衆議院

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第2号 平成23年10月26日(水曜日)

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平成二十三年十月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 吉田おさむ君

   理事 石関 貴史君 理事 吉良 州司君

   理事 近藤 洋介君 理事 田嶋  要君

   理事 中山 義活君 理事 梶山 弘志君

   理事 菅原 一秀君 理事 佐藤 茂樹君

      井戸まさえ君    大畠 章宏君

      加藤  学君    柿沼 正明君

      川口  博君   木村たけつか君

      北神 圭朗君    斉木 武志君

      柴橋 正直君    平  智之君

      高井 崇志君    高松 和夫君

      中後  淳君    花咲 宏基君

      平山 泰朗君    藤田 大助君

      牧野 聖修君    松岡 広隆君

      山崎  誠君    山本 剛正君

      渡辺 義彦君    北村 茂男君

      近藤三津枝君    高市 早苗君

      橘 慶一郎君    西野あきら君

      西村 康稔君    額賀福志郎君

      江田 康幸君    吉井 英勝君

      山内 康一君

    …………………………………

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   経済産業副大臣      牧野 聖修君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   文部科学大臣政務官    神本美恵子君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 高原 一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     深野 弘行君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  櫛渕 万里君     柿沼 正明君

  柴橋 正直君     高井 崇志君

  谷畑  孝君     北村 茂男君

同日

 辞任         補欠選任

  柿沼 正明君     櫛渕 万里君

  高井 崇志君     柴橋 正直君

  北村 茂男君     谷畑  孝君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

吉田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として経済産業省製造産業局長上田隆之君、資源エネルギー庁長官高原一郎君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長深野弘行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本剛正君。

山本(剛)委員 おはようございます。民主党の山本剛正でございます。

 きょうは十五分の質問時間をいただきまして、本当にありがとうございました。私は直球を投げますので、枝野大臣にはすべてホームランで打ち返していただきたいというふうに思います。

 先日の所信で、大臣は来年の夏ごろまでにエネルギー基本計画の策定をというお話をまずされておられました。非常に大事なことだと思いますが、この策定までのロードマップをぜひ御説明いただきたいというふうに思います。

枝野国務大臣 直球でお答えをさせていただきます。

 エネルギー政策については、政府全体として、エネルギー・環境会議がございまして、来年夏をめどに革新的エネルギー・環境戦略を取りまとめる方針になっております。

 そうした全体の枠組みの中で、エネルギー基本計画については、十月三日から総合資源エネルギー調査会において議論を開始したところでございます。

 今後は、エネルギーの新たなベストミックスについて、エネルギー・環境会議と連携しながら、透明性を持って国民的な議論を行い、まず年末ぐらいをめどに基本的な考え方を提示できればと思っています。そして、来年の春ごろには選択肢をお示しし、夏ごろには新たなエネルギー基本計画を策定し、政府全体としての革新的エネルギー・環境戦略に反映させていきたいというふうに考えております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 エネルギーの話は、原発の事故に端を発して、再生可能エネルギーとかいろいろ出ていますけれども、短期と中期と長期の問題がごっちゃになっている嫌いがちょっとあるような気がするんですね。

 その中で、喫緊の、短期の電力不足というものに対しての対応という考え方の中で、私は、残念ながら化石燃料というものがちょっと軽んじられているような気もいたします。ただ、化石燃料、特に石油は連産品でございますから、すべての、例えばLPガスからアスファルトまで、いろいろな需要のバランスを考えながら考えていかなければならないんじゃないかなというふうに思っております。例えば、アスファルトの生産、日本の道路計画がどうなっているのかということを照らし合わせてその基本計画を考えていくということも、私は一つの考え方なんじゃないのかなというふうに思っております。

 続きまして、ちょっと時間もないので、自動車関連諸税について御質問をいたします。

 旧来よりこれは大変複雑なものでございまして、これはもう御承知のとおりでございます。また問題も、タックス・オン・タックスであるとか、一般財源化によって課税根拠を失っているとか、いろいろなことがあるんです。また、自動車関連諸税というのは七色のにじのような税金でございまして、これをとにかく何とかしなければならない。ことし、経産省はこれの廃止を目指しているということでございますけれども、私も大いに賛成をいたしております。

 これは、ただ産業界のためとかだけではなくて、やはり国民負担の軽減という問題が一番重要なものだと思っておりまして、日本の景気浮揚のためにぜひ実行するべきだというふうに思っておりますけれども、大臣の意気込みをぜひお聞きしたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘いただきましたとおり、自動車関連諸税は、自動車産業にとっての問題ということを超えて、ユーザーの皆さんにとって、そしてもう一つは、今日本の自動車産業の置かれている位置を考えますと、大変広いすそ野の中で、輸出については円高を初めとして大変厳しい状況にある。この自動車産業が、国内市場で一定の市場、マーケットを確保することができませんと、本当に急激な空洞化によって、雇用であるとか、日本社会全体に大変大きな打撃を与えることになるというふうに考えております。

 したがいまして、そうした日本の社会経済全体の構造から考えても、国内の市場をしっかりと喚起していくという観点が大変重要だと思っておりまして、そのためには、税の理屈からいってもなかなか合理的な説明がつきにくいこの自動車関連諸税については、大胆に見直すことによって国内市場の活性化を図ることが重要であるというふうに思っております。

 経済産業省としては、自動車取得税、自動車重量税の廃止など、思い切った税制改正要望を行っているところでございます。これから税制調査会で積極的に議論をしてまいりたいというふうに思っておりますが、山本委員初め委員の皆さんの応援をお願いできればというふうに思っております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 雇用の側面からも、景気浮揚は本当に大事なことだと私は思っております。あと、ナフサとか原料の本則恒久・非課税とあわせて力いっぱい進んでまいりたいというふうに思っておりますし、私もあらん限りの力をこれに注いでまいりたいというふうに思っております。

 ちょっと、車の環境が変わる話。EVとかそういったものが普及をしてくると、例えば車検とか日常の整備、整備士の資格の問題とか所管官庁とか、こういったものが大きく変わってくるような気が私はするんですね。これをどういうふうに考えているのか、ちょっとお伺いしたいというふうに思っております。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりかと思います。この電気自動車等々の次世代自動車の普及促進ということに伴いまして、さまざまな環境が変わってまいります。私ども、まずは車両の導入、それから充電器等のインフラの整備というものの補助事業等々、そういった導入促進に努めていくということでありますが、あわせまして、さまざまな制度的な課題も含めて、環境整備といったものをしっかりやっていく必要があると思います。

 例えば、私ども既に、車に搭載する蓄電池の性能の評価をどうするかといったようなこと、あるいは電事法の中の、充電設備を設置するための契約のあり方がどうあったらいいかというふうなことの見直しを進めておりますし、また、他省庁におかれても、改造電気自動車の信頼性の確保に関するガイドラインであるとか、ガソリンスタンドに充電設備を設置する際の消防法上の取り扱いであるとか、さまざまなことが検討されております。

 しかしながら、電気自動車は、お話しのとおり、まだ導入の初期段階でございまして、これらの導入に伴いまして、さまざまな制度的な課題も含めて顕在化していくことが想定されるわけであります。私ども、そういった場合には、制度面も含めて諸課題の把握に努めまして、また関係省庁とも連絡しながら、適切な対応に努力をしてまいりたいと思う次第であります。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 今までは、ガソリンをガソリンスタンドで入れることによって、そこの店員さんがタイヤの摩耗であるとか、オイルの交換であるとか、自動車の整備というのはなかなか個人だけでは行き着かないところがたくさんあると思うんですね。そういったところをフォローできていたものが、例えば家で充電をしますとか、なかなか整備をしていかない中で、事故の危険性というのも上がっていってしまうのかもしれない。だから、今、車検は二年だけれども、これを例えば簡易点検という形で半年に一遍にするとか、いろいろなことをこれから考えていかなきゃいけないと思うんですね。

 ただ、EVは大事だとか、蓄電池は大事だ、充電池は大事だとかという話ばかりで、そちらの方が残念ながら少し議論としては足りないような気が私はしているんです。ですから、やはりこれは国民の安心、安全を守るという観点からも、ぜひ真剣に議論を進めていきたいというふうに思っております。

 それでは、私のライフワークでもございますクール・ジャパンについてちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 ライフワークというのもどうかと思いますが、大臣にも所信で触れていただきまして、私は、日本の経済成長を考えるに当たって、このクール・ジャパン事業というのをどう見ているのかということをぜひ伺いたいと思っているんです。また、その進捗状況もあわせてお答えをいただければというふうに思っております。

枝野国務大臣 私も、クール・ジャパンという視点といいますか問題意識を持って日本の産業、経済を考えていくということは大変重要だというふうに思っております。アニメや漫画といういわゆる典型的な部分から、食文化、宅配便、旅館、伝統工芸品など、日本の商品やサービスについて大変国際的にも人気の高い部分というのは多々ございます。したがいまして、新成長戦略の中においても、二十一の国家戦略プロジェクトの一つとして位置づけられております。

 また、経済産業省としても、産業構造審議会に新産業構造部会を設けまして、国内の潜在需要の掘り起こしとグローバル需要の取り込みに向けて、クール・ジャパンについて重要な戦略分野の一つとして御議論をいただいているところでございます。日本の強みであるファッションや食、地域産品、コンテンツ等の分野で十三の海外展開プロジェクトを立ち上げ、海外市場獲得の取り組みを支援しております。

 また、私自身、就任直後九月にシンガポールを訪問しまして、ヤコブ・イブラヒム情報通信芸術大臣との間で、シンガポールとの二国間のクリエーティブ産業分野での協力関係強化についての共同声明を発出したところでございます。

 国内で最初に視察いたしましたのは江戸染物の業者さんのところで、ここもうまくいろいろと工夫をされて、ヨーロッパで江戸小紋のスカーフであるとか、あるいは小物をつくってちゃんと売れているとか、それから先日、IEAでパリに伺いましたら、固有名詞を出していいのかどうかわかりませんけれども、現地の虎屋さんも何十年も御商売をされていて大変人気がある。

 本当に私たちの身近なところに、我々が気づかない、魅力のある、クール・ジャパンにつながる芽が、種があると思っておりますので、そうしたものをしっかりと掘り出すとともに、そうしたものが海外展開できるような後押しについて、さらに充実してまいりたいというふうに思っております。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 私は、これが日本が変わるものだというふうに認識しているんです。初めてこの話を聞いたときにこれだと直観して、私はそれ以来取り組みを進めているんですけれども、世界が共感する日本、世界の才能が集積する国日本というものをぜひ目指して確立をしていかなければならないというふうに思っております。

 しかしながら、クール・ジャパンは海外に向けての発信だけじゃだめなんですね。やはり若者が、例えばその可能性を見出すためにとか、内需を生み出す力を持っていると思いますけれども、その内需についてはどういう戦略かというのをちょっと教えていただきたいと思います。

北神大臣政務官 かつては「セブンティーン」の雑誌の表紙を飾られた青年モデル、山本議員にお答えをしたいというふうに思います。

 クール・ジャパンを体現されているということで、今の御質問は、外需獲得のみならず内需の獲得、特に若者の雇用に御関心があるという話ですが、当然これについても伝統工芸品の取り組みとか、あるいは観光誘致、こういったものを通じて、若者にしっかりと新しい雇用と活躍の場を提供していきたいというふうに思っております。

 一つだけ事例を申し上げますと、今度東京で、アジアのクリエーティブ拠点とするために、クリエーティブ東京フォーラムというものを十一月の四日にやることになっていまして、そこで、まさに若手のデザイナーとかアニメとかのクリエーターに光を当てる、そして内外からもいろいろな若い人たちを呼び込んで取り組んでいきたいというふうに思っております。

 こういう一つの事例ですが、地域の特色とかそういうものを生かして、クール・ジャパン戦略を推進していきたいというふうに思っております。

山本(剛)委員 政務官、ありがとうございます。ちょっと間違った御認識を、表紙ではなくて中身に出ております。大変恥ずかしい過去が暴露されてしまったわけですけれども。

 日本の強みの一つに、アレンジ力というのがあると思うんですね。あらゆるものを日本人のアイデアでアレンジをして、これをさらに便利に使いやすくしていく、それで世界に認められていく。例えばはし。日本で使っているはし。中国のはしはやはり真っすぐなんですね。先をとがらさせたのは日本人なわけですよ。それでつかみやすくして、これは使いやすいなというものにしているし、そのはしが芸術品になっているというのも、私は日本人のすばらしいアイデアだなというふうに思っております。

 世界には星の数ほど才能というものがあるわけです。日が当たるのはほんのごく一部で、あとは埋もれていると言ったら変なんですけれども、どこに行っていいのかわからないというのが現実であると思います。

 そういう才能が、日本に来れば何とかなる、日本に来たらどうにかしてくれる、とにかく日本を目指そうじゃないかといって来てくれたら、日本が常に世界をリードできる一つの要因になるというふうに思っておりますし、そのプラットホームを整備することがこの経済産業省のクール・ジャパン事業であるというふうに私は思っております。

 これは、定量的な効果というのがなかなか出にくいんです。役所の皆さんは、定量的な効果がなければ、なかなか予算というのはつきにくいという部分もあるかもしれません。

 しかしながら、これは日本を変えるんです。日本が劇的に、安定した成長、そして持続可能な成長を実現するために、ぜひ大臣、先頭に立って力を入れていただきたいというふうに思いますし、十一月四日のクリエーティブ東京、これにも御参加をいただいて、大臣の意気込みをその場で語っていただければ、私はありがたいなというふうに思っております。

 このクール・ジャパンは、文化とか芸術だけじゃなくて、農業も工業も、さまざまな分野ですべての可能性があると思っておりますので、私はぜひ大きな力を注いでまいりたいというふうに思っておりますし、大臣にも、政府の皆さんにも、そして役所の皆さんにも、そして議員各位の皆さんにも力を注いでいただくことを心から懇願を申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 本日はまことにありがとうございました。

吉田委員長 次に、菅原一秀君。

菅原委員 おはようございます。自民党の菅原一秀でございます。

 衆議院に当選して九年目でございますが、経産委員会で質問をするのは実は初めてでございまして、よろしく御指導のほどをお願い申し上げたいと思います。

 まず、質問に入る前に、二点申し上げたいと思います。

 さきにトルコで大変大きな地震が起きました。亡くなられた方々に心から哀悼の意とお悔やみを申し上げるとともに、御遺族の方にお見舞いを申し上げる次第でございます。

 また、時を同じくして、タイで大変な洪水が起きました。我が国の企業も大変被害を受けているわけでございますが、タイ国民の皆様に対するお見舞いを重ねて申し上げる次第でございます。

 もとより、三・一一以来七カ月がたったわけでございますが、今なお避難生活を余儀なくされ、また、自主避難という形であったとしても、遠くふるさとを離れ暮らさざるを得ない、こうした皆様に本当にお見舞いを申し上げますとともに、重ねて、当委員会を初めとして国会の場で、その救済措置、そしてまた原発の収束、そして放射能対策、万全を期してやっていかなければいけない、このことを改めて思うわけであります。

 もう一点は、こうした大震災、原発事故が起きて、ややもすれば経産省全体が萎縮してしまっております。私は、あえて萎縮するなと申し上げたい。日本の経済を再生させ国民生活をしっかりと牽引する、次代にこの国をしっかりと引き継いでいく、そういう意味においては、経産省の役割は極めて大きい、こう思っておりますので、省全体に対してこのことを冒頭申し上げたい、こう思うわけであります。

 そこで冒頭、大臣にお尋ねをしたいと思います。

 国内外の課題が山積する中で、このたび、枝野大臣は日本の経済全般をつかさどる経産大臣に就任をされたわけでありますが、当初、就任に当たっていろいろな発言がございました。その点についてちょっと懸念をするものでありますから、あえてたださせていただきたいと思います。

 九月十二日、就任の会見の際に、大臣は、これから本当は充電期間であって、それが国のためにも、民主党のためにも、私自身のためにもというふうに考えておった、こういったくだりがありました。にもかかわらず、大臣をお引き受けになった。

 あわせて、その就任の前日でしょうか、野田総理からこの経産大臣の要請を受けた際に、私自身、人口が減少する社会にあって大きな経済成長はないだろう、そういった持論が私の持論であるけれども、それでもいいのかと。もっとも、野田総理もそれでいいと答えているわけなんですね。

 まさにピンチをチャンスに変えて、この究極の今の日本経済、財政、金融、これをしっかりと立て直していくためには、やはりこのようなネガティブな発言は国内外に対する極めてネガティブなメッセージに伝わってしまいかねません。あるいは、それぞれ為替等々含めていろいろ懸念される、こう思っております。

 ある意味ではこういう条件を総理に申し上げながら就任をされた、この点の真意をちょっとお尋ねしたいと思います。

枝野国務大臣 二つのお話があったかなと思いますが、まず一つは、私自身、この一月から七カ月半ほど内閣官房長官を務めさせていただきまして、特に震災以降はその立場でさまざまな仕事をさせていただきました。

 もう委員も御承知のとおり、我々国会議員、政治家は、与党であったり、野党であったり、あるいはそれぞれの党、政府などの中で、表の仕事といいますか、大変国民の皆さんの目につきやすいところで仕事をする局面と、地味に、目立たないけれどもしっかりと仕事をしていくという局面と、いろいろな局面があって当たり前だし、当然だろうというふうに思っております。

 そうしたことの中で、特に震災以降半年ほど、大変国民の皆さんから注目される仕事をさせていただいたということがございましたので、できればむしろ裏方の立場で仕事をさせていただく方が、全体のバランスとしても、それから私自身としてもいいのではないかと非常に率直に思いました。

 そのことについて就任の会見の折に若干申し上げたものでございますが、同時に、特に原発事故などを含めて大変厳しい状況の折に、みずからも選んだ総理大臣から、おまえがやれということの御指名をいただきましたので、それならば一生懸命やらせていただきますということでお引き受けをさせていただきました。

 それから、いわゆる成長の話についてでございますが、就任に当たって条件をつけたということは、若干ニュアンスが違っているかというふうに思っております。経済全体について、特にマクロの大きな見方についての私の考え方は就任に先立って総理にはお伝えをいたしました。

 それは、確かにネガティブと受け取られるかもしれませんが、日本は明治維新以来、特に戦後の復興、高度成長という時代に、二けた成長の時代を含めて、大変急激に経済、マーケット、さまざまなものが拡大をしてまいりました。ややもすると、何かもう一度そういう時代が日本に来るのではないかという印象が一部にあるのではないかと私は思っています。

 しかしながら、日本がまだ発展途上国の状況、あるいは戦争で焼け野原の状況から復興をして経済成長を遂げていく時代、しかもそれに伴って人口が急激に伸びていく時代、ちょうど今新興国と言われる国々があるような歴史的な位置にあった時代と、人口が減っていく時代、そして世界のトップランナーとして新興国から追い上げを受けている時代ということにおいては基本的に立ち位置や認識が違うと私は思っております。

 したがって、成長しないとかしなくてもいいとかということではなくて、高度成長の時代と同じ視点で、あるいは高度成長の時代のような時代がまた来るのではないかという幻想のもとで経済を運営するべきではない、これは私は一貫してずっと以前から申し上げておりました。

 そうしたことについて、私はこういう考え方でやらせていただきますがということは申し上げました。

菅原委員 よく言えば矜持と経済に対する炯眼をお持ちだ、こういうふうに私はとらえております。しかし一方で、いざ経産大臣就任を受けたとするならば、国内外、マーケットを含めて極めて重い発言にもつながりかねませんから、今後はぜひ留意をしていただきたい、こう思っております。

 そこで、まず大臣に、この経済の全般的な根幹部分についてお尋ねをしていきたいと思っています。

 我が国は今、大震災、あわせて、きょうも新聞に出ておりましたが、ニューヨークの外国為替市場では一ドル七十五円七十三銭という戦後最高値を記録しております。こうした中で、日本経済は極めて大きな打撃を受けているわけでありますが、これにあわせて、長期的に見ますと、いわゆる少子高齢化に伴う貯蓄率の低下、こういったものが加わって、経常収支が赤字になって、これがいわゆる双子の赤字を生む。そうすると、これが国債の償還に大きくつながりかねない。

 こうした状況の中で、おとといですか、貿易統計において上半期の貿易収支が約一・七兆円の赤字となって、通期でも貿易黒字を維持できるかどうかわからないという極めて際どいラインに今至っているわけなんですね。もちろん、円が基軸通貨ではございません。したがって、この先、長期的に見ますと、円高のときもあれば、やはり円安に振れて円安基調になることも当然出てくるわけなんですね。

 ただ、今これだけの過去にない円高が続けば、そのダメージは極めて大きくなって、しかもそこが固定化された中で、その先に仮に円安に戻ったとしても、余りにもその打撃が大き過ぎて、特にメーカーなんかがいわゆる価格競争力が戻ったとしても、取り返しがつかないような状況になりかねない。だからこそ、この円高、空洞化対策というのは、財務省、金融庁、日銀、ここの金融政策もさることながら、やはり産業政策において経産省がしっかりとかじをとっていただくことが必要だ、こういうふうに考えているわけであります。

 もとより、国の内外の経済には必ずこうした景気の変動があります。経済運営においては、その変動に対して安定的であるということが極めて重要なんですが、経済の安定化機能というものは産業政策から達成が可能である。ということは、やはり産業の新陳代謝が極めて必要だという論になるわけであります。

 このことから、グローバルな経済の状況の中で、今の円高あるいはさきのリーマン・ショック、そして昨今の欧州の経済危機、こうしたいわば外的ショックに強い国づくりというものが求められているわけなんですけれども、この点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

枝野国務大臣 いわゆるグローバル化という言葉がもう定着をしているように、経済の分野における世界の国境が大変低くなっているという状況の中では、やはり世界のさまざまな要因によって我が国の経済に避けがたい大きなダメージが与えられるということは、今御指摘いただいたリーマン・ショックや円高の問題を初めとしてあるんだろうというふうに思います。それに対してどう迅速に対応するか、適切に対応するかと同時に、御指摘いただいたとおりでして、そうしたことにできるだけ影響されない経済の構築ということが重要だろう。

 そうした意味では、我が国にとっては、資源もない小さな島国でありますから、貿易によって黒字をしっかりと生み出すことが重要であるということを大前提とした上で、国内における消費が着実に、少しずつでもいいからプラスになっていく、人口減少の中でありますから大変厳しい前提条件はありますけれども、そうしたことの中でも国内で需要を掘り起こし、そうしたところにしっかりと必要な物やサービスを提供していく、そして国内でお金がしっかりと循環をしていく、この部分がきちっと回っていくような施策をさらに強化していって、海外との関係ではいろいろ変動する部分があっても、そのときに国内のところが揺らがないというウエートと、そこの安定的な成長性というのをしっかりと確保していく、このことが重要だろうと思っております。

菅原委員 今、大臣から、内需拡大が大切であると。これは当然のことなんですね。しかしながら、野田政権になってまだ一カ月余ですけれども、余りにも増税路線といいましょうか、復興のための財源は必要ですし、これはもう三党協議でも当然議論、協議を重ねているわけであります。しかし、無駄を省く、天下りをやめさせる、あらゆる国有資産を売却、整理統合する、こういったことが極めて少ない状況の中で、所得税、法人税、しかもGDPの六割が個人消費であれば、そこに増税をかければ当然消費が萎縮、シュリンクしてしまう。

 そういった状況の中で、それは後の議論にしたいと思いますけれども、今お話があったように、内需拡大というのはなかなか今の路線では難しいのではないか。そういう意味では、イノベーションによって国際競争力を大変高付加価値のあるもの、あるいはサービス、こういったものを生産して、やはり戦略的な知的財産政策や、いわゆる対内直接投資の促進、こういったものも推し進めていかなければなりません。

 冒頭申し上げたように、やはり被災地なんかはこの間法人税をばっさりゼロにする、それくらいのドラスチックな対策も必要ではないか。あるいは、投資のための立地税制、各種補助金、こういったありとあらゆる経済政策をベストミックスして、それをまたコーディネートして、内需拡大なり経済の再生につなげていく、こういったことが極めて重要だと思うんですね。

 かつて、菅前総理、完全な総理ではないんですが、菅前総理が増税による経済成長を主張しておった。そのときの官房長官が大臣であったんですね。増税による経済成長ということについて、今、経産大臣、あるいは政権がかわって、大臣のお考えはどうでしょうか。同じ路線をおとりでしょうか。

枝野国務大臣 まず、短期で物を考えて、短期の施策として、例えば御指摘いただいたような法人税の特定地域に対する特区的優遇とか、これは国際環境の大きな変動に対する迅速適切な対応として、さらにしっかりとした組み合わせをしていかなきゃならない。立地補助金などの拡充を進めておりますが、税制を含めてやっていく必要があるだろうというふうに思っております。

 それから、無駄の削減と税制との関係でいえば、私も行政刷新担当大臣を務めさせていただきましたものですから、さらに無駄の削減ということについて努力をしていく必要があるだろうというふうに思っております。

 その一方で、では税と経済との関係について申し上げますと、今の日本の国内消費に対して影響を与えているのは、目の前の税率がどうであるのかということ以上に、将来に対する不安の方がより要素として大きいというふうに思っております。年金や医療、介護などについて、既にそうしたものを受給している、サービスの提供を受けている世代にとどまらず、私は今四十七ですけれども、私やさらに若い世代を含めて、将来に対する不安が消費を減退させている大きな要因になっていると私は思っております。

 そうした意味では、増税が景気にプラスのはずはありませんけれども、将来に対するしっかりとした社会保障の姿、そしてそれに対する国民の皆さんの安心をつくる、その中においては、財源をどうやって確保するのかということの絵姿をしっかり見せる、このパッケージがしっかりと出せて、そのことがしっかりと国民の皆さんに信頼をしていただくことができれば、そのパッケージの中に増税が含まれていても、私は経済にプラスに働くと思っています。

菅原委員 確かに、今後の日本の社会保障を考えれば、それこそ年間一兆円ずつ経費がふえてくる。だからこそ、私どもの政権時代から、税と社会保障の一体改革を進めようと。現政権下でもお進めしているわけでありますけれども。

 やはり年金、医療、介護、福祉、この社会保障の部分と今のかかる経済、ましてや大震災が起き、個人も中小企業もこれだけの大変な被害に遭っている。あわせて歴史的な円高。ここで海外にどんどん企業が逃げていっている。研究開発を進めても、結局、それこそ国内で疲弊し切って、海外に行ったときには体力がなくなる。言ってみれば、予選を勝ち抜いてようやく甲子園に出たけれども一回戦で負けてしまうような、こんな状況も出かねない。こういった中で、やはり国内におけるデフレ対策というものが極めて欠如しているのではないか。脱デフレということが野田政権において極めて不足をしているように思います。

 ですから、今大臣のおっしゃった論で言うと、確かに、野田政権発足当時は、日経平均九千円を超えるかもしれない、一万円に届くかもしれない、こういう流れがあった。それは、おっしゃるように、財政再建に資する、そうしたメッセージが極めて強かったからだ。しかしながら、その後の流れを見ますと、脱デフレということが余りにも欠如している。また、そういうメッセージ性が極めて弱い。

 そもそも、この前の野田総理の所信表明の中でも、デフレという言葉はたった一回しか使っていないんですよ。菅前総理のときは、デフレ、デフレ、デフレと、一回の演説で五回か六回使っているんですね。言うほどにデフレになっちゃうんじゃないかというブラックジョークがあったくらい。この違いは何なのか。そう考えますときに、やはりマーケットは、脱デフレということが後退をしているというふうに見ているんだと思うんです。

 いみじくも、日銀総裁の白川さんがこう言っているんです。成長力が底上げされて初めて物価のマイナスが消えると。つまり、財政再建と経済成長はセットでなければいけない、裏を返せばこう言っているわけですが、そう言いながら、量的緩和あるいは利上げ、利下げ等についての判断は極めてネガティブなスタンスを持っておられるな、こういうふうに考えているわけです。いずれにしても、財政再建の前にやはり経済成長あり、経済成長なくして財政再建はない、このことを強く申し上げておきたい、こう思っております。

 次に、円高対策そのものについてお尋ねをしたいと思います。

 安住財務大臣が、急激な円高に対しては断固たる措置をとる、こういうふうに再三国際会議の場や会見等でもお話をされています。この点について、大臣、どういうふうに思っておられるか。それと、急激な円高に対しては対策をとる、しかし、緩やかな、振れが少ない、しかしながら中長期的な円高ということに関してはどういう対応をとろうとお考えなのか。今の段階で結構ですので、お示しください。

枝野国務大臣 過度な、また急激な円高は産業の空洞化を加速させる、その結果として国内の雇用を失わせていくということでありますので、これに対しては必要なときに断固たる措置が必要であると思っております。閣議決定をした円高への総合対策においても、「為替市場の過度な変動は、経済・金融の安定に悪影響を及ぼすものであり、引き続き、その動向を注視するとともに、あらゆる措置を排除せず、必要な時には断固たる措置をとる。」とされております。

 また、では急激でなければいいのかというと、それも当然のことながら、ゆっくりと進行する円高であっても、もちろん対応する時間的ゆとりがあるという側面はありますが、産業の空洞化を加速し、国内から雇用の場が失われていくおそれがありますので、これも望ましくないというのは間違いありません。

 いずれにしても、実体経済を超えたマーケットの変動ということに対しては、厳しく対応していかなきゃならないというふうに思っておりますし、また、為替の状況をしっかりとにらみながら、短期的な、特に円高によって直接打撃を受ける皆さんに対するセーフティーネット、あるいは円高によって投資環境において日本が相対的に不利になっている部分について、ここを底上げする手当て等については、マーケットの状況を見ながら、迅速かつ適切に対応していく必要があると思っております。

菅原委員 今の御答弁で、デフレから脱却するメッセージやらスタンスというものがどうも感じ取れないわけなんですね。

 いわば、円高そしてデフレの背景には、やはり実質金利が高いという極めて大きな要因があると思うんです。実質金利は、御案内のとおり、名目成長にデフレの分だけ結局乗っかってしまいますから、その分高くなってしまう。実質金利が高いということは、結局、その通貨の価値あるいはそれを現金化できる国債、こういった資産が相対的に評価が高いということになっているわけでありまして、当然内外の投資家はドルを売って円を買う、こういう行動に走っているからこそ今の円高になっているわけです。

 だから、財務省も日銀も、外的要因が極めて大きいかのごとくの発言を繰り返されておりますが、やはり国内あるいは日本政府として、やるべき手は徹底的に打たなければいけない。量的緩和もそうでありましょうし、いわばデフレ対策ということをきちっと、実質金利を下げていくんだという行動をとるべきであって、そのためにはどうあるべきか、この点をしっかり政府としても進めていただきたい。

 あわせて、欧米諸国は、アメリカのFRB、バーナンキ議長も、口先介入をし、なおかつすぐ大胆な量的緩和を進めてきております。当然、来年大統領選がありますから、かなり過度なこうした行動を今とっていることは一つの傾向であろうか、こう思うんです。日本の場合、やはり繰り返し、きょうも日経でしたか、いわゆる為替介入を検討というようなメッセージ、財務省、日銀でしているんだと思いますけれども、検討ではやはりだめですね。

 いわゆる戦後最高値を記録した中で、大胆に為替介入をして量的緩和をやる、今までの規模以上のものをやる。協調介入ということが理想的だけれども、先ほど申し上げたような、今それぞれの国の通貨政策、あるいはそれぞれ選挙があって、自国の通貨を安定させ、あるいは輸出をふやしていく、こうした貿易政策をとるとするならば、やはり協調介入というのはなかなか難しいと思います。しかし、だからこそ、あらゆる機会をとらえて、国際会議の場をとらえて、実質金利を下げるための量的緩和を進めていく、大胆な円高是正策というものをとるべきだ、こう思うんです。

 これは直接の担当ではないと言うかもしませんが、経済政策はまさに円高、デフレに極めて左右されます。だからこそ、経済担当大臣として、政府なり、財務当局なり、日銀なりにきちっとメッセージを発してほしいと私は思うんです。内閣の一員だからと言って逃げないでいただきたいんですが、この辺どうでしょうか、大臣。

枝野国務大臣 今、御指摘いただいたうち、円高については、経済の実態を反映しないレベルで、乱高下というか、むしろ円高の方向に急激に動いているという状況に対して、必要に応じて適切、大胆に対応していくというのは、これは私の意見にとどまらず、内閣として閣議決定している方針でございます。

 それから、その話とデフレ対策の話はちょっと次元が違うというふうに私は思っておりまして、もちろんデフレに対しても、金融政策で対応していく部分は今後も続けていかなければならないというふうに思います。

 では、今、金融政策で脱却できる次元のデフレなのかというと、私はそうは思っておりません。むしろ、我が国の潜在的成長力をいかに高めていくのか、その部分のところがしっかりと目に見える形になっていきませんと、いかに金融政策を打ってもデフレから脱却することはできない。そうした意味では、まさに成長の芽をしっかりと育てていくことによって、潜在成長力が、特に将来に向けての期待値が高まっていくという構造をつくっていくことが何よりのデフレ対策だと私は思っております。

菅原委員 大臣おっしゃるように、確かに金融政策のみならず、産業政策あるいは成長率を高めていく、このことは当然のことでありまして、だからこそ、あえて私は経済担当大臣ということでお尋ねをしたわけです。

 それにしても、今の政権、政府の金融対策は、余りにも後手後手であり、しかもツースモール・ツーレートというように、極めて果敢な状況でない。こういったことがすべてマーケットに反映をしている、あるいは日本全体の経済に大きな影響を与えかねない、こういう状況に私はとらえております。

 はっきり申し上げれば、日銀総裁が自分の首をかけてでも大胆な量的緩和をやって、あのときにこの状況で一定の円高がとまったんだ、是正されたんだ、これぐらいの覚悟なくしてこの難局は救えない。これ以上、日本の経済が疲弊して、海外に企業が出ていって、工場が出ていって、国内の空洞化が進んで、雇用が落ちて、失業率が高まれば、これは国として、国家として成り立ち得ないくらいの状況であると思うんです。

 だからこそ、デフレ脱却、円高対策はまさにこの政権の一丁目一番地。復興復旧も当然その前にあります。しかし、同時に、パラレルにこの政策をきちっと推し進めていく。それを経済省庁としてきちっと認識した上で、あらゆる手だて、政策をコーディネートして、潜在的な成長率を高めていく、次代につなげていくということが極めて大事だと思うんです。

 今回のこの三次補正、既に三党協議が行われておりますから、私どももあらあらの内容を手にしております。二十一日閣議決定で、今週の金曜日に提案をされるということです。

 その中で、一例として言うと、いわゆる野田政権の円高、空洞化対策の目玉と言われております国内企業立地補助金、これを見ますと、五千億円なんですね。これは喫緊の課題として、しかも目玉とするんであれば、やはり一兆円。私ども自民党は一兆円ということで要望してきたわけですが、結局いろいろと削られてしまって、この立地補助金が五千億で極めてインパクトの少ない、こうした計上に今なっているんですね。

 やはり、景気というのは心理的な効果が極めて大きいわけでありますから、私は、今回追加で増額すべきだと思いますし、あわせて二十四年度以降も果敢に継続をするべきだ、こういうふうに思っております。これは答弁を求めません。

 次に、原発事故の問題に入りたいと思います。

 枝野大臣は、今月十八日のパリのIEA閣僚会議の後の記者会見で、世界最高水準の原子力安全の技術、知見を世界に提供したい、こういうふうに述べておられましたね。こうやって原発の輸出を引き続き推進する、これは経産大臣としての一つのセールスということなのでありましょうか。しかし、その二日前の十六日のNHKの「日曜討論」を見ておりましたら、我が国のエネルギー政策の責任者である枝野経済産業大臣が、将来の日本のエネルギー政策についてという問いに対して、原発に依存しなくても十分に成り立つ絵をしっかり描きたい、こういうふうにおっしゃっているんですね。

 これは、かかる今の国の状況、政治にコミットしている人間であれば双方理解できなくはない。しかしながら、これを例えばフランス国民、あるいは原発を輸入する側の相手国の国民が見た場合、安全なものを輸出したいと言っていながら、原発に依存しない社会をつくるというのはどういうことなんだ、矛盾しているんじゃないか、率直にそう思うと思うんですが、この点、大臣、どうですか。

枝野国務大臣 今の点については、特に関係する諸国とIEAの際にはバイの会談を行いました。アメリカのチュー・エネルギー長官ですとか、あるいはトルコの大臣など、大変御関心をお持ちでありましたので、今の考え方をきちっと説明してまいりました。

 つまり、原子力について我が国は、これまでの蓄積としても、今回事故は発生いたしましたが、世界で何本かの指に入る原子力についての技術を現時点で持っております。また、今回の原発事故を踏まえて、さらなる安全性を高めるための最大限の努力を払っているところであります。これについて、特に事故の教訓等については国際社会としっかりと共有させていただいて、世界の国々で使われている原子力の安全に対してさらに貢献をしていきたい。

 それから、輸出との関連については、我が国は、今回の事故も踏まえて、原子力からの依存を限りなくゼロに近づけるべく努力を進めていくということを申し上げました。これについては、それぞれ国によって、一つは、例えば地震や津波が起こるリスクが大きく違います。あるいは、国ごとの社会の状況や国民の受けとめもそれぞれ違います。そうしたことの中で、基本的に各国がそれぞれの主権の範囲の中で、原子力発電をどの程度活用していくのか、活用しないのかということはそれぞれに判断をするしかない問題だろうというふうに思っております。

 そうしたことの中で、我が国は、さまざまな総合的な要因の中で依存度を下げていく。最終的にどうしていくのかということについては、まさにこれから国民的な議論を行っていきますが、そうしたことを前提としながら、なおかつ日本の持っている技術について利用したいという国があれば、そして、特にこれまでさまざまな外交的な積み重ねがある案件については、これは日本の事情が変わったから、日本の事情だけで勝手にやめますというレベルの話ではない。御要望があればしっかりとそれに対応して、従来の積み重ねの延長線上の案件については責任を持って対応しますということを申し上げました。これは十分、特にアメリカのチュー長官などには、非常によくわかったということで御理解をいただいたと思っております。

菅原委員 今のお話を聞いておりまして、売る方の責任もあれば買う方の責任もある、こういう論だと思うんです。

 確かにそうでありますけれども、やはりこの福島第一原発の事故の徹底究明がなされていない、この状況の中で、幾ら世界最高水準のものが国内で製造されていたとしても、これはなかなか。

 これは、冷や水を浴びせるわけじゃないんです。いいものだからこそ輸出をする、買ってもらうという商行為においては一つだと思います。しかしながら、未曾有の我が国の原発事故が起きて、まだ収束もままならない。その徹底究明もされていない。こんな中で、本当に原発の安全性というものが説得力を持って相手国に伝わるかどうか、この点はやはり大きな疑問が生じざるを得ない。売れればいいんだ、経済行為であればいいんだということではなくて、売る責任ということに関してもきちっと私どもは持ち合わせなければいけない、こう思っております。これは、また次の議論にしたいと思います。

 きょうは文科省から神本政務官においでいただき、十時から委員会があるそうで、順番を変えて質問します。

 まず、東京電力の本賠償にかかわる仮払いのことについてお尋ねをしたいと思います。

 さきの通常国会においても、一刻も早い被災者の実質的な救済のため、我が党また公明党が共同で、本賠償の支払い時間を要する応急対策として仮払い法の成立にこぎつけたわけであります。今回、震災後の経済戦略に関する特命委員会というものが党内にありまして、私どもから、迅速な仮払いの支払いについて千七百億円、そして原子力の被害応急対策基金として三千億円、四千七百億円を要望したわけなんですね。ところが、三次補正の案を見ておりますと、どこを見てもたった二百六十四億しかついていないんです。

 これは、ここにいる梶山筆頭理事がさきの常会の質疑で指摘をした中で、当時の経産大臣の海江田さんが、法律に先駆けて東電に指示をして、仮払いも迅速にやるべし、こういったことで始まった仕組みであった。ところが、今月十九日まで調べましたらば、トータルでたった千三百三十五億。しかも、今回が二百六十四億。合わせて一千六百億程度しか政府としてそういう腹づもりがない。仮払いに対して極めて後退をしている。

 五千億規模で本来はやるべきだ、こういうふうに思っているんですが、この点、今の進捗状況はどうなんでしょうか。

神本大臣政務官 お尋ねの賠償についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、この損害賠償については一刻も早くということがまず基本に必要だと思っております。東電による迅速な賠償が基本でありまして、現在、東京電力において、すべての原子力損害について、本賠償の受け付け、支払いが開始されていることは御承知のとおりでございます。

 一方、御指摘の国の仮払いについてでございますが、これは東電の本賠償がおくれるような場合には、緊急の措置として国が簡易な算定方法で仮払金を支払うということになってございます。そのような観点から、現在、被災四県、福島、茨城、栃木、群馬、この四県の観光業であって、中小企業者が受けた風評被害を対象として、九月二十一日から開始をしているところでございます。

 御指摘の第三次補正予算の要求においては、国による仮払いの対象に係る現在来ております当面の支払い請求に対応できる規模として、関係省庁が得ている見通し等を踏まえて、二百六十四億円を計上するとしたものでございます。

 文部科学省としましては、東京電力の本賠償と国による仮払いにより一日も早く被害者の救済がなされるよう、さらに取り組んでまいりたいと考えております。

菅原委員 本賠償と仮払いをあわせてやる、これはそういうことなんでしょうけれども、では何のための仮払い法案だったのかな、こう思わざるを得ないんです。

 やはり東北は極寒。厳しい冬を迎える中で、企業も住宅も個人の生活も本当に大変な状況。原発事故の放射能による、またさまざまな風評被害等々を含めると、本当にきょうの生活にきゅうきゅうとしている中で、仮払いをすべしという法律ができたにもかかわらず、こんな二百六十四億程度のボリュームではとてもこれは容認できませんよね。東電が少しでも本賠償で払い始めているからというような、やはり国の本腰が入っていない、こう言わざるを得ない。このことを指摘しておきたいと思っております。

 そういうことで、順番を変えて、またホットスポットのところをお尋ねしたいと思います。

 まず、先般、千葉県の柏市で二十七万六千ベクレルという大変多量のセシウムが検出をされました。

 環境省の基本方針案では、国の支援対象となる除染対象地域が福島県以外にも全国に広がりつつある、今、こういう拡大の見通しを環境省の方でも示しているわけなんですけれども、各自治体や学校や幼稚園、それぞれ自主的に除染を自費で、自治体の経費でやっているわけなんですよね。これは、国が原発、放射能の責任の一端を担っていると銘打っている中で極めて対応が遅い。

 今、私の地元は東京・練馬でありますけれども、八百七十四カ所で放射線量をはかったわけなんです。全部練馬区の持ち出しなわけですよ。これは当然、全国の市町村、都道府県、それぞれ対応していますけれども、国の責任で、これは私ども自民党も原発を推進してきたその責からは逃れられない。しかし、今、現政権においてこのような事故が起きて、人災ともいうべきいろいろな経過もなくはなかったと私は思います。

 こうした中で、SPEEDIにしても、二カ月後に出すようなこと、これは後でまた議論したいと思いますけれども、こういった状況の中で、被災、福島のみならず全国にこうした放射性物質が拡散をしているということはやはり一大事であります。

 したがって、除染も当然大事ですけれども、まずその前に、計測をする予算を国できちっととっていただきたい、このことを申し上げておきたい。この点について、御答弁をいただきたいと思うんです。

 あわせて、健康被害対策も当然です。学校の給食の内部被曝の問題も今どんどん全国に広がって、例えばどこの県産地の米なのか、野菜なのか、果物なのか、食品なのか、こういったことが今、全国の若いお父さん、お母さんから、私も街頭、駅に立っておりますと、そんなところでしゃべっていないで子供たちの給食の内部被曝の問題を真剣に考えてくれと。これは、小さいお子さんを持つ親御さんからすれば当然のことだと思うんです。

 当然、県の出荷規制があって、それをクリアしたものが出荷されて給食に使われているというふうに認識はしているわけですけれども、やはりポジティブリストに関しても、今の暫定基準値の高さを五百ベクレルということでやっておりますけれども、これもちょっと下げていくような、こうしたことが実質的に事実上のポジティブリストの確立につながるんではないかと思っているんですが、今申し上げたこと、三点、お答えできる範囲でお願いいたします。

神本大臣政務官 まず、モニタリングについてでございますけれども、文部科学省においては、全国的なモニタリングについて、七月に設置されておりますモニタリング調整会議で決定をいたしました総合モニタリング計画に沿って現在行っているところでございます。

 具体的には、四十七都道府県におけるモニタリングポストによる空間線量率や土壌等の放射能調査の実施、また東日本を中心とした航空機を用いた広域モニタリングの年内実施、これは十月二十五日現在で、一都十一県の結果を既にもう公表済みでございます。

 こうしたことに取り組んでいるところでありますけれども、さらに、先週の金曜日、十月二十一日には、内閣府、文部科学省及び環境省で、当面の福島県以外の地域における周辺より放射線量の高い箇所への対応方針というものを取りまとめて発出しております。

 具体的には、地方公共団体が地域住民のニーズに応じて人、主に子供の集まる公的スペース等において放射線量を測定するに際して参考となるガイドラインを提示しております。また、地方公共団体からの個別の相談や要請に応じて、技術的な支援を行うということでございます。

 また、周辺より放射線量の高いところ、地表から一メートルの高さで、周辺より毎時一マイクロシーベルト以上高い数値が測定された箇所がありましたら、地方公共団体や民間団体等がそういったところを発見した場合には、文部科学省がその連絡を受けまして、除染が容易でない汚染があると確認された場合には、環境省、内閣府原子力被災者生活支援チームが市町村と連携して、市町村の要望を踏まえて除染の支援を行うこととしております。

 先般出ておりました柏市につきましても、直ちに文科省が測定に行きまして、柏市の要請を受けて、現在、環境省が除染について連携して支援を行うこととなっております。

 今後とも、この対応方針に沿って、文科省としても、周辺より高い放射線量の箇所が見つかった場合には、適切に対応を進めてまいりたいと思っております。

 また、モニタリング計測を国として責任を持って措置すべきではないかということでございますけれども、これにつきましても、先ほど申し上げました全国四十七都道府県に一基ずつ設置されたモニタリングポストを、さらに二百五十基ふやしまして、全国の固定型モニタリングポストを増設するために必要な経費や、ゲルマニウム半導体検出器、これはさまざまなものをその中に入れて放射能を検出するわけですけれども、それを各都道府県に一台ずつ追加的に整備するということにしております。基本的に、文部科学省は、都道府県に対して、この計測モニタリングについての措置を行うということになっております。

 それから、もう一つは、東日本を中心とした広域的な航空機モニタリングに必要な経費についても措置をしてございます。

 それから、給食についてでございますが、これについては、委員御指摘のとおり、特に福島県のお母さん方から私どものところにも、個別にも、それから団体でも陳情、要請がたくさん来ておりまして、給食の安全確保に対しては、七月に教育委員会、学校等に対して、出荷制限等の情報に十分留意をするということや、保護者へのきちんとした情報提供を行うことなどについて指導を行ってきているところでございます。

 現在、食品については、厚労省や農水省で、出荷段階で都道府県において検査が行われ、出荷制限等の措置がとられているところでございますけれども、事学校給食に関しましては、先ほど言いましたような保護者等の不安が強くございますし、より一層の安全、安心を確保することが必要であるということは文部科学省としてもしっかりと認識をしております。

 それで、今回の三次補正予算案の中に、厚労省、農水省の検査体制の上に、さらに文科省としても、学校給食の食材の検査に関する事業ということで予算計上をしているところでございます。

 具体的には、都道府県に対して、学校給食の食材を検査するための機器を整備する費用の一部を補助するというものでございます。

菅原委員 いろいろと御答弁いただきましたけれども、経産大臣にちょっと今のことで関連してお尋ねをしたいと思うんです。

 まずはモニタリング計測、この計測の予算を自治体任せにしていること自体、原発事故の対応担当大臣としてこれでいいのかどうか。これはやはり国できちっと予算をとるべきだ、この点について。

 あわせて、今お答えがあった給食の内部被曝に関して、今回の補正予算で対策費がたった一億円ですよ。しかも、この計測に関して、先ほど申し上げたように、私の練馬区、四十八キロ平米において八百七十四でモニタリング計測をしている。ところが、今、国のお話では、四十七都道府県に二百五十カ所のポイントというようなお話でした。これはやはり、国と自治体は、区民あるいは住民の方の要請を受けて、徹底して安心、安全の確保のために進めているわけですけれども、国とのその感覚が余りにも違い過ぎますよ。

 大臣、これはどうですか、二点。

枝野国務大臣 今回の原発事故によって生じた汚染の除染でありますとか、あるいはもう明らかに今回の原子力事故の結果として放射線量の高い地域、これは国の責任でしっかりと予算についても確保して行っていく。それから、広域的なことについても、航空モニタリングを初めとして、どの地域ぐらいまでがまさに影響を受けているのかということについては国の責任でしっかりやらせていただいているところでございます。

 その中で、面的には高い放射線量ではないけれども、いわゆるホットスポットの問題を御心配の自治体の皆さんあるいは住民の皆さんが、それぞれ独自にこの間モニタリング調査を行ってきているところでございまして、これについてしっかりと国としても支援をしていく必要性は十分感じておりますが、その予算の持ち方等については、それぞれ自治体ごとにいろいろなお考えもあるというふうに承知をしておりますので、御提言として受けとめさせていただきたいというふうに思っております。

菅原委員 いや、自治体のそれぞれの考えはみんな、国が当然やるべきだ、予算を持つべきだということでありますから、きちっと内閣の中でしんしゃくしていただきたいと思います。

 政務官、どうぞ委員会にお戻りください。ありがとうございました。

 東電の福島第一原発の賠償の問題についてお尋ねをします。ちょっと時間が迫ってきましたが、足早に参ります。

 まず、先般発表されました東京電力に関する経営・財務調査委員会、今後、第三者委員会と申し上げますが、この報告書を見ますと、二十二年度の有価証券報告書を見ると、連結簿価ベースで東京電力の資産の合計というのは十四兆七千九百億円あるんですよ。固定資産が十一兆八千八百億円、流動資産が二兆九千百億円。これだけ大きな資産を持っていて、大臣も社長初め三人呼ばれて、これから二兆五千億経営改善せよ、こういうふうにおっしゃっていました。しかし、今回この第三者委員会から出された報告書の中を見ますと、有価証券、不動産と合わせてたった五千八百億ですよ。たった五千八百億の売却を求めるにすぎない。しかも、求めている。

 これに対して、大臣、トータルで二兆五千億経営改善せよと言ったけれども、今すぐ、東電の資産売却あるいは人員整理、役員の給与、九電に対する姿勢と同じくらいこの問題はきちっとすべきだと思うんですが、今後このまま廃炉あるいは除染費用を除いても、結局、賠償総額は年間三・五兆円と見積もられている。

 しかし、全体像としてどれだけ賠償額がかかるのか、政府でつかんでいますか、この点をお尋ねしたいのと、結局これは国民負担に回ってしまう、こんなことはやはり国民感情からすれば許されるものではない。これを圧縮するためには、東電の十四兆七千九百億円の総資産に対して、大臣としてはどのような改革を進め、いわゆる電気料金の値上がりに上乗せをしない、そのための圧縮をどうやっていくのか、この基本的な考え方をお示しください。

北神大臣政務官 お答えしたいと思います。

 まず資産売却の話ですが、先生がおっしゃった数字というのは第三者委員会の報告だというふうに思います。これは御案内のとおり、中立、専門的な立場から検討を行ったもので、実際にこれから原子力損害賠償支援機構の方に引き継がれて、そこでさらに詳細な調査が行われるということでございます。

 第三者委員会の方では、全部で約七千億円の資産、事業を三年以内に売却するという方針を提示されました。いずれにせよ、今後、支援機構で詳細な調査をして、さらに精査された方針が出てくると思いますが、政府が支援を行うに当たっては、大臣が常日ごろ言っていますように、資産売却を含む徹底的な東京電力さんの経営合理化を行うことが大原則でありまして、機構との特別事業計画の認定に当たっては、政府としても、東京電力の資産売却が適切かつ十分なものであるということをしっかり見きわめていきたいというふうに思っております。

 あともう一点ございました。損害賠償の話ですが、簡単に申し上げますと、これについても第三者委員会で今、積み上げの数字じゃなくて、機構が資金をするためにどのぐらい必要か、この準備のための試算を行ったところでありまして、実際の数字については、機構の方で特別事業計画を策定するに当たって改めて検討が行われる。

 ですから、まだ損害賠償の費用の数字というものは確定をしておりませんが、それについても、まず第一義的には東京電力が原賠法上の責任を持っておりますので、損害賠償を支払うことになる。その上で、足りない場合は、政府として、今まで原子力政策を推進してきた責任もありますので、原子力損害賠償支援機構法の枠組み等を通じて、被害者の方々に迅速、適切な救済のための万全の措置を行っていきたいというふうに思っております。

 国庫負担のあり方ですが、これについては、機構が仮に特別資金援助を行う場合は、政府から交付国債を受けるということになります。機構としては、この交付国債を償還するために、電力会社が納付をする一般負担金、特別負担金というものをもって、これで国庫へ償還の額に達するまで納付を行っていくことを考えておりまして、これによって国庫の負担をできるだけ最小化していきたいというふうに思っております。

菅原委員 今の議論はまた次にしたいと思いますが、国民からすれば、賠償額、被害額、全体が全く見えていない中で、国民負担はどうなるんだ、東電が本気になって、本腰を入れて資産売却しているのかと。全くそうじゃない。だからこそ、経産省みずからがリーダーシップをとってやってもらわないと前に進みません。このことを申し上げておきたいと思います。

 そして、三次補正の全体像を見ると、十一・六兆円、このうち二兆四千億は年金基金に返すお金で、結局九・二兆円なんですよ。一次補正が約四兆、二次補正が二兆、合わせて十六兆何がしというボリューム。しかも、これが半年にわたって、今ごろになって九・二兆というお金を出してくる。私どもは七月の段階でもう十七兆の規模の復旧復興ということを求めておったわけですが、今日、こういう状況。

 そこで、中小企業対策として、今回、真水が六千億弱だと思うんですが、事業規模で十一・六兆円。これは、保証と借り入れ、融資と両方だと思うんですが、麻生政権のときに、リーマン・ショックの後の中小企業対策として、三段ロケットで五十七兆という規模。金融危機ということと自然災害と違うかもしれない。しかし、千年に一度と言われるこの自然災害、東日本大震災の後の今の状況を考えますときに、この十一・六兆という中小企業対策は余りにも小さ過ぎる。これはもっと大胆にやるべきだ、こう思います。

 あわせて、被災地におけるグループ補助金、この問題も、二百八十社前後申請をしていながら、一割か一割ちょっとしかこの対象になっていない。ほとんどの中小零細企業がそこから漏れてしまって、グループ化してしっかり事業を再生したいんだ、こういう思いが全く抜け落ちている。

 あわせて、二重ローン対策も、今三党の実務者協議でようやく、きのうあたりまとまったようであります。しかし、東日本大震災事業者再生支援機構と産業復興機構、今のところこれを併存させるということに相なっているんだと思いますけれども、それに対する財源というのは、仕分けで返納すべきというふうに指定していた中小企業基盤整備機構の剰余金千五百億円、このところで対応するということなんですけれども、これは通年で約二兆ぐらいかかるであろうということは与野党でそれこそ認識している中で、年末を考えれば五千億ぐらい必要なのに、何でこの千五百億しかないんだ、こういう声が当然地元ではあると思います。

 特に、農林水産業に関しては、食品の加工とか、あるいはそうした加工にかかわる事業者に対しては対象になるけれども、農地だとか漁業権だとか森林を所有する所有権だとか、そういったものに関しては対象になっていないんですね。被災地の八割、九割が農林水産業であることを考えれば、この対応というものが極めて実情に合っていない、こう考えます。

 この点を指摘して、答弁は結構です。

 最後、TPPについて。

 一言で言えば、何でこんなに急ぐのですか。去年の十月に菅さんがTPPの協議を始めると言って、確かにその後大震災があった。しかしながら、ここに来て、十一月十二日のAPECに合わせて、それを既定路線として進めている。このTPPに関して、参加する、しない、交渉に参加する、交渉すら参加しない、いろいろな考え方があります。我が党でも今議論をしています。しかしながら、どうも国民からすれば、何でこんなに急いで結論を出そうとしているのか、このことが一番のクエスチョンマークなんですよ。

 確かに、メリットがある、デメリットがある。日本の今後にとってどうあるべきか、この理念やビジョンを示さずして、先に予定があるから、APECがあるから、それに合わせて党内をまとめようとしている。しかも、党内もてんでんばらばら。

 この点、経産大臣として今どういうお考えですか。TPP。

枝野国務大臣 急にという御指摘でございますが、本来は、ことしの六月を目途に方針を固めるべきという方針でありましたが、御承知の東日本大震災への対応に専念するということの中で、むしろこれをおくらせたということでございます。

 そうしたことの中で、もちろん外交関係でございますので、その外交的なスケジュールの問題と、国内的な内容についての周知や合意形成、二元方程式だと思っておりますが、その二元方程式をできるだけスムーズに解くよう努力してまいりたいと思っております。

菅原委員 このTPPに関しては、APEC先にありき、APECの予定に合わせてスケジューリングをするなどということは、国家百年の計に極めて逆行しかねない、禍根を残す。

 私は、今、経産部会長として賛成だ、反対だという党内を取りまとめる一人でありますから、そういう意味では情報が余りにも少ないですよ。ややもすれば農業の部分だけが目立って、医療はどうなるんだ、金融はどうなるんだ。しかも、例えばベトナム、マレーシア、タイあるいはペルー、こういったFTAを既に結んでいる国は、それぞれ今言った四カ国は、日本より関税が高いんですよ。こういう国々との関係、FTAあるいはEPA、この検証が全くされずして、TPP先にありきだ、応援団体から言われているからやるんだ、この流れはやはり禍根を残す。

 あの郵政のときだって、二百時間以上議論をしたわけですよ。ぜひこの経産委員会、委員長、TPPについてもよく議論を深める場をつくっていただきたい、このことを最後に申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、近藤三津枝君。

近藤(三)委員 自由民主党衆議院議員の近藤三津枝です。

 枝野経済産業大臣は、国難とも言える、内外ともに大変厳しい時期に大臣に就任されました。日本国、そして日本国民のために、経済産業政策のかじ取りをどうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、先般の大臣の所信的あいさつに対して質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 早速質問に移らせていただきます。

 まず、環太平洋戦略的経済連携協定、TPPについて質問いたします。

 TPPにつきましては、十一月十二、十三両日のAPECの首脳会談での野田総理の対応が注目をされています。一方、TPP交渉中の九カ国は、二十四の作業部会で二十一の分野について交渉を続けていますが、このAPECで大枠合意を目指していると報じられています。TPPは重要な局面を迎えています。

 そうした中、枝野大臣は十月十六日日曜日の番組で、TPPの主導権についてのインタビューに対し、次のように発言されています。TPPによって、労働の問題や移民の問題が国内で心配されているが、TPPを最初に主導していて、今も中心になっているのはシンガポールである、シンガポールは小さな島国なので、例えば外国の労働者が自由に入ってくるようでは国は成り立たなくなってしまう、だからTPPを結んでもそのようなことにはならない、このようにコメントをされました。

 枝野大臣は、今のTPPの交渉の主導権はシンガポールにある、また、シンガポールが主導権を握っている限り、シンガポールの国益をそぐような人の移動についての合意はなされないから、日本が不利になるようなことにはならないとコメントをされたわけです。

 二〇〇六年五月に、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの四カ国でTPPが発効したときに、確かに、小国同士の戦略的提携によって国際市場での小国の存在感、すなわちプレゼンスを上げることが目的であったでしょう。二〇〇九年、オバマ大統領がAPECサミットに合わせてTPPへの交渉参加方針を表明して以来、アメリカ主導で急速に交渉が推し進められている、そう受け取っています。

 先ほどのメディアでの枝野大臣の見解、すなわちシンガポールが交渉を主導しているから心配は要らないという説明では、このTPPについて国民の理解をミスリードするのではないかと懸念していますが、大臣、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 TPPについてのさまざまな御懸念があることに対する一例として申し上げましたので、シンガポールが全体についてすべてを主導しているから大丈夫だということを申し上げたつもりはございません。

 ただ、では、アメリカがすべてを主導しているのかといったら、私はそうではないというふうに思っております。今交渉している九カ国の中で、いわゆる先進国、大国と言えるのは圧倒的に米国でありますが、逆に言うと、そうした国と、シンガポールを初めとする、シンガポールは経済力が相当ありますけれども、非常に小さな国々だったりあるいはまだ中進国と言われるレベルの国々が八カ国交渉しているわけであります。どこが全体を主導しているというよりも、各国ともそれぞれの国益の観点から譲れない問題をたくさん抱えているということの中で、少なくとも提唱した国の一つであるシンガポールにおいては、例えばこういう例があるということを申し上げたものでございます。

近藤(三)委員 国際交渉は、それぞれの国の国益を考えた駆け引きの場となります。安易に、番組の中で、シンガポールがどうだから、どこの国がどうだから大丈夫というような発言をなさいますと、そのような発想が非常に国民にも影響を及ぼしやすいということです。最悪のシナリオを考えて、わきを固めて外交交渉に臨まなければならないということを申し上げているわけです。

 TPPにつきましては、枝野大臣は九月十二日の就任記者会見で、次のようにコメントをされています。国際交渉の進捗の状況あるいは国内におけるさまざまな施策の状況などを総合的に踏まえて、交渉に参加するかどうかを適切に判断していかなければいけない、交渉に参加すること自体についても、さまざまな国内外の状況を的確に判断した上でなければ、見切り発車のようなことはできない、このような発言をされました。

 そして、九月十三日の定例記者会見でも、国内的なコンセンサスを得て、一定の合意のもとでTPPに対する対応を決めていく必要がある、このように枝野大臣は表明されています。

 この見切り発車はしないという姿勢、適切だと思います。TPPに参加しますと、貿易の自由化が促進するので輸出がふえるかもしれないが、一方で、安い外国産品の輸入で国内産業が打撃を受ける可能性がある。さらに、物品だけでなくサービスの分野まで広がるので、TPPの新しいルールに従って、これまでの国内の制度を変更しなければならなくなる、このような不安の声も上がっています。

 これまで日本が各国と結んできた二国間の自由貿易協定、FTAでは、当事者間の事情で例外項目が認められてきました。しかし、TPPでは例外規定は原則認められず、幅広い分野で自由化が進む可能性があると言われています。そのため、農業分野だけではなく、例えば医療への外資の参入などが進みますと、保険外の診療が拡大し、国民皆保険が崩壊するのではないか、また、政府調達の規制緩和、金融サービスの自由化、外国人単純労働者の参入などに対する懸念も出ているわけです。

 交渉の参加の意向を総理が国際的に示される前に、このような懸念を政府はきちんと国民に、そして国会に説明し、理解を得ていく努力をしていくべきです。

 例えば、TPPに参加するかしないかによる我が国の経済成長率、GDPへの影響についてです。TPPへの参加により、内閣府は、実質GDPが今より〇・四八%から〇・六五%増加する、このように発表しています。一方で、農水省、農業分野への影響によってGDPが一・六%減少する、このように発表しています。そして、経済産業省、TPPに参加しなければGDPが一・五三%減少する、このように発表しています。

 このように、各省でばらばらの数字が躍っている状況です。これでは国民が、TPPが締結されたらどうなるのだろうかと混乱するのは当然です。TPPを所管する大臣として、交渉に参加するかどうかを決める前に、幅広い議論がなされるよう、マクロな経済への影響、つまりTPPに参加するかしないかでGDPがどのようになるのか、政府としての統一的な見解を明らかにするべきです。

 内閣府は昨日、TPP参加によるGDPの修正を発表したという報道はありますが、先ほど申し上げたように、各省から出されているGDP予測との整合がとられているものかなどは疑問があります。TPPに対して最も重要な閣僚であるのが枝野大臣です。交渉の参加の是非を判断するための政府の統一した経済への影響予測を国民そして国会に示すのか、大臣にお伺いします。

枝野国務大臣 率直に申し上げまして、マクロ経済にどういう影響を及ぼすのかということは、TPPの交渉自体が、我が国は交渉に参加しておりませんので、直接の当事者としてすべての情報をとれる状況ではありませんし、交渉の結果どういうことになるのかということも、まさに交渉途中ですので、すべて決まってはおりません。

 それから、まさにTPPはTPPだけで存在しているわけではありませんで、例えばそういった包括的経済連携協定ができた場合であっても、それをどう生かすのか生かせないのかとか、あるいは御心配いただいている農業についても、どういう農業再生策をとるのかということによってすべて変わってくる話であります。いずれにしても、一定の仮置きのもとにおける試算をするということにしかならないというふうに思っております。

 そして、その上で、それぞれの立場で、さまざまな仮置きの数字の上での試算をしてきているところでございますが、仮置きに基づく試算ということでは、これは内閣府が全体としてのマクロ経済についての責任を負っておりますので、きのう内閣府からそれについて出されたものが内閣としての統一的な考え方だと思いますが、いずれにしろ、仮置きの仕方次第によっていろいろな数字が出得る、そもそもそういう性格のものだと私は思っています。

近藤(三)委員 結果としては、マクロ的な視点に立った統一的な政府の見解は示されないということですね。これでは、国民、そしてそれぞれの産業界は羅針盤のない船に乗って世界に船出しろと言っているのと同じです。政府はTPPについて、国民そして国会への説明責任を負うよう強く求めておきます。

 さて、その二十四分野の一つ、政府調達の分野があります。政府が物品を調達したり、公共事業を発注するときにTPPのルールに従うということになるのではないかと思いますが、ここで言う政府調達には、県や市町村などの地方公共団体が調達する物品、公共工事も対象となるのかどうか、この点について、大臣、端的にお答えください。

枝野国務大臣 何度も申し上げますが、今、我が国は交渉当事国ではありません。そういったことについて確実な情報をとるためには、交渉に参加をさせていただければ、さまざまな情報をとることができる可能性は今より大きくなると思います。

 一方で、先ほどTPPに参加した場合の経済の試算についていろいろなことを申し上げましたが、例えば参加しなかった場合のデメリットがあるのかないのかということ、これもすべて仮置きで試算をするしかありません。

 いずれにしても、これは相手の国のあることでありますし、TPPだけですべての経済が動くわけではありませんので、必ずこうなりますということを、参加した場合、参加しない場合で出す方が、私は国民に対して正直ではないと。もちろん、入った場合であっても、例えばどういう努力をするのか、生かすのか生かさないのかで変わってくるし、入らなかった場合どれぐらいのダメージになるかも、最悪のケースとしては、例えばTPPが九カ国でスタートした後に、そこに日本を除く国々が次々と九カ国で決めたルールで加わっていって、日本だけが孤立をし、最後、無条件で参加を余儀なくされるような状況に追い込まれることが最悪だろうというふうに私は思っておりますが、まさにさまざまな可能性がある中で進めていくということでございます。

 政府調達について、さまざまな議論がなされているだろうということは考えられますし、例えばWTOの基準に基づいても、たしか地方公共団体についても一定のルールが決まっていると承知をしております。

近藤(三)委員 各省がそれぞれのメリット、デメリットの数字を出しているわけですから、この数字を統一して出してはどうかという提案をしているわけです。

 今のお答えでは、交渉による、どの範囲まで地方自治体の調達が対象になるのかということはブラックボックスであるというお答えだと思います。TPPの交渉に参加している九カ国、既に二国間で結んでいるFTAでは、地方政府、そして地方自治体が含まれる事例があります。それも、TPPの対象となる調達基準額がWTOルールに比べ相当低く、かつ地方政府の定義もばらばらで、広い範囲にわたっています。

 TPPが小規模な地方自治体の調達に適用されるようなことになりますと、海外の事業者との対応が、そのような小さな自治体に今の体制で本当にできるのでしょうか。また、建設業などの地域産業への影響も大変懸念されます。このような危惧についても、国民にしっかりと説明していただきたいと思います。

 TPP、何が出てくるかわからない、怖い怖い、お化け屋敷のようだとやゆする向きもありますが、政府調達の範囲すらわからないようでは、国民の不安を払拭することはできません。TPPは経済産業分野の最重要課題です。今後とも議論を深めていきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

吉田委員長 答弁を求めますか、求めないですか。

近藤(三)委員 いえ、もう先ほどのブラックボックスということで了解させていただきました。

 次に、我が国のエネルギー政策の根幹でありますエネルギー基本計画について質問いたします。

 エネルギー基本計画は、平成十四年六月に施行されましたエネルギー政策基本法に基づいています。法の施行後、翌年の平成十五年十月に、小泉内閣のときに、計画期間を十年間としたエネルギー基本計画が閣議決定されました。その後、平成十九年三月、安倍内閣のときに、エネルギー基本計画の第一次の改定が行われました。そして、政権交代後、昨年六月十八日に、菅内閣のもとで、計画期間を二十年間に延長し、第二次改定が行われました。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

 菅政権のもとで改定されたエネルギー基本計画について、今回の原子力発電事故に照らして特筆すべき点を申し上げます。

 第一に、電源構成についてです。計画策定時の昨年六月時点では、原子力及び再生可能エネルギー、つまりゼロエミッション電源の比率は三四%でしたが、これを二〇三〇年までに二倍の約七〇%に引き上げるとされています。

 第二に、原子力発電についてです。このゼロエミッション電源の比率を七〇%に引き上げるための切り札として、原子力発電を少なくとも十四基以上新設、増設し、原子力発電所の稼働率も、これまでの六割から九割に引き上げることが明記されています。

 私は、このエネルギー基本計画を菅内閣が改定したときに、特にこの点について、つまり、原子力発電の安全を確保する上で、新設だけではなく、既に設置されている原子力発電所を含め、その稼働率を六割から九割に引き上げることについて、大変疑問に思いました。そこで、当時の直嶋経済産業大臣に対し、稼働率を引き上げることで原子力発電の安全性は確保できるのか、国会で強く指摘しました。

 原子力発電施設は、現在、ほぼ一年に一回、約三カ月の定期検査を行っています。政府の変更点は、それを、平均十八カ月、つまり一年半以上長期サイクルで運転し、その間の定期検査の期間も、従来の三カ月から二カ月以内に圧縮するというものです。原子力発電の安全、安定運転に欠かすことができないところを簡便化するという菅内閣の本計画の姿勢に、大いに疑問を持ちました。

 そのような中、三月十一日の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故が発生しました。この事故を踏まえ、菅前総理は、五月十日の記者会見で次のように発言されました。現在のエネルギー基本計画では、二〇三〇年において、総電力に占める割合として、原子力が五〇%以上、再生可能エネルギーは二〇%を目指すとなっております、しかし、今回の大きな事故が起きたことによって、この従来決まっているエネルギー基本計画は、一たん白紙に戻して議論をする必要があると考えております、このように発言されました。

 そして、野田総理も、九月三十日の記者会見で次のように言及しています。今のエネルギーの基本計画についてはこれは白紙で見直しをしていく。野田総理は、同様の発言を、この記者会見だけではなく、その後の国会の答弁でも再三されています。

 そこで、お伺いいたします。枝野大臣も、菅内閣が平成二十二年六月十八日に策定したエネルギー基本計画を白紙見直しという方針で、野田総理の考えと一致しているのかどうか、確認させてください。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

枝野国務大臣 白紙見直しの作業を既に始めております。全く一緒です。

近藤(三)委員 枝野大臣、白紙見直しということは、現在のエネルギー基本計画をゼロベースから見直すという意味ととらえてよろしいですね。確認の答弁をお願いします。

枝野国務大臣 はい、ゼロベースで見直します。何らの前提、予断を持たずに見直します。

近藤(三)委員 白紙見直しということは、大変重たい、つまり、ホワイトペーパーです、何も書かれていないところから計画を策定し直すということです。今となってはエネルギー基本計画はないと言っているのと同じです。

 そこで、閣議決定したエネルギー基本計画の効力について、政府の解釈をただします。

 適材適所の内閣というならば、本来、法令解釈担当閣僚は平岡法務大臣が担うべきではないかと思いますが、野田総理は、九月二十日の閣議で、法令解釈担当閣僚を平岡法務大臣から枝野経済産業大臣に交代させました。その法令解釈担当大臣でもある枝野経済産業大臣ですから十分御承知のこととは思いますが、白紙見直しの烙印を押された閣議決定されたエネルギー基本計画が存在することにより、現在の行政府は、依然としてこの閣議決定されたエネルギー基本計画に拘束を受けている状態にあります。

 平成九年二月二十四日の衆議院の予算委員会で、内閣法制局長官は、閣議決定の意義、効力について次のように答弁しています。読みます。「閣議決定と申しますのは、最高行政機関である内閣の意思決定でございます。したがいまして、それを構成する国務大臣のみならず、その統括下にある関係行政機関及びその職員を拘束するということが言えようかと思います。」

 つまり、この内閣法制局長官答弁にあるように、閣議決定された計画が現存するということは、野田内閣を構成する国務大臣のみならず、その統括下にある関係行政機関、その職員も拘束されているわけです。経済産業省の職員は、幾ら野田総理が白紙見直しをすると言っても、現行のエネルギー基本計画が廃止されない以上は、法律上はこれに拘束されているわけで、大変重たいことです。

 具体的に言えば、エネルギー基本計画には、二〇三〇年までに、原子力発電を電源構成の五〇%とし、十四基以上の原子力発電をつくり、その稼働率を現在の六割から九割に引き上げるように日々研さんしなさいと書いてあるわけです。この計画に基づいて行政を遂行する義務を、今の行政機関は負っていることになるわけです。原子力発電を減らすと標榜する野田内閣が、原子力発電をふやすよう日々研さんする、これは大変大きな矛盾です。

 このようなことから、来年の夏までにエネルギー基本計画を白紙見直しするというならば、この方針を法的にも正当なものとするためには、まず、平成二十二年六月十八日に閣議決定されたこのエネルギー基本計画を廃止するための閣議決定をするべきです。

 本件について、所管大臣であり、法令解釈担当閣僚でもある枝野経済産業大臣の見解をお伺いいたします。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、閣議決定には一定の法的拘束力、内閣あるいは内閣のもとにある行政各部に対する拘束力があることは、御指摘のとおりでございます。

 そして、現在のエネルギー基本計画が一定のその拘束力を今持っていることは間違いありませんが、一方で、法については、新法は旧法を破るという基本原則がございますので、エネルギー基本計画そのものを撤廃、廃止をしなくても、その後にある同レベルの法的拘束力を持った決定である閣議決定が、矛盾をする場合は優先をいたしますので、それに基づいて適切に対応しているという状況でございます。

近藤(三)委員 やはり閣議決定という法形式は、内閣として最高の意思決定です。大変重いものです。実質のみならず、形式的な整合性を確保するということは、法治国家として大変重要であるはずです。枝野大臣は、法令解釈担当大臣として、法的整合性の重みをちゃんと認識していただきたいと思います。

 野田総理も、さきの臨時国会の代表質問に対し、エネルギー政策の見直しについて、次のように答弁しています。今回のエネルギー政策の見直しでは、国民的議論を展開しながら、中長期のエネルギー構成のあり方を白紙から検証を行う必要があると認識しており、結論を得るまでに一定の期間を要することに御理解をいただきたい。

 私も、菅内閣が定めたエネルギー基本計画を白紙で見直すというなら、一定の期間を要するということはわかります。しかし、菅前総理及び野田現総理は、国会や記者会見でエネルギー基本計画の白紙見直しを表明していますが、当然ながら、この発言だけでは現在のエネルギー基本計画の効力は何ら変更されるものではありません。つまり、現在のエネルギー基本計画は、依然として、法律の規定により閣議決定されたものとしてその効力を有しているのであります。

 このエネルギー基本計画をそのままにしておきながら、今申したような一連の総理発言をもし繰り返すとしたら、エネルギー基本計画の実効性は宙ぶらりんとなってしまい、我が国のエネルギー政策に対する国内外の信頼が失墜してしまいます。みずからが拘束される閣議決定について、やすやすと白紙見直しを口にする、このような民主党政権の矛盾した政治姿勢が明らかになったと言わざるを得ません。

 したがって、現在のエネルギー基本計画を前政権及び現政権が白紙見直しするというのであれば、この計画の廃止の閣議決定を直ちにするべきと私は主張しているわけです。

 現に、先ほど申し上げましたとおり、平成十四年六月十四日にエネルギー政策基本法が施行されました。それから、十五年の十月七日、エネルギー基本計画が閣議決定されるまでの一年四カ月の期間は、エネルギー基本計画はない状態であったわけです。

 今回、未曾有の国難ともいうべき東日本大震災の発生により、それ以前に策定された、現在のエネルギー基本計画が前提としていたエネルギーの長期的需給見通しが崩れてしまっているわけです。大震災という予測しがたい事情の変更により、我が国はエネルギー政策を根本から考え直さなければならなくなった。このような事態のもとで、国が、最初の計画変更の場合と同様に、ゼロベースで相当の期間をかけて新しい計画を策定することは、エネルギー政策基本法の許容する範囲と言えます。また、このような方針変更について、政府がきちんと説明責任を果たすならば、国民はむしろ率直に、素直に理解してくれると思います。

 重ねて、エネルギー基本計画を即刻廃止するのかどうかについて、枝野大臣に見解をお伺いします。

枝野国務大臣 先ほどお答え申しましたとおり、法理論的には、エネルギー基本計画そのものを白紙撤回するのか、それとも、エネルギー基本計画、閣議決定でありますので、同格の法形式である閣議決定をもって、その部分、一部分について執行停止するなり変更するなりというのは、同じような法的意味を持つというふうに法令解釈担当大臣として承知をいたします。

 ただ、せっかくの御提起でございますし、わかりやすさという面では、一たん既存のエネルギー基本計画を法形式上も全面的に廃止ないしは停止をするということの方がわかりやすいという御提起は一つの御提起だと思います。ただ、閣議決定案件ですので、私がここでわかりましたとお答えをすることはできませんので、閣内で検討させていただきたいと思います。

近藤(三)委員 枝野大臣、九月十二日の就任記者会見で、将来のエネルギー政策について、次のように発言しておられます。やらなければならないのは、原発をゼロにしても大丈夫な状況を一刻も早くつくる、このことが必要だと思っています。さらに、九月二十日の記者会見でも、できるだけ早く原発に依存しなくても成り立つような省エネと新エネの開発を進めていきたい、このように原発に依存しないエネルギー政策の実現に向けて計画を策定すると表明されました。

 にもかかわらず、今のエネルギー基本計画には、二〇三〇年までに十四基以上の原子力発電所を新増設すると書いてあるんですから、一刻も早くしなければならないのは、現在の政府方針と矛盾した現在のエネルギー基本計画の撤廃の方だということを改めて申し上げておきます。

 次に、SPEEDIについてお聞きします。

 九月十二日の大臣就任記者会見で、枝野大臣は、SPEEDI、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムの公開がおくれた理由を質問され、次のようにお答えになりました。

 私は、たしか原発事故が起こって三日目か四日目ぐらいに、SPEEDIというものがあるそうではないか、これはどうなっているのだと担当者を呼んで尋ねましたら、原子炉からの放出された放射性物質の量がわからないのでSPEEDIは使えませんと言うのです。これに対し、既に周辺地域の放射線量が何カ所もモニタリングされている数字と気象状況がわかっているのだから、私は文系だけれども、それは逆算できるのではないかということを申し上げましたら、ああそうですね、逆算をしますとおっしゃって、その逆算の結果が二十三日に公表したものであります。

 大臣は文系であるのにSPEEDIの担当者に対し逆算の方法を提案され、二十三日の公表にこぎつけたことをこの記者会見で知りました。

 これが、事故発生から十二日後、三月二十三日になって初めて公表されたSPEEDIによる放射性物質の拡散予測データです。

 このお答えからしますと、大臣がSPEEDIの存在を知ったのは、三月十一日の事故から三、四日後ということは、三月十四日から十五日にはSPEEDIの存在を知り得たということですが、当時、官房長官でおられた大臣、事故発生の三、四日後にどなたからSPEEDIの存在をお聞きになったのでしょうか、お答えください。

枝野国務大臣 端的に申し上げて、記憶はございません、どなたからなのか。

 多分、推測ですね、間違っている可能性もあるということでお聞きをいただきたいと思いますが、マスコミなどから聞かれたのではないかなというふうに思います。SPEEDIというのがあるはずだけれども、どうなっているのだというようなことを、あるいはマスコミが聞いているんだけれどもというようなことを事務方を通じて聞いたか、何かそういった感じだったというふうに、今の記憶ではそう思っております。

 率直に申し上げて、正確な記憶は残っておりません。

近藤(三)委員 何日後にどなたからというのは。

枝野国務大臣 客観的に残っている記録では、原子力安全委員会が試算を開始したのが十六日でございますので、その前、つまり、十五日か十六日かに、逆算できるじゃないかということを申し上げていると思います。したがって、SPEEDIというのがあってどうこうという話を聞いたのは、十六とか十五とか十四とか、その辺のところであったというふうに、自分の残っている記憶との関連で推測できると思っています。

近藤(三)委員 実は、このパネル、私が東日本大震災後初めて国会質問に立った四月十三日に使ったパネルです。

 私も文系なんですけれども、四月十三日の経済産業委員会で原子力安全委員会班目委員長に次のようにただしました。

 原子力安全委員会は、放出源データが電源喪失などで得られなくても、SPEEDIによって、この事故が発生したときから、モニタリングデータや地形データ、風速データ、雨量データなどから、同心円状ではなく、陸側は原子力発電所から北西方向に卓越した放射線量が拡散することを予測できたのではないか。

 この私の質問に対し、班目委員長は、この結果は、実はSPEEDIを使って逆算で求めている、モニタリングの結果はわずか三点しかなかったが、それとこれまでの気象条件を入れて逆に放出源情報を求めた、このため、基本的にはこのような特性があるのかもしれないが、私どもとしては、このようになるに違いないのでこのような形で避難をしてくださいと被災者に申し上げるのは、危ないのではないかと思っております、こういう答弁でした。

 しかし、文系の枝野大臣は、震災が発生して三、四日後にはもうSPEEDIの重要性を認識され、そして逆算によって拡散の状況を推測するようにと指示をされた、このように大臣就任記者会見で言われたわけです。枝野当時官房長官のように、SPEEDIを一刻も早く避難、対策に活用しようとする姿勢が班目委員長になかったこと、実に問題です。

 枝野大臣、初期段階でSPEEDIを活用できなかったこと、そして、このような班目委員長のSPEEDIに対する認識について今どのような感情を持たれているのか、見解をお聞かせください。

枝野国務大臣 せっかく言っていただいたんですが、早い段階で私が重要性を認識していたというよりも、とにかくさまざまな関連する情報は徹底して情報公開をするべきであるということも指示をしておりましたので、あるはずなのにこういうデータが出ていないのはどういうことだという指摘があったので、それについて直接官房長官として対応したというのが先ほどの話でございます。

 それで、班目委員長がどういう趣旨でお話しになったのか直接伺っていないんですが、北西方向、つまり結果的に飯舘村が高い放射線量であったということについては、その最初の段階の三カ所ぐらいのモニタリングの数字でもそうした地点が高かったりとか、あるいは、どうやら高い放射性物質の量が放出をされた可能性が高いと思われる、後になって水素爆発とわかったようなタイミングのときの気象状況等をかんがみると、北西方向が心配だということは、早い段階から、これはSPEEDIにかかわらず共有をしておりました。

 だからこそ、北西方向中心にモニタリングを強化するようにということが、多分、十五とか十六とか十七とか十八とか、二十日前後ぐらいのところ、集中的に北西方向のモニタリングがなされているデータが残っているんじゃないかというふうに思っております。

 そうしたことで、SPEEDIそのものが直接は使えておりませんし、使えていれば、もっと確度を持って北西方向、むしろ、北西方向が心配だというよりも、ほかのところで、同じ距離だけれどもかなり放射線量の低いところがある、そちらの方をもっと使えたのかなというような思いは持っております。

近藤(三)委員 五月二十日、当時の枝野官房長官の記者会見で、事故の翌日十二日未明、午前一時十二分には官邸にSPEEDIの予測結果がファクスで届いていた、しかし、その情報が官邸内で全く共有されなかったと発表されました。つまり、せっかくのSPEEDIの予測結果がその後の避難指示などに全く役に立たなかったということが、五月二十日の時点で明らかになったわけです。

 こちらのパネルを見ていただきます。このパネルは、三月十二日午前一時十二分に官邸に送られてきたファクスそのものです。

 そこで、私は改めて、五月二十五日の経済産業委員会で、このパネルを提示してSPEEDIの問題を取り上げました。答弁を通じて、当時の海江田経済産業大臣は、SPEEDIの存在を初めて知ったのは恐らく三月二十日以降になろうかと思いますという答弁をされます。

 こちらが、先ほどお見せしたパネルです。事故発生から初めて公表されたSPEEDIによる放射性物質の拡散予測データです。

 このデータが公表された日にちは、事故発生から十二日後、三月二十三日です。つまり、この三月二十三日のSPEEDIを初めて公表する三日前まで、海江田大臣はSPEEDIの存在を知らされていなかったということです。

 事故の翌日、三月十二日の午前一時十二分には、官邸にSPEEDIの解析データの第一報が入りました。それが、こちらの先ほど示したファクスです。風向きなどによって、ベントをすればどの方向に放射性物質が飛散するかある程度予測できたのに、その重要なデータが官邸内で、内閣の中で共有されなかったことは大変大きな問題です。飛散している方向に避難された方も多かったのです。班目委員長が答弁した、SPEEDIの解析データを避難の方向などに活用するのは危険だという答弁は、全く同意できません。

 三月十二日にSPEEDIのデータが官邸にファクスされたにもかかわらず、情報の共有がなされなかったということについては、五月二十日に枝野官房長官は次のように記者会見されました。SPEEDIの情報を共有できていれば、避難指示に当たって参考になったことは間違いない、その意味で重要な情報であったと釈明されています。

 それは、九月の大臣就任記者会見でも発言されたように、枝野官房長官は、このSPEEDIの情報を重要だと考えている。しかし、同じ内閣で原発事故の対応に当たる責任者である班目委員長は、これを単なる気象予測のようなものであるというふうにしか思っておられない。これは、官邸の中の意識、認識の不一致と言わざるを得ないと思います。

 改めて、班目委員長の認識、対応について枝野大臣はどのように受けとめておられるのか、お聞きします。

枝野国務大臣 班目委員長は、内閣からも一定の独立性を持った第三者委員会的な委員会の委員長でございますので、そのことについてどこまで直接的に申し上げていいのかどうかは難しいところがございますが、若干反省も込めて申し上げますと、科学的にどういう意味を持っていて、どういう性格のものであるのかということを科学の専門の皆さんはお考えがちであります。少なくとも、政治や行政の立場からは、科学的な正確さよりも、社会的にどう活用できるのかということを考えます。そういった点のギャップが、今回の震災対応あるいは原発事故対応において生じてしまった側面があるのではないかというのは、反省も含めて感じております。

 そうした意味では、SPEEDIに限らず、科学的な観点からは確度が低いとか十分な根拠に基づかないというものであっても、社会的に有用性がある場合があるということを、特に科学的な専門家の皆さんと、それから政治、行政の側面の立場とでしっかりと共有することが必要だろうというふうに思っております。

近藤(三)委員 科学の力を社会に活用していくのが、我々人間、人類の知恵だと思います。

 五月二十五日の国会質問で、私は、各大臣がどの時点でSPEEDIの存在を知り、どのような対応をとったかについて取り上げました。その中で、枝野官房長官については、四月二十七日の経済産業委員会内閣委員会連合審査で、我が党の吉野委員のSPEEDIの質問に対し、大臣は、今回の事故では、その放射性物質の放出量が把握できていないためにその役割は果たせないんだという報告が、三月二十三日のちょっと前くらいに私のところにございましたと答弁されていることを取り上げました。私が取り上げたんです。

 つまり、この答弁では、SPEEDIの報告が初めてあったのは、三月二十三日の公表のちょっと前だったと答えられています。先ほどの大臣就任の記者会見では、三月十一日の三、四日後に知ったという発言、先ほどもなさいましたけれども、大臣のこの二つの発言には明らかに時間的なそごがあります。

 率直に申し上げます。一体どちらが本当なのでしょうか。SPEEDIの存在を大臣が知ったのは、東日本大震災発災直後の十四、十五なのか。それとも、三月二十三日のSPEEDIの公表の直前なのか。お答えください、大臣。

枝野国務大臣 いずれにしても、あの時期の時系列のところは、正確に記憶そのもので持っているものではありません。

 実は、SPEEDIの最初の公表がなされたのが三月二十三日で、そのきっかけになったのが、私が先ほど来申し上げている、逆算できるではないかという話をしたところでございましたので、三月二十三日のちょっと前であるという記憶である。

 その一方で、その後、試算を開始した日というのが三月十六日である。これは今も手元に持っているんですが、試算開始をした日が三月十六日であるとすれば、その直前、一日とか二日前ぐらいであろう、つまり、十五とか十四とかであろうということで、そうした軸になる確実な日にちとの距離感で記憶を申し上げているということでございます。

 若干、誤解を招くような発言ぶりに結果的になっているとすればおわびを申し上げますが、今申し上げましたとおり、三月二十三日より前である、そしてなおかつ、試算を開始したのが十六日であるとしたら、そのちょっと前である、こういう記憶でございます。

近藤(三)委員 我が党の吉野委員の枝野官房長官への質問、議事録から示させていただきます。吉野委員がこのように質問しています。

 SPEEDIのデータを、三月二十日以降ですか、見たのは。

 SPEEDIの存在というものはわかっていましたか。三月二十日から、または二十三日にプレス発表されてからわかったのでは、SPEEDIの存在意義、なぜSPEEDIがあるのか。全く利用していない。百三十億もかかっているんです、この開発に。御答弁願います。

このように吉野委員はただしています。

 これに対し、枝野官房長官は次のように答えています。そのまま読みます。

 ○枝野国務大臣 SPEEDIは、防災基本計画と原子力災害対策マニュアルに基づいて、原子力発電所からどれぐらいの放射性物質が放出されたのかという情報が得られ次第、その放射能の影響予測を実施することが役割というふうに定められております。

  今回の事故では、その放射性物質の放出量が把握できていないためにこの役割は果たせないんだという報告が、先ほど申しました二十三日のちょっと前ぐらいに私のところにございました。

  私は、多分、私が申し上げただけではなくて、同じことをほかの専門家の皆さんはお考えになったんだろうと思いますが、決して数は多くないけれども周辺地域の放射線量や放射性物質についてのモニタリングの結果が出ているのだから、放出源の情報でどこにどういう影響を及ぼすかというシミュレーションができるならば、逆もできるのではないですかということをお尋ねしましたら、その数日後ぐらいに、そういったところから逆算をした結果に基づいて影響予測をしましたというのが報告をされたものでございます。

このようにお答えになっているのです。

 枝野大臣が逆算させたのは、三月二十三日公表の三日前だったことになります。

 再度お聞きします。枝野官房長官が初期動作に欠かせないSPEEDIの存在を知ったのは、地震発生後三、四日後ですか。それとも、三月二十三日の公表のちょっと前だったんですか。

枝野国務大臣 私の記憶を正確に申し上げますと、今の答弁でもありましたとおり、私が、使えないのかと言って、使えないと言うから、逆算してみたらどうだということを言って、それに基づいて試算を開始されたのが十六日で、その試算結果が公表されたのが二十三日でございますので、十六日の当日か、前日か、前々日か、ここの記憶は正直言ってございません。ただ、十六日の前であるのは間違いないと思います。

 それから、もう一点申し上げると、その私の指示に基づいて、試算は安全委員会が所管をしろという指示を同時に出していますので、安全委員会が動き出しているというのは私の指示の後でございます。

近藤(三)委員 SPEEDIがもし原子力発電事故から適切に利用されていれば、原子力発電所周辺の住民の皆さんの避難が変わっていたと思います。そして、その後の水素爆発による首都圏を初めとする広い範囲での対応も変わっていたのではないかと思います。

 先ほどから申し上げていますように、吉野委員に対する枝野当時官房長官のお答えと、そして、大臣就任後の記者会見の日にちが全くそごを来しているということで、私はこの質問をさせていただいているわけです。

 この日程、記憶は定かではないから、どれを起算にして考えればいいのかというふうに枝野大臣はおっしゃいますけれども、その後の水素爆発によりまして、首都圏を初めとする広い範囲での対応も、随分とこのSPEEDIの活用によって変わっていたのではないかと考えます。SPEEDIがどのようなことが原因で共有できなかったのか、この点は、今後、国会に設置されます東京電力福島原発事故調査委員会でもしっかりと究明していかなければなりません。

 ですから、この時間軸というのは非常に大切なことなんです。SPEEDIの存在、SPEEDIのデータの解析方法など、時系列的な対応なども、枝野大臣の御発言は二転三転しています。きちんとした対応を求めて、次の質問に移らせていただきます。

 次に、温室効果ガス二五%削減の見直しについてお聞きします。

 枝野経済産業大臣は、九月十二日の就任の記者会見で、温室効果ガス二五%削減の中期目標について、記者の質問に次のように答えています。大きな方向性としての二酸化炭素排出量の削減に向けて、可能な限りの最大限の努力をしていくということについては、全く変わるものではありませんが、具体的なこの数字などについては、今回の原発事故を踏まえたさまざまなエネルギー政策の見直しの中で、さまざまな議論が必要だというふうに思っております、このように発言されました。

 この枝野大臣の記者会見には、原発事故を踏まえると、二五%削減という高い削減目標は見直しが必要だと表明されたわけですが、大臣は今後、二五%削減の見直しとエネルギー基本計画の白紙見直しをどのようにリンケージさせていくべきか、関係づけて検討していこう、検討を進めていこうというふうに考えておられるのか、見解をお聞きします。

枝野国務大臣 エネルギー基本計画の方は、計画そのものを白紙で見直しします。これは、先ほどお尋ねがありました、八月十五日に閣議決定で、白紙から見直すという閣議決定をしております。

 それで、温室効果ガスの方については、こうしたものとの関係で見直すかどうかということ自体が白紙であるというのが正確な位置づけかというふうに思っておりますが、これについては、エネルギー政策全体の中で、エネルギー・環境会議を中心に、まさにこれからの議論だと思っております。

近藤(三)委員 枝野大臣が、二五%削減を見直す方針であるということはよくわかりました。しっかりと対応していただきたいと思います。

 先般、細野環境大臣は、二五%削減を堅持すると経済界にコメントしたと報じられています。この件で、閣内不一致とならないよう、枝野大臣のリーダーシップをぜひ期待いたしたいと思います。

 ことし十一月から十二月には、南アフリカ・ダーバンでの国連気候変動枠組み条約COP17が迫っております。原発事故が起こった日本のCOP17での対応を世界は注目しています。

 我が国の地球温暖化対策に対して、これまでの進路を改めるべきときが来ました。原子力発電に頼らず、太陽光、風力発電などの新エネルギー、再生可能エネルギーをあと九年後の二〇二〇年までに大幅に増大させ、二五%削減をするなど、時間的にも規模からしても到底到達できない、達成できないのは明らか。

 では、世界に目を向けてみる。ヨーロッパにしましても、アメリカにしましても、現在、経済危機、雇用への対応が最優先の課題となっていることは周知の事実です。どの国も、経済をしっかりさせながら適切な環境対策を講じることはできるのです。

 産業革命以前と比べて気温の上昇を二度で安定化させる、この目標は、国際的に守るべき目標、実行すべき目標でした。しかし、今では、あくまでも達成の可能性は難しい、ビジョン、将来像という位置づけに急速に変わっていると言われています。

 アメリカでも、二〇〇五年比一七%削減という、日本に比べますと緩い目標でさえ実現への道筋は全く立っていないのが現状です。米国のオバマ政権はグリーンニューディール政策を掲げ、雇用の拡大をアメリカ国民に訴えましたが、その結果はといいますと、これによって雇用が改善しているとは言えません。

 ことし八月には、米政府が支援してきた太陽光発電メーカーのソリンドラが経営破綻しました。米国政府のエネルギー省の広報官は、ソリンドラは中国の太陽光発電関連メーカーの激しい価格競争、価格政策の犠牲者となったと語り、グリーンニューディール政策を推進しても、結果として中国の雇用をつくっただけだという見方が強くなっています。そして、京都議定書のキャップがかかっていない中国はといいますと、CO2の排出量はふえる一方です。

 日本は、震災前の原子力が期待できる状況でも、二五%削減はほとんど不可能な目標でした。枝野大臣が表明されているように、原子力発電をゼロにしても大丈夫な状態の電源構成を一日も早くつくるとするならば、あと九年となった二〇二〇年までにCO2の排出を二五%削減することは、全く不可能な目標であることは明らかです。

 もちろん、再生可能エネルギーの割合をふやしていくことは必要です。しかし、日本の経済状況を勘案し、ソフトランディングしていかなければ、米国のソリンドラの二の舞を演じることになります。日本の産業の体力を無視して、むやみに再生可能エネルギーの割合をふやそうとすれば、アメリカの太陽光発電のように、中国製品の流入により、国内では失業をふやすことになりかねません。

 今や、二五%削減という幻想から目覚め、日本国内での排出削減の量だけにこだわるのではなく、方針を転換するべきです。日本のすぐれた省エネ、環境技術を国際的な展開によってグローバルに貢献することこそが世界のためにもなり、日本のためにもなるのです。そのためにも、民主党政権は今こそ二五%削減の呪縛から解かれるべきだと考えております。ここでしっかりと申し上げておきます。

 まだCOP17への対応など質問をさせていただきたいのですが、時間が参りました。以上で質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 枝野大臣におかれましては、前大臣があの不適切な発言でやめられてからの緊急登板でございますが、ぜひ仕事ぶりで、経済産業大臣という立場への国民の信頼を回復していただきたい、そのように期待をしているところでございます。

 きょうは、先日述べられました所信的あいさつに対しての質疑でございますので、そのことを踏まえて、大きな点を、特に大臣初め政務三役の方を中心にお聞きをしたいと思います。

 その所信的あいさつの中で、四つの政策の柱について大臣は述べられました。その第三の政策の柱のところに関連するんですけれども、経済界や産業界の方とここしばらく話をしておりますと、必ず出てくる言葉というのが六重苦、そういう言葉があるわけですね。

 一つは円高。これはもう今超円高になっておるかと思います。きょうの各紙の一面も、ニューヨークで七十五円七十三銭という戦後最高値をつけた、外国為替市場のそういう問題もあります。二番目には、高い法人税を含めた税制の問題。三点目に、自由貿易協定への対応のおくれ。四点目に、製造業への派遣禁止などの労働規制。五点目に、環境規制の強化。合わせて今まで五重苦と呼んでおったんですけれども、三月十一日の東日本大震災後に、六番目に電力の供給不安、こういうものが加わったわけでございまして、これでこのまま放置しておくと、産業界の皆さんは極めて国際競争で不利になって、対策をとられなければ産業の空洞化が起こってしまう。そのことを会うたびに言われるわけです。

 昨日政府が閣議決定されたものづくり白書でも全く同じことを言われていました。日本の製造業が直面する六重苦の影響で国内産業の空洞化が加速する懸念がある、そういうように指摘をされているわけであります。

 私は、野田政権の乗り越えないといけない一つの大きな課題ではないかと思っているわけですね。この六重苦と言われる産業界側の苦悩にどこまで真剣に耳を傾けて、やはり日本で仕事を続けていくんだ、そういう企業の意欲をかき立てる処方せんをこの政権の政策としてしっかりと打ち出せるか、これがやはり大事ではないかと私は思うんです。

 まず、大臣に大きなところでお聞きしたいのは、いわゆる六重苦に対する御認識と、解消に向けた方策について、大臣はどのような認識をお持ちなのか、まず最初に所見を伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 六重苦については、実は、雇用、労働の話と環境については必ずしもマイナスだけではないというふうには思っておりますが、そのほかの四つは明らかに日本の経済にとってマイナスでありますし、雇用や環境についてもマイナスの側面があるのは間違いない。そうしたことに同時に今直面をしているということで、日本経済の、特に空洞化を阻止するという意味では大変重要な局面にあるという認識を持っているところでございます。

 これに対する対応としては、いわゆる守りの対策としての、当面の、例えば緊急の金融対策でありますとか、立地補助金とか、法人実効税率の引き下げ、高いレベルの経済連携の推進といった守りの対策、これはこれまでも進めてきたかと思っておりますし、これはまず緊急に重要だと思っておりますが、根本的にここから脱却するためには、やはり攻めの空洞化対策が必要であると思っております。

 特に、少子高齢化などの社会環境の変化を必ずしもマイナスだけに受けとめるのではなくて、積極的に受けとめて、成長分野、例えば高齢化の中ではヘルスケア産業などが成長する余地が間違いなくあるわけでありますし、あるいは国際展開の中で、日本がブランド化している、いわゆるクール・ジャパンを含めた展開については、まだまだやれる余地がある。あるいは、円高についても、大変今厳しい側面ばかりが強調されていますが、例えばこうした機会に日本の企業が積極的に他国の企業を買収するなどといった攻めの側面を応援していく。

 この攻めと守りの両面をバランスよく進めていく。特に、攻めが若干弱かったかなと思っておりますので、攻めの側面を強化していくことで、この局面を何とか打開してまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 このことは、きょうを皮切りに、また具体論をこれから議論させていただきたいと思うんですけれども、きょうはその中でも特に、六重苦の中で、経済産業大臣に何とかイニシアチブを発揮して対応してもらいたいという点、大きく二つぐらい質問をさせていただきたいと思うんです。

 一つは、電力供給不足問題でございます。

 本格化する寒さを前に、今冬、これから冬の節電、電力需給に対する関心というのが非常に高まっているんですね。この夏は、東京、東北電力管内では、政府から一五%の節電が義務づけられまして、一九七四年以来となる電力使用制限令も大企業に対しては発動された、そういうこともございました。しかし、それによって、その電力使用制限令も前倒しで解除するぐらいに、全国民的取り組みでこの夏は乗り切ったと思うんです。しかし、これから冬がさらに大変だという声も当事者から聞かされております。

 この冬の電力不足に対する懸念に対して、どう対応していくのかということをぜひ何点かお聞きしたいんですが、まず、政府としての見通しですね。

 私のつかんでいる数字では、この冬の電力需給に対する供給力の余裕を示す予備率として、例えば関西電力はマイナス八・四%、東北電力はマイナス七・三%というような数字が、七月末の時点で発表されております。また、それ以外の東京電力管内、四国電力管内、九州電力管内、各電力でも不足するのではないかと見られているんですが、現時点で政府は今冬の電力需給の見通しをどのように考えておられるのか、ぜひ経済産業省の見解を伺っておきたいと思います。

北神大臣政務官 お答えします。

 委員御指摘のとおり、七月二十九日にエネルギー・環境会議がございまして、そこで出た見通しが、全電力会社を含めてマイナス〇・七です。おっしゃったように、関西はマイナス八・四とか、四国はマイナス三・三、九州はマイナス二・四と、当然原発の比率が高いところの方が厳しいという状況でございます。

 ただ、この数字についてはまた精査を今しているところでございまして、早急に精査された需給の見通しと、それに対する対策というものを取りまとめていくということでございます。

佐藤(茂)委員 今、精査しているところだと言うんですが、私は、結論から言うと、早期にこの需給見通しを示して、節電目標の提示はなるべく早い方がいい、ぜひ早期にそういうものを提示していただきたいと思うんですね。

 ことしの夏の取り組みを見ますと、全国民挙げて極めて画期的な取り組みをされたと思うんですね。ですから、去年の夏と比べて、最大電力消費というのは、東京電力では一八%減になっています。さらに、東北電力でも一五・八%、関西電力管内でも一一・三%という減少になったんですね。これは各御家庭の小まめな節電というのもありますし、また企業も、生産シフト自体も変更されている。例えば、自動車業界なんか、木金の一斉休業を導入して、土日に操業をシフトさせるというようなこともありました。そういう就業形態の見直しもあったりいろいろあって、社会が結束することで得られた、そういう画期的な成果だと思うんですね。

 私は、こういう節電の実効力を上げるためには、政府がしっかりと旗振り役になって、社会全体で目標を共有するということが欠かせないんだろう、そのように思うんです。ですから、今精査されていると言われておりましたけれども、政府と電力各社はしっかりと連携をとっていただいて、この冬の電力の需給見通しをきちっと確定させて、それを踏まえて早期に国民に節電目標を示すべきである、私はそのように思うんですが、早期の節電目標の提示の必要性について、ぜひ枝野大臣の所見を伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘いただきましたとおり、できるだけ早く見通しをお示しする、その中で、一定の節電への御協力はこの冬もお願いせざるを得ない、これは精査の途中ですが思っておりますので、できるだけあらかじめいろいろな準備や想定をしていただけるような時間的余裕を持った方がいいと思っております。

 今、精査をしておりまして、何とか今月中には見通しと国としての大きな対策の方向性をお示ししたい。そこに向けて、今詰めを急ぎたいと思っております。

佐藤(茂)委員 ぜひ全国的に詰めをお願いしたいと思います。

 それで、私と北神政務官、ここに委員もいっぱいいらっしゃる、委員長もそうですが、一番危ないのは関西電力管内だ、そういうふうに言われているんですね。やはり原子力によって立っている電力のパーセントというのが非常に高いということもありまして、電力需給が関電管内で逼迫するんじゃないのか、そういうように言われております。

 というのも、原子力発電所が、十一基のうち今七基が定期検査で運転を停止中でございます。さらに、年内に三基、来年二月にはすべて停止して、それだけでも最大八%は電力不足になるんじゃないのか。この間もありましたけれども、そのほかの、火力発電所なんかのトラブルの可能性も考えると、三%程度の供給余力を持つことも考えると、一〇%以上の節電が必要になるんじゃないのか。私も大阪に戻ると、そういう報道がどんどん出ておるわけです。

 関電は、東京電力や東北電力のように、夏は政府がきちっとした指示はされませんでした。関西電力が呼びかけという形にしたんですが、ただそれが、やはりいろいろな調整の問題もありまして、結果的に要請発表から開始まで二十日間しかなかったということが非難をされましたし、さらに関西電力と関西広域連合、そして政府の数字というのが当初ばらつきがあったということで、非常に混乱を招いたということもございます。

 私は、ぜひ政府がイニシアチブを発揮していただいて、政府と関西広域連合、これは地域ですが、それと関西電力が共通の目標値を掲げて国民の皆さんに、また企業の皆さんに節電をお願いする、そういう方向性というものを明確にやはりつくっていくことが必要ではないかと思うんですが、まず北神大臣政務官の見解を伺っておきたいと思います。

北神大臣政務官 おっしゃるとおり、私も京都ですから、大変厳しい事情だというふうに危機感を持っているところでございます。

 委員の御指摘も踏まえまして、ばらばらに目標が出ないように、国と関西電力さんと関西広域連合さんと今事務的に調整をしているところでございます。だから、引き続きこれを続けて、連携をして、それで、おっしゃるとおり、早急に電力需給の見通し、そして対策というものを出していきたいというふうに思っています。

佐藤(茂)委員 この電力の問題は、私も、この前の通常国会では、最後、再生可能エネルギーの特措法の修正案者として参議院にも行って答弁をしてきたんですが、再生可能エネルギーの促進というのは当然進めないといけないと思うんです。しかし、現実的にはやはり、今るるこの状況を説明しましたけれども、原子力発電所に相当頼らないといけない。しかし、なぜこの冬にそういう電力需給というのが逼迫してくるかというと、定期検査でとまっている原子力発電所の再稼働の見通しというのがまだ立っていないということが一つの大きなやはり要因になっていると思うんですね。

 それで、何点か枝野大臣にお聞きをしたいんですけれども、枝野大臣は就任記者会見で、停止中の原子力発電所について、安全性を確認し、周辺住民に理解していただく努力をした上で、稼働すべき原発は再稼働する、そういうふうに述べられました。また、先日の所信的あいさつの中でも、「点検済みの原子力発電所については、地元住民などの御理解を前提として、その再稼働について判断することとしております。」と述べられているんですが、しかし、現実には原発の再稼働というのは一向に進んでいない、そういう現実があるんです。

 再稼働を判断するストレステストをめぐる当初の政府の迷走もありましたし、また今、枝野大臣が大分一生懸命取り組んでおられる九州電力のやらせメール問題、そういう問題もあって、原発を抱える自治体自身が、再稼働を認めるという部分については非常に困難な状況に追い込まれている、そういうこともあるんですが、よく見えてこないのは、政府がどういう方向に持っていこうとしているのかということがまだはっきりしないということが私は一つの問題ではないかと思うんですね。

 このままいくと、今後、定期検査を迎える原発がまだどんどん出てきますから、来年の春にはすべての原発が停止する、そういう事態がもう待っているわけです。そういうことから、電力不足の長期化は避けられないという見方も一般的なものになっているわけですね。

 それが、企業が海外に進出してしまう一つの要因にもなりかねない、そういうところについて、やはりきちっとした手を打たないといけないと思うんですが、この原子力発電所の再稼働について、枝野大臣、もう一度、文書で述べられただけではなくて、具体的にどのように進めていかれるお考えなのか、ぜひ大臣の考え方を伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 定期検査で停止中の原子力発電所については、七月二十二日に保安院から、いわゆるストレステストの実施を指示したところでございまして、これに基づいて、各事業者が現在ストレステストの作業を行っている状況でございますが、現時点においては、まだ事業者から保安院に対する評価結果の報告はなされておりません。

 保安院に報告がなされましたら、当然それを国民の皆さんに公開をし、その上で保安院がしっかりと評価を行う。さらに、その妥当性を原子力安全委員会に確認をいただく。こういうプロセスの中で、ストレステストの場合はマルかバツかではありませんので、これぐらいの裕度があるという話でありますので、その裕度についての評価も含めて、しっかりとそのプロセスを周辺住民の皆さんを中心に国民の皆さんに見ていただいた上で、最終的に地元の理解、国民の信頼が得られているかどうかという点を含めて総合的な判断をしたいというふうに思っているところでございます。

佐藤(茂)委員 それで、どの辺を一つのターゲットにされるのかということで、これはこの前の臨時国会のときにも少し話題にはなったんですが、九月二十日に野田総理が、アメリカ紙のインタビューで、来夏に向けて、要するに来年の夏に向けて再稼働できるものはしていかなければ日本経済の足を引っ張る、そういう表明をされたんですね。ところが、衆議院の予算委員会でそのことを聞かれて、可能なものがあるならばという意味合いで言ったんだと微妙にトーンダウンをされておるんです。

 枝野大臣は、早い方がいいということもあの委員会でも言われたんです。具体的に来年の夏と再稼働の期限を切るべきではないけれども早い方がいい、そういう意味だと思うんですが、原発の再稼働のタイミングについて、大臣はどの辺をターゲットに考えておられるのか、そういうものがあるならお答えいただきたいと思います。

枝野国務大臣 さまざまな外的要因、つまり経済上のニーズとか、さまざまなことは十分に配慮、考慮しなければならないと思っておりますが、その一方で、周辺住民の皆さんを初めとする国民の理解を得るためには、それこそ期限ありきでというプロセスではなかなか理解を得ることは難しいのではないかというふうに思っております。

 各事業者の皆さんも、できるだけ正確に、かつ急いでストレステストを実施していただいているだろうというふうに思いますが、それが出てきましたら、できるだけ迅速に公開をし、国民の皆さんのさまざまな声を踏まえながら、迅速にそれに対する評価、チェックを行っていくということは進めていきたいと思います。

 大変恐縮ですが、やはり時期、いつごろまでにということを申し上げれば、いや応なく周辺住民の皆さんには、では結論ありきで進めるんだなという誤解を招きかねませんので、時期の見通しについては勘弁いただければというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 周辺住民あるいは国民の理解を得ることが一つの大きなポイントだ、そういうふうに今大臣も言われたんですが、要するに今、東京電力の福島第一原発の事故以来、原発に対する信用性、安全性、特に安全性に対して非常に不安がある。国民が安心できるような安全性についての指針というのは、今までの御答弁からいうと、枝野大臣は、ストレステストをして、それが一つのクリアできる標準にかかっていれば、これは国民の皆さん、また住民の皆さんにも安全性をしっかりと信頼していただける基準である、そういうようにお考えだということで理解してよろしいんでしょうか。

枝野国務大臣 指針といいますか、これについては、例えば事故を踏まえて、今般の事故と同程度の津波が発生した場合でも深刻な事態に至ることなく冷温停止につなげるための対策などを実施する、これに向けての指針はもう出して、実際に実行していただいております。

 ストレステストがすべてではありませんが、ストレステストのときに基準になる基準値というのは、まさに政府として保安院、安全委員会のチェックを受けて、こういう基準をクリアしなきゃならないという基準やその背景になっている。

 例えば、地震の可能性その他について、いろいろなものが含まれた可能性に対してどれぐらいの余裕度があるかということですので、従来の、クリアしているかしていないか、マルかバツかよりもより具体的に、こういう基準に対してこれぐらいの余裕があるんだということを国民の皆さんにもお示しができるというふうに思っておりますし、当然その際には、単に一・幾つという余裕度があるだけではなくて、こういう考え方でつくられた基準に対してどれぐらいの余裕度があるということをお示ししていくということになりますので、それに基づいて御説明をし、御理解をいただけるとすればいただくのが一番わかりやすいのではないかというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 そのときに、やはり説明を受ける側に、ストレステストというものがどういうものであって、それで出てきた数値の余裕度がこれだけあればどれぐらい安全なのかということをしっかりと判断する、そういう知識、また情報というものをしっかりと提示した上で丁寧な説明というのをやらないと、各自治体にはずっと携わってきた専門家もいらっしゃるでしょうけれども、しかし、広く住民の皆さんに理解していただくためには、ストレステストの重要性、これはもう当然、欧米でも行われてきているものですけれども、そういうものとそういうものの持っている信頼性みたいなものについてもしっかりとやはり説明していただきたいなと思うんですが、そのことについては、大臣、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘のとおりだというふうに思います。単に安全というだけで、専門家が安全だと思っているだけではだめなので、住民の皆さんに一定の御理解をいただくためのわかりやすさということが重要だと思っております。

 気をつけませんと、保安院が安全だ、安全だというアピールをする側に回ってはいけないと思いますので、事業者そして資源エネルギー庁の立場からわかりやすい説明ができるように整理をあらかじめしておいて、その上で、実際に余裕度がこうでということについて示されましたら、住民の皆さんに説明をし、それを保安院がしっかりチェックするという流れ自体ができるだけ可視化できるように努力をしたいと思っております。

佐藤(茂)委員 もう一つ、再稼働に対する態度とともに、ぜひ、所管の大臣として大臣の原子力発電についての見解を伺っておきたいのが、原発輸出についての方針なんですね。

 野田総理が九月二十二日に国連本部で、国連原子力安全首脳会合で、日本は、原発の安全性を世界最高水準に高める、原子力利用を模索する多くの国々の高い関心にこたえていくと述べられたことが、当初の報道では、新興国への原発輸出への警告を表明した、そういうふうに報道されたんです。しかし、約一週間後の九月三十日の記者会見で、総理みずから、原発輸出を解禁するような話に受けとめられているが、そんなことは一言も言っていない、そういうふうに述べられているんですね。しかし、その後の、また一週間後ぐらいの十月五日の衆議院の復興特では、我が国は原子力の平和利用で技術を蓄積してきた、関係国への協力は今後もやる、一方、どんどん営業努力をするということではない、そういうふうに述べられたと言われているんですね。

 要するに、総理の話だけ聞いていると、原発輸出ということについてこの政権がどう取り組んでいくのかというのが、言葉だけ聞いているとまだまだ極めてあいまいでよくわからない。

 そこで、担当大臣の枝野大臣にお聞きをしたいんですが、枝野大臣は十月十八日に、パリでIEAの閣僚会議の出席中にトルコのユルドゥズ・エネルギー天然資源大臣と会談されて、昨年十二月に日本が優先交渉権を獲得したトルコの原発建設計画について、交渉の継続を要請されております。さらに、きょうの毎日新聞だと思うんですが、ベトナムのグエン・スアン・フック副首相が、日本の技術で計画している原子力発電所二基の建設について、日本側との政府間合意を締結する方針を初めて明らかにした、そういう記事が一面と、二面にわたって報道されているんです。

 担当大臣として、原発輸出について継続していく方針なのかどうなのか、そこについて明確な答弁をぜひ枝野大臣にお願いしたいと思います。

枝野国務大臣 これについては、恐らく三つぐらいのカテゴリーがあるんだと思っております。

 一つは、原発輸出そのものではなくて、原子力協力といいますか、特に今回の事故で得られた教訓等を世界に提供して、それぞれの国で現に動いている原発はたくさんあるわけですから、そういったところに我々の経験を活用してくださいという意味で協力をしていく。これは、多分、異論なく皆さんに御賛同いただけるのではないかと思います。これは日本としての責任だと思っております。

 それからもう一つは、既に積み重ねのある案件で、相手からの御希望もある、積み重ねを考えたときに、その御希望に、ちょっとこちらは事情が変わりましたというのは、むしろ国際的な信義に反するのではないかという案件があります。トルコは典型だと思っておりますし、ベトナムもそうであります。こうしたことについて、こちらから、安全だ安全だ、ぜひ日本のものを使ってくださいと言うつもりはありません。しかし、日本からしっかりと客観的なデータをお示ししている中において、引き続きの継続の部分があるんだからぜひ日本に協力してやってもらいたいとか、日本に注文を出したいというようなお話があれば、これについては責任を持って対応していくということだと思っております。

 その上で、新たに、どこかの国が原発を考えているから、震災前の状況のように積極的に売り込みに行って、ぜひ日本の原発を使ってくださいということをこちらからやるかということについては、少なくともこれは一たんとめるということで、全体としてのエネルギー政策の見直しを踏まえた上でそういったものについては結論を出すので、少なくとも今はやらない。

 この三つのカテゴリーに分かれておりますので、どの部分についての話かということで若干ぶれている印象をお与えしているとすれば、気をつけなければいけないと思っておりますが、この考え方は菅内閣以来一貫しております。

佐藤(茂)委員 今、三つ、わかりやすいカテゴリーにされました。新規のものについては、やはり来年夏にもまとめようと言われているエネルギー基本計画、ここでもう一度しっかりとそういうことも総体的に議論された上で、インフラ輸出の核となる原発について、新規のものを輸出されていくかどうか、その議論の中で明確にされる、そういうようにとらえてよろしいでしょうか。

枝野国務大臣 蛇足かもしれませんが、あえて念のために申し上げますと、どこからが新規でどこまでが継続案件か、この線引きは実は簡単ではない、一刀両断に分けられるわけではありません。実際にベトナムも、何か発注契約が既になされているわけではありませんが、いろいろな継続がある中で、事故はあったけれどもぜひ日本のものを使いたいと言っていただいている、これはやっていきましょうねという話でありますので、これまでの交渉の経緯があるものについては、その流れの中で責任をしっかり果たしていく。

 ただし、全くゼロのところについて、新たに売り込むとか、一たん何かの契約ができて、次のものについては全く白紙だったのに次も買ってねとやるとか、こういうことについては、少なくとも来年の夏ぐらいまではとめて、抜本的な議論の中でその部分については結論を出していきたい、こういうことです。

佐藤(茂)委員 わかりました。

 今、電力不足から原子力のことについてちょっとお聞きしたんですが、もう一つ。先ほど自民党の両委員からもございましたけれども、やはり懸案となっているTPPについて何点か残り時間にお聞きをしたいと思うんです。

 私は、今TPPで最大の問題は、これは賛否別にしても、国民の理解がそこまで追いついていないということが一つの大きな問題だと思うんですね。

 例えば、つい最近の世論調査で、産経新聞が毎週世論調査を出していまして、今週の月曜日付、二十四日付にこのTPPのことが問いとしてあったんですね。

 これは十月二十日に調査されたそうなんですけれども、政府は環太平洋戦略的経済連携協定、TPP参加のメリット、デメリットを国民に説明できているか、そういう問いに、十分しているというのが何と一・二%、ある程度しているがわかりにくいというのが三六・四%、不十分というのが五九・六%、その他、わからない、これが二・八%というように、数字だけ見ますと、政府のTPP説明というのは十分であるというふうにとらえている国民は一%程度、そういう世論調査の状況なんです。

 私は、政府側も、例えば民主党のそういうプロジェクトチームに行かれて、TPP参加の利点とか懸念を交渉分野ごとに明らかにされたというのは報道で知っております。我が党もプロジェクトチームでお聞きしたのに、六分冊に分かれたこんな分厚い資料をいただきました。いわゆるホッチキスどめです、各省からの情報を集めて。そういうものなんですけれども、大臣も東京電力の損害賠償の説明書に対してちょっと苦言を呈されたように、あれは百六十ページぐらいですか、これを読んでくれ、そういう程度の説明では非常に不親切だと私は思うわけですね。

 やはり役人の皆さんというのは、まだ交渉には入っておられませんけれども、交渉参加国からそれぞれ各省動いて個別に情報を集めておられます。交渉に入っていないけれども、それなりに高い精度で交渉の現状というのは把握しているはずなんですね。私は、政府は入手した知見というものを開示して、少なくとも国会議員や国民に対しては丁寧な説明を当然尽くしていくべきだろう、国民が抱いている不安であるとか疑問に具体的に回答をできるだけ示していった方がいいんだろうと思うんですね。

 先ほど来ありますように、この経済連携について、果たして国民生活にどういう影響をもたらすのか。これは非常に高いレベルですから、例外なき関税撤廃ということをやったときにどういう影響をもたらすのか。いろいろ言われているマイナス面、二十四分野でいろいろありますが、そういうものに対して政府のとるべき具体的な対応策というのはどういうものが考えられるのか。さらに、そういう問題について、総合的な見解というものを、省庁ばらばらに出すんじゃなくて、国民に説明する必要があるんじゃないのか。

 きのうの民主党のプロジェクトチームの会に、約二・七兆円ですか、GDP上昇の効果があるんだ、内閣府からそういう説明もありましたけれども、そういうものを小出しにするんじゃなくて、今政府として、いろいろな課題はあるけれども、メリットとしてはこういうものもありますよということをしっかりとまとめて提示するということが私は大事ではないかと思うんですね。

 ぜひ一層、通商、貿易を担当される所管大臣として、大臣からも政府側、役人にも働きかけて、詳しく丁寧な国民への情報提供と説明を政府としてやっていただきたいと思うんですけれども、大臣の見解を伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘は重く受けなければいけないと思っております。

 率直に申し上げて、詳しく丁寧に説明しようとすると、非常に大部なものになって、ある意味わかりにくくなるし、かといって、はしょってしまうと、本当に大丈夫かということになってしまいますし、なかなか難しいんです。こういったところでいかに知恵を絞るのかということが重要だと思っております。

 これは、経産省限りでやってもなかなか、特に関税以外の部分のところは直接でない部分が多うございますので、やはり内閣として、内閣を挙げてやっていかなきゃならないということだと思っております。

 従来からも、この点については経産省としても最大限の協力をするということを含めて内閣官房や国家戦略室の方には申し上げておりますが、きょうの御指摘も踏まえて、改めて、政府を挙げてよりわかりやすく丁寧な御説明を、国民の皆さんにはもちろんですが、少なくとも国会議員の皆さんには、お求めがあれば、資料を渡して読んでくれではなくて、できるだけ丁寧な御説明を申し上げるように、これもしっかりと閣内で共有できるように対応したいというふうに思います。

佐藤(茂)委員 ぜひ、そういうことをお願いしたいと思います。

 そこで、所管大臣として、ちょっと何点か大臣の見解を伺っておきたいのは、今、枝野大臣になられて、例えば九州電力のやらせメール問題、これも一生懸命取り組んでおられる、国民向けにも発信されています。もう一つは、この前、東電の西澤社長を初め関係者を集められて的確な指示を三点出されたのを私は評価しているんですね。

 というのは、通常国会でも、東京電力の損害賠償支援機構法案、野党でしたけれども、最終修正案者として私が入らせていただいたときの考え方をそのまま、別に連携はとっていませんが、きちっと踏まえて東京電力初め関係当事者に指示されたな、そういうことで感心しているんですが、今焦点になっている大事なTPPについて、大臣の発信力というのが、あえて抑えておられるのか、もしそうならその辺ぜひ答弁いただきたいんですが、ちょっと弱いんじゃないのか。

 某政調会長とかあるいは外務大臣というのは一生懸命閣内でも言われておるんですが、経済産業大臣は一体どういう考え方をTPPについて持っておられるのかというのをぜひ当委員会ではっきりさせていただきたい。

 当初の就任直後のインタビュー等を見ておりますと、ちょっと慎重な感じでございましたが、九月二十三日にシンガポールに行かれて、リー・シェンロン首相との会談後の記者会見では、できるだけ早く国内の同意を得て交渉に参加することが望ましい、そういうふうに大臣も参加推進の姿勢を打ち出されたんですけれども、今現在、大臣はTPPへの交渉の参加についてどういう考えを持っておられるのか、ぜひ御答弁いただきたい。

枝野国務大臣 率直に申し上げて、少し抑え目に発言をさせていただいているところがあるのは間違いございません。

 といいますのも、すべての皆さんがみんな賛成だと言っていただける案件ではないということは十分承知をしておりますが、しかし、少しでも多くの方に御納得をいただいた上で交渉に参加することが一番望ましいことだと思っておりますので、そういった意味では、いろいろと御心配をされている方がたくさんいる中で、一般的に言って、経済産業大臣や経済産業省の立場は強力推進であろうと思われている立場の人間が余りいろいろなことを申し上げない方が、ある段階としてはいいのかなという思いがございます。

 一方で、TPPの交渉に参加することの意味等については、やはりしっかりとした発信もしなきゃならないだろうというふうに思っておりまして、特に、世界の大きな流れの中で日本が生きていくためには、やはり高いレベルでの経済的な連携というものはTPPに限らず必要であって、このこと自体はやはり避けられない。そのときに、後手に回って物事を進めていくのが我が国にとってプラスなのか、それとも国内対策も含めて先手先手でルール自体をつくるところから参加をしていった方が得なのか、やはりそこのところを判断する必要があるのではないかと思っておりまして、そうした観点から、多くの皆さんの御理解をいただければありがたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 そこで、今、この二、三日焦点になっております、交渉してから離脱というのがあり得るのかどうかということについて、ぜひ大臣の見解を聞いておきたいんですね。

 外野席でいろいろな意見を言われる方、報道で出ております。これは何で聞きたいのかというと、じきじきシンガポールに行かれて、シンガポールの前の首相のゴー・チョクトン上級相、この人はTPPに入るのに物すごく貢献した人ですけれども、この方が枝野大臣に、悪影響がわかれば交渉から抜けることもできる、柔軟に対応すればいい、そういうことを言って交渉参加を強く促したと報道されているんですね。

 シンガポールで直接話をされてきた枝野大臣は、交渉参加後の離脱の可能性についてどういう見解を持っておられるのか、ぜひ御答弁いただきたいと思います。

枝野国務大臣 TPPに限らず、国際交渉を行うに当たっては、成功裏にまとめようという意思を持って参加をしなければいけないし、それが前提であるというのは当然であります。

 また一方で、あらゆる交渉がすべて必ず交渉の結果まとまるものではなくて、過去の歴史を振り返っても、交渉がまとまったケースもあるし、まとまらないケースもあるというのも一般論として正しいことでございます。ただ、少なくとも、交渉に参加をしましょう、交渉しましょうという以上は、まとめるために努力をするということが前提でなければならない。

 ただ、客観的な事実として、このTPPについて、大きな影響力といいますか、重みを持っておられると思われるシンガポールのゴー・チョクトン氏が、ゴー・チョクトン氏の方から、いや、本当に悪影響があるんだったら途中で抜ければいいじゃないかと、あちら側からおっしゃられたという客観的な事実がございましたので、それについては御紹介をしたということでございます。

佐藤(茂)委員 時間が参りました。

 このTPPの問題は、また委員長、理事会でも検討してもらったらいいと思うんですが、非常にやはり国会としての意思も問われる。交渉の参加自体を問うかどうか。政府だけじゃなくて、また各党だけじゃなくて、当委員会でもしっかりとある時間を割いて議論すべき大きなテーマではないかと思いますので、今後とも、政府の情報を得た上でしっかりと当委員会でも議論をし、審議をしていくことを最後に誓いまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 私、最初に、きょうは電気料金制度について、まずこのことから伺っていきたいと思います。

 枝野大臣は、十月十二日の会見で、電気料金の制度について、国民の信頼を得るために、有識者会議を設置し、東京電力に関する経営・財務調査委員会の報告書に指摘された電気料金制度とその運用についてのさまざまな問題点についての議論を速やかに開始したい、このように述べて、その後、十月十七日に、経産大臣主催の電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議というのを設置されました。十一月一日から年度内にかけて議論して、答えを出そうということのようです。

 そこで伺っておきたいのは、最初に政府参考人に伺いますが、総括原価方式のもとで、九九年に電力自由化が導入されました。当時の衆院商工委員会の会議録に明記されておりますように、稲川当時のエネ庁長官が、今回の自由化に伴って小口需要家に悪影響が及ばないようにするために、規制料金の改定の際に全体の費用を大口部門と小口部門に適切に配分するということが第一だ、それから、大口部門の収支の赤字を補てんすることを目的とした小口部門の料金の値上げは認めない、この原則を明確にしているわけですね。

 しかし、現実を見ると、自由化部門で当期純損失を出している電力会社が実際にあるんじゃないかと思うんです。これを年度ごとに、電力会社名と損失額はどれぐらいかを伺っておきたいと思います。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、事務的な制度の仕組みを簡単にお話しさせていただければと思います。

 各電力会社の自由化部門の収支動向が規制部門に悪影響を及ぼさないということを目的といたしまして、電気事業法に基づきます経済産業省令で、委員御案内だと存じますけれども、規制部門と自由化部門、それぞれを区分した部門別の収支というものを当省の方に御提出いただいております。

 その上で、この部門別の収支につきましては、電力会社が自由化部門の赤字を補てんすることを目的として規制部門の料金値上げを行うということを認めるべきではないという観点から、赤字の場合には事業者名及び赤字額を公表いたしております。

 ただ、今申し上げたような場合を除きまして、一般的には、部門別の収支というのは、自由化部門の経営情報の開示ということを通じて事業者の競争上の地位を阻害するおそれがある、そういう情報として、実は、平成十一年の当時の電気事業審議会の料金制度部会でそういう整理をさせていただいたものでございますから、これは公開情報の対象とはいたしておりません。

 したがいまして、お尋ねの部門別の収支状況につきましての回答は、恐縮でございますけれども、差し控えさせていただきたいと思っております。

 以上でございます。

吉井委員 資料一をごらんいただきたいんです。これで自由化部門損失額で紹介しておりますが、これは経産省からいただいた資料に基づいてまとめたものですが、自由化部門の赤字を規制部門で補てんしている、こういう形になってくるんじゃないですか。例えば、二〇〇八年度を見れば、自由化部門、五電力合計して千五百八十億円の赤字ですね。その一方、規制部門では燃料費調整額を大幅に引き上げるという料金改定をやっているんですね。

 だから、自由化部門の方は赤字を出して、一般電気消費者の方は、適当な理由という言い方が適当かどうかは別にして、大幅値上げをやっている、これで黒字を出している、これが現実じゃないですか。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 確かに、燃料価格が上昇いたしましたり、あるいは原子力発電所の利用率が低下をいたしますと、既に公表もさせていただいておりますが、一時的に自由化部門で赤字が生じた例はございます。ただ、恒常的に自由化部門で赤字が生じている、そういう電力会社はないものと認識をいたしております。

 以上でございます。

吉井委員 そこで、資料二の方を見ていただきたいんです。これは東京電力に関する経営・財務調査委員会のものなんですが、電気事業営業利益の九割を規制部門から生み出しているんですね。自由化部門の営業利益はわずか一割弱。これは百十二ページのところでそういう分析もされております。

 電気事業営業利益の多くを規制部門が生み出すという構造は、東京電力のみの構造なのか、ほかの電力会社も同じ構造なのか。各社の電気事業営業利益の規制部門と自由化部門のそれぞれの構成比はどうなっているのか、これをまず示していただきたいと思います。

高原政府参考人 構成比はそのときごとに変わるわけでございますけれども、ただ、先ほど御指摘のありましたような、東京電力についてどの年度にどういう赤字が出たということにつきましては、先ほど申し上げたとおり、燃料費の高騰でございますとか、あるいは原子力発電所の稼働率の低下といったことによって左右されているというふうに考えております。

 以上でございます。

吉井委員 そこで、大臣、要するにこの自由化部門については、赤字が出ても、これは競争上の問題だとかいろいろなことを今までから言ってきたんですよ。

 競争上の地位というんですが、電力会社というのは、大臣よく御存じのように、地域独占の公益企業なんですね。とりわけ一般家庭や中小商店などの規制部門においては、他社との競合地はないんです。競争がないところが純利益を生み出して、競争している自由化部門はほとんど利益が出ないような料金設定をやっている。これはやはり大臣が指示してきちんと資料を出させるということが大事じゃないかと思うんです。

 それから、これは前の大臣のときから議論してきたんですが、電気代に含まれている原発付加金に相当するものですね、電源開発促進税とか。一体、そもそも基本料金のどこに幾ら入っているのか、さっぱりわからない。これはブラックボックスだということになっておりますが、これらの電気代の中身について、今、非常に国民の関心の高まっているときですから、有識者会議の議論待ちじゃなくて、きちんと国民に資料を示して説明する、総括原価そのものにメスを入れるということが大事だと思うんですが、これは大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘いただいたとおり、電気料金については、透明性や公平性という観点から、かなり抜本的に見直す必要があるだろうと思っております。

 総括原価方式という、方式も含めた抜本的な見直しについては、これは少し時間をいただいてしっかり検討いたしませんと、例えば、諸外国における電力改革が成功したケースと失敗したケースといろいろありますので、かなりきちっとした分析をさせていただきたいと思っていますので、一定のお時間をいただければと思っております。

 ただ、現行の制度下においても、今御指摘いただいたとおり、もっと情報公開ができるのではないかといったことも含めた改革については、御指摘いただいた有識者会議をつくりまして、総括原価方式の枠内における原価の見直しも含めて集中的な御議論をいただこうと思っております。

 これは来年の春までかかるとかそういうレベルではなくて、年内にもまず、最低、第一段階としての方向性は出していただこうと思っておりますので、今ここで私が、はい、わかりましたと答えた方が格好いいのかもしれませんが、若干いろいろな影響があるかもしれないということを含めて、有識者の皆さんに、この会議自体オープンでございますので、オープンに御議論をいただいた上で、速やかに結論を出したいと思っております。

吉井委員 次に、SPEEDIの問題について質問したいと思います。

 今は経産大臣をやってもらっているんですが、枝野さんがちょうど官房長官の時代に、官邸がこのSPEEDIの情報を得たのはいつのことだったのか、まず、これを入り口の問題として最初に伺いたいと思います。

枝野国務大臣 官邸という言葉は多義的でございますので、物理的なスペースとしての官邸にある危機管理センターと思われますが、オペレーションルームに最初に送付をされたものは、三月十二日の午前一時三十五分ごろというふうに聞いております。

吉井委員 それで、放射能汚染の状況について、核種ごとに測定し、この情報を公開して、一人一人の国民の方がどういう状況なのかと自分自身で判断できる、この判断する素材を提供するということは、これは国家として第一にやらなきゃいけないことだと思うんです。

 福島第一原発事故による放射能汚染の状況、線量率について、今、三月十二日の午前一時半ごろというお話ですが、それから三月三十一日までのSPEEDIのデータ、その後、このデータを国民にはいつ公表するということになったのかを伺っておきます。

枝野国務大臣 先ほども御答弁を申し上げましたが、まず最初に国民の皆さんに公表されたのは三月二十三日、原子力安全委員会が行った試算でございます。これについては、三月十六日に、私から原子力安全委員会に対して逆算できるではないかということを指示して、それを踏まえて試算を開始して、二十三日にその結果を発表したというものでございます。

 それから、文部科学省が試算をしていたものについては四月二十六日、保安院が試算をしていたものについては五月三日に、それぞれ公表されていると報告を受けております。

吉井委員 実は菅元総理が、ちょうど日経の九月二十一日付に、事故後の最悪の事態を想定したのかというインタビューに答えて、原発事故の直後に最悪の事態のシミュレーションを考えてくれと指示した、退避区域が二百キロから三百キロ単位まで広がるのが最悪の想定だった、対象が一千万人、二千万人ともなれば国家が機能しなくなる、少なくとも国会は移転しないといけない、国会の周りも人っ子一人いなくなる、首相官邸から全部、西の方へ行くことになるというふうに答えておられました。

 そこで、班目委員長に伺っておきたいんですが、今お答えがあったように、三月十六日に官邸から指示が出ているんですね。しかし、実際の公表は三月二十三日なんですね。私は、逆に、班目委員長の方が官邸に進言して、SPEEDIの公開を強力にやはり主張するべきだったと思うんですよ、早くやるようにと。放射能汚染の深刻な事態を知りながら、なぜ公表をおくらせてしまうことになったのか、これは班目委員長に伺っておきたいと思います。

班目参考人 まず、事実関係からいきますと、SPEEDIにつきましては、これは文部科学省の方で運営しておりまして、その結果の出力、これは単位放出源のものでございますが、保安院であるとか安全委員会であるとか、あるいは地元自治体等々にもう届けられているという状況であったわけでございます。

 それで、三月十六日に枝野大臣から直接指示があったかちょっと覚えていませんが、いずれにしろ、そのころから原子力安全委員会としては、何とかこのSPEEDIを活用しようということを考えて、二十三日に一定の結果が出た、それをもちまして、枝野大臣のところに持っていきまして、この結果をぜひ公表して注意を喚起してほしいというふうに考えて、大臣の承諾を得て二十三日の公表に至った、こういう経緯でございます。それまでの間は、既に伝わるべきところには伝わっていたというふうに原子力安全委員会としては認識してございました。

吉井委員 伝わるべきところには伝わっていたということなんですが、どの自治体にどういうふうに伝わっていたのかということがやはり問題になってくると思うんです。

 そこで、政府参考人の方に先に伺っておきますが、例えばUPZ対象自治体について、これは志賀原発の方が、これは事故をやっていないから調査しやすいから、そこのデータで見ると、沃素剤配付の有無について、どこにあるのかということなどについてはデータがあるわけですね。沃素剤について見ますと、一応配備しているというところが、七尾市、羽咋市、志賀町、中能登町というふうに四自治体あるわけですが、そのほかの関連したところはそもそも全く配備されていないんですね。置いてあるところも一カ所集中ですから、災害時に確実に人々にちゃんと沃素剤が渡るのかどうかということがわからないという状態なんです。

 伺っておきたいのは、事前に確実に沃素剤を配付して飲んでもらえるという体制は、福島第一原発のところでどれぐらい整っていたのか、どれぐらい配付したのか、このことを伺っておきたいと思います。

深野政府参考人 お答えをいたします。

 沃素剤の配備状況でございますけれども、福島県につきましては、県の方で防災計画をつくっておりまして、その中で必要な沃素剤の量が定められております。大体、錠数でいいまして二十万錠ぐらいの数のものを福島県の方で確保しておりまして、そのうち、立地四町とあとその周辺の浪江、広野町には、県の防災計画上も事前に沃素剤を配備するということが決まっています。そのように対応していたというふうに承知をしております。

吉井委員 沃素剤は配付してあったんだけれども、SPEEDIの情報等で、この地域には放射性沃素がこのときにはこれだけ広がっておりますということに基づいて、沃素剤を飲まなきゃいけないんですね。実際には、今、個数をおっしゃいましたけれども、沃素剤の個数とどこにあったか、役所関係のところにあったということにしても、確実にそれが届いて沃素剤を飲まなかったら、放射性沃素を先に吸い込んでしまったら、甲状腺に放射性沃素がたまってしまうわけですね。

 これが確実に届いたのかということが今問題になっていて、住民の中で、沃素剤の服用という助言が必ずしも届かなかったということも今言われておりますが、これは確実に届いたんですか。

深野政府参考人 沃素剤の服用につきましては、現地対策本部の方から何回かにわたって指示をしてございますが、具体的に現地でどのぐらいの方がお飲みになったかということについては、きちんと把握はできていないというのが現状でございます。

吉井委員 私は、今回学ぶべきことといいますか考えなきゃいけないこと、これは今後の長期にわたる課題でもあるんですけれども、例えばチェルノブイリの場合、原発から二キロほど離れたところにプリピャチという原発の関係者のためのニュータウンがありました。そこへ翌日にはバスを六百台つけて全員を確実に避難させているんですね。今度の場合は津波や地震がありますから、道路状況その他で簡単にいかないにしても。それから、沃素剤を配付して飲ませるということをやっているわけですね。

 ですから、こういう問題を考えても、沃素剤を確実にきちんと、放射性沃素を吸い込む前に、先に飲んで甲状腺が保護されるようにするというこの対策というのはやはりやらなきゃいけないし、既に不幸にして放射性沃素を吸い込んで甲状腺にたまっている人については、これからの健康管理というのをきちんとやって、甲状腺がんその他の被害が出ないように、この対策を万全のものとしてとっていくということが、これは国としてもやり切らなきゃいけないことだというふうに私は思うんです。

 あわせて、やはり放射能をまき散らした加害者としての東京電力には重大な責任があると思うんですよ。

 それとともに、SPEEDIの速やかな公開によって、事前に沃素剤を飲むということや早く避難をするということに、国としてやはり責任を持たなきゃいけない課題で、ここから何を酌み取るかということ。どういう対策を、既に放射性沃素なんかを吸い込んでしまった可能性のある人について、今後どのようにフォローし、ケアしていくかということについて、国としてやはり考えなきゃいけないと思うんですが、この点についての大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 まず、放射性沃素を吸い込んで内部被曝をしてしまった可能性のある方については、福島県と一体となりまして、しっかりとした健康調査を継続的に行っていく必要があるというふうに思っております。これについては、関係機関とも協力をしながら、既に予算措置等も含めて着手をしているところでございますが、これは息の長い、しかも丁寧な対応が必要だと思っております。

 それから、今回の教訓は、根本的なところは、津波とか地震とかという災害と放射能漏れという事故とが同時に生じてしまった、結果的に、周辺住民の皆さんの交通、移動の手段と、それから自治体その他との間の情報通信の世界と、両方が壊れてしまっている状況の中で、情報の収集、集約や、あるいはさまざまな指示の伝達等が適切に行われなかった、十分に行われなかった部分があるということで、最大の教訓は、やはり、こうした複合的な災害に対する備えが十分できていなかったということが大きな意味で一番大きいと私は思っております。

 その上で、そうしたさまざまな可能性に備えて、例えば避難の仕方であるとか沃素剤を飲む指示の出し方等については、いろいろなケースを想定したきめの細かい準備が必要であるというふうに思っております。

吉井委員 実は、東京電力の過酷事故時のマニュアル、シビアアクシデントマニュアルについては、昨日も科学技術・イノベーション委員会で取り上げまして、深野さんにもお答えいただいておりますが、要するに、名前は、シビアアクシデントマニュアルは一応あった形になるんですね。ところが、前提条件というのがついているんですよ。全電源喪失というのがあり得ないといいますか、電源が確保されることとか、仮に失われても速やかに回復されることとかいう前提条件のもとでのマニュアルだったんですね。

 ですから、本当の意味でのシビアアクシデントマニュアルでなかったわけで、とりわけ、今回のような地震、津波、そして今おっしゃった複合災害、過酷事故というのはそれを考えなきゃ過酷事故対策にならないわけですね。そのマニュアルがなくて、結局、もたもたして炉心溶融まで至った。被覆管が破けてしまったから放射性沃素が漏れ、メルトダウンしたからストロンチウム、セシウム、プルトニウムその他が外へ出てしまうという事態を招いたわけですね。

 ですから、私は、こうした問題について、あり得ないとか何十万年に一回という議論じゃなくて、やはりそのことに対してきちんと向き合った対策というものを今後考えていかなきゃいけないと思うんです。

 そこで、ストレステストの問題について伺っておきたいんですが、今、ストレステストとしては具体的にどういうことをやることにしていますか。

枝野国務大臣 いわゆるストレステストにおきましては、設計上の想定を超える地震、津波及びその複合事象、あるいは全交流電源喪失、冷却機能の喪失の複合事象等が生じた場合の安全裕度、あるいはシビアアクシデント、つまり炉心損傷や格納容器破損等が出た場合の発生時の対応等を評価いたしまして、どの程度のストレスまで炉心損傷に至らずに耐えられるかを評価する、このプロセスをまずは一次的に事業者において行っているところであります。

吉井委員 それは、評価する上で、当然、コンピューターによるシミュレーション解析とかそういうのをやって進めていかれるんでしょうけれども、これは政府参考人に伺っておきたいんですが、コンピューター解析でどういうものを想定したプログラムを考えていらっしゃるのか、中身を伺っておきたいと思います。

深野政府参考人 ストレステストは、大きく二つの要素があると考えております。

 一つは、いろいろな設備を構成する機器とか部材とかたくさんございますけれども、そういったものが設計上想定されていたものよりも強い力を受けることがあり得るということで、それでは、それがどのぐらいまで耐えられるか、そういう余力を確認する、そのためにいろいろなシミュレーションを行うというのが一つでございます。

 それからもう一つは、何かの事象が起こったときに、実際に最悪の事態、例えば炉心の損傷、溶融といったことに至らないように、間にいろいろな多重防護があるわけでございますが、そういったものがどのぐらい効果を持つのか、例えばどのぐらいの時間そういうものが持ちこたえることができるのか、そういったことについても評価をするということになろうかと思います。

吉井委員 よくEUに学ぶということが言われておりますが、EUの原発というのは、イタリアはもうとめるというふうになっていますが、スペイン、ポルトガル、イタリアからギリシャ、中央アジアにかけては地震地帯ですけれども、フランスとかドイツとか、そもそも地震のない国なんですね、アルプスの北側は。

 そういうところで、EUに学ぶというんですが、地震、津波の問題が余りない中で、EUのコンピューター解析には地震や津波の想定条件を入れたというものがありますか、参考にされるというんですが。

深野政府参考人 EUにおきましても、今回の福島の事故を踏まえまして、外的事象として、地震、それから洪水のような事象、そういったことを想定してストレステストを行うということを伺っております。

吉井委員 それは、いただいている資料とかEUが出しているものを読んでいましても、一応、事故発生の契機となる事象として、地震とか、今おっしゃった洪水その他を挙げているわけですね。

 しかし、日本でこのコンピューター解析をやろうとしたら、これは今回の事例に限らず、非常に巨大な地震とか巨大な津波を当然考えなきゃいけないんですが、そのときにプログラムとして考えるものは、コンピューター解析をやる場合、やはり、どういう係数を入れるのか、どういう初期値など前提条件を入れてコンピューター解析をやるのかということで、適切なものであるのかどうかということが変わってくるわけですね。

 つまり、日本の場合、福島もそうですが、三十年、四十年というかなり老朽化した原発があるわけですよ。老朽化した原発ということになりますと、例えば圧力容器の中は中性子でしょっちゅうたたかれていますから脆性劣化がどんどん進んでいるわけですね。九州電力の玄海原発で九十八度というのも言われておりますが、つまり、七十気圧、二百八十度ぐらいで運転中の炉が、ぴかぴかの原発ですと氷水を入れても大丈夫なんですけれども、九十八度以下の常温に近いもので冷却を緊急にやろうとすれば、圧力容器が破損するという問題なども出てくるわけですね。

 ですから、そういう老朽化した原発の実証実験をやったその数値とコンピューター解析が一致するかどうかをきちんと事前に確認しておかないと、適当にとりあえず係数を入れましたということだけでは、そのプログラムではストレステストということにはならないと思うんですが、この点はどうなんですか。

深野政府参考人 ストレステストの検討に当たっては、これは慎重に進めなければいけないというふうに考えておりまして、私どもに、事業者がまず自身で評価したものを提出いただくわけでございますけれども、その後、私どもの方でも、そういった材料の分野も含めたいろいろな専門家の方によく中身を見ていただきまして、そういった方の御意見も聞きながら評価を進めていく、そのようにしたいと考えております。

吉井委員 意見を聞くというのは物すごく大事なことだと思うんです。私はそれを否定しません。

 ただ、やはり大事なことは、老朽化した原発の、全部原発を載せるわけにいきませんよ。しかし、定期点検のたびに、古くなったものを取り外して、これを振動台に載せて、実際に巨大な地震を加えて、そのデータとコンピューター解析のデータとを突き合わせる。システム全体になれば、これは簡単な話じゃありませんが、そういうことはやはりプログラムをより精密なものにする上では大事なことだと思うんですが、老朽化した原発の実証実験のデータというのは日本にありますか。

深野政府参考人 先ほど御指摘をいただきました脆性遷移温度のことなんかも含めまして、高経年化いたしました炉については、例えば試験片を取り出して脆性についての確認をするといったことは行われていると承知をしております。

 また、高経年化対策の評価で、いろいろなデータを私どもとしても収集しているところでございます。

吉井委員 これは、かつて国会で質問したときに、あなたの前々々任か、さらに前かもしれませんが、原子力安全・保安院長は、老朽化した原発の実証実験のデータはありませんと。個々に破片を取り出して実験室規模でやったものはあるかもしれません。それはまあ、あるでしょう。しかし、実際には、実機、実際に使ったものの、高経年化した原発の重要機器類を振動台に載せて行ったデータというのはないんじゃないですか。

 ですから、実際にコンピューター解析と突き合わせるということは、これはできないという状況に今置かれているんじゃないですか。

深野政府参考人 御指摘のように、地震の関係は、かつて振動台でいろいろな機器について実際の振動試験をやったことがございます。ただ、それについては、いずれも新品でやったというふうに承知をしております。

 そういう意味では、新規に、経年化したものを載せて実際に振動するということは、私は、行われているのは承知しておりません。

吉井委員 そこで、大臣、私はこれはなかなか深刻な問題だと思うんですよ。

 もともと日本には、香川県多度津町に世界一の規模の振動台があったんですね。あれは予算を三百十億円ぐらいですか、出してつくって、これを造船会社に二億七千七百万円でたたき売ったんですね、〇・五%で。これは、ぴかぴかの原発の実験をやっていたんですよ。

 しかし、老朽化した原発の機器類についての実証実験は、結局できないという状態にあるんです。何でだと言ったら、兵庫県にE―ディフェンスをつくりました、かわりのものをつくったからそれで間に合うんだと。しかし、ぴかぴかは間に合うんですが、実際に使った原発というのは放射化していますから、一遍実験をやってしまうと、放射線管理区域にしなきゃいけなくなりますね。

 そういうふうなことをやっておれば、結局、実証実験を行ってデータをとって、コンピューター解析と突き合わせて、地震時の健全性の判断ができるのかという課題にこたえられないという状況にあるのが、今の実態じゃないかと思うんです。もちろん、E―ディフェンスを使って、もう一つ新しいのをつくるということにすれば別ですよ、管理区域にしてもいけるんですが。

 現在、ストレステストと一言で言いますけれども、現実には非常に厳しい状況にある。そういう中で、大臣はどういうふうにしていくつもりなのか、これを最後に伺って、時間が迫ってまいりましたので、終わりにしたいと思います。

枝野国務大臣 既に使用しているものを実証実験するということの意義、重要性について、きょう初めてお伺いしましたので、どの程度の重要性で受けとめなければならないのか、即断がなかなかしにくいところでございますが、御指摘を踏まえて、専門家等の意見をしっかりと聞いて、必要な措置はとっていくようにしたいと思っております。

吉井委員 時間が参りましたので、終わります。

吉田委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 きょうは、枝野経済産業大臣の所信に対する質疑ということで、基本的な大臣のお考えを伺いたいと思います。

 まず最初に、産業政策についての基本的な考えというか、ざっくりした抽象的な質問になりますが、お尋ねしたいと思います。

 産業政策をやるに当たって、伸びる産業を見きわめるというのは非常に難しいんだと思います。伸びる産業が何か簡単にわかれば、投資家も企業家も苦労はしないわけですけれども、なかなか難しい。経済学者の研究でも、通産省以来の日本の産業政策は、うまくいったりうまくいかなかったり、打率でいうとそんなに高くないんじゃないかという研究もあります。

 ですから、私個人としては、伸びる産業を見きわめるのが非常に難しいのであれば、特定の産業をねらい撃ちにした産業政策よりも、むしろ産業界全般にわたる政策、例えば法人税を下げましょうとか、競争環境を強化するための特定の企業、特定の業界だけじゃなくて、全産業に裨益するような政策の方が望ましいのではないかと思うんですけれども、大臣の産業政策についてのお考えをお尋ねしたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、どの産業が伸びそうなのかということをあらかじめ見きわめることができれば、むしろ実業家をやったら大金持ちになれるわけでありまして、それは、政治家にしろ官僚の皆さんにしろ、必ずしもそこに適性があるかどうかということや、そういったトレーニングをされているかということについては、なかなかないんだろうなというふうに思っております。

 そうした意味では、やはり横断的な産業政策といいますか経済対策ということが重要であるのは御指摘のとおりであります。

 一方で、どこが伸びるのかというその一番最初のところは見きわめられなくても、ここが伸びかけているんだということをつかまえることはできて、そこに対して、例えばさまざまな、一番典型は規制だと思いますけれども、規制があるせいで伸びる芽がそこでふさがれているようなケースというのは、現実に私自身もいろいろなケースで見てきておりますし、例えばさまざまなお金の流れの中で、伸びる芽だということはみんながわかっているんだけれども、そこにお金が集まらない仕組みになっているのでなかなか伸びないとか、いろいろな局面はあります。

 そうした意味では、全く更地のところからどこが伸びるかを見きわめるのは難しくても、伸びそうなところをしっかりと後押しをしたり、伸びそうなところの阻害要因を取り除くという意味で、個別の産業政策というのもやはり重要ではないか。

 両面、バランスよくやっていきたいというふうに思っております。

山内委員 後半の部分は全く同感でして、規制の緩和とか阻害要因を取り除くというのは非常に重要だと思うんですけれども、民主党政権になる前からそうですけれども、新成長戦略とかいうと、どうしても、この分野の産業を伸ばしましょうみたいなものがたくさん出てくる。どこかの産業、この分野が有望だといってお金をつける、補助金をつける、そういうのがどうしても多くなりがちなんじゃないか。

 補助金をつければ当然税金を投入しなくてはいけません。規制緩和、規制改革だけでやれるんだったら、税金の投入が要らないので非常にいいことだと思うんですけれども、やはり成長戦略というと、特定産業、特定業界を伸ばすようなものがどうしてもリストを見ると多いような気がするんですね。この状況はどのようにお考えでしょうか。

枝野国務大臣 バランスの問題かなと思うんですけれども、やはり呼び水というのが意味を持つということは少なからずありまして、よく例に取り上げているんですが、私が大臣になって最初に視察に行きましたのが、都内で江戸小紋の染物をやっている染物屋さん。こちらが、ヨーロッパ向けに江戸小紋の染物で、スカーフのようなものとかお財布のような小物のようなものをつくって、これがなぜヨーロッパで売れるかというと、ヨーロッパでの売り先について、ジェトロなどを通じて場をしっかりつくって提供をして、そこが糸口になって販路をつくっていったと。

 例えば、中小・中堅企業などでは販路開拓がなかなかできないというところはあるでしょうし、あるいは一定の技術を持っていながら資本がないためにこれを製品化できないというような部分はやはりある。そこには、融資であったり、部分的には補助であったりということも、やはり選択肢としては十分に活用させていただかなければならないんじゃないか。

 ただ、御指摘のとおり、気をつけないと、むしろ時代おくれになった産業を無理に維持するために補助金が使われるとか、ここはなかなか難しいよねと言いながら無駄に補助金や融資などが垂れ流しをされるというようなことがあってはならないと思いますので、めり張りや見きわめということはしっかりやってまいりたいと思っております。

山内委員 大臣のお考えはよくわかりました。

 次に、枝野大臣は、民主党政権で始まった行政刷新会議の事業仕分けを担当されていました。ぜひ、仕分け人をやっていらっしゃったときの感覚で経産省の予算の無駄の削減に取り組んでいただきたいと思っているんですね。

 特に、事業仕分け、改めて大臣に言うまでもないんですけれども、どういう視点で事業を見ていくかというと、そもそも国がやるべきかどうか、あるいは国よりも自治体がやった方がいいんじゃないか、あるいはNPOがやった方がいいんじゃないか、そういう視点で事業をゼロベースで見直していくのが事業仕分けだと思うんです。そういうやり方をやっていけば、経産省の予算要求のリストの中の幾つかは、おかしいなと思うのがあるんじゃないかと思うんですね。

 例えば、さっき見ていたら気づいたんですけれども、地域のまちづくり計画と一体となった地域商業の再生支援という二十億円の事業があります。内容は商店街の支援だそうです。

 商店街の支援を経産省、国がやるのが本当にいいのか。もしかしたら、商店街の町おこしだったら自治体がやった方がいいかもしれません。あるいは、JCがやるのに補助金をつけた方がいいかもしれません。どっちかというと、何となく、霞が関の経産省が主体になってやるのが商店街支援というのは、ちょっとおかしいような気がするんですが、こういう事業がいっぱいあるわけですね。

 個別具体的な案件に関してどうこうと言うつもりはないんですけれども、そういう視点でもう一度経産省の事業を全部見直して、本当に経産省がやるべき仕事かどうか、そういうのを見直していく必要があるかと思うんですけれども、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

枝野国務大臣 実は、大部分は私の就任前に行ってくれていたわけでありますが、概算要求に当たって、平成二十二年度事業から平成二十四年度の新規要求に至るまでの約九百五十事業に及ぶすべての事業に対して、行政事業レビューを経産省は実施いたしました。ミクロで見ますと、恐らく、多分私がチェックをしたら、仕分け人だったら、おい、何だこれはというのが残っている可能性は否定はいたしませんが、枠組み、仕組みとしては、全事業について、外部の有識者の目も含めて、かなりしっかりとした網をかけたのではないだろうかというふうには思っています。

 ただ、もちろん、こういったものは不断の努力が重要だというふうに思っておりますので、まずは、私が大臣に就任をしましたので、間違っても行政刷新会議から指摘をされるような予算のつけ方はしないように、そういったところから指摘を受けたら真っ先にわかりましたと言いますからねということを省内に徹底しております。

 まずは自助努力といいますか、日々の運用や予算要求の組み方のところから意識改革をさらに加速させていきたいと思っておりますし、この行政事業レビューについても、来年、さらによりよいものにできないかどうか、今から検討や準備をしたいと思っております。

 その上で、事業仕分けの第四弾も計画されているようでございますので、これについても全面的に協力をするようにという指示を出しているところでございます。

山内委員 ぜひ期待したいと思います。

 この商店街支援なんというのは、きっと枝野さんが仕分け人をやっていたらばっさり切られてしまいそうな事業ですが、そういった意味では、行政刷新会議の事業仕分け、結果が各省庁に無視されたり軽視されているというケースがたくさんあるように思いますので、少なくとも経産省についてはしっかりとフォローするということをやっていただきたいと思っております。

 次に、今、タイで洪水の被害が大変大きくなって、日系企業が困っているということがあります。それに対して、新聞報道によると、経産省は日本企業に対して政策金融等での支援を検討しているというふうに聞きました。

 洪水で困っている日本企業はたくさんあるので、助けてあげたいという気持ちはわからないでもないんですけれども、そもそも、海外で操業している企業がそういった自然災害のリスクに備えるというのは、当然自分でやるべきこと、企業自身がやるべきことだと思います。それから、仮にタイの企業だけ支援してしまうと、トルコの地震もアメリカのハリケーンもスーダンの何とかもと、あらゆる災害に対して日本政府が日本企業に対して支援しなきゃいけないということになりかねないということもあると思うんですね。

 また、もしタイにいる日本企業が、今回非常に痛い目に遭ったとなると、本来はタイに集中させ過ぎていた工場を、ベトナムとかインドとかインドネシアとか、むしろ分散させる必要があるかもしれない、あるいは日本の工場に回帰していく、日本国内に回帰していく方がいいかもしれない。いろいろなオプションがある中で、日本政府がタイに残るインセンティブを与えてしまうと、本来、企業が、本当だったら移ったかもしれない企業が、やはりタイに残っておいた方が融資を受けられるよということで、残ってしまうかもしれません。

 そういった意味では、将来が見通せない中で、日本政府がそういう洪水に遭ったタイの日系企業、そこだけを支援するというのは、今申し上げたような点からいって必ずしも望ましくないんじゃないかと思うんですけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。

松下副大臣 連日の報道等でもう既に御承知と思いますけれども、大変範囲が広く、深刻な状況が起こっている、そう認識しています。

 約千九百社がございまして、そのうちの約二割に当たります約四百五十社が冠水で大きな影響を受けているという状況でございまして、私たちも調査団を早速派遣して、国土交通省やJICAの力をかりて、洪水対策や相手国政府に対するいろいろな支援も含めて状況調査に行っておりますし、経済産業省も、中小企業庁を含め、省として調査団を派遣して情報収集に当たっております。

 御指摘のように、二割も工場が被害を受けていますので、タイ国内だけでなくて、生産停止あるいは減産等による影響でサプライチェーンそのものが壊れてきているということで、その影響が幅広く、我が国を含め世界じゅうに影響が出ているという特色がございまして、今御指摘のとおりに、資金繰りそしてまた支援対策を含めて、具体的に内容を固めて今実施しているところでございます。

 今、おっしゃいました最後のことでございますけれども、今回の対策は、企業活動の継続それから再開に向けた支援でございまして、日本やASEAN全体の経済への影響を最小限に抑えることを目的としたというものでございます。大変深刻な状況にもなっておりますので、一刻も早い立ち直りが必要ですし、世界じゅうに大きな影響を与えるサプライチェーンが壊れていっている、そこをしっかりと立ち直らせるためにも我々は努力しなきゃいかぬ、こう思っておりまして、企業の立地判断に大きく影響するというものではないと考えております。

 いずれにしましても、今回のことは我々にたくさんの教訓を与えました。海外への立地、そこに何を安全としてやっていくのかということと、国内でもっと立地して国内の雇用を確保するための努力もしなきゃいかぬということで、全体として国として取り組んでいるところでございます。

山内委員 私が問題視しているのは、タイの日系企業だけを支援するというのが問題ではないかと思っておりまして、もし仮にタイの経済全般を支えるというのであれば、日系企業に限らず、いろいろなスキームを使って、今、円が高くなっていますし、チャンスだと思いますので、いろいろな形でタイの経済界全体に対するサポートをやっていくということは必要なことだと思っているんです。

 タイの日系企業だけをねらい撃ちというよりは、もっと広い枠でやるか、あるいは仮にほかの国で大きな災害が起きたとき、そこで日本企業に対する支援をどうするか、そういったことも含めてこの機会に検討していただいて、個別具体的な、タイの例だけじゃなくて、今後、よその国で、バングラデシュで大きな災害があったとき、インドであったとき、そのとき日本企業をどうやって助けていくか、そういうガイドラインをつくったりとか、何らかの客観的で、わかりやすい、透明性の高い基準に基づいて支援をやっていただきたいと思います。

 今回だけ思いつきのように、タイの日系企業だけ、大変そうで、よくメディアに映っているから助けましょうということではなくて、今後、同様の災害が世界各地であると思いますけれども、そういうときに日系企業に対するどういう支援のあり方があるか、そういったことを考えるきっかけにしていただきたいと思います。

 以上で、時間が参りました。終わります。ありがとうございました。

吉田委員長 以上で質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十七分散会


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