衆議院

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第16号 平成21年6月10日(水曜日)

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平成二十一年六月十日(水曜日)

    午前九時五十一分開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 中野 正志君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 大島  敦君

   理事 赤羽 一嘉君

      安次富 修君    小此木八郎君

      小野 次郎君    岡部 英明君

      片山さつき君    川条 志嘉君

      木挽  司君    高村 正彦君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    新藤 義孝君

      平  将明君    谷畑  孝君

      土井 真樹君    中野  清君

      橋本  岳君    林  幹雄君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      武藤 容治君    安井潤一郎君

      山本 明彦君    太田 和美君

      北神 圭朗君    後藤  斎君

      近藤 洋介君    下条 みつ君

      鈴木 克昌君    田村 謙治君

      古本伸一郎君    牧  義夫君

      三谷 光男君    高木美智代君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      吉川 貴盛君

   経済産業大臣政務官    谷合 正明君

   政府参考人

   (内閣法制局第四部長)  近藤 正春君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  岡  誠一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小栗 邦夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西本 淳哉君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 石田  徹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        北川 慎介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      西山 英彦君

   政府参考人

   (国土交通省河川局次長) 田中 裕司君

   参考人

   (国立大学法人東京工業大学統合研究院教授)    柏木 孝夫君

   参考人

   (電気事業連合会会長)  森  詳介君

   参考人

   (財団法人日本消費者協会参与)          長見萬里野君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十日

 辞任         補欠選任

  林  幹雄君     安次富 修君

  安井潤一郎君     小野 次郎君

  近藤 洋介君     古本伸一郎君

  牧  義夫君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  安次富 修君     林  幹雄君

  小野 次郎君     安井潤一郎君

  鈴木 克昌君     牧  義夫君

  古本伸一郎君     近藤 洋介君

    ―――――――――――――

六月九日

 商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案(内閣提出第五五号)

 石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五六号)

 商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案並びに石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 本日は、参考人として、国立大学法人東京工業大学統合研究院教授柏木孝夫君、電気事業連合会会長森詳介君、財団法人日本消費者協会参与長見萬里野さん、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度挙手で委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず柏木参考人にお願いいたします。

柏木参考人 柏木でございます。

 私は、経済産業省の新エネ部会長をずっと拝命しておりまして、その観点からのコメントをさせていただきたいと思っております。

 レジュメを用意してございますので、これに沿って話をさせていただこうと思います。

 私は研究教授でございますので、自分の持論も踏まえて、この新法を取り巻く背景並びにその社会的意義から述べさせていただこうと思っております。

 昨今、去年の石油のボラティリティーの増大、あるいは地球環境問題、中期目標、きょう麻生総理が中期目標を政治決断されるやに聞いておりますけれども、今、世界を取り巻くこの低炭素型社会への流れというのは極めて急激に動いている。特に中期目標に関しては、ポスト京都のフレームをどう決めていくかという話ですから、緊張感が非常にある政治的課題だというふうに理解しております。我が国もこれに追随すべく、法律の整備も、低炭素型へがっとシフトさせる法律というのは今まさに必要じゃないかというふうに思っておりまして、この一つの新法と一つの改正法。

 省エネ国家は、もう既に一九七九年に省エネ法ができておりますから、規制法ができておるわけで、その後ずっと、供給サイドに関しては支援法が主だった、これを少し、供給サイドに関して規制と支援とポリシーミックスという形で、国会の場でいい法律を成立させていただくことが日本の国力を増大させるには極めて有効な手段だろうというふうに思っております。

 よく諸外国と新エネ等を比べられることが多いんですけれども、我が国には、今申し上げた省エネルギーという、これをベースにして、私、個人的には、供給サイドは原子力というのがありますから、この稼働率を上げるとかいうことで低炭素型に持っていくというのが極めて国民経済上は都合がいい、国民負担が少ないというふうに思っておりました。

 だけれども、二〇二〇年の中期目標という形になりますと、やはり原子力、省エネだけに頼っているわけにいきませんで、将来性のある新エネルギー、比較的短期に、例えば低炭素型へ供給サイドを持ってこれるとか、こういうことを考え合わせ、かつ、エネルギー政策、環境政策、それから我が国の国力をこれからどうやってふやしていくかというと産業政策、最近の経済危機等を考えれば雇用政策、四者一体でどんと解いていくということになると、将来性のある新エネルギーに関しても極めて法的な整備をした方がより国力の増強につながるだろうというふうな考え方を持っております。

 そういう意味では、将来性のある新エネルギーに今視点を当てて、化石から非化石へ、これだけではやはり低炭素型のフロンティアにはなかなかなれないと私は思っておりまして、まだ依然として八〇%以上は化石系の燃料を使っているわけですから、そういう意味では、化石燃料の高度利用もあわせて、非化石系と化石燃料の高度利用、これを両輪でうまく働かせるような法体系というのが必要になるだろう。この新法というのは、それを両輪でやっていくという考え方。どうも新エネへ少しシフトしがちですけれども、化石燃料の高度利用というのをあわせてやはり考えていかなきゃいけないということをまず申し上げたいと思います。

 この新法を取り巻く今の社会的意義というのは、私は、日本のグランドデザインはどうあるべきかということを国民レベルでコンセンサスを得て、それの実現に向けて、この新法がどういう効果を発揮するかということをやはり考える必要があるだろうと思っています。

 よく最近メディアでも、太陽電池等があれば暮らしとエネルギーはやっていける、これが日本のエネルギー全体をトレースしているような考え方が報道されることがありますけれども、日本の場合には半分が産業エネルギー、産業用ですから、暮らしとエネルギーと日本の全体のエネルギーのビジョンというのは、やはりオーバーラップする話じゃなくて、暮らしとエネルギーは、ゼロエネルギーハウスだとか、なるべく自立型を目指していくということはもちろんいいんですけれども、これは目指すべき話だと思いますが、これで、例えば新エネだけでやっていけるとか、こういうことはやはり非常に誤解を招くと思っている。

 私は、やはりベースがメガインフラ。これは、今までエネルギー供給事業者が、例えば電力は大変なメガインフラを持っておられますし、それからガスはパイプラインを整備していますし、石油は精製所という大変な投資をしてメガインフラを持っているわけですから、こういうメガインフラをベースに、地産地消のシステムを要所要所に調和させて入れていくということを考えないと、これから発展するであろう中国、インド等の新興国に対しても、我が国のビジョンがそっくり移転できるようなことを考えなきゃいけないわけですから、集中か分散かとか、こういう二者択一的な考えではなくて、やはりベースのメガインフラ、例えば原子力、石炭それから水力、こういうもののベースの上にこの新エネルギーを地産地消で入れていく。これで国土を充実させて国自体の繁栄を促すというのが私どもの考えていることであります。

 これは図を少し書いてございますので、それを御参照いただければと思います。

 こういうメガインフラの上にこの地産地消のシステムがあるんだ。この地産地消のシステムの中に、できるだけメガインフラも含めて、化石から非化石へ、あるいは化石燃料の高度利用、こういうものを進めていくことが今まさに緊急な課題だというふうに思っております。

 それと同時に、都市のエネルギーを考えてみます。

 この間、私、麻生総理の経済危機克服の有識者会議というのに参加をさせていただいて、総理の前でも申し上げてきたんですけれども、暮らしとエネルギーという観点からしますと、やはり消費者が自分のエネルギーを確保する。ですから、屋根があれば屋根に太陽電池を載っけていく。太陽電池というのは昔はべらぼうに高かったわけですよ、一九九〇年の最初なんというのは一キロワット一千万ぐらいしたわけですから。それが今七十万、ことしになると六十万という。これだけ安くなってきますと、もろにやはり商品としての、世界に羽ばたく日本のエネルギー、環境、産業政策全体を考えたときに、極めて大きな商品だ。

 これをやはり消費者が自分で入れていく努力というのがこれから重要になっていくだろうというふうに思っていまして、そういう意味では、暮らしとエネルギーという観点からすれば太陽電池。

 それから、太陽電池は非常に不安定性の電源ですから、そういう意味では、先ほど申し上げたように、メガインフラの上にこういう地産地消のシステムが入っていくんだということを申し上げますと、どうしても、メガインフラに余り影響を及ぼさないようなテクノロジーというのも必要になってきます。これが今、アメリカのオバマさんが言ったので急に有名になりましたスマートグリッド。日本の場合には、もう既に二〇〇五年の愛知万博でマイクログリッドという形で同じようなことをやっているわけですね。

 ですから、アメリカは、インフラが弱いから、ちょうどグリーン・ニューディールでいいから、そういう意味で一石三鳥だということで、化石から非化石への流れを加速するべくスマートグリッドを大々的に今は言っておりますけれども、日本の場合には系統というのが非常に強いですし、そういう意味で、だけれども、百ボルト系の一番下に不安定性の電源がばんばん入ってくるということになりますと、これは、電信柱のところにICTを入れて双方向の電力潮流をうまくやって、上位の系統に影響を及ぼさないような形のスマートグリッド、さらには、燃料電池が入ってくれば、今度は熱と電気、物質、すべてがコントロールできるスマートエネルギーネットワーク、こういうものも今後は整備していかなければいけないわけです。ただ、新エネの推進だといって、二十倍だ、三十倍だというのは構わないんですけれども、それは系統との一体化ということを考えながら進めていかないと、かえって社会コストというのに反することがあるということもあわせて考えておかなければいけないと思っています。

 いずれにしましても、暮らしとエネルギーという格好になりますと、消費者が自分のエネルギーを確保していく、こういう考え方を進めていくことがこれから非常に重要になってくるだろうというふうに考えております。

 そうしますと、太陽電池というのは非常に大型商品だし、燃料電池というのを、ある意味では熱と電気と併給するわけですから、我々は、電気、熱という生活に必要な二次エネルギー、三次エネルギーがございますので、そういう意味では、燃料電池、それから、ふらふらふらふらしたのが入ってくると蓄電池が必要になってきますから、蓄電池は車という形でエコカーと。

 今、三種の神器というのは、私も、これは麻生さんの前で言って、麻生さんも四月九日の麻生スピーチでその話をされましたけれども、三種の神器はエコカー、エコハウス、エコ家電だと。これに共通するのが、エコカーだと二次電池であり、エコ家電だと、省エネ家電になりますけれども、パワーエレクトロニクスになりますね。それから、エコハウスになりますと太陽電池、燃料電池という格好になってきて、この三電池というのは、ある意味では、これからの新エネルギー絡みの化石から非化石へ、あるいは化石燃料の高度利用、こういうものを進めていくための一つの基本的なキーテクノロジーになるだろうというふうに考えております。

 特に、車が、ガソリンのボラティリティーの増大みたいなのを考えると、やはり、二次エネルギー、電力をメーンの駆動源にする車両のあり方、これも車両の多様化という観点からこれから極めて重要になるだろうと思っていまして、そうなりますと、世の中がらっと変わりますよ。電気という良質な二次エネルギーをベースに、民生用のエネルギーと運輸のエネルギーが一体化するわけですから、都市エネルギー全体最適化。

 こういうものが家庭の中に入ってきますと、屋根に載っかっている太陽電池のフラクチュエーション、ふらふらするものを吸収する効果も出てきますし、ある意味では、ゼロエネルギーハウス、ゼロカーボンハウスも夢ではなくなるということになりますから、これは長期的に見て、我が国の国益だけでなくて、アジア圏全体を見越しても極めて重要な政策の一つになるだろう。

 こういうものをこの法律がバックアップしてくださるだろうという期待を持って、私どもはこれを進めているということになります。

 特に、今、暮らしとエネルギー、それをもう少し広げて都市とエネルギーという格好にしますと、非化石系のエネルギー源、都市の中に要所要所、ストック型の拠点エネルギーインフラというのがもう既にあります。例えばごみの焼却炉だとか、こういうのはやはり熱の使い道がないから余りうまく使われていない。こういう幹線の廃熱パイプラインなんというのを整備することは、化石から非化石への流れを都市部の中でうまく機能させることにもなり得ますから、極めて都合がいいだろうというふうに思います。

 それから、あと、産業部門に関しては、化石エネルギー、化石資源の高度利用ということをやはりきちっと考えなきゃいけないということになります。特に今、ここの中で私は5のところに書いてございますけれども、石油なんというのは、もう石油の消費が二割ぐらい減っている。ガソリンスタンドはたくさんあるし、これは全日本、オール・ジャパンは全部機能しているわけですから。ただ、石油精製というのは莫大な金をかけてつくっているわけです。このインフラをこれからどうするんだという話になります。

 ですから、オイルピーク論というのがありますね。私どもは、量の問題としてはとらえていません。質の悪いオイルはまだあるわけです。ですから、質の問題だ。イージーオイルがピークを迎えるわけで、質の悪いオイルはまだ残っている。日本は技術立国日本でいくのならば、幾ら質の悪い石油を持ってきても、今のリファイナリープロセスが五十数カ所ありますけれども、コールタールが出てきたら、空気中の酸素を入れてガス化して、残渣ガス化IGCC、長期的にはそれに石炭を入れ、バイオマスを取り込む。

 すなわち、石油精製というのはコプロダクションの変換拠点になる。こういうことも、化石から非化石、化石燃料の高度利用という両面から、一つの既存のインフラの高度利用に資するだろうという考え方を持っています。

 最終的には、ここで5の中に書いてありますように、CO2フットプリントのようなことを考えますと、素材産業をいかに低炭素型のものに持っていくか、これもあわせて重要になります。

 私は、この間、周南市を訪れましたら、石炭火力にバイオマスを込めてCO2を低減させているわけです。国策で産業用原子炉ぐらい考えてもいいような時代じゃないかと私自身は思っています。

 これが、私個人が考えております日本のビジョン、あるいは、この新法が発揮するであろう、極めて効果的になるだろうという側面を私なりに述べてみたわけであります。

 あと二、三分ございますので、二番目に、新エネ部会の中の論議はどうなっているか。新エネ部会の中で、この法律に関しても全面的にバックアップする見解を出しておりますので、その論点を幾つか申し上げたいと思います。

 先ほど述べたように、今、三電池に特化したような格好になって、化石から非化石へ、非化石の代表例が太陽電池だ、これは日本の産業政策、雇用政策にも、かなりすそ野の広い、極めて良質な産業創成になるんだと。

 これは、マーケットは国内だけじゃありません、もちろん世界がマーケットで、ある意味では素材産業ですから、今、例えば、今度の、太陽電池に助成金を入れる、極めて日本的な制度を展開するだろうというふうに私どもは思っています。助成金が入るということは、メーカーに対して、ある一定額以下のものに対して、今現状ですと七万円の補助金だ。来年になればまた少し安くなるでしょう。今度、安く、例えば六十万になったとすれば、六十万以下のものしか今度は助成しないということにすれば、メーカーも安くせざるを得なくなる。

 百万キロワットの工場ができればコストは半分にできるとメーカーも言っておりますから、そういう意味では、補助金を入れることによって、安いものに対して十年保証して補助金を入れる、これと、今度はユーザーサイドに立って、余剰のものに関しては売電の倍近くで買い取る。今までも電力会社の御好意で売り値と同じ値段で買い取ってくださったわけですが、それを倍にするということ。

 それで、RPSがあって、RPSというのは、量を決めて、市場原理を入れて価格で調整です。我々は、新エネ部会として、私は前に国会の参考人をやらせていただいたときにRPSの参考人をやりましたから、私どもはRPSを推奨しているんです。ベースとしてはRPSがあって、そして、どうも一線で一緒に競争できないものに関しては、やはり買い取り価格を入れて、この両方のいいところをとり合っていって助成金も入れる。こういう日本版のきめ細かなやり方というのが重要になるだろうと個人的には思っておりまして、そういう議論を今新エネ部会の中でやっております。

 こういう法律が通れば、今度は、既に新エネ部会の下部の中に、料金に対して細かい制度をどうするかということもあわせて検討する委員会をつくるように考えております。

 以上申し上げましたように、これから審議会の役目というのは随分重くなるなと思っておりまして、慎重な緊張感のある御審議をいただければと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

東委員長 ありがとうございました。

 次に、森参考人にお願いいたします。

森参考人 電気事業連合会の森でございます。

 本日は、このような貴重な機会を賜り、まことにありがとうございます。また、先生方におかれましては、平素、私ども電力会社の事業運営に関しまして多大な御理解、御協力を賜っておりますことに、この場をおかりいたしまして厚くお礼を申し上げます。

 本日は、今回の法案につきまして、新法に規定されるエネルギー供給事業者の一員でもございます一般電気事業者を代表して発言させていただきたいと存じます。

 今回の改正法並びに新法は、昨今のエネルギー情勢の変化や地球環境問題に対する議論の高まりを踏まえて、非化石エネルギー源の利用促進と化石エネルギー原料の有効利用促進を目的とするものであり、その目的の重要性と意義については私どもとしては異存はございません。

 これまで、私ども電力会社は、エネルギー資源の大半を輸入に頼る我が国の実情を踏まえ、原子力や水力、新エネルギーなど非化石エネルギーの導入と、世界最高水準の火力発電効率の達成を初め、化石エネルギー原料の有効利用を促進してまいりました。

 その結果、電気事業連合会十社全体の非化石エネルギー比率は、二〇〇六年度実績で三六%に達しており、さらに現在も、二〇二〇年度に非化石エネルギー比率五〇%を目指して、原子力発電や再生可能エネルギーの利用拡大などに鋭意取り組みを進めております。

 今回の改正法並びに新法のもとでは、経済産業大臣が、関係大臣とも協議しながら、経済、エネルギー、環境のバランスを考慮しつつ、エネルギー事業者に対して、非化石エネルギー源の利用等に係る基本方針、目標、判断基準を定めることとされており、私どもの取り組みを法的に裏打ちしていただくものであると考えております。

 また、新法では、一定規模以上のエネルギー事業者は、非化石エネルギー源の利用等に係る計画を提出することになると承っておりますが、私ども電力会社は、これまでも電気事業法に基づいて、毎年、十年後までの需要見通しと、非化石エネルギー源の利用等を含めた供給力確保方法等を明記した供給計画を策定し、国に届け出てまいりました。

 今後、新法に基づいて、一定規模以上のすべてのエネルギー事業者が計画を立てて、国全体として、非化石エネルギー源の利用促進、化石エネルギー原料の有効利用促進に取り組むことは大変有意義なことと考えております。

 その上で、新法が円滑に機能するという観点から、新たに導入される予定のエネルギー供給事業者に対する誘導的規制と、太陽光発電の新たな買い取り制度について、若干意見を申し上げたいと存じます。

 まず、誘導的規制について三点申し上げます。

 一点目は、事業者に指し示す基本方針を策定していただくに当たっては、エネルギー政策基本法の基本方針ともなっておりますように、環境適合、安定供給確保、経済性の同時達成を目指していただく必要があるということでございます。

 例えば、安定供給確保に欠かせない石炭火力につきましても、引き続きその重要性が位置づけられるようお願いいたします。

 二点目は、非化石エネルギー源の導入等について、私ども民間事業者の自主的な取り組みを最大限尊重していただきたいということでございます。

 先ほども申し上げましたとおり、私ども電力会社は、安定供給の担い手としての使命感と民間企業としての創意工夫により、立地、用地問題を初め、さまざまな困難を乗り越えながら、非化石エネルギー源の導入等に自主的に取り組み、成果を上げてまいりました。

 私どもは、供給計画に基づき、引き続き非化石エネルギー源の導入等に積極的に取り組んでまいりますが、今回の誘導的規制のもと、短期間で電源構成のさらなる非化石化を求められましても、長期のリードタイムを要する原子力などの電源開発のスケジュールを変えることは現実的には極めて困難と言わざるを得ません。

 本法による目標の設定や罰則等の誘導的規制の運用に当たりましては、こうした電源開発の実態、特に立地地域の状況等十分踏まえた上で事業者の自主的な取り組みを十分考慮していただけるようお願い申し上げます。

 三点目は、安定供給の確保は私どもの責務と考えており、それに向けた私どもの努力を十分織り込んでいただきたいということでございます。

 私どもの最大の使命は将来にわたって安定供給を維持することでございますので、長期間を要する電力設備の形成は、過去の経験や種々のリスクを織り込んだ現実的な需要見通しに基づいて進めていく必要があると考えております。

 現在、温暖化防止に向けた我が国の中期目標が議論されておりますが、幾つかの選択肢が前提としておりますように、我が国が急激に省エネ社会を目指すというような場合、私ども電力会社といたしましては、お客様とともにエネルギーや電気の使い方をより高効率にするよう努めてまいるのはもちろんでございますが、最終的な需要量はあくまでもお客様の御判断次第であり、私どもが一方的に需要を抑制することはできません。新法の運用に当たりましても、こうした事情を十分織り込んでいただきますようよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、太陽光発電の新たな買い取り制度について申し上げたいと存じます。

 私どもは、お客様が太陽光で発電され、御自身でお使いにならなかった余剰電力について、小売料金と同額で買い取る余剰電力購入メニューを既に平成四年には導入し、これまで十七年間にわたり実施してまいりました。これは、太陽光の普及拡大に貢献するために自主的に行っているものであり、実質的な固定買い取り制度とも言えるものでございます。

 加えて、太陽光発電の設置者等に助成金を出すグリーン電力基金や、電力会社みずからによるメガソーラー発電所の建設計画を進めるなど、普及拡大に最大限の努力を続けております。

 今回、太陽光発電の抜本的支援を目的に、国がさらに高額の買い取り価格を設定する新たな制度が導入されますが、私どもといたしましても、制度の趣旨や費用負担の必要性等を国から国民の皆様に丁寧に御説明していただくこと、ドイツの固定価格買い取り制度で見られたような弊害、例えば、発電した全量を高値で買い取るため、お客様の負担が著しく高まるといったようなことを避ける工夫をしていただくことを前提に協力してまいりたいと考えております。

 新法では、太陽光発電からの電気を国が定める対価で買い取ることが電気事業者に義務づけられることとなりますが、今後の具体的な制度設計や制度の円滑な導入につきまして、以下の四点をお願いいたしたいと存じます。

 一点目は、買い取りの対象についてでございます。

 今回の制度は、国民に広く普及させることで、量産効果によるコストダウンが期待できるという太陽光発電の将来性に基づくものであることから、買い取りの対象は太陽光に限定すべきであると考えます。

 また、すべてのお客様に買い取りコストを御負担いただくことを考慮しますと、事業用など利益目的のものは対象外とし、自家用目的で導入した場合に発生する余剰電力に限定すべきであると考えますので、余剰電力を厳密に定義していただくことを含め、くれぐれもよろしくお願い申し上げる次第です。

 二点目は、買い取りコストの確実な回収についてでございます。

 新たな制度は、全員参加で太陽光の普及を促進する制度とされており、買い取りに要する費用については電気料金に上乗せする形で確実に回収されることが前提です。こうした制度の趣旨について国から十分説明していただくとともに、すべてのお客様が広く薄く御負担いただける方法としていただくようお願いいたします。

 三点目は、太陽光発電設備の価格低減努力についてでございます。

 普及に従い価格が下がることを前提に、国民全体の負担で太陽光を抜本支援する以上、太陽光パネルのメーカーさんや販売、施工等の関係業者さんが、より一層価格低減の努力をしていただけるよう、買い取り価格や期間の設定に当たりましても御高配賜りますとともに、設置に際しての補助金など他の政策手段も適切に組み合わせていただきたいと存じます。

 四点目は、電化によるCO2排出低減効果を阻害しない仕組みについてでございます。

 私どもは、社会全体の低炭素化を進めていくためには、非化石エネルギーの導入にさまざまな手段を有する電気の利用を拡大していくことが大きなかぎになると考えており、私どもの果たすべき役割も大きいと考えております。

 今回の制度では、太陽光の買い取りに要するコストは、専ら電気のお客様が御負担されることになりますけれども、エネルギー間でお互いに競争しながら切磋琢磨している現状において、価格面で電気が不利となれば、低炭素化のかぎである電化の推進をかえって阻害することにもなりかねないのではないかと危惧いたしております。

 買い取り対象は必要最小限とすることで、電気をお使いになるお客様に転嫁される御負担ができる限り小さくなるようお願いいたしますとともに、新法のもとで、すべてのエネルギー事業者が公平に低炭素化の推進に従来以上に取り組んでいける仕組みとなりますよう、よろしくお願い申し上げます。

 以上、いろいろ申し上げましたが、新しい買い取り制度の導入に当たりましては、その意義と必要性について国民の皆様から十分御理解を賜り、お客様が混乱されないようにすることが重要であると考えております。この点、私どもも努力してまいりますが、国が責任を持って広く国民の皆様に周知活動を行っていただくことが何よりも大事であると思っておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 私ども電気事業連合会といたしましては、施行後は、本法のもとでエネルギー供給構造の高度化に事業者として最大限貢献してまいりますとともに、太陽光の新たな買い取り制度につきましても、制度の詳細が決まり次第、円滑に実施できるよう準備を進めてまいりたいと存じます。

 引き続き御指導、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

東委員長 ありがとうございました。

 次に、長見参考人にお願いいたします。

長見参考人 日本消費者協会の長見萬里野と申します。

 私は、仕事としては、全国消費者協会連合会の事務局長も兼ねております。どちらかといえば、そちらの視点からきょうは発言させていただきたいと思っております。

 基本的には、私も普通の消費者の人たちも、太陽光発電に限らず、新エネルギー産業の育成にもっと国が力をかすべきだというふうに考えているのが大方だと思います。ですから、太陽光発電の普及に力を入れる今回の政策自体には大いに賛同するところがあります。

 ただし、今回の新法であるエネルギー供給事業者による非化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案の中の、家庭用の太陽光発電余剰電力の買い取り価格をすべての電力需要者の電気料金に上乗せするということについては、幾つかの疑念を持っています。

 これは非常に画期的な制度になると思うわけです。一般の消費者の立場で最も疑問を感じるのは、すべての需要家ということになりますから、どのような事情のある家庭からも徴収するということになります。

 太陽光発電システムを設備しようとする家庭は、どちらかといえば、多少とも経済的に余裕のある御家庭になるわけです。その支援のために、例えば低所得者の電気料金にも漏れなく上乗せされる、そして徴収されていくということについて、やはりどこか納得できないものがあります。これは、私に限らず、私の周りの者たちの意見を聞きましても、そこはおかしいんじゃないのというような感想が出てきました。

 全員参加型という言葉自体は美しいのですけれども、電気と水道というのは、生活の中で最後のライフラインになっております。ですから、他の生活費を切り詰めてでも電気料金を払うという努力をしている人たちもいるということをやはり気にしていなければならないと思うわけです。上乗せ価格は数十円、少額だというふうに試算されていますけれども、その数十円に重さを感じる人たちもいるわけです。やはりそのことを配慮していただきたいと思うわけです。

 そのようなことを考えますと、この制度が実施された場合、何らかの福祉的な配慮というのがどうしても必要ではないかなというふうに思っております。

 それから、地球温暖化を防ぐため、少しでもCO2削減ができるのなら、消費者の方もいろいろな協力を惜しまないつもりではいると思います。いろいろな方策を試みなければなかなか温暖化防止の効果的な進行が難しいというのも、昨今のいろいろな情報でわかっているわけです。そういう意味では、国民全体の協力が必要なことも多くの人たちは理解をしていると思うわけです。

 しかし、電気料金への上乗せ制度に同意できないような人たちを、イコールCO2削減に協力しない人というようなとらえ方、言いぶりというのはやめていただきたいなと思っております。環境の問題に熱心な余り、みんなが協力しないのはというような力の入り方をする人たちもおりますけれども、やはりそれは、もう少し諸事情というのを配慮すべきではないかなと思います。

 一般の消費者の人たちも、CO2削減だとかごみ減量のために、現在、スーパーのレジ袋の有料化だとか辞退の運動というのが非常に全国的に広がっております。既に、府県単位、市町村単位で、事業者や行政と協定を結んで、レジ袋の有料化を地域的に行っているところが非常に急速にふえているということがあります。

 ですから、負担をしないと言っているわけではありませんが、このレジ袋の例のように、趣旨だとか制度に納得できれば、多くの消費者は参加してくれることだと思うわけです。

 電気料金への上乗せ制度のことが一般向けに知らされたのが、新エネ部会の報告書のパブリックコメント募集ぐらいからだと思うわけです。消費者団体も、なかなかこういうことに気づきませんで、十分な議論がまだできていません。

 四月の初めにいろいろな消費者団体の方に集まっていただいて、私どもも学習会をいたしました。その後のいろいろ中身の議論というのが、時期的にまだできていないところがあります。

 そのため、私自身がいろいろな方たちの集まりのついでに少しずつ御意見を聞くというようなことをしておりますけれども、詳しい中身を御説明するということも、なかなか時間的にも私自身の理解の程度でもしにくいところがあるんですが、一般的にどういうことに疑問を感じられるかというのをちょっと御紹介しておきたいと思います。

 CO2削減の協力のためなら、何で石油やガスの料金には上乗せされないで電気だけなのかということが一つ言われております。また、新エネルギーの利用ということを考えれば、風力だとかその他の新エネルギーというものの発電の買い取り価格ももう少し上げるべきではないかというような意見も強くありました。

 私どもの組織の中にも、地方でNPOをつくって、風力発電会社をつくって努力をされている地域が幾つかあります。そういう人たちは非常に経営に苦労をされていて、今回この話を、ちょうど私どもの総会が今週の月、火とあったものですから、ちょっと聞いてみましたら、えっ、電気だけなの、風力も苦労しているんだから買い取ってよというふうな、もうちょっと高くしてくれるともう少し経営的に成り立つんだというような意見が出ていました。

 そういうような、これは今回、家庭用に限るという条件がつけられているわけですが、本当に地球温暖化防止という目標のためならば、必ずしも家庭用に限らないのではないかという意見も消費者側からも出ています。

 それからもう一つ、もう少し環境問題に関心を持って詳しく知っている人たちの方からは、確かに太陽光発電で電気を使っているときにはCO2が排出されないけれども、そのシステムの材料をつくるときの製造だとか廃棄に至るまでのライフサイクルのアセスメントとしては、本当にCO2が全体的に見てどのぐらい削減されているのかやはり示してほしいというような意見もありました。

 それからもう一つは、料金への上乗せという制度ですけれども、電気料金に上乗せするというのは最も簡単な方法で、今や自動振り込みも多いわけですから、大体の消費者の人は気づかないうちに徴収されるという形のものであるわけですね。このうまい仕組みというのに非常に不信感を持つ人たちもおりまして、やはり何のかんのと言って、太陽光発電の余剰電力の話だけではなく、今後いろいろなものがその上に乗っかってくるのではないの、知らないうちにふえていくうまい制度なんじゃないのというような不信感を持つ人もやはりいらっしゃいます。

 それから、マスコミで報道される内容が、太陽光発電の買い取り制度の問題については、やはり産業の育成と雇用の拡大が強調されております。みんなが負担するという話は余り報道されていないわけで、みんなが負担するんだよという話が私なんかの口から伝わりますと、何で産業の育成と雇用の拡大のために余り余裕のない家庭の人たちも一種のカンパをしていかなきゃならないのかというところにやはり納得できない、それは国策であるのだから、やはり一般財源から出すべきではないかと。税金だったら、低所得の人は税金を納めていない人もいますし、ある程度のバランスというのはとれてきますけれども、上乗せ価格というのは、確かに使用量によって多分決められていくんだろうとは思いますけれども、それでもやはり全員にかぶっていくというところは、たとえ数十円でも、やはり一般の人たちにはひっかかるものがあるわけです。

 この制度が実施されていくとしたら、やはりこれらの点について、普通の人たちがわかる、理解できるように、そして納得してもらえるような説明を丁寧にしていただきたいと思うわけです。

 この制度の導入が非常に急がれているというふうに聞いておりますけれども、非常に急ぐということは、それだけ後からいろいろな問題を生んでくるように思います。今回この話をしましたら、また地上デジタル放送のと同じで、後から消費者はたっぷり負担をさせられるというような、わけのわからないことがさっさと国のリーダーシップで決まっていくのはおかしい、このごろそんなことが多いのよという話が出てきました。

 それからもう一つ、最後に、この制度が実施されていく場合、買い取り、上乗せの問題ではありませんけれども、太陽熱温水器の販売で非常に悪質商法が横行いたしました。そのために太陽熱温水器の普及というのはとまってしまいました。その二の舞にならないように、いろいろな施策に万全を尽くしていただきたいと思うわけです。

 そのためには、もう既に検討されていますけれども、製品だとかシステムの保証体制、それから施工技術の保証とか、あと、施工技術者、工務店のどこが信用できるところなのかということを、利用しようとする人にわかりやすくしていただきたいということですね。

 それから、メンテナンスの保証というのがやはり重要かと思います。十年保証というのはついているそうですけれども、太陽熱温水器の場合は、売りっ放しで事業者さんが行方不明になるケースがたくさんありまして、故障しても直せないでそのまま放置されているというケースが多々ありました。大変な苦情が私どもの方にも入りまして、大変苦労した記憶があります。そのような事態にならないように、そういう制度的なものも十分に検討していただいて、その上で実施に踏み込んでいただきたいと思います。

 しかし、最後にもう一度お願いいたしますけれども、やはり低所得の人たちに対する配慮というのを、ぜひ制度設計されるときに入れていただきたいというふうに思います。

 以上です。(拍手)

東委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木挽司君。

木挽委員 自民党の木挽司でございます。

 参考人各位におかれましては、お忙しい中、当委員会にお越しくださいまして本当にありがとうございました。改めてお礼を申し上げます。

 時間が限られておりますので、早速質問に入りたいと思います。

 今、長見さんから、太陽光だけではなくて風力についても買い取っていただいたらどうか、さまざまな買い取り制度に対する疑念が述べられたわけでございますが、エネルギー供給の構造高度化法案について御意見を伺う中で、早速、太陽光の買い取り制度から私は質問をさせていただきたいと思うんです。

 環境省が、フィード・イン・タリフ、FITの導入に関する提案書を提出したのがことしの二月の十日だったと思います。その後、与野党で検討されて、同月の二十四日に、経済産業省がFIT導入構想を明らかにされました。

 再生可能エネルギーを推進するということで見れば、日本やイギリスが採用しているRPS法ではその推進役は担えそうもない、また、補助金制度を運用したとしても、その効果は財源分だけで限定的と言わざるを得ないという意見があって、そこで、非化石エネルギーの利用を促進する上で、ドイツやスペインの先行するFITの状況を参考にしつつ、かつ、そのドイツやスペインあるいはイタリアなどの失敗も教訓にして、日本版の太陽光の買い取り制度というものを確立しようと。

 現在、経産省の総合資源エネルギー調査会で制度化することが検討されているわけですが、当然、制定の際には、電力会社や太陽光の発電メーカー、その他もろもろ、また産業界に依存しない中立的な学術専門家集団、何よりFITは電力消費者が支払う上乗せ料金によってもたらされるわけですから、消費者サイドの御意見をちょうだいした上で、適正な価格設定が望まれるわけです。必要とされるわけです。本日、まさにそうした立場の方々がそれぞれにお越しいただいているわけです。

 先日、この委員会の席において、政府は、太陽光発電を二〇二〇年ごろには二十倍まで拡大するということ、それを目指している、あわせて、今後三年から五年が正念場ととらえ、その導入を具体的に強化すべき分野であるとの考えを示されました。また、今般の買い取り制度については、一に、技術革新及び需要の拡大により発電原価の低下が見込まれる技術であること、二に、我が国の太陽光発電関連産業が国際競争力を有し、将来の基幹産業になり得ること、加えて、そのすそ野の広さから、地域経済の活性化に資するなど、対象を太陽光発電に限定する理由を述べられました。さらに、特徴として、買い取り対象を余剰電力に限定していることや、買い取り期間が十年間程度ということで、ドイツなどと比較した場合、より負担の軽減を図りながら普及していきたいという考えを示されたわけです。

 私は、こういったFITの制度の特徴は、最低限の設置料で最大限のシステムの低価格化を促すことにありますけれども、国の財源支出だとか電力価格の上昇を抑えつつ、ここで肝心なのは、やはり市場メカニズムが機能するよう図らなければ、なかなか成長にはつながらないんだというふうに思っております。そういった意味では、先ほど柏木さんが申された、既存のエネルギー、それと新エネをうまく組み合わせていくというお話にはうんとうなずくところなんです。

 ただ、先ほど懸念を示された長見さんのような話、消費者サイドについて、こういった設定を政府が設けられた、その設定に対する考え方、長見さんの陳述に答えるような形で、柏木さん、そして関電の森会長、それぞれお答えいただければなと思います。お願いいたします。

柏木参考人 部会の中でも、富裕層が太陽電池を入れる場合が多くて、低所得者というか、子育てをしている最中だとか、そういう人がみんな一緒に払うというのはどうも納得できない、そうならないようにという御示唆はたくさんいただいています。今回のこの制度がこれでいくという話になったときに、私が想定していますのは、入れた方が利益が出ないのではまた入れるインセンティブがありませんから、だけれども、努力をすれば、十年から十五年の間には確実にペイバックができる、回収できる、ですから、たくさんある日当たりのいい屋根を国民全体がうまく利用して、それをサポートするという、ぎりぎりの線で利益がそれほど出ないような形での制度設計をすることが重要ではないかというふうに考えております。

 そうなりますと、余剰だけやって事業用じゃない。事業用じゃないということは、ある意味では、自家発自家消費をベースにしますから、余剰だけということになりますと、努力すれば省エネが進む。消費者サイドで省エネが進むことによって、余剰をふやしながらなるべく早く回収をしてというインセンティブをうまくつけられればという、制度設計の段階でかなり細かい料金設計というのが必要になってくるだろうというふうに思っています。

 それから、フィード・イン・タリフと今の買い取りというのは、フィード・イン・タリフの場合には、今までほかの外国もやっていまして、随分、売り値の三倍ぐらいで買い取る、それを全員参画でという形になりますと、全量買い取りという話になりますと事業者が出てくる可能性がありますから、そういう意味では、消費者が事業者に利益を供与するというのは今回日本では余り得策じゃないだろうということを考えて、そして余剰だけということにした。

 それから、RPSとフィード・イン・タリフに関しては、今ちょうど先生がおっしゃったように、事業用と自家発自家消費とは比べる価格が違いますね。事業用の場合にはアボイデッドコストになりますし、キロワットアワー七円、八円ぐらいのオーダーで比べている。自家発自家消費になりますと、売電と比べますから、二十三、四円の額と比べられる。太陽電池の場合にはどちらかというと売電の方と比べられる、自家発自家消費になりますから。ですから、RPSと固定価格の買い取りのものというのは少し分けて、自家発自家消費の場合と事業用と分けて考えなきゃいけないと思っています。

 以上です。

森参考人 今先生お話ございましたように、ドイツ型のフィード・イン・タリフ、これが非常に、電気料金が恒常的に上がる、あるいは新エネのコストも、コスト低減に対するインセンティブが働かないということで、いろいろ問題を抱えているわけですけれども、今回の日本型の買い取り制度というのは、余剰電力に限るということですね。それからまた、買い取り期間もある程度制約を設けていくというようなこと。

 それで、そういうようなことをやってメーカーの方もコストを下げていく必要があるということで、先生御指摘のように、要するに、そういうドイツ等でやっているようなフィード・イン・タリフでは働かない市場メカニズムが働くような仕組みを織り込んでいるということは非常に大きな意味があるのではないかなというふうに思っております。

 それから、長見さんのおっしゃいました低所得者層での負担の問題ですけれども、これはやはり、買い取りというところは、我々の考え方としましては、公平に全国民で御負担いただく。そうしないと、一部のところだけを、これは当然のことながら、個人だけでなしに事業者も負担していただくことになるわけですけれども、例えば赤字の企業であるとかそういうところ、ではどこまでを除外するのかという非常に難しい問題も出てくると思いますので、負担はまず公平にしていただく。その一方で、低所得者層への対応というのは別途、別の政策対応で何らかの方法を講じるということも考えるべきではないかなというふうに思っていまして、あくまでもこの負担は、全国民が参加して公平に負担するという制度であるべきではないかというふうに考えます。

 以上です。

木挽委員 今、森参考人からも御意見をちょうだいしましたが、消費者としてはやはり懸念はどうしても払拭できないところがあるということも、先ほどの陳述の中からうかがい知れるところでございます。

 ちょっと話はあれなんですが、環境の時代とよく言われるようになってきまして、同時に、経済的メリットがないと消費者にはなかなか買っていただけない、また納得いただけないという現状が厳然として我が国には存在いたします。エコといっても、エコロジー、環境よりも、エコノミー、経済性の方がまだまだ優先しているのかなというところだと思うんですが、消費者の多くが、環境によいのもいいけれども、やはり決め手は値段だよと。高いけれども、それより環境にいいから買おうとまではなかなか今なっていない。

 環境ビジネスに関してもそうですね。特にマスコミの報道を見ても、マスコミというのは、その性質上というか宿命というか、新しい情報をどんどん発信していかなきゃいけないという背景がありますから、どうしてもこうした情報、環境、新エネ、すべて導入部分というんですか、発信部分で新しい情報ですよという部分だけを切り取ってというか、その部分だけを強調して報道する傾向があります。結果、マスコミの情報の多くは、悲しいかな、環境ビジネスの今現在の実態というものを正確にあらわすというところまで至っていないんだと私は思っているんです。

 そういうものを受けて、そうはいっても、時代は確実に環境優先に向かって進みつつあって、一説によれば、このエコノミー優先からエコロジー優先へと向かう分岐点は二〇一五年ごろじゃないかなという話があって、その点、太陽光発電の買い取り制度、また、太陽光発電、太陽電池については今後三年から五年が正念場というふうな政府の話ともリンクするところがあると思います。

 エネルギー供給構造高度化法案に関連した取り組みをこうした国民の皆さんに御理解いただきながら進めていく場合、実態はどうなのかということ、そこに視点を置いて、目指すところは正しく国民にアプローチしていくことが私は肝要だと思っているんです。

 現在の環境に対する我が国の国民意識、そのレベルというものをしっかりととらえながら、どう働きかけるか。例えば、電気事業連合会の皆さんでしたら、二〇〇〇年から取り組まれているグリーン電力基金というのがありましたね。あれの経緯なんかは非常にわかりやすいと思うんですが、現状に対する御認識をそれぞれ背景に、今後どうアプローチしていったらいいのか、お三方から御意見をお聞きしたいと思います。

森参考人 グリーン電力は、先生御指摘ありましたように、電力各社、自主的に取り組んでおります。これは平成十二年から実施しておりまして、新エネルギーに支援を希望されるお客様が、これも各社によって最近は金額が若干変わっているんですが、たしか月額一口五百円からスタートしたというふうに思います。弊社関西電力の場合は、五百円ではなかなか協力してくれないということで、現在百円まで単価を落として、できるだけ口数をふやしてもらうというようなことでやっているわけですけれども、それでスタートいたしました。

 その一口五百円、人によれば二口、三口と入っていただいている方もおるわけですけれども、それを電気料金で集金いたしまして、電力会社はそれとちょうどマッチングする形で、同じ金額を電力会社も出すようにしております。

 それを実際に新エネを設置しようというようなところに寄附をして、新エネの普及開発に少しでも貢献しよう、こういう取り組みを平成十二年から始めているわけですが、実は、これは平成十六年をピークに減少しております。ピークのときは全国で約五万口ほどあったものが、現在は四万口ほどまで減少しております。

 ですから、一遍アンケートをとりますと、環境問題とか新エネのために金銭的な支援をしてもいいというふうに答える方はふえておるようですけれども、実態は必ずしもそうはなっていない、そういうふうに思っております。

 そういうことから、これから太陽光支援のために国民の皆様にいろいろな御負担をいただくわけですから、我々もしっかり努力いたしますけれども、一般の皆様にこの制度を御理解いただくための取り組みを国の方にもぜひよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 私からは以上です。

柏木参考人 今御指摘の広報というか実勢価格はどういうふうに開示していくかというのは、やはり地域特性がありますし、日照によっても随分その単価は変わってくるわけですね。

 ただ、これは人の住んでいる屋根につくわけですから、そういう意味では、地域地域の、ライフサイクル的に、メンテナンスもできるような工務店だとか、ある意味では、自給率あるいはエネルギーセキュリティー向上のために、国のいろいろな地域の方々みんなが協働するような格好になりますから、そういう意味では、非常にいい、公益性のある事業だというふうに私も考えていまして、ただ、広報だけはやはりきちっとしていく必要があると思っています。

 それで、一応、これを新エネ部会でお諮り申し上げたときに、タウンミーティングをしっかりやろうという話になりまして、もう既に、パブリックコメントを踏まえながら、十カ所で二千人以上の方々を対象にタウンミーティングを開催して、生の声を聞きながら、こちらの方の事業者の実勢価格等も知らせて、この制度の徹底を図ったといういきさつがございます。

 以上です。

長見参考人 先ほども申しましたように、消費者側が協力をしないということはないと思います、レジ袋の例のように。その制度が本当に自分たちの身に戻ってくるということがわかれば、協力を惜しまないと思うわけです。

 それからもう一つ、太陽光発電のシステムの普及というのに、この法案の根本的なところに文句を言うような形になるんですが、余剰電力の買い取りを延々としてもらうよりも、つけたいと思う身にとっては、最初のときにお金が欲しいんですね。ですから、お金がかかるので、やはり、今既に国が補助をしておりますけれども、その施設をつくるときの補助金を上げていただくということの方が促進にはなるというふうに思うわけです。

木挽委員 ありがとうございます。それぞれの御意見を聞いて、私も納得するところが非常に多うございます。

 最後に、時間もございませんので、私事で恐縮ですが、私はずっと機械メーカーを経営しておりまして、東南アジアなんかに、電線メーカーさんあるいはゴムホースメーカーさん、医療メーカーさん、そういった部門の製造機械を納める仕事、設計してつくって納める仕事をしていたんですが、最新鋭の機械をつくって、最新鋭の制御装置を伴って、その機械を納める。東南アジアとかそういった国からクレームが来るんですね。何かということで行くと、機械そのものじゃなくて、やはり電力の安定供給がされていないために、機械がそのもののスペックを発揮できないということが往々にしてございました。

 その点、日本というのは非常にすぐれた安定供給ができる体制ができているわけなんですが、注目されている太陽光については、安定性のことがやはり随分言われています。先ほどの陳述の中でも二、三、触れられておったと思うんですが、どうしても自然に頼らなければなりませんから、お日さんがかっと照っているときは余るし、突然曇りになってだあんと落ちることもある。今後対応していくためには、太陽光の出力変動データを蓄積して分析して、さまざまな対策を図らなければならないのは当たり前のことなんですが、皮肉なことに、最近の温暖化による異常気象なんかもあって、予見できない現象が今後まだまだ出てくるだろうと思います。

 はしょりますが、そうした出力が不安定な太陽光などの新エネルギーの大量導入を実現して、かつ、電力の安定供給を維持するためには、どうしても系統安定化の対策が不可欠だと私も思っております。

 こういった太陽光の導入量に応じた設備の設置が進むと同時に、周波数の調整力不足対策、あるいは制御システム、蓄電池等々、先ほども参考人の方々も述べられましたが、こうした部分について今後の見通しに関する御所見と、もう一つ、こうした対策を進めていく段階で発生するコストがあります。そのコストをどうするのか、どこが負担するのかということ。系統安定化のために、その整備のために、各コスト負担に対する考え方もあわせてお聞かせいただけたらと思います。

森参考人 御指摘のとおり、太陽光とか風力とか新エネを系統に導入した場合には、現時点で導入されている量ですと、我々の系統はそれなりの大きさを持っておりますので、既設の水力あるいは火力でそれの変動分を十分吸収できるだけの能力を持っております。

 太陽光の場合、これは今先生御指摘あったように、詳細なデータがありませんけれども、マクロ的に検討してみますと約一千万キロワット程度、といいますと現在の五倍程度の太陽光、これまでの導入であるならば、何とか今の系統でその変動分は吸収できるのではないかなというふうに思っております。

 しかし、これはそれ以上になると非常に難しい可能性があるということで、まず我々がやらなければならないのは、マクロで一千万キロワット程度もつというふうに試算しておりますのも、各地に分散的に配置された一千万キロワットの太陽光がどういうふうな振る舞いをするかというのは、ある仮定を置いて試算しているわけですね。ですから、これはやはり実際のフィールドの中でどのような振る舞いをしているかということをはっきりつかむ必要がある。

 そういうようなことで、各地に日射量計を設置いたしまして、それをこれから国の支援もいただきながら測定していきたいというふうに思っております。それを受けた上で、どれだけのどのような対策をしていく必要があるかということです。

 現在、こういう買い取り制度を導入する、その他の施策と相まって、二〇二〇年には約二十倍というようなお話もございますけれども、二十倍の量が入りますと、これはとても今の系統では対応できなくなります。ということで、二〇二〇年といえば十年ほどですから、早期にその対策を確立していかなければならないというふうに思っております。

 それには、蓄電池を設置することは避けられないだろうというふうに思っているわけですが、現在の系統のそういう周波数を安定させるには、需要に見合った形で、ダム式の水力、それから火力発電所、これを調整しながら調整しております。

 今度は、そういう新エネ対応で設置した蓄電池、これと、水力あるいは火力、既存のそういう系統制御をしているものとどういう形で組み合わせて全系を安定していくかということが非常に重要な課題になってまいります。そのためには、まずどういう状況になるかということを把握する必要がありますので、早急にそこからスタートして、これはできるだけ早くその辺の技術を開発して、大量に新エネが導入された場合でも、すべてのお客様、事業者に安定した電力が供給できるための準備を進めていきたいというふうに思っております。

 それから、負担の問題ですけれども、これは原則的にはやはり原因者負担、これまで同様、あくまでも原因者負担というふうに考えるわけですけれども、しかし、小容量のものが大量に入ってきたときに、果たしてだれが原因者なのか特定できない場合が十分予測されます。そういう中で、この負担をどういう形で負担していくかということをこれから十分議論していく必要があるというふうに思っております。

 以上です。

木挽委員 終わります。ありがとうございました。

東委員長 これにて木挽司君の質疑は終わりました。

 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、三名の参考人の皆様方におかれましては、大変お忙しい中わざわざ御足労いただき、また、先ほどはそれぞれに大変貴重な御意見を御開陳いただきましたことにまず心から感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

 きょうは限られた時間でございます。また、私もこの専門家でもございませんのであれですけれども、何点かまず御質問させていただきたいと思います。

 最初に、電事連の森会長にお伺いをしたいと思います。

 CO2の削減というような環境面のことを考えたり、今後のエネルギー政策の展望を考えると、電事連の皆様の立場からいえば、恐らく、非化石化プラス化石系の高度化利用という、これは柏木先生の先ほどの陳述にあったとおりの考え方にのっとったとしても、ざっくばらんに言うと、これはもう原子力発電を中心にしていけばいいのではないか、表現は悪いですけれども、新エネルギーは電気事業者の皆様にとっては厄介者というか、余り、どうなのかな、嫌々つき合っているというような、こういったところが本音なのかななどと邪推をするわけなんです。

 先ほど森参考人の御開陳の中に、四つの条件をクリアした場合ということで、将来性がある太陽光に限って、それも自家用目的の場合ということが一点。第二点は、買い取りコストが回収できるために国民全員参加、これは費用負担をしっかりとできるようにということで政府の努力を求めている。三つ目は、太陽光設備のコスト低減のためのメーカーの努力。四つ目は、このことによって結局電化による推進の阻害にならないようにということで、大変常識的なお話だったというふうに僕は思っております。

 この四つの条件をクリアした場合でも、現時点においてというかこれから、太陽光エネルギーの導入という政府が今掲げた政策について、電気事業者の皆さんとしてはどう受けとめ、どう考えられているのかという根本的なことをまずお聞かせいただきたいと思います。

森参考人 ありがとうございます。

 原子力は、おっしゃるとおり、非常に、これからのエネルギーの安定供給、それから低炭素社会、これを実現していくためのキーになる技術だというふうには思っております。

 しかし、日本は、御承知のようにほとんど、原子力も準国産のエネルギーとはいうものの、ウラン燃料は海外から一〇〇%輸入しているわけですから、やはり純粋な国産エネルギーである新エネルギー、これにもしっかり取り組まなければならないというふうに思っておりまして、我々は、安定供給、それから経済性、環境問題、これを解決するには、原子力と再生可能エネルギー、それともう一つは省エネ、この三つをやはりしっかりとやっていく必要があるというふうに思います。そういうような新エネもしっかりやることによって、原子力の重要性というのも国民の皆さん方に御理解していただけるというふうなことにつながるというふうに思っております。

 そういう意味で、今回は国の政策としての買い取り制度ということにつきまして先ほどこういう条件でということを申し上げましたけれども、それ以前の段階から、先ほども申し上げましたように、我々としても、売電価格で購入するというような一種の買い取り制度、これをやっておりますし、既にメガソーラーも、これは全国の電力会社で二〇二〇年までに約三十カ所、十四万キロワット、これを設置いたします。そのような形で新エネにも前向きに取り組んでおります。

 そういうのとあわせて、省エネ。これは、非常にエネルギーを有効に使う方法、そのための機器開発、例えば我々が皆さんにお勧めしておりますエコキュートとか、これは一のエネルギーで、効率のいいものでは、空調ですと大体六倍程度、大気の中のエネルギーを利用できるというものですから、そういうようなものも開発して省エネをしてもらう。

 ですから、供給側は、原子力それから新エネ、それから化石燃料は効率を上げるということで、極力低炭素化していく。使う方は、できるだけ効率のいい機器を開発して、それを慫慂する。そういう形で低炭素社会を実現していきたいというのが基本的な考え方でございます。

 以上です。

赤羽委員 どうもありがとうございました。厄介者にしていないという。大変失礼なことを言いまして、申しわけございませんでした。

 しかし、さはさりながら、系統の低炭素化の主力である原子力発電自体の稼働率が、十年前、九五年から二〇〇一年度までには八〇%台の高水準で推移していたものが、最近、ちょっとトラブル等々あって、二〇〇六年度の数字では全国五十五基の平均の設備利用率は六九・九%、七割を割っているということも出ております。この基幹たる原子力発電、今後どのように取り組みを進めていく考えなのか、ちょっと少しずれますけれども、御答弁いただけたらと思います。

森参考人 原子力につきましては、一つは、新しいプラントを建設するということも重要なわけですけれども、それ以上に重要なことが、今先生から御指摘がありました、既存の原子力の稼働率をいかに上げていくかということだというふうに思っております。

 最近は、残念ながら、柏崎刈羽のああいう地震の影響で七台がストップするというようなこともありまして、原子力の稼働率は低下しておりますが、これも先日、おかげさまで七号機が運転開始いたしました。これから耐震の裕度工事、これは柏崎だけでなしに全プラント、そういう耐震に対する裕度を確保するべく取り組みをやっております。それからまた、さらに稼働率を上げるべく、新検査制度、これは、現在の検査のあり方を、運転中の状況も含めてしっかりと監視して、信頼度を上げながら稼働率を上げていくという取り組みもやっております。

 そういうことを計画的に実施していきながら、稼働率を少なくとも八五%程度ぐらいまでは上げるべく努力していきたいというふうに思っております。そうしないと、先ほども申し上げましたように、二〇二〇年度の非化石エネルギー比率の五〇%は到底達成することはできませんので、そのためにもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

 以上です。

赤羽委員 今の御答弁どおり、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、柏木先生にお伺いします。

 先ほど、非常にわかりやすい大学の授業を受けているような感じで、十五分で終わってしまうのはもったいない、一時間ぐらいちょっとよく聞かせていただきたいな、こう思いました。

 先ほど先生言われたとおりだ、なるほどと思いながら聞きましたが、一つは、産業用のメガインフラに加えて暮らしとエネルギーのという、こういう立て分けというのがあると。産業用メガインフラというのは、恐らく今言った原子力を中心に、プラス化石系の高度化利用というようなイメージなのかなとお聞きしました。暮らしとエネルギーについては、これは自分のところで使える電気は太陽光エネルギーなんかをしっかりインストールしていくんだというようなお話なのかな、こう理解したわけでありますが、その点、そういった私の理解で間違いないのか、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

柏木参考人 そのとおりです。ただ、新エネルギー自体、事業用と自家発自家消費とありますから、今先生おっしゃった後者の方は、自家発自家消費で太陽電池という言い方で結構です。

赤羽委員 この場合、先ほど森会長の陳述にもあったかもしれませんが、要するに、エネルギー政策というのは中長期的に組まなければいけないと。ですから、需要計画がしっかりしたものでないとなかなか設備投資もできない、これは当たり前の話であります。

 柏木先生にちょっと御意見を聞きたいんですが、そういった意味で、これまでの政府のエネルギー政策、特に新エネルギー政策についてはちょっと一貫性が欠けていたのではないか。突然、太陽光だと言ったかと思うと、数年前までは補助金があったものをなくした、なくしたことについてどう総括しているのかというのはよくわかりません。その辺は、恐らく明確な長期ビジョンでしっかりしたものがなければ、民間企業としてもそれだけ投資することができないのではないか。

 ここは非常に大事なところだと思うので、この新エネ政策について、これまで若干一貫していなかった部分があるのではないかなと私自身も考えておるんです。その辺についての御所見と、今回、太陽光発電というものを打ち出した、これはエネルギー政策に加えて産業政策とかさまざまなところを踏まえてのことだとは思いますが、今後、この新エネについても、特に政策について、先生もこれからの国の政策にかかわっている重要な識者のお一人としてどのようなお考えをお持ちなのか、御所見をいただきたいと思います。

柏木参考人 私も部会長を十年近くやっておりまして、もろに新エネ政策には深く関与させていただいているんですけれども。

 決して一貫性がないとは思っていませんで、我々が考えていたのは、国民経済上最も、新エネというのはやはり割高ですから、割高だけれども環境性がいいものを新エネルギーと定義しているわけですよ。割高なものを市場に投入するということはだれかがお金を払う、負担するわけで、マジックはないわけです。そうすると、我々部会としては、できるだけ国民負担が少なくなるように、かつ国益が増大するようにということを考えると、やはり急激に、三倍で買い取れとか、そういうことを言うこと自体が、これは政治決断でもしていただかないとそれはできないような気がしていました。

 最近になって、やはり低炭素型社会という地球環境問題がすごい風で吹いてきて、そうすると、国民経済上考えれば、省エネと原子力と供給サイドというふうに思っていましたけれども、最近になって産業政策というのがぐっと追い風になってきて、それでRPSというある枠を決めて経済原理を働かせるということ自体も、やはり国民経済に負担をかけないようにかけないようにという考え方でやってきたわけですね。

 ところが、ここに来て、今話したような形で、地球環境がばっときて中期目標だ、すぐ短期にやると。そこで産業政策もこれからやらなきゃいかぬというふうになったときに、この太陽電池というのが非常にすそ野が広くて、極端なことを言えば、液晶のテレビがあって、これも装置産業ですよね。これはやはりテレビが飽和してくれば、需要が少なくなれば、この巨大な投資が何かにうまく転換できれば、この工場自体のインフラというのはうまく利活用できるわけです。

 太陽電池を併設すれば、逆に言えば、液晶のテレビと太陽電池をうまくセットにして需要を確保できるということになれば、そういう意味では極めてすそ野の広い、産業政策にも資するということで、二階大臣が政治決断をされて、少し買い取りの固定価格もというふうな時の流れに従って、最も国民経済上負担が少なくて、かつ国力が増大するようにというふうな考えで審議会自体やってきたつもりでおります。

赤羽委員 どうもありがとうございます。

 この中で、そういった大きな目標に向かいながら、先ほどの森参考人の御開陳にもありましたが、太陽光設備自体のコストを下げるということはやはり大事なんじゃないかと。今の状況ですと、一軒の戸建てに二百万円以上の投資をするというのは、やはりなかなかこの経済状況の中で難しい部分もあるんだろうなと。

 ですから、私たちは与党の立場で、今回、需要を拡大していこうということで全国の公立の小中学校及び高等学校に太陽光パネルを張る。これは省エネ効果もあるし、環境教育効果もあるし、私神戸なんですけれども、阪神大震災みたいにいざというときの避難所での停電化を防ぐみたいな、そういう災害対策の効果もあるし、また、ざっくばらんに言うと、地元のそれぞれの建築関係の景気、地元の景気、経済対策にもなる、一石四鳥だというようなことで提案もしました。

 また、車も、先ほどお話があったとおり、エコカー、特にプラグインハイブリッドとか、これは自分の家で夜間電力を使って、太陽光発電で起こしたものを夜充電して、それで車を走らせる時代がそんなに遠くない時代に来るだろう、こういったことで、需要創出、相当今回の補正予算、ばらまきという批判もされている政党もありますが、我々これは非常に大事なことであるし、加えて、未来につながる投資であるというふうな思いでつくったわけであります。その点について先生からの御評価をいただければと思います。

柏木参考人 極めて良質だと思っていまして、私も全く異論はありません。

 それで、三年から五年で、今回もメーカーの方々からヒアリングをさせていただいていまして、先ほどちょっと申し上げましたけれども、百万キロワットの工場ができれば値段は半額になる。これは需要が確保できればもちろん製造業者は安心してつくれるわけで、この内需拡大をやっていただけるということは、日本の産業、つくる立場にとっても、三年から五年で半額、半額になりますと、要は我々グリッドパリティーという言葉を使いますけれども、売電と同じコストにこれをいかに下げられるか。そうすると、これは市場原理に乗っても入っていくような格好になりますから、いち早く自家発自家消費と比べる価格、売電二十数円、これより下回る価格を達成した企業が世界の中で生き残るわけですよね。これを今日本は、今回の政策を受けて急激な勢いで追い上げていきたいというふうに思っております。

赤羽委員 最後に、これで問題になるのが、その増加する負担をどうシェアするかということですね。

 先ほど長見参考人のお話にもあったとおり、これもまたうちの党内の法案審査のときにも大変大きな議論になりました。やはり、大義名分の中で全員参加する場合、新しい社会をつくる場合コストが伴うと言うのは簡単なんですけれども、おっしゃるように、高齢者のおひとり住まいの独居老人の方たちが月五十円とか百円とかということも大変な負担になることは本当に事実でありまして、ここは本当に一番つらいところなんですね。なかなか線の引き方も難しい。しかしこれは本当に乱暴にはできない話であると。ここに国が全面的に説明責任を果たさないと、それぞれの各電力事業者があたかも電気料金を上げているみたいな変な話になっていくと、一番やはりここはこれからの細目を詰める上で政府として本当にやっていただかなければいけない、こう考えているんです。

 例えば、長見参考人にちょっと聞きたいんですけれども、私は党内で、今回、公営住宅へ太陽光パネルの設置を優先するべきだ、学校だけではなくて公営住宅に優先するということが、変な話ですけれども、先ほど戸建て住宅というのはなかなか余裕がない、二百万もの投資はできないという方が多いと思います。

 私はやはり、太陽光パネルの効用というものをよくわかっていただくということで、先ほどの小中学校、高校につけるべきだということと同時に、幅広く国民に恩恵を享受してもらうということで公営住宅なんかへの設置を、地方自治体の政策なんですけれども、優先して推進するべきだということを考えておるんです。

 突然申し上げて御答弁しにくいかもしれませんが、そういった考え方はどうなのかな、もしくは皆さんの団体の中でそんな議論があったのかどうかを踏まえて御答弁いただけますでしょうか。

長見参考人 今回の余剰電力の買い取りというのは、家庭用に限られています。だけれども、本当に量的に、それから技術促進を考えるなら、やはりもうちょっと広い面積を利用するということの方が本来の姿ではないのという意見は当然出てきております。

 ですから、今回の法案の中にも、いろいろな場面で太陽光発電を促進するということがかなりうたわれていますけれども、やはりそういう公的なところ、公的な施設というのは最優先で設置していくのが本来の姿ではないかなと思います。

赤羽委員 時間が参りましたので終わりますが、恐らく細目は今後決まっていくんだというふうに思っております。きょうの三名の参考人の皆さんの御意見がしっかりと細目づくりに反映できるように私たちもしっかりバックアップしていきたいと思いますので、今後ともどうか御指導のほどよろしくお願い申し上げます。

 大変にありがとうございました。

東委員長 これにて赤羽一嘉君の質疑は終わりました。

 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 参考人のお三方におかれましては、貴重な御意見を拝聴させていただきました。感謝を申し上げたいと思います。

 早速私もお伺いしていきたい、こう思うわけでありますけれども、若干同僚議員の方と重なる部分もございますので、多少通告をしたものとは変更するかもしれませんが、お許しをいただければと思います。

 まず最初に、長見参考人と森参考人にそれぞれお伺いしたい、このように思うわけです。

 今回の新法、法改正により、太陽光発電について、固定価格で買い取るということが制度として導入をされたわけであります。新制度では電気料金にこれを上乗せすることになっておる、こういうことであります。

 まず、これまで、そもそも、少なくとも私が理解する限り、ここ十年ぐらいは、日本の電気料金はちょっと高過ぎる、高い電気料金を下げなきゃいかぬ、こういうことで政府はさまざまな施策を打ってきた、こう理解しておるんですね。そのために、例えば発電事業の自由化であるとか、そういった施策を打ってきたわけであります。

 また、卸売電気の市場であるとか、そういったものをつくってみたりとか、電気料金の一部自由化を進めてきた、こういうことで、明らかに日本の電気料金は下がってきた。もちろん、こういう流れの中で電力会社も相当のコスト削減をしてきた、こういうふうに思うわけであります。国として政策を促してきた、こう思うんですね。ようやく国際水準レベルに電気料金というのが、為替の水準もありますけれども、随分下がってきたな、こういう認識なのですが、今回、結果として電気料金が上がる、こういうことであります。

 もちろん私どもも、新エネルギーは重要だ、こう認識しておりますし、ある程度のコスト負担というのも必要だろうというのは十分理解した上でも、やはりある意味で電気料金にしわが寄っているのは厳然たる事実である。

 こうなりますと、私どもはこの委員会の審議でも主張してきたんですが、先ほど長見参考人も、気がついたら上乗せでびっくりしました、こういうお話がございました。本来、やはり公共料金に負担をかける場合は、少なくとも法文にある程度きちっと明示されなければいけないし、対象も明示しなければいけないし、こういうものだというのは法律で明記されるべきだろう、こう思うわけであります。

 参考人も一部おっしゃいましたけれども、私どもも問題意識は同じでありまして、なし崩し的に、このままだと、対象がいつ、どう広がるのかというのがよくわからないじゃないか、法律ではなくてすべて役所に委任するというのはちょっと国会としてはいかがかということ、法律のありようとして、法治国家のありようとしてもいかがかということを指摘してまいったところであります。

 そこで、この手の話は、私は、本来は税で改めて議論すべきである、税での負担というのがある意味で正しいのではないか、こう思いますし、百歩譲ってそうでなくても、長見参考人に御意見をお伺いしたいんですけれども、ちょっと専門的な話で恐縮なんですが、やはり法的な位置づけ、例えば電気事業法という法律があるわけでございます。その電気事業法で電気料金というのはこういうものだというのが規定されているんですけれども、例えば電気事業法の中の法的な位置づけであるとか、そういったものが重ねて必要ではないか、少なくとも、今後の制度設計に当たっても、今回は導入するにせよ、やはり中期的には必要ではないか、このように思うんです。その点について、消費者の立場からもう一度、法的な位置づけも含めて、また税ないしは法的な位置づけの明確化についての御意見を伺いたいのが一点。

 あと、森参考人には、同様の観点からこの点についてどのようにお考えになるかということと、あわせて、エネルギー間の公平性ということがございました。まさに、前段私が申し上げた、これまで電気料金を下げてきた政府の政策から転換を結果としてはしてしまうわけですけれども、そうなると、電気料金だけに負担が寄るということについて、改めて事業者としてどのように受けとめていらっしゃるのか。

 まずは、この点だけそれぞれお答えいただけますでしょうか。

長見参考人 法的な位置づけというのは、私も法律の専門家ではないので、どういうことをしていけばいいのかというのはちょっとわかりませんけれども、私も電気事業分科会の中の料金制度小委員会のメンバーにさせていただいているんですけれども、新エネ部会の報告を受けて、私も電気料金が上がる形になるという認識をしましたら、あれは電気料金のうちに入らない、外に上乗せになるんだということを懇々と言われまして、そういうものなのかと思いまして、余計不安になったところがありました。ですから、先ほどほかの人もいみじくも、ほかのこともその上に乗っかってくるんではないかという心配はそういう点にもあると思うんですね。

 ですから、どういう姿が一番いいか知りませんけれども、むやみやたらに上乗せが、いろいろな項目がついてきたり金額がふえるときに、何か歯どめが要るような制度というのは必要ではないかなと思っております。

 それから、税の問題ですけれども、この問題を言ったときに、全員が負担するという話になったとき、それなら消費税ではないのとか、そうしたら、今環境省なんかが言っている環境税の方がもっとすっきりするんではないのというような言いぶりの御意見もいただいているわけです。

 ですから、税というのがどのように考えられていくかというよりもっと広い議論が必要になってくるんだと思いますけれども、そういう意見は消費者の方にもあるということを申し上げておきたいと思います。

森参考人 まず、法的な側面ですけれども、今回の買い取り制度につきましては、新エネ部会等で太陽光の余剰電力に限るというような議論もされておりますので、今後、政省令の中にやはりきちっとそのあたりが裏づけられるのではないかというふうに認識いたしております。

 それから、電気料金の負担の問題ですけれども、固定買い取りに対するいわゆる原資といいますか、どこからその金を出していくかということは、税というのも一つの考え方かとも思いますけれども、今回、国民ができるだけ公平に薄く負担しようというふうに決まろうとしているわけですから、ほかのエネルギーとの公平性という意味から見て、できるだけその金額が多くならないようなこれからの運用をぜひお願いしたいというふうに思います。

 例えば、この制度の中で、当面、買い取り期間としては十年程度ということが区切られておりますし、また、これからメーカー等、施工業者等のコスト低減努力を促すことによって、固定で買い取る量はふえても価格は下がっていく、結果として負担はふえていかないというようなことをぜひ期待したいというふうに思っております。

 以上です。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 森参考人がおっしゃったように、やはりこれはメーカーにも相当頑張ってもらわなきゃいかぬだろう、こういうふうに思うわけです。その辺はやはり産業界全体として相当な努力を求めなければいけないんだろう、メーカーに対しては求めなきゃいけないんだろう、こういうふうに思うわけであります。

 一点、ちょっと私の意見を申し上げると、やはり電気料金は、消費者の立場からいっても、公共料金の話ですから生活に密着する大事な話であって、他方、事業者側からしてみても、明文化されないような状況で、対象が省令で決まる、こういうことでしょうけれども、私は、やや杞憂になるかもしれませんけれども、これは本当に株主代表訴訟にたえ得るんだろうかという懸念も若干するんですね。仕入れと販売、仕入れの状況等、これは極めて経営の根幹にかかわるような話が政省令だけですっすっと決まってしまって、本当にたえ得るのかなと。

 ちょっと翻ってみますと、電気料金をめぐっては、これは消費者にとってはいい話だったと思うんですけれども、昨年の原料価格の高騰の折に、本来ならスライドで値上げできるものが、突然値上げをやめよという指示が当局からおりた。私、これは電気事業法の何条に基づく指令なのかと聞いたら、たしか当局のお答えは電気事業法一条で、安定供給という条文なんですけれども、これではとても突然の引き上げを引き下げる命令の根拠条文にはならないのに値上げを据え置いたという、政治的な判断で大臣が下された事例もございました。

 ですから、過去においてそういうこともやっているわけですから、私は、やはりある程度法的な根拠というのは必要だということを申し上げたいな、このように思います。

 次の質問なんですが、先ほど来から話があっている、さまざまな太陽光発電が、小さな発電が出てくると、系統の安定化と太陽光発電の受け入れというのは、技術的にはやはり相当高いレベルの技術が必要なんだというふうに承っております。

 この点について森参考人と柏木参考人にお伺いしたいのですけれども、我が国の送配電網、制御網というのは、先ほど柏木参考人の意見陳述にもあったように、これは世界で最高水準だ、こういう話でもございました。ただ、やはりこれだけのものが出てくると、マイクログリッドはもう既に確立しているという話でございましたけれども、スーパースマートグリッドと言っていいのかどうかわかりませんけれども、さらなる設備というものも、技術的な課題も必要かと思っておりますし、こういった新たなインフラ整備の必要性について、一つは、電気事業者としてどういった気持ちでこのものについて取り組むのか。

 ある程度今の状況だったらば間に合うから大丈夫です、こういうお話でございましたけれども、我が国の最先端の送配電網を、さらにもっとこれを機に一歩進めて、世界最先端にこれを機に進めていこうというような形で取り組まれようとされるのかどうか、どんな手当てが必要なのかということも含めてお答えいただければと思っておりますし、柏木参考人には、そうした電気事業者の取り組みも踏まえて、さて、このインフラが持つほかの分野における可能性についてもお答えいただければ、このように思っています。

森参考人 先ほども申し上げましたように、電気を安定して供給するためには、需要と供給を瞬時瞬時に完全に合わせておく必要がございます。そういうことで、太陽光、風力もそうですけれども、大量に入りますと、あるいは天候等によりまして出力が非常に大きく変化いたしますので、現状よりも調整は非常に難しくなってまいります。

 そういうことで、我々は、そういう大量に入ってきたときに一体どのような振る舞いをするのかということを知ることがまず大事だというふうに思っておりまして、ことしから全国約三百二十カ所に日射量計とか気温計を設置しまして、一秒単位ごとに時間を合わせてデータをとります。それを実際に集約して評価、分析したいというふうに思っております。

 結局、十分あり得る変動に対しての備えが要るわけですから、その評価を踏まえた上で、従来の調整している電源と、それから新エネ、太陽光あるいは風力対応で設置した蓄電池、それとどういう形で総合的に調整するかということを取り組んでいきたいというふうに思います。

 いろいろなスマートグリッドの中で、個々のお客様の電池とか、あるいは太陽光そのもの、家電製品そのものの制御というようなこともよく議論にのりますけれども、私自身は、例えば関西電力だけで見ましても、お客様の数は八百六十万軒あるわけです。八百六十万軒のお客様を一斉に秒単位で需給を合わせるために制御するのは非常に難しいだろうというふうに思っております。

 ただ、個々のお客さんごとに、省エネをどういうふうにしていくかという意味合いで、スマートメーターとかというのを活用することはあり得ると思いますけれども、全系の周波数を調整するというのは、やはりある程度のまとまりを持った電池、それと既存の水力、火力、こういうようなものをいかにうまく整合をとって制御していくかということではないかなというふうに思っております。

 ですから、スマートグリッドというものは、アメリカあたりでのスマートグリッドというのは現在非常に信頼度が低くて、日本のように配電線とか送電線とかITを使ったそういう高度な制御はされておりません。アメリカあたりでは、まずは系統、いわゆる連系線とか送電線、そういうハード面の整備をまずやるのではないかと思っていまして、その次はそれぞれの自動化というような取り組みになると思います。日本はそこから先の取り組みになりますので、私のイメージでは、全系としては、バッテリーもある程度集中的に置いた形で、それと既存の発電施設との制御、個々に設置される自動車との、それから個々の御家庭等の太陽光とかの制御は、むしろ省エネというような視点で取り組むのがこれから進む方向ではないかなというふうに個人的には思っています。

 しかし、これからどんどん技術は進歩しますので、こういう方向ということを決めつけることなしに、あるべき姿を追い続けていきたいというふうに思います。

 以上です。

柏木参考人 電力は、生き物のごとく、大規模のメガインフラで、大変なスピードで供給されているわけですよね。五十万ボルトからずっと来まして、電信柱で六・六キロボルト、それから百ボルト、二百ボルトで家庭に運ばれているわけです。

 今までの制御というのは、日本の電力会社の送配電システムというのは、停電の率が極めて少ないことからもわかるように、世界最大級の制御技術を持っているわけですね。ただ、一方向の流れなんですよ。下から噴き出てくるということは考えていなかった。供給サイドは、やはりメガインフラが最も多量に安く供給できる源だった。ところが、今、低炭素という話で、自分の家庭の中で自分のエネルギーはできるだけ、ランニングコストがゼロな太陽エネルギーをうまく変換して、それが安くなってくれば、我々グリッドパリティーと言っていますけれども、これの売り値より下がってくれば、一挙に屋根に入ってきますよね。売り値より安くなってくると入ってくるわけです。

 それが、例えば私は二〇二〇年で今の十倍という話、千四百万キロワットと言ったんですけれども、このぐらいだったら下から噴き出ても、今、電力事業者だけで事業用で二億数千万キロワットあるでしょうから、それが上位の電信柱以上のところにそれほど影響を及ぼさなかったんだけれども、二十倍という数になると、それは下でぼこぼこ暴れ馬みたいなものが入ってくるわけですから、そうなると電信柱にICTを入れたり、どっち方に流れているかチェックしておかないといけないわけです。今、森さんがおっしゃったように、一秒置きに要所要所でチェックしながら。ぽっと雲がかかれば今度は上から流し込まなければいけなくなりますから、蓄電を入れたりなんかして。次世代送配電システムということになると思いますけれども。ですから、量との兼ね合い。

 今、麻生首相が、二〇二〇年に二十倍だ、これをやった方が日本としてはいいんじゃないかということをおっしゃっておられる。これも政治決断だとすれば、二千八百万キロワットというと、もはやそういうシステムを要所要所に入れていかなければいけない時代に入ってきた。

 ですから、無電化村等も含めると、アジア圏全体を見据えれば、我が国が技術立国であるならば、エネルギーのアフォーダブルな暮らしを提供する、例えば太陽電池が屋根に入ってくるんだということを想定したら、いち早くモデルケースを決めて、スタンダードをとれるぐらいのところまでやっていく必要がある、このことをスマートグリッドというふうに呼んでいますけれども、というふうに私は思います。

近藤(洋)委員 まだまだ実はお伺いしたいことがたくさんあるんですが、時間が参りましたので終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて近藤洋介君の質疑は終わりました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、参考人の皆さんには、大変お忙しいところ、ありがとうございます。

 最初に、森参考人の方から伺っていきたいと思います。

 今度の法案の第五条とか十四条にかかわってくるところで幾つかお伺いしたいと思うんですが、第五条の方で、経済産業省が導入を予定している太陽光発電の買い取り制度、これについて定めているわけですが、電気事業連合会として、買い取り価格の設定とか費用負担の方法、それから費用の転嫁について、政府にどのような要望をお出しになって、また大体政府とどういう合意という内容になったのか。

 最終的には形としては法律として出てきているわけですから、私たちはそれを見るわけですが、その過程が少しよくわからないものですから、お伺いしておきたいと思います。

森参考人 今回の買い取り制度を二階大臣の方から要請を受けたときに、冒頭も申し上げましたけれども、我々としては、この負担は国民全体が広く負担するものですから、国民の皆さんにきちっと国の方で説明して理解していただくことをしていただきたい、それから二点目は、今御指摘のありました固定買い取りに要したコスト、これをきちっと回収する仕組みをつくっていただきたいということを申し上げております。その前提で我々は積極的に協力させていただくということを申し上げました。

 ということで、どのような形でコストを回収するかというのはこれからの詳細設計の中で決まっていくものというふうに思いますが、それが決まれば国民の皆さんに負担していただく形が出てくるわけですけれども、これからの詳細設計の中で我々の要望がきちっと反映されたものになるかということを見ていきたいというふうに思います。

 以上です。

吉井委員 十四条に関連して伺いますが、法律上は、国は「広報活動等を通じて国民に周知」としているわけですね。もちろん法律上の文言からすると国なんですけれども、かかわるのは電力会社もかかわってきますから、国はどういう広報活動で、電力会社は利用者にどのような説明とか広報をしていくということになっているのか、その辺を伺いたいと思うんです。

森参考人 もちろん我々も、広報活動については積極的に、可能な範囲でやっていきたいと思います。

 まず一つは、我々が通常やっている広報活動といたしましては、ホームページ等で新しい固定価格買い取り制度の仕組みを皆さんにお知らせする。あるいは、営業所等の店頭に、十分皆さんが御理解いただけるようなもの、ごらんいただけるようなものを準備する。あるいは、我々のコールセンターを中心に、いろいろな問い合わせに対してきちっと丁寧に御理解いただけるように説明する体制の整備、そのようなことをこれから考えていきたいというふうに思います。

 まだまだ具体的な対応の設計といいますか、そういうものはできておりませんけれども、今申し上げたようなことを念頭に置きながら考えていきたいというふうに思います。それをきっちり国の方でサポートしていただきたいというふうに思っております。

吉井委員 負担転嫁ということになりますと、電気料金の引き上げということにもかかわってきます。実際には、この制度設計の中で、電気料金に負担が転嫁しない仕組みでとなりますと、政策的に経費を投入するとか別な方法もあるかと思いますが、一応今考えられているのは負担転嫁ということですから、そうすると、電気料金の値上げということになってくる場合に、公聴会なんかの問題が出てきますね。

 そうすると、値上げについて、電力側が利用者に説明をするということになってくるのか、この場合には政府が説明する、そういうことでいきましょうということになっているのか。政府と電気事業連合会との間で、お話し合いの方はどういうふうになっているのかなと思うんですが。

森参考人 これは電気料金そのものの変更でなしに、電気料金とは別枠の形でお客様に御負担いただくというような形で、詳細な取り扱いについて現在検討を進めております。

 ですから、公聴会とかそういうようなものは開くことにはならないというふうに考えています。

吉井委員 今、別枠でというお話だったんですが、現実の問題としては、負担転嫁となりますと、電気料金の引き上げということになっていくわけですね。

 長見参考人に伺っておきたいのは、消費者の立場としてはこの問題についてどういうふうにお考えかを伺っておきます。

長見参考人 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、電気料金は電気料金、それにプラス、どういうタイトルになるのか知りませんけれども、プラスアルファがつくという形になるようなんです。ただ、買い取り価格というのはどんどん変わってくるわけですよね。余剰電力の量にもよりますし、戸数がふえていく場合もありますね。それが一年単位でまとめられて価格設定されるものなのか、刻々と変わるものなのか、多分これからの制度設計なんだろうと思いますけれども、その辺のところにしてもまだ定かでないので、消費者としては非常に不安があるところなんです。

吉井委員 次に、森参考人にお伺いしておきたいと思うんですが、COP15に向けて、電気事業連合会としては二〇二〇年の二酸化炭素排出削減の中期目標をどれぐらいに見て、電気事業連合会として、あるいは個々の電力会社として、どういうやり方で実現していこうというお考えを持っておられるのか、その辺のところを伺いたいと思います。

森参考人 我々電気事業者は、これまでの京都議定書に対する取り組みとして、自主行動計画、これは、一九九〇年のキロワットアワー当たりの排出CO2を二〇〇八年から二〇一二年の間で二〇%削減する、いわゆる排出原単位、これを削減するという目標を立てております。

 それで、次の二〇二〇年、ではどうなるかということですけれども、二〇二〇年も、我々は、先ほども申し上げましたけれども、非化石電源を五〇%以上確保することによって排出原単位を〇・三三程度にまで下げるというような、現在の供給計画から下がるというふうに推定をいたしておりますが、総排出量につきましては、これは個々のお客様、個々の企業、これがどれだけ御使用になるかによって変わってきますので、我々は、あくまでも、今後とも、キロワットアワー当たりに含むCO2をどこまで下げていくかということを目標に取り組んでいきたいと思っております。

吉井委員 本来、まず総排出量をどれだけ減らして、その中で、それに見合う分としてどれぐらい削減ということが大事かと思うんです。

 一つここで、今堺の方でシャープと共同で取り組んでいらっしゃる、二万八千キロワットですか、メガソーラーの発電の方では、大体これぐらいの規模でいきますと、一キロワット時当たり幾らの発電コストで実現できるということでお考えかを伺っておきたいと思います。

森参考人 今のは、私、ちょっと正確な数字を持っておりませんのでなんなのですが、推測で申し上げて申しわけないんですが、約五十円弱程度になると思います。

吉井委員 次に、柏木参考人にお伺いしたいと思うんですが、いろいろの再生可能エネルギーによる地産地消の分散型システムが有機的に結合され、マイクログリッド的にITで連携、制御され、省エネにつながるものというのが一つと、それから二つ目に、地域ごとの風土に見合ったエネルギーシステムの構築ということ、三つ目に、エネルギー集約型の産業からの脱却という、これは日本のエネルギー問題の解決の道とお書きになっていらっしゃるものを読ませていただいて、そういう三つのことをお考えかと思ったんですが、きょうも既にお話もいただいておりますが、もう少し具体的に、この三つの問題についてお考えを伺っておきたいと思います。

柏木参考人 日本発の低炭素型エネルギーシステムのグランドデザインというのは、私は強い意思を持って申し上げているのは、まず原子力のようなメガインフラがベースにある。ただ、これだけだと、やはりピークが昼間出てきたときに全量を賄うことは無理ですから、そうなると、地産地消のシステムで、発電効率が高くて、地産地消のバイオマスだとかあるいは太陽光だとか、そういうものが取り込める形のクラスター状のものが浮いてくる。それがうまく機能したときに、世界オールマイティーで使えるグランドデザインを我が国独自で示すことができる。ですから、二者択一というのはないんだというのが私どもの考えなんですね。

 そうなると、どうしても気象でふらふらするような不安定性電源がディマンドにたくさん入ってくるということになりますと、ITコントロールでうまくメガインフラに調和できるように、さっき申し上げた、上位の系統に影響を及ぼさないような形での新しい系統ネットワークというのがあるだろう。これが、ある意味では、小さい場合にはマイクログリッドのような形になるし、全体をカバーしている電力会社が所有しておられるメガインフラでいえば、そこに、要所要所に信頼性を高めるということになるとマイクログリッドになるし、あるいは、地域のコミュニティーで、熱、物質、電気全体を統合型でコントロールしていこうということになりますと、EUなんかが言っているスマートエネルギーネットワークという格好で、少しずつニュアンスが違う。

 ただ、日本はすべてをやる土壌がある。これは、やはりメガインフラが極めて信頼性の高いものを持っているからだ。ですから、そこら辺が、今申し上げたインテリジェンスのITコントロールのものが入ってくる、こういうことになります。

 そうなりますと、どうしても産業構造が、一次産業、例えば農林水産業、こういうものがバイオマス等を通してエネルギー供給業を併設するような格好になりますから、ある意味では産業構造を変換することができる。これは我が国にとっては極めて大きなインパクトがあるだろうと思っていまして、そういう意味で、産業構造が変革してくる。

 これがこれからの新興国に対してもスタンダード化ができるように、日本はスタンダードに弱いですからね。どうにかISOにこういうシステムを上げて、モデルケースできちっと実証した上で、やはりアジアの中にスピルオーバーしていくというふうなものが、今与えられたこの低炭素型という極めて複眼的な国際政治の課題に対して、我が国が国益を増強する一つの大きなポイントだろうと思っております。

 以上です。

吉井委員 今お話を伺いながら、風土に合ったという点で言いますと、例えばアイスランドなどですと、地熱発電と、それから熱水の長距離輸送をやって活用とか、いろいろなことをやっておりますから、地域ごとの風土に見合ったエネルギーの活用というのは大事だなと、今もお話を伺いながらふと思い出したんです。

 おっしゃった分散型エネルギーの中で、今問題になっているのはソーラーセル中心ですけれども、あらゆる再生可能エネルギーについて活用したシステムを構築していくことが重要だなと。そのことによって、それだけでは系統安定にはなりませんけれども、そのことを含めて系統安定もお考えなんだなというふうに感じた次第です。

 あわせて、この機会に柏木参考人にもう一つ伺っておきたいのは、やはり再生可能エネルギーで時間的、季節的変動というのは避けられない問題としてありますから、物によっては、バイオマスその他でそうでもないものもありますけれども、そういう電力の系統連系したときの安定化技術をどういうふうに開発していくか、推進していくかということが大事な課題だと思いますが、この点について柏木参考人のお考えと、それから、電力会社としての取り組みの状況について、そちらは森参考人から伺いたいと思います。

柏木参考人 先ほどとちょっと重複するかもしれませんけれども、変動成分があるものが上位の系統に影響を及ぼすというのは、これはやはり停電する可能性がありますよね。ですから、どうにか電信柱以下のところでスタビライズさせたい。

 そうすると、簡単に考えるのは、どちらの方向に電流が流れていて、こっちにディマンドがなければそこを蓄電しておいて、蓄電技術というのはやはりセットで導入される。そうなると、太陽電池、蓄電池というのは大体システム化してうまく導入されるべき話だというふうに思っていまして、それに燃料電池という熱を使う、この三点セットで家庭内のシステムというのは賄える可能性がある。今、ITというコントロールシステムがパソコンレベルで入っていますから、うちの中には、例えばHEMSのような形でエネルギーマネジメントが入ってくる。

 そうすると、蓄電池が今高いのでなかなか、太陽電池がまだ高くて、それにまた高いのを入れるのかという話になりますから、それが車で置きかわることができてくる可能性があるわけですよね。車両の多様化ということは、これは石油の価格の変動を抑えることにもなります。

 そうなると、やはり電気という、蓄電が車に置きかわってくると、今度は上位の系統に、これがまた二重の効果を及ぼすことができるようになってきて、さらにまた、ディマンドにこの変動性のものが入る余地をふやす。いい循環を起こさせる可能性があるというふうに考えます。

森参考人 太陽光とかが系統に入った場合の問題点としては、系統上、三つの問題点があります。

 一つは電圧ですね。これは、先ほど柏木先生からお話ありましたように、従来は、系統の上から下の方へ、お客様の使う方へ電気が流れていたのが、下からわき上がってくるということですから、そこのところが電圧が高くなってくる。

 もう一つは周波数の問題。

 もう一つは、三点目は余剰の問題。これは周波数とも非常に密接に関係があるんですけれども、例えば五月のゴールデンウイークあるいは正月、こういうときには全体の電力の需要が非常に落ちてまいります。そうしますと、例えばベース電源に入っている原子力は連続して運転する、あるいは流れ込み式の水力ですね、ダムのないもの、これは発電し続けるわけですから、太陽光が余ってくる。

 この三つの問題があります。

 電圧の問題というのは、これは非常にローカルな、系統の末端の話でして、これは現在でも既に顕在化しております。ですから、これにつきましては、配電線を分割するなり、場合によっては、電圧が上がり過ぎるとお客様の太陽光発電が自動的に系統から解列するというような仕組みもありまして、これは現実に対応していますから、数がふえてきても、それの延長で解決できるのではないかなというふうに思います。

 一番難しいのは、やはり周波数制御がこれから大きな課題になるだろうというふうに思っています。これは先ほども御説明いたしましたけれども、まずは、全体に、大量に、面的に設置された太陽光発電がどういう形で振る舞うか、これをまず我々はつかみたいというふうに思っていまして、これは、ことしから、全国三百二十カ所にそういう日射量計等をつけて、一秒間一秒間ごとの振る舞い、一つ一つだけでなしに、全体としてどう振る舞うかということをつかんでいきたい。その上で、それを反映して、既存の調整する能力を持っておる水力発電所、火力発電所、それから大量に入ってきますと、当然余剰、太陽も含めて、蓄電池が設置されるということになると思いますので、それを一体にどう制御していくかということを研究していきたいというふうに思っております。

 以上です。

吉井委員 ありがとうございました。

 今のお話を聞いておりまして、私も、六ケ所に行ったときに、大規模な風力発電が、夜間電力は蓄電しておいて昼間の高いときに販売するとか、既にいろいろやっておられるようですが、そういう技術の開発によって系統の安定というものについての取り組みが大事だなということを聞かせていただきました。

 きょうは、お忙しいところ、どうもありがとうございました。これで質問を終わります。

東委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案並びに石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第四部長近藤正春君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官岡誠一君、農林水産省大臣官房審議官小栗邦夫君、経済産業省大臣官房審議官西本淳哉君、経済産業省大臣官房審議官上田隆之君、資源エネルギー庁長官石田徹君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長羽藤秀雄君、資源エネルギー庁資源・燃料部長北川慎介君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長西山英彦君及び国土交通省河川局次長田中裕司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤ゆかりさん。

佐藤(ゆ)委員 自由民主党の佐藤ゆかりでございます。

 本日は、通称のエネルギー供給構造高度化法案関連の質疑をさせていただきたいと存じます。

 太陽光発電、風力発電を初めとします再生可能エネルギーなど非化石エネルギー源の促進並びに石油、石炭等の化石エネルギー源の一段の効率化という両輪で、国全体としてのクリーンエネルギー化を進めるための法律と理解をいたしております。

 一方、太陽光発電では、近年の世界競争激化の中で、日本の実績はいま一つというところでございます。二〇〇八年末時点で、太陽光発電設備容量の世界第一位はドイツ、二位はスペイン、三位に日本が転落。そして、新規投資に限りますと、昨年末時点で、一位がスペイン、二位がドイツ、そして三位は米国に追い抜かれまして、日本は四位と転落をいたしました。

 世界競争激化のこうした背景といたしまして、地球温暖化による環境破壊への危機意識の高まり並びに危機意識のもとで、経済界も環境産業を経済成長の大きな原動力とみなし始めた事実があると思われます。

 そうした中、我が国日本といたしましては、環境立国として、世界に先駆けて低炭素社会の実現と経済成長を融合させる新しい成長モデルを確立する国家的な意思と国家戦略が今まさに問われているものと存じます。

 そうした中で、近年、大口電力需要の動向が非常に気になるところでございます。一九九六年から九七年の第一次電力の自由化以降、電力事業への段階的な参入が増した一方で、工場、事業所での自家発電の動きも活発化いたしました。結果として、大口電力需要における自家発電の供給が三割と高いシェアを維持しておりまして、この自家発電も軽視できない部門の一つというふうに思われるわけでございます。

 法案では全員参加型の新エネ拡大推進をうたっておりまして、太陽光、原子力等の非化石電源を二〇二〇年までに五〇%以上とする等の非化石電源の利用拡大をうたう本法案でありますが、多様化する電力供給源に対して、非化石エネルギー源への転換を漏れなく経済全体として着実に進めることが重要であると思われます。

 そこで、この太陽光発電におきます日本の世界一位挽回に向けた本法案の位置づけと、それから、電力供給において今回非化石エネルギー促進を義務づける義務対象者がどこまでの範囲であるのか、さらに、自家発電事業者への普及はいかようにして徹底をするお考えであるか、大臣に御所見をお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 太陽光発電についてでありますが、永続的に利用可能な再生可能エネルギーであることは御承知のとおりでありますが、エネルギー自給率の低い我が国にとって、エネルギーセキュリティーの向上の面からしても、大変有望な純国産エネルギーだというふうに考えております。

 そこで、発電時に二酸化炭素を排出しないために、その利用の拡大は地球温暖化対策にも大きく寄与するものと考えております。我が国の技術力、競争力の強化につながるとともに、関連産業のすそ野が広いことから、地域の活性化や雇用対策にも役立つものと考えておるわけであります。

 しかし、今、佐藤議員から御指摘のありましたように、国際的にかねては第一位の立場にあった我が国がだんだんと他の国に追いつかれ、追い越されてきておるような状況でありますが、今後、我々もあらゆる工夫を凝らし、そして広く、多くの国民の皆さんの共感と御協力をいただきながら、必ずやもう一度第一位の立場に返り咲くということについては、そういう信念を持って対応しようとしておりますから、そう遠くない日に一位に返り咲くことは夢ではないというふうに確信を持っておる次第であります。

 大変多くの利点があります太陽光発電でありますから、今回の法案の成立をいただければ、さらに一層の導入拡大をこれによって図ってまいりたい、このように思っております。

石田政府参考人 今、先生のお尋ねの中でこの法案の義務対象者についてのお尋ねがございましたので、私の方から若干補足をさせていただきます。

 この法案で特に非化石エネルギー源の利用の促進を義務づける対象でございますけれども、我が国の最終エネルギー消費の八割を占めます電気、ガス、石油等がエネルギー供給事業者によって供給をされているということで、この法案ではその義務対象をエネルギー供給事業者に限定をしているところでございます。

 電気事業につきましては、発電した電気を他者に供給する事業者のうち、その供給量が一定以上の事業者を義務対象ということにしておりまして、いわゆる自家発電事業者、みずからが利用するためにみずから発電をするという事業者につきましては、この法案の義務対象にはなっておりません。

 ただ、それでは、自家発電事業者については全く何もしないのかということになりますと、そういうことではございませんで、今回改正をお願いいたしております改正石油代替エネルギー法におきまして、自家発電事業者を含む、工場においてエネルギーを使用して事業を行う者に対する非化石エネルギーの導入指針というものを定めて公表することになっておりまして、この導入指針に従って事業者を指導助言していくということになります。

 また、加えて、政府といたしましては、非化石エネルギーの開発、導入を促進するために、こうした事業者の導入も含めて、財政上、金融上及び税制上の措置を講じることによって取り組みを進めてまいりたいというふうに考えています。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 やはり経済全体として漏れなく、この非化石エネルギーの利用促進というものをさまざまな法案、法律の網の中でぜひトータルとしてお進めいただきたいというふうに存じます。

 さて次に、太陽光発電のいわゆる設置コストの回収の観点でお伺いしたいと思います。

 太陽光発電による余剰電力の買い取り価格の設定や、設置コスト回収に向けたいわゆる枠組みといいますのは、本法案第五条の規定を根拠にして具体的制度設計を行うとされております。しかしながら、まだその明確なものが詳細に出てきていないのが現状でありまして、本日お伺いをしたいというふうに思います。

 第一の重要な観点といたしましては、太陽光発電の普及の促進に当たりまして、設備投資のコストの回収が、どのようなタイミングでどのような回収ができるかというシナリオの明示が普及の上で極めて重要であろうというふうに考えられるわけであります。

 経産省の試算では、新築一般家庭が三・五キロワットの太陽光発電パネルを設置した場合の標準例として約百八十五万円の投資額がかかるとしております。この投資額を十年間で回収可能としているわけであります。その根拠として、国の支援が、補助金と今回の住宅減税を合わせて約四十三万円、自治体の補助金が約二十万円、例えば東京都の場合には、一キロワット十万円の補助で三・五キロワットのパネルですと三十五万円に当たるわけでありますが、残りの半分以上の約百万円程度の回収については売電収入で十年間で完了するという試算になっているわけであります。

 ところが、重要なのは、買い取り価格の四十八円、一キロワットアワー四十八円が十年間続くのかどうかというポイントでございますが、発電原価の方は、新買い取り制度のもとでパネルの設置が普及すれば設置コストも低下するわけでありますので、したがって、制度の導入後三から五年程度で、当初の一キロワット四十九円の売電原価から現在の家庭用電力価格である約二十四円まで低下を経産省の試算では見込まれているわけでございます。

 ここで、明確なシナリオが必要と思われますのは、パネルの市場価格の低下を待つ、いわゆる買い控えをいかに抑えていくかという観点でありますけれども、いつパネルの設置を行っても、設置する家庭や事業所にとりまして公平な制度が維持できるのかという観点がやはりあるのだろうと思います。

 制度導入直後に設置をする方々については、十年間、固定価格四十八円で売電せずには十年後の投資回収が不可であるわけでありますが、その一方で、初期設置者のための一キロワットアワー四十八円の買い取り価格を続けたと仮定した場合には、例えば、制度そのものを導入後、五年後には発電の原価そのものが一キロワットアワー二十四円あたりまで低下を見込んでいるわけでありますので、そうしますと、四十八円で後続の設置者の方々が売電を続ければ、電気料金上乗せという国民負担のもとで売電の超過利益が生じる方々が出てくるわけでございます。

 したがいまして、お伺いさせていただきたいのは、設置時期によって買い取り価格を個別に変えるのか、変えるとすれば、かなり煩雑な作業になるかとも思われます。あるいは、他方、四十八円の買い取り価格は維持をしながら、かわりに国庫補助の段階的な削減等で、設置者として、どの時期に設置をしてもトータルコストとしての公平性を維持するのか、一体どちらになるのでしょうかということでございます。

 太陽光発電の設置コスト回収と国民負担の軽減という観点から、今後の補助のあり方や買い取り価格にかかわる具体的なスキームを明示していただきたいと思います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光発電の普及を加速するためには、初期投資をなるべく早く回収できるような仕組みとすることが重要である一方で、買い取りによる国民負担が大きくなり過ぎないようにするというような配慮も必要なわけでございます。

 このため、今回の新たな買い取り制度につきましては、ことし一月から開始いたしました補助金の支援措置と組み合わせることによりまして、今先生も御指摘なさいましたように、新築の住宅においては初期投資を十年程度で回収できるような仕組みとするということを検討いたしてございます。

 具体的な買い取り価格等の詳細については、今後、審議会等でまた議論をしてまいりたいと思っておりますけれども、当初は発電原価見合いということで、現在の電気料金の小売価格の倍程度、四十九円というのが大体今の言われている数字でございますけれども、そういった程度の買い取り価格を設定していくことになるんだと思います。

 今先生おっしゃられたような、例えば買い控えをいかに防止するかという中で、システム価格の引き下げを図っていくという必要性を考えますと、一たんある価格で買い取りを始めた需要家には、十年間は同じ価格で買い取る、ただ、その次の年度に新たに導入をされる方につきましては、むしろ、システムを導入した年度のシステムの原価を勘案しながら買い取りの価格を引き下げていくというようなことを対応として考えていく必要があろうというふうに考えております。

 これによって、買い控えを起こすことなく、かつ、太陽光のシステムのコストの低減に結びつけるということが可能になるのではないかというふうに考えております。

佐藤(ゆ)委員 ぜひとも、見かけ倒しにならないように、買い控えを抑えながら、公平性の担保という観点から制度設計をお願いしたいと思います。

 次に、少し話題をかえまして、スクール・ニューディール構想についてお伺いをさせていただきたいと存じます。

 新買い取り制度は、エネルギー供給事業者の買い取り価格が、従来の二倍の一キロワットアワー四十八円から始まるということが義務づけられるわけでありまして、当初は、少なくともいわゆる非化石エネルギーの普及にとりまして国民負担で行うというような制度設計になっているわけでございます。太陽光発電の普及拡大のために、先ほど、本日、午前中に本委員会で行われました参考人意見陳述からも、国民負担の軽減への意見が複数出されたところでございます。

 そこで、このスクール・ニューディール構想の買い取り価格の問題があろうかと思いますので、お伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、資料をごらんいただきたいと思いますが、この資料Aの上の表のところでございますけれども、こちらは、新買い取り制度における電力料金引き上げの国民負担を試算したものでございます。

 日本の年間の電力需要の構成というのは、総需要約九千三百億キロワットアワーのうち、いわゆる工場の自家発電等を含みます電力自由化部門の需要が六千億キロワットアワー程度、そして、家庭や事業所という非自由化部門が残りの三千四百億キロワット程度と思われます。

 太陽光発電の買い取り価格の一キロワットアワー四十八円への引き上げによる電気料金の上乗せを最大一キロワットアワー〇・三円程度と想定いたしますと、家庭、事業所等の非自由化部門の負担増はトータルで年間約一千億円程度と試算されます。家庭の平均的電力需要を月三百キロワットアワー程度といたしますと、これは一家庭当たり、電気料金の負担増は年間千二百円程度という計算になりますが、大口需要家であります事業所等では、このコスト負担が多額になることも予想が可能でございます。

 国民負担軽減のため、さらなる努力が可能な部分として、実は私は、この二十一年度補正予算に盛り込まれましたスクール・ニューディール構想を指摘させていただきたいと存じます。

 全国の公立小中高等学校校舎の屋上などへ太陽光パネル設置を推進するこの構想では、当初、例えば全国三万六千校のうち、現在パネルを設置している校数の約十倍に当たります一万二千校への設置を目指すとされております。私自身、ぜひこれは応援をさせていただいて、成功していただきたい構想であるわけであります。

 そこで、文科省の方にお伺いをしたいと思います。スクール・ニューディール構想における太陽光パネル設置の費用負担割合について、さらに、東京都などの不交付団体の場合の国庫負担の割合についても御回答いただきたいと思います。また、既に設置済み学校における従来の売電価格の実績値についてもお答えいただきたいと思います。

岡政府参考人 お答えいたします。

 地球温暖化対策への貢献や環境教育を推進するため、学校に太陽光発電パネルを設置することは、私ども非常に重要と考えております。

 このため、文部科学省におきましては、二十一年度補正予算から、太陽光発電パネル設置のための国庫補助制度を創設し、設置に必要な経費の二分の一を支援することとしたところでございます。

 さらに、平成二十一年度補正予算においては、地域活性化・公共投資臨時交付金を各地方公共団体の地方負担額及び財政力に応じて交付することとされております。この交付金の総額は、補正予算に計上された施設費などの地方負担額の九割に相当する額として一兆三千七百九十億円が計上されているところでございます。

 この交付金は、公立学校への太陽光発電パネルの設置に当たっても、地方公共団体の財政力等により異なりますが、平均して地方負担額の九割程度が措置されるよう調整中でありまして、国庫補助金と合わせれば、国の負担割合は九五%程度になるとされているところでございます。

 なお、この交付金は、東京都など地方交付税の不交付団体にも交付することとされておりますけれども、先ほどお話ししたとおり、地方公共団体ごとに、財政力等による調整が行われた後に算定されることになっておりまして、具体的な負担割合については今後決められていくことになると承知しているところでございます。

 また、太陽光パネル等における余剰電力の売電のことの質問もございましたけれども、学校の太陽光発電による余剰電力の売電収入額について、全国的な売電実績は承知しておりません。

 個別に幾つかの地方公共団体に聞き取り調査をしたところ、売電収入が高額な学校の事例としまして、三十キロワットの太陽光発電パネルを設置した場合で年間十四万三千円、二十キロワットの太陽光パネルを設置した場合で年間五万二千円の収入実績があると承知しているところでございます。これらは、学校開放をしていない、あるいは学級数が少ないなどのため、余剰電力が生じやすいことが影響していると考えられておりまして、売電により利益の見込まれない学校も少なくないと聞いているところでございます。

 なお、私ども、余剰電力の売電によりまして利益が見込まれる場合、各学校または教育委員会において活用できるようにすると効果的であるということを地方公共団体に対して周知しているところでございます。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 そこで、この配付資料のBの欄、下段の方の表でございますが、こちらに、今お答えいただきました前提となるモデル校の数値を入れて、私どもで試算したものがございます。

 売電単価に引き直しますと、大体十三円から十四円程度で売電しているということになろうかと思いますが、これを全国小中高校でこの二つのモデル校の実績を平均化しまして、全国小中高校の三万六千校を対象にこれが普及したという前提で計算をいたしますと、年間余剰発電量の総計は一億、二億、三億というような規模に上ることがごらんいただけると思います。当然、土日、祝日、休日は売電の対象となるというような前提で置いておりますので、個別校によってその積み上がりで結果は異なってまいるということだと思います。

 しかしながら、ポイントは、公立学校からの売電による潜在的経済価値。これを今後の一般市場では新買い取り価格である一キロワットアワー四十八円で売るわけでありますので、潜在的経済価値を四十八円で算出をいたしますと、潜在的な売電総収入は六十億から百二十億円台、それぐらいのオーダーにもなり得るというような概念になるのではないかと試算がされるわけでございます。

 そこで、経産省の方にお伺いをしたいと思いますが、この新買い取り制度におきます、今回のスクール・ニューディール構想を対象とした公立学校からの買い取り価格の決定のプロセスと時期的な予定について教えていただきたいと思います。

羽藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 太陽光発電システムを導入します学校でございますけれども、これにつきまして、これまでの導入の事例あるいは今お示しをいただきました導入の事例などで、学校のそれぞれの導入の規模あるいは電力の使用の状況などによりまして、個々の事例において余剰電力が発生する場合の規模というものもまた異なってこようというふうに思っておりますけれども、いずれも余剰電力が発生する場合におきましては、新しい買い取り制度の対象とすることとしております。

 新しい買い取り制度、そしてスクール・ニューディール構想につきましては、先般の政府の経済危機対策にも位置づけられておりますことなども踏まえますと、本法案の成立後にできる限り早期に実施に移したいというふうに考えております。

 このためには、学校も含めて自家消費のある太陽光発電システムの導入主体における余剰電力につきまして、買い取りの具体的な価格などの詳細につきまして、本法案の成立後速やかに、専門的、集中的な検討を審議会の場でお願いをし、そして、その審議の結果も踏まえまして、できる限り早期に決定をしてまいりたいというふうに考えております。

佐藤(ゆ)委員 ぜひ十分な議論を尽くしつつ、早急な、できるだけ迅速な解決をお願い申し上げたいと存じます。

 いずれにいたしましても、このスクール・ニューディール構想で設置される太陽光パネルは、いわゆる国庫負担割合が、先ほど御答弁いただきましたように九五%から、公債のいわゆる償還の財源まで含めますと九七・五%ぐらいまで国庫負担割合が上がるという、ほとんど一〇〇%国庫負担に近い公共投資であるわけでございます。そういう位置づけからも、この公立学校におきます太陽光パネルから生み出される余剰電力は、ぜひ国民負担の軽減のため、電力料金調整の原資として国民還元をお考えいただきたいと思います。

 そこで、この一〇〇%に極めて近い国庫負担率で行われるスクール・ニューディール構想で設置された公立学校の太陽光パネルにつきましては、ある意味国民の財産であるという実態にかんがみまして、余剰電力買い取り価格ゼロ化の提言を私は申し上げたいと存じます。実際にゼロになるかは別といたしましても、引き下げをお願いしたいということでありますが、最後に二階大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 太陽光発電の普及に関しては、御承知のとおり、二〇二〇年ごろまでには現在の二十倍程度という高い目標を掲げておるわけでありますが、この高い目標の達成は、住宅への普及だけではなかなか困難であります。したがって、このために、国からの補助金等を用いて太陽光パネルを設置した公立学校の余剰電力も買い取りの対象に含めておるわけであります。

 このことに対しては、議員の皆さんからも相当数、公立学校へのいわゆるスクール・ニューディール構想についての御意見がありましたが、私どもも、公立学校に設置するということは子供たちの理科教育にも大変大きな影響を及ぼすだろうということを考えておりますので、今は小学校、中学校でありますが、やがては高等学校にもこのことを普及していくことに関して、今文部科学省ともいろいろお話し合いをしておるところであります。

 一般的に公立学校は余剰電力の比率が小さいために、販売により大きな収入が上がることはないだろうというふうに思っておるわけであります。また、余剰電力の販売による収入は、学校ごとの収入ではなくて自治体や教育委員会等の収入となるために、学校ごとの太陽光パネルの保守のために使う費用のみならず、さまざまなエネルギー教育に必要な費用などにも活用されることを期待しておるわけであります。

 御提案も踏まえて、買い取り価格の水準次第では大きな国民負担となり得ることから、専門家の御意見等も十分拝聴しながら、適切な制度設計にさらに努力をしたいというふうに思っております。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。

東委員長 これにて佐藤ゆかりさんの質疑は終わりました。

 次に、三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男です。きょうもまた質問をさせていただきます。

 きょうは、エネルギー関連二法案について質問をさせていただきます。

 両法案とも、低炭素社会の実現に向けて、その取り組みを加速させるための法案であります。低炭素社会の実現は、今や地球規模の最大の課題です。低炭素社会を目指し、二〇五〇年までに世界全体の温室効果ガス排出量を半減させる、そのためには、主要経済国はもちろん、世界のすべての国々がこの問題に取り組む必要があり、日本としても二〇五〇年までに長期目標として現状から六〇%から八〇%の削減を行う、これは、去年、福田康夫内閣のときに政府の方針としてお決めになられたことです。世界全体の排出量を今後十年から二十年の間にピークアウトさせる、二〇五〇年に世界の温室効果ガスを半減させるために、米国、中国、インド等主要経済国を初めとする全員参加型、よく二階大臣がお使いになられます全員参加型の公平で実効性のある次期枠組みについて、二〇〇九年、ことし末のCOP15での合意を目指す、これも政府の方針であります。

 そのための、日本全体で温室効果ガスを半減する、削減する二〇二〇年までの中期目標は、これまで六つの案が提示をされ、検討が進められてきました。先般の審議の際にも、金曜日の審議です、二階大臣も言われておられました、いよいよ日本政府としての考えをまとめなければならない時期に来ていると。そして三日前の日曜日にも、これは朝日新聞初め各紙で、政府は九〇年比で七%減、〇五年比で一四%減とする方向で調整に入ったと報じられました。

 また、どうやら、これはきのうの晩、私も聞いたんですけれども、きょう麻生総理から正式に発表されるというふうに伺っています。これは発表されたのでしょうか。この中期目標は決まったんでしょうか。政府として、二〇二〇年の温室効果ガス削減の目標はどの案にするんでしょうか。二階経済産業大臣、お答えください。

二階国務大臣 中期目標につきまして、当委員会におきましても大変御熱心な御議論、また大変な関心を抱いていただいておりますことに感謝をするものであります。

 今議員からも御指摘ありましたように、国際競争力の問題あるいはまた国際間の交渉等、幅広く思いをめぐらしていかなくてはならないと思っておりますが、かねて、今御指摘にもありましたように、福田内閣におきましても、福田総理御自身がマイナス一四%ということを内外に表明しておられますので、我々は福田内閣を受け継いだ内閣の責任におきまして、その理想というものに対しては十分配慮をしていかなくてはならない。

 同時に、麻生総理も先般の島嶼サミット等に出席されて、世界の島嶼群の大統領等指導者の方々から、島がなくなってしまう、つまり温暖化によって水量が上がってくることによって自分たちの住んでいる島そのものが沈んでしまうというふうな悲痛な叫びもお聞きになって、随分頭を悩ましておるといいますか、関心を抱いておられる様子でありました。

 また、先般、ちょうど日曜日でございましたが、日中ハイレベル対話におきましても、中国側から日本に対する強い要請がありました。

 しかし、私は、そうした場合に、国際交渉の中で、あの京都議定書というのは関係者の御努力で大きな成果を上げていただいたことには違いがありませんが、しかし、アメリカや中国やインド等の超大国がこれから抜け落ちておる。私はこの間、中国の閣僚たちにも、最終段階においてアメリカや中国やインドがいなくなってしまった、こういう交渉を二度とやっちゃいけない、ですから今度は、我々は国際的にお互いにみんなが協力し合う、総参加でやろう、公平で実効ある国際枠組みの構築が必要だということで話し合ってまいった次第であります。

 今議員御指摘のように、もう決まったのか、こういうことでありますが、今現在はまだ決まっておりません。しかし、今夕、総理が決断をされ、内外にその意思を公表する、そういう運びになっておりますので、恐らく、当委員会終了後、関係閣僚が官邸に参りまして、最後の話し合いをさせていただくということでありますが、福田総理のおっしゃったマイナス一四%から、もう少し頑張って内外の要請にもこたえる。

 同時に、私は、中小企業を担当する者として、中小企業の皆さんがやはりそれについていけるようなことでなくてはならない。同時に、大企業とて、そのことによって、今せっかく景気回復の芽が出かかっているときに、こういうことで頭から押さえてしまうというようなことがあってはなりませんので、我々は、そうした面もやはり全方位で考えながら、国際的な要請にこたえていきたいというふうに思っておる次第であります。

三谷委員 大臣、ありがとうございました。

 今夕決断をされる、こういう決断をされることを、総理がお決めになられることだとしばしば言ってこられた二階大臣がこの場でこうだということを言える話ではありませんから、今のお話でよくわかりました。また、きっとこういうことであろうということは、福田総理がお決めになられたことということで、わかりました。それは正式な発表を待つとして、議論を先に進めます。

 先ほども申し上げました、二〇一三年以降の世界の温暖化防止についての枠組みを決めるいわゆるポスト京都議定書、今年末に開催されるCOP15に向けて、既に今月一日からドイツのボンで国際作業部会が始まっています。

 大事なのは、ここから本格的な議論、交渉が始まるのだろうと思います。今までは、どちらかというと腹の探り合いでありました。米、中、印、EU、先ほども島サミットのお話の中にも出てきました小さな島嶼国など、主要各国、地域、グループの提案、主張はほぼこれまでに固まったように思います。

 これまでのAWG等々での状況、あるいは主要各国、地域、グループのそれぞれの提案、主張などはどのようなものでしょうか。これとあわせて、我が国の主張、提案もほぼ固まっております、経済産業省、説明をしてください。

西本政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の京都議定書におきましては、削減義務を負う国は、世界全体の排出量の三〇%程度しかカバーされていないのでございます。地球全体の温暖化対策を進めるためには、米、中、印等のすべての主要経済国が責任ある形で参加することが必要不可欠でございます。

 お尋ねの主要各国の主張でございますけれども、米国は、中国を含むすべての主要経済国の参加が不可欠であるというふうに主張しております。また、長期を重視いたしまして、先進国及び主要途上国に、二〇五〇年までの長期削減に向けた戦略を立てるように求めておるところでございます。

 それから、EUでございますけれども、先進国、途上国それぞれの削減を主張しておりまして、かつまた、先進国には国別の総量目標の設定をすること、それから途上国には低炭素開発戦略を策定するように求めておるところでございます。また、EU自身は、排出量の取引制度の拡大を重視しておりまして、かつまた、EU自身の目標達成に当たっては、域外からのクレジットを活用するというようなことも表明しているところでございます。

 それから、中国、インド等の途上国でございますけれども、これは先進国のこれまでの歴史的責任を大変強く主張しておりまして、先進国がまず大幅削減するんだということを求めております。途上国に削減義務を課すということについて、反対いたしております。また、先進国からの資金及び技術支援が必要であるということも主張しておるところでございます。

 このように、各国がそれぞれの立場から主張しておるわけでございますけれども、我が国といたしましては、これまで、セクター別アプローチを活用して、先進国が公平で比較可能な国別総量目標を設定すること、それから主要途上国がその国の経済全体及びセクターごとの効率目標を設定することを求めておりまして、交渉に取り組んでまいっているところでございます。年末のCOP15での合意に向けまして、すべての主要経済国が参加する公平で実効ある枠組みの構築を目指して、積極的な役割を果たしてまいりたいと思います。

三谷委員 ありがとうございました。

 斉藤環境大臣が、先般も、先月末の朝日新聞のインタビューに答えられて、先ほどもお尋ねをいたしました二〇二〇年までの中期目標のことで、九〇年比で一五%減は可能だと、これは五案ということになりますけれども、その考えを表明されました。また、政府の中期目標の六選択肢には排出枠、森林吸収分は含まれておりませんので、国内削減分だけでありますので、国内削減分以外のものも上乗せをして、対外的には一五%から二五%の削減を打ち出すべきだ、こう強調されました。そして、この交渉の中でも、この話をもって、地球温暖化対策に積極的に貢献する日本の姿勢を印象づけるべきだというお話をされています。

 もちろん、この斉藤大臣の主張は、今もお話をしていただきました枠組みづくりの交渉を、我が国が求める、考えているセクター別アプローチも含めて、あるいは中国、インドを引っ張り込むために、考えているように進める上では、確かにもっともな考えだとも思います。

 中期目標は、多分、先ほど示唆していただいたとおりのお話でありましょう。そして、経済界の主張もございます。あるいは、先ほどの大臣のお話の中にもございました景気のこともあるし、あるいは中小企業のことも考えなければならない。もっと言えば、国民全体、家計への負担のこともございますし、いろいろなことを考えた中での中期目標の設定であろうというふうに考えます。

 一方で、経済産業省にも今御説明をいただきました。もちろん、九〇年比一五%から二五%減などというのはちょっと難しいなという考えが、多分、経済産業省のこれまでの立場じゃなかったかと思います。

 だけれども、心配をしておることは、いろいろお話を聞いておりますと、このままで、今も御説明をいただいた日本の提案、主張、そして枠組みそのものができなければいけませんので、それを主導的に日本が役割を果たしてまとめていくということにならなければいけないんですけれども、斉藤大臣が別の提案をされているように、果たしてこの中期目標でうまくいくんだろうかという心配はございます。

 こうしたことを全部ひっくるめて、二階大臣、これから大変大事な交渉だと思うんです。これから先、先ほども本格化すると申し上げましたけれども、年末に向けて、ここから本当に本格的な、腹の探り合いではない、実際の交渉、議論が始まってまいります。直接臨んでもらう場面もございますでしょうし、また主導もされなければならない。一方の担当大臣として、この年末のCOP15、その枠組みづくりに本格的に臨んでいく二階大臣のまさに主導のためのお考えを聞かせてください。

二階国務大臣 ただいま御指摘のように、斉藤環境大臣と私ども経済産業省との間に十分な話し合いが必要なことはもう言うまでもないことでありますが、幸いにして私は、斉藤大臣とはほとんど毎日のように会っております。その都度、お互いに一言二言言葉を交わしながら、互いに激励をし合って、斉藤大臣は斉藤大臣の職務があるわけでありますし、また斉藤大臣の出身母体の政党からの強いバックアップもあるわけでありますから、私は、斉藤大臣がより志の高い数字を発表され、そういう御主張をされるということは当然のことだと思っておりますから、むしろ私の方からもエールを送っておるわけであります。

 しかし一方、先ほども申し述べましたとおり、私は日本の産業界を守っていく立場にあるわけでありますから、同時に、今議員からも御指摘がありましたように、必ずこの御負担は家庭にも及んでいくわけであります。その際、家庭の御負担が消費税相当額になるのか、もっと多くなるのか、これからの決定と計算によって決まるわけでありますが、私はこの際、国民の皆さんにぜひお願いしておきたいことは、志高く国際社会に通用するような数値を我々が提示するということは、名誉ある立場を守っていくためには大変必要なことでありますが、同時に、実現の可能性のあるものでなくてはならない。日本は主張したけれども、その主張した日本が自分でその責めを果たすことができないようなことになってしまったのでは適切でないわけでありますから、そこらのところを十分考えながらやっていかなくてはならない。

 きょうは一応の日本政府としての考え方を内外に明らかにするわけでありますが、その後は一枚岩で、オール日本で対応していかなくてはならない。ですから、また先生方の御意見も十分体してこれからの交渉に臨んでいきたい、このように思っております。

三谷委員 ありがとうございました。志の高い目標と実現可能性という、大変大事な言葉だと思います。

 続いて、この法案の中で、今度は電気事業者に対して、太陽光、原子力等の非化石電源を二〇二〇年までに五〇%以上とするなど、非化石電源の利用の拡大を義務づけることにしています。これは、低炭素社会づくり行動計画の中に示されている、ゼロエミッション電源の比率を五〇%以上に引き上げる、その実行を担保するものだと思います。

 まさにこの目標とする比率について、ゼロエミッションという言葉は大変格好よくていいんですけれども、ゼロエミッション電源と申しますと、これは目標を設定するには大変あいまいな設定だというふうに思います。ゼロエミッション全体の目標とする比率から、それぞれの供給分野、それぞれの電源での供給量や導入量を分けて目標づけなければならないんじゃないかと思うんです。

 だから、ゼロエミッション電源を五〇%以上にするということは、原子力発電については何%以上ということを目標にしているのか。また、太陽光発電、風力等再生可能エネルギー、水力以外の再生可能エネルギー、いわゆる新エネルギーについては何%にすることを目標にしているのか。多分、水力は入るのでありましょう、このゼロエミッションの中には。入るのかということもあわせて、経済産業省、教えてください。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の、二〇二〇年をめどにゼロエミッション電源を五〇%にするという目標、昨年の低炭素社会づくり行動計画においても示されているわけでございますが、昨年五月に長期エネルギー需給見通しを策定いたしまして、その中でその内訳についても示しているわけでございます。

 これは最先端の技術を最大限導入するといういわゆる最大導入ケースでございますが、まず発電電力量に占める割合といたしまして、原子力発電については約四四%、それから太陽光発電、風力等のいわゆる新エネルギーにつきましては約二%、それから、今先生御指摘ございましたけれども、水力発電も当然含むということで考えておりますが、この割合が約八%ということで試算をされております。

 これらの数値自体、電力需要の動向等によっても左右をされますし、その五〇%という目標はかなり大変な目標であるというふうに考えてございますが、今後、この法案の実施等に当たっても、こうしたことを一つのベースにして目標を定めていくということになろうと思っております。

三谷委員 石田長官、もう一回、まさに水力を除く新エネルギーの、太陽光発電、風力、バイオマス発電、バイオマス熱利用、その他、その他というのは地熱等が入るかもしれません。それぞれの二〇二〇年までの、これは最大導入ケースとかいう設定になっておりますが、最大導入ケースで結構でございます。今もこの法案の中でも論議をされている新しい買い取り制度等を含めて、考えられている制度のもとで、導入目標はいかほどになるのか。

 そして、特に、二〇二〇年の総電力量は、選択肢の中でも幾らか上下がございますけれども、そう変わるものではありません。大きくは変わりません。その中で新エネルギーが占める割合は幾らになるか、それをお答えください。おおよそで結構です。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二〇年における新エネルギーの導入目標でございますが、まず風力発電につきましては四百九十一万キロワット、それから廃棄物発電及びバイオマス発電につきましては三百五十万キロワット、それからバイオマス熱利用におきましては、原油換算ベースで三百三十万キロリットルということになっております。

 それから、太陽光発電につきましては、今般の経済対策におきまして、二〇二〇年に現状の二十倍の導入量を目標とするということになっておりまして、その場合の導入量は約二千八百万キロワットということになります。

 全体といたしましては、先ほど申し上げましたように、新エネルギートータルとして、発電電力量に占める割合として約二%ということで考えております。

三谷委員 ありがとうございました。

 二〇二〇年の電源構成、水力を除く再生可能エネルギー、新エネルギーの比率は、びっくりするほど低いんです。だから、これはあえて二度も聞かせていただきました。

 こうやって太陽光発電については特に新たな買い取り制度を始められて、十倍にするんだ、あるいは四十倍にするんだというお話がありますが、そしてゼロエミッション五〇パーアップという話も、中身をたださせていただいたのは、実はゼロエミッション五〇%以上というのは、ほとんどこれは原子力の話なんです。水力は、今もお話がありましたように、八%でほとんど変わることはきっとないだろうと思います。それを入れて、今、二%というお話であります。

 これは、先ほども二階大臣のお話の中にも、全体の話ではありますけれども、志高く数値を掲げてという、実現可能性ということがあるんですけれども、もちろん産業との、経済との調和ということもあるんですけれども、それにしても志が余りにも低過ぎるのではないかと思わざるを得ません。

 民主党では、再生可能エネルギーの導入について、太陽光発電だけでなく、風力、小水力、バイオマス等を対象に、また、余剰電力だけでなく全量を電力会社が一定期間、一定の価格で買い取る固定価格買い取り制度にすることの取りまとめを、まだ決まっておりませんけれども、現在急いでおります。実現をすれば、水力を除く再生可能エネルギーの電源に占める比率は、目標といたします一〇%にならないけれども、近づくであろうというふうに考えています。

 また、私自身は、きょうも参考人で東京工大の柏木先生がお話をされましたように、新エネルギーの割合につきましては、すなわちこれは分散型の電源でありますので、その割合が、では、例えばドイツが考えているように、二〇%アップを目標とするんだ、多ければいいんだと、国情も違いますし、考えておりません。だけれども、もう一回申し上げますけれども、二%というのは余りに志が低いということを申し上げざるを得ないんじゃないかと思うんです。もっとその取り組みを進めるべきだと考えます。

 きょうはこの話はここまでといたしまして、もう一つ、次に、今、再生可能エネルギーの導入に向けた志が低いということを申し上げました。もっと高くということを申し上げます。だけれども、これは、今も申し上げた原子力にかえて、原子力を減らしてもよいという意味ではありません。逆に、まさに低炭素社会の実現を目指す上では、原子力は、再生可能エネルギー同様に、最も大事な電源だというふうに考えます。

 その原子力発電についてお尋ねをいたします。ごめんなさい、時間が押しておりますので一遍に尋ねさせていただきます。

 今の原子力発電の運転、建設状況について、運転中の施設は何基で、合計出力は幾ら、そして、着工中、準備中のものがございます、これは何基で、それらが稼働すれば出力は幾らになるんでしょうか。

 また、設備利用率、稼働率、現在どういうことになっているか、十年間の推移について簡単に御説明を願います。

 そして、米国を初めといたします主要各国の設備利用率は幾らなのか、これもお話の中でいただきたい。

 そして、我が国の設備利用率は今大変低くなっております。どうして我が国の原子力設備利用率がこれまで低くなったのか、そのことを御説明いただきたいと思います。

 また、米国では設備利用率は高くなっています。なぜ高くなったかということを参考比較していただいて、我が国原発の稼働率が上がらない原因、問題点をお述べになっていただきたい。

 そして、加えて、経産省としてどういう取り組みをしていくのか、これも教えてください。

西山政府参考人 まず、我が国で現在運転されております原子力発電は五十三基でございまして、合計出力は約四千八百万キロワットです。また、現在建設中及び着工準備中の原子力発電は十五基でありまして、これらがすべて運転開始をしたと仮定いたしますと合計六十八基となりまして、合計出力は約六千八百万キロワットでございます。

 次に、原子力発電の設備利用率の状況です。

 過去十年間の原子力発電の設備利用率は、一九九九年度から二〇〇一年度までにかけましては八〇%程度でありましたけれども、二〇〇七年度及び二〇〇八年度という最近の二年間をとりますと、六〇%程度になってしまっております。

 この際、米国を初め主要各国の設備利用率を申し上げます。IAEA、国際原子力機関のデータによりますと、二〇〇七年に、米国は九二・〇%、フランスは七五・八%、ドイツは七四・四%でございます。

 日本での設備利用率が最近ちょっと低い理由でございます。

 日本の原子力発電所の設備利用率は、二〇〇三年度に東京電力の自主点検記録の不正問題に起因する点検がございました、それから二〇〇四年度には関西電力の美浜三号機の二次系配管破損事故がありました、この点検のために大きく低下いたしました。二〇〇七年七月には、御案内のように、新潟県中越沖地震によりまして東京電力の柏崎刈羽原子力発電所が全部運転停止しており、今、七号機が立ち上がりつつあるところでございます。

 このように、近年の我が国の原子力発電所の設備利用率は、不正問題、トラブル、地震などの影響によって低迷しておるわけであります。

 アメリカはどうかと申しますと、アメリカでは、安全、安定運転が順調にいっているということだと思いますけれども、より詳しく見ますと、産業団体と規制当局が課題を共有いたしまして、事業者が安全への投資を行うとともに、連続運転期間を柔軟に考えており、かつ、運転中保守の対象範囲の拡大などに取り組んでおります。このように、安全性の向上と利用率の向上を同時に達成する取り組みが進められているというのが設備利用率向上につながっているんじゃないかと考えております。

 我が国ではどうするかということですが、やはり基本は、事業者の不断の努力によります安全、安定運転の実現が基本であります。経済産業省といたしましては、まず、事業者による原子力発電所の安全性の向上や、事業者の品質保証に係る取り組みの徹底を図りたいと考えています。また、保守、運転管理の高度化によります信頼性、安全性の向上に向けました海外の先進事例も分析、評価いたしまして、積極的に取り入れてまいりたいと考えております。

三谷委員 これは、ここで一言で議論のできるお話ではありませんので、またどこかでは必ず取り上げさせていただこうと思います。

 一言で言えば、トラブルがあったときに、またもう一回立ち上げるときに大変ハードルが高い。安全がまさに第一なんですけれども、だけれども、いろいろなことを規制側も考えて取り組んでこの設備利用率を上げなければ、きょうもお話をいたしましたゼロエミッションの本筋の話だって、今の稼働率がこれからも続くようだったら、とてもじゃないけれども達成はできないんです。だから、ここではこれ以上申し上げませんけれども、これからさまざまな課題をきちんと議論していかなければいけないと思います。

 ちょっと時間を超過しておりますけれども、最後に一問、問わせていただきます。電源ベストミックスのことを最後に聞かせていただきます。

 先般の質疑で、二階大臣も答弁の中で、エネルギーに関してはベストミックスが重要だということをお話しされました。そのとおりだと思います。電源のベストミックスを考えなければなりません。それがベースにあって、それぞれの電源での目標あるいは取り組みがございます。

 きょう、理事の皆さんにお許しをいただきましてお配りをいたしました資料、これは、きょうもお聞きをいたしました中期目標、その検討委員会の中で出されました六つの選択肢に対応をした二〇二〇年の電源構成の内訳、その予測値が出されたものです。前提となっている条件等、いろいろ複雑なんですけれども、参考のためにお出しをしました。

 もちろん、きょう、その議論の対象になっております地球温暖化の防止、これは一番大事な課題です。あるいは、エネルギー安全保障、これも大事な課題です。ほかにもさまざまな観点がございます。二階大臣が電源のベストミックスだと考える、それに一番近い選択肢はどれでしょうか。中期目標の話とは別に、あるいは選択肢ということでお答えがいただきづらいならば、ベストミックスについての、こういうふうに考えていますよという二階大臣のお考えを聞かせてください。お願いします。

二階国務大臣 電源の構成のあり方でありますが、エネルギーの安全供給と環境の両立、また持続的な経済成長の一体的な推進という観点から複合的に考えていかなくてはならないと思いますが、再生可能エネルギー、原子力、化石燃料といった各電源の特性を最大限に生かし、これらをバランスよく組み合わせることが必要であります。

 こうした点では、温室効果ガスを大幅に削減する場合には、温暖化対策には貢献する一方で、再生可能エネルギーの大幅な拡大による国民の負担増、あるいは石炭火力発電の急激な減少による供給安定性の低下など、エネルギー政策上懸念すべき事態も当然生じてまいります。

 いずれにしましても、中期目標自体については、先ほど来申し上げてまいりましたように、本日夕刻、ただいまの情報では四時三十分から、四省の閣僚によって麻生総理とともに最終的な御相談がある、こういうふうに承っておりますので、そういう場を通じて、私どもとしても最終的な意見を述べたいというふうに思っておるところであります。

三谷委員 ありがとうございました。質問を終わります。

東委員長 これにて三谷光男君の質疑は終わりました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 民主党の大島です。

 三谷委員に引き続きまして、何点か質問をさせてください。

 ただいま二階大臣から、きょうの午後、多分、首相が記者会見するのは十八時ぐらいかもしれないんですけれども、二〇二〇年にどのくらい減らすかということについて記者会見があると思います。恐らく、新聞で報道されておりますとおり、これは九〇年比でマイナス七%ぐらいの数字が出てくるのかなと想定をしております。

 ここについて、現実的な数字あるいはたくさん努力していかなければいけない数字等々あると思うんですけれども、去年もこの場で御議論をさせていただいた際に、今回の京都議定書、やはり、五千億を超え一兆円に迫る金額を我が国が他国に対して支払わなければいけないというこのことについて物すごくこだわっていると思うんですよ。今回もやはり、九〇年比でマイナス七%にするのか、あるいはさらにもっと減らすのかというのは、お金を払うかどうかが非常に、トン当たり二千円、二十ドルぐらいの値段というのが頭の中にインプットされているので、なかなか踏み込めないのかなと思うんです。ですから、これは、どのくらい減らすかという目標と、外交交渉でCO2の値段をどれだけ下げるのかによって、この目標というのが決まってくるかなと思うんです。

 私どもの政党も、九〇年比で二五%なんという数字を出しているものですから、党内的な議論はいろいろとあったんですけれども、一たん決まって、自分も真剣に悩むわけですよ、どうやったら減らすことができるのかなと。二〇二〇年というのはすぐ先なわけですよ。自分も当選して九年になりましたから、そんな短い期間、あっという間に来るのがあと十年とか十一年です。これが二十年ぐらいとか三十年ぐらいたつと、革新的な技術が出たり、あるいは世の中の国際的な枠組みが大きく変わったりして、安心して出せる数字だと思うんですよ。ただ、これから十年間とか十一年間に二五%を減らすためにはどうするかと考えた場合には、一つには、CO2の値段をできるだけ安くする必要があるのかなと。

 今回の京都議定書では、我が国としては、世界で我が国だけがしっかりと守り、かつ多くの国富を海外に流出されるわけですから、交渉力としては大分持っていると思うんですよ。カナダは離脱しちゃいましたし、今、ゴアさんがいた民主党ですから、アメリカも批准しなかった。ロシアも結構いろいろと考えていまして、一番最後にロシアが批准して発効したわけですから、彼らも、自分たちの経済が、ソ連が崩壊してCO2を出さなくなったのをしっかり見越してサインしていますから。

 ですから、今回のこの九〇年比でマイナス七%というのは、多分トン二十ドルというのが結構頭の、これが非常に私たちとしては考えている数字なのかなと。ですから、二五%を削減するためには、排出権をもしも買うのであれば、買わない方がいいんですけれども、買うのであれば、この値段を下げる外交交渉等が必要なのかなと思っているんです。

 それで、いろいろと考えてみたんですよ。原子力発電所をどうしたら減らせるのか。どうしたら減らせるのかというと、国内の排出権取引もあるんですけれども、本当に減るのかな。あるいは、太陽光発電も本当に大切ですけれども、これを今の二十倍敷設したとしても、全体的なききしろとしては、政府参考人の方に聞きたいんですけれども、恐らく原子力発電所の一基分なのかしら。その点について、もしも知っていたら教えていただけると助かるんですけれども、わかりますか。太陽光パネルを二十倍敷設したときにどのくらいきいてくるのかということについて、そんなに難しくないですよね。

石田政府参考人 概算でございますけれども、太陽光発電、仮に現状の二十倍ということでふやした場合に、恐らく、増分、今考えていますもともと十倍という目標を二十倍にするというこの差分ということで考えますと、約一%、全体の一%弱ぐらい新エネの割合がふえる。

 原子力について言いますと、大型の百三十五万キロワット級の原発一・数基分ぐらいの発電量に相当するのではないかというふうに考えます。

大島(敦)委員 恐らく、原子力発電所を一基つくると五千億円ぐらいですか。十倍、二十倍太陽光発電を多く敷設していくと、多分一兆円を超えるお金がかかるのかなとは思うんです。

 そうすると、今回の政府の見通しの中で、九〇年比でマイナス七%、〇五年比でマイナス一四%を長期需給見通しで減らそうという場合には、前提となっている原子力発電所の基数とかあるいは設置の状況というのはどうなっているんでしょうか。

石田政府参考人 ただいま先生御指摘の九〇年比マイナス七%のケースでございますけれども、これは、私どもの長期エネルギー需給見通しの最大導入ケースを一つのベースにしているというふうに認識をしております。

 この中で、原子力発電所につきましては、今後、新たに九基新設をするということと、その設備利用率を約八〇%にまで向上させるということが織り込まれているというふうに認識をいたしております。

大島(敦)委員 そうしますと、これから二〇二〇年に向けて九〇年比でマイナス七%を減らそうとしても、これから九基、周りに住んでいらっしゃる方の御理解を得ながら十年間のうちに稼働させるというのは結構大変なことだと思うんです。設備利用率も今の、柏崎がとまっていますから六〇%台のものを八〇%まで上げるというのも、結構これから大変だと思うんですよ。ですから、CO2を減らすということと原子力発電所を位置づけていくということは結構リンクしていくのかなと思うんですよ。

 そうしますと、これは副大臣または政務官に聞きたいと思うんですけれども、CO2を削減する観点から、原子力の立地が果たす役割は大変重要でして、経済産業省、政府としてはどういうお考えかというところをお聞かせいただければ幸いと存じます。

吉川副大臣 大島議員御指摘のとおりでございまして、二酸化炭素を排出しない原子力発電は、エネルギーの安定供給と地球温暖化対策の、これはもう切り札と思っております。

 電気事業者は、二〇一八年までの今後十年間に合計九基の運転開始を計画いたしておりますが、安全確保を大前提にいたしまして、経済産業省といたしましては、こうした計画を着実に推進することが必要と考えております。

 このために、立地地域を初め幅広い国民理解を得ることが重要と考えておりまして、引き続き、国が前面に立って広聴・広報活動を展開してまいりたいと思いますし、また、電源三法交付金などを活用しまして、電源地域の振興にも努めてまいりたいと思っております。

 こうした一連の施策につきまして、今後の温暖化対策の重要な柱として、現在まさに総合資源エネルギー調査会原子力部会で検討をしているところでもございまして、近々、今月、来週ぐらいになろうかと思いまするけれども、原子力発電推進強化策として取りまとめを行うことといたしております。

大島(敦)委員 できるだけ、原子力発電所の重要性というのが、地球温暖化の、今回のCOP15ですか、ここに向けての二〇二〇年の削減の我が国の目標と原子力発電所の位置づけは本当に大切でして、九〇年比でマイナス七%でも大切なわけですから、マイナス二五%だともっと大切だということをつけ加えさせていただいて、原子力発電所のことから次の論点に移りたいと思うんです。

 もう一つは、要は、CO2を減らすためには原子力発電所をしっかりと計画どおりやらなければいけないのとともに、水素に基づいてエネルギーを得るということが必要だということを聞いております。私としては、今回の、地球の温暖化対策をしっかりとすることも必要だと思うんです。

 もう一つは、去年、石油があれだけ高騰しても一応我が国の中は平穏だったのは、一九七九年のオイルショック以降の我が国におけるエネルギーの構成が大分変わってきたからだと思うんです。そうしますと、海外から買ってくる化石燃料、エネルギーが非常に多いわけですよ。二〇〇七年の我が国のエネルギーの輸入量が、これは調査室の皆さんに調べていただいたんですけれども、大体二十兆だったんです。去年がどのくらいだったかというと、二十八兆円なんです。石炭とかあるいは天然ガスとか石油とか、もちろんウランも含んでいるんですけれども、やはり価格が高騰してくると、二十兆だったのが一挙に二十八兆まで上がってしまう。

 去年、年末ぐらいかな、大分原油価格は下がってきたんですけれども、今また中期的な上昇トレンドに入っていると見えるわけですよ。底を打って上がってきているわけですよ。そうすると、外から化石燃料を買わないということも本当に必要になってくるのかなと思っておる次第でございます。

 そうすると、特にバイオ燃料ですか、本当にバイオ燃料がそれだけのものを、大丈夫なのかな、本当にそれで代替できるのかなというのは若干疑問なところがあるんですけれども、食料との競合とかあるいはバイオガス、何かなと思ったら、要は、卵形浄化槽という、下水処理の方法で、普通平らなところで浄化するのを、卵形の浄化槽の中に汚水、下水を入れて攪拌しながら土に戻していくという、そのときに発生するバイオガスをとって、それを使っていくということも想定されていると聞いているんです。

 非化石エネルギーの導入をエネルギーの供給事業者に義務づけていくためには、太陽光発電もあるし、このバイオ燃料もあるし、バイオガスもあるというんですけれども、その現実的な目標を設定しなければいけないのかなと思うんです。その点につきまして、政府の見解を聞かせてください。

石田政府参考人 今先生御指摘のように、化石燃料については基本的に海外に供給を依存している我が国といたしましては、極力、非化石エネルギー源、これはいろいろなものがあるわけですけれども、どれか一つにまた依存するというわけにはいかないので、広くその導入を促進していく必要があるというふうに考えております。

 御指摘のバイオ燃料とバイオガスにつきましても、そうした趣旨のもとに、最大限その導入を図ってまいりたいというふうに考えております。

 バイオ燃料につきましては、既に品質確保のためのいわゆる品確法の改正が施行されたというようなことを受けまして、本格的なその販売が国内的に進んでおります。

 ただ、今後、本法案に基づきましてバイオ燃料の導入拡大を進めようとする場合には、食料との競合の問題というようなことも当然配慮しないといけないというふうに考えております。導入目標の設定に当たりましては、そうした食料との競合の問題についての分析、評価もしながら設定をしていかなければならないというふうに考えています。

 この食料との競合問題については、農水省と連携して、バイオ燃料技術革新計画というものを取りまとめてございます。この計画の中で、二〇一五年ごろの技術確立を目指して、食料と競合しないセルロース系の資源作物等からエタノールを製造する技術開発を今進めているというところでございます。

 こうした取り組みをしていくこともあわせて、このバイオ燃料の生産導入を拡大していく必要があるというふうに考えています。

 また、バイオガスにつきましては、食品工場とかあるいは下水の処理場などで発生しているということで、現に、金沢市などにおきましては、下水の処理場から発生したバイオガスを都市ガスの原料として使用するなどという取り組みが進められてございます。

 ただ、これも御指摘のように、法律に基づく具体的な数値目標を設定するということになりますと、当然そのバイオガスに関する技術の現状、あるいは国内の賦存量等の制約を十分踏まえて設定をしていくことが重要であるというふうに考えております。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 バイオのガス及びバイオ燃料についての御所見を伺わせていただきました。

 我が国の今後のあり方としては、CO2を減らす地球温暖化対策に貢献するとともに、それを通して、外から買ってくる化石燃料を減らすことによって、我が国としては要は外国に払う金額が減ってくるわけですから、その分豊かになると思っております。

 そうすると、今回の法案の中で、新法の中では、やはり電力会社の固定価格の買い取りということも念頭に置いていて、そうすると、それを支えるためには、次世代の太陽光発電技術とか蓄電池の技術とか送電線網の制御技術が本当に大切だと思っておりまして、そこのところにもぜひ積極的な支援をいただいてスムーズにいくようにしてほしいのと、きょうの午前中、参考人の柏木先生ですか、非常にいいお話を伺わせていただきまして、その中では、プラス燃料電池についても、家庭内で組み込むことによって、パソコン等の制御技術があれば今後十分に対応がとれるのではないのかなということもおっしゃっていました。

 それは、ただ単に化石エネルギーの天然ガス、あるいは石油を燃やすよりも、燃料電池としてそれを使うことによって熱源プラス電力が供給できるということですので、この点についても御所見を伺いたいと思うんです。

 大臣の方から、燃料電池というのはどのように考えればいいのか、その点について御所見を伺わせていただければ幸いと存じます。

二階国務大臣 燃料電池は水素を効率的に利用する技術であり、水素は利用段階で二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーであります。そのため、御指摘のとおり、燃料電池は、エネルギーの安定供給の確保という点、また温暖化対策双方の観点からも重要であると認識をしております。我々も早い段階から、この水素等の利用そして開発について、アメリカとも連携をとって、やがてその成果が得られるのではないかという期待を込めて今研究を共同で進めている部分もあるわけであります。

 経済産業省としては、燃料電池の実用化を促進するために、研究開発、実証事業等の取り組みを今日まで実施してきております。さらに、今年度から、世界に先駆けて本格的な販売が開始されております家庭用燃料電池の導入の補助制度を創設しております。二十一年度の補正予算にも、導入支援補助金を盛り込んでおります。

 今後とも、この補助金に加え、技術開発や実証試験等により、その導入の促進を加速してまいりたいと思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 きょうの午前中のこの柏木先生の話すべてを伺えたわけではないんですけれども、その中で先生がおっしゃっていたのは、余りこだわるなということだと思うんです。いろいろな、電力があったりガスがあったり、産業界というのはなかなか自分の産業にこだわってしまうものですから、余りこだわることなく、一番スマートな技術を開発してすみ分けた方がいいというのが基本的な考え方だと思うんです。これはベストミックスという考え方だと思うんです。

 ですから、例えば蓄電池の技術にしても、今のリチウムイオン電池はもう限界が来ておりまして、理論値だと三分の一までは小さくなるんですけれども、それ以上は小さくならない。次の電池に移行していかないと、それは今開発競争ですから、どこかで見知らぬ国のある研究者が開発してしまうかもしれないという、いろいろなことが考えられるので、この蓄電池も一生懸命やらなくちゃいけない。

 太陽光発電についても、自分も、このセラミックの部分は、去年の今ごろも、ずっと発電するんですよということを述べたんですけれども、なかなか今の技術ですと、十年とか十五年もつんだけれども意外と故障も多いとも聞いているんです。ですから、そこの技術開発もしっかりやって、熱の変換率を上げるとともにできるだけ耐久性を、要は、今政府の皆さんは二百年住宅と言っているわけですから、百年もつ太陽光発電があってもいいのかもしれない。ですから、そこの技術開発も必要だと思いますし、先ほど送電線網の制御技術についても、今のいろいろな組み合わせの中から、家庭あるいは産業界で組み合わせていくことが必要だと思うんです。

 ですから、大臣にそのことをぜひお願い申し上げまして、特にここの太陽光発電技術と蓄電池技術と送電線網の制御技術、そしてそのベストミックスですか、いろいろな、さまざまな、まだ私たちが知らない新しい技術もあるかもしれない。原子力発電にしても、僕もてっきり現状のままだと思ったら、トリウムなどという新しい技術の原子力発電技術も他国では進めていたりもするわけですよ。要は、トリウムを使うと放射能が余り出ないとか、あるいは原爆の材料が排出されないとか、さまざまな技術開発を進めることをお願い申し上げまして、時間は若干早いんですけれども、後藤委員の方に残余の時間は譲らせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて大島敦君の質疑は終わりました。

 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 大臣、きょうも長時間大変お疲れさまでございます。

 きょう、いろいろな議員、午前中は参考人の皆さん方からもお話をお伺いしたんですが、私は、エネルギー全体を考えるときに、ある意味では供給サイドの話がきょう非常に多かったと思うんです。

 その中で、先ほどもお話がありましたように、電源をどういう形で構成するかということがあると思います。供給源のあり方でいえば、やはり原子力や火力、大型の水力というものは非常に大規模集中で安定的である、これはこれからも基幹であるべきだというふうに思います。

 今回、非化石エネルギーということで、ある意味では新エネルギーという部分は、今まで当然太陽の光もありましたし、風力も水力もいろいろな部分であったんですが、なかなか大規模集中型の、戦後の経済成長、需要がずっとふえ続けた時代でいえば、やはりそこがメーンであって、地域にそれぞれあるエネルギー源というものは、ある意味ではすごく見過ごされてきた。それにどうやって光を当てるかということだと思うんです。そういう意味では、私は、これから需要がどうなるかということも一方でよく考えていかなければいけないというふうに思っています。

 もちろん電力会社さんも、経産省が取りまとめている電力供給計画ということで、どういう需要に供給を対応するかということもやっていますし、経産省の方でも、長期エネルギー需給見通しということで、先ほどもお話があったように、二〇二〇年、二〇三〇年を目標にいろいろな数字の組み立てをしていますが、大臣、果たして本当にこれでいいのかなと。私、この半年間もいろいろな意味で、経済が低迷をし、一方で産業界も運輸部門も家庭でも、省エネルギーというキーワードの中で、いろいろな新しい製品をつくったり、車にしても、今までたくさんガソリンを使っていた車からハイブリッドや電気自動車という形で、かなり急速に需要というものが変化をしてきたという前提に立たなければいけないというふうに思っています。

 そういう意味でいえば、昨年の五月に長期エネルギー需給見通しをつくられて、その中でいえば、ある意味ではケース三の最大導入ケースという部分に当てはまるのかなというふうに思っています。

 そういう中で、やはりそれにプラスして、省エネがそれぞれの分野で進んだということと、先ほど冒頭にお話をしたように、景気がここまで低迷をして、ある意味では電力、エネルギー業界というのは今最大の内需産業だというふうにも定義をしていいのかもしれません。いずれ機会があったら、私は、EUと同じように、それぞれの国がエネルギーも相互共有ができるような仕組みに、大臣がいつもおっしゃっている東アジアという国をつなげるためにも私は必要だと思っていますが、それを言っていると時間が余りないのできょうは触れませんが。

 そういう意味で、これからの需要見通しをどういうふうに政府としてお考えになっているのかということをまずお聞きしたいというふうに思います。

    〔委員長退席、梶山委員長代理着席〕

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 足元の電力需要につきましては、まさに先生も御指摘のように、経済停滞の中で、平成二十年度の電力需要は、産業用需要を中心に減少をいたしまして、前年度比マイナスの四%になっております。また、平成二十一年度の電力需要につきましても、事業者の電力供給計画の見通しでは、前年度比一%減ということが見込まれております。

 一方、長期的な電力需要の見通しにつきましては、昨年五月に策定いたしました長期エネルギー需給見通しによれば、まず、家庭における電化の進展あるいはIT機器の普及等による電力需要の増加要因というものがかなり見込まれる一方で、最先端の省エネ技術を最大限導入をしていくということで省エネが図られることによりまして、二〇三〇年の断面で見ますと、発電電力量が現状から一〇%程度減少するというふうに試算をされてございます。

 いずれにいたしましても、今後の経済状況あるいは省エネの進展の度合い等によってかなり左右されてくるということで、引き続き、こうした点も含めて注視をしていく必要があろうと思っております。

後藤(斎)委員 長官、私は、今のお答えは、抽象的には方向性はそうだと思うんですが、それぞれの業界、特に電力、鉄鋼、一番CO2をある意味で出し、化石エネルギーを使っているような業界がこれからどういうふうな形になっていくのかという視点も含めて、やはりもう一度精査をしていただく必要があると思うんです。これは、今政府で多分取りまとめを進めている新経済成長戦略の部分にも大きく関連をすると思うので、それはぜひ大臣の方にも、首を縦に振ってもらうだけで結構ですから、ぜひ長官の方にも御指示を出していただければというふうに思います。

 もう一点なんですが、先ほど大島議員からもお話があったように、今の京都議定書に基づくクレジットの話というのは、二年前に京都メカニズムによるクレジットの活用ということで、ある意味では、CO2削減できないものは海外から買えば何とかなるさみたいなことが多分あったと思うんです。その数字が余りにも大きい数字過ぎて、炭素トンで、政府購入分で二千万トン、電力業界全体で三千八百万トン、鉄鋼業界で一千百八十万トンということで、年間で七千万トンほど取得予定というふうになっています。確かにこれを積み重ねれば約束が履行できるということなのかもしれませんが、大臣、私はやはり、今ようやくある意味ではしりに火がついたような形になっているんですが、国内クレジットという制度をもっと促進していかなければいけない。

 これは、最近のいろいろなテレビの報道でも、大企業の資金融通や担保提供を受けながら中小企業の皆さん方がCO2を削減して、それを交換して、ある意味では税投入や金融機関からの直接融資を受けなくて対応している事例がいっぱいあります。これは、私は、大企業と中小企業、都市と地方みたいなものも後でちょっと触れますけれども、どんどん推進をしていかなければいけない制度だというふうにも思っています。経産省にお聞きをしたら、本当にこの一カ月くらいでもかなりの申請が来ている。

 これは、国内クレジットについては認証委員会というものがあって、そこで排出削減量の認証というか認定を受けなければ量が確定しないということでありますが、それが、先ほども大島さんからも話があったように、トン当たり二十ドルくらい今いっているのかどうかというふうにお聞きをしたら、いやいや、もう過剰状況、需給バランスが崩れて、もう一けた台ですよ、今、国際的な部分も含めてと。

 これも、新エネの技術というのが、石油ショックの以降ですから三十年くらい前から、石炭や石油からほかのものにということをやってきたものの、どうしても、原油価格が下がってくると、そのインセンティブや研究開発のスピードがおくれてと。これは、もう繰り返してはいけないことだと思いますし、待ったなしという中で、やはり今まで以上にこの国内クレジット等を推進していただく。

 これは、中小企業のプラスになるだけではなくて、一次産業であります農林業にも大きなプラスになる。もっと言えば、自治体がそれの音頭をとってやっていけば、その自治体にもプラスになるというふうなことで、自治体経営の大きなプラスの評価もあるということも含めて、大臣、どのようにこれからこの国内クレジットの制度を推進していくのか。大臣の御見解をお願いしたいと思います。

二階国務大臣 今議員御指摘のように、国内クレジットの制度については昨年十月に開始したわけでありますが、これまでに中小企業の工場、病院、農家、学校、地方自治体等からの申請があり、受け付けた総数は既に百件に達しております。

 この制度は、中小企業のほか、農林業、サービス業などの幅広い分野における排出削減を進め、これまで海外での削減事業に使われていた資金を、今議員が御指摘のように、国内での削減に向けた投資に振り向ける効果があるものと期待をしておるわけであります。

 経済産業省としては、京都議定書の目標達成のために、引き続き、関係省庁とも連携しながら、国内クレジット制度を活用し、一層の排出削減を図ってまいりたいと思っております。

 申請の受け付けの事例を持ってまいりましたが、既に各方面から積極的にこれに参加をするという御提案と申請をちょうだいしておることを大変心強く思っておりますが、関係者と協力して、この推進に努力をしていきたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、先ほど触れましたように、海外からのクレジットの取得の予定量、これは単価幾らにするのかは別としても、一兆円を超えるという試算もあります。

 金融デリバティブみたいな金融至上主義の仕組みというのはやはりおかしかったというのが、この一年間で、私たち政治家も、そして産業界も、そして国民も含めて、多分押しなべて学んだことだと思うんです。変な話、紙切れ一枚で数千万円、数億円、数千億かもしれませんが海外にそのまま行ってしまうというのは、どう考えても、税の執行からも、例えば企業の体質の強化の面からいっても、こんなおかしなことを絶対しちゃいけないと思うんです。

 そういう意味で、国内クレジットということで、中小企業も、例えば農家も林家も含めて、頑張っていけばそういう評価をしてもらえるようになるという仕組みがあるということは非常に正しいと私は思いますし、それはぜひ大臣、これは大臣だけでなく、石破大臣も環境大臣も含めて連携をしながら最大限やっていただきたいというふうに、要望もあわせてお願いをしておきたいと思います。

 もう一点は、きょうは農水省と国交省も来ておりますが、まず、農水省にお尋ねをします。

 農水省も、今の国内のクレジットの問題で、推進検討会なるものをこの四月におつくりになっております。この排出権取引が今、大臣、御指摘をしたように、農水省としても、やはり農林水産業に新たな価値が生まれる、農村も含めて未利用資源の活用による新産業の創出や活性化にもつながる、こういう視点からいろいろな検討をなさっているようであります。

 私がすごくおもしろいなと思ったのは、私は不勉強でことし初めて知ったんですが、農地が、本当は不耕起でも、要するに耕さなくてもいいらしいんですが、二酸化炭素を吸収するという視点から、今、各都道府県の農業試験場も含めて、その評価をどういうふうにしていくのかという実験もこの二十一年度にするというお話を聞いています。

 二酸化炭素の吸収というのは、ある意味では森林というのが我が国では三・八%、シンクということで、吸収源で評価をしておりますが、実は、世界では、農地の二酸化炭素吸収というものを既にCO2の吸収源として評価をしている国がカナダ、デンマークを含めて四カ国あるというふうにお聞きをしています。

 日本は確かに南北に長く、いろいろな土の土質も違うということでありますが、やはり私は、国内クレジットの問題もあわせて、農地が二酸化炭素吸収源であるというこの評価をどういうふうにしていくのかというのが非常にこれからの、これはポスト京都の部分かもしれませんが、新たな我が国の、環境やエネルギーだけではなく、地球温暖化、そういう視点の中で農業や農村に新たな評価をする大きな視点だというふうに思っています。

 農水省の方にお尋ねをしたいんですが、農地がCO2の吸収源というふうなことを今評価、検証しながら、できるだけ技術的に国際的に対抗可能なモデルをおつくりになっているということでありますが、ぜひ私は、この国内クレジットとあわせて、CO2を農地が吸収するという、この評価を含めて、やはり積極的にもっとやっていただきたい。

 特に、今農業は粗生産額では出荷額で八・五兆円強ということで、トヨタさんはさることながら、パナソニックさんの九兆円の売り上げよりも、一社よりも低いという中でありますが、これはこの委員会でも、農商工連携であるとか、地域資源活性化法であるとか、農林業が地域の核である地域はやはり元気だし、活力があるというふうなことだと思うんです。ぜひ農水省も、今の国内クレジット、農地がCO2の吸収源であるという評価も含めて、もっと積極的にやっていただきたいと思いますが、その点について農水省はどのようにこれからお考えになっていくのか、お尋ねをしたいと思います。

小栗政府参考人 温室効果ガスの吸収源といたしまして農地土壌の果たすべき役割、これは私どもも重要であると認識をしておりまして、昨年、食料・農業・農村政策審議会の地球環境小委員会におきましても、この点につきまして鋭意検討し、一定の取りまとめをしたところでございます。

 この中では、適切な農地管理を行うと。これは幾つかやり方があるわけでございまして、堆肥を投入するとか、あるいは緑肥作物を栽培してすき込むとか、あるいはそもそも耕作自体を余りやり過ぎると有機物が分解してしまいますので、土壌の有機物の分解を抑制するとか、そういったことをいたしますと農地土壌中の炭素貯留をふやすことができるという取りまとめをなされたところでございます。

 これを踏まえまして、農林水産省といたしましても、ポスト京都の次期枠組み交渉におきましては、こういった堆肥であるとか緑肥などの施用を通じた農地土壌の温室効果ガスの吸収機能が適切に位置づけられるように主張をしているところでございます。また、二十一年度の事業におきましても、お話がございましたように、有機物の施用など炭素貯留に効果の高いモデル的な営農の取り組みに対する支援、あるいは土壌改良を行うときに農地基盤に炭素を貯留する、そういった手法の実験事業、こういった取り組みも行っているところでございます。

 また、先ほどお話がございましたように、この四月には農林水産業におけます排出量取引の国内統合市場の試行的実施等の推進検討会というのを立ち上げまして、この中では、先ほどの農地土壌の吸収源機能もございますけれども、逆に、農林水産業から出すメタンや一酸化二窒素などの温室効果ガスの削減、そういった取り組みの排出権取引対象としての妥当性とか課題、あるいはクレジットの売り手と買い手とのマッチング、さらには関係者の理解が得られる方策、そういったものについて今検討しているところでございます。

 農林水産省といたしましては、次期枠組み交渉に向けまして技術的な知見の集積を進めますとともに、先ほど言いましたような検討会の議論等を通じまして、国内クレジット制度の活用による新産業の創出、あるいは農山漁村の活性化といったことに取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

後藤(斎)委員 小栗審議官、精力的にやられているというのはよく理解はしているつもりであります。

 ただ、一つ私は要望しておきたいんですが、ポスト京都といえば、あと二年くらいで技術評価というのを終えて交渉に臨まなければいけないという、いろいろな時間的制約がやはりあると思うんです。

 この間お聞きをしたら、今度の予算では各都道府県の農業試験場に全体でも九千万くらいしかお金が使えないという話で、もっと違うところに違うお金を使っているのであれば、こういう研究開発の部分に、もっと私は人ごとではない部分に予算の執行をきちっとやっていただきたいと思うんです。やはり、この一、二年というのがかなり勝負だと思うんです。先ほどもお話しした推進検討会の中でも、クレジットの話と吸収源の話、やはりその二つというのが、私はこれからの農業、農村や林業というのを考えると非常に大切だというふうに思うんです。

 ですから、私は、この堆肥をたくさん入れれば二酸化炭素を吸収するというのが過去の幾つかの国の農業試験場の事例でも何かあるようでありますし、それ以上に、例えば土壌改良材を、木炭とか竹炭みたいなもののようなんですが、それを促進すれば炭素の貯蔵量というか蓄積が上がるというようないろいろな切り口があると思うので、予算をきちっともっと投入していただきながら、これは環境省や経産省とも連携をして、私はどうしてもこの一、二年できちっとした技術の評価というものをやっていただく必要、そのスピード感というものを持ってやらなければいけないと思うんです。

 その意味で、もう一度、そういうふうにしますと、その後大臣にうんと言ってもらいますから、ぜひお願いいたします。

小栗政府参考人 先ほど、取り組みの事例としまして、貯留効果の高い営農活動の環境保全効果を把握するためのモデル実証調査といったことについて御説明をしたわけでございますが、それ以外にも、全国的に農地土壌におけます炭素量の推移、これをモニタリング、数千点で実施をしておりますし、また、研究開発におきましても、これはすべて全部因果関係を証明することはできないにいたしましても、営農活動による農地への炭素貯留量を推計するような、いわゆる炭素推計モデルといったものを今現在鋭意開発しております。

 こういったものの取り組みをさらに一層加速しながら取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。

後藤(斎)委員 大臣、去年、農水省の方から、農地土壌の役割ということで、地球温暖化防止に貢献するということで実はレポートも出ておりまして、その中の評価ですと、例えば全国の農地土壌に堆肥を大体一トンくらい、十アール当たり投入、これはかなり多い量なんですが、そうすると、炭素貯蔵の増加は炭素トンで二百二十万トン。これは、第一約束期間の削減量の二千万トン強の炭素トンの大体一割と。これはかなり野心的な数字かもしれませんが、これを例えば大臣、市町村別に、きちっとやったところとやらないところにさっきの国内クレジットを上手に適用するとか、いろいろな組み合わせの仕方があると思うんです。

 そういう意味で、今まで着目をしなくて、農地というのは野菜やお米や果物がとれるものだ、つくるものだというものから、それプラスアルファの評価というものをきちっとやはり与えてやって、そこで例えば堆肥を投与すれば環境保全型の有機農産物ということになって、そこでまた付加価値が上がるというふうなことになっていく。このいい循環になる非常にいいきっかけだと僕は思うので、大臣、経産省としても、農水、環境省等含めて連携をしながら、ぜひこの促進をしていただきたいと思うんですが、短くて結構ですから、御見解をお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 ただいまの御発言を伺いながら、後藤議員は農林水産行政に対して大変お詳しいわけですが、なるほどという感じで伺っておりました。

 特に、我々は農商工連携という場合は、主に生産とか販売とかというところに焦点が当たっておったように思います。まさにこれからは、環境の面における農商工連携によって何ができるかということ、ただいま御指摘をいただいたことなどもヒントに、農林水産省あるいは環境省ともよく連携をして、農業分野における環境問題をどうするかということ、三省連携で御相談をしたい。

 両大臣には後ほどお目にかかりますから、特に私に発言の時間があれば、今のことはきょうのまとめの中で発言し、約束をしておきたい、こう思っています。

後藤(斎)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 大臣、私はなぜこの質問をしたかというと、先ほど、積極的に新しい評価をという形で、例えば、この間の補正で通過をして、いろいろエコポイントの、グリーン家電の普及というのも三千億弱。これは、ある意味では、エアコン、冷蔵庫、テレビという部分に、要するに、省エネとかそういう、CO2の削減、経済活性化というところに焦点を当てて、光を当てて予算投入をしました。これは三千億ですから。それで、九千万しか小栗審議官のところには予算がないんです。

 ですから、私、これを振り向けろとは言いませんけれども、予算がないとそういうこともできませんから、そういうことも含めて最大限、政府の中でこの推進方をぜひよろしくお願いしたいと思います。

 もう一つ、光がなかなか当たらなかったんですが、小水力の発電についてちょっと大臣にお尋ねをしたいと思います。

 私が生まれた昭和三十年代、昭和四十年代くらいまでは、山梨は特に、和歌山も多分、大臣の御地元もそうだと思いますが、水車小屋があって、そこで粉ひきをしたりということでありました。それが、先ほどお話をしたように大規模集中型の安定的な電力というものが日本の津々浦々に普及をして、もう水車小屋は要らないということで、いわゆる小水力発電というものが、この世からなくなったとは言いませんが、ほとんどなくなってしまいました。

 それをもう一度、河川に大規模なダムをつくるということよりも、身近な河川やいわゆる農業用水路も含めて、そういう常に水が流れているところにもう一度光を当てると、発電ということがこういう地域でできますし、私は、これは地域を活性化する観点からいうと非常に正しい視点だというふうに思っています。

 特に今回の両法案の中では、同僚議員からはやはり太陽光というものが焦点をどうしても当てられがちで、確かに太陽光は、報道によりますと、二〇二五年までに七分の一にコストを下げて普及しやすくするという試算をNEDOが発表したということも載っていました。

 確かにコストが下がっていけば、太陽光は、パネルを張ったり、以前もお話ししたように、何かペンキみたいなのをぺたぺたとやると太陽光発電に切りかわるということなんですが、やはり太陽光の一番の問題は、先ほど参考人の方からもお話がありましたように、幾つかのマイナスの効果、特に、現時点では非常に発電コストが高くなってしまうということと、夜になると太陽光パネルは基本的に発電をしないということ。

 水力は、基本的には、本当に大渇水になれば別かもしれませんが、水が流れ続ける限り、特に急峻な地形という部分での川が日本にはたくさんあります。以前、経産省も全国でどのくらい中小水力がこれから発電可能かという調査もしていただきましたが、大臣、それ以降やはりなかなか手がつかないんです。

 なぜ手がつかないかというと、きょうは国交省にも来ていただいていますが、一つは、河川法で制約が多過ぎる。国交省に言うと、いいえ、そんなことはなくてと、後で御答弁いただきますが、そういう先入観がどうしてもやはりあるんですね。自治体にしても、例えば私が個人でやるにしても、そういう先入観がどうしてもある。

 私も国交委員会にいますので、最近国交省も変わってきたな、非常に柔軟になってきたなという部分も含めて、大臣、まず、大臣でなくても結構ですから、この中小水力というのを、先ほど長見参考人も、何か太陽光だけじゃおかしいよね、ほかの水力や風力もあるよねというお話もされていた。これがやはり普通の感覚だと思うんです。

 やはり地域にそれぞれあるものを生かし切る。これはいつも言っている地域資源活性化法の本旨でもありますし、それがエネルギー版になって、小規模分散型の部分、それは、いずれ私は、先ほどもお話がありましたように、自治体が例えば直接学校で使うとか役場で使うということになれば、そこで一千万円年間に使っていたものが五百万円になったり二百万円になっていく。

 例えば、今、土地改良区がほとんど、国営かんがい事業でも土地改良区の農家の皆さん方の合意が得られないので、土地改良区は新規に改善ができないんです、大臣よく御案内のとおり。私は、例えば、土地改良区がその利用権というか発電者になって、それを固定買い取り価格で上げて、売るのかどうかは別としても、それを売電して土地改良区の収入にして、例えばかんがい排水事業の土地改良区の負担に充当していくとか、いろいろな使い道があると思うんです。

 ぜひそんな観点から、簡潔で結構ですから、どのように中小水力をこれから普及していくのか、お尋ねをしたいと思います。

    〔梶山委員長代理退席、委員長着席〕

二階国務大臣 小水力発電は、新規開発地点が小規模化や奥地化しておるということ、これによりだんだんと採算性が低下しているということは御承知のとおりであります。初期投資が大きいことにより投資額回収が長期化していることなど、経済面を初めとする諸課題があるわけであります。

 それはそれとして、ただいま議員御指摘のことについて、私どもも、小水力発電について、河川、農業用水、さらには上下水道などの地点において、小規模な流量やあるいは落差を利用した発電が可能であるという特性があるわけでありますから、その導入拡大は、農村や山村地域における地域密着型の事業として意義を持つものと考えております。

 太陽光は夜は働かない、しかし水力は夜も昼も働く、ただいま御指摘のとおりでありまして、経済産業省としては、小水力発電の設置に際して、地方公共団体等の公共機関であれば設置費の二分の一、民間事業者であれば設置費の三分の一の補助を行うなどの取り組みを行っているところであります。

 現在、総合資源エネルギー調査会では、小水力発電も含めた、太陽光発電以外の再生可能エネルギーの導入拡大のあり方について検討を願っておるところであり、こうした検討状況も踏まえながら、今後とも小水力発電の導入を支援してまいりたいと考えております。

 なお、私は、農林水産省の吉村農村振興局長、これは土地改良事業の担当者でありますが、御相談を持ちかけて、これから小水力発電につきまして農林水産省と経済産業省の間で、もちろん国交省にも御参加をいただいて、成果の上がるような交渉といいますか、御相談をいたしたい、このように考えておる次第であります。

田中政府参考人 国土交通省の小水力の発電に対する基本的な考え方でございますけれども、現在課題となっております地球温暖化への対応といたしましても、温室効果ガスの削減に伴う地球温暖化を緩和するためのこういった緩和策、それと、温暖化に伴う気候変化により激化する洪水、渇水などの事態に対応し、適応するための適応策、この二つを車の両輪として進めていく必要があるというふうに考えております。

 したがいまして、御指摘の再生可能エネルギーの導入の観点から、小水力発電の推進につきましても、この緩和策の一環として国土交通省としても積極的に取り組むこととしてございます。

 具体的には、河川の流水を占用し水力発電を行う際には、河川法二十三条などに基づきます許可を得る必要がございますけれども、正常流量に影響を与えず他の利水者に損失を与えないものについては、許可手続を大幅に簡素化したり不要とするということで、平成十七年、十八年にそのような通知をしておりますし、また、平成二十年度末には発電用水版水利審査マニュアル案を作成いたしまして、手続を明確にし、その周知を図っているところでございます。

 このたび成立いたしました平成二十一年度の補正予算におきましても、河川内に設ける小水力発電施設が洪水時に安全であるかどうかといった技術的課題などを明確化いたしまして、その対応策を確立するために、河川管理者が施設の改築等にあわせて小水力発電を実験的に実施する取り組みを始めることとしておるところでございます。

 引き続き、河川法の許可手続をより円滑に進められるよう、申請者が参考にすることができる小水力発電設置の事例集の作成や申請書作成のためのガイドブックの作成に取り組むなど、小水力発電の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 時間が参りましたけれども、大臣、今回の法律が前に進むのは、やはり経産省だけでは多分だめだと思うんです。農水省、環境省とも連携していくことはもちろんですが、山梨でも、県がやまなしグリーンニューディールという計画をこれからつくっていくという話で、農業用施設への太陽光発電の導入であるとか、今触れた河川を利用した小水力発電とか、バイオマス、クリーンエネルギーをやはり地域づくりという視点から取り入れをしていくということなんです。

 そういう意味では、これはもう自治体経営から見ても待ったなしの課題ですから、やはり、国ももちろんですけれども、各地方団体、業界全体を挙げて、ぜひこの仕組みが前進をするように、最後に決意だけで結構ですから、大臣からお願いいたします。

二階国務大臣 ただいま御指摘の山梨の例は、早速関東の経済産業局からまたお伺いをさせていただいて、状況を把握した上でしっかり対応して、他の地域の模範にしていきたい。山梨の方にもそうお伝え願いたいと思います。

後藤(斎)委員 ありがとうございます。

東委員長 これにて後藤斎君の質疑は終わりました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは買い取り制度の問題について伺いたいと思いますが、最初に政府参考人に伺っておきます。

 電気料金というのは総括原価方式で決まっていますね。現行の太陽光発電の買い取りの仕組みの場合には、電力会社が大体キロワット時当たり二十四円で各家庭から電力を買い取って、その費用を営業費用の中の他社購入電源費としてカウントして、これが電気料金にオンされているわけですね。

 新しい制度では、電力会社が現在の大体二倍の価格で買い取るというものですが、先日のエネ庁長官の答弁では、買い取り費用は電気料金ではないということでしたが、電気料金ではないのなら、これは総括原価には入りませんね。確認しておきます。

西山政府参考人 お答えいたします。

 こういうふうになっておりまして、ちょっと整理いたしますと、電気料金とその他の供給条件、こういうものが電気事業法十九条に二つ並んで書いてございます。そして、電気料金でなくても、このその他の供給条件となりますと原価の中に算入されることもありますけれども、今回の場合には、この供給条件には当たると思いますけれども、原価の算入には入りません。

吉井委員 エネ庁の考えでいくと、電気料金じゃないわけですよ。しかし、法制局は電気事業法で規定されるべきものだと先日答弁の中でも言っておりました。法制局に確認しておきますが、少しこれは整合性を欠くんじゃないですか。

近藤政府参考人 お答えいたします。

 ただいま、エネルギー供給事業者、電気事業者でございましょうか、経済産業省で御検討されております固定価格買い取り制度で購入をした費用についてのさらなる転嫁というんでしょうか、利用者の方へどのようにその費用を負担していただくかということにつきましては、私どもは、電気事業者と利用者の関係を規制しております電気事業法の枠組みの中で具体的に対応を判断されるというふうに理解しております。

 具体的にどこの料金なのか、あるいはその他の条件なのか、そこは私ども詳細をまだ存じ上げておりませんが、いずれにしても、電気事業法の中での対応ということだというふうに理解しておりまして、料金ということで申し上げた趣旨ではございません。

吉井委員 電気料金というのは総括原価で決まるわけですよ。ですから、それが何がどうなっていくかわからないというのは大変な問題を持っていると思うんです。

 そもそも、供給約款とは、電力会社が需要家に電気を届ける場合の電気料金やその他の供給条件、さっきそこをおっしゃったわけですね。電気料金でもない、供給条件でもない、そういうものを約款に一体書き込むことができるのかどうか、電気事業法上の措置というものにはなかなかならないのではないかと思うんですが、どうなんですか。

西山政府参考人 今私が申し上げましたのは、これはその他の供給条件には入るということでございます。したがって、約款に書くことはできると考えております。

吉井委員 かなり苦しい言いわけをしていますね。大体、電気料金でもない、供給条件でもないというものですから、これは本来約款に書き込むということはできないはずのものですよ。

 電気料金には、現在、例えば使用済み核燃料再処理費用、高レベル放射性廃棄物の処理費用、原子炉施設解体費用などが既に入っておりますね、こういうものは。九電力でこの三つだけでも年間三千二百三十億円入っておりますが、標準世帯で見ますと、例えば四国電力で百七十四円とか、家庭用の電気料金にちゃんと入っているわけですよ。つまり、このほかにも電源開発促進税というのもありますが、これらの負担を別に是とするわけじゃないんですけれども、少なくともこれらの費用負担には明確な法的根拠があるんです。

 「再生可能エネルギー源の利用に係る費用の負担の方法その他の再生可能エネルギー源の円滑な利用の実効の確保に関する事項」というふうに、今回のこの太陽光発電には明確な根拠規定はないんですが、条文上、五条第一項二号ではそういう書きぶりなんですね。だから、現実には、太陽光とか固定価格とか余剰電力などの文言は全く出てこないんです。これが根拠になるんですか。

西山政府参考人 私としては、根拠になると考えております。

 もう一回正確に申しますと、現状におきましても、料金原価に含まれない工事費負担金などは、その他の供給条件ということで約款上位置づけられることになっておりますので、そういった位置づけで今回のものも、この法律の御審議が成り立ちますれば、そういった扱いになると考えております。

吉井委員 地球温暖化対策という大目標を持ってやるわけですね。それは工事費程度の扱いでやるんですか。これは本当にとんでもない話だと思うんですよ。

 大体、判断基準を大臣が定めて公表する規定というふうになっているんですが、判断基準を決めるにしても何にしても、これは全く中身がわからないままのものなんですよ。さっきも言いましたように、少なくとも使用済み核燃料の再処理費用だとかその他どんなものも、すべてきちんと法的根拠を置いているんですね。法的根拠なく、かなり乱暴にその他工事等に入れてしまってやっていくというのは、余りにもこれは乱暴なやり方だというふうに思います。

 太陽光発電の買い取りが進むことにより、系統安定化対策は六・七兆円必要だとの試算もありますが、この費用というのは営業費用にそうしたら入るのか、それとも電気料金ではない買い取りの費用になるのか、一体この場合はどういう扱いになりますか。

西山政府参考人 そのための系統の費用につきましては、系統対策の費用ということで、総括原価の中に算入されることになると思います。

吉井委員 だから、系統の費用とか核燃料のさっき言った再処理の費用とか、みんな法的根拠がきちんとあるんですよ。ところが、二倍で買い取る方については工事費扱いで、きちんとした根拠は全く示されていない。

 法案は買い取り対象を太陽光に限定しているんですが、新たな制度による電気料金ではない買い取り費用は、買い取り費用を上乗せする分、つまり、今は大体二十四円で買っていますが、それを超える分のみ、上乗せする分のみを指しているのか、それとも、太陽光発電の買い取り電力、大体二十四円とか、もう少しかもしれませんが、それらは総括原価に、今は買い取っている分が入っているわけですよね、今まで買っている分は入るんだけれども、今度は二倍にする方の分は入らないということにするのか、あるいは今買っている分も含めて丸ごと総括原価ということで買い取っていくことになるのか、これはどういうふうになるんですか。

西山政府参考人 この制度ができた後、買い取るものにつきましては、丸ごと総括原価から外れて、負担金として徴収することになります。

吉井委員 現在は、電力というのは営業費用の方に入って、電気料金にオンしているんです。今度の制度になると、それがすぽんと抜けるわけですね。

 今営業費用としてカウントしている分まで、何かまるで工事費扱いですね。そういうことでやっていこうというわけですが、これは結局、具体的には何も、今のところきちんとしたものが決まっていないということですね。

石田政府参考人 ただいまの先生の御疑問でございますけれども、ちょっともとに返りまして、今回の新たな買い取り制度でございますけれども、これは、先生も先ほど御指摘されたように、新法の五条の判断の基準ということで、経済産業大臣が具体的に告示で詳細を定める、これに基づいて電力会社が買い取りをある意味で義務づけられるということになるわけでございます。

 現状、買っておりますのは、これはあくまで電力会社の自主的な取り組みということで進めておるものでございますので、これが総括原価の中に入っていることは、例えばそれによって何か電力料金を引き上げるようなことにつながれば当然審査の対象ということになるわけでございますが、今回の新たな買い取り制度につきましては、一定の高値での買い取りということで、この買い取りについて、電力会社自身が効率化努力でこの買い取りのコストを下げるというような余地はない制度になってまいりますので、これについては明らかに従来の電力料金を構成する総括原価、あるいはそれを審査をするという電力料金とはおのずと性格が異なってくるというふうに考えております。

 したがって、先ほどの議論にもございましたけれども、新法の十四条でも転嫁を想定しているわけでございますが、その具体的なやり方については、約款に基づいて位置づけることによって回収が可能になるようにするということで考えておるところでございます。

吉井委員 今おっしゃったように、自主的努力ということにしても、要するに家庭から太陽光で生み出した電力を買い取って、それは営業費用に入っているわけですよ。ですから、総括原価に入って、それは電気料金にオンされているわけですね、現在。それを今度は二倍で買うというわけですよ。そのときには、現在買っている電力も今の営業費用の中から取り去るというわけなんですよ。

 そうすると、では取り去ったら、本来の総括原価、比率は少ないにしても、ちょっと下がるわけなんですよ。下がるんだけれども、二倍で買い取る分を上積みしようというわけですよ。そうすると、総括原価は下がるんだけれども、別な形で上積みをして高くなる、そういう仕組みにするわけですね。

 そうしたら、そういうことが法律を読んだらきちんとわかるようにしないと、何が何だかさっぱりわからないという法律の書きぶりになっているんじゃないですか。

石田政府参考人 これは当然のことながら、これまで総括原価の中で取っていたものを、今回、そういう電力料金の外で、ある種の負担金のような形で徴収するということになりますので、その過渡的な部分につきましては、これはいわば二重取りにならないような形で補正をする、これは当然のことでございまして、この点についてあえて法文に明記する必要はないのではないかというふうに考えております。

吉井委員 供給約款というのは、電力会社が需要家に電気を届ける場合の電気料金その他、供給条件を定めるわけでしょう。ところが、電気料金がそもそもどうなるかといったら、今度の場合、総括原価の方で決まる電気料金は下がるはずなんですね、わずかにしろ。それと別に、プラスされる分があるわけですよ。そうしたら、一体何がどうなるのかということを、支払い側からすると全部電気料金なんですから、きちんとわかるものにしないと、これは法律としておかしいんじゃないですか。

石田政府参考人 法律上明記するとかいう次元の話とはまた別に、当然、今先生言われたようなことは審議会等で、これまでのものがどれぐらい下がる、あるいは新たに徴収する部分がどれぐらいになるかということについては整理をいたしまして、一般の需要家にわかるような形で公表していくことは当然だというふうに考えております。

吉井委員 伺っておきますけれども、トータルとして、要するに支払い側からすると電気料金は上がるわけですよ。そうすると、公聴会を開くということになるんですが、そういう公聴会などをきちんと開いて、これは電力会社の方が説明するんですか、エネ庁長官の方で、つまり資源エネルギー庁の方で説明をするんですか。

石田政府参考人 今回の新たな買い取り制度に基づきます負担をお願いする部分については、まさに制度の詳細が固まりますと、後は実績によって、先ほども申し上げたように、電力会社が効率化努力によって買い取りのコストを安くするというようなことができない性格のものでございますので、買い取りの量が実績として出てくれば、自動的にその買い取りのコストというものも定まるわけでございます。

 したがって、いわゆる電気料金のように、総括原価を査定する、その結果あるいはプロセス等について公聴会を開いて御意見を伺うといったような、こういうプロセスにはなじまない、別のものであるというふうに考えております。

吉井委員 結局、何も決まっていないということなんですよ。しかし、需要者側からすると、その上積みになった電気料金を払わぬと電気はとまるんですよ。つまり、強制徴収という性格を持っているんです。

 標準世帯で大体月百円程度を超えないことをめどというお話だけは出ているんですが、それでとどまるのかどうかということも全くわからないし、電気料金というのは、本来、国民生活直結の公共料金ですから、法的根拠とかを明確にしなきゃいけないんですね。電気料金でないのに電気料金に上乗せという話になると、これまた話はおかしいことになってくるし、負担額も不明だし、電気料金に上乗せされるのに電気料金ではないというこのあいまい、つまり何もわからないという形は私はおかしいと思うんです。

 この前も二階大臣にお話ししましたように、私は、固定価格買い取り制度というのは、そういう制度をつくることは大事だと思っているんですよ。しかし、それにはやはりきちんとした法律上の根拠を設けて、必要な費用負担は、この前お話ししましたときには電促税の話もしましたけれども、政策的にどういうものを使うことによって解決するのかとか、それは政策的に解決しなきゃなりませんけれども、少なくともやはり法律上の根拠というものはきちんとしなければならないというふうに思うわけです。

 次に、資源エネルギー庁に伺っておきたいのは、エネ庁提出資料で、百万キロワット級原発が一年間稼働した場合のコスト試算というのをもらっておりますが、資本費を除く発電コストは約二百九十五億円ということになってくるのではないかと思います。それは現在の設備利用率七〇%を使ったりした場合のことですが。

 したがって、柏崎刈羽原発一号機から七号機合計の八百二十万キロワットだと、年間大体二千四百二十億円の稼働コストになってくるというふうに思うんですが、この七基の建設費の二兆八千億円のほかに、こういう稼働コストが毎年毎年かかるわけですね。

 ですから、私は、原発建設費と燃料費など稼働コストを合わせたものが十年間でどれぐらいかかるかということで太陽光の場合ときちんと比較するとか、これは十年間で、原発の場合でいきますと、柏崎の一号機から七号機だけで五兆二千億円になるんですが、その後の資本費を無視しても、毎年二千四百二十億円の維持管理費がずっとついてくるわけです。だから、太陽光発電と比べたときに、電力にとっての負担というものは決して安いものではない。

 ですから、私は、そういう点では、きょう夕刻、大臣は開示されるということですが、やはり二酸化炭素排出削減目標を、意欲的な目標をきちんと決めて、高い目標を決めて、IPCCは二五から四〇%減ですけれども、やはりそれに見合う再生可能エネルギーなどをどういうふうに前進させるかということと、それに見合う日本の産業構造をどうしていくかという、言ってみれば新しい産業革命とでもいうべき、その決意というものを持って臨まないと、今、本当に爆発的普及ということにはなかなかなってこないのではないかというふうに思うんですが、最後に大臣にこの点だけ伺って、質問を終わりにしたいと思います。

二階国務大臣 今回の環境問題に対して、我が国として、国際的にどのような役割を果たしていくか、極めて重い責任を担っておるわけでありますが、そのことが、今議員御指摘のように、日本の産業界に対しても一つの大きな示唆を与えておるわけでありまして、今後、私ども経済産業省としては、今回のこの環境問題を落着するに際して、産業界との間においても十分検討していかなくてはならないたくさんの課題を抱えておるというふうに理解をしております。

 今後、当委員会におきましてちょうだいしましたたくさんの御意見を精査して、十分対応していきたいと思っております。

吉井委員 終わります。

東委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 この際、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案に対し、櫻田義孝君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による修正案が、また、両案に対し、吉井英勝君から、日本共産党提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 各修正案について、提出者から順次趣旨の説明を求めます。近藤洋介君。

    ―――――――――――――

 エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤(洋)委員 ただいま議題となりましたエネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 本修正案の内容は、政府は、この法律の施行後二年を経過した場合において、太陽光を変換して得られる電気の買い取りに係る価格等の太陽光の利用に係る費用の負担の方法、その他の太陽光の円滑な利用の実効の確保に関する取り組みの状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすることであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 以上です。

東委員長 次に、吉井英勝君。

    ―――――――――――――

 エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案に対する修正案

 石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

吉井委員 私は、政府提出の非化石エネルギー関連二法案に対する修正案について、その趣旨と法案の概要を御説明申し上げます。

 ことし年末に行われるCOP15、コペンハーゲン会議に向けて、これからの地球温暖化対策に人類がどう取り組むのか、そのために日本が二酸化炭素の削減について、IPCCの示している一九九〇年比で二五から四〇%削減の中の幾らの目標を掲げて、産業や社会の構造をどのように変革していくのかが問われているときです。

 それだけに、今回の法律改正で、化石エネルギーから非化石エネルギーへと転換を図り、二酸化炭素排出量を国際的約束に沿って大幅に削減することを法律の目的規定で明らかにすることが重要であります。

 その目的達成のために、太陽光発電を初めとするあらゆる再生可能エネルギーの開発普及とともに、新しい産業として発展させることで雇用の拡大と地域経済、中小企業対策の面でも、国土のつり合いのとれた発展の面でも資するものとすることが必要です。

 この点で、政府案は、再生可能エネルギーの固定価格での買い取り義務についても、対象電力と買い取り価格や期間などの法律上の根拠が明定されていません。そのことによって、太陽光発電施設を設置する利用者の負担軽減のための費用を、設置しない電気利用者の電気料金にも上乗せするという強制徴収を含めて、経済産業省にすべて白紙委任するという問題を生じさせています。

 そこで、これら法律の欠陥を補い、再生可能エネルギーによる電力の爆発的普及と地球温暖化対策及び産業と経済の発展につながるものとなるように、一部修正を行うものであります。

 最初に、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案の修正の概要を御説明いたします。

 第一に、表題及び目的の変更です。

 題名を、エネルギー供給事業者による再生可能エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律に改めます。また、第一条「目的」に、「エネルギーの使用に伴って発生する二酸化炭素の排出量の削減」を図ることを加え、明確化いたします。

 第二に、すべての種類の再生可能エネルギーの爆発的普及によって、二酸化炭素排出削減で国際的役割を果たせるように、再生可能エネルギーから得られる電気の電気事業者による買い取り制度の創設を法律上明定いたします。

 その対象は、太陽光に限らず、すべての種類の再生可能エネルギーとします。法律上、買い取り義務、買い取り価格、買い取り期間、買い取り費用の負担などについて根拠条文を置き、制度の詳細は、消費者の声を反映して策定される政令や基準にゆだねるものとします。

 なお、再生可能エネルギーによる発電施設の爆発的普及を進めるために、初期投資額の回収までは全量買い取りとし、その後は余剰電力についての買い取りを電気事業者に義務づけています。

 第三に、固定価格買い取りによって新たに生じる費用の負担については、当面、電源開発促進税等を充てることにより、非設置家庭の電気料金の負担が生じない努力を尽くすとともに、広く国民の意見を聴取することにより、将来の電気料金負担のあり方を別途検討することとしています。

 第四に、再生可能エネルギーの利用促進を図るとともに、政府案で示されているエネルギーの判断基準のもととなるエネルギー見通しなど、エネルギー供給全体の長期的計画については、これを経済産業省に一任してきた従来の方式を改めて、国会と国民が積極的に関与し、決定できるものとするために、長期エネルギー需給見通しを含むエネルギー基本計画を国会承認事項とします。

 次に、石油代替エネルギー法改正案の修正についてであります。

 第一に、表題を「非化石エネルギー」から「再生可能エネルギー」に変更するとともに、これの供給目標を国会承認事項とします。

 第二に、原油に由来する廃棄物については、化石燃料であることを明記します。

 これは、石油系製品の廃棄物発電を非化石エネルギーとして推進することに歯どめをかけて、リサイクルや、分解してメタン、メタノールその他に転換を図る技術開発を支援しようとするものです。

 以上が、二つの政府案に対するそれぞれの修正案の趣旨及び概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますよう、そして、よい法律に仕上げられますようお願い申し上げまして、発言を終わります。

東委員長 これにて各修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより両案及び各修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 今日、化石エネルギーから非化石エネルギーへの転換は喫緊の課題です。しかし、政府の両法案は、以下の重大な問題を持つものであり、賛成できません。

 反対理由の第一は、政府案が、国民の権利義務に係る内容を経産省に白紙委任する丸投げ法案となっているからです。

 いわゆるエネルギー供給構造高度化法案でいえば、法案は条文わずか二十一条に十六カ所もの政省令があります。政府は肝心の太陽光発電の固定価格買い取り制度を法案に盛り込んだと言いますが、どこを見ても、制度の詳細どころか、制度の骨格も破片の一かけらもありません。すべて経産省の判断基準に白紙委任せよというものです。

 第二は、非化石電源の名のもとに原発を大規模に推進しようとするものだからであります。

 経産省の総合資源エネルギー調査会の報告書は、原発を二酸化炭素削減の切り札と位置づけ、現在五十五基の原発を、さらに今後、九基から十三基新設する長期需給見通しを立てています。立地住民、国民の反対を押し切ってプルサーマル計画を強行しようとしており、この非化石法案はその後押しとなるものであり、容認できません。

 第三は、原発推進の電源開発促進税等を含む総括原価方式による電気料金体系には全く手を触れないまま、一方では太陽光発電の新たな費用は電気料金ではないとしながら、他方では国民負担だけは電気料金の供給約款に上乗せ転嫁できるという、法的根拠なき強制徴収法案であるからです。しかも、支払わなかったら電気供給そのものをストップするとの答弁でありました。こうした強引なやり方は、必ずや国民の中に混乱を起こし、また、再生可能エネルギーへの意欲を失わしめることを懸念するものであります。

 再生可能エネルギー全般の固定価格買い取り制度と費用負担に関する明確な根拠規定を持つ法律の整備こそが、太陽光発電の爆発的普及や地球温暖化対策、CO2削減に寄与したいという国民の願いにこたえるものであります。

 なお、三派共同提案の附則見直しの修正案は、政府案の根本的欠陥を是正するものとなっておりません。太陽光発電の買い取り制度及び費用負担の規定について法律本体に根拠がないことは、提案者がみずから質疑で示されたとおりであります。

 以上で反対討論を終わります。

東委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案並びにこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、吉井英勝君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、櫻田義孝君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律等の一部を改正する法律案並びにこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、吉井英勝君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 この際、ただいま議決いたしましたエネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案に対し、中野正志君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じるべきである。

 一 非化石エネルギー源の利用の目標、化石エネルギー原料の有効な利用の目標等及びそれらに関する「判断基準」の検討に当たっては、各エネルギー源の特性、電源構成や技術開発動向などの実態を踏まえ、実現可能性を重視しつつ策定を進めること。

 二 再生可能エネルギー源の利用に係る費用をエネルギー使用者に転嫁する場合など、本法に基づく施策が新たな国民負担を生じさせることにかんがみ、各種制度の制度設計及び施策の実施に当たっては、過重な国民負担が生じないよう、あらかじめ十分な検討を行うとともに、負担の程度等について国民の幅広い理解を得つつ進めること。

   加えて、附則第二条第二項の検討に当たっては、施策の効果を不断に検証するとともに、国民各層への浸透度合いや国民負担の状況を十分に踏まえつつ、より効果的で透明な仕組みとなるよう、制度の位置付け、対象範囲、負担のあり方など総合的に見直すこと。

 三 再生可能エネルギー源の利用の拡大によって、国民が利用するエネルギーの品質や供給安定性に影響を与える可能性にかんがみ、再生可能エネルギー源の利用実態の把握や利用量の調整等の必要な対応策の検討など、安定供給の確保に資する取り組みを継続的に行うこと。また、送配電設備などエネルギー供給に係るインフラを整備・改修する場合の費用負担について、公平なルールづくりを引き続き検討すること。

 四 再生可能エネルギー源の利用拡大に対する支援措置の実施に当たっては、景気対策の観点も踏まえつつ、地域経済の活性化に実効が上がるよう、関係自治体の取り組みを促し、これと連携して、支援対象の条件や手続きなどについてきめ細やかな配慮を行うこと。

 五 非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効利用を促進するためには、革新的技術の普及が欠かせないことにかんがみ、次世代の太陽光発電技術、蓄電池技術、送電線網制御技術、その他エネルギー関連技術の開発導入に対し、積極的な支援を行うこと。また、太陽光発電パネルの価格変動など関連分野の市場動向に応じ機動的に施策の見直しを行うなど、エネルギー間の競争条件に配慮し、健全なエネルギー市場の形成に資すること。

   併せて、我が国企業が有する燃料電池技術など優れたエネルギー関連技術が国内のみならず、世界各国における地球温暖化対策の推進等に貢献することが出来るよう、支援するとともに条件整備等に努めること。

 六 引き続きエネルギー供給の多くを海外からの化石燃料に依存せざるを得ない現状にかんがみ、資源価格の乱高下にも適切に対処するとともに、その安定供給確保や使用にともなう環境負荷の低減を図るため、原子力の推進や天然ガスなど化石燃料の特性に応じた有効利用が図られるよう、バランスの取れたベストミックスの確保に向けた総合的な政策を強力に推進すること。その際、非化石エネルギー源の導入及び化石エネルギー原料の高度・有効利用が促進されるよう、利用者に対する積極的な支援や条件整備等に努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、二階経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。二階経済産業大臣。

二階国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

東委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

東委員長 次に、内閣提出、商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。二階経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

二階国務大臣 商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 昨今、原油や穀物などの商品の価格が不安定化し、事業環境の先行きが一段と不透明感を強めております。このような中、原材料となる商品の価格をあらかじめ確定させ、商品価格の乱高下が事業に及ぼす影響を回避する手段を提供する商品先物市場は、産業インフラとしての重要性が高まっております。

 しかしながら、我が国の商品取引所は、過去五年間で出来高が三分の一になるなど十分に活用されておらず、事業者にとっての使い勝手を改善することが求められております。また、国境を越えた取引が活発に行われるようになるなど商品先物市場の構造が大きく変化する中、商品の価格が実体経済の需給を踏まえた公正なものとなるよう、商品先物市場の透明性を向上させることが国際的に求められています。加えて、個人の利用者が行う商品先物取引については、仲介業者に対する規制が整備されていない取引所外の取引や海外取引所での取引において、利用者トラブルが急増しています。

 こうした課題の解決を図り、商品取引所の産業インフラとしての価値を高めるとともに、利用者の取引の安全を確保するため、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、使いやすい商品先物市場を実現します。

 取引所が、その創意工夫により、事業者等のニーズを踏まえた品ぞろえや関連サービスを行うことができる必要があります。また、そのための方法として、国内外の取引所との資本連携や金融商品取引所との相互乗り入れを可能とする必要があります。このため、商品取引所の専業義務を緩和し、業務範囲を拡大するとともに、商品取引所の議決権の保有制限を見直します。

 また、商品取引所法と海外先物法を一本化し、商品先物取引を行う場が国内外であっても、また、商品取引所の内外であっても、統一した規制体系にすることにより、事業者等が多様な商品先物取引を安全に行い得る環境を構築します。なお、これに伴い、商品取引所法の名称を商品先物取引法に改めます。

 第二に、透明性の高い商品先物市場を実現します。

 市場が複雑化し、相場を人為的に上下させる相場操縦行為の手法が複雑化していることに対応し、相場操縦行為の処罰範囲を拡大するとともに、海外当局との情報交換手続を整備することにより、国際的に協力して市場を監視できる仕組みとします。また、商品取引所の相場が実体経済の需給と離れて異常な過熱を示すような場合には、主務大臣が証拠金の引き上げ等の多様な是正措置を命じることをできるようにすることにより、相場の不安定化を防止します。

 第三に、トラブルのない商品先物市場を実現します。

 利用者トラブルが急増している取引所外の取引や海外先物取引について、新たに参入規制を導入するとともに、行為規制を強化します。一方で、商品先物取引を行う利用者の能力に合わせて、仲介業者に対する規制の程度に強弱を設ける、いわゆるプロ・アマ規制を導入することで、利用者の保護とともに商品先物市場の活性化を実現します。さらに、特にトラブルが多い取引分野については、顧客から要請されない勧誘行為そのものを禁止します。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十二日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十八分散会


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