衆議院

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第2号 平成22年10月27日(水曜日)

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平成二十二年十月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 北神 圭朗君 理事 楠田 大蔵君

   理事 後藤  斎君 理事 近藤 洋介君

   理事 平  智之君 理事 谷畑  孝君

   理事 西村 康稔君 理事 佐藤 茂樹君

      阿知波吉信君    池田 元久君

      石田 芳弘君    小原  舞君

      大谷  啓君    笠原多見子君

      川口  博君    熊田 篤嗣君

      斉木 武志君    柴橋 正直君

      白石 洋一君    杉本かずみ君

      高松 和夫君    中山 義活君

      橋本  勉君    早川久美子君

      皆吉 稲生君    向山 好一君

      森山 浩行君    山岡 達丸君

      山本 剛正君    湯原 俊二君

      吉田おさむ君    和嶋 未希君

      梶山 弘志君    近藤三津枝君

      新藤 義孝君    高市 早苗君

      橘 慶一郎君    西野あきら君

      額賀福志郎君    稲津  久君

      吉井 英勝君    山内 康一君

      園田 博之君

    …………………………………

   経済産業大臣       大畠 章宏君

   国務大臣         海江田万里君

   外務副大臣        松本 剛明君

   農林水産副大臣      篠原  孝君

   経済産業副大臣      池田 元久君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   外務大臣政務官      山花 郁夫君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     谷  重男君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西山 英彦君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            佐々木伸彦君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            鈴木 正徳君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          石黒 憲彦君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    高原 一郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 梶原 成元君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十七日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     阿知波吉信君

  木村たけつか君    大谷  啓君

  櫛渕 万里君     早川久美子君

  花咲 宏基君     湯原 俊二君

  森山 浩行君     向山 好一君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     和嶋 未希君

  大谷  啓君     木村たけつか君

  早川久美子君     小原  舞君

  向山 好一君     石田 芳弘君

  湯原 俊二君     花咲 宏基君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 芳弘君     森山 浩行君

  小原  舞君     山岡 達丸君

  和嶋 未希君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  山岡 達丸君     櫛渕 万里君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房地域経済産業審議官谷重男君、経済産業省大臣官房審議官西山英彦君、経済産業省通商政策局長佐々木伸彦君、経済産業省製造産業局長鈴木正徳君、経済産業省商務情報政策局長石黒憲彦君、中小企業庁長官高原一郎君、環境省大臣官房審議官梶原成元君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 おはようございます。自由民主党の西村康稔でございます。

 きょう私に割り当てられた時間が短いので、早速質問に入りたいと思います。大畠大臣、よろしくお願いします。

 まず、東シナ海の白樺で中国が掘削、生産に入っているんじゃないかということについてお伺いをしたいと思います。

 既に前原大臣もその可能性があるということを答弁しておられますし、報道でしかまだ聞いておりませんが、我が党の山谷えり子参議院議員の質問主意書に対して、政府は掘削をしている可能性があるということで閣議決定したと聞いていますが、大臣はどう認識しておられますか。

大畠国務大臣 おはようございます。

 西村委員の御質問にお答え申し上げますが、私も関係の方からいろいろとお話を伺っておりますが、まだ確実に掘削をしているという確証を得るに至っておりませんので、私どもとしては、現在の状況を注視し、諸情勢をよく分析しながら慎重に対応したい、現在のところはそう考えております。

西村(康)委員 大臣は、白樺で撮影されている掘削の状況の写真を見ていますか。

大畠国務大臣 その写真を私は拝見させていただいております。

西村(康)委員 我々、経済産業委員会として、その写真をぜひ、一般に公開するかどうかは別として、この審議に当たって、どういう状況なのか少なくとも野党側の理事なりに今見せてほしいということを求めてきておりますが、写真を公開していただけませんか。

大畠国務大臣 この件についても、西村委員を初めとして、そのような御意見をいただいていることは承知しておりますが、西村委員も御理解賜ると思いますが、その写真を公開することによって、日本国としての情報収集能力とかさまざまなものも明らかになるわけであります。そういう意味では、現在のところ、日本国としての情報収集や外交交渉等にも支障を来すおそれがあるということから、公表は差し控えたいということが基本的な考えでございます。

西村(康)委員 外交交渉にどう支障があるんですか。

大畠国務大臣 現在、さまざまな意味でこの問題について日中間でいろいろと話をしておりますし、今度、十一月の中旬に行われるAPEC等でも日本と中国の首脳間で話し合おうということにもなっておりますので、そういうものを考えながら、課題は、これをどう解決するかということも一つの目標でありますから、その解決するためのベストな方法を今模索しているということで、そのような判断に立っているわけであります。

西村(康)委員 この白樺は、日中で共同開発するということで合意をしている話であります。その中で、中国がドリルを持ち込んでいるような写真も新聞社は出していますし、あるいは白く濁っている写真も新聞社は出しています。

 しかし、我々は新聞社の写真をもとに議論を進めるわけにいかないので、これは政府としてしっかりそのあたりを把握しておられる、今見たというふうにおっしゃいましたから、それをぜひ提示していただいて、この国会の場で議論をすることは、むしろ共同開発を進める。もし中国がこれに反して、共同開発条約交渉の前提として、単独では行動しない、掘削しない、生産しないという、その合意に反するわけでありますから、その可能性がある以上、我々にもしっかり示していただいて、その旨を中国にしっかり言うということが大事じゃないでしょうか。いかがですか。

大畠国務大臣 過日も、中国の幹部の方とお話をしたときに、私もこれは率直に話をしました。二〇〇八年の日中の合意に反するような行為があるとすれば、我が国としては、当然しかるべき措置をとりますよというような話をしております。

 いずれにしても、中国の方では、私どもとしても基本的に同じ認識に立っている、したがって、日中間のこの白樺ガス田の問題については、先日、菅総理と中国の首脳間の話があったときに、一つのいわゆる戦略的互恵関係という、基本的にその原点に立ち返ろうということで合意しているので、中国としてはそのような懸念がないように努力したいというお話もありますので、私は、そのような視点に立って今行動することが大事なのではないか、そう考えているところであります。

西村(康)委員 もう変化しているわけです。合意をした時点で、単独的な行動はしないということで日中間で了解しているわけであります。にもかかわらず、ドリルのようなものを持ち込んでいる写真も出ている。これは我が党の新藤議員も指摘をされました。あるいは、白く濁っている。これは明らかに何か土をいじっているのではないか、こういう指摘があるわけですけれども、もうお互いの合意の前提が崩れている可能性があるわけです。

 ぜひこれは公開をしていただいて、我々はしっかり審議をして、条約交渉も国会にかかるわけでありますから、ぜひ審議をしていただいて、見せていただいて、その上で外交交渉していただきたいと思います。いかがですか。

大畠国務大臣 繰り返しの答弁になりますけれども、このことについては大変大事な問題でありますから、委員会としてもよく御議論いただいた上で御判断いただきたいと思いますが、今現在、政府としては、この写真等は公開すべきでない、そういう判断をしているところであります。

西村(康)委員 言い方をかえます。

 大臣は、もし中国が単独で生産をしているとすれば、しかるべき措置をとるということを国会で答弁されたと思います。しかるべき措置とは何ですか。

大畠国務大臣 このしかるべき措置ということについては、しかるべき措置でありまして、この内容を云々するというのは、この場では控えさせていただきたい。

西村(康)委員 しかるべき措置を言わないと、相手に対して何のプレッシャーがあるんですか。しかるべき措置をやります、やります、それだけで何のプレッシャーになるんですか。中身を言ってください。

大畠国務大臣 これは、例えば西村委員と立場をかえたとして、西村委員が政府の立場に立ったときには同じような回答をされると思います。

西村(康)委員 今の答弁は何ですか。それなら早く政権をかわってくださいよ。我々は違う答弁をしますよ。

 写真は出さない、しかるべき措置は言わない。なぜこれで外交交渉ができるんですか。しっかり答弁してください。

大畠国務大臣 このしかるべき措置というのは、もちろんさまざまな形で、日本と中国は二〇〇八年に国際的な合意をしているわけですから、その合意を一方的に踏みにじるというのは大変な違反行為になるわけですから、まさに、おおよそ西村議員が考えていらっしゃるようなことを含めて私たちはとるということであります。

西村(康)委員 では、大臣の思う、私が考えていることは何ですか。

大畠国務大臣 このことをこの場で申し上げることは差し控えさせていただきます。

西村(康)委員 仮に中国が単独で掘削を始め、生産をしているとすれば、白樺のところは中間線をまたがって、中間線の日本側の地域にもガス田が広がっている、それをいわばストローで吸い上げるように日本の権益までとられてしまう。それでいいんですか、大臣。

大畠国務大臣 これは西村委員御存じのとおり、これからの地球上における世界の関心事は、エネルギーと水と食料ということになります。

 したがって、このエネルギー問題は大変大事な課題でもございますから、この問題について、私どもは、基本的に、今度のAPECのときも日中首脳会談等々がもちろんあるでしょうし、あるいは今度のベトナムにおける会合においても、この問題が当然首脳間で話し合われることになると思いますから、その会談の中で西村委員の懸念も含めて首脳間でしっかりと話し合って、懸念がないような形に持っていきたいと私は考えているところであります。

西村(康)委員 交渉するに当たって、単独で生産している可能性がある、その写真も公開せずに、しかるべき措置ははぐらかし、そして答弁は、全然的外れなことを今答弁されています。

 日中間で日本の権益が損なわれる可能性がある。単独でその行動をしようとしている。断固たる態度で臨んでいただかないと、日本の権益が損なわれるわけであります。私は、中国が仮にもう単独で生産に入っているとすれば、あるいはその懸念があるとすれば、日本としても単独で生産を開始する、その準備に入るべきだと思いますが、いかがですか。

大畠国務大臣 この問題は、私が経済産業大臣を拝命して以来の大変重要な案件でもございますし、私も一生懸命この問題について取り組んできたところであります。

 いずれにしても、この問題はかなり重大な状況も懸念されますので、何とか二〇〇八年のときの日中合意に基づいて行動をされるべきだと思いますから、そういう意味で、あらゆる機会をとらえてこの問題について私も言及しておりますが、今週末、ベトナムで会談等々がありますので、その場において改めて懸念を表明しながら、二〇〇八年の日中合意に基づいた形で、日本から見ても疑念があるような状況は解消するように強く求めたいと思います。

西村(康)委員 大臣は、安全水域設定法というのを御存じですか。

大畠国務大臣 そのことについては、現在のところ、私は承知しておりません。

西村(康)委員 これは、海洋基本法をつくったときに、私、提案者の一人として提出をさせていただいた。国連海洋法条約に認められている排他的経済水域で資源の開発をするときに、その周辺五百メートルは何人も入れられないようにする権利を安全水域設定法として提出をし、民主党も賛成されて、超党派で成立をしました。日本はこれまで国内法化していなかったこの国連海洋法条約の権利をこの法律で具現化して、具体的に開発できるようにしたわけです。

 大臣、ぜひ勉強していただいて、日本は単独で生産しようと思えばこの法律に基づいてできるわけです。ぜひそのことを念頭に置いて、中国はいろいろな可能性がありますから、漁業交渉に入る、あるいはリグの手配も、すぐにやろうとしても時間がかかります、そういうことを念頭に置いて検討していただけますか。

大畠国務大臣 いずれにしても、今御意見があったことを踏まえて、私自身、勉強させていただきます。

西村(康)委員 勉強じゃ遅いので、ぜひいろいろな……(発言する者あり)大臣になってどれだけ時間がたっているんですか。しかも、この問題に取り組んでこられているわけでしょう。勉強じゃないですよ。もう具体的な行動に入ってください。

大畠国務大臣 よく勉強しながら、検討させていただきます。

西村(康)委員 引き続き写真の我々への提供と、これは視察を含めて委員会で提案していますけれども、委員長、ぜひこれは前向きにこの委員会で提起をしていただいて、しかるべき措置を含めて具体的な検討を進めていただくことを求めたいと思います。

田中委員長 今の写真と視察については、改めて理事会で検討させていただきます。

西村(康)委員 時間がありませんので、TPPの話をしたいと思います。

 その前に、鳩山前総理が引退をすると言われていた発言を撤回されました。事実上撤回されたと認識をしておりますが、鳩山グループのお一人として、大臣、どう思われますか。

大畠国務大臣 新聞では拝見させていただきましたけれども、まだじかにお話ししたことはございませんので、この場では私の私見的なものを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

西村(康)委員 民主党が企業献金を全面廃止すると言っておきながら、一部再開をすると報道がありました。大臣、どう思われますか。

大畠国務大臣 このことも新聞で拝見させていただきましたが、私自身としては、一つの検討案が出たということで、最終結論になったかどうか私も聞いておりませんけれども、いずれにしても、この場で私が発言することは控えさせていただきたいと思います。

西村(康)委員 大畠大臣は、就任直後、TPPを推進するという立場で話をされました。しかし、きのうの記者会見は、非常に慎重な立場になられました。民主党の体質として、後先考えずにその場その場で思いついたことを言われる、あるいは官僚の書いた文章をそのまま読む。きのうの段階になって慎重になっている。大臣、御自身の方針を転換されたんですか。

大畠国務大臣 総理が所信で述べられた方向性、いわゆる検討する、TPPについても参加を検討するという方向でこれまでも取り組んでまいりました。

 もちろん、西村委員御存じのとおり、日本の国内企業の経営環境というのは非常に厳しい状況でございますから、国際競争下においていわゆる国際的な標準の企業活動環境を整えようと私も努力をしていくべきだろうと思いますし、その一環として法人税の引き下げ、あるいはいわゆる経済的な活動環境についても整備することが必要ですから、その一環としてFTAやEPAがもちろんございます。その延長線上にTPPというのもあるだろうと思いますし、最終的にFTAAPというものも二〇二〇年には締結をするという方向性になっておりますから、そういうことを今経済産業省としても検討していますし、また、これは経済産業省だけでできる問題ではありませんから、農林水産業あるいはその他の課題についても総合的に検討して最終的な結論を出すべきだろうと思います。

 したがって、いろいろと検討する作業の中でさまざまな課題というのが見えてきている、そういうものを総合的に判断していかなければならない。特に、このTPPについては国民との議論というのが大事だろうと思います。国民の理解なくして政府の方針を決めるということは難しいのではないか。そういう意味で、国民との議論が不足していたというのは事実だと思います。したがって、そういうことを含めてやっていくことが必要だと私は今考えております。

西村(康)委員 国民との議論、国民への訴えかけが足りなかったということですけれども、今民主党内でやられているのは党内論理じゃないですか。大畠大臣の属される鳩山グループ、鳩山前総理も懸念を示された。党内、派閥の論理。国益とか国全体がどういう方向にあるかという長期的な議論をせずに、まずは思いつきで参加をしよう、参加を検討すると言って、党内でわあっと反対派が出てくれば、あるいは派閥の親分が違うと言えば、大臣、考え方を変えているんじゃないですか。

大畠国務大臣 西村委員もそうだと思いますが、私も代議士として選挙区の方々、市民の方々とさまざまな論議をしながら今日までやってまいりました。代議士というのは、地域の方々の声とか考え方を無視した形で物事を進めるということは、代議士あるいは政治家として行動すべきじゃないと思います。

 したがって、十分地域の方々の御意見をいただきながらやるべきだと思いますし、民主党においてもあるいは自民党においてもさまざまな議員の皆さんが活動をされておりますが、それも国民の声を踏まえて活動しているものと思いますから、そういう意味でさまざまな御意見というものを踏まえて総合的に判断していくというのは当然だと思います。

 現在、検討の過程だと御理解いただきたいと思います。

西村(康)委員 きのうのTPP先にありきではないという発言はどういうことですか。

大畠国務大臣 私ども民主党のマニフェストには、EPA、あるいはFTAというものを積極的に推進すると書いてございます。総理からはTPPについて検討するようにということですから、検討というのは、そこに踏み込むか、あるいは踏みとどまるかということも含めての検討でありますから、そういう意味では何が何でもTPPを行うんだということではないと私は理解しておりますし、総理からは検討をしなさいということですから、検討しているということであります。

西村(康)委員 何が何でもTPPを行うということはないわけですね。

大畠国務大臣 それは、検討というのは、踏み込むこともあるし、とどまることもあるというものが検討だと思います。

西村(康)委員 つまらない言葉遊びをするつもりはないんですが、私も、選挙民、地元、農業地域、水産業を抱えています。すべて一〇〇%関税ゼロにして今の状況でやれと言われたら、それはできません。日本は参加すべきでないと思います。

 しかし、民主党のばらまきの農政をやめて、強い農業をつくる、強い水産業をつくる、そういう政策転換をして、その上で国を開いていく。そういう覚悟なしにTPPに参加を検討する、そんなことを言わないでほしいんです。

 覚悟をお聞きしたいと思います。

大畠国務大臣 御存じのとおり、私も西村委員と同じ認識を持っておりまして、日本国内の農業問題、ここのところをどのような形で強化していくか、そういう意味で今農水大臣とも連携をしながら、かつては農林水産業、あるいは経済産業省として独自にやっておりましたけれども、経済産業省のノウハウを全部出して強い農業、いわゆる農林水産業、今六次産業とも言われていますから、一つの産業としてどのような形で経済産業省として支援ができるのか、あるいは農水省と経済産業省と一体となって強い農林水産業をつくろうと、その決意のもとに行っているわけであります。

 TPPも含めて、EPAやFTAも同じだと思うんです、したがって、強い農林水産業というものをつくらなければEPAやFTAもなかなか難しいんだと思うんです。そういう意味で、現在、鹿野道彦農林水産大臣とも連携して、強い農林水産業をつくろうということで一生懸命取り組んでいるところであります。

西村(康)委員 鳩山前総理の引退撤回といい、あるいは民主党はやめると言っておきながら受ける企業献金といい、TPPに参加を検討するといいながら実は先にありきじゃない、必ずしも入ることを前提としたわけじゃないと。少なくとも経産大臣として強い覚悟で日本の農業を強くすることも含めて責任を持って取り組んでいただきたいと思いますが、もう一度決意を聞きたいと思います。

大畠国務大臣 私は、現在、経済産業大臣を拝命しておりますが、西村委員御指摘のように、単に経済産業省の所轄のものだけを云々すればいいというのではなくて、まさに今後の日本を考えた場合にどう農林水産業を強いものにするか、そこの課題について私も積極的に取り組んでまいります。

西村(康)委員 時間が来ましたので終わりますが、引き続き大臣といろいろなところで議論したいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、谷畑孝君。

谷畑委員 自由民主党の谷畑孝でございます。

 大畠経済産業大臣、就任おめでとうございます。大臣とは、私は参議院、大臣は衆議院議員ということで、当選したのも同じような時期、また、一緒にソ連へ視察をしたり、時には神保町で一緒に居酒屋で飲みながら、この日本の国の将来を熱く語ったことをきのうのように思いますし、また、この間、民主党の中でしっかりと地道に努力をされて、今回大臣になられたということで、私も心よりうれしく思っている一人であります。

 さて、最近、私も、喜怒哀楽というものをいつも考えて生きたり、人はいかにして生きるかということも時たま考えたりするんです。野党になってから余りいいことがなくて、おもしろくないなといつも思っているわけでありますけれども、最近、チリの鉱山における三十三名の救出劇というのか、かつてなく感動しました。ちょうどあれは参議院の予算委員会のときでもございましたけれども、実はテレビにかじりつきになりました。

 なぜ感動したのかといったら、やはり、地下七百メートルのところで三十三名の皆さんが閉じ込められた、生と死と、そのはざまに生きている、そういう中で強い希望を持って生きていくということ。その中におけるリーダーが皆さんを激励しながら、多分、結束をしてきたんだろう。また、家族もしっかりと応援されたことが放映をされましたし、また、大統領も、あるいは担当大臣も、国を挙げてこの救出に当たった。ここに我々政治家として、この日本の国も、今円高で、あるいは閉塞感の中で、どうしたら日本が冠たる日本として生きていけるのか、こういうことですから、これは非常にリーダーシップ性が問われると思います。

 私は、ぜひ、尊敬する大畠経済産業大臣ですので、強いリーダーシップが必要だと思いますので、まず冒頭、このチリの救出劇、大臣はどのように思われて、どう感想を持っておられたのか、そのあたり、少し生の声を聞きたい、こう思います。

大畠国務大臣 谷畑議員から御質問をいただきまして、大変恐縮でございます。

 私も、谷畑議員と一緒に当選をさせていただき、今日までいろいろな形で仕事をさせていただきました。谷畑議員らしい冒頭の御質問でございます。

 実は、私も、このチリの鉱山における落盤事故で三十三名の方が閉じ込められたということについては大変気をもんでおりました。暗い話題が多い、あるいは心配事が多い中でありますが、何とかこの三十三名の方が救出されることを私もずっと願っていたわけであります。その最中に、岐阜県において中小企業大臣会合というのがありまして、チリからも代表の方がお見えになっておりました。私は、その会合の朝のときに、APECに参加された方々とともに、三十三名が無事救出されることを冒頭にみんなで祈念しようじゃないかという発言もさせていただきました。

 そして同時に、毎日毎日、世界じゅうがかたずをのむ中で、救出劇を待っておったんですが、一番私が心を打たれたことは、リーダーが、救出される番としては自分は一番最後にする、こういうことを自分自身から申し出て、一番最後に地上に戻られた。あの光景については、大変私は強い感銘を受けました。リーダーとはどうあるべきなのか、そういうことをいろいろと勉強させていただくことだったなと思っております。

 私も、今回のチリにおける落盤事故、そして三十三名が無事全員救出されたということについては、深い感銘を持って受けとめましたし、私自身もいろいろ学びながら今後とも努力してまいりたいと思います。

谷畑委員 今、大畠大臣がおっしゃったように、強いリーダーシップ性というのが今日ほど大事なことはないのではないか、こう思うんです。

 今まで日本の大臣という中で、もちろん総理大臣が一番重い責任があるんだな、こう思うんですけれども、その次に、昔は大蔵大臣。そして経済産業大臣、通産大臣。とりわけ通産大臣という位置は非常に高い位置であった、こう思うんです。ところが、最近、通産大臣あるいは経済産業大臣というのは、なかなか影がもう一つ、大畠大臣のことじゃなくて、この間ずっと弱くなってきているような感じがしてならないんですね。

 だから、そういう意味では、今回、経済産業大臣というのは、新聞記事あるいはニュースを見ても、経済産業大臣の管轄のことが毎日のように出てくるんですね。円高であるとか景気が悪いとか、こういうことが出てきますので、私は、強いリーダーシップがやはり必要じゃないかと。時には孤独に決断をして、そしてその決断に対して、実行していくために徹底的な、味方をたくさんつくって、そして時には総理大臣と刺し違いするぐらいに力強いリーダー性をぜひ発揮していただきたいな、こういうふうに実は私は思うんです。

 次に、円高が日本経済に与える影響という、私どもも各地の企業を回っておりましたら、大体企業は五つの苦というのか、そういうことに見舞われているというのか、よくおっしゃいます。

 その一つが法人税。いつの間にか、日本の法人税は実効税率四〇%、これは韓国から見ても、最近ドイツもぐっと下げてきました、これは大変重いと。日本の企業、こんなのでは日本ではやっておれぬ、こういうような声を聞くんです。

 二つ目は、製造業の派遣の原則禁止という法案が次々と、まだ法案自身が通っておりませんけれども、しかしそれがいつも議題になってくる。すべての派遣が禁止だということになってきたら、製造業というのはもう成り立たない、こういう話です。日雇い労働の派遣だとか、そういういろいろと改善しないといかぬ問題は実はたくさんあります。ありますけれども、これはまた労働問題で、さらに各論を含めて議論をしていくべき重要な問題だとは思うんだけれども、企業にとってみたらそういうようなイメージになる。

 それから三つ目は、何といったって、今議論になりました自由貿易協定だとか経済の連携だとか、これがやはり出おくれているんじゃないか、こういうことも三つ目としてあると思います。

 そして四つ目は、CO2二五%削減。これはもちろん、今日、環境というのか、地球全体を守らなきゃならぬというのは当たり前のことで、我々も非常に大事なことだとは思うんだけれども、日本もそれぞれ、この間物すごい努力をされて、CO2削減のためにやっておるわけですけれども、二五%と言われるとちょっときついんじゃないかと。はっきり言ったら、もう日本では工場を維持できないな、こういうことがよく言われます。

 最後のとどめは、何といったって円高ですね。これが中小企業にとってみても、もうできない、こういうようになってきているんですね。それが、日産が、あの大衆車である日産マーチの生産拠点をタイに移す、あるいはパナソニックの家電の海外生産を、マレーシア、中国、メキシコで増産をする、こういうふうにして海外シフトの記事がずっと出ている。こうなると、自動車の関連事業の中小企業、海外に出ていくことのできない中小企業がたくさんあります、そういうところは将来に対する物すごい不安を持つわけなんですね。

 それで、最近、日本の経団連がこう言っています。このまま製造業が生産拠点を海外に移転する動きが続けば、今後五年間で約六十兆円の国内需要と三百万人規模の雇用機会を失う可能性がある、こう言っています。円高がこのままずっと続けば、今後五年間で三百万人の規模の雇用を失う。菅総理は雇用、雇用と言っていますけれども、六十兆円の国内需要を失うということを言っているんですね。

 そこで、通産省として、経済産業省として、私が今言いました五重の苦の、経済界が思っていること、企業を経営している方が思っていること、そういうことについて、基本的な認識、どういうふうに大畠大臣は考えておられるか、そういう基本認識についてちょっとお聞きをいたします。あるいは副大臣でも結構です。

池田副大臣 谷畑議員の中小企業育成、いろいろやってこられたことを私もよく承知をしております。

 今、谷畑さんがおっしゃった、日本の、とりわけ中小企業が不振の原因を挙げられましたが、円高、法人税、派遣、CO2、いずれも大きな問題でございますが、これはむしろ、阻害をしている要因というふうにとらえるよりも、課題であると。課題設定というのがありますね、最近よく使われているアジェンダセッティング。今のこの時点で、我々政治をやる者にとって、これらは大きな課題であると私は認識をしております。

 たくさん挙げられましたので、それぞれについて発言はできますが、そういう総論的なお答えをまずはさせていただきたいと思います。

谷畑委員 いずれにしても、円高の問題は経済産業省だけで解決する問題でもないし、もちろん国際的な通貨の問題でもありますし、非常に難しい問題だと思うけれども、担当である経済産業大臣としても、これは非常に大事に、関心を持っていただかなきゃならぬ。また、日本の財務省も、一番担当するところでありますから、これから海外の国際会議がありますから、しっかり日本の国益の立場に立ってそういう発言をしていただくことが非常に大事だ、こう思います。

 どうぞ副大臣、ありましたら。

池田副大臣 質問者と目が合って、つい立ってしまいました。失礼いたしました。

 円高は大変深刻でございます。企業の想定レートを考えれば、この状況ではやっていけないというのは非常によくわかります。この円高は、つまり、全体の経済でいえば、デフレの中でこういう状況が起きているという状況でございます。

 日本の競争力ももちろん落ちておりますが、短期的にいえば、為替相場ですから、相場は相場に聞けという言葉もございますが、この円高では日本の経済にとってはなかなかやっていけないというふうに考えておりまして、政府としては、過度な変動に対しては断固たる措置をとるということで為替介入を断行いたしました。

 ただ、現下の状況の中では、各国の状況を見なければいけません。かつての歴史が教えるように、通貨安競争になっては大変でございますので、そういう点も踏まえながら、日本政府としてはとるべき道を考えていく。

 ただ、日本にとっては、九〇年代の後半あたりからずっと長期低迷なんですよね。日本だけがデフレなんですよ。そういう実情を各国に理解してもらう。ですから、今回の為替介入についても、議会については、各国の議会ではいろいろな反応がございましたが、アメリカ政府については非常に慎重な物の言い方といいますか、そういう見解といいますか、受けとめでございました。

 こういった外交努力も必要である、そして為替を正常な形に持っていきたい、そういう水準といいますか、水準については発言をしないことにしておりますが、日本経済について悪影響を及ぼすようなことはなくしていきたいと考えております。

谷畑委員 池田副大臣におかれましても、今後ともそういう国際会議があり、日本国内においても、日本のデフレ、それから円高の問題、これがいかに解決のため大事かということを各国に力強く説得をしていただきたいと思いますし、今後ともさらなる努力を期待するものでございます。

 次に、この間、景気対策ということで、とりわけ経済産業省におきましては、エコカーの補助金だとか家電のエコポイント、これは非常に大きな成果を上げてきたと思うんですね。内需をずっと拡大しましたし、結構これは、家電製品がよく売れたり、自動車もよく売れたということなんだけれども。

 しかし、これから、政府の月例経済報告でも、景気が踊り場に入った、非常に難しい局面にあると。こういう時期に、エコカーの補助金だとか、あるいは家電エコポイントを含めて、中止したり、少し延長するのか、特に家電についてはどうするのか、さまざまなそういう問題があろうかと思うので、この点について経済産業省の方でどういうような認識を持っておられるか、ちょっとお聞きをしたいと思います。

松下副大臣 御指摘のとおり、エコカー補助金とか家電のエコポイントは需要刺激策として一定の大きな効果があった、こう認識しています。しかしながら、景気対策として緊急的に実施されたものでありまして、需要の先食いを伴っていく、無期限に続けられるべきではない。そういうことで、適切な出口戦略を講じつつ、終了することとしたわけでございます。

 具体的には、エコカー補助金については、終了後、販売促進活動等の民間の努力や、来年度まで継続するエコカー減税による下支えを期待。ですから、エコカー減税は実施していくということでつないでいきたいというふうに思っております。

 家電エコポイントは来年三月末に終了いたしますけれども、ポイントの過大なお得感といいますか、そのようなものは是正の問題がありまして、二段階の絞り込みによりまして、制度終了後の反動減を最小限に抑えて、ソフトランディングを図っております。ポイントの半減、それから省エネのランクについて、五つ星にしていくということで、継続はしていきますけれども、中身はいろいろしっかりと集中と選択でやっていくということでございます。

谷畑委員 いずれにしても、こういうエコカーの補助金あるいはエコ家電というのは慎重にしていただいて、今までの経済効果が大きかったものですから、あるいはさらにまた目先を変えた、もう少し景気を、どう需要を喚起できるか、そういう新たな問題もまた検討して次々と途切れなく手を打っていかないと、これから年末で中小企業は緊急融資の問題だとかさまざまな問題が出てきます。

 それから、我々も企業を回っていたら、あれ、この間あったのにと、私が回っただけでも、もう二件ほど廃業というのか倒産というのか、そういうような状況の企業もございました。だから、今後とも、さらに経済産業省として留意をしながら、ひとついい方向で、前向きな形で取り組んでいただきたいな、こういうように思います。

 次に、これも財務省の関係、あるいは経済産業大臣にもかかわる問題でありますけれども、この間韓国でG20の会議が行われました。私は思うんですが、リーマン・ショック後のG20会議の場合のテーマは、世界を同時不況にさせない、こういうことで財政出動をそれぞれの国が責任を持ってやって景気対策をしろ、それがこの間のG20の会合でしたよね。それで日本も景気対策を次々と打って、その結果、エコ家電だとかエコカーだとか、さまざまな取り組みをされてきたんですね。

 ところが、ギリシャ危機というのがヨーロッパに起こって、みんな財政再建だと、特にヨーロッパなどはそういう動きに大きく転換してきましたよね。特にイギリスなどはキャメロン首相の新たなる連立政権ができて、これはもう大変な、十年間で大規模な歳出カットをするんだ、それから消費税を上げるんだ、この二つをやるんだということで連立政権ができた。そのために解散をしないということを約束した。そういうことなんですね。もちろん差はあるけれども、フランスもそうだし、ヨーロッパはそういうように財政再建のところに大きく方向転換がされてきたということなんです。

 それでどういうことになってきたかといったら、アメリカにおいても、ドル安ということを、公には公言していないけれども、基本的にはドル安で輸出をして雇用を拡大したい。ヨーロッパもそうです。みんなそれぞれが、自分の通貨を安くして輸出をしたい、そういうことになっているわけですね。そういう中で、余った資金は発展途上国へ行き、そこの通貨を引き上げてしまうことにもなったり、世界自身が、通貨自身も非常に難しい状況になっている。

 そういうことで、リーマン・ショック後のG20の会議から、この間の韓国のG20の会議は大きく模様変わりをしている。そういう中で、ソウルで開かれたG20会議の基本的なテーマというのか、何が課題になったか。私も少し触れましたけれども、その点について、だれでも結構ですので、ひとつ発言をしていただけたらありがたいと思います。

池田副大臣 大変グローバルな話で、G20は現下の状況の中でどのようなことになるかという趣旨だと思うのでございますが、何といっても、その前に既に開かれた蔵相会議がございまして、今、谷畑議員の御指摘のとおり、そこの通貨の問題、各国のバランスの問題、ヨーロッパから発した各国の財政危機の問題、そういうものを集約してどうすべきかというのがテーマであります。

 ただ、問題は、G20ですから、先進国と発展途上国及び今BRICsと言われるような国々の利害が違いますから、この前の合意のようなことになるかどうかは予測がなかなか難しいと思いますが、とにかく我々としては、通貨の問題についていえば、先ほどから谷畑さんも同じ考えだと思いますが、これは相互に通貨の切り下げ競争にならないようにやっていかなければいけない。

 ただ、日本の立場は非常に微妙でございまして、アメリカは人民元の問題でいろいろ言っておりますが、我々は、やはり今の状況は日本にとっては好ましくないと思っていますから、そういう非常にナローパスな、狭い道でありますが、我々は今の状況について、過度な変動だと為替介入までしたわけですから、そこについて各国の理解を求める、それが日本の政府にとって一番大きな問題であると思います。

谷畑委員 時間がだんだん迫ってきました。せっかく篠原農林副大臣も来られています。ちょっとAPECの問題、これは私は大事だと思うんですよ。APECというのは、ちょっと見ても、APECに入っている国々のGDPは世界の中で五二%、人口が四〇%、貿易額が四四%と、APECというのはいかに大事か。その中で、日本自身が世界におくれをとるんじゃなくて、先ほど議論がありましたように、TPP、これは非常に日本の国にとってみても大事だと思うんですね。

 ところが、農業においては、副大臣、いろいろと意見があろうかと思いますので、まず一言。時間が余りありません、せっかく来られているんだから。

篠原副大臣 やはり自由貿易も大事ですけれども、農業も大事じゃないでしょうか。

 菅総理もいろいろなところで述べておられると思いますけれども、両立を図っていくのが一番いい道だと思っております。

谷畑委員 農林副大臣、所用があるらしいので、席を立ってもらっても結構です。

 もう時間が来ましたので結論を言いたいんですけれども、私は、やはり自由貿易協定をどんどん推進して、そして経済の連携協定もどんどんやっていく、これは日本が生きる道だと思うんです。だから、いろいろな障害があっても、どうしてやっていくかということはお互いに知恵を出して、だからこそ政治力が必要なので、政治の力でこれをまとめ上げることが大事だ。

 ぜひ、経済産業大臣、もう一回決意を新たに、何としてもTPPに参加をして、日本は開放された貿易立国として生きるんだ、こういう発言をしていただいて、終わります。

大畠国務大臣 御指摘のように、日本の国が生き残るためには大変大事な課題であります。

 私も、先ほど梶山先生の顔も見えましたけれども、尊敬する梶山静六先生とさまざまな形で論議させていただきました。経済産業大臣として、経済の成長をどう日本の国としてこれからも持続し加速するかということは常に考えていることであります。

 そういう中で、FTAもEPAも大事でありますし、その一環としてTPPも、そして最終的には二〇二〇年のFTAAPという形で、まさに谷畑議員がおっしゃるように、日本の国内で活躍する企業が大いに世界展開できるような環境をつくる等、一生懸命頑張っていきたいと思います。

 以上です。

谷畑委員 質問を終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、近藤三津枝さん。

近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝です。

 大畠経済産業大臣、海江田内閣府特命担当大臣、大臣御就任おめでとうございます。国内外ともに大変厳しい経済状況にあります。日本の産業、地域の経済、雇用の今後を左右する経済産業行政のかじ取り、そして公正な競争下での自由な経済活動のためにしっかりと対応していただきたいと思います。

 さて、私、議員になりましてから、一貫して経済産業委員会の委員を務めております。きょうは、さきの両大臣の就任あいさつに対して質問をさせていただきます。

 本年三月十日の経済産業委員会では、この同じ委員会室で、前大臣の直嶋経済産業大臣のあいさつが行われました。そのときの地球温暖化対策について、直嶋前大臣の発言をそのまま読ませていただきます。「温室効果ガスを一九九〇年比で二〇二〇年までに二五%削減するという我が国の目標は、米国、中国、インドなど、すべての主要国の参加による公平で実効性のある国際枠組みの構築と意欲的な目標の合意が前提であり、今後とも政府一丸となって、その実現に向けた交渉に尽力してまいります。」

 この直嶋前大臣の発言を、大畠大臣も踏襲されることをまず確認させていただきます。

大畠国務大臣 近藤委員からの御質問でございます。常日ごろ、環境問題にも経済問題にも大変尽力されていることをお伺いしているところであります。

 特に、環境問題というのは産業界にとっても大事な問題でありますし、私もただいま御披瀝ありました直嶋前大臣と同じ意思を持ってこの問題に取り組んでまいりたいと思います。

近藤(三)委員 今の御発言によりますと、今後の国際交渉に当たっては、次のことをしっかりと肝に銘じて対応していただくということかと思います。つまり、踏襲するというお答えでしたね。

大畠国務大臣 御指摘のように、菅総理も発言をされておりますが、単なる京都議定書の延長線上ではなく、アメリカやインドや中国が加わった形での新しい枠組みで地球温暖化防止を進めてまいりたいという決意であります。

近藤(三)委員 先般の大畠大臣のあいさつで、今インドというふうにおっしゃいましたけれども、インドという国名が入っていなかったものですから、改めてこちらで再確認をさせていただきました。

 また、すべての主要国の意欲的な目標の合意が必要であるというふうに前大臣はおっしゃいましたが、この点についても踏襲されると理解してよろしいのでしょうか。

大畠国務大臣 そのとおりでございます。

近藤(三)委員 COP16、大変厳しい国際交渉ですので、ぜひ毅然とした態度で今おっしゃった条件をきっちりと守っていただきたいと思います。

 次に、このCOP16は十一月末からメキシコ・カンクンで始まるわけですけれども、非常に厳しい中、EUのバローゾ欧州委員長が、法的拘束力のある国際合意がCOP16でまとまる条件は整っていないとする書簡をEU各国に送っています。さらに、EUは、今月十四日に先進国にのみ温室効果ガス排出量の削減義務を課している今の京都議定書の延長をCOP16の場で容認するとの方針を示したと報じられています。

 アメリカ、中国、そして今言及していただきましたインドの主要国が排出削減義務を負っていない京都議定書の延長は、世界の背中を押して今までの主要国の参加を求めていくとしたこれまでの政府の国際交渉の姿勢からは大きくかけ離れていると思います。COP16でEUがたとえ京都議定書延長を容認するといった提案をしたとしても、日本はそれにくみしない、端的に言いますと反対するという立場をとると理解してよろしいんでしょうか。

大畠国務大臣 このことについては、たしか私の記憶によりますと、予算委員会でも菅総理が明確に述べられておりますが、京都議定書の単純延長には日本国として反対です。

 委員御指摘のように、京都議定書に加盟している国々のCO2の排出量というのは、たしか私の記憶によりますと三割以下でありまして、中国、インド、アメリカ、これらが四割以上の排出量を占めているわけでありますから、そういう意味では、そこが加わらないと地球全体としてのCO2削減には寄与しない。そういう意味から、総理もそのような発言をされているものと私は理解しております。

近藤(三)委員 非常に明確な御答弁をいただきましてありがとうございます。

 日本としては、主要国が参加をしていない京都議定書の延長に反対するという姿勢をとることは当然と考えております。今の大臣の御答弁は非常に重く受けとめております。毅然とした、筋の通った御姿勢で会議に臨んでいただきたいと思います。

 さて、次に、さきの通常国会で廃案となりました政府提案の地球温暖化対策基本法案について質問させていただきます。

 十月十四日の参議院予算委員会で、松本環境大臣は、まさに今、中央環境審議会小委員会で議論しているところで、二五%削減の根拠については、これから、環境審議会の中で検討している状況である、年末までに積み上げていくと答弁されました。この答弁を聞きまして、余りにもツーレート、遅過ぎるというふうに考えております。

 また、先日の環境大臣あいさつでも、二五%の中期目標、八〇%の長期目標の達成に向け、「ロードマップについては、国民各界各層の御意見を伺いつつ精査を行う」と発言をされておられます。裏を返しますと、このロードマップはまだ固まっていない、精査中なんだ、その内容の変更があり得ると発言されていることになります。こんな状態で地球温暖化対策基本法案を国会で議論すること自体が、時期尚早だと私は考えております。

 今国会で、国民負担などの根拠もない、実効性の有無もはっきりしない、ロードマップも示されていない、この三つの前提条件もあやふやである、このようなはっきりとした定義がない中で政府から一向に何も示されていない中、電力、自動車、鉄鋼、化学、セメントなどの産業界は、二五%という政府が掲げる中期削減目標については、国民への十分な判断材料の提供も、開かれた国民的議論もないとして、政府の拙速な対応に強く反対する、このような見解を表明しています。また、経団連会長は、記者会見におきまして、二五%目標が盛り込まれた政府の温暖化対策基本法案について、菅総理が進める新成長戦略と正反対の方向を向いている、日本はアンチビジネスの国であるというメッセージを政府が世界に発信しているようなものだと非常に厳しく批判されたというふうに報じられています。産業界もこのように非常に厳しく反発しています。

 民主党政権は、二五%削減による経済や雇用、そして日々の暮らしへの影響について、科学的、客観的な分析をしっかりと行い、これを国民にわかりやすく説明するという責任も全く果たしていないと考えております。このまま二五%削減に向けて日本丸が突き進んでいくということは、我が国の産業、地域経済、そして雇用が大変大きな打撃を受けるということは必至です。

 このような状況下で、地球温暖化対策基本法案そのものを抜本的に見直すべきと私は考えますが、経済産業大臣の見解はいかがでしょうか。お聞かせください。

大畠国務大臣 ただいま御指摘をいただいた状況については、私も理解をしております。近藤委員がおっしゃるように、二五%削減目標というのは現実的にどうなんだろうかという御指摘をいただいていることも事実であります。

 しかし、前総理が発言されたことは、アメリカや中国やインドもこの地球温暖化防止の枠組みにぜひ入るべきだという意味でおっしゃったわけでありまして、ただ、現実的に日本の国内の状況を考えれば、よく例え話で言われておりますが、乾いたぞうきんをさらに絞るのかという御指摘をいただいております。

 現在、私自身もそのような状況にあることは承知をしておりまして、しかし、片っ方では、絞らないといいますか、ずぶぬれの状態の国々があるわけでありまして、日本の環境技術というものを適用してそれをぎゅっと絞った形でCO2削減をさせる。そして、その削減した量の二分の一は日本の削減量として加算する。そして、もう一つの二分の一の方はその国の使用する削減量にする。こういういわゆる二国間クレジット方式というものを日本国として提案をして、今、十三カ国とかなり論議をして、おおよその理解を得るような形にしております。

 そういう形で、日本国としてはCO2二五%削減というものを結果的に達成するように努力をしているところでありまして、産業界の方々が、現状において二五%を目標とすることは、これはアンチビジネスになるんじゃないかと御懸念をされていることは承知しておりますが、そういう考えで産業界の方々の御理解をいただきながら目標を達成するように努めていきたいと思います。

近藤(三)委員 私は、地球温暖化対策に対して、促進することはどうなのかと申しているのではないわけなんです。異論を唱えているのではなくて、問題なのはその取り組みの仕方だというふうに申し上げているわけで、世界に突出したこの二五%削減を我が国の中期目標に据えるということが問題であるということです。

 もし無理やりそのようなことをしますと、日本でエネルギーを使うことができなくなる企業が出てくるわけで、その企業たちは生産拠点を海外に移すしかないわけです。地域の雇用は、がたがたになるのは火を見るよりも明らかです。

 国民負担も、民主党政権になってからは見直しをされましたけれども、試算をした機関によってもまちまちなんですが、例えばこのような数字が出てきています、もし二五%削減をしたならば、一世帯当たり十六万円から七十七万円の新たな国民負担がのしかかるという結果です。非常に幅は大きいですけれども。

 一方、二十一年五月に、内閣官房が世論調査を行っています。地球温暖化対策のために一カ月にどの程度なら家計負担がふえても構わないかという調査なんですけれども、その答えは、一カ月当たり千円未満。一年間にしますと一万二千円以内なら何とかできるというのが国民の声なんです。

 先ほど述べました政府試算、年間十六万から七十七万。これは、国民負担が増加するとこのような数字になるという政府試算ですね。これが非常に十六万から七十七万円と高いものなんですが、国民の意識は、今申し上げたように、一万二千円の負担が限界だということ。この政府の試算と国民意識の大きな開きを大臣はどのようにとらえられるのかということなんですね。

 エネルギーは国民がひとしく使用するものです。十六万から七十七万円の国民負担というのは、所得の低い世帯ほど非常に重くのしかかると思います。空に放たれるハトのように、先ほどおっしゃいました鳩山前総理の呪縛から解放されて、このような自虐的な行為を断ち切ることこそ、日本経済、国民の雇用を守り、育てる大畠経済産業大臣の役割ではないでしょうか。

 二五%削減を盛り込んだ地球温暖化対策基本法案を抜本的に見直していただくことをお願い申し上げて、ちょっと時間の都合から、通告をしていました質問を後回しにさせていただきました。

大畠国務大臣 ただいまの御質問でございますが、鳩山前総理の発言は、まさに、アメリカ、中国、インドを、この新たな枠組みに加入してもらう、加入させるということを意図して発言したものと思いますし、国民の感覚としては月千円、年間一万二千円ぐらいがぎりぎりのところだ、こういうただいまの御指摘は、私もよく理解するところであります。

 先ほど申しましたように、単に二五%を全部国内だけでやるということではない形で、全体的にそういう形になるように努力をしてまいりたいと思うところであります。

近藤(三)委員 先ほど大臣がおっしゃったクレジットという形も、企業の国際競争力を、研究開発費に回す分がクレジットに回っていくわけですから、そぐことにもなりかねないということです。ぜひよくお考えいただいて、この二五%の数字の重みを抜本的な改革につなげていただく、これが日本国の経済産業大臣の大きなお役目ではないかと考えております。

 次に、今、立て続けに問題となっています情報分野の案件について質問をさせていただきます。

 インターネット検索最大手の米国グーグル社が提供していますグーグルマップというサービスがあります。その地図の地名に、尖閣諸島と魚釣島にそれぞれ中国名が併記されていることが問題となっています。

 この問題に対し、自由民主党は、十月十三日に、日本法人グーグル株式会社に対して次のような内容の申し入れをしております。「グーグル社が提供をするグーグルマップにおいて、我が国領土である尖閣諸島及び同諸島内の魚釣島に関し、中国側の呼称を併記し、あたかも中国との領有権問題が存在する領域であるかのごとき表記のされ方となっている。これは明確に誤りであり、表記を早急に訂正するよう強く申し入れる。」つまり、中国との領有権問題が存在するかのごとき表記になっていることに対して、中国側の表記の削除をグーグル社に求めたわけです。このことについて、外務省も、翌十四日にグーグルに対しまして削除を求めています。

 このような中、グーグルに関して新たな問題が生じています。道路沿いの風景をネットで提供する米グーグルのストリートビューというサービスがあります。このストリートビューの画像は、車にカメラをつけて沿道を撮影するわけです。この撮影車が、走行中に無線LAN経由で沿道周辺の個人の電子メールの内容、パスワードや閲覧したウエブサイトのアドレスなどプライバシーに関するデータを収集していたという問題です。

 この問題は五月に発覚しました。この問題発覚当初は、グーグル社は、ストリートビュー用の撮影車が誤って記録したんだけれども、記録したデータは断片的であり解読不能であるというふうに説明していました。しかし、十月二十二日になって、グーグルの上級副社長が、データは完全な形の電子メール、それからパスワードで記録されており、改めておわびすると謝罪しました。データを速やかに抹消するとともに法令遵守の徹底を図ると表明したというふうに報じられています。

 もちろん、この問題は、電波法、個人情報保護法の問題であります。総務省に適切な対応を求めていきます。しかし、情報処理を所管するのは経済産業省です。また、企業のコンプライアンス上の問題でもあるので、経済産業省も総務省と連携してしっかりと対応していただきたいと思います。

 本件につきましては、日本でも撮影車によって同様の記録が行われていたのか、誤って記録してしまったという説明は本当なのか、故意の情報収集ではなかったのか。そして、記録してしまったデータがあるとすれば、プライバシーにかかわる個人情報はどのように取り扱われたのかなど、きちんと調査をしていただきたいと思います。そして、その調査結果を公表して、適切な行政上の措置を講ずるべきだと考えますが、経済産業省ではこの問題にどのように対応するおつもりなのか、お聞かせください。

池田副大臣 私も、報道の自由とか放送の自由とか大変重大な関心を持って、ずっと政治活動の中でもそのことについて発言もしてまいりました。さきの国会での放送法の問題についても、私、いろいろ心配をいたしました。

 そういう中で、近藤議員が、近年進展が著しい情報サービス産業の問題点、情報管理とかプライバシーとか、そういうところに大きな関心を持っていらっしゃることに心から敬意を表したいと思います。そしてまた、グーグル社の尖閣列島の表記についてそのようなアクションをとられたことについても、我々は共感を持ち、評価をさせていただきたいと思います。

 今回、ストリートビューのサービス提供のために稼働させているグーグル社のデータ収集車が、一時期、無線LAN経由でやりとりされている電子メール等の情報を収集していた事実が明らかになったわけでございます。謝罪はしておりますが、二度にわたり発表して、最終的に、今、近藤委員のおっしゃるように、電子メール等が漏えいしていたということがはっきりしたわけでありまして、このIT社会、ネットの社会にとって大変大きな問題だと私は思っております。

 もちろん、おっしゃるように直接には総務省が所管をしておりますが、情報サービス産業の健全な発展を促進する観点から、関係省庁と連携をとりつつ、経済産業省といたしましても、必要に応じて事業者に、この場合はグーグル社ですが、適切な事業活動をするように促してまいりたいと考えております。

近藤(三)委員 副大臣、ありがとうございます。

 撮影車が周辺の無線LANで生の情報を収集していたという事件が発覚したばかりですので、今後の対応という面もあろうかと思いますけれども、電波の問題だけでなく、今副大臣が言っていただいたように、情報処理の問題があるんだということをぜひ経済産業省としても念頭に置いていただいて、経産省と総務省と連携してこの問題に取り組んでいただきたいと思いますし、また、その経緯をぜひ情報開示していただけたらありがたいと思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。

 さて、先日、公正取引委員会を担当する海江田内閣府特命担当大臣が、本委員会でごあいさつをされました。その中で、公正な競争のもとで自由に経済活動が行われることが社会の活力を生む、公正かつ自由な競争を確保するため、この重責を、全力で職務に当たる、このように決意を示されました。

 そこで、海江田大臣に伺わせていただきます。

 七月末に、先ほどから取り上げていますグーグルが、ヤフージャパンに対し検索技術、そして広告配信システムを提供するという発表がなされました。この件について、私は、九月八日の本委員会でも取り上げました。もし、グーグルとヤフージャパンの技術提携が実施されますと、事実上、国内の検索シェアの九割までがグーグルの検索エンジンや検索連動型広告配信システム上で行われることになるわけです。

 この問題に対し、公正取引委員会は、ヤフージャパンからの事前相談に対し、ヤフージャパンの説明内容が事実であれば問題がないと回答しました。しかし、私は、技術提携が実行されれば、この分野の九割のシェアを占め、日本でこの分野の競争性が失われる、そして、失われるだけではなく、広告料の決定、情報がグーグルのシステムに集中的に蓄積されてしまうことになるのではないか、さまざまな弊害が生じるのではないか、そのような可能性を前回指摘させていただきました。

 職責の重みを感じ、全力で職務に当たると述べられた海江田担当大臣です。このグーグルのヤフーに対する検索エンジン提供問題への対応について、決意のほどをお聞かせください。

海江田国務大臣 近藤委員にお答えします。

 その前に、先ほど祝意をちょうだいしました。ありがとうございます。

 今お尋ねの件でございますが、せんだって、楽天からヤフーとグーグルの検索エンジン等に関する業務提携について申告が出されました。本来ですと、申告があったかなかったかということも含めて、これは申告をする立場が弱い方もいらっしゃいますので、これは特に明らかにしないということでございますが、今回の場合は、楽天がみずからの公式のサイトにおいてそういうことを行ったということも公表しておりますので、私どももそれを承認します。

 その上で、公正取引委員会にそういった申告が行われたわけでございますから、この後は独占禁止法の規定に基づいて適切に処理をしていかなければいけない、そうされるものだと思っております。

近藤(三)委員 大臣から、本件に対しては適切に処理をしていく、対応していくという御答弁をいただきました。

 それでは、具体的に、公正取引委員会の取り組みについて公正取引委員長に質問をさせていただきたいと思います。

 今、海江田担当大臣がおっしゃったように、先般、楽天が公正取引委員会に対して、グーグルとヤフーの提携が実行されればグーグルの支配力が強まり、独禁法に違反すると調査要求をしました。

 竹島委員長は、九月八日に、私の質問に対して多方面から意見を謙虚に受けとめると答弁をされました。今申したように、その後、各方面から調査要求が出されているのではないでしょうか。

 そのような動向に対し、公正取引委員会として現在どのように対応されているのか。具体的には、現在の公正取引委員会の取り組みは、審査手続の第一段階、端緒、事の始まりの段階なのか、それとも第二段階、行政調査、本格的な調査の段階に入っている、このように理解してよいのか、明快な答弁を求めます。

 また、先般、この委員会で竹島委員長はヤフージャパンの事前説明の内容が正しければ問題はないと早々と見解を出されていましたが、果たして現時点で疑わしい点などを察知されているのかどうか、見解をお示しください。

 それと、楽天以外にも、本件につきましてどのような調査要求が出されているのか、お答えいただきたい。

 以上整理しますと、第一に、現時点で審査手続の行政調査の段階に入っているのかということ。二つ目、ヤフージャパンの事前相談のときの説明にそごが発生していないかということ。そして、三つ目、どのようなところから調査要求が出されているのか。以上三点について竹島公正取引委員長に質問いたします。

竹島政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 まず調査段階のどの段階かというお尋ねでございました。

 二社から申告が来ております。これは、先ほど海江田大臣が答弁されたように、本来はそういうことは公取側からはオープンにしないわけですが、事実上、相手方がオープンにしておられますので申し上げましたけれども、楽天とアメリカのマイクロソフト社から申告が来ております。

 申告が来ますと、独禁法に基づきまして私どもは必要な調査をしなければならない、それをした上で回答するということになっております。本件もそのようになります。

 私どもは、その申告に基づいて、申告の中で述べられている、いろいろな指摘なり考え方なり、独禁法の適用の仕方なりについての御意見を今まさに調査しておるわけでございまして、いわゆる談合とかカルテルのように立入調査をして行政調査をするというのとはちょっとその調査の意味合いが違いますけれども、申告を受けて必要な調査をしております。それに対してはいずれ回答いたします。回答の時期はまだ明確には申し上げられませんけれども、やはり急がなければならないと思っておりますので、できるだけ早く、できれば来月にでもという見当で私ども作業しております。

 その結果についてどうするかは、これは相手様もありますので、普通であれば、申告者に対して、あなたの申告についてはこういう回答ですということをお示しするのみでございまして、第三者に対して発表することはございませんけれども、これだけの議論になっていますので、それはいろいろな方面からの御要望なり御意見なりを踏まえて、情報公開の時代ですから、できるだけわかりやすくしていきたいというふうに思っています。

 それから、二点目、ヤフーが事前相談で言ってきたこととその後そごが生じているかどうかというお尋ねでございましたが、ヤフーは、一言で申しますと、検索エンジンはグーグルのものを使う、検索連動型広告の配信システムも使う、しかしながら、どういう広告主と取引をしているかとか、その広告主とどういう料金でやっているかとか、広告主を含めてそういった情報は遮断する、グーグルと共有はしない、こういうことを言っている。したがって、検索エンジンはグーグルのものを使う、マイクロソフトのものではなくてグーグルのものを使う、世の中にこの二つしかないわけでございまして、グーグルがいいという判断をヤフージャパンはしたわけでございます。

 それで、確かにおっしゃるとおり九割になりますが、それを使ったマーケットにおいては、引き続きグーグルとヤフージャパンは過去と同じように競争相手としてやっていきます、そのために情報遮断もします、こういうことを言っているわけでございまして、そうであれば、直ちに独禁法上の問題はないという回答を事前相談の段階で公取はしたということでございます。

 その後のいろいろな情報からして、その言っていることが本当にそうなのかどうか、そういうことが守れるのかどうかという問題意識で今調査をしておりますということでございます。

 三点目は、どこからその調査要求があったかということですが、最初に申し上げたように、申告は二社からございました。

 以上でございます。

近藤(三)委員 今の御答弁ですと、そごは今のところはないというふうにお考えということなんですね。

 私も、九月八日の質問以降、この問題がどのように波及しているのか調査をしています。その中で、ある関係者から、既にネット広告料が値上がりし出しているという情報を得ています。グーグルは検索システムと検索連動型広告配信システムのシェアを九割まで握るという、強力な支配力が目前に迫っているということがこの値上がりの原因の一つにあるのではないかという見方もあります。既に、技術提携の影響を見込んで、現実のマーケットが混乱の端緒を見せ始めているのではないかと思います。

 公正取引委員会の重要な責務の一つは、問題が生じる前に適切な対応をすることです。転ばぬ先のつえ、この役割ではないのでしょうか。問題が生じる可能性があるのに対処しない、すなわち、不作為は許されません。

 公正取引委員会は、今後、この問題に対し、検索システムの九割のシェアを独占してしまう前に排除措置命令などの事前通知、事前手続を行うことを視野に置いて対応しているのか、竹島公正取引委員長の見解をお聞かせください。

竹島政府特別補佐人 現在のところ、その前提条件、ヤフーがこういうことで競争は保てますと言ってきた前提条件について、そごがあるという事実はきょう現在私はまだ確認しておりません。そのことも含めて全部明らかになると思います。

 それから、今委員がおっしゃるように、確かに転ばぬ先のつえというか、問題が起きないように公正取引委員会もいろいろ法の適用とか仕事をすべきであるなど、基本的にごもっともなんですが、本件の場合は非常に難しいというか、問題なのは、ヤフージャパンが、サービスの内容をどうする、その料金をどうするかじゃなくて、どの検索エンジンを使うかということについて、自分はカスタマーのことを考えても日本語で検索するということを考えてもグーグルの検索エンジンの方がいいんだという選択をしたわけです。その選択について、それはだめだ、九割になるからだめだ、マイクロソフトと契約しなさいということを公正取引委員会が言う立場にはありません。これはほかの役所であってもそうだと思うのです、取引先選択の自由がございますので。

 問題は、その結果として、皆様方が心配しているように、やっぱりこうなったじゃないか、例えば広告料金が非常に高くなったとか、一定の競争業者が不利な扱いを受けたとかいうようなことが起きた場合は、当然独禁法上の問題になりますけれども、ただただ検索エンジンの日本におけるシェアが九割になったということで、それに関係するサービスが全部それに席巻されるがごとき前提で私どもは物を言うわけにはいかない。だから、そこはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 したがって、事前に排除措置命令を出すということを念頭に置いて今調査をしているわけではございません。

近藤(三)委員 これがだめだから次のお見合い先を紹介してください、そういうことを言っているのではないんです。ただ、インターネットの利用には検索エンジンが必要不可欠です。もう社会のインフラの一つの公器になっているというふうに言えます。

 一方で、検索エンジンと連動したインターネット広告の価格決定のメカニズムが今でも不透明であるという指摘もあります。海外ではこの問題で多くの訴訟が起きているというふうにも聞いております。

 今後、我が国で検索システムや検索に連動した広告配信システムがグーグルによって独占状態になるようなことになりますと、インターネットの広告料金、価格のつり上げが懸念されます。このことは、結局、消費者の製品価格、サービス価格に上乗せされる問題にもつながるわけです。今、公正取引委員会がきちんとした対応をしないと、後からツーレート、遅過ぎるんだ、あのとき対応が余りにも遅過ぎた、このようなことにもなりかねません。しっかりとした対応を重ねて求めさせていただきます。

 さて、ネット検索が一つのシステムの独占状態になりますと、この分野への新規参入ができなくなり、海江田担当大臣の決意にもありましたように、自由な競争の中で生まれる技術革新も望めなくなります。さらに、ネット広告料金も売り手市場になります、つり上がる可能性もあります、最終的には、消費者、国民の不利益となります。ネットビジネスが急成長する中で、今回の問題が出てきたのではないでしょうか。

 本日の議論を通じ、海江田大臣のこの問題への対応の決意を改めてお聞かせください。

 また、海江田大臣は、先般のごあいさつの中で、公正取引委員会が行う審判制度を廃止するなど、いわゆる独禁法の改正のための審議を速やかに進めてほしいとの見解を示されていますが、本法律の速やかな成立の必要性について見解をお聞かせください。

海江田国務大臣 先ほどの第一番目の問題でございますが、先ほどもお答えをしましたけれども、今後は公正取引委員会において独占禁止法の規定に基づき適切にこれを処理されるよう私も期待をするところであります、先生の発言の御趣旨も踏まえまして。

 二つ目の独禁法の改正の問題でございますが、これも委員つとに御案内のとおり、今回出しました法律案は、昨年の春の当委員会の附帯決議を踏まえまして、独占禁止法の手続面に係る公平性に関する批判を解消する観点が第一でございます。その結果、公正取引委員会が行う審判制度を廃止するということが一点。それから、公正取引委員会が排除措置命令を行おうとする際の意見聴取のための手続の整備などの改正を行うものであります。

 先ほど所信表明のところでもお話をしましたけれども、本法案は、公平公正な市場の環境整備を着実に進めるために必要不可欠な大変重要な法案でございますので、ぜひ、早期の成立を目指しておりますので、委員各位のお力添えを賜りたいと思います。

近藤(三)委員 海江田担当大臣、ぜひ公平公正な市場形成のために御尽力いただきますことを私からもお願い申し上げます。

 本日は、両大臣に、地球温暖化問題、そしてインターネット社会のひずみについて質問をさせていただきました。どちらも、大変変化の大きい、スピード感が求められ、また問題の幅も拡張していくというような性格を持った分野ではないかと思います。次の世代によりよい環境を残しつつ、我が国は持続的な成長を遂げていかなければなりません。そして、インターネット社会という新たなインフラを手に入れた我々は、その光と影を考え、政治の立場で、そして行政の立場で健全なインフラとして成長させなければならないと思います。

 本日取り上げた問題は、現在の法制度でカバーできる問題であるかどうかといった点も考えていかなければなりません。今後とも、野党の立場として提案力を持って対応してまいりますので、経済産業省、そして公正取引委員会の皆様、よろしくお願い申し上げます。

 以上で質問を終えます。ありがとうございました。

田中委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 橘でございます。

 実は、田中委員長さんと一緒に、内閣委員会から経済産業委員会の方へこの秋から移ってまいりました。またよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 委員長はよく御存じでありますが、質問に入る前に、私のふるさとが万葉集の故地でありますので、万葉集の歌を歌いながら始める、こういうことで、委員長さんの御了解も今までいただいてきたと思っておりますので、きょうもそうさせていただきたいと思います。

 巻十七、三千九百四十三番、これは大伴家持卿が、私のふるさと富山県へ着任されて、最初のうたげで歌った歌でございます。秋の田の穂向き見がてり我が背子が、ふさ手折りけるオミナエシかも。

  秋の田の穂向き見がてり吾背子がふさ手折りける女郎花かも

 農商工連携でありますし、経済産業省もまた、文化、クール・ジャパン戦略ということでありますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。(拍手)

 何とか拍手も内閣委員会同様いただきましたので、安心をしながら進めさせていただきたいと思います。

 きょうは、前のお三方の質問とかぶらないように、今週末、多分提案されるんでしょうか、補正予算、当面の景気対策ということ、そしてまた、まだ報道等出ておりますレアアース問題ということもございます。あわせて、私は前は自治体の首長をしておったということもありまして、仲間内から声の大きい水力発電施設に対する交付金の問題、こういったところを順次、時間の許す限り質問させていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 まず、当面の景気対策、補正予算ということでありまして、七月の参議院選が終わってから国会が始まる十月一日まで、いろいろなことがございました。前通常国会、私どもにすれば、残念な形で終了、終幕したのではないか、その中で、積み残し法案も多かった、いろいろな課題があった。そういう意味では、この三カ月、いろいろなことがあったにしても、なかなかもったいない三カ月ではなかったかなという気もいたします。

 たまたまこの間に円高が急激に進展をしたわけであります。きょう、どうであるかと思って朝出がけに見てまいりましたら、八十一円四十銭と、ちょっと戻しておったようですけれども、それにしても、相変わらず七十円台というのをねらうような、うかがうような嫌な動きが続いております。

 そしてまた、これを防ぐための三段構えの経済対策ということで、第一弾、九月十日、第二弾、この補正予算ということでありますけれども、市場に対していろいろな形でメッセージを送られているわけですけれども、どうも、この三カ月ということを振り返ってみますと、ちょっと後手に回ったかなという印象もぬぐえないところであります。

 現状の日本の景気ということに対する御認識、さらに今後の取り組み姿勢について、まずお伺いいたします。

大畠国務大臣 内閣委員会に引き続いて冒頭に歌を歌われたという話を先ほどお伺いしましたが、やはり日本という国の中で私たちは生まれ育って、そして日本の歴史というもの、あるいは先人たちがどんな思いで暮らしてきたのか、そういうことを踏まえながら議員活動をされているということに対して、まず敬意を表したいと思います。

 その上で、ただいまの円高問題でございますが、委員の御認識、私も共有しているところでありまして、円高というのが日本の国内に大変大きな影響を与えていることは委員も御指摘いただいたとおりであります。

 私もかつてメーカーで仕事をしておりまして、一ドル三百六十円という体制が変更されて、一ドル三百円あるいは二百八十円、二百四十円、もう日本の輸出産業というのは成り立たないんじゃないか、そんな思いをしたことも経験しております。私たちは毎日同じ形で製品をつくっているのに、その価値というのがなぜ為替レートの変動で変わってしまうんだ、そんなやるせない思いで為替の変動というものを見ていたこともございました。しかし、世界の一つの仕組みとしてそのようなことがある、それも受け入れざるを得ないという思いもありまして、何とか円高に対応する形で国内のものづくりの原価低減にも努めてまいりました。

 今日、その当時は全く想像もしないような八十円台、あるいは先ほど委員から御指摘ありましたけれども、私もけさ見てまいりましたが、八十一円四十銭台で推移しております。日本国内で物をつくり、そして輸出をしている、働いている方もあるいは社長さん方も、本当に大変な思いで為替の水準というものを見ていることはそのとおりだろうと思います。

 経済産業省としても、この円高対策というものにどう対応するのか。ここのところが、現在の状況の中では一番と言ってもいいくらい、経済産業省としても念頭に置いて、全力でやれることを全部やろう、こういうことを私も経済産業大臣として関係の方々にも申し上げているところであります。

橘(慶)委員 実際、ものづくりの現場にいらっしゃった経験も踏まえて御認識をいただいたということで、やはり円高にどうしてもここで政府として、国として歯どめもかけていかなきゃいけないでしょうし、また、そのためのいろいろな景気対策、補正予算は望まれるところだと思います。そして、この補正予算においては、当然、限られた財源の中でできる限りの対策を打たれるということであれば、そのお金が生きたお金になる、そして経済の中で循環をして、成長につながっていくような補正予算でなければならないという認識を持っております。

 そういった中で、今般の第一次対策の中では、御就任のときのごあいさつにもございましたが、一千百億円で低炭素型雇用創出産業立地支援の推進ということを経済産業省さんとして一つの大きな目玉に掲げられた、このように理解をしております。これは昨年の二次補正予算で二百九十七億一千万円というところからスタートしておるわけですが、お伺いしておりますと、これはなかなか、雇用あるいは日本企業の国内引きとめということにおいて成果を上げているように伺っております。

 まずは、一千百億円というものを計上されるに当たっての、これまでの、前段での成果をお示しいただきたいと思います。

谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました二十一年度の補正にかかわる事業でございますが、これにつきましては本年の三月末に交付決定をしたところでございまして、現在、補助を受ける工場の建設がまさに全国で進んでいるというところでございます。

 この事業の効果につきましては、補助金額の約五倍に当たる約一千四百億円の投資を誘発して、すべての工場が本格稼働する時点では、約二千八百人の直接的な雇用が創出され、また、そのすそ野産業も含めれば約一万七千五百人の雇用を創出するなどの大きな効果が見込まれているところでございます。

 以上、補正に関してとりあえずお答えいたします。

橘(慶)委員 私の質問は答弁者が結構多くなりますが、最初にそういう仕掛けをしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そこで、今回は一千百億円とかなり思い切った金額ということでありますが、最初に申し上げたように、せっかくやる以上はこれがしっかり使い切られるということが大変大事だと思います。その心づもり、見通しというものを確認させていただきたいと思います。

谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の九月の経済対策において計上された部分でございますが、これにつきましては、九月二十四日の予備費の閣議決定直後から事務手続を即座に開始いたしまして、九月の三十日から公募を開始しております。その後、全国二十五カ所以上において、本事業に関する公募説明会、こういったものを開催して、本事業の周知を図ってきているところでございます。

 今後のスケジュールでございますが、十一月十八日が公募の締め切りということになっております。この後、採択審査委員会を開催いたしまして、十二月末までに採択案件を決定し、その後、速やかに事業着手に移行する予定でございます。

 委員御指摘のように、この一千百億、有効に使ってまいりたいと考えております。

橘(慶)委員 かなり応募もあるということですから、使い切らなかったということにならないようにぜひ頑張っていただきたいというふうに思うわけであります。

 続いて、いろいろな施策の中で、家電エコポイント制度、先ほどちょっと御質問もありました。三月に向けてサンセットで段階的にやめていくということでは伺っております。これは昨日総務委員会でも他党から質問があったことでありますが、今我が国として大変大事な一つの解決すべき課題は、来年七月の地上波のアナログ波停波ということに対して、デジタル化にスムーズに移行していくということであります。そのためには、この家電エコポイント制度というのは、経済産業省さん主導の施策ではありますけれども、総務省さんと連携をとられるならば、やはりこれについて、この七月の完全移行に向けて最後まで手当てをされるというのが一つの考え方ではないかとも思うわけですが、御見解をお伺いいたします。

石黒政府参考人 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、総務省とは連携をいたしまして、エコポイントの実施に当たりまして、環境省と合わせて三省で連携をさせていただいております。

 特に、御質問の地デジ対応ということで、テレビにつきましては、ポイントを冷蔵庫、エアコンの倍でかさ上げをするといった対応をさせていただきました。この関係で、本年三月時点の調査で、世帯普及目標、もともと総務省さんの目標は八一・六%でございましたが、これを上回る八三・八%ということで目標を達成しております。

 さらに、委員御指摘のとおり、来年七月の完全移行を円滑に実施するために、私どもとしましては、直前の対応ではなくて、可能な限り前倒しで対応していただくことが重要だというふうに思っておりまして、総務省さんの目標におきましても、二〇一一年四月で五千万世帯、一〇〇%という目標を置いております。といいますのは、御案内のとおり、アンテナ工事はテレビの設置の後、二、三週間後に行われるという場合もございますし、それからまた、集合住宅の場合ですとか、あるいは集合住宅があるがゆえに電波障害があるような場合には、別のところからケーブルを持ってくるといったようなことがございます。

 そういう意味で、前倒しでこういった対応をすることがむしろアナログ停波に備える一番の対策だと思っておりまして、今回、総務省さんとも相談をさせていただきまして、エコポイントの終了を前倒しで三月末に設定をさせていただいたところでございます。

橘(慶)委員 今、まずは早目に御購入をということでの設定ということは理解しながらも、これは来年の春の段階でよく状況を見詰め直していただいて、また考えていただければ、このように申し添えておきたいと思います。

 続きまして、LED電球の活用であります。

 これも、大変省エネルギーでもあり、そしてまたこれから白熱球もなくなっていくということであれば、ある意味で大変有効なものづくり分野であろうと思います。ここは、街灯など公共投資分野でもこういったものは効果的であるということで、経済産業省さんとしてのお取り組み。また、考えてみれば、これから国交省さんとかいろいろなところでさらに推進をされるという部分があってもいいと思いますけれども、まずは他省庁との連携も含めてお答えをいただきたいと思います。

石黒政府参考人 委員御指摘のとおり、LED電灯は消費電力が大変低うございます。街路灯の場合ですと、蛍光灯は二十ワットなのに対しまして、LEDにいたしますと八・五ワットということで、大変省エネ性能が高いということがございます。

 そういう意味では、省エネ性能の高いLEDの街路灯のメリットを生かせるような電気料金の体系にしていただこうということで、現在、私ども、関係の部局と調整中でございます。電力会社とあわせて調整中でございます。

 それから、車道につきましては、実は今、ナトリウムランプというのが使われております。ナトリウムランプの方が、今現在はLEDよりも発光効率が非常に高いということで、そちらの方が用いられております。今後、LEDの技術の向上がどんどん進みましたら、そのナトリウムランプをまたLEDにかえるというようなことで国交省さんとも調整をさせていただきたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 公共投資といいますと、どうしてもコンクリートというイメージがあるわけですけれども、しかし、今回の補正予算では公共投資もかなり考えておられるというのも漏れ承っております。

 そこで、経済産業省さんとすれば、やはり製造業を所管されるということであれば、例えば、学校を耐震化すれば電気設備や機械設備も更新をいたします。駅の施設をバリアフリー化すれば、エスカレーターもエレベーターも、また今はICカードのカード読み取り機といったものもつけなければいけません。それこそ、大臣の御出身のような業界のいろいろな製品も使っていく、あるいは太陽光発電の施設もそうでしょう。

 ですから、公共投資というと何か余りにもある特定の業界に偏っているようにも見えますが、また一面、製造業に波及していく、そういうバランスのとれた、そしてまた、子供たちの安全とか、移動に障害を持たれる方々のために助かる、より使い勝手のいい公共施設ということにもつながるわけであります。

 そのように考えた場合に、やはり経済産業省さんとしても、そういった製造業に波及をしていくような公共投資については大いに働きかけをされていく、あるいは提案をされていくということがあってもいいと思うんですが、これは大臣にお答えをお願いいたします。

大畠国務大臣 橘委員からの御質問でありますが、御経歴を見ると市長さんを二期されていたということで、私も地元の市長さんともいろいろとお話をすることがありますが、御指摘のように、公共投資というのは非常に大事だと私は思うんです。学校ですとか役場ですとか、あるいは橋ですとか道路ですとか、これは市民生活に欠かせないものであります。同時に、これらは、時を経ますと耐用年数が来てしまいます。これらに対しても、きちっと取りかえて常に安全なまちづくりをすることは、御存じのとおり大変大事なものである。

 そして、私どもの政権としても、これらに対しては適切に投資をして、市民の皆さんに安心してこれからも地域で生活していただく、その環境をつくることは重要であります。同時に、公共投資のような形でやれば、学校でも役場でもそうですが、さまざまな機械や設備を使います。そういうことに投資することによって、日本国内のものづくりにも、すそ野として大きく寄与している、それは私も委員と同じ、共通認識を持っているところであります。

橘(慶)委員 大変力強い御答弁をいただきました。何か第三の道ということも言われてはいる昨今でありますけれども、やはりそういった、いろいろな意味ですそ野が広いものがあるという認識を持っていただいて、ぜひ政権内でも御発言をいただきたい、このように思います。

 続きまして、補正予算あるいは景気対策という中では、雇用基盤づくりということで、中小企業の方々へのインターンシップ。これは、非常に有効求人倍率が厳しい状況である一方で、中小企業はなかなか人材を採れないというようなこともあって、こういうところに着目をされて、インターンシップという形で中小企業の方とマッチングをさせていこうという大変大事な試みであろうと思います。

 しかし、これはやはり、一人の人と一つの会社をつないでいくという意味では大変手間暇もかかる仕事だと思います。一万人程度というお話で今回打ち出されていると伺っておりますが、これを確実にやり遂げていくための体制というものは十分なのか、これを確認したいと思います。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 インターンシップの取り組みの実施体制でございますけれども、全国中小企業団体中央会に事業管理主体となっていただきまして、適切な事業実施が見込める地域の中小企業団体でございますとか民間の就職支援会社に委託をさせていただいて実施をいたしております。

 こういった中で、地域の中小企業団体が、地元の学校などと連携をとりまして、インターンシップに関心のおありになる中小企業の方々と新卒者のマッチングをきめ細かく行うといったような仕組みをとらせていただいております。

 さらに、厚労省あるいは文科省ともしっかりと連携をとって、委員の御指摘を踏まえましてしっかり実施をしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

橘(慶)委員 高原長官、どうもありがとうございました。ここでこうやってお会いできるのは大変うれしいわけで、富山県の商工労働部長をされていたときに、私はまだ会社に勤めておりましたけれども大変御指導いただきまして、まさかきょう御答弁いただけるとは思っていなかったんですが、本当にありがとうございます。

 そこで、今の御答弁を引かせていただきながら、やはり中小企業団体とかそういういろいろな地域の団体が、こういった経済対策を実際やっていくためには大変大事な役割を果たすということであります。そしてまた、地域の商工会議所、商工会といったところは、もちろん経営者の方々が議員さんということではありますけれども、そこにはスタッフもおりまして、経済産業省さんあるいは厚生労働省さんのいろいろな地域経済あるいは雇用対策ということを請け負っているわけであります。

 また一面、経営相談とか会員の巡回訪問などを通じまして、もちろん金融対策も大事ですけれども、目に見えない形でのソフトでの支えもされている。こういう団体がしっかりと活動されていくということは非常に大事なことだと思います。

 商工会あたりは、市町村合併ということも含めてみずからの合併もされて、そういった意味での、ある意味でのリストラもされて頑張っておられるわけですが、そこにおける、いろいろな仕事をしていくための予算、あるいはそういうことに対するてこ入れということについては、もちろん都道府県がかなり力を入れていただく分野ではあるわけですけれども、国としてもやはりそこはしっかりと見詰めていただきたい、このように思っております。

 この辺の大臣としてのお考え、そしてまた、地方への、言ってみれば要請というか、そういったところについてお答えをいただきたいと思います。

大畠国務大臣 橘議員から御指摘をいただきましたが、私も商工会とか商工会議所などの組織というのは大変大事だと思います。

 私もさまざまな形でお話をさせていただきましたが、町を思う心というのは大変強いものがあります。行政とはまた違って、あるいは、市長さんをされておりましたが、行政マンから見る町というものに対する考え方と商工会議所とか商工会の方々が考える町というのは、また別な意味で大変熱いものがあります。私がお伺いするところ、イタリア等の商工会議所、商工会等は、まちづくりの権限と予算も持っていて、その町を本当に市民の皆さんが愛しているわけでありますし、子供のころからずっと生まれ育った地域でありますし、どうするかというのは大変熱いものを持っています。

 したがって、現在、商工会、商工会議所というものがございますが、この役割というものを、これはまだ経済産業省内で検討はしておりませんけれども、私としては、役割をもう一度時代に合った形で再認識をして、そして新たな役割を担っていただくということが大変大事なのかなと思っております。

 そういう意味で、現在の商工会議所も、経営相談あるいは経営指導等をいろいろやっていただいておりますが、その資質の向上に向けた全国統一の研修事業に対する支援等を今行っているわけでございます。さらに、商工会議所の関係の皆さんのいろいろな御意見をいただきながら、商工会議所の新たな役割、新たな任務というものがどうあるべきなのか、私自身いろいろ勉強し、またいろいろなお話をいただきながら、委員のお話もいただきながら、新しい時代にふさわしい商工会や商工会議所の姿を求めてまいりたいと思います。

橘(慶)委員 ありがとうございます。そしてまた、都道府県等のてこ入れということについてもやはり思いをいたしていただければと思っております。

 レアアース問題の方へ移らせていただきます。

 なかなか落ちついたという感じがしない、そしてやはり、きょう現在どうなんだろうというのは、皆さん非常に御関心あるいは御心配のところではないか。そういう意味で、きょうの一般質疑で取り上げさせていただきたいと思うわけであります。

 これまた、最初にちょっと私は空白の三カ月というようなことを申しましたが、実は、七月八日にことしの下期の枠というものを絞り込まれて八千トンということで、そこである意味では問題としては一つ起こり始め、発火点があった、このように思っております。そして、九月にいろいろな事情の中で問題が一気に顕在化してきた、こういうことであります。

 この間も、ちょっと政治の方はいろいろな政治の季節であったわけですけれども、経産省さんとしては当然いろいろな取り組みもされてきたものと思っております。その取り組み、そして現状、本当にこの問題は今どうであるのか、その認識についてお答えをいただきたいと思います。

大畠国務大臣 御指摘のように、私もこのレアアース問題については、就任早々大変深刻な状況に至りました。あるとき私は申し上げたわけでありますが、経済産業省としても油断があったのではないか、お金を出せば資材が買える、そんな思いで、民間の方々が自由な活動の中で、大変厳しい状況でありますが、それを温かい目で見ていれば済むというような話ではなかったのかと。しかし、現実問題、このレアアースがなかなか日本に届かなくなった。そのところから、一体全体どうなっているのか、レアアースもレアメタルも含めて、全部いろいろ検討をさせていただきました。

 その結果として、余りにも一国に依存し過ぎていた、こういうことから、輸入する先を分散化する、あるいはレアアースの備蓄、あるいはレアアースの再利用、あるいはレアアースにかわる代替材料の開発、そういうものをやるべきだろうということで、一千億の予算を計上して、今一生懸命取り組みをしようとしているところであります。

 いずれにしても、この問題、御存じのとおり、中国からの一国に集中していたわけでありまして、機会があるたびに中国の政府筋にも、民民で契約したものについてはきちっと日本に届くように善処願いたい、こういうお話をしてまいりました。現在、ベトナムやモンゴルやその他の地域とも、懸命に新しい輸入先を確保するためにやっておりますし、一昨日だったでしょうか、インドとも、そんなお話を政府ともさせていただきました。

 とにかくあらゆる方策をめぐらせて、日本国内で民間の企業の方々が生産に支障がないように、今全力で取り組んでいるところでございます。

橘(慶)委員 ここはぜひよろしくお願い申し上げます。

 そして、このレアアースを使っている仕事というのが、言ってみれば、いろいろな製造業でも、最終製品というよりは、その中の心臓部になる、例えば研磨剤であったり、あるいは光学レンズをきちっとやる材料であったり、ある意味で日本の一番強い、日本がトップシェアの部分というものが非常に多くを占めているということだと思います。

 そんな意味で、私は最後に水力発電の話を聞きたいんですが、ここで一つだけ、やはりものづくりというのは日本の強み、その真髄は、こういった今申し上げた材料分野での世界に誇れる技術水準ではないか。こういったことが成長戦略の中ではっきりうたわれていないということを残念に思っております。ここで簡単に大臣の思いを聞かせてください。

大畠国務大臣 水力発電も、これまでの日本の経済成長に、あるいは国民生活を支えるという意味で大変大事な役割をしてまいりました。議員御指摘のように、水力発電施設に対する交付金は運転開始から十五年目から三十年間交付されるという仕組みでありまして、今年度末で交付期限を迎える自治体が多いということは御指摘のとおりであります。

 したがって、いろいろと今御意見を賜っているところでありますが、私としては、水力発電施設の立地、運転の円滑化の促進のために、できれば恒久化を求めてまいりたいと思います。

橘(慶)委員 済みません、ちょっと急がせてしまいまして。私はそれを最後に聞こうと思って、多分今お聞きになっていた方々はおわかりかと思いますが。通告はしております。事前の通告の二番目の(3)、ものづくりというのは材料分野での世界に誇れる技術水準にあるんじゃないか。製造にお勤めの大臣として、やはり成長戦略にそういうものづくりも書こうよ、材料分野は大事ですよ、そこを守って、日本はこれからも製造業を頑張りますという決意を最後に聞かせていただきたいと思います。成長戦略を直すくらいでお願いしたいと思います。

大畠国務大臣 実は、私の勤めておりましたところも水力発電所をつくっておりました。私も、今でも覚えておりますが、工場に入って、こんなに大きなものを加工して、こんなに大きな製品をつくっていく、当初のころは大変驚いたことがあります。水力発電というのは大変大事なものでありますから、きちっとそのものづくりが継続できるように私も努力してまいりたいと思います。

橘(慶)委員 済みません、多分、最後はある意味ちょっとかみ合わなかったかと。

 水力発電が大事なのはそうなんですが、申し上げているのは、レアアースを通じて、いろいろな材料分野というのは大事じゃないですか、そういったものが日本の今の製造業の中で非常に大事な分野ではないかと。そこについて、そういったものに対する大臣の御認識を、いろいろな細かいものをつくる日本の技術、それが本当の日本の技術の真髄であろう、そういったところをもっともっとやはり経済産業省としても大事にしていく。あるいは、成長戦略ではグリーンイノベーション、ライフイノベーションということで、製造業という文字が出てこないんですね。でも、製造業というもの、そういう付加価値をつけていくものが農商工連携も含めて大変大事ではないか、そこをぜひ頑張っていただきたいということで、お願いします。

大畠国務大臣 失礼いたしました。

 私も当選してしばらくしてNEDOというところを見学させていただきましたが、地道な技術開発をたくさんやっておりまして、御指摘の、今非常に商品化されてきましたが、海水の淡水化ですとか、それからリチウムイオン電池ですとか、そういうところも国がいろいろと支援した技術の中から生まれてきて、今日商品化されているわけでありまして、そういう基本的な技術開発あるいは研究開発についても、委員の御認識等を踏まえて、経済産業省としても一生懸命支援をしてまいりたいと思います。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。

 またいろいろな機会で質問させていただきたいと思います。きょうはどうもありがとうございました。

田中委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 大畠大臣、経済産業大臣御就任おめでとうございます。きょうは先日の当委員会での大臣所信に対する質疑ということでございますので、お役所の皆さんは要りませんので、基本的に大臣を中心に議論をさせていただければありがたいと思っている次第でございます。

 そこで、きょうは自民党の質問バッターが四人立たれたので、なるべくその方々と重ならないように質問をさせていただきたいと思っておるんですが、あらかじめ大きく三点通告させていただいておりますが、一点だけになるのか、二点、あるいは三点全部になるのか、これは時間の都合で全部至らなかった場合にはお許しをいただきたいと思うわけです。

 一つは、先ほど橘委員も若干質問されましたけれども、今一番大きな問題、産業界にとっても大きな問題になっておりますレアアースの問題について何点か大臣にお伺いをさせていただきたいと思うわけです。

 先日の二十四日だったと思うんですが、中国から日本へのレアアースの輸出が滞っている問題で、第五回日中省エネルギー・環境総合フォーラムの開催前に、大畠大臣は中国商務部の蒋耀平副部長と会談されて、事態の改善を直接求められたという報道を私も目にしておりますけれども、報道によると、そのときに中国側は、大体私がまとめると、ポイントを三点言われたというように認識しております。

 それは、中国政府としては輸出停止の指示はしていない、これが一点目であります。これは従来の主張を繰り返されたということが一点です。もう一つは、密輸防止のため税関で検査を強化しているという、これが二点目。いわば弁解ですな、一言で言うと言いわけ。これが二点目です。三点目に、日中経済に支障がないように努力したいと。三点目は従来よりちょっと前向きなのかもわかりません。そういう三点のポイントを相手方の対応で言われたというふうに報道ベースで私は認識しておるんですが、経済産業大臣は直接相手側と会談されたわけですから、直接何を求め、そして中国側からこのレアアースの輸出が滞っている問題について具体的にどういう前向きな対応、また返事があったのか、まず御答弁いただきたいと思います。

大畠国務大臣 佐藤議員からの御指摘のとおり、私が経済産業大臣として就任して以来、頭が痛い問題はこの円高とレアアースの問題、ほかにもたくさんありますけれども、特にその二つが大変頭の痛い問題でありました。したがって、機会あるたびにこの問題については指摘をし、改善を求めなきゃならない、そう思っておりました。

 一番最初の機会は、岐阜県での中小企業大臣会合でございました。議題としてはありませんでしたが、朝、会場を見渡すと、中国の代表の方もお見えになっておりますので、バイ会談というのはいろいろなことからできなかったわけですが、朝方入ったときに立ち話的にこの問題を取り上げてぜひ善処してほしいという要請もいたしました。

 人物的に大変優秀な方のように受けとめまして、その申し出はきちっと本国に伝えたいというような話でありましたので、また機会があればその方ともお話をしたいと思うし、その後の手紙で、この間御指摘をいただきましたけれども、政府としてはそのような停止はしていない、そして、そのような実態にあれば改善するというお話があったけれども、それをぜひ実行してもらいたいという趣旨のお手紙を差し上げたところであります。

 同時に、今回、御指摘のように、二十四日に日中省エネ・環境総合フォーラムというものがありまして、そこに張国家発展改革委員会副主任もお見えになりましたし、蒋商務部副部長ともお話をする機会がございました。

 今お話しのように、まずは、現在、民間の企業間で契約が成り立って、中国政府も認めた輸出商品について検査のところでとまっている、したがって、検査のところを、私どもが考えますのは、全数検査というのはあり得ないと思う、通常の形に戻してほしい、通常の形で日本の国にスムーズに物が届くように善処していただきたいという要請をいたしました。それに対して、今佐藤委員からも御指摘のように、一つとして、政府として日本に対する輸出をとめているという事実はない、それから二点目には、最近密輸が横行しているので、その密輸防止のために検査を強化しているのだ、こういうお話がございました。

 同時に、私は委員の皆さんにも本当は配付してもいいと思うんですが、レアアースのサプライチェーンという、要するに、中国からレアアースを輸入して、日本で加工して、ガラス基板としてそれをハードディスクに組み込み、それを中国に行って中国のパソコンに組み込むということになっているので、このレアアースが日本国に届かなくなれば、結局、ハードディスクが製品化されずに、これが中国に届かなければ、中国国内で私の記憶では九割ぐらいパソコンがつくられているんですが、その中国国内の企業の生産にも大きな影響を与えることになるというのが実態です、したがって、いろいろな事情があるかもしれないけれども、港でとどまっている今の船についてはぜひ検査を至急に正常化させて、日本にレアアースが届くようにということで要請をいたしました。

 そういうことで、一番最後のところは、日本と中国の相互の経済関係にも大きな影響を与えるのでぜひ善処してほしいということに対しては、そのことは理解するので善処するように努力したい、こういう回答があったわけであります。

佐藤(茂)委員 今、再三にわたって、大臣としては機会を通じて中国側に要請をしてきた、岐阜での中小企業大臣会合以来。さらに、今回二人の要人にもそういう話をしてきたというお話でございます。

 そこで、そういうことを要請されてきたわけでございますが、我々が経済産業省からいただいている資料では、一言で言うと、九月二十八日から三十日のアンケート調査で、三十一社が輸出に支障が生じていることを明らかにされました。その後の追跡確認を行っているけれども、いまだに実態上輸出が正常化されたと判断できる状況には至っていない、そういう状況を我々は今の段階で聞いているんです。

 大臣が、この二十四日に、中国の要人、商務部の蒋副部長ですか、こういう方々にも要請された後、もう三日ほどたっておるんですけれども、会談からそれだけたっているんですが、レアアースの輸出が滞っている問題で中国側に改善の兆候があるのかどうなのか、そこを簡潔に大臣の方からお答えいただきたいと思います。

大畠国務大臣 御指摘のように、まだ改善の状況というのを経済産業省として情報は入手しておりません。

 検査を担当している部署に、中国の、いわゆる私どもに回答している部門の指令というものがまだ届いていないのかどうかわかりませんけれども、改善の状況になったというような情報はまだ入手していないというのが現実であります。

 いずれにしても、中国政府に対して、今週末、ベトナムに参りましていろいろと話をする場があると思いますので、その場でも改めて善処を求めたいと思います。

佐藤(茂)委員 大臣、要するに、こういうのを日本語で一言で言うと、大臣はこけにされておるんですよ。さっきも言ったように、中小企業大臣会合でも話をされ、大臣はお手紙まで出されたんでしょう、それで今回も、商務部の副部長、もう一人、副主任ですか、そういう方々にも話をされて、本国に持って帰ると言われても、ナシのつぶて。こういうことに対して、もっとやはり怒りを込めないといけない。

 これは本当に具体的な手だてがないような状況で、このまま進めていったら、産業界は大変な被害をこうむったままでいくわけですね。だから、何らかの対抗措置をしっかりと考える段階にもう来ておるんじゃないですか。大臣、その辺、怒りを込めて中国側にきちっとした発信をすべきだと思うんですけれども、ぜひ御答弁いただきたいと思います。

大畠国務大臣 御指摘の点は、私も気持ちは共有するところでございます。したがって、一生懸命今お願いをしているところでありますが、お願いと同時に、今週末、中国の担当の方ともお会いすることになると思いますが、中国政府が日本に対して輸出停止していないということを明言しているわけでありまして、しかし、現実問題、中国の港からなかなか日本に向けて動きがないということは一体どういうことなのか、それを改めて強く申し上げまして、今、御質問の冒頭にあったようなことがないように、私としては改めてさらに話し合いの中で明確に強く申し上げたいと思います。

佐藤(茂)委員 中国がどういう思惑なのかということははっきりわかりません。しかし、かつて中国の指導者だったトウショウヘイ氏は、明確にこういうふうに言われていました。中東には石油があり、中国にはレアアースがある、そう述べられたわけです。

 今回の事態一つとって、レアアースをまさに戦略物資として使って政治利用しているなどということは言えないのかもわかりません。しかし、日本だけじゃなくて、欧米にもそういう警戒の声が上がっていることは間違いないわけでして、中国がレアアースの輸出制限を強化した問題については、量からしても日本が最大の被害を受けていると思うんですが、日本に次ぐレアアース輸入国であるアメリカも、またドイツを初めとしたヨーロッパ諸国も問題視してきているわけですから、日米欧が共同で中国に是正を求める。それでもなおかつ事態が改善しなければ、連携して世界貿易機関、WTOに提訴していくということも検討する段階に来ておるんじゃないか。

 私は、ベトナムで大臣がそういう話をされてもまだらちが明かないのであれば、やはり日本政府として一つの決断をすべきではないかと思うんですが、大臣の見解を求めたいと思います。

大畠国務大臣 御指摘のように、アメリカやヨーロッパも同じような状況に至るということも予測されますし、事態もそういう深刻な状況になりつつあるのではないかと受けとめております。

 特に、中国政府は、過日の会談のときには、このペースで消費していくと十年から十五年で枯渇してしまう、中国政府としてもこのレアアースをどう有効に利用するかということについてやはり将来も考えなきゃならない、こういうお話でございましたけれども、しかし、一方的に急激に輸出枠を減少した場合には、委員から御指摘のようにアメリカにもヨーロッパにも日本にも大きな経済的な影響が出ます。したがって、今、アメリカ、ヨーロッパの政府とともに情報交換をしておりまして、そろって中国政府に対して早期の改善を求める行動をしているところでございます。

 同時に、WTOにつきましては、事実関係を把握することが大事でございまして、各国政府と連携をとりながら、事実関係を踏まえて適切に対応すべきと私も考えております。

佐藤(茂)委員 大臣、ぜひ認識をきちっと持ってもらいたいのは、輸出枠を減らすことは七月の段階で大きく発表しているんです。輸出枠を減らして全体が減ることが問題じゃなくて、大臣の答弁で言われたんですけれども、民民でやっているものに対して、やぶの中で何かわけがわからぬのやけれども、物が輸出されない、船が出てこない。要するに、手続上、何かやぶの中でわからないんだけれども、ずっと輸出が滞っているという問題を立て分けてとらえて、そのことが一番大きな問題なんだ、民と民で契約したものはきちっと予定どおり輸出しろよということを大きな問題として当然とらえないといけないと思うんですが、大臣、もう一度答弁をお願いします。

大畠国務大臣 御指摘のように、そのとおりだと私も認識しています。というのは、輸出申請をして、それが認可されているわけですから。そして、認可されて、船積みの段階で検査のところでとまっているわけですから、私は、ここのところについてはその問題意識は共有しております。

 やはり中国政府として、世界に開かれた形で経済活動を行うのであれば、中国国内でのそのような部署で滞りがあるとすれば、中国政府としてきちっと指導をして、世界から信頼される国として行動してもらいたいということは、はっきりと今週末にお会いしたときに申し上げさせていただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 今回の中国の輸出を滞らせた問題で、先ほど大臣も橘委員のときに答弁されていましたが、中国という単一国からの供給に依存し続けるリスクというのが現実のものとなったわけですね。

 レアアース総合対策のメニューというのを十月の一日に発表されているんですけれども、レアアースをめぐる今回の中国の措置を契機に、政府はもっと腹を据えた、レアアースだけじゃなくて、レアメタルという、この希少資源の安定的な確保を目的とした国家戦略というものをこの際きちっと打ち立てる。レアアースの安全保障政策というんですか、こういうものを短期、中長期にわたって確立すべきだ、私はそのように考えます。先ほどほかの方への答弁で、食料、水、エネルギー、こういうふうに言われましたけれども、それに資源というものもしっかりと加えていただいて、そういう対策をしっかりとやっていただきたい。

 今の政権が六月の段階でまとめられた新成長戦略の中に少しだけこのレアアース、レアメタルが述べられているんです。それは三行。どういうように表現されているかというと、「リサイクルの推進による国内資源の循環的な利用の徹底や、レアメタル、レアアース等の代替材料などの技術開発を推進するとともに、総合的な資源エネルギー確保戦略を推進する。」という三行だけ述べられている。

 ほかのいろいろな施策については、今の民主党さんの政権では、二十一の国家戦略プロジェクトの一つに挙げてがっと推進するというところまで高められている。ところが、残念ながら、今の段階では、こういう希少資源、また資源について、どう確保していくんだということについては、そういう国家戦略プロジェクトにまで高められていない。そういう扱いなんです。

 だから、私は、今回でもはっきりしているのは、日本経済に不可欠な素材の問題でございますし、本当にこれがこのまま滞り続けたら死活問題になるわけですから、国家戦略としてレアメタル、希少資源の安全確保政策をきちっと確立するということを、その担当である経済産業大臣が打ち出すべきである、そのように思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

大畠国務大臣 佐藤議員のただいまの御提言でありますが、私も同じ思いを持っております。

 したがいまして、経済産業省内で、レアアースとかレアメタルとか、あるいは資源全般にわたって日本の企業がどのような形で活動しているのか、そこにどのような形で供給されているのか、それを全体的に把握いたしまして、そして、将来とも今回のような事案が再現されないような長期的な対応を検討させて、いわゆる戦略を私も考えて検討をさせていただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 前向きな答弁をいただきましたので、一つだけ今の政権で褒めたいのは、補正予算で、今回、一千億ですか、予算をつけてこういうものに対応した。ただ、本来、これは補正で対応するような問題ではないと思う。補正は当然つけるとして、これからの年末の予算編成も含めて、やはりこういうものに力を入れていくんだという姿勢を、ぜひ予算という具体的な形としてつけていただきたいなというふうに思うわけであります。

 それで、総合対策の中でも幾つか触れておられるんですけれども、具体策として、具体的に私は三つほど進めてもらいたいなと。というのは、今日本の備蓄量というのは、特にレアアースについては諸外国に比べて相当高いと伺っておりますので、これはそのまま増強していってもらいたいと思うんですけれども、具体的に今回やっていただきたいなと思うのは、一点目に大事なのは、レアメタルの調達先、供給源を、今現状のものもあるでしょうけれども、それをさらに多様化して、いわゆる分散していただいて供給を確保するということをしっかりとやっていただきたいと思うんですね。

 レアメタルの一つであるレアアースに限って見ても、中国が生産量では九六・八%ですけれども、埋蔵量に占める割合というのは中国は三六・四%なんですね。CISが一九・二%、アメリカが一三・一%、オーストラリアが五・五%、インドが三・一%と続いておって、調達先を多様化する余地はまだまだ十分ある、そう見るべきだと思うんです。ですから、中国への依存度を引き下げて、今回のようなことをされても輸出制限の影響を軽減する施策、工夫というものを凝らしていく必要があると思うんですね。

 今私が聞いている限りでも、既に、民間も含めて、レアアースについて、ベトナム、アメリカ、オーストラリア、カザフスタンでも大型の生産計画が進んでいるというようにお聞きをしております。一昨日は、日印首脳会談で、インドとの間でのレアアース、レアメタルの開発協力の促進なども一致されたそうですけれども、このレアアースはもちろんですが、そういうものも含めて、レアメタル全体についての新たな供給国を確保するための積極的な資源外交にぜひ取り組んでいただきたい。

 中国は先んじています。アフリカへ行きますと、象徴的なのが、去年もことしも行ったんですけれども、エチオピアにAU連合の本部があるんですね。ここにアフリカのトップクラスが年に何回か来るわけです。話がそれますけれども、このAU連合の本部を中国はまるっぽ新築で今建てておるんです。エチオピアというのは、そんな高層ビルはほとんどありません。そこに二十階以上の新品のビルを今ぼんと建てて、そこに中国の存在感というものを出して、具体的にいろいろな国の、要するに資源のある国にしっかりと手を出すというか、関係をつくるというようなことも明確にやっていっているのが中国です。

 そういうことは日本がまねできないかもわかりませんが、やはり積極的な資源外交というものを視野に入れた取り組み、政府と民間企業が一体となって探鉱開発とか探査に取り組むなどの具体的な供給源確保策を戦略的に立てる必要があると思うんですけれども、経済産業大臣の見解を伺いたいと思います。

大畠国務大臣 御指摘のように、この問題については戦略を持って取り組まなければなりませんし、同時に、短期的なものじゃなくて、長期的に日本の産業界の必要とするものを確保しやすい環境をつくるのが日本の一つの外交戦略のベースにもなっていると思います。

 そういう意味では、私は、冒頭に申し上げましたけれども、経済産業省として油断があったのではないか、そんな話を申し上げました。そして、経済産業省の関係の方々にはありとあらゆる努力をして資源をきちっと確保するという中長期的な視点を持って行動してほしいという要請をいたしました。

 御指摘をいただきましたので、改めてそのような視点で総見直しをさせていただきたいと思います。

佐藤(茂)委員 ぜひ総見直しに前向きに取り組んでいただいて、一つ一つ資源が確保できるような対策をやっていただきたいと思います。

 二点目にお願いしたいのは、経産省からいただいたレアアース総合対策の資料の中でも、これは十月一日に発表されているんですけれども、日本を世界のレアアースのリサイクル大国にとうたっておられる。これはすばらしい表現であって、本当にそうなるように政府を挙げて政策を推進していただきたいと思うんです。

 具体的に言うと、今は都市鉱山ということが言われているんですね。要するにレアメタルが豊富に使用された携帯電話とかパソコン、そういう家電製品が家庭で眠っている、実はここに本当にレアメタルがいっぱい使われている。そういうさまを見立てて、日本は豊富な都市鉱山、世界有数の資源国に匹敵する規模なんだというように言われている。

 ただ、問題は、これを眠らせておいたら意味がないわけでありまして、この都市鉱山の開発ということで、これは現に経済産業省と環境省で昨年十一月から三カ月間、使用済み携帯電話回収の実証事業というのを実施されて、三カ月で五十六万台を超える携帯電話を回収して、パラジウムなど多くの金属を回収する成果を上げておられるんですね。こういう実証事業を三カ月間やられたんですけれども、なお一層こういうリサイクルの取り組みというものが強化されるように、まず大事なのは国民の協力を得なければいけません。家からきちっと持ってきてもらわないといけませんから。そういう国民の協力を踏まえながら、民間企業、政府といった、国を挙げた一丸となった取り組みが早急に必要であろう、私はそういうふうに思うんです。

 そういう体制を整えていただきたいと思うんですけれども、経済産業大臣の見解を伺いたいと思います。

大畠国務大臣 確かに、今まで安価に入手していたものですから、使い捨てにしていたという実態がございます。同時に、研磨剤等で水に流してしまったということもあります。

 したがって、それらをリサイクルすることも含めて、現在の家電品等についても回収するコストがかかるというので多分使い捨てで廃棄されていたんじゃないかと思いますが、そういう意味では、もう一度国民の皆さんにも理解を求めて、回収に協力してほしいと。その中から取り出して再利用するということで、日本の国、あるいは企業を守るためにも大変大事なことなので、国民の皆さんにもそういう協力を求めるような仕組みも含めてリサイクルに取り組んでまいりたいと思います。

佐藤(茂)委員 ぜひお願いしたいと思います。これは経済産業省だけではなかなかできないかもわかりませんが、他省庁とも連携してやっていただきたいと思うわけであります。

 三点目の具体策としては、政府も今既に取り組んでおられますけれども、レアアースを含めたレアメタルについての代替品開発を産官学一体となって取り組んで、その開発への支援を拡充すべきであるということでありまして、代替品というのは、一つは代替の材料ですね、もう一つは代替の技術、両方にわたっての開発ということが大事ではないかと思うんです。

 先月末に非常に希望ある発表がございました。それは、レアアースを使わないハイブリッド車用のモーターの開発というのをNEDOと北海道大学で公表されたわけであります。これは本当に、そういう意味でいうと、日本の技術開発力をもってすればまだまだ可能性は十分あるんだということを示されたのではないかと思うんですが、代替品の材料や技術開発に対する支援を拡充して、省エネを世界のトップランナーの技術にまで仕上げたのと同様、レアアースを含むレアメタルの代替品の技術についても日本が世界のトップランナーになるんだというぐらいの気概を持って、ぜひ経済産業省がリーダーシップを発揮してやっていただきたいと思うんですが、経済産業省の考え方をお聞きしたいと思います。

松下副大臣 佐藤委員御指摘のとおりでございます。既に平成十九年度から取り組んできております。

 御指摘のあったハイブリッド自動車のモーターに用いられるレアアースでありますジスプロシウムですけれども、代替材料を活用することによって使用量を低減するための技術開発を既に始めております。

 二十三年度末までに現状の使用量から三〇%以上低減したいということで、現在研究室レベルで二割まで来ているところでございますし、今度のレアアース総合対策の中にもこの問題に取り組むということでしっかり盛り込んでありまして、力を尽くしてやっていきたいということでございます。

 よろしくお願いします。

佐藤(茂)委員 ぜひ、今回の中国のこういう不合理な措置を契機として、中国に対してはきちっとした対応をすると同時に、これを日本として生かした総合的な資源の安全保障政策というものをしっかりと進めていただきたいと思うわけであります。

 あと残り時間で、TPP、環太平洋パートナーシップ協定について、自民党の委員からもございましたけれども、お伺いをしておきたいと思います。

 大臣は、菅首相と同様に、大臣所信の中でこのように言われておりました。環太平洋パートナーシップ協定、TPP交渉への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指します、東アジア共同体構想の実現を見据え、国を開き、具体的な交渉を一歩でも進めたいと思いますと言い切られていたわけであります。

 私は、政府内に温度差もあり、民主党の中でもいろいろと意見が非常に交錯しているというか議論が激化していることも承知の上で、経済産業大臣はこの段階で大臣所信として明言をされたと思っておったんですが、けさ来の報道を見ていますと、きのうの閣議後の記者会見で、例えば日経はどうなっているかというと、経済産業大臣「慎重姿勢 推進力に陰りも」。産経新聞は、経済産業大臣「一転慎重」、外務大臣は「アクセル」と。何かそういうことになっています。要するに、紹介された方もありますが、「「TPPまずありきではないと理解している」と語り、参加に慎重な姿勢を示した。」そういうことが言葉として引っ張られてそういう見出しになっておるんです。

 まず最初に確認しておきたいのは、大臣はAPECの主催する主要大臣です。ですから、今回、改めて経済産業大臣のTPP交渉への参加についてどう考えておられるのか、明確に御答弁いただきたい。

大畠国務大臣 私の大臣所信の文言を踏まえての御質問でございます。

 私の手元にもこの大臣所信の文言がございますが、「ことしのAPEC議長として、米国、韓国、中国、ASEAN、豪州、ロシア等のアジア太平洋諸国と成長と繁栄を共有する環境を整備します。その一環として、環太平洋パートナーシップ協定交渉への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指します。」こういう文言でございます。同時に、「東アジア共同体構想の実現を見据え、国を開き、具体的な交渉を一歩でも進めたいと思います。」こういうものであります。

 これは菅総理からの所信表明の指示を受けての話でありますが、いずれにしても、検討するということですから、私も、一カ月間さまざまな方から御意見をいただきながら検討をしてまいりました。EPA、FTA、そしてTPP、その延長線上に二〇二〇年にはFTAAPという、APECが目指す、いわゆる経済圏をつくるというのがAPECの最終目標でありますから、二〇二〇年にはそのような形を目標に私たちは行動しているところであります。

 そこで、大事なことは、結局、先ほども御答弁申し上げましたけれども、TPPと申し上げましても、加入国各国と二国間で話し合いをしなければなりません。したがって、二国間の協議を同時並行的に行って、合意すればEPAあるいはFTAということを先行させてやっていく、こういうことが大事なんだろうと私は受けとめておりまして、その一環としてTPPについても検討をする、こういうことで同時並行的に進めるべきだろうと私は考えています。

 同時に、この件については、国内に対する大変大きな影響がありますから、国民の皆さんの理解も得ていかなければなりません。そういう意味では、国民の皆さんとの対話、あるいは、どういう形になるのかということをいろいろ想定しながらその影響というものも十分把握して私たちは決断していかなければなりませんので、そういうことも含めて現在検討をしているところでございます。

佐藤(茂)委員 私も、一般論としては、大臣が答弁の中で言われていましたが、EPAとかFTAは日本の産業、企業の競争力を強化して、激しい国際競争に打ちかてる水準に高めるために推進すべきであるという立場です。

 しかし、ただ、今回の政府・民主党内の足並みの乱れを見ておりますと、あの参議院選のときの消費税論議と同様に、またしても政府は拙速に方向性を出され過ぎたのではないのか、そのようにしか見えないわけです。要するに、貿易の自由化と農業の再生というものをどう両立させていくのかという議論の詰めが行われない中で、菅総理も、また大畠大臣も、同じですけれども、大臣所信に打ち出されて、それが非常に大きな議論の的になっている、そういう状態にしか見えないんです。

 これを言われた背景は、今の答弁でいくと、総理から指示があったから言ったんだと。ただそれだけですか。要するに、政府・与党内のTPPに対する議論の詰めが終わった上でこういう大臣所信というものを出されたのか、総理から指示があったので、こういう総理の言葉をそのまま踏襲して大臣所信に書かれたということなのか、ここについて御答弁をいただきたいと思います。

大畠国務大臣 この件については、総理からの指示があり、経済産業省としても日本の将来を考えたときにはそのような検討をすべきだろうと。そして、可能であればそういうものに参加するというのは、委員も御指摘のとおり、日本の輸出産業を含めて、あるいは日本の国が生きていく上で大変大事なものだろうということで私は受けとめて、検討を経済産業省内にさせております。

 ただ、この検討というのは、経済産業省だけで結論が出るものではなく、同時に農林水産省、厚生労働省あるいは総務省、各分野にまたがるものでありますから、現在、内閣が中心となって各省からそれぞれの検討の中間的なものをまとめながら、最終的に総理が決断されると思いますが、いずれにしても、経済産業省としては、総理の指示を受けて今日まで検討を進めてまいった。

 同時に、委員から御指摘がありますように、これは国民の皆さんからの御意見というものも、あるいは意見交換もしていかなければならない大事な問題でありますから、私としては、国民の皆さんの御意見をいただきながら、また、各党の議員の皆さんの御意見をいただきながら、経済産業省として誤りのない一歩を、あるいは道を歩まなければならないと考えております。

佐藤(茂)委員 最後になりますけれども、要するにTPPというものに対しての唐突感がぬぐえない。

 それはなぜかというと、六月の段階で新成長戦略というのをまとめられました。その中にもTPPなんという言葉は一切出てきません。ましてや、「FTAAPの構築を通じた経済連携戦略」ということで工程表を書かれています、ここにもTPPなんというのは一切ないんです。ほかの、EUも含めて各国とのいろいろなものにはEPAというのは全部出てくるんだけれども、突然TPPというのは出てきたとしか我々には見えないんですけれども、こういうものの交渉への参加の検討というようなことについて、検討が始まったのは大体いつごろなんですか。大臣、ぜひ明確に答弁をいただきたいと思います。

大畠国務大臣 政府内ではいつからTPPへの参加の検討を始めたのか、こういうお話でございます。

 私自身も、経済産業大臣を拝命して以来、このTPPというものをいろいろと耳にするようになったことは事実であります。

 ただ、経済産業省として、六月の新成長戦略においてこの話を秋までに策定することが決定されたこと、及び総理からTPP交渉等への参加の検討が指示されたことを踏まえて、ことし十一月の横浜APECの首脳会議までにTPPを含むEPAの基本方針を策定すべく、今関係閣僚間で検討しているというのが実態であります。

佐藤(茂)委員 だから、もうちょっといてください、いつごろから検討を始めたんですか。

 それと、秋までに経済連携協定に対する基本方針を出すというのは明確に言われていましたよ。しかし、TPPというのは新成長戦略のどこにも書かれていない。だから、今の答弁はちょっと納得できないです。

松下副大臣 大臣のお話のとおりでございますけれども、省内で、随時、日本のいろいろな諸外国との自由貿易協定、そして、製造産業、産業界の製造業をどうやって振興させていくか、いろいろな面について幅広く議論してきたところでございます。

佐藤(茂)委員 全く的外れな答弁でして、私は、経済産業省というのはTPPについてもっときちっとした戦略を持った旗振り役の省になってもらわないととても心配だと思うんですね。

田中委員長 経済産業大臣に申し上げます。

 質問の趣旨と答えが違っておりますので、時間の関係もありますけれども、最後に、今の問題を正確に伝えていただきたいと思います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 大畠経済産業大臣。

大畠国務大臣 このTPPについては、今、事務方から過去の経緯を聞きましたが、十一月に東京でオバマ大統領がこのTPP構想というものを打ち上げて、それ以来、内部ではいろいろと試行錯誤をしていたというのが経緯であります。

佐藤(茂)委員 本当は打ち切りたいんですけれどもね。

 それなら、なぜ政府としてこの新成長戦略のところにきちっと明記されなかったんですか。要するに、そういうところに外しておきながら、ここに来て急遽出てきたという唐突感というのはぬぐえないんじゃないですか。なぜこれは新成長戦略の中に入れられなかったんですか。

大畠国務大臣 これは御指摘でございますが、基本的に私どもが考えていますのは、FTA、EPAというのが原点にあって、その中間的にTPPというのが浮上し、そして、まずAPEC加盟国内の四カ国で始まった、そこにアメリカが加入を表明した、それから検討が開始されたわけでありまして、確かに、成長戦略の中になぜ加えなかったのかという視点でございますが、去年の十一月にアメリカの大統領の発言を受けて、その問題についていろいろと議論をし、基本的には、EPA、FTAというものを政府としては進めるべきだろうと思いますが、同時に、その各国と交渉を進める中で、環境が整えばTPPに加入をするということも一つの選択肢だろうということで加えたのではないか。そして、そのために、TPPに加盟することについて各省は検討するようにという指示を受けたと私は受けとめております。

田中委員長 佐藤君、もう時間になりました。

佐藤(茂)委員 はい。

 到底納得できない答弁でございますが、これ以上時間を延ばすのも委員会の運営上支障があると思いますので、引き続き、また次回させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私、新成長戦略の問題を中心にして、きょうは質問していきたいというふうに思います。

 まず、今円高で日本の輸出が非常に不利になっているというのは事実だと思うんです。資源がない国だから輸出立国でやっていくということはよく言われてまいりましたけれども、しかし、輸出依存度というものを見てみると、これは産業構造ビジョン二〇一〇にもグラフでちゃんと示されておりますが、日本は、ドイツ、イギリス、フランスよりずっと割合は低いんですね。アメリカよりやや多いんですが、それでも二〇〇八年度で一七・四%と、決して輸出に依存し過ぎている国じゃないわけですね。

 しかし、政府の方は、新成長戦略で法人税減税など、これら輸出大企業にさらに減税などをやって支援するというふうにしているわけですが、本当は、この輸出依存度の問題だけで見ると正確じゃないんですね。これに、輸出企業が海外に現地生産拠点を移して、そこでの販売というものがあるわけですから、それをあわせて考えないと余りきちんとした議論にならないと思うんです。

 それで、資料を配らせていただきましたが、図の一の方をまずごらんいただきたいと思うんですが、図の一の前に図の三の海外生産比率の方を見ておきますと、まず、輸送機械、自動車ですね、製造業にしても、ぐっと海外生産比率は伸びているということは明らかです。

 それで、これに伴って、実は、図一に示したように、海外所得純受取額は、かつての四兆円から大体十六、七兆円ぐらいに、四倍もふえているわけです。海外現地法人売上比率で見てみますと、これはプラザ合意の一九八五年を一〇〇としたときに、バブル期に上昇しておりますが、現在では四五〇前後へ急増して、右肩上がりで、これも四倍ということになります。

 ところが、国民総生産の方、つまりGDPですね、これはこのグラフを見ても一目瞭然のように、バブル期に伸びてはいるんですが、その後、一ドル七十九円台をつけた九五年も含めて、ずっと横ばいなんですね。つまり、輸出大企業は、輸出でも、あるいは海外生産比率を上げて海外でもしっかり利益を上げたんだけれども、国内では成長がとまったままと。

 そこで、大畠大臣に伺っておきたいのは、自動車、電機など輸出大企業がどれだけ巨大な成長を遂げても、それが国内経済の成長にはつながっていないというのが現実ではないかと思うんですが、どうですか。

大畠国務大臣 吉井委員の御質問にお答え申し上げたいと思います。

 この参考の資料を見せていただきましたが、大企業が海外現地法人等を設立して生産活動を行って利益を上げても、その利益が国内に還流しなければ日本の経済成長につながらないのではないか、こういう御質問でございます。

 御指摘のように、この資料を拝見させていただきましたが、持続的な成長のためには、企業が世界で利益を上げたもの、資金が日本に還流し、国内への投資に結びつくということが大事であることは御指摘のとおりであります。

 このため、平成二十一年度より、外国子会社から受け取る配当を原則非課税にして、外国子会社の利益を国内に還流することを促す税制を導入させていただきました。

 さらに、日本国内で企業が投資することを促す事業環境を整備するため、産業界や労働界のリーダーが参加する国内投資促進円卓会議において議論を重ね、十一月をめどに日本国内投資促進プログラムを取りまとめることにいたしました。産業界からは事業環境の改善を求める切実な御意見をいただいており、民間の国内投資拡大を確保できるよう、今全力でプログラムを策定して、官民で実行していきたいと考えております。

 なお、外国子会社から受け取る配当を原則非課税にする制度は、平成二十一年度の税制改正で導入され、海外の子会社からの配当の九五%を非課税にすることにより、企業が稼いだ利益を必要なときに必要なだけ国内に戻せるように措置をいたしました。実績として、二〇〇九年、平成二十一年は受取配当が三兆円を超え、過去最高額を記録し、二〇一〇年も前年同期比ほぼ同額、直近の八月は前年同月比プラス七三%ということになっておりますので、措置をしたことによって海外での利益というものが国内にも還流し始めたと受けとめております。

    〔委員長退席、楠田委員長代理着席〕

吉井委員 事務方の方はもうちょっと簡潔な答弁書を準備しないとあきまへんな。

 それで、現実には自動車、電機などを中心とする大企業が輸出で利益を上げたことは事実なんです。これら大企業が、一九九五年の日米自動車合意以降、欧米へ現地工場を進出させ、最近はさらに大規模な需要地であるアジアへ生産拠点を移しているということは事実の問題としてあるんですが、この図の一と図の三でわかるように、日本の自動車と電機などの企業の海外生産比率と売上比率は大きく伸びているわけなんです。

 経産省の資料によっても、まあ電機はおいておいて、自動車について見ると、九〇年の海外生産比率一二・六%が、九五年に一七・一、二〇〇〇年度に二三・七、二〇〇五年度には三七・〇。それが二〇〇八年度には三九・二%ですから、約四割ですね。四割は海外で生産をしている。自動車、電機を初めとする日本の輸出大企業の方は、生産拠点を海外へ移して国内産業を空洞化させながら、売り上げを大きく伸ばして利益を伸ばしているというのは事実なんです。これは産業構造ビジョン二〇一〇の図一の二の四を見てもわかりますが、グローバル企業は大きく成長している。それに対して、ドメスティック企業は一九九〇年をピークに落ち込んだままだということを経産省自身が書いているわけですね。

 大臣に重ねて伺っておきますが、やはり輸出と海外生産及び販売でもうけた金が、いろいろ言うんだけれども、日本国内に還流されているならば、本来、国民所得がふえて消費が伸びて国内景気はよくなるはずなんですね。ところが逆に、デフレスパイラルで景気は落ち込むばかりですよ。一体なぜ国民の暮らしが豊かにならないのか、非正規労働者とか不安定雇用とか就職もできない、こういう状態になっているのか、伺っておきたいと思うんです。

大畠国務大臣 私もものづくりの世界で仕事をさせていただいてまいりましたけれども、確かに、委員から御指摘のように、日本の輸出に依存する度合いというのは大変高いものがございます。そして、一生懸命努力をして輸出して、そして利益を上げ、それが日本の国内の国民の利益に直結していないとすれば、私も非常に問題だと思います。

 改めて私自身も、今の御指摘を踏まえて省内で検討をさせていただきたいと思います。

吉井委員 そこで、次に図の二を見ていただきたいんですが、これは大企業の配当金と内部留保の推移です。それで、大企業が輸出や海外生産と販売でもうけた金が、要するにどこへ行ったのかということをよく見ておく必要があるんです。

 一つは、そういう大企業の経営者の報酬というのはかなりなもので、例えば日産のゴーンさんは、日産からの報酬は十億ですが、フランス・ルノーから四十億ですから、合計五十億円というのは以前紹介したことがありますが。この例のように巨額の報酬になっている。

 もう一つ、この図の二に示しましたように、配当金が二〇〇五年には十二兆円。内部留保、いわば民間企業の埋蔵金ですね、これは右肩上がりで二百五十兆円になっておるんですね。どこからとったかというのは、皆、下に出典を書いておきました。

 二〇〇九年十二月の新成長戦略において、富が一部の企業に偏在したということとか、中小企業が廃業状態に追い込まれているとか、現状分析はきちんとしているわけです。

 そこで、大畠大臣に伺っておきたいのは、大企業の大きなもうけが巨額の報酬と配当と内部留保になって国内経済に還元されていないから、国民生活は豊かにならず、GDPはずっと横ばいのまま、国内経済はデフレスパイラルに落ち込んで苦しんでいるというのが現実ではありませんか。

大畠国務大臣 御指摘の点でございますが、私自身も、この吉井委員の示された大企業の配当金と内部留保の推移という図二を見せていただきました。

 私自身も、経済産業分野、特にこの問題についてもいろいろと検討をさせていただきましたが、企業というのはだれのものなのか、こういう論議もありました。会社法には企業は株主のものと明記されておりますが、しかし現実問題、そこで働いている方、もちろん社長さんも含めてでありますが、働いている方々がいるから利益が出るわけでありまして、もちろん株主も大事でありますが、同時に従業員の方々も大切であります。

 したがって、そこのところは、吉井委員が御指摘のように、利益がそのまま配当というものと直結して、なかなか働いている人のところに回ってこないじゃないかという構造的なものもあるのかもしれませんので、いろいろと私も検討させていただき、適切な形で従業員の方の所得にも回るようなことも検討してまいりたいと思います。

吉井委員 これは一九九二年の六月に出した通商白書の時代から既に経産省は言ってきたんですが、企業利益と国民利益と一致する度合いというのは減少してきたんだ、収益の分配が主として投資家の方に行ってしまっていると。つまり、社会に還元されていないということは経産省が当時の白書でも明らかにしてきたことです。

 次に、図三をごらんいただきたいと思うんですが、民間企業の埋蔵金ですね、内部留保を社会に還元することで、日本社会が正常な持続可能な発展の道を本来歩んでいかなきゃいけないと思うんです。その社会還元する大事なツールの一つといえば法人税などもそうなんですが、法人税率をどんどんどんどん下げてきたわけですね。では、法人税を下げたんだから企業は海外へ行かないのかといったら、どんどんどんどん海外へ生産拠点をシフトして、そして内部留保も配当金もどんどん積み増ししているんですね。

 だから、社会還元の大事なツールと言える法人税率をどんどん下げて、産業空洞化だけじゃなしに税収の空洞化を招いてしまっているのではないか。やはりこういうことについてはきちんと見なきゃいけないと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

大畠国務大臣 企業の内部留保に回ってしまって、なかなか実際に仕事をしているところに回っていないんじゃないかという御指摘でございます。私もグラフ等あるいは統計等もいろいろ見せていただきましたが、一部にはそのような傾向も見られます。

 しかし、その一方で、従業員に回しているというデータもございました。私の記憶では、主に大手の企業のところは従業員の給与に回しているという傾向があったと記憶しておりますが、同時に、全体的に内部留保になっているのではないかというような統計も見せていただいております。

 この件についてもよく調べて、冒頭に申しましたように、企業はだれのものなのか、この根本的な考え方については、従業員や、その会社を主体的に経営している方々がいるからこそ利益を上げられることになりますので、適切に従業員の方々に利益が回るような形にすることが望ましいと私も思います。そのことについてもよく検討させていただきたいと思います。

吉井委員 新成長戦略で、法人税を下げて国際競争力をつけさせるとしておるわけですが、外需で稼いだものが海外で運用されて還流してこないようでは、国内総生産、国内での成長につながらないのははっきりしています。

 問題は、国内に還流してきても、それが報酬とか配当金や内部留保には消えるんだけれども、きちんと働いている人とか日本の社会に還元されていないということは、実は産業構造ビジョン二〇一〇の図一の二の三にも出ているんです。これで見ますと、九五年ぐらいから、イギリス、アメリカ、フランスなどは全部右肩上がりで一人当たりの雇用者報酬はふえているんですよ。ドイツは若干下がっておりますが、日本はずっと下がっているんですね。

 つまり、企業が海外で、輸出と海外生産及び販売で利益を上げても、それは一人当たり雇用者報酬のプラスにもつながってきていない。そうすると、だれが考えても、国民の所得が冷え込んだままの状態では国内で消費購買力が生まれてこないわけですから、これでは成長につながっていかない。

 海外での利益が国民の所得の拡大に貢献するようにするということ、これは大臣としてやはり考えていかなきゃいけないと思うんですが、伺っておきます。

大畠国務大臣 企業が活動をして利益を上げたことが日本国内に還元されない、また、還元されたとしても、その企業活動を支えている従業員の方々に波及しないということであれば、これは吉井委員の御指摘のように、私自身も正常な状況ではないと考えますので、そのことについては経済産業省としてもよく事実を把握して、適切な形で行われる形になるように私は努力をしたいと思います。

吉井委員 企業がなぜ海外へ行くのかということについては、実は経産省自身が、二〇〇九年度に貿易経済協力局の方から海外事業活動基本調査というのを出しております。

 一番多いのは、現地の需要、それから進出した先の近隣三カ国の需要あるいは需要が伸びることが見込まれる、合わせますと回答の八六・八%なんですね。それから、安い労働力、これは回答の中で二九・六%で次に大きくて、アジア諸国の税制が低いとか優遇税制があるとかで海外へ行くというのは八・三%しかないわけですよ。

 ですから、大事なことは、輸出大企業に法人税減税をやっても、円高不況対策にも産業空洞化対策にもつながってこない。企業が海外に出ていくのは、そういう巨大な需要地があることに着目してですから、逆に、円高に振れる、円高でも輸出できるようにということで、国内で雇用者の賃金を下げるとか、あるいは正社員をリストラして派遣に置きかえるとか、下請中小企業の単価たたきをやるとか、これをやればやるほど国民所得が減りますから内需は落ち込んでしまう。今、悪循環にあるわけですね。ですから、これでは国内に投資しても当然利益は見込まれませんから、めどがなければ国内投資をしようということになってこないわけですよ。

 やはり内需を伸ばすには、多国籍企業化した日本の民間大企業に対して、その持っている、海外の方ではだぶついている埋蔵金をきちんと還流したり、あるいは国内に還元させ、それを国民の所得その他に回るように社会的責任をきちんと果たさせる、消費購買力を伸ばすということが最も大事なことなので、先ほど来の議論で、大臣も研究していくということですから、これはぜひそういうことで、どのようにして日本の今直面している問題を解決するのかということについてよく研究していただきたいと思うんです。

 時間が大分参りましたので、内需拡大という点については、官公需問題などについては九月にもやったんですが、一つ、自治体がさまざまな取り組みをやっているんですね。中小企業庁が上にあっても、これは実のところお役所ですから、現場でどれだけ中小企業施策をやるかということが大事です。

 そういう点では、自治体によっては中小企業振興条例をつくったりとか、いろいろやっております。この間も墨田へ見に行ってきたんですが、ここは中小企業振興条例をつくってから悉皆調査をやって、企業台帳を持って支援をずっとやってきているわけですが、そういう振興条例をつくって取り組んでいるところでもなかなか大変なんです。

 墨田の例えばメッキ工場へ調査に行きますと、かつて五十人いらっしゃった。一ドル八十円を切ったとき、三十六人にそのころ減ったんですが、今、円高と、ニッケル、クロム、金、銅など材料費の高騰で、もう七人ですよ。しかし、何とか技術を維持しなきゃいけないということで、七十代になった人でも、いい技術を持っていらっしゃるから、終身雇用でいきますから、通常の終身雇用ももう超えている年齢ですよ、それでも頑張ってもらいたいということでやっているんですね。

 しかし、メッキ工場なんかですと、廃液処理で物すごいコストをかけて日本でやっているんですよ。ところが、発注する企業からすると、たとえ海外でメッキの廃液処理をやらなくて垂れ流しても、安ければいい、当面の利益さえ出ればいいという発想でそっちへ行ってしまうということが、ますます国内の中小企業を痛めつける要因の一つになっているんですね。

 そうすると、廃液処理の設備投資をしたとか、その固定費について、固定資産税の減免とか、さまざまな手段、方法を考えるにしても、この不況の時期を脱出するまで、直接の支援策を考えないと、技術を持ったところ、基盤的技術の集積地が次々とつぶれてしまったら、幾ら大企業にドクターを持った研究者が来ても物はできないわけですよ。だから、そういう点では、やはり振興条例が本当に生きてくるように取り組むことが大事だということで、これは一つ伺っておきたい。

 もう一つは、岩手県の宮古市は、まだ振興条例をつくっているわけじゃないんですが、今年度一年限りの経済対策として、住宅対策ではなくて経済対策として住宅リフォーム制度をつくりました。これは市内業者に限るということになりますが、非常に市民の要望が殺到して、当初予算は五千万円組んで五百件分の予算でしたが、すぐ消化されて、六月の議会と九月議会で一億五千万ずつ補正予算を組んで、合計三億五千万円、三千五百件分の準備をしたんです。これは市の財政の大体一%ぐらいなんですよ。中小企業振興のために、予算の一%ぐらいで、ややこしい条件をつけないで条件を緩和して、総工費二十万円以上の住宅リフォームに対しては、これは住宅リフォームといってもさまざまな名目で皆認めるんですが、一律十万円の補助金を出すというシンプルな制度にしたんですよ。

 これで市内の建設関連業者の仕事がぐっとふえてきた。その結果、さらにそれは波及効果が及びますから、クリーニング屋さんから飲食店やスナックに至るまで、十万円の補助を出したことで、建設業者では平均四十五万円の受注が来る。産業連関表を使って計算すると、波及効果が、三億五千万の予算ですが、十六億円の経済効果が出ておる。しかし、これは今のところ今年度限りになるんですね。

 だから、自治体が振興条例をつくったり、条例はなくても独自に頑張っていこうとしているところについて、口は出さないが財政面では応援する。これは例えば総務大臣などとも相談されたり協力して、特別交付税で考えるか、どういうことで考えるかは別にして、財政的にもそういう中小企業支援の地方自治体の取り組みを応援するということが経産大臣にぜひ取り組んでもらわなきゃいけないことじゃないかと思うんですが、伺います。

    〔楠田委員長代理退席、委員長着席〕

大畠国務大臣 御指摘の、地域の自治体が独自に、地域の振興のために一生懸命考えて予算を組んで頑張っているという事例をいただきました。

 地域の経済の底上げのために自治体が独自にやられるということはなかなか難しいわけですが、今の事例は、まさに勇気を持って予算の一%の三億五千万を投入して、十六億ぐらいの効果を得たという話でございます。

 私も、これまでの、経済といいますか、さまざまな活動の中で、住宅というものが地域の工務店に大きな影響を及ぼし、そして、リフォームすることによって、新たな家具を購入したりカーテンを購入したり家電品を購入したり、さまざまな波及効果があることは理解をしております。

 したがって、経済成長の中にこのような思想を織り込んでいくことは大事でありますし、私自身も、学校の耐震化、あるいは住宅等も、古い住宅については、耐震の診断をしたり、新たな耐震化をしたリフォーム等も必要だと思います。

 そういうものを含めて、地域の工務店の方々が仕事を得られ、そして関連するところの振興のために努めていくことは大変大事だと思いますので、経済産業省としても、御提言の例を踏まえてそのようなことを考えていきたいと思います。

吉井委員 もうこれで最後にしておきたいと思うんですが、実は、産業構造ビジョン二〇一〇あるいは新成長戦略の目次の中に、項目として中小企業憲章というのが載っていますかと聞いたんですよ。そうしたら、ありませんと言うんですよ。閣議決定はされているんです。

 そこで、委員長にぜひお取り計らいをお願いしたいんですが、閣議決定という扱いじゃなくて、中小企業憲章を、ただの閣議決定文章じゃなくて、経産委員会の発議に基づく、国会で決議して、法律に準ずるようなものにして、中小企業政策経費予算についても、せめて一%を実現していくぐらいのことをやはり目指していくべきじゃないか。海外でもうけた分を社会的に還元する、その還元の中から考えれば、金額的に小さいんですね。やはりこれぐらいのことをやっていくということが大事だと思うんです。

 そういう点で、これはぜひ委員長にお取り計らいをお願いしたいと思います。

田中委員長 今の吉井委員からの提案については、理事会で検討させていただき、実現するように頑張っていきたいと思います。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

田中委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。よろしくお願いします。

 まず大臣に、経済産業省の下にありますアジア経済研究所という研究所についてお尋ねしたいと思います。

 アジ研という非常に地味な研究機関なんですけれども、その役割についてどのようにお考えか。そして、これまで足を運ばれたことがおありかどうか、お尋ねします。

大畠国務大臣 山内委員の御質問にお答えします。

 アジ研という名前は、私はよく耳にいたしましたし、アジ研の方とお話をしたことがございます。これは、イラクのクウェート侵攻の折に、日本国内でそのような中東における実態をよく把握している方を私も存じ上げておりませんでしたが、アジ研の中にそのような方がおられまして、国会でもいろいろなお話を聞きながら、対応を検討する上で大変役に立ったと思いますし、私もじかに、アジ研とNEDOとだったと思いますが、NEDOが合流するときに、アジ研の方々からもお話を伺いました。(発言する者あり)失礼しました、ジェトロとの合流だったと思いますが。いずれにしても、ひょっとしたら外務省よりもアジ研の方の方が非常にその地域についてよく存じ上げていたような記憶がございます。

 したがって、アジ研の方々は世界に拠点を持っておられますので、そういう意味では、アジ研というのも、大変大事な、日本の国の進路を考える上で重要な位置づけではなかったかと、当時私はまだ当選して間もないころでありましたけれども、そのような印象を持ったことを覚えております。

山内委員 アジ研の方が外務省より地域事情に詳しい、その点については後で外務省にお尋ねしますが、私も、アジ研というのは非常に日本にとって重要な機関だと思っております。

 戦略がないということをよく政府を批判するときに使いますけれども、戦略というのは非常に便利でよく使われますが、余り明確な定義がない言葉です。戦略の基本の基本は、長期にわたる地道な調査研究であったり、あるいは長期的な分析、そういったことだと思うんですけれども、そういう意味では、アジ研のような機関はほかには余りない、もう経産省だけと言ってもいいと思いますし、国際的にも非常に高い評価を受けていると思います。

 そういった意味では、アジ研というのは国内でもさほど知られていないと思うんですけれども、もっと活用すべきだと思いますし、経済産業省のみならず、ほかの政府機関、例えば外務省系のJICAだったり交流基金であったり、あるいはもしかしたら安全保障に関しては防衛省あるいは内調、そういったところでも活用できる知見というのを大変たくさん持っているのではないかと思います。そういった意味では、日本全体でアジ研を活用していく方法というのを考えていく必要があると思っております。

 その点について、省庁の壁を越えたアジ研の知見の活用ということについて、大臣と外務省とにお伺いします。

大畠国務大臣 私も、今の御指摘の件につきましては、やはり強化していくことが大事だろうと思います。

 各国に大使館というのがありまして、さまざまな形で情報を収集していることは存じ上げておりますが、その当時、アジ研という部署も各地に拠点を持っておりました。その後、さまざまな形で、予算の効率化といいますか、そういう意味で統合されてきたわけでありますけれども、このアジ研というところが、御指摘のように非常に地味な活動を展開しておりますが、重要な情報を得ているということも事実でありますので、御指摘のような形で対応することが望ましいと私は考えております。

山花大臣政務官 JICAで御活躍をされていた経験に基づいての御提案だと思いますので、真摯に受けとめさせていただきたいと思います。

 今御質問いただきましたように、アジア経済研究所というのは、その知見というのがいろいろな役所に対して役に立つという、アジ研という政策研究機関ならではの特色があるのではないかと思っております。

 外務省といたしましては、外交、安保政策の推進など、両者の協力というのは本当に重要であると考えておりまして、委員の御指摘も踏まえまして、外務省としても、アジ研の研究成果をアジアや開発途上国に対する外交を進めていく上での参考にさせていただきながら、同研究所との連携ということについて一層意を用いてまいりたいと思っております。

山内委員 外務省にお尋ねします。

 もちろん、その研究の成果を生かすということも必要だと思うんですけれども、せっかくなので、例えば人事交流、外務省の地域課にアジ研の研究者に入ってもらうとか、大使館の専門調査員はもちろんですけれども、もう既にある程度実績はあると思うんですが、もっともっとそういう政府機関の縦割りの省庁の壁を越えて人が動いていって、例えばインドの専門家、例えばフィリピンの専門家、そういう専門家を政府機関全体でうまく活用していくというか、外務省の中で人材として活用していく、そういうお考え、あるいはこれまでの実績があれば教えてください。

山花大臣政務官 外務省とアジ研の人事交流については、まさに適材適所という前提がございますけれども、これまで、同研究所の出身の方が在外公館の専門調査員等をしてきていただいているということはございます。今後も、知的な交流も含めまして、相互の交流を推進してまいりたいと考えております。

山内委員 ぜひ、外務省との人事交流というのを積極的に推進していただきたいと思います。

 大臣にお尋ねします。

 大臣もアジ研の重要性を非常によく認識されておりまして、私と全く同じ考えであるんですけれども、最近の傾向を見ると、予算も人もちょっとずつ、一律にカットされているのかもしれませんが、ちょっとずつ減っているように思います。

 今後、やはり日本の外交力ということを考えると、その基礎になるのは、単なる思いつきで外交政策や通商戦略を考えるわけにはいきませんから、こういうアジ研の知見も大事ですし、それから、日本のプレゼンスを示すためには、日本から積極的に情報発信をしていくということは非常に重要ではないかと思います。

 例えば、中近東の情報は結構フランスに集まっていくとか、あるいはアフリカ、南アジアの情報は、旧植民地ということもあってイギリスに集まる。そういう世界各国の情報が、例えばパリとかロンドンに行くと集まるということ自体が外交上非常に大きな意味を持って、それが、人口も経済規模も日本の半分ぐらいのイギリスやフランスが非常に大きな存在感を持っている背景にあるんじゃないかと思います。

 そういった意味では、もっと日本からの情報発信、英語やフランス語や中国語での情報発信が必要と思いますし、今のままの体制ではとても予算も人手も追いついていないんじゃないかと思いますので、ぜひ、このアジア経済研究所の人員面、予算面、そして対外的な発信面を強化していただきたいと思いますが、それについて御見解をお尋ねします。

大畠国務大臣 先ほど山内委員の経歴を見せていただきましたけれども、大変幅広い活動を展開されておられます。そういう御自分の体験を踏まえての御質問だと伺っておりました。

 いずれにしても、日本の国は諸外国の情報が不足している、私はそんな認識を持っております。各国はさまざまな形で情報を入手しておりますし、ロイター通信とかタス通信とか、さまざまな形で国が主体的に各国の詳細な情報を入手する手段を持っているわけですが、日本の国は、どうもそういう意味では諸外国の情報を国として掌握するということが弱いようにも私はこれまで感じてまいりました。

 したがいまして、委員の御指摘を踏まえて、私も、経済産業省内でできる限りそのような拡充を図って、経済産業省としてあるいは国として、判断を誤らないような適切な情報収集、そして人の育成にも努めてまいりたいと思います。

山内委員 ありがとうございました。

 続きまして、原子力の国際協力についてお尋ねしたいと思います。

 今、日本とインドの経済連携協定に関して、インド側から原子力分野の協力の期待が大変高いと聞いておりますが、今後のインドとのそういう原子力の協力に関して政府としてどのようにお考えでしょうか。

大畠国務大臣 一昨日、シン首相と総理の会談がございました。私もシン首相と会談をさせていただきました。私も民間企業で原子力発電所の設計に従事し、ずっと取り組んできたところであります。そういう体験を踏まえて、私自身、世界の中でも、日本の原子力発電所は安全性において大変大事なポイントを持ちながら今日までやってきたということも申し上げさせていただきました。さまざまな課題について論議をさせていただきましたが、原子力発電所についても話題として上がり、シン首相からも、今の中で日本の原子力発電所についても大変関心を持っている、こういうお話をいただいたところであります。

 今後、私自身もインドに赴く機会がありましたら、改めてそのような形の経済的な協力関係が結ばれるように努力をしたいと思います。

山内委員 私も、原子力の平和利用に関する国際協力というのは非常に重要だと思っております。ただ、インドに限らず、一般論として、原子力の分野で協力をしていると、平和利用だからといって協力していたはずなのに、その方針が変わって軍事転用されてしまう、そういうおそれは常にあると思います。

 特にインドの場合は、昔のネール首相は核兵器を非難し、インディラ・ガンジー首相は核兵器を保有しないと言っておりましたけれども、それを信用してカナダ政府が原子力分野で協力をしたら、後になって、一九七四年に核実験をやってしまった、そういう事例があります。

 民主国家ですから、政権がかわると方針が変わるというのは考えなくてはいけない、ある意味当然のことですから、今、例えば日本とある国が原子力の平和利用で協定を結んで国際約束を取りつけていたとしても、その後、何年後かに政権がかわったり、クーデターで軍部が力を持ったりして、突然、その原子力の技術を軍事用に転用しないとも限らないと思うんですね。そういうおそれに備えて、軍事転用を防ぐ仕組み、そういった工夫というのは、外務省として、あるいは経産省としてお考えなんでしょうか。

山花大臣政務官 お答えいたします。

 二つの視点があったかと思います。

 一つは、軍事転用の防止ということに関して申し上げますと、まさに日本とインドとの原子力協定という、この協定を結ぶこと自体が、軍事転用の防止ということのために締結をしようとしているものでございます。

 原子力協定について、一般的に申し上げますと、原子力関連の資材等の平和利用に関する法的な保証を取りつけるために締結をするものでございますので、二国間の、バイの関係でその軍事転用をしないようにと、まず保証を取りつけるということ。

 恐らく、委員御懸念の点は、軍事一般の話と、先ほど核実験の話も出ておりましたので、その核の問題もあるのではないかと思いますので、その点も含めて申し上げますと、確かに、インドについては、NPTに加盟しておらず、かつ、IAEAの包括的保障措置協定も締結していないわけですけれども、こうした国であっても、原子力関連品目の移転はNSGガイドライン上禁止されてはいるんです。このNSGの方で、二〇〇八年の九月六日に、核実験モラトリアムの継続とインドの自発的な約束と行動ということを前提にして原子力関連品目の移転を可能にする声明を採択いたしております。

 先ほどお話がありました、その約束と行動ということについてなんですけれども、菅総理の方からも、我が国はインドによるその約束と行動の実施を重視しているという旨を伝達させていただいております。我が国の核軍縮・不拡散に対する強い思いを理解してほしいという旨、伝達をいたしております。

 委員御指摘の点も含めて、核軍縮・不拡散に十分配慮した形での協定の交渉にしてまいりたいと考えております。

山内委員 国際約束があっても、状況が変わると破られるおそれもありますので、ぜひそういった点まで御留意をいただいて協力を進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十九分散会


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