衆議院

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第11号 平成24年7月27日(金曜日)

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平成二十四年七月二十七日(金曜日)

    午前八時四十分開議

 出席委員

   委員長 中山 義活君

   理事 石関 貴史君 理事 川口  博君

   理事 近藤 洋介君 理事 田嶋  要君

   理事 梶山 弘志君 理事 菅原 一秀君

   理事 高松 和夫君 理事 佐藤 茂樹君

      井戸まさえ君    小原  舞君

      大西 健介君    大西 孝典君

      大畠 章宏君    北神 圭朗君

      櫛渕 万里君    小林 興起君

      斉木 武志君    柴橋 正直君

      高野  守君    中根 康浩君

      花咲 宏基君    浜本  宏君

      藤田 大助君    牧野 聖修君

      松岡 広隆君    山崎  誠君

      山本 剛正君    和嶋 未希君

      近藤三津枝君    高市 早苗君

      橘 慶一郎君    谷畑  孝君

      西野あきら君    額賀福志郎君

      松浪 健太君   木村たけつか君

      中後  淳君    江田 康幸君

      吉井 英勝君    山内 康一君

      平山 泰朗君    園田 博之君

      平  智之君

    …………………………………

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   経済産業副大臣      牧野 聖修君

   経済産業大臣政務官    中根 康浩君

   経済産業大臣政務官    北神 圭朗君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 平嶋 彰英君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 五嶋 賢二君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 星野 次彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 高原 一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        安藤 久佳君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十七日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     浜本  宏君

  大西 健介君     大西 孝典君

  北神 圭朗君     小原  舞君

  山本 剛正君     和嶋 未希君

  西村 康稔君     松浪 健太君

同日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     北神 圭朗君

  大西 孝典君     大西 健介君

  浜本  宏君     井戸まさえ君

  和嶋 未希君     山本 剛正君

  松浪 健太君     西村 康稔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害時における石油の供給不足への対処等のための石油の備蓄の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二七号)


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、災害時における石油の供給不足への対処等のための石油の備蓄の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官平嶋彰英君、外務省大臣官房審議官五嶋賢二君、財務省大臣官房審議官星野次彦君、資源エネルギー庁長官高原一郎君及び資源エネルギー庁資源・燃料部長安藤久佳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤三津枝君。

近藤(三)委員 自由民主党の衆議院議員近藤三津枝です。

 本日は、災害時石油備蓄法案について、自民党を代表して質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 三月十一日、春の遠い東北です、暖をとるための灯油が被災地に届かず、被災者の方々は大変な御苦労をされました。そして、被災地のサービスステーションにガソリンや灯油、石油の給油を求める長蛇の車列の映像が、私たちの脳裏にこびりついています。

 現行の石油備蓄法は、一九七三年十月の第四次中東戦争の勃発による第一次オイルショック、そして一九七八年のイラン政変を契機とした第二次オイルショックの二度の経験をもとに、海外からの供給が不足した場合に備えて、原油を中心とした国家備蓄を目的として制定されました。

 震災当時、石油については、国家備蓄量が九十五日分、民間備蓄が七十四日分ありました。東日本大震災では、津波などにより製油所なども被災し、稼働できなくなりました。しかし、政府は、災害対策基本法第百五条に基づく災害緊急事態の布告をしませんでした。そして、政府は、現行の石油備蓄法では災害に際しては国家備蓄を放出できないとして九十五日分の国家備蓄を取り崩さなかったので、対応が後手後手となりました。

 その結果、災害発生から十日もたった三月二十一日になって、現行の石油備蓄法に基づき、初めて民間備蓄の二十二日分が放出されました。これは、民間企業から民間備蓄の取り崩しの申し出が相次ぐ中、ようやく災害発生による需要の増大に対応した格好になってしまったということです。

 このように、政府は被災直後に石油製品の国家備蓄を放出できずに、被災地の東北地方を中心に、ガソリン、灯油などの石油製品の不足に拍車をかける結果となったわけです。

 被災地の石油供給の混乱がおさまるまでに、三月十一日から一カ月もかかりました。今回の法改正はこれを教訓とし、災害時に特定の地域が石油の供給不足に陥った場合にも対処することを目的としていると理解しています。災害時にも民間企業と連携して、石油基準備蓄量を放出し、被災地などへの石油製品の供給不足に対応しようとするのがこの改正案のポイントと考えます。

 そこで、具体的に改正案の内容などについて質問してまいります。

 改正案の第一条の「目的」に、新たに次のような文言が追加されています。すなわち、「我が国における災害の発生により国内の特定の地域への石油の供給が不足する事態」が生じた場合において石油の安定的な供給を確保することが「目的」に追加されています。それでは、「災害の発生により国内の特定の地域への石油の供給が不足する事態」とは具体的にどのような事態を指すのか、お答えください。また、その内容を、政令、そしてガイドラインなどで定めることを考えているのか、お答えください。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 改正案の第一条の「目的」にございます「災害の発生により国内の特定の地域への石油の供給が不足する事態」といいますのは、まさに、さきの東日本大震災のように、国内の広範な地域におきまして、石油の貯蔵施設ですとか、あるいはタンクローリーなどの損壊でございますとか滅失によりまして、個々の石油会社による会社ごとの通常どおりの石油供給が困難となって、被災地から政府に対して石油の供給要請が殺到するなど、石油会社が協力して対処する必要が生じるような事態を想定いたしております。

 ただ、他方で、このような形で石油の供給が不足する事態は、その範囲ですとか規模あるいは原因、これはさまざまであるというふうに考えられます。したがいまして、発生をいたしました災害の状況に応じまして、本法に基づく措置をむしろ柔軟に発動できるようにするために、あえて政令などで対象となる事態を限定するということは考えておりません。

 以上でございます。

近藤(三)委員 今の御答弁は、災害の発生で石油の貯蔵施設やタンクローリーなどが損傷を受け、石油会社による通常の供給が困難となり、石油が供給不足になった場合にこの法案を発動する、そして、どのような事態がこれに該当するかはガイドラインなどで定めないとのお答えでした。柔軟に対応するというお答えでした。

 しかし、石油やガソリンというのは、一日たりとも欠乏しますと、寒冷地などでは人命にかかわる事態にもなりかねません。石油製品が足りなくなった事態を政府が確認してからこの法律の適用を考えるようでは、迅速な対応ができません。

 つまり、災害の状況により、ケース・バイ・ケースでこの法案の発動を考えるようでは、初動の判断がおくれるのではないかと考えます。事前に定めたある一定以上の災害が発生したとみなされたら、即この法案が発動できるように、ガイドラインを定めておく必要があるのではないかと思います。このことを指摘させていただきます。

 現在の国家備蓄は原油がほとんどで、石油製品は〇・三%ぐらいにとどまっています。このため、災害時など、緊急に国家備蓄である原油を放出しましても、石油精製などに時間がかかってしまい、被災地に輸送するのに時間をかけてしまいます。

 今回の災害を教訓として、このタイムラグをなくすために、被災地ですぐに使えるガソリン、灯油などの石油製品を供給できるよう、原油の備蓄割合を減らし、石油製品の国家備蓄を増加させる必要があると考えます。

 今回の法改正を契機として、政府は、国家備蓄のうち石油製品の備蓄をどの程度ふやす考えなのか、枝野大臣、お答えください。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 製品備蓄の重要性は、今先生の御指摘のとおりでございます。

 今回、製品の国家備蓄といたしまして、新たに大幅な積み増しを行いたいと思っておりますけれども、その対象の油種といたしまして、ガソリン、灯油、軽油及びA重油を想定させていただいております。産業界も一部ございますけれども、非常に民生に関係のある油種を選ばせていただいております。

 備蓄の今後の目安でございますけれども、東北の大震災のときの状況等々も勘案いたしまして、まずは数日分、具体的に申し上げますと四日分程度を、既存のタンクの最大限の有効活用ということで、極力早期に確保させていただきたいというふうに思っております。

 これをさらに今後拡充するという場合には、民間の今の既存のタンク以上の新設が必要となってまいります。こういったようなことの実態及び予算上の制約等々も考えながら、私どもといたしましては、最大限、製品備蓄の増強を今後検討させていただきたいということで考えさせていただいております。

近藤(三)委員 東日本大震災のような大規模災害では、今の数日分の灯油、ガソリン、軽油などの備蓄ではとても対応できないかもしれません。もちろん、民間備蓄との二人三脚で対応することも必要だと考えますが、国家として、災害などの緊急時においても国民のエネルギーをしっかりと供給するという姿勢を明らかにするための石油製品の必要備蓄量はどれほどなのか、引き続き検討していただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 国家備蓄のうち、原油主体から石油製品の備蓄量をふやしていく方針はわかりました。国家備蓄のうち、原油は長い期間備蓄しても品質が劣化しにくいと考えます。しかし、ガソリンや灯油などの石油製品は、時間の経過とともに空気に触れることになりますので、酸化による品質の劣化が懸念されます。国家備蓄に石油製品を多く保持し過ぎると、このような品質の問題が生じるのではないでしょうか。また、石油製品の国家備蓄については、ある一定の期間で放出し新たな製品を購入する、このようなシステムになっているのかどうか、お答えください。

北神大臣政務官 委員御指摘のとおり、石油製品は、重油と違って、時間とともに品質とか規格が劣化することもありますし、天気によっても、季節によっても変わっていく。

 したがって、品質、規格を維持するために対策をとらないといけないということで、今回の法案においては、国家備蓄の部分を民間の石油会社に委託管理するということで、民間の持っているタンク内の石油製品の在庫と国家備蓄分というものを混合して運用するということになっています。

 これによって、当然、国家備蓄の量の部分はちゃんと保障しながら、民間の企業のタンクと一緒ですから、その中で入荷、出荷ということで、新しいものがどんどん入れかわっていくことによって品質と規格というものをしっかり維持していきたいというふうに思っています。

近藤(三)委員 ありがとうございました。

 今回の法改正により、異なる石油会社が共同して石油を供給するための体制を地域ごとに定める災害時石油供給連携計画を策定することになります。そして、国家備蓄量も石油製品の割合がふえ、民間備蓄の放出も経済産業大臣の判断でできるようになります。このような対応により、いざというとき、すなわち、災害発生などの有事に実力が発揮されることを期待しております。

 本法案の制定によって、東日本大震災の対応実態の問題がどの程度解消され、被災地のほかの地域から被災地への石油製品の供給は時間的に、量的にどの程度改善される可能性があるのか、その効果を具体的にお答えください。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災の発生時は、当時、いわゆる行政指導で、複数の石油会社共同での油槽所の利用などということを含む共同体制を構築したわけでございますけれども、確かにこれは御指摘のとおり、時間がかかりました。

 今般の法改正は、あらかじめ共同で災害時石油供給連携計画を策定するということでございますので、こうした手当てによりまして、今後大きな災害が起こった場合には、直ちに石油会社の間での共同での対応が開始できるというふうに考えております。冒頭の委員の御質問にありましたとおり、間髪を置かずこれが発動できるように、体制をしっかりつくりたいというふうに思っております。

 また、製品備蓄、先ほど部長からもお答え申し上げましたけれども、今回、四日分程度の製品備蓄を置くことにしておりますので、域外からの供給が途絶えたといたしましても、域内に備蓄があるという形ですぐ利用できるということになりますので、その分が量的な供給の改善に直ちにつながるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、迅速な対応をするように体制をしっかりと整えさせていただきたいと思っております。

 以上でございます。

近藤(三)委員 今回の東日本大震災のときはかなり製品が不足しましたけれども、それはサプライチェーンの寸断ということが大きな要因だったかと思います。今後、いろいろなケースをシミュレーションしていただかないと、いざというときに、被災地への石油製品の供給に、今、時間のことは言っていただきましたが、どれくらいの量をどれくらいの時間で供給できるのか、この点についてはよくよく検討し、シミュレーションを繰り返していただく、慎重に検討していただく、これは戦略だと思っていただいて、ぜひ慎重に練っていただきたいと思います。

 東日本大震災では、被災地の約四割のガソリンスタンドのサービスステーションが被災し、営業不能の状態になりました。すなわち、稼働できるサービスステーションは六割になってしまったということです。特に、岩手、宮城、福島の被災三県は、従業員の被災などで人員が確保できないサービスステーションもあり、営業率が地震直後に五〇%台に急落したというふうに聞いています。

 さらに、その後、被災地に十分なガソリンなどが供給されませんでしたから、瞬く間に品切れになり、被災後六日目、三月十七日には、営業しているサービスステーションは四〇%台まで落ち込みました。当時の報道で、被災地のサービスステーションに給油を求める長蛇の車列の映像が頻繁に伝えられました。

 今回の本法案では、この教訓をもとに、ガソリンスタンドなどの石油販売業者はあらかじめ給油設備の規模を経済産業大臣に届け出することを義務づけることにしています。必要なところに必要な量のガソリン、灯油を供給できなかったことを教訓として設けられた届け出義務の条文と考えます。

 そこで、伺います。

 災害時にも備えた石油備蓄法の第二十七条第一項第五号は、次のような条文です。読み上げます。

 自動車に直接給油する事業を行う営業所のうち、給油設備の規模が一定規模以上であることその他の経済産業省令で定める要件に該当するものについては、給油設備の規模を経済産業大臣に届けなければならない、このような新たな届け出義務が課せられています。つまり、法案の成立後策定される経済産業省令の要件を満たすサービスステーションには給油設備の規模の届け出を義務づけるということです。

 それでは、具体的にどのようなサービスステーションを届け出義務の要件とするんでしょうか。また、届け出に当たっての給油設備の規模とは具体的にどのようなことを指すのか、お答えください。また、現在約三万八千あると言われるサービスステーションのうち、政府の基準によりますと、届け出対象となるSS、サービスステーションはどの程度になるのか、お答えください。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 一定規模以上ということでございますけれども、これは先生御案内のとおり、地域によりまして、ガソリンスタンドのそれぞれの経営状況あるいは規模の状況というのはかなり差があるということでございますので、かなり地域に即した形で弾力的に運用させていただきたいと思っております。

 例えば、レギュラーガソリンあるいはハイオクということの種別に応じましてタンクの容量を決めさせていただきたいと思っております。例えば、ガソリンで申し上げますと、タンク容量が三十キロリットルというのを一つの目安にさせていただいております。

 また、給油レーンと言っておりますけれども、何台給油をさせていただく設備があるかということでございますが、これも大変大事な設備要件だと思っております。例えば、四レーンとか三レーンといったような、それなりの給油のレーンを持っておるところというのを規模の要件とさせていただきたいと思っております。

 また、あわせまして、立地の状況というのも大変大切な要因だと思わせていただいております。例えば、高速道路のサービスエリアの近辺にあるとか、あるいは警察、消防署といったような重要施設の近くにあるところ、こういったところを要件とさせていただきたいと思っております。

 また、数でございますけれども、総数、今先生御指摘のとおり、三万八千軒を切る状況になりました。かつて六万軒あったものから三万七千軒台になったということで、これ自体、また大変な難しい問題でございますけれども、今回届け出の対象とさせていただきますSSにつきましては、平均いたしますと、各県で大体四十から五十カ所程度を想定させていただいております。したがいまして、全国で二千から二千五百カ所程度ということでございます。三万八千弱のうち二千から二千五百カ所程度を中核SSとして想定させていただいておる状況でございます。

近藤(三)委員 ありがとうございました。

 第二十七条第一項第五号の届け出義務を課すサービスステーションは、今のお答えですと、各県四十から五十カ所程度、全国で二千から二千五百カ所程度を想定しているということです。

 実際に、二千から二千五百カ所の給油所の指定をする場合、どのような手続をとるのか教えてください。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 今申し上げました設備要件、立地要件、これは物理的な特性でございますので、これにつきましては、現実問題、各経済産業局を通じまして、私どもの方で要件に該当するかどうかということをきっちりと拝見させていただきたいと思っております。

 また、先ほど来申し上げておりますように、やはり各地域の実情をよく考えさせていただくということは大変大事だというふうに思わせていただいております。したがいまして、地域の石油商業組合の皆様方、あるいは、先ほど申し上げましたような緊急施設がございますので、各自治体の皆様方の御意見、こういったものを十分聞かせていただきながら総合的に判断をさせていただきたい、かように考えております。

近藤(三)委員 全国三万八千のガソリンスタンドのうち、全国二千から二千五百を届け出義務のある給油所としていこうということです。全体の六%、十五カ所に一つくらいの割合になるということです。御答弁にあったように、設備条件、立地条件、災害時の協力体制がどうなっているかが重要であると私も思いますし、十五の給油所のうち一つが指定されるというこの割合が適当であるのかどうか、今後もぜひ検討をしていただきたいと思います。

 このような数の給油所、ガソリンスタンドに石油備蓄法の第二十七条第一項第五号の届け出義務制度を導入することによりどのような効果が具体的に期待されるのか、お答えください。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 東日本大震災の際には、先ほど先生御指摘のとおり、大変な混乱が生じたわけでございますけれども、まず、石油タンクの在庫量が把握できなかったということでございました。一体どこにどの程度の製品があるのかということを、大変申しわけございません、私どももその都度その都度把握することができなかったわけでございまして、これを大変大きな教訓にさせていただいております。その結果、どこに給油を優先的に行うのかということについてのある種の見立てができなかったということでございます。

 今回、今先生まさに御指摘がありましたように、こういったSSに対しまして届け出をしていただくということで、まず、タンクの容量といったものについて、あるいは在庫量といったものについてできるだけ迅速に把握できることが大変期待をされるわけでございます。

 また、さまざまな形での連絡先についてもこの中で整備をさせていただきたいということでございます。大震災が起きまして、経営者の皆様方、従業員の皆様方も、まさに御自身の身を守るためということで大変な御苦労をいただきました。そういった場合にも、いかに連絡を最低限つけていただけるのかといったような、ある種の連絡網といったようなものも整備をさせていただきたいと思っております。

 こういったことによりまして、被害状況、在庫量を極力迅速に把握させていただきまして、どこにどれだけの製品をまさに優先的に供給させていただくのか、こういったことについて、東日本大震災の際の混乱のようなことが極力起きないように、最大限努力をさせていただきたいと思っております。

近藤(三)委員 私たちは、東日本大震災を経験し、改めて災害時のサービスステーションの重要性を認識しました。日本列島のどこで、いつ起こるかわからない地震などの災害です。これに備えて、耐震性の強化など、いかに災害に強いサービスステーションとしていくかが国策として必要であると考えます。

 先ほど来質問していますサービスステーションの届け出義務を課すことで、素早く石油製品を供給する拠点を選定する、これも大変重要なことですが、これだけでは十分と言えないのではないかと考えています。ガソリンスタンドなどのサービスステーションは、まさに災害時の大事なライフラインのステーションであり、国民の生活に欠かすことができないインフラだとしていくべきだと思います。災害情報を提供し、トイレ、水なども供給し、人々の助け合いの拠点としての機能を備えることが重要です。

 政府は、届け出義務のある拠点性の高いサービスステーションについては、災害に備えて機能強化を後押ししていくべきだと私は考えています。ガソリンスタンドの耐震診断などに助成措置を講じ、耐震性の向上を促していくことが重要であると考えますが、この面での政府の取り組みと今後の対応について、経済産業大臣の見解を求めます。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、大きな災害のときにはサービスステーションの役割は大変重要でございます。東日本大震災の折にも、ガソリンが足りなくて並ばれた方も大変だったと思いますが、御自身も被災をされている中で、過酷な環境で必死の給油活動に当たられた被災地のサービスステーションの皆さんには本当に頭の下がる思いでございます。

 したがって、経済産業省としても、自家発電設備であるとか地下タンクの増強等に対して既に補助事業を始めております。昨年の三次補正で四十億、それからことしの当初予算で五十七億円弱。被災地のバックアップ地域や、それから東海地域、リスクの高い地域から優先的に順次進めさせていただいているところでございまして、これに加えて、情報通信機器と情報のネットワークを強化するなどというハード面の対応強化を進めております。

 また同時に、これはハードだけではなくて、災害時における行動計画の作成や必要なノウハウを学ぶための研修、訓練も重要でございまして、こうしたソフト面もあわせて支援をしてきているところでございますし、さらにこれを強化してまいりたいと思います。

 今御質問の中で、それに加えてトイレであるとか水であるとか、ここまでは今、経済産業省として直接できておりませんが、これについては、防災担当大臣などとも今後相談をしていきたいというふうに思っております。

近藤(三)委員 今の大臣の御答弁、私も本当にそうだと思っております。

 サービスステーションの届け出義務制度をつくる、これは大切なことだと思うんですが、サービスステーションに対するインセンティブ政策、これをいかに設けるかということも、地域の防災力の強化に欠かせないサービスステーションとしていくには大変大切なことではないかと考えています。届け出義務を課すのですから、それに見合う機能強化に対する国の政策がきっちり用意されるべきではないかと考えています。

 届けによりまして、災害時などに供給するべきサービスステーションの設備などの情報をあらかじめ知り、円滑に石油製品を供給していく、これだけでは多くの政策効果は期待できないと考えます。先ほど大臣がおっしゃったように、自家発電の確保、停電に強いスタンドにしていくということも大切です。とにかく、地域の拠点となるサービスステーションであるという機能をもっともっと充実していくことが必要なのではないかと思います。

 耐震性の強化を積極的に行う、それから、情報網というお話が出ましたが、優先電話の設置、これも必要なのではないかと思います。災害時に公衆電話の増設が可能となるような施設を施しておく。災害時の情報拠点としていく措置は、もう幾つか考えられるのではないかと思います。そしてもう一つ、災害時の備蓄品を格納する倉庫を設置する。このような耐震化、災害時の情報化、備蓄品の確保など、こういうものが何拍子もそろいますと、まさに地域の防災ステーションとしての機能を充実させることができるのではないかと思います。

 これに対し、国はしっかりと助成をしていく、このようなインセンティブを届け出義務のある給油所に与えていく政策が必要であると考えますが、経済産業大臣の見解をもう一度お聞きします。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、地域の防災拠点、一般的には学校施設などが中心となっていますが、今回の東日本大震災の教訓を踏まえると、そうした公的機関だけではなかなか十分ではない、量的に不足をする、あるいは配置的に不足をするという側面があったのは私も認識をしているところでございます。

 都市部においては、コンビニエンスストアなどにいろいろな形で御協力をいただくといった考え方が出てきておりますが、やはり地方に行くとなかなかコンビニエンスストアも数が少ない。そうすると、確かに御指摘のとおり、いずれにしろ、石油関連製品という、災害時にもサプライチェーンをしっかりと確保しなきゃならない、この拠点となるべきSSというのは一つの視点だというふうに思います。

 防災の全体の計画の中においてそうした視点を取り入れてやっていけないかどうか、防災部局の方とも今の御質問を踏まえてしっかりと相談をしてまいりたいと思います。

近藤(三)委員 枝野経済産業大臣、ぜひよろしくお願いします。

 さて、被災地に当時配備されていた約五百五十台のタンクローリーのうち、およそ三割の約百五十台が被災したと聞いています。津波にのみ込まれたタンクローリーが浮遊する映像、記憶に刻まれています。震災により、被災地で動けるタンクローリーは四百台になってしまいました。災害直後は、この四百台のタンクローリーが、渋滞の中、懸命に被災地にガソリンなどの石油製品を供給しようとしました。

 このように、ガソリンなどの石油製品を輸送する手段が不足したことが被災地への供給不足に拍車をかけたと言えます。災害発生時に、即座に全国のタンクローリーを被災地に派遣できる体制をとれるようにすることが石油製品のサプライチェーンの維持のかなめだと考えます。

 今回の法改正により、石油製品の輸送体制はどのように強化されるのか、経済産業省の見解をお聞かせください。

北神大臣政務官 今御指摘のとおり、輸送力の強化というものが災害時には非常に重要だというふうに思っていまして、去年の教訓として、地域外からも石油製品を投入しないといけないにもかかわらず、今まで供給網は大体系列ごとにやっていましたので、なかなか石油会社同士の共同体制ができていなかったということでございます。

 したがって、今回は、この法案で、平時においてもあらかじめ共同体制というものをつくることが重要だというふうに思っていまして、災害時石油供給連携計画というものを会社に義務づけるということになっています。

 この中には、複数の石油会社による石油の輸送に係る協力に関する事項を記載することとなっていまして、具体的には、今おっしゃったタンクローリーの融通とかあるいは被災地域外からの追加の投入、また、石油製品の出荷拠点となる製油所の製品タンクとかあるいは油槽所への船による石油製品の共同での補充方法、こういったものを記載いただくことを想定しております。

 こういうことによって、個々の石油会社の輸送手段、タンクローリーとかが被災したときにお互い協力し合って輸送力を強化して、これはあらかじめ平時において計画に定めておく、災害時においては、これを実行して輸送体制の強化を図るということになっております。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 今言われたように、今回の石油備蓄法の改正案、第十三条第五項第三号に、当該特定石油精製業者等による石油の輸送に係る協力に関する事項を定めるとあります。ここが本当にポイントだと思います。

 本法案の具体的な運用に当たり、石油関係各社が協力して被災地への石油製品の輸送が実行できますよう対応をお願いし、次の質問に移らせていただきます。

 では、次は、このパネルをごらんいただきます。

 我が国の国家備蓄基地は、苫小牧東部の備蓄基地など、黄色で示した十カ所あります。その備蓄量は、三千四百四十四万キロリットルです。また、民間企業の保有するタンクを借り上げているのがブルーの十六カ所で、タンクによる国家備蓄は十六カ所、千五百六十八万キロリットルです。これら黄色とブルーを合わせて二十六カ所の備蓄は、全て沿岸部に立地しています。

 このうち、東日本大震災の影響により、福島県の三菱商事小名浜石油、そして茨城県の鹿島石油から国が借り上げていたタンクが、不等沈下による傾斜、タンクルーフの歪曲などの損傷を受けたそうです。そして、損傷を受けたタンクの原油は、ほかの基地に移転させるなどの対応がとられたということです。

 今回の大津波、沿岸部の液状化を教訓としますと、備蓄基地を沿岸部だけに立地させる、これでよいのでしょうか。内陸部に地震の影響を受けにくい地下貯蔵庫なども整備するべきと私は考えますが、この考えに対して、枝野経済産業大臣、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 確かに、今回は津波の影響が大変大きかったということでありますので、津波のリスクのないところにも分散をするべきではないかというのは一つの視点だろうというふうに思います。

 ただ、これから何に備えなければならないのか。大きな津波もリスクでしょうし、一方では、では内陸部には災害がないかといえば、もちろん地震そのものであったりとかさまざまな可能性がございます。

 もう一つ、やはり石油の備蓄ということであれば、日本の石油はほぼ一〇〇%近く海外から船で運ばれてくるという構造でございますので、そのことを考えると、どうしても備蓄の拠点が沿岸になるということはある意味では避けられないのではないか。

 ただ、その際も、大きな津波の場合であっても全てが影響を受けないように、海岸部の中でもいろいろと分散をする、あるいはそれぞれについての津波対策について強化をするといった形が、コストとリスクを総合的に判断した上では妥当ではないかというふうには考えます。

 一方で、内陸部に部分的にはあってもいいんじゃないかという御指摘は、今後の検討課題かなというふうに思います。

近藤(三)委員 ぜひ検討課題としてお考えいただきたいと思います。

 次に、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法の一部改正によるJOGMECの業務の追加について質問します。

 昨年、鹿児島湾で水深二百メートル前後の箇所で、レアメタルであるアンチモンを含む鉱床が発見されました。このように、日本の沿岸の浅い水域にも有力な資源が発見されています。

 これまでJOGMECが行う海洋での金属鉱物地質構造調査、二百メートルよりも深いところに制限をされていました。しかし、このような浅い海域での有力な鉱床が発見されてきたこともあり、今回の改正案では、二百メートルよりも浅い海域での調査も可能になるよう見直しがなされています。

 関係条文を見てみますと、JOGMECが石炭、地熱資源開発などができる水域は、国及び機構以外の者、すなわち民間企業が行うことが困難なものとして経済産業省令で定めるものに限るとあります。私などは、二百メートルよりも浅い深さだと調査がしやすい海域だというふうに考えてしまうんですけれども、民間企業の調査が困難とはどういうものなのか、具体的にどのような場所を想定しているのか、お答えください。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 今御指摘のとおり、民間企業が困難だという点につきましては、さまざまな要素を総合的に考えさせていただきたいというふうに思っております。

 一つは、資金の問題があると思います。おっしゃるとおり、浅ければ、基本的にボーリング、掘削等々についてのコストは深海よりも安いのが通常でございますけれども、その海底の地盤の状況とか、あるいは掘りましてから、海底からさらに深さどれぐらいのところに資源があるのかといったような問題等々で、さまざまな掘削あるいは探査に係ります資金に差が生じてくる状況でございます。

 また、技術的な問題があるかと思います。これは環境面に与える影響がどうか。掘削、探査等々にかかわるだけではなくて、その掘削、探査、開発にかかわることによりまして、海洋にどういった影響を与えるのか、こういった環境に与える影響をどうやって回避していくのか、こういったような面での技術の要素があるかと思います。

 また、後々、これを商品化する場合に、製錬をしていくという場合に、この製錬の困難性といったような状況があるかと思います。

 また、さまざまな意味で、実際にそこで開発、探査行動を行う場合に、漁業交渉等々といった問題が発生をする可能性もあるというふうに思わせていただいております。

 こういったようなことを総合的に判断させていただきまして、民間企業ではなかなか困難だということの場合にはJOGMECがやらせていただくということで御理解をいただければと思います。

近藤(三)委員 原子力発電事故をきっかけに、火力発電向けの天然ガスの需要は今後拡大すると見られています。需要がふえるということに備えて、既に日本の大手商社は、アメリカ、カナダなどでシェールガス開発事業に相次ぎ参画をしています。アメリカでは、二〇〇〇年代に北米で本格的な商業生産が始まりました。二〇一〇年には、天然ガス生産量の二三%を占めるまでになっています。

 この新型天然ガスの急速な生産拡大、世界のエネルギーの事情を一変させる可能性があり、よくシェールガス革命と言われていますが、なるほどその勢いがある状態だというのは、この言葉からもよくわかります。

 シェールガスが低い価格で大量に供給されるようになりますと、原油など、ほかのエネルギーの価格動向だけではなく、企業の生産活動にも大きな影響を与えることになると考えます。これまでは、石油、LPガスを国家備蓄、民間備蓄の対象としてきましたが、今後は、シェールガスなど、多様なエネルギー資源に対応した国家備蓄が必要となると考えます。

 経済産業省はこれに対しどのような対応を考えているのか、見解をお聞かせください。

北神大臣政務官 シェールガスを保存する場合は液化していかないといけないので、LNGの備蓄の話だと思いますが、この備蓄については、原油と比較すれば、原油は、地政学的に最も不安定要因を抱えている中東地域の依存度が大体八割以上になっています。天然ガス全体で見れば、中東依存をしているのが三割弱なんですね。したがって、今の段階では、地政学的な要因というものはそれほどないというふうに考えております。

 あともう一点は、液化の状態で貯蔵するためにはマイナス百六十二度の状態に置かないといけないということで、ちょっと原油とは違った特殊なタンクをつくっていかないといけない。このタンクが非常に費用がかかるということでございまして、現時点では、供給源の分散化ということで対応させていただきたいというふうに思っています。

 ただ、中東依存が約三割弱というふうに申し上げましたが、個々の事業者で見ると、かなり中東に依存している業者もありますので、こういった業者については、ほかの業者との融通とかそういったものを考えていただいて、この供給体制というものを確保していただきたい、こういうふうに思っています。

近藤(三)委員 もちろんそうなんですけれども、世界のエネルギー需要、エネルギー構造も刻々と変わっています。それに応じた我が国の備蓄体制の対応も中長期的に考えておかなければならないのではないかと考えております。今回の災害時の対応、そして、中長期的な視点での国家備蓄政策をぜひ推進していただきたいと思います。

 最後に、EUとのEPA交渉について質問させていただきます。

 私、五月末に、ブリュッセルでの日本・EU議員会議に自由民主党を代表して出席しました。当時、日本ではそれほど大きく報道はされませんでしたが、このEU訪問の間にEUの委員会では、日本とEU間のEPA、経済連携協定の問題が山場を迎えていました。

 日本とEUの間では、この一年、EPA交渉に入るための予備交渉が行われていました。そして、私がEU滞在中、ことしの五月三十一日のEU委員会の貿易担当大臣理事会で予備交渉の終結が宣言されるかどうか、非常に注目されていました。

 この理事会に先立つ五月二十九日、日本・EU議員会議の本会議で、私は次のように発言しました。

 日本、EUの関係は、貿易総額はおよそ十二兆円、我が国にとってEUは世界第三位の貿易相手となっている。一方、EUが日本にこれまで投資した総額はおよそ七兆円、日本に投資してくれている国・地域の中でEUが最も多額の投資を日本にしている。日本、EUが一層ウイン・ウインの関係を築いていくために、一刻も早くEPAの正式交渉のテーブルに着くべきである。このように、私は五月三十一日のEU理事会での予備交渉の終結決定に大きな期待を持っていることを表明しました。

 そのような結果、五月三十一日のEU理事会で、正式交渉に移行のため日本との予備交渉を終了したいというEU委員会の提案を理事会が了承しました。このEPA予備交渉終結の朗報を現地においてリアルタイムで報告を受け、大変ほっとしました。

 日本・EU間のEPAの正式交渉、早期に開始されることを期待したいところですが、日本・EU間の合意に向けては、今後大変難しいやりとりも予想されます。

 そこで、日本・EU間のEPA交渉の今後の行方などについて質問させていただきます。

 その後の経緯について申し上げますと、七月十八日には、EU委員会はEU加盟二十七カ国に対して日本とのEPA交渉に入ることを提案したとのことです。しかし、EUの金融問題などによる景気の低迷、昨年FTAを結んだ韓国からの低価格車の輸入の急増などから、ドイツ、フランスなどの自動車メーカーなどから日本のEPA交渉に対して反発もあるというふうに聞いております。このようなことを背景として、EU議会が日本との早期交渉に反対する決議をしたり、EU委員会がEPA交渉開始後一年以内に非関税障壁の撤廃の約束を履行しなければ交渉を打ち切ると決定したなど、EU側の大変厳しい対応が打ち出されています。

 昨年は、五月に日本とEUの首脳会談がブリュッセルで行われました。ことしはまだ首脳会談が行われていません。私は、EU側の方から、ことしの日本での日本・EU首脳会談は、EPA交渉入りを決定する首脳会議とするためには、夏を越えて、九月以降、秋になるのではないか、このような感触を得てきました。これはEU訪問をしていたころに得た感触ですから、六月初旬のことです。

 日本とEU間には、EPAだけではなく、EUの金融問題、世界が混沌とする外交問題など、会議の内容が山積みしています。EPA交渉の開始を課題とするために、ことしの日本・EU首脳会談の開催時期はいつまでずれ込みそうなのか。また、EPA交渉入りの調整が長引けば、EPA交渉開始の確認は首脳会議の課題とはせずに、首脳会議が開かれる可能性もあるのでしょうか。外務省の見解をお聞かせください。

五嶋政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、EUは我が国の主要な貿易・投資の相手であると同時に、基本的価値を共有して国際社会のいろいろな課題に協働して対処していくパートナーであると認識しておりまして、そのようなEUとの関係を包括的に強化する必要性は極めて高く、そうした観点から、これまで日・EUの定期首脳協議を開催してまいりました。

 また、野田総理が昨年来述べてこられておりますとおり、我が国は、包括的経済連携に関する基本方針に基づきまして、高いレベルの経済連携を戦略的に進める方針でありまして、その中で日・EU・EPAの早期の交渉開始を目指しているところでございます。

 交渉開始に向けたEUの動きといたしましては、最近では、七月十八日に開催されました欧州委員会の閣議におきまして、日・EU・EPAの交渉権限、いわゆるマンデート案につきまして、理事会、すなわちEU加盟国の承認を求めることが決定されております。欧州委員会は、閣議決定されましたマンデート案を近く理事会、すなわちEU加盟国の閣僚級に提示をいたしまして、加盟国の承認を求める手続に入ると承知しております。我が国といたしましては、欧州委員会が理事会から早期にマンデートを取得することを期待しているところでございます。

 先生御質問の、日・EU定期首脳協議の開催時期につきましては、これは現在調整中でございます。ちなみに、欧州委員会で貿易を担当しておりますデヒュフト委員は、加盟国の承認が得られれば、公式な交渉立ち上げは秋の首脳協議においてなされることが想定されると述べているところでございます。

 欧州側の交渉開始権限、すなわちマンデート、この取得を含む諸般の事情が整うのであれば、早急に日・EU・EPAの交渉開始を実現したいと考えているところでございます。

近藤(三)委員 枝野大臣、日本・EU間のEPA交渉、外務省が中心となり精力的に対応しています。しかし、今の外務省の答弁のように、EPAの正式交渉の合意がネックとなり、昨年は五月に開催された日本・EU首脳会議も実質的には先延ばしになっているという現状です。

 経済連携は、経済産業省にとって重要な政策の柱です。日本とEUがEPAの正式交渉に入れる環境づくりのために、現在、経済産業省としてどのような対応を具体的にしているのか、そして、日本・EU間のEPAの早期締結に向けた枝野大臣の決意のほどをお示しください。

枝野国務大臣 委員におかれましては、このスコーピング作業の最終段階のところでも実際にブリュッセルへ行って、大変な御支援をいただいて、感謝を申し上げます。

 私も、特にこのスコーピング作業を、まず早く終わらせるということで、たまたまことしの前半のEUの議長国がデンマークで、デンマークの貿易担当大臣デュアさんという方が、非常に日・EU・EPAの、EUにとってもプラス、メリットがたくさんあるんだという理解を強くいただき、また強いリーダーシップでこのスコーピング作業を取りまとめるために御尽力いただきました。私も、二度ほど直接お会いしたほか、電話会談なども繰り返してそれをサポートさせていただき、また協力を求め続けてまいりました。

 今回、各国のマンデートを取得するプロセスに入っております。既に高級事務レベルを含めてさまざまな働きかけをいたしておりますし、私自身も、各国の閣僚に対し積極的に働きかけて、できるだけ早く交渉に入れるよう努力してまいりたいと思っております。

近藤(三)委員 本日は、石油備蓄法、そして最後に、日本とEUのEPA交渉について質問をさせていただきました。ぜひ、外務省、経産省、連携して、タフネゴシエーターのEUに向かって、よきパートナーとしても連携できるように頑張っていただきたいと思います。

 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中山委員長 次に、中後淳君。

中後委員 国民の生活が第一・きづなの中後淳です。

 早速質問をさせていただきます。

 昨年三月十一日、東日本大震災が起こった後、私も、十二日後、三月二十三日、二十四日に、宮城県古川から石巻、女川、郡山と、支援物資を運びに現地に行ったわけですが、当時はもうガソリン不足がピークのころでした。地元でも関東でも、ガソリン、軽油が不足をしていて、コンテナトラックで行ったんですけれども、そのトラック用の軽油を確保する、地元で往復分の軽油を確保するということに非常に苦労するような状況だったわけです。現地では、まだ、朝、氷点下のころにもかかわらず、スタンドのところにもうキロ単位の渋滞が、ガソリンの給油待ちの列ができていたというのを非常によく覚えております。

 本法案についても、審議が大変遅くなっておりますけれども、その教訓が風化する前にこうした議論、法案化されるということに対しては、とても大切なことで、重要な法案だろうなと思っております。

 エネルギーの安全保障も、また食料の安全保障もそうですけれども、これはもう独立国家としては非常に重要な課題であります。

 ここのところ、アメリカの干ばつの話題がニュースなんかで流れていて、日本の食料も値段が上がっている。世界の人口動静を考えても、いつまでも食料がお金で買えるというふうに考えているのは、ある意味、言葉はどうかと思いますけれども、平和ぼけなのかなという気がしておりますし、そういう観点からも、TPPとかというのは、コンセプトそのものについてしっかりと、各国がウイン・ウインの関係になるような経済連携を主張すべきであって、そうでないのであるならばTPPについても考えなければならない。私は、反対という立場をとっております。

 今回は、エネルギー安全保障が重要な課題と考えて、その点も踏まえて質問をさせていただきます。

 今回の法律、災害時の備蓄石油の放出のことであったり、災害時の石油供給連携計画、地域ごとの計画を立てるということですとか、災害時給油拠点、中核SSの指定、または経産大臣による実施の勧告、また、それに対してJOGMECの支援業務と石油製品の備蓄拡充、大きなスキームについては大変理解できるんですけれども、実際にその現場、私が見たスタンドに並んでいる車の列みたいなものというところ、中核スタンドまでのスキームはよく理解できるんですけれども、そこから先、実際に利用する個人であったり、または病院だったり、警察だったり、消防だったりとかという、災害時の拠点に対しての給油、ガソリンの供給、油の供給というのをどうされるのか、直接現場にわたるところというのはなかなか見えてこないなというのが率直な感想でした。

 全体的にそういうところをどう考えているのかということ、石油供給が末端の消費地点までどのように行われるのかということについてどのように改善されるのか、まず答弁を求めたいと思います。

枝野国務大臣 昨年の教訓は、私は違う立場で対応しておりまして、正直言って、何度か、経済産業省は何をやっているんだと思いました。量的には石油は国内で足りている、どんどん現地に送っている、にもかかわらず、実際には現場でスタンドにたくさんの車が並ぶという状況ということで、どうなっているんだということで、大分経産省の対応を問いただしたこともございます。

 結果的に、一つは、やはり情報、どこにどういうスタンドがあって、そこにどう供給をすれば大量に必要なニーズに応じた供給ができるのかという情報が十分に把握ができていなかった。

 さらには、各石油会社ごとに横の連携ができていなかった。それを震災後に何とか組み立ててもらうということをお願いしたという結果として、タンクローリーの融通を含めて、それぞれの個社は最大限努力をしていたんだけれども、情報の不足もあわせて、適切なところに適切なスピードで必要な量が届かなかった。

 したがって、供給できる量に対して、実際の末端に届く量が足りなかったということだと思っています。したがって、そのことを改善しなきゃならないということで、今回の法案になっているというふうに思っております。

 もちろん、全てのSSにあまねく行き渡るようなことができれば、その方がもっとベターであるのは間違いありません。ただ、それぞれ、震災時においてしっかりと大きなキャパシティーを持って、ここに行けば着実に給油がなされるんだという構造、体制が事前に組み立てられ、そして、そこに対していざというときにしっかりと供給できるという体制が整っていれば、当然のことながら、十分の一ぐらいのスタンドの数ですから、若干御不便はおかけするかと思いますが、まさに災害時のサプライチェーンの確保、住民の皆さんの災害時における最低限の生活をしっかり確保するという観点からは、飛躍的な改善ができることになるというふうに思っております。

中後委員 教訓として、上流側、供給元から中核スタンドまでの改善が非常に重要だということで、今回のというふうに理解をしました。

 あともう一つは、石油製品をどうやって備蓄するか。先ほども話題になっておりましたけれども、今現在、石油の国家備蓄九十五日分、うち、製品が〇・三%。先ほど、ガソリン、軽油、灯油、A重油のお話もされていましたけれども、今年度は、一日分で予算約十六億円だというお話をちょっと事前に伺いました。

 今後、今年度以降、どのような予算で何日分程度石油製品の備蓄を考えているのか、また、どういう内訳なのか、工程と予算について伺いたいと思います。

北神大臣政務官 今おっしゃった予算額の話ですが、今年度は、この法案が国会で成立した場合、施行後ということでいえば半年分ぐらい来年度までありますので、その半年分のタンクの借り上げ料ということで、十一億円の手当てをもう既に行っております。

 この法案が想定しているのは、先ほども審議でありましたが、四日分程度を既存のタンクを活用して確保したいというふうに考えております。(中後委員「どのぐらいの期間」と呼ぶ)四日分で、これは来年度中にやりたいというふうに思っています。

 したがって、この法案を通していただいた後に、当然概算要求とかそういった過程を経て、来年度予算に見合う分を確保していきたいというふうに思っています。

中後委員 今、四日分という話でした。製品ということであれば、原油を製品化するまでの時間、バッファーというふうに考えれば、ある程度十分なのかなという気もします。

 あと、中核SS、サービスステーション、災害時給油拠点ですね。立地条件だとかタンクの容量、あとは自家発電を持っているかとか、災害時の通信手段として衛星電話なんかの話もちょっとお聞きしましたけれども、全国で二千カ所程度整備するんだというふうに聞いております。県の数で割り戻しますと、大体各県平均四十カ所、各県二十から五十拠点ということで、恐らく、大体全国の市町村に一カ所ぐらいずつという形になるんだろうと思います。

 去年、予算四十億円で二百カ所、対象が青森、岩手、宮城、福島、茨城、二十三年度の補正予算で行われた。ことしは五十六億円で、秋田、山形、新潟、群馬、栃木、山梨、静岡ということらしいんですが、補助金で三分の二、自己負担で三分の一、二百カ所で四十億円。これは割り戻しをしますと、単純に平均すると、四十億で二百カ所ですから一カ所約二千万円。そうすると、三分の二が補助で三分の一が自己負担だと、事業規模として大体一カ所三千万円、自己負担が一千万円ということに全体をならすとなると思います。

 今のガソリンスタンドの経営状況とかを見ると、一千万円を災害協力ということで投資して、中核拠点となったことで売り上げが上がればまた別かもしれませんけれども、そういう見込みがあるかどうかわからない中で、一千万円を自己負担で投資するということはかなりの負担なんだろうなと思います。

 その点について、災害協力で自己負担をお願いするという中で、二千カ所、本当に整備し切れるのかということと、今までの、二十三年度の補正の現状等を踏まえて、指定の苦労だとか課題だとか、改善対策について、現状わかっていることがあれば教えていただきたいと思います。

北神大臣政務官 中核SSの整備について、もう委員御存じだと思いますけれども、要件を満たしたものについて認めていくということになっています。

 それで、補助率が三分の二であって、三分の一は自己負担になる。おっしゃるとおり、今、価格がどんどん安くなったり石油製品に対する需要が減っている中で、非常に経営状況が厳しいということで、我々としてもできるだけ自己負担の応援をしたいということでございます。

 具体的には、資金繰りにおける負担を軽減させるための措置として、今般、信用保証制度とかあるいは利子補給制度というものを創設したところでありまして、今後も引き続きこのような支援をしていきたいというふうに思っています。

中後委員 ぜひよろしくお願いします。

 また、中核SSに指定されるようなスタンドというのは地域ではかなり経営力のあるところだとは思いますが、そうでない地方のサービスステーション、ガソリンスタンドというのは今大変大きな問題を抱えております。

 SSの数でいうと、平成六年ピーク時が六万軒、今は三万七千ぐらいに減っている、三八%が廃止、撤退になっているような状況です。内訳を見てみますと、地場、中小のサービスステーションのシェアが下がって、商社系だとか元売直営のシェアが増加をしていて、また、近年、約半数のサービスステーションが赤字の状況にあるということです。

 私の地元を見ても、セルフのスタンドがどんどんふえていく中で、何とか家族経営のガソリンスタンドというのはずっと持ちこたえておりましたけれども、ここに来て、家族経営のところもコンビニにかわったりしているような状況を見ております。しかし、地方のスタンドというのは、社会インフラとしての役割が非常に大きいものがあります。これは東京の方々にはなかなかわからない、都市部の方にはわからないところもあるのかもしれません。

 先日、私の地元のガソリンスタンドを経営されている方と直接お話をした。これは家族経営のスタンドですけれども、経営は非常に苦しい、でも、車の移動ができないお年寄りの家に灯油を届けるというのを私たちはサービスの一環で行っていてそれができなくなってしまう、ストーブに油も入れられないような家庭があって、その方々を見ていると、私たちはガソリンスタンドの経営をやめるわけにはいかないというようなお話をされていました。今、使命感で続けているようなところも多分にあるように思います。

 車で移動するところで給油しますから、当然、みんな都市部の安いところに給油に回ってしまう中で、経営状況は苦しいけれども、撤退してしまうと、ある意味、社会インフラ、ユニバーサルサービスが破壊されてしまって、本当に困る世帯の方々のために一生懸命頑張っているということなんだと思います。

 サービスステーションの過疎化問題というのも深刻な社会問題になってきていると思いますけれども、大臣の所感を伺います。

北神大臣政務官 おっしゃるとおり、SSというのは、経済活動とか社会生活にとって物すごく重要な役割を担っているというふうに思っています。

 私も、京都選出と言っていますが、正確に言えば口丹波という地域でありまして、委員と同じように、地方では車も頻繁に使いますし、あるいは冬場になると灯油というものが重要で、こういったときにSSというのは極めて重要な役割を果たしているということも肌身をもって感じています。

 この中で、しかしながら、先ほど申し上げたように、非常に経営が厳しいし、地方においてはSS過疎地域みたいなことも言われている状況です。

 これについて、経済産業省としては、過疎地域においてSSが存続できるように、地下タンクの入れかえの支援をすることとか、あともう一つ、自治体とかあるいは住民の皆さんが地域ぐるみで供給体制の確保をするときに、これを実証実験とみなして、そこに支援をする、こういったことで何とか頑張っていただきたいというふうに思っています。

中後委員 現状としては、そのとおりだと思います。

 私の家も、風呂を沸かす用の油はスタンドさんに入れてもらったりしていますし、油を届けるだけではなくてストーブに給油をするところまでやってあげないといけないんだというようなこともあったりします。これは、結構、郵政のときの話と似ているなというふうに個人的には思っているんですが、今おっしゃったように、他業者が引き継いだり、住民運動、地域でそのスタンドの機能を引き継いだり、または、行政、自治体の補助で維持したりとかということが、それぞれ各地域で、深刻なところは既に出てきておるようであります。

 今もありましたように、地下タンクの整備とか撤去とかにも補助金が出るとおっしゃいましたけれども、その補助金をかけたところがもう廃業になっていくというような状況で、地下タンクに国のお金を補助するということは、そもそもが社会的に必要なインフラとして認識されているんだと思っております。

 でも、そこが補助を入れても続けられないような状況であるという現状を踏まえると、先ほど郵政の話もしましたけれども、本当に過度な自由競争の中でなくなってしまっていって、そこの生活が壊れてしまうということは何としても避けなければならないから、そこにもセーフティーネットが必ず必要なんだろうと私は思っております。

 油は、地方では生活になくてはならないものです。移動そのもの、食料を調達するのにも何にも油が必要になってきます。こういうふうな状況に対して、さらに対策というのを検討される考えがないかどうかということについて確認させてください。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、給油所というのは、これから過疎化が進む中では本当に欠かせないインフラであるというふうに思います。

 今、委員おっしゃられたとおり、郵便局の話などとも共通する話で、日本全体の人口が減っていきますから、過疎地域において人口が戻ってくるということはなかなか難しい。そうすると、むしろ、こうした生活に必要最低限のインフラが足りなくなる、撤退をしていくということは、これは給油所に限らない共通した問題ではないかというふうに思います。

 そうした意味で、経済産業省としては、給油所について、先ほど北神政務官が申しましたとおり、努力をしているところでございますが、さらにちょっと大きな視点で、これからの人口構造の中で最低限の生活インフラを、人口の少ない、なかなか自由競争ではさまざまなビジネスが成り立たない地域においてどうやって支えていくのか、全体構造の中でやっていかなければならないのかなということを、今、お話を伺いながら感じたところでございます。

 そうした視点で、これもどこの部局が取りまとめるのか自体が十分ではないというふうに思いますので、今後、政府の中でも、他の閣僚にも働きかけて検討していかなきゃならないというふうに思いました。

中後委員 ほかにも、本当にさまざまなところで同じような状況が起きていますので、ぜひとも、省庁を超えて、日本全体の地方の問題ということで取り組んでいただけたらと思います。

 少し話をかえますけれども、ガソリン、軽油のもと暫定税率、当分の間税率というものに対しての今後の考え方ということで通告させていただいています。

 暫定税率の廃止については、当初、九兆円の財源不足がある中での予算編成の中でいっとき見送って、トリガー条項というのをつけた経緯がありました。しかし、震災後、またこれも財源問題で、このトリガー条項の凍結という状況になっております。私は、このトリガー条項のときに、委員会の差しかえをされたりした民主党時代の苦い経験を覚えております。

 今、当分の間税率と言われていますが、暫定と何が違うのかなというふうに多分皆さん考えております。暫定なんだからもうやめましょうという話だったんですけれども、今度、当分の間という、当分の間税率という話になっております。

 復興増税も決まりました。震災時の財源確保としてはもう切り離して考えるべきだと思います。ガソリンの高騰の方が経済状況に与える影響は大きいんだろうなと思いますし、トリガー条項の復活についての見解もお聞きしたいと思います。さらには、消費増税も行おうという方針で今進めております。これは、タックス・オン・タックスとよく言われている、税金に税金がかかっているような状況を考えると、その弊害も大きくなってくる。以前から指摘されていることですけれども、消費増税を機会に、こういったガソリンの暫定税率だとか当分の間税率なんて言われているものについては廃止をしてはどうかということ。

 トリガーの件と廃止したらどうかという件について、これは経産省ではないと思いますので、きょうは政府参考人の方に来ていただいていますので、御見解を伺いたいと思います。

星野政府参考人 財務省でございます。

 先生から御質問がございました、当分の間税率の話とトリガー条項の話について答弁させていただきます。

中山委員長 大きい声で答弁してね。

星野政府参考人 済みません。

 まず、当分の間税率でございますけれども、先生御指摘のとおり、二十二年度の税制改正におきまして、それまで十年間の暫定税率を張っていたのを廃止する一方で、当分の間税率ということで、税率水準を維持するということにしたわけでございます。

 その後、二十三年度、二十四年度の税制改正におきまして、税制調査会等で議論をいたしまして、その結果、二十四年度の税制改正大綱において、国及び地方の財政事情が非常に厳しい状況にあること、それから地球温暖化対策の観点も踏まえて、引き続き、当分の間として措置されている現在の税率水準を維持するとされたところでございまして、この方針に沿って対応しているところでございます。

 それから、トリガーの話でございますけれども、トリガー条項につきましては、仮にこれを発動した場合に、ガソリンの買い控え、それからその反動としての需要増が発生して、需給の急激な増減による流通の混乱の発生が予想されるなどの問題が懸念されることに加えまして、極めて厳しい財政事情にある中で、一旦トリガーが発動されますと非常に大幅な減収が生じてしまうということがございまして、慎重に考える必要があると考えておるところでございます。

中後委員 今の説明なんだろうなと思いましたけれども、消費増税でいうと十数兆円の負担をお願いする中で、地方の、特に社会生活インフラになっているガソリンぐらいは負担を軽くするということは、また考え直してもいいのかなと。これは経済産業委員会ではないと思いますので、また別の機会に取り上げたいと思います。

 では、次に、資源開発に係る支援機能の集約化、整備について、これはNEDOの業務をJOGMECに移管するというところからちょっと入らせていただきます。

 以前、NEDOもJOGMECも事業仕分けの対象になって、いろいろなことが言われましたが、きょうは本質的ではないと思いますので、この件についてはあえて取り上げません。エネルギー対策だとか資源確保戦略について、大局的な見地から質問させていただきます。ただ、独法、公益法人改革というのは忘れないでいただきたいと思います。

 先月、六月二十七日に資源確保戦略が示されておりますけれども、私もプリントアウトしてさっと見せていただきましたが、国際情勢が、資源ナショナリズムの高まりだとか、新興国の台頭、産油国の政治情勢など、年々刻々と変わる中で厳しい状況になっている、我が国は、資源企業の育成など、他の先進国に比べるとおくれをとっているというのは事実だろうと思います。また、シェールガス革命と言われるように、状況の変化もありますし、化石燃料においても輸入国が輸出国に変わるなんという事態が起きているわけです。

 この状況を踏まえて質問させていただきますが、まず、石油、天然ガスの自主開発比率の現状と目標について伺いたいと思います。

 これは、大分前の計画を前提にされていると思います。こういう状況の変化の中で今どういう状況なのかということについて、まず聞かせていただけますか。

高原政府参考人 御指摘のとおり、現行のエネルギー基本計画、これは一昨年の六月に閣議決定をしているものでございますけれども、その中で、政府の自主開発比率につきまして目標をつくっております。

 御指摘の化石燃料でございますけれども、二〇三〇年におきまして、国産を含む石油、天然ガスの自主開発の比率を四〇%以上、そして、石炭では六〇%以上に引き上げる、そういうことを目指しております。

 現状でございますけれども、ことしの三月末でございますけれども、石油、天然ガスで二三%、石炭で四七%となっております。

 以上でございます。

中後委員 二〇三〇年までで石油、天然ガスで四〇%、石炭が六〇%以上だということですけれども、二〇一〇年の自主開発比率をちょっとさっと調べてみたら、フランスが一〇五%、イタリアが五一%、中国が三〇%、日本が今おっしゃった二三%、韓国が一〇・八%というような状況で、韓国が一番今低いわけですが、韓国は今、二〇二〇年までに三五%以上の達成を目標として戦略を立てているというふうに聞いておりまして、これは韓国の鉱物資源公社KORESだけの数字ですけれども、二〇〇三年には九千百万ドルの投資額だったものが、年々上がってきまして、二〇〇九年は十億ドルになって、二〇一〇年はそこから二・六倍の二十六億ドル、約二千億円になっております。

 片や日本の方はどうなっているかというと、私は去年のまだ民主党時代の予算のときにも同じような発言をしたんですけれども、エネルギー特会予算で二百七十六億円だというお話があって、これは本当にゼロが一つ、二つ違うんじゃないかというお話をさせていただいたことを覚えております。その後、財投特会の産投出資で九百二十七億円さらに上乗せになって、二十三年の予算が百二十一億だったのが九百二十七億円ですから、これはかなり積極的に予算が措置されるというふうに評価をしたいと思いますが、合計で千二百億円です。お隣がKORESだけで二千億円の投資をしているという状況で、これからまだまだ多分、また、ほかに韓国の場合は財閥系の商社なんかが非常に積極的に動いているというようなお話も聞いておりますので、もっともっと力を本当は入れていかないと、今の厳しい国際情勢の中で資源獲得というところにはなかなかたどり着かないんではないか。

 また、このトータルで千二百億円という数字がこれで十分なのかどうかを判断するのに必要な資料を集めようと思ったんですけれども、なかなかわからないんですね。各国によってやり方が全然違う中で、私の能力不足なんでしょうけれども、非常にわかりにくい。もっと必要なのか、それとも十分なのかということもなかなか判断しにくい状況なんだろうなと思いました。

 アメリカなんかはいわゆるオイルメジャーなんかが民間主導でいっていますけれども、日本はなかなかまだ和製メジャーと言われるような会社の熟成は十分とは言えない状況ですし、この国家戦略と予算ということについて、まず、国家予算投入額の国際的な比較について、現状わかる程度で構いませんので、お話しいただければと思います。特に、今国家の戦略として進めているようなお隣の韓国だとかというところとの比較でお願いしたいと思います。

安藤政府参考人 なかなか国際比較ができないという点につきましては今委員御指摘のとおりでございまして、私どもも実は正確な数字がつかめていない状況でございます。

 と申しますのは、例えば中国をお考えいただければと思いますけれども、御案内のとおり、Sinopec、CNOOC等々、こういった会社は全て実質国営企業ということでございます。こういったところについて、正確にどういった予算措置あるいは事業規模があるのかというのはなかなか中国もオープンにしていないものですから、逆に申し上げますと、いろいろ投資をしたり買収をしたりした案件を積み上げて見ていくような形にしかならないということでございます。これを拝見いたしますと、今ちょっと手元に数字がないので恐縮でございますけれども、アフリカ、中央アジア、南米等々において大変な金額のことが行われているということは事実でございます。

 また、プロジェクトベースのことであれば、また先生の方に追って資料を御提出したいと思いますので、御理解いただければと思います。

 彼我の格差という点については今おっしゃったとおりでございまして、大体、企業の利益ベースで見ますと、重立ったメジャーと日本の平均で約二十倍から三十倍の違いがございます。これは金属メジャーも同じような状況でございまして、大体、ゼロが一つ足りないんじゃないかというお話は、企業の利益の規模においても同じだというふうに思っております。

 ただ、今先生御指摘のように、今回の予算におきましても、この法改正の暁には産投からお金をいただけるということで、このお金を使わせていただきまして、まさに稼行しております石油、ガス等々の鉱山そのもの、権益を取得していく、これを資産買収と言っておりますが、これをやることによりまして、かなり根っこから自主開発比率の数字を上げていくことは可能になると思います。

 カナダのシェールガス等々で具体的な案件を考えておりますので、ぜひ御支援のほどお願い申し上げたいと思います。

中後委員 今のエネルギー資源獲得に関する国家戦略、日本が十分だと思っている方というのは余りいないんじゃないかなと私は思うわけですが、今お話を聞いていても、各国の状況についての把握みたいなものもなかなかわからないような状況で、やはりこれは力の入れ方が足りないんだろうと率直に思います。

 もっと、世界各国がどういう動きをしているから日本はこういう動きをしなきゃいけないんだという戦略をしっかり立てないと、また刻々と変わっています、先ほどのシェールガス革命のように、アメリカはちょっと前までは天然ガスを輸入していたはずですけれども、輸出国に変わるような状況になってきております。日本も恐らくそういうような可能性がないとは言えないんじゃないかと思いますので、人もお金も、ここの分野に関してはもっとつぎ込むべきだろうなというふうに思っております。

 また、日本は今円高の状況です。大きな課題になっているわけですが、二〇一〇年九月から、例えば野田財務大臣時代から安住財務大臣まで、為替介入で十六兆円以上、今投入されております。片や、資源の方に、今年度合わせて見てみると、一千二百億円だ。

 円高対策としては、私は、海外の有効な資産に投資をするという方がまだ返ってくる、投資ですから、何倍にもなって返ってくる可能性にかけながら円高対策というのを行っていく方がいいのではないかと思います。これは為替介入と単純に比較することはどうかとは思いますけれども、一%にも満たない資金であって、やはり桁が違うなというふうに思っておるところです。

 大臣の所感をお聞きしたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、為替介入を単純にやるよりも、せっかくというか、片方では大変な円高によってマイナスがあるわけですから、円高のメリットを生かすという意味では、こうした機会に資源の権益などを確保するということは、それが介入と同等の効果を上げるということだけではなくて、大きな意味があると思っています。したがって、これも、政府として可能な範囲内で、民間を後押しすることを含めて最大限努力をしてきているところでございます。

 ただ、もう一つ難しいのは、これは相対的に円高で安いから買えばいいという話ではなくて、実際にそれが収益の見込めるものでなければいけませんし、また、売り手、相手もあることでございますので、もっと大きくできるのではないかという御指摘はあると思いますけれども、さらに努力をしてまいりたいと思っています。

中後委員 そういう意味で、先ほど言った調査だとか情報収集というところがまだまだ弱いんだろうと思います。投資を有効に行うための前提条件のところもまだ足りていないぐらいのことなんだろうと思いますので、ぜひここはもっともっと力を入れていただきたいなというふうに思います。

 もう一つ、また話をかえますけれども、先ほども鹿児島湾のレアメタル鉱床というかアンチモンの話も出ていましたが、秋田にシェールオイルのニュースが出てきたり、日本海側のメタンハイドレートの話が出てきたり、日本はずっと資源のない国だというふうに言われていましたし、それが当たり前のことだと思っておりましたけれども、これは化石燃料も含めて実はまだいろいろな可能性があるというのは、アメリカのシェールガスの例を見ても、可能性としてはあるんだろうと思います。その意味でも、これから領土問題というのはとても重要になるんだろうというふうに思います。

 また一方、地熱発電等についても、これは日本は大きな資源を持っております。世界三位の地熱資源を持つと言われております、アメリカ、インドネシアに次いでということですけれども。平成二十二年度の環境省の調査だと、地熱の埋蔵量が原発二十基分、約二千四百万キロワットと見積もられたと聞いていまして、でも、現在の発電量は五十四万キロ、約二%の利用にとどまっております。

 そういった背景を受けて、今まで地熱発電の開発をするのに、国定公園や国立公園内では直接掘れないので斜めに掘るなんという非常にコストのかかるようなことを、今回は規制緩和で垂直掘りを認めたというような話も聞いておりますし、こういった活動をもっと、規制緩和も含めて、本当の資源の有効利用が国家の国益につながるんだという観点から、今までの枠組みをしっかりと見直していただきたいなということを思います。

 時間がありませんので、ちょっと話をさせていただいて、最後に大臣に伺いたいと思います。

 また、東京湾の天然ガス発電所の建設プロジェクトを東京都が進めているなんという話で、三カ所に絞ったとかというニュースも聞いているわけですが、これは私の地元の自慢として聞いていただければと思いますけれども、日本最大のLNG火力発電所があります。東電の富津火力なんですけれども、これは四号系列で五百四万キロワットです。原発四基分以上の出力を誇っております。大変な火力発電所であって、またLNGの京葉、京浜に対する供給基地にもなっています。川崎まで海底トンネルでパイプラインがつながっておって、千葉側で五カ所、神奈川側で三カ所の火力発電を結ぶパイプラインになっております。

 建設当時は世界最大のLNG火力になる予定だったんですけれども、残念ながら、建設の過程で台湾と韓国の発電所に抜かれて、今三位です。もう一個、百万キロがあれば、六百万キロワット超えで、世界最大、世界一になるわけで、私は一番にこだわりたいなというふうな思いもあるわけです、二番じゃだめだと思っておりますので。増設の可能性を聞いたら、敷地等は大丈夫なんだ、ただ、送電容量がもうネックになっていて、これ以上増設はできないんだという話を聞きました。

 こういうところ、送電容量がネックになっていて有効活用だとかいろいろなことができないのであれば、この部門ももっと力を入れてもいいのかなと思っておりますし、また、千葉の南房総というのは天然ガスが出るところでもあります。これも今、有効利用されていません。この天然ガス発電所でエネルギーの地産地消、地熱と同じように天然ガスでもそういう可能性があるということなので、いろいろな意味で可能性があります。

 ぜひ、エネルギー計画の策定に向けて、いろいろな観点から新しい可能性も含めて御検討いただきたいということの御提案をした上で、大臣に最後に一言いただいて、質問を終わりたいと思います。

枝野国務大臣 いずれの御指摘も大変貴重な御指摘だというふうに思います。エネルギーの安定供給、そしてエネルギーの権益確保、しっかりと進めてまいりたいと思っています。

中後委員 どうもありがとうございました。

中山委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうも質問の機会をいただきましたので、きょうは石油備蓄法等の一部改正法案の審議でございますけれども、後半にこのテーマについては十五、六問質問をさせていただくとして、冒頭、直近の出来事でございました、一昨日、東京電力の家庭向け電気料金の値上げを政府として認可されたわけでございますが、そのことについて何点かお聞きをしたいと思います。

 政府として、特に経済産業省としては、総合資源エネルギー調査会の電気料金審査専門委員会で計十回の議論を重ねてこられて、その後、消費者庁との協議を経て、二十五日に、最終的に物価問題に関する関係閣僚会議で査定方針案を了承されて、東電が申請した平均一〇・二八%から平均八・四六%に縮めて認可をされたわけでございます。

 この認可というのは本当に歴史的なことでございまして、政府認可を伴う東電の値上げというのは、第二次石油危機後の八〇年以来三十二年ぶりである、そういうように言われているわけですね。

 だから、そういうことを二カ月間かけて非常に精査した議論をされてきたことに対しては私どもも敬意を表するんですが、ただ、問題はその結果ですね。

 例えば、三十アンペア契約で月に二百九十キロワット時を使用する標準的な家庭の場合に、申請時の料金が、これは六月時点ですが、六千九百七十三円なのが、九月一日からは、月額三百五十九円、平均五・一%上がって、月額七千三百三十二円になる、そういうことになっているわけであります。

 当初の案でいくと四百八十円上がることになっていたんですから、少し値上げ幅を抑えられたんですが、しかし、この毎月平均三百五十九円という電気料金値上げは、私は、東京電力管内に住んでおられる景気低迷で苦しむ家計には、ずしりと響くことはもう間違いないと思うんですね。

 この認可をされた翌日の報道によると、枝野大臣は、これは報道陣へだと思うんですが、家庭への影響は否定できない、大変申しわけない、そういうふうに述べられたと報道されておりますが、改めて、この東京電力の家庭向け電気料金の値上げを認可したことについての枝野経済産業大臣の御見解を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 今回の規制料金の値上げは、そもそも仕組みとしてユーザーの皆さんが電力会社を選べない、こういう構造の中で、いや応なく全ての皆さんがかぶる。そうしたことの中で、大変、それぞれ、さまざま、家庭の経済をめぐる環境が厳しい中で、圧縮が若干できたとはいえ値上げをお願いせざるを得ないということは大変申しわけないというふうに思っております。

 ただ、一方で、現在の仕組みの中において、電力の安定供給、それから福島の賠償や廃炉、そしてこれらについての国民の皆さんの負担を中長期的に極小化する、このことのために最大限さまざまな努力をした中で、やむを得ない数字として出てきたものでございまして、こうしたことを丁寧に御説明申し上げながら、同時に、大変申しわけないという気持ちの中で、これの九月一日までの努力を進めてまいりたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 今大臣も答弁の中で言われましたけれども、九月一日までの努力ということがこれから本当に大事だと思うんですね。だから、あえて、周知期間を置いて九月一日からとされたんだと私は推しはかるわけでございます。

 特に東電については、この春先にも大変な混乱と反発を招いているんですね。大口向け料金の値上げということにおいて、全く理解されていない、手続もおかしい、また前の社長が変な発言をいきなりやってしまうというような問題もあります。

 そういう教訓を踏まえて、九月一日までの間に、東京電力側に、電気料金値上げについて、やはり利用者の立場に立った丁寧な説明と情報公開と情報発信をしっかりとさせるということが私は必要であると思うんですが、経済産業大臣として東京電力にどういう努力を求められるのか、見解を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 本当に十分な周知、説明ということが重要であるというふうに思っております。特に、ここまでの経緯において、今御質問の中で御指摘がありましたように、さまざまなことがございましたので、それを踏まえると、本当に相当な注意と努力が必要だと思っております。

 ただ、経営陣がかわりまして、外部からの社外取締役が過半数。こうした皆さんは、まさに、それを外から見て、この体質を変えなきゃならないという強い思いでお引き受けをいただきました。また、新しい社長も、新しい会長が選任をし、私も先日、この値上げ申請に関連して直接お会いしてお話をいたしましたが、問題点ということについては十分認識をいただいているというふうに思っておりますので、それについては期待をしています。

 ただ、そのとき広瀬社長にもお伝えをしましたが、経営陣は十分意識改革をしつつあるというふうに思うけれども、本当に東京電力は大世帯でありますから、それが社員の皆さん、従業員の皆さんの一人一人に徹底できるかどうか。多くの現場の従業員の皆さんは十分、むしろ御苦労されているかと思いますが、やはり一人でも、あるいは一カ所でも配慮が足りない部分があれば理解を得られるものではないということで、現場の末端に至るまでその問題意識を共有してほしい、徹底してほしいということを強くお願いしたところでございます。

 こうした視点で、経済産業省としても最大限、東京電力に対し、繰り返し努力を求めてまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 その上で、もう一つ気になるのは、東京電力が本当に家庭向けの、利用者の立場に立った電気料金のメニューをしっかりと提示し切れているのかどうかということが、私は一つ、やはりこれからもう一度検討し直してもらわないといけないんじゃないかなと思うんですね。

 今、東京電力の提示されている電気料金の仕組みによりますと、使用量の増加に応じて値上げ率が大きくなる仕組み。要するに、家庭なんかでは電気を使えば使うほど値上げ率が上がっていく、そういう仕組みがそのまま放置されているわけですね。

 例えば、先ほど言いました標準家庭向け、三百五十九円で五・一%増なんですけれども、例えば四人家族のような、これはある報道にも出ておりましたけれども、五十アンペアで四百五十キロワット時の契約の家庭は、毎月の値上げ幅は千四十円。五・一%どころか九・一%増で、値上げ後は一万二千五百五円になる、そういう試算も出ております。

 結局、利用者が料金を安くするには、節電を思い切ってやるのか、それとも契約アンペアを低くして基本料金を下げるという、その程度しか今のところ手段がない、そういう状況なんですね。しかし、契約アンペアを下げると、複数の電力をよく食う家電を使うとブレーカーが落ちるというような危険もありますから、家庭の中で暮らしていくことを考えると、今なかなか手だてがない。

 東京電力が六月に、新たな料金プランとして、ピークシフトプランというのを導入いたしました。この売り込み文句は、要は使用量が多い家庭に利点が出やすい、そういうアピールだったんですが、要するにどうなっているかというと、電力使用量のピーク時の料金を高くするかわりに夜間を安くする料金プランなんです。

 それで、東京電力の目標では、八月までに最大十五万件の加入を見込んでスタートをされたというんですが、経済産業省として、今現時点で加入は何件だと掌握されているのか、件数を伺いたいと思います。

高原政府参考人 七月二十六日現在でございますから昨日でございますけれども、東京電力のピークシフトプランの加入者数は約六百件でございます。

 以上でございます。

佐藤(茂)委員 今ありましたように、八月までに最大十五万件という加入を見込んでいながら、結局、利用者の方には全く使われていない。六百件程度の加入しかないというような、その程度の料金プランを六月に新設した程度で、本当に利用者の側に立った料金プランだと言えるのかという疑問を私は感じているわけであります。

 だから、大半の家庭の実態にそぐわないそういう料金プランだけを幾ら奨励していても、今後も普及するはずもないし、利用者の理解は得られないというように私は思うんですね。

 東京電力には、今後、家庭を初めとした、また中小企業、商店も当たると思うんですけれども、そういう利用者の負担軽減策の一層の工夫をして、導入することにぜひ努力をしていただきたいと思うんです。経済産業大臣の見解を伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 今の電力料金が、使用量が多くなるほど割高、値上げ率が高くなるということについては、なかなか悩ましい、私も苦慮しています。

 つまり、いや応なく多電力ということになる、例えば規制料金の対応の範囲の方が少なからずある、クリーニング屋さんみたいなところですね、ということの配慮は必要。でも、一方で、今、脱原発依存に向けて、国を挙げて節電に御協力をいただきたいというそのインセンティブとしては、やはり少なく、節電すれば料金に対して二重に効果がきくんだなということのインセンティブは重要。その両面を両立させなきゃならないということで、苦慮しながらやらせていただいています。

 そうしたことの中で、このピークシフトプランは、まさにピークカットという、脱原発依存のために御協力いただきたいポイントのことについて制度を導入するにもかかわらず、これが十分使われていない、使い勝手が悪いというのは、やはり十分な配慮が行き届いていなかったのではないかというふうに思っておりまして、今般の料金査定を受けて、ピークシフトプランの各時間帯の値上げ幅を圧縮させるとともに、特に多くの需要家、つまり大口でない比較的中規模、小口の皆さんにもメリットが感じられるように、昼間の時間料金の圧縮幅を相対的に大きくするという工夫をさせることにいたしました。

 その結果として、従来に比べれば使い勝手はよくなって、なおかつピークシフトに効果をもたらすということになるかというふうに思っておりますが、これについて、より多くの方に周知を図るよう東京電力に求めると同時に、こうしたメニューについては、今後も電力会社任せにとどまらず、私どもも、こういう工夫をすれば、もちろん原価をしっかりと確保しつつも、節電に協力をすればこんなメリットがあるんだとか、そういったユーザーの皆さんにもプラス面を感じていただける、そんなやり方がないかどうかは研究をしていきたいと思っております。

佐藤(茂)委員 ぜひ、今大臣がおっしゃったように、東京電力には、そういう努力を若干されたのであるならば周知を図っていただくとともに、経済産業省としても、最終的には各電力会社がメニューというのは提示するんだと思うんですが、最後におっしゃったように、そういう努力を促すような働きかけを引き続きお願いしたい、そのように思います。

 続いて、今回の石油備蓄法の一部改正案について、何点かお聞きをしたいと思います。

 既に、冒頭からの近藤委員あるいは中後委員が何点か質問されておりますので、なるべく重なるところは避けながら質問させていただきたいと思うんです。

 昨年三月十一日に発生した東日本大震災で、特に東北地方を中心に、先ほどからありましたように、製油所、油槽所、サービスステーションなどの石油の生産、出荷関連施設が広域にわたって多数被災するとともに、また、それを運搬する道路や鉄道、港湾等の物流網が損壊、寸断されて、被災地外からの物流が途絶したことから、震災直後における石油の供給に甚大な支障を来したことを踏まえての今回の法案。

 この東日本大震災での経験と教訓を生かして、これは本当に痛い経験をしたわけですけれども、やはり日本はさまざまな、地震もよく起こる、また風水害もよく起こるということを言われておりますし、さらに、今後、この地域では首都直下型地震、あるいは西の方では南海トラフに基づく三連動地震、こういうもののおそれが言われているという状況の中において、この大災害に備えて、災害時の石油の供給体制の整備を一層強化するということは、国策として絶対やっておかないといけない、そういう観点から、私どもは賛成の立場から質問を何点かさせていただきたいと思うわけでございます。

 今回の一番のポイントは、石油備蓄の放出要件の見直しにあるわけですね。先ほど来ありましたけれども、今回は、第一条の「目的」にも、「我が国における災害の発生により国内の特定の地域への石油の供給が不足する事態が生じた場合において」石油の安定的な供給を確保すること等を追加されております。第七条三項の発動要件にも、「我が国における災害の発生により国内の特定の地域への石油の供給が不足する事態が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、」を追加されたんですね。

 そういうことを入れたんだけれども、しかし、今までのイメージからすると、国家備蓄を取り崩すとか、そういうことというのは非常にハードルが高いイメージがあるわけですね。

 だから、もう一回ちょっと具体的にお聞きしたいのは、この放出要件のところについて、災害の結果として、国内の特定の地域への石油やLPガスがどのような供給不足や供給の支障が生じる、あるいは生じるおそれがあるという状態を想定されているのか、ぜひ政府の見解をもう一度改めてお聞きしておきたいと思います。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 今先生おっしゃいましたとおり、今回、これまでは我が国へのとなっていたところを、我が国における特定の地域における災害ということを改めて法律上規定させていただきたいというお願いでございます。

 この場合、地域と申しますのは、私ども、今、全国を十地域ぐらいの大きな広域圏に分けて考えさせていただきたいと思っております。例えば、北海道、東北、関東、東海、大体こういったようなエリアの大きさで、まさに東北の大震災の経験を踏まえ、今先生御指摘のとおり、首都圏直下型、三連動を想定して、ある一定の広域の圏域においてどういった石油の供給不足が発生をするのか、あるいはそのおそれが発生をするのかということを、できるだけこれは柔軟に考えさせていただきたいというふうに思っております。

 定量的にどれだけというような基準を特段設けますよりも、そのときに想定をされます事態から、直ちに必要がある、ある広域圏にわたって需給が逼迫をして、これはもう備蓄を放出するしかない、あるいは民間備蓄の基準量を引き下げるしかないということを経済産業大臣が御判断いただいた際には、速やかに、諸般の情勢を考えて弾力的にさせていただきたいという趣旨で御理解いただければと思います。

佐藤(茂)委員 ですから、そのときに枝野大臣が大臣をされているかどうかわかりませんが、枝野大臣じゃなくても、そのときの経済産業大臣が、やはりこれはもう必要だ、そう判断されたときには、しっかりと国家備蓄は取り崩して石油の安定供給あるいはLPガスの安定供給ができるような仕組みにするんだ、そういうように承りました。

 それで、東日本大震災のときのことを考えますと、まさに現行法の第七条一項あるいは第十一条二項にも、災害そのほかやむを得ない事由により備蓄義務を引き下げて放出を行える、そういう規定がありまして、昨年は、実質上この条文を相当広く解釈して使って、実質的な放出をやむを得ずされたと私は理解しているんですが、昨年の東日本大震災でこの規定に基づいて具体的に行った事実関係を御答弁いただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 まさに全体の体系は、今先生御指摘のとおり、我が国へのということで法律上規定がかかっております。この我が国への供給途絶ということがかかっている部分がいわゆる国家備蓄の放出要件でございます。これは国家備蓄でございますので、経済産業大臣がいわば発意をもって放出を行う。この条文の中におきましては、まさに我が国へのということでございます。

 今先生の御指摘の民間備蓄につきましては、実は二つございまして、経済産業大臣の発意によりまして基準備蓄量の引き下げを行う、つまり民間備蓄の基準量を大臣の発意で引き下げるということでございます。これはいわゆる実質上の放出になるわけでございますけれども、これにつきましても同様に、我が国へのということで、外からの供給途絶ということで限定がかかっておったわけでございます。

 それで、今まさに先生御指摘の七条一項というのがございます。これは、大臣の発意ではなくて個々の企業の申し出によって、災害その他の事情によって基準備蓄量をどうしても個々の企業の事情に応じて達成することができないという場合のいわば緊急避難的な措置だと思います。これに基づいて、合計二十五日分を全国規模で引き下げをさせていただいたということでございます。当初三日分引き下げまして、追加で二十二日追加をさせていただいて、計二十五日分をさせていただきました。

 先生、今、ある種実態上、便宜上ということでお話しされましたが、まさにそのとおりだということで理解をさせていただいております。今申し上げましたように、趣旨としましては、個々の企業の事情に応じて基準備蓄量が達成できない場合という規定を、いわば全国的な災害対応ということで使わせていただいたという趣旨で御理解を賜れればと思います。

佐藤(茂)委員 それで、今もう答弁の中で部長が言われたんですけれども、今までの第七条の第一項と今回改正されて入れられた第七条の三項、これとの関係が具体的にどうなるのかということについて、もう一回端的にお答えいただきたいと思います。

安藤政府参考人 改めて御説明申し上げます。

 七条三項というスキームは、これは個々の企業の申し出ではなくて、経済産業大臣の発意によりまして民間の基準備蓄量を引き下げるということでございます。これはいわば、経済産業大臣のエネルギー状況の判断に基づいて、民間の基準備蓄量を個々の企業の状況とは関係なしに引き下げるということでございます。

 ここの部分に、我が国への供給途絶に加えまして、国内における特定地域ということでございまして、今回のような場合に、先ほど、個々の企業の事情に応じて備蓄基準量が達成できないという条項を援用して、全国規模で基準備蓄量を引き下げたということをやったわけでございますけれども、この条項を成立させていただきましたならば、個々の企業の申し出いかんにかかわらず、経済産業大臣が必要であるという判断があれば、国家備蓄の放出とあわせまして民間企業の基準備蓄量そのものの引き下げを大臣の発意によって行うことができる、そういう趣旨でございます。

佐藤(茂)委員 ですから、昨年はやむなく第七条の一項を何とか踏まえて、個々の企業の申し出があったんでしょう、あったということにして民間備蓄を取り崩されたということになりましたが、今後を考えましたときに、この第七条三項というものを入れたことによって、先ほどありました、これから想定されるさまざまな災害で石油の安定供給に支障を来す、こういう大きな災害が広範囲にわたって被害をもたらして支障を来すというような状況になったときには、第七条の一項ではなくて、第七条の三項に基づいて、経済産業大臣がみずからの発意で民間備蓄を取り崩していく、あるいは国家備蓄を取り崩していく、そういうことになるのが大半だ、そういうふうに想定していいんでしょうか。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘のとおりだと思います。

 まさに、経済産業大臣の発意によりまして民間企業が持っておられる基準備蓄量を引き下げるということになりますと、保有しております備蓄に余裕ができますので、これがマーケットに流れてくるということで市場に石油製品が供給をされるというメカニズム。

 あわせまして、国家備蓄そのものがございます。これは、国が管理をさせていただいておる国家備蓄そのものにつきましても、同様に、必要があれば、経済産業大臣の発意によりまして、これはまさに国家備蓄そのものの放出が行われるということでございますので、こういったことを組み合わせながら、経済産業大臣が必要だということに至りましたら、極力速やかに、両方の措置を組み合わせて弾力的に行わせていただくということだと思います。

佐藤(茂)委員 発動要件についてはちょっと確認をさせていただきました。

 あとは、前二者の質問と幾つか重なるんですが、災害時石油供給連携計画、十三条関係でございますが、これが、この条文を読むだけでは、指定を受ける地域とか、特定精製業者等とか、災害時石油供給連携計画の記載事項についても、ほとんどが経済産業省令委任となっているんですね。だから、余りにも省令委任が多くて、これではどのような事態になったら結局連携計画の規定が発動されるのか具体的なイメージがつかめない、そういう印象もあるわけであります。

 そこで、まとめてちょっとお聞きしたいんですけれども、災害時石油供給連携計画が発動される災害の規模、さっきの発動要件とも関連して、どの程度を想定しているのかということと、その連携計画の具体的な連携内容を、イメージとしてこういう計画なんだ、こういう連携をさせるんだ、そういうことも教えていただきたいし、災害時石油供給連携計画によって災害時の石油供給体制は東日本大震災時と比べて具体的にどのように改善されるのか、まとめて御答弁いただきたいと思います。

    〔委員長退席、石関委員長代理着席〕

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、この計画を発動するかどうかにつきましては、これは、まさに災害が発生してこうしたおそれが出る場合に、経済産業大臣が平時つくっております計画を発動しろということで勧告を行う、そういう仕組みにさせていただいております。

 どういった事態かということで申し上げますと、これは、個々の事業者の個々の通常の生産、輸送活動ではとてもこの事態に対処できないということを総合的に判断させていただくということだと思います。逆に申し上げますと、まさに連携でございますので、元売各社がまさに連携をして供給しませんと、殺到するさまざまな緊急要請に御対応させていただけないというような事態に至った場合には、速やかに大臣が平時につくった連携計画の実行を勧告するということだと思います。

 もう一つ御質問がございました。では、具体的に何を書くのかということは、大半を省令に落とさせていただいておりますけれども、大きく分けまして四つの要素がございます。

 一つは、石油会社相互の連絡に関することということでございます。これは、いわゆるオペレーションルームというものを設置して、まさに司令塔をつくるわけでございますけれども、このときに参集をする石油会社の担当者の役職、氏名及び連絡先といったようなこと、あるいはどこにそれを設置するのか、あるいはどういう情報を交換するのかという情報の種類の細目でございますとか、こういったことを決めさせていただきます。

 それと、もう一つは、油槽所などの共同利用に関することというのを法律に書かせていただいております。これは、まさに共同利用すべき油槽所、オイルターミナルでございますけれども、一体どこのオイルターミナルをそういうことを想定しておくのかということ、それと、共同利用の基本的なルールでございますとか、こういったものを改めてということでございます。

 三番目が石油の輸送協力に関することでございまして、タンクローリーの相互融通の仕方とか、ほかの地域から、では、具体的にどうやって追加投入をしていくのかといったようなこと、製品の相互融通についての基本的ルールということでございます。

 四番目がその他ということでございまして、これにつきましては、国家備蓄の石油製品について先ほどから御議論がございますけれども、これを石油会社に管理運営を委託させていただくということで今回新たに追加をさせていただいておりますが、こういった国備の石油製品の管理の仕方といったような問題、あるいは、さまざまなこういったことを動かすための訓練の仕方、こういったようなものも平時から計画の中に規定をさせていただく、これを省令に落とさせていただいておるわけでございます。

佐藤(茂)委員 今部長が最後に言われた訓練の仕方ですね、仕方を計画に入れるだけではなくて、私は、ぜひこの議論の中でさせていただきたいのは、具体的に連携計画に基づく訓練をしっかりとやはり平時からやっておくということが何よりも大事ではないかなと思うんですね。

 昨年、東日本大震災がありましたときに、防衛大臣補佐官をされていたのが、自衛隊の統合幕僚議長までされた西元さんという方なんですけれども、その方が、ことしですか、当時、防衛大臣を補佐しながらの経験を踏まえて、この人の持論だと思うんですけれども、言われていたのは、特に自衛隊という実力部隊を動かしていたからそうだと思うんですが、日常から訓練をしておいたことしか非常時には実行できない、そういう話をとうとうと、昨年のあの災害、自衛隊も非常に頑張ったんですけれども、そのことも踏まえながら述べておられたのが非常に印象的だったんです。

 私は、これは省は違いますけれども、今回、経済産業省として主導して、こういう災害時の石油供給連携計画というものをしっかりつくっていくというのであるならば、ただ計画をつくってそれで終わりということではなくて、その計画に基づいて、そういう計画がスムーズに動くのかどうなのか、そういう訓練というものをしっかりと平時からやっておくということは何よりも大事ではないかな、そう思うんですが、経済産業大臣の見解を伺いたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、訓練をこういうふうにやりますと決めてもらうだけでは意味がなくて、実際に訓練を行ってもらい、場合によったら、訓練の結果こういう問題点があったからこう直しますとか、こういった報告等がしっかりとなされないといけないだろうというふうに思いますので、そうしたことをどうやって担保できるのか、運用に当たってしっかりと配慮してまいりたいと思います。

佐藤(茂)委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 続いて、先ほどからありましたサービスステーション、要するに、一番のポイントになりますのは、今回、二十七条第一項第五号で、重なる答弁は要りません、例えば一定規模以上のもの、立地の状況なんかも、高速道路のサービスエリアとか警察とか消防署の近くとか、いろいろありました。それを聞いていると、届け出をされる対象要件というものが一体どうなるんだということについては、もう一回明確にお答えいただきたいんです。

 それで、先ほど部長の答弁だと、地域によって若干差がある、そういうことも言われました。そうすると、全国一律のそういう届け出対象要件ではなくて、地域によって差が出てくる、そういうことも想定されているということかなと思っておりましたので、最低限、こういう角度のことがしっかりと見られるんだ、もくろみとしては、全国的には二千から二千五百カ所にそういうことを踏まえて総合的にこうなるんだということかなというように承っていたんです。

 しかし、これだと、自分のところのサービスステーションがそういう中核サービスステーションになり得るのかどうなのかということすらも、まだ今の答弁ではわからないので、給油設備の規模であるとかそのほかの要件について、こういうことがそういう基準になって、こういうものをしっかりと届け出対象要件として出してもらわないといけないんだということを、今の時点で言えることをもう少し明確に述べていただけないかなと思うんですが、よろしくお願いします。

安藤政府参考人 お答えさせていただきます。

 ちょっと重複するかもしれませんが、そこはお許しいただきたいと思います。

 今まさに先生御指摘のように、大きく二つございまして、一つがまさに設備の要件でございます。これはタンクの容量がまず基本になると思います。レギュラーガソリン、ハイオク、それぞれにつきまして、何キロリットル以上というようなものを想定させている。先ほど、三十キロリットルというのを一つ例示で出させていただきました。

 ただ、全国全てこれを機械的に運用しますと、例えば、ある山間部等々においてどうしても中核SSに指定する必要があるという場合に、機械的にひっかかってしまうということになると、これはぐあいが大変悪うございますので、こういったものについてはできるだけ弾力的な、またこれも具体的な基準を、例外的な基準としてこういうものがあるということを、定量的なものを用意する必要があると思っております。

 それと立地条件につきましては、これはなかなか定量的には申し上げにくい状況だと思いますので、先ほど申し上げました高速道路のサービスエリアの近辺とか、消防署、警察、こういったようなものも具体的な事例として明示をさせていただきたいと思います。

 こういったようなものを、内部の運用基準ということではなくて、SSの皆さん方が当然御認識いただけるような形で、はっきりとした形で公示をさせていただきたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 今回の新しい二十七条第一項第五号で、事前に届け出いただく。これを経産省の言葉で言いますと中核SS、サービスステーションの中核になっていただくんだ。そういうことをあらかじめ届け出いただくことはいいんですが、この中核SSが、例えば昨年の東日本大震災を想定してもいいと思うんですが、そういう大きな大規模災害時に具体的にどのように機能するのか、また機能させる意味でこの届け出をさせるんだという具体的なイメージをぜひ御答弁いただきたいと思うんです。

安藤政府参考人 中核SSは、基本的にはいわゆる緊急車両に対します優先供給を想定させていただいております。もちろん、一般の方を排除するという趣旨では全くございませんけれども、まさに緊急車両。この緊急車両に何が該当するのかというのは、またそれぞれのケースに応じて別途警察を中心に整理がされると思いますけれども、いわゆる緊急車両に優先に供給をしていくということの拠点といたしまして、中核SSというのを基本的には考えさせていただいております。

 先ほど申し上げました立地拠点というのは、そういうことを反映したものだということで御理解いただければと思います。

佐藤(茂)委員 もう一つは、全体の災害時の対応で、自治体との連携、この重要性というものも昨年の東日本大震災の教訓の一つとして挙がってきました。

 要するに、災害時に優先的に供給する施設の情報、これが東日本大震災のときには、各石油会社と例えば自治体が事前に共有しておったということが余りなかった、そこが不十分であったという点が指摘されております。また、震災時に各自治体から緊急要請の、ここに供給してくれという対応で非常に混乱し、また結果としてその対応におくれが生じた、そういう問題もあります。

 だから、優先供給を行うべき重要施設情報を、各自治体と石油団体あるいは石油会社とあらかじめ災害時協定を締結するなどして用意を十分しておくということが、私はやはりこれからの災害時の供給体制を考えたときに必ずやっておかなければいけないことではないかと思うんですが、この自治体との連携の推進の考え方について、経済産業省の見解を伺いたいと思います。

安藤政府参考人 重要性は、今先生御指摘のとおりだと思っております。

 実は、東日本大震災の際には、石油連盟と自治体との間でのいわゆる防災協定というのは、東京都とのみできていた。逆に言いますと、それ以外の自治体との間では、残念ながらそういった協定の作成に至っていない状況でございました。これの反省に鑑みまして、今順次、各自治体等の皆さん方と防災協定を結んでいただくように働きかけをさせていただいております。

 締結済みの東京都に加えまして、埼玉県とは締結をさせていただきました。あと、大阪、群馬、佐賀県、山形県と今準備中でございます。できましたら、全ての都道府県の皆さん方と石油連盟との間での協定を締結させていただきたいと思っております。

 また、現場が大変大事でございますので、いわゆる石油組合の皆さん方と各市町村の皆様方との間での同様の締結を今進めさせていただいておりまして、今、既に八十強の自治体の皆さん方とSSの皆様方を中心とした石油組合の皆様方との間で協定の締結をさせていただいております。

佐藤(茂)委員 もう時間が参りました。

 最後に、私は、この法案、これから審議を経て成立した暁には、冒頭申し上げましたけれども、経済産業省令に委任されていることが非常に多いんですが、この委任事項も速やかに決めていただいて、いつ災害というのは起こってくるかわからないんですから、この法案の中にも出ております連携計画というものも速やかにつくり上げて、そして、それに基づいた実地の、平時からの訓練もしっかりとやって、そして、いざ大きな災害が起きたときにも対応できるような体制をしっかりととるところまで、ぜひ、経済産業省として責任ある、そういう推進をしていただくようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

石関委員長代理 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは燃料費の問題について伺いたいと思いますが、枝野大臣は、一昨日夕刻に、東電の家庭用電気料金の値上げを認可しました。この値上げ申請額の、二兆四千七百四億円で最初申請してきたわけですが、圧倒的に大きいのは火力発電の燃料費、特にガス系、つまりLNGだとしていたわけですが、TEPCOが最近発表したプレス発表資料を見ると、天然ガスが一兆七千七百六十四億円と発表しています。

 そこで、お配りしていただいておりますこの図一をまず見ていただきたいんですが、黒丸、これが日本のガス価格ですね。三角の方がアメリカのガス価格ですが、欧州の方が四角いものです。日本のガス価格は余りにも高いと思うんですが、まず、これは政府参考人に、これは事実だと思うんですが、確認しておきます。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、米国の天然ガス市場でございますけれども、御指摘ありました、近時、シェールガスの生産拡大によりまして需給が緩和をいたしておりますので、その国内需給を反映した市場価格での取引がなされるということで、価格は、現在、百万BTU当たり約二・五ドルぐらいの水準でございます。

 これに対しまして、我が国のLNGの輸入でございますけれども、実は、先ほど申し上げた数字は、液化ですとかあるいは輸送のコストは入っていないのが先ほどのアメリカの数字でございますけれども、こういったコストがかさむとともに、原油価格に連動した価格決定方式に基づいた長期契約をしているということでございまして、そういったケースが多いために、原油価格が高水準で推移をしていることも背景といたしまして、LNG価格も百万BTU当たり十七ドル前後ということで、極めて高い水準で推移をしているという状況にございます。

 以上でございます。

吉井委員 今おっしゃったように、この図一の資料で見てもはっきりしていることは、極端に差がついているんですね。何もアメリカ国内で掘ったガスをパイプラインで送っているから安いという話じゃないんですね。海外からLNG船を使って来たものも安いんですよ。

 そこで、やはり、今おっしゃった、その時々で値段は違いますが、アメリカの百万BTU当たり四ドル、日本でいうと十四・七ドルというのがこの表の一番右端に書いておいた分ですが、これは三倍以上高過ぎるわけですよ。アメリカ並みにLNG価格を下げさせれば、電気料金値上げを抑えることができたわけですね。

 枝野大臣は、一体、この燃料価格をどのように抑えさせるように努力し、また査定されたのか、これを伺っておきます。

枝野国務大臣 輸送や液化の費用ということを見込んでも、今、アメリカのシェールガスの価格と比べて日本の価格が高い。これは二つ原因があって、一つは、価格決定が長期契約になっている、それからもう一つは、原油価格に連動した価格決定方式になっているということ、この二つの点で、高どまりをしているというか、下がらないということになっております。

 既に契約をしている長期契約自体をこちら側が一方的に変えることは不可能でございますので、今回の値上げの査定に当たっては、次の価格の改定時期においてはこうしたシェールガス革命等によって全体的な価格が下がっていることを先取りした形で、かなり厳しく、安く調達をできるという前提での査定をいたしているところでございます。

 ただ、このためには、東京電力のみずからの努力にとどまらず、かなり期待、希望は大きくなってきていると思っておりますが、アメリカのシェールガス自体、FTAを締結していない日本に対しては個別の認可がないと輸出がなされないということでございます。これについてアメリカの対応を強く求めているところでございますし、また、このアメリカのシェールガスの権益そのものに日本の企業が参画をするということについて、最大限の後押しをしているところでございます。

吉井委員 LNGと石炭は、日本は世界最大輸入国ですね。東電は世界最大の輸入業者なんですよ。ですから、やはりバーゲニングパワーを活用した交渉というのをきちっとやらせて抑えないことには、どんどん上がっていく話になるわけですが、このバーゲニングパワーを活用した交渉というものをどういうふうに進めてきたんですか。

枝野国務大臣 これは本質的には、現在の原価算定制度というものが、バーゲニングパワーを発揮して燃料を安く調達するというインセンティブを与えない仕組みである、やはりこの仕組み自体を変えないと本質的な解決にはならないと思っています。

 したがって、現在の原価算定方式といいますか、規制料金で守られるという仕組み自体を抜本的に変えるということで、今、システム改革、小売の自由化、そして発送電分離をできるだけ早く、しかもしっかりと行って、実質的な競争が働くという状況をできるだけ早くつくり上げたいというふうに思っております。

 その上で、もう一つは、バーゲニングパワーを個社に委ねるのではなくて、調達に当たって、もちろん東京電力が一番大きな調達をしているわけでありますけれども、さらに、国内において、ガス業界などと業種を超えた、あるいは電力業界もいろいろなところで仲よくやっていらっしゃるようですが、調達こそ協力をして行う、さらには、同じように資源がなくて他国からのさまざまな燃料の輸入に依存をしている韓国などとの国境を越えた連携も進めていくということを推し進めているところであり、また、こうしたことを加速させるために、九月には、東京において、LNGに関する産消会議、産出側の国や企業、そして消費側の国や企業に集まっていただいた会議を開催しようというふうに思っております。

 こうした今後行われる努力を見込んで、今後改定期を迎えるLNGの調達についてはかなり厳しく、安く買えるはずだということで、今回査定をさせていただいています。

吉井委員 最大の輸入国ですから、非常に強力な交渉力があるんですよ。

 ところが、現実を見れば、図一で書いたのは三つだけですけれども、二〇一一年で日本は十四・七ドルですね。今おっしゃった韓国は十二・二ドルなんです。米国は四・〇、欧州は九・〇三ドル。足元では、日本は十八ドル台ですね、米国は大体二、三ドルなんですよ。およそ八倍の格差がついているということが、エコノミストを初め各誌でも紹介されているところです。下河辺委員会の報告でも、東電、日本のLNG購入価格は欧米よりも高水準に推移していると。実態は本当に異常なんです。

 何でこうなるかというと、LNG価格は原油リンクというこの問題があります。その原油はどういう問題を持っているかといったら、これはエネ庁のエネルギー白書を見ても通商白書を見ても、原油価格は投機マネーによって押し上げられていると、これはエネ庁自身が報告書で書いているわけですね。かつての原油高騰のときもそうでしたけれども、原油の適正価格は大体一バレル五、六十ドル、これはファンダメンタルの価格ですが、二〇〇八年ごろの原油高騰のときにはこれは百ドルを超え百四十ドルぐらいに近づいたりとか、今は若干下がっても大体八十ドルから百ドルぐらいで前後する。ですから、ファンダメンタルに比べて、半分は投機マネーによるつり上げですね。

 そもそも、投機マネーで高騰させられた原油価格になぜLNG価格を連動させて決めるのか、この決め方は余りにも異常なんじゃないかと思うんですが、大臣、どうですか。

枝野国務大臣 私も、こういう立場になりまして、何でLNGは下がらないんだと、説明を繰り返し事務方にしてもらいまして、どうも大分昔からこういうことになっているということだということはわかりましたけれども、なぜ連動させなければ契約が結べないのかということについては、私自身も納得できておりません。

 したがって、今後、こうした日本にとってとても有利とは言えない値段の決め方そのものを含めて、バーゲニングパワーをしっかりと活用して安く調達をするということを進めていかなければいけないと思っています。

吉井委員 次に、配付いたしました資料二枚目の表をまず見ていただきたいんですが、これは東京電力のLNG長期プロジェクトの一覧です。

 その八番目に、サハリン2、これは私もかつてまだ建設中の段階で鳩山邦夫さんらと一緒に建設現場に調査に行ったことがありますが、これが完成して、ここからLNG船でガスが入ってきているわけですね、LNGが入ってきている。

 これが、実は、同じ企業から買うんですから積み出しのときの値段は同じなんですね。ところが、東京湾に入ってきた輸入LNGの受け入れ揚げ地ごとの単価を見ると、一番新しい二〇一二年五月の直近のデータで見て、袖ケ浦基地に荷揚げしたものは三万一千七百十九円・パー・トン、同じ千葉県にある富津の基地では、同じトン当たりで見て七万四千九百七十五円、川崎の扇島基地では六万一千百四十七円・パー・トンとばらばらなんですね。同じ千葉県の基地でありながら、富津は袖ケ浦の二倍も高い単価になっているんですよ。

 これは、やはり価格交渉をして、袖ケ浦並みに安くする努力をすれば、円高効果もあって、値上げ申請額はもっと安くなるはずなんです。それはなぜそういうことになっていないのか、伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 個別のことについてはこの後もお尋ねがあるかと思いますが、全体の構造としては、この調達は五年程度の一定間隔で価格を見直すという長期の契約である、この長期の契約をしているということは私は十分納得できる。量的にも長期にわたって確保しなきゃならないし、価格も余り乱高下のないようにということで、長期間ごとに見直しをしていくということの方が、これは制度としては合理性がある、こう私も思います。

 したがって、同じところから同じところに運ばれてくるLNGでも、契約時期がずれていると違う値段になるというのが、全体の構造としてはこれは合理性がある。したがって、次回の改定期のときにはかなり厳しく交渉していただかなければいけないということであります。

吉井委員 私は、揚げ地ごとに価格はばらばら、しかも二倍も違うというふうな異常なあり方そのものがやはりおかしいので、これは一番安い揚げ地価格にすれば、もともと燃料費は下がるわけですから、それはやはり改めなきゃならぬと思うんです。

 政府参考人にここで確認しておきますが、表に示したプロジェクトの中の七番目のオマーンからのLNG購入と販売の権利を持っているセルト社という会社、これはTEPCOトレーディングとそれから三菱商事が共同出資してつくった日本法人ですが、これは図の二に書いてあるものですが、このセルト社についてはこの図のとおりでいいですね。

高原政府参考人 この図のとおりと理解いたしております。

 以上でございます。

吉井委員 実は、このセルト社が、ここから東京電力に販売しているLNGの方はTEPCOトレーディングなんかが中心に入ってなのでしょうけれども、もともとLNG価格については、売っているオマーンから同じ価格でこのセルト社は買っているんですが、販売するときに、東京電力に売っている価格というのは、これは原油価格連動、JCCで購入するから、百万BTU当たり十四ドル、これは二〇〇八年ですが、二〇一〇年で十八ドル。

 ところが、同じLNGを三菱商事がアメリカへ販売する価格は、ヘンリーハブに連動して、百万BTU当たり二〇〇八年で四ドル、二〇一〇年で二ドルですね。最近でいうと、アメリカより大体九倍も高い価格でLNGを東電は購入している。

 三菱商事と東電の子会社が共同出資してつくった日本法人ですよ。同じところが調達したLNGを日本の東電は原油価格連動で高く買う、こういうふうなことをやっておれば燃料費が高くなるのは当たり前のことで、私は、この点では、東電が出してきた燃料費についての資料をそのまま認めるというわけにはやはりいかないと思うんですね。

 きちんきちんと一つずつ厳しく査定していかないことにはだめだと思うんですが、どういう査定をされましたか。

枝野国務大臣 一個一個の契約がいつまでの契約期間であってというようなことについては、これは専門家の皆さんに一件一件全部チェックをしていただきました。

 ただ、今回のこのセルト社の件については、今回、御質問をいただくということで、私も、説明、報告を受けましたが、セルト社自身が東京電力の事実上子会社、支配権の及ぶ会社であり、セルト社自身が共同出資の三菱商事に対しては原油価格連動ではない形で売っているということの中においては、契約の途中であったとしても、これについて交渉の余地があり得るというふうに思いました。

 したがって、ただ、これは、出資比率であるとか契約の詳細な内容もきちっと確認をいたしませんと、東京電力に対しては、自分の子会社なんだから、そんなところにもうけさせないで料金を下げろ、これは当然言えると思っておりますが、三菱商事にはさすがにそれはちょっと、いかに日本の企業であるとはいっても言えませんので、そのあたりのところ、御指摘を踏まえてしっかりと調べたいというふうに思います。調べた上で、値段を下げることが可能であれば、下げるように指導したいと思います。

吉井委員 三菱が扱ってアメリカへ売る分が二ドルであれば、TEPCOの子会社が扱って東電へ売る分も二ドルでいけるわけですよ。買ったときの価格は一緒なのに、なぜアメリカ向けは二ドルで、日本向けは八倍も高いのか。これは誰が考えてみても納得のいく話じゃないと思うんです。

 ここにあるのは、やはり総括原価方式と燃調制度に守られて、企業努力の誘因、インセンティブが働かないという、この前も紹介しました七四年三月二十五日の通産省公報を初めとして、かねてより指摘されてきたことですね。やはり燃調制度の問題にメスを入れなきゃいけないと思うんです。

 今のオマーンの例で見ますと、東電が三菱商事と共同出資して設立したセルト社から東電のLNG購入価格が高くなればなるほど、セルト社のもうけがふえるんです。つまり、東電の利益をふやすということになるんですね。一方、高い燃料を買った火力燃料費が増加したって、これは燃調制度で家庭用電気料金に上乗せすることもできるし、今回は料金改定ですから、総括原価に入れて、電気料金を引き上げて徴収する。どっちへ転んでも、国内では東電は燃料費の増加を消費者に押しつける、そして一方で、海外では東電系の企業が東電に高い価格でガスを売ることによってもうける。

 一体、東電はどういった企業努力をしているのかということについて、ここはやはり査定の段階で大臣としてきちんと厳しく見てもらわなきゃいけないと思うんですが、どうされましたか。

枝野国務大臣 繰り返しになりますが、総括原価方式と燃調制度というものが企業のインセンティブを誘引しない、むしろ封じ込めるという仕組みであって、そのことが、我が国の燃料調達、そして電力料金の高どまりの原因になっているということは私も全く同感でございます。一刻も早くこれを変えたいというふうに思っておりますので、この点は党派を超えても御支援をいただけると思いますので、よろしくお願いをしたいというふうに思っています。

 その上で、先ほど申しましたとおり、今回の東電の料金査定に当たっては、個別の契約内容にまで立ち返って精査をさせていただいたところでございますが、その契約相手方の出資の比率といったところまでは、率直に言って、今回十分な査定ができませんでした。

 そういった意味では、こういったところまで立ち返れば、繰り返しになりますが、果たしてこれで下げられるかどうかというのは、確かに今、現状で生じている現象は非常におかしく思いますけれども、契約内容やセルト社における出資比率その他によって変わってくると思いますので、そこについては断定はできませんが、少なくとも、こういったところまでしっかりと調べた上で、それを踏まえて調査をしなければならないという御指摘は、今回の御指摘で私も同感でございます。

 東京電力についても、セルト社について詳細を調べさせますが、それ以外についても同様に、子会社等が調達先でかかわっていないかどうか、それから、今後、電力会社に将来値上げ申請等があった場合には、そうしたところまで立ち返って精査をさせたいというふうに思います。

吉井委員 この前も私が取り上げて紹介しましたように、原発事故で、原発で電気がつくれないから火力でということで、燃料費がふえるわけですね。東電に燃料を直接入れている会社へは、本当は東電で原発事故の責任をとらなきゃいけない役員が天下りをしていって、火力で燃料をたくさん東電へ売れば売るほどその企業は利益が上がる、こういう仕掛けがあることをこの前は御紹介しました。

 今度のセルト社の問題は、同じ価格で買いながら、アメリカより八倍ほど高い価格で日本へ売りつける。時によって変動がありますから九倍ぐらいになるときもあるんですけれども。そこで高く売ってもうければもうけるほど、出資比率の問題もありますけれども、いずれにしても、TEPCOの子会社が日本法人として設立しておりますから、東電に高く売れば売るほどそちらでもうかる。

 いずれにしても、そのツケは全部消費者に回ってくるわけですよ。一体こんなことでいいのだろうかということを根本的に考えなきゃいけないときだと思うんです。

 実際には、東電の購入価格は、石油メジャー、大商社、東電、子会社を含めて、それらによる探鉱、開発、生産、液化、販売の事実上の国際カルテル価格とさえ言えるものではないかと思うんです。

 表で示しましたように、東電の申請資料によると、原価算定期間中に東電のLNG長期プロジェクトは九本あるんですが、ブルネイ、アラブ首長国連邦のダス、マレーシア・サツ、西豪州、カタール、ダーウィン、オマーンのカルハット、ロシアのサハリン2、これに計画中のパプアニューギニアがありますが、図の二で示しましたように、東電の一〇〇%子会社であるTEPCOトレーディング社の共同出資社、セルト社による調達は、要するに売り手と買い手が同じなんですね。

 昨日、こういう問題について消費者問題特別委員会で東電の広瀬社長に伺うと、私の指摘を否定できないで、要するに、守秘義務契約でございまして、存じ上げておりませんなどと、わけのわからぬことを言っているんですね。

 枝野大臣に伺っておきたいんですが、やはり値上げ申請で、LNGの燃料費というのは一兆七千七百八十六億円なんですよ。この申請額から、今度圧縮したというんですが、二十一億円下げただけなんですね、〇・〇〇数%。これはほとんど申請どおりなんですが、一体こういうもので妥当だとお考えなのかどうかを伺っておきます。

枝野国務大臣 今の守秘義務の話というのは、直接のやりとり、詳細を承知しているわけではありませんし、繰り返しになりますが、東京電力の一〇〇%子会社ならそんなことはとても言えない。三菱商事がどれぐらいの持ち分を持っているのか、それから、三菱商事の会社としての意思、意向というものを十分に踏まえた上でなければ結論は出せないというふうに思いますが、高く燃料を買えば子会社がもうかるという構造があることは間違いありませんので、そのことについては、繰り返しになりますが、厳しく見ていきたいというふうに思っておりますし、先ほど来繰り返し申し上げておりますが、抜本的には総括原価方式と燃調制度というものを変えないといけないと思っています。これには一定の時間がかかりますので、それまでの間は原価を査定していかなければいけないというふうに思っています。

 ぜひ、当然事後的でも、御指摘いただければしっかりと改めて調べさせますが、できるだけ前広に、こういうところに問題があるはずだからこういうところを調べろということを御指摘いただければ、それがきょうのように合理性のある話であれば、そのことについて厳しく査定の検査、調査をいたさせますので、今後ともよろしく御指摘をいただければと思っております。

吉井委員 揚げ地別のLNG単価について聞いても広瀬社長は意味不明の答弁でしたから、よくわからぬわけですけれども。

 要するに、問題は、こうしたプロジェクトにかかわっている三菱商事というのは一体どれぐらい利益を上げているかといったら、昨年三月期で史上最高の利益なんですね。三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅などの四大商社は、ことし三月期決算では当期純利益が史上最高になっているんです。大もうけなんですよ。いずれも、海外の資源開発関連事業が資源価格上昇によって大きな利益を上げているんです。

 セルト社の例に見るように、資源価格高騰による果実の配分は、三菱商事と東電、あるいは関係する船舶会社とか造船会社とか、それらの人たちはウイン・ウインの関係なんです。しかし、日本の消費者だけが、電気代の値上げで負担させられて泣かされる。

 JOGMECやJBICがこうした資源開発プロジェクトを支援しているわけですが、その成果は大商社や資源開発大企業に回って、リスクの負担だけが国民や消費者に行くというのでは、これは納得できる話じゃないと思うんです。

 私は、こういう利益を直接国民にどのように還元させるという方策をお考えになっておられるのか、大臣に何か還元させる方策についてお考えがあれば、伺っておきたいと思います。

枝野国務大臣 繰り返しになりますが、東京電力と三菱商事の出資の比率であったりとか契約の具体的詳細な内容を拝見しませんと、今すぐに対応ができる性格のものであるのかどうかということはなかなか即答できませんので、これは十分に調べさせていただきたいというふうに思います。

 あえて申し上げれば、セルト社の取締役は株主に対して善管注意義務を負っておりますので、三菱商事だけべらぼうにもうけて、その結果として東京電力が高い調達をせざるを得ないということであれば、三菱商事に対しては善管注意義務を果たしているかもしれませんが、全ての株主に対する責任でありますので、善管注意義務違反ということが生じる可能性もあるというふうに思いますので、そうした視点で厳しく調べさせていただきたい。

 調べた上で、その結論によって対応は変わってきますので、きょうはここまでにとどめさせていただきたいと思います。

吉井委員 私は、三菱商事に何もめっこをつけて物を言っているんじゃないんです。要するに、JOGMECやJBICはいろいろな形でリスクマネーを供給して、利益を上げたときは三菱商事だけがもうけて、東電が家庭料金で消費者にツケ回ししているということを言っているんじゃないんです。東電自身が、TEPCOの関連会社、子会社が三菱商事と一緒に企業をつくっているわけですから、そこでまずもうけているわけですよ。

 そういうふうに、利益は、TEPCOの子会社であれ三菱商事であれ、そういうところがきっちりもうけて、しかし、そのツケ回しは、電気料金だけじゃなくて、ほかの分野でも価格高騰などによって庶民に回ってくる。このやり方はやはりおかしいので、史上最高益を上げているんだったらやはり国民に還元する道筋を考えさせる、このことが必要だということを申し上げまして、時間終了という札が来ましたので、終わりたいと思います。

石関委員長代理 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 最初に、この法案の趣旨というか性格について質問をします。

 東日本大震災のときのガソリン供給不足については、これまでの質疑にもいろいろな議論がありました。東日本大震災の教訓を踏まえて今回の法改正に至ったものと理解しておりますが、中身を見ると、もしかしたら法改正しなくても行政指導で対応できるんじゃないかと思わなくもありません。あえて法改正をやらないといけない理由について、具体的に教えてください。

    〔石関委員長代理退席、委員長着席〕

枝野国務大臣 法律がない状況で、これは一週間程度各石油会社の調整に要したわけで、まあ、調整しながら動いたわけでありますが、そのことで結果的に被災地の皆さんに大変御苦労、御迷惑をかけました。

 あらかじめそういう調整を行政指導で事前にさせておけばいいじゃないかということかもしれませんが、少なくとも一つ、法律でしっかりと定めて、それに基づいてやっていただくということでメリットがありますのは、これらの共同行為が独禁法に抵触するか否かということであります。石油会社は、大昔、価格カルテルなどで大分いろいろと注目をされましたので、独禁法に違反しないかどうか、抵触しないかと大変センシティブであります。

 そうした意味では、この法案でも、災害時石油供給連携計画を事前に公正取引委員会と調整し、独禁法上問題のない形にしておく仕組みを規定しています。当然のことながら、災害時にこういうことをやるということ自体は、独禁法上のさまざまな規定、これは正当な理由なくとか不当にとか、そういうのが全部くっついていますから、当然正当なことでありますが、こうした共同行動がその目的を超えて独禁法に違反するようなものではないということをあらかじめ確認することができれば、各石油会社とも共同体制の構築と実施に心配がなくなるということで、少なくともこの一点だけでも、法律上、制度をしっかりとつくり、その制度に基づいてやっているということの裏づけをつくることには意味があるというふうに思っております。

 また、実際に今回東北で直接大変御苦労された、これはユーザーの皆さんもそうですし、例えばSSの皆さんなどもそうでございます。そうした皆さんに対して、こういう形で整理されたというのを法律という形で明確にお示しするということは、これは実態的な効果は、直接的ではないかもしれませんが、大きな意義があるんじゃないかと思っています。

山内委員 独禁法に触れるおそれをなくすという点では理解しました。

 この法案を見ると、実は石油の部分とJOGMECの部分、性格の違うものをかなり強引に一本にして、質疑時間を短く、一回で済ませようという戦術的な工夫の跡が見られるわけですけれども、本来は二回に分けてしっかり審議すべきだと思います。今回、私どもの党は賛成する方向ですけれども、ぜひ次からは、一回一回別々にやった方がいいと思いますので、そういうこそくというか細かいわざは使わずに、きっちりやっていきましょう、そのように思います。

 二番目の質問、災害時の石油業界との連携、訓練等については、先ほど来ずっと質疑が続いておりますので、思い切ってスキップして、省かせていただきます。

 三番目の質問に進みます。

 政府の資源確保戦略という文書があります。これはことしの六月二十七日付で、パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合で配られたもので、先ほど、きづなの中後さんから質問もありましたけれども、この資源確保戦略という文書の位置づけについてお尋ねをします。

枝野国務大臣 この必要性というか趣旨は省略をさせていただきますが、オール・ジャパンで戦略的に資源を確保する体制を構築するために、外務省等関係省庁の協力を得て、経済産業省として立てた戦略でございます。

 ただ、その内容を構築するに当たっては、関係省庁との連携をしっかり行ったものであると同時に、第十五回パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合で報告をし、そこにおいて関係各省にも共有をいただき、御協力をいただくということで、政府内における横断的な戦略としての意味を持つということになった文書であるというふうに認識しております。

山内委員 ちょっと私もよくわからないんですが、閣議決定とか閣議了解みたいな形で、日本国政府全体の方針ということになっているというのと同じような意味なんでしょうか、今のお答えは。

枝野国務大臣 閣議決定等をしている文書ではございませんので、法的な意味づけという意味では違っているかというふうに思います。

 それは、本当にこれは柔軟に、この大きな戦略に基づいて具体的な行動、対応をとっていくことが重要であるということを考えますと、まさに各省で経産省が中心になって立てた戦略を共有していただき、各省ともそれを踏まえた対応を具体的に今後もとっていただくことが一番重要であるということでございますので、効果としては、閣議決定とか閣議了解をした文書と同じように、こうした戦略に基づいて各省横断で協力をして進めていくということになると思っております。

山内委員 この資源確保戦略のホームページを見ると、基本的な方針としては、平成二十年三月二十八日の閣議了解を受けた資源確保指針というものがあって、それに基づいているというような説明書きがありました。二〇〇八年の段階の資源確保指針というのがもとにあって、それに基づいてこの資源確保戦略というのができている、そういう理解でよろしいんでしょうか、ちょっと確認のために。

枝野国務大臣 大きな指針としては、この二〇〇八年の資源確保指針を踏まえておりますが、同時に、二〇〇八年以降の大きな環境の変化ということを踏まえた戦略といたしているところでございます。

 なお、資源確保指針そのものも、改定をする、あるいは新たにつくる必要性は認識をいたしておりまして、エネルギー基本計画等の検討状況を踏まえて、この指針そのものの策定を検討してまいりたいというふうに思っています。

山内委員 次に質問しようと思った点をお答えいただいたようですけれども、やはり二〇〇八年段階と今で、大分、国際環境、エネルギー情勢は変わりました。福島原発事故はもちろんのこと、シェールガス革命もありました。あるいは、中国からレアアースとかレアメタルが入ってこなくなる可能性もあるかもしれない、こういう事件もありました。

 非常に国際環境、エネルギー環境が変わっているにもかかわらず二〇〇八年の指針がまだ生きているというのは、若干問題というか、早急に決めなきゃいけない。国家戦略室という部署がありますから、恐らくそっちの方でやられるのかもしれませんが、政府として新たな資源確保指針をつくっていくことが必要だと思いますので、今大臣の答弁にもありましたけれども、経産省だけの仕事ではないんですけれども、内閣を挙げてこの指針というのをしっかりつくっていただきたいと思います。

 その件に関してさらに言いますと、資源確保のために政府一体となった働きかけをやっていくということがこの戦略の中でも述べられております。資源獲得の重要供給国・地域に対する政府一体となった働きかけ、官民一体となって資源獲得と連動した協力のパッケージ化が必要といったようなことがこの戦略には含まれております。

 そのためには、経産省、JOGMEC、あるいはジェトロ、外務省、JICA、民間の商社なども含めて、オール・ジャパンで決めていくことが必要だと思うんですけれども、そういったオール・ジャパンで資源戦略をつくっていくための場とか議論するための仕組みというのをどのようにつくっていかれるおつもりでしょうか。

枝野国務大臣 こうした関連省、特に経産省と外務省、JOGMEC、ジェトロ、JICA、そして民間の商社等において連携をして戦略を進めていくということでは、実は、パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合がございます。ここには、テーマごとに、関係する民間の方、あるいは独法の方などにも来ていただきながら議論をしています。この資源確保戦略も、このパッケージ型インフラ海外展開関係閣僚会合を通じて各省、関係機関に共有をいただいたところでございます。今後も、この関係大臣会合を最大限活用して、情報共有や戦略の立案を図ってまいりたいと思っております。

 なお、パッケージ型インフラ海外展開ですので、さらに独立させる必要があるのではないかという御指摘もあるかもしれませんが、実は、率直に申し上げると、大きな戦略はこういう場でしっかりと議論をして、そして共有をすることが大事かと思いますが、大きな戦略以外のところはかなり具体的、緻密に、なおかつ相手国のあることでございますので、注意深くやらなければならないと思っていますので、そこはむしろ、この大きな戦略を踏まえた実務的な調整といいますか推進ということが重要ではないかと思っております。

山内委員 次に、日本独自のというか、日本の強みとか日本らしさを生かした資源確保戦略というのがあってもいいのではないかと思います。

 先ほど、中後委員の質問の中でも、中国の資源確保の戦略などの話もありました。よく最近、メディアなんかでも、中国の資源獲得戦略は非常にアグレッシブだという報道もありますし、中国みたいに日本も頑張れという声もあるんですけれども、私は、余り中国の戦略をまねしない方がいいんじゃないかと個人的には思っております。

 中国の資源獲得戦略というと、かなり露骨なひもつき援助、OECDに加盟している国ではできない、許されないような露骨な政治的な援助をやります。軍事援助もやる、武器輸出もやる、それから大統領官邸をつくってあげるとか、スポーツスタジアムをつくるとか、国会議事堂をつくるとか、そういう援助を中国はよくやるんですけれども、これは先進国はもうやりません。一九五〇年代、六〇年代、ヨーロッパも含めてやっていたんですけれども、そういう援助はやめましょうということを先進国がみんなで話し合って決めました。もっと、貧困対策とか経済インフラとか教育とか保健とかをやりましょうというのが先進民主国家のスタンダードですけれども、中国はそういうスタンダードに全く従っておりません。

 だから、余り中国のやり方をまねすることはできないと思いますし、そもそも、中国のやり方で独裁者とか軍事政権を助けていると、後で民主化したとき、大変なことになるかもしれません。そういう中国のハードパワー外交というか、軍事力と経済力を露骨に前面に出すやり方というのは、私は余りやりたくもないし、やるべきでもないと思います。

 では、日本がやるべきことは何だろうというと、やはりこれまで、日本のODAも、文化交流も含めて、国内で思われているよりはずっと効果的だったと私は思っております。

 世界で世論調査をやると日本のイメージは非常にいいわけですけれども、よく言われるのは、日本のODAで道路をつくる、橋をつくると、インフラも残る、だけれども人も残る。大体、日本人は単価が高いので、余り大勢連れていくことができませんから、建築の専門家とか高度な技術者だけ日本から連れていって、現地の人材を育てながら使っていくということが日本のゼネコンとか日本のODAでやってきたことなんですけれども、中国は未熟練労働者まで含めて中国人がわっと押し寄せてつくってしまうというやり方ですから、実は現地に雇用も生まない、現地に技術も移転できない。

 そういった意味では、日本のODAの方が、実は意外と、現場の庶民のレベルあるいは一般の人の人気は、決して中国に負けていないと思います。むしろ中国は、相手国のエリートには喜ばれるかもしれませんけれども、一般の市民のレベルでは、必ずしも中国の援助がそんなに評判がいいとは私は決して思えません。中国が援助案件でインフラをつくると、インフラも残る、中国人も残る、チャイナタウンができるみたいなところがありまして、現地社会とのあつれきを起こしているケースも多数あります。

 そういった意味では、日本としてはこれから、資源確保のためにやるのであれば、インフラもやる、それから教育、人材育成、あるいは文化交流等も含めて、長い目で見て親日家をふやしていく、長い目で見て日本に対する印象をよくしていく、こういったことが必要だと思っております。

 そういう意味では、資源確保戦略というのは経産省だけでやることではないと思いますし、外務省も入るべきだし、もしかしたら文科省も一緒になってやって、科学技術とか留学生とか、そういったことをも含めて総合的な資源確保戦略をつくっていくことが必要だと思います。

 その点について、大臣の御所見をお尋ねします。

枝野国務大臣 今の御指摘は全く私も同感でございます。そして、恐らく日本のやり方の方が中長期的には国益に資するというふうに思っておりますし、その効果はかなり徐々に明確にあらわれてきているんじゃないか。日本に投資を期待する、日本ならば人を育ててくれる、現地の状況に対応したやり方をしてくれるというこの信頼と期待は、投資を求めていることなどを通じて、私も強く実感をしています。

 そうした意味で、人材であるとかそれから技術移転、特に環境などに対する技術、鉱害をもたらさないための技術などについて、やはり日本は高い技術を持っております。

 そうしたことを含めて、あるいは初歩の加工の部分のところは現地でやるということで、そこに雇用や産業を生み出すというようなことなど、実は経済産業省の所掌の範囲の中に限っても、関連の民間企業とも連携協力をすることで、かなり日本らしさを生かした、強みを生かした資源戦略を進めているところでございますが、さらにそれを広げて、広い視野で、ODAであるとか教育、文部科学省の分野とかを含めて、これは各省、各大臣にも問題意識を共有していただいて、持っている我が国の強みをさらに十分生かしてまいりたいと思っております。

山内委員 恐らく、中国が鉱山をアフリカなんかで開発すると、自分の国でも余り鉱害とか気にしていないと思いますから、多分アフリカではもっと気にしていないと思います。

 日本の強みはまさにそういうところだと思うんですね。鉱害対策なども含めて、周囲の環境とかあるいは周囲の住民の人権とか、強制移転はやりませんとか、そういった意味も含めて、日本らしい、日本の強みを生かした資源確保戦略というのをぜひつくっていって、中国より日本の方がいいと言われるような資源確保を目指していただきたいと思います。

 それに関連して、いつも質問しているんですけれども、ジェトロについてお尋ねをしたいと思います。

 資源確保戦略の観点から、ジェトロの事務所というのは非常に重要な意味を持つと思うんですけれども、資源がたくさんある地域にジェトロの事務所は余りありません。アフリカでいうと、エジプト、ケニア、コートジボワール、ナイジェリア、南アフリカ、五カ所あるんですけれども、やや地域的な偏りがあります。普通アフリカというと、何となく五つの地域に分けることがあります。マグレブ諸国、東アフリカ、西アフリカ、中部アフリカ、南部アフリカ、五個ぐらいに分けると、あいているところが、マグレブ諸国と中部アフリカあたりにはジェトロの事務所はありません。

 非常に地理的に偏りがあるので、ぜひアフリカの事務所を、あるいは中央アジア、ユーラシアの真ん中あたりも余り事務所がありません、こういったところに事務所をふやしていく。そのためには、アメリカかもしれない、ヨーロッパかもしれない、あるいは中国も今たくさんありますから、そういう先進国の既にたくさん事務所がある国を潰して、アフリカとかユーラシアに移していく、こういうことが必要ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 ジェトロの海外事務所については、今の立場に立ちますと、一つでも多ければありがたいし、それは間違いなく多い分だけ効果は上げるだろうと思いますが、限られた資源、予算の中でございます。そうした中で、常に適正配置をしていかなきゃならないと思っています。

 特に、近時は、中小企業が海外展開をするという観点から、中小企業にとって期待のできるマーケットあるいは投資先などにできるだけ事務所をシフトしていこうということで、中国、インド、カンボジア等の事務所の開設などを進めてきておりますが、資源の存在ということも、広い意味でやはり日本の産業経済にとって重要な視点であるというふうに思っております。

 ただ、ジェトロが担うのか、それとも他のやり方で担うのかということの問題もあろうかというふうに思いますが、いずれにしろ、資源国において、しっかりと、広い意味での資源外交を展開していく拠点が重要であるというその視点を十分に踏まえた今後の海外事務所の配置を検討してまいりたいと思っています。

山内委員 ジェトロの事務所のありがたみは、先進国と途上国は違うと思うんですね。

 先進国だと、大体、法律も、法治国家でちゃんと政府もルールを守る。途上国も、それもアジアはいいんですけれども、アフリカまで行くと、政府がルールを守るかどうか怪しい国はたくさんあるわけですから、そういうところでは、ネットでもなかなか情報収集できない、電圧が悪くてパソコンがつながらないみたいな国はたくさんあるわけです。そういう国ほど、人がいて、事務所があって、いろいろ窓口の担当者を紹介してくれるとか、そういう機能が重要なわけです。

 ですから、同じ置くなら、既に発展している先進国よりも、アフリカとか中央アジアの国に置いた方がよりありがたいという気もいたしますので、ぜひ、ふやすことができればふやしてもいいと思いますし、もしふやせないんだったら先進国の事務所を潰して途上国にシフトする、そういったことを御検討いただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

中山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中山委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 私は、日本共産党を代表して、災害時における石油の供給不足への対処等のための石油の備蓄の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対して反対討論を行います。

 本法案は、災害対処を名目に、石油備蓄法等の改正と、これとは関係のないJOGMEC法改正案を一本の法案として束ねています。本来なら別個に提出すべきであり、このような法案の形式自体が問題です。

 本法案提出の背景にある東日本大震災と東電福島原発事故によって、国の現行のエネルギー基本計画は根底から破綻しました。震災から一年四カ月たった今なお、政府のエネルギー資源戦略の全体像は示されていないことをまず指摘しておかなければなりません。

 反対の理由の第一は、JOGMECのリスクマネー供給対象を大幅に拡大することは、資源開発のリスクを国が肩がわりし、開発成果を巨大商社や石油元売など特定大企業にひとり占めさせるものだからであります。

 資源確保の大前提は、国が責任と自主性を持って、関係国と平等互恵の関係を築くことにあります。

 ところが、本法案は、国としての資源確保戦略もないままJOGMECのリスクマネー供給先を拡大するもので、これでは順序が逆だと言わざるを得ません。

 そもそもJOGMECは、多額の欠損金を出し、国民の大きな批判を浴びて廃止された石油公団の業務を引き継ぎ設立された組織です。発足当初はリスクマネーは出資に限定するとしながら、何の総括も反省もなく、リスクマネー供給先を大幅に拡充することは認められません。

 反対理由の第二は、福島原発事故を受け、国のエネルギー政策の白紙見直しを行っているにもかかわらず、その結論を待たずに火力発電依存を加速するものであるからです。その上、不透明なLNGの取引構造、価格構成にメスを入れるものとなっていません。

 日本は世界最大の石炭輸入国、LNG輸入国ですが、これまで、国や最大のユーザーである東電など電力会社などは、投機マネーによって押し上げられた原油価格にリンクした価格づけを前提に、総括原価方式と燃料費調整制度の上にあぐらをかき、バーゲニングパワーを活用した交渉を行ってきませんでした。そのため、LNGは米国の八倍もの高値で取引され、電気料金やガス料金として国民が負担させられてきました。

 最後に、石油備蓄法及び石油需給適正化法改正案について一言申し上げます。

 災害時の石油、LPガス供給体制の整備は、東日本大震災直後のガソリンや灯油不足等の混乱を繰り返さないためにも必要な措置として賛成いたします。しかし、この混乱を招いた背景には、小泉構造改革の一環として二〇〇二年に石油業法を廃止し、石油元売業者に対する石油供給計画の策定義務づけをなくすなど、石油製品の供給規制を緩和し、市場と民間任せにしたことにあります。過去の誤った政策への反省と総括が必要であるということを指摘して、討論といたします。

中山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中山委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、災害時における石油の供給不足への対処等のための石油の備蓄の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十三分散会


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