衆議院

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第14号 平成22年5月26日(水曜日)

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平成二十二年五月二十六日(水曜日)

    午前九時五分開議

 出席委員

   委員長 東  祥三君

   理事 柿沼 正明君 理事 北神 圭朗君

   理事 杉本かずみ君 理事 三谷 光男君

   理事 吉田おさむ君

      稲富 修二君    笠原多見子君

      金森  正君    川口  博君

      木村たけつか君    近藤 洋介君

      斉木 武志君    柴橋 正直君

      白石 洋一君    田嶋  要君

      田中美絵子君    平  智之君

      高松 和夫君    高邑  勉君

      橋本 博明君    花咲 宏基君

      藤田 大助君    松岡 広隆君

      向山 好一君    森山 浩行君

      山本 剛正君    柚木 道義君

      吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   国務大臣         枝野 幸男君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長)            小野 正博君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       泉 紳一郎君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤木 完治君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 石田  徹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十六日

 辞任         補欠選任

  太田 和美君     田中美絵子君

  近藤 洋介君     橋本 博明君

同日

 辞任         補欠選任

  田中美絵子君     太田 和美君

  橋本 博明君     近藤 洋介君

    ―――――――――――――

五月二十五日

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第四号)

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

東委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、自由民主党・無所属の会、公明党及びたちあがれ日本所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

東委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請いたさせましたが、自由民主党・無所属の会、公明党及びたちあがれ日本所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長小野正博君、文部科学省科学技術・学術政策局長泉紳一郎君、文部科学省研究開発局長藤木完治君、資源エネルギー庁長官石田徹君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。向山好一君。

向山委員 皆さん、おはようございます。民主党の向山好一でございます。

 本日は、日本の産業を支え、そして日本の未来を切り開く経済産業省へ、初めて私の質問をさせていただけるということで張り切ってやってきました。

 しかし、残念ながら、野党の先生方の出席が得られていないということは、まさしく本当に日本の将来を議論する、そういう場として非常に残念で仕方がありません。しかし、いつも席に着いていらっしゃらない方が多いので、実質変わらないかな、こんな思いを持ち、残念ながら粛々と、きょうは大臣初め政務三役の皆さんに質問させていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。

 まず、現在見直し作業中のエネルギー基本計画、このことについて質問をいたします。

 エネルギー政策といえば、電力の安定供給あるいは環境負荷の低減ということに議論が集中しがちでございます。しかし、それが本当のエネルギー議論あるいはエネルギーセキュリティーの達成にはつながっていかないというのは皆さんも御存じだと思いますし、特に最近、地球温暖化対策というのが非常に大きな命題になっていまして、そこでも大体同じような議論がなされています。太陽光発電、あるいは風力、地熱、そういった再生可能エネルギーを飛躍的に高めよう、そして電力の環境負荷を下げよう、そういう議論がございます、あるいは大合唱になっています。

 しかし、それだけでバラ色の人生が切り開けるということは決してございません。やはり、今なお、日本あるいは世界のエネルギーの基幹となっています化石燃料、これを、環境負荷を下げて、あるいは安定供給を図っていくということがやはり当然今大切な視点でございまして、その中で、このエネルギー基本計画の見直しの中に経済産業省としては非常に高い目標を掲げられようとしております。その一つが自主エネルギー比率を高めようということでございまして、二〇三〇年の目標として、三八%を七〇%までと、約倍増ですよね、そういう意欲的な目標設定をされていらっしゃいます。

 当然、自主開発権益を広げていくという意味では上流営業というのが非常に大切なんですけれども、そこで、環境負荷が非常に低いと言われている天然ガスについて、新たなステージというんでしょうか、新たなフロンティアというのを今迎えようとしております。それが、在来型のガス田ではなくて、いわゆる非在来型のガス田というのが今脚光を浴びているというか、既に実用化されております。

 石炭層から出てくるのがコールベッドメタン、岩盤層から出てくるシェールガス、あるいは今でも既にあるタイトサンドガス、そして広義の意味ではメタンハイドレート、こういった非在来型の天然ガスの活用というのが欠かせないということに今なっておりまして、実際、一九九〇年では非在来型のガスの利用が七百億立米であったものが、二〇〇九年には二千五百億立米と、四倍近く、飛躍的に高まっております。

 その分野に日本が進出していこうともう既にされておりますけれども、なかなか実績として上がってきていないというのもこれは現実でございまして、この問題は、今まで例えばアメリカとかヨーロッパ諸国と競合していたという時代から、アジアの各国との競合というのもまた今熾烈になっています。

 中国、インド、あるいはベトナム、オーストラリア、こういった諸外国と激しい競合をしながら、今申し上げましたような非在来型のガス田、あるいはそういったほかの自主エネルギーの獲得に向けて私たちは意を決して立ち向かっていかなければいけませんけれども、そういうあたりを、今経産省としてはどういう戦略を持って、あるいはどういう数値目標を持って立ち向かおうとされていらっしゃるのか、このあたりをまずお伺いしたいと思います。

 以上です。

直嶋国務大臣 向山議員の御質問にお答えしたいと思います。

 今も御指摘にあったように、天然ガスは、石油に比べて世界に比較的広く分散して賦存しておりまして、また、化石燃料の中では最もCO2排出量が少ないことから、エネルギーの安定供給確保や低炭素社会の実現に資する重要なエネルギー源だというふうに認識をいたしております。

 他方で、御指摘のように、欧米諸国に加えて、中国を初めとする新興国においても、政府が産業協力等を組み合わせて資源外交を積極的に展開するなど、天然ガスの資源権益獲得に向け、それぞれの国がまた総力を挙げて取り組んでいる、こういう情勢でございます。

 したがいまして、我が国としても、私自身が先頭に立ちまして資源外交を行うとともに、資源国のニーズを踏まえたODAあるいは産業協力等の戦略的な活用、あるいはJOGMECによるリスクマネーの供給、JBICやNEXI等のさまざまなツールの活用を通じて、資源権益の確保に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、このような取り組みを一層強化し、天然ガスの自主開発比率の向上を図ってまいりたいというふうに考えておりまして、エネルギーの安定供給の確保に万全を期していきたいというふうに思って、取り組みを進めているところでございます。

向山委員 いろいろ、経産省としても、省を挙げてこの問題に取り組んでいかれるということをお聞きいたしました。

 最近、韓国に原子力発電の受注を奪われたとか、そういった教訓として、やはりナショナルプレゼンスというのでしょうか、民間企業が出ていくということは当然大切なんですけれども、それをバックアップする国の体制というのが大きく問われておりまして、それによって大きくその勝敗が分かれるということが多々ございますので、ぜひとも、JOGMECとかJBICとか、そういう政府系の支援機構をフルに活用して、この分野にも進出していただきたいと思います。

 今七〇%という話を聞いていますけれども、その中で、こういった分野への進出に貢献する数値目標というのは、現在のところ経産省はお持ちなんでしょうか。あれば、お答えいただきたいと思います。

直嶋国務大臣 今お示しになりましたように、エネルギーの確保の総体として、日本が権益を持つ油田等を含めて、これを自主開発比率というふうに改めて定義をし直しまして、その上で七〇%というのを全体の目標にしております。

 現在、御指摘の、天然ガスでどうか、石油でどうか、こういう内訳についてはまだ数字を持ち合わせておりません。

 これらについては、幾つかの油田で近いうち、向こう二年、三年、あるいは五年のうちに、従来持っている権益の更新を迎えるものがございます。例えばアブダビなんかでも幾つかございまして、昨年、私も参りまして、その更新方について日本政府としてもアブダビ政府に要請をしたところでありますが、そういう更新を着実にやっていくということと、先ほどお話があったように、新しいタイプの油田も含めて新規に確保していく、この両面をしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思っています。

向山委員 わかりました。

 それでは、そういった安定供給を図って、国内に持ち込んだせっかくの大切な資源を有効に活用しないといけないというのは当然のことでございますが、天然ガスのパイプラインについてちょっとお聞きしたいんです。

 今、よく映像でも、ヨーロッパ諸国は、ロシアの本当に広大な土地から西へ西へとパイプラインが延びておりまして、あるいはアフリカの方からも延びておりまして、ヨーロッパ諸国に網の目のようにパイプラインが張りめぐらされております。一方、日本というのはどうなのかということをちょっとお聞きしたいんです。

 きょう、資料としてお配りを申し上げております二枚のペーパーがございます。これをちょっと参照していただきたいんですけれども、まず、韓国と台湾、ヨーロッパだけじゃなくてアジア諸国はどうなのかということを、実態を把握していただきたいんです。

 韓国、台湾でのガスパイプラインの整備状況という資料がございます。左側の韓国、これは台湾も一緒ですけれども、大体、一九八三年か四年ごろ、今からもう二十五年ほど前からパイプラインを整備する必要性を国としても感じて、二十年程度で整備を終えているということの資料をつけております。これは韓国も、南から北、あるいは東、西、網の目のようにパイプラインが張りめぐらされておりますし、台湾も、台北、台中、台南、高雄市も含めて、このようにしっかりとパイプラインが既に完成しております。

 一方、二枚目の、日本のパイプラインの現状はどうかといえば、ごらんのとおり、ほとんどパイプラインとは言えない。各ガス会社の輸送ラインがあるだけで、ぶつ切れ状態になっていまして、これではなかなか安定供給、あるいは融通し合うという効率的なシステムになっていないということなんですね。

 これは電力にも言えることでして、電力会社がそれぞれあって個々の経営をされていらっしゃいますので、それが中心になっているということとこのガスのパイプラインも同じような状況なのかもしれませんけれども、右側にあるように、せめて九州から首都圏、そしてそれが東北へと延びる国内のパイプライン網の整備というのが必要で、そのことによって、当然、安定供給と、そして効率的な輸送、なおかつ価格の低減にもつながっていくということでございますので、おくればせながらでも、やはり日本もこういった天然ガスパイプラインの整備が必要じゃないか、このように思いますが、大臣の御見解、いかがでございましょうか。

松下副大臣 貴重な資料を拝見させていただきました。御指摘のとおり、やはりきちっと取り組まなきゃいかぬというふうに思います。

 パイプラインの敷設などによる連携強化、これは、エネルギーセキュリティーの向上でありますとか、燃料転換によるCO2削減を促進する上で重要な課題であるというふうに考えております。

 そういうわけで、ガス事業者の方々が投資を行いやすい事業環境を整備することが政府の重要な役割の一つであるというふうに認識をしております。

 具体的には、我が省としましては、天然ガスのパイプラインを整備する者に対する利子補給制度、それから、パイプライン使用開始後の一定期間内について、これは五年以内としていますけれども、高目の託送料金の設定を認めるということで支援を実施しているということでございます。

 これらの支援を通じまして、民間企業による新たなパイプラインの敷設が進みつつあると認識しているわけですけれども、今後とも国内のパイプライン整備が円滑に進むように支援してまいる、そういうふうに考えております。

向山委員 前向きな御答弁をいただいて、ありがとうございます。

 ぜひとも、今おっしゃっていただいた、投資しやすい環境整備というものを、規制緩和とかあるいは財政支援によって進めていっていただきたいということを要望しておきます。

 続きまして、時間がないので前へ進めさせていただきますけれども、次は、そういう環境負荷低減と産業というつながりで質問させていただきます。

 次は、輸送部門の話なんですけれども、輸送部門のCO2の排出量というのは年間二億五千万トン、大体全体の二割強ということでございまして、低炭素社会を構築する上では、輸送部門というのも非常に大きなウエートを占めております。

 そこで、自動車産業出身の直嶋大臣に御質問するのはちょっとおこがましいんですけれども、この分野で電気自動車というのが今脚光を浴びておりまして、非常にいろいろ技術革新も進んで、メーカーの数もふえて、どんどんと強力に進めていこうという方針が国でもございます。そのことに口を挟むつもりはございませんけれども、ただ、電気自動車だけに大きな比重をかけてやっていったので本当に正しいのか、それで逆に脆弱になっていかないのかというような疑問もちょっとございまして、質問させていただくんですけれども。

 私は、先日、水素燃料の自動車、よく、FCHVというんでしょうか、それに試乗させていただきました。これもトヨタ製でございましたけれども、一回の充てんで五百キロぐらい走行できる、そして、自動車から出る排出物というのは水だけということになっていまして、非常に環境負荷も低くて、当然技術開発も進んでおりまして、ほとんどもう一般自動車と変わらない、こういうような技術レベルになっています。

 ただ、問題なのが、五百キロあっても、三百キロ先に行って、そこに水素ステーションという充てん所がなければ使い物にならないわけですね。そこではほったらかしにして帰ってくるわけにいきませんので、そこが一応大きなネックになっている。

 当然、水素ステーションなりのインフラというのがなければ、大切な宝も持ち腐れになっていくんですけれども、鶏と卵の関係みたいに、インフラがないから普及しない、普及しないから余計インフラも整備されないという状況をやはり好循環に持っていくのは国の責任じゃないかというふうに思うんですね。ですから、この水素エネルギーを使った自動車、そういった面での国の支援策、今どういうことを考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

近藤大臣政務官 お答えいたします。

 もう全く委員の御指摘のとおりでありまして、電気自動車は、これはこれで大事、しかしながら、燃料電池自動車も、これは我が国が世界に先駆けて大変技術力を持っている分野でございます。ですから、さまざまな次世代自動車を開発することが極めて大事なんだろう、こういう認識であります。

 ただ、問題は、この燃料電池自動車の低コスト化が課題であるわけであります。こちらの方も、お乗りをいただいたということでありますけれども、経済産業省も、一台でしょうか、持っておるわけですが、一台一億円以上する状況であるわけであります。その車両自体の低コスト化、高性能化を行うとともに、御指摘の水素ステーションの普及、設置というのも重要であろうかと思っています。ただ、この水素ステーション自体が大体五億から六億円と、通常のスタンドのやはり十倍程度する、こういう状況であるようであります。

 この低コスト化、高性能化の開発ということを今進めているわけであります。現在、全国十一カ所に設置した水素ステーションを活用して、その耐久性や性能を評価する実証実験、低コスト化に資する技術開発を行っておるところであります。

 今後とも、こうした実証実験を通じて、この低コスト化、高性能化を達成することにより、経済産業省としては、二〇一五年の普及開始を目指して、燃料電池自動車及び水素インフラの普及を推進してまいりたい、このように考えております。

向山委員 ありがとうございます。

 質問時間が終了いたしましたというペーパーが来ましたけれども、もう一点だけちょっと最後に、確認というか質問になるのかもしれませんけれども、許してください。

 今の輸送分野の話で、もう一つ、成長戦略の中で非常に大切なのが、やはり小型あるいは中型のジェット機の国産化ということだと私は常々思っていまして、自動車産業というのは非常にすそ野が広い、ですから、名古屋を中心にした中部圏が、トヨタという大きな企業があって経済発展したのと同じように、自動車産業以上にすそ野が広いものがこのジェット、いわゆる航空機産業ということになります。

 YS11というのがもう四十年近く前に製造が終わりまして、我が国はこの分野で非常におくれをとっています。しかし、MRJという、新しい、また国産ジェット機が、二年後初飛行、これは試運航ですけれども、やろうとしています。

 この分野に、当然、環境負荷が低いし、小型だし、ローコストキャリアという面でも非常に今注目を集めているというふうに思うんですけれども、この国産の中型あるいは小型ジェットの開発で、一番我が国が立ちおくれているのは販売なんですね。要するに販売力がない。こういうあたり、どういった支援策を今考えていらっしゃるのか、ちょっと最後にお聞きしたいと思います。

近藤大臣政務官 もう御指摘のとおりです。航空機、特にMRJを初めとする航空機産業はすそ野が非常に広いわけでありますし、成長分野だ、こういうことであります。

 販売の点でありますけれども、とりわけMRJ、今百機を超える受注を持っているわけでありますが、このMRJが次世代の環境航空機として世界じゅうに受け入れられる、そしてプロジェクトが成功することを期待して、政府としても、大臣、副大臣、我々政務官も含めて、外国の要人との会談等には積極的にPRをすることに努めているところであります。また金融面では、貿易保険を通じた支援を行うこととしております。

 今後とも、MRJを含めた航空機産業全体が、次世代航空機を発展させるために、次世代航空機の世界拠点に日本がなるように、技術水準の高度化やとりわけ販売のサポートを全力で支援してまいりたい。これは世界各国同様に、フランスにせよ米国にせよ、同様の活動をしておりますので、それに伍することができるように政府としてもサポートしてまいりたい、このように考えております。

向山委員 いろいろ前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。時間が来ましたので、質問を終わります。

東委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時四十分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時三十分開議

東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、最初にきょうは、電力会社の鉄塔倒壊事故の最近の状況、これが一体どうなっているのかということから伺っておきたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 最近ということでございますので、平成十二年度から二十一年度までの鉄塔倒壊の事故、電気事業法に基づきます電気事故報告を受けているものでございますけれども、全部で六件ございまして、一番最近におきましては、関西電力、二〇〇八年の九月十五日に美浜におきまして鉄塔の上部折損、そういった事故が起こってございます。

吉井委員 鉄塔事故というと、普通の人は何か鉄塔がぶっ倒れただけの感じでとどまると思うんです。しかし問題は、例えば今おっしゃった美浜にしても、原発の送電鉄塔なんですね。これは、発電した電力を送る方と、原発が事故をやったときに、二次冷却系のポンプを回す電源として、外部電源が断たれてしまう、内部もアウトになりますと、自然崩壊熱を除去する二次系の冷却ポンプは動かなくなるんですね。これは単なる鉄塔事故にとどまらない深刻な問題を抱えているんだということを、普通の人はなかなかわかりにくい話なので、単なる事故かと思いますから、そういうことをやはりきちんとつかんでおく必要があると思うんです。

 二次冷却系ポンプを回す外部からの電源が失われることと、そのとき、大体今、日本では三系列の、自家発とバッテリーの、ディーゼルとバッテリーの系列で三系列ありますが、これは、中越沖地震のような巨大地震に直面したとき、自家発の電源も切断されて原発停止となった場合には、最悪で見ますとどういう事態が起こるとお考えなのかを伺います。

寺坂政府参考人 原子力発電所の安全確保のために、今委員御指摘のような、外部電源の喪失、そういったことに伴います安全の確保というのは大変重要な課題でございまして、原子力発電所の場合、発電所のトラブルその他におきまして、発電がまず停止をするということが重要でございますけれども、停止した後、その崩壊熱と呼んでおります、引き続き熱エネルギーを発生してございますので、これを冷却していくということが大切なことでございます。

 そういったことで、電源が確保されることによりまして崩壊熱の冷却機能というものが確保されるということが大事でございまして、各発電所におきましては、非常用の電源装置、そういったものを複数用意することによりまして、あるいはそれ以外の要素もございますけれども、そういったことによりまして冷却機能というものが継続的に動くことが大切なポイントであるというふうに理解をしてございます。

吉井委員 ですから、まず鉄塔が倒れたら、これはもう完全に、さっきもおっしゃった事故の中には、二〇〇五年の石川県羽咋市で地すべりによる鉄塔倒壊、これは、地震等によれば当然地すべりどころの話じゃなくなるんですが、外部電源がまず断たれる。内部電源はどうかという点では、これは以前取り上げたこともありますが、二〇〇六年の七月に、スウェーデンのフォルスマルク原発一号機では、安全系の内部電源四系列のうちの二系列の事故で、四系列すべて電源喪失につながる事故がありました。

 つまり、内外の例から見ると、やはり最悪の場合を想定しなきゃいけないんですね。ですから、自然崩壊熱が除去できなくなる、それは炉心溶融にも至り得る大変深刻な事態を考えておかなきゃならないということだと思うんですが、どうですか。

寺坂政府参考人 まず、先ほど委員御指摘になられました北陸電力の、羽咋市での鉄塔の倒壊事故でございますけれども、平成十七年の四月一日に発生してございます。

 それで、この鉄塔自身の復旧と建て直しまでには約十四カ月を要したものでございますけれども、同時に、並行して作業をしてございました別の幹線がございまして、これは約三週間後の四月二十二日に運用を開始してございます。

 それ以前に、倒壊した直後、これは原子力発電所が安全に停止をしたところでございまして、それで、御案内のとおり、電力といいますか、送電線、いろいろなところでつながっているわけでございますので、そういった意味で、北陸電力の場合におきましても、外部電源の喪失、そういう事態にはならなかったということでございます。

 ただ、いずれにいたしましても、これは今の事例でございますけれども、原子力施設を設計する場合に、放射性物質の閉じ込めのために、多重性それから独立性を有します非常用の所内電源を備える、そういったことなどの多重防護の考え方というものは極めて重要でございまして、日本の原子力発電所におきましては、今申し上げましたような多重防護の考え方に基づいた設計がなされまして、それによって安全性を確保しているというところでございます。(吉井委員「最悪の場合は炉心溶融ですね、最悪のとき」と呼ぶ)

 最悪といいますか、そもそもそういった事態が起こらないように工学上の設計、ほとんどもうそういったことはあり得ないだろうというぐらいまでの安全設計をしているところでございますけれども、ゼロじゃないという意味の論理的な世界におきまして、外部電源がすべて喪失されて、今、非常用の所内電源、ディーゼル発電機の話を申し上げましたけれども、隣の発電所からの電源融通もできないとか、いろいろな悪い事態というものが、非常に小さい確率ながらも一つ一つ、その小さい確率のものが全部実現をして、それで外部電源が全部喪失されて冷却機能が失われるということになりますと、もちろんその時間によるわけでございますけれども、長時間にわたりますと炉心溶融とかそういったことにつながるというのは、論理的には考え得る、そういうものでございます。

吉井委員 これは、論理的な、頭の体操の話じゃなしに、現実に、志賀原発の場合には送電鉄塔の倒壊で、これは地震じゃなくて地すべりだけだったんですね、しかし、たまたまここは、おっしゃったように二系列目を建設中だったから送れたけれどもということですが、それにしても、一基倒壊、五基損壊で、他の電源で停電を解決するまでに十万九千二百世帯が八分間停電。原発そのものについては、原発で起こした電力を供給できるようになるまでは、皆さんの方からいただいた資料で四十二日間かかった、今、十四カ月というお話でしたけれども、これは最短の回復の方の話ですが、かかったということも、あらかじめ資料をいただいております。

 東京電力の方も、茨城県の潮来、鹿嶋の送電鉄塔が倒壊しましたが、これは、回復するまで、修復するまで何日かかっていますか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘の東京電力の鉄塔の倒壊事故は平成十四年十月のものだというふうに理解してございますけれども、これは台風による暴風雨でございます。

 それで、十月の一日にその倒壊事故が発生いたしまして、本復旧をいたしましたのは、平成十五年、翌年の六月二十一日、あるいは二十五日でございます。その前に仮復旧をしてございまして、仮復旧したのが、平成十四年、事故の発生した年の十一月二十五日でございますから、二カ月弱で仮復旧して送電ができるようになったということでございます。

吉井委員 今お話ありましたように、要するに、東京電力の復旧までには八カ月と三週間かかっておるんです。

 それで、単なる外部電源が失われた場合を頭の体操で考えるだけじゃなしに、現実に起こっているということをまず考えなきゃいけない。それから、内部電源が失われたという例はフォルスマルク原発の例など現実にあるんだということを想定して考えていかなきゃいけないというのが、まず、これは頭の体操じゃなくて、現実の問題だということを踏まえておく必要があると思うんです。

 巨大な地震が起こりますと、今のようなことが同時に発生することが起こり得るわけですね。それで、地震や地すべりや落雷により、送電線が故障して原発の電力が供給できなくなった例の方もまたあるわけですね。供給側がうまくいかない。逆に、二次冷却水ポンプ用の外部電源が給電できなかった例もあるわけですが、具体の事例、おわかりだったらお聞かせいただきたいと思います。

寺坂政府参考人 まず、原子力発電所の供給ができなくなったといいますか、正確に言うと、送電線が使えなくなったということでございますけれども、先ほどの北陸電力のケースは、一号機でございますけれども、発電所そのものが停止いたしましたので、それ自身が供給が、送電ができなくなったということはないと思います。

 一番最初に申し上げました美浜のケース、これは美浜の原子力発電所からつながっているものでございますので、これはある種、瞬間的にといいますか、原子力発電所の電力が送電はできなくなったということだと理解してございます。

吉井委員 これは例えば、かつてありましたが、京都市内のような需要地で、落雷等で比較的大規模に停電が起こる。そうすると、需要地がとまってしまうために供給できなくなって、原子炉をとめる、そういう問題が出てきたりとか、そういう例は随分ありますから、やはり巨大な地震で停止したときに、自家発電や外部電源の喪失で二次冷却系が機能しなくなって炉心溶融に至ったときにはどれだけの規模の被害が発生するのか、こういうことを検討しておくことが必要だと思うんです。

 この点では、一九五九年には原子力産業会議が、国の委託調査で、東海村の原発で炉心溶融のような深刻な事態を想定して、チェルノブイリ事故の三分の一の放射線の放出量を見て損害の試算をやっています。当時の国家予算の金額にして二倍、死者は七百二十人を超え、五千人が障害を起こし、四百万人が被曝手帳をもらうことになるだろうというふうに試算をしておりますが、大臣はこの当時の国の委託調査のことを御存じでしょうか、伺っておきます。

直嶋国務大臣 いろいろな調査があることは聞いていますが、今御指摘の調査については、私はまだ確認をしておりません。

吉井委員 これは、国が一九五九年に委託して、原子力産業会議、原子力産業会議は名前が最近ではちょっと変わっていますけれども、いずれにしても、経済界、原発メーカーの方たちが中心になってやっているところへ委託調査をして、そしてそういう報告を出していて、この試算の手法というのは今日でも非常に有効だと。これは、もう数年前になりますが、有馬科学技術庁長官も、今で言う文部科学大臣ですね、あの人が評価をしておられた試算です。

 さて、次に伺っておきたいのは、中国の四川省で二〇〇八年五月十二日に大規模な地震がありましたが、あれから二年たちました。仮に、中国、韓国、北朝鮮や東南アジアなどの原発で炉心溶融のような事故が発生した場合に日本への影響はどうなるのかということについては、これは現実的な検討というものをやはりやっておかなきゃいけないと思うんです。

 日本学術会議は、ことし二月二十五日に、黄砂・越境大気汚染物質の地球規模循環の解明とその影響対策についてという報告書をまとめています。どこで発生し、日本にどういう経過でやってきて、どういう影響が出るのかということについて、この内容を簡潔に伺っておきたいと思います。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の日本学術会議の報告書につきましては、黄砂あるいは越境大気汚染物質の地球規模循環の解明、その影響対策ということで、こういったものが、黄砂やあるいは大気汚染物質が地球規模で輸送、拡散することを認識する必要があり、中国、モンゴルの発生源からの黄砂は、偏西風に乗って、日本、太平洋等を越えて大気の大循環として地球規模で回遊するというようなことを念頭に置いて、そういった事例があるというふうなことを報告している内容というふうに承知しているところであります。

吉井委員 これは、アメリカ、ヨーロッパを越えて、さらに中央アジアを経て、中国、日本へまた戻ってくる、それが大気循環だということで、季節によって偏西風というのは変わるわけですね。中央アジアを通るときもあれば、季節によっては、中央アジアのあたりはもう少し北の方へ寄ったところを偏西風が流れるとか、そういうことも報告としてあるわけです。

 ここで伺っておきますが、核関連動態監視のためのSAR画像解析判断技術の調査研究を初めとして情報収集衛星に随分予算を投じてきているわけですが、地上におけるCTBTの放射性核種の監視観測所のデータと突き合わせて、衛星からの放射性同位元素の分析により、国内はもとより外国の原発事故の状況や、本当は、事故が起こってからの話よりも、事故が起こる前の予兆を測定して対応するということは、これは衛星を使っている時代ですから非常に意味があることだと思うんです。

 もちろん、その中には、宇宙からの放射線の分を取るとか、データについてはその分の較正、補正をしなければなりませんが、そういう測定、評価をするということは、衛星が非常に大事な役割を果たし得るところだと私は考えているんです。

 現状はどの程度、原発事故やあるいはその予兆に当たるものを把握しているのか、伺います。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 情報収集衛星のレーダー衛星におきまして、今お話ございましたSARという技術を活用しております。これは、衛星の方から電磁波を地上に向けてぶつけまして、その電磁波のはね返った波を計測するという形で運用するのがレーダー衛星の手法でございます。

 これは、あくまでも地表面の変化というものを見るものでございまして、大気につきましては透過してしまうということでございますので、今御指摘のような放射能等につきまして検知するということはできないというふうに御理解いただきたいと思います。

吉井委員 内閣官房でも文科省でもいいんですけれども、要するに、いっぱい人工衛星を打ち上げているわけですよ、観測衛星や情報衛星を。その中で、日本はもとより世界各地の原発の事故も、はっきりした事故になれば航空写真でも簡単な話なんですが、放射線の漏れ出しているものを早期に確認して、その波長を合わすとか、それで同位体の検出が理論的には可能な話なんですが、そういう手法をとって、原発事故なり予兆なりを衛星を使って測定しているのかどうか、それを伺います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような、放射線の漏れ等を検知して、衛星からそれを事前に調査することによりましてその状況を把握するといったことにつきましては、少なくとも国内ではそういった試験なり研究なりはされておりません。

 諸外国においてそういう研究開発がなされているかどうかについては、詳細を承知しておりませんけれども、一九八六年のチェルノブイリの事故のときには、あれは火災が検知されて、その火災自体は衛星からの情報であったというふうには承知しております。

吉井委員 この機会に伺っておきますが、国から民間にH2Aの移管をした後、情報収集衛星光学三号として打ち上げたH2A十六号機の経費は九十四億二千万円というふうに内閣官房から示されております。

 文科省に伺っておきますが、同じ民間に移管された後、十七号機、十八号機の打ち上げ費用は幾らであったのかを伺います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまH2Aロケットの製造等に関する契約価格ということでお尋ねがございました。

 H2Aロケットにつきましては、平成十九年三月以降の打ち上げに関しましては、技術移転を受けた企業が、その製造、打ち上げ受注等を行うという体制になってございます。

 このため、御案内と思いますけれども、世界には大変多くの打ち上げ用ロケットがございますし、それらが激しい国際競争のもとで打ち上げ受注を競っているという状況でございますので、そういった契約価格に関する情報というのが公表された場合には、そういった受注にかかわる交渉、日本のロケットが実際使われるかどうかという交渉に影響を及ぼすということがございまして、外国ロケットとの間の国際競争力に悪影響が及ぶというおそれがあるために公表させていただいておりません。

 なお、ロケット製造等に関する契約価格については、諸外国においてもこれは公表されていないというふうに承知しておりますので、その点御理解賜ればと思います。よろしくお願いいたします。

吉井委員 内閣府の方は移管後も公表しているんです。文部省の方は秘密扱い。しかし、これは国の技術の移転したものなんです。もともと国のものなんです。それが非公開扱いで国民には何もわからないというのは、一つ一つ、仕様が全部、注文が違うわけですから、違って当たり前なので、しかしそれもわからない。とんでもない話ですから、これは委員長にお願いしておきますが、やはりこういうものは公開させるようにしていただきたいと思います。

東委員長 理事会で検討いたします。

吉井委員 情報収集衛星など多額の経費を使って開発してきた衛星で、先ほど来のお話ですと、原発事故はもとより、原発事故の予兆となる放射性排気ガスの分析や掌握もできていないと。

 しかし、原発のトップセールスは今やっておるわけですよね。セールスをやるからには、過酷事故が発生した場合の日本への影響評価、これをやっておくのが私は当たり前だというふうに思うわけなんです。

 この機会に、そうしたら、チェルノブイリ事故の影響範囲、改めてその影響範囲と被害を伺っておきたいと思います。これは簡潔で結構です。

泉政府参考人 当時、チェルノブイリ事故は一九八六年の四月に発生した事故でございますけれども、その後、一九八六年、昭和六十一年の六月六日に政府の放射能対策本部が発表いたしました、チェルノブイリ原発事故に起因する放射能の我が国への影響についてということで、ここにこの放射能対策本部の発表の資料がございますけれども、その時点までに行われた国内の放射能調査の結果からすると、我が国における放射能レベルは、高空浮遊じん、大気浮遊じん、雨水、水道水、牛乳、野菜等のすべての試料について漸減し、現時点ではソ連原発事故による放射能レベルは十分低い状況になっているというふうな記載がございます。

吉井委員 それは大分遠いところの話のことなんですね。

 一九八六年八月にIAEAで非公開会議が開かれて、四万人を超える死者という推定値もあったんですが、IAEAの公式見解としては四千人の死者とされ、チェルノブイリから一千百キロ離れたスウェーデンのフォルスマルク原発のところで、これはこの原発とは違う放射性核種が確認されているんですね。つまり千百キロ離れたところでも影響は出ている。それで、二〇〇〇年の追悼集会での発表では、事故処理に当たった人たちで五万五千人の死者が出たということも公表されております。

 そこで、先日審議したJOGMEC法でも、カザフスタンのウラン鉱開発、製錬から原発まで取り組むということにしているんですが、もともとあの地域はプレートのぶつかり合う中でヒマラヤ山脈ができていったところですし、地震もよくあるのが中央アジアなんですが、カザフで原発事故があったとき、黄砂のように、あるいは黄砂に付着して、偏西風に乗って日本へ放射性物質が飛んでくることは想定し得ることなんですが、放射性物質が付着した黄砂が家や車や畑の野菜に積もっても人体には大丈夫なんだと検証するものをきちんとやっておられるのかどうかを伺っておきます。

泉政府参考人 例えば、諸外国で原子力発電所の事故等が生じた場合の放射性物質の我が国への影響といったようなことにつきましては、もとより、国民の安全、安心を確保する観点から、文部科学省では、都道府県と協力いたしまして、日本全国の環境放射能のモニタリングを行っているところでございまして、この際、例えば偏西風等の影響も含めた形での全国の放射能水準が把握されるということになりますので、万一、放射能の異常値が出た場合には、関係省庁と連携しながら、その原因あるいは異常値の人体への影響の程度把握、対応等を検討することにしておるということでございます。

吉井委員 さっきも言いましたように、仮にカザフであれ中国であれ韓国であれ北朝鮮であれ、原発の炉心溶融が起こったときに、偏西風に乗って、例えば黄砂などに付着してやってきた場合は、黄砂の被害で車に随分積もったりした日があったのは我々経験済みなんですが、やはりきちんとアセスメントをやらないことには、簡単に原発をあっちゃこっちゃ売りに行ったらいいという話じゃないと思うんですよね。

 軽水炉による核兵器拡散の議論はこの間やりました。一方、アセスメント抜きに、トップセールスだということで簡単にやったら、売った先で事故があったときに日本にはね返ってくる話なんです。

 これは大臣に伺っておきたいんですが、売り込んだ先の技術水準のいかんにかかわらず、原発というものには基本的に、炉心溶融にも至る危険が伴うんです。これは、スリーマイルの事故であれチェルノブイリであれ、アメリカでも旧ソ連でもそういう事故をやっているわけですが、その危険を伴う中で、日本への影響を、やはりきちんとアセスメントをやって、考えて臨むというふうにしなかったら、それを考えないでトップセールスをやるというのは、私はこれは大分問題があると思うんですが、大臣はそういう検討をした上でトップセールスをやられたのかどうかを伺います。

直嶋国務大臣 吉井先生御指摘の点は、問題提起としてお伺いはしておきたいと思いますが、現在我が国が原子力発電施設を輸出する相手方の国で事故が起こった際の影響については、経済産業省としてそういったアセスメントは行っておりません。

 一方で、諸外国において原子力発電を利用する場合には、各国が、それぞれの国がみずから安全の確保に万全を期するということは大前提になっております。

 したがいまして、我が国としても、原発の新規導入国と二国間の原子力協力協定を締結する際には、安全確保の取り組みを相手国に求めているところであります。例えば、御指摘のカザフスタンとの原子力協力協定の交渉に当たっても、我が国から原子力安全条約等の原子力安全四条約の締結を求め、カザフスタンはこれら四条約を締結した、そういう経緯もございます。

 また、同時に、原子力協力の一環として、さまざまな国に対して、人材育成や法制度整備に向けた原子力専門家の派遣や受け入れ、安全に関する情報提供などの協力を行っているところでありまして、さらに、諸外国が活用可能な原子力発電に係るIAEAの国際安全基準の策定活動等に我が国としても積極的に貢献をいたしているところでございます。

 したがいまして、基本的に今の枠組みは、それぞれが責任を持ってやる、そして間違いなくやれるように我々も協力支援をさせていただいているということでございます。

 学術レベルの研究はいろいろなものがあろうかと思うんですが、現状は、国際的にこういう形で行っているということでございます。

吉井委員 協定があれば安全が保たれるという話じゃないんです。技術の水準が問題になってくるんです。それから、原子力という技術そのものに、非常に危ない、もともと本質的な危険があるわけなんです。

 そのことを踏まえるならば、簡単に、アセスメントもやることなくどんどん売り込みに行くというやり方は、これはやはり改めなきゃいけないし、逆に、日本の持っているすぐれた技術の中の一つである再生可能エネルギー、この分野は随分たくさんあるわけですね。これは国際的にも爆発的普及を進めるということが大事ですから、そういう方面でこそ輸出等を考えていくべきである、このことを申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。

東委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時十七分開議

東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。直嶋経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

直嶋国務大臣 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、同年十月十四日より、五度の延長措置を経て、平成二十二年四月十三日までの間、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を厳格に実施してまいりました。また、平成二十一年五月二十五日の北朝鮮による二度目の核実験を実施した旨の発表を受け、同年六月十八日より平成二十二年四月十三日までの間、北朝鮮への貨物の輸出を禁止する等の措置を厳格に実施してまいりました。しかし、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮の対応や、六者会合、国際連合安全保障理事会等における国際社会の動き等その後の我が国を取り巻く国際情勢にかんがみ、平成二十二年四月九日の閣議において、引き続き、平成二十二年四月十四日から平成二十三年四月十三日までの間、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮への貨物の輸出及び北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を実施することとしました。

 これらの措置のうち、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第です。

 次に、本件の要旨を御説明申し上げます。

 本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成二十二年四月九日の閣議決定に基づき、同年四月十四日より平成二十三年四月十三日までの間、北朝鮮へのすべての貨物の輸出及び北朝鮮からのすべての貨物の輸入について経済産業大臣の承認を受ける義務を課す措置を講じたこと、及び北朝鮮と第三国との間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借または贈与に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。

 以上が、本件の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより質疑に入ります。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十四分開議

東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 自由民主党・無所属の会、公明党、日本共産党及びたちあがれ日本所属委員の御出席が得られず、質疑者の通告がありませんので、これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

東委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

東委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

東委員長 次に、内閣提出、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。枝野国務大臣。

    ―――――――――――――

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

枝野国務大臣 ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、いわゆる独占禁止法については、昨年成立した一部改正法の附則第二十条第一項において、「審判手続に係る規定について、全面にわたって見直すものとし、平成二十一年度中に検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」とされております。

 また、同法案に係る衆議院及び参議院の経済産業委員会の附帯決議においては、「審判手続に係る規定については、本法附則において、全面にわたって見直すものとし、平成二十一年度中に行う検討の結果所要の措置を講ずることとされているが、検討の結果として、現行の審判制度を現状のまま存続することや、平成十七年改正以前の事前審判制度へ戻すことのないよう、審判制度の抜本的な制度変更を行うこと。」とされております。

 今回は、これらの附則等を踏まえ、公正取引委員会が行う審判制度を廃止するとともに、公正取引委員会が排除措置命令等の行政処分を行おうとする際の意見聴取のための手続の整備等の所要の改正を行うため、ここにこの法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案について、その主な内容を御説明申し上げます。

 第一に、独占禁止法違反に対する排除措置命令等について、公正取引委員会が行う審判制度を廃止するとともに、審決に係る抗告訴訟等の第一審裁判権が東京高等裁判所に属するとの規定を廃止します。

 第二に、裁判所における専門性の確保等を図る観点から、独占禁止法違反に対する排除措置命令等に係る抗告訴訟等については、東京地方裁判所の専属管轄とするとともに、東京地方裁判所においては、三人または五人の裁判官の合議体により審理及び裁判を行うこととしております。また、その控訴審である東京高等裁判所においては、五人の裁判官の合議体により審理及び裁判を行うことができることとしております。

 第三に、適正手続の確保の観点から、排除措置命令等に係る意見聴取手続について、その主宰者、予定される排除措置命令の内容等の説明、公正取引委員会の認定した事実を立証する証拠の閲覧及び謄写に係る規定等の整備を行うこととしております。

 なお、これらの改正は、一部を除き、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十九分散会


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