衆議院

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第18号 平成21年6月17日(水曜日)

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平成二十一年六月十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 東  順治君

   理事 梶山 弘志君 理事 岸田 文雄君

   理事 櫻田 義孝君 理事 中野 正志君

   理事 やまぎわ大志郎君 理事 大島  敦君

   理事 赤羽 一嘉君

      小此木八郎君    岡部 英明君

      片山さつき君    川条 志嘉君

      木挽  司君    高村 正彦君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    新藤 義孝君

      平  将明君    谷畑  孝君

      土井 真樹君    中野  清君

      橋本  岳君    林  幹雄君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      武藤 容治君    安井潤一郎君

      山本 明彦君    太田 和美君

      逢坂 誠二君    北神 圭朗君

      後藤  斎君    近藤 洋介君

      下条 みつ君    園田 康博君

      田村 謙治君    牧  義夫君

      松本 大輔君    伊藤  渉君

      高木美智代君    吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      高市 早苗君

   経済産業大臣政務官    松村 祥史君

   政府参考人

   (農林水産省総合食料局次長)           平尾 豊徳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       寺坂 信昭君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           大下 政司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 本部 和彦君

   経済産業委員会専門員   大竹 顕一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十七日

 辞任         補欠選任

  田村 謙治君     園田 康博君

  三谷 光男君     逢坂 誠二君

  高木美智代君     伊藤  渉君

同日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     松本 大輔君

  園田 康博君     田村 謙治君

  伊藤  渉君     高木美智代君

同日

 辞任         補欠選任

  松本 大輔君     三谷 光男君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)

 商店街の活性化のための地域住民の需要に応じた事業活動の促進に関する法律案(内閣提出第五三号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房商務流通審議官寺坂信昭君、経済産業省大臣官房審議官大下政司君、資源エネルギー庁次長本部和彦君及び農林水産省総合食料局次長平尾豊徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤羽一嘉君。

赤羽委員 おはようございます。公明党の赤羽一嘉でございます。

 きょうは、議題でございます商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案について、三十分でございますが、質問させていただきます。

 私、実は、政治家になる前、十年間、三井物産の飼料原料部と穀物部というところで仕事をしておりまして、先物取引等々も少しかかわっていた立場の一人でございます。そういった立場から、きょうは、もちろん今回の法改正は、要するに市場ニーズにこたえるということで、株式会社化を目指すですとか、世界最新の受発注システム導入など、そういった環境を整備するといったことや、また一般投資家のさまざまなトラブルを回避するようなことを措置されているという意味で、我が党としても賛成をするんですが、どうも、先週の委員会の質疑を聞き、質問されている側の人の意見とかそれに対する政府側の答弁を聞いておりまして、少し、何か現場とは違うんではないかな、こういうことがありましたので、若干、いつものことながら、与党でありながら野党っぽい質問をするかもしれませんが、結論は賛成をするという前提で質問させていただきます。

 まず、先週、自民党と民主党の方が質問をされていまして、その中に、例えば、日本国内の商品先物市場の出来高が下がっている、急激に減っている、これは日本の経済の規模がどんどん小さくなっている証拠であって大変憂うべきことだとか、または、商品先物市場とは物の価格を決める国家の根幹となる極めて重要な機能を有するという認識は皆様共通していると思うというふうに言われて、私は共通していないので、何を言っているのかなと思ったりとか、あと、最近中国やインドでも先物市場が確立して出来高では逆転されている、いずれは日本の米の価格まで中国の市場で決まるというような事態になりかねないとか、これは、私の認識では、相当ずれているんではないかな、こう思っているんです。

 というのは、中国やインドというのは急激に経済成長して、小金を持っている人が随分出てきて、日本のように株式投資市場というものが健全じゃなくて、そういう意味では、一獲千金をねらうような商品先物市場というのができてきた。しかし私は、本来的には、商品先物市場、その機能というのはどういうことなのかということを明確にしなければいけないのではないか、こう思っているわけなんです。

 というのは、調査室の報告にもありますし、先物取引というのは、株式市場なんかと違って、一方がもうかれば他方が損するというゼロサムなんですね。我々の現場でも、はっきり言うと、よくわからない、いわば素人の一般投資家が損をして、玄人がその分もうける、こういったことなんですというふうな認識でいて、それは商社なんかで仕事をしている我々の感覚だったのかなと思いましたが、この調査室の報告というか、役所の報告でも同じような認識が書かれているんです。先物取引は、一方がもうかれば他方が損するゼロサムゲームであり、この点では株式の取引とは大きく異なっている、一般個人の七割近くが損失者であるということも報告になっているんです。

 一般個人投資家というのが、東京工業品取引所では参加者の約四割が一般個人で、東京穀物取引所の方は五割強が一般個人投資家だということであって、私は、究極的に言うと、本来であれば、先物市場取引の先物の価格の変動リスクをヘッジするとか、極めて本来的な実需家だけが参加をしてその取引が機能すればいいのであって、極端な話、素人が先物なんかに手を出すべきじゃないと思っているんですよ。先物なんかに手を出さなければトラブルも起きないし、その結果としてスケールが小さくなったとしても、僕はそれはやむを得ないことだというふうに思っておるんです。

 まず、この議論の前段として、実は一般個人の七割近くが損失者だとか、ゼロサムゲームだ、そういう報告もあるし、私もそういう認識でいるんですけれども、政府委員で結構ですけれども、そういった認識は役所として共有しているのかどうか、前提として答弁いただけますか。

大下政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省が国内の商品取引所に関します商品先物取引につきまして外部の調査会社に委託して行った調査報告の結果がございます。その結果によりますと、平成十九年の一般個人の損益状況について、利益を得た人が三万二千六百七十三人、損失を得た人が六万六千五百三十六人ということになっております。したがって、この調査報告によりますと、利益を得た者は約三割であるのに対しまして、損失者は約七割になっているというふうに承知いたしております。

赤羽委員 農水省の方の東京穀物商品取引所の状況はどうですか。何か具体的な資料があれば、お答えできますか。

平尾政府参考人 損失自体のデータは私ども把握していないわけでございますけれども、個人の取引状況というのは、先ほど委員から御説明がありましたけれども、穀物のところは歴史的に個人を中心に商いがされてきたというふうなことがありまして、五割ぐらい個人が占めているという状況でございます。

赤羽委員 あと、ちょっと細かい話になって恐縮なんですけれども、農水省の方に東京穀物商品取引所のことで確認したいんです。

 私、昨日、東京穀物商品取引所のホームページをあけて、これはいろいろなデータがあるんですけれども、取引データというところの画面をあけて、トウモロコシの先物取引の取引残高表というのを見たんですね。そうすると、シカゴのそれと全く違う傾向がある。すごく詳しいことで恐縮なんですけれども、要するに、東京穀物商品取引所は、限月というか、物の実際の受け渡しに近ければ近いほど、先物の取引残高が少ない。シカゴは逆なんですね。

 これは、私の認識では、東京穀物商品取引所の参加者には実需家が少ない。要するに、本当の玉、建て玉というか、トウモロコシの売買をしているんじゃなくて、まさに先物の空売り、空買いというのが正しいかどうかわかりませんが、そういった実需とは関係ない世界、投資の世界だけで参加されている方が大半を占めているからこういった傾向が出ているのではないかというふうに、私は私なりにそう理解しているんですが、その点について、農水省の認識はどうでしょうか。

平尾政府参考人 東京穀物取引所のトウモロコシの限月別の取引状況はちょっとシカゴと違うんじゃないかという御質問でございます。

 委員御指摘のとおり、東京穀物取引所では比較的期近の取引玉が少なく、一方、シカゴは期近のものが高いという状況でございます。

 これは、私ども、ちょっと調べましたところ、シカゴは、御案内のように、トウモロコシの産地市場というふうな性格がございます。そうしますと、当然、生産者が販売を念頭に置いて先物市場を利用するというふうなことですから、比較的期近も持っているということです。

 一方、東京穀物商品取引所でございますけれども、これは消費市場という性格を持っております。そういうことから、価格変動リスクというのが、比較的、性格として、リスクのヘッジというのが強うございます。そうしますと、現物の引き渡しの前に手じまいをしてしまうという傾向が非常に強いというふうに承知しております。

 確かに、委員御指摘のとおり、これは東京穀物商品取引所の方が当業者が少ないというふうな性格も当然反映しているものというふうに理解しております。

赤羽委員 今の御答弁、先ほどは、東京穀物商品取引所の五割強が一般投資家だ、そして、五割弱のうちのいわゆる当業者、実需家はその中でも極めて少ないと。ですから、私から言わせると、東京穀物商品取引所の、例えばトウモロコシに限った場合でも結構なんですが、本来の大口に扱っている総合商社ですとか配合飼料メーカーとか、本当の大手のトウモロコシ当業者、ここはほとんど東京穀物商品取引所に参加していないということなんですね、現実は。

 それは、何か参加させなきゃいけないというふうにして環境整備するのはいいんですけれども、そこは別に否定しませんが、じゃ、なぜ、何ゆえに穀物商品取引所に参加せずに、これは多くがシカゴの取引、シカゴの先物だと思いますが、大手の実需家は皆そこに参加しているんでしょうか。どういうふうな違いがあるというふうに分析をされていますでしょうか。

平尾政府参考人 委員御指摘のとおり、東京穀物商品取引所では、最近、特に近年でございますけれども、一つは、流動性が低くなっているというふうなことから、穀物輸入業者などの大口の当業者と言われるところは、主な現物の調達先でございますシカゴで、やはり流動性が高いということもあり、ヘッジをするというふうな傾向が見られるようでございます。また、食品加工メーカーなどにおいても、実は、商社を通じて現物を調達するというふうなことから、これは幾つかの例外もありますけれども、商社を通じて現物を調達する際にヘッジもシカゴでやってしまうというふうなケースがあると承知しております。

 ですから、こういう傾向というのは、一つは、東京穀物商品取引所は流動性が最近非常に低くなってきて、大口ではなかなか取引をしにくいというふうなことと、もう一つは、食品加工メーカーなんかが時々言っているようでございますけれども、引き渡しなどの取引ルールあるいは商品の設計が必ずしも個々の当業者のニーズにぴたっと合うものになっていないなども指摘されているようでございます。

 そういうことから、私どもは、こういう当業者のニーズをできるだけ反映した商品設計あるいは取引ルールの見直しというのを東京穀物商品取引所にやっていただくということとあわせて、今回の商品取引所法の改正でいろいろな工夫をできるようにしておりますから、そういうものを生かしていただくというふうなことを期待しております。

赤羽委員 取り扱いのアイテムということで、東京穀物商品取引所は、かつて、飼料原料の、えさ原料なんですが、大豆のかすも取り扱われたと思いますが、数年前廃止されていますね。廃止に至ってしまった原因というのはどのように分析されておりますか。

平尾政府参考人 今御指摘の大豆かす、大豆ミールというふうな商品で上場を当時したわけでございます。東京穀物商品取引所は、委員御案内のように、いろいろな商品を上場することによって当業者のニーズにおこたえしようというふうな工夫に従来から取り組んでいるわけでございます。その一環として、大豆ミールも、これは平成十三年の十月に試験上場をしたというふうなことでございます。

 当時、当初は一年間の取引が二十七万枚というふうなことで活況を呈したということでございます。ところが、その後だんだんニーズが低くなった。これは、一つは、大豆ミールという商品が穀物取引所での中心となります個人投資家に非常になじみが薄かったということが挙げられております。そういう意味から、なじみが薄いということで流動性が非常に低いということから、飼料メーカー等の当業者の取引高も非常に少なかったということで、これは平成二十年九月に上場廃止を決めたというふうなことでございます。

赤羽委員 先ほどのトウモロコシの扱いで、東京穀物商品取引所ではなくてシカゴにというような御答弁とか、大豆かすが現状はもう廃止になったというような御答弁の中で、要するに、御答弁と重なるんですが、例えば、大手の実需家がシカゴでヘッジをしなくて、東京穀物商品取引所でヘッジをかけたとすると、満船で持ってきたら、それ一杯でめちゃくちゃ価格がゆがんでしまう、だからそんなことはできないんだというのが現状だというふうに聞いております。

 そうしますと、結局そういったことで、恐らく、荒っぽい言い方をすると、ロットが少ない、値が張る、小豆とか、限られた商品が現在、東京穀物商品取引所のアイテムとして残ってしまう。小豆の相場なんかは、私は直接ビジネスにかかわっていましたけれども、こんなのは一般個人が参加するものじゃないと。もう大変な、ジェットコースターのような相場ですから、これは素人が手を出すとけがするに決まっているわけであって、そういった意味では、別に、私が冒頭言いました、国内の商品取引所の先物の扱いが少ないからといって、先週御質問されていた人たちのように、日本の経済を反映するかどうかというのは、私は直接のアイテムではないというふうに、もう一回私の主張として申し上げておきたいと思うんです。

 そうしますと、穀物に限って言うと、日本は産地でもないし、有利性としては余りないんですね。そこの中で、今後の展望として、シカゴに取ってかわるような先物市場を東京穀物商品取引所で確立することができるというか、そういう決意があるのか、そういう方針があるのか。いや、そうじゃないんだ、東京工業品取引所とは違って、東京穀物商品取引所の方は会員制の仲間内のあれなものだからちょっと立場が違うんだということなのか。どうなんでしょうか。その点、ちょっと御答弁いただけますか。

平尾政府参考人 お答えを申します。

 東京穀物商品取引所は、委員御指摘のように会員組織であって、商品取引員の方々が組織されていて、実需者とかあるいは個人の投資家の方々のニーズにこたえているというふうな性格が当然あるわけでございます。

 それと、委員御指摘の、日本は農産物の輸出国でもないし、大量な取引もないのでどうなのかというふうなことでございます。

 一つは、先ほど申しましたように、シカゴは生産地というふうな性格を有しているわけでございます。この生産地から日本は農産物を大量に買って消費しているわけでございますけれども、その過程で、これは委員にはもう御案内でございますけれども、価格の構成要素として、当然、産地の出荷価格にフレートが乗ったり、あるいは為替の変動リスクがあったりということで国内の価格が決定されるというふうなことでございます。そういう意味では、国内の実需者にとっては、そういう多様な価格変動要素を織り込んだ形でリスクヘッジを一挙にできるという性格が一つあるわけでございます。

 それとあわせて、やはり日本の食品加工メーカーは非常に中小の方々が多いということで、そういう方々の経営の安定を図ったり、あるいは計画生産をやられたりということでは、こういうふうに国際的な農産物の価格変動が激しいときにはニーズが非常に高まってきているという状況であります。私ども、今の東京穀物商品取引所はそういう食品加工メーカー等の当業者のニーズにしっかりこたえることができているかというと必ずしもそうではないと思いますけれども、今後、そういう実需者の方のニーズをしっかり受けとめたいろいろな商品設計とかあるいは取引ルールの見直しというのを一つ一つきめ細かくやっていくというふうなことで特色を発揮できるのかなと思っております。

赤羽委員 将来的にどう展開するかということは別に否定するものでもございませんし、今の答弁で結構だと思います。

 先ほど冒頭申し上げました、日本は米の産地だと。そういった意味で、民主党の議員の方の指摘で、今のままでいくと、いずれは日本の米の価格まで中国の市場で決まってしまうというような事態になりかねない、こういう懸念も示されているんです。私はそういうことにはならないのではないかというふうに考えているんですが、農水省におきまして、この点についての御懸念というか、見通しはどうでしょうか。

平尾政府参考人 お答えを申します。

 米については、御案内のように、国際的なルールの中で、いろいろな国の特性で価格形成がやられたり、あるいは日本では御案内のように生産調整をやって需給のバランスをさせているという状況があります。そういう意味では、商品先物市場もそういうふうな国々の施策に対応した上での機能の発揮ということが当然期待されているわけでございますから、その上で役割を果たすというふうなことだと思います。

 それで、中国で日本の米の価格が決定されるのではないかというふうな御懸念は、私どもお伺いしておりますけれども、その点については、日本の米の市場というのは日本国内でございますから、これはまだ私ども経験したことがないわけでございますけれども、一足飛びにそういう議論が本当に可能なのかどうかというのは、今後慎重によく検討していかないといけないと思っています。

赤羽委員 ありがとうございました。

 それでは、ちょっと質問の内容をかえまして、トラブル対策、一般投資家がトラブルに巻き込まれないような、今回の法改正、準備をされているというふうに聞いております。

 経産省の政府委員の方で結構ですが、今回プロ・アマ規制を導入する、こういったことであります。概念としてはわかるんですが、現状は、さっき冒頭申し上げましたように、一般的にアマの損失分をプロが利益として吸収するみたいな傾向がある。これは、プロ・アマ規制というのは具体的にどういうふうにかけるのか。具体的にどんなことを想定されているのか、ちょっと御答弁いただけますでしょうか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、商品先物取引全般でございますけれども、商品先物取引は投資額以上の損失が発生する可能性があるわけでございまして、一般個人にとりましてはリスクが高い取引である、そういう側面を有しておるのは御指摘のとおりでございます。そういった意味合いから、市場の健全な発展を促すためには、一般個人が、その意に反した契約を結ばされトラブルに巻き込まれることを避ける、そういった必要があるというふうに考えてございます。

 今回、プロ・アマ規制ということで、考え方といたしましては、いわゆるアマの方にとりましては保護といいますか安全、それがより確保されるような制度設計にしていくということによりまして、一方で、プロの方はより使いやすい市場あるいは取引、そういったものになっていく必要があるというふうに考えております。そういう意味合いにおきまして、プロ・アマ規制の考え方を導入しているわけでございます。

 具体的な件で申し上げますと、例えば、今回の法案におきまして、トラブルが増加しております取引所外取引それから海外先物取引、これにつきましては新たに参入規制として許可制を導入いたします。プロ・アマ規制と直接絡むわけではございませんけれども、新たに参入規制として許可制を導入した上で、一般個人を保護するための行為規制という意味では、例えば適合性原則の導入を初め、これは既に国内の取引所取引については制度化されているものですけれども、そういったものを導入する、そういう行為規制を課すことといたしております。

 さらに、顧客からの要請がなく一方的に勧誘を行いますいわゆる不招請勧誘を禁止する規定を設けまして、その対象を政令で指定することとしております。具体的には、一般個人を相手方とする場合には、すべての取引所外取引に加えまして取引所取引につきましても、初めの投資金額以上の損失の発生を防ぐ仕組みとなっている取引以外のものを不招請勧誘禁止の対象とする方針でございます。

 そういったことで、プロ・アマ規制をめり張りのついた規制の体系に持っていく、そういう考え方でございます。

赤羽委員 済みません、もう一回確認したいんですけれども、アマチュアがトラブルに巻き込まれないように悪質業者の参入規制をかけるということはよくわかるんですが、そうじゃなくて、それとは別にプロ・アマ規制というのは、だって、同じマーケットインするわけでしょう。アマチュアに対して保護を厚くするというのはどういうことなんですか。もうけるかどうかというのは、それは別に恣意的に決められるわけじゃないですよね、マーケットで決めるわけです。そこに差なんかつけられるわけじゃないし、あらかじめのデータなんかをサプライするのかとか。ちょっと言っていることがよくわからないんですよ。プロ・アマ規制でアマを手厚く保護するというのは、それは聞こえはいいですけれども、同じマーケットに参加するのにそんなこと具体的にできるんですかという質問なんですよ。

 間接的に、悪質な業者が云々ということはよくわかりました。しかし、もう一度同じ質問なんだけれども、その前段のプロ・アマ規制を導入するというのは、具体的にどういうことをプロとアマに対して段階をつけて規制をかけるんですか。具体的にどういうことを想定しているんですか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げました、アマの安全をより確保すると申しましょうか、保護をするということは、例えばもうけを確保するとかいう意味合いではもちろんございませんで、その意に反した契約によって、よくわからないままに契約を結んで結果的に損をしてしまうとかいったことがないようにする、そういう意味合いでのプロ・アマ規制ということでございまして、そういう意味で、取引をする場という意味合いでは同じ取引の場ということになるというふうに考えてございます。

 具体的に段階ということで、ちょっと直接お答えになっていないかもわかりませんけれども、例えば、一般個人はアマということでございますし、それから機関投資家とかいった人たちがプロということでございますけれども、その途中の当業者とか、幾つか分類、企業があるわけでございまして、そういったところについては、プロになるけれども私はやはりアマで取引に参加したいとか、アマなんだけれどもプロで取引に参加したいとか、そういったことについては選択制ということにしてございまして、そういったことでめり張りのついたといいますか、取引の場は同じでございますけれども、その規制の内容が異なるというふうに御理解いただければと思います。

赤羽委員 行為規制に強弱をつけるということなんでしょうけれども、その中身をちょっと聞きたかったんだけれども、もう時間もないので結構です。

 ただ、私は、穀物関係ということで少し否定的な質問をし、農水省もそれに呼吸を合わせたような感じの答弁があったかと思いますが、多分、工業品取引所ですか、経産省のテリトリーの方はもっと前向きな見通しを持って法改正のことを考えられているというふうに承知しております。

 農水省ばかり答弁してもらっていて、いじいじしていると思いますので、穀物とは別に、経産省のテリトリーの東京工業品取引所の今後の展望というか、今回の法改正を機に、どういったことを考えているのか、今現状はこうだけれどもということについて、最後、御答弁をいただいて、質問を終わりにしたいと思います。

寺坂政府参考人 先ほど来委員から御指摘ございますように、商品先物市場の本来的な機能、これは商品の需給状況、将来の動向の見通しなどを踏まえまして、その目安となる商品の公正な価格形成がされると同時に、事業者が価格変動リスクを回避するためのヘッジ取引などを行う、そういったことを可能にすることにあるというふうに考えてございます。

 これまでるる申し上げてまいりましたように、東京工業品取引所におけますさまざまな改革への取り組み、それから本法案におけます制度改正を含めました今後の取り組み、そういったことをこれから、既に行っていることも含めまして、さらに加速して検討を進め、具体化を進めていくわけでございますので、こういったことで、商品取引所を初めといたします関係者の一層の御努力を促し、それで我が国の商品取引所、東京工業品取引所も当然でございますけれども、単に規模の拡大のみを求めるのではなくて、その本来的な機能を発揮できるよう、私どもも努めてまいりたいと考えているところでございます。

赤羽委員 どうもありがとうございました。

 今回の法改正を機に、私は、中国やインドの商品取引所みたいな、量を、もう一回追い越すんだなんということは、別にそんなのは何の意味もないと考えておりまして、本来的な健全な機能が大きく役割を果たしていけるような、健全な成長ができるように強く期待をいたしまして、私の質問といたします。

 終わります。

東委員長 これにて赤羽一嘉君の質疑は終わりました。

 次に、下条みつ君。

下条委員 民主党の下条みつでございます。

 商品先物について、私も、大臣を含めて、引き続き御質問させていただきたいと思います。

 参考人を含めて、もう大分いろいろな御議論をしている中でございますが、私は、今度の法案は、これはこれでいい法案だと思っています。というのは、私も、民間にいましたときに、特別賞与を若干上乗せしていただいたりして、先物でもうけていた口の一人でございまして、金融マンでございますので。ただし、逆に、その後海外に行ったりして、実態を踏まえて、幾つかちょっと御質問と御提案をさせていただきたいというふうに思っています。

 私のところにちょっといろいろ資料が来ておるんですが、まず、いろいろな、大量の退職を迎えている方たちが今いらっしゃいます。昨年の六月にフィデリティ退職・投資研究所が、「退職金はどこへ行ったか?」というレポートを出していまして、約千人にその調査をいたしました。金融商品に振り分けたという人の中から回答を見てみますと、まず五八%の人が株式、それから第二位は投資信託、三七%、商品先物に退職者が投資したという数字が何と一%であった、百人に一人しかやらないということが出ております。これは数字であります。

 この原因について、大阪証取がまた同じように分析して二千人を対象に聞きましたら、商品先物の知名度というのは確かに、ほとんどの人が知っている、八三%以上が知っているという回答が来ました。それに対して、取引経験があるというのは三・三%しかない。いかに投資としてちょっと距離を置いた商品であるか、それがこの数字で物すごく如実に出ていると思います。イメージというのはどうだと聞いたら、三六%の人が損失が大きいんだ、二三%が内容がわかりにくい、一二%が取引しにくい、信頼感がないが一一%。特に物すごく負のイメージが出ているんですね。

 要するに、御省として、商品先物をプロの集団だけが取り扱う市場にするのであれば、もうこのままでどうぞということでいいと思うんですが、やはり市場の育成、そして機会を一般のアマの方にも広げていくには、何かちょっと負のイメージを払拭しない限り、負のイメージの払拭が、結果的には、この法案の本当の真意を生かして、資本市場、自由主義市場の育成につながっていくと私は考えております。

 そこで、さらに、商取の実態調査を農水省と経産省が共同で出したものが去年の八月に発表されています。釈迦に説法でございますけれども、ちょっと中身を見ますと、勧誘をされた理由、もしくはどうして商品先物をやり出したかというと、第一位が、個人の電話勧誘なんです。電話がかかってきたのでやりますよと言ったのが約三七%の人。次は、訪問されて、全く知らなかったけれどもセールスされたからやったというのが一七%以上。要するに、五割以上の人たちが、興味もなかったし余りよく知らなかったけれども電話と訪問勧誘でこれを始めてしまったということですね。それが今回、私が言いたいことの一つになってくるんです。

 あと、国民生活センターの苦情や相談件数を見ますと、平成十七年、四年前は、商品先物取引に関しては二千五百件、ロコ・ロンドンまがいの海外先物、店頭が六百三件、平成十九年にはそれが逆転しまして、八百九十四件が商品先物の苦情相談、千六百八十五件がロコ・ロンドンまがいの苦情ということになっています。

 今回の法案は、ロコ・ロンドンまがいはきちっと抑えていくけれども、商品先物等については少し様子を見ようということだと思うんです。ところが、実際はこうやって、まだ半分近くが苦情の相談に乗ってきている。

 これをずっとおろしていくと、さらに、私がいろいろ調べた中で、御省がいろいろ出していらっしゃる分科会の御意見がそれぞれ載ってきていまして、これは経産の産業構造審議会商品取引所分科会の議論ですけれども、昨年の十月に第四回分科会で、日本弁護士連合会の消費者問題対策委員の津谷裕貴弁護士さんが、ちょっと要約すると、やはり大事なのは、みずから入っていった人は大半は文句は言わないが、入り口が非常に大事である、そのために不招請勧誘は禁止しなければいけないというふうに弁護士さんとして言っている、禁止しなさいと。自分からやったのならあれだけれども、言われてやるから不満が出たりいろいろいざこざが出てくるということだと思うんですね。

 それから、さらに第五回分科会でも、主婦連合会副会長の大河内美保さんという人が、不招請勧誘の禁止というわかりやすい制度を入れることこそが本当に重要なことであるというふうに言っているんですね。さらに、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任理事の唯根妙子さんという人も、被害に遭っている、九割の方が損している実感だ、消費者の方、個人の資産が失われていくという部分では相談現場で日々感じている、不招請勧誘を個人の方にしないということが第一のアピールではないかというふうに言っています。

 これは、消費者の団体、弁護士の団体、主婦の団体、この三団体がそれぞれ分科会で、個人の部分にもきちっと不招請を入れるべきじゃないか、禁止しろということを言っているわけであります。

 もう一度申し上げますが、今度のものは僕はいいと思っていますが、実際は、今申し上げたとおり、私も見ていて、嫌な言い方ですけれども、商売に徹すれば、うまく説明をし終えて、クレームが後で来ようと、そこできちっと商売をし終えてしまうという業者もすごくあるわけなんですね。

 私は、アマの保護を考えたときに、ロコ・ロンドンまがいの取引に限らず、早急に商品先物取引全般を対象にすべきではないかということをまず最初に御提案させていただきたいと思いますが、大臣の御意見をお聞きしたいと思います。

二階国務大臣 商品先物取引は、投資額以上の損失が発生する可能性がありますので、今議員御指摘のように、一般個人に対してはリスクが高い取引であるという側面を持っているわけであります。そこで、市場の健全な発展を促すためには、一般個人が意に反して契約を結ばされトラブルに巻き込まれること、これを極力避ける必要があると思っております。

 法案においては、顧客からの要請なく一方的に勧誘を行う、いわゆる不招請勧誘を禁止する規定を設け、その対象を政令で定めることといたしております。具体的には、一般個人を相手方とする場合には、すべての取引所外取引に加えて、取引所取引についても、初めの投資金額以上の損失の発生を防ぐ仕組みとなっている取引以外のものをその対象とする方針であります。

 ただし、その後も被害が解消しない場合には、一般個人を相手方とする商品先物取引全般について不招請勧誘の禁止の対象としたいと考えております。

 先ほど議員の御提案のありました、いわゆる負のイメージをこの業界から払拭することが大事だという御指摘でありますが、私はもっともなことだと思っております。今、資料に基づいて具体的に御説明をいただきましたが、我々も大いにそれを参考として、今後の対策、対応に努力していきたいと思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 法令その他制度設定は、これは世界で一番優秀な日本の行政府の方も、この審議の最中とか、もしくは数カ月でできるものではないと僕も思っています。したがって、今の大臣の御答弁はおおよその想像の範囲内でございました。ありがとうございました。

 ただ、現実に、どうしてマーケットがそうやって縮んで、そして、自由主義を遂行する日本国としてそういう部分に対してサポートできないかというところが問題だと思っています。

 そこで、これまた資料を見ていくと、経産、農水の共同の実態調査として、平成十九年度の一般個人の委託者の六七%、六万六千五百三十六人が損失を出した、一人当たり平均二百五十三万円の損失ですよというのが出ております。

 そして、それをもうちょっと掘り下げていくと、やはりほとんどが電話勧誘とか訪問勧誘なんですね。それも、これは振り込め詐欺じゃないですけれども、すべて、布団の何とかが悪いとかいいとかは別にしまして、やはり日本人が、特に一人住まいであったり、家族構成が田舎と違ってそれぞれ分かれていて、一人で話し相手がいないとか、そういうものにうまく入ってきた結果が、この勧誘に乗ってしまった原点に僕はあると思うんですね。

 それで、私のところにも何人もおいでになっていろいろ話を聞きましたけれども、例えば理由として、営業マンが優しく接してくれたと。ですから、しようがないからちょっとだけお金を出して、それも何か、証拠金をちょっとしか積まなくてもすごく高くできて、うまくいけば大もうけできちゃうよ、金利は郵便局に預けていてもこんなちょっとだからね、そして優しくティッシュを置いていったり、手ぬぐいを置いていったりすると、何か孫みたいになってきてというのが本当に要因の中心なんですよ。これがやはり、私も好きな言葉ですが、義理人情の世界じゃないですけれども、人情の部分にうまく入っていった結果だと思うんですね。

 それから、そこで営業マンに泣かれて気の毒になっちゃったと。孫も最近寄らないし、息子はもう嫁のところに行っちゃって帰ってこないし、だから、孫みたいなのが何回も来て、何回も泣き、それじゃしようがないと。それがこの要因なんですよ。ところが、その結果が、物すごく多くの人が損失を出している。後でまた数字は改めて言いますけれども。

 そこで大臣、御提案なんですけれども、先ほど言いましたように、御省みたいな優秀な、私はアメリカの役人とも随分やりましたけれども、日本の役人さんは世界一ですよ、僕はそう思っています。ただ、法制度を組んでいく中で、やはり時間を必要とする。これはそういうシステムになっていますからね。そうしたら、これを、例えば違う形で、法制度じゃなくてもいいけれども、プロパガンダ、宣伝することによって抑えられる方法はないかと僕は思っているんです。

 その一つとして、大臣、米国では、今から六年前、二〇〇三年から電話勧誘拒否登録制度というのが入っているんですよ。電話で勧誘しちゃいけないよと。今から六年前です。電話を受けたくない、セールスを受けたくないという消費者はフリーダイヤルで登録をして、もうその時点で一切そういうものはかかってこないんだというふうになっております。もしそれに反してやった場合は、最高一万一千ドルの罰金をすぐその場で払わなきゃいけないと厳格に決めている。法制度じゃなくて、そういう登録制度があるよということを一般の、国内に宣伝しているだけなんですね。つまり、これはしなくちゃいけないものでもないです。それで、今現在、世帯数で言うと五千万世帯以上が入っているわけです。五千万以上です。

 私は、これは提案であります。

 先ほども言いましたように、法制度ではいろいろかかるかもしれないし、きのう含めて、私どもの同僚議員の方からいろいろな御省との附帯決議のすり合わせもしていますけれども、法制度はもちろん時間がかかります、その間にどんどんどんどん悪人たちに食われてしまっているということですね。

 ですから、私は、この電話登録制度みたいなものがあって拒否できるんですよということを、きのう御省の方がいらっしゃって、商取の協会でしょうかねと言うから、協会でもいいですし、行政府の方にこういう張り紙を張って、嫌なセールスの場合はフリーダイヤルで登録できるんですよということを知らしめるということも、これはアメリカでは五千万世帯が六年の間に登録し終えているということですから、ともかく経産が率先してやることによって、ひいては、ほかの金融商品もあるし、農林水産の先物もありますし、この商品先物はいろいろ三つの省に分かれていますけれども。そういうのを未然に防ぐことを御省がリーダーシップをとってやるいい機会だと思っています。

 現実に、これによって、例えばシロアリのセールスがあったり、布団があったり、振り込めもあったり、いろいろな部分を、まあ、振り込め詐欺はやりたいという人はいないでしょうけれども、自分から進んで、シロアリの問題とか、それから何か不正建築の、直せとか、そういうのがいろいろ来ているみたいですけれども、それはまさにほとんど、六割近くは訪問と電話工作で始まっているわけです。

 これを考えたときに、こういうようなものがあるんですよというプロパガンダ、宣伝を、ぜひ尊敬すべき二階大臣が音頭をとっていただいて広げていただいてもいいんじゃないかなということを、これは法制度じゃありませんから、プロパガンダ、宣伝ですから、二番目にちょっと御提案していきたいと思いますが、いかがでございますか。

二階国務大臣 ただいま御指摘のありましたアメリカにおける、商取引横断的に迷惑電話勧誘を希望しない電話番号の登録制度、これはすばらしい対応の一つだと考えております。

 そこで、アメリカにおけるこういう制度が、商品先物に限らず取引一般について、希望しない対象として制度化をされておるということに対して、その実態等も我々も十分研究をして、消費者関連取引全体の制度のあり方の一つとして議論していくことが必要であると考えております。

 今度の法案の御審議に際して、各議員から御提案をいただきました新しいこの対策等について、我々は法案成立の後にも改めて振り返ってみて、段々の御提案にありましたように、今、不信の目で見られておるようなこういう取引制度が、もっと健全で、しかも明るいものになって、まじめな人たちが知識が足りなかったがゆえにだまされてしまうというような、こういう悲劇を繰り返さないようにするために行政としてどうあるべきか。

 私ども経済産業省でどれだけの人数でこのことに対応しているかということを調べてみたんですが、八十数名のメンバーで対応をやっておるわけであります。多くの関係者の皆さん、取引総額は八十数億円に達しておる、こういう市場に対して、何が必要で何が足りないのかということを私どもも真剣に検討して、こうした悲劇をこの世界から払拭するという面で努力を傾けてみたいと思います。

 今お話しのいわゆるドゥー・ノット・コールの制度については、私どもも改めて勉強してみたい。これは消費者庁ができたことも含めて、消費者のお立場を守るという面で政府全体として十分考えてみるべきことだと思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 ぜひ議論、そして検討をどんどん進めていっていただきたいと思っております。

 なぜかといいますと、お言葉をいただいた後でさらに恐縮なんですが、私どもの方に、弁護士会の集まりが実施した相談件数とその被害金額というのがちょっと入っておりまして、十八年の一月に先物取引被害全国研究会というのがあって、そこで、たった一日で相談件数が五百七十一件あった。翌年の十九年の二月にも一日でやって、三百七十五件あって、二日間で、抜粋ですね、こういうのでありますよということであった。

 それは、全体で被害当たり平均が、そのたった一日、つまり二年間で二日間ですけれども、平均で千二百九十八万円あったということですね。これは、相談を受けた方のほとんどすべてが電話と訪問勧誘によってあったということであります。そして、そのうちの六割以上の方が、もう冗談じゃないというふうに、一年以内で終えてしまった。先物のセールスというのは、食い逃げみたいなところがありまして、悪徳業者もいるし、いろいろあるんですけれども、非常に多額の被害が出ている。

 そこで、我々個人が、例えば銀行、信用金庫、信組、郵便局に口座を持っているとしたら、積み立てはずっとしていきますし、給料の振り込みはしてもらいますし等々と、振り込み口座から振替等があるというのがあって、まず一回口座をつくったら、普通は、大臣もそうでしょうし副大臣もそうでしょうけれども、口座というのはなかなか解約しないですよね。一つの銀行でつくったら、積み立てをやったり定期預金をする、いろいろある。証券会社の口座もそうだと思うんですけれども。

 ただ、この先物の口座だけに限っていえば、私の手元に直近があるのは十九年と二十年なんですが、十九年当初、口座数というのは約九万二千あったわけです。そして新規が四万六千。つまり、私はいろいろな理由があると思うんですけれども、新規の四万六千というのは随分くせ者で、前の年が九万二千あって、新規が四万六千になって、十九年から二十年にかわったときに、次の年の二十年の初めは口座数は九万八千なんですね。

 ということはどういうことかというと、九万二千口座があって、四万六千つくって、次の年になったら九万八千にしかなっていない。つまり、一人三つ四つ持つ人がいますけれども、口座数で四万口座が解約になっている、たったの一年でですね。これが実を言うと個人の取引の実態だということなんですね。

 何回も言いますけれども、よければ続けるわけですよ。何かしら、ああ、損した、大損した、ちょっと損した、もう嫌だ、だまされた、怖くてもうあの人には会いたくないとかいって解約するのがほとんどであります。

 それで、その被害に輪をかけて、先物被害の救済支援の相談に乗るという二次的な被害の先物事件屋というのもそろそろ出てきているという話で、さらに今被害が広がっているのが現状でございます。

 そこで、私は、先ほど大臣が、議論をしていく、真剣に取り組んでいかなきゃいけないとお話しになりましたけれども、ぜひスピードアップをしていただきたいと思うんです。この法案は、何回も言いますけれども、いいと思います、最終的には採決されると思いますけれども、私も賛成の方に入りたいと思っております。

 ただし、今言いましたように、実態はかなり急いでいるな。そして、いろいろなものが閉鎖されれば、逆に焦点がその個人の勧誘の方にさっと入っていくんですね。市場が狭まれば狭まるほど、そこに入っていく人がふえていくということなんです。だから、こちらが消されたから減るというんじゃなくて、そこにまた集中していって、先物が、個人、老人、また理解不能者、またお一人でお住まいのそういう御婦人、御老人の方々に入っていく確率がふえていく。これは私が実際自分で先物をやって、私は悪い先物の営業マンじゃなかったですけれども、どちらかというといい営業マンと自分では思っているんですけれども、ただ、そういう意味では、そこに逆に入っていくので、これは早急に、急いでいただきたいというふうに思っています。

 その中で、これは二番目の提案になるんです。先ほどは、勧誘しないように登録するということを、議論の中で、真剣に取り組んで、急いでいただきたいと。それからもう一つは、私もいろいろな資料を見ました。先物取引実態調査で、現状はどうかわかりませんが、どのぐらいの損失を先物でこうむっているかということを説明者、つまり営業マンがきちっと相手に説明しているかということなんですね。

 そこで、恐らく大臣はおっしゃると思うんですけれども、商取法二百十七条に、取引員は先物取引や委託のガイドをきちっとしなくちゃいけないと義務づけられているから大丈夫だよと。

 大臣、ちょっとこれはクイズみたいな質問になりますけれども、先物の説明というのは大体四十九ページぐらいあるんですね。別冊が十八ページあるんですよ。その本冊の方というのは一体一文字縦横何ミリあるか御存じですか。質問でございます。知らないなら、知らなくていいです。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと物差しを持っていないので恐縮でございますけれども、恐らく、今この商品先物取引委託のガイドのことをおっしゃっていると思います。

 二ミリから三ミリ四方、活字の大きさとしてはその程度だと思います。

下条委員 ありがとうございます。

 ちょっと失礼な質問だったかもしれませんが、要は、大臣、約三ミリ弱なんですよ、縦横で。それで、いろいろ、中には大きく太字で書いた説明のところもあったりしますけれども、僕は暇じゃないんですけれども、一応数えました、これが一ページに約千六百十文字あって四十九ページですから、七万八千八百九十文字あるわけです。これが説明なんですよ。四百字詰めの原稿用紙にすると百九十七枚の説明を聞いた上、理解しなくちゃいけないということですね。

 それで、もう一度申し上げますけれども、被害に遭ったのはやはりどちらかというとお年寄りが多くなってきているという中で、このガイドブックをデューティー、義務にして、本当にそれだけでいいんでしょうかという、ただ、それは法制度上そうだというのは御省から回答が来ると思うんですが、実際は、とてもじゃないですけれども、読むのも辟易するぐらいな文字の数と説明書、証拠金の、こうやって何枚でこうだという説明なんですね。

 そうすると、要はというふうになると思うんですよ、顧客というのは。例えば、生命保険の約款の後ろにある、生命保険がいけないというわけじゃないですけれども、生命保険とこの商品先物取引の営業マンとちょっと違うと思うんですが、ただ、今までの被害の実態、被害金額、泣き寝入り、口座の解約件数等、一年で四万件数も解約している実態を見たときに、今のレギュレーションで実際に不招請勧誘を禁止しないのであれば、このガイドブックだけのもので本当に相手が理解をして、その危険性をちゃんと認識できるのかなという疑念に僕は立っているわけです。

 そこで、これは法制度にするとまた時間がかかって、その間に被害者がふえるので、簡単に言えば、そこに、例えば、今まで先物商品の被害はこれだけあるんですよと。実際に商品、石油とかアルミニウムとかいろいろあります、そういうのがありますよということを、実際に数字を載せるだけで、それは経産省はつかんでいますから、先物ごとにこれだけ被害が出て、被害金額がこれだけになったとわかっている。こういうのがありますよということを、そのぺらっと一枚の紙をつけても何のマイナスもないと思うし、それを商品取引協会の方から通達していただいてもいいんじゃないかと僕は思っているんです。

 これは、大臣、本当に食い逃げなんですよ。三カ月、半年で、証拠金を入れて、さっきのお話、逆でできますという話です。例えば、証拠金を五十万入れたら、五十万に至ったときはそのままで決済しますよ、でも、それは僕に言わせると、五十万損して終わっちゃう話であって。

 ですから、それだったら、これだけ損している人がいる、また、ドゥー・ノット・コールも、こういうのがあるんだよということを知らしめていく。これは恐らく、年間四万件の解約があるんですから、負けた人だけの解約じゃないにしても、別に、負けた人で解約しない人も入れれば、プラマイナ入れても約四万件。本当に、一日に物すごい数の人がひどい目に遭っているんですね。

 ですから、そのガイドブックはガイドブックで、これは法制度でいいんですけれども、そこにぺらっと一枚、商品別に、これだけ損しているんだ、これが実態だ、それでもおやりになるんですかということを加えていただいても決してマイナスにならないと僕は思いますし、それは本当にアマのマーケットを守っていく一つの手段じゃないかと思っていますけれども、いかがでございますか。

 ちょっと御要望ばかり多くて申しわけないです。

二階国務大臣 御答弁の前に、先ほど取引総額八十兆円と申し上げようと思ったんですが、それを八十数億円と申しました。訂正をしておきたいと思います。

 下条議員から、種々この実態を把握された上で御質問いただきましたが、損害の状況等をやはり顧客にあらかじめお知らせして、損することもありますよということを徹底しておくというのは一つのアイデアだと思います。

 近々幹部の異動もあるようでありますから、私は、新体制のもとに、心を引き締めて、従来のようなやり方だけではなくて、なるべく関係者の被害を少なくする、防止できるものはあらかじめ防止をしていく、そういう気持ちで対応していくことが大事だと思います。

 市場を成長、膨らませていくことも一つの使命であろうかと思いますが、それだけではなくて、そうした被害者に対して御迷惑をかけてきた歴史的な汚名を返上することもこの業界にとって大事なことで、それがまた業界の発展にもつながるわけですから、十分指導してまいりたいと思っております。

下条委員 大臣、ありがとうございます。

 難しいことじゃないと思います。今あるものを使って、義務ではなく、ドゥー・ノット・コールにしても、そして、こういう実態があるということを知っていただくことによって、お手元にある原稿用紙二百枚近くのものを理解しなければ本当はいけないのに、私が被害者の方何名かからお聞きしていると、ほとんどそれは、読んでおいてください程度なんですね。ところが、七十歳、八十歳、お一人でお住まい等々では、それを細かく読んで理解して、そこに赤線を引いて質問するみたいな、国会の質問みたいなことにはなかなかならないな。

 だったら、自由主義の、また資本市場の広がり、拡大を抑制する意味ではなくて、なけなしのお金で将来過ごしていくお父さん、お母さんのためにも実態をできるだけ早く知らしめてあげる、そういう体制を、私は制度とは言っていません、体制です、こういうのがありますよとプロパガンダ、宣伝してあげるだけでも随分違うと思うんですね。それをしてあげてもらいたいというふうにお願いをさせていただきたいと思います。

 時間になりましたので、最後に、さっきちらっと申し上げましたけれども、日本の先物取引というのは、工業製品は経産省、農産品は農水省、金融は金融庁と、私も財務金融をやっておりますのでいろいろ存じ上げておりますけれども、三省庁にまたがって、それぞれの管理状態になっている。私は、今後の話として、これは二階大臣が、どんどん大臣の数が減っちゃってなんということを申されていますけれども、一緒にするという意味は、大臣を一緒にするということじゃなくて、管理を一本化していったらどうかなと思っているんです。

 例えば、アメリカの場合は、証券取引と先物商品と二つに分かれている。イギリスとかフランス、ドイツ、シンガポールもみんな、全部一本化しております。それはなぜかというと、先物についてはほとんどが、先に売って、その値段がどうなるかの情報さえ知り得れば管理状態は同じであって、それから、悪者が入ってきたときのネガティブな部分の管理状態が共有できるということがある、そういう状態である。

 これは時間が来てしまったので最後にしますけれども、今後の予定として、ぜひ、今すぐではないですけれども、少なくとも被害の横の管理、また情報の伝達をこれから進めていって、最終的には、諸外国、欧米並みに一本化していくべきじゃないかなというふうに思っております。これも御提案でございますが、大臣の御意見をお聞きしたいというふうに思います。

二階国務大臣 一本化ということも一つの考え方であろうと思いますが、まずは、三省が情報を共有して、相手方につけ入るすきを与えないように、こちらも専門的な対応をしていく必要があるというふうに思うわけでありますが、今度の新しい体制において、そうしたことに対して徹底を期してまいりたいと思っております。

下条委員 以上です。ありがとうございました。

東委員長 これにて下条みつ君の質疑は終わりました。

 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 本日は、商品取引所法の改正案の質疑の機会をいただきましてありがとうございます。

 今回、経済産業省はさまざまな法案、改正案を提出されておりますけれども、今回のこの商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案、大改正であります。関係資料を見ても一番分厚くて、厚みがあるから大改正というわけではありませんけれども、条文の量も含めて、また、恐らく中身もさまざまな改正を盛り込んでおる、こう認識しておるところであります。ですから、伺いたいことはてんこ盛りでありますけれども、限られた時間の中で、早速質問に入りたい、このように思っております。

 まず最初に、具体的な法案の中身に入る前に、現在の商品市場の現状についてちょっとお伺いをしたい、こう思っておるんです。代表的な商品である原油についてお伺いしたい、こう思っておるんです。

 委員長のお許しを得て、資料を配付させていただいております。この資料の一をごらんいただければと思うんですが、折れ線グラフでこの二年間の原油価格の動向を示しております。

 御案内のとおり、昨年、〇八年、もっと言うと〇七年から、世界の石油市場、原油市場は大変な高騰を続けてきたわけであります。この高騰した一つの大きな要因は、原油先物市場価格が大変急上昇して現物の市場を引っ張ってきた、こういうことだろうと言われておるわけでありますけれども、現在、その高騰の要因になっているのは、実需というよりは投機マネーが先物市場に大量に流入して高騰した。経済産業省・エネルギー庁が出されているエネルギー白書でも、相当な部分が、一時一バレル百四十五ドルになったわけですけれども、当時、実需はせいぜい七十ドル程度であって、半分が投機だったということを分析しているわけであります。現在の価格は七十一ドル程度、七十ドル強、このようになっております。

 さて、この価格でありますけれども、ことしの二月からじりじりまた上昇しているわけですね。世界経済を見れば、百年に一度の危機だということで、めためたになっておって、我が国も輸出産業が大打撃を受けている。経済全体が低迷をしている中で、じりじりじりじり上昇している。

 そこで、まず最初に経済産業省にお伺いしたいんですが、現在の原油価格の上昇傾向というのは実需というのを果たして反映しているものなのか、これをまずお伺いしたい。あわせて、原油市場、とりわけ原油先物市場に再び投機マネーというのが大量に流入する危険性について、政府は現在その危険性についてどのように見ているのか、まずお答えいただけますか。

高市副大臣 今の原油価格の上昇でございますけれども、足元の石油需要は依然として低水準でございます。在庫水準も高い状態でございますから、ファンダメンタルズから乖離していると考えております。今、近藤委員おっしゃいましたとおり、金融市場からの資金の流入というものの影響が既に生じていると考えております。

 これからの市場動向を見通すというのは非常に難しいのですけれども、市場は引き続き不安定な状況でございますので、今後も注視をしてまいる予定でございます。

近藤(洋)委員 高市副大臣、ありがとうございます。副大臣がおっしゃったとおり、私も、これは注視しなきゃいけない、こう思っておるんですね。これだけ経済が悪いのに、やはりお金というものが、ある意味で行き場を失ったお金というものが世界じゅうに流れ込んでいる、流れつつある、こういうことだろうと思っておるんです。

 御案内のとおり、原油の先物取引というものは大変発達しているわけですけれども、発達したこと自体はリスクヘッジとしてはいいわけですけれども、この結果、一方で先物の価格が現物の価格にも大変大きな影響を与えているわけであって、昨年は我が国経済が大変痛い目に遭ったわけであります。

 要は、限度を超えたマネーゲームというものによる混乱を防ぐということが非常に重要だと思うわけでありますが、今回の法改正で、こうした限度を超えたマネーゲームによる市場の混乱を防ぐために具体的にどのような措置を講じているのか、経済産業省、改めて御答弁いただけますか。

寺坂政府参考人 御指摘のとおり、原油などの商品価格につきましては、国民経済に大きな影響を与えるものでございます。ですから、当該商品の実際の需給を踏まえました、あるいはその見通しも踏まえました公正な価格が形成される必要があるものと考えております。

 このため、商品取引所法におきまして、従来から、市場を新たにつくるときには取引参加者の過半数がその商品の売買等を行います事業者であることを求めておりますし、さらに、特定の取引参加者が価格形成に過大な影響を持たないよう、いわゆる建て玉制限と呼んでおりますが、建て玉制限などの規制も設けているところであります。

 その上で、今回の法案におきましては、こうした公正な価格形成に関する取り組みを強化するために、一定程度の数量を超えます取引を行っている大口の取引の者につきましては、その状況につきまして、その商品取引所の主務大臣、経済産業大臣あるいは農林水産大臣、そういった大臣に対する報告を課すこと、それから、相場が異常に過熱しているような局面におきましては、その主務大臣が商品取引所に対しまして証拠金の引き上げ等を命ずる、これを法的に可能とする、そういう規定を設けております。あるいは、取引所外の商品先物市場の状況を把握できるような、そういう仕組みを設けるなど、一層の規制の整備を行っているところでございまして、改正法を成立させていただければ、こういった規定の適切な運用を通じまして、商品市場の透明性向上に向けた努力を行ってまいる所存でございます。

近藤(洋)委員 今御答弁いただきましたが、さまざまな施策を入れ込んだ、これは評価したいと思うんですね。この中で特に重要だと思うのは、異常な相場過熱時など緊急時における証拠金引き上げ命令等の規定を整備した、大臣が証拠金の引き上げ命令を取引所に出すことができる。要するに、証拠金を二倍、三倍に上げるということは、実質的にはその取引がかなりできなくなる、取引を実際にさせなくする効果があるわけですね。

 改めて確認ですが、引き上げ命令等、この等の中には一体何が入っているのか。大体、役所の文書では等に気をつけないかぬのですが、この等の中には恐らく取引所の閉鎖も含まれるのではないかと解釈するんですが、そこの確認をしたい。この等には取引所閉鎖という命令も含まれるのかどうかということ。

 あわせて、この場合の緊急時というのは一体どの程度のことを指すのか。すなわち、例えば去年の六月、七月の急騰など、これは急落の一つだと思うんですね、乱高下ですから。こういった昨年度の、ちょっとこの資料では急上昇の経緯が外れて出ていないんですけれども、大変な急上昇をしたわけですけれども、この〇八年の原油先物市場の大変な高騰のような場合は当然緊急時に当てはまるのかどうか。

 あともう一つは、例えば価格が実際に高騰を続けなくても、ある国で紛争が勃発した、またはある国で革命が起きた、そういうときに、ある商品がまさに急上昇する可能性がある、そういうことがかなりの確率で予想される、既にロンドン市場では大変な高騰が起きた、時差を置いて日本市場にも起きる可能性があるとなった場合、予防的にこの措置を発動することもあるのかどうか。事務方、あわせてお答えいただけますか。

寺坂政府参考人 幾つか御質問がございました。

 まず、等の件でございます。

 例えば、閉鎖が含まれるのかということでございますけれども、閉鎖という意味が、取引所をなしにして、多分そういうことじゃないと思います。例えば取引の停止とか、そういう意味合いだと思います。そういう意味合いにおけます取引の停止、そういったことは等に入る、そう言うこともできるように考えております。

 それから、二つ目の御質問でございました、どういう場合にかということでございます。

 先ほど私から答弁申し上げましたように、証拠金の引き上げ等を命じることができるとしているわけでございます。市場が異常に過熱しているか否かといったことについて、現実の商品の需給状況から著しく乖離した値動きが生じる、そういったことによりまして国民経済に重大な悪影響を及ぼすおそれが高いことをその判断の重要な要素と考えております。

 一般的な言い方で恐縮でございますけれども、例えば数値を設けて、これ以上になったらとか、そういうのはなかなかなじまないのではないかと思っております。経済環境、あるいはもうちょっと広い意味での環境の変化といったものとの関連をどうとらえていくかとか、そういった面がありますので、数値基準でということはなかなか難しいのではないかと思っております。

 実際のその運用のあり方、例えばアメリカでは、少し前でございますけれども、今回の時点ではございませんでしたけれども、そういった発動例がかつてございます。そういったものも参考にしながら、これをどのように運用していくのか。考え方としては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、そういったことを参考にしながら、その発動の条件について検討を重ねていきたいというふうに思っております。

 それから、具体例で先生からお話がございました、革命があって需給が大きく混乱する云々という場合でございますけれども、これも、見通しと、それから実際に上がることとの関係をどのように考えるのかというのがございます。

 ちょっと長くなって恐縮でございますけれども、そういうある種の混乱といいますか、供給不足が予想されるような事態になる場合には、ちょっと変な言い方だったら恐縮でございますけれども、値段が上がるということは、ある種経済原則の面もあるわけでございます。したがいまして、予防的に、とにかく上がっちゃいけないということを最優先にして、それで発動というのを考えていくのが本当に経済原則とかいろいろなことを考えた上で適当なのかどうかといったようなこともあると思いますので、そのあたりは、非常に抽象的な言い方ばかりして恐縮でございますけれども、いろいろな経済環境、それを広げたさまざまな環境変化の中で価格がどのように動いて、ある種の水準はもちろんありますけれども、スピードとかそういったものを考えながら判断をしていくことになるというふうに思っております。

近藤(洋)委員 御丁寧に答弁いただき、ありがとうございます。

 審議官、確認なんですけれども、前回のというか、〇七年、〇八年の原油価格の急騰は、今度法改正が通れば、今回の発動の対象になるのかどうか、具体例で聞いているんです。前回の上昇は証拠金引き上げ発動命令の対象になるか、こういうことを聞いておるんですね。

 もう終わった話ですから、これは。あの程度のレベル、私は大変な急騰だと思うんですよ。混乱しました、日本経済は。のど元過ぎれば我々は忘れていますけれども、大変な高騰だったわけです。あの場合は証拠金引き上げ命令の、実際発動できたかどうか、それはいろいろなケースですからわかりませんけれども、当然検討の対象になったのかどうか、発動するものだったのかどうかというのを聞きたいのであります。いかがでしょうか。

寺坂政府参考人 お答えいたします。

 まず、証拠金の引き上げの発動命令の前に、これは現在でもあるわけでございますけれども、取引所自身が、建て玉制限、それからサーキットブレーカーと呼んでおりますけれども、値幅制限の一つでございますけれども、そういったものを採用するなどといった取り組みは現在もなされているわけでございます。

 そういった取り組みがあって、なおかつ異常な状態というものがあるといったようなときに、政府の一つの命令として次なる手をやることができる、そういう法的根拠を今回持たせていただく、そういう御提案でございまして、まず、商品取引所自身がやるというところが第一段階としてあると思います。

 それで、お尋ねの昨年のケースでございますけれども、これを先物の関係でどういうふうに評価していくのか。日本の市場だけではなくて海外の市場でも同様な動きがあったわけでございまして、海外も含めて、そのあたりをどのように評価するのかというようなことは検証していく必要があると思っております。

 そういう意味合いで、今ここで、昨年の例が対象になるのかならないのかというのは、まだそこに至るだけの十分な検証がなされていないということで御理解いただければと思います。

近藤(洋)委員 審議官、せっかくつくったわけですから、やはりあのケースを前提に発動するものだと私は理解しておりますし、政府がそういうことを示すことが、私は市場主義者ですよ、だけれども、全世界がそうした市場の、時に暴力的になってしまうものに対する反省というのを持っているわけですから、そしてこういう法整備をつくったわけですから、ぜひ検討していただきたいと思いますし、審議官に御答弁いただいたように、日本政府だけが単独で例えば世界の原油先物市場に挑戦しても、これは負ける可能性があるわけです。そこはまさに、では米国当局そして欧州当局と同時に連携をしてどうやってやるかという国際連携は監督当局、政府の出番だ、こう思うわけですね。

 ですから、ぜひ、こうした商品市場というのは世界的に連動しているわけですから、大臣、せっかくこういった緊急時の手当てを法的に整備したわけですから、国際間の連携というのが極めて重要になる、協調行動が重要と考えますけれども、今後の御所見というかお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

二階国務大臣 ただいまの御指摘は、私ども、真剣に受けとめたいと思っております。

 投資資金が今や国境を越えて活発に移動するわけでありますから、商品市場の透明性を高めるためには、海外の規制当局との連携の強化も、御指摘にありましたが、私は重要な課題の一つだと思っております。

 先般、本年の四月でありますが、東京で開催されました第三回のアジア・エネルギー産消国閣僚会合におきまして、また先月イタリアで開催されましたG8エネルギー大臣会合、G8と申しましても参加国は二十一カ国ぐらい集まっておりました。その中で、消費国はもちろんでありますが、産油国も有力国が参加しておりました。私はそこで、商品先物市場の監視の強化、透明性の向上に関し、規制当局によるさらなる協調行動が必要であるということを特に主張いたしました。おかげで、同意する国々が多くあって、合意がなされたところであります。

 そして、機会あるごとにバイ会談等でも確認をしておるわけでありますが、産油国にとって価格は高ければ高いほどいいというものではなかろう、しかし、我々も安ければ安いほどいいということではなくて、安定価格帯というふうなものをお互いに建設的に考えていくことがそれぞれの国の発展にもつながることである、この主張は、大体、有力な産油国においても了解をされつつあるところであります。

 そこで、二国間の問題でありますが、市場の監視のあり方について、昨年の十月にアメリカと、またことしの五月に英国と、それぞれ市場監視に関する協力の枠組みに関する合意を得たところであります。

 経済産業省は、この点については最も重要な政策課題と考え、当局間の連携の強化に今後努めてまいりたいと思いますが、議員各位とも十分意見の交換をしながら、この重大な問題に対して、私どもとしては責任を果たしてまいりたい、最善の努力をいたしたいと思っております。

近藤(洋)委員 大臣から大変強い御決意の御答弁をいただきました。ここはやはり政府のというか、知恵が試されている部分だろうと思いますので、ぜひ各国連携を進めていただきたい、こう思うわけですね。

 全体の投機マネーという話による急騰ということも、また、あと国際的な紛争なりなんなりに備えた経済の混乱を防ぐ上での市場の監視というのも重要なんですが、あわせて、個別の不正行為を防ぐという意味からも各国の規制当局の連携が重要だと大臣も御答弁いただいた、こう思っておるわけであります。とりわけ、国境を越えた相場操縦行為というんでしょうか、これも最近ふえてきていると思うわけですが、具体的な対応策、今回の法改正も含めて、何か特にここはというのがあれば、事務方、お答えいただけますか。副大臣にお答えいただければなおありがたいですが、お願いできますか。

高市副大臣 国境を越えた相場の操縦行為の存在でございますが、これは問題でございます。

 商品市場の透明性向上というものは喫緊の国際的な課題で、やはり関係当局の間の協力を進めるということが重要になっております。

 この協力を進めるために、証券監督者国際機構で、多国間の情報交換枠組みによって、各国が行う法執行において必要な情報を相互に交換する環境というものを整備しております。しかしながら、この枠組みに参入していくためには、我が国の法令上、外国の商品先物市場の規制当局の要請に応じて、経済産業省が我が国取引所における個別取引情報を外国規制当局に提供し得るということが条件となっております。

 今回の法案では、取引所における個別取引情報を提供し得るための規定を盛り込んでおりますので、外国において不公正取引を行った疑いのある取引参加者の我が国における取引情報を外国当局に提供するということを可能にいたしております。

近藤(洋)委員 まさしく体制を整備された、こういうことだろうと思うんです。

 さて、今回、全般的な相場操縦といった不正行為、刑事罰の罰則強化も盛り込まれているわけであります。

 ただ、これまでの実績を見ると、相場操縦行為など不正行為について、我が国の経産省にしろ農水省にしろ、刑事告発をしたという実績はないわけですね。長い歴史の中で一度も相場操縦行為が行われなかったというのは、はっきり言ってなかなか考えにくくて、恐らくどこかでやられていたんだけれども、それは見逃されたんだろう、見抜けなかったんだろう、こう思うわけです。

 せっかくこの体制、国際間の枠組みをつくったということなわけですけれども、では、こうした市場監視に向けての体制は一体どうなっているのか、こういった不正行為を見抜くための人員は、経産省そして農水省、それぞれどういう体制で何人おるのか、お答えいただけますか。

大下政府参考人 先生御指摘のとおり、相場操縦行為等の不正行為の監視体制の整備をしていかなきゃいけないという認識から、経済産業省におきましては、昨年九月に市場分析監視室という部屋を新たに設置いたしております。定員としては六名配置しております。

 この市場分析監視室におきまして、経済産業省が所管しております二つの取引所から日々取引の状況の報告を受けているほかに、市場監視のためのシステムの開発を行っております。また、アメリカ等との市場監視のための協力枠組みの合意でありますとか、市場監視体制の強化に向けた諸外国の規制当局との協議などの活動を行っております。

 今後、職員の監視能力を向上させることなども通じまして、この市場分析監視室の体制を強化してまいりたいというふうに考えております。

平尾政府参考人 お答え申し上げます。

 今、経済産業省様からお答えがあったわけでございますけれども、私どもも、相場操縦とか市況の状況をよく監視するというふうなことが重要だと思っておりまして、実は、ちょっとおくれていますけれども、ことしの十月から、そういう市場を監視する専従の担当者二名を配置する予定にしておりまして、今後、ノウハウとかツールの強化もあわせてやっていこうとしております。

近藤(洋)委員 人数が多ければいいと言うつもりはないんですけれども、私、これは詳しく調べていませんが、多分、ヨーロッパ、シカゴとかアメリカの同等の組織と比べれば、恐らくけたが一けた違うんじゃないんでしょうかね。六名と二名、幾ら優秀な方々でも、本当に千人力でもなかなか大変なんじゃないか、こう思うわけです。

 今までなかったものをつくるということだから、頑張ってくださいとしか言いようがないのですが、これは非常にお寒いなという気がしますし、もっと言うと、今後伺いますけれども、証券とも連動するわけですね。証券等監視委員会、そしてまさにこういう市場の監視というのは、ばらばらではなくて一カ所できちっとやるという必要もやはり出てくるんじゃないか、こうも思うんですね。すべての商品が連動していますから、そこも含めて、やはり体制についてきちんとぜひ詰めていただきたい、こう思うわけです。

 この話は重要なのでもっと伺いたいんですが、次の話を伺います。

 今回の法改正で、要は金融と商品市場の相互乗り入れの話でありますけれども、可能になったわけですね。子会社方式でなくても、それぞれの市場でも商品の品ぞろえをふやすことができるように改正ができた。これ自体は、市場の参加者の利便性を考えると非常によかった、こう評価するわけでありますが、一つ大事なことが抜けているんじゃないか、こう思うんです。それは、いわゆる決済機関の話であります。

 マーケットの役割というのは、一つの市場でいろいろなものが、品ぞろえの話と、あわせて市場というのは、そこで決済ができるというのが市場機能の大きな役割なわけですね。横文字であれですが、いわゆるクリアリングハウスというか、清算機関でありますけれども、これを一つにすることが私は非常に重要だと思うんですね。

 せっかく商品が、例えば東京証券取引所で商品市場が扱えるようになった、商品先物が扱えるようになった、東工取で証券市場が扱えるようになったとなっても、決済機関が別々ですと、結局財布が別々ですから、商品をお互いに、証券でもうけた利益を商品市場に流すとか、そういった融通がきかなければ、市場が一緒でも参加者にとっては余り意味がないとも思うわけであります。

 商品分野では工業品と穀物がやっと一本化したわけですけれども、金融、証券、商品というのはこれまでばらばらであります。今回の法改正で一緒にすることができるようにはなったわけですけれども、これは認識しているんですが、大臣、ここは、せっかくそこまで来たのならば、決済機関だけは先んじて一本にする、共同決済機関というものを考えるということを打ち出したらいいんじゃないか、こう思うんですが、いかがお考えでしょうか。

二階国務大臣 ただいま御指摘のいわゆるクリアリングハウスでありますが、清算機関は、市場の参加者が安心して取引をしていただけるように、商品市場において行った取引に関し、取引相手にかわって債務を引き受けることにより、取引の確実な実施を可能とするものであります。

 商品先物市場の利用者のうち、金融商品取引を行っている機関投資家などの利用者にとっては、同一の清算機関において商品取引と金融商品取引の双方の清算を行うことは利便性が向上する、仰せのとおりだと考えております。

 このため、本法案におきましても、商品取引の清算機関が金融商品の清算業務をあわせて行うことができることを明確化することなどにより、御指摘をいただきました共同決済機関の実現に向けた制度上の障害はなくなったもの、一歩前進だと思っております。

 ただし、共同決済機関が実際に創設されるか否かについては、商品清算機関など関係者の経営判断による部分もありますので、経済産業省としては、今回の法改正を踏まえ、関係者の真剣な議論を促したい。関係者と申しますのは当然金融庁であり農林水産省であり我が経済産業省であるわけでありますが、これは、この委員会における御答弁だけではなくて、そうした面について引き続き真剣にやっていきたいと思っております。

 また、監視体制についても、六人と二名とでは大変お寒い限りだという意味の、非常に理解のあるお話をいただきました。

 最近は、何でも公務員は減らせ、そして縮小しろということが何となく国会内外でも合唱されているような状況の中で、こうしたことに対しての人員の要求等も萎縮して考えている。何が重要か、何が国民のためになるか、何が国益を守るかという視点で、もっと関係当局も真剣な対応をしなきゃいけない。減らせと言われているから減らすんだという程度のことなら、人がいてもいなくてもいいわけですから、この点のしっかりした体制をつくっていきたい。八十兆円を八十人で監督しているわけですが、これも、これでいいのかということも私は悩んでいるところであります。

 また、与野党の先生方の御意見等を十分拝聴した上で今後判断をしていきたい、このように考えております。

近藤(洋)委員 大臣、特に後段の部分、御見識を表明していただいて大変ありがたいな、こう思うんですね。ここは本当に、先ほど来、商品先物市場の消費者とのトラブルの話も出てきましたけれども、要は、相場操縦だとかそういうことで陰で笑っている者がいる、これに対してきちっとチェックするということは非常に大事なことでありますし、ぜひそこは、どういう体制がいいのかというのを真剣に御議論していただきたいと思いますし、我々も提案をしていきたい、このように思うわけであります。

 クリアリングハウスの共同機構についてもぜひ御検討いただきたいと思うんですね。決済機関の話というのは非常に地味な話なんですけれども、ただ、市場参加者にとっては非常に大事な話でありまして、ここがきちんとしていないとこの市場は不安で入れない、こういうことだと思うんです。

 先ほど同僚議員の方が、日本市場の規模が大きくても小さくても、規模の大小はともかくというお話ありました。それは一つの考え方だと思うんですが、やはりまともなプロから見て、日本の市場というのは未整備なんですね。それは、やはり決済機関が貧弱だからだということだと思うんです。要は、債務不履行になったときに、その決済機関の財産が小さいと、債務不履行になったときの基金がないと取りっぱぐれてしまうといいますか損失が補償されない、こういうことになるわけですから、決済機関が、大きな決済機関でしっかりした財政基盤を持っていないと、世界のプロたちから見ても日本市場には入れない、違うところに行こう、こういう話になろうかと思うのであります。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、例えば商品市場の場合、この資料に、我が国は日本商品清算機構というのがクリアリングハウス、株式会社日本商品清算機構が決済機関になっているわけですけれども、ここの決済不履行準備金というか基金は現在十二億円というふうに聞いております。これも、恐らく海外のそれなりの規模のところと比べると相当見劣りする水準だと思われますが、ここの基金の増強策、一体どういった規模まで、いつまでに強化されるのか、具体的な強化策が必要だとお考えであれば、お聞かせいただきたいんですが。

大下政府参考人 御指摘のとおり、商品取引清算機関の財務基盤を強化することは重要な課題でございます。商品取引清算機関の関係者も同じ認識を共有いたしております。

 そういう中で、クリアリング機能の強化に関する研究会という研究会を行いまして、その中で、積立金の金額を引き上げていくことが必要であることを合意いたしております。当面の目標額としては、五年以内程度を目標に、現在、十九年度において十二億円であった積立金の金額を八十七億円まで増額していきたいということで関係者が努力しているところでございまして、二十年度の段階で二十億円まで増額ができているというふうに伺っております。

 今後とも、引き続き、そういう意味で、財務基盤の強化に向けて関係者の方も努力をしていただきたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 ぜひここは強化を急いでいただきたい、こう思うわけであります。

 ただ、やはりこれだけ市場が小さくなっていれば、その分、積立金を積む財源がなくなるわけですし、何らかの措置がやはり必要になってくるのではないかという問題提起は、ただ黙っていて上がるものでもなかろうと思っておりますし、これはぜひ検討していただきたいな、このように思うわけであります。

 時間が参りましたが、同僚議員の御理解をいただいて、最後一問だけ、この質問で終えたい、こう思うわけでありますけれども、資料の二に商品先物市場の現状、そして三枚目には商品取引所のそれぞれの現状のことを書いている資料を配付させていただいております。

 御案内のとおり、現在国内には四つの商品取引所があるわけであります。この四つの商品取引所の経営は今急速に悪化しておるわけであります。東京工業品取引所は二十一年三月期決算で初の最終赤字、経常赤字に転落、穀物取引所も二十一年三月期で最終赤字に転落、そして中部大阪は三期連続の赤字、関西商品取引所については、私の手持ちの資料では少なくとも五期連続最終赤字が続いている、こういうことなわけですね。

 私は、少なくとも、これは常識で、これだけこういう状況になって、残念ながら、中部大阪商品取引所が三期、関西商品取引所については五期の赤字が続いているということは、これはもう事業再編というか統合というような、経営という観点から見ても、ある意味で相当真剣に考えなければいけない課題ではないか、このように思うんですね。穀物取引所も赤字であるわけですから。

 この統合のメリット、デメリットについては当委員会でもそれぞれ御答弁がございました。御答弁がございましたが、メリット、デメリットを考えるのは当然でありますけれども、現実の足元を見ると、もう経営としても成り立たなくなりつつあるんじゃないか。だとすると、これはもう統合ということを真剣に打ち出すか、ないしは、いつまでに黒字に転換するんだという明確な経営を打ち出さなければ、これは大問題なんじゃないかな、こう思うわけですね。

 改めて伺います。私は、日本の市場機能を存続させるためにも、ここはもはや統合ということを視野に置かなければ、日本の市場機能自体が失われてしまうという危機感を持つわけであります。統合を考えない、この時点で明確にしないというのであれば逆にお伺いしたいのですが、では、いつまでにそれぞれの取引所を黒字にされる計画があるのか、いつの時点だったら黒字になれるのかということを答弁する責任が監督当局としてあるんじゃないかと思いますが、経済産業省、農水省、それぞれお答えいただけますでしょうか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 取引所の数が減ってきておって、取引所の所在地にかかわらず、利便性の高い取引所において取引を行うことが可能になってきた、あるいは最近の経営状況、そういったものを含めて、こういった動きが進んできているというふうに考えてございます。また、法整備によりまして取引所の合併が容易に行えるようになったというふうに考えてございます。

 統廃合そのものにつきましては、基本的には取引参加者等の声を踏まえながら当該取引所の経営判断として行われるものと考えておりますけれども、取引所自身あるいは取引所関係者、そういった中でもさまざまな議論が起こっているということは承知しております。

 経済産業省といたしましても、我が国の商品取引所が一層の競争力のあるものとなるように、こういった関係者間の検討を促していきたいと考えているところでございます。

平尾政府参考人 東京穀物商品取引所等の状況については、委員御指摘のとおりでございます。

 私どもも、今、経済産業省様の方からお答えがありましたように、穀物等の農産物商品取引所においても、やはり産業基盤としての重要な役割が期待されているわけでございますから、その取引所が的確かつ安定的に運営されるというふうなことが非常に重要だと思っておるわけでございます。

 一方、先日もあれでございますけれども、穀物取引所は現在会員制の民間組織ということで、まずはこういう実態をきちんと踏まえて、産業インフラとしての機能を的確に果たす上でどうあるべきかというふうなことをしっかり議論していただくことが基本でありますし、またそういうことで今議論をしていただいているわけでございます。

 それで、しからばどういうふうな計画を持っておるのかということでございます。

 東京穀物商品取引所でございます。これは、御指摘のとおり、二十年度の決算が赤字に転落したというふうなことは事実でございます。そういうことを受けまして、東京穀物商品取引所は中期経営計画というものを策定したところでございます。それによりまして、東京穀物商品取引所は、二十三年度に営業キャッシュフローの黒字化を目指すというふうな計画を立てて、今鋭意取り組んでいるところでございます。

 私どもは、この農産物市場が、こうした取り組みにしっかり取り組んでいただいて、引き続き、産業インフラとして期待されている機能を的確かつ安定的に果たしていただきたいと思っております。

近藤(洋)委員 時間ですので、終わります。

東委員長 これにて近藤洋介君の質疑は終わりました。

 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 何問か質問をさせていただきます。民主党衆議院議員の大島です。

 数日前に、珍しく家内と一緒に夜の八時以降自宅の賃貸マンションにおりましたら、ピンポンと押されまして、うちの家内がだれかなと思って出ていきましたら、あるマンション会社の営業マンなんです。営業マンが、要は、マンションがあと三棟残っているからどうですかと売り込みに来たわけです。これを迷惑と思うかどうかというところで、普通の人は迷惑と思うんです、夜の八時以降ですから。自分は、営業マンですから、立派な営業マンだと思いました。こうやって一軒一軒見込み客を発見する営業マンの姿は、やはりこれは我が国の産業に、迷惑かもしれないけれども、少しは寄与しているのかなと思った次第なんです。

 ですから、営業というのは、今回の不招請勧誘、要は求められないのに物を売りに行くということについて、いい話をこの間聞いたのは、商品によって違うという話を伺いました。元本が割れて、元本以上に損する商品は売りに行っちゃいけない。元本がなくなる商品、例えば株式もそうかもしれないし、債券もそうかもしれない、元本はなくなるんだけれどもそれ以上損しない商品については、一回ぐらいは電話をかけてアプローチしてもいい。そしてしっかりと元本が保てる商品については、元本が減らない商品については自由に販売していいよと。そういうカテゴリーを分けるという話を聞いて、なるほどなと思った次第なんです。

 自分自身も、実は衆議院議員になる前の五年間は毎朝営業の電話をかけておりました。自分は衆議院議員になる前の五年間は保険の外務員をしていて、生命保険のセールスをしていたものですから、まず午前中の仕事は、東京商工リサーチのデータをもとに各企業の経営者の皆さんにアポイントメントをとることから始めていくわけなんです。電話をかけるということは、僕は、自分自身にとっては結構営業の根幹かなと思っております。

 ですから、今回の不招請勧誘のように、不招請勧誘、これは僕は禁止すべきだと思います。やはり、元本を割り込んで、さらに大きく損が出る商品というのは、買いにいらっしゃる方しか売ってはいけない。こちらの方からむやみやたらに売りに行くのはいかがなものかなと思います。

 今回、取引所内取引のクレーム数が減っていて取引所外取引がふえているというのは、私が推察するに、営業マンは同じだと思うんです。これまで取引所内取引で外務員をしていた人が、そこで食えないからこちらの方の、海外の先物とか店頭の取引の方に移っていったということで、実態は変わっていないと思うんですよ。

 先ほど下条委員の方から質問が何点かありました。これから、要は会社がなくなってしまうかもしれない、あるいは規制を強化するかもしれないから、駆け込み的に、悪いことを承知で販売をして、強引に損をさせるという取引が横行するリスクが高いかなと思っているんです。その点について、政府参考人の方から御決意、あるいはどのようにそれを取り締まっていくのか、聞かせていただければありがたいんですけれども。

    〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕

大下政府参考人 議員御指摘ございましたけれども、今回の法律改正によりまして、海外先物取引の部分と取引所外取引について新たに許可制が導入されるということでございますので、今許可がないままで営業している人たちは、許可がないと営業ができなくなるということでございます。そこで、悪いことをして、許可制が入るまでに稼ぐだけ稼いじゃおうというよからぬやつが出てはいけないという御指摘かというふうに思います。

 そこの部分につきましては、現行の法律の中で、我々、しっかり立入検査、処分を行うことによって、そういったことを許さないということで努めてまいりたいというふうに考えております。

大島(敦)委員 先ほど御指摘がありましたとおり、恐らく人数も大分少ないかなと思うんですけれども、本当に損する人が出ないように、ぜひお願いをいたします。

 そして、大臣には、結構営業にも商品によって大分特性がありまして、今回の先物のようなものは本当に厳格に禁止をした方がいいと僕は思うんですけれども、ちなみに保険商品でも、生命保険のように、商品の特性柄、健康な人にも入っていただかなければいけない商品は結構営業が強くなるわけです。損害保険のように、要は、自動車を買ったら自動的に皆さん買いに行かれる商品は、余り営業が、弱くなるわけですよ。ですから、商品によってそれぞれ営業の特性があるものですから、その点も加味しながら、今後、消費者行政の中で、悪いところはしっかりと取り締まっていただければいいのかなと考えているんです。

 それで、農水省に伺いたいんですけれども、おととい見に行ってきたんですよ、東京穀物商品取引所と東京工業品取引所。午前中なんですけれども、二つとも見に行きました。東京穀物商品取引所なんですけれども、売買の仕方が二種類あると伺ったんです。一つは、何か午前中三時間でも、一時間ごとに一節、二節、三節といって、その節ごとにそれぞれ取引が行われる。もう一つが、ずっと場が立っていてというのがあったんですけれども、その点についてもう少し詳しく教えていただけるとありがたいんですけれども。

平尾政府参考人 委員御指摘のとおり、穀物取引所におきましては、いわゆる板寄せといって、一定の時間に売り手と買い手、その参加者が取引をするという手法があります。もう一つは、ずっと売り手、買い手の取引が随時出てくるざらば取引というのがあるわけでございます。

 もともと穀物取引所は板寄せを中心にやっておりまして、これは、ある意味では、一挙に取引関係者が売りと買いの情報を持ち寄って取引を成立させるということですから、非常に効率がいいというふうなことがあります。また、取引が小さいものについては非常に適切に対応できる。一方、取引量が多かったり、あるいは海外の状況は、株もそうですけれども、ずっと開いていて、どんどん状況を見て入ってくるというふうなことですから、国際的にはざらばというのが一般的になっておるわけでございます。

 今、穀物商品取引所の方は、今後この取引形態についても、工業品取引所とのシステムの統合化というのも検討しておりますし、そういう意味では、今後国際的な対応ができるようにしていこうというふうに検討を進めているところでございます。

大島(敦)委員 東京工業品取引所は数年前にシステムを変える決定をして、大臣も御承知のとおり、五月から新しい世界標準のシステムが、おくればせながらなんだけれども、しっかり築いて運用され始めているわけなんです。

 それで、東京穀物商品取引所なんですけれども、取引所の特性があって対応がおくれたかなと自分は理解しました。やはり、会員会社が集まって取引所をつくっているものですから、そこの経営者というのは、商工会議所とかあるいは商工会の会頭なり会長さんと同じように、それぞれの会社の、要はメンバーの意思を聞かないと、なかなか改革というのかな、対応がとれなかったという実態があると思うんです。ですから、この東京穀物商品取引所は、そのためにワンテンポ、ツーテンポ、スリーテンポぐらいおくれたのかなと思っているのが一点。

 もう一つ、今回、不招請勧誘を禁止することは、厳格に禁止した方がいいと思っているのです。これは、先ほど言った、要は消費者の側の御迷惑あるいは損失を防止することはあるんですけれども、そのことによって、洗練された商売をやっていらっしゃる、この会社のことを商品取引員というんですか、ここしか残らないと思うので、そのことによって大分進んでいくのかなと思うんですよ。

 ただ、この穀物商品取引所を見た自分の感想としては、結構厳しいですよ。先ほど近藤先生の答弁に、三年後黒字化すると言ったけれども、これは相当厳しいと思うのです。先ほど言った板寄せというのは、あくまで日本独特な商慣習じゃないですか。こちらのざらばの方は、ほとんど場が立っていないじゃないですか。要は、もともと板寄せという日本独特な商慣習の取引しか東京穀物商品取引所は行っていなくて、ざらばという海外で通常行われている取引がほとんどゼロに近いわけですね。だから、このままこれが進んでいくと、恐らく、よく言われているガラパゴス化した市場として、非常に小さく残ることはあっても大きく残ることはないと思うわけです。やはり、この東京穀物商品取引所が必要かどうかと思うと、必要だと自分は思うんですよ。これは、各取引所においての商品の多様性も必要だし、あるいは取引所の多様性も必要なわけですよ。

 この場でも、皆さんが原油のお話を大分されましたよね。原油、去年大分暴騰したと。これは、市場が多様化しなかったから、本来であれば、先物取引としての価格の安定性が崩れたと思ったのです。市場が機能していなかったわけですよね。要は、それは、WTI、ウエスト・テキサス・インターミディエートの油種を扱っているニューヨークの市場がほとんど油の値段を決めていて、ドバイなり北海なり、それにとも連れで決まるということだけの話だったから、一つの市場しかないから、そこの市場に、これはロボットトレーディングというんですか、コンピューターのプログラム、アルゴリズムによって暴走が始まると、そこに金が集中的に入ってきて暴騰したということで、これは市場の多様性が機能しなかったことというのが去年の反省だと思うんです。

 ですから、これからやることは、穀物の商品取引所においてある程度、僕は、おとといの自分が受けた印象は、ここの市場は国の意思がないと多分なくなると思います。それで、農産物だから、多分規制がたくさんあって、なかなか扱えない商品が多かったりもするとは思うんです。だから、トウモロコシとか大豆とかというのは余り規制がないと聞いていて、自由に売り買いできる。日本のマーケットだと、大豆の中でも遺伝子組み換えをしていない大豆は非常に特殊な大豆としても商品として位置づけられたりして、その特殊性もあるわけですよね。ですから、ここの穀物商品取引所について、現状のざらば取引にある程度移行せざるを得ないのかなと思っています。

 そのときに、一緒にやることが本当に正しいかどうか。一緒に今やろうとしているわけですよ、この二つの取引を。ひょっとしたら分けた方がスムーズにいくのかなと僕は思うんだけれども、その点について考えがあったらお聞かせください。

平尾政府参考人 委員御指摘のこの二つの取引手法については、非常に悩ましい問題でございます。

 今まさに委員から御指摘がありましたように、これは工業品取引所も同じでございますけれども、取引量が非常に少なくなって、そういう中で、コストをかけないでやるというふうなことを今やらなきゃいけないという前提になっております。

 そういう意味では、幾つかの商品はやはり板寄せでやった方がいいというのがあります。一方、今後将来、東京穀物商品取引所が、国内の実需者、当業者のニーズにこたえて、あるいは投資家のニーズにもこたえて、将来はそれがきちっとした国内のニーズを受けて機能を発揮し、さらには国際的にも一つの価格形成の場としてのプレゼンスを確立できるということのためには、やはり海外からのいろいろな投資家、利用者のニーズにもこたえていくというふうなことをにらんだ対応が必要だと私どもも思っておりますし、穀物商品取引所もそういう認識で今改革に取り組んでいるわけでございます。

 そういう意味では、御指摘のありました組織形態についても、意思決定の迅速化とかあるいはガバナンスの強化というふうなことで株式会社化というのを今検討しておりますし、年内にはそういう方向で整備するということでございます。

 システムについても、これは東京工業品取引所とのシステムの統合というのを今スケジュールを決めて取り組んでおりますので、今経営状況が非常に厳しいわけでございますけれども、それとの両にらみをしながら、しっかり期待される機能が果たされるように着実に取り組んでいただきたいと思っております。

大島(敦)委員 二階大臣、もしもこの東京穀物商品取引所の穀物を生かそうとすると、今の工業品の取引所のシステムは対応可能だと僕は聞いたわけなんですよ。新しく入れた工業品の取引所のシステムというのは、これはざらば取引であれば要は可能だと聞いていまして、極端な話、こちらの今の穀物の商品取引所は極めて国内で大切な実物が動いて、いい大豆とかいいトウモロコシがやりとりされていますから、これは日本の独特な商品取引所として残すという道もあるかもしれないなと。

 グローバル、要は、日本国として考えれば多くのプレーヤーに参入してもらった方がいいわけですから、工業品の取引所の中で穀物を扱っても構わないのかなというぐらいのことが僕は必要かなとは思うんです。競争させることが必要だと思うわけです。やはり、三年間じゃなくて、ことし行って来年ぐらいで始末しておかないと取り残されるかなと思うんです。

 もう一つは、先ほど政府参考人もおっしゃっていた営業というやつなんですよ。これまでは、個人の方には、特に高齢者を中心にたくさん営業しに行ったんだけれども、機関投資家とか、要はマーケットを使ってくれる人に対する営業というのは、ほとんど穀物の方はしていなかったんじゃないですか。そういう理解でいいでしょうか。

平尾政府参考人 委員御指摘のとおり、取引所という場を提供しているという性格上、どうしてもそこ自体へは余り営業していなかったということでございます。

 御指摘のように、当業者が基本でございますから、当業者に対する営業を今回強化するというふうなことで、組織も見直して、今鋭意取り組んでいるという状況でございます。

大島(敦)委員 組織の見直しとともに、要は、新しいシステムを入れたり新しい体制をつくったら、そこの自分のところの取引所を利用していただく。商社の方もいらっしゃる、あるいは機関投資家の方、あるいは自分で多くの金を運用されている方も世界じゅうにいらっしゃるわけですから、そこに全部営業をかけて、できるだけ使ってもらうとともに、要は使いやすいマーケットにしなければいけない。

 多分、工業品についても、あるいは穀物についても、要は、営業の用語だとファクトファインディングというんですけれども、相手が何を求めているかについて一切今までスタディーしなかったから、このようにガラパゴス化した取引所として残ってきたのかなと自分は思っているんですよ。ですから、今後どういうふうな方向でやっていくのか、工業品の取引所を所管している政府参考人にも聞きたいんですけれども、大臣の方に最後に一問だけさせてください。

 今後、日本の商品先物市場の育成というのは必要だと思うんですよ、大臣。これは本当に政府がしっかりと意識を持ってやっていかないと、多分残らないかなと思うんです。ですから、その点について、最後に大臣の御見解を伺わせていただければ幸いと存じます。

    〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕

二階国務大臣 私どもとしては、ただいままでたくさんの御意見をちょうだいいたしております。商品取引所というものを、今回この法律を御審議いただいておりますが、この御審議を通じてちょうだいした各党からの御意見、一々もっともだという点がたくさんあるわけであります。

 加えて、この問題に対しては、御案内のとおり、金融庁、農林水産省、そして私どもが連携して対応しているわけでありますが、他の閣僚にも御相談を申し上げ、こうした御意見をちょうだいしたことを踏まえて、改めて、国際的な場で日本の商品取引所が活躍できるような場を求めて、努力をしてみたいというふうに思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

東委員長 これにて大島敦君の質疑は終わりました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、最初に政府参考人の方に伺っておきたいというふうに思います。

 市場参加者の構成を国際比較すると、ロンドン金属取引所は一〇〇%当業者間取引ですね。それから、ニューヨーク商業取引所、シカゴ商品取引所でも、当業者と機関投資家がそれぞれ四〇%余りで、合わせて大体八〇%ぐらい、つまり個人投資家は二割以下ですね。ところが、東京工業品取引所では個人投資家が五五%、東京穀物取引所では七〇%が個人投資家で、当業者が二割以下。

 海外の市場が当業者と機関投資家などプロ中心の市場であるのに対して、日本では、言ってみれば素人が中心になった市場のために、リスクヘッジ機能や公正な価格形成機能を十分発揮できない、そういう状況にあるのではないかと思いますが、伺っておきます。

大下政府参考人 プロ、アマの区分、あるいは個人投資家の参加している比率ということで御質問がございました。

 プロ、アマの区分につきましては、国ごとに区分に相違がありますので、一概に比較することは難しい面がございますので概数でのお答えになりますけれども、取引所参加者のうち個人投資家等が占める割合は、取引枚数ベースで考えますと、東京工業品取引所においては四割前後、それからニューヨーク商品取引所、シカゴ商品取引所等においては一割前後だというふうに理解をいたしております。

吉井委員 要するに、素人の参加で、本来的なリスクヘッジとか、あるいは公正な価格の形成という機能がなかなかうまくいかないという問題がありますが、この素人の参加について、ちょっと別な角度から聞いておきたいんです。

 例えば、政府参考人に伺っておきたいんですが、次の三つの言葉でいいんですけれども、上げこじれ、頭重し、あんをつける、これは素人にわかると思いますか。

大下政府参考人 議員御指摘の言葉は、素人の方には理解していただくのが難しいというふうに思います。

吉井委員 業界用語なんですね。これは商品取引所の用語集などでは紹介されていて、実際にやっている方たちは頭に大分入っていると思うんですね。あなたでもなかなかこれを、何の意味かわかるかと聞かれたら、説明するのに困りはると思うんですが、業界用語もわからないまま素人が先物取引に参入するなどというのは、非常に危ない話だと思うんです。それなのに、現在、店頭で届け出業者として市民から出資させ、海外商品取引所で取引したり、市場外取引の形で素人の先物取引ができるというのが現状ではないかと思いますが、どうですか。

大下政府参考人 特に、御指摘ございました海外先物取引それから店頭市場においては、一般委託者に対する被害が続発しているというふうに認識いたしております。

吉井委員 それで、前回も議論しましたけれども、これは大臣にちょっと伺っておこうと思うんですけれども、先物取引というのは、リスクヘッジとか公正な価格形成という大事な意味があるわけですね。しかし、もともとヘッジ等の必要性がない一般消費者が相対で業者と、建て玉制限なし、証拠金、低いとか事実上なしの店頭商品デリバティブ取引を行う経済合理性というものはほとんどないと思うんですね。

 特に、レートの選択など、その商品設計が業者の意のままであり、一般消費者の側からすると、みずからの利益を守れる環境にない分野、情報の非対称性というものがありますが、言ってみればただ純粋に賭博をするだけということになってきますから、素人には大変危険な取引であり、やはりこれは、素人の方に、一般消費者に損失が生まれないように、消費者保護という立場から、大臣としてきちっと対処されることが必要ではないかと思うんですが、お考えを伺っておきます。

寺坂政府参考人 商品先物市場の本来的機能は、御指摘のとおりでございまして、商品の需給状況あるいは将来の動向に関する見通しなどを踏まえまして、目安となる商品の公正な価格が形成され、それから事業者がリスクのヘッジ取引、こういったことを可能にすることにあるというふうに考えております。そういうことでございます。

 一方、ハイリスク・ハイリターンの取引を選好される個人という方もいらっしゃることはまた事実でございまして、そういった方が資産運用の手段として自発的に取引を行うことについてまで否定することは適当ではないというふうに考えておるところでございます。それから、個人を含めました多様な参加者がその保有する情報に基づきまして取引に参加し、取引が一方向の売買に偏ることなく多様に行われる、いわば市場に厚みを与える、そういう意味合いにおきまして、公正な価格形成に資する面もあるというふうには考えております。

 ただ、御指摘のとおり、一般個人にとりましてはリスクが高い取引である、そういう側面を有していることも事実でありますので、現に、適合性の原則、あるいは再勧誘の禁止、そういったものが取引所取引についてございますけれども、新たに、顧客からの要請なく一方的に勧誘を行いますいわゆる不招請勧誘の禁止規定を導入、それで具体的に対象を指定する、そういったことによりまして委託者保護の強化には努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

吉井委員 店頭取引が賭博、のみ行為に当たらないのは、これは法律で認められているからなんですね。

 アメリカのOTC、店頭取引市場で見てみますと、ヘッジファンドが投資銀行のディーラーに電話して売買をする、こういう形で、取引所に行かない取引が今急増していますね、いろいろな問題を起こしたわけですけれども。先物取引所とかかわりなく取引し、投資銀行がそういうやり方で九〇%実質的に支配しているというのが、先物取引に対する投資銀行の支配という、現実にOTCに見られる実態です。ですから、店頭商品デリバティブ取引について、参入業者の許可制と無許可営業の取り締まりの強化というものがやはり必要だと思うんですね。

 私的差金決済取引は賭博罪等の構成要件に該当するものであり、これを野放しにすれば、さきのロコ・ロンドンまがい取引など、悪徳業者を野放しにしかねないという問題が出てきます。ですから、建て玉制限、値幅制限をし、また店頭で届け出業者として市民から出資させて、海外商品取引所で取引することは禁止すると。

 ロコ・ロンドンの場合は特商法でしか規制できなかったわけですが、要するに、素人には参入させない、そして証拠金を高くして、証拠金に対する取引の比率を下げる、こういうふうなことで賭博行為規制を強めないと、のみ行為でエンロン・ループホールをつくってしまうのではないか、こういう問題が出てくると思うんですが、この点についてのお考えを聞いておきます。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 店頭取引に関しましては、今回、許可制を導入することによりまして、参入規制を導入し、あわせまして行為規制、そういったものの徹底をしていくということでございますし、あわせて、るる申し上げておりますように、不招請勧誘の禁止規定についても導入をする、そういう方針であるということでございます。

 そうした中で、今、のみ行為というお話がございましたけれども、現在、法律でいわゆるのみ行為の禁止規定がございます。のみ行為の禁止規定に関しましては、商品取引員、商品取引会社が取引の委託を受けたときに、その委託に係ります商品市場における取引などをしないで、自己がその相手方となって取引をさせる、これをいわゆるのみ行為と呼んでおるわけでございます。

 これは、商品市場への取引を委託者の注文どおりにつながない、そういったことによります弊害を防止する観点から禁止規定を設けているわけでございます。これはのみ行為でございますので、本来的な二者間の相対取引、そういった場合ではなくて、注文あるいは委託を受けてこれをつなぐといいますか取引する、そういう取引所における取引を前提にした行為でありますので、店頭商品デリバティブ取引において、今申し上げましたような意味でののみ行為というものが該当することは想定されないのではないかというふうに考えてございます。

吉井委員 店頭商品先物取引、商品デリバティブなど、取引所外取引、海外先物取引、海外先物まがい取引等を許可制それから届け出制など規制の対象にするということについては前進面だというふうに思うわけですが、しかし、レートの選択など、商品設計が業者の意のままなんですね。一般消費者がみずからの利益を守れる環境にないため、損害を受ける可能性が非常に高い。また、取引所外取引というのは必ずしも取引所とリンクしていないわけですし、証拠金や建て玉制限などの規制がないため、金融市場のヘッジのための投機マネーが資産運用目的で投入され、商品市場を攪乱させる要因になりかねないという問題があると思います。

 素人の一般市民が投機マネーの資金源にされているという状況を見ると、けさほども他の方から御質問もありましたが、個人投資家の損益状況を見ると、利益者が三三%で損失者が六七%という状態ですね。一人当たり損失額でいくと二百五十三万円。被害、トラブルの六割が不招請勧誘であり、商品取引所商品でも依然として一千件弱の被害が今存在しています。

 それで、プロの口座数がどうかというのを見てみると、年間を通して余り変わらないですね。少しふえておりますが、その入れかわりは大体二割ぐらい。しかし、一般個人の口座数は、二〇〇六年から七年にかけて減少しているだけでなくて、新規参入者が六割近い。つまり、多くの人が、一年目はもうけさせてもらって、続けていると大損をして、そしてやめていく。新しく参入することによって減った分が埋め合わせされるといいますか、今はそういう傾向が見られるのではないですか。

寺坂政府参考人 取引への参加あるいは退出、口座数の増減ということで今御指摘があったわけでございます。

 最近時点におきましては、商品取引員、商品取引会社の統廃合とか廃業とか、そういったものがあって、そのことが自動的に口座数の減少、あるいは移った場合に増加とか、そういった要素が一部あることはあると思いますけれども、いずれにいたしましても、取引をおやめになる、あるいは新たに取引に入る、そういう変換がかなり大きい部分あるということについては、そういう要素があると考えております。

 それで、個人についての商品先物市場への参画の仕方、あるいはその保護のあり方、さまざま御議論あるいは御指摘をいただいてきたわけでございますけれども、繰り返しになりますけれども、新たに、店頭商品先物取引あるいは海外先物取引に関しましては許可制を導入、そういう参入規制を導入いたしまして、今まではどういう人がどういうふうにやっているのかというのが十分に把握できる体制になっていなかったわけでございますけれども、これで、だれが業者としてやっていくのかということがわかるわけでございますし、許可に当たってのいろいろな審査というものも進めていくわけでございます。

 そういった参入規制の導入、それに伴います行為規制の導入、それから新たに不招請勧誘の禁止規定の導入といったことによりまして、個人の委託者の方が意に反して契約をしたり、あるいは被害に遭ったり、そういったものがこれからなくなるといった効果があるのではないかというふうに考えておるところでございます。

 いずれにいたしましても、そういうトラブルの実態といったものにつきましてはしっかり監視をしてまいりたいというふうに考えてございます。

吉井委員 今もお話があったように、要するに利益を出した人より損失を出した人が多くて、損失が出るものですからどんどん変わっているんですよ、素人の場合。プロの場合は、ふえ方はわずかであっても、そんなに入れかわりはないわけですよ。

 そこは認められたわけですが、三百四十九条で特定店頭商品デリバティブ取引業者が法律で認められていることから、この業者と商品先物取引業者とが、三百二十九条で、相場による賭博行為の禁止から除外されていますね。刑法の賭博罪に当たらないとしているわけです。しかし、私的差金決済取引というのは賭博罪等の構成要件に該当する行為ですから、やはり当業者をベースにしたリスクヘッジ機能など、プロ同士の取引のみに限定して、一般消費者が巻き込まれて被害を受ける事態はなくす。

 それで、大臣も大分やりとりを聞いてもらったんですけれども、一般消費者が巻き込まれて被害を受ける事態をなくすということについて、やはりきちんとしなきゃならぬと思うんですが、これは大臣に伺っておきたいと思うんです。

二階国務大臣 一般個人がトラブルに巻き込まれることはまことに残念なことであり、また、この業を所管する経済産業省としては、今後十分意を用いていかなくてはならないというふうに思っております。

 つまり、顧客の要請がなくて一方的に勧誘を行ういわゆる不招請勧誘を禁止する規定ということを今回は設けるわけでありますが、私は、こうしたことの徹底が必要だというふうに考えております。一般個人を相手方とする被害は抜本的に解消していくべく努力をしてまいりたいと思っております。

吉井委員 その不招請勧誘の禁止について、政令で指定するということにしていますね。当面は店頭デリバティブのみを検討しているようですが、被害が急増している海外商品先物取引、海外先物オプション取引についてもやはり早急に実施すべきだと思いますし、さきの金融商品法改正で、店頭外国為替証拠金取引について不招請勧誘の禁止が行われ、悪質な業者が淘汰され、苦情、被害件数は減少しています。

 ですから、最低限として店頭取引は不招請勧誘を禁止すべきではないかと思うんですが、この点、どうですか。

寺坂政府参考人 いわゆる不招請勧誘の禁止規定の対象でございます。

 一般個人を相手方とする場合には、すべての取引所外取引、それから取引所取引につきましても、初めの投資金額以上の損失の発生を防ぐ仕組みとなっております取引以外のものを政令で指定し、その対象とする方針であります。こうした措置によりまして、一般個人を相手方とする被害は抜本的に解消していくものと考えているところでございます。

吉井委員 時間が大体来たようです。

 これは何しろこれだけあるものですから、やはり逐条的にきちんとやらないと国会の審議になりませんから、本来はさらに審議を続けるべきである、このことを申し上げまして、時間が来たということですから、質問を終わります。

東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。

 反対理由の第一は、本法案が、金融の証券化、金融商品に係る規制緩和の破綻が世界的に明白になったにもかかわらず、逆に、規制緩和の流れを加速させるために、商品取引所と金融商品取引所との相互乗り入れにより、経済の投機化を促進するからです。

 昨年のリーマン・ショック、金融危機の勃発は、瞬く間に経済金融危機に発展しました。この危機の根本には、銀行と証券の分離を定めたグラス・スティーガル法の撤廃によって金融コングロマリット化とハイレバレッジのビジネスモデルを推し進めてきたカジノ資本主義の破綻がありました。

 欧米諸国では、これらの問題への一定の反省から、金融・商品デリバティブ市場の監督と規制強化に向かいつつあります。ところが、日本政府とメガバンクは、世界の潮流とは周回おくれで、株式や債券の金融デリバティブからコモディティーデリバティブまでのフルラインの品ぞろえにより、商品先物市場の金融商品化を通じて投機マネーの流入を呼び込もうとしています。本法案はその一つであります。

 食料とエネルギーを投機の対象とするべきではありません。日常生活に欠かせない商品価格の乱高下によって人間生活の基盤を侵害することの犯罪性は、昨年の原油、穀物価格の高騰を見れば明白です。

 第二は、海外先物相場への規制の抜け穴を防ぐ一方で、これまで当業者間に限られていた店頭取引を一般消費者にまで拡大させる規制緩和が国民を一層投機に駆り立て、先物被害を増加させることになるからです。

 そもそも先物取引は、極めて投機性が高く、専門的知識や経験を必要とすることから、一般投資家には不向きな取引です。先物相場を利用した差金目的の店頭デリバティブ取引を合法化することは、まさに賭博の解禁であります。社会的に容認される厳格なルールのもとで、かつ、当業者、専門家のみに限定されるべきであります。

 我が国の商品先物市場は、当業者主義の徹底がなされておらず、参加者のほとんどが一般投資家という、諸外国にも例を見ないいびつな構造です。たとえ店頭先物取引規制、不招請勧誘禁止ルールの導入など委託者保護策を一定程度改善したとしても、異常な構造そのものを改善しなければ先物被害は根絶できません。

 このことを指摘して、反対討論を終わります。

東委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、中野正志君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。大島敦君。

大島(敦)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    商品取引所法及び商品投資に係る事業の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じるべきである。

 一 商品先物取引に関する契約の締結の勧誘を要請していない顧客に対し、一方的に訪問し、又は電話をかけて勧誘することを意味する「不招請勧誘」の禁止については、当面、一般個人を相手方とする全ての店頭取引及び初期の投資以上の損失が発生する可能性のある取引所取引を政令指定の対象とすること。さらに、施行後一年以内を目処に、規制の効果及び被害の実態等に照らして政令指定の対象等を見直すものとし、必要に応じて、時機を失することなく一般個人を相手方とする取引全てに対象範囲を拡大すること。

   なお、商品先物取引の経験のない個人や、理解が不十分になりやすい高齢者などが勧誘された時、取引の初期段階に被害を受けやすい近年の状況を踏まえ、廃業を前提とした駆け込み的な、悪質で強引な勧誘(特に取引の初期段階においては電話勧誘など)から一般個人を保護するよう、立入検査、処分等を含め迅速かつ厳正な法執行を行うこと。

 二 国際競争力強化の観点から、国内商品取引所の経営努力を一層促すとともに、多様な商品取引を一元的に行いうる仕組み(クロスマーケット)の導入など市場の魅力を総合的に高めるよう、引き続き努力を払うこと。また、我が国においては、現状では商品、証券及び金融商品それぞれについて別々の清算機構(クリアリングハウス)が設置されているが、今後、国際的な動向に照らし、海外の「プロ」事業者の日本市場への参入を促すためにも、商品・証券・金融の縦割りの構造を取り払った共通清算方式の導入を促すなど、取引所の更なる統合等も視野に入れつつ、市場横断的な利用者に対する利便性向上に努めること。

 三 実需からかけはなれた価格形成により、我が国中小企業などの事業者の経営に悪影響が及ぶことのないよう、健全な取引市場の機能確保に万全を期するとともに、国際的な監視体制の強化に適切に対応しうるよう、農林水産省及び経済産業省は連携の在り方にさらに検討を加えつつ、管理・監督体制の充実を図ること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、二階経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。二階経済産業大臣。

二階国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、これら法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

東委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

東委員長 次に、内閣提出、商店街の活性化のための地域住民の需要に応じた事業活動の促進に関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。二階経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 商店街の活性化のための地域住民の需要に応じた事業活動の促進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

二階国務大臣 商店街の活性化のための地域住民の需要に応じた事業活動の促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 昨今、商店街は、市場競争の激化や消費者ニーズの多様化が進む中で、後継者不足などの構造的な課題を抱えており、加えて、最近の景気後退に伴う消費の冷え込みにも直面し、非常に厳しい環境下にあります。一方で、地域に根差した、住民の交流を促すにぎわいの場でもある商店街に対しては、子育てや高齢者の生活を支えるなど、地域住民のニーズに応じた活動を行うことで、住民の生活の利便性を向上させるとともに、地域コミュニティーを維持発展させることが期待されています。

 こうした状況を踏まえ、意欲ある商店街が地域住民の生活の利便性を向上させるために取り組む事業活動に対して支援を強化することにより、商店街への来訪者を増加させ、それにより商店街の活性化を図ることを目的として、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、商店街が行う、地域住民のためのサービスの提供やイベントの実施などの事業を支援します。商店街振興組合や事業協同組合等が作成する事業計画を認定し、無利子融資などの法律による支援のほか、予算措置や税制措置も含めて、資金調達を総合的に支援します。また、組合員等の個々の商店主に対しても、認定された計画のもとで行う、地域住民のための事業に必要となる設備を導入するための資金について、無利子融資枠を拡大するなどの支援を行います。

 第二に、これらの事業に対する市町村の支援を促進することで、商店街が地方公共団体と協力して地域コミュニティーの機能を向上させるように促します。そのために、これらの事業に必要な資金を商店街振興組合等に貸し付ける市町村に対し、独立行政法人中小企業基盤整備機構が資金の一部を貸し付けることができるようにします。

 第三に、後継者不足等を解決するため、商店街の担い手を育成します。そのため、商店街の人材育成を国の責務として法律上に規定し、全国商店街振興組合連合会や全国商工会連合会等と連携して、積極的な支援を行います。また、関係省庁で連絡会議を開催するなど連携を強化し、商店街等が支援策を利用しやすい環境を整備します。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

 以上です。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十三分散会


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