衆議院

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第4号 平成25年3月27日(水曜日)

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平成二十五年三月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 石原 宏高君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 淳司君 理事 宮下 一郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 近藤 洋介君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      赤枝 恒雄君    秋元  司君

      穴見 陽一君    石崎  徹君

      越智 隆雄君    大見  正君

      勝俣 孝明君    佐々木 紀君

      白石  徹君    平  将明君

      武村 展英君    辻  清人君

      冨樫 博之君    根本 幸典君

      福田 達夫君    細田 健一君

      宮崎 謙介君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      吉川 貴盛君    枝野 幸男君

      大島  敦君    岸本 周平君

      後藤  斎君    馬淵 澄夫君

      木下 智彦君    重徳 和彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      井坂 信彦君    三谷 英弘君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   文部科学副大臣      福井  照君

   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君

   国土交通副大臣      鶴保 庸介君

   農林水産大臣政務官    稲津  久君

   経済産業大臣政務官    佐藤ゆかり君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   国土交通大臣政務官    坂井  学君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          鈴木 英夫君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 高原 一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            新原 浩朗君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           橋本 公博君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十七日

 辞任         補欠選任

  越智 隆雄君     赤枝 恒雄君

  馬淵 澄夫君     後藤  斎君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     越智 隆雄君

  後藤  斎君     馬淵 澄夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省産業技術環境局長鈴木英夫君、資源エネルギー庁長官高原一郎君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長新原浩朗君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君及び国土交通省大臣官房審議官橋本公博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冨樫博之君。

冨樫委員 おはようございます。自民党秋田県一区選出の冨樫博之です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 省エネ法改正法案に関する質問をさせていただきます。

 初めに、エネルギー資源を海外に依存する我が国にとって、三・一一以降、原子力発電所の停止に伴い、国民生活や産業に支障のないように電力需要をどのように賄っていくかは大変重要な問題と考えております。

 電力会社は、国とともに電力供給の責任と工夫を果たすことが大事です。また、国においては、再生可能エネルギーの推進や、国民各層の協力を得て省エネ推進をしていく必要があると考えます。

 そこで、電力需要の取り組みについて経産大臣にお伺いいたします。

茂木国務大臣 冨樫委員は、私が敬愛しておりました野呂田芳成先生のもとで長く仕事をされて、その他、秋田県議会議長までお務めになられました。

 ずっと昔なんですが、野呂田先生から、茂木君、電力を供給するというのは本当に大変なことなんだ、特に東北地方においては、冬の送電線を張る、こういったことが本当に大変な仕事なんだ、一度そういうものを見た方がいいということでお連れいただいて、秋田だったと思いますが、送電線を本当に高いところで、東北電力の方、また関係の方が張っている作業を拝見させてもらいました。こういった一つ一つの積み重ねが、我々からすると当たり前のような電力の供給につながっているんだな、そんな思いを持ったところであります。

 今、我が国は、石油危機以来の大きなエネルギー制約に直面をしているわけであります。石油危機以降、日本は民間の努力もありまして、エネルギー効率、これを四割改善いたしました。今や世界最高水準のエネルギー効率ということで、産業競争力の向上にも貢献していると思います。

 ただ、当時で申し上げると、結局、石油が入ってこないという中で、昼であっても夜であっても、何しろ電力を使う総量を抑える、こういったことで、深夜テレビの自粛であったりとか営業時間の短縮等の節約運動、そしてまた産業界の省エネ、こういったことで石油ショックを乗り切ってきたわけであります。

 ところが、今回の場合、言ってみますと、総量を抑えることも大切なんですが、まさに夏の昼間の時間であったり、そういうピークの時間をいかにコントロールしていくか、こういったことが重要でありまして、例えば、HEMSとかMEMSの導入によりまして、電力の需要そのものをコントロールしていく、こういったことも極めて重要になってきております。

 昨年の実績でいいますと、昨年は震災前、二〇一〇年と比べまして、電力使用量全体でいいますと六%の削減なんですが、ピーク時は一〇%の削減、これを達成することができました。引き続き、エネルギー需給の安定に万全を期すため、今後三年間、再生可能エネルギーの拡大とともに、省エネの最大限の推進を図っていきたいと考えております。

 具体的には、省エネ法改正等によります住宅、ビルの断熱性能を上げていく。産業部門はかなり落ちてきている、運輸の方もある程度伸びてきておりますが、一番伸びてしまっているのが住宅であったりとかビルの部門でありますから、ここの部分を抑えていくためのそういった住宅、ビルの断熱性の向上が必要だと思っております。

 そしてまた、スマートメーター、HEMS、BEMS、MEMS、こういったエネルギーマネジメントや蓄電池、自家発の導入によりましてピークを削減していく、さらには、産業界の国際競争力向上であったりとか省エネにつながるような国内の新しい設備投資、こういったことを支援していくということが必要だと考えておりまして、補正予算、そして平成二十五年度の当初予算におきまして集中的に資金面を助成すると同時に、今回の法改正もそうでありますが、法改正を通じまして、こういった省エネ努力をさらに進めていきたいと思っております。

 ぜひ、そんな意味からも、この省エネ法の改正案の早期成立をお願いする次第であります。

冨樫委員 大臣、ありがとうございました。

 電力のピークについても大半お答えいただきまして、私もこの後質問する予定にしていたんですけれども、そういうことで、ありがとうございました。

 次に、質問させていただきます。

 この法案の柱の一つであります省エネ推進に役割を果たしてきたトップランナー制度の意義、そして、この制度導入後の省エネ効果について、経産大臣にお伺いをいたしたいと思います。よろしくお願いします。

平大臣政務官 委員にお答えを申し上げます。

 まず、トップランナー制度は、具体的に家電や自動車等の製品を政令で指定し、現在のトップランナー製品を超える数値基準を定めて、製造業者、輸入業者に対し、目標年度には基準を満たすことを求める規制でございます。目標年度に改善が不十分な場合は勧告、公表等を実施し、どのような技術開発を行い基準をクリアするかは各企業の自由ということになっております。この制度は、米国や中国等海外からも大変注目を浴びておる制度であります。

 特徴といたしましては、特定の技術ではなく、数量的な結果に着目をするため、企業が自由な発想を生かせるという点、また、高い基準を設け、移行期間を長く設けるため、革新的な技術を開発させることができる、そしてさらには、できるだけエンドユーザーに近いところで規制をするため、川上から川下までの全段階でイノベーションが起きるといった特徴を持った制度でございます。

 成果といたしましては、例えば乗用車の燃費におきましては、一九九五年から二〇一〇年までの十五年間で四九%改善いたしました。エアコンの消費電力量も、一九九七年から二〇〇七年までの十年間で三二%改善。冷蔵庫においても、五年間で四三%改善。テレビにおいても、四年間で三〇%改善といったことになっております。

 今後もしっかりとこのトップランナー制度を活用してまいりたいと考えております。

冨樫委員 今回、新たにこの制度に追加される窓や断熱材等の建築材は、実際に使用されなくてはその効果を得ることはできません。

 そこで、二つ質問します。

 まず、建築材メーカーの中に、中小規模であってもすぐれた製品を生産しているメーカーもありますが、この辺の製品追加が中小企業メーカーの過度な負担にならないようにしなければなりません。その方法についてお尋ねいたします。

 また、建築現場でその建築材をどのように取り入れていくのか。住宅建築の七割を担っていると言われる中小工務店の理解と、コスト負担が過重にならない工夫が必要です。

 このことについて、経産省のお考えをお聞きいたします。

平大臣政務官 今後の省エネは、今委員が御指摘いただいた住宅、ビルの断熱性の向上が一つの重点分野になってまいります。

 日本は省エネ先進国でありますけれども、他国に比べて、住宅、ビルの断熱材の断熱性能などは改善余地が大きいということでございます。そういった中で、今議員の御懸念は、中小メーカーへの影響、また中小工務店への影響という点であろうかと思います。

 まず第一に、中小メーカーへの影響でありますが、この点については、法律上、トップランナー制度は生産量、輸入量の多い企業をターゲットとした制度としておりますので、中小メーカーは規制対象外になります。

 その一方で、トップランナー制度を導入すると、大手企業がかなり競争を競うことになりますので、相対的に中小メーカーが不利になるのではないかといった懸念もあるかと思います。その辺につきましては、例えばものづくり補助金、試作品をつくる中小企業に対して、今回、一千億円、一万社を対象に補助金を出すようなことも準備しておりますし、さらには、環境分野における技術開発支援のメニューも用意をしておりますので、中小メーカーにはそういった政策をぜひ御活用いただきたい。

 また、規制外になる一方で、トップランナー制度をクリアしたという表示を多分することになると思いますが、その表示をつけること自体が競争力の源泉になるわけでありますので、対象外の中小メーカーといえども、そういうトップランナー制度の基準を満たしたという表示を取得することに対しては、取得ができるようになっておりますし、また、取得しやすいようにその辺も今後の検討課題にしてまいりたいと思います。

 第二には、中小工務店への影響でございます。

 トップランナー制度によりメーカーのイノベーションが促進をされます。同じ性能であっても製品の価格は低下をするという実績が今までございます。実際に、ルームエアコンなどの価格は五年間で四割ほど低下をしています。これは、同じ品質でも調達コストが安くなるということでございますので、工務店などの需要家にとっては望ましいことであろう、そのように思います。

 今後とも国交省と十分に相談しつつ、施工技術の底上げ等、中小工務店への影響には十分配慮して制度設計を進めてまいります。

冨樫委員 どうもありがとうございました。

 次に、省エネについてお伺いをしたいと思います。

 実は、地方においてもさまざまな取り組みをしております。温暖化、CO2の削減対策、こういうのを、実際、我が秋田県では実施しております。

 平成二十二年度から二十四年度までの三年間、ことしもまた新たなその制度を取り入れるという話でありますけれども、この三年間、安全安心リフォーム推進事業を県の単独予算で支援しております。そして、住宅の耐震、断熱、省エネ改修や高効率給湯器、あるいは太陽光発電システム等に補助金交付を行っております。その費用対効果は、ずっと平均してみますと二十三・四倍の実績を上げております。

 これらを踏まえて、その評価をぜひ経産大臣にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

茂木国務大臣 秋田県は日本に冠たる秋田杉もあるわけでありまして、木造住宅、環境の観点からも、そしてまた省エネの観点からも、それを使ったリフォーム等々、極めて重要だと思っております。

 我々の基本的な問題認識は、石油危機以降、産業部門は相当努力をしてエネルギーの使用量を減らしています。当時と比べて一割ぐらい減です。これに対して運輸部門が一・九倍、そして住宅・ビル部門、これは二・五倍。まさにこの部分に大きな省エネの余地があるのではないかな、こんなことを含めて、今回の法改正をお願いしているわけであります。

 住宅のリフォームの促進をする制度、これは住宅の省エネ性能の向上に資するものでありまして、国としても非常に重要な取り組みであると考えております。

 まず、国の取り組みを申し上げますと、経済産業省として、一つは、平成二十五年度予算に百十億円を計上いたしまして、いわゆるゼロエネルギー住宅、年間のエネルギーの消費量がネットでおおむねゼロになる住宅でありますが、このゼロエネルギー住宅の新築、改築の支援ということで、二分の一補助。こういった家丸ごとの省エネの推進に取り組むとともに、高性能な断熱材や窓などの導入に対する補助、三分の一の補助を新設いたしました。

 さらに、BEMS、HEMS、MEMS、そして蓄電池の導入支援を今実施いたしているところであります。

 民間の取り組み、そして地方の取り組み、そして国の取り組み、これが三位一体になって、住宅、そしてビル部門で大きな省エネ効果を上げられるものだと期待をいたしております。

冨樫委員 ありがとうございます。

 次に、住宅省エネを推進していく中で、省エネ効果のある建築材の利用を促すためにも、今度は、建築基準の義務化や利用促進策について、ぜひ国土交通省にお考えをお伺いしたいと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 増加の著しい民生部門のエネルギー消費を削減するため、住宅、建築物の省エネルギー対策の推進は重要な政策課題であると認識をしております。

 このため、経済産業省、環境省と共同で、低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議を設置いたしまして、新築の住宅、建築物の省エネルギー基準への適合義務化について、二〇二〇年までに大規模、中規模、小規模の順で段階的に行うことといたしまして、そのための課題などを記載した具体的な工程表を公表しておるところでございます。

 また、省エネルギー効果の高い建材の利用を含めまして、省エネルギー住宅の推進に向けて、省エネルギー性能にすぐれた低炭素住宅や長期優良住宅に対する税制上の支援、住宅金融支援機構によるフラット35Sの金利の引き下げ、中小工務店によるゼロエネルギー住宅の建設、あるいは省CO2の先導的なプロジェクトに対する支援、既存住宅に対する省エネルギー改修への支援など、税制、金融、財政上の支援等を今まで行ってきておるところでございます。

 今後とも、これらの施策を総合的に推進して、経済産業省とともに、住宅の省エネ化に向けて積極的に取り組んでいく所存でございます。

冨樫委員 時間的な問題もありますけれども、このトップランナー制度とともに、先ほどありましたけれども、もう一つの柱であります電力ピーク対策についてお伺いをしたいというふうに思います。

 震災直後の計画停電に見られるような、大口利用者である産業界、とりわけ、地方にあっても海外企業と熾烈な競争を繰り広げている製造業の競争を阻害するような対策では現実的な対応とは言えないというふうに思っています。

 今回の法改正、蓄電池を導入するピーク対策の意義をお聞かせください。また、中小企業や一般家庭の弱者が蓄電池を導入する際の支援についても、経産省にお伺いをいたします。

平大臣政務官 委員御指摘のとおり、電気の需要の総量も大事ですが、ピークシフトというところが極めて重要になってまいります。しかしながら、ピークシフトを行うために蓄電池などを導入するとかえって購入量全体がふえてしまうということもありますので、ピークシフトをしっかりと省エネ法の中に落とし込んで、促進をしていただくということが重要であろうと思います。

 中小企業や家庭に対する配慮としては、支援措置が必要だと我々も認識をしております。経産省では、定置用リチウムイオン蓄電池導入支援事業として二百十億円を計上しているところでございまして、中小企業を含む事業者や家庭がピーク時等に活用できる蓄電池を導入する際に、三分の一の助成を行っているところでございます。このような支援措置も御活用いただきたいと思います。

冨樫委員 予定の二十分になりましたので質問は終わりますけれども、まだ私も聞きたいところを用意しておりました。また、この次の機会にぜひ質問をさせていただきたいと思います。

 本日は丁寧な御答弁をいただきましたこと、重ねて感謝を申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、細田健一君。

細田(健)委員 新潟二区から初当選をさせていただきました自由民主党の細田健一と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、改めまして、茂木大臣、そして平政務官、御就任本当におめでとうございます。お二方とも私が尊敬、敬愛する先輩議員でございまして、ぜひぜひ経済産業行政をその豊富な御経験と政策知識でリードしていただきたいと思います。

 私は、茂木大臣をトップとする現在の政務三役の布陣、これは本当にすばらしい布陣だというふうに考えております。といいますのは、政務三役、五人の方、いずれも民間ビジネスの御経験をお持ちなんですね。大臣はマッキンゼーあるいは商社マンとして、そして平政務官は中小企業の経営者として、本当にすばらしい経験をされてきたと思います。

 私は、天に唾するようで多少恐縮ですが、経済産業省の役人でした。ただ、役人はやはりどうしてももうけるということについてはなかなか理解しがたいところがございまして、ぜひぜひ民間ビジネスの御経験を生かして経済産業行政をリードしていただきたいと思います。

 本日、エネルギー使用の合理化に関する法律等の法案審議ということで、まず、その前提として、国のエネルギー政策について多少議論をさせていただければというふうに考えております。

 私の見るところ、前政権のエネルギー政策というのは混乱あるいは漂流をしておりました。といいますのは、エネルギー政策に関する目的が混乱している、あるいは共有されていないというのが最も大きな問題ではなかったかというふうに考えております。

 例えば、電力供給でありましたら、火力、水力あるいは石炭、いろいろとございますが、それぞれの電源というものはあくまでも目的を達成する手段でございまして、これは私は選挙戦中から訴えてまいりましたが、ある特定の電源が占める割合が、三〇%なのか、一五%なのか、あるいは〇%なのかというのは、それ自身を目的にするというような議論は全く意味がないというふうに考えております。

 エネルギー政策の目標というのは、あくまでもエネルギー供給の、安定供給性、経済性、環境適合性、そして安全性を高いレベルでバランスさせること、これがエネルギー政策の目標であるというふうに考えておりますが、まずこの点について経済産業省の御見解をお伺いしたいと思います。

平大臣政務官 細田委員からエールをいただきまして、しっかり頑張っていきたいと思います。

 質問にお答えを申し上げます。

 エネルギー政策については、まず、いかなる事態においても国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期すことが大前提でございます。

 先般、総理から、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするという前政権の方針はゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エネルギーコストの低減の観点も含め、責任のあるエネルギー政策を構築せよとの指示をいただいております。

 震災により、安定供給とエネルギーコストの課題が浮き彫りとなっております。エネルギーの生産、調達から流通、消費まで、各面において効率性を高め、コスト低減を図るとともに、エネルギー源の多様化、多角化、さまざまなプレーヤーの参画を進め、安定供給を確保していかなければならないと考えております。

 また、ディマンドレスポンスなど、需要面からの改革の視点を強めることも重要であると考えております。

 こうした観点も含め、中長期的なエネルギー政策の方針となるエネルギー基本計画においては、安全性を大前提とし、環境にも配慮しつつ検討を行うこととなっておりますが、特に安定供給、そしてコスト低減に重点を置いて政策の軸、方向性を明確に示す必要があると我々は考えております。総合資源エネルギー調査会総合部会において検討を先般開始したところであり、年内をめどに取りまとめていきたいと考えております。

細田(健)委員 平政務官、どうもありがとうございました。

 若干、私の次の質問まで踏み込んでお答えをいただいたようですので、時間が節約できて本当にありがたいと思っております。

 私も、今お話しになった前政権の方針をゼロベースで見直すということ、これはぜひぜひやっていただきたいと思いますし、これはぜひとも必要であるというふうに考えております。今、総合資源エネルギー調査会でことしの末までに取りまとめを行うということでございましたが、ぜひ、大臣、政務官には議論をリードしていただきたいというふうに思っております。

 事務方に、この基本計画の見直しについて、基本的な方向性はどういう方向性があるのかということをお伺いしたいと思います。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 震災によりまして、安定供給とエネルギーコストを低減する、この課題が浮き彫りになりました。そうしたことから、今政務官からもお答え申し上げましたとおり、安定供給、コストの低減に重点を置いて政策の軸あるいは方向性といったものを明確に示す必要があるといったことでございまして、委員からも御紹介がございましたとおり、三月十五日から、総合資源エネルギー調査会の総合部会において検討を開始したところでございます。

 第一回の総合部会会合におきましては、目標の道筋を示すべきだとか、あるいは短期と中長期にこれをしっかりと分けて議論すべきだ、あるいは民間投資を促す政策を立案すべき、そういった多面的な御意見が出されております。

 以上でございます。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 今、お話がありました安定供給性そしてコスト、これに関する議論、本当に重要だと思います。逆に言いますと、安定供給性あるいはコストについて無視した議論というのは全く無責任だと思いますし、これも私、選挙戦で有権者の皆様方にお訴えをしてきたところでございます。

 済みません、ちょっと一問飛ばしていただいて、大臣にお伺いしたいと思います。

 先日、私の選挙区で、ある民間の工場に行きましたら、こう言われました。細田さん、これ以上電力料金が上がったら、うちは工場を閉めて外国に出ていくというふうにおっしゃいました。これが経済界の本当に切実な声であると思います。また、報道等によりますと、北海道で、本当にエネルギー供給が必要な冬場に何と節電要請を行っているというような状況がございまして、安定供給性あるいはコストを無視した議論というのは本当に全く無責任だというふうに考えております。

 原子力発電所について、ちょっと簡単にお伺いしたいと思うんです。

 もちろん、あれだけの大きな事故がございました。したがって、安全第一で取り組むというのは当然でございます。しかし、新しくできました規制委員会が十分な安全確認をして、そして安全であるというふうに工学的な判断をいたしましたら、これも安倍総理あるいは大臣が累次お話しになっておられますが、安全性が確認された原発というのを、やはり短期的には政府の責任で動かすということが必要になってくるのではないかというふうに思います。

 この点について、大臣の御見解をぜひお聞かせください。

茂木国務大臣 冒頭、委員の方から御提起いただいた、エネルギーのベストミックスをこれから検討していく。ただ単に、根拠もなしに数字を羅列すればいいというものではないと思っております。さまざまな要素があって、それぞれのエネルギー源によって特徴というものも違ってまいります。

 例えば、再生可能エネルギー、我々として最大限伸ばしていかなければいけないと思っておりますけれども、現状におきましては、どうしてもコストが高いという問題もあって、固定価格買い取り制度等々によりまして普及の拡大を図っていく。同時に、御案内のとおり、再生可能エネルギー、風力にしても、それから太陽光にしても、自然環境に影響されます。風が吹くか吹かないか、お日さまが照るか照らないか、電源としてなかなか安定しないということがあります。そこで、蓄電池を併設することによって電源の安定化を図ったり、また、風力なんかは、特に東北地方は有力な地域でもありますけれども、どうしても、送配電網を整備する、こういった設備投資も必要になってくると考えております。

 当面でいいますと、やはり今、かなり古い火力もたいております。高効率の火力、こういうものに置きかえていくことも必要でありますし、今、シェールガスを含めLNGの国際的な市場が大きく変わりつつあります。そういった中で、やはりできるだけ安価にLNGを調達してくる、こういった努力も進めていかなければいけないと思っております。

 そして、原子力に関しましては、あれだけ大きな事故を起こしてしまった、そして、福島においては、いまだ十六万人近い方々が大変厳しい避難生活を送られている。こういった事故の教訓、反省に立って、新しい組織、原子力規制委員会を設置させていただきました。ここで安全基準をつくり、個々の原発についての安全性を最も高い基準でチェックをしていかなければいけない。その上で、安全だと確認された原発につきましては、規制委員会の判断、これを尊重して再稼働というのを進めていきたい、このように考えております。

細田(健)委員 大臣、どうもありがとうございました。

 今の大臣の御答弁、あるいは大臣の御認識を一〇〇%共有させていただきます。これからエネルギー政策のかじ取り、ぜひ本当に御努力いただくよう、よろしくお願いいたします。

 私は新潟二区で、地元が柏崎刈羽の原発があるわけでありますが、今大臣からお話がありました、規制委員会が安全確認をした後、その後、具体的に再稼働の手順というのは、今の段階ではなかなか難しいものであるかもしれませんが、これはどういうものかということが結構地元では議論になっております。

 この点について、今の段階でお答えになっていただける範囲で経済産業省の方からお話しいただければと思います。

高原政府参考人 お答え申します。

 原子力規制委員会によりまして安全性が確認をされた原発につきましては、立地自治体の皆様方への御説明など、関係者の方々の御理解と御協力を得るための取り組みにつきましては、経済産業省が中心となってしっかりと行っていきたいと思っております。

 なお、原発の安全性の判断につきましては、原子力規制委員会から説明が行われるものと承知をいたしております。

 以上でございます。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、立地自治体と経済産業省の方でコミュニケーションを密にしていただきたいというふうに考えております。

 ちなみに、多少御参考までに申し上げますと、昨年の秋に地元の柏崎市あるいは刈羽村、両方で首長選挙がございました。双方とも、いわゆる原発との共生、共存を訴えた候補が当選をしております。特に刈羽村、これはもう地元中の地元でございますが、原発との共生を訴えた候補が、ダブルスコアでいわゆる原発反対の候補に勝っております。

 そういう意味で、私といたしましては、いわゆる地元の政治的には、この問題というのは決着がついた問題であるというふうに考えておりますので、ぜひこの辺についても、大臣あるいは平政務官には御理解いただきたいというふうに思います。御参考までに。

 せっかくの機会でございますので、議題になっておりますエネルギー使用の合理化に関する法律についてお話をお伺いしたいと思いますが、この法律の改正についてどのような効果があると考えておられるのか、経済産業省の方から簡単に御説明ください。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 第一に、民生部門の対策でございますが、建築材料を省エネ法のトップランナー制度の対象に加えるということで、断熱材、窓を指定したいというふうに考えております。住宅のエネルギー消費の三割が冷暖房、三割が給湯、残りの四割が厨房、家電でございますけれども、断熱材や窓をより省エネ性能の高い製品にすれば、この六割を占める空調と給湯部分のかなりのエネルギー消費量の削減が可能だと考えております。

 第二に、電力ピーク対策でございますけれども、蓄電池を導入いたしますと努力目標がクリアしにくくなるという問題が発生をいたしております。工場などのエネルギー消費基準を定める際に、電気の需給環境を勘案して定めることができるようにしまして、努力目標の算出方法を変更することで、ピークシフトの円滑化に貢献していきたいとも考えております。

細田(健)委員 どうもありがとうございました。

 やや私が早口だったのか、どんどん時間が進んじゃいまして、時間が余りそうなんですが、今、トップランナー制度も含めて、基本的に、役所といいますか、私も役人出身ですが、法律をつくる、あるいは予算を獲得するということには一〇〇%、一二〇%努力は注ぎますが、その結果、成果、これによって統制がとれるような仕組みになかなかなっておりません。

 ですから、法律の改正はぜひ行っていただければと思いますが、具体的にどういう効果を目標としているのか、また、その目標はきちんと達成されたのか。これは、まさに役人のローテーションが二年でどんどんかわるものですから、ある政策の効果の検証というのは難しいですし、また、なかなか限界もあるんです。その点についても、ぜひ、大臣あるいは政務官の方からしっかりと御指導いただきますよう、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 相当時間が余りそうなんですが、最後に大臣にお願いがございます。私も経済産業省の役人の出身でございます。私自身は本当にできの悪い役人でございまして、当時、相当諸先輩から怒られた記憶があるんです。

 ただ、経済産業省というのは本当に懐の深い組織であるというふうに考えておりまして、私が入省した当時は、先輩にお言葉ですがと言えと。つまり、先輩にどんどん反論しろというふうに言われていまして、当然その言葉の裏には、やはりしっかりと勉強して、諸先輩に反論できるぐらいの知識を身につけた上で論争に挑めというような姿勢があったわけなんです。

 私、こういうことを言われたのは経済産業省とあと自由民主党だけでございまして、自由民主党もそういう姿勢が十分あると思うんです。その意味で、特に若い人が志を持って生き生きと働ける職場づくりに、ぜひ大臣、本当に頑張っていただきたいと思います。

 最近やや気になっておりますのは、どこの組織もそうかもしれませんが、やはり若い人が結構やめちゃうという話をよく聞きます。これは、経済産業省だけの問題ではなく、霞が関の問題、あるいは政治と行政の関係の問題等々あると思いますが、私の記憶でも、例えば大臣にちょっと若手のころ声をかけられただけでも本当に励みになりますし、またやる気も相当湧いてきたというような記憶がございます。

 いまだに、幸いなことに、経済産業省、志を持った若い人が集まってくる組織だと思いますが、こういう人が、経済産業省に入ってよかった、茂木大臣、平政務官の下で働けて本当によかったと思えるような職場づくりに向けてぜひ頑張っていただきたいと思います。

 この点について、大臣の御決意をぜひ披露していただきたいと思います。

茂木国務大臣 大臣に就任してちょうど三カ月になりますけれども、よく、大臣お言葉ですがと経産省の人間から言われております。

 年末、終わるときに省の幹部に訓示がありまして、私、十数年前に通産の政務次官を経験したのが、公職、最初なんですけれども、そのときに、当時の課長連中に、いや、うちの省は課長以下が動かしているんだから、次官や局長や長官と話しても何の意味もないですから、我々と議論しましょうと言われた。今、そう言っていた人たちが、一番前の列、局長とかで並んでいる。誰と話するかよく考えようという話をさせていただきました。

 それから、年が明けて、新年の訓示の中で、先生も城山三郎の「官僚たちの夏」、これに憧れて経産省に入ったという話でありますけれども、私もその話を引用させてもらって、当時、時代もよかった、そしてやはり官僚も、風越信吾を初め輝いていた、やはりもう一回ああいう時代を取り戻そう、こういう話をさせてもらいました。

 日本の戦後を考えると、一つは高度成長期、そこの中で新しい産業をつくっていかなきゃならない、こういう時代が、六〇年代、ありました。そして、七〇年代は、二度の石油ショック、このエネルギー危機を克服しなければいけない。八〇年代は、日本は成長してきました。そこの中で、日本バッシングが起こり、アメリカとの構造協議初め通商交渉、これが熾烈をきわめたわけであります。

 まさに今は、この三つが同時に来ている。民間の投資を喚起する成長戦略をつくっていく、同時に、新しい、震災以降のエネルギー制約をさまざまな形で克服していかなければいけない、そして、三番目には、エネルギーに対する危機、これを克服するという三つの課題を、六〇年代、七〇年代、八〇年代と一つ一つ乗り越えてきた課題が、今、目の前に、経済産業省の前にある、全員でしっかり当たっていこうという思いで仕事をさせていただきたいと思います。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 御健闘を期待しております。終わります。

富田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の新人、大阪五区選出の國重徹でございます。

 私は、これまで、弁護士として生活現場の最前線で働いてまいりました。きょうが初めての質問になります。どうかよろしくお願いいたします。

 本日は、いわゆる省エネ法改正についての質問となりますが、茂木大臣は、所信表明演説におかれまして、日本は、一九七〇年代に直面した二度の石油危機を契機に、世界に冠たる省エネ社会を構築した、今回の東日本大震災を契機とした新たなエネルギー制約にも果敢に立ち向かい、多様な供給体制とスマートな消費行動を持つエネルギー最先進国を新たに目指していきたいと述べられました。

 まさに、省エネ政策は、我が国のエネルギー政策の中でも最重要の一つであり、日本経済を牽引し得る成長産業であるというふうに思います。それとともに、省エネ政策は、緑豊かなこの地球を未来の世代に引き継いでいくという点においても極めて大切であると考えております。

 日本再建、そして未来の世代に対する責任を持つ青年議員として、本日は、以下、省エネ法改正について質問をさせていただきます。

 まず初めに、今回の省エネ法改正では、トップランナー制度の対象に、みずからエネルギーを消費しなくても、住宅、ビルや、ほかの機器等のエネルギーの消費効率の向上に資する製品が新たに追加されました。これにより、企業の技術革新が促され、性能の高い断熱材等の建築材料ができることが期待されます。

 ただ、先ほども質問の中にありましたように、重複しますけれども、実際に現場でその建材が使用されなければ、この分野の省エネは進みません。建材の性能の向上も大切ですけれども、より以上に大切なのは、それを使う人、消費者を中心とした考え方であるというふうに思います。環境性だけではなくて、経済性、快適性、利便性にもすぐれているものだからこそ、そして、その情報が国民の皆さんに広く提供されているからこそ、多くの皆さんの購買意欲が駆り立てられ、その製品を使うことになるのではないかというふうに思います。

 そこで、大臣にお伺いします。

 今回の法改正によって、トップランナー制度の対象となった省エネ建材を普及促進するに当たっての課題、いわゆる省エネバリアはどこにあると考えているのか、そして、それをいかに乗り越え、省エネ建材を普及促進していこうと考えているのか。私自身は、断熱材等の省エネ建材が現段階ではかなり値段が高額であることから、その普及促進に当たっては、何らかの予算措置を講じていくことが必要であるというふうに考えております。

 省エネ建材の普及促進に当たっての課題と対策について、大臣の見解と決意をお伺いします。

茂木国務大臣 繰り返しになりますけれども、これまで日本では、産業部門のエネルギーの使用量というのは減ってきている。しかし、運輸部門で一・九倍、特に住宅やビル、これが二・五倍ということで、やはり省エネの面で改善余地が大きいということから、法改正をさせていただいております。

 そして、トップランナー制度を導入するということでありますけれども、これは、まずは高い基準を設ける、そして、それをある程度長期の目標とすることによってイノベーションが起こりやすくする、さらには、最終的な基準というのをできるだけ消費者に近いところ、川下に置くことによりまして、川上から川下まで通したさまざまな改革、改善が進む、こういう制度でありまして、これまで家電製品そして自動車等々に導入して、大きな成果を上げてきたと考えております。

 そこの中で、実際に、消費者が、これは省エネ上いいものなんだと、非常に今の消費者もエコ感覚というか省エネ感覚を持っていますから、こういったものがきちんと表示をされることによって選べることが重要だと考えておりまして、家電製品等々につきましては、省エネ基準の達成率を星で一つから五つまで描きまして、きちんと明確にわかるようにしております。

 恐らく、断熱材であったりとか、そしてまた窓ガラスということになってきますと、二つ課題があります。

 その一つは、同じようにきちんと表示をする、これは法改正の後、審議会でもきちんと議論をさせていただいて、どういった形で実際に使う人にこれを周知するか、わかってもらうか、一番いい、わかりやすい方法というのを検討したいと思っております。

 同時に、断熱材にしても窓にしても、二重にしたりとか、その周りの素材をこれまでのものと違う新しい素材を使うということで、断熱効果は上がるんですけれどもコスト的に高くなってしまう、こういったところに対しましては、しっかり補助制度を入れるといった形で考えていきたいと思っております。

富田委員長 委員長の許可を得てから発言してください。

國重委員 失礼いたしました。(発言する者あり)先輩、ありがとうございます。

 今、補助制度を設けるとの力強い御答弁をいただきました。ありがとうございます。企業の皆さんも活気づき、消費者の皆さんも喜ばれることと思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 このたびの省エネ法改正では、全てのエネルギー使用者に対して、電力需要のピーク対策を講じることが求められています。東日本大震災を契機に、国民の皆さんの省エネ意識はこれまでに比べて高まったものの、私を含めて、いまだその意識は十分なものとは言えないと思いますし、また、国民の皆さんにとって、負担を覚える、ストレスを感じるような取り組みでは長続きしないというふうに思います。また、冷房の使用を抑えることが大きな課題とされる夏場においては、猛暑時に熱中症でお亡くなりになられた高齢者の方が多かったことに照らすと、健康面に配慮した対策も求められます。

 そこで、大臣にお伺いします。

 国民の皆さんが無理なく電力需要のピーク対策を続けていくに当たっての課題はどこにあると思われますか。

茂木国務大臣 これからの省エネというのは、我慢できる部分は我慢してもらうにしても、本当に痩せ我慢だけの省エネではなくて、賢く、スマートに、いかに需要をコントロールしていくか、こういうところにあると思っております。

 そういった意味で、蓄電池であったりとかエネルギーマネジメントシステムの活用ということで無理なくピークを削減する、こういったことが重要になってくる、こんなふうに考えておりまして、経済産業省としては、こういった蓄電池であったりとかエネルギーマネジメントシステムの導入の補助を実施しております。

 定置用リチウムイオン蓄電池導入促進対策事業については、これは補助率三分の一でありますが、既に平成二十三年度から二百十億円を計上して、平成二十五年度までの基金事業として実施をしております。平成二十三年度より累計で六千百件、三十六億円の申請、こういった形になっております。

 この蓄電池の市場というのはこれから相当伸びていくと考えておりまして、今、市場規模が大体一兆円、これはどちらかといいますと携帯とかノートパソコンに使う、恐らくこれがタブレットなんかにも広がっていくんでしょうけれども、この部分の市場の伸びというのはある程度限られていると思うんです。一方で、一つはやはり電力系統、それからもう一つは自動車、こういった部分で相当市場が拡大をする、恐らく二〇二〇年段階で二十兆円ぐらいの市場に拡大する、こういう予測もあります。

 そして、日本は非常に技術的に強いわけでありますから、ここの中での大きなシェアを日本がとっていく、そのためにも、非常にコストが問題になるんです。このコスト削減、これに対する支援策もとることにしておりまして、目標を決めまして、そこまできちんと下げてください、それに対する補助金を出します、目標が下げられたら、それは補助金ですからとっていただいて結構、目標が下げられなかったら一部返してもらいます、こういう制度できちんと進めていきたいと思っております。

 もちろんBEMS、HEMSを進めるということですけれども、これからはマンション、MEMSを進めることも極めて重要だ、こんなふうに考えておりまして、ここに対する支援策も導入をしていきたいと考えております。

國重委員 ありがとうございました。

 私が次に予定していた質問に関してもお答えいただきまして、ありがとうございます。

 今、御答弁いただきました蓄電池、またBEMS、HEMSというのは、今後の日本の省エネ産業を支える極めて重要なものであると思います。平成二十三年度の第三次補正予算でも一定の予算措置が講じられました。また、今大臣の方からも、今後もさまざまな補助事業をやっていくというような御答弁をいただきましたので、ぜひとも力強い後押しをよろしくお願いいたします。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 戸建て住宅の約四割を供給する中小の大工、工務店では、省エネ技術が十分に浸透しておらず、省エネ基準適合率は低いものだというふうに推測されます。ただ、やはり日本の中小企業の皆さん、やはりしっかりとここに力をつけてもらわなければ、日本経済の復権はないというふうに思っております。

 そこで、きょうは国土交通省からお越しいただいておりますので、中小の大工、工務店に対する省エネ技術の浸透に関する現在の措置及び今後の取り組みについてお伺いします。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅、建築物の省エネルギー対策の推進が重要な課題であるということは御指摘のとおりでございます。

 先ほども御答弁を申し上げましたけれども、経済産業省、環境省と共同で、低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議を設置いたしまして、二〇二〇年までに新築住宅・建築物の省エネルギー基準への適合義務化を段階的に図るべく、課題を整理して、具体的な工程表を公表しております。

 その中で、御指摘の、中小大工、工務店さんが供給をされております伝統的な木造住宅につきまして、例えば日射の遮蔽とか通風の確保による冷房エネルギーの削減であるとか、土壁の、躯体の蓄熱による暖房エネルギーの削減などを適正に評価できる省エネルギー性能の評価方法の開発も行っております。

 また、新たな工法や材料の開発、あるいは施工者の技能の習得、向上に努めてまいる所存でございますが、特に、今御指摘がございました、中小工務店、大工さんの技術向上につきましては、平成二十四年度から五年間で、大工さん約二十万人を対象にして、省エネルギー施工技術について講習を行うことにしております。既に、二十四年度におきましては、カリキュラムの策定、テキストの整備等を行った上で、一万人の講習を実施済みでございます。

 また、中小大工、工務店さんが施工されますゼロエネルギー住宅等の先進的な取り組みにつきましても補助制度を用意しておりまして、これらの大工、工務店さんの世界におきましても、木造住宅も含めた全ての住宅、建築物で省エネルギー基準に適合できるように環境整備を整えてまいる所存でございます。

國重委員 ありがとうございました。どうかよろしくお願いいたします。

 次に、先ほどちょっと御答弁の中に若干入ったかもしれませんけれども、新築建築物の現行の省エネ基準適合率は約七割、八割と高い一方、新築住宅については、二〇〇九年から一〇年にかけて住宅エコポイント制度により省エネ基準適合率が向上したものの、約五割と低い現状です。また、既存住宅については、現行の省エネ基準を満たす住宅の割合はわずか五%。

 このような中、政府は、本改正に合わせて、二〇二〇年までに全ての新築住宅・建築物について省エネ基準への適合を段階的に義務化する方針を表明しています。

 この省エネ基準の義務化に当たって、先ほども少しお話が出たかもしれませんけれども、伝統的な木造住宅、これが建てられなくなるんじゃないかというような懸念の声も聞きますけれども、この点についてはどのような配慮をされるのか、御見解をお伺いします。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 伝統的な木造住宅で現行の省エネ基準に適合させようと思いますと、例えば土壁には断熱材が相当の厚さでは入らないとか、そういう建材とか、あるいは新たな工法について工夫が必要だと思っております。

 今回の建材のトップランナー制度におきましては、そういう新しい、高機能で、なおかつコストも安い建材の開発が当然促されるものと考えておりまして、これらを活用しながら省エネ基準の適合率を上げていく必要があると思っておりますが、あわせて、そういう新しい建材でありますとか工法について、大工、工務店さんが正しく理解をいただいて、なおかつその施工に習熟をしていただく必要がございます。

 こういうことで、先ほども申し上げましたけれども、二十四年度から五年間かけまして二十万人の大工さんにそういう講習を受けていただくということで、製品の開発、建材の開発と施工方法の習熟、両方あわせて、私ども、これから努力をしてまいりたいと考えております。

國重委員 ありがとうございました。

 日本の省エネ技術というのは、世界最高水準にあると言われております。この技術が他国に追いつかれる前に新たな市場をつくり、海外でも広く展開する。世界的なエネルギー、環境問題の解決にも貢献するとともに、我が国の経済を牽引する成長産業とする。そのために、一定のバックアップ、必要な支援措置を政府も講じていくべきだというふうに考えておりますが、御見解をお伺いします。

平大臣政務官 委員にお答えを申し上げます。

 省エネ等の新たなエネルギー産業は、これから海外でも急速に市場が拡大する分野でございます。エネルギー制約をどう乗り越えていくかというのは、まさに世界共通の課題でもあります。この成長市場を、我が国の成長に取り込んでいくということが極めて重要であると考えております。

 このため、複数の機器や技術、サービスやインセンティブ措置を組み合わせたシステムとすることで付加価値を高め、競争に勝っていくといった視点が重要でございます。

 経済産業省といたしましては、まずは、我が国のトップランナー制度やエネルギー管理士制度等の政策の海外展開事業に加えまして、個別の省エネ技術やエネルギー制御技術を組み合わせたシステムの有効性、優位性を示す海外実証事業、これは平成二十五年度予算で二百五億円を計上しておりますが、こういった海外実証事業を行ってまいりたいと考えております。

 こうした取り組みにより、我が国のすぐれた政策、技術を一体としたシステムとして、今後急速に拡大が見込まれる海外市場の開拓を行ってまいりたいと考えております。

國重委員 最後に、茂木大臣の母校でもあるハーバード大学の著名な経済学者であるガルブレイス博士の言葉を引いて、私の初質問を終わらせていただきたいと思います。

 偉大なリーダーは皆、ある共通の特徴を持っている。それは、その時代の人々の大きな不安に進んで真っ向から立ち向かう気持ちである。ほかでもなく、これがリーダーシップの要点なのだ。

 私も、ここにいらっしゃる志の高い諸先輩の皆様と一緒になって、今の日本の難局に真っ向から立ち向かい、それを必ずや乗り越え、日本を再建する、そのために全力で努力し続けることをお誓いし、私の初質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律案、こちらの法律案は、前政権下で、枝野経産大臣のもとで検討し、国会に提出し、残念ながらさきの国会では廃案になった、こういうことでございますけれども、新政権におかれても、その内容を受けとめて提出された。我々は、日切れ扱いということで、若干そこの部分だけが変わっておりますけれども、基本的な内容は同じ法案を提出された、こういうことであります。よいものはよいということで受けとめて提出された新政権の度量に、まずは敬意を表したいと思います。

 この内容について、我々民主党としては、問題があるというわけではございません。ただ、ここでしっかり質疑をしなきゃいかぬなと思っておるのは、同じ法律であっても使う人によっては状況が変わってくる、こう思うわけであります。すばらしい包丁も、すばらしい料理人が使えばいい料理ができるわけですけれども、違う方が使えば凶器にもなる、こういうことでもございますから、その辺、使う方、政府の姿勢なり考えというのをやはりきちんとこの場で明らかにしていきたいと思うわけであります。

 まず、最初にお伺いしたいのですが、今回の法案は、石油ショックを受けて省エネ法というのが成立して、場合によっては我が国のエネルギーについて石油危機以上の大変なショック、大震災を受けての法律の改正でありますが、名称が変わったわけであります。これまでの一部を改正する法律案というものに対して、改正する等の法律案、この「等」というのが加わったわけであります。

 私は昔、かつて新聞記者を十一年ほどやっておりましたけれども、先輩記者から、役所用語の等には気をつけろ、この等にいろいろな意味があるから、最も肝の部分が隠されておるから、この等というところをしっかりチェックするのがまず大事だぞということで、霞が関取材の最初のころに教わった覚えがあります。

 まず、事務方に確認します。この「等」の意味を確認したいと思いますが、御答弁いただけますか。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 実は、これは「等」が二つ入っておりまして、一つが、一部を改正する等の法律の「等」でございます。この「等」の方は、省エネ・リサイクル支援法という法律の廃止が入っているので「等」が入っております。

 もう一点、この省エネ法自体は、エネルギーの使用の合理化に関する法律のところに、その名称が合理化等に関する法律というふうになっております。

 そちらについては、省エネ法五条で、委員御承知のとおり、経産省が工場などでの省エネ法の努力目標を定める際に、需給の見通し、技術水準、それから業種別の省エネの状況のみを勘案することとなっておりました。このため、工場などで蓄電池を導入し、電力ピークシフトを通じてエネルギー需給問題の解消に貢献してもこれが考慮されませんので、省エネ法の努力目標が達成しにくくなっていたという状況でございます。

 本改正では、この問題を解消するためにこの五条を改正しまして、努力目標を定める際に、需給を取り巻く環境も勘案して定めることといたしまして、経産省が努力目標の算出を見直すことができることといたしました。

 このために、法目的一条に、従来のエネルギーの使用の合理化、これは言ってみれば量の省エネということでございますけれども、これだけではなくて、電気の需要の平準化、すなわちいわゆるピークコントロールを新たに加えまして、エネルギーの使用の合理化と電気の需要の平準化を総合的に進めていくということで規定いたしました。

 このように、電気の需要の平準化を法目的に加えたために、題名をエネルギーの使用の合理化等に関する法律と、「等」を加えさせていただいたということでございます。

近藤(洋)委員 まさに、この法文の合理化等の「等」は、目的規定の電気の需要の平準化に関する所要の措置を云々という、ここの部分が法律の一条の目的規定に加わったということでありますが、非常に大きな「等」なわけであります。大きな目的が加わったということでありますから、一つの大きな大改正と言っても過言ではないと思うわけであります。

 今、部長からお話があったとおり、ここに電気の需要の平準化ということを一つ入れた。この震災を経験して、我々はまさにピークに対応する供給力を喪失したわけであります。計画停電等々のことを我々は旧政権下でやってきたわけであります。

 ことしも夏の需要期を迎えます。民主党政権下では、大震災の直後、計画停電を緊急避難的に実施いたしました。しかし、これの弊害というんでしょうか、混乱というのも踏まえて、その後は、旧政権下では計画停電は基本的に行わないという方針をとったわけであります。そして、そのことを踏まえて、大口需要家に関して、東京電力、東北電力の管内で電気事業法二十七条に基づく電気の使用制限を求めたのは御案内のとおりであります。その一方で、この冬は二十七条そのものの発動は回避をしたわけであります。

 こうした我々旧政権下の方針というのがあるわけでありますが、安倍政権は、計画停電は行わないという旧政権下の方針は引き継ぐのかどうか、お答えいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 よいことは引き継いでいきたい、そんなふうに思っております。

 そして、計画停電、三・一一直後の極めて緊急的な措置としておとりになられた。ただ、実際問題として、経済や国民生活にさまざまな混乱が生まれたというのも事実である、こんなふうに思っております。そして、夏を二回乗り越え、冬も二回乗り越える中で、かなり民間の企業、家計部門も協力をしていただきまして、需給の状況は随分改善されてきた、こんなふうに考えております。

 平成二十五年の夏をどうするかということでありますけれども、まずは、有識者で構成されます電力需給検証小委員会におきまして、節電の定着であったりとか発電所の状況などを踏まえた需給見通しを客観的に精査いたしまして、四月中をめどに取りまとめをいただく予定であります。その上で、電力需給の逼迫を回避するために、必要があれば、政府として、当然、適切な電力需給対策を行っていきたいと思っております。

 その際、計画停電であったりとか、電気事業法二十七条に基づきます電気の使用制限、これは国民生活や経済活動に甚大な影響を与えるものでありますから、極力避けたいと考えております。

近藤(洋)委員 まさに、計画停電というのは、あの当時、私は政府を離れて与党の幹事長室で総括副幹事長をやっておりましたけれども、大変なことでございました。混乱の中で、せざるを得ないということでありましたけれども、多くの国民の皆様方に御迷惑をかけたという経験もしたわけでございます。

 大臣がお話しされたように、基本的にこれは行わないという方針のもとで、さはさりながら、ブラックアウトしてしまったら、これまた違った意味で甚大な影響が出るわけでありますから、さまざまなシミュレーションは必要かと思いますが、基本的には計画停電は行わないということで考えていくという御方針、旧政権下の考え方は引き継がれるという御答弁だったと受けとめさせていただきます。

 また、あわせて、いわゆる電気事業法二十七条の発動について、こちらも回避する方向で考えていきたいという政府の方針を確認させていただきました。

 資料を配付させていただいておりますが、先ほど大臣が御答弁されたとおり、これは昨年の秋の需給検証委員会の予想値であります。ちょっと見にくうございますが、三つ目の右側の棒グラフ、そこに予備率五・四%という数字が出ております。昨年の秋段階では、オール電力で、ことしの夏は五・四%程度の予備率があるのではないかという一つの推計を立てているわけであります。

 ちょっとここは通告がなくて恐縮なんですが、長官がいらっしゃるので。去年の秋は、残念ながら、景気は非常に底状態であった。しかし、ことしの夏は、アベノミクスがうまくいけばですが、株価の上昇が民需に反映すればの前提でありますけれども、景気がよくなることも予想されるわけであります。この五・四%は少し縮まるのではないかと予想されますが、今の時点でエネ庁はどのように分析をされていますか。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 まさに、その点につきまして、ことしの夏の需給について、三月二十二日に第一回会合を開かせていただきました電力需給検証小委員会で議論をスタートいたしまして、次回、四月九日でございますけれども、需要面、供給面、それぞれにつきまして、電力会社からの報告徴収に基づいて、現在の状況を踏まえて、この夏、どういうふうに予想するのか、見込まれるのかということを、資料の提出をいただいた上で、この検証小委員会でしっかりと議論させていただきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 我々も需給のことを検証していた際に、旧政権下で議論になったのが、いわゆる埋蔵電源というものでございました。これについては、当時、私は政府そのものにはおりませんで、与党側でございましたが、政府内で、埋蔵電源が相当あるのではないかという御意見もございました。また、マスコミでは、相当あるとあおった報道もございました。

 しかし、埋蔵電源というものは、いわゆる自家発電源、ネットワークに接続されている自家発電源でありますけれども、当時の検証の結果でも余りなかったと思っております。

 現時点で、政府は、いわゆる埋蔵電源と称されるものについて、この夏の需給の検証にも使われると思いますけれども、大体どの程度あって、全体の発電量の何%程度だと認識されていますか。

高原政府参考人 お答え申します。

 まず、ことしの夏につきましては、いわゆる自家発の供給力につきましても、先ほど御答弁申し上げたとおり、有識者会合でございます需給検証小委員会におきまして検討を進めさせていただきたいと思っております。

 まず、その前に、昨年の結果を申し上げますと、昨年の五月に政府の需給検証委員会におきまして示されました、平成二十四年夏、昨年の夏の九電力の需給見通しにおきまして、自家発の発電設備の供給力、すなわち自家発のうち自家消費分を上回るものとして供給に回せる、電力会社へ売電するものでございますけれども、その供給力は三百一万キロワット、全供給力が一億七千三十二万キロワットというふうに考えておりましたので、一・八%でございました。

 実績でございますけれども、昨年の夏につきまして申し上げますと、自家発電設備供給力は三百十一万キロワット、そして全供給力が一億七千九十万キロワットでございましたので、やはり一・八%ということで、予想と実績はおおむね合っているというふうに考えております。

 以上でございます。

近藤(洋)委員 当時の議論を思い出しますと、数百万キロワットぐらいあるんじゃないかとか、相当いろいろな議論がありましたが、結果としては三百万、全体の一・八%にすぎない、こういうことであります。

 ここで、私が大臣にお伺いしたいのは、これだけの自家発があるんですが、そうはいっても一・八%、しかし、現実にこれを使うことができるかどうかという議論であります。自家発電で各社が持っている、いざというときに自分のためにとってある電気でありますから、それを何らかの手段で、これは全体のために出してくれ、拠出してくれということを要請しなければいけません。

 当時も、残念ながら、それを強制的に徴収する仕組みは存在しませんでした。埋蔵であって埋蔵でないといいましょうか、使えない。事実上どこまで使えるか、少なくとも政府としてきっちり把握できない状況でありました。我々は当時、あの非常時において、使えるものは全部使うということでチェックをいたしましたが、残念ながら、法的な手だては、そのことを想定しておりませんでしたので、なかったということであります。

 さて、新政権において、この自家発電力を事実上いざというときに使えるような法的な手だて、私は、一・八%とはいえ、何らかのものがあってもいいのではないかと考えますが、現在、どのようなお考えでしょうか。大臣、お答えください。

茂木国務大臣 極めて重要な御指摘だと思いますし、委員と私は認識を共有しているんじゃないかなと思っております。

 残念ながら、現行の電気事業法におきましては、経済産業大臣は、電気事業者に対しては発電を命令することができますが、御指摘の自家発を設置する者に対しては発電を命令することができない。

 一・八%というのは大きいと私は思います。これからさらにそういった自家発を設置するということになりますと、埋蔵という言葉を使われましたけれども、これを使わないことはない、こんなふうに思っておりまして、実は、今回の電力システム改革の中で、一定規模以上の自家発電設置者に対しては新たに届け出義務を課すとともに、電気事業者への供給命令で不十分な場合には国が発電を勧告できるような制度、こういったものも導入する方向で検討いたしております。

 そういった意味からも、電力システム改革をやることが極めて重要だと考えておりますので、よく御検討いただけると大変ありがたいと思います。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 電力システム改革については、またじっくり議論させていただきたい。ここの部分だけは重要でありますから。その後の話も含めて、じっくり議論させていただきたい、こう思うわけであります。

 いずれにしましても、この夏について対策を練らなきゃいかぬわけでありますけれども、さはさりながら、ここは先ほど大臣も御答弁をされましたが、我慢の節電はもう限界だということは認識が一致しているところではないかと思います。

 節電も、最初の年は、震災直後は、あれだけの震災でございましたから皆我慢をした、よく乗り切ったと私たちは思います。中小企業の現場も、暑い中、クーラーをとめて作業されたと思いますし、国民の皆様方もよくやられたと思います。しかし、二年目、三年目となってくると、もういいかげんにしろという話になるわけでありまして、ここはやはり我が国の空洞化というものにも相当拍車をかけるのであろうと思うわけであります。

 まさに、電気需要の平準化というものを政策のど真ん中に据えるべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 御指摘のように、電気需要、石油ショックのときは総量を減らす、こういうことをやりましたけれども、今回、総量を減らすことも重要ですが、いかに平準化をしていくか、ピークコントロールを進めるかということが重要だと考えております。

 これまで、企業等々で、操業を週末に移すであったりとか、操業時間を変えるということで相当対応はしてきてくれていますけれども、制度面で、きちんとこういったことについて、ピークコントロールがしやすいということをやっていくことは重要だ、そんなふうに考えております。

 ここで、ディマンドレスポンスという概念を導入して、まさにスマートにエネルギーマネジメントができるような環境をつくっていく。そのためにはやはり、いろいろな使用メニューがないとだめなんです。いろいろな料金メニューがあるということが極めて重要であります。

 例えば、あるカリフォルニアの電気会社では、夏のピーク時には、十五分間だけ、もし電力が足りなくなったらとめます、それによりましてお金、キャッシュを支払います、こういう契約をお客さんとの間で結ぶことができる。そして、夏に本当にそういう時間が来ちゃったら、エアコンがとまるんですよ。暑くなったなと思うと、十五分ですから、ぱっとまたつくということができるわけでありますけれども、そういった使用メニュー、料金メニューもあると思っております。

 また、日本でも、昨年、実証実験を全国四カ所でやらせてもらいました。北九州の事例、これは、夏のピーク時に、ふだんの時間帯、そして夜間の時間帯、こういったことで、電気料金をキロワット当たりで相当変えました。普通でいうと二十三円、これを十五円に落とす、夜間は六円に落とす、しかし、夏のピーク時には最大百五十円まで上げることができる、こういう新しい料金体系で実証実験を行いますと、実際に、電力の需要、消費が二割落ちるんです。そして、家計にとっても電力の料金が三割落ちる、こういう結果も出ておりまして、そういったこともきちんと進めていかなきゃならない。

 恐らく、発電部門に新しい参入がある、そしてまた、送配電部門をできるだけ中立化していく、最終的には、需要の部分、小売についても参入が自由になり、料金も自由になり、そこの中で省エネに資するようなさまざまなメニューが出てくる、こういったことが必要になってくる、まさにこれが電力システム改革なんですね。ぜひ、こういったことを進めていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 大臣がおっしゃったとおり、改正案の四条では、エネルギー使用者の努力、エネルギー使用者側に、電気の需要の平準化に資する措置を講ずるよう努めなければならないと。これは使用者側の努力。今お話をされたのは、供給側として。まさに、メニューの多様化というのは極めて大事だと私も思います。

 東京電力は、夜間電力の割引というものを全ての家庭について導入された。これまでは、ややもすると電力会社は、オール電化の契約をしているところは夜間は割り引きますよ、こういうことをやっていましたけれども、今回、東電は全ての家庭についてそういうものを入れるということをされた。

 今回、関西電力各社も、電気料金の値上げを申請しているところは、そうした夜間電力の引き下げを申請しているということでありますが、大臣、この話は何も発送電の分離とは直接関係ないと私は思っているんですよ。

 こんな電気料金の多様化なんというのは、私は電力システム改革の是非をこの場で議論しようとは思いませんが、電力システム改革の発送電の分離というのは、あれはたしか最終形は、小売の全ての自由化は六年後か七年後、そこまで待っていられないと思っているんです。今やれることはどんどんやられたらいいし、事実、東京電力はそのことをもう既に導入されている。

 私は、各電力会社に対して、夜間電力の引き下げであるとか、ほかにもいろいろあると思いますけれども、この多様化を、システム改革を待たずに、もうまさにことしから、来年からやりなさいということをさまざまな形で求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 委員御指摘のように、昨年の夏、東京電力、関西電力は、消費者のピークシフトを促す観点から、夏のピーク時間帯の料金を通常の二倍にするかわりに夜間料金を安くする、ピーク料金メニューを新たに既に導入いたしております。

 また、九州電力、東北電力、四国電力は、現在行われている電気料金の値上げ申請の際に、ことしの夏から同様の料金メニューを設定することを表明しておりまして、こういったことは私はやっていただければいいと思っております。

 ただ、申し上げたいのは、最終的には小売も全面自由化する、料金も自由化するという中で、新しいプレーヤーも出てくるんですよ。全く発想の違ったプレーヤーが出てくる。既存の電気会社じゃない、もっと新しいさまざまなメニューが出てくることを、消費者が選択できる、需要家が選択できる、そういう究極の姿を日本でもつくっていくことが必要なんじゃないかな、こんなふうに考えております。

近藤(洋)委員 新規参入が来て、いろいろなメニューが出ることは、私も否定はしません。

 ただ、申し上げたいのは、例えば中国電力であるとか中部電力とか、そういったところはまだやっていないわけですね。ですから、料金引き上げの申請と同時に各社はメニューをそろえているようですけれども、そうではなくて、全国的に夜間の引き下げというのはやるべきであるし、やはりそのことを経産省として急ぐべきではないかということを申し上げております。

 要は、平準化は待ったなしでありますから、このシステム改革のことを待たずに、やれるものはどんどんやられたらいいということを私は申し上げたいわけであります。

 その中で、もう一つ、スマートメーターについて伺いたいと思います。

 このスマートメーターも、我々も政権時代、大変重要なものだと認識をしておりました。大臣がおっしゃるエネルギーマネジメントの観点からも、この分野というのは極めて重要だと思います。

 しかし、残念ながら、このメーターの普及というのを電力会社に委ねているのが現状であります。既に、各戸への普及計画を、東電、関電、九電、一部は積極的に取り組んでいるようですが、まだまだ各社にばらばら感がございます。

 政府として、これを促すもう一段踏み込んだ措置がシステム改革論とはまた別に必要ではないかと思いますが、いかがですか。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御承知のとおり、スマートメーターは、電力使用料の見える化やきめ細かな時間帯別、季節別の電気料金メニューの設定を通じて、消費者の節電インセンティブを喚起し、節電、ピークカット、ピークシフトを可能とすることから、その普及は極めて重要であります。

 その際、スピード感を持って導入を進めることも重要であると思いますし、あわせて、多数の事業者が参入可能な透明性のある仕様づくりの両立が必要であると思います。

 今、御指摘がありましたが、経済産業省といたしましても、電気事業者や家電メーカー、メーター製造事業者などが一堂に会するスマートハウス標準化検討会を開催いたしまして、スマートメーターと住宅用のエネルギー管理システム、HEMSとの情報連携に必要なインターフェースの標準化を進めているところでございます。

 繰り返しになりますが、電力事業への参入の自由化や小売料金の全面自由化などを柱とした電力システム改革を通じて、新しい需給構造をつくっていくこともあわせて重要であると思っております。

 委員が今御指摘いただいた、東京電力の取り組み、また関西電力などの取り組みもございます。こういったことから、今後、スマートメーターの普及に向けた取り組みが加速化していくということを我々としては期待しているわけであります。

 電力システム改革のタイムスケジュールもありますので、そちらとの整合性も踏まえて、しっかり注視してまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 電気需要の平準化、いずれにしろ、これは政策のど真ん中に据えるべきだろう、こう思うわけであります。

 そして、あわせて、やはり省エネを進めること。とりわけ、これまでの質疑でも議論になっておりましたけれども、産業部門の省エネは相当程度進んでいるわけですけれども、いわゆる暮らしの部分の省エネというのはまだまだ伸び代がある、余地がある、こういうことであります。

 政務官にも来ていただいておりますけれども、昨年の七月に、「「低炭素社会に向けた住まいと住まい方」の推進方策について」これは旧政権下でまとめたわけでありますけれども、先ほど来も話になっておりました。

 省エネ住宅の普及に向けて、今回、トップランナー制度を導入したわけでありますけれども、それがさらに使われるように、国土交通省を中心に、経産省と一緒に議論しながら、住宅分野についての省エネ基準への適合義務化を二〇二〇年をめどにということを打ち出したわけであります。

 もう一度確認でありますが、大規模、中規模、小規模とそれぞれの工程表ができておりますけれども、新政権下においてもこの大まかな工程表のとおりに進められるということで、政務官、よろしいですね。

坂井大臣政務官 お答え申し上げます。

 今、委員が御指摘になりました図のとおり、今もその重要性を認識しておりますし、そのとおりに進めていくべく、課題などを記載いたしました具体的な工程表を公表したところでございまして、その中において、中小工務店、大工の技術力の向上や伝統的木造住宅への配慮などが課題であるということで指摘をさせていただきながら、また、細かな取り組みなども書かせていただいておりまして、進めてまいります。

近藤(洋)委員 中小の工務店対策なども並行しながらでありますけれども、これはある意味で建築基準法の大改正なんだろう、こう思います。ただ、欧米では既に適合義務化になっているわけであります。日本だけが若干おくれている、こういうこともありますから、ぜひ進めていただきたいと思います。

 あわせて、義務化されれば新築についてはサッシ、断熱材等々が採用される、こういうことになるわけですが、その前の段階として、私は、やはりもう一段の措置も必要ではないかと思うわけであります。

 そこで、政務官にお伺いしたいんですけれども、住宅エコポイントであります。

 エコポイントについては、そもそも、この考え方を発想されたのは前自民党政権、家電エコポイントでありました。家電エコポイントを前自民党政権で導入した。我々は、政権を預かって、それは引き継がせていただきました。エコポイントをさらに拡充いたしました。そこの考え方をさらに住宅にということで、住宅エコポイントを旧政権下で導入したわけであります。

 率直な話を言うと、家電エコポイントについてはなかなか評価が分かれるところであって、景気対策として一定の効果はあったと思う反面、今の電機各社の状況を見ると、需要をちょっと先食ってしまったなという反省点も正直ございます。ですから、家電エコポイントについての功罪というのは正直いろいろある、こう思っておりますが、住宅エコポイントは一定の効果があったのではないかと私は思います。

 そこでお伺いしたいんですけれども、住宅はことしは、地方の工務店の方々の話を聞くと、消費税増税を前に随分引き合いが出ているよという話は聞きます。ですから、私は、ことしは住宅市場は一定程度伸びるんじゃないかと思うわけでありますが、問題は消費税引き上げの後であります。

 その消費税引き上げの後の反動減の対策としても、あわせて、省エネ化を加速させるという観点からも、この住宅エコポイントをさらにグレードアップしてというか、検討されて活用するというのも一つの考えではないかと思いますが、政務官、いかがでしょうか。

坂井大臣政務官 お答え申し上げます。

 住宅エコポイントにつきましては、平成二十一年十二月から二回にわたり約三年間実施してまいりまして、その間、新築で九十九万戸、リフォームで七十八万戸、計百七十七万戸が御利用いただいたということでございまして、この導入をきっかけに、大体一〇%から二〇%程度で推移していた新築住宅に占める省エネ住宅の割合が平成二十三年度には約五〇%となるということで、これは住宅の省エネ化に効果があったと考えております。

 このエコポイントの制度が終わりまして、省エネ基準の義務化という大きな方向性がございますので、それに向けて、今、省エネ性能の向上が重要という観点から考えておりますのは、省エネ性能にすぐれた低炭素住宅や長期優良住宅に対する税制上の支援、それから住宅金融支援機構によるフラット35Sの金利引き下げ、中小工務店によるゼロエネルギー住宅の建設や、より進んだ技術のプロジェクトに対する支援、中小工務店、大工を対象とした省エネルギー施工技術についての講習といったところを検討させていただいております。

近藤(洋)委員 来年度以降の話ですから、ぜひ御検討いただければと思います。

 省エネの世界というのは、大臣も政策の御専門家であられますから釈迦に説法ですが、経済産業省だけでできる部分というのは限られておって、ありていに言うと、経産省と国交省がタッグを組んで進めれば相当なことができる、こう思うわけであります。

 そう言うと環境省の方がひがむかもしれませんが、環境省も入って構わないんですけれども、実施官庁とすると、国土交通省は住宅局が中心になる。まちづくりという意味では、都市局もあるかもしれません。経済産業省は資エネ庁。自動車、運輸関係でいえば、製造局と交通局でしょうか。大体、暮らしの省エネ、町の省エネ、輸送の省エネは、経産省と国交省が組めば相当なことができる。

 お役人というのはおもしろいもので、私どもも政府の経験をさせていただいて思うんですけれども、黙っているとお互い壁ができていますけれども、一緒にチームをつくってやろうと、プロジェクトチームを課長さんレベルで組んでしまう、そして、いついつまでに結論を出せという期日を出せば、かなり知恵を出していいものをつくる、それも、最初の段階から各省連携でチームを組むと非常にいい仕事ができるなと感じておるところであります。

 何を申し上げたいかというと、経済産業省のトップはここにいらっしゃる平政務官でも結構ですし、副大臣でも結構ですし、どなたでもいいです。ここのお二方、両政務官がトップでもいいですから、そのもとで、エネ庁長官、そして下は国土交通省総合政策局長でもいいでしょうし、住宅局長でもいいですけれども、形式はそう整えて、あとは課長さんたちで実質もう一回引き続きチームを組ませて、いついつまでに出せという取り組みをぜひ新政権においてもやられたらいいと思います。もう既にやられていたら結構ですけれども、大臣、国交大臣と協議をされたらいかがでしょうか。

茂木国務大臣 経済産業省と国土交通省を中心にしてこれから省エネを進めなきゃならない、極めて正しい御指摘だと思っております。

 先ほど申し上げたように、石油危機以降、産業部門のエネルギー使用は〇・九に下がっています。ところが、運輸部門は一・九に上がっている、そして住宅・ビル部門は二・五ということですから、まさに経済産業省、国土交通省がかかわる分野でありまして、タッグを組んでしっかり仕事をしていかなければいけない。

 先ほどの、住宅・建築物分野の省エネ法上の基準につきましては、既に国土交通省と経産省で合同の審議会をつくって議論を進めているところであります。経産省でいいますと総合資源エネルギー調査会、そして国交省でいいますと社会資本整備審議会、これで合同で議論を進めております。

 また、省エネ基準の適合の義務化の話、先ほど国交省の政務官の方から答弁がありましたが、これにつきましても、国土交通省、経済産業省、さらには環境省の三省を入れまして、低炭素社会に向けた住まいと住まい方推進会議におきまして議論を進めて方向性を出しているということでありまして、率直に申し上げまして、いい議論が進んでいると思います。さらにハイレベルでこれを加速する必要がある場合には、御提言も踏まえて検討させていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 あえて言うと、経済産業省は、よしにつけあしにつけ領空侵犯が好きな役所だと、霞が関の定説になっておるわけであります。これが各省の警戒心をあおっておりました。最近は特に厚生労働省あたりからも非常に警戒心があるわけですが、その辺は各省に根強くあるわけであって、残念ながらそこは経産省もやや反省しなきゃいかぬところがあるんでしょうけれども、それは志を持って領空侵犯をやっているんだから、私はいいことだと思うんです。

 そうではなくて、最初の段階から組むということであれば、霞が関の活用という意味も含めて重要でしょうし、そういうことの延長線の中で、局長級の人事交流というのも将来的には行われるだろう。我々の政権下ではなかなかそこが最終的にできませんでしたが、ぜひお取り組みをと思うわけであります。

 伺っていると、思いは大体一緒なのでありますが、しかし、ちょっとどうしてもやはり大臣に伺いたいことがございます。

 これだけ、省エネ、平準化、同じ認識をお持ちであります。そういう中で、我々は、旧政権下では、さはさりながら、原発がどう動くとかというのとは関係なく省エネを進めなければいけないという問題意識のもとで、一つの目標値を立ててまいりました。

 配付資料をおめくりいただければと思います。まず、三枚目で、ちょっと見にくいですが、現行のエネルギー基本計画では、左側の棒グラフですけれども、一次エネルギー供給を約一三%下げるという省エネの目標を立てました。これは震災前であります。

 前のページに戻りますが、震災を受けて、ゼロシナリオ、一五シナリオ、二〇―二五シナリオというのは原子力発電の比率でありますけれども、エネルギー・環境戦略会議において、我々は、省エネルギーについて、ゼロシナリオの場合は二二%の省エネ、二五シナリオの場合は一九%の省エネ、いずれにしろ二割弱の省エネが必要であると、原発の比率とは関係なく出しているわけであります。

 少なくともこういった目標を我々は示した上で、この省エネ法改正に踏み出して、かつ、省エネだけでは大変だから、平準化もど真ん中に置いての取り組みを示してきたわけであります。

 このエネ環会議のトータルを、新政権においてゼロから見直すと総理も大臣も御発言された。もちろんそれは否定はいたしません。どうぞ見直されたらいいと思います。しかし、見直すのは結構でありますが、省エネの長い意味での目標値というのはやはりやらなければいけないし、やるべきであります。

 もっと言うと、大臣の御発言からも出ているように、それをてこに一つの新産業を起こしていこうじゃないかという問題意識もある。我々も同様でありました。この省エネを一つの新産業として起こして、メーターであるとか住宅であるとか、そこで雇用をつくるというシナリオをつくってきたわけであります。

 我々は、二〇%という目標、あるべき姿を掲げてきたわけでありますけれども、この省エネ法を国会で新政権において改めて出されているのであれば、長期的な省エネ目標というのはやはり出すべきであるし、出さないのであれば、基本的にこの数値を継承するとおっしゃるか、どちらかだと私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 分野によって、ある程度市場が見通せて数字が固まる分野もありますし、そうでない分野というのも出てくるんだと思います。

 例えば、目標を示すことそのものについて全く否定するわけではありませんけれども、ゼロシナリオ、一五シナリオ、二〇から二五シナリオ、それによって省エネが変わってくるというのが私はよくわからないんですね。やはり、どんな原発の依存度であっても、省エネというのは徹底的にやるものだと思うんですよ。原発が動くから省エネはやらなくていい、こういう問題じゃないと思うんですね。そういう疑問が出てきちゃう。

 さらに申し上げると、ゼロシナリオ、一五シナリオ、二五シナリオと三つのシナリオが出てくると、数字的に裏打ちされた、根拠のあるのはどれなんですか。この三つの中から目をつぶって選んでくださいという話にはならないんですよ。ですから、我々は、もう一回この部分について基本的にゼロベースで見直そう、こういう話をさせていただいております。

 もちろん、この省エネ、新しく進める、今まで以上の取り組みをしていく、こういった中で、ある程度の見通しをつけていきたい、そんなふうに思っておりますけれども、今やれること、委員がおっしゃるように、電力会社でも夜間のメニューであったりとか新しいことができます。

 ただ、同時に、今度は新しい小売が入ってくる、発電にも新しい人たちが入ってくる。基本的に小売は空売りはできませんから、その発電のある程度の部分を買わなくちゃいけないんですね。勝手に契約したけれども電気は行かなかったというわけにいきませんから。そうなると、送配電部門が中立化していなかったら、なかなかそういうことができてこないんですよ。そういうトータルの改革の中で、システム改革もやり、省エネもやるということを我々としては進めていきたいと思っております。

 そして、ある程度改革の道筋が見えてきましたら、省エネは例えば二〇二〇年にはここまでいくね、こういう数字はお示しをしたいと思います。

近藤(洋)委員 大臣、半分理解できるけれども、やはり半分理解できないんですね。

 大臣は、これまでの御答弁でも、あるべき姿を成長戦略で、世の中の姿はこうあるべきだというのを示すことが大事だと答弁されています。全くそうだと思います。こういう世の中になる、まさに省エネの世界というのはあるべき社会像なんですよ。

 あるべき社会像の目標というのは、それは、違っているといっても、ほとんど変わりはございませんよ。三・〇億キロリットルから三億一千万キロリットルで、別にそれほど大きな差があるわけではありませんよ。これで示しているのは、原発がどうであれ、省エネの水準はそう変わらないということを申し上げたいわけです。

 我々は省エネの世界を出してきているわけであって、例えばHEMSだBEMSだ、先ほどの御答弁にあった蓄電池が相当な市場をとる、全くそう思います。ですから、そこは全く同じなわけですよ。HEMSも広げよう、BEMSも広げようとおっしゃっているわけですから。

 省エネ社会をつくるというのは、私は一定の数値というのは政治の意思だと思いますし、それを年末まで引き延ばす必要は全くない。むしろ、六月に成長戦略をまとめるとおっしゃるならば、そのときまでに、少なくとも、そのあるべき社会像ということの中で、こういう省エネ社会というのを示すべきではないか。

 示さなければ、どうも後ずさりしているんじゃないか、原発再稼働にこの政権は前向きだから省エネはどうでもいいんじゃないか、逆にそう思われかねませんから、出す必要があると思いますけれども、いかがですか。もう一度御答弁ください。

茂木国務大臣 明確な社会像というのは出したいと思います。そして、ある程度の根拠を持って、入れられる数字というのは入れたいと思います。ただ、全く根拠なしに、さいころを振るように、数字だけ仮置きをするということにどこまでの意味があるのかというと、そこの部分は若干違うのではないかなと思っております。

 レンジで出す部分はあるかもしれませんけれども、出せる、出しておかしくない、それが高い目標であるけれども達成できる目標であると確信したときには必ず出させていただきます。

近藤(洋)委員 時間ですのでやめますが、私はやはり、法案を提出するのであればそうしたものを出すべきであるし、それがない限りは今後の省エネに対する意欲というものが疑われるということを申し上げて、とりあえず、きょうのところの審議は終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤でございます。

 大臣、どうぞよろしくお願いします。

 まず、ちょっと法案に入る前に、幾つかの確認を大臣にさせていただきたいのでございます。

 一点目は、三月二十一日の最高裁判決で、いわゆる神奈川県の企業税について無効判決が出ました。この神奈川県の企業税は、地方分権、地方主権の時代に鳴り物入りでスタートしましたけれども、結局は、自動車企業の提訴、最高裁で無効という形で、企業税の収入以上に企業にお返しをしたということであります。

 今の地方主権、地方分権という流れと、この企業税が最高裁で無効になったということについて、地方主権と産業振興という二つの立場から、大臣はどのような御感想を持っているのか、まず確認をさせていただきたいと思います。

茂木国務大臣 最高裁の判決そのものにつきましては、私がコメントする立場にはございません。

 その上で、一般論として申し上げますと、地方公共団体が、みずからの判断と責任において課税自主権を活用して、それにより財源確保を図ること自体は地方分権の趣旨にかなうものであります。ただ、その際には、経済活動への影響であったりとか負担の公平性、これを十分見きわめることが重要だ、こんなふうに考えております。

後藤(斎)委員 その上で、実は幾つか、若干趣旨は違う部分もありますけれども、核燃料税であるとか、環境未来税であるとか、あとは遊漁税、経産省とは所管が別としても、いろいろな独自課税の手法があります。

 ですから、今大臣が御指摘されたように、最高裁の判決がどうこうということじゃなくて、これから自主的にそれぞれの地方自治体が創意工夫をしてやる以上、やはり経産大臣というお立場よりも国務大臣として、政府としても、地方主権、地方分権の流れと産業振興の視点というものを、今ある地方税法も含めて、やり方をきちっと議論して、国内でもそうですけれども、税の負担を軽減したいということで海外から企業誘致、企業立地を促進するという手法は、今まで少なくともいろいろな自治体でやってまいりました。

 それでプラスになるところについては、企業の負担能力に応じてプラスにするということはある意味では当たり前のような感じもするんですが、国の法律に定めているルールを超えているということが多分根っこにあって、こういう判決が出たのではないかと推測はします。

 ぜひ、そういう視点でのいろいろな検討を総務省とも、ちょっと関係省庁でそういうものを立ち上げて少し整理していただきたいと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

茂木国務大臣 先ほども申し上げたように、地方の課税自主権、さらに今後、地方分権を進めていくという中で裁量を持って進めていく、それがまた地方の経済にとってプラスの影響を与えるということは基本的にはいい。ただ一方で、課税の公平性という観点からどうですか。そういったことも総合的に判断する問題だとは思っておりますが、総務省を含め、関係省庁とも今後協議をしていきたいと思っております。

後藤(斎)委員 では、ぜひ関係省庁と連携しながら、少なくとも検討はしていただきたいというふうに思います。

 次なんですが、平成二十二年に、排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する基本計画というものが閣議決定されました。その中で、特定離島港湾施設の整備に関する内容ということで、南鳥島と沖ノ鳥島が明示されています。平成二十五年ですから、もうすぐだと思いますけれども、国交省の方では、まず沖ノ鳥島に港を七百五十億円かけてつくるということが確定しているようであります。

 その中で、当然のことながら、海洋エネルギー・鉱物資源開発計画、平成二十一年三月にその前提となるものをおつくりになっているというふうに思います。沖ノ鳥島については、国交省は基本計画に基づいて整備を進めたいということでありますけれども、経産省の方はそれに対してネガティブだというふうな報道を先週拝見しました。文科省は、沖ノ鳥島は本土から往復五日もかかるので、ベース基地があれば資源探査も含めて非常に対応がしやすいというふうなコメントをおっしゃっているようですが、経済的、商業ベースから考えれば沖ノ鳥島じゃないよなというふうな御発言を経産省はされているようであります。

 沖ノ鳥島の港湾整備に関して、つくる以上は経産省もやはり初めから関与して、七百五十億円という巨額な投資をしていくわけですから、当然、領土を含めた安全保障の問題もあるものの、商業ベース、それから海底資源に関して、大臣は、報道を拝見する限り、非常に御熱心にやられているというふうなことをお聞きしています。

 国交省と連携して港湾の整備を、いずれ海底資源の商業化ということも見据えて対応していくべきだというふうに考えますけれども、大臣、どのようにお考えになられますか。

茂木国務大臣 報道の詳細は承知しておりませんが、ネガティブということはありません。ただ、優先順位はあります。それからスケジュール感もあります。

 もし事実関係等々について細かくということでしたら、事務方から答弁させていただきます。

後藤(斎)委員 では、事務方から答弁してください。

茂木国務大臣 事務方がいないようでありますから。

 国交省の沖ノ鳥島におきます港湾施設を建設する予定、これは承知をいたしております。

 経産省といたしましては、これまで沖ノ鳥島周辺海域においてJOGMECによります資源調査を実施してきておりまして、これまで調査を行ってきた南鳥島海域のコバルトリッチクラストと同様の鉱物が存在することを確認、認識いたしております。

 現時点におきましては、よりポテンシャルが高い南鳥島の調査を優先して行っておりますが、今後、沖ノ鳥島海域の調査でさらにデータが得られれば、それらも加味して資源ポテンシャルを再評価したい、このように考えております。

 このため、沖ノ鳥島において建設が予定されている港湾についても、当省の資源調査、開発事業の中で将来利用する可能性があると認識しておりまして、当然、国交省とも、優先順位が若干違っている部分があるとしましたら、スケジュール感、調整をさせていただきたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣のお気持ち、先ほどもお話をしたように、大臣が海底資源のポテンシャルを引き出していきたい、私も同じ気持ちでありますし、そうしてほしいと思います。

 ただ、七百五十億、二十五年からスタートして、工事を開始するということであります。資源探査船や実用化を見据えたブースの深さや岸壁の長さみたいなものを含めて設計を今やっているわけですから、それに経産省としてもコミットというか要望というか、言葉はどちらでもいいんですけれども、やはりきちっと連携して、いいものをつくり上げて、大臣がおっしゃるように、スケジュール感が若干違うにしても、それが有効に使われるということでないと、国交省が違う思惑でつくるということではおかしな方向に行ってしまうと思うので、その点については、国交大臣ともきちっと連携してやっていただきたいと思います。

 簡単で結構ですから、ぜひ、その点について御見解をお伺いしたいというふうに思います。

茂木国務大臣 大きな認識について違いはないと思っております。しっかり連携をしたいと思います。

後藤(斎)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 もう一点なんですが、中小企業金融円滑化法が今月中に終了するというふうなことになります。先週二十二日に、政府の中でも、その後をどうするかということでまとまった整理をされて、拝見させていただきました。

 総合的な対策ということで、非常に正しい部分もあるんですが、やはり、この間の中小企業金融円滑化法ができた経緯を考えれば、本当にこれだけで足りるのかなと実は不安視する向きもありますし、私も、後ほどちょっと指摘をさせてもらいますが、そう思っています。

 この中小企業金融円滑化法が終わった後、経産省、政府全体として、どのような取り組みや対策を講じながら、たくさんの中小企業の倒産が出ないような措置をしていくのか。まず、その点について大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

茂木国務大臣 この中小企業円滑化法、これまでに三十万社の中小企業、小規模事業者が利用してきた、中小企業の資金繰りの下支えで大きな役割を演じてきたと思っております。

 今月末で円滑化法が期限切れを迎えるということでありまして、これを見据えて、経産省におきましては、三月六日に、私を本部長として、日本政策金融公庫総裁、そして全国信用保証協会連合会会長と関係機関の代表者を構成員といたします中小企業・小規模事業者経営改善支援対策本部を省内に設置いたしました。同本部におきまして、年度末及び年度明け以降の資金繰り支援を万全なものとするため、関係機関によります事業規模十兆円超の資金供給を速やかに実施すること等々を決定させていただいたところであります。

 具体的に申し上げますと、信用保証協会によります五兆円規模の借りかえ保証を行っていきます。また、日本公庫や商工中金によります五兆円規模の経営支援型のセーフティーネット貸し付けを行っていきます。こういったことによりまして、中小企業、小規模事業者の資金繰り支援を行いたい、こんなふうに考えております。

 三十万社が利用したという話を申し上げましたけれども、委員も御案内のとおり、この三十万社の中では、事業再編が必要だと言われている中小企業が五万社から六万社に上ります。ある程度、規模とかタイプによって支援の仕方が違ってくるのではないかな、こんなふうに考えております。

 全体のセーフティーネット貸し付けとか保証につきましては今お話し申し上げましたけれども、売り上げが、例えば二十億円を超える、ある程度大きなところに対しましては、地域経済活性化支援機構による支援を行っていきたい。

 それから、売り上げが三億円から二十億円程度の企業につきましては、再生支援協議会によります支援を考えております。年間、恐らく数千社が支援の対象になるということで、補正予算で四十一億円を計上いたしております。

 さらにそれよりも規模が小さいところにつきましては、認定支援機関によります経営改善計画策定支援ということでありまして、二万社程度を対象にしまして、総額三百万円までの費用の三分の二を補助するということで、補正予算に四百五億円を計上いたしております。恐らくこの部分が一番大切になってくる、そんなふうに思っておりまして、単に円滑化法によってそのまま資金をつないでいくのではなくて、事業計画も変える、こういったことを支援していくということがやはり重要なのではないかな、こんなふうに思っております。

後藤(斎)委員 年度末、年末になると、個別の企業は資金繰りにいろいろ難しい面があるというのは、この円滑化法が終了するしないを問わずあるというふうに思います。あわせて、ことしは補正予算を非常に大きな金額で対応したということもあって、大臣の御地元もそうだと思いますし、地方出身の議員の地元というのは、公共事業、土木事業にかなり依存しているところも地域経済ではたくさんあります。

 そういう中で、総論では確かに、事業計画の支援をするとか、セーフティーネットを張りめぐらすといいというふうに言われていますけれども、実際、例えば補正予算を通じて公共事業を発注して、落札してとった、でも運転資金が不十分で、これはまた国交省にも来ていただいてお話をしますけれども、やはり、前渡金も含めて、例えば資材調達にそれが使えないという現実があるわけですよ。

 この数年間、公共事業全体が非常に苦しい時代。私の承知している企業でも、二倍、三倍に頑張って売り上げを伸ばした。でも、実は、企業の融資枠というのがこの年度末に来ても全く変わらない。むしろ仕事が集中して、資材の手当てというものをすぐしなければいけないのに、従来の融資枠を超えるものはなかなか融資ができないというのが現状だと思うんです。多分、大臣にもそういう声が届いていると思います。

 そういう個別の部分をどういうふうにするかということで、金融庁も、貸し付け条件の変更や円滑な資金供給に努めます、促しますというふうに言ったり、借り手の立場に立って提案し、十分な時間をかけて実行支援します、紙ではこう書いて、大臣が言ったように、保証協会や政府系の機関の長の皆さんにいろいろ言っても、それが現場の融資を一義的に判断する担当者にきちっと伝わっていなければ、紙に書いた字だけだと思うんです。

 ですから、その点をどう徹底するかということ。個別の事例をちょっと今お話ししましたが、現場は、そういうふうに苦しんでいる会社が実はたくさんあると思います。まして、この円滑化法が年度内に終了するということで、もっとブレーキをかけることがあったら、何のための金融緩和なのか。資金需要があっても借りられないということが、事業体質をまたいろいろな形で転換しなきゃいけないということがあっても、ある意味で、現実の部分でやはり運転資金も含めてなければ、実際に契約したけれども資材が買えないというような状況があってはいけないというふうに思うんです。

 その点について、大臣、どういうふうにお考えになられますか。

茂木国務大臣 金融庁のことまで私が答えていいのかどうかというのはありますけれども、今回、監督指針等々も変えさせていただくことによって、実質的には、円滑化法の時代と変わらない運用ができるような形をとっていくということにいたしました。

 ただ、それはあくまでそういう指針の話でありまして、それが現場まで徹底しなければいけないということで、先日、麻生金融大臣と私の方で、各金融機関それぞれ、地銀、第二地銀、そして信組、信金も含めて、また政府系も含めてその趣旨を徹底する、特に支店まで、本店でとまってもだめだ、支店まできちんと徹底するようにということでおろさせていただいております。

 そのことを、この後、金融庁も、どこまでそういったことが現場におりて、現場のニーズに合ったような運用になっているかどうか、確認してくれると思っております。

後藤(斎)委員 今、大臣がお触れいただいたように、現場の融資を一義的に判断する担当者のところまで、大臣や金融担当大臣や、特に政府系ですけれども、それぞれの金融関係の長の皆さんと同じような気持ちで個別企業の融資の判断をするということがなければ、僕も経産委員会で何度か委員や理事をさせてもらっていますけれども、いつも年度末や年末というのは同じような議論をさせてもらっているんです。金融庁の部分でも、中小企業版の検査マニュアルをつくったからうまくいっているよというふうに四、五年前も言いました。でも、なかなか実態がそうならなかったのは、多分、大臣が一番おわかりになっていると思うんです。

 ですから、大臣同士はもちろんですが、それをきちっと各金融機関の融資担当の現場の皆さん方にも同じような気持ちで、そのときに足らざるものは、セーフティーネットや信用保証の枠の部分もいろいろ対応は政府として当然しているわけですから、きちっと現場に行くようにしてもらいたいんです。

 ぜひもう一度、その点について、簡単で結構ですから、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 麻生大臣と私で、そういった金融機関の代表に集まってもらってお話をしまして、そのときに明確に申し上げました。恐らく、金融大臣、経済産業大臣がそろって、必ず支店までおろせと言ったのは初めてだと私は思います。私も金融担当大臣をやってまいりましたけれども、これまでになかったことだと思いますから、そういった指令がきちんと行き渡るかどうか、金融庁の方でフォローしてもらいたいと思っております。

後藤(斎)委員 それでは、省エネに入ります。

 先ほど近藤議員との議論も聞いておりましたけれども、大臣の省エネに対する意欲が低いか高いかというよりも、省エネ法の改正ですから、いつも私は思っているんですが、大臣のせんだっての発言を報道で拝見しておりますと、年内にはエネルギー基本計画の見直しをするというふうなことをおっしゃっております。

 省エネというのがそのうちのどの程度か、先ほど近藤議員からもお話があった部分なんですが、どの程度というものをある程度、確実に数字にできるかどうかは別としても、やはりそういうものも念頭に置きながら、予算の執行や、民間企業も含めたトップランナーみたいなものをどう育てるかということがあると思うんです。

 大臣は、エネルギー全体に占める省エネというものを、どの程度であれば一番ベストだというふうに現時点でお考えになっていますか。

茂木国務大臣 まず、基本認識として、石油危機のときは、総使用量を落とすという概念でした。それが今回は、総使用量を落とすこともありますけれども、それ以上に、いかにピークをコントロールするかということによりまして、単に総使用量でいいます省エネ以上に、ピーク時にどこまでコントロールできているか、こういったことが極めて重要だ、こんなふうに考えております。

 昨年の夏で申し上げますと、震災前に比べまして、ピーク需要で一〇%程度の削減が行われております。ちなみに、電力の使用量全体でいいますと六%の削減ということですから、総使用量以上にピークコントロールというのは強く行われているという形になってくるのではないかなと思っておりまして、こういったことをさらに進めていきたい。

 一〇%は出ているわけでありますけれども、それをさらにどう進めていくかということで、一つは、今回の省エネ法の改正等によりまして、住宅、ビルの断熱性能を向上していくということ。これは先ほども申し上げましたが、石油ショック後、産業部門は使用量が〇・九になりました。それに対して、運輸部門は一・九まで上がってきております。住宅・ビル部門が二・五という中で、例えば住宅でいいますと、家電製品を使ったりとか、冷蔵庫を使ったり、割合は三割です。残りの七割は冷暖房、給湯で占めるという形でありまして、まさに壁の断熱性能を上げる、お風呂にあります窓であったりとか、そういうものの断熱性能を上げていくということは、七割の部分をカバーするということで、極めて大きな効果を持っていくのではないか。

 ここで二割稼げるということになりますと、一五%ぐらいの省エネというのは出てくるのではないかなと思っております。こういった数字をきちんと詰めていく必要があるんだろうと思っております。

 同時に、スマートメーターを導入する。HEMS、BEMS、そしてMEMS、マンション、それからCEMS、コミュニティー、こういったことも含めたエネルギー需給の管理を行っていく。蓄電池、自家発の導入等々でどこまで伸びるか、こういったことも数字を積み上げていきたいと思っております。

 さらには、産業界は落ちていると言っておりますけれども、それでも、例えば古い工場の設備等々を新しい省エネ型の設備に置きかえるということになりますと、相当これは競争力という意味からも大切でありますけれども、省エネという意味からも、一説では、物にもよりますけれども、三割ぐらいの省エネになる設備もあるようでありますから、そういったものの導入促進のための補助措置も、平成二十四年度の補正では二千億とらせていただいております。そういったこともしっかり進めていきたいと思っております。

後藤(斎)委員 今、大臣は最後の方で、財政上の措置というものや新たな施策もやっているというお話で、使用合理化法の八十二条に財政上の措置というのがあります。

 補正でとったもの以外に、恒常的に、エネルギー使用合理化補助金というのを過去十五年やって、多分これが根幹で今まで省エネ普及というものをやってきたというふうに承知しています。平成十年から二十五年、これは予算はまだ成立しておりませんけれども、十五年間累積すると三千百三十八億円という予算を計上しながらこの事業をやってまいりました。

 省エネ効果が高いもの、先端性があるもの、そして費用対効果が見込めるものという視点は間違っていませんし、私はこれは非常に重要だとも思っているんです。思っていますが、では、全体として十五年やってきて、年度の予算の、若干高いときはあるものの、およそ年間で、初めは少なかったですけれども、この四、五年は三百億くらいで推移をしています。

 こういうふうなものをもっと積極的にやって、大臣がおっしゃられた三割、四割というものも先端性のある技術の部分でありますから、加速をする部分できちっとこういう補助金も、私は補助金が全て悪いとは思っていませんし、事業者が特に使えるということでプラスもあるなというふうに思っていますので、この効果の検証と、この核であります合理化補助金について、きちっとこれからもベースを守っていただきたいと思うんです。その点について、大臣、いかがお考えでしょうか。

佐藤(ゆ)大臣政務官 後藤委員にお答え申し上げます。

 委員御指摘のエネルギー使用合理化事業者支援補助金、いわゆる省エネ補助金でございますけれども、省エネルギーを最大限に進めていくために重要な補助制度であるというふうに認識いたしております。

 平成二十五年度、来年度予算におきましては三百十億円を計上いたしておりまして、通常の省エネルギー効果の高い設備へ更新する場合は設備導入に要する費用の三分の一の補助、そして、複数の工場、事業者間において共同して省エネルギー事業を行う場合、廃熱の融通ですとか、そういう場合には二分の一の助成を行うことといたしております。

 当省といたしましては、平成二十五年度予算は二十四年度比でも増額をいたしておりまして、申請のある案件につきまして十分に対応可能な予算規模を確保しているとの認識でございます。

 今後とも、省エネ法に加えまして、こうした助成制度をフルに活用いたしまして、事業者の省エネルギーへの取り組みをきっちりと支援してまいりたいと存じます。

後藤(斎)委員 大臣、二月十八日の産業競争力会議での、多様な供給体制とスマートな消費行動を持つエネルギー最先端国へのアクションプランというのを拝見させてもらいました。

 その中で、去年から、ちょっとスタートが七月におくれましたけれども、再生エネルギーの固定買い取りがスタートし、二年前、いろいろな混乱の中でつくり上げたのをよく記憶しておるんですが、なかなかやはりソーラー以外が進まない。ソーラーも、今、送電線に近くて適地の部分はどんどんメガも含めて加速的にやっているのはいいことだとも思うんですが、ほかが、地熱にしても風力にしても小水力にしても、なかなか進まないと思うんです。

 昨年、私たちが政権のときに決めさせていただいた、全体の規制をどうするかというふうなものもありますけれども、ソーラーだけが突出していくというのは非常に、ここにも最大限導入ということをお書きになっていますが、やはり導入拡大のための規制制度の改革というものがベースにないと進んでいかない、あと、また来年に至っても同じようなものだと思うんです。

 導入実績は後でちょっと時間があったら聞きますけれども、まず規制の問題について、大臣、どのようにお考えになりますか。

茂木国務大臣 それぞれの再生可能エネルギーによりまして、規制の問題というのは違ってくる部分も、風力、地熱でいいますと環境の問題等々も出てくるわけでありまして、政府を挙げて、必要な規制の改革というのは再生可能エネルギーを最大限導入していくためにも必要だ、そんなふうに思っています。

 恐らく、規制の問題が一つあるんです。それからもう一つは、やはりコストの問題があります。ですから、固定価格買い取り制度、こういったものを導入して、今、継続してございます。

 ただ、これは電気料金にもはね返るということになりますから、やはり、適正なコスト、コスト削減が図られたら、それはきちんと見直すという形で進めていかなければいけないと思っております。

 それから、再生可能エネルギーの場合は、関連した設備投資等々が必要になってまいります。

 例えば、日本でも風力発電の適地というのは限られているということですけれども、再生可能エネルギーが進んでいるドイツなんかで申し上げると、基本的に風力ができるのは北部なんですよ、昔でいうとプロイセンの地域ですね。それに対して、結局、電力を使うのは南部のバイエルンなんですよ。だから、そこに送電網というものを引いてこなきゃならない。恐らく、日本でも同じようなことが起こってくるんだと思います。

 そして同時に、再生可能エネルギー、特に太陽光であったりとか風力は天候に影響されます。風が吹くか吹かないか、太陽が照るか照らないか、これによって影響されて、かなり電源としての変動が大きい。これを平準化していく、安定化していく、こういった意味からも、蓄電池をしっかりと進めていかなければいけないんじゃないかなと思っています。

 恐らく、電力分野を含めた蓄電池は大きな市場になっていくんだと思うんです。今が大体一兆円の市場、これが携帯であったりとかパソコンに使われておりますけれども、タブレットに応用する部分の小型というのはそれほど伸びませんけれども、電力、自動車に使う大型の蓄電池は市場が相当伸びていく。しかも、日本が世界的にもすぐれた技術を持っているところでありますから、しっかりこの部分は進めていかなければいけないと思っておりまして、規制の問題、それからコストの問題、附属するさまざまな設備投資の問題は一気通貫で進めていかなければいけない、こんなふうに考えております。

後藤(斎)委員 その中で、特にソーラー発電の部分で、農地法の問題をどうするかというのも大きな課題だというふうに思っています。

 きょう、稲津政務官に農水省から来ていただいていますが、去年の四月三日に、エネルギー分野における規制・制度改革に関する方針ということで、今年度中に、優良農地の確保に支障が生じないことを前提として、農地制度における取り扱いの明確化をするというふうなことを、年度末ですから、もうあと数日でお決めになるということが決められているんです。

 この現状と、今、新しいソーラーの仕組みで、地面というか土地にべたべた張るんじゃなくて、いわゆる一本足打法みたいな形で、このマイクの上のところに、下では耕作ができて、上に回転式のソーラーという、もう新しい機種の開発が進んでいます。例えば、そういうときに、農地法の規制というのはどういうふうになるのか。あわせて、稲津政務官、教えていただけますか。

稲津大臣政務官 お答えさせていただきます。

 農地における再生可能エネルギー設備の設置規制について、今委員からお話のありましたとおり、昨年四月三日の閣議決定におきまして、再生可能エネルギーの設備の設置に関しては、農地制度における取り扱いを明確にするとされておりまして、農村地域における再生可能エネルギーの推進という観点とあわせて、優良農地をいかにして確保していくのか、この双方に配慮しつつ、これまでも、この閣議決定を踏まえて、今年度内に何ができるのかということを検討させていただいてきたところでございます。

 そういう状況の中で、今後、農山漁村における再生可能エネルギーの導入促進、このことについて与党においてもまた改めて議論されるということでございまして、このことも含めて、農地における取り扱いも議論していきたい、このように考えております。

 それから、今委員のお話がございました、一本足の組み立ての太陽光パネルの話でございますけれども、再生可能エネルギーの設備の中でも、近年、農地に支柱を建てて、上部空間に太陽光パネルを設置する、これで農地で営農が継続できるということで、これが開発されてまいりました。したがいまして、このようなタイプのものについても農地制度上の取り扱いを明確にすることが必要でございまして、現在検討しているところでございます。

 いずれにしても、こうしたことから、再生可能エネルギーの推進は重要な課題である、このように認識しておりまして、今後もこの取り扱いを検討していきたいと考えております。

 以上でございます。

後藤(斎)委員 稲津政務官、これは年度末に一応やるということを合意して、政権がかわったからそれがほごにされているかどうかは別としても、この問題の取り扱いで、特に、水田や畑を使ったソーラーの推進となると、やはりブレーキがかかったりアクセルが踏まれたりということで、御案内のとおり、実は非常に現場は混乱しているんですね。

 ですから、ぜひ早急に、数カ月待たずに、年度内ということで一回決めたわけですから、事務方も督促して、どういうふうにこの一本足打法を含めてするのか、一度結論を得ていただきたいんですが、もう一度それだけ確認させてください。

稲津大臣政務官 先ほども御答弁をさせていただきましたけれども、今、こうしたものが開発されておりまして、これをいかにして、どのように農地制度上の取り扱いを明確にするかということでございますので、精力的に検討させていただきたい、このように思っております。

後藤(斎)委員 ぜひよろしくお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 先日、大臣所信の質問で、一つ質問できなかった点について最初にお伺いしたいと思いますけれども、円安の問題です。これは、エネルギーの問題にも関連するということで、冒頭お伺いをしたいと思います。

 アベノミクスの第一の矢で金融緩和が大胆に行われまして、ここのところ円安傾向が続いて、きょうも一ドル九十四円台ということで、デフレから脱却するという期待感で株価も上がって、いろいろいいムードになっているというふうにちまたでは言われております。

 相場ですから、今後のことは何とも言えませんけれども、新総裁も、金融緩和の量的緩和については前倒しにやることも検討するということで、非常に積極的な姿勢を見せておられますし、機関投資家の方にもいろいろお話を聞きます。GPIFなんかも、報道によりますと、運用手法を非常に多様にしていって、リスクテークをしていくということで、株式市場だけではなくて外物についても運用を始めるということだと思います。また、日本の生保さんなんかの運用担当者とお話をしていても、やはりアロケーションを少しそちらの方にふやしていこうというような動きがあるやに聞いておりまして、そういう観点でいうと、今後、円安傾向が続く可能性はまず高いんだろうなという前提で物を考えていかなきゃいけないと思っているんですね。

 一方、原油価格も高どまりしています。シェールガスの影響で上値を抑えられる、その可能性はあると思います。今、アメリカの景気回復、あるいはヨーロッパは少し混乱していますけれども、全体的には底打ちをしている感じがあります。中国の経済も、一時期ちょっと危ぶまれていましたけれども、徐々に電気消費量なんかも上がっています。そういうことを考えますと、今後も原油価格なんかは高どまりしつつあるだろうということが予想されるわけですね。

 実は、私の選挙区は岐阜四区というところでありまして、愛知県の一・二倍もある非常に大きい選挙区なんですが、下は愛知県と接していまして、北は富山県と接しています。当然、南側のところは自動車産業関連の中小企業とかが非常に多いので、そういうところの企業の皆さんにお話を聞きますと、割と顔が緩んでいるというか、商売も広がってきたよというような感じで喜んでおられます。

 ところが、中山間地に行きますと、全く様相が違います。大体週末二、三回ぐらいずつミニ集会をやって、いろいろな方にお伺いしますけれども、当たり前の話ですけれども、地方にはこういうものはタイムラグを置いてやってくるということがあって、一年から二年と言われていますが、今のところ、円安による効果、あるいは株高による効果を地方の人たちは全く実感できていないわけですね。

 むしろ、これから電気料金が上がります。小麦の料金も上がります。一番の打撃はガソリンです。こういうものが上がっていくので、給料が上がらない中で、そういうものの負担がふえて困るねという方もいますし、年金で暮らしていらっしゃる方にとってみれば、今後年金もマクロスライドでいずれ上がっていくのかもしれませんけれども、でも、当面は上がらないということになると、負担ばかりがふえて、アベノミクスって本当に私たちにとっていいのという声が本当に多いんですね。

 ですから、これはある意味、地域間でこういう格差が起きているという問題も、時間差の問題もあるのかもしれませんけれども、現実に私はこういうことを体感しているんですけれども、こういう点について、大臣はどういうふうにお考えになるでしょうか。

茂木国務大臣 安倍政権が発足してちょうど三カ月ということでありまして、一部に景気について明るい兆しが見えてきているのは間違いないと思いますけれども、それが全部の地方まで、そして小規模企業まで行き渡っているかというと、まさにこれからそういったことをしっかりやっていかなければいけない、そんなふうに思っております。

 一本目の矢、明確な物価目標を定め、そして、そのもとで大胆な金融緩和を行うことによりデフレから脱却していく。そこの中で、結果的に株価というのは間違いなく上がってきています。

 昨年の十一月十六日、衆議院が解散になりましたが、あれから基調としては上がってきておりまして、四割以上、これによりまして株価が上昇、これは一部の方じゃなくて、恐らく極端なポートフォリオを組んでいない方はほとんど株価の上昇について裨益しているんではないかな、こんなふうに私は地方も含めて感じております。これは、年金の運用にとってもいい効果というのは生まれてくるんではないかな、そんなふうに思います。

 そしてそれが、若干のタイムラグを含めて、日本の輸出基幹産業の競争力の強化、それが関連産業にさまざまな形でしみ出していく。そして、そこから所得がふえ、そしてそれが消費につながる、こういういい循環をつくっていきたいと思っております。

 一方で、石油製品の価格につきましては、確かに十数カ月連続で、ガソリン、そしてまた灯油、さらには軽油が値上がりをしてきました。これは、一つには、やはり委員御指摘の国際原油価格、これがずっと上昇してきたというのがあるんだと思いますけれども、ここに来まして、原油価格そのものは、高どまりというか若干足元では下がってきているということがございます。

 そして、これは為替レートによっても当然違ってくるわけでありますけれども、国内の石油製品、ガソリン、それから軽油につきましては二週連続の値下げ、そして灯油につきましては三週連続の値下がりということになっておりまして、ある程度足元は落ちついてきているんではないかなと思っておりますが、当然、今後の石油製品、動向については注視をしていきたい。それも地域ごとの動向、特に離島であったりとか、そういったところの動向も含めて、きちんと今後も注視をしていきたいと思っております。

今井委員 今、株価の影響を裨益しているとおっしゃいましたけれども、地方で株を保有している人なんてそんなにいないんですよ、現実問題。それは都市部の方の誤解であって、そこはぜひ認識を改めていただきたいと思います。

 株価が上がることで、例えば金融機関の貸し出し余力ができるというふうに言われますけれども、例えば信金、信組、第二地銀、こういうところを見ますと、これは預貸率が五割を切っちゃっていますから、それ自体が問題なんですけれども、どこにお金が回っているかというと国債なんですね。株をどれぐらい保有しているかというと、余り保有していませんから、信金、信組は株価が上がったってそんなに貸し出し余力ができるわけじゃありませんので、本当に過疎地のところにはこの影響が出てこないということは、ぜひ御認識をいただきたいと思います。

 その上で、一つちょっとお伺いしたいんですけれども、いわゆる暫定税率の件です。

 平成二十年にガソリン国会があって大もめしまして、消費者、あるいはガソリンメーカーに非常に大きな影響を与えましたけれども、平成二十二年に、民主党政権で租税特別措置法を改正して、期限を定めずに、当分の間、特例として、一リットル当たり五十三円八十銭にするという、これは、当時、私も民主党におりましたので、非常に筋の悪い、暫定税率をなくせと言いながら、それを恒久にしてしまおうという、あってはならないことをやってしまって、党の中にいながら、これはちょっといかぬだろうと思っておったわけであります。そのときも、一つの問題点としては、では、値段が上がったときはどうするんだというところで、トリガー条項を入れましょうというので、三カ月、平均で百六十円を超えたら、そこを措置しましょうというのを入れたわけですね。

 ところが、平成二十三年の四月、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律というところで、この適用は当分停止しましょうということで、結局は、価格が上がったときの対応ということ自体も、もうなくなってしまったわけです。

 私は、一つ、問題意識を持っているのは、今回、保有に関する税を今後検討していこうということが行われているようでありますが、使用に関する税で、このガソリン税というのは、もう一回考え直さなきゃいけないと思っているんですね。

 というのは、私自身が、東京と地方、両方に住んでいますけれども、東京は電車でとにかく事が済むわけです。和光から横浜まですうっと一本で行けるようになるとか、どんどん進化して、飲みに行ったって、十二時半に終電があって帰れるわけですね。しかし、地方はそういうわけにいかないわけです。ですから、一家に二台、三台、車が必ずある。東京の場合は、平均〇・五台ぐらいの保有率ということで、私自身は、これはある意味、地方と都市部の格差につながる問題だと思っています。しかも、今度、消費税が引き上がっていくと、またタックス・オン・タックスの問題が出てくるわけですね。

 ですから、もともと民主党は暫定税率を引き下げるという主張をしていたと思いますけれども、消費税が上がる前に、もう一度このガソリン税のあり方についてぜひ議論する必要があるんじゃないか。そうしないと、ますます地方と都市部の格差というのが、今後、ガソリンの値段が上がっていくに当たってふえていって、地方の負担がふえるというふうに考えておるんです。

 これは、財務省の所管だと思いますが、経産大臣として、この点についてどういうふうにお考えか、御所見をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 答弁させていただく前に、先ほどの株価の上昇の件でありますけれども、全員が当然株を持っているわけではありません。そして、今、金融資産、御案内のとおり、八十五歳以上の比較的年齢の高い方を中心に保有されている。当然、東京と地方によりまして、金融資産の持ち方というのも違っていると思います。

 ただ、バブルの時代のように、一億人がみんな、やれNTT株だとか、そういうふうな形にはなっておりませんけれども、今、結構、実態を見ていただきますと、お年寄りの方も単純な定期預金だけしていません。金融信託とか株式に連動した投資信託とか、そういうものを金融機関の方でも勧めて、そういった形で持っております。

 恐らく、そういった意味では、どこまでというのはなかなかつかみ切れない部分はありますけれども、プラスに出ている面というのは、私は、全く否定するというのは少し違うのではないかな、こんなふうに思っております。

 そこで、ガソリン税等の石油関係諸税につきましては、昨年の八月に成立をしました税制抜本改革法案におきまして、「個別間接税を含む価格に消費税が課されることが国際的に共通する原則であることを踏まえ、国及び地方の財政状況、課税対象となる品目をめぐる環境の変化、国民生活への影響等を勘案しつつ、引き続き検討する。」こういったことになっております。

 ただ、石油業界にとっても、それからまた、地方のドライバーだけではありませんけれども、こういった消費者にとっても、このタックス・オン・タックスの問題が過大な負担になっていないか、こういったことに対する検証というものは必要だと私は考えております。

今井委員 全くないというのはちょっと私も言い過ぎましたけれども、ミニ集会とかやっている中で、現実、ほとんどの方がやはりそういう投信とかいう形でも持っていないんです、お伺いしても。という実態があって、たまたま私のミニ集会に来られる方が持っていないのかもしれませんし、それはわからないんですけれども、そういうこともよく考えて、また調べていただきたいというふうに思います。

 今のタックス・オン・タックスの問題、きょうはここで終わりますけれども、今後、本当に消費税が八パー、一〇パーに上がっていくんですから、これは非常に重要な問題ですので、ぜひ今後も議論させていただきたいというふうに思います。

 それでは、法案の方に移りたいと思いますけれども、きょう国交省さんに来ていただいていますので、まずお伺いしたいと思います。

 先ほど國重議員の指摘もありましたけれども、ここまでの取り組みで、新築の建築物に比べて、新築の住宅の省エネ基準適合率が低いというような御指摘がありましたけれども、これは何が原因であったかということについて御所見をいただきたいと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘がありましたとおり、大規模な非住宅の建築物につきましては既に現行の省エネ基準適合率が約九割となっておりますが、住宅につきましては、住宅エコポイント制度で相当上がってまいりましたが、まだやっと適合率が五割になった程度と推計をしております。

 住宅が伸び悩んでいる理由でございますけれども、一つは、省エネ基準に適合するためには、高性能な断熱材、あるいは高性能な窓を利用することが必要であるということで、追加的なコスト負担が生じること、それから、住宅供給の主な担い手である中小工務店に、省エネの設計、施工に関する技術、知識等が必ずしも十分に浸透していないことがあるのではないかと推測をしております。

今井委員 問題点はよくわかりました。

 その問題点を踏まえて、恐らく、先ほどお話のあったとおり、平成二十四年から、二十万人の大工ですか、省エネの研修というようなことも始めておられるということでありますので、それはそれで評価したいと思います。

 先ほど何人かの議員も御指摘されておられましたが、これは消費者の立場で少し今後やはり考えなきゃいけないなということを思っております。二〇二〇年までに全ての新築住宅・建築物について省エネ基準の適合を段階的に義務化して、また、その工程表をこれからつくっていくというお話がありました。

 先ほど近藤議員からも、住宅エコポイントとか、そういういろいろな支援策をするべきじゃないかという御指摘もありましたけれども、私自身も実は同じ問題意識であります。義務化をしていくのはいいんですが、二〇二〇年というと、あと八年先です。これもくどいようですけれども、消費税が今よりも五%上がっているかもしれないという中で、よく言われているとおり、住宅というのは一生の買い物でありまして、母数も大きいですから、消費税の金額も当然大きくなるわけでありまして、今、なかなかやはり高くて住宅が買えないなんという方もいらっしゃるわけですね。

 こういう省エネの基準を守れということで、省エネに対するいろいろな性能の機器の価格が下がっていなかったときには、消費者にそのまま負担がかかって、なかなか購入しにくくなるというようなことも想定されないわけではありませんので、これは御質問というかお願いというか、両方なんですけれども、そういう点は本当にしっかり配慮をしていただきたいというふうに思っているんです。

 その点についての御所見をいただきたいと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 省エネ基準適合の義務化につきましては、ただいま御指摘をいただきましたとおり、国民や事業者の方々の過大な負担を強いることがあってはならないと考えております。

 まず、先ほど、適合率が伸び悩んでいる一つの理由として建材等の価格の問題を申し上げましたけれども、これにつきましては、現在御審議を賜っておりますトップランナー制度等で、高機能な建材あるいは部材等がより安く提供されるということが実現できるのではないかと思っております。

 それから、施工の点につきましては、先ほど委員も御指摘になりましたけれども、二十四年度から施工体制の強化ということで講習等を行っております。

 建材等の低価格化と施工体制の強化ということをあわせて、国民あるいは事業者の方々に過大な負担を強いることなく、省エネ基準の適合義務化に進んでまいりたいと考えております。

新原政府参考人 御指摘のとおりでございます。

 それで、今回の効果といたしましては、断熱材と窓をこのトップランナーの対象にさせていただくと、エネルギー消費の六割を占める部分について十分に建材が普及すれば、最大二割程度住宅のエネルギー消費が削減できるというふうに思っております。

 そのためには、質のよい建材をいかに価格的にも安定的に供給させていただくかということでございまして、これは先ほどの橋本審議官とも議論をした上で、今回の法案を提出させていただいて、とにかくイノベーションを起こして供給体制を確立したい、その準備をさせていただきたいと思っておるわけでございます。

 それからもう一点、価格に直接的に助成ができるように、来年度予算案で新規予算を計上させていただきました。これは、高性能な断熱材とか窓を導入する場合、三分の一の補助をさせていただくことにしております。在来、家丸ごと省エネという場合には最大三分の二の補助をさせていただいたわけですが、それに加えて今のような支援策をつくりまして、来年度予算に百十億円で対策費を計上しております。

 今のトップランナー制度とこの補助相まって、建材の普及と工務店の住宅施工能力の向上ということに努力してまいりたいと思っております。

今井委員 どうもありがとうございます。

 これはお願いですので、そういう取り組みを含めて、消費者に影響のないような対策をこれからとっていっていただきたいというふうに思います。

 次に、大臣にお伺いしたいんですが、今回の改正に合わせて省エネ・リサイクル法を廃止にするということであります。

 この総括ということをレクでお伺いしたところ、こういう融資制度、保証制度ではなくて、いろいろな助成制度、補助金制度が充実したことによって、そちらの方の活用がなかったので廃止するということでありましたから、そこはそれで理解するとして、この省エネ・リサイクル法の平成十五年の改正のときに、一つの目的として、海外において我が国の事業者が行うエネルギー起源の二酸化炭素の排出を抑制する事業を助成していくという項目が入っているんです。

 これは、実は地球温暖化対策も含めてなんですけれども、日本だけの省エネではなくて、やはり、海外で日本が省エネに、あるいはCO2の削減に貢献していくということは、日本にとっては非常に重要なことだと思っていますので、このことに関しては、この法律を廃止するにかかわらず、日本としていろいろな取り組みをしていかなきゃいけないというふうに思っているんですけれども、この点についての大臣の御見解をいただきたいというふうに思います。

茂木国務大臣 全くおっしゃるとおりだと思っております。

 省エネの問題であったり、そしてCO2の削減の問題、日本一国だけではなくて世界全体で取り組んでいく、そこの中で日本のすぐれた技術が生かせることによって、世界全体としてCO2が削減できる、極めて大きなことだと思っておりまして、経済産業省といたしましては、特に新興国でのCO2排出削減を進めるべく、二国間のオフセットクレジット制度、こういったものに今取り組んでおります。

 この制度は、日本の低炭素技術や製品の移転、普及によりまして、相手国でのCO2の削減分を日本の貢献分とする仕組みでありまして、これは新興国の経済成長と環境対策の両立に貢献をすると同時に、我が国のすぐれた低炭素技術、そしてまた製品の海外展開、こういったことでも大きな役割を持つと思っております。既に、平成二十四年度に二十五億円を計上いたしまして、モンゴル、バングラデシュ、インドネシア、ベトナムなどの現地におきまして、この制度を活用した我が国の技術の移転、普及、それによりますCO2の削減の可能性などを調査いたしております。

 このうち、モンゴルにつきましては本年の一月八日、またバングラデシュにつきましては三月十九日に、この制度の導入について合意がなされたところでありまして、関係省庁とも連携をとって、これは国内での制度が切れるから云々ではなくて、しっかり国際展開していきたいと思っております。

今井委員 ありがとうございました。

 この二国間のオフセットクレジット制度、非常に重要だと思っていますので、頑張っていただいて、もっと予算をとってどんどん推進していただきたいというふうに思います。

 それでは、ちょっと技術的なことを一つお伺いしたいんですけれども、今回、特定熱損失防止建築材料、あるいは政令で決める関係機器の特定関係機器などを指定するということであります。

 実は、私が今取り組んでいるのは、木材をできる限りいろいろなものに使うということで、前の政権のときには公共建築物に木材を使うというようなことを推進する法律もつくりました。例えば、余り今まだ普及していないんですけれども、木質の、木材のサッシとか、こういうのがありまして、非常に形はいいんですよ。見ばえも非常によくて、木造住宅には本当にぴったりな、すばらしい製品だと思っているんですけれども、こういう類いのものも、これは日本の一つの伝統だと思っているんですが、こういう材というものも、今回の対象になり得るということでよろしいんでしょうか。

新原政府参考人 お答えをいたします。

 今回の、御指摘の建築材料のところでは、窓と断熱材を指定することを想定しているわけでございますが、余り知られておりませんが、実は木材というのは非常に断熱性能の高い材料でございます。したがいまして、こういう木材を活用していくことによって、住宅、ビルの省エネが進むことが期待されます。

 したがいまして、御指摘の木製サッシについても、これは窓の一部でございますので、対象とさせていただきたいというふうに考えております。

今井委員 ありがとうございました。

 木材の利用というのは、本当に地方にとっては非常に重要な問題でありますし、先ほども申し上げたとおり、非常に見ばえがいいというか、すばらしいデザインになりますので、ぜひこういうものの推進にもお力をかしていただきたいというふうに思います。

 もう時間がありませんので、ちょっといろいろありましたが、最後、大臣にお伺いしたいと思います。

 先ほどからちょっとお話が出ていますとおり、ピークカットにはやはりHEMS、それからBEMS、EMSに加えて、蓄電池の普及が重要で、二〇二〇年には二十兆円規模になるんではないかというふうにおっしゃられています。

 私もそうだと思いますけれども、この蓄電池の技術は、先ほども指摘がありましたとおり、再生可能エネルギーのエネルギーの調整にも非常に重要でありまして、これが一番の軸というか、キーだと思っております。ここのコストが下がらない限り、再生可能エネルギーというのは広がっていかないんだと思うんですね。

 今後、エネルギー基本計画を年内につくるとおっしゃっています。それから、原発を十年かけてどうするかというのが議論されるというふうに伺っていますが、安倍総理は本会議の中でも脱原発依存ということは明確におっしゃっているわけでありまして、だから、それはある意味、予算あるいは政策でその姿勢を示す必要があると思うんですね。

 ですから、やはりこの蓄電池とか再生可能エネルギー、ほかのエネルギーをどれだけコストを安くできるかというところに、どれだけ予算をつけて、どれだけ政策の光を当てるかというところが全体の方向を示すことにつながると思いますから、その点についてもっと重点化していくべきじゃないかと私は思っているんですけれども、最後に大臣のお考えをお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

茂木国務大臣 蓄電池の技術、日本は非常に進んでおります。そして、この市場がこれから電力系統、自動車等々で大きく広がっていく、そこの中で日本がトップシェアをとっていくためにも、やはりコストなんですね。今の四万円を二万三千円ぐらいに下げていかなくちゃならない。このために、国の助成制度も含めて、重点的に支援をしていきたいと思っております。

今井委員 ぜひ、もっとアクセルを踏んで頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

富田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律案に関連いたしまして、質問をさせていただきたいと思います。

 その前に、一つだけちょっと質問させていただきたいことがございます。十八日の福島第一原発の停電のお話を一つだけさせていただきたいんです。

 十八日に停電が起こりまして、二十日に内容が大体わかってきて、昨日、原因がネズミだということが判明したというふうな話があったんです。東電の方で調べられて、最初は配電盤の下をあけてみてわからなかったのが、後で上をあけてみたら、中にネズミの死骸が入っていた。消防署の人が立ち会っていたというふうなお話だったんですけれども、そこの調査に関して、政府としては、立ち会いもしくは確認というふうなことはされたのかなと思いまして、質問させていただきたいと思います。

茂木国務大臣 政府全体でそれについて何らかの対応をしたか。これは事実関係でありますから、委員、事前に御通告をいただいておりましたら、確認した上で御答弁させていただきたかったんですが。

木下委員 大変申しわけございません。一つだけあれだったんですけれども。

 今、原発関連の話というのは、三月十一日のあの話から、どうしても国民の皆さんは、何かやはり隠しているんじゃないかとか、そういうふうな疑いが相当大きいと思うんですね。

 そういうのを考えていくと、東電に全部を任せていくんじゃなくて、政府がしっかりと確認して、国民に対して、これこれこういうふうな原因であったということは確証を持って言うのがやはり国民の安心というものにつながりますし、その後のこと、これからのエネルギー政策を考えていったときにも、原発問題は必ずと言っていいほど議論されると思いますので、しっかりと確認していただきたい。

 具体的に言いますと、例えば、ネズミをとってきて、わかるかどうかはわからないですけれども、解剖もしくはそういうふうな検証を政府主導でやっていくとかという形で、全てのものを東電に任せるんじゃなくて、政府がしっかりと介入して見ていくということが必要なんじゃないかなと思いましたので、ちょっと時間をかりまして、大変申しわけございませんが、質問させていただきました。

茂木国務大臣 今回の事件につきましては、当日、当然、東電の方から原子力規制委員会の方に連絡も入っております。

 そして、その後、復旧に向けた東電の取り組み、我々も、逐一連絡を受けながら、必要な指示を出しております。

 原因の究明の段階で、ネズミの話がありましたけれども、それについて質問通告を受けておりませんでしたので、そういう答弁をいたしましたが、全体のプロセス、一刻も早く電源を復旧したいということで、政府を挙げて取り組んできたつもりでおります。

木下委員 ありがとうございます。これからもぜひよろしくお願いいたします。

 本題の方に入らせていただきます。

 まず最初に、トップランナー制度といったところなんですけれども、これは、いろいろな品目を目標を定めて、しかも、単年度で目標を定めるんじゃなくて、年限をある程度幅をきかせた状態で目標を定めて、実際の効果を出していく、その中で、企業に競争原理をしっかりと根づかせて、技術革新をさせていくという部分では、非常に、今まで普通にある法案に比べて実効性の高い、いい法案だなというふうに私は思っております。

 その中で、まだ年限が経過していないような品目もあるんですけれども、現在、二十六機器の指定品目に関して、本制度によって全体的にどういうふうな効果、改善がなされているのかという点について質問させていただきます。

赤羽副大臣 御質問ありがとうございます。

 今、お話がありましたように、現行のトップランナー制度は、家電、自動車等の二十六製品を政令で指定しております。市場に出ている最も省エネ性能が高い商品より高い基準を目標値として定め、製造業者、輸入業者に対し、目標年度に基準を満たすことを求める規制となっております。よく御承知のとおりであります。

 どういう改善状況かということを代表的なものを出してお答えしますが、乗用車の燃費につきましては、一九九五年度から二〇一〇年度にかけまして四九%の改善がなされております。冷蔵庫の消費電力量につきましては、二〇〇五年度から二〇一〇年度までの五年間で四三%の改善がされております。テレビにつきましては、消費電力量として、二〇〇四年度から二〇〇八年度までで三〇%の改善がされております。

 また、数値の改善のみならず、今お話にもありましたように、この目標に向かってイノベーションが起きておりまして、これは大変重要な成果だと思っております。液晶テレビのバックライトがLED化されるとか、また、エアコンの冷媒の性能が格段に向上するとか、冷蔵庫の圧縮機の効率が向上するなど、技術革新というかイノベーションが実際に起こっていて、大変よい制度だというふうに私たちも認識をしております。

木下委員 ありがとうございます。

 私の方でも資料をいただいておりまして、ちょっと繰り返しになる部分もありますけれども、自動車では五〇%弱、それからエアコン、電気冷蔵庫も、先ほど言われたように、五〇%以上の効果があります。それから、電子計算機、いわゆるコンピューターであるとか磁気ディスクは九〇%以上の効果が出てきているというお話があります。

 一方では、ガスストーブであるとか石油ストーブというところを見ると、ガスストーブが、二〇〇〇年から二〇〇六年、ちょっと年限が古いんですけれども、一・九%、石油ストーブが同じ年度の間で五・四%というふうな形で、余り大きな効果にはなっていない。

 これを総覧してざっと見ていくと、直接燃料を燃焼するようなものについてはやはり効率化というのは限定的にならざるを得ないのかなというふうに思っていて、その反面、部品数の多い電子機器類は、例えばイノベーションというところでいうとインバーター技術が向上しまして、大きく効率化が可能になっている。

 あと、コンピューターに関しては、今、磁気ディスクというふうな形で分かれていますけれども、物理ディスクからシリコンメモリーみたいなものに変わっていったりとか、データウエアハウス自体もインメモリー化するとか、相当な技術革新がどんどん進んでいるということで、これは差が出てきてもしようがないのかなというふうには思っているんですね。

 そこの中で考えてきたときに、まず最初に考えなきゃいけないと思っているのは、石油ストーブであるとか電気ストーブというのは見ていても余り変わりがないのかなということと、それから、新しいこういうコンピューターであるとか、そういったものについてはどんどん中身が変わってきている。磁気ディスク、ハードディスクといったら、ほかでも利用されている部分もあるので。

 そういった部分では、そのままこの品目を置いておくことはいいのかもしれないんですけれども、この二十六品目に今回また新たに追加するというふうになっていますが、目標を定める品目から除外するようなものもこれから先は考えていかなきゃいけないんじゃないか。

 そういう意味では、この法案自体は、今回、追加するというふうな形になるんだと思うんですけれども、産業界の動向を見ながら逐一変えていく、そういうふうな法案にするべきだと思っておりますが、いかがでしょうか。

赤羽副大臣 今、御指摘いただいたように、今回のトップランナー制度はいい制度ですから、これが形骸化しないように、品目別にわたりまして見直しを加えていきたいと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 そうすると、今度は新しい品目が入ってくることになるんですけれども、今までのことを見ても、端的な技術向上だけじゃなくて、それがいかに消費者に普及していくか、一般家庭であったり、そういったところに普及していくかということがやはり重要になってくるのかな、それで全体的な効果というふうなものにつながっていくんだと思っております。

 さっきも言いましたけれども、例えばインバーター関連のものというのは、一つの要素技術が開発されたことによって、それがどんどんいろいろな品目に応用がきいて、それによって部品も多く生産されることが起こって、そのせいで部品自体が安価になっていく、それが普及していくというふうなことがあります。複雑であればあるほど、未開発な部分が多く、イノベーションも広がっていくんだろうというふうに理解しております。

 では、今度、新しい品目として入れてくるのが建材になります。建材を見てみると、今の解釈で考えたときには、比較的単純な要素の組み合わせ、原材料の組み合わせというふうなものが基本になっている。そうなれば、省エネルギーの効果というのはおのずと限定的になるんじゃないかというふうに考えているんですけれども、その辺はいかがお考えでしょうか。

赤羽副大臣 今回の法改正で新たに入れようとしているのは、窓と断熱材。これはどういうことか。よく御承知だと思いますが、石油危機以後、現時点に至るまで、産業部門のエネルギー消費量は減少しているわけですけれども、一方で、住宅、ビルの民生部門は二・五倍に増加している。どうにかしてこの住宅・ビル部門の省エネを進めたいということで、住宅、ビルの断熱性の向上に着目をいたしました。

 全ての家庭において断熱材や窓を今のトップランナー製品に入れかえたとすると、家庭全体のエネルギー消費が二割削減できる、これは計算ですけれども、そういう効果が期待できるということで、この二つを指定させていただいたわけでございます。

木下委員 ありがとうございます。

 予測を立てるというのは相当難しいところなんだろうな、ただ、やるにこしたことはないということは必ずわかっているところだと思うので、ここを品目に入れていくこと自体は、私としても疑念を持っているわけではないんです。

 ただ、実際に普及していく、それだけの効果をもたらすという意味では、技術的な要素として、どこまで今後改善が期待できるのかということが先ほどの一つ。それからもう一つは、どれぐらい普及させられるか、そういうところだと思うんですね。

 そういう意味では、きょう午前中も皆さんが御質問されていましたけれども、一つ考えられるのは、今、新築であったり増改築というふうな形になったときに、建築に関しては建材メーカーがまずあります。それから、そのままそれが消費者の方に行くのではなくて、中小の対策とかそういうこともいろいろ言われていましたが、工務店であったり大手のゼネコンなんかもそうだと思うんですけれども、一つ間にかむことになります。

 そうなったときに、そこが建設したものを消費者に販売していくということになると、今まで見ていると、どうしてもコストを抑えようというふうな力が作用していく。今見ていても、特に都市部なんかは、建て売り住宅という形で、消費者が指定した形の建て方、素材を使用するというふうなことになかなかならない、マンションもやはり同じようなことがあるというふうに思っております。

 そういう意味では、国交省の方にも来ていただいていますので、いわゆる住ま住まというふうに言われているもの、そういったものでうまく規制をかけていこうというのはあるんですけれども、それの一歩手前で、やはりちょっと産業構造から見ると、直接的に消費者につながっていないというところでこれはうまくやっていかなきゃいけないと思うんですが、その辺はどういうふうにお考えになっていますか。

赤羽副大臣 まず最初に、建材でもイノベーションは起こっているということをちょっと簡単に申し上げさせていただきたいと思います。

 例えば、窓では、サッシの材質をアルミから熱の伝わりにくい樹脂に変更することで断熱性が約四割改善している、また、複層的なガラスの空気層の厚みを二倍にすることで断熱性能が一割向上している。断熱材でいいますと、繊維の直径を半分にすることで断熱性が二割向上している。こういったことも起きているということがまず一つ。

 もう一つは、御指摘は全くもっともで、今回の法案の作成に至る審議会では、窓と断熱材にかかわる業界団体の代表はもちろんですけれども、その周辺のハウスメーカーですとかゼネコンとか、そういった今御指摘の関連業界も全て入って今回の法改正に当たっていただいた、また、その方針も決定していただいたということであります。

 ですから、私は思うんですけれども、業界団体がまず価値を定めて、それが今度は買い手となる消費者側のインセンティブというか、仕組みをつくっていくことが大事なのではないかというふうに思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 まさしく、ハウスメーカーであるとか工務店とか、そういったところもうまく巻き込んで基準を満たす建材を使っていく、そういう制度にしていくということが重要なんだろうと思います。

 先ほどちょっと私が言いました住ま住ま、住まいと住まい方というところで会議報告書が出てきているんですが、ほかの国がどうなっているかというのは言ってもしようがないのかもしれないですけれども、見てみると、今まで欧米各国では、いわゆる建築基準法、それ以外にも直接的に省エネルギー法とか、これはドイツなんかでは通っていますが、米国では州法で決まっている、韓国も省エネルギー法で基準適合義務がしっかりと定められているという形になっていて、やはり我が国は少しその部分がおくれているのかなと。

 今、住まいと住まい方というところでやっていくんだというふうに言っているんですけれども、時間とかそういうものも含めて、どういうふうな取り組みをしているのかということ、詳細を伺いたいと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、住まいと住まい方推進会議で、二〇二〇年までに全ての住宅、建築物につきまして省エネルギー基準への適合義務化を段階的に図っていくということで、方針を定めまして、具体的な課題も挙げて、工程表を公表しているところでございます。

 具体的な取り組みでございますけれども、まず省エネ性能にすぐれた低炭素住宅や長期優良住宅に対する税制上の支援、あるいは中小工務店によるゼロエネルギー住宅の建設、省CO2の先導的なプロジェクトへの支援、中小工務店、大工を対象とした省エネルギー施工技術についての講習の実施、あるいは伝統的木造住宅の特性を踏まえた省エネルギー性能の評価方法の検討等を行っておるところでございまして、これから省エネルギー基準への適合の義務化に向けて進めていきたいと思っております。

 なお、今委員御指摘の、諸外国においては既に省エネルギーが義務化をされているということでございますけれども、例えばドイツ等でいいますと、省エネは義務化はされておりますけれども、ドイツの当局が一番今悩んでいることは、いかにコンプライアンスを一〇〇%に近くするかということで、適合義務はあるんだけれども、ちゃんと守られているかどうかということをチェックできているかどうか、ドイツの当局者は悩んでおると言っております。

 一方で、住まいと住まい方推進会議の中では、例えば、建築基準に絡めて、建築確認の手続等で全てをチェックしていくということを検討しておりましたので、その場合には完全に一〇〇%捕捉することになりますが、一方で、建築基準に適合しない建築物は建築ができなくなるという、非常に強い財産権の制約ということにもなりかねないと思っております。

 そのあたりは、十分に中小の大工、工務店さんも対応できるような状況をつくってから義務化を図ることが必要だと思っておりまして、先ほど申し上げたようなさまざまな支援を通じて、環境整備にこれから努めていきたいと考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 まさしくこれは、省庁の枠を超えてしっかりと取り組んでいかなきゃいけない、そういう意味では、大臣、皆さんの強いリーダーシップで、国交省も含めて、うまく引っ張って、同じ方向を向いていくというのが重要なんじゃないかなと思っております。

 余談なんですけれども、今回の法案を担当されています、そこに座っていらっしゃる新原部長なんかも、聞いていると、夏は夜までそれこそ暑いので、靴下まで脱いで一生懸命仕事をされている。そういう努力にしっかりと報いるようなリーダーシップをとっていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 では、次へ行かせていただきます。

 もう一つなんですけれども、電力ピーク対策というものがあります。これから先、いろいろな技術であるとか、よく言われているところでいうと、蓄電池などの導入によって、円滑化措置をもってうまくやっていくんだということが書かれております。余り具体的にやると時間がたってしまいますが、要は、電力ピークの時間を、ある一定以上の部分を平準化してやるんだ、平準化してやって蓄電池の方に充電して、それでうまく乗り切っていくんだというふうな形になっております。

 考え方を整理しますと、超えてくるピークの部分を削ってやったかわりに充電をする、実際に充電することによって電力のロスが発生してくるんだということで、そうなると、せっかく頑張っている企業が、ピークを抑えてやるといいながら、電力の総量自体は大きくなってしまうという懸念が生じる。

 ここの中で書かれているのは、総量については、ある係数に基づいて、消費電力の総量が多くなったとしても、そこはちゃんと配慮された形になっているんだというふうに記されております。

 この法案が通った後、実際に具体的なことは審議会を通してやっていくんだと思うんですけれども、単純に考えたときに、一つ考えられるのは、もともと電力ピークにそんなにオーバーしていなかったような企業さん、例えば全体的な電力ピークの時間を避けて操業されているようなところにもこの法律が適用されてしまった場合に、抜け道があるんだということになってしまって、全体的な電力消費量は多くても、ピークさえ超えていなければいいんだというふうな形になってしまうんじゃないかなと思っております。

 そこはちょっと懸念をしておるんですけれども、その辺の対策、これから先、細かいことは決めていくんだと思うんですけれども、今考えていらっしゃるところを教えていただければと思います。

赤羽副大臣 おっしゃるように、そういった法の抜け道みたいなことをあっせんする法改正じゃありませんので、御指摘のことがないようにするのが、当然、経済産業省としても思いは一緒ですので、法の精神と逆行するようなことが起こらないように、ちょっと抽象的でありますけれども、しっかりと対策をとっていきたいと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 ちょっと突っ込んだところをお話ししてしまってあれなんですけれども、恐らく、この法案自体、さまざまな品目にわたって規定をこれから細かく決めていって、審議会でいろいろとやっていくんだと思うんですが、数が多くなれば多くなるほど、抜け道ではないんですけれども、逆手にとったようなものが生まれてくる可能性というのは相当あると思っておりますので、この辺、慎重にこれから審議をしていただきたいなというふうに思っております。

 もう一つ、電力ピーク対策に関連してお話をさせていただきます。

 今回の電力ピーク対策というのは、エネルギー使用量が、年間で千五百キロリットルの燃料を消費する事業者を対象にしているというふうになっております。

 さっきのトップランナー制度でもあったんですけれども、産業部門といったところは、ここ二十年、三十年を見てみると相当な努力をされていて、GDPで考えたときに、ずっと右肩上がりであるにもかかわらず、電力消費量自体は横ばい、もしくは少し右肩下がりなぐらいで相当頑張られている。その中で、民生部門がまだまだ努力が足りないんじゃないかな、そういう認識も一部にあって、そこがこのトップランナー制度というところの一つの契機になっているかと思うんです。

 それを考えたときに、電力ピーク対策を考えると、産業界だけじゃなくて、先ほど近藤先生もお話しされていましたけれども、民生部門がいかに電力ピークに対応していくのかというふうなことは相当重要なんじゃないかなと思っております。

 その点で、近藤先生もちょっとお話しされていましたけれども、スマートメーターの導入というのが相当大きな効果を出すんじゃないかなというふうに考えております。しかし、我が国の現状を見てみますと、全くと言っていいほど導入が進んでいないという状況です。

 私は、周りにこういうふうな仕事をしている人間が相当いまして、実際に、スマートメーター、もしくはスマートグリッド、スマートホーム、そういうふうなものを新しい産業として狙っている人間が結構周りにいます。

 そういった実業をしている人間に聞いてみると、電力会社の皆さんは、これからやっていこうというふうに、先ほど大臣も答弁されておりましたけれども、実際にこれを狙おうとしている人から見ると、電力会社がどうも本気じゃないんじゃないのと。

 要は、ピークは下げたいけれども、電力量自体はちゃんと確保して、どんどん電力を出していくことによって、もうけを減らしたくない。それは当然だと思うんですけれども、そういうふうな力が働くことによって、スマートメーターの普及が進んでいないんじゃないかというふうに言われております。

 そういうふうなことを考えて、今、何で進まないのかというところをひとつ教えていただければと思います。

赤羽副大臣 スマートメーターは、多分、使い勝手がよくない。例えば、オール電化の住宅だと時間帯別とか季節別の電気料金メニューの設定を受けられるとか、ちょっと定かではないところもあるんですけれども、スマートメーターを導入することに対してのバリアが現実にあるんだろう。

 今回、この法改正をきっかけに、今、スマートハウス標準化検討会も当省として関連業界の皆さんとともにやっておりますし、電力システム改革も相まって進めておりますので、全く新しい需給構造をつくっていけるように取り組んでいきたいと考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 もうちょっとだけ最後の時間を使ってお話しさせていただきますと、さっきの話じゃないですけれども、海外を見ていると、イタリアだとかスウェーデン、フィンランドはもう既に一〇〇%導入されている。ちょっと状況が違って、イタリアなんかは電気を盗むのが横行していて、電力会社が積極的にスマートメーターを入れることで盗電を防いでいこう、そういうふうな取り組みがあるんだと言っています。それ以外にも、フランスであるとか、イギリス、アメリカであるとか、そういったところもだんだん進んできている。

 それを見ていると、一つは、スマートメーターを入れることによって、消費者がどの電力を買うのかということをしっかりと考えて、自分で積極的に前向きにやっていくんだ、これがあるとやはり産業というのは競争が働くんだ。もしくは、共通のスマートメーターじゃなくても、一つの電力会社が、このスマートメーターを置いてください、ただ、このスマートメーターを置いたらこういうサービスが受けられますよと、サービスも充実していく。こういうことをやって、イノベーションと競争がうまく働いていく、まさしくこれが今後の電力システム改革といったところと重なってくるんだと思うんですね。

 ただ、これを見ていると、二〇二〇年代の可能な限り早い時期にというふうに言っているんですけれども、電力システム改革をやる際には、まず先に、スマートメーターがばっと入っている状態をつくっていけば、しっかりとした競争原理が働いていくし、市場はしっかりと活性化していくというふうに考えておりますので、この点を最後に聞かせていただいて、質問を終わりたいと思います。

赤羽副大臣 貴重な御提言をありがとうございました。

 電力システム改革に資する前提となる大事なインフラ整備だと思っておりますので、スマートメーター導入に全力を尽くしてまいりたいと思います。

木下委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高です。

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する等の法律案について、質疑をさせていただきます。

 まず、三・一一以降のエネルギー需給体制の変化によって、一層の省エネ化、そして持続可能な省エネ化を進めていくという趣旨は大変理解できるところでございます。しかしながら、こういったエネルギーの関係は、事業者の皆さん、ひいては国民生活全体に与える影響も少なくないですから、少し細かい部分も含めまして、質疑をさせていただければと思います。

 まず最初に、トップランナー制度の導入に関しましてお話しさせていただきます。

 法案を見ておりますと、例えば、八十一条の三の特定熱損失防止建築材料という形で、先ほどの委員の質疑の中で木材が対象だというお話がありましたけれども、果たしてこの特定熱損失防止建築材料が一体何に当たるのか。窓や断熱材というもの、また、材料は木材という話がありますが、もっと具体的に言えばどういったものがあるのか。

 さらに、七十八条では特定関係機器という言葉が出ておりますが、果たしてこれも何に当たるのかというのは、今後、下位の政省令で定めるというふうに書かれております。

 やはり、審議していく上で、どういった分野がどのような対象になっていくのかという先行きの不安を抱く業者の方、事業者の方も多いと思われる中で、公布の日から一年三カ月を超えない範囲で定めるというふうに書かれておりますが、品目や目標水準、目標年度、そして先ほどの関連機器におきましては寄与率等、さまざまな点がありますけれども、どういったスケジュール感を政府の方ではお持ちなのか、その点に関しまして御答弁いただければと思います。

赤羽副大臣 今回の改正案は、実は、国会には一年前、昨年の三月に提出されたものでございます。ですから、この改正案の立案自体はそれ以前の過程がございまして、先ほどちょっと御答弁をしましたが、日本建材・住宅設備産業協会ですとか住宅生産団体連合会、不動産協会等々の業界団体ですとか、また事業者としてハウスメーカーやゼネコンの方々にも参加をいただきまして、今回の法改正の方針について決定していただいたわけでございます。

 できるだけ可及的速やかに施行できるようにしたいと当省としても考えておりますが、これまでの過程の中でそういった調整等々は進んでいると思いますので、法案が成立し次第、早期に調整を進めていきたい、こう考えております。

 具体的な建築材料として、一応、窓と断熱材を指定することを考えております。そのことで進めているわけであります。

 特定関係機器については、将来、建築材料以外で指定される可能性を否定するわけじゃないんですが、現時点では予定している指定対象はございません。

丸山委員 御答弁ありがとうございます。

 特定関係機器に関しましては、現時点ではないということなんですけれども、恐らくこういったものも徐々に、何かありましたらどんどん追加していくという形だと思いますので、なるべく業者の方々への開示や周知ということを事前事前にしていただくことが非常に重要だと考えます。そのあたりに関しまして、どのようにお考えでしょうか。

赤羽副大臣 先ほど答弁したように、そういった関係団体も相当広範に入っていただいて、今回の法改正にも一緒に参加していただいているということなので、関係業者の方が全くわからないというようなことはないのではないかと考えておりますが、法案成立以後、具体的な細かいことを決めていくわけでありますので、そういったことをしっかりと周知徹底できるように、御指摘のようにしていきたいと思っております。

丸山委員 ありがとうございます。

 やはり、業者の方のお話を聞いていてもそのようなお声を多く聞きますので、ぜひともしっかりやっていただけますようお願いいたします。

 次に、断熱材の普及に関しまして御質問させていただければと思います。

 先ほど来、各委員から御指摘もありましたように、海外では建築基準法の建築確認時に最低限の断熱性能が満たされているのを確認する制度が確立しているということでございます。

 そして、先ほど来、木下委員からもありましたが、低炭素社会に向けた住まいと住まい方の推進方策についての中間取りまとめということで、国交省さん、環境省さんと一緒に中間取りまとめを出されたということです。

 今回、断熱材はトップランナー制度を用いて普及させていくということでございますけれども、そういった意味で、省エネ法の告示改正も含めて、今審議している本法律案と下位政令で今後定めるような窓や断熱材の基準といったものを、適合基準という形でさらに前に進めていくという方向性で考えていらっしゃるのかどうか。将来的な話なんですけれども、経済産業省の見解を伺えればと思います。

赤羽副大臣 住宅、ビルの断熱性を高めるためにも、我が国でも建築の際に一定の断熱性能を義務づけることは有効な手段だというふうに考えております。今お話がありましたように、他の諸外国の例を見てもそういったところが多いわけでございます。先ほどの住ま住ま推進会議でも、二〇二〇年までに新築の住宅、ビルについては段階的に義務化を図るということを決めたところであります。

 今考えているのは、今回の法改正で、トップランナー制度の中で断熱材や窓が導入されるわけでありますが、これからの期間でかなりのイノベーションを喚起して、現状よりもより質の高い建材が世の中で安定的に普及できるように、言ってみれば、レベルの高い省エネ住宅が普及できるような環境整備に我が省としても努力をしていきたい、こう考えております。

丸山委員 今後、審議会等、もしくは取りまとめをされた研究会さんの審議等が進んでいくこととは思いますけれども、おっしゃった方向に向けて、しっかりとした御議論と、最後は決断だと思いますので、政治家の皆さんの御決断をお願いいたします。

 次に、今回の法案の大きな固まりでありますが、二点目の電気の需要の平準化に関しまして御質問させていただきます。

 まず、今回の改正というよりは、もともと電力ピーク対策は努力目標という形で定められておりますが、政府としまして、どういった方向に向かうのが理想的で、特に数値化といいますか、現状認識、今はこういう状態にあるけれども、理想としてはここまで持っていきたいので、それによってその数値目標はこれだけ変えなければいけないから、こういう政策を打っていくという、きっちりとした単位までは求めませんが、ある程度の数値化なり明確な目標化というものが政策にないと、PDCAサイクルを回すことができないと思うんです。

 こういった今回の努力目標ということにおきまして、今回の本法律の改正によって、どれぐらいピーク時の負担を低減できるのか。また、もっと細かいところを申しますと、現状認識として、どれぐらいの企業さんがこの努力目標を達成されているとお考えで、なおかつ、これによってさらにどれぐらいの企業さんが努力目標を達成すると想定されているのか。どのような目標をお持ちなのか。そのあたりの数値に関して政府の御見解を伺えればと思います。

赤羽副大臣 一昨年の三・一一の東日本大震災以降、我が国のエネルギー、ちょっと局面が変わってきた、制約がふえてきたという中で、ピークシフトを奨励することが大事だと。

 今回は、ピークシフトを奨励している、ピークシフトをした結果、不利にならないというか、電気消費量の努力目標が不利を受けないための法改正。今回の法改正はそこに主眼があって、今、丸山委員が言われるような、このことでどのくらいの効果を期待するのかというようなことは、そっけない答弁になって申しわけないんですけれども、今その軽減量を申し上げることはちょっと困難だという答弁になります。済みません。

丸山委員 やはり、努力目標ということで、今回の法改正によって負担になる部分をなるべく減らしていこうということだと思うんですけれども、ほかの条文のところで、例えば工場事業者さんや鉄道などの旅客輸送事業者さん、また全てのエネルギー使用者ということで、一般の方々、全ての国民の方々、それぞれの対象者に対して政府として努力目標という形でお願いすることになると思うんですが、そういったお願いをするときに、逆に言えば、一般の方も鉄道会社さんも工場事業者さんも、どういったことをしていけばいいのかというふうな形のところで、何となく見えないというお声を伺います。

 具体的にどういったことを、政府として、それぞれの事業体さん、国民に対してお求めなのか。また、数値化は難しいということなので、数値化という形ではなくて、具体例でいただければよりわかりやすいと思いますし、審議もしやすいと思いますので、そのあたりに関しまして御見解をいただければと思います。

平大臣政務官 数値化という視点は正直大事だと思います。ですから、今回はまず、ピーク対策をしても不利にならない、第一段階というふうに御理解いただきたいと思います。定量的に政策が評価できるというのは今後の課題でありますが、重要な視点であると思います。

 ただいまの委員の質問は、いわゆる工場、事業場の電力ピーク対策として何をということでございますが、例えば蓄電池等の機器を導入することが挙げられると思います。そのため、これらの機器の導入を奨励していきたいと思います。さらに、これらの設備を導入する場合に、省エネに配慮し、可能な範囲で効率のよいものを選択すべきこと等を省エネ法の五条に基づく指針等に記していくこととしたいと考えております。

 また、御指摘のあった旅客運送事業者についてでございますが、鉄道運行の間引き等は想定しておりません。あくまで利用者の利便性を損なわず、事業者にとって無理のない範囲での取り組みをお願いしたいと考えております。例えば、車内及び駅舎の照明及び空調の最適制御等を旅客輸送事業における指針に記していくこととしたいと考えております。

丸山委員 ありがとうございます。

 つまり、申し上げたいのは見える化ということなんです。事業者の方や鉄道事業者さん、一般の国民の方々がどういったことをしていけばいいのかというのが見えにくい状態を、より見えるように政府として発信していただきたいということ。

 さらには、その成果という形も見える化。先ほど、大事な観点だとおっしゃっていただきましたが、チェックしていって、またよりよくしていくためにも、現状として、どこを目指していくのかということも見える化していく。最終的には数値化ということも一つの方法だと思いますので、政策を執行していかれる上で、つくっていかれる上で、きちんとその点に関しましても御勘案いただければ幸いでございます。

 続きまして、省エネ法に基づいて、毎年、一万二千社ですか、かなり大き目の事業者さんに関してでございますが、定期報告という形で出すことになっているということでございます。今回の改正によって、新たに追加される書類作成や、また、それに伴ってコストが追加発生すると思うんですが、そういった意味で、事業者さんの負担が増すんじゃないかという御懸念の声がございます。これに対して政府の方ではどのようにお考えなのか。

 また、先ほどの見える化ではございませんけれども、こういった点でも事業者さんや企業さんへの周知やフォローアップということが非常に重要になってくると考えるんですが、そのあたりに関しまして御答弁いただければと思います。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 事業者の事務コストの負担増、事業者への周知という御質問でございます。

 省エネ法においては、年に一回、エネルギーの消費量の多い事業者より定期報告を提出いただいております。今、委員に御指摘をいただいた一万二千社がその対象でございます。今回の法改正により、基本的に、定期報告書の様式は、これまでのものを尊重して、様式を大きく変更するつもりはございません。

 今回の改正は、あくまで省エネ法の努力目標の算出方法を変更することが目的でございます。その算出方法についても、できるだけ簡便な方法としたいと思っておりますし、企業の事務負担が増すことのないように十分注意していきたいと思っております。

 また、事業者への周知については、関係業界団体及び各地方の経済産業局等を通じて周知を徹底していきたいと考えております。

丸山委員 ありがとうございます。

 とにかく、地元を回っていましても、地元だけじゃなく、多くの方に伺っていても、役所に出す資料の煩雑さといいますか、手続の煩雑さに関しましては、ある意味で逆の定評がある。役所仕事と申しますが、非常に無駄が多いとか、手続が煩雑だという御意見を多く伺います。そういったことがふえることで、逆に民間企業さんの自由な経済活動が損なわれる、また、それによってさらにコストがかかって、結局、負担増になってしまう。もっといけば、電力会社さんに関しますと、それが電力料金に上乗せされてしまうとか、そういった悪循環に陥らないように、きちんと、手続面に関しましても、事業者さんに対する配慮、周知、またフォローアップのほどをよろしくお願いします。

 次に、少し観点が変わるのですが、省エネという形で、今回、熱の処理の話が出ております。そういった意味で、廃熱の回収といった観点で少しお話を伺いたいと思います。

 省エネの促進という観点では、工場や事業所等から出る熱、放散されていく廃熱をどう回収して、どう利用していくのか、それをさらに政府としてどう促進していくのかという点も非常に大事な観点になっていて、またこれは日本ではうまくいっていないというふうに伺っているんですけれども、民間企業における廃熱回収と利用について、政府においてどのように現状認識をされているのか。そしてまた、それに関して今はどうお考えで、今後はどういうふうにこれを促進していくように取り組んでいかれるのか。そのあたりに関しまして、政府の御見解を伺えればと思います。

平大臣政務官 まず、その前のところで委員が御指摘をされた、提出書類が煩雑だという声は、私も現場でよく聞きます。

 ちなみに、先般、一千億円で一万社、中小企業のものづくりの試作品に対する補助金というのを出しました。やはり、中小企業の方から書類が多過ぎるという御指摘をいただきましたので、茂木大臣の指示のもと、書類を半分にしました。今回の対象は一万二千社ということですから、それほど小さな会社ではないかもしれませんが、政治家の方でちゃんとチェックして、簡素化できるものは簡素化したい、そのように思います。

 今の委員の御質問でございますが、我が国では、熱を熱として用いる慣行、廃熱を利用する慣行が薄い。その拡大により、さらなる省エネが可能ではないかと我々も考えております。

 工場廃熱などの未利用エネルギー熱のうち、約九〇%は三百度C以下ということでございます。通常、熱を熱として使わないで、蒸気にしてタービンを回す方にみんな行ってしまっていますので、実際はほとんどが三百度以下だということで、なかなか利用が進んでいないということでございます。

 こういったことから、低温廃熱を回収、有効利用する設備はコストが高くて導入が進んでいませんで、低温廃熱を回収、有効利用する高効率、革新的な熱利用設備の設置事業者に対する導入補助予算を手当てしたところでございます。平成二十四年度予備費で百五十五億円、その補助率は、スペックによりますが、二分の一もしくは三分の一ということでございます。

 また、河川熱、下水熱、地中熱など、大気に比べて夏は冷たく、冬は温かい熱が自然界に存在しております。これらの再生可能エネルギー熱の有効利用も重要であると考えておりますが、その利用に当たっても、設備コストが高いこと等のため、十分な利用が進んでいません。

 こうした再生可能エネルギー熱の利用を促進するため、来年度予算案においては、複数の再生可能エネルギーの熱源、蓄熱槽、下水、河川等を有機的、一体的に利用するシステムの導入を実証するための事業費を予算計上したところでございます。これは平成二十五年度予算案で二十七・五億円、補助率が二分の一でございます。

 加えて、太陽熱や地中熱など、再生可能エネルギー由来の熱供給設備の導入を支援する事業費についても予算を計上しております。これは平成二十五年度の予算案で四十億円、補助率は、地元の自治体の協力度というか公共性を基準に、三分の一もしくは二分の一となっております。

 今後とも、廃熱回収を含めた熱の有効利用について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

丸山委員 ありがとうございます。

 まず、最初に返答いただきました手続の簡略化に関しましては、ありがとうございます。

 まさしくこの点はずっと言われていて、なかなか役所の方では改めにくいところでございます。私も役所にいましたので、どうしても、リスク管理といいますか、きちんと出していただかないと審査ができないこと等があります。それはいたし方ないところなんですけれども、やはり利便性やスピード感ということが求められる時代でございますので、先ほど政務官がおっしゃったように、きちんと政治家の方でこれはもう要らないんじゃないかという決断をしていただく。決断する政治を安倍内閣は進められるということでございますので、経済産業省の方でも、先生方のお力できちんと決断していただきますようお願い申し上げます。

 さらに二点目の、廃熱の処理の点でございます。

 予算等を見ておりますと、一応、予算がついたり、補助金の制度、またフォローアップの仕組み等はあるようですが、まだまだその観点として足らない部分があるように感じます。

 省エネというと、どこか一個で、何か一つで全ての省エネができるということはあり得ませんので、あらゆる観点から、今回のような断熱材の処理も含め、ほかのそもそもの消費、エアコンや自動車のような消費する方向のトップランナー制度も含め、なおかつまた廃熱処理も含め、いろいろな方向から進められているとは思いますけれども、よりいろいろな視点を見るようにしていただいて、広い視点で今回の省エネをさらに前へ進めていただいて、国民の皆さんがより安心して、エネルギーの需給に関して大丈夫だと考えていただけますように、かじ取りをしていただきますようお願いいたします。

 最後に、三つ目の観点でお伺いしたいと思います。

 今回、日切れ法案という形で、省エネ・リサイクル支援法の廃止が後ろにくっついてきておりますが、この省エネ・リサイクル支援法に関しまして少しお伺いしたいと思います。

 調べますと、平成十八年度以降、本法に基づいて支援措置が行われた案件はゼロということでございました。しかしながら、今回、本法における支援措置を見直してみますと、一つ目は、NEDOに対する債務保証業務及び利子補給業務を追加するということ、二つ目が、中小企業信用保険法の特例を定めるということ、三つ目が、中小企業投資育成株式会社法の特例ということでございます。

 一つ目のNEDOの案件でございますけれども、これは平成十八年の行政改革の関係で廃止されている。また、その他の案件も、事業者の方々から伺ったりする中では、予算措置など、ほかの別枠で使った方がよっぽど使いやすくて、ニーズがないんじゃないかということでございます。申請が少ないというのは、まさしくそれが形にあらわれているものだというふうに感じます。

 そういった意味で、法によって特例措置をつけるような支援のあり方に関しましては、どこか構造的な問題が少しあるんじゃないかなというふうに私は思います。

 先ほども申し上げましたように、今の日本の置かれた状況におきまして、やはりスピード感といったことが政府にも求められている中で、法で定めていくという形より、予算やもっと違った形での支援ということの方がニーズが高いと思うんです。また、この省エネ・リサイクル支援法は、支援の申請の数も下がってきて、目立った成果も上がっていないんじゃないかという声もある中で、そもそもこれを立法化する必要性があったのかなというところも、私自身、強く思うところでございます。

 経済産業省としまして、同法に関しましてどのような反省点がございますか。また、それに対してフォローアップをどのようにされていって、今後に生かしていくことが大事だと思いますので、今後どのように生かしていくのか。そのあたりの見解につきましてお伺いできればと思います。

鈴木政府参考人 御答弁申し上げます。

 まず、御指摘の省エネ・リサイクル支援法というのは、我が国におけるエネルギー使用の合理化、そして地球温暖化問題の関心の高まりを背景に、平成五年に臨時措置法として制定されまして、当時はやはり省エネルギー、リサイクル、特定フロンの使用合理化の三分野は非常にニーズが高かったものですから、設備投資や研究開発など、事業者の自主的努力を支援するためにこの法律を制定したということで、当時は必要性があったと理解しております。

 具体的な支援策の適用状況も、委員御指摘のとおり四つの施策があるわけですけれども、私どもも把握していまして、基本的には、制度当初はそれなりの実績は出ていたということなんですけれども、実はその後、それぞれの政策については非常に大幅な拡充が他の政策手段で行われていまして、そういったことが背景にあって、実績がだんだんなくなっていったということだと思います。

 まず、省エネルギーについては、京都議定書の採択でございますとか、中長期的な温室効果ガスの排出削減の必要性、そしてエネルギー価格の国際的な高騰による燃料資源の有効利用の必要性の高まりを受けて、予算措置を大幅に拡大しております。引き続き、まだそれを続けておるわけでございまして、それによって措置をしてきた。

 リサイクルにつきましても、本法の支援措置以外にも、その後、平成十二年に容器包装リサイクル法、平成十三年に家電リサイクル法など、個別リサイクル法の整備が行われまして、これに伴って、ごみの最終処分量が平成五年と比べて実に八割も減少するなど、非常に効果を上げてきたということでございます。

 また、特定フロンにつきましても、国際条約に基づくオゾン層保護法の規制と相まって、使用量は平成二十二年の時点で最盛期の二分の一まで減少するなど、ほかの政策手段で非常に効果を上げてきたというのが過去の歴史でございます。

 こういった背景も受けて、委員御指摘のとおり、平成十八年の行政改革推進本部決定により、NEDOの利子補給や債務保証について廃止をされたということでございますし、以上のとおり、本法の目的は既に達成されて、十分その目的に沿う成果もさまざまな政策手段により出てきているということでございますので、本法の規定のとおり廃止をさせていただきたいということでございます。

 なお、当然ながら、本法が念頭に置くエネルギーや特定物質の使用の合理化というのは非常に重要な施策でございますので、本法の実績の評価も十分踏まえながら、今後、行政としては、必要かつ政策目的に合った、より効果的な政策手段を推進していきたいというふうに考えております。

丸山委員 午前中の細田委員の御質問でもありましたけれども、役所にいますと、どうしても二、三年で異動してしまうということで、なかなかPDCAという形でチェックしづらいということ、また、組織でございますので、なかなか前例を大きく変えるということが難しい。役所だけじゃなくて、どの組織もそうだと思います。

 そうした中で、先ほどの御答弁でもありましたように、政治のリーダーシップといいますか、今お座りの皆様方の決断やリーダーシップに、やはりこの国の経済の、景気の、そして中小企業を含め多くの企業の先行きがかかっていると思います。

 そういった点におきまして、最後、どなたでも構いませんので、政治家の方の御答弁をいただきまして、終わりにしたいと思います。よろしくお願いします。

茂木国務大臣 しっかり改革を進めていかなければいけないと思っております。エネルギー制約の克服は、日本にとりまして一番大きな課題であります。リーダーシップを発揮して、しっかり仕事をしていきたいと思います。

丸山委員 ありがとうございました。

 最後に大臣の御答弁をいただきまして、しっかりとやっていただきたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 みんなの党の井坂信彦です。

 余談ですが、私、本日が誕生日でありまして、全く三十九歳で節目とは言えないんですが、しかし、こういう日にこの場で責任のある立場をさせていただくことを大変ありがたく思っております。

 本日議論させていただきたいことは、主に三つであります。まず、私は、政策全般に対して、規制よりインセンティブということを大切に考えております。利用者を規制するような省エネではなくて、省エネをしたら得なんだという環境づくりが必要だというふうに考えております。

 その観点で、本日、主に以下三点、一つは、設備投資の初期費用をゼロにする仕組みで省エネの機器を普及できないかというような一連の御質問、そして、電気の料金体系を工夫することでピーク時の利用者の省エネを促せないかという質問、そして、電力会社もピークを下げることで設備投資を抑え、ひいては電力料金を抑えられないかというような質問、主にこういう三本に従って御質問したいと思います。

 そもそも何のために省エネをするのかという話でありますが、省エネ法第一条には、燃料資源を有効に活用するためというふうに書かれております。もともと、オイルショック後に、エネルギー需要の総量を減らすために制定された法律だと伺っておりますが、私は、現代における省エネの目指すところは三つにふえていると思っております。

 一つは、もともとの、本来の趣旨であるエネルギーの需要の総量を減らしていくということ、これは同時にCO2削減にも直結する話であります。二つ目に、本日ずっと議論になっておりますエネルギー需要の平準化、特にピーク対策で、これは、震災後の需給の逼迫を避けるという意味で、最近重要になっている観点かと思います。そして三つ目に、大臣がこの間おっしゃっております、厳しい省エネ基準をクリアするためのイノベーションを起こしていく、特にこれはソフト面や制度面についても、こういうことが省エネの現代的な目指すところではないかというふうに思っております。

 それでは、質問に入りますが、まず、設備更新による省エネについてお伺いをいたします。

 用意しておりました質問は、まず、オフィス、中小企業、家庭におけるさらなる省エネ推進の必要性についてどうお考えになりますかということなのでありますが、これはもう午前中から質問、そして御答弁が何度も繰り返されておりますので割愛させていただきたいと思います。

 産業部門のエネルギー消費量はオイルショック後に一割減ったが、その間に、家庭、オフィス部門は二・五倍になっているからというのが最大の理由ではないかというふうに思っております。

 そこで、私が今回あえて御質問したいのは、確かに、産業部門は一割減って〇・九倍ということでありますが、全体としては、非常に厳しい規制の中、イノベーションを繰り返して減ってきているとは思うわけですが、しかし、現場を見れば、特に中小事業者の設備更新というところに的を絞れば、これは、まだまだ省エネの余地は実は産業部門でもあるのではないかというふうに考えておりますので、この点について、まず御見解を伺います。

赤羽副大臣 井坂委員のお話にありますように、産業部門においての省エネの改善の余地というのはまだ十分にある。特に中小企業は、大手企業に比べて資金力も乏しくて、なかなか省エネ化というのが進んでこなかったというふうに認識をしております。

 そこで、経済産業省といたしまして、平成二十五年度の予算案におきましては、エネルギー使用合理化事業者支援補助金、いわゆる省エネ補助金を三百十億円計上しております。

 これは、技術の先端性、そして省エネ効果及び費用対効果を踏まえて、政策的意義の高いものと認められる設備更新の費用について補助を実施するところでございます。通常の省エネ効果の高い設備へ更新する場合には、設備導入に要する費用の三分の一、また、複数の工場、事業者間において共同して省エネルギー事業を行う場合については二分の一の補助を実施するということになっておりまして、効率のよい設備の導入が、中小企業も含めて進んでいくように努力していきたいと考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 設備更新の補助金が三分の一で、共同化した場合は二分の一まで補助率が上がるという御答弁でありました。

 いろいろな設備更新、これを本当に進めていったらどこまで省エネが進むのかというのは、なかなか計算が難しいところではないかと思うのですが、例えば仮に、設備から多少ずれますが、LED、一番はかりやすかったのでLEDですね、日本じゅうでLEDに切りかえが起こるだけで、電力消費量が全体の七%も減るというような試算もあるようであります。

 こうした明らかな省エネ効果がある機器の導入に対して、やはりそれを進めるというところで最大のネックは初期費用ではないかと私は考えております。

 この導入促進のために、もちろん補助金も初期費用を、三分の一減る、あるいは場合によっては二分の一減るということで、先ほどの御答弁の中にも多少そういうことはあるかと思うんですが、導入促進のために初期費用をなるべくかからないようにしていくという施策について、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

新原政府参考人 お答えをいたします。

 今、照明の電力消費量でございますけれども、家庭とかオフィスの消費電力量全体の一三%に相当する、非常に大きな位置づけを占めております。仮に二〇三〇年までに国内で設置されている照明の全てがLED照明等に置きかわったといたしますと、七%の節電効果という、委員御指摘の点が出てくるわけでございます。

 そこで、導入支援策でございますけれども、私どもが考えておりますのは、今のLED照明のようなものと、例えば高性能な断熱材とか窓なんかをパッケージで導入する場合については、これは私どものところでゼロエネルギービルとかゼロエネルギー住宅というものを補助で百十億円計上しておるんですが、それを使いまして、ビルの場合は三分の一から三分の二程度、住宅の場合であれば二分の一の補助を行わせていただきたい、こういうふうに思っております。

 それから、ここは茂木経済産業大臣から指示を受けているところでございますが、LED電球はエネルギーを使いますので、今の現行法の省エネ法でトップランナーの対象に指定することができます。大臣からは、早急に指定するようにという指示を受けております。

 これは、消費者の観点からいっても、いろいろな基準のものが出てきておりますので、基準を統一して、消費者が安心して購入できるような環境を整えたい、こういうことでございまして、今審議会でしゃかりきになってやっております。一、二カ月とか、できるだけ早くこれも指定させていただいて、そういうトップランナー制度とか、あるいは今の支援策なんかも使ってLED照明の普及を図っていきたいと思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 補助制度に加えて、トップランナー制度に入れていくことで、性能の向上と、午前中御答弁がありましたように、性能が向上しないまでも、価格の低下がトップランナー制度によって見込まれるという御答弁ではなかったかというふうに思います。

 加えて、私が本日お伺いをしたいのはESCO事業についてであります。

 ESCO事業、もうここ十年ぐらい、要は、いろいろな省エネ設備を導入してあげて、ただし、初期費用はESCO事業者側が持ってあげる、そして浮いてくる水道光熱費でその初期費用をESCO事業者が後から回収していくというようなやり方によって、事実上、利用者側から見れば、まるで初期費用ゼロで省エネ設備更新ができる、そしてその後のランニングコストも特にこれまで以上かかることはなく、毎年の浮いた光熱費でESCO事業者に後払いをして、そのいわゆるローン的なものが終わった後は、まさに水道光熱費が浮いた分だけランニングコストも如実に下がってくる、そういう仕組みではないかというふうに思うわけですが、残念ながら、このESCO事業というのが、当初非常に期待をされた割には、今伸び悩んでいるのではないかというふうに私は見ております。

 このESCO事業をもう一度、今、ビルエネルギーマネジメントシステムですとか、アグリゲーターですとか、そういった形に進化をしているということはわかるんですけれども、この初期費用をゼロにするというスキームをもう一度また広めていくことはできないかということについて、少し専門的な内容なので、またお願いいたします。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 ESCO事業でございますけれども、御指摘のとおり、省エネルギー改修サービスを行う事業でございます。改修によって削減される光熱水費の削減分の一部を収益として事業を実施する形態でございます。

 特徴としては、省エネポテンシャルの診断から設備の設計、施工、運転管理、あるいは場合によっては金融的なところまで含めて一貫して提供するものであるということ、それから一定の省エネによる削減量を保証することでリスクをとってくれるというふうな非常にメリットの多いものでございます。

 他方で、今申し上げましたように、削減光熱費で投資回収するために、設備投資経費を賄える程度のかなりの省エネポテンシャルが必要になるわけでございます。それから、十年程度で回収していきますので、対象になっている企業の事業継続性とか信用力が必要になってまいります。

 ということで、うまくいっていないということではないんですが、私どもが見ていますと、比較的エネルギー消費量の大きい工場とか病院とかホテルとか商業施設のようなものに限定されているという感じはございます。なかなかこれが省エネ事業全体に拡大する感じでもないというふうに思っています。

 一方で、きょう、御審議でずっと議論が出ているわけでございますが、震災以降、需要をスマートに制御するエネマネ、エネルギーマネジメント、これが脚光を浴びております。この電力料金メニューの多様化とESCO的な事業が結合しますと、電力会社からもいろいろなサービス像が出てきたりということで、新しいビジネスモデルが構築できる時期になってきたのではないかと思っております。

 そういう意味で、もう一度これを新しくつくり直すということに私どもとしてもチャレンジしてみたいと思っております。

 いずれにせよ、今あるESCOにもいろいろな支援策は使っていただくように、省エネ補助金、これは三百十億円を計上していますけれども、そういうESCOも通じてできるように、いろいろな形で支援をしていきたいと思っております。

井坂委員 具体的にお答えをいただきまして、ありがとうございます。

 ESCO事業、確かに、設備投資、設備だけを入れて、それを浮いた光熱費で回収するという、設備の導入だけですと利幅が薄くてなかなか事業としてうまみがないということがあろうかと思います。それがゆえに、今、BEMSというような、ソフト的なこと、さらには管理の手数料みたいなことまで含めて、それも利益に入れていって、もう少し事業として成り立つようにしていこうという流れが、ESCO事業者からBEMS事業者への進化ではないかというふうにも私は思うわけであります。

 そのBEMSの事業者の中から、またもう一度、初期費用をゼロにする、いわゆるESCOの当初の肝であった初期費用をゼロにしてBEMSを導入しましょうという業者が実は二、三出始めているところであります。

 まさに小口の事業者に対してBEMSを広げていきたいという趣旨でそういうサービスを展開されているようなのですが、話を聞いてみますと、小口に広げていきたいという志とは裏腹に、やはり小口事業者にいろいろやっていくと、契約がまず大変、それからあとは、補助金、BEMSにもESCOにも補助金は三分の一ないし二分の一出ますから、補助金はもちろん申請するんですが、要は、契約の手間とか補助金申請の手間はお客さんの規模の大小によらずほぼ一緒であるがゆえに、小口事業者にこういったサービスを広めていこうとすると、契約の手間は民民の話なので会社が解消するにしても、ちっちゃな件数がどんどん重なってきて、申請の手間、手続の手間が重くのしかかってくる。それを今後、国としてもやっていかなきゃいけないわけでありますが、まさにその手続、申請の手間というものが今後ネックになってくるのではないかという現場の声も伺っているところであります。

 ちょっと、詳しくお答えいただいたので、詳しく再度、もうこれを最後にしますけれども、申請時に必要な書類をやはりもっとシンプルにしていく必要があるのではないか。先ほども少し御質問がありました。また、あわせて、ネット上で申請できるペーパーレス化も、小規模なESCO、小規模なBEMSの補助金の申請に関しては、もうしてしまってもよいのではないかと考えますが、シンプルにしていくということについて御答弁をいただきたいと思います。

新原政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御指摘にありましたように、これは三百億円もある補助金でございますので、非常に小さな企業も使われております。ですから、これは、この審議を奇貨として、先ほど御指示もありましたので、もう一回ちょっと洗い直しをして、申請者の意見も聞いて、簡素化できるところがあるかチェックをさせていただきたいと思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 設備更新による省エネについては以上です。

 続きまして、もう一つの柱であるところのピーク対策についてお伺いをいたしたいと思います。

 消費者の電気の需要をコントロールする、いわゆるエネルギーマネジメントと呼ばれる手法について、午前中からもずっと審議、そして御答弁が続いておりますが、例えば、海外での導入が進むこのスマートメーター、あるいはBEMS、HEMSの普及ということについて、まず大臣から総論でお答えをいただきたいというふうに思います。

茂木国務大臣 三十九歳の誕生日を迎えられた井坂委員から御質問をいただきました。

 冒頭、何のための省エネなのかと、三点挙げていただきました。これまでの総使用量の抑制に加えて、これからまさに使用の平準化、ピークコントロールが必要である。そして三番目に、そういった課題を解決するプロセスの中で新しいイノベーションが生まれる。私、イノベーションというのは、単に技術の問題ではなくて、システムであったりとか、こういったエネルギーマネジメントにも応用される、こんなふうに思っております。

 そして、我が国の電力、電力需給の安定というときに、これまでどうしても需要サイド、これは所与のものだ、こういった形で、供給側を積み上げてきた、こちらの議論に終始をしてきた側面が否めないと思っています。

 例えば、電力会社、省エネ、スマートメーターといっても、売っているものが電気なんですね。自分の電気を売っているのに、そんなに減らす努力をしてこなかったといった意味で、さまざまな、MEMSにしてもBEMSにしても、普及はまだ進んでいない、これからだと思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 今、大臣がおっしゃった、まさに最後におっしゃったところ、私も同じ問題意識を抱えております。電気を売るのが仕事の発電の会社が、その売り物である電気を減らすようなことに対してのインセンティブは働いていないのではないかという問題意識、私も持っております。ちょっと、後ほど、その点についてはまた御質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、BEMS、エネルギーマネジメントシステム及びスマートメーターの普及について、引き続き質問をさせていただきます。

 BEMSの補助金の仕組みを見ましても、ディマンドレスポンスを導入する場合は、ふだん三分の一の補助金が二分の一になるというようなことも書かれておりました。大臣の午前中の御答弁にもありましたように、アメリカの例をおっしゃっていましたけれども、本当のピーク時には、もう半ば強制的に十五分間クーラーがとまるような契約もあるんだというお話ではなかったかと思います。ピーク時に、経産省の要請によって、需要側があらかじめ認めた範囲内で使用の抑制を自動的に受け入れていく、そういう仕組みも今後広まっていくのかというふうに思います。

 私はさらに一歩踏み込んで、単に需要を抑えていくというだけでなく、抑えた需要を逆にユーザー側が何か再活用できないか、CO2の排出権取引のような発想で、この電力使用権取引のようなことも今後考えていけないかということも少し思っておりますので、きょうはちょっと時間の問題もありますから、これについてはまた後日議論をさせていただきたいと思っております。

 スマートメーターの普及について、そして、あわせて、スマートメーターの性能基準についてお伺いをしたいと思います。

 昨年春に東電が発表したスマートメーターの性能基準がありましたが、この性能基準については内外から批判が起こったのかなというふうに認識をしております。いわく、特定の事業者しか事実上つくれない仕様になっているのではないか、あるいは最終的に国際社会の中で通用しないガラパゴス的な仕様になっているのではないかという懸念が、当時の仕様には寄せられていたというふうに認識をしております。

 その後、内外から集まった批判に応えて、仕様のオープン化などが進んだというふうに思っておりますが、スマートメーターなどの機器について、実用化されて、しかもそれが今後全世帯に配備されて、配備された後に、この機能を入れておくべきだったとか、あるいはインターフェースの部分にこういう信号も通しておくべきだった、あるいはプロトコルというんでしょうけれども、情報の伝達のルールをこういうルールにそろえておくべきだったというような、後でしまったということがないように、今、性能の基準、仕様の基準が必要だというふうに考えております。

 スマートメーターの機器の性能、仕様について、現状をお伺いしたいと思います。

糟谷政府参考人 御指摘のように、スマートメーターは全世帯に普及するものですので、しっかりと検討した上で、後で後悔しないような形で入れていくことが必要だと思っております。

 その意味で、まず、経済産業省にスマートメーター制度検討会というものを設けまして、ここでスマートメーターが備えるべき基本的な要件というのを検討いたしました。

 この検討会には、電力会社だけではなくて、家電メーカーですとか通信事業者、それから学識経験者といった方々の参加を得まして、検討を行いまして、具体的には、メーターが提供する情報は三十分ごとの電力使用量であるとか、それから逆潮流の値、つまり系統に戻っていく電気の値であるとか、そういうメーターとして計測すべき必要な事項についてここで合意に至っております。それからまた、情報提供の仕方として、需要家と電力会社の双方に提供することといったような提供の仕方も定めております。

 こういうことで、メーターの基本的な要件を定めました上で、さらに昨年の二月から、スマートハウス標準化検討会というのを開きまして、これはスマートメーターと住宅用のエネルギー管理システム、HEMSとの情報連携に必要なインターフェースを標準化いたしました。それから、インターフェースを標準化しようといたしますと、それぞれの電力会社のデータフォーマットも統一する必要があります。こういうことをやってまいりました。

 そういうことを受けて、昨年の東京電力の仕様の公開に至ったものでございます。

 御指摘のように、当初、公開した仕様にはいろいろ批判もありまして、ただ、これは、いきなりそれで入札をするということではなくて、この仕様で入札をしようと思うんだけれども、それについてどうかということで提案を求めるプロセスを経ました。

 この結果、内外から四百件を超えるいろいろな提案が寄せられまして、それを踏まえて仕様を見直しまして、全面的に見直した仕様を去年の十月に東京電力が公開しております。

 これはメーターとしての計測する部分の仕様でございますけれども、さらに通信システム、通信の部分とか運用の管理システムについては、同様のプロセスを今行っております。

 こういうことによって、独自の、ガラパゴス化したような仕様じゃなくて、国際標準に準拠して、いろいろな人が供給できて、したがって、競争も通じて、先生が御質問になったような、より低い初期コストでそういうメーターが調達できるようにということで進めてきております。

 それからまた、ほかの電力会社ですけれども、例えば関西電力は、電気料金の値上げ審査のプロセスの中で、仕様を公開することですとか競争入札を行うことなどを表明しております。ほかの電力も、こういった動きを見ながら、極力、共通にすべきところは共通にして、より廉価なスマートメーターの調達をしてもらいたいというふうに思っておりまして、経済産業省としても、そのあたりをしっかりと注視し、それから国際標準との整合性をきっちりと保ってまいりたいと思っております。

井坂委員 ありがとうございました。

 スマートメーターの普及について、午前中から審議もありますように、二〇二〇年代早い時期までに一〇〇%普及、また中間目標としては、五年後に八〇%普及を目指すというふうにも伺っております。また、実際、電力各社も、二〇二三年から二五年あたりを目標に、全戸配備の計画を立てているというふうにも伺っております。

 しかし、五年後に八〇%と聞くと、意欲的な目標にも聞こえるわけでありますが、実際は、電力利用全体の六割を占める大口需要家にはスマートメーター、あるいはエネルギーマネジメントシステム、こういう仕組みが既に普及をしていて、残り四割の小口あるいは家庭に対して、その四割の半分の二割を五年後までにという、ある意味、標準的な中間目標かなというふうにも感じるわけでありますが、この点、さらに前倒しは不可能なのか、お伺いをしたいと思います。

糟谷政府参考人 まず電力計、メーターでございますけれども、これは通常、十年間が耐用年数でありまして、十年ごとに計量法に基づいて更新をしなきゃいけないということになっております。逆に言いますと、通常の更新期にスマートメーターに切りかえていくという考え方でいきますと、ほっておいても十年かかってしまうという問題がございます。いかにこれを前倒ししていくかということが課題になるわけであります。

 他方で、前倒しをいたしますと、既存のまだ十年間使えるメーターを途中で廃棄することになりますので、その分の除却コスト、除却損が生じます。こういうコストをいかに減らしながら前倒しをしていくかということが課題になるわけであります。

 この観点から、まさに初期投資のコストを削減するということになろうかと思いますけれども、幾つかの取り組みをやっております。

 一つは、スマートメーターの計量計としての検定手数料、計量法に基づく検定の手数料を二十四年、昨年の七月一日から大幅に引き下げております。六百七十円から三百七十円に引き下げをしております。

 それから、スマートメーターに内蔵される通信機能、これはソフトウエアを書きかえた場合に、チップをソフトで書きかえるということでより長く有効に使えるわけですけれども、これが計量法の改造に当たるのかどうかという疑義がございましたので、現在、パブリックコメントを行いまして、計量法上問題がないということを明らかにすることで、よりスムーズな導入が進むようにということを考えております。

 このほかにも、どうやったら既存のメーターを切りかえて、スマートメーターのさらなる導入が加速できるか、引き続き、いい方策がないかもっと考えてまいりたいと思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 スマートメーターの普及に欠かせないのが、電気料金体系の工夫ではないかと考えております。

 まずはピーク時の電気料金が高いんだという状況をつくって初めて、各家庭では、では時間帯別にうちはどれだけ電気を使っているのか調べようということで、スマートメーターが欲しくなり、そして、では電力が高い時間帯はなるべく使わないように自動制御しましょうということで、エネルギーマネジメントシステムの導入の検討に入る、こういう順番ではないかというふうに考えているわけです。

 やはり、まずは料金体系、そしてそれがインセンティブになって、スマートメーターやエネルギーマネジメントシステムの普及が進むのではないかと思いますが、需給の程度によって電気料金が変動するような料金体系、あるいはその前段階として、時間帯別に料金が変わるような、北九州の事例なども午前中いろいろ御説明いただきましたけれども、こういう料金体系についてお伺いをしたいと思います。

赤羽副大臣 今、井坂委員のお話がありましたように、経済産業省としましても、北九州市や豊田市など、四地域でスマートコミュニティーの実証実験を行っております。

 その結果、二割ものピークカットが実現をされまして、支払う電気料金も三割程度安くなった。ちなみに北九州市では、電気料金変動を行った家庭の電気料金の支払い額は月額五千九十一円、日本の家計の平均電気料金の支払い額は八千百八十八円、比較すると三割程度安いということでございます。こうした意味で、現実に消費者にも十分メリットが出たということが実証されていると考えております。

 今、申し上げましたように、スマートメーターやエネルギーマネジメントシステムの導入のみならず、需給に応じたよりきめ細やかな、時間帯別ですとか季節別の電気料金メニューを選択できるようになれば、消費者がみずからのライフスタイルに応じた、スマートにピーク対策や省エネを行うことが可能になるというふうに認識をしております。

 昨年の夏、東京電力と関西電力は、消費者のピークシフトを促すという観点から、選択制で、夏のピーク時間帯の料金を通常の約二倍にするかわりに夜間料金を安くする、ピーク料金メニューを新たに導入しております。

 また、九州電力、東北電力、四国電力は、現在行われている電気料金の値上げの申請の際に、ことしの夏から同様の料金メニューを設定することを表明されております。さらに、これらの電力会社は、スマートメーターの導入に合わせまして、需給に応じたよりきめ細やかな料金メニューを新たに設定するとも表明されておるところでございまして、今後、こうした取り組みが一層広がっていくことを期待し、努力していきたいと考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 時間帯別の料金体系、今後、電力各社が順次導入をしていくということでありますが、その料金体系、そして、スマートメーターの普及が進むまでのさらに暫定的な工夫として、今は、最初の百二十キロワットアワーまでは単価十八円何銭、次の三百キロワットアワーまでは単価二十五円何銭、それを超えたら二十九円何銭という、三段階の、使えば使うほど電気の単価が上がる、そういう料金体系かと思いますが、この二段階目と三段階目の差をさらに大きくするような料金体系の工夫も暫定的な措置としてあるのかなというふうに思っております。ちょっと時間がありませんので、これは申し上げるだけにしておきます。

 最後に、総括原価方式ということについてお伺いをしたいと思います。

 先ほど大臣もおっしゃいましたように、発電会社は、やはり電気を売っている仕事なので、であるからこそ、本当の意味で、売っていく電気を減らそうというインセンティブが働きにくいのではないかというお話もございました。

 加えて、総括原価方式という仕組みによって、発電設備、要は、需要に応じてどんどん供給の発電量をふやしていく、設備投資をしていく、幾ら投資しても投資した分に必ず利益が乗せられるという料金体系が、まさに、設備投資を抑えようという、あらゆる企業が持っている当たり前のインセンティブを奪ってきたのではないかというふうにも考えております。

 実際、諸外国では、お客さんが同じ時間帯に一度に電気を使うピークを分散させようと電力会社の側が頑張って、時間帯別の料金とかスマートメーターの普及といったことをしているというふうにも聞くわけです。

 これは考えてみれば当たり前の話でして、例えば旅行会社でも、旅行会社の側が、お盆にお客さんが集中するのを何とか分散させようとして、お盆の旅行料金は高く、それ以外は物すごく安くして、何とかよそに散ってもらうように供給側がするわけですね。なぜなら、一番多いところにただ合わせれば、ほかの日が本当に無駄になってしまいますから。

 今、日本の電気というのはまさにそういう状態で、ピークにひたすら合わせて供給を積み上げた結果、ピーク以外のところはほとんど遊休設備、まさに無駄な設備投資、そして、それは別に電力会社がかぶっているわけではなくて、我々電気の利用者側が、その無駄な投資、ピーク以外の部分の遊休設備分を知らないうちに電気代に乗せられて払わされているという構図ではないかというふうに考えております。

 現在の総括原価方式を見直す、電力の自由化という方向性は既にあるわけでありますが、電力会社の側で設備投資のコストを抑えていこうというインセンティブを働かすという趣旨でも、やはりここが一番大切なところではないかと思いますので、改めてお伺いをしたい。

 完全自由化までまだ間があるわけですが、単に総括原価方式をそのまま放置するのではなく、コストがふえればふえるほど、そこに乗せられる利益の割合が、幅が減っていく、そういう計算方式に変えるような工夫はできないものか。投資を抑えた方が電力会社に利益が出る、そんな制度は考えられないのかという観点でお伺いをしたいというふうに思います。

茂木国務大臣 電力の市場、それから顧客も完全に独占の体制、売る方は確実に売れる、買う方はまだ一人しか買えない、こういう中だと、なかなかさまざまな工夫というのが生まれてこなかったというのは確かだと思うんですよ。

 野球の野村監督が楽天イーグルスに行ったときに、なかなかすぐれた四番バッター、ずっと四番を打っているバッターがいるんですね、そのバッターに、おまえ、野球というのはどういうスポーツだと思うかと。聞かれて、ぽかんとしたらしいんですよ。何のためにあんなにタイムが多くあるんだと。またぽかんとする。タイムの間にいろいろなことを考えるんだと。IT野球というのはそうなんですね。今までのデータをきちんととって、そこの中で次の行動がどうなるかを考える。

 だから、いろいろなデータを集めるためにも、スマートメーターであったりとか、そういったものが基本的には必要になってくるわけであります。

 そこの中にあって、これから電力システム改革を進めていく。これは、競争という条件をつくっていくという中で、さまざまなサービスのメニューも提供側から生まれてくる、そして需要の側もそれが選べるような状態になっていく、こういった意味から、極めて重要だ、私はそんなふうに考えております。

 御指摘の総括原価方式の料金規制につきましては、電力システム改革専門委員会の報告書の中でもこう書いてあります。総括原価方式のままでは高コスト構造を見直す誘因が十分ではない、そして、需要家保護を図るべく激変緩和のための経過措置期間を経た上で、料金規制の撤廃を行うことが適当である、こんなふうに書いてございます。

 こういった点も踏まえまして、総括原価方式に基づきます料金規制の撤廃も含めた小売の全面自由化など、この改革の全体像を政府としても早く決定して、所要の法案を国会の方に提出したいと思っております。

 全体の改革が二〇二〇年までという中で、料金規制を完全に撤廃する。これは、競争環境が整わないうちに料金規制を撤廃するということになりますと、有利、不利がかえって生まれてしまう、強いところ、弱いところ。そして、それがかえって料金の値上げにつながらないように、そのために、ある時期においては、料金措置、経過措置として規制料金というのは残しますけれども、最終的には、この料金を完全に自由化していく、そして、送配電についてもきちんと分離をする、そういった方向で検討を進めております。

 そこの中で、総括原価、恐らく、発電部門でいけなくなってくると思うんです。小売部門についても。そして、送配電部門、これが恐らく、電力の安定供給の義務を一番負うということになってきますから、ここに対してどこまでのことができるかということは、今後検討していきたいと思っております。

井坂委員 以上です。終わります。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 省エネ法の質疑であります。

 まず、省エネ法を議論する前提として、福島原発事故に関して、東電による国会事故調の調査妨害問題について質問をいたします。

 茂木大臣にお答えいただきますが、細かい事実関係については、高原長官からお答えいただければと思っております。

 福島原発事故の国会事故調査委員会による原因究明を東京電力が妨げていたということが大きな問題となっております。国会事故調査委員会の委員だった田中三彦氏が、二月七日、衆参議長及び茂木経済産業大臣宛てに文書を提出しました。昨年二月、福島第一の現地調査を計画した国会事故調に対して、東電が虚偽の説明をして調査を妨害したことを指摘し、東電の監督官庁である経済産業省に対しては、東京電力の虚偽説明の検証と現地調査の実現への協力を求めたものであります。

 この問題に関して、茂木大臣はどのように対応されたのか、この点、まずお答えください。

茂木国務大臣 要請を受けまして、東京電力が何らかの意図を持って虚偽の説明をしたとすれば、断じて許されるものではない、こういう認識のもと、同日、私が指示をいたしまして、東京電力に対して、信頼の置ける形で事実関係を明らかにし、報告するよう指示を出したところであります。

 これを受けまして、二月の十八日に、東京電力は、事実関係を明らかにするため、我々として、信頼が置ける形で、こういうことを申し上げましたので、弁護士三名から成る第三者検討委員会を設置し、本年の三月十三日、同委員会が検証結果の報告書を取りまとめて公表したと承知をいたしております。

塩川委員 東電に報告するように指示を出したということですけれども、これは、法令に基づく報告徴求、報告徴収ということになっているんでしょうか。

高原政府参考人 お答え申します。

 これは、法令に基づくものではございません。

塩川委員 重大な問題ということで、なぜ法令に基づく報告徴収を求めないのか、この点についてはいかがですか。

高原政府参考人 先ほど委員御指摘のとおり、二月七日に委員からこの文書をいただきまして、信頼の置ける形で事実関係を明らかにし、報告するようにということで、迅速にまず指示をさせていただくということが第一だったと思っております。

塩川委員 迅速にということで行政指導ということですけれども、誰が誰に対して、つまり、経産省側の誰が東電側のどなたにどのような行政指導を行ったのかについてもお答えいただけますか。

高原政府参考人 福島第一原発の事故後のいろいろな案件を担当いたしております管理職でございます舟木室長から、東電の担当管理職の方、具体的には経営改革本部の事務局の見学部長に対しまして指示を行わせていただきました。

塩川委員 先ほど大臣からお答えいただきましたように、東京電力が第三者委員会を設置して、三月十三日に検証結果報告書を取りまとめて、経産省にも報告が出されたということであります。

 この東電の検証結果報告書の結論のポイントについて御説明いただけるでしょうか。

高原政府参考人 三月十三日でございますけれども、委員会が検証結果報告を取りまとめ、公表いたしました。

 主なポイントでございますけれども、説明者が事実に反する説明をしたのは説明者のいわば勘違いに基づくものであること、直属の上司も関与していなかったということが明らかであること、そして、国会事故調への協力の指示が社員の間に徹底されていなかった印象を受けること、さらに、再発防止策として、上層部の指示が全社員に浸透し、社員が早い段階から上層部に相談することができる組織構築の確立を求めている、こういったところが主たる内容であると承知をいたしております。

 以上でございます。

塩川委員 事実に反する説明をしたのは担当者の勘違いによるものだった、その説明内容には上司は関与していなかったということであります。

 大臣にお尋ねしますが、この東電の検証結果について、大臣としてはどのように評価をしておられますか。

茂木国務大臣 先ほど、まずどういうルートで東電に対して要請をしたかとお尋ねがありましたが、私が、資源エネルギー庁の幹部を集めまして、こういう形で指示を出すようにということで、適切な人間が東電側に申し入れを行っております。当然、東電の幹部にもそのことは伝わり、その上で第三者委員会、こういったものが立ち上げられたと私は理解をしておりまして、別に、担当レベルで勝手にやっている、こういう話ではないというのは、まず、ぜひ御理解いただきたいと思っております。

 その上で、我々としては、信頼の置ける形で事実関係を明らかにするように、こういう方針でありました。東京電力が弁護士から成る第三者検証委員会を設置したこと、そして、この第三者委員会の方は、関係者へのヒアリング、福島第一原発への視察等を通じて事実関係を把握し、検証結果報告書をまとめたこと等々の対応は、社会的に関心を集めている企業の透明性の確保という観点から当然行われるべきものであった、こんなふうに考えております。

 また、同報告書には、東京電力が講じるべき再発防止策、今、高原長官の方からもありましたように、上層部に早い段階で相談できる組織構築の確立についての提言等がなされておりまして、東京電力において今後この方向で適切な対応、そして改善がなされる必要がある、そのように考えております。

塩川委員 手続の話として、信頼の置ける形でやりなさいという指示を踏まえて東電側が第三者委員会を設置し、関係者へのヒアリングや福島第一の視察を行ったということと、対応策についても触れている。

 ちょっと確認ですけれども、そもそも、報告書では、事実に反する説明をしたのは担当者の勘違いに基づくものだ、この点について上司は一切関与していなかったという事実関係の指摘について、大臣としてはどのように評価しておられますか。

茂木国務大臣 これは、刑事手続の捜査ではありません。ですから、それぞれのアリバイであったりとか、個々にどこか取り調べ室に入って何かをするとか、常務はあの日は何時に出たなんというのを近所に全部聞き込みをするとか、そういう類いのものではないと私は思います。

 その上で、第三者委員会として、責任を持って、それぞれのヒアリングを行った中でそういった結論を出された、そのように理解いたしております。

塩川委員 ですから、そういう報告が妥当なものだと大臣としては受けとめておられるということですか。

茂木国務大臣 もし違った方法の調査が必要である、こういう調査が足りなかったのではないかなというのがございましたら、御指摘ください。

塩川委員 その手続の話ではなくて、そもそも、報告書としての事実関係を明らかにした、特に核心となるところは、担当者の勘違いであり、上司は関与していなかったということについては、それはそうだな、報告書のとおりだなと受けとめておられるということですか。

茂木国務大臣 繰り返しになりますが、刑事事件ではありません。そこの中で、第三者委員会が客観的に調査の仕事をされた、そんなふうに私は思っております。

 弁護士として、それぞれ独立した立場で、プロフェッショナルとしての仕事をされる方を当然選んでいる、その上でやられた調査の報告だと思っております。

塩川委員 ですから、こういう事実関係の報告について、それは客観的に行われたものだという評価をしておられるということであります。

 そこで、もう少し事実関係でお聞きしたいんですが、関係者のヒアリングを行ったということなんですけれども、そのヒアリングの対象者に、東電の関係者だけではなく、一方の当事者である国会事故調の関係者というのは含まれているんでしょうか。

高原政府参考人 含まれていないと承知をいたしております。

塩川委員 その理由は何でしょうか。

高原政府参考人 この調査対象に、いわば聞き取り対象に事故調の方々が入っていない理由というのも、ここに明示的に書かれてございます。

 例えば、この方に対しては、完璧な公開のもとでいろいろな調査が行われたこと、あるいは、結果として公表されている以外のものについては守秘義務がかかっているというようなこと、ここも、しなかった理由として、判断理由が述べられているところでございます。

塩川委員 そもそも、経済産業省に対して、東電の虚偽説明の検証と現地調査の実現への協力を求めた、こういう要請を行った国会事故調の元委員の田中三彦氏にもヒアリングをしていない。これは、国民の常識からいってちょっと信じられないんですけれども、大臣、どのようにお考えですか。

茂木国務大臣 状況的に整うかどうかは別にいたしまして、事故調が再び東電の現地視察をしたい、それにつきましては全面的に協力するようにということで東電の方には要請を行っております。

 そして、今御指摘の点でありますけれども、東電における内部の意思決定、それにつきまして外部の事故調の方が御存じであるということはないのではないかな、そんなふうに私は思います。

塩川委員 この東電の担当者が事故調の関係者とやりとりをしているわけです。そのやりとりの事実関係についてというのがいわば前提になるんですけれども、それを一方の東電側しか聞いていないのでは、客観的なものとして示されないんじゃないのかということを当然思うわけで、そういう点でも、国民の常識からいって、一方の当事者だけのヒアリングをもって報告書をまとめている妥当性というのは、私は大いに懸念するところであります。

 もう一つ確認したいんですが、福島第一の視察を行ったというんですが、この該当する一号機が真っ暗だったということが虚偽だったということは東電側も認めていることですけれども、一号機の中に第三者委員会のメンバーというのは入っているんでしょうか。

高原政府参考人 一号機の中には入っておられないというふうに承知をいたしております。

塩川委員 現場も確認していないんですよ。

 私が率直に今思うのは、虚偽説明を問題提起した国会事故調の元関係者の方のヒアリングも行わない、一号機内部の現場調査も行わない、こういう報告というのが、問題なし、客観的なものだと率直に言えるのか疑わしいのですけれども、大臣としてはどのようにお考えですか。

茂木国務大臣 一号機の中は暗くない、暗くなかったということは、東電の側も認めているわけですね。そうしますと、塩川委員、あれだけ放射能の高い一号機の中に、もう明るいというのをわかった上で明るいことを確認に入る意味があるのかどうかといいますと、私は大きな疑問がございます。

塩川委員 一階から三階についての暗さの問題ですとか、そういうことを含めて、まずは入らないとわからないわけですから、そういう事実関係そのものも本来確認すべきことだと率直に思います。

 事故から三カ月後に、一号機の原子炉建屋カバーの設置の工事を行うということで、東電側は設備構成図というのを作成して経産省に報告しております。これは、東電側の報告と、それに対して経済産業省側から、こういった一号機の原子炉建屋のカバー等の設置に当たって、原子炉等規制法六十七条一項の規定に基づく報告徴収命令を行っているんです。そういう点でいえば、経産省は一号機の原子炉建屋に照明があるということは当然知っていたわけであります。

 告発をした国会事故調の元委員の田中氏は、経産省に対して、経産省が検証してくれというふうに求めているわけですね。ですから、私は、東電任せではなくて、例えば電気事業法の百六条など、法令上の報告徴求も含めて報告を求めて、経産省としてしっかりとした調査を行うべきではないかと考えますが、いかがですか。

高原政府参考人 これにつきましては、大臣からも先ほど御答弁申し上げましたとおり、信頼の置ける形で事実関係を明らかにするようにという指示を東電に対しても申し上げ、そうした形でこの第三者委員会が設置をされて、ここで調査が行われたというふうに承知をいたしております。

塩川委員 原発の保安に係る業務の状況に関し報告を求めることができるというのが電気事業法百六条の報告徴求の規定であります。私は、こういうところをしっかり使って、経済産業省としてしっかりとした調査を行うべきだと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

茂木国務大臣 事実関係の確認をする、そして調査に妨害があったか等々についてそれを解明する、そのためにどういうやり方がいいかということで、信頼の置ける形での検証を、そういう要請をさせてもらいました。その要請に基づきまして、東電におきまして第三者委員会を立ち上げたということでありまして、その過程において、実際に誰が調査をするかということよりも、その結果が中立的であるかどうか、透明性があるかどうかということが私は重要だ、そんなふうに考えております。

 そして、先ほどから申し上げておりますけれども、例えば、第一号機は明るい、間違って、それが暗いということを言ったわけですよ。明るいということについては、衆目の一致しているところなんですね。それについて、弁護士の方が明るいか暗いかを見に行く必要は私はないんだと思います。その見に行っていないということをもって、調査が不十分だと。みんな明るいと言っているんですよ。明るいと言っているのに、わざわざ放射能の高いところに明るいか暗いか見に行くなんという必要は私はないと思いますよ。

塩川委員 ですから、建屋のところにカバーがあって、照明までついているんですよ。そういうことについてきちんと確認するということは、私は、やはり本来、ちゃんと調査として行うのであれば、当然の仕事の一つだと言わざるを得ません。

 一号機は、二、三号機と比べても非常に短時間でメルトダウンを起こして水素爆発に至っておりますが、その真相はわかっておりません。地震動によって非常用復水器を破損したのではないかということも焦点となっているわけです。

 原発の安全性について、事故原因の解明がないまま進めるわけにはいかない、エネルギー政策の根幹にかかわる問題だと指摘をし、引き続きこの問題を取り上げることを申し上げて、省エネ住宅の省エネ基準について質問をいたします。

 改正案では、窓や断熱材など建築材料についてのトップランナー制度を導入するとしております。断熱性能の向上は、住宅や建築物の省エネ化にもつながるものであります。しかし一方で、湿気の多い日本の気候風土に適合した木材伝統工法住宅では、土壁やしっくいによる湿度調整や、風通しを考えた家づくりが行われております。

 そこで、国土交通省鶴保副大臣に御質問します。

 この高気密、高断熱という省エネ法に基づく住宅、建築物の省エネ基準ではこういった伝統工法が生かされないんじゃないかと思うんですが、この点についてどのようにお考えでしょうか。

鶴保副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 委員御指摘のように、住宅の省エネの推進に当たっては、地域の気候や風土に合った住宅への配慮が必要だと考えております。

 その中で、高気密、高断熱の省エネ基準というものに対する懸念がおありのことは重々承知をしておるわけでありまして、その意味におきましては、どういった規制をするか、そしてまた、その規制に対してどういった現場の実力、技術が追いついているか、また、その基準等々についても、地域地域によって異なるわけでありますから、それらにおいて間尺に合ったものをつくっていかなければならないということを考えております。

 現在、省エネ法において、一定規模以上の住宅については、省エネ基準に適合するよう、地方公共団体への届け出の対象となっておりますけれども、戸建て住宅については、こうしたことから、届け出の対象とはさせていただいておりません。

 また、今後、全ての住宅に対して省エネ基準への適合を義務化するに当たっては、施工者の技術の習得、向上に努めるとともに、伝統的木造住宅の特性を踏まえた省エネルギー性能の評価方法の検討を行うなど、円滑に義務化が実現するよう十分配慮してまいりたいと考えております。

塩川委員 いや、私がお聞きしたいのは、省エネ基準が、住宅、建築物については高気密、高断熱というのが基本となっている、これだと伝統工法が生かされないんじゃないですかということを聞いているんですけれども、どうですか。

鶴保副大臣 高気密、高断熱の省エネ基準と伝統工法のそぐわない部分というのは、先ほど申し上げましたとおり、それぞれの地域によっても違いますし、また技術によっても違います。また、それらを一律に規制することが正しいかどうかについては、本当にこれから議論をせねばならないというふうに考えておりますから、先ほど申しましたとおり、地方公共団体とのやりとり、そしてまた、各省庁間の連携等々も踏まえて、これから慎重に考えていきたいということでございます。

塩川委員 考えていくという方向なんですけれども、高気密、高断熱という現行の省エネ基準をもって省エネ適合の有無を判断するということでは、やはり伝統工法の取り組みを阻害することになりかねないんじゃないかというふうに率直に思うんです。

 ですから、私は、そもそも高気密、高断熱というのが寒冷な気候のヨーロッパなどの基準を当てはめた省エネ基準という側面もあり、亜熱帯を含む温暖な気候の日本にそのまま当てはめることにはそもそも無理があるわけで、高気密、高断熱という省エネ基準だけを進めるのを改めて、温暖な地方に対応した、湿気の多いような、そういう条件に合ったような住宅、建築物の省エネ基準をつくる必要があると思うんですが、検討、検討ではなくて、つくるということが必要だと思うんですが、どうですか。

新原政府参考人 今の点について、国土交通省ともいろいろ御相談をさせていただいております。

 まず、整理させていただきますと、トップランナー、今回御審議をお願いしているものというのはメーカーの規制でございますので、これは建築する際に何かを使わなきゃいけないという規制ではございません。ですから、委員の言われているような問題が生じてくるということは、この法案についてはないと思います。

 問題は、ずっと御審議があるわけでございますが、今の家の基準みたいなものを義務化していくという議論があるわけですけれども、その際に、伝統的な工法のものが建築できるかどうかというところが問題になるわけであります。そこについては、私どもも国土交通省さんも両方とも、伝統的につくってきたものが、義務化することになったら建築できなくなるとか、そういうことはまずいよなという共通認識に立っておりまして、何らか配慮措置を考えなきゃいけないと思っております。その配慮をどういうふうにやっていくかというのは、もうちょっと状況を見て議論をさせていただく必要があると思っております。

 以上でございます。

塩川委員 最後に大臣に所感を伺って、終わりにします。

茂木国務大臣 大変いい質問をいただいたと思っております。

 木材、耐熱性能といいますか、すぐれている部分もあります。そして、もともと日本の住宅等と同じような緯度にありますニューヨークなどと比べて耐熱性能が悪いということで、今回の断熱材であったりとか窓を導入させていただきますけれども、それはそれとして進めさせていただきながら、伝統的な日本の建築、こういうことについては柔軟な対応をしていきたいと思っております。

塩川委員 終わります。

富田委員長 次回は、来る二十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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