衆議院

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第16号 平成23年7月29日(金曜日)

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平成二十三年七月二十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 石関 貴史君 理事 北神 圭朗君

   理事 楠田 大蔵君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 谷畑  孝君

   理事 西村 康稔君 理事 佐藤 茂樹君

      相原 史乃君    石森 久嗣君

      緒方林太郎君    大西 孝典君

      川口  博君    川越 孝洋君

      川島智太郎君   木村たけつか君

      櫛渕 万里君    熊田 篤嗣君

      斉木 武志君   斎藤やすのり君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    平  智之君

      高松 和夫君    中山 義活君

      橋本  勉君    花咲 宏基君

      山本 剛正君    吉田おさむ君

      赤澤 亮正君    梶山 弘志君

      木村 太郎君    近藤三津枝君

      高市 早苗君    橘 慶一郎君

      中谷  元君    西野あきら君

      額賀福志郎君    稲津  久君

      吉井 英勝君    山内 康一君

      園田 博之君

    …………………………………

   経済産業大臣       海江田万里君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 細野 哲弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            安井 正也君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        関  克己君

   参考人

   (電気事業連合会会長)  八木  誠君

   参考人

   (社団法人日本経済団体連合会環境安全委員会地球環境部会長)

   (新日本製鐵株式会社代表取締役副社長)      進藤 孝生君

   参考人

   (一橋大学大学院商学研究科教授)         山内 弘隆君

   参考人

   (立命館大学国際関係学部教授)          大島 堅一君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十九日

 辞任         補欠選任

  熊田 篤嗣君     大西 孝典君

  山本 剛正君     相原 史乃君

  橘 慶一郎君     赤澤 亮正君

  西野あきら君     中谷  元君

  望月 義夫君     木村 太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     山本 剛正君

  大西 孝典君     川越 孝洋君

  赤澤 亮正君     橘 慶一郎君

  木村 太郎君     望月 義夫君

  中谷  元君     西野あきら君

同日

 辞任         補欠選任

  川越 孝洋君     熊田 篤嗣君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案(内閣提出第五一号)

 電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案並びに電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 本日は、参考人として、電気事業連合会会長八木誠さん、社団法人日本経済団体連合会環境安全委員会地球環境部会長・新日本製鐵株式会社代表取締役副社長進藤孝生さん、一橋大学大学院商学研究科教授山内弘隆さん、立命館大学国際関係学部教授大島堅一さん、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の皆さん方に一言ごあいさつ申し上げます。

 本日は、大変御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人の皆さんにおかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人の皆さんからお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度挙手で委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず八木参考人にお願いいたします。

八木参考人 電気事業連合会会長の八木でございます。

 本日は、このような機会を賜り、まことにありがとうございます。また、平素、私ども電力会社の事業運営に関しまして、多大な御理解、御協力を賜っておりますことに、この場をおかりいたしまして厚く御礼を申し上げます。

 まず初めに、三月十一日の東日本大震災につきまして、被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、東京電力の福島第一原子力発電所で発生した重大な事故により、地元や周辺地域の皆様はもとより、国民すべての皆様に大変な御不安と御迷惑をおかけしておりますことに、同じ電気事業に携わる者として、心よりおわび申し上げます。

 私どもといたしましては、今回の事故から得られる反省と新たな知見を十分に踏まえて原子力発電所の徹底的な安全対策を行い、立地地域を初め国民の皆様の不安の解消、信頼回復に向けて全力を尽くしてまいる所存でございます。

 また、今回の事故に端を発し、現在、各地の原子力発電所の多くが停止しており、私が社長を務めております関西電力を含め、全国的に大変厳しい電力需給となっております。重ねておわびを申し上げます。電力各社とも、お客様に節電をお願いしながら、全力を挙げて安定供給確保に向けて取り組んでおりますので、御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 それでは、本法案が導入拡大を目指します再生可能エネルギーについて、電気事業者としての基本的な考え方を申し上げたいと思います。

 私どもといたしましては、従来より、我が国のエネルギー自給率や地球温暖化対策の観点から、太陽光、風力、水力、バイオマス等の再生可能エネルギーは重要なエネルギー源であると考え、その導入拡大に努めております。

 電力系統への連系と買い取りにつきましては、平成四年から約十七年間、各電力会社における自主的な取り組みとして、再生可能エネルギーの余剰電力を電気料金と同額で買い取る余剰電力購入メニューを設定し、導入拡大に協力してきました。また、平成十五年からは、RPS法のもとで毎年増大する義務量を着実に履行してまいりました。さらに、電力会社自身の設備においても、メガソーラー発電所の建設や石炭火力発電所におけるバイオマス混焼の拡大などに努めております。

 今回の大震災を受け、今後の日本のエネルギー政策について幅広い観点から議論される必要があると思いますが、再生可能エネルギーについては、その期待される役割は一層高まっていく方向と認識しております。

 そうした中、今回の法案は、買い取り負担等について国民各層の理解を得ることを前提に、買い取り制度を現行の太陽光の余剰からすべての再生可能エネルギー発電に拡大するものと理解しております。再生可能エネルギーを拡大させるための国の政策手段として、これまでRPS制度が行われてきたわけですが、その成果を踏まえた上で、導入量を短期間にさらに大幅に拡大するために新たな効果が期待される制度と考えております。

 このような考え方のもと、今回の再生可能エネルギー法案について、電気事業者として要望を三点申し上げたいと思います。

 一つ目は、制度導入に対する国民各層の十分な理解についてであります。

 今回の買い取り制度は、その費用負担が将来にわたって国民生活や産業活動に大きな影響を及ぼすものであり、負担の水準や買い取りの方法等について、消費者や産業界等、国民各層に十分御理解いただくことが制度導入の大前提であります。

 国においては、買い取り制度自体の説明やその適用に関する問い合わせ、意見等に対して丁寧に対応していただくとともに、円滑に導入するための周知、理解活動を相応の周知期間を設けて十分に行っていただきたいと思います。

 このことは、新たに再生可能エネルギー電源を設置される方、現行の余剰買い取り制度やRPS制度の関係者はもとより、買い取り費用の負担をお願いすることになるすべてのお客様との窓口となる電力会社の各地の現場にとって、混乱を避けるためにも重要なことでありますので、よろしくお願いいたします。

 二つ目は、買い取りの条件についてであります。

 買い取り価格、期間は、費用対効果の高い再生可能エネルギーの導入拡大につながるよう、国が責任を持って適切に設定することで、全体としての買い取り費用の負担の軽減を目指すことが制度のかぎと考えております。

 例えば、太陽光の買い取り価格は段階的にしっかり下げていくこと、太陽光以外は一律価格とし、随時チェックしていくことで発電事業者のコスト低減努力を促すことが重要と考えますので、よろしくお願いいたします。

 三つ目は、機動的な制度の見直しについてであります。

 制度を導入した場合、消費者や産業界等への負担が受容できるものかどうか、国内関連産業に対するグリーンイノベーションの効果が得られているかどうかなどを常に検証して、柔軟かつ機動的に制度の見直しを検討することが重要であると考えております。

 特に、負担方法については、国民全体で再生可能エネルギーを導入拡大するという政策目的にかんがみれば、買い取り費用を電気料金によって電気の使用者のみが負担するのではなく、広くエネルギー消費全体で負担する制度とするのが本来の姿であると考えております。制度導入後の機動的な見直しの中で、改めて御検討いただきたいと思います。

 なお、負担軽減を考える必要が生じる場合は、制度全体の負担総額を軽減するような措置を検討するべきであると考えております。すなわち、お客様間の公平性に十分配慮することが、国民全体の納得性という観点から重要と考えていますので、よろしくお願いいたします。

 次に、買い取り制度に付随して改正される電気事業法について申し上げたいと思います。

 一つ目は、買い取り制度に伴う料金改定手続についてであります。

 今回の法改正は、再生可能エネルギーの導入拡大に向け、国民全体で負担することとなる買い取り費用を電気料金に反映させていただくための手続を定めるものであり、買い取り制度を円滑に実施する上でも重要と考えております。私どもといたしましては、この新たな手続に従って適切に対応していくとともに、今後とも、経営全般にわたり、たゆまぬ効率化努力を続けてまいる所存であります。

 二つ目は、再生可能エネルギーのネットワーク利用を円滑化するための整備についてであります。

 我が国では、系統利用の公平性、透明性を確保する観点から、中立機関である電力系統利用協議会が、電力会社の送配電業務の監視等を行っています。今回の買い取り制度の拡大に伴って、その対象が、私ども一般電気事業者や、特定規模電気事業者等に加え、再生可能エネルギーの発電事業者にも拡充されるものと認識しております。

 私どもといたしましては、従来から、系統の接続や運用に当たりましては、公平性や透明性の確保に努めておりますが、今後の再生可能エネルギーの系統利用拡大に対しまして、系統利用協議会という中立的な場を通じて説明責任を果たしつつ、積極的に対応してまいる所存でございます。

 最後に、再生可能エネルギーの大量導入実現のための系統安定化対策について一言申し上げたいと思います。

 瞬時瞬時の出力変動が大きい太陽光や風力発電を今後大量に電力系統に接続していくためには、系統全体の電力の品質、すなわち、周波数や電圧を維持するための対策が不可欠であります。このためには、これまでにない、世界最先端の系統制御システムの開発と導入を急がねばならず、技術的、時間的なハードルを克服すべく、供給責任を担う私どもといたしましては、国の御協力も得ながら、現在進めている実証試験等に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上、買い取り法案、電事法改正案に対する電力の考えを申し上げました。

 私ども電気事業者といたしましては、本法の施行後、制度の詳細が決まり次第、新たな買い取り制度の円滑な実施に向け、適切に準備を進めてまいります。また、重要なエネルギー源の一つである再生可能エネルギーからの電気を最大限活用した、今後の電源の組み合わせを考えていきたいと思っております。

 引き続き御指導、御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

田中委員長 ありがとうございました。

 次に、進藤参考人にお願いいたします。

進藤参考人 経団連の地球環境部会長の進藤でございます。

 本日は、こうした機会をちょうだいし、感謝申し上げます。また、先生方におかれましては、日ごろより産業界の考えを御理解いただき政策立案に取り組んでいただいており、まことにありがたく、感謝申し上げます。

 早速ですが、お手元の資料に沿って、買い取り法案に対する経団連の考え方を御説明申し上げます。あわせて、私は鉄鋼業に所属しておりますので、その立場から電炉等の電力多消費産業が受ける影響についても御紹介させていただきたいと思います。

 資料の一枚目、三点ございます。

 まず一番目でございますが、「空洞化を助長してはならない」と書いてございます。

 先生方御承知のとおり、重い法人税負担、円高、突出した温暖化対策や労働対策、それから通商政策のおくれなど、我が国の企業は、しばしば五重苦と言われる大変厳しい事業環境の中で、ますます激化する国際競争に直面しております。

 これに加えて、今回の東日本大震災を契機に、火力発電にシフトし、原発の点検後再稼働の見通しが立たない中で、電力料金が大幅に上昇し、六重苦になることが懸念されております。具体的に電力料金がどれぐらい上がるかという試算は後で御説明申し上げますけれども、多くの経営者は、本当にこの国でものづくりや雇用を続けていけるのか、大きな不安を抱えているのが実情でございます。

 1の(3)に書いてございますけれども、企業が生産や投資の場所を決める上では、エネルギーが経済性のある価格で安定的に調達できることが最重要の要件でございます。

 私どもが現在何よりも望んでおりますのは、今後五年程度、電力が適正な価格で安定的に供給されるための政策的な道筋を早急に示していただきたいということであります。震災で企業の体力が弱り、電力の不安、つまり電力単価の上昇と量の不足でございますが、これがある今の状況では、全量買い取り制度を導入し、「人為的に」と書いておりますけれども、政策的に電力料金を引き上げるようなことがあれば、復興に悪影響を与えるばかりか、産業の空洞化に一層の拍車をかけることになります。

 私どもとしては、これまで厳しい状況においても何とか日本の企業として日本国内での責任を果たそう、つまり、製造拠点の維持と雇用の維持を果たそうと歯を食いしばって頑張ってまいりました。多くの経営者は、日本でものづくりをしたい、物をつくりたいと本当に心から考えているところであるわけでありますが、本当に今、耐えられないところまで来ているというのが実情でございます。

 これが一番目でございます。本法案の中身が及ぼす影響についてであります。

 二番目は、「エネルギー政策全体の議論をまず行うべき」という、大変僣越ですが、議論の順序の問題でございます。

 今回の買い取り法案は、震災前に立案されたエネルギー政策に基づき設計されております。しかし、震災を契機にエネルギー事情は大きく変化いたしました。まずは、エネルギー政策全体の議論を行い、この中で再生可能エネルギーの位置づけを冷静に検討する必要があると考えるものであります。

 資料には書いておりませんが、福島原発事故の原因の調査をきちんとやって、分析もして、他の原発の安全性にその教訓を生かし、他の原発の安全性を検証する。そして、原発、化石燃料、再生可能エネルギー、このエネルギーミックスを、まずは時間軸を置いてみて、そのときに電力単価がどうなるのか、CO2の発生量がどういうふうになるのか、国際競争力、家計の負担、そういうことも総合的に見て、こういうものを何回か回してみてエネルギーミックスをつくっていく。これがまさにエネルギー基本計画の見直しなわけですけれども、これがあってこの買い取り制度に期待する部分を明確にしていくということだと思っております。

 方向が同じだから基本計画見直しが後になってもよろしい、こういう議論があるやに認識しておりますけれども、方向が同じでも、どこまで行くかによって制度の質ががらりと変わってまいります。したがって、この順序をぜひお願いしたいということでございます。

 三番目は、「開かれた国民的議論をすべき」ということであります。これは議論の仕方についての要望でございます。

 言うまでもなく、再生可能エネルギーは将来的に伸ばしていく必要があります。しかし、現時点では、高コストで、稼働も不安定、さらには自然条件に大きく左右されるといういろいろな制約条件があるわけであります。日本の自然環境に合った、自然条件に合った導入量、普及策を、国民に開かれた場でしっかりと、短期、中期、長期の時間軸を入れた工程表をつくる、そういう議論をする必要があろうかと思います。その際、技術革新やモデル実証を通じ、低コスト化、高効率化をまず実現することを優先していくことも重要であると考えるわけであります。

 また、3の(2)に書いてございますが、買い取り制度は、国にかわり電力会社が、国が決めた料率に基づいて、電力を使用する国民や企業からサーチャージをいわば強制的に徴収する制度であります。実質的には、電力消費税と言えるかと思います。

 その本質において税であり、巨額な国民負担を課すものであるならば、国会で負担水準を決めるべきものですが、そのようになっていないと私どもは認識しております。あえて言えば、大変失礼な言い方ですが、立法府から行政府にいわば白紙委任状を出していると言っても過言ではないのではないかと考える次第でございます。

 加えて、最後に書いてございますが、電力消費税がその本質であるならば、逆進性の問題があるわけでありますし、被災地の方々の負担をどうするのかという論点も存在するかと思います。

 先生方におかれましては、本制度の抱える問題を十分に御理解いただき、拙速に法案の成立が行われることのないようお願い申し上げたいと思うわけであります。

 二ページ目を開いていただきますと、これが本制度のコスト面の影響を書いたものでございます。参考一に二つの要因が書いてございますが、電力料金がどのぐらい上がるのかということであります。

 まず一つの要因は、本制度とは関係ありませんが、原子力発電所停止による電力料金の上昇。よくマスコミでも言われております、日本エネルギー経済研究所試算で、二〇一二年度で全部とまっちゃいますと、四月にとまりますと、三・五兆円化石燃料がかかる。これを単価に割り戻しますと、三・七円・パー・キロワットアワーということであります。我々の計算によりますと、製造業全体で約八千六百億円の負担増ということで、製造業の経常利益の約六%がこれで喪失されるということでございます。

 二番目が、本制度の二〇%導入による電力料金の上昇であります。これはいろいろな見方がありまして、二〇%になった場合どのぐらい上がるか。統一的な見解がないので、前提を置いてそれぞれ試算せざるを得ないわけですが、今、〇・五円・パー・キロワットアワーと言われております。二〇二〇年における再生可能エネルギー全体の比率を、原案の経産省案は一三・五%というふうに承知しておりますが、菅総理発言のように、二〇二〇年代のできるだけ早い時期に少なくとも二〇%を超える水準と言っておられますので、二〇年に二〇%と仮に置いた場合、今九%ですので、それを一三・五に四・五%上げるのと、九%を二〇%に一一%上げるということであれば、絶対量として約二・五倍ふえることになると思います。

 また、導入加速をそれだけ実現するためには、経済原則からすると、買い取り価格を上げないと導入が進まないだろう。そうすると、これも数字があるわけではありませんので、仮にそれを一・五倍とすると、一・五掛ける二・五ですので、四倍弱ぐらいになる。国民負担の合計は、経産省案はマックスで六千億と言っていますが、これの四倍、二・四兆円になる可能性があるわけであります。

 単価でいうと〇・五円から約二円、百五十円・パー・月というのが家計の負担と言っておりますけれども、六百円以上ということになろうかと我々は思っています。製造業全体では、四千六百億の負担増、約三%が喪失されるということであります。

 単純に三・七円と二・〇円で五・七円上がるということに加えて、系統安定化費用が、導入率によって相当振れ幅が大きい額がかかってまいります。それから、東電さんの賠償の転嫁分、全部国が払うわけではないと思いますので、電力料金転嫁で賄う分、この大きなアルファが五・七に加わるだろうというふうに我々は考えております。

 次に、電力多消費産業への影響ということで、少しく電炉の話をさせていただきたいと思います。

 電炉業というのは、そこに書いてありますように、スクラップを電気で溶解して新しい鉄を生み出すというリサイクル産業であります。電力依存度が非常に高くて、そこに表が書いてありますが、百万円の売り上げを上げるためのメガワットアワーは、製造業平均で〇・五三メガですけれども、電炉は四・三八ということで九倍から十倍の原単位で事業を行っているものです。

 したがって、できるだけコストを下げるために、夜間の方が安いものですから、三分の一ぐらいの値段ですから、夜間傾斜操業、俗にフクロウ操業と言われていますけれども、昼寝て夜働くという、夜間電力比率七七%の操業を行っております。

 この結果、二番目に書いていますが、昼間の化石燃料費用の低減だとか昼夜間の電力負荷の平準化を通じて、二つ書いてございますが、電力産業のピークロードに必要な設備投資をしなくてもいいようにする。それから、エネルギーの安全保障、外からの石油等の輸入を減らす、CO2の排出削減。

 スクラップで鉄をつくると、これは石炭と鉄鉱石を運んでくるよりもCO2のリサイクルになりますので、非常に少なくなります。スクラップ一トン輸出するということは、CO2の一トンの権利を放棄する、こういうことになるわけであります。

 この規模がどれぐらいかということで注が書いてございますけれども、夜間電力の規模は原発によって賄われているわけですが、これに必要な発電容量は三百九万キロワット。標準的な原発の二・二基分を夜に使わせてもらっているということであります。仮にこれを石油火力発電でやった場合は、千五百四十万トンCO2が増加します。十二、三億トンが日本全体の排出量ですので、これが昼になることで約一・三%増加するということになります。

 こういう電炉に全量買い取り制度が入るとどうなるか。

 経産省案〇・五円で計算しますと、電炉業八十七億五千八百万、ほかの鋳造、ソーダもそういうふうに試算しておりますが、電炉業では経常利益の、これは過去何年かの平均ですが、九・四%が喪失します。仮に、先ほどの三・七円が化石燃料で入ってきますと経常利益の六五%、その上に再生可能エネルギー二〇%導入で我々の試算である二・〇円が加わりますと同じく三五%、この二つが全部成就した場合には足して一〇〇%の経常利益が飛ぶ、こういうマグニチュードでございます。

 最後のページですが、そもそも昼発電される太陽光のサーチャージを、書いてございませんが、夜操業する電炉が一律均等に負担するのが果たして公平なのかという議論を我々内部では相当してきたわけでございますが、ここではドイツの再生可能エネルギー法の例を書いてございます。

 ドイツは、明確に国際競争力の維持を目的としてということで、下のマトリックスがございます、横軸に年間の電力消費、これは絶対量、縦軸に総付加価値中の電力コスト、これは原単位でございます、これでマトリックスをつくって、一番右端、これが一番多く使い、原単位も多いわけですけれども、ここに整理される産業が九七・六%のサーチャージの減免という制度を持っております。この軽減分はだれかの負担になるわけですが、ドイツの場合は、家庭や他の産業、人様の負担でやっている、これも国際競争力という大義のためにそういうふうにしているということであります。

 日本の場合、この軽減分に、そこに公平感にやや違和感があるということであれば、国の予算を投入することも一つの方策であろうと思います。省エネ補助金のための財源をとっていただくのであれば、ぜひそれをこのサーチャージ軽減策に使っていただければと考えるものでございます。

 繰り返しになりますけれども、大前提として、エネルギー政策全体の議論及びそれを踏まえた再生可能エネルギーの導入のあり方に関する冷静な国民的議論なくして、日本経済の空洞化を助長する買い取り制度を現段階で導入することは、避けていただきたくお願い申し上げます。

 私からは以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

田中委員長 ありがとうございました。

 次に、山内参考人にお願いいたします。

山内参考人 一橋大学商学部の山内と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 このような機会に再生エネルギーの買い取り法に関する意見を陳述する機会を与えていただきましたことにつきまして、感謝を申し上げる次第であります。

 私は、学校の方では、公益事業とかネットワークとか、そういったところを経済学的に分析する立場にございまして、今回の買い取り法に関しましても、いろいろなところで助言あるいはお手伝いをさせていただいた経緯がございます。そういったことを生かしながら、きょうこの場で意見を陳述させていただきたいというふうに思います。

 今回の買い取り法でありますけれども、法の基本的目的は、皆様御承知のとおりでございまして、安定的なエネルギーの確保、地球温暖化問題を中心といたします環境問題、それから経済の成長、繁栄といったこと、いわゆるトリプルE、三つのE、こういったものを目的とするエネルギー基本計画の趣旨に沿ったものだというふうに考えております。

 今回の原発事故あるいは震災等の関係がございまして、このエネルギー基本計画を今後どうしていくのかということは、現在も議論が進んでいるところでございますけれども、私の個人的な意見を申し上げれば、この三つの基本的な目的というのはエネルギーの基本的に重要な目的であって、この考え方を踏襲することに異議はないのではないかというふうに思っております。

 それからもう一つ、今回の法律案につきましては特徴的なことがございます。それは、サーチャージ制度による政策目的の達成、あるいは公共料金を使った政策目的の達成ということであります。当然、行政が何か目的を達成するということであれば財政的措置をとる、こういうことが基本でございますけれども、現状のような財政の逼迫あるいは負担感の問題ということを考えますと、このサーチャージ等による政策目的を達成するということ自体に一つの価値を見出せるのではないかというふうに考えております。

 私自身、基本的に、公共料金とか公的な企業の分析をしておりまして、こういったことについての研究が私の中心でございますけれども、ほかにもこういったやり方が日本でもあらわれてきているということだと思います。

 御承知のように、電気通信事業におきましては、ユニバーサルサービスファンドというものを通じまして、あまねくサービス、電話サービス、音声サービスのユニバーサルサービスを維持するということがなされております。これは、毎月我々が支払う電気通信関係の料金の中に、今七円になってございますけれども、七円というサーチャージを取って、それによってこのサービスを維持する、こういうことをしております。

 それから、少し前になりますけれども、鉄道整備において特定都市鉄道整備積立金制度というのがございました。これは、今回のようなサーチャージのような形をとりませんでしたけれども、基本的には同じような性格でございまして、運賃に十円を上乗せして、混雑の激しい鉄道の整備、特に複々線でございますけれども、そういったものに充てるということでございます。

 こういった形で、サーチャージ的なものを取って政策目的を達成する、こういうようなやり方というものも徐々に出てきておりますので、今回の買い取り法による再生可能エネルギーの普及、拡大、促進というものも、この流れに沿ったものであるというふうに考えております。

 ただ、この点については少し留意点がございまして、この手のやり方というのは基本的に財政を通すものではございませんので、余り多用されることにおいてはちょっと問題があるのではないかというふうに思っております。この辺は政策目的自体をきちっと議論した上で、全体の政策の中でそれが整合的であるのかどうか、効果的であるのかどうか、こういったことを検証した上で導入すべきであるというふうに思ってございます。

 さてそこで、今回の買い取り法の政策目的ということになるわけでありますけれども、基本的に、国民生活に根差した温暖化対策を推進するということだと思います。また、国民の温暖化に対する意識を高めるといった意味も持っているというふうに思います。それが、先ほど申し上げた地球温暖化問題を中心とする環境問題への対策ということだろうと思います。

 そしてもう一つ、エネルギー分野での新しい技術開発あるいは産業育成というものをしていく、それによって安定した雇用、雇用を増大させていく、こういうような目的があろうかというふうに思っております。その意味では、国民全体的な運動といいますか意識の中でこの政策を遂げることが重要ではないかという点を強調しておきたいというふうに思います。

 それから、負担の問題ということでございますけれども、いろいろな試算がございます。私も、当初、全量買い取りのプロジェクトチームに入れていただきまして、その中で各方面からの意見を聞きつつ議論をさせていただきました。これは、今意見陳述にございましたけれども、前提によって大きく変わるというのは当然でございまして、今のところでいうと、二〇二〇年程度で大体五千億円弱というところの全体像、それから、これは電力料金にしますと〇・五円というようなところかというふうに思っております。

 この辺の大きさがどのようなことかということにつきましては、今申し上げましたように、これは前提の問題でございますので何とも言えないところでございますけれども、何よりも重要なのは、こういった新しい制度によって新しいシステムを拡大させていくということでありまして、まずは、その普及のために何ができるか、経済効果あるいはイノベーションに対して何ができるのかということを考えて買い取りの料金というのを決めるべきだというふうに思っております。

 現状では、例えば太陽光については、四十円前後ですか、十五年間買い取るということ。ただ、今お話がありましたように、それにつきましては、費用の低下を前提とした上で買い取り価格を下げていく、こういうようなことが言われていると思います。それから、太陽光以外につきましては、買い取り価格については二十円から十五円かその間ぐらいのところ、しかも、二十年、十五年、こんなようなところで考えられていると思います。

 これにつきまして、私もいろいろと試算に加わらせていただきましたけれども、これも本当に前提によるわけでありますけれども、かなりの程度詳細な情報を得た上で計算をさせていただいたものだというふうに思っております。その意味では、恐らくこの程度の負担といいますか、買い取り価格が全体としては適正なものではないかというふうに考えております。今申し上げましたように、何よりもこれは普及促進というところを最大の出発点とすべきでありますので、余り硬直的に考えずに買い取り価格というものを考えていくべきではないかというふうに思っております。

 ただ、この買い取り価格ですけれども、これも議論になっているところでありますけれども、どのようなプロセスで将来的にこれを見ていくのかということはあると思います。

 今までのところは、我々、いろいろなところで試算させていただいて御提言をさせていただいたということであります。これはパブリックコメントもやりまして、どのようなところがいいのかということも議論させていただいたところでございますけれども、要するにその買い取りの考え方を明らかにするというのがまず第一のポイント。

 それからもう一つは、何よりも情報収集と情報公開を徹底すべきだというふうに考えております。例えば、今申し上げた太陽光についての買い取り価格、これが本当にこの価格でいいのかどうかということについてより広い意見を求めること、そして、なぜこういうふうに決めるのかという情報を開示すること、これが最大のポイントかというふうに思っております。

 私も、こういうことをしておりますので、今こういう新しい、例えばメガソーラーをやったらどうかということについて、検討されている方から御意見を個人的に伺ったことがございますけれども、例えばメガソーラーの場合でも、本当に試算してみると、四十円で十五年というのを仮に想定した場合に、ぎりぎりのところで何とか採算がとれるかとれないかというところだというふうなお話を伺いました。

 我々自身もそういう形で想定して計算したわけでありますけれども、そういった情報あるいは意見というものを吸い上げた上で買い取り価格というものを決めていく、そしてまた、今申し上げましたように、それを情報公開していく、広い、オープンの場で決めていく、こういうことが重要ではないかというふうに思っております。

 また、既に、家庭用のソーラー発電につきましては、太陽光発電につきましては、御承知のように余剰買い取りをやっておりまして、これも金額につきまして今回見直しがあったということで、私もそれをお手伝いさせていただきましたけれども、そういった先行事例の情報についても、重要な役割を持つのではないかというふうに考えております。

 そして、また負担の問題に返りますが、何といっても、これは電力料金にサーチャージを上乗せするということでございます。ある意味では租税的な意味を持つわけでありますけれども、この負担についてどのように考えるかということが最大のポイントというふうに思います。特に、今御紹介がありましたように、エネルギー多消費型の産業への影響がいかなるものか、それから、例えば生活弱者と言われる方についての影響がいかなるものか、こういったところについては十分に配慮しなければならないというふうに考えております。

 前者の産業界への影響ということにつきましては、今御紹介がございましたように、国内産業の空洞化、工場の海外移転、こういったものを促進するのではないか、こういう懸念は確かにあるというふうに思っております。業界によっては、今回のサーチャージによってかなり多くの負担を強いられるケースも出てくるのではないかというふうに思っております。

 このようなことにつきまして、いろいろなやり方があろうかと思います、それについて全く何の策もないというのは、私自身、あり得ない話だというふうに思っております。これについてどういう政策をとっていくのか。御提案のように、一つは減免とかというようなやり方もございますでしょうし、また、別のやり方といたしましては、省エネあるいは新規の技術開発、こういったものを支援していくというようなやり方もあろうかというふうに思っております。

 私自身は、この議論をしていく中で、新しい制度を入れるときに、特別のケースといいますか、そういうものをつくることは余り望ましくないというふうに考えておりました。その意味では、今回の措置につきまして、特にエネルギー多消費型の産業につきましても、これは減免というようなことよりも、どちらかというと側面的な支援、例えば省エネ支援あるいは技術支援といったものを行うことが望ましいのではないかというふうに思っております。

 一方で、低所得者の方々、弱者の方々についての支援については、これは具体的に考えていく必要があるというふうに思っております。特に、税金のときに時々言いますけれども、新税は悪税というような中国の格言がございますけれども、ある意味では、そういったところをなるべくなくしていくというようなことが必要ではないかというふうに思っております。

 それから、今、負担の問題について例外がなるべくない方がいいのではないかというふうに申し上げましたけれども、買い取りの価格についても、基本的にはそうだというふうに思っております。

 太陽光発電につきましては、これはコストの関係あるいは将来的な問題から別に考えるべきだと思いますけれども、その他の再生可能エネルギーにつきましては、エネルギー別に原価を計算してというようなことになりますと、いろいろなところにまで細かい議論が出てきてしまうと思います。それよりも、我々が議論いたしましたのは、一律の買い取り価格で、逆にエネルギー種間で競争していただく、効率的なものから入れていただく、こういうようなことを考えた次第であります。

 さて、そういった再生可能エネルギーの導入問題でございますけれども、問題がないわけではございませんで、課題というものは幾つかあると思っております。

 第一の課題というのは、恐らく相対的な高費用をどう負担していくかということ。

 今申し上げたとおりでありますが、これについては、何よりもマーケットメカニズムといいますか競争の導入をいたしまして価格を下げていく、費用を下げていくということだと思います。その背景にあるのは、イノベーション、新しい技術の招来ということになろうかというふうに思っております。

 それから、もう一つの大きなポイントは、御承知のように需給のミスマッチをどういうふうに解消していくかという問題でございます。

 電気の場合には、生産時点と消費時点が同時でなければならないという即時性的な性格がございます。それから、この再生可能エネルギーは分散型の電源でございますので、そういった地域による差の問題、それから気象条件、こんなようなことがございます。

 これらをどのように解決していくかということでありますけれども、基本的には、今盛んに世の中でも言われておりますけれども、私自身、これに対するものはやはり技術革新しかない。スマートグリッドとかスマートエネルギー、スマートコミュニティーと言われるような新しい電気エネルギーの供給システムが提案されております。これをいかにスムーズに導入していくか、これが再生可能エネルギーを導入するに当たっての最大のポイントではないかというふうに思っております。

 例えばスマートメーターであるとか電子家電であるとかデマンド側のコントロールであるとか、そういったものが新しいシステムで可能になるということでありますから、それによって需給のミスマッチを克服していくということだろうと思います。

 ただ、このスマートグリッド、スマートエネルギー、私自身もいろいろ勉強させていただいておりますけれども、最大のポイントは、これを導入するインセンティブといいますか、どういうふうな形でどのようなインセンティブがあるから導入できるか、ここのところがはっきりしないというのが現状ではないかというふうに思っております。そのためには、全体としてインセンティブづくりをしていく必要を感じておるという次第でございます。

 最後に、今回のこの買い取り法でございますけれども、国民全体で支えるような仕組みをつくっていく、こういうことであろうというふうに思っております。

 環境の価値もだんだんと増大しておりまして、その環境の価値をいかに国民的資産として実現していくか、こういうようなことでありますが、これについては、国民負担あるいは公共負担で行われるべきだというふうに思っております。

 そういった負担を基本としつつ、電力利用者にそれを求める根拠といたしましては、基本的には三つぐらいあるかと思っております。

 一つは、一般財政がこれだけ逼迫してございまして、この中で、先ほど申しましたように新しい政策目的を達成する必要性でございます。それが一つ目。

 それから、長期的に安定した政策としてこれを実施すべきだという観点があろうかというふうに思っております。一般財政のケースでは、往々にして財政の状況に応じてそれが変動するということでございますので、こういったインフラを変えていくという、政策の安定性が必要なため、その意味では電力利用者への負担というのもあり得るのかなというふうに思っております。

 それから、これは冒頭に申し上げたところでございますけれども、電力料金の場合には負担者が比較的広く存在してございまして、ある種租税的な意味を持つということだというふうに思います。

 できる限り不公平感をなくすということ、国民の理解を得るための広報が重要であるということ、それから最後に、政策が見える化するということが必要であることを申し上げて、私の意見陳述とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

田中委員長 どうもありがとうございました。

 次に、大島参考人にお願いいたします。

大島参考人 立命館大学の大島と申します。きょうは、この場で意見を述べさせていただきますことを感謝いたします。

 私自身は、環境経済学をエネルギー政策の観点からかれこれ二十年ぐらい研究しておりまして、再生可能エネルギーもこの観点からずっと研究してまいりました。その経緯から申しますと、今回の法案が提出され、また、これがもし成立するとすれば、私にとっては非常に喜びということになろうかと思います。

 簡単ではございますが、何点か意見を述べさせていただきます。

 まず、買い取り制の基本というところでございます。

 これは、事業者のリスクを軽減する。再生可能エネルギーの事業を行っている事業者は、今非常に経営リスクがあります。というのは、買い取り価格が安定しないとか、何年間買い取るかわからないということで、リスクがあります。この経営リスクを最大限軽減して再生可能エネルギーの事業を拡大して、結果、再生可能エネルギーの普及を爆発的に進めるということに目的があるというふうに理解しております。それがひいては我が国の再生可能エネルギー産業の育成、新しい産業の育成、さらにそれを強靱なものにしていくというところに目的があるというふうに思っています。

 内容は、これはもう既にこちらでも議論されていることだと思いますが、事業性を担保する固定価格での長期にわたる買い取りを保障するというものです。

 ですが、ここは非常に大事なところでありますけれども、固定価格買い取り制は、いつまでも続けるような税金や財政支出ではございません。というのは、一たん産業としてテークオフしてしまえば、それ以上の補助は要らないわけです。ですので、それを一方的な負担というふうに理解しますとミスリーディングになりますので、それを御理解いただければというふうに思っております。

 こういった再生可能エネルギー法が必要だというふうに言われます背景には、やはり、我が国は海外にエネルギー資源を依存しているという脆弱な構造がありますので、再生可能エネルギーは全部国産資源ですので、国産資源である再生可能エネルギーの普及を促してエネルギー安全保障を確保することが必要だという観点から、まず大事だというふうに思っております。

 二つ目は、国際的にもこの再生可能エネルギーは、日本は何年も停滞しておりますが、再生可能エネルギーは非常に急成長しております。例えば風力発電産業を見ますと、この二十年近く、年率二割、三割、二〇%、三〇%という非常に高率の成長をしております。これほど急成長している産業はないわけで、我が国は、残念ながら他国の後塵を拝しているということがございます。我が国は、機械産業を初めとして強靱な産業があるわけで、そこを生かして再生可能エネルギーの産業をさらに育成していくことが求められているというふうに考えております。

 三つ目は、これは言わずもがなですけれども、温暖化対策の最重要施策の一つです。後でるる申し上げますが、ドイツは、再生可能エネルギー単独でCO2排出削減の半分を達成しております。ですので、これ自体で、もちろん産業としても育成することになり、雇用を生み出しますが、と同時に、温暖化対策にも非常に役立つということで、ドイツではウイン・ウインの政策として理解されているところであります。

 それを踏まえまして、私自身は、この法案は、私、今から幾つか問題点があるというふうに申し上げますが、基本的には、このような固定価格の買い取り制というのは大変歓迎しております。その趣旨で、幾つか改善点といいますか御検討いただきたい内容についてお話ししたいというふうに思います。

 一点目は、国としていつまでにどの程度再生可能エネルギーを導入するかという目標をできれば法律の中に入れてはどうかというふうに思っております。

 というのは、これはドイツでは明確に法律の中に示しております。ドイツでは二〇二〇年までに電力供給の三〇%を再生可能エネルギーで賄うというものですので、我が国にとってはそれはもしかすると大き過ぎるのかもしれませんが、ドイツは再生可能エネルギーの普及促進に二十年の歴史がありますので、そういう目標を立てているわけですが、我が国にとっても、再生可能エネルギーの産業を今後強靱にしていく以上、こういった目標をぜひ入れてはどうかというふうに考えています。

 二つ目は、買い取り価格、この法案の中では調達価格となっておりますが、これは電源別あるいは条件別にチューニングすべきであるというふうに私は考えております。

 経済産業省の報告書等を見ますと、均一価格、太陽光を除いて均一でやるというふうに理解しておりますけれども、これは再生可能エネルギーの特質からいってややおかしいんじゃないかというふうに考えております。

 というのは、再生可能エネルギーは自然条件に大きく左右されます。風力発電を例にとりますと、風況のよいところは非常に安くできます。それに対して、一律価格で入れてしまうと余計な補助が入ることになります。それは、もちろん経営として、電力市場で売ってそれが高くなるのであれば構わないんですけれども、これはあくまで補助ですので、事業性を担保するということは前提ですが、特別な利益を補助から与えるべきではないわけですね。

 ですので、条件がいいところでは安く買い、悪いところでは高く買う。いいところで安く買った分、高いところに上乗せした方が再生可能エネルギーの普及は進むわけです。そのようにドイツはこの二十年間で政策をチューニングしてまいりました。日本も、ドイツは一たん一律価格だったわけですけれども、失敗ではないんですが、失敗の歴史を繰り返すことなく、そういった改善されたドイツ型の再生可能エネルギー法を導入した方がより効果的ではないかというふうに私自身は考えています。

 三つ目は、これはほかの参考人の先生方もおっしゃっていましたが、調達価格、買い取り価格について、これは国会で決めるべきであろうというふうに考えております。

 なぜなら、これも繰り返し参考人の先生方がおっしゃっておりますが、ある意味国民の負担を、負担というか、ある一定期間でゼロになると私は思っていますので、その一定期間の負担なんですけれども、一定期間負担を国民にお願いする以上、これは税ではありませんけれども、一種の税的な側面を持ちます。その買い取り価格は、その税なり負担を大きく決める部分なんですね。ですので、ここを、今の法案は一審議会の意見を聞くとなっておりますが、本来、これはあるべきではない。むしろ国会で決める、ないしは少なくとも国会の承認を得なければ通らないというふうにしないと。透明性を確保するんだと言っても、国会ほど透明性が確保されているところはないわけですから。パブリックコメントを受けても、それはどういうふうに扱われるかというのは別に決まっているわけではありませんので、それはやはり国会でやっていただきたいというふうに考えております。

 ドイツの再生可能エネルギーも、国会で法案にすべて書き込まれております。どういうものが幾ら幾ら、どういうものが幾ら幾らというのがすべて法律の中に書き込まれておりますので、それはぜひやっていただきたいというふうに考えております。

 四点目は、これは優先接続と優先給電というのを確保すべきだというふうに考えております。

 優先接続というのはどういうものかといいますと、再生可能エネルギーは、単独で風車を建てても、送電系統につながっていなければだめなんです。ですので、その接続する義務を電力会社、今の大手の電力会社ですが、系統運営者に義務を課すということが大事かと思います。これがなければ、単なる建っているモニュメントになってしまいますので、そこは強い義務を課す。

 ドイツは、ドイツも優先接続の原則は決められておりますけれども、もし特段の理由がなく接続しなかった場合は、補償金を発電事業者が系統運営者に求めることができるというふうになっておりますので、こういった、ある意味罰則を含めたものが必要であろう。

 もう一つは、これは優先給電といいまして、再生可能エネルギーが最も利用されるようにするというものです。需要に合わせて発電機を動かしていくわけですけれども、需要が減っていくときに、まずは火力を減らすということです。火力で調整して、どうしても調整できなくなったときに再生可能エネルギーで調整するというやり方をとるわけです。それが優先給電という考え方ですが、それを実施することによって、再生可能エネルギー事業者の事業性が担保されるわけです。何よりも事業性が担保されなければ再生可能エネルギーの産業が強靱になりませんので、そういった考え方をぜひ入れていただきたいというふうに思っております。

 もう本当に時間がなくなりましたので、あとは産業の調整について申し上げます。

 今、国際競争力の観点から意見をおっしゃった参考人の先生がいらっしゃいますけれども、これもドイツはやっております。多消費型産業でいいますと、消費電力が一千万キロワットアワーで、かつ総付加価値に占める電力価格の割合が一五%以上の場合は大幅に軽減するというような仕組みをとることができます。ですので、これは産業政策として入れ込むことができるであろうというふうに考えております。

 ただし、産業への影響がそれほど高いとは私は思っておりません。というのは、電力コストが製造コストに占める割合というのは、主要産業は、電炉は非常に大きいですけれども、一、二%にすぎません。ですので、もし仮に一〇%、二〇%電力価格が上がったとしても、製造コストがそれによってどれだけ上昇するかといいますと、一ポイントも上がらない程度です。これは為替の変動の方がより大きいわけです。ですので、このことをもって大きな負担というふうには私自身は考えておりません。

 あともう一つは、弱者に対する配慮の問題です。

 電力料金というのは、第一段階、第二段階、第三段階といって、段階制をとっております。消費量が少ないところは幾ら幾ら、ある一定程度以上になると幾ら幾らというふうに電力料金が変わっておりますので、その第一段階のところでサーチャージを大幅に軽減するとか、免サーチャージするというような措置をとれば、貧困な方々、低所得の方々に対する一定程度の配慮になるのではないか、それは電気料金を通じて実施することができるというふうに考えております。

 以上、さまざま述べましたが、私自身はこの法案がぜひ通ることを願っております。よりよいものにしていただきたいと思って陳述させていただきました。

 どうもありがとうございました。(拍手)

田中委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。櫛渕万里さん。

櫛渕委員 民主党の櫛渕万里でございます。

 本日は、参考人の皆様には、大変お忙しい中急な御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。また、重要法案の参考人質疑において貴重な質問時間を私にいただきましたこと、後藤筆頭理事初め関係者の皆様へ感謝を申し上げます。

 さて、質問に入ります前に、八木参考人より、陳述の冒頭、原発事故に対する大変重いごあいさつをいただきました。今なお被害に苦しむ福島県初め国民の皆さんや、事故収束のために現場で命を削って作業をされている皆さんに対しても、国もしっかり寄り添い、全面的にお支えしていかなければなりません。

 私も、来週は、災害廃棄物の実情調査で警戒区域に入る予定ですし、先週は、女性議員の有志で子供の健康調査で福島の幼稚園や小学校をお訪ねしたところでございます。

 きょうは、再生可能エネルギーについてお聞きしてまいりますが、電力については、かつて私がNGOで働いていたとき、電気もない、水もない、そのような途上国を多く見てきた経験から申し上げますと、日本には大変良質の電気が安定供給され、それによって経済成長し、我々は便利で快適な暮らしを享受してまいりました。このことは紛れもない事実であり、その現場で御努力されてきた皆様へ改めて敬意を申し上げる次第です。

 しかしながら、かつての蒸気機関車が新幹線へ進化したように、エネルギーも石炭から石油、天然ガスや原子力、そして再生可能エネルギーへと、二度のオイルショックと温暖化の現実を経て進化する時代に来ているのではないでしょうか。その第一歩がこの再生可能エネルギー買い取り法案であると考えております。

 さて、質問に入りますが、皆さんから国民負担の問題をいただきました。このところ、電気料金が値上がりをしております。まず、最近の電気料金の上昇について八木参考人と進藤参考人にお伺いをいたします。

 例えば東京電力管内では、標準家庭の電気料金がこの二月から九月見込みの七カ月間で五百三十九円上昇しており、産業界も少なからず影響を受けていると思いますが、この要因は何であるとお考えでしょうか。また、今後、事業者あるいは企業経営者としてどのような戦略的見通しをお持ちか、お伺いをいたします。

八木参考人 電気料金の件についてお答え申し上げます。

 電気料金の仕組みの中には、実は燃料費調整制度という仕組みがございまして、LNG、石炭あるいは石油等々の燃料の値段が変動いたしますので、こうした変動分を料金に適宜織り込ませていただく制度がございます。したがいまして、近年の電気料金が毎月変化しておりますのは、こうした原油等々の価格の変更分を適切に料金に織り込ませていただいていることによるものと思います。

 一方で、私ども電力会社といたしましては、これまでも安全確保というのは大前提でありまして、安定供給を確保するという中で、経営全般にわたる効率化に取り組んでいるところでございます。

 したがいまして、例えば今般の原子力の低稼働による燃料費の増等々もございますが、そういったことも含めまして、今後とも一層の経営効率化に努めてまいりまして、できるだけ電気料金の上昇が抑えられるように努めてまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

進藤参考人 足元での電力料金の上昇がどういう理由によるかという認識の問題ですけれども、私も、今、八木参考人がお答えいただいたように、化石燃料に対して需要が今足元でふえておりまして、その価格が上がっている、これが原因だと思っています。

 我々としては、足元のこの化石燃料へのシフト以上に、今後の電力不足から生じてくる値上がり、これに対してどうするのかということが大変な問題だと思っているわけであります。

 無論、足元は、かなり節電、それからピークになるところに電力を使う生産が行かないようにとか、それから発電、我々、特に鉄鋼業の場合は自家発それから共同火力等もいろいろ持っておりますので、それを、ピークのときに生産ができるように、そういうような工夫をしながら皆さんの電力需給に影響がないように、そんな努力もしているわけであります。

櫛渕委員 今お聞きしましたように、化石燃料の高騰、そしてそれ以上に電力不足に対しての措置ということを早急にやらなければいけないということについては同じ考えでございます。

 そして、特に、化石燃料には短期的に頼らざるを得ないとしても、燃料の枯渇や費用の高騰、九八年には五兆円だった化石燃料の輸入価格、これが二〇〇八年には二十三兆円にまで高騰しているんですね。そして、GDPの五%を占める割合にまでなっているという現実に、かねてから、震災前から我々は直面をしているわけです。

 そして、最近のこの円高が進む中でもこれほどの高騰をしているということに加えて、中東の政治不安、そして福島原発事故以降に世界でも化石燃料の需要が高まっているということについても、同じく我々は視野を広げなければいけない。つまり、この化石燃料の高騰については予測以上のリスクを我々が抱えることになる。このリスクを回避していかなければいけないと考えております。この国富の流出による景気悪化なども、かねてから深刻な問題であります。

 八木参考人にもう一度お伺いしますけれども、電気を組み合わせていこうということであろうと思いますが、電気料金を下げるにはどうしたらいいと思われるか、この再生可能エネルギーの買い取り法案の導入にあわせて、もう一度お伺いしたいと思います。

 そして、大島参考人に、ドイツでも電力料金の上昇が指摘されていますけれども、その事例をお聞きしたいと思います。

八木参考人 お答え申し上げます。

 現在の電気料金の変動分は、先ほど申し上げました化石燃料の変動でございますが、今後、私どもも心配しておりますのは、やはり原子力発電所の再起動が今できない状態でございまして、その分、電気を安定的に送るためには火力発電で代替をしております。したがいまして、電力各社の燃料費の負担は大幅に上昇しているのが事実でございます。

 私どもといたしましては、電気の安定供給の確保という点、それから、燃料費の負担増を抑制し、電気料金をできるだけ上げていかないといいますか、抑える努力をするという意味では、何と申し上げましても、やはり現在定期検査等でとまっております原子力プラントの再起動が最も重要な要素であるというふうに思っております。

 したがいまして、私どもといたしましては、できるだけ早く今のプラントの運転の再開ができるよう、引き続き全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

 ぜひ、国におかれましても、各立地地域の皆様の御理解が得られるように適切な対応をお願いしたいと思います。

 また一方で、再生可能エネルギーにつきましても、今回の買い取り制度を踏まえまして、私ども事業者といたしましても、短期間に大量に再生可能エネルギーが入ってくるものと理解しておりますし、また、我々みずからも、こういう状況の中で再生可能エネルギーに積極的に取り組んでいくということが大事だと思っております。

 しかしながら、今回の買い取り制度に伴う費用の負担につきまして、これはやはり国民各層に十分御理解いただく。なおかつ、これはやはり国民全体として再生可能エネルギーを拡大していくという政策目的でございます。そういう意味では、そうした制度の導入に関する丁寧な周知活動を十分行っていただくことが大事ではないかというふうに思っております。

 以上でございます。

櫛渕委員 既存の原子力発電の再稼働や寿命については、まさに今多様な意見があるところでございますし、これまでの計画どおりにいかないということは、今現在、皆さん一致するところではないかと思っております。

 そして一方、残るは、電力の全体の需要を減らしつつ、そして、今たった実質一%しかない再生可能エネルギーをどのようにしっかりと導入を進めていくか、八木参考人からもお話がありましたように、ここに適切な価格と期間で買い取りを進めていく、このことはむしろ経済的であると私は考えております。

 そして、中長期的な大きな、総合的なエネルギー戦略の中で、今第一歩としてこの再生可能エネルギーを入れていく、そのことが将来的に価格を下げていくということを、今の化石燃料の高騰ということとあわせて、もう一つの重要な要素としてきょうはお聞きをさせていただきました。

 また、再生可能エネルギーについての問題は、コスト増の要因であるサーチャージの負担を抑えるところにあるわけですけれども、今、そのサーチャージの中身をちょっと見てみますと、買い取り価格の総額から回避可能原価を差し引きます。それがサーチャージになるわけですね。そうしますと、水力や原子力などがまじった全電源の平均可変ベースの回避可能原価が差し引かれた、残ったものがサーチャージになるわけです。

 しかし、今後、それぞれの電源コストの見直しによっては、むしろ回避可能原価が大きくなるとサーチャージも小さくなる、つまり安くなるということも考えられるかと思いますので、この後になると思いますが、そういった要因もあわせて精査をしていかなければというふうに思う次第です。

 次の質問に参ります。

 進藤参考人から、エネルギー多消費産業への影響が大変なマグニチュードだというお話をいただきました。そして、一方、山内参考人は小委員会の中でこの間御議論をいただいていたと思うんですけれども、一つ事実を確認させてください。

 今回の全量買い取り制度は、海江田大臣が言うように、仮に二〇二〇年にサーチャージ単価が〇・五円キロワットアワーだとしますと、全国で四千九百億円の負担になります。そのうち、既に始まっている現行の余剰電力買い取り制度、これは二〇〇九年二月、自公政権で決まっているわけでありますが、これに占める割合はどの程度だったか、数字をもし覚えていたら教えてください。

 私の手元では、約六割、大体〇・三円キロワットアワー、三千億円ぐらいだというふうにお聞きしております。つまり、海江田大臣が言うように、今回仮に〇・五円だとすると、負担分はプラス〇・二円ということでよろしいかどうか、御確認させてください。

山内参考人 今手元に具体的な数字を持っておりませんけれども、私の記憶では、今おっしゃったのは〇・三円が余剰買い取りの負担だというふうな御指摘でしょうか、恐らく一けた違うんじゃないかというふうに記憶しておりまして、余剰買い取り、最初の年にやりましたときは非常に買い取り額が少なかったので、逆にサーチャージはつけなかったんですね。そして、その後つけましたけれども、本年度からつけたのが恐らく〇・〇三円じゃなかったかというふうに記憶しておりますが、ちょっとその数字を持っておりません、大変失礼いたします。

櫛渕委員 ありがとうございます。また後ほどよろしくお願いいたします。

 進藤参考人がおっしゃるように、日本経済の空洞化を助長してはならないということはそのとおりでございますので、その前後、あわせてこのギャップも考えていきたいと思います。

 次に、八木参考人から、系統利用協議会ということについて陳述の中でお話をいただきました。もう少し詳しくお伺いしたいと思います。

 発電した事業者が必ず送電網に接続をし売電ができる、これがこの法案における絶対条件の一つになると私は考えております。法案の第五条の理由説明には、電気の円滑な供給の確保に支障が生じるおそれがある場合には接続を拒否することができるというような説明に対して、接続の例外規定が広過ぎますと実効性が伴わない制度になってしまうんじゃないかというような心配の声が出ております。

 もし接続を拒否するようなことができる場合、どんなことがあるでしょうか。また、接続を拒む場合の挙証責任についてどのようにお考えでしょうか。

八木参考人 再生可能エネルギーの系統接続の件に関してお答え申し上げます。

 私ども電力事業者は、従来から、こういった再生可能エネルギーあるいは新規の事業者等々の系統の接続、運用に当たりましては、公平性や透明性の確保ということで努めておりますが、今回の買い取り制度の中で、再生可能エネルギーに対しまして電力系統との接続義務が設定されているというふうに認識しておりまして、そういう意味では極めて重たい責任が生じるものというふうに認識しているところでございます。

 そうした中で、一方で、そういった再生可能エネルギーが系統に連系をされました場合に、その設備が系統全体、すなわち、他の発電設備や一般のお客様の電気機器にも影響を及ぼす可能性もございます。そうした場合には一定の技術要件を満たしていただくということで、お客様に、電圧や系統全体の周波数を変動させ、電気の品質に悪影響を及ぼさないような対策、これをしていただくことが条件になっておりますので、こういう条件をきちっとしていただくことがまず大事であります。

 そして、そうした場合に、その接続にかかわる、アクセスの費用につきましては、原因者負担ということで、事業者に御負担をいただく制度になっておりますが、仮にそういった費用を御負担いただけない場合等々には、接続に応じられないというケースもございます。

 私どもとしては、今後、そうしたケースが仮に生じた場合におきましても、公平性や透明性の確保、そして説明責任というのが我々に課せられる大事な使命であると思っております。そうした意味では、今、電力系統利用協議会という中立的な場がございますので、この協議会のルールに基づき、また、この場を通じてお客様に積極的に御説明させていただくということで対応してまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

櫛渕委員 八木参考人、ありがとうございます。

 電気事業者の方が努力しても限界がある場合、例えば、国が電気事業者を支えていく方法というのは何かございますでしょうか。

八木参考人 基本的には、現状のルールにおきましては、接続を希望されるお客様に御負担をいただくということがルールになっております。したがいまして、全体としての、お客様等々に御負担をいただくコストといいますか料金をいかに低廉にして、なおかつその効果の高い再生可能エネルギーを入れていくかという観点から、いろいろなことを今後検討していく余地はあるかと思いますが、現時点では、今の接続ルールにのっとって、私どもとしては適切に対応させていただきたいと思っております。

櫛渕委員 この接続のルールについては、今後、公開できるルール等の設定も必要であるのではないかと思っております。

 一方で、今の設備で、どの地域にどれぐらいの導入量が可能か教えていただけたらと思いますが、いかがでしょうか。

八木参考人 具体的に今ちょっと手元に地域的な数字は持ち合わせておりませんが、太陽光につきましては、電力系統全体で約一千万キロワットまでは対策なしに入れる。それから、風力につきましては、五百万キロワットということでございます。

 ただ、風力につきましては、一部、地域的に各電力会社で系統の連系枠を設定しているケースもございますが、ちょっと今、具体的な数字は持ち合わせておりませんので、その点の回答は控えさせていただきます。

櫛渕委員 ぜひ、先ほど申し上げたように、第三者が客観的に系統接続が可能かどうか精査できるような透明なルールづくりと運用、これについて御検討いただくのと同時に、この導入量の数字についても情報公開をお願いしたいと思います。八木参考人がおっしゃるように、この制度が、普及促進ということできちっと制度として機能するためには、ここが大変重要な点であると思いますので、よろしくお願いいたします。

 あと、最後、残り時間わずかですが、山内参考人と大島参考人にお聞きいたします。

 山内参考人から、買い取り価格と買い取り期間、これが普及効果を最大の目的としてこの制度を機能させる一番のポイントだということをお話しいただきました。問題は、決め方ということにあると思います。委員会の中で、今これは政省令で決めるということで御提案いただいていますが、一方で、大島参考人からは、国会の関与が必要だ、このようなお話もありました。

 山内参考人からもう一度、今後の決め方についても、今の法案ではこうだけれども、今後についてはどう考えるか。あるいは、大島参考人からも、今、政省令で決めるということにはなっておりますが、より透明化を図るために御提案があれば、お聞きしたいと思います。

山内参考人 今の御質問にお答えする前に、先ほどの御質問について、私、ちょっと誤解をしておりましたので、その点につきまして訂正をさせていただきます。手元に数字がございませんので、先ほどの答えについては破棄させていただきたいというふうに思います。

 それで、今の御質問でありますけれども、まず最初に申し上げましたように、私は、買い取り期間と買い取り価格を公衆に明らかになる形で決しなければならないというのは、そのとおりだというふうに思っております。

 ただ、それをどこの場で決めるのかということにつきましては、私が思うに、技術的に問題もあり、それは国会の場がいいのか、あるいは第三者的な委員会がいいのか、その辺のことについての明確な回答を持っておりませんけれども、何よりもかによりも、今申し上げましたように、公衆の場で、そして情報公開が徹底してなされるというのが重要であるかというふうに考えております。

 以上でございます。

大島参考人 買い取り価格の設定につきましては、やはり国会の関与でやった方がいいというふうに私自身は考えております。

 といいますのは、さまざま報道されておりますが、キロワットアワー当たり幾ら幾らと制限するということが仮に一審議会の一小委員会で決められるとすれば、それはやはり問題なわけです。やはり、再生可能エネルギーを普及していくということを目標にしている以上、適切な価格を常に国会の方で監視してチューニングしていくというのが必要かと思います。

櫛渕委員 参考人の皆様、ありがとうございました。

田中委員長 以上で櫛渕さんの質疑は終わりました。

 次に、谷畑孝さん。

谷畑委員 自由民主党の谷畑孝でございます。

 きょうは、参考人の皆さん、公私ともどもお忙しい中、私どもの委員会に貴重な意見を陳述していただきました。本当に心より感謝を申し上げて、これからまた参考にして、いい委員会の質疑が展開できますよう努力し、頑張ってまいりたい、こういうことを冒頭に申し上げたいと思います。

 それでは、まず最初に、全参考人の皆さんにお聞きをしたいと思っています。

 昨年の六月の十八日に、現行のエネルギー基本計画というものができているわけであります。この現行エネルギー基本計画というものに基づいて、この再生可能エネルギーの買い取りという法案ができ上がってきているわけなんです。

 ところが、現行エネルギー基本計画というものが、三月十一日の東日本の大震災ということで、菅総理もこれを見直す、こういうことです。

 しかも、この現行エネルギー基本計画は、政府の答弁を加味していきますと、基本的には、二〇三〇年までに原子力発電を五三%やるんだ、そして、再生可能エネルギーを二〇%に引き上げていくんだと。そして、これは鳩山前総理が国連で、一九九〇年対比で二五%のCO2を削減する、こう言ったわけです。こういうことの中でこの法案ができ上がったんですね。

 しかしこれは、大地震の中で前提であるものが全部崩れてしまっていますね、まずは白紙だ、こう言っているわけですから。こういう中でこの法案が生き残っておるんです。

 もちろん、私ども自由民主党も、化石燃料から自然再生エネルギーにシフトする、これは私どもも賛成でありますし、異議のないところなんです。

 しかし、今言いましたように、前提が崩れてきている。そこへ菅総理が、これまた国際機関の中で、今度は二〇二〇年までに再生エネルギーを二〇%、それから太陽光発電を一千万戸の家庭につけていくんだ、こういう発言です。また、最近では、記者会見で、脱原発という社会の実現、そういうような発言をされているんですね。それでこの法案が始まっているものですから、これは脱原発のシンボルであり、原発に対する代替エネルギーなんだ、こう思っている国民の皆様はたくさんおられると思うんです。

 そこで、参考人の先生方、この再生可能エネルギーは脱原発のシンボルなのか、そしてその代替エネルギーとしていけるのかどうか、この点、率直に、八木参考人からずっと一人一人、ひとつ簡単にお願いしたいと思います。

八木参考人 今回の震災を受けまして、我が国のエネルギー政策につきましては、原子力を含めまして、今後国民的な議論が行われると思っておりまして、私ども電力業界といたしましても、真摯に受けとめ、適切に対応してまいりたいと思っております。

 そうした中で、将来のエネルギーの安定供給という面におきますと、我が国のエネルギーの自給率四%という実態を見ますと、私どもといたしましては、将来のエネルギーの安定供給を達成していくためには原子力というのも大変重要な電源であると思っています。

 そうした意味で、今後、エネルギーの安定供給、地球環境問題、それから経済性、それは当然、安全性がベースでございますが、こういうことを前提に、やはり電源の、原子力や化石エネルギーあるいは新エネ、こういったものをベストミックスしたものを目指していくべきではないかと思っております。

 そうした観点からいきますと、今回の買い取り制度というのは、やはり再生可能エネルギーの重要性というのは今後ともますます増してくると思っておりますので、大変有意義な法案だというふうに理解しております。

 以上でございます。

進藤参考人 お答え申し上げます。

 率直に言って、一兆キロワットアワーを使うこの日本の、GDPで三位に落ちたものの、これだけの産業国家を支えるのに、再生可能エネルギーがベース電源となっていくというのは、なかなか時間がかかって難しいのではないかと私は考えております。

 先ほど先生御指摘のように、二〇三〇年に五三%、これは新たに原発を十四基つくるということで、これは今回の事故でなかなか難しくなったと思います。したがって、五三は、やはり相当下振れせざるを得ない、こう思います。

 そうすると、時間軸を入れますと、何に頼るかということになりますと化石燃料しかないわけですね。そうすると、先ほど御指摘のCO2二五%、これは、ただでさえ、原発五十やっても何とか外に出てやらなきゃいけないという数字ですから、これを、二五は守りながら、原発を落として化石燃料へシフトするということ、一方でベース電源に再生可能エネルギーを、どれぐらいのペースでふえるか、なかなか難しいと思いますけれども、これはもう解がない状況ではないかというのが私の率直な意見でございます。

山内参考人 今回の買い取り法の目的につきましては、基本的に、温暖化を中心とする環境問題、それからエネルギーの安定的な供給、そして分散型電源によるリスク回避といったもの、これが中心であるというふうに思っております。さらに加えて言えば、イノベーションですか、新しい技術を開発することによって経済効果を大きくする、これが私は基本であるというふうに思っておりまして、絶対量からいって、それから電源の安定性からいって、原子力発電に代替するような性格ではないというふうに認識をしております。

 以上でございます。

大島参考人 再生可能エネルギーは、反原発ですか、脱原発のシンボルかということなんですけれども、事実上、先生が御指摘のように、国民的な理解はそのような議論になっているというふうに理解しております。

 私自身は、再生可能エネルギーが基幹電源になり得るというふうに考えておりまして、それはドイツも。ドイツは産業国家です、別に農業国家ではありません。ドイツの戦略は、原子力ではなくて再生可能エネルギーに依拠して、そこで世界を、世界の経済をリードしようということをやっております。それは、ある意味、新しい産業を育成する、非常に大胆な考え方だと思います。

 私自身は、日本がこういった震災を契機として、大事故が起きました、また特に東日本では原子力がほとんど消失するという事態に陥っているわけですから、これを客観的に見ますと、やはり再生可能エネルギーに依拠した社会に一歩大きく踏み出すことが賢明なのではないかというふうに考えております。

谷畑委員 私ごとですけれども、私、二十代のころに被爆者の皆さんと一緒に全米を回ったんです。その中で原発推進か反原発かという議論を毎日しながらアメリカの状況を見てきて、そういう中で、アメリカでも反原発ということで、太陽光で料理をつくるとかそういうデモンストレーションに参加をしたり、いろいろ見ながら、私自身は、再生エネルギーというのはいいんだけれども、これはやはり、国家を支えていく、産業を支えていく、大きな基幹産業としては非常に難しいなというのが、私の二十代のころなんです。

 私の家内は反原発で、毎日私の家で激論をして、なぜお父ちゃんは原子力を推進してきたかといって今追及をされておりまして、小さくなっておるわけでありますけれども。

 そういう話は別にして、私は、再生可能エネルギーの場合は、今、進藤参考人さんがおっしゃいましたように、日本のエネルギーの全体像をしっかりと方向を定めて、しかも、その中で、日本が経済大国としてしっかりとした、安心した、そして質のいい、そういう電力をきちっと安く提供していく、これは日本の一番大事なことだと思うんですね。そういうことの中で、国民が大きな負担をするのではなく、この再生可能エネルギーを導入していく、難しい折り合いですけれども、していくことが大事だ、こう思うんですね。

 そういう中で、山内参考人と大島参考人に、エネルギーの全体像についてどう考えておられるか、あるいは、今回それが白紙という形の中でスタートしてしまったことについてどう考えておられるか。一言だけで結構ですので、お願いを申し上げます。

山内参考人 今後のエネルギーのあり方について、今非常に難しい段階にあるというふうに考えております。原発がこういう事故を起こしまして、原発に対する不信感、それからある意味ではリスクが顕在化したということだと思います。

 私の考えといたしましては、エネルギー問題は長期的な問題でございます。長期的な問題を見据えて、今申し上げましたようなリスク、あるいはコスト、そしてまた国民の望むもの、こういったものをしんしゃくした上でベストミックスをつくり上げていくというのが将来像だというふうに思っております。

 ただ、今回のこの買い取り法につきましては、冒頭に申し上げましたけれども、温暖化等の環境問題、それから安定供給、それから分散電源といったような、極めて基本的なエネルギーのあり方、これに合致するものだというふうに考えておりまして、その意味では、今回のこの法案は我々が考える基本的なところに根差しているということを申し上げたいというふうに思います。

 以上でございます。

大島参考人 申し上げます。

 ドイツは、この十年で、再生可能エネルギーの割合を六%から一六、七%ぐらいまで、一〇ポイント上げてまいりました。次の十年で二〇ポイント上げようというふうになっております。二〇二〇年で三〇%まで持っていきます。

 これは、私は、日本にとっては十五年から二十年ぐらいで三〇%くらいに持っていくのはそんなに難しいことではないと。むしろ日本は、太陽光のパネルとか風車のメーカーですとか、非常にさまざま産業の蓄積があります。それが輸出産業になっている、輸出だけになっているということが非常に悲惨といいますか、むしろ、国内産業、国内に大きな市場を持ってくるという意味でも、二十年ぐらいで三〇%ぐらいまで持っていくというのは、国家目標として置いてもそれほど野心的な目標ではないというふうに思っておりますので、今までからすればとても大胆ではありますが、こういった目標をぜひ国会の議論のもとにつくっていただきたいというふうに考えております。

谷畑委員 きょうの参考人の中で、新日鉄の副社長であります進藤参考人さんの方から、電炉を含めて、電気を消費する産業にとってみたらもう致命傷だとおっしゃいました。

 これは、私自身、これからストレステスト、これこそ本当にストレスがたまるんですけれども、このテストをやって、残された原発が少し稼働するかなと。特に、私は関西電力が地元ですけれども、まさか節電するとは夢にも思っていませんでして、今こそ関西が東日本頑張れということで産業をさらに活性化して頑張っていかにゃいかぬのじゃないか、こう思っていたやさきにこんな状況で、私もがっくりしておるんです。

 やはり化石燃料をどうしても代替で使わなきゃならない、これは世界的に物すごく高騰していく可能性がある。そういう状況の中で、ドイツのように少し軽減したらどうだという意見、私はそのとおりだと今聞いておりました。ただ単なる省エネとかいうだけの誘導じゃなくて、何らかのいい知恵が要るんじゃないかと思います。

 そこで、時間が余りなくなってきましたので、山内先生、そのあたり、いい軽減措置というものがないものか。いい知恵がありましたら、お願い申し上げます。

山内参考人 私自身、具体的に知恵があるかと言われるとなかなか難しいのでございますけれども、ただ、おっしゃいましたように、ドイツでは軽減措置をしているということはございます。

 こういったことも一つの選択肢に入ろうかというふうには思いますけれども、私自身はそれよりも、もう少し動態的といいますか、産業が変わっていくようなことを招来した方がいいのではないかというふうに思っております。

 その意味では、今おっしゃいましたけれども、省エネとか新しい技術の開発、あるいは場合によったら自家発電との関係とか、そういったことも含めて、やはり支援は必要だと思います、エネルギー多消費型の産業に対する支援は必要だと思いますが、そういった形での対処策がよろしいのではないかというふうに思っております。

谷畑委員 次に、大島参考人に。

 再生可能エネルギーというのは、どうしても情緒不安というのか、太陽も夜は照らないし、風も、よく人生も風任せだというんですけれども、まさしく吹いたり吹かなかったりの状況があるし、不安定電源だと思うんだけれども、この不安定電源、これが十五年から二十年の中でしっかりとして、安定的ないいエネルギーになっていくのか。蓄電だとか技術改革とか、そういうことでどうなのか。

 やはり、十五年たったら今の化石燃料よりも安くなるんだ、サーチャージをつけなくても市場経済として成り立つんだということが一番いいと思うんだけれども、どうですか、先生。

大島参考人 太陽は日が照っているときにしかつくらないのは当然なんですけれども、全体として、面的に見ますと、やはりたくさん再生可能エネルギーを導入している国はコントロール可能になっています。全体を面的に見ると、こういう基調のときにはこれだけ出るという蓄積がありますので、そういう意味では、マネージできる、管理できるということになります。

 ただ、先生も御存じのように、今は日本は、この狭い日本が九つに分割されて、連系線、ほとんど電力の融通をしていないという中では、例えば、東北や北海道は風力発電の容量は非常に大きいわけですけれども、そこを東京の方に送れなければ不安定になってしまうわけですね。小さなところで波があれば不安定になりますので、そういう意味では、送電部門はやはり公益性がありますので、分離して一体運用する。それによって、不安定になるところをより安定化させることができるというふうに私自身は考えています。

谷畑委員 私も、委員会の中で、原子力の損害賠償、もちろん東電自身が前面に立ってしっかりやっていくことも大事だけれども、国策で原子力発電をやってきたということで、もっと国がしっかりと責任をとっていくんだ、こういう姿勢が大事だという発言をさせていただきました。今回、今ここにおられる委員の先生方の努力で、それが一定程度損害賠償機構法の中に反映されてきたわけであります。

 今後とも、私どもも、一日も早くこの原発事故が収束をして、避難されている人たちが帰っていく、こういうことを期待して、私の参考人に対しての質問にかえたいと思います。

 本日はまことにありがとうございました。終わります。

田中委員長 谷畑君の質疑は以上で終了いたしました。

 次に、稲津久君。

稲津委員 公明党の稲津久でございます。

 各参考人の皆様におかれましては、大変御多忙のところ本委員会にお越しをいただきまして、そして私どもの質疑をお受けいただけるということで、大変感謝を申し上げます。

 また、先般、経済産業委員会の質疑の中で海江田大臣の方から、再生可能エネルギー法、そしてこのエネルギーの導入を促進していくということにつきまして、大変難しい、三次方程式あるいは四次方程式を解くような難しさがあるというお話もありまして、確かにそうだなと思うんですけれども、私は、きょうの参考人の皆様から、質疑を通じて大変貴重な御意見をいただいて、その三次方程式を解く、そういうことに通じればと思っておりますので、そのような視点で質疑をさせていただきます。どうぞ御協力をよろしくお願い申し上げる次第でございます。

 最初の質問です。これは山内参考人と大島参考人にそれぞれ同じ質問にお答えいただきたいと思うんです。

 震災後における、三・一一以降の我が国のエネルギー供給体制のあり方についてということで、もう少し具体的に申し上げますと、再生可能エネルギーをエネルギー基本計画の中にどのように位置づけるかということについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の三・一一の東日本大震災、このことを通じてさまざまな教訓あるいは示唆を国民の我々はいただいたというふうに思っております。もちろん、この震災の復旧復興に向けて全力を挙げることは大事ですけれども、その中においても特に電気エネルギーが、ある意味では、電力というのは常に安定して供給していただけるものだ、こういうことを自然に感じていた、そういう仕組みの中にどうやら私たちはいてしまったのではないだろうか、こういうことが考えられます。

 そこで、ベストミックスのことですとか、あるいは電気エネルギーの供給源の多様性の問題ですとか、こういうことが今まさに改めて問われているんだろう、こう思うわけでございます。その意味で、今回の震災を受けて、エネルギーのセキュリティーというものが問われているんじゃないか、こう思うわけでございます。

 そこで質問ですけれども、エネルギー基本計画の見直しも始まるということでございますけれども、その中でどのような視点で見直されるべきだろうか、特にこの再生可能エネルギーの位置づけをどのようにとらえていくかということについて御答弁いただければと思います。

山内参考人 私自身も都下に住んでおりまして、三月の停電のときに大変な思いをしたという記憶がございます。その意味では、エネルギー、特に電力の安定的な供給、この重要性が身にしみたところでございます。

 今回、この買い取り法によりまして再生可能エネルギーを普及させていく、こういう大きい目標がございます。私は、これ自身は今回の新しいエネルギー基本計画の中でも重要な位置づけになるというふうに考えております。特に、原子力発電所の事故もございまして、こういった、リスクの顕在化と先ほど申し上げましたけれども、それが出てきた。

 そういう中で、真のコストといいますか、本当に我々がどれだけのコストを負担しなければならないかということを意識した上で基本計画を立てなければならない。例えば、今の原発のケースでいいますと、そのリスクのコストをどういうふうに負担するかということになっておりますし、それから、化石燃料を使った発電につきましては、それがもたらすところの社会的費用をどういうふうに負担するかということだと思います。

 その社会的費用を負担する中で、今回の買い取り法のサーチャージというような考え方が出てくるわけでございまして、そういったことを考えた上でエネルギー基本計画を考察すべきだというふうに思っております。

 以上でございます。

大島参考人 私自身は、今回の震災を契機としまして、さまざまエネルギーのあり方が国民的に問われているという事態は、恐らく千年に一回とか、少なくとも数百年に一回の、本当に大きな歴史的な転換点だというふうに思っております。

 こういった研究をしておりますと、ドイツのどこそこの委員会がこういうような法律をつくったというのは教科書的な本にも載っておりますので、まさにこの委員会が日本のエネルギーのあり方を歴史的に変える転換点をつくったという委員会になるんじゃないかというふうに考えております。

 今、エネルギーの安全保障というふうにおっしゃられましたが、やはり化石燃料もウラン資源も超長期的には枯渇性資源です。ですので、どんなに頑張っても、最終的には再生可能エネルギーに依拠したエネルギー体系に移行せざるを得ないわけですね。これはもしかするともっと長いかもしれません。

 ですが、今我が国に求められているのは国産資源であり、しかも災害にも強い、物すごく大きな、一件起きれば何兆円もの被害を及ぼすこともないエネルギーである再生可能エネルギーに移行するというのは、やはり賢明なものであると思っておりますので、そういう意味では、再生可能エネルギーはエネルギーセキュリティーに非常に資するものというふうに考えております。

稲津委員 ありがとうございました。

 お二人の参考人から、基本的な再生可能エネルギーの位置づけ、必要性ということについて今お話をいただいたと思います。

 そこで、一つ大事な話になってくるのが、その再生可能エネルギーを導入促進していくに当たって、具体的に買い取り価格の問題が出てくると思います。このことについては皆さんからお聞きしたいとは思うんですけれども、時間もありませんので、これはぜひ八木参考人にお話をいただきたいと思います。

 何をお聞きしたいかというと、今回の本法案では、買い取り価格及び買い取り期間については経済産業大臣が経済産業省令で毎年定めるということになっています。それと、法律で必要な事項は経済産業省令に委任することになっておりまして、先ほども具体的に、たしか進藤、山内、大島、三参考人からはこのことについて触れていただいたと思うんですけれども、一番肝心な、再生エネルギーの普及に効果的な制度になるかどうかということの中で、これが、要するに法律ができてしまった以降は国会の監視機能が及びにくくなるということ。

 これは、先ほどありました、ある意味では税ということにも通じてくるような、いわゆる国民負担につながっていくことを考えれば、この買い取りの価格や期間についてはしっかりと法律に明記をする、あるいは、それがどうかということであれば、少なくとも国会の関与を可能とするような措置を検討すべきだ、こういう意見がございまして、先ほど三参考人からは明確にそのことについて触れていただいたんじゃないだろうかなと思いますが、このことについて八木参考人にお示しをいただきたいと思います。

    〔委員長退席、楠田委員長代理着席〕

八木参考人 買い取り価格の件に関しまして、基本的に、今回の買い取りに伴う費用の負担は将来にわたって国民生活や産業生活に大変大きな影響を及ぼすものでございますので、この負担方法、水準等々は、やはり国民各層の御理解をいただくということが大前提であると考えております。

 そうした観点から、買い取り価格あるいは期間は、国民各層が納得できる水準あるいは期間としていただくということが大事でありますし、我々電力事業者といたしましては、やはり透明性の高いプロセスの中でこれが設定されていくということが重要であるというふうに考えております。

 以上でございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 国会の関与云々ということについては直接的なお話はいただけませんでしたけれども、しかし、透明性の確保が何よりも大事だという今の御説明でございましたので、私は、国会の関与の必要性につながってくるものだ、このように受けとめさせていただきました。

 さて、今、買い取り価格のことについてのお話があったんですけれども、もう一つ、今度は電気料金のあり方について、これはぜひ進藤参考人にお話をいただければと思います。

 現行制度において、電気料金のあり方、例えば電源開発促進税、核燃料再処理費、これは一律に電気料金に上乗せをされているということ、そして燃料価格の高騰等を反映する燃料費調整の上下もあって、言うならば、電気料金全体で見たときには、やはり上がっていくという可能性が常に見られる。

 そもそも、日本の電気料金というのは諸外国に比べると高い。これが、ある意味では、国際競争力を考えた場合に、電気料金がさらに上がっていくことによって産業の空洞化に通じるんじゃないかという御意見もあります。これも極めて重要な課題だ、このように思っております。

 日本の電気料金は、何をもってその値段になっているのかということ。国民にとっては非常にわかりづらい仕組みになっていて、ここが本当に透明性が確保されているんですか、どうなんですかということになってくると、十分な説明がなかなか浸透していないというところもありまして、わかりづらくなっている。

 日本の電気料金の仕組みについて、現行制度における問題意識、これから再生可能エネルギーの導入促進をしていく中で課題になってくるものだと私は思いますけれども、どのような御見解をお持ちなのか、これは進藤参考人にお示しをいただきたいと思います。

進藤参考人 電気料金の決まり方、決め方について、私は専門知識はございません。

 ただ、日本の産業用の電気料金が非常に高いのは高いわけでありまして、例えば私が持っておりますデータでも、産業用で一キロワット当たり十二セントですね、ドルで言いますと。それが米国で七セント、韓国は六セントですから、二倍になっているわけです。先ほど私は電炉の話をしましたけれども、今、電炉の夜間電力、夜間というのは尖頭帯の三分の一ですから、電炉の夜間がちょうど、韓国なり、安いところの電気料金と競争力がある、そういうレベルになっているわけです。

 やはりこれは、素人が言ってまことに申しわけないですけれども、電気の供給のあり方についての考え方ですね。日本というのは、山奥にだれか住んでいてもそこにきちんと電気を届ける義務があるとか、電気を非常に社会全体のインフラというふうに考える。この考え方から、無論、化石燃料を外から輸入することに頼っているという面もあると思いますけれども、そういうような諸条件がいろいろ重なって日本の電気料金というのは非常に高くなっているのではなかろうか、こう思います。

 それで、再生可能エネルギーの決め方をその絡みでどういうふうに考えていくかということですが、先ほど来、諸先生が言っているように、やはり国会の先生たちに関与していただいて透明性を出してもらう。総合資源エネルギー調査会なりパブコメがあるからいいではないかという議論があるわけですけれども、それは順序が逆でして、行政府にそれを委託して任せる、こういう判断があるから、パブコメなり審議会でよろしい、こういうことになるわけで、その前の、それでは立法府から行政府に任せていいのかということをぜひこの国会の場で議論していただければというふうに思う次第でございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 電気料金の低減化ということでさらにもう一つお伺いしたいと思うんですけれども、それは、発送電の分離、それから送配電網の整備強化ということに触れておきたいと思うんです。

 このことについては八木参考人と山内参考人にお聞かせをいただきたいと思いますけれども、本法案は、既存の電気供給体制を前提にしているわけでございまして、見方によれば、電力会社の地域独占それから発送電分離を含む電力供給のシステムの見直し、これが今後の再生可能エネルギーの大幅普及にはある意味欠かせないのではないか、そういう意見もあります。また、本法には、再生可能エネルギーの普及が可能になるような送配電網の整備強化についての規定が実は盛り込まれていない、このように承知をしております。

 そこで、お伺いしたいことなんですけれども、再生可能エネルギーの電気を優先的に接続していかなければならないということを法律の中にも明記したらどうですか、こんな意見も実は若干ですけれどもあるということを承知しておりまして、その上に立って、発送電分離とか送配電網の整備強化、これを再生可能エネルギーの優先接続にあわせていくということについて、御見解をいただければなと思います。

八木参考人 我が国の電気事業体制の現在の形につきましては、これまでさまざまな議論が行われておりまして、基本的には、今の我が国の実情に合った日本型の制度が目指された結果、現状の形になったというふうに理解しております。

 今後、こういう発送電の分離の議論を行う場合には、こうした現行の制度の検証を踏まえ、そして、目指すべき方向に応じたメリット、デメリット、これを幅広くまず検討していただくことが大切であると思っておりますので、その点はぜひお願いを申し上げたいと思います。

 それで、今回の再生可能エネルギーを導入するための発送分離という観点からお答え申し上げますと、私どもは、これまでも送電部門につきましては、再生可能エネルギー等を含めまして、公平中立なネットワーク部門の運用を行っておりまして、現行の託送制度のもとで、送電線の利用ということにつきましてはそういう形をとっております。したがいまして、今後新規の再生エネルギーの方々が入ってこられる場合におきましても、透明性を高くして、そういうことが可能だと思っております。

 そうしたことに加えまして、実は、再生可能エネルギーが系統に大量に入ってくるときの大きな問題点というのは、冒頭の陳述で申し上げましたように、やはり瞬時瞬時に変動する電力、太陽光、風力等の変動をいかにほかのお客様に影響を与えないか、すなわち、電力系統の安定性を維持するかというところが大きなポイントであります。

 これは、ある意味では、既存の火力発電所と、これから設置をしてまいりますバッテリー、いわゆる蓄電池、こういったものを一体に、効率的に運用することで、再生可能エネルギーを大量導入して系統の安定性を保つ、そういうことが大事になってまいります。

 そういう意味でも、既存の電源とバッテリー等を効率的に運用する意味でも、発送一貫体制といいますか、これのもとが適切であるというふうに私どもとしては考えているところでございます。

 以上でございます。

山内参考人 今後の電力供給のあり方でございますけれども、今、巷間話題になっておりますように、発送分離の議論というのが出てきております。発送分離というのは、もともとヨーロッパやアメリカで導入されて、発電と送電を分けるということでございます。

 まず、この目的でございますけれども、その目的は、今回のような、再生可能エネルギーを普及させるということも含みますけれども、それよりも、やはり電気事業者、この場合ですと発電事業者ですか、その間での競争を促進することによって、効率化そしてコストの低減を図るというのが基本でございます。その意味では、再生可能エネルギーの買い取りとその問題が直に結びつくのではないと私は認識をしております。

 ただ、そうはいえ、今回の震災を受けて、また、こういったエネルギーの考え方の変化を受けて、電力供給のあり方自体をどうするかという議論は必要であろうかというふうに思っています。

 その際、重要なのは、発送分離というのも、いろいろなバリエーションといいますかパターンがあるということは十分に御認識いただきたいというふうに思っております。

 極端な例でいえば、所有権から分離をするということもございますけれども、所有権は一体としたままでも発送分離の機能を十分に発揮し得るというものもあるわけでございまして、そういったことも含めて考えていただければなというふうに思っております。

 そしてまた、発送分離と再生可能エネルギーでありますけれども、私の認識は、今、八木参考人もおっしゃっておられましたけれども、再生エネルギーの発電の様態といいますか特殊性からすると、発送分離をしてそれに乗せるというだけではなくて、それに対しての手当て、あるいはそれを受けるだけのネットワークの高度化、こういったものが必要であるというふうに思っております。

 冒頭で申し上げましたけれども、スマートグリッドあるいはスマートコミュニティー、スマートエネルギー、こういった考え方から、需要側も含めたコントロールといいますか、一貫的な情報の体制といいますか、そういったものを推進して、それによって再生可能エネルギーを普及させるべきだというふうに思っております。

 それから、系統等の設備増強でございますけれども、確かに今回の法律ではそれについては明確な規定はないわけでございますけれども、これは別途、託送料金等の問題の関係で、託送料金と託送部分についての収益性、利益性というものを勘案した上で送電網の投資に充てる、こういったことも考えられているわけでございまして、そういったもの等も含めて御議論いただければというふうに思っております。

 以上でございます。

稲津委員 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきたいと思いますけれども、そのほかにも、ぜひ国民負担のあり方とか大口の電気事業者の方々への負担の軽減なんかもお伺いしたいと思っておりましたが、先ほど山内参考人から意見陳述の中でそれらについては少し具体的に触れていただいたと思います。減免の問題とか、省エネ、それから新しい技術開発の支援、あるいは低所得者の方々への配慮等々もありましたので、それはしっかり参考にさせていただきたいなというふうに思っております。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

    〔楠田委員長代理退席、委員長着席〕

田中委員長 以上で稲津久君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、四人の参考人の皆さんには、大変お忙しいところお越しをいただきましてありがとうございます。

 最初に八木参考人に伺っておきたいんですが、今回の三月十一日のあの地震、大津波による福島原発以降、原発がトラブったときに、電力、エネルギーの安定供給ができなくなるという深刻な問題に今直面しているというふうに思うわけです。

 それで、関西電力の方からいただいた資料で見てみますと、設備容量で原発の比率が三〇・二%ですか、約三割、これに対して、総発電電力量に対する比率では約五一%で半分を超えるというのが二〇一〇年度の実績値としていただきましたけれども、これだけ原発の比率が高いということになりますと、東京電力などに比べてみても、原発で事故があったとか停止したときに安定供給ができるのかどうか、今やはりそのことを考えていかなければならないんじゃないか。ですから、原発には不安定な電源としての要素があるのではないかというふうに思うんですが、お考えを伺っておきたいと思います。

八木参考人 お答えを申し上げます。

 私どもは、需要を供給するために種々の電源を持ってございまして、これは、原子力、火力発電所、当然水力もございます。

 この発電所というのは、それは設備でございまして、なおかつ、基本的には二十四時間回っている設備でございますので、我々としては、ある一定のいわゆる故障率みたいなものは、これは設備である限り、原子力に限らず火力でもございます。私どもは、そういったこともある程度考慮しながら、全体の需要に対して、そういったことも踏まえた全体としての設備量を確保する。その設備を何で持つかというのは、当社の場合は、やはり安定供給と地球温暖化問題への対応、それから経済性、こういったことを踏まえてベストミックスという形で持っているところでございます。

 そういう意味では、ある一定のトラブル率で起こることも踏まえた上での設備供給ということで、一般的には、需要に対する適正な予備率を持って運用を図るということで考えているところでございます。

 以上です。

吉井委員 予備率で、他の電源で、もちろん水力、火力で約七割設備容量としてはお持ちですから、そちらのフル稼働ということになれば、約五一%の方の原発が停止したとしても十分やっていけますということなのかもしれません。

 東京電力の場合ですと、例えば東通のような青森と福島と新潟と供給地が三つあったわけですね。関西電力の場合ですと福井県ですから、ちょうど三重県、岐阜県から滋賀県の最東部、福井という、日本の最も活断層の集中したところにありますから、今回のような福島事故となりますと、もちろん放射能汚染による被害も甚大ですが、つまり、福井県全体が停止ということになってまいりますと、これは文字どおり原発に関しては供給できないということになると思うんですが、その場合でも今おっしゃった供給余力ということでやっていけるという見通しを立てていらっしゃるのかどうかを伺っておきます。

八木参考人 先ほど申し上げましたのは、適正な予備率を確保しながら、原子力というのは、例えば火力を含めまして一定の定期検査とかございますので、そういった範囲の中で予備率を持ちながら供給するということです。

 全プラントが停止した状態で供給ができるかという御質問に対しては、私どもとしては、現在、十一基のプラントのうち既に七基がとまっている状態で、ことしの夏の状態では供給力の不足が起こっておりまして、既に、まことに申しわけないことでございますが、お客様に節電をお願いせざるを得ない状態になっております。したがいまして、今の御質問にお答えするといたしますと、弊社の原子力プラントが全部とまった状態で安定した供給が送れるかというと、それは、今は送れない状態になっております。

 以上です。

吉井委員 そこで、再生可能エネルギーを爆発的に普及することについて、電力としてもかなり真剣な取り組みというものが……。これは国会の方では超党派で、全党から、私も呼びかけ人の一人ですが、エネルギーシフトということで今再生可能エネルギーへのシフトに取り組んでいるときですが、八木参考人に重ねてもう一つ伺っておきたいのは、今、県によっては企業局で水力発電をやって、それは、結局、自分で送電網を持って販売できないという状況に置かれていましたから、全部電力で買ってもらっているわけですね。しかし、再生可能エネルギーで、地産地消型で、そして地域分散型でいくということは、これはエネルギーのリスク回避という面でも大事な意味がありますし、長距離送電による電力ロスが、今大体五%出ておりますけれども、そういうロスも少なくしてやっていくことができます。一方、都市部では、民家の方は太陽光パネル等で発電電力量としては賄えるにしても、産業用の方はそうはいかない問題がありますから、それについて別途考え方が必要になってくると思うんです。

 この再生可能エネルギーの爆発的普及、それは買い取る方もそうだし、電力としてもかなりのことを考えていらっしゃるのか、堺の例は知っていますけれども、伺っておきたいと思います。

八木参考人 御指摘のとおり、今回の震災を踏まえまして、やはり再生可能エネルギーというのが、これはエネルギーセキュリティーの観点、当然、CO2削減の観点で、我々電力会社、特に関西電力といたしましても、これは非常に重要なエネルギー源の一つとしてこれから積極的に導入してまいりたいと思っております。

 そういう意味では、現在、堺の太陽光エネルギー、メガソーラーを実施しておりますが、こうしたメガソーラー計画をできれば今後も積極的に拡大してまいりたいと思っておりますし、今、舞鶴で進めております石炭バイオマス、これにつきましても積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

 一方で、今御指摘のありましたいわゆる分散型のスマートコミュニティーは、これからエネルギーの効率向上あるいは地域のエネルギーセキュリティーという観点からこのスマートコミュニティーの可能性というのが大いに出てくると思うのです。

 これは、今、我々電力会社も実証試験をやっているところでございますが、目的をどこに置くかということを整理して、そういった形でこのスマートコミュニティーというのを、これから我々としても自治体の皆さんと一緒になりながらこの可能性を追求してまいりたいというふうに思っております。

 以上です。

吉井委員 次に、大島参考人の方に伺いたいと思います。

 それは、再生可能エネルギーと原発、その間にいろいろな電力があるわけですけれども、電源別のコストということですね。

 実は、せんだって、二十七日でしたが、委員会で質問しまして、廃炉分も含めて日本の五十七基の原発の総建設費が現在価格に直して十四兆五千億円、国費の投入がこれまでのトータルは十四兆四千億ですが、現在価格に直して十六兆円という答弁を国会で得ております、これは原発の場合ですけれども。そうすると、原発はキロワット時当たり五円三十銭で安い安いと言ってきたんだけれども、そうじゃないということが出てきたわけです。

 このコストの面から見ても、最初は高くても普及によって再生可能エネルギーは下がっていくものだと思いますし、燃料費はそもそもただですから、そういう点で各電源別のコストについて先生の見方をお聞かせいただきたいと思います。

大島参考人 お答えいたします。

 発電コストに関しましては、いろいろ調べますと、どういった前提で何が含まれているかによって大きく異なるということがございます。これは一般の電源もそうですし、原子力、火力、水力もそうですし、再生可能エネルギーもそうです。

 特に再生可能エネルギーは、普及が進んでいないということもありまして、世界的な研究もどういうコストが入っているかはばらばらです。ですので、よくグラフになりますけれども、太陽光幾らというふうに出ますが、あれはかなり古い値を、たしか二〇〇一年の値を、今、十年後になってやっているということなのでかなり問題がありますし、また、どういうものが入っているかというのを入れなければ、本来、比較可能なものではございません。

 今の、既存の電源に関しましては比較的データがそろっておりますので、比較可能かと思いますので、申し上げます。

 発電コストには、一つは事業者が電気料金から払っている部分と、あともう一つは財政コストといいますか、かなり多いわけです。とりわけ原子力は、国策としてやってきたということもありまして、他電源に比べると多くの財政資金を投入しています。そういう意味では、優遇策をとって政策を推進してきたわけですが、それを踏まえて、いわば事業者にとっての発電コストと財政コストを加えますと、原子力というのは、有価証券報告書や財政資料などをもとに実績を見ますと、キロワットアワー当たり十・六八円ということになります。また、火力は九・九円、水力は揚水を含めて七・二六円で、一般水力だけだと三・九八円ということです。

 今、五・三円というふうに先生はおっしゃいましたが、これは、ある一定の理想的な条件でモデルを使えば、ある意味いろいろなように数字が変わりますので、もちろん、モデルは、それはそれなりに客観性を持ちますからやる必要はありますが、実績値で見ますとかなり異なったものに見えますので、発電コストについて、できればより深く、実績値も含めて本当はどうなんだということは、今日的観点から見直すべきときに来ているというふうに私自身は考えております。

吉井委員 せんだっての委員会で、原発に関する国費投入分は現在価格で十六兆円、これらを入れますと今の五円三十銭が少なくとも二倍にはなってこようかと思います。

 ところで、次に、ヨーロッパ各国における再生可能エネルギーの現状と、フィード・イン・タリフの取り組みの現状について、大島参考人の方に伺っておきたいと思います。

大島参考人 世界で再生可能エネルギーが非常に爆発的に普及しています。これはヨーロッパに限らず、中国は倍々ゲームで進んでおりまして、今、風力の設備導入量でいいますと世界一になってしまっています。それは、あっという間に抜いていきました。単に中国が成長しているというよりは、中国はたしか世界の設備導入量では二三%ぐらいあるんですが、日本は実は風力でいうと一%にすぎません。ですので、経済規模からいったら、全く進んでいないというふうに言っていい。これは、日本だけ見ると何かふえているかのようなグラフがさまざま出ますが、それは全くの誤りです。もし世界のグラフと一緒に重ねると、日本は地をはっていますので、世界でどんなふうに進んでいるのかということを御理解いただければというふうに思います。

 どういう制度を導入している国がふえているかといいますと、今議論をされています固定価格買い取り制、フィード・イン・タリフによってふえているところがほとんどであります。仮にRPSを入れている場合はかなり目標を高く持っているケースが多くて、アメリカは一部テキサス州とかカリフォルニア州はそういうRPSを持っていますが、日本と違って目標水準を非常に高く持っているというところが特徴です。

 ですので、全般的に言いますと、フィード・イン・タリフを導入した国が爆発的に普及していますので、やはり爆発的に普及させることを目的にするのであれば、固定価格買い取り制を導入し、それの経験を生かしてさまざまなチューニングをした方がいいというふうに考えています。

吉井委員 引き続き大島参考人に伺っておきたいのは、再生可能エネルギーを進めるときの接続義務の扱いとか、技術的にどう取り組んでいるか、世界の状況について伺っておきたいと思うんです。

大島参考人 接続義務ですが、先ほども冒頭で述べましたように、系統運営者に対して優先接続の義務を課しております。

 これはどういうことかというと、先ほどほかの参考人もおっしゃっていましたが、それを義務づけるわけですけれども、今日本では、技術要件ガイドラインだったと思うんですけれども、それで一応ガイドラインに沿って実施されていますが、そういった既存のものではかなり厳し過ぎる。あれはどういうことかというと、発電事業者に関して、これこれこれの要件を満たせば接続してあげますよということなんですね。

 ドイツは、そうではなくて、あれば必ず接続せぬといかぬということが基本なんです。何か条件を課せばいいというわけではなくて、絶対に接続せぬといかぬというところが違います。また、接続料金に関してはさまざま議論がありますが、それによって生じる系統の増強コストはその系統運用者が必ず負わなくてはいけなくて、系統の増強については、そちらの系統運営者、いわゆる電力会社に義務を課しているわけです。

 そういう意味では、発電事業者に系統接続のリスクを極力軽減させるというところがコア、核心だというふうに思います。

吉井委員 次に、進藤参考人に伺っておきたいと思います。

 私、新日鉄の旧堺工場の時代によく寄せてもらっているんですが、あそこには高炉があり、共同火力があり、コークス炉があり、大阪ガスなどとも組んだ、いわばコンビナートの一角を組み立てていたわけです。高炉ガスを使ってコークス炉を働かせ、コークスを生み出して高炉で使う、そういうことをやっていたわけですが、スクラップを利用した電炉の場合と製鉄の場合とでは固定価格買い取り制度を導入したときの影響は少し異なった点も出るのかなと思うんですが、この点について伺っておきたいと思います。

進藤参考人 お答えいたします。

 先生今御指摘のように、我々は高炉メーカーでございます。したがって、コークス工場で石炭を入れますと、コークスガス、コークガスという一酸化炭素が中心のものが出てまいります。これを燃料に、高炉メーカーでは、自家発と我々は言っていますけれども、発電所を持っております。新日鉄の例でいいますと、これが大体五百万キロワットぐらいの発電能力を今持っております。そのうち、三百が自分たちで使っているものでございます。それで、二百は、IPPとか共同火力とか、いわゆる電力会社さんに供給をしているものでございます。そのほかに、我々、電力会社さんから買っているものがあるわけですね。買っているものは、二百とか百レベルではありませんけれども、相当少ないわけですけれども、それが今回のフィード・イン・タリフで影響を受けるということでございます。

 したがって、比率からいえば、そんなにフィード・イン・タリフで受けるあれは少ないわけですけれども、電炉は全部購入電力ですから、電炉は一〇〇%きいてくるわけであります。ただ、絶対量としてどうかというと、高炉の方は量が非常に多いし、製鉄所もありますので、高炉の方が少ないということは言えない。むしろ匹敵する、まさるとも劣らないぐらいの効果にはなろうと思います。比率としてはかなり下がっております。

 以上です。

吉井委員 時間が参りましたので、これで質問を終わります。どうもありがとうございました。

田中委員長 吉井君の質疑は以上で終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一と申します。

 きょうは、参考人の皆様には、大変お忙しいところをお越しいただきまして、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。

 みんなの党は、脱原発、再生可能エネルギー推進の立場でありますが、今の法案を見ていると、先ほど経団連の進藤参考人から御意見がありましたように、三月十一日の大震災の以前に企画立案された法案ですから、相当、修正、改善の余地があるというふうに考えております。

 菅総理の退陣の条件の一つの法案になったから急がなきゃいけないという理屈はないと私は思います。菅直人さんの個人的な事情にかかわらず、しっかりと丁寧かつ慎重な審議をして、これから十年、二十年先の日本の行方を左右する重要な法案ですので、しっかり慎重審議が必要だというふうに考えております。

 最初に、大島参考人にお尋ねをしたいと思います。

 先ほど優先接続のお話がありました。電力会社の都合だけで接続を拒否するようなことはあってはならないと思いますが、場合によってはどうしても接続できない事情があるかもしれません。ドイツの例では、どういったケースで例外的に接続を拒否してもよいというふうに定められているんでしょうか。

大島参考人 ちょっと細かいところは忘れたんですが、私、毎年ドイツに行って、系統運営者とか発電事業者等々にヒアリングをしております。あと、太陽光発電業界だとか風力発電業界に聞いておりますが、そこで聞いたところによりますと、基本的に、接続しないということはあり得ない。なぜ接続しないのかというところは、系統の増強が間に合わないときに限るということです。

 ですので、何か不安定であるとかそういうことは聞いたことがありませんので、そういう意味では、これは見方を変えれば、むしろ送電事業者というか送電系統を運営している事業者にとっては高い義務を課しているわけですが、逆に見ますと、発電事業者、再生可能エネルギー事業者に対してリスクを極力軽減しているということになりますので、それは再生可能エネルギー事業者にとってはプラスの効果になっているというふうに思います。

山内委員 それでは、八木参考人にお尋ねします。

 どういったケースで接続を拒否せざるを得ないというようなことが起こり得るんでしょうか。

八木参考人 私ども、従来から系統の接続運用に当たりましては、公平性、透明性の確保に努めておるところでございます。

 先ほども申し上げましたが、今回も基本的には電力系統の接続義務が設定されているというふうに認識しておりますが、ただ、その中で、こういう再生可能エネルギーが系統に連系してきた場合に、安定的な電力系統の運用に支障を来さないということが大事なポイントだと思っています。

 そうした意味では、この系統に接続される方が、そうした技術的な対応をしていただくということが一定の条件になっておりますので、まずはこの条件を対応していただけない場合、あるいは対応に当たってその費用を御負担いただけない場合等々におきましては、系統の接続をお断りする場合がある。しかし、この場合も必ず電力系統利用協議会という中立の機関の場を通じまして、その中身について私どもが説明責任をしっかり果たしていくということが前提となってございます。

 以上でございます。

山内委員 電力多消費型の産業に関する御意見が大島参考人と進藤参考人からありました。私も、先ほど来話題になっていますけれども、電炉を初め非常に電力をたくさん使う産業が、結果的に日本でやれなくなって途上国なんかに出ていって、もっと地球環境全体に悪い影響を与えるということは十分あり得ると思いますので、そういう電力多消費型産業に対する配慮というのは絶対に必要だと思っているんです。

 例えば、先ほど大島参考人から鉄道会社と一千万キロワット以上の消費者に関しては対象になっているというお話がありましたが、具体的にどういう産業が鉄道以外ではあるんでしょうか。

大島参考人 大変申しわけありませんが、鉄道と消費電力一千万キロワットアワー、かつ、総付加価値に占める電気料金の割合は一五%以上ということで決まっております。恐らく電炉とかですね。ドイツも電力を大量に消費する産業というのはほぼ決まっております。ですので、恐らくは日本で今問題になっています電炉部分、鉄鋼の中でも電炉部分、そういうところが対象になっているんだというふうに思います。

 鉄道は、そもそも電気を使いますので、そこは公益性も高いということで大幅に免除になっているということです。

山内委員 経団連の進藤参考人にお伺いします。

 仮に日本でもそういう基準を設けるとすると、どういった基準があればいいんでしょうか。ドイツの一千万キロワットとかそういう具体的な例がありますけれども、日本型でこういう電力多消費型産業を定義するとすれば、どういった基準が必要でしょうか。

進藤参考人 その前に、今、鉄道がドイツで対象になっているということで私もびっくりしたんですけれども、日本で入れる場合は、やはり国際競争力をどう維持するかという議論が前面に出るべきであって、JRが電力を非常に使う、したがってそれも全部減免するのか軽減するのかというようなことなのかどうか、そこはよく議論していただければというふうに思います。

 それで、導入の仕方のところですが、先ほど省エネの補助金ということで、そういう形で入れるべきだという議論があったわけですけれども、実際、我々電炉の現場を見ますと、省エネのプロジェクトなり案件というのがいっぱいあるのかという議論になりますと、日本の産業というのは、どこの業界もそうですけれども、省エネのレベルは世界一です。全体をマクロで見ますと、鉄鋼業全体で見ますと、一九七〇年から二十年間で三兆円入れて二〇%省エネしました。残る二十年は、一九九〇年からですけれども、二兆円入れて一〇%しか下がっていません。だんだんサチュレートしてくるわけですね。

 したがって、だんだん限界効用が下がってくるわけでありまして、電炉の中でその省エネの補助金ということでこのフィード・イン・タリフで負担する部分をコンペンセートするというのはなかなか難しいんじゃないか。全額補助金というのはありませんので、必ず二分の一か四分の一かというふうになります。したがって、コンペンセートしてもらうために、またお金をキャッシュアウトして、そして、もらうというようなことでは、なかなか難しいのではないかというふうに我々は聞いています。

 したがって、必要でかつ十分な対応、対策を打つということであれば、例えば石石税とか、いわゆるエネルギー関係で払っている税金をベースに、エネルギー特会の中から、それはエネルギー効率を上げるための、エネルギーの高度化をするための資金に使うわけですから、そこから軽減の財源を出すというのを私はぜひお願いしたい、鉄鋼業の立場ではそう思います。

山内委員 大島参考人にお聞きします。

 仮に、そういう電力多消費型産業に対して、何らかの優遇措置というか料金が上がり過ぎないような措置をやると、その負担は恐らく一般の利用者全般に広く薄く行くわけですけれども、公平性の観点から、そこをドイツではどういうふうに説明して、どういうふうに国民的な合意というか納得ができているんでしょうか。

大島参考人 こういう措置をドイツでは特別平準化スキームというふうにいいますけれども、これに関しては、この特別平準化スキームで各家庭の買い取り価格に関する料金が幾ら上がったかというのは、ドイツの政府の報告書にも出ていますし、パンフレットなどにも出ていますので、それを通じて国民的な理解を得ているということだと私自身は理解しております。また、その料金の決定も、繰り返しになりますが、国民の代表が構成している国会で決めておりますので、ドイツに関してもそれは国民的な関心が非常に高く見られる分野ですので、そこで決めているということで、国民もそれを納得しているということだと思っています。

山内委員 もう一度、ドイツの例で大島先生にお聞きします。

 先ほど低所得者の方に対する配慮についてさらっと御説明がありましたが、もう少し詳しくお聞きしたいんですけれども、この法案に関して一部ある議論としては、太陽光パネルをたくさん設置できるような所得の高い方にはメリットがあるけれども、そういう余裕のない家庭にとっては何のメリットもない、デメリットだけが行ってしまうという議論はありますので、そういう低所得者の方に対する配慮はドイツでどうやっているか、あるいは日本でどうすべきか、御意見をお聞かせ願いたいと思います。

大島参考人 ドイツの低所得者に対する対応というのは、法律にすべて書いてあるはずなんですが、書いてないので、恐らくそこまで議論が進んでいないか、私がその知識を持ち合わせていないか、どちらかだというふうに思っています。

 日本に関しては、これは健全だと思いますが、低所得者に対する配慮が求められるというのが新聞報道等でも出ておりましたので、若干述べさせていただいたわけですが、電気料金というのは、日本の電気料金は、省エネを促すということもありまして段階制をとっております。これは東京電力のものですけれども、第一段階は百二十キロワットアワーまでは十七円八十七銭、第二段階の場合は百二十キロワットアワーから三百キロワットアワーまで二十二円八十六銭、それ以上になりますと二十四円十三銭ということで段階的に上がっていくわけですね。

 第一段階に関して、ナショナルミニマムということでそういうふうに低価格に規制しているわけですけれども、ここにかかるような部分に関しては、恐らくサーチャージを大幅に追加する部分を軽減するなどの措置もできるかと思いますので、それは工夫次第だと思います。

 あともう一つ申し述べれば、こういった追加的な負担は、電気料金は見えない形でたくさんあります。特に、先ほどどの委員か忘れてしまいましたが、再処理に関する料金は追加的に含まれているのに、これは大体年間二、三千億円取られているわけですけれども、それについては電気料金に全く明示されないまま消費者の負担になっております。そこに関しては議論がないのに、再生可能エネルギーに関してだけその負担を、不公平ではないかというふうな議論を見てみますと、私はちょっとバランスを欠いた議論で、むしろ原子力等々に関する費用や再生可能エネルギーに関する費用の両方を合わせて公平感を持った料金設定にすべきだな、少なくとも私自身はそのように思っております。

山内委員 大島参考人にばかり質問して恐縮ですけれども、ドイツの例に大変興味がありまして……。

 我が党は、もっと環境省の関与をこの法案に関しては持つべきではないかと。特に、場合によっては環境に対する悪影響も一部出るんじゃないか。例えば風力発電の施設が、鳥とか、そういう生物に対する影響、あるいは景観を損ねるということもあろうかと思います。ドイツではそういう環境的な配慮をやって、日本では経産省が主管になりそうですけれども、その再生可能エネルギーが自然界に与える悪影響を少なくする工夫をどうされているんでしょうか。

大島参考人 二点、お答えいたします。

 一つは、ドイツは、主管が、経済省ではなくて環境省が再生可能エネルギーについては主管しています。これは、私は、ドイツに行きますと、二〇〇二年だったと思うんですが、経済省から環境省への切りかえが政治的に行われた、それがかえって再生可能エネルギー産業を大きく飛躍させた一つの政治的な原因だというふうに何人もの方から伺っております。そういう意味では、主管については、今回は冒頭で申し述べませんでしたが、それは一つのオプションとして考えるべきだなというふうに考えています。

 あともう一つ、環境に関しては、ドイツは各地域で、たしか州レベルだったと思うんですけれども、自然保護区域とか人が住む何メートル以内はつくってはいけないとか、円をかいていって、要は風力発電が設置できる面積というのは非常に限られてくるわけですね、それを土地利用計画のような地図に落とし込んで、もう既にここは再生可能エネルギーができるよというものができています。そういう意味では非常に社会化が進んでいる。

 これは、日本においても土地利用計画等々に落とし込んでいくことによって社会化していく。それが、かえって事業者にとってもリスクを低め、事業性も高め、かつ自然保護もできるというふうに考えておりますので、再生可能エネルギーだからといって環境問題がないわけではありませんので、それをうまくマネージする技術はたくさんありますので、そういった工夫は今後必要かと思っております。

山内委員 ありがとうございました。

 それでは次に、経団連の進藤参考人にお尋ねしたいと思います。

 電気料金が日本は高い、国際競争力が非常に弱くなっているという御指摘がありました。経団連のお立場上、答えにくいかもしれませんけれども、やはり電力の地域独占とか自由化をやっていないことが電力料金が高どまりしている背景にあるんじゃないかということがよく指摘されますが、そういった電力の自由化を進めていくことが電力料金を下げるという考え方、意見についてどのようにお考えでしょうか。

進藤参考人 八木参考人を前に答えにくいんですけれども、ちょっと電力供給の考え方が各国と違うんだと思いますね。

 日本の場合は、産業も育成しなければいけない、先ほども申し上げましたけれども、どこへ住んでいる人にも電力会社はそれを供給する義務を負う、それから、品質の非常に安定した停電の起きない電力を供給するんだ、ここに一つの考え方があって、これは一つの哲学だろうと思うわけです。したがって、余力も持たなきゃいけないし、その分が高くなっているというようなことはあろうと思います。

 その中で、自由化も大分いろいろ進めてきたわけで、先ほども申し上げましたけれども、鉄鋼会社もいろいろ、石炭を原料で買ってきますので、その石炭とヤードがあるわけですから、そこに火力発電所をつくればインフラに投資しなくても安い火力電力が出てくるわけで、そういうようなことで自由化してもらってIPPというようなことを進めてきたことは事実でございます。

 さて、これからどういうふうな形があるのかと、先ほど議論がありました発送電の分離というようなことも議論になってくるんだと思いますけれども、ここも、何といいますか、インターネットにぶら下がる発電事業者の競争は促進されると思うわけですが、その競争の促進がどういうふうにつながってくるのか。我々使用者というか需要家の福利厚生というか、使いやすさになってくるのか、安くていい電力になってくるのか。先ほど言った、安定供給、いざというときの事故対応、自由競争による電力の価格が下がるというようなこと、ここあたりのバランスを見ながらぜひきちんとした国民的な議論をしていただきたい、こう思います。答えになっていませんけれども。

山内委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

田中委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人の皆さんに一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆さんには、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げ、ごあいさつにさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案並びに電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁長官細野哲弘君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長安井正也君及び国土交通省水管理・国土保全局長関克己君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより政府に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤澤亮正君。

赤澤委員 自由民主党の赤澤亮正です。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、海江田大臣、本日は、報道で有名になった手のひらの忍の一字は書いてこられましたか。

海江田国務大臣 赤澤委員に謹んでお答えを申し上げます。

 あのときはたまたま書いておりましたけれども、今度は、もう手のひらに書くなどということをしませんで、心の中に刻んでおります。

赤澤委員 あの人がそばにいる予算委員会や東日本大震災復興特別委員会は海江田大臣御自身のストレステストのようなものになってしまうということで、忍の一字だけれども、あの人がそばにいない経産委員会、本委員会では忍の一字は必要ないということで、大臣の精神衛生を考えれば、大変いいことかなというふうには思います。しかしながら、心の中に刻んで、こういうことであります。

 大変お気の毒な状況であることはわかり、私も同情する気がないわけではないんですが、ただ、最大の迷惑をこうむっているのは、海江田大臣、あなたではなくて、国民、特に被災者、被災地の皆様、さらには玄海原発の関係者、佐賀県知事あるいは玄海町長といった方たちかなと思うんです。

 自公政権当時は、国政上の重要課題についてもし閣内不一致があれば、下手をすれば政権の命取りになりかねない、最低でも閣僚辞任は避けられないというほぼ不文律のようなものが働いていたと思うんです。ところが、今の政府・与党がそれをすべてぶち壊しにしてしまったように私には思えます。今の政府では、閣内不一致はもう日常茶飯事で、これこそ政治主導だなどとうそぶいていた民主党の閣僚も政権発足当初にはいたというふうに記憶をしております。

 今週火曜日、二十六日の財務金融委員会で、私が、今の政府のばらばらぶりを評して、幼稚園のお遊戯内閣または幼稚園児のお遊戯内閣だと何度も発言したところ、視聴者から批判の声が上がったんです。これはどんな声だと思われますか。

 それは、幼稚園児に失礼だと来たんですよ。だから私は、この場で全国の幼稚園児の皆様と幼稚園の関係者の皆さんに謝罪しなきゃいけないな、ごめんなさいと。その上で、菅内閣は幼稚園のお遊戯内閣ではない、そうではなくて、幼稚園のお遊戯練習初日内閣だ、幼稚園児でも練習しているうちにうまくなってくる、こういうことを言い直さなきゃいけないかなと思います。

 閣僚全員が一致団結して一緒にやっていこうという気があっても、それですらコミュニケーション不足などでやむを得ずに閣内不一致が起きてしまう、そういうことはあり得るでしょう。私どもの自公政権当時も確かにないわけではなかった。しかしながら、今の政府・与党の中は、そのような閣内不一致ではなくて、どちらかというと、閣内憎悪とまでは言いませんけれども、閣内不信感であふれ返っていませんか。

 私は総理から信用されていないというのは、埋蔵電力について文書で調査をもう一回やれと命じられたときに、海江田大臣、あなたがした発言だというふうに報じられております。

 そこでお尋ねしますが、総理と閣僚の間に信頼関係がなくて、それでも国民の、特に被災地や被災者の方たちのために最良の政治ができますか。

海江田国務大臣 信用されていないという発言をした、その文書がございまして、いわゆる埋蔵電力、特に自家発電の電力についてのデータの提示でございます。

 もちろん、私どもはデータについては提示をして、このデータではまだ不十分だということでございますから、数次にわたってそれを提示しているわけでございます。

 私が申し上げました一番の理由というのは、何項目か、かなり細かい点についてそうした指示があったわけでございますが、冒頭に、経産大臣はすべてのデータを公開すべしと、あるいは開示すべきでしたか、ちょっと今手元にございませんが、まずそういうのが最初にありましたから、これは、持っているデータについては、もちろんまだ精査中で発表できない段階のものもありますが、それが一定の精査を経て、そして発表できる段階になればこれまでもやっておりましたので、そういった、とにかく開示すべしということを、特に経産大臣はという書き方がありましたので、こういう表現というのは、私は総理の部下でありますので、やはり部下に対してはまず信頼を置いて、その上でどういうところが不足であるかということを言うべきではないだろうかというふうに思いましたので、そういう発言をしたわけでございます。

赤澤委員 委員長にもお願いしたいんですが、ぜひ大臣、私が聞いたことに答えてください。私は、総理と閣僚の間に信頼関係がなくても、国民の、あるいは被災地、被災者のためによい政治ができるんですかということを聞いたんです。今のは、それはお答えになっていないですね。

 総理に対して、総理の私見であるならば、それは内閣の統一見解でないならば、鴻毛より軽いということをあなたは言われました。私どもは、総理に対してあなたが信頼感を余り持っていないように見えるわけですよ。総理からは、私は信じられないという発言もあった。そういう内閣が今の日本の政権の座にあるということを、これは国民が不安に感じないわけがないでしょう。

 一言で申し上げれば、ちゃんとお答えいただけなかったけれども、私は、総理と閣僚の間に信頼関係がなければ、国民のために、特に被災地や被災者のために最良の政治なんかとてもできないと思いますよ。だからあなたはやめると言ったんじゃないんですか、こんな総理のもとでやっていけないと。あなたも総理を信頼できないし、あなたのことを総理が信頼していないこともわかった。これでは国民が期待するような政治はできようがない、こういうことじゃないんですか。

 そこで、海江田大臣に伺いたいのは、海江田大臣、一体いつおやめになるんですか。

海江田国務大臣 赤澤委員に申し上げますが、今私は、委員からお話が、さっき質問がありまして、その質問の中身はおおよそ二つあっただろうと理解をしましたから、第一段のことについてお話をしていましたときに委員が手を挙げられて、そして委員長の御指示がありましたから私は戻ったわけでございまして、その二番目の答えも、別にそれを拒もうなどとは全く思っておりませんでした。

 そして、今お話のありました信頼が置けないというのは、大変残念なことであります。ですから、まず私は信頼を得られるような努力をいたしますけれども、ただ、一度、私はやめるという言い方はしておりません、責任をとるという言い方でございますが、しておりますので、いずれ、本当に、今どうしてもやらなければいけない課題がありますから、それについては誠心誠意務めさせていただきまして、その後でそれこそ責任をとりたいと思っておりますが、その責任をいつとるのかというお尋ねでございますが、それは、申しわけございませんが、私に決めさせていただきたいと思っております。

赤澤委員 最初に辞意を表明されたときは、海江田大臣に対する同情の声も相当数あった、私はそのように認識しています。でも、今、どんどん減っていますよ。なぜかというと、いつまでもやめないから、往生際が悪いというだけじゃなくて、菅総理と一緒だと見られ始めているんですよ。私はやめるとは一言も言っていないと言を左右にして、そっくりですよ。菅総理と一緒だという目で見られ始めているということです。

 最初に辞意を表明された予算委員会が終わった直後に辞表をたたきつけておられたら、これは大変潔かったと思います。信頼できない総理のもとで、信頼してもらえないあなたが、一体何がしたくて閣内に残っておられるんですか。あなたの実現したい政治とかけ離れたことしかできないんだったら、何で閣僚のいすにしがみつくんですか。

海江田国務大臣 これは赤澤委員御理解をいただけると思うんですけれども、この法律は三月十一日に閣議決定をしまして、そして御承知のような事情がありましたから審議が今日に至っておりますけれども、やはりそこはしっかりとけじめをつけませんといけないと私は思っております。もちろん、どういう目で見られてもそれは結構でございますので、ただ、私は責任だけは果たそうと思っております。

赤澤委員 それは国民が決して受け入れられない発言だと思うんですよ。要は、次々課題を挙げて、そうでしょう、要するに、課題が三つできたら私はやめますと。責任をとるという話をされたのに、現にとっていないわけですよ。

 報道によれば、十五日の会見で、九州電力の真部社長に対しては、やらせ問題が生じた、トップが責任をとるのは当たり前と辞任を要求した。西山審議官はプライベートな問題で事実上更迭した。だけれども、あなたはやめないんですよ。その姿を見ていると、私から見ると、柳田大臣はやめられる、松本復興担当大臣はやめられる、だけれども、菅総理はやめると言ったけれどもやめない。やめると言った人がやめないで閣内に残っているというのは、本当に国民の信頼を損ねていると思うんですよ。どう思われますか。

海江田国務大臣 それはいろいろな考え方があろうかと思います。

 魯迅の詩でこういう詩があります。千夫の指にあらがうですかね、そして、こうべを伏して、甘んじて孺子の牛とならんという言葉があります。ですから、これはやはり、批判は結構です。いかようにもそれは受けます。至らぬ点は直します。しかし、今、きょうここで私がわかりましたといって、委員の意見をそのまま聞いて席を立つわけにはまいりませんので、責任を果たします。

赤澤委員 私は、民主党幹部のやめない症候群と名づけているんですよ。やめると一たび表明しながらなかなかやめない菅総理やあなただけでなくて、選挙を勝利に導くことが仕事の幹事長でありながら、ほぼすべての選挙に負け続けても決して幹事長をやめようとしない岡田幹事長。その方が、やめると言ったけれどもやはりやめるのをやめたと言った鳩山さんと一緒になって、菅総理やめろと言い続けている。これは本当に世界の歴史の中でも最大級の悲喜劇だと私は思っています。(発言する者あり)

 法案の話が大事だからその質問をしろと言う人がいるけれども、私は、一国の閣僚が、総理が、やめると言ったけれどもやめないで国民の信頼を失っている、閣内の信頼関係がなくていい仕事ができない、このことの方がよっぽど重大だと思うから聞いているんですよ。そのことはよく理解した上でお答えをいただきたいと思います。本当に、国民にとっては、あるいは被災地や被災者の皆様にとってはたまったものではありません。

 私は、海江田大臣が一日も早くやめられる方が、潔いという評価を得られるというふうに思っています。逆に、政治家の出処進退、一日おくれればおくれるほど政治家としての価値を落とす。さらに、こちらの方がもっと問題だけれども、政治全体の信頼を落としてしまう。民主党は、幹部になればなるほどやめないんですよ。潔さがないんです。

 私は、日本人としては、切腹物だという言い方がいいかどうかわかりませんけれども、とにかく、何か問題を起こしてやめるのは、どちらかといえば若い議員、当選回数の少ない議員ばかり。上の方の人はみんなやめないです。そのことで、本当に国民から見ると信頼を失っていると私は思うんです。そのことの問題を理解されていますか。

海江田国務大臣 そのことの意味を理解していますかということですが、私は理解をしております。

 それから、本当にその意味では、それができるものならばそれもいいかなと思っておりますけれども、もうしばらくこらえてください。お願いしますよ。頼みます、これは。本当にお願いします。(発言する者あり)もちろん、だからやることをやるために、こらえてください、お願いします。頼みます。

赤澤委員 私は、国民のために、こらえられないです。

 というのは、言い方をかえますよ。法案をつくった後で実施をする、あなたはその大臣じゃないんですよ。二法案ができたらやめると、そのことをあなた、言ったんでしょう、二十三日のTBSで。いいですか、二法案をつくったらやめるという大臣のもとでその法案をつくるというのは、私は本当に意味がないと思っているんですよ。その執行をするときに、あなた、いないじゃないですか。自分が執行に責任を持たない法案をつくる、それは私はひとりよがりに聞こえるんです。

 一つ伺いますけれども、では、二法案が成立しない限りずっと大臣を続けられるんですか。菅総理とそっくりだと思います。

海江田国務大臣 ですから、出処進退は自分で決めさせていただきますということを何度も申し上げておりますよ。

赤澤委員 いつまでにやめるかを言ってほしいんです。

 今国民は、これができたらやめますという政治家の言い方に本当に飽き飽きしているんですよ。あなたが上司だと言った総理が、まさに条件を出して、それができるまではやめないと言うから、そのことで国民はみんな迷惑をこうむっているんです。同じ手法を海江田大臣がとられることはないでしょう。法案が成立したらじゃなくて、少なくともいつまでにはやめますとちゃんと言ってくださいよ。国民はそういう声を待っていますよ。それでなきゃ信頼できない。よろしくお願いします。

田中委員長 赤澤君に申し上げます。

 今、法案審議をしておりますから、できるだけ法案の質疑をやってください。これは私からお願いしておきます。

海江田国務大臣 何度もお答えをしておりますが、自分で決めさせていただきます。

赤澤委員 信頼関係があれば、海江田大臣が国民がなるほどという時期に決めるだろうということを信頼できるわけでありますけれども、今そういう状況でなくなっているということはきちっと自覚をしていただきたいと思います。

 政治家に限りませんけれども、人間だれでも、自分の出処進退を口にしたら、やめると言ったらやめなければ価値を落とすんですよ。我々日本人にとっては、潔くないと世間様に言われるのは本当にこれは恥ずべきことだ、繰り返しそれは申し上げておきます。そう言われ始めていますよ、海江田大臣本人が。大臣のためにも私はそこはきちっとしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。

 大臣に、目も合わせられないという状態でありますけれども、もう一度聞きます。

 いつやめるかということは明言されないんですか。大臣の価値を本当に落としていますよ。よろしくお願いしますよ。

海江田国務大臣 私は、自分の価値はどうでもいいですよ、本当に。申しわけない、ちょっと言葉が。私は、いいです、自分の価値は。

赤澤委員 私は、聞けば聞くほど潔くないという感想を持ちます。

 恐らく、この質疑を見ておられる国民も、同じ気持ちを持っている方がおられると思います。民主党政権が一日も早くリセットされて、真に国家国民のためになる政治が再出発することを切望しますよ。

 大臣が今本当につらいのは私理解しますけれども、しかしながら、そういう精神状態で閣僚を務められて、この国の将来が本当に安心できるかということは、国民は心配しているんですよ、この国が本当にどうなるんだと。そういう身に自分を置かないように、きちっとやっていただきたい、私はそう思います。

 その上で……(発言する者あり)注意の問題じゃないでしょう。質問を続けさせていただきます。

 法案について……(発言する者あり)

田中委員長 静粛にしてください。

赤澤委員 何のための委員会だって、国民のために政府をただす委員会ですよ。(発言する者あり)違いますよ。内閣がきちっと機能するかどうかをチェックしているんですよ。自分の進退問題で本当にそこまで追い込まれる精神状態でいい仕事ができるのかと、私はきょうはこれでやめますけれども、よく考えておいてくださいよ。近々、進退を明らかにされなきゃ仕事にならないし、内閣として機能しない、私はそのことをはっきり申し上げておきます。

 その上で、法案についても聞きたいことがあるので、御質問をいたします。大臣、ちゃんと立て直して答えてくださいよ。

 この法案については、エネルギーに詳しい先生方がいろいろな論点で議論をされています。私は、ちょっと違う観点から聞きたいんです。

 それは何かといえば、実は、このエネルギー政策、国のレベルで非常に深い議論がされていると私は思っています。ただ、私の地元に帰ると、本当にエネルギー政策の見直しということが議論になっているのであれば、夢を語る方が非常に多いわけです。それは何かといえば、中山間地域あるいは過疎地域、農山漁村、こういったところがエネルギーについて自給をして、今よりも採算性のいい農林業を営む、そういうようなことができるんじゃないか、こういう声であります。

 土地改良区の方のところに行けば、土地改良のところでつくった小水力発電は、容量はある、能力はあるのに、農業以外の目的で使うことは認められない、売電もできない、そこの規制を取っ払ってもらえば、もっと維持管理費も出せるし、採算性のいい農業ができるんだけれども、こういう声があります。

 あるいは中山間地域、さらにいけば、冬の間、農業ができずに非常に生活が苦しいけれども、バイオマスや小水力発電についていい支援をしてもらえば、冬の間も、灯油をがんがんたくような金のかかることをしないでも、ハウスでミニトマト等がつくれて、通年栽培ができる、こういう夢を語る人は多いんです。

 私が気になるのは、経産省が二重ローンの問題をやったとき、大臣がつくられた法案は、経産省所管の支援機構にその仕事をさせる、したがって、中小企業者は対象になるけれども農林漁業者は対象にならないというのが当初の案でした。我々の提言を入れて、そこは変えていただいたようでありますけれども、今回、同じことが起きていないかと心配するんですよ。目的のところに、過疎地域や中山間地域、農山漁村の活性化なんてことは書いていないように私は思うんです。

 そういった方たちの活性化、夢をきちっと実現するという思いを大臣はお持ちですか。

中山大臣政務官 やっとエネルギーの問題が来ましたので、お答えを申し上げたいと思います。

 この間、鳥取県の平井知事がお見えになりまして、今みたいなお話をしていました。夢のある政治をしましょう、エコな県をつくりましょう、こういうことで、中小の小川やそういうところから電気はできないものか、こういうお話もありました。はっきり言って、私、できますと申し上げました。そして、必ず中小の水力を生かしていこう、こういうお話もさせていただきましたので、自治体も一緒に、それから環境省も一緒に、経済産業大臣が話をして、そういうものを生かしてやっていこうと。バイオマスも同じでございます。

 環境省や農水省とも話をして、必ず、今委員の言われたとおり、夢のあるエネルギーというものを身の回りからつくっていく、この努力をしっかりやっていきます。

赤澤委員 果たしておっしゃっているとおりになっているかどうかが問題なんですよ。

 小水力について言えば、発電コストの試算比較というものがあります。大規模でやっておられれば、というのは、今、中小水力発電ということで三万キロワット以下ということなんです、三万キロワットというのは相当でかいですから、そういう人たちであれば、キロワットアワー当たり十円で発電できる。だけれども、規模が小さくなればなるほど、その夢を一生懸命語っている人たちは、三十六円とかそういうコストでやっているんですよ。

 バイオマスも同じです。水力そしてバイオマス、その燃料があるのが中山間地域、水源の里であり、農山漁村なんです。バイオマスについて言えば、規模のでかいものは十二円でやっているけれども、規模が小さくなれば四十一円。

 今、買い取り価格というのは、大体議論されているのが二十円でしょう。ほとんどの夢を語っている人たちは、それでは採算がとれないんですよ。

 だから、そのことについて、二十円で足らぬという認識をお持ちかということをまず聞きたいと思います。

中山大臣政務官 買い取り価格を無限に上げれば、それはインセンティブになります。だけれども、それではだれが電気代を払うんでしょうか。やはりこれは、電気料で払うか税金で払うかしかありません。そうなれば、適正な価格を我々は考えなきゃいけない。

 私は、先ほど言いましたように、知事さんともお会いしました。やはり地域の皆さんも、こういうものを活用して発電をしたいというお気持ち、たくさんあるのもわかりました。

 ですから、私たちは、適正な価格で、そういう客観的な資料に基づいてやっていくことをお約束申し上げます。

赤澤委員 大変、民主党の副大臣らしいお答えだったと思うんです。皆さんの夢を必ず実現します、何か選挙の前によく聞いた言葉ですよ。それが実際にできるかといったら、いや、電気代が高くなり過ぎるからできません、それが結論なんですよ。大層なことを言うけれども、実際、法律をやってみたら、まさに私に夢を語った、小水力の、小規模のバイオマスの人たちは採算がとれない価格でしかできない、電気代が上がり過ぎるから、そうお答えになっただけじゃないですか。

 だから、私は一つ具体的な提案をいたします。

 法案の中に、この買い取り価格、調達価格等を定めようとするときは、総合資源エネルギー調査会の意見を聞かなければならぬと書いてあります。それに加えて、調達価格を決めるときに、経産大臣は、あらかじめ、農水大臣、国土交通大臣、環境大臣に協議しなければならぬというのを入れてくださいよ。そうしたら、夢を語っている人たちの思いが届くんですよ。経産省だけで決めちゃだめですよ。それについていかがですか。

海江田国務大臣 赤澤委員、先ほどお話をしました二重ローンのときも、国会の審議を通じて、そして国会の皆様方の知恵でいいものができたと思っておりますので、どうぞ本当に、ぜひ国会の中で御協議いただきたいと思います。

赤澤委員 具体的に私は伺っているんです。調達価格を決めるときに、今本当に私に夢を語ったような中山間地域や過疎地域や農山漁村の方たちの声が届くとすれば農林水産大臣とか、それから水利権の問題を解決したいという話であれば国土交通大臣とか、さらに環境大臣、この方たちが協議に加わっていれば、そういう声が届くんですよ。経産大臣が、まさに今副大臣がおっしゃったように、電力料金の話だけで考えて、上がったらいかぬから、高くなり過ぎるといかぬから、それだけで考えてやられたら、私が申し上げている夢は実現しないと言っているんです。

 具体的に、調達価格を決めるときに経産大臣がそれらの三大臣に協議をするという規定を入れてくださいよ。それは賛成なんですか、反対なんですか、お答えください。

海江田国務大臣 当然のことながら、内閣の中でしっかりと意見は聞くということになろうかと思います。

赤澤委員 意見は聞く、法律に意見を聞くと書いてあれば、その意見はかなり尊重されるんですけれども。

 大臣は、その意見を聞いた場合、私はそういう規定をぜひ入れていただきたいと思っていますけれども、大臣としては、御自身のお考えはどうなんですか。そこを聞かせてください。

海江田国務大臣 この価格の問題は、本当に、今、エネルギー源ごとにそれぞれ経費が違っているというのは現実でございますから、その意味では、エネルギー源ごとに買い取りの価格を変えるべきではないだろうかという意見もありました。

 しかし、それについては、私どもが政府の案の中でお示しをしましたように、エネルギー源ごとに買い取り価格を変えるということはやらないということでありますから、その意味では一本化した価格で臨みたいと思っておりますが、その価格の妥当性について、今御指摘のありましたような、環境大臣でありますとか農水大臣でありますとか国土交通大臣でありますとか、そういう方々の意見を聞く、これは私は意見を聞いて構わないと思っております。

赤澤委員 今、明確なお答えをいただきました。そういうお答えが欲しいんです。ぜひ、その意見を聞くということを法律の中に盛り込んでいただきたいと思います。それをやっていただけば、今おっしゃったようにエネルギーの調達価格を変えないとすれば、少なくとも小水力とバイオマス、それも本当に貧しい、貧しいといいますか、なかなか年収が少ないような地域、そこの声が届くようになりますから、ぜひそのことはお願いをしたいというふうに思います。

 それで、もう一つ最後にちょっと、夢のある話で、大臣に届いているかということだけ確認をして終わりにしようかと思いますけれども、藻からバイオ燃料を製造する技術というのが、今、いろいろなところで報道されて、注目をされています。

 大臣は、これについての可能性や実用化の見通しについてお考えをお持ちですか。

海江田国務大臣 藻類については、さまざまな長所があるというふうに承っております。

 ことしの正月のころの新聞ですか、そこにも藻類について、従来のエネルギー源の数十倍というんですか、数万倍というんですか、そういうような藻についての研究が行われているということでございますので、その意味では、藻類につきましては前途は開けていると思っております。

赤澤委員 最後に、私は、ぜひ海江田大臣に、潔い、しっかりした大臣になってほしいと強く申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。(発言する者あり)

 筒井副大臣に質問できなかったことは、大変申しわけなく思います。この場でおわびをいたします。筒井副大臣にはまことに申しわけなく、この次、埋め合わせをさせていただきたいと思います。

田中委員長 次に、中谷元君。

中谷委員 自由民主党の中谷元でございます。

 政府提案の再生可能エネルギー調達特措法について質問させていただきますが、これからのエネルギーをどうするかという見地で大臣に伺います。

 日本のエネルギーの自給率というと四%ぐらいで、先進国では極端に低く、しかし、日本は経済大国で、文化大国で、まさに国家にとってエネルギーというのは、安全保障、経済、そして地球温暖化などなど、非常に重要な役割があります。

 そこで、政府は、昨年六月にエネルギー基本計画というものをつくられました。それによりますと、ゼロエミッション電源という温暖化ガスを排出しないエネルギーは、現在は三四%だと。二〇二〇年には五〇%、二〇三〇年には七〇%までに拡大させるということを目標にしましたが、その基幹エネルギーとしては、原子力発電所を二〇二〇年までに九基、二〇三〇年までに十四基新増設をさせまして、二〇三〇年の日本のエネルギーの五三%を原子力発電で賄うと計画しておりました。

 大臣は、三・一一、この法案を提案した日に東北大震災を受けましたが、この現在のエネルギー基本計画をどうするおつもりでございますか。

海江田国務大臣 今、中谷委員御指摘のエネルギー基本計画は、昨年の六月でしたか、決めたものでありまして、そこには、今委員が御指摘のあった、二〇二〇年そして二〇三〇年の数値目標が掲げられておりました。

 そのときは確かに、まず原子力のエネルギーが五三%ということで、これはやはり、今委員御指摘のありましたような、エネルギーの安全保障というのは大変大切な考え方でございますから、そのエネルギーの安全保障の観点。あるいはCO2の排出量の問題がございます。原子力の発電というのは、特に化石燃料と比べますとCO2の排出量が少ないわけでございますから、そういう観点から、私どももこれまでの政策をさらに発展させてそういうことにしたわけでございます。

 ところが、三月十一日以降、この原子力の発電については、五三%という数字は到底無理でございますから、これを二〇二〇年、二〇三〇年に何%にするということは今はっきりしておりませんが、ゼロベースでというお話をいたしましたけれども、そのゼロベースという中の一つの大きな考え方は、これはまず原子力の発電量を五三%という目標から大きく減らしていくということ、そして、それに対して再生可能エネルギーの割合をふやしていくということ、このことは確かであります。

中谷委員 非常に産業界にとっては大事な問題ですから伺いますが、総理は記者会見で、原発に依存しない社会を目指す、そして、計画的、段階的に原発依存度を下げて、将来は原発がなくてもきちんとやっていける社会を実現していく、すなわち原発をなくすということを言っているわけでございます。

 具体的には、古い炉は廃炉にしていく計画を固めていきたいということで、今その見直しがされているように思います。きょう中間報告も出るやに聞いておりますが、海江田経済産業大臣として、本当に総理の言うようにゼロに持っていきたいとお考えなのか、それとも、この日本の社会にとって原子力発電所は必要不可欠であって、大事に大事に育てていこうと考えておられるのか、大臣のお考えを伺いたいと思います。

海江田国務大臣 総理のおっしゃった原子力に依存しない社会をつくりたいというお話は、総理のお考えとしてはそのとおりだろうと思いますが、私が知りたいのは、何年ぐらい先にそういう社会を目指しておられるのかということでございます。まだ何年後だというようなお話は聞いておりませんので、これからそういうことを議論していかなければいけないなと思っております。

 今、私の考え方もということでございますから、これが十年、二十年で本当にゼロにできるかというと、私は、それはなかなか難しいのではないだろうかというふうに思っております。

 我が国の原子力の技術というのは、もちろん、現在、ああいう事故が起きたわけでございますから、その技術に対するいわゆる安全神話などというものはもうなくさなければいけないわけでございます。しかし、非核保有国として、非核保有国でありながら原子力の技術をここまで高めてきたということは、やはりこれは、世界の国々、核保有国の道を歩まないけれども、エネルギー不足に対応するために原子力に頼っていこうという国々もたくさんありまして、そういう国々の期待もあるわけでございますから、そういう国々にもしっかりと、もちろん、従来の安全技術だけではいけません、今回の事故を経過した新たな安全基準による技術でなければいけないということは言うまでもありませんが、そういうもので世界に貢献をしていくという道もあるのではないだろうかというふうに思っております。

中谷委員 非常に悠長な考えですが、この法案すらも基本計画に基づいて出されておりますし、これを審議する上においては、やはりしっかりとした基本計画で、原発はどれくらい、再生エネルギーはどれくらい、火力はどれくらいという中で考えていかなければなりません。

 そういう見地で、原子力発電所は我が国の産業経済に非常に重要でありますが、その安全について一点確認したいんです。

 六月の二十九日に、海江田大臣は佐賀県の玄海に行かれまして、岸本町長に、この目で現場も確認してきましたとその安全性を強調して、知事に対しても、緊急対策をとっています、安全は確保できる、再開については国が責任を持ちますと述べました。そういう状況なら、早く稼働しないと、エネルギーの供給が詰まってしまってこの計画どころではございません。

 大臣に伺いますが、今でも、佐賀の玄海原発、これは安全で、すぐに稼働できる状態だと言い切れますか。

海江田国務大臣 ちょっと今、正確な日付は覚えておりませんが、その後、帰りまして、菅総理とお話をしまして、菅総理と私だけじゃありませんで、枝野官房長官、それから細野原子力事故担当の大臣、こうした人々を入れまして、そして、さらなる安全のために、ヨーロッパで採用しておりますストレステストを参考にした、これはそのものではありませんけれども、それを参考にした新たな安全評価というものをまずやろうということでございますから、それはまずやってから動かす。そして、やってから、再度の安全宣言ということになろうかと思います。

中谷委員 これは大事なことなんですが、大臣として一度決断したことは、もう変えてはならないんですよ、政治家の場合は。

 安全だと相当信念を持って言われたわけでありますので、私は、今までのチェックリストで安全を確認したわけですから、大臣は間違っていなかったと思います。総理の方が間違っていたと思います。事前に大臣に許可を出して説得をさせた総理が、後から違うことを言い出して、まさに大臣は立つ瀬がなくなっているんじゃないでしょうか。

 そこで、大臣のお好きな中国の故事を調べますと、孟子の晩年の教えに、正をもってこたうという言葉があります。これはまさに大臣のあり方について書かれておりまして、あるとき、斉の宣王が孟子に、大臣のあり方を尋ねた。孟子は、大臣には、同族の大臣と同族でない大臣がおりますと言いました。王は、同族の大臣はどうするんだと聞きますと、孟子は、同族の大臣は、君主に重大な過失があればいさめます、たびたびいさめても聞き入れられないときは、君主を取りかえますと答えました。驚いた王は、それじゃ、同族でない大臣はどうするのだと聞きました。孟子は言いました。同族でない大臣は、君主に過失があればいさめ、たびたびいさめても聞き入れられなければ、その国を去りますと言いました。

 海江田大臣は、この孟子の言葉をどう聞かれますか。どちらの大臣だというふうに思いますか。

海江田国務大臣 私は、恐らく後者だろうと思います。

中谷委員 ですから、総理は間違っているわけですね。総理が間違っていると私も思いますし、大臣も思っておられるわけで、辞任をするということでございます。

 やはり、大臣というのは、総理に仕えているのではなくて、国家に仕えている。そして、エネルギー政策の責任者である大臣が安全だと言えば、国の決定であって、それをとやかく言う方が間違っておりますので、ぜひ大臣は信念を持って、この佐賀の玄海原発の安全性については国が保証すると地元に約束をして、一刻も早く稼働するようにしないと、国のエネルギー政策の根底が狂ってしまうと思いますので、この点、ぜひお願いを申し上げます。

 続きまして、太陽光発電、そして木質バイオマス発電について伺います。

 総理は、太陽光パネルを一千万戸の家屋に設置すると言いましたが、これは一体、事前に大臣も了解したお話で、いつまでにやれるかどうか、内閣、政府・与党としてのコンセンサスが得られた発言でございますか。

海江田国務大臣 これも誤解があるといけませんが、総理がサミットに出かけられるということで、私も入りまして、エネルギー政策についていろいろなお話をさせていただきました。

 その中で、総理がお話しになったこれからのエネルギー政策、先ほども一部お話をしましたけれども、原子力の割合は減らしていきます、それから再生可能エネルギーはふやしていきます、それからもう一つは、省エネということをしっかり定着させなければいけませんねと。これは後ろ向きの節電ではありませんで、前向きの省エネということはしっかりやっていかなければいけませんねと。それから、当面は火力発電などの化石燃料に頼らなければいけませんが、その際でもやはり効率化と申しますか、CO2の排出をできるだけ減らさなければいけませんねと。こういうことは総理ともお話をしまして、十分すり合わせのあったところでございます。

 一千万戸ということにつきましては、これはまさに、その一千万戸という数字は聞いておりませんでしたものですから、総理がフランスに行かれていて、そして記者の方々に、経産省の入り口のところで、私はそのときは執務を終えて出てまいりましたので出口でございますが、そこのところで記者の方々の取材を受けました。いわゆるぶら下がりでございます。

 そこの中のやりとりがあって、その中で、一千万戸という数字は聞いていたんですかという短い質問がありましたので、それについては、私はその一千万戸という数字は聞いていないということをお答えしたわけであります。それが少しひとり歩きをして、すべて話を聞いていなかったのではないだろうかというふうに受け取られておりますが、そのときのやりとりというのは、正確に今、お許しをいただいて、お話をさせていただいておりますが、そういう内容のものであったと記憶をしております。

中谷委員 全く財務的に積み上げていない、いいかげんな数字であったということですが、もう一点聞きます。

 総理は、パリの国際会議で、二〇二〇年代のできるだけ早い時期に自然エネルギーを二〇%にしたいと言いましたが、現在の政府目標が一三・五%です。到底、二〇%など及びもつかない、むしろ二〇三〇年に二〇%としております。

 大臣に確認させていただきますが、二〇年代の早い時期に二〇%ということを大臣も思っているのか、それとも、とんでもない数字で、そんなことはないということかを確認させていただきます。

海江田国務大臣 これは、二〇二〇年代の早い時期ということですから、普通、常識で考えますと二二年、二三年かなというふうに思っております。

 ただ、今私どもが準備しております法律というのは、想定をしておりますのは二〇二〇年ですね、代ではございません。二〇二〇年で一三・五%ですか、そういう数字を想定しておりますから、そういう数字で今、買い取り価格などもスタートをさせていただいて、その中で、買い取り価格を今後どうするかということ、そういうこともやりながら、そうした目標に向けて努力をしなければいけないと思っております。

 ただ、あともう一言つけ加えますと、そうした何年に何%にするということは、まさにエネルギー基本計画においてしっかりと定めていきたいと思います。

中谷委員 震災後も、こういった状況で、こういった数字をどんどんどんどん言うこと自体、国際的にも不見識でもあるし、内閣不一致も甚だしいと思いますが、経産大臣も、もう少ししっかりと総理に言うべきことは言っていただきたいと注文させていただきます。

 そこで、もう一点、木質バイオマスのエネルギーについてですが、この法律は、買い取りの価格そして期間、対象施設については経産大臣が定めることになっておりますが、法律では、大臣の認定を受けた施設が買い取りの対象とされるということが書かれているのみで、具体的にどのような施設が対象となるのか明らかになっておりません。

 そこで、伺いたいことは、その際に、新設をされた施設ともう既にバイオマス発電を行っているような施設の買い取りに差をつけるかどうかということでございますが、この点、どういう施設を対象とするんでしょうか。

海江田国務大臣 今の質問にお答えをする前に、先ほど私、一三・五と言いましたけれども、一二・五が正確な数字ですから、訂正をしておきます。

 それから、既設と新設の問題でございますが、ややもすると既設の方々が不利益をこうむるのではないだろうかという意見があるのは私も承っておりますので、その意味では、既設のバイオマスの発電事業者の方々が、今回の法律改正によって不利益をこうむらないように、激変緩和措置と申しますか、経過措置と申しますか、そういうものを講ずるつもりでございます。

中谷委員 既設の方も、経営者ですからいろいろと数字をはじいておりますけれども、それでは、政府は、バイオマスの買い取り価格を一体幾らに想定しようとしておられるんでしょうか。

海江田国務大臣 先ほどもお答えをいたしました。

 それぞれのエネルギー源によって発電のコストが違うということは理解をしておりますが、今回は、全国一律ということでございますので、一キロワット当たり〇・五円ということを、今、そこを上限にということで考えております。

中谷委員 〇・五円というのは。

海江田国務大臣 買い取りの方ですね、サーチャージではなしに。これは、二十円ということでございます。

中谷委員 そこで、今やっている方がその二十円で計算をいたしました。それによりますと、これは、二十年間続けますと、全くこういったものが適用されないときは四・四円、今の制度が残ったときは九・四円、そして全量売電できたら二十円ということですから、この試算では二千キロワット・パー・時のバイオマスの発電の場合、二十年間で十九億円の差が出てしまう。

 つまり、今まで一生懸命、先駆的に、地域の発展とか環境に協力して、自己投資をして、そんなに補助がないのにやってきた人と、これからやってくる人たちがこんなに差があるのなら、本当に公平で対等な制度なのか。まして、ヨーロッパでは非常にこの買い取り制度が充実していまして、諸外国に対する国際競争力も大丈夫なのかどうか。そして、正常な企業活動が、本当に競争が公平に行われるかどうかという点については、やはりこの適用も一律に、既設の人も新設の人も、再生エネルギーの価値が同等ならば、差別は設けずに公平に買い取りの対象として評価すべきではないかと思いますが、この点、大臣、どうお考えでしょうか。

海江田国務大臣 これは、今、国際競争力というお話がございましたけれども、私どもが聞いております事業者などからのお話あるいは各種のデータでは、今お話をした二十円という金額は、国際競争力を有するというような認識を持っております。

中谷委員 ですから、現在の制度を利用した、RPSでやっている人でも九・四円なんです。二十円に対して九・四円しかありません。

 したがって、この法律によって公正な競争原理が阻害されるんじゃないか。今まで公的助成もなく自助努力をしている人と、これから買い取りを対象としていろいろな企業がやってきますけれども、こういった者に対して、今やっている人たちが立ち行かなくなれば、今のバイオ発電所の稼働率も低下してしまいます。地域にも混乱を与えてしまいます。

 したがって、価格決定においても、経済産業省令の策定に当たっては新旧の区別をつけないように配慮すべきだと思いますが、もう一度、大臣の御答弁をお願いします。

海江田国務大臣 RPS法については、特に昨日詳しくその評価というものをお話をしまして、私はそれなりの評価というものができようかと思っております。

 そうしたRPS法の中で、それこそ本当に貢献をされてきました既存の認定の設備については、多くの補助金も受けながらそうした事業を行って、しかも、やはり事業をやるからには一定の採算性というものを見越してやってきているわけでございますから、こうした設備を従来どおりの制度の中で活用していこうというのが基本的な考え方であります。

中谷委員 全く答えていないですね。

 今までもこれは非常にいい制度として、農林省等の主管でもやってきましたけれども、いきなり経産大臣が全部決めてしまうということでありまして、やはりこういったことは経済産業省だけで決めることは問題で、少なくとも事業官庁とは共管で運用すべきではないか。仮払い法案も、主務大臣として、所管大臣その他政令で定める大臣と修正が行われましたけれども、この点、やはり地域政策というものもあります、それから、価格においても、先ほど言いましたようにRPSでは九・四円です。二十円の半額です。これで本当に対等と言えるんでしょうか。

 もう一点伺いますが、不備なところとしては、林業者から民間の発電所へ持ち込んだときは、発電したら買い取りができます。しかし、電力会社の発電所に持ち込んだときは買い取りが認められなくなって、これも不平等になっていますが、電力会社の発電所に林業者が持ち込んだ場合に、この買い取りの件で、公平にしていただくための配慮、対策等がありましたら伺いたいんですけれども。

海江田国務大臣 バイオマスの、電気事業者の場合ですね、これは。(中谷委員「はい」と呼ぶ)

 電気事業者に関しましては、一昨年、エネルギー供給構造高度化法が成立をしましたので、そこで、再生可能エネルギーを含む非化石エネルギーの利用について電気事業者に対して義務を課しておりますので、その意味では買い取りが行われるものだろうと思っております。

中谷委員 ですから、そういった電力会社にもそれを十分踏まえた料金設定をして、既存の人と新規の人と差を設けることがないように運用をしていただきたい。

 そしてもう一点、バイオ発電について、新規にペレットを既存の石炭火力施設でまぜて焼くことも多いんですけれども、単に発電施設が新設か既設かというところで判断するところも問題ではないかと思いますが、この点についてはどうお考えでしょうか。

海江田国務大臣 これはいろいろな考え方があろうかと思います。その意味では、新設と既設を分けた方がいいという意見もございまして、先ほどお答えをいたしましたように、今回は既設の方々の既得権と申しますか、これは主に、事業計画をしていく上で、計画を数年にわたって立てているわけですから、そうしたいわゆる既得権と申しますか、そういうものもございますから、それを確保するということの方に重点を置きまして、新設と既設を分けたわけでございます。

中谷委員 まだまだ指摘するところがあるんですが、時間が参りました。

 申し上げたいことは、太陽光とバイオマスの間でも格差があります。バイオマスの場合は、特に山奥、日本の中山間、もう後継者もいない、人口も過疎が続いている、そういう方々、林業を通じて何とか地域を興したいという方々をバックにした条件がありますので、ぜひこのバイオマス発電におきましては、ただ単にエネルギーだけではなくて、地産地消も含めた、地方政策等も含めました政策づくりというのが必要になってくると思います。

 そういう意味では、経済産業省だけではなくて、農林水産省、林野庁、こういったものも関係省庁でありますので、もう少し中身については、よく省庁間で話し合いをして、大臣同士でも話し合いをして、これで立派に運用できるなというふうな中身が明らかになるように、これからも努めていただきますようお願いを申し上げます。

 最後に、大臣に対しては、まさに国家のために、正しいことを正しいと、日本の将来のエネルギーにかかわることでありますので、大臣としての信念を通して、安心できるような大きな仕事をやっていただくことを御祈念いたしまして、質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

田中委員長 以上で中谷元君の質疑は終了いたしました。

 次に、白石洋一君。

白石委員 民主党の白石洋一でございます。

 今回、重要法案の質問に立たせていただきまして、関係者の方に感謝いたします。

 私は、法案の趣旨を支持する者でありますが、さらに理解を深めるための質問を十項目準備いたしましたので、よろしくお願いします。

 質問を細かく分けていきます。

 まず第一でありますけれども、今、この固定価格買い取り制度というのは、義務的にサーチャージをしていくというものであります。今、十社、地域独占を認められている電力会社があり、そこの体制との関係でありますけれども、サーチャージというのは、この地域独占を前提としているのでしょうか、お願いします。

海江田国務大臣 必ずしも地域独占を前提としておりません。必ずしもはなくてもいいです。地域独占を前提としておりません。

白石委員 ありがとうございます。

 それであるならば、将来、発送電分離をした場合、これは地域独占でなくなるということなんですけれども、その場合でも、この法律が、可決して施行されて、そのまま使われるということになるのでしょうか。

海江田国務大臣 発送電分離の話はこれからしっかりと議論をしていけばいい話でありますが、ただ、委員お尋ねのように、仮に発送電分離をした場合でも、小売の事業者、この人たちがみずからの需要家からサーチャージを徴収して、そして、これは負担調整機関のような調整メカニズムといいますけれども、それは全体につけることができますので、そういうメカニズムを通して、買い取りを行った事業者の買い取り費用に充てることになれば、制度としてこのサーチャージの制度は十分成り立つ、こう考えております。

白石委員 ということは、小売ということですから、発送電の送電部門がチャージしていくということになるわけであります。

 では、そこまで来るのであれば、国費負担、つまり国民の税金で負担するという考え方もあろうかと思いますけれども、その点について、大臣、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

海江田国務大臣 今、委員は、国民の負担、税金という形でお話がございましたけれども、サーチャージというのは、電気料金という形で、同じ国民の負担でございます。

 ただ、やはりこの制度というのは、税金、一般財源にしてそこから歳出をするということよりも、電気料金に追加的にお願いをするということでやりました方が、一昨日の委員会でもお話をさせていただきましたけれども、この買い取りの法律というのは、何か、国民の負担がなくて、この法律ができると再生可能な自然エネルギーが飛躍的にふえるという考え方よりも、むしろ、少し苦い薬を飲むことになるのではないだろうか、苦い薬を飲むけれども、この制度を導入することによって、エネルギー安全保障の面でもCO2の排出の面でも、そうした新しい再生可能エネルギーのシェアがふえていくんだから、ここはぜひ負担をお願いするということをはっきり申し上げたいということを私は言いました。

 その意味でいうと、直接電気料金に上乗せをした方が、負担感が、自分がこの制度を導入することによって幾ら負担がふえたかということがわかりますから、それからまた、それは同時に負担をなるべく下げるような努力にもつながっていくと思いますので、そういう意味で、サーチャージ、料金の方に上乗せをするという方式を私は選んだわけでございます。

白石委員 わかりました。

 二つ目に参ります。

 独立系の発電会社、この法律では特定電気事業者というふうに言われていますけれども、共同電力とか、あるいは商社系の小売をしている電力会社もあると思うんですけれども、この供給先の工場とかで再生可能エネルギーの買い取り義務、つまりインディペンデントな発電会社も買い取り義務があるんでしょうか。

安井政府参考人 お答え申し上げます。

 この法律の中では、一般電気事業者と、先ほどお話ございました特定電気事業者、及び特定規模電気事業者、この三種類の者に買い取りの義務が生じることになってございますので、今お話のございました共同電力のような場合は、その共同電力に対して顧客が電気を買ってくれという契約締結を求めれば、その契約を締結する義務がその特定電気事業者に発生する、こういうことでございます。

白石委員 そうであるならば、共同電力さんのお客さんというのは地域の電力会社からも電気を供給してもらっていると思うんですね。もうちょっと具体的に言えば、私の地域でいえば、共同電力さんが工場に供給しているんですけれども、その工場は、また別途、名前はあれですけれども四電さんとか中電さんとかからも電気をもらっている。そこの工場の屋根に太陽光パネルをつけました、どちらに買ってもらうというふうに考えればいいんでしょうか。

安井政府参考人 まさに、この需要家の方が、御自分が設備などの関係でつなぎやすい電気事業者の方に契約締結を求めていただければ、その契約の締結を求めていただいた方が契約義務を負うというたてつけになってございます。

 今おっしゃったようなパターンの場合は、通常は共同電力さんが大体主な供給者になっていらっしゃるので、そちらでも構わないんですけれども、接続線さえ用意していただければ、一般電気事業者、四国の場合は四国電力さんに締結を求めていただければ、そちらに買い取りの義務が発生をする、こういうことでございます。

白石委員 ということであれば、再生可能なエネルギー、太陽光パネルをつけたお客さんの選択で、あなたが買い取ってくださいと言えば、買い取り義務によって買い取ってもらうことができるということですね。確認です。

安井政府参考人 接続のための線さえ用意していただければ、そのようなことに相なります。

白石委員 わかりました。

 三つ目に参りたいと思います。

 では、独立系の共同電力とか小売をやっている電力会社が再生可能エネルギーを発電した場合、共同電力さんが自分で新たに太陽光パネルだとか水力発電所を開発した場合、あるいは、今も持っているんです、五千キロワット以下のものもあるんです、こういったものは、さっきのパターンでいえば、電力会社さん、四電さんに買ってもらうことができるんでしょうか。確認です。

安井政府参考人 今おっしゃっているのは、例えば、ある特定電気事業者さんが、四国の場合でいえば、四国電力さんの管内のどこかに太陽光の発電施設をおつくりになった、そうすると、先ほど申し上げたように、そこから接続線を引っ張っていただければ、四国電力に販売していただくということは可能でございます。

白石委員 それでは、もう少し展開して、例えば、事例で挙げますと、瀬戸内海に潮流発電所を四電さんがつくりました、でも、場所柄、これは中電さんに買ってもらうと。つまり、既存の、今の十社のうち一社がほかの電力会社さんに再生可能エネルギーを買ってもらう、これもできるんでしょうか。

安井政府参考人 今おっしゃいましたように、例えば四国電力が、中国電力の管内と申しましょうか、潮流発電ですからあれですけれども、そこで発電をなさって、中国電力の方に接続をして、買い取り義務の請求をする、契約の締結を求めるということは可能でございまして、その場合には中国電力側に契約締結の義務が生じるという構成になってございます。

白石委員 わかりました。

 次に、四番目の地域性について質問をさせていただきます。

 この再生可能エネルギーというのは、地方、いわゆる田舎の方が場所があるので普及するわけですね。他方、都会、例えば東京とかは場所がないからなかなかこれは難しいと思います。

 でも、この再生可能エネルギーというのは、非常に公益に資する、身体にもより安全である、それからエネルギー安全保障とか温暖化対策であるとか、こういう公益に資するものである。なのに、サーチャージは、普通でやれば地方の方が高くなる、それを全国でならしても、同じですか。

 考え方として、例えば排出権取引ということがあります。これは、よりたくさん排出をした人が排出権を買ってオフセットしていくということです。これと同じ考え方をするのであれば、地方はたくさんこういうものをつくって公益に資する、温暖化ガスも減らすという努力をしているわけですから、再生エネルギーの発電所をたくさんつくった田舎は、むしろサーチャージというのは低くてもいいぐらいじゃないかなと思うんですけれども、このあたりはいかがでしょうか。大臣、お願いします。

海江田国務大臣 この点は、先ほど私御答弁申し上げまして、そこと関連をしてまいりますので、私から御答弁を申し上げます。

 いずれにしましても、今度の制度では、国民の皆様方に広く薄くと申しますか、均一の負担をお願いするということですから、そうなりました場合、当然のことながら、今委員が指摘のありましたような問題点も生じてこようかと思います。

 ですから、そのために、これは法律の第三章などで記述してございますが、国が機関を指定いたしまして、この機関に、これは各電気事業者単位になりますけれども、各電気事業者単位で支払う買い取りの費用と、需要家から集まってきますサーチャージの間に乖離がございますから、これを調整する機能を持たせようと考えております。

白石委員 その調整のときに、再生エネルギーの導入に努力したところはむしろサーチャージを安くするとか、こういったこともぜひ検討していただきたいなというふうに思います。

 次ですが、五番目であります。

 今、規制改革、制度改革を内閣府の方で進めております。内閣府取りまとめで、各府省に協力をもらいながら、例えば国有林、保安林、農地利用の規制改革、こういったことが再生可能エネルギーの普及に必須なわけであります。

 また、もう一つは許認可の面で、例えば、ここに再生可能エネルギー、例えば水力発電所をつくる、その場合の許認可の条件で公益を比較考量する場合に、この再生可能エネルギーの普及ということにどんどん重みを置いて判断してもらわないといけないと思います。つまり、時代によって公益の中身が、そしてその重みがシフトしてきていると思うんですね。

 よって、この法律の中にも規制改革や許認可条件における各省庁や地方公共団体の協力義務を規定し、条文として加えるということについてどのようにお考えでしょうか。ぜひそういうふうにしていただけますか。

中山大臣政務官 これは法律でいいますと、三十条、三十二条にこのことがある程度規定されまして、他省庁との協議、つまり、環境省と協議をする、話し合いを緊密にやってくれというふうに規定されております。

 つまり、今、日本で一番自然エネルギーでポテンシャルの高いのは地熱です。これは世界第三位でございます。ところが、この地熱発電というのは、自然公園法であるとか温泉法であるとかいろいろなものがありましてなかなかできない。しかしながら、今はそういうことを乗り越えて、地熱発電の有効な自然エネルギーを利用しようということで環境省とも協議をすると。

 私も、実際、環境省の政務官レベルで、こういう話があるんだったらよく話し合いましょうと。急に温泉のお湯が出なかったとか、こういうことがあっては困るということでございます。あと、風力発電については、音が、低周波を招いて、環境的に非常に住む環境がよくない、こういうふうなこともございます。

 ですから、どの場所にやったら規制にかからないかとか、そういうことも協議しようということで、これは他省庁とのしっかりとした緊密な協議が必要だというふうに書かれております。

白石委員 ぜひ農水省ほか、まあ、国の機関は規定があるということで、地方公共団体にもその旨、つまり、許認可権限を持つところには協力してもらう、そういう規定を、読み込み、解釈ができるような形をお願いしたいなと思います。

 次に参ります。六番目でありますけれども、ピークカットについて。

 電気使用というのは、時間帯、特に一時から四時、そして曜日によって大きく異なるわけで、ピーク時の電力供給が非常にコストがかかる。そのために設備を維持しないといけない。そして、供給義務としても重いわけですね。

 では、電気をがんがん使うのはエアコンで、そういうときは、外はかんかん照りで、太陽光発電はがんがんに回るわけですね。つまり、そういうときに備えてこそ太陽光発電というのを使ってほしいということがあります。ということであれば、市場原理を働かせて、買い取り価格は時間帯別あるいは曜日別にしてピークカットに資するように誘導していくことも考えられると思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 ピークカットの考え方というのは大事でございますが、そのためには、それこそスマートメーターなどの開発が必須になろうかと思っております。ですから、私どももこれからスマートメーターの導入に向けてさまざまな補助をしていくつもりであるということはお話をしておきます。

 ただ、例えば時間帯によって買い取り価格を変えていくというふうなケースの場合、事業者の中からは、まだスマートメーターが十分に行き渡っていないような段階では、なかなか、その投資の回収が何年ぐらいでできるかというふうなことについて、不安定だ、見通しがつかなくなるというような指摘もありますから、これはあくまでもまさにこれからの課題としまして、特に、私どもとすれば、スマートメーターの導入というものをしっかり後押ししていきたい、こう思っております。

白石委員 初めが大事ですので、スマートメーター、要するに時計がついている電力計でありますので、これを最初からつけてもらう。そうでないと、次に新しい制度にレベルアップしようとしたときに、どうしてもそこで障害になってしまうということでありますから、ぜひその導入あるいは補助を考えていただきたい。一方、小売の方も、時計つきの電力メーターがあると、使う側も高い電気料金帯のときには使用を差し控えることによってピークカットができます。こういったことも考えていただきたいと思います。

 七番目ですけれども、この太陽光発電というのは、ピークカットに資する、エアコンを使っているときは太陽光もがんがん回るということで、電力会社さんにとってもピーク時の施設維持の負担が軽くなるということがあります。ということであれば、サーチャージの計算の上で、その分を差し引いて計算するということをお願いしたいんですけれども、その点、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 これも、将来の考え方としては一つあろうかと思います。あるいは、太陽光については、蓄電池の技術を推し進めるということも大切でございます。それから、太陽光が率先をして大量の電気を発電するということによりまして、そのほかの再生可能エネルギーによる発電量と相まって、全体に平滑化と申しますか、ならされますから、そういう中で、先ほどお話のありましたピークカットなどにも役立つことができようかと思いますが、残念ながら、今すぐにということではありませんけれども、これからの課題としてこれは大いに研究をしていかなければいけない。

 それから、今のお話で、気候と太陽光発電による出力との相関関係、これも詳しいデータをとらなければいけません。それについては実証的な分析を既に行っています。そういうデータも集めておりますので、これからの検討の課題になろうかと思います。

白石委員 サーチャージの計算というところは、前半の質問でも、非常に透明性をしっかり頼むということがありました。九条にもあらかた規定されているんですけれども、本当に大まかな規定でありまして、ほとんどは省令にゆだねられているということがあります。法律で、あるいは国会で決めるべきだという参考人のお話もありました。こういったことをしっかり外部のチェックができるような形で、サーチャージが納得できるようにしていただきたいなと思います。

 次に、八番目ですけれども、高品質電力需要者についてお伺いしたいと思います。

 私がイメージしているのは、精密な工作機械を使う工場であります。こういった工場は非常に波形のきれいな電気が必要で、周波数、電圧、アンペアが均一でなければならないというわけであります。そんな中で再生エネルギー、太陽光であれば、お日さんが照ったらばっと電力が上がって、陰ったらがっと下がる、こういった電気が入り込むことによってその均質性が乱されないか、こういったことが懸念されると思うんですけれども、その辺の配慮についてどのように考えていらっしゃるか、お願いします。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘のとおり、我が国の競争力の源泉、特にものづくりを初めとする産業の現場において、いかに今おっしゃったような安定して波形のきれいな電力が供給されるかということは致命的に重要だと思っております。マイクロレベルの加工をしたり、あるいはいろいろな高度な加工をするときにこの品質は非常に重要な問題でございます。

 現在は、残念ながら、需要というのは刻々と変化をいたしますものですから、こういった変化に対する対応といたしましては、主に石油、ガス等の火力を出力調整する格好でなるべくならしていく、こういうことで対応させていただいて周波数あるいは電圧の変化をクリアする、こういうことでやっているわけでございます。

 一方、きょう御議論いただいております再生可能エネルギーでございますけれども、できるだけいろいろなポテンシャルを生かしながらたくさん入れていこうということでございますので、一定の量が入ってまいりますと、御指摘のように今の乱れにつながらないとも限らないということでございまして、周波数の乱れとか電圧の上がったり下がったり、こういったいわゆる系統上の課題というのは非常に大きな課題になってまいります。

 先ほど部長答弁でもございましたけれども、いろいろな知恵を使っていただいて、いろいろなつなぎ方をするものですから、しかも、いろいろな供給者にもつなぐことができる。さっき潮流という話がありましたが、潮流はまだ研究段階でございますので、いずれ政令で指定するような時代が来るといいなと思っておりますが、そういうことがふえればふえるほどそういった対応が必要でございます。

 これから後の問題といたしましては、特に蓄電池の技術開発、それから、いわゆるスマートグリッドといいますけれども、双方向の通信を活用した系統側からの再エネの制御といいますか、こういったものは大変有望だと思っております。こういった技術開発を行うことによって、全体としてバランスのよい、波形の美しい品質の電力をたくさん使っていただけるような格好にしていきたいと思っております。

白石委員 再生可能エネルギーは、そういうデメリットもあります。だからといって参入者を意地悪するのではなくて、ぜひそういう前向きの建設的な形でそのデメリットを解消していただきたいなと。

 午前中の参考人のお話だと、ドイツでは優先接続をして、その辺の問題を考えるのは電力会社に課せられているということがありますが、そういう考えも一つでありましょうが、本当にスマートグリッドをみんなで考えるということが必要じゃないかなと思います。

 次が、学校、公民館についてであります。

 再生可能エネルギーを発電するのは、住宅や事業者だけじゃなくて、学校の屋根とか公民館の屋根、こういったところも考えられると思います。場所を業者さんに貸して賃料を取るだけじゃなくて、みずからそこで発電した場合、その売り上げ収入はちゃんと学校、公民館のものになると考えてよろしいんでしょうか。短く。

中山大臣政務官 簡単に言いますと、買い取り価格によるというふうに思います。

 先生はプロでございますので、投資をした分、どの程度で回収ができるかということだと思うんですね。ですから、四十二円、四十円、こういう高い金額で買い取るわけでございますので、それで何年たてば十分採算性がある。どのくらい、どこでお金を借りて、どこで金利の安い金を借りて、こうやるとか、いろいろお考えになれば必ず解決できる問題だと思います。あとは、償却とか税額控除七%もございます。

白石委員 そういうところは、学校とか公民館は非常に教育効果があるわけでありますね。近隣の公民館なんか、どういうふうにつけたか、みんなで相談し合ってやるということで、非常に知識が普及しやすいセンターになり得る。だからこそ公で補助していく。例えば補助金制度、太陽光パネルを買ったときの補助金制度、これもぜひこういったところには残すとか、あるいは税制、グリーン税制ですね、こういったものもぜひ継続していただきたいなと思います。

 その点について一言お願いします。

中山大臣政務官 今お話ししたように、買い取り制度ですから、できるだけ買った金額でやっていく。その採算性を、例えばNPOであっても何であっても、やはりそこは先生のようなプロが投資と回収の原則をしっかり教えてやっていただきたいと思います。

 それから、あとは補助金に関しては、またしっかりいろいろな議論をしていきたいと思います。

白石委員 わかりました。

 最後に、廃棄物の件についてお伺いしたいと思います。

 再生可能エネルギー、中でも太陽光パネルは、急速な普及を願う一方、それらはいつかは壊れるわけでありまして、廃棄しないといけない。このパネルというのは、ちょっと有害であるということも聞いております。家電については、家電リサイクル法によって廃棄の道筋をつくっているわけであります。このバックエンドをぜひこの分野についてもつくっていただきたいんですけれども、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。

中山大臣政務官 最後でございますが、これは大変重要なところでございます。

 先ほど佐藤理事からちょっとお食事をしているときに話を聞いたんですが、世界がこの新しい日本の制度を見ているんですね。どんどん太陽光のパネルを売り込もうと思っています。もしWTOにひっかからない程度だったら、粗悪品は絶対入れるべきではないと思うんですね。地球を汚したり、土壌を汚すというような結果になります。

 そういう面では、リサイクルは極めて重要な御指摘でございまして、できる限り日本製品が入ったらうれしいな、安全なものが入ればうれしいな、こういう気持ちでありますが、世界のルールもございます。そこら辺をうまく考えて、ぜひ日本の安全なパネルを入れていきたい、このように思っております。

白石委員 バックエンドのお話が終わったところで、これでエンド、ちょうど時間となりました。

 ありがとうございました。

田中委員長 以上で白石君の質疑は終了しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十一分散会


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