衆議院

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第11号 平成22年5月18日(火曜日)

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平成二十二年五月十八日(火曜日)

    午前十時四分開議

 出席委員

   委員長 東  祥三君

   理事 柿沼 正明君 理事 北神 圭朗君

   理事 杉本かずみ君 理事 三谷 光男君

   理事 吉田おさむ君 理事 塩崎 恭久君

   理事 平  将明君 理事 佐藤 茂樹君

      相原 史乃君    稲富 修二君

      太田 和美君    笠原多見子君

      金森  正君    川口  博君

      木村たけつか君    近藤 洋介君

      斉木 武志君    柴橋 正直君

      白石 洋一君    田嶋  要君

      平  智之君    高松 和夫君

      高邑  勉君    長尾  敬君

      花咲 宏基君    藤田 大助君

      松岡 広隆君    向山 好一君

      山本 剛正君    柚木 道義君

      梶山 弘志君    近藤三津枝君

      塩谷  立君    高市 早苗君

      永岡 桂子君    西野あきら君

      額賀福志郎君    江田 康幸君

      吉井 英勝君    園田 博之君

      与謝野 馨君

    …………………………………

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   経済産業副大臣      増子 輝彦君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   財務大臣政務官      大串 博志君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  森山 浩行君     長尾  敬君

  柚木 道義君     相原 史乃君

  園田 博之君     与謝野 馨君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     柚木 道義君

  長尾  敬君     森山 浩行君

  与謝野 馨君     園田 博之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)

 エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案について


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案について発言を求められております。

 これより順次発言を許します。平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは補充質疑と態度の確認ということで、前回、自民党、公明党欠席の中で採決がされました。残念に思います。

 それでは、法案について質問してまいりたいと思いますが、本日、資料を二枚配らせていただいております。経産省のつくった資料でありますので、これをベースにお話をさせていただきたいと思います。

 まずは、今回、一枚目でありますけれども、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案の一つの柱である、この左側の「株式会社日本政策金融公庫による低利・長期資金供給(ツーステップローン)」というのがございますが、これを見ると、大企業に対する貸し付けを政府系金融機関が行っていくという仕組みになっております。

 自公政権のときには、政府系金融機関の改革に取り組んでまいりまして、政府系金融機関は民間がリスクをとり切れないところをカバーする、そういった役割をすべきではないか。なかなか民間の金融機関がリスクをとり切れない中小企業の分野であるとか、例えばサブプライムローンも含めて金融が混乱をしたときのセーフティーネットであるとか、そういったところを政府系金融機関はやって、そして、できるだけ民業を圧迫しない、縮小していく、そういった方針であったかと思いますけれども、ゆうちょ銀行の件とか、このツーステップローンとかを見ると、どうもそういった方向性もしくは基本的な方針ということが今の政権では変わっているのかなと思います。

 その辺の基本的な政府系金融機関の役割についての現政権の方向性やビジョンについて変更があるのか、お伺いをしたいと思います。これは、政府の方、どなたでも結構でございます。

泉大臣政務官 御質問、ありがとうございます。

 現政権において、例えばこれまでの政権と比べて大きく政策金融のあり方について位置づけが変わったということではありません。基本的に、今委員おっしゃったように、民業補完の位置づけという中で機能を発揮していくということであります。

 ただ、経済の危機的な状況等々がありまして、昨年の十二月八日の緊急経済対策の中でももちろん、これまでどおりのきめ細やかなセーフティーネット貸し付けの中での政策金融の役割ということと、中堅・大企業の資金繰り対策というものを別の項で設けております。やはり日本政策投資銀行等による危機対応業務の延長等ということですとかをしっかりとやらせていただくことが日本経済全体の信頼にもなるということで取り組ませていただいているところでありまして、そういった事情を御理解いただければというふうに思っています。

 ただ、繰り返しになりますが、基本的には、役割、位置づけは変わっていないということであります。

平(将)委員 役割は変わっていないということですが、民業を圧迫しないと。

 今お話があったのは、危機対応の部分で、中堅・大企業に対しても対応していくんだという方向は示しているという発言かと思いますが、これは危機対応なんでしょうか、今回のスキームは。

泉大臣政務官 済みません、多少説明不足だったかもしれませんが、そのほかにも、やはり海外展開事業ですとか、そういったところにも視点を当てて、日本がより官民挙げて海外に対して事業を展開できるようにということを今戦略として取り組んでいる。そういう中には、環境分野ですとかというのは入ってくるのかなというふうに考えております。

平(将)委員 今回のスキームは、海外展開事業に当たるんでしょうか。

直嶋国務大臣 今回の措置は、今も議論がありましたが、さきの政策金融改革において、政策金融は民業補完に徹し、必要なものに限定する等の考え方に基づいて実施をされているわけでございます。特に、大企業、中堅企業向け融資は、民間市場の発達を背景に、原則として政策金融から撤退するものとされたところでございます。

 今回のものは、海外が対象ではないということでございまして、今申し上げたようなことなんですが、その一方で、一つは、エネルギー環境適合製品の開発、製造の事業は、我が国にとって経済成長と雇用創出に貢献するという意味で極めて重要であるということ、また、現在の民間金融市場では、大企業であっても、本制度の対象となるような大規模かつ長期の資金調達は必ずしも容易ではないというのが現状でございます。

 このような状況を踏まえまして、本制度においては、政策金融改革の趣旨に沿い、民業補完を図りつつ、経済成長戦略の一つとして政策的要請にこたえるために創設されるものであるということでございます。

平(将)委員 細かいリスクの話はこれから具体的にやっていきたいと思いますが、少なくとも、政府の見解を教えてくれという質問に対して、泉内閣府大臣政務官は、危機対応もしくは海外展開等を考えていると。今、大臣はどちらでもないという話ですね。だから、政府の方針とやっていることが違うんじゃないですか。

 それと、今の話を聞けば、民間がリスクをとれないから政府がやるというのはわかりますよ、後で細かいスキームはやりますけれども。そんなにリスクをとっていないじゃないですか。

 まず、ちょっと大臣の前に泉さん、危機対応、海外展開事業とか、そういう基本的な公的金融の立ち位置は変わっていない、方針は変わっていないということだけれども、その中で、サブプライムの問題もありましたが、当然、それは危機対応をやるべきだと私も思います。また、海外展開に行くときに、もうちょっとリスクが高くて、これはどうしても民間金融機関ではできないというところに、政府がある方針を示して決断をして、リスクをとるというのは私はありだと思いますよ。しかしながら、その大きな政府の方針を泉さんが説明されて、今の大臣の話だと食い違っているんじゃないですか。そんなにリスクをとっていないじゃないですか。

 具体的に聞きますよ。どうなんですか、その辺は。大臣政務官ですけれども、一応、政府を代表して聞いているんですからね。泉さん、お願いします。

泉大臣政務官 私の方で緊急経済対策の中身を説明させていただいて、今回のこの低炭素投資促進の……(平(将)委員「そう、ツーステップローンの」と呼ぶ)このツーステップローンの話ですね。

 緊急経済対策の方にも、海外展開の中でのツーステップローンということは、文字としては書かせていただいているわけですけれども、この事業においては、国内の中小企業の皆さんが、先ほど大臣がおっしゃったような、さまざまな技術は持っているということを踏まえて、それが将来大きく広がる可能性があるというつながりの中で支援をしているという理解だと思います。

平(将)委員 確かに、今後大きな広がりを持つだろう、成長分野だろう、それは重要だというのはわかります。しかしながら、泉さんがおっしゃっているのは、民業を圧迫しない、民間がリスクをとれないからそれを補完するところはやるという基本的立場は変わっていないと。いいですね。

 そういう中で、しかしながら、さっきも言ったような、リーマン・ブラザーズみたいなことが起きたり、急な信用収縮が起きたりするから、セーフティーネットとしてやります、これはわかります。さらには海外展開、これももしかしたら、大企業はどうかわからないけれども、リスクが高いかもしれないから、それはツーステップローンという形でやります、それはわかりましたよ。でも、大臣は、これは海外展開の場合じゃないと言っているんですよ。海外展開じゃないんでしょう、これ。

 だから、政務官が言っていることと大臣が言っていることが違うんですよ。政府の方針の範囲におさまっているということでいいんですか。それはなぜ、いやいや、ちょっと待ってくださいよ。そんな、だめですよ、逃げては。政府を代表して聞いているんだから。

 政府系金融機関の基本的な立ち位置と、その中でこれは許容範囲なのかどうなのか、それはどういう論拠で許容範囲なのかを教えてください。

泉大臣政務官 今回のこの事業が許容範囲かどうかということを、済みません、私の立場で判断をするという立場、役職にはないものですので、それは私の立場からはコメントを差し控えさせていただきます。

 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、やはり、国内の小さな企業を支援することが将来的にさまざまな展開につながっていくということは委員もお認めになられているということでありますので、そこはすべてきれいに切り分けができるものではないのかなというふうに私は理解をしております。

 一方で、委員御指摘のとおり、政策金融が果たすべき役割は何なのかというところは常に検証していかなくちゃいけない問題だというふうに思っておりますし、新たな政策課題に対して対象や規模が適切であるかどうかということは、常々やはり考えていかなくてはいけない問題だと思っておりますので、そういう認識を持って進めているということでございます。

平(将)委員 泉政務官、これ、一枚目の基本資料です。今話をしているのはこのツーステップローンの左の方ですから、小さな企業じゃないんですよ。経産省がつくってきた書類をそのまま僕は参考資料に使っていますけれども、これを見てください。この上の太陽光パネル、電気自動車、リチウムイオン電池。確かにベンチャーの分野もあるでしょうけれども、経産省のイメージはこういうイメージですよ。真ん中はどう見ても三菱ですよね。わかりますか。経産省はそういうイメージなんですよ、後ろの人たちは。

 だから、大臣政務官、適当な答弁をされては困るんだよね。大企業向けのものに政府系金融機関が出している。今までの政府の大きな方針だとやらないですよ、やらない。もしくは、さっき大臣がおっしゃったように、リスクが高いんだ、国家の意思でやるんだというのであれば、もっと大きなリスクをとらなきゃいけないですよ。でも、そんなに大きなリスクをとっていないですよ、後で言いますけれども。とっているリスクは資金調達の金利の差だけだから。そうでしょう。

 だから、私が不安なのは、郵政の話も少ししますけれども、何か、大方針もないままに今までの方針を変えていく。言っているのが亀井大臣だからしようがないやみたいな空気がありますけれども、それが亀井大臣じゃなくて、今度、経産省までそういう乗りでやられちゃたまらない、とんでもないという話なんですよ。だから、もうこれ以上言いませんが、ちゃんと方針を決めてくださいよ、方針を。だって、民業圧迫ですよ、こんなもの。まあ、後で議論しますけれども。

 きょうは私、かなり細かくブリーフィングしたんですよ。もう自民党の国対からは細かい質問をする必要はないと言われているんだけれども、こういうところは大事だから。そうしたら、ではだれが答えるかは、結構そっちは大変だったかもしれませんが。まずは大きな目的があって、その中の方向性を出して、その中で政府がやるべきことは何なのかというのをやらないと、今の流れだと、何でもかんでも政府が出てきます、何でもかんでもリスクは政府がやりますということになったら、経済は成長しませんよ。

 だから、さっきも言ったように、民間金融機関がリスクをとれませんねと言っても、日本の社会として、経済構造としてどうしても必要なところは政府が手を差し伸べていく。もしくは、将来の成長に向けて、これは日本の国益として、経済の成長の目玉としてどうしても重要だというリスクの高い部分については、新たに基本方針を決めて、国民の皆さんの納得をもらって、政府はリスクをとる。どっちかじゃなきゃだめじゃないですか。どっちでもないですよ、これは。

 最後は、余り言ってもあれです、感想だけいただいて、もう結構ですから。

泉大臣政務官 我々も、民間の金融機関に頑張っていただくということはすばらしい姿だ、一番の姿だと思っていながら、一方で、例えば金利の問題で、低利の資金を供給するということについてなかなか民間で難しさがあったり、長期資金ということもそうかもしれません。

 そういったことを、政府が時の経済情勢に合わせながら支援をしていくということでこういった仕組みをつくっているわけですけれども、先ほど答弁で話をしましたとおり、我々としては、民業補完という立場がまず明確に存在するということ、そしてその中で、常々一つ一つの事業については確かに検証していかなくてはいけないというふうに思っておりますので、そういう視点でこれからも取り組んでいきたいと思います。

平(将)委員 ごめんなさい、何か、今の答弁を聞いて不安になりました。

 もう一問、泉さん、よく理解していてもらわなきゃいけないですよ、政府を代表して来ているんですから。

 この図の左下、ちょっと質問の順番が変わりますけれども、政府がとっているリスクはどこかというと、左の下の箱の中に支援措置とありますね。まず、国が財投貸し付けを日本政策金融公庫にするんです。日本政策金融公庫は、それを、指定金融機関というから市中の銀行だったりいろいろあるんだと思いますが、指定金融機関にするんです。それを事業会社に融資します。

 これは、何が普通の融資と違うかというと、いわゆる指定金融機関が財投の資金を調達できるというところだけです。だから、事業会社がデフォルトを起こしたときは、一〇〇%指定金融機関がリスクをとるんです。いいですね。

 そうすると、では指定金融機関のメリットは何かというと、預金で集めてくる利息と、この財投で調達してくる金利差だけですよ。金利差、多分〇・何%の話ですよ。その程度のリスクをとるということが、先ほど政務官おっしゃった、民業を圧迫しない、民間ができないところをやっていくんだというところを、これをどうやってリスクをとっているんですかと。(発言する者あり)いやいや、長短リスクもありますよ、長短リスクもあるけれども、ちょっと済みません、近藤政務官を黙らせて。

 泉政務官、ちょっとその辺の認識だけ。いやいや、泉政務官、泉さん。いやいや、そんなもう、これで最後にしますから。だって、政府を代表して来ているんだから、公的金融機関で。いやいや、手を挙げているじゃないですか。手を挙げているんだから、答えてくださいよ。いや、増子副大臣、後で聞きます。

泉大臣政務官 答弁者はみんな政府代表でありますし、私は、今回、行革担当の立場で答弁に立たせていただいていますので。

 ですから、政策の個別の金利の話ですとかそういったことについては、ぜひ担当の答弁者に質問していただければというふうに思います。

増子副大臣 平委員、よろしいですか。では、御許可をいただきましたので。

 今の質問、私どもよく理解をいたしております。今回のツーステップの貸し付けの、例えば返済が滞った場合、私ども国としてはリスクは負いません。御指摘のとおりであります。

 これは、もちろん国と公庫は借用証書を交わしますが、さらに、指定金融機関は公庫と交わす融資契約書、事業者は指定金融機関と交わす融資契約書に基づき、それぞれ返済の義務を負うということになっておりますので、国は基本的にはリスクは負いません。

 その中で、では、調達金利の差はどの程度かということ。これは結論からいいますと、一概にはっきり申し上げることができないことは、平委員がよく御存じだと思います。しかし一方で、定期金利は、預貯金がおおむね一年で、その間の金利は〇・一%ぐらいだと思っておりますが、その小口の預金を集めるための店舗の維持やシステム管理のコストが存在することも当然のことであります。

 また、長期の融資案件に対しては、短期性資金である預金のみでは対応できず、社債発行等により調達した長期性資金も原資とする必要があるということでございます。いずれにしても、個々の金利というのは、一般的には、長期の場合は十年程度の借り入れであれば約一・四%ということがございますので、平委員指摘の個々の調達金利の問題については、一概にこれだという形の断定はなかなかできにくいということは、もう御理解のとおりだと思います。

 いずれにしても、私ども、これはあくまでも低炭素社会をつくるために必要なものであるということで、しっかりと進めていきたいと思っております。

平(将)委員 いや、今の説明は、別に当たり前のことを当たり前に説明するだけであって、その……(発言する者あり)済みません、私も順番がありますので、それは後で質問しようと思っているので。ちょっと味方に惑わされていますが。

 ですから、今の話はもっともなんですが、今、低金利時代の中で、実際に調達コストはそんなに高くないですよ。それと先ほども、それは一概には言えませんよ、一概に言えませんけれども、大体この程度という差はわかりますよね、預金での調達コスト。預金での調達コストというのは、預金の金利だけじゃないですよ、それは間接コストも全部入れての話ですけれども。そこで、それを本当に政府が積極的に、だって、大方針と違うんだから、大方針と違う中でやるほどのリスクかという議論をしているんです。

 泉政務官、もし御公務があったら、どうぞ。また、引き続きやりたいと思います。

 ですから、そういった意味で、本当にそれが大きな方針と、私から見たら違うと思いますよ、その大方針の中で違うことをやるには、リスク、それが本当に政府がとらなければできないリスクかといったら、私はそれほどの差はないんじゃないかなというふうに思います。

 そういうような流れで、基本方針は変わっていないといいますけれども、前から指摘をさせてもらっていますが、ゆうちょ銀行の預け入れ限度額も、これは何か肥大化を招くんじゃないかなと思っています。

 これについても、もともと政府の基本的方針は変わっていないと、政府系金融機関。それは、郵政は民間だと言い張ればそうかもしれないけれども、株も売らない、そういった中で上限の預け入れ額もふやしていく。結果として、私は、前も大臣に言いましたが、地域の信金、信組、特に信組に対する大きなダメージを与える、まさに民業圧迫になるんじゃないかと思いますけれども、この辺は、その政府の大きな方針との整合性はいかがでしょうか。これは大塚副大臣に。

大塚副大臣 御質問、ありがとうございます。

 金融に関する政府の大きな方針は、先ほど泉さんもおっしゃいましたけれども、自民党政権時代と基本的に大きな方向性は違わないと思っています。つまり、民の力をしっかりと発揮してもらい、官である政府系の金融機関は民業補完に極力徹していきたい、これは変わっておりません。

 そういう中で、今回の郵政改革も、今委員みずからが、民間企業と言い張ればというふうにおっしゃってくださいましたが、私どもは、株式会社形態というものを変えるものでもなく、また、政府から親会社への出資比率を変えるものでもなく、ただ、若干今度の法案で変えさせていただく点があるとすれば、親会社から業法のもとにある子会社の金融機関に対する出資比率の問題と、それから、いつごろこれが上場されるのかということについて、これらは経営判断だと思っておりますので、政府は口を挟まないということにしております。

 そういう大前提のもとで限度額の引き上げの方針を決めさせていただいたわけでございますが、これは、その方針をお示ししたときにも亀井大臣、原口大臣から御説明を申し上げておりますが、郵貯については平成三年から十九年間これが据え置かれておりまして、その十九年間の国民の皆さんの預貯金残高の伸び率等を勘案すると、大体千五百万から二千万ぐらいのゾーンの引き上げは、国民の皆さんの利便性を考えると決して不合理なことではないという判断のもとで決定をさせていただいております。

 ただ、実際にこれがどのくらい郵貯の残高の増加につながるのか、あるいは、今御指摘のありました信金、信組等地域金融機関の皆さんへの影響となってあらわれるのか、これは全く予断を抱けないというふうに思っているのが正直なところでございます。

平(将)委員 せっかく大塚副大臣が来られているので、ちょっと幾つか。

 今の御答弁の中で、平成三年から十九年間、要は上限価格が引き下げられたと。その中で、これだけ上げるのが妥当だというようなお話をされたけれども、その根拠は何ですか。

大塚副大臣 これは実際に数字を発表したときにも申し上げさせていただきましたが、例えば、預入限度額につきましては、個人預貯金額の一人当たり、全体、あるいは民間金融機関の個人預貯金額、これらのデータを私のところでいろいろ算出いたしました。

 例えば、全体の金額ですと一・六七倍にこの間なっておりますので、そうすると一千万が一千六百七十万という計算になります。その一方で、例えば、これは金融広報中央委員会、日銀のもとに置かれているこの中央委員会の全世帯の貯蓄目標額というもの、これなども参考にしております。これは平均値で二千五十四万。データは相当いろいろなものを見てみたんですけれども、総合的に判断をしてその数字にさせていただきました。

平(将)委員 今の副大臣の分析は、預金者の側が、要は預金がふえているからと。預金者の利便性から立って妥当だということだと思いますが、私の指摘は、全体的な預金の中で、郵貯と金融機関の預金の争奪戦の中で、実質、民業だと言い張るけれども、どうもこちらで見ていると官営化のような感じもするし、政府がバックについているというのが前面に出ているようなイメージもするけれども、全体の預金量の中で郵貯を倍にするということは、しかもあれだけの支店網があって、その預金のとり合いの中でどういう影響が起きるかという心配。

 それと、先ほど副大臣もおっしゃられたけれども、特に営業力の弱い信金、信組。しかも、さっきの金利の話で、金利を高くしないと集まらないから、一生懸命金利を高くして集めているわけですね。ですから、そういうところに対する影響というものは検証されたんですか。

大塚副大臣 これは、去年の秋口から再三、そういう観点での御指摘、御指導を賜っておりますので、いろいろ分析をした結果を先週の金曜日に私の方から、まずは与党議員の先生方には御説明させていただきまして、野党の先生方でも最も御関心の高い世耕先生にはとりあえずお伝えさせていただいております。

 例えば、個人預貯金残高全体が五年間で、過去一年のペースで各業態が変化していった場合、過去一年は、郵政は十・三兆円減っているわけでありまして、信金は七・七兆円、信組は〇・五兆円ふえているわけでありますが、仮に、残高限度額を引き上げることによって過去一年のトレンドが全く逆転した場合、全く逆転して、郵貯が十・三兆円減るのではなくて十・三兆円ふえた場合に、これはプロラタで、あと銀行、信金、信組、農協と割り振ってみますと、それでも信金は四・二兆円の増加、信組は減少いたしますが、一千億円の減少、そういう計算結果は出ております。

平(将)委員 よく民主党さんはそういうシミュレーションを出すけれども、ちょっと認識が甘いんじゃないかなと思います。それは今までのトレンドをとっているわけでしょう。要はそれを逆にしただけでしょう、ふえているもの、増減の額を。(大塚副大臣「委員長」と呼ぶ)まあまあ、ちょっといいですよ。

 そうしたときに一番不安なのは、平常時ならいいですよ。例えばタイミングで、今さまざまな金融不安があって、信金、信組、特に信組の方はまだまだいろいろな問題を抱えている、財務内容とか経営において。そういう問題がなかなか、これは我々自民党政権にも責任があるんだけれども、そういう問題を抱えていながら、郵貯が、では上限を倍にしますと。今度は何割増しじゃないですよ、倍ですから。

 倍にしたときに、では、その預金の流出、特にマクロで見たらそういう数字になるかもしれないけれども、ピンポイントで見れば、必ずいろいろな経済誌が、危ない信金、信組ワースト百とかよくやっていますね。ああいうものが出てきて、そして、よく御承知だと思うけれども、金融の世界は、一たんそういう大きな流れができると、なかなか歯どめがきかなくなるんだと思いますよ。

 私は、信金はまだ大丈夫なんだろうと。ネットワークもあるし、中央金庫の財務内容もあるから。問題は信組だと思っているんですよ。しかも、ただでさえ預貸率が低くて、収益性が低くて、財務内容が悪くて、そこにもってきてギリシャだ何だといろいろな不安が出てきて、そこで、片や郵貯は二千万までオーケーよといったときに、私は、信組に対しては予期せぬことが起きかねない。それはかなり懸念を持っていますけれども、そういう認識はお持ちでしょうか。

大塚副大臣 これは、自民党政権時代から金融行政当局は、金融システムの安定性のために常に注意力を維持して監視、監督をしておりますので、現在、そういう信用不安的なことは一切ございません。ただ、おっしゃるように、相対的にどの業態に影響が出る蓋然性があるかといえば、先生御指摘のとおり、信組であるというふうに思っております。

 もっとも、自民党政権下でもずっと金融改革に取り組まれていらっしゃったわけでございますが、信金、信組全体は郵政改革とは関係のないところで一つのトレンドがあるわけでありまして、その中で信組をどうするかということは、ちょうど去年の選挙直前の先生方の政権のときに、例えば信組と信金の業態の垣根を変更しようではないかというお取り組みも方針として当時の金融庁が打ち出すなど、さまざまな対応をまさしくやっている最中、そして我々もそれを引き継いだところでございますので、御懸念のようなことにならないように最善の対応をさせていただきたいというふうに思っております。

平(将)委員 当然、金融のシステムはやはりしっかりよく見ていただいて、早目早目に手を打ってもらわなければいけないと思います。そんな中で前政権も細心の注意を払ってきた。渡辺喜美大臣のときに金融機能強化法もまた改正をして強化をしたんです。しかしながら、その中で、抜本的な問題解決までいかなかった中で、片や郵貯が倍まで預けていいよということになった、これは我々、全く想定外ですね。

 それで、地域金融機関の問題と郵貯の問題は、政治的、政策的にはちょっと離れているかもしれないけれども、地域のお金を預ける人にしてみれば同じ話です。同じカテゴリーの中の、どっちに預けるかという話なんです。ですから、金融機能強化法、ちょっと詳細は忘れましたけれども、万全を尽くしてもらわなきゃいけないのは当たり前なんだけれども、予期せぬリスク要因をつくったんですよ、二千万まで上げることによって。そういう認識はありませんか。

大塚副大臣 そういう認識はあるかないかと言われれば、現時点ではありません。ただ、そういう可能性については常に念頭に置いておかなければならないというふうには思います。

 もっとも、先生、一千万を二千万にという議論を行っている最中に、こういう意見もいただきました。こういうというのは、そもそも、一千万円以上の貯蓄がある方々がどのくらいの人数いらっしゃるかということをわかった上で政府は今議論しているのか、野党の皆さんも批判しているけれども、野党の皆さんもそれはわかっていらっしゃるのか、そういう御意見も随分いただきました。

 その方々の御指摘はもっともでありまして、国民の皆さんの平均貯蓄額を考えますと、一千万が二千万になったから倍になるということはないと思います。ただ、現実問題として、近所にゆうちょ以外になくて、信金、信組や地銀もないという地方の方々が、たんす預金で置いていたものを、一千万が二千万になったから、では預けようかということはあり得ると思います。

 ただ、今も、先生御承知のとおり、ゆうちょ銀行は一千万以上預けられるんですね。預けられるんですが、利息がつかない、スイングサービスで決済には使えるということで、実際には一千万円以上預けている方々のゾーンに、これは経営のデータなので正確には申し上げられませんが、十兆円以上の資金が入っているわけであります。そういうことを考えると、果たして一千万を二千万にしたからどのぐらいふえるかというのは全く予断を抱けないと思います。

 むしろ、さっき先生がおっしゃったように、金融全体が、これから国民の皆さんが貯蓄を取り崩すというようなトレンドにある中で、そういう大きなトレンドが変わったときには、郵貯云々ではなく、金融システム全体に影響が出てくることの方をより注視していかなければならないというふうに思っております。

平(将)委員 この議論ばかりしているわけにいきませんが、副大臣の言っていることは正しいと思いますけれども、ただ、心理として、信組があり、いろいろな問題がその分野であり、片やこっちで一千万が二千万に上がりますという、ここの目詰まりを取っちゃったわけです。それで、預金を一千万持っていようが、二千万持っていようが、そういう呼び水をやったがために、何とか回っていた信組が回らなくなる、もしくはそういう懸念というか空気が蔓延する。そうすると、小口まで郵政の方に行くんですよ。

 ですから、次々とそういう連鎖を起こして物事が起きていくのであって、だから、それは合理的に、では一千万円以上持っているやつは何人いるんだ、それだけが対象じゃないか、そういう話でもないし、上限を一千万から二千万にしたら倍になるのかといったら、そういう話でもないんですよ。

 しかしながら、全体の仕組みの中を見て、その血の流れが変わる、そこからさらに次々に展開をしていくリスクがあって、でも、そういうリスクというのは経済や国民生活に物すごく大きな影響を与えるから、ちゃんとイマジネーションを働かせてやってもらわないと困るということを言っているんですよ。ちょっと一言コメントをいただいて、次に行きます。

大塚副大臣 委員御指摘の点は全く同じイマジネーションをしておりますので、これからしっかり御意見も承りながら、そういうリスクが顕現化しないようにしたいと思います。

平(将)委員 あと、世耕さんだけじゃなくて、我々にもちゃんと説明するようにしてください。

 それでは、次の質問に行きたいと思います。大分それましたので、済みません、ちょっと基本的なスキームについて幾つかお伺いをしたいと思います。

 この紙にまた戻っていただきたいんですが、基本的な確認ですが、この指定金融機関というのは具体的にどういうところになるでしょうか。ツーステップローンの方です。

増子副大臣 お答え申し上げます。

 指定金融機関は、本業務を適切かつ確実に遂行するために十分な体制を整えている金融機関がその条件にあると思います。豊富な知識やノウハウを有する人材を確保している銀行等の民間金融機関を指定するものであります。

 具体的な金融機関については、法施行後に、本業務を実施しようとする民間金融機関からの申請、ここが大事でございまして、申請を受けた上で私どもとしては指定をしたい、そういうふうに思っております。現時点では、具体的にどの金融機関がどうだとかいうことは一切想定をいたしておりませんので、ここは御理解をいただきたいと思います。

平(将)委員 また具体的な中身の話ですが、このスキームでいわゆる対象となる事業、このツーステップローンの融資の事業会社、対象になる事業というのは、だれがどこでどのようにして決めるんでしょうか。だれが目ききをするんでしょうか。

松下副大臣 お答えいたします。

 今後、技術の向上や新事業の創出といった我が国産業活動の発達に資するものとして、大臣の認定を受けたエネルギー環境適合製品の開発、製造に係る事業計画に対して支援を講じることとしているわけでございますが、この認定は、個別の事業分野に知見を有する主務大臣が行うこととしておりまして、その上で、償還可能性などの金融判断については、指定機関が行うということで対応してまいりたいと思います。

平(将)委員 主務大臣ということは、直嶋大臣が行うと。直嶋大臣、具体的な技術は、まあ自動車はわかるかもしれませんけれども、ほかはわからないですよね。それはだれがどこでやるんですか。

松下副大臣 エネルギー環境適合製品ということで、これは法律の第二条第三項にあるわけですけれども、そこで特定事業計画を出しますので、それに対して、その開発製造事業者が主務大臣に提出するということで、直嶋大臣の方にやっていくということでございます。その認定基準が、高度な産業技術を利用しているのかどうか、それから、我が国の産業活動の発展とか改善に資するかどうか、そういうところを判断しながら大臣の責任でやっていく、そういうことでございます。

平(将)委員 大臣の責任でやっていただければいいし、今の条件はいいんですが、それを具体的に、実質、中身を判断するチームというか。だって、大臣わからないでしょう、そんなの上げられたって、細かい技術云々。それは、大臣が最後にお墨つきを与えるのはそうでしょうが、それはどこでやるんですか。役所、経産省がやるのかな。

直嶋国務大臣 これは、政府の仕組みは基本的にこうなっていると思うんですが、当然、事業者が出してくる事業計画を経産省として判断した上で私が認可をする、そういうことになります。

平(将)委員 では、経産省の役所の皆さんがよく見て、それで大臣が認定をするということでよろしいですね。

 このエネルギー環境適合製品の開発及び製造には、原子力発電の技術などは対象になるでしょうか。

松下副大臣 低炭素社会実現のためには原子力は不可欠だという認識でございまして、安全を第一として、国民の理解と信頼を得ながら原子力発電の着実な実施が求められている、これはもう基本でございますが、このために、環境・エネルギー分野の新産業の育成を目的とするこの法案におきましても、原子力関連設備の開発それから製造を支援対象としております。

平(将)委員 では、しているということで確認をさせていただきました。

 それでは、次に行きたいと思いますが、経産省のこの紙の真ん中辺に青く、私がいろいろなやりとりをしている中で、こうやって事業会社、しかも大企業を想定しているように見えるけれども、何で政府系金融機関を使ってまでこういった政策をつくるんだと言いましたら、この役所のペーパーにも、海外では、低利、長期の金融支援をやっている、アメリカ、ドイツ、フランス等ではと書いてあります。その先に、「誘致合戦」になっているというふうに私は説明を受けているわけであります。

 先ほども言いましたけれども、このスキームで調達金利は多少安くなりますね。あと、比較的中長期だから、金融機関が出しにくいけれども出しやすくなりますねというスキームだと思いますが、この程度のスキームで海外から誘致ができるんですか。

松下副大臣 この制度は、エネルギー環境適合製品の開発、製造を行うために必要となる大規模で長期の資金供給を促すもの、こういうことでございます。これによりまして、こうした製品の開発、製造を行う事業者に対しまして、これまで以上に設備投資などの企業活動を行いやすい環境を提供するということになると考えております。この法案によって、エネルギーや環境分野において、海外からの誘致を含めて、我が国への企業立地を促す効果が生み出されることを期待しているということでございます。

 一方、金融支援以外の措置を通じた企業立地促進策、法人税や税制関係ですけれども、これも重要であると認識しておりまして、我が国の立地競争力を強化するためにも、税制の措置、それから規制の見直し等も含めた総合的施策パッケージを今後打ち出していく必要がある、そう考えております。

平(将)委員 今、副大臣は期待をしていると言いましたけれども、ちょっと冷静に議論しましょうよ。

 調達金利がわずか〇・何%変わると。先ほど増子副大臣も言われましたけれども、中長期の金は出にくいんだという話もそれはわかります。しかしながら、これはインセンティブにはならないですよね。海外の企業は、これがあるからアメリカやヨーロッパの企業が日本に立地しようとはならないですよね。それはどうですか。

増子副大臣 平委員のおっしゃるとおり、これでいきなり海外からの融資ということには、直接的には私もそう簡単ではないと思っております。

 しかし、日本の社会の中で低炭素社会をつくるという、その上で日本はそのためのあらゆる条件を整えているんだという環境整備をすれば、中長期的にはやはり海外が日本に目を向けることも十分今後あり得ると思っていますので、この法案が成立することによって投資の促進ということも、私は、かなり海外からも期待できるのではないか。今、目の前のことではなくて、中長期的なことも含めて、この法案が成立した後しっかりと取り組んでいきたい、そういうふうに認識をいたしております。

平(将)委員 私はかなり期待できないと思いますよ、正直言って。

 ですから、今、松下副大臣おっしゃられたとおり、ほかのインセンティブ、法人税であったり特区であったり規制緩和であったり、そういったことをやらないと、役所はこういう説明をしましたけれども、これは書かない方がいいですね。ほとんどこれは効果がないですよ。これで海外の企業が来るわけがないですよ、普通の経済合理性を持ってる人から見れば。ただ、なるほどなと思ったのは、海外に出ようとしている国内企業を若干引きとどめる効果はあるということは確かにそうかなというふうに思います。

 ただ、その中で、これと関連して合同委員会でやりましたが、温暖化対策基本法、これも採決されましたけれども、我々はまだまだ議論が足りないと思っているし、経済界の不安はまだ残っていると思います。ですから、片やこういうツーステップローンをつくって出ていこうとしている企業をとどめようとしていることをやりながら、片やロードマップなく高い目標数値をぼんと掲げてしまう。それで、会社はそれに対して準備をしなければいけないです。

 ですから、では国内に投資をするのかしないのか、海外に出るのか出ないのか、今まさに決断をしなきゃいけないんだけれども、ロードマップがなければどのぐらいの負担になるかわからない。だからそれを示してくれと言っているんだけれども、国際交渉があるから示さない、基本法だから示さないんだ、そういう議論だったと思います。

 ですから私は、これは両方整合性をとってもらって判断できるようにぜひしていただきたいなと思います。基本法じゃないかといったって、二五%という数字が入っているんですから。期限、期間が入っているんですから。ですから、この辺は私は小沢環境大臣のあの答弁はかなり無理があると思うし、政治的にはそうかもしれないけれども、少なくとも投資の判断を迫られている株式会社のボードメンバーから見たら、判断できないということにならざるを得ないと思うんです。

 ですから、環境省は環境省の言い分はあるでしょうけれども、経産省は経産省で、その辺はぜひ閣内なり政府内でしっかりと議論をしていただきたいと思っております。

 大分時間がなくなってまいりました。まだまだいっぱい質問があるんですけれども、あと二、三分ですか。済みません、大串さんに来てもらっているので、お待たせしました。

 これはちょっと、若干、本スキームの中心的な議題ではありませんが、この支援措置の左の箱の下ですが、日本政策金融公庫の前に国があって、そこに財投貸し付けということが載っています。これは、財融特会からお金を持ってくるという話、財融特会の中から資金を出してくるということだと思うんですね。財投は財投債を出して、財投機関で運用をするんだと思いますが、ことしの予算で、税収が大きく落ち込んだこともあって、財投の方から準備金をかなり本予算に入れたんだと思います。

 そもそも、準備金というのは、僕らが議論したときは総額の一〇%だったと思いますが、一〇%から五%に落ちて、今は何%かわからないけれども、その準備金は今、どういう位置づけになっていて、この四月からの予算にどれだけ準備金を入れちゃっているのか。その辺、ちょっと教えてください。

大串大臣政務官 お答え申し上げます。

 財融特会からのいわゆる予算への繰り入れでございます。

 御案内のように、財投特会の積立金は金利変動準備ということで、総資産の千分の五十、先ほど千分の百とおっしゃいましたけれども、千分の五十という段階に落としたのは、自民党政権下において落とされました。これを積み立てることが特別会計法上の原則であります。

 今年度、二十二年度予算では、二十二年度末積立金見込みも含めて全額の四・八兆円を、臨時特例的に法律をつくって一般会計に繰り入れるということにしました。

 これを行うことによって、千分の五十というこの原則以下に金利変動準備金はなっているわけでありますけれども、なぜこれをこういうふうにしたかというと、税外収入を最大限確保する、これが目的の一つ。

 それともう一つは、金利変動準備というのは、あくまでも将来の金利変動に備えるものであります。それに向けて、金利変動準備金がないからといってすぐにいろいろなリスクが顕現化するわけではありません、将来的なバッファーが減るという意味であります。かつ、財投は調達も融資も非常に長い年限で回していますので、すぐにいろいろなリスクが顕現化するわけじゃないということで、今回こういうような措置をしたわけでございます。

 償還確実性に関しては、貸付先をどうするかということもあります。これは、基本的には法律に基づいた機関に貸し付けてありますし、あるいは地方公共団体、この辺の償還確実性も財投計画の中でしっかり見て、リスクに関しての備えをきちっとやっていきたいというふうに思っています。

平(将)委員 もう時間が来ましたので、ちょっと問題というか懸念の指摘だけにとどめますが、まず、金利変動のを全部使っちゃったと。ただ、まだ仕入れた金利よりも貸している金利の方が高いから、またそれはたまっていくんだと思うんですね。

 それで、二つ指摘したいのは、一つは金利変動の部分。これから財政がかなり悪化をしてきて、国債もちょっと消化できないんじゃないかという空気が出てきたときに、財投債だって金利は上がってきますよ、調達コストが。だから、金利変動については、今まで以上にこれからリスクが高くなる可能性があるというのを念頭に入れるべきだというのが一つ目。

 二つ目は、金利リスクはとっているけれどもデフォルトリスクはとっていないわけですね。その理屈は、貸している先が公的機関だから、法律に基づいているから、清算をしたらそこで手当てをするからということなんだけれども、民主党さんが今、これから行政改革をしていきますよね。ばかばかつぶしていきますよね、公的組織を。それは僕は賛成ですよ。でも、そうすると時価で清算ということになってきますから、そうするとデフォルトリスクをではどこでとるんだと。最後、法律でとるのか、いわゆる財融特会全体でとるのか。そういうデフォルトリスクを、行革をやればやるほど時価で清算ですから、そういうリスクが出てくるということを指摘したいと思います。

 済みません、質問要綱が半分ぐらいで終わっちゃいましたけれども、時間が参りましたので、続きはまた次回やらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案、略称低炭素投資促進法案につきまして、最後の質問になると思うんですが、させていただきたいと思うわけでございます。

 この法案そのものは、法案の目的並びに趣旨は時宜にかなったものである、そのように私どもは考えております。その上で、若干懸念がある点と、そしてなおかつ、どうしても政治家の議論というと大きな議論になってしまうんですけれども、新しい制度が今回二つ創設されるわけですから、時間がありましたら、法案の条文に即して、きちっと立法者の趣旨が、この条文はどういう意味を言っているんだということを確認もさせていただきたい、そのように考えておるわけでございます。

 それで、この法案については大きく二つの柱がございます。先ほど平先生も経産省の説明資料をもとに言われていましたけれども、第一は、その資料、私は使いませんけれども、左側の部分の、例えば、電気自動車であるとか太陽光パネルなどの、そういう低炭素関連産業の大規模な設備投資を促進するための、日本政策金融公庫を活用した長期、低利の資金供給を支援する制度を創設するということ。もう一つは、中堅・中小企業を対象にして、例えば、省エネ型の工業炉、あるいは省エネ型ボイラー、太陽光パネルというようなものを、そういう低炭素関連設備をリース取引で導入しやすくするための、そのためには導入先の事業会社がどうしても信用力が足りない、それを補完するための新たな保険制度を創設する。

 この二つの柱なんですけれども、その内容に入る前にぜひちょっと経産省の考え方をお聞きしたいのは、この二つ、先ほど政府の、あれは内閣府の政務官でしたか、ちょっと内容を勉強されていないから勘違いされていたと思うんですが、あくまでも、やはり一番目の柱の方、ツーステップローンの方は、やはり対象は、基本的には大企業が中心になっていかざるを得ないだろうと思うんですね。第二の方は中堅・中小企業だ。第一は、そういう特定事業を行う高度な技術力を有する、あるいは大規模な設備投資を促進するためということを考えれば、第一のスキームの支援対象というのはやはり大企業の比率が相当程度高くなるだろう。

 それで、あえて私がお聞きしたいのは、国家戦略上、こういうところにしっかり国際競争力をつけるために力を入れていく、こういう政策が一つあってもいいと思うんですけれども、もう一つは、日本の産業を今まで活性化させ、また雇用を支えてきたほとんどの中小企業の皆さんへの支援をさらに強化していくんだという視点をやはりぜひ持ってもらいたいと思うんですね。

 そこで、ぜひ私は、具体的に二つの点に力を入れていただきたいのは、一つは、先ほどから議論がありましたけれども、地球温暖化対策基本法という法律もきょう衆議院を通過するんだと思うんですが、政府の方針によって、低炭素社会に向けた政策のかじ切りというのを明確に、これからさらに強くされていくんだろうと思うんです。それを迫られることになる中小企業の経営の安定に向けた支援措置というものをやはりさらに強化していくべきだろう。

 例えば、これはことしの中小企業白書、四月下旬に閣議決定されたものでございますが、すべて読みませんけれども、その第二部に「中小企業の更なる発展の方策」というのがありまして、その百八ページから「環境・エネルギー制約への対応」という欄で特集が組まれているわけです。

 その中に、中小企業というのは、今、我が国のエネルギー起源二酸化炭素排出量の一二・六%を占めるんだということを明記された上で、中小製造業のエネルギー効率が実は大企業に比べて改善していない、そういう指摘をされているんですね。その原因を二つ挙げておられまして、一つは、主な課題として、省エネの情報、知識の不足という問題がある、もう一つは、資金的な課題というのがあって中小企業が省エネになかなか取り組まれていない、そういう指摘がことしの中小企業白書の中にされております。

 ですから、私が言いたいのは、その資金的な課題というものをしっかりと踏まえた上で、これから低炭素社会に向けて中小企業も努力していくような、また、努力していくのに向けて経営がしっかりとバックアップされる、安定化が図れるような施策というものを、今回、その一環でリース取引が入れられているんですけれども、それを上回るような、さらに次々と施策を出していただきたいということ。

 もう一つは、先ほど言いました、平先生が使われたものだったら、この左側のここの部分というのは、まさに、太陽光パネルにしても、電気自動車の三菱自動車を例に出されておりますけれども、こういうところにしても、大企業なんですけれども、中小企業だって、大企業ほど資金力も信用力もなくても、やる気と技術力は持っているんだ、だから、エネルギー環境適合製品を自分たちも開発、製造したいんだ、そういう企業だって当然あるわけであります。しかしながら、みずからの技術を製品開発や市場開拓に結びつけていくというような力まではない。そういう中小企業であるとかいわゆるベンチャー企業の業務拡大を支援していくような施策というものも当然図られるべきである。それはやはりぜひ新政権としてもやっていただきたいと思うわけです。

 ですから、ちょっと長くなりましたけれども、一つは、低炭素社会への政策の、大きな政府のかじ切りの影響を受ける、そういう中小企業の経営の安定化に向けた支援措置というものをしっかりとやっていただきたいということ。もう一つは、こういうエネルギー環境適合製品を開発、製造する、そういう事業をやるんだ、また技術もありますよ、そういうすぐれた中小企業やベンチャー企業へのさらに後押しができるような施策というものを、この法案とは別にしっかりとやっていただきたい、そのように思うんですけれども、まず、経済産業省の見解を伺っておきたいと思います。

直嶋国務大臣 私は、佐藤議員の今の御指摘のとおりだというふうに思っています。

 先ほど中小企業白書を引いてお話もございましたけれども、まさにその中に書かれていますように、中小企業が我が国のエネルギー起源二酸化炭素の約一三%、一二・六ということでございますが、排出しているということと、中小企業の皆さんの省エネに向けた課題の多くはやはり費用面にあるということであります。

 そういうことも踏まえまして、経済産業省としては、中小企業がこうした地球環境問題への対応やさらなる省エネルギーの推進に取り組むことを支援するために、この法律だけではなくて、資金繰りの支援、それから省エネ診断等のソフト面での支援でありますとか、あるいは税制や補助金による設備の導入支援ということを、今も行っているところでございますが、さらにこれらをしっかりやっていきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、中小企業の皆さんの経営の安定を図りながら低炭素社会を進めていくということになりますと、やはり中小企業の皆さんのところの対応が一つのポイントになるということでありまして、しっかりやっていきたいというふうに思っています。

 それから、経産省の資料の電気自動車はメーカーのものが載っていますが、今、こういう一つの技術革新の時期でありまして、いろいろなところで、例えば電気自動車といってもいろいろな形の電気自動車がアイデアとして出てきていまして、一部のマーケットの層をターゲットにしたものでありますが、例えばスポーツタイプの電気自動車とか、さまざまなものが出てきてございます。まさにそういうものは中小とかベンチャーになってくると思っていまして、それらに対する目配りもあわせてしっかりやっていきたいというふうに思っています。

佐藤(茂)委員 ですから、私が申し上げたいのは、これは昨年末の新成長戦略の一つの、政府の用語でいいますと、早期実行プロジェクトの二十五のうちの一つの柱として法案をつくってやるんだ、しかし、それだけがすべてじゃないんだ、そういう意識は今大臣と共有しましたので、二つ目の方で言いたいのは、そこにひっかからないけれども、やる気もあり、また、取り組んでいこう、低炭素社会はチャンスだ、そういう形で取り組む企業の後押しもぜひやっていただきたいな、そういうことで最初に取り上げさせていただきました。

 それで、もう一つ、平先生が多分したくてできなかったんだろうと思うんですが、前にこの委員会でもそういう質問があったかもわかりませんけれども、今回のこの法案が通って、法案に基づいた施策の経済効果であるとかあるいは雇用創出効果というのをどういうように見ておられるのかというのをぜひ確認しておきたいと思うわけです。

 先ほどからありましたように、今回、ツーステップローンによる貸し付けの原資として財政投融資資金一千億円が使われます。さらに、そういう特定事業促進円滑化関連の業務を行うために必要な出資金及び経費補助として一般会計予算に一・七億円、リース支援事業費として特別会計予算に八十億円がそれぞれ計上されているんですね。

 これはたしかこの委員会だったと思うんですけれども、与党の方も質問されていたと思うんですけれども、看板政策の割には、初年度としては法案に基づく施策が余りにもツーリトル、いわゆる規模が小さ過ぎるんじゃないのか、そういう感を否めないわけですね。

 経済産業省の法案の資料にも、一番下にどう書いているかというと、「低炭素型産業を新たな経済成長の柱として育成し、我が国を低炭素型産業の世界拠点に。」と。そういう大きな、世界拠点にするんだと書かれている割には、計上された予算額というのが余りにもインパクトが小さいというか、そういうようにしか思えないんです。

 まずお聞きしておきたいのは、この法案に基づく施策を今年度実施することによって、どのような経済効果と雇用創出効果を想定されているのか、経済産業省の見解を伺っておきたいと思います。

近藤大臣政務官 佐藤先生にお答えいたします。

 まず、経済効果でございますが、低利融資の方でありますけれども、初年度、財投貸し付け一千億の低利融資でありますと、初年度二千五百億円程度の設備投資を喚起することを期待しております。また、リースの方でありますが、こちらの方では、中小企業を中心に年間一千五百億円程度の設備投資を後押しするのではないか、こう期待しているところでございます。合わせまして約四千億円の設備投資の効果がある、こういうわけであります。

 こちらの四千億円の設備投資の波及効果でございますけれども、一定の仮定のもとで産業連関表を用いますと、一兆円程度の生産誘発効果とあわせて約十万人の雇用創出効果があると推定しておるところでございます。もちろん、この一兆円と十万人は初年度というわけではございませんが、何年か、複数年たってということでございますけれども、一兆円の生産誘発効果と十万人の雇用創出効果がある、このように期待しておるところでございます。

佐藤(茂)委員 ですから、それは最終的に一兆円あるいは十万人という形になろうかと思うんですけれども、最初に申し上げましたように、後で申し上げます国際競争力という観点から見たときに、こういう法律というのは私は必要だと思っているんですね。ですから、よい法案の枠組みをつくられたんだけれども、その法案に基づいて実施する、予算をつけないと実施できませんから、計上する予算額が小規模で中途半端であれば、やはりその施策の効果というのも大きなものは出てこない。

 ですから、十分な施策の効果をしっかりと期待するためには、今後、この進捗状況を見ながら、必要に応じて予算の追加を行うとか、さらには、当初予定していなかった部分が必要になってくるから施策の見直しをさらにしていくんだというようなことも当然政府として図られるべきであろう、そのように私は思うんですけれども、経済産業省の見解を伺っておきたいと思います。

近藤大臣政務官 佐藤先生と問題意識は全く共有しているわけでございまして、現在、政府内において新成長戦略を策定しております。この中では、二〇二〇年までにグリーンイノベーションの分野で約五十兆円の市場をつくる、こういう目標を立てているわけでございます。

 この具体的なアクションプログラムを六月中旬をめどに策定するわけでございますが、本法案は、それに先駆けた、二十五の、まずは手をつけるアクションプログラムの一歩でありますけれども、全体の成長戦略の中で全体像をつくりつつ、また本事業につきましても必要に応じて対応を検討してまいりたい、ぜひ後押しを先生からもいただければありがたい、このように思うところでございます。

佐藤(茂)委員 そこで、次にお伺いしておきたいのは、先ほど平先生もちょっと触れられたんですけれども、海外、アメリカ、ドイツ、フランス等では、低利、長期の金融支援という、経産省の説明のポンチ絵の中にも書かれているという指摘がございました。

 そこで、基本的に、例えば太陽光パネルも、日本のメーカーでいうと、シャープ、京セラ、三洋というのが少し前は世界トップだったのが、この二、三年の間に一気にその地位が下がってきておるというような、大変な競争の激化の時代になっているという意識は、我々政治家としても共有しておかないといけないと思うんですね。

 それで、低炭素関連産業分野の技術開発の国際競争というのは、今言ったように大変激化する傾向にございまして、各国政府が独自の公的支援を行うなどの国を挙げた取り組みというのは常態化してきている、そういう認識の中からこの法案は出てきたと思うんですけれども、我々共通した認識を持つために、欧米主要国の低炭素関連産業に対する公的な支援というものの状況について、重立ったところをぜひ御説明いただきたいと思います。

増子副大臣 佐藤委員にお答えをいたします。

 まず初めに、この法案に対して私どもと共通した認識をお持ちになっていただいて一定の評価をいただいていることに大変感謝を申し上げたいと思います。しっかり私ども、中小企業も含めて、日本の新しい産業をつくり技術革新を進めていくということに全力で取り組んでまいりたいと思っています。

 そういう中で、欧米諸国の公的支援、いろいろございます。今代表的な例として、アメリカが、エネルギー省による、先進技術車の製造に係る設備の更新、拡充等に対する融資制度がございます。イギリスにおいては、政府による、低炭素化に関する設備投資案件に融資もしくは債務保証をする制度がございます。ドイツにおきましては、政府系金融機関による、新たな再生可能エネルギー発電所等の設立、拡張、購入に対する融資制度がございます。

 欧米諸国の代表的なことを今三つ申し上げましたが、これから再生可能エネルギーを初めとして、さまざまな低炭素社会に向けての各国の融資制度や支援策も活発になってくると思います。私ども経済産業省としても、世界ナンバーワンを目指すために、環境・エネルギー大国を目指す覚悟とそういう目標を持っておりますので、できるだけ、先ほどもお話がありましたとおり、情報の共有化やあるいは資金における課題等も含めながら、我が国においてこの法案を早期に成立させていただいて、しっかりとした体制で取り組んでいきたいと思っております。

佐藤(茂)委員 ぜひ、今、増子副大臣言われたように、政権の統一した見解としてナンバーワンを目指していただきたい。ナンバーツーだったら何が悪いんですかというようなことをぜひ言わないようにお願いをしたいと思うわけでございます。

 そこで、その上で、今回のこの枠組みの中で、国際競争力に負けないような、そういう国内事業者に対する公的支援措置が求められている背景から出てきたと思うんですけれども、そこで受給資格について、今回の支援、融資の確認をしておきたいと思うんです。

 今、増子副大臣が言われたアメリカの制度というのは、エネルギー省、DOEが最高二百五十億ドルまで直接融資を行う、そういう制度になっているんです。ただ、その直接融資の対象者については極めて厳格な基準を設けているわけですね。

 例えば、例を言いますと、融資対象となる製造施設がアメリカ内に存在すること、融資対象となる工学技術の統合がアメリカ内で行われること、また、融資された資金が、アメリカ内で実施される設備の整備拡張あるいは新工場の建設に関連するコストに充当されること、さらに、アメリカ内で実施される工学技術の統合のための費用として、融資された資金が利用されることと。

 何が言いたいのかというと、受給資格を幾つか羅列している中に共通しているのは、例えば製造施設がアメリカに存在したり、さらにはアメリカ内で実施されるということを重視しているということでありまして、私は、日本も、今回の制度というのは、若干なりといえども国民の税金を使って国策として行う支援スキームですから、こういうところについてはやはりしっかり学ばないといけないと思うんですね。

 というのは、自動車にしろ、さっき挙げましたような家電のメーカーにしろ、国の有力な製造業各社というのはグローバルな生産体制になっていまして、要するに経済的に最適な地域で生産を行うというのも当たり前になってきているわけです。そのこととの兼ね合いをどう考えるか、そこの問題をやはり政府の方針として明確に示しておくことが必要であろうと思うんですね。

 ですから、私は、このアメリカの例なんかを学ぶと、場合によっては、金融支援の対象を国内に製造拠点を持つ企業に限定するとか、あるいは融資の条件として、研究開発した後に成功してこういうものができた、そういうものは国内生産をきちっと条件として確約させるとか、そういう一定の条件を付すこともやはり政府の方針として考えておくべきではないのかなと思うんですが、経済産業省の見解を伺っておきたいと思います。

増子副大臣 まさに同感でございまして、世界ナンバーワンを目指す我が国としては、国内産業の育成というのが何よりも重要だと思っています。

 今回のこの法案は、エネルギー環境適合製品の開発や製造の事業の促進を図るということになっておりまして、我が国の産業がこれによって振興して国民経済の健全な発展に寄与しなければ何の意味もございません。そういう意味では、この法案の支援対象は、まさに日本国内において開発や製造を行う取り組みに限定されるものというふうに私どもは解釈をいたしております。

 実際、支援措置の前提となる主務大臣の認定に当たりましても、技術水準の著しい向上や新産業の創出を通じて我が国産業の発展に資するものであるかどうかを大変重要な判断材料の基準といたしております。支援対象の国内における事業活動が認定に値するのかどうか、しっかりと確認をしていきたいと思っております。

 国民の皆さんの税金を使わせていただくわけでありますから、国内の生産拠点をきっちりと確保しながら、国内のいろいろな産業を興すことによって経済効果や雇用も創出していくということでなければ何にもなりません。それができて初めて世界ナンバーワンの国になることが可能であろうというふうに私は思っておりますので、佐藤先生御指摘のとおり、しっかりと省を挙げて頑張ってまいりたいと思います。

佐藤(茂)委員 今の増子副大臣の方針で私はいいと思うんです。

 そこで、ちょっと確認しておきたいのは、これは通告していませんけれども、アメリカの場合は、受給資格に限度を設けながらも、例えば日産の現地子会社というのが、約十六億ドルだったと思うんですけれども、アメリカの支援措置で融資を受けているわけですね。ですから、日本の国内産業を発展させるという観点なんだけれども、外国の企業で、日本国内でそういう事業をされている、こういう場合にも今回の支援措置の対象になり得る、そのように経産省は考えておられるのかどうか、ちょっと確認をしておきたいと思います。

増子副大臣 日本国内に生産拠点を有するものであれば、当然その支援対象になるものと私どもは解釈をいたしております。

 先ほど平委員が質問されました、海外から企業を呼び込むことができるのか、海外からそういう投資を呼び込むことができるのか、これはなかなか難しいんじゃないか、私はないというような質問がございましたが、まさに今、佐藤委員のおっしゃるとおり、海外から呼び込むということについては、その対象にしたいというふうに私どもは考えております。

佐藤(茂)委員 もう一つ、どうしても、ポンチ絵でいうと左側の方に対しての質問ばかりに今までの委員会でもなっていましたので、右側の方の中堅・中小企業向け低炭素リース保険の創設について、残り時間で若干質問をさせていただきたいんです。

 政府は、今回の法案において、リースというものに対するメリット、デメリットを考えた上で、あえてリース取引を応援しよう、低炭素関連設備の普及を促進されようという、この保険制度というものを創設されたわけですね。私は、リースという新たな手段によって低炭素関連設備の普及を促進されようとした理由は何なのかということをぜひ確認しておきたいわけであります。

 というのは、リースというのは、例えば社団法人リース事業協会が行ったリース需要動向調査によると、メリットとしては幾つか挙げられています。事務管理の省力化、コスト削減が図れる、またコスト把握が容易である、多額の初期費用が不要であるというようなメリット、また陳腐化にも弾力的に対応できるというようなことが挙げられています。

 逆に、リースじゃなくて購入の方がいいんだという理由としては、当面更新を行わず長期間使用する予定である、あるいは基幹的設備のため自己所有の方が安心である、そういう理由を挙げる経営者が多いわけであります。

 何が言いたいのかというと、先ほども申し上げた、このリース保険制度の創設によって何がねらいとなるのかというと、省エネ型工業炉とか省エネ型ボイラー、また太陽光発電パネル等のそういう低炭素関連設備の機器をリースによってきちっと活用していただこうということなんだけれども、これを長期間使用するということを考えた場合には、購入した場合よりもリースの方が中小企業にとってはトータルコストが高くつく、そういうことも十分考えられると思うんです。そういうことを考えた上でもなおかつ、今回リースの取引を推進するための保険制度をつくろう、そのようにされた理由は何なのか、経産省の考え方をお聞きしておきたいと思います。

直嶋国務大臣 御指摘のとおり、リース制度には長所、短所、両面があると思うんですが、今回特に私どもが念頭に置きましたのは、中小企業の場合、先ほどお触れになったように、やはり初期の投資コストの抑制ができるということ、それから、そのことによって、融資じゃないので銀行の借入枠が温存できますので、銀行融資がほかのものに使える、こういうこと等、やはり設備投資をリースにより行うという必要性を訴える企業がたくさんございます。

 私どももちょっとアンケートをとらせていただきましたが、特に省エネ設備導入の課題として資金調達を挙げる企業の中では、リースを活用したいというのが一番数がたくさんございまして、まずこの点を手当てしたいということで用意をさせていただいたということでございます。

 そういう意味で、従来から積極的な融資も行ってきておりますので、その融資に加えてこのリース制度を取り入れることによって、全体的なエネルギー環境適合製品の導入促進がさらに図れる、こういう考え方でございます。

佐藤(茂)委員 時間が参りましたので、今回、リースは、信用力を補完するという意味で保険制度を設けるというのは、今まで足らざる部分だったので、そこをしっかり補完するということは大事だと思うんですけれども、やはり機器の特性に応じて、リースだけじゃなくて、今大臣がおっしゃった長期の低利の融資であるとか、あるいは補助金の活用であるとか、あるいは減税措置というようなものが、さらにメニューとして、中小企業の、使う側から活用できるような、そういう施策をさらに今後充実させていただくことを期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 これにて発言は終わりました。

 この際、念のため確認いたします。

 エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立多数。

 次に、本法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、本法律案は多数で可決され、本法律案の委員会報告書の作成は委員長に一任されたことが明確になりました。

     ――――◇―――――

東委員長 次に、内閣提出、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。直嶋経済産業大臣。

直嶋国務大臣 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案につきまして、御説明を申し上げたいと思います。

 国際的な資源獲得競争が激化する中で、金属鉱物や石油、天然ガスの安定供給を確保することの重要性が高まっております。特に、電気自動車に必要なレアメタルなどの金属鉱物資源の確保は、低炭素社会の構築と我が国の今後の経済成長を図る上で、喫緊の課題となっています。

 他方、昨今、為替や資源価格等の動向により資源権益の価格が大きく変化するとともに、技術的に困難な開発プロジェクトが増加する中、我が国企業による資源権益の確保に対して、国として機動的かつ大規模な支援を行うことが必要となっています。

 このため、我が国企業による資源権益の確保を支援する役割を担う独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構について、金属鉱物の鉱山権益の資産買収に対する支援機能を拡充するとともに、金属鉱物や石油、天然ガスの権益確保を的確に支援するための資金を調達する手段を拡充するべく、本法律案を提出いたしました。

 改正の内容は次のとおりです。

 第一に、我が国企業が金属鉱物の鉱山権益の資産買収を行う場合に、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構がこれを支援するための出資を行うことを可能とします。

 第二に、我が国企業が金属鉱物や石油、天然ガスの権益の資産買収を行う場合や資源開発プロジェクトを実施する場合に、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構がこれらを支援するために出資や債務保証を行うための資金を、政府保証つき長期借入金等により調達することを可能とします。

 また、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構が、政府の行う資源外交と一層緊密に連携しつつ、我が国企業の権益確保の支援を行うことができるよう、主たる事務所の所在地を神奈川県から東京都に変更します。

 以上が、本法律案の内容です。

 どうぞよろしくお願いいたします。

東委員長 次回は、明十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十分散会


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