衆議院

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第6号 平成21年4月3日(金曜日)

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平成二十一年四月三日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 中野 正志君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      秋葉 賢也君    新井 悦二君

      小野 次郎君    岡部 英明君

      片山さつき君    川条 志嘉君

      木挽  司君    高村 正彦君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    新藤 義孝君

      平  将明君    谷畑  孝君

      土屋 正忠君    土井 真樹君

      中野  清君    橋本  岳君

      林  幹雄君    藤井 勇治君

      武藤 容治君    安井潤一郎君

      山本 明彦君    太田 和美君

      北神 圭朗君    後藤  斎君

      近藤 洋介君    下条 みつ君

      田村 謙治君    西村智奈美君

      牧  義夫君    三谷 光男君

      高木美智代君    吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   経済産業大臣政務官    松村 祥史君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           石黒 憲彦君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          松永 和夫君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          鈴木 正徳君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            細野 哲弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            横尾 英博君

   参考人

   (株式会社日本政策投資銀行取締役常務執行役員)  多賀 啓二君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     秋葉 賢也君

  中野  清君     新井 悦二君

  牧原 秀樹君     土屋 正忠君

  安井潤一郎君     小野 次郎君

  近藤 洋介君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     小此木八郎君

  新井 悦二君     中野  清君

  小野 次郎君     安井潤一郎君

  土屋 正忠君     牧原 秀樹君

  西村智奈美君     近藤 洋介君

    ―――――――――――――

四月二日

 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として株式会社日本政策投資銀行取締役常務執行役員多賀啓二君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官石黒憲彦君、経済産業省経済産業政策局長松永和夫君、経済産業省産業技術環境局長鈴木正徳君、経済産業省製造産業局長細野哲弘君、中小企業庁長官長谷川榮一君及び中小企業庁事業環境部長横尾英博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤羽一嘉君。

赤羽委員 おはようございます。公明党の赤羽一嘉でございます。

 大臣におかれましては、連日お疲れさまでございます。

 きょうは、産業活力再生特別措置法の一部を改正する法律案、質疑は最後の機会でございますが、大変大事な法案でございますけれども、その本論に入る前に、大臣に一点、お願いと、御決意を聞かせていただきたいと思うことがございます。

 それは、四月一日が各企業の入社式でありました。入社式のニュースと同時に、一方では直前の入社取り消し。これは、内定取り消しと言っていますけれども、私の認識は、内定取り消し問題とはちょっと違って、もう入社することが決まっていた、労働契約というか雇用契約が成立していたものを、一方的に企業が、あしたから来なくていいですとか、自宅待機を半年間してくれとか、別の職種で、技術職で採ったのに事務職なら採用するとか、明らかに契約違反なんですね。契約違反を一方的に宣告する。

 そうすると、大学生は、なかなか裁判に訴えるという発想もございませんし、ハローワークに行くという発想もなかなかないし、また学校に行っても、大学がどうこうしてくれるというわけではないし、これは、本当は実は大変根が深い問題なのだ。ニュースになっているのは、ある意味では、氷山の一角とは言えないかもしれませんけれども、全体ではない。

 ですから、私、実は公明党の就職問題のプロジェクトチームの座長をやっていまして、昨日、官邸と厚生労働大臣のところにはお願いに上がったんですが、泣き寝入りはさせない。企業のモラルとして、何か経済状況が悪くなったからということを理由にしていますけれども、これは全く通らない話で、私は、ある意味では、犯罪行為に等しいのではないかというふうに思うんですね。

 ですから、どうか今の政権は、青年のこれから第二の人生というか、社会人の第一歩を踏み出すときに、本当に大きなダメージを与えてしまう。三カ月、四カ月前の内定取り消しですと、再就職の就職活動をする時間もありますし、最悪、もう一年留年をして、来年度の就職活動に新卒としてチャレンジできる。ところが、大学を卒業してしまったわけですから、もう新卒でもなくなる。そうすると、来年度の就職活動は大変不利になる。私はこれは正常なこととは思いませんけれども、新卒じゃないということで不利になると、フリーターになっていってしまう可能性はすごく強いんですね。高学歴フリーターを生む可能性がある。

 ですから、厚生労働省の所管かもしれませんが、経済産業省のやるべきこともあるだろうし、文部科学省のやるべきこともあるだろうし、政権として、青年を大事にするというか、青年の第二の人生、これからの人生を最大限守っていくということを、麻生政権を挙げてぜひメッセージを発していただきたい、こう思うわけでございますが、その点についての御認識と御意見を賜れればと思います。

二階国務大臣 ただいま公明党の赤羽議員から、新卒採用の問題につきまして大変貴重な御意見をちょうだいいたしました。

 私は、前々から、このことに非常に苦慮するといいますか、悩みを覚えておりました。おっしゃるように、四月一日から希望に燃えて社会人として頑張っていこうといっているそのやさきに、トラックレースでいったら、パーンという発進と同時にストップというようなことになるわけでありますから、これは記録にも何にもならぬわけでありまして、本人の人生にとってこれほど痛恨の事例は他に想像が及ばないのではないかとさえ私は思っております。

 こうした事態に対して、政府を挙げて、業界の皆さんとも、労働組合の皆さんとも御相談をしながら、政権というよりも、国を挙げて取り組んでいかなくてはならない問題だと思います。

 学校を出た新しい人材というものは、日本の産業だけではなくて、日本社会全体の貴重な財産であります。その財産を埋もらせていくようなこと、そしてそれを省みないで恬として恥じない経営者がいるとすれば、まことに残念なことであります。

 我々は、機会あるごとに、こういうことに対しても、経営者の皆さんの御判断を、社会全体を見渡して御判断を願いたいということのお願いを続けてまいりたいと思っております。

 我が国は、慣習として、新卒ということが大変重宝がられる社会であります。ですから、一たん新卒のときに就職のチャンスを失った人たちは後々困難にぶつかる場合が多いわけでありますが、合理的な理由がなくて採用の内定を、今、赤羽先生のおっしゃるように、内定ではない、あすから会社に出勤しようと思っていたところへ内定取り消し、採用取り消しという形でありましょうが、これは犯罪的行為ではないかという御指摘もあったわけであります。

 我々は、その言われている御趣旨はよく理解できますので、内定取り消しをされた学生を正規に雇用する企業に対して今奨励金を差し上げるようにしておるわけでありますが、内定取り消し対策にこれから特に力を入れていきたいと思っております。

 私は、その企業が、改めて採用する、経済情勢の変化によって人を採用することができるような状況になれば、まず内定取り消しをした方々に一度は呼びかけてみるというぐらいの気持ちがあってもいいのではないか。御本人の方からは、もうあの企業はこりごりだ、もうあの企業なんか言われても行きたくないということであるかもしれませんが、しかし、待っておる人だっておるかもしれない。一縷の望みを持っておられた方もおるかもしれない。それに対しての対応をしっかりやっていかなくてはならない。

 三月二十三日に開催されました政労使会合、私も出席をさせていただきましたが、雇用の安定が企業の社会的な責任であることをお互いに認識して、その維持のために最大限の努力を行うということを政労使の間でしっかりと合意されたわけであります。

 今後、この合意に基づき、政労使一体となって雇用の安定に努めてまいりたいと思っております。

赤羽委員 どうもありがとうございました。

 力強い決意と、大臣のおっしゃられるように、やはり我が国の財産は人材でありますから、その人材を大事にするということは本当に国を挙げて取り組んでいただきたい。また、これは、自宅待機とかさせられて、半年後にちゃんと正式に採用するかどうかということも相当心配な点もありますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、中小企業に対する資金繰りということで、緊急保証制度による貸し付け、セーフティーネット貸し付けについて、これは本当に、まさに二階大臣の御決断で、私はあのときも部会長として直接大臣のところに乗り込んでいって、当時は緊急保証枠も、六兆円ぐらいやれば相当やったんじゃないかという話がございました。ただ、私は、こっちが言うのは勝手ですから、二十兆、三十兆という十年前のときのレベルのボリュームのものが必要なんじゃないか。

 相当あのときは、多分、財務省なんかも内輪の感覚でいたと思いますが、私の聞いているところでは、あの足で二階大臣が財務省に乗り込んでいっていただいて直接直談判をして、相当大きな今回の緊急保証制度ができたということで、まさに十月三十一日からこの制度が開始されたわけでありますけれども、もう五十万社近くの方たちが今回の保証を受けたということでございます。

 あのときの六兆円ですともうとうに突き抜けているわけですから、まさに政治の見きわめというか、見通しを立てて決断するということがいかに大事だったかということはこの一点でも非常によくわかりますし、五十万社といいますと三百五十万人ぐらいの雇用が守られたということですので、私は高く評価をするわけでございますが、しかし、年が明けて、年度を越えてじわじわと景気悪化というのが進んでいる中で、恐らく民間の金融機関というのはどうしても融資姿勢は一層慎重になっている、こう言われているわけでございます。

 実は私、今晩、地元の神戸で中小企業の皆さんの会合があるのでちょっと来いというふうに言われて、テーマは何かというと、貸しはがしと貸し渋りというんですね。これほどやっているのにどうなのかな、こう思うわけであります。あれだけ、五十万社近くのところに融資が実行されているのにもかかわらず、一つのデータで、中小企業向けの貸出残高は、一昨年九月から十七カ月連続で前年割れとなっている。

 これはちょっと、どういうことなのか私もよくわからないんですけれども、恐らく、比較的優良な企業に対して優先的に融資が実行されているというような傾向もあるのではないか、そんな話もちらほら聞くわけでございまして、肝心の、本当に融資が必要な中小企業のところに実は余り資金がサプライされていないのではないかという指摘もあります。

 この点について、中小企業の貸出残高がずっと前年割れが続いているということに対する分析と現状認識を中小企業庁の方からお聞かせいただければと思います。

長谷川政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘ございましたように、中小企業に対します金融の残高というのは、経年、必ずしもふえていないといいますか、むしろ減少傾向にあったということはおっしゃるとおりだと思っております。

 そういう中で、急激な事情変化、それも悪い方の事情変化が起こりまして、大臣の御指導のもとに、緊急保証、さらには原則として業種を問いませんセーフティーネット貸し付け等々の制度で対応させていただきまして、今お話がございましたように、一番足元の数字で申し上げますと、五十四万社の方、中には重複の方もいらっしゃいますけれども、御利用いただいて、総額で十一兆円弱ということでございます。

 その中で、足元の中小企業に対する融資というのはやや微増ないしは横ばいということでありますけれども、そもそも、中小企業の皆さんへの資金供給、融資で見ますと、八割ぐらいは、こういった保証ないしは政府系の貸し付けではない、いわゆるプロパー貸しというものでございました。

 そういう意味で、委員御指摘のように、民間金融機関がどういうような態度をおとりになるかというのは大変重要でございます。この意味で、二階大臣それから金融担当大臣、両大臣で、累次にわたりまして金融機関のトップの方をお招きしまして、そういった金融機関としてのいわば公的使命の覚せい、もちろん金融機関の方もよく自覚しておられるということでございました。

 具体的に、その中で、今回、特に民間の皆さんに一〇〇%の信用保証をしている関係で、したがって、リスクが減るわけですから、理論的に金利が下がってもいいじゃないか、つまり御利用いただく方の負担が減るべきであるというようなお話も、年末に大臣から直接要請をしていただきました。

 私どもがトレースしている結果で申し上げますと、一月までの実績で、平均で二・五五%、二月まででは二・四一%ということで、いわゆるプロパー貸しに比べまして、あるいは保証がついたものに比べまして利息が下がっているという実利もございます。

 さらには、赤羽部会長を筆頭にします公明党から強い御指摘が昨年からございました資金繰り対策としては、むしろ既往の債務の条件変更が一番手元では中小企業の方にプラスになるんじゃないかと一貫して御主張いただきました。したがいまして、金融庁も対応いたしましてマニュアルを変えたということは御存じのとおりでございます。

 そういったようなことを受けて、実は、先週末にも、私どもの直接関係がございます公的機関、政策金融公庫等が率先して、利息の支払いがございました場合には、民間金融機関とよく調整をしていただく必要はあるのですけれども、一定の要件を満たす場合には、元本の返済をむしろ原則として猶予するということもとらせていただきまして、毎月の返済負担を減らすということであります。

 長くなって恐縮でございますけれども、ただ、抜本的には、やはり資金繰りというのは資金のやりくりでございますので、固定費というものが出ていく限りは、賃金も大変大事でございますので、仕事が入ってこないことにはこの解決はないということで、現在、各党、与党、赤羽部会長を初めとしていろいろ御高配をいただいているということでございますので、引き続き御指導のほどお願いしたいと思っております。

赤羽委員 ぜひ、金融庁との連携をこれまで以上にやっていただきますよう、よろしくお願いをしたいと思います。

 次に、これは厚労省主管でありますが、もう一つの柱であります雇用調整助成金につきましても、一月で八十八万人、二月では百二十万人以上が受理されたということでございます。これだけで二百万人以上の雇用が確保された、こういったことでありまして、大変大事な制度だというふうに考えております。

 申請する企業の側に立ちますと、休業計画の提出、休業の実施、申請、審査という過程を経て受理されてから支給する、こういうことですから、裁定の期間というか時間がかかってしまうわけでございます。何とか早く支給していただけないかとか、とりあえずつなぎの融資をいただけないかということがございまして、私も、この委員会でその質問をいたしましたし、また具体的にも要望を出しております。

 例えば、先日の御報告では、休業計画を提出されたケースのうち八割以上が最終的には受理されているということでありますので、ある意味では正式な休業計画の申請をしたという証明で何とかつなぎの融資が受けられるように、ぜひ金融機関の説得をしていただきたい、合意形成をしていただきたい、このように累次にわたって申し入れをしておりますが、その結論というか取り組み状況について御報告をいただきたいと思います。

横尾政府参考人 雇用調整助成金につきましては、厚生労働省におきまして、今先生御指摘のとおり、手続に時間がかかるということで、その迅速化の措置がとられてまいりまして、今、休業等計画の届け出から実際に助成金が支給されるまでに、大体平均で二カ月から三カ月ぐらいとなっているというふうに伺っております。今後とも、その手続の迅速化に向けた取り組みが行われるものというふうに承知をしております。

 今御指摘のとおり、その間の資金繰りのためのつなぎ融資というものにつきましては、公明党さんからの要請も受けまして、厚生労働省からの要請を踏まえて、私ども経済産業省、中小企業庁から日本政策金融公庫などの政府系金融機関に対しまして、それから金融庁から民間金融機関に対しまして、この雇調金等を活用して雇用維持に取り組む中小企業の方に支給までの間に、個別企業の事情に応じまして、経営の維持、継続に必要な資金が円滑に融通されるようにということで、協力の要請を行ったところであります。

 今、このことを、三省庁連携いたしまして、中小企業者の方に対して広く周知を図るべく取り組んでいるところでございます。

赤羽委員 ここは少し高いレベルで、金融庁と踏み込んで、ここをはっきりさせないとなかなか、雇用調整助成金を申請するというのは相当ぎりぎりの状況のケースが多いわけですから、ぜひ、このつなぎの融資については早急に決着をつけていただきたいと強く要請をいたします。

 次に、今回の改正法案の中にもありますが、株式会社産業革新機構についてでございます。

 この産業革新機構、言わずもがなではありますけれども、官民共同のファンドによって、長期リスクマネーの供給を通じまして、企業や業種の壁を越えたオープンイノベーションの取り組みを推進し、持続的な経済成長を支える、新たな経済成長の芽をはぐくんでいこうということは、特に今、深刻な景気後退の中で、我が国の国際競争力強化の観点から、イノベーションへの取り組みを停滞させないということでは、こういった公的な後押しのニーズにこたえるものと私は高く評価したい、こう考えるわけでございます。

 このスキームでは、国からこの機構に対しまして、二分の一の四百億円の出資を予定している。今後、これも総額二千億円規模の出資を目指す、こう説明されておりますが、多分、この制度設計をしたときと比べて世界の経済状況は大変悪くなっておりますので、世界じゅうが急速に信用収縮、またファンド資金の減少ということが進んでおりますので、期待している民間出資がどれだけ確保できるか、大変難しいのではないか。

 私は、もう少し、政府としての出資金をふやすとか、頑張るべきではないか、こう考えているわけでありますが、政府として、今後の資金調達についてどのような方針で取り組むのか、ぜひ御答弁いただきたいと思います。

高市副大臣 赤羽先生おっしゃるとおり、非常に厳しい経済状況でございますので、具体的に民間出資についての見通しがしっかりと立っているというわけではございません。

 ただ、産業革新機構及びこの機構が出資する投資事業組合などに民間出資を呼び込むということは、機構が規律のある投資を行うためにも大変重要でございます。

 ですから、機構が分野別の投資事業組合に出資することなどによって関心のある分野ごとに民間が投資しやすい仕組みとすること、それから実績のある民間人材を活用することで民間が信頼して投資しやすい組織とするということ、それから民間資金にとっても魅力的な成長分野で案件組成を行うことで民間の投資意欲を高めるといった工夫をすることによりまして、機構の投資案件に民間資金を呼び込んでまいります。

 ただ、非常に厳しい状況の中ですので、経済産業省といたしまして、やはり我が国の成長の芽をしっかり育てていくということのために、今後とも、財務当局と相談をした上で、出資能力の強化に努めてまいります。

赤羽委員 ぜひ、今、政府・与党で今後の景気対策ということの取り組みが進められ、今回は、将来につながるという視点という意味では、私は、この産業革新機構への出資金についての増額ということを強く求めるべきだ、党としても進めたい、こう思うわけでございます。

 次に、もう時間もあれなので、中小企業の再生支援に移らせていただきたいと思います。

 これまでは、どうしても中小企業の資金繰りをどうするかとか、この場をしのぐということに大変追われて、相当それなりの施策をしてきた。先ほど中小企業庁長官から御答弁がありましたように、資金繰りを一生懸命手当てしていても、肝心な中小企業のビジネスボリュームをふやしていかないと前に進まない。やはり生産性を向上させていく、中小企業の力をつけていくということは大変重要な課題だというふうに考えております。

 そういった意味では、中小企業再生支援協議会、かなりの評価がある結果を出しているというふうに聞いておりますが、限られた時間でありますので、この場で具体的な成果について端的に御報告をいただきたいということと、同時に、再生を進める上で、なかなかクリアするのに難しい点ということも共通の点として指摘されると思いますので、その点について、今回の法改正にもかかわることだと思いますが、改善策も含めて御報告をいただきたいと思うわけでございます。

横尾政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業再生支援協議会のこれまでの成果でございますが、平成十五年の二月に設置をいたしまして、昨年末までに一万六千五百二十六社の企業の方から御相談を受けました。

 このうち半分以上、八千八百五社につきましては、経営改善あるいは資金繰りに関するアドバイス、関係機関の紹介ということで課題が解決をしております。

 それから、私ども、二次対応と呼んでおりますが、実際に再生計画の策定プロセスにいったもので、これまでに千九百七十一社について再生計画を策定しておりまして、これで破綻をした場合のことを考えますと、約十二万二千七百十八名の雇用が維持、確保されたというふうに承知をしております。

 課題でございますけれども、三点あろうかと思いますが、金融機関の取り組み、それからスポンサーを見つけてこれをうまく参画させること、それと再生計画の策定を促進する仕組みということでございます。

 金融機関の調整につきましては、再生支援協議会でも、モデルとなる計画の策定、普及、あるいはその前提となる事業価値の評価の強化といった取り組みをしておりますし、スポンサーにつきましては、中小企業基盤整備機構が中小企業再生ファンドの組成を支援しまして、あわせて、取引先や同業他社も含めて、こういったスポンサーとマッチングするような取り組みを支援協議会でやっております。

 今、仕組みの点でございますが、今回の産活法の改正におきまして、いわゆる第二会社方式ということで、これは金融機関にとりましては、債権放棄に係る手続がより容易でありまして、放棄に応じやすいというメリットがございますし、またスポンサーにとっても、想定外の債務のリスクが遮断できるというメリットがございますので、この第二会社方式による再生を促進するということで、今回、承継事業再生計画の認定制度を創設するということにしておるところでございます。

赤羽委員 私の地元の中小企業の中にも、かつての債務をずっと引きずってなかなか大変なんだけれども、第二会社方式というんですか、切り売りしてうまくやると多分うまく再生できるだろう、実際再生したという実例もありますので、ぜひ今回の法改正を生かして再生を加速させていただきたい、こう強く思うわけでございます。

 最後に、もう時間が来ますので、一点だけ。

 先日の参考人質疑で参考人として来ていただきました藤本先生、東大ものづくりインストラクタースクールの試みをされている。話を聞いて大変おもしろいなと思ったのは、ものづくりのベテランですとか団塊の世代の多分専門家を集めてスクールをしている。現場の先生として育成するというスクールをやっている。

 これは、業種を超えた知識を共有するということで、大変効果の実例も、結果もよかったということも出ていると思いますので、私は、こういったきめの細かい試みがあれば、たちどころに本当によくなる、磨けば宝になるような中小企業というのはまだまだ眠っていると思うんです。

 そこへのアドバイスなり、ちょっとしたサポートが今までなかったと思っておりまして、これは予算といっても大した金が入っているわけじゃないと思いますが、中小企業再生支援協議会と連動するような形になるかと思いますけれども、ぜひこの東大ものづくりインストラクタースクールを全国展開するような考えで進めていただきたいということを最後に申し上げて、御答弁いただいて、私の質問を終了させていただきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 お話がございました藤本先生、日本のものづくりの強さについて実践と理論と、私ども、大変参考になる御指摘をいただいております。

 今御指摘のとおりでございまして、ものづくりの産業が、日本の成長力、さらには人材、雇用、こういったものの担い手でございますので、時間の関係で一つの例だけを申し上げますと、平成二十年度の補正予算をお認めいただきましたので、全国的にものづくりの人材の育成のために、年間三千人を目途としました、こういった皆さんのわざを磨く技術的研修というものを展開していきたい。そういう中で、一つの大きい分野はものづくりでございますので、藤本先生が御提言されたような、これまでものづくりを担われたベテランや比較的高齢者の方のそういったわざを磨き、さらに継承できるような計画を実践していきたいと思っておりますので、またいろいろな場で御報告をさせていただきたいと思います。

赤羽委員 ぜひ、ピンチをチャンスに変えて、日本の中小企業の生産性向上につながるように施策を進めていただきたいことを申し上げまして、質問とさせていただきます。ありがとうございました。

東委員長 これにて赤羽一嘉君の質疑は終了いたしました。

 次に、太田和美さん。

太田(和)委員 民主党の太田和美です。

 私が現在活動しております地元福島では、正社員の失職者が三カ月連続で三百人を超えて、この五カ月で千五百人も正社員の方が職を失ったということです。非正規雇用に関しても、愛知、長野、静岡、三重に続いて五番目に多く、東北では最多という厳しい環境にございます。

 そのような中、今回の産活法は、政争の具にすることなく、スピーディーな本法案の成立に向けて、先輩議員に引き続き、産活法の質疑に入らせていただきたいというふうに思います。大分論点も出尽くし、重なるところもあろうかと思いますが、重要な法案ですので、ぜひ丁寧な御答弁をお願いしたいと思います。

 産活法の認定企業のうち、政策投資銀行など指定金融機関が行う出資に関し、日本政策金融公庫が損失の一部を補てんする、つまり、事業会社に対する事実上の公的資金の投入ではないかと言われている部分について、出資対象企業の要件があいまいだ等の同僚議員の質問に対し、経産省からは四つの要件が示されました。きょうの議論の出発点になるので、もう一度改めてお伺いしたいと思います。具体的な数字も含めてお願いをいたします。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 産活法に基づきまして今回盛り込まれております出資の円滑化制度でございますが、詳細な制度設計を進めているところでございますが、四つの要件を御指摘のとおり定める方向でございます。

 第一の要件は、当該企業が世界的な金融危機の影響によりまして急激に売り上げ等が悪化をし、自己資本が減少しているために、融資だけではなく出資を受けることが不可欠であること。

 それから第二の要件でございますけれども、産活法の大臣認定を受けようとする事業計画におきまして、一定期間、原則三年でございますけれども、そのうちに当該企業の価値向上が見込まれるものであること。

 それから第三に、雇用規模が大きい企業、またはこうした企業に代替困難な基幹部品等の相当割合を供給している企業など、国民経済の成長や発展に及ぼす影響が大きいと判断されること。ここで、雇用規模が大きい企業ということでございますけれども、これは、関連下請企業や取引先企業を含めまして五万人以上の国内雇用に影響を与えるような、連結ベースで国内雇用五千人以上の企業を想定しております。

 それから第四の要件でございますけれども、当該出資を前提といたしまして、出資先企業に対して、他の民間金融機関が融資または出資を行うことなどによりまして協調して認定計画の実現等に取り組む予定であるという、この四つの要件を満たす企業が対象になり得るというふうに考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 二階大臣は、一月二十七日の記者会見で対象企業の規模を問われて、こう言われております。「中堅企業ぐらいに焦点が当たっていくでしょう。中堅からもう少し大きいところも考えられなければいかんでしょう。」というふうにおっしゃっております。このやりとりは経産省のホームページにも載っているので正確だと思いますが、中堅企業が焦点だと言っていて、そして、もう少し大きいところも考えなければとつけ足しています。

 この一月末の大臣の認識と今経産省が改めて答弁をした要件は少しニュアンスが違うのではないかというふうに思っております。国内従業員五千人規模以上というのは大企業です。法案を詳細に詰める段階でターゲットが当初から変わってきたような気がするのですが、お答えをお願いいたします。

二階国務大臣 私の一月に行った記者会見の点でありますが、厳しい経済情勢を踏まえて、これから制度の検討を始める、そういう時期でございました。対象企業の基準づくりの作業もちょうど緒についたばかりというような当時でありましたから、当然、私自身の認識として、中堅企業そしてまた大企業、いずれも本制度の対象になるという認識は持っておりました。

 当時の記者会見録を私も改めて確認してまいりました。まさにそうした考え方に基づき、「中堅企業ぐらいに焦点が当たっていくでしょう。中堅からもう少し大きいところも考えられなければいかんでしょう。」と、今議員から御指摘のとおりであります。さらに、「中小企業も中堅企業も、場合によっては大企業もという、企業の大きさだけにこだわらずに、」と申し上げております。

 また、同じ記者会見において、国のために、日本の産業のために必要だと思われる企業に対して支援をしていきたいと思っていますともつけ加えてございます。国民生活の成長や発展に大きな影響を及ぼす企業が対象であるという点においては、制度設計を始めた当初からも基本的な考えは変わってはおりません。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 今大臣からもお話がありましたが、その記者会見の続きで、中小企業も中堅企業も、場合によっては大企業という、企業の大きさだけにこだわらず、国のため、日本の産業のために必要だ、あるいはそれぞれの地域のために必要だと思われる企業に対して支援をしていきたいというふうに大臣も述べられております。

 認定の要件を明確化していくことは絶対に必要ですし、先ほどの御答弁ですと、雇用の規模では五千人、シェアについてはちょっと御答弁がありませんでしたが、あるいは代替困難な基幹部品等の相当割合を供給している企業、シェアでいえば三〇%から五〇%、この二つのどちらかに属さなければ、申請しても足切りされることになる。

 すると、五千人規模かシェア三〇%か、このどちらの要件にも当てはまらない、例えば、高い技術力を持っているとか、これから確実に伸びる可能性が高いとか、今後の経済成長に欠かせない分野の有望企業だとか、そういう企業がこのスキームを使いたいというふうに思っていても認定されないケースが出てくるのではないかというふうに私は思っております。企業規模と代替困難な部品のシェアの数字で足切りして大丈夫なのでしょうかということです。

 規模とシェアでは拾えないケースがあると思いますが、そうなると、企業の大きさだけにこだわらず、国のため、産業のために必要な企業に支援をしたいという、大臣が当初言われていた意見とちょっと矛盾が生じてしまうのではないかというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。

高市副大臣 失礼します。

 太田先生おっしゃいますとおり、大企業であれ、中堅企業であれ、中小企業であれ、小規模企業であれ、その事業主体を守るということは、日本の国のために大変大切でありますし、また、その雇用を維持するという、今の非常に大切な課題にとっても欠かせない視点であると思っております。それらすべてのあらゆる規模の企業の資金繰りを国として応援していくという方針については変わっておりません。

 この制度に関しましては、金融危機によって一時的に経営状況が悪化して、融資だけじゃなくて出資が不可欠になっている状態、そういう要件を満たす企業の資金繰り対策として設けるものでございます。先ほどおっしゃいましたとおり、国内雇用五千人以上の企業だけじゃなくて、そういった企業に代替困難な基幹部品などの相当割合を供給している企業も含まれます。

 それで、中堅、中小、小規模と、さまざまな企業の資金繰りに関しましては、この改正産活法案の中にも、主に中堅企業を対象にいたしました中小機構によります債務保証制度を盛り込んでおりますし、また、中小企業向けには別途三十兆円規模の緊急保証やセーフティーネット貸し付けに加えまして、また、中小機構によります再生ファンドを通じた出資などもございます。

 ですから、これらの施策をしっかりと機動的に発動していくということによって、これからも可能性を開いていける小さな規模の企業に対しても応援をしてまいりたいと思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 定量的な要件だと非常にわかりやすいですし、余り裁量が入り込む余地もなくなり、透明度も高くなると思います。しかし一方で、機械的な判断になり、本当は支援をしなければいけないケースを落としてしまうおそれも出てきます。私はむしろ、企業規模や代替困難な部品のシェア率などの基準もいいですが、もう少し定性的な基準もあった方が使える法律になるのではないかなというふうに思っています。

 そのためといったらなんですが、今回の要件のことも、先輩議員や同僚議員からもいろいろ御指摘があったと思いますが、これを決めるに当たって第三者委員会のようなものを設置して、認定のプロセスの結果の検証、また、政治家の圧力がなかったかとか、厳しいようですが、公的資金を投入してまで生き残らせる価値があるのかとか、経営責任は本当に問わなくていいのかなど、産活法の枠組みにとらわれず検証する機関が必要だったのではないかなというふうに思っております。その方が経産省も、結局は経産省の裁量の一つというふうな非難を恐れる必要もなかったのではないかなというふうに思います。

 これらの要件で本当に必要な企業が支援できるのか、改めてお伺いしたいと思います。ストレートにお聞きしますが、検証のための第三者委員会を設置するなどの手法で透明性を高めていく考えはないかどうか、お伺いをしたいと思います。

石黒政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の制度は、世界的な金融危機によって経営状況が悪化して、融資だけではなくて出資も不可欠な企業を対象として行うものでございます。私どもとしても、臨時異例の措置であるということはよく認識をいたしております。

 そのため、産活法の要件に加えまして、先ほど局長が答弁させていただきましたが、雇用規模の大きい、あるいは国民経済の成長、発展に及ぼす影響が大きいというようなことで、要件を深掘りさせていただいております。

 本制度におきましては、実は一〇〇%政府保証の出資といったような、資本注入のような形ではございませんで、民間の指定金融機関が一定のリスクをしょう仕組みになっております。二〇%から五〇%、指定金融機関がリスクをしょうということでございまして、あわせて他の民間金融機関が協調して融資を行うといったような要件も加えさせていただいております。

 そういう意味で、制度利用に当たりましては、民間の目きき能力というのが十分に活用される。一言で言えば、市場がこの企業をきちっと生かしておきたいというものについて補完的に役割を果たさせていただくということでございまして、先生御指摘のとおり、第三者委員会というものも一案だとは思いますが、これで十分ガバナンスがきいていくのではないかと思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 第三者機関を設けるという考えはないということで、少し残念には思いますが、ここでちょっと一つお聞きしたいのですが、一部の報道で、「当初は企業に資本注入する公的な組織を新たに設立する構想も浮上した。二〇〇三年に立ち上げた産業再生機構の類似組織創設も俎上に載ったが、国会審議の難航が予想され断念した。」というふうに一部の報道機関で載っておりました。

 国際情勢をそのように判断したというのは与党だけの責任ではないというふうに思いますが、この経済状況の中で、公的資金を使った企業支援そのものに私たちも反対ではありませんし、真に必要な企業に支援をすること、そして、公正で透明性の高い決定プロセスが重要だと認識しております。

 ここでお伺いしたいのは、新たな組織をつくって企業を支援するという当初の発想をどのような理由で断念したのか、大臣にお答えを願いたいと思います。

石黒政府参考人 そのような報道がありましたことは承知をいたしておりますが、私どもとして、具体的にそういった産業再生機構のような組織をつくるといったような検討を行った事実はございません。今回の対策は、前回の審議でも御説明申し上げましたが、資金繰り対策の一環として出資を行うといったような観点から措置をさせていただいております。

 一方、先生御指摘のような、産業再生機構のような債権の買い取り、私的整理によって再生を図るという組織につきましては、別途内閣委員会において地域力再生機構法案が提出されております。私どもとしても、早期の成立、施行を期待しておるところでございます。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 では、一月三十日に日経新聞に載ったこの記事は誤りだったということでよろしいんですよね。はい、わかりました。

 先ほども少し触れましたが、そもそも論を言えば、事実上の公的資金の投入は本来産活法でやるべきではなかったのではないかと私は思っております。産活法でやろうとするから、登録免許税を少しまけるという軽目の認定と、政投銀の出資に対し日本航空の損失の一部を補てんするという重い認定を同じような仕組みで経済大臣がやることになる。政投銀の出資は、失敗すれば税金投入につながるわけですから、当然重い話です。重い話だからこそ新しい法律をつくって、正直に、これは公的資金の投入です、だから明確な基準をつくります、独立性の高い組織で支援先を公正に決定しますと堂々と提案すればよかったのではないかなと私は思っております。

 私どもも、この事態の中で公的資金を使った企業支援そのものに反対するわけではありませんが、ただ、今回のスキーム、経産省は事あるごとに、これは公的資金の投入ではありませんと繰り返していますが、殊さら重い話を軽く見せようとする意図があるのではないかなというふうに感じるときさえありました。裏口からこっそり入ろうとするのではなく、正面から正々堂々と入ってほしかったなというふうに思っております。

 このような意見について、大臣、いかがでしょうか。

石黒政府参考人 お答えをさせていただきます。

 今回の措置は、金融危機の影響によって、一時的に自己資本が大きく毀損して経営状態が悪化しているということで、しかしながら、一定期間後には生産性が向上して企業価値の回復、向上が見込まれる企業を支援するというのがその趣旨でございます。

 こういった趣旨にかんがみますと、実は産活法の目的それから趣旨といいますのは、我が国経済の持続的な発展を図るためにその生産性の向上が重要である、それから、我が国産業の活力の再生に寄与することを目的としたというのがこの産活法の趣旨でございます。

 それからまた、先生も今お触れになりましたが、産活法はほかにも支援措置がついております。そういう意味で、法制上の観点と政策的にパッケージとして支援をしていくという両方の観点から、この法律の中で措置をさせていただいたという次第でございます。(太田(和)委員「大臣の所感もお願いしたいんですが、新しい法律について」と呼ぶ)

二階国務大臣 ただいま御答弁を申し上げたとおりでありますが、私も、これは一定期間を区切っておるわけでございますから、それまでに生産性の向上と企業の回復ということを願って、我々は、この法律によって新しい制度を導入したということだけで事終われりというのではなくて、これからさらに企業が立派な企業に再生していく方途についてしっかりと支援をしていきたい、このように考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 これ以上深くは質問をいたしませんけれども、産活法について、今回、多分走りながらいろいろ議論を詰めているんだろうかなという感が否めません。ぜひとも、具体的なところについて、大臣からも慎重にしっかりとチェックをしてみていただきたいなというふうに思っております。

 出資の問題についてはこれが最後になりますが、引き際のことについてお伺いをしたいと思います。

 日本公庫による損失補てんは、当面、平成二十二年三月末までに行った出資につき行われることとなっているが、当面というからには、事情があればもっと延びるということもあるのでしょうか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 この出資の円滑化制度でございますけれども、今般の危機に対応するための臨時異例の措置というふうに考えておりまして、御指摘のとおり、日本政策金融公庫が行います損失補てんは、法律上も、民間指定金融機関が内外の金融秩序の混乱により出資を行うことが一般に困難であると認められる時期に行う出資のみを対象とする旨、明記しているところでございます。

 御指摘のこの時期でございますけれども、これは政令で定めることにしておりまして、平成二十二年三月末までを想定しております。したがいまして、その終了時期におきまして、そのときの経済環境等を考えてどのように判断するかということは今の段階では想定しておりませんけれども、いずれにいたしましても、政令で時期を明記する、こういう形になっております。

太田(和)委員 現在、世界じゅうを覆う未曾有の経済危機の中で、各国はさまざまな形で企業に対する公的支援を強めております。アメリカのクライスラーやGMが巨額の融資を受けていて、新車の六千ドル割引など大キャンペーンを展開しているように、緊急、異例の短期的支援ならともかく、今回の出資のスキームは来年の三月までという時限的なものということですが、延長にも含みを少し持たせているのかなという感じもします。

 こうした事態が長引けば、競争条件がすっかりゆがんでしまうことが懸念されます。また、目先の国際競争を考えたら、先に公的支援の制度をやめた国が損をしかねないという状況ではないかと思っております。かといって、長い目で見れば、保護主義に走り過ぎると国の経済は弱くなりますし、どうやったら各国と協調しながら公的支援の枠組みから抜け出すことができるのか、公的支援の引き際のイメージについて、大臣の見解がおありならお示しいただきたいと思います。

松永政府参考人 やや事務的な背景等について御説明させていただきます。

 御指摘のとおり、世界経済のいわばグローバルな金融危機でございますので、昨日のロンドンでのG20の会議でもそうでございますけれども、この危機に当たりまして、各国が財政措置も含めて経済政策をいわば協調して行うということも大事でございますし、また一方で、御指摘のとおり、それが各国の保護主義というような形に走らないように、きちっとそういう意味での政策的な協調を行っていくということも大事でございます。

 ただ、一方で、世界的な規模での問題ではございますけれども、その影響度合いというのは各国によって異なっておりますし、各国の経済状況に応じてどういう政策支援を行うのかということにつきましても、それぞれの国の置かれた状況あるいはその国における企業の経営環境に応じて実施されていくということだというふうに考えております。

太田(和)委員 済みません、ちょっと大臣にお尋ねしているんですが、今事務方の方からもお話がありましたけれども、どうやったら各国と協調しながら公的支援の枠組みから抜け出すことを考えているのか。大臣のイメージで構いませんので、公的資金の引き際のイメージというのを、大臣の見解がおありならお示ししていただきたいんですけれども。

二階国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。

 ただいまも御答弁申し上げましたように、G20におきましても相当協調ということが目立っておりますことは、私も歓迎すべきことだと思っております。保護主義に走らないようにということ、これについてもきちっとした明確な決意というものが各首脳の間で合意されたということは、大変喜ばしいことだと思っております。

 私もこの前にWTOの閣僚会議に行ってまいりましたが、そのころはまだアメリカの通商代表も決まっていないというふうな時期ではありましたが、一部の国においては、保護主義ということについて走りかねないような雰囲気、そういう国内情勢にあった国々もおありであったわけでありますが、今回は、首脳レベルで、このことに対しては断じてその方向へ走ってはいけないという決意を示されたということは、大いに結構だと思います。

 今言われましたように、それでは、いつごろ公的資金を導入するというようなことから脱却できるかということでありますが、これは、それぞれの国が協力し合って、懸命の努力の結果でありますから、我々は、この困難な状況を乗り越えることに相互に協力しながらやっていきたい。特に、先ほども申し上げましたように、協調という点において、私は、この二文字が、日本語で言うた場合の二文字でありますが、大変重要であると思いますから、我々も、今後、あらゆる国際会議等におきまして、各国との協調に全力を注いでまいりたいと思っております。

太田(和)委員 ありがとうございました。

 次に、資源生産性の向上策についてお伺いをしたいと思います。

 資源生産性の向上が今回の産活法改正の一つの大きな柱になっております。資源価格は今は落ちついていますが、中長期的には上昇していくのは間違いないと私は思っておりますし、低炭素社会を目指した強力な取り組みが国際的にも求められている中、資源生産性のさらなる向上は、企業にとっても我が国社会にとっても死活にかかわる問題だと思っております。したがって、今回、資源生産性革新計画を策定した事業者を認定し税制などで支援していくというのは、方向としては間違っていないかというふうに思います。

 そこで、計画認定の要件でありますが、まず、目標の設定。付加価値をエネルギー消費量または二酸化炭素排出量で割った資源生産性を三年間で一定以上向上させることが目標として求められている。この一定以上とは具体的に何%になるのか。また、この要件が余り厳し過ぎたら計画をつくる事業者が少なくなりますし、逆に甘過ぎたら資源生産性向上策として意味のないものになりかねないと思います。

 したがって、どのような根拠で、そして具体的にどのような考えに立って目標要件を設定していくのか、そのあたりの考え方も含めて御答弁をお願いしたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 今回新たに追加をされます資源生産性革新計画の認定基準でございます。

 委員御指摘のとおり、資源制約に左右されない経済産業構造への移行を強力に推進していく、こういう観点から考えますと、やはりある程度高い目標を掲げるということが大事でございますが、ただ、同時に、企業が、中小企業も含めまして、努力をすればそれに到達し得るというようなことでなければならないというふうに考えております。

 そういう観点で、現在、省エネ法がございまして、その努力目標でございますけれども、年平均一%以上のエネルギー・資源の使用の効率化ということを定めております。この数字というものを念頭に置きながら、具体的な認定対象というものを決める基準、数値というものを設定していきたいというふうに考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 資源生産性計画に盛り込む目標達成に向けた取り組みとして事業構造の変更や設備投資などが挙げられておりますが、具体的にわかりやすく言うとどのようなものがあるのか。

 また、こういう設備投資をしたら資源生産性が何%上がったとか、既に先進的に取り組んでいる事例が結構あると思われるんですが、なるべくイメージできるように、代表的なケースを紹介していただきたいなと思います。

 これは産活法の総括にも関連する話ですが、産活法にこういう計画認定の仕組みがあって、このような取り組みをすればこれだけの恩典があるという情報が意外に知られていないケースが多々あります。制度だけつくっても、利用されなければ全く意味がありませんので、どのような広報、周知徹底をしていくのかもお答えしていただきたいと思います。

 その関連でお聞きするのが、前回の改正で目玉だったサービス産業の生産性向上、これは私もかなり期待していたのですが、これまでで計画認定が六件と、少な過ぎるのではないかなというふうに思っております。この現状をどう認識しているのか、また、広範な利用に向けてどのような取り組みを考えているのか、あわせてお伺いをしたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 資源生産性革新計画でございますけれども、具体的にこの計画が認定をされますと、税制上の措置として、今回新たに初年度即時償却制度という制度がございます。そういうこともございまして、現在、非常に厳しい環境下ではございますけれども、そうしたエネルギー・環境関連の設備投資を積極的に考えていこう、こういう企業が数多く存在をしているというふうに認識をしております。

 非常に革新的な例を申し上げますと、関西の方の製紙関連の企業でございますけれども、新たな工場を設立する際に、その工場を回すエネルギー源としてすべてを再生可能エネルギーで賄う、こういうような革新的な計画もございます。それから、この対象は一企業だけではなくて、グループで認定を受けるということも可能でございまして、例えば、既存のコンビナートを形成している企業でございますけれども、それぞれの企業が持っているいわば古い熱源供給設備を共同で廃棄いたしまして、新たに、共同で使う、最新の省エネ効率の高い設備を導入する、こんなようなことも今後期待をされるのではないかというふうに考えております。

 それから二点目の御質問でございます、サービス産業の活性化関係の問題でございます。これにつきましては、御承知のとおり、二〇〇六年の新経済成長戦略、あるいは昨年改定をされました新経済成長戦略の改訂版におきましても、サービス産業の活性化、生産性向上というのは、日本の経済社会にとって非常に重要な課題であるというふうに位置づけているわけでございます。

 ただ、産活法の認定ということについて申し上げますと、御指摘のとおり、現在まで、認定された件数は六件にとどまっております。この状況について、私ども、満足できる状況ではないというふうに考えておりまして、先般もお答え申し上げさせていただきましたけれども、御指摘のとおり、この産活法の枠組みというものについて広く周知、広報を図りながら、サービス産業につきましても幅広く認定を求める企業が出てくるように努力をしていきたいと思っております。

 いずれにしましても、サービス産業の生産性向上につきましては、成長戦略に基づきまして、サービス産業生産性協議会という枠組みを設けまして、また、業種別に産構審の御議論もいただきまして、生産性向上のための具体的な指針というものを定めておりますので、こうしたものの周知、広報も含めまして対応していきたいというふうに考えております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 制度だけつくっても、利用されないと全く意味がないので、ぜひとも広報を周知徹底していっていただきたいなというふうに思っております。

 次に、第二会社方式についてお伺いをしたいと思います。

 今回の改正では、中小企業のさらなる円滑化を進めるということで、過剰債務を抱えた中小企業の優良な事業部分だけを切り離して、第二会社をつくって再生する、その際、第二会社が許認可を承継できる特例や登録免許税などの軽減、日本公庫の低利融資などの支援をしていきますという中身ですが、一点だけお尋ねしたいと思います。

 第二会社方式のメリットとして、金融機関の協力が得やすいとかスポンサーの協力が得やすいなどと説明されておりますが、基本的には会社が立ち行かなくなるという話ですし、債権放棄など、金融機関や取引先に迷惑をかける話に変わりはありません。第二会社による再生計画は大臣が認定するわけですが、その際の経営者の経営責任というのがどのように問われることになるのか、具体的に御答弁をお願いしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、太田先生が御指摘されたような、中小企業が苦境に直面しましたときの再生ということを円滑にするということは、おっしゃるとおりでございます。こういう状況に至りました中小企業の場合には、いずれにいたしましても大変な痛みがあるわけで、その痛みを経営者あるいはそこで働く方、そこに債権を持っている方、これは金融機関もありますし、お取引先もあると思いますし、場合によっては、その事業所があるおかげで、間接的かもしれませんけれども、そこでなりわいを営む方もいらっしゃる、こういったような方々が、だれもが避けたいこの痛みというのをどういうふうに公正に分けるかというのが一番大きい点でございますし、また、余りにもその責任というものを分けた結果、いいものが埋もれてしまっては、これは何のためにもならないということでございます。

 そこで、一方でその責任をいかに公正に負っていただき、そのいわば見合いということかもしれませんけれども、負担を軽減し、その中でいいものを生かしていく、この微妙なバランスを何とか行政としてお手伝いし、日本の中小企業の一たん失われかけている輝きを戻す、こういう考え方でやっているものでございます。

 それで、具体的に、やはり経営者の交代という形でこれまでも責任をとるということが多うございました。これは何も行政がそうしろと言ったわけじゃございませんで、こういう痛みの分配の仕方につきましては、関係当事者の合意というものが何よりも基本でございます。現に、これまでの十五年以来の再生協議会で実際に計画が決まってまいりました案件につきましても、そういった責任というものをやはりとろうじゃないかということで、具体的には、経営者の交代のみならず、株主の責任あるいは保証の責任、こういったようなことが何らかの形で求められているのが原則でございます。

 そういったような痛みをしかるべき形で負っていただいた上で、埋もれがちなものを行政として仕組みをつくって再び輝かせるというようなことでございまして、そういう意味では、公正な債権者調整プロセスということで、いわば債権者が、一部、ないしは場合によっては全部、債権をこの際御遠慮いただくというようなことを認定の要件としてこれから決めていきたいと思っております。

 経営者責任というと大変重い、厳しいように響くかもしれませんけれども、業種、業態、場合によっては、地域によっては、ほかの中小企業者から見て、私たちは一生懸命、銀行に無理して返済していると。ところが、このプロセスが、余り経営責任がしっかり追及されませんと、何かもう一遍リセットされて、そちらがまた元気に伸びてしまうのはなかなか公平じゃないんじゃないか、こういったような声もございます。

 そういった意味で、なかなか複雑な要素を、原則を失わないようにしっかりと運用していきたいというふうに思っております。

太田(和)委員 ありがとうございました。

 ちょっと時間もなくなってきましたが、次に、今回の法改正により創設されることになる産業革新機構についてお尋ねをしたいと思います。

 これは、構造的な資源高という制約のもとで、環境・エネルギー分野、ライフサイエンス分野など成長性の高い市場を獲得するということを念頭に置いて、各企業や大学に分散して十分な実力を発揮できていない技術や事業を組み合わせて新たな事業を育成するため、官民共同でイノベーションを支えるリスクマネーを供給するものだと説明されております。

 国は、とりあえず二十一年度予算案で四百億出し、複数年度で一千億円程度を拠出する、そして国内外の民間からも出資を募り、トータルで二千億円程度の出資を目指すというお考えのようですが、一昨日もいろいろ同僚議員などからも質問があったと思いますが、失敗している例もあるということで、そういった観点からも、本当にちゃんとお金が集まるのかという疑問がぬぐえないところがあります。

 それから、国が税金を使って革新的なイノベーションに投資しようとする場合に、貴重な税金だからということで、失点を恐れて手がたく、手がたくいくと、これは本来のリスクマネーの役割を果たせないですし、一方で、先日も御答弁にありましたが、基礎研究段階ばかりに出資すると、前回のように、ほとんど回収できず、税金を無駄に使ってしまうことになりかねない、この辺が難しいんだと思います。

 産業革新機構に民間のどういう人材が集まるのかにも左右されると思いますが、税金を一千億円出すという側の大臣として、今後、革新的なイノベーションに向け、リスクマネーを供給することと成果を出していくことのバランス、それをどうとっていくべきなのかとお考えなのか、所見をお伺いしたいと思います。

松村大臣政務官 産業革新機構におきましては、先生御指摘のとおり、事業の原資に公的資金を含んでいることから、リスクをとりつつも原資を損なうことなく成果を上げていくことが重要なことだと考えております。

 このために、環境・エネルギーやライフサイエンスなど今後著しい成長が見込まれる分野、高い技術を有しながらもその底力を発揮できずにいる分野を対象といたしまして、実績ある民間人材を活用してそこに投資を行うことによりまして、原資を損なうことなく将来の芽を育てていくことが可能になると考えております。

 こうした取り組みをやることによりまして、先生御指摘の点も留意しつつ、今後努めていく所存でございます。

太田(和)委員 時間がなくなってしまって、求めていた答弁のところにまでなかなか行き着かないんですけれども、別の話になりますが、最後に大臣に一点だけお聞きしたいと思います。

 法案に関する質問ではないんですけれども、現在検討中の追加経済対策についてお伺いをしたいと思います。

 麻生総理が、先日、追加対策の策定を指示しましたが、検討項目の中に贈与税の減免措置が入っております。一千五百兆円の我が国の個人金融資産の大半が六十歳以上の高齢者だと言われておりますが、高齢者が保有する金融資産の贈与を受けた子供が、住宅や自動車などを取得した場合に贈与税を減免するものと報道の段階ではされております。

 経済産業大臣として、この贈与税優遇策についてどのように受けとめているのか、この策によって本当に日本の個人消費が回復すると思うのか、ちょっと大臣のお考えを聞かせていただければと思います。

二階国務大臣 お尋ねの件は、我が国の金融資産、千四百三十兆円だということを言われておりますが、これを年代別に割ってみますと、今、太田議員から御指摘がありましたとおり、大体、六十歳以上というふうな方々がたくさん保有していることは事実でございます。

 したがいまして、その個人金融資産を日本経済の活性化のためにどう活用していただくことができるか。いろいろなことが前々から言われておるわけでありますが、これという決め手は、個人がお持ちになっているものですから、国が自由に使うというようなことを考えてもなかなか難しいんですが、それでは、生前贈与というような形でこの資金を動かすことができないかということで、経済のこういう厳しい情勢のもとでありますから、有効な政策手段の一つになり得るのではないかという指摘も各方面からあります。

 そこで、高齢者の金融資産を活用して新たな需要を創出していくためには何がいいかということを今与党の関係者で検討いただいているというふうに伺っておりますが、我々もこれに注目をいたしております。関係方面の御意見を十分踏まえながら、新たな需要を効果的につくり出していくことができるようにするためにさらに検討を加えてまいりたいと思いますが、こうした問題こそ与野党で十分話し合いをして、御議論を重ねていくことが大事だというふうに思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。慎重に検討をしていただきたいなというふうに思っております。

 贈与税は、もともと相続税逃れの生前贈与を防ぐために創設されたというふうに私は思っております。しかし、実際に今相続税を払っている人は全死亡者数のうち四・二%の少数にしかすぎません。残り九六%の大多数にとって、相続税逃れの生前贈与をしようという動機は発生しないのではないかという私の疑問があります。

 そもそも、高齢者の個人金融資産が消費に回らないのは、介護や年金、医療などの日本の社会保障が貧困で、将来不安が大きいからだというところに尽きると思います。社会保障の抜本改革に手をつけず、贈与税優遇で消費を盛り上げようというのは余りにも小手先ではないかなというふうに思っております。資産家の麻生総理らしい発想だなというふうに思っておりますが、軽減措置を講じるのは税制の不平等を拡大し、格差を一層拡大させるものだというふうに思っておりますし、格差を縮め、大多数、中間層の個人消費を活性化させる、大臣にはぜひこの王道を進んでいただきたいなというふうに思っております。

 四%の富裕層が消費を引っ張るのだという考えもわからなくもないんですけれども、百年に一度だからといって、何でもやっていいということにはならないというふうに思っております。経済産業大臣としてもぜひ慎重に検討していただきたいなというふうに感想だけを申し上げまして、少し時間がオーバーしてしまいましたけれども、私からの質疑とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて太田和美さんの質疑は終わりました。

 次に、北神圭朗君。

北神委員 おはようございます。民主党の北神圭朗でございます。

 この前、水曜日の質疑の中で、日本政策投資銀行の一般事業会社に対する出資についての議論をさせていただきました。これは、日本政策金融公庫が損害補てんという形で、場合によっては公的資金が入る、血税が入るということで、大事な問題でございます。

 まず一つは、公共性の問題について議論して、これは前回、基本的に、やはり雇用の規模が大きい会社というものがあって、こういうところがそのまま再生せずに破綻したりすると国民経済に非常に大きな影響を及ぼす、こういったところはしっかりと、場合によっては税金を使ってでもちゃんと対応しなければいけない、そういう公共性の話だと思います。

 これもいろいろ議論があるというふうに私も思っておりますし、金融とかそういった部分と比べるといろいろな問題点もあるというふうに思いますが、そこを担保する上でも、実際にどういう企業を日本政策投資銀行の出資の対象にするかという認定条件の部分が非常に大きな問題だと思います。ですから、通告の順番と大分違いますが、まずこの問題をやはりやっておかなければならない。

 大臣は、前回、四つの認定の要件を教えていただいたんですが、それでは我々も具体的に委員会として審議することも非常に難しいということで、議論の中でいろいろ説明もいただきましたが、ひとつ総括を局長にお願いできればというふうに思っております。

 特に、一つだけつけ加えると、やはり雇用が今回の公共性の一つの大きな柱であるわけでございますから、その雇用の確保、安定というものもこの認定の中で十分確保していただきたいな、そういう前提として考えていただきたいなというふうに思います。

 それでは、ちょっと認定条件の詳細を教えていただきたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の四つの要件を満たす企業が今回の出資の円滑化措置の対象企業になるというふうに考えておりまして、詳細な制度設計を進めているところでございますけれども、その内容につきまして、詳細を申し上げたいと思います。

 まず第一の要件でございますが、世界的な金融危機の影響により急激に売り上げ等が悪化をし、自己資本が減少しているために、融資だけではなく出資が不可欠であることということでございます。

 このうち、急激な売上高の減少ということでございますが、これにつきましては、四半期の売上高が前年同期比で二〇%以上減少した場合、あるいは半期の売上高が前年同期比で一五%以上減少した場合などを目安といたしまして、今回の世界的な金融危機の影響によりまして利益やキャッシュフローの減少などが生じ、急激に経営状況が悪化したと判断される場合というものを想定しております。

 この問題でございますが、現行の融資につきましての危機対応業務ではこうした数値基準は設けておりませんけれども、本制度の重要性にかんがみまして、このような基準を明記させていただく考えでございます。

 それから、自己資本が減少をし、融資だけではなく出資が不可欠ということでございますが、これにつきましては、具体的に申し上げますと、金融機関からの融資についての財務制限条項、いわゆるコベナンツでございますけれども、これに抵触した場合など、金融機関からの融資が難しいと判断される場合を想定しております。

 次に、第二の要件でございますが、産活法の大臣認定を受けようとする事業計画におきまして、一定期間、原則三年でございますが、そのうちにこの企業の価値向上が見込まれるということでございます。

 産活法の大臣認定におきましては、認定計画終了後に事業構造の変更や事業革新を達成いたしまして生産性の向上が図られるということを要件としておりまして、その指標といたしましては、例えば、ROEが二%以上向上していること、あるいは有形固定資産回転率、これが五%以上であること等を考えております。

 第三の要件でございます、雇用規模が大きい企業、またはこうした企業に代替困難な基幹部品等の相当割合を供給している企業など、国民経済の成長や発展に及ぼす影響が大きいと判断されることというふうに考えておりますが、ここで雇用規模でございますけれども、これにつきましては、関連の下請企業や取引先企業を含めまして五万人以上の国内雇用に影響を与えるような、連結ベースで国内雇用五千人以上の企業を想定しております。

 また、雇用規模が大きい企業に代替困難な基幹部品等の相当割合を供給している企業ということでございます。これにつきましては、先般も答弁させていただきましたけれども、こうした重要な部品の供給がストップをいたしますと、供給を受けている雇用規模の大きい企業の経営が悪化をして、結果として国民経済の成長や発展に大きな影響を及ぼすことが懸念をされる、こういう観点からそうした企業を想定しております。相当割合ということの数字でございますけれども、三割程度以上というものを想定しております。

 最後に、第四の要件でございますけれども、当該出資を前提といたしまして、出資先企業に対しまして、他の民間金融機関が融資または出資を行うことによりまして、協調して認定計画の実現等に取り組む予定であるということでございますが、この問題につきましては、産活法に基づきまして事業計画の認定を受ける際に、この事業計画の中に、計画実現のために必要な資金調達に関して具体的な方法が示されていることを条件に大臣認定を行うということを想定しているわけでございます。

 以上、申し上げました四つの要件につきましての詳細を産活法の大臣告示に具体的に明記することとしております。

 それから、北神委員御指摘の雇用の問題でございますけれども、御承知のとおり、出資の円滑化措置につきましても雇用の維持確保に十分配慮を行うべきでございまして、現行の産活法では、認定要件の一つといたしまして、事業計画を提出する際に、労働組合等との必要な協議を行うことなどを通じまして労使間で十分に話し合いを行うということになっておりまして、認定企業の事業計画の実施に際しましても、雇用の安定等に十分配慮を行うというふうにされているところでございます。

 以上でございます。

北神委員 ありがとうございます。

 そのぐらいの具体的な条件が出てきて、これを大臣告示というところで明記をしていただく。これは本当に、なかなか、どうなるかわからないような部分もありますし、大臣を初め皆さんもいろいろな不安があるというふうに思いますので、この明示的な認定条件のもとで厳正な運用をしていただきたいというふうに重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 また、一番目の条件の売り上げの減少の部分で、四半期では前年同期比で二〇%以上、あるいは半期で一五%以上の減少があった場合ということは、恐らく、去年の秋からこの米国発の金融不安というものが生じたので、その前にもう既に経営の失敗で悪化しているようなところは数字上排除されるという趣旨だと思います。

 今回の不景気というのは、おっしゃるとおり、すべてとは言いませんが、やはり一種災害的な要素が強いということで、ぎりぎり、公的資金を場合によってはいろいろな厳しい条件の中で入れることもあり得る、そういうことで私も理解をしたいというふうに思っております。

 次に、もう一つ大事な点は、先ほど局長からもお話がございましたが、雇用の部分であります。まさに公共性の一つが大規模な雇用の確保ということでありますし、今、止血的な対策、血をとめなければならないという意味で、雇用というものは非常に大事だ。

 一方で、産業活力再生法案というものは、基本的に事業の再構築ということですから、いわゆる共同事業によって事業を集約、事業を集約するというと非常に聞こえはいいけれども、場合によっては事業を廃止したり縮小したりする話でもありますし、持ち株会社ということで会社を分割することもあり得る、営業譲渡というのもあり得る、そういう意味で事業の再構築をするんです。その中で、目的としては再生である、企業の価値の向上である、ROEというものを一つの目安として生産性を向上させることが目的であるけれども、はっきり、率直に私も申し上げると、その重要な手段の一つとして、どうしても人員整理的な話も出てくるんです。これはやはり我々は避けてはならないというふうに思っております。

 人員整理といっても、この部分をまさに慎重に、そこで経営者が、この機に便乗して何か自分の従業員をリストラする言いわけに使ったり、あるいはそれを目的化したりしないようにしないといけないというふうに思っております。

 ですから、先ほど局長からも、組合だけじゃなくて従業員全体として彼らのこともよく考えなければならないと。これは単に労働者の権利とかそんなことだけじゃなくて、それも大事なんですが、まさに事業再編をやる上で従業員の協力というものもまことに大事な部分であると思います。

 そういった意味で、雇用という部分は非常に大事だし、それをやる上ではっきりと手続というものを踏んでいかなければならないというふうに思っております。

 質問として大臣にちょっとお聞きしたいのは、この産活法、いろいろな計画類型があります。そういう中で、労働組合を初めとする従業員との協議というものが私は大事だと思いますが、どのようにお考えか、お聞きしたいと思います。

二階国務大臣 先般から御議論の中で、特に民主党の皆さんから、雇用という問題、労働組合、また労働者のお立場ということをしっかりと代弁していただいて、御指摘がございました。

 我々も、今後とも、従業員の地位を不当に害するものでないこと、これを法律で規定することを要件としていますが、具体的には、労働組合と必要な協議を行うことなど、労使間で十分な話し合いを行うこと、そして計画の実施に際しては、雇用の安定により十分な配慮を行う、こういうことを要件にして、こうした点を十分確認する。申請内容については、認定前に厚生労働大臣にも協議をするということにして、二重三重、万全を期していきたい、このように思っております。いわんや、このことを盾にとって労働者に不当な行為を行うようなことは見逃すことはできない、こういう気持ちでございます。

北神委員 明快な答弁、ありがとうございます。

 次に、今全体の話をさせていただきましたが、今度、中小企業の再生の話が法案に入っております。第二会社化という話で、一つの会社の中に、不採算部門と、今後再生できるような、まだ見通しの立つような部門と両方混在している場合に、不採算部門の方を置いておいて、第二会社にまだ再生可能な事業を移行するという話が入っております。

 これは、既に現実に使われている方法でもありますし、私も大事な方法だというふうに思っておりますが、まさにここは中小企業の世界であるし、そういう意味でもまだまだ組合の組織とか、これは未発達なところもあります。また、第二会社方式というのは、はっきりと、不採算部門というのを残して、これは特別清算等で整理をするという話なので、そこに残された従業員のことも考えなければいけないというふうに思います。

 ですから、第二会社方式に係る中小企業承継事業再生計画、この部分について、私は、大臣の認定要件において、本当は法律ではっきりと組合等との協議というものを明記すべきだというふうに思いますが、大臣のお考えを聞きたいと思います。

長谷川政府参考人 法案作成に当たりましての若干事務的な作業の結果もございますので、まず私の方から御答弁をさせていただくことをお許しいただきたいと思います。

 中小企業の場合に、そういう意味で痛みというものを、限られた数の経営者そして働かれる方で、どういうふうにこれを公正に、そして公平に分かち合うかというのは大変深刻な話でございます。そういう意味で、今先生からお話ございましたように、まずは、先ほど大臣から御答弁ございましたような、従業員の地位が不当に害されないこと、そしてこの法案が法律になった場合に運用をどうするかという御答弁は、これは中小企業も大企業もすべからくそういう考え方でやるということでございます。

 とりわけ、今お話ございました第二会社の場合に、いわば、言葉はいいかどうかわかりませんが、不採算の色彩が強いところにつきまして、今お話があったような御懸念のことが起こってはいけないと思っておりますので、労働組合、あるいは中小企業の場合はお話ございましたように労働組合がない場合というのが結構ございますので、働いていらっしゃる方々と経営者、よくお話をして、協議を通じて十分な話をするということを、私ども、運用に当たりましては徹底したい。

 なお、これは申し上げるまでもないわけでございますけれども、判例上確立いたしました、従業員の地位を不当に害さないためのいわゆる四要件というのがございます。こういう中で、解雇回避の努力義務、あるいは公正に具体的な人選、こういったことも合理的であるということがしっかり判例で確立しておりますので、運用に当たりましては、当然私ども、この判例を体して、十分踏まえてやっていくということになると思います。

二階国務大臣 ただいま中小企業庁長官から御答弁を申し上げたとおりでありますが、お尋ねの件は極めて重要な点を指摘されておるわけであります。今後、継承する事業の従業員については、私どもは、継承時点においてもおおむね八割以上を確保するという規定を置くことも検討中でありますし、今後におきまして、事業再生に不可欠な経営資源としての従業員の安定確保ということを重視して考えていただきたいということを指導するつもりであります。そして、そのことに外れる場合は、そのことを真剣にお考えいただけない場合は、認定については考えざるを得ない、こう思っております。

北神委員 ありがとうございます。

 大臣の答弁の中にもありましたが、第二会社方式の場合に、残される従業員の割合を八割程度というふうに今検討中ということだと思いますが、ぜひその点についても、その方向で検討を進めていただきたいというふうに思います。

 あと、第二会社の場合特殊なのは、従業員の立場として、結局、第二会社の方に行かないと、もとの方に残る場合はそこは特別清算されるから、基本的には、現実的にはもう選択権がないんですよね。つまり、経営者側から、社長から、お前、どっちに行きたい、残りたいのか、あるいは第二会社の方に行きたいかと言われると、それは行きたいと言わざるを得ないという意味では、事実上、選択権がない。だから、そういう意味では非常につらい立場に置かれてしまう。

 そういうときに、第二会社の方に行くときに、既存の労働契約とか労働条件とか、それを、さっきの大臣の言葉で言えば不当に切り下げられてしまう。要するに、どうせ残れないから第二会社の方に行かざるを得ないわけですから、だからそこで不当に労働条件とか労働契約を切り下げる、そういうケースも想定できるというふうに思います。その点について、これは事務方でも結構ですけれども、どういうふうに対応されるのかということをお聞きしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、確立した判例四原則というふうに申し上げました。これは、すべからく中小企業、大企業、適用されるものだというふうにまず認識しております。

 そういうことを申し上げた上で、御提案申し上げておりますこの法案の中の従業員の地位を不当に害するものではないというような意味合いは、今委員が御指摘されたようなケースというのも一つの典型的な懸念として私どもは考えております。そういう解釈がされるという意味で御提案をしているというふうに言いかえさせていただきたいと思います。

 したがいまして、ここは、経営者も苦しい、働く方も苦しい、もちろん債権を放棄される方、こういう方も実は決して痛みがないわけじゃないわけでございまして、そこで、責任、それから将来に向けたいろいろな知恵を出すというプロセスがございます。

 そういう意味で、何といっても当事者間の十分な話し合いというのが一番重要なことだと思いますので、労働組合、あるいはそれがない場合、従業員の皆様方と協議によりまして十分な話し合いを行ってもらうということを徹底して、その旨が確認された場合に限りましてこの認定をしていきたいというふうに思っております。

北神委員 ありがとうございます。

 あと、今は第二会社の方に移る人たちの話をしましたが、どうしても、八割は存続するけれども、二割は非常につらい立場に置かれるというのが現実であります。この方たちの雇用の安定というものも、それはいろいろな考え方がありますが、今のこの時期ですから、できるだけ配慮をしなければいけないというふうに思いますが、この残された方々の雇用の安定についてはどのようにお考えか、大臣、もしお考えがあれば。

二階国務大臣 八割の方も残された側の方々も含めて、労働組合等と協議をするということをまず念頭に入れておきたいと思います。そして、そのことを要件として認定していきたい。

 そこで、今お尋ねのポイントでありますが、第二会社に移行しない労働者がおられる場合に、その雇用の安定に努めるように、適切な運用について経営者の皆さんとも十分相談して、社会的正義にかなうようなことで解決できるように、最善の努力をしたいと思っております。

北神委員 ぜひその点、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 あともう一つは、先ほど大臣の話で、事業計画を出す段階で、そういう十分な配慮が得られない場合は認定をしないという話がありましたが、実際、事業計画上はちゃんと書いてあるけれども、認定した後にそういう逸脱した行為があった場合に、これはどういうふうな対応措置が考えられるのか、その点についてお聞きしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、何よりも、認定されたことがきちんと遵守されていることを徹底して、それが守れない場合というよりも、守ってもらわなくちゃいけないというのが大事だと思っています。そういう意味で、私どもは、認定をした後も、この法令に基づきまして実施状況につきまして報告を求めることができるという権限をこの法案でいただきたいということをまずお願いしております。

 それを私どもは適切に活用いたしまして、少しでも不当な解雇みたいなことが一つの例であり得るんですけれども、それがないように、しかし仮にあったような場合は、やはりこれは不当な解雇をしないということが前提でございますので、前提が変われば結果も変わるということで、同様に、認定を取り消すということもあり得る。これは、その対応とか、その後の、出帆しました新しい会社と、責めがないような、いわば客観的な調整はいろいろございますので、認定を取り消すことがあるということで、この辺は機械的に運用するつもりはございませんけれども、ただあくまでも、物の考え方は、前提が変われば結果も変わるということを原則といたしまして運用をしていきたいということでございます。

北神委員 ありがとうございます。

 雇用の確保というものに運用上も制度上も十分な配慮をしていただく、そういった前提に立つと、この第二会社方式というのは私は極めて大事な再生手法だというふうに思っております。

 中小零細企業の皆さんに活用していただくのが非常に大事だ。ところが、大臣一番よくおわかりだと思いますが、中小企業の皆さんは、多分、そもそも、こういった法案が審議されているとか、そういったことも知らない方が非常に多いというふうに思います。また、知っていたとしても、よくわからぬ、法律を読んでもよくわからないし、どこかに相談をしたい、そういったこともあると思います。

 ですから、この制度をぜひ普及するためにも、あるいはちゃんと積極的に活用していただくためにも、中小企業再生支援協議会というのが今度法案に盛り込まれておりますが、こういったところが、まさに中小企業の現場で実際働いている、商工会議所とか商工会の人たちの協力も得ながら、まず、こういう制度がありますよという普及活動も大事だというふうに思いますし、その制度を使いたい中小企業の経営者に対してわかりやすく説明をしたりすることも大事だと思います。さらには、中小企業支援センターというのもあるんですね、実は。中小企業庁の皆さんは御存じだと思いますが、こういったところは、中小企業の再生の専門家みたいな方もおられるというふうに聞いております。ですから、こういった人材をむしろ積極的に活用することも大事だというふうに思っております。

 ですから、質問としては、皆さんの言っている中小企業再生支援協議会、この体制というものを強化することも大事だというふうに思いますが、この点について、いかがでしょうか。

松村大臣政務官 先生御指摘のとおり、中小企業再生支援協議会の支援体制をさらに強化していくということは大変重要なことだと考えております。

 このため、私どもも、まず人員の体制、次に事業価値の評価、自己改善の三つの観点から、支援体制を強化しております。

 まず、人員体制でございますが、平成二十年度におきましては、各協議会の支援機関でございます中小企業再生支援全国本部の常駐専門家を六名から十九名に増員するとともに、各協議会の窓口の専門家を五十六名増員いたしました。平成二十一年度におきましては、さらに専門家を二十名程度増員する予定でございます。

 第二に、事業価値の評価でございますが、平成二十一年度予算におきまして、相談をいただく企業の事業面や財務面の調査分析に必要な費用の助成について、九億九千万から十六億一千万への増額をしております。

 また第三に、自己改善でございますが、私ども経済産業省といたしましても、昨年から二度にわたりまして、すべての協議会と面談を実施いたしまして、自己改善を促しました。その結果、人事、体制、こういった面で、金融機関との調整能力の向上についてある一定の改善が見られたと報告を受けております。また、平成二十一年度におきましては、さらに、弁護士や商工会議所、商工会といった外部機関との連携強化などについても先生御指摘のとおり進めてまいりまして、改善が進むものと期待をしております。

 こういった措置によりまして、引き続き努力してまいる所存でございます。

北神委員 ありがとうございます。

 ぜひ、中小企業の場合は、特に大企業とか中堅企業と違って、そういう再生技術とかその辺の知識とか経験も多分余りないというふうに思いますし、法律の存在自体もわからない、いろいろ相談をしたいというところがあると思いますので、今政務官から言っていただいた体制を強化していただいて、そこをぜひ助けていただきたいというふうに心からお願いをしたいと思います。

 特に、財務面とか、中小企業の場合、中小企業といってもいろいろありますからあれですけれども、小さい規模のところなんかは、なかなか、財務の体制というものもしっかりしていない場合もたくさんあると思いますので、そういったところを特に注意していただきたいというふうに思っております。

 そういうことで、ちょっと雇用の観点から今回の産活法案の質問をさせていただきました。もう質問はなくなりましたので、まだ時間はありますが、早目に切り上げた方がいいかなというふうに思います。

 本当に、もう一度強調させていただきますと、雇用の部分についてはぜひ御配慮をいただきたいということと、もう一つは、冒頭申し上げた公的資金の運用については慎重に、そして厳正に対応していただきたいというふうにお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

東委員長 これにて北神圭朗君の質疑は終わりました。

 次に、三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 一昨日の質疑で、政策投資銀行など指定金融機関が支援決定企業に出資を行った場合、国がその一部を保証する形で損失補てんを行う制度について、幾つかの問題点を議論させていただきました。

 今、北神委員の質問に対して、支援先企業の決定要件については松永局長から大変誠実な答弁をいただきました。かなり明確になりました。さらに、損失補てん割合……(発言する者あり)いや、怒ってはいません。その基準につきましても、一昨日、指摘をさせていただきました。これも、今なお調整中であります。

 きょうは、ほかに聞きたい問題もありますので、ここで議論はしません。逆に、お願いを申し上げます。

 損失補てん割合については、シンプルで明確な基準を定めなければ運用の際にきっと大きな混乱のもとになると考えますので、大臣、ここはシンプルで明確な基準を定めていただきたいと思います。大臣に何度もうなずいていただきました。ありがとうございます。

 さて、日銀短観三月調査の結果が発表をされました。全体の状況で見れば、七四年に調査を始めて以来、ほぼ最悪の状況ではないかというふうに思います。代表質問の際にも、業種を問わず、規模の大小を問わず深刻な不況だという表現をいたしましたけれども、そのとおりの状況になってしまったのではないかと思います。

 経済産業大臣は、この調査結果をごらんになられて、とりわけ中小企業がやはり大変厳しい、特に資金繰りについて大変厳しいと思うんです、今の経済状況について、とりわけ中小企業の業況、あるいは資金繰りの状況についてどういう認識をお持ちになられているか、教えてください。

二階国務大臣 四月一日に発表されました日銀短観でも御承知のとおりでありますが、企業の業況感は極めて悪化をしておるというふうに、深刻に受けとめております。

 資金繰りが厳しくなる、そして特に中小企業にしわ寄せが寄せられるであろうということは、この問題が発生した九月の当初から考えておりました。まだそのときはたしか福田内閣でございましたが、最初に集まったときにまだ状況を把握できておりませんから、日銀の総裁も含めて、各閣僚、経済閣僚も明確な意見の述べようもないような状況、突然のことでございました。しかし、私は、間違いなくしわ寄せを受けるのは中小企業であると思いましたので、中小企業対策については、我々としては十分な対応を考えていかなくてはならない、関係者の協力を要請するということをその場で申し上げた日のことを覚えております。

 特に、資金繰りというのは、申すまでもなく、それでなくとも中小企業の皆さんにとっては大変なことなんでありますが、こういう事態に直面して大変御苦労いただいておるということを承知いたしております。

 そこで、私は、九月から今まで、都合五回になりますが、出先の産業局長に東京へ集まってもらいまして、地元の実情等をつぶさに、景況の報告を願ったわけであります。

 中小・小規模企業からは、仕事が急減しておるということ、これが今まで経験のないような状況になっておる。私も幾つかのところへ出かけてみましたが、うちはもう、いわゆるロボットというかオートメーションでいろいろなことができることになっておるんですが、仕事がないものですから、めちゃくちゃにオートメーションで二十四時間動かして製品をつくってもこれのはけ口がない以上はそういう機械にも一定の休養を与えて休んでもらわなきゃいけないんだとその経営者はジョークを交えて私におっしゃってくれましたが、本当に厳しい状況だということを伺ったわけであります。

 この状況を踏まえて、政府としては、御案内のとおり、三十兆円規模の資金繰り対策を初め、中小・小規模企業への支援に全力を傾けてきたところでございます。先般も申し上げましたとおり、今度はマル経資金等におきましても一千万円を千五百万にふやすとか、それは微々たることではないかと言われるかもしれませんが、我々としては、五百万円であったのを千万にして、千万にしたのを千五百万という、これは無利子無担保の融資でございますから、精いっぱい努力をしていることでございます。

 今後におきましても、我々は、これでいい、これで十分だということはあり得ない、そういう点で、中小企業経営の皆さんとともに、同じ思いで対応していきたいと思っています。

三谷委員 今の大臣のお話の中にもありましたように、大企業、中堅企業も深刻な状況だけれども、しわ寄せはさらに中小企業に来る、そのとおりだろうというふうに思います。

 そして、今も少しお話がありましたけれども、まさにリーマン・ショック以来、最初にまず中小・小規模企業だということで資金繰り対策についても措置を講じていただきましたし、またセーフティーネット貸し付けでありますとか、あるいは中小企業、小規模企業向けの劣後ローンの貸し付けの拡大であるとか、さまざまな措置を講じていただいた。

 今度、まさにこの産活法関連がそうでありますように、中堅・大企業も大変だということで、今ちょっとこっちに目が向いています。もちろんこちらも大事でありますけれども、今、この日銀短観三月調査の結果を見て、もう一回中小企業、特にその資金繰り対策について目を向けなければいけないんじゃないかというふうに思うんです。

 だから、まさにこれから、補正予算に絡めて、さらなる追加対策のことも考えられているというふうにも聞きます。とりわけ中小・小規模企業の資金繰り対策の話も含めて、今後、対策、取り組みをどのようにされるおつもりか、お考えを聞かせてください。

二階国務大臣 三谷議員から、ただいま、中小企業に力点を置いてやってきたものが、今度の産活法等で少し中堅企業や大企業の方にシフトしておるんではないか、気持ちがそっちに動いているんではないかという御意見であろうと思いますが、私どもとしては、決してそういうことではなくて、四百二十万社に及ぶ中小企業の皆さんが日本の底力を支えて今日まで頑張ってこられたわけでありますから、このことに対する配慮は、いささかも怠ることなくやっていきたいと思っております。

 しかし、御案内のとおり、失業の問題、いわゆる雇用の問題等考えても、中堅企業、大企業に対しても目を配るということは極めて大事なことでございますから、我々は、同時並行的にということは極めて難しいことではありますが、みんな因果関係があるわけであります。

 かつて、我々の大先輩の、今の名前でいう財務大臣、大蔵大臣をやられた人が、親ガメが転べば子ガメも転ぶということを立会演説、いわゆるテレビの演説で言われて大変有名になったことがあります。しかし、言われてみるとその点は我々も理解できるところでありますが、今先生が御指摘のような中小企業の面について、怠りなく対応したいということを改めてお約束しておきたいと思います。

 この資金繰りについては、先ほども答弁をしておりましたが、ちょうど五十四万件、十一兆円、いわゆる緊急保証、セーフティーネット貸し付け、これが今続けられております。

 緊急保証つき融資については、金利引き下げを民間金融機関に働きかけてまいりました結果、一般保証つき融資と比べて〇・四%金利負担を軽減することができました。三月二十七日には、日本公庫や保証協会などによる、元本返済の猶予への率先対応方針を発表しました。さらに、先ほども申し上げましたが、一昨日には、マル経融資について、返済期間と据置期間の延長、融資限度額の引き上げ等を実施することができました。

 この際、お許しをいただいて、一言訂正をしておきたいと思いますが、さっき無利子無担保と申し上げたのは、無担保無保証でございますので、訂正をしておきます。

 下請対策についても、下請事業者が不当に景気悪化のしわ寄せを受けることのないように、引き続き、相談体制等も全国にネットを張っておりますが、この点におきましても十分強化をして、下請代金支払遅延防止法の厳格な運用を、公正取引委員会等の御協力も得ながらしっかり対応してまいりたいと思っております。

 中小企業あるいは小規模企業の皆さんが未来に明るい展望を持っていただけるように、我々はさらなる配慮を続けていきたいというふうに思っております。

三谷委員 ありがとうございました。

 でき得る限り、すべての対策を講じていただかなければならないと思います。また、私たちもさまざまな提案をしてまいりたいというふうに思っています。

 次に、本改正案により創設をされます株式会社産業革新機構について質問をいたします。

 さきの代表質問の際に、二階大臣の答弁の中に、一般的に、民間投資ファンドにおいて、事業化の初期段階で数億円、成長段階で数十億円、事業の再編段階では数百億円程度が平均的な相場観だというお話がありました。機構の出資についても、それに沿うものとありました。

 これはどういう話なのか。特に、事業の再編段階というのはどのような段階であり、どのような内容なのか、具体的な例も交えて、できるだけ詳しく説明を経済産業省にしていただきたい。お願いします。

石黒政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、大臣から答弁をさせていただきました点の御説明でございますが、私ども、民間の金融機関等におきまして投融資の実務を行っている方々とよく意見交換をさせていただくわけでございますが、その結果、創業時の初期段階、例えば基礎研究分野におきまして、大学等の技術を活用して事業化を進めていくといったような場合にはまず研究開発が中心になりますので、数億円の投資というレベルかと思います。次の段階、成長段階でございますけれども、中小・ベンチャー企業がその事業の拡大を図っていく際には、今度は設備投資等が伴ってまいりますので、数十億円といったような規模になってまいります。さらに、三番目でございますけれども、既に技術としては確立している複数の事業を再編して、組み合わせて新たな付加価値を生み出すような新事業を立ち上げるという段階になりますと、数百億円といったようなレベルになってくるということが一般的であるというふうに伺っておるところでございます。

 技術が確立した複数の事業を組み合わせる事例を説明せよという御質問がございました。

 私ども、典型的な事例として考えておりますのは、例えば急成長する世界の水市場といったようなものを獲得しようということで、委員よく御案内のとおりでございますが、我が国はもともと膜技術に非常にすぐれている、また水処理装置といったようなものについても、プラントメーカー等大変すぐれたものがございます。これにさらに水道事業の運営ノウハウといったようなものを組み合わせて新事業を立ち上げる、そういったプロジェクトカンパニーを設立するような場合がございます。こういった場合に、産業革新機構が投資をさせていただくことがあるというふうに考えております。

三谷委員 ありがとうございました。大変よくわかりました。

 一昨日の質疑の際に、下条委員からの質問に答えて鈴木産業技術環境局長が、基盤技術研究促進センターの例を挙げられて、大変正直に反省の弁を述べられました。同センターの失敗、失敗だと思います、失敗の反省の上に立って、今回の試みは、基礎研究段階への投資ではない、実用化に近い段階への投資なのだと言われた、そういう趣旨だったと思います。これは大変大事な話だと私は思います。

 我が国の場合、バイオベンチャーでありますとかバイオ関連、エレクトロニクス関連の技術あるいは環境関連の技術など、有用な技術の中で埋もれた、眠った技術もありますし、この技術とこの技術を結合させれば有用な市場が開拓できる、実用化できる、そういうものが、ある意味どこの国よりも眠っているのだというふうに私は思うんです。あとは、まさに実用化するための大変有能な人材とそして資金が必要だというふうに思うんです。先ほどのお話のとおり、まさに実用化に近い段階だからお金が要るんです。一つのファンドを組成するにも、それも実をとるためには、やはりそこそこのお金が、まさに大臣も答弁の中でお話しになられたように、最後の再編のところでは、少し長く見るかもしれません、数百億円程度お金が要る。あるいは、数十億円程度のお金が要るのです。

 だから、この国の出資額、二十一年度予算で四百億円、これは、代表質問のときにも申し上げましたけれども、余りに少な過ぎませんかということを申し上げます。(発言する者あり)金がないという不規則発言でございましたけれども。

 だけれども、金がないのはわかっておりますけれども、複数年、三年で、民間出資と合わせて全体で二千億円、こういう予定であります。深刻な不況時ですから、この前、石黒審議官がお話の中で、よい人材を充てていただかなければならない、民間出資についても集まるようにするんだ、こういうお話がありましたけれども、審議官も多分わかっておっしゃられていることと思います、なかなか民間出資は集まらない。深刻な不況時だからこそ、ここは国が踏み出してもらって、この有用な試みを大きく展開すべきではないかというふうに思いますから、むしろ、基盤技術研究促進センターの、確かに失敗であったけれども、その失敗、反省、そして学習の上に立って、この有用な試みを大きく展開すべきではないかというふうに思います。これはあくまでも長期リスクマネー、シードマネーであって、消えてなくなるお金ではありません。

 だから、二階大臣、二十一年度の補正の話もあるんでしょう、追加対策をされるんでしょうから、ぜひとも政府出資額を上積みしていただきたい。あるいは、先般の質疑の中でも、近藤委員から年金積立金を活用してはどうかと。私も、例えば郵貯資金を活用するとか、何か知恵を絞って、大事な試みだから、どこかからお金を持ってくるということをお考えになりませんか。お考えを聞かせてください。

二階国務大臣 民主党の皆さんから、いろいろな見識に基づいて、建設的な御意見をちょうだいしていることを本当に感謝いたします。

 我々は、そうした御意見等も体して、現下のこの状況をどう乗り越えていくかということ、これは世界に手本があるわけでもありません。我々は我々で、他の国々と協調することは大事ですけれども、やはり日本独自の考え方でこの苦難の道を乗り越えていかなくてはならない。

 そこで、先ほど来お話のありましたこと、私どもも十分念頭に置いて対応させていただきたいと思いますが、二十一年度の予算で、極めていろいろな方々から四百億円では少ないということを言われているんですが、これは、そういうおしかりをいただきながらも、我が意を得たりというような感じで、皆さんからそういうことをおっしゃっていただくことによって、今後の対応に積極的に取り組んでいきたいと思います。

 複数年では一千億円程度の政府出資が必要だということを考えておりますが、いずれにしましても、このような状況の中で、異なる企業等が有する技術を組み合わせたり、新たな製品やサービスを生み出す、先ほどから説明のあったとおりでありますが、そうしたことをつくり出していくためには、政府が積極的にリスクマネーを供給していくことが必要だということは考えております。

 今後におきまして成長力強化を図るためにしっかり対応していきたいと思っておりますし、今まだ総理がお帰りになっている最中でございますが、先般、ロンドンへ出発する前に、特に、現下の経済危機を乗り切り、未来への展望を開くために経済危機対策を積極的に策定するようにということでございましたから、ただいま御質問をいただきましたこと、また激励をいただいたことを背景にして努力をしたいというふうに思っております。

三谷委員 ありがとうございました。

 まさに、大臣が所信の際にも、ピンチをチャンスにということを言われました。ピンチをチャンスに変える、これは大事な、あるいは有用な試みだと考えますので、引き続き、ぜひ増額について力を尽くしていただくようにお願い申し上げます。

 そして、もう一つ、さきの代表質問の中で、これは重ねてでありますけれども、商工中金の完全民営化の見直しについて大臣のお考えを聞きました。大臣のお答えです。まずは危機対応業務の運営に全力を挙げて、借り手のために対応することが何より重要だ、こういうお答えでありました。

 ちょうど、きのうの日本経済新聞の一面で報じられました。「政府・与党は一日、日本政策投資銀行が行っている「危機対応業務」の融資枠を、現在の一兆円から十兆円超に拡大する方向で調整に入った。」「自民党の国際金融危機対応プロジェクトチームを中心に来週中にも政投銀の資金枠などを決め、日本政策投資銀行法改正案を国会に提出する。」とまで、大変具体的な内容の報道がなされました。

 完全民営化延期の話も、さきの与党PT、同自民党PTの中でも柳澤座長が会見でおっしゃられたのを聞きました。

 この場合、融資枠を一兆円から十兆円超に、自己資本を二兆円から五兆円に増資する、政府が三兆円程度追加出資をするという案を軸に検討という内容になっています。

 まさに大臣おっしゃられた、借り手のために可能な限り対応するために、そして中小企業のために、政府出資を商工中金に増額して、増強することを検討されてはどうかというふうに考えるんですけれども、どうでしょうか。

    〔委員長退席、やまぎわ委員長代理着席〕

二階国務大臣 現下の金融危機、このことを乗り越えるために、商工中金は、指定金融機関として、危機対応業務による資金繰り支援に全力を挙げて取り組んでいただいております。年度末までの間、中小企業向けに三千億円、中堅企業向けに七百億円の実績を上げております。

 こうした危機対応業務をしっかりと実施していくためには、議員御指摘のとおり、その裏づけとなる国の予算措置が必要なことは申すまでもありません。

 商工中金には、危機対応業務として、二次補正と当初予算を合わせて、中小向け九千億円、中堅企業向け三千億円の融資枠が措置されていますが、企業の資金ニーズにこたえる上で十分なものとなっているかということ、これは御意見にもあったとおりであります。さらなる融資枠の拡充のためにいかなる予算措置が必要か、これをよく検討しまして、商工中金を通じて中小・中堅企業にしっかりと資金供給がなされるように必要な支援措置を講じてまいりたいと思います。

 いざというときに役に立つ金融機関であってもらいたい、そういう思いを持って危機対応業務という柱を立てておくことは大変大事なことだと思いましたが、当初はなかなか困難な状況でありました。各位の御協力をいただいてこれをつくっておいたことが今役に立っておるわけですが、これを、さらなる国民の皆さん、あるいは中小企業経営者の皆さん、商工中金を頼りとしておられる皆さんのお役に立てるようなことで改革をしていきたいというふうに思っております。

三谷委員 ありがとうございました。

 前にこの完全民営化見直しのことでお尋ねをした際に、大臣が、この政策金融改革のときに商工中金の担当はまさに大臣でありましたので、担当者だったんだ、責任者だったのだというお話を言われました。

 私が思いますのは、責任者だったからこそ、まさに今こうやって、不況は来ないと思われていた不況が来たんです。それも危機的な不況です。今のお話の中にもありましたように、いざというときに役に立つ、さらに今役に立つために、先ほどの、中小企業を助けるために、借り手を助けるために、今まさに大臣が率先をして、勇気を奮ってこの増資の先頭に立つということを最後にお願いいたしまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

やまぎわ委員長代理 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 三谷委員に引き続きまして、株式会社産業革新機構について何点か質問をさせてください。

 結構難しいと思うんです、これを機能させるのは。ここに委員会の方がいて、どの事業に投資していくのかというのを決めるんですけれども、本当の目ききだったら自分の金でやると思うんですよ。やはりこれは、一番気持ちのいい仕事というのは、自分のお金じゃないのを配れる立場が一番気持ちいいはずなんです。例えば財務省の主計局なんて気持ちいいのかもしれない。皆さんごますってくれますから。皆さんもいろいろと陳情に行ったりして。やはり自分の金じゃないのを配る仕事が一番気持ちがいい仕事なんですよ。

 この株式会社産業革新機構をどうやって機能させるか、自分も考えてみたんですけれども、例えば二〇〇〇年代前半にテレビ番組で「マネーの虎」というのがありまして、これは深夜の放送なんですけれども、事業家の人たちが五人ぐらい自分の金を積んで、いろいろなアイデアを持ってくるのに対して幾らかけるかとやっていくわけですよ。かけた後に、それがしっかり成功するかどうかまで見ていく。非常に甘い考え方だと、問い詰められて出資を仰げない、そういう番組がありました。

 日本にもこういう事業を考えられている多くの方がいらっしゃって、本当にその事業が成功するかどうかを見きわめるというのが、やはり自分の金じゃないとなかなかそこに張る勇気というのがなくて、自分のお金をかけたのであれば、多分、クオーターごと、あるいは日々にその会社の経営状況に興味を持って、どうなっているんだとか、おまえ、ちょっと言っていることと違うんじゃないのかとか。そのほか、成功させるためには、人的な資源もつけることも努力されると思うんですよ。

 ですから、この四百億円、こういう事業としては私も少ないと思うのです。やはり五千億とか一兆円というファンドが本来であれば必要かと思うんです。ただ、現下のこの厳しい経済状況の中で、最初から多くの金をかけていると恐らくなかなか難しいと思うので、最初はしっかりと、先ほど三谷さんの質問にもありました大臣答弁の中で、ファンドというのは最初は小さくかけながら、ちゃんと成功するかどうか見きわめて大きくかけていくということもあるかと思うので、その点について何点かお伺いをさせてください。

 自分も一九九五年に鉄鋼業におりまして、九〇年代で物すごくお金がもうかったものですから、いろいろな新規事業に一千億円を超える金を使っていたんですよ、各社ともに。多分、一千億円から三千億円ぐらい各社ともに使ったと思うんです。ほとんどが失敗をしまして、その撤退を自分はやっていたんです。ですから、先ほどの、自分のじゃない金だとどうしてもルーズになりがちだというのは、そのときの反省を踏まえて考えております。

 そうすると、今回のこの株式会社産業革新機構で、本当に我が国に目ききがいるかどうかという素朴な疑問についてまず聞かせてください。

石黒政府参考人 委員御指摘のとおり、ここに目ききとなるような人材を得られるかどうかというのが、革新機構が成功するかどうかの非常に致命的な要件だというふうに私どもも思っております。私どもとしましては、投融資の実務、あるいは民間のこういった業界の中で、そうしたものについて知見の高い方をこれから探してまいりたいというふうに思っております。

 その上で、私どもがシリコンバレー等のベンチャーキャピタリストの話などを聞きましたときに、一つ重要なポイントは、委員が昨日も御指摘だった点ではございますけれども、いかにネットワーク能力を持っているかどうか。要するに、技術の目ききについて、また別な専門家からいろいろな意見を聞けるネットワークを持っているか持っていないかといったようなあたりは非常に重要なポイントだろうと思います。

 もちろん、すべての技術等に知見を持ったスーパーマンのような方がおられればいいのでありますけれども、現実にはそういうわけにはいきませんので、どれだけ技術の評価、事業の評価ができる方々とのネットワークを持っているか持っていないかといったあたりも一つ大事なポイントだと思っております。

 委員の御質問に関してお答え申し上げますと、まず、なるべくそういった知見をお持ちの方を探してくるのが一点。また、そういった方を核にしながら、目ききのネットワークをこれからどうつくっていくかといったようなところについて、私どもも努力をしてまいりたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 四百億円、ふえて一千億円、与野党の後押しがあってさらに三千億円から五千億円にふえた場合に、この事業に投資、出資しようという方についても、やはり自分のお金を入れた方がいいと思うんですよ。例えば一千億円だったら、個々の委員が、十人だとしましょう、その十人それぞれ百億円ずつ枠を持たせて、自分もそこに一億なり一千万なりかけて、応分の負担をしながら出資をしていくと、結構本気になると思うんです、自分の金ですから。これが、人の金の百億円を配れと言われたら、私大島も結構うれしいなと思うんですよ。ただ、そこには、自分の金ではないから、どうしても真剣味が足りなくなってくるわけです。

 その点について、自分としては、それぞれの委員の方がどこに出資をしたかというのは、それぞれの会社を決められる方も給与をいただいていますから、給与分のこと、出資がもしも難しいのであるとすれば、個々の委員の方がどこの事業に幾らお金を入れたかというのをトレースできるようにすることが必要だと思うんです。そのことが、何か、評論家的に立派なことを言っているんだけれども実は全然外れちゃった人とか、結構若くて地味なんだけれども投資が当たって、三年後、五年後には、こいつ、結構いい線いってるじゃないかとか、そういう仕組みが自分は必要だと思うんですけれども、その点について伺わせてください。

石黒政府参考人 お答えをさせていただきます。

 私どもが今組織構成として考えておりますのは、CEO、COOのもとに、それぞれ専門分野のマネジングディレクタークラスをチームとして配置することを考えております。その上で、マネジングディレクターがある程度案件を、オーソライズは委員会等でさせていただきますが、責任を持って投融資をさせていただくわけでございます。その方の実際の実績といいますのは、すべて公表させていただきます。したがいまして、投融資の実務の結果として、何年後かにどの程度のリターンを上げたかというのは、その人の名前と一緒について回るということでございます。

 私どもとしましては、有為なる人材を得たいと思っておりますが、待遇面で民間並みというわけに必ずしもいきませんが、私ども、多分、日の丸をしょって投融資をされることに興味をお持ちの方もまず間違いなくいるだろう、そういう方々にそういった投融資をしていただきまして、ある意味では、いいかげんな投融資をすると、もはやこの世界では生きていけないといったような仕組みをつくってまいりたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 この点が重要だと思うんです。

 大臣、日本の就業人口の中で、自営業の方の人口は毎年毎年減っているんです。サラリーマンが非常にふえている社会になっておりまして、自分もサラリーマンでしたから、サラリーマンのメンタリティーというのはリスク分散なんです。危なっかしいことがあると上司に相談をしてリスクを分散するというのがサラリーマンのメンタリティーで、リスクを背負うということはなかなかようしないわけなんですよ。

 こういうビジネスというのは、リスクを背負う方をどれだけ多くつくるかということが必要です。これは中小企業対策もそうなんですけれども、今、日本の若者たちあるいは中高年もそうだと思うんですけれども、自分で商売をやってリスクを背負ったとしてもリターンが極めて少ないから、やはりサラリーマンになった方が安心かなと思って、皆さんサラリーマンになるわけです。ですから、中小企業対策、中小企業を守ることが本当に大切なんです、そういうリスクをとる人が少なくなってしまうから。

 今回、前回の基盤技術研究促進センター、この教訓もあり、そして今回一千億円を投資して、成功するかどうかは実は僕もまだ懐疑的なんです。自分のお金じゃなくて、特に官を、要は日の丸を背負っている。ただ、一千億円をもしも十年間から十五年間使うのであれば、結果物としてそれぐらいの企業が多く育つことも必要だと思うのです。もう一つは、三十代とか四十代の若い人たちでリスクをとってやる人、あるいは、先ほど言った、ネットワークを自分で構築して、おもしろおかしくビジネスをつくれる方が多く出てくることの方が自分としては効果があるのかなと思っているんですけれども、先ほどの、どういう方にこの新しい会社の中でやっていただくのか、その点について、もう一回述べていただけると助かります。

    〔やまぎわ委員長代理退席、委員長着席〕

石黒政府参考人 投融資の実務に携わっている方を中心に人材を集めてまいります。その上で、先ほども御説明した、ある意味でその結果が問われるような仕組みをつくらなきゃいけませんので、正直申しまして、高齢の方に来ていただいたのでは意味がないと思っております。

 そういう意味では、委員御指摘のとおり、三十代あたりの脂の乗った方に来ていただきまして、そこで実際に実務をしょっていただき、そのリスク、リターンのところがきっちり、その方にある意味では評判としてついて回るといったような仕掛けをつくってまいりたい、そのように考えております。

大島(敦)委員 あともう一つは、おもしろくなければいけないと思うんです。

 自分が鉄鋼会社のときに、自分が携わった案件で成功した案件があるんです。たまたま当時、鉄鋼会社はたくさんもうかっていましたから、世界じゅうから、金を出してくれ、金を出してくれといろいろな会社が来て、結構張っていたわけですよ。

 その中に、当時二十億円ぐらいのコンピューターグラフィックスの会社があって、これが二千億円まで化けたわけです。「ターミネーター2」とか「ジュラシック・パーク」の、あのCGのワークステーションをつくっている会社なんです。これは先輩から聞いたんですけれども、その会社が二十億円のときに来て、お金を出してあげたら、カリフォルニアに戻って、日本人が金を出してくれたからと社員みんなでバスでピクニックに行ったというわけです。

 そういう乗りは結構大切だと僕は思っていて、そこで重要なのは、世界じゅうから、あるいは、これは日本の日の丸ファンドですから、日本国内からこういう技術を持っているということを多く集めることが必要だと思うんです。

 ですから、冒頭に「マネーの虎」という非常に下品な話をしたのは、例えば一千億円をここに置いて、テレビのCMでもいいですよ、一千億円を置いて、日本の未来、皆さんにかけますなんということを言って、日本じゅうからいろいろな、中には詐欺師もいるかもしれない、九九%とは言わないけれども結構多くの人たちがいるかもしれない。大企業の方にももちろん来ていただいていいと思うんですよ。大企業をスピンアウトする。大企業でもこのセクションはもうそろそろちょっと分離してやってもらった方がいいとか、あまねく広く、自分たちから営業して個々の会社に当たるよりも、一千億円を形として見せて、この一千億円、日本の未来のために、二階大臣が、私は皆さんの未来にかけたいとか言うと日本じゅうから集まってくるわけですよ。

 そういう仕組みというのが一番大切だと思うんですけれども、その点についてのお考えを伺わせてください。

石黒政府参考人 一々、委員御指摘のとおりだと思っております。

 まず一つは、一つの投資の手法といたしましては、マネジングディレクタークラスがある意味ではファンドの運営者として責任を持つ形で、バイオテクノロジーなんかは特にそうなると思っておりますけれども、いわゆるベンチャービジネスに対して投資をしていくといったようなことがあろうかと思っております。

 それから、委員が御指摘になったもう一つのポイントでございますけれども、大企業の中で、我々はカーブアウトとかスピンアウトとかいろいろなケースがあるとは思っておりますが、事業部門がそっくり例えば外に切り出されてくるといったようなことがございます。そういった場合には、この機構が投融資をして、実際にそれを育てていくといったようなことがもう一つのパターンとしてあろうかと思っております。

 いずれにしましても、「マネーの虎」という表現がございましたけれども、三十代、四十代のマネジングディレクタークラスがきっちり責任をとる仕組みというものをつくってまいります。CEO、COOにつきましては、またもうちょっと別な人材が必要かと思っておりますが、委員御指摘のような、個人がきちっとリスクをとるような仕掛けをつくってまいりたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 あとは、その投資先だと思うんです。流通もあるし、あるいはサービス、建築、不動産と、いろいろあると思うんです。

 日本の脚光をここ十年ぐらい浴びた若手の経営者の皆さんは、本当にアメリカで同じような手法で成功したのか、僕は非常に疑問なわけです。アメリカのビジネスモデルがあって、若干タイムラグがありますから、それを日本でやっただけなのかなと思うわけです。本当にこれまで、ここ十年間マスコミ市場でいろいろと取り上げられた方たちが、個人名は言わないんですけれども、私はアメリカで彼らが成功したとは思えないんです。日本のこのすき間の中で、そのすき間を突いてもうけただけだと思うんです。本当に必要なのは実業ですよ。本当に物をつくり、技術を開発して、そして、それを市場に出していく。

 ですから、私がサラリーマンをやっていたときに、一九九五年当時のベンチャーキャピタリストというのは、自分の理解は要はルーレットだと思っていて、二倍から三十六倍まであって、そこに彼らは自分の金をかけていくわけですね。一年通して浮いていれば、そのベンチャーキャピタリストはいいということになるわけですよ。クオーターに一回しっかりと企業業績を見ながら、先ほど石黒さんがおっしゃっていたとおり、いろいろなネットワークを使って経営をサポートしていく。

 ですから、当時もスーパーコンピューターの会社が来て、現金が燃えているわけです、現金燃焼率。現金が燃えている、なかなか商品開発が追いついてこない、そうすると、またお金持ちの日本の会社に来てお金を出してくれと言って、また社内を駆けめぐってもう一回五億円を入れたりして、現金がまた燃えていく。これを繰り返しながら、うまくいけば大きくなるし、うまくいかないとそこで終わってしまうということがあると思うんです。

 ですから、今回の仕組みの中でどこに投資をするのか。去年は、私はパラダイムシフトが久しぶりに起きた年だなと。オイルショックがあって一つのパラダイムシフトが起きて、技術が進歩することによってソ連が崩壊していくわけですよ。それと同じことが去年起きていて、今たまたま、ここ数年間は金融が非常に不安定だから、このパラダイムが変わったのがうまく出ていないんですけれども、これから四、五年、これがくっきりと出たことを想定しながら、ある程度日本の基盤になるところに、余り絞ってはいけないんですが、日の丸を背負っているとすれば投資していくのが正しい姿かなと思うんですけれども、その点についてお聞かせください。

石黒政府参考人 今回、支援基準といたしまして、今委員御指摘のとおりなんでございますが、国際経済の構造的な変化への対応、それから成長性、それから革新性、収益性といったような観点から支援基準を策定させていただきたいと思っております。

 今御指摘ございましたとおり、エネルギー価格が中長期的に上昇していくことを踏まえまして、具体的には、例えば環境・エネルギー分野における新しい技術を開発するとか、ライフサイエンスの分野で投資、融資をしていくとか、ある程度の社会性のあるものといったようなものについて投資をしていくことを考えておるところでございます。

大島(敦)委員 最後に二階大臣にお伺いをしたいんですけれども、前回も日本には営業マンが足りない話をさせていただきました。私も、おやじとか私の祖父はサラリーマンじゃないものですから、ビジネスはおもしろいと思っているんです。自分が高校時代に読んだ中公新書で、東京大学の先生が書いた「ハーバード・ビジネス・スクールにて」という本があって、そこの冒頭にビジネスは芸術であると書いてあるわけです、ハーバードの教授が。ビジネスは芸術である、こんなにクリエーティブな仕事はないと書いてあるわけですよ。自分は全くそのとおりだと思うわけです。

 今、日本の中で、このビジネス、仕事、事を創業することがこんなにおもしろいものだということを実感する人たちが極めて少なくなっていて、営業力も大分落ちているわけですよ。ため息ついたり文句を言うんだったら、一本でも多くお客さんに電話をしたらと僕は思うわけです。これは情報のアウトプット量が販売数量に比例しているんです。

 ですから、今言いたいのは、営業する方、その方をつくっていけば、今言われているとおり、別に相続税を少なくすることも大切なのかもしれないけれども、金を持っている人が多いなら、そこから引っ張ってくればいいじゃないですか。やはりそういう強い政策を経済産業省、国としては出していただきたいなと考えているんですけれども、手短に答弁をお願いいたします。

二階国務大臣 大島議員から、前に営業力について、大変新鮮な響きをもってお聞かせいただいたわけであります。

 環境やエネルギーの分野で我が国も強みを有するということが、だんだんと世界でも認められるようになってまいりましたし、日本国内におきましても、人口に膾炙するというか、ほとんどの人々から、太陽光エネルギーに対してもいろいろな御意見をちょうだいできるようになってまいりました。

 我々は、こうした勢いで、大企業、中小企業、ベンチャー、さらに大学などに分散しておりますそれぞれのやる気のある人、また能力を持っておる人、これを有機的に組み合わせて、十分な実力が発揮できるような環境をつくっていく。

 今議員が御指摘になったように、相続税もいいが、もうちょっと何か考えたらどうか、こういうことだと思います。私も賛成でございます。御一緒にまた取り組んでいきたいと思っておりますから、議員は立派な会社で随分活躍されたということを伺っておりますから、いろいろな知見に基づいて、また御意見をちょうだいできればありがたいと思っています。

 ありがとうございました。

大島(敦)委員 終わります。ありがとうございました。

東委員長 これにて大島敦君の質疑は終わりました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 私、前回は、産業活力再生法の認定企業が進めたROE重視の経営が何をもたらしたかということについて、トヨタ自動車の例を見ました。

 きょうは、日産自動車グループの産活法の活用がどういうものであったのか、このことについて、まず最初に伺いたいと思います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 日産自動車についての御質問でございます。

 事業再構築計画の申請に基づきまして、二〇〇一年の三月十九日付で、産業活力再生特別措置法に基づく認定を行っております。

 基本的な中身は、簡単に申し上げますと……(吉井委員「中身はいいです、どれとどれをいつやったかだけ」と呼ぶ)はい。日産自動車につきましては、二〇〇一年の三月十九日付の認定がございます。

 あと、関係会社はまた別途ございます。

吉井委員 二〇〇〇年六月、二〇〇一年三月、二〇〇二年五月、二〇〇六年三月というふうに日産自動車やらグループ関係の企業が認定を受けているということで、今お答えいただいたとおりです。

 そこで、次に伺っておきたいのは、一般事業会社に対する政策金融機関による公的資本の注入に当たって、損失を補てんする場合には、出資先企業の経営責任を問うことになるのかどうか、この点について、政府参考人に伺っておきます。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御紹介をいたしました日産本社及び関係会社の産活法の認定の際に、特別に何らかの条件を付している事実はございません。

吉井委員 法案には、出資先企業の経営責任、株主責任を問わないということになっています。融資とは違って、出資の場合には、受け入れ企業にその返済義務はありませんし、資金使途も限定されておりません。

 これまでの政策投資銀行から日産自動車への出融資の状況というものを政投銀の方に伺っておきたいと思います。

多賀参考人 お答えいたします。

 私どもは金融機関でございまして、金融機関といたしましては、個別の融資先に対して、あるいは融資をしているとかしていないとかということも含めまして、これは守秘義務の観点もございまして公表できないということでございまして、この点についてはぜひ御理解を賜りたいというふうに思っておるところでございます。

吉井委員 例えば、二〇〇〇年六月二十八日に認定した日産クレジット、日産カーリース、カーライフネットワークの三社は、合併して、その後、日産フィナンシャルと商号変更しております。ROE向上を再構築目標として掲げたところですが、法律三十四条で、支援措置は、日本政策投資銀行として公表していますね。ですから、公表しているわけですから、やはり公的な支援をする場合には公表するのが当然だと思います。

 政投銀として、出融資の際に、経営責任や役員報酬についての制限を付しているかどうか、どういう制限がついているかを伺います。

多賀参考人 お答えをいたします。

 私どもは金融機関でございますので、今先生がおっしゃいましたような、実際に融資をする、あるいは、場合によっては出資をするというときの観点は、まさにその会社の将来にわたってのゴーイングコンサーンの観点で、例えば融資でございましたら、当然のことでございますが、きちんとお金は返ってくる、出資でございましたら、相応の時期にちゃんとその出資のリターンが返ってくるという観点でございますので、直接その会社の経営にタッチするような形での出融資の仕方はとってございません。

吉井委員 一般的に経営全般を見ておるというだけの話です。

 欧米では、自動車産業の支援に当たって、役員報酬や契約責任などを今問題にしておりますが、アメリカ、フランスの実情について伺います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 御承知のように、今アメリカにおきましては、ビッグスリー、とりわけGMとクライスラーでございますけれども、大変な苦境にあるということで、政府が一連の支援をするというプロセスにございます。

 昨年の十二月十九日に、米財務省が、両会社に対してつなぎ融資をするというときに、一応条件をつけております。役員報酬の制限をする、あるいは従業員の中でも非常に報酬の高い、上の方から二十五人についてはボーナスを払わない、あるいは、これはマスコミでも有名になりましたけれども、自家用ジェットなんかについては売却をするというようなことを義務づけしております。

吉井委員 アメリカ、欧州ですから、ヨーロッパもお話をいただかぬとあかんのですけれども、フランスでは、サルコジ大統領は、ルノーに乗り込んで労働者の声を確保せよと迫ることだけじゃなしに、フィヨン首相は、二〇一〇年までの危機下のルールと名づけて、六銀行とルノーなど自動車メーカー二社を対象に、公的資金で支援を受けている企業幹部の報酬を制限する政令を発表し、大量解雇を実施する場合はボーナス自体が禁止という措置をとっているんじゃありませんか。

細野政府参考人 重ねて御答弁申し上げます。

 御指摘のとおり、フランスにおきましても、これはことしの三月三十一日でございますけれども、公的資金、これは融資の形でございますけれども、それを受け入れる自動車メーカーにつきましては、政令が発せられておりまして、ストックオプションとかあるいは業績連動部分のボーナス、こういうものを経営者に付与することをやめさせる、こういう内容を含んだ政令が出されております。

吉井委員 アメリカの方では、さっきもお話ありましたように、飛行機を売れとか、やはり経営姿勢を正せとはっきりしているわけですね。フランスでもそうなんですね。

 では、伺っておきますが、産活法の支援を受けた日産のCEOであるカルロス・ゴーン氏の報酬というのは幾らなのか。つまり、ゴーンさんの場合、日産での報酬とヨーロッパでの報酬というものがあるわけですが、それを伺います。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 カルロス・ゴーン最高経営責任者を初めとしまして、取締役個人についての個々の金額については公表されておりませんが、まず、日産の有価証券報告書を見ますると、カルロス・ゴーンさんを含む取締役、これは十名でございますけれども、十名全体で、直近の〇八年でございますと年額二十九・九億円、約三十億円でございます。

 それから、当然彼はルノーの方の経営にも携わっております。これにつきましては、年次報告書で個人の報酬額が発表されております。〇八年におけるカルロス・ゴーン社長、同時にCEOでございますけれども、ルノーが払っておる金額は、邦貨換算三・五億円でございます。

吉井委員 日産の場合、一人平均は約三億円というお話はありましたけれども、日産でゴーンさん自身は約十億円ではありませんか。

細野政府参考人 お答えをいたします。

 今申し上げましたように、日産については個々人の金額をそれぞれ発表しておりません。したがいまして、先ほど申し上げましたように、十名合計で約三十億、単純平均しますと三億円ということでございます。

 週刊誌その他でいろいろな報道がなされておりますけれども、社長でございますから平均よりは多少多いんだろうと思いますけれども、どれぐらい多いかについては承知することはできません。

吉井委員 資料をお配りさせていただいておりますが、これで見ても、日産自動車でゴーンさんは約十億円と言われておりますが、その他にルノー自身の分があるわけですね。この資料で明らかなように、ヨーロッパ分は公表されているんですね。これは、ヨーロッパ上位二十人の企業経営者の報酬の中でも断トツで、カルロス・ゴーン氏は四千五百五十万ドル、大体約四十五億円。ですから、日産自動車分と合わせると五十五億円なんですね。

 二階大臣に伺っておきたいんですけれども、大臣のロンドンでの記者会見の内容等を私も新聞で見せていただきましたが、昨年十二月に、ロンドンで記者の方たちに語られたところでは、支援を求めるゴーン氏の声に対して、小渕内閣時代の大臣が、当時、日産が二万人の首切りをやったとき、二万人の首を切って恬として恥じないのかと大演説をぶったというエピソードを持ち出して批判をされたということが掲載されておりました。

 公的支援を受ける企業経営者に、やはり支援を受けるからには高額報酬には高い税率をかけるという、アメリカは、この間、下院の方でもそういうことをやっておりますが、あるいは報酬制限を設けるというのは当然ではないかと思うんですが、大臣、どうですか。

二階国務大臣 個々の企業の経営者であろうが従業員であろうが、給料に対して、私ども経済産業省が、それは多過ぎるとか低過ぎるとかということを申し上げるのはいかがかと思います。

 今議員が御指摘のように、小渕内閣当時のことでありますが、二万人の首切り、極めて残念なことでありますが、このごろはあちらこちらで大量の首切り等がなされておったわけでありますから直ちにみんながびっくりしなくなってしまったような状況でありますが、あの当時としては大変なショックでありました。大企業なら何をやってもいいのかということで、時の労働大臣が悲憤慷慨したということを私はふと思い出したわけでございます。

 そして、我々関係の他の閣僚も力を合わせて、二万人の首切りに対して対応しようと。私はそっくり二万人を受け入れたということは申しませんが、観光業界が、新たな訓練を施して、ドアマンであるとかボーイさんであるとかいろいろな方々を吸収していただいて、一万人を超えるあたりまではいったように思うんです。二万には到底及びませんでしたが、そういうバックアップをしたことからしますと、やはり日産といえども考えていただかなきゃいけないという思いを込めての話でございました。

吉井委員 先日、トヨタの例でお話ししましたときには、資料も出しまして、ROE重視の経営にいって、雇用は正社員をリストラして派遣に置きかえていく、下請単価はどんどんどんどん切り下げていく。一九九四年ごろの野村総研が言っていたような、悪魔のサイクルと言われた時代からもっと激しいことが一方では起こって、しかし、このときにお示ししましたけれども、資本金十億円以上のところはどんと配当金も利益準備金も、それから役員報酬も伸ばしていく。一方、資本金一千万円以下のところ、中小下請企業とか、支えているところは、逆に一九九〇年に比べて下がっていっている。そういう実態を資料などでお示しをいたしました。

 やはり公的支援を受けるからには、派遣切りはぼんぼんやるわ、自分の報酬はちゃんといただいておきますわというのは、これは幾ら何でも世間様に通用するものじゃないと私は思うんです。

 それで、私は、やはりそういうことについては、大臣としても、あなたはそれだけ取りながら一方でばさっと派遣切りをやるというのはおかしいじゃないかと。こういうときこそ、日本の場合は、中小企業の技術力というのは将来の発展にとっても大事なんですから、幾らCEOが外国人であったとしてもはっきり物を言うべきじゃないか。派遣切りはやめなさい、下請中小企業を守りなさい、これは言うべきだと思うんですが、改めて伺います。

二階国務大臣 日産の幹部がお見えになったときにも我々の思いということは伝えたはずでありますが、今後においても十分そういう御意見を体して、日本の社会で行われておることでありますから、外国のどんなすばらしい経営判断ではあっても、それは少し考え直していただかなきゃいけないんじゃないかと当然申し上げるべきことだと思っております。

吉井委員 いずれにしても、リスクは国民に押しつけておいて高額報酬はCEOにというのは、とても国民的に理解の得られるようなものじゃないと思うんです。

 九〇年代後半の金融危機の時代には、全業種に対して中小企業への特別保証を行いました。今は、一般貸し付けで責任共有制度を導入して、責任共有制度導入以来、貸し渋りもあるんですね。そこへもってきて、原油高騰から連続しての金融危機、不況の時代ですが、セーフティーネット保証にはまだ業種制限などがあります。やはり中小企業への信用保証の方は平時対応という状態ではないかと思うんですが、これは政府参考人の方に伺っておきます。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、吉井先生から平成十年の話がございました。

 私は、当時、自治体の方でまた違った側面からこの融資をやっていたことがございます。その過程で、まずは倒産が減ったということは厳然たる事実でございますけれども、一年後にまた反動して非常にふえたり、あるいはその過程で、保証に伴いまして供給されました資金が本来の中小企業の事業支援に使われていないようなケース、あるいは過分に債務がふえたケース、さまざまな指摘といいますか反省すべき点があったことも事実でございます。

 限られた財政資金を有効に活用して、いかに広く、そして有効に使っていただくかということで、今回は、一般保証、それに加えまして貸し付け、それから保証という組み合わせ、これはやはり中小企業の方にとってみますと、身近に金融機関を使いたい、使いやすい、そういったようなこともございます。それから、金融というのは、何といっても、お金を貸せばいいというものではございません。そういったようなことで、公的なリソース、資金、人員面、さまざまなこと、さらには、民間の金融機関にここは本来の公的使命というのを自覚していただくということを組み合わせて対応しているところでございます。

吉井委員 昨年八月に、原油高騰対策等、緊急対策としてもともと制度設計が行われてきて、十月末から始まったセーフティーネット保証ですが、その後の派遣切りとか下請切りが進行するもとで金融経済危機も深まっているわけですから、派遣切り、下請切りの大企業には産活法だけれども、しかし、こういうやり方ではやはりとても理解が得られないということを申し上げて、時間になりましたので、終わります。

東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、産業活力再生特別措置法等の一部改正案について反対討論を行います。

 金融バブルと米国流の新自由主義路線、構造改革路線の大破綻は、世界的な経済金融危機を惹起いたしました。同時に、この危機を奇貨として、自動車、電機などの大企業は空前の大リストラを強行しています。経営危機を口実とした、派遣や請負などの非正規労働者切り、下請業者への仕事切り、単価切りを行う一方で、依然として株主優先主義は維持しています。このような冷酷無慈悲な株主配当優先のアメリカ型経営を推奨してきたのが産活法です。

 今政治が行うべきことは、大企業に対して、蓄積した莫大な内部留保を活用することで、雇用と下請中小企業を守るよう厳しく求めることです。この点で、産活法改正、強化は全く逆行するものだと言わざるを得ません。

 反対理由の第一は、産活法を初めとする構造改革路線が今日の貧困と格差をもたらしたことに何の反省もなく、さらに支援類型を追加していることです。

 産活法がこの十年間、ROEの向上を目指す大企業のリストラを支援してきたことが、ゆがんだ株主重視主義、株価資本主義を加速させました。大企業は筋肉質になったかもしれませんが、その恩恵は家計や個人消費に回っていません。不安定雇用を拡大し、中小企業、地域経済の疲弊をもたらした産活法の強化は容認できません。

 第二は、一般事業会社への公的資本注入、損失補てん制度の問題です。

 欧米では、大企業に対して、公的資金による産業支援の実行に際して、経営責任や役員の報酬制限など、一定の経営責任を課しています。しかし、本制度は、出資に踏み込んでまで大企業の救済、支援を行うにもかかわらず、何ら経営責任を問わない仕組みとなっています。これでは、経営のモラルハザードを招き、際限ない国民負担につながりかねません。

 第三は、官民共同の投資ファンドとして創設される産業革新機構についてです。いまだ役員構成も資金調達も不透明なまま、来年度四百億円もの予算を投入しようとしていますが、大破綻した基盤技術研究促進センターの二の舞を踏む懸念がぬぐえません。

 最後に、この間の日本版バイドールの仕組みについての十分な検証もなく、大学や公的研究機関にも準用させ、研究成果の民間移転を促進させる問題です。大学等の研究内容を事業化直結分野に偏重させるとともに、本来は国民の財産として広く社会に還元を図るべき公的研究の成果を一部特定の大企業に帰属させるものであり、賛成できません。

 以上の問題を指摘して、反対討論といたします。

東委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、中野正志君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。北神圭朗君。

北神委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、最近における資源価格の不安定化及び世界的な金融危機等による経済の急激かつ構造的な変化にかんがみ、当面の経済運営に政策を総動員して対処するとともに、我が国の産業活力の再生を確実なものとし、持続的な成長を可能とする新たな産業構造を構築するため、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 株式会社日本政策金融公庫による指定金融機関に対する損失補てんの仕組みについては、指定金融機関から一般事業会社への出資に公的資金を活用する異例の措置であることにかんがみ、早急に支援決定の具体的な基準及び手続に関し告示等で明文化するものとし、公正性及び透明性の確保を図りつつ、慎重かつ限定的な運用に努めるとともに、安易な企業救済により事業者のモラルハザードを招くことのないよう配慮すること。なお、危機対応業務をはじめとする政策金融については、今後の経済情勢の推移等を踏まえつつ、必要があると認められるときは、その在り方についても検討を加えるよう努めること。

 二 中小企業の再生支援に当たっては、追加された仕組みを含め、関係者に広く周知するよう引き続き努力するとともに、経営の強化に寄与する人材の育成・確保及び海外事業の展開のための支援施策の充実強化に取り組むこととし、これらの事項に関する方針を中小企業再生支援指針において明確化すること。

 三 事業再構築など既存の計画、資源生産性革新、中小企業承継事業再生など新たな計画の全てについて、計画に伴う失業の予防等雇用の安定に万全を期するため、計画の作成に当たり、事業者が労働組合等と協議により十分に話し合いを行い、また、計画の実施に際して、事業者が雇用の安定等に十分な配慮を行うことを確保することにより、労働者の雇用の安定に最大限の考慮を払いつつ当該計画が実施されるよう、厳に適切な運用を行うこと。

 四 中小企業承継事業再生計画については、人員削減が主たる目的とならないこと、第二会社に移行しない労働者がいる場合はその選定が恣意的にならないよう、労働組合等と協議により十分に話し合いを行うことを要件として認定をすること。

 五 中小企業承継事業再生計画については、第二会社方式による事業再生の対象となる中小企業者(特定中小企業者)について、第二会社に移行する労働者の労働契約及び労働条件が不当に切り下げられることのないよう、また、第二会社に移行しない労働者がいる場合にはその雇用の安定に努めるよう、労働組合等と協議により十分に話し合いを行うことを要件として認定をすること。

 六 事業再構築等の計画認定を受けた企業に対して指定金融機関が行う出資に対する日本政策金融公庫の損失補てん制度の運用に当たっては、雇用の安定等に十分な配慮を行うことを前提とし、対象事業者の選定について、然るべく基準を明記すること。

 七 株式会社産業革新機構については、過去の類似施策の検証の上に立ちつつ、民間の目利き人材の十分な確保及びその積極的活用等を図り、出資対象の審査を継続的かつ厳格に実施する体制を整備するとともに、事業内容等に対する厳正なチェック機能を確立し、出資の保全・回収が確保されるよう努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、二階経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。二階経済産業大臣。

二階国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

東委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

東委員長 次に、内閣提出、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。二階経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

二階国務大臣 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国では、人や動植物に悪影響を及ぼす有害な化学物質による環境の汚染を防止するため、昭和四十八年の本法制定以降、新たに製造された化学物質について厳しい事前審査を行うとともに、二度にわたる法改正を行って、必要な規制措置を講じてきました。本法制定以前から存在していた化学物質についても、国が主導して、順次、安全性評価を行ってきたところであります。

 他方、欧州で新たな規制が導入されたことや、国際条約において、原則として製造、使用が禁止される化学物質が追加されることに象徴されるように、化学物質の製造、使用に伴う人の健康や環境への悪影響を最小化するための化学物質管理のさらなる強化が、国際的に求められております。

 こうした昨今の状況を踏まえ、すべての化学物質を本法の対象とした上で、化学物質の安全性評価を着実に実施し、我が国における化学物質の管理をより効果的なものとするとともに、国際的動向も踏まえた規制の見直しを行うため、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、包括的な化学物質の管理を行うため、現行の審査や規制の体系を抜本的に見直します。

 具体的には、本法制定以前から存在していた化学物質を含むすべての化学物質について、一定数量以上の製造、輸入を行った事業者に届け出義務を課します。国は、届け出によって把握した製造・輸入数量等を踏まえ、安全性評価を優先的に行う物質を絞り込み、必要に応じて、有害性に関する試験の実施等を事業者に求めることができるようにします。こうした見直しにより、化学物質の安全性評価を着実に実施し、その結果に応じて、迅速に製造・使用規制等の対象とします。

 また、化学物質の有害性及びそれが大気や水などに放出される量に応じたきめ細かな管理を行う観点から、大気や水などで分解しやすい化学物質についても新たに規制の対象とするほか、流通過程にある化学物質に関する管理を強化するための措置を講じます。

 第二に、国際条約と整合性が確保できるよう規制を見直します。

 我が国が締約国となっている国際条約によって新たに製造、使用を禁止される化学物質の中には、例外的に一定の用途での使用が認められる見込みのものがあります。そのため、国際条約の実施を担う本法の枠組みにおいても、条約で認められる国民生活等に必須の用途に限り、厳格な管理のもとで、当該化学物質が使用できるようにします。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

東委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま審査中の本案に対し、環境委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明または意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会は、来る八日水曜日午後一時より開会いたしますので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


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