衆議院

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第17号 平成21年6月12日(金曜日)

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平成二十一年六月十二日(金曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 中野 正志君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 大島  敦君

   理事 古川 元久君 理事 赤羽 一嘉君

      小此木八郎君    岡部 英明君

      川条 志嘉君    木挽  司君

      高村 正彦君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      平  将明君    土井 真樹君

      中野  清君    橋本  岳君

      林  幹雄君    広津 素子君

      藤井 勇治君    松島みどり君

      武藤 容治君    安井潤一郎君

      山本 明彦君    太田 和美君

      北神 圭朗君    後藤  斎君

      近藤 洋介君    下条 みつ君

      田村 謙治君    牧  義夫君

      三谷 光男君    高木美智代君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   経済産業大臣政務官    松村 祥史君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           平尾 豊徳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       寺坂 信昭君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           大下 政司君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            岡田 秀一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        北川 慎介君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十二日

 辞任         補欠選任

  新藤 義孝君     松島みどり君

  牧原 秀樹君     広津 素子君

同日

 辞任         補欠選任

  広津 素子君     牧原 秀樹君

  松島みどり君     新藤 義孝君

    ―――――――――――――

六月十二日

 商店街の活性化のための地域住民の需要に応じた事業活動の促進に関する法律案(内閣提出第五三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房商務流通審議官寺坂信昭君、経済産業省大臣官房審議官大下政司君、経済産業省通商政策局長岡田秀一君、資源エネルギー庁資源・燃料部長北川慎介君及び農林水産省総合食料局次長平尾豊徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 おはようございます。民主党の後藤です。

 水曜日には、エネルギー問題ということで、大臣にも、私の今までの思いでありました小水力発電も含めて、これから各省庁とも連携をしながら積極的に対応していただけるという発言をいただきまして、ありがとうございます。ぜひ、地域の活性化のためにも、さらに促進方を冒頭お願いしたいと思います。

 大臣、今回の商品先物取引の関係の法案につきまして、ある意味では、農産物と工業品が我が国では二頭立てになってこの取引所というものが成立しているわけですが、もともとのこの取引所の関係というのは、今我が国が国際標準ということではISOの問題も含めて非常に出おくれているものが、三百年近く前に我が国の先輩たちがおつくりになった大阪の堂島からスタートした米の取引からということで、ある意味では、世界標準になっている数少ない例なのかもしれませんけれども。

 そういう意味で、昨今の、この法案が改正される趣旨もそうでありますけれども、ある意味では、我が国の取引所の国際的な競争力、地位の低下というのは非常に目を覆うものがあるというふうに思っています。

 私は、この取引所が、今までのようにうさん臭いみたいなものがどうしてもあるというのを払拭しなければいけないという思いの中で、信頼性や情報開示という形で進んでいくことは非常に正しいと思っているんです。シカゴ、ロンドンといういわゆる欧米の、ある意味では確立された取引所だけではなくて、今中国が、この数年で非常な地位向上というか、取引額、取引量もふえているという中で、やはり農産物や工業品の価格の指標の発信を持つということ、それぞれのリスクのヘッジということ、さらには資産運用ということもありますが、この資産運用というものが今までは過度に評価をされ過ぎてきたのかなと思うものの、やはり今、東京工業取引所自体も世界で十番目になってしまったというふうなことで、どうしても私は、我が国がこれからもアジアの、少なくとも中核的な商品取引所として存続をしてもらいたいという思いを込めて、大臣、これから、国際的な地位向上、国際的な競争力強化という観点からどのようにお取り組みなのか、冒頭お尋ねをしたいと思います。

二階国務大臣 我が国の商品先物市場の国際競争力の強化、これは極めて重要な課題であります。このため、既に東京工業品取引所においては、市場ニーズに速やかにおこたえできるように、そういう経営が可能になるように、株式会社への移行を行い、世界最新の受発注システムを導入した次第であります。

 さらに、本法案におきましては、商品取引所が、その創意工夫を進めることによって上場商品の品ぞろえの多様化を図り、同時に関連サービスを充実させることができるような制度としております。投資家の利便性を向上する観点から、商品取引所と金融商品取引所の相互乗り入れ、これを可能としております。

 このような環境整備と、商品取引所を初めとする関係者の一層の御努力をいただくことによって、我が国の取引所の国際競争力が強化されることを期待しているものであります。

 なお、冒頭後藤議員から言及されました地球温暖化の中期目標について、後藤議員の先般の御質問を受けて、私は、最後の閣僚懇談会でその意見を披露申し上げ、そして同時に、こうした問題にもお互いに力を尽くしていこうということを発言した次第でありますが、きょうも、閣僚懇談会におきまして、地域や農業における小水力発電の活用などに強い決意で取り組み、必ずやその実現を果たしていきたいということを申し上げておきましたことを、この機会をかりて御報告しておきます。

後藤(斎)委員 大臣、大変ありがとうございます。

 そういう中で、私は、いろいろな、例えば中国、インドの、今伸びている、元気がいい商品取引所が何でそういうふうになっているのかという検証、評価も必要ではないかな。大臣のおっしゃることは本当に正しいと思うんですが、やはりそうではない状況に追い込まれているということも客観的に考えていかなければいけないというふうに思っています。

 これは審議官で結構なんですが、ぜひ、そういう意味で、中国が特にこの数年間で二倍、三倍、それぞれ上海や大連が伸びている、この状況についてはなぜかということを、簡単で結構ですから、御説明いただけますでしょうか。

大下政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、世界の商品先物市場の出来高は急速に伸びております。

 この背景といたしましては、中国、インドなどが経済成長することによりまして資源、食料等の需給構造が変化していることや、年金基金、インデックスファンドといった新たな市場参加者が登場したことなどが挙げられております。

 このような中で、主要国の商品取引所は、利用者のニーズを踏まえた商品設計や取引システムの整備を行うなどの経営努力を行い、取引高を大きく伸ばしております。

 先生から御指摘ございました中国、インドの取引所につきましても、その経済発展に伴いまして投資人口が急速に拡大しており、それが取引量の急増に寄与しているものと承知いたしております。

 経済産業省といたしましては、海外の先物市場の状況もよく分析しながら、我が国の取引所の利便性を向上させるための環境整備に努めてまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 そういう中で、信頼性ある市場の確立という中で、よくでもありませんが、やはり今、商品取引の世界以外にも目を転じると、大きな企業や中小企業も含めて、合併をしたり資本提携をしながら財政基盤を強化し、そして市場の信頼性を高めるということをやっております。特に、この数年間がそういう状況が強く、またさらに、この半年間の世界同時不況という中で、その流れが促進しているというふうに思っています。

 そういう中で、工業商品取引所と東京穀物取引所も、そういう意味では、先ほどもお話をしたように、今、東京工業取引所で世界で十番目の取引額になってしまったということで、二〇〇四年、五年前は、日本の東京工業取引所、中部商品取引所、東京穀物取引所、十傑の中に三つも入っていたという中で、ある意味では東京という同じ地域にある農産物と工業品の合併ということもいろいろお話が出てきます。経産省と農水省の方に、今後の両者の合併についてどのようにお考えになっているのか、それぞれお答えをいただきたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 日本の取引所が国際的な取引量の地位を低下させておる、今御指摘のとおりでございますけれども、東京工業品取引所とそれから東京穀物商品取引所の合併についてのお尋ねでございました。

 こうした経営の体制につきまして、基本的には、その両取引所の経営判断として行われるべき事項であるというふうには考えますけれども、一般論で合併について申し上げますと、取引所の合併というものは、一方で、システム対応コストの削減を期待できるといったメリットがあると思います。それから他方で、合併によって寡占化のようなものがどんどん進んでまいりますと、取引所間の競争の欠如によりまして、取引所のサービスが低下するということが結果的に招来するんじゃないか、そういう、産業インフラとしての機能の観点からの問題が生じるおそれもあるといったような指摘があるのもまた事実でございます。

 そういったことでございますので、本件につきましては、コスト面の議論とあわせまして、産業インフラとしての両取引所の存在意義のバランスも踏まえて、しかし一方で、世界でさまざまな動きがあります、それから環境変化もどんどん進んでいるわけでございますから、そういったことも踏まえまして、取引所、あるいは今度は取引に参加されている方々、そういった商品先物取引に関係する方々が十分に議論を行って判断を進めていく必要があるものと考えているところでございます。

平尾政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私どもは、商品先物市場につきましては、特に農産物についてでございますけれども、公正な価格指標の形成、あるいは価格変動リスクの回避の場を提供するというふうな、委員御指摘のような産業インフラとしての重要な役割を果たしているわけでございます。そういう意味では、この商品先物市場が、市場の状況の変化やあるいは当業者などのニーズにこたえて、適切かつ的確に機能を果たしていくというふうなことを確保されることが重要だとまず考えております。

 そういう中で、東京穀物商品取引所でございますけれども、これはあくまでも会員相互の自主的な民間団体でございますので、基本的には、商品取引所の運営については、先ほど申しました産業インフラとしての重要な機能をいかに的確に果たしていくかというふうなことを踏まえて、まずは会員の中でしっかり判断されることが重要だと考えております。

後藤(斎)委員 確かに、東京工業取引所は株式会社になっていて、穀物取引所はまだ会員制の、いずれ株式会社化を目指すというお話は聞いていますが、そういう組織の、現在違った立場にあるということも、なかなか一緒になれないというふうなことの一つの要因かもしれません。当然、それぞれの持つ公正な指標の形成であるとかリスクヘッジであるとか、そういうものの本来の目的が達成されるのであれば、現在のように二頭立てでもいいのかなというふうに私は思っているんですけれども、それが、実際、リスクヘッジの機能もなかなかうまくいっていなかったということで、多分合併問題のようなことが起こってくるのかなと思っています。

 もう一つ、であれば、先ほど大臣もお答えをいただいたように、魅力ある上場商品というか、取引の商品をどうつくっていくかということももう一方の課題だというふうに思っています。

 世界の市場のいろいろな上場している品目も、大きく見れば、当然国際的な商品ということで、ほとんど類似している感じがいたします。ただ、例えば、東京工業取引所でも石油、原油を取り扱っていますけれども、ここの指標価格というのは今まで重要視は余りされてこずに、むしろニューヨークの、テキサスの一バレル幾らみたいなものが世界の指標になってしまっている。これは事実だと思うんですね。であれば、やはり本来の目的というか、先物の一番いいものを生かすという観点の中で、ではこれから、先ほど大臣がお答えになった上場商品のニーズを踏まえたというふうなことにどう取り組んでいくのかということが問われると思うんです。

 これも物別に分かれていますから、まず、工業取引所の方では、魅力ある取引所とするための上場商品の多様化というか、新規をどうするかということについてはどのようにお考えになっているのか、御答弁をお願いします。

寺坂政府参考人 御指摘のとおり、我が国の商品先物市場を使いやすく、魅力あるものにしていくということが必要でございまして、そのためには、事業者、関係者のニーズ、何を求めているのかといったことをしっかりとらえて、それにこたえる環境整備を進めていくということが必要と考えてございます。

 今回の改正案におきましては、例えば、商品取引所が、商品市場開設業務といった本来的な業務のほかに、金融商品市場の開設業務等、一定の認可を受けるとかそういう条件はございますけれども、そういったことを行うことが可能になるわけでございまして、いわゆる相互乗り入れとかの手当てをすることが可能となります。

 それから、株式会社商品取引所の定款の記載事項の見直しなどによりまして、例えば、上場商品をどうするのか、新たに何かを入れるとかいう場合に、取引所の意思決定手続を簡素化する、そういった手当ても今回しているところでございます。

 こういった制度的なものに加えまして、ニーズに合わせました上場商品等、これを我が国の商品取引所がどのように生み出していくのか、さまざまな角度から検討を今重ねているところでございます。いろいろな課題があるわけでございまして、商品、物そのものとあわせまして、指数とか、いろいろな商品についての検討を行っているところでございまして、そういった取り組みに対して、私どもとしても積極的に協力をしてまいりたいと考えているところでございます。

後藤(斎)委員 穀物取引所の方でも、平成十七年ですか、取引所としたらお米を先物の上場商品にしてもらいたいという申請があって、農水省は監督官庁としてノーという結論を出しました。

 今、お米だけではなくて小麦や畜産物も含めて上場をしていかなければ、ここまで衰退というか、元気のなくなった穀物取引所、その会員の皆さん方もそうなんでしょうけれども、困っちゃうなということの危機感からかもしれませんけれども、いろいろな検討を重ねているというふうにもお聞きをしています。

 農水省としては、米も含めて、新たな上場商品にどのように取り組んでいき、そしてそのときの判断基準というものは、どういうふうにお考えになられながらその是非について監督官庁として対応していくのか、御見解をお伺いしたいと思います。

平尾政府参考人 お答え申し上げます。

 東京穀物商品取引所については、先ほど委員御指摘のとおり、当業者のニーズにこたえた魅力ある市場になるというふうなことが重要だと私ども考えております。

 御指摘の米につきましては、今お話がありましたように、十七年の十二月に東京穀物商品取引所とそれから関西商品取引所が同時に試験上場の認可申請があったわけでございます。当時、私ども、法律に基づきまして審査させていただきましたが、御案内のように、米は生産調整をやっているというふうなことでございまして、その政策との整合性が保てないというふうなことで不認可になっているわけでございます。

 今後の新しい商品の上場あるいは当業者等のニーズに対応したサービスの充実というふうな観点からは、委員御指摘の上場商品の多様化、あるいは既存の商品についても、既に幾つかの商品がございますけれども、そういう商品設計やあるいは取引ルールについても当業者からいろいろな要望が来ております。そういうものに的確に対応できるような見直しをしていくことが私ども重要だと思いますし、またそういうことが求められていると思っております。

 今回、法律改正で、先ほど経産省の方から御説明がありましたように、新しい商品の開発につきましても、それに先立って行う試験上場制度の簡素化というふうなことがあります。またそういう中で、今委員の方からも御指摘がありました幾つかの商品について、今、商品取引所の方で勉強をされております。

 そういうふうなことも含めて、私ども、東京穀物商品取引所が当業者あるいは投資家のニーズにこたえた品ぞろえあるいはサービスの提供というのがしっかりできるようにしていきたいと思っております。

後藤(斎)委員 今お答えをいただいたように、確かに、平成十七年の時点では生産調整というものが、ある意味ではこれからも、未来永劫的にも存続をするという、生産の部分での一つの制約というのが多分あったのではないかなと私は思うんです。

 それから五年たって、少なくとも、判断の基準とするときに、生産だけではなくて流通とか価格政策との整合性ということが一つの判断基準だというふうに言われております。私は別に、どうしてもそれにこだわっているわけではありませんが、冒頭も経産省、農水省からもお答えをいただいたように、もともとこの商品先物市場というものがどういうものから形成されて創設をされたかということを考えれば、やはり農産物、これは米も含めてそうなんですが、昔とは違って、価格政策があって、少なくとも一本化をしたお米の価格の体系ではなくなっている。流通も、卸の機能や小売の機能も含めて、昔のお米屋さんというのはこの十年近くで、全くなくなったわけではありませんが、ほとんど大手スーパーさんのところでお買い物をするというふうにかなり変わっています。

 やはり時代の変化の中でどう判断をしていくのかというのが私は正しい判断だと思いますし、もう一つ言えば、先ほど、工業取引所も穀物取引所も、ある意味ではここまで国際的な地位が低下をしているときに何をすべきかということがやはり基本になければいけないというふうに思っています。

 日本の穀物、工業品ともども、本来の、いわゆる当事者、当業者と言われている方々が市場に参入する率がほかの取引所に比べればはるかに少ないというふうなことが言われております。そうであれば、逆に、農家の方でいえば、お米を生産されている方、流通をされている方、さらには小売の方も含めて、これは工業製品も、例えば原油について今まで元卸のような方が参画をしたというお話は聞いていますが、やはり卸や小売に参加しているような方が価格をどう考えるのかというふうなことが大切な視点だというふうに思っています。

 これは、別の面からの資料を読ませていただいたら、いろいろな検討会の中では、例えば工業製品も含めて、中小企業の方々も、本来であれば、石油製品や金やプラチナを使って御商売をなさっている方が直接自分たちが価格形成に参加をするというスタンスは、やはり専門家も育っていないということで参加をしにくいという話もよく聞いております。

 そういう中で、冒頭大臣にお答えをいただいたように、これから商品市場というものをどういうふうに日本の国の中で位置づけていくのか。存続させるのか、それとも、今この改正だけの視点で済ませてしまうのか。

 私は、冒頭もお話をしたように、価格形成機能やリスクヘッジの機能というものをきちっととらまえた先物市場というものが、国民の皆さん方からも信頼をされ、健全に育っていくということがやはり必要だ。これは本当に、数少ない国際標準であって、三百年近く続いた、日本発祥である先物取引市場というものをこれ以上地位低下させてはいけないという立場であります。

 そういう中で、もう一度平尾次長にお尋ねをしますが、やはり農産物市場がこれだけ戦後の中で、一時期は畜産も含めて農産物全体で十兆円を超した粗生産額が、この間も大臣にお尋ねをしましたが、八・五兆円、パナソニック以下になってしまったということを考えたときに、リスクヘッジ機能や価格指標の形成機能としての先物市場を生かしながら、農家の所得安定、農業のこれからの発展にもプラスになっていくということが必ずあって、そういう政策的な整合性をとりながらやっていくべきだと私は思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

平尾政府参考人 お答え申し上げます。

 農産物の先物市場でございますけれども、委員御指摘のとおり、農業者、流通業者あるいは加工業者などの当業者にとって、原材料の調達コストの安定を図るとかあるいは生産物の販売価格変動リスクを回避するというふうなことを通じまして、計画をしっかりつくるときの手段とかあるいは経営の安定化を図るための手段とかいうふうなことに十分機能を果たせるものでありますし、また、そういう機能が期待されていると私どもは思っておるわけでございます。こういう観点から、東京穀物商品取引所を初めとして、農産物の先物市場においても各種の商品開発を今までもやっておるわけでございます。

 そういう意味から、今後とも、委員御指摘のとおり、農産物の生産あるいは流通施策等との整合性を図って、産業基盤として当業者のニーズにこたえる機能の充実あるいは市場の活性化というのを図っていくようなことが求められていると思っております。

 一方、農業政策でございますけれども、これは御案内のように、今、私ども、農政改革の議論を省内でもしておりますし、また関係閣僚の中でもしていただいているわけでございます。そういう中でも、今後さらに、そういう市場のニーズに応じた経営の安定が図れるような担い手の育成というふうなことが重要でございますから、そういうふうなことと両々相まって、日本の農業生産の基盤強化というのが図られることが重要だと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、私は、穀物と工業品が必ずしも合併すればいいということはないんですが、この経済産業委員会で、農林省も監督官庁として一緒にこの法律を議論しているという中で、繰り返しになりますけれども、農商工連携といういろいろな流れも含めて、中小企業の当業者の方々、農家、多分農協も含めてでもいいかもしれませんが、やはり当業者の方々がこの取引市場に参加できるような仕組みというものはもっと促進をしていかなければ、多分、国際的に、日本にあったのかというふうに、昔の失われた恐竜みたいになってしまってはいけませんから。

 そういう意味でも、私は、きちっとした、政府全体でも、先物取引というものは国家の戦略としてもきちっと機能するように、本来の目的の機能するようにやるんだよという姿勢等、経産省と農水省も、金融庁も含めてかもしれませんが、もっと連携をしながら、新しい魅力ある商品、やはりそこに魅力あるものがないと、投資家の方も含めて、やってみようというようなことはありませんから。

 その点について、大臣、最後に、決意の部分も含めてお尋ねをしたいと思います。

二階国務大臣 取引所の問題で、いろいろな観点から御指摘をちょうだいいたしましたが、私は、もっとこの取引所を発展していく方向に持っていくためには、今御指摘のように、我々は、経済産業省は経済産業省として、農林水産省は農林水産省としてやっているだけではなくて、まさに農商工連携のこうした機運に乗って、我々は率直に農林省とも話し合いをする、また、ただいま御指摘の財政当局とも十分対応して、立派なものに仕上げる努力を我々政府側としてもやってみたいというふうに思っています。

後藤(斎)委員 時間が来ました。以上で終わります。ありがとうございます。

東委員長 これにて後藤斎君の質疑は終わりました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 今回の商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、質問をさせていただきます。

 独立行政法人の国民生活センターが、六月四日の資料なんですけれども、先物取引に関する相談概要ということでまとめております。その中の主な事例として、執拗、強引な勧誘とか、絶対にもうかると説明を受けたとか、無断売買、予想外の損失が発生したとか、手じまいをさせない、追い証を求められたということで、具体的には、時間がありましたら私の質問の最後の方で述べたいと思うんですけれども、さまざまな相談が寄せられておりまして、主に六十歳以上の方が被害者なんです。ですから、六十歳以上の、老後の年金の資産を商品取引に充てて、皆さん、生活が本当に立ち行かなくなったという切実な相談が多いんです。したがいまして、どうやってここの被害を防ぐかという観点につきまして質問をさせてください。

 まず一点が、不招請勧誘の定義について、大臣から御答弁いただければ幸いでございます。

二階国務大臣 ただいまの御質問でございますが、本法案におきまして、トラブルのない商品先物市場を実現するという観点から、いわゆる不招請勧誘の禁止の規定を導入し、その具体的な対象については政令で指定するように考えております。

 ここで言う不招請勧誘とは、商品先物取引に関する契約の締結の勧誘を要請していないお客様に対し、一方的に訪問し、また電話をかけて勧誘することを意味しているものであります。

大島(敦)委員 取引所外取引について、トラブルが急増していると伺っております。不招請勧誘の禁止規定の対象とするのかについて、御見解を伺わせてください。

二階国務大臣 御指摘のように、一般個人を相手方として取引所外で行われる商品先物取引についてトラブルが急増していることは、大変残念ながら、この実態を認めざるを得ません。

 このため、一般個人を相手方とする取引所外の取引については、すべて不招請勧誘を禁止する対象として政令で指定をしたい、こういう方針でございます。

大島(敦)委員 取引所取引についても、減少傾向にあるとはいえ、なお多くのトラブルがあると聞いております。不招請勧誘の禁止の対象とする必要があるのではないかなと考えるのですけれども、大臣の御見解を伺わせてください。

二階国務大臣 一般個人を相手とする取引所取引については、トラブルの総数自体はやや減少してきておりますが、なお相当数のトラブルが報告されていることも事実であります。

 また、商品先物取引は、投資額以上の損失が発生する可能性がある、リスクが高い取引であるという側面を有しておることも事実であります。

 このため、一般個人を相手方とする取引所取引については、初めの投資金額以上の損失の発生を防ぐ仕組みとなっている取引以外のものを不招請勧誘禁止の対象とする方針であります。

大島(敦)委員 取引所取引のうち、初めの投資金額以上の損失の発生を防ぐ仕組みとなっている取引については不招請勧誘の禁止の対象としないとの答弁がありました。仮にこのような取引について被害が解消しない場合は、どのように対応をいたしますでしょうか。

二階国務大臣 今回の不招請勧誘の禁止の導入により、一般個人を相手方とする被害は抜本的に解消していくものと考えております。

 しかしながら、その後も被害が相変わらず解消しない、後を絶たないという場合には、一般個人を相手方とする商品先物取引全般について、不招請勧誘の禁止の対象としたいと考えております。

大島(敦)委員 ここのところは質問通告をしていなくて、政府参考人の方で答えられれば答えてほしいんです。答えられない場合は、来週もここで質問したいと思うものですから、そのときに伺わせていただきます。

 その判断の期間、要は何年間で判断するのかというのが結構ポイントなんですよ。私たちとしては、できるだけ短く、一年ぐらいで判断をしていただいて、次のステップに移るのを理想としておるんですけれども、その点についての御見解、大臣が御答弁できれば大臣の御答弁、できなければ政府参考人から意見を伺わせてください。

寺坂政府参考人 商品先物取引をめぐります勧誘その他のトラブルについては、国民生活センターはもちろんでございますけれども、私どもも、どのようなトラブルが発生し、それがどのように動いていっているのかというのは常に見てきているところでございます。

 したがいまして、今回の法律改正によりまして政令指定の対象とする取引につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおりでございますけれども、トラブルの実態、取引の実態につきましては、常に動向を把握したいというふうに思っております。

 そういった動向把握の中で、先ほどの答弁でございますけれども、トラブルあるいは被害の実態が解消していかないというような状況がありました場合には、何年と今ここで具体的に申し上げるのはむしろかえって縛る、そういう面もあるわけでございまして、最近まで、この数年間で取引所取引については減少傾向にあるというのは傾向としてはあるわけでございますけれども、そういった流れが変わらないとか、あるいは逆にふえるとかいったような状況が把握できました場合には、特にその期間を定めないですぐ次の対応に移ってまいりたい、そのように考えておるところでございます。

大島(敦)委員 その期間が大切でして、今回の国民生活センターの内容を読み上げますと、絶対にもうかると説明されたと。知人の母親七十歳代が、電話の後に来訪した業者から絶対にもうかると勧められてロコ・ロンドン金取引の契約をし、数回にわたり計二千七百五十万円を支払った、本人は預金のつもりのようだったが、今解約したら二百万から三百万しか戻らないと言われた、これは男性の方。

 断っても再三電話がかかってきて、絶対にもうかるので三カ月間お金を預けてほしいと言われ、五十万円で原油の海外先物オプション取引を契約した、三カ月後、値上がりしませんでした、済みませんと言われ、全額がなくなったことに気がついた、自分の唯一の貯金がなくなってしまい、許せない、これは六十代の女性の方です。

 今度は無断売買というのもありまして、営業マンの話を聞いて原油などの海外先物オプション取引を始めたが、取引の仕組みはよくわからない、最初のうちは業者が勝手に売り買いしていたようだ、利益が出たと言われた翌日に、為替変動で利益がなくなり入金が必要と言われ、数回にわたり八千五百万円をつぎ込んだ、もうお金がない、返金してほしい、これは六十歳代の女性の方。

 予想外の損失が発生ということで、金の国内先物取引一千万円をしていた、値動きがこうなるだろうと言われるまま預けていたら、ほぼ全損となった、返金させたい、五十代の男性の方。

 大きな利益は出ないが失敗はないと勧められて原油の海外先物取引にあり金全部の一千万円を投資したが、三百万円の損が出た、返金してほしい、これは八十代の男性の方。

 手じまいをさせない、追い証を求められた。電話の後に訪問してきた業者と海外先物取引の契約六十万円をした、利益は出たが、手じまいの申し出に一切応じようとしない、これは三十代の男性の方。

 電話で何度も勧められ、断り切れずに業者が自宅に来訪、理解のできないままトウモロコシの海外先物取引を契約し、三百万円の保証金を預けた、返金を依頼したがやめさせてくれない、八十代の男性の方。

 四年前にしつこく勧められてガソリンの先物取引を契約、やめたいのにやめさせてもらえず、一千七百万円の損失、返金してほしい、六十代の女性の方。

 電話の後に訪問してきた業者に勧められてロコ・ロンドン金取引を始め、これまで一千二百万円預けた、損失が出たと言うので決済を申し出るとさらに一千二百万円を要求された。

 ロコ・ロンドン金取引に約八十万円支払った、二週間後、金が下がったら大変になると言われ、追い証百万円を請求された、払えないというのがありました。

 今現時点でも、六十歳を超えた方、皆さん御自宅にいらっしゃるわけですよ、そこに電話がかかってきて、電話で自分のあり金を、あるいは預金を商品の先物に預けて、大切な老後の資金が消えていくわけなんです。

 ですから、可及的速やかにここの検証を行っていただいて、先ほど申し述べた判断の期間については、一年ぐらいか、先ほどは言えないということだったんですけれども、あるいはできるだけ早くということが私は必要だと思うんです。そのことによって、少なくなってきたとはいえ、まだまだ被害が継続しているものですから、そこはしっかりと、要はなくしていかなければいけないなと考えておるんですけれども、その点につきまして、大臣からの御答弁をお願いいたします。

二階国務大臣 商品知識の無知と言っては失礼かもしれませんが、知識が十分でない、情報が十分でない人たち、しかも、残念ながらお年寄りをねらってそうしたいかがわしい情報を提供して、これでもってみずからが利益を得て陰でほくそ笑んでおるような、そういう者を我々はお互いに社会正義として許すことはできないわけですから、一年といわず、もっと早く結論が出るように対処するよう努力をします。もしそういうことができなければ、私どもはこの業務を消費者庁にでもお譲りしてやっていただくぐらいの決意がなきゃだめだということを、先般も我が方の担当者に申し渡しているところであります。

大島(敦)委員 厳しい現状認識に基づく答弁、まことにありがとうございました。

 質問時間があと五分だけありまして、今度は、全然違った角度から質問をさせてください。

 今回の商品先物取引について、市場規模がどんどん減っているというお話がございました。市場というのはなぜ必要かと自分が考えますと、皆さんも選挙区の中にはさまざまな機関あるいは会社があると思うんですけれども、自分も、関東でも極めて大きい花の市場がありまして、市場があると情報が集まるわけです。情報が集まると、次のビジネスにつながっていくということになります。

 ですから、日本の中で商品先物取引は、決して私は否定するわけではないんです。ただ、これは、旧態依然とした営業ではなくて、要は次の時代の営業のあり方に備える時期に多分もうとっくの昔に来ているのかなと思っています。

 この間の金融危機はどうして起きたかというと、これはクロスマーケットなわけですよ。要は、株式市場があり債券の市場があり、あるいは穀物の市場があり工業品の市場があり、さまざまな市場がすべて連動しながら資金がその中を飛び交っているわけです。去年原油が上がったのも、要は債券、株、普通は、株が下がれば債券が上がり、債券が下がれば株が上がって、それで運用というのはヘッジされ、調整されるんですけれども、去年は両方下がったものですから、取引額がほかのマーケットに比べればそれほど多くない原油のマーケットに入って原油価格が暴騰していったわけですよ。これは、去年の前半においては、機関投資家というのは一つポートフォリオを組むと順繰り順繰り買っていくものですから、上がったということがあるわけです。

 ですから、クロスマーケットに備えるために、市場については、コンピューターのシステムを新しくして海外とも取引できるような市場にしたということを伺っておりまして、機関投資家を初め投資家の利便性向上のためには、例えば一つの画面上で株式とか債券とか商品先物取引をクロスマーケットで一元的に取引できることが多分必要だと思うんです。そこには、無理やり強引に売りつけられた方じゃなくて、リスクを承知で自分で金融マーケットに参入する一般投資家もいると思うんです。それが、我が国の商品市場が活性化するかぎなのかなと思っているのです。

 商品先物市場の扱い金額は、そんなに大きくないはずなんです。株式とか債券に比べればそんなに大きくないわけですから、そこの大きな取引が行われているところから恐らく海外はクロスマーケットに対応しているので、その扱い金額が伸びてきたと思うんです。

 その点について、政府としては今後どのように考えているのか、最後に御答弁いただいて、私の質問を終わりたいと思います。

寺坂政府参考人 御指摘のとおり、商品先物のほか、株式や債券などを一つの取引所や窓口で取引できることになれば、投資家にとりましては、取引の利便性が向上し、市場の活性化につながっていく、そういったことが期待されるところでございます。

 そうした観点から、今回の法案におきましては、商品取引所と金融商品取引所の相互乗り入れによりまして、一カ所で商品先物取引と金融商品取引を行うことを可能とする、そうした制度としているところでございます。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

東委員長 これにて大島敦君の質疑は終わりました。

 次に、土井真樹君。

土井(真)委員 自由民主党の土井真樹でございます。

 きょうは、商品先物取引法について、今大臣はちょっと席を外されましたけれども、副大臣にもあわせていろいろとお聞きさせていただきたいというふうに思います。

 まず、取引所というのは、日本にも大変いろいろな種類がございます。金融市場でいえば株式の取引、東京株式市場とかマザーズとか、その他、工業品あるいは農業品、そしてまた、町のいろいろな地域にも取引所というのはございます。そういう取引所というのは、経済活動、産業のインフラでは非常に重要であるというふうに考えております。これはもう皆さん同じだと思います。

 特に、ここのところ、資本マーケットにおいては非常に大きな動きがあって、それを追いかけるような形で法の整備、そして取引所の整備というのをどんどん行ってきておるわけでございます。当然、この商品取引においても、取引所の改正というか、より時代に合った形での対応というのが求められているということで、今回の改正にもつながってきていると思うんです。

 まず、きょう資料をお渡ししてありますが、取引所の出来高及び取引金額の推移というグラフをちょっとごらんいただきますと、平成十五年及び十六年をピークに取引金額も山のように下がってきている。そしてまた、出来高、枚数の方も、十五年をピークにだんだん下がってきているという今現状がございます。

 私は、これはどういうことかなというふうにちょっと疑問に思ったんですけれども、では世界ではどうだろうかということで、もう一枚のグラフを見ていただきますと、これは世界と国内の商品先物市場の出来高ということで、ちょっと薄くて恐縮なんですけれども、日本はちょうど二〇〇三年をピークにだんだんだんだん下がってきている。逆に、世界のマーケットは物すごい勢いで、右肩上がりで伸びているわけなんですね。これを見て、私はこれは大変大きな問題じゃないかなというふうに感じました。

 きっかけは何かということですと、やはり前回の改正、平成十六年の改正を機にこういう状況になっているということでございます。トラブルの減少の話は、グラフもありますので後ほどお話し申し上げますけれども、トラブルは減ってきているようですけれども、トラブルが減るのと同時に、これだけ取引が縮小している。

 かつて二百三十三兆円あった取引高が八十七兆円。これは日本の経済規模がどんどん小さくなっていくような印象を受けてしまうわけです。やはり取引所の取引というのが活発であってこそ初めて経済活動も活性化して、日本の経済も伸びていくというふうに考えるわけでございますけれども、余りにも日本の取引高の減少、出来高の減少というのが世界の趨勢と反しているということはやはりどこかに問題があるんじゃないかなというふうに考えるわけでございます。

 それで、このきっかけとなりました平成十六年の商取法改正、このときは、恐らく当時、商品先物取引をめぐるトラブルというのが全国で大変多くあって、それを規制しなければならないという背景があって取引規制を法律に入れたんだというふうに思いますが、規制が逆に余りにも強過ぎて、過剰規制であったから取引所から取引が逃げていってしまったというふうに考えるわけでございます。

 副大臣、取引所の取引の減少について、その原因がどのようであったか、また、それはどういう状況で取引の減少が起きたとお考えであるか、お聞かせ願えますでしょうか。

高市副大臣 今委員から資料をお示しいただきましたが、世界における商品取引所の出来高、過去五年間で四倍に増加している一方で、我が国のそれは同じ期間で三分の一となっております。

 主な原因は何かというお尋ねですけれども、一つは、取引所の魅力が欠如している、それから、商品取引業者の信頼性が欠如している、それから、それに起因して商品取引に対する不安感が存在しているということで、結局、事業者などプロの商品先物取引への参加というものが十分に進んでいないということにあると考えています。

 ですから、委託者の保護というのはやはり商品市場の健全な発展の前提であると思いますので、むしろ品ぞろえを拡大していく、また取引ルールや関連サービス、こういった充実という面で使い勝手を改善していく、そして、やはり信頼性をしっかり確立していくということが大切ではないかと考えております。

土井(真)委員 今御答弁にもありましたように、この商品取引所を使い勝手のいいものにしていくという方向性での取り組みをされているようでございます。先ほども、私の前の方も質問があったかもしれませんけれども、やはり商品取引所を活性化するということは日本の経済を活性化することにもつながっていくというふうに考えます。そのためには、使い勝手のいい、また信頼性のある、多くの方が参加できるようなマーケットをつくっていかなきゃいけない。

 そのために、それではもう少し、今回の改正の中で活性化するための方策というものは具体的にどのようなものか、お答え願えますでしょうか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 活性化のための方策でございますが、既に御答弁されたことと重なる部分があるかもわかりませんけれども、我が国の商品先物市場の産業インフラとしての機能、これを発揮させていくためには多様なニーズにこたえる、そういう存在であるということが重要である、これは改めて申し上げるまでもないことでございます。

 このため、既に取引所の方で、例えば東京工業品取引所におきましては、その市場ニーズに迅速に対応した経営が可能となるような株式会社への移行を行いまして、この五月からは世界最新の受発注システム、これを導入したところでございます。

 今回のこの法案におきましては、商品取引所がその創意工夫を重ねることによりまして、上場商品の品ぞろえの多様化とか、あるいは関連サービスの充実、そういったものがこれまでよりも、よりできる制度としているところであります。

 また、投資家の利便性を向上する、そういう視点からは、商品取引所と金融商品取引所との相互乗り入れを可能としているところでございます。

 こうした環境整備と、それから商品取引所を初めといたします関係者の一層の御努力、こういったものとが相まって、我が国の取引所の産業インフラとしての本来あるべき役割が拡大していく、そういうことを期待しているところでございます。

土井(真)委員 今、マーケットに多くの方が参加できるようにということを考慮したいろいろな施策をお聞きしましたけれども、マーケットというのは、かつてと違い、今現在は資本のマーケットも商品マーケットもそうだと思うんですけれども、非常にグローバルにプレーヤーが活動する。例えば資本市場でいいますと、東京証券取引所だけじゃなくて、シンガポールもあればニューヨークもある、あるいはロンドンもある、そういう形で、二十四時間じゃないですけれども、世界じゅうでプレーヤーが売買をやっていくという時代になっております。

 もちろん、当然のことながら、商品取引においても、国内だけじゃなくて、海外のマーケットも視野に入れてプレーヤーはグローバルに活動して売買をしていく、それぞれのマーケットに参加していくということに今現在なっていると思います。そうしますと、当然、他の国との取引所の比較ということも考えていかなきゃいけないというふうに思います。

 それで、お配りしました資料の三枚目になるんですけれども、この商品取引所の出来高ランキングというものを見ますと、トップは常にニューヨーク商業取引所になりますけれども、日本の東京工業品取引所、平成十六年には世界のマーケットの中での順位は三位、そして、ニューヨークに比べても、半分ほどではないけれども、それなりの比率で出来高があったわけですね。

 ところが、平成十八年になると、ランキングも六位になり、ニューヨークと比較してもう既に取引高は三分の一、そして、その間に中国の大連とかが東京の倍になってしまう。さらに、平成二十年、東京工業品取引所は十位で、その上に中国の取引所だけでも三カ所入っている、大連とか鄭州とか上海とか。そして、ニューヨークとの取引高の比較をしたら、半分どころか八分の一以下になってしまっている。

 非常に地位が低下してしまっている、日本のプレゼンスが落ちてしまっているということで、やはり世界における日本のポジションをしっかりとつくらなきゃいけないというふうに思うわけでございます。少なくとも経済規模でいえば、まだまだ日本は世界第二位の規模はあるわけでございますから、やはり、こういう取引所においても、それなりのポジションがあって初めて、これからの日本の経済が成長していくベースになってくるというふうに思います。

 そこで、今度は海外の取引所との競争をちょっと、どういう関係になっているかをお聞きしたいと思うんです。

 今回の改正によって、今投資家にとって魅力のあるマーケットをつくろう、使い勝手のいい、信頼感のある、そういうマーケットをつくろうということが盛り込んであるんですけれども、それが、果たして今申し上げた日本より上位にあるような取引所と比較して競争ができるような十分な条件、状況になっているのか。

 やはり、取引所の魅力が低いから日本の取扱高が減っている部分があると思うので、海外と比較して、今おっしゃったようないろいろな条件が十分競争に耐え得るだけの条件になっているかどうか、お聞かせ願えますでしょうか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 今、商品先物市場の分野におきましては、国内だけではなくて国際的な競争力を確保していかないと、先ほど来御指摘のございますように、世界におけます市場の地位を低下させてくる、それは御指摘のとおりでございます。

 そういったような状況になぜなってしまったのかということについては、先ほど高市副大臣から御答弁申し上げたところでございますけれども、そういった原因と申しましょうか、そういう要因というものをどのようにして取り除いて、そして魅力ある取引所にしていくのか。その魅力ある取引所になるということが、国内のみならず、海外からのいろいろな関係者の方が日本の取引所というものの魅力を再認識して、ここに取引が集まってくるということが期待できるものかと思っております。

 いわば好循環と申しましょうか、そういった形でこの商品先物市場の世界が動いていくということがいいのかというふうに考えてございまして、繰り返しになりますけれども、東京工業品取引所は、システムがやはり古いと申しましょうか遅いと申しましょうか、そういったもので、世界の中ではそういうシステムだったところを最新鋭のシステムに変えた。それから組織形態、これも意思決定の迅速化を図る、そういう観点からこれまでの会員制組織から株式会社に変えた。あるいは、取引時間の延長も行っております。さらに延長ができないのかといったようなことについての検討も重ねているところでございます。

 そういった取引所サイドでのいろいろな工夫、そして、今回御提案申し上げておりますような法律改正案におきまして、取引所が、さまざまな工夫が可能になる、そういった工夫によりまして経営基盤を強化する、そのようなことによりまして全体としての取引所の魅力を高め、結果的に地位が向上していくというようなことにつながっていくことを期待しているところでございます。そのような意味合いにおきましては、ここまで減少してきた、そういったものを取り除いて、そして次に向かって進んでいくということが大切なことかと思っております。

 また、市場におきましては、そういうことでいきますと、いわゆるプロの方の市場への参加というものもまだまだ少ないわけでございまして、これはまさに魅力あるいは信頼性の問題でございます。

 そういった一連のものが総合的にうまくかみ合って、これから地位を回復し、世界の中の取引所になるということを期待しているところでございます。

土井(真)委員 今の質問にちょっと追加なんです。

 今お話がございましたけれども、大体の大枠というんですか、方向性というのはよくわかりましたけれども、では、今の部分は、今回の改正によって具体的にどんな参加者がふえてきて、そしてまた商品も含めてどんな取引が増加するのか、そういうようなターゲティングをある程度絞って、具体的なところをどのようにお考えになっているのか、もう少し具体的にお答えいただけますでしょうか。

寺坂政府参考人 いろいろな関係者と申しましょうか、商品先物市場に関心を持っていただく、あるいはこれを有効に活用していただくということが大事なわけでございますけれども、商品先物市場の本来的な機能といたしましては、原材料などの価格にかかわります変動リスクのヘッジ機能や、あるいは実体経済の需給を踏まえました公正な価格形成機能などの産業インフラとしての重要な役割があると考えてございます。

 ただ、残念ながら、先ほどもちょっと触れましたけれども、現状におきましては、事業者による商品先物市場の利用が十分ではなくて、必ずしもそのような機能が発揮されていない、そういう状況にもあります。

 今回のそういった改正と、それから取引所関係者との努力、これが相まちまして商品先物市場の利便性、信頼性が高まれば、例えば中小企業等の事業者の方がヘッジ目的として積極的に商品先物市場を活用する、そういったことなどを通じまして、産業インフラであります本来的な機能が発揮されていく、そのようになることも期待をし、考えているところでございます。

土井(真)委員 今、本来の価格ヘッジ機能とか、お話がございましたけれども、やはり今世界のマーケットは、そういう実体経済に対するヘッジ機能の部分だけでなくて、投資商品としての、極めて金融商品に近い扱いの部分も大変大きくなっておりまして、それにも対応するような形にしておかないと、現実には、今の日本の現状のようなものを乗り越えていくことはできないというふうに思いますので、ぜひともそういう投資商品としての魅力もきちっと備えたような、それを扱う取引所としての機能もしっかり考慮に入れたマーケット、取引所をつくっていく、そういう改正に持っていっていただきたい。これは法律だけじゃなくて、運用面においてもそういう部分がかなりあるかと思いますので、そういう魅力ある日本の市場、取引所をつくっていっていただきたいというふうに思います。

 それでは今度は、前回の改正そして今回の改正にもあります、委託者とのトラブルという面についてお聞きします。

 トラブル自体は、前回、平成十六年の改正で、四枚目の資料に入れてありますように、改正によって劇的にというか、かなり減っていることは事実だというふうに思います。それはしっかりとした効果があったんだと思いますが、前回の対象にならない海外並びに店頭の取引の部分について、逆に今度はトラブルが非常にふえてきたということで、今回の改正のきっかけになってきたというふうに思うんです。

 今回、海外並びに店頭の取引において委託者とのトラブルがふえてきたそもそもの原因、これをどのようにお考えになるのか、お聞かせ願えますでしょうか。

大下政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、海外それから店頭取引といった取引所外の取引での苦情件数がふえております。先生からお配りいただいた資料を見ていただきますと、十九年で合計で千七百四十三件、三年前の三倍ぐらいになっております。

 これにつきましては、事業者に対する参入規制が現在整備されていないこと、それから行為規制も弱いという面があることが原因であると考えております。

土井(真)委員 今、参入規制並びに行為規制のお話がございました。

 海外並びに取引所外、店頭取引の委託者とのトラブルを規制しよう、減らそうということでの今回の法改正になっているんですけれども、そもそも、今度は改正について、参入規制と行為規制の部分なんですけれども、今回は、国内の取引所取引だけでなく、海外の取引所取引並びに店頭取引、すべて参入規制をして許可制にするということでございます。

 この規制については、もちろん私もトラブルを解消するには必要であるというふうに考えますけれども、規制の仕方なんですけれども、一昨年の金融商品取引法の改正においても、同じように参入規制がございました。そのときには、いろいろもうちょっと参入規制について類型を分けて金融商品の方はやっているんですけれども、いずれにしても、今回の商品先物取引法においての参入規制はすべて許可制ということになっております。

 金融商品の方は、類型は分かれておりますけれども登録制ということで、比較的参入の障壁が、要件をきちっと満たせば参入できるわけなんですね。ですから、より多くのマーケットプレーヤーを受け入れることができる、それによってマーケットも活性化できるということでございますけれども、許可制にすると、プレーヤー、参加する人が許可を得られなければ、幾ら要件をそろえても参入できないということで、参入障壁が非常に高くなって、かえって規制が強過ぎて取引が活性化しなくなってしまうんじゃないかというような危惧を抱くわけなんです。

 そのように、今回の許可制導入が、登録制ではなくてすべて許可制にしたことによって、経済活動を阻害しないかどうか、そこのところのお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

大下政府参考人 本法案におきましては、取引所外の取引それから海外取引所取引につきまして、新たに許可制を導入しているところでございます。

 これは、先ほどの資料にもございましたとおり、トラブルが増加しているという実態を踏まえまして、国内取引所取引並みの規制にしたいということを考えたわけでございます。この結果、参入規制につきましても、現在の国内取引所取引が許可制になっておりますので、それと同じ許可制を導入することとしたものでございます。

 一方、過剰規制にならないかという御指摘でございますが、取引所外の取引につきまして、一定の大規模な事業者のみを顧客とする業者につきましては、許可制ではなく届け出制を適用するなどの工夫をしておりまして、経済活動を過度に阻害することがないように措置をしているというふうに思っております。

土井(真)委員 大規模事業者のみを対象とする場合は届け出ということで、例外を用意しているということなんですけれども、私は、むしろ金融商品取引法のように、原則と例外が逆で、登録である程度多く参入できるようにして、ただ、要件はそれなりにハードルを上げなきゃいけないこともあると思うんですけれども、これが過度な規制にならないように、運用上、しっかりと対応していただきたいというふうに思います。

 現実に前回の改正で、これだけ取引が減ってきて、経済活動が非常に縮小しちゃっているわけなんで、むしろ、トラブルもそうですけれども、経済活動を活性化するという視点をしっかりと入れておかないと、特にこの許可制の場合は意識して参入を広げる形をとらないと、かなりまた縮小してしまうんじゃないかというおそれもございますので、ぜひそこのところ、運用でしっかりと、多くの投資家が参入できるような運用をしていただきたいというふうに思います。

 そして最後に、今のところに関連するんですけれども、今度、行為規制の方はプロ・アマ規制ということで、これは先ほどの金商法、金融商品取引法と同じなんですけれども、このプロ、アマの区分、この仕方によっても、やはり今言ったようにマーケットをまた縮小させてしまう結果になってしまうんではないかというふうに思います。そこのところのプロ・アマ規制、プロとアマの区分についてどのようにお考えになるのか、お聞かせ願えますでしょうか。

大下政府参考人 いわゆるプロ・アマ規制でございますが、プロの方についてはより円滑に利用していただけるように、アマの方については十分な保護を与えるようにということを目的にして導入しているものでございます。

 具体的なプロの範囲については、おおむね機関投資家や商品先物取引業者、大企業等を考えております。アマの範囲につきましては、おおむね一般の個人と中小企業を考えております。

 また、プロの範囲に該当する者であっても、希望すればアマに移行することを選択して十分な保護を受けることができるようにしております。それから、アマの範囲に該当する者であっても、一定の条件を満たす場合には、厳格な手続を経てプロに移行することができることとしているところであります。

 いずれにいたしましても、先生から御指摘ございましたけれども、いろいろな事業者の方々にとっては使いやすく、なおかつ、一般の委託者にとってはトラブルがないという市場をつくっていくこと、これを両立させることが大事だと思っておりまして、そのような運用に努めてまいりたいと考えております。

土井(真)委員 ぜひとも、そこのところの規制と活性化のバランスの中で、アマの方でも今言ったように移行できる、プロとアマの間を移行できるということですので、アマの方も、参加したい方にはそれなりの要件を満たして参加できるような道をしっかり用意して、より多くの方がこのマーケットに参加して、マーケットを活性化できるように運用をしていっていただきたいというふうに思います。

 時間になりましたので、私の質問は終わります。ありがとうございました。

東委員長 これにて土井真樹君の質疑は終わりました。

 次に、田村謙治君。

田村(謙)委員 民主党の田村謙治でございます。

 商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 先ほど後藤委員からもありましたけれども、ともかく、商品先物市場というものが物の価格を決める国家の根幹となる極めて重要な機能を有するという認識は皆様共通をしていると思いますが、日本の商品先物市場が大変大きく低迷をしている、今までの各委員からも指摘があったと思います。

 欧米はもちろんのこと、最近は中国やインドにも先を越されてしまっている。今や、銅や穀物類を初め鉱工業品や農産品の先物価格が中国の商品先物市場で決まっているというような状況にあると聞いておりますし、いずれは、それこそ、例えば日本の米の価格まで中国の市場で決まるというような事態にもなりかねない。

 とにかく、いろいろな意味で大変危機的な状況にあるという認識をまさに共有しているからこそ、こういう今回の改正があるんだと思うんですけれども、非常に概括的な質問ではありますが、そういった危機的な状況の中で、今回の法律改正によりまして、どのように日本の商品先物市場の競争力が強化をされて、どのような具体的な成果が出るというふうにお考えになっていらっしゃるのか、教えてください。

    〔委員長退席、中野(正)委員長代理着席〕

高市副大臣 今回の法案で、商品取引所が、その創意工夫によって、品ぞろえの多様化、それから関連サービスなどの事業者などからのニーズに対応するための制度整備を行っております。また、投資家の利便性を向上するという視点から、商品取引所と金融商品取引所との相互乗り入れを可能といたしております。

 このほかに、既に東京の工業品取引所におきましては、世界最新の受発注システムを導入したり、市場ニーズに迅速に対応するためということで、平成二十年十二月一日に株式会社へ移行するなどの対策を講じております。

 このように環境整備をすることと、それから商品取引所を初めとする関係者が一層御努力いただくということによりまして、我が国の取引所の国際競争力が強化されるものだと期待いたしております。具体的な成果はといったら、出来高がふえるということであると思います。

田村(謙)委員 とにかく、あらゆる施策をやらなきゃいけない。今回の改正もそうだと思いますけれども、大体、かなり危機的な状況にここまでなってしまったわけですよね。

 個別に聞いていると切りがありませんので、あくまで概括的にではありますけれども、もっと早く手を打てなかったのかというのは思うわけでありますが、まさにそういった不作為の責任というのはあるとお考えですか。それとも、例えば、最速で検討して、最速でこのタイミングでしかなかったんだというお答えもあると思いますけれども、その点についてはどうでしょう。

寺坂政府参考人 御指摘のとおり、もっと早く手を打てなかったのかといったような、そういう御意見あるいは御叱正といったものは承っておるところでございます。

 私ども、いろいろな形での施策、委託者保護それから取引所の活性化、あるいは金融との関連の議論、そういったものをやってきたところでございますけれども、一方で、なかなか、その取引所自体のシステムの古さ、あるいは規制の内容、取引時間が限定をされているとか、さまざまな要因によりまして結果的にそういうふうになってきているところでございまして、遅いという御指摘はあるわけでございますけれども、そういった中で、政策当局はもちろんでございますけれども、その取引所自身あるいは商品取引に参加しているいろいろな関係者の方々が、さまざまな形で改革に向けての動きを始めてきているわけでございまして、そういった意味で、こうした動きというものが次につながっていくということを期待しているところでございます。

田村(謙)委員 せっかく手を挙げていただきましたので副大臣もお答えいただきたいと思いますけれども、今の話を聞いていると、結局、当局は、所与の環境の中では精いっぱいやっている、システムの話はさっきもありましたけれども、システムとか時間とかそこら辺は、まさに関係者、取引所の方々ですか、そういった方々の、努力不足とまではおっしゃっていませんでしたけれども、自分たちの政策ではない、ほかの部分の制約があって、まさに政策を打っていく、施策としては十分努力をしているというふうに今聞こえました。

 先ほどと同じ質問で、副大臣はいかがお考えになられていますか。

高市副大臣 投資家の保護など、そのときそのときに必要なことは順次やってこられたと思っております。

 ただ、タイミングとして、やはり今どうしてもやらなきゃいけないというのは、中国、インドの市場の非常な伸び方でございます。特にインドは、まだ法整備が十分できていないといったこともありますが、それでも元気な市場でございますし、中国はもう法整備が進んでおります。ただ、まだ国内の投資家向けといった制約をかけておりますけれども、これを国際的に開放されたときに、日本の市場にとっては非常に大きな脅威となりますので、そういった意味で、できるだけ日本の市場の魅力を強めていこう、大きくしていこうということで今回取り組んでおります。

 一つ一つが迅速に実行されていくということが必要であると思いますし、また、私たちも、日本の市場がこう改善されていっているんだということをどれだけ世界にアピールできるかというところも一つの観点だと思っております。

田村(謙)委員 いろいろな問題があって、それに対してより発展をさせるためにさまざまな法改正を今回するわけですけれども、そういった中で、例えば、まさに上場商品の少なさというのも日本の商品先物市場の大きな欠点だというふうに言われているわけでありまして、上場商品の数も少ないし、取引量も極めて少ない、ロンドンやニューヨークの商品先物取引に参加している市場参加者からすると余りにも魅力がない。だからこそ、ますますそういう参加者がふえないという状況にあるんだろうというふうに思っているんです。

 例えば、そういう面で、今中国も大きな脅威になると副大臣もおっしゃっておられましたが、あるいはインド、あるいは欧米はもちろん、欧米にいかに追いつくかという観点もあると思いますけれども、具体的にいつどのような商品を上場して、どのような商品ラインナップをつくっていくというお考え、もしあれば教えてください。

高市副大臣 商品取引所への商品の上場につきましては、商品の価格変動が大きいといったことのために事業者のヘッジニーズが存在するものにつきましては、取引所の収支見込み、また受け渡しの可否などを踏まえながら、取引所において積極的に検討されるべきものであると思っております。

 具体的には、東京工業品取引所の中期計画にございますけれども、この取引所は、軽油先物取引の再開ですとか、それから商品指数などの上場を検討しているということのようでございます。

 経済産業省といたしましてということですが、やはり我が国の商品取引所が適切に商品を上場して、事業者を初めとする利用者のニーズに積極的にこたえるということで、産業インフラとしての商品先物市場の機能が適切に発揮されるということで、我が国の事業者や経済全体の発展に貢献するということを期待しております。

田村(謙)委員 確かに、取引所自体の経営判断、そういう部分もかなりあるんだろうと思うんですけれども、そこで実際に政策的にどういうふうに誘導できるのかというのは、私もどこまでが限界なのかというのは本件に関して明確にわかっているわけではないので、そういったところも教えてほしいと思うんですけれども。

 もちろん、市場の競争力強化のためには、そういう上場商品のラインナップ、それももちろん重要でありますけれども、他方で、国内外の新たな市場参加者をどのように取り込むかということも大変重要なわけでありまして、そのためには、まさに商品取引所の営業能力、自助努力というか、取引所自体の営業能力というのが大変重要だろうというふうに思うんですね。

 その中で、現状を見ますと、ですから、当然外国人を含めてそういう能力にたけた人、人材をどんどんまさに取引所に取り込んでいかなきゃいけないんだろう。それが、それこそ欧米の取引所では当たり前のことなんだろうと思いますけれども、現状を私もそんなに詳しくは知りませんが、聞くところによると、今の日本の取引所というのは、日本人のみで頑張る頑張るといって、いわゆる鎖国的な運営をして、結局、それでどんどん落ちていっているわけですよ。やはり、とにかく人材、内外問わず専門能力のある人材を登用する、あるいは国際感覚がしっかりあるような人材を登用する、そういう運営体制というのが極めて重要なんじゃないかなというふうに私は考えます。

 ですけれども、現在日本の取引所というのは、それこそ経産省さんや農水省さんといったような天下りの方々ですとかが中心になって、理事長とか大体そうですね。大体全部ですか、役人の天下りで、海外拠点もない。さらに、営業活動も、結局、海外の取引所に比べて極めて低調だという批判は多々聞いております。危機的状況だと言いながら、取引所自体も、あるいは施策を打つ省庁の方も、明らかに、言っているだけで本当の危機感というのが欠けているんじゃないかというふうに思うんですね。

 今後、例えば営業活動をどのように展開していくおつもりなのか、おつもりというか、取引所はどういうふうに考えているのか、あるいはどうすべきかと担当省庁さんは思っていらっしゃいますか。

高市副大臣 人材につきましては、外国人であれ国内の有為な人材であれ、これは、取締役会、総会など手続を経て、いい人をとっていただければいいんじゃないかと思っております。

 営業活動も、これは取引所で判断をされることでございますけれども、先ほども申し上げましたが、世界最先端の取引システムを導入したよ、それから、これから商品のラインナップも広げていくよということを広く内外にアピールしていく、こういった取り組みも必要なんじゃないかなと思っております。

田村(謙)委員 先ほど申し上げたように、さまざまな政策的な対策が本当に迅速であったのか、それにも大変疑問を感じております、かなり遅いんじゃないかと。

 一方で、もちろん、取引所自体がどのような努力をしていくかというのは、当然それももう一方で極めて大事なわけでありまして、まさに今副大臣がおっしゃったように、ちゃんとふさわしい人が経営をしているのか。

 例えば、つい最近ですと、まさに立派な大変新しいシステムを東京工業品取引所は導入をしましたよね。それは大変いいことだと思います。ですけれども、各紙でも批判をされていましたように、いきなりトラブルが発生をするというような、取引所自体の信用を落とすような事態を巻き起こしている。

 そんなような状況で、経営者というと理事長ですか、理事長はちゃんとしたふさわしい人なのかどうか。結局、経産省さんや農水省さんの人たちが天下ってやっているわけですね。およそそういう人たちがうまく経営しているとは思えないんですけれども、その点についてはいかがですか。

高市副大臣 人材でございますけれども、これは総会で選任された取締役会の決議によって選任されていると思っております。

 どういう過去の経歴を持っている人であれ、私は、有為な人材を登用していっていただかないと、むしろこの国際競争力というのは強化できないと思っております。

 田村委員も財務省出身でいらっしゃいますけれども、非常にすばらしい、いつも質疑などを伺っていても、すばらしい知見とそれからやはり日本の国の先を見通す目線を持っていらっしゃるなと思って尊敬申し上げておりますので、将来、こういった取引所のトップになられても活躍されるんじゃないかな、そんなふうに思います。

田村(謙)委員 人間だれでも褒められたらうれしいものではありますけれども、ただ、例えば私自身は、どんなに学力が高くて、いわゆる東大を出て、国1、国家公務員試験に受かって役所の経験を積んだ人が経営能力がたけているとはそもそも全く思っていません。ですので、経験が短ければ短いほど、より柔軟な経営能力がある可能性はありますし、実際、それこそ経産省さんですと、若いうちにやめて、かなり経営手腕を発揮していらっしゃる先輩方もいらっしゃいます。

 ただ、それがもう二、三十年霞が関に染まって、実際、政策というのは経営とは違うわけですから、それは経験にならない、むしろマイナスになることの方が多いだろうと私は思っています。

 では、副大臣あるいは事務方の方にも、政府参考人さんにもお聞きをします。そもそも、この取引所の経営者、トップ、理事長に求められる資質というのはどういうものか、お考えがあったら、それぞれお答えください。

高市副大臣 私は、政治も国家経営だと思っております。あらゆる企業も含めての経営の一つの、経営者としての大切な要素というものは、どういう場にいても共通するものだと思っております。特に、やはり経営理念をしっかり持つこと、骨太の経営理念をしっかり持つこと、そしてそれを広く広報する能力、そして未来に向けての投資、積み上げをしていく能力、そして無駄は排していく能力、こういったものであるだろうと思います。

 特に、この取引所のトップということになりますと、これからどんどん立ち上がってくる国際市場との競争というものに打ちかっていかなければならないわけでございますので、広く情報を集め、そして戦略を練っていく、そしてそれを組織の下まで浸透させていく能力であるんだろうと考えております。

寺坂政府参考人 経営者の能力ということでございます。

 経営一般論について申し上げれば、当たり前とおしかりを受けるかもわかりませんけれども、環境変化とかそういったものを的確にとらえ、あるいはその先を見通し、そういった中でどのようにその経営を、内部の管理、いい意味での管理でございますけれども、内部の意思を統一し、そして先手先手を打って、それで経営を展開していくということが基本だろうと思っております。

 そういった中で、この商品先物取引に関して申し上げれば、先ほど来御指摘がありますように、国際的な競争の世界に完全に入っているわけでございますので、そういった国際的な動向についての把握、あるいは、商品先物ということでございますので、上場商品を初めとして商品に関するさまざまな、生産とか流通とかそういったことに関する知見等々、商品先物取引所であるがゆえに、より知識、経験あるいはその方向性、そういったものについての考え、それから行動、これができる、そういう方がトップあるいは経営をする方として適当なのではないかというふうに考えております。

 ちょっとまとまっていない話で恐縮でございます。

田村(謙)委員 本件に関して、副大臣は最近でいらっしゃいますので、決して副大臣を個人的に責めるつもりもありませんし、責任も御本人にはないだろう。

 ただ、国家経営をやってきた人間は、それは政治家であれ役所であれ、会社も経営できるだろうとおっしゃるのであれば、あえて一言だけ申し上げると、まさにその国家というのが今もう倒れそうになっている。経営が明らかに失敗しているというふうに我々は思っているわけですし、思っている人も最近ふえています。財政に限らず、あらゆるところで倒産寸前で、自民党政権はもちろんのこと、霞が関にしても、とても経営がうまくいっているというふうには思いません。そういう方々がこの厳しい時代の中で会社も経営できるとは到底私は思いません。

 そこの大きい大上段の話はともかく、今、実際、取引所の理事長の方々、現職の方でもいいですよ、前任者でもいいですよ、結局、経営能力がないからこそ、このていたらくになっているんじゃないんですか。あるいは、政策的に申し上げるなら、経験というと経産省の中での経験ですよね、経産省の政策、まさに、先を見る目があって、より迅速に手を打っていたら、日本の先物取引市場はこんなひどい状況になっていないんじゃないですか。まさに、そういう失敗をした経産省さんで経験をした方々が天下りをして理事長になって、さらに、実際に経営を失敗しているじゃないですか。いかがですか。

寺坂政府参考人 現在のそういう取引所の状態、日本の商品先物市場の状態になっているということについては、先ほど来さまざまな御指摘もいただいておりますし、いろいろな要素があると考えております。そして、そういう中で、遅いとか、いろいろなそういう面での御指摘があるのも先ほど申し上げたとおりでございますけれども、そういった現状を踏まえて、もう既に次のステップに取りかかってきて、ようやくその動きが始まっているわけでございます。

 いろいろな取引所自身のものもそうでございますし、私ども、政策の面でも、そういった面での検討をいろいろな場で関係者の御意見なども伺いながら進めてきているわけでございまして、そういったことをこれからしっかりとやってまいりたいと考えております。

田村(謙)委員 もう時間が参りましたので。

 お答えになっていないですよね。少なくとも、ある程度経営能力があると証明されている人は、日本でも民間にある程度いると思います。海外まで見ればかなりいると思います。それはもう、ここまで失敗を重ねている経産省さん、そしてそのOBである理事長、農水省さんもそうなんですけれども、今回は特に質問いたしませんでしたが、そういった経営者をまずかえるというのは、当事者の努力、努力をしてここまで落ちている、会社だったらとっくに首になっていますよね。経営者、社長交代なんて当たり前のことで、それもやらずに環境整備だといって努力をしても、極めて中途半端です。我々が政権をとったら、まずそこらからしっかり変えていくということは宣言を申し上げて、私の質問を終わります。

中野(正)委員長代理 田村謙治君の質疑は終わりました。

 次に、北神圭朗君。

北神委員 民主党の北神圭朗でございます。

 きょうは、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 商品取引所の話を引き続きしたいと思いますが、これは、先ほど何度もお話が出ていますように、非常に取引が少なくなって出来高が少なくなっている、世界の取引所の中でも地位が少しずつ落ちてきているという危機感の中で、いろいろな措置を施すということでございます。

 いろいろな措置、細かい話はいいんですが、単純に考えると、ほかの国の様子を見ると、日本は今、四つの取引所に分かれている、これを一つにできるだけ進めていけば、当然そこに、利用者にとっても利便が図れるし、いろいろな意味で相乗効果があって、もっと魅力のある市場になるというふうに思うんです。かつ、今までもそういう整理統合をずっとしてきた、今回はそういう発想はないのかなというふうに思って、そこをまずお聞きしたいと思います。

二階国務大臣 御指摘のとおり、我が国の商品取引所は、平成二年に十六の取引所があったものが、その後、統廃合が進んで、約二十年後の平成十九年には、東京二つ、名古屋、大阪と、四つの取引所となっておることは御承知のとおりであります。

 その背景には、情報通信技術の発達により、取引参加者が、取引所の所在地にかかわらず、利便性の高い取引所において取引を行うことが可能になったこと、法整備によって取引所の合併が容易に行われるようになったことなどが考えられます。

 そうしますと、ただいま委員御指摘のようなことで、取引所の統廃合の可能性は十分あるわけでありますが、取引参加者の声を重視しながら当該取引所の経営判断として行われるものと考えております。ただいま委員の御指摘のようなことを十分参考にして対処したいと思っています。

北神委員 今までも、やはり情報通信の発達で、そんなに各地域になくてもいいということもあるし、統合した方が取引が集中しますから、そういう意味では利便性が図られる、大臣もそういうお考えだというふうに思います。ただ、取引所それぞれの自主的な判断というものを尊重したいという思いだと思います。

 ただ、平成二年でしたか、法案を通されて、整理統合ができやすいような環境整備をされた意味では、国としてもそういう方向がいいということを方針として打ち出されたと思いますし、やはり取引所というのは普通の民間企業とは違って、先ほどの答弁の中にありますように、一種金融のインフラみたいなものですから、私は、そこはもう少し国が率先して整理統合の方に進めていってもいいと思うんですよ。別にそれが国の介入とかいったことにはつながらないというふうに思っていますので、大臣も参考にしていただけるというお話だったので、ぜひそこをお願いしたいと思っております。割と前向きな答弁をいただきました。

 先ほど田村委員からも話がありましたけれども、天下りの問題、まず、その状況についてちょっと教えていただきたいと思います。

 今、取引所について、天下りとかいわゆるわたりとか、そういった状況がどうなっているのか、教えていただければと思います。事務的に教えていただければ結構です。

    〔中野(正)委員長代理退席、委員長着席〕

寺坂政府参考人 現在、全国四つの取引所があるわけでございますけれども、旧通産省時代も含めまして、経済産業省の出身者は、四つの取引所のうち、東京工業品取引所と中部大阪商品取引所に役員として在職をしているところでございます。

北神委員 役員は何人ぐらいですか。

寺坂政府参考人 失礼いたしました。

 東京工業品取引所におきまして役員ということで現在二名、中部大阪商品取引所で一名在職をしてございます。

平尾政府参考人 お答え申し上げます。

 全国四つの取引所のうち、農林水産省出身者が役員等に就職している状況でございますけれども、まず、東京穀物商品取引所に理事長と専務理事でございます。それから、中部大阪商品取引所に常務一名でございます。それから、関西商品取引所に理事長一人というふうなことでございます。

 以上でございます。

北神委員 大臣、今お話があったように、想定内ですけれども、天下りがある。

 田村委員は、経営の問題、取引所の取引、要するに経営がうまくなっていない、にもかかわらず経営責任というものがとられていないと。そもそも、ある意味では役所を退官してから自動的に人事が回っていくようなシステムで、本当に取引所の経営としてふさわしいかどうかわからないような方を置いていていいのか、そういう問題も一つあるんです。これは田村委員が質問されたのでいいんですが、もう一つは、やはり整理統合の話でも、なかなか早く進まない。それは当然、勘ぐりかもしれないですけれども、やはりポストを残したいから、取引所が多ければ多いほどある程度そういうポストが確保できる、自然にそう思ってしまうわけですよ。

 そういうところも含めて、天下りについては、官僚をいじめることは決してよくないというふうに私は思っています。ただ、天下りの問題というのは、よく税金の無駄遣いだとかそういう話がありますが、それだけではなくて、やはりこういうときに、本当に行政は国民のことを考えているのか、それとも自分たちの天下り先を守るためにやっているのかと、ここに少なくとも疑念は生じるわけですよ。

 ですから、そういったことを解消するためにも私は天下りをやめるべきだというふうに思いますし、もちろんいろいろなほかの形で再就職ができるようなことを考えないといけないと思いますが、少なくとも役所があっせんをして自動的にやるようなことをすればそういう疑いを常に持たれてしまうし、今回の件については、整理統合というものをもう少しスピードを上げてやってもらわなければいけない、大臣にぜひそこはお願いをしたいというふうに思います。

 もう一つは、基本的に、東京の工業商品を扱う市場が一番大きな市場だと思います。あとの三つの市場については、実際に市場取引に参加している方々は、プロとアマの規制の二分化の話がありましたが、大体アマが取引をしているというふうに考えていいんですか。アマというのは大体中小企業とか個人だというふうに認識しているんですが、そういう認識でよろしいんでしょうか。

大下政府参考人 今御指摘がございました東京工業品取引所は、当業者の方々にたくさん参加していただくような努力をしているということでございます。

 もう一つ、経済産業省が所管しております中部大阪商品取引所でございますが、規模は余り大きくございませんけれども、例えばガソリンの市場などでは受け渡しの枚数もかなりあるということでございますので、それなりに当業者の方に御利用いただいているというふうに認識をいたしております。

北神委員 いや、質問は、アマが基本的にその市場の取引に参加をしているかどうかということですよ。

大下政府参考人 ガソリンの受け渡しをしている中小企業の方々をアマと考えるか、プロと考えるかということによって違うと思います。

 当業者のヘッジニーズの方々が参加しておられる割合も思いのほかあるということでございますが、その方がアマである可能性はございますので、プロかアマかということについては、今この場で定かに申し上げる材料は持ち合わせておりません。

北神委員 でも、基本的に皆さんの今回の考え方でいけば、中小企業というのはアマなんでしょう。

大下政府参考人 プロとアマの規制の中で、当業者の分類ということでございますが、当業者は、商品を扱っているということから、商品に関する知識を持っております。その中で、どこかの限界点を決めてプロとアマを決めていかなきゃいけないということでございますが、中小企業のガソリンスタンドの方々を皆さんプロとすると、そこで委託にかかわるトラブルが出てはいけませんので、そういった方々はまずアマということで、一定の保護をしていくのが適当だと考えております。

北神委員 それで、大臣、今回の法案のもう一つの方針というのは、市場のプロ化ですよね。要するに、五年前ぐらいだったら九割ぐらいが個人だった、いわゆるアマチュアだった。そういうときに、いろいろな苦情の案件とかが出てきたりして、かつ、世界的に見てもこんな市場はない。そういうときに、どんどんアマを減らしていってプロ化していくというのが今回の法案の方針の一つだと思うんです。

 そういう観点からいっても、東京の中心の取引所以外の取引所というのは、私の認識では、基本的にはアマが最も多いし、プロはほとんど参加していないという認識なので、そういう意味でも、やはりその整理統合というものは進めていくべきだ、今回の法案の方針にまさにかなう話だというふうに私は思います。

 以上、取引を集中させるという観点からも、天下りの問題という観点からも、そして三つ目として、今申し上げた市場のプロ化という、皆さんがまさにみずから示している視点からいっても整理統合を大胆に進めていくべきだと思いますが、大臣、それについての方針をもう一回伺いたいと思います。

二階国務大臣 市場の活性化を図っていくというためには、人事の面においても、十分再考しなきゃいけない面も当然あると思うわけであります。

 ただし、今御質問の経過で委員各位も御承知のとおりでありますが、天下りの数が適切か適切でないかということ、つまり天下りが市場にといいますか取引所に存在しているから活性化がおくれておるということは言えないと思うんです。ですから、それよりも、人物の問題、そしてどれだけ研さんしておるかということにも問題があろうと思います。

 いずれにしましても、私ども、今回の法律改正をお認めいただいた上は、それで一区切りということではなくて、引き続いて、市場の活性化について、先ほどからの御指摘を踏まえて十分対応したいと思いますし、私も国会の合間を見て現場にも赴きたい、このように思っております。(北神委員「整理統合は」と呼ぶ)

 整理統合については、先ほども冒頭にお答えしたとおりでありますが、関係者の御意見等も十分お聞きをした上で、できるだけ、時代の流れによって相当整理統合も可能な状況にはなってきておるわけでありますから、それに対応して、もっとスピーディーに、もっと的確に対応できるように、そして果たさなくてはならない役割というのは別にもあるわけでありますから、その点は十分考えていきたい。

 つまり、先ほど来、お年寄りの皆さんがだまされたり、いろいろな被害に遭ったりというふうなことについても、もっと真剣に、自分の身になって被害を防止することに対しても十分対応していかなきゃいけない。役所としても頑張っていきたいと思いますが、取引所もその点は奮起をしていただきたいと思っています。

北神委員 前向きな御答弁、ぜひそこをよろしくお願いしたいというふうに思います。

 あと、これは通告はしていないんですが、けさのいろいろな議論を聞いていまして思ったんですが、今、整理統合で国内の整備の話をしましたが、究極にはやはり世界との競争ですよね。

 そこで、日本の市場をどこまで活性化して、存在感を示し得るかという話なんです。

 もしかしたら質問に出ているかもしれませんが、例えばロンドンなんかは金属について非常に特色があって、金属の価格は大体ロンドンで決まる。シカゴだったら食料品というものが特色で、世界の価格がそこで大体決まっていく。ニューヨークだったら石油ですよね。

 今、いろいろな話で、市場の整備とかシステムの導入とか、そういうのもあるけれども、本質的には、日本は何で勝負をすべきなのか、ここをやはり定めていかなければ、世界の中ではなかなか存在感というものを発揮できないし、お金が集まらない、投資が集まらないというふうに思うんですよ。その点についてお考えがあれば、ぜひ聞きたいと思うんです。

寺坂政府参考人 魅力ある市場、国際的に評価といいましょうか注目される市場、競争力を持つ市場ということをどのようにしてつくるのか、あるいはどこに特色を出すのかというような、そういう観点からの御質問かと思います。

 理想論を言えば、あらゆる商品について日本が中心になるということでありますけれども、先ほど御指摘されましたように、ロンドンは金属が強いとか、原油はニューヨークとか、いろいろございます。余り話題といいますか知られていないかもわかりませんけれども、例えばゴムの先物につきましては東京市場が非常に、世界の指標といいましょうか、そういうものになっております。ですから、どういう形で特色を出すか。

 世界の中で頑張っていく、それが基本だと思いますけれども、そういう特色の出し方、あるいは国内の、半ばローカルといいますか、狭い範囲で頑張ってやっていく、そういう特色の出し方とかいろいろな形があると思いますけれども、御質問の流れからいきますと、世界の中で日本の市場がどういう形で特色を出していくのかということでございます。

 先ほど来、システムの最新鋭化ということばかりを中心にお話し申し上げましたけれども、そういう特色の出し方は、商品性とかいったもので、日本の市場にふさわしいといいましょうか、情報が集まって先物市場として大きく成長する可能性のある、そういった商品に着目した市場振興を考えています。そのためのインフラ整備はもちろんですけれども、制度整備等々のさまざまな努力を重ねていく、そういう角度からの検討も大変重要なことだと考えてございます。

北神委員 大臣、今お話があったように、私も余り詳しくないので申しわけないんですが、日本はゴムといったところが一つの特色になり得るという話でございます。

 ぜひ、今申し上げたことを踏まえて、そういう方向に持っていって、広報宣伝も、世界的な投資家に向けてそういったことを強調するというのは非常に重要だというふうに思いますので、その点について、決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。

二階国務大臣 ただいま御指摘のように、世界に向かって日本の市場の特徴を発揮するということは極めて有効な手段であろうと思いますが、そこに到達するまでにはまだまだ歴史的な経過が必要であろうかと思うわけです。今言われたようなロンドン市場にしてもシカゴにしても、そんな一朝一夕にできたわけではないことは御承知のとおりでありますが、我々は、今の御指摘は大変重要だと思っております。

 何となれば、日本の市場の特徴はどうだと言っても、みんながさっと何がいいと言う、考えて考えて、ゴムがいいかな、今、これから環境の問題なんかはどうだろうかとか、いろいろな意見があるわけでありますが、私は、そんな考えてお答えするようなものではなくて、だれでもがこれだと言えるような市場を構築するということ、これは市場関係者の奮起を待ちたいと思いますが、経済産業省としても真剣な取り組みを行っていきたいと思っています。

北神委員 大臣、ありがとうございます。おっしゃるように、役所が、あるいは大臣がやはりこの商品でいこうと言って、それが本当に主力商品になるかどうかというのは、よくよく慎重に考えないといけないというふうに思います。

 ただ、鶏と卵みたいな話ですが、今審議官から話がありましたように、取引量が既に多いとか、大臣がおっしゃるような歴史的な経過というものがやはり大事なので、そこをどうやって伸ばしてやるかとか、全部市場関係者に任せるのではなくて、私は、むしろ政治が率先して方向性をつくっていくべきだというふうに思いますので、そこはぜひよろしくお願いしたいと思います。

 あともう一つ、消費者保護の話にちょっと移りたいと思いますが、不招請勧誘の禁止の話であります。

 不招請勧誘の禁止はロコ・ロンドンまがい取引に今回は限定をしている、その理解でいいんでしょうか。

大下政府参考人 今回、不招請勧誘禁止の規定を設けております。具体的な適用範囲につきましては政令で規定をするということになっておりまして、現在のところ、取引所外取引のすべてと、取引所取引のうちリスクが限定されていないものについては不招請勧誘の対象にするという方針でございます。

北神委員 今まで、役所の説明からいけば、何となくロコ・ロンドンまがい取引に限定をするような話を聞いておったんですが、まだこれから検討するということですね。

 それで、私が申し上げたいのは、不招請勧誘の禁止というのはどうしても、今回だけじゃなくて、今までの改正においても、役所の方の対応として非常に消極的な側面があった。その理由は、営業の自由とのバランスだというふうに思います。余り不招請勧誘の禁止を行政がやると営業ができなくなる、民間経済活動に介入をすることになるということだと思います。

 ただ、これも、考えると、今回の法案というのは、さっきから申し上げているように、プロとアマを二分化して、当面はアマに対して保護を強化する、でも究極は市場のプロ化ということで、ほかの世界の主要たる取引所と同じように、プロだけの市場に持っていくということが基本理念だというふうに思います。そういう意味では、別にロコ・ロンドンまがい取引とかに限定する必要はなくて、私は、アマについては大胆に不招請勧誘の禁止をしたらいいと。

 というのは、基本的に個人ですから、個人に限定をすればいいわけです。営業の自由が侵されるとかいっても、そもそも皆さんがみずから示している方針でいけば、アマはどんどん縮小方向に持っていくわけですから、そこはそんなに慎重になる必要はないというふうに思いますので、そういう観点を踏まえて対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

寺坂政府参考人 不招請勧誘禁止の対象の取引の件でございますけれども、先ほど来お答え申し上げておりますように、取引所外取引に関しましてはすべて対象にすることとしたい、そういう方針でございます。それから、取引所取引につきましても、初めの投資金額以上の損失の発生を防ぐ仕組みとなっている取引以外のもの、これは対象とする方針でございます。

 さらに、そういった対象としたその後も被害が解消しない場合には、一般個人を相手方といたします商品先物取引全般について、不招請勧誘の禁止の対象とするという考えでございます。

 いずれにいたしましても、制度整備や厳格な法執行を通じまして委託者保護に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

北神委員 ありがとうございます。質問を終わります。

東委員長 これにて北神圭朗君の質疑は終わりました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 きょうは政府参考人に最初に伺っておきますが、世界全体の先物取引は、二〇〇一年の約三億枚から二〇〇八年約十八億枚へと、七年間で出来高が六倍に増大する一方、我が国の商品先物市場は、二〇〇三年度の約一億五千五百七十九万枚をピークにして、〇八年度の約四千六百三十一万枚と、六年間で出来高が約七〇%減少。また、二〇〇三年三月末時点で商品取引員数が百社、登録外務員が一万四千三百十人、委託者数が十一万八千二百三十人であったものが、二〇〇八年三月末時点でそれぞれ、七十社、六千五百八十八人、九万六千十二人と、日本の場合は減少している。

 こういう実態だと思いますが、まず確認だけさせておいていただきたいと思います。

大下政府参考人 御指摘のとおりと認識いたしております。

吉井委員 世界の商品取引所の出来高ランキングで見ますと、国際的順位が、国内取引所の七七・五%を占めている東京工業品取引所のシェアが、二〇〇三年世界第二位、二〇〇四年三位、二〇〇五年五位、二〇〇六年六位、二〇〇七年九位で二〇〇八年が十位、こういう実情であるというふうに思いますが、これも確認しておきたいと思います。

大下政府参考人 そのように認識いたしております。

吉井委員 そこで、政府の方としては、経済財政改革の基本方針二〇〇七において我が国の成長力を強化して経済成長を持続させることが喫緊の課題であるとして、金融審議会では金融・資本市場競争力強化プランというのを策定しました。翌二〇〇八年の金融審では金融商品取引所と商品取引所の相互乗り入れの答申が出され、それで今国会に金融商品取引法改正案というのが提出されておりますが、金融商品取引所と商品取引所の相互乗り入れについて、産構審の商品取引所分科会は、商品取引所の競争力の強化は相互乗り入れのみによって実現できるものではないと、消極的な見解を持っております。競争力の強化は、相互乗り入れによる現物取引を踏まえた商品設計の優位性とか、現物の需給を踏まえた公正な価格形成の確保など事業者にとっての利便性、信頼性の向上をあわせて行うことが前提となることに留意する必要があるということも報告書で示しております。

 そこで、まず現実の方を見ておきたいと思うんです。

 二〇〇八年通商白書で紹介されておりますが、二〇〇〇年代以降、原油が四・四倍、鉄鉱石が四・九倍、石炭が四・九倍、銅が五・二倍と、国際資源商品価格で五倍前後急騰しております。トウモロコシで二・六倍、大豆で二・四倍、小麦で三・四倍、米で四・七倍と、主要穀物、大豆の国際価格でも大体三、四倍に急騰している。それぞれ短期間に急騰しているというのが現実ではないかと思いますが、これも政府参考人に確認しておきます。

岡田政府参考人 御指摘のように、近年、食料価格の高騰が続いておりまして、これについて通商白書で分析をしておりますけれども、今お話のありましたトウモロコシ、大豆、小麦、米などにつきまして、いずれの品目も特に二〇〇六年ごろから急速に価格が上昇いたしております。

 国際的な食料価格高騰の要因としては、アジア等の新興国の需要が急増していること、国際金融資本市場から巨額の投資資金が流入していることなど、さまざまな要因が考えられ、特に近年の急激な価格高騰は、投機資金、投資資金の流入が大きな役割を果たしていると考えられると分析しております。特に小麦とトウモロコシの価格については、需給バランスで説明できる部分以外のいわゆるプレミアムの部分が約三割、あるいは半分程度というふうに試算をいたしております。

吉井委員 通商白書でプレミアムと書き、エネルギー白書の方でも、需給関係や地政学的要因以上に、投機マネーが流入してこの事態を招いたと。

 これはエネ庁の方にも伺っておきたいんですが、今、通商白書の方についてはお話がありましたが、そういう見方でいいんですね。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー白書におきましては、昨今の原油価格の乱高下の原因を、需給によって決まるファンダメンタルズの部分と金融要因などのプレミアムに分けて分析をいたしてございます。

 特に、一番高くなった昨年の第二・四半期、これは原油価格の平均値が百二十四ドルぐらいだったのに対しまして、プレミアムが六十ドル以上であったのではないかと分析をしてございます。その後、急速に下がっているというのは御案内のとおりでございます。

 以上でございます。

吉井委員 最近は、また投機マネーが入って上がっています。ですから、要するに投機マネーによって随分変動が激しいということが示されたと思うんです。

 さきに、先物取引の出来高が世界は六倍にふえている、日本は七割減少しているということを最初の質問で示しましたけれども、国際ランキングも下がっているわけです。しかし金融面から見れば、世界からアメリカの投機市場に巨額の投機マネーが流れ込んで、これが破綻して巨大複合金融機関が倒産したり国有銀行になったり、巨額の公的支援を受けているというのが現状です。一方、日本に関していえば、国内での投機マネーが暴走しての被害は、アメリカ、ヨーロッパに比べてかなり少ないのではないかと思いますが、伺っておきます。

北川政府参考人 原油市場、石油製品について申し上げますと、特に国内では、投機マネーというよりも、国際的な市場環境に引っ張られて価格が上下したというところではないかと思ってございます。

吉井委員 要するに、引っ張られたにしても、それは原油のお話をされたけれども、金融の分野で見たときに、アメリカに投機マネーが集中して、すべてのものを引き上げた後どんと破綻したわけですね。破綻で随分損失が出ておりますが、日本は非常に少ない、アメリカ等に比べれば。

 昨年秋の経産委員会やことしの予算委員会でも取り上げましたけれども、いわゆる金融の地雷と呼ばれているクレジット・デフォルト・スワップについて、昨年十月二十九日に経産省と農水省が共同して資料をまとめておられます。もともと出どころは、日銀や国際決済銀行などの資料をもとにしたものですが、CDSは、世界では対GDP比九五%の二十八兆ドル、日本は四・二%と少ないけれども千八百三十億ドル。

 十八の機関のサブプライム関連の損失額は千八百億ドルという状況で、CDSの場合などは損失を確定しない分なども出てきますから、まだ極めて危険な状態ではないかと思いますが、どうですか。

岡田政府参考人 委員御指摘のように、今回のリーマン・ショック、世界じゅうの投機資金あるいは余裕資金が、日本あるいはアジア、中東の産油国、そして新興国からアメリカに集まって、アメリカで、高度な運用技術の運用先ということで特に住宅ローンに資金が集まりまして、この二年間で二兆ドルぐらいふえたというふうに記憶しております。その結果、その中には多くのサブプライムローンも含まれておりますので、アメリカを中心に、金融機関が大変厳しいリスクの高い状況にある。

 ただ、日本の金融機関は、委員御指摘のように、比較的このサブプライムローン関連の商品を、買い付けてはおりますけれども、それほど買い付けていないということで、アメリカに比べては影響が金融面では小さかったと思います。ただ、まだこのサブプライムが解決したわけではございませんので、引き続き、危機を中に秘めた状況で事態が推移しているというふうに認識いたしております。

吉井委員 そこで、大臣に伺っておきたいんですけれども、もともと先物取引というのは、これは二百七十年ぐらい前に大阪の堂島の方の商人がリスクヘッジとして考え出した、非常に意味のあるものですね。合理的な価格形成の役割も果たします。しかし、堂島でも、先物取引が始まって比較的早い時期に、相場操縦等、投機マネーが商品価格や、あるいは国民の暮らし、農民の皆さんの営業を攪乱するという問題が出てきました。

 今回の金融危機をもたらしたのは、一九九九年の、グラス・スティーガル法の中の銀行、証券などの分離していた条項を外してしまう、あるいは、二〇〇〇年の商品先物近代化法以降、次々に規制緩和が行われて、LCFI、ラージ・コンプレックス・ファイナンシャル・インスティテューションとかヘッジファンドによる投機資金、この中にはコモディティーインデックスなども含まれますが、要するに、アメリカの商品先物市場に投機マネーが流入して非常に深刻な事態を招いたというふうに思うんです。

 そこで、大臣は国際会議もよく出ておられますからいろいろな情報をお持ちのことと思いますが、例えば、五月八日の国連の金融経済会議で食料とエネルギーの投機規制というものが取り上げられました。大臣に伺っておきたいのは、やはり食料とエネルギーの分野については投機マネーを規制する、このことをきちんとやっていくことが大事だと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

二階国務大臣 私もさきに、先月でありますが、ローマで開催されましたG8のエネルギー大臣会合に出席をさせていただきましたが、ここでは、やはり原油市場の安定化のための取り組みの強化ということを強く訴えてまいりました。

 具体的には、四月の末に私が東京で主催しましたアジア・エネルギー産消国閣僚会議、ここにおいて、産油国はエネルギーの価格が高ければ高いほどいい、消費国は安ければ安いほどいい、そんな表面的なことではなくて、お互いにそうしたことに対して、安定供給ということで相互に発展する道を選ぶべきだと。

 そこで、先般のローマ会議におきましては、共同声明において、私の主張のとおり、エネルギー商品市場の透明性の向上や店頭市場の監視の強化に向けた国内、国際関係当局による努力を支持し、さらなる協調行動を検討する、そういう表現が盛り込まれた次第であります。

 今議員の御指摘のように、今後、食料の面、エネルギーの面においては、投機的なマネーに左右されることのないように、全地球上がお互いに安定した暮らしを維持できるように国際的な共通の理解を得る、そのための努力を日本は不断に重ねていく必要があると思っております。

吉井委員 国連の文書の方もごらんのことかと思うんですが、要するに、食料とエネルギー、これは特に投機から守らなきゃいけない、このことが会合でもうたわれているんですね。大臣の御主張もあったと思うんですが、まとめられた文書というのも読ませていただきましたけれども、やはり監視ということなんですね。監視はもちろん大事なんです。しかし、直接、食料、エネルギー分野への投機マネーの流入を禁止する、そういう規制措置というものをとらないことには、最近も、一応ちょっと静かになっていたかと思ったら、また原油先物に流れ込んできて、ガソリン価格もどんどんどんどん上がってきていますね。

 だから、やはり食料とかエネルギーという基礎的なものについては、世界の人類の暮らしにかかわるものについては、規制をするということについてもっと強い取り組みが必要ではないかと思うんですが、大臣のお考えを伺います。

二階国務大臣 これにつきましては、我が国だけの考え方で世界がおさまるわけではありませんので、先ほど申し上げましたように、このことの努力は、我々内閣だけではなくて、それぞれの党派を超えた、まさにオール日本で世界に向かって主張し続けなくてはならないと思っておりますが、当面、政府の責任において、あらゆる機関を通じてその努力を怠らないようにしてまいりたいと思っております。

吉井委員 もちろん、経産大臣だけでやる話ではなくて、これは内閣を挙げてやることになりますけれども、とりわけ、財務金融の分野なども含めて大事な課題なんです。

 少し規制が緩んだかなと見ると、今も言いましたように、再び原油先物市場、NYMEXへ投機マネーが流れ込んでくる、そして原油高騰が始まるとか。ガソリン値上げは家計にも響いてきますし、実は原材料値上げを要求されてくる、中小企業なんかは。一方、受注はふえない。だから非常に経営が今の不況の中で圧迫を受けるという事態が起こっております。

 ですから、年金等の方は投資で、こういうヘッジファンドなどは投機マネーというふうにかなり分離して考える考え方なんかもだんだん整理されてきておりますが、投機マネーの特徴というのは、ごく短時間の取引の繰り返しなんですね。ですから、売買のたびに、つまり玉を建てるたびに、率は低いとしてもトービン・タックスのような税をかけて、金融ばくちをやってももうからないんだと。そこから上がる税収を国民生活の安定に向けることとか、また、一定の割合については、国際的な基金のようにして、発展途上国や極貧国の住民の飢餓の解消とか、世界的規模での格差と貧困の解消に振り向けていくという、日本政府として、やはりそうしたことを国際会議で提起して取り組んでいくということを考えるべきじゃないかと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

二階国務大臣 先ほど申し上げました、ちょうどローマでのG8のエネルギー大臣会合の一週間後にOPECが開かれる、そういう状況でありました。ですから、主要メンバーの一人であります、私はサウジアラビアの内務大臣にバイ会談を申し入れて、このことに対して強く申し入れを行いました。

 それに対して、我々は、今度のOPECにおいて生産調整をしようというふうな考えは自分の国としても持っていないが、OPECとしてもそういう方向に流れていくことはないと思う、こういう発言をされて、今度のOPECで値段をつり上げるような結果になるようなことを主要国はお考えになっていないということを確認した次第であります。

 その後、ちょうどカタールのアティーヤ副首相が、OPECの会議から直行して日本にやってきた。裏づけ、状況等を伺ってみますと、やはり機会あるごとにこうしたことに対して日本の主張というものはし続けていかなくてはならないと思いますが、今議員御指摘のように、規制ができるような状況になればこれに越したことはありませんが、我々はまさに不断の努力を重ねていかなくてはならない。そして、そのことが産油国にとっても大事なことだということの御認識をいただくような努力が必要だと思います。

 今のところ、我々がずっと当たってきた国々は、先ほど申し上げましたように、高ければ高いほどいいというふうなものではない、ですから日本の主張はよく理解できると。こういうことでありますが、我々、こうしたことの努力を怠らないように常にしていかなくてはならない。

 景気低迷のときは油の値段もやはり落ちついてはおるわけですが、少し景気がよくなってくると必ず、この問題において日本も苦労しなきゃいかぬ、そういう場面になるわけでありますから、我々は今のうちにやっておかなきゃいけないということで、国際会議等で頻繁に日本の主張をし続けておるというのが現状でございます。

吉井委員 供給不足によるものじゃなくて、投機マネーの方がやはり基本ですから、これに対する規制というものを政府挙げて考えていただきたい、このことを申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。

東委員長 これにて吉井英勝君の質疑は終わりました。

 次回は、来る十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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