衆議院

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第18号 平成23年8月10日(水曜日)

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平成二十三年八月十日(水曜日)

    午後零時五十分開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 石関 貴史君 理事 北神 圭朗君

   理事 楠田 大蔵君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 谷畑  孝君

   理事 西村 康稔君 理事 佐藤 茂樹君

      石森 久嗣君    緒方林太郎君

      大西 孝典君    川口  博君

      川島智太郎君   木村たけつか君

      櫛渕 万里君    熊田 篤嗣君

      斉木 武志君   斎藤やすのり君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    平  智之君

      高松 和夫君    中山 義活君

      橋本  勉君    花咲 宏基君

      山本 剛正君    吉田おさむ君

      伊東 良孝君    梶山 弘志君

      近藤三津枝君    高市 早苗君

      西野あきら君    額賀福志郎君

      稲津  久君    吉井 英勝君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   経済産業大臣       海江田万里君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 細野 哲弘君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月十日

 辞任         補欠選任

  平  智之君     大西 孝典君

  橘 慶一郎君     伊東 良孝君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     平  智之君

  伊東 良孝君     永岡 桂子君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  永岡 桂子君     齋藤  健君

同日

 辞任         補欠選任

  齋藤  健君     橘 慶一郎君

    ―――――――――――――

八月九日

 中小企業支援の拡充に関する請願(吉井英勝君紹介)(第二二〇六号)

 同(吉泉秀男君紹介)(第二二八六号)

 地球温暖化対策を口実とする原発推進政策を見直し、原子力施設の万全な耐震対策と防災対策の緊急な確立を求めることに関する請願(吉井英勝君紹介)(第二二四四号)

 中小業者の暮らしと経営を守ることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二二四五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二四六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二二四七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案(内閣提出第五一号)

 電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま本委員会において審査中の内閣提出、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案並びに電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案の両案に対し、農林水産委員会及び環境委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明または意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、本連合審査会は、本日午後一時から第一委員室において開会いたしますので、御了承願います。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時五十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時二十七分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案並びに電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁長官細野哲弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。質問の機会をいただき、委員長、とりわけ野党の理事の皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。

 本委員会におけるこの再生可能エネルギー法案の質疑も十七時間を超えたところでございます。新しい時代を切り開くための大変大切な法案でございます。田中委員長の御差配のもと、参考人質疑、先ほどの連合審査、さらには、会期中ではございましたが、特段の重要性にかんがみて海外での調査も行ってまいりました。

 各党が真剣にこの法案に向き合い、野党の方々からは建設的な御提案もいただいているところでございます。もとより、国会は国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関であります。政府提出の法案を与野党がしっかり協議して、さらによりよいものにバージョンアップをさせるということは、議会制民主主義において正しい姿でもあろうかと思います。そうした観点から、本日は、政府の考え方を承ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、基本的な数値の話で恐縮なのですが、我が国の発電電力量に占める再生可能エネルギーの比率というのは、足元は、水力発電を除くとわずかに一%であります。水力を入れると九%。この数字を、現在のエネルギー基本計画では二〇三〇年に二〇%に引き上げるという計画を立てたわけであります。この計画は、実は私も政務官としてかかわり合いをさせていただきましたけれども、当時から相当厳しいな、しかし、やらなければいかぬなということでつくった計画であるわけでありますけれども、まず最初に、この二〇三〇年に二〇%に引き上げるという絵姿でありますが、この二〇%から水力発電を除くと、いわゆる太陽光、地熱、風力等々の再生可能エネルギーは何%になるという計画でございましょうか。お答えいただけますか。

海江田国務大臣 近藤委員にお答えをいたします。

 二〇三〇年の水力発電を除いた再生可能エネルギーの比率は、我が国の発電電力量のおよそ九・四%になると見込んでございます。

近藤(洋)委員 そうなんですね。すなわち、水力発電は余りふえない、こういうことで成り立っているわけであります。

 ですから、これは飛躍的に再生可能エネルギーをふやすという計画なのですが、この現行の計画に対して、菅総理は、二〇二〇年代のできる限り早い時期にこの二〇%を実現したい、こう発言をされているんですね。この意気込みと方向感というのは私も否定するものではありませんが、しかし、多少計画に携わった実感から申し上げますと、相当野心的というか、野心満々というか、現実を見詰めますと、大変難しい大きな目標を掲げられたと思うわけであります。

 大臣は、まさに現場を預かるお立場として、この二〇二〇年代のできる限り早い時期に二〇%ということについて、いかがお考えでありましょうか。

海江田国務大臣 これも当委員会で何度か御答弁をしておりますが、この買い取り制度を通じて二〇二〇年までに一二・五%ということでございますから、菅総理がおっしゃられたのは、二〇二〇年代のできる限り早い段階で二〇%、できる限り早い時期というのが何年かというのはまだ定かではありませんが、一般的に考えれば、二〇二三年とか二二年とか二四年とか、そのあたりではなかろうかというふうに考えておりますので、そうしますと、二〇二〇年で一二・五%ということから申し上げますと、先ほど委員が表現されました野心的な目標だということは、私も同感であります。

 ただ、それこそボーイズ・ビー・アンビシャスではありませんが、大志を抱かなければいけないわけでございますから、私も及ばずながら大志を抱こうかな、こう考えております。

近藤(洋)委員 好意的に解釈をすれば、新しい時代を切り開くためにジョン・F・ケネディがアポロ計画を打ち上げたように、そういう思いを述べられたんだろう、こう解釈しますが、同時に、これを実現するためには政策を総動員しなければいけない。例えば、もちろん今回の再生可能エネルギー法案の成立は必須でありますけれども、あわせて、立地規制の緩和であるとか、例えば建築基準法の議論であるとか、さまざまな再生可能エネルギーを導入するための措置を実行しなければいけない。まさに省庁の枠組みを超えてぜひ大臣に取り組んでいただきたいし、その道しるべを示していただきたいな、こう思うわけであります。

 先ほどの連合審査でも議論がございましたけれども、再生可能エネルギーの導入は、立地規制、立地条件の緩和とあわせて、技術のブレークスルーというのも重要だろう、こう思うわけであります。とりわけ大事なのは蓄電池であります。蓄電池自体は、コストもまだ高いですし、性能も十分とは言えない。この分野は日本が世界をリードしております。しかし、技術開発競争は世界で激しさを増しておるわけでありますから、ここは相当力を入れて技術開発を進めるべきだ。

 三次補正の議論は新体制でということでありますけれども、この法案の成立をにらみながら、蓄電池の高度化に向けて、大臣、旗を振り続けていただきたいと思いますし、宣言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

海江田国務大臣 ありがとうございます。

 この再生可能エネルギーの導入に当たって、特にその拡大に当たって大事な点というのは、幾つかこの再生可能エネルギーの問題点として従来指摘をされました点がございます。特に系統に売っていくわけでございますから、系統に入っていく上での課題としましては、余剰電力が発生をするときもあるということ、それから、周波数の乱れ、電圧の上昇などが考えられるわけでございます。

 まさに、こうしたときに活躍をするのが蓄電池だと思います。それから、蓄電池を中心としたいわゆるスマートグリッドということになろうかと思いますので、今回の買い取り制度と同時に、こうした蓄電池の技術の革新、あるいはスマートグリッドの本格的な導入というものは私は不可欠だというふうに考えておりますので、そうした方向、そうした旗も掲げて前に進んでいかなければいけないと考えております。

近藤(洋)委員 大臣がおっしゃったとおり、蓄電池の技術開発とスマートグリッドのお話とあわせて、やはり大事なのは連系線だと思うわけであります。送電線網や連系線の強化が非常に重要だ。

 特に北海道と東北の連系線ですね。北海道は風力発電の大変有望な地域であります。また、東北も大変風の強い地域であります。ここの連系線を、残念ながら今は非常に細くなっているわけでありまして、特に風力発電を考えるときには、ここの部分、北海道―東北の連系線を今以上に強化することが極めて大事になってくる。

 北海道―東北に限らず、東京電力管内と東北電力管内は比較的強いわけでありますけれども、とりわけ北海道―東北、さらには東と西の議論もございます。ぜひここの増強について具体的な計画も打ち出し、進めるべきかと思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

海江田国務大臣 まさに委員御指摘のとおり、これは、北海道と東北の連系線、連系設備の増強というのは、本当に喫緊の課題だろうと思います。きょうも東北電力の管内では電力の需給が大変逼迫をしているという情報もございまして、そうしたときにお互い融通し合えるということは、大変大切なポイントであろうかと思っております。

 この連系設備の増強につきましては、本年の五月、電力系統利用協議会、ESCJと申しますが、ここから、特に北海道と東北の間の連系線の三十万キロワットの増強に向けた提言が行われておりますので、この提言を具体化していくことが大切だろうと思います。

 この北海道と東北だけじゃありませんで、全国的な電力融通体制の充実、増強というものが必要でございますので、それにはかなり建設コストもかかります、その建設コスト、それから、期間、そのお金をどこから持ってくるのか、とりわけ国費をどうするのかという課題がございます。国費を投入した場合の費用対効果の問題、こういった問題をしっかりと検討していきたい、こう考えております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 これは非常に大事なところでございまして、また後ほど御質問させてもらおうと思うんですけれども、この費用負担をどうしていくのかというのは大事なポイントかと思うわけであります。こうしたことを一つ一つ詰めていかないと、なかなか現実としては進まないので、我々も今後の議論に参加をしていきたい、こう思うわけであります。

 あともう一点、大事な点でありますが、先ほどの連合審査でも指摘を受けておりましたが、私も伺いたいと思うわけであります。

 今回の法案では、電気事業者は再生可能エネルギー発電設備を電力系統に接続する義務を負うことが法文に明記をされております。しかしながら、例外的に接続義務が免除される場合もある。この例外とは何ぞやということについては、先ほど連合審査で中山政務官もお答えをされておりました。できるだけ広げるという観点からは、本来、例外規定がない方がいいんじゃないかという御意見も他党からございました。

 私は、これは個人的な考えですけれども、例外規定はある程度あってもいいんだろう、個人的にはこう思うわけでありますけれども、さはさりながら、できる限りここは限定的にするべきだろうと。そして、再生可能エネルギー発電を行うさまざまな人たちが今回の制度に参加することがその趣旨にのっとったものだろう、こう思うわけであります。

 そして、この規定は省令において定められる、こう法案に明記されております。悪魔は細部に宿るとは言いませんが、なかなか政省令の議論は法案審議では付されないわけでありまして、ここは政省令で決まるということになっておりますけれども、ここで改めて確認でありますが、この政省令で決められる例外規定というのは、まさに、あくまで例外で定めるようにすべきである、この国会の場できちんと御答弁をいただきたい、こう思うわけですが、これはエネルギー庁長官、細野長官、よろしくお願いします。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど来の審議の中でも、大臣政務官からも繰り返し御答弁申し上げました。おっしゃるとおりでございまして、せっかくの再生可能エネルギーをできるだけたくさんつくっていただいて、できるだけ系統に流そうという試みでございますので、四条の契約の申し込み、五条の接続の要請については、原則として全部受けるということが基本でございます。

 例外的にこれこれの場合ということで規定を設けておりますけれども、委員おっしゃるように、あくまでも限定的なものでございまして、それにつきましては、省令の中でもまさに限定的である実をあらわしたものにしていきたいと思っております。

 具体的には、いろいろな周波数とか電圧の維持等々が問題になるわけでございますけれども、せっかく接続をしたいという人が、そういった周波数の変化とか電圧のフラクチュエーションを回避できるというふうなことでちゃんと手当てをした場合には、当然のごとくつなぐということをのりとしていきたいと思っております。

 ただし、何度も申し上げますけれども、初めての制度でございます。非常に不安定なエネルギーを系統に入れるということでございますので、いろいろなトラブルも想起されないわけではございません。したがいまして、接続ルールの明確化、あるいは一たん紛争が起こりましたときの紛争処理に当たる機関として、先ほど御紹介ございました電力系統利用協議会の機能を強化するということを行いますし、万が一、電気事業者が変な形で、恣意的にといいますか、これを拒むというふうなことがあった場合には、経済産業大臣が立入検査をしたり勧告、命令をしてこれを正していくということを予定してございます。

 いずれにしましても、系統の接続ができるだけ円滑に進むことによって、再生可能エネルギーができるだけたくさん活用できるようにと期待をしております。

近藤(洋)委員 事務方のトップとして明確に御答弁をいただきました。ぜひそういう方向で政省令をきっちりつくっていただきたい、こう思うわけであります。

 細野長官は、こうやって国会で私に答弁をしていただくのは、多分きょうが最後になるんじゃないか、こう思うわけでありますが、ラストサムライといいますか、言ったことはきっちりやるお役人だと思って大変敬愛をしておりましたが、きちっとお答えをいただいたので、そういうことで政省令がつくられるのだろう、このように思うわけであります。

 長官、これは通告にないので、どこまでお答えいただけるかなのですが、御経験をもとにお答えいただければと思うんです。申しわけありません。

 再生エネルギー法の議論の中で、発電と送電を分離すべし、こういう議論があります。一部の野党の方からも強く主張をされております。私は、この発送電分離の議論というのは、それは昔からある議論でありまして、御案内のとおり、十数年ほど前でしょうか、電力自由化の際もこれは相当議論があったわけであります。

 私は、この議論の是非をとやかく言うつもりはないのですが、ただ、留意しなければいけないのは、先ほど大臣に御答弁をいただきました、系統をしっかりつながなければいけない、そのための費用負担を国もある程度持たなきゃいけない。この送電網を強固にしなきゃいけない、こういう目的が一つあるわけですね。要は、再生可能エネルギーをふやせばふやすほど、発送電網というのはきちんと強固なものでなければいけないということがある。

 もう一つは、公共財として、要するに、先ほど長官がお答えいただいたように、いろいろなものを全部受けとめる、受けとめるということは、これは公共財であります。すなわち、強固な送電網と、公共財としての送電網という、この二つの目的を、今、再生可能エネルギーを普及させるためには必要だとするならば、果たしてこれを電力会社から切り刻んでその目的が達成できるんだろうかという議論もあろうかと思うんですね。

 要は、一つ考えると、巨大な会社はよくない、巨大な会社があるから受けとめられないんじゃないかという空気。もっと言うと、今回、東京電力が大変な事故を起こした、天災ではありましたけれども、その後もいろいろ対処が間違っていた、これはやはり巨大会社だからいけないんじゃないか、これを壊さなきゃいけないんじゃないか、そういう空気で発送電分離議論が出ている部分もあろうかと思うんですね。

 ですから、本当に再生可能エネルギーを普及させるためにどういう送電網が必要なんだという冷静な議論は、やはりここは腰を落ちつけてすべきなんじゃないか。私は、発送電分離の議論をはなから否定はしません。それは一つの見識だろうとは思いますが、要は、再生可能エネルギーを爆発的に普及させるためには、一体どういう送電網が必要なんだという議論はきちんとあっていいのではないか、このように思いますが、今後、どういう場で議論されるんでしょうか。総合エネルギー調査会なのか、政府内でどういう場なのかわかりませんけれども、事務方として、長官、私見でも結構ですが、どのように受けとめなのか。私の発言に対しての御感想でも結構です。もし大臣がお答えをいただけるなら、それでも結構ですが、長官、よろしくお願いいたします。

細野政府参考人 まことに恐れ入ります。

 果たしてこういうところで御答弁申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、おっしゃるように、発送電分離というのは、これまでの電力の自由化を進めるいろいろな節目節目で必ず一回は出てくる議題あるいは話題でございました。

 おっしゃいますように、今、幾つかに分かれている電力会社をそのままにしておくのか、それから、電力と配電と送電、小売も含めてでありますが、いろいろな機能があるわけでございますが、全体としてどういう形が一番望ましいかというのは、問題の設定によって全くその手段は変わってくるわけであります。当然のことだと思います。

 現在、東電も含めまして、従来にない状況になっているわけでございますので、まさに大臣ほかが御答弁申し上げているとおり、これは抜本的な見直しをしなくちゃいけないということでございますので、ぜひそれは議論をしていただいたらいいと思います。

 ただし、私は、個人的な意見を言うのは適当ではないと思いますが、エネルギーの供給あるいは発電の問題は、この国の姿、形にかかわる問題だと思っておりますので、余り近視眼的な発想だけで物事を考えちゃいけないんだろうと思います。恐らく、公共財としてのネットワーク、それにどういう格好でつなぐか、つなぐ人がどういう費用負担で、どの責任でその電力をつないでいくか、こういうことは全部相関関係で考えなくちゃいけないと思っております。

 したがいまして、こういった大きな話題については、経済産業省はぜひこれから議論していかなくちゃいけないと思います。総合エネルギー調査会も、間もなくその議論を始めようと今段取りをしております。ぜひオールオーバーな議論をしていただいて、後になって、あそこで、いや、ちょっとやり過ぎちゃったなというようなことにならないような議論を、ぜひ先生方の御意見も賜りながらいろいろさせていただければと思います。

 非常に分不相応な申し上げ方で恐縮でございます。

近藤(洋)委員 いや、大変御見識のある御答弁をいただいたと思っております。

 この議論というのは、要するに国の全体のシステムの問題だと思うんですね。ですから、こうした未曾有の大震災を受けて、いろいろなことをそれぞれが感じて判断をする。ただ、やはり国のありよう、システムのありようという中長期の視点は忘れてはいけないわけでありまして、別に昔を思い起こすわけではないですけれども、時にして我が国はいっときのムードで大変ミスを犯すことが、歴史上、さまざまな政策の中であったと思うんですね。

 いい悪いは抜きにして、例えば、私の例で一つ言うと、BIS基準の議論なども、それはいろいろな識者がありますけれども、いっときどおっと進めてしまって、日本の金融が本当にあれでよかったのかという議論は、今にしてもまだあるところだと思うんですね。

 エネルギーというのは、金融と同様に全体のシステムでありますし、それは国の根幹でありますから、予断なく、タブーなく、聖域なく議論をするのは必要でありますけれども、そういった観点で今後も議論を深めていきたい、こう思うわけであります。

 話がずれましたが、そういう中で、今回の法案については、これもたびたび本委員会でも議論がされましたけれども、再生可能エネルギーの買い取り価格の決定、これは極めて重要であります。どのような決定になるのか、これは見方を間違うと大変な、参入企業からしてみると生死を分かつような決定にもなるわけですし、国民負担にも直結する議論でありますし、納得感といいましょうか、透明感といいましょうか、ここが非常に重要になろうかと思うわけであります。

 とりわけ、この価格決定に当たっては透明性というのが非常に重要だと思いますけれども、その透明性の担保について、現時点での政府のお考え、仕組みを御説明していただきたい。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 買い取り価格をどのように定めるかというのは、この制度の肝であると思っております。

 何度も御答弁を申し上げておりますが、これを供給するに必要な設備について幾らかかるか、そういう客観的なデータ、あるいは、どれぐらい需要がそれについてくるかということについての客観的なデータ、常に客観的なデータをベースにするということは当然でございます。

 それから、決め方でございますけれども、これも再三御審議いただいておりますけれども、当然のことでございますが、公開された場で、審議会等の公開された場で、より中立性の高い有識者による検討をしていただいて、さらにパブリックコメント等を行うということで、極めて透明性の高い格好でこの検討プロセスが進んでいく。もちろん、決定をいたしましたら、速やかに公開するということは言うまでもございません。

 いずれにしましても、これはどんどん技術革新とともに、価格についても見直しをしていくことがたびたびあろうかと思います。多分、毎年度見直すことになろうかと思いますが、そのすべてのプロセスにおいて、今申し上げましたような透明性のある形でぜひ進めさせていただきたいと思っております。

近藤(洋)委員 ここは長官の御答弁を疑うわけでは全くありません。ただ、非常に大事な部分でございますので、今の政府のその考え方が本当にいいのか。野党の方々からの御提案もいただいているところでありますので、そこはやはりより透明性の高い仕組みというものについて、きちんと国会としても、この委員会としても議論が相当深まったところであります。野党の方々の御提案も含めながら受けとめて、最終的な判断をしなければいけないんじゃないかということも申し上げていきたい、このように思います。

 最後の質問にさせていただきたいと思います。

 今回の法案も、私はまずスタートを切ることが極めて大事だろう、大臣からもそういう趣旨の御答弁をいただきました。各国を見ても、試行錯誤を繰り返しているわけであります。これも日本人の悪い癖で、同僚の北神圭朗議員の言葉をかりれば鹿鳴館経済学というのでしょうか、要するに舶来物をやたら気に入る。したがって、ヨーロッパでこれを導入しているからはいはい、アメリカで導入しているからはいはい、こういう形で繰り返してきた歴史があるわけでありますが、やはりヨーロッパも、委員長以下御視察をされたように、いろいろな試行錯誤を繰り返して、必ずしもすべてが正しいと……。ドイツはドイツの風土に合わせて、スペインはスペインの風土に合わせてと、失敗の経験もしている。その失敗を踏まえて我々は制度をつくらなきゃいかぬ、こういう思いであります。

 したがいまして、この見直し規定、現在三年となっておりますけれども、具体的には、例えば一年短くして二年程度で見直してみるということも一つの案かと思いますが、政府において、長官の御見識はいかがでしょうか。それを伺って、質問を終えます。

細野政府参考人 お答えを申し上げます。

 附則の六条には、御指摘のとおり「少なくとも三年ごとに、」というふうな規定が設けてございます。まさに文字どおりでございまして、導入量の実態、あるいは見通し、関係施設の技術にかかわる進捗等々、場合によりましたら家庭から産業に至るまでの負担の状況等も踏んまえて見直しをしていくわけでございますが、当然のことでございます、少なくとも三年でございますので、三年を待たずして、例えば二年の後に制度を見直すということは、決して排除はされていないわけでございます。状況が動けば、それに応じた見直しを行うということが本旨かと存じます。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 最後に一言。細野長官、御答弁ありがとうございました。海江田大臣をきっちりお支えされて、これまで大変厳しい環境の中でエネルギー行政を引っ張ってこられたことに心から敬意を表しまして、質問を終えたいと思います。

田中委員長 以上で近藤洋介君の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十八分散会


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