答えをさせていただきます。

 この法律に基づきます登録免許税の軽減税率でございますけれども、資本の増加、例えば会社を設立する、あるいは増資をするという場合に、本来でございますと〇・七%の税金がかかるところ、それを半分にして、〇・三五ということでございます。

 今御質問がございました点について、もちろん個別のケースは、そういった資本の増加に合わせて、今申し上げました掛ける〇・三五で算出をされるわけでございます。

 私どもの方で、御通告いただきました観点でちょっと調べさせていただきまして、これはあくまでも推計でございますけれども、公表されている資本金額から試算いたしまして、平成十九年度末時点で累計で千五十億円の減税、機械的な計算をいたしました場合にそういった規模になっております。

田村(謙)委員 ありがとうございました。

 結局、企業の規模によるわけですけれども、恐らく一社当たり数千万円から数億円。非常に大きい、それこそ平成十五年のメガバンクの再編ですと、数十億なのか百億を超えるような減免があったというふうに聞いています。確かに、それは各企業においては大変大きな支援措置であると思います。決して私はその支援を否定するものではありません。

 ただ、一方で、裏返してみますと、結局、減免を受けたい人はみんな産活法の適用を受ければいいんだということで計画を出して、実際受けているんだと思いますけれども、まず、そもそも論をちょっとこの場でさせていただきたいんです。

 まさに経産省さんは、こういう産活法で企業のさまざまな局面を支援する、あるいは企業再編とかを支援する、そういう意味で、登免税というのが足かせになるから、それを減免しようという意図なんですよね。一応、趣旨を改めて教えていただけますか。

石黒政府参考人 お答えを申し上げます。

 産業活力再生法の支援措置といいますのは、先生御指摘の登免税というのが大変よく使われておりますが、それ以外にも、実は商法の特例で、増資をした場合の検査役調査の免除でございますとか、あるいは、同じ税金でございますけれども、設備投資減税の特別償却あるいは不動産取得税の軽減といったようなものがございます。

 一言で言いますと、実は事業再構築というのを推進する観点から、会社の中の組織変更とか、そういったものに伴いますコストをいかに下げるかといったようなところがこの法律のねらいでございまして、そういった観点から、企業の中の組織変更、事業再構築をこういった支援措置でバックアップしていきたいというのが趣旨でございます。

田村(謙)委員 済みません、ちょっと私が舌足らずで、言葉が足りなかったので。

 もちろん、私は別に、産活法自体の意義を否定するわけでは毛頭ありません。その中で登免税の減免という支援措置があるわけですけれども、登免税は、当然税金は負担になるわけですから、その負担というものが要は事業再構築に関して足かせになっているだろう、だから、産活法の認定企業には減免をして、後押ししてあげよう、そういうことですよね。そういうことを単にお答えいただきたかっただけです。済みません、結局、私がしゃべってしまいましたが。

 確かに、それは足かせになっているんだろうと思います。そもそも、登録免許税自体がどうなんだ。まさに、よっぽど表面的に話題になっている、法人税を下げろ、下げろと企業もおっしゃって、そしてその意を受けて、といっても別に悪い意味じゃないですよ、まさに世界競争の中で法人税を下げるべきだと経産省さんが訴えている。そういうふうに、まさに企業の後押しというのは結局日本経済の成長なわけですから、後押しをしていらっしゃる経産省さんが、まさに登免税、そもそも重過ぎるというか、例えば廃止するとか、より抜本的な見直しをすべきだとお考えになったことは、あるいはそういう要望を財務省になさったことというのは過去にはないんでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、登録免許税につきましては、そういう意味では、産活法で対象にしているような企業活動におきまして一つのいわば制約要因になっている、こういう認識でございます。

 ただ、一方で、税制の立場からいたしますと、それはそれで課税の根拠があるというふうにも理解をしておりますので、これまでのところ、そもそも論として、登録免許税そのものについての廃止といったような形で税務当局と御相談をさせていただいたということはないというふうに承知をしております。

田村(謙)委員 私も、税制は専門といいながら、この登録免許税については今回ちょっと勉強しただけですので、財務省の大先輩方にぜひ御指導いただきたいと思いまして、お忙しい中お越しいただいております。企業に対する登免税の意義についてまず教えてください。

田中政府参考人 お答えいたします。

 本当に専門家の先生に申し上げるのは大変恥ずかしいのでございますが、そもそも登録免許税についての考え方は、これは登記等を受けることによって生ずる利益に着目して、その背後にある経済取引等の担税力に応じて課税がなされるということでございます。企業再編においても、登記をすることによって対抗力が出てくる、会社が受ける利益がございますので、それに着目した登録免許税が課されております。

 こういう似たような税金ですとか、あるいは手数料を取っている国もございますけれども、各国それぞれ、負担の大小はございますけれども、そういう負担を求めるという制度はございます。

 ただ、経産省から先ほど御答弁ございましたように、特定の国の政策目的に合ったような合併ですとか、あるいは会社分割、事業の再構築という言葉がございましたけれども、そういう会社の設立とか不動産の移転登記については普通の税率よりもかなり軽減する税率を設ける、あるいは産業再編を支援する観点から、産業活力再生特別措置法のようなもので対象としたような事業については軽減措置を講ずるという考え方の整理になっております。

 今、登録免許税全体で、十九年度の実績で六千二百億ちょっとございますけれども、やはり今の厳しい財政事情のもとでは貴重な財源でございますので、さまざまな政策的な議論は当然今後も行っていくということでございますが、登録免許税の本体そのものをなくしてしまうという議論は、私どもといたしましては、ぜひ御勘弁いただきたいというふうに考えております。

田村(謙)委員 いろいろと詳しく説明していただきまして、どうもありがとうございました。

 また多分、繰り返し言うことになると思いますけれども、まず、私は今、廃止をすべきだと言うつもりはございません。さらに、今、田中審議官が、今後議論すべきものかもしれないとちらっとおっしゃっておられた。それは、今後それを念頭に置くべきじゃないかという議論でございまして、決して今廃止すべきだと言うつもりはありませんし、あるいは、今、景気対策で何兆円だと上積みをしているわけでございます。その税収で六千億円というのが大事なのは私ももちろんよく知っておりまして、それをどうするんだということはありますけれども、ですから、私も、理論的な緻密なことは、登免税に関してまだそこまでは考えは至っておりませんが、景気対策で何兆円というお金を使う、出すんだという議論の中で、その一環として、一時的に停止をするというような選択肢はあり得るんじゃないかなと思っている中で、議論させていただきます。

 それで、大体、主税局さんですとそうですけれども、当然海外の制度を参考になさるわけでありまして、私も昔、担当させていただきましたけれども、海外というと、英米独仏の表をいつもつくっていらっしゃると思います。そのアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、諸外国の制度につきましてできるだけわかりやすく、あと一点申し上げたいのは、まさに田中審議官、言葉じりをとらえて大変恐縮でありますけれども、各国にありますと。その制度をこれからお伺いするわけですが、負担の大小はともかくと、まさにそこが大変重要でございまして、そういった観点も、負担がどうなのかというのもわかるように、できるだけわかりやすく御説明ください。

田中政府参考人 お答えいたします。

 諸外国におきますこの種の税の負担の求め方、これは、基本的考え方が日本と同じわけではございませんで、異なっております。

 例えば、会社の設立というお話がございましたけれども、これに着目いたしますと、資本金の額だけではなくて、発行される株式数とか、あるいはその株式に額面がついているかついていないかとかいったような違いがある、これはアメリカの例でございますけれども、そういう内容でございます。それから、フランスの例では、例えば現物出資であるか金銭出資であるかによって、今の会社の設立の話ですが、負担が大きく異なります。

 そういう問題ですので、一概に、日本と諸外国を比べてどちらが負担水準が大きいか小さいかということを比較することは困難でありますけれども、イギリスとかフランスの例の中に、先ほど申し上げましたように、フランスですと、例えば現金で出資した場合と現物で出資した場合が違うと申し上げましたが、現金出資の場合には税負担を求めておりませんし、イギリスの場合には、一律二十ポンドという負担を求めているというふうに承知しております。

 そういうことでいうと、会社の設立という観点に立つと、若干、我が国の負担水準、これは資本金額の〇・七%でございますけれども、最低が十五万円というシステムになっておりますが、その負担水準の方が高くなる場合があることは否定できないと思います。

 ただ、今申し上げましたアメリカのような例で、株式数とか、あるいは額面、非額面の違いだとかいったようなところが加味されてきますので、直ちにどっちの国の負担が重いということは言えないだろうというふうに思っております。

田村(謙)委員 各国の、例えば英米独仏でも、四カ国の制度をいろいろ調べると、私も当時、さんざん上司の指示を受けてやっておりましたので、大体、日本と同じぐらいの負担があるか、あるいは重い場合もあるわけですね。四つのうち一つでもそういうところがあると、そこに飛びついて、先進国でもそういう例はある、だから別に日本の負担は重くないというような資料を私もたくさんつくらせていただきました。

 今のお話も、よく聞けばわかるわけですけれども、例えばイギリスの場合というのは一律二十ポンド、それも税ではなくて手数料ですね。そもそも論、税なのか手数料なのかという議論もあります。そこまで踏み込むと時間が足りなくなりますので余り議論しませんが、イギリスと比べると、日本の場合は明らかに、ほとんど全部、圧倒的にイギリスの方が負担が軽いわけですね。それは、イギリスが極端なのかもしれません。ですけれども、アメリカの場合には、州によってそもそも違う、そして登録免許税というのもたしか州税ですよね。手数料というのは一律百二十五ドル。また、ドイツも手数料ですよね。

 結局、それぞれの国の負担、イギリスは明らかに安いわけですね。そして、ドイツの場合も、軽い場合はあるんだと思います。その重くなる場合というのは、恐らく、規模が大きくなればなるほど重くなるんだろうということだと思います。

 例えば、ドイツの場合も、主税局さんからいただいた資料を見ているだけですが、だんだん負担の割合が低減をしていくというふうに、まさにこの一文字、小さく書いてあります。それはすなわち規模が大きければ大きいほど割合が減っていくわけですから、日本のような一律という制度をとっていないわけですよね。やはり、事業再編、会社設立などを考えた場合、日本は結局、負担というのが重いんじゃないか。単に、十把一からげに言ってもしようがないんですよ。

 ですけれども、まさにこういう不景気の中にあって、あらゆる企業、市場から退出すべき企業はおいておいても、それ以外の企業、今窮している企業を救う場合に、いろいろな負担を軽くしようという措置をやっている中で、日本で重い部分というのは、少なくとも全部軽くしてもいいんじゃないかなと思ったりするわけですね。

 登免税について、まさに今後長期的な議論として見直そうというような議論というのは、では、財務省さん、今まで過去にはあったんですか。

田中政府参考人 いわゆる政府の税制調査会が、何年かに一遍、将来のそれぞれの税制の姿についての議論をしていただいて、それを提言としてまとめていただいております。その中では、特段、登免税についての将来像をこうする、ああするということを書かれてはおりません。

 あと、今先生御指摘のような、ある種の経済情勢に応じて、この種の法人の経済活動に係る負担を軽くするという議論は、やはり経産省のこの法律にありますような政策税制の議論としては当然今後も出てくるだろうし、それを私ども否定するわけではございません。

 ただ、法人の経済活動に係る費用ということを本当に大上段に考えてみますと、設立時点における税負担だけではなくて、これはもう言わずもがなですけれども、法人が動き始めた後の社会保険料の負担ですとか、あるいはそれ以外の負担みたいなことも考えていく必要があるわけでありまして、その意味においても、やはりある種の政策の切り口から何かを行うということであれば、今の我が国がとっておりますような政策税制の世界でそれを議論するというのも一つの方向ではないかなというふうに思っております。

田村(謙)委員 確かに、税制になりますと、さまざまなほかの税との関係もあります。決して税収だけではなくて、理論上とか、それはあると思います。トータルで見直すべきだといって、結局ずっと先送りをされているものというのはたくさんあると私は認識をしております。

 登免税というのは、私もまだいろいろ文献も当たっていませんけれども、余り主張している人もいないですよね。経産省さんにもお伺いしましたけれども、特に企業の方もそういう要望というのは大してない。だから、経産省さんでも余りそういう意識は持ったことがないということであります。ですから、これは、私もまだ日本の国内の議論というものを全部把握しておりませんので、完全な自信を持っては言えませんが。

 ちょっと全然違う話をすると、まさに昨年の十二月に民主党の方で提案をさせていただいた所得税の給付つき税額控除、還付つき税額控除とも言いますけれども、それがこの日本でだんだん表に出てきたのはこの数年ですよね。私はそれについては、民主党の提言はほぼ私がまとめましたので、まさに学者の議論とかも相当調べましたけれども、体系的におっしゃっているのはまさに森信先生が初めてで、それまでの学者では、ごく一部の方がおっしゃっている、数人がおっしゃっているだけだったわけですね、この数年、二、三年前は。

 ただ、この給付つき税額控除というのはちょっと全然次元が、規模が違いますけれども、まさに私が主税局でお世話になっていた十五年前に既に欧米では導入され始めていて、私も当時調べました。ああ、何かいい制度だなと個人的には思いましたけれども、主税局でも全く相手にされず、ほとんど資料は埋もれておりました。

 結局、それに近い議論なんじゃないか、登免税の件はもっと規模も小さいですし。だから、企業は、あるのは当たり前だと何か勘違いしているんじゃないか。実際、企業も、まさに法人税になると負担の金額はもっと違いますから、海外と比べて税率が高いじゃないかと言うわけですけれども、登免税は、そういう意味では法人税に比べるともっと規模は小さいですから、企業さんもその負担がほかの国より重いというのに気づいていないんじゃないかなというふうに思い出しました。

 今、給付つき税額控除の話を挙げましたのは、結局、要は日本人がトータルで余り気づいていないから、そして税収として大事なので主税局さんは言うわけはないし、今までそういうふうになってきたのかなと。

 だからこそ、この登免税は、あるのは当然で、減免を受けるためには産活法の認定を受けなきゃいけない。やはり認定を受ける手続とか、いろいろかかるわけですよね。計画をつくって、それを役所に持っていって、担当の省庁とやりとりをして、そういう物すごい手間をかけてようやく登免税だけ減免を受ける。そもそも登免税はもう所与の前提としてあるという、それはどうなのかなというふうに私は思うわけです。

 やはり企業サイドというのは、悪い意味じゃないですよ、日本の経済成長、世界競争の中で、その企業の負担、ほかの国に比べて余計な負担を減らしていく、それをしっかりと主張していくのは、政府ではやはり経産省さんだと思うんです。その点について、ぜひ今後、諸外国の制度など含めていろいろ負担の比較などもしていただいて、なくすじゃないですよ、恐らく議論としては、手数料にするのか。手数料にすると、基本的にはそれは手数料ですから、規模が大きければ大きいほど手間はかかりますけれども、一律の割合という発想はなくなるはずなんですよ。その手数料への転換というのは主税局さんが一番嫌がるわけですけれども。

 いずれにしても、そういったようなことをしっかりと今後お考えになっていただきたいというふうに思うんですけれども、経産省さん、いかがでしょう。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、力強い日本経済あるいは経済産業構造をつくっていくに当たりまして、税制のあり方というのは、経済産業省にとりましても非常に重要な課題でございます。

 そういう観点から、個々の政策目的に即して、既存の税制の、例えば税額控除制度でございますとか特別償却制度でございますとか、そういう問題について、年度改正の中でいろいろな形で財務省主税局と御相談をさせていただくということに加えまして、税制全体のあり方につきましても、これまでもいろいろな観点から経済産業省なりの検討を行ってまいりました。こうしたことは今後とも引き続き行ってまいりたいというふうに考えております。

    〔やまぎわ委員長代理退席、委員長着席〕

田村(謙)委員 何か半分ぐらい主税局さんの答弁のように聞こえたんですけれども、相当気を使っていらっしゃるんだろうな。

 先ほども申し上げましたように、税制全体のあり方というのは、まさに抜本的に改革をするといって、何もせずに五年、十年たつというのはたくさんあるわけですよね。私はよく申し上げますけれども、経産省さんの応援団として言っているわけです。応援団というか、この点に関しては、間違いなくそう思いながら言っているわけです。

 例えば、登免税も、全くほかの税制と絡んでいるかどうか。私も不勉強かもしれません。ですけれども、ほかの国だとなくて、手数料の場合もあるわけです。ほかの国では、イギリスの場合はないわけですから。手数料なわけですよ。ドイツも手数料です。そういうイギリス、ドイツ。アメリカも、手数料とあと地方税があるだけです。それだけ、要は、そこは税制全体と切り離しているんですよ、多分一番簡単に。そこは恐らく、学界を含め、日本全体の問題意識が少なかったんじゃないかな。

 税制全体をというのは主税局の答弁でございまして、まさに法人税をどんどん下げろとおっしゃっておられた、私が主税局におりましたのは十五年前ですけれども、経産省さんから、まだ当時は余りなかったエンジェル税制とか法人税減税とおっしゃっておられて、私は内心かなり賛同しながら反論資料をつくっていました。

 まさに経産省さんはそういう役目があるわけですから、そこは金額的に小さいのかもしれません。ですけれども、結局、産活法の相当大きな意義になってしまっている。それは、何か自分たちの仕事を減らしたくないから登免税の議論はしない、認定企業は多い方がいいから、やはり登免税は今のままの方がいいというようなお考えを持つなら私はもう何も言いませんけれども、登免税の意義、どうすべきか、税制全体に多分関係ありませんので、そこは今後ぜひ問題意識を持っていただきたいということは、最後にお願いを申し上げます。

 さて、もう時間もかなりなくなってまいりましたが、本当はもっと質問するはずだったんですけれども、全然視点を変えまして、全く別の質問をさせていただきます。

 この前の一般質疑でも若干質問させていただきました出資に関して、企業への出資を円滑化する制度というのが今回の目玉、最大の争点の一つなわけでありまして、指定金融機関が出資をする、それに対して日本政策金融公庫が損失を一部補てんするという制度を導入するということであるわけですが、そもそも、支援先はどのような企業が、あるいはどの程度の数を想定していらっしゃるんでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、産活法の中で位置づけられます、いわゆる出資を円滑化するための損失補てん制度でございますけれども、その対象企業につきましては、一定の要件を満たす企業を対象にするべきものだというふうに考えておりまして、現在、詳細な制度設計を進めているところでございます。

 その要点を申し上げますと、世界的な金融危機の影響によりまして急激に売り上げが減少して自己資本が減少している、その結果、融資だけではなくて出資という資金繰り対策が不可欠になっていること。また一方で、今後、原則三年のうちに当該企業の価値向上が見込まれる事業計画というものを持っているということ。また、雇用規模が大きい企業、あるいはこうした企業に代替困難な部品等を供給している企業など、国民経済のこれからの発展にとって非常に大きな存在であるということ。さらに、今回のこうした出資を前提といたしまして、他の民間の金融機関が協調して融資、出資などを行うことによりまして認定計画の実現ということが担保されている、こういうことを要件とする方向で検討を進めていきたいというふうに考えております。

 したがいまして、現在のところ、どういうところが対象になるかということは確定的なことは申し上げられませんけれども、おのずとその対象となる企業数というものは限定をされていくことになるのではないかと思います。

田村(謙)委員 その出資を行う指定金融機関、政投銀を想定しているというお話は経産省からも伺っておりますけれども、それ以外の一般の金融機関に指定を申請するような動き、あるいは見込みというのはあるんでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 指定金融機関は、いわゆる日本政策金融公庫法に基づきます危機対応業務の指定金融機関でございまして、現在のところ、政策投資銀行と商工中金が指定をされておりますけれども、その他の民間金融機関につきましては、申請をするというような動きにつきましては承知をしておりません。

田村(謙)委員 結局、政投銀だけという、だけだと悪いわけではないですけれども、そういうスキームなんだろうなというふうに思うわけですが、その出資先、資本の支援先の選定というのはだれがどのように決定するのか、教えてください。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 出資円滑化のための損失補てん制度でございますけれども、幾つかのいわばステージがございます。

 一つは、産活法の計画の認定を受けている必要がございます。そういう意味では、産活法の事業所管大臣が認定をするということが必要になってまいります。それから、損失補てんでございます。これは、日本政策金融公庫、いわゆる日本公庫が、例えば政投銀との間で契約を結ぶわけでございますので、その損失補てんをするかどうかということにつきまして判断をするというステージがございます。それから、最終的には指定金融機関、例えば政投銀が損失担保つきで出資を行う、またその出資額というものを決めていく。

 こういうステージでございますので、事業所管大臣、それから損失担保という意味で日本政策金融公庫またその担当大臣、それから指定金融機関の判断、こうしたものが相まって対象が決まっていくというふうに承知をしております。

田村(謙)委員 今の御説明の流れで、結局、相まってと。担当省庁、政策金融公庫そして指定金融機関の政投銀、そのそれぞれがというのは、それは確かにそうだと思うんですけれども、結局、まさに担当省庁、役所の認定がまずは入り口なわけでありますので、もともと想定されるような企業を念頭に置いて、今回の出資の円滑化の損失補てん、このスキームを利用するということを念頭に置きながら担当省庁は認定をするわけですよね。

 そうすると、結局は、役所の人が判断をする、そして、それはそのまま役所、担当省庁の想定どおりそのスキームが使われるというふうになってしまうのではないか、その判断というのは役所のさじかげん、担当省庁のさじかげんになってしまうのではないかという懸念をいろいろな方面から聞いておりますけれども、それについてはいかがですか。

石黒政府参考人 先ほど私どもの局長の方から三つのポイントがあるということを申し上げましたが、実際の出資の流れをちょっと御説明させていただきます。

 私どもが実は想定をしておりますのは、まず最初に、企業の方が例えば融資を受けたい、そういうふうなときに、実はよく財務制限条項というのがついております場合がございまして、例えば、あなたのところは少し自己資本が大分減少してきていますね、したがって追加融資をする場合には資本増強する必要がありますよといったようなお話があろうかと思います。そういったことを言われた企業が、しからば、ではどういう手を講じていこうか。もちろん市中から出資を募る手もございますけれども、では指定金融機関にお願いをして出資してもらおうじゃないかといったような話が、その次の段階としてまたあろうかと思います。

 そういったプロセスの中で、今度は指定金融機関が、先ほど局長が申しましたような出資の可否について判断をしていく。それからまた同時に、この場合には、私どもが産活法で認定をする。それからまた、認定をするだけではなくて、実際に出資の要件を満たしているかどうかといったようなことについても私どもが審査をさせていただきながら、その間、実はお互いに、金融機関や私どもの間で調整をさせていただくということもあろうかと思います。

 そういったプロセスの中で、全体として、私どもの方で片や産活法の認定をし、片や出資をいたします機関が、みずからもリスクはございますので、出資をしてリスクをとる覚悟があるかどうかといったようなことで最終的に判断をされるものというふうに考えております。

田村(謙)委員 確かに、政投銀や日本政策金融公庫の担当者と連携をしながらやっていく、それは当然そうだろうと思います。そうすべきなんだろうと思いますけれども、もちろん、経産省さんにもあるいは霞が関にも、そういうセンス、知識がある程度ある方というのはいらっしゃるのかもしれないな、経験という意味でそんなに多いとは私は思いませんが、そもそもその懸念というのはずっと残るわけです。

 そういった中で、では、例えば連携をとる、直接出資をなさる政投銀さんには、今回のこの局面での企業再生あるいは企業存続というのが、その対象とするかもしれない企業の今後の計画がうまくいくだろう、まさにそこら辺をしっかりと見きわめる人材というのがちゃんとそろっているんでしょうか。

石黒政府参考人 委員御指摘の点でございますけれども、御存じのとおり、日本政策投資銀行自身は、実は、補てん契約があろうがなかろうが、一応、もう既に民営化されまして、出資等を行っております。そういう意味では、出資についての実務経験というのは相当お持ちであるというふうに私ども承知をいたしておりまして、その前提で、今回、こういった措置も検討させていただいたということでございます。

田村(謙)委員 確かに、外部の識者で、政投銀さんには十分そういう人がいると言う人と、政投銀にはいないと言う人と評価が分かれておりまして、私はどちらなんだろうというのは明確にはわからないんですけれども。ただ、政投銀さんにそういう人がいるとしても、結局、最後はその担当省庁の人に振り回されるという懸念が残ってしまうスキームであるということは申し上げながら、そもそも論をすると、まさに、産業再生機構というのがあって、それは成功例とされていた、それなりに成功したというふうな評価が多い、私もそう思っております。また、実際、今回の産活法改正でも、産業革新機構については、産業再生機構をモデルにしたという話があったわけですね。今議論しているこのスキームについても、まさにそういった独立した機構をつくるべきだ、それも検討なさったというのは報道ベースで聞いております。

 実際、それはまさに、そういう機構をつくって、そのプロの人を集めて、その人たちが中心になってやるという方が私も望ましいと思うんですけれども、何で今回はこのような、担当省庁の方の関与が相当強い制度にしてしまったんでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、事業所管大臣、日本政策金融公庫それから日本政策投資銀行、この三者がよく連携して英知を結集して判断するということになろうかと思いますが、その最前提として、先ほど申し上げましたように、要件というものを産活法に基づきましてきちっと定めて、その選定のプロセスというものがきちっと透明でわかるように説明責任を果たしていくということが非常に大事であろうと思っております。

 それから、政策投資銀行でございますけれども、御承知のとおり、もう既に現在、危機対応業務に基づきまして、ツーステップローンという形で融資を行っております。

 融資を行っております過程で、民間の金融機関ともよく連携をとり、情報交換をしながら、政策投資銀行としての役割を十分に果たしておりますので、その一環として、この出資の円滑化措置につきましても非常に重要な役割を果たしていただけるものだというふうに承知をしております。

田村(謙)委員 私が、独立したそういう機構とこのスキームと、どっちがいいんですかというふうにお聞きをした方がよかったんだと思いますけれども、結局、何となくごまかされてしまったような気がしますが、もう時間が本当になくなってしまいまして、時間厳守だということでありますので、もう質問はいたしません。

 今回、聞くところによると、そこまでの時間がなかった、あるいは、民主党の反発もあるかもしれないから、できるだけ法律が通りやすいようなスキームで何とかしたという話もありました。また、政投銀が、現在は一〇〇%、まさに国の民間会社ですから、国有に近いような状態ですからよかったんだと思いますけれども、今後、民営化に当たって、完全民営化した際に、危機対応業務というのは一体どういうふうにやるんだろうというのは、私はいまいちイメージができません。そういったこと、今回のをまさにやっていく中で、今後どうすべきかというのもしっかりと議論させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて田村謙治君の質疑は終了いたしました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 大臣、冒頭お尋ねをしたいと思います。

 質問通告がなくて大変恐縮なんですが、昨日、総理の方から、追加経済対策、平成二十一年度の追加補正の御指示があったという話で、報道によりますと、四月中旬くらいまでに追加経済対策を取りまとめてというふうなことのようであります。大臣、一方で、この委員会でも何度かお話をさせていただいたように、また新しい成長戦略を経産省としても各省と連携して取りまとめるということになっております。

 いつもよくわからないんですが、この二つの関係というのは、今回の産活法は、昨年の夏に、九月にまとまったものを実行する法律改正だというふうに承知しています。冒頭、お尋ねをしますが、きのう総理から指示があったものと、新しく経済産業省を中心に取りまとめられておる新経済成長戦略というのは、どのような関係にあるんでしょうか。

二階国務大臣 私どもは、過去に新経済成長戦略というのを一度、小泉内閣のときにつくらせていただきました。その後、経済情勢との間に相当の開きが出てくるのではないかというふうな懸念がありましたので、改めて経済成長戦略の改訂版というのをつくらせていただいて、そして、それを中心にして今後の経済対策に臨んでいこうということで、福田内閣のちょうど終わりのころでございましたが、九月に、当時、閣議決定をさせていただきました。ですから、その閣議決定に基づいて、これからの経済対策を打っていく場合には、これを基軸にして対応していこうという基本方針が一つあります。

 ですから、今度の、総理から御指示をいただいております当面の対策そして将来の中長期の対策等がありますが、今、この新経済成長戦略に描いてきたことを、できるだけ今後、国民の皆さんに希望を持っていただく、そういう意味では、しっかりと織り込んでいくような努力を経済産業省としてはしていきたい、このように考えております。

後藤(斎)委員 では、新たな新経済成長戦略なるものは、経済産業省としては取りまとめはしないということですか。単独として。

二階国務大臣 今、後藤先生のおっしゃっておることからしますと、三つ目の経済成長戦略、こういうことに相なろうと思います。

 それは、世の中がこんなに急激な変化をしておるわけでありますし、経済そのものが諸外国からの大きな流れの中にあるわけでありますから、それも一つの考え方であろうと思いますが、私どもとしては、第一回目の新経済成長戦略、二度目の成長戦略改訂版、この閣議決定したものを中心にして、これから、当面何をやっていかなくてはならないかという意味で、一つには、私たちは、太陽光等のいわゆる新エネルギーの問題、あるいは低炭素社会をつくっていく、この基本的な姿勢を大事にしていこう。そして、今、何といっても、福祉問題を含めて、健康長寿ということに対して国民の皆さんの期待が一番高まっておるところでありますし、健康長寿そのものが、イコールまた雇用の問題にも大きく役立つわけでありますから、その面においてもしっかりした対応をしていこう。

 そうしたことを今、私ども自由民主党、及び、昨日は公明党との間においても与党としての意見をまとめようということに相なっておりますから、そうした御意見も伺いながら、私たちとしての方針を定めていきたいと思っております。もちろん、このことによって補正予算というふうなことに相なってくるとすれば、これはやはり相当スピーディーに物事を処していかなくてはならないという性格があろうと思いますから、野党の皆さんとも十分こうした問題について意見を交換する、そういうことが必要ではないかと私は思っております。

後藤(斎)委員 大臣、前回のときにも御指摘をさせてもらったように、確かに、先ほどもお話がありましたように、経産省、通産省時代から、ある意味では、霞が関のお役所の中ではかなり先鋭的に斬新で大胆な政策立案というものをやってきたものを、私は必ずしも、評価と検証というものが十二分にベースにあって新しいものをつくっていっているのかなというのには、いつも、若干ではありますが、疑問を実は持ちます。

 前回の三月十三日のときにも御指摘をさせていただいた二点だけちょっと、事務ベースで結構ですから御確認をさせていただきたいんですが、一点は、年度末に向けて第二ハードルを越えなければいけないということで、銀行の、金融機関の営業時間の延長問題も含めて、できるだけ中小企業の経営者の方の相談がスムーズに受けられるようなということを指摘させていただき、大臣からも、与謝野大臣と十分に相談してみるというお話でしたが、その後どういうふうになったのか、端的で結構ですから、お答えをいただきたいと思います。

居戸政府参考人 今お尋ねございました、先般先生より当委員会で御指摘いただいた点につきましては、当委員会での先生の御議論あるいは二階大臣の御答弁を踏まえまして、私ども金融庁から、改めて、金融機関のトップとの意見交換会等の場において、直接、借り手企業へのきめ細かな対応、特に年度末金融についての対応について促したところでございます。

 そういう状況を踏まえて、各金融機関におかれては、それぞれの客層や営業地域の特性に応じてさまざまな対応を図っていただいたものと承知をしております。

 私ども、それについてヒアリング等において現在把握しているところまででございますと、顧客対応の時間外の窓口開設とか、休日や時間外に何らかの対応を行った銀行は、大手銀行及び地方銀行百十三行中おおむね八割近くになっているというふうに承知をしております。

 現下の経済情勢を踏まえまして、民間金融機関に対しまして、中小企業等に対するきめ細かな貸し出しの対応について、引き続き促してまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 ぜひ、金融庁としても、さらなる中小企業の方々に対する金融円滑化に向けての御努力をお願いしたいと思います。

 もう一点、高度化事業についてもお尋ねをしました。

 私も、限度額連帯保証制度というのは正しい制度だと思いますし、それが十二分に活用されているかどうかというのも御指摘をさせていただきましたが、その後、大臣からも、総務省とも相談をしたりして、今後どう改善ができるか、早急に検討していきたいという御発言がございました。その後の検討状況について、簡潔で結構ですから、教えてください。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 前回の後藤委員の御指摘を受けまして、私ども、早速研究に着手したと申しますか、この場で御議論がございましたように、この高度化融資という制度自体が、当初の想定していた重要な意義も果たしておりますが、同時に、長期の資金なものですから、予想外の事情の変化によりまして当事者に大変重い負担になっているのも事実でございます。

 ただ、なかなかこれは難問でございまして、一方でこの高度化融資は無利子、あるいは利子をいただく場合でも大変低利ということでございますので、いわば金融の論理からいたしましても、そういうものにつきましては、やはりリスクを極力少なくしなければいけないという面があるわけです。そうなってくると、お話がございましたように、従来は連帯保証というようなことも一つの方策で、それが現実的ではないじゃないかというようなお話で、私どもも模索をしていたところにこの御指摘があったということでございます。

 他方で、ではその連帯保証をむしろ緩和するということになりますと、逆にリスクに対応しなければいけない。保全サイド、これは国のお金でございますので、では金利を上げてもいいかということになると、一方で長期の資金だという特色からしてなかなか簡単ではないという、そのトレードオフがあるということがまずありまして、その中で、例えばということで幾つかのアイデアを今出しまして、それを試案にしてこれから関係者、必要があれば、総務省もあります。この制度は、御案内のとおり一時的には都道府県が貸出者になりますので、国だけでもなかなかできないということで、そういう意味で保証限度額を軽減する、しかし、そのかわりに、金利につきましては多少引き上げるというのが一つのモデル。

 それから、そこの金利は、なかなか上げるのが、長期資金上、かえって普通の金融と同じになってメリットがないということになるとすれば、逆に連帯の保証の限度を入れるための担保というものについて、売り掛け債権であるとか在庫資産であるとか、こういったものが組合形態というものの中で現実的かどうか、こういう一方のモデルがございます。

 こういったような一つのアイデアといいますか、そういうものを複数置いて精力的に検討していきたいと思いますが、いずれにしましても、今の状況の中で、当初のビジネスプランがうまくいかなくて大変御苦労いただいている方がたくさんいらっしゃいますので、そういったような方に対応するために、金利をお支払いいただければ元本の償還期間は延ばす。あるいは、そもそも無利子のものにつきましては、元本の償還期間を延ばすことにつきまして都道府県ともよく連携しまして御相談をして、とにかく少しでも、この事業を使ったから負担がふえたというようなことにはならないように対応していきたいということで検討をしているところでございます。

後藤(斎)委員 長官、やはりまじめにやっている中小企業の経営者の方にプラスになる仕組みについて、ぜひ早急にまた取りまとめをして、制度改正に向けて御努力をいただきたいというふうに思います。

 大臣、私、この厚い法律を実は全部読んでいないんですが、いろいろな委員のお話も聞きながら、幾つか僕は不思議に思ったことが実はあります。

 この「目的」には、ちょうど真ん中くらいに「中小企業の活力の再生を支援」という部分がございますが、今までの産活法の認定を、一覧表というのを見させていただくと、余り中小企業というのがないような感じが実はいたします。後でまた細かく触れますが、やはり運用や認定の仕方というのがきちっとできていないという部分と十二分でないという部分と、あわせてやはり収支というものが十二分でないのかなというふうに実は思いました。

 特に目的の変化の中で、一番最後のところに「我が国産業が最近における国際経済の構造的な変化に対応したものとなるための産業活動の革新」ということで、大きく実は、「最近における」という言葉が入っています。私の承知する範囲では、最近というのを入れるのは法律には余り見たことがないんですが。ただ、やはり今回、共同事業再編というその認定の仕組みと技術活用事業革新というのが、件数が少ないということでしょうけれども廃止をされたということであります。

 これも先ほど、ちょっと大臣、皮肉ではないんですが、私はどういう検証をしながら、余り使っていないものといえば、例えば事業革新設備導入というのは共同事業再編よりも少ない、三件しかございませんし、さらには経営資源融合というのは一件しかなく、なぜ一けた台の二つだけ、技術活用事業革新というのはゼロ件ですから廃止してもいいのかなと思うのですが、そのめり張りと、新しく資源生産性とか資源制約対応製品生産設備導入計画という視点を入れても構わないのですが、そこの検証と新たにという部分が、私は何かやはりきちっとできていないし、なおかつこの産活法というのは、中小企業を目的に明示しながら、使い勝手としたらどうしてもやはり中小企業ではなくて大きな企業体が中心だというこの点について、トータルで結構ですから御評価と改正の目的を、簡潔で結構ですから、局長でも結構ですから教えてください。

石黒政府参考人 委員御指摘の目的規定の改正でございますが、今回、産業革新機構という仕組みを新たに導入いたしましたものですから、その産業革新機構がオープンイノベーションということで、例えば環境ビジネスでございますとかそういったようなものに対して新しく出資をし、新産業を育てていくといったような強い大きな柱がございます。そういった関係で目的規定のまず修正をさせていただいております。

 その上で、逆に言えば検証の結果でございますけれども、共同事業再編といいますのは、実は平成十五年に導入をいたしましたものでございまして、当時、不良債権処理との関係で三つの過剰というようなことが言われておりました。過剰供給構造をどう是正するかという観点から共同事業再編計画を導入いたしまして、ここでは実は設備廃棄を要件にさせていただいておりました。そういった時代は、実は、今回検証した結果として一つの終わりを告げたかなというふうに思っております。

 それからまた一方において、技術活用革新計画でございますけれども、これは委員御指摘のとおり利用件数が少なかったということと、それから、実は外国法人との関係に出資規定で特例をつくるというのがこの計画の一つの目玉でございましたが、これは事業再構築計画の方でむしろのみ込んでしまって対応できるようにしたいということで、そうした検証の結果といたしまして今回の改正案を出させていただいたという次第でございます。

後藤(斎)委員 二年前もこの産活法にサービス産業の生産性向上ということで、私、その当時も議論をさせていただいた一人なんですが、当時の議論を思い出すと、この生産性の向上計画をつくると、何かすべてのサービス産業が、日本の、アメリカに追いついて追い越してというふうなイメージがあったんです。

 きのう、おとといお聞きをしたら、いやいや、そうじゃなくて、まだ企業体の部分が幾つか認定をされて、それがいずれは、観光とかいろいろなサービス産業のそれぞれの分野でリーダーになって引っ張っていってくれるんですよねというような趣旨の御説明を受けて、そうかなと思いつつも、今回の資源生産性革新計画もそうですし、資源制約対応製品生産設備導入計画もそうなんですが、やはり認定の仕方と、それをどう例えば中小企業の方にも周知をし、活用していただけるのかという、多分周知と認定の具体的な運用というのが、特にこれから認定や指定の要件等を決めるというふうにお聞きをしていますが、そこの二つがやはり両輪にならないと、先ほど審議官から御説明をいただいたように、いやいや、中小企業を別に排除していませんよというふうな目的になっているんですが、実際そうなっていないわけですよね。その点について、局長、どんなお考えか、教えてください。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員も御指摘のとおり、先ほどもまた答弁させていただきましたけれども、産活法は、まさに地域の中小企業も含めてどんどん利用していただいて初めて日本経済全体に効果が及ぶということでございますので、これまでも制度の周知徹底には意を尽くしてきたつもりでございますけれども、御指摘も踏まえまして、今後ますますそういう意味での周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。

 同時に、新しい二つの計画につきまして、いわば要件といいますかハードルをどのように定めていくのかということも、御指摘のとおり非常に重要なことでございます。

 これは二つの要素がございまして、資源生産性を個々の企業あるいは一つのグループ、あるいは社会経済全体で高めていくということでございますので、現状維持型ということではなかなか大きく進みません。したがって、ある程度高い目標というものは定めなければいけないと思っております。しかし、それは中小企業も含めて企業がきちっと努力をするということであれば乗り越えられるようなものであるということも同時に必要であろうと思っておりますので、その両者の要素をうまくマッチしたような形で定めていきたいというふうに考えております。

 御指摘ございましたサービス産業でございます。これの生産性の向上というのは非常に大きな課題で、重要な課題でございます。昨年の新経済成長戦略の中でも、あるいは当初の戦略の中でも非常に大きな位置づけをして、政策展開を今はしております。

 ただ、これまでのところ、認定が全体で六計画ということで、まだまだ不十分であるというふうに私どもも思っておりますので、生産性協議会というようなフレームワークもできておりますし、また、業種別にどういう生産性を図ったらいいのかというような検討も、昨年、産構審で議論をいたしまして、報告書も出ております。

 そういうものもきちっと活用しながら、既存の計画につきましても十全の効果が図られるように努力をしていきたいというふうに考えております。

後藤(斎)委員 今局長がお答えいただいたんですが、大臣、例えば資源生産性向上という課題は、さっき大臣がお答えをいただいたように、すべての業界、すべての業種が資源生産性等を上げていくというのは、多分もう企業体でやっている話だと思うんです。だから、私は、逆に言えば、今局長が御答弁いただいたように、では、中小企業もちゃんと周知をしますよということになると、今までの数百というオーダーではなくて、一挙に、認定して政策支援というものを受けたい、それがもちろん企業経営からもプラスになるということであれば、多分けたが違うくらいの企業体は努力をされていると思うんです。

 特に、今度、資源の生産性というところに着目したわけですから、幾つか、最近の報道でも、これは本当に明るいというかすごいなと思うのは、例えば、後でレアメタルの話に触れさせていただきますが、今まではプラチナを燃料電池の触媒に使っていました。それを炭素素材、カーボンアロイ触媒というふうに言うらしいんですが、それを実用化、二〇一〇年ですからもう来年春、ちょうど一年後だと。白金と同じ性能でコストは六分の一になります。それで、燃料電池車に使った場合、車全体の一割に相当する五十万程度のコスト削減につながるという、いろいろなことを、例えば繊維メーカーも、今までもいろいろな業種がやってきているわけですね。

 ですから、それを例えば後押しするときに、局長がお答えいただいたように、では、高い目標にコミットするという部分と、例えばもう一段上げて政策支援ができる、このリーダーの部分は、前回もお話ししたように、もっと先に対応ができるように支援するということがやはり必要だと思うんです。

 もちろん、最低限の政策支援という部分で明記をしてあるというふうに思うんですが、そこでもやはり幾つかの階段があって、全部が一つのステージではなかなか前に進まないし、あわせて、資源制約対応製品生産設備導入計画も、これは資源生産性革新計画よりも政策支援の部分が、設備投資額の即時償却みたいな形で、政策支援としては弱いですよね。

 ですから、そこの部分を、大臣がこれから追加でお認めになるのか、成長戦略を新たに改定するのかは別としても、そういう部分にこれがもっと具体化をしながら活用できるような形にしていかなきゃいけないし、あわせて、そのときにやはり中小企業の振興という観点と、先ほどお話しした、燃料電池が低コストで六分の一になるそうなんですが、これが来年くらいに実用化ができるということが言われていますけれども、本当に国際競争力を高める観点と地方の部分という、やはり幾つか、当然、企業体の体力や技術というものが一律であっても、それをどうめり張りをつけてサポートしていくかということが、本当のこの産活法の、今回改正をして、二つの計画を新たに入れながら対応するという視点だと思うんですけれども、大臣、その点についてどのようにお考えでしょうか。

二階国務大臣 ただいま後藤議員から大変含蓄のある御提言をいただいたと思っております。というのは、みずからの周りにある中小企業といいますか、そういう方々のこれからの成長、発展のためにこの産活法がどういう役割を果たすかということ、これは極めて重要なことであります。同時に、今御指摘になりましたように、一段高いレベルの産業に対してどう対応していくかということが極めて大事なことだと思っております。

 資源小国であります私たちの国がこれから対応していくための、つまり資源、エネルギーの安定供給のためにもどうすればいいかというふうなことも十分念頭に入れて対応していかなくてはならない。そういう意味では、ただいま御指摘をいただいたような点について、我々、これから具体的な制度設計に取り組んでいる最中ですから、御意見も十分参考にさせていただきたい、このように思っております。

後藤(斎)委員 大臣、ぜひその視点からもよろしくお願いしたいと思います。

 もう一点、大臣、太陽光ということで、今、これから十年で二十倍にするんだということで対応していますが、これも非常にすごい技術が今出つつあるということで、有機薄膜という、どういう形になっているかわかりませんが、ペンキのようなものを既存の屋根とかに塗ると、それが太陽光パネルになって電気を発電する。すげえなというふうに大臣も思いますよね。

 そういう技術というものは、当然大企業がたくさんお持ちなんでしょうけれども、中小企業もお持ちだ。それをどう引き出すかというのが、まさにこの法律の大きい枠組みの中では産業活力を高めていくということなので、そのパーツ、パーツというのが、この事業が八マイナス二でまた六のこの計画ということではなく、これは計画認定ということで後ほど触れますが、いろいろな出資も、これからいろいろな対応をプラスにしてやっていくということであります。

 よく大臣が以前おっしゃられた選択と集中ということも当然あるし、なおかつ、定額給付金は、以前も御指摘をさせていただきましたように、市町村から各御自宅、個人に配られている最中なのであえて申しませんが、税が少ないときには国民から、公債から借金をしてということになるんでしょうけれども、そのめり張りをどうつけるかということで、やはりすげえなというところには、変な話、後でお聞きしますけれども、産業革新機構みたいなところが、これはファンドなのでそういうわけにいかないんでしょうけれども、どんとお金を集められる仕組みをつくって、その技術を前倒しできるようにサポートするということは、絶対僕は必要だと思うんですけれども、やはりなかなかそうならないんですよね。

 だから、それが非常に矛盾だし、ちょっと話が飛びますけれども、大臣、国がやるべき仕事というのは、そういう民の力を下支えする政策支援という部分と、もう一つは、以前からも、資源生産性ということであえて関連でお尋ねをしますが、今円高の状況、世界経済がすごく悪いと言われる中でも、お隣の中国なんかは、アフリカやアジア、オーストラリアも含めて、資源をこれから、中長期的に見て確保しなければいけないものは、権益を確保する。すごく熱心にやっています。日本も、企業連合みたいな形で昨年の秋以降やっている会社もあるようでありますけれども、やはり資源の争奪ではなく、適正な国益というものを守るために、今までも安定確保ということで、開発推進、リサイクル、代替素材の開発、備蓄という四つの柱でやってきました。

 先ほどの代替素材というのは、多分、官が考えているよりも民の力というのは、技術は、先ほども御指摘したように、はるかに先に進んでいるかもしれない。だから、官ができるのは、例えば備蓄であるとか、リサイクルを推進する仕組みをつくるとか、外交の先導する部分があるでしょうが、探鉱開発の部分でそこをどうサポートするか、やはりこの部分が総合的に合体をしていかないとうまくいかないと思うんです。

 いかにいい技術を持っても、レアメタルが足りないからできない。去年のちょうど今ごろ、そうでしたよね、大臣。それで、困った、困った。そうしたら、競合でどんどん価格が上がって、五倍、六倍の値段で、それを企業は使わざるを得なかった。それではやはりだめだという去年の大きい反省があったはずなので、それをきちっと検証していただいて、資源の外交みたいなものにトータルとしてどう生かすのかということについて大臣はどのようにお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。

二階国務大臣 大変ごもっともなことでありまして、我々、レアメタル、ウラン、石油、天然ガス、すべての面について、資源、エネルギーの安定供給の確保というのは極めて重要な課題であります。

 そこで、先般も私の方では、吉川副大臣を南アフリカに官民ミッションの団長として派遣いたしました。そこで、レアメタル共同探査ということについてアフリカからの御提案があり、カナダ等からの申し入れをちょうだいして、このことに対して今具体的な話し合いが進んでおりまして、恐らく、日本としては相当部分を、三五%ぐらい、カナダといわゆるアフリカと協調して、そこに我々の方としてのこれから取り組んでいく端緒をつかむことができた。これは、一つの資源外交のモデルとして、これからもこうした対応をしっかりやっていきたい。

 また、今月下旬のことでありますが、アジアの主要エネルギー消費国と、中東、アジアの産油国、また産ガス国の代表が我が国にお集まりになって、アジア・エネルギー産消国閣僚会合ということが行われることになっておりますが、こうしたチャンスを活用して、エネルギーの安定供給等にさらに力を注いでまいりたい。

 また、資源外交ということをよく言われますが、だんだんとみんなそういう方向へ気持ちが集まってまいりましたから、これは国土交通省等の協力を得なきゃなりませんが、これからの資源外交の、いわゆる民間外交といいますか、資源のある国に対しても観光のミッション等をどんどんと派遣することができるようなことも考えていこうということで、今両省で御相談をさせていただいているところでありますが、ありとあらゆる方策を講じて我々は対応していきたい。

 前にも申し上げましたが、今、アメリカとの間での研究、あるいは中国との間での環境・省エネ、そうしたことも今、少しずつではありますが、芽が出てきつつあります。そうしたものを大切に育てていきたい、このように考えております。

後藤(斎)委員 多分、資源の安定確保というのは、与野党を問わず一番大切な部分だと思いますので、ぜひ最大限のお力を発揮していただきたいと思います。

 大臣、もう一点、生産性を上げるのと、ある意味では、この七年、八年の期間というのは、売り上げが上がり、利益が上がり、株価が上がるというのが一つの大きい指標であったものの、大臣が繰り返しこの間も御発言をされているように、雇用という部分が大切にされていなかった部分が私はあると思うんです。

 今回の法改正においても、生産性向上というのは目的には書いていませんけれども、いろいろな計画事項が変化をする中で、ある意味では、これだけ今厳しい雇用環境に都市、地方を問わずある中で、やはり雇用の安定確保という、どう両立させるバランスをとるかというのが非常に大切だと私は思うんですけれども、その点については、大臣、ぜひ法律に書いてある、なしということではなく、その観点をこの法律運用、施行のときに大切にするということだけで結構ですから、御発言をお願いします。

二階国務大臣 ただいま雇用の問題について御指摘がありました。むしろ感謝の気持ちを持って御発言を受けとめたいと思っております。

 したがいまして、法律にあろうがなかろうがというお話でございましたが、私ども経済産業省としては、あらゆる機会に、この法律を施行していく段階で関与するわけでありますから、その際に、ただいま御指摘の雇用の問題というのは重点的に対応していきたいと思っておりますし、これは私が発言する問題ではないのでありますが、お許しをいただければ、委員長や理事の先生方の御配慮で附帯決議なんかをもしおつけいただく場合に、雇用の問題などについてもお触れをいただくようなことであれば、私どもとしてもいろいろな対応が今後やりやすい、こう思っております。

後藤(斎)委員 その部分も含めて、ぜひ大臣のリーダーシップを発揮していただけるようにお願いします。

 大臣、もう一点、産業革新機構という、また新しいフレームをつくっています。私は、多分効果はゼロではないと思うんですが、二つ疑問があります。

 一つは、今まで、例えばVECと言われている財団法人ベンチャーエンタープライズセンターというものも、これは債務保証を中心にした財団法人でありましたが、こういう産業革新機構と同じような、支える仕組みをつくろうとしていました。あわせて、よく指摘をされる基盤技術研究促進センターというものも、投資をしたけれども、資金回収ができない。実は、いろいろな事例があるんです。

 きょう何度も繰り返し言っていますが、大臣、反省と言うと言い過ぎかもしれませんが、そういう反省も含めた検証と、それに基づいた新しい産業革新機構でなければいけないし、なおかつ、人材という部分では、ある意味では、ファンドのいろいろな方々が、外資系に行っていた方が、仕事が急になくなって、海外でお仕事をされている方もいるんでしょうけれども、引き続き国内にいる方ということで、中小企業が、景気が悪くなると人材はよく来るみたいな、同じことがもしかしたらあるのかもしれないんですが、やはりそのときには、過去の事例をもとに検証をもう一回していただくことと、それに基づいた人材登用や運営基準、そして目標設定というものがなければいけないと私は思います。

 何かつくれば、さっき私が言ったいろいろなことが進むんだ、いつも何かそういうふうに言われるんですが、そうではない形が多いので、これは本当に気をつけていただいて、やるなと言っているんじゃないんです、やってほしいと思うし、それで成果を上げてほしいというふうに思うんです。でも、今までそうじゃなかった部分がやはりたくさんあるので、そういう部分はきちっと反省をし、検証をし、そのベースに立った中で新しい、本当に目きき、目ききとよく言うんですけれども、目ききだけじゃなくて、本当に方向性も見据えた、単にお金をいじるということでなくて、どういう企業体、どういう業、どういうものがその実用化へ向けて、実際、全部国のアシストだけじゃなくて、民間からも出資を受けるようでありますから、やはりそれは動かせるものでなければいけないということで、まとめてで結構ですから、お答えをいただきたいと思います。

高市副大臣 VECの例について御指摘がございました。

 これも産業革新機構と同様の資金面の施策として、このVECで、ベンチャー企業が金融機関から融資を受ける際の債務保証事業を実施してまいりました。これは、近年になってベンチャー企業に対する直接金融の仕組みやベンチャーキャピタルの活動が発達してきたということを踏まえて、平成十四年度から新規引き受けを停止しております。

 しかしながら、昨年来、新興市場が低迷しまして、成長段階にあるベンチャー企業に対して資金供給が収縮しているという状況なので、公的資金も活用して下支えしなきゃいけないということになりました。

 このVECの場合は債務保証ということになるんですけれども、やはり投資が必要であるということで、このような経験も踏まえまして、今度この機構を整備して、直接金融の活用で資金の供給とハンズオン支援、これでベンチャー企業を支援していこうということでございます。

 人材に関しましても、しっかり有望なシーズの目ききができる、具体的な投資判断それから投資後の経営支援、こういったことが必要でございますので、実績のある民間の人材が登用されるということで考えております。

二階国務大臣 時間がないようですから、簡単に言います。

 先ほど後藤議員から検証と反省が必要だと、私も全くそのとおりだと思っております。反省は言い過ぎかなと言われましたが、言い過ぎではありません、そのとおりだと思います。

 ただ、私たちは、第一回目の成長戦略をつくったときに、一行たりともおろそかにしないようにしよう、こうしたことを発表して、発表したままではだめだということでおりましたら、ちょうど経済の急激な変化ということに出くわしたわけでありますから、これに基づいて、まさに一行一行検討を加え、五十日間かかって、三百人ぐらいの関係者が対応をいたしました。

 この上は、明るい未来を創造していくために何をなすべきか、こういうことでしっかりとした対応をし、やがて具体的な対策として世に問うといいますか議論に供したいというふうに思っておりますので、少しは期待をして見ておっていただきたい、このことをお願いしておきます。

後藤(斎)委員 最後になってしまいますけれども、まとめてお尋ねをします。

 信用保証協会が全国で五十二ございます。そのうちの三協会は赤字、名目赤字ですね。実質は、県とかの補助を受けなければ、二十七の協会が赤字だというふうに言われています。

 大臣、赤字といっても、私は、信用保証協会の役割から見れば、赤字経営というのは、ある意味では、熱心に貸し出しをしているという見方もあるし、別の見方をすれば審査が甘いからという見方もあるし、両面だと思うんです、もともとの仕組みは。

 私の住んでいる山梨では七年連続赤字だというふうなことで、大臣のところは、名目は黒字だけれども、実質は補てんがなければ赤字だという、和歌山もそのようであります。やはりどこまで県が負担するかということも問われていると思うんですね。

 国も当然、二千億、三千億のベースはありますけれども、出資増みたいな形で追加の補正も含めてやられているんですが、大臣、抜本的に何がというのはいろいろな検討をしてもなかなか前に進まないんですが、やはり赤字になっているところ、経営改善計画みたいなことで経産省も指導を山梨の信用保証協会にしているらしいんですが、聞いたら、何か金融庁の経営改善計画と違って、いや、そんなことじゃないんですよ、心配しないでくださいと言っているんですが、心配になっているところも中にはあるんですけれども。

 やはり萎縮したらだめなんですね、大臣。もう判こは押さないよというふうに責任をとらなくなっちゃったら、これはもう元も子もない、保証協会の仕組み自体が要らなくなってしまうので。そうではないことでやはり国はきちっと支援を、自治体も含めて、サポートすべきときはする、そうでないところはしっかりやれと。このめり張りが非常に難しいので、さじかげんが難しいんですが、この山梨の事例も含めて、大臣、やはり二十七は実質赤字なんですね。

 こういう現状の中で、この信用保証協会の制度というものを、私は、今のところに緊急保証みたいなものでは、最近少し貸し出しが緩やかになっていますけれども、時間が長いとかいろいろ言われていますけれども、抜本的じゃないけれども、最後はやはり国が責任を持って対応するんだということも含めて、最後に御答弁をいただきたいんですが、よろしくお願いします。

二階国務大臣 まず最初に、今日の金融の逼迫した状況の中で、中小企業の皆さんのために各県の信用保証協会が果たしてくれた役割というのは極めて大きいと、私はこれは率直に評価をしたいと思います。

 しかし、この赤字ということに関しましては、これこそ我々も反省をして、一つ一つ検証してみなきゃいけないと思っておりますが、今、後藤議員がお述べになったとおりの状況であることには違いありません。

 ですから、保証協会の業務の効率化ということに対しても前進ができるように努力をすることと同時に、公庫や連合会と連携して保証協会への支援も行っているところでありますが、原油高とかあるいは国際的な不況の中で開始しました緊急保証では、信用保険による補てんと補助金をあわせて講じることによって保証協会の損失のほぼ一〇〇%を国が負担する、こういうふうな仕組みにいたしております。

 しかし、今後、地方公共団体の中小・小規模企業施策を支える大きな役割も持っておるわけでありますから、赤字の防止、解消に向けて地方公共団体の積極的な関与も大事であります。

 現在、緊急保証では国によって支援を拡充していることを踏まえて、地方公共団体においても、保証協会の財政面や運営面においても一層の御協力を得られるように我々は御相談もしてまいりたいと思っておりますが、いずれにしましても、トータルで、保証協会がぐらつくようなことがあっては、これは基本が崩れてしまいますから、私たちは責任を持って、この保証協会のそうした実情に対して、現状を把握し、今後きちっとした対応をしていきたい。

 山梨の例は、私もよく承知をしておりますが、七年間連続という状況のようでありますが、これはこれで、これから、何が問題か、那辺に問題があるか、よく研究して対応したいと思っております。よろしく御協力をお願いします。

後藤(斎)委員 終わりますが、大臣、プレッシャーをかけないようにぜひ最後にお願いだけをしておきます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

東委員長 これにて後藤斎君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。北神圭朗君。

北神委員 民主党の北神圭朗でございます。

 きょうは、産業活力再生法案について質問したいと思います。

 この法案はすごく多岐にわたっていて、要は、事業再構築をする会社に対して、計画を提出する、その計画の認定をもらったらいろいろな政策的な支援をもらえるという考え方だと思います。その政策的な支援の中に、今までの、登録免許税の話も出ましたし、設備投資の特別償却ですか、そういったいろいろな減免措置がある。

 その中で、今回、日本政策投資銀行が事業会社に出資をすることができるという話が出てきました。これについて、私も若干いろいろな疑問がありますので、また明確になっていない部分もありますので、そこをやはり議論しないといけないというふうに思います。

 このスキームというのは、政策投資銀行が一般の事業会社に出資をする、大企業が対象だという話ですが、これに対して、出資金の欠損が出たら、今度は政策金融公庫の方が損害補てんをできるというスキームだと思います。政策金融公庫に対して国が政府保証なり、あるいは、もう既に直接税金を入れているというふうに思いますが、直接税金を政策金融公庫の基金として入れている、そのお金で損害補てんをするという話だと思います。

 これは、新聞報道とかでは、一般の会社に対して公的資金を入れる、税金を入れるというような報道がされておりますが、経済産業省の役人の皆さんの説明を聞いていると、いや、これは公的資金注入じゃないんだという話があります。

 大臣、率直にお聞きしますが、これは公的資金を入れることじゃないでしょうか。

二階国務大臣 出資円滑化のためのいわゆる損失補てん制度は、厳格な要件を満たす産活法の認定企業に対して、指定された民間の金融機関が自己資金で出資を行い、当該出資について損失が生じた場合は、その一部を日本政策金融公庫が補てんするという制度であります。

 よって、国が株主になるわけではありませんし、企業に直接公的資金を注入するものでもありません。資金は市場から調達する、こういう考えであります。

北神委員 今、二つの点で、税金を会社に入れるわけじゃないと。一つは、国が株主にならないという話と、もう一つは、直接税金が企業に入らない、言ってみれば、日本政策投資銀行の中に一部損害補てんが入るだけだということであります。

 しかし、これは後でも議論をしたいと思いますが、この前通った金融機能強化法、要するに、銀行に資本注入をするという話がありました。これも、別に国が直接銀行の株主になるわけでもないし、預金保険機構というところが株主になるんですよね。それに対して、預金保険機構に政府保証を国がしているだけで、でも、これは一般的に、堂々と公的資金を銀行に入れるという話ですので、大臣がおっしゃった二点について、基本的に銀行に資本注入をするのとそんなに変わらないんじゃないかというふうに思いますが、どうでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣の方から答弁を申し上げましたとおりでございまして、仮に損失が生じた場合には、損害担保契約で日本政策金融公庫が政投銀の補てんをし得るという契約を事前には結ぶわけでございますけれども、いわば最終的な出資の判断というのは日本政策投資銀行が実務的には行う形になりますし、そのための原資というものにつきましても、政策投資銀行がいわばいろいろな形で調達をして、その出資財源に充てるということでもございます。繰り返しになりますけれども、国が資本を持って株主になるわけではない。

 そういう意味で、企業に対する国からの直接の公的資金注入ではないのではないかという形で、これまで申し上げさせていただいている次第でございます。

北神委員 国が株主にならないというのは、銀行の金融機能強化法も同じなんですよ。だから、公的資金を入れるかどうかというのは、言葉としてはいいですよ、でも、銀行と基本的に同じだという一点。

 もう一つは、損害保険だ、損害補てんをするんだという話ですが、これも、当然、日本政策投資銀行は、間接的には国から税金で損害補てんをしてくれるという前提で判断もされるだろうし、出資金に傷がついた場合には当然公的資金が入るんだから、言ってみれば、これは別に、だから悪いというわけじゃないんですよ、私は、ただ、そこは明確にしてほしいということなんですよ。どうでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに委員御指摘のとおり、金融機能強化法に基づきます、銀行に対する施策との関係におきまして、ある意味では類似性は存在するんだろうと思いますけれども、私どもも、必ずしも言葉にこだわっているわけではございません。

 基本的には、日本政策金融公庫法に基づきます危機対応業務で民間金融機関が出資をする、これは、損害担保契約があろうとなかろうと出資できるわけでございますが、そのうち、一定の要件に該当するものにつきまして損害担保契約を結ぶ、こういう仕組みになっているということをいわばより明確に反映させる言葉として、企業に対する国からの直接公的資金注入というのは、必ずしも適切ではないのではないかな、こういうふうに考えている次第でございます。

北神委員 繰り返しますが、私も、別に、はっきり言って、場合によっては公的資金を入れることには反対ではないんです。皆さんと同じぐらい今の経済の状況に対して憂えていますし、そういう備えをしなければならないというふうに思っております。

 ただ、税金を入れる場合は入れる場合で、やはり手続とか透明性とかそういうものを確保しないと、大臣を初め、政府のみならず、委員会でこれを議論している我々委員としても、議員としても責任を果たさないことになるので、そこはちゃんとまず明確にしたい。やはりこれは、間接的に税金が入る。

 さっき、既に危機対応業務があるとおっしゃいました。別に法律の改正がなくても日本政策投資銀行が出資をできるという話ですが、損害補てんというのは、やはり今回の法改正で初めて可能になった話だし、そこで初めて税金というものが入る可能性ができたわけですから、そこは共通の議論の前提として申し上げたいというふうに思います。

 あともう一点、局長のお話で、日本政策投資銀行が自主的に出資を判断すると。これはうちの三谷先生が本会議で、大臣もはっきりとお答えになりましたが、最終的には日本政策投資銀行が出資を決めるということです。

 私がよくわからないのは、事業再構築、会社分割とか、いろいろな企業の事業計画というものをまず会社がつくって、これを事業会社の所管の担当大臣と経済産業大臣が認定をする。そして認定をする中で、私が思うのは、今の話だったら、認定をした後に、あたかも、よし、この計画はいいぞ、何々会社さん、これであなたはこの法律に基づいていろいろな政策的支援を受けられる、ただ、日本政策投資銀行が出資するかどうか、これはもう彼らが判断することだから、そこに行ってくださいというように聞こえるんですが、これはどなたでもいいですけれども、逆に言えば、そんないいかげんなことでいいのか。

 大臣がそこまで認定して、当然その事業計画というのは、いろいろな政策的支援を前提に、これで将来会社を再生することができるという考えですよね。そこで、出資の部分、こんな大事な出資の部分については政府は責任持ちません、それはもう日本政策投資銀行が自主的に判断されるので、そこは窓口に行ってよろしく対応をお願いしますというスキームなのかどうかというのをちょっとお聞きしたいと思います。

石黒政府参考人 現実の業務フローでちょっと御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、出資などを必要としないような事業者の場合ですと、いわゆる税制とかそういったものを使いたいといったようなケースの場合ですと、先生が今おっしゃられましたとおり、むしろ私どもの原課の方に事業者が具体的に相談に来られて、こういう計画を出しながら、税制を使いたいんだけれどもどうかといったような御相談に来られることになります。

 今回委員の方で御質問いただいております出資の件の業務フローでございますが、私どもが一番現実的な姿だと思っておりますのは、企業が銀行などと相談をしているうちに、新たな資金が必要だ、借り入れをしたい、ところが、例えば財務条項等の関係があって、もうちょっと資本を増強したらどうかというようなことを言われる。そういうような状況の中で、今度は、では市中で出資が募れるか、さもなければ政投銀さんの方にお願いしてみようかといったような話になってくるかと思います。

 その際に、今度は私どもの方の、多分、同時並行的にだと思いますが、原課の方に企業の方が御相談に来られて、産活法の認定とあわせて出資がとれるかどうかといったような御相談に来られると思います。そういう前提の中で、今度私どもは、どういう計画が立てられて、どういう支援措置が使えるのか、それから出資は可能なのかどうかといったことについて私どもなりにまた判断をさせていただきます。

 同時に、政策投資銀行の方は、どんな場合でも二割から五割のリスクをみずからとることになります。したがって、そういう二割から五割のリスクはとるという前提で、本当に損失補てんがついてもやるかやらないかという判断を彼らなりに、自分の財務基盤の中でやっていくということになってまいります。

 したがって、最後は、出資抜きの支援措置というのも当然あり得ますし、それからまた、財務的な判断から見て、政投銀の方がこれはちょっと御勘弁願いたいというふうなケースもあろうかと思っております。

北神委員 もっとわかりやすく質問すると、つまり、事業計画の前提としてやはり出資が必要だ、なぜなら自己資本をもっと増強しなければ銀行がお金を貸してくれない、それも前提に事業計画というものをつくっている、でもそれは大臣が認定した。後で、日本政策投資銀行が、やはり我々も民営化されたので、これはちょっとリスクが大き過ぎる、だから、政府はしてほしいのかもしれないけれども、我々としてはこれはお断りをするというようなケースが出てくるかどうかということですね。

石黒政府参考人 御指摘のようなケースはあると思っております。

北神委員 そんなのでいいんですかね。

 これは要するに、後で質問するけれども、公的資金を入れる、まあ間接的に入れるという話は、つまり、一般事業会社、大企業を救済するということは、ある意味では公共性があるという判断があるはずなんですね。

 これもまた後で明確に聞きたいんですが、その公共性があることについては、私は、政府、大臣、堂々とちゃんとやりなさいと言わないと、スキームとしては完結をしない。つまり、経済産業大臣のところでは、これは出資があって、この事業計画を認定するということは、将来必ずちゃんと再生をするということですから、そこで、でもごめんなさい、日本政策投資銀行は断ってしまったのでオジャンになりましたというのでは、果たして法律に基づくスキームとして適当なものかどうか、それをぜひお聞きしたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 日本政策投資銀行も、先ほども石黒審議官が御答弁申し上げたとおり、いわばリスクを負いますので、当然一つの独立した金融機関として、ぎりぎりまで、どこまでリスクがとれるのかということを御判断されるんだろうと思います。

 ただ、委員御指摘のとおり、私ども、産活法に基づきまして、一定のクリアな要件を定めて、この要件に合致する企業がこうした形で資金繰りの一環として出資を求めていく場合には、いわばその行為が成就するように、当初の段階から関係機関とよくすり合わせをするべきだと考えております。

 したがいまして、例えば一つの考え方としては、政策投資銀行の将来にわたるリスク判断がより軽減されるように、では、中身について、どういう事業計画、より実現性の高いものにするのか、そのために経済産業省としてどういうほかの政策がとれるのかということを最後の最後までぎりぎりすり合わせをして、当初の企業のいわば希望がかなうように最大限努力をする、そういう方針で運営をしていきたいというふうに考えております。

北神委員 今局長がおっしゃったことが、運用上もそうだし、やはりそれがあるべき姿だと。ここまで踏み込んで、場合によっては税金を使って損害補てんをするんだ、でも、それは日本の経済、国民経済のためには不可欠なことである、公共性が堂々と言えることであるというのだったら、そこで、単に一、日本政策投資銀行がだめだからといって大臣が認定したものまでが白紙に戻るということは、やはりあってはならないというふうに思っております。

 これは局長は、上手に運用でやられるという話だったんですが、私が想定していたのはこんなことなんですよ。つまり、A社がこのスキームを使って再生をしたい、会社を再構築したい、ただそのためには、例えば商品開発をして、五年後にはまた収益が上がるようにしていきたい、そのためにはやはり資金が必要だ、お金を貸してもらわないといけない。そのときに、しかしながら、金融危機の中で株価が落ちて自己資本が非常に低い、銀行もいろいろな厳しい条件の中で貸してくれない、ですから出資が必要だ。それで経済産業省に行って、事業計画をつくって、この場合は当然出資も前提に計画をつくると思うんですね。

 そのときに、経済産業省の方は、こういう話があって、自分たちで見てもこれはちゃんとした計画だなと。そうしたら、日本政策投資銀行に連絡をして、こういう話があって、ちょっと説明させてもらって、皆さんにもぜひ協力をしてもらいたいと言うのが普通の段取りかなというふうに思っておりますが、こういう考えでよろしいんでしょうか。

石黒政府参考人 私がちょっと言葉足らずの説明をしまして、まことに申しわけございませんでした。先生御指摘のとおりでございます。

 それで、まさしく私があり得ると申し上げたのは、観念上、いわゆるこの条文のたてつけといたしまして、そういうことはあり得るということでございます。現実の運用においては先生の御指摘のとおりでございます。

北神委員 ありがとうございます。

 これも大事な点で、やるからには、実際に日本政策投資銀行が出資をしてくれないと困りますので、そこはそごが出ないようにしなければいけないことと、一番冒頭の、税金を入れるのかどうかという私の話ですが、実際は、法律上はどうでもいいけれども、運用上は、日本政策投資銀行は、やはり経済産業省の局長に言われたら、できるだけ、もちろんそれは自分たちの健全性も考えるけれども、ある意味では経産省のお墨つきもいただいたわけですから、最大限やりますということになるわけですよね。ですから、厳密に言えば、何も政府の指示に従っているわけじゃないけれども、事実上相当な影響力で政策投資銀行も出資を判断されるというふうに思います。

 ですから、いいんですよ、これは堂々と言うべきだと思うんですよ。政府が主導で、国民経済に重大な影響を及ぼす会社の救済のために、日本政策投資銀行と極めて緊密な連携をして、再生に向けて協力をする話だというふうに思います。これをまず明確にしないと、やはり議論は進まない。

 次は、公共性の問題で、これは当然、銀行が連鎖倒産とかしたら、決済機能というものが麻痺してしまうとか、あるいは全く経営に関係ない預金者の人たちが相当な被害をこうむる。そういう意味では、個別の金融機関を救済することではなくて、非常に公共性がある。これは地域経済にも結びつきますし、信用秩序にも結びつく。ですから、金融機能強化法の第一条の目的のところにもはっきりと、最後は、信用秩序並びに国民経済を守るためにこの法律があるんだという話があります。

 今回、私の資料三のところにこの関連の条文があります。株式会社日本政策金融公庫法の特例ということで、政策金融公庫が日本政策投資銀行に対して損失の一部を補てんすることができるということが書いてあるんですが、ここには全く公共性について、なぜこういう税金が、間接的にせよ、場合によっては企業の救済のために使われるのかということは書いていないんです。

 これについて、大臣、今回はどういう正当性があるのか。税金を使って、場合によっては、最大限、今のところ一・五兆円ぐらいの規模の税金が用意をされているわけですから、この点について、これは公共性としてはどういう考え方があるのか、教えていただきたいと思います。

高市副大臣 今回の公共性ということですが、まさしく雇用が最大の公共性になるんじゃないかと考えております。

 本制度の対象となる企業なんですけれども、雇用規模が大きいなど国民経済の成長、発展に及ぼす影響が大きいといった要件を満たしたものに限られてまいりますので、万が一その企業が倒産をしてしまったような場合に、その企業が抱える雇用に影響を与えるだけではなくて、関連企業の雇用に対しても大きな影響を与える企業であるということが考えられます。

北神委員 高市副大臣から、雇用がやはり最大のポイントだという話ですが、これも、規模の部分もあるし、おっしゃるように関連企業の雇用も含まれますので、どこまでの雇用だという話があると思います。

 雇用だけだったら、何で大企業だけがこういう、要するに、私が今申し上げているのは出資の話ですからね、なぜ大企業だけが救済されるのか。中堅企業も中小零細企業も雇用をそれぞれ抱えている。これらに対しては、今のところは出資とかそういうのじゃなくて資金繰り支援だ。私は、資金繰り支援はもう堂々と、さらに当たり前のようにやるべきだ。というのは、お金を貸して返してもらう前提ですから。でも、出資というのは、一たん株主になったら基本的に返してもらえない話ですよね。

 ですから、そういった意味でより厳格に見ないといけないというふうに思うんですが、果たして本当に雇用というだけで公共性が確保できるのか。私はそれだけでは足りないというふうに思うんですが、どうでしょうか。

松永政府参考人 御指摘の出資の円滑化制度の対象企業のいわば要件の定め方についての御質問かと思いますけれども、午前中にもお答え申し上げたとおり、今御指摘のように、公共性の観点から、一定の要件を備えた企業というものをセレクトし得るようなきちっとした要件を定めるという考え方でございます。

 国民経済に与える影響ということにつきましては、一つは、やはり雇用規模が大きいということは非常に明確な観点かと思いますけれども、それ以外に、必ずしもその企業の雇用規模は大きくなくても、その企業が社会に供給をしている製品がほかの数多くの企業に使われることによって、いわば代替困難な非常に重要な部品を供給している。仮にその企業が存立しなくなりますと、日本の産業、経済全体が非常に大きなダメージをこうむる。こういうような観点も入れる必要があるのではないかというふうに考えております。

 今申し上げましたのはいわば製造業の場合でございますけれども、そういった観点から、雇用というメルクマール以外の要件ということについても定めていきたいというふうに考えております。

北神委員 これは一番大事なところで、出資に対して損害補てんを可能にする要件の部分だというふうに思います。この点について、今副大臣がおっしゃったし、局長もおっしゃったけれども、雇用の規模の問題が大きいという話だと思います。

 これはやはり非常に大事なところで、報道によると、アメリカのビッグスリーに対するいろいろな支援あるいは支援の動きに相当影響を受けて今回の法案のこの部分を考え、検討し始めたという、これは本当かどうかわかりませんが、そういう話があります。

 アメリカのビッグスリーみたいなあのぐらい、自動車産業ですよね、しかも自動車産業というのはすそ野が最も広い産業で、非常に波及する。いろいろな、向こうで下請というのかわかりませんが、下請的なところがたくさんある。雇用も物すごい。地域経済にも非常に影響がある。しかも、アメリカの場合なんかは、要は自動車というのはフォードの時代からアメリカの産業の文化的象徴みたいな部分だ。そういうものに対しても今のところは資金繰り支援しかやっていなくて、出資の話も確かに議論としては出ているけれども、けさの新聞を見ると、まだまだ経営責任が足りないとか、経営体制がしっかりしていない、そういうことでまだ先送りされているぐらい、やはりこれは慎重な話だというふうに思っております。

 ですから、要件の話にもう少し詳しく入る前に、これはやはり法律に規定すべきじゃないか。今のところ、大臣の答弁とか局長の答弁とかで、こういう要件で入れることにしますと言っていますが、最後は国民の血税が場合によっては使われることですから、普通に考えたら、皆さん、恐らく政令とかそういうところに落とすという話を考えておられるかもしれませんが、やはりこれは法律に規定すべきではないかというふうに思うんですが、どうでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、出資の円滑化制度の対象となる企業を定める要件というのは非常に重要ないわば内容でございますので、これにつきましては、現行の産活法の立て方と同じように、きちっと大臣告示という形で明示的に規定をする必要があると考えておりまして、その前提で準備を進めております。

 これまでもいろいろな形でこういう機会に御答弁をさせていただいておりますけれども、こうした内容をきちっと踏まえた形で、明確に告示で策定をするということにさせていただきたいと思っております。

北神委員 私の配った資料四のところにも、二階大臣の本会議における答弁で要件について触れてありますが、局長、大臣告示とおっしゃいますが、前段のところは私と一緒ですよ。非常に大事な要件だ、大事なことだと。だから、告示じゃなくて法律に明記すべきだというのが普通の考えだと思うんですよ。やはり告示よりも法律の方が重たいはずですよね。告示というのは法律に基づいてなされるものであって、法律が一番大事だ。

 私が申し上げていることはそんなに変な話じゃないですよね。当然、税金を使う場合にはやはり極めて厳格な要件が必要だし、ここで私が申し上げたいのは、金融機能強化法とか、銀行とかあるいは保険会社とか、税金を入れるいろいろな法律がありますが、全部その要件というものは法律に定められております。

 それはなぜかというと、今私が申し上げた、単に重たいというだけじゃなくて、当然、我々委員で、経済産業委員会で審議をして、これが仮に通った場合は、我々は責任を持たないといけないわけですよ。審議さえできないんですよ、法律に載っていないと。皆さんが言葉で、いや、こうするつもりだよと言っているだけで、果たして我々が本当に、ああそうですか、わかりました、信用しますということで通るのかどうかということなんですよ。

 そういう意味で、やはり法律、法案の中に認定条件というものを明記すべきではないかと思いますが、大臣、どうでしょうか。この考えは間違っていますか。

高市副大臣 法律に根拠を持つ大臣告示によって明確に規定するということなんですが、とにかくこういう時期でございますので、国会での審議で先生方から出た御意見なども十分に反映させるという心持ちもございます。それからまた、法律でない、大臣告示であることによりまして、より柔軟な対応、環境変化に応じた柔軟な対応もできるようにしてまいりたいと思っております。

 まず、方向性については明確にここで答弁をさせていただくつもりでございます。

北神委員 法律に基づく告示だということですが、この中で議論が上がってきて、意見を踏まえてそういうのを考えていきたい、かつ、情勢変化によって柔軟に対応するためには、法律というのは当然国会の審議を経ないといけないという話ですが、これ自体が、副大臣、本当にこんなあり方でいいのか。つまり、これは、副大臣の話ではまだ固まっていないわけですよ、認定条件が。

 要するに、これからいろいろな、この中の意見を聞いて、それで考えていくという話ですから、私の資料にありますように、大臣はある程度の方向性は示されていると思います。しかし、これからさらに、固まっていないということを今おっしゃっているわけですね。それを前提に、我々がどうやって審議するのか。要するに、認定条件がどうなるかわからないということは、非常に審議しづらいものがありますよ。税金を入れる話ですから。

 もう一つは、今後の情勢変化によって柔軟に対応と言うけれども、税金を入れる話で認定条件を告示で、行政だけでころころ変えられるようでは、これも困ったものだと思うんですよ。やはりちゃんと国民の代表である議員が、この経済産業委員会においてちゃんと、この認定だったら、これは公共性があるな、場合によっては損害補てんで税金を使うことも許されるなというものがなければ、別に私は足を引っ張るつもりは全くなくて、最終的にそれが第一だと思うんです。これはやはり重大な問題だというふうに思うんですが、大臣、どうでしょうか。

二階国務大臣 今、高市副大臣が先に御答弁申し上げたとおり、我々の方は、こういう非常事態のような状況の中でのこの法案の提出でございますから、相当の緊張感を持ってこれに対処しているわけであります。この委員会におけるさまざまな御議論をいただいたことを、これからの法の運用に当たって十分配慮をしていきたい、そういう決意を持っておること、これをお伝えしておきたいと思います。

北神委員 非常事態というニュアンスの中に、恐らく今回、急な話で、この法律も走りながら多分事務方はつくってこられた、それは大変な御苦労だったというふうに私も思います。それに対して私も、だからだめと言うつもりはないんです。

 だから、要はこういうことですか、この委員会で、採決の前に、この認定要件ではっきりといくというものを明確にお示しにならないと、我々としては、いや、それはまた法律が通ってからいろいろと考えますわというのでは、とても、ちょっと私、自民党、公明党の皆さんはどう思うかわかりませんが、これで委員会で果たしてはいそうですかと言えるのかどうか、私は非常に疑わしいと思っております。

 ですから、大臣、どうですか、これは、採決、我々が判断を迫られる前に、はっきりとこういう認定条件でいきますということを示すべきではないでしょうか。

二階国務大臣 我々、先ほど申し上げましたように、この御審議において各党からのいろいろな御意見をちょうだいしていることを十分参考にしながら、立派なものに仕上げていきたいと思っておりますから、採決の前はまだ法律ができていないわけでございますから、そうした際において、我々は内部においても十分協議し、また、御相談を申し上げたいと思います。

北神委員 確かに、法律が通る前に告示をつくるというのも変な話ですが、でも、大体こういう方向性でいきますよということはやはりお示しにならないと、我々も、ではどういう要件で公的支援が入るのかどうかというのはわからないまま、賛成というわけにはいかないですよね。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 要件の内容でございますけれども、これまでも何度か御説明をさせていただいておりますけれども、基本的には、その内容をきちんと告示の中で明らかにしていきたいと考えております。

 ちょっと申し上げますと、産活法の認定を受けるということがまず大前提でございますけれども、その上で、この出資を受ける企業につきましては、付加的に四つの要件をクリアする必要があると考えております。

 第一の要件は、いわば今回の世界的な金融危機の影響によりまして、急激に売り上げが悪化をする、あるいは自己資本が減少をして、融資という手段だけでは対応は困難で、出資が不可欠である。こういう、企業を取り巻く環境というのが今回の急激な世界経済の悪化で影響を受けたということが第一の要件でございます。

 それから二番目は、この企業がきちっと出資を受けることによって立ち上がっていく、そういう事業計画が明確になっているということでございまして、一定期間、原則三年のうちに当該企業の価値向上が見込まれるものとして大臣の認定を受けた事業計画を持っているということでございます。先ほど申し上げましたように、この事業計画の内容というのが非常に大事だと思っております。

 それから三番目が、国民経済に与える影響が大きいということで、雇用規模が大きい企業、あるいは雇用規模だけでなくて、その企業が社会に供給をしている製品が代替困難で、こうした雇用規模の大きい企業を含めて、そういう製品が供給をされないことになりますと国民経済の成長や発展に大きな影響を及ぼす、そういうような企業であると判断されること。

 それから四番目でございますけれども、これも非常に重要な要件だと考えておりますけれども、今回、こうした形で出資の円滑化措置を受けることを前提といたしまして、出資先企業に対しまして他の民間金融機関がいわば協調をして同じように融資をする、あるいは出資をするというようなことで、その認定された事業計画の実現に一致協力して取り組んでいく、こういうことが明らかになっていること。

 こういう、ある意味ではかなり明確な要件を定めることによって対応していきたいというふうに考えております。

北神委員 ということは、基本的には、今の時点では、今まで大臣のおっしゃっていた認定要件でいく、そういうことでいいんですよね。この委員会の議論の中で、場合によっては追加とか修正があるという話ですね。

 では、その前提でいきますと、雇用規模が大きい企業、これはさっき高市先生がおっしゃっていたように、確かに私も一番大きなポイントだと思います。

 ただ、雇用が大きいというだけでは非常にあいまいです。何をもって大きいというのか。何をもって、このぐらい、一社がつぶれることによって失業が発生したら、もう一会社の話じゃない、地域経済全体の話だ、あるいは国民経済全体の話だ。この辺は具体的にどのようにお考えになるのか。

石黒政府参考人 委員御指摘のとおり、日本経済にマグニチュードのある大きさというふうに考えております。ですから、私どもといたしましては、これは、まず大前提といたしまして、決して破綻処理型の出資ではございませんで、資金繰り対策の一環としての栄養注射のようなものでございます。

 その場合であっても、当該企業が仮に倒産をしたようなケースの場合に、関連取引先を含めて数万人の労働者の雇用に影響を与え得るというようなことを念頭に置いております。そういったものに匹敵するようなマグニチュードがあるかないかというあたりが一つのポイントだろうと思っておりまして、そのぐらいの規模になりますと、失業率においても有意なる変化があり得ますものですから、そういった大規模な国民経済に与える影響があるものという認識をしておるということでございます。

北神委員 数万人ということですね。これもあいまいといえばあいまいだけれども、一万を超えるとそれは大変な話だなと私も思いますので、数万人ということですね。

 あと、同じ要件の中のもう一つの条件ですが、上記企業、雇用規模が大きい企業に代替困難な基幹部品等の相当割合を供給している企業、これは具体的にどういう企業をイメージされているのかということと、代替困難な基幹部品等とは何か、そして相当割合というのはまたどの程度を指すのか、その点についてお考えを聞きたいと思います。

石黒政府参考人 私どもが考えておりますのは、まず国民経済に与える影響の一義的な目安といいますのは雇用だと思っております。また今度は、その雇用のマグニチュードに匹敵するぐらいの、別な観点から説明ができるような国民経済に与える影響というのがあるというふうに思っております。それは、先生お詳しい、例えば金融のシステミックリスクなんかも一つの例だろうと思います。

 ただ、製造業に関して申しますと、私どもが一番具体的なわかりやすい例として念頭に置いておりますのは、この前の新潟地震の際に、ある自動車部品の会社でございますけれども、ピストンリングをかなり一手に供給をしておりまして、地震の後、ほぼ三週間にわたって日本の車の生産が停止したといったような状況がございます。あの会社自身は、実は従業員が千五百人程度の大手といっても下位の企業ではございますけれども、そういった企業が仮に何かのことでおかしくなった場合には、関連の取引先等に与える影響というのが相当多うございます。そういったものを、私どもとしては個別にきちんと説明責任を果たす覚悟で採択をしてまいりたいというふうに思っております。

北神委員 ちょっとまだ質問に答えていただいていないのは、今、代替困難な基幹部品を供給している企業の例示はありましたが、その割合、相当割合というのはどのぐらいの程度を考えているんですか。

石黒政府参考人 正直申しまして、まだ私どもも調整中なのでございますけれども、一言で申しますと、三割から五割程度のものを相当程度というふうに考えております。

北神委員 ありがとうございます。

 やはり詰めていって、ある程度具体的に我々も知らないと、なかなか判断がつかないということであります。

 あと、この点についてさっきおっしゃっていたのは、国民経済に影響、マグニチュードという言葉を使われましたが、そのぐらい波及効果があるという話ですが、金融機能強化法なんかは地方経済という話も入っているんですよね。だから、国民経済ほど大きくないけれども、地方経済も実は金融機関に入れる公的資金の要件としてあるんですね。ここは皆さん、別に地方経済は規模が小さ過ぎるというふうにお考えなのか、お聞きしたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 出資の円滑化措置につきましては、基本的には国民経済全体に与える影響を念頭に置いております。もちろん、地域経済に大きな影響を与える同じような企業が、資金繰り等を含めて非常に困難に着目をして、これに対してきちっと対応しなければいけない、そういう局面も想定をされますけれども、これにつきましては、政府といたしましては、現在、地域力機能強化法案というのが提出されていると思いますが、そちらの法案といわば機能分担を果たしながら対応していくべきものではないかというふうに考えております。

北神委員 ありがとうございます。

 全体の話にさせてもらいますが、認定基準のときに、私はきょう何回も申し上げているように、金融機能強化法というのが一つの参考になるというふうに思っていまして、資料の一につけておりますが、左の方に改正前とありますが、左の方の二のところに、「国の資本参加の基準」、これはさっき申し上げているように、国が実際株主になるんじゃなくて、預金保険機構という認可法人が株主になるんだけれども、それに対して政府保証をしているということで、ちゃんとはっきりと「国の資本参加」というふうに書いてあるんですが、その中にいろいろな条件がある。

 一つは、「収益性・効率性等の向上が見込まれること」、これは皆さんのおっしゃっている認定基準にも入っていると思います。

 「公的資金の回収が困難でないこと」、私は、こういうこともやはり日本政策投資銀行にもちろん入るんですが、これも何らかの形で、その相手企業、出資をされた企業というものが返すというめどが少なくとも計画上は必要じゃないか。これは具体的に言えば、金融機関の場合は十五年間で返済できるための剰余金を積み立てていく、そういう計画をちゃんとあらかじめ提出しているんですね。ですから、一たん公的資金は入るけれども、ちゃんと返すことがやはり大前提になるんじゃないかというふうに思っております。

 あともう一つは、「適切な資産査定がなされていること」、これは要するに、簿外債務とかそういったものがなくて、出資の対象になる企業の財務体質というものがちゃんと洗いざらい透明に明らかになるということだというふうに思います。

 こういうことを金融機関以上に、今回は、正直、比較でいえば公共性が低いと思うんですよ。やはり一般事業会社というのは、幾ら雇用が大きいといっても、金融機関の持っている決済機能とか預金者保護のことを考えると、当然これは公共性が若干低くならざるを得ない。そういう中で入れるのであれば、本来は、私は、金融に入れる際よりももっと厳格な認定条件があってもいいぐらいだ。それが法律に、金融機能強化法の場合は載っていて、こっちの場合は載っていないということ自体が本当におかしいと私は正直思いますが、それも、大臣がおっしゃった、非常事態の中でもうどうしようもないということであるならば、今申し上げたような点も含めて、やはり認定条件というものをぜひ考えていただきたいというふうに思います。

 あともう一つ、要望みたいな話ですが、せっかく、雇用を守るということが大事なわけですから、事業を再構築する段階で、そして日本政策投資銀行から出資を受けることを前提にしている場合は、やはり雇用というものを非常に大事にしないといけない。その再構築する中で、場合によってはリストラ的な話も出てくるかもしれないし、そういったときにはきちんと労使間の協議というものをしていかないと、この際、従業員を減らすことに専念をされたり、そういったら、そもそもの雇用を守るという趣旨が確保できないので、その点について、事務方でも結構ですけれども、どうお考えか、教えていただきたいと思います。

石黒政府参考人 委員御指摘の点でございますけれども、実は、産活法の認定基準というのは大きく四つございます。

 一つは、まず、生産性の向上ということでございまして、例えば、ROEが二%ポイント以上三年後には上がっていくとか、有形固定資産回転率が五%上がるとかいったような目標がございます。それからまた、財務の健全化ということに関して申しますと、委員の方から金融機能強化法の話がございましたが、私どもの関係では、例えば有利子負債とキャッシュフローの比率が三年後には十倍以内になるといったような定量基準がございます。また、それ以外の事業革新をきちんとやっているということと、それから四点目が、実は委員が最後におっしゃいました、雇用への配慮ということになります。計画について労使間で十分話し合いをして、配慮がなされていることというのがもう一つの要件でございます。

 それからまた、もう一つ、モニタリングの話をちょっと委員されたかと思いますが、これも、通常でありますと、一年に一回報告を求めるというのが法律上の規定でございます。これに加えて、出資をするような場合には、例えば四半期ごとに報告を受けるといったような格好で、きっちりモニタリングをさせていただきたいというふうに思っております。

北神委員 ありがとうございます。

 まだまだいろいろ質問はあるんです。これから近藤委員とか三谷委員とか、恐らく同じテーマでもっと掘り下げていただけると思いますが、大臣、私、このスキームというのは、多分大臣も、率直に言って、何かわかりにくいな、非常に間接的なスキームになっていると。これはどうしてかなというふうに思いますと、日本政策投資銀行が民営化されちゃったから、こんなややこしいことをしていると思うんですよ。

 というのは、昔の日本開発銀行だったら、目的は出資じゃなくて貸し出しですよね。要するに、融資をしたいんだけれども、普通の民間金融機関だったら、自己資本が低過ぎる場合は貸し出しはできない。だから、今回は、ややこしい、日本政策投資銀行に出資をさせて、民間金融機関にそんなことをさせるのは気の毒だから、では税金で穴埋めをしましょうという話です。

 昔の日本開発銀行だったら、そのまま国が政府保証をつけて、もう少し余分に、一・五兆円ぐらい政府保証をつけてあげるから、あなたも、自己資本が厳しくても、ちゃんと事業計画を出して、これがすぐれたものであるならば、自己資本比率が低くても貸し出ししなさいと。本当は、昔だったら、そういう単純な、そしていろいろ認定条件とかそこまで詰めなくてもいいような方法でできたんですよ。

 前回、私は、中小企業の資金繰りの話で大臣と議論させてもらって、公的金融というのを民営化、竹中路線の民営化というのは非常に問題があるんじゃないかと。大臣は、自分はそのときには一生懸命危機対応業務ということを設けて、あの情勢の中で、ある意味では巻き返しを図られた。まさに今回はその危機対応業務が生かされるわけでありますが、それでも、基本的には非常にややこしいスキームになってしまって、日本政策投資銀行というのが民営化されちゃったからこんなばかな議論をしているというふうに私は言わざるを得ないと思っております。

 ですから、本当は株式会社日本政策金融公庫の方が、直接そこに基金と政府保証を与えるわけですから、わかりますよ、本来は中小零細企業を対象にする話ですが。そこを、今回ぐらい大胆な法改正をやれるのであれば、この金融危機の一定期間において、日本政策金融公庫が直接、大企業であってもちゃんと貸し出しをするような話の方がよかったというふうに私は思います。

 ただ、皆さんと議論をしていると、これは公的金融の民営化の流れがあって、もう限られたところにしか金融危機対応業務というのはできない、そのうちの一つが日本政策投資銀行だけれども、だからそのルートしか使えないという話になっていますが、私は非常にややこしいことをやっていると。

 ですから、今回の問題で明らかになったのは、やはり公的金融の必要性、これは大臣もこの前はっきりと大事だというふうにおっしゃっていましたが、これは抜本的に本当に見直していかないと。みんな、今回、いや、あのときは想定できなかった、こんな百年に一度の金融危機が訪れると思っていなかったと言いますが、こんなことはこれから長い将来何回もありますよ。そのときにはやはりこういう問題も出てくる可能性は十分あるわけですから、今回はしようがない、これは私も緊急避難的にいかざるを得ないと思いますが、やはり、根本の政策金融、公的金融のあり方というものを抜本的に見直すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

二階国務大臣 あのとき、今議員からも御指摘のように、危機対応業務ということをぜひ入れておくことが大事で、いざというときには、借り手の皆さんが、あるいはまた中小企業の皆さんが頼りがいのある金融機関であり続けるためにはぜひこれが必要だということで、皆さんの御同意を得て入れさせていただいたわけであります。今そのことが大変重要な役割をしておることからいたしますと、今議員が御議論いただいたことについては我々も思うところはありますが、今直ちに我々が見直すとかなんとかと言える立場でございませんので、お話として十分承っておきたいと思います。

北神委員 我々民主党の方でも、やはりそういうのは考えていかないといけないというふうに思っています。それをぜひ大臣の方でもお願いをしたいというふうに思います。

 あと、もう時間がございませんので質問はこれで終わりですが、また金曜日に、私、命令で、質問せいという話になりましたので、そのときにもう少し、きょうは公的資金を入れる話の中で、雇用というもの、労使協議の話も大事だという話をしてきました。さっき後藤委員のときに、大臣もはっきりと、雇用というものは大事だということをおっしゃっていただいたので、今回の産活法というのは事業再編の話なので、どうしても、危険性としては、雇用というものをないがしろにするおそれがあります。今、雇用というのは喫緊の課題だし、きのう出た数字でいえば、本当に雇用が悪化をしておりますので、先ほど附帯決議の話もなされましたが、そういった点について、私も金曜日、しつこいようでありますが、また質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

東委員長 これにて北神圭朗君の質疑は終わりました。

 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 本日は、産業活力再生法改正案の質疑を同僚議員に引き続きさせていただきます。

 大臣、昨年の秋から、やはり我が国の経済の風景というのはがらっと変わってしまったな、こう思うわけであります。麻生首相は、日本経済、全治三年という言い方でおっしゃられておりますけれども、私も、本当に地元を歩きますと、私の地元は山形県でありますから農業県ではあるんですが、同時に、米沢市は東北でも有数の工業出荷高を誇る製造業の町であります。製造業、前年比、年を越して四割減であるとか五割減、こういった状況。自動車関連に至ってはさらにひどい。先ほど自民党の先生もおっしゃっておりましたけれども、業況DIが八割悪化、こういう話もございましたが、まさに大変な状況になっておるわけであります。

 そこで、二階大臣にお伺いしたいんですが、産業を所管する大臣として、我が国の産業が例えば一年前の活況を取り戻す、景況感を取り戻すためには一体何年ぐらいかかるんだと現時点でお考えですか。

二階国務大臣 あのような活況を取り戻すのに何年ということに対して、今、かなりの人でも、これに対して年限を明確にすることはほとんど不可能ではないかと思うわけであります。

 そこで、全治三年という麻生総理の御発言でございますが、古い話になりますが、福田赳夫大蔵大臣殿が当時登板されて、全治三年ということを言われたことがあります。そのときはたしか、我々の記憶によりますと全治三年であったと思うんです。かなりやはり名医だな、こういうことで、評価が高まったことを覚えております。

 今回、全治三年。我々は、しかし、そうしたことに対して今政策を集中して、何としても、他の国々に対しても、日本が一歩でも早くこの状況を抜け出したという状況をつくっていくことが大事だと思っております。

 そこで、景気回復を最優先に図るとして、これまで御協力をいただいて、総額七十五兆円の経済対策を取りまとめたところであります。

 経済産業省としては、当面の雇用対策や資金繰り対策を初め、実施可能なものから迅速に対応しているところでありますが、先般、三月二十七日でありますが、おかげさまで二十一年度予算が成立したことを受けて、これから切れ目ない対策を打っていく必要がある。

 昨日は、総理がロンドンへ御出発の前に、政府・与党に対しまして、御案内のとおり、景気の底割れは絶対防ぐ、雇用を確保し、国民の痛みを軽減する、未来の成長力強化につなげる、こういうことを目的にして、新しい経済対策を早急に策定するようにという指示がございました。

 経済産業省としては、本日御審議をお願いしておりますこの産活法の改正や、新経済成長戦略の改訂版を基礎とするいわゆる成長のシナリオ、今後明るい未来を招来するためにどう対策を打っていくかということ、いわゆる新しい経済対策の取りまとめにも積極的な対応と役割を果たしていきたいと思っております。政策手段を総動員する、もうそれしかない。日本経済が一日も早く不況を脱し、回復軌道に乗るように対応していきたいと思っております。

 米沢市の問題についてもお触れになりましたが、米沢の歴史から見ましても、そういう産業がたくさん集積されているところでございます。米沢市におきましても大変な状況であるということを承りましたが、我々はそうしたことにも十分目を配りながら、オール日本で、回復の足取りを国民の皆さんに感じていただけるようなところに最善の努力をしてまいりたい、このように思っております。

近藤(洋)委員 大臣と認識は同じだと思うわけであります。

 ただ、残念ながら、麻生内閣、三段ロケットというふうにおっしゃっておりますが、果たしてこの三段ロケットがちゃんと点火して成層圏まで行くのかな。というのは、今我が国が置かれている状況は、先進国でまず先んじて回復しなければならないという大臣の御発言でございました。全くそのとおりだと思いますけれども、OECDのことしの成長率でいけば、日本は六・六%マイナス、米国が四・〇%マイナス、ユーロ圏が四・一%マイナス、こういうことでありますから、日本はまさに地中に入っている、こういうことでありまして、ロケットを出しても、地中から上げているような感覚なわけだと思うんですね。

 オール日本でと、まさにそのとおりだと思いますけれども、同時に、やはり発想も、これまでこうだったからという発想ではなくて、その発想自体も、考え方そのものも改める時期ではないか、こういうことを指摘したいと思いますし、そういう流れに乗ってちょっと質問させていただきたいな、この法律についてもさせていただきたい、このように思うわけであります。

 とりわけ、大臣も御指摘をされて、経済産業省も、大臣のリーダーシップで確かに緊急保証枠を広げてこられました。我々民主党も、中小企業対策、資金繰りをやるべきだ、こういうことで言ってきたわけでありますが、やはり何といっても企業にとっての資金繰りが心配であって、ありとあらゆる手だて、確かに政府は打ってきたことは認めます。日銀も徹底的な手だてを打っておりますし、政投銀も手を打っている、そして保証協会の枠も打っている、これは認めます。また、私も一定の評価をしておるものであります。

 こういった効果が何とか功を奏してといいますか、ぎりぎりいわゆる三月危機というのは回避したといいますか、うわさされた三月末の、例えば金融機関が大丈夫かだとか、企業が大丈夫かということのさまざまな声がありましたけれども、三月危機は、きょうは四月一日ですから、何とか乗り切った、こう言ってもいいわけであります。

 しかし、大臣、私は、三月危機は乗り切ったけれども、四月、五月、果たして、企業が決算期を迎えて、さらに、当面の危機は回避したけれども、本当に大丈夫かという危惧を持っているんです。

 大臣御自身は現在の金融環境をどのように思っていらっしゃるか、危機を脱して大丈夫だと思っていらっしゃるか、認識をお答えいただきたいと思います。どうぞ、副大臣。

高市副大臣 世界的な金融危機、それから世界経済の減速の中で、日本の景気は急速な悪化が続いております。企業の業況判断も悪化いたしておりますし、資金繰りも非常に厳しい。

 先生御指摘のとおり、三月危機は何とかかんとか乗り切ったかなという感じでも、決算期になりますと、恐らく大幅な赤字を計上して、自己資本が減少する企業が出てくるということも予想されます。業績が悪化した企業に対して、金融機関の貸し出し態度というものが非常に慎重になることも予想されます。

 そのために、先ほど先生からおっしゃっていただいた、さまざまな政府の方の支援策をしっかりと活用しながら、なおかつ今回の改正産活法に盛り込まれた、金融機関による出資を円滑化する制度なども生かしていきながら、しっかりと日本の経済を後押ししていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 そういう中で、高市副大臣もおっしゃったように、この産活法なんだ、これをぜひ通して金融危機の状況にも対処したいというお話でしょうし、だからこそ、先ほど来議論になっております指定金融機関、この場合は政投銀でありますけれども、それが民間企業に出資する際のいわゆる損失補てんのスキームというか枠組みもつくってきたということだろうと思います。

 北神議員も指摘をされたように、やはりこの要件について法案に明記されていないということが議論になるわけであります。これについては、先ほど政府委員から、四つの要件、御答弁がございました。その四つの要件のことも踏まえた上で伺いたいわけでありますけれども、またその手続についても、午前中来、重ねて御答弁がありました。

 ただ、改めてお伺いしたいのですが、この出資は、要するに、最終意思決定権者は政策投資銀行なのかということをもう一度ちょっと確認しておきたいということと、あわせて、さはさりながら、最終決定者は政策投資銀行だけれども、例えば事業所管官庁といいますか、経済産業省は深くコミットする、かかわっていく、こういうことでありますね。

 最終決定者は政策投資銀行なんだなということの確認と、ただし、最終決定権者は政策投資銀行だけれども、重ねてお伺いしますが、政策投資銀行の株主は現在政府でありますから、だとするならば、政府としては、最終責任者は事業所管官庁の大臣である、こういうことでいいのかということも重ねて確認をしたいのですが、御答弁を、分けていただいても結構ですし、いただきたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この出資の円滑化制度につきましては、具体的な出資が現に行われるというのは、まさに政策投資銀行から出資を希望する企業に出資が流れるということで実施をされますので、そういう形でございます。

 ただ、認定すべき要件を明確に定めまして、それを事業所管大臣がきちっと認定して、事業計画が実際に実行されるように必要な手だてを講じることによって、事業所管大臣が認定をした企業がきちんと政策投資銀行から出資を受けられるようにいわば万全の努力をして、最大限そのまま実行されるようにきちんとすり合わせをするということでございますので、実質的ないわば意思決定権者というのは事業所管大臣である、そういう理解でおります。

近藤(洋)委員 したがって、政府としての最終責任者は事業所管大臣である、こういうことでございますね。二階大臣も今うなずいて、うんと言っていただきましたので、そういうことだということをここできちっと確認したいと思うわけであります。

 そこで、ちょっと細かな点で恐縮ですが、これは通告がなかったので事務方の方にお答えいただきたいと思うんです。

 その出資ですけれども、御説明によると、いわゆる市中の銀行団との協調出資ということを想定されている、こういうことでもありますけれども、政策投資銀行が出す出資は、例えば議決権のない優先株なのか普通株なのか、どういう種類のものなのか、ちょっと簡潔にお答えいただけますか。

石黒政府参考人 お答え申し上げます。

 想定をしておりますのは優先株でございまして、議決権を持つという意思はございません。

 以上でございます。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 もう一つ、ちょっとこれも重なる部分もあるんですが、改めて確認をしたいのです。

 四つの要件、お話がございました。私なりに整理をすると、先ほど来お話があるとおり、やはり金融機関への公的資金注入というのは、システミックリスクというものがある、金融機能を守るという大義があったわけであります。

 本件の場合は四つの大義があるわけですけれども、先ほど高市副大臣も御答弁をされておりましたけれども、私も、雇用の確保というのが最大の大義なんだろう、こう思います。二月の完全失業率は四・四%で、前月比〇・三ポイント悪化ということでありますし、さらに年内悪くなる、こういう予測でありますから、四つの大義の中でやはり一番大事な大義は雇用だ、こう思います。

 先ほど、ちょっと私聞き漏らしたんですが、イメージの中で、数万人ぐらいの雇用、こういう話がありましたが、私、リジッドに何万人以上でなければだめだとかということを言う必要はないと思うんですが、イメージとして、万単位の雇用が失われるということであればまあ発動していいのではないか。五万、六万というとなかなか容易じゃありません、これぐらいの企業というのは。ただ、万単位というのはやはりそれなりのインパクトがある会社であろう、こう思いますので、そういったイメージでいいのかどうか、改めて御答弁をいただけますでしょうか。

石黒政府参考人 先ほど北神先生の方からもちょっとあいまいだという御指摘をいただきましたので、ここでもう一度明確にさせていただきたいと思います。

 実は、倒産データ等で有名な調査会社の統計等によりますと、大企業の場合ですと、傘下に取引先の雇用というのは大体六倍ぐらいございます。大企業の場合には、その雇用の人数の中にいわゆる国内雇用と海外雇用と両方ございまして、大体、平均すると一対一ぐらいだろう。

 そうしますと、今、これはそういったような論拠からの私どもの推定でございますけれども、国内雇用一に対して実際には大体十倍ぐらい、大企業の場合には取引先の雇用があるというふうに承知をいたしております。

 そういう意味で、これから告示を出す際に、ある程度定量的な目安というのも私どもとしては出したいと思っておりまして、私どもが今持っております、先ほど失業率に有意なる影響を与えるというようなことを申しましたが、そういたしますと、例えば五千万人の雇用に対して、取引先を含めて五万人ぐらいの影響を与える、そうすると、〇・一%ということになります。したがって、その〇・一%の影響を与えるぐらいの雇用規模の企業というのはではどのくらいかといいますと、連結ベースで大体五千人以上ぐらいの企業が実際にはそれぐらいのオーダー、マグニチュードを持つのではなかろうかというふうに思っております。

 今まだ財政当局あるいは各省とも調整中でございますけれども、告示に書く際に一つの目安としてその程度の、連結ベースで国内雇用が五千人規模、それが何を意味するかといいますと、国内の取引先を含めた雇用に与える影響が五万人程度あり得るということで、一つの目安にしたいと思っております。

 ただ、委員御指摘いただきましたとおり、実は、定量基準だけで単純にイエス・オア・ノーとやってしまいますと現実の事例を救えないという場合がございますので、ここは、幾つかの要素を組み合わせて説明責任を果たしていただくことで、個別のケースの弾力的な運用というのもお許しをいただきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 こういう非常時ですから、さまざまなケースがあろうかと思うんです。

 ただ、先ほど来、出資をすると。これは認識の問題で、やはりこれはいわゆる公的資金だ、私はこう思っておりますから、それを活用するに当たって、少なくとも損失が出たら税金で穴埋めをするわけですから、ある程度、その発動をするに当たっての法案の審議に当たっては、我々としては、イメージを持たなければいけない、こう思うわけであります。

 あらかた雇用については、おおよそのイメージができました。そういう方向であろうということを認識したいと思います。

 あわせてお伺いしたいんですが、その資本を注入するといいますか出資する段階で、これも確認ですが、経営責任というものは問われるんでしょうか。

高市副大臣 今回は、金融危機によって一時的に経営が悪化している、だけれども、一定期間内にまた回復が見込まれる事業計画を有するということで認定をするものでございます。経営を失敗してしまった破綻企業を救済するためのスキームではございませんので、したがって、今回、適用を受けた企業の経営者に対して経営責任を問うということはございません。

近藤(洋)委員 適用段階での経営責任は問わないと。これも、ある意味で、最初から経営責任を問うてしまうとだれも手を挙げない、こういうことにもなるでしょうし、今回の趣旨にかんがみれば理解できなくもないんです。

 ただ、問題は、お伺いしたいんですけれども、では、もしこれで経営に失敗した場合、損失が発生した場合、国としてはどうやって経営責任を問うのか。先ほどのお話で、議決権を持たない優先株、こういうことでありましたから、議決権がないとすると、株主としての権利もないわけであります。株主としての権利も持たない、出資のみ。そうすると、いかにして経営責任を問うといいますか、仮に、その経営計画が未達というか失敗をして、当該企業が将来的に経営破綻してしまって損失が発生してしまった場合、最終責任者の所管大臣、所管官庁はどのようにして経営責任を問うのか、また対応するのか、お答えいただきたいと思います。

石黒政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の出資円滑化のための損失補てん制度でございますが、実際に損失補てんを行う場合は、委員が御指摘になられたとおりでございまして、出資先企業が倒産等によって事業継続が困難になった場合ということになります。

 その場合には、当然のことながら、経営者というのは、辞任とかそういったことも含めまして、一定の責任をとるということだろうと思います。もちろん、例えば開示義務等に違反したといったようなことがあれば、そういった法令に違反する行為があったような場合には、賠償責任等も当然生じてくるということだろうと思います。

 ただ、これは、優先株ということで、普通株よりはいわゆる実際の回収の際にはプライオリティーが高いかとは思いますが、何分、出資なものですから、そういった普通株に比べて有利とはいえども、一定のリスクをしょって今回損失補てんの契約をさせていただくことは、御指摘のとおりでございます。

 国として、それについて、もちろん回収の努力はさせていただくとは思いますけれども、優先株としての性格の範囲内でやらざるを得ないということでございます。

近藤(洋)委員 ですから、なるほどそうだとすると、やはり今回は相当思い切った措置だと言わざるを得ないんですね。経営責任を問わないということは、まさにこれは、破綻処理型ではなくて、お役所側の説明を聞くと、輸血型なんです、こういう話でありましたけれども、輸血型であれ何であれ、当該企業が死んでしまえば損失を受けるわけであります。だとすると、経営責任を問うことはしないとなると、逆にその分、私は、大臣、大変重い十字架を経済産業省というのは負うんだと思うんですよ。

 先ほど、四つの要件ということをおっしゃいましたけれども、私は、その四つの要件の中にも含まれているかもしれませんけれども、経済産業省は、この資本注入を実行するに当たって、やはり産業競争力の強化というか、その企業を救うというだけじゃなくて、その当該産業を相当強化するという大義がないといけない、こう思うんです。

 それは具体的にどういうことかというと、経済産業省は、例えば業界再編だとか、そういった業界のグランドデザインみたいなことを含めたこともにらんだ青写真をきちんとつくって、そういった上で、ただ個別の企業を救うというだけじゃなくて、その産業をどういうふうに持っていくんだ、その企業の持っている技術を軸にどう日本の競争力を発展させるんだという、もう一歩、二歩踏み込んだグランドデザインが当然必要になると思いますが、いかがでしょうか。御答弁いただけますか。

高市副大臣 今おっしゃったとおりだと思います。

 この制度は、一時的に自己資本が大きく毀損して経営状況が悪化しているけれども、一定期間後には回復が見込まれる企業の資金繰りを救済するということが趣旨でございます。また、事業の再構築などを行って、企業の価値を向上させることを内容とする事業計画について産活法の大臣認定を受けた企業が対象でもございますので、事業再編などの取り組みにも資する、ひいては、それが企業の国際競争力というものを強めていく一つのチャンスになる、そのように考えております。

近藤(洋)委員 副大臣からも、まさに再編なんかも含めたことを考えなければいけないケースも出てくるでしょう、こういう話でありましたが、そうだとすると、本当に今回のスキームは、実は非常に野心的な経済産業省の思いが込められているように私は思ってしまうんですね。

 かつて、経産省が通産省、経産省のときは余り、名前が変わってからいま一つになったかと思うんですが、昔の通産省時代は、要するに司令塔として、すなわち各企業の調整を図り、そしてさまざまな法律をつくり、その上で独禁法との整合性を図りながら調整をし、また銀行団とも話をしということをされてきた。昔、小説で、城山三郎の「官僚たちの夏」に描かれたようなああいう世界ですよね。

 私も、新聞記者として十数年前、経済産業省を取材したときには、ぽつらぽつらとそういう官僚の方がいらっしゃいました。剛腕で、課長さんクラスで、それぞれの、例えばエチレンセンターの再編であるとか、電子部品の再編であるとか、企業の方々と本当に体当たりでつき合われて、そして銀行家とも融資を取りまとめてと、こういうことをされてきた。

 これは相当なことでありまして、正直申し上げて、この十年来の経済産業省の官僚の方々、一生懸命仕事をされているとは思いますけれども、果たしてそれだけの力量があるんだろうか、大丈夫なんだろうか。これは大変なことなんですね。本当に、各経営者と真剣勝負してつき合うということをしなければいけない。そういうことを果たして今の経済産業省はし切れているのかなと、応援団ですが、やや心配するわけであります。いわゆる原課というのがどこまで強くなっているのかな、こう思うわけであります。

 経産省の器が問われると思いますが、昔のそういうツールは持ったけれども何もできなかったというと、本当に経済産業省はもう要らない、こういうふうにも言われかねないと思うんですけれども、ここはあえて、そういうかつての通産官僚の生き残りのお一人である松永産政局長、大丈夫でしょうか。

松永政府参考人 近藤委員から、経済産業省、若い者を含めて全員に対して非常に激励の言葉をいただいたというふうに思っております。

 御指摘のとおり、出資の円滑化の措置は、もちろん出資そのものは例えば日本政策投資銀行が行いますので、金融機関としての責任というものは当然政策投資銀行がきちっと貫徹をする。したがって、出しただけじゃなくて、その出資が生きたお金として生きるように、他の民間金融機関とあわせてきちっとした対応をとるというふうに私どもは考えております。

 ただ、先ほどもお話をいたしましたように、産括法の認定を行う、要件に合致しているかどうかということを判断をする、かつまたそこに書かれた事業計画がきちっと実施をされるように、そこは事業所管大臣としてきちっと責めを果たす、こういう分担ではないかと思います。

 同時に、これだけの危機でございますから、当然、今非常に影響を受けている特に製造業につきましては、この危機をいわばチャンスに変えて、思い切った事業合理化、あるいは企業再編を含めた努力が必要だというふうに民間企業自身が真剣に考えているものだと考えております。

 そうした民間企業の思い、あるいは意気込みというものがきちっと成果として上がっていくように、経済産業省として、必要な環境整備をするなり、この出資という政策ツールを使いながらそういう政策を実現していく、これが私どもの責務だというふうに考えております。

 非常に、委員御指摘のとおり、これだけの経済環境でございますから、私どもが果たさなければならない役割というものは従前にも増して重くなっているというふうに考えております。

近藤(洋)委員 局長、要するに、経済産業省の中で何とかビジョンとかいろいろ、産政局を中心にさまざま、原局もつくられてきた、行政もやられてきましたけれども、今回のものは、そういったペーパーではなくて、生きた企業をどうするか、こういう話で、仕事の質もやり方も全く違う世界に踏み出す、こういうことだろうと思います。ぜひ、我々もこの法案を慎重審議させていただきますが、成立をした場合、経済産業省は本当に大きな責任も負うということをあえて指摘したいな、こう思います。

 生き残りという言葉が失礼に当たれば撤回をいたしますが、敬意を込めての言葉でありますので、お許しをいただければと思います。

 もう一つ、先ほど来これも議論になっているところでありますが、ただ一方で、こういった政策金融の役割、わざわざこういった複雑なことをしなくても、そもそも昔の開発銀行であれば自由にできたんだという北神議員の指摘もございました。私も全く同感であります。

 改めて大臣にお伺いしたいんですが、こういう大変な危機的な状況の中で、公的な金融を民営化するという方針は、少なくとも現在の経済環境下ではやはり一時凍結をすべきではないか、私はこう思っております。与党の中ですら、過ちを正すにはばかることなかれということで、凍結論が出ているやに聞いておりますけれども、政投銀、あわせて商工中金の民営化、ここに来て、一たん先送りないしは凍結をすべきかと思いますが、大臣、改めていかがですか。

二階国務大臣 政策金融改革におきましては、日本政策投資銀行等の民営化を進めながら、金融危機等の場合において、これらの機関が果たしてきた政策金融機能が適切に実施され、企業の資金繰りが円滑化されるように、危機対応制度を設けたわけであります。これは御承知のとおりであります。

 今般の金融危機に際しまして、日本政策金融公庫法の危機対応制度において、日本政策投資銀行や商工中金は、指定金融機関として、企業の資金繰り支援に懸命に取り組んでいるところであります。

 したがって、現時点では完全民営化の方針を云々するのではなくて、まずは危機対応業務の運営に全力を挙げて、借り手の立場に立った、いざというときに頼りになる中小企業の力強い相談相手になってもらえるようにというのが、当時私どもが皆様にもお願いし、危機対応業務としてのこの制度を残すというか、改めてここに確立する、こういう意味で、恐らく当時としては、特に閣内に議論があったわけでも異議があったわけでもありませんが、そんなにスムーズに危機対応制度ができ上がったわけではありません。

 そして、ようやくこれができてみて、今日こういう状況になったために、今この制度が随分活躍をしているわけでありまして、いましばらく様子を見ていただいて、今直ちに完全民営化の方針を云々するということに対しては、私は、今発言をする立場にはない、こういう思いでございます。

近藤(洋)委員 大臣、大臣の立場でそういう御答弁というのはよくわかるんですが、今、いわゆる竹中路線というのは、結果としてやはり間違っていた部分も多いんだということは多くの方が認めているところだと思うんですね。

 これは今売れている本ですが、中谷巌先生の書かれた本ですね。いわゆる竹中路線のブレーンだった方のざんげの書ということだそうであります。ここにちゃんと「懺悔の書」、こういうふうに書いてあります。本人も「懺悔の書」だ、こう書いております。

 この中に、私も全部を読んでいませんが、ざっと斜め読みでありますけれども、「「悪魔の碾き臼」としての市場社会」と、ここまで書いているわけですね。市場社会、行け行けといって、規制緩和だ何だと言ったのを、これは「悪魔の碾き臼」とまでざんげしているわけですよね、中心だった方が。こういうことで、見事に転向されているわけであります。

 また、大変気の毒な話ですけれども、竹中ブレーンの学者だった方が最近また事件も起こされておったようであります。

 そういうことも含めて、どうも論理的にあの路線というのは間違いだったんじゃないかということを多くの方が指摘されている、その中枢にいた人が指摘をしているということであります。

 百歩譲って、大臣のお立場で、こういう状況で、危機対応業務で何とか対応するということであるとするならば、私が御指摘したいのは、政策投資銀行にしろ商工中金にしろ、これから危機対応業務をやっていけば、また今回の法案に書かれているような資本参加をしていけば、自己資本がやはりだんだん減っていくんだろう、こう思うんですね。商工中金なども、決して厚みのある資本ではありません。

 現在の方向を現政府は、それは選挙もしないで方針転換はできないでしょうけれども、方針転換をするのは私も選挙でしかないと思っていますから、それはそれでいいんですけれども、少なくとも今の段階でできることは、資本を増強するということはできるだろう、こう思うのですが、いかがでしょうか。

高市副大臣 危機対応業務にしっかりと取り組んでいただくためには、やはり裏づけとなる予算措置は必要だと思います。全力で危機対応業務に取り組んでいただけるように、今後、財政当局と相談をしながら、どのような支援措置が必要かということで対応してまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 麻生総理はきのう、補正予算をすぐにやる、こういうお話を発表されたわけですね。報道によると、財政支出だけで十兆円、過去最大、こういうふうに言われているわけであります。ぜひその議論の中で、やはり政策投資銀行は財務省所管なのかもしれませんが、しかし、大臣、経済閣僚として、政投銀の資本の増強そして商工中金の資本の増強について、補正予算の議論の中でもぜひ前向きに取り組んでいただきたいと要望したいと思いますが、前向きに取り組んでいただけませんか、いかがですか。

二階国務大臣 今後、協議してまいりたいと思いますが、十分念頭に入れて対処したいと思います。

近藤(洋)委員 次は、話をいわゆるイノベーションファンド、正式名称株式会社産業革新機構についてお伺いしたい、こう思うのです。

 こちらの方、私は、いろいろな意見があろうかと思いますが、個人的には、このイノベーションファンドはいい発想で踏み出された、このように評価しているものであります。

 ただ、問題は、この四百億円の政府出資で足りるのか、官民合わせて八百億円、こういうことであります。政府が四百億出して、あと民間から四百億、こういうことですけれども、こういう経済環境の中で、果たして民間がどこまでついてきてくれるんだろうか、こういう不安もあります。

 これについて、さて、どのような施策を考えられているのかということをお伺いしたいのが一点と、あわせて、機関投資家、四百億円を民間から集める、こういうことでしょうけれども、もちろん事業会社からも集めるんでしょうが、一つの考え方として、年金資金、こういったものもぜひ活用すべきではないか、このように思うのですね。

 こういった年金資金の活用も含めて、少なくともこのファンドは、小さく産めば小さくしか育たないし、大きく産んで大きく育てるものだろう、こういうふうに思うわけでありますが、いかがでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 産業革新機構でございますけれども、全体の出資規模といたしましては、複数年で民間出資と合わせまして二千億円程度を念頭に置いておりまして、平成二十一年度予算につきましては、委員御指摘のとおり、政府出資金として四百億円を計上しております。

 一方で、民間資金も、政府出資に見合うような額を集めるべく努力をしているところでございますけれども、委員御承知のとおり、今の経済環境下におきましては、正直申し上げまして、必ずしも容易な状況にはないというふうに考えております。

 このため、例えば機構が分野別の投資事業組合に出資をするわけでございますけれども、こうした関心のある分野ごとに民間が投資をしやすい仕組みにする。あるいは、産業革新機構に実績のある民間人材を大いに活用することによって、民間として投資しやすい組織にする。あるいは、対象とする分野でございますけれども、これも、非常に発展性のある、成長のある分野というものをうまく案件組成することによって、民間がそういう案件に投資しやすい形をつくるというようなことで努力をしていきたいと思っております。

 いずれにしましても、今後とも、財務当局とも相談の上、出資能力の強化というものを目指していきたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 局長、そういった民間が出資しやすい仕組みをつくるということはぜひやっていただきたい、こう思うんです。

 さらにお伺いしたいんですけれども、先ほど申し上げたように、こういったものというのは、私は、そうはいっても日本の事業会社なりはなかなか、今こういう状況で、みずからの企業の資金繰りも大変なのに、どうだという経済環境だと思うんですね。

 ですから、御提案を申し上げたように、ここで年金資金、まさに年金のお金というのは、こういった長期の出し手として私は一番適していると思うんです。しかも、我が国の国民年金、厚生年金は百三十兆円あるわけですね。この百三十兆円の例えば一%でもこのファンドに行けば、一気に一兆三千億円ですよ。

 御案内のとおり、この年金資金は、ほとんど運用先は安定運用といいますか、国債を中心にした運用で、国内株と振り分けられていますけれども、こういった公的年金こそ、ごく一部でいいわけです、まさに安定運用という観点からも、投資の分散化というのは投資のイロハですよね。わずか一%でもいいんです。〇・二%でもいいですよ。〇・五%も要りませんよ。それでもいい。わずか〇・二、三%だけで数千億円のオーダーのお金が動くんですよね。

 これはもう釈迦に説法ですけれども、ベンチャーキャピタルへの投資というのは、米国で二十七兆円、EUで二十一兆円、日本は八千八百億円。米国、EUは、まさにそういった年金なりなんなりのお金がベンチャーに入っている部分もあるかと思うんですね。日本がおくれているわけでして、ここをぜひ進めていただきたい。

 なぜかというと、これは政府の中で、要するに厚生省にきちんと話をつければいいわけじゃないですか。厚生省の運用部というか、そちらに話をつけて、政府部内で、わずか〇・二、三%でもどうだ、運用は経済産業省が面倒を見る、こういうことなわけですから、そうすれば、日本生命初めさまざまな機関投資家も寄ってくるわけですよ。まさに、政府が責任を持ってやるわけですよ。

 ぜひ年金の活用というのを真剣に考える時期だと思いますが、いかがですか。

松永政府参考人 民間資金の取り入れにつきましては、国内のみならず、海外も含めまして幅広く取り入れる努力を今しておりますので、委員御指摘のとおり、必ずしもあらかじめ枠を設けることなく、可能性があるところについては幅広くこれからもチャレンジをしていきたいというふうに考えております。

 ただ、公的年金につきまして私ども承知している限り、その投資方針につきましては、今のところ、いろいろな制約があるというふうに承知をしておりますけれども、とにかく幅広くこれからも努力をしていきたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 この機構は、別に役人が運営するわけでもなく、民間の知恵を出して運営する、こういうことであります。ただ、要はお金を、国民の資産をいかに国民のために、そして将来の投資のためにそうやってお金を回すということをここは考えなきゃいけないので、このままですと、公的年金の運用も、座して死を待つがごとき、まさに目減りし続けているわけですから、どうやって生き金に回すかということを政府部内で考える必要があるということを申し上げている。まさにその器として、これも一つの考え方であり、経済産業省としても、そういう観点で、年金のお金をどう回すかということを考えていただきたい。

 もちろん、民間の厚生年金基金の連合会とも話をされたらいいし、適格年金、さまざまなものから話をされてもいいし、いきなり国民年金というんじゃなければ、ではまず公務員の共済年金からいこうじゃないか、こういうことでもいいかもしれません。いろいろ考え方があるわけでありますから、ぜひ年金のお金を使うということをこの局面で考えるべきではないか、こういうことは大臣に強く指摘だけさせていただきたい、このように思います。

 まさに、産業の金融の立て直しの話であります。血流をどういうふうにやって回すかという文脈の中で質問させていただいておりますが、こうしたさまざまなお金の回し方を考える上でも、そもそも論、民間金融機関の貸し出し態度というのが、やはり何だかんだ言って大事になるわけであります。

 そこで、この場でも議論されたことがございますが、金融庁は、三月十日に「金融円滑化のための新たな対応について」というものを出されました。貸しはがし、貸し渋りがないように、集中検査を実施するであるとか、緊急保証に係るリスクウエートの見直しであるとか等々書かれております。

 たまには金融庁もいいことやるな、こういうことを思っておるわけでありますが、問題は実効性でありまして、特にきょうこの場でお伺いをしたいのは、いわゆる財務制限条項、コベナンツ条項であります。

 この産活法の出資の議論においても、コベナンツ条項の制約によってなかなか資金の調達が困るという大企業を救うためにこういうことを考えている、こういう話がありましたけれども、そもそも、今回は百年に一度の緊急状態なんだから、このコベナンツ条項を弾力的に運用するといいますか、いわゆる二期連続赤字になったら機械的に融資を引き揚げるよだとか、総資産が七五%を割ったら融資を引き揚げるよとか、こういった貸し出しルールを今回は凍結しろということを強く金融庁が銀行に要請すべきだ、こう思いますが、金融庁、いかがでしょうか。

居戸政府参考人 お答え申し上げます。

 現下の経済情勢のもとで、民間金融機関が適切な円滑な資金供給を行うということは、民間金融機関にとって最大の使命の一つだというふうに私ども金融庁として考えておりまして、中小企業庁、経済産業省とも連携しながら、その環境整備に努めているところでございます。

 今先生御指摘の、三月十日にも追加的な対策を発表させていただきました。その中の、今先生御指摘のコベナンツによる融資でございますが、コベナンツによる融資というのは、担保とか保証に過度に依存しないように、担保とか保証のかわりにコベナンツという財務制限の条項をつくって、健全性を求めながら、担保とか保証はとらないでやっていこうということでございます。そういう意味では、担保とか保証に過度に依存しない融資を推進する中で、金融庁としても積極的に推進をしてきた、あるいは金融機関も推進してきてくれているところでございます。

 ところが、今、先生の御指摘のように、景気の急速な悪化が続く中で、売り上げの減少等により収益が悪化する企業等において、金融機関からの借り入れに係るコベナンツに抵触してしまうという事例が生じつつあるということも、私ども把握をいたしました。

 そういう状況を踏まえまして、金融庁といたしましては、経済産業省ともよく御相談をして、コベナンツの変更とか猶予だけをもって貸出条件緩和債権、いわゆる不良債権に当たるという判断をしないようにということを、監督指針に係るQアンドAで先般明確にさせていただいたところでございます。

 あわせて、金融機関に対しまして、コベナンツに抵触した場合であっても、借り手企業の経営実態や再建可能性について十分検討することなく直ちに債務償還等を要求することがないよう、また、コベナンツの変更、猶予に関する企業からの相談には迅速かつ真摯に対応するよう文書でも要請をいたしましたし、さらに、業界団体との意見交換会等におきまして、金融機関のトップに対して、コベナンツを機械的、形式的に取り扱わないように要請をしたところでございます。

 こういう取り組みをさらに続けて、積極的に要請をしてまいりたいというふうに考えておりますし、こういうことで、コベナンツの抵触自体が過度に円滑な金融を阻害することのないように、きちっと対応していきたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 言われていることはよくわかります。ですから、さらに一歩進めて、やはりこれから四、五、六、七、この期間が非常に心配なんですね。非常に心配をしているんです。ですから、この期間、特にことしいっぱいかもしれませんし、非常に金融が厳しくなる状況になりますので、このコベナンツの運用というんですか、金融機関に対して、緩和というよりも、ここをやや見逃しても問わないというぐらいの状況に業種によっては今だんだん落ちつつあるんじゃないか。すべての業種によってこういうことをしろと申し上げませんが、しかし、前年同月と比べて要するに操業が半分以下という企業が続出しているわけです。それは何も経営者の責任じゃないわけですよ。

 そういう状況をぜひ理解してもらいたいと思いますし、それを金融機関の方々は頭ではわかっているけれどもということですから、そこはやはり金融庁が行政主導ということでやっていただく分野だろう、こう強く重ねて申し上げたいと思います。

 また、改めて金融庁にお伺いしたいんですが、そもそも論で恐縮なんですけれども、そもそも、こうした銀行が、要するに銀行側も自分の自己資本が毀損されているから、株式の評価損が出ているから、したがって、分子が傷んでいるから分母を小さくする、貸しはがしをする、貸し渋りをする。貸しはがし、貸し渋りでなくても、融資態度が慎重になる、こういうことであります。この分子、分母、いわゆる自己資本比率規制、これはバーゼル合意といいますかBIS基準なわけであります。

 このバーゼル合意、BIS基準、そもそも紳士協定であるわけでありますが、こういったバーゼル委員会における金融の健全性、今、世界的に金融が大混乱した後でありますから、そもそもこういった金融危機に際して、銀行、金融機関が貸し出し態度を硬化させないような枠組みというか仕掛けというものをやはり真剣に議論すべきだろう、こう思うわけであります。

 この点について、金融庁、現在いかがでしょうか、お答えいただけますか。

大藤政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国も積極的に参画しておりますバーゼル委員会では、今般の国際的な市場の混乱も踏まえまして、自己資本比率規制、いわゆるバーゼル2が有していると言われております景気循環の増幅効果、プロシクリカリティーの抑制などの重要性が指摘されているところでございます。

 こうした点に対応するため、同委員会では、例えばストレス時に取り崩しが可能な資本バッファーを好況時に積み増すなど、バーゼル2の枠組みの一部見直しの検討が進められているところでございます。

 他方、バーゼル委員会では、現在の経済及び金融のストレスが継続している間は、世界的な最低所要自己資本の引き上げは行わないということもあわせて明らかにしているところでございます。これは、現下の金融経済状況における金融の円滑化の重要性を踏まえたものと私ども認識しております。

 こうした点につきましては、さきのG20会合においてもほぼ同内容のコミュニケが採択されているところでございまして、景気回復が確実になるまで最低自己資本を変更しないことの死活的な重要性について認識が共有されているところでございます。

 金融庁としましては、我が国金融機関の現状も踏まえつつ、国際的な議論に引き続き積極的に参画してまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 こうやって答弁を聞くと、なかなか難しい御答弁なので素人的にはわかりにくい部分もあるんですけれども、要は、やられていることは、私もよく説明を聞いて若干なりとも理解をしております。ぜひ、これは国益のぶつかり合いだとも思いますし、我が国の金融環境を踏まえた主張をしていただきたい、こういうことと、あと、要は、金融機関は、この数年間どっともうけて、もうけてもうけて、そしてそれを全部ボーナスにして、結果として自己資本を小さくしてみて、そういうことをやったりするわけですね。

 こういうことはやはりおかしいわけですから、それに対する規制であるとか、また、要するに株価がどっと下がったときに、ないしは市況が悪くなったときに、どんどんどんどん貸し出しを小さくしなければいけないような状況になっているわけで、それを少しマイルドにするような仕掛けとかというのは、恐らく賢明なる金融庁の皆さんならば十分考えていらっしゃるんだろうと思いますし、主張されていると信じておりますので、ぜひそういった仕組みをつくっていただきたい。だめだったらば、政府がどういうことをその委員会でやられたのかと我々は徹底的にまた検証していきたい、こう思っております。

 最後に、一問お伺いしたいと思います。

 今回の産活法の趣旨というのは輸血型、こういうことでありました。ただ、やはりこれからの経済環境を見渡すと、輸血型で済まない。余り考えたくはありませんけれども、輸血型ではなくて、本格的な再生型の対処ということも、企業によってはそういった本格再生ということも出てくるのではないか、こう思うわけであります。

 そうした対応の枠組みというのも場合によっては必要ではないかと思いますが、経済産業省、いかがでしょうか。それを伺って、終わりたいと思います。

松村大臣政務官 現下の厳しい経済状況を乗り切るためには、先生御指摘のように、企業の生産性向上の対策でありますとか、融資や出資の資金繰り対策、また事業再生の円滑化策など、まさしく政策を総動員して支援対策をつくることが必要であると私どもも考えております。

 現在、債権の買い取りや出資を通じて企業の経営に直接介入しつつ、事業再生を図る再生支援のスキームといたしまして、地域力再生機構法案が国会に提出され、継続審議となっております。本法案の早期成立を図ることで、同機構が有効に機能することを期待しておるところでございます。

近藤(洋)委員 時間ですので、終わります。

東委員長 これにて近藤洋介君の質疑は終わりました。

 次に、三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 質問をさせていただきます。

 先般の代表質問の際にも取り上げさせていただきました。また、きょうも北神委員やあるいは近藤洋介委員からもさまざまな疑問が指摘をされている、私はこの本改正案の問題点だと思っています、日本政策投資銀行など指定金融機関が、一定要件を満たす支援決定企業のために出資を行った場合に、日本政策金融公庫が損失の一部を補てんする措置についてお尋ねをいたします。

 まず、法文です。法文には、日本政策金融公庫の特例として損失補てんを行うことができるとしか書かれていません。この措置は、直接ではないにせよ、一般事業会社に対し、五〇%もしくは八〇%保証する形で公的資金を活用して資本注入を行う異例の措置です。

 考え方はさまざまあると思います。先ほど北神委員もお話をされていたように、私も、この措置のように、出資に係る形で公的資金を活用して政府が支援を行うことは断じてだめだとは考えません。非常時に何としても助けなければならない、ならぬと多くの人が納得をする形で、その対象企業に向けて、慎重かつ限定的に、公平に行われるのであるなら、支援の重要な選択肢の一つになると考えます。

 しかし、この措置は慎重かつ限定的に行われる異例の措置なんだという認識が大臣初め導入しようとする政府にあるんでしょうか。その認識がないんだったら、きっとこの対象企業はある意味安易に今後拡大もしていくだろうし、モラルハザードの問題も出てくるでしょうし、あそこを助けて、何でうちを助けないんだ、こういう話になって、国民の間から非難がわき起こることは必定なんです。

 だから、限定的な措置、異例の措置なのだという趣旨を明らかにする意味で、あの代表質問のときにも、どのような場合にどのように行うか、使うか、法文を定める必要があるんじゃないですかと強く経済産業大臣に尋ねたんです。この問いに対する大臣のお答えは、一言もありませんでした。

 そこで、まず大臣に聞きます。

 慎重に限定的に行わなければならない異例の措置だという、その認識はありますか。そして、もう一度聞きます、なぜ法文に制度の趣旨を定めないのか、せめて、どのような場合にどのように使うと明文化することができないのか、経済産業大臣、お答えください。

    〔委員長退席、中野(正)委員長代理着席〕

二階国務大臣 先日も本会議で御質問いただきました。

 今お尋ねのように、異例の措置だという認識は我々としては持っております。世界的な金融危機の影響により、金融機関からの融資が難しい状態にまで自己資本が減少する企業が生じるおそれが現にあるわけでありますから、これらに対して看過することはできないということで、緊急異例の措置として我々はこうしたことを考えておるわけでございます。

 したがいまして、今後、指定された民間金融機関の企業に対しての出資について生じる損失の一部を日本政策金融公庫が補てんする制度を改正産活法案に盛り込んだところであります。

 既に申し上げたとおりでありますが、本制度は、企業に直接公的資金を注入するものではございません。

 また、制度の趣旨を踏まえて、雇用規模が大きいことなど国民経済への影響が大きいと判断されること、本制度の対象企業の要件について、現行の産活法の認定基準と同様に、告示においてでも明示的に規定するという考えを持っておるわけであります。

三谷委員 大臣、緊急ということはわかります、今危機的な状況ですから。異例の措置である、それは認識をされている。だけれども、金融機能強化法は、これも緊急に必要であり、措置されたのですね。地域金融機関に公的資金を資本注入することをもって、一本の法律になっているんです。公的資金による資本注入は、それだけ重い措置だからです。

 先ほど大臣もお話の中で言われました、直接ではないからと。直接ではありません、確かに。だけれども、出資に係る、通常は融資までです。だから、異例の措置なんですね。損失補てんとはいえ、公的資金が活用されるんです。だから、直接ではないから、これは重い措置ではないということはありません。金融機能強化法の場合は、貸し渋りを防ぐために金融機関に公的資金を注入する。それよりも、一般事業会社に出資に係る支援で、直接ではないにせよ公的資金が活用されるというのは、重い措置なんですよ。

 だから、緊急ならば、せめて法文の中で、いわばこの話というのは、産活法という法律、直接このスキームに関係があるわけではありません。できるという形で、取ってつけた措置なんです。軽い認識だということを考えざるを得ません。

 ずっと答弁を聞いておりましたら、大臣告示だということで逃げ続けておられる。でも、それはおかしいでしょう。おかしいですよ。行政府が大臣の名前で、言葉は悪いですけれども、後で勝手に定められるんですよ。審議にかからないんです、それは。金融機能強化法の場合は、やはり重い措置だから、審議をして法律にしたわけではないですか。本当におかしいと私は思います。

 次に、その大臣告示でありますが、まず、支援対象の企業の要件の内容を、経済産業大臣、詳しく説明してください。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 要件につきましては、産活法の認定を受けるということに加えまして、四つの要件を満たすということが必要であるということで今検討中でございます。

 四つについて申し上げます。

 第一に、世界的な金融危機の影響により急激に売り上げ等が悪化をし、自己資本が減少しており、融資だけではなく出資が不可欠な状況にあること。二番目に、一定期間、原則三年のうちにその企業の価値向上が見込まれるものとして、産活法の大臣の認定を受けた事業計画を有している企業であること。三番目に、雇用規模が大きい企業、またはこうした企業に代替困難な基幹部品等の相当割合を供給している企業など、国民経済の成長や発展に及ぼす影響が大きいと判断されること。それから第四点に、出資を前提としまして、出資先の企業に対して、他の民間金融機関が融資または出資を行うなどによりまして協調して認定された事業計画の実現に取り組む予定であるということ。

 この四つの要件につきまして、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、告示で明確にしていきたいというふうに考えております。

三谷委員 一つ、制度の趣旨が今のところどこにも書かれていません。大臣告示の中で定められるんですね。それをお答えください。

 もう一つ、大臣の答弁の中にも、詳細な制度設計については検討中、あるいは、今までの審議の中でもこのお話に、調整中とか検討中とかということがありました。公布即施行の話なんです。今調整中とか検討中とかはないというふうに思います。なるべくこの審議の中でも明確にしてください。

 あわせてもう一つ、要件の一つです。先ほどの最初の要件です。融資だけでなく出資が不可欠な企業、どういう企業ですか。局長、お答えください。

石黒政府参考人 この法律につきましては、具体的な、定量的な要件といいますのは、基本的にはすべて大臣告示の中で定めさせていただいております。

 先ほども御説明いたしましたが、例えば生産性の向上要件でありますと、ROEの二%向上といったような目標がございますが、これはすべて、詳細としては告示の中で落として説明をさせていただいております。

 それから、出資につきまして要件がないのはおかしいではないかというお話でございましたが、御案内のとおり今回の措置につきましては、一種のみなし規定の格好で措置をさせていただいたという意味での実は法律上の制約がございまして、こういうたてつけになっているということでございます。

 本日、私どもの方で答弁をさせていただいておりまして、幾つかの定量的な基準、既にちょっと幾つか御説明をさせていただきましたが、こういったものをきっちり告示の形で定めさせていただくというのが私どもの今現在の考え方でございます。

三谷委員 融資だけでなく出資が不可欠な企業、どういう企業をいうのですか。

石黒政府参考人 総合的に、もちろん財務諸表等を拝見して決めるわけでございますけれども、一番典型的なパターンといいますのは、先ほどもちょっと御議論ございましたコベナンツといったようなものの中で、いわゆる出資、これは、融資をこれ以上する場合には、もうちょっと自己資本が厚くなければだめだよといったような意味での制約がかかっているといったようなことが典型的なパターンでございます。

三谷委員 コベナンツ条項のことはわかっています。

 もうちょっとわかりやすく言えば、支援を差し伸べなければ倒れる企業なんです。出資が不可欠な企業というのは、まだ生きているけれども、ここの場合は、このまま手を差し伸べなければ倒れる企業のことを指しているんです。

 確認をしますけれども、当初からさまざまな話があって、資本を上げて、増強して、今申し上げたような企業でなくても融資は確かにされやすくなる。促進をするためだけの話ではない。それだったら対象企業はめちゃくちゃに広がるんです。ではなくて、どうしても助けなければならない企業で、この場合の出資が不可欠な企業というのは、ほうっておくと、助けなければならない企業で、倒れてしまう企業のことを指しているんです、それでいいですね。

石黒政府参考人 繰り返しになりますが、実は私どもは、本当の破綻型処理の前提でこの出資は予定をいたしておりません。

 ただ、先ほど局長が御説明申し上げました四つ目の要件のところで、市中金融機関の協調した出融資があるといったようなことを御説明申し上げました。

 もうちょっと具体的にお話を申し上げますと、民間の金融機関が、実際にはこの企業に貸したいんだけれども、コベナンツ条項なんかにひっかかっておってこれ以上だと契約上は貸せない、もうちょっと自己資本を厚くしてくれといったような状況のときに出資をさせていただくというようなことが、基本的な趣旨でございます。

 ただ、先生御指摘のとおり、あるところまで追い込まれているというのも、全くそれは御指摘のとおりだと思います。

三谷委員 次に、先ほども各委員からのお尋ねの中にもありました、雇用規模が大きい企業、先ほど審議官のお話でしょうか、五千人ということがありました。本当に五千人ですか。これだと大変支援の対象企業は大きくなります。また、さまざまな話もあります。あるいは、代替困難な基幹部品の相当割合を供給している企業、これは三割から五割だと。もうちょっと明確に、相当割合あるいは企業規模、雇用規模は何%か、あるいは何人か、お答えください。

石黒政府参考人 先ほど御説明いたしました雇用のところをもう一度整理をさせていただきます。

 ある民間の調査機関の一つの調査結果といたしまして、大企業の場合ですと、雇用数一に対して大体平均して六倍ぐらいの関連取引先の雇用があるという統計がございます。さらに加えまして、大企業の場合ですと、従業員の数の国内と海外の比率が大体一対一ぐらいになっているという状況がございます。

 そういう状況の中で、先ほどもちょっと御説明いたしましたが、その企業がもし仮におかしくなった場合に、どの程度の影響が及ぶのかというのを考えましたときに、一つの目安としまして、失業率が例えば〇・一%ぐらいまで影響を与えるということが一つの目安かと思っておりまして、そうなりますと、実は五万人。五万人との関係におきますその当該企業の連結ベースの雇用数というのが、一つの目安として、先ほどの推計でいきますと五千人ぐらいが一つの基準かなというふうに思っております。国内の分が五千人というところで見ますと、ざっと私どもがちょっと上場企業等の数なんかを数えてみますと、大体四百社強でございます。

 現実には、そういったものは一つの目安でございまして、それ以外に幾つかの要素を組み合わせながら、私どもとして説明責任を果たせる範囲で支援をさせていただきたいというふうに思っております。

三谷委員 もう一つ、この要件のことで、四つ目の要件に係ることです。

 当該出資を前提に、出資先企業に対して、他の民間金融機関が融資または出融資を行うことなどにより、要するに協調融資があるかどうか、認定計画の実現等に取り組む予定であること、私は大事な要件だとは思います。他の民間銀行がついてくるのかついてこないのか。大事な要件だと思いますが、現実的な話なんでしょうか。さっきも、出資が不可欠な企業とはどういう企業ですかとお尋ねをいたしました。出資が不可欠な企業で今この要件を満たすというのは並大抵のことではありません。要件を満たす企業というのはあると思いますか、それをまず聞かせてください。

石黒政府参考人 先ほど来何人かの委員の方々から御議論ございますけれども、民間の金融機関がついてこないようなケースというのは、実は、どちらかというと、もはや私的整理にいかざるを得ないようなところまで追い込まれた企業、すなわち、かつてでありますと、産業再生機構といったような組織によって支援をされるようなことがございました。あれは議決権もとりにいきましたし、それからまた、その出資をした段階の中で債権の買い取り等を行って再生をしていったという状況でございます。

 今回のケース、先ほど近藤先生からも御紹介がございましたが、私どもは、栄養注射とか、あるいは輸血であるというようなことを申し上げておりますが、その前の段階で、むしろ民間の金融機関の方が、もうちょっと貸したいんだけれども今のままだと財務諸表上は我々貸せませんよと、したがって、もうちょっと資本増強してもらえませんかと言われるような案件、その段階で私どもの方に御相談がある、あるいは政策金融機関の方に御相談があるというようなステージで処理をさせていただくというのが基本的なイメージでございます。

 ですから、私どもとしては、むしろ今の段階はそういった企業の方が結構多いのではなかろうか、逆に、年後半、もしこういった景気情勢が延々続いてまいりますと、むしろ、先ほど申しました、私的整理型の企業再生が求められるようなケースがさらに出てくる可能性はある。そういったときには、地域力再生機構といったようなものが機能してくださることを私どもとしては期待をしておるという状況でございます。

    〔中野(正)委員長代理退席、委員長着席〕

三谷委員 例えば、政投銀が行ったUSJのケースというようなものもあります。だけれども、これは私のイメージでありますが、ここで想定されているのは、先ほど来申し上げているように、まさに今危機的な状況の中で、このままだったら倒れてしまう、だけれども、雇用規模も大きい、経済に大きな影響を及ぼす、見逃すわけにはいかない、助けなければいけない、出資に係る措置を行っても、それが想定をされているんじゃないでしょうか。

 一つ例を挙げます。たまたま別の問題で取り上げた同じ政投銀のケースです。

 JAL融資のことを私は取り上げたことがあります、JAL向けの融資。そのときには、状態は、今ここで想定されている企業よりもJALはもっといい状態だったんだと思います。

 協調融資をやらないといけない。みずほも、東京三菱UFJ、三井住友、三行がメーンバンクで、結局どうなったか。政策投資銀行が七六%、ずっと隠しておられたけれども融資をされて、残りの二四%、四分の一、それも本当に渋々、引っ張り込むような形でやっとその協調融資が成り立った。

 だけれども、この想定されるケースで本当に今おっしゃられたようなことになるんですか。私は非常に難しい話だと思うんです。

 だから、そのことも考えて、机の上だけで考えるのではなくて、さまざまなケースを考えて、この認定要件のところも、私はまだまだ甘い話だと思います。これでは、本当に助けようというところが助けられないかもしれない。どうでしょうか、お考えは。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、先ほど御説明させていただきました四つの要件ということを明確にして対応していきたいと思います。

 御指摘のとおり、過去いろいろなケースがございまして、こういう金融情勢でございますので、その他の民間金融機関に同じような形で協調融資をして努力をしていただくということは非常に難しいケースもあろうかと思います。

 ただ、先ほども御答弁申し上げさせていただきましたように、要は、経済産業省として、この企業は出資が必要で、国民経済の観点からこれは何としても実現をしなければいけないという場合に、やはり大事なことは、その企業がつくる事業計画というものがきちっと理解をされるということでございますし、その事業計画をつくる過程ということについて、経済産業省としても、きちっとよく連携をして、その内容を精査して、その中身が他の民間金融機関にとりましても十分納得できるものである、そういうものにしていくということが大事なのではないかというふうに考えております。

三谷委員 私は、大事な要件だと私は思うと最初に申し上げたとおりです。

 今お話があったように、認定計画、すなわち、これは、一定期間、原則三年、企業価値の向上が認められる事業計画の中にその協調融資の約束が担保されなきゃいけないんですよね。判こを押さなきゃいけないんですよ。判こを押してくれるような話になるのかどうかということを聞いているんです。大事なことですよ。民間銀行がついてきてくれるのかどうなのか。その企業が生きるのか生きないのか、判断してもらうのに大事なことですよ、大事なことだと言っているんです。だけれども、印をついてくれるんですかということを片方で問うているんです。

 だから、もうこれ以上は問いませんけれども、よくそこは柔軟に考えて、認定要件そのものを現実の話に仕立てていかないと、ただここに、文言に書かれていることだけではありません、現実の金融の話なんですから。それをよくお考えください。

 次に、この措置に係る支援先企業、これはだれが、まさにこの要件のもとでどのように決めるんでしょうか。これは経産大臣、御説明ください。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 幾つかのステージがございますけれども、日本公庫法による指定を受けた民間金融機関が企業への出資を検討する場合、まず、通常の条件で出資が可能か、損失補てんが付された出資であれば可能なのか、あるいは損失補てんが付されても出資できないかということを判断することになろうかと思います。

 一方、損失補てんが付された出資が可能と判断した場合であって、その企業が産活法の告示等で定める要件を満たす企業であった場合には、この制度に基づきまして出資が行われることになると考えております。

 業所管大臣でございますけれども、この産活法に基づく計画の認定の際に、企業が産活法の告示で定める要件、これまで御説明をさせていただいております要件を満たしているか否かについて判断することになります。

 一方、日本政策金融公庫でございますけれども、損失補てんを行うか否か、損失補てんの割合について判断をすることになるかと思います。

 数多くの機関がある意味ではこの出資についてかかわっておりまして、それぞれをいわば整理して申し上げますと、こういう形になります。

三谷委員 今の話はよくわかりました。業所管大臣は、事業計画認定の際にその決定にかかわるんですね。そして、経済産業大臣は、もちろん業所管大臣としてはこの認定にかかわるのでしょう。全体の責任の話としてどのようにかかわるんでしょうか。

松永政府参考人 政府側として、この出資の円滑化制度にかかわる大臣といたしましては、産活法の認定にかかわる業所管大臣と、日本政策金融公庫が実施をいたします損失補てん、これは危機対応業務でございますので、危機対応業務の所管大臣、両方の要素がございます。

 製造業の場合について申し上げますと、経済産業大臣は、この産活法の業所管大臣それから危機対応業務の担当大臣という形でかかわる、こういうことでございます。

三谷委員 先ほど近藤委員からも指摘がございました、先般の大臣答弁の中でも、最終的に判断するのは政策投資銀行だということしかなかったんですね。わかります、それは。最後に出資をするのかしないのか決めるのは政策投資銀行でありますから、それはわかります。だけれども、これは重い措置に係ることです。だから、もう一回、再度確認をいたします。

 支援先企業の決定は、これは業所管大臣並びに経済産業大臣がその責任を負うということでありますね。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来お答え申し上げておりますように、今、三谷委員御指摘のとおり、具体的な出資そのものについて最終的に実施をいたしますのは、日本政策投資銀行になります。

 ただ一方で、業所管大臣という観点で、製造業の場合には経済産業大臣が産活法の認定を行いまして、その事業計画を見て、それで、これについては出資が必要だということであれば、その出資が実現をするように早い段階からいろいろなレベルで政策投資銀行と連携を行っていく、それが実現できるように最大限努力をするというのは当然のことだと思っております。

 また同時に、日本政策金融公庫、損失補てんの所管大臣、これは経済産業大臣だけではございませんで、ここの部分は財務大臣、農林水産大臣と、三大臣でございますけれども、三大臣でその部分については責めを果たす、こういうことであろうかと思います。

三谷委員 わかりました。

 そして、先ほど決定の要件のところで、雇用規模について五千人ということで本当にいいんですかと申し上げました。そのことにもかかわることです。

 この支援措置の限度額、国の保証の限度額は、これは資金繰り支援の融資の損害担保分と合わせて約一兆五千億円です。これはわかっています。正確には限度額ではありません。どこまで対応できるかということでいえば、政投銀以外に多分手を挙げてくれるところはないでしょう。政策投資銀行そのものの財務内容にもどこまで対応ができるかということがかかっています。

 出資の支援だから、これは自己資金の中での対応ということになります。日本政策投資銀行の場合、自己資金は約一兆円です。国がこのスキームによって部分的にリスクをとるわけですから、少しばかりは、あるいは、ある程度は上がると思います、対応できる額は。それが幾らぐらいになるのか、幾らぐらいだと経済産業省は考えておられるのか。当然、緊密な相談をしていることだろうというふうに思います。どれぐらいになると考えておられるんでしょうか。経済産業省、お答えください。

松村大臣政務官 お答え申し上げます。

 現時点におきましては検討中でございまして、具体的には、出資の総額、出資規模については想定しておるわけではございません。しかしながら、先生御承知のとおり、平成二十一年度当初予算案で、日本公庫による損失補てん枠として一兆五千億の枠を用意しております。本法案が成立すれば、その枠の一部を出資の損失補てんに充てることが可能となります。

 なお、本制度につきましては、対象企業は一定の要件を満たす認定企業に限定されることや、指定金融機関の財務基盤等を勘案する必要があることから、融資に比べておのずと規模は限定されるものと考えております。

三谷委員 政務官、そんなことは今私が言ったじゃないですか。

 だから、私が聞いているのは、一兆五千億積んでいるのはわかります、融資分と合わせて。もっとその前に制約があるんでしょうということを言っているんです、政策投資銀行でどれぐらい出せると。正確な数はそれはわからないんですよ。だけれども、当然それは、どれぐらいの支援件数を想定して、あるいは、さっき雇用規模のことを言いました、それだってかかわる話でしょう。どれぐらいを想定しているんですか。

松永政府参考人 今、松村大臣政務官からお答え申し上げましたとおり、現時点で、政投銀等も含めて、具体的な対象企業を念頭に置いて、それを積み上げますとどのぐらいの規模になるのかというような想定を持っているわけではございません。

 また一方で、先ほど来御説明しておりますように、要件というのは、ある意味では明確かつかなり高いハードルになっておりますので、融資に比べますとおのずと規模は限定されることになろうかと思います。

 ただ一方、三谷委員御指摘のとおり、政投銀の今の財務基盤という観点からしますとおのずと制約があろうかと思いまして、それはそんなに大きな額ではございませんで、数字としては一千億円台の下の方なのではないかというふうに、これは私どもで推測をしております。

三谷委員 全くおっしゃるとおりで、多分一千億あるいは二千億、そんなところが対応の限度ということになるんじゃないでしょうか。

 このスキームで、先ほど来お話もしています、まさに想定されているのは、多分中堅企業もあるかもしれないけれども、重要部品等のお話で。だけれども、いわゆる雇用規模の大きい大企業が想定されているんじゃないですか。報道等で既にもう名前も挙がっている企業もあります、心ならずも。

 例えば、その対象が自動車メーカーだった場合、手を挙げるところが、そして支援決定がなされるところが自動車メーカーだった場合に、想定される額は、出資にどれだけ入れるか、二百億とか三百億とか、そんな額になるんじゃないですか。ならば、何件ぐらい、それは見えないところが多いからわからないけれども、ざくっとでも、例えば何十件もできるんだ、でも、制約からして何件かしかもうできないというようなことだってあるわけじゃないですか。

 例えば、この話というのは、さっきも雇用規模のことで本当にいいんですかということを聞いたのは、最初に手を挙げて、お金がなくなったから、政投銀の限度額の限度になって対応ができなくなったから、これで終わりですと。最初に手を挙げたところが助けられて、後で手を挙げるところが助けられないというような話になったらいけないんです。

 そういうことも考えて、認定の要件を定めていますかということを問います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございまして、よくその実態を踏まえながら、対象企業の要件につきましては定めていくべきだというふうに考えております。

 そういう意味で、私どもも、関係金融機関あるいは関係業界の状況等も含めまして、省内でいろいろな形で状況を判断しておりまして、そうした実態判断を踏まえまして、基本的には先ほど申し上げましたような四つの要件ということで、今後、告示の中でこの四つの要件を明確にしていきたいというふうに考えております。

三谷委員 もう一つ、この措置のことでお尋ねをいたします。

 損失補てんの割合についてお尋ねします。

 先般の代表質問でもお問いかけをいたしました。損失補てんの割合について、今も関係省庁、これは財務省ということです、関係省庁と調整中になっていると大臣答弁でありました。その答弁の中で、「既に危機対応業務の融資に適用されている損害担保契約の基準も参考に、五〇%を基本としつつ、特に必要と認められる場合には、原則として最大八〇%とする考え」だと大臣は述べられました。

 失礼ですが、大臣は、このスキームの意味をよく理解されていないというふうに思います。あるいは、そう申し上げざるを得ません。融資に適用される損害担保契約の基準を参考に、五〇%が基本で、最大で八〇%までと。これは、出資に係る支援として損失補てんをする措置です。融資の際の損害担保契約の基準、マトリックスですね、それを適用したら、ただでさえ、今もるる議論をいたしました、支援先を決めるのにその決める要件のことだけでも、どこをやってどこをやらないわけにはいかないので、大変繊細で複雑な話になるのに、そのマトリックスでどこだったら何%、どこだったら何%と格付ができる話ではないんです。これは、出資に係る支援の話なんです。出資に係る支援で、この異例の措置でどうしても助けなければならないとする企業を助けるか助けないかの話なんです。

 だから、一言で言えば、シンプルでなければいけない。でき得れば、五〇%なら五〇%、七〇%なら七〇%と、幾ら補てんをするのか、その基準は一つであった方がよい、シンプルであればあるほどいいんです。マトリックスであってはならない。だから、大臣、損害担保契約の基準を参考になどと言ってはいけません。

 そこで、財務省にもお尋ねをいたします。

 今調整中ということに大臣答弁でもなっています。今申し上げたとおり、同じ政府ですから、この措置を行うことを認めておられる。予算措置もされておられる。今申し上げた意味を理解いただいて、その基準を明確にしていただくように、先ほどの大臣答弁の中にあったような、五〇%が基本で最大八〇%だということで調整中ということになっていますけれども、基準を明確にしていただくようにお願いをいたします。お考えを聞かせてください。

宮内政府参考人 お答え申し上げます。

 損失補てん割合についてのお尋ねでございますけれども、この考えの場合、最初に、公庫法におきまして、公庫が補てんするのは損害の一部というふうにしておるということが非常に重要なことでございます。なぜ一部の補てんとしているかといいますと、これは、指定金融機関にリスク負担を残すことを通じまして、その金融審査能力を活用するという観点を踏まえたものであるということでございます。

 こうした損害担保の考え方を踏まえまして、改正産活法に基づく出資の損害担保契約の補てん割合につきましては、本会議でも経済産業大臣から御答弁がありましたように、五〇%を基本としつつ、特に必要と認められる場合には、原則として最大八〇%とするということを基本にするわけでございます。

 その際、具体的には、危機対応業務の中で既にございますけれども、リスクの高い案件かどうか、また融資額が大きいかどうかということも勘案して損害補てんの割合に差を設けるということも検討対象となっているというふうに考えているところでございます。

三谷委員 経済産業大臣、今、宮内参事官は、私も何とも申し上げようのない答弁をされました。

 もう一回端的に申し上げます。基準を明確にしなければなりません。逆に大変なことになりますよ。大変なことになる。もっともらしくマトリックスの話をされましたけれども、できるわけないじゃないですか。融資の話なら違いますよ。融資の話なら格付ができるんです。格付なんかできるわけないじゃないですか。何であそこは六〇%でうちは五〇%なんだ、あそこは八〇%でうちは六〇%なんだというような話が、ただでさえ、支援先を決めるのだけでもこれだけ複雑な話なんです。繊細な話なんです。加えて、これだけの危険度だったらこのパーセンテージというようなことをやったら大変なことになりますよ。

 だから、融資の話と違うんですということを言っているんです。基準を明確にしなきゃいけない。

 明確にしてください。お願いします。

石黒政府参考人 委員御指摘の点で、私どもの方でこれから努力させていただきたいと思っておりますのは、原則五〇%、その上でリスクの高い案件については八〇%というようなことで補てん割合を引き上げる。リスクの高さというのは、先ほど宮内参事官もちょっと御答弁になりましたが、結局、出資先企業の格付とか出資規模、この二つによって決まってくるものだと私どもは思っております。そういった二つの中で、先生御指摘のとおり、ある種わかりやすい明快な基準というのを定めさせていただきたいと思っております。

三谷委員 もう質問時間が来ましたので、最後にコメントだけいたします。

 一つの方が絶対にいいというふうに思います。今お話しされたことはあります。だけれども、支援先を決めて、五〇%では政投銀がううんと判断できなくて、踏み込めなくて支援を見送る、その場合には八〇%というような、きっとそんな話でしょう。

 だけれども、それこそ何で政策投資銀行の判断を最終判断にするのか。要件の中にも、私も指摘をしましたけれども、民間金融機関が協調でついてくるかついてこないか、その判断を入れているというのは、まさにそのことでしょう。

 だから、それは二通りであったとしても、複雑にしてはいけません。そのことを最後に申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて三谷光男君の質疑は終了いたしました。

 次に、下条みつ君。

下条委員 民主党の下条みつでございます。

 朝からなので、最終バッターになりました、大臣、どうもお疲れさまでございました。(発言する者あり)失礼しました、吉井さんがいらっしゃいます。先生、申しわけないです。民主党の最終バッターでございます。失礼いたしました。

 というわけで、私もちょっとぼうっとしておりますが、時間厳守ということで御質問をさせていただきたいと思っております。七番手、八番手ぐらいになってくるともう言うことがだんだんなくなってきまして、ただ、ちょっとダブる部分はあるかもしれませんが、できれば、論客としてではなくて、大臣の温かい御答弁をいただきたいなというふうに思っております。

 まず、単純に数字からいきますと、産活措置法の第二会社方式というのは平成十七年度から始まっている。十七年が四十六件、十八年が五十件、十九年が七十一件、二十年が三十七件ということでありますね。まず、この件数に対して、簡単に言えば各県で年間一件ぐらいということになると思うんですね。これは何でこんなに少ないのかと、単純に私はクエスチョンであります。

 まず、ここら辺のお考えをきちっとお聞きしておかないと、せっかくいいものをつくっていただいても、三十数件ということですので、経産省の方の御意見をお聞きしたいと思います。

長谷川政府参考人 事実関係にかかわることでございますので、私からの答弁をまず許していただきたいと思います。

 今、下条委員からお話があったような数字でございますが、中小企業の再生の場合、再生協議会というものを全国の各都道府県に置いておりますけれども、やはり実態に即した再生というものが何といっても大事だ。これは融資もそうですし、日ごろから御審議いただいているすべてのマターはそうだと思っております。

 そういたしますと、まず、第二会社かどうかということに入る前に、債権者が持っている債権を部分あるいは全部放棄していただくかどうか、これは、金融の実務の御経験がある委員におかれましてはよく御存じだと思いますけれども、そのときに、どうしてもやはり経営者責任ということが伴ってくるわけですね。そこで、中小企業の経営者、やっている御本人が望まれる再生の手法というのをまず十分お伺いして、できればそれを尊重したいという気持ちがどうしても出てまいります。

 そういたしますと、第二会社に入るかどうかということの前に、既存の債権、中小企業者から見ると債務ですけれども、それの放棄をある種一つの仕組みで合意でやってもらうかどうか。やってもらうとなると、やはり経営者責任ということにどうしても入ってきますので、そういう意味で、いわゆるリスケという手法の再生方法というようなことで処理される案件が多いというのもまず事実でございます。それで、資料等々を御所持されていると思いますけれども、その中で経営者責任というのをいろいろな形でとっていただいて、第二会社方式というものが債権の放棄を伴うものの中で出てきて、その割合が最近ふえている。

 ここから先は余りせんさくといいますか推測をしてはいけないのですけれども、残念なことに、最近は、全体の経済状況が大変厳しいものですから、処理をしなければいけない、再生をしなければいけない対象の債務の額というのが総体的にはだんだん規模がふえている。そしてその中で、資金繰り対策をいろいろさせていただいています。だとすると、どうしてもぎりぎりまで決断というものを、そう簡単にするのがいいのかどうか、こういったような事情もあると思います。

 一つ、第二会社方式をそういう意味でとるということを決めた上で、種々のメリットは指摘されておりますけれども、これまで弁護士会あるいは公認会計士協会、そういった実際の処理を先導される、主導される皆様方の意見を伺いますと、やはり多くの場合、事業について行う許可であるとか認可であるとか登録であるとか、そういったようなライセンスを所持されていて、それが法人格が変わるわけですから、そのものへの特別の承継の手当てがない法律といいますか、そういうライセンスの種類のもとでは、当然に新しい主体にそれが引き継げない。引き継げないということになると、すぐに事業が始まらないから、収入が来るかどうかわからない。収入が来るかどうかわからないと、そこに、債権放棄をする、あるいは場合によっては新規にお金を融資する、こういったことに自信がとれない。だとすると、またそこで、新規に立ち上がるときに資金がないから回らないという、こういったある種の負の循環があるというふうに言われております。

 そういったような専門家の皆さんの意見を踏まえて、私ども、第二会社方式が本来持っているメリットに比べれば、必ずしもフルに活用されていないんじゃないか、ちょっと長くなりましたけれども、このような認識を持っております。

二階国務大臣 ただいま長谷川長官から申し上げたとおりでございますが、このような厳しい経済情勢の中で、第二会社方式を活用して、中小企業の抜本的な事業再生を図り、また取引先の連鎖倒産を防ぐということを重要視しているわけであります。

 平成十五年から二十年末まで、全国の中小企業再生支援協議会において再生計画を策定し支援した案件のうち、第二会社方式を用いた案件は二百二十四件に上ると報告を受けております。

 第二会社方式の活用に当たっては、昨年、日本弁護士会あるいは日本公認会計士協会を初め、事業再生にかかわる実務家の要望等をお伺いしました。その結果、許認可の再取得、事業の承継に伴う租税負担、事業を承継する第二会社の資金繰りというこの三つの課題について、私どもは御意見をちょうだいしたわけであります。

 このため、改正産活法案においては、第二会社方式を活用した事業再生のネックとなる、ただいま申し上げました三つの課題を克服するための措置を盛り込んだわけであります。具体的には、本法案では、中小企業承継事業再生計画の認定制度を創設し、事業の継承と同時に営業上の許認可を継承する特例を措置するとともに、計画認定の効果として、事業の継承にかかわる登録免許税、不動産取得税の軽減、第二会社への低利融資、信用保険法特例という三つの措置をあわせて講じるものであります。

 今後、第二会社方式を活用した事業再生が促進されるものと考えております。

下条委員 政府委員、大臣から丁寧なお答えをいただきましてありがとうございます。

 結論を言えば、何で第二会社方式を使うかということですね。それはまずは、もう釈迦に説法ですけれども、中小企業頑張ってくれよと。そのときに、今おっしゃった幾つかのライセンスの問題等々ありますけれども、現実問題として、去年の十二月までに、支援の相談には一万六千五百二十六社が行った。その中で、結果的にはこの件数ということは、約一・二%の会社しか使えなかったということですね。九九%の会社は使えない会社支援法であったということですね。これは僕としても非常に残念だというふうに思っています。そこで、これを改正してということになると思うんですね。

 私は、そもそも、何でこれをやるかというと、やはり中小企業が元気になり、また、物を借りやすくするためだと思うんです。

 ここで私は、一つ御質問をしたいと思うのは、確かにいろいろな、例の緊急保証枠二十兆とか、それからセーフティーネット貸し付け十兆とか等々あって、きょうもいろいろ出ております。いろいろな方が使って、保証枠が随分追加、消化されてきたというのは事実であります。これは、それなりに成果はあるのかなという感じはしています。

 一方で、一月に、日本政策金融公庫が保証先中小企業金融動向調査というのを出しまして、中小企業が借り入れが容易になった割合から困難になった割合を引く、容易になったから困難を引くんですね。つまり、容易になったのが多ければプラスになるし、非常によくなかった、悪くなっちゃったというのはマイナスになる。これは端的に、一月ですから、去年までの数字が全部出るわけです。

 まず、昨年の七―九ではマイナス二六・二です。十―十二では三二・二、さらに悪化しているということですね。そして、十月から緊急保証が実施された。この一―三月のあくまで見込みですけれども、実績プラス見込みで、およそマイナスの五三・一と言われております。五〇以上マイナスになっている。つまり、せっかく保証枠や、こうだああだとやってきたんですが、実際は借りやすくなったか、本当に難しくなっちゃったか、どっちかの数字で出したときに、物すごく悪くなってきているということなんですね。これは数字の結果であります。

 そこで、私は、どうしてこうなっちゃったのかなとようくようく掘り下げていきました。そうしますと、幾つかの例はあるんですが、例えば三月十一日の日経新聞に「中小企業 資金繰り正念場」、これはもちろん、大臣や皆さんはお読みだと思います。

 横浜市の物流機器メーカーは二月、年度末の資金需要に備えて毎年借りている一千万円の融資を取引銀行に申請した、いつもの年の申請をした。ことしは信用保証協会の枠がなきゃだめだと断られた。現在一億五千万円の受注があるが、枠をとってくださいの一点張りだということですね。

 私は、短期間でありますけれども、いろいろな方にちょっとヒアリングをしました。そうしますと、大臣、要は、今まで貸していた先に対して、保証枠をつけなきゃだめよという、銀行にとっては、今まで貸していた先に対する保証枠の消化ということが大体見えてきたんです。

 つまり、せっかく保証枠をつくって、中小企業へもっと貸してあげようというのじゃなくて、実際、この保証枠の本当の本則は、今まで銀行が、まあここだったらいいじゃないかと、大企業とか中堅企業とか、中小でもAランク、Bランクには銀行は今まで貸していたわけですから、別に景気が悪くなったって、銀行だって金を運用しなきゃいけないので貸し続ける。ところが、中堅より下の中小零細に関しては、結局、今まで貸していないものですから、新しく金を欲しいとしても却下され、もしくは中堅以上の方々も、新しい貸し金に対しては保証枠をつけてくださいと。結果的には、新規の貸し金がふえたわけじゃないということなんですね。これが、私どもが一つ一つ追求していった中の最終的な落としどころなんですよ。

 つまり、保証枠がふえたからどんどん借りているだろうということに対する答えは、実際は借りにくくなったと明確に出ているところです。特にこの一―三月に出てきたのは、本当にとんでもないほど悪くなっている。指数で五〇以上悪くなっちゃった。そして、かつ、ほとんどの会社が保証をつけてくれと言われているぐらいということは、つまり、新しく零細企業が借りやすいように保証枠が使われていないという実態が出てきているということなんですね。私はこの実態は非常に重いと思います。つまり、中小企業、零細対策といった保証枠が、実際は、本当に欲しくて苦しんでいる方々に使われていないという陳情があるわけですね。多くある。

 この辺の保証枠の使われ方を、大臣として、このままで、第二会社の分は先ほどあれさせていただいたので、おわかりであればもうちょっと、一万六千社の中で百、二百であれば、申しわけないですけれども、九九%は使えなかったということです。それと同じようにこの保証枠についても、実際は、ぐっと入っていくと、なかなか使いにくくなっているなと。と同時に、消化されている枠数、枠残高だけは実際は確かにふえています。三・何倍もふえていますよね。でも、それは今まできちっと銀行が貸していた先に保証枠がついているだけだという、この使われ方の実態について大臣はどういうふうに御対策をお練りになるか、お聞きしたい。

二階国務大臣 ただいま下条先生から大変詳しく御指摘がございましたが、私どもも、実は今回のこの金融危機、このことは、まずは中小企業に与える影響は極めて大きいだろう。そして、何の罪もない中小企業の皆さんが、アメリカで発生したサブプライムローンのあのしわ寄せを食って、みんながたたきつけられたような状況になっておるとすれば、これを徹底的に防御するということが私どもの務めであろうということで、経済産業省の出先を初め、ただいまお話のありました信用保証協会、私は、信用保証協会の各県のトップを三回東京にお招きしました。そして、協力を要請しました。金融機関の代表の皆さんもお招きしました。これは、金融庁金融監督局長に同席してもらって、お話し合いをいたしました。そして、私ども、副大臣、政務官、私自身も含めて全国各地の現場に赴いて、いろいろな御意見等を伺ってまいりました。

 そうした中で、ただいまのようなお話について、もしそういう事実があれば、我々は徹底的にそれを善処するように対応できる体制はとってございますから、どうぞ、金融機関の名前、あるいは申し込まれた個人の会社のお名前、あるいはまたそれに携わった保証協会、何県の何という保証協会であるかということなど、私か、あるいは中小企業庁長官のところへ資料を申し出てください。私どもは、そういうことを一つでもなくすようにということで、暮れは十二月の三十日まで仕事をさせていただきました。今お話を伺いながら、そんないいかげんなことをやっておったのかという思いをしておりますが、私は一概にそうとは思えない。

 例えば、金融機関のトップを集めて意見を聞きますと、よく世間で言われる話として、金融機関というのは雨が降ったときに傘を取り上げに来るから大変困るというお話をたびたび、こうした委員会の場でも私は何回か耳にしたことがあるわけであります。それを知ってか知らずか、金融機関の代表、トップの方が、私たちは雨の日に傘を貸すのが自分たちの仕事と思います、こう冒頭のあいさつでおっしゃるわけです。それぞれ金融機関の代表の皆さんをお招きしての話のときにいきなりやじるわけにもいきませんから、私は心の中で思ったことは、傘を貸してくれなくてもいいから金を貸してあげてくださいよと私はつぶやきながら、その席を立って帰ってきたことを覚えております。

 どうぞ、そういう具体的な例があれば遠慮なく申し出ていただいて、何だか今の話を聞いておると、議員の皆さんも含めて、私どもも、こうして昼夜兼行で頑張っているような人たちも含めて不完全燃焼でございますから、どうぞ御指摘いただいて、それで、何かそこへやっつけに行くというような話じゃなくて、ちゃんと融資の問題が解決できるように親切に対応させていただきたいと思いますので、先生の今の御指摘をありがたく受けとめておきたいと思っています。

下条委員 世の中の傘になれよと森進一さんが歌ったと思いますけれども、金ということで、本当に温かい御答弁をいただきました。

 例えば、大臣、私が今言いました、三月の十一日、日経新聞にも載っているわけですね、一億五千万の受注があっても枠をとってくださいと。ですから、これは今はいいです、こういうふうに具体的には載ってきている。そして、何よりも中小企業の倒産がふえているという数字を見ていただくと、なぜそうなっているかというと、実際は借りにくくなっているというのが僕は答えだと思うんですよ。

 そこのことを言うときに、これは金融庁の問題も少しあるので、私も財金の方をさせていただいているので、その辺の金融庁の方の話は今ちょっと除いておいて、大臣の意見を聞きたかったことが一つ。

 それからもう一つは、全国商店街振興組合の桑島理事長、これはもう御存じだと思いますけれども、きんざいの雑誌の一月十九日号で、インタビューにこう答えております。ともかく、申し込みから審査、承諾まで物すごい時間がかかっちゃう、その間に倒産してしまう商店というのは物すごく多いんですよ、もうちょっと短くしてくださいという要望を桑島理事長がしております。

 また、ともかく即日に融資してほしいから銀行へ頼みに行っているんだけれども、一カ月くらいかかっちゃう。その間に、実際、ああっというふうに言って倒産してしまうということですね。それで、三月二十八日付の日経新聞の「緊急保証 利用殺到「一カ月待ち」」、これはまた、大阪府信用保証協会の話として日経新聞に載りました。直近です。融資実行まで一カ月かかる、ここが僕はポイントだと思うんです。

 もう一つのポイントは、これは私も、人間のキャパシティーというのはある一定のものしかないと思うので、さっきおっしゃった、本当に保証協会の方、経産の方を含めて非常に一生懸命やられていることは僕は敬服します。

 ただ、現実として、例えば、大臣御存じかあれですけれども、大体、信用保証協会は五十二カ所あって、約五千人の後半の人数の人がいらっしゃる。審査部門の方は、そのうちの約四割の二千四、五百名なんですね。それで、一職員当たりの処理件数は千二百六十件、審査員一人当たりの保証金額が百二十四億。昨年の十二月の一カ月間には、一年前の二倍の件数が来ている、三・何倍ですから。そうなってくると、それぞれ働いている方は、私もサラリーマンだったときは、なるべく自分で責任を負いたくないから厳しくするわけですよ。却下する。というわけで、却下する件数がふえてくる。

 そこで私は提案したいのは、一カ月平均で一人頭九十数件保証するということは、例えば、労基法があるので週五日勤務としますと、月約二十日ちょっと、そうすると一日四、五件ずつ保証を決裁しているわけです。決裁が四、五件ですから、当然、それ以外のものもある。これは私は、金融機関に二十年いましたけれども、ちょっとオーバーワークじゃないかなと思うんですよ。中小零細で、もうちょっとやれば生きられる、あと一週間、五日頑張れば生きられるというのに、時間が一カ月以上かかっちゃったので、ばたばたと、これは先ほど言いましたように日経新聞に載っておりますけれども、ここに、実を言うと、経産側の皆さんの監督省庁としてのてこ押しがもうちょっと必要なんじゃないかと僕は思っております。

 結局のところ、東京リサーチが二月に倒産件数を発表したのは、千三百十八件倒産しています。平成十五年以来、六年ぶりに千三百件を超えた倒産件数。この三月は恐らく、まだちょっと私もわかりません、相当な倒産件数と負債総額が出てきていると思います。

 私は、厳密にしなくていいということじゃなくて、現実問題として、通常業務の三倍ものワークを今の保証協会の方に与え続けるのか、それとも、今これだけ中小が困っている中で、温かく皆さんから後押しをしてあげる話として、金を先ほどあれしました。

 ただ、一〇〇%あるところに僕は貸す必要はないと思うんです。これはもろ刃なんですけれども。ただ、きちっと厳密な検査をして審査する余裕をもうちょっと保証協会の方々に与えていっていただけないかなというのが私の質問であります。

 それについては、審査員が二千三百名で日本全国のをやっているわけですから、この状態はちょっと僕は少ないなと。少なくとも、倍まではいかないですけれども、一・五倍にふやしてあげて、ただし、それには、実を言うと、審査したことのない人がいきなりぽんと来てもいろいろな問題がある。

 これから株価がどうなるかわかりません、それによって銀行の自己資本比率の関係があって融資の残高が少し上がってくるかもしれませんが、相変わらず、先ほど申し上げたとおりで、保証枠がなければ貸さないよから始まって、中小零細は厳しい状態になっているということが続いております。

 ですから、私は、せめて、審査状態のキャパをもうちょっと温かく膨らませてあげて、それは経産でできます、皆さんの御発想でできるわけですから、後押ししていただけないかなという要望をまずさせていただいています。大臣、お答えいただきたいと思います。

長谷川政府参考人 今御指摘ございました事実関係、少しまず御答弁させていただきます。

 大きく二点ございました。一つは、保証協会の平均処理日数でございます。一番足元の数字を申し上げます。確かに、全国五十二ある保証協会で処理日数に差がございます。今、三十何日という話がございました。一番長い保証協会で、大阪市、三十九・九日というのが足元でございます。他方で、下条先生の地元だと思いますが、長野県は二日でございます。全国平均は七・七日。

 私は、七・七日が短いと申し上げているつもりはございませんが、これが平均でございまして、保証協会の職員も懸命に勤務をしておりまして、大体月曜日から金曜日に御申請を受けたものを土日で輪番制でこなしている。なお保証協会の職員の負担が高まると、審査の質が、質という言葉をお使いにはなっておられませんけれども、大丈夫かという御指摘は、受けとめさせていただきます。

 二つ目に、審査部門の体制でございます。御指摘いただきましたように、増強すべし、これは過去に国会でも下条委員からそういう御指摘をいただきました。二月末でございますけれども、全国で審査部門が三千七百三十一名ということでございまして、過去に審査を経験した方あるいはOB、嘱託、こういった方も増強させていただきまして、三千七百三十一名というのが合計でございます。

 全国の保証承諾、九兆円を超えたわけでございますけれども、一番件数が多いのは、このうちの二割強、三割近いところは東京の信用保証協会でございまして、ここは約百名の増員をいたしました。

 何とか少しでも早く、そして年度末決済が必要なものは後から来ても先に処理をする、四月でいいものは、申しわけありませんけれども多少順番を変える。こういったようなことで、中小企業の方が少しでも早く審査を経て承諾に至るようにとやっております点を御答弁させていただきます。

二階国務大臣 事実関係、ただいま申し上げたとおりでありますが、例えば、先生も御承知のとおり、本部とそれから支所というか、ございますね。そのときに、支所で受け付けたものをまた本部へ持って上がるということになりますと、自然に審査が長引くようになるわけですが、そういうことをできるだけ避けようということで、今度、本部の方から決裁権のある役員が支所の方へ出向いていって対応する等、いわゆるシフトをやって、できるだけ御利用いただく方々に便利なようなことなども考えております。私も前々からOBの活用ということを当然考えておりますが、同時に、県等にそういうことをやっていただけるような適切な方がおられれば御協力を呼びかける。

 いずれにしましても、そうした審査体制について時々御意見を寄せられておりますので、これらに対して、できるだけ利用者の皆さんに御不満のないように、しかも、待っておる間に倒産するというような悲劇を繰り返してはなりませんから、できるだけこういうことに対して一層の工夫を凝らしてみたい、そして関係者に協力を呼びかけたい、こう思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 ちょっと私の数字は若干古かったと思いますが、前にまさにこの委員会で私が申し上げたときの数字がかなり上がっていて、それはすごくいいことだと思っております。そして、今御指摘になった部分の、確かに、三千七百名等を置いて七日どうのこうの、僕は、これはすばらしいことだと思うんですね。

 ただ、実際は、結果を出すのはそこかもしれませんが、却下されているのが非常に多いということは、やはりある意味ではオーバーキャパになっているので、これからもこの増員については、引き続き、審査の申請とそれから実行とはねられてしまった部分をよく吟味していただきながら、恐らく中小零細の倒産はまだまだどんどん続くんじゃないかと思います。確かに平成十八年からは一・五倍ぐらいになっておりますけれども、まだこれからふえるというふうに私は踏んでおります。

 そういう意味では、私は、以前の大臣に申し上げたときにこの話をきっとさせていただいたと思いますけれども、そのときから見ればふえておりますので、それは御省の御努力だと思います。ただ、今後の話としては、さらにスピードアップ、そしてさらに難しい審査の部分が出てくるような感じもいたしますので、ぜひ引き続き御努力をしていただきたいというふうにお願い申し上げます。

 次は、産業革新機構についてお伺いしたいと思います。

 これも、相当きょうはいろいろな話が出てきていると思いますけれども、最初にちょっと御質問させていただきたいのは、四百億の出資、そして最終一千億、民間から一千億ということですね。トータル二千億で、みずからの経営資源以外の部分に有効に使うようなものにサポートしていく、こういう話でありますけれども、まず、この民間の出資というのはどれぐらいめどが立っているか、お聞きしたいと思います。お願いいたします。

石黒政府参考人 お答えをさせていただきます。

 産業革新機構への民間出資がどの程度集まるかにつきまして、現時点で見通しを残念ながら得てはおりません。現下の金融情勢のもと、民間においては投資に対して極めて慎重な姿勢になっているというのが、私ども現実に回っておりましたときの実感でございます。

 しかしながら、産業革新機構及び機構が出資する投資事業組合に民間出資を呼び込むために、先ほども局長の方から答弁をさせていただきましたが、分野別の投資事業組合に出資することで、関心ある分野ごとに民間が投資しやすい仕組みとする、あるいは、実績ある民間人材を活用することで、民間が信頼して投資しやすい組織とする、あるいは、民間資金にとっても魅力的な成長分野について採択をし、案件組成を行うことで民間の投資意欲を高めるということで、内外の投資家も募りながらこれから働きかけを強めてまいりたいというふうに思っております。

下条委員 私は、なぜこの問題を出したかというと、若干耳に痛い話をさせていただくと、昭和六十年に、旧通産省と郵政省で技術開発を目的に設立された基盤技術研究促進センターというのがあったんですよ。大臣も御記憶があると思いますけれども、これは結果的には、立法によって平成十五年に解散したということですね、二十年ぐらいかかっていますけれども。

 そこで、これはどういう中身かというと、百十二社に対して二千八百八十五億円の投資をした。回収できたのは、二千八百八十五億円の投資に対して九十一億円だけであります、九十一億円だけ。回収率は三・二%であったということですね。

 私がもし以前にこういうことで自分たちが出資していたとしたら、新しく、経産省の方が産業革新機構に出資してくれと言っても、いや、ちょっとこういう時期なのでと断ります。

 私はなぜこういうことを言うかというと、簡単に言えば、二千八百億円近くのお金が吹っ飛んじゃったわけですね、特許料の回収をしなきゃいけなかったということで。ところが、結論を言うと、なかなか難しい内容だったと思うんですが、ちょっと経産省には耳が痛いかもしれません、こういうのがあって、次はこういうふうにやるんだときちっとやるから、民間は出資してくると思うんですよ。

 これは、この当時、一体どういう責任のとられ方をなさったか、ちょっとお聞きしたいんですが。

鈴木政府参考人 先生今御指摘ございました基盤技術研究促進センター、この出資事業に対しまして、二千八百八十五億円出資をいたしまして、その後、回収金額は、若干ですがふえまして、九十八億円になっております。いずれにいたしましても、二千七百八十七億円の欠損金でございまして、私ども、これはもう大反省しなければいけないところだと考えております。

 実は、まことにお恥ずかしいのでございますけれども、この基盤技術研究促進センターをつくりましたときの担当の補佐は私でございまして、当時、基礎研究を強化しなきゃいけないということで、ところが政府の予算が非常に厳しいということで、産投会計から出資を仰ぎまして、そして試験研究を行いまして、その成果をもとに特許料収入で賄えるという見通しをつくったわけでございますけれども、その後の状況で、私どもの見通しが甘かったということで、大変反省しております。やはり事業化に近いところにやりませんとこういう出資事業というのは成り立たないということが、これはもう明確にわかったわけでございます。

 したがいまして、今回の私ども御提案申し上げておることにつきましても、もう実用化に近い段階のところ、基盤技術研究促進センターはどちらかといいますと基礎研究段階のところに出資をさせていただきましたもので、そのような失敗はもう二度と繰り返したくないというふうに考えているところでございます。

下条委員 鈴木さんも随分正直で、お答えいただきまして、ありがとうございました。

 池に落ちた方にどうのこうの言うのは余り好きじゃないのですけれども、本当に正直におっしゃっていただいたのであれですけれども、このときの通産大臣が深谷隆司通産大臣だったわけですね。決算行政監視委員会でこの問題が取り上げられたときに、今はよくないけれども、将来的にはこの研究の特許料で回収できるんだ、こういう話をなさっていたというふうに私どものあれに載っています。

 大臣、なぜこういう話をするかというと、民間で、例えば二千億、三千億飛んじゃったというのはもうこれは大変な話でありまして、私は、今のこの時代に、同じようなスタンスで民間に出資を求めているのでは、恐らく民間は受け付けないと思います、よっぽどのバーターがない限り。政府、経産省とその大企業にしろ、バーターがなければ、私が社長だったら、やらないですよ。ごめんなさいと言って、そのかわりお金をちょっとサポートするぐらいで、この件に乗ってこないと思うんですね。

 私は、今、鈴木さんは本当に頭を下げるぐらいに正直におっしゃっていただいたので、何も言えなくなっちゃったんですけれども、ただ、問題は、五〇パー以上出資した場合、会計検査院とか入っているわけです、途中で何回も。会計検査院もしくはチェック機能が働いていなければ、また、例えば四百億だ、一千億だ、千五百億だ、二千億とやっても、同じような形になっていったとしたら、私は、政府が出す出資の金は、申しわけないけれども、吹っ飛ぶと思います。私、宣言します。

 ですから、この部分の固めをきちっとやるべきじゃないかなと僕は思っているんです。会計検査院は、もう釈迦に説法です、五〇%以上出した場合はすぐ責務があるわけですけれども、この辺のチェック機能を明確にちょっとこの委員会で、もし産業機構がやるとしたら、明確におっしゃっていただかない限り、大多数は自民党さんと公明党さんなので通っちゃいますけれども、我々はなかなか賛成しにくいな、同じことになりそうだなと僕は芽があるんです、この時代ですから。

 ですから、チェック機能の反省点と今度のことについては、出資、つまり、私は何を言いたいかというと、前も未知の分野なんですよ、技術料、その特許料で回収しようとしたわけですね。先行きよくなると深谷さんは言ったけれども、私の調べでは、ほとんど特許はとれていないですよ。先ほど、済みません、九十八億円かなんかですね。でも、実際は二千八百億円出して、九十数億円しか戻ってこない、そういう投資になったわけですね、国として。

 ですから、今度の部分、みずからの経営資源以外の部分に日を当てようということですよね、そこの後押しをしている。ということは、みずからの経営資源以外ですから、その会社にとってもみずからの経営資源以外のものになるので、非常に未知数がある。私は、この辺のチェック機能を、出した後、先ほどいろいろ出資比率とありました、私はチェック機能を言いたいと思うんですけれども、それをきちっとやらない限り、また僕は、時限の、十五年たったときに、二階大臣は総理大臣になっているかもしれませんが、十五年後ぐらいに一体何をしているか、全くつかめない。やはりここでどういうふうにそのチェック機能をきちっとつくる、うまくチェック機能が働いていれば、ある程度、そこでだめだよと抑えられていることもあったと思うんです。いや、これは将来の見込みがあるからどんどんやるんだよというところ以外に。そこら辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、基盤技術研究促進センターの反省にかんがみまして、産業革新機構につきましては、株式会社形態という形で、十分チェックが働くような、よりチェックが働き得る形態にしております。

 加えまして、担当大臣の経済産業大臣として、産業革新機構に対しまして、一つは支援対象の決定等の個別業務の執行、それから二番目に組織運営全体のパフォーマンス、それから三番目に人事、この観点から必要なチェックを行うこととしております。

 具体的に申し上げますと、個別業務の執行につきましては、産業革新機構が支援を行うかどうかを決定する際に、あらかじめ経済産業大臣に通知をすることとしておりまして、必要があれば、機構に対して意見を述べることとしております。

 また、組織運営全体のパフォーマンスにつきまして、機構の事業年度ごとの業務の実績につきまして評価を行いまして、その結果を機構に通知をすると同時に、一般に公表することとしております。

 また、人事につきましては、産業革新機構の取締役、監査役、それから産業革新委員会の委員の選解任につきまして経済産業大臣の認可を要する、こういう形にしております。

 このほか、今委員御指摘のとおり、機構の経営の安定性を確保する観点から、政府が二分の一以上の株式を保有することとしておりまして、政府が最大株主として必要な権利を行使することも可能となっております。

 私どもとしましては、こうした手段をきっちり活用しながら、産業革新機構に対しまして必要なチェックを行ってまいりたいというふうに考えております。

下条委員 ぼやっとしたものはよくわかりましたが、私が気にしているのは、やはり審査部門だと思うんですね、これはまた、さっきの保証協会と同じなんですが。

 言いにくいですけれども、しょせん、出資された方は人の金なんですよね。ですから、自分の車は磨きますけれども、人の車まで磨かないのと同じで、要するに、自分のものと自分のものじゃないという違いがやはりあると私は思います。

 そのときに、時間がちょっと来ちゃったのですが大臣にお聞きしたいんですが、やはり審査機構をきちっとやっておかないと、同じ結果になって、十五年先ですから、もうこの議事録に残っている、ずっとたってから、何回も僕は取り上げますけれども、どうなった、どうなった、どうなったと。

 僕は、先へ行くと、これは法案なので、結果だけ残してというように先走り過ぎると、やはり返ってこないお金になりやすいなと。つまり、自己の経営資源以外のものに手を出すわけですね。ですから、その審査の目ききというのは、大臣、最も必要なんですよ。この部分さえきちっとしていれば、水が漏れてもそうそうですよ。

東委員長 下条委員、もう時間が経過しておりますので、答弁はなしということで、ただいま発言をされて、これで終わってください。

下条委員 大臣に最後にちょっとお答えいただきたいんですが、よろしいでしょうか。

東委員長 皆さん、各党でそういうふうに取り決めましたから。

下条委員 では最後に、お答えだけちょっとだけいただきまして。

東委員長 それじゃ、もう発言はやめてください。

下条委員 審査部門の味つけということに対して、ぜひ大臣のお答えを最後にいただきたいと思います。

二階国務大臣 お時間がないようですから、失礼ですが、御意見を体して厳格に対応したいと思っています。

下条委員 時間になりました。以上です。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて下条みつ君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 最初は政府参考人の方に伺いたいと思うんですけれども、私は、今の世界経済金融危機の中で、改めて産業活力再生法の認定企業が進めてきたROE重視の経営が何をもたらしてきたのかをやはり見ておくことが大事だと思うんです。

 それで、トヨタ自動車を例に挙げて、大手自動車会社の二〇〇一年と二〇〇七年の自己資本当期純利益率が幾らから幾らになっているか、これを最初に伺っておきます。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねのトヨタにおける自己資本利益率、いわゆるROEでございますけれども、二〇〇一年におきましては八・五%、それから直近、〇七年におきましては一四・五%となっております。

吉井委員 資料をお配りさせていただいておりますので、資料一をごらんいただきたいんですが、一九九五年の日米自動車合意のころでも、貿易摩擦が問題になっていたころですが、海外売上比率は四五%ぐらいでした。今これが八〇%近く、七五%を超えているわけです。

 九〇年代前半のころは、この資料一にも入れておきました、九四年のところでありますが、ちょうどこのころ貿易摩擦の中で、過密労働と中小下請単価切りでコストを下げて輸出をする、貿易黒字が生まれると円高に振れる、その円高でも輸出できるようにと、さらなる過密労働と一層の下請の単価切りをやる、これでまた輸出競争力をつけるということで、どんどんどんどん貿易を進めていったわけです。

 そういうやり方をしておったら、結局、雇用者所得も減るし、中小企業も大変になるし、内需を弱らせてしまうんだということで、一九九四年のところに吹き出しで入れておきましたように、野村総研の研究員の方が、悪魔のサイクルとこのやり方を名づけました。

 九〇年代後半に、ちょうどアジア危機のころに落ち込みが海外売上比率ではありますけれども、不況を奇貨として今度はリストラに走るようになって、これを後押ししたのが、一九九九年の産業活力再生法と労働者派遣法の規制緩和でした。リストラした正社員のかわりに、賃金が半分以下ぐらいの代替請負形態とか派遣労働者に置きかえる、こういうことがやられて、二〇〇四年に労働者派遣を製造業に拡大したことでさらにそれが進んでいくわけですが、こうして海外売り上げを伸ばして、ROEを伸ばし、内部留保を伸ばしたということを、この資料一から読み取ることができると思います。

 次に、資料二の方をごらんいただきたいと思います。

 こちらの方は上と下に分かれておりますが、資本金一千万円以下の中小企業、このグラフで見てもわかるように、役員給与、賞与も、従業員給与、賞与も、利益剰余金も配当金も全部下がっておる。一方、資本金十億円以上は、配当金も利益剰余金も、役員給与は五年と七年では少し下がっておりますが、従業員給与は余り変わらないで、それらが上がっているということをこの資料から読み取ることができると思います。

 そこで、大臣にお伺いしておきたいんですが、ROEは確かに二倍近くにふえたんですが、これは、やはり派遣労働者の皆さんの低賃金とか不安定雇用の存在と、もう一つは、下請中小企業、零細企業の皆さんの御苦労というものがあって生まれた、その要素が非常に大きいと思うんです。大臣はどのようにお考えになられるか、これを最初に伺います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘で、製造業のROE、ROAが上昇する一方で、従業員の賃金が下がったのではないか、こういう御指摘かと思います。

 そういう面もあろうかと思いますけれども、必ずしもそういうことだけではなくて、ある意味では、この間、いろいろな形で雇用の拡大ということも行われておりますし、企業は、将来に向けた投資という形で必要な研究開発投資を行い、またそれが将来的には雇用の拡大につながる、こういうような活動も一方で行われているんではないかというふうに承知をしておりますので、これだけの数字で、そういう形で断定をするということはなかなか難しいんではないだろうかというふうに考えております。

吉井委員 資料三をごらんいただきたいと思うんですけれども、下の方のグラフは、トヨタ、ホンダ、日産の三社について、折れ線で海外生産比率、十一社合計も入れておきました。それから、白い棒グラフの方はトヨタの国内生産台数の推移です。黒い棒グラフはトヨタの海外工場での生産台数ですが、海外生産と海外売り上げがともに大きく伸びたことを示しております。

 それで、上の方の表に載せておきましたが、自動車メーカー十一社合計の臨時従業員数が、産業活力再生法をつくった後、データの得られるもので、二〇〇二年で見ますと五万二千人から、二〇〇七年には十七万四千九百人へと、約十二万人ふえています。だから、雇用がふえたとおっしゃるのはこのことだと思います。この間、海外生産、海外売り上げを伸ばし、一方、派遣、臨時従業員の急増が非常に特徴的な傾向だということを読み取ることができると思うんですが、これはどうですか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘の主要自動車メーカー、これは大きい方の三社でございますけれども、二〇〇二年以降の従業員につきましては、今御指摘のように、全体もふえ、また臨時の従業員の方もふえているということでございます。

 これの原因といいますか背景につきましては、下のグラフにありますように、これは連結で全部見ておりますので、いわゆるグローバルでございます。したがいまして、内外の雇用についてはすべてカバーをしているわけでございまして、先ほど産政局長の方から御説明申し上げましたようないろいろな要素が加味をされて、全体として大きくなり、また国内においてもしかるべきと思っております。

 臨時の従業員の方が伸び率が大きいのではないかという御指摘もございましたけれども、これは、これまでのいろいろな経済的な波動についてどう経営をマネージしていくかという中で、これまでの企業としての教訓その他を勘案して、弾力的かつ機動的な経営をする、世界の厳しい競争の中で生き残っていくための方策として判断をされたものと思っております。

吉井委員 今も要するに実際上はお認めになっておられるんだけれども、全体で見ても二十二万人ふえて、そのうち十二万人は、だから半分以上、六割近くは派遣、臨時従業員がふえている、そういう中でROEが伸びているわけですから、グループの下請企業と派遣労働に支えられて伸びたということを、このことからはっきり読み取ることができます。

 では、ビッグスリーのROEの方はどうなっているか、その推移を伺います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 ビッグスリーについてのお尋ねでございます。

 御案内のように、ビッグスリーの一角でございますクライスラーにつきましては、九六年以降、上場を廃止しておりますので、同じような財務指標の入手には制約がございますので、GMとフォードについて御案内を申し上げます。

 この二社のROEにつきまして、比較のできる範囲内で申し上げますと、九〇年代は、上がり下がりはもちろんあるわけでございますけれども、おおむね二〇%プラスアルファ、マイナスアルファぐらいで推移しておりました。それが、二〇〇〇年代に入りますと全体的に低下をしてきておりまして、一〇%を切るような年もございますし、御案内のように、直近では赤字ということでございます。

吉井委員 資料一に載せておきましたように、九五年といいますと、ちょうど自動車合意のころですし、北米進出のころですが、GMがこのころで二九・五%。九〇年代、フォードも九五年の一六・九というのもありますが、九八年には九四・三%とか、大体一〇%、三〇%という非常に高いROEであったわけです。

 トヨタは、北米工場建設のころからやはりアメリカ式ROE重視の経営に変わっていったのではないかと思われますが、この点はどうですか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 トヨタの戦略については、全体を一言で申し上げるのは難しいかと思いますが、ちょうど二〇〇〇年に入った後、御指摘のように、ROEというものについても重視をするというような方針があったと見るべき側面もございます。

 ただ、御案内のように、自動車の産業界は大変競争の激しいところであり、また海外展開をするということは、当然のことながら、為替リスクあるいは事業リスク、両方に見舞われるわけでございまして、そういった中で、いろいろな金融的な面においても企業としての対応をしなくちゃいけないということで、ものづくりの企業として、トータルでROEを主眼とした経営にしたということでは必ずしもないと思いますけれども、世界に伍していろいろな事業をしていくという観点からは、世界のいろいろな評価にたえられるようなという意味で、ROEも重視するという面があったことはあると思います。

吉井委員 資料四をごらんいただきたいと思いますが、ここに九九年九月三十日付の日経を載せておきました。それから、経産省からいただいたものをもとにグラフもつくりました。やはり北米進出の中で、ROE一〇%を目指すと。ニューヨーク、ロンドン市場に上場することもこのころですが、結局、九九年の六・三%から一四・五%に、二・三倍もROEを伸ばしているわけですね。

 このROE重視ということが、利益幅の大きい大型車、高級車志向でタンドラなどの工場建設に走ったことと、売り上げを伸ばすために、トヨタの自動車ローン子会社のトヨタファイナンシャルサービスに、プライムより資産評価の低いサブプライムの人たちにも車を売る自動車ローンを組ませて販売台数をふやす仕掛けをつくっていったことなど、やはり今の金融危機と消費需要の落ち込みの中で今経営の困難を抱えるということになっているのではないかと思うんですが、この点についてはどういうふうに見ておりますか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 北米の市場というのは、自動車業界にとっても大変重要なマーケットでございます。したがいまして、この市場において、いろいろな戦略を持って販売を伸ばす、あるいは生産を伸ばすということを努力するのは当然だと思います。

 ただ、この中で、アメリカという市場は、販売においては、いわゆるローンを使うという商売が、これはいい悪いは別にいたしまして、大変高うございます。欧州、日本、アジアと比べても大変高いわけでございます。したがいまして、通常の営業の重要なツールとしてローンを使うということはあり得ると思います。

 したがって、その限りにおいて、自前の販売金融会社を活用してこの事業をしていると思いますが、御指摘のように、一時期大変問題になりましたサブプライムローン、ああいうような手法で我が邦人自動車メーカーが売り込んでいたのかということにつきましては、我々も非常に関心を持って調べております。

 御案内のように、サブプライムローンの与信については、大変簡単な審査でパスをさせております。ほとんど、名前と住所と保険の番号等五つぐらいしかチェックをしないということでございます。したがって、そういうようなやり方との比較で申し上げますと、例えばトヨタを初め我が自動車メーカーにつきましては、その販売において、購入金額、収入等、いわゆる支払い能力をきちんと見る、融資額、返済期間の適切な審査をきちっとするということで、決して同じような対応をしていないということでございます。

 それから、いわゆるサブプライムにおいては、もともとの与信を、いろいろな金融的な手法を用いて信用を拡大して、レバレッジをきかせるようなやり方をたくさんしているわけでございますけれども、その点におきましても、いわゆる複雑な金融方法を使って、ある種、買いやすくした上で無理な販売をするようなことはしていないというふうに承知をしております。

吉井委員 ビッグスリーなどが、製造業で上げた大きな利益を金融部門に投じて、言ってみれば金融ばくちに走って大きな損失を出しておるということもありますけれども、ビッグスリーとトヨタの自動車部門と金融部門の収益の状況、それから、トヨタについて、実際に、ビッグスリーほどまではいかないにしても、トヨタも金融子会社で自動車ローンを随分抱えておりますが、この債権総額と北米市場での債権がどれぐらいかということを伺います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 トヨタの資料がしっかりちょっと手元にありませんけれども、二〇〇八年三月期のいわゆる自動車ローン債権の額は、総額で十二兆七千億円でございます。このうちアメリカに占める割合は約六割になると思いますけれども、七兆四千億円程度と承知をしております。ビッグスリーの同等の資料をちょっと持ち合わせておりませんけれども、さように心得ております。

吉井委員 これは住宅のようなサブプライムローンの問題とまではいかなくても、リスクを分散して、証券化して、証書にして販売するという、要するに資金を集めるという手法においてはさまざまなやり方がやられておりますから、ですから、サブプライムローンと同じ傾向の金融証券になったものもあるということもうかがわれるわけですけれども、これはそういうものは全くないというふうに確信しておられるんですね。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども御説明を申し上げましたけれども、我が邦人系メーカーのアメリカにおける販売についての対応でございますけれども、基本的に、みずから販売金融子会社を有する社におきましては、先ほど申し上げたような審査体制をとり、またいわゆる複雑な金融的手法を用いて大きく信用を膨らませるというやり方についてはやっておらないと思っております。これは、いわゆるジーマックのような手法と比べた場合の質問をし、かつ調査をした結果でございます。

 なお、販売金融会社をすべての企業が持っているわけではございません。これにつきましては、当然のことながら、現地で売り込むに当たっては、現地の販売金融会社を使うということはあろうかと思いますけれども、そのほかにおいては、詳細はよくわかりませんけれども、基本的にはサブプライムローンのときに名前が出て、非常によくないやり方をしているというふうなことで名前の挙がった企業、あるいはその関係の販売会社を使っているというふうには承知しておりません。

吉井委員 ジーマックのような問題、あるいはサブプライムに類するものは多分なかったであろうと。しかし、販売形態はさまざまだからよくわからない、よく把握されていないというところが実態だと思うんですが、大臣、これは産業再生法で認定した、そして支援したところですから、本来は、そういったところも含めて経営実態というのをきちんとつかむことが必要だと思うんです。

 よくアメリカ発の危機とか、百年に一度の危機と言うわけですけれども、これは自然現象じゃないですからね。きょう、私、ずっと資料を中心に見てまいりましたのも、やはり原因があって招いているわけです。

 ですから、そういう点では、これはアメリカ発だけということで済ます問題じゃなくて、やはりこの点では、日本の各企業にも、内需を弱らせてしまった問題、幾つもの要因を挙げましたけれども、やはり経営責任というものはあるんだということを見る必要があると思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

二階国務大臣 日本企業の、日本の経営の特徴として、従業員の皆さんや下請の企業を大切にする、そしてみんなに働く意欲を持っていただいて、家族的なといいますか、大企業に家族的ということは当たらないかもしれませんが、雰囲気としてはそういう環境で企業がさらに価値を高め、中長期的な発展にも役立つというふうにお互いに考えておったと思うわけであります。

 そして、従業員の皆さんの家計所得の安定ということは消費の安定にもつながるわけでありますから、いわゆる家計所得と企業所得の好循環ということに相なるものと考えております。

 世界経済の急激な減速の影響から輸出が大きく落ち込む中で、経営者は厳しい経営判断が迫られていますが、このような好循環の可能性も十分認識しながら、最善の経営判断をしていただきたいということを希望しておるものであります。

吉井委員 大臣の希望はよくわかったんですね。

 しかし、三月十四日付の朝日でも紹介されておりますが、結局、昨年十二月二日に、トヨタ自動車グループの幹部、関係者を集めたところで、豊田章男今度の社長ですね、あいさつで、率直に言って、拡大路線あるいは輸出依存で内需を弱らせてしまっているやり方、反省の弁を述べられたということが報道されているぐらいですから、私は、やはり大臣としても、これからの希望とともに、何か、アメリカ発だから外が悪いというだけじゃなしに、日本自身がきちんと経営責任を考える、そのことについてお考えが必要だと思うんですが、どうですか。

二階国務大臣 おっしゃるとおりで、何もかもアメリカ発だと言ってばかりおるのは、私は問題の本質を解決するゆえんにはならない。ですから、ここらはやはりもうそろそろ、日本独自で復興への道を考えなくてはならないというふうに思っております。

吉井委員 もうあと三分になってきましたから、ちょっと固めて話しておきますが、ROE重視の経営の中で、国内では派遣切り、下請切りがやられてきましたし、やはり本来政治が救わなきゃいけないのは、危機を生み出した経営者ではなくて、大企業の内部留保の積み上げなどに大いに貢献した人たちをこそ救うのが本来の政治の責任だと思うんですね。

 資料五に載せておきましたように、トヨタの重層下請構造ですが、下請企業の実態というのは、予算委員会でも紹介しましたけれども、例えばある社で、契約に基づいて三カ月前に発注内示が来て、設備投資と人を雇って訓練する準備に入る。一カ月前に確定内示が来て、本格稼働の体制をとる。大体これが下請、孫請、ひ孫請の実態なんですが、ところが、最初の発注は一万個の発注だったから、単価百円で何とか、たたかれてもやりましょうと。それが、確定内示でも一万個だったのが、一週間前になったら五千個でいい、三日前になったら七百個だと言われると、百万円の取引が七万円の取引になるわけですね。設備投資したものの返済、従業員の賃金、準備した材料の払いなど、こういうところで今、中小零細企業が苦しんでいるわけです。

 一つ公正取引委員会に聞いておきたいんですが、これは給付について一方的な変更に当たるものですから、資料もいただいておりますが、明白に法律違反ではないか、ガイドラインに基づいて、この法律違反については公取としてもきちんと調査、指導をするべきだというふうに思うわけです。

 それから、あわせて大臣にもう一つ伺っておきたいのは、新自由主義、規制緩和、構造改革のやり方が、結局、金融危機と内需の落ち込み、貧困と格差を生み出したということは明白な事実になっていますから、やはりこの政治を反省して、産業の再生には、金融ばくちのようなやり方じゃなくて、人や技術を大事にする方向への転換、やはりここが大事だし、大企業には内部留保を取り崩して雇用と下請企業を守るように、強力な働きかけというものが一層必要なことだと思うんですが、これは公取と大臣に伺っておきます。

竹島政府特別補佐人 御指摘のとおり、下請法では、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、発注内容の変更とかやり直しとかいうことを一方的に要求した場合には、これはまさに下請法違反になります。

 ただ、今具体的にトヨタのことで御指摘がありましたけれども、それについて私は詳細を承知していませんが、いつ発注したのかというのが非常に大事なことでございまして、一万個を発注したということであれば、その後七百個に減るというようなことであれば当然単価に影響し得るわけなので、その場合には仕切り直しをすべきものであるというふうに考えております。

東委員長 二階大臣、簡単にお願いいたします。

二階国務大臣 経営は、人を大切にし、そして企業がこれからこのどん底から再出発するためにはやはり技術が最優先だということを考え、労使双方、関係者挙げて、この状況を脱皮するように頑張ることが大事だと思っております。

東委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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