衆議院

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第6号 平成23年4月22日(金曜日)

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平成二十三年四月二十二日(金曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 北神 圭朗君 理事 楠田 大蔵君

   理事 後藤  斎君 理事 近藤 洋介君

   理事 谷畑  孝君 理事 西村 康稔君

   理事 佐藤 茂樹君

      緒方林太郎君    川口  博君

      川島智太郎君    櫛渕 万里君

      熊田 篤嗣君    斉木 武志君

      斎藤やすのり君    柴橋 正直君

      白石 洋一君    杉本かずみ君

      田嶋  要君    平  智之君

      高松 和夫君    中山 義活君

      橋本  勉君    花咲 宏基君

      水野 智彦君    山本 剛正君

      吉田おさむ君    小渕 優子君

      近藤三津枝君    高市 早苗君

      橘 慶一郎君    西野あきら君

      額賀福志郎君    望月 義夫君

      稲津  久君    吉井 英勝君

      山内 康一君    園田 博之君

    …………………………………

   経済産業大臣       海江田万里君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            遠藤 俊英君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         吉田  靖君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           伊藤 洋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           井内 摂男君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           又野 己知君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          安達 健祐君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    高原 一郎君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            伊藤  仁君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  木村たけつか君    水野 智彦君

  梶山 弘志君     小渕 優子君

同日

 辞任         補欠選任

  水野 智彦君     木村たけつか君

  小渕 優子君     梶山 弘志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総務企画局参事官遠藤俊英君、総務省総合通信基盤局電波部長吉田靖君、文部科学省大臣官房審議官伊藤洋一君、経済産業省大臣官房審議官井内摂男君、経済産業省大臣官房審議官又野己知君、経済産業省経済産業政策局長安達健祐君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君、中小企業庁長官高原一郎君及び中小企業庁事業環境部長伊藤仁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷畑孝君。

谷畑委員 自由民主党の谷畑孝でございます。

 海江田大臣あるいは中山政務官、田嶋政務官、本当に、毎日毎日この震災のために頑張っておられること、心より敬意を表したいと思います。ぜひ、体に留意されて、一日も早くいい仕事ができて復旧できますよう心よりお願いをしておきたいと思います。

 さて、三月十一日の二時四十六分のあの大震災、津波は、日本の国始まって以来の大変な震災と津波でございました。約三万人の人たちが亡くなったり行方不明ということで、亡くなった人たちに対して心より哀悼の意を表し、また被災された皆さんにお見舞いを申し上げたい、このように思うわけであります。

 私ども自由民主党も、直ちに震災に対する対策本部を立ち上げて、私もその副本部長にしていただいて、そして、谷垣総裁が救国宣言というのか、与野党超えてこの問題に対処しなきゃならぬ、そういう立場で我々も第一次の緊急提言、第二次の緊急提言というものを出させていただいて、時には枝野官房長官が自由民主党本部を訪れる、そういうふうな状況で今取り組んでおるところでございます。

 少し報告させてもらいますと、この間、自由民主党は、この震災で義援金が一億七千万集まりました。これは非常に短時間の時間の中で集まりました。救援物資が計五百トン。これは党本部でテントを張って順次現地へ搬送している、こういうことであります。そして、私の地元の支部で百十二万、これは私も先頭になりまして募金活動させていただきました。

 物すごい涙が出るなと思うのが、小学校の子供がお母さんと手をつなぎながら、募金の我々の姿を見て走ってきて、この小遣いを使ってほしいと。こういうシーンを見て、ああ、うれしいな、やはり日本人というのは、最近元気がないというけれども、こういう温かい気持ちと、震災に対して何か自分がしたい、こういうことを感じたわけなんです。

 それで、大臣、これは通告していなかったですけれども、きのう菅総理が福島に入られて、被災地を視察されたということをニュースで聞いたわけです。とりわけ福島は、阪神・淡路と違って、原発という、見えない、非常に恐ろしい、風評被害もありますし、その闘いで大変だと思うわけでありますけれども、大臣もその責任者である。そのときに何人かが立ち上がって総理に詰め寄ると、早いこと原発を収束していただきたい、全力を挙げてやっていただきたい、そういうような訴えであったと思います。

 もう四十日たちました、また、原発を所管する経済産業大臣であります、一日も早く収束をしてほしいし、早く帰れるようにしていただきたい。この間は、東電が、第一次ステップ、二次ステップということで、六カ月から九カ月の間に何とか収束の道筋をつけていくんだ、こういうふうに言っていますけれども、やはりこれも国が総力を挙げて頑張っていかなきゃならぬ、その先頭に立つ海江田大臣ですので、改めてもう一度力強い決意をお聞きしたいと思います。

海江田国務大臣 まず、谷畑委員に対しては、地元で募金活動、あるいは党としての義援金、救援物資を集めることに対して、谷畑委員本人が大変頑張られたというふうに伺っております。本当に私からも御礼をまず申し上げます。

 その上で、今お尋ねのありました今回の地震、津波、そして原発事故ということで、特に私は原発の災害対策本部の副本部長も務めております。これは総理が本部長でございますが。それから、原子力発電というのは言うまでもなく経済産業省の所管でございますので、その意味では、私は、まず原発を、まだ進行中でありますが、何とか抑制するということが私の第一義的な任務であろうかと思っております。

 せんだって、今委員からも言及がありましたけれども、東京電力が収束へ向けて第一ステップ、第二ステップという工程表をあらわしたということで、もちろんいろいろな御意見もあります、しかし、まず東京電力がこういう形でやるつもりだということを示しましたのは一つの区切りではないだろうかと思います。あとは、私どもが、そうしたステップをきちっと踏めるようにいろいろな形でのバックアップも必要でございます。それから、督促も必要でございます。そういうことにこれまで以上に力を入れていきたい、そのように考えております。

谷畑委員 私は、阪神・淡路大震災のときに通産政務次官で、ちょうど中山先生だとか田嶋先生と同じような立場でございました。

 道路が、国道一本が混雑で全く使い物にならない状況でしたので、私は常に大阪の港から船に乗って現地へ入って、現場の声を聞いたり業界の皆さんのお話を聞いたり、そういうことをしておりました。そのころの通商産業省の仕事というのは、インフラ、特に電気、ガス、工場。中小企業に対するヒアリングの中で、仮設工場だとか、そういう仕事を私も精力的にさせてもらったわけです。そのときにつくづく感じたことは、小里さんという震災担当大臣が主力になってやっておられましたのと、業界と役人と地元の行政がしっかりと信じ合ってやっていくことが物事をスピーディーにできる一番の力であったなと思います。

 だから、政務次官としても、そんなに会議がたくさんあるわけではない。非常にシンプルでした。しかも、業界の力というのは、やはり大きいです。業界が、電気をつけること、シートをつけること、それからガスをつけることをお互いに競争しました。それを我々が信じて、そこに官が入っていって、それで頑張っていこう、頑張っていこうと。そんなことが感じられるんです。

 それで、我が田中委員長が、十九日に官邸に行かれて、菅総理と相談されて、乱立という批判がある東日本大震災の政府組織が二十近くあるということで、もっとスリムにしたらどうだ、必要な組織は大事だけれども組織ばかりつくればいいものではない、こういうお話であったと聞いています。首相は、そのとおりだと答えておったと報じられております。

 私は思うんですけれども、会議をたくさんつくれば、その会議で人はどうしても演説したくなるし、こうだこうだということを言いますし、それをやると議事録をつくらなきゃならぬ、遊んだらいかぬということでまた会議をしたくなる。これをやっていたら、実際に仕事をしなきゃならぬ人たちがじっくり仕事ができない。基本的には、スピードがおくれていく、こういうふうに思えて仕方がないんです。

 海江田担当大臣もたくさんの会議に名前を連ねていると思いますし、本人もその矛盾はたくさんあると思いますけれども、せっかく委員長が総理との話の中で、総理もそのとおりだと言っておるので、ぜひ今からでも大事なものは残してスリム化してスピードを上げていく、そのことについてはどうお考えでしょうか。

海江田国務大臣 まず、谷畑委員の最初の提案の中で、業界の協力というのが阪神・淡路のとき大変重要であって、それが効果を発揮したというお話をいただきましたが、今回のこの大災害が起きましたとき、ガソリンの問題が一番大きな問題になりました。これも、もちろん経産省の所管でございますが、このときは本当に石油業界の皆様に大変協力をいただきました。その意味では、委員がおっしゃられた業界との結びつき、そして協力をお願いするというのは大変重要だということを、私はそのときつくづく実感いたしました。

 そして、今の、もろもろの本部が多いのではないかという御指摘でございます。

 昔、私は漢文とかが比較的好きですから、本を読みましたら、おもしろい四字熟語で、これは日本では余り流布しておりませんけれども、簡政精兵という言葉があったんですね。これは、わかりやすくすれば、会議は短くしてとにかく戦場に行って頑張れという意味ではないだろうか、昔読んだ本の中にそういう四字熟語があって、今の委員のお話を聞いてそれを思い出しておりました。

 ただ、この原発の問題は、これはぜひ御理解をいただきたいわけでございますが、先ほどお話をしました、一番の中心にありますのは、菅総理が本部長を務めます原子力災害対策本部でございます。そして、同時に、菅総理が本部長を務めておりまして、私が副本部長の一人を務めておりますが、福島原子力発電所事故対策統合本部というのがございます。もう一人の副本部長が、東京電力の勝俣会長ということになっております。

 例えば、この二つの関係でありますけれども、原子力の事故の問題、発電所の問題というのは、現に毎日毎日進行している、プラントの状況も毎日変化する、そのプラントも、問題を起こしておりますプラントは少なくとも四つ、一号から四つある、そして、それぞれも状況が違うということになりますと、やはり情報を即時にとって、その情報に対して即時に手当てを講じなければいけないという必要性があるんです。この場合は、私どもが官邸にいて、そして東電は、本社に本部があって、現地に現地の対策の司令塔がある、こういう経由をしてやっておったのでは本当に時間がかかってタイミングを逸してしまうということがありますから、そういう意味では、どうしてもそういう数が多くなるのはいたし方ないんじゃないだろうか。

 あるいは経済被害についてもそうであります。生活支援のチーム、これは避難の決定もしなければいけませんし、避難した人に対する支援もやらなきゃいけないということで、この原子力の問題、とりわけ今度の福島の第一発電所の事象を考えたとき、こういう形で本部が多くなるのもやむを得ないのではないだろうかというふうに思っております。

谷畑委員 大臣に多少理解もしていただきながら、組織について必要なんだということ、それもよくわかりますけれども、いずれにしても、スピードを上げていくために、簡潔で、しかも指揮命令が単純化されて、だれが責任を持つかということだけはしっかりと取り組んでいただいたら非常にありがたいな、こういうふうに思っています。

 次に、電力需給対策であります。

 これも日一日と変わっていますよね。初めは夏場の一番ピークのときに八百五十万キロワットはどうしても不足するんだ、こういうことであったものが、最近は、東電を含めて努力されてきて、今ようやく八百万だということになったり、そんな話もありました。

 また、震災後、計画停電ということでありましたけれども、これも少し評判が悪くて、その管内において、病院で手術をやっているときだとか、交通信号だとか、あるいはまた電力が必要な工場では、それをとめると立ち上がるのにも仕事にならぬとか、いろいろな状況があった。そういう中で、これから夏場の一千万キロを超えるピークを迎えるということであります。

 できる限り早く方向を出してやっていくことが非常に大事だと思うので、現時点において、節電等を含めていつごろ政府として方向性を決めるのか。そうしないと、企業もそれにどう対応するかということを決めかねるし、連休に入ってしまいます。そのあたり、現時点で、あればお知らせをしていただきたいと思います。

海江田国務大臣 ことしの夏の電力の需給関係ということで、特に東京電力の管内が大きな問題になっております。もちろん、東北電力の管内もそうでございますが。

 去年は大変な酷暑でございましたけれども、去年を一つの目安にしますと、大体需要が六千万キロワットあった。これに対して、東京電力が最初言っておりましたのはたしか四千五百万キロワットですから、需給のギャップというのは一千五百万キロワットあった。その後、政府の側が何とか五百万キロワットぐらいは供給をふやしてくれということを言いましたら、比較的早く五百万キロワット出てまいりました。まだそれでもピークの六千万キロワットとの間には一千万キロワットのギャップがあるわけでありますから、今、何とかこの一千万キロワットをもっと縮めてくれないだろうかということで要請をしておりまして、追加的にもう少し電力を供給しましょうというところまでは来ております。

 そうしますと、先ほどこれも委員から御指摘がありましたが、当初、私どもがおおよその需要の削減幅を、家庭から大企業、大口までいろいろございますけれども、大口で二五%程度という数字が出ておりましたけれども、そうした見通しについても、もう既に目標の五百万キロワットは出てきておりますから、これも見直ししなければいけないということでありまして、この見直しをした結果どういう数字になるかということは、現在まだ決まっておりません。

 今申し上げました五百万キロワットに次ぐ、次の東電側からの供給の計画と申しますか、これが出てこないと決まりません。もちろん、決まりましたらいち早くお伝えをしたいと思っておりますが、新聞などの報道機関はいろいろ書いてございますが、まだこれは決まっていない。

 私どもは、例えばあと何万キロ上積みをするんだといったら、当然、どこの発電所を動かして上積みをするのかということを聞かなければいけません。そこのところが実はまだ詰まっていないわけでございます。ですから、今の段階では、残念ながらまだ公にすることができないということでございます。

 一つ私が懸念をしておりますのは、いずれにしましても、特に大口の二五%の削減という計画はもっと小さなものになることは確かであります。それから、いろいろな報道がありますものですから、何だ、ことしの夏は乗り切れるんじゃないだろうかというような思いが蔓延をしてしまって、特に家庭の部分は計画的な需要削減というものがどうしてもできないわけですから、特に家庭の部分が安心をしてしまって節電の努力が少しおろそかになったりすると困りますので、そこはぜひ家庭の皆様にもしっかりと節電をしていただきたい。もちろん、節電をしている家庭もたくさんございます。しかし、全体に緩んでしまってはいけませんので、今、まだまだ気を引き締めながらこの需給の計画を立てているところでございます。

    〔委員長退席、楠田委員長代理着席〕

谷畑委員 いずれにしたって、この電力というのは、そこに住んでおられる皆さんにとってみても生活にかかわるし、産業にかかわっている人にとってみても大事な問題ですので、これは一刻も早く方向性を出して、それに向けて国民が走っていくということにしないといかぬのかなと思います。

 その節電も、私も、震災が起こったときには、床暖房もとめ、明かりもつけず、毛布をかぶりながら少しでも節電に自分もかかわることが大事なことだと思い、やっておるわけです。今おっしゃったように、少し気が緩むといかぬということもあろうかと思うんです。

 さて、それに当たって、政府として、大口の需要者を含めて二五%、一五%という節電対策をやっていくんだろうけれども、本来は節電しなくてもいい状況をつくることが一番大事だ。だから、初めからこれだけ電力が足らぬのだという発想じゃなくて、何とか総力を挙げて、国を挙げて電力不足を解決するという努力が、政府として旗を振る必要があるんじゃないか。

 そのために、東電エリアだけでもいいし、あるいは東京都内だけでもいいんですけれども、冷蔵庫や冷房を含めてエコポイントを、もうこれは期限が切れて終わってしまいましたけれども、今だったら国民の皆さんも何かプラスになりたい、協力したいという気持ちが非常に強いわけですので、この夏場に向けて、今から期限を切ってでも大胆なエコポイント制度を復活させるとか、この際、さらに自家発電をしてもらうための補助金というのか、誘導していくための施策、あるいは太陽光発電であったり、そういうことが非常に大事ではないかと思うんですね。

 それともう一つ、私の意見ですけれども、この間、エネルギー戦争というのが始まって、電気の方は電気で一元化しようと、マンションを含めて。一元化したマンションがはやりで、ガスと電気とが大きな戦争をやっていたんですね。だから、いつの間にかガスがなくなってきて、全部電気に一元化されてきたところがある。この間も中山政務官に陳情して助言ももらったわけですけれども、LPガスも、ガスとLPガスの戦争で、LPガスがだんだん追い上げられてしまう。ところが、一たびこういう大きな震災が起こりますと、それぞれのエネルギーがそれなりの中で生きていくということは結構大事だなと。この間も政務官に、谷畑さん、LPガスが震災のときに復活が一番早かったと聞くわけです。

 大臣、そのあたりはどうですか。今から電力不足を解決するためのあらゆる施策を、旗を振っていただけないだろうか。

海江田国務大臣 これも、委員の今のお話の中に、まさにこれからエネルギー政策として考えなければいけない点が入っているかと思います。

 確かに、ガスも都市ガスとLPガスで、仙台は電気の方が先に復旧しましたけれども、ガスが最後までおくれまして、それはまさに都市ガスがLPガスに取ってかわってということでありましたから、今度の被災で、ガスの間の競争と申しますか、そこでもそういう問題の弊害が随分出てきたということでございます。

 その点は、電気についてもそういうことがあろうかと思います。特に、委員から御指摘のありました太陽光発電でありますとか自家発電でありますとか、事業所などでも事業所単位で自家発電をやっているところがございますから、この夏は、そういうところからも東京電力に電気を売ってもらって、少しでも供給力をふやさなければいけないというふうに思っております。

 それから、エコポイントの点でございますが、このエコポイントというのは、これはもう委員御案内でしょうけれども、景気対策の側面もございまして、かなり人気化しました。予算も大変過大なものになりましたので、今、その予算の面でどうだろうかという問題点があるということだけは述べさせていただきます。

谷畑委員 ぜひ国を挙げて電力不足に取り組んでいただきたい、そういうふうに思っています。

 次に、東電のことについて。

 東電の国有化論というのがどうしても出てくるんですね。「東電 政府管理へ 公的資金を投入」、こういう記事であったり、「東電 巨額の費用負担」。国有化選択の幅がある。あるいは「東電に「一時国有化論」」、こう出てくるんです。これはずっと出てくると思います。その背景には、余りにも被害が大きくて、その賠償を含めてけた違いの金額になって、これはまともにやっていたら一企業は吹っ飛んでしまう、こういうこともあろうと思うんですね。

 それと同時に、当面原発というのは東電の管轄ですから、国民の皆さんから見たら、東電は一体何だということで、東電たたきというのは当然出てくるわけなんです。

 しかし、ここはやはり冷静にならないと。エネルギー政策というのは国の根幹であるし、原子力発電というのは今三二%ですか、これを将来五〇%ぐらいに、これは一番クリーンなエネルギーだ、こういうように我々も、私も推進の立場で旗を振ってきたわけです。これからこのエネルギー政策というのはどうするか。日本にとってみても、これは非常に大事な局面になるんだけれども、まずこの国有化論、本当に国はそう思っているのか、あるいはそうではないのか、そこははっきり言わないと。ここからいろいろな問題が起こってきますので、大臣、どう考えられますか。

    〔楠田委員長代理退席、委員長着席〕

海江田国務大臣 東電の国有化論につきましては、どういうことをもって国有化というかということについても、いろいろな意見といいますより、いろいろな主張がございます。

 しかも、この東電国有化論というのは、東電がと申しますか、今度の原子力災害における損害が大変大きなものでありますから、当然賠償額も巨額なものになるだろうという、そこの流れからきているわけであります。

 ただ、この賠償のスキームにつきましては、これもいろいろなマスコミの報道、新聞報道などが先行しておりますが、まだ政府としてこの賠償のスキームを決めたことはございません。まさに、文科省のもとでつくられました紛争審査会がスタートをしまして、そこがまず枠組みと申しますかアウトライン、ガイドラインを決めるという、その手前の段階であるということは、改めて申すまでもないことであろうかと思います。

 その上で、私も何度かこの賠償の基本的な考え方についてお話をさせていただきました。それは、やはり東京電力も責任がある、第一義的な責任があるだろうということが一つでございます。それから、東京電力は、特に関東地方、一都八県に電力を安定的に供給する義務がありますから、電力の、電気の供給義務をしっかりと果たしてもらわなければならないということ、これが二番目であります。そして、三番目が、東京電力が民間の企業体として収益を上げて、その収益の中から東京電力が負担をします賠償金などの原資を賄ってもらいたいということでございます。

 この三つが原則でございますから、そこから当然出てまいります結論というのは、国有化ということではない、民間企業としてしっかりとその責任を果たしてもらいたい、こういうことになろうかと思います。

谷畑委員 大臣のおっしゃることは、そのとおりだと思います。やはり国有化論ではなくて、民営化として頑張っていただかないかぬ。

 もちろん、東電は大きな責任がある、これは当然のことであります。しかし、原子力損害賠償法という法律、これは割と奥の深い法律だと思います、これは、すぐれて日本がエネルギー政策は国の責任でやっているということがあるからこの法律がある。

 だから、きのう、菅総理と地元の佐藤知事との会談の中でも、損害賠償においても国自身がちゃんと責任を持ってやるんだというメッセージを発してくれというのが知事の発言であった。いや、それは東電が悪いんだ、こっちはこうだということではなくて、まず国がすべて責任を持ってやるんだ。その中で、もちろん東電のウエートも大きいし、どうするのかということは、今後その賠償の枠組みは政府がしっかりと国民の理解が得られる形でやっていくことが大事だ、こういうふうに思います。

 その点、どうですか。やはり国がちゃんと責任を持ってやっていくんだと。

海江田国務大臣 そのことは、もちろんのことであります。国がしっかりと支援をしていく、そして、そういう物事を決めていくということでございます。

谷畑委員 それで、経済産業委員会として、あるいは大臣の所管の中で大事なのは、忘れてはならないのは、震災を受けた地域の企業、大きい企業から小さい企業から中間の企業から、たくさんの企業がそこにおられます。そして、多種多様な仕事をされている。そういう人たちからも、時には茫然としているところもあります、あるいは天国と地獄で、山手の高台にある中小企業は人も残り機械も残るというところもある。ところが、不幸にして工場も海に持っていかれたわ、人も亡くなっていないわ、全くの裸だ、自分は避難所におる、どうしたものだろう、廃業すべきかやるべきかと。しかし、長年やってきた製造業、やはり日がたつに従ってやりたいというような気持ちが出てくるんですね。

 そこで、多種多様であるということ、しかも、中小企業対策というのは、我々がいつも言ってきていることは、融資であったり税制であったり、あるいは雇用調整金のような制度であったり、いろいろな制度があるんですが、その制度に行き着けるところはまだ幸せなんですよ。そこまで行き着けない、今言いましたように流されてしまって何にもないところがあるんですね。だから、そういうことがありますので、ここはぜひ総合的な立場で政策をやってほしいなということが一つ。

 それと同時に、やはりここにも業界の力が要る。例えば自動車業界だったら、自動車業界の第一次下請、二次下請、三次下請と末端がある。一番よくわかっているのは、その自動車業界だ。自分たちの協力会社がどうなっているか。ここを、できたら経済産業省も業界と一緒になって、どういう形でやったらいいのか。例えば業界でいえば、受注、注文をちゃんと保証してあげるということが一番励みになります。工場を再開したけれども、もう関西の方に頼んだとか、そういうことではいかぬのです。やはり今まで地元の中に系列があったものがどう生かされるか、そこらの点、何かありましたら助言と考えを。

中山大臣政務官 谷畑委員の言っていることと問題意識は全く一緒でございます。

 要するに、横ぐしを入れて、我々も金融庁と、それから今度の場合は農水省、国土交通省とか入れまして連絡会議をやっております。

 これも先ほどちょっと御指摘がありましたけれども、中小企業の対策本部というのは大事でございまして、一応中小企業に限ってやっておりますが、そうは言っても、中小企業が支えている大企業もございます。そういう面で金融の問題から幅広くやろうということで、中小企業庁ではまず問題意識をしっかり持って、どんな要望があるか御用聞きに行こうと。御用聞きとか出前というのを、よく役人で考えたなと思うのですが、六十人ぐらいまず行かせました。いろいろな要望を受けてきて、それを会議にかけたということでございます。

 それには、まずゼロからの出発にしてもらいたい。つまり、家が流されちゃった、借金だけ残っている、だから少なくともゼロから出発したい、マイナスからの出発はやめてくれ。

 ですから、被災者の場合は、二年の据置期間を五年にいたします。それから、保証協会の枠も、今までは担保つきが二億、担保なしは八千万円を、この枠をもう一つつくりまして倍増いたしました。ですから、五億六千万円まで借りられるということでございます。さらに、私たちが今もう一つ考えているのは、中小企業に対する金融で、これもできる限りゼロ金利に限りなく近くやっていこうと、この三原則でやっております。

 それから、金融庁にも、できる限り地方の第二地銀や信用金庫に資本注入をしてもらいたい、できるだけ地元の方にお金を貸してもらいたい、こういうこともあわせてお願いをしているところでございまして、できる限り連絡会議を開きます。

 それから、四月十日から職員もどんどん向こうに派遣をいたします。結果的にこういうことが生まれてまいりました、貸し店舗や仮店舗が必要だということで、貸し店舗を無償で貸すわけです。それから、仮工場、漁村には組合の競り場であるとか加工工場であるとか、そういうものもつくって無償で貸そう。

 つまり、産業が復活しない限りは、絶対にその地域は伸びません。もちろん、住宅は大事です。七万戸の住宅を国土交通省が一生懸命努力しています。しかし、あしたから仕事がないというのも現実なんです。ですから、実業をしっかりやっていくということで、仕事をやりたい人にはお金を貸す、その地域でもう一回再生したい、その思いを絶対私たちは受けてやっていかなければいけないということで、今相談員も七百人ぐらい現地に送って、いろいろな相談を受けようということでやっておりますので、ぜひ御安心をいただきたいと思います。

谷畑委員 それで、大臣、正直な話、これだけ大きな震災であったから大臣は原発にとられる、それから池田副大臣だとか松下さんも現地へ行かれている、みんなずっと。これは当然なんですけれども、しかし、よく考えたら、経済をどうするか。震災の場所だけじゃなくて、これに対する風評であったり、これは関西エリアでもいろいろな問題が出てきているんですよ。

 当初は、工務店等いろいろ含めて、資材が全くないといって大変でした。今は、ちょっとましになってきたらしいです。それから、この間は、私の地元の皆さんから、流通、小売業が福島のものを拒否する、そんな話をちょっと聞いたり、これは風評ですね。だから、そういういろいろなことに目配りする。もちろん、中山政務官がその先頭になっているけれども、もっと経済に、全国に目を光らせる。そういう視点も必要じゃないかなと思うんですね。

 それには、中山政務官がおっしゃってくれた、東北においては、港を中心にして漁業、加工業、あるいは貸し店舗とか、いろいろ各省庁にまたがるので、そこは連携するということですから、ここは連携しないと。観光もつながってきますので、そこらの点をしっかりやっていただきたい、そういうふうに言っておきます。

 それと、最後にこの中小企業のことについて要望しておきたいと思います。これはあくまでも私の意見です。できるかできないかはわからないけれども。

 昔、三池炭鉱とかでいろいろな形で離職された人に、雇用促進住宅だとか失対事業というのがありました。今はもうなくなったんですけれども、これは失対事業という名前がいいかどうかは別にして、今まで漁業をやっていた、農業をやっていた、農業も、塩水につかり、瓦れきの山になっていて、すぐにできない。漁業だって、港をつくるまで時間がかかる。今さらネクタイをしてハローワークに行ったってらちが明かない。しかも、ボランティアの弁当とかを食べるだけじゃなくて、自分が体を動かしてお金を少しでもいただいて、その中で好きなものを買える。それは、時間を限って、一年でもいいから、二年でもいいから、そこの自治体と、あるいは経産省、厚労省を含めて、ハウスのクリーニングだとか、ちょっとした瓦れきの、大きなことは専門家しかできないと思うけれども、そこからアルバムを集めたり、いろいろなことで、時給で、一人三時間でもいいから、仕事をぜひつくる必要があるんじゃないか。そうすれば気分もよくなるし、生きる力も出てくる。大臣、いろいろな対策の中でできないでしょうか。

海江田国務大臣 お答えを申し上げます。

 これは、被災者等就労支援・雇用創出推進会議というものがございます。この会議は、数が多いじゃないだろうかという御指摘は免れるのではないだろうかと思いますが、ここで震災後に失業した方々の当面の就労と雇用に関する対策を講じております。

 そこで、「日本はひとつ」しごとプロジェクトというものがございまして、まだ第一段階でございますが、その中に雇用創出基金事業というのが、これはこれまでもありました。だけれども、その中に、今回のような震災対応分野というものは当然のことながら入っていませんでした。ですから、その雇用創出基金事業の対象分野に、今回のような震災対応分野を追加することになりました。これによって、都道府県や市町村が被災者を臨時の職員として雇い入れをすることができるわけです。

 特に瓦れきの除去などは基本的には市町村の仕事でありますから、そういう意味では、この基金事業の中で市町村が臨時の職員として雇い入れをしていただいて、その方々に瓦れきの撤去などをやっていただくことができるようになります。

谷畑委員 次に、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法に少し入っていきたいと思います。二人の時間をプラスアルファしてもらってしたいと思います。

 まず、平成十一年のこの法律は、三回改正をやって、今回で四回目なんですよね。この法律が四回も改正をされてきて、今回は民主党政権の中で成長戦略を、五つの柱ですか、立てられて、その中で産業再編等をしながらしっかりと国際競争にたえられるという、そこが成長戦略の中で非常に大事なんだと思うんです。

 もう一度確認のために、四回目の改正なんです、いろいろな改正をやってきたけれども、今回は従来と違ってここがこの法案においては一番大事なんだというところを強く主張していただきたいと思います。

海江田国務大臣 委員御指摘のように、まさに四回も変えなければいけないというのは、それだけ社会の変化、世界の変化が激しいものだと考えております。

 特に、今回でございますけれども、大きな変化としましては、新興国も含め一体化するグローバル市場が大変競争が激化をしてきたということでございます。グローバル市場での競争が激化してきたということが一つ。もう一つは、単品物売りから機器とサービスの組み合わせへの需要の変化でございます。これが二つ目。こうした大きな世界の変化を踏まえまして、片方では、地域経済が疲弊しております、先ほど先生御指摘のありました中小企業の疲弊もございますが、そうした世界市場の大きな変化に対して地域経済の疲弊という、国内外の経済情勢の変化を背景に四回目の改正を行うものであります。

 そして、目指すものでありますけれども、特に今回は、主務大臣と、経済産業大臣であります私でございますが、公取委員会との協議による産業政策と競争政策の連携を強化しなければいけないということでございます。

 そして、再編に必要な資金の支援による我が国産業の国際競争力の強化も図るところであります。

 そしてもう一点、事業の引き継ぎを希望する企業同士の引き合わせや金融支援を行うことにより、地域経済の基盤を支える中小企業を強化するということでございます。

 一つ一つについてはこの後詳しく述べる機会もあろうかと思いますが、以上三点が目指すもののポイントでございます。

谷畑委員 私も、よく友人を訪ねて、時には国際会議で韓国を訪れることが多いんですけれども、韓国はこの十数年で本当に変わってきたなと思うんです。

 十数年前の韓国は、日韓議連に私が参加したとき、当時の国会議員の皆さんは、韓国というのは日本ほど人口があるわけではないから、国内の需要供給も非常に小さい、技術も日本ほどすそ野がないと。これが十数年前でしたよ。

 ところが、行くたびに、韓国自身が活力というのか、どんどん日本企業を追い抜く企業どころか日本が負けてしまっているところもある。それは、通貨危機以来、韓国は大変な産業再編成を外圧によってやってきましたし、目を見張るのは、自由貿易協定などは本当にすごい勢いでやってきていますよね。だから、どんどん勢いが出ている。

 そういうことから見たら、日本は、失われた二十年ということで、バブルがはじけてからを含めてなかなか活力を感じない。そういう状況であると思うんですね。

 そういう中で、今回の成長戦略、民主党さんの今度の成長戦略、それから日本国内の中における産業の再編成をしながら国際競争力を強めていくと。これが今大臣がおっしゃったことだと思うんですね。

 しかし、その一方で、これは公取委員長にも質問をするんですが、そうしながらも、日本の公取は公取としての存在があるわけです。公平な競争をする、あるいは消費者の立場というものもあると思うんです。

 そこで、せっかく委員長がおられるので、公取委員長というのは、そういう自由な競争をしていくための立場というのはあるんですが、そこらの所感を少し受けたいと思います。

竹島政府特別補佐人 おっしゃるとおりでございまして、どこの国も競争法というのは、公正な競争を通じて産業の活性化とか、ひいては消費者利益になるんだという基本的な考え方のもとに、競争を阻害する行為または阻害することになるような企業結合というものについて、禁止をしたり是正命令を出したりしているわけでございます。日本の公正取引委員会も、全くそのとおりでございます。

 今、背景には、日本の産業再生のために、さらにはグローバル市場においてきちんと勝てるように国際競争力を強化するために企業の再編が必要である、公正取引委員会もそういった背景を十分理解して適正な企業結合審査をやるべきだ、こういうことだと思っていますが、そのことについては私どもは当然耳を傾けてやっていかなきゃいかぬと思っています。

 ただ、一点誤解のないようにしていただきたいのは、独占禁止法の執行というのは、公正取引委員会は独立行政委員会ということになっていまして、独禁法の適用については公正取引委員会が責任を持って、これは専管事項でございますので、そのよしあしについて、具体的には、それぞれの主務大臣との間で独禁法の適用をどうすべきかということをめぐっての議論というのは、わきまえていただかないとおかしなことになる。両方で協議して独禁法のことを議論しているとなりますと、公正取引委員会の職権行使の独立性という問題について、何か第三者から誤解を受けてもいけない。

 私どもは、全体の図柄を十分に心得ながら、消費者利益にもならないような競争を制限して、簡単に言うと、国内で高く売ってその原資でもって海外で何かやるというような企業結合というのは本当に国民の利益になるのかということも十分考えて、しかしながら、積極的な企業再編、産業再編の足を引っ張るつもりは毛頭ありません。

谷畑委員 それで、去年、電炉の共英製鋼と東京鐵鋼との合併の問題で、一年四カ月時間を費やした中で結局は白紙に戻すということになるわけですね。だから、成長戦略の中で、企業が時には合併をして国際競争に勝たなきゃならぬということも非常に大事ですよね。と同時に、公取の立場において、それが独占という問題と消費者の立場からどうなんだと。ここに難しい問題がある。

 しかし、今回の法律は、主務大臣が計画の段階から協議するという制度が導入されるわけですので、この協議の中でお互いが難しい立場はありながら、日本の国益という状況の中でどう折り合っていくか、ここが非常に大事だと思うんですね。

 それで、今回のこの法案の一番のキーポイントではあるんですけれども、このことについての質問はこれで終わりたいと思うんですが、大臣、その協議の効果というのか、少しでも迅速に早くいけるのか、そこらの道筋はどうなんでしょうか。

海江田国務大臣 もちろん、何でも早くすればいいということではありませんが、まさに協議という場が設けられたわけでございますから、その協議の場を通じまして、私どもの産業政策と競争政策をしっかりとすり合わせをして、国民が納得のいく結論を出したい、このように思っております。

谷畑委員 それと、大臣、企業の合併ということになってくると、難しい問題が出てくるんですよ。やはりどうしても合理化というものは出てくるし、それぞれの企業が持っている下請があるんですが、この下請もあおりを食ってしまう。みんな、どうなるんだろうという不安があるんですよ。

 これは、この間三回の法案の中においても、雇用はちゃんと配慮されているのかという質問が常に出てきていますよね。その点について。

中山大臣政務官 今お話しの点は重要な問題でして、産業活性化法案の過去の議論でも同じようなことがずっと言われております。合理化をして企業はもうけろ、こういうことではありますが、同時に労働組合の皆さんとも協議をするというようなことになっております。私たちも、常に、労働条件、そしてまた下請に過剰な負担をかけることは、いや、もうこれはこの値段でやらないと競争に勝てないから、この値段でやれというような押しつけを下請にやらざるを得ないような状況はつくらないで、できる限りスムーズにいくように、この法案の中にも労働組合との話し合いであるとかそういうことを十分盛り込んでいるわけでございます。とにかく合理化をして、安くできればいいという問題でもないんです。

 例えば、日本の家電なんかは量販店で安く売られますね。メーカーがどんどん痛めつけられて、さらに従業員を連れてこなきゃ売らないぞとか何だとかとずっとやられているわけです。国内の競争で疲れちゃって、結局海外に物が売れないというような状況をつくっている。一方、サムスンは一社でやっていますから、例えば地デジが南アメリカでうまく標準を日本がとったにもかかわらず、行ってみたら、実はテレビは全部サムスンだった、こういうことでは競争力がなくなるということでございますので、いろいろなことを配慮して全力を尽くします。

谷畑委員 ぜひしっかりと雇用も守られたり中小企業に影響がないように、かえって潤っていくような合併であってほしい、そういうように思います。

 次に、中小企業の再生支援。

 今回の法律では、案外これは光っているなと私は思うんです。これは非常に大事だなと思うんです。というのは、日本というのは中小企業によって成り立っておるわけですね。中小企業自身がたくさんの雇用を生み出したり、いろいろやっているわけです。ところが、中小企業のおやじさんというのは、苦労し過ぎて、保証人は、お金を借りるに当たっては全部自分が責任を持たなきゃならぬ、悪くいけば自殺に追い込まれるのも十分にありと。もうこんな苦労は子供にさせたくないということで、中小企業のおやじさんというのは、子供にしっかりと教育をつけて、公務員であったり、まあ、公務員がいいのかどうか知らぬけれども、公務員にしようとして、後継ぎにさせない。まあ、いろいろな事情があります。もちろん、産業が変わっていって、どんどん廃業をすることもある。そういうことで、今回、この支援をしていくことが、私自身、光っているいい法案だと思っております。これがうまくいくようにしたいなと思うんです。

 それで、幾つか思うんですけれども、支援センターがお見合いをするわけですね。お見合いをするに当たって、ただ単にお見合いだけというのはなかなかうまくいかないと思うんです。やはり第三者が、支援センターがその企業の評価というか、一定程度こういう評価でこうだというものがあって、ああ、そうかなということだと、お互いが納得して進むと思うんだけれども、ただ単にお見合いだけでは難しいんじゃないか。そこらはどうでしょうか。

中山大臣政務官 お見合いでございますので、両方が気に入らなきゃいけないという前提があるわけですが、大体、自分で商品をつくったけれども売り先がないという方が随分いるんですね。売り方がわからない。ですけれども、その商品を見て、自分ならそれを売ってやろうという企業もあるわけです。ですから、卸業と製造業が結びつくとか、いろいろなことがあると思うんです。

 それについて、やはりお金が必要です。前向きな企業には融資をしてあげるということが必要でございまして、先ほど、どんどん企業はやめていく、やめていくんですが、すごく大事な技術がそのまま滅びていくこともあるわけです。やめるのであれば、何とかその技術は引き継ぎたいという相手を探す場合もあると思うんです。私たちはそういうところをしっかり考えたいと思うんです。

 それから、日本の技術というのは、案外簡単に、その辺に設計図を置いておいたりなんかして外国に行ってしまうということもあるので、この大事な技術をもっと保管する必要があると思うんです。そのために、私たちは、その技術を保管できる企業を、メニューとしてこういうものがありますよということをちゃんと中小企業庁が出して、できれば日本の会社に、引き継いでもらえるところに、間に入って融資もしていくというような制度を今考えております。

 だから、一番大切なのは、今まであった企業がすごいすばらしい優秀なものを持っていても、その代で終わることがないように、必ず引き継げるような制度を私たちはつくっていきます。

谷畑委員 それで、いわゆる中小企業の事業承継、これは我々も旗を振って事業承継がしやすいように税制上を含めてもっと優遇すべきだということでやってきたんですよ。これは、あくまでも自分の息子であったり親族ですよね。

 そこで、私も参考のために、確認のために、事業承継について少し教えていただきたい。

伊藤(仁)政府参考人 お答えいたします。

 親族内の承継に関して、事業承継税制というのを設けておりまして、後継者が親族内の先代の経営者から相続または贈与によりまして非上場の株式などを取得する場合には、経済産業大臣の認定を受けた上で、相続税についてはその課税価格の八割、贈与税についてはその課税価格の全額について納税を猶予する制度を設けております。

 以上でございます。

谷畑委員 このように、親族で事業承継というのは八割猶予するということで、これは非常に魅力がありますよね。今回は、親族じゃなくて第三者にその企業を引き渡すということですから、事業承継とまでは言わなくても、せっかくの技術だとかいろいろなものを、廃業にするんじゃなくて引き継いでいくというのは非常に大事なことなので、今回の法案でそれについて何らかの支援というものがあるのか、あるいは、さらにそれを拡充する意図はあるのか、その点についてお伺いします。

中山大臣政務官 基本的には、今、税金の場合は税を控除するとか優遇するとかいろいろなものがありましたね。でも、我々は、この産業を引き継ぐのであれば、引き継ぐ会社に融資をするとかいろいろな特典をやっていきたいと思っております。

 例えば日本で有数な技術を外国が買いに来た、外国に持っていかれる、こういうことは日本の全体の企業にとってマイナスですから、日本の企業が引き継ぐのであれば、そこに融資をするとか、そういうことを考えないと、本当に日本の中小企業の金型であるとかこういう種類の技術がみんな外国に行くんじゃないかと思うんですね。ですから、日本の企業が引き継ぐ場合には、当然、日本の国民ですから、そこにはしっかりと融資または投資をしていく、こういうことでございます。

谷畑委員 ありがとうございました。

 最後にします。

 いわゆる眠っている中小企業を引き継いで活性化させていく、このニーズはいっぱいあると思います。非常に大事だなと思うのです。それと同時に、せっかくそういう法案の仕組みができているわけですが、外国企業がどんどんやってきてそれを買うという危惧もあろうかと思います。そこらの点について、日本国内の中で日本人が引き継いでやっていくことが活力のためという趣旨であると思うので、そこらの趣旨もよく踏まえて運用していただいたらありがたいと思います。

 えらい長きにわたって質問させていただきました。ありがとうございました。終わります。

田中委員長 谷畑君の質問は以上で終わりました。

 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 経済産業委員会で、谷畑先輩議員の今の御質問の残ったところで、十一時十分ぐらいまでお時間をいただきながら、きょうは質問をさせていただきたいと思います。

 東日本大震災の後、私としてはこの委員会では最初の委員会ということになります。お亡くなりになられた方に本当に哀悼の意を申し上げながら、また御苦労されている皆さん方にお見舞いを申し上げ、そしてまた海江田大臣初め副大臣、政務官、スタッフの皆さんが頑張っていただいていることにもお礼も申し上げながら質問に入るわけですが、桜前線もだんだんと今陸奥の方へと進んでおります。春が来るのとあわせて復興が進んでほしい、そういう思いを強く持っております。

 そこで、きょうの一首は、春雨に咲いているあの山桜はどうだろうという一首がございましたので、万葉集巻八、一千四百四十番を詠ませていただきます。

  春雨のしくしく降るに高円の山の桜はいかにかあるらむ

 ありがとうございます。(拍手)

 では、陸奥の桜に思いをいたしながら質問に入らせていただくわけですが、最初の四問は、こういうときでございますので、やはり大震災の問題。ただ、いろいろな質問が大事だと思いますので、少し皆さん方とまた違った観点からさせていただきたいと思います。

 被災地域は大変御苦労されておりますが、それ以外の地域でも、サプライチェーンの切断によりまして、例えば、自動車のたくさんある部品のある部分がないから、操業を再開してもどうしてもなかなかフル操業できないとか、あるいは化学品でも、ある素材がないとか、こういう問題がありまして、最終製品の生産活動に支障を来している部分があるようであります。

 リーマン・ショックは、需要が蒸発した、いわゆるディマンドの方が足りなくなった。それがようやく回復してきて、さあ頑張ろうというところで、今回は、まさに供給制約、サプライサイドの方でとまっちゃっている。非常に残念なわけですけれども、このあたり、全国的に、経済産業省さんの現状認識、そしてまたサプライチェーンをつなぐということについての今後の対応について、まずお伺いいたします。

海江田国務大臣 橘委員にお答えをいたします。

 冒頭に大変美しい日本の大和歌を歌っていただきまして、ありがとうございました。

 私も、お返しといってはなんですが、漢詩でちょっと、きょうはそういう準備をしていなかったんですけれども、劉希夷という人の詩で、これは唐の時代の詩人ですが、「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」という詩がございます。これは、毎年毎年花は同じように咲く、しかし、それを見る人たちは決して同じではないと。間もなく被災地でも桜の咲く季節でございます。「年年歳歳花相似たり」でございます。しかし、その花を見る人たちというのは、残念ながら同じではありません、「歳歳年年人同じからず」。そういう詩を思い出しました。

 さて、その上で、本職の、サプライチェーンの方でございますが、確かに、今回の東北地方というのはものづくりの基盤の工場、企業がたくさんあるところでございます。このサプライチェーンというのは、何も日本の国だけのサプライチェーンでありませんで、世界につながったサプライチェーンでございます。ですから、世界経済も、やはり日本の東北地方の大震災の被害から免れるものではございません。

 しかし、人々の本当に懸命な努力、これはもちろんその地域の方々の努力もございます。それから全国的な、業界あるいは系列の流れもございまして、こういう人々もそれこそ全面的な支援に入りまして、例えば車などにおきましては、全国の車の生産工場でやっと生産がスタートいたしました。もちろん、その生産の規模というのは、従前の全く十割の生産は復活をしておりません。企業によってかなり幅がございますけれども、それでもすべて生産をスタートさせましたから、その意味では、サプライチェーンはつながったというふうに考えることができようかと思います。このほかに、鉄や化学等も順次生産を再開しております。

 いずれにしましても、経産省は、中小企業を初めとして被害を受けた企業に、先ほど中山政務官からもお話がありましたけれども、低利の融資でありますとか保証制度を準備するなどして、日本経済の復活、再生に向けて万全の努力を図っていく次第でございます。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 そうすると、これから歌と漢詩のやりとりになるのかなと、ちょっとまた違った楽しみがあるような感じがいたしますけれども。(発言する者あり)済みません、ちょっとしかられましたけれども。

 今お話のあった、サプライチェーンはつながり始めていますけれども、まだ本調子ではないということではないか、そのようにも聞いております。早くこれが本調子になるように、いろいろな隘路というものをふさぎながら、そして前へ進んでいかなきゃいけないんじゃないか。またよろしくお願いもしたいと思います。

 今ほど、いろいろ資金面、金融面でも手当てをしてというお話がありました。本当に資金融通の問題は、リーマン・ショックの対応のときもそうですし、今回も、先ほど、二億八千万、倍にして五億六千万、こういう話もあったわけですが、ただ、また中小企業者さんのお声を拝聴しますと、そうやってセーフティーネットが張ってもらえる、それはそれでいいことなんだけれども、自分の会計帳簿といいますか、帳簿を見たらどんどんどんどん借入金が膨らんでくる、お金を貸してもらえるのはいいんだけれども、どうせなら売り上げというような形でお金が回ってほしいなと。要は、やはり仕事をと、先ほどちょっとそういう議論もございましたが、仕事をという声が非常に強いわけであります。

 そこで、経済産業省さんにおいて、やがては全国的な問題にもなってくると思う需要の喚起ということ、この必要性についての認識、これからの考え方についてここでお伺いをしたいと思います。

海江田国務大臣 今、橘委員のおっしゃいました、これは一言で言えば、融資より仕事をということだろうと思います。これはもちろん、今回の大震災を受けた被災地でそういう声が大きく上がっていることは事実でございますが、ただ、リーマン・ショック以来の日本経済の低迷の中でも、この種の声は特に中小企業から上がっていたということは私も肌で感じております。

 そこで、この中小企業に対して、先ほどお話をしました金融の支援あるいは保証を万全にするということはもちろんございますけれども、そのほかに、一つは官公需法という法律がございます。中小企業の受注目標を立てて、中小企業にしっかりと仕事が行き渡るようにするという法律がございます。これまでもございましたけれども、とかく、これが時として、この法律自体がなかなか機能していなかったこともあるやに聞いておりますので、この法律に基づいて中小企業にしっかりと仕事が回るようにしなければいけない。

 もう一つは、中小企業自身、やはりまず自助努力、そういう姿勢も持っていただきたいということであります。もちろん、そうした自助努力の姿勢、つまり、やる気のある企業に対して、意欲のある企業に対しては国がしっかりと後押しをするということで、これは、ものづくり中小企業の技術開発の支援でありますとか、そうしたやる気のある企業は最近は特に海外の市場を求めて勇躍、飛躍をするということもございますので、そういう海外展開の企業の支援。

 あるいは、いろいろな、農商工の連携と私どもは言っております。特に、今度被災地になりました東北地方は大変農業が盛んなところでありまして、この農業をどうやって立て直していくかということも大切でございます。そうしたときに、農業と結びついた工業、商業の新しい連携と申しますか、新しい仕事と申しますか、新事業の展開、これに対してもしっかりと支援をしていくつもりでおります。

橘(慶)委員 やはり仕事づくり、そして何とかしていきたいと思っている方々に手を差し伸べてといいますか、背中を押してあげる、こういう施策をいろいろと用意をされている。

 そこで、今度は被災地の方の問題についてあと二つお伺いしたいわけです。

 中小企業に対して、国のいろいろな施策を紹介したり相談に乗ってあげるというのが商工会議所さんであったり商工会さんであるわけです。特に、今回の三陸沿岸部では商工会で賄っている地域がほとんどであろう、このように思いますけれども、そこでは今回津波ということがありまして、商工会さん自身もその拠点である事務所を失ったり、いろいろな被災をされたわけであります。

 しかし、やはり拠点がないと、そこがある意味で国や県や市町村の施策を知らしめていく、あるいは相談に乗るワンストップサービスの場所でもありますし、その事務所からいろいろなところへ巡回指導もされる。そういう拠点を仮事務所であっても早く立ち上げてあげる、あるいは貸してあげる、そういったことが非常に大事だと思うんですね。

 言ってみれば、こういったいろいろな施策を進めていく毛細血管みたいになっていく部分、そういったところに対しての手当てということをどのように国でお考えであるか、これをお伺いしておきたいと思います。

中山大臣政務官 私たちも同じ問題意識を持っておりまして、幾ら政策を練っても、中小企業の方から気楽に相談ができる場所がないということでございまして、商工会や商工会議所にもお願いをして、そういうのをすぐ開設してもらいたいという要望をこちらもいたしましたし、向こう側からも、実は、我々が出前をして御用聞きを今やっているわけですが、そういう声がすごく強いんです。

 どこに行けば借りられるか、どのくらいの枠なのか、私は二億円借りちゃっているんだけれども、枠いっぱい使っちゃっているのでもう借りられないんじゃないか、こう思っている方、それが今度五億六千万になっていますし、金利は、日本公庫なんかからも、特に被災者の地域では限りなくゼロ金利に近いんですね。そういうお金があるのに使ってもらえないということは、政策が生きないということでございますので、その辺は全力を尽くしたいと思います。

 それから、先ほどお仕事の話がありました。お仕事をつくるためには、仮店舗、仮工場、それから漁業組合の競り場であるとか加工場であるとか、こういうこともしっかりやっていきたいというふうに思っておりまして、仕事をつくる上にも、なるべく無償でそういう施設をお貸しして、早く仕事を始めてもらいたい。

 やはり、産業がそこで生まれてこない限りは絶対にあの地域は再生しない、こういう思いで、意欲のある人に頑張ってもらおう、そのためにはどんな支援もしようということで、相談員も今七百人ばかり応募をしてきて、行きたいという人がたくさんいるんです。全力でそういう人たちを振り向けていきたいと思っています。

橘(慶)委員 大枠として大体理解はできたわけですけれども、ただ、質問の趣旨は、商工会さんのそういう施設とか、仮事務所であれ何であれ、そういったものに対する手当てということを何かお考えでしょうかという質問でありまして、そこのお答えだけはいただいておきたいと思います。

中山大臣政務官 それもしっかり考えていきたいし、実際、私たちは商工会なんかへ行ってまいりました。それで、そういう御要望もありますので、できる限り早く対応したいと思います。できる限りというよりも、すぐに対応したいと思います。

橘(慶)委員 次は、大震災関係についてはこれで最後にしたいわけですが、物流機能は、高速道路、東北自動車道が開通したり、三陸の方の高速道路もみんな開通してきて、JR貨物さんも、東北本線が動き始めております。

 物流機能の回復はだんだん進んできているわけですが、港湾にもいろいろな機能があって、自動車関係などはもう既に動いていると聞いておりますけれども、ただ、港湾の中で、今、花形といいますか、いろいろなことができるということでいえば、やはりコンテナ埠頭ということが非常に大事だろうと思っております。

 このコンテナ埠頭、特に東北ということで考えますと、小名浜もありますが、やはり仙台が真ん中になってくる、宮城のところになりますので。この仙台塩釜港のコンテナ埠頭ですが、今回、津波という事象であったために、地震であればコンテナがその場所で崩れるということにとどまるわけですが、その散乱したコンテナが、結局、津波によって背後地の、例えば大きな工場であったり、もちろん住宅も含めてですが、そういうところへ流れ出している。

 大変散乱して、本当に被災された企業あるいはお宅には気の毒な形になっているわけですが、こういったものも全部整序して企業団地も面的な復旧をしなければ、きょうもあるビール会社で幾つかの製品が販売できなくなったというお話がありますが、やはり仙台塩釜港の後ろのああいう企業団地もみんな元気が出てこないと。それで初めてまた港も使われていく、あるいは雇用も生まれてくる、こういうことになってまいります。

 ぜひこういったことについて、港湾については国交省であったり、あるいは瓦れきの処理であれば環境省ということはございますが、やはり経済産業省さんとしても、経済活動を再開していくために、またこういったことについても大いに発言をしていただきたい、このように思いますので、お答えをいただきたいと思います。

又野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、被災地の復興に向けては、港湾本体、東北地方の物流拠点である仙台塩釜港を早期に復旧するというのは非常に大事だと思いますが、これとあわせまして、もう御指摘のとおりでございまして、今回の震災というのは、津波の被害で後背地に広い範囲でコンテナとか自動車とかが散乱する状態になっていまして、それが物流機能を大きく阻害しております。

 私ども経済産業省といたしましても、被災地の経済活動の再開を後押しするという観点から、国土交通省ですとか関係自治体とよく連携して、後背地を含めた面的な広範囲の復旧活動というのを進めてまいりたいと思っております。

橘(慶)委員 それでは、残されたところで法案の具体の質問、あと少し技術的な部分もございますが、ここに入らせていただきたいと思います。

 先に中小企業関係の施策の条文の方から幾つかお伺いをしていきたいと思います。

 まず、谷畑議員からも少しお話があったわけですが、今回、支援対象としての中小企業、中小企業経営資源活用という文言になっておりますけれども、ここにおきまして、みずからの再生とはまた別に、他の中小企業からの事業承継という形の新しいジャンルを加えられたわけであります。その理由、背景をまずお伺いいたします。

海江田国務大臣 今、中小企業が置かれている状況というのは、これはもう橘委員もつとに御案内だろうと思いますが、人口の減少でありますとか高齢化、それから、特に地域の中小企業にとりましては公共事業の減少なども大変大きな痛手になっておろうかと思います。

 こうした情勢を踏まえて、企業が、特に後継者不足、もう継続をしていくことは困難だという判断に立つケースがございます。このとき家族、親族の中からそういう事業を受け継いでくれる人がいればいいわけでございますが、それがないときは廃業になってしまうということですから、できたら同じ地域の中から、家族や親族ではないけれども、しっかりとその企業の事業を受け継いでいこう、そういう意欲のある事業主がいればその方々に継いでもらって、そしてその事業を続けることによって地域の経済を引き続き維持していく、こういうことが目的でございます。

橘(慶)委員 おっしゃるように、やはり少子高齢化ということもあってなかなか後継者は難しいこともありますし、それからまた、過去の積年の、言ってみれば積み重なってきた負債というようなものが重荷になったりしている場合は、やはりそういう形で、違った目で、違った形の経営組織にした方が、本当の持っている力、営業利益段階で黒字になればそのまま最終利益が出てくるということになるかと思います。

 ただ、地域では、これまでの問題というのは、バブル経済の破綻以来、いわゆる過剰負債というものを抱えて、いろいろな事情で、確かに先ほどのお話のとおりセーフティーネットはあるわけですが、セーフティーネットを張っていただいて、その当座は低利とかそういうことはあっても、やがてずっとそれが根雪のようにたまっていきますと、過剰債務になって、結局、営業利益を経常段階の営業外費用で食ってしまう。こういうことになって、非常に事業意欲を失う、あるいは、もっとこういう投資もしたいけれどもなかなかできない、こういうことがある。多分、こういうことを含めて、地域の企業を元気にして、地域の経済を活性化するための法律の仕組みだろうと思っております。

 そこで、これまでの再生支援協議会のいろいろな取り組みを含めて、こういった今回の取り組みを加えることによりまして、地方が悩んでいる過剰債務のような問題、こういった問題がどの程度解消されていくと考えておられるのか、ここをお答えいただきたいと思います。

中山大臣政務官 一つの企業だけじゃなくて二つの企業が協力していくというような視点があってもいいんじゃないかということでございまして、今言ったように、根雪のようにたまってくる借金、だけれども、どうにかしてもうちょっとつくっているものを生かそうという企業が出てきて、それを助けて再生していこうと。その場合に、ツーステップローンであるとか、新たな枠組みもつくりまして、できる限り融資をして、二つの会社が協力して伸びていく、こういうようなシステムもあるのではないかということを考えたわけです。一つの会社が行き詰まっている、だからこの会社が終わりではなくて、その会社自身がどこかに助けを求めて一緒にやっていくというようなシステムもあろうかと思います。

橘(慶)委員 やはり、現時点での問題ではなくて、過去の問題の引きずりのような、根雪のような債務、そういったものが地域経済の停滞の原因になっているのではないか、すべてではないでしょうけれども、ある一つの要因になっているのではないかと思うわけであります。

 私も、市役所の仕事もしましたけれども、その前は商工会議所の仕事もさせていただいたり、いろいろなものを見てきたわけですが、バブル経済の崩壊以降、非常に債務が過大になっている会社、そういったものが、日本経済全体でもかなり大きな企業の再生ということは、幾つも幾つも名立たる会社が統合されたり、あるいは今おっしゃったように二つが一つになったり、いろいろな形で頑張ってきた。それで解決が一歩一歩進んでいるとは思うんですが、また一面、もう二十年前になりますバブル経済の崩壊とはいっても、こういうデフレの状態も続いております。意外にこういうものがまだまだ横たわっているんじゃないか、こういう問題意識を持つわけです。

 このあたり、金融庁さんとして、いろいろな銀行の方から、金融システムから見ておられます、この間の推移あるいは現状について、あるいは取り組みについて、ここでお答えをいただければと思います。

遠藤政府参考人 お答えいたします。

 預金取扱金融機関の不良債権は、金融再生法開示債権という形で我々公表しております。この金融再生法開示債権の残高でございますが、これはピーク時が平成十四年三月、そのときに五十二・四兆円ございました。これが二十二年三月期は十六・八兆円ということでございますので、不良債権全体で見ますと七割程度減少しているということでございます。ですから、全体として見ますと、いわゆる不良債権の処理というのは着実に図られているのではないかなというふうに考えております。

 ただ、先生御指摘のように、地域で、ミクロで見た場合にどうかということだと思います。地域の中小企業を初めといたします企業の中には、確かに、売り上げの低迷であるとか、あるいは過剰債務等によって経営不振に陥っている先があるというふうに認識しております。

 こういった中小企業に対する取り組みでございますけれども、企業の経営改善とか事業再生について、金融機関もやはり一定の役割を果たさなければいけないということでございます。もちろん、企業の経営者自身が意欲を持って経営改善等に主体的に取り組んでいただかなければいけないわけでございますけれども、金融機関もそれを支援する。我々、コンサルティング機能というふうに申しておりますけれども、そのコンサルティング機能を発揮していただくことによって企業の自助努力を最大限支援していくということが大切かなというふうに思っております。

 金融庁は、今回、監督指針というのを改定いたしました。これに基づきまして金融機関によるコンサルティング機能を発揮し、それによって、金融機関の顧客であります中小企業の経営改善でありますとか事業再生への取り組みを促していきたいというふうに考えております。

橘(慶)委員 今ほどマクロのお話、ミクロのお話をいただきまして、マクロの中で七割減ってきたということですが、考えてみれば、一面、多分かなり大きな案件から処理をしていくということを考えると、金額的には七割減っても、いわゆる客先といいますか、問題の数からいうと七割減っているということではなくて、逆にそういう細かいものがまだ残っているということになるのかもしれません。

 そこで、今ほどお話があったコンサルティング機能、あるいはこの法案による再生協議会の役割、四十七都道府県の各地にあるわけですが、こういったものがやはり生きてこなきゃいけない、このようにも思いますし、リレーションシップバンキングということで、地方の金融機関の果たす役割もあるものと思います。

 このまま中小企業のお話を続けていきたいところですが、あと、残りが見えてまいりました。そこで、私はきょうは最後に修正案の提案をしなければいけない立場でもございますので、そこに関する、条文の読み方といいますか、内閣さんの提案の改正の趣旨というところを、ここで幾つか確認しておきたいわけであります。

 例の公正取引委員会との関係の部分であります。今までは、必要があると認めるときに写しを送付して、意見を述べることができるということであったわけであります。この意見を述べ合うという形から、今回は、協議という形に実は変わったわけですね。

 ただ、先ほど竹島委員長さんもお話がありましたように、公取さんとしての独占禁止法の解釈権自体はしっかりあるんだ、こういうことになりますと、意見を述べ合うということから協議になった、これはどういう意味合いを持つのか、そして、協議ということは、どういうことについて協議をするのか、ここについての考え方をまずお聞きしたいと思います。

海江田国務大臣 私から基本的な考え方をお話をいたしますので、もし追加があれば事務方からと思っております。

 これまでは、今委員御指摘のとおり、主務大臣と公取が、それぞれ必要と判断する場合は、一方的に意見を述べる規定があったわけでございます。それが、今回の改正を受けまして、主務大臣は公取に対する協議を義務づけになっております。ですから、大臣から公取への確実な情報提供の確保、そしてそれに対する公取の回答の確保によって双方向の情報交換が可能になるということであります。

 現行法では、判断する場合は意見を述べる規定があったわけでありますけれども、これは法律上、意見に対する回答が必ずしも確保されていないということがありました。今回は、その意味では、両者の双方向の情報交換が可能になるということでございますので、これによって産業政策と競争政策の連携が図られるものと考えております。

橘(慶)委員 そこは、双方向に、そしてまた協議ですから、お互いに意見を出し合うということが義務づけられる、ここは前進だと思うんですが、今までの場合は、この意見の内容について、事業再構築に係る業種あるいは事業分野等における競争に及ぼす影響に関する事項その他の必要な事項についてということで、意見の内容等も、ある程度、こういうことでやるんだよということは書いてあったわけですね。

 今回、そこはなくなりまして、協議ということについて、どういう協議をするのか、あるいはその協議の中身が担保されているのかというところがちょっと法文上は見えなくなったようにも思うのですが、そのあたりの解釈のお考えをお伺いしたいと思います。

田嶋大臣政務官 これまで、現行の規定では、「必要があると認めるとき」ということで、それは不明確であるというふうにも言えると思いますが、今回の規定では、申請書の写しを公取の方に送付する、そして、協議を行う場合に関しましては、政令において客観的な基準を定めるということにいたしております。それによりまして、事業者の予見可能性が高まるというふうに考えてございます。

 具体的には、適正な競争が確保されないおそれがあると考えられる一定以上の事業規模を有する事業者の再編案件を協議の対象として定めておりまして、政令のもとで、告示の中でさらに具体的な基準内容として記述をする予定でございますが、例えば株式の取得に関しましては、取得をする側の事業者が属するグループの国内売上高が二百億円を超える場合、そして同時に、株式を発行する事業者側は、そのグループの国内売上高が五十億円を超える場合というふうに規定をする予定でございます。

橘(慶)委員 そういうスケールのもの、そういったところについて必ずそういうやりとりがあるよというところは、これは必要があるというよりは、そこの内容をはっきりと明示するという意味では前進であろうかと思います。

 ただ、そこについての、どういう形で協議をするのかとか、あるいは、連携はしていくわけですけれども、どういうふうな連携の仕方をしていくのかというようなところが、もう一押し踏み込んでみたいなと、そんなことを私どもは思うわけであります。

 そこで、一つ、時事的な問題になります。先ほど、過去の合併の審査のケースについてのお話が谷畑議員からございましたが、ことしになって話題になっている、今、私どもとして思い当たる一番大きな案件といえば、新日本製鉄と住友金属さんの経営統合であろうと思っております。

 これはもちろん仮定の話でありますが、こういったものがもしこういうスキームに乗れば対象になり得るということなのでしょうか、お伺いいたします。

海江田国務大臣 お尋ねの新日鉄と住友金属のお話でございます。

 これは、両社が合同で記者発表いたしましたが、その発表によれば、遅くとも平成二十四年の四月には合併契約をしたい、こういうことでございます。今御審議いただいております法律では、法律が成立をしましてから三カ月以内の施行ということでございます。ですから、成立をさせていただきまして、できるだけ早く、三カ月以内ではございますが、可能な限り早く施行したいというふうに考えておりますので、そうした早く施行するというところに両社からの申請があれば、これは本法律を適用していただけるものだろうと思っております。

橘(慶)委員 そうすると、一つのテストケースというか、パイロットケースの一つになり得る、こういうふうなお話であろうと思います。

 そうなってきますと、ある意味で、これは公正取引委員会さんの独禁法の消費者利益あるいは競争確保という考え方もあります。経済産業省さんは、今、国際的な中で日本の産業構造をどうしていくか、企業の体制をどうしていくかというお気持ちもあるかと思います。そこで今、経済産業省さんの方へ、大臣の方にお伺いしているわけです。

 企業の数とか、そういうことが今議論されていますね。今までは国の中だけで見ていたけれども、国際的に非常に、主要な業種においては、大きな競争、グローバルな状況になりつつあるわけであります。そうなってくると、もともと新日本製鉄さんも、八幡さんと富士さんが合併して、それはそのときに大型合併と言われたわけですが、これからそういう素材とか大きなそれぞれの産業において、果たしてどういう体制がいいかというのが少し昔とは変わってきているんだろう。

 最後に、そこの部分の今日的なお考え、そしてまた協議に臨む姿勢ということについてお伺いをして終わらせていただきたいと思います。

海江田国務大臣 先ほど谷畑委員のお話を聞いておりまして、私も本当にそうだなと思ったのは、やはり韓国の例であります。私も二十年ぐらい前から韓国に何度か行っておりましたが、九七年のアジア経済危機、それに引き続いて韓国が自主的に、IMFの、支配という言葉がいいかどうかわかりませんが、なかなか自由に経済行動できなくなったというとき、やはりあれが契機ですね。それまでは車だって、ソウルの市内を歩いておりますと、韓国の何種類もの車、何社もの車が走っておりましたけれども、それがあの経済危機、これは韓国にとりまして大変なピンチでございますが、そのピンチを一つのチャンスに変えて、産業の統廃合が行われて、国際競争力が大きくついて、そして今世界に飛躍をしている、こういう状況があります。

 私は、今回のこの東日本の大震災だけがピンチではなくて、従来、ここ何十年間、失われた二十年という言葉もあるように、日本の経済がどうしても上向きになれなかった、そういう状況が続いておりまして、そこへ持ってきて今度の東日本の大震災ということでございますから、こうした大きなピンチと申しますか、国難と申しますか、こういうときこそやはり国民が心を一つにして、企業の方々も労使がしっかりとまとまって、労使だけじゃありません、消費者もしっかりまとまって、そして日本のこれから進むべき方向を今こそ決めていただきたい、そのように思っております。

橘(慶)委員 では、これで終わります。きょうはありがとうございました。

田中委員長 橘慶一郎君の質疑は以上で終了いたしました。

 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、自民党の谷畑委員、また橘委員が先に質問されまして、個人的に親しいこともあるんですけれども、同じような角度の質問に、別に示し合わせたわけじゃないんですけれども、結果としてそうなったんですが、なるかもわかりません。ちょっと聞き方を変えてお聞きすることも幾つかあろうかと思いますけれども、よろしく御答弁をお願いしたいと思います。

 法案の内容について後で細かく、技術的なものも含めて立法の趣旨をお聞きしたいと思いますけれども、その前に、まず東日本大震災に関連いたしまして何点かお聞きをしたいんです。

 一昨日の委員会以後、さまざまな情報も出てまいりまして、そのことを踏まえてお聞きをしたいと思うんですが、一つは夏の節電対策でございます。これは谷畑委員からもございましたけれども、まず事実関係を教えていただきたいんです。

 きょうの各紙の中には、昨日、夏の電力の供給力の見通しについて、東京電力から政府の方に報告されたと。具体的には、当初の四千五百から相当アップして五千五百ぐらいになるんじゃないかというような見通しが報告された、そういう報道もあります。

 これについては、経済産業省あるいは政府の方としてそういう報告を受けておられるのかどうか。まず、大臣にお答えいただきたいと思います。

海江田国務大臣 現在、政府では、電力の需給の対策本部をつくっております。その本部長は官房長官でございます。私は副本部長ということでございます。昨日、東京電力から本部長たる官房長官に説明があったということは私も承知をしております。

 副本部長としての私の立場というのは、そういう形で東電から報告がありましたけれども、私は、かねて経済産業省の大臣もやっておりますので、そうやって報告されたものが、本当にどこの発電所が機能して幾らになるのかということを精査する義務があろうかと思いますので、今、その精査の作業をやっているところでございます。

佐藤(茂)委員 そうしますと、最終的には、その精査を踏まえた上で、今おっしゃった、枝野官房長官が本部長をされております電力需給緊急対策本部で近々にも決定される見通しである、そのように承ってよろしいでしょうか。

海江田国務大臣 近々というのがどのくらいの期間を考えておられるのかということはちょっと私は想像がつきませんが、そう遅くない時期にしっかりとした取りまとめが行われるものと思っております。

佐藤(茂)委員 それで、その中身なんですけれども、四月八日に骨格を発表された、原案と言われている場合もありますけれども、その段階では、大口需要家は二五%、小口需要家は二〇%、そして一般家庭では一五から二〇という節電を求める打ち出しをされました。その後、千五百万キロワット供給が足りないと。夏の最大需要が六千万キロワットとして、四千五百万キロワットだ、それで千五百万だと。その差を、まずは五百万キロワットは供給力アップで何とかしてください、千万キロワットは需要の方を抑えるという努力をいたしましょうというところからそういう数字が出てきたわけでございます。

 その後、特にこの話題については海江田大臣の方が何回か記者会見されて、いや、見直す方向なんだということを言われております。近々でも、例えば四月の十五日に緊急に記者会見されて、削減計画の見直しを考えたい、そういうように述べられました。十九日には、見直す場合は最も削減を迫られる大口需要家からやらなければいけないんだということを、国民から見ると、ああ、だんだんそういう見直しになるんだなという期待を持たせる、そういう方向の発表を何回かに分けてされているんですね。

 そこでお聞きしたいのは、電力を本当に削減するかどうか、どれだけ削減幅を縮小するかというのは、一つは、経済界、産業界にとっても非常に大きい関心事であります。経団連なんかでも、会員企業千四百社に対して自主行動計画というものを求めて、これは二十日ですか、二日ぐらい前までに提出してくれというような、そういう努力をしているところもあります。

 もう一つは家庭の方ですね。これについても、国民生活にどれだけの影響があるのか。それが、今度削減幅が少なくなるということになると非常に負担が軽くなる、そういう期待を持たせているんですけれども、最終的にどういう内容の削減目標に至らせようと。そういう考え方について、まあ数字は言えないでしょうけれども、どういう御判断で、どういう形のものにしっかりととどめようと今経済産業大臣として考えておられるのか、御答弁いただきたいと思います。

海江田国務大臣 私の立場は、やはり電力の供給をしっかりしなければいけない、需要と供給の間にアンバランスがあれば、これを埋めなければいけないという立場がまず一つございます。

 それと同時に、電力というのは、産業の米というんですか、電力がありませんと産業が立ち行かなくなりますので、まさに経済産業大臣としての立場から、電力の不足によって産業が立ち行かなくなって日本の経済が失速をしてしまってはいけない、こういう強い思いがございます。ですから、そうしたバランスの上に立った発言をしなければいけないというふうに心がけているところでございます。

 そして、委員の御指摘のありました家庭の消費というのも、実は全体の需要の中のおよそ三割ぐらいになっておりますね。これは本当になかなか、こういう目標を掲げたからといって、すべてがすべて、はい、わかりましたというわけにはいかないわけでございます。そしてまた、御家庭の中にもいろいろな事情があって、特に昨年のような猛暑になりますと、熱中症の方もたくさん出ましたものですから、そういう方の被害も少なくしなければいけないということで、そういうことも思いつつ、やはり非常にバランスが難しいなと。

 産業界には、余り厳しい需要の制約をして、それによって企業の生産計画に大きなブレーキをかけてはいけないと思う反面、家庭に対しては、余り安心をしていいんだというようなメッセージが前に出ますと、そうした節電の、省エネの意識に少し緩みが出ますので、そこのところを、非常に難しいわけでございますが、心がけて発言しているということが実情でございます。

佐藤(茂)委員 今のに関連して、具体的に削減目標を最終的に決められる、今新聞では、大口も小口も家庭も含めて一五%ぐらいで一律にされるんじゃないのか、そういう報道も各紙きょう出ておりますけれども、それをしっかりとやらせるためには、やはり一つは、大口については電気事業法で命令できるという形になっていますね。あと、小口と家庭の方ですけれども、これははっきり言うと、今大臣の答弁の中にもありましたけれども、自主性に頼らざるを得ない部分があるんです。これについてもう一工夫、やはりきちっと電力の需給を、一瞬でも超えてしまうと、これはもう大規模停電になって大変なことになるわけですから、そうさせないためには、念には念を入れた策というものを政府としてやっていかないといけないだろうと。

 今、残念ながら、テレビをたまに見ると、東京電力さんが、おわびとともに節電を心がけてくださいというような趣旨のコマーシャルを頻繁にされておるんですけれども、それではほとんど影響力はないわけであります。

 政府として、家庭あるいは小口、こういう需要家に対して、自主努力に任せるしかないんだけれども、しかし、節電への意識を高めて、しっかりと積極的に節電に取り組んでもらう、そういう対策というものを何か考えておられるのか、大臣に御答弁いただきたいと思います。

海江田国務大臣 これは実は計画停電のときもそうでございましたけれども、全くわからない、計画停電といいながらなかなかその計画がわからないということがありましたので、あのときに見える化ということを一つ考えました。ネットの上に、これはどうしてもタイムラグが、時間差が一時間あるわけでございますが、一時間ごとの需要量を出しまして、それと供給のグラフとの間で、これくらいまだ余裕があるよ、あるいはもう余裕がなくなっているよ、こういうことを示したわけでございます。

 これをさらに精度アップできないだろうかということで、全くリアルタイムというわけにはまいりませんけれども、せめてその時間差を三十分ぐらいにできないだろうか、今こういう努力は行っております。

 それから、実は昨日、上田埼玉県知事が私のところに参りまして、今ちょうど委員お話のありました東京電力のコマーシャルですね、あれは何が言いたいのかよくわからぬと。あんなところにと言ってはいけませんが、ああいうお金の使い方をするより、もっと有効な使い方をしなければいけないというふうに思っております。

 その中で、これは放送局にも御協力をいただかなければいけませんけれども、そうした需給のバランスがどうなっているのか。よく天気予報というのはございますが、それにかけて電気予報みたいなもの、正確なそういう予報が出せないかということなども含めて今検討をしております。

 ただ、何らかの形で手を打つということは、これはいろいろな形で、小口の事業所については、こういう形で自分のところで省エネの計画をしてくださいと、その計画のフォームといいますかチェック項目などをお渡しして、それを自分の会社のホームページなどでやっていただいて、そして、いいところは、そういう省エネの効果を上げた企業は、例えばホームページの上で発表するとか、いろいろなことをやらなければいけないなと思っております。いいアイデアがありましたら、ぜひおかしください。

佐藤(茂)委員 私は、今、災害対策の対応を、この電力の問題だけじゃなくて見ていまして、政府が何か物事を打ち出した、それが具体的に現場にどう徹底されて、どうとらえられて、何をしたらいいのかというところが、具体的な大きな打ち出し、例えば官房長官なんかもよく会見なんかで言われていますけれども、それがしかし、例えば今回でも、住民の皆さんにとっては、どう動いたらいいのか、どういうことをしたらいいのかということのつながりというのがちょっと弱い点が、これは、すべて一〇〇%見事にやるというのは難しいんですけれども、一つの課題かなと見ております。

 今回の電力の問題も、確かに急ぐことも必要なのかもわかりませんが、しかし、受け取る方の国民や企業が、目標と言われただけじゃなくて、具体的にどういうことをしたらそういう節電の目標にきちっとつながることになるのかということまで、やはりセットできちっと打ち出してやることが大事だと思います。

 先ほど、経済産業大臣の発想の中でも、電気予報ですか電力予報、こういうようなことも、本当にできるんならそういうこともセットにして、ああ、そういう新しい試みも政府としてやっているなら我々も協力しようじゃないか、そういう流れというものはしっかりとつくっていただきたいな、そのように思います。

 その上で、谷畑委員からもありましたけれども、私どもの政権のときに家電エコポイントというのを政策として推進いたしました。これは確かに、一つはリーマン・ショックを受けての経済対策、身近な即効性のある経済対策という角度もありましたけれども、もう一つは、環境という大きな時代の流れの中で、省エネの製品というものをしっかりと行き届かせる、そういう角度の目的も当然あったわけであります。

 政権交代になって同じ形にするのは許せないというのもあるかもわかりませんが、しかし、景気対策という面よりも、省エネまた節電効果をしっかりと高めるんだという意味で、今回の、三月まであった家電エコポイント制度というものの検証も踏まえた上で、もう一度、第二弾として、家電を購入する、節電の製品がもっと出回っていって、結果として電力の需要の削減につながるというような政策を、国民に広がるような対策というものも、当然一つ検討の材料に入れて進めていかれてはどうかと思うんですけれども、経済産業大臣の御答弁をいただきたいと思います。

海江田国務大臣 昨年の家電エコポイント、本当に非常に大きな反響を呼びましたし、私自身、幾つかの家電を買ったりいたしました。

 それで、今度、新たな状況になったということで、もちろん今内部で点検をさせております。

 実際にエコポイントに要した予算の合計が六千九百三十億円ですから、約七千億円。実際に家電エコポイントが実施されました二十三カ月ということで、およそ二年近くにわたって行われたわけでございます。

 そして、今委員からお話ありましたように、最初は景気対策という側面が多くありましたけれども、家電の場合は途中で一回見直しがございました、予算がもう底をついてしまうと。あのときに、これは公明党さんもそういう主張をされましたけれども、まさに節電の要素を大きく盛り込もうじゃないかということで、これまでは、とにかく大型のテレビを買えば、それは割引率が高かった、ポイントが高かったわけですが、考えてみれば、大型になるとそれだけ電力を消費するわけですから、大型でなくても、小型の方がむしろ、割合でいうとポイントが大きく戻ってくる、そういうような形に切りかえたということもございます。

 そしてその上で、あともう一つ、調べましてわかったことは、あれはやはり、実際に書類を書いて家電店に出して、そしてそこからまた戻ってくるまで時間がかかる、いろいろなメニューがあるということで、実は、あれはコストが一件当たり大体七百円かかっていたことがわかります。

 そうしますと、これから家電のエコポイントで、恐らく実施をすれば一番人気になるだろうというのが、例えばLEDの電球などであります。LEDの電球も値段はかなり幅がございますけれども、大体三千円から四千円ぐらい、まあ三千円ぐらいですかね、大体。もう少し安いのもありますが、三千円ですと、大体三千円で三百円ぐらいメリットを与えるわけですね。そうすると、それに対して手数料が七百円というのはなかなか厳しいなというような、実はこれは内部での、ごくごく内輪で検討した結果でございますが、佐藤委員のお話でございますので、内輪のお話を若干披露させていただきました。

 そういう経過もございまして、何かもっと効率的で、効果的で、実際に節電の実が上がるものがないかということを今検討しているところでございます。

佐藤(茂)委員 ですから、今LEDの話を出されましたけれども、前期のも、薄型テレビ、エアコン、冷蔵庫という、費用対コストを見てももうちょっと大きなものを扱っていましたので、当然絞り込まないといけないと思うんですけれども、その辺はぜひ、前政権のやったことだから最初から排除するということじゃなくて、可能性として検討していただきたいと思うわけであります。

 次に、また来週ぐらいに機会がありましたら時間をかけてやりたいと思いますが、福島第一原発のことでちょっと気になることがあるので、きょうは原子力安全・保安院長の寺坂さんに来ていただいておりますのでお聞きをしておきたいと思います。

 昨日の夕方の各紙で、東京電力さんが、高濃度の汚染水、発覚したのが四月二日で、止水剤によってとめたのが六日というようになっていますが、それによって放出された放射性物質の総量の推計値、これはあくまでも東京電力さんの試算ですけれども、出されて、少なくとも四千七百テラベクレル、流出総量は推定で五百二十トンだということを発表されました。これだけでも大変びっくりした数字でありまして、これは、福島第一原発で認められている、国の基準の年間放出量の約二万倍に相当する放射性物質が海水に流されていたという、とてつもない量の放出なんですね。

 原子力安全・保安院として、このことも当然、東京電力が発表される前にお聞きになっていたと思うんですけれども、どのように受けとめておられるのかということと、四千七百テラベクレルの放射性物質の放出の影響、こういうことをどのようにとらえておられるのかも含めて、保安院の院長さんに御答弁をいただきたいと思います。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日、東京電力から、二号機取水口付近での、流出いたしました高いレベルの排水の放射性物質の量について四千七百テラベクレル程度と推定している、そういう報告を受けまして、それが公表されたのは委員御指摘のとおりでございます。

 私どもといたしまして、高いレベルの汚染水が流出したことはまことに遺憾なことだと思ってございまして、環境への影響に関しましては、東京電力に既に海域のモニタリングの強化を指示して、また実施をしてございます。

 その結果、先ほども御指摘ございましたけれども、発電所の沖合十五キロメートルの地点におきまして、規則で定められております告示濃度の限度を超える濃度となっているという測定の結果が出てございます。

 海水中に流出いたしました放射性物質は拡散をしていくということ、また、魚、海藻等の海洋生物に取り込まれるまでには薄まっている、いくというふうには考えられますけれども、ただ、こういったことは望ましくないことでございまして、既に東京電力の方で、流出いたしました排水の拡散の抑制策、ゼオライトの投入とか、そういった対策を行っております。そういった対策を継続いたしますとともに、もともとタービン建屋の滞留水というものがございます。これの移送を開始し、その処理に向けた準備も進めているところでございます。

 それから、先ほどのモニタリングでございます。環境への影響につきましては、さらに継続をすることでございまして、魚介類のサンプリングといったものも取り組むこととなってございます。

 こういった東京電力の対応を確実に実施することを求めますとともに、再度流出することがないように指導してまいりたいと考えてございます。

佐藤(茂)委員 これは寺坂院長、もし答弁できたらやっていただきたいんですけれども、東京電力さんの発表した数字というのは今までも余り信用されていないんですよ、申しわけないけれども。今回も仮定があるわけです。それはどういう仮定かというと、発覚したのは四月二日で、四月一日から流出が始まって六日にとまったという非常に甘い仮定に立っての数字なんですね。やはり監督機関として、本当に四月一日から流出したのか、これは事実なのかということも含めて、もう一度しっかりと見直していただくことが必要だろう。というのは、もう三月二十五日には前日の十倍の濃度になっているんですね、二号機の取水口付近というのは。さらに、三月三十一日には数値として最高を記録しているわけです。

 だから、そういう意味でいうと、気づいたのは四月二日だけれども、三月中からこの汚染水というのは流出していた可能性も非常に高いわけで、そういうことになると、きのう発表された数字というのは非常に甘い、甘目に見積もった数字である、また推計値であるということも当然出てこようかと思うので、ぜひ保安院として再度チェックしていただいて、改める数字があるなら、きちっともう一回発表し直さすとか、そういうことも必要ではないかと思うんですけれども、寺坂院長の御答弁をいただきたいと思います。

寺坂政府参考人 先ほど申し上げました数字は東京電力からの報告でございまして、私ども、今その内容についてのチェック、評価を行っている最中でございます。

 とまったこと自体が四月六日というのは、これは確実だと思いますけれども、四月一日前後、これは周辺の別の濃度などから見て、そのあたり、一日、二日というふうな、そういう報告になっているわけでございます。そういったことも含めまして、しっかり評価をしてまいりたいと思います。

佐藤(茂)委員 これで院長はもう最後にしておきたいと思うんですが、今、寺坂院長の答弁で、とまったのは六日だというように言われました。大きな、目に見える流出がとまったのは六日だと思うんですけれども、その後、二号機取水口付近で、この値は四月十四日には四十二ベクレルまで一たん低下したんですけれども、しかし、その後、やや増加してきて、四月十八日には二百六十ベクレルまで放射性物質が検出された。そういうこともありまして、東京電力も、二号機の汚染水が地下水を経由して流れ出ている可能性があると、否定はしなかったんです。要するに、放射性物質に汚染された水が、目に見えた大きな流出とは別のルートで今も海に漏れ続けている可能性というのは、これはもう否定できないんじゃないかと思うんですけれども、こういうことについて保安院としてどう考えておられるのか、御答弁いただきたいと思います。

寺坂政府参考人 外観上、四月六日にとまったということは確認をされているわけでございますけれども、その後のこの取水口付近のモニタリングの経過を見ますと、先ほど委員の御指摘にもございました、その後、十九日、二十日、そういった数字については減少傾向にあるのは確かでございます。そういう意味で、別の場所から流出している可能性は小さいとは考えてございますけれども、ただ、では全くないのかということについては、まだそこまでの確実なものにはなっていないということでございます。

 いずれにいたしましても、汚染水の復水器への移送あるいは仮設タンクの設置等々、そういったことを行うことによりまして流出の危険性を減らすことが重要であるというふうに考えてございます。

佐藤(茂)委員 では、寺坂院長、対策で大変でしょうから、お帰りいただいて結構でございます。またお願いいたします。

 続いて、今回の産活法の改正案の内容についてお聞きをしたいと思います。

 今回の改正案は、昨年の産業構造ビジョン二〇一〇及び新成長戦略の政策課題を具体的に実行に移そう、そういうことから出てきた法案でございまして、一つは産業再編を促すための措置、もう一つは地域の中小企業またベンチャー企業の支援措置、そういう大きく二つの対策が打たれていると認識しております。

 まず、きょうお聞きしたいのは、公正取引委員会との関係でございまして、先ほど自民党の橘委員からもありましたけれども、今回は今までと違って、第十三条で主務大臣から公正取引委員会への協議を義務づけておられるわけでございます。今までの意見を述べる制度から、一定の要件のもとに協議を義務づけることによって、現行法に比べてどのような効果が期待されると考えておられるのか、まず経済産業省の立法の趣旨をお聞きしたいと思います。

田嶋大臣政務官 お答えを申し上げます。

 産活法の認定におきまして、我が国産業の国際競争力を強化するための再編を促進するに当たりまして、消費者の利益も含め、適正な競争が確保されるかどうかを確認することになっております。

 他方で、独禁法の企業結合審査におきまして公正かつ自由な競争が確保されているかを判断するに当たって、国際的な市場動向や技術開発動向を踏まえることが必要になっております。

 今御指摘をいただきました、今の意見を述べ合うということと協議の違いでございますが、意見を述べ合うというのは一方的であるという点、それから協議は必ず書面による回答を得ることができるということでございますので、その点、より両者の連携がしっかりとできるということだと思います。

 以上です。

佐藤(茂)委員 わかりました。必ず書面による回答が得られる、そこが違うということですね。

 ただ、協議をされるときに、十三条の中身を見ますと、「政令で定める場合に該当するときは、」という条件がついておるわけですね。ここがはっきりしないと、予見性という点では劣ると思うわけです。そこで、この政令で定めるとされている要件、どのような場合に協議がなされるのか、まず明確に示していただきたいと思います。

田嶋大臣政務官 御指摘のとおり、事業者にとっての予見可能性を高めることが今回の改正の主眼でございます。

 そして、政令で定めるということにさせていただいておりますが、具体的には、適正な競争が確保されないおそれがあると考えられる一定以上の事業規模を有する事業者の再編案件を協議の対象としております。それも十分具体的でございませんが、さらに政令が告示の方に委任をしてございまして、そこで具体的な基準内容を記する予定でございます。

 例えば、株式取得に関しましては、株式を取得する側の事業者が属するグループの国内売上高が二百億円超、そして、株式を発行する事業者が属するグループの国内売上高が五十億円超でございます。もう一つの例として、合併でございますが、合併しようとする一方の会社が属するグループの国内売上高が二百億円超、かつ、合併しようとする他方の会社が属するグループの国内売上高が五十億円超といったぐあいでございます。

佐藤(茂)委員 そこで、現行法の枠組みというのは、第十三条は一項から三項まであるんですね。一項では、主務大臣は事業再構築等関連措置が事業再構築業種等における競争に及ぼす影響に関する事項その他の必要な事項について意見を述べるものとするとなっているんですが、それが改正案では、何の事項について意見を述べるとかいうのが全くなくなって、ただ、あらかじめ公正取引委員会に協議するものとするという、協議だけが強調されている。

 先ほどもありましたけれども、協議のときに、主務大臣というのは公正取引委員会にどのような点を、どのような内容をきちっと説明されて協議されるのかということをどういうように想定されているのか、まず経済産業省側の見解を伺っておきたいと思います。

田嶋大臣政務官 お答え申し上げます。

 現行法では、事業者から申請された再編の計画が適正な競争が確保されるものであることを、主務大臣が計画認定を行う際に確認することとなってございますが、この点に関しましては改正後も同じでございまして、認定要件に変更がない、その認定要件に合致することを確認する観点から、主務大臣に公正取引委員会への協議を義務づけることとしたものでございます。

 この協議の中でも、主務大臣から公正取引委員会へ述べられる意見は、現行法と同様に、競争に及ぼす影響に関する事項その他の必要な事項になるものというふうに考えてございます。

佐藤(茂)委員 それで、きょうは公正取引委員会から竹島委員長に来ていただいているので、お聞きしたいんです。

 今の、現行法にあった第二項が、今回全く削られているんですね。第二項というのは、公正取引委員会はいろいろな計画について意見を述べるものとする、そういう項目が全くなくなっている。要するに、公正取引委員会が必要があると認めるときには意見を述べるという項目が、今回の改正案では全く法律上削除されているんですけれども、公正取引委員会が主体者となって事業再構築等関連措置に対して意見を述べるということが全く条文になくなってしまっても、公正取引委員会としては問題ない、大丈夫な仕組みであるというように理解されているのか、委員長に御答弁いただきたいと思います。

竹島政府特別補佐人 現行は、主務大臣が意見を述べ、また公正取引委員会は必要に応じて意見を述べるということ、このスキームを、言ってみると協議に格上げするというのが今回の趣旨。したがって、協議でございますから、当然、意見はお互いに述べ合うことになるんだろうと理解しております。

 具体的には、まず最初に主務大臣の方からアクションがあって、公正取引委員会に、産活法の認定に当たって、競争にかかわることについてはこういう考え方を経産大臣としては持っております、その根拠はこういうことでございますというお話が来るんだろうと思います。それに対して、我が方は、この点はどうですか、これは根拠としては十分じゃありませんねというふうなことを必要に応じて聞くんだろうと思います。

 その後は、具体的には公正取引委員会が審査に入りますので、審査に入った途中において、これが違法か違法でないかとか、この取引分野のとり方はどうだとか、世界市場をとるべきか、アジア市場をとるべきかといったことについて、公正取引委員会が審査に入った後に。逆に言うと、審査過程において両者でもって意見交換をするということはないだろう、いや、あるべきじゃないと私は思っています。

 それをやってしまいますと、要するに、独禁法の解釈、適用はだれがやっているんだということになるのでありまして、あくまでも公正取引委員会は独立の行政機関でございますから、そういうことがあってはいけないし、そういうことを第三者が、何か本件については両方で独禁法に違反するか違反しないかを検討しているんだなというふうに国民に思われたら、これは本来の制度じゃありませんので、そこは誤解していただいては困る。あくまでも産活法の目から見て競争をどうとらえているか。

 我々にとってプラスになる情報は当然いただきますが、私どもは、いろいろな形で情報を得て審査をし、それで責任のある判断をする。判断が固まったら、それは、当該企業に対して連絡すると同時に、主務大臣にも御説明をする、そういうことになるというふうに考えております。

佐藤(茂)委員 ただ、私が懸念するのは、さっき何で政令で定めるものというのを聞いたかというと、今の経産省の政令で定める例というのは、極めて限られた、要するに、売上高というのは二百億円以上だ、そういうところ。そういうところの産業再編の話のときには協議をいたしましょう、それ以外のときには協議というのは基本的には想定されていない、そういう枠組みになっておるんですね。

 しかし、今までは規模とかに関係なく、公正取引委員会というのは、これは必要だと思ったときには意見が言えたわけですよ。ところが、そういう仕組みがなくなっても大丈夫なのか、そういう懸念を持っておるんですが、これは質問通告をしていないので、委員長、もし御答弁いただけるのならば。

竹島政府特別補佐人 それは、独禁法上問題ないだろうと思われるものまで届け出をさせたり審査をする必要はないわけでございまして、これは各国そうでございますが、経済実態を見て、今の場合は国内売上高が二百億円超、もう一つの方が五十億円超というお話が先ほどありましたが、これは公正取引委員会の届け出基準と一致しているわけです。それに満たないものはどうぞ御自由にということでございます。

佐藤(茂)委員 もう一つ、委員長にせっかく来ていただいたので。

 産活法の枠組みは枠組みとして、さらに重要なのは、広く一般の企業結合の審査基準。これは、産活法の枠組みでも、協議を経た上で。これは公正取引委員会の専権事項ですから、どういう合併審査の判断をされるのかというのは。その審査基準も、今ずっと見直しの手続に入られているというようにお聞きしているんです。

 今後のタイムスケジュールはどういうふうになっていて、あわせて、具体的に、新成長戦略というものに基づいて見直しの検討が始まったというふうに認識しておるんですけれども、合併審査というのはどういうものなのかという、予見性とか透明性というのは高めていかぬとあかんと思うんですが、企業結合の審査基準というのは、今どういう方向で改正されようとしているのか、スケジュールとあわせて、公取委員長に御答弁いただけたらと思います。

竹島政府特別補佐人 御指摘のとおり、昨年来、新成長戦略に基づく閣議決定が幾つか行われておりまして、その中に、企業結合についての審査基準、審査手続、これも見直すべきだということになっております。

 それを受けていろいろなことをやっているわけでございますが、一つは、手続に関しては、今までやってきた事前相談制度をやめます、届け出というものを受けてからこちらの考え方を示しますというのが代表的な例でございます。

 審査基準につきましては、世界市場で見るべきかアジア市場で見るべきか、国内市場でいいのかということにつきまして、実は、平成十九年に、世界市場で見るべきものは見ます、現に見ておりますと。例えば半導体なんかはそうなのでございますが、そういうことを、我々はガイドラインを変更して言ってきているわけですが、まだ十分に御理解いただいていないのと、ガイドラインの書き方が何かちょっとついでみたいな感じになっているじゃないかということもございまして、それでは本意じゃございませんから、きちんと、どういう場合は世界市場なりアジア市場、要するに国内市場以外、広く見ますということをはっきりさせるとか。

 それから、破綻の場合に、会社として破綻しなきゃだめなのか、破綻事業部門というものがあって、それを面倒見てくれという場合はどうなのか。会社じゃなきゃだめなのか、事業部門だけでも破綻を見てくれるのかというような議論があって、これもはっきり事業部門でも見ますということです。

 それからもう一点は、輸入品とか代替品というものを、これは当然競争促進的な要素でございますので、これをちゃんと評価してくれということについて、今現在輸入していなければ許可しないのか、それはおかしいじゃないかと。やはり、近い将来、余り、十年も先というんじゃしようがありませんが、例えば、今は入っていないけれども、一年、二年、輸入品が入ってくる蓋然性が非常に高い、代替品も新しく投入されるなり、代替品が出てくるということも十分に予想されるというような場合は、それもカウントしますと。

 これらは全部、結合のオーケーを出す促進材料でございますが、こういったことについてもはっきりさせるという内容のガイドラインの見直しをしておりまして、これらを全部踏まえまして、ことしの三月の四日にセットでパブリックコメントを求めました。それで、大震災がございましたので、四月四日の締め切りだったんですが、それをちょっと延ばしておりますが、大体取りまとめられましたので、今現在我々はそれを精査しておりまして、受け入れるべきことは受け入れて、原案を修正した上でファイナライズしたい。ことしの七月からは新しいスキームが動き出すようにしていきたいと考えております。

佐藤(茂)委員 竹島委員長、もう結構でございます。お忙しいでしょうから退席をしていただいて結構です。

 最後になりますが、ほかにいっぱい質問項目を申し上げていて、役所の方もいっぱい来ていただいたんですが、中小企業の事業引き継ぎ支援について、ちょっと懸念のあるのは、今回、新しいマッチングをさせていく、これには事業引き継ぎセンターの迅速な対応が非常にポイントになってくると思うんですけれども、ただ、同センターの設置は、お聞きすると、全国に五から八カ所程度だ、そのように聞いております。

 その程度で本当に新しい中小企業の事業引き継ぎというのが円滑に進められるのか、また、一カ所当たりスタッフというものも、やはり相当目ききができる、しっかりとした人間を備えていないといけないと思うんですけれども、何名ぐらいの体制でこれを進めていかれるのか、あわせてお聞きをしたいと思います。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、事業引き継ぎセンターの数でございますけれども、まず、相談件数が多く、早期に立ち上げることが可能なところから設置をするということでございまして、準備が整い次第速やかに、全国、つまり四十七都道府県に拡大させていただきたいと考えております。

 それから、同センターでございますけれども、スタート時は、中小企業の事業の引き継ぎに精通した、例えば税理士の方とか会計士の方、あるいは、どういう資格をお持ちかということに限らず広く専門人材の方にお集まりいただくことで、これはそれぞれ今進めていると考えておりますけれども、ただ、引き継ぎに関しましてはいろいろな御相談事もあるので、ネットワーク事業という別途やっている事業の外部専門家の方々にもお手伝いをお願いしようと思っております。

 以上でございます。

佐藤(茂)委員 通告していたうちの十分の一ぐらいしかできませんでしたけれども、また次回もあるようですので、しっかりと質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 以上で佐藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 まず最初に海江田大臣の方に伺っておきたいと思うんですが、この法案は、今もお話ありましたように、もともと、新成長戦略、それから産構審のインフラ・システム輸出部会の報告とか、そういうものを受けて、地震前まで非常に言葉が華々しく躍っておりました、トップセールスで原発輸出をしようというものなどと一体のものなんですね。

 そのために、システム輸出として、原発について見ておきますと、昨年の十月二十二日に設立され、社長が東京電力の武黒一郎さんで始まった国際原子力開発株式会社、これは電力九社で出資は七五%で、うち二〇%は東京電力、原発メーカー三社で一五%、二〇〇九年産活法改正の後つくられた株式会社産業革新機構が一〇%を出資、こういう形で始まっておりますし、財金の方で議論されておりますJBIC法の改正とか、そういったものと連動するものなんです。

 実は、これについては、昨年、直嶋経産大臣のときに、私、原発の売り込みについて質問したことがあるんです。売った先で今回の福島第一のような原発事故が起こった場合、日本への影響評価、アセスメント、これを伺ったんです。このとき直嶋さんは、輸出先の相手国がそれぞれみずから安全確保に万全を期すという立場だ、相手国で事故が起こった場合の日本への影響について、そういったアセスメントは行っておりませんというのがあのときの答弁でした。

 福島原発の経験からすると、アジアへ原発を売り込んで事故があった場合、ヒマラヤの北側の方であれば、偏西風に乗ったり黄砂にそれが付着してそのまま日本へ来るわけですね。南アジアであれば、海流とともに汚染水や放射能汚染した魚が日本へやってくる。これは日本とアジアの漁業にとっても深刻な問題になると思うんですが、原発を売り込んだ先での原発事故を想定した日本の大気や海洋のアセスメントもないままに原発トップセールスをやるというふうなことはもうやめるべきだと思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

海江田国務大臣 吉井委員にお答えをいたします。

 吉井委員から本日そのような質問が出るということでございましたので、私も念のため直嶋元経産大臣の答弁も拝見させていただきまして、その後どうなっているのかということを聞きましたところ、そういった意味での評価、アセスメントは、経産省としては今行っていないというのが現実でございます。

 他方、国内でのモニタリングは、特にこの原発の事故が起きてから、モニタリングポスト、あるいは移動のモニタリングカー、海洋でのモニタリングなども多くしたところでございますので、今はその体制でしっかりとモニタリングを行っていくということでございまして、委員の御指摘のありました、今後どうするのかということにつきましては、まさに福島第一発電所の事故が起きまして、全般の原子力発電の安全性のさらなる徹底した向上という観点で見直しをしていかなければいけない、そう思っております。

吉井委員 今おっしゃった見直しというのは、トップセールスはもうやめるということですか。これからも、いろいろ対策をとった上でトップセールスを続けていくということですか。

海江田国務大臣 実は、今の時点で、これをこうする、ああするということは言えません。

 日本のこれまでの原子力システムの輸出ということは、まさに日本の原子力発電というのは大変安全性が高い、そういった世界の信頼に基づいて行われていたものだと私は思っておりますので、やはりまず福島の第一発電所の事故を抑えること、これに全力を傾注して、そこから先のことは今考えていないというのが現実でございます。

吉井委員 世界も日本の国民の信頼も失ったわけですから、これははっきりやめることを決断するべきときだと思います。

 今おっしゃったモニタリングについて少し伺っておきたいんですが、最初に文部科学省に伺っておきたいのは、福島県における大気、土壌、海洋の固定のモニタリングポストを地図の上にプロットしてもらったのをいただいたんですが、これは二カ所だけですね。

伊藤(洋)政府参考人 御説明いたします。

 文部科学省におきましては、各都道府県に一カ所ずつモニタリングポストを設置……(吉井委員「文科省のは二カ所ですね」と呼ぶ)福島県内においては、文部科学省が置いているのは一カ所、百キロ圏内で二カ所ということだと思います。

吉井委員 ですから、福島県だけで見れば、面積からして、これは委員長も詳しい話ですが、二カ所ですから、六千八百平方キロメートル当たり一カ所というんです。これは文科省の方の固定のポストなんです。

 経産省の方で、電柱が幾らあるのかというのをあらかじめ聞いたんですよ。そうしたら、五十九万七百八十六本なんです。仮に、この電柱に簡易モニタリングポストを取りつけて、携帯無線で送信するシステムなどをやれば、四十三平方キロメートルに一カ所の割合で、電柱ですから動きませんから、固定のデータがとれるんです。つまり、風向、風速等によって変化はあるんですけれども、移動車で、たまたま観測車で行ったときの値じゃなくて、固定のデータをとるということは非常に意味があるんです。

 それで、私はこういう固定した定点データが大事だというふうに思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

海江田国務大臣 電柱につけるかどうかということは別の問題としまして、モニタリングポストについて、固定のモニタリングポストを設置する、できるだけ多く設置するということは大切なことであります。

吉井委員 総務省にも伺っておきますが、福島県内の携帯電話基地局は何局ありますか。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 昨日、四月二十一日時点の数字でございますが、福島県内におきまして免許をいたしました携帯電話基地局の数は、携帯電話事業者四社合計で四千五百四局となっております。

吉井委員 私の方に持ってきていただいたのはもうちょっと多くて、五千六百九十七局というものでしたが、いずれにしても、電柱や携帯電話基地局に簡易のモニタリングのシステムを取りつけたら、携帯電話の基地局というのは携帯電話で送るのが専門なんですから、簡単な話なんですよ。

 そうすると、放射線量のデータに基づいていわば等高線に当たるものを引っ張っていっても、これはリアルタイムで単位時間当たりの放射線量も累積線量もわかるわけですね。住民の方たちからすれば、自分の地域がどういう状態にあるのか、一番知りたい情報がわかるわけですよ。

 海江田大臣に伺っておきたいのは、同心円で示すのではなくて、やはりきめ細かく地域の放射線の状態がわかるように、電話柱や携帯電話基地局にモニタリングポストを取りつけることは私は大事だと思うんですが、これは積極的提案としてお考えいただきたいと思うんですが、伺っておきます。

海江田国務大臣 確かに、同心円というのは、本当にごく初期の、福島の第一発電所の炉が水素爆発をしましたり、さらなる爆発の危険性があるというようなときに、まさに同心円で避難地域あるいは屋内退避地域というものを決めたわけでございます。

 その後、徐々にモニタリングポストもふやしていったところでありますが、まだ不足をしている、まだ足りないという委員からの指摘がございまして、私もその意味ではまだ足りないという認識を持っておることはお伝えしておきます。

吉井委員 電柱というのは、人の住んでいるところ、集落に行っているんです。けもの道には余り電柱はないんですよ。つまり、人への影響を細かく集めることが大事なことであって、移動モニタリングポストというのはそのときのデータしかわからないんです。ですから、いわば微分値に当たるそのときのデータとともに積分値に当たる累積線量が、固定してあればきちんと出るわけですから、それで等高線を引いていったら、毎日毎日自分の地域はどういう状態かということがわかるわけですね。

 そういう点では、海江田大臣、八千億円かけた情報収集衛星の画像も出さない、ああいうのに比べたらうんと安い金額でできるんですからね。あの情報収集衛星も、第一の目的は防災目的なんです。全然役に立っていないんだから、それからすれば、こういう取り組みというのはまずきっちりやっていただきたいというふうに思います。

 それから、東京電力は周辺海域に海底設置のモニタリングポストを置いていますが、文科省も、海洋機構が出すのは時々船でちょちょっとやるぐらいなものですから、やはり固定した、海底で固定すれば、ブイが若干動いたところでおおむね固定のモニタリングポストになるわけですね。そういうものを設けて、常時、福島原発から汚染水がどういうふうに拡散していっているのか、どういう状況にあるのかというのを……。海江田大臣の場合には、漁業は農水にしても、水産加工とか中小企業というのは担当している大臣ですからね、やはり関係大臣とも協力し合ったり、内閣として、海上においてもブイなどを設けて固定したモニタリングポストをきちっとつくって、今回の放射能汚染水がどのように拡散していっているのか、まず現実をつかむ、基礎データを明らかにするということが出発になると思うんですが、大臣のお考えを伺っておきます。

海江田国務大臣 先ほどからお答えをしておりますが、私は、モニタリングポストがさらに必要だという考え方は委員と同じでございます。それは、陸上だけではありませんで、海上においても同じ考えでございます。

吉井委員 陸上、海上ともそれをやっていただきたいと思います。

 次に、班目原子力安全委員長に伺っておきますが、先日の消費者特で私がSPEEDIにかかわる質問をしたときに、放出源、東京電力の放出源のデータがないと非常にあやふやになると。誤差があるということですね。だから日々のデータの公表を差し控えているというお答えでした。

 伺っておきたいのは、放出源データを出すように東京電力に求められたのかどうか。これを一言伺っておきます。

班目参考人 SPEEDIにつきましては、三月十六日の時点で文部科学省の方からその運用を原子力安全委員会にゆだねられてございます。その時点で、文部科学省の方から放出源データはないとの説明を伺っております。

 さらに、これを運用するために必要なデータというのを、三月二十一日と二十七日に細かい項目まで示して保安院にお聞きしているところでございますが、いまだもってデータはいただいておりません。

吉井委員 福島第一原発のオフサイトセンターは、国の保安院の方を初めとして、国も県も電力もみんなここに集まっているわけですね。このオフサイトセンターにあるERSSには、排気筒や排水口モニター、風向、風速、大気状態などのデータ、それ以外にいっぱいデータがあるわけですが、ERSSのこういうものについてはちゃんと入手しておられるのかどうか、伺っておきます。

班目参考人 私の伺っている限りでは、ERSSというものでデータはとれていないというふうに聞いております。

吉井委員 こういう事故時のためにオフサイトセンターをつくっておいて、データがとれないということは、これは言ってみれば、それぐらい地震動が深刻なものだったということを示しているんだろうと思いますが、実は、福島原発のさまざまなパラメーターを、もともとERSSをもとに、JNESで事故後のプラントの状況を自動的に推察して対策を支援する事故情報判断支援システム、DPSや予測解析システム、APSがありますね。そうすると、これらERSSもDPSもAPSも、オフサイトセンターはつくったはずなのに、全く班目委員長のところには判断する基礎的データが寄せられていなかったということですね。

班目参考人 オフサイトセンターにつきましては、事故後しばらくして退避せざるを得なくなり、現在、福島県庁の方に移転してございます。したがいまして、オフサイトセンターとして設置されたものについては現在運用されていないというふうに伺っております。

吉井委員 事故対策だといって莫大な金額をかけてオフサイトセンターをつくりながら、オフサイトセンターが丸ごと逃げ出してしまった。これは一体どういうことなんですかね。

 それで、SPEEDIについては、東京電力の情報不足で精度が悪いからということで公表をしない。本来オフサイトセンターから来るべきERSSもDPSもAPSも示されていないとしたら、これは、私はそのこと自体が深刻な問題だと思うんです。

 とりあえずSPEEDIのデータを信頼できるものにするためには、原子力安全委員会の機能が発揮できないじゃないかということで、東京電力にデータを出せと迫るべきだと思うんですが、なぜデータを出させないのか、伺っておきます。

班目参考人 これは、制度的には、原子力安全委員会は原子力安全・保安院にデータを出すように求めるところでございまして、出すようにずっと求めているところでございます。

吉井委員 それで、保安院やJNESの方から東京電力へ何ぼ言っても言うことを聞かないと。こんなことでは対策の立てようがないんですが、保安院長は、これをきちんと東京電力に求めているんですか。

寺坂政府参考人 東京電力に対しまして、事故時あるいはその後の進展の状況につきまして、事実関係についての報告は求めているところでございます。

 ただ、当初は、現場におきまして当座の対応に非常に混乱を来す、あるいはそこに集中をする、そういったような状況がございまして、そういった面でおくれがございますけれども、しっかりと内容を求めているところでございます。

吉井委員 しっかり求めていきたいと四十日間言い続けてきたんですよ。全然出てこないんです。

 これは、海江田大臣、あなたが所管の大臣なんです、対策本部長の命によってあなたが東京電力に命令して基礎的なデータを全部出させる、これをやらないことには何にもわからない。JNESという機構が、あるいは保安院があっても、データがないことには役に立たないんですよ。これは、今回の問題を収束に向かわせる上でも、データなしには、工程表といったって、その信憑性が今疑われているときなんですよ。私は、大臣として、東京電力にきちんと命令して出させる、全部出させる、これを求めたいと思いますが、どうですか。

海江田国務大臣 データの中に、あれだけ規模の大きな地震と津波でございますから、失われたものがあるというのも事実でございます。しかし、それ以外のものについては全部出させるように、私は、既に、事態の動きに対してどういう対応をとったかなど、証拠書類についてはすべて保全をするように、これは炉規法に基づく、しかも、口頭でなしで文書によって指示を出したところでございます。

 ですから、同じような形でこれはしっかりと指示をしたいと思っております。

吉井委員 とにかく、四十日間言うことを聞いていないんですよ。これは、本当に国家が機能しないのと同じ意味なんですよ。それぐらい深刻な問題に置かれている。だからこそ、今から文書を出すということですが、それは遅過ぎるとは思うけれども、出さないより今からでもいいですよ、徹底的にデータをきちんと出させる、このことを求めて、時間が参りましたので、質問を終わります。

田中委員長 以上で吉井英勝君の質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別法、今回の法改正によりまして、東日本大震災で被害を受けた企業の活動に対してどのような効果がありますでしょうか。例えば、震災に伴って操業をやめていた会社が操業を再開していく、あるいは組織の再編を震災を機に求められることもあるかもしれません、あるいはもう事業を続けられないということで事業をほかの企業に引き継ぎたい、そういうところもあるかもしれません。そういった影響についてどのようにお考えか、お尋ねします。

海江田国務大臣 今回の東日本大震災で被災した企業の中には、やはり事業活動の継続に大変な困難を抱えている企業が少なくない、大変多いという認識をまず持っております。

 その上で、これまで日本公庫等の災害復旧貸し付けや災害関連保証等により実施しております資金繰り対策をまず万全なものにするということ。同時に、震災対応の緊急支援措置を講ずるとともに、経済産業省としては、被災した中小企業の工場等の復旧支援などにも全力を挙げるところでございます。

 そして、特に、そうした支援を行いましても廃業を選択せざるを得ないという企業が出てきました場合、本法案に盛り込まれた地域中小企業の引き継ぎ支援のための施策を活用する、そして地域における雇用や技術が失われることのないよう取り組むことにしたい、そのように思っております。

山内委員 今回の法改正では、地域の中小企業の事業引き継ぎ円滑化支援が含まれております。先ほども中山政務官からコメントがありましたが、技術の海外流出を防ぐことを考えなきゃいけないということがありました。

 しかし、海外からの投資促進を呼びかけている一方で、海外流出が困るから余り企業買収しないでくれというのも、表向きはなかなか言いにくいかもしれません。具体的にどういった方法で技術の海外流出を防ぐことができますでしょうか。

中山大臣政務官 今、日本がこういう状況の中で、海外ではウの目タカの目で、日本の持っている技術を買い取ろうというのはたくさんあるそうでございます。経済産業省の政務官室にも、外人の方でいろいろな方が見えまして、投資をしたいというような話が現実にあります。

 ですから、私たちは何をしなきゃいけないのかというと、やはり今、経済産業省がそれにかかわって、お互いにお見合いをさせたりするときに、できるだけ海外に知的財産が行かないように、まずプロパテント政策にのっとった考えでやっていかなければならないと思うんですね。特に、金型等の技術みたいな、本当に日本にしかできないものを日本に残す。こういうことで、この法律もなるべく地域内でやるということに前提を置いていますので、相談窓口で受けたときには地域の方を紹介する、地域の方をお見合い相手にしていくということで考えていきたいと思います。

山内委員 よくわかりました。

 それでは、今回の大震災を受けて、先ほども申し上げましたが、事業を続けられなくなって、一部の事業を他社に引き継ぎたい、そういう会社も多いかと思います。そうすると、各県に置かれております中小企業再生支援協議会の業務が大変忙しくなるんじゃないかな。

 特に被災地においては、平常時に比べて件数も非常に多くなるのではないかと思いますが、逆に、再生支援協議会のメンバーになり得るような、弁護士さんとか会計士さんとか中小企業診断士さんとか、こういう方は今被災地で余り人数がいないと聞いております。

 そういう人材が足りなくなっているところでニーズは増大しているということがあろうかと思いますが、そういった再生支援協議会に対する経済産業省としての何らかの支援措置というのは考えていらっしゃるんでしょうか。

中山大臣政務官 これは、県からも要望がありまして、人をよこしてくれというんですね。私たちも、初め、中小企業基盤整備機構で募集をかけたところ、二百七十名の話が、今お話があったような中小企業診断士であるとか、それにかかわるいろいろな方々、当然私たちも金融機関の方なんかは特に必要だということで要望しているんですが、信用保証協会の出身者とか、いろいろな方々が、今二百五十六人がこちらから出張して仕事をしているんですが、さらに募集をかけて、七百人ぐらいは今来ているので、その中から厳選して優秀な方を送っていきたいと思っております。

 事業を継承したりなんかするというのは、相当のノウハウを持っていないとできない仕事なんですね。ですから、我々は、よく吟味して優秀な人を送りたいと思っています。

山内委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それと、本改正案におきましては、ベンチャー企業の資金調達支援としての債務保証が含まれております。ベンチャー支援というと、もうずっとやってきて、いろいろな機関がかかわっていると思います。政府系の金融機関、信用保証協会、独法の中小企業基盤整備機構、あるいは税制面でも、エンジェル税制等もありました。これまでいろいろやってきたこういうベンチャー支援策がある中で、あえて今回の法改正でベンチャー支援という要素を入れた理由について、まずお聞きします。

田嶋大臣政務官 御答弁申し上げます。

 おっしゃるとおり、ずっとベンチャー支援はいろいろな取り組みがありまして、そういう中で、今回も債務保証という形で制度導入を御提案させていただいているわけでございますが、特にリーマン・ショック後の世界的な金融危機や新興市場の低迷ということで、我が国におけるベンチャー企業に対するリスクマネーの供給というのは今大きく落ち込んでございます。

 数字で申し上げますと、ピークが平成十八年。百八十八件が新規上場いたしまして、二千八百億円程度の年間の投資がベンチャーに対して行われたというのが平成十八年でございました。それからほどなく、平成二十一年は、上場は十分の一、わずか十九件でございます。そして、リスクマネーは八百七十五億円ということでございまして、激しく落ち込んでおる。現在も十分な回復を見せておりません。

 そういう意味で、今回は、安定した売り上げ実績がなくても、ベンチャーの企業が持っている技術を使って生産を開始したい、そういったときの資金需要に対してリスクを補てんする債務保証制度だということでございまして、従来こういうものはなかったわけでございますが、ほかの国では、例えばアメリカ・エネルギー庁、DOEが同じような債務保証を行っているということでございます。

 以上です。

山内委員 今のお話だと、ピークに比べると、ベンチャー企業も余りうまくいっていないということは、裏を返すと、これまでの政府のさまざまな支援策というのが余り機能しなかった、あるいは、どの支援策が余りうまくいかなくて、どの支援策は結構うまくいっているか、そういう評価というのは政府内でなされているんでしょうか。

中山大臣政務官 ベンチャー企業は、やはり成長するまでに時間がかかるということで、できれば融資というよりも資本を投入するという方がいいと思うんですね。

 もう一方では、今、本当に血気盛んで、本当にやる気のある若者が、大企業もしくは助けてくれる企業と一緒になってやっていくという、合併みたいなものも非常にうまく使っていかなければいかないんじゃないか。今までは、どっちかといえば、ベンチャー支援というと融資という形だったんですが、これからは投資も含めて、合併みたいな形で、ある企業とある企業を一緒にさせて、力を持って、大きな活力のある企業にしていく、こういうことも大事だというふうに、再度この法律案の中でそんなことも議論していきたいと思っています。

山内委員 ありがとうございました。

 もう十二時半になりましたが、この後、趣旨説明、理事会、本会議がありますので、残りの質問は来週に回して、以上で質疑を終わります。ありがとうございました。

田中委員長 山内康一君の質疑は以上で終了いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、本案に対し、西村康稔君外二名から、自由民主党・無所属の会提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。橘慶一郎君。

    ―――――――――――――

 産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

橘(慶)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本法律案では、国際経済の構造的な変化に我が国経済が対応するためには、事業者の迅速かつ機動的な組織再編を促進していくことが必要という考えから、そのための制度面、資金面での支援措置を講ずることとしており、戦略的な組織再編に関し、産業政策と競争政策との連携の強化に努めるため、主務大臣と公正取引委員会の連携を強化することとしています。

 修正の趣旨は、この主務大臣と公正取引委員会の連携の強化をより確実にすることにより、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法の認定手続について、より迅速かつ的確なものにするというものであり、その内容は以下のとおりです。

 第一に、主務大臣は、公正取引委員会との協議に際しては、事業再構築等関連措置が申請を行う事業者の営む事業の属する事業分野における競争に及ぼす影響に関する事項その他の必要な事項について意見を述べるものと明記し、協議における主務大臣からの意見の内容を明確にいたします。

 第二に、主務大臣及び公正取引委員会は、協議に当たっては、我が国産業の国際競争力の強化を図ることの必要性が増大している状況にかんがみ、所要の手続の迅速かつ的確な実施を図るため、相互に緊密に連絡するものとしております。

 以上が、修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。

田中委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案及び修正案審査のため、来る二十七日水曜日午後零時三十分、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 この際、申し上げます。

 経済産業の基本施策に関する件、特に原子力発電所事故による経済被害対応等についての経済産業委員会、内閣委員会の連合審査会は、来る二十七日水曜日午前九時から開会することとなりましたので、念のため御報告申し上げます。

 次回は、来る二十七日水曜日午前八時五十分理事会、午後零時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十四分散会


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