衆議院

メインへスキップ



第8号 平成24年6月15日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十四年六月十五日(金曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長 中山 義活君

   理事 石関 貴史君 理事 稲富 修二君

   理事 川口  博君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 梶山 弘志君

   理事 菅原 一秀君 理事 佐藤 茂樹君

      井戸まさえ君    磯谷香代子君

      今井 雅人君    大畠 章宏君

      加藤  学君   木村たけつか君

      北神 圭朗君    櫛渕 万里君

      斉木 武志君    柴橋 正直君

      平  智之君    高野  守君

      高松 和夫君    花咲 宏基君

      藤田 大助君    松岡 広隆君

      森山 浩行君    山崎  誠君

      山本 剛正君    近藤三津枝君

      高市 早苗君    橘 慶一郎君

      谷畑  孝君    西野あきら君

      西村 康稔君    額賀福志郎君

      吉井 英勝君    中後  淳君

      山内 康一君    平山 泰朗君

    …………………………………

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            三井 秀範君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           河村 延樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           宮本  聡君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           朝日  弘君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     深野 弘行君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月八日

 辞任         補欠選任

  松岡 広隆君     磯谷香代子君

  橘 慶一郎君     小泉進次郎君

  中後  淳君     内山  晃君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     松岡 広隆君

  小泉進次郎君     橘 慶一郎君

  内山  晃君     中後  淳君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同月十五日

 辞任         補欠選任

  高野  守君     磯谷香代子君

  藤田 大助君     森山 浩行君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     高野  守君

  森山 浩行君     今井 雅人君

同日

 辞任         補欠選任

  今井 雅人君     藤田 大助君

    ―――――――――――――

六月十五日

 中小企業の海外における商品の需要の開拓の促進等のための中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)(参議院送付)

同月十二日

 原発から撤退し、再生可能エネルギーへの転換を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第一七〇四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七〇五号)

 原発からの速やかな撤退で原発ゼロに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七〇六号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七〇七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七〇八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七〇九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七一〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七一一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七一二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一七一三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一七一四号)

 原発からの撤退を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一七一五号)

 東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、原発推進政策の抜本見直しと持続可能な自然エネルギーへの転換に関する請願(笠井亮君紹介)(第一七一六号)

 原発からの脱却を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七一七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七一八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七一九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七二〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七二一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七二二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七二三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一七二四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一七二五号)

同月十四日

 原発からの撤退を決断し、エネルギー政策の転換を求めることに関する請願(仁木博文君紹介)(第一七五九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一八五六号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第一八五七号)

 同(石森久嗣君紹介)(第一九四九号)

 同(磯谷香代子君紹介)(第一九五〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九五一号)

 原発からの撤退を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第一七六〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一八五八号)

 中小企業支援の拡充に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一七九八号)

 原発ゼロ、再生可能な自然エネルギーへの転換と放射能汚染から子どもの命と未来を守ることに関する請願(笠井亮君紹介)(第一七九九号)

 原発からの脱却を求めることに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第一八五九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一九五三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九五四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九五五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一九五六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九五七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九五八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九五九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一九六〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九六一号)

 原発からの撤退に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一九三四号)

 原発からの撤退を決断し、エネルギー政策の転換に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一九三五号)

 原発の速やかな廃止と自然エネルギーへの転換、放射能対策の強化に関する請願(阿部知子君紹介)(第一九三六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九三七号)

 脱原発を実現し、自然エネルギー中心の社会を求め、被害者への補償と原発労働者の安全・健康を守ることに関する請願(笠井亮君紹介)(第一九三八号)

 浜岡原発の永久停止・廃炉を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一九三九号)

 原発から撤退し、再生可能エネルギーへの転換を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九四〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九四一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九四二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一九四三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九四四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九四五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九四六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一九四七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九四八号)

 原発からの撤退を決断しエネルギー政策の転換に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一九五二号)

同月十五日

 業者婦人の実態調査を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二〇九四号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二七五号)

 原発から撤退し、再生可能エネルギーへの転換を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二〇九五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一八九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二二七六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二七七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三九九号)

 浜岡原発の永久停止・廃炉を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二〇九六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二四〇九号)

 原発からの撤退を決断しエネルギー政策の転換に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一九〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一九一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二一九二号)

 同(岡本充功君紹介)(第二二八〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第二二八一号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四〇一号)

 原発ゼロ、再生可能な自然エネルギーへの転換と放射能汚染から子どもの命と未来を守ることに関する請願(柳田和己君紹介)(第二一九三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二八八号)

 中小業者の暮らしと経営を守ることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二二七四号)

 原発からの速やかな撤退で原発ゼロに関する請願(笠井亮君紹介)(第二二七八号)

 原発からの撤退を決断し、エネルギー政策の転換を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二二七九号)

 同(佐藤ゆうこ君紹介)(第二四〇〇号)

 原発からの撤退を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二八二号)

 同(笠井亮君紹介)(第二二八三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二八四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二八五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二四〇二号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四〇三号)

 脱原発を実現し、自然エネルギー中心の社会を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二二八六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二八七号)

 同(稲見哲男君紹介)(第二四〇四号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二四〇五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二四〇六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四〇七号)

 巨大地震の震源域の真上にある浜岡原発の即時停止に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二三九五号)

 原発からの速やかな撤退を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二三九六号)

 浜岡原発の廃炉を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二三九七号)

 浜岡原発を廃炉とし、巨大地震の震源域の真上から完全に撤去することに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二三九八号)

 原発からの撤退に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二四〇八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 中小企業の海外における商品の需要の開拓の促進等のための中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)(参議院送付)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総務企画局参事官三井秀範君、経済産業省大臣官房審議官河村延樹君、経済産業省大臣官房審議官宮本聡君、経済産業省大臣官房審議官朝日弘君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長深野弘行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田大助君。

藤田(大)委員 おはようございます。民主党の藤田大助です。

 きょうは質問の機会をいただいて、ありがとうございます。

 中小企業等の質問をさせていただきたいと思いますけれども、その前に、昨日、関西電力大飯原発三、四号機の再稼働をめぐり、おおい町長が再稼働に同意を表明いたしました。首相の記者会見以降、状況は刻々と変わってきております。政府としては、ぜひこのあたりについては国民にしっかりとした説明をしていただきたいと思いますし、スケジュール等も明確にいろいろな形で示していただきたいというふうに思っております。また、我々議員もいろいろな形で国民の皆さんとこういった再稼働について、原発について議論しているところでございますけれども、政府としては、国民に理解が得られる、あるいは納得いただけるような、そういったところに尽力する責任もあると思いますので、しっかりとした対応を要望させていただいて、それでは通告に従いまして質問させていただきたいと思います。

 中小企業政策についてでございますけれども、中でも小規模企業に対する支援について質問させていただきたいと思います。

 今、地域社会を見渡してみますと、国内外の環境変化により、地域経済はかなり疲弊した状況になっております。都市部あるいは町中、地方、それぞれのところで課題もありますし、また格差も大きくなっております。あわせて、歯どめのかからない人口減少は地域の雇用の場を喪失もさせていて、結果として地域経済の市場規模というか、商業や工業、こういったものをやっていく環境というのがどんどん縮小しているような状況になっているということは私から申し上げるまでもございませんし、地域で活動する中で皆さんも本当に切実に感じておられると思いますけれども、地域の中小企業はぎりぎりの状態で事業を行っているところが非常に多いというふうに実感もさせていただいております。

 四百二十一万社ある日本の企業のうち、中小企業は四百十九・八万社でございます。九九・七%が中小企業。中でも、実は小規模企業の割合は非常に大きく、約三百六十六万社で、八七%を占めます。また、雇用も九百二十九万人と、日本の雇用全体の約二三%を小規模企業が担っております。

 経済産業省あるいは中小企業庁はさまざまな形で中小企業政策を実施しているということは承知しておりますけれども、中小企業の中でも特に小規模企業の位置づけ、そして小規模企業に対する支援というものをどのように考えているのか、まずお伺いさせていただきたいと思います。

枝野国務大臣 小規模企業は、御指摘のとおり、我が国の企業の約九割を占めていますし、地域の経済を支える、あるいは雇用の受け皿である。そして、本当にさまざまな業種がございます。我が国の産業のサプライチェーンの担い手という側面もあります。

 私自身も、実は、私ごとですが、うちの父親は流し台をつくる会社の孫請みたいな小規模企業をやっておりました。本当に、非常に厳しい状況の中で、日本の経済と社会を支えているのが小規模企業であるというふうに思っております。

 同時に、大きく産業構造が変わりつつある日本においては、もちろん、既存の大企業がさまざまな努力の中で産業構造を転換していく、経済状況の変化に対応していくということも重要でありますが、今は小さな企業が、新しい経済状況を踏まえて、それに対応して大きく成長したり、あるいは小さいままでもさらに活力を発揮していくというようなことも大変重要だろうと思っております。

 これまで小規模企業に対する支援策としては、経営改善資金融資、いわゆるマル経融資であるとか、設備資金の貸し付けなどがありますが、これらは一律の下支えという側面にとどまっていたのではないだろうか、小規模企業の経営実態が本当に多種多様であるということに十分に対応できていなかった、また、下支えであって、何とか息を継ぐためにやっている、では、活力を高めていくとか、伸びていくということのために何ができるのかというところが若干欠けていたのではないかと思っております。

 このため、さまざまな経営課題を抱える中小・小規模企業、特に小規模企業から幅広い生の声をお聞きするために、“ちいさな企業”未来会議を設置して、議論を行ってきました。全国で三十カ所以上に及ぶ地方会議等において議論を行ってきており、ちょうどあす、この中間的取りまとめを行う予定でございます。

 これまで、起業、創業あるいは事業承継などの際の知識サポートを充実させる必要がある、それから成長を目指す企業への資本性資金の供給が重要である、一方、地域に根差した企業に対しては安定的にどう資金を供給するのかが重要である、それから特に若手を初めとする優秀な人材確保など、本当に多様な声が出てきておりまして、今申し上げたことは、特に代表的な御意見でございますが、こうしたことを踏まえた小規模企業への支援策を、あすの取りまとめを踏まえて、整理して打ち出していきたいというふうに思っております。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。

 しっかりと小規模企業、小規模事業者の視点でやっていただけるというお言葉であると思いますけれども、大臣のお話にありましたように、この小規模企業をどのように支えていくかということが、これから地域経済であるとか地域社会を考えていく上で非常に大切な視点、大きな鍵になるのではないかというふうに私自身も感じております。

 これも大臣おっしゃられましたように、多種多様であって、さまざまなことを地域で担っていただいている。これまで地域の、例えば生産であるとか雇用であるとかいうものも守ってきましたし、いわば町のコミュニティーやまちづくりの中でのにぎわいとか、そういったものをつくり出す装置だったわけであります。

 この小規模企業がだんだんやりにくい環境になってきて、社会の構造も変わってきているんですけれども、その中でやりにくくなってきて、少なくなってしまうということは、町にこの装置がなくなるということでありまして、いろいろな形で成長戦略とか、あるいはいろいろな分野で予算をつけても、地域が疲弊していく流れというのはなかなかとめられないというふうに思います。

 “ちいさな企業”未来会議というものをお話しいただきました。三十カ所、あす中間取りまとめということでございますけれども、政務官なども意欲的に地方を回っていただいておりますし、非常に意義のあることだというふうに私自身は感じています。ただ、アピールが少し弱い部分があるのではないかなというふうに思います。もっともっとこういったことは知っていただきたいと思いますし、社会全体でそういうものの必要性というのを感じていただきたいというふうに思います。

 中小企業庁は、他府省に、中小企業のことについて、連携したり、意見を述べたり、協力を求めたりすることができると思いますけれども、今後さらにこういった積極的な取り組みも進めていただきたいと思います。

 お話にもありましたように、マル経融資や小規模企業に対する設備資金などもありますけれども、もっと総合的に、重層的に支援する必要があるのではないかというふうに感じております。

 例えば、雇用促進税制であるとか、事業承継税制とか、法人税の均等割とか、こういった税制面でも、中堅企業と比べて小規模企業は優遇措置を受けにくいといったことが指摘されておりますし、大臣、先ほどお話がありましたように、こういう基礎的な部分だけじゃなしに、もう少し地域が元気になるような、あるいはチャレンジできるような、そういったところも必要だというふうに思いますので、これらを踏まえて、再度、小規模企業に対する支援の考え方についてお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 まず、アピールが大事だということについては、本当にしっかりと受けとめなきゃいけないと思っています。小規模企業の位置づけとか、小規模企業施策のアピールそのものも大事だと思いますが、同時に、人材の確保という観点から、小規模企業の魅力というものをしっかりと若い皆さんにアピールすることが人材確保のための何しろ最優先の課題ではないかというふうに思っておりまして、そこをしっかりやっていきたいというふうに思っております。

 ちなみに、その絡みでいうと、すぐれた小さな企業を一つの冊子にまとめて、ミシュランみたいにして、こういうふうに小さい企業だけれども、利益を上げて社会の役に立っている、頑張っている企業があるんですよというようなものをつくって、世の中に広めようかというようなアイデアなども出していただいているところでございます。

 それから、総合的、複層的にという御指摘をいただきました。

 実は両面があって、そこをうまくこなすのがこれからの課題だと思っているんですが、一方では、小規模企業が使えるさまざまな政策ツールというのはもう本当にたくさん種類がある、たくさん種類があるんだけれども、たくさんあり過ぎて、どれが使えるのか、実際、現場の皆さんがわからない、もうちょっとわかりやすく整理をしてほしいというニーズがあります。

 その一方で、本当に業種がいろいろあるものだから、あるいは規模も、小規模の中でもいろいろ違いがあるものだから、この従来の制度、自分にはぴったりこないんだよねというような声もあって、もっときめの細かさが要るんではないかという声もいただいている。

 どちらも私は正論なんだろうというふうに思っておりまして、柔軟に、それぞれの企業の実態に合った、対応のできる制度に組みかえていくと同時に、それでも、さまざまな制度の中で、どれが使えるのかということをきちっとお伝えできる経営指導といいますか、まさに知的な部分の支援をする、このプラットホームをしっかりつくっていこうと。

 中小企業経営力強化支援法案を通じて、さまざまな、士業の皆さんや金融機関を含めて、そうした社会貢献をお願いしていく、しっかり位置づけるという方向も出しているところでございますが、これを国会で成立させていただければ、これも十分に活用して、特に小規模企業のニーズに対応しつつ、しっかりとその情報を企業の皆さんに知っていただくということを進めていきたいと思います。

 それから、資金という面では、ここはきめの細かさの方が大事かなと。小規模企業の中には、小さいけれども、技術力とかブランド力を背景にして海外展開していこうというような小規模企業と、地域で、小さいけれども非常に役に立って活力があるという企業と、資金を必要としている方にも、どうも大きく二種類ある。そうすると、片方は、大きな金額ですから若干審査をしっかりやらせていただくにしても、まとまったお金を、片方は、小さな額でいいから簡便に資金調達ができないだろうかというニーズがある。

 こうしたことなど、本当に、まとまって、これをやります、一つ二つのことでうまくいきますということが申し上げられないのがこの世界だと思いますが、幾つかの例を述べさせていただきました。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。

 まさに、大臣おっしゃられたとおりだと思いますので、ぜひこれからも意欲的に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 これまでの中小企業政策は、どちらかというと、中規模の企業と小規模の企業、これを中小企業というような言葉でくくって、その性質の違いや規模の違いというものを踏まえたきめ細やかなところができていない部分があると思いますので、大臣がおっしゃられる意味はそういう意味だというふうに思います。ぜひ、きめ細やかな対応をお願いしたいというふうに思います。

 通告で、この後、コミュニティービジネスやソーシャルビジネスを質問させていただきたかったんですけれども、時間の関係もありますので、要望にとどめさせていただきたいと思います。

 地域の草の根的な活動で、今、いろいろな地域の課題がある中で、商工業者さんがそういったものを通じて新たなチャレンジをしていこうというふうなところもあると思いますので、これからの地域経済を考えたときに、そういう重層的なさまざまな取り組みも必要ですけれども、このコミュニティービジネスやソーシャルビジネスといった視点も大切に取り組んでいただきたいと思います。

 次の質問に入らせていただきます。スマートコミュニティーについて質問します。

 再生可能エネルギーの普及あるいは地震、台風などの自然災害に備えたエネルギーの備蓄など、昨年の東日本大震災以降、スマートコミュニティーといった視点の取り組みというのは非常にいろいろなところで議論されるようになってきておりますし、多様なニーズも生まれてきていると思います。

 経済産業省などが行うスマートコミュニティーなどの実証あるいは普及事業などは、どちらかというと大都市圏を中心とした大規模な実証が多いというふうにも感じます。しかし、我が国は、山があり、川があり、海があり、こういう農山村漁村、特に沿岸部や離島など、それぞれの地域の特性があるわけでありますので、今の段階から、そういった地域の特性を踏まえた、また、小規模なコミュニティーに対しても当てはまるような実証が必要だというふうに思います。

 その点について、経済産業省の考え方をお伺いしたいと思います。

北神大臣政務官 藤田委員おっしゃるとおり、どちらかというと、有名になっているのは大都市におけるスマートコミュニティーの実証事業でありますけれども、当然、地方に行くと全然実情が変わってくるということで、極めて重要な指摘だというふうに思います。

 これは余り知られていないかもしれませんが、実は、鳥取市とか水俣市とか、どちらかというと農村地域の実証事業というものも、国内で七カ所ぐらい既にやっております。例えば、鳥取でしたら工場、住宅間のエネルギー融通システムモデル、水俣市だったら農漁村型エネルギー管理システム。具体的に水俣市について言えば、例えばハウス栽培に太陽光を導入するとか、あるいはカキの養殖用のいかだに太陽光パネルと蓄電池を載せて、これで自動的に餌をまくとか、水質の調査をするとか、こういったこともやっています。

 こういった七地域でおっしゃるような地域の特性に応じて実証事業を行うとともに、スマートコミュニティーの実現可能性の調査というものを支援していきたいというふうに思っています。

藤田(大)委員 政務官、御答弁ありがとうございます。

 いろいろな小規模コミュニティーへのこういう当てはめとか実証というのは、非常に多くの需要家を抱えた都市部と比べて、かなりいろいろな課題もあると思いますので、ぜひそのあたりについても、先ほど事例も出していただきましたけれども、これからも引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、最後の質問ですけれども、防災面から考える地域経済と中小企業対策についてお伺いしたいと思います。

 過去に当委員会で私もBCPについて質問させていただきましたけれども、こういったニーズというのは非常に高まっています。積極的な答弁もそのとき大臣からいただきましたけれども、現段階でどのように取り組まれているのか、あるいはその進捗状況なんかも教えていただきたいと思います。

北神大臣政務官 BCPについては、災害が起きたときなどについて、危機管理的に、事業をどうやって継続するのか、こういう話でありますが、これはもう実は二〇〇六年から既に中小企業BCP策定運用指針というものを策定しておりまして、ホームページでもそのBCPの様式とか事例というものを含めて公表しております。そういう方策で普及啓発に努めてきたということです。

 ただ、去年の東日本大震災を受けてさらに普及をしなければいけないということから、より簡易な、要点だけをかいつまんで策定できるような指針の見直しというものを行いまして、これは本年四月に運用指針の第二版というものを公表したところでございます。

 さらに、それぞれの地域で各種の中小企業団体などがBCPのセミナーを行っているときに経済産業局の職員を派遣していろいろ御相談に乗るとか、逆に、今年度から、そういう中小企業支援機関のBCPの担当の方々に来てもらって研修を行う、こういうこともしております。

 さらに、防災関係でいえば、中小企業に対する財政的な支援については、BCPの政府の指針に基づいて防災計画を策定した場合に、そのための施設の整備とか、あるいは防災施設の設置等に要する資金については低利融資という制度も設けております。

 こういったものを活用していただいて、中小企業が防災体制を整備する、あるいは災害のときの危機対応能力というものを向上するためにも、我々も積極的に頑張っていきたいと思います。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。積極的な、あるいは力強いお言葉だと思います。

 時間が来ましたので、以上で質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、菅原一秀君。

菅原委員 おはようございます。自民党の菅原でございます。

 きのうからきょうにかけまして報道を見ておりまして、何だか一つの方向性が出ているような報道でありますが、私は、この消費税、まだまだ与党も野党も一山も二山もあるんではないかな、こんなふうに感じております。

 そうした中で、先般、この社会保障と税の一体改革の委員会、ちょうど枝野大臣、御担当でございませんでしたので出ていらっしゃいませんでした。したがって、きょう改めて、消費税と経済のことを若干、冒頭にお尋ねをしたいと思っております。

 まず、一昨日十三日に、御案内のとおり、アメリカの格付会社ムーディーズがスペインの国債を三段階格付を下げたわけであります。また、あさって六月の十七日にはギリシャで総選挙がありまして、これがどっちが勝つかによってギリシャ自体がユーロから離脱を余儀なくされる、こうした状況の中でますますユーロ危機が再燃している状況であるわけであります。

 こうした状況は、言うまでもなく日本の為替、円にも大きな影響が波及するわけでありまして、言ってみれば、ユーロ危機が高まるほどに円高がさらに進んでしまう。ここに来て、きょうあたりは一ドル七十九円、そして一ユーロ百円前後で推移をしているわけでありますけれども、輸入価格がぐんと上昇する中で、特に新興国との大変厳しい競争、こうしたことを背景に輸出価格を上げることができない、ということは、結果的に、我が国の自動車や電機、こうしたリーディングインダストリーが極めて大きな痛手をこうむることになるわけであります。

 ある民間のシンクタンクの試算によりますと、円高による企業の業績への影響、対ドルで一円円高が進むと、主要企業三百八十社で千七百二十四億円の経常利益の減収となる。

 特に、私はユーロの面で懸念をいたしておりまして、ユーロの方が変動幅が大きい。こうしたことを考えますと、直近の一年間だけ見ても、ドルは大体七円前後の変動、これに対しましてユーロは、去年の今ごろが百二十円ぐらいでありましたから、大体二十円近く円高に進行している状況があるんですね。言ってみれば、その影響は、対ドルよりもユーロの方が数倍悪影響がある。

 野村証券の試算では、日本の主要企業四百社、一ユーロ一円円高になると経常利益が七百億円マイナスになる。そう考えると、二十円ユーロで円高になるということは、この一年間で一兆四千億円ぐらい損失が出ている、こういう計算になるわけであります。

 こうした中で、言ってみれば、ドルに注視をしつつも、欧州危機ということを考えれば、対ユーロ対策、これが極めて重要な柱になってくると思うんです。

 この日本の経済を牽引する役割を担っている経産大臣として、特に日本の産業の中のメーカーにおいて、ユーロ危機に関してどのような影響と捉え、かつまた、どう対策を講じていくのか、この展望等をお尋ねしたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、もちろん、円とドルの為替関係も大変重要でございますが、円高・ユーロ安は、各企業が想定しているレートのずれの幅、今御指摘いただいた変動の幅がドル・円以上に大きいということで、ヨーロッパでの売上高が大きい日本企業の営業収益に大きな影響を与えているというふうに思います。

 また、一般的に、日本企業の欧州での部品調達は少ないものですから、製品等の販売によって獲得したユーロを使用する機会が少なくなります。したがって、日本企業にとっては、ユーロ・円での為替変動リスクを削減する取り組みがドル・円以上に難しいというのが一般的であります。

 こうした状況にあります中では、急激な円高が海外からの部品調達や海外への工場移転等を加速するおそれがあり、引き続き、市場の動向を注意深く監視しつつ、政府としては、日本銀行と連携しながら、必要な場合には断固たる措置をとるなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

菅原委員 注視をする、あるいは断固たる措置を日銀と提携してやる、こういうことなんですが、その本丸の日銀が非常に金融政策が脆弱であることは、私は予算委員会でも何度となく詰めてきたわけです。

 五月の二十日前後、日本の格付をフィッチ社が下げた。すかさずカウンターパンチを打つのかなと思ったら全く何もしないで、五月二十三日の金融政策決定会合においては追加の金融緩和は全くやらずに今日に至って、円高、株安が進んでいることは御案内のとおり。ここに来て、七十七円が七十九円ぐらいになってやや円安に振れたとしても、まだまだメーカーからすれば、円高どころか、超円高という域を出ていないわけでありますので、この点についてお尋ねをしたいと思います。

 いわゆるデフレからの脱却という至上命題に関して、日銀が四月の二十七日に公表した展望リポートによりますと、二〇一三年、物価上昇率の想定をプラスの〇・七%としているんですね。そもそも、二月に日銀が掲げた中長期的な物価安定の目標、いわゆる一%めどという言葉、有名な言葉にもなりましたけれども、白川総裁の言葉ですけれども、これが〇・七になっているわけなんですね。

 民主党がこれまで策定してきたいわゆる新成長戦略、この数値目標は、名目成長率が三%で実質成長率が二%、そしてそこから導き出される一つの数字として物価上昇率プラス一%というのは、現時点において民主党政権と日銀が共有するいわば数値目標のはずなんですよ。ところが、この状況に対して何ら手を打たない。

 私どもは、今度の政権公約の中にもはっきりと銘打ちますが、インフレターゲット二%、そしてこの状況に向けてさまざまな金融政策を日銀法を変えてでもやるんだということで、今盛り込むようになってございます。

 政府のデフレ脱却等経済状況検討会議のメンバーである枝野大臣にお尋ねをしたいんですが、私は、日銀が、マネーサプライの拡大、そしてインフレターゲットをきちっと二%、この状況であれば、日本こそは三%、四%ぐらいのインタゲを設けていかなければ、そしてそれに向かって物価上昇率を上げていく努力をしなければ、とてもこの日本の経済は円高、デフレから脱却できない、こう確信をいたしています。

 あわせて、買いオペレーションも枠を五兆、十兆ふやして、それが世界最大規模だなんと自慢をする、こんな白川総裁のスタンスには辟易しているわけでありますけれども、私は、そういう意味では、この買いオペ等をぜひやるべきだ、したがって、そのメンバーである大臣がそういうことをぜひ進言してほしいんですが、どうですか。

枝野国務大臣 長期にわたって続いているデフレ状況からの脱却は、大変重要なことであるというふうに思っております。また、デフレからの脱却に当たって金融政策も重要であることは否定をいたしません。

 しかしながら、日本がデフレであることの本質的な原因は、基本的には、物が売れない、物が売れなければ物の値段は下がる、こういう構造の悪循環の中に長期にわたって陥っていることであって、デフレからの脱却は金融政策だけではできないと私は思っております。

 特に、この間、過当な国際競争がスタートであったかもしれませんが、賃下げや値下げでコストを下げるという痩せ我慢の経済に走り、個々の企業はそのことによって何とか収益を維持して継続性を保つわけですけれども、結果的には、労働所得が低下をして消費意欲が低下をするという構造で、さらに値下げ、賃下げを余儀なくされるという悪循環、これを壊さない限りは、いかなる金融政策を打ってもデフレからは脱却できないと私は思っております。

 このため、経済産業省としては、国内でしっかりと物が売れる、高くても買う意欲を持っていただける、あるいは買えるだけの消費者の皆さんの所得が確保されるという施策を充実させることが何よりも急がれると思っております。

 需要があるのに供給が足りない分野、ここは間違いなく、供給をふやせば物が売れます。ヘルスケアや子育て産業、あるいはエネルギー産業など、日本が直面している課題を解決する産業をさらに創出して内需を掘り起こしていくということ。

 一方で、国際関係においては、インフラ輸出であるとか、広い意味でのクール・ジャパンに象徴される、若干高い値段でも買っていただける日本のものづくりという分野はまだまだありますが、その潜在力が十分に生かされていない、こういった分野の海外市場開拓を急速に展開しているところでございます。

 また、賃金デフレを解消するため、ダブルインカムの実現を通じて世帯所得を増加させていくことが重要であると考えており、ダイバーシティーマネジメントを推進していくとともに、子育て、介護の環境整備を進めているところでございます。

 こうした本質的な対応策と同時に、日本銀行と連携しながらデフレ脱却に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。

菅原委員 国内で物が売れない、物が安いのに売れない、だからまた下げる、これがデフレの一つの傾向であり、だから国内対策をやるということは、もう大臣、そのとおりだと思うんです。

 ただ、あわせて、今まで日本というのは、貿易である意味もってきた。海外で稼いで、その富を国内に入れて、そしてそれをサービス業等にいわば還元をしてGDPを上げてきた経緯があるとするならば、今、貿易収支が悪化して、経常収支の悪化にもつながりかねない状況の中で、特に、円高とはいえ、いわゆる三・一一以降、日本のエネルギー事情は変わりました。したがって、原油にしてもLNGにしても、ロシアの天然ガスにしても、まさに日本をターゲットにして、本当に大変高い値段につり上げてきている。そして、それがまた輸出入の差になって、結果的に貿易赤字につながる。

 つまり、円高をとめない限り、こうした要因を含めて、海外で今まで百円で売れたものが九十円でしか売れない。こうした差損が、結果的に、今日の日本の国内のGDPの低落、またデフレにもつながってきているとすれば、私は、国内の対策は、大臣の言ったとおり、やっていただきたいけれども、やはり日銀が、きちっとした金融対策、マネタリーベースの拡大。

 特に、この四年間で、アメリカのドルは三・四倍にふえております。イギリスも、ユーロに入らないで、ポンドを三・一倍ふやしていきました。日本だけが一・二六倍しか円を刷ってこなかった。

 これはどう見たって、金融緩和、量的緩和をしてこなかった今日、それが円高につながって、いわば海外で稼ぐことができなくなった、そういう状況を招いているとするならば、日銀法十九条というのは大臣御存じですか、この十九条に、政府から政策決定会合に出ていって意見を言うことができるんですよ。

 あわせて、今このデフレ脱却の検討会議に出ておられるわけですから、私は、経産大臣としてむしろその点を、日銀がそういう考えだから平仄を合わせるのではなく、経産省から、あるいは産業界の代表として、国民の代表としてそういう発信をしていただくべきではないかな、こんなふうに思います。そこの点は、多分長くなるから結構ですけれども。

 一点お尋ねしたいのは、このデフレ状況で消費増税をすることについては、大臣、どう考えますか。

枝野国務大臣 外需の重要性については御指摘のとおりでございますが、外需とともに内需がしっかりと安定的に拡大をしていかないと、デフレ状況も解消できないと思っておりますし、日本の経済の安定的な活性化ということも困難であるというふうに思っているところでございます。

 そうしたことの中で日本の国内における消費を拡大させていくためには、先ほど申しましたとおり、世帯所得をふやしていく。そのためにも、介護であるとか子育ての支援策を安定的に充実させるということは不可欠であると思っておりますし、また、介護あるいは子育てに関連する分野の民間投資、そしてそこの消費を拡大させることが不可欠であると思っておりますが、いずれにおいても、そのコアになる部分は公的保険と税によって安定的な社会保障制度が確立されていることが大前提になります。

 したがいまして、社会保障制度を安定させていくことは我が国の経済の活性化のために不可欠なことであり、私は、中期的には、消費税を上げることは経済にプラスであると確信を持っています。

菅原委員 消費税をデフレ下で上げることがプラスになるというような御答弁でしたが、私はとてもそうは思えません。

 御案内のとおり、税率を再来年から、五パーから八パー、八パーから一〇パーに上げると、民間のシンクタンクの試算によりますと、実質GDP成長率がそれぞれ、五から八のときは一%、八から一〇のときは〇・六%押し下げ効果があると指摘をされているわけなんですね。

 内閣府の試算でも、消費税率の一%引き上げというのは実質GDP成長率を〇・三%押し下げるとしているんです。

 同じ政府内でそういう見解を持っていて、今大臣がおっしゃったように、増税をして結果的に成長するんだ、あるいは税収が上がるんだということは、とても経済理論をわかっていない方のお話ではないかなと思うんです。

 そこで、今社会保障の修正協議が行われておりますけれども、税についても行われております。私ども、民主党さん、いろいろとかんかんがくがくの議論を経た後で、景気条項というのを設けられました。消費増税をするに当たっての前提として、名目三パー、実質二パーの景気条項。これは大変重要なことだなと私は注視をしていたわけであります。我が党の党内の議論でも、これを削除するかのような議論があって、まかりならぬ、とんでもない話だと私ははっきり申し上げたわけなんです。その辺は民主党さんの方で頑張っていただけるのかなと思っていたんですけれども、これはちょっと様子を見なければわかりません。

 そのことはそれといたしまして、この三パー、二パーの景気条項。ここ十年間の平均の成長率というのは、御案内のとおり、名目がマイナスの〇・五、実質がプラスの〇・八。一パーにも満たない状況の中で、この増税をするに当たって、三%、二%に向けてどうすればこれが達成できると思いますか。

枝野国務大臣 基本的には、実体経済の側面のところで、先ほど申しましたとおり、内需と外需、つまり物を売れる構造にしない限りは、金融政策であったりさまざまな政策を幾ら打っても実はデフレは解消しないし、経済成長率は確保できないというふうに思っています。

 そして、繰り返しになるかもしれませんが、先ほど申しましたとおり、国内においては欲しいのに売っていないものを売るしかない。欲しいのに売っていないものというのは、やはり老後の安心と子育ての安心というところが圧倒的に大きい。それからもう一つは、先ほど御指摘ありましたが、原発事故などの影響も含めてでありますけれども、できるだけ海外から物を買わずに国内において安定的なエネルギー供給を行っていく。ここは欲しいものというよりも、必要なものがまだ十分に提供されていない。

 やはりこの分野を中心として、ニーズのあるところにしっかりとした供給をしていくということをいかに促していくかということである。

 それから、外需については、残念ながら、価格競争だけで勝負をすれば、日本は、もちろん円高の影響もありますが、新興国との競争には勝てません。したがって、値段が高くても売れるものをどうやってしっかりと、その潜在力はありますので、その潜在力をしっかりと生かして海外に売っていくのか。

 この二つが、経済成長を実現していくための最大の要因であるというふうに思っています。

    〔委員長退席、石関委員長代理着席〕

菅原委員 この議論はちょっとまた次回にして、物が高くて売れない、あるいは安くてもなかなか売れない、高いけれども欲しいもの等々、いろいろあると思うんですが、そのうちの一つにいわゆる太陽光発電、ソーラーシステムが今、成長戦略の一丁目一番の一つの柱ではないかな、こんなふうに私は思っております。

 いわゆるグリーン政策、グリーン分野における自然再生エネルギーの導入の拡大ということは、やはり三・一一以降、日本のエネルギー事情が大きく変わる中、広い意味で脱原発依存という方向に今進んでいく中で、私は、再生可能エネルギーの分野をいかに拡大していくか、このことがまさに日本の生命線にもなると思っております。

 来月、七月の一日から全量固定買い取り制度が始まるわけであります。三年前、二〇〇九年の十一月に余剰電力の買い取りがスタートして今日に至っているわけでありますけれども、御案内のとおり、この五月の十七日に、一般社団法人の太陽光発電協会が発表したデータによりますと、太陽光発電の、御家庭につけた、会社につけた、法人につけた台数が百万件を突破したと、大変朗報が発表されたわけであります。

 ところが、日本全国の世帯数というのは、戸建ても集合住宅も含めれば、大体五千万世帯なんですね。そうすると、このうち百万台ということは、単純計算でわずか二%しか今ソーラーシステム、太陽光をつけていない、こういう計算になるわけなんです。

 御案内のとおり、日本のエネルギーの発電コストを見てみると、二〇一〇年のエネルギー白書によりますと、一キロワット時、火力が七円から八円、水力が八円から十三円、風力が十円から十四円、太陽光は何と四十九円。これを、いわゆるグリッドパリティーという方策で、再生可能エネルギーは大変コストが高いんだけれども技術革新によって低額、安くしていこう、こういう計画のもと、二〇二〇年には十四円、二〇三〇年には七円、こういう計画があるわけなんですね。

 これはもう御案内のとおり、菅さんが去年のサミットで突然、一千万世帯に太陽光をつけると言い出して、民主党さんはいつも突然言い出すので、いつもびっくりさせられるわけなんですけれども、あのときに、やる場合には、原発を今のそれこそ十四基分ふやすというエネルギー計画のもとであったと思いますし、かつまた、その直後にそうした発言をしていながら、今日まで太陽光パネルを、ある意味では民間企業に任せ切っている経過があるのではないか。

 一方で、中国産やら韓国産やら、全てとは言いませんが、訪問販売で各御家庭に売りに来て、高齢者の方がだまされて買ってつけたらば、一週間で全く発光しない、供給できない、こうした事故が相次いでいるわけなんですね。

 最近では、量販店でも、それこそキロワット六十万、七十万なんという大変安いものも出てきているんですけれども、実際問題、政府が今言っている基本計画の中で、二〇三〇年には五千万キロワットまで大幅にふやす、こういう計画を持っていながら、実際には、今現在、三百六十二万キロワットしか供給されていない、こういう状況にあるわけです。

 私は、日本こそが、国家プロジェクトとして、太陽光パネル、しっかりと供給できるように。そしてまた、初期費用が余りにも高い。今言ったように、量販店で六十万、七十万というけれども、きちっとしたある程度のものをつけると、やはり三百万、三百五十万してしまう。国、東京都、自治体で補助金制度があって、大体百万ぐらい三百万のものには補助金が出るわけですけれども、果たして二百万かけてソーラーをつける家庭はどれだけいるんだろう。その結果が、やはり五千万世帯の中でわずか二パーしか今日至っていない。去年一年間、三・一一以降、大体三十万世帯ぐらいふえている。それでも、百万世帯というのは圧倒的に足りないわけだと思います。

 この点、パネルの効率性の向上とかコストの低減、そこに向けて、国家プロジェクトとして国が進めていくという御意思はないでしょうか。

    〔石関委員長代理退席、稲富委員長代理着席〕

枝野国務大臣 太陽光発電については、エネルギー政策という観点からも、そして、日本が今、少なくとも相対的に一定の競争力がある分野であり、国際的な需要もこれからどんどん拡大をしていくという、産業分野としても大変重要であるというふうに位置づけているところでございます。

 七月に、まず固定価格買い取り制度がスタートいたします。同時に、工場立地法等の規制改革も進めているところでございまして、これに税制優遇措置などを組み合わせて、今年度で約二百万キロワットが新たに導入される見通しになっております。

 ちなみに、先ほど三百幾つという御指摘がありましたが、累積導入量でいくと現時点では五百万キロワットでございますので、いずれにしても、従前の、長年にわたって積み重ねてきた規模に相当近い数が、今年度だけで新たに導入をされます。こうした市場拡大によって、太陽光発電の価格低下が進んでいくものというふうに期待をされているところでございます。

 また、性能については、特に固定価格買い取り制度の対象とするに当たっては、その規格、性能については一定の基準を設けておりまして、いわゆる粗悪品等については当然のことながら対象にならないということでございますし、訪問販売などを通じた特に粗悪品の問題等については、これは消費者庁などにも御協力いただいて、しっかり対応していかなければならないだろうというふうに思っています。

 さらには、今持っている技術をさらに磨いていくことが必要であると思っておりまして、有機系太陽電池の開発プロジェクトや、あるいは既存の太陽電池の効率化、長寿命化に向けた各種技術開発について、しっかりと支援をしていっているところでございます。

 また、さらに申し上げると、太陽光発電の飛躍的な普及に向けては、太陽光パネルそのものが重要であると同時に、例えば蓄電システムであるとか、スマートホーム、それからスマートコミュニティーなどのエネルギー効率をいかに効果的に行っていくのかというシステムも同様に重要であると思っておりまして、こうした総合的な取り組みの中で、エネルギー源としても、そして日本の産業としても、しっかりと太陽光発電について後押しをしてまいりたいと思っております。

菅原委員 NEDOの三年前のロードマップには、二〇三〇年に二億百八十三万キロワット、こういう推定導入量というのを示しているんですね。これというのは、全発電設備容量のほとんどを占める。そういう計画自体は大変いいんですが、今の大臣の答弁だと、ややもすると民間任せという嫌いが感じられてなりません。

 やはり、今から十四倍もふやさなきゃいけない。この前、細野環境大臣が、いわば原発のウエートをどれぐらいにするかということで発表されていましたけれども、大体一五%という案にしても、やはり今三百六十二万キロワット、これを太陽光で換算すると、五千万キロは最低でも導入するような体制をとらなければ、一五%さえ実現できない。

 そういう意味では、私は、今の答弁では、太陽光パネル、ソーラー、また蓄電池によって、海外向けのものも国内供給のものも含めて飛躍的に伸びるとはどうも思えない。もっとこれは根本的に、いわばインターディビジョンで、国家プロジェクトとして、太陽光パネルで世界一になるんだというメッセージを発するような御意思というのはないんでしょうか。

枝野国務大臣 日本の技術開発などについては、これまでも支援をしてきましたし、だからこそ、その技術力については現時点でもやはり世界一だと思いますし、これをさらに磨いていくということについての支援はしっかりと、一種の国家プロジェクトとして支援をしてまいりたいというふうに思っております。

 これを国内でどう普及させていくのかということについては、逆に言うと、ここまで、これは自民党政権の時代から頑張っていただいて、太陽光などの研究開発や普及に向けてさまざまな積み重ねをしてきていただいた上に、そのことによって価格なども急激に下がってきて、普及の伸び、このグラフも急激に右肩上がりでカーブが上がってきているという状況にある。

 そうしたことの中で、固定価格買い取り制度が導入をされます。もちろん、さらなる立地規制などについての規制緩和等も、まさに国家プロジェクトの意識で進めていきますが、そうしたことの中では、現状の数字を考えると十何倍という数字でありますけれども、そもそも、さまざまな新技術の普及については、ある段階まではなかなかいろいろなことをやっても進んでいかないんだけれども、ある点を超えるとぐっと上がっていく。これは繰り返しになりますが、自民党政権の時代からさまざまな積み重ねをしてきていただいて、急激なカーブに入りつつある段階にあります。

 したがいまして、もちろん安心して見ていますと言うつもりはありませんが、固定価格買い取り制度の導入等によって、相当飛躍的に普及のスピードは高まる、そのことによって値段も下がる、値段の下がるスピードも速まってさらなる普及の加速が進む、こういう段階に今来ていると私は思っています。

菅原委員 その相乗効果に期待をしたいと思うんですが、この点について一点だけ。

 七月一日から全量買い取りが始まります。戸建ての家はほとんど対象になっているわけです。当然、マンション、アパート、集合住宅も対象にはなっているんです。ところが、二十戸あって、全員が賛成しないと管理組合が共同で設置できない。一人だけ反対してもできない。そうすると、結果的に、全量買い取りが始まって、一キロワット四十二円、これはつけた方がお得だと、いわゆる一般家庭はつけて普及するとします。一方で、マンションではそういうハードルが必ず出てくる。この点について、何か知恵はありませんか。

枝野国務大臣 区分所有建物における建物全体としての意思決定をどうするのかということについては、建てかえ問題なども初めとして、一般的に非常に悩ましい問題であるということは御承知のとおりでございまして、あえて言えば、むしろ本質はそちらの方の問題にあるかなというふうに思っています。

 そうしたことの中で、できるだけ集合住宅においても太陽光のパネル設置を普及させていくためには、お得だからということを余り強調し過ぎるのもいかがなものかという側面はありますけれども、やはり客観的に、みんなでつけるとこれだけ有利になりますよというようなことについての周知、普及ということについては、これは政府としてもしっかり努力をしていかなければならないだろうというふうに思っております。

菅原委員 福島原発の事故、そしてそこにかかわる事故調査委員会、この問題に移りたいと思います。

 政府の事故検証委員会、去年の十二月に、初動対応が不適切であった点だとか、あるいはシビアアクシデント対策が不十分であった、こうした指摘をいたしました。また、その後に、私たち自民党の申し出によって、当然、公明党さんもそうですけれども、いわゆる政府内ではなく国会にこの事故調査委員会を置くべきだ、こうして国会事故調ができて、これまで十九回、議論がされてきたわけであります。

 先般、枝野大臣もその意見聴取に参加をし、海江田元経産大臣、菅前首相も意見の聴取を受けたわけでありますけれども、特にきょう、福井県の知事が大飯の再稼働についてその是非を判断するという大変重要な局面にいると思いますけれども、いわば福島原発の事故、徹底検証して、かつまた、理想的には、原子力規制委員会、規制庁、この論議の方向性がきちっと出た上で、そこで初めて最終判断をするということが、本来、事故を経験した日本がとるべき道だ、私はこう思っているわけなんですね。

 そこで、いわゆるこの国会事故調の問題について、三点、大臣にお尋ねをしたいと思います。

 まず、避難区域の設定。この問題については私も何度かお尋ねをしてきましたけれども、やはり大臣の答弁をうのみにしてきた経緯の中で、今回、国会事故調で新たな断言なり発言がされて、これは六月末に最終の報告を受けることになっていますけれども、まず、去年の三・一一の夜、三キロ圏内に、こういう発表をしたわけです。翌朝には、念のための指示という言葉を使ったと思うんですけれども、十キロ圏内。そしてまた、十二日の夜には二十キロ圏内。だんだん避難対象地域を拡大していって、結果的に十五日には、その二十キロを三十キロ圏内、こう屋内退避区域を設定してきたわけですね。

 あのときは、私も自民党本部に朝から晩まで対策本部の一人として陣取って見ておりましたけれども、本当に、日に日に、あるいは刻一刻こんなに拡大するんだったら最初から三十キロにしておけばいいのではないか、また、SPEEDIをきちっと稼働、あるいはそれをキャッチする官邸の能力があったとすれば、同心円で二十キロ圏内、三十キロ圏内ということではなく、風の方向性で放射性物質の拡散ということが、より精度が高くなったのではないかと、返す返す残念な思いがするわけなんですね。

 そこで、先般、枝野経済産業大臣は、この国会事故調の答弁で、当時の状況について、最初、どういう経緯で避難区域が三キロに設定されたか記憶がなく、翌朝に避難区域を十キロに広げた、こう発言をしているんですけれども、記憶がないというのは、これはどういうことなんですか。

枝野国務大臣 そのときもその趣旨はその後の更問いでお答えをしているかというふうに思いますが、最初の三キロの拡大については、私自身、直接関与していないというふうに思います。

 御承知のとおり、三・一一の地震、津波、そして原発事故ということが起こりました。官房長官の職責としては、その全体についての総合調整の役割でございます。原発事故に対する対応は、本部長が内閣総理大臣で副本部長が経済産業大臣という構造の中で、特に初日の対応については、基本的には、経産大臣、保安院、そして総理がどの程度関与されていたかも、直接のその当時の認識はございませんが、そこで判断されたことについて、記者会見に対応する官房長官という立場から、発表する内容については十分認識、理解をした上で発表いたしておりますが、その決定されたプロセスには私自身関与しておりません。

菅原委員 ということは、国会事故調の答弁は虚偽答弁ですか。

 記憶にないというんじゃなくて、関与していないというのが正解なんですか。そこはどうですか。

枝野国務大臣 国会の事故調における質疑のところでも記憶がないのか関与していないのかという更問いがございまして、今のような趣旨のことを申し上げました。

 ただ、まさにそういうことでございまして、認識がない、記憶がない、恐らく関与していなかったはずであるという趣旨のことは、ちょっと明確でないかもしれませんが、国会事故調でも申し上げております。

菅原委員 国会の古くからの歴史の中で、古くはロッキード事件含め今日まで、記憶にありませんとか記憶にないという言葉は、広く一般的国民からすれば、それは、わかっているんだけれどもそういう状況にないという答弁だけをしているというような一般的な認識があると思うんです。したがって、私は、記憶がないという言葉は、仮に大臣がそう率直に思われているとしても、これは不適切な言葉ではないかなと思います。

 ここで、お尋ねをします。

 三キロに拡大をしたことについては私は関与していないとおっしゃいました。そうすると、原子力災害対策本部のメンバーじゃなかったんですか、官房長官は。

    〔稲富委員長代理退席、委員長着席〕

枝野国務大臣 これは本部会議で決定をしたのではないんじゃないか、本部長決定ではないかと思います。

菅原委員 そうすると、三キロに関してはそうですけれども、これをあなたの言葉で、官房長官の当時の言葉で、翌朝には、念のための指示として十キロにした、そこからまたその夜に二十キロにした、そこの判断、経緯、プロセスに関しては対策本部のメンバーとしてタッチをしていなかったんですか。

枝野国務大臣 これも国会事故調のところで申し上げたというふうに思っておりますが、十二日の未明、要するに三時の段階で、ベントをするという東京電力からの申し出に基づいて、それを官房長官会見もいたしまして発表いたしました。

 当時、東京電力からの報告では、すぐにでも始まるという報告でございましたが、翌朝未明、五時とかそれぐらいの時間だったと思いますが、まだ行われていないということでどうなっているんだということで、そこの話を当時の海江田経産大臣が東電や保安院、班目委員長などと話している場に私が呼ばれまして、原災本部の本部員ということよりも内閣の総合調整という立場で、そのやりとり等についてかかわっておりましたので、私個人としての記憶、認識もあるということでございます。

 いずれも、本部会議を開いて会議で決定をしたものはあるかもしれません、基本的には、それぞれ緊急な対応が必要でしたので、本部長決定という形でなされていると思います。

菅原委員 福島原発に関して、当然、私ども自民党も原発を進めてきた責任があることは否めないわけであります。したがって、今後とも、半永久、私どももその責を担いながら、それを負いながら、今後の日本のエネルギー政策や原発のあり方はどうすべきかということをしっかり考え、行動していかなければいけないと思っています。だからこそ、この事故のときに、二度とこのようなことが起きないように、ネクストシミュレーションのいわばファクターとして、こういうことは、記憶がないなどという言葉で済まされるものではないと私は思っているんですよ。

 そして、津波あるいは爆発等で家を追われ、避難をしなければいけない、今なお、福島からの避難者は十五万九千六百三十七名、六月十三日現在いらっしゃる、こういう状況のときに、着のみ着のままで何も持たずに逃げなければいけない状況、この状況の中で、当時の官房長官であった枝野大臣は、三キロだ、十キロだ、二十キロだ、そして、それについては、私は本部のメンバーだったけれども、保安院と経産大臣等々の協議の結果を私は伝えただけだというようなこと、私はこれは極めて無責任だと思います。しかも、その方が今、原発を再稼働するかどうか、その責任の一端を担っている閣僚であるとするならば、私は、こういうようなスタンスで臨んでいるとすればとても許しがたい、こう思いますが、大臣どうですか。

枝野国務大臣 まず、記憶にないというお答えの仕方をしたことについては、私も、子供のころ、ロッキード事件の証人喚問とかをテレビで見ていましたので、私の真意とは違う受けとめ方をされるんだろうなということは十分認識をしておりました。ただ、まさに、国会事故調、当時の認識や事実関係をいかに正確にお伝えするかというのが責任だというふうに思いました。

 きょうは、事前の通告でこの三キロの避難指示についてのお尋ねがあるということがあらかじめわかっておりましたので、さまざまな客観的な材料と照らし合わせて、私自身が認識をしていないということを自信を持ってお答えを申し上げましたが、あのときは漠然とした事前のお問い合わせ、お尋ねの内容しかございませんでしたので、恐らく直接関与していないと思いながらも、それが正確でなかったらいけないと思いましたので、記憶にないという表現を、むしろ、まさに、事実関係を正確に把握していただくことが重要だと思いましたので、確信を持てるだけのチェックができない中でのお答えでしたので、そういう表現でお答えをいたしました。

 それから、原子力災害対策本部は、もちろん、重要な事項について、本部が本部会議を開いて、本部員全員が集まって決めるということも一つの軸であると同時に、まさに緊急事態への対応でございますから、緊急事態に対する対応は、今正確にメモがありますが、原子力災害対策本部長指示という形でそれぞれの避難指示が出ておりますけれども、原子力災害対策本部長が、副本部長であり、実態としてのさまざまな実務を担う原子力安全・保安院と、それから安全委員会のサポートを受けて本部長指示を出すという仕組み自体は決して間違っているものではなくて、今後も、あらゆる事態について、全ての本部員が集まらないと物が進まないということでは、原子力災害などの対応に当たっては、私は逆に責任ある対応はできないのではないかというふうに思っております。

菅原委員 枝野さん、あなた、ポスト野田の一人とも言う人もいなくはないんだから、そのときの官房長官とすれば、菅総理のもとで、まさに女房役で、それが何かメッセンジャーのように、対策本部の一員だったけれども私はその責任はないんだかのごとくのことを、今の原発の再稼働をするかしないか、日本のエネルギー政策の一翼を担う大臣の立場で、私は今の答弁、がっかりしました。

 時間があと五分なので、次の質問に行きます。

 やはり、これも国会の事故調で話題になったことですけれども、あの事故の翌朝、当時の菅総理が、朝の七時十一分から八時四分まで、ヘリコプターで現場を視察しているんですね。このことについて、現場の考え方、見方を知る上で極めて大きかった、そこで顔と名前も一致することができた、それだからこの現場に行ったんだ、こういうふうに菅前総理は答えていますね。

 これに関しまして、枝野大臣は、どうですかと国会事故調で聞かれましたら、菅総理が視察に行ったことが客観的に正しくても、中傷的、感情的な政治的批判は避けられないと言って反対した、こういうような意見を事故調でおっしゃった。

 ところが、三月一日、予算委員会で、筆頭の梶山委員が、当時の官房長官として、総理に対して、体を張ってでも現場視察をとめるべきだったんじゃないか、こういうふうに尋ねましたら、枝野大臣は、現地に行ってコミュニケーションのラインをつくるためにも、国益を守るという観点からも、菅総理の視察は間違いでなかったと答弁しています。これは矛盾しているじゃないですか。

 しかも、総理が言う、現場へ行って顔と名前が一致したというんだけれども、首相官邸内にあった原子力事故対策本部には双方向のテレビカメラがあるわけですよ。そこに、誰が、どういう人で、名前も全部出ているのに、わざわざそれを、ヘリコプターで現場に行かなくたって、名前は確認できたはずなんですよ。

 この答弁が相矛盾していることについて、同じ枝野大臣が言ったんですよ。どうですか。

枝野国務大臣 まず、先ほどの答弁についてでございますが、私、自分の責任を逃れるような発言をしたつもりはありません。当時の客観的な事実関係についてお尋ねをいただきましたので、三キロの決定のときに知っていたか知っていなかったか、これは知っていなかったのに、知っていたということを申し上げたら、まさに事故の検証が間違えたことになりますから、それについては客観的にお答えを申し上げました。

 では、そのことについて、閣僚の一員であり、内閣官房長官だった立場としてどういう責任を感じるかということを言われれば、それは、実際に可能であったかどうかは別として、より適切な対応ができなかったのかどうか、それは結果責任ですから、そのことについては十分責任を感じております。

 特に、被災地の皆さんに対しては、仮に、他にとり得る手段がなかったとしても、結果的に大変つらい思いをさせているということについての責任は一貫して感じておりますし、そう申し上げてきているところでございますので、勝手に決めつけないでいただきたいというふうに思います。

 それから、今のお尋ねについても、三月一日の予算委員会における梶山議員からのお尋ねは、事実関係に加えて、総理の判断に対する認識を問われました。ですから、総理を守る観点からは体を張ってでもとめるべきであったと思っているが、国民益、国益を守る観点から判断は間違っていなかったと思っているという考えをお答えしたものであります。

 一方、五月二十七日の国会事故調査委員会においては、進言の内容を問われました。これは翌日の新聞等で、釈明とかいろいろなことを、御批判も御指摘もいただきましたが、できるだけ、ああいった場で、釈明とかに当たらないように、お尋ねをされたことにだけ答えるようにということを、かなり自分自身では意識してお答えしたつもりでございます。

 そのときは、進言の内容について問われましたから、行くことは客観的に正しかったとしても、中傷的、感情的な政治的批判は免れない観点からお勧めできないという趣旨のことを申し上げた、そして、その政治的リスクをわかった上で対応されるならば、行くことのプラスもあったので、総理の御判断だと思ったという、まさに進言の内容、お尋ねを受けたことについてお答えをしたものでありまして、総理の判断に対する認識を問われれば、全く変わっているものではありません。

 なお、当時、残念ながら官邸は東京電力とのテレビ会議はつながっておりませんでした。三・一一の教訓を踏まえてつなぐことになって、もう完成をしているということで、きょう、あすにでも私自身それの確認作業を行おうとしておりまして、その以前から官邸はつないでおくべきだったと思いますけれども、その当時、残念ながら官邸はテレビ会議システムにはつながっておりませんでした。

菅原委員 時間が来たからそろそろ終わりますけれども、そのつながっていたかどうかは確認をさせていただきます。

 あわせて、三月十二日、事故の翌朝七時十一分から八時四分まで菅総理が現場をヘリコプターで飛んでいる間、いわゆる原発の現場の吉田所長が、ベントをしなきゃいかぬといって、本当は前の晩の夜中の零時六分にやろうとして準備をしていたのに、結局、朝になって、総理がいないものだから、あるいはそこの準備に追われていたものだから、午前九時を目標にベントを実施するように再指示を出した。結果的に一号機のベントが成功したのは十四時五十分だったんですね。これが今日、いわば事故をおくらせ、悪化させ、より被害が拡大をした要因にもなっています。この点、次の質問できっちりまた詰めていきたいと思います。

 以上で終わります。

枝野国務大臣 繰り返しになりますが、結果的に福島の皆さんには大変な御苦労をおかけしていること、政治は結果責任だと私は思いますので、当時の閣僚の一人として大変申しわけなく思っております。

 ただ、事実関係は正確にしていただきたいというふうに思っておりまして、私が承知をしている限りでは、ベントがおくれたことは、現地の対応が、残念ながら夜間であったり、放射線量についての不安があったり、さまざまなことの中で、一生懸命急いでやろうとしたけれども物理的にできなかったというふうに承知をいたしておりまして、例えば官邸の指示であるとか総理の視察とかが直接的にそのことに影響を与えたということは、事実関係としてないというふうに思っております。

菅原委員 いずれ国会事故調で明らかになるでしょう。

 以上です。

中山委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、一般質疑で質問の機会をいただきまして、感謝申し上げます。

 当委員会も、先週は環境委員会との連合審査会を行いましたけれども、委員会単独というのは久々でございまして、きょうは特に大臣に対して、電気料金の問題と、また中小企業の問題につきまして議論をさせていただければありがたいなと思っております。

 まず最初に、電気料金制度の問題で、五月二十三日に経済産業省の電気料金審査専門委員会の会合で、電気料金の制度の問題点、大きく二つのことが明らかにされました。これは関連しているんですけれども、そのうちの一つの問題点としては、全国の十電力会社の五年間平均で、家庭向け電力が販売電力量の四割しかないのに、しかし、家庭向けの電力で利益の七割を占めているということが公表されました。特に強調しておかなければいけないのは、中でも東京電力は、販売電力量が四割しか家庭向けに対してはないのに、利益の約九割、九一%を家庭向けから稼いでいた、そういう構図が明らかになったわけであります。

 これは本当に、東京電力を筆頭に、十電力会社の利益の多くを大口の企業ではなくて家庭が負担しているといういびつな利益構造が明らかになったわけでございますが、まず、これについて経済産業大臣はどのように認識されているのか、伺いたいと思います。

枝野国務大臣 なぜそうなっているのかというまさに釈明のメモはあるんですけれども、私は、そうであるにしても、結果的にこういう構造になっているということは、特に家庭用料金を支払われているユーザーの皆様から納得いただけるものではないというふうに思っています。

 実は、従来は、自由化部門が赤字で、それを規制部門で埋めている場合に限ってその内容を公表するということになっていたものを、本年三月、収支のいかんにかかわらず、それぞれの部分の収支を毎年公表するという制度に改めたところでございます。

 もちろん、これは全体としてのシステム、料金システムや電力システムの改革の中でやっていかなければならないことでありますが、すぐに今の大きな制度の中でどこまでできるか、これは最大限やりたいと思いますし、制度、仕組みとして、こういったいびつな構造にならないような仕組みをつくっていかなければならないと思っております。

佐藤(茂)委員 先ほど説明をちょっと省きましたけれども、この電気料金審査専門委員会というのは、東京電力が今回家庭向けの一〇・二八%の値上げの申請をしたことについて妥当かどうかという検討をされている委員会でございます。ですから、公聴会でも、このことが明らかになったことによって、こういうデータをもとに反対意見を述べられる方もいらっしゃったというようにお聞きしております。

 収益構造がそうなっているということと、もう一つそこで明らかになったのは、東京電力が値上げを申請する前の電気料金というのは、一キロワット時当たりの単価は、家庭向けが平均二十三・三四円だったのに対して、大口向け、すなわち企業向け平均が十五・〇四円である、特に大口の上位十社平均が十一・八円と、家庭向け二十三・三四円の半値以下であるということが明らかになったわけでございます。

 大口向けの自由化部門というのは、規制緩和が進んでおりまして、いわゆる新電力もふやしていこうという政府の政策もありまして、顧客と個別に価格というのは交渉していける、そのことによって、新規参入業者との競争を考えたときに、大口向け市場でなるべく電気料金というのは価格を値下げしていこう、こういう価格競争がここでは働いているんですね。

 これに対して、家庭やコンビニというような小口向けというのは規制部門とされていまして、燃料費や人件費、修繕費などの必要経費に一定の利益を上乗せする総括原価方式で料金が決まる。家庭は結局、逆に、競争もありませんから、地域独占になっておりますから、電力会社を選べずに、価格競争のない、そういう状態に置かれているという構造に今なっているのは、もう御案内のとおりでございます。

 この専門委員会でも明らかになったのは、平たい言い方をすると、東京電力などは、自由化部門の大口向けでの競争が激しい、ここの競争に一生懸命打ちかつために値下げをしていく、この値下げの原資を規制部門の家庭から得ていた、結果的にそういう構造になっていたということを言われても仕方がない、そういうことになっているんですね。

 私は、大口向けの方が先に自由化になって、家庭の方が規制部門のままになっている、背景に規制の順序というのがそうなっているからそういういびつな構造にならざるを得ないということは認識した上で、やはりこのいびつな構造をなくすためには、家庭向け料金の規制も大口向けと同様に全面自由化するということを早急にやらないといけないだろうし、さらに、今の規制部門の総括原価方式のそういう料金の決め方の見直しというものもやはり改革を図るべきである、これは急がないといけない、そうでないと、今の東京電力の一〇・二八%などという値上げの背景を知れば知るほど、電気料金の構造はこうなっているんだということを知れば知るほど、東京電力管内の皆さんにこの一〇・二八%の値上げなんというのはとても理解されない、そういう状況になっているのではないかなと思うんです。

 私は、電力会社のいびつな利益構造の改善に向けて、今言いましたような全面自由化であるとか、あるいは総括原価方式の見直しというのは、もう避けて通れない道だ、そのように思うんですが、経済産業省としてはどのような対策を打とうとされているのか、大臣の見解を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 現状の規制部門と自由化部門の構造については、必ずしも御指摘いただいたことだけではない事情もあるのは報告を受けておりまして、その部分には一理はあるんですが、結果としてこれだけ大きな差がありますと、やはりユーザーの皆さんに御理解、御納得いただける構造ではないというふうに私も思います。

 それから、まさに、自由化部門できちっとした競争が働き、そのことによって原価が下がり、原価が下がると規制部門の方も原価が抑制されるみたいな構造がまだあるならともかくとして、そもそも自由化部門も本当の意味での競争はないというゆがんだ市場であるということが現状だろうというふうに思っています。

 いずれにしても、そもそも供給者を選択できないというのは、今家庭の皆さんも選択したいという声が非常に高まっておりますし、この総括原価の方式でユーザーに御理解いただける原価を査定していくというのはなかなか困難も大きい。さまざまな構造がある中で、基本的に小売を全面自由化する、それから、そうなれば当然、総括原価方式は原則廃止をするという方向で、総合資源エネルギー調査会の電力システム改革専門委員会で具体的な検討を進めております。

 ただ、気をつけませんと、ただ自由化するだけですと、まさに、大きな企業はいいんですが、個々の御家庭の皆さんが、では電力会社との価格交渉力があるかというとそれはありませんので、逆にそういったところに勝手にしわ寄せができる、それに対して経産省が口も出せないという構造になりかねませんので、そこはちゃんと消費者、価格交渉力のない小さなユーザーの利益を守る中で、自由化を進めていきたいと思っております。

佐藤(茂)委員 今大臣指摘されましたように、今エネルギー基本計画等を考えるためにさまざまな委員会が動いているんですけれども、やはり、最終的に大臣のところにさまざまな報告書案がまとまってくると思うんですが、委員会はいっぱい動いているけれども、最終的に大臣のところに集まったときに、どういう考え方で電力やエネルギーの改革を進めていくのか、そこの軸がぶれないようにぜひ進めていただきたいと思うわけであります。

 もう一つ、枝野大臣は、ちょうどこの五月二十三日の夜に、BSフジの報道番組で、電力業界の競争を進めるために、要するに、かつてNTTの独占を崩すために導入された措置である、大手に厳しく新規参入者に緩くする非対称規制を導入して市場改革を進める考えを示された、そういう報道もあるんですね。これは、個人として考えられたのか、今経済産業省として考えられているのかも含めて、経済産業大臣が電力業界の市場改革についてこの先どのようなことを考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 先ほど若干申しましたとおり、現状が、自由化部門ですら本当の意味での競争になっていない、なおかつ、全部自由化をしたときに、本当に御家庭などが大きな電力会社と価格の交渉力がないということを考えますと、ただ自由化するというだけでは、恐らく規制なき独占という状況になりかねない、もちろんそのときは独占禁止法等の関係で公取などが介入していただけるものと思いますけれども、そういう状況にあるというふうに認識をしております。

 したがって、この小売の自由化、それから総括原価方式の見直しなどの議論をいただいております総合資源エネルギー調査会の電力システム改革専門委員会においても、非対称規制という言葉は出てきていなかったかというふうに思いますが、そういう客観状況を踏まえて、本当の意味での競争がしっかり働くような手当てが必要だという御議論はいただいているところであって、その具体的な中身については、まさにその専門家の皆さんにそうした場で御議論をいただいている。そうした意味では、非対称規制という言葉は、経産省としてというよりは私が非常にわかりやすいと思ったので使いましたが、その趣旨については、審議会を含めてその具体的な中身を検討しているという状況でございます。

佐藤(茂)委員 ぜひ、今大臣が言われました、やはり電力業界も、中長期的には本当の意味での競争が働く、そういう市場にしていくような方向に、今、委員会でされているということでございますが、最終的には大臣の判断にどういう結論を導くのかはかかっているわけですから、持っていっていただきたいと思うわけであります。

 次に、先ほども触れましたが、東京電力の家庭向け電気料金の値上げ申請のことでちょっとお聞きをしたいんです。

 今この一〇・二八%の申請が妥当なのかどうなのかということを、経済産業省の電気料金審査専門委員会及び内閣府の消費者委員会で議論されています。六月七日、九日には、先ほど申し上げましたが、公聴会も行われました。

 東京電力は当初、七月一日からの値上げということで申請をされていたわけでありますが、そういうことを望んでいるということだと思うんですが、この審査する専門委員会自体が、もう既に六月二十日と二十八日に会合を開くことを決められました。そういうことから考えると、七月からの値上げというのはもう事実上難しい状況であると言っても仕方がないと思うんですね。

 ぜひお聞きしておきたいのは、経済産業省は、東京電力の家庭向け料金値上げの今後の日程について、認可時期のタイミングも含め、どのように考えておられるのか、答弁をいただきたいと思います。

枝野国務大臣 この値上げの認可申請につきましては、御指摘の電気料金審査専門委員会において、客観的、専門的な立場から、さらには消費者団体などの御意見も伺って、十分な検討をお願いしているところでございます。

 その進行については安念委員長にお任せをしておりまして、たしか行政手続法では、この手の手続は四カ月以内にやることが望ましいとかそういった規定があったかと思います。当然、法律ですから、それは考慮に入れていただく必要があるんだろうというふうに思いますが、それ以外については、安念委員長のもと、この委員会に委ねているところでございます。

 既に六月二十日と二十八日に次の会合を開くということが決まっているという報告を受けているところでございますので、電気料金の値上げは電気事業法で実施の十日前に掲示をしなきゃならないわけですから、このことで、もう客観的、物理的に七月一日からの値上げ実施は不可能でありますし、今後のスケジュールについても、安念委員長のもと、十分な審査を、四カ月という行政手続法は片隅に置いていただきながら、まさに自主的に御判断をいただこうというふうに思っています。

佐藤(茂)委員 今委員長にお任せしているんだということでございます。これは、大臣が言われるのは、私どもも、本質としては、やはり客観的、専門的に、本当にこの東京電力の申請が妥当なのかどうなのか、じっくりとやってもらいたいんですが、他方、もう一つお聞きしておきたいのは、東京電力の料金値上げの認可というのが東京電力の総合特別事業計画にも影響を与えてくるのではないか、そういう懸念も言われているわけでございます。これが、もう一つは、先の話ですが、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働という問題と同時に、この値上げが認められるかどうかということが東京電力の経営再建の先行き不透明の要素となっているというように言われているんですね。

 原子力損害賠償支援機構は、七月二十五日までに東京電力のこの家庭向け電気料金の値上げが認可されることを前提に一兆円を東京電力に出資して、事実上、公的管理下に置く、そういう予定だと我々は伺っていたんですが、万が一値上げ認可が七月二十五日より後になれば、東京電力再建が出足からつまずいてしまうことになるんじゃないのかな、そういう懸念もあるんです。

 政府として、東京電力の値上げの認可について、支援機構の出資、さらには、これは金融機関も一兆七百億と聞いておりますが、この追加融資も、値上げ認可と支援機構の出資が条件となって行われる予定だというふうに聞いているんですが、こういう金融機関の追加出資との関係及び総合事業計画に及ぼす影響について、どのように認識されて値上げの認可を取り扱っていかれるのか、見解を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 総合特別事業計画の事実上の主務大臣である損害賠償支援機構担当の内閣府特命担当大臣の立場と、料金認可の経産大臣の立場、両方持っておりますので、ある意味では、ここは論理的に使い分けなきゃいけないと思っております。

 総合特別事業計画の方でも、例えば一〇・二八%という値上げ幅などが記載されておりますが、これらの数値は今後の経産大臣による料金認可の査定を通じて変更される可能性があるということで、言い値どおり値上げなどがいくわけではないということは総合特別事業計画においても前提に、総合特別事業計画の方の認可をしているところでございます。

 もちろん、さまざまなステークホルダーがある中で、賠償、廃炉、安定供給という損害賠償支援機構法の趣旨をしっかりと貫徹することのためにさまざまなことを考慮に入れなければならないというのは、機構担当大臣として十分踏まえているつもりでおります。

 同時に、料金の値上げについては、しっかりとした手続で、もちろん、私も東京電力のユーザーの一人としては一円でも値上げしない方がいいと思います、ですから、完全な納得をいただけるとは思いませんが、しかし、余計な費用が乗っかっていないということをきちっと精査した上でないと値上げはできないということは、やはり貫徹しなきゃならないということで、スケジュールありきではなく、きちっとした査定をしていきたいと思っております。

佐藤(茂)委員 今大臣が最後に言われましたが、要するに、スケジュールありきではなくて、まずきちっとした査定をすることが大前提だ、そういう方針でかかわられる、二つの立場を使い分けられるんだと思うんですが、そういうことだと承りました。

 続いて、中小企業向け信用保証の見直しについてお伺いをしたいと思います。

 六月の五日、六日と一般紙に、中小企業の全業種を対象にしていた信用保証協会が一〇〇%保証する緊急保証制度が二〇一二年度中に廃止される方向になった、そういうように報じられました。

 これに対して、この委員の皆さんのところにもあったかと思うんですが、中小企業庁から六月七日付で、「業況の悪化している中小企業の借入について一〇〇%を保証するセーフティネット保証五号について、全業種指定を終了することを決定したとの事実はございません」、そういう文章で通知が来ているわけでございます。

 この文書の意味合いというのは、確認の意味で伺うんですが、廃止される方向になったというのは全くの事実無根であるということなのかどうなのか、経済産業省の見解を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のセーフティーネット保証五号については、三月にあることを決めています。

 つまり、二十四年度上半期は、引き続き原則全業種指定の運用を継続する、個別の中小企業の状況にきめ細かく対応するという観点から、現在中分類で行われている業種指定について、二十四年度下半期からは、細分類で行う、細分類による業種指定を円滑に行うことができるよう、十分な周知を図る、この三つのことを三月に決定しておりまして、これ以外の決定をしたり、これ以外の何か具体的な検討が煮詰まっているような状況ではありません。

佐藤(茂)委員 ですから、要するに、三月の決定から変わらなくて、新たな決定はしていないので、このときの報道というのは事実ではない、そういう修正をされてきたんだと思うんですね。

 その上で、さらにお聞きをしておきたいのは、この書類を回されたその日に、各省版事業仕分けというものを経済産業省も開始されました。その中で、経済産業省の事業仕分けでは、中小企業向けの融資の一〇〇%保証をつけるこの信用保証制度について、抜本的改善、そう判定したと我々は報道で承っているんですけれども、この報道というのは事実なんでしょうか。事実だとすると、何を抜本的に改善するということなのか、この三月の時点とそんなに変わらないということなのかどうかも含めて、お伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 抜本的改善という評価結果で取りまとめられたということは事実であります。

 その具体的な中身は、中小企業金融に与える影響を慎重に見きわめつつ、特に、信用補完制度が持続可能かつ中小企業の経営改善に資するものとなるよう改善の措置をとること、その際、以下の点に留意する必要があるとして、これまで信用保証を利用した企業の経営改善の状況の把握など、信用保証が予算に見合った効果が上げられているか、継続的に検証を行うこと、それから、金融機関が融資に際して適切なリスクをとるよう、資金繰りや業況を慎重に見きわめつつ、セーフティーネット保証の全業種指定を早期に見直すこと、保証料率や金融機関とのリスクの分担のあり方についても検討を行うこと、低利融資制度は、補完的役割にとどめるべく、諸外国の例も参考にしつつ、不断に制度の点検を行うことというのが取りまとめ内容でございます。

 見直しを検討することということは入っておりますが、廃止の意見はゼロでありましたというのが、そのときの行政事業レビュー公開プロセスの評価結果でございます。

 この評価結果を踏まえて、特にセーフティーネット保証五号の今年度下半期の業種指定については、きめ細かく業況を見て今後判断してまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 ぜひ業種指定、絞られるということなんだろうと思うんですが、本当に困っている業種あるいは業界がたちまち行き詰まるということのないように、本当にきめ細かい対応をしていただきたいと思うんですね。

 この緊急保証制度の問題と関連するんですけれども、もう一つは、中小企業金融円滑化法が明年三月末に最終延長が終了する、そういうことを踏まえて、政府として対応を四月の段階で考えておられます。やはり同じようなことを中小企業に対してはきめ細かく、例えば緊急保証制度を見直すのであれば、それに対してさらにどういう施策として対応していくのかということはぜひやっていただきたいと思うんです。

 先ほど申し上げました、貸し付け条件の緩和を目的とした中小企業金融円滑化法が最終延長が終了になるということで、四月二十日に政府として、内閣府、金融庁、中小企業庁、三省庁の連名で、中小企業の経営支援のための政策パッケージというものを発表されたわけでございます。

 その柱は三本ございまして、一つは、金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮、二つ目が、企業再生支援機構及び中小企業再生支援協議会の機能及び連携の強化、三つ目が、その他経営改善、事業再生支援の環境整備の取り組みを強力に進めることとして、この三本を、関係省庁、関係機関と連携し、早急にその具体化を図る。さらに、中小企業の事業再生、業種転換等の支援の実効性を高める施策を引き続き検討するということを四月二十日に決められたわけでございます。

 一つ一つちょっとお聞きをしたいんですが、まず、金融庁にお聞きをしたいんです。

 その中で、金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮の中で、金融機関に対して、中小企業に対する具体的な支援の方針や取り組み状況について集中的なヒアリング、ここでは出口戦略ヒアリングというように書かれておりましたけれども、これを実施することとしているんです。それはもう既に実施されていると思うんですが、その実施状況について伺いたいと思います。

三井政府参考人 お答えいたします。

 出口戦略ヒアリングの実施状況についての御質問でございます。

 金融庁及び財務局におきまして、五月の中旬から六月の末にかけまして、各金融機関に対して、中小企業に対する具体的な支援の方針、さらにはその取り組みの状況について集中的なヒアリングを実施してございます。このヒアリングの中にございましては、金融機関が発揮するコンサルティング機能の中でも、とりわけ、特に抜本的な事業再生や業種転換等の支援について、その具体的な取り組み状況等についてお聞きしているところでございます。

 また、その事業再生支援に当たりましては、中小企業再生支援協議会、企業再生支援機構並びに事業再生ファンド、こうしたものの活用が大変重要であるというふうに考えてございます。また、東日本大震災の被災地におきましては、産業復興機構及び東日本大震災事業者再生支援機構、これらの機関が大変重要な仕組みとして存在してございまして、このような第三者機関を活用した事業再生の支援の取り組み、こういうものについてしっかりお聞きするとともに、その活用を促していっているというところでございます。

佐藤(茂)委員 さらに何点か、この政策パッケージのことでお聞きをしたいんです。

 その中で、政府の発表によれば、この協議会のことで、金融機関等の主体的な関与やデューデリジェンスの省略等によって、再生計画の策定支援をできるだけ迅速かつ簡易に行う方法を確立する、そういうふうにあるんですね。

 迅速かつ簡易な方法による事業の再生支援というのは中小企業にとって極めて大事な視点でありまして、どこまでスムーズなワンストップサービスができるかというのが再生支援の一つの鍵になろうと私も思います。

 しかし、今回、通常六カ月かかっていた標準処理期間を、具体的にここで、二カ月に設定というように明記されているんです。この標準処理期間を二カ月に設定した理由というのはどういうことなのか、まず伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 再生支援協議会は、案件の相談を受けて再生計画策定支援を行うわけでありますが、従来、デューデリジェンスをみずから行うということで六カ月以上の期間を要していました。これは迅速な対応という観点からはやはり問題があるということの中で、何とか短縮をして、たくさん数も対応していかなきゃならないということもありました。

 そうすると何ができるかということを検討した結果、今、金融機関が貸出先の中小企業に関して有するさまざまな情報を有効に活用していません。みずからデューデリをやっておりましたので、この金融機関が持っている情報を有効に活用していくことで短縮ができるのではないだろうかということから、そのために、得た情報の確認、検証は要ります、それから債権者間の調整は必要であります、そうしたことの時間を勘案して、二カ月という目標を策定したところでございます。

佐藤(茂)委員 もう一つこの協議会のことでお聞きをしておきたいのは、中小企業再生支援協議会ごとに再生計画策定支援の目標件数を設定して、二十四年度は全体で三千件程度を目指すんだ、そういうことまでこの発表のときには書かれているわけであります。

 新聞なんかで報道されていることをお聞きしますと、中小企業金融円滑化法の貸し出し条件の緩和企業実績というのは全国で大体三十万から四十万社、そういうように推定されると言われております。新しい仕組みによる再生支援が必要な企業というのはそのうち一万社ぐらいと推定しているという報道もあるんですが、この新しい仕組みによって、具体的に政府として、本当のところ何件の再生支援を目標としているのか。

 二十四年度は三千件というようなことなんですけれども、具体的にさらに、例えば三十万から四十万社対象になっているというものの中でどれぐらいはしっかりと再生支援をしていこう、そういう目標として立てられているのか、政府の考え方をお伺いしておきたいと思います。

枝野国務大臣 再生支援協議会を通じた再生計画策定支援が全てではないというふうに思っておりまして、御指摘いただいている政策パッケージの中でも、金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮ということをまず掲げております。ここがなかなかうまくいかないというものについてこの支援協議会をうまく活用していくということを考えておりまして、やはり、数的には、必要な対応の相当部分は、金融機関のコンサルティング機能の一層の発揮というところで対応していかざるを得ないだろうというふうに考えております。

 そうしたことの中で、これまでの実績や、それから人員増も考えておりますが、それから期間の短縮等の中で、最大限、三千件程度の支援を目指すという目標を掲げております。

 もちろん、経済状況や、今後何年間かにわたって継続的に対応していかなきゃならないことでありますので、固定的に今数字を考えているわけではありませんが、今申し上げた役割分担の中で、しっかり必要の度合いを見詰めつつ、支援協議会の対応が十分可能なように、今後も継続して見てまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 もう一つは、きょう大串内閣府大臣政務官に来ていただいておりますけれども、今まで官民ファンドの企業再生支援機構というのがありましたけれども、これを改組して、再生の受け皿となる投資基金を設立する検討に入ったという報道も、この四月の下旬で各紙が報道されておりました。規模としても具体的に書いていた報道もあります。二兆から三兆円規模の投資基金を考えて計画するんだ、そういう報道もありました。

 片や、民主党さんの党内でもそういうことを考えておられる、そういう報道もあるんですが、政府として、こういう新たな事業再生ファンドというものをきちっと立ち上げられて、仮称、投資基金でもいいと思うんですけれども、そういうものを設立する、そういう計画があるのかどうか、これについて大串政務官の方から御答弁をいただきたいと思います。

大串大臣政務官 今御指摘いただきました報道にありました中小企業の再生の受け皿となる投資資金、これは今お話がありましたように、五月に民主党から政府に対して提言されました成長ファイナンス戦略の中に、日本再生投資基金(仮称)ということで創設が盛り込まれて、これを受けたものだろうというふうに私たちは思っております。

 御案内のように、企業再生支援機構の改組ということもそこにありましたけれども、企業再生支援機構、先般、法改正をいただきまして、金融円滑化法の最終延長一年に合わせて一年ほど支援決定期限を延ばした、こういう状況にございまして、それに向けての新たな体制もつくってきておりますので、その推移も見きわめていかなければいかぬだろうというふうに思っています。

 一方で、円滑化法が来年三月に最終延長の期限が到来するわけでありますので、今し方議論がありましたように、中小企業の経営支援の強化、あるいは事業再生、業種転換等の支援、これを実効的に行っていくということは非常に重要な課題というふうに思っています。党からの提言も踏まえて、今、政府として、成長ファイナンス推進会議という場において検討を進めているところでございまして、どのような形に取りまとめていくか、この検討の中を通じて結果を出していきたいというふうに思っているところでございます。

佐藤(茂)委員 もう一つは、きょうちょっと質問を早目に終わりますが、最後に伺っておきたいのは、四月二十日のこの政策パッケージの冒頭にも述べられておりますが、最初にこういう三本柱なんかを発表されて、今後この取り組みを強力に進めることとして、関係省庁、関係機関と連携し、早急にその具体化を図る、さらには、そういう支援の実効性を高めるための施策を引き続き検討するんだ、そういうことが発表されているわけでございます。

 この政策パッケージの実現に向けて、その具体化と実効性を高めるための施策を具体的に今後どのような会議体で検討されて、いつまでに取りまとめていくのか、そのタイムスケジュールをぜひお聞かせいただきたいと思います。

枝野国務大臣 具体化という意味では、この間も着実に取り組んできているところでございまして、例えば、再生支援協議会における迅速、簡易な支援については、五月二十一日に既に実施基本要領を改定したところでございますし、また、これを周知徹底するために、再生支援協議会を集めて、全国で十五回にわたる説明会や情報交換会を実施してきているところでございます。

 また、金融庁においても、各金融機関に対して出口戦略のヒアリングを行っているほか、外部機関の積極的活用等を内容とする監督指針の改定を五月十七日に行っているところでございます。

 特に金融庁と経済産業省がそれぞれの施策の中で具体化を進めつつ、適宜三府省で集まって、今事務方は情報交換を緊密に行っているところでございますが、次のステップ、また三府省集まってやらなきゃならないような問題がそれぞれあれば進めていくということで、今具体的に、いつ、どういう場でのということを固定的に決めてやっているわけではないという状況でございます。

佐藤(茂)委員 先ほどの理事会で、中小企業に関する法案を次の委員会でやるということで、それに先んじてきょうは質問したような感じですが、いずれにしましても、やはりまだまだ円高、デフレが続く中で、業をされている中で一番苦しんでおられるのは中小企業また小規模事業者の皆さんだと思いますので、政府としてきめ細かな中小企業施策が今後ともしっかりと推進されていくことを最後にお願いしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 最初に、エネルギー、原子力政策等に関する政府の審議会、検討会の乱立ということについて、大臣にお尋ねしたいと思います。

 政府が置いている各種のエネルギー政策、電力政策、原子力政策などの検討会、審議会はたくさんあります。どれぐらいあるか、大臣、御存じでいらっしゃいますでしょうか。

枝野国務大臣 これは数え方と範囲の設定の仕方にもよるんだと思いますが、経済産業省は総合資源エネルギー調査会を持っております。環境省は環境という、CO2排出などということの関連で、中央環境審議会を持っております。内閣府には原子力委員会がございます。

 そして、これらは、それぞれの府省庁にいずれも法定でこういった会が置かれておりますが、ばらばらではいけないということで、エネルギー・環境会議を設置して、この三つの府省においての議論というものをしっかりと、足並みが乱れないというか、混乱のないように整理をしている、これが大きな構造でございます。

山内委員 ちょっと長くなりますが、私が把握している範囲で申し上げますと、まず、国家戦略会議、総理大臣が議長で、国家戦略の中でエネルギー政策ということだと思いますが、そこもエネルギー政策などをやっています。それから、エネルギー・環境会議、今大臣がおっしゃったとおりですが、国家戦略担当大臣が議長でやっています。それから、官房長官を議長として、電力需給に関する検討会合というのがあります。それから、また官房長官座長で、電力改革及び東京電力に関する閣僚会合というのもあります。

 先ほどおっしゃった中央環境審議会があります。原子力委員会があります。総合資源エネルギー調査会があります。基本問題委員会があります。省エネルギー部会というのがそこにもあります。電力システム改革専門委員会というのがあります。天然ガスシフト基盤整備専門委員会というのがあります。

 東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会があります。東電福島第一原子力発電所事故の技術的知見に関する意見聴取会というのがあります。電力料金制度・運用の見直しに係る有識者会議というのがあります。資源・燃料政策に関する有識者との意見交換会というのがあります。調達価格等算定委員会というのがあります。

 私の今読み上げたもの、十六個あります。これだけ乱立していると、乱立とみなすかどうかは認識によりますが、どの委員会で何をやっているのか、よくわかりません。恐らく、大臣もこの全体像というのをなかなか把握できないんじゃないかと思います。

 国会議員から見てもわかりにくいものは、当然、国民から見たらもっとわかりにくいと思います。この全部の議論をフォローしているジャーナリストとかNPOとかは、多分いないんじゃないかと思います。私の知っている人は、四つの委員会に入っているけれども、その関係がよくわからないと御自分でもおっしゃっています。

 逆に言うと、これだけいろいろな審議会や検討会を乱立させると、全体像が、よほど大きな組織の専門家集団じゃないとわからなくなってしまいます。うがった見方をすると、いろいろな審議会と検討会を乱立させておいて外部者にわからなくさせようという、事務局というか役所のたくらみなんじゃないかと思ってしまいます。

 恐らく、電力会社から出向している各検討会とか審議会の事務局の方、あるいは経産省から出向していたり役所でやっている委員会の担当者、そういう人はわかると思うんですけれども、外から見たとき、非常にわかりにくいということがあります。

 しかも、大体こういう検討会、審議会はレポートを出しますけれども、有識者の大学教授とか企業の経営者とか、そういう忙しい人たちは、なかなか自分でパソコンを打って、文書を打つということはないと思います。ほとんどの場合、事務局の役所の人あるいは電力会社から来ているような出向の人たちが、パソコンを打ってレポートを書いて、こんなのでどうでしょうかという形で、議論の流れをコントロールしているということが実態ではないかと思います。

 国会に何年かいると皆さん大体お気づきだと思いますが、事務局を制する者が議論の流れを制する、事務局を制する者が政策をコントロールするというのが実態だと思います。

 そういった意味では、こんなにたくさんある審議会、いろいろな検討会、もうちょっと整理をして、しかもわかりやすくして、事務局の内容についても工夫をしていくということが必要じゃないかと思いますが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

枝野国務大臣 たくさんあってわかりにくいという御指摘は真摯に受けとめなければいけないと思いますが、例えば国家戦略会議は、あえて言えば国家戦略なので、あらゆる政策マターは国家戦略会議の必ず所掌の範囲というかテーマの対象ということですので、ちょっとこれは異質かなと思っています。

 それから、電力需給に関する検討会合とか、電力改革及び東京電力に関する閣僚会合は、特に直近の電力需給であるとか東京電力の総合特別事業計画などの個別対応のための場でございまして、先ほど申しましたとおり、エネルギー政策、原子力政策の基本的な大きな方向性については三つの法定されている調査会、審議会が前提になりますが、その上でエネルギー・環境会議において全部集約をして、混乱とか、事務局が勝手に物事を走ってしまうとか、全体が掌握できないとかということにならないようにということで、このエネルギー・環境会議は閣僚級でやっておりまして、しっかりと全体をクリップしながら進めているつもりでございます。

 その上で、総合資源エネルギー調査会の部会を初めとして、このもとに幾つかの会があるということについてでございます。

 やはりこれも、骨太の基本的な考え方はまさに基本問題委員会で御議論をいただいているところでございますが、率直に言えば、国民の皆さんの一番関心がある原発比率を将来どうするんだというような骨太の議論をしている間であっても、やれることはどんどん進めていくということで、例えば先ほどの御質疑の対象になった電力システム改革、自由化とかなんとかというのは、原発をどうするかということにかかわらず進めていくということですし、天然ガスシフトの基盤整備も進めていくということであります。

 こうしたことについては、それぞれの専門性が高うございますので、かぶってやっていただく全体構造のわかっていらっしゃる委員の方もいらっしゃると同時に、それぞれの専門、例えばシステム改革であれば会計といいますか財務といいますかそういった専門家、ガスについてはまさにガスの専門家というような形でやっていただいております。ともすると、全体像の議論をしている場とその実施のための各論を議論している場がちょっと整理されていなくてわかりにくいという印象をお与えするのかなと思いますが、それぞれ必要性がある中で進めているし、それぞれに有意義な議論を進めていただいていると思っております。

 わかりやすさという点では、今私が口頭で答弁したようなことを少し整理して、例えばホームページなどに示すとか、ちょっと検討してみたいというふうに思います。

山内委員 ぜひ検討していただきたいと思いますが、検討のための検討会とかができないように御留意をいただきたいと思います。

 ただ、中身を見ていくと、電力料金の見直しの会議と調達価格の会議が別でやっているとか、コインの裏表ですよね、調達価格と電力価格。そういうものを分けて考えているのは実際合理的かどうかというところもありますし、ぜひ、整理をしていただいた方がいい議論ができるんじゃないか、余りにも分け過ぎると、部分最適ばかり追求して全体として整合性がとれていない、そういうケースも出てくるのではないかと思いますので、この数の問題、役割分担の問題、しっかり考えてもらいたいと思います。

 それともう一つ、各種の審議会や検討会の事務局に電力会社からの出向が非常に多いケースがあると報道などでも言われております。やはり電力会社の社員という、もろ直接的に利害関係者がこういう検討会の事務局に入っているというのは望ましくないと思いますが、そういった点、今後どうされるおつもりか、お尋ねします。

枝野国務大臣 まず、現時点で、資源エネルギー庁に電力会社の出向者はおりません。それから、他の民間企業からは出向者がございますが、出向元の企業に対する処分権限を有する職務を担当する役職や、補助金を交付する職務を担当する役職にはつかせておりません。

 いずれも調査等の仕事に携わってきておりますが、これも、今は電力のことが国民の皆さんの御関心でもあり、問題になっておりまして、電力会社からいないのはよかったんですが、いろいろと誤解を招くというようなことがあってはいけませんので、これはいろいろ出向していただいた経緯とかがありますからすぐにというわけにはお答えできませんが、なくすという方向で進めていきたいというふうに思っています。

山内委員 すぐにとはいかないとおっしゃっていますが、なるべく早い方が国民の信頼という意味ではいいんじゃないかと思いますので、早急に対応をお願いしたいと思います。

 次に、原発の廃炉に伴う立地自治体の振興策ということについてお尋ねをします。

 二カ月ぐらい前にも同じ質問をしたんですけれども、今後、廃炉する原発が必ず出てくると思います。恐らく福島の第一、第二あたりは無理でしょうから、確実に福島では廃炉が必要になると思いますし、四十年を経過した原子炉のところはだんだん廃炉に向かっていくと思います。

 脱原発派であろうとそうではなかろうと、どんな立場で考えても、老朽化した原発は廃炉にしなきゃいけないわけですから、今後は、そういう廃炉をした自治体における雇用の減少とか産業の振興ということが課題になるのではないかと思います。

 石炭から石油へシフトするときは、産炭地でいろいろな法律ができました。産炭地域振興臨時措置法とか石炭鉱業合理化臨時措置法といったようないろいろな法律ができて、なるべくショックを少なくしようという政策がとられました。

 これからは、原子力発電に頼らない、原発を廃炉にする自治体に関しては、そういう石炭のときと同じような措置をとっていく必要があると思うんですけれども、それは、ある程度長い時間をかけてきちんと検討した上でやっていかなくてはいけないことだと思います。補正予算でちゃちゃっとやって済むという問題ではないと思います。恐らく、二十年、三十年、四十年かけて、原発を廃炉にした地域の産業政策とか雇用対策をやっていかなきゃいけないと思うんですけれども、そういう検討というのを経産省として何かおやりになっているでしょうか。

枝野国務大臣 具体的には、八月をめどに決めたいと思っている中長期的なエネルギー政策の決定を待って具体的な検討に入っていくのかなと思っておりますが、いずれにしろ、今あるものはいずれは廃炉になるということでございますし、原発依存からの脱却という大きな方向から考えると、その後のことというのを責任を持ってやっていかなきゃならない。

 しかも、恐らく、これは石炭の場合以上に国がちゃんと責任を持たなきゃいけないんだろうと思っています。石炭の場合はもともと、そこに客観的に石炭があったのでそこで炭鉱業が盛んになって、それが、いろいろな経済的、社会的事情で掘らなくなることの中で、その後をどうするのかという問題でしたが、原発の場合は、あえて言えば、国が国策として当該地域に原発の立地をお願いし、そして受けてきていただき、それが地域の経済の一つの柱になってきた。もし、それがそうでなくなるのであれば、最初の経緯から考えてもそうですし、また、特に原発依存からの脱却という、その政策転換といいますか、そのことによって従前期待していたよりも早く廃炉になるとかというようなもし事情が出れば、さらにでありますけれども、石炭の場合以上に、国が責任を持って原子力発電所にかわる地域の雇用や振興を考えなければならないというふうに思っています。

 最初に申しましたように、まだ具体的な検討をする段階ではないというふうに思っておりますが、これは直接的に今申し上げた問題とはつながる話ではありませんが、現に福島の第一原発については大きな事故を起こして、したがって、これを使うことはもう考えられない状況になっている中で、当該地域の復興に当たっては、もちろん、原子力災害に対する国の社会的責任という観点からも行うわけでありますが、結果的に、原発という産業にかわる地域の産業をどうするのかということとニアリーイコールになる側面があるわけです。

 例えば、まさにエネルギーで日本を支えてきていただいたという経緯なども踏まえ、たまたま立地的にも恵まれているということで、洋上風力について福島沖で進めていくという実証を始めているなど、さまざま、本格的な検討が必要になった場合に向けた、参考になるようなアプローチというものは始めているというつもりでおります。

山内委員 今大臣から、石炭以上に原発に関しては国の責任が重いということをおっしゃいましたが、私もその点は同感ですし、非常に重要な視点だと思います。ぜひ、検討だけでも早く始めていただきたいと思います。

 次に、時間が足りなくなってきたので幾つかはしょりまして、主に、照明と空調の省エネ化ということについて質問したいと思います。

 私、実はエコカー補助金とエコカー減税について質問する用意をしていたんですけれども、ちょっと時間がないので、それを飛ばします。

 公益社団法人の日本経済研究センターというところの研究によると、エコカー制度のCO2削減コストは、余り費用対効果が高くないと言われております。一トン当たりのCO2削減にかかるエコカー制度のコストは五万六千円。それに対して、もし、オフィスの空調とかオフィスの電気、照明の効率化によって達成できる一トン当たりのCO2削減コストは、ゼロ円から数千円程度で済む。エコカー補助金、エコカー減税だと、五万六千円かけてやっと一トンCO2が削減できるのに、照明なんかの効率化の場合は、むしろゼロ円。あるいは、場合によっては効率化によって電気代が浮きますから、むしろコストがマイナスというか利益が出ることもあるということを言われております。

 したがって、今後、もし本気でCO2を減らそうと思うんだったら、エコカー減税、エコカー補助金よりも、むしろ照明とか空調とか、オフィスとか家庭の電気の使用の効率化、省エネに力を入れていくべきではないかと思っております。

 そういった意味では、今後有望だと言われているのは、LEDはよく知られておりますが、もう一つ、CCFLという従来のものと違うタイプの蛍光灯があるそうなんですけれども、こういう照明に関係する省エネ政策というのにより力を入れていくべきではないかと思っております。

 きのう、公明党の加藤先生に教えてもらったんですけれども、LED照明とか、こういうCCFLという新しいタイプの蛍光灯を日本全国に普及させていくと、原発十数基分の電力が削減できるということをおっしゃっておりました。

 そういった意味では、今後、エコカー減税、エコカー補助金みたいな余りCO2削減効果が高くない政策にかけていたお金を、照明とか空調とか、そういったところの節電、省エネ対策にもうちょっとシフトしていく方がいいんじゃないかと思うんですけれども、今の経産省のお考えをお聞きしたいと思います。

枝野国務大臣 実は、エコカー補助金、大きな金額でやっている方は、もちろん省エネの効果も期待をしておりますが、メーンは、むしろ緊急的な経済対策という側面が主たるものでございまして、そういった意味では、必ずしもあそこまで大きな金額をかけて、省エネをメーンということではない政策であるということは御理解をいただければというふうに思います。

 その上で、御指摘のとおり、照明とか空調という世界は、例えば、導入コストは御家庭とか企業とかにとってかかりますが、それぞれのユーザーの観点から見ても、何年かかければ電気料金その他で回収もできるということもありますし、そのことによる節電効果やCO2排出削減効果というのは大変大きなものがございます。

 それに加えて、実はもう一つ、保温かなと私は思っています。要するに、家を魔法瓶にして、一度温度を下げれば暑くならないし、一度温度を温めれば寒くならないという保温というところが大きいというふうに思っております。

 経済産業省としても、研究開発や設備投資支援、性能評価の国際標準化などの産業政策を通じて後押しをしてきているところでございますし、さらには、これは家のつくり方などともかかわってくる部分も若干ありますので、国土交通省ともしっかり連携をし、もちろん環境省は当然ですが、照明やあるいは空調の部分の省エネ化を加速させてまいりたいと思っております。

山内委員 エコカー補助金、エコカー減税は最初から経済対策だということは、一般に広く知られていることですけれども、もうちょっと、せっかく、少なくともエコと銘打っている以上は、環境面の配慮というのも考えていただきたいと思いますし、私はやはり、これから、特定の産業だけが潤う補助金政策というのは、本来国としてやっていいのかなと。

 特定の産業だけが潤う政策よりも、むしろ環境とか安全とか、そういう何らかの社会的な便益がある産業を助けるということの方が、よほど私は、国全体で考えたら有意義だと思いますので、延べでいうと、エコカー補助金、エコカー減税、九千何百億円、一兆円近くなっておりますが、もうそろそろそういう政策はやめて、環境重視の、環境産業とかそっちを育てる方に補助金なり減税なりをやっていっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中山委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 ちょうど十分ぐらい前に、下の部屋で、環境委員会で、規制庁関連法案の採決に入っていると思うんですが、新しい規制組織をどうするかという問題も、これからの日本のエネルギー政策をどうするのかとか、原発をどうするのかとかいったことを考える上でやはり今改めて大事なことは、昨年三月十一日に発生した福島第一原発事故について、政府でも、国会でも、民間でも、事故調から中間報告や取りまとめが発表されておりますが、この事故原因の究明と責任、そこから生かすべき教訓というものがやはり中心になってくることが必要なときだと思うんです。

 その中で、東京電力の責任というものと、三・一一以降の東電と官邸の関係など、少しずつわかりかけてきている部分がありますが、どっちかというと三・一一以降なんですね。

 私は、三・一一以前に、例えば二〇〇四年十二月のインドネシア・スマトラ沖の巨大地震、津波以降、たびたび、日本の老朽化した原発をこのような規模の地震、津波が襲ったときに、どういう事態が想定され、それに対してあらかじめどういう対処をしておくべきかということを提起してきました。

 しかし、現実には、香川県多度津町にあった世界一の規模の大型振動台、三百十億円の予算をかけてつくったものを二億七千七百万円でたたき売ってしまうとか、何ともおかしいことをやってきたわけです。そして、実際に、ですからストレステストをやろうにも、その実証実験をやる振動台がないわけですよ、今。

 それから、押し波のときにどうなるかということで、押し波の想定値についても、過去の事例を随分挙げて、そのときには水をかぶってしまうとか、地震によって崩壊すれば送電鉄塔が倒れて外部電源喪失になる。津波をかぶれば内部電源喪失と、これはフォルスマルク原発で既に内部電源喪失の例があるわけですが、そういう事態を挙げたり、引き波のときには逆に冷却水そのものがとれなくなってしまうという問題などを取り上げてきたんですが、いずれも無視されてきました。その結果、こういう事故を起こしてしまったと思うんです。

 そこで、枝野大臣、最初に、一体、東京電力と政府のこの不作為の責任というものについてどのように考えていらっしゃるのか、伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 まず、結果的にこうした事故を防げなかったということについては、もちろん東京電力はもとよりでございますが、政府としても大きな責任を感じなければならないというふうに思っております。

 特に、吉井先生には、三・一一以前から、原発の安全性について、国会においてさまざまな御指摘をいただいてまいりました。その全てを私も認識しているわけではございませんが、その中には、本来、国会における先生の御指摘を受けてその時点で対応しておくべきであった、つまり、結果論としてあれが正しかったではなくて、その時点でしっかりと取り入れるべきであったことが少なからずあるというふうに認識をいたしております。

 政府や国会に事故調査会もございます。なかなか政府の事故調査会が、国会での功績と言うべきなのか、取り上げなかった問題と言うべきなのかを取り上げにくいところもありますので、ぜひ国会の事故調などにおいて、吉井先生を初めとして、いかに国会において従来から安全性について、後づけではなく、その時点でしっかりと受けとめるべきであった指摘がなされていたか、それがどうして十分に反映されなかった、取り入れられなかったのかということの具体的な検証もいただければありがたいというふうに思っております。

吉井委員 国会事故調もそうですけれども、政府事故調もつくっているわけですね。

 私は、三・一一以降の話というのは結構出ていると思うんですが、三・一一以前の問題について、やはり東電と政府の責任を解明すべきじゃないかと思うんです。

 私は、個人の固有名詞をつけた表現は余り好きじゃないんですが、三・一一以降については、世上、よく菅直人リスクとか呼ばれておりますが、三・一一以前は、これは言ってみれば歴代政権リスクだと思うんですよ。そういうふうに呼ばれても仕方がない問題だと思うんですが、今それが未解明のまま来ているんですね。

 枝野大臣には、三・一一以前の福島事故につながった不作為が、要するに、巨大地震や津波が来たときに、政府や東電は三・一一以前に何をしたのか、何をしてこなかったのか、やはりこういう不作為の問題についてはきちんと解明をするべきだと思うんです。具体的に何か、こういうふうに指示して解明をしていきたいというお考えがあるのか、伺っておきたいと思います。

    〔委員長退席、稲富委員長代理着席〕

枝野国務大臣 御指摘の視点は大変重要だと思っております。

 まず、政府事故調については、政府が設置した事故調でございますが、まさに政府からの独立性ということが何よりも重要だということで、設置をした時点は官房長官でございますが、その当時も含めて、内閣の側からは、何か具体的な指示とかいうことは、もちろん当初の目的とか趣旨とか、決定して設置をした趣旨等についてはお伝えをいたしていますが、具体的にあれをやってほしいとかこれをやってほしいということを言うべき立場ではないというふうに思っております。ぜひ政府の事故調においても、こうした国会での御指摘も踏まえた対応をしていただけるものと期待をしております。

 また、国会の事故調についても、これは政府の立場ですので、どういったことをどう検討されるのかということは、やはり私の立場から何か申し上げるべきではないと思います。むしろ、今の政府が設置をした場が今の政府より前の政府の対応について何か申し上げるということよりも、より中立的に、国会の立場からこそ、三・一一以前の歴代政府の対応についての検証は進めていただければありがたいというふうに思っております。

吉井委員 私がなぜこういうことを言うかというと、東京電力なんかを見ておりましても、事故から一年もたつと、要するに、想定外の津波だ、天災だと言わんばかりで、自分の賠償責任をどうして逃れるかというふうなところへスタンスがだんだん移っていっておりますから、私は、改めて、この問題は、やはり不作為の責任というものはきちんとしておくということが大事だと思うんです。

 それは、政府としても、保安院その他のところで、これはマスコミ等でも伝えられておりますように、出てきた進言なり意見なりを踏みにじったという話が本当かどうかということを含めて、もしそういうことがあれば、やはり不作為の責任を問われるわけですよ。やはりそれはきっちりやっていただきたいと思います。

 政府は、新成長戦略で、原発輸出というのを一つの目玉にしておりますが、しかし、福島原発事故で、原発推進がよいのかどうかという根本問題が今問われていると思うんです。

 もし売り込んだ先で原発事故が起きると、偏西風に乗ったり黒潮に乗って、汚染は日本国民の生活に及んできます。実は韓国でも、今、古里原発の老朽化問題と事故隠し問題とか、周辺住民の大規模な強制立ち退きを迫る問題で、原発批判の世論が高まっております。

 こういう事態を受けても、枝野大臣としては、それでも野田内閣として原発輸出という方針をとり続けていくのかどうか、伺っておきます。

枝野国務大臣 まず一言だけ、先ほどの検証の指摘について、保安院だけではなくて、経済産業省全体としても、さまざまな不作為の責任についての検証をしっかりとしていただくために、情報提供その他については最大限協力してきたつもりでおりますし、今後もしてまいりたい、それは責任だというふうに思っております。

 その上で、御指摘の件なのでございますが、三・一一以前のように、国策として政府を挙げて原発システム輸出を強力に推進していく、この方針はとっておりません。その上で、原子力発電所をどう利用するのかしないのかということは、それぞれの国において、まさに主権の行使としてそれぞれに検討をされていて、それぞれ御判断をされている中にあろうかというふうに思っております。

 そうしたことの中で、この三・一一の事故があったにもかかわらず、我が国の企業などが持っている原子力発電に関するさまざまな技術について、相手国が主権に基づいてその安全性を含めて評価し、必要だということに対して、それをとめるということはなかなか難しいのではないだろうか。

 ただ、まさに我が国自身がこの三・一一で国民の多くの皆さんに御苦労をおかけしているという状況の中では、そうした対応をするに当たっても、核セキュリティー、核不拡散、平和利用等はもちろんでございますが、安全についても最大限のものでなければ提供してはいけないということについては、これは民間企業の行動であっても政府として責任を持ってやっていきたいと思っております。

吉井委員 これは民間企業の責任だと言いながら、要するに政府としては原発輸出を戦略的に今進めているわけですけれども、仮に日本の売り込んだ原発が相手国で事故をやったとした場合、なるほど購入したりするのは相手国の責任なんですが、その事故によって、例えば偏西風に乗って黄砂等が飛んでくるときに、黄砂にセシウム、ストロンチウム等がついてやってきますと、車のボンネットの上はセシウムだらけという事態になるわけですね。これは非常に深刻な問題だということを今考えなきゃいけないと思います。

 地震も津波も想定内であったのに、それに対する安全対策を考えなかったことがあの事故の最大の原因の一つだと私は思っておりますが、国際原子力開発株式会社に東電や関電などが出資していることは間違いありませんね。これは参考人の方に伺っておきましょうか。

    〔稲富委員長代理退席、委員長着席〕

糟谷政府参考人 国際原子力開発株式会社でございますが、資本が二億円ございます。これについては、電力九社、それから東芝、日立、三菱重工、それから産業革新機構の十三社が出資をしてございます。

吉井委員 社長は誰ですか。

糟谷政府参考人 武黒一郎氏でございます。

 この方は、東京電力の副社長をやられた後、東京電力のフェローをことしの三月末までやられた方でございます。

吉井委員 東京電力で原子力・立地本部長であった人ですね。これも確認しておきます。

糟谷政府参考人 平成十九年の六月に取締役副社長原子力・立地本部長に就任され、二十二年の六月まで務められたと承知をしております。

吉井委員 それで、東京電力第一原発は、事前に、地震で外部電源喪失になることと津波で内部電源喪失や機器冷却系ポンプが破壊されるなどを想定外の出来事ということにしているんですが、政府事故調の畑村委員会、あの中間報告などを読んでおりますと、武黒氏は、原子力・立地本部長として、二〇〇八年に、津波被害が、福島第一原発の敷地南側で十五・七メートルの波高の想定値を聞いていたんですね。しかし、津波対策をとらなかったんじゃないですか。

深野政府参考人 昨年の事故以前にいろいろな形で東京電力が津波についての検討をしていた、その一部については保安院にも報告をしていたというのは、政府事故調にも書かれていることでございまして、そのように認識をしてございます。

吉井委員 要するに、今では、二〇〇六年にも東電内部でもそういう津波想定の進言その他があった話も出ておりますが、二〇〇八年の段階で、十五・七メートルの波高があの敷地の南側の方ではあるということを想定していたわけですね。その意見を聞いても、要するにコスト問題で、金もうけの論理で、安全より金と、対策をとらなかったんですよ。それが原子力・立地本部長であった武黒さんの判断であったわけですが、武黒フェローというのは、昨年の三・一一事故の後、東電の原発専門家としてずっと官邸に詰めていて、政府と官邸の連絡調整、事故対応をしながら原発事故の収束に結局失敗したという人ですから、私は、そういう原発輸出会社というのはもうやめるべきだということを申し上げておきたいと思います。

 引き続いて、水素の問題に移りたいんですが、福島原発で水素爆発を経験しましたが、実は、発電所における水素爆発や火災というのは何度も経験済みです。

 例えば、関電海南火力発電所では、一九七二年六月五日に、タービンと発電機のカップリングの部分などで、二・六トンのカップリングが、水素冷却しているんですが、水素ガス爆発で百一メートル吹き飛んだんですね。二・六トンですよ。タービン側の八トンの折損部が八メーター飛んだりとか、タービンの最終翼は三百八十メートル吹き飛んでいるんですね。

 この水素爆発火災以降、発電所における水素対策には注目が寄せられてきました。原発でも、二〇〇一年十一月七日に浜岡原発では余熱除去系配管で水素爆発を起こしましたし、二〇〇四年の二月二十一日に浜岡原発二号機では、タービン建屋の屋上のところで水素排出操作中に水素による火災事故を起こしているんですね。

 原子力安全・保安院の電力安全課より、電気設備について水素放出に対して指示が出されております。まず、水素検知器を設置するのが当たり前のことだと思うんですが、いただいたデータを見ていると、PWR、加圧水型原発で見れば、高浜原発の三、四号機と大飯原発の一、二号機だけで、大飯原発の三、四号機にも泊にも伊方にも川内にも玄海にも、そして日本原電敦賀二号にも、全原発の格納容器内に水素検知器すら設置されていないというのが実情だと思うんですが、伺っておきます。

深野政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど、先生の方から最初に御指摘のございました件につきましては、これは火力発電所の発電機の中の水素の問題であったかと思います。

 原子力発電所で水素が問題になりますのは、発電機とは別に、また、炉の中の水が放射線で分解をして水素が発生する、そういうことがございますので、水素の状況についてはいつも注意をする必要があるということでございます。

 特に、今回のような事故時を想定いたしますと、そのときに、事故時に採取しておくべき必要なパラメーターというのが原子力安全委員会の安全審査指針で定められておりまして、その中に水素というのも必要なパラメーターとされているところでございます。そういうことで、各原子力発電所においては、事故時に水素の検出ができるような対応をしているわけでございます。

 御指摘になりました加圧水型のものにつきましては、水素の検出器そのものが発電所に設置されているのは高浜の三、四号機と大飯一、二号機でございますけれども、それ以外の号機につきましても、事故時に格納容器からのサンプリングができるような系統は整備をされておりまして、サンプリングした上で水素について分析をする、そういう形になっているものでございます。

吉井委員 通常の火力発電所であれ原発であれ、水素というのは非常に危険なものだ。それは何度も、原発であれ火力発電であれ、海南火力の場合は、タービンのカップリングの部分を中心とする軸受けの端のカバー部分などを含めて水素冷却をやっていますから、その水素によって爆発火災となったんですが、原発はまた別な事情で水素爆発となりました。

 だからこそ、水素については、特に水素というのは漏れやすいんですよ、直径が小さいものですから。ですから、必ず水素検知器をつけなさいという指示をして、やってきたのに、実際には、大飯三号や四号、泊、伊方、川内、玄海、敦賀二号には水素検知器すら設置されていませんね。このことの確認だけをしているんです。

深野政府参考人 水素検出器ということではございませんけれども、水素も含む格納容器のガスをサンプリングするラインは設置をしているというふうに理解をしてございます。

吉井委員 要するに、水素検知器をつけていないんですよ。つけていないのに、無理無理に、何かあたかも水素対策はやられているかのように言ったら、これは間違っていますから。

 二度と福島原発のような水素爆発事故を起こさせないと言いながら、大飯原発三、四号機には水素検知器すらついていない、静的触媒式水素再結合装置もまだついていない。格納容器内に水素爆発対策はまだ全くなされていない、これは現実じゃないですか。

深野政府参考人 加圧水型原子炉につきまして、静的触媒式水素再結合装置はまだ現在取りつけておりませんが、これにつきましては、平成二十六年度までに設置をする予定で進めているところでございます。

吉井委員 十分か不十分かは別にして、政府の言っている前提というのは全電源喪失対策までの話なんですね。暫定基準と称するもので再稼働をやっていこうなどということは、実際に福島のような事態になったときに、水素が漏れても水素対策もないんだし、検知もできない、していない、したがって、当然、水素対策を考えていないから静的触媒式再結合の装置も何もついていない、これで安全だ安全だと言って再稼働に走っていこうとする、これはもう論外だということを申し上げておきたいと思うんです。

 次に、東京電力があの事故をやったいわば真犯人、一番の責任者なんですが、ところが、ここが電気料金値上げも申請してきているわけですね。廃炉費用は特別損失で原価算入しないという一方で、安定化費用は経常費用だとして総括原価に算入するとしていますが、これは納得できないという声。それから、事故を起こしていなければこのような費用はかからないのに、事故を起こして被害者を出しながら、その事故処理費用がなぜ消費者の負担となるのかと、非常に厳しい消費者の声が出ているときです。

 そこで伺っておきますが、東電からの申請料金の原価に、一つは、一F一号から四号機の安定化費用は幾らなのか。賠償対応費用は幾らなのか。賠償費用は別にしても、事務経費その他、賠償対応費用はかかっているわけですね。代替電力による追加燃料費は幾らなのか。要するに、幾ら総括原価の中に算入されているのか、加えられているのかというのを伺っておきたいと思います。

糟谷政府参考人 まず、福島第一原発一号機から四号機までの安定化費用でございます。平成二十四年度から二十六年度の三カ年の平均で、四百八十七億円が含まれております。これは具体的には、放射線の管理業務の委託費とか滞留水の処理装置の運転委託費、点検・保守費用、防護服の費用等でございます。

 それから、賠償対応費用でございます。賠償金そのものは、原価とは別、原価の外でございますが、損害賠償に係る請求書の受け付けとか、コールセンターの運営のための委託費、通信業務費等といった賠償対応費用としまして、やはり同様の三カ年平均で、二百七十八億円が料金原価に含まれて申請をされております。

 それから、原子力発電所が停止したことに伴う追加の燃料費でございますが、同じく三カ年平均で、火力発電の燃料費が四千八百七十一億円増加しており、これが含まれております。

吉井委員 今お聞きしたのを概算するだけで、要するに、事故処理関連で約千七百億円ぐらいになるんじゃないですか。

糟谷政府参考人 まず安定化費用が、先ほど申し上げましたように四百八十七億円、それから賠償対応の経費が二百七十八億円でございます。これを二つ合わせますと七百億円余りであります。これ以外に人件費がありますが、それぞれ、安定化の維持のための人件費が八十三億円、それから賠償対応の人件費が三カ年平均で百九億円。一千億を超えるような数字ではないというふうに承知をしております。

吉井委員 そうじゃなくて、私、千七百億円ぐらいかと思ったら、足し算したら、二千五百億ぐらいにはなるんですね。

 要するに、安定化費用が四百八十七億、賠償対応費用が、特別損失なんだが、しかし、請求書受け付け、支払い等の運営費は八百三十六億円計上されているんですね。原子力損害賠償支援機構の一般負担金が五百六十七億円あり、前回料金改定と今回申請の差額に該当するものが六百五十億円。これらを全部足したら、大体二千五百億円を超えるぐらいじゃないですか。

糟谷政府参考人 安定化費用、それから賠償対応費用はおっしゃるとおりでありますが、一般負担金は、これはほかの電力も含めて、原子力発電の事故に備えて、相互扶助の仕組みのもとで支払うというものでございまして、それを含められると確かに一千億を超える数字になりますが、あくまで安定化費用それから賠償対応費用ということでありますと、先ほど申し上げたようなとおりであるかと思います。

吉井委員 もともと、事故がなければ、一般負担金も要らないんですよ。東京電力が事故をやったから、全部足したら二千五百億円ぐらい。これを総括原価に入れて、料金値上げだといって請求してきているでしょう。これはちゃんと見なきゃだめですよ。

 それから、電気事業連合会に出している人件費はさすがにカットしたようですが、政府など官公庁や関係団体に出向している者、まだ二百七十人おりますね。これは内訳ももらっていますが、その給与の負担額は総額どれぐらいなんですか。

糟谷政府参考人 官公庁に出向している人数でございます。ことしの三月段階で七名ございまして、一人当たりの人件費の平均が、残業手当などを入れますと六百九十二万ということでございますので、これを七倍しますと四千八百四十四万円ということでございます。

吉井委員 私が言ったら何か官公庁だけに限って言っているようですが、東京電力の方の資料、あなたの方からもらったものによれば、社会福祉団体・協議会、電力・エネルギー関係団体、大学・学術・研究機関、人材派遣会社、政府・官公庁・自治体、国内外民間企業で、合計三百十一人中、電気事業連合会の四十一人を引いたって、これは二百七十人ぐらいいるわけでしょう。約二十億の人件費を東京電力が抱えて出しておいて、あれだけ事故をやって、あれだけ国民に負担を押しつけながらまだ値上げで、こんなものまで値上げに入れて出してくるという、その発想がおかしいと思うんですよ。

 勝俣さんだけじゃなしに、相沢副社長は火力原子力発電技術協会会長に天下りすることが予定されていると言われているし、高津常務は東光電気という東電の系列会社の社長に、小森常務は常務執行役員、宮本常務は日本フィールド・エンジニアリング社長に、佐野常務は火力原子力発電技術協会専務理事、清水前社長は東電に燃料を入れている富士石油の社外取締役、武井副社長はアラビア石油の社外監査役、荒井常務は富士石油の常勤監査役などに予定されるなど、要するに、勝俣さんを初めとして本当に責任を負わなきゃいけない人が本当に責任を負わないで、多くの人がまだ全面賠償も十分受けられないままに苦しんでいる中で、なお値上げをしよう、値上げをしなかったら税金で面倒を見てもらおう、余りにも発想がひど過ぎる。

 私は、こういうことについて、やはり原点である、そもそも事故の調査からやり直しといいますか、私が冒頭に申し上げましたように、三・一一以降だけじゃなしに、三・一一以前の政府や東京電力の不作為の責任というものについてきちんとした調査をやらないと、とてもじゃないがこの電気料金値上げの申請などというものは消費者としては認められない、このことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

中山委員長 次に、中後淳君。

中後委員 新党きづなの中後淳です。

 早速質問させていただきます。

 三月十四日に、この経済産業委員会で私が質問をした項目、観光業への風評被害に対する賠償の対応ということで、東電の賠償について質問したわけですが、それから三カ月ほどが経過しました。おかげさまをもちまして、その当時心配されていたことについては、いろいろと協議がなされる中で改善をされているようでありますので、その点についてはまず感謝を申し上げたいと思います。

 ただ、それについても、まだまだ、エリアの問題であるとか、補償期間の問題であるとか、補償率の問題であるとかというところでなかなか協議が成立しない中で、地元の観光業に携わっている皆さん方は大変苦しい思いをしておりますので、ぜひとももう一段の御尽力をいただきますようにまずお願いをして、答弁を聞きたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘の点については、委員にも大変な御協力をいただきまして、ありがとうございます。引き続き、被災者、被害者の立場に立った賠償が進められるように、経済産業省としても最大限の努力をしてまいりたいと思います。

 東京電力と千葉県の旅館、ホテル業者の皆さんとの協議については、資源エネルギー庁も参加をさせていただいておりまして、間違っても東電側に立っているかのような誤解を受けないように十分注意をさせた上で、問題があれば私のところにも報告させるようにしたいと思います。

中後委員 私はやはり地元の千葉のことを中心に見てしまいますが、恐らくこれは全国共通の流れであると思いますし、業界についても、これは観光業だけではなくて、農林水産分野ですとかいろいろなところで同じような問題があるんだと思います。

 話を聞くと、やはり東京電力側が、小出しに小出しに、ここまでここまでというような条件闘争的な側面が非常に強い中で、被害を受けている方々の方も大分疲れてきているような状況だというふうに伺っておりますので、なぜ補償期間が異なってくるのかとか、なぜ補償率が変わってくるのかという合理的な理由もないままに、補償の額を減らそう減らそうというような思惑が見えるような東京電力の体制については、ぜひ厳しく指導していただきたいなと思っております。

 次に、大飯原発の再稼働の判断のことについて質問したいと思います。

 これも、四月十三日のこの経済産業委員会で、再稼働について大臣はどういう考え方なのかということについて質問しました。そのときの答弁なんですけれども、再稼働ありきという報道は大変残念である、一生懸命再稼働しない理由を見つける努力をやっているところであって、再稼働しない理由はないかということについて一生懸命探しているという枝野大臣からの答弁をいただきました。

 しかし、私は昼一時からの質問だったと思うんですが、その日の夕刻にはもう再稼働の方針を四閣僚会議で決定して、その翌日、地元の福井県の西川知事のところに再稼働の協力を要請しに行っているというような流れを見る中で、私に対する答弁というのは一体何だったんだろうなという気がします。ほんの数時間で、一生懸命再稼働しない理由を見つける努力をやっているんだと言いながら、三時間、四時間後には再稼働の方向にかじを切っている。答弁を聞いた私の率直な気持ちとしては、もっと誠実な答弁ができないのかなという気がしました。

 そのときの流れでは、もうある程度既定路線として決まっているのであれば、一生懸命再稼働しない理由を見つけているんだけれども、今こういう状況にあるというようなことは言っていただけないものかなと。ほんの数時間、まだ一晩をまたぐ前にそういう方針にかじを切るということ、私が一回生ぐらいの身分で言うのも大変失礼なんですけれども、大臣の言葉を信用できないというのは大変な事態だと私は思っております。逆の立場だったら信用に足る答弁だったと言えるのかなと。

 まず、このときの一連のことについて大臣に伺いたいと思います。

枝野国務大臣 確かに、こうしてその部分だけ切り取って読みますと、数時間で見解が変わったのではないかと受け取られかねない発言であったことは、これは間違いないというふうに思っております。

 いずれも、そのときのお尋ねを踏まえて、例えば六月八日の、再稼働を急いでいるわけではないということの発言については、これの後に、昨年の七月からの、急いでいないということでこういうプロセスを踏んできたということを御説明申し上げて、決して急いでやってきたわけではないんだということをお伝えする趣旨であったことは全体を見ていただければ御理解をいただけるのではないかと思っております。

 また、委員に対する四月十三日の答弁についても、まさに再稼働ありきという前提に立たずにやってきて、実際にその日の夕方も、まさに再稼働ありきではない立場から四大臣会合を開いて、そして、そこでの報告や議論を踏まえた中で一定の結論が出たというものでございまして、決してその時点できょうの夕方には四大臣会合で次のステップに進むんだということを決めていたものではありません。

 ただ、御指摘のとおり、どう受け取られるのかということは政治家にとっても大事なことでございますので、そうした点については真摯に反省をしたいというふうに思っております。

中後委員 枝野大臣の考え方全てが通るということでもないと思いますし、それは話し合いの中でいろいろな結論が出てくるんだと思いますけれども、少なくても、原子力行政を今までつかさどってきた経済産業省の大臣がこういうことだと言ったことはある程度やはり私も重い言葉だと思って聞きながら、もう少し時間をかけて検討するのかなと思ったらその日の夕方ということは、やはり残念に思うということはちょっと受けとめていただきたいなと思います。

 また、同じような事例で申しわけないんですけれども、先日の連合審査会のときにも、今大臣が答弁でもおっしゃいましたけれども、七月からずっと議論をしてきて、再稼働については急いでいない、ストレステストをクリアしなければ再稼働しないことを行政指導したんだ、一年近くかけて保安院、安全委がチェックして、新たな知見を加えて安全性を確認したというような答弁をされていました。これは、私たちと同じ新党きづなの斎藤やすのり議員に対しての答弁なんですが、やはりその日の同じ夕方に、野田総理が、夏場の電力需要のピークが近づいて結論を出さなければならない時期が迫りつつあるということで再稼働をしている。

 この急いでいないという言葉だけを切り取ると、また大臣側からもあるかもしれませんけれども、急いでいないということと、総理の、夏場の電力需要のピークが近づいて結論を出さなければならない時期が迫りつつあるというのは、やはりちょっと違うんじゃないのかなという気がします。

 そこで、原子力安全委員会委員長の班目委員長にお聞きしますけれども、審査会でも同じような質問があったと思うんですが、原子力安全委員会としては、ストレステストというのは一次テストと二次テストでパッケージだ、二次評価までやるべきだったという見解だったと思いますけれども、そのことについてまず確認と、なぜ二次テストまでやるべきだという安全委員会の見解なのかということについて、改めてお聞かせいただければと思います。

班目参考人 原子力施設の安全性というのは総合的に評価すべきものというふうに考えております。したがいまして、昨年の七月六日だったと思いますけれども、ぜひ、総合的安全評価の実施というのをしてくださいと経産大臣宛てに要請したところでございます。その後、一次評価と二次評価に分けて実施するという計画が原子力安全・保安院から示されたわけでございますが、その計画自体は了承してございます。しかしながら、やはり総合的安全評価は一次評価と二次評価とパッケージだというふうなのが原子力安全委員会の考え方でございます。

中後委員 そうすると、少なくとも、原子力安全委員会としてパッケージでチェックをすべきだということについて、それをのみ込まずに一次評価だけで再稼働にかじを切るというのは、これは急いでいないということとどうも整合性がとれていないような気がして仕方ないんですけれども、大臣に見解を伺います。

枝野国務大臣 今問題の、私の急いでいないという発言の連合審査のときの答弁でも申し上げましたとおり、昨年、これは玄海原発が再稼働を正式決定する直前のところまで一度いきました。しかし、あれだけの大きな事故を受けて、もちろん、緊急対策などはその時点でも玄海原発は行っていたわけでありますが、しかし、それでも、より丁寧なチェック、確認が必要ではないだろうかということで、これは率直に言って、法令上の根拠は行政指導権しかありませんが、その行政指導権に基づいて、玄海原発もそうですし、日本じゅうの全ての原子力発電所について一応、検査においては安全性が確認されるけれども、念には念を入れて、もちろん、最終的には総合評価としての二次ストレステストもやっていただくが、再稼働の前提としても一次評価までは必ずやってほしいということを決め、なおかつ、そのストレステストに対する審査も、実は、これはメディアなどは、昨年の年内にも終わるんじゃないかとか、三月一日までには終わらせるのではないかとか、いろいろな報道がございましたが、絶対に結論の時期ありきではだめだということで、慎重なプロセスをとって、そして、一次ストレステストについての外部の方も含めたチェック、確認のプロセスをとってきたという意味では、急いだというつもりはございません。

 むしろ、本来であれば、昨年の七月以降、現在の法制度のもとであれば、三・一一を受けた緊急対策を実施させても法制上は動く状況になっていたものをとめながら丁寧に進めてきたつもりでございます。

中後委員 今の大臣の答弁もそうなんですけれども、そもそも、二次テストまでやらないということ、一次テストで切り分けてそこで判断をするということそのものについても、これは私の私見になるかもしれませんけれども、やはり夏場の電力需給とかということを踏まえて、ここまでで何とかということだと思えば、それならば、そういう説明があればまた質問の仕方だったりとかということもいろいろ変わってくると思うんですけれども、そうではなくて、それでもあくまでも慎重なんだというところの姿勢を見ていると、原発事故が起こる前の安全神話のときと余り体制とか体質とかということが変わっていないのかなというふうに私は思ってしまうんです。

 ですから、安全だという言葉を表に出すのであれば、少なくても安全委員会の言っているパッケージというのを崩す理由とかということについて誠実にお答えいただかないと、私たちも、何かただ平行線で議論をしているだけみたいになってしまって、実のある議論にならないような気がしますので、ぜひともその点について大臣から見解を伺います。

枝野国務大臣 この夏の電力需給の厳しい時期を前にして、一年かけてきたさまざまなプロセスと地元自治体を初めとする理解を得るプロセスの最終段階に来たというのは、これはたまたまでございます。

 昨年の七月にこのプロセスは決めました。昨年の七月にこのプロセスを決めたということは、昨年の夏、もちろん原発ゼロではありませんでしたが、再稼働しないのが、当初の、普通の、十三カ月後の定期検査後にストレステスト等をやらなければあくという前提であったことを考えれば、電力供給が大きく下がるということを前提にしていましたし、いや、こういうプロセスを踏むと、冬場の需給の逼迫する時期までに間に合うのかどうか、来年の夏、つまりことしの夏ですが、夏までに間に合うのかどうかといったことなどは、全く見通しが立たないままに率直に言ってやりました。それよりも、丁寧な手続をとるべきだと。

 今の時点で見ると、まさにこの夏の逼迫時期の直前のところにいろいろな手続がたまたま来ているので、そのためにやっているんではないかという印象をお与えするかもしれませんが、このプロセス自体を決めたのは昨年の七月であるということは御理解をいただければというふうに思っております。

 また、安全委員会のお立場として、立場上、当然のこととして踏み込んだこと、つまり、再稼働についての権限をお持ちじゃありませんから、でありますが、我々がこういうプロセスで進めるということは御報告を受けているということは、班目委員長もおっしゃっているとおりでございます。

中後委員 どこまで聞いても、安全委員会が原発の安全性は総合的なパッケージだと言っていることと、今回の判断の説明の合理性がやはり見出せないなというのが私の正直な感想です。

 私は、もともと工学系の元プラントエンジニアで、工場をつくる仕事をしていたわけですが、ほかの工場の事故等と違って、原発の事故というのは、やはり二度と起こしてはならないという立場ではなくて、一度でも起こしてはいけなかったという事故だったと思うんですね。

 というのは、やはりこれはリスクがどこまで広がるかわからない。今回の福島は、何とか本当に現場の努力で今の小康状態を保っているということですけれども、あれだって、あそこでとまったという保証は全くありません。どこまで広がったかわからない。リスクは本当に無限大に広がっていく。時間的にも、コスト的にもです。

 ですから、安全がちょっとでも脅かされるのであればリスクが発散する、そういうほかのプラントとは違う大きな特徴がある設備だと思います。であるからこそ、安全神話ではなくて、こういう危険があるという方向の稼働に対する指針を示して、こういうリスクがあるときにはこういうことが起きます、こういうことが起きるかもしれませんけれども、皆さん、電力の需給のためには、何とかこれを抑えますので、その辺は覚悟しながら進めさせてくださいと言うのが、私は誠実な説明の仕方ではないのかなというふうに思っております。

 今の大飯原発についても、東日本大震災並みの地震と津波には耐えられると言っていますけれども、リスクはそれだけじゃありません。福島事故前の安全神話と何が変わったのかなという気がしていますし、何を学んだのかなという気がしております。同じ震災が来ても大丈夫なように安全率を引き上げても、本質的な問題の解決にはならないんだと思っています。ほかの人為的なリスクに対してもそうだし、ほかのリスクについても、いろいろなリスクがありますから、その点についても、こういうリスクがありますと開示をする、その場合にはこういう対策がとれますけれども、地元の皆さんには、もしかしたら、万々が一、こうこうこういう事態になるかもしれません、それでもちょっと動かさせてくださいというようなスタンスに立つべきなんじゃないか、でなければ、安全神話から抜け出すことはできないんじゃないかなと私は思っていますが、御意見を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、原子力発電所の場合は、事故が起こった場合に、まさに無限に発散をする、そういう性質を持っている、そういった意味では、他の安全を確保しなきゃならないさまざまな施設設備とは本質的に異なる、私も全く同じ認識でございます。

 そして、人間のやることに絶対はないと国会でも何度も私申し上げてきたところでございまして、従来、あるときに何か安全を判断すると、これで絶対安全だという前提で全ての物事を動かしてきたと受け取られても仕方がなかった、この安全神話から脱却をしなきゃならないと思っております。そうした意味では、絶対安全と言うつもりはありません。リスクはある。これは残念ながら、人間がやる以上、ゼロにはできません。

 ただ、抽象的なリスクはありますが、具体的にこういうリスクがあるという、具体的なリスクが見えたら、その具体的なリスクは必ず潰す。まさに三・一一を受けて、地震や津波について従来の見通しが間違えていた、その間違えていたものに対応しなきゃならない、それから全ての電源が喪失するということに対する具体的リスクがあったにもかかわらずそれに対応してこなかったなど、三・一一で明らかになった具体的リスクについてはきちっと潰したというふうに、専門家の皆さん含めて、今回対応がなされているという評価をいたしております。

 ただ、その上でも、まさに具体的ではないけれども抽象的なリスクが存在するということは、これは率直に認めた上で、再稼働をお願いしているつもりでおります。

中後委員 今の答弁を信用したいところですけれども、やはり安全委員会の二次評価までというところ等を踏まえても、まだそこまで踏み込めないで再稼働にかじを切るというところを見ていて、やはり安全神話に乗っかっているのかなという気がします。

 そういうことも含めて、私は、再稼働ということよりも、先ほど山内委員も言っていましたが、バックエンド側の使用済み核燃料、今、日本じゅうにたくさんある使用済み核燃料をどうするのか、廃炉になった原子炉をどうするのか、その廃炉の過程、また、そのほか、放射性廃棄物をどうするのかというところ、これはいろいろな意味で可能性を広げる、必要は発明の母ですから、いろいろな意味で産業的にも大きな可能性を開くきっかけにもなると思います。

 今まで、アメリカなんかでは軍事関係でいろいろな技術関係が広がってきました。電子レンジなんかもそうですし、パソコンもカーナビもGPSもインターネットも大体軍事的なところから来ましたけれども、原子力の、廃炉にするというのは大変厳しい過酷な作業で、大きな技術革新、ほかの一般のところにも広げられるような何か革新的な技術が開発される可能性もあるわけですから、その後ろ側についてもっと力を入れていただきたいし、その点について、新しいエネルギー基本計画等についても質問したかったんですが、時間が参りましたので、残余の質問についてはまたの機会があればということにさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

     ――――◇―――――

中山委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、参議院送付、中小企業の海外における商品の需要の開拓の促進等のための中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。枝野経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 中小企業の海外における商品の需要の開拓の促進等のための中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

枝野国務大臣 中小企業の海外における商品の需要の開拓の促進等のための中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 現在、内需の減退、震災の影響や未曽有の円高等、我が国中小企業をめぐる経済環境が大きく変化しております。こうした中、中小企業が新たな事業活動を行う際に直面する経営課題は、一層多様化、複雑化しております。これらの課題に対応しつつ、中小企業が新たな事業活動に取り組むためには、事業計画の策定等の支援を効果的に行うための体制の整備が必要です。また、海外展開を指向する中小企業が増加する中で、その海外子会社の現地での資金調達を支援する必要が生じております。

 こうした状況を踏まえ、新たな事業活動を行おうとする中小企業の支援の担い手を多様化、活性化するための措置を講ずるとともに、国内の事業基盤の維持にも配慮しつつ、我が国中小企業が培ってきたものづくり技術や日本独自の知恵、わざ、感性を生かした海外での事業活動を支援するための措置を講ずることにより、我が国中小企業の経営力の強化を図ることが必要であります。

 このため、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律、中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律を改正する本法律案を提出いたしました。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備します。新たな事業活動を行う中小企業の支援業務を行う者を認定するとともに、独立行政法人中小企業基盤整備機構からの専門家派遣による協力などを通じ、中小企業の経営力の強化を図ります。

 第二に、中小企業の海外事業活動に伴う資金調達を支援します。中小企業の海外での事業活動を円滑化するため、株式会社日本政策金融公庫の債務保証業務や独立行政法人日本貿易保険の保険業務等を通じ、中小企業の海外子会社の資金調達の円滑化を図ります。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.