衆議院

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第3号 平成23年4月6日(水曜日)

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平成二十三年四月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 石関 貴史君 理事 北神 圭朗君

   理事 楠田 大蔵君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 谷畑  孝君

   理事 西村 康稔君 理事 佐藤 茂樹君

      網屋 信介君    石田 三示君

      緒方林太郎君    金子 健一君

      川口  博君    川島智太郎君

      木村たけつか君    櫛渕 万里君

      熊田 篤嗣君    斉木 武志君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    田嶋  要君

      平  智之君    高松 和夫君

      中後  淳君    中山 義活君

      橋本  勉君    花咲 宏基君

      山本 剛正君    吉田おさむ君

      梶山 弘志君    近藤三津枝君

      高市 早苗君    橘 慶一郎君

      西野あきら君    額賀福志郎君

      望月 義夫君    稲津  久君

      吉井 英勝君    山内 康一君

      園田 博之君

    …………………………………

   経済産業大臣       海江田万里君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     枝野 幸男君

   外務副大臣        伴野  豊君

   防衛副大臣        小川 勝也君

   文部科学大臣政務官    林 久美子君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   政府参考人

   (内閣府原子力安全委員会事務局長)        岩橋 理彦君

   政府参考人

   (内閣府原子力安全委員会事務局管理環境課長)   都筑 秀明君

   政府参考人

   (内閣府原子力安全委員会事務局規制調査課長)   小原  薫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房政策評価審議官)       田中  敏君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           加藤 善一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           雨宮 宏司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   参考人

   (独立行政法人日本原子力研究開発機構理事長)   鈴木 篤之君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  斎藤やすのり君    中後  淳君

  平  智之君     網屋 信介君

同日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     平  智之君

  中後  淳君     金子 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 健一君     石田 三示君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     斎藤やすのり君

    ―――――――――――――

三月十日

 中小業者の暮らしと経営を守ることに関する請願(田中康夫君紹介)(第二〇四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二五二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二八二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二八三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三〇八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三〇九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三一〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三一一号)

 業者婦人の実態調査を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三〇六号)

 地域を支える中小業者の支援に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第三〇七号)

同月十七日

 中小業者の暮らしと経営を守ることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三五七号)

 業者婦人の実態調査を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第三五八号)

 中小業者の仕事確保など暮らしと経営を守ることに関する請願(吉井英勝君紹介)(第四四六号)

四月六日

 中小業者の暮らしと経営を守ることに関する請願(高橋昭一君紹介)(第四八八号)

 同(志位和夫君紹介)(第六一五号)

 地域を支える中小業者の支援に関する請願(高橋昭一君紹介)(第四八九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 資源エネルギー及び原子力安全・保安に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの東日本大震災による被害でお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表したいと存じます。

 また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 ここに、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げ、黙祷をささげたいと思います。

 全員御起立をお願いいたします。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

田中委員長 どうもありがとうございました。

     ――――◇―――――

田中委員長 経済産業の基本施策に関する件、資源エネルギー及び原子力安全・保安に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君及び独立行政法人日本原子力研究開発機構理事長鈴木篤之君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府原子力安全委員会事務局長岩橋理彦君、内閣府原子力安全委員会事務局管理環境課長都筑秀明君、内閣府原子力安全委員会事務局規制調査課長小原薫君、文部科学省大臣官房政策評価審議官田中敏君、文部科学省大臣官房審議官加藤善一君、農林水産省大臣官房審議官雨宮宏司君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、東日本大震災の被害状況及びその対応について政府から報告を聴取いたします。海江田経済産業大臣。

海江田国務大臣 経済産業委員会の御審議に先立ち、東日本大震災の被害状況及びその対応について御報告いたします。

 御報告に先立ちまして、このたびの震災で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方々に対しお見舞いを申し上げます。

 あわせて、福島原子力発電所の事故により、周辺住民、農業、漁業関係者を初め、国民の皆様に御心配をおかけしていることにつきまして、心よりおわび申し上げます。

 まず初めに、原子力災害について御報告いたします。

 今般の地震により、福島原子力発電所は甚大な被害に遭い、とりわけ福島第一原子力発電所にあっては冷却機能が失われるという事態に至りました。このため、政府は、直ちに原子力災害対策本部を立ち上げ、さらには、政府と東京電力による福島原子力発電所事故対策統合本部を設置して、事態の収拾に向け懸命に取り組んでまいりました。特に、汚染水の海水への流出や大気中への放射性物質の飛散を防ぐために最大限努力するとともに、一日も早く炉心を冷却し安定した状態を実現すべく尽力しているところであります。

 今後は、避難や屋内退避を余儀なくされた周辺住民の方々の安全と生活を全力で守るべく、放射線モニタリングを徹底して行うとともに、放射性物質の放出を最小限に食いとめるため、内外の専門家の助言も得て、考えられる限りの方策を講じてまいります。さらに、三月二十九日には原子力被災者生活支援チームを発足させ、関係府省連携のもと、被災者支援に全力で当たっております。

 加えて、他の原子力発電所において同様の事故を決して起こすことのないよう、三月三十日に、電気事業者に対し、今回のような津波を想定した緊急安全対策の実施を指示しました。

 今般の地震は、電力やガスなどのライフラインに対しても甚大な被害をもたらしました。電力及びガスの供給につきましては、震災の直後において、電力が約八百九十一万戸、ガスが約五十万戸について供給停止となりました。その後、四月五日時点でいまだ供給停止となっている戸数は、電力が約十七万戸、ガスが約二十七万戸にまで減少しており、早期の復旧に向け鋭意取り組みます。

 一方、震災で電力供給設備に大きな損害が生じ、東京電力及び東北電力管内は大幅な供給力不足に陥っております。このため、国民の皆様、産業界の方々には徹底した節電をお願いするとともに、地域ごとの計画停電にも御協力いただいております。今後、夏に向け、さらなる供給力向上、需要抑制により、計画停電をしないで済む状況を目指します。

 ガソリン、軽油等の燃料につきましては、民間備蓄義務の引き下げ、タンクローリーの追加投入、海上・鉄道輸送ルートの確保、仮設ミニスタンドの設置などの対策を講じております。現在、東北地方における石油製品の供給量は、震災前の需要量の約八割程度にまで回復しております。今後も、被災者にきめ細かく石油製品が行き渡るよう万全を尽くしてまいります。

 あわせて、燃料以外の生活関連物資についても、産業界に対し、円滑な供給に御協力いただけるよう要請するとともに、物資、サービスのさらなる提供等の自主的な協力を呼びかけております。

 震災の影響は、被災地域にとどまらず、サプライチェーンを通じて全国的に大きく波及し始めており、風評被害も大きな問題となりつつあります。このため、政府系金融機関やジェトロ等に特別相談窓口を設置し、幅広く相談に応じるとともに、災害関係保証やセーフティーネット保証、災害復旧貸し付け、危機対応融資の提供を拡大するなど、企業の資金繰り支援に万全を期します。

 以上、御報告してまいりました震災への対応に当たっては、自衛隊、消防、警察、周辺自治体の皆様に加え、米国を初めとする二十カ国以上の国・地域からの人、物両面で支援をいただいております。今後も国民の皆様への情報提供を積極的に行いつつ、内外の英知と技術を結集し、事態の収束に全力を尽くします。

 被災者の方々の一日でも早い生活の再建と我が国経済の復興に向けて、政府一丸となって取り組んでまいります。

田中委員長 これにて報告の聴取は終了いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 おはようございます。自民党の西村康稔でございます。

 このたびの東北大地震で亡くなられた皆様方、そしてまた、被災され、今なお避難所等で大変厳しい状況に置かれている被災者の皆様に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。

 そして、今回の地震と津波により福島第一原発が大きな被害を受けまして、今なおコントロールしにくい、非常に厳しい、難しい状況に置かれている。現場でまさに命がけでその安定化に向けて努力をしておられる作業員の皆さんにも、心から敬意を表したいと思います。

 もはや与党、野党と言っている場合ではありませんので、私たちも、一日も早くこの原発を安定化させ、被災地を復旧復興させるべく全力で取り組んでまいりたいと思います。

 そこで、きょうは、お忙しいところ、枝野官房長官、海江田大臣初め関係省庁の皆様にお越しをいただきました。この原発の安定化に向けて、そして現地の復興に向けて、よりよい方策がないのか、前向きな、建設的な議論をしていきたいと思います。時に厳しい指摘もさせていただくかもしれませんけれども、ぜひこの安定化に向けて前向きな議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 最初に、原発事故に対する全体の対応、体制についてお伺いをしたいと思います。

 三月十一日に地震があり、被害があったわけですけれども、その後も水素爆発があったり、あるいは点検中の四号機で使用済み燃料プールの温度が上がるというようなことがあった。それから、タービン建屋で水たまりがあることがわかった。最近では、二号機で亀裂があり、そこから高濃度の汚染水が出ているということが発覚した。

 それぞれの事象が起こるたびに必死で対応しておられる。これは非常によくわかりますし、大変な御苦労をされておられるのは非常によくわかるわけですが、もう少し冷静に見てみると、これだけの地震があったわけですから、あちこちに亀裂があり、あちこちの管に恐らく亀裂があって漏れ出ていることを、それから、これだけの水を投入しているわけですから、どこかで漏れ出ていることも当然予見をしてしかるべきだと思います。水素爆発にしても、ジルコニウムが当然溶けるわけですから、酸化して水素が出るわけですから、これも予見できたのではないか。

 つまり、次から次へ問題が起きている、その対処に一生懸命になっておられるのはわかりますけれども、もう少し、専門家がたくさん集まっておられるわけですから、どういうことが起こるのか予見をして、次から次へ手を打っていくべきではないのか、このように思うわけであります。どうもその場その場の、場当たり的な対応に終始をしているように見えるわけであります。

 これは終わってから検証すべき話でありますから、ここで一つ一つ申し上げませんが、むしろこれから打つ手をどうするのかということを含めて、ここまでのところでどのように見ているか。これは現場の責任者である保安院長、現場の責任者という言い方はあれですけれども、保安院長はどういうふうに見ておられるか、まずそれをぜひお聞きしたいと思います。

寺坂政府参考人 まず、今回の福島第一原子力発電所の課題につきまして、現在なお収束に至っていないという状態でありますことを、安全規制を担当している部局といたしましても、国民の皆様、地元の関係の皆様初め各皆様に改めておわびを申し上げます。

 ただいま御指摘のあった、全体をどのように見ているかということでございますけれども、今回の事案は、御案内のように、地震と巨大な津波によりまして全交流電源を喪失したということから生じているわけでございます。そういったことで、各号機、複数の号機に問題が生じて、それぞれのことに一つ一つ対応をしてきたところでありますけれども、いろいろな課題がある中で、ある程度の見通しを立てつつ早目早目に手を打っておかなければならないという御指摘は、今振り返ってみましたとき、また、結果を見てみましたとき、そのような御指摘については深く考えていかなければならない、これからの検証はそういったことがあると考えております。

 ただ、全体といたしまして、非常に未曾有の状態になった中で、個々の対応に集中といいますか、一つの課題を処理しているうちに次の課題が生じてきたというような現状、それから、もともと津波の発生、引き続き津波が襲ってくるかもわからない、あるいは非常に暗やみの中の作業、計器類について電源喪失の観点、いろいろあったこともございまして、これからの大いなる教訓、反省とするべき点はあるかと思いますけれども、そのような事情の中で懸命に努力を重ねてきているということと私は認識をしてございます。

西村(康)委員 海江田大臣は、現場東電にもおられて、統合本部の責任者のお一人としてやっておられる。これまでのところ、確かに一生懸命やっておられるのは物すごくよくわかるんですが、どうも場当たり的な対応。今も少し反省の言葉を言われましたけれども、今後、ぜひ全体を見渡して、亀裂があるということも当然最初に調べればわかっていた話だと思いますし、これから大きなシナリオ全体を見ながらやっていただきたいと思いますが、その点いかがですか。

海江田国務大臣 西村委員にお答えをいたします。

 御案内のように、福島第一原子力発電所は、原子炉だけでも六つございます。そして、その六つの原子炉、五号炉と六号炉は比較的安定しておりますが、一から四号の炉を、それぞれの傷み方、地震、津波によって行っております。

 そして、やはり私が一番問題だなと思っておりますのは、地震、津波、そして先ほど御指摘のあった水素爆発などによって、原子力発電所の敷地内に大量の瓦れきがございまして、そこから放射性物質が飛散をしているということで、どうしてもそこに入って作業する人たちの数が限られてしまっているということから、一つ一つの事象が起きますとそこに投入しなければいけない、二つ三つの作業をなかなか同時並行できないということで、どうしても目の前の起きたことに対応しているというふうに見えてしまうのではないだろうかと思っております。

 ですから、こうしたことも踏まえまして、それから委員の御指摘のありましたような、これから先のことをしっかりと見据えてということでございますが、最終的に行く末というのは、これは東電の会長も申しておりますが、やはり廃炉ということでございますから、そこへ向けてまず今放射性物質の飛散を、これは大気中、海中、あるいは地中、こういうものをしっかり遮断する。それから、原子炉を冷却する。そして、その次のステップとして、そうした原子炉の冷温停止を行う、安定的に冷温で停止をさせて今言った次のステップへ入っていく。こういう順を追って、そこに至るさまざまな作業を念頭に置きながら一つ一つのことをやっていかなければいけないと思っております。

西村(康)委員 ぜひ大きなシナリオ全体を見ながら進めていただきたいと思います。専門家がこれだけの数おられるんですから、ぜひ漏れのないように、すべて早目早目の手を打って進めていただきたいと思います。

 今、放射性物質の飛散を抑えるという話がありました。

 つい数日前、細野総理補佐官がテレビでこのような発言をされています。「これ以上、放射能の外部排出で国民に不安を与えることは許されない。数カ月後が、」これは放射線の外部排出を抑えるという意味だと思いますが、「数カ月後が、一つの目標になる。次は、原子炉冷却の仕組みをつくり安定させるのが目標だ」という発言をされました。

 官房長官にぜひお伺いをしたいんですけれども、これはどういう意味ですか。今海江田大臣も言われましたけれども、汚染水の流れや放射性物質の飛散をとめるのに数カ月、そこから原子炉を冷却させる、冷却水を循環させるのにまた期間がかかり、冷温停止まで時間がかかる、こういうことを言っておられる。しかも、数カ月ということは、これは官房長官と認識を共有されておられるのかどうか、ぜひお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 お答えを申し上げます。

 細野補佐官には、放射性物質を原子力発電所の外に出さないための手法の検討等、東京電力、あるいは経産省、保安院と連携をとって担っていただいているところでございます。

 そうした中で、今、いつごろまでにこういうことができそうだというような具体的な報告というか見通しについては、補佐官からも経産省からも報告を受けている状況ではございません。

 細野補佐官の発言は、特に放射性物質を原子力発電所の外に出さないために、今複数の選択肢といいますか手法を同時並行的に専門的な皆さんを含めて御検討いただき、あるいは、ある部分についてはチャレンジを始めているという状況の中で、そうした幾つかの選択肢の中で、ある選択肢をとればそれぐらいの時間的規模で放射性物質を外に出すことについて抑えられる目標になるというような趣旨だったと受けとめております。

 当然のことながら、できるだけ早く収束をさせるということが政府を挙げての目標でございますが、具体的にいつごろまでに何ができそうだということを今責任を持って申し上げられる段階では残念ながらないというふうに思っておりまして、できるだけ早くということで、先ほどの御指摘もありました、総合的、複線的に検討とできることを進めている、こういう状況でございます。

西村(康)委員 そうだとすれば、総理補佐官という非常に重要な立場にあって、今東電に詰めて、日米の関係も中心になってやっておられるんでしょう、その方がテレビで軽々しく数カ月と言うことは問題ではないですか。

 むしろ政府を代表する立場である総理か官房長官みずからが、今おっしゃられたようなことを、どのぐらいかかるのか、これは日本国民全員の心配でもあり、海外からも注目されている、しかも周辺の住民にとっては、今避難されておられる十万人を超える人たちは、いつ戻れるのか、どうなるのか、これからの生活設計をどうしていいのか本当に悩んでいるときに、数カ月だと。ある意味、期待感を持たせることになるかもしれないし、さらにそこから冷却までどれだけかかるかはコメントされていませんけれども、これはむしろ官房長官の立場でしっかりと見通しを示してやることが大事じゃないかと思いますが、いかがですか。

枝野国務大臣 細野補佐官のテレビでの発言については、発言の後、私の方にしっかりと真意の伝わらないような発言のあり方で申しわけないというような趣旨の御報告がございました。

 私の方からは、補佐官のテレビでの発言の後、記者会見でお尋ねをいただきましたので、今申し上げましたとおり、残念ながら政府として、今の段階で具体的な時期の見通しをお示しして、そのことによって、特に周辺住民の皆さんに、正しい見通しは当然できるだけ早くお示しをしたいんですけれども、必ずしも確定的でない見通しと思われるようなことをお伝えするのはよくないということで、先ほど御答弁申し上げましたようなことを改めて申し上げたところでございます。

西村(康)委員 もちろん、余り楽観的なことを言う必要はありませんけれども、周辺住民にとっては今後の生活設計をどうするかという大事な局面に来ておりますので、長期化するなら長期化する可能性は高いということを、いつの段階になるのかわかりませんけれども、ぜひできるだけ早く官房長官の口からしっかりとお伝えをいただきたいと思いますが、いかがですか。

枝野国務大臣 原子力発電所の事態の収束に向けては、東京電力と経済産業大臣あるいは保安院を中心に、もちろん政府を挙げてでありますが、そこが中心になって、先ほど申しましたとおり、今、さまざまな手法を並列的に進めているところでございます。

 そうしたことの中で、特に周辺住民の皆さんに対して今後の見通しをある程度お示しするということは、そうした皆さんに対する政府としての支援を進めていくに当たっても大変重要なことだというふうに思っておりますので、経済産業大臣としっかりと連携をして、できるだけ早くある程度の方向性はお示しをしたいというふうに思っております。

西村(康)委員 これは各党の実務者会議でもずっと申し上げてきたことですので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 二日前からですか、低濃度の汚染水を放出している話についてお伺いしたいと思います。

 これも物すごく大きな話で、通常の基準を百五十倍も超えるという数字も伺っていますけれども、通常では考えられない措置であります。より高濃度なものを出さないための措置ということで正しい判断であったと信じたいわけでありますけれども、しかし、これは、周辺の漁業者はもちろん、周辺住民、それから国際社会からもいろいろ懸念が示されているわけであります。

 こういう大きな問題は、私は、涙ながらにしゃべっている東電の方の記者会見を見ましたけれども、大変な決断を政治がされたわけでしょうから、こういう話こそ総理がしっかりとしゃべって、総理が、これだけ大きく基準値を超えるものであるけれども、やむを得ない措置として理解をしてほしいということを国民にしっかりと理解を求めるべきだと思います。事前に自治体にも連絡がなかった。国際社会も何も知らされていなかった。これは、手順としてはすごくおかしいと思いますし、大きな話だからこそ総理がみずから会見をすべき話じゃないかと思いますけれども、官房長官、いかがですか。

枝野国務大臣 この間、大震災の発生以来、本当に国民生活にとっても大変重要であり、今御指摘のとおり国際的にも御関心が高くというさまざまな事態、あるいはそれに対応するための政府としての対応策ということが相次いでまいりました。

 その中で、どうしたことについては所管大臣から御報告を申し上げ、あるいはどういったことについては実務レベルで、まあ、原子力についていえば保安院等から御説明申し上げ、そして、あるいは私が、あるいは総理がというのは、なかなか案件ごとに難しい判断のあるところでございますけれども、今の御指摘は、しっかりと受けとめるべき御指摘として受けとめさせていただいて、今後の参考にさせていただきたいと思います。

西村(康)委員 通常では行わないことを政治判断で行う、あるいは、国民にどうしても理解を求めなきゃいけない、国際社会にも理解を求めなければいけない、そういう話については、ぜひ会見を開いて総理がみずからの口で説明をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 海江田大臣、今回のこの件も、少なくとも海江田大臣は責任者であります、大臣がみずから会見を開いて事前に説明をすべきだったと思いますし、関係省庁あるいは自治体の皆さんにも事前に知らせるべきじゃなかったのかと思いますけれども、いかがですか。

海江田国務大臣 私が会見をすればよかったなと思っております。

 時系列だけ申し上げますと、最終的にこの判断をしました時間の直後に、ちょうど保安院の会見が入っておりましたので、そちらの方が先になりましたが、本来でしたら、保安院の会見をおくらせて私が会見をすべきだったと思います。

 これは本当に大変苦渋に満ちた判断でございましたので、そのことを、国民の皆様方、それから直接影響を受けます漁業者、福島県、あるいは国際的な影響もございましたので、会見をすべきだったと思っております。

西村(康)委員 もう済んだ話でありますので、今後、節目節目では、大臣にもっと出ていただいて、ぜひしっかりと国民に説明をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 この汚染水の処理についてでありますけれども、せっかくフランスの専門家が来ている、アメリカの専門家が来ている、この知見を活用すべきだと思いますが、残念なことに、このフランスの専門家が到着したのはいつですか、大臣。

海江田国務大臣 まず、アレバの社長が見えまして、私がお目にかかりましたのが先週の中ごろでございます。そして、これから実動の専門家の人たちを派遣するということでございまして、アメリカの方々も支援に駆けつけておりますので、私からは、アレバの方々には特にこれから長い過程の中で、廃炉の技術というものがございますので、そういった技術、それからもう一つは放射性の、除去の技術、この二つについてお願いをしたところでございますので、私は、専門家の方というよりCEOの方にお目にかかっていろいろお話をしたということでございます。

西村(康)委員 大臣のお立場ではそういうことだと思いますが、専門家の部隊が来たのは、私が聞いている範囲では、アレバからは原子力の技術者は三月二十九日と聞いております。社長が三十日ではないかと思いますが、なぜもっと早く来てもらえなかったのか。当初からフランス大使館、フランス大使からは、何でも協力をするということで、これは自民党にも伝えられていますし、政府にも言ってあるんだということを伺っております。

 先ほどの話ですけれども、もっと先を読んでやっていれば、早目早目に手を打って、もっと早くに、放射線に汚染された水の処理について、日本もそれなりに技術があると思いますが、より先進的な知見のあるフランス、あるいは米軍を含めて、もっと早くにやればよかったと思うんですが、これはどうしてこんな時期になったんでしょうか。

海江田国務大臣 今、米軍のお話も出ましたが、よく、米軍のオファーを断ったのではないだろうかというようなことがありますけれども、そんなことは全くありません。

 実は、米軍が一番早く日本に駆けつけてくれて、実際に原子炉に対する注水活動、これは、たしか私の記憶ではポンプ車が横田に十五日ぐらいに来ているんですね。十五日に来て、米軍の方たちが直接オペレーションといいますか放水をするというわけにはいきませんので、横田で日本人の方々を訓練するということがありまして、実際に米軍のポンプ車がオペレーションをやりましたのは十八日でございますが、あの十八日というのは、機動隊の放水車、自衛隊の消防車、そしてハイパーレスキューの車ということでございますが、自衛隊と一緒になりまして、一緒の車列を組みまして、そして最後に放水に参加をしてくれたということで、まさに十八日から日本と一緒になってオペレーションをやってくれておりましたので、私は、その意味では決して遅かったということは当たらないと思います。

 ただ、今、知見をいただくということは、これは会議をする中でいろいろな技術をいただければいいことでありますが、実際に部隊がまさに高線量の原子炉の敷地内で作業をするということになりますと、若干それは日本の方々が作業するのと違ういろいろな準備なんかも必要になるのではないだろうか、そのように思っております。

西村(康)委員 それでは、防衛省、副大臣が来ておられると思いますが、米軍から防衛省あるいは自衛隊に最初に支援の申し出があったのはいつですか。

小川(勝)副大臣 お答えをいたします。

 政府間の各種レベルでいろいろな情報交換が行われていたことは承知をしておりますけれども、防衛省といたしましては、三月十七日のNRCの皆さんとの意見交換がスタートだったろうというふうに考えているところでございます。十八日には、ルース大使からも北澤防衛大臣に何でもするということでお申し出がありましたけれども、実は、三月十七日にも話をする予定だったのが十八日にずれたということでございますので、防衛省として支援の申し出を受けたのは三月十七日であったろうというふうに考えておるところでございます。

西村(康)委員 枝野官房長官にお伺いします。官房長官にお伺いするのがいいんじゃないかと思いますけれども、あるいは海江田大臣、この日米の合同委員会、日米の共同の作業チームをつくって、幾つかの分科会的なものもつくり、作業をし始めたのはいつですか。

伴野副大臣 西村委員にお答えさせていただきたいと思いますが、三月二十二日と承知しております。

西村(康)委員 申し上げたいのは、二十二日の段階で、ようやく各省庁、関係省庁が入り、NRCや、これはアメリカのエネルギー省も入って、そこで初めて一元化して議論が集約化されてきている。それまで各省ばらばらに対応をしていたんだと思うんですね。やっとそこで始まったと思うんですが、いかがですか、その点。

伴野副大臣 西村委員にお答えさせていただきたいと思います。

 御案内のように、三月十一日、当日、私ども外務省としましても、大臣以下すべて役所に泊まり込みまして、直後から原子力分野を含めたアメリカの支援申し出につきまして日米当局間で意見交換をしていたところでございます。

 そうした中で、私どもの方からこういったお願いはできるのか、あるいはアメリカの方からはこういったことができるよというようなことをいろいろ意見交換する中で、今御指摘のあった、とりわけ三月二十二日以降、日米の関係者が一堂に会する定期的な協議を開催することができたということでございます。

西村(康)委員 もうこれ以上は、後ほどの検証になると思いますので申し上げませんが、せっかく共同委員会の場もできたわけですし、各省ばらばらにいろいろなところとやりながらやっている、その知見をぜひ一元化して、指揮命令系統を一元化してやっていただきたい。

 これは、当初から私は実務者会議でも申し上げてきたことであります。この点、内閣参与もさらに数名任命をされて、専門家がたくさんいるわけですけれども、ばらばらばらばら、あちこちからいろいろな意見を言われるんじゃなくて、一元化をしてすべての知見を集約化して、そして、政治判断すべきところは政治判断をして迅速に行動する、その体制をしっかりとっていただきたい、そのお願いであります。枝野官房長官、いかがですか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、これは、国内はもとより、世界各国のさまざまな専門的な知識あるいは技術を活用させていただいて事態の収拾に当たらなければいけない事案であるというふうに認識をいたしております。

 一つのチームとして立ち上げるタイミングは、今御指摘のとおり、そこだけ見れば遅いという御指摘になろうかというふうに思いますが、まさに時系列で物事が進展していくにつれていろいろなことが大変多岐にわたってきたということで、一つにまとまった会議の場をというような流れであったというふうに認識をしておりますが、まさにその時々の状況に合わせて、なおかつ、最初に御指摘いただいたように先を見通した中で英知を結集する仕組みづくりについては、官房としてもさらに目を配ってまいりたいと思っております。

西村(康)委員 ぜひよろしくお願いをいたします。そして、繰り返しになりますけれども、政治判断を要するところは迅速な判断をしていただいて、ぜひ国民、海外に対してもしっかりと御説明をいただきたいと思います。

 引き続き汚染水の処理ですけれども、ロシアの原潜処理で、汚染された物質を処理する「すずらん」という船があって、これは日本が資金協力をしてつくったわけでありますけれども、この「すずらん」に対して、今いろいろ調査をしておられるということで、正式に日本に持ってくるよう要請をされたのかどうか。されていないのであれば、早く要請をしていただいて、年間七千トン、規模からするとそんなに大きくはありませんけれども、もはや何でもかき集めて処理をしなきゃいけない状況だと思いますので、この点、ぜひ早く進めていただきたいと思いますが、簡潔にお答えいただけますか。

伴野副大臣 西村委員にお答えさせていただきたいと思います。

 今委員の御指摘の件は、十年前に、ロシアの原子力潜水艦を解体する際に少しでも投棄の量が少なくなるようにということで我が国から提供した案件だと承知をしております。

 このことにつきまして、現在、稼働状況等、活用の技術可能性について検討させていただいておりまして、ロシア側とも連絡をとりつつ調査を行っているところでございます。

 今後、その調査結果及び現場のニーズ等を見きわめつつ、検討を鋭意続けていくところでございます。

西村(康)委員 汚染水の処理は待ってくれませんから、検討を鋭意続ける状況じゃないと思いますので、早く詰めて、使えるんだったら、すぐ使えるように要請をして日本に持ってきていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それから、先ほど海江田大臣が、全国の原発に対して安全チェックをするようにと言われました。これは当然のことであります。電源なり冷却水のことなりやるべきだと思いますが、今回、地震があり、亀裂があり、冷やさなきゃいけないから水を入れる、最もてこずっているのは汚染水があふれ出ていることであります。汚染水の処理に対しては、この中では一言も触れられていませんけれども、ぜひもう一度足らないところをカバーしていただく。今回、当座、安全チェックをしろということだと思いますけれども、それぞれの原発で何かあったときはこういう事態になるわけですから、汚染水の処理対策を含めてしっかりともう一度指示を出していただいて、これに限らず、同僚議員の言葉をかりれば原発のデューデリを、もう一度全部チェックし直すんだという姿勢でやっていただきたいと思いますが、いかがですか。

海江田国務大臣 本当に、原発の全般的な安全確認ということは力を入れてやっていかなければいけないと思っております。

 それから、先ほど私が読み上げました報告の中には、汚染水のことは書いてございます。これは言うまでもございませんが、一ページ目のところで、「特に、汚染水の海水への流出や大気中への放射性物質の飛散を防ぐために最大限努力する」ということが書いてございます。そこにございませんか。(西村(康)委員「先ほどの」と呼ぶ)そうです、一ページ目に入っております。

 そこは、本当に今まさに汚染水、とりわけ高濃度の汚染水が、もう皆様御承知おきかと思いますが、今払暁、何とか高濃度の汚染水が海水に放出されるのがストップしました。そのように、この汚染水の海洋への、特に高濃度の、本当に今全力を挙げてこれを防止しているところであります。

西村(康)委員 今の汚染水の話はそうなんですが、全国の原発に出された文書の中に汚染水の処理対策が入っていないということです。

海江田国務大臣 御指摘の点は、私が三月三十日に出したものでありますね。わかりました。

 あれは、まさにこれから、抜本的の前にでも何度も出す必要があろうかと思いますので、その次のところで、この汚染水の処理の技術を高めるためにしっかりとした設備を整えるようにという指示を出したいと思っております。

西村(康)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それから、これも実務者会議で何度も私も提言、提案しているんですが、日本の農産物初め、場合によっては工業製品にまで広がりかねない勢いで諸外国で輸入規制が広がっております。これは、EUが典型的に求めていますが、安全証明書みたいなものを添付して出せないのか。あるいは、全国のどこか窓口をしっかりつくっていただいて、いろいろな相談に……。これは県庁がいいのか、農協がいいのか、あるいは商工会のようなところがいいのか。いろいろなものに今広がっています、植木とか三味線とか。余り関係ない、しかも西日本のものまで相当広がっておりますので、この対応を、安全証明書を出す、あるいは窓口をつくる、このことをお願いしたいと思いますが、大臣、いかがですか。

海江田国務大臣 まず、工業製品につきましては、政府間でそういう安全証明書を求めるということはございません。ただ、一部の民民の取引、企業などではそういうものを要求してくることがありますので、これは、私ども、主に商工会議所が窓口になってくれればいいと思っておりますけれども、そこに相談をいただければ証明書を発行するサービスができる、あるいは、放射線検査機関が各種ございますから、そこを御紹介するということもやっております。

 それから、恐らく、今委員の質問の念頭にありましたのは、今治タオルが全く関係ないのにということでありました。あれは、たしかイタリアの税関でとめられたということでございますが、もう既に現地の検査を受けて通関しております。そういう状況になるということを御報告しておきます。

西村(康)委員 ぜひこれはよろしくお願いします。農産物も含めて対応を急いでいただければと思います。

 それから、放射線量の分析体制。今の話とも絡むんですが、千葉の日本分析センターなり福島県の原子力センターで目いっぱいでやっているということで、今後、原発が長期化することも念頭に置けば、分析体制をもっと強化することが必要だと思いますが、文科省、お願いします。

林大臣政務官 西村委員にお答えをさせていただきたいと思います。

 現在、文科省においては、第一原発から二十キロ以遠の地域の定時降下物、空気中のダスト、地表面の土壌、あるいは海水に含まれるものを分析調査しているんですが、御指摘のように、この分析体制をより強化していこうということになりますと、高度な専門性が必要になってまいりますので限られているわけですが、日本原子力研究開発機構や筑波大学などにも依頼するなど、分析体制の強化に努めているところでもございますので、今後も引き続き取り組んでいきたいと思います。

西村(康)委員 ぜひ強化することをお願いしたいと思います。今、多分、検査するのに皆さんが殺到している状況だと思います。数が足らないんだと思いますので、官房長官、そのことを含めて全体でよろしくお願いします。

 官房長官、お忙しいところありがとうございました。これで結構です。

 残り時間が短くなりましたけれども、原子炉の今の状況についてぜひお伺いをしたいと思います。

 安全委員長が来られましたのでお伺いしたいと思いますが、アメリカのエネルギー省は、燃料棒の状況について、一号機は七〇%損傷している、二号機は三〇%、三号機は二五%損傷しているということを発表されていますが、委員長は今燃料棒の様子はどう見ておられるか、お答えいただければと思います。

班目参考人 お答えします。

 燃料棒がどれだけ損傷しているかということについては、安全委員会としては、数%から数十%というお答えをさせていただいております。これの推定というのは非常に難しくて、現時点では、数%から数十%という以上のお答えは、原子力安全委員会としては持ち合わせていない状況でございます。

西村(康)委員 その数%―数十%損傷された部分は、例えば二号機、三号機でいいますと、何となく低位で安定している状況で、これは圧力もです、これはいろいろ考えられるんだと思いますが、漏れた燃料が底にたまる、あるいは、よく言われておりますけれども、制御棒の穴のところ、弱いところから漏れ出ているのではないか、すき間ができているんじゃないか、したがって圧力が低く安定するわけですね、穴があいているから。そういう見方がありますけれども、いかがですか。

班目参考人 当然そのような考え方もあるわけでございまして、我々としては、そういう可能性もすべて否定しないで、あらゆる可能性についてしっかりと考えをまとめているところでございます。

西村(康)委員 原子炉の爆発の可能性についてお伺いをしたいと思います。

 二号機、三号機は、そういう意味ですき間ができていますから水素がたまって何とかということじゃないと思うんですが、一号機については密閉されている可能性が高く圧力もある。つまり、そこで水素が発生して、水素爆発が起こる可能性があるんじゃないかと思うんですけれども、その点についていかがですか。

班目参考人 この問題につきましては、一〇〇%ないというふうなことはとても言えないというのが現実でございます。しかしながら、かなりその危険は去りつつあるというのが原子力安全委員会の認識ではございます。

西村(康)委員 その根拠はどこにあるんですか。

班目参考人 結局、事象が長く進展していると、熱の発生量もおさまってきている、全体に温度も下がってきている、さまざまなパラメーターを総合して判断すると、そのような結論になるのではないかというふうに考えておるところでございます。

西村(康)委員 委員長は、一号機、三号機の水素爆発はないというふうに言っておられたと伝わっていますが、その点はいかがですか。

班目参考人 私はそのような発言をしたわけではございませんで、水素は発生する可能性があるが、これが格納容器の中に出ても、窒素雰囲気なのでそこでは爆発しない、スタックといいますか煙突から出る分には燃焼で済むという発言をしたことは確かでございます。

西村(康)委員 当然水素は軽いですから上に行くわけですし、建屋は密封されているわけですから予測されたんじゃないかと思いますが、いかがですか。

 あわせて、今回、密封されたわけで可能性は低いとおっしゃいましたけれども、やはり水素が発生し、たまって何かのきっかけで爆発する可能性は否定できないと思うんですが、その点に対してどう対応しておられるか。

班目参考人 現在の一号機の状況から見ますと、格納容器の中に水素が入っていることは否定できません。しかしながら、全体的に温度が下がりつつあるという状況、それから、かなり水蒸気雰囲気であるということから見ると、発生の可能性は低いというのが我々の見解でございます。

西村(康)委員 もう時間ですので、ぜひいろいろなシナリオを考えて、爆発がないよう万全を期して安定化するようにお願いをしたいと思います。

 最後に一点だけ、放射線量計の話をお伺いしたいんですが、政府でどれだけの数があって、あるいは東電がどれだけの数の放射線量計を持っているのか、これはだれが責任を持って全体像を見ているんですか。

寺坂政府参考人 私どもが現在把握している状況につきましては、東京電力の福島第一原子力発電所内に約千個、それから、原子力安全・保安院におきましては四百三十一個の線量計を保有しております。

西村(康)委員 それだけの数があって、五百人とも八百人とも、日によって違うんでしょうけれども、作業されている方がおられる、しかし、その人たちが持っていなかった。これは異常な事態だと思いますけれども、現場には保安院の人は何人行っておられるんですか、サイトには。

寺坂政府参考人 事故の発生のときからの状況で申し上げますと、津波の関係で……(西村(康)委員「今何人」と呼ぶ)今、第一原子力発電所には保安院の職員が二名常駐してございます。

西村(康)委員 二名が二十四時間でどうやって見られるんですか。東電のやっていることに対して監督もしなきゃいけない、アドバイスもしなきゃいけない。これは、大変な状況だと思いますけれども、少なくとも二十四時間やるなら交代制もしなきゃいけないと思いますし、その人たちが作業員の人たちがちゃんと放射線量計をつけているか等を含めて監督しなきゃいけないと思いますので、そこはぜひ改善をしていただきたいと思いますが、いかがですか。

海江田国務大臣 今、保安院長がお話をしましたのは、第一原子力発電所の免震棟というのがございます、これが指揮所でございます。今は大体百五十人ぐらいそこにおりますが、その中に常時いるのが二名ということです。その前はオフサイトといいましたけれども、今オフサイトが県庁の方に移りましたけれども、そこには三名から四名いて既にローテーションもやっているところであります。

 ただ、おっしゃるように保安院の強化というのはしなければいけないということで、私も昨日もそういうことを相談したところでございます。今後も、ぜひ保安院全体を強化すると同時に、第一線で頑張る保安院の人たちも強化していかなければいけないと思っております。

西村(康)委員 現場で、本当に必死な思いで、命がけで安定化に向けて努力をしておられる作業員の方々の体調なり、食事も悪いという話が伝わって、もうこれは改善されていると思いますが、ぜひ万全を期していただきたいと思います。

 そこで、最後にしたいと思いますが、フランスから二万セット、防護服、放射能計測器が届いている。アメリカからも三万枚を超えるカード型の簡易な放射線量計が届いている。これだけの数が海外から届いている。これはなぜ使わないのか。今、どういうふうに配分して、どこで使っているんですか、お答えいただけますか。

伴野副大臣 西村委員にお答えをさせていただきたいと思います。

 フランス政府から提供されました防護服、防護マスク、放射線測定器は、現在、東京消防庁、東京電力及び福島県の三所に配分されておりまして、本日それぞれに搬送される予定でございます。

 また、アメリカ政府から提供されました簡易型放射線測定器につきましては、防衛省において活用されているものと承知しております。

西村(康)委員 本日搬送するとは、信じられないことであります。せっかく二万枚も防護服と放射線量計が届いているわけですから、海外からの好意を無にしないでいただきたいと思いますし、現場では必死でやっているわけですから、ぜひ使えるもの、いただいたものは全部有効に使って、万全を期してこの安定化に向けて努力をしていただきたいと思います。

 多分、このあたりの連携ができていないんだと思います。外務省に届いて、外務省はどうしていいかわからないんだと思います。

 海江田大臣、もう最後にしますけれども、いろいろな知見もあるしいろいろなものが届いている。これが、ばらばらばらばらやって、とまってしまっている。このことだけはぜひ改善していただいて、大臣のところで一元化をして、そして、万全を期して対応していただきたいと思います。

 大臣、お答えを。

海江田国務大臣 原子力災害対策本部がございます。ここで一元的にそういった物資の面につきましても取りまとめをやって、本当に現場に届いているかどうか、チェックをすることにいたします。

西村(康)委員 ぜひぜひ本当に一日も早いこの原発の収束をお願いしたいと思いますし、我々もできることは全面的に協力をしていきたいと思いますので、大臣、大変だと思いますが、ぜひ頑張っていただいて、よろしくお願いします。

 質問を終わります。

田中委員長 次に、梶山弘志君。

梶山委員 自由民主党の梶山弘志でございます。

 まず最初に、今回の東日本大震災でお亡くなりになりました皆様の御冥福をお祈りするとともに、被災をされました多くの方々に心よりお見舞いを申し上げる次第であります。

 私ども自由民主党におきましても、今回の原発事故に際しまして、原発事故被害に関する特命委員会なるものをつくって、今活動中であります。政府の足らざるところを補えればという思いで活動をしておりまして、先週の金曜日そして今週の二回に分けまして、双葉郡の八町村、田村市、いわき市に訪問をし、首長さんたちの御意見、そして避難者の方々の御意見を伺ってまいりました。実に切実な要望もございました。

 私どもも、今まで、原子力は推進の立場で参りました。ですから、自戒の思いを持ってそういう言葉を重く受けとめてまいりました。先般、大臣の所信におかれましても、今、原子力発電によるエネルギーは基幹エネルギーだというお言葉がありましたけれども、まさに同じ思いであろうかと思います。

 そして、避難をしている町村の皆さん、国策だと思って今まで信頼し協力してきた。そして、そのことによって交付金もいただいて町の発展も図ってきたけれども、国策だからやってきたんだということなんですね。よく記者会見で、一義的には事業者である東電がという言葉を聞きますけれども、こういうときこそ国が前面に出ていろいろなことを解決したり、また、報道も一元化をしてやっていかなければならないのではないかなと思っております。

 そして、避難をした方々、立地町村以外は、皆さんテレビで避難地域に入っているということに気づいて、町村長の判断で避難をしたということであります。また、二十キロから三十キロの自主避難または屋内退避という地域の方々も、町村長の判断で、これは全体で避難した方がいいだろうということで今避難をしているというような話がありました。

 これは、聞いた聞かない、言った言わないの話ではなくて、ここは真摯に受けとめていただき、また前向きな答弁もこれからの問いにいただきたいわけでありますけれども、多くの方が言っているのが情報不足だということなんですね。そして、今の事故現場の様相もテレビで知るしかないんだということであります。保安院の方が一回来たけれども、そのときは、何か御要望はありますかということだったというのがその声でありました。

 ですから、震災直後から異常を感じるまでに何があったのか、そして、その後いろいろな報道がありますけれども、それらを取捨選択していくとしても、現状、今の時点での一号機から六号機までの状況はどうなのか。一号機から四号機ばかりが取り上げられていますけれども、五号、六号もある。そして、五号、六号も同じような状態だったけれども辛うじてセーフだったといううわさも聞いているというような現地の声もあります。そして、第二発電所も同じような状況になったけれども、非常用電源、外部の電源があって、それをつなぐことによってどうにか辛うじて冷温状態をつくり出すことができたとも地元の方たちが言っておりました。

 そういったことを、大臣の知り得る限り、正直にと申しますとちょっと失礼なんですけれども、真実を、事の真贋も含めて教えていただければと思います。

海江田国務大臣 御承知のように、東京電力の福島原子力発電所は第一と第二がございまして、第一と第二の間は距離も離れているということがありまして、まず一番気にかけなければいけないのは、やはり第一の発電所だろうと思います。

 その第一の発電所の中でも、これももう皆様、テレビなどの映像を通じてよくおわかりだろうと思いますけれども、一号機から四号機まではほぼ隣接をして並んでいる、五、六は少し離れて設置されている、こういう状況でありまして、五号、六号につきましては冷温停止をしております。

 ただ、それが外部の電力によって冷却をしているわけでありますから、例えば一昨日、五号機、六号機の近くの場所からも実は低濃度の水を流しているわけでありまして、それを流しませんと、まさに外部の電源が水没をしてしまう可能性がある。そうしますと、この五号機、六号機も、一号機、二号機、三号機、四号機と同じような状態に陥る可能性があるということで実はそういう措置をとったわけでございます。

 これが五、六号機でありまして、一、二、三、四につきましてはいろいろな情報も出ておりますが、四号機というのは、これも御承知のように、実は炉心の中に燃料はございません。燃料は全部揚げて、燃料プールの中にある。そのほかの一号機、二号機、三号機というのはまさに炉心にも燃料があります。それから使用済み燃料のプールにもございます。こういう状況でございます。

 今、燃料のプールにつきましては、いろいろな形で外部からの放水をやりまして、一応、燃料プールのところは何とか水が入ることによって冷却が進んでおりますが、炉心の部分には、一号機、二号機、三号機、それぞれ状況は違いますが、先ほど保安院の方からもお話がありましたように、炉心の一部が、燃料棒の一部が損壊をしているという状況もございます。

 ここに本当に安定的に冷却をするシステムをつくっていくということ。まだ安定的な冷却のシステムじゃありません、しかも、クローズド、閉ざされた循環型の冷却のシステムでありません、外から水を入れている部分もあります。そうしますと、例えばプールに水を入れている、あふれた分が下に落ちてきてそれが漏水をするというような状況もありますから、放射線の対策と、それから、今、まず炉を安定させるということに全力を注いでいる、これが私が理解をしております第一の原子力発電所あるいは第二の原子力発電所の現状でございます。

梶山委員 第二発電所、第二のサイトは冷温状態になっているということでよろしいんですか。

 ただ、地震と津波の発生時、どういう状況だったのか。何事もなく今までのシステムを利用してきちっと非常停止をして、そして冷温状態に持っていけたのかというと、そうではないんじゃないかという方がおいでになるんですけれども、それは冷温状態になったということでよろしいんですか。外部の非常用電源が近くにあって、まさにサイト外にあって、それを利用してどうにか冷却のポンプを回すことができた、そしてそのことによって事なきを得たという話をしている方が現地に何人かいたんですけれども、そのことはどうなんでしょうか。保安院でも結構ですけれども。

海江田国務大臣 私から御答弁申し上げて、足りない部分は補っていただくということで。

 おっしゃるとおりで、これは外部の非常用のバックアップ電源からそういう操作をしているということでございます。

寺坂政府参考人 第二の発電所、四つの号機がございますけれども、現時点におきまして、いずれも冷温停止状態になってございます。

 ただ、今、大臣からも御答弁申し上げましたような課題は残っているわけでございまして、この点につきましてもしっかり対応をしていかなければならないということでございます。今現在は冷温停止状態が保たれているということでございます。

梶山委員 第二発電所の方の十キロ圏内もたしか避難になっていましたよね。

 ですから、これは通常のプラントの設備では動いていない、外部の非常用電源で保たれているということですから、その修理をどうするのか。そして、いつ十キロ圏内が解けるのか。第一の方ばかり目が行っていますけれども、第二の十キロ圏内を早く解いてほしいという話があるんですね。この辺の状況はどうなっているんでしょうか。

海江田国務大臣 十キロの避難の指示、それから、二十キロですね、二十キロの避難、それから二十キロから三十キロの間の屋内の退去の指示ということにつきましては……(梶山委員「第二の方の十キロ」と呼ぶ)第二の方の十キロもそのままであります。

 ただこれは、今、第一の方の二十キロ―三十キロの問題もありまして、全般的な、これからどうするかということについて、特に二十キロの場合の一時退避というのは、まさに一時でありまして、もう大分長引いておりますので、どうするかという議論がありますから、それと一緒に議論をするということでございます。

田中委員長 今、梶山委員からの質問は、そうではなく、第二の十キロについて、本来であるならばそれを解除できないのかどうかという趣旨の質問だったと思います。

海江田国務大臣 今、最後のところでお答えをいたしましたが、どちらかというと、確かに委員御指摘のとおり第一の方に関心が集まっておりますが、それと同時に、この議論が今ちょうど起きているところでありますから、それと一緒に第二の十キロについても検討するということでございます。

梶山委員 避難している市町村の首長さん、そして避難している方々は、真実をきちっと出してほしいということなんですね。第一が大変だ、大きな課題だというのはわかるんですけれども、第二の十キロは何でだかわからないというような方が多いんですね。地震直後、津波直後に非常用の停止をした、そして非常用電源につないで冷温停止をしている状態だ、でも、まだ通常の段階じゃないから十キロ圏内は念のため避難をしてもらっているんだという説明がないということなんですよ。テレビで、十キロ圏内避難、そして二十キロ圏内避難ということを首長さんが判断をしてやっているということなんですね。

 ですから、やはり連絡網はきちっとできなければいけないんじゃないかなと思っていますけれども、海江田大臣は、今回のこの原発の事故について、災害対策本部の副本部長ということでよろしいんですね。さらにはまた、原子力被災者生活支援チームのチーム長ということで、これは本部長は菅総理大臣ですから、実質上のトップでやっているということなんでしょうけれども、先ほど西村委員の方からもお話がありましたけれども、情報の一元化ということをできるだけ図っていただきたい。そして、混乱がないようにしてほしい。

 そして、市町村、行政機能も全部避難者と一緒に体育館に移動しているんですね。そこにやはり連絡員ぐらい派遣をして、テレビを見て、その解説なり、実際はこうなんですよというような話をしないと、国策でやってきた、国が前面で何とかしてくれるんじゃないかという思いで待っている双葉郡の町村長たちはやりきれない思いだということを言っていました。これは私どもにも投げかけられている言葉だと思っておりますので、ぜひ真摯な気持ちで受けとめていただければなと思っております。

 そして、先ほど西村委員の方からも指摘がありましたが、細野首相補佐官のお言葉ですけれども、三日の日、長期化するということと、あともう一つ、メルトダウンということにも、その後の記者会見か、記者がついていったときなのかわかりませんけれども、言及しているんですね。

 今までメルトダウンというような恐ろしい言葉は出てこなかったと思うんですけれども、首相補佐官がメルトダウンということに言及するということは、もしそうだとするのであれば、今まで情報が出されていなかったということでもありますけれども、この点は、この災害本部をまとめる責任者としてどうお考えでしょうか。

海江田国務大臣 私はそのとき別の作業をやっていましたので、細野補佐官がどういう発言をしたか聞いていないわけであります。ただ、メルトダウンという言葉を使ったということで、それがどういう意味で使われたのかということも本人に聞いてみなければいけませんが、先ほど保安院からも、燃料棒の損傷について、その状況の説明がありましたけれども、やはり燃料棒は損傷しているだろう、ただ、その損傷の程度が何%かはわかりませんという状況でありまして、私どもは、燃料棒の損傷という言葉を主に使っております。

梶山委員 保安院に伺います。

 メルトダウンの定義というのはどういうことでしょうか。定義というか、どういう意味でしょうか。

寺坂政府参考人 定義という形のものは承知しておりませんけれども、燃料棒の損傷と、それから、燃料棒の損傷がさらに進んで、例えば圧力容器に損傷を生じるとか、そういうような状態になって、あと、さらに進展していくとか、いろいろなステージがあると思いますけれども、メルトダウンという言い方をする場合には、燃料棒の損傷に限らず、さらにもう少し次の進展につながっているというケースが多いように思います。

 ただ、確たる定義があるものではございません。

梶山委員 メルトダウンというのはかなり物騒な言葉だと思うんですね。以前、「チャイナ・シンドローム」という映画がありましたけれども、炉心溶融、どんどんどんどん溶けていって地球の裏側まで行ってしまうということです。燃料棒の破損がメルトダウンということであれば、先ほど安全委員長もお話しになっていますが、数%から数十%までの可能性があるということですから、燃料棒の損傷だけでメルトダウンということを使われているのかどうか。

 事故直後に新聞がセンセーショナルに、メルトダウンの可能性ありというような見出しが出ましたけれども、メルトダウンはないですよという説明をしていたと思うんですね。そして、メルトダウンといったら、本当に大爆発も起こるかもしれないし放射性物質の飛散も大きな範囲になるかもしれないということですけれども。

 これから言葉を注意していただきたいということと、私は、メルトダウンなんという事態が生じたら、もう原子力発電は一切できないような状況になってしまうのではないかなと思いますけれども、政府の関係者、首相補佐官がそういう言葉を軽々しく使っていただきたくない。もし私が間違いで、メルトダウンという言葉が燃料損傷ということも意味するということであれば、それはそれでしっかりと説明をしていただきたいと思います。

 いずれにしましても、この原発災害に関する責任者であります海江田大臣の方からしっかりと対応していただきたい。場合によっては、補佐官と大臣、どちらが偉いのか知りませんけれども、注意をしていただきたい。そして、厳重注意をしていただいて、陳謝というか、きちっと趣旨の説明を地元の人たちにしていただきたい。テレビでする必要はない。やはり地元の人たち、避難をしている先でテレビを見ている人たちが、新聞を見ている人たちが、おれたちのところはどうなっちゃっているんだろうと。今地元を離れているわけなんですね。そういった人たちに不安を与えるようなことは、真実であれば仕方ありませんけれども、軽率な言葉を使うことはやめていただきたいなと思います。

 さらには、数カ月延びるということでしたけれども、皆さん、着のみ着のままで出てきているんですね。双葉郡町村長の判断で、これは逃げた方がいいということで、退避をした。ある町長さんも、着のみ着のままでポケットに二千円しか入っていなかったということを言っていました。

 そういった状況で、すぐに帰れると思ったら三週間を超えているという状況の中で、どういう心理状況か、体の状況かということもやはり気遣いをいただきたいと思いますし、情報がないことが、さらに心身ともに弱くなっていってしまう原因になっているんじゃないかなという気がいたします。

 いずれにしましても、情報の一元化、しっかりした言葉で、海江田大臣が話すのか、保安院が代表して話すのか、安全委員会が話すのか、どこかが客観的な言い方をしているだけじゃなくて、やはり、私たちはこう思っている、ですからこういう方針でいくんだ、もう少し辛抱してくれというような言葉を発した上で、さらには避難所にまで政府の人間を行かせてケアをするのが私はあるべき姿ではないかなと思っておりますので、そのことについて、大臣、一言だけお願いいたします。

海江田国務大臣 私も、昨日、双葉町を中心とした町長、村長さんとお目にかかりまして、今委員から御指摘のあったようなことをつぶさに聞いてまいりました。

 それで、今、私どもの保安院が、先ほどの福島の現地本部に人を少し手厚く配備をしまして、その方々に、実は、各町村の避難民の方々、あるいは町長さん、村長さん、あるいは町会議員の方、村会議員の方々と緊密に連絡をとるように、あるいはテレビから情報を受けるだけじゃなしに、直接政府の立場でこれはこういうことなんだということを説明するようにという役割を与えてございます。

 ただ、まだまだ不十分だとおっしゃるように、避難をした町民、村民の方々がいらっしゃるところに行って説明していかなければだめなんだということも御指摘のとおりだろうと思いますので、やはり、まず福島に滞在をしております政府の、保安院の人間をなるべく数を多くして、そしてきめ細かく町民や村民の方々の不安を取り除くように努力しなければいけないとつくづく思ったところでございます。

梶山委員 今お話ししましたように、すぐ戻れるつもりで皆さん家を出てきているんですね。ですから、先ほど西村委員の方からも質問がありましたけれども、一時帰宅をしたいというのが皆様の強い要望であります。一時帰宅が短時間でもできれば皆さんも落ちつくんじゃないかなということを町村長さんたちもおっしゃっていました。

 これにつきましては、けさテレビのニュースを見ていましたら、今実施計画を作成中という報道がありました。人数の制限、自衛隊や警察の同行、線量計を持っていく、また帰ってきたときの除染を今度はどうするか、いろいろな課題があると思いますけれども、ニュースのとおりに今計画中ということでよろしいんでしょうか。

海江田国務大臣 これは今二つの議論があります。一つは、二十キロ―三十キロをどうするのかという議論と、それから、その場合でも、例えば二十キロ以内の方というのはなかなかすぐに解除というわけにはまいりませんから、やはりその方々に、本当にまさに着のみ着のままで出てきた方々がいらっしゃいますから、一時的に家に帰って必要なものを持ってくるとか、そういうことをどう秩序立ててやっていくことができるのかということの検討をしている、そういうことでございます。

梶山委員 一日も早く、いろいろな条件はあると思いますけれども、とりあえず一時帰宅が短時間でもできるように、前向きに考えていただきたいと思います。

 そして、あわせて言われていましたことが、当面のお金なんです、生活資金。先ほど、ある町長さんがポケットに二千円だけだったと言いましたけれども、皆さん手ぶらで来ているんです。そして、町村が、町村の予算の中で、資金の中で、一万円から五万円の無利子の融資、上げますよじゃないんです、二年間返さなくていいよ、無利子でいいよということで一万円から五万円やる。そして、県の社会福祉協議会などから十万円ぐらいの貸し付けをやってもいいよというような話があって、それが始まりつつあるということでありますけれども、何かしらの生活資金。

 今までに例のないような原発事故であり、家に戻りたくても戻れない、仕事をしたくてもできない。また、四月のこの時期に、子供さんたちが入学をしたり、新学期が始まったりする。小中学校はいいけれども、高校の場合には、新しい家を借りたり下宿を決めなければなかなか受け入れてもらえない。そういったときにお金をどうするかということなんです。

 いずれ出しますよということなのかもしれませんけれども、同じ金額でも、今必要なお金と後でいいお金があるんです。今なければ何の意味もないお金もあるんです。大臣、そういったことを生活者の視点で考えていただきたいということ。

 そして、今、新聞報道によりますと、東電に仮払いをさせようとしているということですけれども、地元の人たちは受け取りませんよ、多分。というのは、一義的には事業者である東電というのが今まで口癖のように出てきますけれども、東電の金は欲しくないんだという人たちもいるんですね。まずは、国策でやってきたんだから、当面の生活費ぐらい国でどうにかしてくれよという話なんです。

 ですから、東電にやれ、事故の対策もしろ、そして作業員も出せ。大きな会社ですけれども、果たしてそれだけの余力が東電にありますかね。私は、ないと思っています。ですから、これは国が出すべきものだと私は思っています。

 では、何で出すんだということですけれども、電源立地交付金があると思うんですね。この交付金、こういうときにこそ使ってほしいと思います。

 そして、普通の年ですと、申請が始まって、それを審査して、六月から交付するということですけれども、こういう状況。そして、何に使うかなんという審査はもう必要ないと思います。立地市町村が避難をしている人たちの生活支援に使うんだということで、四月早々、予算がもう使える時期になりましたから、申請を早めて、そして早く執行してあげて、そういったものに渡してはどうかという点。

 もう一点、今までの交付金がそれぞれの市町村で積立金、引当金、基金のような形であります。補助金適正化法の縛りはあるかもしれませんけれども、例えば、建物、箱物をつくったけれども、その維持基金をつくっていた、そういった箱物ももうしばらく使えない状態だ、であれば、そういったものを飛び越えて、町村民の、避難者の生活支援に使おうじゃないかということも、こっちから提案してやってあげるべきじゃないかと私は思うんですね。

 東電にやれ、そして東電がなかなか人手がいなくてできない、そして出せるのはせいぜい五月か六月だということで、そのときに必要な五万円なのか、今必要な五万円なのかということをよく考えたら、まあ、五万円とは限りませんけれども、そういう当座のお金ということですけれども、こういった件、検討してもらえないでしょうか。

海江田国務大臣 今委員御指摘のありました電源立地交付金、六月が従来の決まりでありますが、これを四月にやるということはそのとおりで、そういう形で今準備をしております。

 ただ、被災地の役場が今本当に、避難先に行ったり、それから今委員御指摘のような状況もありますので、これはまさに私どもの方が、手とり足とりじゃありませんけれども、むしろこちらが十全に準備をして、なるべく早く申請をしてくださいということをお願いするつもりであります。

 それから、積立金についても同様であります。積立金の取り崩しというのも柔軟にやらなければいけないというふうに思っております。

 それから、先ほど東電の仮払いのお話で、確かに被災者の意識はございました。これは、町村に対する一時金、受け取りを拒否した町もあったというふうに聞いております。

 しかし、今度のことは、私、きのうの記者会見でそういう指示をしたという発言をしましたけれども、法律に基づく指示ではありませんで、これは実は東電がそういう準備をしているということでありますから、それならばできるだけ早くしてくださいということを、お願いというより要請ですね、これは。東電のお金は嫌だという方もいらっしゃいますけれども、他方、やはりまず東電が支払うべきじゃないだろうかという声もありますので、これは私も、町村の方々から聞いて、あるいは議会、議員の方々からも聞いて、そういう声もありましたので、東電がそういう準備があるのならそれをなるべく早く支払いをしてもらうということを要請したということが正確な情報でございます。

梶山委員 東電の件については経緯がよくわかりましたけれども、東電が払うのであればそれを待っていようということじゃなくて、やはり今必要なんです。皆さん、この四月の第一週に必要なんですよ。そういう方が多いんです。

 そして、今度は次の避難所に行こうということになっています。体育館で三週間暮らした、例えばどこかの町が今度は会津の方に行くということになる。それぞれ旅館に宿泊をしたり、また仮設住宅のような形になったりする。そのときにお金が必要だということですから、電源立地交付金じゃなくてもいいんですけれども、本当はきちっと、国が国策でやってきたんだから出すということを言ってもらえれば、お金の種類はどうでもいいんですけれども、出せないのであればこういったものをすぐにでも使えるんじゃないかというのが私の考えです。

 書類も全部そろえて、町長さんのサインだけ、出納の責任者のサインだけもらえればすぐに振り込むぞというような形でやっていただければ、私は、避難の方たちも生活の足しになると思いますし、どうにかつなぐことができるんではないかなと思っていますので、ぜひその点よろしくお願いをいたします。

 また、避難者一人一人の生活のみならず、会社の経済活動も含めてみんな避難をしているわけですね。ですから、今度の震災で中小企業に対する金融的な措置やさまざまな助成措置があるとは思うんですけれども、原発の事故によって避難をした地域にやはり手厚く何かしらを考えなければならないと思っております。

 三月末の手形に関しては、金融機関の方が猶予をしてくれたということであります。でも、また期日はすぐ来るんですね。四月の半ばであったり四月の末であったり、手形の期日が来るわけであります。それ一枚が落ちなければ、今度は連鎖でずっと、やはり困る人たちも出てくるということであります。

 ですから、ぜひ、これも手とり足とりということになるんですが、自分の会社にも戻れない、役場にも行けない、商工会にも行けないというような状況ですから、個々の事情を聞くとさまざまな事情があるとは思うんですけれども、できる限りの援助をしていただきたいと思うんです。このことに関して一言お願いします。

中山大臣政務官 今いろいろ、まさにここが国策だというふうに思うんですね。全国で中小企業が九九・七%ですから、ここが疲弊したら日本の経済全体が冷えてしまいます。ですから、災害地は本当に手厚くやっていく。それから、今、各避難所でもいろいろな御相談を伺っております。私も、こちらから派遣した職員が写真を撮ったりなんかして、その現状もよく見ていまして、今までの枠にとらわれないでいろいろやっていきます。

 例えば、一つだけ言えば、担保つきが二億、無担保が八千万円、こういうのがありますね。これもこの枠にとらわれないでやっていくような柔軟性を持って、全力を尽くして中小企業の発展のために我々も頑張っていく所存でございますので、ぜひ期待していただきたいと思います。

梶山委員 幾つか質問を用意していたんですけれども、時間が参りましたのでさらっと触れさせていただきたいんですが、今回、オフサイトセンターが機能しなかったということであります。ジェー・シー・オーの十二年前の事故の反省を生かして、オフサイトセンターをつくって現地の司令部をつくっていこうということでしたけれども、大熊町のオフサイトセンターが機能しなくて、今は福島市の県庁に移っているということであります。この辺もしっかりと検証をしていただきたいと思います。

 そして、さらにはまた、この補償の問題、いずれ原賠法の話になってくるかと思います。これは文科省が所管の官庁ではありますけれども、ジェー・シー・オーのときに八千件の申し入れがありました。そして総額が百五十億円。そして、さらには係争、裁判に持ち込んだものも含めれば十年ぐらいの時間がかかったんですけれども、そうさせないためにも早目に対策の組織をつくっていただきたいと思います。

 損害賠償の紛争審査会をつくるような動きがあるという報道を読みましたけれども、これは紛争の仲介なんですね、和解の仲介をするような組織ですから。それよりも、指針を決めるための、前のジェー・シー・オーでいいますと、九月三十日に事故が起こって、当時の科学技術庁が、十月二十二日に原子力損害調査研究会をつくって、その指針に基づいて賠償をしていったということがあります。今度は地域も広いですし、規模も非常に大きなものになると思いますので、そういったものも早目につくっていただきたい。

 東電にあれもこれもと言っても、なかなか一つの会社では難しいですけれども、政府としてはそういったことを並行して行って、そして、多くの方に迷惑をかけないように、お金がショートするようなことがないように努力をしていただきたいと思います。

 最後に一言答弁をいただいて、私の質問を終わります。

海江田国務大臣 今回の原子力の事故、これはもちろん地震と大津波に起因するものであります。しかし、これだけ大きな規模の原子力災害が起きるということは、本当に、まさに未曾有の出来事でありますので、対応も未曾有の対応と申しますか、臨機応変と申しますか、これまでの法律の決まりがこうなっているからああなっているからということだけでありませんで、やはりそこは柔軟な運用というものをしていかなければいけないと思っております。

 ただ、やはり法律をつくらなければいけないこともありますので、それは先ほど来委員も御発言いただいておりますが、委員会全体で、早く、しかも議論はしっかりやって、そういう法律もつくっていただきたいと思っております。

梶山委員 ありがとうございました。終わります。

田中委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。きょうは文科省の皆さんや農水省の皆様にも来ていただいておりますので、よろしくお願いをしたいと思いますが、先に御質問なされた方々と一部重複する点があるかもしれませんけれども、そこはお許しいただいて、やらせていただきたいと思います。

 まず最初は、避難者の方々の支援についてということです。

 福島県の葛尾村の松本村長さんの新聞インタビューを見まして、私は、避難を余儀なくされた方々の声を代弁し、なおかつ、首長として何とも言いがたい心情を非常に印象的に拝見させてもらいました。

 三月の十二日にテレビ映像で原発の一号機の爆発を知った。村の大部分が二十から三十キロ圏内にあるということ。このとき国や東電からは何の連絡も情報もなかった。村にはモニタリングポストもない。そういう状況の中で、この村長さんは、十四日に村長の判断で村民一千六百人の避難を始めたということでございまして、賢明な判断だったと思いますが、十五日に、翌日ですね、国は二十キロから三十キロ圏内の屋内での避難という指示をされたということでございます。ちなみに、自主避難の要請は二十五日。この間、東電並びに国の判断は迅速かつ適切であったのかどうかということがやはり問われる、私はこのように思っております。

 先ほどの質問にありましたけれども、その後、東電や国の方々が避難をされた方々のところに、避難所に足を運んで適切な情報をお与えして御説明されているのかどうかということなんです。まず、この点から聞かせていただきたいと思います。

中山大臣政務官 今のお話でございますが、私、福島に行っておりまして、五日ばかりの間に、保安院の平岡次長に各町村を回ってもらいまして、いろいろな御要望を聞いたり、情報を提供いたしました。モニタリングも、ただ生で渡してもなかなか御理解いただけないところがありまして、やはり保安院の方の説明が必要でございます。本当にこの地域は安全なのかどうか、なぜ屋内退避をしているのかというようなことを、私も二十キロ―三十キロのところに行きましたら、あの地域ではほとんど車で移動しているんですね、歩いている方は余り見かけないようでございまして、それを本当にまじめに守っている方たちに情報をしっかり渡すことによってさらに安心してお住まいになっていただけるということ。

 それから、避難所にも、経済産業省から若者を募りまして、ボランティアで本当に国のために働ける者は集まれということで十二名が集まりまして、その若い人たちを派遣をして何とかお役に立ってもらおう、このようなことをやっておりまして、常に情報が入ってくるようなシステムを今つくり上げているところでございます。

稲津委員 次第にそういった体制が整えられているということで認識をいたしました。

 ただ、これも新聞報道ですけれども、三月二十八日の官邸での各省次官の皆さんによる被災者生活支援各府省連絡会議において、相当厳しい東電に対する批判、あるいは経産省に対する厳しい言葉もあったということを伺っておりまして、今御答弁いただきましたように、このことはぜひしっかりと体制を整えていただいて進めていただきたい、このように思っております。

 次に、二十キロから三十キロ圏内の屋内避難をしている方々が、これは防衛省の報告によりますと三百二十四名と、なかなか自力では移動できない方なのかなというふうに理解をしていますけれども、この屋内避難者に対する物資の支援ですとか被曝チェック等の医療体制がどうなっているのか、この点についてお示しいただければと思います。

中山大臣政務官 実は、五日間いましても、一日の日と二日の日では全然状況が変わってきていまして、コンビニなんかも始めているんですね。ということは、二十キロ―三十キロというのは屋内退避のはずだったんですが、そこでだんだん生活が生まれてきてしまっている。ガソリンスタンドもやっております。それから、ドラッグストアもやっております。お店もできるようになりました。

 しかし、二十キロ―三十キロのところは、何かあったら避難をしてくださいよという場所なんですね。それは市の方にも保安院の方からしっかり伝えていただき、内堀副知事がおりまして、副知事も、実は二十キロ―三十キロというところは、プラントからの距離からいって二十キロあるということで、逃げるための時間であるとか、または距離があるということでこれを設定しているわけでございまして、そこに生活している人たちに避難のことが出る可能性がないわけではないわけですね。ですから、安心してなかなか生活できない。

 だからこそ、我々は、ガソリンが足りているかどうかとか、常に生活ができる状況が生まれているかどうかチェックする必要があるということで、私も二十キロの周辺を車で何回も視察をしたところでございます。私も後でスクリーニングをやりましたけれども、除染をしなくても余り放射能がなかったようでございますが、そういうようなこともありまして、一生懸命あの中で生活が始まっているということは事実でございます。

 できる限りのことをしたいというふうに思っております。

稲津委員 これはあわせてお聞きすればよかったんですけれども、同じこの二十キロから三十キロ圏内で自主的に避難された方に対する対応はどうなのか、この点についてもお聞かせください。

中山大臣政務官 それは、扱いは同じだと思います。自主的であろうと何であろうと、やはりそこに避難されている方の生活をしっかり支えていくのが我々の立場だという理解をいたしております。

 先ほど申し上げましたように、本当に、特に南相馬の方は、結構人が頻繁にいるような感じが見受けられるわけですね。ただ、農村地域ですから、皆さん車で移動しているようなので、それは屋内退避と同じような状況を保っているというふうに理解をいたしております。

 私たちは、それが自主的であろうと、または強制的にというふうなこともあったのかもしれませんが、どちらにしても、困っている方に対する支援は欠かさないつもりでおります。

稲津委員 これは大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、今のお話の中で、二十キロから三十キロ圏内の方々の状況は、当初と、一週間、二週間たってと、今とでは少し状況が違っているというのはわかりました。

 ただ、相当混乱を招いたというのは事実じゃないかなと思うんですね。ですから、こういったことを踏まえて、混乱を招かない避難指示の出し方というか、非常に難しいことだとは思うんですけれども、大臣の所見を伺いたいと思います。

海江田国務大臣 ちょうど私はあのとき、避難指示、屋内退去の指示を出すときに官邸におりまして、本当にこれは果たしてうまくいくんだろうかどうなんだろうかということを懸念したわけでございますが、これは警察の方々、あるいは町、村の方々、本当に整然と避難をしていただきました。それは、日本人の特性で、今度の大震災に当たっても非常に秩序立っていたという評価が各国でございましたが、まさに十キロ圏、二十キロ圏からの避難の際にそういう特性が見えたのではないだろうかというふうに思っております。

 問題は、二十キロから三十キロのいわゆる屋内退去ということであります。

 これは私も時々言い間違いをしますけれども、十キロまでは避難でありまして、二十キロから三十キロは退避でございます。同じような意味でございますけれども、やはり違う言葉を使うということにはそれなりの意味合いがありまして、この二十キロから三十キロの屋内退避というのは、余り長い時間やってはいけないということだろうと思います。

 ですから、委員御指摘のようないろいろな混乱があるとすれば、これから二十キロから三十キロのところでまさにどうすればいいんだろうという形での混乱あるいは人々の不安があろうかと思います。

 そして、今、この二十キロ―三十キロの状況につきましては中山政務官からもお話があったとおり、ただいるだけではありませんで、そこへ戻って生活をしたいというのがこの人たちの思いであろうかと思いますから、政府としても、この二十キロ―三十キロの問題をどうするのかということについて、できるだけ早く結論を出さなければいけないと思っております。

 しかし同時に、ちょっと長くなりますけれども、IAEAのデータなどで二十キロ―三十キロと遠くにあるけれどもいろいろな形で線量の多いところもありますので、そういうところに向けては、やはり避難のときの手順でありますとか、計画でありますとか、そういうものをしっかり決めるということも必要かと思っております。

稲津委員 このことに関連しまして、先ほども質問がありましたけれども、これも一般紙の報道ですけれども、政府は、三日の日に、放射性物質の流出阻止にかかる時期、それから半径三十キロ圏内の屋内退避指示の見直しの話、いわゆる細野補佐官や官房長官のお話ですけれども、そういう見直しの考えがあるという表明をされたとなっております。

 私は、この流出阻止にかかる時期とか三十キロ圏内の屋内退避の指示の見直しというのは、当然何か根拠があって、それに基づいての御発言かと思うんですけれども、例えば安全・保安院から出されたのか、どこから情報が出たのかはあれですけれども、経産大臣も含めてこの辺についてのお考えをもう一回整理する意味でもお伺いしたいと思っております。

海江田国務大臣 線量のモニタリングをやるのは文科省でございます。しかし、そのモニタリングの数値をいただきまして、私は、保安院の中でしっかりした二十キロ―三十キロについての考え方を持つようにと指示をいたしまして、保安院からも、保安院としての一つの考え方をもらっているところであります。

 ただ、政府全体ということになりますと、原子力安全委員会の方の意見も待たなければいけないということでありますから、そういった原子力安全委員会の意見、そして保安院の意見、そういうものを取りまとめて、政府全体で判断をしたいということにしてございます。

稲津委員 この点については、大臣の御答弁は当然だと思うんですけれども、なぜこういうことをあえてまた伺っているかというと、結局、避難している方々や関係者の方々にとっては一番関心のあることですよね。自宅に戻りたい、放射能の汚染、漏れはどうなっているんだろうか、そういう不安の中で毎日を過ごしているわけでございまして、そういう意味では、今御答弁いただきましたが、保安院初め、委員会等々、とにかく政府内の情報の共有をしっかり図っていただきたい、このことを申し上げておきます。

 次は、汚染水に対する対応についてということで、東電は、四日の日に、低レベルの放射性物質を含む汚染水を、一万一千五百トンですか、海へ放出するんだということで開始をしました。ここのところで、農水省の方へ事前説明がなかったとか、あるいは近隣諸国からも日本から具体的に聞いていないとか、いろいろなことがございましたけれども、それはそれとして、まずお伺いしたいのは、この低濃度の汚染された水の海への放出が環境とか健康にどの程度の影響を与えるものなのか、お示しいただければと思います。

海江田国務大臣 この決断に際しましては私も立ち会っておりまして、そのときの一番の懸念は、とにかく法定基準の百倍の濃度の汚染水を出すわけでありますから、それが一体どういう影響を与えるのか、そして、出すにしても、できるだけそういった影響を与えないような出し方はないのかというところが、実は一番私どもが注意をしたところであります。

 その結果、人体に与える影響というものはないだろうという結論が出ました。詳しい数字については後で保安院からお聞きをいただければよろしゅうございますが、ただ、委員御指摘の、魚に与える影響というのは、これは厚生労働省の所管でございますが、野菜などについては農水省などが数字を出しているようでありますが、魚について、ここまでなら出荷していいよとか食べていいよとか、そういうふうな数値がなかったようでありますので、残念ながら魚に与える影響というものはその時点ではわからなかったというのが実際のところであります。

田中委員長 何か補足説明はありますか。寺坂院長。

寺坂政府参考人 排水に係りますそれぞれの水でございますけれども、放射性物質の濃度そのものは、ただいま大臣から申し上げたとおりでございまして、直ちに健康上に影響を与えるものではないというふうに考えてございます。

 ただ、そういったことと並行いたしまして、安全委員会の御助言も踏まえまして、放出する水の放射性物質の濃度、それから、放出量はもちろんですけれども、海洋の状態の確認、あるいは放出前後の海水のモニタリングの実施やその他のモニタリングの情報も踏まえまして、適切にこれから環境影響評価を行うよう求めたところでございまして、今後とも、関係省庁の御協力を得ながらモニタリング活動を実施し、その結果を注意深く監視してまいりたいと考えてございます。

稲津委員 今すぐ健康には問題ないというお話でございました。

 そこで、魚の方はいわゆる放射性沃素の基準がないということでどうなのかと思っていたんですけれども、茨城のイカナゴ漁の停止にあわせて、この辺についても端的ないわゆる基準というものをつくったということを承知いたしました。いずれにしましても、このことは万全を期すべしと思っていまして、後ほどここは改めてこの時間の中で聞かせていただきたいと思います。

 もう一つ、汚染水が水ガラスによってとめられたというけさほどの報告があって、本当に急場はしのげたかな、こう思っておりますけれども、ここに至るまでの対応の仕方が果たしてどうなのか。私は、もちろんこうしたことについて専門家でもありませんから、あくまでも国民目線のお話をしますけれども、例えば新聞紙やおがくずを入れた、科学的な根拠は一体どこにあってそういう対応をされてきたのか。これはあえて聞くまでもないかもしれませんけれども、国民目線から見た意見として、この科学的根拠についての説明もいただきたいと思います。

中山大臣政務官 先生、多分、ポリマーとかそういうものに対しては科学的根拠があると。おがくずとか新聞紙と聞いたときは、私たちも、本当に効果があるんだろうかという感覚は持ちました。

 ただ、説明の中で、レンコンの穴と同じような小さな管が入っていまして、恐らくそういうところを膨張することによって一時的にとめるんだろう、あくまでも一時的なものだろうということで私たちも理解をしたわけでございますが、その間に抜本的な努力をするということで凝固剤を注入したということで、きょうその水がとまったということで大変いいことだったんですが、今言ったように、なぜかという科学的な根拠も示せばもっとわかりやすかったんだというふうに思うんですね。

 おがくずも科学的な根拠があるんだそうです、膨張するということで。ただ、おがくず、新聞紙と出てきたときに、えっと思った方はたくさんいました。福島でもそういう方たちがいまして、おい、あれで大丈夫かと。ですから、いつもちゃんとした説明をする、情報を共有するということが今回の事故に対しては極めて大切だということを改めて感じました。

稲津委員 わかりました。

 いずれにしても、ここのところはとまったんですけれども、一万トンを超える水をこれまた動かさなきゃいけないですから、万全を期していただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 次に、情報開示の重要性についてという視点に立って質問させていただきます。

 今の科学的根拠も含めて、この原発の事故の問題で一番大事だと思ったのは、避難された方々のことも含めて、情報の開示。どれだけ透明性のある情報を公開できるかどうか。当然のことなんですけれども。

 これまで原子力安全・保安院、あるいは東京電力が日々発信する情報は、当初混乱を招いた面もあったんじゃないだろうかというふうに私は思うわけです。特に燃料棒の損傷の度合いについては二転三転、それから、水たまりで検出した高濃度の放射性物質についても誤った測定結果の発表もあったところでございました。

 あえて言えば、政府の情報発信の力というものが、ある意味で本当に十分だったのか。それから、先ほども私が触れましたけれども、諸外国の不信感というのは、やはり情報発信の力みたいなものが十分発揮できていたのかどうか、ここは今後もさらに検証していかなきゃならない、こう思っています。

 その中で、私がこれは問題だなと感じたのが、こういった事態になったときに、放射性物質がどれだけ、どの地域に来るのか、そういう予測が全くわからない状態になっていたということ。

 ただ、そのシステムがなかったわけじゃないんですね。これは御案内のとおりですけれども、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム、SPEEDIがあった。政府の防災基本計画で唯一正式な予測ということでこのシステムを位置づけられている。このSPEEDIが機能していれば何の問題もなかったという面もあるんですけれども、実際公開されたのは三月の二十三日の一回だけということです。

 こういった緊急事態に、本来であればどのくらいのペースで公表されるのか、もしそのとおりになっていないなら、なぜできないのか、これを原子力安全委員会に問いたいと思います。ぜひ御答弁ください。

小原政府参考人 ただいま御指摘いただきましたSPEEDIでございますが、SPEEDIにつきましては、原子炉施設から大量の放射性物質が放出されたり、そのおそれがある緊急事態におきまして、周辺環境における放射性物質の大気中の濃度あるいは被曝の線量といったようなものについて、放出源の情報、気象の情報、あるいは地形データといったものを用いて迅速に予測するシステムとして整備されたものでございます。

 今回の事故でございますが、これらの必須入力情報のうちの放出源情報、具体的にはどのような放射性核種が放出されるか、あるいはその放出量はどうか、そして、それぞれの時々刻々の放出量の変化はどうかといったような情報、これを入力いたしまして計算をするシステムでございますが、今回、この放出源情報が得られないという状況にございまして、SPEEDIの本来の活用ができないという状況に立ち至ってございます。

 とはいいながら、原子力安全委員会といたしまして、この放出源情報を何とか推定できないかということで専門家の検討を進めているところでございます。

 三月二十三日に公表させていただきましたけれども、これにつきましては、限定的ながら環境モニタリングで放射性沃素の濃度というものが二、三点得られております。この数少ないデータを用いて、いわゆる逆推定を行いまして試算をして公表させていただいたというところでございます。

 この試算につきましては、今申し上げましたように、陸域に向けた風向時に得られた数少ないデータからの試算ということでございますので、その信頼性という意味では、なかなか保証できる状況に至っていないというものでございます。したがいまして、その後得られたモニタリングデータ等々をさらに用いまして精度を高めていくということで、専門家の努力を今いただいているところでございます。

 予測の確度というものがある程度高まった段階に至りまして、SPEEDIを用いた評価を再度行い、公表させていただきたい、このように考えているところでございます。

稲津委員 そうすると、次の予測の公開というのは、基本的に考えてみたらいつごろを想定されているんですか。

小原政府参考人 先ほど申し上げましたように、現時点でもまだ専門家の検討が進められているという状況でございます。いわゆる数少ない情報から逆推定を行うという極めて高度な作業を行っていただいているところですので、申しわけありませんが、具体的にいつごろというところはまだめどが立っておらないと御理解いただきたいと思います。

稲津委員 あえて言いませんけれども、ぜひこのモニタリングの調査をしっかりやっていただいて、そこはきちんと情報を出していただきたい。

 考えてみたら、このSPEEDIのシステムというのは、まさにこういう事態が起きたときに起動するようなものであったんだけれども、むしろこれが破壊されてしまっている。これもぜひしっかり検証していただいて、今後二度とこういうことがないようにしっかり体制を整えていただきたいということを強く申し上げさせていただきます。

 次は、放射線量のリアルタイムの公開と、国民目線に立った情報の提供をお願いしたいということで、その視点で質問させていただきます。

 今回のこのことでいろいろな指標が出てきて、例えば年配者の方ですとか、あるいは若い方でも、あれっ、また何か違う指標が出てきたとか、非常にわかりにくい。一番大事なことは、例えば危険度を、これはできるかどうかわかりませんけれども、十段階あるいは八段階で示すとか、そういう少しわかりやすい情報の提供があったらどうかということがまずあります。

 そこで、放射線量の測定結果の公表、情報のあり方について、経産省、文科省、それから原子力安全委員会から、このような私の考えに対してそれぞれ御答弁いただければと思います。

田嶋大臣政務官 経産省から御答弁申し上げます。

 モニタリングは主に二つの主体で行われておりますが、一つは事業者、東京電力、もう一つは文部科学省ということでございます。

 まず、原子力安全・保安院としましては、事業者、東電に対し、福島第一、第二原発サイト内における空間線量と、空気中の放射性物質の濃度、土壌調査、周辺海水における放射性濃度調査等を実施するように指示をしておるところでございまして、これら最新情報については速やかに公表をいたしております。

 また、文部科学省でございますが、こちらは、サイト外の空間線量、先ほどと同じ土壌調査、海域モニタリング、そして、全国の原子力発電所サイトにおける空間線量、各県一カ所ずつの空間線量、航空機モニタリング調査等を実施しておるところでございます。

 これは、リアルタイムで公表されているかといいますと、本当の意味での厳密なオンラインのリアルタイムというのは今存在しておりませんけれども、保安院は一日に二回の報道発表、文部科学省は一日に四回の発表ということで、その情報は逐次ホームページに掲載されていて、現在は、官邸、経済産業省、文部科学省、どこのホームページからもすべてのリンクが張られておる状況でございます。

 以上です。

田中政府参考人 文部科学省としては、ただいま経済産業省の方からも言っていただいたとおり、総合的な放射線モニタリングということをやってございます。特に二十キロ以遠の地域につきましては、十四台のモニタリングカーを駆使いたしまして、八十数点のポイントについて空間線量をはかってございます。これらにつきましては、十時、十三時、十六時、十九時と四回にわたって、なるべくわかりやすい格好でマップに落としまして、それぞれの地点ではどんな経時変化があるのかということも含めて公表してございます。

 その他の、例えばダスト、あるいは地表面、土壌のサンプリング、航空機による調査、海域の調査につきましては、それぞれ試料の採取から分析まで一サンプル当たり数時間かかるというようなこともございます。それぞれ十点とか何十点とかございますものですから、これらにつきましても、分析後直ちに、少なくとも日に一回は必ず情報を公開していきたいというふうに思っていまして、その旨今努めているところでございます。

 以上でございます。

小原政府参考人 原子力安全委員会におきましては、文部科学省の行いましたモニタリング結果につきまして情報提供を受けまして、その評価を行う部分を担当してございます。

 この評価結果につきましては、毎日、原子力安全委員会みずから、記者会見という形で具体的な詳細な説明をさせていただきながら公開をさせていただくという形でやらせていただいてございます。それから、その内容につきましても、ホームページに毎日掲載をするという形で公表させていただいているところでございます。

稲津委員 それぞれの公表の仕方やデータの載せ方等々についても今御説明があって、それはよくわかるんですけれども、先ほど私が質問させていただいたように、国民にとって非常にわかりやすいような発表の仕方になっているかどうかということなんですね。

 それで、この点についてもう一つだけお聞かせいただきたいと思うんです。

 例えば今回、水道水の話で、乳幼児等については飲むのを差し控えてはどうかというようなアナウンスもあった。非常にデリケートになっているのが、やはり妊娠されている方、それから小さな子供をお持ちの御家庭とかですね。だから、そういう方々に、あるいは、大人はこうですよとか、そういう公表の基準みたいなものがあれば、我々にとっては非常にわかりやすくこの情報を理解できると思うんですけれども、この点についてはどうでしょうか。

田嶋大臣政務官 そういうところに関してのわかりやすさという点では、まださらに向上させなきゃいけないというふうに私も思っておりますので、これは、実は震災が起きたときからずっと一生懸命わかりやすさに努めてまいりましたけれども、引き続き取り組ませていただきたいというふうに思っております。

稲津委員 ぜひお願いを申し上げます。

 次に移らせていただきまして、次は原子力損害賠償法による損害賠償についてということでお伺いしたいと思います。

 この法律では、事故を起こした電力会社は無限責任を負う、このように規定をされております。国のかかわりも規定されている。今回はどうなのかということなんですけれども、例えば、国は東京電力にどこまでかかわって賠償についての援助をしなければいけないのか。それからもう一つ、異常に巨大な天災地変または社会動乱が原因の事故の場合は、電力会社は責任を免れ、国が全面的に措置するという規定もありますけれども、この規定が今回適用されるのかどうか。この点について文科省、経産省にお伺いしたいと思います。

加藤政府参考人 御説明いたします。

 最初の点でございます無限責任の関連でございますけれども、今回の原子力発電所の事故で生じます損害の賠償に関しましては、原子力損害の賠償に関する法律に基づきまして、一義的には、原子力事業者でございます東京電力が賠償責任を負うことになっているということでございます。

 御指摘ございました点でございますけれども、この法律の十六条におきまして、原子力事業者が締結しております政府の補償契約によって措置される補償金を超える原子力損害が発生した場合におきましては、原子力事業者の能力だけでは被害者の十分な保護が図れないなど、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、政府が原子力事業者に対しまして、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行うというふうに規定されてございます。

 したがいまして、私ども政府といたしましては、この規定にのっとりまして、原子力損害の賠償の状況に応じて、原子力損害賠償法のこの十六条に定める必要な援助を的確に行ってまいりたいと考えてございます。

 二点目の御指摘でございます天災地変の点でございますけれども、これに関しましては、原子力損害の賠償に関する法律第三条一項に御指摘の「異常に巨大な天災地変」がございますが、これに関しましては、昭和三十六年にこの法律を提案しまして国会審議で御議論いただいたときに、この天災地変につきましては、超不可抗力あるいは全く想像を絶するような事態というような御説明がなされてございます。これは、原子力損害につきましては一義的には原子力事業者が責任を負うべきであるという趣旨であるというふうに考えてございまして、今回の原子力発電所の事故による損害につきましても、一義的には原子力事業者でございます東京電力が責任を負うべきものであると考えてございます。

 今後、先ほど御説明したような損害賠償法の趣旨、目的に沿いまして、被害者の保護に万全を期してまいりたいと考えてございます。

海江田国務大臣 お答えを申し上げます。

 原則は今文科省からお話をしたとおりでございますが、昨日、地元の、特に原子力災害被害を受けました地元の町村長が官邸にお見えになりまして、総理とお目にかかりました。私もそばにおりましたが、そのとき、総理は国でしっかりやらなければいけないことだということを皆さん方の前で宣言をいたしましたので、その意味では、第一義的には電力会社でありますが、国もしっかりバックアップをしていきたい、このように考えております。

稲津委員 今大臣の御答弁で、私はある意味本当にこれは聞いておいてよかったなと思っております。文科省さんはそこまでの御答弁しかできないのかもしれませんけれども、これは、要するに法律の中に「異常に巨大な天災地変」と出ているわけですよ。これをどういうふうに見るかということなんです。今回はそうじゃないのかということです。そこは大臣が今明確にお話しいただいたので、私も納得しましたけれども。

 そこで、先ほどもお話があった、東電がまず一義的に損害賠償するのは当然のこととしてということなんですけれども、国としてこれをどう判断して決断をしていくのかということがこれから迫られてくる。

 それで、今の大臣の御答弁も踏まえて、これは大臣がお話しされたことだと思います、住民の方々への生活支援のための一時金、この一時金が将来支払われる補償金に含まれるんだという説明をなされた、あるいは指示をしたということを聞いております。この点について、先ほども御答弁ありましたけれども、もう一回大臣からこういう決意に立ってやるんだと、そこを明確にお答えいただきたいと思います。

海江田国務大臣 先ほど委員の発言でもございました。それから、私は、昨日は原子力被害に遭われた町村長、その前の日には浪江町議会議員の方々にお目にかかりまして、そうした皆様方からお話を聞いた。

 あるいは、今経産省は現地に、福島県に現地の災害対策本部を置いてございます、中山政務官もきのうまで行っていました、今は池田副大臣、その前はずっと松下副大臣が行っておりましたが、そういうところから避難あるいは退避の状況を聞きますと、本当に皆さん、これは着のみ着のままですね。とるものもとりあえずという形で出ましたから、先ほどのお話にもありましたけれども、ポケットの中に二千円というような状況の方もたくさんいらっしゃるわけであります。そういう避難あるいは退避が長引く場合、やはりお金がなければどうしようもないということでありますから、そのことはかなり早い段階からそういう必要性を感じていた。

 そうしましたところ、東京電力が自治体に対して、一自治体二千万円という金額ですか、払いをした。ところが、これがなかなか受け取ってもらえなかった。浪江町などは人口一人当たりに割れば千円にもならない金額ですから、受け取ってもらえなかったということがありました。

 そして、東京電力で個人に対する仮払いの準備はどうなっているんだろうかと関心を持っておりましたら、準備があるということであります。きのうの会見では指示というお話をしまして、法律に基づく指示と混同されてはいけませんので、そういう法律に基づく指示ではありませんが、前からそういうふうなことをぜひやるべきだと思っておりましたから、事情を聞きましたところ、そういう準備があるということでございますので、一人当たり何千円とかいう話でなしに、ここは当面の生活に必要な、しかも、恐らく家族単位というか世帯単位で支払うことになろうかと思いますから、その世帯の方々は、特に今、新学期も間もなく始まろうとしている、あるいはきょう始まっているところもあるようでありますが、そういう子供さんたちがいるところもいるでしょう、いろいろな形があるでしょう、住宅の建てかえだとかダブルローンだとかの対象とは違いますけれども、やはり当面必要なお金があるでしょうから、それをなるべく早くお支払いいただくべきだということをお話ししました。

 そうしましたら、もちろんそういう形で準備をしているということでありますが、何分にもこの避難者が方々に散っているというようなこともありまして大変な作業になろうかと思いますが、そこは市町村にも協力をしてもらって、それぞれの避難をされた方、退避をされた方々にこの資金ができるだけ早く行き渡るようにしなければいけないと思っております。

稲津委員 ぜひここは迅速にしっかりやっていただきたいということをお願い申し上げます。

 それで、通告をしておりました質問はまだ随分あるんですけれども、時間がかなり経過してまいりまして、恐縮ですけれども一部通告どおりにできないと思いますが、今度は、今お話のあった生活支援の個人への一時金の支払いのこととはちょっと違いまして、農業被害、あるいは水産漁業の被害のところをどう見ていくのかということなんです。

 私、先般、茨城県の八千代町というところに行ってまいりまして、ここは今回の原発のところから百キロぐらい離れているんですけれども、そこがレタス等の農産物が風評被害に遭っているということで、行かせていただきました。お話をいろいろ伺ったんですけれども、農作物は全く放射能による汚染等々はない。これは全部県の方で調べてデータも出た。しかし、注文が半減している、あるいは、市場に出しても値段がただにしかならないという厳しい現状。こういうことが相次いで起きているわけなんです。

 例えば、先ほどの損害賠償の話になりますと、まずは原子力損害賠償紛争審査会が損害の範囲の指針を出してから具体的なケースも含めてこれを整理していくという話になると思うんです。しかし、例えば出荷停止になったというものであれば、これは明らかに補償、賠償の範囲に入ってくると思うんですけれども、そうではなくて、出荷自粛をせざるを得ないもの、今の風評被害の話ですよね、ここをどう見るのかということがあると思うんです。

 私は、生活支援ではないですけれども、農業経営そのものがある意味では破壊されていくという厳しい現実を見据えた上で考えると、ここは当然賠償の範囲に入ってくるべきだ。場合によっては、これは農地の問題を考えると非常に大変な状況ですから、例えば一時払いみたいなものも必要になっていくんじゃないか。

 それから、漁業の方でいうと、今回のことで茨城県沖のイカナゴ漁が停止に追い込まれた。こういった漁業被害に対する賠償、あるいは、迅速なということで考えると一時金的なもの。こうしたものをどう見るか、簡潔な答弁で結構ですから、ここをぜひ文科省さんと、それから農水省さんにも来ていただいているので、あわせて御答弁いただければと思います。

雨宮政府参考人 現行の原子力損害賠償制度におきましては、原子力発電所の事故との間に相当の因果関係が認められれば損害の程度に応じて補償が行われることになっていると承知をしております。

 したがいまして、風評被害による場合でありましても、原子力発電所事故との相当の因果関係が認められるものについては補償の対象になるというふうに考えてございます。

加藤政府参考人 御説明いたします。

 御指摘の点でございますが、今回の事故によりまして生じました損害につきましては、出荷停止の指示を受けました農作物に限らず、一般論としまして、事故との相当因果関係が認められるものにつきまして、原子力損害の賠償に関する法律に基づきまして適切な賠償が行われることになっております。

 また、出荷の自粛あるいは風評被害やその他先生御指摘の点につきましても、このような考え方に立ちまして判断されると考えてございます。

稲津委員 風評被害をどこまで見るかということで、これはもう御存じだと思いますけれども、ジェー・シー・オーの事故のときのケースも踏まえると検討の範囲に入る、このように思っております。

 したがいまして、そこはそこでしっかりやっていくことが必要なんですけれども、もう一つここで大事な問題は、その補償が入るまでの間、どうやって農業経営あるいは漁業者として操業していくのか、ここは全然補償もされないどころか、見えていないわけですよ。だから、今回、あえて言えば、大変な天災でもあり、なかなか対応がスムーズにいかなかったということもあり、私は、例えばこの補償が入るまでの間の資金繰りとか、一時金払いも含めて、どういう支援策を現段階で農水省は考えているのか、この点について御答弁いただければと思います。

雨宮政府参考人 今回の原発事故によって生じる損害につきましては、原子力損害賠償法に基づきまして適切な賠償が行われることになっておりまして、JAグループの方では、多数の農家を代表して損害賠償を取りまとめて請求する作業を行っているところでございます。

 賠償が行われるまでの間、JAグループの独自の取り組みとして、被災農家に対しまして、無利子融資等による資金供給、あるいは生産資材などの購買品の支払い期間の延長などによりまして、資金繰りの円滑化措置を講じることとしてございます。

 農林省は、こうしたJAグループの取り組みに積極的に助言などを行うとともに、こうしたJAグループの取り組みでは対象とならない農家に対しましても、金融機関や資材取扱業者に対しまして、資金供給、支払い猶予等についての配慮を働きかけているところでございます。

稲津委員 まずその資金繰りのところをきっちりやっていただくということはお話しいただいたので、それはそれで理解できるんですけれども、例えば農業の生産状況というのは、昨年、一昨年と大体わかっているわけですよ。そこのところをどういうふうにきちっと判断していくのか。一時金だって、そこを見れば払えないことはないというふうに感じるわけですね。

 それから、漁のことを考えると、イカナゴのことを考えると、この時期、漁に行ってとれるのはこれしかないということも現地では言っています。去年もおととしも水揚げの額というのは大体決まっていますよ。それさえもできなくなっている状況の中で、一時払いみたいなものを、生活補償の話もありましたけれども、漁業者、農業者に対する支援策としてぜひとも講じるべきだ、これは私の意見として申し上げさせていただきたいと思います。

 次に移らせていただきます。次は、今後の電力供給についてということで伺いたいと思うんです。

 福島の第一原発のことに非常に目が行ってしまうんですけれども、今回の震災で稼働停止を余儀なくされた発電所というのは数多くあると思います。その状況をまず一つ聞かせていただきたいということ。

 あわせて、まとめて聞いて恐縮ですけれども、今、計画停電とかいろいろなことをやりながらいるんですけれども、電力需要のピークになる夏をどうするのかという、供給面の対策を現時点でどう考えているのか。

 この二点を伺いたいと思います。

田嶋大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず供給量でございますが、東電の供給量は、震災によりまして、福島第一、第二の原子力発電所に加えまして、鹿島の火力と常陸那珂の火力などが停止をいたしまして、約五千二百万キロワットの本来の供給力から、約三千百万キロワットまで低下をいたしました。その後、停止した火力発電所の復旧や定期検査からの復帰等によりまして、現在は三千百万から三千七百五十万キロワット程度まで回復をしてございます。

 また、東北電力でございますけれども、震災によりまして、女川原子力発電所に加えまして、原町火力、新仙台火力などが停止をいたしまして、本来の約一千四百三十万キロワットから九百万キロワットまで低下をいたしました。その後、停止した火力発電所の復帰、あるいは定期検査中だった発電所の立ち上がり等によりまして、現在は九百万キロワットから一千百万キロワット程度まで回復したということでございます。

 後半の御質問でございますが、おっしゃるとおり、今回以上に夏の需給のギャップが大変厳しい状況でございますが、供給力の増大に向けまして、東京電力及び東北電力において、被災した火力のさらなる復旧、立ち上げ、それからガスタービン等緊急設置電源の新設、自家用発電設備からの電力の購入等に全力を挙げていくことといたしております。

 政府といたしましても、火力発電設備の設置等に関して、環境影響評価法を初めとするさまざまな環境整備に努める等、電力会社の取り組みを最大限バックアップしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

稲津委員 通常五千万キロワットが三千七百万まで来て、あと一千三百万足りなくて、さらに夏のピーク時になると、少なくとも五千五百万ぐらいですよね。だから、ここは、例えば休んでいる火力発電所等々を復活させるということもあるんでしょうけれども、もう一方ではやはり停電を、いろいろな協力をいただいてどうやっていくのかということに実は集約されてくると思うんです。

 ですから、ここのところを、今まさにどうしたらいいか非常に悩んでいらっしゃると思うんですけれども、具体的にどう停電等の協力の対応、節電促進、この点について御答弁いただければと思います。

海江田国務大臣 お答えをいたします。

 現在は計画停電を実施しているところでございますが、この計画停電というのは、例えば、工場などでも大変予見性に乏しいと申しますか、もちろん、東京電力はいろいろな形で周知徹底に努めているわけですが、最近は大分暖かくなってきましたから需要が落ち込んで計画停電をやらないで済んでいますが、だからといって、みんなが油断をして一斉に電気を使い始めると、あるとき大規模な予期せざる突然の停電、それを避けるための計画停電ということになりますから、基本的に、計画停電というものは、その意味では幾ら計画をしてもなかなか予期できないということになりますので、計画停電よりも、むしろ需要をそれぞれが抑制してくれる方向にシフトをしていった方がいいのではないだろうかというふうに私は考えております。

 その需要をどういう形で抑制してもらうかということについては、いろいろな手法が考えられる。大企業、中小企業、それから個人というような形で、それぞれの使用量などに応じて方法を考えていかなければいけないというところで、今政府でも検討をしているところでございます。もうしばらく時間をいただければ、そういう意味での需要の抑制策もしっかりと出てくると思っております。

稲津委員 ここは非常に難しいところだと思います。日本の経済を冷え込ませないようにしながらも、なおかつ、計画停電によらないで需要を抑えていくという、絶妙な難しいバランスだと思うんですけれども、ぜひここは大臣にリーダーシップを発揮していただいて頑張っていただきたいと思います。

 時間になりましたので、最後に一言だけお話しさせていただきたいと思うんです。

 菅総理が三十一日にエネルギー基本計画の抜本見直しの話をされて、海江田大臣もこのことに触れて、この基本計画について、これまでどおりにはなかなかいかないんだ、そういう御発言があったというふうに承知をしております。これは、要するに原発増設の今後の方針の見直しということで理解していいのか。あるいはまた、そういったことも視野に入れながらも、いわゆるベストミックスの、石炭とか天然ガスとか、その組み合わせを相当丁寧にこれからしっかり構築していくんだ、こういうお考えなのか。このことを最後に聞かせていただいて、質問を終わりたいと思います。

海江田国務大臣 私は、かねてからベストミックスという考え方が大切だろうと思っておりました。ただ、そのベストミックスの中に、もちろん原子力の発電も位置づくわけでございます。それが、現在、原子力による発電が二九%、約三〇%ぐらいということで、この割合がさらにCO2の排出量との関係で伸びていくということであったわけでございますが、これはなかなかこれまでと同じような形では伸びていかないだろうというふうに思っております。

稲津委員 時間ですのでこれで終わりますけれども、本当に多くの方々が被災をして、今なお避難所生活等を余儀なくされている、そして、亡くなられた方も大勢いらっしゃるし、行方不明の方もいらっしゃって、そうした方々へのお悔やみやお見舞いを申し上げますとともに、ここは本当に与党も野党もなく、そして、私どももどんどんさまざまな提言をさせていただきます、その上で、大臣、しっかりリーダーシップを発揮してお取り組みいただきたいことをお話し申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

田中委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、まず最初に、今回の地震、大津波で犠牲となられた方々に対して哀悼の意を表したいと思います。それからまた、今も大変な生活を余儀なくされている被災者の皆さんに心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 地震と津波というのは、これは間違いなく自然災害です。しかし、全電源喪失と炉心溶融という問題については、実は私は、二〇〇五年の質問主意書以降、二〇〇六年の国会質問なども通じて、ずっとこの問題を取り上げてきたんです。対策をとらなきゃだめだということを言ってきたんです。

 最初、寺坂原子力安全・保安院長に伺っておきますが、昨年五月二十六日の当委員会で、私の質問に対して、全電源喪失で炉心溶融は論理的には考え得ると答弁しておられました。今回の原発事故というのは、論理的な話じゃなくて、現実のものとなったのではありませんか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年五月、吉井委員からの御質問に対しまして今御指摘のような答弁をしたことは事実でございます。

 原子力発電所におきましては、複数の非常用ディーゼル発電機の起動、あるいは直流電源の活用、他号機からの電源の融通、そういった多重性や多様性を持った対応を図ることによりまして、重要な事故に至ることのないような、そういう対策がなされてきていたわけでございます。そのような意味におきまして、それぞれの要素につきまして可能性が大きくはない、そういう認識のもとに昨年の答弁を申し上げたところでございます。

 現実に、ただいま御指摘のような事態が発生をしたわけでございまして、そのような意味におきまして、私の当時の認識におきまして甘さがあったことは深く反省をしているところでございます。

吉井委員 私は、次に鈴木原子力研究開発機構理事長に伺っておきたいんです。

 実は、二〇〇六年、ちょうどあなたが原子力安全委員長であった当時の三月一日の予算委員会で、私は、津波の押し波と引き波、これにより機器冷却系が取水不能になる問題なども取り上げ、同年十月二十七日の質問では、地震による鉄塔倒壊で外部電源喪失となり、内部電源が事故に遭ってディーゼル発電機もバッテリーも働かなくなるという問題で、鈴木委員長のこの点での予測を質問しました。

 この全電源喪失の場合の原子炉停止後の機器冷却ができなくなる問題についての質問に対して、鈴木委員長は、同じバックアップを多重に持つ、ディーゼル発電機だけでなく直流も持つ、それぞれ複数機持つ、これを設計段階で確認していると答えられたわけです。シビアアクシデントマネジメントの考えはなかったんですけれども、答弁ではこう言っておられました。シビアアクシデントマネジメント、非常事態における管理で、日本の場合には、同じサイトに複数のプラント、つまり同じ原発敷地内に幾つも原発があるので、ほかのプラントに融通するとか、どこかが故障して全電源喪失になっても、ほかの原発から電力を融通してもらえるんだ、こういうお話でした。非常に多角的な対応を今事業者に求めていると。耐震指針を改定した、さらに基準を超えるような大きな地震が来たときにはどうなるか、事業者に、評価してください、数字で確認するなどしてくださいという、これが方針だと答弁されました。

 全電源喪失というのは、要するに、他の外部電源や、同じ原発敷地内の他の原発からの融通や、その原発自身に設置してあるディーゼル発電機とバッテリーの組み合わせにより、設計上ちゃんとしてある、大丈夫だというお話だったわけです。

 三月十一日に原発が停止した後、福島第一では、機器冷却系を動かすすべての電源、これは喪失したんじゃありませんか。

鈴木参考人 お答え申し上げます。

 それは、私が原子力安全委員会の委員長を仰せつかっていたときのお話ではございますが、そのとおりお答えしたと思います。

 現実にこのような事故が起きておりまして、私は、原子力に長年携わっております者として、国民の皆様方に大変な御心配、御心労、御迷惑をおかけしていることに対しまして大変申しわけないと思っておりますし、私自身、痛恨のきわみでございます。

 今先生お尋ねの件につきまして、私は考え方はそのとおりだと思っておりますが、結局は、具体的にそれに対してどのような手を打つかということ、つまり、多重性、多様性について、実際、設備対応ないしその運転管理に当たって具体的にどのような考え方をとるかというところが、私は、今後大いにこの事故を反省して考えなきゃいけないことだ、そのように思っております。

 例えば、他の号機からの融通について言えば、今回のように、一から四につきましては、すべて同じような設計のものを、DG、ディーゼル発電機を同じような設置にしてあったのでは、これは本当の意味での多重性にならないことは明らかでありまして、そういうことについて我々はよく反省しなきゃいけない、そのように考えております。

吉井委員 二〇〇二年五月に、東京電力のアクシデントマネジメント報告書というのが当時出ておりましたが、この中でも、要するに、DGとバッテリーがあるんだということと、それから外部電源が喪失しても同じサイト内の他の原発から融通してもらえるんだということを東電自身が書いていたわけです。

 しかし、そうじゃない、全電源喪失の場合にきちんと対応できることが必要なんだということを私は言ったんですが、その全電源喪失の可能性の検討と、それへの対策をとらせないまま来てしまったということ、そして原発は大丈夫だと判断した、今も少しお話がありましたけれども、当時の答弁とか考えというものは、やはりこれは間違っていたのではないかと思いますが、どうですか。

鈴木参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃるように、このような事故が現実に発生した以上、過去のことが正しかったということはないんだと思います。ないんだと思いますが、考え方として、やはり多重性、多様性が一番重要であることは、これは変わりがないと思います。

 私、先ほど申し上げましたように、それをどのように実際に設計であるとか実際のアクションにつなげるか。例えば、今回も、五号機、六号機においては、DGの一つが、私の聞いているところでは、いわゆるガス冷却ですね、空冷のものだったということで、それが辛うじて生きていたために何とか、一から四に比べますと五から六は状況が随分変わっているということがございます。これは一種の多様性だということで、そういうことを今後十分に検討していかないといけない、そのように考えております。

吉井委員 ほかで動いたのが一つだけあったといったって、融通できないわけですから、それは全然違っておったということをやはりきちんと考えなきゃいけないと思います。

 班目委員長に次に伺いますが、今回の原発災害について、東京電力社長も菅総理も、想定外のことだったと発言をしておりました。

 NRCは三十年前に実験して検討しておりましたし、各国の過酷事故対策、シビアアクシデントマネジメントの中では、全電源喪失というのは考えていたんじゃありませんか。

班目参考人 先生のおっしゃるとおり、各国ではこの問題をかなり注視していたのは事実でございます。

吉井委員 そこで、続いて伺っておきたいんですけれども、JNESの報告書、昨年の十月に、全電源喪失の対策と。これによると、〇・六時間後には燃料が落下する、一・八時間後には圧力容器が破損する、十六・五時間後には格納容器の過温による破損。この破損の仕方はいろいろあります、爆発で破損する場合もあれば、いろいろな形があり得ることですけれども、しかし、それはJNESがちゃんと昨年の十月に出していたと思うんですよね。それに対してどのように対策を指示してこられたのか、伺っておきたいと思います。

班目参考人 原子力安全委員会としましては、この全電源喪失ということに対して事態を非常に重く思っております。

 それで、こういう場合のアクシデントマネジメント対策というのを事業者にみずからきちんと定めさせており、それを保安院を通じて我々も伺っております。したがって、それに沿ってきちんとやるようにという指示を私どもの方としては進言してきたということでございます。

吉井委員 シビアアクシデントマネジメントをちゃんとやらせる。実際に事故があったときに、シビアアクシデント、今度はマニュアルですね、それに基づいてきちんと対応するということをさせなきゃいけないと思うんですよ。それをやれば全電源喪失という事態は、これはまず起こらないようにさせなきゃいけないんですが、起こった場合にも、直ちに緊急に対応するというマニュアルがないと全くお話にならないと思うんです。

 班目委員長に伺っておきたいのは、地震や津波があろうがなかろうが、原発では、シビアアクシデントマネジメントとして全電源喪失を考えて、いかなる場合にも今回のような事態を起こさせないというのが本来の国の原子力安全行政であり、原子力安全委員会の使命ではないかと思うんですが、委員長、どうですか。

班目参考人 まさにおっしゃるとおりだと思います。

 したがいまして、今回の事故を深く反省し、先生のおっしゃるとおり、二度とこのようなことが起こらないように指導してまいりたいと思っております。

吉井委員 ほかの原発で同じようなことが次々と起こると大変な話になってまいりますが。

 海江田大臣、そこで伺っておきたいんですが、想定外という言葉は、実はこれまでから原発の事故が起こるたびに結構よく使われているんです。二〇〇七年七月十六日の新潟県中越沖地震によって、柏崎刈羽原発は、約三千カ所を超える事故、故障、破損箇所が生じました。このときも、あれは想定外だったというのが最初に聞かれた言葉です。

 地震、津波。津波については、今度の場合は押し波の方の被害が大きいんですが、東北の地震、津波ですと、引き波で冷却水がとれないという問題も出てくるんです。これは二〇〇五年、六年に私は国会で取り上げたわけですが、何度も指摘してきたんです。

 そこで、海江田大臣に伺っておきたいのは、三月十一日の、地震から一時間後の十五時四十二分には全電源喪失による炉心溶融の可能性を認めながら、なぜ東京電力に早い時点で指導あるいは炉規制法に基づく命令をしなかったのか、あるいは、指導したんだけれども東京電力は指示に従わなかったのか、これはどういうことになっているんですか。

海江田国務大臣 想定外ということは、先生おっしゃるように、私もなるべく使わないようにしております。既に、そういう想定外ということを過去に言って、そしてその想定を超えるものが現実の問題として起こったわけでございますから、その意味では使うべきではないというふうに思っております。

 その上で、東京電力の最初の、初期の動きでございますが、今、私の記憶の中にございますのは、最初はマグニチュード八・八とかいう報道がございましたけれども、大変激烈な強い地震が起きましたから、当然、私は、原子力は平気かということで関心を持ちまして、そして、東京電力は、その時点ではすべて停止をしたという報告がございました。そして、むしろ、最初に私のもとに東京電力から入ってきました情報というのは、しかし、大規模な停電が生じていると。これはちょうど夕方でございました。まさにこれからこの首都圏でも夕げの支度などが始まるころでありましたけれども、大規模な停電が発生をしたということがまず入ってまいりまして、原子炉の方はきちっと停止をしたという報告がありましたので、安心をしました。

 しかし、その後の事態というのは委員御指摘のとおりで、私どもがいよいよこれは原子力の状況が深刻であるというのは、やはり夕刻、私もすぐ官邸に行きまして、そのまま危機センターの中に入っていきまして、夕刻の八時を回ったころからだろうと記憶をしております。ただ、これは今、私の記憶に基づいての発言でございますので、後でしっかりと精査をしていかなければいけないと思っておりますが、夕刻になって、それからまさに日付が変わる直前、そこから本当にいよいよ、ベントの問題あるいは海水の注入の問題、こういうことをやらなければいけないということで、そうした指示は、日をまたいででありますが、深夜、まずベントの指示を出したところでございます。

吉井委員 地震が起こって一時間後に、既に全電源喪失による炉心溶融の可能性を認めていたわけですよ。

 さっきもJNESの報告を御紹介しましたが、〇・六時間後には燃料落下、一・八時間後には圧力容器の破損、十六・五時間後には格納容器の過温破損、そういう可能性もありという、これはJNESの方でちゃんと報告書をまとめていたわけですね。そうすると、ただ原発がとまったから安心というものじゃないんですね。自然崩壊熱を取り去らない限りどんどんどんどん温度が上がっていくのは当たり前の話ですから。

 そうすると、直ちに、早い時点で、東京電力に指導するなり、あるいは炉規制法に基づく必要な命令を下すなりしたのかということと、それから東京電力はそれに従わなかったのかということを今伺っているんです。そのことだけなんです。簡潔で結構です。

海江田国務大臣 法律に基づく命令というのは、日をまたいでのことでございます。

吉井委員 ですから、その時点ではやっていなかったということです。

 班目委員長は御専門ですから伺っておきたいんですけれども、マグニチュード九の地震で、まず、原発の機器の傷みはどういう状況なのか。それから、津波によるDGなどの健全性がどうなっているのか。また、燃料タンクや配管は大丈夫なのかどうかとか、機器冷却系の熱交換器と配管は大丈夫かとか、そもそも制御棒が一〇〇%入ったのか。地震等で途中でとまっていますと、一応はとまった形になっているんだけれども、部分的には臨界状態があって中性子が出てくるとかあり得るわけですね。そういう基礎的なデータというものが、地震の後、班目委員長のもとにちゃんと届けられたのかどうか。それから、現在、これらについて、そういうデータはきちんと届いているのかどうか、これを伺っておきます。

班目参考人 当日の私の行動を申し上げます。

 当日、夕方になって原子力災害対策本部が立ち上がりまして、緊急参集いたしました。その前、若干時間があったのでございますが、その間に、少なくても制御棒は全部挿入されて炉はとまったという報告は受けてございます。

 それから、その他の情報についてでございますけれども、その後は、私、官邸の方にちょっと詰めてございまして、やや情報から遠ざかってしまった。しかしながら、少なくても最低限の知識として、このような場合においても、バッテリーさえ生きていれば、一号だったらアイソレーションコンデンサー、二号、三号だったらRCICというのが生きていれば、しばらくの間はもつという知識は持ち合わせてございました。

吉井委員 一応制御棒は入ったという話、これは入ったから一応とまったんですよ。それはよくわかるんです。しかし、巨大地震によって、一〇〇%、一本でも二本でも入り切らなかったら、部分的には臨界も残ることはあり得るんですよね。だから、中性子が測定されたという話も出てきたのはそういうことだろうと思うんです。

 原子炉停止後の核燃料の自然崩壊熱による温度上昇を避けるために機器冷却系が働かなくてはならないわけですけれども、これが、地震でまず送電鉄塔が破損した、これは保安院からいただいた資料で、倒壊したということですから、外部電源がだめ。その上、内部電源を構成するDGが津波で破損した。何とかいけたバッテリーも、三月十一日の夜の十時ごろには大体ダウンの方向へと。バッテリーは時間が来たらだめになりますから。外部から持ち込んだ電源車からの電源接続もなかなかうまくいかない。

 だから、機器冷却系が機能しないということになって、当日の二十二時だったと思うんですが、二十二時五十分には炉心が露出する、二十三時五十分に燃料被覆管が破損する、そして二十四時五十分には燃料熔融の可能性ありと保安院は予測したと発表されております。

 班目委員長と寺坂原子力安全・保安院長は、これは深刻な事態だと考えて危機感を持って臨まれたのか、まあ何とかなると楽観的なものもお持ちだったのかを伺っておきたいと思います。

班目参考人 まことに申しわけないんですが、JNESによる解析結果というのは当時持ち合わせてございませんでした。したがって、時間的なことで、どれぐらい緊急を要しているかは当時把握してございませんでした。

 しかしながら、アイソレーションコンデンサーとかRCIC、最初にRCIC、二号機がとまっていると聞いたときには、もうかなりびっくりして跳び上がったぐらいなのでございますが、危機的な状況にあるということはよく認識しているので、直ちにアクシデントマネジメント対策として定められたプロセスに移るようにというふうに進言したところでございます。

寺坂政府参考人 全電源喪失状態になりまして、非常に深刻な状態に至っているという認識は持っておりました。

 一方で、アイソレーションコンデンサーあるいはRCIC、そういったものがまだ機能している、そういうこともございまして、その間にしっかりと対応を重ねていかなければならないという意識のもとに行動をしたわけでございますけれども、結果におきましてそこが届かなかったという点は深く感じておるところでございます。

吉井委員 こういう場合、要するに、蒸気を抜いて圧力を下げることと、圧力が高かったらもともと冷却水が入らないわけですけれども、外から冷却水を注水して温度を下げるという、とりあえずは、まずこの二つのことが大事になりますね。

 大体一千度Cを超えますと、水とジルコニウムの化学反応が始まって、発熱反応ですから、どんどんジルコニウムの被覆管が溶け出すというのは当然のことでありますし、同時にそれは水素が発生するということになってくるわけですから、炉心が一部でも冷却水の上に出てしまうと、さらにそれが反応が激しくなってきて水素が出る。

 ですから、スタックから放出すること、また、建屋内の水素に関しては、建屋の屋根に設置してあるはず。もっとも、これはGEの最初のものですからまだなかったのかもしれませんが、まずその水素ガス抜き用の弁をあけること、あるいは、建屋内に窒素ガスを入れて空気をパージする、置きかえるということが大事なことだと思うんです。

 いずれにしても、圧力を下げることと、直ちに、真水が一番いいんですが、真水が不足すれば海水を注入してでも炉心を冷やさなければならない、炉心の露出を防がなくてはならないということ、このことを東電幹部が断行するか、政府が東電に対して断行させるか。最も厳しい局面だったんですね、この時間帯というのは。

 当日の午後十時から翌日にかけての数時間というのは非常に厳しい局面だったと思うんですが、班目委員長はこのときどういう判断を下して、政府や東京電力に対して、意見具申といいますか、何をやりなさいということを言われたのかを伺っておきます。

班目参考人 とにかく真っ先に考えたことは、燃料を溶融させないこと。ですから、燃料を冷やさなきゃいけない、これをアクシデントマネジメント対策どおりに行えればそれは防げるはずであるということで、とにかくそれをしなさい、ついては、格納容器を過圧破損させないためにもベンティングはもちろん必要ですというふうに申し上げたと記憶しております。

吉井委員 一番大事なその局面で、東京電力が圧力を下げるための作業に入ることと、炉心が露出しないように冷却水を注入するということをやるかやらないかという非常に大事な局面だったわけですよね、そのときは。

 私は、委員長が本部へ詰められて、そして意見を述べられたその時期というのは、最も厳しい局面で、厳しい判断をしなきゃいけなかったときだと思うんですが、もう一度確認しておきます。

班目参考人 それが例えば何時何分であったかとかいうことはちょっとさすがに全く覚えていないので申し上げられませんが、まさにそういう一番厳しい時期にそのような進言をしているというふうに記憶してございます。

吉井委員 一番大事な局面で、原子力安全委員会委員長班目さんと政府の対策本部長である菅総理の二人は、その時期に本部に四時間半いなくなったんですね。これは、班目委員長、間違いないですね。

班目参考人 はい。未明にヘリコプターで現地に参ったことは確かでございます。

吉井委員 大事な時期に、判断をする責任者と、意見を具申するといいますか、専門的に助言しなきゃいけない方が二人ともいなかったというのは、これは重大な問題だというふうに思うんです。

 それで、地震と津波は自然災害なんですが、しかし、全電源喪失による炉心溶融の危険を私が五年前から何度も指摘したのに、対策をとらない、耳を傾けてこなかったというのは、一つの重大な問題だと思うんです。

 二つ目に、最も厳しい判断を要する局面で、その対策を断行させるということをやり切らないで炉心溶融を招いてしまった。大気も海水も土壌も放射能汚染させ、多くの人々を長期にわたる避難民の状態に置いて、遠く離れた地域の農業者や漁業者の経営を壊してしまった、首都圏の乳幼児の飲み水まで危険にさらした。

 この点で私は海江田大臣に伺っておくんですが、今回の原発事故というのは、これは人災じゃないですか。

海江田国務大臣 人災かどうかということをお答えする前に、先ほど私の記憶でお答えをいたしましたけれども、十一日十四時四十六分に地震発生で、同日の十九時〇三分に原子力緊急事態を宣言して原子力災害対策本部を設置したということでございますから、この十九時〇三分の段階では、もちろん原子炉が大変なことになっているという認識は持っていたということでございます。

 その上で、今、班目委員長を初めとした方々がいなかったということでありますが、これは私の方には、その前の段階で、既に、まずベントだ、ベントをやって、これは、委員一番お詳しいわけでございます、ウエットベントですから、もちろん放射性の物質が全く外へ出ないというわけではありませんが、水を通しますので、それが低減されたものが出るということで、その指示を既に発出して、そして、あと避難命令、退避と避難の指示をしたところでありまして、その意味では、そういう指示は行って、その後、やはり現地を見なければいけないということで現地に行ったということでございます。

 それから、最後になりましたけれども、人災かどうかということでございますが、これは今まさに、この委員会での議論も通じて、それから、もちろん資料の保全というのはしっかり命じてございますから、そういう資料をもとにして、一体何が原因で、そしてどういう経過をたどってこういう事故になったのかということをはっきり明らかにしていきたいと思っております。

吉井委員 検証は検証としてやるにしても、今回の原発事故は、事前に手を打てば、ああいう事態にならずに済んでいるんですよ。その点では、自然災害であった地震、津波以降の十数時間というのは極めて緊張した重大な時間であったのに、きちんと対応しなかったことは人災だという自覚をやはり持たなきゃいけないというふうに私は思います。

 それで、枝野長官に伺っておきます。

 十二日の一時三十分に、首相と経済産業大臣の了解を得て、ベントを急ぐように指示したとされておりますが、圧力を抜かないと圧力容器の破壊につながる、同時に、圧力が高いと冷却水を原子炉に入れることができないという事態、すなわち炉心溶融がさらに危険な事態に進み得るということを認識されて、それで、総理大臣または官房長官は、はっきり東京電力に対して、圧力容器内の蒸気を下げろ、海水を含めて冷却水を注入しろと言われたのかどうか。経産大臣も、当然、原災法だけじゃなくて、炉規制法に基づいて命令したのかどうか。このことが問われてくるんですが、枝野長官にどう対応されたかを伺います。

枝野国務大臣 震災発生の当日は、まずは震災そのものに対する救命、救難というオペレーション、それから原子力発電所の方のオペレーション、二つの対応を政府として行っておりました。

 海江田経済産業大臣は専ら原子力発電所の対応について取り組んでいただきましたが、私は官房長官という立場ですので両方のことについて、震災直接のものについては松本防災大臣を軸にしてということで、私はその両方を見ておりましたので、正確な時間的やりとりは、私自身の記憶では正確ではございませんが、この間、今御指摘いただきましたような経緯の中で、電源の回復に向けた努力、それから電源が回復しないという状況の中でベントによって気圧を下げるという努力、そして水を注入するという努力、こうした努力が、少なくとも今御指摘をいただいた原子力緊急事態宣言が出された以降、順次なされていた。それに、海江田大臣を中心に、時には総理も加わった中で、そうした指示といいますか、東京電力に対して、そうしたことを進めていくようにと。

 そして、東京電力の側からは、そうした努力を進めているという報告がなされながら、しかし実際には、電源は回復をしない、ベントもスタートする段階に至らない、水を入れるということがなされないという状況が一定の時間続いておりまして、なぜなのかということについて、海江田大臣あるいは総理が繰り返し指摘をして、急がなければいけないではないかということを、遅くとも午前一時半の段階で行っていたということでございます。

吉井委員 一時半にそれを言われて、東京電力がしなかったら、やらせ切らなきゃいけないんですよ。炉心溶融になって今日の事態を迎えているわけですね。だから、全電源喪失の後のこの事態についてきちんとしなきゃいけないときに、総理と委員長が四時間半空白の時間をつくっただけじゃなしに、その前日の十時に判断してから翌日の七時四十五分までは、一応、今官房長官がおっしゃったように、いろいろな指示を出したりとか、法律に基づく対応ですね。しかし、十二日の七時四十五分から十二日の十七時十六分まで、空白が約十時間あるんですね。それで、十二日の二十時〇五分になって、ようやく炉規制法に基づく命令を大臣は出しているんですよ。

 だから、これだけ深刻な問題だということが明らかになっているのに、きちんとした対応をしなかった責任というものは、私は極めて大きいものがあると。東京電力が言うことを聞かなかったのは悪いんですよ。それをまたやらせなきゃいけないんですよ。その対応が今日の重大な事態を招いているということをきちんと認識しておかなきゃいけないということを申しておきたいと思うんです。

 枝野官房長官に、次に積極的な提案の方も一つしておきたいと思うんです。

 毎日、放射能を帯びた水や水蒸気、空気が放出されております。外国の協力も大事なんですが、実は全国で、実験物理や実験化学、流体力学や伝熱工学をやってきた多くの研究者、あるいは原子炉設計に携わったOBの技術者を含めてたくさんいるわけですよ。情報不足で、提言したくともできない、受け付けてもらえるようなところがないというのが今声として上がっております。

 ですから、これは、研究者番号を伝えていただいて意見を聞かせてもらえるような受付部門をつくって、やはり日本の英知を総結集して、何としても、今の原発の深刻な状態から、速やかに冷却を進め、そして放射能の放出を食いとめる、そのためにあらゆる英知を結集する体制を考えるべきだと思うんですよ。これは枝野官房長官に伺っておきます。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、この状況を収束させるためには、原子炉あるいは原子力関連の専門家の皆さんにとどまらず、さまざまな専門家の皆さんの英知を結集していくことが必要であるというふうに思っております。

 この間も、原子力安全・保安院や原子力安全委員会にとどまらず、さまざまな専門家の皆さんにお知恵をかりて進めてきているところでございますが、御提言のとおり、いろいろな御意見あるいは知見をお持ちでありながら、どこにそれを伝えたらいいのかということを御存じない方もいらっしゃるというふうには思いますので、そうした方のお知恵をおかりするやり方については、今の御提言を踏まえて関係当局と相談をしたいと思っております。

吉井委員 これは研究者番号を伝えてもらったらできる話なんです。

 それで、官房長官にお聞きしようと思ったら、大体時間が来ましたので置いておきますけれども、なぜこういう深刻な事態になったのかということですね。

 私は、ここには、国も電力も原子力安全委員会もみんな、原発安全神話を信仰してしまって、原発利益共同体を築いて、情報公開しないで、国民の安全より企業利益第一に走ったというところがあると思うんです。アメリカで、TMIの後、弁護士さんが長になられて調査委員会を立ち上げて、安全への思い込みこそがスリーマイル島事故の最大の原因であったという報告書をまとめておりますが、思い込みと秘密主義こそが今回の重大な事態をもたらした要因だと思います。

 最後に、田中委員長、私は、東京電力会長の出席を求めて、福島原発事故の解明と、放射能汚染による国民生活の危機、計画停電など電気事業法に係る問題の委員会としての集中的な審議を行うように、参考人として会長の出席を求めて、やることをお願いしたいと思うんですが、どうですか。

田中委員長 理事会で検討させていただきます。

吉井委員 それでは、時間が参りましたので。

 この間求めてまいりました基本的なデータをやはり全国民に公表する、公開することこそが最大の対応策ですから、このことを重ねて訴えて、時間が参りましたので質問を終わります。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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