衆議院

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第2号 平成25年3月15日(金曜日)

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平成二十五年三月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 石原 宏高君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 淳司君 理事 宮下 一郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 近藤 洋介君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    石崎  徹君

      越智 隆雄君    大野敬太郎君

      大見  正君    勝俣 孝明君

      佐々木 紀君    平  将明君

      武村 展英君    辻  清人君

      冨樫 博之君    根本 幸典君

      福田 達夫君    細田 健一君

      宮崎 謙介君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      吉川 貴盛君    枝野 幸男君

      大島  敦君    岸本 周平君

      馬淵 澄夫君    木下 智彦君

      重徳 和彦君    丸山 穂高君

      國重  徹君    井坂 信彦君

      三谷 英弘君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   国務大臣         稲田 朋美君

   内閣府副大臣       寺田  稔君

   財務副大臣        小渕 優子君

   経済産業副大臣      菅原 一秀君

   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   農林水産大臣政務官    長島 忠美君

   経済産業大臣政務官    佐藤ゆかり君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   政府参考人

   (内閣府地域経済活性化支援機構法準備室長)    三井 秀範君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            小野  尚君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 高原 一郎君

   政府参考人

   (特許庁長官)      深野 弘行君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    鈴木 正徳君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  関 荘一郎君

   政府参考人

   (環境省自然環境局長)  伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力地域安全総括官)       黒木 慶英君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     秋本 真利君

  越智 隆雄君     大野敬太郎君

  大岡 敏孝君     宮崎 謙介君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     穴見 陽一君

  大野敬太郎君     越智 隆雄君

  宮崎 謙介君     大岡 敏孝君

    ―――――――――――――

三月十四日

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府地域経済活性化支援機構法準備室長三井秀範君、金融庁総務企画局参事官小野尚君、経済産業省通商政策局長上田隆之君、資源エネルギー庁長官高原一郎君、特許庁長官深野弘行君、中小企業庁長官鈴木正徳君、環境省総合環境政策局長白石順一君、環境省地球環境局長関荘一郎君、環境省自然環境局長伊藤哲夫君及び原子力規制庁原子力地域安全総括官黒木慶英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩谷立君。

塩谷委員 自由民主党の塩谷立でございます。

 政権発足後二カ月半余りたっているわけですが、おくればせながら、茂木大臣、就任おめでとうございます。

 私も、七、八年ぶりに経産の筆頭をやらせてもらいまして、また新たなスタートだなという気持ちで頑張ってまいりたいと思います。

 いずれにしましても、我々、三年数カ月の野党時代、大臣とは、三役としていろいろ御協力をしていただいたわけでございますが、振り返ってみますと、安倍総裁が発足した去年の九月以降、我が党としても、日本の厳しい経済に対する危機感を持って、日本経済再生本部を立ち上げて、その中で、茂木大臣が事務総長として中心的な役割をしてまとめていただいた、それを今まさに実行しているということだと思っておりますので、大臣就任も本当に適任だということで、大いに御活躍を期待申し上げたいと思います。

 まずは、大震災からの復興と経済再生第一ということで、安倍政権が三本の矢を掲げてスタートいたしました。大胆な金融緩和、そして機動的な財政政策、さらには民間投資を喚起する成長戦略、これを発信して、それに呼応してまさに市場が反応したわけでございまして、円安、そして株高、一気にその方向に向かって進行して、現在に至っているわけでございます。

 いわゆるアベノミクスと言われる点も、内外から高い評価を受けていると同時に、いろいろな懸念事項もありますが、まず、前向きにしっかり日本経済を再生するということが大きな目標であって、その国民の期待感、これは大変大きいものがありますので、我々は、政府そして与党としても、その期待に応えるべく、そして実体経済につなげることが使命だと思っておりますので、経済産業委員会としても大きな役割を担っていると思っているわけでございます。

 そういう中で、やはり中心的な役割を担っていただく経済産業大臣、日本再生へ向ける大臣としての決意を改めて伺いたいと思います。

茂木国務大臣 塩谷理事とは、一昨年、昨年と、党の執行部として、総務会長、政調会長として、経済政策、そしてまた政権公約の取りまとめ等々に一緒に当たってきたわけでありますが、まさに経済の再生、景気の回復が一丁目一番地。

 安倍政権が発足して二カ月半たつわけでありますが、株価の方も大幅に上昇いたしまして、円高も是正されつつあるわけであります。

 衆議院が解散になりましたのが昨年の十一月十六日でありますが、そのときから比べますと、株価の方は四割上昇いたしております。先週にはリーマン・ショック前のレベルまで回復している。また、為替につきましても、対ドルで二割円安ということでありまして、足元九十五円から六円で推移しておりまして、日本企業の輸出競争力の回復にも貢献しているのではないかな、こんなふうに思っております。

 今後でありますけれども、これを、持続的な個人消費の拡大であったりとか民需主導の投資拡大、こういったものにつなげていくことが必要だと考えております。アベノミクス三本の矢、大胆な金融緩和、そして機動的な財政運営、さらには民間投資を喚起する成長戦略。これからしっかりした成長戦略をつくっていく、このことが特に重要になってくると考えております。

 この点につきましては、政府に新たに設置されました日本経済再生本部、そしてそのもとに置かれました産業競争力会議、ここで検討を進めまして、六月には中間取りまとめをしたいと思っておりますが、六月を待つのではなくて、もう出てきたこと、やるべきことがはっきりしたことは順次立案し実行していく、こういった形で、速やかな経済対策を進めてまいりたいと考えております。

塩谷委員 改めて大臣の考え方をお伺いしたわけでございますが、その中で、今もお話ございましたように、三本目の矢、成長戦略、これが大事だということを強調されました。私どもも、そこが一番の注目されるところであって、今既に、政府の方では、産業競争力会議等で議論を重ねていただいております。

 私も、今現在、党の方で、科学技術・イノベーション戦略調査会の会長として、成長戦略の一つの大きな要素である科学技術について、何としても我が国は世界のトップレベルを目指すということで、そのあり方等も議論をしておりますので、総合科学技術会議等の役割も含めて、ぜひ政府でしっかりまとめていただきたいと思っております。

 大臣の所信の中で、「はやぶさ」のプロジェクトマネジャーの川口淳一郎さんの言葉を引用して、高い塔、これをつくらなければならないという表現があったわけですが、それはまさしく、目指すべき社会がどういうものかということ、これをまずは打ち立てることが必要であるということをおっしゃっていますので、その高い塔の、いわゆる目指すべき社会、これはどういうイメージを大臣はお持ちでしょうか。

茂木国務大臣 塩谷理事、文部科学大臣も経験されて、日本のイノベーションの重要性、新しいフロンティアを開いていく、非常に造詣の深い方でありますが、今、成長戦略で大きく考えていることが三つございます。

 その一つが、日本の新たなフロンティアを見出す。そして、こうしたフロンティア、高齢化社会であったりとかエネルギー制約、さらには老朽化するインフラなど、課題先進国として、日本が直面する課題を克服する中で、その課題、そして解決策を見出していく。

 二つ目の取り組み、これは人、物、金の流れを活性化すること。日本は過当競争の業界もあります。そういった産業構造、さらには企業の中でも、硬直化した会社の組織、こういったことを活性化する、新陳代謝の促進と経営資源の最大活用を進めるということであります。

 そして三番目には、海外との関係において、成長するアジア、この成長を日本に取り込む。このための国際展開戦略が求められております。

 そして、委員の方から御指摘いただきました高い塔、これはまさに今申し上げた最初の部分に関係する、こんなふうに考えておりまして、これまでの政策を考えてみますと、例えばバイオの産業がいいんだとかITがいいんだと、産業を特定するところから入っておりましたけれども、我々はそうではなくて、これからの社会のあるべき姿、そして個人のライフスタイルはどうあるべきか、こういう定義から始めて、それに必要な事業であったりとか技術を組み合わせていきたい、こんなふうに考えております。

 例えば、高い塔として、日本がこれから、単に長寿社会ではなくて、健康で長寿社会、こういったものを目指していく、こういう目標を設定した場合、つまりこれが高い塔ということになってくるわけでありますけれども、そこの中で、iPS細胞の研究を実用化していく、さらには医療機器の開発、予防医療、そして介護ロボット、医療情報の電子化、さまざまな戦略分野が見えてくる。この戦略分野について、官民で思いを共有して一緒に取り組んでいく。そのために、予算、税、規制、そしてまた知的財産を含め、あらゆる資源を導入して課題解決に当たっていく、こういう方向で考えていきたいと思っております。

塩谷委員 今、大臣お話しいただいたように、これからの日本の社会、超高齢化社会、少子化時代、人口減少時代あるいは成熟社会という中で、我が国がどういう方向を目指すのかということがまずはやはり明確に示されることが大事だと思っておりますので、健康な、そして課題先進国として、我が国がいろいろな課題を乗り越えて、むしろ、我が国だけではなくて、地球全体、世界に貢献するという観点からも、しっかりと取り組んでいくことが必要であると思うわけでございます。

 今回の経済再生、それが単に経済のみならず、やはり広い分野からそういう視点を持って取り組んでいただくことが大事だと思っておりますので、ぜひこの実効性を期待していきたいと思っております。

 私も、党の方では財務委員長という立場で、財政の立て直しを今やっているわけでございます。野党時代に大変借金をしましたので、それを何年計画で立て直すかというような立場で、今、企業を回ったりお願いをしておるんですが、このアベノミクスで非常に雰囲気がいいんです。

 しかしながら、地元へ帰ると、全くそんな雰囲気がない。ここが問題でありまして、やはり、日本の産業を支える中小企業、特に小規模企業、この存在は大変重要でございますので、私は一方でその点を心配するわけでございます。

 喫緊の課題として、この三月に金融円滑化法が終了して、まずはこれに対する対策をどうするかということ。いろいろな議論がありますが、この点。それから、きのうあたりも、大企業の、ベアはないまでも一時金で賃金に大分貢献していただくという話がありますが、やはり、中小企業の賃金をどう考えているか。大臣、この点は非常に重要な点だと思いますので、そのお考えをお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 確かに、塩谷理事の御指摘のとおり、大企業においては、相当いい流れというのが見えてきたような気がいたします。

 今週の春闘を見ましても、例えば自動車産業、全てが賃上げ、満額回答、こういう状態になり、業績も上がってきております。

 しかし、その一方で、御指摘の地域地域の中小企業、小規模事業者、全国で四百二十万社、これがまさに地域経済そして地域の雇用を担っているわけでありまして、この元気を取り戻す、このことが本当の意味での日本経済の再生にとっては必要だ、そんなふうに思っております。

 そういった中で、この三月に金融円滑化法が期限を迎えるわけであります。この円滑化法、これまでに利用事業者が三十万社から四十万社に上るということでありまして、多くの中小企業、小規模事業者の資金繰りの下支えに寄与してきた、こんなふうに考えております。

 しかし、その一方で、そこの三十万社、四十万社の中には、事業再生が必要な事業者が五万社から六万社ぐらいある、こんなようにされておりまして、こういった中小企業、小規模事業者の経営改善の取り組み、これを徹底支援することがこれからは必要だ、こんなふうに考えております。

 このため、今回の補正予算におきましては、全国二万社を対象といたしまして、経営改善計画等の策定支援であったりとか、また中小企業再生支援協議会の取り組みの強化等を盛り込んでおりまして、中小企業、小規模事業者の経営改善を徹底的に促進していきたいと考えております。さらに、こういった経営支援とあわせまして、公的金融等によりまして十兆円超の資金供給を実施していく予定であります。

 さらには、三月六日には、私を本部長といたします中小企業・小規模事業者経営改善支援対策本部を経済産業省内に設置いたしまして、中小企業再生支援協議会、認定支援機関や政策金融機関等の関係機関が一体になって、こういった中小企業、さらには中小企業の九割を占める小規模事業者が元気になるような対策をしっかりと進めていきたいと思っております。

塩谷委員 ぜひ、中小企業のために、特に小規模企業、今お話がございましたように、中小企業の中で九割を占めるわけでして、この皆さん方の今後の活性化に向けてぜひとも頑張っていただきたいと思います。

 今国会で小規模企業の事業活動活性化等のための中小企業基本法の一部を改正する法律案を審議する予定になっておりますが、この法律のいわゆる目指すところ、これをぜひお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 先ほども御答弁を申し上げましたように、四百二十万社に上ります地方の中小企業、小規模事業者はまさに日本経済の根幹でありまして、地域経済と地域の雇用を支える重要な存在であります。特に、全国三百六十六万社に及びます小規模事業者の活力を引き出すことが日本経済の再生に不可欠だ、こんなふうに考えております。

 これを踏まえまして、今国会に提出を予定いたしております小規模企業の事業活動の活性化のための中小企業基本法等の一部を改正する等の法律案、名前にありますように、小規模企業はこれまで大体、中小企業と一くくりにすることが多かったんですけれども、特に、小規模企業の意義といったものを中小企業基本法の中に規定していく、同時にその事業活動に資する施策の整備を図る、小規模企業に焦点を当てた法案という形で組み立てをさせていただいております。

塩谷委員 我々としては、この法案もいち早く審議して成立させなきゃならぬと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 日本再生に向けてさまざまいろいろな重要な点がありますが、一つはやはりエネルギー問題だと思っております。これは原発の再稼働の点等もありますが、新しい方向として、大臣の方から、電力のシステム改革の問題、それから最近ではメタンハイドレート、初めて実用化の見通しが立つような発見があったということでございます。

 将来に向けてのエネルギー政策、これはやはり国として、まずはエネルギー政策の策定を改めてするんだと思いますが、いつごろを考えているのかということと、そして、電力のシステム改革についてはまだまだ議論が必要だと先日もちょっとお話をさせていただきましたが、そんな思いがあります。

 一つ、メタンハイドレートについて、新聞発表はありますが、現時点でわかっている範囲でぜひお伺いしたいと思います。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 メタンハイドレートの海洋産出試験でございますけれども、愛知県の渥美半島から八十キロメートル、そして三重県の志摩半島から五十キロメートルの沖合で行われております。水深約千メートルの海底からさらに三百メートルの地層中に存在いたしますメタンハイドレート、この生産を行うことといたしております。静岡県の清水港から出港いたしました探査船の「ちきゅう」で、この試験を実施いたしております。

 本年の一月下旬から最終的な準備作業に着手しておりますけれども、今般、その最終的ないろいろな準備が整いましたことから、三月十二日の火曜日午前五時四十分から、地層内の圧力を下げまして、メタンハイドレートを水とメタンガスに分解する、そして回収するという、世界初の生産実験を開始いたしました。

 その同日の午前九時三十分には、「ちきゅう」の船上におきましてガスの生産が確認されております。今後、再来週、二十五日の月曜日まで二週間、この連続生産実験を行う予定になっております。

 いずれにいたしましても、今回の試験全体の結果を踏まえまして、技術課題の抽出でございますとか生産手法の効率化などの検討を行いまして、商業化に向けた技術の確立を目指していきたいと思っております。

 以上でございます。

塩谷委員 ぜひ実用化に向けて頑張っていただきたいと思います。

 いずれにしましても、私も、戦後の高度成長期に育った人間として、我が国がもう一度、国民が、あるいは若者が夢と希望を持ってしっかり頑張っていける、そういった日本にしていただきたいと思っておりますので、我々はともに頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

 質問を終わらせていただきます。

富田委員長 次に、秋元司君。

秋元委員 自由民主党の秋元司でございます。

 このたび、参議院の方から衆議院にやってまいりまして、常任委員会で初めての質問になります。このような機会をいただきまして、ありがとうございました。

 早速質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、先般、茂木大臣を初め各副大臣、政務官から所信をいただいたわけでございますが、私は非常に、ビジュアル系政務三役なのかな、そんなふうにも思わせていただいたところでございまして、当然中身もしっかりしていらっしゃるわけでございますけれども、しっかりこの政務三役でタッグを組んで頑張っていただきたいな、そんな思いでもあります。

 さて、本題に移ります。

 先ほどは塩谷理事の方から、経済産業全般、そして日本経済を、まさにアベノミクス、この政策によってしっかりと底上げして、もう一度元気な日本をつくっていくべきではないか、そういった視点から質問があったところであります。

 本当にアベノミクスはいい形で推移しているわけでございまして、ことしは特に、さまざまなところの新年会に行きましたけれども、多くの皆さんの顔が明るいという印象でございまして、景気の気とは気分の気とよく言われることでございますけれども、まさにこの気分の気が非常によくなってきた。一カ月、二カ月でこんなにも周りの雰囲気というのは変わるものなのかなということを、今改めて私は感じているところでございます。

 やはり、これをしっかり、実体経済をどこまでこの期待に近づけていくか、これがこれからの一番大事なところであると思いますので、きょうは、そういった観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど茂木大臣から、今の日本の経済状況について、特に大手におきましては、株が上がっていっている状況、そしてまた円安が進行している状況の中で、所得収支もアップしているということでございますから、収益が上がってきた。株価も四割という非常にいい話で、大手においては、賃上げ満額回答、またボーナスは非常に期待ができるという声が出てきているところでございます。これは本当に喜ばしい話であるんです。

 一方、先ほどの塩谷理事のお話でもございましたけれども、やはり中小企業、または小規模事業者、とりわけ地域経済を取り巻く環境というのは決してまだまだよくない。ここまで、我々は、景気回復の波をしっかり地域経済まで波及させて、そしてその果実をそういった皆さんがしっかりととれる、そこまで手を緩めずに政策を行っていかなくちゃいけないと思う、そんなところでございます。

 どこに行きましても、とにかくことしはいいなという雰囲気があるので、決して否定的な声は聞かれないんですが、しかし、心配の声というのはやはりあります。

 これはもう御案内のとおり、これだけ急激に円安が進んでいるわけでございますから、輸入価格は当然上がるわけでありまして、とりわけ、一昨年の三・一一の東日本大震災により、いわゆる原発がこういった事故になることによってエネルギー政策が見直しを迫られたということもあり、今、現実問題、油またはLNG等の輸入に頼っている反面、輸入価格も上がる中で非常にエネルギーの高騰も心配され、特に、先ほど申し上げた中小零細企業、そしてまた小規模事業者等のいわゆる生産性の低下というのは否めない点があろうかと思います。

 そういった中で、どういった面で後押しできるかということで、もう既に補正予算は通ったわけでございますが、補正予算においては、さまざまな中小企業、小規模事業者に対する支援策は盛り込まれております。ですからこそ、これが着実に実行され、特に地域活性化については、いわゆる商店街におけるさまざまな後押し、商店街の頑張りを後押しする支援事業、またはインフラ整備等々の資金も入っておりますから、これが有効的に実行されることが一番望ましいと私は思っておりますけれども、あとは、最終的には、企業そのものがどう自己努力をしていくかというところなんです。

 やはり、これまでの長い約十五年間のデフレの中で、本当に中小零細企業は冷え込んでしまっています。これまで毎年のようにいわゆる過去の貯蓄を食い潰しながらやってきたという声がありますけれども、当然もうその貯蓄は限界に達してきて、倒れてしまったところもあるわけでございますが、ようやくこの暗いトンネルから抜け出して、明るい光が見えてきたことによって、そういった事業者の担い手の皆さんも、いま一つ勝負で、何か仕掛けようと思う方が大分出てきたので、ここをどう後押しできるかというのが、最後、我々の仕事なのかなと思っているわけであります。

 その際、やはり、金融環境をどう整えるかというのが非常に大事な問題になります。残念ながら、中小企業、零細企業、特に小規模事業者の金融環境というのはますます実は厳しくなっていることがあって、今回いろいろな支援策があって、政策融資もあるんですけれども、ちょっといろいろと勝負しようと思って相談に行ったんだけれども、今はもう総枠がいっぱいだから保証協会等もなかなか新しいエクイティーの保証はできませんよということを言われたり、現実、自分たちが意欲を持っていこうとすると出ばなをくじかれるということが多々言われているわけであります。

 その中小企業、零細企業にとっての金融環境について、どのような認識を持っていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 先生の御指摘のとおり、資金繰りの例えばDIといいますか、どの程度の緩和になっているかということを見ますと、やはりまだマイナスの二〇%が続いております。リーマン・ショック直後よりはずっと改善はしてきておりますけれども、やはりまだ資金環境は非常に厳しいと思っております。

 加えまして、今先生御指摘のとおり、これから頑張ろうというときにどのように御支援するのか、そこで本当に御支援できませんと意味がないと私どもは思っております。

 したがいまして、今回も、先ほど大臣から御答弁させていただきました十兆円の金融措置がございますけれども、これ以外にもさまざまなものを私どもは活用いたしまして、ぜひ前向きの動きを、背中を押せるようにしたいと思っております。

秋元委員 ぜひその前向きの中で、これまで、第一次安倍内閣において、いわゆる再チャレンジということをすごく強調させてもらったときがありました。その中で、特に、一度創業して失敗した方についても、ある程度、政策融資の場で、事業の内容を見て、もう一度応援しようじゃないかという声があったように思えるんです。

 今現在、日本全体として、新規の創業者数が少ないということがよく言われております。起業、起こすということは非常に大変なことですよね。そして、やはり、それなりのパワーも必要だと思います。

 日本全体の起業をする方の数、当然少ないということが言われておりますけれども、周りを見ても、よっしゃ、会社を創業しようなんという方はそうたくさんいるわけじゃないわけです。しかし、やろうという方はやはり何度も何度もチャレンジして頑張るという姿があるわけでございます。

 ぜひ再チャレンジという視点から、特に、会社としては新規で立ち上がって、そして社長さんも新しいんだけれども、その中に、過去いろいろな創業をしていろいろな企業をやってきたけれども、結果的には失敗してくすぶっているけれども、今度、新しい社長を応援してもう一度新事業を立ち上げようという場合、残念ながら失敗してしまった結果、金融的にもまだまだ債務は残ってしまっているというような方が取締役になった場合、創業の新しい会社であっても、そういった過去に失敗した方が役員にいると、なかなか入り口で、政策金融においても、それは貸し出しはできませんということがたびたび言われるケースがあるらしいんです。

 そういった面を、私は、元気のある人、会社を失敗してしまった人は、いろいろなことを経験されている方がいらっしゃるので、ぜひそういった方も新しい企業ができるときに知恵袋として入ってもらって、ともに頑張るという姿は決してマイナス的な要素ではないと私は思うので、そういった会社があったとしたら、それはある意味、政策金融で応援してあげてもいいんじゃないかと思うんですけれども、その辺についての回答をいただけますか。

茂木国務大臣 第二次安倍内閣、まさに再チャレンジのシンボリックな内閣だ、こんなふうに思っております。

 そして、御指摘のように、日本は開業率を廃業率が上回る。しかも、開業率でいいますと、欧米の半分ぐらいしかいっていない。この開業率をいかに上げていくかという中では、やはり、失敗された方、そこの中から学んでもう一回やろうとしている方、こういった人の意欲を金融面でもきちんとサポートしていかなければいけない、こんなふうに思っています。

 例えば、アメリカなんかですと、新しい橋をつくる、橋ができて、すぐにその橋が倒壊してしまうと、つくった建築家にもう一回橋をかけさせるんですね。どこが悪かったか、そういったことを一番知っているのはその設計をした人間だから、もう一回やらせる。なかなか日本にはまだそういう器量はないんじゃないかな。そういう思いを持って、失敗を次のステップに生かせるような社会をつくっていくというのが極めて重要だと私は思っております。

秋元委員 ありがとうございました。

 今の大臣のお言葉を聞いて、多くの中小企業、零細企業も力づけられたんじゃないかと私は思っております。ぜひそういった方向で経済産業行政に取り組んでいただきたいな、そんな思いであります。

 テーマを移ります。

 消費税についてでありますけれども、これは三党合意で、消費税率を引き上げて、それでもって社会保障の財源確保をする、これは公党同士の約束でありますから、実行されるでありましょう。しかし、これを実行する時期というのは実は微妙だなと個人的には思っております。

 その時期の判断は総理みずからがされるという話でございますから、今このことを申し上げることは控えさせていただきますけれども、ただ、消費税率が上がった後は、しっかりそれを価格転嫁していかなければならないわけでございまして、その価格転嫁が、現在においては、特に中小企業、零細企業、または供給事業者においてはなかなか厳しいという声がいろいろ各業界から聞かれております。

 それを今回、新任となった公取委員長に頑張ってもらわなくちゃいけないわけでございますけれども、まず、価格転嫁をしていく中において、非常に市場は広いですよね。特に経済においては、一瞬一瞬でございますから、なかなか、それをチェックするといっても非常に難しいと思うんです。

 難しいながらもあえてお伺いしますが、新任委員長として、消費税率の上がった後の価格転嫁対策というものをどのように考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

杉本政府特別補佐人 委員がおっしゃいますように、中小企業者、零細企業者に対する消費税率の引き上げに当たっての円滑かつ適正な転嫁の環境を整えていくことは非常に重要だと思っております。そのためにはやはり情報収集が非常に重要だと思っておりまして、私どもといたしましても、受け身ではなく、むしろ前向きに、積極的に情報収集を図らなければならないと考えております。

 そのためには、担当省庁、所管省庁ももちろんでございますが、地方自治体、それから商工会、商工会議所、そういったものとも協力しながら情報収集に努めていきたいと思っております。そうした上で、転嫁拒否行動に対して厳正に対処する等の措置をとっていきたいと思っております。

秋元委員 実際問題、普通の一般事業者が公取にいきなり電話を入れるというケースはなかなかないと私は思います。ですからこそ、いろいろなところにアンテナを張って、そこからいろいろなものを吸収して、あとは瞬時に動いていただくという、その体制が一番必要だと思いますので、ぜひここでしっかり頑張っていただきたいと思います。

 あと、公取の人数です。果たして今の人数でそこまでの、これだけ複雑になっている経済取引、また事業者がある中で、本当に公取は今の人数で体制ができるのか、非常に私は疑問を持っている一人なんですけれども、ざっくばらんに言って、その辺、どのような御感想を持っていますか。

杉本政府特別補佐人 公正取引委員会の定員につきましては、近年の非常に厳しい財政事情、定員事情の中でも、それなりに増員が措置されて、配慮していただいていると思っております。

 ただ、先生おっしゃいますように、中小企業事業者に不当に不利益をもたらす優越的地位の濫用とか不当廉売、そういった不公正な取引方法の事案や下請法違反の事案への積極的な監視、取り締まりを行っていくことがこれからも重要だと考えております。

 今後とも、各方面の理解を得ながら、必要に応じて体制の充実強化に努めてまいることが必要だと思っておりまして、その上で、いろいろな事案に対して迅速かつ適正に対処していきたいと考えております。

秋元委員 ありがとうございました。

 次に、わざわざきょうは小渕副大臣にもお越しいただいて大変恐縮なんですけれども、消費税、最終的にBツーCに行くときに、価格の表示方法、これは我が党でもいろいろ議論になりました。今の総額方式でいくのか、またはいわゆる内税、外税、悩ましい話なんです。

 率直に申し上げて、どのような体制で挑まれるのか、まず思いを伺わせていただきたいと思います。

小渕副大臣 ありがとうございます。

 消費税の総額表示の義務づけについては、それまで主流でありました税抜き価格では、レジで請求されるまで最終的に幾ら払えばいいかわかりにくいということや、また、お店によっては税抜きの表示のお店もあり、税込みのお店もあるということで価格の比較がしづらい、そういう消費者の方々の声を踏まえて、平成十六年の四月から実施されています。

 価格表示のあり方を検討するに当たっては、やはり、こうした消費者の視点、また事業者からの視点、この両面からの検討が必要であると考えています。

 与党における御議論においては、事業者の方々からもさまざまな御意見があるということを踏まえて、消費税の円滑な転嫁の確保や、事業者による値札の張りかえなどの事務負担への配慮の観点から、表示価格が税込み価格であると誤認されないための措置を講じていることを条件にして、消費税率の引き上げ前後の期間に限り弾力化するとともに、消費者にも配慮する観点から、事業者はできるだけ速やかに税込み価格を表示することに努める旨の規定を設けるべきとの考えが示されたと承知しています。

 政府としても、このような与党の議論を踏まえまして、適切に対応してまいりたいと考えております。

秋元委員 ありがとうございました。

 ぜひ弾力性を持ってやっていただきたいと思います。きょうはこれ以上申しませんが、この対策を怠りますと、非常にやはり事業者の皆さんに混乱があると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 テーマは変わりまして、やはり私は、これから日本が元気になっていく、その方向に向かって我々は努力していかなくちゃいけないんですが、今、日本を取り巻く決定的な環境として、生産年齢人口の低下、それで内需が縮小してしまっている、これは否めない点だと思います。当然、少子化対策もいろいろやっていくのでありましょうけれども、短期的にはそれは急に伸びる話じゃないのでありますから、さりとて、日本の経済の活性化を考えますと、いかに外需を含め海外市場に打って出るかということは非常に大切であると思います。

 当然、ものづくりも含めていろいろチャレンジするんでしょうけれども、これはこれでいいんですが、日本がこれまでさまざまな、食文化であるだとか、最近はポップカルチャー、Jポップ、非常に世界にいい評価をいただいていて、ファンもふえているということを聞きます。ただ、今までは、そういう展開をするにしても、やはり海外は情報が少ないことと、そしてまた日本人は余り外に向かって打って出るのが苦手だということもあって、非常にちゅうちょしたり、資金を集めるについても、なかなか、日本国内ではいわゆるリスクマネーについて供給先がないということもあって、大きく打って出るということが難しかったと思うんです。

 その点、今回、クール・ジャパン、非常に経済産業省が力を入れていただいて、すごく熱い思いを持ってこの分野を伸ばしていこうということをお伺いしておりますけれども、大臣の思いとして、意気込みを含めてお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 秋元委員から御指摘をいただきましたクール・ジャパン、しっかりと進めていきたいと思っています。

 日本には、アニメ、コンテンツ、ファッション、そして食文化、世界に評価されるさまざまなすばらしいものがあります。こういったものをもっとしっかりと海外に展開していきたい。

 例えばコンテンツ市場、これを見ましても、日本の市場規模が大体十二兆円です。アメリカが三十二兆円で一番大きいんですけれども、輸出比率でいいますと、日本は五%、アメリカは一七%いっていますから、三分の一もいかない。これを後押ししていきたい。

 恐らく第一段階は、まず、日本のいいものを海外で見てもらう、そのために、テレビであったりいろいろな形で日本のよさを紹介する。そして第二段階は、実際に、ショッピングモールであったりとかそういったものをつくって、日本の商品、サービスを現地で提供する。最後の第三段階は、そういった日本のよさに触れてくれた人が、今度はビジット・ジャパン、日本に来て、さらに日本のよさを堪能してもらう、こういったことになってくると思っています。

 まず第一段階の、よさを見てもらう、これにつきましては、今回の補正予算におきまして、総務省と一緒に百七十億円を計上いたしまして、例えば日本の放送番組をアジアに展開するときに、字幕があったり吹きかえがないとできない、こういったことで、その予算であったりとか、その事業プロモーションの予算をつけさせてもらいました。

 そして第二段階は、今度は実際に打って出るということで、今回、クール・ジャパンの機構法案を出させていただきまして、産投特会の方から五百億円を出資する形で、さまざまな企業の海外展開、コンテンツ、アニメ、そしてまたファッション、こういったものを全面的に支援してまいりたいと考えております。

秋元委員 ありがとうございました。終わります。

富田委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 自公連立政権がスタートして二カ月になるわけでございますけれども、デフレからの脱却を目指して、大胆な金融政策、また機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢を柱とする経済対策を進めてきたところでございます。これにより、日本経済に回復の兆しが見えてきました。

 これを本格軌道に乗せて持続的に発展させるためには、三本目の矢である成長戦略の策定、実施が大変重要であると思っております。大臣、その中心的な役割を果たされます茂木経済産業大臣の強いリーダーシップが期待されるところだと思っておりますが、ぜひとも頑張っていただきたいと思っております。

 本日は、短い時間ではございますけれども、その成長戦略の一つでもあるエネルギー政策について質問をさせていただきたいと思っております。

 東日本大震災以降、我が国のエネルギー政策は大きな岐路に立っているわけでありますが、将来的には原子力に依存しない持続可能なエネルギー社会を目指して、そのためには、省エネや再生可能エネルギーの加速的な導入、そして火力発電の高効率化等の実現が非常に重要でございます。これは連立政権合意にも反映しているところでございます。

 まず、省エネ対策について大臣に伺わせていただきます。

 茂木大臣は、去る二月二十七日の読売新聞のインタビューで、省エネ規制がイノベーションを喚起する可能性に言及されております。非常に重要な発言であります。どうすればイノベーションが喚起できると考えているのか。また、政府の施策で実績があるか。さらには、今後このような方向で産業をリードする決意について、大臣にお伺いをしたいと思います。

茂木国務大臣 今の日本は、恐らく二回目のエネルギー制約に直面している。一九七〇年代、二度の石油ショックを経験いたしまして、それを乗り切る中で、さまざまな省エネ技術、そして省エネ製品、こういったものも生み出してまいりました。今回さらに、その省エネについて、製品でやるべき部分、それからシステムとして、ディマンドレスポンスでピークをいかに落とせるか、そのピークに合わせて省エネをどう進めるか、この両面がある、こんなふうに思っております。

 イノベーションというところで申し上げますと、委員も御案内のとおり、我が国としては、トップランナー制度を導入いたしまして、これは海外からも非常に注目を集めております。一九九七年、地球温暖化防止京都会議を機に、省エネ法を改正して導入させていただいたわけであります。

 まずは、家電であったりとか自動車であったりとか、そういったエネルギーを使う分野につきまして、大体十年後だったらこれぐらいの省エネ効率になるでしょうと非常に高い目標を設定する。そして、期間は十分とる。さらには、規制といいますか、置く基準というのは川下の方に置くことによって、川上から全体でやれるような制度、こういったものをつくってまいりました。

 それで、実際に製品の改善実績でいいますと、自動車の燃費、これは四九%改善いたしました。また、消費電力量で、エアコンでいいますと三二%改善、冷蔵庫が四三%、テレビが三〇%改善といった形でありまして、こういったことをやってまいりました。

 恐らくこれからは、そういったエネルギーを使う家電であったりとか自動車だけではなくて、例えば住宅の壁の断熱であったりとか窓の断熱、こういったことも含めて省エネ性能を上げていくということが必要になってくると考えております。

江田(康)委員 その省エネ規制がイノベーションを喚起する、そういうことを今大臣に言っていただきました。そして、その実績もこれまで積み上げてきたわけでございます。

 さらに質問をさせていただきますが、ともすると、これまで我が国のエネルギー政策は、電気の需要は変えられないものであると前提をしてしまって、年間に数日しかない高いピーク需要量に適合すべく、ひたすら電力会社の発電量を積み上げる供給サイドの議論が中心であったと思うわけです。これでは発電所の設備形成費用を電力料金にひたすら転嫁していくこととなるわけで、消費者との関係でもエネルギーコストは高くなるばかりであります。

 一方、消費者の電気の需要をうまくコントロールできれば、ピーク需要を抑えて安定化して、産業にも安定的に電力供給を行いやすい。いわゆるエネルギーマネジメントと言われるこの手法が脚光を浴びているわけでありますが、このような考え方について、政府はどのように考えているかをお聞きしたいと思います。

 加えて、北九州の例でございます。私も九州でございますが。北九州では、平成二十二年度からスマートコミュニティ創造事業を実施しておりまして、その中で、電力需要のピークカットやピークシフトを促すために、電力料金を地域の電力需給の状況に応じて時間帯ごとに変更するダイナミックプライシングの我が国初の社会実験を開始したところでありますが、昨年七月にはこの実証結果を公表して、平均一八%の節電効果が見られたという報告があります。

 政府は、このような取り組みを今まで以上に積極的にバックアップして、早期に全国に普及させる、加速する、こういうことが大変重要だと思いますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 委員御指摘のように、これまでの日本のエネルギー政策、さまざまな反省材料はあるんですが、そこの中の一つがまさに、需要というのは所与のものだ、こういう前提で、いかに供給側を積み上げるか、こういうことで考え過ぎてきたのではないかなと思っておりまして、御指摘のように、スマートな消費、そしてディマンドレスポンス、こういった考え方がこれから極めて重要になってくる、こんなふうに思っております。

 委員御指摘の実証実験、北九州を初め全国四カ所で展開させていただきまして、北九州の場合ですと、時間帯、ピーク時とピーク時以外で料金を相当変えるということで、実証実験では、それによって二割ぐらい電力の消費量が落ちている、こういう成果も生まれております。

 また、海外の例を見ますと、さまざまおもしろい取り組みとかをしているわけです。カリフォルニアのある電力会社は、例えば、ピーク時が来てなかなか供給が間に合わない、そういうときに、一時間のうち十五分だけ電気を切っていい権利を電力側に渡す、それに対するボーナスがもらえるという形で。

 ちょうど、電気が急に切れるんですよ。あれ、切れたなと思うと、暑くなるわけですね、夏ですから。でも、十五分ぐらいして、クーラーがきかないなと思っていると、またクーラーがきくという形で、どうにかしのげる程度なんですけれども、こういった実験等々も行っております。やはりこういったことは進めていかなきゃならない。

 そしてまた、それを進めるためにも、電力の自由化、こういったことが極めて重要になってまいりまして、川上の生産、調達面から、送配電部門、そして小売、需要と、全体にわたるような電力システムの改革を進める中でしっかりとこの問題に取り組んでいきたい、そんなふうに思っております。

江田(康)委員 大臣は大変お詳しい。また、エネルギーマネジメントというのがこれからの主流になって、省エネを大きく進めていくものになると思っております。

 そのためにも、家庭に時間帯別の電気料金を導入するために、時間帯別に電気の使用量をチェックできるスマートメーターの導入が前提となるわけであります。しかし、スマートメーター、これは質問にはできませんけれども、家庭部門への導入はまだわずかでありまして、長い時間がかかるという状況でもあります。この取り組みも加速する、あわせてこれはしていくべきものだと思っております。

 再生可能エネルギーの加速的な導入についてお伺いをしたいと思いますが、時間の関係上、一つお伺いをさせていただきます。

 再生可能エネルギーの導入を加速的に拡大していく、これは今後の喫緊の課題でありますけれども、しかし、残念ながら、太陽光にしろ風力にしろ、その発電力の不安定性が大変大きな課題でございます。

 我が国には、ヨーロッパやアメリカにはない強みとして蓄電池の技術があります。これは大臣も大変に力強く進められているところだとお聞きしておりますが、経産省は、二〇二〇年に世界全体の蓄電池市場の五割のシェアを我が国関連が獲得することを目指すとの、大変チャレンジングな蓄電池戦略を決定されております。私は高く評価しております。

 ついては、再生可能エネルギー発電の平準化のために大型蓄電池技術を使っていくべきではないか。また、他国では電力会社の発電所に導入した例はないということを聞きますので、我が国が世界の先端を走るべきと考えますけれども、経産大臣の見解をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 再生可能エネルギーを最大限導入していく、これを考えたときに、一番大きな課題の一つはやはり電力の安定化ということになってくるわけでありまして、その意味からも、委員御指摘の蓄電池の技術、これを開発し高度化していく、こういったことは極めて重要だと考えております。

 委員御指摘のように、二〇二〇年にはこの蓄電池の市場は恐らく二十兆円ぐらいになっていく。PCであったりとか、そういうものに使っております小さな蓄電池、これは、今の一兆円の市場が恐らく二〇二〇年になっても一・五兆円ぐらいの広がりということを考えますと、一つは電力系統用の大型蓄電池、そして定置用の蓄電池、さらには車に搭載する蓄電池、この三大重点分野の研究開発をしっかり進めていきたいと思っております。

 中でも、我が国が世界に誇ります大型蓄電池の技術をもって、電力会社の変電所に世界で初めて巨大な蓄電池を設置して、再生可能エネルギーの接続量を一気に拡大する、この実証実験をことし実施することにいたしております。

江田(康)委員 この蓄電池技術は我が国の誇るべき科学技術でございます。大きくこれを進めてまいりたいと思いますが、先ほど大臣が触れておられました電力システムの改革、これがまた喫緊の課題ではなかろうかと思います。

 一つ質問をさせていただきますが、新しいエネルギー政策、これからこれは決定されていくわけでございますけれども、その重要な柱が低廉で安定的な電力の供給体制の確立でございます。これは我が国の国民生活はもちろん、製造業を中心とする我が国産業にとっては生命線でありまして、世界で最も安定的だと言われた我が国の電力システムは、あの東日本大震災以降、計画停電や電力の使用制限令が発動されるなど、その神話をゼロベースで見直さなければならない事態に直面してまいっております。電力システム改革に早急に取り組まなければならないゆえんであります。

 茂木大臣の所信でも、広域系統運用の拡大を初めとして、電力の自由化の推進、そして発送電分離で送配電部門の中立性、独立性の向上、この三本柱から成る電力システム改革を前進させる強い決意が述べられました。

 中長期的なエネルギー政策の方向が定まってからでいいのではないか、電力システム改革の議論をその後にすべきというような御意見もありますけれども、私はやはり、この電力システムの改革は今まさにやるべきときだと思っております。

 そしてまた、大臣には、こういう改革には抵抗も、強い大改革であるわけでございますから、まず全体のパッケージと実施スケジュールを示しながら、説得力を持って進めなければならないと思っているわけでございます。今般、電気事業法の改正案を今国会に提出されるとされておりますけれども、法案には全体像をしっかりとパッケージで書き込んでもらいたいと思うんです。

 大臣の強いイニシアチブのもとで進めなければ進まない改革でもございます。今後、電力システム改革を成功に導くために、どのような決意で、また、どのような内容、スケジュールで進むのか、明確に明示していただきたいと思いますが、大臣、どうでしょうか。

茂木国務大臣 ありがとうございます。

 電力システムの改革は、新規参入の促進であったり競争環境の整備によりまして、電力を安定的かつ低廉に供給していく、こういったことを進める上で、今、新しいエネルギーの制約に直面している日本にとっては避けては通れない改革だ、こんなふうに考えております。

 全体の改革のポイント、委員御指摘のとおり、大きなポイントが三つありまして、一つは電力の自由化の推進、そして二つ目が送配電部門の中立性を高める、そして三つ目が広域系統運用の拡大、それぞれに関連をしております。ですから、この国会に提出させていただく予定の法案の中では、全体をパッケージでお示しさせていただきたい。

 改革は大胆に、そしてスケジュールは現実的に、そんなふうに考えておりまして、全体的には、二〇二〇年ぐらいまでに全体の改革をやっていく。まずは広域系統運用の方から始めまして、最終的には送配電部門のあり方、こういう改革を二〇二〇年をめどに仕上げる、こういったパッケージの法案をこの国会に提出させていただきたい、こんなふうに思っております。

 長い改革ですから、確かに、今じゃなくてもと言う方がいらっしゃるかもしれませんけれども、今始めないでいつできるんだ、いつになっても改革は始まらない、こういった思いでこの問題の取り組みをしていきたいと思っております。

江田(康)委員 この電力システムの改革は大変重要でございます。しっかりと大臣のリーダーシップで進めていただきたいと思います。

 最後の時間でございますけれども、先ほどからある、中小企業の金融円滑化法が終了するに当たって、その出口戦略がこれまでも政府としてとられてきたわけでございますけれども、安倍政権による大胆な金融政策、また財政政策によって経済再生の流れが定着しつつある中で、中小企業、小規模事業者の資金繰りに効果をもたらしてきたと一定の評価がある金融円滑化法が三月三十一日に期限を迎えます。やはり、いざ終わるとなると、中小企業や小規模企業の皆さん方の心配、懸念が大変ございます。

 これまで我が党も、中小企業や小規模事業者に対して万全の体制で進まないといけないということで、我々は、三月七日に安倍総理大臣に対して申し入れをさせていただきました。

 それは、金融円滑化法が終了するとしても、中小企業、小規模事業者に対して同等な金融支援を行っていくこと、このことは金融庁の方にも取り上げられているわけでございますけれども、この方針を金融検査マニュアルや監督指針で明確化して、金融機関に指導徹底してその担保をとること、また、金融機関の中小企業からの貸し付け条件の変更等の申し込み状況、実施状況を把握して、適宜これを公表すること等々を中心とする申し入れをさせていただきました。

 今般、その新しい対策が取りまとめられたと聞いております。

 公明党のこの提言がどのように反映されて、中小企業の皆さんが万全の体制で安心できるのか、そこのところを、内閣官房に本来伺うところでございますけれども、金融庁の副大臣に来ていただいておりますので、お答えいただきたいと思います。

寺田副大臣 今、江田委員御指摘のとおり、今月七日に、安倍総理に対しまして、御党の御要望を承ったところであります。それも踏まえ、今、万全の対策を講じていく方針といたしておりまして、金融庁といたしましては、金融検査マニュアルまた監督指針におきまして、今後も金融の円滑化に努めるということで、その検査監督を周知徹底してまいる決意であります。

 なお、このことは、先般成立いたしました新機構法の六十四条でも、法律の規定で明定しているところであります。

 また、金融機関がそうした貸し付け条件の変更等を行った際には、それを遅滞なく金融庁にも報告し、そのことを金融庁において取りまとめて、その結果を公表する、このことをやらせていただきます。

 また、財務局初め関係諸機関に金融円滑化の相談窓口を設置いたしまして、きめ細かく借り手の御要望あるいは苦情等も承り、また関係省庁でそうした情報を共有する、こうした体制の構築を考えております。

 また、先ほど申しました地域経済活性化支援機構、法案成立をさせていただきました。この業務開始を前倒しいたしまして、来週の月曜日、三月十八日より早期実施をするということで、今、突貫でその準備をいたしております。

 また、新聞広告を活用し、今月中に政府のそうした方針を中小企業者、小規模事業者また零細事業者にも周知徹底することによりまして、万全を期してまいりたいと考えております。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 どうぞ万全の体制で臨んでいただきますように、よろしくお願いをいたします。

 終わります。

富田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介であります。

 これまで、三年数カ月間、政権を預からせていただきました。この間、私自身も、経産政務官、そして、きょう当委員会のメンバーでもあります枝野議員、枝野大臣のもとで副大臣をさせていただきました。その意味においては、経済産業行政にかかわってまいりましたが、今回は攻守ところをかえて、久方ぶりに野党として建設的な議論をこれから進めてまいりたいと思いますので、茂木大臣初め三役、政府の皆様におかれましても、ぜひ誠実な御答弁をどうぞよろしくお願い申し上げます。

 さて、まず、先ほどからもお話になっておりますが、成長戦略についてお伺いしたいと思います。

 三本の矢と称されるわけですが、大胆な金融政策、機動的な財政戦略、民間需要を喚起する成長戦略だそうであります。この大胆なとか、機動的なとか、民間需要を喚起するという修飾語を除けば、金融政策、財政政策、成長戦略。これは、旧政権下でも進めてきた話ではあります。

 ただ、確かに、私はリフレ派とは一線を画す者でありますけれども、いわゆるリフレ派の政策を大胆に取り入れた結果、マーケットが反応して、御案内のとおりの東京市場も活況を呈している、これは事実でありますし、空気が明るくなっているというのも事実でありますから、それ自体はよいことだな、お見事だなと率直に受けとめさせてもらいます。

 ただ、マーケットでもてはやされたものは、またマーケットでしっぺ返しを受けるわけでありまして、やはり意味のある成長戦略がどうであれ重要であろう、この三番目が最も重要であろう、こう考えております。

 その中で、茂木大臣におかれては、その担当大臣として、産業競争力会議を舞台に議論されていると伺っております。改めて確認ですが、この新たな成長戦略は、いつまでに取りまとめる御予定なのかということが、第一点。

 そして、政権発足後、きょうが三月十五日でございますから、二カ月半、あと十日で間もなく三カ月たたんとしているところでありますから、まとめている最中とはいうものの、あらあらな骨格ぐらいはこの国会審議に臨むに当たってもお示しできるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 安倍政権、委員御指摘のとおり、三本の矢で日本経済の再生を果たすということでありまして、確かに、大胆な金融緩和というと、大胆なという言葉だけでという思いはあるかもしれませんけれども、実際に、我々が政権についてから、日銀、物価目標を明確に二%、こういったものを定めて、政府との間でもこれを共有して、大胆な、思い切った金融緩和を進めることになった、これは私は大きな成果だ、こんなふうに思っております。

 そして、補正予算も成立をいたしまして、当面の景気の底割れを回避する、このための機動的な財政運営、これも進めさせていただいております。

 そして、最も重要になってきますのが、やはり継続的に消費が拡大していく、継続的に設備投資が出ていく、こういった民間投資を喚起するような成長戦略ということになってくると思います。この成長戦略につきましては、産業競争力会議、そして新たに設置をいたしました日本経済再生本部、こちらで検討しております。

 日本経済再生本部におきましては、総理の方から毎回、各大臣に、この問題についていつまでに結論を出してほしいと具体的な指示が出ております。そして、産業競争力会議全体としての成長戦略の取りまとめ、これは六月をめどにしておりますけれども、では六月までずっと出さずに待っているかというと、そうではなくて、取りまとめられたこと、緊急を要すること、こういったことについて、順次発表し、順次実行していきたい、こんなふうに考えております。

 例えば、これから健康長寿、こういった社会をつくっていく。単に長生きすればいいのではない。健康で長寿な社会をつくっていく。恐らく、そこの中には、予防医療の話から始まって、実際に病気になったときに、いかに治癒するのが早く、正確にできるか。さらには、病気の後、若干の障害が残っても自立できるような、介護ロボットであったりとかテレワークのシステムであったりとか、いろいろなことをやっていかなくちゃならない。

 そして、再生医療。研究の分野では日本は圧倒的に、山中教授だけではなくて進んでいるわけでありますが、残念ながら、その実用化ということになると、お隣の韓国やヨーロッパ、アメリカと比べてもおくれている。こういったことから、薬事法等々、取り巻きます法制の改正、こういったこともこの国会でやらせてもらうといったことで準備を進めております。

 さらには、産業の新陳代謝。こういった問題を進めていかなければいけないと思っておりまして、この面につきましては、私の方からきょうにも大きな方向性を出させていただきたい、こんなふうに思っております。

 やれることから順次きちんとやっていって、一つの取りまとめを六月に行いたい、こんなふうに思っております。

近藤(洋)委員 やれることから出していく、これはこれで大事なことだろう、こう思います。

 ただ、同時に、改めて申し上げるんですが、大体間もなく三カ月たとうとしている中で、先ほど大臣のおっしゃった、例えば健康長寿の国をつくろう、全くそのとおりだろう、こう思います。我々も旧政権下で、言葉は違えど、ライフイノベーションを進めていこうといった大きな柱、グリーンイノベーションを進めていこうといったこと、これはエネルギー革命ということを申し上げ、ライフイノベーションという柱も立てていった、こういうことですから、その方向としてはそうだろうな、全く同感であります。

 私が申し上げたいのは、例えば三カ月たったときに、旧政権下で、鳩山政権、大変国民の皆様からはいろいろな評価がございますが、鳩山政権を預かって、たしか九月の十六日が発足だったと思いますが、それからほぼ三カ月後の十二月三十日には、我々はまさにこの基本方針という、三十ページにわたらんとする、閣議決定に踏み込んでいるわけであります。具体的に、まさにグリーンイノベーションで、我々は需要をつくるという観点からの組み立てでありましたけれども、これだけの需要を二〇二〇年までにつくっていこうではないかと。

 その中には、先ほど大臣がおっしゃった再生医療の話も、さまざまなことも書いております。また、グリーンイノベーションでも同様に、これだけの市場をつくる、需要を喚起していこうじゃないかと、需給ギャップの解消の観点から、さまざまなものを書いているわけですね。これは三カ月です。六十年間近く続いた自民党政権を預かって、もちろん我々は次の内閣ということで研究は進めてまいりましたが、三カ月でここまで来たわけです。

 経験豊富な安倍政権、もう間もなく三カ月にならんとするわけでありますから、会議は踊る、されど進まずでは困るわけで、きょう新陳代謝の大きな発表というのも、午後にでも会見されるのかどうかわかりませんが、楽しみにしたいと思いますけれども、少しまとめが、急げとは言いませんけれども、言われているほど本当に議論が進んでいるのかな、はたから見るとやや心配になっていることだけ申し上げたいと思います。

 もう一点、伺いたいと思います。

 エネルギー基本計画、こちらの方も、先ほど来、電力システム改革をするという方針を大臣は御発言されました。これも我々、枝野経済産業大臣のもとで研究を進めてきた、検討を進めてきたテーマでありますから、この内容についてきょうは申し上げません。

 ただ、その前提となるエネルギー基本計画については、現在どのような状況であって、そして、いつまでに閣議決定をされる御予定か、このスケジュールをお教えいただけますか。

茂木国務大臣 委員から、民主党政権、三カ月でさまざまな経済政策をおまとめになったと。それは、新政権につかれて、経験がない中でそれだけの作業をされたということについては、私は敬意を表したいと思います。

 ただ、同時に、重要なことは、具体的な成果をどれだけ出すかということなんだと思います。この四カ月、つまり、昨年の十一月十六日から四カ月で、株価は四割上がっているんです。リーマン・ショックの前の段階を超えている。確かに、マーケットでありますから、常に気をつけていかなきゃなりませんけれども、具体的にそういった成果も上がっております。

 同時に、日銀との間でも、明確な物価目標、物価安定のめどではありません、物価目標です、きちんとそういうことも、二%、欧米並みに決めることができた。私は、やはり、具体的に決めて、それを法案に落とすなり施策に落として一つ一つ実行していく、こういったことをマーケットも、そして国民も注目をするのではないかな、そういう思いで取り組みをしていきたい、こんなふうに考えております。

 エネルギー政策についても、基本的には一緒だと思います。確かに、二〇三〇年どうするか、そういったことは検討していかなきゃなりませんけれども、当面のエネルギーをどうするかということから始めて具体的なことがなかったら、二〇三〇年だけの姿では、今のエネルギー制約を考えたときに、国民の皆さん、なかなか納得をしていただくというのは難しいのではないかな、こんなふうに思っているところであります。

 その上ででありますけれども、現行のエネルギー基本計画、平成二十三年の八月十五日に閣議決定されました政策推進の全体像におきまして、白紙から見直すということにされておりまして、見直しの対象になっているわけでありますけれども、見直しがなされるまでの間は引き続き効力を有する、こういうことなんだと思います。

 これを見直ししていくわけでありますけれども、総合エネルギー調査会の総合部会において、本日から検討を開始することとしております。たまたまなんです。別に、近藤委員から質問を受けたからきょう発表するとかいうことじゃなくて、前から決まっていたんですね。きょう、産業競争力会議が夕方あるんですよ。ですから、そこで新陳代謝の話はする。それから、その総合エネルギー調査会の総合部会も、きょうやるということを決めていたんですね。別に、委員が質問していただく、たまたま重なってきょうということになっていますけれども、きょうから議論をスタートいたしまして、年内をめどに取りまとめを行いたい、こんなふうに思っております。

近藤(洋)委員 正しいことは早くやってもらいたいので、別にいつでも構わないんですが、ちょっときょうにしても遅過ぎませんか。

 先ほど大臣は、電力システム改革は長いスパンで考えなきゃいかぬものである、長い時間をかけて改革しなきゃいかぬものだという御発言がございました。

 エネルギー基本計画、これは基本的な我が国のエネルギー構造を決めるものですよ。かつ、我々民主党は、少なくとも、三・一一を経て、その骨格たる原子力政策について、党内でいろいろ議論はあったけれども、二〇三〇年代ゼロを目指すという一つのピンどめを行っているわけです。

 エネルギーの構造のことは、大臣、もう釈迦に説法でありますけれども、原子力政策のピンどめがある程度できれば、そこの時点から、さて省エネ、そして再生可能エネルギーと組み立てられていくわけですけれども、このところについては我々はピンどめをしている。自民党は白紙から見直すとしか言っていないですね。白紙から見直すとしか言っていなくて、かつ、これは行政として、先ほど大臣みずからおっしゃっていただきました、この我々の政権でつくった現行計画は今生きているんですよ。たしか、二〇三〇年に一次電源の原発比率は半分という計画だったはずです。この計画は生きているんです。けれども、我々政権下では、三〇年代ゼロを目指すということで、きちっと明確に修正もしたし、これについては閣議決定もしている。

 新政権、何もしていないじゃないですか。無責任じゃないですか。年内というのは遅過ぎませんか。いかがですか。

茂木国務大臣 近藤先生、お言葉ではありますが、そうなると、基本計画、これでは原発が半分なんですよ。これを本来でしたら、二〇三〇年代に原発ゼロを目指すというのなら、皆さんの時代に、原発が半分を占める、これを見直された方がよかったんじゃないかな、私はこんなふうにまず思います。

 その上で、原発をゼロにするかどうか、これも大切な問題でありますけれども、電力全体の見直しを進めなくちゃいけないんですね。

 これは、先ほどから言っているように、まずは生産、調達の部分もあります。そこでは、再生可能エネルギーが実際に、コストからいって、それも太陽光、風力、地熱、全て含めてどのくらい伸びていくのか、正確にやはり見通さなくちゃいけないんですよ。

 それから、火力にしても、これから高効率の火力をどれだけ持ってこられるのか、開発できるのか。

 さらに、シェールガスによって、世界のLNGの価格、今、革命を起こしています。その調達をどうするのか。調達源の多様化の話もこれから考えていかなきゃならない。

 さらには、メタンガス、ようやく日本でも出るということがあったわけであります。この日本近海のエネルギー源をどうしていくか。こういう調達の問題でも相当複雑な問題です。

 さらには、今度は、配送電、流通の部門、これをどういった形に持っていくか、この将来像も描かなきゃなりません。

 さらに、先ほどの質問にもありましたけれども、最終的には消費の問題。ここの中で省エネをどこまで、機器によって、制度によって図れるか。さらには、スマートマネジメント、これをどんな形で進めてピークコントロールをやっていくか。

 その全体像なしに、今申し上げた中の一部の、原発ゼロといったら全てが済む話じゃないんですよ。原発ゼロというのが全体像ではなくて、今私が申し上げたような、調達はどうするんですか、そして流通部門、配送電はどうするんですか、そして消費はどうするんですか、この全体像の中で考えていくということになりますと、しかも、それに現実的な根拠を持った数字を落とすということになってくると、当然、検討は誰がやっても何年かかかると思います。そうでなければ、無責任なことになってしまうと私は考えております。

近藤(洋)委員 この議論はこれからも続けなきゃいけませんので、きょうはまずイントロダクションだけ、こう思っております。

 基本的に、政策議論をする根底となるエネルギー基本計画、これなくして、電力システム改革も、またシェールガス革命を踏まえた調達構造の改革もないんだ、ベースの基本計画を早くつくるべきではないかということを私は申し上げているわけでありまして、質問を移りたいと思います。また今後も、この点、深く大臣と議論させてもらいたい、こう思います。

 さて、アベノミクスの成果、それはそれで、株が上がった、こういうことであります。私なんかは山形県ですけれども、地元に行って座談会をやって、みんな、株を持っているかと言うと、いや、持っていない、あるのは膝株だけだ、こういう話がほとんどでございます。株を持って運用している人なんというのは、それはいることはいるけれども、悪いことではないですよ、マーケットがいいということは。しかしながら、余り実感がないということが現実であります。

 その中で、特に円安によるデメリット、原油高、ガソリン高、資材高騰、これは中小企業の経営を圧迫しております。特に、北国、東北地方、北海道は深刻なわけでありますが、中小企業に対して、特にこの原油高の状況を見ると、緊急対策は講ずる必要があるのではないか。

 もちろん、ポスト円滑化法をにらんだ対策は、これは我々も旧政権下で計画をし、そして新しい現政権下でもそれを引き継いでいただいて、体制を整えていただいていることはありがたい、こう思いますけれども、アベノミクスによる円安デメリットの改善策は、これは現政権下で、まさに大至急、中小企業対策を打つべきだ、こう思いますが、大臣、いかがですか。

茂木国務大臣 現在、原油であったり灯油であったり、重油も含めて、ここ十週間ぐらい値上がりが続いてきた。これは、恐らく二つの原因があるんだと思います。

 その一つは、今御指摘のように、過度な円高の是正がここに来て進んできている。一方で、原油価格そのものがずっと上がったわけであります。ただ、原油価格の値上がり、これは一段落した感じがありますので、さらに市場の動向等々は注意深く見てまいりたいと思いますけれども、一服感というのは出てきていると思います。

 ただ、そこの中で、原油高等々が中小企業の経営にやはり重くのしかかっている、このことは御指摘のように事実なんだと思っております。

 そこで、原油価格等の上昇によりまして影響を受ける中小企業、それから小規模事業者があるわけでありますが、中小企業、小規模事業者が一時的に収益を圧迫される場合には、日本政策金融公庫によりますセーフティーネット貸し付け等によりましてしっかりと支援をしていきたいと思っておりまして、通常の利率が適用されますが、平成二十五年度の事業規模約五・六兆円、これで考えております。

近藤(洋)委員 大臣、ここはぜひ、それこそ大胆に対応を検討していただきたい、こう思います。

 資材高、原料高というのは、中小企業の経営を今直撃しておりますので、ぜひ御検討いただきたい、さらなる対策の御検討をいただきたいと思います。

 また、円安デメリットは、生活者の視点でいうと、特に我々地方生活者の感覚からいうと、ガソリン高がきついわけであります。車社会だからであります。一家に二台は当たり前、いや、軽トラを入れたら三台、四台というのが地方都市の生活なわけでありますが、車の保有コストについてであります。

 自動車関係諸税については、多段階にわたって課税をされている。しかも、道路特定財源がなくなった今、自民党の中でそんなことはないと言っている人はいるかもしれませんが、少なくとも公式的には自民党さんも特定財源化はしない、こういうふうなことでありますから、そういうふうに受けとめたいと思いますが、少なくとも政府において、これはないわけで、一般化された今や、課税根拠もなくなっているわけであります。

 先般、民主党は、車体課税の抜本改革を含めた消費税の引き上げ法案を議員立法として提案いたしました。少なくとも、車体課税の抜本改革の部分については茂木大臣と思いは同じではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 先生の山形もそうでありますけれども、私の栃木も完全に車社会でありまして、一家に一台じゃどうにもならないんですね。一家に二台、三台という状況でありまして、もう生活の必需品であります。

 同時に、自動車産業、輸出高が十四兆円を超える、日本経済にとっても稼ぎ頭でありまして、全部の製造業の生産の二割を占める。そして、関連産業まで含めますと、雇用が五百四十五万人ということでありまして、極めて重要な産業であります。

 ところが、ここに来て、国内生産体制が、一九九〇年ごろのピーク時、ここが一千三百五十万、今、八百四十万ということで、九百万台を切るような状況になっております。さまざまな原因がありますけれども、そこの中で過重な税負担になっているんではないかな、こういう思いは共有をいたしております。

 そこで、今般の与党の税制改正大綱におきまして、自動車取得税、二段階で廃止をする、また、自動車の重量税につきましても、一層のグリーン化、こういったことが決定をされたわけであります。新政権が掲げております強い経済、これを実現していく上でも極めて重要だ、こんなふうに考えております。

 そこの中で、今後、消費税が八%の段階で取得税をどう引き下げるのか検討していく。そして、最終的には、一〇%の段階でこの取得税はなくなるわけであります。さらには、重量税のグリーン化というのはどういう形で進めるか検討していく必要があると思っております。

 また、御党から議員立法も提出をされているということでありまして、そういったこともよく検討させていただきたい、勉強させていただきたい、そんなふうに思っております。

近藤(洋)委員 大臣、思いは一緒だと思うんですね。

 ただ、残念なのは、今回、新政権において、この車体課税の問題がちょっと中途半端で終わってしまったなという気がするわけです。これは、地方税の話もありますから、大変なことは十分承知しております。そして、茂木大臣のように、大きな視点で、日本の社会、経済社会をどうするかという観点ではなくて、単純に、地方財政が大変だという声で、恐らく、当選されたばかりの先生方は、市長さん、町長さんから言われて、わっと騒がれたということも想像するわけであります。それは確かに、地方財源の確保というのは大事な問題でありますけれども。

 この辺も含めて、ちょっと大きな目で、例えば、これからの議論でありますけれども、温対税、これもどうなるか。温対税は、税収がこれから上がっていくわけです。私は森林県でありますけれども、しかしながら、路網の整備だけに温対税を使われるとなると、課税根拠は何だ、こういう話になるわけで、そういったことも含めて、税の全体を見直す中で、この車関係諸税の議論を、私はことしは大変大きな年になるんだろうと思いますので、ぜひそこは、経産大臣、御奮起を御期待申し上げますし、我々も提言をしたい、こう思います。

 公取の新委員長に来ていただいております。

 成長戦略の観点からも、人、物、金の流れを倍増させて、魅力ある国をつくるというのが我々の成長戦略でありました。その意味で、経済活動の場となるその市場を公正なものにするというのは極めて大切なことであり、市場の番人としての公正取引委員会の役割というのはこれからもますます重要になる、こう思っております。

 こういう中で、これまで竹島委員長は、ほえない番犬と言われた公正取引委員会を、ほえる番犬に変えてこられたな、私はこう思いますし、竹島委員長を一定評価していきたい。二期目のときも、我々民主党は賛成をいたしました。そして、今回、御勇退をされた、こういうことであります。

 竹島委員長の時代は、公取の姿勢と同時に、やはり体制整備もしてきた、こう思います。制度整備もしてきた、こう思います。独禁法を改正して、課徴金制度を見直した、リーニエンシー制度も導入をした、犯則調査権も付与したということであります。ここで竹島時代は大きく変わった、こういうことだろうと思っていますし、我々国会としても、議論をし、その各種の法律を成立させてきた、公取の権限を強化してきた、こういうことだろうと思っています。

 ここで、委員長にお伺いしたいんですけれども、強い公取、これはこれでいいわけでありますけれども、同時に、透明で公正な公正取引委員会というのは、強くなればなるほど求められてくるわけであります。

 すなわち、公正な公正取引委員会というのは、これまで、裁判に当たる審判の部分、これを公取の中に持っていた、検察官と裁判官が同じという組織は、これはある意味で権力の独占だ、独禁法違反だ、権力はやはり分けなきゃいかぬ、こういう観点から、透明、公正な公正取引委員会の確立ということも含めて、審判制度の分離という法案を前内閣も提案してきたわけであります。

 さて、新委員長として改めて伺いますが、この審判制度の分離を柱とする独占禁止法改正案を示したわけでありますが、この審判制度の廃止、公取の体制の見直しについて、委員長の御所見、いかがでしょうか。

杉本政府特別補佐人 委員御指摘のように、経済成長を確実にさせていくためには、やはり、自由で公正な市場というものの確保というのは非常に重要なことだと思っております。

 そのために、公正取引委員会の果たす役割も非常に重大なものだと考えておりまして、独占禁止法の執行力、抑止力、こういうものを最大限に発揮していく必要があるんだと思っております。

 そういうことで、私の前任者竹島委員長の時代に独占禁止法を二度改正させていただきまして、委員御指摘のような、課徴金制度の拡大、それからリーニエンシー制度の導入等、いろいろなツールを置いていただきまして、自由公正な市場の確保ということを強力に推進してきたところでございますし、今後とも、そういう形で公正取引委員会としては責務を果たしていく必要があると考えております。

 それから、御質問の審判制度の廃止に関します独占禁止法改正法案の件でございますが、これは現在、与党でも議論していただいておりまして、そうした与党の議論を踏まえまして鋭意検討を進めているところでございます。

 審判制度の廃止につきましては、平成二十二年三月に、閣法として審判制度の廃止を内容とする法案を出させていただきました。そういたしました経緯、そうした趣旨、先生のおっしゃるように、透明性のある、かつ公正な公正取引委員会の手続等を確保するという観点から、検討がさらに必要だと思いますけれども、経済界等からもそうした審判制度の廃止の早期実現についての御要望も強いものでございますから、そういったことも踏まえながら、できるだけ早期に結論が得られるように努めてまいりたいと考えておるところでございます。

近藤(洋)委員 稲田大臣もきょう担当大臣として御出席していただいておりますが、独占禁止法改正案については、自民党さんもこれまでも検討を重ねてこられて、そして、基本的には、旧政権下でありましたけれども、方向感としては了とするというお考えも私ども聞いておりました。

 もちろん、政権が新しいスタートの中で検討するということであろうかと思いますけれども、大臣は法曹界の御出身でもありますし、大変造詣が深い大臣であられますので、いかがでしょうか、この審判制度の廃止、そして新しい公正取引委員会の体制、これをやはり一刻も早く確立する必要があろう、こう思いますし、大臣として、今国会提出に向けて今働きかけていらっしゃるのかどうか、お答えをいただけますでしょうか。

稲田国務大臣 今、委員からも御指摘がございましたし、委員長からも答弁がございました。自民党が与党の間にもずっと検討を続けてまいりましたし、また、平成二十一年の改正の折には、附帯決議で、「現行の審判制度を現状のまま存続することや、平成十七年改正以前の事前審判制度へ戻すことのないよう、審判制度の抜本的な制度変更を行うこと。」となっております。

 現在の審判制度について、先ほど委員がいみじくもおっしゃったように、検察官と裁判官が同じではないか、公平と言えるのか、また、東京高裁に行ってからの証拠が制限されている問題など、問題意識は全く共通いたしているところでございますので、与党で今御議論いただいております議論も踏まえつつ、できるだけ早期に法案の提出に向けて結論を得てまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 ぜひ大臣、指導力を発揮して、もうこの問題は前からの議論でございますので、かなり論点は出尽くしている議論でもございますので、また、連立を組まれている公明党さんとのお話し合いも当然あろうかと思いますけれども、ぜひ政府として働きかけをお願いしたい、こう思うわけであります。

 もし、今国会でいろいろな事情で出せないということであれば、これは残念なことでありますが、議員立法で出すしかないな、こういう対処も我々は考えねばなりません。こういう法律ですから、経済憲法たる独占禁止法でございますから、余り対立してはいかぬ、こうも思っているわけでありますけれども、結果として、きちっとこの新制度に早く移行できるようにということを我々としても考えなきゃいかぬと思っていますので、まずは政府の対応を見守りたいと思います。ぜひ、御検討、また働きかけのほどをよろしくお願いしたい、こう思います。

 さて、きょうは、エネルギー基本計画の総合エネ調が開かれるとは知りませんでしたが、大きな発表があるやに聞いております。TPPでございます。

 まだこの時点では多分発表されていないんだろう、こう思います。安倍総理が会見をされるやに聞いておりますけれども、我々民主党政権下でも、これはいろいろな議論のある中で、やはり野田政権としては交渉参加すべしという思いを固めて、政府は米国政府と水面下での協議を進めてまいりましたし、交渉の早期参加ということ自体は、そうなんだろう、こう思うわけであります。

 まず、大臣に、このTPP交渉というものは、我々は、党内にもいろいろな議論がありますけれども、基本的には、成長の市場を取り込む、そして、その中でルールをつくることが日本の国益にプラスになるんだ、TPPというのはそういうものなんだという認識でおりますし、競争力強化のためには極めて大事な場である、こう考えておりますが、TPPの大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 委員、おっしゃるとおりだと思っております。貿易立国である我が国、やはり、さまざまなレベルで経済連携を進める、こういったことが重要だと思っております。

 そこの中で、このTPPの意義というものは、一つ、委員おっしゃったように、これから、アジア太平洋地域、こういったものが大きく世界の中では発展していきます。その成長を取り込むことが日本の成長にとって必要不可欠だ、こういったことがあると思います。

 それから、二つ目に、私も先日、スイスのダボスでWTOの非公式の閣僚会合に出席をしてまいりましたが、このWTOの議論、これがなかなか進んでおりません。その一方で、アメリカ、ヨーロッパを中心に先進国が、EPAを初め、高いレベルのグローバルなルールづくりを進めている。そういった中で、日本が今回TPPに参加することによって、まさに貿易立国として、新しいアジア太平洋地域のルールづくり、これの中心になっていくといったことは極めて重要だ、そんなふうに思っております。

 さらに申し上げると、これは最終的にはアジア太平洋地域の経済面だけではなくて安全保障面も含めた安定にもつながってくる議論だ、そんなふうに思っておりまして、同じ価値観を共有する米国等々とこういったTPPを通じてさらに関係を強化していく、こういったことは極めて重要だ、そんなふうに考えております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 そこで、稲田大臣にお伺いしたいと思います。

 私も、今、茂木大臣の御答弁と全く同じ思いでございます。これはいろいろな声がありました。さきの総選挙でも、私は、JAの大集会がございましたけれども、呼ばれましたけれども、三千人集会でただ一人、参加断固反対の鉢巻きを締めませんでした。三千人のうちただ一人だけ、私が締めなかった。アウエーでございました。自民党の先生方も含めて、県議会の先生方も、TPP参加断固反対、うそはつかない、こういうふうに宣言をされていましたが、私は当時副大臣でもございましたから、それはできなかったわけでございますし、大臣がおっしゃったようなことを、やじと怒号の中でJA集会で申し上げたわけであります。

 さて、その中で、稲田大臣、これは二〇一一年の「正論」、産経新聞に寄稿されておられます。資料配付で、先生方には大変見にくい字で恐縮なのでございますが、これはインタビュー記事じゃなくて寄稿ですから、恐らく、大臣がきちんと書かれたものを最終的にはチェックをされて、御自分の名前で出されたものだ、こう思います。

 これは、いろいろ書かれておるんですが、最後のパラグラフで、要は、TPPについて、「日本は「儲けたもの勝ち」「何でもあり」を是正し、カジノ資本主義を正す責務がある。TPP参加は、そういう役割を自ら放棄することになる。なぜなら、TPPは米国の基準を日本が受け入れ、日本における米国の利益を守ることにつながるからだ。それは、日本が日本でなくなること、日本が目指すべき理想を放棄することにほかならない。TPPバスの終着駅は、日本文明の墓場なのだ。」こう書かれております。

 さて、今のこの文章は、先ほどの大臣のTPP論とは相当趣を異にする文章でございますが、大臣、これは今も、TPPの終着駅は日本の墓場である、そもそも、TPP自体が米国中心であり、参加自体が相当問題だという、枠組みだという文脈で書かれておりますが、大臣、お考えは今変わられたんですか。

稲田国務大臣 参議院の予算委員会でも、また参議院の本会議でも、また、きょうは委員からも、私が執筆したものを引用いただいて、その趣旨はともかく、執筆者としては恐縮をいたしております。

 その上で、この論文というか「正論」は、当時の民主党政権の外交姿勢を批判した論文でありまして、ずっと読んでいただければわかると思いますが、民主党政権がTPP交渉に何の基準もなくすることについての懸念を主に示しているわけでございます。

 ここに書かれていることは、もちろん、党内でも、自民党の中でも主張をいたしまして、そして、J―ファイルの公約と、J―ファイルに結実をいたしたものでございます。

近藤(洋)委員 しかし、これをよく読んでも、もちろん、民主党政権に対しても厳しい御指摘をしているのも事実です。しかし、TPPというこの枠組みそのものに対して、先ほど茂木大臣がおっしゃったように、WTOが停滞する中で、新たな多国間のテーブルとしてのTPPという意義についても、むしろこれはもう米国主導のものであるからいかぬという文章としかとれませんし、ややちょっとここは筆が過ぎている部分もあるのではないかな、こう思うわけであります。

 民主党政権のもとでの交渉はだめだということでありましたが、私たちならしっかりできるということなのかもしれませんが、しかし、参加表明というこの段階においては、状況はほとんど変わっていないんですね。余り内容は言いませんが、我々民主党政権下で合意していたものと現時点でほとんど変わっていない中で参加を表明される。状況は余り変わっていないのに、我々は参加を表明した方がいいと思っている立場ですから、表明されたらいいと思いますが、政党の姿勢としていかがなものか。

 また、有権者の方々も、うそをつかないと言って、結局うそをつかれたんではないか、そういうふうに受けとめている方がたくさんいらっしゃるんではないか。だから、今、自民党の先生方も大変な御苦労の中で議論をされているんだろうな、こう思います。

 いずれにしろ、この交渉、きょう表明をされて、これから本番を迎えるわけでありますから、議会としても、まさに稲田大臣がここに、「国会での十分な議論が不可欠だ。」こういうふうに書かれております。ぜひ、政府において、情報を開示していただいて、国会での議論をこれから進めていきたいということだけ申し上げたいと思います。

 さて、そのTPPの議論ですが、何といってもやはり論点となっているのが農業であります。農業について、きょう、政務官にお見えいただいておりますので、お伺いしたいんです。

 TPPの議論について、きょう政府が試算を発表する。関税撤廃を前提にすると、農業生産額が三兆円を超えるものが喪失されるという。これは一つの試算ですから、いきなり撤廃となるかどうかという議論はあるわけですが、最悪の場合はこうなる。いずれにしても、農業が大きな影響を受けるというのは事実であります。

 その中で、過去、農業の自由化のガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の中で、平成六年、ミニマムアクセスを受け入れた。この間、総事業費六兆百億円、配付資料にも書いてありますが、国費二兆六千七百億円を投じて、平成六年から、ウルグアイ・ラウンド対策予算を講じたわけであります。

 さて、政務官、この六兆円の効果、果たして、農業生産額は、六兆円投じて、平成六年から現在に至るまで、どれくらいふえたのか、一人当たりの生産額はどれくらいふえたのか、お答えいただけますか。

長島大臣政務官 おはようございます。

 農林水産省からお答えをさせていただきたいと思います。

 委員御指摘のとおり、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策、UR対策と以降申し上げさせていただきますが、事業費が六兆百億円、うち、国費は二兆六千七百億円、平成七年から十四年までの八年間の事業でございました。

 農林水産省が平成十二年七月に行った同対策の中間評価でございますが、大区画圃場整備事業のように、担い手の経営規模が約二・五倍に拡大をいたしました。稲作の労働時間が約六割短縮をされるなど、着実に効果が出ている事業がある一方、担い手への農地利用集積の目的達成率が五割を下回るなど、低水準の目標達成度合いになっているものもございます。

 細かに申し上げます。農業産出額については、十一・三兆円から八・二兆円、三・一兆円の減少。一人当たりの農業所得については、一日当たり八千三十円から六千五十円と千九百七十円減少しております。

 一方、農業を取り巻く環境の変化を見ると、一戸当たりの経営耕地面積は、一・五ヘクタールから二ヘクタール、三割に当たる〇・五ヘクタールの増加、そして、水稲の十アール当たりの平均労働時間は、三十八時間から二十六時間、三割の短縮。農業の競争力向上という観点からは、一定の効果を出させていただいている。

 ただし、着実に効果が生じている事業がある一方、事業効果が低水準にとどまり、反省すべき点もあったというふうに受けとめさせていただいております。

 このため、UR対策の経験も踏まえ、真に必要な施策のあり方を、今後十分に検討してまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 今、政務官お答えいただいたように、これはいろいろな尺度がございますけれども、一番わかりやすい農業総産出額が、UR対策がスタートした平成六年、十一・三兆あったものが、現時点では八兆円になっている。三兆円減っている、これは厳然たる事実ですよね。六兆円を超えるお金を投じて、三兆円減った。

 よく、今回の政府の試算で、TPPの交渉に、関税ゼロになったら三兆円が消えると大騒ぎしておりますけれども、黙っていたって、三兆円これまで消えてきたんですよ、六兆円をつぎ込みながら。これはもう厳然たる事実で、相当猛省をしなければいけないということだろうと思うんですね。一人当たりの生産額もそういうことであります。

 何を申し上げたいかというと、ここでぜひ伺いたいのは、結局のところ、やはりこれは、農業待ったなしだというのは、農業は今てこ入れをして再生を図らないと大変な状況になるというのは、政務官も新潟の先生ですし、私も山形県、大臣は栃木、稲田大臣も福井ですよね。大体似たようなところです。大変失礼を申し上げますが、福井と山形を比べたらちょっと福井に怒られるかもしれませんが、でも、まあ農村地帯ですよ。

 農家の実態というのは、本当に担い手の多くの方が六十五歳以上。あと十年したらどうなるかということは、我々はもう肌身にしみてわかっているわけです。お金をどんどんつぎ込んでも、UR対策で六兆円つぎ込んで、この結果になっているわけですから。

 さて、これからTPP交渉をにらみながら、またTPP交渉とは関係なく、農業の構造改善をやらなきゃいかぬというのは、私たちの政権のときもそうだったし、安倍政権も同じ問題意識。そうだとすると、やはり農業のマーケットというか構造の、いろいろな意味でのやはり問題が実はあるんじゃないか。違った観点からやはり改革をしなきゃいかぬのじゃないかということをきょう、この場では議論したい、こう思っておるんです。

 そこでなんですが、まさに規制改革という文脈の中で、やはり見直すべき点が多いんじゃないか、こういうことなんです。

 公取の委員長に来ていただいています。

 農協というのは、JA中央会、単協含めて独占禁止法の適用除外になっておりますが、これはなぜなのか。

 もう一つ。小さな単協はそれぞれの協同組合組織で、オール・フォー・ワン、ワン・フォー・オールという観点から、一定の行為について適用除外するというのは私も理解はできますが、中央会たるJA中央会がなぜ適用除外になっているのか。JA中央会まで適用除外であるということの意味合い、農協法において規定されていますからという答弁だとは思いますけれども、競争的なマーケットをつくるという観点からいくと、果たして、中央会を適用除外にする意味が競争上あるのかどうかということも含めて、委員長、お答えいただけますでしょうか。

杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきたいと思います。

 独占禁止法第二十二条においては、委員おっしゃるように、組合が適用除外となっております。その趣旨は、農業協同組合に関して申し上げますと、個人事業者が大宗を占めまして、そうした中で、組合という相互扶助組織をつくることによりまして、農業の協同的な経済事業等を行っていくということの必要性ということで組合が認められていると思いますので、そういった観点から、単独で大企業に伍して競争することが困難だという事業者について、この競争単位として考えていくことで、独占禁止法の除外規定が設けられているんだと思っております。

 その中央会等についてでございますが、これは、そうした協同組合の上部組織ということで、これも農協法の方で適用除外が認められているというふうに考えているところでございます。

 農業協同組合に関しましては、競争政策上の観点から、平成二十二年の閣議決定に基づきまして、平成二十二年度に実態の把握と検証を実施したところでございますが、その際には、適用除外制度を直ちに廃止する必要はないという結論になっております。

 ただ、農業分野においても、競争政策上、問題が生じないようにするために、農林水産省に対しましては、事業者の公正かつ自由な競争を制限、阻害することのないように適正な対応を要請しているところでございますし、また、公正取引委員会といたしましても、引き続き、独占禁止法遵守のための普及啓発に努めていくほか、不公正な取引方法を用いるなどの適用除外とならないような行為を農協等が行っている場合には、厳正に対処していく必要があるんだと考えております。

近藤(洋)委員 これもまたぜひ、引き続き議論をしなきゃいかぬテーマなのでやってまいりますけれども、私は、農業を取り巻く諸団体が、過去、戦後農政においては一定の役割を果たしてきた、こう思うんです。それが、さまざまな部分で農業の活性化の足かせになっている部分があるのではないか、こういう問題意識を持っております。

 ちょっとこれは、やや次元の違う話ですが、農業団体の一例を示す典型例なので申し上げたいと思うんです。民主党政権下で、平成二十二年に、土地改良組合と農業共済組合の理事、職員に対して、いわゆる兼職禁止というか、地方議員なりの兼務はやめるようにという農水省通達を出しております。

 政務官、現時点で、例えば、共済組合に対して何人の地方自治体議員が、何組合のうち何人がその通達に反して勤務しているか、お答えいただけますか。

長島大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 農業共済組合の役員と議員の兼職は、平成二十四年六月現在、全役員三千六百九十三人のうち、国会議員はゼロ、県会議員十三人、市町村議会議員七十九人の計九十二人となっているところでございます。

 なお、土地改良区は全国で約五千地区あり、役員の数が七万人以上と多数に上るところであり、他方、国会議員、地方議員の数も全国に多数に上るところから、膨大な数について兼職状況を把握することは困難であるところから、正確な数字は把握していないところでございます。

 先ほど委員がおっしゃった通知、行政指導、行政手続法三十二条の第一項は、相手方の任意の協力によって実現をされるということでございますので、行政指導に携わる者は、所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと、行政指導の内容があくまで相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることを理解しながら把握をしたものでございますので、御理解を賜りたいと思います。

近藤(洋)委員 農水省通達にもかかわらず、引き続き続いているというのが事実ですね。

 これは、共済ですけれども、損害保険ですね、大事な制度です。けれども、海外に行けば、これは別に民間企業でできないことはないわけです。幾らでもできるんです、こういった分野、事業は。しかも、公費が入っているんですね、この団体には。人件費のうち、三百億円を超えるものが公費ですよ。国の税金が入っています。その団体に政治家が兼務している。いろいろなことを言われるからやめなさいと、国が通達をしてもまだ続いている。理事長さんもいっぱいいらっしゃいます。我が山形県もそうです。しかも、あえて申し上げます。特定の政党に集中しています。

 こういった李下に冠を正さずの体制も含めて、やはり農業をめぐる規制というものを見直すべきではないか。そして、自由な参入ができるようにすべきではないか。

 我々民主党政権下で提案したこととして、日本再生プログラム、農協の設立の弾力化というのを提案しております。第二農協をつくれるようにしようと。今までは、JA中央会の協議がなければ、合意がなければできなかった。中央会の協議ということは、要するにそれは市場を制限するわけですから、なかなか起きなかったらこの条項を外そうじゃないかということを閣議決定まではいたしました。

 新政権下においても、これは閣議決定をしたので、すぐ法律改正をしてやるお考えはあるのかないのか。これは、内閣府の副大臣にお答えいただくのか、農水省なのかわかりませんが。

 あわせて、規制改革会議の中で、我々は、農業という特別の、農業分野のワーキンググループをつくってまいりました。農業の規制改革が重要だということで、独禁法の議論も議論しました。農地の議論も議論しました。ワーキングをつくって議論したんです。現政権下では、そのワーキンググループは規制改革会議にないようであります。どうも後ろ向きなんじゃないか、こう思われますが、いかがでしょうか。

寺田副大臣 まず、御指摘の閣議決定等については、しっかりと我々も御議論を踏まえ検討してまいりたいと思います。

 あと、規制改革会議、重要四分野を重点分野として指定をしておりまして、雇用関連、またエネルギー・環境関連、健康・医療関連とともに、四番目が創業、産業の新陳代謝という分野でありまして、農業分野はこの創業等の重点分野に入っております。今現在、この四つのワーキングを立ち上げまして、創業等ワーキンググループにおきまして農業分野を重点分野として検討していく方針にいたしております。

 農業につきましては、御承知のとおり、産業競争力会議でも、産業の競争力の強化、農業の競争力の強化という観点から幅広い検討が行われておりまして、産業競争力会議の方から、規制に絡まる部分は規制改革会議の方に議論が、検討が投げられる、それを受けて規制改革会議でも精力的に検討してまいる決意であります。

近藤(洋)委員 しかし、やはり専門のワーキングがないと、重点分野と言われても、何か後ろ向きになったんじゃないか、こう思わざるを得ないですね。

 公取委員長、ここで公正取引委員会なんですよ。農業の改革というのは、これは容易じゃないんです。競争力会議でも、茂木大臣のリーダーシップのもと、やっていただきたいと思います。規制改革会議、これはなかなか、いろいろな圧力団体もありますから、容易じゃないんです。そういう中で公正取引委員会、しかも、公取は市場の活性化とか公正な市場をつくるという意味でさまざまな提言をされています。今まさに、政府においても法案を出そうとされている電力システム改革についても、誰も言わない時代から公正取引委員会は新しい電力市場の改革についてという提言を出してきたんです。電気事業法の改革について、発送電分離も含めて、公取が提言して書いているんですね、マーケットをつくるということを。NTTについても提言をしています。

 ここは委員長、農業分野、このさまざまな、先ほど言ったように、この背景には、各共済組合なり土地改良のところには地方議員の先生方が理事で入っている、応援団もすごい、改革をしようにもなかなかできない環境があるんですよ、政治の世界では。それを改革するために、僕は、公取が真剣に研究会を立ち上げて、この分野に切り込むことが必要だと思うんです。

 特に、杉本委員長は農林担当主計官をやられていた、竹島農林担当主計官のもとで主査もやられていた、こう聞いております。農業については全て御存じのはずです、財務省主査として。逆に、ここで手心を加えると、ああ、やはり財務省は甘いんだな、こう言われますよ。逆に、農林行政のことを隅から隅まで知っている杉本委員長だからこそ、ここは果敢に取り組むべき最大のテーマと思いますが、委員長、いかがですか。それを聞いて、質問を終わります。

杉本政府特別補佐人 私どもが所管しております競争政策の観点からは、できるだけ競争が確保されるようなことが望ましいと考えられておりますが、それぞれまた、政府の規制というものは、政策的要請を踏まえて所管当局において設計、運用されているものでございます。そうした観点も踏まえながら、競争政策と政策的な要請とのバランスというものをどういうふうに図っていくかという問題だと思っております。

 私どもといたしましては、農業分野につきましても、そうした観点から、どういうふうなことが必要なのかということを、引き続き注視しながら考えてまいりたいと思っているところでございます。

近藤(洋)委員 終わります。

富田委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 きょうは、大臣の所信に対する質疑の機会をいただきました。

 先日、大臣の所信表明、まさに経済産業省、幅広く所管されている分野に関しての所信をお述べになられたということであります。この所信を伺いながら、私、一点気になることもございました。

 そこで、きょうは大臣にまず事実関係で確認をさせていただきたいんですが、この中でも、福島第一原発事故、これらの教訓を踏まえてということを述べておられました。事故の収束も含めて、今後は廃炉を加速するための研究開発支援、こういったことも述べておられます。

 一方で、いまだ、汚染水の処理あるいは海洋への放射性物質の拡散防止、課題は山ほどあります。こうした中で、事故収束に対する取り組みというもの、今日においてもこれは当然ながら大変大きな課題であり、進めなければなりません。

 民主党政権下では、この事故収束に対しては、原発の事故収束担当大臣を設置しておりました。安倍内閣では、経済産業大臣が事故収束という形で所管するという認識をしておりますが、あえてお尋ねします。原発収束担当の大臣は設置されておられませんが、茂木大臣がまさにその所管であるということでよろしゅうございますか。

茂木国務大臣 原発事故からの収束、収束宣言について私も何度も質問を受けておりますけれども、前政権におきまして第二ステップが完了された、そして今、炉の状態が低温で安定している、この状態は変わっていないと思っております。

 ただ、収束という言葉について、撤回撤回というお話があったわけでありますけれども、これは福島の皆さんからしても、事故が収束したということになると、単に原発が低温で安定しているという状態だけではなくて、それは廃炉も進めなきゃならない、除染も進めなきゃならない。そして、東電による賠償もあります。そして、帰還もしなければならない、健康管理もしなくちゃならない。この全体を捉えてやはり事故なんだと思います。その収束ということには至っていないのではないかなということから、我々としては事故収束という言葉は使いません、こういう話を申し上げております。

 そこの中で、帰還にかかわります線引きの見直しは、私の方で担当させていただいております。そして、廃炉の問題、これは事業者がみずから取り組んでおりますが、事業者任せにするのではなくて、国も研究開発等々で前面に立つといったことで、この問題につきましても私が担当させていただいております。

 一方、除染の問題、これにつきましては、環境省を中心に取り組むということになってまいります。また、福島全体の復興、これは復興大臣のもとでいろいろな問題を進めていく。

 こういった役割分担の中で、いずれにしても、総理、復興大臣を中心にしながら、かなめかなめで、福島の復興、そして原発の廃炉、事故の収束を急いでいきたいと思っております。

馬淵委員 今るる申し述べられましたが、大臣は、廃炉については研究開発支援と。当然ながら、実際の事故対応ということでの汚染水の処理、滞留水の処理を含めて、これは経済産業省で取り組んでいかれる課題であります。

 したがいまして、安倍内閣として総合力で解決していく、これは当然です。しかし、大臣におかれては、この原発事故の収束については、非常に大きな課題として御認識されているんだと私は思います。しかしながら、今回の所信を伺ったところ、それについての言及が明確にはなされていない。

 私としては、ここは、総合的にやられることはよく承知しておりますが、改めて大臣から、この事故収束に対する取り組みの姿勢、決意、これを端的に述べていただけませんでしょうか。

茂木国務大臣 炉の問題につきまして、また廃炉の問題につきまして、事業者で取り組む部分はありますが、研究開発を含め、国がしっかりとした役割を果たしていかなきゃならない。経済産業省として、しっかり取り組んでいきたいと思っております。

馬淵委員 今、研究開発の部分と、所信以上のことは余り述べられませんでしたが、そこは当然ながらよく御認識されているという前提で承ります。

 さて、廃炉の研究開発、これも一つ大きな課題でありますが、一方で、事故が起きた後、いまだもって、例えば溶け落ちたとされる燃料のあり場所を含め、どのような状況かというのは、現実に、具体的に把握ができているわけではありません。

 そこで、最も重要なことは、放射性物質の汚染拡大を防止しなきゃならない。

 当時、一昨年前の三月十一日、あの大震災の発災後、累次の爆発が起きた。そして、私自身は、三月二十六日、今はちょっといらっしゃいませんが、当時、官邸から、枝野官房長官でございました、その枝野官房長官からの電話で私は突然官邸に呼ばれ、その場で原発事故対応の総理補佐官を命ぜられました。それ以来、九十四日間、私自身は総理補佐官として、まさに経産省のメンバーの方々ともども、全省各所を挙げてこの事故収束に取り組んだわけであります。

 当時、大きな課題としてありましたのは、放射性物質の拡散防止、放出の低減でありました。遮蔽プロジェクトなるものを立ち上げて、やがてそれは、単に遮蔽するだけではない、いかに中長期的なロードマップも含めて考えていかなければならないかという、このプロジェクトの中心的な存在として、その取りまとめを私自身もさせていただきました。

 その当時の放射性物質の汚染拡大防止、これについては枝野大臣からの引き継ぎもあられたと思いますが、もちろん行政上の所管が十二月にかわられたことも承知をしておりますが、大臣、これも端的で結構です。この放射性物質の放出低減対策について、どういうものがあったかということを、簡単で結構です、御認識だけでも結構ですので、お答えいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 幾つかの大きな課題があると思いますけれども、放射性物質が空中から放出される、これを少なくしていくという問題。それから二つ目に、地下水を含めて、水の形で出ていく、これを防止しなければならない。さらには、既に港湾内の海水中にも放射性物質が流出しておりまして、これの濃度を下げなければいけない。幾つかの大きな課題を抱えている、こんなふうに思っております。

馬淵委員 御指摘のとおり、まさに汚染拡大防止というのは陸海空に及んでいたんです。

 私は、二十六日に呼ばれ、その日からそのプロジェクトに入った。その当時は、実は、一号機の水素濃度が再度上がって、水素爆発の危険性があると言われた状況でした。これはその後、国会事故調でも明らかになりましたが、当時の原子力委員会近藤委員長のもとでつくられた近藤シナリオ、最悪のシナリオと呼ばれているものです、そのシナリオに基づいての避難、あるいは被害の甚大さというものを想定した準備も必要でした。

 私が最初に委ねられたのは、遮蔽プロジェクト、そこで陸海空の放射性物質の汚染拡大を防止するという策を打つことです。

 端的に申し上げておきますが、陸に関しては、爆発による粉じんによって土壌汚染が起きておりました。この土壌汚染を抑えていかなければならない。粉じんは、雨が降れば海に流れ、風が吹けば宙を舞います。当時、静岡のお茶葉からセシウムが発見されたなどといった報道も上がりました。こうした状況で、いかに飛散を抑えるかということで、飛散防止剤の散布ということを陸の汚染を抑えるために行いました。

 そして空。これも大臣がおっしゃったように、空中に拡散されています。当時はまだ全く近づけない状況でしたから、どのような炉の状態かがわかりません。しかし、もくもくと出る水蒸気の中に、間違いなく、微量であっても放射性物質が含まれていることは、当時の観測結果から明らかでした。

 近づくこともできない中で、どのように抑えていくのか。カバーリングという方法でこれを行うことに決めました。それこそ荒唐無稽に、何か上からテントでもかぶせればいいといった議論もありましたが、それはままならず。結果的には、多くの方々の力をかりて、カバーリングを無人で行う。四面を塞いで、そして上面を塞ぐ、クレーン玉掛け作業という、本来ならば人がかかわらねばならない作業を一切の無人で行うということ。これは本当に、ゼネコンの方々の技術の粋を集めてやっていただいた結果であります。このカバーリングを行っていきました。

 陸と空を抑えながら、もう一つの大きな課題は大量の滞留水です。これらが海に流れ込んでいかないかということでありました。すなわち、先ほど大臣がおっしゃった、地下水の汚染、あるいは地下水から、やがて滞留水がまざり、そしてそれが海洋汚染へとつながっていくのではないかということであります。

 海洋汚染に関しては、いっときトレンチから直接的に滞留水が流れて、じゃぶじゃぶと水が出ている、そのような映像をごらんになったと思います。これについては、そのトレンチを埋めていくということから何とかとめましたが、現実には、地下水の動向も含めて、どのような状況であるかが全くわかりませんでした。今申し上げたような状況で、陸海空の中でも最も重要なのは、私は、海洋に対する汚染、放射性物質の汚染拡大をとめるということである、そのように思っております。

 もちろん全てにおいて重要でありますが、大臣、これも端的にお答えいただけませんか。今申し上げたように、私自身みずからがその任に当たっておりました汚染拡大防止について、海洋に対しての防止策、これは最も重要であるという御認識はお持ちでしょうか。いかがでしょう。

茂木国務大臣 大変重要な課題だと思っております。

 そして、委員も補佐官として現場の指揮に当たられた。試行錯誤の中で大変な作業であったと思います。そういったことをやっていただいた成果は出ておりますが、まだ道半ば、これから取り組むべき課題としては極めて大きいと思っております。

馬淵委員 まさに、まだまだ道半ばの状況であるということであります。

 その上で、海洋汚染という状況についての認識をお尋ねします。

 道半ばでありますが、これも大臣、端的なお尋ねでありますので、端的にお答えいただきたいところでありますが、なかなかそうはいかないかもしれませんが、海洋汚染は現状あるのか、お答えいただけますか。

茂木国務大臣 率直に申し上げて、場所によって違っているところがございます。

 二〇一一年三月の事故の後に、東京電力は、同発電所から高濃度の放射性廃棄物を含みます汚染水を海洋に流出させた。このことから、港湾内の海水中には放射性物質が残存しておりまして、この濃度を低減することが課題であります。

 このため、これまでどういうことをやったかといいますと、海底の土を覆いまして、放射性物質が巻き上がらない、これを防止する、また海水循環型の浄化装置の運転などの対策を講じてきたところでありまして、これまで、海水の流れが比較的大きい八カ所の測定地点では、規制当局が定める基準濃度未満を達成いたしました。他方、海水の流れが比較的小さい五カ所の測定地点については、現在も同基準を上回っている状況にありまして、低減を図ることが課題であります。

 東京電力は、この三月中にも新型の浄化装置を導入することにしておりまして、国内外の研究機関の協力も得ながら、その低減に向けて取り組んでいくこととしておりまして、当省としても適切に指導していきたい。

 ですから、流れが速いところにつきましては基準値以下になっている。しかし、流れが遅いといいましても、まだ残っている、基準値以上の部分があるわけでありますから、それに対する取り組み、これを加速化していかなければいけないと思っております。

馬淵委員 これもるるおっしゃいましたが、海洋汚染はあるんですね。現状あります。

 そして、これは重要な観点であり、ここから議論をさせていただきたいと思いますが、事故発災直後から高濃度の汚染水が流れてしまった、それによって海洋が汚染された。しかし、事故発災当初の汚染によってであり、現状においてはおさまっているのかと問われれば、私はそうではないと思っております。

 そして、先ほど大臣がおっしゃったように、流れの速いところでは基準値を下回りながらも、一方、そうでないところはそれなりに高いレベルで出ている、こうおっしゃいました。

 現状で二年たっております。二年たって、いまだに濃度が基準値を下回らないという現状を考えれば、これは、少なくとも今日現在においても、高濃度汚染水が何らかの形で流れ出ているという蓋然性は極めて高い、私自身はそのように思っておりました。

 大臣、済みません、今の私の考え方に対しての端的なお答えをいただけませんでしょうか。

茂木国務大臣 委員がおっしゃるような想定をして、いろいろな対策をしていくことは必要だ、そんなふうに私は感じております。

 昨年十二月に東京電力が、港湾内に地下水が流れ出ていると考えられる三つの代表地点で調査を行いまして、いずれの地点からも放射性セシウムが検出されず、地下水を経由しての新たな海への放射性物質の流出の可能性がない、こういう評価をいたしております。

 恐らく、それが海に流れ出ているところはないかというのをチェックするのと同時に、地下水そのものの流れ、これをどういった形で制御することによって、それが汚染水とまじらずに海水の方に行かないか、こういった対策も必要だと思っております。

馬淵委員 私も当時、その対応をしておりまして、東電さんともかかわったわけですね。当時、経産省の皆さん、保安院の方々ともやりました。ここは実は、私がかかわりながら、なかなかに、この地下水の問題については東電さんの対応も鈍かったんです。

 容易に想像できることは、目に見えるところ、陸であったり、あるいは空であったり、ここは即座に対応しなければならない、こういう御認識は持っておられたと思いました。しかし一方で、地下です。この地下という、誰もわからない、見えないところで起きる汚染、私から申せば、これについては非常に感度が鈍かったんです。

 繰り返し申し上げますが、今もって高い濃度、基準値を上回る濃度を検出する海水、この港湾内の状況、このことはやはり、私は、今日においてもかなり汚染が続いていると考えるべきだと思っております。

 そこで確認をいたしますが、規制庁に来ていただいております。直近における福島第一原発港湾内シルトフェンス内側の海水の放射能濃度と、その放射能濃度の線量告示、これは炉規法に基づいたものでありますが、この線量告示における濃度限度との比較、これについて数値を端的にお答えいただけますでしょうか。

黒木政府参考人 お答えします。

 平成二十五年三月十二日の三号機取水口シルトフェンス内側での放射性物質濃度は、沃素131が検出限界未満、セシウム134が六十六ベクレル・パー・リットル、セシウム137が百十ベクレル・パー・リットルであります。

 炉規法の線量告示の濃度限度については、検出限界未満の沃素131を除き、セシウム134が濃度限度の一・一倍、セシウム137が一・二倍となっております。

 以上であります。

馬淵委員 濃度限界を超えているんです。そして、今日においても、これは直近の三月十二日採取ですから、この状況は続いている。

 常識的に考えれば、大臣、海というのは外洋ともつながっていますから。そして、流れがないというのは、いつも東電はそういうふうに説明をしていました。流れがないといいますが、大臣、これは小学校の理科の授業で習います。拡散という言葉があります。濃い濃度から薄い濃度へ、いわゆる水頭が同じでも、静的な状態であっても、拡散によって均等の濃度にまで進むんですね。拡散が起きるんです。しかし、ずっと告示の濃度を上回る数値が出ています。

 そして一方で、先月の二十八日です。福島第一原発の専用港のアイナメから一キロ当たり五十一万ベクレルの放射性セシウムを検出した、これが明らかになりました。これも、プレスで発表されたわけではなくて、同日の福島県の漁協連合会の組合長会議で東電が報告した、このように報じられております。五十一万ベクレル、基準値は百ですから大変な数値です。五十一万ベクレルが検出された、この状況をどのように考えるべきかということなんです。

 時間も余り使いたくはないところでありますが、大臣、これはちょっと、どのようにお考えになられるべきかというのを見解をいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 先般、港湾内の魚から高い線量の放射性物質が検出された、そのことは承知をしております。ただ、きょう通告いただいておりませんでしたので、具体的な数字がどれくらいか、それにつきましては、ちょっと事実関係は、委員のおっしゃったことでありますから正しいんだと思いますが、承知をいたしておりません。

 東京電力は、これを受けまして、先般、港の出入り口に刺し網を設置するなど、汚染された魚が海洋に出ないようにするための取り組みも講じたところであります。

 いずれにしても、魚の対策もありますけれども、おっしゃったように、まだ放射能のレベルを下げなければならない。御案内のとおり、一遍に全てのことができればいいんですが、そうはならない中で、対策はいろいろなことについて加速していかなければいけないと思っております。

馬淵委員 私は、御見解をということでしたので、具体的な数値をお聞きしたわけではありません。そして、私がこの委員会の場で大臣と議論させていただきたいのは、まさに認識の問題なんです。どのような魚がどれだけ出るかということを問うていません。今もって高濃度の滞留水が地下水とまざって流れている可能性の蓋然性は、私はそれなりに高いと思っています。

 これは経産省の中のデータです。お手元の資料に、最初の一枚目というのは、海中の濃度が下がっていませんよ、一定レベルですよということを申し上げる資料であります。そして、二枚目のBと左下に書いてある資料は、先ほど大臣がおっしゃった部分でして、十二月二十五日に地下水濃度を検出したところ、流出の可能性はないと評価ということでありました。これは一つ、このことをおっしゃっているんだと思います。

 ただ一方で、先ほど申し上げたように、五十一万ベクレルのアイナメが採取されたということであります。

 実はこれは、これほど高いのは初めてなんです。それ以前にも高濃度の魚が採取されております。昨年の八月一日に、同じくアイナメなんですが、太田川の沖合一キロで二万五千八百ベクレル、これが検出されたがゆえに、その後、原因究明のための調査を行っております。そして、その調査の結果、幾つか採取された魚から、マアナゴから一万五千五百ベクレル、こういったものが出たんですが、数値のことを申し上げているわけではありません。このような状況、高濃度の魚、汚染された魚介が採取されたことに対する東電の見解なんです。東電の見解はどうなっているか。

 当時、昨年十一月二十六日の報告書は、福島第一原発事故直後、海水濃度が一カ月以上千ベクレルを超える状態が継続したことを考えると、魚介のセシウム濃度が十万ベクレル程度まで高まる可能性はあった、このように述べておられます。

 ただ一方で、生態学的半減期、魚がいろいろなものを食べては排出するという中で、これが循環して出ていくことも考えた場合に、生息環境の汚染がなければ、五十日程度で半減する。ただ、福島県沖のアイナメは三百日を超える可能性があるということから、採取された平成二十四年八月一日まで、事故直後から約五百日ぐらいが経過しているので、生態学的な半減期、これは三百日ぐらいだと水産総合研究センターが言っていますから、二万五千ベクレルを超える魚類が発見されたとしても、計算上は説明が可能だ、こういう原因の推定を東電は行っています。

 私が申し上げたいことは、このように、原因の推定として、説明は可能だというレベルでとどまってしまっているんです。今回、五十一万ベクレル。やはりここはまさにいろいろな形で検討されているんだと思いますが、この滞留水と地下水の関係、海洋汚染というものは今もって明らかではない状況である。すなわち、今もって汚染をし続けている可能性が高いということも想定して取り組まなければならないということであります。

 そこで、先ほどお配りした資料のBの右下に線を引いております。地下水を採取したところ、放射性物質の流出の可能性はないと評価されているという表がありますが、済みません、一枚めくっていただいて、一としておりますが、これは全く別の図でありますが、福島第一原発のいわゆる地層のイメージ図なんです。

 これをごらんいただきますと、地下水ドレーンというのが、透水層、難透水層、透水層と互層になっておりますが、その透水層と呼ばれるところから水を抜いている。十五メートルというのはほぼこの辺の地点です。

 この地域は、この地層は、富岡第三層、富岡T3層ですね。このT3層、第三部層と呼ばれる地層、難透水層というのは、水を通さない泥質土、粘土です。透水層というのは、水が流れやすい砂れき、砂というものです。

 今回、私自身は、この十五メートルのところからとって、地下水による汚染はないと評価しているというのは、これも極めて問題だなと思っています。

 当時、私自身がプロジェクトリーダーとして取り組んだときに、この地下水の解析というのをなかなか進めようとしなかったんです。地下水を、とにかく見えないところを検討するのは我々の責務だ、とりわけ、地下水で海洋に出てしまえば、近隣諸国を初めとする国際問題にも発展する可能性があるんだ、我が国が主権国家として原子力と向き合って今後収束させていく、さらには、これは私自身の個人的な見解でありますが、さまざまなエネルギー選択肢の中でもしっかりと考えていくためには、ここは決して曖昧にするわけにはいかないとして、地下水の解析を命じました。浸透流解析と呼ばれるものです。

 この福島第一原発というのは、阿武隈山系から流れ出る地下水がとうとうと、第一原発の一号機から四号機までを洗い流すように流れ出ています。その状況の中で、調べていくと明らかになったのは、この第一原発の当時の施工状況です。まさに地下水との闘いだったわけです。

 これもよく御存じだと思いますが、三十五メーターOPと呼ばれる地盤高さを削り込んで、第一原発を設置しているんですね。気をつけてください、私は土木屋出身ですから。地下水位より低いところまで切り土して、コンクリート構造物をつくっていくというのは大変な工事です。難工事になります。まさに水との闘いになる。

 こうした状況で、常に地下水と闘いながらつくってきたのがこの福島第一原発でした。したがいまして、ありていに言えば、洗い流されたような状況が一号機から四号機にあるんです。

 そして、この状況の中で、私自身は浸透流解析を命じたわけであります。浸透流解析の結果、これも恐縮ですが、一号機から四号機まであって、そこから建屋あるいはタービン建屋にたまっている滞留水が仮に地下水とまざった場合に、海側に流れ出たときに、どの程度の時間がかかるかということの解析を命じました。

 当時の解析結果でいえば、四号機の南側というのが、角が一番海に近かったんです。その距離は四十メーター弱でした。そして、浸透流解析の結果、先ほど申し上げている富岡T3層泥質部の上、非常に水が流れやすい砂層、ここを流れた場合に、これはダルシー流速というんですが、その流速は一日に九センチ。四十メーターほどですから、実は当時の計算でも約百八十日、六カ月で汚染水と地下水がまざれば海洋に到達するということです。これはとめなければならないというのが私どもの最大の関心事でもありました。

 私は、今お手元に配った資料にあるように、地下水の汚染はないんだと言い切ってしまう、これに問題があると思っています。

 ぜひここは大臣にもお願いをしたいんですが、とにかく地下のことに関しては事業者側は嫌がりました。理由は幾つもあるんでしょう。後ほどまたお話しします。

 一つは、施工性の問題と同時に、そこにかかる巨額の施工費、これが大きな課題であったとは容易に想像がつきます。決して、現場レベルでお金がかかるからできませんとは私には言いませんでしたが。私はこれは非常に問題だと思っている中で、地下水の汚染の状況についてもっと徹底的に調べるべきだということを言い続けてきたんですが、残念ながら、九十四日間の総理補佐官時代にそれを完全に実施させることはできませんでした。

 大臣、改めての御見解と、ここは私からもお願いであります。

 この地下水に関しての、十五メーター地点というのは深過ぎるんです。この概略図で見ていただけばわかるように、もともと高い位置に地下水はありました。切り土したんです。地下水は、上層の流れやすいところを水が通っているんです。このような深い地域の水をとって、汚染がないということで結論づけていることには、私は大変問題があると思っております。

 これから後に伺いますが、ここはまさに対策を実施されていく中では極めて重要なところだと思っておりますので、ぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 地下水の流入をどういった形で防ぐか、そしてそれが汚染水に到達しない形をつくっていく、また汚染水をどういった形で保管するか、またその汚染した水が海洋に流れ出ないようにするのにはどうしたらいいか、それぞれ極めて重要な課題だと思っております。

 委員が九十六日間取り組まれた経過につきましても、もう一回検討させていただきたい。問題意識は一緒なんだと思います。委員の方は、これが悪いとかいうことよりも、安全性を高めるために、大量に入ってくる地下水、これが安易に海水に流れ出ないためにもどういう対策が必要か、こういう視点から御指摘、御質問をいただいていると思いますので、よく勉強させていただきたい、検討させていただきたいと思います。

馬淵委員 ありがとうございます。そこは本当にニュートラルに受けとめていただいて、感謝申し上げます。私自身も、これは非常に高い関心を持って、今後も見続けていかなければならないと思っております。

 その上で、今おっしゃった、大量の地下水がやはり流入はしているんですね。もう既に経産省の方でもそのことはお認めになられています。一日約四百トンの地下水が、原子炉建屋、タービン建屋に流れ込んでいるんです。四百トンです。この流れ込んだ部分を、今は公式には漏れていないというふうに言っていますが、水がたまってしまうので、それを引き揚げて、タンクをつくって、そこに入れて、除染をして放出するということが計画されているということであります。

 これについては、現状で設置済みが三十二万トン、そして平成二十五年の上期までに八万トンの追加増設、これで四十万トン、さらに今後三十万トン分の追加増設を行って、最大七十万トンのタンクをつくるということです。敷地内がタンクだらけなんですね。航空写真を見ると明らかです。

 しかし、一日四百トンでありますから、単純に計算しても、四百トン掛ける三百六十五日掛ける三年で四十三・八万トン。実は、七十万トンまでつくっても、今二十七万トンですから、四十三万では三年でいっぱいになってしまいます。これはイタチごっこにまさになりかねない状況。

 もちろん、そういう状況だからこそ抜本的な解決が必要だとお考えだと思うんですが、私は、その抜本的な解決は、実は、今日行われようとしている地下水のバイパス、これでお茶を濁してはいかぬと思っています。

 地下水バイパスというのは、阿武隈山系から流れ出る、山側から来る地下水を抜いて、迂回させて海に流せば、汚染されていないから、こういう理屈であります。しかし、先ほど申し上げたように、大量の山系から流れ出る地下水をわずか、何本かの揚水井と呼ばれる井戸、これで引き揚げるという話なんです。これはごくわずかでしかありません。

 なぜこのことを私は強く申し上げるかというと、お配りした資料の最後のページに、図そのものは特別のここに書いてある中身とは別です、見ていただきたいのは、原子炉建屋一号機から四号機までを囲っている、この四角囲みの全体像です。これは何かというと、当時、私は、先ほど申し上げた富岡T3層泥質部、難透水層まで深く掘り下げて、遮水壁で完全に閉じてしまうことが必要ではないかということを検討しておりました。それがこの四角囲みのところです。

 これは、一昨年の六月十一日、私自身が福島第一原発の高線量下の中に一人、国会議員として初めて、原発建屋に入りながら、バウンダリーと呼ばれる境界を決定してきたんです。本来ならば、この陸側、山側を全部囲ってしまうという発想で取り組んでおりました。しかし、これについては、残念ながら、その後、海側だけの施工に終わってしまったんです。

 それで、山側はどうかというと、先ほど申し上げたように、大量に四百トンも水が流れ込んでいるんです。それを引っ張ってはタンクをつくってきたことが、この二年の間に行ったことです。

 私自身は、今もって、この山側を塞がなければ何もならないと思っています。ここには実は干渉してしまう部分が多くて工事が大変だということが書いてあるんですが、山側から一帯に、四方を囲んでこそ初めて、完全に汚染をとめることができるんです。汚染水の漏出が仮にあったとしても、とめることができる。これはぜひともやらなければならない課題だと私は思っています。

 当時、六月十一日、私は国会議員としてただ一人、原発に行ったわけです。吉田所長はまだお元気でした。実は、吉田所長は、私がこのことを申し上げたときには非常に難色を示されました。それは、過酷な作業を作業員に強いるからであるということ、これもよく理解できます。ただ一方で、非常に難工事となる、さまざまな重要埋設物があるから干渉し合ってしまう、これもよく理解できます、現場の御苦労を。

 しかし、先ほどの繰り返しになりますが、海洋汚染というのは、まさに国際社会の中で我々が先進国として矜持を持って原発に向き合うという決意を持つならば、私は見過ごしてはならない課題だと思っています。

 そこで、もう時間もありませんが、山側に関しては、残念ながら、揚水で、水を引き揚げて地下水バイパスなどという、ある意味、お茶を濁すようなことではなくて、完全に遮蔽をしてしまう、その上で、サブドレーン、水を抜いてドライにしてしまう、それで初めて大臣が先ほどおっしゃった廃炉に近づける、まさに前に進んでいける、私はこのように考えております。

 これは、専門的な知識をそこで確認する作業でも何でもありません、基本的な考え方です。先ほど、御検討いただけることもお話がありましたが、私は再度、単に地下水バイパスではなくて、山側を遮蔽する、そして完全に遮蔽して内部の水を抜いて、サーフェス処理、表面処理まですれば、廃炉の道というのは開けると私は思っています。ぜひそのことについても検討をお願いしたいところでありますが、大臣、これも御見解で結構です。大臣、見解をいただけませんでしょうか。

茂木国務大臣 地下水の問題は、きょう委員るる御指摘いただきましたが、極めて重要でありまして、現実として、四百立米の地下水が毎日流入しているということは間違いないわけであります。そして、タンクにためても、あと何年かでは、これだけの方法では済まないということも事実であります。

 そういった中で、さまざまなオプションというのは検討していかなければいけない。全部遮蔽した場合に、例えば汚染水の水位の方がかえって地下水より上がってしまうとか、いろいろな課題があるんだと思います。そういったことも含めて、何が今後とり得る手段なのか、今、思考停止するのではなくて、さまざまな検討が必要だと思います。

馬淵委員 ありがとうございます。

 ぜひ幅広い検討をしていただいて、技術屋さんというのが、ある意味、言を弄する場面もあるかもしれません。ここは常識人としての直観で、市民の直観で御判断をいただくことを心から望みまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 我が党は、昨年の九月にできました新しい党でございますので、恐らく経済産業委員会で質疑をするのは初めてになると思います。きょうは三名おりますが、トップバッターということでございますので、我が党の基本的な考え方を御紹介しながら、大臣の基本的な考え方や所見ということについていろいろと御質問をしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず最初に、TPPの問題でございます。

 報道によりますと、きょう夕方、TPPの参加表明を総理がされるというふうに伺っておりますけれども、私ども日本維新の会としては、TPPに関しては、もう一刻も早く参加をすべきであるということをずっと主張してまいりました。それは、とにかく、日本が国際社会に行ってちゃんとルールメーキングに参加する、それぐらいの気概を持ってやらなければいけないというのが一番の考え方であります。

 今の現状を見ますと、もう十六回、この間、シンガポールでも会合が終わり、今度、五月に十七回があるというふうに聞いておりますけれども、この時点でもう既にかなり遅いというぐらいの危機感がありまして、一刻も早く交渉参加に臨んでいただきたいなというふうに思っているわけであります。

 報道によりますと、また、カナダ、メキシコが入るに当たっては、いろいろと制限がついたということもあって、やはり時間はないな、猶予はないなということを痛感しているわけであります。

 その上で、今回、自民党政権のやり方を、私は、ある意味、非常に感心しているんですけれども、予算委員会で民主党の方がいろいろ意見を言っておられました。当たり前のことを日米首脳会談で決めてきて、それをさも成果みたいにおっしゃっているということの批判がありました。

 そもそも、交渉というのは、全部テーブルに置いて、そこで交渉して何かをかち取るのであるのだから、最初から全部だめよということはあり得ないわけなので、それをかち取ってきたというのを安倍さんが見せたというのは、ある意味、当然といえば当然なんですけれども、見せ方は非常にうまかったと思います。

 その後、自民党の中でも、反対派が半分以上いるというふうに言われている中で、夜の八時から時間無制限で会議をしたというふうにお伺いしていますが、二時間ぐらいでまとまって、自民党という党はしっかり物事を決める党だというような演出をして、芝居がかっているなとも思いますが、非常にうまい演出をしてここまで来たなというのが私の印象でございます。

 その上で、一つ、私はちょっと申し上げたいんですけれども、この点はちょっと違和感があるんですね。それはなぜかというと、このアメリカとの事前協議なんです。

 TPPというのは、本来、多国間交渉ですよね。私たちが言っていたのは、日米でバイでやるよりは、アメリカは非常に交渉力が強いので、多国間でやった方が有利だろう、そういうことも主張してきたわけなんですけれども、最近の報道を見ますと、要するに、アメリカといろいろな条件を事前に協議してということばかり表に出るわけですね。まるでアメリカとのFTA交渉をしているように、一般から見ると感じてしまう部分もあると思うんです。この辺は、私は非常に見せ方が問題だなと思っています。

 それを踏まえてちょっとお伺いしたいんですが、アメリカ以外の国との交渉というのは、現在どういう状況になっているんでしょうか。

茂木国務大臣 TPPについて質問を受けたわけでありますけれども、先ほど、民主党とそれほど変わらない、見せ方がうまかった、こういうお話があったんですけれども、例えば、先日も質問を受けましたけれども、民主党は党としてTPPに臨む方針を決めました、そのときは、センシティビティーがある品目としてこういうことだ、これで国益を最大限に担うと。

 自分で決めるんだったら何でもできるんです。外交というのは交渉なんですよ。相手があるんですね。そこでオバマ大統領との間で共同声明に合意した、これはやはり百八十度違うんですね。相手もある中で、一定の農産品については日本はセンシティビティーがある、しかし、アメリカ側も一定の工業製品についてはセンシティビティーがある。何にしても、そういった合意ができたのと、単に内閣で自分たちの外交方針を決めました、このことは一つ違うんじゃないかなと私は思っております。

 それから、もう一つ。

 民主党がこのTPPの協議で何日かかってどういう結果だった、こういうことを申し上げるつもりはありませんが、我が党もずっと協議してきているんです。そして、さまざまな専門委員会もつくって、そこの中での議論の集大成が昨晩だったと思うんですよ。別に二時間で決めたわけじゃないんです。最後の二時間だったということで、その一部だけをごらんになって、二時間で何かそういう演出をされた、それは若干違っているんじゃないかな、そんなふうに思います。

 そして、TPPの問題を含め、さまざまな外交ルートでの協議というのはやっております。ただ、これはあくまで協議なんです、アメリカとの間でも。我々はまだ参加表明しておりません。そして、参加表明して、それぞれの国に受け入れてもらって、その段階で実際に交渉が始まる、こんなふうに考えております。

今井委員 済みません、私は別に嫌みを言いたかったわけじゃないんですけれども。

 その上で、ちょっとお伺いしたいんですが、二月二十四日付の朝日新聞の記事に、世界経済フォーラム年次総会、これはいわゆるダボス会議ですね、一月下旬にスイスであった際、USTRのカーク代表が茂木経済産業大臣に、米国が既に日本からの輸入車にかけている関税を当面維持する意向を示したという報道がありますが、これは事実でしょうか。

茂木国務大臣 報道については承知をいたしております。そして、一月の末、スイスで行われましたダボス会議、そしてWTOの非公式閣僚会議に出席した際、通商政策のアメリカの私のカウンターパートでありますカーク代表ともお会いをして、さまざまな日米の通商問題につきまして意見交換をさせていただきました。ただ、これは外交にかかわる問題でありますから、具体的な内容につきましてはここでつまびらかにすることはできません。

 日本としては、これからさまざまな通商交渉に臨んでいく。TPPも、もし参加する場合でありますけれども、そういったことも含めて、鉱工業品の関税、これは撤廃するのが原則である、それから国民生活に関する事項は原則を曲げることができない、それからWTOのルールに反する合意はしない、さらに、自由貿易の理念に反する工業製品の数値目標は受け入れない、こういった基本的な考え方に立って、米国を初め各国と協議を進めていきたいと思っております。

今井委員 それをぜひお願いしたいんですね。

 というのは、私は前、民主党におりましたけれども、ずっとTPPの議論をしているときに、経済産業省の基本的なスタンスはTPPを推進したいというような姿勢だったと思いますけれども、農水省と経産省が対立しているような構造も見られましたが、経済産業省が経済効果がどれだけあるかということによく例を出していたのが、実はアメリカの自動車マーケットなんですね。アメリカの普通自動車二・五%、トラック二五%、この関税がなくなると日本は非常に貿易に有利である、これを一つの一番代表的な例としていつも紹介しておられました。

 御案内のとおりだと思いますが、日本の輸出のうち三割ぐらいはアメリカ向けの輸出でありまして、この部分をかち取れないということになれば、そもそも経済産業省がこれだけメリットがありますと言ってきた前提が崩れると思うんですね。

 きょう、同時にTPPの影響の試算が出されるというふうに伺っています。全部撤廃した場合に、三・二兆円ぐらいのプラスになるんじゃないかというような試算だと伺っておりますけれども、ここでもやはり、もし、この一番重要なアメリカのマーケットが開けないということになれば、もうこの前提も崩れてきてしまうということだと思いますので、この部分はぜひ頑張っていただきたいんですね。

 ですから、その点、もう一度、大臣の御決意をお伺いしたいというふうに思います。

茂木国務大臣 関税で申し上げますと、日本が今、TPPに参加を表明しております十一カ国に支払っております関税が、ちょっと私の記憶ですけれども、大体年間四千七百億ぐらいになると思います。そのうち、アメリカの自動車部分、乗用車二・五、そしてピックアップトラック二五、この部分で八百億ちょっとという額になってくるのではないかなと思っております。

 ただ、御案内のとおり、自動車の関税につきましては、TPP参加国の中でも、ベトナムが乗用車で七八、そしてマレーシア一五%、こういう高い関税もあります。

 そして、私、先ほど申し上げましたように、鉱工業品、これにつきましては関税は撤廃するのが原則、こういう基本的な姿勢で臨んでいきたいと思っております。

今井委員 よろしくお願いします。

 何といいましても、今、TPPに参加している国のGDPでアメリカの比率は圧倒的に大きいわけですから、このマーケットをしっかり開くということはまず一番大事なことで、アジアもこれから成長してくるでしょうけれども、それはまだ先の話ですので、そういう順番でしっかり頑張っていただきたいと思います。

 もう少しTPPの話を聞きたいんですが、月曜日に集中もあるというふうに伺っておりますし、今後もございますので、この点はきょうはこれぐらいで終わらせていただきたいというふうに思います。

 二点目なんですけれども、先ほどからエネルギー政策で原発のところはいろいろお話がありました。

 我が党は、総理の施政方針演説に対する代表質問で藤井孝男議員が申し上げましたけれども、脱原発依存ということで、原発をできるだけなくしていこうという方針を打ち出しております。これは、安倍総理も同じことをおっしゃっているので、方向性は同じではないかと思います。

 もう一つ我々がこだわっているのは、権限と責任というのを明確にしましょう、いろいろなルールも曖昧なものははっきりしましょうということをずっと申し上げていて、安全基準をまず厳格なものにして、それをしっかり運用していきましょう、これは当然ですね。今も原子力規制委員会でこういうことは検討されているということなので、これはしっかり見守っていけばいいと思います。

 それから、原子力賠償の責任をもう少し明らかにしっかりするべきだろうということですが、きょうは時間がありませんので、これはまた、後日やらせていただきたいと思います。

 三点目は、要するにバックエンドですね。最終処分。こういうものを、しっかりとルールづけしなければいけないということが重要だ。

 この三つを大きな柱にしているんですけれども、大臣のこの間の所信演説を拝見しますと、「高レベル放射性廃棄物の最終処分について、これまでの取り組みへの反省に立ち、問題を先送りせず、処分場の選定プロセス等に関し、必要な見直しを行ってまいります。」というふうに述べておられます。

 そこで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、これまでの取り組みへの反省というふうにおっしゃっておられますが、これまでの取り組みで何が問題であったという御認識でいらっしゃるか、御見解をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 確かに、先日の所信で、今、委員が引用していただいたような表現を使わせていただきました。

 これまでの取り組み、さまざまな反省材料もあると思いますけれども、大きく二点だと私は思っております。

 その一つは、やはり、地層処分を進める、その必要性、安全性に対する国民の理解、そして合意が不足をしていた。こちらからいうと、説明不足の部分があったということであります。そしてもう一つ、調査受け入れに当たり地元が負う説明責任が非常に重くて、なかなかそれを受けられない、こういった問題があったのではないかな、こんなふうに考えております。

 こういった反省に立ちまして、今後、処分地選定に向けて、これまで日本学術会議とか原子力委員会のさまざまな提言も出されております、こういったものも踏まえて、地域の声を取り入れながら住民とともに処分の取り組みを進めていく仕組み、こういったものもつくっていく必要があると思っておりますし、先ほど申し上げた、処分の安全性の確認と国民への説明など、必要な取り組みについて国がやはりもっと責任を持ってやっていく、こういったことが必要になってくるのではないかなと思っております。

今井委員 安全性の確保と説明責任、この点はわかりました。

 それで、私の持っている問題意識は、まず、原子力を原子力規制委員会の基準をもって安全だと確認したら再稼働しますということでありますが、今まで、結局、最終処分をどこにするかというところを曖昧にしたまま原子力を動かしてきたわけですね。今回、順番からすれば、こういうふうにおっしゃるのであれば、まず最終処分場を決めます、ここに決めました、ですから、もうバックエンドは問題ありませんので、原子力を再稼働させてくださいと。

 つまり、これは、いつか探します、いつか探しますということでここまで来たわけですね。反省をするとすれば、まず探してから原発を再稼働する、そういうお考えはありませんか。

茂木国務大臣 バックエンドの問題、これは日本だけではなくて世界の各国が今悩んでいる、模索をしている、そういう難しい問題であります。もちろん、難しい問題だから解決しなくていい、こう考えているわけではありませんし、少なくとも、これだけ廃棄物が既に現状においてもたまっている、こういった問題でありますから、次の世代に先送りすることはできない、こんなふうに思っております。

 それから、再稼働についてなんですけれども、法律のたてつけ、炉規法がどう規定しているか。ごらんいただきますと、改正炉規法で新しい規制委員会ができました。そして、この規制委員会が安全性については判断をする。もちろん、安全だと判断されなければ再稼働はできません。一方で、安全だと判断された場合には、その炉の設置者が再稼働することが可能になる、こういう法律のたてつけになっている。このことはぜひ御理解ください。

今井委員 午前中はあと一分しかありませんので、もう一度確認します。

 私が今御質問したのは、順番はどうなんでしょうかと。やはり処分場を決めて、それから再稼働するというのが一般的な順番じゃないでしょうかという点について、もう一回御答弁をお願いしたいと思います。

茂木国務大臣 恐らく、再稼働の問題、さらにはサイクル政策をどう進めるかという問題、そして最終処分の問題、これはそれぞれに分けて考えられる問題ではありません。全体として検討していく、そういう問題だと捉えております。

今井委員 それでは、午前中はこれで終わらせていただきたいと思います。

富田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。今井雅人君。

今井委員 午前中に引き続きまして、質問を続けたいと思います。

 午前中に関連して、最後に一問だけ、ちょっとお伺いをしたいんです。

 ちょっと先ほどの話に戻りますが、これまでの取り組みへの反省というのは、説明責任あるいは調査、安全の確保もありますけれども、やはりいつまでにこの問題を、いつまでに処分場を決めるということを曖昧にしていたということも大きな反省材料だと思っておりまして、ぜひ大臣に、今、何年後までに決めるというふうに言えないかもしれませんが、近いうちにこれははっきりと、年限も決めて、みんなに知らしめるということをお願いしたいんです。その点について、御答弁いただきたいと思います。

茂木国務大臣 最終処分地の決定、これは早めなければいけない。そして、先ほど申し上げたように、これまでの反省も踏まえて、きちんとこの安全性について、国民に対して説明責任を果たしていく。同時に、この説明について、地元の負担が大きくならないように、やはり国がきちんと責任を持つ、こういう姿勢が必要だと思っております。

 そして午前中、答弁申し上げましたように、既にかなりの量の、ガラス固化体にしますと二万五千本分の廃棄物がもうあるわけでありますから、これを次の世代に送ることはできない、こういう思いで取り組みをさせていただきたいと思います。

今井委員 各原発のところにも中間貯蔵地があって、それももう七割から八割埋まっているという状態ですから、これはもう本当に期限が限られていますので、これからもこの点は、どうなっているかということは、この委員会でもしっかり追及をさせていただきたいと思いますので、きょうはこれぐらいでこの点に関しては終わらせていただきたいと思います。

 稲田大臣にせっかく来ていただいておりますので、この順番でいくと間に合わないと思いますので、先に繰り上げて質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど杉本公取委員長がいらっしゃっていましたけれども、先日、委員長の同意人事がございまして、我が党、日本維新の会はこれに反対をいたしました。理由は、官僚出身だとか出自とか、そういうことを我々は問うているわけではありません。

 議院運営委員会での意見聴取が行われましたけれども、その際に、きょういらっしゃる近藤先生もいろいろ御質問されておられました。まず、再販適用除外制度について、みんなの党さんが中心に、これは見直すべきじゃないかという質問をしましたけれども、杉本委員長の御答弁は、平成十三年に当面存置されることが決まっておって、今は見直す必要はありませんということを二回、三回、答弁をしておられましたが、もう十二年たっているわけでありまして、本当にこれでいいのかということをそろそろ見直す時期じゃないかというふうに私も思いますし、そういう御提案も何人かからあったんですけれども、その点については否定的な御意見だったということでございます。

 それと、もう一点は、先ほど、まさに近藤委員が、組合などに対する適用除外というものに対しても、やはり競争政策、特に農業もそうですが、こういうものをしっかり進めていくために、もう一度今の状況というのを見直す必要があるんじゃないかという点で御質問をしましたけれども、現行の状態で余り問題はないというような御認識でおられまして、私たち日本維新の会は、自由な環境をつくって競争政策を進めることによって日本は成長する、こういう考え方で政策を考えておりますから、その点に鑑みますと、杉本委員長の御答弁はやはり物足りなかったということで、反対をさせていただいたわけでございます。

 大臣は、この再販制度の問題ですとか、独禁法の適用除外の問題について、どういう御所見を持っていらっしゃるか、御見解をいただきたいと思います。

稲田国務大臣 今、委員御指摘のとおり、公正かつ自由な競争というのは、私は経済の再生にとっても非常に重要だと思っております。

 ただ、一方で、今委員が問題提起をされました、例えば再販適用除外制度、これはやはり、自由な競争に委ねてしまえば、文化の多様性とか、それから、例えば新聞の戸別配達制という我が国独自の制度がありますけれども、そういうことを考えると、やはり最終的には国民の知る権利というものがございます。

 私は、そういう観点からいたしますと、著作物の再販適用除外制度については、平成十三年に公正取引委員会において、その廃止については国民的合意が形成されるに至っていない状況にあり、当面存置することとしたという方針、これは今も変更すべき状況ではないのではないかというふうに考えております。

 また、農協の問題については、先ほど近藤委員が質問されて、それに対して杉本委員長が答えられたとおりだと思います。

今井委員 再販制度の問題は今後また詰めていきたいと思いますが、ちょうどきょう、近藤委員がJAのお話をされていましたので、いい資料もいただいたので、私もこの点について申し上げたいと思うんです。

 私も、岐阜県の下呂温泉というところの出身で、もともとは農家です。それで、ちっちゃいころは親族で田植えもしましたし、稲刈りもしましたし、農業には非常に思い入れがあります。

 昔は、農協というのは本当に農家のために一生懸命いろいろなサポートをしてくれるという存在だったと思いますけれども、現状をいろいろ見ている限り、一般の国民の感覚として、果たして今農協は昔と同じ状況なんだろうかという問題なんですね。

 先ほど近藤委員の出していただいた農協の組合員数のところなんですけれども、これは正組合と准組合というので今成り立っていますが、御存じのとおり、准組合というのは農業をやっていらっしゃらない方たちなんですが、これは平成二十一年を境に人数が逆転しているんですね。つまり、今、組合の方たちというのは、農業をやっていらっしゃらない方の方が多くなっているわけです。農業協同組合ですので、農業を協同してやる組合なのに、半分以上が農業をやっていないというのは一体何なんだろうというのが、まず素直な疑問ですね。

 それから、私の今住んでいるところを見ましても、いろいろ多角的な経営をやっていらっしゃって、冠婚葬祭、葬儀場もやっています。ガソリンスタンドもやっています。中古車の販売もしています。それからホールの運営もしています。もちろんスーパーなどもやっています。私も私の母も家内もJAさんを利用させていただいておりますが、私たちは農業を今やっておりません。

 ですから、すごくよく地元で話になるんですが、これは難しい問題です。地元のそういうサービスを守ってくれているという部分はありますけれども、民間のそういう商売の人たちを阻害しているんじゃないかという意見も、一部の方には聞かれます。

 本来は農業を振興する方がいろいろな商業をやっていらっしゃるという状態の中で、果たして本当に、農業の振興のために今農協が機能しているのかということは、私は別に農協いじめをしたいんじゃなくて、日本の農業、特に地元の農業がしっかり伸びてほしいので、こういうところを一回しっかり見直すべきなんじゃないかとずっと思っているんですけれども、ちょうど近藤委員が同じような指摘をされましたので、その点について、改めて大臣の御見解を伺いたいと思います。

稲田国務大臣 平成二十二年に、規制・制度改革に係る対処方針に基づいて、公正取引委員会が農林水産省と連携をして、農業協同組合等の農畜産物の販売事業及び生産資材の購買事業の取引実態についてヒアリングを行うなど、実態の把握と検証を実施いたしました。

 その結果、農業者は、依然として、大企業に伍して競争し、または大企業と対等に取引を行うことのできる状況にはないこと、また、農業者や単位組合は、農畜産物販売及び生産資材購入について、みずからの判断で取引先を選択できること、適用除外制度があるために規制できない農業協同組合等の問題行為は特段認められなかったことなどから、平成二十三年四月までに、当該検証の結果としては、適用除外制度を直ちに廃止する必要はないという結論に至ったものでございます。

 公正取引委員会は、不公正な取引方法を用いるなど、適用除外とならない行為を農協等が行っている場合には厳正に対処してきたところであり、今後とも的確に対処していくものと考えております。

今井委員 そういう官僚答弁になるんだろうなとは思いました。もっと突っ込みたいんですが、ちょっと時間もありませんので、きょうは頭出しということで、また、今後委員会でいろいろとお話をさせていただきたいと思います。稲田大臣、これで結構です。どうもありがとうございました。

 あと数分しかありませんので、もう一問しか多分できないと思いますが、次に、産業政策にかかわる国の関与のあり方ということについて少しお話をしたいと思います。

 私たち日本維新の会は、できるだけ小さい、国は余り関与しない小さい政府というのを目指してやっているわけです。それは、国は民間の力を信頼して、できる限り民間がいろいろな競争をしたり、あるいは成長するために必要な環境づくりをすることが役割であって、それは例えば、税制の問題ですとか規制緩和、あるいは為替相場などの、先ほども円安の話が出ていましたけれども、そういうマクロ環境をしっかり整える。そういうことで国は民間を支えていくべきで、必要以上のことはやるべきじゃないというのが我々の考えですが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 将来の国の形、例えば道州制といったものを考えたときに、相当やはり、国としてやるべき外交安全保障、それから国全体の税制、それと例えば、地域の福祉であったりとか地域の産業振興、国と地方の役割分担というのは変わってくる、こんなふうに基本的には思っております。

 その上でも、現行においても地域に任せられること、これはできるだけ地域ごとにやっていく。経済産業省がやっている仕事にしましても、全国一律ではなくて、地域の事情に応じてそれぞれ違ったやり方をしていく、こういったことが必要であろうと思っております。

今井委員 多分、今の御答弁は、私の次の質問に対しての、地方活性化についてというお話だった。今の話は、要するに、国の税制や規制緩和ですとか、そういうマクロ環境、そういうところに国の役割があるということを私たちは思っていますが、それについてどうかということをお伺いしたんですけれども、ちょっと、地方ができることは、国のことはというので、地方と国の方の答弁になりましたので、もう一度いただきたいと思います。

茂木国務大臣 質問の御趣旨が、できるだけ地方でやれることは地方で、こういうお話でありましたから……(今井委員「民間でということです」と呼ぶ)民間で。

 民間でやれることは民間でやる、そして規制緩和を進めていく、こういったことは必要だ、そんなふうに思っております。

今井委員 済みません、きょうは民間に対する国のかかわり方ということで御質問させていただいています。

 その上で、ちょっと私は問題意識がありまして、官民ファンドについてであります。

 これは、クール・ジャパンが今度出てきますから、そのところでゆっくりやらせていただきたいと思いますが、まず、私はもともとずっと銀行でディーラーをやっていました。その後は、ポートフォリオのファンドマネジャーもやっておりました。この世界は、皆さん御存じのとおり、数字ではっきり成績があらわれるので、失敗すればすぐ首になります。私も同期が十何人入りましたけれども、結局一割ぐらいしか残りませんでした。

 佐藤さんも外資系にいらっしゃったからわかると思いますけれども、私の外資系の友達なんかは、朝行ったら、もういきなりカードが使えなくて、部屋に入れなくて、そのまま段ボールにまとめて帰りなさいといって帰らされたりとか、こんなことが日常茶飯事に起きるところでありました。特に外資系なんかにおいては、その分報酬も高い。リスクと権限と責任というのが、しっかり分かれているということなんだと思うんですね。

 それで、私はずっと前々から思っているのは、例えば、年金でいろいろな施設をつくってそのまま損が出たりとか、いろいろな問題がありましたけれども、税金を使っていろいろなことをやる、あるいは公的な資金を使っていろいろなことをやるときの責任の所在が一体どこにあるかという問題なんですね。

 実際、今度のファンドは、恐らく十五年から二十年、かなりアーリーから入れようというような話もありますから、結果が出るのに相当かかります。そのころには役所の人たちももうかわってしまっているし、政治家だって誰がかかわったかわからない。その人たちもまだ残っているかわからない。

 こういう中で、官がお金を入れてファンド運用するということが、果たしてガバナンスとして正しいのかということを非常に疑問に思っております。ですから、産業革新機構もそうですけれども、こういう問題については詰めていろいろ考えていきたいんですね。

 もうきょうは時間がありませんので、まず頭出しだけしておきます。こういう公的なものを運用する、あるいは使うときの責任、こういうものに対して、大臣はどういうふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

茂木国務大臣 私もかつてマッキンゼーという極めて熾烈な競争をする外資系の企業におりました。アップ・オア・アウトというんですよ。昇進するか首になるか。毎年、そういう世界で暮らしていました。

 恐らく、ファンドをつくるにしても、問題は人材なんです。ほとんどファンドをやったことのない官僚がやっても、うまくいきません。ですから、ファンドをつくったら、きちんとそれをマネージできる人材を外部から入れなければいけない、こんなふうに思っています。そして、基本的には、そのプロジェクトごとの運営、そういったものは、そのプロジェクトマネジャーであったり、そういう者がやっていく。

 ただ、リスクの高い世界、ここを、全部民間ではやり切れない部分について、官民ファンドなりをつくって、また民間の資金もそれによって呼び込む、こういうことは必要だと思っておりまして、それは国としても、しっかりそれが運営されているか、確かにアーリーステージのものが二年、三年で成果は出ません、しかし、それを組織としてきちんとチェックをしていく、こういう機能は官のお金を入れる以上は必要だと思っておりますけれども、お金を入れて、どんなパフォーマンスでどういうことをやっているというのと、実際にそのファンドを運用する人材というのは区別をしなければいけないと思っています。

今井委員 もう二分しかないので、これはまた法案が出たときにもやりたいと思いますけれども、最後にもう一点だけ確認します。

 今のお話ですと、要するに、お金を出すからにはしっかりチェックをしなきゃいけないということをおっしゃいましたね。ということは、情報というのはしっかり出さなきゃいけないわけですね。だから、出資をする先、ファンドもありますけれども、その出資をして業務を行っている会社、ここの財務状況、運用状況も当然毎年開示しないと、これははっきりわからないわけですけれども、こういうものは、基本的には政府はきちっと全て出していくという方向でいいかだけを確認させていただきたいと思います。

茂木国務大臣 出せる情報を出したいと思いますが、民間に出資した場合に、その全ての民間企業の情報が出せるわけではないということは、委員もよく御理解いただけると思います。

今井委員 クール・ジャパンのレクをちょっと受けたんですけれども、いわゆるそのチェックの仕方のときに、私自身は、あの情報では、毎年毎年本当に、運用状況がどうなっているか、出資している会社がしっかり運営されているのかわからなくて、十年、十五年たって初めてわかりました、こういう状況になりかねないなということを非常に危惧しております。

 その点をきょうは指摘させていただいたので、時間が来ましたので、この点はまた随時やらせていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 一昨日に行われました茂木経済産業大臣の所信表明演説に関しまして、質問させていただきます。

 まずその前に、私ども日本維新の会の経済政策の理念、それから基本方針というものについて少しお話しさせていただきます。全てを話すと長くなってしまいますので、端的にお話しさせていただきます。

 まず一つは、実経済政策としての競争力強化ということ、それから競争力を重視する自由経済、産業の淘汰を真正面から受けとめる産業構造の転換、グローバル化する知識経済に適応できる産業構造への転換、自由貿易圏の拡大、国民利益のために既得権益と闘う成長戦略、イノベーション促進のための徹底した規制改革、新エネルギー政策を含めた成熟した先進国経済モデルの構築、そして先進国をリードする脱原発依存体制の構築、こういうものを掲げさせていただいております。

 これらに対しまして、現安倍政権では、経済の再生、景気の回復のために大胆な金融緩和、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢を実行し、さらに、頑張る人が報われる社会を目指すという点においては、非常に私個人としましてもシンパシーを感じる部分があります。

 しかし一方で、与党・自民党の中では、地元誘導政治を初め、現在の我が国に既にそぐわなくなってしまった古い体質の政治手法を声高に唱える人たちがまだまだおり、また、結果責任を明確に負わない霞が関の構造がいまだに存在する中、これらの戦略について本来目指すべき目標を見失わずに実行することは、相当困難があるのではないかというふうに危惧しております。ぜひともこれらの戦略を本当の姿で実現していただきたいと願っておりますとともに、私たち日本維新の会は、政府が道を踏み外さないように、厳しい目を持って日本経済の再生、景気の回復に貢献していきたいと考えております。

 ここで、私ごとではございますが、昨年の総選挙で当選させていただくに至るまでは、某総合商社におきまして、二十年弱サラリーマンをしておりました。実は、そこにおられる赤羽副大臣の御出身と同じ会社でありまして、そういう意味では、今まだ国民の皆様に近い目線で政務に当たり、貢献していけるというふうに自負しておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 では、まず初めに、今後、我が国の経済が伸長するかどうかというふうな点で、その一翼を担っていると言える電力システム改革について質問させていただきます。

 本年二月にまとめられた電力システム改革専門委員会の報告書というのがございます。これは専門委員会の報告書になりますけれども、少し詳しく述べますと、第一段階として、二年後の二〇一五年までをめどにして広域系統運用機関の設立、先ほど茂木大臣もお話しされていたかと思います。それから、第二段階として、翌年の二〇一六年をめどに小売全面自由化、参入の自由化というふうなことを掲げられております。そして、第三段階で、二〇一八年から二〇二〇年をめどとしまして料金規制の撤廃、括弧して経過措置終了をもって料金規制の撤廃という送配電部門の法的分離を工程表にあらわしているという状態になっております。

 確かに、この工程表は、「電力システム改革は、大きな事業体制の変革を伴うものであり、十分な準備を行った上で慎重に改革を進める」というふうに書いてあります。ただ、この改革は、実際こうやって見てみますと、五年から七年かかるというふうなことになっております。

 そこで、一つ、今までの実例を挙げさせていただきたいと思うんです。ちょっと古い話になりますけれども、電気通信事業の自由化というところを見させていただきました。

 これは、一九八五年に、公衆電気通信法というふうなものが当時あったんですけれども、これが電気通信事業法に改正されたというふうに聞き及んでおります。そのときに、これによって、いわゆる電電公社の民営化というのと同時に、電気通信事業への新規参入及び電話機や回線利用制度の自由化が認められるに至りました。ここで注目されるのが、料金の規制の完全撤廃というものが、実際に電気通信事業法改正から一年七カ月という非常に早い時期にできている。

 中身は電力と電気通信という部分で違いはあるかと思うんですけれども、この辺について、やはり五年から七年というのは相当時間がかかり過ぎているんじゃないかというふうに思っているんです。大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 恐らく、電気通信と電気事業、それを一律に扱うというのは難しいんだと思うんですよ。

 というのは、通信の場合は、ある意味、ネットワークを張って端末を持つ、こういった形は当然、交換機等々が必要でありますけれども、やり得る商売であります。それに対しまして、電気は発電部門があるわけであります。そして、それが途絶えたときのリスク、この大きさというのは、電話も不通にならない状態の方がいいわけでありますけれども、電気の安定供給の大切さというのは若干同じレベルでは捉えられない、そんなふうに考えております。

 そういった中で、当然、先ほどから、維新の会の皆さんの、例えば産業の新陳代謝を進めるとか、さまざまな規制緩和をして自由化を進める、基本的な考え方は私は一緒だなと思って聞いておりました。若干違うのは、我々の党の議員は生まれ変わっています。やはりそんな、今見て、地元利益最優先で動いている議員が多い、これは、申しわけありませんが、認識が若干古いのではないかな、こんなふうに思うところであります。

 これから、電気事業、電力システムの改革はしっかりと進めていかなきゃならない。そこの中で中心になってきますのが、やはり電力の自由化の問題、そしてまた送配電部門の独立性、中立性を高める問題、さらには広域系統運用機関をつくっていくという話であります。私も申し上げているのは、改革は大胆に、スケジュールは現実的にという話でありまして、三段階で進めさせていただくということで、専門委員会の方からも御提言をいただいております。

 まずは、広域系統運用機関の設立、こういったものを行っていく。そして、第二段階として、小売の全面自由化を進める。ただ、料金の話、もし御質問がありましたらこの後詳しくさせていただきますけれども、料金規制を完全に撤廃する、これは若干、実際にどれだけ競争が入ってくるか、これによっても違ってきます。そういったことも考えながら、幅を持ってやっていただいた。

 実際問題として、では、これから一年半、NTTのときのように、それで全部きちんと完全な競争環境が整うか。ということは、新しい発電会社も出てこなくちゃいけないわけですよ。そういった状況になるかというと、それはそうはなりにくい、そんなふうに思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 まさしく料金のお話、これから先、もう少し突っ込んでお話しさせていただきたいと思うんです。

 その前に、私の感覚で申しますと、ちょっと話がずれてしまいますけれども、やはりまだ自民党の中に、テレビなんかを見ていますと、この間の補正予算なんかでも、この予算を何とかして地元にとってくるんだというふうに声高にマイクを持って言われているような方々、しかも重鎮の方々でいらっしゃるので、それを見てちょっと私は愕然としてしまった思いがありましたので、お話しさせていただきました。済みません。

 そうはいいながら、やはり五年、七年というのは長いと思うんですね。専門委員会の方々でそうそうたるメンバーの方々が考えられているので、相当熟慮の上に現実感のあるものとして書かれているというふうに思っていて、多少コンサバティブな部分はあるかと思うんですけれども、何とかして早くしてほしいというふうな思いであります。

 それを考えると、原発依存から脱却していくというふうなことを考えたときに、先ほどの今井委員のお話と同じだと思うんですけれども、今の政権の中で責任を持って、明確にいついつまでにやるんだというふうな形、それで、それをやれなかったときにどういうふうな、いわば普通の会社でいったら懲罰であったり降格であったりいろいろなことがあって、それは政治家としては恐らく次の選挙で投票行動につながっていくんだろうというふうには思いますが、その辺も含めて、明確にやはり責任をとってやっていってほしいという思いでお話しさせていただきました。

 少し飛びまして、今の料金のお話なんですけれども、もう少し掘り下げますと、小売の全面自由化の措置ということで、料金規制の経過措置期間は二年間設けた上で、その間、競争状況のレビューをして、十分な競争状態が確認できた時点で料金規制の撤廃を行うというふうに書かれています。

 ここでちょっと私がわからないところが、二〇一六年めどで小売全面自由化というふうになっていますけれども、参入に関しての自由化だとして、これは電気料金の規制がある中では全面的な自由化というものではないんじゃないかというふうに思っていて、これは言葉遣いも含めて全面的自由化というのと、ただ、そうはいいながら料金が自由化されないというところが、どうしても余り意味合いがわからないというところですので、大臣、よろしくお願いします。

茂木国務大臣 恐らく、商社でやられている商売とこういった事業の違いというのもあるんだと思います。そして、設備産業なんですね。いろいろな新規の参入を進めていかなければならないという中で、もちろん、発電の部門の自由化も進める、そして小売の自由化も進める。そこの中で、事業者が交渉上優位となり価格をつり上げる、競争条件が整っていないとこういうことが十分懸念されるわけであります。

 それは最終的には消費者の方に高い価格が強要されてしまう、こういうことになりますので、まず小売参入の全面自由化を行って、消費者の選択の幅、誰から買えるか、こういう幅を広げる一方で、その後も現在と同様の料金体系を経過措置として継続することとして、経過措置の解除、すなわち料金規制の撤廃については、実際に競争が進展しているかを確認した上で行う方法が考えられるというのがこの専門委員会の提言であると思っております。

 競争は進めていかなきゃならない、できるだけその環境をつくっていかなきゃならない。しかし、その環境ができているか、できていないか、そういうのがわからないときに、ほかのオプションがないわけなんです。例えば三菱商事から買えるとか、ほかの会社から買えるという状況じゃない。

 一つのところからしか買えないときにその価格が上がってしまうということについては、やはりきちんと条件が整って、いろいろな料金メニュー、いろいろな会社から買える、圧倒的にどこかが力が強くて、ここからしか買えないという状況じゃない状況を見ないと、かえって消費者に、家庭に、そして企業の方に負担がいってしまう、こういう懸念が残るということです。

木下委員 ありがとうございます。非常に明快なお答えをいただきました。

 お話からすると非常に明快なんですけれども、競争市場、そうであればこそなんですけれども、競争できるような市場をしっかりとつくって料金自由化していく、ここが非常に難しいところであるということも既に御理解されているというふうに思うんですけれども、料金規制がある中で、今度は新しい事業者が入ってくるというふうなことまでできるのかという懸念はやはりどうしても出てくるのかな。

 というのは、参入障壁がなくなったとしても、料金規制が撤廃されていない状態では、料金的に他者と比べて、高コスト化したところに対して競争力がないというふうにして判断すれば、一般の企業はなかなか入ってこないんじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

茂木国務大臣 実際に、発電の部門におきましても新規の参入はあるわけであります。そして、どうしても発電コストが高くなってしまう再生可能エネルギー等々につきましては、固定価格買い取り制度、こういった制度も導入することによりまして、再生可能エネルギーを広げるのと同時に、新しい事業者もふやしていく。さらには、例えば風力でいいますと、送配電網、これを新たに整備しなければならない、こういった問題が出てきます。そういったところに対しても、国が支援措置をとってまいります。

 一方、小売の方は空売り規制をしなきゃなりません。つまり、自分が電力を持っていないのに、売る契約だけ勝手に結ばれても困るわけでありますから、そこはきちんと空売り規制はした上で、しかし、そんなに設備を持つ部門ではありませんから、ここに対する参入は十分進むと思っておりますし、恐らく、送配電部門がもともと電力会社の一つの組織であったにしても、どこに対しても同じようなコストで電気を卸す、こういった制度をつくっていくということになると思います。

木下委員 ありがとうございます。まさしく明快にまたお答えいただいたと思います。

 専門委員で、安念さんなんかもお話しいただいていますけれども、ここでは、電力システム改革で電力料金を自由化すれば、短期的には料金が上昇する局面もあるかもしれない、ただ、民間企業のさまざまなイノベーションが促される、時間帯や需給状況による値下げや節電を促す料金体系など、いろいろな工夫ができるだろうというふうにおっしゃられておりまして、そういう点においても、やはりこれは、何とかして本当の意味での競争市場を早く開いてあげて、新しいイノベーションを誘発させる、それで、原発依存体制から何とかして早期に脱却できるようにというふうな努力をしていっていただきたいと思います。

 次の質問をさせていただきます。

 一昨日、またこれも先ほどちょっと質問がありましたけれども、メタンハイドレートの開発促進事業について少し質問させていただきます。

 今年度の予算案で、メタンハイドレート開発促進事業費として八十七・三億円を計上されております。今回、ガスの産出は、洋上での実験としては世界初の成功事例というふうに聞いております。一方で、産出のためのコストが高くて、商業化するにはコストをいかに下げられるかが一番の課題だというふうに、報道でも、大臣もおっしゃられていたかと思うんです。

 実際、これが今後どういうふうな推移をしていって実用化されていくのかというのが、まだまだやはり国民の目からすると見えない部分があるので、その辺、しっかりと御説明いただければと思います。

茂木国務大臣 メタンハイドレートの話をお答えさせてもらう前に、今、委員の、私の答弁に対する取りまとめを聞いておりまして、若干、もしかすると誤解されているんじゃないかなと思う。

 現行の制度の料金につきましては、一般電気事業者、これが規制料金でやっているわけであります。そして最終的には全面自由化ということになるんですけれども、経過措置というのがかかるのは既存の電気事業者ですからね。新規に入ってくる事業者にこの料金規制がかかるわけではありません。

 ですから、大きなところが一遍にやって、そこだけが大きいときに料金規制がかからなくなったら、そこからしか供給ができないということで高くなってしまうと困るということです。その点はぜひ御理解いただけるとありがたいな、そんなふうに思っております。

 そこで、メタンハイドレートでありますが、今回実施しております二週間の生産実験では、我が国が開発してきた減圧法、これが海洋でも有効に機能いたしまして、ガス生産ができることを確認したわけであります。同時に、現在の技術でどの程度の生産効率があるかを検証するということになっております。また、今後の技術開発や経済性の分析、そして環境影響評価等を行う上で必要となる基礎的な技術データの収集を行うことになっております。

 委員御指摘のように、今後、生産コストをいかに下げていくかというのが重要な課題になってくる、こんなふうに考えておりまして、今回の生産実験の結果、これをこれからしっかりと検証しまして、技術的な課題であったりとか、商業化に向けてどんなことをしていかなきゃならないか、しっかりやっていきたいと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 それで、今回の生産試験なんですけれども、愛知、三重の沖で行われたというお話ですが、片や、独立総合研究所というところの調査では、日本海側にも海底表面に、純度が高い塊の状態で存在しているというふうに言われております。

 日本海側で生産がもしも始まるようなことがあれば、東北地方の経済復興であるとか経済の活性化というものの起爆剤になっていくんじゃないかというふうに私は期待しておるんですけれども、その辺の可能性。今回、愛知、三重でやったということなんですけれども、ぜひとも東北沖においても同じような調査というのをやっていただきたいと思うんです。

 今の日本海側での政府としての調査状況についてお話しいただければと思います。よろしくお願いします。

平大臣政務官 大臣政務官の平でございます。

 委員御指摘のとおり、日本海側には表層型のメタンハイドレートが存在していることが確認されております。日本海側のメタンハイドレートについては、経済産業省として、平成二十二年から調査を実施し、新潟沖では試料の採取、要はかけらを採取して、分析を実施してきました。資源の量についてはまだ明らかになっておらず、まずは資源量をどのように把握していくかが重要であると考えております。

 このため、平成二十五年度から、日本海側における広域的な資源量の分布調査を政府として初めて本格的に実施する予定としております。

 いずれにせよ、我が国の周辺海域のメタンハイドレートは将来の国産資源として期待されており、メタンハイドレートの商業化に向けて、あらゆる可能性を排除せずに、資源の探査や生産技術の開発などを積極的に実施していくということになっております。

 なお、予算としては十億円を計上しております。

木下委員 もう一つ、ちょっとメタンハイドレートを突っ込んでお話ししたいと思います。というのは、やはりこれは、これからの日本が浮沈する一つの要素になってくるだろうと思いますので、もう一度。

 今、採掘するというふうになったときに、一般の方々の中でいろいろと言われているのが、減圧法というのをとった場合に、地層が変形して地盤沈下が起こったりとか、あとは海底の地すべりのようなもので地震が誘発されるんじゃないかというふうな懸念がいろいろと取り沙汰されております。これについて、何か今の時点でわかっていることをお話しいただければと思います。

平大臣政務官 今、委員御指摘されました件でございますが、今回のメタンハイドレートの海洋産出試験の実施地点が東部南海トラフ海域に位置しておりまして、採掘活動による地震等への影響を懸念される声があるということは承知しております。

 しかしながら、メタンハイドレート開発に関する専門家による検討においては、メタンハイドレートが存在する地層がプレートに比べて非常にやわらかいということで大きなひずみエネルギーを蓄積しない、やわらかいので分散する、エネルギーを蓄積しないということで、地震の発生の原因にはならないということが指摘されております。

 あわせて、今回の試験海域におけるプレートは十キロ以上の深さに存在していて、メタンハイドレート層というのは海底面から三百メートルですから、それに比べて、十キロというのはかなり下になります。そういったことから、今後のメタンハイドレートの開発により地震が誘発されることはないと考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 あともう五分ほどしかないので、話をかえていきます。

 きょうも、中小企業、小規模事業の対策について、いろいろな委員からお話がありました。今回、経済産業省の平成二十五年度予算、一般会計ということで三千二百九十九億円、そのうち中小企業対策経費として一千七十一億円というので、一般会計の三分の一を占めているというふうな形になっております。

 そうはいいながら、私が思っているのは、経済学的に考えたときに、これは仮にという話ですけれども、衰退産業に対して資金的な補助をするということは、雇用の流動化を妨げて、実際に、全体的、中期的には市場の活性化、競争力の強化ということを妨げる結果になっていくのではないかというふうに考えておりまして、これは経済学的には当然のお話だと思っております。

 そういう意味では、今までの政治家の方々は、やはり地元で、中小企業の方、小規模の企業をやられている方々が大きな声を持って支持基盤となられているので、なかなかそういうふうな声が出せないかというふうに思っているんです。経済学的に見たときに、全体として見たときには、しかも、一般会計の三分の一は大体、保証であるとか資金の補助というふうな形のことになっているんですけれども、余りそこをいじくってしまうと、政府の掲げている競争力の強化というふうな部分につながらないような結果になっていくんじゃないかというふうな懸念を一つしております。

 その辺について、大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 全国に今、四百二十万の中小企業があります。そのうちの九割は小規模企業です。

 私は、その小規模企業を含めた中小企業は、地域の経済の担い手、雇用の担い手だと思っております。決して構造不況業種ではない、このことは強調させていただきたいと思います。そして、すぐれた技術、すぐれた人材が地域地域の中小企業で活躍しています。我々は、そういったところにもっと光を当てていきたいと思っています。

 確かに、例えば、円滑化法を利用した三十万、四十万の中小企業の中には、事業の再編であったりとか経営計画の見直しが必要なところも数万社あると指摘されておりますけれども、一方で、それ以上に地域において貢献している企業もある。そして、そういったところに技術もある。

 例えば、今回の補正予算におきましても、全国一万社のそういった小規模企業に焦点を当てて、そこは技術は持っている、しかし事業化するための試作品をつくる資金がない、こういったところに対して三分の二の補助を与える、こういった制度も取り入れることによりまして、本当に日本の、言ってみますと地域の底力になっている中小企業、これを強くすることが日本の再生にもつながる、こんなふうに考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 もう時間がないので、最後の質問にさせていただきますけれども、今、大変力強いお答えをいただきました。

 そこの中でありましたけれども、地域への貢献という部分がやはり大きいと思うんですね、中小企業の方々のところは。そういうふうなことを考えると、全国一律の基準でいっても、中小企業の実際の技術の見きわめであるとか、実際に何に困っていて、ここは伸びるんだというふうなことに直接的に結びつくのは、国だけが主導してやるんじゃなくて、地域の実情に合った形の中小企業対策が必要なんじゃないかということを思っておりまして、この予算、一般会計の三分の一というふうに非常に大きな予算になっていますけれども、これを地方の方に移管して、そこの中で地域ごとにしっかりとした判断をして、地域の経済政策に貢献できる、そういうふうなことを私どもは望んでおります。

 大臣、最後に御答弁いただければと思います。

茂木国務大臣 地方におろせるものは、おろしてまいります。また、地域ごとにそれぞれ違っている状況がありますから、それに合った取り組みをするように、これからも、地方の経済産業局であったりとか、しっかりと指示をしてまいりたいと思っております。

木下委員 ありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 日本維新の会、三人目は、私、丸山から質問させていただきます。

 まず第一に、成長戦略、その中でも、とりわけ戦略市場創造プランについてお伺いしたいと思います。

 安倍内閣では、大胆な金融緩和、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略を三本の矢として、経済再生、景気回復のかなめとするということですね。そしてまた、茂木大臣は、先般の所信表明で、三本目の矢である成長戦略を力強く放っていくというお言葉がありました。また、その中でも、戦略市場創造プランという形で、目標となる課題とターゲットを定めていくというふうにおっしゃいましたけれども、これは、先ほどから今井委員、そして木下委員からもありましたように、日本維新の会としても、停滞した日本経済を復活させるためには、多くの利害が絡む規制改革を含めた上での成長戦略というものが極めて重要であると考えております。

 改めまして、大臣のこの成長戦略にかける意気込みと、また本プランの具体的な特徴についてお伺いしたいんです。

 特に、戦略市場創造プランでは四つの特徴で玉出しされていまして、国民の健康寿命の延伸、クリーンかつ経済的なエネルギー需給の実現、そして安全、便利で経済的な次世代インフラの構築、そして最後に、世界を引きつける地域資源で稼ぐという、四つの分野を特出しで戦略目標として示されていますけれども、この四つを特に出された理由。

 また、成長戦略に関しましては、第一次安倍内閣でも成長力加速プランという形で、また、これまでの内閣でもおのおの成長戦略を出されてきていると思いますけれども、これまでの成長戦略との違いも含めまして、大臣の意気込みと本プランの具体的な特徴についてお伺いできればと思います。

茂木国務大臣 これからの成長戦略、幾つかの柱で考えておりますが、そこの中の一つが、委員からも今御指摘をいただきました戦略市場創造プランということになってきます。

 同時に、既存の産業につきましても、先ほども申し上げましたが、日本はまだ開業率と比べて廃業率が高い、もっと開業率を上げていく。それから、本当の意味でのグローバル企業が育っていない、こういったものの育成もしていかなければならない。さらには、一つの産業を見てみると、少し企業の数が多過ぎたり、過当競争になっている。また、一つの企業の中を見ても、事業が本来だったら新しい分野にシフトしていかなければいけないんですけれども、そういった事業のシフトが進んでいない。全体的な産業の新陳代謝というものも進めていかなければいけないと思っております。

 同時に、例えば、アジアの成長を日本に取り込む、そしてインフラであったりとかシステムの輸出、そして農産品もそうでありますけれども、日本の魅力を海外にクール・ジャパンも含めて展開していく、こういった国際展開戦略、大きく三つぐらいの柱が出てくると思います。そこの中の非常に重要な柱がこの戦略市場創造プランということになってくるんです。

 委員も経済産業省にいらっしゃいましたので、いろいろな産業政策についてお詳しいと思うんですが、今回我々が考えておりますことは、どの産業がいい、例えばライフがいいねとか、どういう分野がいいねという前に、課題であったりとか、目指すべき目標。私は先日、高い塔、こういうお話を申し上げました。高い塔を建ててみなければ新しい水平線は見えてこない、こういうお話を申し上げましたが、まさにその高い塔に当たる目標であったりとか課題を設定する。

 そこの中に、ただ単に長生きをすればいいのではなくて、健康で長生きをする、そしてエネルギーについても、これからは効率的でスマートなエネルギーの自給体制をつくっていく、幾つかの課題があるということで、最終的に四つに決まったわけではありません。

 これからこの議論もやっていきますけれども、基本的にはそういったものを置きながらこれを具体化していく。そして、そういった目標のもとで、それに必要な事業は、コアになるような技術はと、そういう重層的な組み立ての中から、新しい戦略市場、こういったものをつくっていきたい、そんなふうに考えております。

 そういったものをやっていくと、例えば健康長寿という話になってきますと、まずは予防医療であったりとかそういう分野が出てきます。そして今度は、病気になったときの、いろいろ再生医療の問題であったりとか医療機器の開発であったりとかが出てくる。そして、病気が治癒した後、もし完全に治癒し切れない状態でも健常者と同じような生活ができるような、いろいろなロボットのシステムであったりとかテレワークであったりとか、いろいろな技術であったりとか分野というのが出てくるのではないか。

 そういったことを進めるとなると、さらに、例えば再生医療、日本は非常にこの研究が、山中教授だけではなくて進んでいるわけでありますけれども、事業化ということになると、若干というか、かなりおくれをとっている。研究は一番なんですけれども、再生医療の関係の製品ということになってくると、日本は二つしか出ていない。韓国でも九つ、EUで二十五、アメリカでは今治験中のものが八十八あります。

 こういったことを考えると、やはりいろいろな制度も含めて、規制緩和も含めて見直しが必要になってくる。こういったことを進めていきたいと思いますし、目標の中で数値化できる部分はできるだけ数値化もしていく、同時に、PDCAのサイクルを回しながらきちんと見直しも進める、フォローもしていくといったことが重要だと思っております。

丸山委員 ありがとうございます。

 戦略をまとめられる上で、取りまとめを待っていては遅いと思いますので、こちらでも書かれていますけれども、取りまとめを待たない上での取り組みを順次されていくことを我々としても望んでおります。

 また、先ほど、高い塔のお話をされまして、高い目標を掲げるということですけれども、今般、日銀の総裁人事も絡んで、インフレターゲットの件でも二%という数字の議論が出ております。三本目の矢に関しましても、ただ矢を放ちっ放しということではなく、できる限り国民にわかりやすい数字を用いた目標設定と、何より、維新の会は、その執行の結果と責任をやはり明確にしていただきたいというふうに考えております。

 数値化というのは、やはりやり方が非常に難しくて、軽々にというのは承知しているところなんですけれども、しかしながら、最初からできないできないではなく、先ほどの御答弁にあったように、何より、政策にPDCAサイクルを回していく上できちんとした数値目標を、政府として、また経済産業省として、また茂木大臣としてきちんと出していただけるよう、改めてお願い申し上げます。

 次に、二点目としまして、先ほど少し今井委員の方からお話がありました株式会社海外需要開拓支援機構法案に関しまして、今国会提出予定法案ということでございますけれども、お話しさせていただきたいと思います。

 いわゆるこういった官民ファンドによる投資において損失が出た場合、結果としてやはり国民の税金で補填するという形になることが多い中で、昨年ということでかなり記憶に新しいんですが、半導体大手のエルピーダメモリへ公的資金三百億円という税金を注入したという件で、なかなかそれでもうまいこといっていないというのがありました。

 また、先ほど大臣から、民間にできることは民間でというお話もありましたけれども、果たして国がこういった民間の経済活動に首を突っ込んでいくことが本当によいのかという疑問の声も高い中で、このファンドに関しましては、民間資金を調達できないリスクがあるからこそ、呼び水として公的資金の必要性があるという趣旨だと思うんですが、なかなかこれも、民間でできることは民間でという趣旨から考えますと、かなり際どいラインにあるかなというふうに考えます。

 やはり国民の目線が、官製投資に対して判断が甘いんじゃないかという厳しい視線が注がれている中で、この機構に関する運用、特に先ほど大臣から人材の確保が極めて大事だというお話がありましたけれども、その人材の確保に関しまして、より具体的な御答弁も含めまして、目ききとなるような人材の確保、そして投資先の決め方、この機構の運用に関しまして、大臣の所見をいただければと思います。

平大臣政務官 丸山委員にお答えをいたします。

 クール・ジャパン推進機構についてお尋ねがございました。

 私も、民間でできるものは民間でやるべきだ、そのように思います。一方で、日本の持っているいわゆるコンテンツ、これが、魅力があるにもかかわらず、なかなかその力が顕在化できていない、世界のマーケットに浸透していないというのは皆さんの共通認識である、そのように思います。

 そんな中で、民間金融機関はリスクが高くてなかなか海外事業への資金供給ができないといった部分が現実にございますので、公的な部門が呼び水としてその対応をしていくということであると思います。

 御懸念の点は、まさに目ききとガバナンスに尽きるんだというふうに思います。クール・ジャパンは、クールじゃない政治家が口を出すと、どんどんクールでなくなっていくと私は思っています。ですので、民間のノウハウを最大限生かすという設立趣旨に鑑みまして、株式会社として設立し、国は機構の運用について最低限の関与を行うにとどめるということでございます。

 個別の投資事業の判断は、機構の経営陣が行う形とすることが適当であると思います。株式会社でありまして、我々は大株主でございますので、その枠組みの中でガバナンスを働かせることを基本としています。

 あわせて、クールであるかどうかの目ききと、それはそもそも投資案件として妥当かどうかという目ききと、両方がこのクールファンドには出てくると思いますので、CEOの下に最高投資責任者CIOと最高執行責任者COOを並列して、COOの執行部門でクールかどうかの目ききをさせ、CIOの下で投資案件として妥当かどうかの目ききをさせ、そのせめぎ合いをCEOを含めたボードメンバーに判断していただくという形をとっていきたいと思います。

 委員がおっしゃるとおり、人選が極めて重要でありますので、まさにそのCOOのクールかどうかの目ききのところは、そういったクリエーティブな人たちに目ききをしてもらいますし、最高投資責任者のこちらの部門には、やはりファンド経験者など、投資案件としての目ききができる人、さらには取締役には、各界を代表して、それなりにこのファンドに適性のある方々であり、さらに社会に対して説得力を持つ方々に就任いただく。トータルとして目ききとガバナンスを果たしてまいりたい、そのように思っております。

丸山委員 御答弁ありがとうございます。

 細かい部分は法案が出てきた後、委員会でも審議させていただきますけれども、これまで、経産省だと特に革新機構等は見られていると思うんですけれども、やはり幾つか失敗したものもあると思います。そういったものに関しまして、今後、どうしてそれがうまくいかなかったのか、それをどうすれば今後よくなるのか、それをさらに今回のクール・ジャパン・ファンドに、機構に反映させていくおつもりがあるかどうか、その点に関しまして再度お伺いしてもよろしいでしょうか。

平大臣政務官 革新機構で失敗したという御発言がありましたが、個別案件ということで、ポートフォリオとして決して今失敗しているわけではないということを御承知いただきたいと思うことと、さらに、それも踏まえて定量的な評価が定期的にしっかりできるようにといったことも考えながら運用してまいりたい、そのように思っております。

丸山委員 ありがとうございます。

 そして、この事業に関しまして、産投に関しまして、海外需要開拓、海外での需要開拓の支援ということでございます。

 かなり、海外現地での、アニメや漫画、ファッション、食文化といったいわゆるクール・ジャパン関連の販促やイベントをイメージされているということなんですけれども、海外の現地ということであれば、もちろん日本企業にはお金は入るということはある、入りはあると思うんですけれども、一方で、海外でお金が回るというだけじゃなくて、観光を含めた国内でのお金の動きにもつなげていく必要があると思うんです。

 そういった意味で、国内の観光の喚起などとどうやってつなげていくおつもりなのか。また、本案件が、先ほどの観光客の国内への呼び込みを含めた、国内での投資案件に使えるのかどうか。使える場合には、どういった条件になるのか。その辺に関しまして、お答えできる範囲で構いませんが、お答えいただければと思います。

平大臣政務官 お答えを申し上げます。

 そもそもクール・ジャパンは、日本のポテンシャルの高い文化とか、おもてなしとかサブカルチャーとかコンテンツを海外に広めていくということを目的としておりますので、そのこと自体が日本に対する価値の再発見、再確認に海外の方にとってみればなるんだと思います。

 つまり、このクール・ジャパンを進めていくことによって、日本に興味を持っていただき、日本の文化に接していただき、また日本のサービスに接していただいて、それが、それでは一度日本に行ってみようという観光客の増加につながっていくということは、これはそういう流れになっていくんだろうと思います。

 基本的には、我々は、クール・ジャパンとして外に売り出していく。そして、インバウンドの方は、基本的にはビジット・ジャパンという政策がありますので、我々は、クール・ジャパンとビジット・ジャパンを連携して、外に文化の価値を発信し、それをもって中にインバウンドしていくということになると思います。

 あわせて、クール・ジャパンの一連の流れの中で、日本国内に結果として投資を呼び込む効果があったり、また観光客をふやす効果がある事業が一体であれば、恐らくクール・ジャパンの投資対象になるのであろうと思います。

丸山委員 ありがとうございます。

 この案件に関しまして、一部の声としまして聞かれるのは、一部の企業さんやイベント会社さんがもうかって、結局、地域の方にお金が落ちないんじゃないかというお話も、地元を回っているとよく聞きますので、できる限り国内にもお金が回っていく、観光にもつながるような、先ほどビジット・ジャパンにつなげていかれるというお話もありましたけれども、やはりその仕組みの方もきちんと整えていただけるようにお願いいたします。

 また続きは委員会で、法案を出されるということなので、審議させていただくことで続けさせていただきたいと思います。

 次に、三点目でございます。各電力会社の電気料金の値上げにつきまして御答弁いただきたいと思います。

 私の地元は関西、大阪でございまして、その地元の関西電力を含めまして、今般の原発の停止の問題、また、燃料価格が今上昇しておりますので、それを踏まえて電気料金を値上げしたいという電力会社がふえている状況でございます。

 そうした中で、地元の関電の値上げに関しましても、それだけじゃなくて、恐らく日本じゅうからということですけれども、有権者からは、値上げのためにコストカットの努力をほんまにしているのか、本当にその努力をしているのかというところが見えない、しているのかということよりも見えないという声が多くて、本当なのかというふうな御質問が多いです。

 コストに関する数字は大まかには経産省さんのホームページ等も含め公表されているところではあるんですけれども、一方で、その数値の真偽を見きわめるために、やはりさらに細かい部分の数値がないと、この数字は本当なのかというのは、私も見ていて不明な部分があったりする中で、恣意的に前提となる数字を出していないんじゃないかという疑問の声や不満の声が高まっているような気がします。

 社会インフラである電力というものが、特に電気料金はやはり経済活動においても大きな影響があるものだと思いますけれども、値上げに向けた電力会社の一層のコスト削減について、大臣、どのようにお考えか。また、経済産業省及び電気料金審査専門委員会でのチェック状況のさらなる見える化と申しますか、透明化に関しまして、大臣の所感をいただければと思います。

茂木国務大臣 一昨年来の原発の停止に伴いまして、電力会社、全体でいいますと、年間で三兆円を超えるような発電コストの増加があるのは確かであります。ただ、委員御指摘のように、それは電気料金の値上げといった形で企業や家計に広く影響を与えるものでありまして、慎重に検討しなければならない。

 当面の、関電も含めました電力会社からの値上げの申請については、最大限の経営効率化を踏まえた申請かどうか、御指摘いただきました外部有識者によって構成されます電気料金審査専門委員会における中立的、客観的な検討を踏まえ、厳正に審査を行っていきます。

 先日、その報告を受けまして、相当詳細な審査を行っていただいておりますけれども、御指摘の見える化といいますか、家計であったり企業から見て本当に最大限の経営の効率化をやっているか、こういったことをできるだけ公表していくようにしたいと思っております。

 さらに申し上げると、今後の話では、電力システムの改革によりまして、競争による効率化と安定供給の両立、こういったことも図っていきたいと思っていますし、また、今、シェールガスの生産によりまして、国際的に天然ガスの価格がかなり低下をしております。米国からの輸入を含め、調達先の多角化も図っていく。さらには、燃料コストの相対的に低い石炭火力、こういったものも積極的に活用するなど、発電コストの低減に向けた最大限の努力というのを電気事業者にも促していきたいと考えております。

丸山委員 御答弁ありがとうございます。

 外部有識者の専門委員会でということでございますけれども、やはり国会の方でも、この問題は国民の皆さんの関心が高いものでございますので、見ていきたいと考えております。

 いずれにしましても、やはり前提となります数値やデータというものがなければなかなか審議もできないと思いますので、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、なるべく、できる限りの情報公開と見える化という形を進めていただきますよう重ねてお願い申し上げます。

 関連しまして、企業向けの自由化部門の電力料金に関しましても、関電については一九・二三%の申請ということで、また、被災地である東北電力でも一七・七四%という形で今申請をしているという形でございます。電力料金の値上げは、ただでさえ厳しい中小企業の経営に、先ほどもありましたけれども、中小企業は今、日本経済の中でも大部分を占めておりまして、大臣もおっしゃいましたが、かなり厳しい状況にあるのにさらなる打撃になりますが、そういった意味で、多くの企業から、どうなっているんだ、何とかしてくれというお声が強く上がっております。

 今、私の地元を回る中で、それだけでなく日本全国でこういうお声を大臣を含め皆さんお聞きになっていると思いますけれども、こうした企業に対する経済産業省としての救援策や支援策といったものは、何かおやりになる予定でしょうか。また、今特段そういったことを電気料金の値上げに関して支援という形でされないということであれば、今後そういった形を検討される予定はあるのか。そういった点に関しまして御答弁いただければと思います。

赤羽副大臣 副大臣の赤羽でございます。

 今さら言うまでもないことでありますけれども、企業への自由化部門の電気料金は、電気事業法における規制外のところでございます。民民のところでございます。

 今、委員がおっしゃられたのと全く同感でありまして、電力コストというのは今大変大きなインパクトを占めているわけであるし、これだけ経済が実態としてまだよくなっていないときに、一番の厳しい要因になっているということも事実でございます。

 そういった意味で、丁寧に、民民で決めるというものでありますけれども、中小企業の節電努力に対してとか、ちゃんと評価ができるような値段の決め方が当然だというふうに私は思っております。説明責任が必要だというふうに思っております。もちろん、原発が停止になって発電コストが上がっているという事情はあるにせよということで、当然やらなければいけない。電力事業者としての責務を果たすべきだと思っております。

 加えて、今御質問でありますが、中小企業等のエネルギーコストの削減の支援策として、平成二十五年度の予算案の中で、一つは省エネ設備の導入に対する支援策、三百十億円を計上させていただいております。二つ目は、コージェネレーション、また自家発電設備といった分散型電源設備等の導入に対する支援策、二百四十九・七億円といったものを盛り込んでいまして、なるべく電力のコストが中小企業の経営に圧迫が出ないように、全力を挙げて取り組みを進めていきたい、こう考えております。

丸山委員 そういった意味で、今、円が安くなっていることもあって、燃料価格の高騰はますます進むと思います。そうした中で、さらに一層の経済産業省、中小企業庁としての支援をよろしくお願い申し上げます。

 残り五分ということで、最後の一問になるかと思いますけれども、北朝鮮に対する輸出入禁止の延長に関しまして御質問させていただきます。

 昨年実施した北朝鮮との間の輸出入の全面禁止措置について、今回、国会承認をお求めになるということですけれども、期限の四月十三日ですか、四月中旬までの案件がこの三月、直前に審議される、その案件の承認が、実施される期限内のほぼ終わりの時期に、もしくは、もしかすると審議状態によれば間に合わない、期限外になってしまうこともあり得るということで、少しそういった状況に違和感があります。

 もちろん、政局も含めた国会日程の関係もありますし、きちんと毎回経産省さんが提出されている中でなかなか承認されないというのは我々国会の方の怠慢でもあると思いますので、これは改めていかなければならないなというところがあるとは思うんです。

 一方で、先般の北朝鮮の核実験を受けて、恐らく来年以降もこの案件は継続でというお考えだと思うんですけれども、その場合に、現在既に輸出入を全面で禁止しているというところで、これ以上は経済産業省として北朝鮮へのさらなる制裁が難しい中で、さらに制裁を強化するという観点と、また、先ほど少し述べさせていただきました国会関係のロジスティック面の問題点も踏まえた上で、今後、期限を二年や三年といった形で延ばす対応を視野に入れるべきではないかというふうに考えるんです。

 以前、これはたしか十八年以降は半年でやられていたのを、二十二年から一年間ということでやられていると思うんですけれども、これを期限を今後延ばしていくということ、さらに制裁の強化を踏まえた上での延長ということはお考えでないかどうか、大臣、御答弁いただければと思います。

茂木国務大臣 北朝鮮への制裁の国会承認、この時期になってしまっている。反省でもあるんですが、前政権から引き継いだ部分もありますし、そして国会全体としても、どういう形の承認のプロセスがいいかお考えいただけるとありがたい、こんなふうに思っております。

 期間につきましては、委員御指摘のように、今、一年という形でやっております。これは、平成十八年から二十一年までは半年、それ以降が一年という形になったわけであります。

 これは、北朝鮮拉致、核、ミサイル、こういった諸課題に対して具体的な行動を促す、こういう対話と圧力の中で行っているものでありまして、一つには、制裁措置をより実効的なものにしていく、そういう側面と、もう一つは、制裁措置を見直すタイミングにおいて北朝鮮の対応の改善を促す、その両面があるわけでありまして、ある意味長くなる。長いということは、それだけ促すタイミング、これを長くしてしまう、こういう側面もあるんだと思います。

 ただ、そうはいいましても、これだけ北朝鮮が累次にわたります国連決議であったりとか国際社会からのさまざまな要請を無視している、このことについては間違いない、こんなふうに思っておりまして、今後、制裁の内容、そしてその期間を決める場合には、北朝鮮の対応であったりとか国連安保理での動き等々を踏まえながら、政府全体で総合的に判断していきたい、こんなふうに思っております。

丸山委員 ありがとうございます。

 北朝鮮に関しまして、しっかりと、毅然とした政府の対応、経済産業省としても対応いただければと思います。

 経済産業省は所掌が広く、経済再生やクール・ジャパン、またエネルギーの問題、先ほどの中小企業対策、最後の北朝鮮と、本当に幅広い中で大臣も大変だと思いますけれども、私は、二十代、二十九歳の議員としまして、やはり二十代の若い議員、また若い世代、さらにこれから生まれてくる世代のためにも、長いスパンで、長期的な視野と責任感を持って、全力で経済産業大臣の職を頑張っていただきますよう心からお願い申し上げまして、私、丸山穂高の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。

 今まで弁護士といたしまして、企業法務、中でも新たに立ち上がってまいりますインターネット等のベンチャービジネスや日本のアニメや漫画、そういったコンテンツのビジネスのサポートを行って、国内及び国際取引を支援してきた、その経験を踏まえまして、本日、国会におきまして初めての質問をさせていただきます。よろしくお願いします。

 さて、国際取引を行う上で一番の話題は、今、TPPでございます。一連の報道によりますと、本日にも、TPP交渉、これに参加表明する予定になっているというような報道を伺っております。

 みんなの党は、昨年の衆議院選挙のはるか前から、一貫してTPPの早期交渉参加を訴えてまいりました。自分は選挙が初めてだったんですけれども、TPPの交渉参加を訴えるということはかなり勇気の要ることではございましたけれども、この政治不信から脱却をするために、本当に必要なことは必要だという覚悟で、TPP、これを正面から語ってまいりました。

 今、自民党本部の前、そして議員会館近辺で行われているTPP反対デモ、この様子を見ておりますと、もちろん立場は違いますけれども、正直、シンパシーというか共感を感じてしまうところがございます。TPPに参加しないと言っていたではないか、だまされた、そのように感じていらっしゃる方々、これはJAですとか日本医師会、そういったところの組織の末端に行くほど多いように思うんです。今まで以上に政治不信を招いてしまいかねない、そういった状況ではないか、このように考えております。

 だからこそ、今まで以上に政治不信を招かないためにも、ぜひ、政府の口から、そして皆様の口から、TPPに参加することによって何が得られるのか、そのメリットについて語っていただきたいというふうに考えております。

 現状、TPPのメリットとして、何が具体的にどの程度あるのか、そういった説明が政府から余り聞こえてこないために、必要以上に不安になっていらっしゃる方も多いのではないかと考えております。ぜひとも、TPPに参加する具体的なメリット、これはもちろんTPPに交渉参加するという仮定で結構ですけれども、説明していただきたいと思います。お願いします。

茂木国務大臣 自民党として、国民の皆さんにさきの総選挙でもお約束申し上げたのは、聖域なき関税撤廃、これを前提とする限り交渉参加には反対ですという話でありまして、TPPに、交渉参加に反対、こういうことは一言も申し上げておりません。そして、先日のオバマ大統領と安倍総理の日米首脳会談、共同声明におきまして、このTPP、聖域なき関税撤廃を前提とするものではないということが確認をされたわけであります。その上で、安倍総理が、参加について、これからそれほど時間を置かずに判断をされるんではないかな、こんなふうに考えております。

 仮にTPPに参加する、この参加の意義でありますけれども、まず一つには、経済的に、成長が著しいアジア太平洋地域の発展、これを日本の成長に取り込む大きな意義があると思っております。

 同時に、私も一月にスイスのダボスにおきましてWTOの非公式閣僚会合に出席をしてまいりましたが、なかなかWTO全体が進まない、こういう状況にありまして、アメリカとかヨーロッパを中心にして、かなりハイレベルの、それも多国間のEPAであったりとか経済連携が進んでいる。こういった中におきまして、TPPによって、日本も参加をして、このアジア太平洋地域を中心にした新しい貿易であったりとか投資のルールづくりを主導していく、こういったことは極めて重要だと考えております。

 そして、これは経済面だけではなくて、広く見れば安全保障面も含めて、価値観を共有する日本であったり複数の国がより連携、関係を深める、こういうきっかけにもなる、こんなふうに考えております。

 若干具体的に申し上げると、例えば関税、これで申し上げますと、日本がTPPに既に参加をしている十一カ国に支払っております関税の額、総額で年間四千七百億円ということになります。この関税の支払いが相当減少すること、これが期待できるんだと思っております。

 同時に、非関税の分野、こういうところでいいましても、日本の強いサービス業、例えばコンビニのように、日本が独自の、国際的な競争力を持ったノウハウを持っている分野、こういった分野の国際展開が進んでいくと思っております。

 また、さまざまなルールを設定する中で、模倣品であったりとか違法コピーであったりとか、そういった取り締まりの厳格化であったりとか、またブランド力の強化、こういったことも図っていけるんではないかな、こんなふうに考えております。

三谷委員 お答えいただきまして、ありがとうございます。

 まさにそのメリットについて、これからぜひとももっともっとお話をいただきたいというふうに考えております。

 次の質問に移らせていただきます。

 続きまして、エネルギー政策についてお伺いいたします。

 実は、電力の自由化、発送電分離につきまして、これは維新の会の木下先生の方で御質問済みでございますので、ちょっとその次に行かせていただきまして、原発の再稼働の問題です。

 原子力規制委員会の安全基準に基づいて、安全だというふうに判断されれば再稼働を行うというふうに安倍首相含めて言明されておりますけれども、その安全基準自体が現在見直しの最中かと思われます。その法制化、これができ上がるのは七月ころになるというふうに報道されておりますが、その予定でしょうか。

 それから、この安全基準ができ上がるまでは再稼働は行わないというような前提で考えてよろしいのか。

 この二点について、お答えいただきたいと思います。

茂木国務大臣 原発の安全性につきましては、委員御指摘のように、原子力規制委員会の専門的な判断に委ねる、こういうことになっております。そして今、この規制委員会の方で新しい安全基準策定を行っておりまして、この三月から四月中にかけまして、新安全基準の条文案の取りまとめを行いまして、それをパブコメにかける。そして、七月の十八日までに新安全基準の公布、施行、こういうスケジュールになっております。

 原子力規制委員会におきまして、それぞれの原発の安全性を確認していくということでありますし、これからはシビアアクシデント対策であったりとかバックフィットを進めていく、こういったことを考えましたら、新安全基準ができ上がる前に既存の原発が再稼働する、こういう状況は想定しにくいと考えております。

三谷委員 第三者機関に安全性の判断を通じて再稼働の可否を委ねていくということでございますから、その安全基準、新しい案に従えば、リスクマネジメントという観点からいけば、再稼働できないということを前提に電力供給体制というのを考える必要があるかなというふうに思うんです。

 そういう意味では、当面、石炭も含めて、火力発電を含めます化石燃料を利用した発電の依存度というのが高まることが考えられます。

 その場合に、温室効果ガスの二五%削減という目標、これを以前の政権のときに定められておりましたけれども、これについて維持される予定か、それを撤回されるのかということについてお答えいただければと思います。

関政府参考人 委員御指摘の二五%というのは、前提条件つきの削減目標でございまして、これは震災前に設定した目標でありますので、見直しが必要だと考えております。

 政府といたしましては、気候変動枠組み条約第十九回締約国会議までに、いわゆるCOP19と呼んでおりますけれども、この二五%の削減目標をゼロベースで見直すこととしておるところでございます。

三谷委員 今の削減目標をゼロベースで見直していくというお答えにつきましては、現在、原発に頼れないという状況のもとでは仕方がない部分というのはあるかもしれません。ただ、本来的には、この温室効果ガスの削減というのも極めて重要な目標だというふうに考えております。

 こちらについては、新エネルギー、再生可能エネルギーの開発というのを進めていく中で、何とか温室効果ガスを削減していく、減らしていくということに向けての取り組みを行っていかなければならない。そのために、我々みんなの党といたしましては、電力自由化を含めて新しい事業が立ち上がっていくというようなことを進めていかなければいけないのではないか、このように考えております。

 次の質問に移らせていただきます。

 続いて、中小企業振興ということについてお伺いをいたします。

 一昨日、大臣の所信におきまして、中小企業そして小規模事業者の活性化ということを言っておりましたけれども、その一方で、産業の新陳代謝、それから国内の高コスト構造の是正、これを訴えていらっしゃいました。

 ただ単に、潰れそうな中小企業に対して金銭を入れていくというようなことを行ったとしても、産業の新陳代謝というのはできません。また、国内の高コスト構造というものも是正することはできません。

 それを考えると、しっかりと、退場していただくべき会社については退場していただくという観点から、中小企業に対する振興も行っていくということで理解してよろしいのでしょうか。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、中小企業基本法第三条の基本理念の中に、中小企業の自主的な努力を前提としつつ、中小企業の多様で活力ある成長発展を図る旨が規定をされておりますので、みずから努力して頑張っている中小企業や小規模事業者を積極的に支援するということであります。

 選別とか、本来市場から出ていくべき人が出ていかなければいけないではないかという御指摘でありますが、政府の方から、あなた出ていきなさいよとは言えませんので、我々はあくまで、頑張る企業を応援するメニューをつくり、さらに、起業したい、新たに会社を起こしたいという人を応援していく、そういうことでございます。

三谷委員 ありがとうございました。頑張るところにはそれを応援していくということでございます。

 目黒区、我が目黒区でございますけれども、従業員が三十名の川邑研究所という会社がございます。この会社は、小さい会社ではあるんですけれども、H2ロケットや「はやぶさ」、人工衛星等々に使われている、真空のごく低温下に太陽電池が開くときのジョイント部分に使われる潤滑塗料というのを取り扱っている、そういった会社でございます。

 この会社では、大手がやらないようなことを次から次にやってきた。小口でも売っていくとか、お客さんの細かいニーズに応えていく、こういったことを一つ一つ繰り返してきた結果、今では宇宙事業を手がけている、そういう会社になっているというようなことでございますけれども、そういった話を聞きました。

 そういう、地域で頑張っている会社を応援するという理解でよろしいのでしょうか。

平大臣政務官 先生は目黒区ということで、私も大田区ですので、私の地元にも、小さい会社ながら、まさにオンリーワン、もしくは世界に打って出る技術を持った企業がたくさんございます。

 そういう企業は、実は意外と収益が上がっていて国の手を差し伸べる必要がなかったりしますが、さらにそういう企業が次のステージへとステップアップをするときには、使えるメニューをこちらは用意して、そして羽ばたいていただく、そういうことになろうかと思います。

三谷委員 この中小企業支援ということで、もう一つ伺いたいと思います。

 平成二十四年度補正予算、この関連法案として成立いたしました地域経済活性化支援機構法についてでございます。

 この支援機構法が、日本津々浦々の中小企業というものを必要に応じて救済して、再生について助力をしていくという形になるかと思います。

 この場合に、救済すべき企業、ここにはお金を落としていこうということを判断する基準と、もし、そういった形でお金を落としていった結果、残念ながら再生できませんでしたといって、お金を落としたけれどもお金は戻ってきませんでしたという、投下資本が毀損された場合の責任というのは誰がとるのか、その二点についてお伺いをしたいと思います。

山際大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、退場させるべき企業は退場させなければいけない、そこは厳しく見ていかなくてはいけないと思います。一方で、救うべきものを救う、その観点から、先般、この法の改正をさせていただきました。

 今回の改正の中で、民間の事業者がファンドに変わる、そういう仕組みを入れさせていただきました。政府からはお金を呼び水としてそこに入れまして、主には民間の金融機関がファンドにお金をたくさん入れて、民間のファンドから今度は中小企業に対して支援を行うという仕組みになってございます。当然ながら、民間のファンドが厳しくその事業あるいは会社の先行きというものをしっかり見た上で、その基準に従って支援が決定されるものと理解してございます。

 また、もう一問いただきました。

 もし、それで焦げついた場合はどうするかというお話がございましたが、収益性の確保については、民間主体においても損失が生じないように努めるインセンティブが働くものとしてございますが、一方で、基準というものをしっかりつくらせていただいてございます。

 その基準に当たりましては、きょう三月十五日、新たな支援基準というものを官報掲載により告示することになっておりまして、法は三月十八日から施行ということでございますけれども、ここの中にもしっかりと、「事業再生計画の実施を通じた事業の再生が見込まれるものでない限り、再生支援決定をしてはならない。」このようにしてございます。

 また、政府の責任といたしましては、焦げついたものだからといってどうなるかという話ではなくて、やはり今申し上げたように、機構法に基づく監督権限をしっかり行使することによって機構の適切な業務運営を確保する、これが責任のとり方かなと思っております。

三谷委員 今のお答えですと、お金を投資して焦げついた場合には、監督責任という一般的なもので済ませていくという形になるという理解でよろしいでしょうか。

 もう一つ、これに関連して、投資が回収できなかった、焦げついたという認定は投資からどれぐらいの後に判断する予定でしょうか。

山際大臣政務官 一般的に、行政としての責任のとり方というのは金融機関の責任のとり方とやはり少し違うと思います。ですから、行政としては、今申し上げましたように、監督責任というものをしっかり果たしていくということだと思います。

 また、今回の機構法を改正するに当たりまして五年間延長するという話がございますので、一定、そのあたりのところをめどにしていくんだろうというふうに思っております。

三谷委員 お答えいただきまして、ありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、次の質問に移らせていただきます。いわゆるクール・ジャパンについてお伺いをいたします。

 政府の役割、政治の役割は何かといえば、国民の生命、身体、財産、そういったことを守ることにある、このように言われることもありますけれども、その財産を守るという部分において、多少、今、機能不全に陥っているんじゃないかなというふうに思っているのが、特にこのクール・ジャパンの問題でございます。

 このクール・ジャパンという言葉で非常に政府が盛り上がっているというように見えるんですけれども、しかしながら、日本のコンテンツというのは、海賊版を含めて、世界で物すごい被害をこうむっているところでございます。そして、そのことを認識しながらもその対応が進んでいないというようにも思われるわけです。

 では、今、アニメや漫画、ゲーム、こういったコンテンツが、一体一年間に、世界においてどれぐらい被害を受けているのかということについて、例えば金額に換算して、その被害規模というのを御存じであれば教えていただきたいと思います。

菅原副大臣 委員は、当選されるまで、弁護士として知的財産やインターネット関連に取り組まれてきたというふうに承っております。

 御指摘のコンテンツでございますが、まさに日本の成長戦略の柱でもありまして、この部分に係る海賊版の被害は極めて甚大になっております。

 外務省の推計によりますと、お話のあったアニメにつきましては、中国国内で年間約二千四百億円、ゲームにつきましては、コンピュータエンターテインメント協会というところの調査によりますと、二〇〇四年から二〇〇九年までの六年間で約二兆円以上の被害であるというふうに報告がされております。

 また、消費者への流通経路として、文化庁の調べでございますが、CD、DVD等のパッケージについては中国、台湾において顕著でありまして、また、インターネット上のアップロードにおいては、中国、そして韓国において多くの被害が発生をしております。

 いずれにしましても、こうした甚大な被害、日本企業の逸失利益の回復に向けて、官民一体となって取り組んでまいるところでございます。

 以上でございます。

三谷委員 お答えありがとうございました。

 ただ一点、先ほどのお答えの中で気になる点がございます。アニメだと中国だとどれどれ、ゲームだと六年間にわたってどれどれということで、必ずしもコンテンツビジネス一体としてその被害規模というのを捉え切れていないんじゃないかというふうに思うわけです。少なくとも、費用対効果ということを考えていろいろな投資を行っていくということを考えると、コンテンツビジネスで幾ら損害があるんだったらそれに対する費用を幾らかけていこうということがわからないというのが、今の現状ではないかと思うわけです。

 政府の方には、今のコンテンツの被害、その総額を、毎年毎年、それが幾らなのかということをできるだけ明らかにしていただきたいということをできれば求めたいというふうに思っております。

 今、お答えいただいた中だけでも相当多額の被害というものがございます。これについて、政府におきまして、どのような対策を講じられているのかということを次に伺いたいと思います。

 自分は、以前、アメリカにおきまして、日本のアニメや漫画、「NARUTO」とか「BLEACH」とか、少年ジャンプとか、そういったものを販売することに携わっておりました。そこでは、現場感覚としては、本当に孤軍奮闘という感じだったんです。せっかくライセンスを受けたアニメとか漫画とかというのが現地でどんどん侵害されていく、それに対して、とにかくそれをとめるためには自分で動かなきゃいけない。それに対してコストをかけて、しかも、自分は弁護士でしたから、これを言うのはおかしいかもしれないですけれども、本当にとめるためには、次から次に弁護士費用をかけていかなければとめられないというところが現状でございました。

 日本では、著作権侵害が行われた場合には、比較的早期に警察が動いてくれます。しかしながら、海外で警察が動いたというような話を余り聞きません。特に中国、そしてアメリカ、そういったところで、日本のコンテンツを守るために、警察が、刑事司法が動いたという例をどれぐらい御認識か、お答えいただければと思います。

菅原副大臣 個々の知的財産あるいはライセンス料等、やはり、一つ一つ訴訟して、あるいは弁護士費用をかけていると、権益が非常に損なわれてしまう。お話しのとおり、国として、経産省と文科省がタイアップしまして、ちょうどこうした事案がふえてきました二〇〇二年に、一般社団法人のコンテンツ海外流通促進機構、いわゆるCODAというんですが、これを設立いたしまして、特に被害が大きい中国、韓国、台湾等を中心に、海賊版対策を実施してきたところでございます。

 具体的には、CD、DVD等の侵害物品につきましては、米国の映画協会及び現地の司法当局と連携して、例えば中国なんかは、そういう問屋街がありますと、いわゆる抜き打ちで一斉に検挙するといったことも行っておりまして、こうしたことをやることによって、摘発の実績として、二〇〇五年一月から二〇一二年三月までで大体六百五十万件の押収実績を実は上げているところであります。

 これは、なかなか表に顕著になっておりませんけれども、こうした取り組みを進めている上に、インターネット上、オンライン上の侵害対策につきましても、先ほどの機構でありますCODAが、各国の違法な動画配信サイトを対象に、違法にアップロードした場合の日本のコンテンツの削除要請を実施しておりまして、九六・四%、ほぼ全ての違法コンテンツが削除されているという実績もございます。

 加えて、知的財産保護官民合同訪中代表団、あるいは日中知的財産権ワーキング等の国際協議の場を通じまして、各国に対しまして、著作権の侵害対策強化を要請しているところでございます。

 引き続きまして、今後とも、このCODAを通じて、海賊版対策をしっかり強化するように各国に働きかけをしていきたい、このように考えております。

三谷委員 今の六百五十万件、そしてインターネット上での削除要請ということについては、九六%を上回る削除ということについては非常に心強く思っております。

 しかしながら、刑事司法が動いたというところで、日本ですと、著作権侵害ということで逮捕されるというような例が散見されるところでありますけれども、そういったことで摘発されて逮捕されたという例が、例えばアメリカ、そして中国であるのかということについて、御存じでしょうか。

菅原副大臣 今の御質問に関しましては、正確な事実関係を把握いたしておりません。

 今後、またお答えをしたいと思っております。今のところ、警察関係が動いたというところはないというふうに認識はいたしております。

三谷委員 今、最後に非常に重要なお答えをいただいたかと思います。正直、本当になかなか警察が動いてくれない、そのために同じ業界同士で、何とか助け合ってやりくりして支え合っているというのが現状だと思います。そこについて、ぜひとも政府の一層の御支援というのをお願いしたい、各国に対する働きかけを含めてお願いしたいということを、これはもう本当に心からお願いしたいというふうに考えております。

 そして、このクール・ジャパンに関して、海外で最前線に立つ人というのは、先ほど申し上げたとおり、今本当に孤軍奮闘しております。今では、海賊版を何とか減らしていこうということで、週刊の漫画ですら日本とアメリカで同時に公開するというようなこともやっております。

 そういった企業努力によって、何とか今、アメリカ、中国その他世界各国でこのコンテンツビジネスを支えている方々がいっぱいいます。ぜひともそういった方々に対して応援をしていただく、その観点から、例えば海外で得られたロイヤルティー収入については非課税にするとか、前向きな追加の施策というのを考えられるかどうか、お答えいただければと思います。

菅原副大臣 るる議論のございますこのコンテンツは、御案内のとおり、国内市場で約十二兆円あるんですね。アメリカの約三十二兆に次いで世界第二位なんですが、輸出比率では日本は五パーで、アメリカの一七パーに比べて極めて低い状況にあって、だからこそ今般、茂木大臣を中心として、クール・ジャパンのこの法案、けさ閣議決定をいたしましたが、法案として出して、実際の日本の、人気はあるけれどもそれが利益に還元されていないという状況を改善していきたい、こう考えております。

 そうした中で、今御指摘のあった、例えば向こうにおけるライセンス料のいわゆる配当なんかに対しての非課税措置、こうしたこと、いわゆる税制面も含めて、国として何が効果的な、実質的な対策になり得るのか、こうしたことを検討して、より今まで以上に日本の魅力というものを世界に発信して、それが成長戦略や経済再生につながるようにしていきたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございました。

 そして、もう一点、このクール・ジャパンについて伺いたいと思います。

 これは、実はきのうの予算委員会での出来事ですので、質問通告にはございませんけれども、できれば茂木大臣にお伺いしたいと思うんです。

 きのうの予算委員会におきまして、民主党の岸本周平先生、この新規コンテンツファンド、クール・ジャパン推進機構の御質問に関しまして、これをできるだけ後押ししたい、五百億円のファンドを組成するということになったわけですけれども、もちろん民間の資金をできるだけこの分野にも入れていきたいというふうに答弁をされておりました。

 そもそも、このクール・ジャパン推進機構に関する法案というのはまだ提案されていないところでございますので、そういったことに対するやりとり、質疑等が行われたということについては遺憾の部分もあるんですけれども、それはともかく、この民間の資金を入れるということは、現状のあり方で必ずしも容易かということについて非常に疑問を持っております。

 現在、このクール・ジャパン推進機構に関しては実績もありません。また、今、誰がそのファンドマネジャーとなるか、ファンドを運営する主体も、誰が運営するかという人も明らかになっていません。その状態で、民間の資金を集めるといってもなかなか難しいところがあるのではないかと思うんですけれども、これについて御認識を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 特会の方から五百億円の出資を行う、このことは国として決めております。その意味で答弁をさせていただきました。もちろん、法案としては正式に提案をしまして、国会で御審議をいただきたいと思っております。

 民間の資金を呼び込む、平たく言いますと、共同出資をしていくという中で、当然、民間でありますから、幾ら出さなくてはいけませんということにはなりませんけれども、できるだけ多く募っていきたいと思っております。

 そして、そうするためにも、この新しい機構がどういう組織になって、どういう人材が入ってくるか、またどういうスキームでこれを運営していくか、こういうことが極めて重要だと思っております。

三谷委員 ありがとうございました。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。あと時間が十分ということです。

 続きまして、いわゆる一般の知的財産戦略について伺います。

 先日の茂木大臣の所信の中では、このクール・ジャパンということについては取り上げていらっしゃいましたけれども、残念ながらといいますか、特許を初めとする知的財産の積極的利用ということについてはほとんど触れられていなかったのが現状です。いわゆる知財弁護士として仕事をしてきた身としては、本当に寂しい限りというのが本当のところです。

 二〇〇二年の知的財産戦略大綱に述べられておりました知的財産立国としての意義はいささかも衰えていないはずですけれども、ぜひ、特許を初めといたします知的財産全体の重要性、これにも改めて言及していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 委員御指摘のように、知財戦略は日本にとって極めて重要だと思っております。

 私が最初にこの問題を感じましたのは二十五年前なんですよ。一九八八年、私が一冊目の本を書いたんです。「都会の不満 地方の不安」という本なんですけれども、本を書いて一カ月後ぐらいに韓国に行ったんですよ。そしたら、茂木さんの本を読みました、なかなかいいですねと言うわけですよ。いや、日本語できないのにと。そうしたら、店に平積みになっているんですよ、ハングルで。私、全然知らないんですね。ただ、中を見てみると、図は私のなんですよ、間違いなく。ハングルは読めないんですけれども、間違いなく私の本だ。こういうことがあるのかなと思ったんですけれども。

 それはそれといたしまして、我が国の企業の技術革新の成果を国際的に権利化し、そして、言ってみるとブラックボックス化して収益を上げていく、こういった知財戦略の構築、これは極めて重要だと思っております。

 現在、政府の産業競争力会議におきまして、民間議員の方から知財戦略に関する提言もいただいております。これを踏まえて、今後議論を進めていきたいと思っております。

 先日の私の所信表明演説でも、この戦略市場創造プランの中で知財分野の支援を重点施策の一つとして位置づけさせていただいたわけでありますけれども、どうしても、所信の行数といいますか、全体に限りがございまして、御期待に応えられなかった部分については内容で頑張っていきたいと思っております。

三谷委員 ありがたいお言葉、ありがとうございます。

 それから、続きまして、先日、日経新聞にも特集されておりました特許出願件数でございます。

 日本だけ特許出願件数が下がっているというところ、そして、何と国外からの特許出願件数というものも日本だけ極めて低いというような状況に関し、これが明らかになっているわけでございます。

 知的財産立国ということを考えていく上で、この現状に対する大臣の認識をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 大きな問題として、ここ数年間、もう少し長い期間でありますけれども、日本は、デフレ、そして景気の後退が続いていた。こういった中で、特にリーマン・ショック以降は、我が国の企業の研究開発費であったりとか知財関連の予算、これを企業は抑制した、こういう面もあると思います。

 それから、企業の活動、特にそういった知財でいろいろなことをやっている企業がグローバル化しておりまして、国内よりもかえって海外に出願する、こういう企業行動の変化、これも一つの要因ではないかなと思っております。

 一方で、そういった海外の企業に国内で出願をしてもらう、こういったことは極めてこれから重要になってくる、そのためのさまざまな環境整備ということは進めていかなければいけないと思っております。

三谷委員 まさに、海外から出願を受けるというコンテンツの環境整備の一つとしてお伺いしたいのが、特許庁情報システム、これの開発が挙げられるかと思います。

 実は、二〇〇六年、特許庁情報システムというものの開発が始まったんですけれども、二〇一二年には中断に至ってしまったというような話がございます。

 この詳細について伺います。

 当初の契約金額というのは、これは百億円だったというふうに言われておりますけれども、このシステムの開発に関して、現在、関連業者に対してお支払いをした金額、総額で幾らになりますでしょうか。

深野政府参考人 お答えをいたします。

 このシステム開発でございますけれども、平成十八年十二月に設計、開発を開始したわけでございますが、五年間の国庫債務負担行為といたしまして、この基盤システムの設計、開発業者である東芝ソリューションと九十九億二千万円、そしてプロジェクト管理支援業者であるアクセンチュアと三十四億三千万円の契約を結んでいたものでございます。

 これにつきまして、東芝ソリューションに対しましては既に二十四億九千万円、アクセンチュアに対して二十九億六千万円を支払っております。

三谷委員 今、お話にありましたとおり、もう既に五十億円以上のお金を支払っているというところで、このシステムの開発が中断してしまったという状況です。

 このシステムを使った場合に、特許庁内部での経費が大幅に削減されるというような話が実はございました。このシステムがうまくカットオーバーされていれば、幾らの経費が幾らまで下がったかというところについて、お答えいただきたいと思います。

深野政府参考人 お答えいたします。

 経費の削減の効果でございますが、当初の、計画をつくりましたときの試算では、年間九十六億円。これがなければ二百四十七億円かかっていたものが、この開発ができることによって百五十一億円に経費が削減されるというふうに見込んでおりました。

 その後、何回か見込みを見直しておりまして、今、一番新しい計画では、二百四十七億円のものが百九十五億円に削減できる、そのように試算をしているところでございます。

三谷委員 今、お答えいただきましたとおり、例えば、今回のシステムができるのが五年間おくれることによって、単純計算で、ほぼ、百掛ける五で五百億円、国に対する損害が出ているというような状況でございます。

 しかしながら、その損害というのは、それだけにはとどまりません。このシステムができることによって、例えば、特許を受ける権利に対する質権の設定ですとか、新たな独占的なライセンス制度というものをつくっていくということ、このシステムができていればその検討が進んでいたというところがとまっていること自体が、産業構造審議会知的財産政策部会の「特許制度に関する法制的な課題について」という報告書の中に挙げられております。

 本当に、特許庁内部の予算ということだけではなく、日本全体に対して大きな損害を与えているというのが、今回の特許庁システムの開発の失敗というところにはございます。

 さて、このシステムなんですけれども、そもそも最初、発注をするときに、一般的な公共事業であれば、幾らお金をかければそれに対して幾らの便益が得られる、いわゆるBバイCというものを考えているというのが一般的かと思うんですけれども、この特許庁情報システムに対するBバイCというのは計算されていたんでしょうか。

深野政府参考人 お答えいたします。

 これをつくることによってどのぐらい運営費が削減できるかということについては、計算をしておりました。あと、こういうものができることによりましてどういう便益を提供するかということについて、計画の中でも評価をしておりますけれども、具体的に、定量的に幾ら、社会全体でというところまでは計算をしておりません。

三谷委員 お答えいただきまして、ありがとうございました。

 幾らもうかるから幾らお金を使っていきますということが、民間での当たり前の話かと思います。そこに対する計算、検討が足りていなかったのではないかということは、今、指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 このシステムについて、開発が失敗をしたというところについて、それはもう過去のことですので、それを追求していくということも大事ですけれども、これからその失敗の原因をしっかりと理解して、その次につなげていくということも大事かと思いまして、その次の質問をさせていただきます。

 今回の特許庁情報システムの案件に関して、応札業者が三社あったというところでございます。その中で、今回落札をしたのが、技術点が物すごく低かったけれども、価格点が物すごく高かった。簡単に言うと、すごく技術的には劣っていたけれども、安かったから発注したというふうな状況だったと聞いておりますが、そういった認識でよろしいでしょうか。

深野政府参考人 お答えいたします。

 入札の時点で、技術と価格、両面から評価をしておりますが、落札をしました業者につきましては、技術点は低かったというふうに認識をしております。

三谷委員 当方の持ち時間が終了いたしましたので、この情報システムの開発については、引き続きいろいろと質問させていただきたいというふうに思います。

 以上をもちまして、本日の質疑とさせていただきます。ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。お世話になります。

 きょうは、電気料金問題についてお尋ねをいたします。

 昨年は、原発事故を起こした東京電力が大幅な値上げをしたことに、消費者や中小企業から厳しい批判の声が上がりました。電気料金値上げ問題について、国民の立場からしっかりと監視、精査をすることが必要であります。

 昨年十一月に、関西電力と九州電力は、規制部門の電気料金値上げのための認可申請を提出しました。総合資源エネルギー調査会総合部会の電気料金審査専門委員会において査定方針案の取りまとめが行われる、そういう段階だと承知しています。

 こういう中で、東京電力と関西電力が発注する送電線設備の談合疑惑が問題となっております。地下にケーブルを通す地中送電線工事をめぐり、談合を繰り返した疑いがあるとして、公正取引委員会は、十三日、独占禁止法違反、不当な取引制限の疑いで、両社の関連会社の関電工、きんでんなど、約三十社に立入検査に入ったとの報道があります。

 公正取引委員会は、既に昨年十一月、山間部などに立てた鉄塔に電線を取りつける架空送電線をめぐり、東電と関電発注の工事で談合があったとして立入検査をしている、このような報道もありました。

 そこで、公正取引委員会の杉本委員長にお尋ねをいたします。

 こういった報道については事実でしょうか。どのような案件なのかについて、説明をいただきたい。

杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきます。

 報道されておりますとおり、東京電力及び関西電力発注の地中送電線工事につきまして、受注調整が行われた疑いがございますことから、三月十三日に立入検査を実施したことは事実でございますが、具体的な調査の内容等については、現在審査中の事案でございますので、お答えを控えさせていただきたいと思っております。

 それから、架空電線に関する工事につきましても、報道されていますとおり、受注調整が行われた疑いがございますことから、昨年の十一月に立入検査を実施して以降、鋭意調査を進めているところでございます。

 この件につきましても、具体的な調査の内容等については、現在調査中の事案でありますことから、お答えを差し控えさせていただきたいと思っております。

塩川委員 これは、立入検査を行っているということであります。

 そこで、重ねてお尋ねしますが、電力会社に係るこのような不当な取引制限の禁止に違反するような行為、過去事件となったもの、こういうのが戦後においてどれだけあるのかについて、簡単で結構ですから、紹介してもらえますか。

杉本政府特別補佐人 電力会社関係で過去に法的措置をとった独占禁止法違反事件は、平成二十二年一月の電力会社発注の電力用電線等に関する受注調整事件がございます。

塩川委員 戦後ずっとありますけれども、一件しかないんですね。

 電力業界というのは、そもそも、地域独占と発送配電一貫体制の巨大な独占企業であります。巨大独占企業グループによる地域の経済シェアを含め、談合体質が指摘をされてまいりました。

 そこで、大臣にお尋ねします。

 関西電力や九州電力などのかかわる談合事件や談合疑惑が起こっております。高値発注などが疑われるわけですけれども、関電、九電に係る今回の電気料金の審査について、このようなことはきちんと反映されているんでしょうか。

茂木国務大臣 今、公正取引委員会によります立入検査が入っておりますのは関西電力の方だ、こんなふうに承知をいたしております。

 それで、関西電力の料金値上げの申請に係る電気料金審査専門委員会の査定方針案におきましては、送電線工事を含めた工事費用や資材の調達価格につきまして、一〇%のコスト削減目標を関西電力に適用することが妥当であるとされているところであります。

塩川委員 二〇一〇年の事案については、九州電力も関係者であります。そういう点でも、実態はどうなっているのか、談合が疑われている問題についてきちんと精査することなしに、それが電気料金に反映されているかどうかもわからないわけであります。

 一〇%の話もされましたけれども、そもそも一〇%なのかどうかというところも含めて、実態が非常な独占の中でつくられてきている、そういう癒着の関係が疑われるようなときに、もっとメスを入れるということが必要だ。

 電気事業連合会の電気事業便覧などを見ても、電力業界が発注するような設備工事の費用というのは、年間二兆円を超えると言われています。送電、配電あるいは変電関係の流通関係の設備工事だけでも、そのうちの六割、一兆二千億円に上るわけですから、大変巨額な金額に上るわけです。

 その点でも、電力独占のもとで談合が構造的な問題となることが問われているわけですから、結果として高値発注によって電気料金に上乗せされているのではないのか、こういう疑念が拭えないときに、抜本的な、根本的な是正こそ求められているということをまず指摘しておくものであります。

 次に、燃料費についてお尋ねをいたします。

 関西電力の今回の申請を見ても、小売対象原価二兆六千七百八十六億円のうち、火力燃料費は九千百二十億円で、三分の一を占めております。燃料費にどれだけ切り込むかが電気料金に直結をいたします。

 配付資料の一枚目をごらんいただきたいんですが、各国の天然ガス価格の推移であります。矢印の下の方で下がっているのがアメリカのガス価格で、一番右端、二〇一二年の十二月の時点では百万英国熱量単位当たり三・四五ドル、一方、上から二番目のグラフ、矢印で上がっているということで、日本のガス価格ですけれども、これが十五・七五ドルとなっています。ですから、アメリカと比べても四、五倍の開きがあるわけです。

 こんなふうになっているのはなぜなのかについて、御説明をいただけますか。

茂木国務大臣 アメリカの場合、近年、シェールガスの生産拡大ということで、かなり国内の市場価格が落ちてきておりまして、委員の図にありますように、百万BTU当たり大体三・四ドルと低水準であります。国内で出るわけですね。

 一方、日本の場合は、残念ながら国内でそれだけの天然ガスの生産ができない。例えば、アメリカからこの三・四ドルの天然ガスを入れてくる。もちろん、アメリカの承認が必要で、いつから輸出してくれるか、こういう問題もあるわけでありますけれども、向こうから持ってくるわけですから、一旦液化をしなければいけない、そしてかかる輸送価格、こういうことで、この値段とは当然違ってくるんだと思っております。

 それから、これからもそうするのがいいということでは決してありませんけれども、これまで原油価格に連動した価格決定方式に基づいた長期契約となっているケースが多いために、LNG価格、百万BTU当たり十六ドル前後と高水準で推移をしていると思っております。

 ただ、これから原油価格に連動した価格決定だけでいいのかといいますと、そうは思っておりません。また、調達先の多角化を図ることによって低減努力はできるんじゃないかなと思っております。

塩川委員 アメリカでシェールガスの生産拡大が進んでいる、もちろん、コストの面でも輸送コストや液化コストで六ドルぐらいある、そういうのを見込んでも日本の場合は高い、その点では、原油価格に連動した価格決定方式に基づいた長期契約をしているケースが多いという話がございました。

 日本のガス価格は余りにも高過ぎるということで、これは昨年、この委員会で我が党の吉井英勝議員がこの問題をただしたんです。その際の経済産業大臣は枝野大臣でありましたけれども、枝野大臣はそのときに、総括原価方式と燃料費調整制度が燃料調達及び電気料金高どまりの原因だと答弁しておりますが、茂木大臣の認識はいかがでしょうか。

茂木国務大臣 我が国は、LNGの輸入、これは先ほども言いましたように、その液化、そして輸送に要するコストがかかるとともに、原油価格に連動した価格決定方式、これに基づいた長期契約となっているケースが多いために、原油価格が高水準で推移しているという背景がありますと、どうしてもLNGの価格が高水準で推移をする。

 そして、電力会社の調達でありますけれども、地域独占の中で費用を積み上げて料金を算定する、いわゆる総括原価方式、そして原油価格の変動等を自動的に価格に転嫁する燃料費調整制度のもとで、これまで電力会社が価格よりも量の確保を重視した燃料調達を行う傾向があった、このことは否めないと思っております。

塩川委員 そういう点でも、総括原価方式と燃料費調整制度が、燃料調達、電気料金高どまりの原因だということでよろしいんですね。

茂木国務大臣 全ての原因というわけではありませんで、例えば原油価格が、先ほど申し上げたように、どう変動するか、こういうことによっても変わってきます。原油価格が徹底的に安くなれば、それが安いコストにつながることもある。

 ただ、今後の問題として申し上げますと、やはり、総括原価方式によります料金規制の撤廃も含めて競争による効率化と安定供給を両立する電力システムの改革、こういったことを進めることによりまして、電力会社が燃料費についてもさらなる効率化を追求する環境を実現していくことが重要だと思っております。

塩川委員 そういう点でも、原因がどうかというところをはっきりさせることなしには今後の改革にはならないわけですから、あれもあるし、これもあるというのではなくて、やはり本質が何かというところが問われているわけで、そういう点でも、今後、その点について改めてただしていきたいと思っております。

 茂木大臣が二月に、電力各社による電気料金値上げ認可申請についてという談話を出されております。そこでは、燃料コストの低減に向け最大限の取り組みを行うことが重要だ、厳正な査定を行っていくとしております。

 シェールガス輸入を一部反映した原価織り込みをしていくことなどを含めて言われていると思いますけれども、関連してお尋ねしたいんですが、実際、その燃料費にかかわるようないろいろな事業がどうなっているのかということなんです。

 配付資料の二枚目に、関西電力と九州電力の主要なLNG長期契約の表があります。これは、電気料金審査専門委員会に提出された資料であります。ここに、それぞれプロジェクトが挙がっているんです。

 それで、お尋ねですが、ここに挙がっているプロジェクトが、関電あるいは九州電力がかかわる全てのプロジェクト、全ての契約となっているんでしょうか。事実関係の確認をお願いします。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 関西電力につきましては、ここに出ておりますプロジェクトにつきましては、実は契約を締結いたしましたときに、売り主との間で契約の締結を公表いたしております。そのものがここに載っております。

 したがいまして、契約の締結のときに公表していないものはここに載っておりませんけれども、もちろん料金の査定のときにつきましては、審査委員会の委員の先生方あるいは事務局にも、私どもは受け取らせていただいております。

 以上でございます。

塩川委員 九州電力はどうですか。

高原政府参考人 九州電力につきましては、契約の全てが公表されておりますので、これにつきましてはここに出ているものが全部だというふうに承知いたしております。

 以上でございます。

塩川委員 九州電力は全て明らかにしている。東京電力についても、LNGの長期プロジェクトについては、東電の電気料金に係る査定の際には、八プロジェクト全てを明らかにしているわけであります。

 関西電力についても同様に、全てのプロジェクトを明らかにするということを求めることが国民的な理解を得る上でも必要ではありませんか。

高原政府参考人 LNGの長期契約は、いわゆる商業上の契約として、売り手と買い手の間で私契約として結ばれたものでございます。したがって、公表するかどうかにつきましては、両者、つまり、売り手との間の合意も重要でございますので、このような形で公表させていただいておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、料金の査定に当たりましては、全てのものの開示を受けた上で私どもは審査をさせていただいております。

 以上でございます。

塩川委員 電力会社が出資するような企業が上流までずっとさかのぼっているということなんかもあるわけですから、そういったことも含めて、実態はどうなっているのかということがわからないと、本当にこの値上げというのは妥当なのかという点について理解が得られないんじゃないのか。専門委員会の方が見ているとかという話ですけれども、どういう形のものを見ているのかということに対して、公開なしに国民的な理解は得られないということを指摘しておかなければなりません。

 それと二つ目に、輸入LNGの受け入れの揚げ地、輸入の基地ですけれども、揚げ地ごとの単価を見ると、これがそれぞればらばらであります。

 二〇一二年の五月のデータでいいますと、例えば首都圏、東電にかかわるようなところで、ロシアからの輸入について、基地ごとに見ると、袖ケ浦基地では一トン当たり三万一千七百十九円なのに、富津の基地では七万四千九百七十五円とか、川崎・扇島は六万一千百四十七円と言われるように、二倍以上の開きがあります。

 関西でも、オーストラリアからの輸入について基地ごとに見ると、堺の基地が六万六千百六十四円に対して、姫路の基地が四万八千七百三十五円。揚げ地によって価格がばらばらです。

 これは、何でこんなふうになるんでしょうか。

茂木国務大臣 これは、揚げ地によってばらばらというよりも、契約した時期によって変わってくる、これが基本であります。たまたま、着いた時期が一緒でありましても、契約した時期が違ってくれば、価格は当然、長期契約でやっておりますから、そこの中で五年ごとの見直しなんかを行っておりますけれども、違ってくるという事例は出てまいります。

塩川委員 契約時期の違いによってばらばらだというだけでは、ちょっと納得がいかない。

 重ねてお尋ねしますけれども、配付資料の二枚目の上の段、関西電力の主要LNG長期契約についてのプロジェクト、下から二番目にプルート・プロジェクトというのがあります。

 これは、二〇一二年の四月に生産を開始し、関西電力向けに出荷をされ、昨年五月二十一日に姫路基地に到着をしております。

 姫路基地におけるオーストラリアからの単価の推移について経産省からお示しいただいたんですが、姫路基地におけるオーストラリアからの単価を見ると、昨年の五月で一トン当たり四万八千七百三十五円、それが十二月には五万三千二百九十三円、ことし一月には六万八百六十九円と、違いがあります。

 これは、なぜ違うんでしょうか。

高原政府参考人 これは、市場価格が、例えば、先ほど申し上げましたとおり、LNGについては原油の価格との連動もいたしておりますので、そういった観点から違うのではないかと思います。

 いずれにいたしましても、契約者、当事者間の交渉によって価格は決められるというふうに認識をいたしております。

塩川委員 いや、そういう点も含めて明らかにしていただきたいわけですよ。そういう点でも、燃料コストについて、ブラックボックスを開示するということこそ、国民的な信頼の大前提だということを言わなければなりません。

 電気料金の関係で、今、日本原電に支払う購入電力料について疑問の声が上がっております。

 関西電力の原価算定期間中、二十五年から二十七年の期間中に、関電が日本原電から受電する量はゼロであります。それなのに、多額の購入電力料を払うことになっております。国民、消費者から納得がいかないという声が寄せられるのも当然であります。

 そこでお尋ねしますが、東電の会長だった勝俣恒久氏が、現在、日本原電の社外取締役になっております。福島原発事故に責任を負っているのが勝俣氏です。東電は、事故後、会長、社長、副社長は報酬全額カットをしておりました。東電が筆頭株主であり、電力業界が支えているのが日本原電であります。東電から日本原電の社外取締役となった勝俣氏の報酬は幾らなのか、メスが入ったのか、お尋ねします。

高原政府参考人 勝俣氏に対します日本原電からの役員報酬額でございますけれども、日本原電からは、今年度、つまり三月まででございますけれども、月額十万円というふうに聞いております。

塩川委員 そういうことを含めて、明らかにしていくことが必要だ。

 そういう点では、東電時代にはそもそも報酬を受け取らないということになっていたわけですから、例えば、こういう月の十万円ということを含めて、国民の理解が得られるのかということも問われなければならない。そういうことについても、きちんと明らかにしていくことが必要であります。

 やはり、東京電力自身が、今、法律と公的資金で支えられている企業であるわけで、その東電の事故の責任者だった勝俣氏の責任も重い、こういう点でも、日本原電、いわば電力業界全体の子会社といいますか、その中心は東電でもありますから、そういう位置づけの原電における役員報酬のあり方ということも厳しく問われなければならないということを言わざるを得ません。

 そういう中で、電気料金の問題と原発の再稼働の関係についてお尋ねします。

 電気料金の値上げ認可申請を行いました関西電力についてですが、この認可申請の中で、関西電力の原発の稼働日の想定はいつになっているんでしょうか、お答えください。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 関西電力の値上げ認可申請時の原子力発電所の稼働織り込みでございますけれども、高浜の三号機につきまして、平成二十五年の七月一日、そして、高浜四号機につきまして、同じく二十五年の七月二十二日というふうになっております。

 以上でございます。

塩川委員 大飯の三、四号機についてはどういうふうに出されているんでしょうか。

高原政府参考人 大飯の三、四号機につきましては、稼働を継続していくという前提になっております。

 以上でございます。

塩川委員 再稼働そのものがおかしいというたくさんの方の声もあります。同時に、高浜の三号機がことしの七月一日、四号機が七月の二十二日、これはその日に稼働というのは可能なんでしょうか。

高原政府参考人 いずれにいたしましても、稼働の時期がいつになるかということにつきましては、原子力規制委員会の判断がまず前提になるというふうに考えております。

塩川委員 いや、ですから、七月というその時期に可能なんですか、原子力規制委員会の判断としても。

高原政府参考人 新しい基準が実際に発動されて、そして、その審査がいつ行われるか、いつ結論が出るかということとの関係でございますけれども、いずれにいたしましても、これは原子力規制委員会の判断によることでございますので、私ども経済産業省からはコメントは避けさせていただきたいと思っております。

 以上でございます。

塩川委員 安全基準が策定されるのは七月ということでよろしいですよね。

高原政府参考人 そのように承知をいたしております。

塩川委員 そこからですよね、実際の作業が始まるのが。ですから、七月なんかに動かせないんですよ。それなのに、動かせない原発が再稼働することを前提の値上げ申請なんですよ。七月から稼働することはあり得ない原発が再稼働することを前提にした申請が行われている。

 大臣、こんなのを受け取ること自身がおかしいんじゃないですか。

茂木国務大臣 原発の再稼働につきましては、規制委員会におきまして、新しい安全基準のもとで原発の安全性を確認する、そしてその上で、確認されたものにつきましては、炉の設置者の方で動かすことが可能になる、こういう法律のたてつけであります。

 その上で、原発が稼働することによって、電力料金、恐らく電気事業者にとりましては、そのコストが今の状態より高くなってしまうということはないんだと理解をいたしております。

塩川委員 いやいや、そもそも、申請そのものが架空のことを前提に行われているという扱いそのものがおかしいんじゃないですかと聞いているんですよ。

茂木国務大臣 これは、例えばLNGの価格にしても、これから将来的にはシェールガス、こういったものが調達できる、そういった努力も進めていかなきゃならない。今の時点のことじゃないんです。今後のことも含めて、価格というのは、料金申請というのは見ていかなくちゃならない。

 毎日、料金申請について許可するわけじゃないわけです。ある程度の期間についてやるわけでありますから、一定の仮定を置いて申請がなされる。そして、その仮定がある程度妥当であるかどうか、高過ぎないかどうか、基本的には、そういう観点から厳正に審査をしていきたいと思います。

塩川委員 いや、LNGは、需給関係でそれは変わりますよ。しかし、原発の再稼働というのは、そもそも原子力規制委員会が安全基準を策定して、そこから実際の作業が始まるわけですから、七月に動かないんですよ。それはもうはっきりしていることなんです。将来どうなるかわからないという話じゃないんですよ。

 はっきりしていることであるにもかかわらず、それがあたかも動くかのようなことを前提にした申請が行われているのをそのまま受け取るというのは、これは政府の見識が問われるんじゃないですか。

茂木国務大臣 原発の再稼働につきましては、法律的に、先ほど申し上げましたように、規制委員会が安全性についてはチェックをします、確認をします。安全性がチェックされた原発につきましては、事業者におきまして再稼働することが可能になるというわけであります。そういった法律の仕組みなんです。

 そして、その時期等々につきましても、予断を与えるようなコメントは、経済産業大臣としては差し控えたいと思っております。

 その燃料費によって、さまざまなものによって発電コストは変わってきます。そういったものも事業者が織り込んで申請をしてくるものだ、こんなふうに承知をいたしております。

 塩川委員のお尋ねを聞いていますと、もっと高い料金で関電は出してくればよかったじゃないか、このようにおっしゃっているように聞こえるんですけれども、私は、できるだけ低く抑える、このことが必要なんじゃないかなと思います。

塩川委員 このままいけば、この先、再稼働がもしできなかったとしたら、簡素な手続で値上げをしましょうというのを、わざわざ去年、省令改正までやっているわけですよ。国民的な議論が必要な電気料金の値上げについて、簡素な手続で進めるということを織り込んだようなやり方を経済産業省がやっているということでは、国民の理解が得られないだろうということを私は言っているんです。

 そういう点でも、結局は、こういうのを織り込んでいるというのは、再稼働か電気料金値上げかというのを迫るようなやり方であって、電気料金の値上げを使って原発再稼働の圧力をかけているようなものだ、こういうことを言わざるを得ません。

 そういう点でも、そもそも、できもしないような原発再稼働を前提とした電力会社の電気料金改定の申請を受理すること自身がおかしいわけで、差し戻せということを強く言って、質問を終わります。

     ――――◇―――――

富田委員長 次に、内閣提出、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。茂木経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木国務大臣 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を初めとする我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、同年十月十四日より、七度の延長措置を経て、平成二十四年四月十三日までの間、北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を厳格に実施してまいりました。

 また、平成二十一年五月二十五日の北朝鮮による二度目の核実験を実施した旨の発表を受け、同年六月十八日より、二度の延長措置を経て、平成二十四年四月十三日までの間、北朝鮮への輸出の禁止等の措置を厳格に実施してまいりました。

 しかし、拉致、核、ミサイルといった諸懸案に対する北朝鮮の対応や、六者会合、国際連合安全保障理事会等における国際社会の動き等その後の我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、平成二十四年四月三日の閣議において、引き続き、平成二十四年四月十四日から平成二十五年四月十三日までの間、外国為替及び外国貿易法に基づき、北朝鮮への輸出及び北朝鮮からの輸入の禁止等の措置を実施することといたしました。

 これらの措置のうち、同法に基づき国会の承認が必要な措置について、承認を求めるべく、本件を提出した次第であります。

 次に、本件の要旨を御説明申し上げます。

 本件は、外国為替及び外国貿易法第十条第一項の規定による平成二十四年四月三日の閣議決定に基づき、同年四月十四日より平成二十五年四月十三日までの間、北朝鮮への全ての貨物の輸出及び北朝鮮からの全ての貨物の輸入について経済産業大臣の承認を受ける義務を課す措置を講じたこと、及び北朝鮮と第三国との間の貨物の移動を伴う貨物の売買、貸借または贈与に関する仲介貿易取引について経済産業大臣の許可を受ける義務を課す措置を講じたことについて、同法第十条第二項の規定に基づいて国会の承認を求めることを内容とするものであります。

 以上が、本件の提案理由及び要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十四分散会


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