衆議院

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第12号 平成21年5月22日(金曜日)

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平成二十一年五月二十二日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 中野 正志君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      小此木八郎君    岡部 英明君

      川条 志嘉君    木挽  司君

      高村 正彦君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      篠田 陽介君    新藤 義孝君

      平  将明君    谷畑  孝君

      とかしきなおみ君    土井 真樹君

      中野  清君    林  幹雄君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      武藤 容治君    安井潤一郎君

      山本 明彦君    太田 和美君

      北神 圭朗君    後藤  斎君

      近藤 洋介君    下条 みつ君

      田村 謙治君    牧  義夫君

      三谷 光男君    高木美智代君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   議員           高村 正彦君

   議員           額賀福志郎君

   議員           中野 正志君

   議員           梶山 弘志君

   議員           加藤 勝信君

   議員           谷口 隆義君

   経済産業大臣       二階 俊博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           石黒 憲彦君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    長谷川榮一君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  橋本  岳君     とかしきなおみ君

  牧原 秀樹君     篠田 陽介君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     牧原 秀樹君

  とかしきなおみ君   橋本  岳君

    ―――――――――――――

五月二十日

 中小業者の仕事確保など暮らしと経営を守ることに関する請願(前田雄吉君紹介)(第二四三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 中小企業者及び中堅事業者等に対する資金供給の円滑化を図るための株式会社商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案(高村正彦君外六名提出、衆法第二四号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 高村正彦君外六名提出、中小企業者及び中堅事業者等に対する資金供給の円滑化を図るための株式会社商工組合中央金庫法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官石黒憲彦君及び中小企業庁長官長谷川榮一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。

 きょうは、株式会社商工中金法等の改正案について質問をさせていただきます。

 まさに、この商工中金の完全民営化についてですけれども、先般も産業活力再生法の代表質問をやらせていただきまして、その際も、与謝野財務大臣のお話を引き合いに出しながら、三月の十日に、参議院予算委員会での西田昌司参議院議員との質疑において、商工中金や日本政策投資銀行の民営化を引き合いに出し、政策金融改革について、不況の深刻なものは来ないということを前提にした制度論であって、これは間違いだったと私は思っているという発言がありました、そして私も全くそのとおりであるというお話をさせていただきました。

 与謝野大臣やあるいは二階経済産業大臣にも、完全民営化、見直しをされたらどうかというお話をずっと委員会審議の中でもしてまいりました。だからきょうは、その見直しについての一部改正案でありますので、法案提出者の皆さんと十分にこの問題について議論をさせていただきたいと思っています。

 まず、この商工中金の完全民営化、これは、小泉構造改革の一環でありました郵政民営化に対して、出口改革と称されました政策金融改革、その象徴的な制度改革の一つであります。日本政策投資銀行の完全民営化と並んで行革推進法にも規定をされました。それに沿って、後を受けた安倍内閣も、まさに内閣を挙げて取り組まれました。

 この株式会社商工組合中央金庫法は、商工中金の完全民営化への道筋を規定した、当然のごとく内閣提出の法案でありました。その一部を改正する、そして見直しをするわけでありますので、これは素朴な疑問であります、どうして内閣提出の改正案じゃなくて、閣法じゃなくて、議員立法、議員提出法案にされたんでしょうか。この理由をまず聞かせてください。

梶山議員 今回の法改正は、四月十日、経済危機対策において政府と与党で決定をしました措置を実施するためのものであります。

 この経済危機対策の策定に当たりましては、与党主導のもとで、商工中金の財務基盤の強化、そして産業革新機構の出資枠拡充について、政府に先行して検討が行われてきたものであります。したがって、私どもとしましては、その実現につきましても、与党主導で行うという整理のもとに議員立法で提出をさせていただいた次第であります。

三谷委員 経済危機対策に沿ってということはわかるんです。今のお話というのは、迅速に対応しなければいけないからという意味なんでしょうか、どうなんでしょうか。

梶山議員 経済危機対策につきましては、先ほども申し上げましたように、与党内でさまざまな議論をした末に、政府と一緒に決定をしたものでありまして、今、三谷委員がおっしゃいましたように、迅速ということも一つ入りますけれども、中身につきましても与党主導で行うという整理のもとに、繰り返しになりますけれども、そういう整理のもとに議員立法で提出をさせていただいたということであります。

三谷委員 もちろん、議員立法では悪いという話はありません。ただ、ちょっと残念だなという思いはございます。

 やはり私も、冒頭申し上げたとおり、いろいろなところで商工中金の完全民営化の見直しについては取り上げてもまいりましたし、また、大臣に向けてお話を投げかけてまいりました。大事な課題だというふうに思っておりますし、その答えをきちんと出さなければ、もちろん経済危機対策、景気対策ということは、これも大事な話には違いありませんけれども、だけれども、正面から受けとめれば、やはり閣法で出していただきたかったなということは思います。それが、正当といったらおかしいですけれども、まさに正当、筋ではないかというふうに思うんです。その意味では、ちょっと残念だったな、あるいは逃げの姿勢が、内容も余り踏み込まれておりませんし、それがこういう形に結びついたのかなという気がしてなりません。

 次に、その内容のことを尋ねてまいりたいと思います。

 危機対応準備金の創設についてお尋ねをいたします。

 まず、この危機対応準備金の創設、民間株主の権利の希薄化を避けつつ自己資本を増強する仕組みとして創設をされた、これはどういう意味でありましょうか。

加藤(勝)議員 お答えを申し上げます。

 今回の危機対応業務の拡大に伴いまして、商工中金の貸出資産が大幅に増加をし、結果として自己資本比率が低下することが見込まれるわけであります。現在、昨年の十月時点で商工中金八・九%の自己資本比率、これが八%を下回ることになりますと、債券発行による資金調達や国際業務に支障を来すおそれがある、こういう前提の中で、政府からの追加出資を行ってその財政基盤の強化を図る、これがまず第一歩でございます。

 ただし、御承知のように、商工中金におきましては、既に、民間、いわゆる中小企業団体、中小企業者の方々が過半、五三・五%という株式を保有しておりまして、一般の追加増資それから出資を政府がいたしますとその関係が逆転してしまう、こういうこともございます。そういう意味で、そうした方々の権利がいわば希薄化をしてしまいますので、それを防ぐという意味から、出資にかかわらず準備金という形をとらせていただきました。

 そして、この準備金ということになりますと、もう既に商工中金には特別準備金、こういう制度がございますけれども、今回は、危機対応業務の拡充、こういう観点からの政策的必要性、判断を含めて出資するものでございますので、特別準備金とは別の危機対応準備金という形で創設し、そこへ財政資金を投入する、こういう仕組みになっております。

三谷委員 もちろん、自己資本比率が低下をする、危機対応業務、その貸し付けを拡大しなければいけない、だから自己資本比率を上げなければいけない、資本を増強しなければいけない。そして、今も加藤議員お話しされましたように、民間株主への配慮として、普通株のところで政府出資を増額するのはよくないという配慮はわかります。だけれども、一番簡単な話は、御承知のように特別準備金があるわけですから、特別準備金を積み増せば事足りるのではないかと思うんです。

 先ほど加藤議員おっしゃられましたけれども、危機対応業務、その必要性があるから、関係ないんじゃないかと思うんですね。関係ない。別枠で危機対応準備金を特別準備金と分けて創設をして、そこに政府出資、増額をするということは、それによって危機対応業務の貸し付けがふえるわけではありません。むしろ、わかりやすい話としては、なぜ特別準備金を積み増すという一番シンプルな形をとらなかったんでしょうか。

 むしろ、これも先ほどの議員立法のお話と同様に、思いますのは、まだ党内で反対の方がいらっしゃるかもしれない、だからこれは、さっきも加藤議員がおっしゃられたように、意味がないのに、危機対応業務のためのものですよという枠をつけたにほかならないのではないかという気がしてなりません。

 だから、先ほどの議員立法の話とあわせて、どうしてそのように、一種逃げのような話になるのか。むしろ堂々と、完全民営化、それがいいのか悪いのか、あるいは商工中金をどういう金融機関にするのかということを、ある意味、わかりやすい形で、私が思いますのは、危機対応準備金に積み増そうと特別準備金に積み増そうと関係ないと思いますから。危機対応業務の貸付枠拡大をするために自己資本比率が下がる、下がらせてはならない、資本も増強する、純資産をふやす、これがまさに一番の目的ですから。

 そういう意味では、これもまたちょっと、何かもっとありますか、この危機対応準備金、わざわざこれを別枠でつくらなければならなかった理由がありますでしょうか。あったら教えてください。

加藤(勝)議員 今議員の御質問、御意見の中の、完全民営化の部分と、特別準備金と危機対応準備金を別につくるのというのは、必ずしもそこはリンクをしないのではないのかなというふうに私は思っております。

 その前提の中で、おっしゃるように、特別準備金、準備金という形であるという意味においては性格が一緒でありますけれども、特別準備金そのもの、私の理解では、商工中金全体の経営、こういう観点から積み上げられていく。したがって、もし商工中金全体の経営の中において何か支障があるということであれば、おっしゃるようなこともあるんだと思いますが、今回はあくまでも危機対応貸し出しということをしていただく、それに協力をしていただく、そういうために今回出資をする。そういう意味では、私は、むしろ切り分けた方が合理的であり、国民に対して説明がつくのではないかなと。

 おっしゃるように、勘定そのものを分けるという議論も確かにあるのかもしれません、議論としては。ただ、それは実態的になかなか難しいと私は思います。

 そういう状況の中で、むしろ、商工中金経営全般に対する支援ではなくて、あくまでも危機対応業務をやってもらう、それに対する支援だということをはっきりさせるためには、むしろ別建てにして、取り崩しあるいは繰り戻し、国庫納付、こういう点についてもそこに差異をつけておく方がむしろ合理的であり、国民に対する説明がつくのではないかな、私はこういうふうに考えております。

三谷委員 まさに今最後にお話しされた取り崩し、繰り戻しについても、恐らく関係ないと思うんですね。特別準備金の積み増しであろうと、新たに創設をしようと、そこにどれだけの意味があるのかと思うんです。

 つまり、先ほど来申し上げているように、自己資本比率を上げることが目的なんですから、貸し出しを危機対応業務で拡大することが目的なんですから、今おっしゃられたように、これは危機対応業務のための準備金だよと分ける必要が、どういう意味があるのかということを思うわけです。もっとそれをシンプルに、まさに危機対応業務のために自己資本比率を上げなければいけない、拡大をしなければいけない、ならば一番簡単な方法で特別準備金に積み増せばよいのではなかったかというふうに思います。

 このお話ばかりをしてはなりませんので、次のお話に進んでまいりたいと思います。

 ちょっとここで、法案提出者の方々は、商工中金完全民営化に向けての見直しではないのかもしれません。議論の土台となることをちょっと確認させていただきます。

 まさに二年前に、この株式会社商工中金法が閣法で提出をされて、審議をされて、成立いたしました。そのときに、商工中金における完全民営化とは何か、その審議の際にも、二年前、答弁をいろいろ聞いておりましたら、立場によってまた受けとめ方等が若干違う、明確でないと私には受けとめられたところがございます。

 これは法案提出者の皆様にお尋ねをいたします。

 商工中金における完全民営化とは何でしょうか、そして、どんな状態のことでありましょうか、定義をしてください。

谷口(隆)議員 お答えさせていただきます。

 商工中金の完全民営化とは、それは先生も御存じだと思いますが、政府出資の株をすべて売却するということが完全民営化であります。

 私どもも、非常に今危機的な状況でありますから、今回、危機対応準備金を設けるわけでありますけれども、それは完全民営化をやめたわけではなくて、今の状況の中で、最大限、商工中金として公的使命を果たしていただくということでさせていただいておるわけでございます。すなわち、完全民営化とは、政府株を全部売却することであるということであります。

三谷委員 今の御答弁はよくわかりました。政府出資の株式を売却するということでありますね。

 先ほどあのようなお話を申し上げましたのは、これは私自身も質疑の中で聞いたことでありますけれども、その当時、行革推進本部事務局の鈴木審議官をお呼びして、同じお尋ねをいたしました。また、当時の中馬行革大臣のお話、完全民営化とは、会社法を設立の根拠とし、政府の出資がない株式会社とすることだ、こう定義をされました。

 当時の甘利経済産業大臣に同じお尋ねをいたしました。あるいは、石毛中小企業庁長官にも同じお尋ねをいたしました。甘利大臣は、根拠法を会社法、規制については銀行法だ、これが土台である、設立の根拠を他の金融機関と共通にする、これをもって完全民営化だ、こう答弁をされました。

 もちろん、後でされた話の中に、今のお話のとおり、国が保有している株式は売却、ただし、中小企業向け金融を行うために中小企業組合や構成員に売却をするんですよということ、これをもって完全民営化なのだという定義をされました。石毛長官も同じ定義です。

 そこで問題となりますのは、特別準備金の国庫への返納をめぐる考え方でありました。実は、答弁の中では、そのときに答弁されたわけではありませんけれども、財務省ははっきりと、中馬大臣あるいは行革本部の鈴木審議官と同じように、政府の出資金が資本の中に、特別準備金はまさに資本、自己資本でありますので、これは当然完全民営化時には国庫に返納されるものだと。だけれども、経産省ははっきりしておりまして、当時の経済産業大臣も中小企業庁長官も経産省の方々も一致して、それは必要があれば返す必要はない、完全民営化は株式の売却をもって完全民営化なのだというお話でありました。

 これは経済産業省に再度確認をいたします。どうでしょうか、今の理解でよろしいんでしょうか。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、二年前の審議につきまして先生から御紹介がございました。特別準備金、商工中金の資本の一部でございます。ただ、あのときの御議論、政府側からの御答弁も差し上げたと思いますけれども、株式と準備金ではやはり性格が違うといいますか、すなわち、先ほどお話がございましたように、政府が株式をすべて放出する、そして受け手は中小企業者が基本だ、こういうような考え方というのは、当時も基本でございますし、今もそれは変更がないというふうに申し上げたいと思います。

 そして、現行法上、特別準備金は、商工中金があくまでも自主的に判断をした上で、それで国庫納付や清算がない限り存続するということになっております。そして、完全民営化後はどうかというお話でございますけれども、当時の大臣から御答弁があった、逐一は正確じゃないかもしれませんが、基本は、商工中金が自分の判断で、そして仕事をする上で十分な資本基盤を確保するということでございますので、この点につきましても、完全民営化後も財務基盤が十分確保されるまでの間、特別準備金は維持されるべきものというふうに考えております。

 そして、二年前の法案審議に当たりまして、本委員会で御党の賛成も得て決議されました附帯決議におきましても同種の指摘をいただいておりますので、その趣旨を踏まえまして対応する考えでございます。

三谷委員 今のお話も明快なお話でありました。

 特別準備金の問題というのは大変大事な問題だと思うんです。このとき、この審議をした際に、甘利大臣はここまで言われました、完全民営化の時点において、商工中金の金融機能が引き続き維持されるような必要な措置をとるということになっておりますと。完全民営化時点で必要な措置をとる、機能が十分に発揮できるように、目的が果たされるように必要な措置をとる、その中にこの特別準備金の維持というものが入っているんだとまでおっしゃられた。

 だけれども、さっきも財務省のお話を申し上げたのは、これは明確に財務省はレクの中ではお話をされました。そして、その必要な措置を盛り込むのはだれなのか。主務大臣は経産大臣だけではないんですね。財務大臣と経産大臣、二人なんです。

 だから、これは法案提出者の皆様、これも与党、そして政府を代表してここに答弁をされているものと考えますので、もう一回、主務大臣が二人いて、そのときの財務省の受け取り方、考え方、これは明らかに違っておったのです。額賀元財務大臣もいらっしゃいますし。これはどうでしょうか。先ほど紹介をいたしました甘利大臣や当時の石毛長官、あるいは今の長谷川長官のお話でいいのかどうなのか。もう一回、確認のために御答弁をお願いいたします。

谷口(隆)議員 今先生が、先ほどの質問にもありましたが、特別準備金と危機対応準備金の違いはどうなんだといったところからちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 基本的には、百年に一度という大変な不況が今襲っておりますから、そのために、非常にリスクの大きい融資を商工中金がやっておるわけであります。そのようなことで、非常にハイリスクで収益が少ない。それで、自己資本比率を維持するために今回危機対応準備金をつくったわけでありますが、これは先ほど加藤議員の方からもお話をされましたが、いわば資本に一番近いもの、拘束力が非常に強いものというような判断でやっておりまして、そういう意味では、今、資本金、危機対応準備金、また特別準備金というような拘束性の度合いになるんだろうと思うわけでございます。

 そういうような危機対応準備金を今回積んだわけでありますが、今おっしゃった、この危機対応準備金も国庫に返還されるのかどうかということです。国庫に返還されるということは、この危機対応準備金そのものが、自己資本比率をふやしていかなければなりませんので、しかし一方で、資本に組み入れるというとダイリューションの問題がありますから、今回、危機対応準備金という形にしたわけでありますけれども、この返還ということになりますと、ティア1になるかどうかということになります。このティア1になるかどうかという判断のときに、これは永続性があるかとか、一般の損失をこれによっててん補できるのかどうか、こういう判断があるわけであります。そういうことで、今回、危機対応準備金は返還請求権をつけておりません。

 また、商工中金が、今起こっておるような混乱状態がおさまって、危機対応準備金を今積んだ状況が解消したといったような場合には、期間を決めておらない、要するに、商工中金が主体的に決めて国庫に返還するという意味での任意性がここにつけられておるということであります。

三谷委員 最初のお話でも、特別準備金も危機対応準備金もそう変わらないというお話を申し上げました。

 今、谷口議員から御説明がありましたので、大変わかりづらいところもございます。答えとしては今お話しされたとおりだし、私は、特別準備金も、あるいは、わかりやすいのは、危機対応準備金も、あえてなかなかと言います、なかなか国庫に返すというようなことにはならないんだろうというふうに思うんです。

 この国庫納付について、これは危機対応準備金です、商工中金が危機対応業務の円滑な実施のために必要な財務基盤が十分確保されるに至ったと認める場合、国庫納付することができる、こう規定されているんですね、できると。

 あわせて、これは経産省がつくられた、出回っておる概要でありますけれども、危機対応準備金、その創設、その中に、自己資本性を確保するため、危機対応準備金の国庫納付を行うのは、危機対応業務の実施に必要な財務基盤が確保されたと商工中金が認める場合ですね。

 普通に考えたらこれは危機対応業務であろうと、一年、二年の、それは今危機だから、借り手の方としては、今貸してください、こういう話になりますけれども、むしろ、実際の債務は、一年あるいは二年、三年のローンじゃなくて、五年、七年の、これは例は違いますけれども、政投銀でいえば、例えばJALとかANAとかといったら、随分以前のオイルショック時の危機対応業務のときの債務がまだ残っているように、あるいは、商工中金の場合は相手が中小・小規模企業でありますから、根雪のようになったりもいたしますから、そんなに簡単に財政基盤が整うというようなことはないと思います。

 ならば、まさに今読みましたとおり、返さなくても、返さなくてもいいと言ったら語弊がございます、商工中金が財務基盤が確保されたと認めなければ、逆さまに読めば、この危機対応準備金も国庫に返納をしなくてもよいわけですね。やはりそれは残るということになるんだと思うんです。それで私はいいんだというふうにも思います。

 そしてもう一つ、今度は話題をかえまして、これは、ある意味、この改正案の中の一番肝の部分、商工中金完全民営化の見直しという意味では肝の話にはなっていないのですけれども、三年半、起算点を延期するというお話です。延期をすることはよかったのだと私は思います。私は、最初に申し上げたとおり、見直しをしなさい、こうずっと訴えておるわけですから。

 ただ、この中で、平成二十年十月一日を起算点にして、おおむね五年から七年を目途に政府保有株式の完全売却だ、これを二十四年四月一日まで延期する。二十四年四月まで延期をして、平成二十三年度末までに、危機対応業務の実施状況、社会経済情勢を踏まえて、危機対応業務のあり方やあるいは完全民営化の時期についてもう一回検討して、必要な措置を講じるというお話にこの法案はなっているんですね。

 手をこまねいて、一番肝心かなめのことを、平成二十四年四月一日、平成二十三年度末、ほとんど一緒ですね、どうなんでしょうか、そこまで、本当にこの言葉どおりに、例えば、株を少しでも売っていなさいよとか、あるいはもう売らなくてもいいよとか、そういう方向づけもない。つまり、書かれていることは、二十三年度末までに答えを出しましょう、こう書かれているだけであります。だけれども、そんなはずはないと思うんです。

 だから、例えば、株の売却をどうするとか、あるいは、限度はここまでだけれども、この一年以内には、このこと、このこと、このことについては答えを出しますよとか、もっと言ったら、今ここである程度の答えを出さなければいけないと思うんですね。そのことを最初に私は申し上げたつもりなんです。

 どうなんでしょうか、今の方向でも構いません、例えば、株の売却をどうするつもりであるとか、あるいはその時期をまた再延長する考えがあるかとか、あるいは、一番は、完全民営化を、それはやはりよくないと。それは一に、商工中金をどうする、どういうバンクにするのかということにかかっていると思うんです。まさに危機対応業務はその肝ですから、危機対応業務をどうするのかということにもかかっていると思うんですね。移行期において、完全民営化時点において、指定機関の位置づけも違うわけですから。

 そういう話はなかったんでしょうか。答えられるだけで結構でありますので、お答えください。

谷口(隆)議員 先生おっしゃったように、三年半延ばしたわけでありますね。三年半延ばしたのは、大変な経済危機がありましたから、全治三年ということで、三年半延ばしてやったんですが、商工中金においては、完全民営化を進めるという方向は一切変わっておりません。その後、おおむね五年から七年かけて完全売却を行うという方向でいっているというような方向は変わっておらないということであります。

三谷委員 完全民営化を、では本当に言葉どおり三年半先送りをした、ただそれだけのお話ということに今のお話はなるんでしょうか。完全民営化は変わっていない。つまり売却をやはり進めていくんだ、ならば、三年半延期をするけれども、少しずつ売っていくわけですか。どうなんでしょうか、それは。

谷口(隆)議員 先ほど申し上げましたように、三年半は危機対応準備金を積んで、商工中金に公的な使命を果たしていただかなければなりません。ハイリスクの融資がありますし、収益的にも非常に利ざやが少ないわけであります。

 まさに、そういうような状況の中で、今回危機対応準備金を入れて、自己資本比率を維持し、三年半待った中で、おおむね五年から七年かけて政府株式を売却するというような方向であります。

三谷委員 わかりました。

 これはもう言いっ放しのお話です。完全民営化にこだわる必要はないんじゃないかというふうに私は思います。まさに路線の変更が必要だというふうに思います。そうやって危機対応準備金を積んで、何かちょっと場当たり的にできるようにするというのではなくて、先ほども申し上げたように、どういうバンクにするのがいいのかということを議論して答えを出さなければいけないのだと思うんです。それは私の今の考えであります。

 何か。

谷口(隆)議員 それは全く私も同じで、先生がおっしゃるように、フルバンク機能を今度つけていかなきゃならないと。今、預金も制約されていますし、員外貸し付けも制限されておるわけでありますので、商工中金を利用されている皆様に、銀行として、メーンバンクとして十分この機能が発揮できるような状況に持っていかなければならない、このように考えております。

中野(正)議員 三谷委員の御指摘の点は十二分に承知はいたしておりますけれども、御存じをいただきますように、政策金融のあり方をめぐりましては、正直いろいろな議論があるところであります。御党の中にもあるかもしれない、我が党の中にもいろいろあることも事実ではあります。

 ただ、いずれにしても、私たちはフルバンキングの機能ということで、今、商工中金の利用の会社が二万一千社、それぞれの支店のもとで、商工中金の会というんでしょうか、顧客さんのグループをつくっておりまして、大変好評をいただいております。その方々のお話を聞きますと、商工中金は非常に解析力、分析力にすぐれている、そして、三年先、五年先、十年先を見据えながら、いろいろ金融を含めた指導もしていただいている、むしろ商工中金をメーンバンクにしたいぐらいだ、こういう気持ちを持っていられる企業がこのごろ本当に多くなったなということを実感いたしておるところであります。

 ただ、方針がえ、宗旨がえということもありましたけれども、去年の十月にスタートいたしましてまだ八カ月というときに完全民営化の方針を覆すということがありましては、民主党さんも賛成した、我々与党も賛成してつくり上げられたわけでありますから、その辺は、今の経済危機を突破するということと、今後の組織をどうするか、民営化を含めてそれをどうするかという議論は、また次の議論にしていただきたい。とりあえずは、まずこの危機対応業務をしっかりやっていきましょう、こう申し上げたいところであります。

三谷委員 フルバンキングというのは、まさにこの法律をつくるときにも議論をされた話でありますけれども、そうじゃなくても私はいいんじゃないかと思います。先ほども、お話の中で、何も民営化、株式会社化することをだめだと言っているわけではない。もとの、縮こまって、クラウディングアウトはだめだ、こういう話に戻せと言うつもりもありませんけれども、それは、いろいろな考え方は完全売却をしなくても私はあるのだというふうに思います。特殊会社であったとしても、必ずしもフルバンキングをまさに借り手であります中小企業者が商工中金に望んでいるとは私には思えないから、そのようにお話をしています。

 そして、最後に少しだけ。

 産業革新機構の政府出資が大変増額をされました。倍以上になりました。また、資金調達に係る社債や借入金に、上限八千億円、大変な大盤振る舞いだと思います。政府保証制度の創設がされました。(発言する者あり)まさにおっしゃるとおり。同じように、産業活力再生法、あの改正のときに、代表質問の際に、またその後も、当経済産業委員会の場でも、有用な試みだから、大事な試みだから、四百億円では余りに小さ過ぎると、むしろお願いを二階大臣にもいたしました。だけれども、代表質問のときも、あるいは委員会審議のときも、いずれもまともに答えてもいただけなかった。うんともすんとも触れられなかったんですね。

 それが、びっくりしました、本当に。政府出資四百億円に加えてぽんと四百二十億円で、それだけだったら驚かないかもしれませんけれども、上限とはいっても八千億円、政府保証つきで、言ってみれば使ってもいいよという額が積み上げられたわけですから、この大盤振る舞いには本当に驚きました。二十倍以上にはね上がったわけでありますので。

 これは、望んだことをかなえていただいて、それはありがたい話だと思いますけれども、この差は、これは法案提出者にもあるいは経済産業省にも両方聞かせていただきます。何が変わってこれだけの大きなはね上げになったんでしょうか。よもや私が言ったからこれだけ上がったとはもちろん考えてはおりません。何が評価をされて変わったんでしょうか。教えてください。

加藤(勝)議員 今の議員からの御質問にあったそうしたやりとりと、そしてその後のやはり経済の、あるいは各企業の実態というんでしょうか、そういったものを踏まえて、四百二十億の追加出資、そして、さらにこれからそうした新しい技術の芽をより具体化していく、こういう状況の中で大規模な出資も必要ではないか、こういう意味から改めてこの政府保証の八千億の枠も追加したということでありますので、認識がさらに深まり強まった、こういうことが背景にあるということを申し上げたいと思います。

石黒政府参考人 お答えさせていただきます。

 経済産業委員会の質疑におきまして、三谷議員の方から、四百億円というのは余りに少な過ぎるのではないかという御指摘をいただきました。大臣の方から、今後、成長力強化を図るためにしっかり対応していきたいと考えており、ただいま御質問いただいたこと、激励をいただいたことを背景にして努力したいというふうに申し上げた次第でございます。

 ほかの先生方からもそういった同じような御指摘をいただきまして、財務当局と調整をした結果、こういった提案を新たにさせていただいているということでございます。

三谷委員 有用な試みというふうに食いついたようにお話をしてきましたので、それは本当に、これだけついたのはありがたい話だと正直思います。

 だけれども、そのときには申し上げませんでしたけれども、再三審議の中でも、基盤技術促進センターのような話にはならないと思います、実用化に近いところでやるわけですから。ですけれども、これだけ大きくなると、今までだったら厳しい目で、それでもリスクマネーでも厳しい目で有用な投資先を探すための仕組みをつくる、チェックもする、そんな話だったのが、これだけの大盤振る舞いですから、そこはやはり厳しい目で。

 そして、あの審議の中でも出た目きき人材の確保を初めとして、これが本当にいい、結果的にも大きな果実を上げるように、成果を上げるような話に持っていけるようにぜひ努めていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて三谷光男君の質疑は終わりました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 今回、議員提出の法案ということで出されておりまして、今回の一次補正を踏まえての、あるいは一次補正の根拠になる法案でして、まず、現状の経済の認識について法案の提出者に伺いたいと思うんです。

 四月になりまして株価も、日本もそうですし、世界でも若干持ち直してきております。ですから、今回の危機が底を打ったという見方を持っていらっしゃる方もいるでしょうし、あるいは経済指標等も、底を打って若干持ち直してきているかなと思われている方もいらっしゃると思うんです。

 私はそうではないと考えておるんですけれども、現状の経済あるいは今後の景気の認識について、まず法案の提出者の方から御意見を伺わせてください。

梶山議員 大島委員御指摘のとおり、一昨日、五月二十日に発表されました本年の一―三月期四半期のGDP速報におきましては、引き続き輸出が大きく減少いたしますとともに、内需の面の消費や設備投資も減少しまして、実質成長率は大きなマイナスになったところであります。こうした指標からも明らかなように、我が国の景気は依然として大変に厳しい状況にあるものと認識をしております。

 日経平均株価の終わり値、本年三月には七千円近くまで下落をいたしましたけれども、五月七日には九千円を超えて、昨日は九千二百六十四円十五銭ということでありました。

 しかし、足元では雇用の過剰感が非常に高まっておりまして、今後、雇用・所得環境の悪化が懸念されるほか、世界景気の下振れ懸念などのリスクも存在をしておりますので、先行きは楽観できないものと、委員と同じような考えでございます。

大島(敦)委員 梶山先生からも政府答弁のようなすばらしい御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 経済産業省、中小企業庁の長谷川長官にも伺いたいんですけれども、中小企業の皆さんを見ていらっしゃっていて、現状の経済認識について、景気認識について今梶山提出者からお伺いしたんですけれども、その点について補足があれば御意見を伺わせてください。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には梶山議員からお話があったところだと思っておりますけれども、一時期に比べますと、一時期と申しますのは、ちょうど大変足元で、ことしの一―三月のGDPがかつてない厳しさで出てまいりましたが、そのころに比べますと、低下している速度がややスローダウンしている部分もあるということで落ちついて、しかし、大変厳しい局面にそれぞれ備えるんだという方も一部にいらっしゃいます。

 この背景には、私ども政府としましても、これは与党、野党問わずに、資金繰りというのがまずは大事だと。これは大島先生御自身からも大変貴重な御指摘を得ておりますけれども、そういったような政策の手当てもしたということで、大変御利用者が多いというのも一方にあると思います。

 かつ、諸外国の指標を見ましても、一部中国とか一部アメリカとか、小売とかそういった面でいい指標も多少出てはきておりますけれども、やはり何と申しましても雇用について、これは日本もそうですし、外国も大変厳しゅうございます。

 それから、個人的な見解だということでお許しいただければ、特に自動車の関係は、これからアメリカではかなりいろいろなことが起こってもおかしくないような状況にあるんだと思っております。

 そういう意味で、外需という分野で、大変日本の経済は、少なくとも二〇〇七年度まではある種競争力を発揮しまして潤った面もございまして、そこがまた厳しくなるという面もございますので、私ども緊張感を持ちましてこの情勢を見ていきたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 景気の認識については市場関係者の方から個人的に伺ったんですけれども、どうして株価が上がっているかと聞いたところ、三月までは相当世界じゅうで弱気だった、弱気でしたから空売りが相当あった、要はその買い戻しということで株価が上がっているので、そんなに手がたく株価が上がっているわけではないという話を聞いたことがあります。

 ですから、今後の経済の認識は私は非常に弱気でして、三年間から四年間、よく言われているL字形ということで、非常に厳しい時代が続くのかなと思っておりまして、今長官からも御指摘がありましたとおり、雇用というのは半年おくれて景気が反映されるわけでございまして、これからだと思うんです。

 今、雇用調整助成金、会社の中で仕事がなかったときに、教育訓練を会社でしたときには給与の何割か援助する、補てんするという雇用保険の仕組みの中で、この雇用調整助成金の受給者が二百万人を超えているわけです。二百万人を超えているというのは、大体、完全失業率一%が六十五万人ですから、二ポイントから三ポイントぐらいは今潜在的に失業状態と思われる方がいらっしゃるわけです。

 これも、雇用調整助成金が給付の日数を過ぎて、会社として非常に今財務が傷んでおりますから、外に、やむを得ざることとして解雇ということになると、今後消費のマインドは相当冷え込んでくるおそれがあると考えております。

 その認識に基づいて、恐らく、提出者の皆さんは、商工中金の危機対応業務についてより一層の対応が必要だということで出されたのかなとは思っております。そうしますと、政府参考人に伺いたいんですけれども、中小企業の資金繰りも大幅に悪化している、この中小企業の資金繰りや資金需要の現状の見通しについての認識を、政府参考人あるいは法案の提出者でも結構なんですけれども、伺わせていただければ幸いと存じます。

梶山議員 お答えいたします。

 中小企業の資金繰りの状況につきましては、資金繰りDIを見れば、本年二月を底に、三月、四月と一時的に改善方向にはあるものの、依然として非常に厳しい状況にあると認識をするとともに、我々も政治家として、各地域、各業種を回ってみても、それを肌で感じるところであります。設備投資等が減少する中で、民間金融機関による中小企業向けの貸出残高も減少をしている状況であります。

 今後、業況の悪化が懸念をされる中、運転資金を中心に資金繰り支援のニーズは依然として高いものがあると考えており、商工中金の危機対応業務などの公的資金がしっかりと下支えする必要があると議論をし、考えているところであります。

    〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕

大島(敦)委員 そういたしますと、政府としても、昨年度の補正からずっとこれまで緊急融資あるいはセーフティーネットの融資も合わせて枠を大分広げてきたと思うんです。現状でも三十兆円の枠が設定されておりますし、現段階でも十三兆円しか使われていないとすれば、まだ残りが、まだ余裕があるかなと思っておりまして、この緊急融資とかセーフティーネットの融資枠を踏まえて、今回の商工中金の見直しについて本当に緊急的に必要なのかどうかについて伺わせてください。

中野(正)議員 大島委員のお話のとおり、緊急保証あるいはセーフティーネット貸し付け、これまで合計で十三兆円を超える実績を上げております。ちなみに、きのう現在でありますけれども、緊急保証にかかわる実績でありますけれども、承諾件数が五十一万二千五百八十件、そして金額は十兆四千二百九十八億円という累計になってございます。雨の日の傘ということで、私たちは関係機関を叱咤激励しながら順調に取り進められているなという思いはいたしております。とにもかくにも、現下の厳しい経済環境の中で売り上げや利益の急激な減少などに苦しむ中小企業にとって、資金繰りの円滑化には大きく寄与している、こう理解をいたしております。

 ただ、中小企業がこの経済危機を乗り越えるためには、こういった当面の止血効果という金融対策だけではなくて、やはり新規の需要創出、私たちも地元に帰りますと、仕事が少なくなった、仕事がない、こういう訴えをいただくわけでございまして、そういう意味では中小企業の仕事を確保していくということが不可欠であろうと思います。

 今般の経済危機対策では、一つには、公共事業の前倒し施行、これはもう上期で八割発注しなさい、そういうことなど、中長期的な成長に向けて緊急に実施すべき施策など、各分野における政策を総動員いたしていきたいということにしまして、財政出動十五・四兆円お願いをさせていただいたわけであります。

 金融対策、そしてこれら需要創出策が相まって、必ず今回の経済危機を乗り越えて、回復軌道に入り、成長軌道にできるだけ入る、そういうことを念願しつつ、ともども頑張り合いたいと思います。

大島(敦)委員 中野先生の力強い答弁は非常に勇気づけられるんですけれども、若干、中野先生とは違う考え方を持っていまして、今景気が下降局面にあって、ことし、来年、OECDとかIMFの日本の経済、景気の見方は、ことしもマイナス成長で来年もマイナス成長で、いつ財政出動をするかというのは非常に悩ましいところだと考えております。

 恐らく、与謝野大臣も、本来であれば、本当にこの時期財政出動をしていいのかどうかというのは非常に悩まれたと思うんです、十五兆円の規模で今回基金を相当数造成することになっていますから。基金というのは、今年度使わなくてもよくて、来年度、再来年度でもいいものですから、個人的には、一つの仕組みとしてある程度、ことし使わなくてもいいものも出てきて来年に繰り越せるものもあるのかな、そういう仕組みも想定しているのかなということも考えております。

 今の十五兆円に上る経済対策を仮に打ったとしても、需給ギャップが今二十兆から三十兆あってこれがずっと続くわけですから、多分また、ことしの年度末あるいはことしの暮れぐらいには二次補正という話もあるかもしれないなと思うんですよ。なかなかこれが今回難しいんです。今回は、国としては、例えば新しい第二のセーフティーネットをつくるということで七千億円の基金を厚労省の中につくりまして、本当に機能するかどうかはまだわからないんですけれども、セーフティーネットをつくってある程度それで下支えをして、会社についてはそれぞれに頑張っていただくというのも必要、なかなかこのバランスが難しくて、自分も悩ましいかなと思っているところなんです。

 それでなんですけれども、危機対応業務と今回初めて提出者の皆さんが出されて、商工中金の危機対応の業務としては新しいものかなと思ったんですけれども、従来から持っているわけですよね。従来の枠組みの中でも、先ほど三谷先生からも御指摘がありましたとおり、前回の公的な金融機関の制度の見直しの中で、危機対応の業務をできるだけ民間の金融機関にやっていただくということで、指定金融機関を政府が指定して、日本政策金融公庫がそこにある程度貸し付けとか損害の担保とかあるいは利子の補給をして、現状でも危機対応業務というのはあるかと思うんです。

 本来であれば、日本政策金融公庫が政府が指定する指定金融機関を通じて危機対応業務をすべきであって、なかなか民間の銀行も、昨年一兆円を超えるお金を海外の投資銀行に投資した御立派な銀行もあるんですけれども、それだけ立派な銀行だったら余り今政府に泣きついてほしくないと僕は思うんですよ、これは。

 ですから、今、商工組合中央金庫と日本政策投資銀行の二行が一応あるんですけれども、現状の危機対応の仕組みの中でも対応できないかどうかについて伺わせてください。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 危機対応業務と申しますのは、現行法上定義された言葉でございまして、政策金融機関の改革、民営化という方向の中で、しかしそれが完遂するまでの間に、危機というものの中に内外の金融秩序の混乱等々が定義されておりますけれども、予期せざるそういった状況のもとに資金の円滑な供給が遮断されてはいけない、こういうことで始まったわけでございます。

 今、その機能をだれかが担わなければいけない、まさに危機の備えということで日本政策投資銀行と商工組合中央金庫はその業務に当たるということが、法律上、制度上、その改革のある種のパッケージといいますか、考え方の束の一つとして指定されているわけでございます。

 そこに民間金融機関がもし申請をすれば指定をするということになっておりまして、本日この時点で、民間金融機関で手を挙げてこられて業務を開始される方はおりません。

 ただ、私どもも、この危機対応業務というのが、収益あるいはもろもろの負担リスク、こういったような面で慎重に考えなければいけないというふうに金融機関のサイドがお考えなことはもっともだということでございまして、そういう意味で、逆に言いますと、そこをきちんとしませんと本当にその危機に対応すべきところにお金が回らないことになりますので、政策金融公庫を通じましてリスクの一部を補てんするという仕組み、これは民間金融機関ができても同じでございます。

 それで、金融機関というものの使命にかんがみまして、私どもは現在、民間金融機関の皆さんにも、ぜひこの危機対応業務を実施してくれないかということをお願いといいますか働きかけをしております。いろいろな反応がございます。その中では、かなり耳を貸してくれそうな雰囲気なところもございますし、いやいや自分の体力からしたらまだまだというところもございます。

 いずれにいたしましても、そこをきちんといたしませんと、困るのは中小企業、中堅企業ということでございますので、そういう意味で、まず、民間金融機関の出方がそういうペースだとしますと、政策投資銀行そして商工中金というものがもっと需要に応じて対応しなければいけないということで、本日御提案をしているというふうに御理解いただきたいと思います。

    〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 今の長官の説明を踏まえてもう少し伺いたいんですけれども、指定金融機関に対しては日本政策金融公庫は、要は非弁済額の一部の補てん、ですから、指定金融機関が貸し倒れに遭って回収ができないときにそれを補てんするわけですね。その割合が今五〇%から八〇%と伺っておりまして、例えばこの割合を、今マックス八割ですから、二割は指定金融機関がかぶらなければいけない、その八割をあるいは九五%とか一〇〇%まで引き上げることによって、指定金融機関として手を挙げられる銀行が出てくるのかなと思うんですけれども、その点についての御意見を伺わせてください。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、金融というのは、ちょっと俗な言葉で恐縮でございますけれども、需要者が必要とする資金を融通するということだけではなくて、本当に、いわば経営者をパイロットとしますとコパイロットのような気持ちで、特にこういった厳しい状況ではそういった役割、一緒になって経営を考えるという重要性が高まると思っております。

 そういう意味で、経営についても、自分でステークといいますか、リスクというとちょっときついのかもしれませんけれども、ある種立場を分け合って、そしてむしろ、短期にお金を供給するだけではなくて、短期は資金の供給、しかしそれが中期、なるべく早い段階に立ち上がる、そういったようなことを金融機関に期待しております。

 そういった点から申し上げますと、今先生のおっしゃった取りはぐれといいますか、そういうことがあったときに、一〇〇%全部公的資金で補てんするということは適切でないのではないかというふうに考えております。

大島(敦)委員 そうしますと、今までの危機対応の体制を超えて今の危機があるという前提でよろしいでしょうか。その点について法案提出者に伺わせてください。

 今の長官の答弁ですと、現状持っている危機対応の体制があって、その体制というのは、指定金融機関が融資をした際に、それが回収不能、要は非弁済額、弁済できないときには日本政策金融公庫がその八〇%を補てんするというのが現行でして、もしもそれを一〇〇%に引き上げたら、もっと指定金融機関として手を挙げる銀行が多くなるのかなという話をしたところ、それはある程度、民間の金融という、要はシステムを使ってやるものですから、そうではないよというお話があったわけですよ。

 そうすると、法案提出者の皆さん、今回提出されているものについては、現状の危機対応では賄えない部分を今回新しく商工中金の中に仕組みとしてつくられたという理解かなと思うんですけれども、その点についての答弁をお願いいたします。

額賀議員 大島先生はもうよく御存じだと思いますが、公庫にこういう危機管理的な条項が入っておりまして、日本経済一国だけで動いているわけじゃありませんから、国内要因とか海外要因で危機的な状況になったときに、これはフリーハンドを持ってきちっと対応していくのは政治の要諦だということで、政府金融機関が民営化されるときにああいう条項が盛られたというふうに認識をしております。

 だから、今度、商工中金で危機管理準備金みたいなものができたときも、公庫の対応とそれから商工中金のこれまでのノウハウ、あるいは民間企業の状況をよく把握した上で考えていくことが望ましい、状況によって考えていくんだ、こう思っております。

 その上に立って、一〇〇%やっていくと、これはやはり商工中金も民営化をしていくことでございますから、ある程度合理的に、民間企業を救済しながら将来展望を開くためにはどの程度やっていくか、あるいはどういうふうに救済をしていくかということは、ある意味で公的資金的な要素もあるわけでございますから、世間の了解あるいはまた民間の皆さん方の御理解を得る程度に考えるのは当たり前であって、モラルハザードが起こってはいけないということも視点に置きながら、この危機管理的な状況に対応していくことが望ましいというふうに思っております。

大島(敦)委員 中小企業庁長官にもう一回御答弁いただきたいと思うんですけれども、一〇〇%というのは極端な話でございまして、今の八〇%ではなくて、九五%とか九七%とか、リスクのとり方があるはずなわけですよ。八〇%だとどこの銀行も手を挙げないかもしれないけれども、九〇%とか九五%だと現行の仕組みの中でも手を挙げる金融機関があるかもしれないなと自分は思うんですけれども、その点についてもう一度御答弁いただければ幸いと存じます。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、銀行の経営サイドから物事を見ますと、今のような御指摘というのは十分あり得るんだと思っております。

 問題は、国の政策として、そういった銀行の経営に関する対応、そして、極端なことかもしれませんけれども、財政のてこ入れの程度、さらに銀行の使命、そういうことを総合的に勘案して制度をつくるんだと思っております。

 したがいまして、先生の御指摘は御指摘として私は十分理解しているつもりでございますけれども、他方で、この制度設計をするときには、民間の金融機関が指定金融機関として名乗り出ないということも想定して、政策投資銀行と商工中金をとにかく法律上指定したというのが立法者の意思であって、それがゆえに商工中金にいろいろな形で公的資金を民間銀行よりは厚く、すなわち、今まだ民営化しておりませんけれども、仮に民営化したということを考えますと、商工中金に政府株式は今この時点では残っているわけでございますし、特別準備金もあるわけでございますし、民間の銀行にはそれはないわけでございますから、そういう意味でいえば、商工中金というのは、公的な使命を民間が出ない場合にするべきものだということで、制度上指定されたのだというふうに私は理解しております。

 そして、実際お使いになる方は、民間金融機関で指定金融機関が出ていないということでございますので、率直に申し上げまして、私どもが想定したよりはかなり速いスピードで商工中金に申請が来ていて、先ほど御答弁ございましたけれども、既に、一月の末から始まって、実質三カ月強で五千億を超える実績が出ている。したがいまして、予算上許された枠、現行の枠が天井にどんどんどんどん近づきつつあるものですから、この審議をお願いしているということだと私は理解しております。

大島(敦)委員 今の答弁を伺いますと、指定金融機関、本来であれば、効率的な政府をつくる目的としては、一般の、普通の銀行が指定金融機関になるのがいいんだけれども、なかなか機能しないんじゃないかという政府の思いもあって、商工中金と日本政策投資銀行をあらかじめ指定されたという答弁だと伺っておりまして、本音かなと思っております。

 それで、今回、僕は、これまでの危機対応業務と大危機対応業務にわかりやすく言うと二つ、今回の法案は、今までの危機対応業務を超えた緊急危機対応業務か、あるいは巨大危機対応業務かなと思っておりまして、確認したいんですけれども、先ほど三谷さん御指摘あったとおり、これは緊急準備金ですか。一千五百億円を積まれて、どのくらいの貸出枠がふえるかについてちょっと確認させてください。難しい話じゃないと思います。

谷口(隆)議員 二十年度の補正で一兆二千億円、今回は三兆円ふえましたよね。その三兆円ふえたものを、リスクアセットの計算、BIS基準でやった結果、四兆二千億が一兆八千七百億になる。それの八%が国際基準ですから、八%でやって一千五百億円という形で出てきたものでございますので、御理解いただきたいと思います。

大島(敦)委員 今回、この制度の中で、一千五百億円を元にして貸し出しをふやされるというお話なんですけれども、今までの危機対応業務を超えた緊急危機、あるいはさらに危機のある対応業務ですから、デフォルト率あるいは回収できない金額が相当ふえるおそれもあるかなと思うんですよ。

 今、BIS規格で、八%を守る、それで一千五百億円を入れて、これだけの貸出枠が想定される。しかしながら、今想定されている、要は貸し出しの金額あるいは回収できない金額をさらに超えた、回収できない、想定値を超えた場合には、今持っている商工中金の商工債の格付が下がったり、あるいは、一株当たり三円か配当しているかと思うんですけれども、配当も金額が下がってくるおそれも多分にあると思うんです。なかなか難しい局面を、今商工中金さんは、今回の一千五百億円を元に運営、経営されるかなと思っております。

 ですから、通常ですと、三谷さんおっしゃっていたとおり、政府提案の方が無難なわけですよ。法案の提出者の皆さんは、今回の法案を提出したということで名前が残ってしまうわけですよ。うまくいって、危機対応業務が過ぎたときにはよかったねということになりますし、もしも毀損して商工債の格付が下がったり、あるいは配当できない場合には、今回の法律を議員立法で行うということは、相当覚悟を持つ法案かなと自分は思っているんです。

 だから、その点について、そういうリスクがあると私は思うんですけれども、そのリスクについてのお考えを伺わせていただければなと思うんです。どうでしょうか。

中野(正)議員 まずは、本法案では、行革推進法を改正して完全民営化を延期することといたしておりますけれども、そちらからまず申し上げます。

 本法案は、行革推進法で位置づけられた危機対応業務を現下の厳しい経済環境下で円滑に遂行するため、必要な措置を講ずるものであります。これに伴って完全民営化を延期することといたしましたが、行政改革推進法の基本的な考え方を変更するものではない。行政改革を進めながら、その後の状況変化に柔軟に対応するために必要な措置と考えております。

 なお、現下の危機的な経済状況の中で、商工中金は危機対応業務による貸し出しを拡大いたしておりますけれども、委員御指摘のように、貸出先企業の倒産リスクも高く、収益は低下せざるを得ません。こうした状況下で政府保有株式の売却を進めるということは、なかなか困難であります。

 特に、御存じのように、法律上、商工中金の株主資格は中小企業団体及びその構成員に限定をされる。現下の中小企業をめぐる厳しい経済環境を踏まえれば、政府保有株式の売却を行うことは極めて困難なものとなっております。したがって、当面、この危機的状況を乗り越えるまでの間、完全民営化のプロセスを延期することといたしております。先ほど申し上げたとおりです。

 なおまた、この完全民営化の方針は、民主党も賛成した株式会社商工組合中央金庫法によって決定されたものであり、本措置はその根本的な方針を変更するものではありません。さらに、本措置は、さきに述べたように、商工中金について、政府保有株式の売却をめぐる環境がどのようになっているか検討の上法案に盛り込んだものであり、ぜひその辺は御理解をいただきたいと思います。

大島(敦)委員 自分も、何本か法案を提出したことがあります。与党との協議で、あるいは与党が出された議員提出の法案で私も提出者になって、法案として通ることがありまして、そのときには相当覚悟を持つわけですよ。余り大きくない法案なんですけれども、この法案を通すことによって社会が相当変わるなと思うものですから、相当な覚悟を持って出しております。

 今回の法案については、まずは、緊急危機の対応ということは理解されておりまして、再度繰り返しなんですけれども、議員提出の法案で出すということは、提出者の名前が残るということは、相当な覚悟が必要かなと私は思うんです。ですから、今回、皆さん覚悟をされたことについては本当に敬意を払わせていただいております。ですから、できるだけ今回の商工中金がうまく経営されることを祈っております。

 それで、我が党としては、だったら保有株式の売却をやめた方が無難じゃないのかなということもあるのかなとは思うんですよ。今の中野先生の答弁を聞いていて、今回は三年半延長する、その間にもう一度いろいろなことを考えようじゃないかというふうに私は受け取ったんです。そうすると、要は現行では、先ほどの答弁だと完全民営化はまだ堅持するんだというお考えなんですけれども、その点について、いや、よく考えてみたんだけれども方向転換もあるのかなと思うのか、もしも答弁が可能であれば、お考えを再度伺わせてください。

中野(正)議員 大島先生も、十分に御理解いただいた上で御質問をいただいておるわけでございます。

 私たちは、とにかく、昨年の十月スタートいたしております株式会社商工組合中央金庫は、そのまま完全民営化の道を目指すという基本に変わりはない。そして、今この厳しい経済状況でありますから、しっかりと中小企業、中堅企業のために危機対応業務も責任を果たしていただきたい。

 組織形態、あるいは商工中金は将来どうあるべきかということにつきましてはいろいろな議論があるところでありますけれども、まずはこの危機突破のための今回の法案を成立せしめていただいて、しかる後に、大島先生を初め私たちこの経産委員会で改めてそういう議論も根源的に続けていけば、またいろいろな成果が出てくるのではないでしょうか。

 私たちは、今日この時点では、まず昨年の十月一日スタートの原点で頑張らせていただきたい、後は後で御議論させていただきたい、こう考えております。

大島(敦)委員 中野先生の本音としては、昨年の十月に完全民営化、フルバンキングを目指して要は一斉に号令がかかって走り始めた組織に、まだ半年とちょっとしかたっていないのに撃ち方やめと言うのはひどいんじゃないのかなという答弁と受け取ったんですけれども、多分そのようなことかなと理解をさせていただきます。

 それで、もう一つ、前の議論の中で、近藤委員の質問で、甘利大臣に、移行期間中の早期是正措置について聞いているわけなんです。要は、移行期間を過ぎると早期是正措置の対象になってしまうと。それについて甘利さんから、「移行期間でありますけれども、その間にきちんと詰めておかなきゃならないことだというふうに思っております。」ということで、ある程度この早期是正措置について検討するということを述べておるんです。その点につきまして、検討されているかどうかについて伺わせていただければありがたいんですけれども。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたように、ちょうど二年前の法案の審議の過程で、御指摘されました論点につきまして、移行期間中に検討するというふうな答弁がされたと承知しております。

 そして、移行期間が昨年の十月一日から始まりました。まさにそのころから大変緊迫した金融情勢になってまいりまして、危機対応業務というのを発動して、国会からもお許しをいただきまして、ことしの一月三十日から開始しているということでございます。

 したがいまして、この危機対応業務も含めました商工中金の全体の業務の中で、こういった自己資本比率の問題、あるいは早期是正措置にならないようにどうしたらいいのかということも検討して、そしてこの時点では、何はともあれ危機対応業務を十全に行うということで御提案をしている。

 そして、先生方から御提案をされました法案の中で、先ほど御議論ございましたけれども、平成二十三年度末までの間に、さまざまの要因を考慮に入れてまた必要な措置を検討するということでございますので、私ども、そういう意味で、検討結果を今日御報告するほど事態は単純じゃないものですからあれですけれども、今御指摘ございましたような点で検討を続けなければいけないという点は十分自覚をしております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 二階大臣がいらっしゃいましたので、最後に、ちょっと今回の法案とは関係ないんですけれども、今、例えば国会の見学者、子供たちが非常に多くて、昨日は衆議院で七千人ぐらいの方がいらっしゃっていまして、修学旅行の季節なんです。

 今、新型インフルエンザ、当経済産業委員会でも去年、三年前には厚生労働委員会で、経済産業省の副大臣の方に新型インフルエンザの対策について質問させていただいておりまして、恐らく、京都とか、修学旅行の宿がほとんどキャンセルのあらしと聞いております。京都の修学旅行の宿は単位が大きいわけですよ、千人とか二千人、千五百人という単位で。シーズンで、ほとんど子供たちの修学旅行が入っていないという事態がございまして、これは京都でもそうですし、あるいは東京の修学旅行の宿でも、関西の方が今感染が広がっていって、これが全国的な広がりがもしも起こるとすれば、多分これから東京でも同じ事態が想定されるのかなと。

 そうしますと、ゴールデンウイークのときにはお客さんがゴールデンウイークで入ってきた、今は夏休みではないので、要は、本来であれば修学旅行の皆さんで収入を得て資金繰りをどうにか保っていらっしゃるところ、旅館あるいは修学旅行の宿がなかなか厳しくなってしまうと思うんです。これは観光バスだってそうですし、京都ではタクシーも乗られる方が相当数減っているというお話がありまして、つなぎ融資あるいは緊急の融資というのが旅館業の方にも今必要かなと思っているんです。

 ここを倒産させないためにも、要は手形を落とせない方もふえてくるかなと思うので、その点につきまして、二階大臣から対応について御答弁いただければありがたいんですけれども。

二階国務大臣 新型インフルエンザが多くの中小企業の皆さんにも大変な打撃を与えて、それでなくても大変な状況にある資金繰りの中で新たな要因が加わってきたわけでありますので、今、議員御指摘のような状況になっておることは、私どもも地方産業局を通じて各県の情報を収集して承知いたしております。

 感染の広がりや経済活動への影響を懸念する声は各地に起こっており、今週前半には、私ども経済産業局を通じて緊急のヒアリングを行いました。御指摘の旅館業等を初め経済活動への影響というものについて大変深刻な状況にあるということを判断し、小規模企業者に対するいわゆる金融支援策を直ちに決定いたしました。具体的には、政府系金融機関や商工会議所など約九百カ所に中小・小規模企業の資金繰り支援に関する特別相談窓口を本日設置いたします。公的金融機関に対し、既往債務への柔軟な対応を要請するとともに、日本公庫、商工中金に対し、セーフティーネット貸し付けの活用など的確な対応をとるように指示したところであります。

 こうした措置により、新型インフルエンザの流行による中小・小規模企業への損害を最小限に食いとめるように努力をいたしたいと思っております。

 なお、けさ内閣の方では、早朝七時半より、第四回目の新型インフルエンザ対策本部会合が開かれました。私もメンバーでありますのでそれに参りまして、短く申し上げますと、そこでは、五月十九日、二十日、各地の経済産業局を通じて中小・小規模企業の事業活動への影響などの調査を実施した。

 今議員から御指摘のありました修学旅行などの団体旅行の延期、中止、これは予約キャンセルで片一方の蔓延を防ぐという立場からそのことを積極的におやりになることは当然のことであるかもしれませんが、同時に、旅館、ホテル、旅行業を営んでおりますいわゆる事業活動への影響が全国的に広がっておることは、今、大島議員御指摘のとおりであります。

 関西の一部においては商店街にも影響が及んでおる、人通りがめっきり少なくなって、それに続いて売り上げが減少しておるということで、今、私も近畿の地域でありますが、近畿、関西の地域では、きょうは十二時から自民党の議員が集まりまして、これに対する対策を協議しようということであります。

 これは関西のみならずいろいろな地域へ波及しておるわけでありますから、我々は万全の体制をとって、そうしたことで御心配のないような、せめて金融の面だけでもしっかりと対応していきたい、このように考えておりますが、きょう議員からこういう御指摘をちょうだいしたことを大変うれしく、ありがたく思っております。

大島(敦)委員 終わります。ありがとうございました。

東委員長 これにて大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私も二階大臣と同じ関西なものですから、マスクが手に入るのが大変深刻な事態になってきていて、マスクで自主的にまず身を守ろうとしてもそれ自体が大変だというぐらいですから、そういう関係の業者への製造の督励はもとより、かつて石油危機のときの買い占め、売り惜しみのときに、お蔵入りしていた物統令を使っての売り惜しみ、買い占めを規制したことがあったように、今、インターネットオークションだといって十倍もの価格で売るような不心得者が出たりしておりますが、さまざまな経済活動への対策というものを、金融危機対応はもとより、迅速にやっていただきたいと、まず冒頭、私の方からも申し上げたいと思います。

 きょうは、最初に、日本の基盤的技術の集積地である東の大田、西の東大阪と言われるこの地域の中小企業が今直面している実態に基づいて、政府は今の危機の現状をどう把握し、どう解決しているかというところから順次伺っていきたいと思います。

 私、数日前も大田区の中小企業、零細企業をお訪ねしますと、五十年やってきているが初めてだと言うほど、底が抜けたような仕事の急減、先の見通しが立たないという深刻な状況です。

 この道三十五年というある金属加工技術者、自営業の方をお訪ねすると、コンピューターつきの機械では削れない部品を汎用機で切削加工して、どのくらい削ったかを音や目視、手の感覚で確認しながらまた削る、こうして百分の一ミリの誤差もなく正確に部品を切り出していると。大体、仕事を三日休むと、金、土、日ぐらい仕事がないと、それだけで手が荒れるという表現をするんですね。つまり、千分の一ミリ台の違いが指の感覚でわかるほどのたくみの腕を持った技術者の方たちがたくさんいらっしゃるところです。

 昨年夏までは月四十万から五十万あった仕事が、昨年十一月には月二十万、ことし一月に十五万、四月には新たな発注ゼロ。ですから、仕事が減っても、貸し工場の家賃とか光熱費、既存の借入金の返済など、必要な経費の支払いはそのまま残るわけですね。ですから、必要経費を賄うために、そんな千分台を指の感覚でわかるようなすごい人ですよ、ビルの清掃のアルバイトに行っておるんですね。そうしていかないとやっていけない。

 かつての九〇年代のバブル崩壊後も仕事は大幅に減ったけれども、大企業はこのとき工場を海外に移転して、仕事も減って、単価も切り下げられたんですが、当時はまだ、日産自動車が一次下請に二、三〇%の単価切り下げを宣言すると、孫請、ひ孫請には四、五〇%の単価切り下げという状態だったんですが、下請にしわ寄せを押しつけられましたけれども、そのころは町工場の経営者はまだ四十代、五十代だったんですね。そういう方が多くて、若かったから我慢をして、経営を何とか続けたんですね。

 しかし、今回は、そのすごい腕を持った方たちは平均年齢六十五歳。ですから、今の苦境を耐えて乗り切っても、また経営を継続するのは困難という状況ですし、何よりも、技術を継承する若い人を育てたくても経営が成り立たない。仕事をすることで技術を覚えてもらうわけですが、その仕事がない。そうすると、平均六十五歳の方がやめていかれたときには、千分台の厚みを指の感覚でわかるぐらいのすごい腕を持った技術屋さんがもういなくなるわけですね。

 私は、この点では、中小企業庁の方に、金融経済危機に対する対応はもとより、やはりものづくり技術が途絶えかねないという危機感を持って臨んでおられるのかどうか、これは長谷川長官に最初に伺っておきたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、大田区と東大阪のお話がございました。両地区に限らず、日本にはすばらしいものづくりのわざ、そして経営の手腕を持たれた方がたくさんいらっしゃるというふうに承知しています。

 私も、中小企業庁長官を拝命いたしまして、まず最初に現場といいますか訪問しました先の一つが東大阪でございます。大田区は、たまたま私は東京都庁に出向しておりましたので、今先生がおっしゃったような状況はある程度見当がつきます。

 日本経済の構造は、二〇〇七年度まで何年か連続してプラスの成長でございました。ある意味、日本のものづくりの力が強いということの裏返しだと思いますけれども、逐年外需によります成長のシェアというのが大変強まってまいりました。そこで、二〇〇八年度という状況に暗転をするわけでございますけれども、まずは、多くの企業の方が、自分の企業の防衛に走るために本当に必要なものしか買わない、キャッシュを自分の手元にためる。その結果何が起こるかというと、在庫をまず使う。そして、その上流の方も在庫を使うということで、日本のものづくりの一番強みの源泉の一つである素材、部品、ここへの注文が、最終製品が仮に五割としますと、七割も八割も減ったというような状況でございました。

 そこで、大臣のリーダーシップで、まずは、これはものづくりに限りませんけれども、金融対策ということで措置を講じてきたことは御承知のとおりでございます。

 しかし、同時に、資金繰りというようなものも大事でございますけれども、それだけは、やはり仕事というものがないと今おっしゃられたようなことが起こってまいりますので、年末からは、まずは省エネを目指して、税制面で、比較的投資の余裕がある方をうまく引き出せないかということで、政府で即時償却ということをいたしました。しかし、さらに状況が厳しくなってまいりましたので、二十一年度の当初予算、それから今回の御提案しております補正予算を合わせまして、ものづくりの研究開発それから試作品をつくるということで、合わせまして八百億円近い予算を、一部施行を始めておりますし、大宗は現在審議をお願いしているところでございます。

 あわせまして、今回はちょっと違った切り口からのとらえ方かもしれませんけれども、環境車あるいはエコポイント等を利用いたしました家電の製品、これも日本のものづくりが源泉でございますので、政府としては、経済産業省としては、全力を挙げてこの辺を対応したいということで、これは危機感のあらわれだというふうに御理解をいただければ幸いでございます。

吉井委員 日本のものづくりの高い技術力を支えているのはやはり中小零細企業、中でも大田とか東大阪に代表される基盤的技術の集積地、ここが非常に大きな役割を果たしているわけですね。新製品の開発でも、試作品の製作というのは大体零細企業に出すんですね。大企業の技術部がコンピューターでCADを使って図面を引いたって、それはそのまま物にならないんです。どこをチャックでとめて、どこから切削加工をしていくか、どういう段取りでやるかというのは、やはり長い間培われ継承されてきた技術がそこで問題になってくるんですね。

 この間、H2Aロケットで打ち上げました人工衛星のときにも、航空高専の人工衛星、小型のもの、あれも実は荒川区の町工場に知恵をかりて、応援してもらってやれているんですね。東大阪のまいど一号も、もちろん中小企業の技術から生み出されたものです。

 つまり、ここで大事なことは、旋盤にしろ溶接にしろ研磨にしろ、さまざまな技術が集積してネットワークを組んで高い技術力を発揮する、そういうことをやらないことには、実は新製品開発というのはできないんですね。

 ところが、新製品をつくらせておいて、でき上がって量産化できるとなったらその技術はさっさと海外へ持っていって、大企業だけはもうけたから二〇〇〇年来調子よかったんですが、肝心の技術力を持ったところはさっぱりだ、こういう状況が続いてきました。

 九四年の中小企業白書で、大田区の金属工業についてこう書いていますね。新製品の開発、高度技術による加工、製造、大企業製品の設計など高度技術の苗床機能を持つ我が国製造業の基盤としての重要な役割を果たしてきている、都市型工業の代表的集積だというふうに評価しておりましたが、長谷川長官、一言で結構ですから、この認識というのは現在も変わっていませんね。それからまた、長官自身もやはりそういう零細企業の現場を数多く見ていただくことが大事だと思うんですが、それをされますね。この一点だけ。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘ございました九四年当時の認識というのは、私は、強まりこそすれ、弱まっているということはないと思っております。

 現に、国会におきましても、九九年にはものづくり基盤技術振興基本法というものを制定していただきましたし、二〇〇六年、平成十八年でございますけれども、当時、二階大臣が経済産業大臣でいらっしゃいましたけれども、中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律というものを政府提案で御提案し、成立していただきました。

 各地を回れ、現場を見ろというのは全くそのとおりだと思っておりまして、私のみならず、うちの職員も、折を見て、機会を探して、日帰りでもいいからということで実践しております。加えまして、各地の自治体から、大変各地の様子を知っている職員に人事システムを工夫いたしまして来ていただいていまして、東大阪市からも、現在、ものづくりを直接担当いたします課に職員を出向していただいておりまして、そういった総力を挙げまして、現場の情勢というものをタイムリーに把握したいというふうに思っております。

吉井委員 そこで、二階大臣に伺っておきたいんですけれども、やはり、せっかく育てた技術屋さんを、腕を持った人を解雇せざるを得ないところに今追い込まれてきているんですよ。中小企業の親方の気持ちというのをこの前も私は予算委員会でも紹介しましたけれども、人は宝ですと言っているんですね。自分が育ててきた技術屋さんは宝なんですよ。その宝を守り切れないという無念さ、その親方の気持ちがわかってもらえるんだろうかということが、多くの方たちの思いです。

 それで、技術屋さんを鍛えて次の景気回復に備えなければならないんですけれども、金を貸すという場合は、借りる中小企業の側、自営業の側には、仕事が来ないことにはその金を使いこなしようがないし、既に大体いっぱいいっぱい借りているんですね。借りる中小企業の側には、今度は、大企業の方から例えばこの注文をするから設備投資をやれと言われて設備投資をした、その機械の支払い、あるいはリース代の支払い、それから貸し工場の家賃の支払いなどは差し迫った問題になっているんです。

 だから、こういう点で、大臣にお考えいただきたいのは、貸し工場の固定費の補助、あるいは休業補償という表現がどうかは別にしても、実質的に休業補償に当たるもの、具体的に基盤的技術集積地について、その技術が失われないようにする手だて、やはりそういうものを考えていかないことにはなかなか大変なんじゃないか。

 例えば、大田区の蒲田で見ましても、小零細業者の五二%が貸し工場を利用しているんですね。その平均家賃が大体九万七千円という調査結果も出ていますが、せめて緊急に貸し工場への家賃補助など固定費を軽減する補助制度を考えるなり、元請企業からの注文にこたえるために行った設備投資あるいは減価償却やリース代の助成とか、景気回復して仕事が来るまで休業しても、とにかくこの基盤的技術集積地で中小企業が存続できるようにして、存続しながら技術を磨いていけるようにしていくという、それをやらないと、私は、今日もそうなんですが、日本経済の将来というのは非常に危ないことになる。将来への危機感を持って何らかの方途というものをやはり考えていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

二階国務大臣 吉井議員から具体的な御質問をいただきましたが、まことに我が国にとって、大田区にしても東大阪市にしても、ある意味では、大きく言えば、世界に誇るような中小企業の技術の集積地であるというふうに私自身も承知をいたしております。

 ことしの二月でございましたが、地元の御要請もあり、また一部報道機関からも御支援をいただいて、東大阪でシンポジウムを開催いたしました。私も参りましたが、恐らく千二、三百人の人が集まりまして、熱気に満ちた中小企業の皆さんの企業への御熱意を肌身で感じながら、私は、さすが東大阪だなと。しばらく後に、今お話しの人工衛星も、東大阪の手づくりの人工衛星、手づくりと言っては失礼かもしれませんが、まさに丹精を込めて、長い間の御努力の結果、ついに成功に導かれた。私は、極めて称賛に値することだと思っております。

 そういう地域が、大田区も同じでありますが、今大変困っておられる、そのことに対して何ら対応策はないのか、こういう御質問また御示唆であろうと思います。

 私は、中小企業のものつくりの技術力というのは、議員もおっしゃいましたように、まさに日本の宝だと思うんです。それをこの不況のときに雲散霧消してしまうようなことをしてしまったのでは、何のための中小企業対策であるかわかりません。

 したがいまして、我々は、今の御指摘を受けて、早速、東大阪は東大阪、大田区は大田区、代表的な中小企業の技術集積地として認識をして、これに対する積極的な救済策、対応策を考えてみたい、このように思っております。ただこうしてこの場で御答弁を申し上げるだけではなくて、具体的な対応を図っていきたいと思います。

 商店街の場合でもそうですが、中小企業のこういうものつくり技術の場合に、経済産業省が役人言葉で指導するなんということを、なれておりますから、そういう言葉がすぐ出るんですが、私は、中小企業とかあるいはものつくり、そして同時に商店街等については、指導してもらうのはこっちだという考えを持っております。したがいまして、経済産業省は、そういう現場に赴いて対応策を即刻考えてみたい、このように思っております。

吉井委員 私、思い出すのですけれども、「もんじゅ」の事故は、事故をやった温度計のさや管というのは、大田区の技術屋さんのところへ東芝の技術者が図面を持っていったんですね。これじゃだめだよと言ったんだけれども、大学を出て自信を持っているものですから、言うことを聞かなかったんですね。結局、ナトリウム漏えい火災事故を起こして、十数年、もう使い物にならないという状態が続いていますね。

 それぐらいやはり腕を持った技術者が集まって、旋盤や溶接やら集まったものづくりのネットワークの重要性というものは非常に大事だということを見ておかなきゃいけないと思うんです。

 最後に、一言だけで結構なんですが、与謝野財務・金融担当大臣がことしの三月十日に予算委員会で答弁していますが、世界が同時不況になるということを全く想定しない経済学として、官から民へということで民営化をやったわけですね。しかし、政策金融機関が不要だ、不況の深刻なものは来ないということを前提にした制度論であり経済学であって、これは間違いだったという考えです。

 これは与謝野大臣が答弁されましたが、二階大臣も、今回の危機が仮に収束したとしても、三年先、五年先、どうなるかわからないんですね。またこういう大きい危機が来たときに、政策金融というものはやはりきちんと残しておくことを考えていかないと、何でも民へ移せばうまくいくというものじゃないということが今回の痛切な経験として出ているんじゃないかと思うんですが、このことだけ最後に一言伺って、質問を終わりたいと思います。

二階国務大臣 私が当時もたまたま小泉内閣で経済産業大臣を担当させていただきましたときに、ちょうど商工中金の完全民営化というのがベルトコンベヤーに乗ったようにして私の前にあらわれました。私は、担当大臣としてそれを提案し、その方向に持っていかなきゃいけない。

 しかし、私は、どう考えてみても、いざというときに、地方の中小企業の経営者、あるいは地方のみならず、オール日本での各地の経営者の皆さんが、商工中金のような本当に頼りがいのある金融機関を残しておく必要があるんではないか、すべてを残さなくても、しんのところだけは残しておかなくてはならないのではないか、それがいわゆる危機対応業務であります。

 今、改めて、このことを残しておいてよかったというふうに確信を持つに至っておりますが、これからも議員各位の御協力をいただいて、本当にこのような金融機関が、中小企業経営者のためになるような金融機関でなくてはならない。

 私は、幾つかの商工中金に対する激励、称賛の言葉を伺っておりますが、どこも貸してくれないというようなときに、商工中金へ飛び込んでいって、技術力を評価してもらって一定の融資をしていただいた、そのおかげで私の企業の今日がある、こうおっしゃっておられる経営者がおられます。私は、そういうことを実際やっていただけるように、先般も、商工中金の社長にたまたまお目にかかる機会がありましたので、そのことを強く要請しておいたところであります。

 私は、与野党を通じて議員の皆さんは、地元の経営者の方々と直接接しておられますから、ほとんど同じようなお考えを持っておられると思います。私は、そうした皆さんの御協力や御指導をいただきながら、この不況のときに、一つでもあの経営者の方々の頼りになるような金融機関を存置しておくことは大事だということを思っております。

吉井委員 質問を終わります。

東委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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