衆議院

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第2号 平成24年3月14日(水曜日)

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平成二十四年三月十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中山 義活君

   理事 石関 貴史君 理事 稲富 修二君

   理事 川口  博君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 梶山 弘志君

   理事 菅原 一秀君 理事 佐藤 茂樹君

      井戸まさえ君    大畠 章宏君

      加藤  学君   木村たけつか君

      北神 圭朗君    櫛渕 万里君

      斉木 武志君    柴橋 正直君

      平  智之君    高野  守君

      高松 和夫君    中根 康浩君

      花咲 宏基君    平山 泰朗君

      藤田 大助君    松岡 広隆君

      本村賢太郎君    山崎  誠君

      山本 剛正君    近藤三津枝君

      高市 早苗君    橘 慶一郎君

      谷畑  孝君    長島 忠美君

      西野あきら君    西村 康稔君

      江田 康幸君    吉井 英勝君

      中後  淳君    山内 康一君

    …………………………………

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   総務大臣政務官      福田 昭夫君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   経済産業大臣政務官    中根 康浩君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  山本 剛正君     本村賢太郎君

  額賀福志郎君     長島 忠美君

同日

 辞任         補欠選任

  本村賢太郎君     山本 剛正君

  長島 忠美君     額賀福志郎君

    ―――――――――――――

三月十四日

 自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)

同月七日

 業者婦人の実態調査を求めることに関する請願(石川知裕君紹介)(第一九四号)

 同(玉城デニー君紹介)(第一九五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二一九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二二二号)

 同(古賀敬章君紹介)(第二六二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二七四号)

 中小企業支援の拡充に関する請願(宮本岳志君紹介)(第一九六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二二六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴橋正直君。

柴橋委員 おはようございます。民主党の柴橋正直でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私、先日の三月十一日に、仙台で開催されました東日本大震災の追悼記念礼拝というものに出席をしてきました。実は、そこで、阪神・淡路大震災で弟さんを亡くされた歌手の森祐理さんが、「幸せ運べるように」という大変すばらしい歌を披露してくださいまして、その歌詞が大変感動的でありましたので、歌うわけじゃありませんが、ぜひ歌詞の一部分を御披露させていただいて、質問に入らせていただきたいと思います。

 「地震にも負けない、強い心をもって、亡くなった方々の分も、毎日を大切に生きてゆこう。傷ついたこの町を、元の姿に戻そう。支え合う心と明日への希望を胸に。」こういう歌詞でございます。

 多くの課題がありますけれども、一つ一つ乗り越えていく責任が私たち政治家にはある、このことを改めて痛感させられましたので、最初に御披露させていただきます。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 まず初めに、短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大について、枝野大臣にお伺いをいたします。

 先日、我が党の経済産業部門会議と厚生労働部門会議の合同部会が開催されました。中小企業への配慮について多くの声が出されておりまして、中小企業の経営が厳しくて、消費税や震災の影響がある中では説得し切れないという声もありましたし、また、中小企業の経営に関しては、やはり五年ぐらいの経過措置が必要じゃないかということもございましたし、今消費税について説得をしている段階であるので、厚生年金の適用拡大というのは大変難しいという声もございました。また、特に中小企業はそもそも除外すべきじゃないか、こういう意見も出されたところであります。

 私は、社会保障と税の一体改革、消費税の引き上げについては、この人口減少・高齢社会において、世代間の格差を是正する、こういう観点からもやむを得ないという立場ではありますけれども、しかし、消費税を引き上げるということは中小企業の皆さんに大変大きな影響があります。さらにその上に、短時間労働者の厚生年金の適用拡大によってさらなる負担が避けられないという中にあっては、やはり最大限中小企業に対する配慮というものは政策上あってしかるべきだというふうに考えております。

 地元では、中小企業の皆さんから、中小零細企業は過重な経営負担によって大変危機的な状況に追い込まれ、瞬時に地域の雇用に非常に大きな打撃を与えてしまうという声も頂戴をしているところでありますし、また先日、介護と看護の事業を展開しておられる事業所に足を運びましたけれども、その現場の方々からも、これは働いておられる女性の皆さんと経営者ともに、厚生年金の適用拡大というのは余り望んでいないんだという声も頂戴をしたところであります。

 こうした中小企業の現場の声をやはりしっかりと反映していくというのが、我々経済産業委員会の役割だというふうに考えております。

 まず、枝野大臣に御質問いたします。

 厚労大臣初め関係の皆さんに、今回の厚生年金の適用拡大については、中小企業の立場をしっかりと勘案していただいて、そして中小企業の対策もあわせてやっていただく中での適用拡大ということをぜひお願いしたいと思います。実は、ぜひ働きかけをしてほしいということを御質問しようと思いましたけれども、既にきょうの朝刊で、パートの四十五万人新加入ということで、これは読売新聞でありますが、前原政調会長が記者会見をしておられます。従業員五百人超の企業で年収九十四万円以上、こういう範囲が示されておりますけれども、それは政府・与党としていろいろと御議論があったところでありますが、中小企業への対策、この観点から、まず枝野大臣の所見を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のパート労働者への社会保険の拡大適用に当たりましては、党の方で大変熱心な御議論をいただき、また、その際には、経済産業部門会議の皆さんを中心に、中小企業への影響をしっかりと考慮するようにという強い御指摘をいただいたというふうに承知をいたしております。その結果として、昨日、党の方で整理をいただいて、政府・与党として、御指摘のように、五百人以下の企業は適用除外とする、なおかつ、今後の拡大のことについても、具体的なことは決めない、三年後に検討するということでお決めをいただいたというふうに承知をしております。

 御承知のとおり、中小企業基本法上では、一番大きな製造業でも従業員三百人以下を中小企業という定義でございますので、五百人ということでやっていただいたというのは、当面、中小企業に対する影響を回避するという視点でやって決めていただいたというふうに承知をしておりまして、この間の、党の方での御議論の関係者の皆さんの御尽力に感謝と敬意を表する次第でございます。

 今後もしっかりと中小企業への影響というものを見きわめながら議論を進めていくつもりでございますので、引き続きの御理解と御支援をよろしくお願い申し上げます。

柴橋委員 今回の社会保障と税の一体改革では、特に中小企業の皆さんに多くの負担としわ寄せが行くというふうに容易に想像がつくところでありますので、ぜひここは、社会保障と税というやらなきゃいけない改革ではありますが、中小企業に対する最大限の支援ということを経済産業省としても今後検討していただいて、実施をしていただきたいと思います。

 次に、きょうは一般質疑でありますが、せっかくの機会でありますので、今通常国会に提出をされます省エネ法の一部改正案についてお伺いをさせていただきます。

 具体的に省エネ法の改正では、窓とか断熱材とか水回り設備など、建築材料について企業の技術革新を促して、住宅、建築物の省エネ性能の底上げを図るというふうにされております。

 そこでまず、枝野大臣に御質問いたします。

 二〇二〇年までに全ての新築住宅、建築物について省エネルギー基準への適合を段階的に義務化する、そしてその対象とか時期、水準については、二〇二〇年までの具体的な工程を関係省庁と調整して、この三月を目途に提示するというふうに従前お伺いをしておりますけれども、現在の調整の状況について、まずお聞かせいただきたいと思います。

枝野国務大臣 これは法律自体がこれから御議論をいただくものでございますので、もし法律の方を国会で御承認いただければ、具体的な制度設計に当たっては、総合資源エネルギー調査会の省エネルギー基準部会というのがございまして、そこに建材に関する小委員会を設けて、議論をしていくということになっております。

 その際には、窓や断熱材の製造事業者にとどまらず、施工する工務店等の意見を十分に伺う、小委員会にも工務店関係の代表の方に御参加をいただきたいというふうに思って準備をしているところでございます。国土交通省ともよく連携をして、制度を運用してまいりたいと思っております。

柴橋委員 少し水準について突っ込んでお伺いしたいんですが、経済産業省と国土交通省と環境省の政務も出席をしておられます、低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議というものの議事録を取り寄せて読ませていただきました。この中では、省エネの適合基準の義務化とか工程についていろいろ議論しているという内容になっているわけです。

 私、一昨年の予算委員会の分科会でスマートグリッドについてここで質問させていただきましたし、また、昨年は当委員会で固定価格買い取り法案についても質問に立たせていただきました。住宅や建築分野について再生可能エネルギーをどんどん導入していこう、そしてスマートグリッドによって最適なエネルギーの利用を進めよう、こういう政策について私は賛成の立場で推進をさせていただいています。

 昨年、経産省で予算もつけていただいた豊田市でのスマートグリッドの実証事業にも現場に足を運ばせていただきましたし、また先日は、東京ビッグサイトで国際スマートグリッドEXPOという展示会が開催をされておりまして、こちらにも行ってまいりました。

 再生可能エネルギー関連の技術革新というのは大変重要なわけですけれども、原発の再稼働が大変、大臣もいろいろと苦慮されておられる中で、省エネというものを今まで以上に進めていくためには、私は、単純に窓とか断熱材とか水回り設備という建築材料というところに視点を置くだけではなくて、一歩踏み込んで、住宅の建築工法も含めた徹底した省エネ基準というものを設定して、まさに民生部門においての省エネを進めていくべきだというふうに考えております。

 例えば、断熱材一つをとっても、この推進会議の議論なんかを見ておりますと、断熱材を使うということはしっかり書いてあるわけですが、では外断熱と内断熱、どっちが省エネにより効果があるんだとか、こういう突っ込んだ、建築工法にまで着目をして省エネ基準というものをつくらなきゃいけないんじゃないか、ちょっとそういう視点が、この推進会議の議論は、踏み込んでおられないのか、欠けておられるのか、少し足りないんじゃないか、私はこんなふうに思っております。

 ぜひ今後、国交省さんの分野だというふうに思いますけれども、省エネを進めなきゃいけないという経済産業大臣の立場として、国土交通省ともしっかりと調整をしていただいて、建築工法のところにも踏み込んだ省エネ基準というものを設定していただきたいということを提案させていただきたいと思いますけれども、大臣の御所見をもう一度お願いします。

枝野国務大臣 私も、十日の日に、豊田市のスマートコミュニティーを視察させていただきました。それから、実は、住宅の断熱といいますかエネルギー効率を高めるという意味では、今回対象になるのは新設の場合でありますけれども、既存住宅の断熱効果を高めるのに非常に簡便で効果の高いと思われる塗料で断熱効果をもたらすという、これは東京都内に会社があって、この会社も視察を二、三週間ほど前にさせていただきました。

 御指摘のとおり、断熱材とか窓とかというパーツで断熱効果を高めるということはもちろん大変重要でございますが、本当にトータルで、どういう組み合わせでどういう工法をすれば効果がより高いのかということなどについては、そうした個々の建材の評価だけではなかなか全てを網羅することにはならないというふうに思っておりますので、国土交通省としっかりと協議をしてエネルギーの効率化をしっかりと実現するという観点と、それからもう一つ、これは地場の中小の工務店などにも大きな影響を与えますので、そうした皆さんがしっかりとそれに対応できるような体制といいますか、そういったことなどもあわせて、総合的に具体的基準を明確化していきたいというふうに思っております。

柴橋委員 ありがとうございます。

 これは住宅版のエコポイントでも、こういった省エネにかかわるいろいろな建築材料というのは使われるようになったわけですけれども、例えば工法についてもいろいろ制限がかかっているとかいうことも地域の工務店の皆さんから御指摘をいただいているところでありますので、まさに何が一番省エネを徹底的に進める工法なのかということも含めて、国交省さんとよくよく調整をしていただいて、これから潤沢なエネルギーを供給するというのは大変難しい中でありますので、省エネについて、ぜひ国交省も説得していただいて進めていただきたい、このことをお願いさせていただきます。

 次に、きょうは、所管外でありますが、福田政務官にも来ていただいております。

 今、中心市街地活性化基本計画が設定をされておりまして、私の地元岐阜市も、ちょうどことしの九月に第一期目の中心市街地活性化基本計画の期間が終了いたします。

 この間、実は、この基本計画のおかげでさまざまな事業を進めることができまして、例えばJR岐阜駅という大きな駅があるわけですが、ここの駅前広場の整備ですとか、かつては岐阜の駅前には大きなビルというのは本当になかったんですけれども、今二本目のツインタワー、スカイウイング37というんですけれども、これの再開発事業が順調に進んでおります。また、かつて枝野大臣にも、当時、幹事長代理の時代に、美川憲一の「柳ケ瀬ブルース」で有名な柳ケ瀬商店街にも来ていただきましたけれども、実はこの商店街も今大変苦しい状況でありますが、この基本計画を生かして、大きな通り沿いの地区の再開発の事業があります。あるいは、高島屋という大きな百貨店があるわけですけれども、この南側の地区についても、今再開発事業が順番に進んで、先日は都市計画も決定いたしました。

 そういう中で、この中心市街地活性化基本計画で町中居住なんかを一生懸命進めておりますと、人口統計をいろいろとり始めた昭和五十一年には、岐阜市は五千八百九十二人の転出超過だったんです。岐阜市からほかの地域、お隣の愛知県とか、あるいは周辺のもう少し土地の安いようなところにどんどん人口が流出をしていたわけでありますけれども、ずっとこの間そういった状況が続いてきましたが、実は昨年二百十三人の転入超過になりまして、非常に高齢化の進んでいる地域でありますので、人口自体は減っていますが、とにかく岐阜市に新しく住むという方がふえてきた。それは、町中居住とか中心市街地をいろいろ活性化するさまざまな事業を展開してきた一つの効果があらわれてきたということであります。

 私、昨年総合特区法の作成にも携わらせていただきまして、この特区でスマートウエルネスシティという特区を認定していただいて、中心市街地を誰もが健康に歩いて移動したり、健康づくりにチャレンジできる、そういうようなまちづくりにも一生懸命取り組んでいるところであります。

 そこで、ぜひ政務官にお願いをしたいわけでありますが、こういったいろいろな取り組みをしてきて、ようやく効果も出てきました。町の中に人が住んでいくようになりました。しかし、ことしの九月にちょうど五年間たつ中で、実行済みの事業もあるし、まだ仕掛かり中の事業もある。ぜひ第二期の認定もしていただいて、さらにこの中心市街地の活性化に向けて、岐阜市を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えておりますけれども、この第二期の認定についてぜひ御答弁いただければと思います。

福田大臣政務官 お答えをいたします。

 中心市街地は、本来にぎわいがあふれ、地域資源や歴史を生かした生活文化や経済の拠点となるべき町の顔であります。その活性化は極めて重要ですが、このため関係府省が連携をして、中心市街地活性化の支援に取り組んでいるところであります。

 岐阜市の中心市街地活性化基本計画につきましては、平成十九年五月に内閣総理大臣の認定を受け、平成二十四年九月まで五年五カ月を計画期間として、岐阜駅、御指摘の柳ケ瀬周辺等のエリアにおいて、商業施設と居住機能をあわせ持つ再開発事業等を通じ、町中居住やにぎわい創出などの活性化に向けた取り組みがなされているところでございます。

 その効果が出ているという話でございますが、岐阜市の場合、御指摘のとおり、本年十月以降においても引き続き第二期目の基本計画を策定し、取り組んでいく意向であり、既に今後の計画づくりに向けた相談に応じているところでございます。

 今後とも、岐阜市の第二期計画を含め、中心市街地の活性化が進むよう、各地の取り組み事例に関する情報提供など、積極的に相談に応じていくとともに、まちづくりへの補助金、イベント開催などのソフト事業に関する特別交付税の措置など、積極的な支援に努めてまいりたいと考えております。

 あわせて、ぜひ総合特区を成功させていただきたい、そう思っております。

柴橋委員 政務官、ありがとうございます。

 私、この間いろいろ政策に携わらせていただいて、やるべき政策をきちっとやれば効果が出てくるんだなということを痛感しています。

 私、岐阜市、高校時代もこの中心部によく通っておりましたけれども、ずっと年を追うごとに人がいなくなって、高齢化が進んでいって、住んでいる人もどんどん郊外に行ってしまった。この傾向が続いていたわけですけれども、一つ一つ町中居住で、例えば家賃の補助とか、市外から転入してきた方にはいろいろな意味で町中居住の支援をやったりして、ソフト事業でも、今大変若い人たちがイベントなんかも積極的にやりながら頑張っています。

 そういうことによって少しずつ町が元気になってくるということは、やるべき政策をきちっとやれば必ず効果があるんだ、だからこの中心市街地活性化基本計画も、第二期の計画をぜひ認定もしていただいて、また国からもいろいろなお知恵をいただいて、地域の発展にぜひお力をいただきたいと思います。

 私、今党の成長戦略の仕事もさせていただいておりますけれども、まさにこれは成長戦略の分野においても、やるべき政策をやるということがやはり大変重要だというふうに思っています。

 ことし六月に、野田政権として日本再生戦略が提案をされますが、今までいろいろなところで、例えば金融庁が反対しているとか、国交省が少し反対しているとかいうようなことで前に進まなかったものも、一つ一つの省庁をきちっと説得して、この間やっていくということがやはり大変重要だというふうに思っていますので、またこれからも、ぜひ、この経済産業を成長させていくという立場での政策提言をさせていただきますことをお話しさせていただきまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、西野あきら君。

西野委員 自由民主党の西野あきらでございます。

 枝野さんには、初めて質問をさせていただくわけであります。

 過ぐる三月十一日、東京の国立劇場で、一年前の東日本大震災の追悼式が挙行されました。私も参列をさせていただきました。枝野大臣も行かれたと思いますけれども、改めて、被災三県の代表の方々がそれぞれ言葉を述べられました、その姿を見て、私も再び涙を誘われる一幕がありました。二度とあのような震災には遭いたくない、もうこうむりたくない、二度とあのような災害を起こしてはいけない、こういう気持ちに誰しもがなったんだろうと思います。

 したがって、一年を経過して、一日も早い復旧復興、かつ安全なふるさとの再現というものを果たさなければならぬということは、私ども政治家に課せられた共通の今喫緊の課題でありますし、お互いに、与野党を超えて、全力を挙げて今後とも取り組んでいくべきだというふうにも思っておるところでございます。

 ところで、私は関西、大阪でございますが、関西電力管内のいわゆる原子力発電が占めておりました比率というものは、かつては全国よりも非常に多く、五一%でありました。それが、二月の二十日、高浜の三号機でしたか、定期検査で停止をされました。これで、関電管内の原子力発電の十一基は全て停止をしたことになって、今は一基も動いておりません。全国的にも、五月になったら全ての原発が停止する、こういう事態に相なるわけであります。

 そこで、国民の間には、特に関西ですが、夏のピーク時は大丈夫だろうかと。電力のことだろうと思います。しかも、今も中小企業のお話がありましたけれども、電気料金が非常に上がるのではないかと。そういったさまざまな社会不安というものが取り沙汰をされているのも実態であろうというふうに思っております。

 きょうは、再稼働に関連をした問題について、若干お尋ねをしたいというふうに思っております。

 さりとて、私は、原子力発電の問題につきましては、安全の上にもやはり安全を期して、その上でないと、再稼働という問題については可否を判断すべきでないと。恐らく、大臣もそのように思っていらっしゃるというふうに思っております。

 この経緯を簡単に触れますと、昨年の七月に関電がストレステストを実施いたしまして、そして十月、十一月ごろにその結果を出しました。国の方に提出したと思います。国の方でもそれを受けて対応されておるようでありますけれども、特に、一月の二十六日には、国際原子力機関のIAEAが招請をされまして、大飯原発を視察いたしました。その結果、我が国の保安院が審査をしているこの審査のプロセス、手続というものについては、IAEAの基準からしても整合するものである、こういう判断を下したというふうに思っております。そして、二月の八日に、今度は原子力安全・保安院が、大飯発電の三、四号機につきましても、あの一次評価につきましてむしろ妥当である、こういう結果を出しました。

 先月ですが、枝野さんを含めて、総理、官房長官、原発担当相等が、やはりこの問題は地元の同意、承認を得て、その上で地元の意向を踏まえて政府が判断をしていくんだ、こういう発言をされておったわけであります。

 ところが、今月になりましてからは、例の、枝野さんがNHKの番組に出られました。その中で発言をされておりますのは、私も見ておりまして、原子力安全委員会が結論を出せば、政府は地元に説明をして、そして国が判断をするという、最初に政治判断をする、そして地元に説明をする、そして最終的には国が判断をするという、いわば二段階の政治判断をする、こういうことをおっしゃったわけであります。

 確かに、三月、今月の十一日に総理も会見で、安全委員会までの確認が終わった段階で、私を含めて枝野産業相、藤村官房長官、細野原発相がどう進めていくかを確認する、政府を挙げて地元に説明をして、理解さえ得られれば、総理も先頭に立っていかなければならない、こういう発言をされたわけであります。

 要するに、まず国が、安全委員会であろうと、国が一定の確認ができたということをもって地元に説明する、そして最終的には地元の意向を踏まえて国が判断をする。率直に申し上げて、今言った政治判断は二段構え、こういう手法を、手続といいますか、最近おっしゃっているわけで、けさの朝刊にもそれらしきことが出ておるわけでありますけれども、大臣、この手続等については、再稼働については、このことで現在はよろしいんでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、最終的には地元の皆さんの一定の御理解ということが前提になりますので、最終的な判断は、地元に説明をして御理解をいただけたときということになります。

 地元に御説明申し上げるに当たっては、もちろん技術的なところは専門家の皆さんに検討、確認をしていただくわけでありますが、単に専門家の皆さんがこう言っていますからということで地元に御説明をするというのは御理解を得られないと思っておりますので、まさに政府の責任として、各専門家の皆さんの結論が出た場合には、それに基づいて政治の責任で、これなら地元の皆さんに御説明ができるということについて判断をしなきゃいけない。そういった意味では二段階になるというふうに思っています。

西野委員 問題は地元でありますけれども、とりわけこの大飯の福井県の西川知事、福井県は今、県議会が開催中でございます。県議会での知事の発言等々を見ますと、福島の原発事故で得られた教訓というものがあるだろう、その教訓を得て新たな安全基準というものを政府が政府見解として出すべきである、こういうことを言っておられると思うんですね。

 そこで、さらにお尋ねをしたいと思うんですが、この福島の事故の技術的知見に関する意見聴取会というのがありまして、これがまとめた対策が三十項目ほどあるそうですね。ベントの例えば設備の改善だとか、あるいは電源を強化するなどなど、三十項目にわたって、これの項目を満たせば、いわゆる暫定安全基準というものにするのかどうか。

 ただ、この中を見ますと、さまざまな問題が当然ながらあります。かなり時間がかかるなという問題、項目もあるように思われますが、やはりこの三十項目の全てが満たされないことには、暫定であろうと何であろうと安全基準というものは出せないと大臣は思っていらっしゃるんですか。

枝野国務大臣 三十項目の中には、さまざまな種類のものがございます。

 そうした中で、地元の御理解をいただくために今必要なのは、福島第一原発の事故を招いたような大きな地震や津波について、同じような、従来の予測を大きく超えるような地震や津波があった場合でも、炉心溶融に至ることがないという安全対策がきちっとなされているということが確認をされることが重要であるというふうに思っております。

 その点について、既にさまざまな緊急安全対策等を指示し、実施をさせてきているところでございますが、それらが本当に機能するのかということを、今いわゆるストレステストを通じて確認をしている。これが確認をされれば、福島の事故のようなことが起こることは、福島のような地震や津波によってはないということになりますので、そこを確認すれば、地元の皆さんに御説明ができるのではないかと思っております。

西野委員 大臣の今の発言はそのとおりだと思うんです、福島の原発で得られた教訓で二度とこういうことがないように、概して言えばこういうことだと思うんです。

 私の言っているのは、あの福島の事故を受けて、いわゆる検討委員会なるものが細部にわたる三十項目の問題点を、恐らく短期のものもあれば中長期のものもあるかもしれませんが、検討項目を出していらっしゃる、それについては、この福島の問題も当然そこに含まれてのことだろうと思いますが、三十項目についてはどう考えていらっしゃるんですか。

枝野国務大臣 三十項目の中には、まさに中長期でやっていただくというものも含まれております。

 では、それができていないと、福島のような事故に大きな津波が来たときになるのかというと、そうではなくて、まさに緊急対策として、そういったものが来ても福島のような事故に至らないという対策はしっかりとやっていただく。ただし、それが、例えばさまざまな安全のための設備が、ある一定の期間ならそれで対応できるけれども、原子力発電所は五年、十年、十五年という単位で安全性を確保し続けるわけですから、恒久的な設備にある段階までには変えていただかなきゃならない。それは中長期的な対策でやっていただく。

 ただ、どちらにしても恒久的な設備で安全を確保するのは時間がかかるけれども、でも、当面、必ずああいった事故にはならないようにはしてもらうという、ここの部分のところは全部やっていただく。だけれども、まさに中長期については五年、十年、十五年、今緊急でやってもらっている設備がもたない、あるいは頻繁に変えなきゃならないということではいけませんので、それは別にやってもらうということですので、三十項目の中には、今直ちにやっていただかないと安全が確保されないというもの以外のものも含まれているということであります。

西野委員 それは、緊急のものとおっしゃったとおり、中長期的に時間をかけなきゃ物理的にできないものもあるだろうというふうに思っています。

 それでは、例えば大飯につきましては、首相ほか関係の閣僚が確認をなさるということについては、この三十項目の中のどことどこの対策ができれば安全、こう考えることができるんでしょうか。

枝野国務大臣 個別には、ストレステストによる評価も含めてきちっと整理をして、わかりやすく、国会にも、当然地元の皆さんにも、国民の皆さんにも説明をしたいというふうに思っておりますが、まさにその緊急安全対策がどれぐらい機能するのかということを、今ストレステストなどで確認をしていただいておりますので、それを踏まえて、ここまでやってあるから大丈夫だ、あるいはもっとやらなきゃいけないということになるのか、まさにその最終段階でございますので、それを踏まえて御説明をさせていただければと思っております。

西野委員 緊急にということでわかるんですけれども、それで一定の大丈夫だというものが政府で受けとめられたら、当然ながら地元に説明をされると思うんですが、地元に対しては、再度お尋ねしますけれども、政府が、あるいは委員会が確認をした問題、こういう点でしっかりとやりますということを出して地元に提案する、こういうことなんでしょうか。地元に対してどういう形で説明されるんですか。

枝野国務大臣 念のため繰り返しますが、いろいろな報道が出ていますが、まだ安全委員会の確認の報告を受けておりませんので、もし安全委員会が確認をいただけた場合でありますけれども、その場合、政府の責任で地元の皆さんにきちっと御説明をし、御理解がいただけるのかどうか、御理解がいただけなければこれはなかなかできることではないと思っております。

 それについては、政府の責任で、地元の自治体の皆さんとも御相談をして、どういうやり方で御説明をするのか、それぞれ地元ごとに御要望が、説明等のやり方について違うと思いますので、安全委員会等の手続がもし済みましたら、その段階で、例えば大飯の場合でしたら福井県などと御相談をさせていただきたいと思っております。

西野委員 けさの読売でございましたか、日にちを切って、三月中に、月内に閣僚会議を開くようなことが出ておったんですが、そういう雰囲気にはなりつつあるんですか、もう委員会の方向が出る状況になっているんですか。

枝野国務大臣 原子力安全委員会は、実は経済産業省の所管ではなくて内閣府の所管でございますが、原子力安全委員会としては、三月中に大飯のストレステストについての確認作業は終わらせたいということをおっしゃっていただいていると聞いております。ただ、きのういろいろな議論はあったようでございますが、それをどう集約してどういう報告書になるのかということはまだ聞いておりません。

 あくまでも政治的なプロセスは、そこで、ストレステストはこれでいいんですという結論が出て初めて動き出すものでございます。それが三月中にお出しをいただけるという方向は聞いておりますが、いつ、どういう中身で出るのかは聞いておりませんので、まだ具体的に三月中にどうこうということを決めているわけではございません。

西野委員 三月中に委員会でそういう結論が出れば、どうぞ枝野さんを中心に十分ひとつ検討して、地元に、あわせて国民にもわかるような形の、これこれこういう形で対応したということを、安全、安心が国民に受け入れられるようにぜひ明らかにして、わかりやすく説明をしてほしいというふうに思っております。

 それでは、次の問題に移ります。

 新たな組織として原子力規制庁をいよいよ立ち上げるというふうに聞いております。これは当初、四月一日、もうあと二週間ほどでありますが、我が党の中には、環境省のもとに規制庁を置くのではなくて、いわゆる三条委員会のように独立してやるべきだという議論もあります。しかし、きょうはそのことについて議論をしようと思っておりません。

 ただ、新しい組織ができましたら、さまざまな関連する法律があると思うんですね。例えば、原子力基本法それから原子炉等規制法の改正などなど、約二十本ほど法律を改正する必要があるんですね。特に、この規制庁には原子力安全調査委員会というものを設置するとなっております。そうすると、この調査委員会で新安全基準を改めてお決めになるんでしょうか。

 安全基準ができるまでは、今状況はこういうことですが、やはり一定の期間がかかると思うんですね。二週間で立ち上がれば、二週間のタイムラグになるんですが、これがもしも少し先送りされますと、その間、安全基準というものは、当然ながら、現在のそれぞれ委員会等々でこの基準というものを決めるんでしょうか、どうでしょうか。

枝野国務大臣 実は、安全基準は、法律に基づく安全基準。これは逆に言うと、今、多分、大飯を含めて、とまっている原発はほとんどそれは満たしているんですね。ただ、地元の御理解をいただくとか、福島原発の知見を踏まえたさらなる安全対策と安全確認をするということについては、それぞれ、原子力の安全という必要性に鑑み、実施をしているものでございます。

 したがって、今ストレステストの進んでいる大飯原発についても、法律上の安全基準を変えるということについては、規制庁が発足をして、そしてそこで改めて議論をした上で、法律に基づく安全基準のつくり方については改めてつくるという方向でございます。

 しかし、だからといって、再稼働問題に限らず、稼働していない原発にもまだ熱い燃料棒があるわけですから、常に不断の見直しをしていかなきゃならないということの中で、福島原発のようなことは起こさないということに向けた安全の対策と、それを満たしていないと再稼働はだめですよということの指示をしてきているわけでございます。そういった意味では、既に、原発事故を踏まえた安全基準というのは、事実上、各電力事業者に対して指示をし、それが満たされているかどうかの確認作業に入っているということでございます。

 繰り返しになりますが、もし再稼働をする場合には、福島のような予想を超える地震や津波があっても過酷事故に至らないということについて、きちっと確認をしなければいけない、それをしてまいる、その上で、新しい規制庁において、法律上そうした安全性についてどういう規定を置くのかということはさらに検討して、必要があれば国会に法律改正等をお願いしていく、こういうことになると思います。

西野委員 私の危惧するのは、ちょうど、いわば新組織、規制庁が立ち上がるかどうかという、一種のつなぎ目といいますか、過渡期になっていると思うんですね。こういうときを心配するんです。ちょっと方向を変えますと、班目委員長が三月の末で一定の区切りをつけたいというような意味のことを報道で私も聞いているわけですけれども、そういうことを言いますと、この空白的な時期というもの、つなぎ目の間というものを非常に心配しているんです。

 例えば、危機管理上の問題で、サイバーテロではありませんけれども、万が一そういう何かの事象が起こった場合に、一体、これは責任は、政府がとるんでしょうけれども、どうするのかという問題がありますから、速やかに新組織なるものは立ち上げ、稼働するようにしなきゃならぬと思います。危機管理上の問題からも、国会も含めて取り組まないかぬと思いますので、ぜひひとつ、大臣、その辺の組織のつなぎ目についてどう考えていらっしゃいますか。

北神大臣政務官 委員の御指摘は非常に重要な御指摘だと思います。やはり原子力施設の安全確保というものは、行政のいろいろな変遷にかかわらず、しっかり確保していかないといけないというふうに思います。

 ただ、もう御案内のとおり、規制庁ができるまでは、これは当然、原子力安全・保安院の方で安全確保の責任があるということでございますし、空白が生じないように、我々もそこは、規制庁にそういったノウハウとか情報というものも事前にちゃんと提供していきたいというふうに思っています。

 例えば、今おっしゃったサイバーテロの話も、今、情報セキュリティー会議というもので政府全体としても取り組んでいるところで、これも遺漏なきよう取り組んでいきたいというふうに思っています。また、実態上、原発に対するサイバー攻撃についても、接続については遮断をしておりますが、これも、昨年十二月に、より明確にするために省令改正を行ったところでありまして、外部からの接続を遮断する措置を講じることを義務づけているところでございます。

西野委員 危惧するようなことにならないように、しっかりひとつ対応してほしいと思います。

 そこで、当面の電力需給、とりわけ関西を中心にちょっとお尋ねをしたいというふうに思っております。

 政府は、エネルギー・環境会議で今後の電力の需給について出す、こういうことになっておりますが、今、関西、大阪は一〇%以上の節電を呼びかけておるわけなんです。近畿にあります経済産業局長、長尾君ですか、彼も街頭に出ましてティッシュを配っていますよ。おお、頑張っておるな、このように、その努力には評価をしておるんです。

 どうも、関西、大阪の方を見ていますと、例えば節電にしましても、一部の企業だけのような気がするんですね。例えば昨年の夏に、首都圏あたりは、コンビニがありますけれども、外灯なんかは見事に節電をやっておるんですね。大阪の方へ帰りますと、こうこうと外部電気がついているわけですね。これは節電をやっているのかな、こういう雰囲気であります。

 一方、府民も何となく意識が私は薄いように思えてしようがないんです。それも、例えば、予備率というものを三、四%持っているのではないか、だからまあ大丈夫だよ、こういう根底認識があるのではないのかな、こう思っているんですね。

 現に、二月の三日ですか、九電の新大分火力発電所にトラブルが起きた。そのときの需給予想は九六%だったんですね。ですから、一瞬、これはえらいことだという緊張感が走ったんです。ところが、結果は九一、二%で終わっているんですね。ああやはり、言っているけれども九一で終わっているではないか、こういう予備率に対する思いがどうも府民にあるような気がしてならないんですね。

 そこの点、節電だとか予備率の問題とかいうことに対して、経産省はどう思っていらっしゃいますか。

北神大臣政務官 私も京都出身の議員でございますけれども、大阪と京都とまた若干違うと思いますが、節電意識が低いのではないかという問題意識がおありだというふうに思います。

 これは、データからいえば、昨夏、東電の管内では一五%の節電目標を出していた、これに対して約一九%、それを上回る節電が達成できました。ただ、これは御案内のとおり、法律に基づく使用制限令を発動した部分が大きいというふうに思っています。

 一方で、関西の方は、一〇%の節電目標に対して約八%を達成した。我々としてはおおむね目標程度を達成したというふうに考えていますが、若干下回っているところがございます。しかし、それは、やはり法律で規制しているところと、していないところの差も考慮に入れなければいけないというふうに思っています。

 今冬については、関西電力管内では、今月二十三日まで一〇%以上の節電を要請しておりますが、これも、実績については、節電要請期間の終了を待って、ちょっと数字を精査しないといけないというふうに思っています。

 いずれにせよ、委員おっしゃるとおり、節電意識、やはりできるだけ緊張感も持っていただかないといけないし、予備率とか需給とか、これはなかなか正確には予想しがたいところもありますので、やはり緊張感を持っていただくことも大事ですし、きめ細かい、節電しやすい対策も一方でとっていかないといけないというふうに考えています。

西野委員 北神さん、そのとおりでございまして、節電をしますと、当然ながら料金は安くなるわけですから、節電で相当のコスト削減をしている結果が出ていると思うんですね。こういうところもしっかりPRをせないかぬというふうに思いますね。

 それだけではなくて、企業等に対しては、あらかじめ緊急時に対するお願いをしているところがあると思うんですね。そういう企業に対しては、もっともっとインセンティブを与えるような方法を工夫したらいいと思うんですが、何かそういうのは持っていらっしゃいますか。

北神大臣政務官 これも、委員おっしゃるとおり、節電に対する動機づけをやはり政府としてもやっていかないといけないというふうに思っています。

 この点について、電力需給とか節電の情報というものがやはり重要だ、どういう状況にあるのかというのを逐次確認できるような体制が必要だということで、政府としては、ポータルサイトで情報公開をしているということもありますし、節電のメニューの提示をしていることもございます。また、各電力会社においては、でんき予報というものの情報提供を行っている取り組みもございます。

 あともう一点、電力の抑制をする方、需要を抑制する方策として、需給調整契約の普及ということも大事ですし、柔軟な電力メニューというものを提供する、あるいは拡充することも大事だというふうに考えています。具体的には、去年の夏は限定的だった大口需要家向けの契約メニューを多様化する、もっと使い勝手をよくするということもやっていますし、もう一つは、小口需要家向け、これも料金メニューの創設というものに取り組んでいきたいというふうに思っています。

西野委員 ぜひ、節電の実効が上がるようにお願いをしたいなというふうに思っています。

 そこで、大臣が、一月の二十七日に朝日新聞に対して、原発の稼働はゼロであったとしても、電力の使用制限令は回避する、こういう意味の発言をされて、また、二月の十七日の会見では、関電管内においては、再稼働ができなくても電力使用制限令を出さずに乗り切れる、こういう趣旨の会見をされているように思うんですね。

 電力使用制限令を出さずにいけるというのは一カ月前におっしゃっているんですけれども、どうですか、一カ月もう経過していますから、何かこれは大臣として根拠をお持ちなんでしょうか。

枝野国務大臣 実は、いずれにおいても、私が申し上げておりますのは、電力使用制限令を出さずに乗り切りたい、そのことについて十分な可能性があるということを申し上げておりまして、まさに今、供給力の積み増しと、それから、どういうきめの細かい節電のお願いをすれば、できるだけ産業活動あるいは国民生活への影響が小さい中で大きな節電の効果を上げられるか、それによって実際どれぐらいの節電ができるのかということの精査をしているところでございます。

 全ての原発が動かなければ、特に関電管内の皆さんには相当な御協力はいただかなければいけないだろうと。ただ、電力使用制限令というのは非常に強い法律でございますので、さまざまな節電の御協力をいただければ、そこまではいかなくても、法律による強制措置まではいかなくても、何とか乗り切れる可能性はある。なので、そこをできるだけきめ細かく今精査しているということで、今の段階で、乗り切れますということは申し上げておりません。

西野委員 そうでしょうね。乗り切りたい、そういう一種の願望、当然そうだろうというふうに思う。それなら理解ができるんです。

 この節電の問題では、昨年、土曜日、日曜日、企業が稼働したところが数多くありましたね。そういう形で電力のピークを避ける仕組みをとられたんだと思います。あんなことはもうぜひ避けたいというふうに思っています。

 そのためには、工夫というふうに言っていますけれども、例えば、地域ごと、エリアごと、あるいは業種ごとに、節電の余力のあるところに対しては十分調べたり検証して、その中で事前にその結果を発表しておけば、いざというときには節電の実効を上げられると思うんですけれども、そういう工夫をなさってはどうかと思うんですが、どうですか。

北神大臣政務官 委員おっしゃるとおり、昨年夏、企業にいわゆる生産シフトをお願いした、これは節電の効果には非常によかったというふうに考えています。ただ、一方で、私も地元に戻ると、あのときに土日に仕事をすることによって、例えば、地域地域のいろいろな行事に参加することができなくなったとか、場合によっては授業参観日に行けなくなったとか、いろいろな彼らの生活に大きな支障が出てきているということも、我々もしっかり認識しないといけないというふうに思っています。

 今後、委員おっしゃるとおり、今までの節電対策についても検証しないといけないということで、ことしの夏に向けては、エネルギー需給安定行動計画というものを策定して、今いろいろ冬の状況を検証したいというふうに思っていますが、そこでいろいろな施策を総動員して、そういった生活や生産活動に支障を来さないように、電力需給のギャップの解消に取り組んでいきたいというふうに思っています。そういうことでございます。

西野委員 ひとつよろしくお願いします。

 それで、エネルギーの基本計画の問題をお尋ねしたいと思うんですけれども、事前にいろいろ調べさせていただきましたが、私自身もよくわからないところがいっぱいあるんです。

 要するに、お聞きしたいことは、エネルギーの基本計画なるものが、選択肢を春に出して、夏には基本計画案は成案として発表したい、こういうことだと思うんですが、どうも、この間からのエネルギー調査会ですか、基本問題委員会というのがあるんですね。ここで配られた資料なんかを見ていましても、エネルギー基本計画を検討すると書いてあるんです。その調査会でエネルギーミックスの選択肢の原案も策定する、これはそうだろうと思うんですね。そして、エネルギー・環境会議でもって成案を出す、そのためには事前に国民的議論も、パブコメだと思うんですけれども、議論も進めたいと。

 この基本問題委員会というのは、見ましたら、二十五名いらっしゃるんですね。いろいろな方が入っていらっしゃいます、これは意見がまちまちだろうと思うのでございますが。その中で、天然ガスシフトの問題だとか、省エネだとか、今話していた節電の対策だとか、それから発送電分離の問題、さまざまな問題を検討に付して、その結果、成果を委員会の方に上げてもらう、こういうことのようなんですね。いろいろな意見をお持ちの、見ただけでも、右から左までいろいろな方がいらっしゃるのでどうかなと、私がむしろ危惧するほどなんですね。

 その組織以外にまだありますね。電力システム改革専門委員会、システムの問題は大事ですけれども、これは三月中に何回かやって、五、六回やって、夏までには、六月までにはまとめるとか、天然ガスシフトの基盤専門委員会、これも六月までには取りまとめたい。省エネはもう既にまとまっているんですね。電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議、総括原価方式の見直し、これもパブコメが締め切られたようなんですね。既に終わっているものもあるんですけれども、なかなかたくさんの委員会があるんです。

 この新エネルギー基本計画というのは、冒頭に申し上げましたとおり、本当にこれらのさまざまな多数の委員会とか部会とかいうものがありまして、わからないぐらいの委員会があるんですね。これで春と言ったって、もう来月は四月、春ですからね、今ももう春に入っているんですけれども。そんなにたくさんの委員会、部会と検討委員会があって、春にその選択肢を出して、夏に基本計画の案というのは出ますか、どうですか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、エネルギーに関連しては、総合資源エネルギー調査会のもとにさまざまな委員会や部会がございます。それぞれのテーマごとに、一種同時並行に進んでいる部分もございます。

 ただ、そういったところの議論の結論が出ないとエネルギー計画がつくれない部分と、そうはいっても一定の方向性があれば基本計画をある程度つくれるという部分もありますし、あえて言えば、若干次元の違う話のものもございます。したがって、それぞれの、基本問題委員会以外のところの進行状況もきちっと、必要性のあるところについては基本問題委員会にも御提起をして情報共有をしていただく。

 実は、もう一つややこしいのは、経済産業省の所管のところだけでなく、例えば原子力委員会それから中央環境審議会、環境省や内閣府、こちらとも原発事故を踏まえて抜本的な見直しを同時並行で進めています。確かに、これらの進行をそろえながら、そしてお互いの方向性がずれないようにやっていくというのは、この間も決して簡単なことではないわけでございます。

 しかし、一方で、昨年の原発事故を受けて、従来のエネルギー基本計画であるとか原子力計画というのをそのまま長期間宙ぶらりんにするということは、どちらの立場から見ても、つまり脱原発の立場、原発をもっとこれからも使いましょうよという立場、どちらから見ても非常に宙ぶらりんで物事が進まないという状況であります。

 困難は多いんですけれども、春と言っても、確かに今既に春ではないかという御指摘はありますが、春がどこまでかというところはあえて申し上げませんし、夏も一定の幅がございますが、何とか春とぎりぎり言っていただける範囲内で選択肢の提示をし、夏とぎりぎり言っていただける範囲でまとめたい。そのことは、これも十分に可能だとまで見えは切りませんが、それが可能なプロセスで進んでいるというふうに思っています。

西野委員 おっしゃったとおり、私が危惧するのは、このエネルギーの基本計画なるものが成案が出ませんと、一方では、御存じのとおり、原子力政策の大綱もそうですし、地球温暖化対策もそうですし、グリーン成長戦略もそうです、こういうものも、基本計画がおくれたらそれもおくれてくると思うんですね。そうなると、お示しされているような革新的エネルギー戦略というようなものもおくれてくるように思うんです。

 したがって、どうぞ、できるだけ同時並行等々をやってまとめていきたいという意味でございましたけれども、ぜひこれは目標を目指して、一定の結論が出てくるようにひとつ努力してほしいと思うんですが、もう一度お願いします。

枝野国務大臣 まさに原子力大綱それから環境の方の問題、一体となって、しかもしっかりと政治主導で、エネルギー・環境会議という閣僚レベルの会議体もつくりまして、日々それぞれの進行状況を把握しながら、最終的には、多様な幅のある御意見がエネルギー基本計画についてもございますので、政治的にしっかりと責任を持って判断、結論を出さなきゃいけないと思っておりますので、御指摘のように、おくれることのないよう、そごの出ないよう、しっかりと進めてまいります。

西野委員 それをひとつ期待しておきたいと思います。

 次に、先ほどちょっと触れましたけれども、電力のシステム改革委員会の問題で少しお尋ねしたいと思うんですが、この電力のシステム改革委員会は、現在で四つの案が出ているようですね。

 一つは、送電部門を別会社にするという、いわゆる所有分離。二つ目は、発電と送電を分社化する、いわゆる法的分離。三つ目が、発送電の運用を中立的な機関が行う、機能分離。四つ目が、送電と発電部門の会計だけを分ける、いわゆる会計分離。こういういろいろな案が出て検討なさっておる。

 このことについては後ほど触れますが、先に、この電力システムを考える上で避けて通れない問題があるんです。それは周波数の問題だと思うんです。ヘルツですね。御案内のとおり、東日本は五十ヘルツで、西日本の方は周波数は六十ヘルツと違いがあるわけですね。

 現在も、それを何とか万が一のときは融通するために、変換所が三カ所ほどあるそうでございます。三カ所ありまして、頑張っても百万キロワットぐらいしかできないようでございますが、さらにそれをふやしたいということで、これも頑張っていらっしゃるように聞いております。

 そこで、周波数の、ヘルツの統一問題が、ちまた、国会でも時たま、何で日本だけは別々になっているんだ、こんなもの一本にしたらいいじゃないかという議論を、これは言葉では簡単なんですが、調べましたらなかなか難しい問題が現実にあるような気がするので、ちょっとお尋ねしたいんです。

 この周波数の統一には、変電所を調べてみたら全国で六千五百カ所あるんですね。トランスはどれぐらいあるのかといったら、一千万個。もしもヘルツを統一しようというなら、これをほとんど取りかえなきゃならぬですね。これは膨大な費用がかかると思うんです。

 しかも、取りかえの工事をするためには、電力が供給されているところはだめなんです。やはりストップさせなきゃいけない、電力をとめてやらなきゃならない。そうすると、今日のように、原発がとまっていますから供給が非常に制限されておる、とめるどころか足らないぐらいでございますから、とめて工事をやるなんてことは、そんな余裕はないのでございますよね。

 言葉ではヘルツ一本というのは簡単なようですが、これは非常に難しい問題があると思うんです。その辺の御認識はどうでしょうか。

枝野国務大臣 この周波数の統一、本当に、白地に絵を描くのであれば、ぜひ日本全国一本であるべきだというふうに思うんですが、御指摘のとおり多額の費用がかかります。今、電力の供給サイドのことだけ考えても、おおむね十兆円規模で費用がかかるのではないかと見られております。

 さらに、実は、家庭用の電気製品は、大阪から東京に引っ越してきてもほとんど全部使えるという状況になっていますが、工業用のモーター等については、やはりこれは周波数を変えるとなると既存のものが使えない。東日本と西日本のどちらを変えるにしても、どちらか半分のところの工業用モーターのほとんどを変えなきゃならなくなるであろうというようなこともございます。

 したがって、本当は統一が望ましいと私も思いますが、そう簡単な話ではない。

 逆に、さまざまな他のやり方はないのか。つまり、今ちょうど、五十と六十の境目のところでやりとりがもっとできるようにそこのラインを太くするとか、あるいは広域においてはある一定部分は直流で流した方がいいのではないかとか、さまざまな議論があるようでございます。

 これは技術的な問題でもございますので、これも総合エネルギー調査会のもとに地域間連系線等の強化に関するマスタープラン研究会というのを技術的な専門家の皆さんを中心に検討いただいておりまして、今のような非常に大規模なコストがかかるということの中で、より安いコストで連系を強化するという方向で、では何ができるのかという検討を進めていただいているところでございます。

西野委員 だから、このシステムの問題は、言うはやすし、現実は非常に難しい問題があるということなので、これは検討はしなきゃならぬというふうに思います。

 そこで、先ほど言いました発送電分離の問題についても、この改革専門委員会で、六月、夏までに結論を出すというようなことが資料では出ているんですけれども、数回の会合で結論が出るなんということはちょっと考えにくいんです。もしもそうだとしたら私はもう驚きなんでございますが、難しい問題があると思いますよ。ですから、大臣も夏ぐらいまでにはとおっしゃっていますが、現実には、非常に難しい、大きな問題がありますだけに、大変ではないかなというふうに思います。

 特に、発送電分離の問題を考える上で、もう一つ見逃してはいかぬ問題があるんです。それは、再生可能エネルギーもそうですが、これをふやすということになりましたら、一方では電力の系統安定化という問題があるわけです。これも大変な問題でありまして、一朝一夕でできるものではないと思うんです。これはぜひしっかり議論をして詰めていかないかぬと思います。

 余り早急にやりますと、失礼でございますけれども、かつて菅総理が太陽光パネルを一千万戸やるとか、それから、小沢鋭仁元環境大臣が地球温暖化基本法の問題で、ロードマップの中を何の継ぎはぎもなく、ある日突然と言ったら語弊がありますけれども、唐突にああいう問題を出している。何か、そんなことと同じになったら困るんですよね。ですから、しっかり議論していただきたい、このように思いますが、大臣、いかがですか。

枝野国務大臣 まず、電力システム改革専門委員会の検討なんですが、六月とおっしゃられたんですが、六月というのは、取りまとめの時期としてどこかで示したことはあったでしょうか。一応私からお願いをしておりますのは、全体としてのエネルギー基本計画が先ほどのようなプランでございますので、そこにできれば反映をさせたいということがございますので、夏というのが一つのポイントであるということについてはお願いを申し上げております。

 ただ、御指摘のとおり、まさにシステムの話でありますので、これは御議論をお願いしている皆さんにも申し上げていますが、必ずシステムを変えるときには、こちらでプラスがあればこちらでマイナスがあるということはあり得るわけでございます。電力の安定供給ということと、一方で、例えばさまざまな新規の事業者が入ってきていただいて、選択の余地が広がるということとを両立させるという議論は、相当緻密な議論が必要であろうということで、まさにそういった緻密な議論をしていただける専門家の皆さんに集まっていただき、事業者、それは新電力を含めた事業者の皆さんからもきめ細かくヒアリングをしながら進めていこうというふうに思っております。

 なおかつ、これは今の段階で、御議論をお願いしている立場で余り踏み込んだことを申し上げていいのかどうかわかりませんが、恐らく、中長期的に、例えば夏にある方向が出たら急にすぐ秋からやりますとかということのできる部分もあるかもしれませんが、何かをやるとしても時間をかけてやらなきゃならないし、その中でさらに詰めていかなきゃならない部分もあったりするだろうというようなこともございますので、もちろん、システムを見直すということの必要性は私は間違いなく今あると思いますが、進め方については慎重かつ丁寧に進めてまいりたいというふうに思っております。

西野委員 ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。

 そこで、時間の関係もありますので、ちょっと中小企業の問題をお尋ねしたいと思います。

 ちょっと角度を変えていきたいと思うんですが、この原発事故で、要するに、火力、石炭火力、LNG等々、代替エネルギーにシフトがしかれている、これはやむを得ないことだというふうに思っているんです。

 ところで、この代替エネルギーで、石油石炭税等々がありまして、当初の見込みより石油石炭税等は増収になるんじゃないでしょうか。それから、十月からですか、環境税を付加されるわけでしょう。この環境税だって当然ながら、こういう石油、石炭ですから、これも上がるんじゃないんですか。要するに、増収になるんじゃないかと私は思うんです。

 先日成立した租税の改正法がございますね。これの中にはエネルギー特会がございまして、エネルギー特会には、御案内だと思いますが、一般会計留保金、こういう仕組みがあるんです。ですから、表向きはエネルギーだったら環境の方向に使われるんでしょうけれども、お金には色がついていませんから、わかりませんからね。これは別の角度の一般財源として使われるんじゃないかというふうに思うんです。

 そこで、増収になって、電力料金も上がる気配でございますから、一番困るのは中小企業なんです、先ほども話があったのかもしれませんが。だから、中小企業に電力料金が負担増になるということでは、これはもう大変なことになるんです。ですから、例えばこれを何とか、支援するというか、料金を下げるわけにもいかないのかもしれませんが、中小企業に対する思いやり、こういう方策が税収増からくる点で考えられないのか、こういう点についてちょっとお尋ねしたいと思います。

枝野国務大臣 まず、前提として、今のところ、東京電力以外の電力会社は、経営効率化努力や過去の積立金の取り崩し等で御努力をいただいておりまして、現時点で値上げの表明はありません。ただ、中期的にはもちろんそういったことも視野に入ってくるのかなとも思っております。

 その一方で、石油石炭税の税収なんですが、燃料調達増によって増収要因がある一方で、実は全体としての電力消費量その他が減っているということで減収要因もありまして、今年度の実際の税収は実は予算編成時の税収とほぼ同額ということでございます。したがって、石油石炭税が、ちょっと環境税の部分だとかは別として、増収になるという見込みは必ずしもないというところは御理解いただきたいと思います。

 ただ、現状でも、二十四年度予算案では、例えば省エネ対策の設備機器に対する補助金について中小企業についての加点措置をとっているなど、中小企業の皆さんが節電等エネルギー効率を高めることで、そこには若干の設備投資がかかりますが、電気を節約してその経費が少なくなる、そこに対しての支援を加算するというようなことをとってきております。

 ただ、今後、もし、東京電力以外のところも値上げとかという流れが避けられないというようなことが見えてくれば、これは今御指摘いただいた留保金については、私限りではなかなか物を申し上げられない、財務大臣とも御相談をしなきゃならないことでございますが、当然、中小企業に対する対応をさらに検討していかなきゃならないというふうには思っております。

西野委員 今の答弁の中で、相対的には減収の部分もあるのかもしれませんが、石油は上がりますよ。間違いなく増収になりますよ。代替エネルギーを使っているんでしょう。これが減るわけないじゃないですか。ですから、相対的にはそうなのかもしれませんが、石油石炭税については上がりますよ。増収になりますよ。間違いないです、これは。だから、その部分のことを考えてほしいということであります。

 時間の関係で、次の問題。ちょっと円高のことをお尋ねしたいのでございます。

 大臣、御案内のとおり、中小企業は今、大手が、元請が海外に行ってしまいますし、仕事も国内で受注が減っているんです、大変です。そこへもってきて円高で、利益は減益ですよ。経産省に聞いたら、七〇%から八〇%は前年よりも減っていると。これは大変なことで、ダメージを受けていると思うんです。

 この円高に対して、このところ、例の政府の対応等によって、あるいはヨーロッパの状況で、部分的にはやや円安になっています。きょうは八十二円九十五銭ぐらいになっているようでございますけれども、しかし、九十円ぐらいから比べるとこれはまだ円高なんです。ですから、今現在、円高に対するどのような施策を講じておられますか。ちょっと簡単にお願いします。

北神大臣政務官 おっしゃるように、特に中小企業は円高の中で極めて厳しい状況にあるというふうに思っています。

 簡単に申し上げますと、政府としては、一つは資金繰り対策ということで、第四次補正予算でセーフティーネット保証・貸し付けというものを拡充したところでございます。もう一点は、空洞化を防いで地元の雇用を守るために、国内立地補助金というものをやっています。これは、御案内のとおり、企業が投資するところに政府も補助を出すという仕組みでございます。二月三日の時点で中小企業向けに八十一件採択を行っております。あとは、海外展開支援とか、技術の革新に向けた補助、こういった総合的な施策をしております。

 最後に申し上げますと、今度閣議決定をされました中小企業の経営力の強化法案というものがありますが、これについても、税理士さんとか中小企業の経営を支援するところを多様化あるいは充実させるような内容でございますので、また御審議のほど、よろしくお願いしたいというふうに思います。

西野委員 ぜひ、そういう施策をしっかり講じていただきたいというふうに思います。

 しかし、今おっしゃったことはミクロ的な対策なんですね。私がちょっと申し上げたいのは、マクロ的な思い切った施策、むしろこの円高の流れを食いとめる、そういうことを講じてほしいと思うんですね。

 例えば、復興債だとか、それから成長戦略債なるものを国が発行いたしまして、これは全部日銀が引き受けるんです。そして、日銀は紙幣を市中に出すんです。そうすると、インフレ基調になるんです。インフレ基調になったら、デフレはストップするじゃないですか。しかも、円高も、これは円安の方向になりますよ。

 これは枝野さんがやるわけにはいかぬでしょうけれども、日銀がやることなんでしょうが、そういった思い切った施策も考える必要がある。そういうことも含めて、大臣として一言、円高に対するしっかりした対応、考え方をお示しください。

枝野国務大臣 御指摘いただいたとおり、私の所管ではない部分が中心になりますが、まず、財務大臣や日銀などに対しては、私の立場からは、円高による中小企業の実態、非常に苦しい状況、これについては、これまでもでございますが、今後も引き続きしっかりとお伝えをして、それを前提にした対応をとっていただくようにお願いをしてまいりたいと思っております。

西野委員 最後に一問だけちょっとお尋ねしたいんですが、アジア新興国、従来までの生産拠点だという視点を変えて、人口もどんどんふえておりますし、それから新興国の年間所得も相当ふえてきている、中間層も非常にふえてきている、もう三万五千ドルぐらい可処分所得がある、こういうことも言われているわけですね。ですから、むしろ、その地域を消費市場だというふうに視点を変える必要がある。

 そのために、政府は今、日本企業の海外進出に対してさまざまな支援をされているんですが、この中で、時間がありませんので一言だけ申し上げたいんです。

 先々週、タイ・バンコクの方に進出をしたいという、私どもの町の、東大阪の中小企業があったんです。その企業に同行して、私の秘書をバンコクへ行かせたんです。そうしますと、ジェトロはしっかりやっていますよ、これは評価したいと思います。ジェトロの所長さんが、アドバイザーと相談をされまして、この企業はバンコクで大丈夫か、販路は大丈夫か、どうだとか、あるいは海外進出に対してリスクはあるのかということも調べられて、しかも、そこから、アドバイザーとあわせてコンサルまで紹介してもらって、見事に説明をしてもらった。私は、これはよくやっていると思うんです。

 聞きましたら、ジェトロの方に相当数の日本企業の方が相談に行っていらっしゃる。アドバイザーなんか一人しかおらぬそうですね。今、民主党さん、事業仕分け、何かいろいろなことをやっていらっしゃいますけれども、ジェトロ、これはやらないでくださいよ。ここには重点配分をするぐらいの考え、これについて、海外進出に対する支援策、ぜひお答えいただきたいと思います。

中山委員長 時間がないので、簡潔にお願いします。

北神大臣政務官 委員御指摘のとおり、ジェトロに御評価をいただきまして、本当にありがとうございます。

 タイの方で、アドバイザーが一人しかいなかったと。実は、常勤の方が一人で、あとほかに非常勤が六人おるんですが、ただ、委員おっしゃるとおり、これから、特に中小企業の海外展開には極めて重要だと思っていますので、御指摘を踏まえて、人員等を拡充していきたいというふうに思っています。

西野委員 では、最後に一言申し上げて、時間がありませんので。

 要するに、アジア新興国、ベトナムとかインドネシアとかフィリピン、こういうところは、税制のルールとかこういうものがぴしっとできていないんですね。未整備なんです。ですから、会計上は費用として認められても、実際は、税制上は損金算入がされない、こういうこと等があるんです。

 だから、そういう点、どうぞひとつこれから、大臣もこの間インラック首相ともお会いになったそうでございますから、ぜひ国と国として、新興国に対する対応を、しっかり関係を強化していただきたいというふうにお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。

中山委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 震災から一年、復興へ向けて政治に課せられた課題は余りにも大きいものがあると思っております。国を挙げて復興を加速するとともに、日本の状況も再建をしていく、そういう覚悟で我々しっかりと取り組んでまいらなければならない、そのような思いで、きょうも質問をさせていただきたいと思います。

 本日は、前の方々との質問と重なるところもございますけれども、原発関連とエネルギー政策について、私の方から質問をさせていただきたいと思います。福島第一原発以降、原子力発電所の再稼働が大きな問題となっております。先ほども質問に出ておりましたが、原発の再稼働についてお伺いをしたいと思っております。

 三月の九日以来の報道によればということでありますけれども、政府は停止中の原発を再稼働するために、地元の同意前に政権が是非を判断することにしたとございます。総理と三閣僚が安全性を確認して、その上で地元の説得に当たって再稼働を最終決定するという二段構え、このことについては枝野大臣もさまざまな機会に申し上げておられるようであります。

 このことについて確認をしていきたいと思うんですが、審査が先行する関西の大飯原発の三号機、四号機、これにつきましては、原子力安全委員会が近くストレステストの妥当性の確認を終了する予定だと聞いております。その後に、野田総理と枝野経済産業大臣、藤村官房長官、細野原発担当大臣が地元に説明をして、安全を最終決断する、こういうことでございます。

 これまで再稼働の政治判断は地元の同意を前提としてきたわけでありますけれども、この新方針ですか、それでは原発の安全性や再稼働の必要性を国が前面に立って説明することになります。これらの方針転換について立地自治体の評価はどうなのか、お聞きしたい。

 国の責任を明確にしたこと、これは私は高く評価をしたいと思うわけでありまして、しかし一方で、再稼働ありきとの世論の反発も招きかねないと思いますが、政府の新方針に対する考え方について、まずはお伺いをしたいと思います。

    〔委員長退席、田嶋(要)委員長代理着席〕

枝野国務大臣 新聞で大きく取り上げられましたし、新方針とか方針転換という御指摘をいただいているんですが、三月十一日より前とは違うのかもしれませんが、実は昨年、途中でストレステストをかませるということで一旦頓挫いたしましたが、海江田経済産業大臣の当時も、国として安全であるということをしっかりと確認した上で、地元に御説明を申し上げて、地元の御理解を得られたときに初めて再稼働するという、今回と同じような地元との関係におけるプロセスについてはやっておられることを官房長官として見ておりました。

 今回も当初から、ストレステスト等の手続を決めたときから、専門家の皆さんによる手続が終わったところで、まず安全についてしっかりと政府全体の責任として確認をして、その上で、御理解をいただいた上で最終的に稼働ができるならするというこのプロセスは、当初からこういうことだろうと思っておりまして、特段お尋ねもなかったので、そういう前提で理解をしていたものでございますので、別に新方式というわけではありませんが。

 まさに、地元の皆さんに御理解いただくには、安全委員会がとか保安院がという主語ではないんだ、やはり政府が、内閣が責任を持って、そうした専門家の皆さんの技術的な評価を踏まえて、安全性について確認をして御説明する必要があるだろう、今はその前段階で、専門家の皆さんに確認をしていただいているということでございます。

 地元の皆さんの直接の御評価は、必ずしも私は現時点で承っておりませんが、報道等を通じては一定の御評価をいただいておりますが、しかし、何といっても、地元の皆さんにとって一番大事なのは、本当に安全なのかということをしっかりと、専門家に加えて、私どもも政府全体として確認をして、御説明ができて初めて意味があることだと思っておりますので、専門家の最終的な評価を待ちたいと思っております。

江田(康)委員 こういう原発の再稼働について、一方では、政府はことしの夏までに新たなエネルギー政策を打ち出すこととしております。その中で原子力がどのような位置づけになるのか、今全く不明でありますけれども、その一方で、このストレステストを評価して、再稼働の手続を着実に進めているという状況だと思いますけれども、やはり再稼働に当たっても、政府の見解として、今後のエネルギー政策の中で原発の位置づけをどうするのか、こういうところをしっかりとはっきりと示していかなければならないとも思いますが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 これまでに政府として、原子力発電に対する依存度を最大限引き下げていく、これはもう政府の方針としてお示しをしています。

 ただ、では具体的にどういうスピードで依存度を下げていけるのか、いくのか、それからその上で、依存度を引き下げた上でありますけれども、依存はしないけれども、では、最終的に、依存しないんだからゼロにするのか、依存はしないけれども、さまざまな要因を考えて一定程度残すのか、こういったことについてまさに国民的な議論が必要だ、率直に申し上げて、国民世論も真っ二つに分かれていると思っていますので、まさにそうした立場の方も含めた総合エネルギー調査会においての議論を踏まえながら、結論を出していきたいと思っております。

 これを先行させるということはなかなか難しいと思いますが、ただ、依存度を引き下げるという方針は明確にお示しをし、そうしたことの中で、もし安全委員会等の確認がとれましたら、地元へ説明してまいりたいと思っております。

江田(康)委員 時間がございませんので先に進めさせていただきますが、電力料金の値上げ問題についてお伺いをさせていただきます。

 本年一月の十七日には、東京電力が来年度から自由化部門の電気料金を平均一七%値上げする意向を表明したところであります。これは、原発の事故によって火力発電の割合が高まった、そういうことで燃料費増によるものとされておるところでありましょう。自由化部門の電気料金を値上げしたとしても、赤字脱却には至らないということで、家庭部門の電気料金についても値上げを検討していると聞いております。

 電気料金の値上げによって、産業の空洞化がさらに加速するのではないかという懸念が大きく広がっております。原発事故によって、全国の原発が運転停止を余儀なくされて、電力需給問題が長期化している。これに加えて今回の電気料金の大幅な値上げで、ますます空洞化が加速して、日本経済また雇用問題への深刻な打撃につながりかねないと思います。特に、電力多消費産業への打撃は甚大であります。

 私どもも何度もお話をお伺いしておりますけれども、例えば鉄鋼業、大半を夜間電力で賄っている鉄鋼業では、一七%どころか四〇%の値上げにも相当することになる。また、中小企業が九九%を占めている鋳造業の皆様、ここは利益の九九%を失ってその大半の中小企業は赤字に陥る、こういう大変深刻な影響を及ぼすということを我々は知らなければならないわけであります。

 公明党は、このような状況を踏まえて、三月の七日には枝野大臣に電気料金値上げ抑制に関する緊急提言を行わせていただきました。その中のことについて、きょう、この国会の場で、議論の場で確認をさせていただきたい。

 まず一点目は、東京電力の一般家庭、規制部門の料金認可に当たりましては、追加コストをそのまま認めるんじゃない、徹底した経営合理化を進めさせて、そうした上で、認可時の原価算定期間を三年とする、そういうような激変緩和措置を行う方針を政府が早期に明確に示すこと、これが大事だということを申し上げさせていただきましたし、また、自由化部門の値上げについても同様の措置を踏まえて対応すべきであるということを申し上げました。政府の対応について、大臣に改めてお伺いをしたいと思います。

 また二点目に、これらの措置を講じてもまだ十分な激変緩和効果が見込めない、先ほど申しました電力多消費の中小零細企業者のために、大幅な割引メニューとか、さらにはピークカットによる料金メニュー、さらには電気料金の値上げ分を延べ払いしてあげる、そういうような支払い方法の導入、こういうことも考えて、政府が明確な方向を示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

    〔田嶋(要)委員長代理退席、委員長着席〕

枝野国務大臣 過日御提起いただきました御党からの御提言、本当に大変重要な点を御指摘いただいておると感謝を申し上げます。

 今お尋ねのうち、規制料金について、徹底した合理化を行って、なおかつ、ユーザーの皆さんにしっかりと中身を公開する、それを踏まえた上でなければいけないというふうに思っておりますし、これは単に促すだけではなくて、御承知だと思いますけれども、有識者会議で、電力料金制度の見直し、これはもう案を出して、パブリックコメントも済ませておりますので、その整理が済み次第、明確な基準として発表し、これに従わせるということをいたします。また、それについては、東京電力において、自由化料金にも遡及適用するという姿勢を既に示させているところでございます。

 それから、電力多消費の、特に中小零細事業者のためのよりきめ細かなメニュー。

 私も、昨年、特に夜間電力を使って節電に大変御協力をいただいた方に実態としては一七を超える値上げになるというのは何なんだというふうに強く思っておりまして、これについては、よりきめ細かいメニューを提示するよう求めまして、一応その答えは東京電力から示されているところでございますが、これで果たして十分なのかどうかについては、ユーザーの皆さんの反応も見ながら、必要があればさらなる努力を促してまいりたいと思っております。

 それから、延べ払いの御提案については、なかなかおもしろい御提起であるというふうに思っております。これも、自由化料金の範囲のところでございますので強要、強制することはできないのと、それからもう一つは、多分ユーザーごとにきめの細かい対応が必要だというふうに思いますが、東京電力に対して、そうした努力をするように求めてまいりたいと思います。

江田(康)委員 東京電力管内だけでなくて、それ以外の八電力会社においては、我々、この提言の中でも、二・九兆円に上る原価変動調整準備金、また別途積立金を値上げ前に原則取り崩すことを求める方針を早期に明確化すべきである、自由化部門においてもしかりということで、強く申し上げさせていただいておりますが、大臣、一言、どうでしょうか。

枝野国務大臣 東京電力以外の電力会社においては、そうした積立金を取り崩すことも含めた企業努力によって、今のところ、値上げの申請、あるいはそうした打診ということはございませんが、引き続き、最大限の合理化と、資金をできるだけ社内に留保して、できるだけ長く、値上げによらずにコストを吸収できるように促してまいりたいと思っております。

江田(康)委員 しっかりと政府の対応、方針を示していっていただきたい。大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 最後になりますが、電力システムの改革について、引き続き質問をさせていただきます。

 我が国の電気事業体制というのは、一般電気事業者に地域独占を認めて、同時に、電力の安定供給の義務を課しているわけであります。このスキームにより、確かに我が国は質のよい電力供給体制を構築してまいりました。他方、他国と比べて割高な電気料金になっておって、果たして電力会社間の競争を促進してきたのかというような疑問もあるわけであります。

 電力システム改革にかかわる議論では、地域独占の見直し、発送電分離等についても検討されていると聞いております。しばしば電力業界は、この二十年ほどの間に自由化は進んだということを主張されますけれども、電力業界の競争が促進されたとはとても思えないわけであります。

 今の制度は、料金を引き下げようとする力が働かない。発送電を分離して、電力会社の送電部門を自由化させなければならないと考えますが、政府の考えについてお聞きをしたいと思います。

 さらに、電力の周波数の問題。

 先ほども出ていましたけれども、これは大変重要でありまして、東日本で五十ヘルツ、西日本で六十ヘルツと異なっていることが電力融通の障害になっていることから、六十ヘルツに統一して列島縦断の直流高圧送電網で結べば革命的な効率化にもつながると考えて、公明党は主張をさせていただいているところであります。これについてもいかがか、お答えをいただきたいと思います。

 そして、自由化を進める真の目的は、これは電力の安定供給を前提として、競争を促進する効果として、電力サービスの向上、電気料金の引き下げ、それから電力需要家の選択肢を拡大する、これを図るものではなかったのかと思うわけです。

 これまでの電力自由化に伴う政策効果をどのように判断して、今後、これらについてどのように取り組もうとされているか、政府の認識をお伺いさせていただきます。

枝野国務大臣 東日本大震災によって、これまで供給力確保に主眼が置かれて、需要家の選択行動を活用して需要を抑制することで供給力に余裕を持たせるという視点が乏しかったこと、それから分割された区域内における供給という点に重点が置かれまして、全国規模での最適需要構造を目指すとの視点が乏しかったこと、そしてもう一つは、今回の東京電力の自由化部門の料金値上げで、自由化と言ってきましたけれども、自由になったのは消費者の選択ではなくて、電力会社が料金を上げることが自由になっただけであるという、やはりこれまでの問題点が明らかになったというふうに思っております。

 したがって、先ほどのお尋ねのとおり、システム改革は相当慎重にやらないと、安定供給も崩してはいけないんですが、しかし今指摘をいたしました問題点を解決するためには、かなりゼロベースで議論が必要だろうということで、今議論を進めております。

 特に、送電については、中立化、公平化ということをいたしませんと新エネルギーの導入にもなかなか進まないだろうと思っておりますので、これは安定供給をにらみながら、慎重かつ迅速に検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

 それから、東西のヘルツが、周波数が異なっている件について、本当に白地に描くのであれば、どちらかに統一したいという気持ちはやまやまでございますが、それにかかる電力会社のコスト、それから需要家の側のコスト、両面を見た上で、なおかつ、より安価、コストの低い方法でより連系を強化できないかということを検討させておりますので、その検討結果を踏まえて、できるだけ東西の融通がきくことを目指していきたいと思っております。

江田(康)委員 大変短い時間でございましたので、時間が来てしまいましたけれども、エネルギー政策関連については今後もこの委員会で質問をさせていただきたいと思っております。

 本日はどうもありがとうございました。

中山委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 枝野大臣に、独立行政法人の制度及び組織の見直しについて質問します。

 枝野大臣は、内閣府の行政刷新会議で、事業仕分けにも以前取り組まれておりました。そういった意味では、ぜひ無駄の削減をしっかりやっていただきたいという期待を込めて質問をさせていただきます。

 ことしの一月の二十日に閣議決定されました、独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針というのがあります。経産省の下にも独法というのはたくさんぶら下がっていますので、それも当然見直しの対象になっております。

 今、枝野大臣は大変お忙しいと思います。電力の問題、復興の問題、円高対策、中小企業対策、大変お忙しくされていると思いますが、そういう忙しい時期に、いつの間にか大事なことが官僚主導でさらっと決まってしまうというのはよくあるパターンでして、選挙の時期に、大事な通達がいつの間にか出ているというのは自民党政権のときもたくさんありました。そういう官僚の骨抜きがやりやすいタイミングであるとも言えると私は思っております。

 そこで、ぜひ気をつけていただきたいと思うんですけれども、大臣、これからどのように経産省の下にある独法の見直しを進めていくのか、基本的な考えをお伺いします。

枝野国務大臣 今回の閣議決定は、独立行政法人の類型ごとに最適なガバナンス体制を構築することで効率化を図り、政策実施機能を高めることを狙いとして見直しを行うものです。

 これは、私が刷新大臣のときに、独立行政法人といっても、目的とかやっていることが多種多様で、一つの基本法でガバナンスのやり方が全部統一されているというのは逆に非効率を生んでいる、だから、その政策目的や事業の種類ごとにガバナンスのあり方は違うんじゃないかということ、これに基づいて進めていっていただいている。

 その中で、まさにそうした類型ごとの性格等を見た中で、経済産業省においては、御承知のとおり、経済産業研究所と産業技術総合研究所、情報処理推進機構を統合するということにいたしたものでございます。社会科学系の政策研究と理工学系の研究開発が連携が図られるということで、シナジー効果が発揮できるというふうに思っておりますし、また、三法人の統合を決めるときには、私と、当時は岡田さんは担当大臣になっていたか党の調査会長だったか、かなり詰めた議論をいたしまして、単なる数合わせにならないようにということで、特に間接部門の効率化、人員削減等について、きちっと踏み込んでやるということを経産省としてもしっかりと確認をした上で、この統合の方針を決めたところでございます。

山内委員 その改革によって、どの程度経費の節減あるいは人員の削減の効果が期待できるんでしょうか。今の段階で細かい数字は出せないかもしれませんが、せめてこれぐらいは減らしたい、何%ぐらいは人も減らしたい、そういう目標とかを、大臣、これから設けられるおつもりはありますでしょうか。

北神大臣政務官 今回の独立行政法人の改革というのは、法人の統合を通じて、おっしゃる経費の削減、これももちろんありますが、もう一方で、さっき大臣から申し上げたシナジー効果、相乗効果というものを期待して、政策実施機能の強化ができるように検討してきたわけでありますし、今後もそのように検討していきたいというふうに思っています。

 委員お尋ねの、数字みたいなものはちょっと今何も持ち合わせておりませんが、御指摘を踏まえて検討してまいりたいというふうに思っています。

山内委員 私は、数字、目標値というのは、ぜひこだわっていただきたいと思っているのは、先ほど大臣が単なる数合わせに終わらないようにということをおっしゃっていましたけれども、えてして数合わせに終わってしまうのがこれまでの行政改革の長い歴史だったと思うんですね。

 例えば、省庁再編のときも、厚生労働省ができました、あるいは国土交通省ができました。ほとんど公務員は減らなかった。次官は減ったけれども、事務次官級ポストがいっぱいできて、結局ほとんど歳出削減にはつながらなかった。

 あるいは、厚生労働省、統合して本当によかったのかと、恐らく与野党関係なく多くの議員が思っていると思います。厚生大臣と労働大臣に分かれていたときの方が、それぞれより深く見られたかもしれませんけれども、今の厚労省は余りにも大きくて、一人の大臣ではとても対応できないぐらい政策分野も広く、予算も大きくなっている。

 そういった意味では、本当に厚労省みたいな省をつくってよかったのか、単に省庁の数を減らすということにこだわり過ぎて失敗したのが省庁再編ではなかったかと思います。大臣が一人になったら、より官僚主導がやりやすくなるわけですね。政治家の方もいろいろな分野に目を通さなきゃいけなくなってしまう。

 そういった意味では、本当に今回、独法の数が減りましたというので安心してしまわないように、しっかりとこれからの進め方、工程表をつくるときもそうですけれども、どれぐらい人を減らしたいとか、どれぐらい予算を減らしたい、あるいはシナジー効果というんだったらどういう効果が期待できるのか、そこをきっちり指標をつくって定めていかないと、見た目の改革は進むけれども中身は全然変わらないという、これまで繰り返されてきた行革の悲劇が続くんじゃないかと思います。ぜひそこは御配慮をお願いしたいと思います。

 それと、一点気になったことがあります。

 先ほどジェトロの質問をされていた方もいらっしゃいましたけれども、日本貿易振興機構に関しては、閣議決定された基本方針によると、ジェトロとJICAと国際交流基金と国際観光振興機構の海外事務所については、現地事務所の機能的な統合を進めるというお答えが出ております。ワンストップサービスの実現ということも言われております。

 しかし、ただ国際がつく以外は大して共通点のない組織を無理やり一緒にしてしまうということは、実は、そんなに間接費が減るかどうかもわからないし、効果の面でも非常に疑わしいんじゃないかと思っております。単なる数合わせ改革にならないように、目的の異なるものとか機能の異なるものを一緒にしたときの弊害ということをしっかり考えていただきたいと思うんですね。

 例えば、日本に観光に来た人と日本から援助をもらいたい人は全然目的も違いますから、ワンストップである必要はありません。日本に留学したい人、観光に来たい人と日本からの投資を呼び寄せたい人、これもまた違うと思います。無理して、国際がつくから一緒にしましょうという非常に安直な発想がここには流れているような気がしないでもありません。この点、注意していただきたいと思うんですけれども、現在の経産省のお考えをお聞きします。

北神大臣政務官 お答えします。

 委員おっしゃるとおり、国際がつくから何でも一緒にするということは避けなければいけないというふうに思っています。

 方針としては、もうおっしゃったとおり、一月二十日に閣議決定が出されて、今おっしゃった機関の海外事務所について、ワンストップサービスの実現等を図るため機能的統合を進めることとされています。

 この決定を踏まえて、三法人以上の海外事務所が設置されている、十六都市ぐらいあるんですが、これらについて、例えば事務所の近接化とか、同じ建物に設置するとか、あるいは事務所間の連携強化、こういったことも今検討しておりますし、全く共通項がないかというと、私もいろいろこれからも検討しないといけないと思いますが、例えばJICAとジェトロ、一方は支援の話ですし、もう一方は企業の誘致活動とか投資促進でありますけれども、例えばインフラの輸出、これは政府としても成長戦略の一つとして取り組んでいますが、こういった点では、JICAがある国のインフラを整備する、工業団地をつくるとかそういったことをしつつ、一方でジェトロがそこに企業の投資というものを促進するための支援をするとか、そういったことも考えられるんじゃないか。

 こういったことは、形骸化とか、何かほとんど意味のないようなことを避けつつ、相乗効果を得られるような取り組みにしていきたいというふうに思っています。

山内委員 今おっしゃった近接化とか同じビルにする、これは大事だと思います。大体、国連機関は、例えばジャカルタにある国連機関は、国連ビルというのにみんなで一緒に入居するから、横の連絡とかがやりやすくなる。それと、表敬訪問がやりやすいんです。国会議員が行くときに、同じビルで上から下まで行くと、渋滞の中を移動しなくていい。そういった意味では、近接化は非常にいいことだと思います。それから、みんなで交渉したら家賃も下がるかもしれない。

 そういう意味の、同じビルにするとかその程度の統合というのは前から議論がありますし、それはやるべきだと思いますが、ただ、三つか四つの機関を一つの組織にするとか、これだけは絶対やめた方がいいと思います。

 それは、文化交流の畑でやってきた人の上司にいきなり貿易畑の人がなる、これはうまくいかないですね。カルチャーが違うんですね。JICAとジェトロも、重なる部分はあるんですけれども、何となく働いている人のカルチャーが違うんですね。そういう違うカルチャーの組織を一緒にすると大体うまくいかないという気がします。

 例えば、アメリカの国務省も、前、アメリカ文化交流広報局という別組織だったのを一緒にして、非常に弊害が多いと言われた。何かというと、巨大組織の一部局に成り下がると、独自性もないし戦略性もなくなって、より大きな組織の一部局になった方が効率が悪くなるケースが非常に多い気がします。

 ですから、今おっしゃったような近接化、同じビルにしていく、そういうことは大事だと思いますけれども、それ以上に、ただ国際と名がつくから一緒にしましょうというような安直な発想はぜひやめていただきたいと思いまして、きょうは若干安心しましたけれども、この書きぶりを見ると非常に心配になるので、その点は御配慮いただきたいと思います。

 そろそろ時間がなくなってまいりましたので、最後の質問になると思います。枝野大臣に、東京電力の値上げについてお尋ねします。

 既に先ほど江田議員からも質問がありましたが、私も似たような問題意識を持っております。多くの有識者も言っているし、東京都も言っている、枝野さんの地元の埼玉県の知事もおっしゃっています。

 東電がやはり経営努力をまだまだやっていないじゃないか、コスト削減もやっていないんじゃないか、まだ不十分な努力しかやっていないにもかかわらず、一七%一気に値上げする、これはいかがなものかという大変広範囲な批判があります。

 これについて、もう一度大臣のお考えをお聞きします。

枝野国務大臣 いろいろなところから経営努力が足りないという指摘については、私からも申し上げておりますが、しっかりと受けとめて、最大限の経営合理化努力をするようにという指示をいたしているところでございます。

 例えば、上田知事からは、こういうところで経費が節減できるのではないかと、具体的な提起がされているというふうに承知をしておりまして、もしそれらがもう実施済みであるとか、それによってコスト削減の効果がないとかというようなことがあるのであれば、それについての立証責任は東京電力にある。ただ抽象的にそれは無理です、これ以上は無理ですということでは、東京電力としての責任は果たせない。少なくとも、都道府県などの公的機関から指摘をされている努力については、できないならできないなりに立証責任を果たしていただきたいというふうに思っています。

山内委員 大体役所の人は、政治家がこれはできないのかと言うと、とりあえずノーから入る傾向があると思います。本当にできない場合と、努力すればできるけれどもとりあえずノーと言っておこう、期待値を下げておこうという場合、二つあると思うんですけれども、恐らく、埼玉県の知事がおっしゃっていること、かなり妥当な部分は多いと思います。

 ですから、どこまで本気のノーなのか。これは絶対無理というところと、努力すればできるけれども努力したくないからノーという部分と、いろいろあると思います。ぜひ、埼玉県からの緊急提言がございますけれども、これに対する答えをきっちり東京電力が、使用者に対して、国民に対して報告していくように、今大臣がおっしゃったような形で公開していくように、経産省から指導というか強く申し入れていただきたいと思います。

 この埼玉県の問いかけに対する答えを出す責任、これを経産省として果たしてもらいたいと思いますけれども、その点について、改めてもう一度お願いします。

枝野国務大臣 私から指示をしなくても当然やるべきことだと思うんですが、念のため、私から、埼玉県に対して具体的にきちっと説明をしろ、しかも公開の場で説明をしろということを指示いたします。

山内委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

中山委員長 次に、中後淳君。

中後委員 新党きづなの中後淳でございます。

 早速質問に入らせていただきますが、通告とちょっと順番を変えて、通告順ですと二の三ポツの、東電の原子力発電所事故対応のうちの観光業への風評被害に対する賠償の考え方から質問をさせていただきたいと思います。

 大臣所信にも、「原子力損害賠償支援機構を活用しながら、東京電力から迅速かつ適切な賠償がなされるよう万全を期してまいります。」という記述がありました。

 まず、確認ですけれども、観光業への風評被害に関して、東電への指導官庁というのは経済産業省ということで間違いありませんでしょうか。

枝野国務大臣 これは、内閣官房の大臣としての原子力経済被害担当大臣としての私、そして、内閣府特命担当大臣としての原子力損害賠償支援機構担当としての私、つまり、内閣府がまさにその被害についてしっかりと賠償させるということについての所管でございます。

中後委員 では、枝野大臣に質問させていただきます。

 昨年の八月に、文科省に設置された原子力損害賠償紛争審査会において、いわゆる風評被害等も含めた損害の判定等に関する中間指針が出されました。その第七にいわゆる風評被害ということで、その三番目に観光業の風評被害というのが書かれております。

 まず、昨年の八月の段階では、福島、茨城、栃木、群馬の四県については合理性が認められる、損害賠償の適用をするということになっておったわけですが、他県については、いろいろな事情を勘案して、相当因果関係のある損害として認められる場合には認めていきましょうということが書かれておりました。

 その四県以外については、それぞれの県で、ある意味ばらばらに交渉を積み重ねてきたということがあるわけですが、他県についても、ほかの都道県に関しても同じだと思うんです。

 私、出身が千葉なので、千葉については、昨年、平成二十三年の四月から六月の三カ月間の観光庁発表の宿泊旅行統計調査を見ると、前年同期比がマイナス四三・二%で全国ワースト一位になっています。観光客の宿泊数が一番減った県は千葉だということです、去年の四月から六月。二位が秋田で、三位が栃木。その対象四県でいうと、福島がプラス二三%、茨城がプラス一八%、栃木がマイナス三五%、群馬がマイナス一八%で、外国人についてはほとんどの県がもう大幅に減っているわけですが、軒並み、福島周辺、この四県に限らず大きく観光客が減っているという状況にあるわけです。

 それを受けて、去年の十二月に東電から、千葉県内における観光業の風評被害に関する取扱いということで、資料を提出させていただいたので見ていただきたいと思いますが、おおむねこういう形で損害賠償を行いましょうという指針が出されました。損害賠償の対象というところは、千葉県外房エリアにおける観光客を対象とする観光事業者。

 千葉県外房エリアというのは、この地図でいうと、一番太い線で書いてあるラインだと思うんですが、市町村で区切っておりますので、外房エリアといいながら、太平洋に面している市町村という区分けがされていることで、大変な不平等、不公平感を持っているということが指摘されて、本当に風評被害を受けているところについてはしっかりと対応していただきたいということを今までもいろいろなチャンネルから交渉させてもらったわけです。

 損害賠償地域として追加することは考えるけれども、まずこの外房エリアという線引き自体も私からすると根拠が不明確なのかなという気がしますが、引き続き検証を行うということでしたので、原子力事故の影響が認められる範囲として追加をしていただこうということで、具体的な作業は先月、二月の二十一日まで県内では進められてきました。

 市町村、自治体と団体に対するヒアリング等が行われてきたんですが、それを三月五日に観光業風評被害地域出張ヒアリング調査結果一覧表ということで中間報告がなされて、それについて今地元で大変な問題になっているということです。

 それを受けて、三月十三日、きのうなんですけれども、東電に対し関係者から不信感と抗議文の提出がされております。

 まず、ヒアリングでの内容等がほとんど反映されていない、東電にとって都合のいい部分だけつまみ食いされたような形になっているとか、言葉尻を捉えて発言の趣旨を歪曲した形になっているとか、主張趣旨とか提出資料の要旨が記載されていないだとか、明らかに市町村側の主張趣旨と異なっているだとか、いろいろなことでその団体等から問題だというふうに指摘をされておるわけですが、まずここまでで大臣の所感を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 個々具体的なところについて確認、調査をしたわけではなくて、今のお話を伺った限りでございますが、東京電力は、紛争審査会の中間指針をすればいいのではなくて、それは最低線であって、それぞれの実情に応じて、きちっと真摯に、相当因果関係のある損害、風評についても賠償する責任がある立場である。

 したがって、それに対して、どういう範囲が実際に相当因果関係があるのか、さまざまな調査をするのは当然だと思いますし、それに当たっては真摯に誠実にやることが当然のことであるというふうに思っておりますので、もし実際にヒアリング等を受けた皆さんが、自分たちの言っていることと違うとか、集約の仕方が偏っているとかということがあれば、御指摘いただければ、原子力損害賠償支援機構を通じて、東京電力に対して厳しく指導をいたします。

中後委員 実際に私たちが交渉、対応しているときというのは非常に紳士的に、やりますという話なんですが、現場で話を聞くと全く違うという実情があって、またそれを受けての、提出された、まとめた資料を見ると、全くそのときのヒアリングとは違うということがあって、私たちが対応するときと全然違うということに不満があるということなんです。

 考えてみると、そもそも、まず都道府県、四県という線引きそのものもそうですし、市町村という線引きそのものもおかしい。

 改めてまたこの資料を見ていただきたいんですが、指摘箇所というので丸囲いがしてあります。

 今回でいうと香取市や東金市、真ん中の丸がわかりやすいのかもしれませんけれども、この東金市というところは隣が山武、大網白里になっておって、この二つの、網かけになっているところが補償の対象になっている、賠償の対象になっているところです。東金の白のところと隣の山武のところは何が違うのか。これは市町村の線引きの違いというだけで、この東金の方には今まだ賠償が認められないということもあります。

 南の方の大きな丸で見ると、南房総市というのが館山の北側にあるわけですが、太平洋沿岸ということで南房総市というのは範囲には入ったんです。南房総市というのは、東京湾、房総半島を横断しておって、内房側も観光事業者がたくさんおります。南房総市にある内房事業者については賠償が認められているけれども、その直近の、北側の鋸南町というところは今のところ全然認められていない。

 地勢的には全く根拠がない市町村の線引きが行われたことで、既に賠償に進んでいるところとまだまだ全く交渉の段階に入れていないところに本当に不公平感があるんです。資料なんかの提出を行ったにもかかわらず、まだまだなかなかそういう段階に進んでいないというところで、ぜひともこの点はしっかりと認識をしていただきたいなということなんです。

 なぜこれをきょう一番最初に質問したかというと、実はあした、三月十五日に東電内部で賠償地域拡大についての決定をするんじゃないかという情報が入ったということで、そのタイミングの前にぜひ大臣からそういう指導を行っていただきたいという意味を込めての質問ということなんです。大臣から一言いただきたいと思います。

枝野国務大臣 ここはなかなか難しい点が一点だけありまして、これは文部科学省の所管ですが、紛争審査会が四県に限ってと。まさに最低線といいますか、この県なら無条件ということを決めることで、県全体無条件ではないけれども、ちゃんとそれ以外のところもやるんですよという意味ではあるんですが、何しろ膨大な数でございますので、まずはこの範囲の中はもう無条件でこういうふうに払いますというような線を引かないと、全く物事が進んでいかないということがあります。

 紛争審査会もそうですが、恐らく東京電力においては、各指針の外側についても、いわゆる一つのまとまりとしての地方自治体、行政区分の単位で、この範囲の中であればこの条件できちっと出しますということを決めることでできるだけ迅速な処理を進めるという、それは一つの努力で、では、それを超えたところは、その範囲の外のところはやらないということでは困ります。それ以外のところについても、ここは網羅的にはならないけれども、損害があればちゃんと賠償しますということをやってもらわなければならないということになりますので、そういった意味では、何らかの線引きをしながらやっていかざるを得ないというのは、ここは私もやむを得ないんだと思います。

 ただ、先ほどの話のように、それに対するヒアリング調査のやり方が誠実でなければいけないと思いますし、また今お示しをいただいた地図の範囲が本当に合理的なものであるのかどうか、これについては、今のお話だけでは、私、何とも申し上げられませんが、しっかりと誠実な調査、ヒアリングに基づいて合理的に、市町村で線を引かなきゃならないなら線を引け、その上で、その外側のところであっても相当因果関係があるところはちゃんと賠償しろ、このことは改めて指示をしておきます。

中後委員 よろしくお願いします。

 その実態、事業者の皆さんがその場で発言をしたこと、資料を提出したことと、東京電力がまとめた調査結果が全く乖離しているということで、たくさん資料をいただいております。

 何個か実例を紹介したいんですけれども、例えば鋸南町のサンセットブリーズというところなんかでは、東電の調査書には、団体客がほとんどキャンセル、余震、津波、原子力事故の影響等が考えられると記載されている。ただし、そのヒアリングのときに何を言ったかというと、震災直後、津波、地震によるキャンセルは余りなくて、放射能問題が明るみに出てからキャンセルがふえたと言っているはずなんですが、全然それと違うことが書かれている。ほかにも同じような事例がたくさんあって、不信感が渦巻いているという状況にあります。

 まず、今回、賠償の責任は東電が一義的に持っているということで、私、これ自体も少し問題があるのかなと思っているんですが、これはもうこういうものとしたとして、加害者が東電であるということになれば、加害者が線引きとかその認定を今進めているという状況にあります、資料の作成も含めて。本当は示談交渉みたいな話なので、加害者側が認定を行うというスキームそのものがどうなのかなというところもあります。

 東京電力は、以前にも、放射性物質は東電の所有物ではないから除染の責任は負わないなんていう発言をして、大きな問題になったりもしました。そういうところからも不満とかが出てくるわけです。突き詰めていくと裁判とかという話になってしまう話だと思いますので、ぜひとも、そうならないようにしっかりとした指導をお願いしたいと思っております。

 二月には、山形の米沢が観光風評被害ということで対象地域に加えられることになりました。これも東電の判断。ほかのところは、まだ交渉しているところはたくさんあると思います。賠償の期間についても東電が判断。

 これは、一事が万事であって、観光だけではなくて、全ての損害賠償について同様の問題があろうかと思っております。将来的には、これは命にかかわるような深刻な健康被害等も対象になってくる可能性があるのかなと思っておりますし、まず、賠償の認定については、本来であれば中立的な第三者機関が行うべきなんじゃないのかなと思っているわけです。

 もし仮に現在のプロセスで進むとしても、大きな網かけとして、北海道から東京、神奈川とかまで含めた、北海道、東北、関東、北陸、信越あたりまでを含めて賠償地域に定めた上で、その中での個別の対応をすべきだというふうに思っております。

 大臣の見解を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 二つありまして、一つは、もちろん、裁判なんていうことはよほどの多額の訴額で、そしてそれなりの、例えば大きな事業者とかでないとなかなかハードルが高い。これは十分承知しておりますので、ここはADRの機関を置きまして、このADRの勧告には、東電は無条件で従えということを約束させています。ところが、これ自体もなかなか、運用のところでいろいろとごちゃごちゃやっているという話を聞いておりますので、徹底させたいと思っております。

 それから、もう一つの点は、やはりあくまでも線引きは、最低ここまではやるということについて、それは審査会の線引きもそうですし、仮に、大量の処理をしなきゃならないということの中で、東電が何らかの線引きをするに当たっては、あくまでも東電としてこの範囲はこの基準でもう無条件で出しますということであって、それが、それ以上は払いませんとかそれ以外の地域は払いませんとかということではない。そういう姿勢で一定の線引きをしながら、線の内側については迅速処理するというのは、僕はこれはありだと思うんですが、そこがむしろ、線引きをしたらその外はありませんよというような姿勢であることが、多分さまざまな不信感を生んでいるんだと思います。

 率直に申し上げて、経産大臣就任以来というか官房長官時代から、一種のモグラたたきゲームをやっているような徒労感を感じながらやっておりますが、とにかくモグラたたきを続けないといけないということと同時に、これは総合特別事業計画において、こうした企業体質を変えるという明確な総合特別事業計画にならなければそれ自体を認可しないということを通じて、この東京電力の企業体質を変えさせるべく最大限努力してまいります。

中後委員 もう今大臣がおっしゃったとおりの実情だと思いますので、ぜひ大臣として強く御指導いただきたいと思います。

 先ほどからも出ているように、東京電力は地域にとって独占企業です。どんなに方針に不満があっても、こんなやり方は許せないと思っても、電力料金値上げですといったらやはり払わなきゃいけないとかというところで、先ほど来出ている発送電の分離の話だとか、一時国営化の話だとか、いろいろな政治的な判断をしていかなきゃいけない局面なんだと思いますので、私は、そういう大きな政治的判断が必要だろうと思っております。ぜひとも御検討をよろしくお願いします。

 時間もなくなってきましたので、二番目の質問です。質問を通告した一番最初なんですが、地域の現場に利益配分が回らない環境下での地域活性化についてということ、これはまた機会があればお話をさせていただくこととして、その次の“ちいさな企業”未来会議の運営について質問させていただきます。

 所信にも、この会議を設置して、幅広く意見を伺ってきめ細かく対応するとあります。この“ちいさな企業”未来会議をちょっと調べてみますと、コアメンバーが百三十六人、共同議長が枝野大臣と岡村中小企業政策審議会会長ということになっています。スケジュール的には、三月三日から第一回会合で、五月まで全国で二十八回程度開催、六月中に取りまとめということになっています。三月にも五回予定されています。三月は福井、函館、米子、多治見、那覇で行う予定です。

 第一回の総会が、三月三日土曜日、十四時半から十六時半、二時間で行われている。出席者は共同議長二人とコアメンバー百十二名、その他七名の百二十一名。

 全国から百二十一人集めて二時間の会議で何がしたいんだろうなというふうにも思いますし、私は、当時民主党に所属をしているときに、枝野大臣のもとで事業仕分けを担当させていただきました。そのときにも、こういったイベント的な事業は無駄なものが多いから、しっかりと仕分けるようにというふうに指導されてきた立場であります。事業仕分けのときに、こういった事業というのは無駄なものとして位置づけられていなかったのかなと思っております。事業仕分けを当時担当していた枝野大臣の見解を伺います。

枝野国務大臣 イベントとしてやっているつもりは全くございません。これはまさに中小企業、特に小さな企業の政策をつくるに当たって、例えば商工会議所は商工会の幹部の方、例えば日本商工会議所の会頭からはいろいろな御意見をいただいておりますが、実は地域ごとに違うし、規模によっても違うし、本当にきめの細かい現場の声を上げていただく場もなかなかないというのが実態であるということの中で、できるだけそういった皆さんの声を生で聞かせていただきたいし、それから、地域や業種を超えてそういった皆さん同士がさまざまな連携をすることで、小さな企業にとっての新たな活力の芽を生み出していきたいということでやっております。

 先日の第一回の会議も経産省の講堂で行いましたし、その後、せっかく上京してきたのでぜひ懇親会をやりたいということでございましたので、恐縮ですが会費をいただいて、しかも経産省の食堂でやりました。

 こういった形で、いわゆるイベントとしてお金をかけるということではなくて、まさにその目的のために必要なことだけちゃんとやる。そして、費用等についても、会場費と、若干地方新聞に広告を出していただくということ以外は、例えばロジについても経産省の職員が行うというようなことで、従来、こうしたいわゆるイベント型集会について御批判を受けていたようなやり方をやらないということで徹底をして運営させていただきたいと思っております。

中後委員 時間が来ましたので質問は終わりますけれども、総会でも百二十数名、全国から来ていただいて、二時間で百二十人集めて会議をやるということが本当に意味があるのかということについてもしっかりと考え直していただきたいと思いますし、ちょっと経費は庁費でやっているので表に出ていませんが、第一回総会にかかった費用だとか、そういうことについてもきょうはお聞きしたいと思って政務官にも来ていただいているんですけれども、時間がないということで、またの機会にしたいと思います。

 本当に今、中小企業は苦しい局面にあります。先ほどの適用拡大の話もありますし、価格転嫁が難しい中での消費増税が議論をされているという中で、こういったことに対してどうやって対処をするのか、そういうことをちゃんと明示しながら、声を吸い上げる手法については見直すべきだと思います。私はまた順番が違うんじゃないかなという気がしますので、そういう点についてもぜひとも配慮いただいて、これからの中小企業対策を進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中山委員長 次回は、来る十六日金曜日午前八時三十分理事会、午前八時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十分散会


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