衆議院

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第5号 平成22年11月26日(金曜日)

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平成二十二年十一月二十六日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 北神 圭朗君 理事 楠田 大蔵君

   理事 後藤  斎君 理事 近藤 洋介君

   理事 平  智之君 理事 谷畑  孝君

   理事 西村 康稔君 理事 佐藤 茂樹君

      池田 元久君    緒方林太郎君

      笠原多見子君    金森  正君

      川口  博君   木村たけつか君

      櫛渕 万里君    熊田 篤嗣君

      斉木 武志君    柴橋 正直君

      白石 洋一君    杉本かずみ君

      菅川  洋君    田嶋  要君

      高松 和夫君    中山 義活君

      橋本  勉君    浜本  宏君

      藤田 大助君    松岡 広隆君

      皆吉 稲生君    向山 好一君

      森山 浩行君    山本 剛正君

      湯原 俊二君    吉田おさむ君

      梶山 弘志君    近藤三津枝君

      新藤 義孝君    高市 早苗君

      橘 慶一郎君    長島 忠美君

      西野あきら君    額賀福志郎君

      稲津  久君    吉井 英勝君

      山内 康一君    園田 博之君

    …………………………………

   議員           近藤 洋介君

   議員           鷲尾英一郎君

   議員           吉野 正芳君

   議員           高木  毅君

   議員           梶山 弘志君

   議員           斉藤 鉄夫君

   議員           江田 康幸君

   経済産業大臣       大畠 章宏君

   国務大臣         海江田万里君

   経済産業副大臣      池田 元久君

   環境副大臣        近藤 昭一君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     谷  重男君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           井内 摂男君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西山 英彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           長尾 正彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十六日

 辞任         補欠選任

  笠原多見子君     松岡 広隆君

  白石 洋一君     湯原 俊二君

  花咲 宏基君     藤田 大助君

  皆吉 稲生君     菅川  洋君

  森山 浩行君     向山 好一君

  西野あきら君     長島 忠美君

同日

 辞任         補欠選任

  菅川  洋君     皆吉 稲生君

  藤田 大助君     浜本  宏君

  松岡 広隆君     金森  正君

  向山 好一君     森山 浩行君

  湯原 俊二君     白石 洋一君

  長島 忠美君     西野あきら君

同日

 辞任         補欠選任

  金森  正君     笠原多見子君

  浜本  宏君     花咲 宏基君

    ―――――――――――――

十一月二十五日

 原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案(城島光力君外十名提出、衆法第一四号)

同月十六日

 原子力発電等に関する請願(梶山弘志君紹介)(第二九九号)

同月二十六日

 原子力発電等に関する請願(小野寺五典君紹介)(第三〇一号)

 同(北村茂男君紹介)(第三〇二号)

 同(長島忠美君紹介)(第三一七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案(城島光力君外十名提出、衆法第一四号)

 経済産業の基本施策に関する件(対外経済政策問題等)

 原子力発電施設等立地地域の振興に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 城島光力君外十名提出、原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。近藤洋介君。

    ―――――――――――――

 原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤(洋)議員 原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法は、原子力発電施設等の立地をめぐる環境の厳しさを踏まえ、平成十二年に議員立法として制定されたものであり、原子力発電施設等の周辺の地域について、生活環境、産業基盤等の総合的かつ広範的な整備に必要な特別措置を講ずること等により、これらの地域の振興が図られてきたところであります。

 この特措法は、平成二十三年三月三十一日限りでその効力を失うこととなっておりますが、原子力発電は、そのエネルギー源の供給の安定性にすぐれており、天然資源の乏しい我が国にとって、エネルギー安全保障の観点から重要であること、また、発電過程で二酸化炭素を排出しないことから、我が国として地球温暖化対策を推進していく観点からも、原子力発電の重要性はますます大きなものとなってきております。

 こうしたことから、この法律の有効期限を延長し、引き続き原子力発電施設等の周辺の地域の振興を図っていく必要があると考え、本法案を取りまとめた次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の有効期限を十年間延長し、平成三十三年三月三十一日までとすることとしております。

 第二に、これに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁長官細野哲弘君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、両大臣並びに各党提案者の皆様、大変御苦労さんでございます。

 私ども公明党は、この特別措置法の一部改正案につきまして、賛成の立場から質問をさせていただきたいと思うわけでございます。

 今、提案者から趣旨説明がございましたけれども、十年前に私ども公明党も共同提案者としてこの議員立法につきまして提案をさせていただいたわけでございまして、来年の三月で時限立法として期限が切れるのを今回は単純に十年間延長しようという内容のものでございますので、私どもは賛成をさせていただきたいと思います。

 特に、原子力発電の重要性というのはますます大きくなってきていると私どもは認識をしておりまして、一つは、天然資源に乏しい我が国にとって、エネルギーの安全保障という観点からも、原子力による発電というのが我が国の電気の安定供給に欠くことができないものであるという観点とともに、もう一つは、時代の要請である地球温暖化対策を推進していくという観点からも、原子力発電を安定的なものにするというのは非常に意味があると思うわけです。

 その発電の推進に資するため、この提案理由の中にも、十年前にもございましたけれども、原子力発電施設等の周辺の地域について、地域の防災に配慮しつつ、生活環境、産業基盤等の総合的かつ広域的な整備に必要な特別措置を講ずること等により、これらの地域の振興を図る必要があるという判断から、私どももこの改正案には賛成をさせていただきたいと思うわけです。

 きょうは、まず最初に、民主党の提案者にお伺いをさせていただきたいと思うわけですが、今申し上げましたように、今回は十年間の単純延長という内容になっているわけでございます。しかし、十年前を振り返りますと、民主党は、この特措法に対しまして三点の反対理由を討論で述べられて反対をされたわけでございます。その反対討論者は、今民主党の筆頭理事をされている後藤委員が三点述べられているわけです。ここに議事録がきちっと残っているわけです。

 要するに、反対の第一の理由としては、「原子力防災及び安全性確保のためのインフラ整備を中心にするといいながら、立地地域の全体の振興を図るというものになっており、真に実効ある原子力防災対策に資するものとなっていない点であります。」ということを言われました。第二の理由は、「地方分権、補助金行政、電源三法などのあり方についての議論を十分経ていないことであります。」ということを二点目に言われました。反対の第三の理由は、「本法案がばらまき公共事業の推進法案となっていることであります。」ということを述べられました。

 詳しくは十年前の、この商工委員会の平成十二年十一月二十八日の議事録を見ていただいたらいいかと思うんですけれども。

 私は、今回、十年たって、当時野党でしたが今は政権与党になったので変えましたということでは、これは後世の歴史の検証にたえられる話ではないと思うんですね。このときに反対理由を三点述べられて明確に反対をされていたのに、今度は全く内容は変えずに十年間単純延長というものに百八十度態度を変えて賛成されるということについては、党内でどういう議論をされて賛成に、賛成だけではなくて提案にまで回るということについて、どういう理由からそういうことにされたのか。あの十年前の三つの反対理由を挙げて反対したことは、やはり判断が間違っていましたと明確に認められるのか。そういうことも含めて、反対から賛成に回り、提案までされるという、その態度変更の理由について民主党提案者の明確な答弁を求めたいと思います。

近藤(洋)議員 佐藤先生の御質問にお答えいたします。

 まずもって、この十年間の変化について国会の場で答弁をする機会をいただきましてありがとうございます。

 そもそも民主党は、十年前当時、原子力発電を過渡的エネルギーと位置づけておりました。率直に申し上げて、当時、原子力発電についてさまざまな党内の議論がございまして、原子力発電の位置づけがきちんとされていなかったという状況だったかと思います。

 過渡的というのは、過渡的にやめるエネルギーなのか、それとも、すべてエネルギー源は長期にわたるものですから、百年単位で過渡的と見るのか、両方から見られる表現で位置づけてきたというのが当時の民主党でございました。この慎重な原子力発電に対する姿勢が当時の判断の根底にあった、このように考えているわけでございます。

 以来十年間、我々民主党は、政策議論の積み重ねをしてまいりました。その中で、きょう大畠経産大臣お見えでございますけれども、大畠大臣のもとで、党内でエネルギー戦略委員会をつくり、また、総合エネルギー調査会の中で、原子力については、エネルギーの安定供給の確保、また世界的にも温暖化対策として十年前と比較にならないほど重要性が増していることから、安全性を第一として国民の理解と信頼を得ながら原子力発電については着実に取り組む、すなわち、原子力発電を基幹エネルギーと位置づけたところでございます。

 また、この六月、政府において決定をいたしましたエネルギー基本計画におきましても、民主党政権の中で閣議決定をしたこの計画におきましても、二〇三〇年までに十四基の原子力発電所の新増設ということも盛り込んでいるところでございます。

 原子力発電の着実な推進に当たっては、特に立地地域の皆様の御理解と信頼を得て進めていくことが重要であり、同時に地域の振興を図ることが引き続き重要であります。また、振興計画に位置づけられているにもかかわらず、厳しい財政状況で未執行の事業も大変多いことでありますから、期限切れが起きたらば、地域においても大変な混乱が生じることが予想されます。したがいまして、単純延長をする必要があると判断した次第であります。

 また、この予算の執行については真に地域にとって意味のある事業となるよう、省令等について、これは公明党の皆様も含めて、自民党の皆様も含めて、国民新党さんも、提案の各党でフォローアップをしっかり議員ベースでも政党ベースでも進めていきたい、このように考えているところでございます。

佐藤(茂)委員 私は何も民主党さんをいじめようと思って言っているんじゃなくて、今回、本当に十年前と全く違う対応をされる、その考え方の根底というのを今明らかにしていただいたと思うんです。要するに、あの時点では過渡的エネルギーととらえていたものを、きちっと議論して原子力発電というのをやはり基幹エネルギーとしたんだという、そういう経緯が根本にあろうかと思います。

 それで、あわせて大畠経済産業大臣に伺いたいと思います。

 大畠大臣は、今、原子力発電を含めたエネルギー行政を担当する大臣でございます。しかし、十年前の商工委員会では、大畠大臣が、先頭を切って反対の立場から疑問を投げかける質問を、民主党を代表してがんがん当時の提案者に質問をされているわけですね。

 その中で、例えば代表的なものを抜粋すると、「最初に、ただいまこの提案理由説明をいただいたわけですが、これだけではよくわからない。」こういうようにも言われています。

 二点目には、「議員立法でこれはやろうという話は聞きましたが、こんな程度では、原子力の立地の地元が、ではやりましょうなんという話になるような内容ではないと思うんですよ。」そういうふうにも言われていました。

 三番目は、「ばらまきじゃないかな、そういうふうな気持ちがあるから、そういう答弁になってくるのだと思う。」そういうようなことも強調されていました。

 四点目、これは大きな課題としてそうなのかもわかりませんが、「原子力立地県の避難道とか避難の施設を整備するためにこうしますよという、そんなものだったら大いに私は賛成なんですけれども、そこら辺がどうも見えない。」そういうような指摘もされています。

 最後に、「今お話を斉藤さんからいただきましたが、」今提案者の一人の公明党の斉藤さんです、「いただきましたが、これだけのものではとても防災の整備に十分とは思えないのです。少しはできますが、防災を強化するためというには余りにも少な過ぎるのじゃないか、不十分じゃないかなと思います。 今の質疑を通じてもまだ私の頭の中はもやもやがとれません」、そこまで強調されて、最後には民主党の一員として反対をされたわけです。

 今、原子力発電を含めたエネルギー行政を預かる担当大臣として、そういう十年前の頭の中のもやもやは当然とれておられるんだろうと思うんですけれども、十年前に反対論をとうとうと展開されたその政策論をどのように政策的に乗り越えておられるのか、今回のこの特措法の改正案に対して大臣はどういうように考えておられるのか、大畠大臣の見解を伺いたいと思います。

大畠国務大臣 きょうは、御質問をいただきましてありがとうございます。私も、久々に、十年ぶりに私の委員会での発言の議事録を読ませていただきました。

 当時、一九九九年の九月三十日にジェー・シー・オー事故がありまして、お二人の方が亡くなられるという大変な放射線事故があったわけです。それで、その当時、私も夕方地元に電車で戻ったわけですが、それ以来、常磐線も全部ストップしましたし、高速道路もストップしました。そして、住民の方々も、基本的には三百五十メーター以内の方は全部退去をし、余り出歩かないようにということで、たしか十キロ圏だと思いますが、そこでは移動しないようにという、そんな措置がとられたことを覚えております。同時に、避難するという意味で道路の整備が重要である、こういう観点から当時の梶山静六先生等々と一緒にこの問題についても対応したところであります。

 翌年の十一月に、臨時国会で、この法律案でありますが、まず、与党のみで提出されたということがございました。私は、原子力対策というのは、決して与党のみあるいは野党のみというんじゃなくて、まさに超党派で対策すべきものだろうと思っておりましたが、このとき、この法律案が出されてまず感じたことは、地元の方々にとって本当にこの法律案で十分なんだろうか。当時、国道六号というものが片側一車線ずつの二車線、拡幅工事はありましたが、これで本当にできるんだろうか、そんな話も出てまいりました。そして同時に、翌年、たしか選挙を控えていたと思いますが、そういう意味ではばらまきに当たるんじゃないか、そんな懸念もございました。

 そういう意味で、さまざまな観点から党内で論議をして反対するということになったんですが、この十年間の措置等を見ておりますと、この法律案が、きちっと、そのような懸念というものはない形で、実効ある形で行われている。しかし、まだ不十分である。そういうことで、十年間延長することには、私自身としても、今はもやもやがとれて、すっきりした形でこの法律案を受けとめているところであります。

佐藤(茂)委員 そこで、今、十年間のお話がございましたけれども、海江田担当大臣にお伺いをしたいんですが、要は、この十年間の特別措置法に基づく施策について、担当大臣として、また政府として、その実績と効果をどのように見ておられるかということでございます。

 きょうは、資料をお手元にお配りしたわけでございますが、これは内閣府の資料でございますけれども、法七条、八条、十条、それぞれに基づく実績を、数字として、この五年間、平成十六年から二十年度の特例措置状況ということで出しております。

 それぞれ一つ一つやっていってもいいんですが、特にこの法七条の国庫補助金、交付金の実績というものを例に出してみましたときに、五年間で全国で一千二億六千九百万円でございます。そのうち、一言で言うと、地域格差が各県ごとに結構あるということをまず指摘したいと思うんです。

 島根県は二百十二億六千三百万円、その次に福井県が百三十七億七千百万円、青森県は百三十七億三百万円、こういうことでございますが、逆に、一番上の北海道を見ていただくと、ゼロ円でございます。さらに、愛媛県は一億六千八百万円というように、各県の地域格差がこの一覧表を見ても明らかになっているんですが、政府としてこの特措法の十年間の実績と効果をどのように認識されているのか、海江田担当大臣にお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 佐藤委員にお答えを申し上げます。

 私も佐藤委員の提出資料を拝見いたしました。御指摘のとおり、かなり大きなばらつきがあることは事実でございます。

 これだけばらつきがある一番大きな理由というのは、何といいましても、振興計画自体を各都道府県がまず出さなければいけないということでございますから、各都道府県がそれぞれの事情があってこういう結果になったんだろうと思います。

 ただ、各都道府県が、こういった議員立法による法律があって、こういう中身があるということの周知徹底などもまだ少ないのかなというふうに思っておりますから、各都道府県においてはそれなりの効果があったと思っておりますが、必ずしも十全、万全だとはまだ言えないような状況にあると認識をしております。

佐藤(茂)委員 今答弁がございましたように、都道府県からの振興計画の問題もあろうかと思うんですね。それで、私は、十年間やってみて、さらに今後の十年を考えていくときに、都道府県よりも本当にその立地地域である市町村の御意向というのが、都道府県を通じてどこまで反映されているのかという、そこに着目していかないといけないんだろうと思うんです。

 現行法の第四条の第二項でもそのことは言われていまして、「都道府県知事は、」「振興計画の案を作成しようとするときは、関係市町村長及び振興計画に基づく事業を行うこととなる者の意見を聴かなければならない。」と規定されているんですが、都道府県内では立地地域と非立地地域が混在している場合が結構多いんですね。例えば、私どもの大阪府なんかでいうと、熊取町と泉佐野というのは立地地域なんですけれども、そのほかの市町村は全くそういう対象にはなっていない、非立地地域なんです。

 地域の実情はやはり地域でということで考えていくと、きめ細かい立地振興を行うという観点でいくと、振興計画案策定において都道府県という広域よりも市町村の意見というものをどこまできちっと反映させるか、さらに十年延ばすときにはさらにきめ細かく反映させていく努力をしていかないといけないと思うんですけれども、やはり市町村との誠実な協議が行われるような配慮もしっかりとやっていくような運用上の工夫をしていかないといけないのではないかと思っているんですが、もともとの議員立法の法案提案者にこのことについての見解を伺いたいと思います。

斉藤(鉄)議員 公明党の提案者の斉藤鉄夫でございます。

 初めに、十年前の原案の提案者といたしまして、今回、各党の御努力によってこういう形でこの法案が提出されるに至ったこと、心から感激をしておりますし、各党のこれまで御努力をいただいた方に心から感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 今、佐藤委員の御質問で、都道府県知事は振興計画の案を作成しようとするときは関係市町村長及び事業者の意見を聞かなければならない、このように法案で規定をいたしました。法案提案者としてはここまでしか書けないわけで、これから先はまさに行政の範疇になるわけですけれども、提案者といたしましては、この振興計画をつくる際に、市町村と、一番苦労されている市町村の意見を、例えば避難をするのにどこが一番ネックになるのかということがよくわかっている市町村と連携をしながら、その意見をよく聞いてこの振興計画を立てられることを強く期待をしているということでございます。

佐藤(茂)委員 もう一点。

 この十年間の各地域の変化で一番大きなものは、いわゆる平成の大合併というのが行われまして、平成十一年四月時点には三千二百二十九市町村あったのに、この三月末には千七百三十市町村と、合併で数自体減ってきた。それが各地域の状況が大きく変貌した一つの大きな要素だと私は見ているんです。

 ですから、従来指定地域でなかった地域も含めて、合併市町村という大きなものになって、合併市町村全域を一体として振興していく必要が出てきている、そういう地域が結構ふえてきていると思うんですね。それを都道府県知事が判断した上での立地地域の変更の申し出等、今までもあったと思うし、これからも出てくると思うんですけれども、国はそういう必要な政省令改正などの部分で変更手続をなるべく簡素化して、立地地域の負担を軽減するというようなことも当然これから図っていくべきであると思うんですが、提案者のお考えをお伺いしておきたいと思います。

斉藤(鉄)議員 今、佐藤委員からお話がございましたように、第三条の第一項に、「市町村の区域が隣接すること等により自然的経済的社会的条件からみて一体として振興することが必要であると認められること。」これがいわゆる指定地域の要件として書かれております。この大合併で一つの町村になるというのは、ある意味で経済的社会的一体性ということに当てはまろうかと思います。そうした市町村については、この立地地域の指定の変更が適切になされるべきであり、その手続が煩雑であってはならない、このように思います。

 提案者としましては、この手続の変更がスムーズに行われるように期待をしているということでございます。

佐藤(茂)委員 以上、限られた時間で質問をしてまいりました。やはり原子力立地地域が、防災にも配慮しながらの地域振興がこれからもしっかりと図られるように、私ども立法府の一員として責任を持ってこれからもこの法律がしっかり施行されるようにフォローしてまいりたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

田中委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 最初に、原発の安全管理にどう取り組むかということについて政府参考人に伺っておきたいと思います。

 かつて四国の多度津に大型起振台があって、本来だったら、ここで老朽化した原発なんかを実証試験ができたんです。三百億円かけてつくった施設を三億円で売り飛ばしたんですね。スクラップにしてしまって、もったいないことをやったわけです。ですから、老朽化してくる中で、現在まともに原発の安全性を実証する装置がないんです。それだけに、溶接部検査漏れが今問題になっておりますが、こういうことがあっては本当に大変だと思うんです。

 まず政府参考人に伺っておきたいのは、PWRの再循環ポンプやECCSにかかわるバルブなど、本来溶接検査をしなければならないのに検査していなかったものは、PWR、BWR、濃縮ウランプラントなどでそれぞれ何件あったのか、数字を伺っておきたいと思います。

    〔委員長退席、平(智)委員長代理着席〕

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 ことしの七月に日本原子力発電株式会社から、敦賀発電所一号機におきまして、供用期間中検査の計画に……(吉井委員「細かいのはわかっていますから、数字だけ」と呼ぶ)はい。そういうことがございまして、それをきっかけに、各電気事業者に対しまして、同様の検査漏れの事案がないのか確認するよう指示を行ったところでございます。

 十一月の十二日までに全電気事業者からその調査結果の報告が上がってきたところでございますけれども、そのうち、溶接漏れがありましたのは、原子力発電所計二十一基におきまして、弁あるいはポンプの支持部材、支持部等、そういったところで七十四機器、溶接部の数にいたしますと百三十九カ所について、検査の対象から漏れていたということが判明したところでございます。

 また、独立行政法人原子力安全基盤機構が実施しております核燃料施設のうちのウラン回収容器に係ります溶接検査におきまして、ウラン回収容器六基の溶接検査の一部が未実施であったという報告を受けたところでございますが、いずれも、検査は御指摘のとおりでございますけれども、漏えい試験あるいは外観点検その他によりまして溶接部の健全性は確認されておりまして、直ちに安全上の問題が生ずるものではないということは確認したところでございます。

吉井委員 要するに二十一基で二百三十九カ所、溶接漏れがずっと続いてきたと。

 運転開始以来、四十年間全く検査していない原発もあったんじゃないですか。

寺坂政府参考人 検査漏れの箇所は百三十九カ所でございますけれども、御指摘のとおり、最初にございました日本原電の敦賀発電所の一号機に関しますものにつきましては、四十年以上、当初の、製造時点での検査以降はなされていなかったということでございます。

    〔平(智)委員長代理退席、委員長着席〕

吉井委員 ああ、そうですね、百三十九ですね。

 それで、大畠大臣に伺っておきたいんですけれども、溶接箇所というのは熱応力ひずみが残ったりとか劣化が進みやすいところだと思うんですが、だからこそ、定期的に探傷検査や超音波検査を義務づけているんじゃありませんか。

大畠国務大臣 吉井委員の御指摘のとおり、溶接部というのは応力が集中する可能性の高いところでありまして、したがって、配管の継ぎ目、あるいはバルブと配管の継ぎ目とか、溶接部については検査対象としているところであります。

吉井委員 先ほどの寺坂さんのお話のように、検査をしたから大丈夫だったという話じゃなくて、とりあえずはそのときは大丈夫だった、しかし運転中にそれが劣化して大きな事故になるということがあり得るからこそ検査を義務づけているわけですよ。

 それで、大畠大臣にもう一つお聞きしておきたいのは、検査漏れ箇所にかかわって、ECCSのバルブの弁の破損とか再循環ポンプの溶接部の応力腐食割れの問題などは従来からよくあるわけですが、これは、破損する場所とか規模によっては過酷事故にもつながりかねない重大な問題を持っているからこそ、致命的な問題を持っているからこそ、定期点検のときにきちんと検査しなさいと義務づけているんじゃありませんか。

大畠国務大臣 御指摘のとおりでございます。

 今回の事案について私も話を伺いましたが、バルブ等々の製造をしている部署と十分な情報交換というのが不足していた、そういうことから溶接部というのが認知から抜けていたということで事業者から報告があったわけでありますが、私の方からも、十分な注意をして、溶接箇所というものが抜け落ちることがないように改めて指示をしたところであります。

吉井委員 きょうは溶接だけでとどめておきますけれども、九州、中国、四国電力などでは既に、バルブそのものがずっと検査抜きでやってきたというものが出ていることは、これは保安院の方でも今取り組んでいらっしゃるところであります。

 次に、海江田大臣に伺うようにしたいんですが、一九九五年の「もんじゅ」事故と、最近も、点検試験運転中に致命的なナトリウム中への機器の落下事故などで、「もんじゅ」にしても運転のめどが立っていないわけです。六ケ所再処理工場も延期を繰り返しております。めどが立たない。

 高速増殖炉「もんじゅ」がうまくいかないから、とりあえずつなぎでプルサーマルでやりましょうというわけですが、これはやればやるほどプルトニウムがたまるばかりなんです。国際的にこれは核拡散の疑惑を持たれてしまうという重大な問題を持っておりますし、高レベル放射性廃棄物の最終処分場も決まらない。簡単に言えば処分技術そのものがまだ未確立なんですが、大体数万年先の、プルトニウムですと半減期が二万四千年ですから、鹿児島の上野原遺跡から今までが一万年ですから、その二・四倍なんですよ、縄文初期から比べても。とてもじゃないが、そんな試験は簡単にできないんですが、技術的にもめどが立っていないんです。

 だから、核燃料サイクルが成立していないわけですが、それでも原発推進に走るために、エネルギー特別会計の立地交付金のほかに、この特別措置法による立地交付金なんかがばらまかれるといいますか、これはある党の党内議論の中でやってきたことは十年前に御紹介しましたが、ばらまかれてきました。

 そこで、海江田大臣に一例を伺っておきたいんですが、まず、小中学校建設というのは公共事業じゃないかと思うんですが、どうですか。

海江田国務大臣 吉井委員にお答えをいたします。

 公共事業の定義もいろいろありますが、公が公のためにやる事業ということですから、私は公共事業だと思います。

吉井委員 そこで、政府参考人に伺っておきたいんですが、これは一例ですが、二〇〇七年度に建設した北海道泊中学校改築工事費、これは十一億三千六百九十九万円だったと思うんです。それから、二〇〇六年度に行った青森県大間小学校の校舎建設事業費は十億三千五百二十六万円だったと思うんですが、これはそのとおりですね。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 二〇〇七年度に実施しました泊中学校の改築事業につきましては、この年の総事業費十一・四億円のうち十一・二億円、それから二〇〇六年度の大間小学校の改築につきましては、総事業費九・七億円について交付金を交付しております。

吉井委員 今資源エネルギー庁からお答えいただいたんですが、要するに、これは電源立地地域対策交付金事業で出したお金なんですね。

 これは海江田大臣に伺っておきたいんですが、そもそも、この泊中学校とか大間小学校というのは、公共事業であれば、本来文部科学省予算でしょう。非公共事業として電源立地地域対策交付金で実施されてきているわけですね。なぜ公共事業である小中学校建設が非公共事業となるのか。先ほど大臣は公共事業だとおっしゃったんです。私もそう思うんです。なぜこれが非公共事業になるのか、伺っておきたいと思います。

海江田国務大臣 私は、公共事業にもいろいろな定義がありますが、学校の校舎等を、学校の施設を建てることは公共事業だろうというふうに思いましたので、そのようにお答えをいたしました。

 それから、今審議中のこの法律案では、先ほど来お話がありますように、きっかけになりましたのが、大きな事故があったということで、その事故からどうやって住民、とりわけ、学校関係でいえば児童という、本当にとうとい命を守るかということにおいてこの法律がつくられて、そのための防災の道路でありますとか漁港でありますとか、そういうものの整備、その中にやはり学校の施設も入ろうかと思いますので、そういう観点からの工事ではないだろうかと思われます。

吉井委員 この法律の方は、電源立地対策交付金という、電源三法交付金に基づく特別会計とは別に、普通事業に対するかさ上げ措置なんですよ。そこで伺っているんですよ。

 学校建設は公共事業なんです。公共事業となりますと、本来、学校だったら文部科学省が出さなきゃいけない、道路だったら国土交通省の所管になっているんです、漁港であれば農水省とか、いろいろなところがかかわるにしても。ところが、電源三法交付金というのは、非公共事業でないと出せないということになってきたわけです。しかし、小学校や中学校の建設に、この電源立地対策交付金というのは、これは要するに私たちが払っている電気料金でつくられているんですよ。

 本来だったら、学校というのは、それはおっしゃるように、原発立地地域だから、万一、原発がチェルノブイリのような事故をやったときでも大丈夫なような装置のついたものにしましょうとか、少々高くつくにしても、それは文部科学省が出すべきものでしょう。文部科学省が出すべきものを、電源立地対策交付金事業とするために非公共事業としている、これはちょっとおかしいと思わはりませんか。

海江田国務大臣 先ほどの資料、皆様方のお手元にお配りをしてございます資料にも学校の施設というものが入ってございます。その意味では、特に、先ほどもお話をしましたけれども、学童の生命、安全を守るということは大切だろうということで入れられたものだと私は思っております。

吉井委員 先ほどの資料、多分、佐藤議員が配付された資料だと思うんですが、あれは地方交付税その他で、地方で措置するときに必要なお金の、国は普通五割負担の場合ですね、さらに十分の一を上積みしましょうというのが今度の法律なんですよ。私はそのことを言っているんじゃないんです。

 そもそも、それと電源立地対策交付金と二本立てでやるわけですね、そのほかにもありますが。そのときに、やはりそれはおかしいんじゃないかということを言っているんです。それで、おかしいことはわかってはるから、幾ら答弁しようにも答弁しようがないんですよ、この話は。

 原発依存で地域経済と自治体財政がうまくいくのかという問題が次に出てくると思うんです。泊原発のある泊村を調べてみると、歳入総額が四十億円ですが、そのうちエネルギー特会から出ている立地対策交付金が十六億円、つまり四〇%依存しているんです。島根原発のある松江市を見ると、歳入総額九百六億円のうち、国からの電源立地交付金が七十四億六千三百万円で八・二%です。かつては、原発ができたときは固定資産税が多かったんですが、償却が進んでどんどんどんどん減ってくるわけですね。それにしても、固定資産税が二〇〇七年度では半減しましたが、百十七億で一三%あるんですが、そのうちのかなりのものは原発が占めていることは確かなんです。

 今度の特別措置法第七条関係の、全国の原発立地県にひとしく回るはずの道路、漁港、義務教育施設の交付金のかさ上げ措置、そのうちの二〇%が島根県に特別にたくさん行っているわけですね。電源立地交付金や特別措置法の交付金に依存しないと自治体が成り立たないというところへ来ているというのが現実の姿だと思うんです。

 ことし五月二十五日から福井新聞が「「原発マネー」四十年」というシリーズ企画を載せました。そこでも、原発交付金を元手に建てた箱物の維持管理費が膨らみ財政が硬直化していると高浜町の例を紹介しています。さらに続けて、「交付金が産業や地域の自立を促すより、むしろ依存度が強まる傾向にある。」ということも指摘して、地元住民の声として「原発マネーは麻薬みたいなものだ」と紹介しています。

 海江田大臣に伺っておきたいのは、原発依存とか交付金依存の体質にして、地域経済や自治体財政が自立的に発展していくことになるんだろうか、このことについてのお考えを伺っておきます。

海江田国務大臣 私も、この職務につきます前から原発の立地地域の幾つかを視察してまいりました。その中で、委員がおっしゃるような問題意識を持ったこともございます。それから、この問題は、確かに今、原発のことで議論をしているところでございますが、日本の地域、大都市圏でない地域がやはり全体的に大変大きく疲弊をしているということもございます。

 私の仕事は、原子力の問題に責任を負うということと同時に、日本の経済全体をどうやって活性化するかということについても責任を負わなければいけない立場でございますから、その意味では、やはり地域が自立的に、それこそ自分たちで自分たちの地域をどうやって活性化しようかということをお決めいただくということが地方経済を立て直すかなめだと思っておりますので、ここはひとつ、確かに原子力発電の立地についてはそういった形でいろいろな手当てがあるわけでございますが、私は、できるだけ地域の方たちが衆知を集めて、そして自分たちの地域がどうやったら発展をしていくかということをお考えいただきたい。そして、そういう方向性が出てきたところで、国としてもしっかりとそうした方向性について後押しをしたい。原発の立地についても、原子力に関する支援というものはワン・オブ・ゼムにしてもらいたい、していきたい、そのように思っております。

吉井委員 全国の核施設の集中したところ、青森県で六カ所とかむつ市とか、むつ市は今、地方財政健全化比率八・五九%で、実質赤字比率全国ワーストファイブです。東京電力福島原発の双葉町、実質公債費比率二九・四%で全国ワーストファイブと、借金比率が高くて財政赤字、財政再建団体寸前というところへいっております。

 そこで、交付金が切れて財政破綻になると、新しい原発の増設を認めて次の原発交付金に依存してしのいでいこうという、これでは自立した地域産業の振興はないまま推移していっているわけですが、それが現実です。

 実は、太陽から地球に降り注ぐエネルギーというのは四千三十ゼータジュール、これは一年間ですが。ウランが今、埋蔵量が千五百万トン、地球上にあるものが。全部使い尽くしても、これは約八ゼータジュールぐらいなもので、仮に高速増殖炉がうまくいったとして、その六割を使ったとしても七百二十二ゼータジュールです。ウランだけですと約八ですね。いずれにしても、大体数十年から数百年ぐらいしかもたない過渡的なエネルギーなんですよ。やはり再生可能エネルギーの爆発的普及に備えて、また普及させるためにやらないと、そして、その仕事を地元の業者が取り組む仕組みをつくらないと、自立した地域経済や地域社会がつくれないし、地元の産業や住民から安定した税金も入ってこない。

 だから、海江田大臣に最後に伺っておきたいのは、原発に依存しないで、再生可能エネルギーの爆発的普及のための仕組みをつくって地域経済の再生を考えていかないと、将来的な日本の展望は描けないと思うんですが、この点について大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

海江田国務大臣 今、青森県の六ケ所村の問題が出ましたが、私もあそこへ行きましたら、六ケ所村の原子力の施設へ行く手前のところで、丘の上に風力発電の発電機が、かなり規模の大きなものが並んでおりました。だから、その意味では、青森県あるいは六カ所村の地域の方たちも、原子力だけでなく、そういう自然エネルギーを利用した発電などにも力を入れているところでありまして、私は、吉井委員が指摘をされた点は、まさにこれから日本全体で、とりわけ原子力発電の立地の地域の方々が考えていかなければいけない一つの問題だろうというふうに思っております。

 ただ、一つだけ付言をいたしますと、先ほど六ケ所村の問題で、核の拡散につながるんじゃないだろうかという御発言がありましたが、あそこはやはり、行ってみますと、IAEAの職員がしっかりと二十四時間体制で監視をしておりまして、その意味では、核の拡散につながるというような懸念はないというふうに確信をしておりますので、間違ったメッセージが伝わるといけません。今、東アジアの核の問題は大変ナーバスな問題でございますので、あの地域に限ってそういうことがない、その体制を十全にとっておるということだけは申し添えておきます。

吉井委員 時間が参りましたので、もう質問じゃなくて、最後に申し上げておきますが、皆さん方が所管している原子燃料政策研究会で、原子炉級プルトニウムでも核兵器をつくれるんだという報告書をまとめております。ですから、軽水炉をどんどんやるということは核拡散につながっていくという危険を十分考えなきゃいけないということを心にとどめておいていただきたい、このことを申し上げて質問を終わります。

田中委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 私は、基本的には原子力発電は環境の点でも必要なものだとは考えております。ただし、周辺地域の産業基盤あるいは生活環境よりも、もっと安全対策、防災インフラ、そういったものに予算を振り向けていく必要があるのではないか、そういう問題意識を持って質問をさせていただきます。

 最初に経済産業省にお尋ねしますが、今北朝鮮の情勢が大変緊迫化しております。こういう緊迫した中で、例えば原子力発電所へのテロ攻撃への警戒を強化する、そういう指示はお出しになりましたでしょうか。

大畠国務大臣 山内議員から御質問を賜りましたが、テロに対する警戒を指示したかということでありますが、私もそのようなことを念頭に置きながら対策の強化を指示いたしました。

山内委員 具体的にといっても答えられない分野かもしれませんが、ただ、今の原発の警備体制は、どちらかというと事業者が中心になって体制を組んでいると思いますが、今の状況、今の警備体制でテロの攻撃に対して十分対応できるとお考えでしょうか。現状認識をお尋ねします。

大畠国務大臣 これは、委員も御存じのとおり、九・一一以降、日本国内の原子力発電所に対するテロというものを想定して、その対策の強化というものをその時点以降図ったところでありまして、今回についても、この事件を受けて、各原子力発電所に対して、警戒の強化の中にテロというものの対策をしっかりとするようにという指示もしたところであります。

 なお、前々から計画をしていたところでありますが、本日十時五十分から、北陸電力の志賀原子力発電所で、テロリストによる強行突破があったと想定した対応訓練を実施いたしております。これはもともと計画があったものでありますが、この訓練というものを通して得たことをほかの原子力発電所の警護、警備の方にも十分反映して、十分な体制をとるようにしていきたいと思います。

山内委員 警備の強化を指示といっても、現在いる人に指示をするだけだと、今いるマンパワーがより忙しくなるだけだと思いますので、具体的に人をふやすとか予算をふやすということが必要だと思います。特にこういう状況でもありますので、例えば、予算要求のときに、今ある予算案を出し直してでも、もっと人を張りつける、もっと予算をつける、そういうお考えは来年度予算に対しておありでしょうか。

大畠国務大臣 現時点で、テロ対策の強化に向けて予算づけ、こういうことについてはまだ検討しておりませんでしたが、委員の御指摘等も踏まえて、また志賀原子力発電所での訓練等々を踏まえて、強化すべきところについては検討してまいりたいと思います。

山内委員 私も、きのう役所の方からレクを受けましたら、機械の警備、民間警備会社を使った警備あるいは警察の警備、いろいろ努力はなさっているのはよくわかりますけれども、何となく、事業者に非常に大きな割合というか、事業者が安全に責任を持っている割合が非常に大きくて、国の関与が、むしろこういう分野ではもっと国が関与するべきだと個人的には思っていますので、ぜひそういった面で力を入れていただきたいと思います。

 次に、原子力発電のコストということについてお伺いします。

 原発のコスト、もちろんコストだけで原子力発電を推進しているのではないのはよくわかります。CO2の削減あるいはエネルギー源の多様化、いろいろな理由があると思いますが、コストも非常に重要な要因であると思います。

 ただ、今、よく電力会社が発表している原発の発電コストを見ると、立地に関する費用とか、あるいは国が別のいろいろな用途で出している費用をカウントせずに、ワット当たり幾らみたいな計算をしているように感じるんです。

 余りにも原子力発電にばかりお金を入れてしまうと、自然エネルギーとかもっとほかの発電手段に対する投資がおろそかになる、そういう懸念があるかと思うんですが、今の原発コストはきちんと実際のコストを反映したものになっていないんじゃないか、そういう指摘に対してどうお考えでしょうか。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 原子力全体の評価について、セキュリティーでありますとかCO2の効果等、総合的に判断すべきという御指摘はそのとおりと思います。

 その中でもコストという意味でお尋ねがございましたので、その観点についてだけお答えを申し上げます。

 原子力発電のコストにつきましては、平成十六年の総合エネ調の電気事業分科会コスト等検討小委員会の報告がございます。これによりますと、一定の前提を置きまして、例えば割引率三%、稼働率八〇%というような前提を置きながらでございますけれども、そのもとでキロワットアワー当たりの単価を見積もらせていただきました。このときに、五・三円というのが原子力発電のコストでございます。再生可能エネルギーのほかの諸元に比べましても相対的に低いものと認識をしております。

 トータルの発電コストという御指摘でございました。これは、定義にもよりますけれども、電源開発に関係する費用といたしましては、御指摘の、国からの地域振興関連費、あるいは警備の関連費もあろうかと思いますけれども、ほかに研究開発費でありますとか広報費などもございます。費用項目としてどこまで含めるかということについての範囲を画することでありますとか、あるいは横断的費用についての電源ごとの切り分けというようなことについては、試算することには非常に困難があることも事実でございます。

 したがいまして、発電コストの試算という場合には、運転維持費あるいは燃料費というような、発電に直接必要なコストということを考慮して計算をさせていただいております。

山内委員 直接発電にかかるコストだけで計算をすると、原子力発電というのは実際よりも安くコストが見積もられてしまうんじゃないかなと思います。そういった意味では、自然エネルギー、火力発電、水力発電そして原発、いろいろなエネルギー源をきちんと評価するためには、もう少しコストの計算のやり方自体をちゃんと国として研究開発してつくっていかないと、費用対効果も比較できないと思うんです。

 そういった意味では、今の直接経費だけで原発のコストを見積もる、そういう発想はそろそろ改めていって、もっと自然エネルギーの推進、民主党政権でも言っているわけですから、そういった面を重視して、今のコストが実際よりも大分安くなっている、そういう懸念を持たれていますから、正確なコスト、何が正確かは定義によりますけれども、きちんとした定義をつくって、直接コストだけじゃない計算のやり方を考えていくことが必要ではないかと思っております。

 最後に、質問ではなくて意見ということですが、十年前に民主党の皆さんがこの法案に反対された理由、特に公共事業のばらまき的な要素が強いという点、私もその点は同感に思っておりますし、すべてのそういうインフラ整備を否定するものではありませんが、特に防災、安全、そういうインフラに絞ってお金をかけた方が本当はいいんじゃないかな、そういう観点から本法案には反対をさせていただきまして、討論のかわりとして意見表明をして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、本案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。海江田国務大臣。

海江田国務大臣 衆議院議員城島光力君外十名より御提案の原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、政府としては特に異存はございません。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 まず、本法案の委員会審議のあり方に対し、一言申し上げます。

 本法案は、二〇〇〇年の制定時には、国会が内閣不信任案をめぐり混乱する中で、当時の与党三党が議員立法として提出し、極めて短時間の質疑のみで採決を強行したものです。

 当時野党であった民主党は、「国会の終盤の段階において唐突に与党三党から法案が提出されたことに見られるように、法案提出のプロセス自体が不透明」だと反対されました。

 ところが、今国会冒頭に、菅総理が「議論を深める熟議の国会」にしたいと所信を述べてスタートしたのに、またもや会期末に提出し、わずかな審議時間で成立を図ろうとしています。十年前にそのことを問題視して反対した民主党までが法案の提出会派に加わる、これでは立法府の責任とあり方が問われます。このことを指摘して、以下に反対理由を述べます。

 反対理由の第一は、本法案が原発の新増設と核燃料サイクルを一層推進するためのものだからです。

 相次ぐ事故隠しや検査漏れ、耐震問題、事故時の放射能汚染など、原発に対する国民の不安と批判が高まっています。高レベル放射性廃棄物処分問題を含めて、核燃料サイクル全体が行き詰まりを来しています。

 エネルギーは、我が国の経済や国民生活の基盤であるとともに、人類的課題である地球温暖化対策の要請にこたえるものとなるべきです。

 しかし、政府が進めようとしているのは、六月に改定したエネルギー基本計画に基づく、地球温暖化対策に名をかりた原発の新増設や稼働率の向上など原発推進路線です。これでは地球温暖化対策にも国民の願いにも逆行するものです。今こそ、地産地消型で豊かな可能性を有する再生可能エネルギーの爆発的普及に努めるべきです。

 第二に、地方財政、電源立地交付金、本法による特例措置の関係についての十分な議論のないままに本法の期限を延長することは、原発立地自治体に、いわゆる原発麻薬から抜け出せない状況を続けさせるものとなるからです。

 原発立地自治体は、電源立地交付金などの多額の原発財源に依存させられて、過大な公共事業や箱物整備を行ってきました。それが、交付期限が近づいて原発財源が先細りする中で、今や、その維持管理費が自治体財政を圧迫する事態を招いています。

 事業仕分けに基づき、電源立地交付金の使途について地方の裁量を拡大するとして対象事業を拡大される一方で、本法により特例措置の対象を無限定に拡大する動きがあります。基準も対象もあいまいなままこれらの措置を無限定に拡大していくことは、自治体財政の原発依存を一層強め、かえって原発立地地域を疲弊させるものです。

 再生可能エネルギーの爆発的普及に努めて、原発から段階的に撤退する道を進み、原発に依存しない、真に内発的な自立した経済と地域再生をこそ図るべきであることを指摘して、反対討論とします。

田中委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより採決に入ります。

 城島光力君外十名提出、原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

田中委員長 次に、資源エネルギー及び原子力安全・保安に関する件について調査を進めます。

 この際、後藤斎君外四名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、公明党の三派共同提案による原子力発電施設等立地地域の振興に関する件について決議すべしとの動議が提出されています。

 提出者から趣旨の説明を求めます。梶山弘志君。

梶山委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    原子力発電施設等立地地域の振興に関する件(案)

  原子力は供給安定性と経済性に優れ、発電過程で二酸化炭素を排出しないゼロエミッション電源であり、エネルギーの安定供給及び地球温暖化対策のための基幹エネルギーとして、安全の確保を大前提に積極的に推進する必要がある。

  そのためには、原子力の立地にあたり、国民及び立地地域の理解と信頼を得ることは不可欠である。よって、政府は、地域の防災のみならず地域の振興が適切に図られるよう、次の事項の実現に万全を期すべきである。

 一 振興計画の策定にあたっては、市町村の意向に十分配慮し、市町村との誠実な協議を行うことなどにより、地域の実情を反映した計画となるよう努めること。

 二 対象事業を拡大するために必要な政省令告示などの措置を速やかに講ずること。

 三 振興計画に位置づけられた地域の防災インフラとして重要な避難道路及び学校施設等について、その建設に必要な財政支援を確保すること。

 四 原子力防災に関し、振興計画に位置づけられている基幹的な道路の整備について、法に基づく支援措置が適用されるよう、地域特性を踏まえ、国と地方は連携し、万全な措置を講ずること。

 五 さらなる補助の拡充を検討すること。

 六 今後、必要に応じて、法律の見直しを行うこと。

  右決議する。

以上であります。

 決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

田中委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 本動議について採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、本件を本委員会の決議とすることに決しました。

 この際、海江田国務大臣からただいまの決議に対し発言を求められておりますので、これを許します。海江田国務大臣。

海江田国務大臣 ただいまの委員会決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、関係省庁とも連携を図りつつ努力をしてまいる所存でございます。

田中委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係各方面への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

田中委員長 次に、経済産業の基本施策に関する件、特に対外経済政策問題等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房地域経済産業審議官谷重男君、経済産業省大臣官房審議官井内摂男君、経済産業省大臣官房審議官西山英彦君、経済産業省大臣官房審議官長尾正彦君及び資源エネルギー庁長官細野哲弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 おはようございます。自民党の西村康稔でございます。

 この国会が開かれる前後あるいは開かれてからも、対中国との経済問題、あるいは対ロシア、あるいは先般APECが開かれた等々を踏まえまして、我々、対外経済政策についての集中審議をこの経産委員会で求めてまいりまして、きょうその一回目をやるということになりました。

 きょうは大臣が一日じゅう審議のようでありますので、昼休みもとらなきゃいけないということで、時間が、きょうは自民党の一時間十五分だけでありますけれども、さらに来週以降、我々は外務委員会との連合審査も含めて要望させていただいていますので、この間の対外経済政策について検証しつつ、さらに、どういう方向で政策を立案していけばいいのか、ぜひ議論をさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 まず、私から、先般の横浜APECの結果についてぜひお伺いをしたいと思います。

 今回のAPECは、新聞報道も、日中、日ロの首脳会談ばかりが話題になりまして、APEC全体の結果がどうであったのか、成果はどうであったのか余り報道されていない。本当に成果があったのかというところをぜひ大臣にお伺いしたいと思います。

 まず一番目に、APECという、もともと、アジア太平洋で自由な経済圏、貿易、投資を活発に行う、そしてこの地域の繁栄を担っていこう、そのためにつくられたものでありますが、その一つの目標というものがありました。ボゴール目標というものであります。まず、このボゴール目標とは何か、お伺いしたいと思います。

大畠国務大臣 ボゴール目標でございますが、APECという組織に加盟をしている二十一の地域・国等々が、目標としては二〇二〇年ころを想定しておりますが、一つの自由貿易圏をつくろう、こういうことでいろいろと調整をしていると私は受けとめております。

 国によってさまざまな状況がありますが、何とかアジア太平洋地域というものを経済の成長のエンジンにしよう、こういう志でみんなで集まって、各国の状況等も報告をしながら、一つの目標に向かって、FTAAPと言われておりますけれども、その目標に向かって努力をしている、こう私は受けとめております。

西村(康)委員 大臣はAPEC閣僚会合で議長をされましたか、されていないですか。

大畠国務大臣 前原外務大臣とともに共同議長を務めさせていただきました。

西村(康)委員 今般の、ボゴール目標に対して、実はボゴール目標もちょっと違うんですけれども、首脳声明は読まれていますか、読まれていないですか。

大畠国務大臣 首脳声明というものを私も承知しておりますけれども、全文を頭の中に入れているわけではありません。しかし、横浜ビジョンというものを打ち出し、そして各国がボゴール目標に向かって、ASEANプラス3、ASEANプラス6、それにTPPも含めて、各国がそれぞれFTA、EPAを可能な限り進めていこう、こういうことで合意したと受けとめております。

西村(康)委員 議長であられたわけですから、ぜひ、ボゴール目標がどういうもので、そして首脳間でどういうことが合意されたか、もちろん英語の全文を読む必要は、本来読まなきゃいけないと思いますけれども、全文読まれていないということでありますが、本来議長としては読むべきでありますし、それを取りまとめる立場であられたわけでありますから、非常に今の発言は無責任な発言だと思います。

 このボゴール目標の一番大事な部分、これは、二〇一〇年、ことしまでに、五つの先進国、これはオーストラリア、カナダ、日本、ニュージーランド、米国、この五つの間では貿易の自由化をしようという目標がある。さらに、二〇二〇年には発展途上国も含めた自由化をしようということが大きな目標なわけです。これをぜひ認識していただいて、このことについて評価をしたということが首脳声明の第一項目めに書かれているわけであります。

 このボゴール目標についてどういう評価が今回なされたのか、ぜひお伺いしたいと思います。

大畠国務大臣 確かに委員の御指摘のとおりでありますが、二〇一〇年というのが一つの目標でございました。しかし、なかなか二〇一〇年というところで一つの区切りにするのが難しかったわけであります。

 いずれにしても、たしか私の記憶では、ボゴール目標に向けたAPEC二〇一〇年エコノミーの進展に関する報告書というものを承認したということと、十三のエコノミーがボゴール目標の達成に向けた顕著な進展を遂げた、こういうことを確認いたしましたが、先ほどの二〇一〇年までに先進諸国で云々というのは難しかったわけであります。しかし、二〇一五年に向けて着実にAPECの成長戦略を推進していこう、こういう新たなものもつくりました。

 もう一度このメモを私も今見させていただきましたが、緊密な共同体への道筋、強い共同体への道筋、安全な共同体への道筋、すべての道筋における前進のための経済あるいは技術協力を行っていこう、こういうことを定めたということであります。

西村(康)委員 今のはそのとおりでありまして、ボゴール目標、二〇一〇年までに先進国で自由化をしようというところ、進展はしているけれども、まだ達成されていない、しかし、さらにこれを推進しようということで、今回取りまとめが行われたわけであります。

 では、お伺いをいたします。TPPは何を目指すものですか。

大畠国務大臣 御指摘のものは、私の記憶しているところで申し上げますと、TPP、環太平洋、アジアの経済連携でありますが、当初、四カ国で始まった。ここに四カ国が参加を表明し、アメリカも昨年の十一月にTPPに加入したいという意思表明をされたと伺っております。

 なお、このTPPにつきましては、各国、いわゆる中核であります四カ国に加えて、五カ国それぞれの国々の了承がなければ加わることができないという仕組みになっているようでありまして、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、ASEANプラス3、ASEANプラス6という一つの経済連携の固まりに加えての新しい経済連携の形と受けとめております。

西村(康)委員 TPPは自由貿易を目指すものですか、目指すものでないですか。

大畠国務大臣 高度な経済連携を目指すものと受けとめております。

西村(康)委員 自由貿易を目指すものかどうか、イエスかノーかでお答えください。

大畠国務大臣 私はイエスだと思います。

西村(康)委員 そこで、お伺いをいたします。

 政府が決定された、まあ民主党の方針でもあるんだと思いますが、閣議決定の中では、TPPについては、その情報収集を進めながら対応していく必要があり、関係国との協議を開始するというふうになっております。これは交渉開始ではないんですか。

大畠国務大臣 これはあくまでも情報収集ということであります。

西村(康)委員 いつ交渉を開始するかどうかを決めるんですか。

大畠国務大臣 これは、まず情報収集をしながら国内の体制を整える、その上で交渉をするということと私は理解しております。

西村(康)委員 それはいつですか、決定するのは。

大畠国務大臣 私の考えで言いますと、六月までに一つの農業の強化の基本方針を定めまして、それを実行しながら、そして入れるかどうかの二国間の情報収集と協議を行うわけでありますが、それがどうなるかというのは、最終的には、私は来年の秋のころではないかと思います。

西村(康)委員 大臣、私の記憶するところではとか、私の認識ではと。大臣は責任者の一人なんですから、ぜひ責任を持ってお答えをいただきたいと思いますし、政府の中、あるいはこの国会、党内、あるいは与野党でのいろいろな折衝を責任を持ってやっていただきたいというふうにまずお願いをしたいと思います。

 その上で、官房長官の記者会見とかを拝見しますと、六月には決めるというふうに聞いておりますが、私はそういうふうに認識をしていますが、それは違いますか。

大畠国務大臣 来年の六月までには農業構造の強化の基本方針を決める、こういうことは定まっております。

西村(康)委員 交渉を開始するかどうかは六月には決めずに、先ほど秋ごろと言われましたけれども、そういう認識ですか。そういうことでよろしいですか。

大畠国務大臣 国内の農業の強化というものがなければ、EPAやFTAやTPPについても前に進めることがなかなかできないわけでありまして、農業の強化策がどうなのか、ここのところをまず定めて、そして、それをもとにして二国間のかなりの調整、情報収集を含めての意見交換が始まると思うんです。

 私は、今回のFTA、EPA、そしてASEANプラス6、ASEANプラス3、TPPというのがありますが、基本的な単位というのは二カ国でやる。基本的には、オーストラリアとか中国、韓国、あるいはアメリカも入るかもしれませんが、二国間で、どんな条件で入るかということをまずお互いに意見交換しなければ前に進まないものと考えております。

西村(康)委員 もちろん農業対策をしっかりやるのは当たり前のことでありますし、今回のTPPも二国間で協議をするのは当たり前なんですが、私の質問は、秋に参加するかどうかを決めるということかということを聞いているんです。

大畠国務大臣 農業の国内強化策というのがどういう形になるのか、そして同時に、これは政府だけの話ではなく、国民の理解も得なければなりません。そういう国民との対話等も含めて行って、全体的に状況として許すかどうか、そういうものを総合的に判断するのは、私は秋のころではないかと思います。

西村(康)委員 来年秋のAPECはどこで開かれますか。

大畠国務大臣 アメリカのハワイであります。

西村(康)委員 そこで参加を表明するということですか。参加をするかどうかを表明するということですか、秋ごろというのは。

大畠国務大臣 これについては、農業の強化の基本方針というものをどういう形で定めるのか、そしてそれを国民にどう説明して理解を得るのか。そして、二国間の協議といいますか、情報収集をしながら国内の体制整備を行って、それを経た上で話し合いを始めるということですから、私はかなり時間がかかるんじゃないかと思っております。

西村(康)委員 大臣、繰り返しますけれども、大臣はこの問題の責任者でありますし、大臣の発言は全世界に広がっていくわけでありますから、余り無責任なことは言われない方がいいと思いますし、アメリカとどういう約束をしたかわかりませんけれども、アメリカに対して総理も一定のことを言われている。その中で、私は、六月には方針を、参加をするかどうかを決めるというふうに認識をしていましたけれども、そこから始まって、秋ごろまでそれはかかる、そういうことでよろしいんですね、大臣。

大畠国務大臣 決める決めないの話については、私は、まだ内閣の中では一つのめどというものを立てているという話にはなっていないと思います。

西村(康)委員 そういう発言をされましたので、これは議事録でまた後ほどしっかり確認させていただいて、ほかの大臣の発言との整合性もとらせていただきたいと思います。

 もう一点、大事な点ですけれども、参加しないということもあるんでしょうか。

大畠国務大臣 それはもちろん、検討をして、各国との意見調整ができなければ、参加できないものと思います。

西村(康)委員 先ほど大臣は、議長を務められて、ボゴール目標、もちろん大臣もそれは目標として認識しておられるし、その進展があった、さらにそれに向かっていくんだという趣旨のことを言われました。

 ボゴール目標はアジア太平洋の地域で自由な貿易圏をつくるという目標ですけれども、それには合意しておいて、何でTPPには参加しないことがあるんですか。

大畠国務大臣 私の認識でありますが、ボゴール目標というのは、FTAAPという言葉もなかなか難しかったわけでありますけれども、おおよそ二〇二〇年ぐらいにはアジア太平洋地域の一つの自由貿易圏をつくろう、こういうことは認識が一致したところでありまして、それが達成されるのは二〇二〇年。それまでの間にどうするかというので、ASEANもできたし、ASEANプラス3もできたし、ASEANプラス6というのもできましたし、その一つの形態としてTPPもあると私は受けとめております。

西村(康)委員 今おっしゃったことは、その一つの形態としてあるということですけれども、TPPに参加せずにボゴール目標を達成するということもあるということですか。

大畠国務大臣 これから検討しなければなりませんが、ASEANというのも一つでありますし、ASEANプラス3もそうですし、ASEANプラス6もそうでありますし、その一つの形態、途中形態でありますから、その一つのところを必ず通らなければならないということではないと私は思います。ただし、それぞれの経済連携の可能性というものをできるだけ模索していこうということでそういう方針を決めたところであります。

西村(康)委員 TPPの交渉、今ベースになっている四カ国の、P4と言われる合意がありますが、これは何年間で貿易自由化しようとするものですか。

大畠国務大臣 もう一度御質問をお願いします。

西村(康)委員 TPPは、大臣言われたとおり、最初の四カ国、P4と言われる四つの国々に、さらに五つ加わって今九カ国で交渉しておりますけれども、このTPPの交渉は何年間で、特にこの四カ国で合意されていることは何年間で貿易を自由化しようとしているんですか。

大畠国務大臣 カナダもTPPに参加したいというふうに言っておりますが、カナダも認められていないんですね。カナダのメンバーとも話をしましたが、なかなか難しいということで、カナダも我々もなかなか、手を挙げているんだけれども、やっていない。したがって、何年間でこのTPPができるか。アメリカとしては、来年の十一月ぐらいまでには一つのめどをつけたいという話は聞いておりますが、まだそれは固定化されたものではないんじゃないかと私は思います。

西村(康)委員 既に四カ国での合意があります。これは何年間で貿易を自由化するものですか。

大畠国務大臣 今資料をいただきましたが、P4協定では、特段の定めがない限りすべての関税を撤廃するということがありますが、実際には全品目の約八割が……(西村(康)委員「何年間か」と呼ぶ)ちょっと待ってください。原則十年以内の関税の段階的撤廃、こういうことになっております。

西村(康)委員 つまり、十年かけて自由な貿易圏をつくろうとしているわけですね、TPPは。ボゴール目標もほぼ同じ、二〇二〇年に自由な貿易圏をつくろうとしている。国々もほとんど同じ。なぜボゴール目標は合意ができて、TPPには参加できないんですか。

大畠国務大臣 先ほど、ボゴール目標で、二〇一〇年には先進国関係は一つの固まりをつくろうと言ったんですが、なかなかこれは、交渉事は生き物ですから、したがって、その交渉過程で計画どおりにきちっといくとは限らないと私は思うんです。

 私も、APECあるいはベトナムのハノイで各国の大臣ともいろいろ話をしましたが、各国は各国でいろいろな情勢があるわけでありまして、これは西村委員がおっしゃるように、決めたんだからそのスケジュールどおりにぴっぴっといかなければならないといっても、なかなか難しいのではないか。それぞれの国々で状況がありますから、それは話し合いでやるわけですから、なかなかいかないこともあるのではないかと私は感じております。

西村(康)委員 TPPの交渉の前提となる四カ国の合意が、十年間で自由化されようとすることすら頭に入っていない。今読んだじゃないですか、秘書官から資料をもらって読んだ。何でそんなことも知らずに各国の通商担当の大臣と交渉ができるんですか。

 当初大臣は、TPPに参加しようという強い意欲を示された。しかし途中から、いや、参加できるかどうかわからないと。今もそういう答弁をされた。しかも、それが決まるのは来年の秋ごろだと。長期的な戦略や決意あるいは基礎的な情報、そんなものもなくして、どうして交渉ができるんですか。そんな無責任な交渉はやめていただきたいと思います。

大畠国務大臣 これはもちろん、各国ともそれぞれの政治事情を抱えておるわけでありまして、私も不勉強なところはおわびを申し上げますが、いずれにしても、私も経済産業大臣として、一つの大きな課題として、自由貿易圏をつくろうという大きな目標については理解をしておりますが、さらに西村委員の御指摘を踏まえて、十分に情報を把握しながら前に進めていきたいと思います。

 しかし、西村委員もそうだと思いますが、国民がいるわけでありまして、国民の理解が深まらないうちに政治だけ物事を進めようというのは、なかなか容易なことではありません。したがって、きょう閣議で決定をされましたが、食と農林漁業の再生推進本部というものを立ち上げまして、構成員は、総理が本部長、そして副本部長に国家戦略大臣、農林水産大臣、全大臣ということで私も入っておりますが、そういうことをしながら、国民の理解を得ながら政策というのは進めていかなければならないと考えております。

西村(康)委員 国民の理解と大上段に言う前に、御自身の理解を深めていただきたいと思います。

 このTPPは大問題です。大きな問題です。農家の皆さんも水産業の皆さんも、非常に不安に思っておられます。その皆さんの理解も得なきゃいけないし、そのための財源措置もしなきゃいけない。それから、日本はどういう立場で、権謀術数が本当にひしめく、各国の利害がぶつかる、その中で日本の国益をどうやって実現していくかという重要な交渉になるわけであります。ぜひ大臣、心して臨んでいただきたいと思いますし、政府の責任者として責任を持って対応していただきたいというふうに思います。

 また来週もありますので、私になるかわかりませんけれども、引き続き議論させていただきたいと思います。

 そして、次の問題に行きます。

 気候変動問題、きょうは環境省からも近藤副大臣に来ていただいていますので、COP16、十一月末、来週から始まるんでしょうか、国際交渉は行き詰まっている状況が感じられますけれども、京都議定書の単純延長、これはアメリカ、中国が入っていないわけでありますので、あり得ないというふうに思います。

 まずは、経産大臣、大畠大臣にお伺いしたいと思いますけれども、京都議定書の単純延長、これでは日本は合意をしないということでよろしいですか。

大畠国務大臣 そのとおりであります。

西村(康)委員 それでは、これは近藤副大臣、同じ認識でよろしいですね。

近藤副大臣 そのとおりでございます。

西村(康)委員 それでは、その上でお伺いをいたします。

 日本はそれには合意をしないということを言われました。もし、京都議定書の単純延長で国際的に合意を得られた場合、地球温暖化対策基本法を提出されています、この法律に掲げている前提条件、すべての主要国による公平かつ実効ある国際枠組みの構築というのが前提となっていますが、京都議定書の単純延長ならこの法律の前提が満たされない。つまり、二五%削減という日本の目標はとらない、そういう認識でよろしいですか、近藤副大臣。

近藤副大臣 地球温暖化対策、この目標は、とにかく地球が温暖化をしている中で主要な排出国を含む世界がきちっと削減をしていかなくてはならないということであります。そのことの交渉が、間もなくCOP16という中で始まるということであります。

 そして、我が国は、よく御存じだと思いますが、主要な排出国が入らない枠組みには、結果的にきちっとした温暖化対策ができないということで反対しているということであります。そして、そのことを一番の前提条件としてこれから交渉に臨んでいくということでございます。

西村(康)委員 私の質問に答えてください。

 法律に明らかにこの目標は、今申し上げた、すべての主要国が合意することが前提だ、その場合に設定されると書いてあるわけです。つまり、京都議定書の単純延長ならこの目標は設定されないということでよろしいですね、副大臣。

近藤副大臣 一番最初にも答えさせていただきましたが……(西村(康)委員「イエスかノーかで答えてください」と呼ぶ)はい。暫定的であっても、世界の削減につながらず、その枠組みは認められないということでございます。

西村(康)委員 いや、よくわからないんですけれども。

 法律にちゃんと目標はすべての主要国が合意した場合に設定されると書いてあるので、この二五%削減の目標は、京都議定書の単純延長なら設定されないということでよろしいですね。イエスかノーかでお答えください。

近藤副大臣 認められないということでございます。

西村(康)委員 ということですので、京都議定書の単純延長はそもそも合意をしないし、それだけであればこの二五%削減の目標は設定しないということで、大臣の認識もそれでよろしいですね。

大畠国務大臣 もともと、鳩山前総理の国連での発言は、地球上の温暖化を防止するためにそれぞれの国が力を合わせようということで、アメリカ、中国、インド等にも参加を呼びかけたというのが趣旨でありまして、そのアメリカ、中国、インド等が参加しないようなものでは地球温暖化防止ができない。したがって、この発言をベースに、アメリカも中国もインドも一定の前向きの発言をし始めました。

 したがって、京都議定書の単純延長だけでは地球の温暖化防止はなかなか難しい。委員御指摘のように、京都議定書等だけではCO2排出のおおよそ三〇%程度がカバーされるだけであって、そのほかの四〇%を保有するアメリカ、中国、インドの参加というのは私は不可欠だと思っておりますから、そのような意味で申し上げたわけであります。

西村(康)委員 もう一点だけ。

 大臣も、この二五%削減の目標は、京都議定書単純延長なら設定されないということでよろしいですね。イエスかノーか、お答えください。

大畠国務大臣 イエスです。

西村(康)委員 はい、理解をさせていただきました。

 時間がありませんので、もう一テーマだけ。東シナ海の中国のガス田の開発について。

 これは、できれば来週、外務委員会との連合審査でぜひまた同僚も質問させていただくことになると思いますけれども、まず、この東シナ海、白樺での中国の動きがいろいろ報道されておりますし、動きがあるということは政府も認めておられます。この現実、写真について、ぜひ我々にも見せてほしい。今、どういう現状になっているのか。白樺のガス田の開発に着手しているんじゃないかという疑問があるわけですけれども、この写真の公開を我々は求めてきております。大臣、ぜひこれは見せていただきたいと思います。

中山大臣政務官 西村委員にお答えいたします。

 私も陪席をいたしておりまして、過去の経緯、筆頭間のお話も伺っております。できる限り筆頭間で協議をしていただいて、早くその結果を出したい、こういうふうにお願いをしているところでございますので、それは私からのお願いでございますが、筆頭間で決めていただかないとなかなか、私どもがすぐにこれを見せる、見せない、こういう議論はできないわけでございます。

 なお、白樺の問題についてはいろいろなことがありますが、やはり中国側の説明がまだ不十分でございまして、よくわからない点がございます。それから、あの写真を見た上でどうこう判断するというようなことができるかどうかも含めて、今後の検討にまちたいというふうに私たちは考えております。

西村(康)委員 筆頭間では前向きにお答えをいただいております。来週月曜日には見せていただけるということで伺っておりますし、委員長もその意向で委員会の理事会も指導しておられます。

 大臣、そういう理解でよろしいですか。

大畠国務大臣 私もいろいろと状況を伺っておりますが、委員会でお決めをいただけたら対応できるのではないか、そういう状況を伺っております。

西村(康)委員 質問時間が終わりましたので終わりますが、来週、その合同審査を求めておりますし、審議の前にそれを見せていただいて、これまでの対中国政策の検証もぜひ議論させていただければと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 この委員会で三度目の質問をさせていただく機会をいただいたのは、大変うれしいことであります。

 したがいまして、万葉集も三つ目になるわけですが、富山県ばかりやっていては失礼だ、大臣は茨城県でございますから、茨城に何かないかと。ただちょっと、済みませんでした、北部の日立の方まで行くとなかなかすぐ見つけられなかったので、それもとっておきながら、きょうは筑波山で許していただきたいと思います。

 大変いい山でありまして、この山を外から見ていたら、やはり一回登ってみたいなということで、ちょっと雪解けの道を苦労して登りましたという歌を詠ませていただきます。きょうは一発でやらせていただきます。巻三、三百八十三番。

  筑波嶺を外(よそ)のみ見つつありかねて雪消(ゆきげ)の道をなづみ来(け)るかも

 どうもありがとうございます。(拍手)

 それで入らせていただくんですが、多少きょうの質問との関係では、最後に「なづみ来るかも」、苦労して苦労して登りましたというのがありました。これが全体に、きょうの質問、お答えもそうではないかなと私は思いながら、先ほど、先輩の西村議員さんは速球でまいりましたが、多分、大分スピードが落ちましてスローボールになりますけれども、その分、今日的に、きょうの段階で、これから予算編成もございます、いろいろなお考えをこの委員会でお答えいただく、こういうことでよろしくお願いしたいと思います。

 最初は、北朝鮮の問題であります。

 十一月十二日、ここで前回御質問させていただきました。あのときは余りいろいろな動きがなかったんですが、あれからウラン濃縮施設の問題が出てきたり、そして非常に残念、非常にいけないことだと思います、十一月二十三日、延坪島の砲撃ということで、大変緊迫してまいりました。

 やはり、断固たる態度を表明して、追加制裁も必要じゃないか、こういうことではないかと思いますが、前回も追加の可能性という話もいたしましたけれども、大臣の今日的お考えをお伺いしたいと思います。

大畠国務大臣 橘委員の御質問の冒頭に、いつも日本人の心を思い起こさせる歌をいただきまして本当にありがとうございます。私もいろいろな場で議員の御質問をいただいておりますが、いつも橘委員が日本の古来の歌をきちっと表明されるというのは、私にとっても大変楽しみでありますし、また、そのぐらいの精神的な余裕を持ちながら政治を行いたいなと常に思っておりまして、本当に感謝を申し上げる次第であります。

 さて、北朝鮮の砲撃事件に関してでございます。いろいろな事情があるかもしれませんが、非戦闘員がいる町の中に砲弾を撃ち込むというこの行為は、断じて許されるものではありません。

 そういうことで、私ども経済産業省としても、二十三日の夕方から情報収集を始め、官邸での関係閣僚会議を行った後、九時四十分から、関係局長を集めて、この問題について経済産業省としてとるべきこと、いわゆる関係部署の警備強化を要請したところであります。翌日の朝八時から、再び、経済産業省北朝鮮による砲撃事件対策会議というのを開催いたしまして、その後の状況についても報告を受けました。

 なお、二十三日の夜九時四十分から会議を持ちましたが、それ以降もずっと昼夜で警戒に当たり、なお異常がある場合には即招集をする、連絡をしてみんなで集まろうということで、態勢を強化して今日に至ったところであります。

 そういうことで、今回の砲撃事件を受けて強化するのかという追加制裁のお話がございましたが、既に先ほどからお話が、前回委員からも御質問いただきまして、輸出入の全面禁止というものの延長をお認めいただきました。したがって、物、人、金でいえば、物の行き来は全くとまっているわけでありまして、あとは人と金の問題をどうするかということで、これについては政府全体で検討してまいりたいと思います。

橘(慶)委員 これはよろしくお願いをしたいと思います。

 次は、逆に少し事態が改善されつつあるのかなという報道がありますが、中国とのレアアース問題であります。

 どうやら輸出許可が出てきたような報道も見受けております。現状の御説明をいただきながら、これはやはり最後は産業界といいますか、製造ラインとかそういうところに問題が生じないようにというところを当然常に把握されながら進んでおられると思いますが、このあたりに問題がないかどうかということについて、今日的な状況をどうかお答えください。

大畠国務大臣 中国のレアアースの日本向け輸出が停滞している問題については、委員から御指摘を再三いただいておりますが、私としても、何とか日本の産業界に迷惑をかけないような体制を整えようということで、中国とも交渉をさせていただきました。張平主任との会談が二時間半にわたったのもそのせいでありまして、そういうことも含めていろいろと論議をさせていただきました。その結果として、日本の国の懸念している実情についてはよく理解した、したがって、中国担当局として、近いうちにそのような懸念の課題を解決するように努力をするというようなお話をいただきました。

 その後、先週、船積みの二件の船が出港したという情報を得ましたし、さらに、きのう時点でありますけれども、船積みと出港が認められた船が四件報告をされました。しかしながら、税関で滞っている貨物も存在している状況でありますので、今後とも、引き続き荷の動き等を注視しながら中国政府と情報交換をしてまいりたいと思います。

 なお、レアアースを使っている企業の生産活動の継続については、ことしの七月から輸出許可枠を大幅に削減して以来、企業としてもさまざまな努力をしております。私といたしましては、レアアース総合対策等をとりましたし、補正予算で一千億の予算をとって、レアアースの代替材料の開発、あるいはレアアースのリサイクル、さまざまな対策を講ずる予算も計上させていただきました。現在のところ、各企業とも、今の明るい状況が続けば生産には影響しないのではないかと私は期待しております。

橘(慶)委員 引き続きお取り組みをお願いしたいと思います。

 続きましてTPPに入りますが、西村議員から大分質問もございまして、かなり大臣のお考えもお伺いしたところであります。そこで、一つ飛ばさせていただいて、TPPの各論的な話だけ一つ確認をしておきたいと思います。

 TPPは、かなりあらゆる範囲にわたる問題があるというふうなことが言われております。その中で、報道等で出てくるのは、例の郵政改革法案ということがありまして、貯金あるいは簡易保険、いろいろなことをお考えになると、そういったこととTPPにおけるいろいろな前提条件ということについて何か問題は生じないのかどうか、確認をしたいと思います。

中山大臣政務官 今、郵政のお話がありましたけれども、もともと年次改革要望書とかいろいろなもので日本とアメリカの関係で議論してきた過程があるというふうに思います。しかしながら、非関税障壁とか、広い範囲で、やはりこれは対アメリカとの問題でございますので、これからも二国間でしっかりと議論をしていくことが必要だと思います。

 大畠大臣の考え方も、EPAを含めてできる限りバイで会談をし、そしてお互い理解を深めて、最終的に大きな形で議論していく、こういうような過程を踏むということを常日ごろから言っております。

橘(慶)委員 今のお話でいけば、そこはやはり慎重にいかなきゃいけないということだと思います。私は総務委員会も兼ねているものですから、総務委員会では、前国会ではその辺がちょっとすっきりしなかったというか、余り認識が強くなかったようでありますが、ぜひそこはまた閣内でお伝えいただいて、しっかりと、後から困ったということがないようにお願いをしたいなと思います。

 続きまして、APECの話に移ります。

 これも先ほど少し議論がございましたが、私、一通り、APECの際の日本といろいろな国々との閣僚級のバイの話し合いの簡単なメモを見せていただきますと、太平洋地域ですから、太平洋を挟んだアメリカ側といいますかアメリカ大陸側、特に中南米、メキシコ、ペルー、チリ、このあたりと我が国の閣僚さんとのお話し合いというのは結構充実したものがあったように私なりには受けとめたわけであります。

 そんな意味で、どうしてもアジアということが中心になりますし、そこに私どもも目が行くんですが、ちょっとまた視点を変えまして、この中南米諸国との今回のいろいろな一連の会談等を踏まえて、通商経済関係をこれからどのように考えていくのかということについてお伺いしておきたいと思います。

中山大臣政務官 私も大畠大臣とよくお話をしますと、中南米の方の感触がすごくいいということで、地デジなんかもかなり南米の方で標準化をした。しかし、実際見たら、どうもテレビは全部サムスンだった、こんなこともございますので、我々は、本当に中南米に重点を置かなければいけないのではないかということで、まだ個別具体的なことについてはお話ができませんけれども、大畠大臣は、非常にいい感触だった、大体そういうような感触を得ているようでございます。

橘(慶)委員 いろいろな国といろいろな関係を構築しながら、目指すところはやはり目指していかなきゃいけない、こんな思いがいたします。

 そんな意味では、先ほどこれも大体議論されていましたが、TPPということは一つ念頭に置く。しかし、お話しのとおり、国民の理解、あるいは国内的にそういうことが受け入れられるかどうか、いろいろな検証が必要であります。しかし、そこでとどまっているわけにはいかないわけで、貿易通商ということからすれば、やはりEPAということが一つ大事なことではないか。

 せんだってから、ペルーとも、それからインドともということで、一歩一歩ということでありますけれども、韓国がEUと結んだりということでいろいろな展開を見せております。今現在、政府として、TPPということもにらみながらも、まず一歩一歩のEPAを、どんなお考えで戦略的に取り組まれるのか、ここでお伺いしておきたいと思います。

中山大臣政務官 私たちは、先進国だけではなくて、発展途上国がこちらから輸出をして受け入れてもらう場合に伸び代がすごく広い、そういう意味では、EPAを進めていくことによってさらにアジアの自由貿易圏が広がっていく、このように考えております。

 二国間の話し合いというのがまさに重要でございまして、これを、今まで継続しているところは早く結論を出す、まだやっていないところはどんどんやっていくというのが大臣の考え方でございます。その延長上にTPPもあるというふうに考えておりまして、情報を今とっているところでございます。ですから、その情報をとりながら結論を出していくわけですが、やはり各国とのEPAが非常に大事です。

 この間、ベトナムへ行きましたときも、ベトナムから言われたのは、日本が原子力発電を輸出するのは結構だけれども、看護師さんや介護士さんを日本で受け入れてもらいたいと。これは人の交流の意味で、非関税障壁でございますが、しかし、このことをしっかりやらないと、ベトナムの方には受け入れられない。そういう意味でも、人の交流も含めてEPAを進めていくことが両国間の理解につながっていく。そういうことで、我が経済産業省では、できる限りバイのEPAを進めていくという方針でございます。

橘(慶)委員 総合的にはそれで理解をしながら、済みません、個別の国について少し突っ込みます。

 韓国とかオーストラリア、またEUという話もありますけれども、今、具体的に三地域を言いましたけれども、どういうお考えであるか、確認をさせてください。

大畠国務大臣 韓国の大臣とは、この六年間、いわゆる韓国と日本のFTA、EPAについての事務的なレベルでの交渉もストップしておりますけれども、これを始めようじゃないか、こういうお話を申し上げました。

 今週末、日曜日から、日本において日韓議員連盟の総会等も来週月曜日にあるわけでありますが、その中でも論議されます。日本の国会議員と韓国の国会議員が、この日本と韓国のFTA、EPAについても議論にのるわけでありますが、政府としてもぜひ再開をしようと事務レベルでの交渉、事務レベルでの地ならしの作業は始めることで合意をしております。

 また、APECの中でオーストラリア等からもお話がございましたので、これについても、EPAについてどう進めるか、それぞれの国がそれぞれの事情を抱えているわけでありますから、率直に物を言っていこう、そして、余り最初からハードルを高くするとお互いに前に進めない、できない状況を前提として進めてもだめだから、やれるところからやろうではないか、こんなお話もさせていただきました。

 EUについても、今、韓国のお話がございましたが、日本にとっても大変大事な国でありますから、EUともこのFTA、EPAに関しての論議が進むように今政府としても努力をしているところであります。

橘(慶)委員 ありがとうございます。本当にまさに「なづみ来るかも」という形なんですけれども。

 そんな意味では、これは質問ではございませんが、六月までに農林漁業についてしっかりとした対策を打ち立てるとか、結構短期的に時限を切りながらいろいろなことをされようとしている、これを非常に危惧しているわけです。

 この委員会に限らず、三月までにこども園のことをまとめてみたいとか、三月ごろまでには公務員の給料を下げてみたいとか、結構なんですけれども、今のお話のとおりですよ。ハードルをいっぱいいっぱいつくっていくと、結局そのハードルを越えられなくなったときに、また次のハードルをつくっていたら、しまいにはハードルが高くなって、ハードルの前で往生しちゃうんじゃないかと非常に心配をしております。そういうことではなくて、今お話のあるようにやはり一歩一歩進めるところを進めていくというようなビジョンが要るんじゃないかな。

 これを指摘しながら、ちょっと質問としては順番を変えまして、これから法人税を含めた税制改正というのが、大きな、どうしてもこれは年末までに越えなきゃいけないハードルになると思いますけれども、ここについて三点ほど先に御質問させていただきたいと思います。

 まず法人税改革ですが、これも、きょうの対外経済ということからいえば、今、議論の焦点は国際比較であります。今、国際比較で日本の法人税の実効税率が非常に高いという問題。そういう中で、今、当面五%ぐらい引き下げ云々という話も出ておりますが、我が国も非常に厳しい財政状況にあります。ですから、税制全体としてはやはり入れ出しということが必要になる、このように認識をしております。

 もちろん、経済産業省番地で全部とってくるわけにもいかない、出すところも必要かもしれません。しかし、また一面、改革をして法人税率が下がったけれども、いろいろな特別措置とかいわゆる特別償却が全部なくなっちゃって、気がついたら増税だったというんだったら、それはだれも、そんなことはしなくていいよと、こうなっちゃいます。

 そこで、この辺はどのあたりの落ちつきということを今お考えで、これはもちろん具体的なことは難しいでしょうけれども、どういうお考えで今進めておられるのかということをここで確認をしておきたいと思います。

中山大臣政務官 橘委員には、本当に今いろいろな御心配をいただいたのでございますが、まさにお話しのとおりでございまして、先進国やアジアにおいて、今、日本の法人税が高いということと、その弊害が大変大きく出ております。私たちは、まず財源を考える前に、一応、どうやって引き下げて、その引き下げたものがどれだけ効力があるか、どの程度の経済波及効果があるか、そういう視点から見てみたわけでございます。

 しかしながら、今お話があったようにどうしても最終的には財源というような問題にぶつかるわけでございまして、ナフサを増税するとかそういうことは決してだめだというような我々の委員会の中の多数の声がございましたり、こういう一人一人の意見を聞いてみると、やはり、かえって法人に迷惑をかけるような結果になるのであれば五%の減税が意味がなくなってしまう、そういう効果のある考え方を今やろうということで党の方にもお願いをしております。

 財務省にも、我々が、経済が成長するという前提でやっているということをよく理解してもらうように、毎日のように副大臣のところへお邪魔をしては、私どもがまず五%下げるというのは、これは五%で済むという話じゃないと思うんです、ただ、五%が一歩になるということで私たちは今しっかり訴えているところでございまして、何とかこれをかち取りたい、このように考えております。

橘(慶)委員 皆さんに拍手をしてもらうと、いい質問をしたなと思いますけれども、ぜひお願いします。今のナフサの話も具体的に言っていただいて大変ありがたいと思います。

 そしてもう一つ、テーマとしては環境税というテーマがあるわけですね。これも先ほど触れたハードルということからしますと、暫定税率の議論の中でなかなか大きなハードルがかかっております。暫定税率を廃止したときに、当分の間この税率にします、しかし、来年は必ずやりますとなっております。これは、法文というのは怖いものでありまして、やらなくても当分の間の暫定税率は恒久税率になっちゃうんですね。これでは何の意味もないわけでありまして、当分の間としたけれども、やはり結論は出していかなきゃいけない。

 しかし、そのときにこの環境税の導入を変な形でやると、また個別産業分野ではいろいろな問題が出てまいります。業種ごとにはいろいろな経緯があって、石油石炭税の問題があったり、いろいろあるわけですね。そこの経緯を踏まえながら、その業種、業種の特質というものを見られながら、慎重な議論を、そのときはどうしても経済産業大臣あるいは政務官の皆さんに主張をしていただかなきゃいけない、こういう思いを持っております。ぜひここの決意をお願いします。

中山大臣政務官 今、橘委員から経済産業省の立場を本当に理解されて、大変強い御支援があったというふうに私考えております。

 CO2をなくすためには、環境税、排出権取引、そしてまた持続可能なエネルギーの買い取り制度、この三つが三本柱でありますが、環境税というものについては、経済産業省は、非常に経済が発展するという視点で物を考えたときにいかがかというような意見もたくさんございます。そしてまた、排出権取引についても、これは基本的には企業が目標値を定めるものなのに、国がこれだけ出せという考え方もいかがかと思っております。

 そういう面で、私たちは国民の声を聞きながら、本当に経済が発展する環境税というのはどういうものなのか、果たしてそれはあり得ないのか、あるのか、こういうことも含めまして今議論をしているところでございます。

橘(慶)委員 ぜひここはじっくり、がっちり議論をお願いしたいと思うところであります。

 そして、ちょっと視点を変えますが、中小企業向けの軽減税率のことについても、やはり中小企業関係からは強い要望がある部分であります。全体としては法人税の表面的な税率の問題がありますけれども、中小企業向け軽減税率の適用範囲、これは例えば資本金ベースで引き上げれば恩恵をこうむるところも出るでしょう。また、所得水準も二百万でも三百万でも上げれば上げたで、それはそれで一つの効果は出てくる。もちろん、法人税全体の大きい問題はありますが、もし仮に先ほどのお話のような場合、法人税は難しいなんということになったときに、例えばこういったことについてはどういうお考えがあるのかということでお伺いをしておきたいと思います。

中山大臣政務官 大畠大臣は絶対に中小企業の法人税も下げたいという強い決意で臨んでおります。一八を一一に変えることには、本当は一つ大きな効果があることを皆さん御承知いただきたいんですが、金融庁は金融検査マニュアルで三年間赤字の法人にはお金を貸さないということがあるんですね、これは法人が利益を出しやすい状況をつくることによって金融庁が言っていることがまず解決できるのと、銀行がお金を貸しやすくなるんですね。企業が利益を出している、ああ、この企業は非常に前向きにやっているし、利益を出すんだから、この中も、資金繰りも、ある程度いいのでお金を出せるという判断をするわけでございます。

 そういういろいろな意味合いがありまして、私たちは、中小企業に対するこの減税は何としてもやりたい、毎日のようにでも財務省に行って説得したい、このように考えておりますので、適用の範囲を広げるとかというよりも、まずこの点に絞って、何としてもこの中小企業の減税はやりたい、我々も財務省のヒアリングでプレゼンテーションに行きまして強く訴えたところでございます。

橘(慶)委員 年末に向けて今からが一番大事な時期だと思いますので、ぜひそこをがっちり頑張っていただいて、今ほどいろいろありました成長の問題あるいは金融の問題については、きょうは対外経済政策ということになっておりますので、またの機会があるでしょうから、そこについてはいろいろとお伺いをしたいと思っております。

 もとに戻ってまいりまして、新成長戦略の中で少し対外的なこと、あるいはそのはね返りの対内的なことを残された時間で順番にお伺いをしてまいりたいと思います。ここからは官房審議官さん方にもお答えをしていただきながら進んでいきたいと思います。

 まず、国家戦略の新成長戦略、七つの戦略分野の第一が、グリーンイノベーションから始まってまいります。そこで、地球環境問題でありますが、先ほどから二五%のお話もいろいろございましたけれども、産業界は地道にいろいろな対応をされてきています。それこそオイルショック以来ずっと省エネとか省資源、いろいろなことで対応されてきた。そういう中で、今も持続的に改善、改革、改善に取り組んでおられる、このように認識をしております。

 すべてのことを聞いても大変なので、事例といたしまして、セメント業界のリサイクルの取り組み、また、製紙業界、紙パルプ業界のリサイクルの取り組みの現状について、把握されているところ、最近の動きなど、ぜひお願いしたいと思います。

長尾政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、新成長戦略で七つの戦略分野の一つにグリーンイノベーションがかかっているわけでございますが、産業界の地道な環境対策の成果の積み上げがやはり一番大事かというふうに思っております。

 事例の御紹介ということで申し上げますと、セメント業界からまず申し上げたいと思いますが、一つは、セメント製造プロセスの中で、一般家庭から排出されます廃棄物を受け入れ使用させていただいております。あるいはセメントの原料の一部として鉄鋼の高炉スラグ、あるいは石炭灰、こういったものも活用いたしまして混合セメントといったものも製造するなどの対応を進めてきておられます。

 それから、製紙業界の方でございますけれども、例えば二〇二〇年度までに国内外の植林地を八十万ヘクタール、今、実績で申し上げますと六十五・五ヘクタールぐらいまで来ておりますけれども、こういったことを目標にしまして植林を内外で進めることですとか、御案内のとおり、古紙の利用率の目標を設定いたしまして、古紙のリサイクルを積極的に進めておるところでございます。

 それから、製紙業界の地域の取り組みとしては、先生の御地元でもある富山の中越パルプ工業株式会社でございますけれども、竹林の整備と竹資源の有効活用の推進、あるいは地域貢献を目的としまして、竹を製紙原料として活用する取り組みも進められているところでございます。

橘(慶)委員 今、私の地域で取り組んでおられる竹を、言ってみれば、竹林というのは、ほっておくとどんどん里山を壊してしまう部分があって、こういうものを切らなきゃいけないんですが、それをそのまま焼却していたのではCO2に戻るだけですから、それをどう利用するかという中で、例えば紙パルプの原料にしていけば、CO2にせずに使っていける、炭素もある意味で紙の中に固定化していくということになるわけですね。そういったいろいろな取り組みをしていかなきゃいけない。一面、農商工といいますか、林商工連携みたいなことにもなっていく。家庭のごみまで使ってセメントもつくっていただく。そういったことをいろいろ努力をしているわけです。

 そこで、この二五%も、言ってみればこれは非常に大きなハードルなわけですけれども、しかし、これに向かって、これはこれで議論しながら、この二五をどうするかということも議論しながらも、一日一日頑張っていかなきゃいけない。そうすると、経済産業省、あるいは産業界とすれば、そういう地道な積み上げをきちっとやりながら、やはり少しでも目標を達成していく、解決していくという姿勢も常に必要ではないかと思うわけです。

 そういうことを含めて二五%削減の問題についての地道な積み上げ、どの程度積み上げられるのか、そしてまた、そのことと二五%がどう連動しているのか、今日的なお取り組みの現状についてお答えをお願いします。

中山大臣政務官 今、産業の発展について、二五%の問題というのは非常にハードルが高いというお話がありました。確かにそのとおりだと思います。

 私たちも、単純に真水で国内だけで減らすと同時に、産業の活性化を含めて何か大きな貢献ができないだろうかと。御承知のように、中国は地球上の大体五〇%ぐらいの石炭を使って発電をしているわけですが、ここが一番CO2を出しているのです。六十億トン出しています。もしこの十億トンを、日本の新しいIGCCとかCCSという、新たな火力発電、石炭を利用した火力発電ですね、CCSというのは最後にそのCO2を地中に埋めてしまったり、そういう大きな研究の成果が最近は出ておりまして、私たちも、そういうことによって例えば中国の六十億トンを十億トン減らす、この半分をもらったとすれば二五%は達成できるわけでございますが、そう簡単にはいかないと思います。これも、EPAと同じように二国間でそういう話ができる制度にしていきたい。

 例えば、中国でCO2が減ろうと日本で減ろうと、地球上のCO2が減ることには変わりはないわけです。ですから、日本の真水を減らすと同時に、中国、インド、アメリカのCO2を減らすのも日本の技術力でやっていこう。そういう面でも地域の大学や、または、いろいろな研究をしてもらって、IGCCの方はもう実用段階に入っておりますので、ぜひ中国や何かに技術移転をしていきたい。この技術移転も、技術だけとられてしまったら困るということで、これも経済、産業に結びつくような形でやっていきたい、これが考えでございます。

橘(慶)委員 やはり炭素をうまくコントロールしていくことについて、今お話のあった、そういう、ふもとから頂上を目指すような取り組みでその数字へ向かっていく方がいいんじゃないか。あえて初めから積み上げのない、根拠のないところで入っていくと、しかも、それが国際約束云々ということで条件づけするというのは、済みません、ここは当然立場を異にするわけですが、そういうことじゃなくて、今できることを一歩一歩進めることが大事じゃないか、このことを指摘させていただきたいと思います。

 そして、私が国家戦略のこの成長戦略で一つ残念なのは、この全文の中にものづくりとか製造業とかそういう言葉がないんですよ。グリーンイノベーション、ライフイノベーション。それはわかります。輪切りに切れば製造業は入るんですけれども、今、技術開発とか、いろいろな意味で製造業の役割、付加価値を高めていく、あるいは日本の国を、言ってみればいろいろな輸出をやっていくために製造業の役割というのはどうしても大切であります。ここにそういったものも盛り込んだらどうかと私は個人的には思うんですが、ここについてぜひ大臣の思いと、何なら、頑張りますというお話もいただければと思います。

大畠国務大臣 成長戦略の中にものづくりというものが意識的に薄いのではないかという御指摘でございますが、委員から御指摘のように、グリーンイノベーションとかライフイノベーションとか、これをずっと掘り下げていきますと、必ずと言っていいほどものづくりにぶつかります。ロボットですとか、あるいは、今いろいろとはやっております電気自動車ですとか、これを掘り下げると、必ずものづくりがこれらを支えているということになっております。

 また、健康問題でも、がんを治療する重粒子線、これも一つの大型の装置では、建物まで入れると二百億近いものであります。これも製品でありまして、結局はものづくりの技術がこれからの成長戦略のベースになっている、私はそう理解しております。

 確かに、文言的にはものづくりという言葉が少ないのではないかという御指摘は、そのとおりだと思いますが、原点、基盤というものは、ものづくりで成長戦略を培っている、そう私は理解しておりますし、委員の御指摘を踏まえてさらにものづくりに力を入れていきたいと私は考えております。

橘(慶)委員 今の御答弁で、少ないとおっしゃいますが、ほとんど皆無に近い状態だと思うんですよ。ですから、何かそういう機会がありましたら、それは確かに輪切りの中に入っているというのは理解するんですが、しかし、製造業とかものづくりというものを真っ正面に受けとめて、それもやはり成長のセンターだという位置づけは経済産業省さんとしてはもっと強く打ち出されてもいいんじゃないか、ぜひこのことは要望をさせていただきたいと思います。

 そこで、ずっと海外のこと、そして、その関係で地球環境だったり税の問題をいろいろお伺いしてまいりましたが、ここから、そうはいっても、海外ばかり目を向いても、日本の国も広うございまして、それぞれの地域地域も元気でなければならない、そういった意味で、私も地域の仕事をしてきた立場から、地域の抱えている課題、言ってみればそこへの産業政策、あるいは地域活性化方策ということでお伺いをしてまいりたいと思います。

 経済産業省さんも戦略をお持ちになっていて、地域経済発展については五類型というものを示されて、地域経済社会の活性化を図る、国際的なセンターにするとか、あるいは地域の資源を生かすとか、いろいろ書いてございます。

 しかし、実際、地域に住んでいる者にとって、人口減少社会にまで入ってまいりますと、担い手たる人材、そして若者が定着してもらわないとなかなか将来の展望が開けてこないと思います。しかも、そうなると、若者がどうやったら定着するかといえば、いろいろな仕事がないと、言ってみれば、いろいろな職種といいますか、若い人もいろいろなことを目指しますから、そういったものを受けとめられる職種、もっと言うと、管理機能的なものがないと地方というのは成り立たないんじゃないかと思います。

 もちろん、東京を言ってみれば世界の中で大きな国際都市として大事にしていく、これを理解しながらも、しかし、各国を見ますと、いろいろな会社の本社機能がこれほど東京に集まっている国も、国際比較をするとないわけであります。

 そういう中で、こういう本社機能を移した事例はないものか、そしてまた、人材について、地域で生かしていくことについてどのようにお考えなのか、これは谷審議官になるんですか、お願いをいたします。

谷政府参考人 お答え申し上げます。

 地域経済活性化のためには、今、議員御指摘のように、地域に雇用を生み出すことが非常に重要であるわけでありまして、そのためには、一つの方策として成長産業の国内立地を促進するというのは、これだけではありませんけれども、非常に効果的だというふうに考えております。

 そこで、本年九月に、予備費を活用いたしまして、低炭素型産業の国内立地支援に一千百億円を計上して、既に公募を行ったところでございます。

 それから、御質問の本社機能の移転の件でございますが、事例をちょっと挙げさせていただけますれば、先ほどちょっと名前が出ましたけれども、中越パルプ工業株式会社、委員の地元の会社でございますが、二〇〇九年に営業部門と一部機能を除き本社機能を東京から富山県の高岡市に移転されております。それから、他の事例としては、四国化成工業株式会社、これは一九九七年に千葉県の幕張から香川県の丸亀市の方に移転といった事例もあります。

 こういったものがもっとどんどん加速されるような、そういう好循環を生み出すような施策に取り組んでいきたいと思っております。

橘(慶)委員 今おっしゃった、今回の補正予算のこの補助金で世界と競争できる工場がいろいろな場所に立地していく、これは大変いいことなんですが、今もお話があったように、工場で生産ラインだけということじゃなくて、例えば研究開発部門をそこにくっつけていくとか、あるいはIT社会ですから時には本社機能も、営業は東京だけれども管理機能を移すとか、そういったことをぜひもっともっと進めていけば、サービス機能は全部東京だということじゃなくて、もっとバランスのとれた日本に、そうすれば今の待機児童対策なんかも含めて子育てだって、逆に保育所に子供がいなくて困っている地域も多いわけですから、そういったところで伸び伸び子育てというようなことも考えられるんじゃないか、こんな思いを持つわけであります。

 そこで、サービス機能を、普通、都市機能というのは大都市だと言われるんですが、たまたま私の地元では良好な自然環境の中でアニメを制作する会社、あるいはデータセンター等が立地されて、それが注目されております。まあ、都市機能といっても千差万別であります。今、事例を挙げましたけれども、広い意味での中央の多様な都市機能の中から、ある部分を切り出して、そういったものを地方に分散立地していくことも可能であれば、それは日本全体を生かしていくことになるんじゃないかと思いますが、このことについてのお考えをお伺いしたいと思います。

谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今、議員の方からアニメ関係を御指摘いただきましたけれども、アニメ、あるいは広く情報産業といったふうにとらえた場合に、東京等の大都市に立地せずに、地域に立地して、地域の活性化に非常に寄与されている企業も既に存在しているというふうに認識しております。

 今御指摘のような、富山県南砺市にありますピーエーワークス。あるいは九州の方に目を転じますと、ゲーム制作会社でありますレベルファイブ。これはドラゴンクエストみたいなもの。それから、データセンターのお話もございました。最近でいうならば、福井県の小浜市に日本ユニシス株式会社さんがデータセンターをこれから立地される、こういうような動きも出てきております。

 こういった企業、あるいはそうした施設が存在するということは、地域の活性化に非常につながるわけでありまして、当該地域にとって非常に重要な存在であるというふうに考えておりますので、私どもとしても、そういった動きをぜひ応援していきたいというふうに考えております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。ぜひそういったところも目を向けていただいて、バランスをとっていただくことをお願いしたいと思います。

 時間もだんだん迫ってまいりました。通告をしながら空振るというのも大変失礼なことであります。事前の打ち合わせに従いまして、ちょっと飛ばしながら全員の方にお答えをいただけるようにと思います。

 クール・ジャパンという言葉があります。日本の価値ですね。それが対外経済という意味でも、まあ、きょうはずっとものづくりが大事と申し上げながらも、万葉集も昔のクール・ジャパンだと私は思うんですが、現代のクール・ジャパンはやはり伝統工芸、日本のいろいろな繊細な技術。そこからまた立派なものづくりにも展開しているわけですが、この伝統産業というものも大変大事だと思うんです。

 ただ、伝統産業は、どうしても、今までつくっていたものをそのままつくっていきますと、生活様式が変わってそれがマッチしないとか若い方のテイストに合わないとか、こういうことになってまいります。ぜひこのあたりについて、やはり日々革新といいますか、そういう伝統産業がさらに新しい分野を切り開いて頑張っていけるように、伝統産業の新規需要創造のための取り組みを、打ち合わせに従いまして長尾審議官の方からお願いいたします。

長尾政府参考人 お答え申し上げます。

 伝統工芸品産業でございますけれども、なかなか厳しい状況には置かれていますが、やはり伝統的な技術ですとか技法、あるいは人材、こういったものを将来に引き継いでいくことが大事でございますので、私ども、伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づきまして、例えば需要開拓、あるいは新商品開発なども含めて御支援申し上げているところでございます。

 まさに、今お話に出ましたクール・ジャパン、あるいは現代の生活様式にマッチングさせるといったところは、今新しい取り込みをやっておるところでございまして、例えば新商品の開発に当たりましても、デザイナーですとかプロデューサーですとか、そういった方々が産地の事業者と、今まで余り交流がなかったかもしれませんけれども、そこであえてマッチングをしていただく仕組みなどを取り込んでもらって御支援申し上げています。

 例えば、これも先生の御地元で御存じだとは思いますけれども、高岡漆器・銅器でもこういったことをやりまして、新しく建築ですとか自動車ですとか家電などのプロデューサーをターゲットにいたしました形でマテリアルプレートといったものが商品開発に成功いたしまして、今新しい販売チャネルもでき上がったというふうに伺っておるところでございますので、我々、こういったところも踏まえて、産地の御要望を踏まえて、新しい需要が国内外両方で開拓されることを応援していきたいと思っております。

橘(慶)委員 今言われた、新しい息吹ということでいいますと、この伝統産業の中に、私の地元でいうと銅器、漆器、あるいは木工があるんですが、今まで余りなかったことなんですが、最近はこういった分野に若い女性の方々の進出が目立つようになっております。そういうことであれば、またそこに新しい息吹というものが吹いてくる、こんなふうに思います。

 これは、たまたま私は自分の場所しかわからないものですから、全国的にはそういったことはどうなのだろうか。そしてまた、そういった形で担い手がいろいろ多様化していくことによって、その産業自身が活性化してくる。そういったことについて、経済産業省さんとしてこういうものも応援していくお考えはないかどうか、お待たせいたしました、井内審議官からお答えをお願いしたいと思います。

井内政府参考人 お答えいたします。

 女性の社会進出というお尋ねでございますけれども、男女共同参画社会の実現というものは、人口減少あるいは少子高齢化社会の中で女性の労働市場への参加を促進いたしまして、我が国の経済成長にも貢献するという観点から、経済産業省としても非常に重要であると認識をしております。

 女性の社会進出状況につきましては、政府として、女性の例えば就業率でございますとか、あるいは指導的な地位に占めます割合でございますとか、さまざまな指標で把握に努めておりますが、それを見ますと女性の社会進出が進みつつはありますが、社会全体として見れば、依然政府として支援すべき余地がまだまだあるというふうに考えております。

 このため、経済産業省におきましては、第二次男女共同参画基本計画に基づきまして、経済活動におきます女性の能力発揮のための支援といたしまして、起業をする際の支援でございますとか、あるいは仕事と育児の両立支援などの事業に取り組んできているところでございます。

 具体的に申し上げますと、例えば起業支援につきましては、起業意欲のある女性に対しまして、起業資金への低利融資なども実施しておりますし、また、商店街の空き店舗を活用いたしました子育て支援施設の設置なども支援しております。

 現在、政府といたしましては、第三次の男女共同参画基本計画を策定しているところでございまして、経済産業省といたしましても、女性の経済活動への参画をさらに促進するために関係省庁と一体となって取り組んでまいりたいと考えております。

橘(慶)委員 どうもありがとうございました。

 きょうはこれで閉じるわけですが、経済産業の分野は本当に広うございます。ぜひ大臣には、皆さんを束ねていただいて、チーム経済産業省で頑張っていただきたいと思います。

 最後は、どうしても野党ですから、ハードルを余り上げていくと、そのハードルにけつまずくということでは何の意味もないと思います、そのことで国が右往左往しないように、ぜひそこは慎重に一歩一歩よろしくお願いします。

 終わります。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十五分散会


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