衆議院

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第5号 平成23年4月20日(水曜日)

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平成二十三年四月二十日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 北神 圭朗君 理事 楠田 大蔵君

   理事 後藤  斎君 理事 近藤 洋介君

   理事 谷畑  孝君 理事 西村 康稔君

   理事 佐藤 茂樹君

      阿知波吉信君    緒方林太郎君

      大山 昌宏君    川口  博君

      川島智太郎君    櫛渕 万里君

      熊田 篤嗣君    斉木 武志君

      斎藤やすのり君    柴橋 正直君

      白石 洋一君    杉本かずみ君

      田嶋  要君    平  智之君

      高松 和夫君    中山 義活君

      橋本  勉君    花咲 宏基君

      山本 剛正君    吉田おさむ君

      梶山 弘志君    齋藤  健君

      高市 早苗君    竹本 直一君

      西野あきら君    額賀福志郎君

      望月 義夫君    稲津  久君

      吉井 英勝君    柿澤 未途君

      山内 康一君

    …………………………………

   経済産業大臣       海江田万里君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房政策評価審議官)       田中  敏君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       小栗 邦夫君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    高原 一郎君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長代理)          久木田 豊君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  木村たけつか君    大山 昌宏君

  平  智之君     阿知波吉信君

  梶山 弘志君     竹本 直一君

  橘 慶一郎君     齋藤  健君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     平  智之君

  大山 昌宏君     木村たけつか君

  齋藤  健君     橘 慶一郎君

  竹本 直一君     梶山 弘志君

  柿澤 未途君     山内 康一君

    ―――――――――――――

四月十九日

 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長代理久木田豊君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として文部科学省大臣官房政策評価審議官田中敏君、農林水産省大臣官房技術総括審議官小栗邦夫君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君及び中小企業庁長官高原一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊田篤嗣君。

熊田委員 おはようございます。衆議院の熊田篤嗣でございます。よろしくお願いいたします。

 まずは、このたびの東日本大震災で犠牲になられた方々、また、被災され、今なお厳しい状況に置かれている皆様に心からお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。また、被災地の復旧復興に当たっておられる自衛隊、警察、消防、さらにはボランティアなど、多くの方々、そして福島第一原発の安定化に向け最前線で取り組みを続けている作業員の皆様に心から敬意を表したいと思います。

 本日は、経済産業の基本施策に関する件ということでありますが、ただいまこの日本経済に大きく影を落とす原発問題を中心にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 福島第一原発への対応は、日本じゅうどころか世界じゅうの耳目を集めております。この対応が日本経済の今後に大きな影響を与えることは異論がないところであり、一刻も早い安定化が求められております。そこで、今後の対策へ生かしていくためにも、現時点までの経緯を確認させていただきながら、話を進めさせていただきたいと思います。

 まず冒頭、米国との連携についてでございますが、今回の事故は、諸外国との協力、アメリカ、フランスなどとの連携が非常に重要な要素だと考えております。緊密な連携のもと作業を進めていかなければならないからこそ、その初動のところについて確認をさせていただきたいと思います。

 三月十一日十四時四十六分に地震が発生し、その後、十五時四十二分には一から四号機の電源が喪失。これを受け、政府は、十九時三分には原子力災害対策特別措置法に基づく原子力緊急事態宣言を発令し、十二日午前零時過ぎには菅総理とオバマ大統領との電話会談を行い、大統領から、可能なあらゆる支援をしたいという申し出を受けるなど、速やかな対応をされました。しかし一方で、十二日の十五時三十六分には一号機、そして十四日十一時一分には三号機の原子炉建屋で水素爆発が続くなど、大変厳しい状況が進行いたしました。

 この間、米国政府が日本政府に具体的な支援の申し出を行いながら、日本政府の反応の鈍さが事態の深刻化につながったという御意見もございました。前回の四月六日の委員会で西村委員が質問されておりまして、それに大臣もお答えをされておりますが、改めてお伺いしたいと思いますのが米軍との関係でございます。

 当時、大臣は、米軍のオファーを断ったということは全くないというお話をされ、それを受け、十五日にポンプ車が横田に着き、十八日にはオペレーションを開始している、そういった意味で「決して遅かったということは当たらない」というようにお答えをされています。これが四月六日の委員会でございます。

 しかし、これは報道ではございますが、その後、十日の読売新聞で、米国政府は「「当初、原子炉冷却用のポンプ車の提供を申し入れたが、いらないと断られた。しかし、その後使うことになった」と証言する。」という記事がございました。大臣の発言の後にもこういった報道が出るということは、私は、そういった意味で改めてこの事実関係をここで確認させていただきたいと思っております。

 ポンプ車の提供を受けていれば事態が根本的に変わったかどうかというところの判断はわかりませんが、これがうまく連携しているかどうかの非常に大きな部分ではないかというように思いますので、改めて大臣のお答えをいただけないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

海江田国務大臣 熊田委員にお答えをいたします。

 まず、その十日の読売新聞の記事でございますが、そこで言うポンプ車というのが、私がせんだって六日の当委員会で答弁をいたしました消防車と同一のものであるかどうかはわかりません。

 ただ、私が聞いておりますのは、事件が発災しましたその当日、米側から、これは在京大使館の首席公使から外務省の北米局長に対して、とにかくアメリカはできることは何でもやるから、どうぞ一緒に協力しましょうという申し出を受けたということで、それを受けましてから日米の協力が始まりました。

 それで、十三日の日曜日に、アメリカのレスキューチームとともに、原子力規制委員会、NRCの専門家が三沢基地に到着をしております。そして、横田基地には、せんだっての当委員会でお話をしました消防車がやってまいりました。その横田基地で放水の、これは実際にそのオペレーションをやりますのは日本人でありますから、日本人に対するアメリカの消防車のオペレーションの訓練と申しますか、これに日にちがかかりまして、最終的に現場に到着をしましたのは十八日。この日は、たしか前日ぐらいから放水を始めていたと思うんですが、警視庁の放水、自衛隊の放水、この自衛隊の放水と一緒の車列の中に入って、米軍の車を使って日本人のオペレーターが、これは東電関係者でありますが、放水をしたということであります。

 それから、その後の経緯については、よく皆さん御存じのとおり、特に熊田委員もよく御存じだろうと思いますけれども、米軍の無人の偵察機でありますグローバルホークが大変貴重な映像を提供してくれまして、今のこの原子炉との闘いに大変大きな役割を占めているということでございます。

熊田委員 ありがとうございます。

 事実関係はいろいろなところで何度も確認されておると思いますが、ともかくこの原発との闘いは、日米あるいは日仏が連携をした上で進めなければならないと思っておりますので、今後とも、緊密な連携のもと、事態収束への対応を進めていただくことを改めてお願いをさせていただきたいと思います。

 続いて、今後の対応ということで、これこそがまさしく一番大事なところであると思うので、ぜひともお伺いをさせていただきたいと思います。

 十七日に、東電が、福島第一原発事故収束に向けた作業を二段階で実施する工程表を発表されました。ステップ一で原子炉の冷却と放射線量の着実な減少、ステップ二で原子炉の冷温停止と大幅な放射線量抑制というように認識をしておりますが、大体これで六カ月から九カ月かかるというように発表されておりました。これが長いか短いかはいろいろな御判断があると思いますが、こうした具体的な数字が示されたということは非常に大きな意義があることだと思っております。

 ただ、一方で、これは、今二十キロあるいは三十キロ圏内の避難者の方々、あるいは周辺で農業、漁業を営まれている方々にとっては、単に九カ月という数字ということではなく、本当に生活に直結した死活問題とも言える大きな意味を持つものではないかと思います。

 その工程表に関して、東電の勝俣会長は、「一〇〇%絶対というものはないが、目標は何とか達成したい」と述べておりますが、これは厳しい状況に置かれた方々にとっては本当に切実な問題でございますので、そこのところを踏まえてぜひお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回、この工程表は、四月十二日に菅総理が東電に策定を指示したものだと聞いております。その点からしても、単にひとり東電だけの課題に帰するものではないと思うわけでございますが、この工程表の策定を指示された後、十七日に発表されるまでの中での議論の経過、あるいは、指示後、これは発表したわけでございますが、経過と同時に、政府とどのようなやりとりがあったのかというところを、特に具体的にお示しをしていただけないでしょうか。お願いいたします。

海江田国務大臣 この工程表でございますが、これは、多くの地元住民の方々、あるいは国民の世論と申しますか、あるいは外国からも、やはり何らかのロードマップを作成すべきではないだろうかという意見がございまして、実は、東京電力の内部でもあらあらの準備と申しますか、そういうものはしていたようであります。それに最終的に後押しをしたといいますか、早く発表しなければいけないなという契機になりましたのが総理の発言でありまして、その総理の発言を受けて、できるだけ早くということで、その意味では総理の発言を受けて五日目ぐらいですか、ああいう形での発表になったということでございます。

 私も、それをつくる過程で、統合本部でございますので、種々相談を受けたり意見を求められたことがございます。

 細かなことについてはいろいろございますが、私が一番気にしましたこと、そして今でも気にしておりますことは、あれだけの、全部で対策が六十四ですか、具体的な対策が六十四ございます、この六十四を実際に実行するためには、まず一つは、大変多くの作業員、要員、人手が要るということであります。果たしてその人繰りが本当にできているのかどうなのか。私も現地に行ってまいりましたけれども、もう本当に疲労こんぱい、そしてその作業員たちの福利厚生というものも十分でありませんから、その人繰りができているのかということが一つの大きな懸念でありまして、そのことは指摘をしまして、今も指摘をしております。

 それからもう一つは、物資と申しますか、資材と申しますか、機器類と申しますか、これがきちっと準備できているのかということでございます。それこそ日常的なところで言いますと、防護服でありますとか、線量をはかります測定の器械でありますとか、そういうものが本当にきちっと行き渡っているのかどうなのか。

 一日に千人とまではいきませんけれども、五百人近い方たちが動き回るわけでありまして、そして、その人たちは一日一つの防護服を着ていればいいというものではありませんで、出入りのときに着がえたりしますから、すぐに一日に千枚ぐらい防護服が必要になってしまうわけで、そういう蓄積が十分あるのか。その他のセメントにしろ、その他の資材にしろパイプにしろ、そういうものが十分あるのか。

 あるいは、これからいよいよ、今汚染水が問題になっておりまして、これを、二号炉の大変汚染された水を集中ラドというところに移すわけでありますけれども、それをただ移すだけじゃなくて、除染をしてから移すということで、その除染の機材はフランスが提供してくれる、提供してくれるといいましても無償ではありませんで、もちろん有償でございますが、海外からそういう機材を持ってくるときにどのくらいの日にちがかかるんだろうか、そんなようなことも私は大変危惧をしております。それから、その万全の準備に当たるようにということをこれまでも伝えてまいりました。

熊田委員 今大臣の御答弁にもありましたように、要員が本当にできているか、あるいは資材の準備がどうかを含めて、さまざまな危惧があることを伝えていらっしゃるということでございましたが、この工程表がそのまま進むかどうかというのは大変重要なことでございますし、本当に、先ほど申し上げたとおり、東電として主体性を持つものなのか、あるいは政府としても関与をこういった形でし続けるものなのか、言いかえれば、政府としてのプランでもあるのか、そういった位置づけのところも非常に意味を持つものではないかと思いますが、この工程表の位置づけというものもぜひお答えをいただけないでしょうか。

海江田国務大臣 これは本当に、あくまでも作業をやります主体は東京電力ですから、その意味で東京電力がまとめてああいう形で発表していただいたということでございます。

 私どもは、先ほどお話をしたように全面的にバックアップをする責務がございます。それと同時に、ああいう形で発表されたわけでありますから、工程がどういう形で進んでいるのかということをチェックをする、そして、その作業が作業員などの安全につながっているかということもしっかりと見ていかなければいけないと思っております。

熊田委員 ありがとうございます。工程表の着実な進展をまた改めてお願いをさせていただきたいと思います。

 そして、その中で、先ほど大臣の御答弁にもございましたが、汚染水というのが非常に大きなテーマになってくるのではないか。特に今回の原発対応がなかなか進展しない大きな要因は汚染水だと思っておりますが、当初六万トンと言われていたのが、実は六万七千五百トンあったということが判明したというように、量がふえています。

 一方で、仮設タンクが二万七千トンですとか、集中廃棄物処理施設が三万トン、いろいろと工夫をして施設は準備をされていると思いますが、一方で注水も続いている。こういった中で、本当にこれが六万七千五百で済むのかといえば、ここも大きな疑問があるところだと思います。

 一方で、フランスのアレバ社の、お話があったところは、五月末から除染システムが稼働するというように聞いておりますが、そこまではまだ一月余りの時間がありますし、これが稼働しても、処理能力は毎時五十トンと聞いておりますので、毎時五十トンであれば、二十四時間稼働しても今の六万七千五百トンでさえ五十五日かかる計算になるのではないか。

 そういった意味で、今後またふえる可能性なども含めて今の汚染水対策で本当に十分なのか、さらに対策として考えていることはあるのか、ここが今後スムーズに進むかどうかを分けるところだと思いますので、ぜひ具体的に教えていただければと思います。

海江田国務大臣 まず、それだけの汚染水が大量に発生をしたということには二つ理由があろうかと思います。

 一つは、津波による冠水と申しますか、特に、昨日、四号炉のタービン建屋の地下におよそ五メーターぐらいの水がたまっているということが明らかになりましたが、あれは恐らくこの津波によるものではないだろうかというふうに推測されております。

 それからもう一つは、まず炉を冷やさなければいけない、これは鉄則でございますので、そのために、先ほどお話をしました放水を随分行いました。最初は海水でございましたけれども、淡水に置きかえてそれをやった。本来でしたら、健全に原子炉が機能していれば、それが循環をしまして、復水器へ行って除熱をして、それがまたこの原子炉を冷やす水に使われるという形で循環をしていたわけですが、その循環が途切れましたので、そこで放水をした水がこの炉の中にたまるとか建屋の中にたまる。こういうことがありまして、この二つの水があろうかと思います。

 当然のことながら、津波によって来た海水などは濃度はさほど高くない。もちろん、放射性物質を含んではおりますけれども、濃度は高くない。しかし、放水などによりまして出てきた水はかなり濃度が高いのではないだろうかということでございますので、まず濃度の高い水の処理というものが大切でございます。

 その場合、今、集中ラドと申しておりますけれども、これは比較的汚染の低いさまざまなもの、先ほどお話がありました防護服などは一度脱いだら使い捨てでございますから、そういうものを集めて焼却するための建屋でございますが、濃度の高い汚染水というのは、どちらかといえばタンクに貯蔵するよりも建屋の中に入れた方が、しかも、その建屋を止水して、あるいはしっかりと密閉性を保ってその中に入れた方がいいというのは一つの考え方であります。

 ですから、比較的汚染度の低い、そういうさまざまな汚染されたものを入れる建屋を、防水作業、止水作業をしっかりとやって、密閉作業をしっかりやって、これがやっと完成して、きのうの午前十時八分から始まったところでありますが、これだけでは足りませんので、建屋のほかに、そういう形で追加工事をやって置けるものがあるかどうかというところを探しているところであります。幾つか目鼻もつけているようでありますが、そういう工事を急ぐ。もちろん、それだけでは足りませんから、おっしゃるようなタンクを大量に、しかも、できるだけ密閉させて、あるいは地下に埋めてという形でそろえる。

 いずれにしましても、汚染度の高い水が、途中で除染作業をやってということで、今私どもが考えております一番大きな課題であろう、そういう認識は持ってございます。

熊田委員 ありがとうございます。次々といろいろな問題、課題が出てきている今の福島第一原発でございますので、これで十分ということではなく、先手先手を打ちながら十二分、十三分な対応をぜひともお願いしたいと思います。そういった中で、一刻も早い復旧、安定化へとつなげていただくことを重ねてお願いさせていただきたいと思います。

 ここまでは福島原発のことを尋ねさせていただきましたが、こういったことも含めて、特に東電管内がそうだと思いますが、今、電力需要が、大変逼迫しているというような状況になっております。

 計画停電などもさまざまなところで言われてきておったところだと思いますが、先日十五日の東電の発表で、七月末の供給能力が五千二百万キロワットまでめどがついたと。一方で、昨年の実績でいえば、東電管内では五千九百九十九万キロワット電力需要があったということで、五千二百万までいってもまだ一五%節電をしなければ届かない。計画停電は回避して総量規制という形になろうかと思いますが、そういったお話をしておられたと思います。

 きょうの日経新聞で海江田大臣が載っておりましたが、それでも何とか少しでも大口への節電の協力と、これを回避したいというような話が出ておりました。しかし、一方で厳しい現状であるということは変わりはない中で、計画停電を回避していった場合、何とか皆さんの節電努力でこの状況がクリアできればいいわけですけれども、万々が一の場合、どういった対応を考えていらっしゃるのか。

 あってはならないとは思いますが、大規模停電につながる危険はないものかどうかということも含めてどの程度の認識で今進められていらっしゃるのか、あるいは今回の電力供給能力の低下によって、日本のGDPに対してどれくらいの影響があったのかということもあわせてお答えいただけたらと思います。

海江田国務大臣 この夏の電力の需給の問題でございます。

 一番電力需要がピークなときは、その年の夏が酷暑であるとか冷夏であるとかいろいろございますが、昨年などを例にとりますと、これはかなりの酷暑でございましたけれども、これでおよそ千五百万キロワットの需給のアンバランスがございます。供給がそれだけ足りないということでございますが、そのうち、東京電力がこの間特に火力をフル稼働させるということでありますが、五百万キロワットは何とか目鼻がついたということでございました。

 目鼻はつきましたけれども、さらにもう一頑張りできないかということで、さらに精査したものを、今週の末と言っておりますが、きょうは水曜日ですか、木曜日ですか、ちょっと何曜日かわからなくなりましたけれども、あと数日、この上さらにどのくらいの上乗せが出てくるかということを見守りたいと思っております。

 その上で、先ほど計画停電のお話もございましたが、計画停電は、もちろん制度としては残っております。制度としては残っておりますが、実際に発動されたのは、たしか十四日ではないですか。ただ、いろいろな御批判もありましたので、今は実施をしないのが常態である、原則実施しませんよということに切りかえをしております。原則実施から、不実施が原則であるということに切りかえをしております。制度はそのままこれからも残りますが。

 むしろこれからの時期は、これは大口の需要者の方々、中小の需要者の方々、それから家庭の方々、こういう方々にそれぞれ節電をお願いしようじゃないかということで、政府の電力需給の対策本部で、これは官房長官が本部長でありますけれども、私も副本部長という形で出ておりますが、大口、中小、家庭というものを、それぞれ二五%程度、二〇%程度、あるいは一五から二〇%程度という一つの目標を掲げさせていただきました。その目標は、需給のギャップが一千五百万キロワットあるということでございましたので、少なくとも五百万キロワットは手配がついて、そして、今週末の数字を待たなきゃいけませんが、恐らくここも見直しになるであろうということであります。

 ただ、何分これは油断をするといけませんので、特に家庭などではしっかりと節電に努めていただきたいということです。

 この間のおおよそ一月余りのうち、実際に計画停電をやりましたのは十四日でございますが、これがGDPに与える影響、もちろんマイナスの影響でございますが、この数字がどうなっておるかということは、残念ながらまだ確定していないのではないだろうかというふうに思っております。

熊田委員 ありがとうございます。

 計画停電を含め、節電、そして電力の安定供給、これは国民生活にとって本当に重要なというか、一番根本に当たるところでございますので、ぜひこれからも細心の注意を払いながら進めていただきたいと思っております。

 時間が大分迫ってまいりましたので、安定供給にかかわることでどうしても一つお伺いをしたいところがございます。

 今回、福島原発はああいった事態に至ったわけでございますが、まだ日本では五十四基の原発のうち、震災で十四基が停止中、二十六基が現在運転中で、十四基がメンテナンス中というように私の把握では確認をしておりますが、これからの電力安定供給のために、将来的な原子力政策云々はまた別の機会に譲るとして、この二十六機が安定して動いていかなければ電力の安定供給というのは非常に難しい状態にあると思います。

 しかし一方で、例えば、特によく言われているのは浜岡原発でございますが、東海地震の震源域にある。そういった中で第二の福島第一原発をつくってはならないというのは、これから生活、そして経済の安心の上でも非常に重要なところだと考えます。

 例えば浜岡でいえば、一号炉、二号炉は今廃炉の手続に入っておりますが、三、四、五号炉は、六百ガルから耐震強化をして一千ガルの対応へと強化をし終わったと聞いています。そして、一方で防波壁ということで十二メーターのものをつくると中部電力も発表されておりますが、地震はいつあるかわかりません。極端な話、きょう、あす、あってもおかしくないわけでございます。そして、一千ガルということではございますが、地震においては、日本の過去最大の値でいえば四千ガルという数値が記録されたこともあるというように聞いております。そういった意味で、どんなに対策をしても、それを超える自然災害というのは、今回も想定外という言葉が大変躍りましたが、起こり得るのではないかということは常に念頭に置かなければならない。

 そういった場合、電源喪失などなども含めて、既存の動いている原発への対応というのは早急になさなければならないと思っておりますが、今発表されている分の対策で本当に十二分なのか、あるいはさらなる対応策を考えているのか、特に国民の皆様は、今、原発の安心、安全ということに対しては高い関心を持っていらっしゃると思いますので、そのところを、ぜひ方針をお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 本当に、今、多くの国民が原子力発電所の安全性を、これまでは安全神話というものがございましたけれども、今やその神話は打ち砕かれてしまったという現実がございますから、その意味では多くの皆様が心配をしておられる。

 抜本的な安全強化策については、もう少し時間を経て、そこで明らかになるものだと思っておりますが、今の時点で少なくともわかりましたことは、一つは電源が落ちてしまったということが大変大きな問題になりました。電源が落ちてしまったその理由というのは、もちろん地震や津波でございますけれども、これまで外部電源が切れましたら、緊急用としてディーゼルの発電がありますから緊急のディーゼルで、そしてそれがだめになったときには消防車のポンプ車という形で三重の備えが一応あったわけでございますが、そこがだめになりましたので、やはりまず電源をしっかりしなければいけないということです。

 特に、三月三十日に政府が緊急の安全対策、その追加として四月の九日、それから十五日、この三次にわたって対策を示しまして、その結果、浜岡では、やはり電源車の数が足りないんじゃないかということで、今、新たに九台までは手配をしたということは聞いております。

 それから、外部の電源も、一つの系統からとるだけじゃなくて二つの系統からとりなさいよということで、今は電源対策を進めておりますが、今後明らかになります地震、津波による原子力発電所の被害の状況、あるいは原因をよく調べて、さらなる強化策をとっていきたいと思っております。

熊田委員 ありがとうございました。

田中委員長 次に、竹本直一君。

竹本委員 おはようございます。自民党衆議院議員竹本直一でございます。

 海江田大臣、連日御苦労さまです。久しぶりに経済産業委員会に出席させていただきました。また、質問の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。

 私も、この政治の世界に入って十五、六年になるんですけれども、最初のスタートは商工委員会でありまして、委員長ともずっと御一緒させていただいたわけであります。したがいまして、せっかくの機会ですから、災害のこともさることながら、ほかの大きい問題についてもぜひ大臣といろいろ議論をしたいという希望を持っておりますが、何といっても、今は災害が一番大事な喫緊の課題であります。これについての質問を幾つかさせていただきたいと思います。

 実は、先般、私も東北を、ずっと被災地を見てまいりました。特に印象的だったのは宮城でして、海岸べりは石巻初めいろいろなところで大災害でありますけれども、十キロほど内陸に入ると、仙台市内は全く通常の、東京や大阪と変わらないような状況であります。すごい差でありまして、天国と地獄というのか、自然災害の恐ろしさをつくづく感じたわけであります。

 さて、それに対する対策なんですが、今回政府がやっておられる対策を見ておりまして、なぜこういうことをやらないのかなという疑問があります。

 経験者として、幾つかの災害を行政で私もやりました。阪神・淡路もそうですが、三原山の噴火災害、いろいろありましたけれども、一つは、災害が起こって一週間ぐらいたってもまだ水がない、寒い、着るものがない、毛布がない、こういう声があちこちで聞こえました。私にも何人か知り合いの市会議員とか町会議員がおりますので、よくそういう話をもらったんですけれども、何でそんなことになるのかなというのが私の率直な印象でありました。

 通常ですと、例えば阪神・淡路のときでも、まあ、一日や一日半置けば十分そういうものはあったはずであります。都会だからということもあるかもしれませんが、これは田舎でありました伊豆大島でも同じことであります。日本は狭い国だし、そういう必需品を運ぶことはすぐできるはずであります。

 一つの行政システムとして、災対法で中央防災会議というのを必ず開くことになっております。今回は余りそういう話を聞かない、やっておられないようでございますけれども、なぜそういうことをやらなかったのかなという疑問であります。つまり、全省庁を一堂に集めて担当の事項について全部報告させて、必要なものをすぐ指示して現場へ持っていかせる、これをやれば、少なくとも食べるものがない、水がないということは相当程度防げたのではないか。

 もちろん、現地の対応が、役場が全部流されたなど、なかなか能力が低下しておったということはあるかもしれませんが、そこは県庁から職員を派遣するなりして、全国から行政関係の職員も行っているわけですから、何か対応できたんじゃないかとちょっと残念な感じがするのが一つ。

 それからもう一つ。菅さんも一生懸命やっておられるわけで、私は別に悪いところを探すつもりは全くないんですが、原発被害が起こった翌日、ヘリだったようですけれども、現地へ行かれました。現地の原発対応の職員が総理を迎えるというために、火消しの作業が手抜かったというか、余り進まなかったという話を聞いております。恐らくそうなんだろうと思います。総理に万が一のことがあって、被曝されるというようなことがあれば大変であります。

 ですから、これも、現場へ行けば非常に被災民は喜んでくれるだろうという気持ちで行かれたのかもしれませんけれども、日本の国は世界に冠たる先進国であります。先進国と途上国の違いは何かというと、末端の役場機能、行政機能が十分充実しているわけですね。ですから、災害が起こった場合、現場の、役場の職員、市役所の職員がきっちりと対応することによって、即座の対応が大体できるわけです。そこが先進国であり、片や途上国は、アフリカの諸国とかフィリピンなんかもそうだと思いますけれども、そういう機能が余り充実していないから、大統領とかいうのが現地へ行って、国民の、被災民の大歓待を受けて、安堵感を持つというのがあるわけです。

 そこが日本は、行政機能が非常に充実した国だから、一応全部役所を使って、役所にやらせて、一定の、片づいてから御慰問に行かれた方がいいのではないかなというふうに思います。三原山の噴火のときも、一カ月近くたってから、今の天皇皇后両陛下に大田区の公民館に行っていただきました。

 そんなことを考えますと、やはり先進国と途上国というのは災害時の被災民を慰めるタイミングが少し違うんだということを、我々経験者に相談していただければ少しそういう意見を申し上げたのにな、このように思うわけであります。

 さて、長くいろいろ言いましたけれども、今回の災害で、私はやはり、仕事を失ったり被災された方々がこれからどうするのかと非常に心配であります。そこで、経産委員会でありますから、中小企業対策をどうしておられるのか。まだ正式に決まった予算ではありませんけれども、第一次補正予算の中で、伝えられるところによりますと、中小企業の資金繰り対策で〇・五兆円、被災中小企業の復興支援対策二百十億円、ライフライン維持に必要な対策費として百四十億円、計画停電関係百八十億円、こんな話を聞いております。

 この中で一つ、これはいいなと私が思いましたのは、セーフティーネット保証五号のところですけれども、これを全業種に広げられたことは非常に有効な対策ではないかというふうに思います。

 しかし、一番必要なのは、これだけ被害を受けて全部失っているわけですから、もう一度同じ仕事をやろうと思うかどうかですね。もう転業しようとか廃業しようとか、あるいはほかの地域へ移り住もうか、そう思われている方は結構おられるんじゃないか。だから、やはり再出発をやる気にさせられるようなことをやっていかなきゃいけないのではないかなというふうに思います。こういった環境づくりのために政府として特にこれに力を入れているというものがあれば、そのことについて大臣の考えを聞きたいんです。

 特に、このセーフティーネット保証の五号は運用が大事だと思います。今までこの制度が利用されて、我々もいろいろな相談を受けたことがありますが、ほとんど実現したことはありません。余りにも細かいことをおっしゃる。中小企業が全部いいとは私は言いません、いろいろな問題を抱えているのはたくさんおられます。それは事実です。だけれども、相談を受けて紹介してもほとんど実現しない、これが現実なんですね。

 だから、そういう中で、今回被災された人たちに対しては特にこういうことに配慮するというような考えがあるのならば、ぜひ大臣からお聞きしたいと思います。

海江田国務大臣 竹本委員にお答えいたします。

 まず冒頭、竹本委員から大変貴重な提言といいますか、お考えを二点にわたってお聞かせいただきまして、ありがとうございました。

 竹本委員も今、自民党のシャドーキャビネットですか、大層大切な役割を果たしていらっしゃいますので、本当にそういう立場からの御提言だっただろうと思っております。

 その上で、ぜひひとつ御理解をいただきたいのは、先ほどの対策本部の問題もそうでございます、先生の御指摘はそういうことではありませんでしたけれども、対策本部が多いんじゃないだろうかというような御指摘もいろいろなところでいただいておりますが、今私どもが向かい合っております危機あるいは災害というものは二つございますね。一つは、地震と津波による本当に大きな被害、もう一つは、まさに現に進行中であります原子力の災害、この二つがありますので、その二つに向き合っていかなければいけないという困難性があることはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 その上で、各種の方策をとらなければいけないわけでございますが、特に五号保証のことで御評価をいただきました。セーフティーネット五号保証というのは、実は、今回、三月三十一日で終わるということについても随分いろいろな御意見がありました。特に野党の方々からいろいろな御意見をいただきました。

 そこで、当初の案では、新しい年度に入りましても、上半期は、全くなくしてしまうのではなくて、少し残そうではないかという話があったわけでございますが、今回このような大災害になりましたので、これはもう全部、八十二の業種に戻して引き続き行うということ。

 それから、委員御指摘のありました、その際の書類の審査などですね。これがほとんど、帳簿類それから書類、特に津波の被害に遭った方々というのは全部失われております。それから、原発でも、二十キロの範囲内へ入ってしまった方々はそういうものもとりに行けないという状況ですから、そういうことについては、制度自体は昨年からの制度が引き続くわけでありますが、その手続等については大幅に緩和をしなければいけないという認識を持っております。

 あと、個々細かな御説明をやると、ちょっと時間をとってしまって申しわけありませんが、私どもは、特に中小企業対策ということでは、日本公庫などの災害復旧貸し付けあるいは災害関連保証に全力を尽くしていきたいと思っておりまして、この保証も一〇〇%保証でありますし、貸し付けはできるだけ金利をゼロに近づけたい、そのように考えております。

 予算の額は先ほど御指摘いただいたとおりでございますが、保証なども入っておりますので、予算は第一次のところではあの程度に抑えているということでございます。また必要があれば、第二次でもしっかりと手当てをしていくつもりでございます。

竹本委員 補正予算の中に燃料安定供給に関する箇所があるんですけれども、燃料の供給状況はどうなのか。一時、油がない、油がないと、最初の一週間、二週間ぐらいは騒がれましたけれども。

 聞くところによると、油槽所が被災しているところが結構あるということも聞きますし、複数の企業が一つの油槽所から油をとっているということも聞きます。SSの数も恐らく相当少なくなっているのではないかと思いますが、エネルギーがないと動けないものですから、被災地で体育館に入っている方も、この間、何か物資を持っていったときに聞いたんですけれども、車がないから動けないんです、役場へも行けないんだと言っておられました。

 この油の供給状況というのはどういうふうに見ておられますか。

田嶋大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、地震、津波発生以来、この問題が大変大きくなりまして、少し過去を振り返って御報告いたしますが、製油所と油槽所に関しまして被災が大きく、かつ、交通網の分断やタンクローリーの流失など、石油製品の安定供給が大変困難になりました。最悪期で七割ぐらいの供給能力まで落ち込んだわけでございます。特に、東北の仙台製油所が東北地方への出荷量の四二%を占めておりますが、これが被災をしたということ、それから、塩釜の油槽所は東北地方への出荷量の一一%でございますが、これも被災したということが供給側では大変大きな状況でございました。

 その後、三月の十七日に復旧にかかわる包括的なプランを大臣から公表させていただきまして、その中には、タンクローリーを三百台、東北に投入する、あるいは拠点SSを指定する、こういったような具体策を示したところでございますが、転換は三月二十一日でございます。

 この三月二十一日に三つのことが起きました。一つは、民間備蓄義務の引き下げということを三月二十一日、合計二十五日分の引き下げになったわけでございます。二つ目は、先ほど申しました塩釜の油槽所機能が回復しました。そして三つ目が、JXの根岸の製油所、これも復旧したのが同じ二十一日でございます。そのほか、仮設ミニSSの実施などを行いまして、そこから徐々に状況が回復をし、末端まで行き渡るような努力を続けてきた次第でございます。

 七割まで落ち込みました精製能力は、現時点では震災前の九割まで回復をしてございますが、冒頭申しました仙台の製油所はまだ回復はしていない状況でございます。しかし、いろいろな手段を講じながら、東北全体の需要量三・八万キロリットルに対して三・四万キロリットルの供給までは現在確保している状況でございます。

 以上です。

竹本委員 少し細かい話に入りますが、三月の二十四日と記憶しているんですけれども、三号機のタービン建屋の地下にケーブル作業で三人の方が入られて、それで被曝をされました。

 それで、私は雑誌や新聞で読むしかないんですが、この人たちに作業計画が十分徹底されていなかった。三人のうちの一人は、長靴を履いていなかったのか、何かそんな話もあります。そのことはともかくとしまして、入られた方は、非常に危険な作業でしょう、そこは東電の社員かなと思ったら、違うんですよね。みんな下請社員なんですよ。

 私は、これだけの大災害、しかも人に迷惑をかけているときに、下請を使うのはいいですよ、だけれども、東電の社員が中へ入って、危険を承知の上でみんなと一緒に行くという姿勢が絶対に必要だと思うんです。何年か前に関電でも事故がありました。そのときもほとんどが下請だけだった。

 そうしますと、電力会社の人というのは、危険なことは人にやらせて、例えは悪いけれども、リビアのカダフィみたいに外国傭兵を使って自国民に対していろいろ、鉄砲を撃っているというわけですが、そうは言いませんが、ともかく、やはりみずから率先してやる人が東電社員にいるべきが本当ではないか。

 全部下請を使ってやらせているということが、今回、恐らくは事実以上に東京電力のことを悪く言われる原因をつくっているんではないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか、このことについて。

海江田国務大臣 その点につきましては私も常々心にかけておりますが、決して危険なところだから東電の社員が行かないということではありませんで、先ほどお話をしました建屋の中の水、実は、当初水が入っていないと思っていたようでありますね。あるいは、入っていましても、先ほどお話をしましたけれども、建屋の地下の水でございますので、津波のときの海水が主だろうということで、これはそのときの新聞発表にもありまして、私はちょっとびっくりしたんです。

 実は、線量計をつけておりましたけれども、線量計を専門に見ております、これは放管員というんだそうです。最初はどういう字を書くのかなと思っておりましたけれども、放射線管理要員とか放射線管理員とかいいまして、この人は、自分自身は作業をやるのではなくて、まさに放射線の管理をやっている専門の人ですね。放射線汚染が高いと思われる作業には必ず放管員が立ち会わなければいけないということで、放射線の放管員が立ち会っておりませんでしたから、私は、それはやはり立ち会うべきじゃないだろうかということを発言しました。そして、詳しい説明を聞きましたら、いや、実は、そこは放射線の濃度が高くないと思っていたから派遣しなかったんだ、こういう理由でございました。

 しかし、いずれにしろ建屋の中に入るわけでございますから、それはやはりきちっと放管員をつけるべきではなかったかと思っております。そういう認識がありましたから、決して、ここは危険なところだから社員が入らないということではないということはひとつ御理解をいただきたい。

 それから、日常的な原子力の運転をしていく中でも、いろいろな形で、協力社員の方々の存在というのも欠かすことのできない存在でございます。ただ、委員おっしゃりたいのは、やはりそういうときは真っ先にしっかりとした社員の方が入っていくべきだ、こういう御指摘であろうかと思いますから、そういう御指摘は現場の人たちも本当によくわかっていると思います。

竹本委員 もう一つ、三月十三日ですが、東電の清水社長が、この災害は想定を大きく超える津波であったという発言をしておられます。

 過去の歴史を見ると、八六九年に宮城県沖で地震があって、貞観地震というようですけれども、マグニチュード八・四。それで、このときは内陸に数キロ、水が流れ込んでおります。津波ですね。想定を超えたというんですから、では、どういう災害を想定しておられたのか。私が聞いたところによりますと、マグニチュード七・九ぐらいを想定しておったと。一千年前にそれよりでかいのがあるのに、マグニチュード七・九ですと、八・四と七・九を比べると、約六分の一の想定なんですよね。どうしてそういうことをされたのかな。

 もちろん、いろいろな見方はあるので、なかなか難しいところはあると思いますが、比較をすると、女川発電所のところは、今回、高いところに発電機があったから助かっているんですよね。片方で助かって片方で助かっていない、やはりそこに、ちょっと甘かったんじゃないかなという感じがする。

 それからもう一つ、私は素人ですが、岩手県のようなリアス式海岸のところだったら、二メートルの津波でも三十八メートルまで行くということはあるんですね、現実にあったし。だけれども、ああいう九十九里浜みたいな平たんなところだから、恐らく高くならないだろうと思ったんだと思うんですよ。それにしても、やはり十四メーター、五メーターと来ているんですから、タービンがあったのは五メーターぐらいの高さですかね、完全にのまれちゃっていますよね。

 女川が助かって、こちらは助かっていない。その差は、どうしてそうなったのか。予告していませんでしたので、もし、何か知識というか、御存じであれば教えてもらいたい。

海江田国務大臣 女川と福島第一との比較ももちろんあろうかと思いますが、私、福島第一と福島第二との違いもあろうかと思います。

 基本的には、原子力発電所がどのくらいの高さにあったかということが大きな違いでありまして、原子力発電所が低いところにありますと、先ほどお話をしましたバックアップするはずの電源車でありますとか、それからさらにバックアップするはずの消防車というんですか、そういうものの電源がすべて失われてしまったということになろうかと思いますので、地震だけじゃなくて、津波による電源喪失という、これが大変大きな原因になったんではないだろうか。

 福島などでは、ディーゼルの電源をしっかり密閉性のあるところに置いておいたようでありますから、やはり今後は、電源車を高いところに置いて津波から逃れるということも一つ。あともう一つは、そんなに高さが維持できないということであれば、低いところであってもいいですから、密閉性のある中にそういう電源を入れておくということも一つの考え方だというふうに思っております。

竹本委員 ちょっと視点を変えまして、今回、東京電力のことについて週刊誌等がいろいろなことを書いております。天下り先で癒着があるんじゃないかとかいうマスコミがおりますけれども、東京電力は、役員では一人しか天下りがないということで、調べてみましたら、石田前エネ庁長官がおられた。非常に優秀な人で、私もよく知っていますけれども。

 こういうことになりますと、経産省が監督が十分できていないんじゃないかという見方もありますし、なあなあでやっているんじゃないかと言う人もおります。本来はそうでないと私は確信しておりますけれども、そういう目で見られるのはいささか不本意だろうと思うし、たまたま聞いたら、この石田さんは東電をやめると言っておられるという話であります。

 ならば、この際、そういう監督、被監督の関係にあるところに対する天下りというのか就職は、こういう事件が起こりましたから一たん引いていただいて、その後、今後どうするかということについてはまた別途考えた方がいいのではないかと思いますが、いかがですか。

海江田国務大臣 具体的に、天下りの人がいたから、それによって審査が甘くなったとか検査が甘くなったということがあれば、これはもちろん大問題でございます。

 委員がおっしゃる、李下に冠を正さず、瓜田にくつを入れず、まさにその心がけだろうと思いまして、石田さんの件は、御本人が今月いっぱいでおやめになるということでございますので、そういうことになろうかと思います。

 それ以外の方々のことでございますが、経産省はいろいろな所掌がございますが、やはり今、原子力発電の安全性の問題が大変大きな問題になっておりますから、これは東京電力だけでありませんで、すべての電力事業者に対するいわゆる天下り、これを自粛しようじゃないかということで、まず当面、幹部職員ということに限定をしておりますが、幹部職員が、これから天下りといいますか再就職はやめよう、そして電力会社の方もそういうことを受け入れてくれるなということを、きのうですか、きのうの日付でその文書を出しました。

竹本委員 こういうことについては、私も役所出身なので、有能な人材は使ってほしいと思う方なんですけれども、ただ、昔鉄鋼が華やかなりしころ、鉄鋼会社の有名な某幹部の方が、通産省はうちの虎ノ門出張所だと、私にも直接言われたことがあるんです。だからうちへ来いという意味だったんだと思いますが。別に悪い意味ではないと思うけれども、そういう雰囲気になっておるのではないかという感じがしないでもない。

 だから、ここは襟を正して、きちっと監督しているということは、国民に対する姿勢においてもやらなきゃならないから、やはり天下りはこの際一たん引いた方がいいと私は思うわけであります。

 さて、原子力損害賠償補償契約に関する法律というのがございますが、ここでは、地震災害時の電力会社の賠償を免除または減免しております。今回、この法律が適用されるのかどうか、これをちょっとお聞きしたいと思います。

 私は、東京電力もそれ相応の補償を行うべきだと当然思いますし、政府の、菅さんもそうだったかな、枝野さんもそうだったか、第一義的責任は東京電力にあるということを言っておられます。

 これと比較して考えられるのが、最近の日本航空、JALでありますけれども、これは、経営が行き詰まり、給料を下げ、ボーナスもカットし、役員も減らし、そして大問題になりましたけれども年金も減らしました。やはり企業の責任というのは、株式会社で、いいときは利益を上げる、それが収入になるわけです。悪いときは、このように自己財産で責任を果たさなきゃいけない。これが企業の責任だと思います。

 今回の東京電力についてどうお考えになりますか。お答えをお願いしたいと思います。

海江田国務大臣 先ほどの委員に対する答弁で、石田さんがおやめになるということを表明したのは、きのうでありませんで、十八日、おとといだそうであります、細かいことですが。

 それから、今の東京電力の損害賠償の責任ですが、私も、やはり第一義的には東京電力にあろうと思っております、あると思っておりますので、その意味では、まず最初に襟を正さなければいけないのは、東京電力の、とりわけ役員の方々でありますから、役員の方々の報酬のカットというのは大胆にやっていただかなければいけないというふうに思っております。

 それから、東京電力というところは大変な、個人でいえば資産家というんですか、資産もたくさんございますから、もちろん、株などを売却するということを余り大々的に発表しますと、これは市場に与える影響もありますが、やはり広義のリストラというものは不可避でございます。それをやっていただかなければならないというふうに思っております。

 そこから先は、まさに賠償法の定めによりまして粛々と進めていかなければいけないということで、何か、新聞などではもう決まったような書きっぷりもありますが、まだこれからでございます。文部科学省が賠償紛争審査会もつくりました。第一回の会合も行われましたので、そこで、ガイドラインと申しますか基本的な考え方を示してもらって、そして、これからしっかりとその枠組みの中で賠償責任を果たしていきたいと思っております。

竹本委員 福島第一原子力発電所の一ないし四号機を廃炉にするとの方針が決まりました。

 ちょっと事実を申し上げますと、この事故が起こって二日後だったんですが、アメリカ系のGEの関係の原発のコンサルタントが来られまして、この炉はもうだめです、放射能が、割れて漏れたかわからないけれども、そういう状態だから廃炉にする以外ない、ぜひそのことを自民党から政府の方に言ってくれ、こういう陳情を受けまして、我々もその旨伝えたつもりだったんですが、とにかく予想もしないことが起こったわけですから、いろいろなことを、世界の英知を集めないと大変ですよということを言われました。結果としては、やはりそういうことでありまして、今は、アメリカ、フランス、いろいろなところから技術協力をもらっておるのは非常にいいことだと思います。

 今後どうなるのかということについて、まだ確定的には言えないのかもしれませんけれども、この地域に住んでいる、いた人たち、今後の生活の問題もあります。大まかなことで、ここは住めない、住めるとかいうようなことを言うと、またマスコミが無責任に、首相がいいかげんなことを言ったとか言いますけれども、事実は事実として、はっきりしていることはやはり言ってあげないと、余計な期待を持たせて最後に裏切るのでは意味がないというふうに思います。

 どうですか、最低限、ここはもう無理なら無理ということをある程度言う方が本当は政治の責任だと思うんですが、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 せんだって東京電力が取りまとめました工程表、ロードマップということで、二つの段階が出てまいりました。もちろんこれはまだ、東電自身が言っておりますように、一〇〇%それを実現できる自信はないということでございますが、ただ、私どもからすれば、やはりそれをぜひ実現してもらいたいという気持ちであります。そして、それを見ながら、避難の問題、そういう問題に対処していかなければいけないと思っております。

竹本委員 計画停電について質問いたします。

 先日、内閣府が発表しました被害額では、計画停電及び原子力発電所の事故等の影響が含まれておりません。原発の事故はまだ収束しておりませんから、これは別として、今回の計画停電によってどのくらいの経済的損失及び被害があったのか、答えられれば、概略でも結構ですから、こんな感じだということを言っていただければありがたいと思います。もちろん説明員で結構ですよ、どなたでも。

海江田国務大臣 委員はまさに自民党のキャビネットの経済財政なわけでございますから、わかったら教えていただきたいんですが。

 先ほど委員も御紹介いただいたように、内閣府の計算でもまだそれが出ていないということでありますので、今の時点ではまだわかりません。

 ただ、実際に発動になったのが十四日間ですか、何とか十四日で済ませることができましたので、まあ、どうなるかというのは、そういうことをもとに。ただ、実際に発動されたのはそれだけでも、自分のところはいつ来るかということがわからなくて、自分のところでまさに計画して、操業をやめたとかいうこともたくさんあるやに聞いております。

 ですから、もう少し時間がたって、そういうことも含めた、実際に停電が実施されたのとは別に、そういう情報があったのでやめたというところも含めて計算をしなければいけないなと思っております。

竹本委員 実際、例えば経産省が補助金を出して、いわゆるコークスでやっていた炉を、中小企業の場合ですよ、電炉に転換させているじゃないですか。そういった、ある意味では経産省の補助金をもらっているところからも苦情の電話が来て、せっかく電炉にしたのに、こんなにとめられてはたまらないと。しかも、前の日にならないと停電かどうかわからないというようなこととか、あるいは一たんとめると回復に一週間かかるような、チップとかそういうのはそのようですけれども、非常に問題があったようであります。

 そういう現実を耳にされたんでしょう、海江田大臣は、基本的には余りやらないというような趣旨の発言があったように聞いております。ぜひ、何とかもうちょっと知恵を絞って、計画停電をやらなくても済むように。夏場は大変ですけれども、例えば、夏場は、電力をたくさん使う企業は二週間ぐらい休ませるとか、そういう協力をしてもらうとかいうような要請を各産業にして、夏場は何とか停電のないようにさせることが大事なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 先ほども答弁でお答えをいたしましたけれども、まさに夏場が一番需給のギャップが開くところでありますので、それは大口の需要家の方々、中小の需要家の方々、あるいは家庭の方々にそれぞれ節電のお願いをしなければなりません。一応の目標値を、せんだって、電力の需給対策の本部がございます、枝野官房長官が本部長で、私が本部長代理をやっておりますが、そこでも議論をしまして、まず大口のところが一番厳しい枠が今はまっておりますので、これから東京電力がもう少し精査した供給量を出してくれば、ではそのときにその数字をどういうふうにしようかというようなことも考えているところであります。

 いずれにしましても、計画停電は、制度だけは残念ながら残しますが、実際にはもう発動をしない、名存実亡、名だけは残して実際にはなくすということにしたいと思っております。

竹本委員 震災に対する質問はこれで終わりますが、今僕が気にしているのは、消費マインドが非常に冷え込んでいるということなんですよね。自粛ムードはいいんですけれども、もう一カ月以上たっているわけだから、災害のないところは平常どおりの経済活動ができるような雰囲気に全体として持っていった方がいいのではないか、このように思います。被災地の人を激励しに行くのに、余りうっとうしい顔をして行ったってしようがないわけでありますから、いろいろな意味で、日本経済のことも考え、また被災された人たちの気分も考えれば、そろそろ自粛ムードにある程度終止符を打つ時期に来ているのではないかと思いますが、どんなものですか。

田嶋大臣政務官 御指摘いただきました自粛ムードでございますが、おっしゃるとおりだというふうに思います。

 かなり前から、やはり自粛自粛ではまずいのではないかという声がいろいろな方面からございましたが、華美な催しは、被災者の思い、状況を配慮しながら控えるということは自然ではあるものの、自粛が過度に広がらないように、特に経済産業省がそういった状況から一歩踏み出すということが大事になろうかというふうに思ってございます。

 浅草のお祭りも中止とか、そのような話も聞いておりますけれども、そういったことを変えていくということで、既に一部の商工団体等には自粛見直しの動きがございまして、被災自治体からも、例えば、宮城県の村井知事から総理に対して面会、申し出がございました。そういったことで、自粛の見直しの働きかけの要望がある状況でございます。総理からも、せんだっても、過度な自粛に陥ることなく、できる限りふだんどおりの生活をしていただくことが重要であるという発言がございました。

 今後も、こうした自粛見直しが広がっていくことを期待したいと思いますし、経産省もその流れを積極的につくっていきたいというふうに思っております。

竹本委員 視点を変えまして、実はこれが海江田大臣と一番議論をしたかった点であります。

 私は、戦後日本の高度成長の枠組みをつくって知恵を授けたのは通産省だと思っておるんですね。やはりそれがあったからこそ、今日の日本の経済大国はでき上がったんです。いろいろ、官民癒着とはいいますけれども、日本のように資源のない国は、知恵を絞って、日本で一番有効に産業政策に手を打てることを考えないと、豊かな国と同じことをやっておったのではとても勝ち目がない。そういう意味で、私は、我々の先輩の足跡に対して尊敬の念を強く持っている人間なんです。

 そこで、去年の六月、民主党政権は成長戦略というのを発表されましたね。この間あの資料を読みましたら、新しい成長分野として五つぐらい挙げられておりました。その中の一つにインフラ輸出の関連があります。

 これは、実は私はもう数年前から、日本の今後生きる道はこれが非常に大きな柱になると思いまして、自民党内に海外インフラ推進議員連盟というのをつくりました。私が会長になっておりまして、佐藤ゆかりさんが今事務局長ですかね、そんなのをやっているんですが、ぜひこれをきちっと推進するように、現政府にも強くお願いをいたしたいというふうに思っております。

 今、国際収支を見ますと、去年で十七兆円ぐらい、一昨年が八兆円ぐらいだったですから、大きく成長しているといえば成長しているんですが、内訳を見ますと、恐らく貿易収支は五兆円ぐらいだと思うんですよ。十二兆円相当分が貿易外収支です。その中の一つにこのインフラ輸出があるわけで、ある種の技術輸出ですね。この額を大きくするにはどうすればいいかということであります。

 そういうことを考えているときに今回の原発事故が起こりました。世界には千八百ぐらいの原発案件があると言われておりますが、日本は原発の最先進国としてこれに挑戦すべきだなと思っていたやさきに福島の事故が起こりましたので、当分、ベトナムとかそういった国に対する原発の推進については、ちょっといい雰囲気ではないのかなとは思いますが、しかしながら、CO2を出さない原発は、今後、世界的に見てもどうしても必要なんだろうと思いますし、ここも手をとめるんじゃなくて、しっかりとした基礎的な準備というのはやっておく必要があるのではないかなというふうに思います。

 そこで、このインフラ輸出ですが、原発に限らず、競争相手が非常に出てきております。韓国は、二〇〇九年には四百六十三億ドル、海外プラント成約をやっております。日本の何と三倍なんですよね。日本が韓国にそこまで差をつけられることは、私は極めて残念で仕方がないわけです。

 ですから、こういった意味でいろいろな分野でインフラ輸出をやらなきゃいけないんですが、例えば鉄道のインフラなんですけれども、今回の地震で新幹線は事故を起こさなかったですよね。それで、何と、レールは曲がったらしいですね、それでも脱線せずにとまったんですね。乗っていた乗客に聞いたら、ジェットコースターに乗っているみたいな、そんな感じだったようです。よくぞとまったなと。

 この技術は世界にもっともっとPRしたらいいんだと思うんですよ。あの二百五十キロぐらいで走っているものがちゃんと脱線せずにとまるという技術はすごいと思いますし、また、言うまでもなく、きちっと定時にスタートして定時に着くという技術においては、これは、フランス、ドイツ、いろいろ競合相手はおりますけれども、圧倒的に日本が優勢を保っております。

 ただ、一番嫌なのはというか残念なのは、日本の新幹線技術をまねて中国や韓国が海外のこういう物件に応札をしていく、こういうことです。

 そこで、技術においては劣らないけれども、なぜなかなかとれないかというと、官民一体の体制が十分できていないというのが一つ。もう一つは、官民一体になるケースが多いんですけれども、ファイナンス条件が十分そろっていない、そこが問題だということで、今国会でJBIC法を改正して、それでいろいろな、先進国にもこういう案件についてJBICが融資、保証ができるようにいたします。一応衆議院は、本会議がまだかな、通って、いずれ成立するんでしょう。それが一つの支え役になるんですが、やはり経産大臣でおられるから、こういった大きい問題について、海江田さんは非常にこういうプロジェクトに詳しいですから、ぜひ国を代表して各国と交渉していただきたい。

 要するに、官と民の一体化というのは、外国は皆やっているんですよね。日本の場合は、えらく遠慮をして、官と民の峻別というのをやっていました。そのためにキャッチアップがおくれる。そのことが結局、大きいプロジェクトがとれない、こういうことであります。

 昔、福田政権のときですか、牛場さんという対外経済担当大臣があちこち行かれました。その昔は、池田総理がトランジスタのセールスマンと言われました。しかし、ああいうことは、この資源のない国にとっては絶対に必要だと思うんですよ。そういう努力を私は期待しているんですが、いかがですか。

海江田国務大臣 ただいま、本当に幾つか示唆に富んだ御指摘をいただきました。それから、経産省が、戦後の日本が灰じんの中から高度成長へ行くまで大変力を尽くした、それを尊敬しているという御発言がありました。これは、経産省に籍を置く者にとっては本当に大変身に余る評価をいただいたというふうに思っております。私はまだ大臣になって日も浅いわけでございますが。

 ちょっと内輪の話で恐縮ですが、昨日、やはり経産省が今元気にならなければ本当に日本の国が元気になるはずがないんだ、その話を幹部の職員を前にしまして、そのときに、ちょうど今委員がおっしゃった、戦後の中から経産省が頑張った、あのころ、最初は商工省でしたよね、ですから、この委員会も最後までその商工という名前をとって、伝統と歴史のある委員会でございますが、そのとき頑張ったんだから、今日本が再び、二度目の荒廃の中から立ち上がるのには、経産省がまず国内の経済をしっかり立て直す、それから世界に向かってしっかりと日本が経済の主導権をとっていく、このことが大切だというお話をちょうどしたばかりでございましたので、委員もそういう発言をしていただきまして、本当にありがとうございました。

 それから、今幾つかお話がございましたけれども、インフラの輸出ということ、これは、昔は政官一体となると、あるいは政官業が一体となるとよくないようなことを言われましたけれども、今は、そうやって政官業が一体になって向かっていかなければいけません。

 池田勇人さんの話も、あれは一九六〇年代で、OECDを全部回りまして、実は、ちょっと私ごとでございますが、私の父親があのとき新聞記者でしたけれども、池田勇人さんについてずっとヨーロッパを回って、かなり長い期間ですが、私は子供でしたけれども、羽田に迎えに行って万歳万歳とやった記憶がありましたものですから、そういう思い出も聞かせていただきました。

 その意味では、今、政権がかわりまして、本当に政治家が前に出て日本のインフラを輸出しなければいけないということで動いているところ。ですから、震災で一時中断をされましたけれども、これからもやはりそうした動きは続けていかなければいけません。

 この震災の中から、まさに委員御指摘になりました新幹線が脱線をしなかったということ、残念ながら原子力は今こういう状況でございますが、こういう状況を何とかこれ以上発散させないということ。四つの炉が、そのうち特に三つの炉が炉心にも燃料が入っていて運転中でありまして、これが制御棒で何とかとまって、しかも、かなり燃料が溶解はしておりますけれども、ここで何とかやはり私は本当に抑え込みたい。本当にまずここで抑え込んで、確かに原子炉というのはもう安全神話は崩れたけれども、神話が崩れ去った後、それを上回る、人間が本当に実際の人類の英知でもってこれを何とか抑え込んだ、閉じ込めたということをやはり実績として残して、それを世界の方々に共有してもらいたい、そんな思いで今取り組んでいるところでございます。

竹本委員 ぜひ職員を激励して頑張っていただきたいと思います。

 もう一つ、インフラで私が重要だなと思うのは、海外のインフラですけれども、ガス火力発電なんですね。これは四、五十兆円の案件があると思うんですけれども、全体のエネルギー関係で、その中で四割ぐらい占めるということなので、ガス火力発電はCO2を余り出さないし、原発が多少問題のある時期にとっては、この案件をしっかりやることがやはり大事なのではないかというふうに思います。

 最後に、TPPのことについて質問をいたします。

 先ほどの話とも関連するわけですけれども、一人当たりGDPが二〇〇〇年には世界第三位でありまして、世界のGDPに占める割合が一四・三%。ところが、二〇〇八年、最近では、世界の二十三番目になり、占めるシェアも世界のGDPの九%を切っている、こういう状況なんです。

 そこで、先ほどのインフラ輸出もそうですけれども、外国で稼いで日本も豊かになり、GDPが中国に負けたとはいえ、クオリティーにおいては絶対勝っているんですから、ぜひもっと元気よくやらなきゃいけない。そういうさなかにTPPの問題が出てまいりました。

 私は、首尾一貫して、国益としてプラスマイナスを考えて、プラスであればやればいい、マイナスであればやめればいい、ただそれだけの基本的な姿勢を持っている人間ですけれども、要は、TPPの位置づけがなかなか国民みんなに理解をされていないのではないかなというような感じがするわけであります。

 ことしの十一月、APECが開催されますが、APECが理想とするのは、APECの環太平洋の諸国の中で自由貿易を徹底してやれば、関税の障壁がないんだから非常に理想的な環境がつくれる、こういうことだろうと思いますが、そもそもTPPというのは小さいブルネイ等の四カ国で始まっておりますから、小さい国同士だと、生産力、人口、こういったもので皆共通項が非常に多いですよね、ほとんど共通しています。ですから、それは簡単にいくんだと思いますが、そこにアメリカが入り、オーストラリアが入り、日本はどうかと言われたときに、なかなかスタート時点の論理だけではいかないところがあるんです。

 だから、最終的にはAPECの圏域の中で自由貿易を理想としても、この小さい国同士の約束だけで全部いけるかどうかというと、なかなか難しいものがあるのではないか。国にはそれぞれの特定の、オープンにできない品目があるわけであります。

 そうしますと、それをきちっとやれるのは何かというと、FTAでありEPAであるということで、今十カ国近くと結んでいるようですけれども、これをさらに一層拡大する中で、TPPに参加するかどうかということの検討が並行してなされていいのではないかなと。TPPだけやるんだ、早くやれ、六月に結論出すんだというような話じゃないんじゃないかと。そこがまた十分理解されていないから、けんけんがくがくの議論が起こってしまっているんではないか、このように思いますが、いかがですか。

海江田国務大臣 竹本委員の、同時並行でといいますか、これは私も基本的にはその考え方であります。例えば、間もなくオーストラリアのギラード首相がお見えになりますが、オーストラリアはまさに日本との間のEPA、そして、オーストラリアも、今お話のあったように、TPPの、今十一カ国の加盟国でございますが、日本とのEPAとそれからTPP、これをぜひ同時並行でお願いをしたいというような意向も持っております。ですから、この二つを同時並行的に行うということは矛盾をする問題ではありません。

 しかし、もう時間がありませんので私の方から、先生の方からの御指摘があればよかったんですが、アメリカでございます。アメリカの今の関心が、そういった二国間でありますとかFTAというところにありませんで、むしろアメリカは、今、TPPの枠内で、アジア全体の、アジア太平洋地域の貿易の高度の連携というものを目指すということでございます。もちろんアメリカが言うからやるということではありませんけれども、私どもも国益で、特に、農産品や工業品の行ったり来たりだけじゃありませんで、そこで一つの貿易のルールができるということですね、これは知財なんかとも結びついておりますが。そういう面で大きなメリットを見ておりますので、その意味では、このTPPというのを推し進めたいという気持ちはございます。

 ただ、もう一つ言わせていただければ、やはりその中で農業がこのままではいけないということで、幾つか農業の強化策ということも考えていたわけでありますけれども、ただ、今回、東北の大震災の影響で農業が大変大きなダメージを受けた。例えば、従来、競争力のありました日本の農業産品、これは本当に、もう委員つとに御案内のように、アジアなどでは幾ら高くても日本の果物は買いたいとか、日本の農産品は安全だ、こういう話があったわけでございますが、残念ながら今そういう現実ではありません。TPPの議論を進める際は、農業の再生策と、これまた同時にと申しますか、むしろ農業の再生策の方を六月までにまとめるということがありましたので、残念ながら今それが図っていけないという状況にあるということは御理解をいただきたいと思います。

竹本委員 アメリカはFTAを日本と検討するつもりがないという情報は私も聞いております。ですから、いろいろな条件を前提としてベストと思える方向で選択をして、そこに進んでいただけばいいんだと思います。

 TPPに参加するかどうかを六月に結論を出すんだというふうに総理は言っておられたように思うんですけれども、それはこの大震災を受けて延期されたのかどうか、あるいは予定どおり六月に結論を出されるのか、それはどうなっているんでしょうか。

海江田国務大臣 総理からまだ発言はないと思っております。

竹本委員 まあ、どこかの新聞情報だったんだと思いますが。それはともかくとして、予期しない事故が起こったわけですから、それを含めてどうするか、適切な方法を考えられたらいいんだと思います。

 私はやはり、今後、復興院等をつくって、復興構想会議で結論を出されるんでしょうけれども、これから、東北の農業に従事している方々の、TPPを前提としたような農業の大規模化、そして売れる商品をつくれるような農業、そんなことを十分研究する一つのチャンスなのではないかなというふうに思います。津波が来るかもしれない、百年に一回かもしれないけれども来るかもしれないというところに住宅を構えることは極めて危険でありますから、やはりそこにあるのは、農業というのが普通一番考えられる方法ではないかなと思います。そのように未来を志向した、現実に合った農業政策をぜひ考えていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。

田中委員長 以上で竹本直一君の質疑は終了いたしました。

 次に、望月義夫君。

望月委員 皆さん、おはようございます。自民党の望月義夫でございますが、質問をさせていただきます。

 まず、改めまして、このたびの東日本大震災でお亡くなりになられました皆様方に心から哀悼の誠をささげたいと思いますし、また、震災被害を受けた方々、福島第一原発によってさまざまな被害を受けた皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 この間、私、あの後ずっとテレビを見ておりました。実は、私も、私ごとでありますけれども、ことしの正月に家内が急逝いたしまして、身内が亡くなるということがいかにつらいかということを身をもって体験いたしました。小さな子供が涙ながらに、お父さん、お母さん、早く迎えに来て、私はどうやって生きていったらいいのというようなことを言っておりましたが、まさに大変悲しい出来事で、そのつらさというか悲しさというか、この子供の将来、未来のことを思うと、本当にどういうことになっていくのかな、みんなで力を合わせなきゃいけない、そんなことを感じました。

 実は、先日、私もつてを訪ねて東北の方にいろいろ行ってまいりました。特に私の場合、私は静岡市の清水でございまして、気仙沼は清水港とは非常に関係がございます。水産では缶詰会社や食品会社の下請工場、関連会社が、非常にたくさん、何千人もの人が関係をしておりまして、まさにそういう会社がこの津波で全く流されてしまった。そういうような中で、我々も何か協力できないかと船主の皆さんが、道は寸断されているので、すぐに荷物を積んで漁船で行く、そんなこともございました。

 また、静岡の市長からも電話がかかってまいりまして、我々のところにメガフロートが、ちょっとマスコミでいろいろなことがございましたが、あれも、私も国土交通副大臣とかいろいろなことをやっておりましたものですから、若干の関係がありまして、そういう関係で私のところに連絡があった。

 あれは、実を言うとSOLAS条約で港に一般の人がなかなか入れなくなってしまった、これは世界条約でありますからいたし方のないことですけれども。関東地方あるいはまたいろいろなところから釣り客が来る、そういったことで、漁業組合と相談してメガフロートを一つの観光地にしようと。ところが、今回、東電側からどうしても何とかしていただきたいというような話があって、市長がどうだろうと言うから、無条件ですぐ貸与しよう、後のことは漁業組合等さまざまなことがあるけれども市で頑張ろうじゃないかと。そんなことで、さまざまな善意といいますか、そういうものが積み重なっておるものですから、私も気仙沼の方に行ってまいりました。

 しかし、見ると聞くとでは、マスコミでさまざまな情報を流していただいておりますが、現地は全く大変だ。船がああいう状況ですし、建物の上に船が乗っかったり、本当にたくさんの車がひっくり返っている。それから、タンクが、まさにオイルが入っていたと思うんですけれども、火がついて、それがうちの周りにごろごろ転がってきて火がついてしまった。行ってみると、余りにも大変なつらい思いをしたんだなということをまざまざと感じたわけでございます。

 ただ、現場の声を聞きますと、市長やあちらのいろいろな方と話をすると、今は余り言えないけれどもという話の中で、例えば、四日目にアメリカの海軍が港の中に入ってきたと。道路は寸断されているし、何とかならないものか、助けに来てくれるのかと思ったら、海軍は来ているのに港の外側に船が泊まって助けに来てくれない、一体どうなっているんだ、何かしら来てくれないのかしらと。そこにはさまざま検証しなきゃならない問題、さまざまな手続の問題、アメリカが来ても、いろいろなことがあるから国内にそう簡単に入ってこれないのかもしれませんけれども、一体どうなっているんだろうと。現場の声を聞きますと、さまざまな不安やつらい思い、いろいろな話を聞かせていただきましたけれども、まさに、大臣、今後そういったものをよく参考にしていただきたい、このように思います。

 前置きはそれぐらいにいたしまして、あれから四十日という日がたつわけでありますけれども、国民は、今言ったように、さまざまな報道をみずからの目で見て、みずからの耳で聞いて、原子力発電所のことがございますから、なるべく不安を取り払いたい、そういう中でおるわけであります。

 ところが、特に福島第一原子力発電所の対応ですが、これはよく言われることなんですけれども、官邸と原子力安全・保安院、それから、後出しじゃんけんじゃないですが、後から出てきた原子力安全委員会、ここら辺が、それぞれいち早くやろうとしているのか、どういう形か我々もよくわかりませんけれども、ばらばらに記者会見をする。それから、国民に、あたかも東京電力だけに、東京電力に非があるのは当たり前のことなんですけれども、東京電力だけに責任と対応を任せるようなことに、報道から見た目で思わせてしまった。

 これだけの情報社会の中で、外国のメディア、世界各国の政府、それからマスメディアが注目する中で、政府としても統一見解が何か後手後手に回っているのかなと。特に放射性のを含んだ水を海に流したことも、外国の皆さんから、メディアから聞きますと、何か後手後手に回って、後から聞きましたよなんというようなことがあるのか、そういう発表とかは、不安なはずの国民は一体だれを頼りにしたらいいのか。こういうことがさまざま起きているのではないかなと思います。

 そこで大臣にお尋ねします。

 経済産業省にある原子力安全・保安院、内閣府には原子力安全委員会。これは何回も言われているんですけれども、保安院というのは、原子力施設に安全保安検査官を配置して事業者を監督する。安全委員会は、原子炉の安全審査や事故時の政府に対する助言ということになっております。

 保安院は、地方の検査官など約七百九十名の職員を抱えている。それから、電力会社や原発メーカー、これも新聞で我々は見せていただいたんですが、東芝とか日立とかいろいろございます、ここに比べれば層が薄い。そんなことが報道されておりました。

 だから、これは極端というか何というか、ちょっとおもしろおかしく書かれているのか、原子力保安院がメーカーに行っていろいろ指導をいただいているんじゃないかとか、勉強させてもらっているんじゃないかとか、これはもちろん情報交換するというのはいいんですけれども、本当にそんな状況なのかしら。

 一方で、原子力安全委員会は、原子力や放射線の専門家五名と百名の職員で構成されている。一九九九年の核燃料施設ジェー・シー・オーの臨界事故の反省から、内閣府に置いて、事故時には専門家集団として首相に助言をする組織だということです。

 ところが、今回、保安院は、こういう時期でございますので、政府に拘束されちゃった、そして事故対応を適正に監督できなかったんじゃないかということが言われております。ここら辺もちょっと聞きたいんです。

 あるいはまた、大震災の発生から十二日過ぎてから、遅まきながら安全委員会が記者会見して、あげくの果てに保安院で指導してほしいというような弱音を吐いたというような話も聞いているんです。そこら辺が事実かどうか。

 あるいはそういうことだと、いたずらに国民を不安がらせてしまうわけでありますけれども、原子力を推進する経済産業省、それを安全規制する立場の保安院が経済産業省資源エネルギー庁の外局にあるということは、これは我々のときからもずっと言われていたことでございますが、そういうのはどうなのか。これについて、原子力安全委員会のあるべき姿、このままでいいのかどうかということを大臣にお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 望月委員にお答えをいたします。

 今、望月委員から種々お話がございました。御自分の経験に基づいたお話、それから東北地方をいち早く回ってこられたときに実感された御意見、本当に拝聴をさせていただきました。

 それで、御質問の件でございますが、原子力安全委員会は、先ほど委員の御指摘にもありましたけれども、内閣府に所属をしておりまして、私は経産大臣の立場でありますから、直接、安全委員会にこうしなさい、ああしなさいと言うことはできません。

 その意味では、私が直接指揮監督しなければならないのは原子力安全・保安院でございまして、この原子力安全・保安院は、これも委員から御指摘がありましたけれども、例えば事業主体、これは今の場合でしたら東京電力でございますが、東京電力が種々の工事をやるときに必ず保安院がそのチェックをやるわけです。

 今ちょうど進行中の話でいいますと、二号のタービン建屋に大量にたまっております高濃度の汚染水を、一回復水器を通しますが、最終的には、集中ラドと申しますが、例えば汚染された衣服なんかをためておいてそういう建屋の中に移す、この作業をやるときに、まず集中ラドというところに移したいんだと。それを移すに当たっては、集中ラドというのは、今もお話をしましたけれども、低汚染の物質を保存するところですから、今度持ってきます汚染水は高汚染でございますから、そこへ止水工事、いわゆる厳重に密封をして水漏れなどがないような工事をやらなきゃいけない。こういう工事をこういう工程でやりたいんですけれどもいかがですかということを保安院に出してくるわけですよ。保安院は、その書類を見て、ああそうか、だけれども、これじゃまだ不十分だな、いろいろなパイプの継ぎ目が十二個ありますから、そのパイプの十二個の継ぎ目について一つ一つどうやって防水措置を講じるんだというようなことをチェックして、ここはこういうふうにやりなさいという指示を出すわけです。そうすると、今度は事業主体であります東京電力が、わかりましたといって、その指示に従って、そういうさらに手厚い止水措置をやって、これでどうですか、これならいいでしょうといって初めてこういう工事ができ上がる。こういう、今にして思えば大変煩雑な手順をとるわけでございます。

 ただ、この法律が考えられておりました時点は、これはあくまでも、平時にも、普通のときにも、一回とめて定期検査などをやりますから、そういうことを念頭に置きながらつくられた仕組みでございますので、やはり、こういう時期でございますから、改めるところは改めてやらなければいけない。

 それから、先ほども、これも委員自身から御指摘がありましたけれども、経済産業省、資源エネルギー庁は、日本のエネルギー政策をしっかり考えていく、そのしっかり考えていくエネルギー政策の中に、当然、原子力発電の位置づけもございます、そして、およそ三〇%の電力を提供しているという現実もありますから、そういう中でチェックをしなければいけない目が、どうしても少し甘くなってしまうのではないだろうかという御指摘があります。

 ただ、御指摘はありますけれども、特に三月十一日以降、このチェックの体制においては、万遺漏なきようにやっておるのが現実でございます。ぜひ御理解をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、楠田委員長代理着席〕

望月委員 どうも、なかなか難しいというか……(海江田国務大臣「いや、しっかりやります」と呼ぶ)もちろん、しっかりやっていただきたいんですけれども。

 それではお伺いしますが、大臣、民主党が作成した二〇〇九年の政策集、インデックス二〇〇九には原子力安全行政について何と書かれておるか、御存じだとは思いますけれども、どうぞ。

海江田国務大臣 まさに、今の保安院を独立させるということでございます。

望月委員 実際には、いいことがなかなか書いてあるんですよ。これがどういうことかということであります。

 私の方でちょっとこれを読み上げます。これは、「万一に備えた防災体制と実効性のある安全検査体制の確立に向け、現行体制を抜本的に見直し」、「原子力安全規制委員会を創設する」と明記されております。これは恐らく、よく言われる日本版NRC、アメリカの原子力規制委員会を想定している、我々は、これはあくまでも民主党のインデックスですから我々と若干見方が違うんですけれども、多分こういうことではないかなと想像で言うんですけれども。

 アメリカのNRCは、法律で他省庁から独立性が確保されている。日本の国とは全く違う。ですから、まさに独立性を確保させるんだということだと、これは大変すばらしいことではないかなと思います。それから、約四千人が勤務する組織。

 ただ、このインデックスは、二年前に出ているわけですね。保安院と安全委員会を結合して安全規制委員会をつくると書いてあるわけなんですが、政権与党になってから、このためにどんな議論をされてきたのか。もう二年近くたちますが、私の知る限りでは、今のところ何をされていたのかよくわからない。

 菅総理も、三月三十日の社民党福島党首との会談で、原子力安全・保安院の体制を含めて議論する必要があると。議論する必要があると述べられたそうですが、この議論する必要がこれからするということだと、意味がちょっとわからない。いいことのように見えるんですけれども、これでは政権与党になって何も手をつけていなかったと言っているようなものじゃないのかなというふうに我々としては感じてしまうんです。やろうと思ったけれどもやれなかった、ごめんなさいねと、これならわかりますよ。だけれども、これから手をつけますなんて言っているようだと、どういうことなのかなというふうに我々は思うんです。

 そうでないなら、真の原子力行政というのは、一体皆さんはどういうふうに思っているのか。今のようなことでこれからどうのこうのというんだったら、このインデックスとの関係はどうなるのか。国民の不安はぬぐえないんじゃないかなと思うんですけれども、まさに、今、こういうような事故が起きたからこれからなんということじゃなくて、一体ここら辺はどうなっているのか、大臣のお話を聞いてみたいと思います。

海江田国務大臣 このインデックスは、マニフェストに準ずると申しますか、そういう政策集の中にそうした記述があるということは、もちろん私も承知をしております。今お話のありました原子力安全委員会、これは、今ある安全委員会ではなしに、まさに保安院と統合してということはその中に書かれているわけでありますが、これは一つの考え方で、私もその方向がいいと思います。

 ですから、その方向に向けて、まさに、議論をするというのは、民主党の中ではしっかり議論をしていたわけで、その結果がそういうことでございますが、やはり世間一般と、あるいは当委員会などでもしっかりと議論をしなければいけないと思っておるわけでございまして、そうした機会がこれまでなかったということでございますから、今度の事故を契機といたしまして、今、もう既に委員からそういう御提言もありました、ここで議論が始まったわけでございます。

 さらに、保安院、あるいは安全委員会、あるいは原子力委員会、こういう幾つもの機関があったことによって、結局こういうところでこういう手が打てなかったじゃないかというところまで掘り下げて、やはりこういう形が一番いいんだねということを、本当に、あつものに懲りてなますを吹くではありませんけれども、この際ですから、そういう議論を今まさに始めていかなければいけないと思っております。

望月委員 それはしっかりやっていただきたいと思います。

 それでは、もう一つ、これは若干前のことになってしまうんですけれども、鳩山総理は、温室効果ガスを二〇二〇年までに一九九〇年比二五%削減、これを国際公約として華々しくデビューしたわけであります。環境立国日本を世界にアピールする、これは大変すばらしいことでありますけれども、これはまさに、国民生活や産業活動に直結して、今後の日本のあり方を左右する大問題であります。これは唐突に表明したと我々は思っておりますけれども、民主党の皆さんに聞いても、いや、おれたちは聞いていなかったよと言う方も何か非常に多かったような気がします。

 これを受けた形で、昨年六月に政府・民主党が策定したエネルギー基本計画では、二〇二〇年までに原発を九基、さらに二〇三〇年までに十四基以上の原子力発電所の新増設を行う、それと同時に、利用率を約九〇%まで上げていくことを目指している。しかし、今回の大震災によってこの原子力政策は多分見直さざるを得ない、このように思います。

 メガソーラー、風力発電、これはいいことなんです、ぜひ進めていただきたいんですけれども、現実の一番の問題として、一万キロワットにも満たない発電量ですから、未来はともかく、現在こういう状況で、百万キロワット級となると、LNGや石油、石炭など火力発電所に頼らざるを得なくなってくるわけでございます。そのために苦労しているのは百も承知でございますけれども。

 ここでお伺いいたしますが、まだ、温室効果ガス二五%削減目標は達成できる、このようにお考えですか。

海江田国務大臣 まず、現実の問題を少しお話しさせていただきますが、今回の福島第一の事故によりまして、実は十一基の原子力発電所がとまりました。この十一基がとまったことによって、CO2の排出量、これはとまった分を火力発電で置きかえなければいけませんから、そうしますと、どのくらいCO2の排出量がふえるかということを一応試算してみました。

 試算でございますからかなり大ざっぱな数字でございますが、およそ三千六百万トンのCO2、これまでの原子力でやっておったときと比べて、これを火力発電に置きかえると三千六百万トンという数字になろうかと思います。ですから、これだけのCO2の排出が、従来の原子力でやっていたときと比べてふえるわけですから、今お話のありました目標達成のためには大変な難儀を強いるわけでございます。

 ですから、こうした現実も見ながらこれからエネルギー政策全般について見直しをしていくわけでありますから、その中で判断をしていく問題だというふうに考えております。

望月委員 なかなか厳しいというような発言であったと思いますけれども、一生懸命努力はすると。でも、大臣の所属する鳩山グループは、この目標見直しに対しては非常に慎重意見が出ておりますね。新聞報道で見た限りですから、我々もわかりません。私は、政府・民主党で見解が統一されていないんじゃないか、統一されているとなかなか思えないんです。

 こういうときこそしっかりと、そこら辺は政府がしっかりしてくれなきゃ困る。我々自民党も、別に何もかも反対するというわけじゃありません。こういう未曾有の大災害でございます。非難するばかりでは何も解決しない。

 そういうことをよく踏まえて、少なくとも民主党も原子力発電を推進しようとしたことは間違いありませんし、東京電力に非があるのは当然でありますけれども、与野党とも、被曝覚悟で何千人もの人たちが日本の国のことを心配して作業に当たっている、その作業員の気持ち、こういうことを考えて国難に当たらないとこの問題は片づけられない、私はこのように思っております。どうぞ民主党も仲間割れをしないようにして、しっかりとここは扱っていただきたいな、このように思います。

 次に、時間もございませんので、中小企業対策についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 本委員会は、当然のことながら、日本の経済、産業全般を論議する場所であり、大震災からの復興を遂げるためにしっかりと震災対策を審議すべきところである、このように思っております。

 そこで、三月十一日の東日本大震災の恐怖がさめやらぬ三月十五日、四日後です、午後十時三十一分、私の選挙区であります静岡県の富士宮市を震源地とする震度六強の静岡県東部地震が発生いたしました。この揺れは、この地域の測候所が開設されて以来最大級のものだったということでございます。すわ、富士山の噴火につながるのかなと皆さん非常にびっくりいたしました。千戸近くの屋根がわらが落ちたり、道路のひび割れ、陥没、幸いにして死者こそ出なかったものの、けがをされた方や、停電や断水を経験いたしました。

 そして、復旧に向けて市民が頑張っているさなか、三月十八日の十八時五十分から二十時五十分に計画停電があったわけであります。普通なら被害のあった地域が、被害のなかった地域と比べて、東北と同じように地震の被害地域が何で停電なんだと、計画停電をやるんだったらここは外してもらいたい、復旧作業をし始めたところでここだけとめられちゃった、そうでないところは電気がついているのにと。

 これは、富士宮市民の多くが、被災して苦しんでいる東北地方の人のことを思えば、我々だって痛みを分かち合わなければならないと我慢して復旧に取り組んでいる姿を私も見まして、非常に心を打たれるものがありましたが。

 少し落ちつきを取り戻した三月二十八日に、商工会議所主催で、いろいろな業界団体の方がお集まりになって今後のことをいろいろ話をしておりまして、そこへ私も出席させていただいて、自動車部品、あるいはまたフィルム、医療機器、酪農、製茶、観光など、十六種の方々からさまざまな貴重な意見を我々は伺いました。

 ちょうど五月二日が、お茶でいえば八十八夜の日なんですね。今、お茶をもう既に刈り始めております。電気が、例えばこういったときにとまれば、蒸し器といいますかかまを温めてから、その中にじっくり入れて、そしてゆっくり冷ます、これは電気がとまったらすべて丹精してきたものがパーになってしまうんですね。

 それからまた、工場。夜勤にすればいいじゃないかとかという話もありますけれども、賃金が二倍になってしまう。それに、観光の町なのに、キャンセルが相次いでいる。

 熱海の皆さんとか、伊東の市長なんかは私の友達なものですから、話を聞きますと、大変なことだと。電気がとまるということは、そのときだけ、いっときお客さんに何とかと話をするだけではなくて、温泉が出なくなるんだと。モーターが動かなくなるから。そうしたら、これはもう話にも何にも、一人もお客さんがとれない。我々は今まで景気が悪くてずっと我慢してきたけれども、これでもう完全に、我々の町の半分以上、三分の二ぐらいの旅館、ホテルも、全部つぶれますよと。

 さまざまなことがございます、計画停電に対する注文というのは。それは大手、中小企業を問わず、厳しい御意見を伺いました。

 このことは、帝国データバンクの調査でも、震災による影響ありというのが約八割、九州でも七割ぐらいに及んでいると伺っております。すなわち、この震災は、震災地である東北、関東地方だけではなくて、もちろんそちらでも生産の停滞、販売停滞をもたらしただけでなく、全国規模での操業停止や観光産業へのダメージを与えているわけであります。そのために、取引先の災害に間接的な被害を受けた中小企業、風評被害や計画停電により業績が悪化した企業等、連鎖倒産の経営危機に直面しているということは、これは疑いの余地すらありません。

 現在行われている災害復旧貸し付けは、このような計画停電、風評被害について、これは現地でありませんから対象外だというようなことを聞いておりますが、本当にそれでいいのか、実際にそうなのかということ。

 また、セーフティーネット保証は、自民党政権下でリーマン・ショックのときに制度化したもので、個人や会社が、無担保では八千万円、あるいは担保があれば二億円まで借り受けられるという制度でありますけれども、制度を延長して業種も大幅にふやしたということは、これは皆さんがやっていただいたことで、大変私は評価をしております、大変ありがたいと。

 リーマン・ショックで借りられて息をついた中小零細企業が、果たして、弱まっているところで再度借りることができるとは、先ほど竹本委員からもお話がございましたが、私は非常に容易ではないと思っております。すなわち、間接被害企業や風評被害の業種の方に十分な資金繰り支援が確保されているかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

高原政府参考人 それでは、事務的に、今までどういうことをさせていただいたかを少し答弁させていただきたいと思います。

 三月十四日には、日本公庫等によりまして、地震や津波により直接的に被害を受けた中小企業の方々のみならず、その取引先の方々に対しましても、長期、低利の融資制度であります災害復旧貸し付けを開始いたしました。特に、貸し付け後三年間は、借入金の一千万円を上限として、〇・九%の金利の引き下げを行っております。

 また、被災中小企業者の方々向けには、一般保証とは別枠で、無担保八千万円、最大で二億八千万円を上限とする一〇〇%保証の災害関係保証を発動させていただいております。

 また、今委員御指摘のいわゆる風評被害に遭われて大変な影響が出ております、そういう方々に対しましては、特に業況の悪化している中小企業者の方々ということで、日本公庫等によります長期かつ低利の融資制度でありますセーフティーネット貸し付けや、今御指摘ございましたけれども、信用保証協会によります原則全業種を対象といたしましたセーフティーネット保証を開始いたしているところでございます。

 ただ、いずれにしても、委員御指摘のとおりに大変厳しい状況でございますので、限度額の拡充でございますとか、資金繰り対策というものをさらに万全なものにしていく必要があると考えております。

 以上でございます。

望月委員 手おくれにならないように、中小零細企業は非常に弱っているところでのダブルパンチとなりますので、新たな信用保証制度を、融資限度額を拡充した上で早急にやっていただきたいと思います。

 今回の災害時における手形の不渡り処分に対する配慮、被災企業の返済猶予、そしてつなぎ資金の申し込みに対しては、中小企業金融円滑化法の趣旨を踏まえて、金融庁から関係金融機関に対して既に要請文書が出されており、政府としての対応も迅速であったと私は評価をしております。

 しかし、負債を抱えながら被災をした中小企業や、間接の被害でリーマン・ショックから立ち直りかけている、先ほどから言いましたように残債が多い中小企業などでは、新たな借り入れが難しいだけではなくて、仮に借り入れできたとしても、これは返さなきゃならない二重の負債を負うことになる。ですから、政府が金融支援等を幾ら充実しても、新規の借り入れは実質的に不可能ではないかというような心配をしております。

 そこで、政府系金融機関の融資や保証については、これは超長期の返済猶予をするとか、金利の減免等の、先ほどゼロでもいいじゃないかということもございましたけれども、条件変更を最大限柔軟に実施する、必要とあらば、被害を受けた企業が債権放棄等によって再出発可能な環境を整えてやる、こういうようなことが大事なことだと思います。

 新規融資については、運転資金に限定しないで、今回だけは転業、廃業といったような構造的な資金需要についても対応してあげるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

    〔楠田委員長代理退席、委員長着席〕

海江田国務大臣 委員から、種々、今の特に東北の被災地の実情に基づいた御意見を賜りましてありがとうございました。そうした意見も賜りながら、中小企業が今回の大震災で廃業に追い込まれるとか、やる気をなくすとか、そういうことのないようにしっかりと対応してまいりたいと思います。

望月委員 最後に一言だけ。

 大臣、中小企業は大変厳しい思いでここまで来て、もう一度何とか立ち直りたいと思っているわけです。それから、これはあらゆる政策で迅速に対処していかなければ、これはスピード感が必要だと思います。日本丸という船があるとすれば、本当に沈むか浮かぶかというようなことでございまして、我が国は、世界が日本の国はどうだろうということで注目をされて、まさにその真価が問われるときである。今こそ我々も党派を超えて、政治が結集して、ぜひ政府には、大臣にも、強いリーダーシップを発揮していただかなければならない。大変苦しい立場でありますけれども、そういったところを政府・民主党に私からもお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

田中委員長 望月義夫君の質疑は以上で終了させていただきます。

 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 福島の原発事故に関して順次伺っていきたいと思います。

 まず最初にお伺いしたいのは、原発事故の賠償についてです。前回の委員会のときにも原賠法について私の方から触れさせていただいて、大臣からも、責任を持ってという趣旨の御答弁がありました。大変力強く思っております。

 その上で少しお伺いしたいと思うんです。

 まず最初は、十五日の経済被害対応本部の初会合の折に、東京電力に対して、今回の原発事故で避難した方々に対しての賠償金の仮払いとして、一世帯当たり百万を支払うことを求めて、かつ、東電の方も、すぐに役員会を開いてその方向に向かっている、このように承知をしております。

 まず最初に、今回の百万円の賠償金仮払いの位置づけ、要するに、具体的にどういう目的でこの百万をお渡しするということになるのか、この点について伺いたいと思います。

海江田国務大臣 稲津委員にお答えをいたします。

 今、委員から御指摘がありましたように、十五日でございますが、本部の会合を開きまして、私が本部長をしております経済被害対応本部というところで原子力災害被害者に対する緊急支援措置というものを発出しました。それによって、既に東京電力も内々にそういう準備をしておりましたので、すぐに支払いを決定したということでございます。

 一世帯当たり百万円、単身者七十五万円の位置づけでございますが、やはりこれは当座の生活資金の一部でございます。

 これの支払い対象となっておりますのが、まず三十キロまでの避難あるいは屋内退避の方々です。特に二十キロまでの避難の方々というのは、本当に着のみ着のままといいますか、とるものもとりあえず外へ出た。しかも、残念ながら、一時帰宅と申しますか、私どもは今一時立ち寄りと言っておりますが、これが実はまだ実現できていないんですね。これも一日も早く本当は実現をしなければいけないと思っております。そのために、今、警戒区域にして出入り口をしっかりと固めるという作業に入っております。この人たちは本当にまさに生活資金もないということでありますので、その人たちに当座の生活資金の一部としてまず仮払いをしようというのがこのお金の趣旨でございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 当座の生活資金ということで賠償金の中から仮払いでお渡しをするということで、これは明確なことで、ぜひ早急に進めていただきたい、このように思います。

 次の質問は、先ほども御質問等がございましたけれども、中小企業の支援等について、大臣からも、融資も含めてしっかり対応していくという趣旨の御答弁があったというふうに承知をしております。

 そこでお伺いなんですけれども、農林水産業や中小企業へのいわゆる賠償金の仮払いというものが必要ではないかという趣旨に立って質問させていただきます。これは、きょう農水省さんにもお越しいただいているので、農水省さんにも、それから大臣あるいは担当の方からも御答弁をいただきたいと思います。

 結局、例えば農林水産業でいうと、農業でいうと出荷停止になっている、漁業でいうと操業に行けない、こういう農林水産業者。あるいは、中小企業も事実上同じような状況になっている会社も多々あると思います。

 事業をこれから継続していく、当座の資金繰りだけではなくて、むしろ会社経営とか、根本的な被害をもう受けているわけですから、ここに例えば賠償金の一時仮払いということが私は必要かと思うんですけれども、この点についてはどうでしょうか。それぞれ御答弁いただければと思います。

小栗政府参考人 十五日の経済被害対応本部におきましては、原災法に基づく指示により避難、屋内退避を行っている住民の方々に、東京電力から当面の必要な資金を速やかに給付するとされたところでございます。

 この十五日の本部におきまして、私どもの鹿野農林水産大臣からは、国の指示により出荷制限を受けている農林漁業者、また県からの要請などにより出荷自粛をしている農林漁業者、さらにはいわゆる風評被害を受けている方々も同様の扱いとして、できるだけ早く仮払いをしていただきたいという主張をしていただいているところでございます。

海江田国務大臣 お答えをいたします。

 これはぜひ委員にも御理解をいただきたいわけでございますが、先ほどの当座の生活資金の仮払いというのは、これは一律幾らということは決まります。今のお話にありました農業の被害あるいは漁業の被害、それから工業も実は被害を受けておりますが、これは一律というよりも、損害額に応じた賠償というのが基本でございます。

 その際、必要になってきますのが、文科省においてつくられました原子力損害賠償紛争審査会が、大まかな基準と申しますか、これを決めます。これはやはり、原発の事故に由来をする、実際に被害を受けた、その相ふさわしい被害に対する賠償ということになろうかと思いますから、そのガイドラインを受けて、実際の損害が大体推測をされるわけですから、その時点で仮払いということも生じてくるだろうと思います。損害が確定したものを一時に払うのではなしに、仮払いということも可能性としては考えられます。

 ただ、いずれにしましても、その十五日の会合で、鹿野農水大臣から、早く農業被害の方もやるようにというお話がありました。それから、文科大臣とも相談をして、まず紛争審査会のガイドラインというのをできるだけ早く、ジェー・シー・オーのときに随分時間がかかったようでありますから。もちろん被害の規模は大きいわけでありますけれども、そこを何とか万障繰り合わせて早くやってくださいということは伝えてございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 今大臣からお話がありまして、当然、原賠法に基づいて、お話しの文科省の審査会で指針を決める、これは私も十分承知をしていますし、それから先ほどの百万円の仮払いというのは、これは一律ということで、その趣旨はわかる。農林水産業とか中小企業については、どの程度の被害をどこでどう受けているのかということを調べなきゃならない。それはもう私も十分理解した上で質問させていただいているんです。

 さて、そこで、大臣は、この十五日の会合の後に、これは報道によりますけれども、事故によって出荷停止などの被害を受けた農林水産業者や中小企業への支援に言及された。その際に、賠償をできる限り速やかに受けられるよう必要な措置を講ずると。

 これは、被害を受けた方々にしてみると少し期待の持てる話かもしれませんけれども、では具体的にその必要な措置というのは何なのか、そういう具体性を持っていただかないとやはり安心していただけないだろう、こう思うわけでございます。

 そこで、どういう趣旨で御発言なされたのか、それからその必要な措置というのはどういうことを指しておられるのか、この点についてお示しいただきたいと思います。

海江田国務大臣 今もお話をしましたけれども、基本的には、まず文科省の審査会のアウトラインが出なければいけないということでありますが、アウトラインが出た後、なるべく早くに支払いをしなければいけません。

 さっきお話をしましたけれども、例えば、最低幾らぐらいは出るでしょうねというお金がわかったから、その分だけでも先に払えるような仕組みはないだろうか、一遍に例えば何千万円という金額を払うのではなしに、それを、もちろんその中に入るわけですけれども、なるべく早く第一次で払えないだろうか、そういうことはできないんだろうかとか。それから、最後の最後まで、紛争までいってしまうと、これはすごく時間がかかりますから、そういう紛争をできるだけ少なくするような、裁判所まで行くことをできるだけ少なくするように、やはり審査会の方も大きな枠で、少なくとも、まず最初に、少額でもいいから、一部でもいいから払えるような、そういうようなシステムはつくれないだろうかとか。

 あともう一つ、そのときに念頭にありましたのは、一つは、特に事業者ということになれば、一番多いのは中小企業の事業者でありますけれども、その事業者に無利子、無担保、そしてできるだけ期間の長い緊急融資のようなものはできないだろうかということを頭に置いておりました。これは、私どもの方でその融資の制度をつくるということで今準備をしています。検討させております。

    〔委員長退席、楠田委員長代理着席〕

稲津委員 長期の無利子等の融資はぜひやっていただきたいと思うんですけれども、仮払いのところにもう一回戻って少しお伺いしたいと思うんです。

 二つテーマがあると思うんですね。一つは、賠償紛争審査会の指針がいつ出るのかという問題です。それともう一つは、個別具体な賠償金額はどのくらいになるのか。これがどのくらいになるかわかりませんけれども、東海のジェー・シー・オーに比べると、これは相当甚大な被害になりますので、そこはなかなか見えないんですが。

 そこで、この賠償紛争審査会の指針がいつごろ出されるのかということがやはり非常に気になるところです。それをまずお伺いしたいということ。それから、その前例というとやはりジェー・シー・オーの、あの東海の臨界事故のことになるんですけれども、あのときは、あの事故が起きてから指針が出るまでにどのくらいかかっているのか。きょうは文科省さんにも来ていただいているので、この点についてお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 原子力損害賠償審査会についてお問い合わせでございました。

 四月の十一日に設置をされました紛争審査会でございますが、十五日に第一回会合を開催いたしました。会合におきましては、関係省庁が把握しております被害の実態を把握するためにいろいろな報告をいただきました。そのほか、迅速な被害者救済の観点から、政府指示による避難あるいは出荷制限など、緊急性が高く賠償の範囲として蓋然性が高いものについて、整理がつき次第、順次、災害の範囲の判定等を示す指針を示していこうというふうなことでございます。

 次回、これは明後日、二十二日でございますけれども、二十二日にも、可能な部分について、最初の指針に関する議論を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

 被害者の皆さんの救済ということが迅速に行われるためにも、今後の指針策定のスケジュールについては、委員の方々ともよく御相談申し上げながら、できる限り早く指針を策定してまいりたいというふうに考えてございます。(稲津委員「ジェー・シー・オーは」と呼ぶ)

 ジェー・シー・オーのときの例でございます。ジェー・シー・オーのときには、実際上は、原子力損害賠償紛争審査会の指針をつくるというような業務はまだ加えられてございませんでした。ジェー・シー・オーの教訓を受けて、紛争審査会において指針を作成しようということでございました。そのときには研究会というようなものがつくられましたけれども、それを踏まえて、今回初めて紛争審査会としての指針をつくるということでございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 いずれにしても、この指針は、これから出るまでに、ある一定程度の相当な時間がかかるだろうというふうに想像します。それから、その後の賠償をどう決めていくのかというのも、恐らく相当時間がかかるだろう。ですから、先ほど大臣が御答弁なされたように、やはりどこかのタイミングで仮払いということを考えないといけないだろう、こう思うわけでございます。

 そこで、私は、仮払いの目安になるものがないのかなというふうにいつも思っていたんですけれども、先般、JA中央会が、放射性物質で汚染され出荷制限を受けている野菜や原乳の被害額を月単位でまとめて、その都度、東電に損害賠償請求する方針を固めたという報道がありました。これはまさに早急に仮払いを求めるということがねらいとしてあると思うんです。

 私は、そういうことを考えていきますと、この段階、これから起きてくる段階も含めて、仮払いの目安というのは幾つかできるんじゃないだろうかな、こう思うわけなんですね。そういう意味で、このJA中央会の損害賠償請求のことも含めて、大臣、仮払いについてどのような目安を考えられるのか、この点について御答弁いただければと思います。

海江田国務大臣 目安というのは、今すぐに、いつ幾日というわけには、残念ながら申し上げるわけにはまいりません。

 それから、今私がお話をしました、今委員からも御指摘のありました、お金を出す方と、では、そのお金をどこから調達するのかというもう一つ大きな問題がございまして、これについても今新聞などで連日のように報道合戦がありますが、実はまだ決まったものが何もないんですね。

 ただ、やはりこれは私どもの責任として、一日も早くその大きな枠組みを決めまして、その中で、こういう形でその原資を賄っていくということにしなければいけない、そう考えております。

稲津委員 それでは、ちょっとまた視点を変えてお伺いしたいと思うんです。

 大臣の御発言もあったんですけれども、原発事故の収束の、東電が出した工程表の問題。これは、収束までに、少なくとも、一番早くて六カ月から九カ月という話があって、大臣もこのことについて記者会見をされて、避難区域の住民の帰宅可能時期については、六カ月から九カ月後を目標にして、一部の地域の方にお知らせできるようにしたい、こういう御発言がありました。この発言の背景には、まさにこの東電の工程表の六カ月から九カ月があると思うんです。

 そう考えていきますと、これは、この六カ月から九カ月をどう見るかということもあると思うんですが、私は、避難をしている方々にしてみると、そんなに長いのか、これは本当に困ったことだと。

 例えば、農業の従事者のことを考えていったときに、当然、農地には放射能汚染がという不安もありますけれども、同時に、今、この春先になって、さあ、これから田植えだ、作付だというときが、まさに全く作業ができない。六カ月ということは、考えてみると、ちょうど秋の収穫時期。だから、ことしはもう無理だということですね。九カ月になるとどうかというと、十二月ごろ。ということは、もう来年の営農計画を立てる段階ですよ。だから、少なくとも、一番早くても六カ月、九カ月ということになると、考えてみたら、ことしの作付ももうだめだ、来年もだめだ、こういう状況で我々農業者は一体どうしたらいいんだろう、これが私は切実な悩みだと思うんです。

 そういうことを考えていけば、ここはやはり仮払いということを早急に考えて、出す必要があるだろう。特に農業のことで考えますと、例えば前年度の農業収入とかあるわけですね。ことしは営農計画の中でがらりと作物を変えてということはそんなに考えられない。だとすると、少なくとも、仮払いのある程度の目安というのは、私は、全部とは言いませんけれども、例えば農地集約型の農業でいくと、ハウスも入ると思いますけれども、十分考えられるだろう、このように思うわけでございます。

 この点について、大臣はどのようなお考えか、繰り返しの質問になるかもしれませんけれども、御答弁いただきたいと思います。

海江田国務大臣 委員、先ほど東電の発表の後にやりました私の記者会見の話を引用していただきましたが、そこで念頭にありましたのは、基本的には避難をした住民でありますが、その避難をしました住民の方々は、また生産者としての面も持っているわけであります。特に農業の、まさに作付、日本の豊かな四季に合わせた一連の作業のそれぞれの工程がございますから、そういうことも頭の中にはございました。その上で申し上げたことでありますので、そうした方々に対しては、生活資金の仮払いとは別な手当てが必要だろうと思います。

 その場合、一番大切になってまいりますのは、どこからそのお金を持ってくるかということでありまして、原賠法では、もちろん国がまず払わなければいけない資金もございます。これは御案内だろうと思いますけれども、一サイトにつき、一発電所につき一千二百億円という考え方もあります。もちろん、その中でおさまればすぐにこれは払わなければいけないわけでございますが、なかなかその中だけではおさまる金額ではなかろうと思っておりますので、その負担をそれぞれどうするのかということも念頭に置きながら、ただ、それは一年だけで全部払えるものでもありません、数年にわたって払わなければいけないものもあります。

 だから、そのときに、最初の支払いをどの時点でするかということが大切なポイントになってこようかと思いますから、今委員の非常に理の通ったお話をいただきましたので、そのお話を経済被害対応本部の中でもしっかりと生かしていきたいと思っております。

    〔楠田委員長代理退席、委員長着席〕

稲津委員 ありがとうございました。ここはぜひ精力的に取り組んでいただきたい、そのことをお願い申し上げます。

 今、では財源をどうするのかというお話がございました。これは通告には特に入れておりませんでしたけれども、当然、第一義的には東京電力の賠償責任というのはございます。では、東京電力がどれだけの賠償能力があるのかということも大事な視点になってくると思うんですね。それと同時に、国民目線から見たときに、やはり東京電力さんには本当にきちんとした責任をとっていただきたい、これは避けられないことだと思うんです。

 私もいろいろとお伺いした範囲によりますと、例えば、東京電力の流動資産等については、これは長期借り入れも含めると三兆円ぐらいあるという話も伺っていますし、そのほかに、この際、売却をして、そして財源に充てられるような資産があるのであれば、これはぜひ積極的に取り組んで検討すべき、そういう姿勢が望まれるところだと思うんですけれども、この点について大臣の所見を伺いたいと思います。

海江田国務大臣 私も同じ考え方であります。

 そして、既に東京電力は資産の一部について売却の表明をしておりますが、例えば東京電力が持っております株などについては、余り早くこれを売却ということを世間に向かって明らかにしてしまいますと、やはりそれでもうかなり下がっておりますね、現実の問題として。ですから、そういうことはしっかり配慮しなければいけないわけです。ただ、かなりの資産があるやに聞いておりますので、ここはまずそうした資産を吐き出すということ、それから、まず役員からでありますけれども、やはり役員が報酬を大幅にカットするということ、これも大事なことになろうかと思っております。

 そして、これだけ大きな被害でありますから、それに対して第一義的な責任を東京電力がしっかりと果たしていってもらうように私からもお願いをしているところであります。

稲津委員 賠償のことについての質問はこの程度で終わらせていただきたいと思います。いずれにしましても、ぜひ大臣初め担当の皆様の迅速な検討、対応をお願い申し上げたいと思います。

 それで、もう時間も残りわずかになりましたので、事故対応について一点お伺いさせていただきたいと思いますけれども、全電源喪失の認識についてなんです。これは原子力安全委員会に御質問させていただきたいと思います。

 原子力安全委員会は、一九九〇年に定めた発電用軽水炉の安全設計審査指針の解説に、長時間の全電源喪失については考慮する必要がない、このように明記をされております。その理由というのは、送電線の復旧または非常用交流電源設備、いわゆる非常用のディーゼル発電機の修復が期待されるからだ、こうしている。国は、外部電源を失ってもすぐに非常用電源が作動する、こういう想定のもとにこれが明記されていると思うんですけれども、しかし、結果として、震災と津波でほぼすべての電源が一度に喪失してしまったということ。

 こうなってみますと、この指針は妥当だったのかどうかということ、それから、この指針に基づいて対策を行ってきた電力会社が、今回のようなほぼすべての電源が喪失する、こういう事態を予測して対策をとることが可能だったのか、この点について原子力安全委員会にお尋ねしたいと思います。

久木田参考人 お答え申し上げます。

 原子力安全委員会が平成二年に決定いたしました発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針の中で、「原子炉施設は、短時間の全交流動力電源喪失に対して、原子炉を安全に停止し、かつ、停止後の冷却を確保できる設計であること。」とし、これについての解説の中で、長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧または非常用交流電源設備の修復が期待できるので考慮する必要はないとしていることは事実でございます。

 その一方で、原子力安全委員会は、原子炉施設のリスクを一層低減するという観点から、設計上の想定を超えた事象、例えば長期間にわたる交流電源の喪失といった事態に対処するための対処策といたしまして、いわゆるアクシデントマネジメントというものについて原子炉設置者が自主的に整備し、万一の場合にこれを的確に実施できるようにすることを強く推奨する旨の決定を平成四年五月にしているところでございます。この整備状況については、通商産業省から随時聴取してまいったところでございます。

 また、原子力安全委員会は、今回の事故で判明している知見に基づきまして、原子力安全・保安院から、津波による全交流電源喪失等を想定した緊急安全対策の実施をすべての原子力発電所を対象に求めるとともに、緊急安全対策の実効性を担保するための省令改正を行った旨の報告を受けてございます。

 原子力安全委員会としては、この緊急安全対策について直ちに実施すべきであるとするとともに、今後必要な措置について適宜意見を述べてまいる所存でございます。

 最後でございますが、原子力安全委員会としては、今般の事故について非常に重く受けとめ、深く反省いたしまして、今回のような事態が二度と起こりませんように、交流電源喪失についての考え方を含めて必要な指針の改定を行っていきたいというふうに考えてございます。

稲津委員 時間が来ましたので終わります。

 アクシデントマネジメントについては、機会があればぜひまた議論させていただきたいと思っています。

 いずれにしましても、原子力安全委員会なり、そこからの指針なり方向性を出されると、それによって、今回は東京電力を初め電力会社もそれに従わざるを得ないということを考えていきますと、今、私が申し上げました審査指針の解説の中に全電源喪失について考慮する必要はないというふうに明記されていたというのは非常に大きなことだと思うんです。この責任はやはりきちんととっていかなきゃならない。

 したがって、今度はそれを改定するというお話もありましたので、これも速やかにやっていただきたい、このことを申し上げて、また別の機会に質疑させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 以上で稲津君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私は、きょうは、最初に工程表にかかわって質問をしたいというふうに思います。

 いただいた資料を見ておっても、一号機、二号機、三号機とも原子炉内の圧力、水位が上がらないわけですね。要するに、核燃料棒が半分近く露出した状態がずっと続いているわけですよ。このことは、格納容器に冷却水を入れても漏れているということをあらわすものでありますし、水素爆発対策で窒素ガスを封入したんだけれども圧力が上がらないのは、これは格納容器からも漏れが出ているということになると思うんですが、津波が圧力容器の中に及ぶわけはないので、それでつぶれるほどやわな装置だったら話にならないんですが、最初の地震の一撃でプラントのどこが傷んだのか、保安院長に伺いたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 最初の一撃に関しましては、まず送電線、鉄塔の倒壊ということがございます、それによりまして外部電源の喪失が生じたわけでございますけれども、その後、非常用ディーゼルが動きまして、そこで津波が襲来をしたということでございます。その時点で、最初の地震、それから津波の襲来、これによりましてどこがどのように傷んだのかということに関しましては、現時点でまだ確定がされておりません。さまざまな現場の事情等々があったわけでございます。

 ですけれども、今委員御指摘のように、燃料棒につきまして、今把握しているデータを前提といたしますと、一定程度の燃料ペレットの溶融といった事態が生じているというふうに、一号機、二号機、三号機、それぞれそのように私どもはとらえておるところでございます。

吉井委員 せんだっての原子力安全委員会でも、炉心が溶けているという、この溶融のことは報告をしておられるんですが、そのプラントの状況がどうなっているかということをきちんとつかまないことには、そもそも工程表をつくるということがなかなか大変なことなんですよ。

 それで海江田大臣に伺っておきたいんですけれども、工程表でちゃんとやるというふうに会見でおっしゃったのを私は聞いていましたけれども、当分の間は高レベル汚染水は出し続けるということは判断していらっしゃるんですね。

海江田国務大臣 出し続けるという意味がちょっと正確ではないと思いますが、これは、とりわけ今重点的に集中などに移すのは二号ということを決めておりますから、今二号にたまっております水はかなり高濃度だということでございますので、これを一日も早く集中などに移さなければいけない、こういうことでございます。

吉井委員 努力しているという方向はおっしゃったんだけれども、そもそもプラントのどこが壊れているかわからないわけですから、あちこちから破損が出てくるので、それは簡単にとまるということは言えない。だからこそ、私が前から言っておりますように、きちんとしたデータをまず出させるようにしなさいということを言っているわけです。

 次に伺っておきますが、実は二〇〇六年十二月十三日に質問主意書を出しました。これは、原発停止後の崩壊熱を除去できなかったときには核燃料棒はバーンアウトするんじゃないかということを言ったんですが、そういう場合についてどういう評価をやっているんだといったら、経済産業省として評価していないということでした。

 二〇〇五年十月三十一日には、今三号機で問題のプルサーマルの利用の場合、炉内の安全性及び過酷事故の放射能被害について質問しました。これに対して、東電第一・三号などの設置許可書があり、過酷事故については、「技術的見地からは起こるとは考えられない事故を想定し、周辺の公衆に著しい放射線災害を与えないことを確認している。」というのがこのときの答弁なんです。もちろん、総理大臣名の答弁書でありますけれども、答弁の作文をしたのは保安院なんですよ。

 そこで伺っておきたいのは、周辺の公衆に著しい放射線災害を与えないことを確認した、どういうふうに確認したのかを伺います。

寺坂政府参考人 二〇〇五年の質問主意書に関しましての御質問でございます。

 プルサーマル利用時の過酷事故時の放射能被害に関します評価について質問をいただきまして、設置許可時の安全審査におきましては、立地指針に基づきまして、技術的見地からは起こることが考えられない事故を想定して、その場合におきましても周辺の公衆に著しい放射線災害を与えないことを確認したところでございますけれども、今回の福島第一発電所の事故に関しましては、答弁書においてお答えいたしました内容と異なりまして、巨大な津波あるいは地震で長時間にわたり電源が失われ、ほかのプラントからの電力の融通もできなかったという状況のもとで原子炉の冷却が確保できない事態が生じたものと認識をしております。

 この事故原因等に関しまして……(吉井委員「原因はいいです」と呼ぶ)はい。

 そのような事態が生じた、確認した以上の事態が生じたというふうに認識をしてございます。

吉井委員 だから、「周辺の公衆に著しい放射線災害を与えないことを確認している。」と言ったんですよ。しかし、確認していなかったんですよ。ここは非常に大事なところだと思うんです。

 そこで、海江田大臣、政府はこれまで東京電力の言いなりになってしまって過酷事故を想定しない。それから、そのとき「公衆に著しい放射線災害を与えないことを確認している。」と言ったんだけれども、何の確認もしていなかったわけですよ。やはりこういうふうな、電力は大丈夫だといったら大丈夫だと思うような原発政策というのは改めるべきじゃないですか。これは一言伺っておきます。

海江田国務大臣 そうした質問主意書に対する答弁なども、いわゆる原発安全神話に基づいていたのではないだろうかと私は思います。現実にああいう事故が起きましたから、今、私の頭の中には、そうした安全神話は全くございません。

吉井委員 まず、そういう原発政策を改めなきゃならぬと思います。

 次に、電源喪失についてです。

 実は、福島第一原発一号機運転開始三十周年記念文集というのがあるんですが、そこで、一号機の建設に携わった、元副社長で所長も務められた豊田正敏さんが、この方は一九五六年からやっているんですけれども、安全性については、緊急停止措置、緊急炉心冷却装置ECCSなど、多重防護の徹底を期した、盲点は所内電源系だ、内部電源だ、その信頼性が意外に低く、系統構成の改善を図った、非常用電源のDGの信頼度が当初極めて低かった、このようにちゃんと指摘しておられて、東京電力でも一号機の早い段階から電源については喪失することのないようにしなければならないと考えていたと思うんです。

 そこで保安院長に伺いますが、電源喪失により機器冷却系が働かなくなって炉心溶融に至ったわけですが、電源喪失は許されない、対策をとらせるという立場で東京電力に指示したのは何年からですか。

寺坂政府参考人 電源喪失を初めといたします外部電源の問題、あるいは所内電源の問題、これは非常用ディーゼルの問題でございますけれども、そういった事態が生じました場合に、いわゆるアクシデントマネジメント対策ということでどのような対応をしていくのかということの検討を、平成四年の安全委員会の指示以来、東京電力においても作業を行っております。

 その結果におきましては、他のプラントからの電力の融通というような対応、それから、実際にそのアクシデントマネジメント対策が実行可能かどうか、そういうことについての訓練を行う等々の、いわゆるアクシデントマネジメント対策をまとめているところでございますけれども、今回はアクシデントマネジメント対策においては十分にその対応ができる状態にはならなかった、そのように考えてございます。

吉井委員 実は、一九九二年、先ほどもありましたように、原子力安全委員会がBWRにおけるアクシデントマネジメントについてという文書を出しております。その翌年になりますが、日本原子力学会誌で、軽水炉のシビアアクシデント研究の現状ということで、さまざまな検討をやっているんですね。

 その中には、一九九三年七月二十一日に、軽水炉のアクシデント研究の現状ということで出しておりますが、実は、一九八三年度より、炉心の損傷についての研究、検討、地震問題の想定、それから、BWRでも全交流電源が喪失するという問題、水素爆発の問題、圧力容器貫通部のリーク、つまり、圧力容器には制御棒とか計装装置の案内管がいっぱい走っているわけですが、そういうところが一番弱いと。それから、ベントの重要性ですね。水素ガスは、ジルコニウムとの化学反応やら水蒸気が放射線で分解されますから当然出るんですよ。そうすると、窒素ガスで置換することをやるか、フィルターを通してベントをしないと危ないんだということは、もうちゃんと研究しているわけですね。そういうことを既に一九九三年の原子力学会誌でも出されていたわけですが、なぜそういうことがきちんと生かされてこないのか。

 私が先ほど紹介しましたように、私の質問主意書に対しては、要するに、そういうことは起こらない、まず評価の対象にならない、それから、「周辺の公衆に著しい放射線災害を与えないことを確認している。」と。もともと検討もしないで確認していると、これはだれが考えてみてもおかしいことだと思うんですよ。

 原子力安全・保安院長、今までの原子力安全・保安院のあり方について根本的な反省が必要なんじゃないですか。

寺坂政府参考人 先ほど来申し上げておりますとおり、アクシデントマネジメント対策についての対応を行いましたけれども、その前提となっております内容を超えるような事態が生じたということでございます。そのような事態を前提とした対応がなされていなかったということにつきましては、私ども保安院としても、しっかり考えを改めていかなければならないものだと承知してございます。

吉井委員 最後に大臣に伺っておきます。

 要するにアクシデントマネジメント対策というお話なんですが、実はシビアがつくんですよ。シビアアクシデントマネジメント対策というのが大事なんです。全電源喪失というのは許されないことなんです。これも早くに東電の副社長をやった豊田さんなども指摘し、草創期の技術屋さんはきちんと指摘して考えていたんですよ。

 この五年間、私は、地震や津波で送電鉄塔の倒壊による電源喪失は言うとったんです。津波の押し波による機器冷却系の水没で破損することも、引き波のときには取水できなくなることなど、内部電源や取水の欠落で停止した原子炉の燃料棒の冷却はできなくなるという問題は、もう何度も、五年も六年も前から指摘して、炉心溶融について取り上げてきたんですが、東京電力とともに、原子力安全・保安院を所管する大臣としてなぜこういうことをきちんと検討してこなかったのか、このことについての大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

海江田国務大臣 なぜこれまで保安院を所轄します経産大臣が行ってこなかったのかということは、なかなか答えが難しかろうと思います。

 ただ、先ほども一つお話をしましたけれども、私自身がそうでありましたけれども、安全だ、世界一安全だという安全神話を信じ込んでいたといいますか、これがあったことは確かだろうと思います。

 今やそうした安全神話は、まさに全く失われたわけでありますから、この上はしっかりとした対策を講じなければいけないと思いまして、特に電源の問題は、私も今度の事故で対策の最前線におりましてつくづく実感いたしましたのは、電源だけは喪失してはいけないということでございますので、三月三十日の指示、それから四月の九日、十五日と、電源だけはとにかく二重、三重、四重、五重ということで、もちろん鉄塔が地震などで倒れてはいけないということも含めて、そういう措置はまず第一の措置として講じてございます。

吉井委員 時間が参りましたから終わりますけれども、安全神話というのは、電力も政府も膨大な広告費をかけて国民にずっと宣伝してきたわけですよ。副読本までつくって宣伝してきている。しかし、宣伝するだけじゃなくて、自分自身がその安全神話にマインドコントロールされてしまっていた、非常に深刻な問題だということを指摘して、質問を終わりたいと思います。

田中委員長 吉井英勝君の質疑は以上で終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 まず、福島第一原発収束に向けた道筋、いわゆる工程表についてお伺いをいたします。

 これは東電が十七日に発表したものです。発表の際に政府の方が同席するなどもしていないということで、一体この工程表に政府がどのようにかかわっているのかが十八日の各党・政府震災対策合同会議の実務者会合で随分取り上げられました。これについて細野総理補佐官は、細かな技術的な事項も書いてあるので、そこは東電に頼るしかないけれども、工程表の実現に政府が責任を負わないなどということはあり得ないというふうに発言をされておられて、政府として責任を負うものであることを認めておられます。

 この工程表ですけれども、発表して最初から、こんなの実現するのかというような趣旨のことを原子力安全委員会の班目委員長がおっしゃっております。この工程表を見ますと、そもそも、すべてがうまくいくことを前提に、三カ月、あるいは六カ月、九カ月と書かれております。確かに、工程表のロードマップの中には、潜在するリスクというのが赤文字で列挙されているんですけれども、かといって、それが現実化した場合どのような備えを講じるのかという点については、私は書かれていないというふうに思います。私は、これは、最悪の事態を想定したシミュレーションを明らかにすべきだというふうに言ってきた実務者会合での各党の求めにこたえたものとは到底言いがたいのではないかと思います。

 まず一点お伺いをします。

 七日の深夜一時からいきなり始まった窒素ガスの封入、これは水素爆発の防止を目的とし、一号機から三号機まで行うというふうに聞いておりましたが、現状は、何を目的にどこまで行われているのか、二号機、三号機はどうなっているのか、こうしたことについてお伺いをします。

海江田国務大臣 柿澤委員にお答えをいたします。

 今柿澤委員から幾つかお話がありまして、本当でしたら一つ一つにお答えをしたいんですが、時間もありませんので、窒素封入だけについてお話をいたしますが、これは突然ではありません。

 かなりかなり前から、かねてから、例えばNRCなどは、特に窒素封入が水素爆発を防ぐ上で有効だということを言っておりました。ですから、それに向けて随分綿密な窒素封入の手順でありますとか、窒素の純度でありますとか、機械の接続でありますとか、これはかなり十全に準備をいたしました。そして、まさに七日の早朝からでありますが、これも一どきにどのくらいの量を入れれば、それまではバランスが一応保たれていたわけでございますが、窒素が入ることによって炉の中のバランスが崩れてまいりますので、これを非常に慎重にやらなければいけないということで、徐々に徐々に、本当にバランスを見ながら、温度でありますとか、圧力でありますとか、そういうものをはかりながら封入をしている。ですから、多少、当初の予定より時間がかかっております。

 それから、今、一号、二号、三号、全部に入れるんじゃないですかというお話がありましたが、一号については入れます。それから、二号、三号については、これは両方とも入れるということではありません。

柿澤委員 今、海江田大臣から、かなり前から綿密に計画をしていたんだという話がありました。私たち、ある面では責任を共有する与野党の実務者会合に出ていて、この話は全く出ていなかったんですよ。汚染水の放出について事後の報告になって申しわけないと陳謝したその夜に、この窒素封入の作業がいきなり始められて、後からまた報告をされて、今後しっかり報告をしなければいけない、申しわけないというふうに安全・保安院も陳謝をしている、こういうものなんです。そういう意味で、私たちに対する説明のあり方として、それはそれで私は非常に問題に感じますが、今回はここには深入りしません。

 水素爆発のリスクがあるからこそ窒素の封入をしているわけですが、水素爆発のリスクがどの程度あって、これが現実化した場合どうするのか、ここには全く書かれていませんが、どうするんでしょうか。

海江田国務大臣 その可能性が何%かということについてはお答えはできませんけれども、第一につきましては、過去に水素爆発をしたこともございます。それから、これは微妙なバランスでございますが、水素と酸素の割合が五対五になるとかということがあって、その前のところが大体三ぐらいのレベルだとか、そういうことは全部はかりながらやっているわけです。

 まず入れなければいけないのは第一号で、水素と酸素の割合でありますとか、水蒸気の割合でありますとか、そういうものを見ながら専門家がしっかりと判断をしているということでございます。

柿澤委員 いみじくも、原発安全神話は私の頭には全くございません、こういうふうに先ほどおっしゃっていたわけです。

 その上で、この工程表にもリスクとして明示をされている水素爆発が、今、窒素封入をやっているわけですから、目の前にそのリスクはあるわけでありますので、そのことが起きた場合にどうするのかということについてここで何も明示をされないということでは、この期に及んで楽観的な、うまくいくシミュレーションばかりを強調しているということになりませんか。それで、これが本当に事故対応に対する信頼感や安心感を生むことにつながるというふうに思われるでしょうか。私は、これは答弁を求めません。

 次に行きます。作業員の問題です。

 この間、Jヴィレッジ等における作業員の被曝管理、健康管理が全く不備だということを私は指摘してきました。放射線の専門医がいない、そもそも作業員の健康管理を統括する医師がいない、採血で白血球数の減少を調べる資器材もない。私が問い合わせたら、その当日に救急医学会に医師派遣要請を出しました。四月一日、作業員が重症の被曝をした三月二十四日の一週間以上後ですよ。宿泊棟は開放されないで、廊下や階段の踊り場で雑魚寝をしている。こういう状況は、ILO条約百十五号、放射線からの労働者の保護に関する条約の規定に違反している可能性が強いと私は思います。国際的に日本は何をやっているんだというふうに言われかねない状況だと思います。

 先ほど海江田大臣は、別な委員の御質問に対して人手が必要だ、人手が要るんだと。作業員の人数確保がままならない、高い被曝線量の中で作業する作業員に過重な負担がかかっている現在の状況に、海江田大臣みずから苦渋の念をにじませていたと思います。

 そこでなんですけれども、現場作業員の被曝許容量について、百ミリシーベルトから二百五十ミリシーベルトに突然引き上げが行われました。これも、現場作業を進める上で、人手不足も続く、高い放射線量が続いている中で、苦肉の策であり、苦渋の決断だと思います。これは、ICRPの勧告の、緊急時の作業員に認められる推奨値五百ミリシーベルトの半分だということであります。厚労省は、人体に影響が出ないぎりぎりの値だ、白血球数の減少等の症状が出ない値だという見解だというふうに聞いております。これは同じ見解でよろしいでしょうか。

海江田国務大臣 二百五十ミリシーベルトで、私は同じ見解でございます。そこでやるしかないということでございます。

柿澤委員 同じ見解だという御答弁をいただきました。人体に影響が出ないぎりぎりの値、白血球数の減少等の症状が出ない値と厚労省が言っていることと自分の考えは同じだということであるんですけれども、しかし、これは違うんじゃないでしょうか。

 二〇〇七年のICRPの勧告でどういうふうに書いてあるかといえば、「百ミリシーベルトより高い線量では、確定的影響の増加、がんの有意なリスクがあるため、参考レベルの最大値は年間百ミリシーベルト」であるというふうに明確に書かれております。二百五十ミリシーベルトは緊急時の状況から正当化し得る値ということで書いてあるだけのことです。人体に影響が出ないぎりぎりの値であるというこの厚労省の見解は、現場作業員に対して誤解を与えるものだというふうに私は言わざるを得ないと思います。

 しかも、さらなる被曝許容量の引き上げ、五百ミリシーベルトに引き上げを政府は検討し始めているということも今報道されています。百から二百五十への引き上げすらも、関連会社の作業員は容易に現在も受け入れてはくれないということではないですか。こんな話は絶対認められません。しかも、先ほど申し上げたように、被曝管理も健康管理も不備がある中での強行なんです。やったらこれは人道問題です。

 本当にやるのかということもあわせてお伺いをしたいと思います。

海江田国務大臣 ここは、本当に作業員の安全を図りつつ、同時に、今、本当に目の前で起こっておりますこの原子炉の問題は、まだ進行中でございますから、この原子炉を何とか鎮静化に向かって努力をしなければいけないという現場の作業員の思いもあることは確かであります。

 その上で、今、緊急時というお話がございました、平時なら確かに百ミリシーベルトかもしれませんが、緊急時は二百五十まで、それは万やむを得ないという国際機関の評価もあるわけでございますから、その中でやっていく。

 しかし、私も東京電力にしっかりと指示をしておりますけれども、作業員の安全確保のために、ちゃんと休ませるとか、ちゃんと栄養補給をやるとか、新たな人たちをしっかりと集めておく。これは、特に炉の周辺で作業する場合はだれでもいいということではありませんで、それなりの経験を積んだ方がやりませんと、先ほどの窒素の封入のことだって、本当に慎重に慎重な検討を重ねた上で熟練の方たちが窒素を封入しているわけですから、そういう方たちの努力もこれから大事にしていかなければいけない。そういう本当にぎりぎりのところでやっているのが現状でございます。

柿澤委員 済みません、もう一度だけ。

 二百五十ミリシーベルトの値が健康に影響を与えないぎりぎりの値だというこの見解を、今もなおそうだというふうに海江田大臣はおっしゃるんでしょうか。もう一度お伺いします。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、ICRPの見解、緊急時、今回の福島の案件に関しまして、そういうICRPの見解も踏まえまして二百五十ミリシーベルトまで上げたものでございますけれども、放射線被曝線量が二百五十ミリシーベルト以下におきましては、急性期の臨床症状があるとの明らかな知見が認められない、そういったことも踏まえまして、今回に限り二百五十ミリシーベルトまで引き上げることとしたものでございます。

柿澤委員 ICRPの勧告にのっとって決めたと言いながら、ICRPの勧告に書いてあることと全く違うことを言っているというふうに思います。

 ICRPの勧告をもう一度だけ読んでおきますけれども、「百ミリシーベルトより高い線量では、確定的影響の増加、がんの有意なリスクがあるため、参考レベルの最大値は年間百ミリシーベルト」である、こういうふうに書かれております。それだけ申し上げて、もう時間も参っておりますので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

田中委員長 以上で柿澤未途君の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

田中委員長 次に、内閣提出、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。海江田経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

海江田国務大臣 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 現在、新興国市場の急速な拡大により、市場競争の舞台は先進国から新興国を含めた世界市場全体に移行しています。これに伴い、競争条件や需要構造が世界的に大きく変化し、企業がさまざまな形での事業の統合、選択と集中、連携、事業転換を加速しています。このような国際経済の構造的な変化に我が国経済が対応するためには、事業者の迅速かつ機動的な組織再編を促進していくことが必要であり、そのための制度面、資金面での支援措置を講ずる必要があります。また、我が国経済を支えるベンチャー、地域中小企業等の経営の効率化等を促進するため、ベンチャー等の成長企業による新事業展開等への支援措置、地域中小企業の事業の引き継ぎによる経営資源の有効活用への支援措置を講ずる必要があります。これにより、我が国産業の国際競争力の強化を目指すとともに、ベンチャー、地域中小企業等の活性化を図るため、本法案を提出した次第であります。

 これらの措置は、昨年六月に閣議決定した新成長戦略や十一月に発表した日本国内投資促進プログラムを早期に具体化していくためのものであります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、公正取引委員会との連携を強化します。主務大臣は産業再編に係る計画の認定をしようとする場合、適正な競争の確保の観点から、公正取引委員会への協議を行うこととし、戦略的な組織再編に関し、産業政策と競争政策との連携の強化に努めます。

 第二に、組織再編手続の簡素化、多様化のための会社法の特例を措置します。事業者が迅速な組織再編を図ることを後押しすべく、自社株式を対価とする株式公開買い付けの利用促進と完全子会社化手続の円滑化を図ります。

 第三に、事業者の再編に係る長期の資金調達を支援します。事業者が国際競争力の強化を図るために合併や事業承継等による再編を行うに当たり、株式会社日本政策金融公庫から国の指定する金融機関を通じて必要な資金を供給する制度を創設します。

 第四に、ベンチャー等の成長企業による新商品の生産体制の構築を支援します。新商品の生産設備を導入しようとする事業者が行う借り入れに対し、債務保証の措置を講ずることにより、当該事業者の資金調達を円滑化します。

 第五に、地域中小企業の事業の引き継ぎによる経営資源の有効活用を支援します。事業引き継ぎを希望する企業間の仲介に対する支援体制の整備を行うとともに、事業の引き継ぎに際しての資金調達に対する支援措置及び許認可の承継に係る手続の簡素化を行います。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

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田中委員長 次に、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 経済産業の基本施策に関する件、特に原子力発電所事故による経済被害対応等について、内閣委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、参考人及び政府参考人から意見または説明を聴取する必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、内閣委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十二分散会


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