衆議院

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第12号 平成22年5月19日(水曜日)

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平成二十二年五月十九日(水曜日)

    午前九時九分開議

 出席委員

   委員長 東  祥三君

   理事 柿沼 正明君 理事 北神 圭朗君

   理事 杉本かずみ君 理事 三谷 光男君

   理事 吉田おさむ君 理事 塩崎 恭久君

   理事 平  将明君 理事 佐藤 茂樹君

      網屋 信介君    稲富 修二君

      江端 貴子君    太田 和美君

      笠原多見子君    金森  正君

      川口  博君    木村たけつか君

      近藤 洋介君    斉木 武志君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      田嶋  要君    平  智之君

      高松 和夫君    高邑  勉君

      花咲 宏基君    藤田 大助君

      松岡 広隆君    向山 好一君

      森山 浩行君    山本 剛正君

      柚木 道義君    渡辺 義彦君

      梶山 弘志君    近藤三津枝君

      塩谷  立君    高市 早苗君

      永岡 桂子君    西野あきら君

      額賀福志郎君    江田 康幸君

      吉井 英勝君    園田 博之君

    …………………………………

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   経済産業副大臣      増子 輝彦君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   総務大臣政務官      階   猛君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 石田  徹君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  木村たけつか君    江端 貴子君

  平  智之君     網屋 信介君

  向山 好一君     渡辺 義彦君

同日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     平  智之君

  江端 貴子君     木村たけつか君

  渡辺 義彦君     向山 好一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁長官石田徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。梶山弘志君。

梶山委員 自由民主党の梶山弘志でございます。

 本日の案件となっております独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案について、質問をさせていただきます。

 皆さん認識は同じだと思いますけれども、我が国は資源のない国であります。そして、一昨年、原油の高騰、一時期一バレル当たり百四十七ドルまで高騰をいたしました。その後、世界同時の金融危機ということで三十ドル前後まで今度は暴落をしたわけであります。そして、その反転をして、今度は回復途上で中国が資源の買いあさり、そして資源大国の資源ナショナリズム、ロシアとか中国とかベネズエラとか、そういった国々の囲い込みが始まった。さらにはまた資源メジャーの寡占化、そういったことが取りざたされたわけでありますが、ちょうど昨年の四月のころであります。

 そして、私もこの経済産業関係の仕事をずっとしてきておりますので、昨年の四月ごろの自分で持っている資料を読み返してみました。

 そのとき、自民党の調査会において、ある決議がなされておりました。それは、途中は省きますけれども、海外資源獲得等のための政府による支援の抜本的強化ということを政府に申し入れたわけであります。

 我が国民間企業が機を逸することなく海外権益の獲得等を行い得るよう、株式会社日本政策金融公庫、国際協力銀行、いわゆるJBIC、そして今回の案件となっておりますJOGMECによる支援の抜本的強化を速やかに実施することということでの政府への申し入れを行ったところであります。

 この資源の獲得というのは高いカントリーリスクがございます。そしてさらには、巨額の投資がございます。そして、この資金調達の困難さもあるわけでありますが、特に一昨年の世界同時の金融危機以来、海外の金融機関からの資金の調達は大変難しくなっております。そういった中で、JBICやJOGMECの機能の強化をしなければ、資源のない我が国にとっては、資源の獲得というのは大変なことになってしまうという思いで決議をした文章であります。

 今、資源獲得の状況を見ますと、中国の外貨準備高、非常に、二兆五千億ドルを超える外貨準備高があり、それらを用いて、金に物を言わせて世界じゅうの資源を買いあさっているというような気がいたします。そして日本は、残念ながら後塵を拝しているというような状況であります。

 この資源獲得競争について、今経済産業省としてどういう認識にあるのか。我が国がきちっと資源獲得ができているという認識なのか、それともできていないという認識なのか。そして、それができるためにはどういったことに力を入れていったらいいということなのか。レアメタルもあります、そして普通の金属もございます。そして、石油や天然ガスもございます。それらについての認識をお伺いしたいと思います。

直嶋国務大臣 資源獲得競争の現状についての認識のお尋ねでございます。

 今、議員の方からも御発言の中にございましたように、特にベースメタル、レアメタルというのは、ともに次世代自動車や省エネ家電等、我が国産業にとって不可欠の資源であります。また近年、ベースメタル、レアメタルともに、欧米の資源メジャーや新興資源国による資源獲得競争が非常に激しくなっておりまして、今委員御指摘のように、なかなか予断を許さない状況ではないかと思っております。

 例えば中国は、民間企業による資源権益の買収に際しても、国が前面に出て、お話しの、豊富な外貨を活用した資源国のインフラ整備や、あるいは場合によっては軍事面での支援等も行っております。また、欧米資源メジャー間でも、例えば、鉄鉱石の資源保有量世界二位のリオ・ティントと三位のBHPビリトン社が、西オーストラリアの鉄鉱石事業の合併を意図する等、一層の寡占化が進展する動きにもございます。

 その一方で、我が国の資源開発企業や総合商社等の財務基盤は、欧米資源メジャーや新興経済国の国営企業の数十分の一と大変脆弱でもございます。

 こうした中で、我が国として、これら欧米資源メジャーや新興経済国の国営企業と伍して資源獲得競争に打ちかつためには、JOGMECによる民間企業に対するリスクマネー供給の強化、我が国の先進技術や環境保全といった強みを生かしつつ、官民一体となった取り組みをしていくことが重要であるというふうに思っております。

梶山委員 今、大臣から、ベースメタル、レアメタル等々の獲得状況についてお話がありましたけれども、今回の改正で、金属鉱物について生産段階の出資ができるようになります。そしてさらには、石油、天然ガスについても、政府保証つきの借り入れによる出資や融資ができるという内容だと思うんですけれども、石油や天然ガスの獲得状況についても経産省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

直嶋国務大臣 御指摘のように、石油、天然ガスについても、やはり官民挙げた体制で、より強化をしていかなければいけないというふうに思っております。

 例えば、油田権益についても、新たなところも含めて、あるいは過去からの権益の更新等も含めて、積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。

 今回のJOGMEC法の改正は、主に資源の方の改正でございますが、エネルギーとあわせて資源獲得の強化ということでお願いを申し上げているというふうに思っております。

梶山委員 資源獲得競争、ベースメタルもレアメタルも、また石油、天然ガスも、世界じゅうが競って、本当に熾烈な獲得競争を展開しておりまして、石油、天然ガスにつきましても大変厳しい状況に置かれていると私は思っております。

 昨晩衆議院を通過いたしました地球温暖化対策基本法の前回の質問のときもお話をしたんですけれども、総則の中で、第一条「目的」の中に、「脱化石燃料化」という言葉が入っております。これは、先般の大臣の御答弁の中でも、「エネルギーの供給源の化石燃料に依存する程度をできる限り低減することをいう。」という定義をつけているから、こういう競争には余り影響ないよというお話をいただいたと記憶をしておりますけれども、これだけ厳しい資源獲得競争の中で、相手国は説明をすれば理解をしてくれるかもしれませんけれども、競合国は日本のこういう法律を盾にして、そしてこれを誇張して、日本はいずれ石油を買わなくなる国だというような話をされる可能性もあると思うんですね。

 こういったことに対して、それはこの法律の考え方ですから、衆議院を通過したものですから、私は、それはそれとしていいんですけれども、経済産業省として、この言葉、そして環境への取り組みとの整合ということで資源獲得をどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

直嶋国務大臣 法律の定義のことは別にしまして、今、梶山議員も御承知のとおり、我が国と、例えば産油国を初めとした資源国の間では、さまざまな形で経済対話を拡大いたしておりますし、その中で、例えば産油国の方からも、今までのようにエネルギーを供給するだけではなくて、再生可能エネルギーやあるいは原子力を含めた、そういった面でも日本からももっと協力をしてほしい、こういう御要請もございます。

 したがいまして、私どもとしては、そういう二国間を中心にしたさまざまな対話の場を拡大いたしておりますので、日本の考え方は先方にも十分伝わっているというふうに思っていますし、御指摘のように、私どもこれから石油や天然ガスが要らない、こういうことを申し上げているわけではございませんで、当然、依然として重要な位置を占めるわけでありますし、むしろ、石油やあるいは石炭もそうですが、日本のすぐれた省エネ技術を生かしていくということで考えますと、当然これからも、今後の日本の経済発展を考えましても非常に重要な分野になってまいります。

 そういう意味で、今申し上げたようなさまざまな政府レベルの話し合いに、今、民間企業の方も参加をしていただいて対話をふやしておりまして、そのパイプを通して、私どもの考え方、それから先方のニーズを受けた形での協力連携関係は拡大をしつつあるというふうに思っていまして、今後ともそれらの充実強化に努めてまいりたいというふうに思っています。

梶山委員 今、大臣からお話がありましたけれども、各国の要望に応じて日本も技術の協力をする、また資金の提供もする。例えば中東のアブダビ首長国におきましてもマスダール計画というものが行われていて、そういったものについてもいろいろな提案もしてまいりました。また、中東におけるUAEの原発の売り込みもしてまいりました。でも、最後には原発に関してはとられたりしているんですね。

 やはり、日本の外に向けての発信ということの整合をとる必要があると私は思うんです。これは、環境は私たちも大事だと思っております。でも、急激に理想だけで目標を掲げてやっていくということは産業を減速化させる可能性があるという思いがありますので、そういったところで、政府内において経済産業省がきちっとバランスがとれるような発言をしていってほしい、そして力を発揮していってほしいという思いであります。

 先般、二月の新聞に、大きな一面の意見広告が出ました。日本基幹産業労働組合連合会の中執の委員長が写真入りで出ているわけでありますけれども、「労働組合として主張する 我々は働く者の雇用と生活の確保に責任がある」ということで、基幹産業ですから、石油化学、また鉄鋼、電力、自動車等々あるわけでありますけれども、日本の雇用を支えている産業が、やはり声高にこういうことを労働組合も叫んでいるということなんですね。

 ですから、結論ありきで物事を進めていくのではなくて、資源獲得も含めて、やはり日本の立ち位置というものをきちっと政府として定めることができるように経済産業省としては主張していってほしいなという、これは要望でありますからお答えは要りませんけれども、ぜひともそういう姿勢でお願いをしたいと思います。

 私どもも、与党の時代には党内でかなり激しい議論もいたしました。環境はだれも大切だと思っている。でも、その一方で、飯の種、雇用の問題、産業の問題、そして将来の日本を担う産業の問題といったことを考えたときには、一足飛びにはそこには行けないということになりますから、この発信が間違った発信にならないように経済産業大臣の指導力の発揮をお願いしたいと思っております。

 続きまして、次の課題でありますけれども、この取り組みについて、今回の改正についてなんですけれども、他国の取り組みとの比較で我が国に必要な施策、体制、先ほどは中国を比較してお話をしましたけれども、これからスムーズに資源の獲得をしていく、そして自主開発も含めてしていく上で、我々が必要な施策や体制、その一部が今回の改正であると思っておりますけれども、どう認識をされているか、お聞かせいただきたいと思います。

直嶋国務大臣 資源の開発を考えますと、手順といいますか、ちょっと申し上げますと、一つは有望な鉱床の存在を明らかにする探査、それから資源量を把握する探鉱、三点目が関連インフラを整備する開発、そして続いて生産、こういう四つの段階に分けることができると思うんです。

 これまでJOGMECは、金属鉱物については、探査段階では地質構造調査を実施する、それから探鉱段階では民間企業へのリスクマネーを供給する、開発段階で債務保証、こういう機能を持っていたわけでありますが、生産段階における支援措置を持っておりませんでした。

 しかしながら、探査段階からの参入が一般的であった金属鉱物資源開発についても、資源企業がさらなる投資原資を確保するため、開発、生産中の鉱山の権益を売却するという事例がふえてきております。さっきお話がございました中国企業などは、こうして売りに出された権益の買収を積極的に進めているということで、世界でその存在感を高めているところでございます。

 資源獲得競争が激化する中で、我が国企業においても、資産買収により鉱山権益を獲得しようという動きが活発になりつつあります。今回の法改正で、我が国民間企業の金属鉱物に係る生産段階の鉱山権益買収に対して、JOGMECを通じた資金支援を行うということが可能になりまして、我が国の資源の安定供給の確保に向けた施策、体制がより整備されるというふうに考えております。

梶山委員 今お答えをいただいたわけですけれども、そういった段階の買収をするに当たっては数千億単位のお金が必要になるわけであります。景気がよく、資金の流動性が高いときには、JOGMEC、NEXIが保証を行うことで民間からの資金調達、そして海外でもそういったことができたわけでありますけれども、金融危機で海外の銀行が干上がっているのが現実でありまして、調達ができない。そして、JBICの融資枠を拡大して対応をしてきたのかなという感じがいたします。

 このことについて、川上、上流のJOGMEC、そして下流、川下のJBICという役割分担をしてきたと思うんですけれども、このJOGMECの改正は今回これはこれとして、そのほか、経産省として、まだまだこういう補強措置をした方がいいというように思われること、今言いましたNEXIであるとか、管轄が違うかもしれませんけれどもJBICの問題等々あると思うんですけれども、その辺について御認識をお伺いしたいと思います。

増子副大臣 梶山先生にお答え申し上げます。

 この資源等についての認識、全く梶山先生と一緒の認識を持っております。我が省としても、我が国としても、先ほど大臣が答弁したような形の中で、しっかりと資源獲得をしていくということは当然のことであります。

 今、梶山先生からの御質問のとおり、私どもとしても、今回のこのJOGMEC法改正に加えて、さらにNEXIやあるいはJBIC等の関係の体制もしっかりと整えていかなければいけないと思っております。この辺については、今後、総合的にいろいろと体制を整えるための準備もしていかなければいけないと思っております。今回、資金供給の仕組みについては一定の充実が図られたものだというふうに認識をいたしております。

 ただ、先ほど来お話があるとおり、中国を初めとして、新興国がさらに資源獲得にいろいろな手段を使ってくると思われます。そこに我々が対抗するためにも、欧米諸国も産業協力と引きかえに政府が資源外交を展開するなど、国と国との資源権益に対しての総力戦の様相を示しているのが現状だと思っております。ですから、私ども、梶山先生おっしゃるとおり、今回のJOGMECはもちろんのこと、NEXIやあるいはJBIC等も含めて総合的な体制をとって、これからさらに、レアメタルあるいはもちろん石油も含めたあらゆる資源獲得に全力を尽くしてまいりたいと思っています。

梶山委員 今回の法改正は、JOGMECの生産段階における金属鉱山の資産買収に係る支援拡大をしているわけでありますけれども、JOGMECによる支援採択の過程において、特定の企業や企業グループのみに有利に利用されることのないように、公平性、公正性を客観的に担保すべきであると思っております。

 JOGMECの出資についてどのような判断基準に基づいて採択をされるのか。民間企業に対して、手を挙げてからではなくて事前に、この制度が始まるときに明らかにしておくべきだと思いますけれども、このことについての御答弁をお願いいたします。

増子副大臣 私どもとしては、今回の法改正に当たりまして、この採択審査基準は大変重要だと認識をいたしております。そのために、ホームページ等において既に公開もしてございます。今回の改正に伴う審査基準の変更については、現在検討中でございますけれども、内容変更についても幅広く周知徹底するように、民間企業等への徹底をしておきたいと思っております。

 これは公平であるべきことは当然のことでありますので、今回の採択審査に当たっては、案件ごとに、技術的事項、経済的事項、政策的事項等について採択審査基準に沿った客観的な審議を行いながら、この採択可否をしっかりと決めていきたいと思っております。

 また、今回拡充する資産買収出資案件についても、JOGMECが採択判断を行った後、経済産業大臣と協議をした上で、最終的にこの採択可否を決定することにいたしております。

 いずれにしても、公平かつ公正な審査というものはしっかりと担保しながら、私どももこの採択に当たっていきたいと思っております。

梶山委員 現行法の理解を深めることも含めて、現行法の改正後、探鉱、開発、生産の各段階に対する支援策である出資、そして融資、債務保証のそれぞれについて、個別プロジェクト、それぞれの案件についてまた個別の事情もあろうかと思いますけれども、出資額の上限、一般的なもので結構ですけれども、債務保証の比率等、制度の概要はどうなっているのか、お知らせいただきたいと思います。

石田政府参考人 制度の詳細についてのお尋ねでございますので、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、JOGMECの出融資事業でございますけれども、現行法におきましては政府出資金を原資といたしております。また、債務保証事業は、JOGMECに政府出資金を原資とする信用基金を設置いたしまして、その一定倍数の金額の範囲で債務保証を行っている、こういう仕組みになってございます。

 お尋ねの個別の制度でございますが、石油、天然ガスにつきましては、プロジェクトの上限額は、今申し上げたような仕組みの中で行っておりますので、個々のプロジェクトごとの上限額はございませんけれども、予算の範囲内でということに当然なるわけでございます。また、出資及び債務保証比率の上限は原則五〇%、ただ、原油あるいはそのガス田の規模が一定規模以上であるというようなことで、一定の要件を満たすものにつきましては特例で七五%にいたしてございます。

 また、金属鉱物資源につきましては、プロジェクトの上限額は予算の範囲内でございますが、出融資比率につきましては、探鉱出資のうち、レアメタル、ウランにつきましては三〇%、それからベースメタルについては一〇%を上限といたしております。

 さらに、今回追加をいたします資産買収の出資につきましては、石油と同様に五〇%を上限とするということにいたしております。また、探鉱融資比率は、レアメタル、ウランについては八〇%、ベースメタルは七〇%を上限としております。債務保証については、レアメタル、ウランは九〇%、ベースメタルは八〇%を上限といたしております。

 以上でございます。

梶山委員 長官、比率はわかったんですけれども、例えば、債務保証をしますよといったときに、総額での上限を教えていただきたいんです。今お話しになりましたか。

石田政府参考人 債務保証の上限額につきましては、まず、現行法におきましては、石油、天然ガスは信用基金の十六倍、これは過去の事故率を前提に計算をいたしておりますが十六倍。それから、金属鉱物資源につきましては十五倍と設定をされております。

 今回の法改正後におきましては、代位弁済後の求償権による回収可能性等も含めて設定することができるようになりますので、石油、天然ガスについては三十倍前後までは引き上げられるのではないかということで今検討いたしております。(梶山委員「総額幾らまで組織として保証をするのか」と呼ぶ)そういう意味では、今度、五千七百億円ぐらいの政府保証つきの借り入れの枠ができますので、少なくともそういったレベルの金額は可能になるというふうに考えております。

梶山委員 今お話がありました政府保証つきの長期借り入れに基づく保証、今度はこれがあるわけでありますけれども、今聞く限りでは結構大きな額になるかと思います。支援事業で失敗した場合は政府が穴埋めをすることになるわけであります。範囲を拡大した意義について十分な説明が必要であろうかと思いますが、先ほどお話ししたような資源獲得の状況に基づいてということであろうかと思います。

 そして、今度は借り入れをすることによって事業に対する出資や融資の機動性というものを発揮したいということだと思うんですけれども、金額が大きいだけに、経産大臣まで含めて手続が結構煩雑になるのではないかなと思うんです。この金額を大きくすることによって、責任の所在をはっきりさせるために手続も一応ある、そして一方では機動性も求めるということなんですけれども、それが両立するんでしょうか。その辺を御答弁いただきたいと思います。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 大変大事なポイントでございまして、金額が大きくなる分、きちんとした手続もとらなければいけない、こう思うわけでございます。

 先生御案内のとおり、JOGMECが政府保証借り入れを行うに当たっては、JOGMECが経済産業大臣あてに政府保証つき借り入れに係る認可申請を行い、経済産業大臣は、独立行政法人評価委員会からの意見聴取及び財務大臣への協議を行った上で認可をする、こういう手続を経ているわけでございます。こうした大臣の認可に当たっては、具体的案件ごとにプロジェクトの重要性、さらにはその借入金の償還可能性、またJOGMECの財務健全性に与える影響等も見きわめて判断するわけでございます。

 この手続に要する時間でございますけれども、JOGMECが民間企業と日ごろから密接な情報交換を図ること、さらには、財務面での外部専門家を活用すること等により、認可申請に必要な時間を極力短縮していかなければならない、こう考えているわけでありますが、現在のところ、備蓄の世界で全く同様の借り入れの認可を行っているわけですが、こちらが大体一カ月間、こういうことでございます。

 それぞれの案件によるわけでございますけれども、現在、そうした現状と同等ぐらいのイメージで、できたらば、一つの目安なのかなという議論はしておりますが、いずれにしろ迅速な決定と、そして慎重な審査との両立を図らなければいけない、このように考えているところでございます。

 御質問のお答えになったかどうかわかりませんが、以上でございます。

梶山委員 今、備蓄についてのお話がありましたけれども、備蓄についてはある程度信用、問題がわかるわけでありますけれども、今度の海外の鉱山の買収、そして融資ということにつきましては、なかなかやはり目ききが難しいと思うんですね。この目ききが備蓄と同じように一カ月でできるかどうか。後々の責任ばかり気にしていては日本の権益を得ることはできませんけれども、例えば環境と産業発展という両方があるように、バランスが難しいものだと思うんですけれども、そういったものに関して後々の、評価委員会等も含めて、新たな手法を用いることはあるんでしょうか。今度額がふえることによって新たな手法を用いるということはあるんでしょうか。

近藤大臣政務官 御指摘のとおり、備蓄の案件とこうした開発案件は同じような感覚で審査はできないわけでございまして、先生御指摘のとおり、迅速な決定と、しかしながら慎重な審査の両立を図るためには、随時、その審査手法、JOGMECのありようについて体制を整備しなければいけない、こういう問題意識は持っておるところでございます。

 いずれにいたしましても、日ごろから民間企業との密接な情報交換を図ることというのが肝要であろう、このように考えているところでございます。

梶山委員 今回の改正で、先ほど申しましたように、鉱物資源等について生産段階での出資が今度できるようになるわけでありますが、これまで探鉱段階であるとか開発段階というのは明確にJBICとのすみ分けができておりました。

 今回の石油、天然ガスの資産買収段階、これはもともと、JBICの業務として出資があるわけでありますけれども、鉱物資源、ウラン燃料等も含めて、今度出資が可能になるということですけれども、この辺の出資のあり方についてJBICとのすみ分けがあるんでしょうか。それとも、JBICの融資額が少ないものの補完ということではないとは思うんですけれども、その辺のすみ分けの区別というものを明確にお示しいただきたいと思います。

増子副大臣 これにつきましては、JOGMECが支援形態としては出資を基本としております。相当数実施しております。JBICは融資が中心でございまして、出資はほとんど実施をしていないということになっております。

 御案内のとおり、欧米の資源メジャーや中国等の国営会社などを見ても明らかなように、世界的にも資源開発事業の推進主体の中心は、金融機関ではなくて、技術的知見と経験を有する資源開発のための専門組織でございます。これは資源開発等の成否が、地下や海底下にある資源の埋蔵量をどこまで正確に評価し、採掘技術を駆使して最も効率的な開発を行うことができるかということが大変技術的、能力的に求められておりますし、また、それに大きく依存しているということがございます。

 この点、JOGMECは、世界各地での事業の実施等により地質構造の把握に係る知見を有するとともに、最先端の掘削技術等の技術開発を担っているということがございます。このため、技術面と資金面の支援を一体的に実施することが可能であります。これがJOGMECの役割であります。

 一方で、JBICは、民間企業に対して金融判断としての与信の可能性を評価しております。したがって、JOGMECのように個々のプロジェクトそのものの技術的リスクをとることができません。ここにJOGMECとJBICとのすみ分けがあると私ども考えておりますし、それぞれ、別の組織の役割、性格に応じて今日まで支援を行ってきたという経過がございます。個別プロジェクトに、両者が異なるリスクをコントロールする形で、相互補完的に我が国の資源開発を支援しているということがございます。

 いずれにしても、先ほど申し上げましたとおり、JOGMECは出資をほとんどその主たる業務としながら、JBICは融資等を中心として行っていくということであります。ここのところをすみ分けをしながら、お互い補完的な役割を担いながら、私どもはしっかりとこれからこの資源獲得ということについて対応していきたいと思っています。

梶山委員 今お答えをいただいたんですけれども、JOGMECとJBIC、それぞれに役割があるということでありました。ただ、冒頭申し上げましたように、海外権益の獲得のためには、JOGMEC、JBIC、NEXI、一体感を持って、国家としてどういう働きをしていくかということがこれから求められることだと思っておりますし、もうそれができていなければならない時期だと思っております。

 最初の決議書の中で、エネルギー安全保障については、やはり一つ内閣においてそういう会議を持ってもらって、そして、資源の獲得等について国家が一体となって役割分担ができるように、重複がないように、また、間に落ちてしまうことがないようにということでの決議をした記憶がありますけれども、これらにつきましては、今資源獲得競争の中でなかなか苦戦をしているわけでありますから、そういった体制を整えるように経産大臣に指導力を発揮していただいて、内閣においての体制づくりにもぜひ御尽力をいただきたいと思っております。

 それでは、次の質問に移ります。

 やはりその決議書の中で、日本の資源にとって大切なのは海外権益をしっかりと獲得していくことというのが、今までの議論の中身でありました。そして次が、日本の国というのは、陸地面積では非常に狭いんですけれども、EEZ、排他的経済水域というのは四百四十七万平方キロメートル、世界で第六位だということで、世界に冠たる海洋国家であると。ということは、海洋資源も非常に豊富にあるはずである、その可能性があるということであります。

 こういったものを利用しない手はないということでありまして、平成十九年七月に海洋基本法が施行されました。そして同法に基づいて、二十年三月には海洋基本計画が策定をされ、そして、二十一年にはそのロードマップであります海洋エネルギー・鉱物資源開発計画というものが策定をされて、それに基づいての海洋資源の開発が行われているものと承知をしております。

 これはちょっと旧聞に属するものなんですが、もう古い話ですが、昨年の六月に沖縄で海底熱水鉱床が発見をされたという新聞記事がありました。海上保安庁が発表したわけでありますけれども、JOGMECも興味を示しているというような内容であったかと思いますし、そのほかのところでも海洋の熱水鉱床の探査もしているということでありますけれども、この沖縄近辺の海洋の資源探査、海底の資源探査につきまして、どのような進捗状況、またどのような状況になっているのか、お聞きをしたいと思います。

増子副大臣 梶山先生お話しのとおり、昨年六月、実はこの沖縄海域において海底熱水の鉱脈があるんじゃないかという報道が大分なされました。私どもも、これはひょっとしたら大きなものがあるかなというふうに思っておりました。しかしながら、経済産業省は、海上保安庁からこの発見に係る精密海底地形図等の詳細な情報の提供を受けて、昨年七月、実は、JOGMECが所有する第二白嶺丸により、当該海域の海底熱水鉱床の資源ポテンシャル調査を実施いたしました。

 先生御案内のとおり、この第二白嶺丸は大変老朽化いたしておりまして、今回、私どもはこれに対して予算をつけて新しいものをつくろうということで、今、設計の段階に入っております。それはさておき、この結果、一部の区域で過去において熱水が噴出していた地点が確認されたものの、残念ながら、金属鉱床の存在については十分な確認には至りませんでした。

 しかしながら、私どもとしては、梶山先生おっしゃるとおり、我が国は、海に囲まれて非常に海底資源の可能性の大きな国でありますから、特に沖縄海域は、火山活動の活発な海域であることから、新たな海底熱水鉱床が存在する可能性は十分あるだろうというふうに考えておりますので、第二白嶺丸によりサンプリングや海底探査をさらに実施しながら、新たな海底熱水鉱床の発見にこれからも全力で努めてまいりたい、そのように思っております。

梶山委員 我が国の経済セクターもこの海洋資源の開発というのは強い問題意識を持っていまして、結束、連携して、コンソーシアム型のプロジェクトを具体化させるべきだというような意見が出ていることは御承知のとおりだと思っております。

 今、副大臣からお話がありました第二白嶺丸、これはJOGMECの所有ということで、金属等の探査ということですね。もう一つは、資源エネルギー庁所有の三次元物理探査船「資源」、これは石油、天然ガス資源を探査するということでありますが、これらを駆使して今探査をしていることと思うんですけれども、これらの稼働状況について、もう一度、重複にならない程度に教えていただきたいんですけれども。今、第二白嶺丸のお話がありました。石油、天然ガスの資源の探査船である「資源」につきましても教えていただきたいと思います。

松下副大臣 平たい言葉で言えば、二つの船とも粉骨砕身、もう身を削って頑張っている、こういう状況だと思っております。

 「資源」は平成二十年に入れました。現在、もう探査能力の上限に近いレベル、今フル稼働していますけれども、大体五千平方キロメートル、広い海洋からすればごく一部ですけれども、とにかく頑張っている。昨年三月に策定した例の海洋エネルギー・鉱物資源開発計画ですけれども、平成三十年度までには六万二千平方キロメートルを探査したい、こう思っていますけれども、この広い海洋の中で有望地域の一割程度ぐらいしかまだできないというところですから、まだまだしなきゃいかぬところはある、そう思っております。

 第二白嶺丸ももちろんそうですけれども、これはもう三十年たっていますので、これも全力を挙げて、もう身を粉にしてやっております。

 よろしくお願いいたします。

梶山委員 全力でやっているということでありますけれども、中国が南米やアフリカの既存の鉱山に対して資本参加をしたり買収をしている、さらにはまた海洋資源についても積極的に、軍と一緒になってと言ってもいいと私は思うんですけれども、探査もしていると思っております。

 そういった意味からも、日本の海洋資源を守るためにもやはりその抑止力というものは必要だと思いますので、これはここでの議論はやめておきますけれども、経済産業省としても、そういった面も含めて、ぜひ日本の安全保障、防衛というものにも御理解をいただきたいし、また政府への助言もしていただければと思っております。

 では、次の議題に移ります。都市鉱山のことであります。金属のリサイクルということであります。

 先ほど言いましたように、海外権益の取得、海洋資源の開発、そしてさらにはまたこの都市鉱山をどううまく利用していくかというのが、日本が、資源の大国と言わないまでも、資源が困らないようになるための大きな課題であります。

 この都市鉱山、例えば、今、金が約六千八百トンぐらい、携帯電話のみならずほかの電化製品も含めて、車も含めて回収していないものがあると言われています。これは世界の埋蔵量の大体一六%ぐらいと言われています。南アフリカよりも多いと言われております。また、銀は約六万トン、インジウムは千七百トンと、これは世界で一位になるわけであります。そして、携帯電話だけに限って言えば、もし今、市中に出ているものすべてを回収して、またそれらの金属を有効利用するとした場合に、毎年、金が年間約二トンぐらいリサイクルできると言われております。

 家電リサイクル法もありますけれども、今、次々と新しい電化製品が出てくる。そういった中で、そのリサイクルへの取り組み、そしてこの都市鉱山の有効利用、またさらには、こういったほかの国への技術の貢献ということでの経産省の取り組みについてお聞かせいただきたいと思います。

増子副大臣 我が国には、いわゆる都市鉱山として、使用済み製品等の中にレアメタル等の有用な金属資源が豊富に存在していることは梶山先生の御指摘のとおりでございまして、私どもも、このリサイクルについては積極的にかかわっていきたいというふうに思っております。

 レアメタル等の資源確保の観点からは、こうした国産資源である都市鉱山のリサイクルの推進が今まで以上に重要になってくるだろうと思っております。環境省ともよく連携をしながら、これについてさらに私どもは進めてまいりたいと思っておりますし、我が省においても、使用済み製品を回収するためのリサイクルシステムの構築に向けた検討を積極的に行うとともに、使用済み製品や工場の製造過程から発生するくずからのレアメタルの抽出技術開発等、総合的な対策をこれから講じていくことになっております。

 今後とも、こうした取り組みを通じて都市鉱山からのリサイクルを推進して、我が国の資源の安定供給に貢献できるように努力をしていきたいと思っております。

 いずれにしても、大変豊富なこの都市鉱山、今まで以上に私どももしっかりと対応をしながら、それでなくても日本は資源のない国家でありますから、こういう貴重な都市鉱山を私どもは有効に使っていきたいというふうに思っております。

梶山委員 次の質問に移らせていただきます。

 この法律の改正で三番目、本部の東京移転ということがありますけれども、今、独法の本部が本当に東京に必要なんだろうか、また出先が必要なんだろうかということで事業仕分けもされているわけでありますけれども、今度、資源獲得機能の強化に伴い、川崎から東京に出てまいりますよというお話があります。

 これは全面移転なんでしょうか。それとも、例えば外交上の話をする、また外務省との話をする、経産省との話をする、そういった機能の部分についてだけの移転なんでしょうか。

 そして、あわせてお伺いしたいんですけれども、今現在は、川崎と、東京にも一部あるかと思いますし、また千葉の方にもあると伺っておりますけれども、それぞれどういった人員で行われているのか。そして、本法改正後に配置が行われたとして、どういう人員配置になるのか、お聞かせいただきたいと思います。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 政府の行う資源外交と一層緊密に連携するという移転の趣旨を踏まえまして、現在川崎にある本部事務所の人員、業務をすべて東京都に移転することとしております。

 なお、資源備蓄などの部署等、一部の部署を川崎に残すということは、円滑な業務遂行に支障を来すとともに、追加的な家賃も発生するなど非効率が生じる、このように判断しているところでございます。

 現状については、政府参考人の資源エネルギー庁長官から御答弁をさせていただきたいと思います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、JOGMECの職員は四百七十六名おりますけれども、本部に三百七十八名、それから国内の備蓄基地、これは石油で十、LPガスで五ございますけれども、これを含め二十二カ所の国内事務所に七十二名、それから十三カ所の海外事務所に二十六名の職員を配置している、こういう分散状況になっております。

梶山委員 はっきりとした比較が必要だと思うんです。例えば家賃であるとか、そういったものは予算上どういう想定をしておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

石田政府参考人 移転に伴いますコストの比較でございますけれども、まず人件費につきましては、都市手当の扱いにつきまして、JOGMECの労使間で協議を行って、現行水準で据え置くということの確認を済ませておりますので、本部移転に伴う人件費は基本的には変更がないというふうに考えております。

 それから、人員配置については、先ほどのあれで、今回、川崎の本部事務所におります職員全員が東京都内の本部事務所に移転をすることになります。

 家賃でございますが、近年の都心における家賃水準の低下傾向を踏まえますと、東京移転により、都内での打ち合わせ用スペースの削減も含めて、年間で数千万から一億円近い家賃負担の削減を見込んでございます。

 今回の移転に伴いまして、むしろ、さらなる効率化によって全体のコストが下げられるように努めてまいりたいというふうに考えております。

梶山委員 今の長官のお話で大体理解しましたけれども、新聞等には「独法 引っ越し太り?」とか焼け太りとかという書き方もされています。だから、そういう批判が出ないようにしっかりと最後まで見届けて、これを実行していただきたいと思います。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

東委員長 次に、平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明です。きょうもよろしくお願いいたします。

 ちょっと質問通告をしておりませんので、これはうまくやりたいと思いますが、きょうの朝だったものですから。朝日新聞に「独法鉱物探し 脈無し」という新聞記事がかなり大きく出ておりまして、新聞に出ている以上、これを聞かないわけにいかないということで、別にだまし討ちをするつもりは全くありませんので、もし、その場であれでしたら、ちょっと時間を置いてでも結構ですので、まず指摘だけをさせていただきます。

 いわゆるJOGMECですが、今まで長年にわたって結構事業を失敗していますねということで、その総額が六十億円の損失に上っているという記事が出ております。こういうリスクの高い事業ですから、うまくいかないことも当然あるんだと思います。しかしながら、近藤政務官にだけちょっと先に記事を渡しましたが、パプアニューギニアのフリエダの銅に関する事業については、一九七五年から続けてきた事業をことしの一月に打ち切りを決めたということですね。これに対しては、旧事業団から開発会社に十三億円出資をしていたと。

 直近にこういうことがあるのであれば、やはり、ぜひこの法案の議論に当たっては教えていただきたかったなというふうに率直に思います。そのほかのことに関しては、大分古い話も入って、見出し自体は「六十億円損失」ということで、かなりインパクトのある見出しになっておりますが、その総額全体がきのうきょう起きた話ではないというのは理解をしておりますが、ぜひ、こういうのは、法案の議論に当たっては事前に出していただきたい。

 そんな中で、お伺いしたいことは、きのう質問の中で、いわゆる財融特会のリスクの話を少しさせていただきました。金利リスクをとっている、それを準備金に積んでいるという議論をしましたが、それとあわせて大串大臣政務官にお話をしたのは、デフォルトリスクというのがあるんじゃないかと。しかしながら、そのデフォルトリスクは、貸している先が公的機関だから大丈夫なんだ、そのときそのときに手当てをするんだということでありますけれども、たしかJOGMECの鉱物関係は財投から出ていると思うんですね。そうすると、この財投から出たお金が損失になっているわけですから、その先では、その債権は実質回収不能になっているんだと思います。

 ですから、今後、自民党時代はなかなかできませんでしたが、民主党の皆さんが独法に切り込んでいく、そして大胆に独法を整理、統廃合していくという中では、こういった損失が表面化をしてくるわけでありますから、そのデフォルトリスクをどっちでとるんだ、財融特会でとるのかその他でとるのかということをしっかり考えて、ぜひやっていただきたいと思います。

 その中で、質問は、例えば、これは単純な質問ですけれども、リスクがある事業だということは十分わかりますが、巨額の損失が出た場合の損失の処理をどう独法内でされているのかということと、あと、こういったことに損失を出したとき、会社であれば経営責任というものが役員に問われるわけでありますが、そういうのはどうなっているのかということを、今でいいですか、後でもいいですけれども。(近藤大臣政務官「経営責任ですか」と呼ぶ)経営責任も含めて。もしよければ、後で質問しますので。今できれば、どっちでもいいですよ。

近藤大臣政務官 お答えをいたします。

 朝日新聞のけさの朝刊の記事については、時間の関係もございますから、御指摘を踏まえてきっちりお答えをしなければならない、また改めて御回答したい、このように思っているわけでございますが、あえて言えば、ややこれは見出し先行の記事の部分も、委員御指摘のとおりでございまして、事実は事実としての部分もございますが、そういう点もあることはあえて申し上げたいなと思っておるところでございます。

 責任のとり方でございます。

 本法改正により、JOGMECの政府保証つき長期借り入れの対象が拡充されるわけでございます。理事長の任期は四年、理事の任期は二年、こういうことでございますが、御案内のとおり、こうした資金というのは、探鉱から生産まで二十年以上にわたって、長期にわたって回収するものでございまして、個々の役員の、理事長なり理事の業績評価というのは、個々のプロジェクトの成否というわけではなく、これも重要なことではございますが、しかしながら、基本的には、出資業務に当たっての経済面、技術面での適切な審査体制を確立したか、さらには業務の実施などの組織のマネジメントについて評価することが適当であろう、このように考えております。

 また、個別の審査案件というよりは、全体の、複数の案件を組み合わせてのポートフォリオを構築して、JOGMEC全体の健全性を、責任者が、理事長なり理事が確保したかというところについて重きを置いてその経営責任を問う形になろうかと思いますので、個別の案件一つ一つを現時点の理事長にとらせるというのは必ずしも適切ではない、このように考えているところでございます。(平(将)委員「損失の処理の方は」と呼ぶ)

 損失の処理は、独法通則法等、法令に基づいて適切に処理をする、こういうことでございます。

平(将)委員 済みません、ちょっと勉強不足で独法通則法のその処理の仕方がよくわからないものですから、その辺をちょっとわかれば、どういう処理の仕方をするのか教えてもらいたいと思います。

階大臣政務官 お答えいたします。

 今突然の質問なので条文上の根拠はちょっと今手元にないんですが、もし独法が借りていたお金を返済し切れなかった場合、これは財政投融資に貸し倒れ損失が発生するのか、あるいは独法に国が公的資金を入れてお金を返すようにするのか、そういう問題意識だと思います。

 今私が確認したところによりますと、そういうケースは過去にないんですが、国が公的資金で独法にお金を入れて、財政投融資はちゃんと返済する、こういうことになるというふうに想定されているようです。

平(将)委員 財政投融資はデフォルトリスクをとっていないんですよ。だから、財投債で調達をして貸し出しますね。それで、あそこに積んである準備金は金利リスクだけですから、仕入れの金利と貸している金利のその変動のリスクをとるだけなんですね。そこで、一〇%も金利リスクをとっているから、これはデフォルトリスクじゃないです、金利リスクです、調達金利と貸出金利の差を埋める準備金ですというから、一〇%もとる必要はないということで、一〇から五になってきて、それをまた今回、政権で使われたんだと思います。しかしながら、デフォルトリスクを一切とっていないんですよ、二百兆。これはあり得ないと思うんですね。

 それで、今言った理屈でいうと、独法だから大丈夫よ、ある意味、財投が支え続けるから大丈夫、いざとなったら税金を入れたから大丈夫という話なんだけれども、しかしながら、これはどんどん時価で出て。やられるんでしょう、ゼロベースで見直しをされるんですよね、皆さん。そうすると、では、デフォルトリスクをどこでとるんだ、財投ではとれませんよねという話があるので、私は財投でとったらいいと思うんです、新しい仕組みをつくって。それは、金利リスク一〇%を積むぐらいなら、そういうことも考えて、ぜひやっていただきたいと思います。

 今、近藤政務官からお話がありましたが、確かにこれは難しいんですよね。長期にわたりますし、リスクも大きい。だから、体制をどうつくったかということですが、その反面、最後は税金で穴埋めなんですよ、仕組みとしては、財投でリスクをとれないんだから。ということもあり、ここら辺、ちょっと悩ましいところです。

 ですから、事後的に、どういうガバナンスの仕組みや評価の仕組みをつくったかとか、その当時どういう議論がされたのかということが確認できるように、できるのかもしれませんけれども、ちょっとこれは議論してつくっていかなければいけないと思います。

 それでは、質問に入っていきたいと思いますが、きょうは質問が多いので、ぱっぱといきたいと思います。

 経産省の方で直嶋大臣が独法の見直しの三原則を発表されました。「事業の大胆な整理」、「カネの流れの明瞭化」、「経営資源のスリム化」ということで発表されたんだと思います。これは多分経産省独自の見直しだと思います。それとあわせて、政府は行政刷新会議で、大変話題にもなっております事業仕分けを今やられているところだと思います。

 まず、経産省独自の独法の見直しという中で、このJOGMECというのはどういう評価になったのかということを教えてください。

直嶋国務大臣 今御指摘のように、四月十九日に、経産省所管の独立行政法人の改革を発表いたしました。これは今お話にございましたが、行政刷新会議の事業仕分けの対象となる法人が決定する前に公表したものでございまして、事業仕分けの対象になるかどうかにかかわらず、所管する十一独法すべての事業、資産、契約状況について、我々は見直しの三原則と言っていますが、それに従いまして、一つ一つゼロベースで結果をまとめたものでございます。

 この中で、JOGMECについては、我が国の資源外交を支える中心的機関ということでありまして、一つは、関係機関や産業界トップとの連携強化、それから二つ目は、出資、融資案件に係る一層厳格なリスク審査体制の構築、まさに今お話があった点でございます。それから三点目が、競争性のない随意契約比率の大幅な引き下げ。これは、御参考までに数字を申し上げますと、平成二十年度で随契比率が六四%でございました。これを平成二十四年度には一〇%台に引き下げる、こういう目標をつくりまして、改革を行うということにいたしています。

平(将)委員 今、経済産業省独自の見直しのお話を伺いましたが、あわせて事業仕分けをやられているわけであります。当初、JOGMECのいわゆるリスクマネー供給部分が事業仕分けの対象になるのではないかということがマスコミ報道などでされていたわけでありますけれども、これは報道ベースでしか我々は知り得ないわけでありますが、最終段階では外されているということです。これはどういう理由で外されたのか、行政刷新の、これはまた泉大臣政務官にお願いします。

泉大臣政務官 今回の事業仕分けの具体的な対象法人ですとか事業の選定に当たっては、まず、四月八日に行政刷新会議で了承されましたけれども、事業選定の考え方というものがございますので、それに沿って各府省等からヒアリングを実施いたしました。

 その中で、さまざまな観点、効率性だとか緊要性だとか民間実施ができないか、そういう観点でヒアリングをしたわけですけれども、JOGMECについては、他の法人の事業に比べて優先して事業仕分けで検証すべきという結論に達しなかったということで、報道では、例えばどの段階で外れた、外れなかったみたいな報道があるかもしれませんが、我々としては、事前にリストとしてお出しをしていてそこから引いたとか引かないとか、そういう話ではなくて、最終的に選ばれなかった、そこに尽きるという考え方でおります。

平(将)委員 もしこの朝日新聞の記事がもうちょっと早く出ていたら、いろいろな難しいところはあると思いますが、出資、融資体制というものを含めて、やはり、よく開かれた場で議論をすべきという結論になったのではないかなという気がします。

 非常に野党的な言い方をさせてもらえば、この見出しでいけば、六十億円税金で損しているんじゃないか、それで結局だれも責任をとっていないじゃないか、これはどうするんだという言い方もできるわけですね、あえてしませんけれども。

 であれば、事業仕分けでやはり、これは難しいんだと思うんですよ、出資とか融資とか。それで、現実、結果としてだれも結果責任をとらないわけですよ。結果として、結果責任をとらないということは、何でもできるということですよ、ある意味。緩い気分でできるんですよ。だって、責任とられないんだから。だから、これは事業仕分けすべきだったと僕は思います。

 それともう一つ懸念をするのは、下手に事業仕分けをやって、あっちはあっちでがりがりやるわけですから、そうすると、この法案の審議に影響を与えるんじゃないか、だから外したんじゃないかということも邪推をされてしまう可能性があると思うんですね。

 ですから、私はぜひ、JOGMEC、事業仕分け、これは再度、こういう記事も出たことですから、国民のそういう不信を払拭するためにもやるべきではないかなと思いますので、言わせていただきたいと思います。

 あわせて、民主党のマニフェストには、ほとんど守られていませんが、中に、法人のあり方を、独立行政法人のあり方は、「全廃を含めて抜本的な見直しを進める。」ということを書いてありますけれども、今回のこの法案とはどういう整合性になっているのか、これはマニフェストをつくったのが当時政調会長の直嶋大臣であったということもありますので、その辺の整合性を教えてください。

直嶋国務大臣 民主党のマニフェストに御指摘のような文言で記載をいたしております。

 独立行政法人の見直しについては、マニフェストということではございませんが、政府全体の方針を踏まえて我々としては対応していくという考え方でございます。その一環として、各省庁においてもそれぞれ取り組みなさい、こういう確認がされましたので、先ほど申し上げたとおり、独立行政法人のすべてについて見直しを行ったということでございます。

 今回の法案改正は、昨年十二月に閣議決定されました、明日の安心と成長のための緊急経済対策、いわゆる二十一年度の補正予算の部分でありますが、ここにおいて、我が国のさらなる成長を促すための布石となる、特に緊急性の高い施策として実施が決定されたものでございます。

 先ほど来御議論ありましたように、世界の資源獲得競争が激化する中で、為替の状況等を見ながら、円高等の好機をとらえて、我が国企業がレアメタル等の権益確保を円滑に行えるようにJOGMECの支援機能を拡充する、それとともに政府の資源外交と一層緊密に連携するという趣旨で改正をするものでございます。

平(将)委員 マニフェストを見た普通の有権者や国民は、全廃も含めて抜本的な見直しを進めるといえば、何か独法を全部なくしてくれるのかなというようなイメージも持っている人もいると思います。確かに個別な運営とか運用にはいろいろ問題があると私も思うし、役割が終わった独法も当然あると思います。その反面、必要な独法も当然あるんだと思います。

 ですから、そこはやはり有権者のイメージとちょっと離れているんじゃないかなと思いますので、ぜひ丁寧に説明をしてください。政権をとって、学べば学ぶほど独法も重要だということがわかってきたということかもしれませんけれども、しっかりとその辺の説明をしていただきたいと思います。

 続きまして、本部移転について、先ほどの梶山議員からの質問と重なりますので、ばっとお話をさせていただきたいと思いますので、まとめて御答弁いただければと思います。

 先ほど言及がありました、二〇一〇年三月二十九日の朝日新聞の「独法 引っ越し太り?」という記事でありますが、ちょっと教えていただきたいのは、川崎から東京に事務所を移転する、そうしたときに、都市手当があるから人件費がアップをするんだということを、この記事では、川内博史さんというあの有名な議員さんが経産省に問い合わせた結果と書いてあるんですよ。でも、先ほどの理事会ではもう川内さんは納得しているんだということですが。

 ちょっとよくわからないのは、川内さん、与党の議員が経産省に問い合わせて、それだけ人件費が上がるんだという認識を持って、これは反対だということを述べられたわけでありますが、コストは上がらない、家賃は上がらない、人件費も上がらないということでいいのかどうかの確認と、であるならば、都市手当というのはどういう扱いになっているのか。例外的にこのときだけつけないのか、どうなのか。だから、人件費、家賃、要はコストが上がるのか、上がらないのか。都市手当といったものがどうなっているのか。その辺だけちょっと確認で教えてください。

近藤大臣政務官 いわゆる都市手当ですけれども、地域ごとの物価の違いを賃金水準に反映させるための調整手当でございますが、例えば、国家公務員においては、霞が関勤務の場合は一八%、川崎勤務では一二%、こういうふうに差があるわけでございます。JOGMECにおいても、給与規程において、現在、六%と規定をしておるわけです。

 したがって、この場合、JOGMECとしては、都内への本部移転に際して、通常どおりいけば、それは確かに六%上がるという交渉が可能だったわけでございますが、ここは川内委員長も誤解をされていて、我々経済産業省がきっちり御説明したら御納得をいただいたわけでありますが、当初から、都内への本部移転に際して、都市手当の引き上げの予定はございませんでした。JOGMEC経営陣としては、そういう方針ではございませんでした。したがって、東京に戻ったからといって、移転したからといって、給与が上がるという計画は当初からございませんでした。

 ただ、労使交渉でございますので、法案が閣議決定をした後に労働組合側に提示して、そして、最終的にそのとおり、増額でない形で妥結を見た、こういうことでございます。

平(将)委員 そうすると、この都市手当なるものは、やろうと思えば削れる、労使の話し合いがつけばということですね。これは、独法も民主党の全体の人件費改革の外だと思いますけれども、では独法全部、この都市手当、削ろうという話はできるということですね、どこの独法も、やろうと思えば。だって、実際払わないでしょう、六%。それはだれに聞いていいかわからないんですけれども、そういう認識で。では、大臣でいいですか。

直嶋国務大臣 今、近藤政務官からお答えしましたように、ちょっと私も、すべての独法に労働組合があるのかどうか存じ上げません。ただ、JOGMECの場合は労働組合がございまして、最終的に、労使間の交渉で物事を、水準も決めていくということでございましたので、先ほどお話しのとおり、経営側から提案をして、妥結を見たということでございます。

 人件費の話等を含めて、今、例えば公務員の労働基本権の議論が延々とありますが、私は、将来の方向として、やはりできるだけ労使できちっと話し合って、納得できるような物事の決め方というのは望ましいのではないかと思っています。

 したがって、そういう方向に全体的な制度改革が進んでいけばさまざまなことが可能になるというふうに思っていまして、御質問の独法を全部下げろという話は、ちょっと一概に、できるかどうかはわからないということでございます。

平(将)委員 独法も税金が入っているわけですから、今の話だと、やろうと思えばできるという話なんだと思います。

 よく事業仕分けなんかで横ぐしという発想を民主党の皆さんはされるし、非常にこれはいいアイデアだと思いますけれども、せっかく総務大臣政務官がいらっしゃっていますので、これはみんな落としたらいいじゃないですか。

階大臣政務官 独法通則法を所管している総務省として、そういう高い処遇についてどういう対応をしているかといいますと、十二月九日のときに、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会、こちらの方から意見を出しまして、国家公務員よりも高い処遇をするときには、ちゃんと各省の独立行政法人評価委員会に諮るように、こういうことを出しております。

 そういうことで、独立行政法人全体について、おかしな手当についてはチェックがかかる、こういう仕組みにしております。

平(将)委員 仕組みはそうだと思いますけれども、JOGMECができるんだから、ほかもできるんだと思います。川崎だろうが霞が関だろうができるんだと思いますので、ぜひそれを検討してください。

 それでは、次に、役職員の話をさせていただきたいと思います。

 ちょっと時間もないのであれですけれども、理事長は、経産省出身、そして民間を幾つか経験して理事長になられた。お一人の理事は経産省出身ということでありますが、この理事の方、経産省出身の理事の方のポストというものは、今経産省の指定席になっているのかどうかということ。また、公募をやられているやに聞いておりますが、この公募制度はどういう内容で、実際、結果はどうなっているのかという件。とりあえずその件を教えてください。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 JOGMECの役員十名のうち、公務員OBは理事長及び理事一名の合計二名であります。いずれも経済産業省の出身であります。

 役職員四百七十六名のうち、公務員OBは八名であります。内訳は、経済産業省出身五名、財務省出身一名、警察庁出身一名、会計検査院出身一名、こういうことでございます。

 また、公募でございますが、公募については大臣がお答えされる形になっております。

 事実関係は以上でございます。(平(将)委員「理事の指定席、経産省の」と呼ぶ)

東委員長 手を挙げて発言を求めてください。

近藤大臣政務官 理事の指定席でございますが、指定席という言い方、考え方は、基本的にはそういう認識は現時点ではございません。

 以上でございます。

直嶋国務大臣 JOGMECの理事の六ポストと監事の二ポスト、計八ポストについて、ことしの二月に全員が任期を迎えました。このうち、実は元国家公務員、今OBという話がありましたが、この元国家公務員が理事または監事についていたポスト、二月でいいますと四つのポストでございます、理事三ポスト、監事一ポストについて、閣議で方針を決めまして、それに基づきまして公募を実施いたしました。

 その結果、総務、経理、評価等担当理事一名は元国家公務員、OBを再任いたしましたが、他の三名については、二名を民間から、もうお一方は財務省からの現役出向という形で新たに任命をさせていただいたところでございます。

 したがって、公募によって着実にOBのポストは減少をしているということでございます。

平(将)委員 そういった中で、理事長は経産省出身、民間のキャリアが間に入って、今、理事長。理事の一名の方は経産省出身ということであります。

 天下り根絶ということを多分党の重要な政策として掲げていられるんだと思いますが、このケース、今回の理事長と経産省出身の理事のケースは、いわゆる民主党の言うところの天下りの定義に該当するのかどうか、その辺を教えていただきたいと思います。

直嶋国務大臣 結論から言いますと、どちらも天下りではないということであります。

 天下りの定義について、官房の方で定義をいたしまして、天下りとは、府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させる、したがって、公務員が、法令に違反することなく、府省庁によるあっせんを受けずに、再就職先の地位や職務内容に照らして適材適所の再就職をすることは、天下りには該当しないということでございまして、あっせんをしたかどうかということがポイントでございます。今回の場合はあっせんには当たっていないので、天下りではないということでございます。

平(将)委員 天下りではないということだと思いますが、その判断としては。

 そうすると、では、公募がどれだけフェアに、オープンに行われているかということに尽きるんだと思います。理事長が経産OBで、それでポストがあって、公募をやりました、何人かはかえたけれども経産出身者は残っていますと。では、その公募はちゃんとできているのかということだと思いますので、公募の制度については、またちょっと詳しく、もしあれば具体的な方法を、その審査の仕方を。

    〔委員長退席、北神委員長代理着席〕

直嶋国務大臣 独法の理事長は大臣任命です。それで、理事は理事長任命でございます。それから、監事は大臣が任命するというルールになっています。それぞれの独法において理事と監事の選考委員会をつくっていただきまして、公募をされた中から、その選考委員会で議論をして、どの人がふさわしいということを決めていただいて、理事の場合は、理事長に選考委員長から報告をしていただいて理事長が決める、その決めた結果を大臣に報告する、こういうルールになっています。

 今回の場合は、私、すべてについて確認をいたしましたが、審査は、選考は厳正にされている、そういうふうに理解をいたしております。

平(将)委員 その辺は具体的に、ちょっと私も中が見られていませんので、また別の機会に議論をしたいと思います。

 ちょっと時間がなくなりましたので、済みません、きょう、外務大臣政務官いらっしゃっていますけれども、質問を飛ばさせていただきます。大変済みません。

 最後に、これも時間がないので、後で報告で結構ですが、JOGMECの案内を見ると、人工衛星を使ったリモートセンシング技術を活用して共同探査をやっているということでありまして、これはどういうものなのかなといった部分、また、どういう予算を投下して、どういう実績があって、今後どういう展望があるのか、ちょっとここだけ短く御答弁いただいて、終わりたいと思います。

近藤大臣政務官 リモートセンシングを活用した事業についてでございますが、JOGMECは、南部アフリカ諸国におけるレアメタル等をターゲットにした探査の推進、また資源国の人材の育成を目的とした事業を展開しております。二〇〇八年にリモートセンシングセンターをボツワナに設立をしているところでございます。

 これまで、関係近隣諸国、ボツワナ、ザンビア、モザンビークから、延べ二十名の研修生の受け入れ等々の事業を行っておりますし、また、JOGMECから現在三名の職員が派遣され、我が国の人工衛星を用いた地質解析の専門家が定期的に派遣されて、研修を行っています。

 こうした事業を通じて、JOGMECは、各国政府とMOUを結んでおりますので、鉱床が発見された場合は、その権益が日本企業に優先的に譲渡される仕組みになっております。

 予算の執行状況でありますけれども、現在、二億三千万円の予算を使っているところでございます。

 今後とも、レアアース、レアメタルの資源獲得に向けて力を注いでまいりたい。リモートセンシング技術は我が国が世界でも誇れる技術である、このように認識いたしておりますので、活用したい、こういうことです。

平(将)委員 では、もう少し詳しいのを後で資料をいただければと思います。

 それでは、時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

北神委員長代理 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 きょうは、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、JOGMEC法案について、私の方からも質問をさせていただき、その議論を深めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 先ほど来からありますように、今、世界における資源獲得競争が激化している。国内の資源が我が国は大変乏しいわけでございますけれども、こういうような世界の流れに日本も巻き込まれている、こういう状況だと思います。

 一方、我が国が国民生活、経済活動を守るという観点から、資源エネルギーの安定供給を確保していく必要性、これは論をまたないわけでございますけれども、しかし、その対象となる資源エネルギーは、石油、天然ガスや、銅、亜鉛といったベースメタルを超えて、今やハイテク製品製造のスパイスとも言われるレアメタルの安定供給確保も死活的に大変重要になってきているわけでございます。

 こういう中で、本日審議をさせていただいている法案は、石油、天然ガスのみならず、レアメタル等の金属鉱物資源確保まで含めて安定供給を確保するために、JOGMECを通じた、我が国民間企業に対する資金供給支援の強化を目指した法案である、このことは十分理解しております。

 そこで、まず大臣にお聞きいたしますが、レアメタル、石油、天然ガス等の資源確保政策における本法の改正の位置づけについてお伺いをいたします。

直嶋国務大臣 今も議員御指摘のとおり、世界的に資源獲得競争が激化をいたしておりまして、そうした中で、我が国の資源開発を担う民間企業の財務基盤の規模は、先ほどもお答えいたしましたが、欧米資源メジャーや新興経済国の国営企業の数十分の一と、非常に脆弱でございます。

 こうした状況下において、一方で我が国は、石油、天然ガスやレアメタル等の金属鉱物資源の安定供給を目指して、官民一体となって、今資源国との関係強化を図るとともに、JOGMECによる海外での鉱床の調査、リスクマネーの供給支援を通じて、民間企業による資源権益の獲得を進めてきてまいっております。

 今般、国会に提出させていただいていますこの法案は、我が国民間企業の資源権益獲得に対するリスクマネー供給支援の強化を目指すものでございまして、今回の制度改正により、権益価格の下落等の好機をとらえて、JOGMECを通じて、タイムリーかつ大規模な資金支援を民間企業に対して行うことが可能となります。我が国企業による資源権益確保が加速化されるというように考えているところでございます。

江田(康)委員 それでは、レアメタル資源確保の強化に向けた取り組みについて、一連お聞きをしていきたいと思うんです。

 最近になって、我が国産業の競争力の維持、また低炭素社会の構築との関係で、レアメタル資源確保の重要性については議論が大変高まってきているところでございます。電気自動車、これは高性能電池にリチウムが使われている。またハイブリッド自動車、これは高性能磁石にレアアースであるジスプロシウムが使われている。さまざまな製品にこういうようなレアアースまたはレアメタルが使われておるわけでございますが、我が国産業がハイテク製品を製造していく上で、競争力を維持していくためにはこのレアメタルの資源の確保が大変不可欠となっているわけでございます。

 そこでまず、中国のレアメタル政策についてお聞きをしたいと思うんですが、レアメタル資源、特にレアアース資源の供給については、中国の占有率が非常に高くなっているという状況にあります。その背景はどういうことになっているのか、お聞きをしたい。

 また一方で、中国国内では、国内の需要拡大を見越してレアメタル資源の輸出を制限しようとする動き、これは保護主義とも、また訴訟も起こっているというような状況でもございますが、こうした中国のレアメタル政策についてどのように対応をしていこうとしているのか、政府の見解をお伺いします。

松下副大臣 レアアースの分野についても激しい競争が行われています。

 中国は、低コストでレアアースを生産して、生産規模を拡大させた結果、西側諸国の多数の鉱山が休山、閉山に追い込まれた。そういうことから中国の供給割合が非常に拡大してきたという事実がございます。一方、近年、中国政府は、御指摘のとおりに、国内の天然資源の保護等を理由に、レアアースを含むレアメタルの輸出数量の削減、それから輸出税の賦課等の政策を実施してきております。

 我が国でも、日中ハイレベル経済対話、それから高級事務レベル協議、日中レアアース交流会議等、さまざまな二国間対話を通じて、中国政府に対して、継続的にレアアース資源の輸出継続の必要性を繰り返し主張してきております。

 また、レアメタルの供給源を多角化することが喫緊の課題だというふうに認識しておりまして、このことから、これまでのハイレベルの資源外交、JOGMECによるレアアース資源の探査、開発へのリスクマネー供給、それから技術面の協力等によりまして、ベトナム、それからカザフスタン等の中国以外の資源国におけるレアアース資源開発を今必死になって推進しております。

 今後とも、今回追加される生産中の鉱山の資産買収への出資機能等を十分に活用して、資源確保に努力してまいりたい、こう考えております。

江田(康)委員 レアメタル、鉱物資源の確保について、大変重要な今の現状がお話しされましたけれども、中国は生産量の九七%を占めているという、大変占有率が高い、そういう中で、今おっしゃったように供給を多角化していくべきである。そういう意味で、中国以外の供給国における資源開発を進める、こういうことが非常に大事になってきているわけですけれども、こういう動きに対しては、中国以外の場合ですけれども、特にレアメタル資源の囲い込みの動きも今現在ある。

 こういう中で、こういう動きに対して、政府としてはどのように対応をしていこうとしているんですか。

松下副大臣 確かにそういう動きがございまして、新興経済国それから途上国において、海外資本による鉱山の所有に制限を加える、それから国内で鉱石をより高付加価値の製品に加工することを義務づけたりするということで、さまざまな形でいわゆる資源ナショナリズムが広がってきております。

 我が国の先端産業に不可欠なレアメタルの確保のためには、こうした国とも、インフラ整備へのODAの活用、それから産業振興や人材育成に向けた官民連携等を通じて、やはり相互依存関係の強化を図っていくということが大事だということで進めてきております。

 また、資源ナショナリズムの動きによりまして、現地に既に進出している日本企業の活動が制約を受けることなく資源の生産、輸出を行うことが可能となるように、政府間での働きかけなどを不断に行っているということでございまして、今後も引き続き政府としての不断の努力をしっかりと続けてまいりたい、こう考えております。

江田(康)委員 今もおっしゃいましたように、中国以外のレアメタルの資源の確保というのは大変重要で、その保護的な囲い込みの動きに対して的確に対応していくことが大変重要でございます。

 本来は、もう少し具体的にお聞きしていきたいわけでございますけれども、今回の法律の改正事項について確認をしてまいりたいと思います。

 こういうような中で、本法案では、レアメタルの鉱物資源確保を目指して、いわゆる生産中の鉱山権益を我が国企業が買収する際の支援策の拡充を今回盛り込んだわけでございます。生産中の鉱山権益を買収するという手段をとるのは、これは資源の安定供給を確保する上では、探鉱段階よりもはるかにリスクも低く、また効率的であると考えます。

 しかし、なぜ今までこうした取り組みを支援してこなかったのか、そういう支援制度がなかったのかというのが素朴な疑問でありますし、また、なぜ今回の法改正のタイミングでJOGMECの資金供給支援の対象としてレアメタル等の金属鉱物の権益買収支援を追加することとしたのか、そこのところの考え方をお伺いいたします。

    〔北神委員長代理退席、委員長着席〕

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 金属鉱物については、これまでは探鉱段階からの参入が一般的であり、生産中の鉱山権益の売買等というのは余り行われてこなかったわけであります。したがいまして、この支援制度というのを用意してこなかったわけであります。

 しかしながら、最近になって、鉱物資源についても、資源企業によるさらなる投資原資を確保するための開発、生産中の鉱山権益の売却や、中国企業などによるこうした権益の買収案件が増加し、結果として、生産中の鉱山権益の売買が拡大をしてまいりました。

 こうした中、我が国の資源企業の間でも、金属鉱物資源の鉱山権益の買収に向けた取り組みが活発化しつつありまして、ニーズが高まっております。

 こうした観点から、今回の機会をとらえて、開発、生産中の金属鉱山権益を獲得するための支援策を用意することといたしました。

江田(康)委員 今申していただきましたように、やはり今、非常に好機である、タイミングが非常に適した時期に来ているということでございます。

 確かに、鉱山開発というのは、そういう探鉱段階からの参入が一般的だったんですね。ですから、鉱山を買収していくという、今においては非常に重要な、効率的な手法ですけれども、これがなかった。しかし、今のような、中国また海外の企業の参入によって、買収段階というのが大変重要になってきている。そこに目を当てた法改正であるというのは十分に理解をするわけでございます。

 次に、その一方で、今回の法改正でこの制度が創設されるわけでございますけれども、しかし、そうなったとしても、実際に我が国民間企業に活用してもらえなければ何の意味もないわけでございます。そこの需要のところをお聞きいたします。

 世界では、中国、さらには新興経済国の企業を中心に、アフリカ、そしてオーストラリア、中南米と、生産中の鉱山権益の取引が非常に活発化してきているわけでございますが、こうした中で、今回の新支援制度創設をにらんで、我が国企業側から資金支援ニーズは寄せられているんでしょうか。仮にこの新制度ができたときに、どのような案件を支援していくことになるのか。具体的な見通し、そこを確認しておきたいと思います。

近藤大臣政務官 お答えをいたします。

 それぞれ、具体的なプロジェクトの話でございますので、個別の企業名やプロジェクト名を明らかにすることはこの場ではできないわけでございますが、本法案が公表された後に、民間の資源企業や商社から、南米や東南アジア等の案件について、具体的な相談がもう複数、現時点で寄せられております。規模も、大小それぞれでございますが、数十億円から百億円を超えるものの買収案件等々、金属分野、さらには、石油、天然ガス分野では債務保証の御相談、こういうことも、大きな案件も寄せられているところでございまして、複数の案件が現時点で寄せられております。

江田(康)委員 次に、海外のレアメタル資源の確保という観点と、ちょっとその視点を国内のレアメタル資源の確保ということに移して質問をさせていただきます。

 すなわち、スリーR、リサイクルでございますが、我が国が、資源に乏しい、海外からの輸入にその大部分を依存していることは事実であって、だからこそ、今、海外での資源権益を獲得するために、今回のような法改正でもって海外からのレアメタル等の資源を確保していくわけでございます。一方で、都市鉱山と言われる、国内の廃家電とか携帯電話に含まれているレアメタルを抽出して、再利用またリサイクルすることで、国内にレアメタル鉱山を持つのと同じような効果を有するということで、ここ数年、もっとになるかと思いますけれども、その展開もあっているところでございます。

 私は、直にかかわってきた経験がございますので、また大変大きな関心を引き続きしておりますので、この質問をさせていただくわけでございます。私は車の両輪と思っておりまして、海外のレアメタルの資源権益を確保していく、資源開発をしていく、それと同時に、日本に入ってきたそういう貴重な資源を国内でリサイクルしていく、そして外になるべく出さない。これは非常に効率的であり、省エネ的であり、これからの低炭素社会、環境社会と経済の統合という意味においても大きく進めていかなければならないことだと思っております。

 きょうは松下副大臣がいらっしゃいますけれども、世界一の金の鉱脈はどこか、御存じでしょうか。

松下副大臣 私の鹿児島の郷里に菱刈鉱山がございまして、世界一だ、そう思っています。手に持つと大変重いです。

江田(康)委員 さすがに地元の鉱山、世界一でございます。私も九州・熊本でございますけれども、お隣の鹿児島に菱刈鉱山というのがあります。ここは、一トン当たり金は、若干正確ではないかもしれません、記憶によれば、三十から八十グラムぐらいだと思いますが、それが世界一の金の含有量でありまして、それに対して、都市鉱山と言われる携帯電話や家電、この都市鉱山からは一トン当たり三百グラム以上、三百から五百グラムと言われますから、そこに約十倍以上の金の含有量を含む。これは金に関してだけなんですけれども、都市鉱山というのは、ほかのレアメタルについても非常に効率のいい鉱脈なわけですね。

 日本にも大変優秀な企業がありまして、この都市鉱山の鉱脈、家電製品等から抽出をしていくその技術は、世界でも三本指に入るDOWAホールディングスというのがやっておるわけでございます。私も環境副大臣のときに秋田の小坂製錬所を見てまいりましたけれども、もともとこれは、百年以上にわたって我が国には鉱山技術がある、その技術を利用して、そこで多量の携帯電話からの金やインジウム、パラジウムとか、そういうレアメタルの回収が行われております。

 小泉政権のときにスリーRイニシアチブというのがございました。このスリーRイニシアチブというのは、我が国から廃棄物が中古品として海外に出ていく、特に中国とかアジアに出ていった場合、そこでごみになる、廃棄物になる、その処理技術を各国が持たないがゆえに日本がごみを輸出している、こういうような状況にも至ったわけです。

 それで我が国は、小泉政権のときに、スリーRイニシアチブ、すなわちアジア大のスリーRをつくっていかなくちゃいけないということで、各国に我が国の循環型社会の技術を、これを技術協力して各国でスリーRをつくる、こういう流れの中でレアメタルについても、東南アジア等からの携帯電話、家電、そういうものを逆輸入して、日本が、処理をできない、技術でもってこのレアメタルの抽出を日本で行うというようなこともトライをしてきた、こういう長い経緯がございます。

 私は、このレアメタル戦略というのは、先ほども冒頭言いましたように、やはり資源の確保と、入ってきた非常に貴重なそういうレアメタルを日本で処理して、それを海外に無駄に出さないというか、そういうようなスリーRの活用というのがまた必要だし、各国ではこれが技術協力ということで、ウイン・ウインの関係にこれからの資源外交の中でもやはり使っていけるのではないかと思っております。したがって、経済産業省と環境省はこの分野においても強力に協力をして進めていかなくてはならないと思っています。長くなりましたけれども、思い入れがありますものですから。

 そういう中で、質問でございますけれども、いろいろ難しさはあるんです。このスリーR、都市鉱山の家電製品等からレアメタルを抽出する、その抽出する技術も大変重要であり、そしてまた携帯にしても、回収していくという部分においても社会システムづくりが非常に難しいというところがあって、早急には進んでいないところがあります。

 こうした中で、我が国にとっての新たな国内レアメタル供給源としてのポテンシャルを有するこの都市鉱山、レアメタルのリサイクルについて、改めてその実現可能性、我が国の国内のレアメタル供給源としての潜在性を経済産業省としてどうお考えで、そして政府全体としてどのように強力に進めようとしているのかについてお伺いをいたします。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 いわゆる都市鉱山の重要性については、江田先生は大変この分野を力強く進めてこられた先生でございますし、御専門家であられるわけでありますが、全く問題意識は同じであろうかと思っております。極めて有用な金属資源が豊富にいわゆる都市鉱山には存在するんだ、こういう認識であります。

 ただ同時に、このリサイクルの推進には、その回収量の確保と効率的な技術の確立が大変課題になっている、こういうことでございまして、経済産業省においては、この使用済み製品を回収するためのリサイクルシステムの構築に向けた検討を行うとともに、使用済み製品や工場の製造工程から発生するくずからのレアメタルの抽出技術開発等、総合的な対策を講じておるところでございます。

 環境省と連携をした事業、実証実験を進めておるわけでございますが、恐らく江田先生が環境副大臣当時に進められた事業か、このように思うわけでありますけれども、大変意義のある事業か、こう認識しております。こうした問題は、この鳩山政権においても各省連携で進めてまいらなければいけない、引き続き力を注いでいきたい、このように考えているところでございます。

江田(康)委員 今回の法案が、資源供給の安定確保と低炭素社会の確立、こういう二つの目的を持って法案の改正をしていく、また資源外交で海外からの権益を確保する、それを強化していく、こういう目的で、非常に大事な法案だと私も思っております。

 ぜひとも経済産業省に改めてこの委員会の場で確認しておきたいと思っておりますのが今の観点でございまして、海外からどんどん資源を購入し、また確保してきたとしても、それが製品になり、廃棄物になり、全然利用されない、効率が悪いというようなことになれば、それは一方で宝の持ち腐れである。そこで、やはりしっかりと都市鉱山からレアメタル等の貴重な金属を抽出して、そしてリサイクルして使う、そうすれば、海外の資源確保もある程度効率的にいくのではないか。それは競争力の一つだと思いますので、これは車の両輪ということで、なかなかちょっと、うまくハイスピードでは進んでいないこの都市鉱山からのレアメタル抽出戦略、アジア大のスリーR、こういうところにおいても、これを機にぜひとも大きく進めていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 最後の時間で、資源確保の政策全体について、二、三お伺いをさせていただきたいと思います。

 今までもありましたように、この法案というのが、資源の確保、資源の安定供給、そして低炭素社会の構築、これを目指して、我が国民間企業に対する支援を強化するものでありますけれども、しかし、それだけでは足りないのではないかという観点でございます。もっと幅広い視点から我が国の資源確保策を考えていく必要があるのではないか。ここがこういう委員会では特に議論をしていくべきところではないかなと思いますが、一つは、我が国の資源企業の育成について。

 我が国の資源企業というのは脆弱であるとよく言われます。確かに、海外の資源メジャーとか新興国の国営の企業からすれば、本当に資金面でも、技術ではまさるとも劣らない、日本では技術はすぐれたものがあると思うんですけれども、そういう全体として脆弱な日本の、我が国の資源企業をどう育成していくか。

 こういう資源メジャーとも言われる欧米の大手企業に伍していく、そういう企業として育成していくためにはどういうようなことが必要であると思っておられるのか、お伺いをいたします。

松下副大臣 もう御指摘のとおりでございます。

 我が国民間企業の財務基盤の規模というのは、これはもう欧米資源メジャーや新興経済国の国営企業の数十分の一というまことに脆弱なものでありまして、技術開発投資もこうした企業との比較で見ると極めて小さいということです。

 資源獲得競争が極めて厳しい中で資源権益を獲得していくためには、競争に耐え得る資産規模や経営力、技術力を備えた上流企業を育成強化することが極めて大事だという、御指摘のとおりでございます。

 そういうことで、これまでもJOGMECが、資源確保政策の中心機関として、みずから技術開発や地質調査等に取り組むとともに、技術力や金融支援機能を活用して我が国民間上流企業の支援を行っていく、競争力の強化に貢献してきたということでございます。

 この法案によりまして、JOGMECの機能が強化されることで、さまざまな上流権益の獲得や資産買収等が進むことが期待されておりまして、これによりまして我が国の上流企業の育成強化をさらに加速化してまいりたい、実践を積んでいくということが大事だ、そう考えております。

江田(康)委員 続けて、関連しますので質問いたしますけれども、本法案によって我が国民間企業による資源権益獲得に対する支援策は強化されることになると思います。しかし、中国とか韓国に加えて、フランス、欧州各国まで含めて、国を挙げた取り組みとして資源確保に邁進しているのが世界の実情ではないでしょうか。

 今の範囲のお答えではよくわからないので、もう一度確認をいたしますけれども、こうした中で、日本としてどのように取り組んでいくべきか。これは非常に大きな視点からでございますので、大臣にお答えいただきたいと思います。

直嶋国務大臣 新興国での需要増とか、あるいは新たな資源国が登場してくるということで、御指摘のように、石油、天然ガスやレアメタルは国際的な戦略物資になっています。

 資源確保を目指す国々は、先ほどもお話ございましたが、政府首脳の積極的な関与も含め、国を挙げて取り組む姿勢を強化いたしておりまして、我が国としても、資源国との戦略的な二国間関係を強化することが必要だというふうに思っております。

 また他方で、資源国は、自国の資源をさまざまな形で活用して経済成長を遂げようとしておりまして、資源国側のニーズに合った、資源分野にとどまらない広範な協力事業やプロジェクトの推進によって我が国との関係をさらに重層的にしていくということが、要は、いわゆるウイン・ウインの関係をつくるということが資源の安定供給にも寄与することになります。

 したがって、今、中東湾岸諸国やあるいはそういった資源国等、戦略的に重要な資源国との関係では、首脳、閣僚レベルでの外交の推進に加えて、ODAや産業協力など官民の連携を深め、オール・ジャパンの取り組みを相手国に提示していくことが有効でありまして、そのために、政府、関係機関あるいは民間企業の有機的な連携を図りまして資源確保に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

江田(康)委員 今の観点は大変重要でございます。我が国の資源企業の育成と、そしてまた我が国の資源確保政策の全体について、どのように進めて、また取り組んでいく考えかということをお聞きさせていただきました。

 やはり資源外交というのは大変重要かと思っております。これまで私も幾度か批判をちょっとしてきたかと思いますけれども、やはり鳩山政権になって、地球温暖化の方の国際約束二五%、これは総理が先頭に立って姿形が見えていたわけです。一方で、資源外交というような中でどのように首脳や閣僚が動かれてきているか。こういうところにおいて、直嶋大臣がもっと前面に立って動いていかなければ、今非常にタイミングとして重要な時期であるからということで質問をさせていただいたこともございますが、そういう首脳、閣僚レベルでの資源外交は大変重要になってきております。

 やはり、一民間企業がどうこうする、そういうレベルではない、大変重要な分野、幅の広い、重たい分野でございますから、官民の連携でオール・ジャパンという取り組みが、やはり民間企業は大変大きく期待しているし、またそれを他国に先駆けて実現していくということが大変重要になってくるかと思いますので、全力で取り組んでいただきたいと思います。

 金融の支援等においても、JBICとかとやはり連携をとっていく。また、相手国が何を必要としているか。インフラ整備等においても、また産業協力においても、そういう相手のニーズをつかまえた上での資源外交の成果として協力関係が生まれてくるのではないかと思いますので、このような幅広い対応をぜひとも直嶋大臣に先頭に立って頑張っていただきたいとエールを送らせていただきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 最後に、時間が四、五分ございます、JOGMECにちょっと戻らせていただいて、一つだけ確認をさせていただきます。

 政府保証つきの長期借入金を追加して出資業務、債務保証業務に必要な資金を確保する、こうやって民間企業を支援していくわけでございますけれども、資源エネルギーのプロジェクトというのは、千三つと言われるほど、プロジェクトのリスクとか外れるリスク、先ほども、外れて六十億円損失とかありましたが、こういうような高いものだ、ハイリスクだと思います。

 そういう中で、こういうプロジェクトに対する支援策に必要な資金をこの借入金で調達して、JOGMECの財政状況というのが果たしておかしくならないのか。財政健全性についてどのような手段を講じていくのかについてお伺いをしたいと思います。

 そして、あわせて、個々のプロジェクトへの支援を決めるに当たって、大変慎重な評価、査定が必要かと思いますが、どのような審査をすることを想定しているのか、これについて最後、答弁をいただいて、終わりたいと思います。

近藤大臣政務官 お答えをいたします。

 JOGMECの財務の健全性の確保の方策の具体策、こういう御質問でございますが、政府保証借り入れの対象とする資産買収出資業務については、探鉱段階の出資と比較して、既に資源の存在が明らかになっている開発、生産段階にある鉱山権益を買収するものでございます。

 したがって、相対的にはリスクは低いわけであります。さらに、案件の所在国、また鉱山の種類を多様化してポートフォリオを形成することで財務を安定化することが可能になるだろう、こう考えるわけでありますが、そうはいっても、損失が発生した場合は大事な税金が最終的にはかかわる話でございますから、案件のしっかりした精査が必要であることは言をまたないわけでございます。

 そして、個々のプロジェクトの支援で、我々としましては、債務保証業務については代位弁済用の一時的な借り入れの際に政府保証つき借り入れを活用することを想定しておりますので、過去の債務保証業務の実績、これは石油公団の実績でありますけれども、実質的にはほとんど回収をしております、九九%回収しているという実績がございますので、こうした実績から見ても財務の健全性を維持することは十分可能であろう、このように考えているところでございます。

 また、個々のプロジェクトへの支援を決めるに当たってどのようなことを審査するのかということでございますが、こちらの方は、JOGMECは、地質調査、資源開発に係る技術の実証、調査等の業務を通じて、豊富なノウハウや専門知識を蓄積しているところでございます。こうした専門知識を活用し、技術的な事項、経済的な事項、政策的事項等々を総合的に勘案して、しっかり審査を進めてまいりたい。専門知識を蓄積している集団でございますので、その知識にさらに磨きをかけていきたい、このように考えているところでございます。

江田(康)委員 先ほども平委員の方から朝日新聞の記事をもっての質問もございましたが、確かに、こういう資源開発というのは大変なハイリスクを伴うものであります。

 しかし、先ほどから私も議論しておりますように、この分野は日本の資源エネルギーの開発として大変に重要なところでございますので、今の点、財政の健全化をやはりしっかりととっていく。今回、五千億円規模の政府保証つきの長期借入金等が予定されておりますが、じゃぶじゃぶ使って成果が出ない、もしくは独法、独立行政法人のそういう効率性が進まないというようなことでは、これは国民に対して裏切ることになるわけでございますから、その成果が大変に求められ、そしてその評価がその都度なされていかなければならないものだと思っております。

 そういうことを確認させていただいて、きょうの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

東委員長 次に、柿沼正明君。

柿沼委員 民主党の柿沼正明でございます。

 実は、この委員会に昨年から参加させていただきまして、過去二度、質問準備をいたしましたが、どうも私が質問する直前に徹夜国会になったり、きのうも危なかったわけですけれども、二度流れまして、やっときょうが初質問でございます。張り切ってまいりますので、よろしくお願いします。

 私自身、議員になる前に資源開発の業務に携わっておりました。その意味でも、このJOGMEC法の改正に立ち会えまして、大変幸せでございます。

 きょうは、時間が二十分ということで限られておりますので、本当は自分がやってきた石油、天然ガス、この辺の質問もさせていただきたかったのですが、金属鉱物、特にレアメタルの部分に集中して、そしてきょうは採決までありますので、その意味では網羅的に質問をさせていただきたい、このように思います。

 きょう、いろいろな御質問の中で、既にレアアース、希土類鉱石の話が出てまいりました。これは、皆さん御存じのとおり、もともとはライター石に使っていたものが、最近、環境時代になりまして、ハイブリッドカーや携帯電話でも非常に大事な鉱物になっております。

 このレアアースですが、今、江田議員の質問にもございましたが、生産国は中国ほとんど一つ。後ろに資料がつけてありますが、真ん中よりちょっと下、レアアース、生産量十二万四千トン、生産国は中国が九七%であります。そして、報道でも出ておりますが、このレアアースの資源囲い込みを中国がやり始めております。

 そんな中で、我々日本は、成長に非常に重要なレアアースの確保、そのほかのレアメタルの確保、ここをどうやってやっていくのか、非常に大事なタイミングになってきております。そして、中国爆食といいまして、みずからの国の資源は囲い込む一方、外に対して物すごい勢いで資源確保に動いております。こうした世界の動きの中で、無資源国の日本はどうやって頑張っていくのか、非常に重要なときであります。

 そこで、まず大臣に御質問させていただきたいのは、産業のビタミンと言われるレアメタルの確保について、これまでと大きくかじを切って、きょうその意味でJOGMEC法の改正に至っているわけですが、どういう決意を持ってやっていかれるのか、その決意を中心に教えていただければと思います。

直嶋国務大臣 けさほど来議論が続いていますように、国際的な資源獲得競争が大変激しくなっています。また、御指摘のように、レアアースは産出国が限られておるということでございます。一方で、次世代自動車や、あるいはさまざまな分野で大変重要な、ハイテク製品をつくる上で不可欠の資源でありまして、それをどう確保していくかということが大変重要でございます。

 一つはやはり、中国の話も出ましたが、私も昨年中国に参りましたときに、カウンターパートにこの件も話の一つとしてきちっと申し入れまして、その後、さっき御答弁でお答えしたように、日中間でさまざまな話し合いの場をつくらせていただきました。きちっと外交努力を通じて確保していくということが重要でありますし、さらに、他の国、中国以外のルートの権益を確保するということが重要であります。

 それからもう一点、これは資源確保とは直接的にかかわらないかもしれませんが、一方で、やはり代替品を開発していく。つまり、レアメタルを使わなくてベースメタルを使えるようになれば、これはまた全く異なってくるわけでありまして、一方でそういう技術開発をさらに推進していくという努力が必要であるというふうに思っております。

 いずれにしても、さっきも申し上げたとおり、総理を初め、閣僚も含めて先頭に立った資源外交を展開するとともに、今回のJOGMEC法もあわせて、我が国のそういう制度を整備してまいりまして、全体として資源確保に遺漏を来さないようにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

柿沼委員 ありがとうございます。

 十年ぐらい前に私が上流の開発を前職で担当していますときに、アラビア石油という、当時非常に大きな上流会社がありました。石油の開発の利権の延長問題というのが起こりまして、そのときに、実は日本の国に対して、鉄道を敷いてくれ、こういう話があったわけです。今、非常に残念に思い出すわけですが、当時、今のような政府の覚悟があれば、あの石油の利権はつながったかもしれない、こう思うわけでございます。

 そして今、政府の成長戦略の中で、インフラの海外展開ですとか、こういうお話がございます。資源の確保と、あと途上国、山元の国のインフラ展開、これを資源確保のためにどのように活用していくのか、また逆に、インフラのためにどのように資源獲得戦略を結びつけていくのか、おわかりになれば御答弁いただければと思います。

直嶋国務大臣 御指摘のとおりでして、例えばサウジアラビアも、従来は日本に石油を供給するということで、これはこれで我々にとっても大変重要なことでございます。

 一方で、やはり石油以外のエネルギー確保のために努力したい、あるいは、今サウジアラビアも人口が急増しておりまして、そういった中で、国内で雇用を確保して経済発展していくためには、やはりものづくり産業を育成したいとか、さまざまなニーズがございます。これは、日本とサウジアラビアの間で経済対話という形で定期的に会合を持ちまして、お互いに必要なこと、できること等を含めて定期的に協議をいたしております。

 その中に、今お話しのシステムに関する部分も当然入ってまいりますので、先方のニーズもきちっとそこでとらまえながら、民間企業と協力して、資源確保とシステム輸出を、お互いにウイン・ウインの関係になるようにしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。

柿沼委員 ありがとうございます。その意味では非常に、ここ近年ない政府の資源獲得、そしてこれからの日本の飯の種、それを結びつけていくという決意がお聞きできました。ありがとうございます。

 法案は、JOGMEC法の改正ということでございます。投資の支援につきまして、今回新たに、金属鉱物の分野における生産段階、ここに出資が可能になるということでございます。これによって、これまでの探鉱出資、開発債務保証、生産出資、これまでもやられています備蓄支援、一連、一貫のシステムがここで成立するわけです。

 これは、石油、天然ガスもそうであったわけですけれども、探鉱を重視していくのか、開発を重視していくのか、それとも、今回これでできるようになるわけですけれども、生産段階の買収を重視していくのか。生産の買収ということは資産買収ですから、恐らく鉱山会社を買うことまで視野に入れていると思うんですけれども、そのことも含めて、今後どこをどのように重視していくのか、どうバランスをとっていくのか、教えていただければと。

 と同時に、石油の自主開発の比率、目標というのがございます。それと同じようにここに目標があれば、教えていただければと思います。お願いします。

近藤大臣政務官 柿沼先生にお答えいたします。

 先生は旧日本興業銀行でこういった分野にかかわってこられた方でありますので、エネルギー開発にお詳しいわけでありますが、御指摘のとおり、今回の法の改正が実現いたせば、一連の道具がそろうわけでございます。

 どの分野を重視するのかという御質問でございますけれども、これは、やはり民間企業が、例えばA商社はこの分野、A企業はどの分野と、それぞれの会社によって判断が分かれるところであろう、こう考えておりますので、基本的には、やはり民間企業がそれぞれ案件を発掘して、それを全面的に後押しするというのがJOGMECの役割でありますから、どの分野を重視するかといえば、それぞれの企業戦略によるものということであろうと思います。

 大事なことは、どういう事態になっても、どういう状況になっても対応できる体制を国としては整えておく、そしてそのニーズに合わせるということが重要であろう、このように考えるわけでございます。

 あともう一点、石油のように自給率目標のようなものはつくるのか、こういう御質問でございます。

 現在、エネルギー基本計画を策定中でありますが、この中において、レアメタル等の金属鉱物資源について自給率、これは自主開発資源にリサイクル分を加えた数値でありますが、こういった自給率の目標を掲げようということで検討している最中でございます。二〇三〇年、レアメタルについては、これはいろいろな種類があるわけですが、押しなべて自給率五〇%を目指せないかということで今検討しているところでございます。

 また、銅、亜鉛といったベースメタルについては、八〇%という目標を現在検討しているところでございます。

柿沼委員 近藤政務官、ありがとうございます。

 バランスをとってということだろうと思います。石油は千三つということでありますが、金属はもう少し発見、探査の確率は上がるんだろうと思います。私の個人的な思いとしては、せっかくきょうできます生産段階、資源量を確保していくということにとって非常に効率のいいものですから、ぜひここを重視していただければというふうに思います。

 次に、いろいろ御質問が出ていましたが、都市鉱山の開発についてお伺いします。

 これはちょっと資料を見ていただきたいのですが、先ほど話が出ましたレアアースを見ていただきますと、実は、日本の都市鉱山の備蓄量、これは全部が元素として取り出せるかという問題はあるにしましても、世界の生産量の一年分をはるかに超えるぐらいのものがございます。リチウムにしても同じような状態であります。

 先ほど来質問が出ておりますが、この都市鉱山をどうやって回収していくのか、特にJOGMECという国の資源調達のトップをやっている機関としてどう対応していくのか、そこを教えていただければと。

 ぜひ私としては、JOGMECに都市鉱山開発について先導的な役割を国家として担っていただきたいなというふうに思っているわけですが、中長期的にこの分野をどうやっていかれるのか、お答えいただければと思います。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のとおり、JOGMECはこれまで、国内鉱山の多様な金属を含む鉱石や低品位の鉱石から効率的に金属を抽出する製錬技術の開発に豊富な経験を有しているわけであります。こうした蓄積を生かして、JOGMECにおいては、平成十九年度より、小型家電や携帯電話等の使用済み製品や工場の製造工程くずから効率的に抽出する技術の開発を進めているところであります。

 今後とも、こうした取り組みを通じて、都市鉱山からのリサイクルを推進し、我が国の資源の安定供給に貢献できるよう尽力してまいりたい、このように考えております。

 また、JOGMECと同様に、経済産業省においても、先ほど御答弁いたしましたが、平成二十年度より、環境省との連携のもと、自治体と協力したリサイクルシステムの構築に向けた検討も行っているところでございます。今後とも進めてまいりたい、このように考えております。

柿沼委員 早くも五分前の紙が参りまして、備蓄の御質問をしようと思っていたんですが、今、九鉱種平均で三十四日分ということであります。石油が今百日を超える備蓄を行っておりますが、先ほどの一連、一貫の体制の中でエネルギーセキュリティーは達成できるという意味で、このレアメタルにつきましても、ぜひ備蓄をもっと推進していただくような方向を考えていただければと思います。ここは要望で終わりにさせていただきます。

 きょうの法案の大きな部分を占めるわけですが、JOGMECの投融資の体制について御質問させていただければ。

 先ほど来、平議員ほかいろいろ議論が出ておりましたが、JOGMECは、投資会社というよりは金融会社に今ほぼなっているわけです。その点で考えますと、出資をするお金を借りてくる、これは金融機関的にはALM上まずない構造になっております。今は、機動的に対応するためにはやむを得ないことであると思いますが、今後の展開ということを考えたときに、JOGMECの役割をもう少し整理した方がいいのではないかなというふうに考えております。

 特に、今話がいろいろ出ておると思いますが、JOGMECは国家そのものであるわけですから、政府としか交渉しないというような鉱山国もあるでしょうし、機動的に今やらなくちゃいけないというようなこともあると思います。

 そういう意味で、今回の法律では少し読めないんですけれども、例えば、民間会社が情報を持ってきて、JOGMECはその申請を受けて、じゃ、五〇%出資する、四〇%出資するということが普通だと思うんですけれども、政府が先に情報を取得して、もしくは、民間会社が情報を取得したとしても、政府としか交渉しないといった場合に、JOGMECが一〇〇%その権益を今の法律でとれるのか、読めるのか、そこを教えていただければと思います。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 現在、石油、天然ガスについては、資源国が交渉相手として政府そのものないしは政府機関を求めるケース、さらには我が国の資源開発企業側の受け入れ体制が整うのを待っていては、チャンスを、資源獲得の機会を失するケースが出てきた場合には、将来的に我が国の民間企業に譲渡することを前提として、JOGMECが一時的に一〇〇%の権利を保有することができるわけであります。

 そして、今般、このような金属鉱物についても、資源ナショナリズムの高まりとともに、石油、天然ガスと同様の事態が発生する可能性が高まってきている、こう考えまして、こういった状況の変化を踏まえ、今次改正により、探鉱権利取得業務の対象に金属鉱物を追加することといたしました。

 こうした機能を柔軟に活用しながら、官民一体となって積極的に資源獲得に努めてまいりたい、このように考えております。

柿沼委員 ありがとうございます。

 これはもう本当に、緊急的にやらなくちゃいけないこととか、そういうことはあると思います。そこを逸すると日本の資源の獲得が失敗してしまうということは過去にも、石油、天然ガスでもあったと思いますので、ぜひそこは柔軟な、かつ積極的な対応をお願いしたいと思います。

 時間が厳しいようですけれども、あと一問お願いしたいと思います。

 先ほどからも出ておりますが、非在来型のエネルギーも日本の周辺にはございます。四月の八日に東委員長ともども、資源の探査船、「資源」という名前なんですけれども、そこにお邪魔してまいりました。日本周辺にもいろいろな資源が存在していると思います。先ほども出ておりましたが、海底熱水鉱床ですとか、あと南海トラフの方にありますメタンハイドレートですとか、この辺の大きなチャンスもあるわけであります。

 日本のエネルギーセキュリティーを確保するという意味におきましては、周辺の資源探査、そして埋蔵量を獲得しておくこと、生産するかどうかは別としまして、獲得しておくこと、これは非常に重要だと思っております。

 そうした周辺、日本の国内だけでなくてもいいんですが、そこについてのこれからの政府の力の入れぐあい、そして、もう見えているメタンハイドレートですとかそういったものも含めた見込み、その辺を最後に聞かせていただきまして、質問を終わりたいと思います。

直嶋国務大臣 御指摘のとおり、日本の周辺海域に、メタンハイドレートそれから海底熱水鉱床というものの存在が確認をされております。

 メタンハイドレートで申し上げますと、いかなるものかという解説はもういいと思うんですが、我が国の天然ガス消費量の百年分とも言われているわけでありまして、今後、相当な、化石燃料資源として期待が大きいということでございます。

 また、海底熱水鉱床の方は、海底から噴出する熱水に含まれる銅、亜鉛等のメタルが沈殿をした鉱床でありまして、我が国の場合には比較的水深の浅いところに存在するのではないかということで、その分だけ開発しやすいのではないかという期待も持たれております。

 いずれにしても、世界全体の中で資源確保を一生懸命やっているわけでありますから、自分の庭先もしっかり開発をして資源を確保していくということは大変重要でありまして、今、海洋エネルギー・鉱物資源開発計画に基づきましてこれらの開発にも取り組んでいるということでございまして、今後ともしっかりやっていきたいというふうに思っております。

柿沼委員 どうもありがとうございました。

東委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、最初に、やはりこの法案そのものの性格にかかわって、少し総括的に見ておくことが大事だと思いますので、二〇〇二年の六月に、石油公団法を廃止して、そしてJOGMECに移す法案のときに、膨大な国費を投入して進めてきた無責任な当時の石油公団について、成功払い融資制度は外すんだけれども、石油会社のJBICや市中銀行からの借入金に対して、国が債務保証制度を残して、支援措置については残すものだ、こういうことを指摘いたしました。

 そこで、石油公団設立以来、三百五社に出資して、実は生産に至らず終了、解散した企業というのがありますが、何社になるのかを伺います。

石田政府参考人 石油公団設立以来、御指摘のように、探鉱段階にございます三百五社に対して出融資を行いました。そのうち二百二十社につきましては、生産に至らずに事業を終結いたしております。

 ちなみに、残り八十五社のうち、現在七十九社が生産に至っておりまして、六社が探鉱開発中、こういう状況でございます。

吉井委員 それで、国の累積出資、これは一兆二千二百三十一億円なんですが、二〇〇四年度の石油公団の事業最終年度で約五千二百四十三億円の欠損金、これは要するに欠損金として処理しているわけですね。

 二〇〇五年に国が公団から引き継いだ資産というのは、ことし三月末時点でどうなっているのか、これを伺いたいと思うんです。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話ございましたように、石油公団設立以降、一兆二千二百三十一億円の国費を財源にして、石油あるいは天然ガスの開発を行ってきてございます。

 平成十七年の石油公団解散時に、欠損金というのは当時五千二百四十三億円という形で計上されておるわけでございますが、その後、国が承継をした後の会社の株式の配当収入が六百二十三億円、それから株式の売却収入が千百五十八億円、それから、その後、資源価格等の上昇の中で株式の価値も上がってきているということで、現在の資産の価値評価等を加味いたしますと、これは株式の市況によってかなり変動もいたしますけれども、現時点では、石油公団時代の欠損金を補った上で、なお約三千億円程度の含み益があるものと考えられております。そういう意味では、結果として国民負担が増加しているとは言えないのではないかというふうに考えております。

吉井委員 今おっしゃったのは二〇〇五年の四月の話なんですね。

 原油価格高騰もあれば、逆にリーマン・ショック以降の株価の暴落とか、変動しているわけですね。ですから、私は、ことし四月の段階で、要するに、今おっしゃったような評価益から三千億が黒字になったというような話じゃなくて、今は一体どうなっているのかということを聞いているんです。

石田政府参考人 今私が申し上げました数字は、むしろ今時点の評価の数字を申し上げたところでございます。

 二〇〇五年、平成十七年に石油公団からJOGMECあるいは国に継承した時点での評価は、五千二百四十三億円の欠損金という評価であったということでございます。

吉井委員 いただいた資料は二〇〇五年の四月の話ですから、私の方は今のことを伺ったんです。

 それで、損失が出たときは簿価で、利益の方は時価で含み益をというこのやり方でいきますと、結局、国民にとってはよくわからないんですね。

 ですから、JOGMECの出資総額は幾らで、融資総額は幾らで、債務保証残高がどれだけあって、要するに国に幾ら戻ってきたのか、幾らの国民負担が発生したのか、これから幾ら負担して、幾ら戻るのか、幾ら損失が見込まれるのかということをやはりきちんと明らかにする必要があると思うんですね。これは今答えてもらえますか。

石田政府参考人 恐縮でございますが、過去のすべての出融資の実績等を整理して申し上げるのは、今はちょっと難しい状況です。また資料を整理させていただきます。

吉井委員 実はこれは、石油公団、金属事業団を廃止してJOGMECに合わせたんですね。その時点で、欠損金は既に五千二百四十三億円、これは国民負担になっておるわけですよ。含み益があるから、何か余り損していないようなお話なんですけれども、それならそれで、やはり出資や融資や債務保証残高がどうなっておるのか、幾ら国民に返ってきたのか、これからの展望を、幾ら国民負担が発生するのか、やはりこういうことは、法案審査をするときにはきちんとデータを整えるというのが当たり前だということを言っておきたいと思うんです。

 今回の改正は、石油や、ウランなどを含むレアメタルの、油田や鉱山、鉱物の買収を行う企業に対して、JOGMECが買収資金の出資を行うことができるようにするということとあわせて、そのJOGMECの買収資金の出資に対して、政府が保証をつけるというものなんですね。

 探鉱、開発、生産の各段階を担う石油公団や金属鉱業事業団から民間会社に移ったわけですが、JOGMECの出資や政府の債務保証というのは、かつての公団時代と結局同じで、リスクは国がとる、成功すれば利益の方は企業がとっていくという、こういう点では余り変わらないように見えるんですが、どこが変わり、どこが変わっていないのかを伺います。

石田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生お話しされましたように、もともと石油公団の時代、特に石油、ガスについて、探鉱段階で減免つき融資制度というのを採用していたわけですが、これがハイリスク・ローリターンの制度であるということで、これについては廃止をして、復活はいたしてございません。

 今回、石油、ガスにつきましては、そういう意味では、制度改正としては、むしろ政府からの原資の投入の仕方について、政府保証つきで長期借り入れをすることで、債務保証あるいは出資の原資に充てられるというような改正をしたのが主たるポイントでございます。

 むしろ、メタルにつきまして、これはもう何回も御議論が出ておりますように、生産段階の資産買収出資についても対応が可能になるように改正をしたということでございます。

吉井委員 せんだって、四月十九日に発表された資源エネルギー政策の見直しの基本方針(案)の中で、「ウラン鉱山開発、濃縮、輸送等、ウラン燃料の安定供給に向けた取組の強化」として、ウラン鉱山については、「生産開始遅延、事業中断等の事業リスクを軽減するため、JOGMEC等の公的資金を活用する。NEXIについては投資先国政府等の政策変更のリスクまでてん補範囲を拡大することを検討。」、ウラン濃縮については、「国は、事業者による海外の濃縮事業者との連携など濃縮分野の取組みの強化を、NEXI等を活用して積極的に支援。」、「国と事業者は、ウラン燃料の輸送リスクを軽減するため、経済性・安全性の観点から新たな輸送ルートの確立等に向けた議論を実施。」と書いてあります。

 それで、ウランについて、やはりこの分野もリスクは国がとる、成功した場合の利益は民間の大手企業がとっていくという形になってくるものではありませんか。

石田政府参考人 基本的には、ウランに限りませんけれども、やはり鉱物資源の獲得というものは、相手が国であったり準政府的な機関であるというようなこともございますので、かなり国が前に出る形でのいわゆる資源外交、これを進めていかないと、民間だけでは権益の獲得になかなかつながらないということがあることは事実でございますし、インフラの整備等も含めて、ある程度国が周辺の支援をする中で民間企業が権益を獲得していく、こういう形を追求していかざるを得ないというふうに考えております。

 そういうことで御理解いただければありがたいと思います。

吉井委員 要するに、リスクは国がとる、利益が生まれたときは大手企業が持っていく形というものについては今のお話でもそうなんですが、そうすると、要するに、資源戦略を国がどう進めるかということが問題になってくるわけですね。

 この点で見てみますと、JOGMECは戦略的リスクマネー供給と開発支援ということをうたっています。ODAは外交戦略としてやるわけですね、資金を活用する。JBICは投資や融資を行う。NEXIは企業リスクを保険で補てんする。要するに四つばらばらであって、公団廃止後は、民間企業でそれぞれに企画して進めているということになってくるわけですが、どこが資源戦略の司令塔になっているのかを伺います。

直嶋国務大臣 資源エネルギーの安定供給の確保は経済産業省の重要な任務であります。私も、経済産業大臣に就任しました折に、重要政策の一つとして、総理からも資源の安定供給確保という御指示をいただいたところでございます。

 資源確保のための戦略を立案する司令塔として、関係省庁と連携をしつつ、政府首脳あるいは閣僚が先頭に立った資源外交を初めとする資源国との関係強化、また、我が国民間企業の資源確保への支援など、関連政策を推進しているところでございます。

 そして、資源開発に専門的知見と経験を有するJOGMECが中心となりまして、世界各地での地質構造調査や最先端の掘削技術等の開発等の技術面とリスクマネー供給という資金面の支援を一体的に推進いたしまして、資源権益確保を強力に今支援している、こういう体制になっているところでございます。

 これに加えまして、資源確保を戦略的に推進するということで、NEXIの貿易保険やあるいはODAの活用といったさまざまなツールがあるわけでございまして、これらを有効に一体的に活用することが重要であるというふうに思っているところでございます。

吉井委員 今、ODAは外務省で、それでJBICは財務省とか、今の仕組みを大体御説明いただいたような感じで、実態としては、資源戦略の司令塔というのは事実上ない。やはり大手商社は開発を進めるときに、ここにということで、いろいろなものを国に持ち込んできてやっているということで、司令塔が事実上見当たらないというのが実態だということを言っておかなきゃいけないと思うんです。

 次に、レアメタルにかかわってさらに伺いますが、レアメタルとウランの関係です。

 ウランの製錬の中でレアメタルが分離されて出てきたりしておりますが、どういうふうにこの問題を分けて考えているのかを、こちらは政府参考人の方に伺っておきます。

石田政府参考人 今、先生御指摘のように、特にレアアースにつきましては、賦存地域によって若干ばらつきはございますけれども、レアアースを取り出すときにウランあるいはトリウム等の放射性物質を伴ってくるということがございます。

 経済産業省といたしましては、当然、我が国の次世代自動車などに不可欠なレアアース資源の確保は非常に重要なわけですけれども、一方で、こうした放射性物質がレアアースに混入して我が国に輸出されてくる、あるいは資源国において周辺の環境に影響を与えるようなことがないように、安全に処理されることが重要であるというふうに考えて、そのような指導をしているところでございます。

吉井委員 この問題については、既に、日本とカザフスタンとの協定など、ウランに関してもレアアースについてもたくさんの協定、覚書が交わされておりますが、例えば日本、カザフスタンの協定では、ウランとレアメタルの関係についてはどういうふうに扱われていますか。

石田政府参考人 原子力協定とは、レアアースの問題は特にリンクをした要素はないというふうに承知をいたしております。

吉井委員 いや、さっき言いました今度の資源エネルギー政策の見直しに先立って、もともと、二〇〇六年五月三十一日に新・国家エネルギー戦略で「ウラン資源をはじめとする鉱物資源の探鉱開発及び関連投資活動強化」というのを政府は打ち出して、ウラン資源確保と、原発推進の重要課題にこれを挙げているわけですね。

 それで、この戦略に基づいて、二〇〇六年に小泉・ナザルバエフ交渉が行われて原子力協定の覚書、二〇〇七年には、甘利経産大臣のときでしたが、民間企業トップ百五十人の大代表団で訪問して、カザフの原子力関係二十九社と交渉して、もちろんここでは、ウラン鉱山開発、製錬、核燃料供給、軽水炉建設など、二十四件の契約に関する覚書を交わしているわけです。

 カザフスタンの、ウラン埋蔵量世界第二位の資源確保という点での鉱山開発プロジェクトに、JOGMECがもちろんこれで支援できることになる、そういう法律のたてつけだと思うんですが、そのこととあわせて、レアメタル関係についても幾つもの取り決めというのを考えているんじゃないですか。

石田政府参考人 カザフとの関係では、まさにウランの埋蔵量を大変持っている国ということで、ウラン関係中心ではございますけれども、むしろウラン鉱山の開発に関連して、レアアースを抽出するというプロジェクトも並行して進めていくことが想定はされております。

吉井委員 ここで一つ伺っておきたいのは、経済産業省と文部科学省の共管となっております社団法人原子燃料政策研究会の報告書で、原子炉級のプルトニウムでも、要するに軽水炉を使うとプルトニウムが生まれてくるわけです、原子炉級のプルトニウムでも核兵器になるという、これは、アメリカの科学アカデミー・国際安全保障と軍備管理委員会の評価、連邦議会技術評価局の評価及びアメリカ国防総省のデータなども含めて、軽水炉からつくられるプルトニウムでも核兵器がつくれるという報告が出ておりますし、日本は既に長崎型原爆に直して五千発分を超えるプルトニウムを蓄積しているわけですから、ウランの開発と軽水炉開発についてはかなり慎重な考えというのを持っておかないと大変際どいことになるわけですが、政府としてこの報告書については承知しているのかどうかを伺います。

石田政府参考人 先生おっしゃられた、国が、経産省あるいは文科省が共同で取りまとめた報告書で、今御指摘のようなものについて、私ども、承知をいたしておりません。したがって、御指摘の報告書そのものについてはわかりかねるわけでございます。

 いずれにいたしましても、プルトニウムの管理が核兵器の不拡散の観点から大変重要であるということはもう当然のことでございまして、我が国が保有しておりますプルトニウムにつきましても、IAEAの査察下に置かれていることはもちろんでございますし、もともと専ら発電のためにのみ使用するものとして厳重に管理をしているところでございます。

吉井委員 文部科学省と経済産業省の共管として扱っているのが社団法人原子燃料政策研究会なんですね。そこが報告書を出しているわけですね。

 その報告書の中で、原子炉級のプルトニウムであっても、高度の設計技術を運用すれば、強い破壊力を持つ核兵器をつくることができるということとか、それからまた、プルトニウム240または242が多過ぎると、即発中性子が連鎖反応を早め過ぎてしまって、爆発力を大幅に削減することになるんだが、原子炉級プルトニウムは、核兵器級のそれに比べて、単位質量当たり六倍から十倍の熱を発生する、これについては、原子炉級プルトニウムの臨界量は兵器級に比べてわずかに二五%多いだけであって、核爆発装置を設計、使用することは可能であるということなどを指摘されていて、資料としても、高速炉の場合はさらにプルトニウム240の割合が少なくなって、239の割合が高いものになるとか、そういう指摘がちゃんとあるわけです。

 それは、東京電力の元副社長で、もともと原発を随分、建設から管理からやってこられた方もきちんと、彼自身の知人やいろいろなところを通じて、原子炉級プルトニウムでも高度の設計技術によれば十分核兵器を得ることができるということで、IAEAの保障措置でもこれが問題になっていることなどを述べておられるわけですね。

 ですから、私は、カザフスタンのウラン開発だ、ウラン確保だというのはそう簡単な話じゃなくて、やはりここで日本の軽水炉の燃料としてウランを確保しようということにしても、軽水炉路線には、基本的に核兵器開発と、そして、どんどん軽水炉を世界に売りまくったら各地でプルトニウムが生まれてくるわけですから、核兵器拡散の問題を伴うものだという深刻な受けとめ方というものをきちんと持って考えておられるのかどうか。これは大臣に伺っておきたいと思います。

直嶋国務大臣 我が国の発電用のプルトニウム、それからウランについても、今、石田長官からお答え申し上げたように、そういう趣旨で持っているものではありませんし、また、IAEAの査察等、きちっと対応しているということであります。

 それから、カザフスタンとの関係といいますか外国との関係については、やはり原子力協定の中で軍事転用しないということを明確に記述して確認をいたしております。そういうようなやり方で、軍事転用されない、核不拡散に徹するということで慎重に今やっているところでございます。

 ただ、先生言われるように、世界各国で原子力発電が普及をいたしますと、核不拡散ということもあるかもしれませんが、むしろ、安全の問題として、どう維持していくかというようなことが今後国際的にも重要な課題になるというふうに思っていまして、我が国としては、そうしたことで申し上げますと、原子力にかかわる人材育成等を初め、安全確保の面を中心に、しっかり国際的にも貢献をしていけるのではないかというふうに思っております。

吉井委員 これは、日本の原子炉は大丈夫ですという話じゃなくて、MOX燃料の形をとったとしても化学的あるいはミキサーセトラーで容易に分離できるということは、これは東京電力の副社長を務められた原発技術者自身が指摘しておられて、そういう点では、非常に慎重な考え方をもって基本的な政策の枠組みというものを考えていかないと大変なことになるんだと。

 きょうの議論はJOGMEC法中心ですから、とりあえずここでとどめておきますけれども、これは、それ行けどんどんで軽水炉の輸出をするとか、軽水炉から高速増殖炉からどんどん開発すれば何かエネルギー問題を解決できるように思ってしまうと大変になるんだということだけ申し上げておきたいと思います。

 次に、資料をお配りさせていただいておりますので、この資料をまずごらんいただきたいと思うんですが、これは、ガボン、ガーナ、ギニア、マリ、タンザニア、ザンビア、ボツワナ、ナミビア、それから赤道ギニア、アンゴラ、スーダンというふうに、金属鉱物と石油、天然ガスにかかわる国々で外資シェアの高いところを並べておきました。多くは今アフリカで、これは、多国籍企業といっても、アフリカの場合、もともと植民地として抑えておった宗主国系の多国籍企業の割合が当然高いわけですが。

 HDIとHPI―1、これについてはどういうことかというのは、このデータはもともとUNCTADの二〇〇七年の報告からとったものですが、HPIというのは発展途上国の人間貧困指数です。HDIというのは人間開発指数です。この人間貧困指数の方を右側のグラフに載せておきましたけれども、資源外交だといって、資源戦略だといって、アフリカの場合は、多くは日本より外国の方が先に行った形になりますが、外資シェアがほとんどを占めている。もちろん、外資の割合ですから、現地企業と合弁しているところも当然あるわけですけれども、これで見ますと、資源開発だといってどんどんやったところが発展したのかといったら、順番が、ボツワナを除いて下がっているんですね。

 これはつまりどういうことかといいますと、貧困化、本来だったらば資本も入って発展しなきゃいけないんですけれども、格差と貧困が進んでいる、その結果として順位が下がっているということがこのグラフで読み取ることができるわけです。

 ですから、私は、こういう点では、これはJBICとジェトロが二〇〇八年レポートの説明会というのをやっておられて、その中でも、UNCTADの世界投資レポートによると、多国籍企業及び在外子会社の活動で途上国は発展しているのかどうかが問われてくるということが議論になったり、国連開発計画、UNDPの人間開発報告書によると、貧困指数、HPI―1も人間開発指数も伸びていないと。貧富の格差が広がっているということが問題になっているんですが、その上さらに環境破壊という問題が各地で起こっております。

 伺っておきたいのは、UNCTADの報告がこういう厳しい現実を指摘していることについて政府として認識しておられるのかどうか、これを伺います。

直嶋国務大臣 過去、南米のボリビア等でも、あそこはリチウムの産出国でございますが、例えば銀山の富が数百年にわたって宗主国に持ち去られたとか、そういうことから、地下資源について海外企業の開発を原則認めないようなところも出てきておりまして、かつてはそういうことがあったということが今日も影響を及ぼしているというふうに思っております。

 ただ、日本の資源開発というのは、先ほど来御議論の中でも申し上げていますように、一方的に資源を開発して、それを我が国が供給を受けるということだけではなくて、今重要なことは、相手国、つまり資源国の人や技術、それから環境に配慮しながら互恵的な形で行うということを原則にいたしておりまして、先ほど来御答弁で申し上げましたように、例えば中東の産油国等においても、ものづくりとか中小企業の人材育成とか、先方のニーズもお伺いしながら、双方にとって利益になるような形で実施をいたしております。

 例えば、今申し上げたボリビアの場合でも、リチウム資源開発とあわせまして、地熱発電でありますとか地デジでありますとか産業人材の育成等の協力案を提示いたしまして、今双方で話し合っているというところでございます。

 したがいまして、一方的に日本だけが得るものは得て相手の国が貧しくなる、そういう取り組み方はしていないということでありまして、双方にとってプラスをもたらす形での資源供給ということを原則に取り組んでいるということを申し上げておきたいと思います。

吉井委員 実は、ヨーロッパ系が宗主国になった外資シェアの高い、今挙げた国ですが、ガーナでいえば、森林破壊、水の汚染、それから金鉱山での水銀の使用による被害とか、タンザニアでは水汚染、森林破壊、ザンビアでは大気、水の汚染、ボツワナではエイズの感染率が世界二位になってしまったこととか、スーダンでは石油絡みの内戦が二度起こってみたり、ナイジェリアではニジェールデルタの貧困問題とか、各地で貧困とか格差の拡大とかさまざまな問題を起こしているんですね。

 日本は違うんだという大臣のお話がありましたけれども、実は、一九七九年にマレーシアで三菱化成が三五%出資してつくったエイシアン・レア・アースという鉱石精製会社が、操業開始後、イットリウムの精製過程で放射性トリウムを大量に廃棄物として出して住民被害を出したことは有名な話であります。たしかあれも国会でも取り上げたと思うんですが。一九八三年にはレイテ島で、丸紅、伊藤忠、住友商事がフィリピンのパサール社に三二%の出資で銅の販売権を取得して、三井金属鉱業、古河鉱業がプラントの建設と製錬を行って、日本国内では許されない廃液を垂れ流して公害を生み出しました。もちろん、こうした現地子会社の方は損害賠償能力はないというのが実態です。

 実は、五月九日付の朝日の連載の中でも、パプアニューギニアのタブビルというところでのオーストラリアのメジャーの開発で、「川も森も死んだ」というのがカラーで一面に出ておりましたけれども、レアメタル戦略だといって各国がそれに乗り出す中で、各地で、日本も環境破壊を及ぼしたり二酸化炭素の排出を行うなど、随分いろいろな問題を起こしているわけです。

 ですから、レアメタル戦略というからには、きちんとした対策、どういう対策をもって臨もうとしているのか、これを一言でいいですから伺っておきたいと思います。

直嶋国務大臣 今申し上げたとおり、基本的に資源確保戦略は、私どもの方針として、資源国にもきちっとメリットが出る、そういう形での取り組みを原則にしているということでございます。

 確かに、吉井先生御指摘されるように、過去にいろいろな問題があったのかもしれませんが、また、アフリカについては、これは長年の植民地支配の中で、部族間の問題とか、資源の問題以外のさまざまな要因の結果として今があるというふうにも理解をいたしております。

 御指摘の点は我々も留意をしながら、資源国にとって、一方的にデメリットを受けないような形での資源開発を目指していきたいというふうに思っております。

吉井委員 アフリカについては、ナミビアで、私は、二〇〇二年の十月三十日の内閣委員会、同じ年の十一月六日の内閣委員会と二〇〇二年十一月二十七日の経産委員会でもやっておるんですけれども、実は、国連制裁決議によってナミビアからウラン輸入ができない時代にも、日本はナミビアからウランの輸入をやっておりました。これは資料も取り上げてやったんですが、一九七二年から九四年の二十二年間、いわば国家的密貿易というべきものをやってきたんですね。

 今、再びナミビアからのウラン輸入量が急増して、年度によって若干違いますが、相手国の大体第三位に、さらにカザフスタンでのウラン開発というところへ行こうとするんですが、日本の核燃料サイクルを国際的に展開するというものになっていく。

 その中で、日本が途上国の二酸化炭素排出を含めた環境破壊をしないという点でも、国民生活の向上によって貧富の格差を是正するように日本が貢献していくという点でも、それから、軽水炉新増設による核兵器開発にはつながらない道を進んでいくということについても、私は、やはり根本的なところを、単なる資源戦略という言葉にとどまらない、今、根本的なところを考えなきゃいけないんじゃないかと思うんです。

 あわせて、軽水炉の燃料として手に入れるためのウラン選鉱過程で出てくるレアメタルにしてもその他にしても、やがて枯渇するんです。ですから、その先の時代を見据えた戦略、やはり戦略というからにはリサイクル、リユースはもとより、本来、レアメタルにかわる新しい物質の開発、レアメタルに対するベースメタルと言ってもいいし、もっとメジャーなメタルを使って代替できるものを開発していくということとか、それから、軽水炉そのものが、これは原子炉級プルトニウムでも核兵器の開発が可能だという、だからアメリカは結構、軽水炉問題については非常に慎重な部分も見られるわけですが。

 ウランの枯渇ももちろん当然あるわけで、軽水炉の基本的に持っている危険性と核兵器問題を考えるならば、やはり全体としてどうするのかということと、将来的に新しい代替メタルをどう開発するのかということとか、原発依存から脱却した、再生可能エネルギーを爆発的に普及するその手だてをどうするのかということが、今、政治の舞台で物すごく求められている時代だと私は思うんですよ。

 この点を最後に大臣に伺っておきたいと思います。

直嶋国務大臣 先ほども申し上げたとおり、我が国の原子力政策は、外国との関係においても、核不拡散というのを大前提に取り組んでいるということでございます。この点はしっかり徹底をしてやってまいりたいというふうに思っています。

 それから、今御指摘のレアアース等でありますが、これはやはり技術開発、先ほども申し上げましたが、今先生御指摘の代替品開発等に積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っています。

 やはり技術の開発ですから、なかなか一朝一夕にはいかないわけでございますが、着実な取り組みを今後進めてまいりたいというふうに思っているところでございまして、しっかりやってまいりたいと思います。

吉井委員 時間が参りましたので締めくくって終わりますけれども、国家的密貿易と言えるナミビアからのウラン輸入の時期というのは、実は、これは国連制裁決議が一九六七年に行われてナミビア理事会布告も出されているもとで、一九七〇年一月にすべての国の南アとの取引禁止、南アが支配するもとでのナミビアからの資源の移動の禁止とかあった中で、日本は事実上、リオ・ティントのダミーを使って購入するとかやってきたわけですね。

 ですから、実は日本の資源戦略の中には非常に際どい問題があったわけですから、そうした歴史的教訓をきっちり踏まえて、やはり大局を見通した考え方というものをまとめていくべきだということを申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。

東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、いわゆるJOGMEC法の一部改正案に対する反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、本改正案が、成功払い融資を初め、莫大な国費の不良債権化と浪費問題を問われてわずか六年前に廃止した石油公団、金属鉱業事業団の支援制度を、事実上、復活、拡充させるとともに、石油公団問題の総括をうやむやにするものだからであります。

 二〇〇二年の石油公団法廃止、JOGMEC法制定当時、我が党は、成功払い融資制度や債務保証について民間大企業と国の責任の所在に関するまともな総括と反省をしないまま廃止することに反対しました。

 大問題になった油田、ガス田へのJOGMECの出資及び債務保証について、一たんは国の負担を縮減したものを、二〇〇七年になし崩しに復活させた上、改正案は、これらの長期借入金についてまで政府保証をつけて資源関連大企業を支援し、失敗すれば国民負担とすることにしております。現行法の石油備蓄等のローリスクな政府保証とは異なり、海外の開発、生産というハイリスク案件への政府保証をこのまま無条件に是認することはできません。

 石油公団にしろJOGMECにしろ、従来の日本の資源戦略の基本的枠組みは、資源メジャー、多国籍企業が支配する世界の資源情勢の中で、一方では和製メジャーの創設という夢物語に固執し、他方では総合商社など大企業頼みを国が補完するというものであります。また、これをODA、JBIC、NEXIなど各省各機関が司令塔もあいまいなままばらばらに支援するものであります。

 石油公団、金属鉱業事業団の廃止とJOGMECの創設を含む戦後の我が国資源戦略の全体像について、国民的なレベルで徹底した情報の公開を前提に根本的な総括と反省を行い、レアメタル確保戦略など目先の損得に振り回されるのでなく、国家百年の大計に立った総合的、国民的な政策を打ち立てるべきときであります。

 反対理由の第二は、地球温暖化対策を口実にしたエネルギー基本計画の見直しの一環として、JOGMECの支援対象に、海外ウラン鉱山の探鉱、開発、生産を柱とする我が国核燃料サイクルを海外にまで拡大する方針を後押しするものだからであります。

 JOGMECは既に二〇〇七年度に海外ウラン探鉱支援助成金制度を創設し、ナミビアのウラン探鉱や日本・カザフスタン原子力協定等に基づくウラン鉱山開発など、新・国家エネルギー戦略や原子力立国計画に基づく国内外における原発の新増設、核燃料サイクル政策推進の一翼を担っております。

 日米同盟と我が国三大原発メーカーを核とする軽水炉推進政策は、莫大なプルトニウム蓄積と核不拡散、NPT体制との矛盾、インドへのダブルスタンダード問題、核廃棄物処分と放射能汚染など深刻な地球環境問題を内包したものであります。

 本改正案による海外ウラン支援策は、近年の原発トップセールスとともに、十分な検証が行われる必要があるのであり、今のままでは重大な危惧を抱かざるを得ないものであります。

 なお、JOGMEC本社の川崎市から東京都への移転については、政府の多極分散法との関係で矛盾するものであり、これとの整合性について合理的な説明がなされていないことを指摘して、反対の討論とします。

東委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

東委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十二分散会


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