衆議院

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第15号 平成21年6月5日(金曜日)

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平成二十一年六月五日(金曜日)

    午前九時三十一分開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 中野 正志君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君

      飯島 夕雁君    小此木八郎君

      岡部 英明君    片山さつき君

      亀岡 偉民君    川条 志嘉君

      木挽  司君    高村 正彦君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    田中 良生君

      平  将明君    谷畑  孝君

      土井 真樹君    中野  清君

      橋本  岳君    林  幹雄君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      武藤 容治君    安井潤一郎君

      山本 明彦君    石川 知裕君

      逢坂 誠二君    北神 圭朗君

      後藤  斎君    近藤 洋介君

      下条 みつ君    田島 一成君

      西村智奈美君    牧  義夫君

      高木美智代君    吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      吉川 貴盛君

   経済産業大臣政務官    谷合 正明君

   政府参考人

   (内閣法制局第四部長)  近藤 正春君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           徳久 治彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西本 淳哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 石田  徹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        北川 慎介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      西山 英彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     薦田 康久君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 柏木 順二君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月五日

 辞任         補欠選任

  新藤 義孝君     田中 良生君

  平  将明君     亀岡 偉民君

  田村 謙治君     田島 一成君

  三谷 光男君     石川 知裕君

同日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     飯島 夕雁君

  田中 良生君     新藤 義孝君

  石川 知裕君     逢坂 誠二君

  田島 一成君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     平  将明君

  逢坂 誠二君     三谷 光男君

  西村智奈美君     田村 謙治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案(内閣提出第五五号)

 石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案並びに石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第四部長近藤正春君、文部科学省大臣官房審議官徳久治彦君、経済産業省大臣官房審議官西本淳哉君、経済産業省大臣官房審議官上田隆之君、資源エネルギー庁長官石田徹君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長羽藤秀雄君、資源エネルギー庁資源・燃料部長北川慎介君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長西山英彦君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長薦田康久君及び環境省大臣官房審議官柏木順二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤三津枝さん。

近藤(三)委員 本日は、非化石エネルギーの利用を促進するための法案について質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、我が国のエネルギー、どの程度自給しているか考えてみたいと思います。

 日本の食料自給率はおよそ四〇%ですが、エネルギーの自給率はその十分の一の四%にすぎません。原子力エネルギーを含めましてもおよそ一九%と、先進国の中で際立って低い状態にあります。原子力を含めた率を国際比較してみますと、イギリスが八一%、アメリカが七一%、フランスが五〇%、ドイツが三九%ですから、我が国の一九%はいかに低いかがわかります。

 長年にわたり、いろいろエネルギー対策を実施してきました。しかし、広い意味で、我が国のエネルギー自給率が向上しない主な原因は、私は大きく次の三点だと思います。

 まず第一点、中東諸国を中心とした石油依存構造からなかなか脱却できないこと。第二点は、原子力発電の立地や稼働率の向上に対する制約条件が多いということ。第三点は、日本は、水力、地熱、風力、太陽光など再生可能な天然資源に比較的恵まれてはいますが、これをエネルギーとするためのコスト、技術的課題などがあったために容易に開発が進まなかったこと。この三点が主な要因ではないかと思われます。

 そうした中、昨年来の原油の乱高下によりまして、改めて、我が国の石油依存体質が直接国民生活やそして経済活動に大きな影響を与えかねないことをつぶさに実感したところです。このリスクを回避していくためにも、再生可能エネルギーの利用を促進し、何とか早急にエネルギー自給率を上げる必要があります。このことは、先進国の一員として、地球温暖化対策にも対応するものであり、低炭素社会実現の切り札となります。

 また、再生可能エネルギーを効率的にローコストでエネルギー開発できますと、足元の景気対策はもちろんのこと、我が国の革新的なニュービジネスを生む大事な産業政策でもあります地球温暖化対策における我が国の世界貢献にもなるわけです。

 そのようなことから、本日質問します再生可能エネルギーの利用促進などに向けた法案が整備されることを私も高く評価させていただいているところであります。

 まず最初に、二階経済産業大臣に、大局的なお立場から、今回の新法並びに改正法の趣旨、そして期待される経済効果、今国会で早期にこの法案を成立させる必要性について、御見解をお伺いいたします。

二階国務大臣 ただいま近藤議員がエネルギーの自給率についての基本的なお考えをお述べになりましたが、私も全く同じような考えを持っております。

 エネルギーの自給率をどう確保するかというのは、ある意味では、日本の経済のみならず、安全保障、日本が国際社会の中で生き抜いていくためにこれだけはぜひ確保しておかなきゃいけないというふうな重要な課題であるというふうに受けとめております。我々は、このことを中心に、政府としてもあらゆる角度からエネルギーの自給について考えをまとめていく。したがって、国際会議等もたくさん持っておりますが、そうしたことも駆使しながら対応していきたい。そして、全方位外交でもって、我々は、エネルギーの自給ということを念頭に置きながら、エネルギーの確保にまず懸命の努力をしていかなくてはならないと思っております。

 近年は、原油だけではなくて化石燃料全般の価格が乱高下しておる状況にあることは御承知のとおりでありますが、低炭素社会の実現を目指す中で、こうした課題に対応するために、中長期的にエネルギー供給構造を高度化していくことが必要だと考えております。

 中長期的な、また継続的な取り組みを早急に進めていくために、今回、エネルギー二法案を提出させていただいたわけでありますが、この取り組みの結果、例えば、太陽光発電関連産業においては、現時点での市場規模が一兆円、雇用規模は大体一万二千人程度であります。これを、二〇二〇年という時点を目標にして、最大十兆円の経済効果と、さらに十一万人の雇用を見込む、地方を含めた広範な雇用創出をこのエネルギー対策の中から生み出していきたいということも期待をしているところであります。

近藤(三)委員 二階大臣、どうもありがとうございました。

 今回の法律制度は、我が国の置かれている国際的なエネルギー環境を踏まえたものであり、経済面や雇用面などの効果があることを明快に御答弁いただきました。ありがとうございます。

 さて、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案、法律名が長いので、以下はエネルギー供給構造高度化法案と申し上げさせていただきます。この法案をもとに、太陽光発電を対象とした日本版固定価格買い取り制度の創設が現在議論されているところでございます。

 次に、その点について幾つか質問をさせていただきます。

 この法案の第五条には、経済産業大臣は、電力会社などの特定エネルギー供給事業者が非化石エネルギーの利用を促進するための判断基準を定めることとなっております。現在、経済産業省の総合資源エネルギー調査会で検討されています太陽光発電の新たな買い取り制度は、この第五条の第一項第二号を根拠に制度化するものと理解しております。

 政府はこれまで、太陽光発電など再生可能エネルギーを普及拡大するために、電力会社に新エネルギーによる電気を一定割合以上利用することを義務づけるRPS法、そして、自然エネルギーの環境価値を証書という形で売買するグリーン電力証書などの支援制度を組み立ててまいりました。そうした中、今回、風力、地熱、小水力などの再生可能エネルギーのうち、太陽光に限定して日本版固定価格買い取り制度を導入するに至った背景とねらいをお聞かせください。

 また、この分野で先進的な取り組みをしているドイツでは、国内で高コストへの批判などが高まっているというふうに聞いておりますが、ドイツと日本版との制度の違いなどを含め、二階大臣から御答弁をお願い申し上げます。

吉川副大臣 申しわけありません、私の方から御答弁をさせていただきたいと思います。

 固定価格買い取り制度を導入する背景とねらい、さらにはドイツの制度との違いの御質問であろうかと思いますけれども、近藤先生御承知のとおり、太陽光発電につきましては、未来開拓戦略におきましても、太陽光発電を二〇二〇年ころに二十倍程度まで拡大することを目指すといたしておるところでございまして、特に今後三年から五年が正念場との認識を持っております。そして、その導入を具体的に強化すべき分野であろうかとも思っております。

 今般の買い取り制度につきましては、まず一に、技術革新及び需要の拡大によりまして発電原価の低下が見込まれる技術であること、さらに二つ目でありますけれども、我が国の太陽光発電関連産業が、国際競争力を有し、国の将来の基幹産業になり得ること、すなわち競争力の維持とか強化に加えて応援すべき産業であることであります。さらに、御承知のようにすそ野の広い産業でありまして、地域の工務店やあるいは電気工事店の皆さんが携われる産業でもございまして、地域経済の活性化に資することと思っておりまして、そのようなことから、この対象を太陽光発電に限定しているものであります。

 さらに、ドイツとの違いでありますけれども、まずは、太陽光発電に限定をするということ、二番目に、買い取り対象を余剰電力に限定するということ、三番目には、買い取り期間は十年間程度とするということにいたしておりまして、こういった点が特徴となっておりまして、省エネ努力を促しまして、かつ薄く広く負担を求めながら、すなわちドイツに比べますと負担の軽減を図りながら普及をしていきたい、そういうような思いを持ちまして日本独自の制度構築を考えた次第でございます。

近藤(三)委員 吉川副大臣の御答弁で、太陽光発電に限定して買い取り制度を運用する事情、そしてドイツとの違い、よくわかりました。

 先ほど大臣の御答弁にもありましたように、二〇二〇年時点における太陽光発電関連の経済効果は最大で十兆円、雇用効果は十一万人と予測されました。また、昨年度の補正予算、そして今年度本予算に組み込まれました住宅用太陽光発電導入支援対策補助金も好評です。この買い取り制度と補助金が車の両輪となりまして太陽光発電の普及拡大が図れることを産業政策面からも期待しております。このため、法律案に基づき、買い取り制度が早期に公表され、実施されることを願っております。

 そこで質問をさせていただきます。

 この買い取り制度の公表、告示の時期と、そして実際に太陽光発電について新たな価格で買い取りが開始される時期の見込みをお聞かせください。また、この買い取り制度はどのくらいの期間実施するおつもりなのか、すなわち太陽光発電のコストや太陽光発電の導入量などがどのような状況になるときまで実施するお考えなのか。おおよその期間も含め、お聞かせください。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 新たな太陽光の電気についての買い取り制度でございますけれども、この法律が成立しました暁には、制度の詳細を検討する審議会等を開く期間、あるいは国民の皆様への周知期間、さらに電力会社の準備期間などを勘案する必要があろうというふうに考えております。一方で、今御指摘にもございましたように、景気対策あるいは雇用対策にも資するという側面もございますので、制度の速やかな施行が必要であるというふうに考えております。

 このため、速やかに制度の詳細についての検討を行いまして、本法案成立後できるだけ早く、数カ月以内には円滑に制度をスタートできるように努力してまいりたいというふうに考えております。

 それから、制度の実施期間についてもお尋ねがございました。

 太陽光発電のシステム価格、これを三年から五年で半減を目指すという目標を掲げておりますけれども、こうしたシステム価格が実際どういう推移をたどるのかというようなことも踏まえまして、市場での自立的な普及が可能となるまで適切に実施をしていくということで、今、具体的に何年ということを確定的に申し上げられる段階ではないというふうに考えております。

 なお、この制度では、太陽光発電を今後設置する方のみならず、既に設置した方についても対象にしたいというふうに考えております。

近藤(三)委員 今、数カ月ぐらいとおっしゃいましたが、年内には実施される可能性があるというふうなお答えかと思います。新しい買い取り制度、一日も早く実施されることを願っております。また、その効果が国民に実感できる適用期間を合理的に定めていただきたいと思います。

 さて、太陽光発電の特徴を考えてみますと、昼間の天候のよい時間帯で発電されるわけですから、自然条件に左右されます。つまり、太陽光発電だけでは安定した電力の供給には限界があります。これを補うため、太陽光発電と、ガスエネルギーを活用した燃料電池などを組み合わせたダブル発電システムが、電力の系統的な安定化を図る上からも有利と考えます。

 私の地元大阪では、大阪グリーンエネルギー・クラスター構想が検討されております。その核となりますのが、大阪市、大阪府が掲げています地域ビジョンをもとに、大学、研究機関、大手企業から中小企業に至るすそ野の広い連携のもとに、天然ガスやバイオマスなどの燃料、それから太陽電池、蓄電が一体となった家庭用燃料電池の開発です。このような取り組みも踏まえまして、私は、太陽光発電と家庭用燃料電池などを組み合わせたダブル発電の普及が大変重要だと考えております。

 そこで質問をさせていただきます。

 今回の太陽光発電の固定価格買い取り制度の導入に当たって、太陽光発電と家庭用燃料電池などを組み合わせたダブル発電につきましても買い取りの対象とするお考えがあるのか、お聞かせください。

 また、買い取りの対象となるのは全電力ではなく余剰電力と聞いておりますが、この余剰電力の定義につきましてもあわせて御答弁いただきたいと思います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光発電と今御指摘ございました家庭用燃料電池等の導入、これはいずれも政策的にも推進すべきものだというふうに考えております。現に、家庭用燃料電池等につきましても、今年度から、家庭に対する導入の補助制度というものを新たに創設して、その導入を支援しているところでございます。

 こうした中で、今回の買い取り制度でございますけれども、これは太陽光発電の普及拡大を目的としたものでございまして、この制度によって、燃料電池その他のエネルギー源から出る電気の買い取りを目的とするものではないということは御理解賜りたいと思います。したがいまして、太陽光発電の余剰電力に限って買い取り義務があるものとして今後とも制度設計をしてまいりたいというふうに考えております。

 ただ、今御指摘のいわゆるダブル発電を導入している家庭においては、太陽光発電の売電、電力会社に引き取ってもらえる電気の量がふえる、押し上げ効果が恐らくあろうというふうに考えております。しかしながら、押し上げ効果があるからといって、例えば新たな買い取り制度に基づく余剰電力の買い取りの対象からこうしたダブル発電をしている家庭を一切除外するというような運用の制度設計をいたしますと、これは燃料電池等の普及の阻害要因になりかねないというふうに考えております。

 したがいまして、余剰電力の厳密な定義でありますとか、あるいはダブル発電の具体的な取り扱いにつきましては、今申し上げたような両方の側面を踏まえながら、今後、審議会等で技術的な検討を行って、結論を出してまいりたいというふうに考えております。

近藤(三)委員 太陽光発電を普及させるためには、二十四時間、三百六十五日を通じて、住宅などにおきまして安定した電力の供給システムをトータルで考えていく必要があると思います。そのためには、ダブル発電をどのように活用していくかが一つの重要な要素と考えます。買い取り制度の制度設計におきまして、ダブル発電も対象となるよう、前向きに御検討ください。

 さて、先ほど引用しました総合資源エネルギー調査会の報告によりますと、三年から五年後に、太陽光発電システムの価格を現在の半額程度にすることを目指すとあります。太陽光発電の現在のトータルコストは一キロワットアワー当たりおよそ五十円ですから、この半額の目標値は、現在のコスト五十円を半額にした二十五円程度に引き下げることを目標にしている、そのように理解しております。

 しかし、このコストダウンを達成するには、今回の買い取り制度により、広く国民が太陽光発電を利用し、需要が拡大するだけでは十分ではありません。我が国産業が世界の産業をリードしていくためにはさらなる技術開発の強化が不可欠であり、これを国みずからが先導していかなければならないと考えます。この点について、今後三年から五年の間に、政府は具体的にどのような技術開発や需要喚起などの政策を講じていくお考えなのか、二階経済産業大臣にお伺いいたします。

吉川副大臣 たびたび恐縮でございます。

 例えば、技術開発につきましては、高効率、低コスト化が期待される革新型太陽電池の実現に向けた技術開発等に産学が連携して取り組んでいるところでございます。私の地元が北海道札幌でございますので、雪が降ると太陽光が発電をしないといったこともございますので、そういった面も含めて、これから寒冷地向けのさらなる技術開発、そういったことも必要か、私、個人的にはそのように思っております。

 また、需要喚起の導入支援につきましては、住宅用の太陽光発電の導入や地方自治体や民間事業者による太陽光発電の設置に対する支援を行っておりまして、特に平成二十一年度補正予算におきましては、近藤先生御承知かと思いますけれども、合計四百七十億円、住宅向けが二百七十億、ビル、学校、工場の屋根等に二百億等の追加支援を講じたところでございまして、先ほど申し上げました技術開発や導入支援に引き続き取り組んでいくことで抜本的な普及拡大を図っていきたい、このように考えております。

近藤(三)委員 太陽光発電をトータルとしてコストダウンするためには、さらなる技術開発が不可欠です。産学官が連携した国家プロジェクトとして、技術開発にさらに力を注いでいただきたいと思います。

 時間の都合上、質問を一個飛ばさせていただきます。

 では、パネルをちょっとごらんいただきたいと思います。安井議員にお手伝いいただきます。

 この図は、気象庁が観測しました一九七一年から二〇〇〇年の三十年間の平均的な年間の日照時間を色分けしたものです。暖色系が年間の日照時間の長い地域で、寒色系が日照時間の短い地域です。日本各地の日照時間、おおむね千五百時間から二千時間なんですけれども、濃い紫色が千三百時間、真ん中の薄緑で千八百時間、そして赤は二千二百時間以上を示しています。このように、太陽光の日差しが年間二千二百時間、およそ九十日間ある西日本の太平洋側もあれば、先ほど吉川副大臣が言っていただきましたように、およそ半分の年間千三百時間、五十日間しか日差しが望めない山間地そして日本海側の地域もあります。これが太陽光の現状です。

 そして、もう一つパネルをごらんいただきます。

 次の図はNEDOの資料です。これは、地上から高さ五十メートルの年間の風力の平均値を色分けしたものです。紺色が年平均風速が一メートルから二メートル、黄色が風速大体六から七メートル、そして濃いオレンジ色が八メートルから九メートルを示しています。このように、北海道、東北、九州の湾岸線、離島などで安定した風力が得られることがわかります。

 逆に、水力ですが、豊富な降水量を電気エネルギーにかえるものですから、ダムや小水力発電の適地は山間地域に限られます。例えば、私も選挙の応援などで中山間地域に参りますと、携帯電話がつながらないというようなことがございます。そのようなときは、道路のわきを流れる小川を利用して小水力発電を行いますと、携帯電話の中継基地からデータを送るのに必要となる電力を確保できないかなと思ってしまいます。わざわざ遠くから電線を張って配電しなくても、携帯電話の不通区間を解消できるのではと思うわけです。

 このように、まだまだ私たちの身近なところに、再生可能な有力エネルギー源があるわけです。自然エネルギーは、日照時間、そして風向きや地形条件など、それぞれの地域特性により、有利そして不利があります。このことから、効率的な風力発電、そしてメガ太陽光発電、小水力発電の適地を得るには、それぞれの地域とのコンセンサスを図っていくことが大事かと思われます。

 例えば、風力発電の設置には自然公園や特別環境保護地区などとの調整が必要な場合も多いと聞いております。本日の議論のエネルギー供給構造高度化法案では、再生可能エネルギーの利用促進に当たり、住宅などの分散型の太陽光発電を念頭に、電力会社などとの連携に主眼が置かれています。しかし、実際、効率的な大規模な再生可能エネルギーを開発するには、電気事業者だけではなく、地方自治体などとの連携が欠かせないと思われます。

 そこで質問をさせていただきます。

 個別の地域で具体的に大規模な再生可能エネルギーを開発する場合に、国の役割とあわせて、地方自治体との連携協力をどのように深めていこうとしているのか、経済産業省の方針をお聞かせください。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘がございましたように、太陽光、風力、バイオマス、水力、こういった再生可能エネルギーにつきましては、それが存在をしている状況が地域によって相当異なる、こういった側面がございますので、再生可能エネルギーの効率的な導入に当たりましては、地域ごとにいかなる再生可能エネルギーを利用する、あるいは導入の拡大にいろいろなコストを投じることが適切であるのか、こういったことをよく事前にも調査する、あるいは検証するといったことが重要である、このように考えております。

 このため、経済産業省におきましては、地域におきまして新エネルギー、省エネルギーの導入や普及を図るために、御指摘がございましたように、地方自治体を初めとする地域エネルギービジョンの策定、これに対しまして補助を行っております。

 引き続き、それぞれの地域の特性を生かした新エネルギーの導入を自治体を中心に進めていただくことが円滑に進みますように、自治体との連携や協力を進めてまいりたいというふうに考えております。

近藤(三)委員 再生可能エネルギーは自然条件に左右されやすいエネルギー源です。効率的そして効果的な発電量を確保するためには政策的な誘導が必要であり、その際、地方公共団体との連携は欠かせないものと考えております。民間の技術開発を促すだけではなく、地方公共団体との連携強化に向けた取り組みにつきましても、政府にリーダーシップを発揮していただきたいと考えております。

 時間が押してまいりましたので、最後の質問になりそうです。

 我が国が化石燃料に過度に依存せず低炭素社会を実現していくためには、本日の質問の中心でありました太陽光を初めとした再生可能エネルギーを最大限有効利用していくことは、冒頭申し上げたとおり重要です。しかし、現実的には、再生可能エネルギーの開発だけでは石油エネルギーを代替させることは不可能です。

 今回、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律につきましては、法律の名前も、石油代替エネルギーから非化石エネルギーと変更されています。このことは、天然ガスなどを政策の対象から外しているようにも理解されます。しかし、エネルギーの安定供給のためには、天然ガスや、そして熱効率をよくした石炭を初めとする化石エネルギーにつきましても、環境に配慮をしつつ、引き続き一定割合を依存しなければならないと考えます。

 この観点からも、化石エネルギーの供給地の地域的な隔たりを防ぎ、エネルギー資源の安定供給を図るため、国家プロジェクトとして推進している、例えばロシアとの連携によるサハリン・プロジェクトのような天然ガスの開発などの必要性は大変大きいものと考えております。天然ガスは、石炭などに比べ、発電一キロワットアワー当たりの二酸化炭素の排出量が六割程度であり、地球温暖化対策としても重要な意義があります。さらに、サハリン・プロジェクトは、ロシアとの外交、安全保障に当たっての象徴的なプロジェクトでもあります。

 また、原子力エネルギーについて考えてみましても、低炭素社会の実現とエネルギーの供給確保の両方の要請にこたえることができますので、今後一層安全性を高めることも必要です。安定的に、そして核燃料サイクルを進めつつ推進していくことを改めて強調するべきではないでしょうか。

 最後に、二階経済産業大臣にお伺いいたします。

 太陽光発電を初めとした再生可能エネルギーの普及拡大と同時に、原子力エネルギーや天然ガスの必要性、そして再生可能エネルギーとのバランスをどのようにとり、我が国のエネルギーの安定的かつ適切な供給を確保していくかについて御答弁をいただきたいと思います。

 また、太陽光発電の推進策を含め、今回の大型補正予算の内容についても国民の方々に丁寧に説明していただく努力が必要と考えておりますが、二階経済産業大臣のお考えをお伺いいたします。

二階国務大臣 ただいま、エネルギーの安定供給と環境の問題、あるいはまた持続的な経済成長を一体的に推進するということを念頭に置いてエネルギー政策の基本についての御意見が述べられたわけでありますが、我々も、再生可能エネルギーの利用とともに、化石燃料の有効利用や原子力の利用等を適切に組み合わせることによって、環境と安定供給のバランスをとっていくことが重要だと考えております。

 最後にお述べになりました補正予算等について、特に私は、経済産業省の今度の補正予算の中で、国民の皆さんと直接関係の深い案件が幾つか出ておるわけでありますから、今、近藤議員がお述べになりましたように、このことをしっかりと国民の皆さんに御理解いただくために、しっかりした御説明が重要だと考えております。私は、きょうにも関係者を集めて、そのことに対する対応を直ちに指示したいというふうに思っております。

 ただいまの件については、先般から、総理からもこのことの重要性について御指示がありまして、広く国民の皆さんに御理解をいただいて、エネルギー問題等について多くの皆さんの共感をいただくような、そういう対策を経済産業省でとってもらいたい、こういうお話をいただいておりますので、そのことも含めて対応を協議し、しっかりしたものにして、与野党の議員の皆さんにもごらんに入れるようにいたしたい、このように思っております。

近藤(三)委員 ありがとうございました。

 環境立国日本の名に恥じないようなエネルギー政策を期待いたしております。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて近藤三津枝さんの質疑は終わりました。

 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日六月五日は世界環境デーということでございまして、その日に、本法案、大変長い内容ですので本法案と申し上げさせていただきますが、この審議、また質問に立たせていただくということを大変光栄に思っております。

 私は、この法案につきましては三つの大きな意味があると思っております。

 一つは、景気対策につきまして、その取り組みを促進するものであると思っております。五月二十九日に補正予算が成立をいたしまして、新経済対策が動き出しております。既に、五月十四日の一般紙でしたが、「街角景気 雲間に光 四カ月連続上昇 給付金・高速千円など好感」というふうに出ておりました。「雲間に光」と言われたのは本当に久しぶりのことでございまして、ああ、ここからが勝負だなと思った次第ですが、今、月例経済報告等でも、「景気は、厳しい状況にあるものの、このところ悪化のテンポが緩やかになっている。」と。また、在庫調整も進み、生産がプラスに転じ、景気は下げどまり感が出ている等の話が出ております。

 今までは仕事がないとおっしゃっていた事業者の方たちが、先日お会いしました自動車部品会社の方ですが、八月からは仕事がいっぱいだよというお話もあり、また、建設関係の方も、学校の耐震化とか太陽光パネルの設置など、本当にありがたい、現場からこういうお声を伺うようになりました。そういう意味では、景気の底を打たせまして、これ以上悪化させない、そのための切れ目のない支援が今大事であると思っております。正念場であると決意をしております。

 今回、未来の成長力強化のために、補正予算におきましても、環境立国を目指すということから、太陽光発電の推進を掲げたところでございます。また、我が党は環境立国を目指す公明党でございますので、これは強く推進をさせていただき、また、赤羽経済産業部会長はスクール・ニューディールということで提案をいたしまして、学校の耐震化、省エネ改修、ICT環境の整備とあわせまして、太陽光パネルを一万二千校に拡大する、こういう内容を盛り込ませていただいたところでございます。こうした取り組みを推進するという大事な法律であると思っております。

 また、二つ目に、先ほどもお話ございましたが、我が国は化石資源に乏しい、先進諸国の中でもエネルギー自給率が低いということから、今後、我が国経済の回復また安定的な成長のためには、まず、エネルギー安全保障の確立があってこそと思っております。そのためには、本法案にありますとおり、化石資源に依存するのではなく、エネルギー供給構造の高度化が必要であると思います。本法案は、そのための具体的な道筋をはっきりと示したものとして評価をさせていただきたいと思います。

 また、三つ目に、現在、地球温暖化対策の国際交渉が重要な段階を迎えております。我が国におきましても、中期目標をどこに設定するかということで、さまざま政府内でも論議が行われていると思っております。この地球温暖化という問題に積極的に取り組む観点からも、我が国が世界に先駆けまして、このような固定価格買い取り制度、また、非化石エネルギーの抜本的導入の拡大に取り組むということ、これを世界にアピールするということは、日本の国益にもかなう、有意義であると考えております。

 そこで、こうした点を踏まえまして、太陽光発電を初めとする再生可能エネルギーの導入の拡大、また、買い取り制度におきまして国民負担のあり方など、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の補正予算における太陽光発電の導入によりまして経済効果が見込まれているわけですが、雇用の創出効果、それからCO2の削減効果につきまして、石田資源エネルギー庁長官にお伺いをいたします。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光発電システムでございますけれども、原材料の調達、加工、あるいはその製造、販売、据えつけ工事といったすそ野の広さがあるわけでございまして、地域社会における広範な雇用創出効果が見込まれております。

 お尋ねの今回の補正予算による雇用創出効果について試算をいたしてみますと、約二万一千人というふうに私ども試算をさせていただいております。

 それから、二酸化炭素削減効果に関する試算でございますけれども、住宅用太陽光発電に係る平成二十一年度の補正予算につきましては、約十一万戸、約四十万キロワットの太陽光発電の導入を想定いたしております。これによる二酸化炭素の削減効果は約二十万トンというふうに試算をいたしております。

 また、二〇二〇年の断面で見ますと、二〇〇五年の二十倍程度の約二千八百万キロワットの累積導入量を目標といたしているわけですが、これが達成されますと、二酸化炭素の削減効果は約千二百万トン強、二〇〇五年比で考えますと約〇・九%程度というふうに試算をいたしております。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 ただいまの雇用効果の二万一千人ということで、長官、これは間違いないのでしょうか。先ほど大臣は一万二千人とおっしゃったと思いますが。

石田政府参考人 これは、今回の補正予算に限って試算をすると二万一千人。内訳をちょっと申し上げますと、住宅用の太陽光発電の部分で一万六千人、それから住宅以外の事業用とか公共用の部門で約五千人ということで、合わせて二万一千人ということで試算をさせていただいております。

高木(美)委員 大変大きな効果を生む今回の補正予算であると思っております。

 そして、今後につきまして、例えばエネルギーの国内自給率の目標につきましてどのようにお考えか、お伺いをしたいと思います。

 先ほども、化石資源に日本は頼ってきた、また海外に頼ってきたという状況があります。エネルギーの途絶えというのは直ちに日本の経済活動また国民生活に影響を与えるわけでございます。したがいまして、中長期の課題として、国内でのエネルギー自給率の目標値を検討するなど、日本のエネルギー安全保障の目標値などをあえてはっきりと提示するという決意が求められるのではないかと思います。

 恐らく、こういう流れになりますと、再生可能エネルギーをぐっと進めれば原発も要らないんじゃないかとか化石資源も要らないんじゃないかとか、極端な話も多く出てくる懸念もあります。やはり安定的に電力を供給しながら、そうしながらこの地球温暖化対策をどのようにきちっと進めていくかということが求められるわけで、こうした再生可能エネルギーにつきましては、例えば、太陽光におきましても既に設備利用率が一二%であるとか、また風力についても二〇%であるとか、原発の九〇%に比べまして、やはり雨の日もある、風の日もある、しかしそうでない日もあるという、いろいろな状況もございます。

 このような国内自給率の道筋をどのように検討されるのか、重ねてお伺いいたします。

石田政府参考人 まさに議員御指摘のとおり、エネルギー安全保障、日本のエネルギー政策にとって極めて重要な課題であると考えております。

 今回改正の御審議をお願いいたしております、いわゆる代エネ法を改正いたしまして非化石エネルギーの導入促進法ということになりますけれども、この改正後の法律におきましては、エネルギー自給率の目標というものを直接的に定めるわけではございませんけれども、総合的なエネルギー供給確保の見地から、非化石エネルギーの供給目標というものを法律に基づいて定めることといたしております。

 我が国の場合、化石燃料につきましてはほぼ全量を輸入に依存しておりますけれども、一方、再生可能エネルギー、原子力等の非化石エネルギーにつきましては、広い意味での国産エネルギーでございますので、非化石エネルギーの供給を拡大することが、国産エネルギー比率の増加、すなわちエネルギー自給率の向上につながるものというふうに考えております。

 したがいまして、新しい改正後の法律に基づきまして非化石エネルギーの供給目標を設定することなどを通じまして、エネルギー自給率の向上及びエネルギー安全保障の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 それでは、後のことにも関連をいたしますので、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 私は、太陽光発電を対象としました固定価格買い取り制度の導入、大変大きな前進であると思っております。また、大臣の御決断によりましてこれが導入をされるということを高く評価させていただいております。

 その上で、買い取りに当たりましての公平性の確保を考えなければならないと思います。電力の買い取りにつきましては、これは国民にとってどのようなメリットがあるのか、またどのようなリターンが考えられるのかということを説明することも必要であると思います。恐らく、新エネルギーの導入促進のための投資ということが国民の皆様にお願いをする内容であるかと思うんですが、リターンについては、全国民の皆様に低炭素並びにエネルギーの安全保障の確立、こういうことになるのだと考えます。

 しかし、先ほど近藤議員からも、日照時間の問題等も指摘がございました。電力料金に転嫁をするということは、持ち家と借家、マンションと戸建て、ちなみに私はマンションでございまして、築二十年のマンションでございますので、今から新たに設置するということはかなりの困難を考えております。また、太陽光パネルの設置者と非設置者、要するに、それだけお金を出せる方と出せない御家庭、また年間の日照時間の地域差など、各種のこうした差に対する積極的な公平性の確保をどのようにお考えになられるのか、そこに踏み込んでいくということが必要ではないかと思います。

 国民の皆様の全員参加型のこうした非化石エネルギーの推進につきまして、今後、取り組みをどのように考えておられるのか、また、国民負担の程度、そしてまたあり方につきまして、大臣の御見解をお伺いさせていただきます。

二階国務大臣 高木委員は、かねて経済産業省の大臣政務官もおやりいただき、その当時から環境問題に大変御熱心に取り組んでいただいていることは、私も承知をいたしております。

 また、先ほど御質問の中でも言及されました、赤羽議員を中心とする公明党の代表の皆さんが、いわゆるスクール・ニューディールの問題について、ちょうど私が補正予算の編成の作業で遅くまで役所におりましたときに、もう八時をはるかに超えておったと思いますが、代表としてお見えになりまして、スクール・ニューディールの必要性についての御質問が随分熱心にございました。

 そして、我々はその要請にこたえて、小中学校の問題について文部科学省とも相提携して対応していこうと。本当は小中学校及び高等学校も含めてやっていきたいというふうに私は考えておりましたが、高校の問題は、今後において、これは県立であったり私立であったり、さまざまな学校ができ上がってくる過程がありますから、これらの点についてはまた第二弾として考えて対応していきたいと思っております。

 さて、御質問の、いわゆるパネルの設置者と非設置者、一戸建てと集合住宅の違い、地域によっての日照時間の違いなど、さまざまなケースについて言及されました。

 そこで、すべての電力需要家の皆様に、負担については薄く広く御負担をいただくということを基本にして、わかりやすい制度にしようということに努力をしておるところであります。今後、専門家の御意見等も十分伺いながら、制度の詳細な設計をしてまいりたいと思っております。

 エネルギー安全保障という観点からもお話がございましたが、エネルギーの問題は、私たちの国民生活にとって最も重要な部分を占めるわけでありますから、今後、補助金やまた買い取り制度等を活用しながら、一戸建て、さらに集合住宅等についても原則としてこれを対象とする方向でさらに前向きに取り組んでいきたい、このように考えております。御協力をお願いしたいと思います。

高木(美)委員 大臣、大変丁寧な御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、やはり国民の皆様にとって、今後日本のエネルギーはどのような方向に向かっていくのか、もちろん、非化石エネルギーの導入をしていくわけですけれども、その道筋、先ほど申し上げました国内自給率の考え方、またこのエネルギー供給の道筋、それぞれをお示しいただくということも、例えば御自分の家に設置できない方も、それなら協力をしていこうとかいう共感をいただく方策をという、先ほど総理から御指示があったとお話ございましたけれども、まさにこういう共感というのも一つあるのかと思います。

 もう一つは、先ほど高等学校のお話がございました。小中高を含めまして、そういう学校、それからあともう一つは公的な施設、例えば皆様が集われる公民館、また港湾とか、いろいろなことも含めまして、目に見える形で、薄く広くですけれども、御自分が投資したものがこういうふうにリターンであるという、こういう何らかの形でリターンを実感できる推進というものも必要なのではないかと思います。その点について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

二階国務大臣 それだけ地域社会に、国家に貢献していただいておるわけでありますから、それなりの配当といいますか、御努力をいただいたことに対するお答えを出していく、このことは大変大事なことだと思っております。

 そして、近ごろは、例えば、昔の名前でいいますと道路公団、今JHと言っているああした組織も、うちもできますよ、そして先ほどの学校も、対応できますと。そして、そのように申し出てくださる方々のところは土地代も用地代も必要でないわけですね。現在設置されているところの屋根だとか側壁に太陽光のパネルを設置するわけですから、費用は比較的少なくて済む。そうした中で、国家のこういう電力に対しての、太陽光でやっていこうという方針に協力していこう、こうした申し出をたくさんちょうだいしております。

 我々は、これに自信を持って、この道を真っすぐ進んでいきたい。その上には、今、高木議員からも御指摘のありました、何かリターンを考えたらどうだということ、これからそうした面についても十分配慮してまいりたいと思っております。

高木(美)委員 ぜひ全体像を描いていただきますように、お願いをさせていただきます。

 少し時間になってまいりましたので、質問を何点かに絞らせていただきたいと思います。

 太陽光発電に限らず、今、バイオマスの利活用法につきましても議員立法で検討が進んでおります。このバイオマスの、買い取り制度の対象拡大をぜひしていただきたいところでございますが、地熱であるとか、また、そのほか風力など、多種多様な発電に対しましても買い取り制度の対象として取り組むことを期待する声も多くございます。これを段階的に、どのような道筋で考えていかれるのか、エネルギー庁にお伺いいたします。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 新たな買い取り制度の対象でございますけれども、これは太陽光発電に限定をさせていただいております。その考え方は、背景といたしまして、技術革新、需要の拡大で発電原価の低下が見込まれる技術であるということ、我が国の太陽光発電関連産業が、国際競争力を有し、我が国の将来の基幹産業になり得ること、すそ野の広い産業であり、地域経済の活性化に資すること、こういった理由から、今後三年から五年間が正念場である、こういう認識に基づくものでございます。

 一方で、今御指摘がございました太陽光以外の風力あるいはバイオマス、こういったものにつきましては、需要家の方々の負担水準あるいはコスト削減効果、こういった観点から、引き続き慎重な検討が必要ではないかというふうに考えております。現時点でこれを対象とはしないことといたしております。

 ただ、太陽光発電以外の再生可能エネルギーでございますけれども、この導入拡大につきましては、補助金や税制などの導入の支援、あるいはRPS法といった規制措置、こういったものを適切に組み合わせて取り組んでいくことが重要であるというふうに考えております。

 とりわけ、バイオマスの活用につきましては、ただいま御指摘がございましたバイオマス活用推進基本法案においても、積極的な活用の推進ということが盛り込まれているというふうに承知をしております。今後、RPS法の運用のあり方を初めといたしまして、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会において、この導入拡大のあり方についての議論をお願いしております。

 こういったものを踏まえまして、今後とも太陽光発電以外の再生可能エネルギーの導入拡大にも積極的に取り組んでまいります。

高木(美)委員 今、羽藤部長のお話にありましたRPS法の義務量の引き上げ、この見直し、この結論を出されますのはいつごろでしょうか。恐らく引き上げという方向に当然なるのだと思いますが、その点につきましてもお願いいたします。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在、総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会で、太陽光発電、そして太陽光発電以外の再生可能エネルギーも含めた新エネルギーの導入拡大のあり方について御議論をお願いしているところでございます。昨年の九月に、一度取りまとめをいただいております。そして、今回の新しい買い取り制度、こういった運用のあり方なども踏まえまして、現在、御審議をお願いしているところでございまして、これは速やかに結論、方向性をいただきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 それでは審議を見守らせていただきたいと思いますが、ぜひこの義務量の引き上げ、しっかりと推進していただきますようにお願いいたします。

 本日、環境省にお越しいただいております。

 地熱発電につきまして、地球温暖化防止に係る取り組みの中で地熱発電は大変有望なエネルギーでございます。大きなポテンシャルがあると考えております。しかし、この地熱発電ができる地域といいますのは国立公園、国定公園内にある場合が多く、その地域での推進を図るために環境省はどのようなことをお考えになっていらっしゃるのか、お伺いいたします。

 中には、自然公園法等の規制があって立地が進んでいないんじゃないかというお声も聞いております。地熱発電は、日本という、まさに火山国でございます国土の特徴を十分に生かす発電形態でございますので、環境負荷の低減を図る技術開発、またこうした法律との兼ね合い、そういうことが必要と思っておりますが、環境省の見解をお伺いいたします。

柏木政府参考人 お答えいたします。

 我が国を代表するすぐれた自然の風景地であります国立・国定公園におきましては、先生御指摘のように、自然公園法というのがありまして、それに基づいて、風景や自然環境を保護するという観点から、各種開発行為に対しての規制を行っているところでございます。

 そして、国立・国定公園内の地熱発電の開発計画につきましては、通例、各種の大型の工作物の設置ですとか樹林の伐採、地形の改変などを伴うということで、風景、風致等に対する影響が大きいというふうに考えております。

 このため、環境省としましては、国立・国定公園内の特別地域等の、代替性のない自然環境保全上重要な地域におきましては、風景や自然環境に影響を及ぼすということから、基本的に地熱発電は避けるものとすべきだというふうに考えております。

 一方で、地熱発電のうち、自家用等小型、小規模のもの、あるいは国立公園等の地表部に影響を及ぼさない方法によるもの、あるいは、国立・国定公園の約二割に当たりますけれども、普通地域内におけるものについては、風景や自然環境に対する影響の程度を個別に検討し、開発の適否を判断するというような考え方でございます。

 したがいまして、地熱発電につきましては、代替性のない自然資源である国立・国定公園のすぐれた自然環境の保全に十分配慮がなされた上で実施する必要があるというのが私どもの考え方でありますけれども、今後、地熱発電にかかわる新技術の開発などの動向も踏まえながら、自然環境の保全と地熱開発が両立するよう、適切に対処していきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 続きまして、原子力の利用につきましてお願いいたします。

 地球温暖化の懸念の高まりとともに、原発への期待は大きく、それは今世界の潮流となっております。アメリカが今後二十年間で三十基以上、ロシアは二〇三〇年までに四十基、中国も二〇三〇年までに三十基など、世界的な建設ラッシュを迎えます。そこで、平和利用のための技術提供とビジネスの展開を積極的に図るべきではないかと私は思っております。

 日本の持つ高い技術は、まさに世界への売りでございますので、すぐれた技術を海外に輸出しまして、世界の原子力発電の安全性を確保するネットワーク構築のリーダーとなるべきと考えております。石田長官の見解を求めます。簡潔にお願いいたします。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに今先生おっしゃられたように、近年、発電過程でCO2を発生しないということで、地球温暖化問題への対応から、各国で原子力発電を拡大しようという動きが広がっております。今、いわゆる原子力ルネサンスと言われるような事態になっているわけでございます。

 そういう中で、我が国の原子力発電の建設あるいは安全運転の実績に対する期待というのは非常に大きなものがございます。こういった高い技術力と豊かな経験を生かして国際的な展開の拡大をしていくということが、今後、我が国の原子力産業にとっても非常に大きな意義を有するものというふうに考えております。

 経済産業省といたしましても、世界の原子力の平和利用に貢献し、原子力安全を確保すべく、この国際展開を進めるために、政府間協力の枠組みの構築でありますとか、あるいは人材育成、制度整備への支援、さらには公的金融の活用といったようなことを使いながら、積極的に我が国原子力産業の国際展開に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 ぜひ強い決意で臨んでいただくことをお願いいたします。

 きょうは、文科省にもお越しいただいております。

 私は、原子力発電に対する正しい認識と教育を図るべきだと考えております。特に原子力につきましては、今私たちの使っているエネルギーがどこに立脚をしているのか、そしてまた、もちろん危険性も伴います、また、次の世代への最終処分のあり方等々技術開発にまたれているところも多くあるわけでございまして、当然、次の世代に申し送りするところはきちっと申し送りしていく、こういう教育が必要ではないかと思っております。文科省の見解をお願いいたします。

徳久政府参考人 学校教育におきましては、原子力発電などに関する学習につきましては、小中高等学校の児童生徒の発達段階に応じまして、社会科や理科などにおいて指導が行われているところでございます。

 このたび改訂をいたしました新しい学習指導要領においては、小中高を通じてでございますが、社会科や理科などの教科において、原子力を含めましたエネルギーに関する内容の充実を図ったところでございます。具体的には、水力、化石燃料、原子力、太陽光などを源とするエネルギーの特性、利用や、放射線及び原子力の利用とその安全性の問題などについての指導の充実を図ったところでございます。

 現在、各学校では、都道府県の作成いたしました原子力利用、原子力に関する副教材を適宜使用して学習しているところでございますけれども、文科省といたしましては、これらの副教材の作成、購入等の経費についての補助、援助も行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、原子力発電などに関する教育が適切に行われ、さらに指導の充実が図られるように努めてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 ぜひ文科省におかれましても、先般、四国の東洋町の処分場の問題がございましたけれども、多くの風評被害もありました。そういうことのないように、国民の皆様に、やはり学校教育が基本であると思いますので、きちんとそれが徹底できますようにお願いをさせていただきます。

 最後に、大臣の我が国のエネルギー供給構造の高度化のための御決意をお伺いさせていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

二階国務大臣 先ほどから高木議員から各方面にわたって大変適切な御意見をちょうだいしたわけでありますが、御承知のとおり、我が国は、エネルギー供給の八割の化石燃料の大半を海外に依存しておる、そういう条件下にあります。中長期的なエネルギーの安定供給の確保、これが極めて重要であります。温室効果ガスの排出削減も、世界規模での重要な課題であることは申すまでもありません。

 このため、私どもは、本法案を通じて、エネルギー供給事業者に対し、太陽光や、さらに原子力等の非化石エネルギーの利用の拡大、石油、石炭、天然ガス等の有効利用を促すことにしたいと考えております。特に太陽光発電については、電気事業者が余剰電力を高い価格で買い取ることにより、国民の皆さんの御協力のもとに導入を拡大してまいりたい。これらの取り組みや他の政策手段も総動員することにより、我が国のエネルギーの供給構造を抜本的に見直して、中長期的なエネルギーの安定供給の確保を全力で目指してまいりたいと思っております。同時に、低炭素社会の実現のために、我々はありとあらゆる手段を講じて積極的な努力をしてまいる決意であります。

 なお、今、文科省から、原子力の学校教育等についての御質問に対するお答えがありましたが、私どもは、今、新エネルギーパークというのを全国十三カ所で展開しておりますが、やがては各県にこれが設置できるような方向で行ってまいりたいと思っております。

 そのためには、私は、基本的には関係者の皆さんの御協力をいただいて、そういう施設は必ず有料であることが普通でありますが、これを無料で、そして、小中高等学校、あらゆる階層からお年寄りの皆さんに至るまで、広く多くの国民の皆さんにエネルギーの重要性、新エネルギーの将来性等を勉強していただくということで対応しておるところであります。文部科学省におかれても、そうした施設を積極的に活用されるように、この場で協力をお願いしておきたいと思います。

 以上です。

高木(美)委員 ありがとうございました。

東委員長 これにて高木美智代さんの質疑は終了いたしました。

 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 非化石エネルギーの促進に関する法案の質疑の機会をいただきまして、委員長、理事の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 早速質問に入りたいと思います。

 最初に大臣にお伺いしたいのですが、今回の法改正の目的というのは、言うまでもなく、地球規模での大きな課題となっている低炭素社会の実現に向けた産業界の体制といいますか、エネルギー供給事業者の体制、環境を整えることにある、これが目的であろうと理解をしております。

 この低炭素社会の実現というのは、具体的には温室効果ガスを削減すべしだ、こういった目標があるわけでありますけれども、現在、政府において、二〇二〇年までの中期削減目標が議論をされているところであります。この目標についてさまざまな議論が行われているところでありますけれども、政府が示されたいわゆる六つの案について、産業界を代表する日本経団連は、九〇年比で四%増が合理的であるとの意見を表明しております。この表明に対して、担当大臣である斉藤環境大臣は記者会見の場で、世界の笑い物になる、技術を持った日本が後ろ向きの目標を出すということは国際社会での地位をおとしめると、痛烈に批判をしております。

 そこで、二階大臣にお伺いしたいのですが、産業界を所管する大臣として、日本経団連が表明したこの意見は世界の笑い物という意見なのでしょうか、どのように認識しているか、お答えいただけますか。

二階国務大臣 私は、斉藤環境大臣とも常々こうした問題について話し合う機会がありますが、斉藤大臣がそうした笑い物になるぞということをおっしゃったと報ぜられておりますが、真意はそういうことではなくて、お互いに志を高く持って世界の環境問題に貢献していきたいという熱意の余りに言葉が走った、そういう程度のことであると思って、この問題に対して斉藤大臣に特に意見を述べたとか、あるいは今おっしゃった経済界に何か物を申したということはありません。

 ありませんが、いよいよ日本政府としての考え方をまとめなくてはならない時期に来ておることも事実であります。けさも、早朝から官邸で関係閣僚が集まりまして、意見の交換をいたしたところであります。

 我々は、世界に向かって環境先進国としての地位、名誉を守っていこうとする。この環境問題は大変重要なことでありますが、一方において、今、ようやく私どもは経済のやや回復の兆しが見えかけた、こういうところでさらに経済界に多くの負担をかけるということに関しては、いかがなものであるかという御意見もいただいております。同時にまた、それぞれの御家庭にもかなり御協力を願わなくてはならないようなことになりかねないわけでありますから、そこらの点についても我々は十分配慮して、政治としてどういう点に落ちつかせていくかということを十分考えなくてはならないというふうに思っておるわけであります。

 ですから、我々閣内は常に一致して行動いたしておりますが、今、そういう問題については、それぞれの考え方をお述べいただいておるということであろうと思います。

 何よりも大事なことは、国際的な合意が大事だということであります。京都議定書というのはそれなりに評価すべきものであるとは思いますが、肝心のアメリカであるとか中国であるとか、さらにインドであるとかという、この環境問題に重大な影響力を持つ国々をみんな外しておいて、そこを抜け穴にしておいた京都議定書の締結ということに対して、もっと日本はその当時から異議ありということを申し述べなくてはならない。

 この委員会におきましても、再三御質問いただきました。私は、その御質問の皆さんがお述べになる趣旨はごもっともだと思っておるんです。アメリカを外して中国を外して、そしてインドを外して日本のような小さい国が幾ら京都議定書だと威張ってみても、全地球的に考えれば影響力は極めて限られておる、そこのところをやはり十分反省して取り組んでおく必要があるというふうに私は考えております。

近藤(洋)委員 大臣、ありがとうございます。

 温室効果ガスの削減目標については、実は我が党内でも、取りまとめをいたしましたけれども、さまざまな議論がありました。

 全く私も大臣と同感でございまして、温室効果ガスの削減ということは人類共通の課題であるし、これはだれもが否定をしない。志高くまさに目標として掲げなければいけないというのは十分理解をした上で、しかし、実際、大臣がおっしゃったように、中国とアメリカとインドが参加しない枠組みというのは何ら意味を持たない、私もそのように思うわけであります。

 国益をある意味でかけた、これはゲームと言うと言葉がどうかですが、交渉でありますから、その交渉にすべての国が参加するという目標が達成できなければこれは失敗だ、どんな目標を掲げても失敗なんだということを認識した上で、ぜひ、政府におかれましては、そういった合意を達成するんだということがなお大前提であって、そのための目標値なんだという観点も踏まえて、今後の交渉事なり目標設定に当たっていただきたいと重ねて私の方からも申し上げておきたい、このように思います。

 さて、本題に入りたいと思います。

 本法案の大きな柱は、何といっても、さまざま柱があるわけですが、新エネルギー、再生可能エネルギーの中で太陽光発電を思い切って推進していこう、こういった趣旨が盛り込まれたということが大きな柱だと伺っております。いわゆるこれまで進めてきたRPS法だけではなくて、固定価格買い取り制度を太陽光発電に導入したということであります。

 この太陽光発電については、過去においてはサンシャイン計画等々、国が全力を挙げて進めてきたわけでありますが、ここ近年は太陽光発電への補助金を削減したという事実もございます。こういった削減をしてきた中で、ある意味で大臣が政治的判断で大きくかじを切ったと私は理解しているわけであります。

 固定価格買い取り制度についても、ややマイナス点も多いというのがこれまでの資源エネルギー庁の公式見解であったわけですけれども、そこを大きくかじを切ったと考えます。その意味においてはエネルギー政策を一つ転換したと受けとめておりますが、この点、大臣の認識を改めてお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 経済産業省では、これまでも一貫して太陽光発電の導入拡大に努力をしてまいったところであります。結果として、導入量や生産量、技術力が世界のトップクラスになるなど、成果を上げてきたと考えております。

 しかし、こうした技術の面において、環境問題等において、ややもすると日本が世界一だということをしょっちゅう言われるわけでありますし、政府の側もそのことに気をよくして言っておることがしばしば見受けられるわけでありますが、私は、この点は油断をしてはならないと思っております。

 アメリカにしても中国にしてもインドにしても、意気込みが全然違います。そして、彼らは思い切った投資をする、そういう制度というか枠組みといいますかがありますから、私は、いつまでも日本が平々凡々と世界のトップクラスですなんて言っておることを繰り返しているのは適当ではない。今、世界のトップクラスであることには間違いありませんが、今後もトップクラスの保証はないわけでありますから、そこはしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

 近年、国際競争の激化によりまして環境の変化に柔軟に、また果敢に対応していくためには、あらゆる政策を動員して、太陽光発電を初めとした新エネルギーの導入拡大に努めてまいりたいと思っておりますが、私どもの基本的な考え方は揺らいでいないつもりであります。

近藤(洋)委員 基本的な考え方は揺らいでいない、それはそのとおりだと思うんですが、ただし、具体的な山の登り方について、この固定価格買い取りというもの、やはりここは恐らく大臣の判断が大きかったと思うわけであります。我々は、この固定価格買い取りを導入すべきだということを民主党としても強く言っておるわけでありまして、その点においては、この法改正は一定の評価をしたいと思うわけであります。

 ただ、その大きな政策を入れた本改正案でありますが、委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますが、法文を資料一に書かせていただいております。法案には、太陽光発電について、電力会社に固定価格で買い取らせるということが何も書かれていないといいますか、太陽光のタの字もありませんし、固定価格の固定の字もございませんし、電力会社ということも明示されていない、こういうことであります。

 第五条をごらんいただければ、これが役所側の、根拠条文は何ですかと聞いたところ、根拠条文は第五条、太線を引いたところが根拠です、こういうことであります。「経済産業大臣は、」「特定エネルギー供給事業者の判断の基準となるべき事項を定め、これを公表するものとする。」、そして二に「再生可能エネルギー源の利用に係る費用の負担の方法」、こういうことだけなんですね。

 これを読んで、太陽光発電、しかもその余剰電力を固定価格買い取りで電力会社に買い取らせるというのを読めるとしたら、これは想像力があるか、これを読んで果たしてわかるかということでございます。

 我が国は法治国家であるはずでありますが、この条文は、全くそこの部分が法治国家としての体をなしていない条文ではないか、このように受けとめるわけです。なぜこのような条文になってしまったのか、もっときちんと明確に書くべきではないか、このように思いますが、御答弁いただけますか。

吉川副大臣 まず、私の方から答弁をさせていただきたいと思います。

 再生可能エネルギー源の利用に係る費用負担のあり方につきましては、その時々のエネルギーをめぐる情勢を踏まえまして、迅速かつ機動的に対処することが必要であると考えております。また、内容につきましては、専門的な事項であることから、総合エネルギー調査会等における議論やパブリックコメントを踏まえて策定をいたしまして、実態に合わせて迅速かつ機動的に改定していく必要があると考えております。

 このために、制度の詳細につきしては、経済的、技術的な状況を迅速に反映できますように、御指摘のような部分につきましては行政に委任することが適当と考えているところでございます。

 一方で、制度の透明性を確保するために、大臣告示の内容につきましては、今後の審議の中で考え方をお示しするとともに、各分野の専門家等が参加をする審議会において議論をいただくほか、パブリックコメントも行ってまいる所存でございます。

近藤(洋)委員 副大臣の御答弁で十分その趣旨はわかりましたので、長官にはまた伺います。

 長官、そこで、せっかく手を挙げていただいたので、お伺いします。

 我が国は法治国家である、これは憲法上もその旨が規定されているかと思いますが、法治国家とはどのような国家なのか。これは行政官のトップであられるエネルギー庁長官に、どのような国家なのか、法治国家とはどういうものなのか、御経験を踏まえてお答えいただけますか。

石田政府参考人 個人的な見解ということで申し上げれば、法治国家というのは、やはり法律に基づいて行政が授権を受けて行政を執行する、そういう国家であるというふうに考えております。

近藤(洋)委員 そのとおりでありまして、委員長、直前でありましたが、事前に通告はいたしました。

 広辞苑によりますと、「国民の意思によって制定された法に基づいて国家権力を行使することを建前とする国家。権力分立が行われ、司法権の独立が認められ、行政が法律に基づいて行われるとされる。」まさにそういうことなんですね。これが法治国家であります。

 そうだとすると、確かに今の副大臣の御答弁はそのとおりの部分はあるんですが、迅速かつ機動的に対応しなければいけない、だからある程度委任しなければいけない、これはそうとして認めながら、しかしながら、さて、公共料金にかかわるものについてここまで委任していいのかということをこの場でお伺いしておきたい、このように思うわけであります。

 経済産業省の計画によりますと、この電気料金、初年度は四十九円程度、五十円弱で買い取る、このようなことでありますが、通常の電気料金よりも割高で買い取るわけであります。この部分は電気料金に反映させる、こういう御説明であります。

 そこで、改めて伺いたいわけでありますが、買い取り部分の上昇分というのは電気料金に転嫁されることを国が保証しているんでしょうか。

 そして、もう一つお伺いしたいのですけれども、仮にこの法律が通って電気料金が値上げされた場合、利用者側が、私は払いたくない、何となれば、私の家には太陽光発電は設置できない、生活も苦しい、なぜその上昇分を負担しなければいけないんだ、太陽光発電をする人はほとんどお金持ちじゃないか、こういう人も出てくる可能性もあるわけですね。何で私がその分を払わなければいけないんですかといってその支払いを拒否した場合、現行制度では二カ月間電気料金を滞納したらば電気の供給はストップされるわけでありますが、本件もそのような形をとるよう国が電力業界に指導するというか、そういうことを前提にこの制度設計をしているのか、エネルギー庁長官、お答えいただけますか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 買い取り費用の負担でございますけれども、今回の制度設計におきましては、国民の全員参加型ということを基本に据えてございます。電気料金に上乗せする形で、電力の需要家すべてに広く薄く負担していただくということで、買い取り費用の転嫁が適切に行われるように、国はその説明責任を負うというふうに認識をいたしております。

 より具体的には、買い取りの対象や買い取り価格の水準につきまして告示等で明確に定めるとともに、転嫁が適切に行われますよう、例えば電力会社の買い取り実績に応じまして、事後的に転嫁される買い取り費用について、電力量当たりの負担額を具体的に明示し、審議会の場においてもそれを検証していただくというようなプロセスを通じて、確実な転嫁が行われるように、国としても、電力需要家の皆様の御理解を得られるよう、広報等に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 それから、後半の方でお尋ねのございました点でございますけれども、電気事業法に基づきまして、電力会社は、一般家庭に対する電気の供給に関する料金その他の供給条件について、供給約款を定めるということになっております。

 この供給約款におきましては、工事費負担金など料金以外の金銭債務につきましても、これが不払いとなる場合においては、電力会社は電気の供給を停止することができるというふうにしてございます。これによりまして、今回の太陽光発電の買い取り制度による負担分の適切な転嫁についても担保がなされるものというふうに考えております。

近藤(洋)委員 支払いがとめられた場合は供給はとまるという約款を電力会社が出してきた場合は国としてもそれを認めるということですから、要は、供給をとめられる制度を前提にしているというふうに私は理解をしたいと思います。

 とすると、それはあわせてまたもう一回伺いたいんですが、公共料金、電気料金に反映されるということは幅広く国民が負担するということでありますけれども、この買い取りにかかわる電気料金の上昇分の国民負担というのは、例えば十年間、総額で大体どれぐらいの額になるのか、端的にお答えいただけますでしょうか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 買い取り費用による国民負担につきましては、新規に買い取りを行う期間でありますとか、買い取り価格の設定により当然変動が見込まれるわけでございますが、一定の前提を置きまして暫定的に試算したところによりますと、初年度におきまして八百億から九百億円程度、五年目から十年目におきましては千八百億から三千億円程度というふうに見込んでおります。向こう十五年間で試算をいたしておりますが、買い取り総額は二兆円弱から三兆円弱という金額を想定いたしております。

近藤(洋)委員 資料の二に、それぞれの買い取り総額、初年度、これは経済産業省が出している数字を出しておりますが、十五年間で総額二兆から三兆円ということでございました。

 総額二兆から三兆円、これだけやはり大きな国民負担になるわけですね。しかも、払わないと電気の供給がストップされるわけですから、事実上の強制なわけです、公共料金の引き上げということで。これは、よく言えば全員参加型。みんなで太陽光を進めよう、明確な国家の意思として太陽光を進めると。私は、このこと自体を否定するわけではないんです。国家の意思として進めるということはよしとしたい。

 しかしながら、二兆円から三兆円の国民負担をこの法律で決定するわけであります、公共料金の引き上げをと。ところが、いかに迅速な対応が必要だ、機動的な対応が必要だということは十分理解しつつも、これだけの大きな全員参加型のプログラムを実行するに当たって、法治国家であれば、明確に枠組みをきちんとつくる、明示するということはやはりどうしても必要なのではないか、こう思うんですね。少なくとも、料金に転嫁される旨の改正をすべきではなかったのか。

 例えば、電気事業法の関連部分を改正して、この太陽光の引き上げ部分は電気料金を算出する基準となるいわゆる総括原価の中に含まれるんだといった改正をするだとか、きちんとした改正の方法というのは幾らでもあったかと思うんですね。そうでなければ国民の納得というのはやはり得られない、この法文だけでは国民の意思で制定された法とはなかなか言いがたいのではないか、こう思うのですが、重ねていかがでしょうか。

 もう少し明確にこの法文を、少なくとも対象であるとか太陽光をこうするのであるとか、対象は電気事業者、固定価格なのだとかいう、そういった修正を検討されたらいかがかと思いますが、どうでしょうか。

吉川副大臣 それぞれ御指摘をいただいたところでございまするけれども、先ほども申し上げましたとおり、この委員会の中で、いろいろな議論の中でお示しをしてまいりたいということも先ほどお答えをさせていただいたところでございます。

 さらに、エネルギー情勢をめぐるいろいろな諸点を踏まえまして、太陽光、風力などの技術的、経済的特性や、その変動に応じた支援策を講ずることが必要だと思っておりまして、これらに機動的に対応するためには、制度の詳細につきましては法律の委任に基づき経済産業大臣が定めることとしておりますが、その際には、法律上の要請として、非化石エネルギー源の利用に関する技術水準、再生可能エネルギー源の利用に係る経済性等を十分に勘案することとされております。

 このように、本法案は、再生可能エネルギーの特性に機動的に対応しつつ、判断基準が適切に定められますように、必要な事項は法律に規定しているものと考えているところでもございます。

近藤(洋)委員 それでは、法文に沿って、具体的にそれがどう意味するのか、ちょっとお伺いしたい点が一点ございます。

 法文の十四条を資料一に書いておりますが、この「再生可能エネルギー源の利用に要する費用の価格への反映」という項目でありますけれども、「国は、」「その費用の円滑かつ適正な転嫁に寄与するため、この法律の趣旨及び内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解と協力を得るよう努めなければならない。」この「広報活動」なるものは具体的にどういったことを行うのか、お答えいただけますでしょうか。

吉川副大臣 広報活動につきましてのお尋ねでございます。

 転嫁を円滑に進めるためには広報活動というのは大変重要なものだと思っておりまして、まずはタウンミーティングを考えておりますが、その他の手段、その他の手段と申し上げますのは、テレビ、新聞等の政府広報、さらにはインターネット等を通じて国民に周知徹底を図ってまいりたいと思っておりまして、さらにその上で理解と協力を得られますように努めてまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 副大臣、やはり私は、この広報活動だけでは心もとないという気がするんですね。そういうタウンミーティング等々は当然やられていいと思うんですが、もっときちんとした法文の根拠を示した上で、そうしないと、実際の料金徴収の現場で混乱も起きるのではないか、このような危惧も持つわけであります。

 お伺いしたいのですが、この新しい制度、太陽光発電の固定価格買い取り制度、この法案が成立をした場合、今国会の会期中、七月中に成立をしたと仮定したら、実際にいつからこの新制度を運用すべく今現在御検討されているのか、お答えいただけますでしょうか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 この制度の円滑な施行のためには、制度の詳細を審議会等で検討する期間、買い取り費用を最終的に御負担いただく国民の皆様へのまさに理解、周知を求めるための期間、それから義務対象者となります事業者が契約の改定のために要する期間などを勘案する必要があるというふうに考えております。

 一方で、景気対策あるいは雇用対策に資するというような側面も考えますと、速やかな施行をしたいということでございます。

 かかる観点から、本法案が成立いたしましたら速やかに総合資源エネルギー調査会等で制度の詳細を検討いたしまして、できるだけ早く、数カ月以内には新たな買い取り制度をスタートできるように努力してまいりたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 長官、数カ月以内というのは二から九まであるわけで大変幅広いのですが、別に何も拙速にせよと言うつもりはございません。きちんとした制度設計が重要だ、こう思っておりますが、一方で、今日的な課題に対応するためには、可能な限り早期実施をすべきだと思うわけであります。その数カ月というのは例えば年内なのか年明け早々なのか、今の段階でお答えできる範囲で結構であります、大方のめどというのをお答えいただけませんか。

石田政府参考人 年内には施行できるように、極力努力をしたいと考えております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 現在、太陽光パネルを設置している住宅でも四十万戸あるわけですね。ですから、その四十万戸に対してまずどうするのかということで、実務的にはなかなか大変だろう、こう思うんです。

 ぜひ新制度の移行時に混乱が生じないように、広報活動をさまざまな形でやっていくという御答弁はございましたけれども、実務面でも、役所として、当局として、事業者に対してさまざまな支援等も必要かと思いますが、現段階で具体的にどのような措置をとろうとお考えになっているのかお答えいただけますか、現段階でお答えいただけるものがあれば。

石田政府参考人 先ほど副大臣もいろいろ御答弁申し上げましたけれども、さまざまな、タウンミーティング等も含めた地方への周知の問題でありますとか、あるいは事業者とのいろいろな形での意見交換等を通じて、速やかに、法律が成立しました段階でこの制度設計の詳細が固められるような準備を進めてまいりたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 ぜひ、私は、くどいようですけれども、少しきちんとした、法律的な位置づけも含めて、これは中期的には再度見直しをされるべきものではないか、このような思いであります。

 お伺いしたいんですが、委員長のお許しを得て、資料の三枚目をごらんいただければと思うんです。

 固定価格買い取りといいますか太陽光発電の導入ですけれども、何も電気の購入だけじゃないんですね。送電、変電等の送配電の部分についても相当な投資が必要だ、こう言われているわけであります。実際、運用に当たっては、質のよい電気を供給するためにはある程度の設備投資が相当必要だろう、こう思うわけであります。お役所の資料でも、二〇三〇年度までに総額四・六兆円から六・七兆円の系統安定化対策が必要になる、このような試算を既に出されておりますね。

 では、この最大六・七兆円の投資というのは一体だれが負担をするんでしょうか。電力会社が負担をする、すなわちこれは料金に反映される、転嫁されるという認識でよいのか、それとも太陽光パネルを設置した方が送配電の部分も負担する形になるのか、一体どちらがこの六・七兆円という、これは大変な額でありますけれども、どういう考え方で物事を整理されているのか、御答弁いただけますか。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生が言われた数字でございますけれども、これは、研究会におきましていろいろなシナリオを置いた、まさに仮定のもとでの一つの試算ということで、その絶対額そのものに今の段階で非常に大きな意味があるとは私ども思っておりません。むしろ、これからどういう形でこの系統安定化対策を進めていくのか、ここのところが我々は非常に重要だというふうに考えております。

 具体的には、蓄電池を系統サイドで持つのか、需要家の方にある程度持っていただくのかというようなこと、あるいは揚水発電がさらに活用できないか、さらに柱上変圧器の増設などにどう対応していくのかというようなこと等々がございます。

 こういったことについて今後さらに検討を進めて、その過程で、コストについてもさらにこれを詰めるとともに、費用負担のあり方についても整理をしていく必要があろうと思っております。

 ただ、今の御質問に関連して言えば、電力会社が設備投資をする形になれば、それが能率的な経営のもとにおける適正な原価ということになれば、当然、最終的には需要家の負担にまたなっていくということでございます。

 いずれにいたしましても、世界的に、今、こういった新エネルギー、再生可能エネルギーの導入を進める上で、系統側の対応をどうしていくのかというのは大きな課題になっております。我が国としては、官民挙げて世界最先端の系統制御技術というものを開発していく努力をしていきたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 広い意味で言えばいわゆるスマートグリッドというものにも広がる話だろう、こう思うわけであります。我が国の電力系統というのは、聞くところによると、大変先進的なものであると伺っておりますけれども、よりよいものにするためにぜひ研究を進めていただきたいと思います。

 同時に、ただ、実際にこれだけのコストがかかる。金額がどうであれ、数千億のオーダーではなくて、何兆円というオーダーがかかるということは間違いないわけであって、その費用負担をどうするのかということも含めて、やはりこれは率直に言って、この法案を審議する際に、ある程度考え方は整理をされて提案すべきではないか、こう思うわけでありますね。今々コストがかかるということではないにしろ、十年先にこれだけのものがかかる、十五年先にかかるということであるわけですから。太陽光発電を入れるということはそういうコストがかかるものなんだ、ではそれをだれがどう負担するかということも、考え方はやはり整理すべきだろうという点は指摘をしておきたいと思います。

 くどいようですが、太陽光発電を入れれば、さまざまな効果もあります、雇用も生まれます、新産業も生まれます。だけれども、同時にこういったコストなり負担もかかるんだということでありますから、その議論の整理というのはあわせて同時に必要だという点を指摘しておきたいと思います。

 この点については恐らく同僚の北神議員も私よりも深掘りをして質問されるだろうと思うので、最後に一点だけ確認したいのです。

 大臣、これまで我が国の電力、電気料金に関する政策というのは、どちらかというと、高い電気料金を下げていこう、日本の電気料金は高過ぎた、それを下げなきゃいかぬ、下げるために自由化を進めるんだ、自由化をして、競争して高過ぎる電気料金を下げるんだということを、私の理解では、少なくとも過去十年間進めてきたと思うんですね。

 今回の太陽光発電なり新エネルギーをこれから入れるということは、そうではなくて、ある程度高い電気料金も許容するという政策なわけです。その点においては、では、これはエネルギー政策、電力政策を転換したことになるのかどうか。そうでないとするなら、いや、違う、今までどおり電力に関する政策は基本的にはコスト削減なんだ、低料金を目指すんだということは変わらないとするならば、逆に、新エネルギーを導入するための負担というのは、電気料金に転嫁するということではなくて、税を入れるという形で幅広く、エネルギー供給業界なのか産業界なのか何かわかりませんが、税というもので転嫁するというふうな形にしないと整合性がとれないと思うのですが、この点、いかがでしょうか、お答えいただけますでしょうか。

二階国務大臣 ただいま近藤議員から一つの御提言をいただきましたが、私どもは、太陽光発電の導入拡大というのは、我が国のエネルギーを安定的に供給して、同時に、地球温暖化対策等の観点から、電力システム全体として取り組むべき課題だという判断をいたしております。

 そのメリットも電気の使用者全体がお互いに広く享受するべきものだ、したがって、太陽光発電の買い取り制度については、電気の使用量に応じて広く薄く御負担を願う、いわゆる全員の皆さんの御参加をいただく、全員参加型の制度にすることが適切だというふうに考えております。

 御指摘のように、税収を財源に歳出する形式をとった場合には、もう近藤議員も御承知のとおりでありますが、単年度ごとの財政状況によって歳出が左右されることになり、かえって運用が硬直的になったりする懸念があります。

 こうしたことから、経済産業省としては、太陽光発電の促進のためには、既に措置されております太陽光パネルの設置補助制度にあわせて、本法案を根拠とする太陽光発電の買い取り制度を組み合わせる制度にすることが適切であろうというふうに考えた次第であります。

近藤(洋)委員 この議論は大変深い議論になるのでもうこの場できょうは終えますが、私は、でも、どちらかというと、税の形でやはり手当てすべきだろう。幅広く、まさに全員参加型ということであれば、その方がより体系としても腑に落ちるのではないか。例えば、電促税という形のもので上積みするのか違う税をつくるのか、それは新たな目的税的なものをどうするのかということも含めて考えるべきだろう、こう思うわけであります。

 もう一点、次の法律に話題をかえたいと思うんですけれども、今回、石油代替エネルギーの推進から非化石エネルギーの推進、もう一つの法律の題名が変わったわけであります。

 そこで気になるのが、同僚議員からも御質問がありましたけれども、これまで石油と比べてクリーンなエネルギーだとして推進してきた天然ガスの位置づけの問題であります。

 配付資料の最後のページにございますとおり、主要国の一次エネルギーの構成を見ますと、我が国は天然ガスの比率が決して高い方ではありません。これまで、国は挙げて天然ガスはクリーンなエネルギーということで推進をしてきたわけでありますし、実際に温室効果ガスの削減ということを考えても、やはり天然ガスの位置づけというのは引き続き重要だと認識をしておるところであります。改めてその認識をお伺いしたい。

 天然ガスの位置づけをお伺いするのと同時に、資料の四ページ目に、これまで天然ガスの導入拡大についてさまざまな助成措置がとられております。税制、財政投融資そして補助金、これは代エネ法を根拠としたさまざまな措置であります。この根拠法が今度変わったわけですね。根拠法が変わったことで、非化石エネルギーだから、それぞれこういったさまざまな措置は一気になくなってしまうのか。代エネ法を根拠としない関連補助金もさまざまございます。こうしたものについて、今回、非化石エネルギーということでくくられたことで、さまざまなこうした措置が根拠法を失ったことでどのようになるのか、御答弁をいただけますでしょうか。最初に位置づけだけでも。

吉川副大臣 後半の部分は事務方の方から説明をさせたいと思います。

 石油代替施策の見直しに伴いまして、天然ガスを含む化石燃料につきましては、今後、エネルギー供給構造高度化法におきまして、高度利用を図る対象となります。また、代エネ法と同時に改正する独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法、NEDO法におきましては、天然ガスの利用の高度化のための技術開発に係る業務を引き続き行うことにしております。

 このように、エネルギーの安定供給に向けまして、天然ガスの高度利用をさらに促進してまいる所存でございます。御指摘を踏まえて、しっかり対応してまいりたいと思います。

石田政府参考人 後半の部分についてお答えを申し上げたいと思います。

 現在の石油代替施策におきましては、天然ガスの利用の促進に資するものに関して広く支援の対象としてきたわけでございますけれども、今般提出をさせていただいております法案におきましては、天然ガスの高度利用の促進を図るというふうに、重点をシフトいたしているわけでございます。

 ただ、大宗を海外からの輸入に依存をしております天然ガスを安定的に確保、供給するとともに、これらを効率的かつ適切に利用していくということは、我が国のエネルギー安全保障にとってこれからも非常に重要な課題であるというふうに考えております。

 こうした観点から、天然ガスの有効利用につきましては、今後、施策一つ一つにつきまして、その必要性を十分吟味しながら、必要なものについては今後とも適切に支援できるように図ってまいりたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 すべての予算は、その都度適切に、不必要なものはやめ、必要なものは加える、こういうことかと思うわけですが、今回、根拠法が大きく変わったということであって、とすると、長官、要するに、もちろんそれぞれ必要なものから整理していくわけですけれども、根拠法がなくなったからといって、これが半分になるとか大幅に変化するとかというような事態ではないという理解でよろしいんですね。引き続き天然ガスの高度利用を進めていく、こういう理解で、そのための措置はあるということでよろしいんですね。

石田政府参考人 基本的に、天然ガスの高度利用に資するような施策は、今後とも積極的に取り組んでいきたいと思っております。

 今先生が配られた資料の中にも、例えばガスの保安対策とか省エネルギー対策に係るようなものも含まれております。これはまた全然別の切り口で、必要性が認められるのかなというふうに考えております。

近藤(洋)委員 天然ガスについては、メタンハイドレート、これはどうなるかというまさに研究途上でありますけれども、我が国の国産エネルギーになる可能性もある大きな希望の星といいますか、希望の資源もあるわけでありまして、そういうものは海外依存とならないかもしれないわけであって、それも含めて、やはり天然ガスというのはきちんと位置づけていただきたい、こう思うわけであります。日本が大量に買っているということも、ある意味で、ロシア、さまざまな各国との外交のツールにもなるわけで、さまざまな意味でのこの天然ガスの意味づけというのは高まりこそすれ減ることはない、私はこのように思うわけであります。

 最後の質問でありますが、天然ガスもそうでありますし、ある意味で悪玉になってしまっていますが、石炭も、要するに高度利用ということを考えれば、日本の石炭火力の技術というのは極めて重要なわけであって、こうした技術開発も非常に重要である。すべてが新エネ、太陽光、風力、地熱だけで物事は解決しないというのは、恐らく大臣も同じ認識かと思うわけであります。

 新エネ自体を否定するわけではありません。我々も全力を挙げてやるということでありますけれども、先ほど高木委員から原子力発電の言及もございました。日本の稼働率は、地震等の影響もあって六四%ということでありますけれども、フランス、米国並みに、フランス七五%、米国九二%、これは安全を第一とした、前提でありますけれども、原子力発電所が一〇%稼働率をアップしただけでCO2の排出量は二%減るということでありますから、まさに原子力発電についても、重要かつ有効な手段だと思うわけであります。

 最後の質問でありますけれども、そういうことも含めて、要はベストミックスが政策の基本であろう。これは私どもの党も反省をしなきゃいけない部分も若干あるんですけれども、どうもはやり言葉にほだされて、はやり言葉だけに飛びついていってしまうという部分も往々にして最近見えるわけです。やはりエネルギーというのは現実でありますから、ベストミックスが基本なんだということが重ねてこの時期だからこそ重要と思うわけですが、最後に大臣の御見解を聞いて、終えたいと思います。

二階国務大臣 今、メタンハイドレートの問題とか天然ガス、そして最後に、エネルギーというものに関してはベストミックスが重要であるという御意見が開陳されましたが、私もまことにそのとおりだと思っております。

 ただし、我々は、残念ながらエネルギー資源の乏しい国でありますから、あらゆる可能性を求めて各国とも交渉を図っていく。同時に、あらゆるエネルギー、新エネルギーについても開発研究を怠らないようにしながら、国民の皆さんの生活を守っていくためにエネルギーの確保に、これこそ超党派で取り組んでいかなくてはならない課題だと思っておりますから、またいろいろな御意見をお聞かせ願いたいと思いますが、ベストミックスで取り組んでいくということに対しては、私も大賛成でございます。

近藤(洋)委員 時間ですので、終わります。

東委員長 これにて近藤洋介君の質疑は終了しました。

 続きまして、北神圭朗君。

北神委員 民主党の北神圭朗でございます。

 近藤先生の話の続きになると思いますが、太陽光発電の固定価格の問題について質問したいと思います。

 大臣、先ほど近藤議員からいろいろな話があって、国民の負担が二兆から三兆円ぐらいある話だ、こういうのはやはり法律にもっと明記をすべきじゃないかという話がありました。さらに、それを受けて、今回の法案を修正すべきだ、そういう提案もありましたが、修正をする考えがあるかどうか、お聞きしたいと思います。通告はないんですけれども、今の議論を受けて。

二階国務大臣 我々は、今回のこの選択、政策決定が正しいものだと現時点では考えております。

北神委員 大臣、太陽光を推進することはいいことですし、固定価格買い取り制度は、これもいろいろな議論があっても、大臣が大臣としての指導力を発揮して、今までのエネルギー政策を多少変えた。これも、私はいろいろな議論があると思うんですね。

 ただ、近藤議員からも話があったのは、太陽光の固定価格買い取り制度というのは、国民の電気料金がちょっと上がる。これについて、大したことない、十円から百円程度だという話もありますが、それでも、先ほど法治国家の話もありましたが、もっと法律に、何も書いていないわけですよね、基本的に。ほとんど何も書いていない。そういうことをもう少し明確にすべきではないかと。

 その制度設計について私何も今申し上げていることではないので、そこの点についてお聞きしたいと思います。

二階国務大臣 当委員会における、また本会議も当然でありますが、十分なる御審議をちょうだいしておるわけでございますから、この審議の中での各党の議員の皆さんの御意見を十分体して対応していきたい、このように思っております。

北神委員 それは、今修正の話もあり得るということでしょうか。

二階国務大臣 国会の御審議でございますから、私どもの方から、修正がどうだとか附帯決議がどうだとかというようなことに言及することは慎むべきことだというふうに常に思っておりますが、議員の皆さんの御審議を十分拝聴した上でこれからの行政の運営に対応していきたい、このように思っています。

北神委員 答えられていること、いろいろ解釈もできると思うので、もっと具体的な話に移りたいと思います。

 我々がこだわっているのは、条文を見ても、法治国家の話もありましたが、もっと具体的に言うと、これはやはり国民の負担の話ももちろんあるし、そして電力会社という公益の色彩も強いながらも民間の企業があって、ここに対して政府が行政権を発動して、これはもう直接的に、強制的に仕入れを、太陽光の余剰電力を買わせるということであります。だから、国民の権利義務に深くかかわる話であって、そういう意味では、法律にある程度書いていないと、白紙委任ではやはり厳しいというふうに思っております。

 今回の第五条、根拠条文と言われる第五条は太陽光発電に関する固定価格買い取り制度を事実上白紙委任しているんじゃないかというふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。

石田政府参考人 第五条でございますけれども、第五条に基づきまして、再生可能エネルギー、これは定義の中に太陽光というものも明記されているわけでございます。そういった太陽光を含む再生可能エネルギー源の利用に係る費用の負担の方法について、エネルギー供給事業者、ここには電力事業者が含まれるということは定義で明らかになっているわけでございますけれども、判断の基準となるべき事項を経済産業大臣が定めて、これを公表するということにされているわけでございます。

 また、判断の基準を定める場合には、二項におきまして、「非化石エネルギー源の利用に関する技術水準」あるいは「再生可能エネルギー源の利用に係る経済性その他の事情を勘案して定める」ということで、そういう制約条件も規定をされております。

 これに基づきまして、こうした枠の中で経済産業大臣が法律の授権に基づいて判断の基準を決めるということでございますので、決して先生言われるような意味での白紙委任であるというふうには考えてございません。

 なお、当然、大臣が判断の基準を告示で定めるに当たっては、専門家が参加する審議会での審議はもちろんですが、パブリックコメント等を経て、国民の負担の程度等についても、透明性を確保する中で制度設計の詳細を進めてまいりたいというふうに考えております。

北神委員 今いろいろ制約条件がある、そして第五条に、大臣が定める判断基準の、費用の負担のあり方とか利用目標とか、そういったものが書いてあるから、これは白紙委任でないという話であります。

 私、長官でもいいんですけれども、ぜひお話をしたいのは、白紙委任とか、その対である個別具体的な委任、この二つの概念がありますよね。それについて、私なんか租税法の教科書とか見ると、簡単に言えば、委任する権限、だから法律から行政立法、政令とか省令、大臣告示、これに委任する権限の内容と目的と程度、この三要素ぐらいがやはり法律に書かれていないといけないということなんですよ。

 これは通告もしていないし、細かい話ですから、その辺、別に細かく議論するつもりはないんですが、申し上げたいのは、大事なのは、委任する権限と言っている場合、この第五条というのは、全体のスキームでいくと、要は、大臣が全体の方針を決める、そして事実上電力会社さんに計画を出させるわけですね。その計画がいいかどうかという判断基準というものをこの第五条に定めているわけですよね。

 ですから、ここで私とか近藤委員が問題にしているのは、ここで言う権限というのは何なのかというと、まさに法律で、さっき申し上げた国民の権利義務関係に関与するわけであるから、第一義的には電力会社に仕入れを、買い取りを強制するというこの権限、この権限が本来は法律で規定されているべきだというふうに思うんですよ。ところが、おっしゃった、いろいろな利用目標とか、そういうようなものが規定されている。そういうことは結局判断基準の話をされているわけであって、我々が問題にしているのは、まさに電力会社に対して直接経営に関与するということが一つ。もう一つは、間接的に、事実上、電気料金を払っている国民の方々に対して負担を強制する。この二点についての権限というものが全くこの法案に書いていないわけですよね、行政の権限が。

 だから、白紙委任というよりか、もっと言えば、何もここに書いていなくて、ちょっと極端に言えば、大臣は何の法案も提出せずにここに出てきて、いや、ちょっとこういうことを電力会社に計画を提出させようと思っているんだと。まあ、計画を提出させるというここの行政の権限はあると思うんですが、電力会社が強制的に、具体的に仕入れを、買わせるというこの権限については全く触れていないんですよ。これはやはり相当ひどいと私は思うんです。

 これについて、長官、どう思われますか。

石田政府参考人 ちょっと先ほどの答弁の繰り返しになるかもしれませんが、第五条の、判断の基準となるべき事項を経済産業大臣が定めるという根拠条文でございますが、ここに、第二号に、再生可能エネルギー源の利用に係る費用の負担の方法を定めることができるということになっているわけでございまして、まさに費用の負担の方法という中で、太陽光発電の買い取り制度、あるいはそれに必要になります費用をどういうふうに関係者で負担するのかということについて、経済産業大臣が判断の基準、まあ、判断の基準というのは、わかりやすく言うと事業者に対するガイドライン的なものの中で示すということが授権をされているというふうに考えております。

 この判断の基準というものは、この法律の体系のもとでは、先生まさにおっしゃられたように、電気事業者から個別に計画をいただいて、それを審査して、問題がなければあれですけれども、判断の基準にかなりそごしている、取り組みが十分でないというような場合には、最終的には勧告、命令まで出せる、こういうスキームになっておりますので、そういった意味で、この法律に基づいて授権、あるいはそれを実行する枠組みができているというふうに考えております。

北神委員 今の私の質問に対しては、判断基準の中に費用負担のあり方について大臣が基準を定めることができる、だから白紙委任ではないというお話だと思います。ここも議論の余地はあると思いますが、要するに、費用の負担といっても非常に抽象的にしか書いていない、やはり、多少もう少し具体的に書いて、それに基づいて政省令に落とすということが普通、通常だというふうに私は思っております。

 もう一つは、国民に対する負担、これに対する権限はどこで担保されているのか、教えていただきたいと思います。

石田政府参考人 これにつきましては、この法律の中では、例えば十四条には、費用の円滑かつ適正な転嫁に寄与するための国の広報活動の重要性みたいなものもうたわれているわけでございまして、最終的に、特定エネルギー供給事業者が再生可能エネルギーの利用を進めた場合のコストについては、当然、その需要家にそれを適切に転嫁していくということが想定をされております。

 私どもとしては、こういったことも前提としながら、今回の制度設計、詳細を進めてまいりたいというふうに考えています。

北神委員 今の質問に対しては、第十四条の方にあって、これは広報活動の話ですね。太陽光の利用に、固定価格買い取りによって発生する費用の適正な転嫁に寄与するために、広報活動を通じて国民の周知を図り、その理解と協力を得るよう努めなければならないものとすると。

 これも不思議な条文で、今まで費用の円滑かつ適正な転嫁という話が全く条文に出てこないのに、いきなりその広報宣伝活動の中に亡霊のようにあらわれてくるという意味で、非常に法律として不思議な気がしますが、これをもってその権限を法律から政省令に、その国民の負担の部分ですね、委任をしているというのはとても読めないと思いますが、いかがでしょうか。

上田政府参考人 少し法律に関する御説明を申し上げたいと思います。

 私ども、この法律におきまして、まず、先ほど長官から申し上げましたように、法律上、この固定価格買い取り制度を実施する根拠は、第五条第一項第二号の費用の負担の方法ということであると考えております。

 ここのところになぜ固定価格という言葉が書いていないのかということにつきましては、再生可能エネルギー源の利用に係る費用の負担の方法といってもさまざまな手法があるわけでございます。例えば相対交渉で買うというのもございますし、従来もRPSのもとでそういうことをやってきたわけでございまして、太陽光の固定価格につきましても、先ほども御議論がございましたように、市場価格で太陽光が普及するような状況になれば、固定価格買い取り制度というものもまた別の制度に移行することもあり得るかもしれない等々考えますと、この費用の負担の方法というものについて、固定的な費用負担の手法を書くというよりも、さまざまな手法を総称する形でこの費用の負担の方法というふうに書かせていただいたというのが事情でございます。

 また、この判断基準そのものは、全く自由に白紙委任されているかというと、これもそんなことはございませんで、第五条第二項に、判断の基準となるべき事項は、エネルギー需給の長期見通しであるとか、利用の状況であるとか、技術水準であるとか、経済性であるとか、そういった事情を勘案して定めろというふうに規定されておりまして、定性的ではございますけれども、判断基準の基準となるような事柄につきましては法律に書いてあるところであると思います。

 また、転嫁の話は、今の十四条のお話でございましたけれども、この十四条の条文を読んでいただきますと、大変恐縮でございますけれども、こういった再生可能エネルギーに関する費用を電気等々の対価に適切に反映させることが重要であることにかんがみ、その費用の円滑かつ適正な転嫁に寄与するよう広報をするという規定がございまして、先ほどの五条の費用の負担の方法ということの、その発生した費用というものを対価に適切に反映させることの重要性というのを十四条で規定した上で、政府においてその広報活動を行う、こういうふうな考え方で整理をさせていただいているところでございます。

北神委員 費用負担の方法について、一つは、いろいろあるから固定価格買い取り制度に限定しないと。では、今のこの条文で、その運用上、ほかのことはどういうことを考えておられるんですか。

上田政府参考人 これは、太陽光につきましては、例えば固定価格買い取り制度を考えているわけでございますけれども、この条文、再生可能エネルギー源の利用に係る費用の負担の方法でございます。現在のRPS法のもとではその量的な義務づけが行われているわけですが、価格については決めておりません。したがって、その費用につきましては相対交渉の中で価格を決めていく、例えばそういうことを予定しているわけでございます。

北神委員 つまりこの条文で、ほかのRPSに出てくるようなエネルギーについて、新たにその価格を決定するという理解でいいんですね。そういうことですね。さっき審議官がおっしゃったように、RPS法に載っている新エネルギーの、量じゃなくて価格の方をこの条文、第五条によって新たに規定する、そう言ったじゃない、今。

上田政府参考人 失礼いたしました。

 私が申し上げたかったことは、再生可能エネルギー源の利用に係る費用の負担の方法というものにつきましては、さまざまな手法があるわけでございます。御指摘のような固定価格買い取り制度につきまして、太陽光につきましては私どもそれを予定しているわけでございますけれども、それも一つの費用の負担の方法であると考えております。また、太陽光以外のものにつきまして、風力、バイオマス等々につきましては、現状のスキーム、これは具体的に価格等は相対交渉によって決まってくるわけでございますが、そういったものもこの中に含まれる、そういう趣旨を申し上げたつもりでございます。

北神委員 いや、含まれるとあいまいにおっしゃっているけれども、この法律が通ることによって、第五条を根拠として、その太陽光の固定価格以外の非化石エネルギーに関する政策というのは出てくるんですか。出てこないわけですよね。

 だから、そういった意味では、おっしゃっていることは、さっき副大臣がおっしゃっていた、これから柔軟に機動的に対応するという話にほかならないんですが、それをちょっとあいまいにごまかされているだけですが、でも、これは固定価格しか今想定していないんだったら、費用負担の方法というあいまいな書き方じゃなくてはっきり書けばいいじゃないですか。それが一点です。

 それからもう一つは、さっきおっしゃっていたことで、白紙委任じゃない、エネルギー需給の長期見通しや特定エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用の状況、非化石エネルギー源の利用等の技術水準、再生可能エネルギー源の利用に係る経済性等の事情を勘案する、だから白紙委任じゃないんだというふうに言うけれども、私らが申し上げているのは、電気事業者に、電力会社に強制をする、そのときにいろいろなことを配慮しなければいけませんよね、その経済性のことについてはここに触れているかもしれませんが、さっきの国民の負担のことについては、それが適正なものにとどまるとか、そういったことをやはり本当は制約条件として書かなければいけないというふうに思うんですが、それについては全く触れていないんじゃないですか。それとも、等で読むんですか、これは。

石田政府参考人 今の先生御指摘の点については、この判断の基準となるべき事項を定めるに当たって、その経済性、再生可能エネルギー源の利用に係る経済性その他の事情を勘案しということが書いてございます。この経済性という中には、電力会社がこの導入を進めるに当たって、経済的に合理的な範囲で、例えば私どもが買い取り価格の水準を決めるときに適切な水準というものをこの制約に従って判断してまいりたいというふうに考えていますけれども、それが転嫁をされるということになれば、先ほどの十四条にもございますけれども、電気の対価に適切に反映させるということで、この適切にという中で、当然、おかしな形での転嫁が行われないようにということについては、この法律においても縛りがかかっているものというふうに考えています。

北神委員 非常に苦しい説明だということはわかりましたが、法制局はこれを通したんですよね。法制局、これでいいんですか、こんな条文で。

近藤政府参考人 お尋ねの、このエネルギー供給事業者に関する新法でございますが、最初に今回の法律の枠組みでございますけれども、大臣が基本方針を定めて、その後に判断の基準となるべき事項を示し、さらに一定規模以上の事業者については、著しく不十分な対応の場合には勧告、さらには慎重な手続を経て命令をかける、こういう枠組みは、資源、エネルギーの分野、あるいは環境・リサイクルの分野における多くの法律で取り入れられている手法でございまして、これはエネルギー庁ですと、エネルギーの使用の合理化に関する法律、いわゆる省エネ法というもので非常に長く運用されている制度でございます。

 それでは、事業者に一定の政策目的の実現の目安を示して、それになるべく自主的な取り組みを誘導していきたいという形で、余り強い強制力を働かせずにそちらへ誘導するという、一つの、法律を通じたガイドライン的な行政運営のやり方の法律のパターンでございまして、今回も、エネルギー庁の方からは、そういう方式で、ある程度、事業者、電気以外にもガス、熱供給あるいは石油関係者がおられますので、皆さんのそういうなるべく自主的な、政策への理解と取り組みを誘導していきたいということで、同じような体系でやりたいということで御説明がございました。

 そういう意味では、今回のものにつきましても、そういう他の法の類型と同様に、これまでるる御議論がございますけれども、五条一項という、判断の基準となるべき事項につきまして、目標、それから、どういう事項を定めるべきかという枠、それから、定める際にどういう事項を経済産業大臣が勘案すべきかというところについて、今の段階で書けるものはなるべく書き、それで、判断の基準となるべき事項の外縁をきちっと確定しておくということ。

 それから、一定規模以上の方につきましては八条の一項で勧告がございますけれども、「著しく不十分」ということで、もともと、自発的な作業を誘導していくということで、安全基準みたいにびしっとということではございませんので、全体としての取り組みをきちっと誘導していくということでございますので、著しく不十分な場合には勧告をする。

 さらに、命令が八条二項にございますけれども、そこにも、正当な理由があって守れないときは仕方ないということも書いてございますし、さらに、総合エネルギー調査会という第三者機関の意見も聞いて命令を出すという非常に慎重な体系をとっておりまして、そういう意味では、最初のところの判断基準から最後の強制的な措置に係るところは非常に慎重な手続でやっていく、こういう形の法の枠組みというのはこれまでも幾つかの法律で認められているということで、私どもも、そこはこの法律体系でいけるというふうに理解しております。

 五条一項の判断基準は、実際の事業者の特性に応じて、個々の実態に応じて具体的に、機動的に変えていくという性質を持っておりますので、どうしても、ある時点で特定のものに決めることは不可能ということで、これまでも他の法律でも、基本的には主務大臣がいろいろな事情、実態、あるいは業界の状態を勘案しながらやっていくということになっておりまして、それと全く同じような法体系となってございます。

北神委員 部長にもう一回伺いたいのは、ほかのエネルギー・環境関係の法律と同じようなスキームだという話ですが、それはほかの法律は、そういう、民間の会社の経営に介入するとか、要するに、仕入れをある一定のものに限定して強制的に買わせる、あるいは国民の負担に、事実上、さっきの近藤委員の話もありましたが、負担を強制する、こういったものも含まれているんですか。

近藤政府参考人 ちょっと、突然のお尋ねで、いろいろなものの、大臣の告示であったり省令であったりで定められている部分でございまして、そこについて、個々の法律ごとに、済みません、詳細を承知しておりません。

 そういう意味では申し上げにくいのでございますけれども、具体的な判断基準の中である一定の数字を示したり比率を示したり、そういうようなことは当然あり得て、それに対して、事業者の方が対応せざるを得ない何らかのコストが発生してくる。いろいろな諸規制に対して事業者にコストが発生するというのは不可避な面がございますので、そういう意味では、そういうことはおよそ織り込んでおって、そこはただ、各主務大臣が、余りきついことをやるとなかなか経営がうまくいかない、そこは、どういうふうにやると一番円滑に政策が達成できるかというところをまさしく御判断されながら、どの程度の内容のものを事業者に示していくかというところは御判断されているんだと思います。

北神委員 よくわかりました。

 要するに、事業会社に対してはこういうスキームはあり得ると。それは私も何となく常識的にわかる。ただ、今回は、十四条にもはっきり書いてあるように、国民への負担の転嫁というものが入っている。そこまで明示的に想定をしているわけですよね、この法案は。根拠とまでは言えないけれども、想定をしている。そういう法案は考えられますかね、ほかの法案で。ちょっと通告していないので、また後で教えていただければというふうに思います。

 では、違う視点からちょっと申し上げたいと思いますが、これはどなたでも結構ですけれども、今回は電気料金がふえるということでございますが、私が申し上げているのは、これは基本的に公共料金として、税金に極めて近いものであると。

 税金には当然、租税法律主義というものがあって、その租税法律主義は憲法上保障されるべき話である。もっと言えば、なぜ租税法律主義なのかというと、その法律の安定性とか予測可能性、つまり、税金を取られると、当然、経営計画を立てるときとか、一年間どうやって自分の家計を回すかというときに、税金がどのぐらいあるのか、そういったものをちゃんと明示的に示してもらわなければいけない。安定性のことで言えば、それがころころ変えられたら困るから、法律で、最も民主主義の中で厳格な国会の審議を経て成立をして、それでしか変更することはできないんだ、そういう安定性の中でみんな経済活動や生活を営んでいる。税金はそういう考えがありますが、今回の電気料金の引き上げについてはどうお考えでしょうか。

 それとあわせて、電気料金の引き上げと私も安易に言っておりますが、電気料金というのは厳密に言えば電気事業法上の電気料金であって、この法律によって生じるものはいわゆる電気事業法の電気料金ではないというふうに私は解釈をしているんですが、それもあわせてちょっとお答えいただければ。

石田政府参考人 今御質問の点でございますけれども、租税と今回の買い取り制度に伴う負担との差ということでございますけれども、この太陽光発電の導入というのは、電力会社あるいは電力のネットワーク全体にとって、エネルギー安全保障、安定供給を高めるということと、地球温暖化問題にも貢献をするということで、これは電力システム全体として非常に意義の高いものというふうに考えております。

 その意味で、この制度は、国が一方的に国民から金銭を徴収する租税というものとは違って、家庭の太陽光発電による余剰電力について、その対価を広く薄く電力の需要家に求めるというものでございます。したがって、いわゆる租税法定主義というものとの並びというのは当たらないのではないかというふうに考えております。

 それから、後の方の御質問でございますけれども、確かに、これは電気料金ということではなくて、まさに、電力会社が太陽光発電をこの制度によって買い取ることによって生じた一定の費用について、実績主義でこれを需要家から徴収するという性格のものでございます。

北神委員 税金との比較の話でありますが、対価だということですが、これもちょっと怪しい話で、では税金というのは何なのかというと、国家が公共サービスを提供するために私有財産を侵してお金を取ることだというふうに思いますが、この太陽光の話について言えば、国家が、大臣が自分の方針で、太陽光パネルを普及することによって太陽光エネルギーを推進したいと。その政策目的のために、言ってみれば、民間の事業会社に仕入れを強制して、かわりに、税金を取ってもらって国民の負担をお願いしている。

 そういう意味では、私、余り税金と基本的に変わらないというふうに思いますし、生活者の観点からいえば、これは別に電気料金じゃないんですよね、おっしゃるように。電気料金じゃないので、これは何なのかというと、太陽光パネルの普及あるいは太陽光エネルギーの推進のためにみんな全員参加で払っているということですから、私は、これは極めて税金に近いというふうに思いますが、いかがでしょうか。法制局はどう思いますか。

近藤政府参考人 済みません、法制局で、少し憲法の問題でございます。

 先生御承知のとおり、憲法上の八十四条の租税法定主義におきます課税につきましては、国または地方公共団体が、その課税権に基づいて、その使用する経費に充当するため、強制的に徴収する金銭のことをいう、これは芦部先生の憲法論でございますけれども。ということで、もちろん、形式的な租税だけではなくて、国が強制権に基づいて収納します課徴金ですとか負担金ですとか手数料ですとか、いろいろなものもこういったものに基本的に入るということで、財政法三条でもそういう形で記述がしてございます。

 そういう意味からは、電気料金、あるいは電気が、供給約款に基づいて徴収するいろいろな、使用料に当たるようなものにつきましては、租税には当たらない、租税法定主義の適用はない世界であって、電気事業法の世界で規定されるべきものというふうに理解しております。

北神委員 おっしゃったのは、いわゆる厳密な租税じゃない、憲法上、租税法定主義の租税ではないというお話ですが、法律の考え方として、似ているものであれば、やはりそれに準じて考えるべきだというふうに思いますが、それについてはどう思いますか、法制局として。

近藤政府参考人 先ほどから少し御議論を聞きまして、実は、正直申し上げまして、私ども、判断となるべき事項で、どういう制度を具体的にどういうふうに組んでいくのかということについては詳しく承知しておりません。そういう意味では、ある程度の費用負担というのが非常に大事である、そういうことについてきちっと大臣が示しておくことが大事であるということでああいう規定を置きたいということの御説明はございましたけれども、ただ、どういうふうに取り、どうやってどう転嫁させるかというところについては、恐らく、電気事業法における、経産大臣がどういうものを原価として見て、あるいはどういうものをどういう約款の中に載っけていくかというところであり、そこについては、済みません、恐縮でございますが、詳しく存じ上げておりませんので、ちょっと今の点についてはお答えできません。

北神委員 今おわかりのとおり、大臣、大体の大枠は示されているというふうに思いますが、これは制度の設計も全く、少なくともこの法律をつくる段階ではできていなかった、少なくとも法制局には説明をしていない、これでいいんですか、長官。

石田政府参考人 今、法制局の方がお答えになったのは、制度の詳細については話を聞いていないという趣旨だというふうに理解をしております。私ども、当然、法律の審査を受ける過程で、こういった太陽光の買い取り制度について、法制局の方にもその骨格を御説明して御理解をいただいているというふうに承知をしております。

北神委員 制度の設計についても、私は、いろいろ話を伺っている感じでは、これから審議会にかけるとかいろいろな議論をするとか言っておられますから、詳細というのはどこまでが詳細か、いろいろあると思いますが、そういったことを考えると、非常に性急にやられている。この法律も非常に性急にやっておられる。

 だから、私は、こんな法案は、正直、見たことがないぐらいずさんですよ。委任も、こんなに漠然と書いていて、すべて大臣告示にゆだねる。これも、法制局、何か異論があったら教えてほしいですけれども、大臣告示というのは、行政権が、行政権というのは予算と法律の執行ですから、その執行にかかわることについて、手続的なこととか数字的なことを定めるのが普通は大臣告示ですよ。

 ところが、この法案は、太陽光発電の固定価格買い取り制度の制度をそのまま大臣告示でやろうとしている。しかも、その制度は、民間の会社の経営を多少ゆがめる話であり、さらには、間接的には国民の負担につながる話をすべて大臣告示にゆだねている。これはやはり私は、そんなにたくさん法律を見たことはないですけれども、私の経験ではこんなのは初めてで、こんなのはやはり、私は内容のことを言っているわけじゃないんですよ、大臣、だから、法律の形式的な話ですけれども、一応民主主義ですから、この形式が大事なわけであって、予測可能性、法的安定性というものを担保するために修正をぜひともお願いしたいというふうに私は思いますが、大臣、どうでしょうか。

石田政府参考人 大変恐縮でございますけれども、繰り返しになりますけれども、決して白紙委任ではないということにつきましては、先ほど来御説明させていただいておりますように、制度の詳細については法律の委任に基づいて経済産業大臣が定めることになっておりますけれども、その際には、法律上の要請として、非化石エネルギー源の利用に関する技術水準あるいは再生可能エネルギー源の利用に係る経済性等を十分に勘案して定めるというようなことがきっちりと定められているわけでございます。

 その上で、再生可能エネルギーの特性に機動的に対応しながら判断基準が適切に定められるように、その範囲で必要な事項は法律に規定をされているというふうに考えております。

北神委員 白紙委任かどうかというのは、今までの議論で、私は白紙委任だというふうに思いますし、違う観点からいえば、例えば、電気料金そのもの、私の資料にもありますが、電気事業法でいろいろな制約条件を書いているわけですよ。電気料金を引き上げるときにいろいろな支障を来さないように、いろいろな要件を書いていますね。適正な原価に基づいて定めるとか、あるいは差別的な対応にならないようにするとか、そういった条件が法律に書いてあるわけでございます。

 これは電気料金の電気事業法ですから、電力会社さんがいろいろな経営の判断の中で、戦後は一回しかなかったみたいですが、引き上げたときに、こういった条件をクリアして、それをさらに公聴会を経て、そして大臣の認可というものを得ないといけない。これは普通の電気料金でさえそうなんですよ。今回おっしゃっている話というのは、政策目的で、太陽光の推進のために負担をお願いするという話なのに、電気事業法との比較でいえば、法律にほとんど何も書いていない、これはやはりおかしいんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

石田政府参考人 今の点でございますけれども、いわゆる電気料金、適正な原価であるかどうかということを審査して電気料金の値上げについて審査、認可をするというものと、今回のこの太陽光発電の買い取り制度とはかなり違う側面があると思っております。

 今回の買い取り制度につきましては、むしろ、この新しい法律に基づいて、制度の詳細が決まりますと、一定の要件を満たしたものであれば電力会社が太陽光発電による電気の買い取りを義務づけられるという形になりますので、これによって、実績として幾らコストがかかったかということがはっきり出てくるということでございます。

 その点につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、政府としては、きっちりとした計算式なりを示して、それに基づいて電力会社がその実績を当てはめて出してきたものについては、これは審議会等でもちろん検証することは必要だと思っておりますけれども、それを需要家に転嫁することを認めていくということでございまして、原価そのものを改めて審査せざるを得ない電気料金の場合とはおのずと性格が異なるものというふうに考えております。

北神委員 うちの党も、大体、何と全量買い取りということも主張しているんですね。私は若干考え方が違うんですが。そういう意味で、別に私は内容にとやかく言うつもりもないし、はっきり言って足を引っ張るつもりも全くないんですが、これは、我々の委員会の、我々それぞれ委員として、こういうものを通して、本当に国民の負担がふえる、そして具体的にいろいろな問題が生じる可能性もあるわけであります。

 これはやはり、我々がやっていることは国会の立法権を委任するということですから、それがこの法律に何にも書いてなくて、全部大臣告示に任せる、あとは審議会とかいろいろやるからそれは任せてくださいという話はちょっとひどいというふうに私は思います。

 これは大臣も、官僚たちも気の毒ですよ。大臣の強い指導力というのはわかるけれども、やはり時間も与えてあげないといけないし、役人の方も、行政と法律のプロとしてこんなものを出して、私の感覚でいえば、こんなのはあり得ないですよ。皆さんは、それはもう決めちゃったから、提出したから無理にいろいろな理屈をつけていますが、私は、正直、一言指摘をしたいというふうに思っております。

 というのは、現実に、民主党が政権をとったとするじゃないですか。そのとき、全量買い取り制度、これはこの法律でできますよ。だって、大臣がかわって、古川元久経済産業大臣なのか、増子経済産業大臣なのか知らないけれども、その考えで、大臣告示の話だから、別に国会に何にも諮る必要ないんですよ。それで、やはり全量だろうという話もあり得るわけですよ。まあ、これは仮定の話ですよ。

 そういうことで、国民とか電力会社にとっては、これは安心できないな、不安だな、法的安定性の問題もあるかもしれないし、あるいは予測可能性のことからいって、極めて問題なんですよ。そういう人もいる。別にみんなが不安になるかわかりません。私はちょっと不安ですけれどもね。そういうことで、本当にそういうことも可能ですよね。これはどうお考えですか。

石田政府参考人 まさにおっしゃるように、法制的には、告示の内容ということで、変えられることは可能だと思います。ただ、累々御説明させていただいておりますように、全量買い取りとした場合には負担の問題というのは当然大きくなりますし、省エネ努力をそぐんではないかというようなこともございまして、政府としては、そういった全量買い取り制度は採用しないという方針で臨んでいるということでございます。

北神委員 今の例はまた民主党の環境派に怒られるかもしれませんので、違う例からいえば、逆に、例えば大臣の前の甘利大臣なんかは固定価格買い取り制度にかなり否定的でしたよ。同じ自民党政権でも大臣がかわって、こんなのはだめだ、もっと違う方法で太陽光を推進すべきだという大臣が来ても、これも大臣告示で変えられるわけですよね。これは、そういうことからいえば、ああ、そうですか、大臣がそうおっしゃるんだったら、たったの百円の負担か、余剰買い取りか、それだったら大臣の言葉を信じて通そうじゃないかということを我々が判断を迫られているわけでございます。それだけ指摘とさせていただきますが、これは、やはり我々、それぞれ委員も深く考えていかないといけないというふうに思っております。

 最後の質問になりますが、電気料金の話ですが、さっき長官おっしゃいましたが、いわゆる電気料金そのものではないと。例えば、電力会社さんがこれから消費者に対して請求書を送るときに、普通は電気料金幾ら幾らというふうに書いてあると思いますが、これは、この負担の分についてはどういうふうに書かれるんでしょうか。

西山政府参考人 そこはこれから詰めてまいらなければいけないと思いますけれども、太陽光に関する、買い取りに関係する負担金というようなことで、約款の中に盛り込むことになるだろうと思います。

北神委員 それでは、これは電力会社の約款ですよね、約款に太陽光に関する負担金という文言が入るわけですか。

西山政府参考人 そこはこれから詳細を検討しなきゃいけませんけれども、国民の皆様にも何のためのお金かということをはっきりわかるようにするということは重要なことだと思います。

北神委員 その場合、近藤委員も質問されたと思いますが、自分は太陽光なんか推進してほしくない、あるいはお金持ちの人たちの助けをしたくないというような人たちがもしいた場合に、要するに不買運動みたいな話になり得るんじゃないかということが一つ。

 もう一つは、百円というのは平均的な家庭の話ですが、例えば工場とか大規模な施設、こういったところは物すごくお金が、負担がかかる場合もある。こちらの領域は自由化されておりますから、大体相対取引ですよね。そういうような中で、太陽光の負担金をこんなに取られるんだったら、では、電力会社さんは電気料金の方を下げろということも経営のことを考えると十分あり得るというふうに思いますが、こういったときに大きな問題があると私は思いますが、それをどうお考えかということ。

 広報に相当力を入れないと、理解をしてもらわないと現場の方が非常に困るということについてどうお考えか。

 三点、質問させていただきました。

石田政府参考人 先生御指摘のように、太陽光発電の買い取り制度の負担の問題というのは、まさに全員参加型ということで申し上げていますけれども、これは、家庭部門のみならず産業部門においても、太陽光発電の導入によってエネルギーセキュリティーが向上する、あるいは温暖化対応が進むということで裨益を受けるわけでもございますので、広くひとしく負担をしていただくというふうに考えてございます。

 そのために、まさにこの法律の十四条にも書いてございますように、国民に対する周知あるいは理解、協力を求めるための活動というのは重要なわけでございまして、自由化部門も含めて、今後、審議会の議論、あるいはパブリックコメントの実施、さらに広く国民に理解を求めていくためのさまざまな広報活動、先ほどもちょっと御説明いたしましたけれども、既に全国十カ所でソーラータウンミーティングなども開催をさせていただいておりますけれども、そういったプロセスを通じて、広く、家庭のみならず、産業部門の御理解も得ていきたいというふうに考えております。(北神委員「不買運動は」と呼ぶ)これは先ほどちょっと申し上げましたけれども、理解を求めるということはもちろん基本でございますけれども、不払いの場合には、約款の手当てがどうなるかにもよりますけれども、悪質な場合には最終的には電力の供給を切るというようなことも含めて徴収を担保していくということになろうというふうに考えています。

北神委員 終わります。ありがとうございます。

東委員長 これにて北神圭朗君の質疑は終わりました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 一昨日の大臣の提案理由説明の中でも、再生可能エネルギーとともに原子力などを含む非化石エネルギーの導入の促進ということを挙げておられました。

 そこで、最初に、これは政府参考人の方に伺っておきますが、今プルサーマル推進ということが出てきておりますが、一体プルトニウムの割合が幾らのMOx燃料なのかということがよくわからないので、これは最初に確認しておきたいと思うんです。私の方から、僕は早口だからぺらぺらとしゃべりますから、その数字が間違っていたら間違っていたということだけ言ってもらったら結構です。

 北海道電力泊原発三号で核燃料ペレット中のプルトニウムの割合は一三%、女川三号で一〇%、浜岡四号で一〇%、高浜原発三号、四号ともに一三%、島根原発二号機で一〇%、玄海三号で一三%という数字は間違いないかどうかを確認しておきます。

    〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕

薦田政府参考人 お答えをいたします。

 ペレットの最大プルトニウム含有量ということではそれで正しいと思います。

吉井委員 それで、かつてMOxを燃やした各国で含有率が幾らだったかということを伺っておきたいんですが、フランスの場合ですと、サンローランB1の六・七%など、ベルギーではドール三などの原発で七・五%、ドイツでウンターベーサーなどの炉で六・三%、スイスでは七・三%というふうに、各国、大体それぐらいのところではないかと思うんですが、確認をしておきます。

薦田政府参考人 今述べられた数値は、恐らく平均値だろうと思います。プルトニウムの一体当たりの平均値というのは、PWRの場合大体九%、そして、その中で燃えるものは六%でございます。

 海外のものは、これに比べまして、燃えるものでいきますと、日本の六に対して五弱ということで、大体二割ぐらい少ないというふうに承知をしておるところでございます。

吉井委員 最初に言っておられた数字と比較して、プルサーマルというのは海外で多くの実績があるというお話だったんですが、計画中のものはプルトニウムの含有率が大体一・五倍から二倍高い。つまり、これだけプルトニウムの含有量をふやしたプルサーマルの実績というのは、実は海外でないわけです。

 六月二日の原子力委員会で、近藤駿介委員長は、電気事業連合会のプルトニウム計画について、公知の事実とのずれを修正し、納得感のあるものにするべきだ、六ケ所再処理工場の繰り返しの竣工延期を踏まえて電力会社のプルトニウム利用計画の修正を求めたということが伝えられておりますし、これは会議録を見れば出ているわけで、まず、修正を求められたという事実だけ確認しておきたいと思います。

石田政府参考人 ただいまの点につきましては、六月二日の原子力委員会の定例会議におきまして、おおむね委員長からそのような趣旨の御発言があったというふうに承知をいたしております。

吉井委員 そこで、この法律は、再生可能エネルギーの推進というのを一つうたっているんですが、それとは別に、非化石エネルギーの名で原発推進、プルトニウム推進が大きなねらいの一つになっているというところはやはり問題だと思うんです。

 次に、太陽光発電の住宅補助で見ますと、実は、電気料金で支払っている電源開発促進税、年間三千五百億円入っておりますが、その一割余りぐらいで、少し志が小さいんじゃないかと思います。

 せんだっての大臣の提案理由説明の中で、温室効果ガスを削減することが重要な課題だというお話がありましたけれども、やはりそういう点では、この法律の目的に二酸化炭素排出削減というのをきちんとうたって、目標を大きく掲げて、それに向けた新しい産業革命とでもいうべきものを起こしていくということが大事ではないかと思うんです。

 そこで、経産省としては、二〇二〇年のCO2削減目標について、どのような設定をするべきである、あるいはどのような設定値をお考えになっておられるか、これを大臣に伺っておきたいと思います。

二階国務大臣 今、その目標数値を政府として決定する日が刻々迫っております。したがって、けさほども官邸で、総理を交えて、環境大臣、外務大臣あるいは財務大臣、官房長官等とで協議をしたところでありますが、これからまだ労働組合やあるいは経済界とも総理自身もお会いになって直接御意見も聞かれるようでありますから、今、環境省はこう考える、経済産業省はこう考えるというのは、もうそろそろ決定の終着点が目の前に見えておるところですから、我々は考えは申し上げましたが、数字を申し上げるのは適当な時期ではないというふうに判断しておりますから、私はまだ一切数字を申し述べておりません。まだ一、二回、このような会合を持たなくてはならないと思っております。

吉井委員 IPCCの二〇二〇年目標は先進国で二五%から四〇%ですから、今伝えられているものではかなり志が小さいというふうに思うわけです。

 次に、固定価格買い取り制度について伺いたいんです。

 この問題は、私は繰り返し、この委員会でもほかの委員会でも質問したりしてまいりましたが、ずっとこの間、経済産業省というのはかなり否定的でした。一年前までは大体だめだったんですが、ことし二月二十三日の予算委員会で私が伺ったときに、二階大臣の方から、革命的、改革的対応をしていくという御答弁もあり、それから数日ほど後でしたか、固定価格買い取り制度について発表されたので、これは非常に大きな変化であるというふうにそこは見ております。

 趣旨説明では、住宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の買い取りに限るとしているんですね。太陽光発電の住宅への爆発的普及を考え、そのことにより二酸化炭素排出抑制を考えるならば、初期投資の早期の回収までは全量買い取りとし、その後は余剰電力の買い取りへと移っていく制度設計というものをやはり考えていくべきではないかと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

二階国務大臣 余剰電力を買い取る制度であれば、各家庭において余剰電力をふやすために省エネ努力が働くことが期待できることは御承知のとおりであります。しかし、全量買い取りではこうした省エネ努力が働きにくいのではないかという思いがあります。

 また、国民負担のもとで太陽光発電の普及を促進する以上は、負担を抑える観点が重要ですが、仮に現在想定している買い取り価格のままで全量を買い取るということになりますと、家庭部門だけでも買い取り費用は約一・八倍になると試算され、御家庭の負担が重くなるのではないかと想定しております。

 こうした点を勘案して、今回の買い取り制度については、当初より、買い取り対象となる電力の範囲を余剰電力に限定するということにしておるわけであります。

    〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕

吉井委員 やはり環境対策と新しい産業革命とでもいうべき産業の発展、そういうことを考えたときに、一般家庭で太陽光パネルを設置しようとなると、初期投資をどれぐらいに抑えていくかという問題と固定価格買い取り制度で早期に初期投資が回収される、それ以降ならば、従来料金であっても家庭の負担もないし、電力会社の買い取りというのは実は総括原価の中の営業費用に入りますから、そのままそれは販売するわけですから、キャンセルされるわけですね。だから、電力会社の方の負担もないわけで、補助金と買い取り価格で大体五年から十年で設置費用が回収されるようになると、爆発的に普及が進むし、メーカーの側のコストダウンにもつながりますね。

 せめて初期投資を、言ってみれば、お金がある人しか手が出せないというふうなものじゃなくて、小型自動車並みの大体百万円以下になるぐらいの制度設計というものを、初期投資と固定価格、両方を組み合わせて考えていくことがやはり大事じゃないかと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

二階国務大臣 我々は、太陽光発電の普及を加速していくためには、初期投資の費用をなるべく早く回収できるような仕組みとするということが極めて重要であると思っておりますが、同時に、買い取りによる国民の皆さんの負担が大きくなり過ぎないようにということも重要な視点だと思っております。

 このため、今回の新たな買い取り制度では、ことし一月より開始した住宅用太陽光補助金等の支援措置と組み合わせることにより、例えば新築住宅において初期投資を十年程度で回収できるような仕組みとすることを検討しているところであります。

 できるだけ御負担を少なくして効果を上げることに留意しながら、今後も検討を加えていきたいと思っております。

吉井委員 再生可能エネルギー推進のための施策を、まだ少し弱いと思うんですが、制約が多いと思うんですが、これをもっと強めるということが今必要だと思うんです。

 ここで、政府参考人に伺っておきますが、電力料金は総括原価方式で決まるわけですね。原発の場合には、原発建設費等の資本費と年間莫大な維持管理費と高レベル放射性廃棄物処分費、それから、かつてに比べて十倍ぐらいにウラン価格は上がっておりますが、核燃料費、及び、再処理するとなると再処理コストが非常に高いものになっていますし、建設時の銀行借り入れに対する利子払い、これに営業費用と適正利潤を保障しますから、さらに電源開発促進税が加わってきて、これで総括原価が決まってきていると思うんですが、伺っておきます。

西山政府参考人 今おっしゃったとおりでございます。

吉井委員 それで、原発の場合は全額価格転嫁しているんですね。家庭用太陽光発電の買い取りというのは、不公平だという話もないことはありませんが、しかし、個人の屋根に太陽光発電設備を取りつけても、この設置費は個人に持たせるわけですから、電力会社の総括原価の中の資本費はゼロなんですね。再生可能エネルギーでは、電力会社にとって、燃料費もゼロです。放射性廃棄物処理費用の負担もゼロです。銀行への利払いもありません。

 つまり、初期投資を回収した後、余剰電力の買い取りということになりますと、その場合には、家庭でつくった電力を電力会社が買い取っても、とりあえずは営業費用に入りますけれども、しかし、その価格で販売するわけですから、キャンセルされるわけですね。だから、総括原価が膨らんでいくということにはならないと思うんですが、どうですか。

西山政府参考人 現行の総括原価方式のもとでございますと、おっしゃったように、事業者が太陽光発電から余剰電力購入ということで払った費用につきましては、他社からの電源調達による費用ということで、料金で回収を行うということになります。

 確かに、この中には買い取る電力会社における資本費等は入っておらないわけですけれども、ただし、こういった扱いは電源が太陽光かどうかということには限りませんので、ほかの卸電力会社から買う場合でも同じようなことになるわけでございます。それから、他社から購入した電力の費用には、実質的には他社の方の発電費用については入っているということになります。

吉井委員 他社の購入じゃなくて、家庭用の太陽光パネルで発電したものを電力会社が買っても、それは、営業費用に入るんだけれども、そのままの価格で、家庭に販売している価格で購入して、その価格で売ればキャンセルされるわけですから、総括原価がそのことによって膨らむことはないですねということを聞いているんです。

西山政府参考人 それはそのとおりでございます。

吉井委員 そこで、私は伺っておきたいんですけれども、再生可能エネルギーというのは、これは地産地消エネルギーなんですね。原発のように長距離送電システムと送電ロス五%なんかを考えると、もちろん系統連系のための研究開発費とか、それは考えるにしても、はるかに安く解決できる問題なんです。

 ところが、政府の法案では、風力、小水力、間伐材を使ったバイオマス利用とか、農畜産廃棄物等によるメタン、バイオエタノール等の利用による他の再生可能エネルギーによる電力の買い取り義務制度というのはないのではないかと思うんですが、確認しておきます。

石田政府参考人 ただいま先生御指摘のとおり、今回の制度設計の中では、太陽光以外の電気の買い取りについては措置をすることを考えておりません。

吉井委員 私は、再生可能エネルギーを推進するという立場に立てば、昨年は農商工連携の法案もつくったわけですが、もっと広く地産地消でやっていく再生可能エネルギーの推進を考えるべきだし、それも組み込むことを考えていかなきゃいけないと思うんです。

 次に、既に国民の皆さんが電気代で支払っている電源開発促進税三千五百億円というのは、これは目的税ですね。だから、どう使うかということが問題になってくると思うんですが、現実には、この電源開発促進税で賄われている立地交付金は、本来、文部科学省、厚生労働省、国土交通省などが補助金として支出されるべきものに使われているのではないかというふうに思うんです。

 例えば、二〇〇七年度、泊中学校改築事業、十一億三千六百九十九万円。本来これは文部科学省の予算ですね。しかし、これは各家庭の電気料金で賄われているんですね。こういう例がたくさんありますが、やはりこういうものは、本来、それを所管する省庁において、補助金、交付金等で措置するべきものではありませんか。

石田政府参考人 電源開発促進税の使い道でございますけれども、これは電源立地対策と電源利用対策とに分かれてございます。

 今先生御指摘の点は、電源立地対策にかかわる部分だと思いますけれども、これは、長期的、安定的に発電を行うベース電源の開発が電気の消費者の利益にとって明らかである一方で、立地地域にとっては、電源立地の利益が必ずしも地元に還元されにくい、あるいは立地に伴う環境保全等の不安、懸念が生じるといったようなことで、必ずしも電源開発が地元の利益に直結しないということから、電気の消費地と生産地の利益の公平を図る措置として、重要電源の立地を円滑化するために措置をしたものでございます。そういう意味で、この電源開発促進税をもって充てる、税収をもって充てるということになっているものというふうに考えております。

吉井委員 これは、目的税として、もともと電源開発促進が目的なんです。だから、太陽光発電の促進だとか再生可能エネルギーによる電力の促進というのは、文字どおり、この電促税そのものの、本来的な目的税に見合ったものなんですよ。そうするために法改正とか政省令の改正が必要だったら、それをやればいいわけなんです。

 もう一つだけ例を挙げておきますと、二〇〇七年度と二〇〇六年度で、広野町国際サッカー支援というので十三億四千万円使っておりますね。これは、サッカー場の建設その他は本来文部科学省の事業なんですね。何で電気料金で負担なのか。

 逆に言うたら、再生可能エネルギーで新しい電気を生み出そうと思ったら、三千五百億円、これを減らすのかふやすのかは別にして、現に三千五百億円入っているわけですから、これは大臣、最後に一言伺っておくんですが、やはり電源開発促進税というのは、さっき言いました初期投資、早く回収すること、それから、そのことによって環境対策も進めば、新しい日本の産業を推進するという点でも、やはり力になるものに対して、もっと前進的に解決していくといいますか、取り組んでいくことが必要だと思いますが、このことを伺っておきたいと思います。

二階国務大臣 電源開発の促進では、原子力発電等の重要電源立地を円滑化するための電源立地対策と、発電技術の開発や系統安定等を図るための電源利用対策に充当していることは、現在のところは御承知のとおりであります。

 そこで、電源立地対策は、電気の生産地と消費地の利益のバランスをいかに図るかという観点から事業を行うものであり、太陽光発電との関係は、やや関係が飛躍しているのではないかと考えております。

 一方、電源利用対策においては、電気の供給の円滑化を図るという観点から、太陽光発電の導入に伴う系統安定化対策事業等の必要な事業を進めてまいります。

 いずれにせよ、電力の安定供給や地球温暖化対策の観点から、原子力発電の推進は極めて重要であります。電源開発促進税の税収については、引き続き原子力発電に重点を当てて活用してまいりたいと考えております。

吉井委員 時間が参りましたので終わりますが、地産地消のエネルギーの促進のためにやはり電源開発促進税というのはうんと使っていくべきだ、このことを申し上げて、終わりたいと思います。

東委員長 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、来る十日水曜日午前九時五十分、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十日水曜日午前九時四十分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十一分散会


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