衆議院

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第2号 平成23年3月9日(水曜日)

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平成二十三年三月九日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 石関 貴史君 理事 北神 圭朗君

   理事 楠田 大蔵君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 谷畑  孝君

   理事 西村 康稔君 理事 佐藤 茂樹君

      緒方林太郎君    川口  博君

      川島智太郎君   木村たけつか君

      櫛渕 万里君    熊田 篤嗣君

      斉木 武志君   斎藤やすのり君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    田嶋  要君

      平  智之君    高井 崇志君

      高松 和夫君    中山 義活君

      橋本  勉君    花咲 宏基君

      山本 剛正君    吉田おさむ君

      梶山 弘志君    近藤三津枝君

      高市 早苗君    竹下  亘君

      橘 慶一郎君    西野あきら君

      望月 義夫君    稲津  久君

      吉井 英勝君    山内 康一君

      園田 博之君

    …………………………………

   経済産業大臣       海江田万里君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   環境副大臣        近藤 昭一君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     松田 敏明君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  柴橋 正直君     高井 崇志君

  額賀福志郎君     竹下  亘君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 崇志君     柴橋 正直君

  竹下  亘君     額賀福志郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として消費者庁次長松田敏明君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを進めますが、冒頭に海江田大臣より発言を求められておりますので、それを許可いたします。

海江田国務大臣 おはようございます。

 先日の当委員会における私の所信表明につきまして、速く読み上げ過ぎだとの御指摘がありました。今後、そのようなことがないようにいたします。

田中委員長 それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高市早苗さん。

高市委員 おはようございます。自民党の高市早苗でございます。

 きょうは、貴重な質問時間をちょうだいいたしまして、同僚委員の皆様に感謝を申し上げます。

 去年の五月にこの委員会で質問をさせていただいたんですけれども、そのときは口蹄疫が大変な状況でございました。ちょうど私が質問させていただきました日に、経済産業省でも、口蹄疫で関連業界は大変お困りの状況でございましたので、中小企業金融をしっかりとやりますということで対策をスタートしていただきましたことを思い出しております。

 現在、鳥インフルエンザが非常に深刻で、近畿地方でも多くの県で鳥インフルエンザが発生しております。私の地元奈良県でも、二月二十八日に、簡易検査陽性の事例が発生いたしました。これは、養鶏農家の方々の落胆も本当に大変なものなんですけれども、例えば、卵の販売をされている方、鳥関連製品をいろいろ特産品としてインターネット販売されている方、食肉加工業者、食肉販売、そしてまた小売、飲食店などでも随分不安の声が上がっております。

 まず、経済産業省として把握しておられます全国の関連業界などの被害状況、それから、現在、鳥インフルエンザによって被害、影響を受けているそういう中小業者に対してどのような支援を行っていらっしゃるのか、伺います。

海江田国務大臣 高市委員にお答えを申し上げます。

 経産省としましては、鳥インフルエンザの発生により影響を受けている中小企業者への支援措置として、日本政策金融公庫や信用保証協会などに特別相談窓口というのを設けております。これが全国で三百七十カ所ございます。

 鳥インフルエンザが特に全国に拡大いたしましたのが一月の二十二日でございますが、その一月二十二日からこの特別相談窓口に寄せられた相談の件数が三十八件でございまして、そのうち実際の融資でありますとか保証に結びつきましたのが十五件、約二億二千万円でございます。

 この融資や保証でございますけれども、これは日本政策金融公庫によるセーフティーネット貸し付け、それから商工中金による危機対応貸し付けでございます。

 以上でございます。

高市委員 いつも経済産業省、中小企業庁の皆様には、こういった事案が発生しましたときに、適切に、また迅速に対応していただいておりますことには感謝を申し上げます。

 昨年の口蹄疫のときは、率直に申し上げて、民主党政権の対応は本当にひどかったなと思っております。

 既に十二例目の口蹄疫の感染が確定していた四月三十日、赤松農林水産大臣がメキシコやキューバの方に出張されて、帰ってこられたのが五月八日でございました。初期段階で既に宮崎県は民間の業者に依頼をしながら処分を進めていた。やはり、あのとき一番大事だったのは早いタイミングでの財政支援措置。これによって処分をいかに迅速化していくか、スピードアップしていくかといったところにあったと思うんですが、長期の出張で大臣がおられませんでしたので財政支援の決定が非常におくれた、こういった問題もございました。

 そのほかに、さまざまな省庁の連携、それから、県や発生している町との連携、連絡調整ですね、ここがうまくいっていなかったので、現場で随分混乱が見受けられたと思います。

 民主党政権として、昨年の口蹄疫の対処について何を具体的に反省し、今後、家畜の疫病というものが発生した場合に政府全体としてどういった対応をしていくべきか、何か改善されようと思った点、学ばれた点、反省された点がございましたら、大臣にお伺いいたします。

海江田国務大臣 昨年、これは口蹄疫のケースでございましたけれども、御指摘のような事例がございました。

 当時の赤松農水大臣も、たまたま海外出張と重なってしまったわけでございますが、私ども、政務三役というものがおりますから、政務三役がしっかりと連携をとって、その意味では私ども経産省もインフラ・システム輸出などで海外に出ることが多いわけでございますが、その場合でもやはりしっかりと政務三役で連携をとりながら、そうした危機管理に対して万遺漏のないように行っていかなければいけないなとつくづく思っております。

 それから、これは本当に各省庁間の連携が重要、大切でございます。その意味では、経産省、農水省、それから防災担当の大臣などが緊密に連携をとって対応していかなければいけないなというふうにつくづく思っております。

高市委員 今大臣が、政務三役の連携、それから関連省庁の連携、こういったことをお答えくださいました。

 一月二十七日に鳥インフルエンザ対策関係閣僚会議というのが開かれておりました。この座席表を拝見したんですけれども、経済産業大臣が入っておられません。それで、なぜというのを大臣に聞いても、官邸の方からお呼びがかかるんでしょうからわからないかもしれないんですけれども、これは農水省、国交省、当然総理、官房長官は入っていらっしゃいますし、そのほかにも防衛省、国家公安委員長等々が参加されている。

 家畜の疫病が発生したときに常に経済産業省も大変重要な役割を担うんですけれども、これに入っていないということの事情、それから、これからできたら積極的に参加をしていただけるような枠組みをつくってほしいんですけれども、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 私の記憶でございますけれども、最初のときには入りました。ただ、それが具体化をして、いろいろな施策をやっていく中で、私が入らなかったこともあるということでございます。

 それから、おっしゃるように、この鳥インフルエンザでは、例えば養鶏業なら養鶏業という一つの業種がございます、これはどうしても立入禁止になりますので、本当に人の出がなくなりまして商店街が大変痛むということがございます。昨年の口蹄疫のときも、私は当時は一議員でございましたけれども、風評被害によりその地域全体の経済が大変落ち込むということで、これは商店街の連合会の会長さんから陳情されたこともありまして、その意味では、本当に経産省もこの口蹄疫あるいは鳥インフルエンザなどに対してしっかりと取り組まなければいけないとつくづく実感をした次第でございます。

 それから、私は、せんだって、霧島の新燃岳の宮崎、鹿児島を視察してまいりましたけれども、そのときも、特に宮崎県は、口蹄疫、それに次ぐ鳥インフルエンザ、そして今回の新燃岳ということで、まさに二重、三重に被害を受けているということで、地域の経済全体が大変落ち込んでおりますので、何とかしてくれというお話がありましたので、そういうことに対してしっかりと対応しなければいけないと考えております。

高市委員 政治主導ということで政権交代直後もおっしゃっていたんですけれども、関係閣僚会合は開かれている、当初は大臣もお入りになっていた。ところが、きょう質問をさせていただくに当たって、内閣総務官室に、政府全体として各省がどういう役割分担で何をしているのか、一枚物でいいので何か一覧表みたいなものはありませんかと聞いて、これが実はなかなか出てこなかった。仕方ないので各省ごとに確認をしていきましたら、農水省に聞いたら、ほかの省は何もしていないんです、農水省でほぼすべてやっているんですというようなお話で、そんなわけないだろうと思いながら一つずつ確認をさせていただいた。夕べ遅くなってから一覧表形式のものをいただきましたけれども、これは官僚同士のお話かもしれませんけれども、役所ベースで情報共有がなされていない。

 だから、例えば農家の人が、もしくは商店街の人が、飲食業の人が大変困っている、ではどうしたらいいんだということで問い合わせをしても、国会議員が聞いても、よその省で何かやっているのか、やっていないのかすらなかなか答えられない。こういう状況がございますので、次回、官邸でそういった会議がありましたときに、大臣同士だけじゃなくて、すべての職員がそういった情報を共有していただける、国会議員から聞かれても、どこどこの役所ではこういう取り組みをやっているんですということがすぐにわかるような体制をぜひつくっていただきたいと思います。

 次に、特に中東、北アフリカの政情不安を受けまして、今、原油価格が高騰いたしておりますことについてお伺いをしたいと思います。

 特に、ガソリンの卸値がすごい勢いで上がっていて、二月十九日以降、週五円ペースで卸値が上がっているというんですね。そうしますと、ガソリンスタンド、特に中小の系列SS、サービスステーションというのが非常に大変な状況になっている。本来だったら、以下SSと言わせていただきますが、SSが正常な利益を上げていくためには、卸値の上昇分については余りタイムラグを置かずにすぐに顧客に転嫁していくというようなことをしなければ、週に五円ずつなどというペースで上がっていったら、ほぼもたない状況だと思うんです。

 ところが、同じ商圏内のプライベートブランド、PBと呼ばせていただきますけれども、PBですとか、ホームセンターなんかの異業種による安売り、これに対抗しなきゃいけないので、本当だったら価格転嫁したいんだけれども、競争がありますので、とてもそれができない。

 これだけ原油価格の高騰が続いている中で、そのPBが系列SSの卸値よりも安い値段で売っている。卸値よりも安い値段でよそのお店に売られちゃいますと、本当に利益なんて一円も上げられない状況になってしまいます。

 大臣は、この系列SSとPBの販売価格差を生んでいる根本的な要因というのはどこにあるとお考えでしょうか。

海江田国務大臣 元来、石油の卸売価格、あるいは小売価格というのは、自由な価格競争の中で決められるものでございますから、役所が一々にどうこう言う立場ではございませんが、今お尋ねのありました価格差はどこから生まれてくるのかということは、一つは販売量と申しますか、私も今は立場がありますので、自分で車を運転できませんから自分でガソリンを入れる機会がなくなりましたけれども、例えば非系列であって、安いところがあるんですね、少し遠くても。そこまで行きますと、かなり列をつくっているわけですけれども、リッター当たり五円ぐらい安いところも出てきますから、やはりそっちへ行ってしまうんですね。ですから、そういう販売量などによって価格が違うというようなこともあろうかと思います。

 それから、もちろん、冒頭にお話をしましたように、自由に決めればいいということでございますけれども、独禁法の決まりもございまして、差別対価という、極端に差別が行われる、あるいは優越的地位の濫用などにより価格を上げたり下げたりということがあってはいけないということで、この方面の監視というものはしっかりとしていかなければいけないと考えております。

高市委員 安いところがあるということなんですが、昔懐かしいガソリン値下げ隊というのもありましたけれども、一方の系列のお店では高過ぎる、一方、かなりこういう高騰局面でも安く売れるところがある。この状態で系列店がどんどんつぶれてしまいますと、実際には寡占状態にどんどん近くなっていく。最終的には、消費者が被害をこうむる可能性もあるかと思います。

 私は、根本的な要因は、石油元売が系列店に販売していくということで正規の料金で出す系列玉と余った在庫を例えばブローカーを通じて安くPBなどに売っていく業転玉の価格差にあるんだと思います、根本は。

 それで、現在の値段なんですが、これは大体卸値でも販売価格でも同じぐらいなんですが、業転玉を扱っているPBと系列SSの間で十円以上にもなっている。こうすると、中小のSSにとっては絶望的な競争条件になってきている。また、主要元売が卸価格のフォーミュラを変更して、ブランド料というんですかね、そういったものも引き上げたということで、結構この系列SSの足を引っ張っている状況でございます。

 この石油元売によります差別対価ですとか優越的地位の濫用について、今大臣はしっかり見ていかなきゃいけないとおっしゃいましたけれども、適切な指導をしっかりしていただくという思いがおありでしょうか。もう一度確認させていただきます。

海江田国務大臣 特に元売系列が、地域によってはSSが元売系列しかないところもありまして、今、元売系列が全般的に高いということがあって遠くの方へわざわざ行って、そういうのがつぶれるというようなことがあると、その地域でのSS、つまり、ガソリンの供給体系が大きく崩れるということもありますので、そういうことも含めまして、先ほどもお話をしましたけれども、公正取引委員会と連携をとってこの問題にはしっかりと対処していきたいという思いがございます。

高市委員 ぜひとも中小のSSが公正な環境で競争できる流通経路をまずしっかりとつくっていくということで、割と根本的なところに切り込んでいかなきゃいけないことだと思うんですけれども、大臣御在任中に一度御検討いただければと思います。

 きょう、お忙しい中、公正取引委員長にもお出ましをいただいているかと思います。

 昨年一月に改正独禁法が施行されました。施行された当初は、今申し上げました系列SSの皆様も大変喜んで、期待をされていたんです。ですから、昨年の春ごろまでは、公正取引委員会に寄せられる積極的な不当廉売申告があったと思うんですけれども、SSの方々、私の知り合いに言わせると、公正取引委員会の事案処理が法改正前と余り変わらない対応だということで、だんだん期待感がしぼんできた、徐々に申告件数も減ってしまったと聞いております。

 それで、ちょっと申告件数を調べてみると、二十二年の一月、去年は八十件、二十三年の二月一件と、確かに非常に少なくなっている。ただ、今この高騰局面で、不当廉売との闘いで皆さん大変厳しい状況でございます。

 そこで、委員長にお伺いしたいんですが、こういう不当廉売事案に対する調査方法は、今は恐らく電話調査なんだろうと思うんですけれども、電話調査だけでは、仕入れ価格とか販売経費、こういったものの正確な確認はまず難しいだろう、ちゃんとバウチャーをとるとかしながら現地調査をしていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、どうお考えでしょうか。

竹島政府特別補佐人 ガソリンの不当廉売にかかわる申告に対してどういうふうに調査しているのかというお尋ねでございます。

 私も結構長い間今の仕事をさせていただいていて、その間、全国石油商業組合連合会等々の方々から、かなりの回数、いろいろ陳情なり申し入れなりを受けて、その中で、不当廉売とか差別対価で特に注意ということではなくて、もっと厳しいことをやってくれということをずっと頼まれているわけです。

 中には悪質な、悪質というのは、端的に申し上げますと、長い期間、仕入れ価格を割ってそのエリアのほかのSSをもつぶしてしまうような意図を持って廉売をするケースがないわけじゃない。現に公正取引委員会もそういうものについては命令を出して措置をしているわけですが、概して申し上げますと、そういうケースは極めて少ない。仕入れ価格ぎりぎりか、仕入れ価格についても、今先生おっしゃるように差があるわけでございます。そうしますと、結局、注意の範疇を超えて排除措置命令、したがって課徴金の対象になるというケースは、実際問題少ないというのが現状でございます。

 私どもが今やっていますのは、かなりの件数の申告がございますから、それに対して迅速に処理をする。不当廉売をやっているのに半年もかかって答えが出たんじゃ意味がないということで、我々は原則二カ月で処理をするということでやっております。

 その結果注意が出るわけですが、その場合の調査の仕方は、今委員がおっしゃったようなバウチャー、要するに帳簿なりをとるということではなくて、調査票を送って、これに書いてもらう。そうすると、我々は別途の情報もありますから、この書いてある仕入れ価格なり販売価格はどうもおかしいということはそれなりにわかりますので、そういう異常値が出てきた場合にはもう少し詳しい説明を求めるということはしておりますけれども、すべてについて帳簿を持っていらっしゃい、仕入れ価格は幾らであったかを証明する書類を持ってこいということは、やっていません。

 それは、立場を変えて考えると、ただ単にあそこの店が安いよという申告に基づいて強制的に企業秘密に当たる帳簿を持っていらっしゃいということについては、我々はそこは慎重にやっています。カルテルの場合でも何でもそうでございますが、単なるうわさとかその程度の材料によって強制調査をするということはないわけでございまして、相当問題があるということが我々なりにわかったときに、そういう企業秘密についても、強制調査権限を発動して、命令をして出してもらうということになります。

 注意に終わるようなケースの場合は、先ほど申し上げましたような強制調査権限に基づくものではなくて、調査票を出して、それに書いていただいて、それで判断して、その結果、二十一年度は九百五十六件の注意をしているということでございます。

 いずれにしても、私どもとしては、ガイドラインを改正したりして、元売自身が系列を差別していないか、自分の系列の特約店とそうじゃない特約店、それから、規模の大小によって合理的な差はしようがないですけれども、それを上回るような、それでは説明がつかないような価格でもって卸しているとか、それから、卸価格の決め方も、かつては一方的に決めて事後的に言い渡す、一方的に言い渡すということでありまして、両者の間でちゃんとした協議が行われていないというようなことはおかしいので、ちゃんと協議をしなさいと。その結果、エリア価格を基準にするのか、いわゆるRIM価格リンクと言っておりますが、規模の大きなものはそういう値決めになっておるんですけれども、それをするのか、それはちゃんと甲と乙の間で相談をして決めなさいということを指導しておりまして、そういうことについて守られているかどうかのフォローアップもいたしております。

 そういうことで、ただ単に安いからけしからぬというわけにはいきません。安いのは消費者のためになるわけでございますので、我々は、そういうものがむしろ推奨されるべきだと思っていますけれども、そうじゃない形の、本当の意味の不当廉売というものについては引き続き厳正に処理していきたい。

 繰り返しとか、非常に規模が大きい、影響が大きいというようなものは、せっかく認めていただきました不当廉売への課徴金の導入でございましたので、その発動については、積極的に、何らためらうことなく一生懸命やっていきたいと思っております。

高市委員 夕べ、公正取引委員長に聞きたいことを四問か五問通告いたしましたら、大方まとめて答えてくださいました。これから聞くことも含めてお答えをいただいたんですけれども、ちょっと教えていただきたいのは、今、調査の結果、二カ月以内にということなんですが、大体一カ月以上、今一カ月とか一カ月半かかっているんじゃないかと思いますけれども、SSの方からすると、本当に週単位で卸値が上がる大変な競争の中にいるので、もう少し調査の結果が早く出ぬのかなというような感じもするんですけれども、これはいっぱいいっぱいでしょうか。

竹島政府特別補佐人 結論的には、一生懸命やらせていただいているつもりでございまして、ほかに家電とかお酒、ビール類の不当廉売の問題もあるんですが、これは全部同じですが、原則二カ月ということでやらせていただいています。

 逆に、全部が全部その中にはまっているわけではございませんで、一カ月ぐらいで済んでいるのが大方だという実態でもないというふうに私は承知していますので、これからも努力はいたしますが、調べなきゃならぬものは調べなきゃいけませんし、申告に基づいてただ申告をされた側に不当廉売だというようなことを軽々に言えるわけでもありませんので、現状は、さらに努力はいたしますけれども、やむを得ないのかなと思っています。

 ただ、それでよしということじゃなくて、できるだけ努力はさせていただきたいと思っています。

高市委員 昨年の一月から現在までで、排除措置命令が出たもの、それから課徴金になったものの件数は、今おわかりでしょうか。お答えください。

竹島政府特別補佐人 排除措置命令は、直近、平成十九年度に二件出して以来、二十年度以降ございません。排除措置命令はありません。注意は、先ほど申し上げたようにたくさんありますけれども。それから、課徴金を命令したことは、まだありません。

高市委員 注意を繰り返し繰り返し受けていても排除措置命令に至らない、当然、その結果課徴金にも至らない。こういったことで公正取引委員会の対応というのが甘過ぎるんじゃないかという声も上がっておりますけれども、注意というのは、どれぐらい、何度やれば次の段階に進んでいくんでしょうか。

竹島政府特別補佐人 次の段階ということですが、軽いものが何回たまっても、それは強いものにはならぬだろうと思います。

 ただ、二十一年のガイドラインの見直しによって、注意が多い場合は社長を呼んで直接厳重に注意をするなり警告をするなりということに変えました。そういうことで、少しまじめに聞いていただけるようにやっていきたい。それから、影響が大きいようなものは、当然、課徴金ということを念頭に置いてきちっとこれからもやっていきたいと思っております。

高市委員 石油販売だけじゃなくて、酒販、お酒の業界の方々も、お目にかかると、大変運用が甘いんじゃないかというようなお声も実は聞いております。

 この不当廉売の問題は、事業主体が減ることによって本当に最終的に消費者のためになる結果を招くのか、安ければいいというものじゃないんじゃないか、そういう思いもございますので、人手の問題もあるでしょうけれども、ぜひとも厳正に調査をしていただきたいと思います。

 一つお願いなんですけれども、平成十六年の九月に公正取引委員会流通実態調査というものが実施されましたけれども、例えばSSの問題だけを見ましても、石油元売の新仕切りの価格体系というものが導入されるなど、環境がかなり変わってきていますので、そろそろ時期的に再調査をしていただければと思うんですが、いかがでしょうか。

竹島政府特別補佐人 私どもも、時々はそういう実態調査をしていかなきゃいかぬと思っていますが、今具体的にことしやるとかいう計画を持っているわけじゃございません。

 ただ、一つ御理解いただきたいのは、確かに、十六年に御指摘のような実態調査をやって、翌年十七年に元売に対して、十六年の実態調査の中で独禁法上こういう場合には問題になりますよということを指摘してあるわけです。そういうことについてきちんと元売が承知をして商売をやってほしいということを言ってあるという経緯がございまして、翌年の十七年にフォローアップ調査をもやっている。

 そういうことを踏まえて、二十一年十二月、一年ちょっと前でございますが、ガソリンの不当廉売のガイドラインを変えました。先ほどちょっと御紹介したように、価格決定方式はちゃんと甲と乙が決めてやりなさいとか、いろいろなことを盛り込んでありますので、私は実態調査をすることが必要ないとまでは申し上げませんが、より大事なのは、きちんとそういうことが守られているのかどうかをチェックすることの方が大事なのかなと。

 確かに、石油業界というのは、ちょっと珍しいというか特色のある業界だとつくづく私は思っていますので、独禁法上の問題があるかないかは、ほかの業界に比べてより重点的にウオッチしていかなきゃいけないと思っています。

高市委員 ありがとうございました。

 公正取引委員会と経済産業省が連携をしながら本当に根本的な問題をどう解決していくか、公取の現場の実態もまた大臣に聞いていただきながら、ぜひとも中小の企業が成り立っていくように、また、田舎からどんどんガソリンスタンドがなくなっていく状況がなくなりますようにお願いをいたします。

 公取委員長におかれましては、お忙しいかと思いますので、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 それで、大臣、今の田舎のSSの話なんですけれども、ガソリンスタンドは、かけこみ一一〇番というので子供たちや私たち女性の安全も守ってくださっていますし、割とガソリンスタンドの近くで交通事故が起きたときなんかに備えて従業員の方々が救命のための講習を受けてくださったり、また、地震が起きたときにはトイレを私たちがお借りしたり食料などを配布したりと、いろいろ社会貢献もしていただいております。

 今、市町村で本当にガソリンスタンドがなくなっちゃった。もう既に一つの自治体の中で三カ所以下になったところが二百二十二カ所になったと聞いておりますから、これは全市町村の一三%に該当するんじゃないかと思います。ぜひとも、大臣、さっきからの答弁でおわかりだとは承知しておりますけれども、そういう公共的な役割にも配慮していただきながら事業主体を減らさない努力をしていただきたいんですけれども、現在、ガソリンスタンドがゼロの自治体をなくすためにどういった対策をとっておられるか、伺います。

海江田国務大臣 今、高市委員からこの市町村の二百二十二という数も御指摘をいただきまして、私も、この問題は、就任しましておよそ三カ月でございますが、かなり初期の段階にまず実態を調べてくれと。

 そして、御指摘のように、本当に子供たちの登下校の最中の安全避難場所とかいう役割もございます。それから、本来の役割でいいますと、ガソリンだけじゃありませんで、灯油なども販売をしているケースが大変多いわけでございまして、SSがすぐ近くにあれば自分で行って、重いものですけれども、自分で行って持って帰ってくることもできますが、そういうこともできないということで、本当に生活全般にわたって大変大きな、やはり生活を破壊する一つの要素になりますので、どういう形で後押しをすればこのSS店を、特に地域に一つしか残っていないようなSS店を守っていけるか、今検討している最中であります。

 今、公正取引委員会と緊密に連絡をとってそうした不当廉売がないようにというのも一つのやり方だろうと思いますが、そのほかに経産省としてどんなことができるのか、融資の制度もございますが、この融資の制度というのはしょせんは返さなければいけない話でありますから、どういう形で本当に維持できるのかということで今検討しているところであります。

 委員におかれましては、そういったアイデアなどがありましたら、またぜひお聞かせいただけますと大変ありがたいと思っております。

高市委員 かなり大きな話になってしまうんですけれども、電気とかガス料金に関しましては、原油、LNG、それからまた石炭の燃料価格、こういった変動に応じて自動的に料金を調整していくというような形で燃料費の調整制度がございます。

 ただ、ガソリンのことを考えましても、同じように原油を輸入して精製して販売していくということになります石油販売業については、先ほど来、自由競争ということが出ていて、こういう制度もなくて、原油価格の高騰があったり、増税があってもなかなかコストを転嫁しにくいという現状がございます。

 これは哲学の問題になってしまうかと思うんですけれども、石油についても、原油価格高騰を初め、外的要因によるコスト上昇分を回収できるような一つの仕組みを創設するというのも一つかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 これは委員御案内だと思いますが、先ほど値下げ隊の話が出ましたけれども、今、それこそ暫定税率が乗っていて、それが価格をかなり押し上げているということがございますが、せんだっての法改正で、ガソリンの小売価格が全国平均で百六十円を超える期間が三カ月以上続いた場合、暫定税率に当たる分を今置きかえで税金をいただいておりますから、それをなくして百六十円以下に抑えるというような施策もとってございます。

高市委員 その点は今検討中ということでございますので、ぜひとも十分に御検討いただければと思います。

 三月五日のTBSの報道特集で、不正軽油の問題を扱っていたんですね。これは地方税を免れるために重油と灯油をまぜ合わせて軽油に近いようなものをつくる手法で、これも原油価格高騰の影響を受けて、その不正軽油のニーズが結構あるんだという紹介でございました。

 その番組の中で取り上げていたケースは、ガソリンスタンドで重油と灯油の両方を混合しまして、住宅街でタンクローリーからトラックに給油している、そういう映像がございました。もちろん、法律的には地方税法違反にもなりますし、無許可で危険物を製造するということですから消防法にもかかわってくるんだろうと思うんです。

 そういったケースがほかにもあるということになりましたら、まず住民に危険が及ぶということ、それからまた、炭素の排出なんかで環境汚染にもつながってまいります。こういったケースについて、今経済産業省で対応されていることはあるんでしょうか。

海江田国務大臣 私、残念ながらそのテレビの番組は見ておりませんが、このにせ軽油と申しますかインチキ軽油と申しますか、これは従来にもかなりそういうケースがございまして、それこそ法令違反でございますので、その都度、厳しい態度をとっておりました。その意味では、今後とも監視の目を光らせて、そういう事例があれば、これは法令違反でございますので、直ちにしっかりとした対処をとりたいと思っております。

高市委員 ぜひともガソリンスタンドの経営者の皆様とも連携をとりながら、それからまた、消防庁ですとか税務当局、警察などともしっかり連携していただきながら、こういう状態をなくしていっていただきたい、そのようにお願いをいたします。

 次に、これは前から聞いてみたかったことでございますけれども、きょうは配付資料をお配りしているかと思います。

 まず、配付資料一をごらんいただきたいんですけれども、これは経済産業省の公式サイトに掲載されている図でございます。これは、家電リサイクル法にのっとった廃家電四品目を収集運搬する、それから再商品化、いわゆるリサイクルをするということについて、その流れと役割分担がわかるようになっております。

 消費者は、つまり、廃家電を排出する人は、収集運搬費用とリサイクル料金を負担する。家電小売店が収集運搬業者として消費者から不用な家電を引き取って、管理票を発行して、指定法人別に定められた場所まで廃家電を搬入していく。製造業者や輸入業者は、この再商品化、リサイクルにかかわっていく。また、リサイクルの際には、エアコンですとか冷蔵庫に含まれる冷媒フロン、断熱材フロン、こういったものを回収して破壊するということで役割分担ができております。

 大臣、この流れのほかに何か合法的な家電のリサイクル回収ルートは存在するんでしょうか。

海江田国務大臣 私もよく町中で見かけます。いわゆる不用家電を、最初は無料だとか言っているんですが、実際に行くと無料ではありませんで、有料でお金を取られるということでございますが。

 あの業者も、基本的には、廃棄物処理法上の許可をとっていなければいけないわけでございまして、その許可をとっておればこのルートの中に入っていくところだろうと思います。

 ただ、これは往々にしてそうした許可をとらずに廃品回収が、廃品回収というよりも家電の回収が行われているケースが多いようでございますので、これはやはりしっかりと取り締まりをしなければいけないというふうに思っております。

 経産省としましては、このホームページの後に、こちらにございますが、「特定家庭用機器廃棄物適正排出のお願い」というのを、何ページかこのホームページをめくっていただくと、ごらんになったと思いますが、これが私どもが今やっておりますことでございます。

高市委員 通告し過ぎまして、大臣には先々まで本当に丁寧に答えていただきありがとうございます。

 まさに、今大臣がおっしゃっていただいた業者さんが、配付資料二の写真です。それは奈良県内で撮ったものなんですが、去年ぐらいから物すごいふえ始めたな、目立ってきたなと私が感じたんです。週末なんかでも、選挙区におりますと、朝早くから、店を構えているところじゃなくて、軽トラで、不用家電などを無料で回収しますとアナウンスしながら回ってくるトラック、これもやたらふえたなと思うんですね。

 ところが、無料回収というのぼりをそれだけ派手に立てていても、実際に廃家電を持ち込んだ人がいて、その人に聞きましたら、無料と書いてあるんだけれども、持っていってみたら、家電小売店に処理をお願いするよりはちょっと安い料金、だから電器屋さんに持っていくよりは得ですよみたいなことで料金を取られる、全然無料じゃないじゃないかという話です。

 あと、軽トラックで回ってくる方も、例えばトラックに無料回収と書いてあったりするんですね。マイクでも無料無料とうたっているんですが、いざ、とめちゃった日には、結局、荷物を積み込んで、積み込み終わった後で料金を請求された。これは私の身近なところでも聞いております。

 きょうは消費者庁さんにも来ていただいているかと思うんですけれども、そもそも無料回収だと宣伝しながら料金を請求するというのは法律に抵触しますか。

松田政府参考人 消費者庁は経産省さんと所管しております特定商取引法で訪問販売を規制の対象にしておるわけでございますけれども、いわゆる特商法の対象を政令で定めていたところ、一昨年の改正で原則としてすべての商品、サービスを規制の対象とするということで、このケースについても法規制の網がかぶるということで法律上のたてつけになっております。

 具体的には、特定商取引法上の取引であれば、氏名、勧誘目的の明示でありますとか、書面の交付、それから不実告知の禁止等の義務が課されておりまして、これらの義務に違反した場合には業務停止命令等の行政処分が課されるということでございます。

 具体の例によりますけれども、昨年八月には、先生御案内のとおり、悪質な事案につきまして消費者庁長官から六カ月の業務停止命令を行ったところでございます。

 具体事例に即して判断があろうかと存じますが、悪質な場合には厳しく対処しているところでございます。

高市委員 つまり、私の周辺でも結構起きているいろいろなことが法律には抵触する。例えば、一切料金を表示していない、社名も表示していない、それから無料とうたっているんだけれども実際に料金を取られる、これらは全部法律に抵触しますね。

松田政府参考人 法律上、こうした不用品回収が役務の提供に該当しまして、それを訪問販売としてやるときに、書面を交付してしかるべくきちっとした契約の方式をとりなさいというのが法律上のたてつけでございますので、これに違反しておれば、それは法律上違反ということになります。

 ただ、具体的にどこまで行政処分するかとか、それは個々、悪質な例に限って処分がやられているのが現実でございます。

高市委員 多分、法執行の方が全然追いついていないんだと思います。

 さっき、うっかり無料回収所に持ち込んだ人というのはうちの秘書でございます。無料と書いてあるので、ちょうどブラウン管テレビを捨てようと思って持っていったら、なまりで明らかに中国人だと思われる人が出てきて、これは大きいねということで、大きいからお金もらうよとか言うので、うちの秘書は怒り出して、あんた、一緒に警察に行こう、どうせ許可とっていないんやろうといって手を引っ張ったら、ノーノーノーということだったんですけれども、次の日、前を通ったら、跡形もなくその業者さんそのものが消えていたというような話を聞いたところでございます。

 いろいろなケースがあると思うんですが、きょう、環境省の方にも、副大臣においでいただいておりますけれども、正規ルートより安い料金であってもそれを受け取って、引き取った家電というのは廃棄物になるんだと思いますので、これは廃棄物処理法上の業の許可というものが必要だと思います。まず、それでいいのかどうか。それから、道路沿いにふえた不用品回収所ですとか軽トラックで個別回収している業者について、業の資格の有無というのはちゃんと調査されているんでしょうか。

 以上、お伺いします。

近藤副大臣 高市委員にお答えいたします。

 今御質問の件でありますけれども、不用品回収業者が料金を受け取って家電を回収している場合、原則として当該家電は廃棄物に該当している。その場合、当該不用品回収業者は廃棄物処理業の許可が必要であるということであります。

 そして、今御指摘の、私もそんなところを街角で見かけたことがございますけれども、環境省では、昨年十月に、地方自治体に対して、廃棄物の疑いのあるものを扱っている不用品回収業者に対して廃棄物処理法に基づく報告徴収及び立入検査を的確に行うよう通知を出したところであります。

高市委員 地方の負担も、そういう意味ではなかなか重いんですね。大体、その不法投棄なんかでも、これを処分するための費用というのは市町村が背負っております。奈良県でも、一年で、おととしぐらいまでのデータしかないんですが、大体一千万円ほどかかっているというようなことで、大変負担も重うございます。

 やはりこれは国としての支援体制も整えながらしっかりとチェックをしていただく。そういうことじゃないと、まじめに家電小売店にリサイクル料金を払って出している消費者はばかみたいですよね。そうやって無料もしくは安い値段で出すというところにインセンティブが働いた場合に、この家電リサイクル法の趣旨というものが生きてこないように私は思います。

 家電小売店に依頼するよりも安い料金を払ってそういう不用品の回収業者に出しても、まず管理票というのは発行されておりません。そうすると、管理票を貼らないままでは製造業者ですとか指定法人に引き渡せないので、結局、回収した廃家電をちゃんとリサイクルすることはできないと思うんですね。

 大臣、この管理票がなくてもリサイクルできる方法はありますか。

海江田国務大臣 ちょっと私には思い当たりません。

高市委員 そうだと思います。

 また、さっきのお配りした写真のように、そんな状態で野積みしているところがほとんどなので、これはまともにリユースできるような管理状態でもない、常識的に見て廃棄物でしかないと思うんですけれども、こういう不用品回収業者の回収方法と、方法についてはさっきちょっと消費者庁の方からもお話がありましたけれども、回収後の取り扱い、活動実態について国として調査を実施しているのか、また、その予定があるのか、大臣に伺います。

海江田国務大臣 これは、きょうこちらにお呼びいただいております環境省、消費者庁とまさに連携をしなければいけないことでありますので、よく連携をとって、そういうことがどういう形でやるのが一番効果的であるかということを考えたいと思っております。

高市委員 ぜひお願いします。

 私は、そもそも、ああいう無料ですとか、すごい安い値段で廃家電を回収して、それもあんなふうにリユースも難しいような状態で管理して、集めた方も輸送コストとか分別コストが当然かかるのに、それでもまだ成り立つような合法的なビジネスはあるのかなと、正直疑問に感じておりました。

 ところが、金属商の方が近所におられて、専門家だと思ってちょっと聞いてみたら、今から申し上げるような方法だったら利益を上げることは十分可能だと。

 まず、中古品として販売可能な家電は、国内のリサイクルショップに売ったり輸出をしたりする。エアコンは、エアコンについては結構おいしいんだそうです、つまり、フロン回収に一台五百円程度のお金がかかるけれども、それを負担したとしても、エアコンは再利用できる部品が大変多いので、一台四千円ぐらいで売れるんだというんですね。その方に言わせたら、正規ルートで出している消費者は一台二千六百二十五円もリサイクル料金を負担して出している、それを引き取って売ろうと思うと一台四千円ぐらいで売れる、フロン回収費用を引いても三千五百円のもうけということで、ちょっと消費者は気の毒だよねというような話もございました。

 あと、リユース不可能な家電については、金属スクラップにして海外に輸出する、もしくは不法投棄、こういうことになるんだろうと。リサイクルできる金属部分が少ない冷蔵庫、これは恐らく業者としては持ち込まれたら一番迷惑なものだろうとおっしゃっていました。ただ、自転車を一緒にセットで持ち込んでくれると、自転車を輸出することでペイできるということで、自転車を持ってくる人も、ほかの大きな冷蔵庫なんかも一緒に引き取ってくれるんだったらというようなことで持ち込まれるので、そういった方法で結構収益にはなるんだよという話を聞きました。

 ただ、私が伺った今の話の中で、海外への違法輸出というものがふえているんじゃないか、あと不法投棄、この二つが問題だと思うんですね。

 金属なんですけれども、今、アジアの新興国では、金属需要は御承知のとおり随分ふえていると聞いております。鉱山から供給されるような鉱石を製錬するよりも、金属スクラップからの製錬の方がコストが安い。それから、新興国で割と安い人件費で選別や加工も可能だということで、日本から随分多くの金属スクラップが輸出されていると聞いております。

 ちょうど三月三日に、日本の鉄鋼大手各社や資源会社が、四月以降の鉄鉱石の輸入価格を一月―三月期に比べて二五%引き上げる、原料炭なんかも三五%引き上げる、こういったことを合意したということで報道されておりました。結構、原油価格の高騰も大変ですけれども、鉱物資源の高騰も深刻な状況にあるんだろうと思います。

 大臣は、日本の資源戦略上、金属資源というのは結構貴重なもので、これが海外にどんどん流出する流れというのはとめた方がいいとお思いですか、そういう状況を避けた方がいいとお思いですか。

海江田国務大臣 よく都市鉱山なんという言葉がありますね。これは本当に、家電、特に携帯電話などの中に、それこそ再生可能な資源がたくさん埋まっているということでありますから、都市鉱山という考え方は大変大切だろうと思いますので、それをまず国内でしっかりと有効活用する、リサイクル活用するということであります。

 我が国は、その意味では鉱物資源を他国に依存している割合が高いわけでありますから、鉱物安全保障という考え方があるのかどうなのか、今、私が高市委員の質問を聞いていて頭の片隅に思い浮かんだ言葉でございますが、昨今のレアアース、レアメタルなどを見ておりますと、やはりしっかりと日本の国の国益としてそれは確保していかなければいけないなというふうに思っております。

高市委員 そういう大臣のお考えでしたら、国外に金属資源となるものが流出しないような一つの規制ですとか、集荷フローそのものの構築が必要だと思います。

 それから、もう一つは都市鉱山。これも二階大臣のころから熱心に、また、経済産業省の職員も進めてくださっておりましたけれども、それだったら家電リサイクル法の対象品目をもう少し広げていくことも必要じゃないかと思うんです。

 以上、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 この家電リサイクル法と、実は昨年は御承知のようにエコポイントの制度を利用しまして、その意味では買いかえが大量に進んだところであります。

 ですから、昨年のエコポイントを利用した新たな買いかえ需要、それに伴うそれまでの家電の回収の状況などもよく調べてみまして、今委員から御指摘をいただきまして、実際どうなっているのかということをよく調べて、これもまた関係省庁がありますものですから、関係省庁と連携をとって、必要があればそういうことをやらなければいけないなと思いました。

高市委員 今大臣からいいお答えをいただきました。とにかく、金属スクラップの輸出ということについていま一度分析をしていただくことと、対象品目の追加についてどう考えるかということで、また議論を深めていただくことを期待申し上げます。

 違法輸出とさっき私申し上げたんですけれども、環境副大臣にお願いしたいんですが、廃棄物処理法で、いわゆる処理費を引き取って、廃棄物とみなされたものを輸出するには環境大臣の確認が必要だと思うんですけれども、これは間違いございませんか。

近藤副大臣 御指摘のとおり、環境大臣の承認が必要であります。

高市委員 ありがとうございます。

 中国は、鉄スクラップとプラスチックスクラップは輸入する、それはオーケーということなんですが、廃家電スクラップについては輸入を禁止しております。しかし、実際には、廃家電とはわからないように、原形をとどめない状態にしたスクラップにして香港のヤードに向けて日本から輸出をされていると聞いております。実際に業者の人にも話を聞きました。これは、コストダウンのために千トン単位の大量輸出が条件となるので、廃家電スクラップの不純物が混入したまま輸出される、重さをとるために。それと、不純物混入を前提とした価格設定となっているために、故意に廃棄物を混入させて輸出する業者も存在すると聞いております。

 実際に、昨年五月に無確認輸出未遂で逮捕されました大阪の業者ですが、一台五百円の処理費で冷蔵庫を引き取って、自転車と抱き合わせて一台千円でミャンマーの業者に輸出しようとした。恐らく、中古品を装って輸出した冷蔵庫の方は、現地で廃棄されるんだろうと思うんですね。

 今、世界で毎年生み出される二千万トンから五千万トンの電気・電子機器廃棄物のうちの九割以上がアジアに集中して、重大な環境問題になっているという報告もあります。これは土壌汚染ですとか、廃液、それから気化した重金属による被害、こういったものが指摘されているんですけれども、環境副大臣、こういった廃家電スクラップの輸出はバーゼル法に抵触するのではないでしょうか。

近藤副大臣 御指摘の点でありますけれども、リサイクルまたは処分を目的とする輸出の場合、廃家電スクラップに含まれる有害物質によってはバーゼル法の規制対象になる可能性があるということであります。

 また、バーゼル法の規制対象の廃家電スクラップを輸出しようとする場合には、先ほど御指摘があったと思いますが、あらかじめ相手国の書面による同意等の手続が必要であり、この手続を行わずに輸出した場合にはバーゼル法違反になるということであります。

高市委員 ありがとうございます。

 海江田大臣の所信表明の中で、環境・エネルギー大国というのをうたわれました。ぜひともこの点も環境大臣と協議をしていただきまして、日本の廃棄物が中古品を装って海外に流出してよその国で環境汚染を引き起こさないように、まず、使用可能かどうかということと、それから、輸出後の販売先がどこか確認できるような仕組みをつくっていただけるといいなと思います。本当に、これは国際的に日本の名誉を守る上でも非常に大切な点だと思いますので、お願いを申し上げます。

 それから、これは平成二十二年十月二十一日付の環境省大臣官房の資料なんですけれども、家電リサイクル法が平成十三年四月一日に施行されてから、廃家電四品目の不法投棄台数は平成十五年度をピークにして減少傾向を示していた。これは喜ばしいことだったんですけれども、残念ながら平成二十一年度は前年度比一一・六%増ということで、十五年度以降初めて増加に転じたと書いてあります。

 恐らく、ことしの地デジ化への完全移行を目前にして大量のテレビの廃棄が発生したことが原因なんだろうと思います。これも、環境省の資料を見ますと、平成二十一年度のブラウン管式テレビの不法投棄台数が前年度比一七%増と書いてあるんですね。また、環境省の資料には、「なお、一部の違法な不用品回収業者が、回収した廃家電を不法投棄した事案も発生しており、こうしたことも家電の不法投棄増加の一因と考えられます。」こうも書いてあります。

 先ほども申し上げましたけれども、本当にまじめに正規ルートでリサイクル料金を支払っている消費者が、不法投棄された家電の処理費用を再度税金で負担することになります。これは市町村でお金を出すわけですからね。これは余りにも不公平な状況ですし、ことしの夏に向けて、私は、まだまだテレビの不法投棄はふえる可能性があると思うんですね。

 これも経済産業大臣にお願いしたいんですけれども、この対策につきましては、結構広域性の高い問題ですので、都道府県を通して市町村に通達するとかいったレベルじゃなくて、ぜひ経済産業省、環境省、それから取り締まりをしていただく警察庁が一体となって取り組む必要があると思うので、この点について大臣のお考えを聞きたいというのが一点。

 それから、先ほど紹介しましたように、奈良県でも市町村の負担というのはかなりきついものになってきている。市町村が不法投棄家電のリサイクルをしなきゃいけないので、財政負担の軽減策といったものの必要性についてのお考えを聞きたいと思います。

 一問目は大臣で、二問目は環境省になりますかね、どちらでも結構でございます、よろしくお願いします。

海江田国務大臣 この不法投棄をなくさなければいけないということで、おっしゃるように、本当に、地デジへの買いかえがございまして、それに伴う、まあ、ブラウン管のですか、時々テレビを見ておりますと、古い形のテレビを持ってきてくれれば何万円割引をしますよとかいうような話がありますので、ああ、なるほどなと思っておりますが、それ以上に不法投棄の家電製品が出ると思われますので、例えば集中月間というか、集中年間というか、ゼロエミッションじゃありませんけれども、年間に不法投棄ゼロの、とりわけことしは地デジの問題がありますから、そこへ向けてやっていくというのも一つのアイデアかなと。

 そして、各省挙げて、特に経産省が旗振りになって、家電製品は正しいルートで正しく回収しましょう、その負担は、申しわけありませんけれども消費者が負担をしてください、そうしませんと、今、高市議員のお話にありましたように、結局、市町村の話になって、税金の面でまた負担をしなければいけませんよという教育というか、周知徹底を、いいアイデアを出していただきたいんですが、特にことしは重点的に進めていくとか、予算措置もありますのでそこは考えてみなければいけませんが、お金のかからない方法でそうした意識をみんなに持ってもらうということは必要だろうと思います。

伊藤政府参考人 御指摘のとおり、廃家電の不法投棄というのは近年急増したということでございます。その背景には、回収業者が実際不法投棄をして警察に捕まった事例もあるわけでございます。環境省としても、非常に重要な問題だと考えておりますので、地方公共団体と今調査をしているところでございますけれども、そういった調査も踏まえてしっかりやっていきたいというふうに考えております。

高市委員 財政措置をしていただけるのかどうか、その辺はよくわからなかったんですけれども、その点は何か答弁ありますか。

近藤副大臣 御指摘をいただきましたように、本当にまじめにやっている消費者、またはまじめにやっている回収業者、処理業者に不利益にならないようにしっかりとやっていかなくてはなりません。

 今お答えさせていただきましたように、そのことに対する実態調査をしているということでありますし、今、高市委員から御指摘をいただきましたが、数年前、本当に有用なものだ、リサイクルできるんだといいながら、ほとんど廃棄物になっている、大変な大きなごみの山みたいなものがつくられたことがたくさんありました、そういうことに対する処理に対しては、国としても、各自治体を補助する、支援をする、こういうことをしてきたというところではあります。

田中委員長 近藤経済副大臣、質問にしっかりと答えてください。今のでは答えになっていません。

 環境省伊藤廃棄物・リサイクル対策部長。

伊藤政府参考人 不法投棄対策につきましては、廃棄物処理法上、基金制度を設けておりまして、国と事業者さんの任意の拠出によりまして基金を設けて、その基金におきまして、大規模でなおかつ生活環境保全上支障があるような不法投棄について、都道府県がみずから事業を実施した場合の補助制度を今設けているところでございます。

高市委員 ありがとうございます。しっかりやってください。

 それで、この件についてこれからどう改善していくかという話なんですけれども、今までも、施行されてことしで十年になるかと思うんですけれども、経済産業省の方では省令ですとか政令などで細やかな対応をたびたび打っていただいているのは、私も承知をいたしております。ただ、そろそろ法改正なども視野に入れた検討というのを加えていただくべき時期に入っているんじゃないかなということも感じております。法改正まで至らなくても、運用改善でもいいんですけれどもね。

 一つは、担い手をふやすということは物すごく大事だと最近感じます。収集運搬段階での違法行為を減らしていくということを考えますと、家電小売店とか古物商以外にも適法な担い手というのを家電リサイクル法の中で位置づけてほしいな、もう少し幅広く位置づけてほしいなと思うんですね。

 家電リサイクル法を制定したときには、収集運搬業者については、家電製品を買いかえるときに小売店が古い家電を引き取っていくというのは合理的だという観点で、家電小売店を主軸に据えたんだろうと思うんです。

 ただ、いろいろなケースを考えますと、例えば海外に転勤が決まって、一度国内の自分の住まいを引き払う、何年か海外に行くので家具も家電製品も全部処理するというような場合、買いかえるわけじゃないので、ちょっと小売店には頼みにくい。市町村に頼めばいいんでしょうけれども、勤務時間とかいろいろなことの関係でそれがうまくいかなかったとか。それから、家電製品備えつけのマンションというのも最近あります、そういったところに引っ越すとか、自宅を処分して高齢者施設に入られるとか、そういったいろいろなスタイルによって、割とこの違法回収業者に廃家電が渡る可能性というのが高くなってきているのかなと感じるんです。

 きょう、谷畑理事もおいででございます、西野委員なんかもお詳しいと思うんですが、大阪府では家電リサイクルの大阪方式というのをやっていて、これは、家電リサイクル法を補完するものとして、廃棄物処理法を活用して再生資源業者にリサイクルを委託するような方式なんですね。ですから、消費者から見ると、家電小売店以外にも頼める窓口が多い上に、リサイクル料金も、ああ、うらやましいなと思うぐらい安く設定できている。十六インチ以上のテレビでしたら、普通のメーカー方式だったら二千八百三十五円なのが、大阪だったら千六百八十円。洗濯機、衣類乾燥機も、メーカー方式で二千五百二十円なのが、大阪方式だと千七百八十円というようなことなんです。

 平成十年五月十五日の衆議院商工委員会で附帯決議がありまして、ここにも「既存の回収処分業者等の技術、設備等の積極活用を図る」ということが書いてあります。私は、違法行為を減らしていく、消費者の負担も軽くしていくということを考えると、やはり廃棄物処理法上の業の資格をちゃんと持っていて、廃棄物処理の法的な知識や経験を持っている廃棄物処理業者、正当な廃棄物処理業者を家電リサイクル法の仕組みの中に明確に位置づけて収集運搬の担い手となっていただく、こういうことも必要なんじゃないかなと思います。

 今でも、もちろん、廃棄物処理業者の参入というのは可能ですけれども、一般廃棄物だったら業の許可が市町村単位なので、越境して回収して回るとか、そういうのがなかなかできなかったり、廃棄物処理法における収集運搬業の手続が煩雑であることから、大方、奈良県でも対応している事業者はいらっしゃらないんですね。

 ですから、ぜひとも経済産業大臣には、この家電リサイクル法をこれから改善していくために、一つは担い手をふやす、家電リサイクル法上に正規の業者の資格を設けていく。家電リサイクル法用の業の許可というんですか、そういうものが新設できたらいい。廃棄物処理法上の業の許可じゃなくて。広域で回収もし、安いコストで適法に処理をしていく、そういう資格ができるといいなと思うんですが、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 御案内のように、家電リサイクル法、平成二十年ですか、その中で五年後の見直しという項目がたしかあったはずでございます。ですから、今二十三年ということで半ばを超えておりますので、今御指摘のようないろいろな事例もございますので、その見直しのときに入れることができるかどうかということを考えてみたいと思っております。

高市委員 見直しの検討はもっと早くスタートしていただいているかと思うんですけれども、よろしくお願いします。

 先ほど大臣が触れていただきました広報の充実、ここは物すごく大事だと思います。今も経済産業省の公式サイトで、家電リサイクル法QアンドAというのを載せていただいて結構わかりやすくはなっているんですけれども、まだまだ国民の理解が不十分な状態です。

 例えば正規ルートの家電小売店も、ごく一部の家電小売店だと思うんですが、消費者からリサイクル料金を徴収した後に不用品の回収業者に無償もしくは有価で販売しているという事例も見受けられる。家電小売店が輸出業者に持ち込んでくる事例も既に報道されております。

 そうしますと、何か家電小売店が国民が負担しているリサイクル料金を自分の売り上げだと勘違いをして、回収した中古家電を別の回収業者に売り渡して再度もうけるというようなことになってしまうと、これは家電リサイクル法の趣旨に合いませんから、一つは、もう一度担い手となる収集運搬業者になります家電小売店に周知徹底をしていただく、法律を勉強していただくということ。

 それからもう一つは、消費者の方も、自分が出した廃家電がちゃんとリサイクルされるようにするには、この管理票というのがちゃんと発行されなきゃいけないんだという、その制度の周知がまだ不十分なんだろうと思います。この管理票というのは、自分が出したものが今どういう状態にあるかと追っかけていけるものですので、ここの広報もぜひともお願いしたいです。

 それからあとは、高齢者の御家庭で、さっきの変な軽トラの業者が回ってきて、当然違法業者だと思います、それで、ただだといいながら積み込んで有料だといったときに、警察を呼んだんだけれども、駆けつけてきた警察官がこういう法律を知らなくて逮捕もしてくれなかった、また、警察が来たので、慌ててその業者は一回積んだ家電製品を置いて逃げていったというんですけれども、そういう意味では、ほかの行政も含めて、再度きっちりと法律の周知徹底をしていただきたいということでございます。

 これは大臣にぜひとも最後に確認をしたいんですけれども、お願いをいたします。

    〔委員長退席、近藤(洋)委員長代理着席〕

海江田国務大臣 今幾つかお話がありましたけれども、家電の小売店がその意味では輸出業者に、これは横流しと言っていいんでしょうね、そういうような状況があるという例も御指摘いただきましたが、これは経産省として、立入検査を、従来もやっているところでありますが、これまで以上にしっかりやらなければいけないと思ったところでございます。

 それからもう一つ、全般的なお話でございまして、消費者教育といいますか、これの周知徹底。特にこれは経産省が音頭をとらなければいけませんので、これまでのようなホームページ上の掲載、あるいは適宜適切なビラなどの配布でありますとか、例えば家電のお店、あるいは量販店もございますが、そういうところで製品を渡すときに、そういうようなリサイクルの法律的な決まり、それからどういう流れになっていくのか、そういうパンフレットを必ず添付するとか、そういうような形でまず消費者に、どういう決まりになっているのか、その中でどういうふうにリサイクルされていくのかということを知ってもらわなければいけないと思います。

 それから、お年寄りの問題も、本当に深刻な問題があろうかと思います。特にお年寄りの場合、なかなか自分で家電のお店まで持っていくとかいうことができないケースもありますので、そういうとき、委員御指摘のような、押し買いというんですか、最近は押し売りじゃなくて押し買いというのが結構はやっているようでありますから、これも、今規制の緩和のところでそういうことにも新たな課題として取り組んでいかなきゃいけないという問題意識がございますので、そういう問題も含めてトータルに、これはきょう本当に貴重な質問をいただいたと思いますので、まず経産省、そして、環境省、消費者庁とよく連携をとって、次の質問の機会には、よくやった、あの発言を受けてよくやってくれたというお褒めの言葉をいただけるように頑張らなければいけないなと思っております。

 以上です。

    〔近藤(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

高市委員 ありがとうございます。

 それでは、もう残り時間も少ないんですけれども、平成二十三年度の税制、予算について、時間が許す範囲で伺います。

 中小企業法人税の軽減税率の引き下げなんですけれども、平成二十一年の総選挙のときの民主党マニフェストには、中小企業の法人税率というのは何%に引き下げると書いてあったか、覚えていらっしゃいますか。

海江田国務大臣 私の記憶では、九%とかその辺の数字だったんです。(発言する者あり)一八を一一ですか。わかりました。

高市委員 中小企業法人税率を一八%から一一%に引き下げると掲げておられまして、これがまたマニフェストにどんと大見出しになっている、大切なお約束だと思うんですね。二十三年度の税制改正では、これは、二十三年度から二十五年度まで軽減税率を一五%に引き下げ、本則税率を一九%に引き下げと書いてございます。

 そうなりますと、よく菅総理がマニフェストについて、書いたものが実行できていないというようなことで我が党議員から追及されたときに、四年間かけて次の選挙までに実行するものという旨の言いわけをされているんですけれども、この中小企業の軽減税率については、二十五年度まで一五%への引き下げということでしたら、次の選挙までにこのマニフェストはもう実行できないということで考えさせていただいてよろしいんでしょうか。(発言する者あり)

海江田国務大臣 今、各委員からこもごも発言がございますが、私は、基本的には、マニフェストを守らなければいけないという思いがございます。

 その中で、今の一五%が固定化してしまうのではないだろうかというお話でございますが、これは、本当に、あくまでも今の財政の事情がございます。

 もう、つとに御案内だろうと思いますけれども、まず法人税率の引き下げをやって、その中で中小企業の特例がございますから、その場合もこの割合を、中小でない、いわゆる大企業の法人税の下げの割合をさらにもう少し上乗せをして一五%ということにしたわけでございます。

 例えばその法人税の減税をするとき、法人税の中で減税をした部分をニュートラルにしようじゃないかというような意見もあったわけでございますが、そこは法人税の中だけでなしに、税制全体の中でニュートラルにするということになったわけでございまして、これは特に税制調査会の中での経産副大臣の発言などもありまして、経産省全体を挙げてそういう声を上げていただいたたまものだと思っております。

 そういう意味では、そういう声を今後とも上げていくことによって、今、次の任期を超えるところまで、一五%というような数字も出ておりますが、その効果なども見きわめ、税収全体の収入も見きわめて頑張っていきたい。

 本当に、税制というのは、しょっちゅう、余り動いてもいけないんですけれども、それは必要があれば動かしていかなければいけない。しかも、約束からすればまだ道半ばだということでございます。

高市委員 次の選挙までにはもう実質的にマニフェストを守るのは無理という形のようでございますけれども、マニフェストを守らなきゃと海江田大臣はおっしゃるんですから、せめてこれは政府の中でしっかり御主張をいただければと思います。

 税についてまだまだ聞きたかったんですが、時間がありません。予算について伺います。

 大臣、所信表明で国を開くための施策を力強く推進することが必要ですと述べられて、TPPについては農林水産業に携わる方々の不安を払拭するための対策を行うということでおっしゃいました。また、所信表明で輸出振興や農商工連携を初めとした農業の産業化に全力で取り組んでまいりますとおっしゃいました。

 TPPに参加することの是非に関しましては、私も言いたいことが一時間分ぐらいあります。慎重に考えていただきたいと思っている者でございますけれども、大臣もこれだけ所信表明で農商工連携等々おっしゃいましたが、農商工連携ですとか新連携などによります新商品・サービスの開発、販路開拓支援などの新事業活動促進支援補助金ですが、これは自民党政権時代から当然農商工連携というのはやっています。この補助金の金額は、自民党政権時代の平成二十一年度予算では六十・二億円でしたけれども、二十三年度の予算では三十一・四億円、ほぼ半減しているんですね。これで十分な農商工連携の施策がとれるのか、何で半分にまで減っているのかということが一点。

 それから、大臣の所信表明は割と中小企業の資金繰りには触れていただいていたんですが、商店街対策などの地域経済の活性化策にはほとんど触れておられなかったと思います。これも、商店街が行う商業活性化の取り組みを支援する中小商業活力向上事業というのがございます。これも、自民党政権時代の平成二十一年度は当初予算で約四十二億円が、平成二十三年度当初予算で約二十億円と、半減をいたしております。

 この二つにつきまして、何で半減したのか、これでちゃんと対応が打てるのかどうか、お答えください。

海江田国務大臣 高市委員も御理解をいただいていると思いますが、私は経産大臣の前に経済財政担当大臣をやっておりまして、その中で心がけたのが、実は補正予算です。補正予算をしっかりやらなければいけないということで、実は補正予算で手当てを随分厚くいたしました。

 先ほどの新事業活動促進支援補助金、これは農商工連携で、高市委員の御地元の奈良県の巽製粉というところもその一環としてお仕事をしていただいておりますけれども、この二十二年度補正予算で十九億九千万円ございます。そして、今御指摘をいただいたように、二十三年度の予算案で三十一兆四千億円ですから……(発言する者あり)気持ちは兆でございますが、三十一億四千万円でございますから、トータルをしまして五十一億三千万円になります。御指摘のような二十一年度予算の六十億と比べますと若干少なくなっておりますが、今の財政事情の中でできるだけのことをしたということでございます。

 商店街の活性化についても同じでございまして、商店街につきましても、平成二十二年度の補正予算で十九億八千万円積んでございます。それにこの二十三年度の当初予算二十億円を積みますと三十九億八千万円ということになりますので、精いっぱいの努力をしているところでございます。

高市委員 当初予算に予備費と補正を足した金額をお答えいただきましてありがとうございました。できるだけ当初ベースでしっかりと、大臣が所信表明でおっしゃった施策でございますので、農商工連携など特にしっかりと取り組みをしていただきたい、その道筋をつけていただきたい、これをお願いいたしまして、質問を終わります。

 どうも長時間ありがとうございました。

田中委員長 次に、西野あきら君。

西野委員 自由民主党の西野あきらでございます。海江田大臣には初めての質問でございますが、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 限られた時間でございますが、常々思いをいたしておりますことを含めて、お尋ねをしたり、お願いをしたりしたいと思っております。

 まず、地球環境問題の中の温暖化対策という問題は、我が国だけの問題ではございませんで、地球規模の問題であることは御承知のとおりでございます。いち早く我が国は、京都でいわばホスト役を務めた関係もございます、そういうこともあったのかどうか知りませんが、前総理の鳩山さんが国際舞台で、二〇二〇年にはCO2の排出量を九〇年比マイナス二五%と打ち上げられたんですね。

 この数値が国会で十分な議論がされて積み上げられて発表なさっているならしかりでございますけれども、まことに唐突でございまして、平場での議論が不十分なまま、マイナス二五%を唐突に発表されてしまったわけでありますから、私どもは、これに対しては非常に遺憾に思っておりますとともに、本当にこんなことができるのか、ロードマップは一体どうなっているんだ、そういうところが実は非常に不安に思っておるところでございます。

 そういう施策の中で、例えば環境税なるものは、たしか平成十七年に最初に打ち上げられました。そして、十八年、二十一年、二十二年。そして、ことしは石油石炭税という形で、五回にわたって衣がえをしてこの環境税なるものを出されたわけであります。

 これによりますと、もう既に法文化されていますが、ことしは三百五十億の増税、来年、二十四年は八百億、二十五年は千六百億、二十六年も千六百億、そして二十七年には二千四百億円の増税をして地球環境の温暖化対策に資する、こういうことだろうとは思うのでございます。

 そこで、きょうはその中の限られた問題で何点かお尋ねをしたい、こう思うんですね。

 エネルギー特会の問題でございますが、エネルギー特会というのは、御承知のとおり、石油石炭税と電源開発促進税と二通りあると思うんですね。前者の石油石炭税につきましては、二十三年度の税収見込みというのは五千百二十億円、こう出ていますね。前年と対比しますと三百二十億増収見込みだ、こう言われているんですね。電源開発促進税の方は、前年度よりも百六十億増収だというふうに言われておるわけです。

 この数値は、事務方でも結構でございますが、間違いございませんか。

田嶋大臣政務官 御答弁申し上げます。

 間違いございません。

西野委員 要するに、エネルギー特会が増収であるということ。三百二十億と百六十億増収ということであります。

 それでは、これにかかわります予算ですけれども、予算で見ますと、石油石炭のエネルギー需給勘定ですが、これは経産省側と環境省側を合わせて五百二十億、なるほど、予算的に増額されていますね。これはわかります、増収ですから。

 ところが、電源開発促進勘定の方は、経産省と文科省にまたがると思いますが、これは増額ではなくて、逆に約百七十七億減になっているんですね。それだけではなくて、減だけではなくて、さらに、電源開発以外の事業、例えば、需給勘定へ電気自動車の補助を、百二十億を移しておられるんですね。税は増収しているけれども、事業の予算は減である。しかもその中から、電源開発ととれるんでしょうか、電気自動車の補助を相当のものを移していらっしゃる。

 これはどう理解をしたらいいんでしょうか。どなたかお答えください。

田嶋大臣政務官 お答えを申し上げます。

 まず、エネルギー需給勘定でございますけれども、約五百二十五億円と、おっしゃっていただいたとおり大幅に増額をされておりますが、この需給勘定の使途の目的は、エネルギー起源のCO2の排出抑制対策を抜本的に強化するためということでございます。

 一方の電源開発促進勘定は百七十七億円の減となっております。そして、その内訳でございますが、今おっしゃっていただきました、電気自動車の導入支援補助金を電源開発促進勘定からエネルギー需給勘定に移管したことによります数字がおよそ百二十四億円でございます、及び、一昨年の事業仕分けの指摘を踏まえまして、高効率給湯器、エコキュートの導入支援補助金が廃止になりました、この廃止による部分が約六十億円でございます。それらを含む形で百七十七億円の減となっております。

 では、なぜ移したかということでございますが、電気自動車の導入支援補助金は、もともとは電源開発促進勘定に計上してございました。それは、その補助金の目的が、主に電気自動車の有する負荷平準化、すなわち夜間充電による効果、そういうところに着目してございましたので、電源開発促進勘定の方にこれまで計上してございました。

 しかし、自動車業界が電気自動車の市場投入をいよいよ本格化するということでございます。来年度は大変大きな伸びが予想されておりまして、来年度末で四万台というふうにも予想されておりますが、大量普及を前にして、電気自動車の導入支援補助金のエネルギー起源CO2排出抑制のための措置としての位置づけということでの要請が高まってきたことに対応いたしまして、平成二十三年度の予算からはエネルギー需給勘定に移管をしたということでございます。前の勘定から、今度新しい勘定に移管をしたということでございます。

 以上です。

西野委員 政務官の説明をそのまま受けとめれば、電源開発、電気の効率を考えて、移管をしたけれども、目的はCO2の削減ということでは変わりがない、このように私も受けとめておきたいと思いますが、形の上で増収なのに事業は減額されているというのが少し理解しにくいなという点があるわけであります。

 一方、もう一つお尋ねしますが、一般会計留保というのがございますね。これによりますと、例えば、近年は、平成十九年は五百九十一億、平成二十年は四百七十五億、平成二十一年は逆に補正予算等で取り崩しをなさったんだと思いますが七百四十三億減、平成二十二年は四百四十八億、そしてことしは三百六十八億等々、申し上げましたけれども、これは昭和五十三年から始まっておりまして、五十三年から平成二十二年まで三十二年間、合計しますと七千億を突破している、いわば一般会計留保というものがあるんですね。

 これは膨大なものでございますが、一体、この趣旨、一般会計留保というものの意味はどういうことなんですか。目的はどこにあるんですか。

海江田国務大臣 一般会計留保という、留保という名前がついておりますから、それが一般会計の中にたまっているような印象を与えますが、これは、特別会計の中になるべくお金を残さずに、ちょっと言葉が適切かどうかわかりませんが、一般会計の方に吸い上げて、その一般会計で必要な施策に使うということであります。

 ですから、この一般会計と特別会計のやりとりの中で、目的というのは、なるべく特別会計にお金を残さないようにしようという基本的な考え方があっての措置でございます。

西野委員 ことし、二十三年度のエネルギー特会の歳出は、いわば税収入を見込んだ形で、それを上回っておるわけですから、これは少しですけれども理解ができるんです。しかし、一方で前年度の剰余金というのもあるんですね。剰余金もあって、かつ今回は増税をするということでございますから、それなら、今大臣からお答えになりましたけれども、一般会計留保をことしは三百六十八億見込んでいらっしゃるんですけれども、これはもうことしはないのではないか、大丈夫でないか、このように思うんですが、さにあらず、例年並みに一般会計留保をされる予定なんですね。

 ですから、増税をするということであれば、増税をする前に、国民に負担をかける前に、一般会計留保を取り崩すぐらいの形で環境対策をやるべきではないかな、このように思います。

 役所の方で、内部で聞いてみましたら、一般会計留保、大臣はお示しになりましたけれども、この一般会計留保というのは北方領土だと言われているんですよね。権利はあるんだけれども戻ってきたことはない、こう言われておるんですね。そういうことからしますと、特に、剰余金があり、かつまた増税もするんですから、ことしは一般会計留保なんというものは要らないんじゃないか、そのものでもって温暖化対策に資することができるのではないか、こう思うんですが、いかがですか。

    〔委員長退席、近藤(洋)委員長代理着席〕

海江田国務大臣 ちょっと長くなりますがよろしゅうございますか。実は私も一般会計と特別会計の関係を勉強したことがございまして、俗な言い方でございますけれども、一般会計は財務省がしっかりと監視の目を光らせて、まさに国の財布だけれども、特別会計というのはどうも役所の財布になってやしないだろうかという議論もございます。そして、財務省とすれば、役所の財布の中にお金をためておくよりも、まさに一般会計の方にできるだけ移して、使い道などについて厳しいチェックをしようという考え方がやはりあるようでございます。

 それから、もちろんこの一般会計と特別会計の関係では、元財務大臣であります塩川さんが離れと母屋の例に例えたというようなこともございまして、その意味では、一般会計の方に留保金という形で、特別会計に残ったものを吸い上げるというようなことも、国全体の財政を考える上で一つの考え方です。

 それとあともう一つ、御指摘のように、それならばなぜ石石税に増税をしたのかということでございます。

 これは、温暖化対策税、広義の環境税、温対税でございますが、温対税をこれから導入することになって、先ほど委員御指摘のようにこれからだんだんだんだん税率を上げていくわけですから、そうすると、やはり全体に使用量も減っていくわけでございますね。また、使用量を減らしていかなければいけないわけでございますから。

 使用量を減らしていくということでいうと、その意味では税収がだんだん……。増税をしませんで別な形で温暖化対策を講じた場合、当然CO2の排出量が減っていくのと同時に、特に石石税のところの石油石炭の消費が減っていくわけですから、それによる減収というものもこれありで、そういうことを少し先回りをして、さっき委員御指摘のように、五年間はそういう形で増税をしていきますよということを明らかにしているわけです。それに見合う形で、まさに石石税のところに将来のそういう消費の減少も見込んだ上で税金をかけたということでございます。

 おわかりいただけましたでしょうか。

西野委員 エネルギー税として、平素、徴収しながら、一方では一般会計の方に留保はされるわ、剰余金は出るわ、そういう中でまた増税をするということになりますので、国民もなかなか理解が非常に難しいと思うんですね。一般会計と特別会計の問題があると思うんです。

 この増税の中で、先ほど言いましたとおり、平成二十七年には二千四百億円を見込んでおられるわけですね。これがすべて環境対策のために確保されるのかどうか。ある意味では、一般会計、特別会計でわかりにくいところもあり、どうも他に転用されているんじゃないか。第一、お金に色がついていないものですから、私どもが言っています子ども手当じゃないですけれども、これはばらまきの資金に流用されているんではないか、こう思われてもしようがないと思うんです。

 その辺について、この増税分、五年後の二千四百億というのは間違いなくこの温対のために確保する決意があるんですか、どうですか。

    〔近藤(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

海江田国務大臣 これは石石税でそういう形で増税をしますから、まさに委員冒頭に発言がありましたように、たしか平成十七年からですか、これまで五度にわたって環境税の導入ということが企図されながら、実際にそれが実現できなかったという歴史的な経緯がございますから、やはりこれはある程度税金を負担する方々に対して激変緩和と申しますか、そのショックを和らげるような措置が必要であります。とりわけ、最初のうちはその費用が必要でございますから、その分にしっかりと充てるということでございます。

西野委員 充てるということですから、それを期待しておかなきゃいかぬと思います。

 少し話が違いますが、経産省では、電源構成に占めるゼロエミッションでございますが、これを原子力と再生エネルギーで二〇三〇年には七〇%にすると。その内訳は、原子力が五〇%で、再生エネルギーが二〇%。ここまでになりますと、もう思い切った施策を講じませんと、この数値は、言うのは簡単でございますけれども、実現は大変だと思うのでございます。その辺についての施策の覚悟といいますか、考えはございますか。

海江田国務大臣 これは本当に委員御指摘のとおりでございます。重大な覚悟を持つ必要があろうかと思います。

 そこで、今度の国会にこれから法案を提出いたしますけれども、全量買い取り制度であります、再生可能エネルギーによる発電をこれで全量買い取りをしようということでありまして、これはやはり一つ大きな転換になろうかと思います。

 それからもう一つが、これは原子力と再生可能エネルギーと両方あわせての話でありますから、原子力についてもやはりしっかりと対応していかなければいけないということで、二〇三〇年までに、少なくとも十四基以上、新規の原子力発電施設を整えなければいけないということでございます。しかも、原子力は、日本は地震国だということもあり、事業者は安全管理に細心の注意を払っているところではありますが、やはり稼働率が低いですね。七〇%にまだ行っていない。六〇%の後半だと思っておりますが、この稼働率も九〇%に高める努力をしなければいけない。

 この二つの施策でやらなければいけない。ただ、本当にこれは大変な決意と大変な努力の必要な事柄でございます。

西野委員 ぜひその実現に向かって積極的にさまざまな施策を講じていただきたいと思います。

 要は、この税という問題、とりわけ今回言っておりますエネルギー税にかかわります問題は、もっとわかりやすくシンプルに、国民が、ああ、そうですか、これは努力しましょうというふうな気持ちにならないといかぬと思うんですが、非常に複雑です。

 それから、できるだけ税というものは、こういうものに使うんだということが明確に国民にわかるように目的税化をしていくべきだ、このように思います。国民の負担の理解が得られるようにやるべきだ、このように思っております。

 そこで、今大臣が少しお話しになりました再生可能エネルギーの問題でございますけれども、特措法が今国会に提出をされるやに聞いておるところでございます。その中で、太陽光の余剰電力の買い取り制度について少しお尋ねをしたいと思うんです。

 この仕組みは、平成二十一年の十一月からスタートいたしたわけですね。現在は、総合資源エネルギー調査会の小委員会で検討をされて、二十三年度の買い取りの制度案がほぼまとまって、今パブコメに付しておられるように聞いております。

 これによると、住宅用が、キロワットアワー四十八円が、キロワットアワー四十二円になる。五年後には、これは二十四円にしたい、半分にしたいということですから、ある意味ではよくわかります。

 ところが、非住宅用は、学校とかそういうところだと思いますが、キロワットアワー二十四円でスタートしているんです。それが、同じ数字か少し下がるかなと思っておりましたら、何と、ことしは、二十三年度は、逆にキロワットアワー四十円に上げるというんですね。二十三年から買い取りを四十円に上げるというんですね。

 なぜこれは四十円に上がるのかな、非住宅だけ上がるのかな、こう思いましてちょっと調べましたら、実は、太陽光発電を普及させるために導入の補助金を出していらっしゃる。これによると、今まではキロワット七万円だった。それが、少し普及してまいりましたから、四万八千円に下がってきたわけですね。

 それはそれでやむを得ないと思うんですが、非住宅用が、当初は導入費用の半分ないしは三分の一の補助をしていたんです。それが何と、例の事業仕分けでゼロ査定になったんですね。ゼロになってしまった。これでは普及するインセンティブがなくなってしまうということで、どうもその見返りのような形でこの買い取り金額を上げていらっしゃる、こう見えるんですね。

 買い取り価格を上げるということは、電力会社が負担をするんですが、実際は、これは国民が負担する電気代でしょう。国民の負担増になるんです。ですから、蓮舫さんは威勢よく元気よく事業仕分けでばんばんやって、補助金はなくしたけれども、その見返りに電気の買い取りを上げる、それは国民の負担になるという、ツケを国民の負担に転嫁している、このように私は思うのでございますが、どうですか。

田嶋大臣政務官 御答弁申し上げます。

 事業仕分けが一昨年の秋に行われまして、今おっしゃっていただきました、事業用の太陽光発電設備等の導入を支援するための新エネルギー等導入加速化支援対策費補助金に関する議論等を踏まえまして、二十三年度から新規採択を見送ったということは事実でございます。

 そして、余剰買い取りも、実は一昨年の十一月という同じころからスタートしておるわけでございますが、一方で、今、新法に基づいて、全量の話もこれから御議論いただくわけでございますが、来年度、非住宅用の最終年ということで、工場や事業所等の非住宅における太陽光発電の導入を促進することは、太陽光発電の普及拡大を図る上でもちろん重要であるということは言うまでもありません。

 現在、我が国の太陽光発電の導入量のうち、工場等に設置されるものは二割にとどまってございまして、八割が住宅用でございます。そういう意味では、この非住宅の部分の太陽光の一層の促進が必要と考えまして、買い取り価格の引き上げを行う予定でございます。

 すなわち、来年は、この非住宅に関しましては全量買い取りに向かっての最終の年というふうに考えてございますが、さまざまな形での支援策にすき間をつくらないということでこの価格を御提案させていただいておるところでございますが、本制度は、この全量買い取りに向けて、国民負担の全体の水準を注視しながら費用対効果の高い政策となるように努力をしていきたいというふうに考えております。

 以上です。

西野委員 だから、これを国民に理解してもらえるために、しかも、この効果があらわれるように、しっかりと取り組むべきだというふうに思います。

 お話がありましたとおり、太陽光発電は、今は余剰電力の買い取りなんですが、今回の措置で全量買い取りという、住宅用は、十キロワットですか、これについては別でございますけれども、それ以外のものについてはすべて買い取る、こういうことです。

 全量買い取りをする。それは、結果的には国民の負担は上がってくる。それ以外に、さらにこれが進んでまいりますと、電力会社というのは周波数が違うようですから、ここに系統の安定化措置というものも講じなきゃならぬ。これが膨大な費用がかかるようでございますね。何兆円かかるのか知りませんが、その費用も、結果的には電気料金なり、国民の負担増になるわけです。

 これらがすべて国民の負担になるということは、大変な電気代になってくると思うんですね。ですから、どこかでこれは見直す必要があるのかなと思うんです。しかし、これまた、見直してしまうと普及のためのインセンティブが抑えられてしまうというようなことになりますと、そのあたり、非常にジレンマがあるのでございますよね。

 どのようになさるんですか。どんどん買い取りを進めていかれるんですか。それとも、これを抑えるんですか。抑えられたら、これは普及しないんではないかと思いますが、その点は私はジレンマを感じるんですが、どうなんですか。

海江田国務大臣 今委員、ジレンマというお話がございましたけれども、本当に新しい試みでございますので、そこは実際にどうなるか。もちろん、いろいろな予測は立てております。それから、こういう方向がという、先ほどもお話ありましたけれども、ゼロエミッションの方向へ向けた重要なツールにしたいという思いはございます。

 ただ、先生のおっしゃったような見通しの難しさというのがございます。通常でしたら、新しい制度ができてから五年ぐらいたってから見直しという話もございますが、これは、今まさに検討中でございますから確たることは言えませんが、その五年後をもう少し早くして、例えば三年後なら三年後ぐらいに見直しをしてはどうだろうか、そういう案を盛り込んで国会に御提案しようかなということも今考えているところでございます。

西野委員 一種のジレンマを感じるんですが、ぜひ、しっかり普及をしていきますように、見込みながら取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 少し角度を変えて、グローバル競争に対応して、特に人材を含めての問題をちょっとお尋ねしたいと思うんです。

 昨年、米国のアップル社が、iPadを四月にアメリカで発売を開始しましたね。それから、五月に我が国でも発売をした。ところが、二、三カ月の間に、何と三百万台さばいたようですね。去年一年間で、何とこのiPadは一千五百万台発売されているんですね。この間、ニュースで言っていましたけれども、大変売れ行きがいいものですから、今度はiPad2を発売する、こういうんですね。すごい勢いです。我が国の方は、シャープさんが、昨年の末、GALAPAGOSを発売して、後塵を拝しながらスタートしているな、こういう感じであります。

 そこで、ちょっとお尋ねしたいのは、薄型テレビはどちらかというと日本発だったと思うんですね。ところが、今では韓国とか中国に追い越されてしまっている。シェアも完全に水をあけられてしまっているんですね。なぜ端末の、携帯だとか、我が国の技術、そういうもので先陣を走る、本来こう思っておるものが、これらのもので日本企業は負けてしまうんでしょうかね、勝てないんでしょうかね。なぜか。

 恐らく、これはおわかりになっているかもしれません、利用者と事業者の間のいわゆるコンテンツの権利処理の環境整備がおくれているんではないかと思うんですね。それだけではなくて、国際的なイコールフッティングの確保もやはりおくれているんではないかというふうに思うんですね。

 ですから、できれば業種ごとによく調査をなさって、至急に法整備をしていくべきだというふうに思いますが、いかがですか。

田嶋大臣政務官 御答弁いたします。

 御指摘のように、きょうは多機能端末分野ということでございましたけれども、競争を勝ち抜く上で、技術開発のみならず、端末メーカーとコンテンツの保有者が協力して新しいビジネスモデルを組み立てることが必要であるということで、まずは民の中の話でございますが、一方で、そうした企業の自主努力を促すような事業環境の整備ということは国の方でも頑張っていかなきゃいけない。

 きょう御指摘いただきました、例えば権利処理の問題等も現状ではあるということで、経産省といたしましては、このような環境整備という観点から、コンテンツの提供方法や価格の設定等、権利者のニーズに迅速かつきめ細かくこたえることができる権利処理システムの開発と、その実用化に向けた実証実験を産業界とともに現在進めておるところでございます。

 これが十分条件とは思っておりませんけれども、一つの課題といたしまして、きょう御指摘いただきました権利処理の部分に関して、現在、産業界とともにそれを改善すべく努力をしておるところでございまして、平成二十一年から予算をつけて、権利処理システムに係る実証実験を行っておるところでございます。

 以上です。

西野委員 時間の関係でちょっとはしょってお尋ねしたいと思うんですが、先般、新日鉄と住友金属が合併をする、こういうニュースが出ましたね。これらについても公取だとか経産省でいろいろ検討なさっているようでございます。ぜひ経産省として、どうも個々に対しては発言ができるそうでございますけれども、これはやはり制度全般を見て、制度をおつくりになるなら、国際競争に勝てるという方向でぜひ柔軟に対応をして、国際競争に勝つようにしていただきたいということが一つ。

 もう一つは、先ほども少し中小企業の税制が出ていましたけれども、法人税、マイナス五%、少ないぐらいだなと私は思っているんですけれども、一方では研究開発の控除も減らし、それから減価償却の控除も縮減しようとしておるんです。これでは本当に企業にとって、この国際競争に打ちかつことができるのかという、いわば攻めの戦いにはならない、このように思うんですが、どうでしょうか。

海江田国務大臣 国際競争に打ちかつために日本経済の産業構造をどうしたらいいのかということは大変大きな、そして喫緊の克服しなければならない課題でありまして、これは菅総理も、特に韓国との関係で、韓国は九七年の危機以来、大変構造改革を進めて、国際競争力も、先ほど委員からも御指摘がありました、それこそ家電あるいは車などで大変ヨーロッパの市場などに進出をしているところであります。その意味において、日本の国内でも、まさに国内の企業が国内の競争で体力を消耗してしまうことのないように、そこは、再編と申しますか、あるいは統合と申しますか、こういうものを後押ししていかなければいけないというふうに考えております。

 これは公取との関係もございますから、これも先ほど委員から御指摘がありましたけれども、公取と経産省の関係をもっと緊密にするように、私どもの言い分もしっかりと聞いてもらえるようにしてくれというお話があったかと思いますので、それをやるということ。

 それからあと、会社法の特例、それから、やはり国際競争力をつけていくためにはいろいろな形での資金の後押しというのも必要でございますから、その資金調達支援ということもこれからやっていかなければいけないなと考えております。

西野委員 このグローバル競争にぜひ打ちかたなきゃなりません。

 そこで、ちょっと例を挙げてみたいと思うんですが、私は大阪なんですが、大阪に本社を持つパナソニックさんは、二〇一一年、来年度の新規採用を千三百九十人となさる。その中で、何とグローバル枠というのが一千百人なんですね。社員はどうかといいましたら、全体で三十七万人いらっしゃるそうですが、日本人は十万人、中国人も同じく十万人、あと残った十七万人は新興国の方々なんですね。

 こういうことになってまいりますと、グローバルな競争になると、我が国の方々が大学卒で採用されるためにはやはり語学に堪能でなかったらいかぬ。そういう意味の語学教育だとか、あわせて技術開発の研究というものについて、そういう人材を育成する仕組みにせないかぬというふうに思うんですね。

 それともう一点、今、大学を卒業しても就職率は非常に低いですし、中には自殺者もふえているというようなことでございまして、大変な雇用の状態でございます。

 そんな中で、経産省が今やっていらっしゃることで一ついいのがあります。これは評価したいんですけれども、例のインターンシップ制度です。これは六カ月間で、企業には一日三千五百円、実習生には七千円、こういうことなんですね。これで、数字では出ていますけれども、約五千人の方が実習を受けられて、採用は千八百人ぐらいだ、こういうことになっている。

 私は、中小企業の町、東大阪でして、調べましたら、東大阪の中小企業でも十社がこれに取り組みまして、十五人が実習に参加しているんですね。その企業さんにちょっと聞きましたら、なかなかこれはいい仕組みだ、だけれども、これを知ったのは、実は就活サイトの学情ナビというので初めて知ったんだ、こう言っているんですね。ほとんどの方が知らないんです。これをもっと周知徹底するように。PR不足です。

 あわせて、人件費等が要るのかもしれませんけれども、企業側に三千五百円出すというのはありがたいけれども、それよりも、多くの新卒者が情報を入手できるよう、そういう方にもっと費用を使うべきではないか、こういうことをこの中小企業が言っていましたことをつけ加えて、感想をおっしゃっていただきたいと思います。

松下副大臣 まず私の方から御説明いたしますけれども、大変重要な御指摘をいただいた、そう考えています。大変深刻な問題でございまして、今御指摘のとおりであります。

 今パナソニックの話をされましたけれども、事実、そのとおりでございます。あと、企業名は申しませんけれども、上場企業の一流製造業、これは外国人採用に力を入れて、新卒者の一割は外国人を採用するということですね。パナソニックはおっしゃるとおりです。それから、ローソンとかユニクロのファーストリテイリング、こういうところは、ユニクロは六百人のうち三百人は既に外国人を採用しているということです。

 海外へ展開している一流企業の社長さんたちの話を聞きますと、海外の卒業生、新卒者は非常に優秀で、やる気があって、語学も一カ国語だけじゃなくて三カ国語ぐらい使って、一人で何でもできるということなんですね。

 そういうことを考えますと、我が国は大変な努力をしてこれから追いついていかないかぬのだ、内向き志向を破って外に向かっていくということで、文部省、大学、産業界、あわせて人材養成に努力しなきゃいかぬ、そう思っています。今おっしゃったことも含めてしっかり取り組んでいきたい、そう思っています。

西野委員 時間が来ましたので終わらせていただきますが……(中山大臣政務官「ちょっとまだ答えていない」と呼ぶ)そうですか。どうぞ。

中山大臣政務官 先ほどわざわざお褒めいただいたのに、答えない手はないというふうに思いましたので。

 インターンシップ事業につきましては、これからもPRをどんどんやっていきます。

 それから、私たちはドリームマッチというのをやっております。このプロジェクトは、多くの方たちを中小企業の社長に会わせて、社長の熱弁から、この中小企業はすばらしい、そこに勤めたい、こういうような気持ちを起こさせて、今、新卒者の人が就職がない、何とかこういう人たちを、ミスマッチを解消するためにこれからもしっかり先生の御指摘を踏まえてやっていきたいと思います。

 なお、企業に日額三千五百円も出す必要がないんじゃないか、こんなようなお話も実はあるんですが、いろいろ我々がお願いしていることがたくさんあるんです。今入った新卒者をしっかり鍛えてもらって、本当にひとり立ちできるような社員になってもらいたい、こういう意味も含めまして三千五百円出しているわけでございます。さらに成果を上げまして、またこの次に会ったときには西野先生から褒められるように全力を尽くしたいと思います。

西野委員 これで終わりますが、どうぞひとつ、グローバル競争に打ちかつためにさまざまな施策にしっかり取り組んでいただきますようにお願いいたします。

 終わります。

田中委員長 次に、山内康一君。

山内委員 最初に、経済外交についてお尋ねをしたいと思います。

 特に、前原外務大臣になられた後、外務省が非常に熱心に、経済外交ということを特に強く言うようになりました。まず、経済外交の定義をお尋ねします。

海江田国務大臣 これはどちらかというと外務省あるいは前原前大臣にお聞きいただいた方がいいと思うんですが、私どもは、読んで字のごとし、外交手法を通じて経済を発展させるということだろうと思います。

山内委員 私の解釈を申し上げますと、外務省の言う経済外交は、安倍政権ぐらいまでは、どっちかというとEPAとかFTAを中心に経済外交を指していたんですけれども、最近は、特に前原大臣時代からは、それにプラスアルファで、インフラの輸出とか観光とか、前の政権のときよりかなり広くカバーして経済外交というふうに使っているようにお見受けします。

 前原大臣は、外交演説でも、我が国の総合的な外交力を高めることにつながると、経済外交が重要であり、そして、外務省のミッションとして経済外交が一番重要であるというふうに受け取れるような説明をされていました。

 私は、これまで外務省と十年ぐらいいろいろなおつき合いがありますけれども、どっちかというと、前原さんの言っている経済外交のうち、EPA、FTAの交渉を除けば、これまで伝統的に経済産業省がやってきた分野じゃないかなと。本来、前原時代になってからの経済外交の担い手は、どっちかというと外務省よりも経済産業省がやるべき仕事ではないかなというふうに感じておりました。その点について、大臣のお考えをお聞きします。

海江田国務大臣 今委員のお話を聞いておりまして、例えば、従来でしたら、これは外務省の考え方をそんたくするということでございますが、従来はODAという大変大きな資金を活用した日本の影響力の行使と申しますか、ODAの結びつきによる日本の影響力というものがあったわけでございますが、昨今の財政事情あるいはODAの援助の対象国がそれぞれ新興国となって経済発展を遂げていったというような事情もあって、ODAという手法を通じた日本の国家利益の反映というものが難しくなってきたんじゃないかな、一つの大きな流れとしてあるんではないだろうかということ。

 そういう中で、まさに経済外交といいますか、インフラの輸出などを通して、そしてインフラ、システムの輸出というのは、今から何十年も前のプラント輸出とは私は違うと思っているんですね。まさにインフラ、システムを輸出する、そこは当然、人材の育成、人材の教育などもついてくるわけでありますから。私が常々考えておりますのは、インフラ輸出を通じてその国の国民の生活の質を向上させる、生活を豊かにする、国民の命をしっかりと守っていく、そういうインフラ、システムの輸出でなければいけないというふうに思っているわけでございます。

 そうしたことを通じて、日本の影響力と申しますか、本当に日本は自分たちの国のためによくやってくれているんだ、日本と友好関係を保っていこう、日本の言うことをよく聞こう、こういう情勢が醸し出されるというのが、やはり経済外交、とりわけインフラ、システムの輸出と結びついた考え方ではないだろうか、そのように考えております。

山内委員 おっしゃるように、ODAの額も減ってきている、それからODAの対象国が経済発展をして対象から外れていっている、そういった意味で、ODA以外の経済協力というのは非常に重要になってきている、そういう文脈で外務省としても力を入れているんだろうなということは私も理解できるんです。

 ただ、外務省の各国の大使館に、例えば、インフラプロジェクト専門官という、大使館の参事官とかがそういう肩書を与えられているそうなんですけれども、どうも外務省のプロパーの人たちというのは、アタッシェで出向されている方もいますけれども、余りそういうビジネス的センスのない方が多いようにお見受けします。

 経産省の下にあるジェトロが、まさにビジネスだけを中心にやってきて、ある意味もちはもち屋というか、本来経産省がやった方がうまくいきそうな仕事を無理やり外務省の方にやらせるのが、本当にオール・ジャパンで考えていいのかなと。もちはもち屋というか、外務省にセールスマンをやらせるのは、何かある意味八百屋で魚を買うようなものじゃないかと思うぐらい、もともとそういう組織文化でもないと思うんですね、外務省なり大使館というのは。

 そういうところがやるんだったら、経産省であり、ジェトロがもっと前面に出て、まさに海江田大臣がもっと頑張っていただいて、日本としてどういう経済外交があるべきか。外務省、経産省は、横の、別の省庁ですけれども、向こうの国の人は一つの、日本人としか思わないわけですから、もっとオール・ジャパンというか、オール日本の役所の、霞が関の中でうまい経済外交のやり方を考えていってほしくて、そのときに中心になるのは、外務省よりも経産省の方がいいし、外務省はもっとインテリジェンスとか安全保障とか、あるいはFTAの協定を結ぶ、そういうところは外務省の得意分野ですから、お互い強みを生かしてすみ分けた方がオール・ジャパンの観点からいいんじゃないかなと思っております。その点について、大臣のお考えをお聞きします。

海江田国務大臣 山内委員から応援の弁をいただきましたので、私からも本当に、その応援の弁に対し感謝する次第でございます。ありがとうございます。

山内委員 応援の弁プラス、ぜひお願いしたいと思っておりますのは、経済外交は大事ですけれども、一過性のブームになったり、はやり物に飛びついてさっとはしごを外すようなことがないように、息の長いスキームというか仕組みをつくっていく必要があるんではないかなというふうに思います。

 例えばインフラ、確かに日本の企業の技術力はすぐれていると言われてきましたけれども、四年ほど前、ベトナムのカントー橋の事故では五十人以上死者が出るような、大きなインフラプロジェクトにおける大失敗をやりました、ODAの円借款の事業でしたけれども。

 あるいは、私の大変個人的な経験ですけれども、昔、私がJICAの職員だったころに、フィリピンの水道公社というところに技術協力をやっていました。日本の札幌市の水道局の人に来ていただいてやっていたんですけれども、フィリピンの水道の一番の問題は盗水、水を盗んじゃう人がいるんですね、パイプを勝手に引いて。

 そういう日本では考えられないような問題に対処するときに、本当に日本の技術は強いかというと、現場で何となく感じたのは、日本が強い部分とそうじゃない部分、いろいろありますから、余り楽観的に過大な期待を持って突っ込んでいって後で失望しないように、息の長い地道な取り組みが必要なんだろうなというふうに思います。だから、余りアドバルーンをばんばんぶち上げるよりは、きちんと調査研究をやって、省庁間の壁を越えて連携をして、戦略と戦術をしっかりやった上で進めていっていただきたいなと。質問というよりは要望ということでお聞きおきいただきたいと思います。

 それと、次の質問で、アジア経済研究所の件についてお尋ねします。

 前の大臣にもアジ研の質問をさせていただいて、私はアジ研のような調査研究機関というのは非常に重要だと思っております。健全な政策論争、健全な政策づくりには、まずきっちりしたデータ、それからいろいろな調査研究の結果というのがもとになければ、単なる思いつきになったり、単なるはやり物に飛びつくような、そういう思いつきのような政策になってしまいますから、きっちりとした研究機関を持っているということは大事だと思っております。

 それに関して、アジ研の研究テーマ、ホームページなんかを見ていると、いろいろな興味深いテーマがあります。調査研究のときに大事なのは、何を対象に選ぶのか、日本国としてあるいは経産省としてどういう分野の研究をやるか、あるいはどの地域の研究をやるか、このことにどういう情報が必要かという要求、そこが大変重要だと思うんですけれども、どういうテーマを研究するかとかどういう国を対象に研究するか、そういうことはだれがどのようなプロセスで決めていらっしゃるんでしょうか。

海江田国務大臣 まず大きな枠組みでいきますと、経産省が中期目標というのを決めます。これは、せんだって、たしか三月の二日でしたかね。これは四カ年計画でございますから、今の中期目標がこの二十二年度末で切れますので、二十三、二十四、二十五、二十六という四年間の中期目標を決めます。これを受けて、アジア経済研究所が、研究対象や内容については、中期計画というものを定めます。そして、この中期計画に基づいてそれぞれの研究対象や研究内容を決める、こういうふうな仕組みになっております。

山内委員 そうすると、通告で細かく言っていなかったんですけれども、例えばTPPというのが急にこの一、二年ぐらいで話題になってきました。そういう突発的に重要な課題が出てきたときには中期計画には入れようがないわけですけれども、どういうふうに対処なさるんでしょうか。

海江田国務大臣 これは私ども経済産業省と密接な関係がございますから、こういう形での調査をお願いしたいということを言えば、まさにこのアジア経済研究所の観点からそれぞれのデータは挙げてくれると思います。

 ただ、例えば日中韓の経済連携に関する各種の調査というのは、これはまさにアジア経済研究所がよろしいかと思いますが、御案内のように、TPPの場合はアジアだけではありませんで太平洋圏も入っておりますので、それについては、例えば、この後恐らく御質問があるでありましょう経済産業研究所というところもございますから、それはどちらがいいかということもこちらで判断をさせていただきたいということでございます。

山内委員 今お答えいただきましたけれども、経済産業研究所という、同じく経産省の研究機関があります。

 私は、複数の研究機関を持っていることは必ずしも悪いアイデアではないと思います。それぞれ別の観点から報告を出したりあるいは別の研究分野であったり、あるいは、研究者のカラーを見ると、アジ研はどっちかというとプロパーの研究者が多くて、経済産業研究所は外部の研究者をいっぱい入れていらっしゃる。

 そういう意味では、二つの機関がそれぞれ別の角度から一つの問題を見ていく、そういう点は大事だと思います。大事ですけれども、二つの研究機関がどういうふうにすみ分けをやって、場合によってはどういうふうに連携して、あるいはどういうところで差別化していらっしゃるのでしょうか。この二つの研究機関をどういう分け方をしているか、お尋ねします。

海江田国務大臣 私も、これはちょっと雑駁な印象でございますけれども、経済産業研究所の方に何人か知り合いがおりますけれども、どちらかというとアカデミックな学者のタイプの方が多いようでございまして、そしてアジア経済研究所は、どちらかというとフィールドワークといいますか、本当に地域に根差した研究をしていらっしゃる方がおります。実際、そのような組織になっております。

 私は、以前、一九七七年ぐらいでしたか、中国の文学者の魯迅という方がいらっしゃって、その魯迅のふるさとの紹興という、あのあたり、ずっと江南地方を訪ねる旅行がありまして、そうしたら、そのところに一人、アジア経済研究所の人が入っておりました。これは文学の旅行ですよと言ったら、当時はまだ紹興は、ちょうど開放されたばかりですか、なかなか入っていくことができないので、やはり実際にその地に行って、そしてその地域の経済の情報を自分の目で見てきて、これをレポートに書くんだということを言っておりまして、そういう非常に行動力のあるといいますか、あるいは地域に、本当にフィールドワークを一生懸命積み重ねようというような方々が、私の印象ではアジア経済研究所にたくさんおられるということでございます。

 そういう役割はまだまだ大切でございますので、ぜひそういう役割をアジア経済研究所には果たしていただいて、そして経済産業研究所の方は、もう少しマクロな視点と申しますか、これから日本の経済はグローバル化、もう既に密接不可分な状況でありますから、そういうグローバルな観点から、マクロ的な分析でありますとか、そういうことをお願いしたい、そのように思っております。

山内委員 大変わかりやすい説明、ありがとうございました。

 それと同時に、経産省以外の省庁もいろいろな研究機関をお持ちです。内閣府も外務省もそれぞれ持っていて、時にはオーバーラップするような分野もあると思うんですけれども、そういう他の、経産省以外の研究機関、あるいは民間の大学とかシンクタンクも含めてですけれども、そことの交流とか、人事交流とか、そういったものはどういう現状になっているんでしょうか。

海江田国務大臣 これは、今お話をしました経済産業研究所が、それこそ国際的な学者の方々とのネットワークもございますから、ここが主催をしまして、シンポジウムなどをかなり頻繁にやっているところでございます。それから、海外研究者を招聘するということも、この研究所が窓口になってやっております。

 これからは本当に、日本の学者が日本の目から見た世界の経済の情勢を分析するだけでなく、やはり海外の学者や研究者が日本をどう見ているか、あるいは世界の経済をどう見ているかということも大変大事な観点でございますので、この研究所が中心になってそういうこともやっていこうということでございます。

 もちろん、日本の他の省庁の研究所とも密接な連携をしていくつもりでございます。

山内委員 そろそろ時間なので、最後に要望だけ申し上げたいと思いますが、日本の省庁の、各省それぞれ結構質の高い研究をやっている研究機関があると思うんですけれども、はたから見ていると、横でどう連携しているのか、あるいはどうすみ分けているのかわかりませんし、その結果がどのように実際の政策づくりに生かされているかがよく見えません。それは前の政権のときもそうだったと思います。

 例えば、TPPに関していろいろな数字が出てきます。農水省はGDPがこれだけ下がると言っている、内閣府は何%上がると言っている、経産省は言っている。そういういろいろな研究機関がいろいろな数字を出すのはいいんですけれども、やはり国民に対する説明として、その根拠を示した上で、比較をした上で、では、例えば今の菅内閣が公式にこういうデータに基づいてTPP参加の是非を議論しますといったように、ある程度いろいろな機関から上がってくるデータを総合して分析するところがどこか、内閣全体あるいは経産省の経産研究所みたいなところでもいいのかもしれません、そういうものをつくっていただきたいし、そのときに、経産省の研究機関、優秀なところがあります、こういう知見をよその省庁の政策づくりにも生かせる、例えばアジ研の研究成果はきっと外務省でも非常に役に立つと思いますし、そこら辺の連携は、私の知る限り余りなされていない印象を受けますので、ぜひオール・ジャパンで有効な資源の配分と研究成果のシェアができるような、そういう体制づくりを経産省も率先してやっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

田中委員長 次に、石関貴史君。

石関委員 民主党の石関貴史です。

 私の青少年期に経済評論家としてテレビ等で大変御活躍をされていた大臣にこういった場で質問をする機会をいただきまして、大変うれしく思っております。

 せっかくの大臣所信表明、本当に充実した内容だと思って聞いておりましたが、ただ、時間の都合で、確かに早口になってしまわざるを得ない部分があったということで、せっかくの内容を、昨晩またこのペーパーの方を熟読させていただきました。基本的にはこの所信の内容に沿って幾つか御質問申し上げたいと思います。

 まず、初めの方で現在の経済情勢の分析について述べられております。足元の経済情勢は、生産や輸出の持ち直しを背景に、足踏み状態を脱しつつあるということでありますが、この判断のもとになっている指標、生産、輸出を中心にした指標についてお尋ねをしたいと思います。

 ここでは、前年同期比や前期比という形で、経済指標の見方は、方向性を示すものと、あるいは少し長い期間を見て、レベルですね、額ですとか量というものを見たときにどういう水準にあるか、この二つの見方があると思いますが、この二つを踏まえて御教示いただきたいと思います。

海江田国務大臣 何か、石関委員からそういうお話をいただくと、私の方が若干緊張してしまいますが。それから、わざわざお読みいただきまして本当にありがとうございました、所信の演説を。

 今お話をしました、まさに方向性とレベルのお話、これは本当に大切でございます。方向性でいいますと、これはもう言うまでもありませんが、リーマン・ショックが二〇〇八年の秋、九月にありまして、そこから非常に急激に下降しまして、そして、二〇〇九年の春先、このころに大体底を打ったのではないだろうかと。底を打って、徐々に回復をしていきました。

 しかし、昨年の秋口になりまして、円高の問題がございました。それから、ヨーロッパでは、ギリシャの経済危機、経済破綻などもございまして、経済危機がございました。そういうもろもろの下振れ要因といいますか、方向性を下へ引っ張る力が働きましたから、そこで私が、大体九月ぐらいの月例の、これは内閣府のときでございましたけれども、足踏み状態ではないだろうかというような表現を使ったわけでございます。

 それが、今、一番新しい四半期ごとのデータでいいますと、二〇一〇年の十、十一、十二が出ました。これは二月の十四日に出ました。これがマイナスの一・一という数字で、正直申し上げますと、私はマイナスの二%台になるんじゃないかなというふうに思っておりましたが、それが何とかマイナスの一・一でおさまったことによって、結果的に、この二〇一〇年、暦年の二〇一〇年というのは、まだ速報値でございますけれども、実質の成長率で三・九%でございます。この三・九%というのは大変高い数字だと私は思っております。

 菅総理も時々お話をしておりますけれども、ドイツが、まさにユーロ安によって利益を受けたドイツの成長率が三・六でございます。それからアメリカが最初二・九という数字を発表しまして、〇・一下方修正しまして今二・八です。そういう数字でございますから、その意味では、日本は、これはもちろんマクロの経済の分析でございます、よくやっているなということ、昨年については何とか乗り切ることができたんじゃないかなという評価をしているところでございます。

 それから、ちょっと話が長くなりましたけれども、あと水準でございますけれども、今、私どもが、成長の、データ的には鉱工業生産指数、これは生産ですね、それからもう一つが貿易統計で確認される輸出、こんなものを経産省としては中心にやっておるわけです。生産動向でいいますと、先ほどお話をしたリーマン・ショック前の大体九割ぐらいですね、マクロの点でいうと、大体そこまで戻ってきているということであります。

 ただ、もう一つだけ付言すると、今お話をしましたのは円ベースの話でありますから、ドルベースで見ますと、実は生産の水準、あるいは株価の水準も、大体リーマン・ショックの前に出てきているんではないだろうか。ただ、これはあくまでもマクロでございますから、ミクロでいうといろいろ問題があるということはもう十分承知をしております。

石関委員 丁寧な御説明ありがとうございました。

 まさに大臣おっしゃったように、マクロの分析であり、マクロの今の現状というものを御説明いただきました。

 そしてまた、ミクロというか、現在の経済情勢と、方向性と、いわゆる景気というものの、ミクロ、個人の実感というのは必ずしも一致するものではありませんし、指標についても、今御説明があったものや、先行するもの、それからおくれて出るものというふうにいろいろありますので、経済情勢と景気の実感というものを一緒くたにすることはできないということは私も承知をしております。

 とはいえ、このような、大臣所信の中にも入っている、経済情勢は幾らかよくなっていますよということでもありますし、新聞等を読んでも、指標としてはそういったものが見られるようになってきた。しかし、我々地元に行くと、ミクロの世界では全然景気がよくなりませんね、こういうことをよく言われるのは、私に限らず、恐らく議員の皆さんも同じというふうに思います。

 一つの例ですが、私の地元の町内に、私の同級生のお母ちゃんがやっているカレー屋さんがあります。私の子供のころからやっているんですね。ポスターも張ってくれていますから時々おいしいカレーを食べに行くんですが、食べに行くたびに、景気が悪くてお客さんがどんどん減っている、何とかしてもらいたいねと。頑張りますと言うしかないんですが。

 実は、大変おいしいカレーなんですが、本音を申せば、いや、お母さん、悪いけど、向かいにチェーン店のお好み焼き屋さんもできていますよ、ちょっと向こうに行くとCoCo何とか屋さんという新しいカレー屋もあるので、なかなか今までどおりの味では、お客さんがわんさか入るというふうにはならないかもしれないと。あるいは、人口の構成が変わっていますから、昔よく来ていたお客さんはもう退職をして、もしかしたら亡くなっちゃっているかもしれないと。新しい人をどう呼び込むか創意工夫をしないとなかなかやっていけません、こんな説明はなかなかできないですよね。だから、頑張ります、おいしかったですと言って、いただいて帰ることにしております。

 あるいは製造業、これも改めて私が申し上げるまでもありませんが、仕事どうですかと地元でお尋ねすると、今お話があったように、量としては回復をしてきて何とか確保されていると。物によっては、前よりも量は拡大しているけれども、単価が下がっているのでこれではやっていけない、しかし断ればそこで終わりだから、何とかこれを頑張ってやっているんだ、こういう声もよく聞きます。ただ、こういった皆さんにも、いや、グローバル社会ですから、グローバルの世界になりましたから、あるいは世界競争の時代ですからしようがないです、こんなことは言えませんから、これも頑張りますと。

 あるいは、建設土木の皆さんにも、いや本当に民主党になって特に何か減っちゃってよ、どうするんだ、景気対策は建設土木だよなと。これについても、いや、昔から見ると乗数効果が下がってですねとか、こんな説明はできませんから、頑張りますと。

 基本的には、皆さんどうですか、これ。皆さんも同じような、なかなか難しい立場ということではないかなと思うんです。

 そこで、私も青少年時代、現大臣の大変わかりやすい説明に納得していた者として、経済情勢はこのように足踏み状態から脱しているけれども、景気の実感はなかなか感じられない、経済構造や社会構造も大きく変わっているということも含めて、大臣の口から、今申し上げたような、例を挙げたような皆さんに、いや、そうかと明るい希望が見えるような御説明を、私も含めて、御教示いただきたいと思います。

海江田国務大臣 私も根は明るい方でございますので、その意味では、やはりマクロで明るい情報も提供していかなきゃいけないと思うんですね。

 マクロとミクロといっても、実はこれはなかなか一般の方にはわからないわけで、私は最近、ちょうど今の日本の経済の状況というのは印象派の絵画のようだということを言っているんですね。ルノワールでありますとか、あと、スーラという画家がおりまして、これは点描なんですよ。点描の中には、まさに点の中には暗い点もたくさんあるんですね。ところが、それを全体を通して見ると、やはりまさに印象派の明るい印象を受けることがあります。

 その意味では、今の日本の経済はちょうど印象派の絵画のようだという言い方をしておりまして、近寄ってよく見るとやはり暗い点もたくさんあるということでございまして、そのところが、暗い部分に対してどういうふうにお話をするかということは大変難しい話でありまして、私も、時間がないときは、とにかく頑張るということで済ませております。

 ただ、そればかりというわけにはいきませんで、今、日本にとって、特に中小企業にとりまして大きな問題というのは、実は、本当は一回店を閉じてといいますか、そして新しい事業を始めるということも大切なんですね。やはり世の中は大きく変化をしておりますから、かつて、これはどこでお話をしたときですかね、よく失敗は成功の母ということ、これはもう当たり前の話でありますが、実は、こういう世の中の大きな激動期、変動期、特に世界が変わっているときは、成功も失敗の母になるんだと。成功体験に寄りかかることによって次の展開ができていかない、そのことによって結局失敗をしてしまうんだという、逆説的な言い方でありますけれども、成功体験も、成功も失敗の母になることがあり得るんだと。だから、成功体験に寄りかかっていませんでしたかということもやはりとらえ直しをしてみる必要があるんじゃないだろうか。

 それから、世の中が変化しているわけですから、本当は業種、業態あるいは企業そのものも新しく変えなければいけないわけですが、その企業の方の後押しというのが実はどうしてもまだまだ不足をしているんですね。だから、そのまま生き長らえさせるための後押しと、やはり一回そこは断ち切って、そのかわりもちろん、個人保証だとかいろいろなものが特に中小企業にはまとわりついていますから、そういうものはなくさなきゃいけません。企業の範囲の中で責任をとらせて、個人の生活に及ばない。だけれども、もう一回新しいことをやろうとしたときの後押しというものを一生懸命やっていくように心がけたいということを少し時間があったらお話をしますと、半分ぐらいの人はそうかと言ってくれます。あと残りの半分は、よくわかりませんが。

 もう少し時間があればもう少し長く話をしてもいいんですが、とりあえず。

石関委員 丁寧な御説明ありがとうございました。

 なかなか見識の高い大臣ですから、印象派の絵画という言葉が出てきますが、もう少し庶民的に私も何か例えを考えて、今の大臣の御説明を地元でも伝えたいというふうに思って伺っておりました。

 さて、今、経済産業省を中心に政府が進めております新成長戦略の中の二十一の国家戦略プロジェクト、これについて大臣所信の中にあったものを中心にお尋ねをしたいと思います。

 先ほど山内委員の御質問にもありましたが、経済外交ということも進めている今の政権であります。特に、パッケージ型インフラ海外展開、あるいは、所信の中ではインフラ・システム輸出というふうにおっしゃっておられますが、こういったものには具体的にどんなものがあるのか。

 私も、日本経済が今御説明があったような状況でありながら、昔のように、盛んだ、豊かだとなかなか実感ができない中で、アジアを中心に、世界の各地でこれから大変成長が期待される国々の豊かさというものを我が国にしっかりと取り入れる、これが大事な戦略であるというふうに思います。

 その中でも、特にこのインフラ・システム輸出というものを、我々がしっかりとそこに資源を集中し、また官民一体で進めていくことが大変重要なことだと思いますが、具体的にどういったインフラというものが今のところ想定をされ、あるいは進行中であるのか、教えてください。

中山大臣政務官 先ほども御質問がありました。

 経済産業省というところは、やはり物を外国へ売りに行くところだ、このように私たちは考えておりまして、五人の政務三役全部、外国へ出かけていって物を売ってくる、このように大臣から命令を受けております。しかし、大臣は皆さんに対する丁寧な答弁をしなければなりませんので、大臣を残して、できるだけ副大臣、政務官が出向いていってトップセールスを展開してくる、こういうことを今心がけているわけでございます。

 一つは、パッケージというのはやはり、まず原子力発電だったら原子力発電がどういうものか、研究機関をつくってしっかり教育をしていく。それから、原発の設計、それから送電、配電、最終的にはメンテナンスまで全部やる。ですから、山内さんが先ほど一過性のと言ったけれども、十年も二十年もかけてその電力を維持していくことが私たちは大切だというふうに考えております。

 特に、UAEの問題で、李明博大統領が出向いていって、結局韓国に原発をとられてしまった、こういう失敗は絶対繰り返してはいけない。特に、本当だったら総理大臣が行って獲得をしてくる、それから、経済産業大臣はできる限り出ていって商売をするという意欲を大変お持ちでございますので、ぜひ委員会から解放して、大臣にも、出ていっていろいろなインフラのものを売ってもらいたいというふうに思っています。

 最後に、大切なのは、発展途上の国が一番必要なのは何か。電気です。日本の戦後を見ても、経済が伸びてきたのはやはり電力なんですね。これを供給してもらうために、原発や石炭火力というものに重点を置いて今売りに歩いているわけでございまして、私たちもベトナムへ行きました。インドネシアも行きました。ヨルダンも行きました。サウジアラビアも行きました。それから、南アフリカも行き、いろいろな国々に行って、必ず、買ってください、私たちは幸せを売りに参りましたということで、ウイン・ウインの関係をつくることに重点を置いて、これからも外交の面でも、それが必ず日本によく作用するように全力を尽くしていきたいというふうに思います。

石関委員 ありがとうございます。今、中山政務官から、その重要性と意気込みについて、よくわかりました。

 そこで、電力というお話でありましたので、いろいろな種類があるインフラの中でも電力についてさらにお尋ねをしたいと思います。

 特に、電力について、原子力そして石炭火力というものがありますが、具体的な例として、今の国際展開、原子力産業、石炭火力、この具体例があれば教えていただきたいと思います。特に、ベトナムではこの原子力の部分について、お話があったように進んでいるということでありますが、私の理解では、基本合意はされているけれどもまだ決まったわけではない、こういう段階だというふうに私は理解をしておりますが、特にベトナムの例については正確に、また、トルコやほかの国でもこういったものが進行中ということも仄聞をしておりますので、御説明をいただきたいと思います。

松下副大臣 お尋ねの件でございますけれども、今、ベトナム、そしてトルコ、これに具体的に取り組んでおります。

 ベトナムにつきましては、昨年の十月に日本・ベトナムの首脳会談がございまして、そこで、ニントアン省という南部の方ですけれども、そこの第二サイトでの原子力発電所建設について、我が国をパートナーとするという合意ができました。これに基づきまして、現在、日越共同で原子力発電導入可能性調査を行っております。これをもとにして、いろいろな課題を整理しながら、このプロジェクトの成功に向けて取り組みを加速していきたいというのが現状でございます。

 トルコにつきましては、現在、日本と優先的に交渉しているということでございまして、もう少し時間がかかりますけれども、今大変重要な場面に来ておりまして、これは従来、韓国がこれまでトルコと交渉していたんですけれども合意に至らず、日本とやりたいということで、今真剣に、大事な場面でございまして、力を入れているところでございます。

 今後、ヨルダンでも、日仏連合で取り組んでいるわけですけれども、今、中東情勢もちょっと動いているところもありますけれども、原子力関係のところはしっかりと、内閣改造がありましたけれども、きちっと陣容が残っておりまして、真剣に今また前進させたいというふうに考えています。

 以上でございます。

石関委員 特に原子力については、我が国の技術というのは非常に安全性も高く、信頼性の高いものでありますので、輸出をするものとしては一番の売り物になると思います。さらにそれぞれ御努力いただくことを大きく期待しております。

 そこで、これも先ほど山内委員も触れられていたところで、私も大いに関心があるところなんですが、こういった一つの例として原子力というものを例にとったとき、これをインフラ・システム輸出したときに、その国が日本がODAで援助をしている国であった場合に、具体的に、少し詳細に教えていただきたいと思うんですが、では、原子力を輸出することになりました、その炉の部分についてはODAで賄えるのか。あるいは、先ほど政務官からお話があったように、そのオペレーションについて、人についてはこのODAで果たして賄えるのか。あるいは、発電した電気を送電線を張りめぐらせて送らなければいけない、この送電線の部分はどうなのか。

 インフラ・システム輸出をした場合に、その輸入をする国がODAでどこまで賄えるのか。あるいは、そこはODAの対象ではありませんから、こういった銀行があります、こういった形でその資金を賄うことができますよと。

 少し丁寧に御説明をいただきたいと思います。

中山大臣政務官 今の発言の中で、一つはODAにかわるものという視点だというふうに思うんですが、技術協力、技術や何かを提供する場合に、教育の場面でもODAは使えるということは間違いございません。使えないのは、原子力発電所の敷地内の、原子力発電にかかわるいろいろな建築または炉であるとか、こういうものについては当然、ODA以外のもので援助をしていきたいというふうに思います。

 私たちは、交渉ですから、もし受注をいただくならJBICをつけましょう、そしてJBIC以外にも、JBICを入れることによって民間の金融機関も入れていきましょう、民間の金融機関にはNEXIをつけます、こういうような話をしているわけでございまして、ODAにかわるものとしては、融資と保険で賄っていく、こういうことでございます。

 なお、原子力発電所ができれば、そこに行く道路であるとか、または相当なものが、周りの附帯設備が必要になってまいります。そういうものについてはODAを活用できることになっております。

 なお、送電もそうです、配電もそうです、いろいろな部分で、ODAと組み合わせて、できる限り日本が受注を受けやすく、そして、相手の国に最終的には喜ばれるということにしなければいけない。つまり、ウイン・ウインの関係を必ずつくっていく、こういうことでODAも活用していきたい、このように思います。

石関委員 御丁寧な説明をありがとうございました。

 今お話あったように、ODAあるいは融資、保険、こういうものを組み合わせてパッケージとなっているということであると思いますが、この保険や融資の分野についても、やはりそれぞれ、かかわるメーカーの皆さんですとか、いろいろ個別に聞くと、もう少しこうしてもらえるとやりやすいんだがな、もう少し大きなプロジェクトも進められるんだがという声をよく耳にしますので、経済産業省としても、こういった御意見をきめ細かく聴取の上、今のようなお話をぜひ強力に進めていただきたいと期待を申し上げます。

 時間があと五分ぐらいありますので、せっかくですので、先ほどお話のあったトップセールス、政務三役、大臣以下、皆さん外国出張をされて海外でも御活躍をされているということでありますが、それぞれ時間の許す限り、そのトップセールスの内容と、それから皆さんが得られた実感、そして、せっかくですから手柄話の一つか二つぐらいここで大きな声で御披露いただきたいと思いますが、副大臣、政務官、いかがでしょうか。

松下副大臣 手柄話も入れてということでございますけれども、政権交代して一年半、私も副大臣として一年半務めてまいりましたけれども、大臣初め政務三役、寸暇を惜しんで時間をつくって、また国会の審議の合間を縫って、また許可をいただきながら、全世界に飛び回って、走っております。

 私の前任の高市さんもいらっしゃいますけれども、お話を聞いたらやはりそうだったということでございますから、これは政権問わず、要するに日本の得意とする分野のトップセールス、それから資源を安定的に供給させるためのあらゆる努力、資源外交、これはもう全員でやらなきゃいけないことだと思っておりますし、我々も、大臣以下全員で取り組んできております。

 私自身は、ついこの前もインドネシアとベネズエラから帰ってきたばかりでございますし、また間もなくベトナムに出かけて、経済調査団を一緒に入れて、投資協定をどうするか、そういう問題を含めて、しっかりと話し合ってきたいと思っています。

 きっかけになりましたのは、いろいろあるんですけれども、昨年の十一月にモンゴルの大統領がお見えになりまして、国会で演説をされました。これは皆さんも聞かれたと思います。日本の皆さん、目覚まし時計が鳴っています、目を覚ましてください、早く起き上がって行動してください、こういう演説をされました。

 私はその直後に、十二月、仲間たちを引き連れてモンゴルに行って、大統領に会ってきました。自分で書いて、そして自分でその気持ちを訴えたそうであります。私たちは日本の力を待っている、どうしていつまでも寝ているのか、行動して私たちを揺り起こしてくださいということでした。

 やはりこういう気持ちでしっかり取り組んでいかなきゃいかぬな、こう思っています。

 以上であります。

中山大臣政務官 実は、トップセールスをやる場合に、やはり石炭火力の技術とかそういうものを十分に勉強して行く必要があると思うんですね。

 インドネシアでは、二〇〇五年に十基、入札をやったときに日本が負けてしまったんです。この十基の石炭火力、これは値段が安いのは当たり前で、亜臨界なんですね。石炭をくべるやつ。日本のは超臨界、石炭を本当に微粒子の粉にしましてガスに近いような状況で熱効率を上げているわけですが、超臨界と亜臨界と基本的に違うんですね。ただ、同じところに出したときにはこっちが安いから、中国が受注を受けちゃったんです。二〇〇五年で、二〇〇九年にもう本当は動いてなきゃいけないんですが、まだ動いておりません。

 そこで私たちは、この超臨界の日本の火力発電がいかにすばらしいものかということをハッタという大臣に説明をして、よく私たちもいろいろなポンチ絵までつくって説明をして、この超臨界のすばらしさを話をして、その技術的な説明の後に松下副大臣が行きまして、いよいよ今度はこれを受注する直前まで行っているのではないか。

 ただし、あくまでも、民主主義の国家ですから入札にしろ、こういうことになっておりまして、私たちが十分に説明した上で、この技術も加味した上で入札をしてもらうということになっておりますので、そういうように火力発電所一つについてもちゃんと説明ができなければいけない、そういうことは経産大臣から言われております。

 とにかく相当しっかり勉強して行かなきゃだめだということは大臣からの命令でございますので、日夜勉強に励みまして、必ず売ってくる、こういう決意で頑張っていきたいというふうに思っております。

石関委員 控え目な手柄話でありましたが、よく御努力と熱意のほどがわかりました。大変ありがとうございます。

 ぜひ、こういった応答や、各委員の皆さんからの質疑の成果も生かしていただいて、我が国の経済、産業の活性化、もって日本の国富の増大に大きく力強く活躍されることを御期待申し上げまして、私の質問を終わりにいたします。

 ありがとうございました。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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