衆議院

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第8号 平成25年4月19日(金曜日)

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平成二十五年四月十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 石原 宏高君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 淳司君 理事 宮下 一郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 近藤 洋介君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      石崎  徹君    越智 隆雄君

      大見  正君    勝俣 孝明君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      平  将明君    武村 展英君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      根本 幸典君    福山  守君

      牧島かれん君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 美樹君    吉川 貴盛君

      大島  敦君    岸本 周平君

      木下 智彦君    重徳 和彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      井坂 信彦君    三谷 英弘君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   国務大臣         稲田 朋美君

   内閣府副大臣       寺田  稔君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   内閣府大臣政務官     亀岡 偉民君

   財務大臣政務官      竹内  譲君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      赤石 浩一君

   政府参考人

   (内閣官房消費税価格転嫁等対策準備室長)

   (内閣府大臣官房消費税価格転嫁等相談対応準備室長)            齋藤 哲夫君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     豊永 厚志君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  福田 達夫君     牧島かれん君

  細田 健一君     福山  守君

同日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     細田 健一君

  牧島かれん君     福田 達夫君

    ―――――――――――――

四月十二日

 消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案(内閣提出第三六号)

同月十一日

 原発ゼロ、再生可能な自然エネルギーへの転換と放射能汚染から子どもの命と未来を守ることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三六〇号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第四四〇号)

 直ちに原発ゼロを求めることに関する請願(吉川元君紹介)(第三八一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案(内閣提出第三六号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。稲田国務大臣。

    ―――――――――――――

 消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

稲田国務大臣 ただいま議題となりました消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 昨年八月に成立した社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律などによる今次の消費税率の引き上げは、二段階にわたるものであることもあり、中小零細事業者を中心に、消費税の価格への転嫁について懸念が示されています。

 このため、今次の消費税率の引き上げに際しては、これらの中小零細事業者等が消費税を価格へ転嫁しやすい環境を整備していくことが極めて重要な課題となっております。そこで、消費税率の引き上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、消費税の転嫁を阻害する行為の是正、価格の表示並びに消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為に関する特別の措置を講ずるため、ここにこの法律案を提出した次第であります。

 次に、この法律案について、その主な内容を御説明申し上げます。

 第一に、今次の消費税率の引き上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、特定の事業者による消費税の転嫁の拒否等の行為を迅速かつ効果的に是正するための制度を創設することとしております。

 第二に、消費税の転嫁を阻害する表示を迅速かつ効果的に是正するための制度を創設することとしております。

 第三に、事業者が、今次の消費税率の引き上げに際し必要があるときは、一定の誤認防止措置を講じているときに限り、消費税法の総額表示義務を解除することとしております。

 第四に、事業者または事業者団体が、公正取引委員会に届け出をして行う、一定の要件を満たす消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係る共同行為について、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用を除外することとしております。

 このほか、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律案は、平成二十九年三月三十一日限り、その効力を失うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

富田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房日本経済再生総合事務局次長赤石浩一君、内閣官房消費税価格転嫁等対策準備室長兼内閣府大臣官房消費税価格転嫁等相談対応準備室長齋藤哲夫君、消費者庁審議官菅久修一君及び経済産業省大臣官房商務流通保安審議官豊永厚志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石崎徹君。

石崎委員 おはようございます。

 本日、トップバッターで質問させていただきます、自民党の新人で初当選をいたしました、石崎徹と申します。

 本日のバッター表を見ますと、四人中三名が徹という字でございまして、これは何か配慮があったのかわかりませんけれども、進めさせていただきます。

 本日は、本法案の消費増税の円滑化、また、消費増税の前提となります経済状況の好転につきましても質問させていただきたいというふうに思います。

 特に、経済状況の好転につきましては、私自身、財務省と内閣官房国家戦略室というところで勤務をしておりまして、この経済状況の好転につきましては非常に難しい仕事だったということがありまして、私にとっても関心の高い分野でございます。

 私は、現在二十九歳、昭和五十九年生まれでありまして、与党で一番若い議員の一人でございますが、本当に、物心ついてから一度も経済状況がよくなっていない、景気がよくならない。まさに私は、成長を実感したことのない二十代の若者の一人であります。アベノミクスの成功につきましては、私の選挙時の公約でもありますけれども、経済産業委員として本気で取り組んでいきたいというふうに思いますので、その点につきましては後ほど質問させていただきます。

 お隣に座られております近藤洋介先生は、私が国家戦略室時代にいろいろお尻をたたかれながら仕事をさせてもらいました先生の一人でございまして、その点につきましても後ほど質問させていただきたいというふうに思います。

 消費増税が経済活動そのものに影響を与えないようにするためということで本法案が提出されておりますけれども、まず、本法案の立法趣旨につきましては、平成二十五年度税制改正大綱におきまして、特に現在、独禁法また下請法の適用対象となっておらない大規模小売店と納入業者との間の取引などを対象とした転嫁拒否等を防ぐものでありまして、形式的な面でも非常に意義のある法案だというふうに思います。

 また、本日、資料を配らせていただきました。

 まず一枚目、平成九年のときの消費増税の際には、この資料の下の方に、特に一千万円以下の中小企業の事業者様がなかなか消費増税分が転嫁できなかったというデータがございますので、今回、同じように二の轍を踏んではならないという意味では、本当に大きな立法理由があるというふうに思っております。

 また、資料の二枚目、三枚目に配らせていただきましたけれども、全国中小企業団体中央会、また日本商工会議所の岡村会頭のコメントにもございますように、一刻も早い本法案の成立、施行を望んでいるということが明らかでございますので、国民各層の要請が強い重要な法案であるというふうに思います。

 本重要法案につきまして、まずは、公正取引委員会委員長、私の財務省の大先輩でもございます杉本委員長にその決意をお聞きしたいというふうに思います。

杉本政府特別補佐人 石崎先生の最初の質問にお答えさせていただく光栄に浴するわけでございますが、消費税の引き上げに際しましては、適正かつ円滑な消費税の転嫁ということが大変重要な課題であることは十分認識しております。

 今般提出させていただきました転嫁対策法案におきましては、広く取引一般を対象とした制度とすること、公正取引委員会だけではなく、業種の所管大臣にも検査、指導権限を付与するなど、転嫁拒否等の行動に対しまして迅速かつ効果的な対応を可能とする制度としております。

 公正取引委員会といたしましても、この転嫁対策法案に基づきまして、関係省庁と連携し、政府が一丸となりまして、転嫁拒否の行動に対して実効性のある監視、取り締まりを徹底してまいりたいと考えているところでございます。

石崎委員 ありがとうございます。

 今、杉本委員長からお話がございましたけれども、次は、担当されております稲田大臣にお聞きします。

 全国で同時多発的に転嫁行為が起きる可能性がございまして、そういった意味では、現在の公正取引委員会の規模というか組織ですと、なかなかその同時多発的なものに対しての取り組みというのが難しくなるのではないかというふうに思います。今委員長からお話がございましたとおり、政府一丸となって本法案の施行をしっかり進めていただきたいというふうに思いますので、そのあたりの、これからの政府の体制、そして決意を大臣にお聞きしたいというふうに思います。

稲田国務大臣 今、消費税転嫁対策の執行体制についてのお尋ねだと思います。

 消費税の転嫁拒否等の行為に対する取り締まり等のために、政府一丸となって、万全な体制をとることといたしております。公正取引委員会では、平成二十五年度政府予算案において新たに百十九名を手当てし、体制を強化することといたしております。

 また、公正取引委員会や中小企業庁だけでなく、事業を所管する省庁においても、調査や指導を行う権限を付与することといたしております。これらの省庁とも連携して、今先生から御指摘のとおり、政府一丸となって、この法律について体制を万全にしていきたいと思っております。

石崎委員 ありがとうございます。

 ぜひ、重要法案ですので、しっかりと取り組んでいただけたらというふうに思います。

 次に、価格の表示のところにつきまして、若干テクニカルな話でございますけれども、質問をさせてください。

 総額表示につきましては、値札の張りかえなどによって消費者の誤認を招くことがないように進めていくべきだというふうに思っておりますけれども、なるべく、小売業者、特に小規模の小売業者の事務負担の軽減を含めて、しっかりと考えていかないといけないというふうに思っております。

 本法案を見ますと、外税、内税表示というものを一定期間でありますけれども許すというものでありますが、私自身、どのような表示が一番負担がないのかなというふうに考えてみたんです。

 現時点で、お店、スーパーで張られております値札につきましては五%分の消費税を含めての表示となっておりますので、一番手っ取り早い方法は、現在使われております値札をそのままにして、例えば、スーパーの一番目立つところに、追加の三%分の消費増税につきましてはレジにてお支払いをお願いいたしますというような、既存の値札をなるべくそのままにした形で増税分についてお支払いいただくのが一番いいのかなというふうに思うんですが、本法案がそうした表示につきまして許容されているものなのかどうかについて、ちょっと細かい話ですけれども、お聞きしたいというふうに思います。

 三%増税した後も、二%追加で増税することが現時点では前提となっておりますので、今後数年の間に小売業者の負担がその都度過度に発生しないようにしていくためには重要な点かなというふうに思います。きょうは、財務省の竹内政務官も来ておられますので、ぜひお聞きしたいというふうに思います。

竹内大臣政務官 お答え申し上げます。

 今回の法案におきましては、消費税率の引き上げ前後の期間におきまして、総額表示の特例を設けることといたしております。

 まず、消費税の円滑な転嫁の確保や、事業者による値札の張りかえなどの事務負担への配慮の観点から、消費者に誤認されないための対策を講じていれば税込み価格を表示しなくてもよいとするとともに、消費者にも配慮する観点から、事業者はできるだけ速やかに税込み価格を表示するよう努めるとしているところでございます。

 御指摘のように、来年四月一日に消費税率が八%に引き上げられた後におきましても、事業者が旧税率五%での値札をそのままにしている場合には、商品の陳列棚や店内の目につきやすい場所に明瞭に、店内の表示価格は旧税率によるものです、別途レジにおきまして消費税率の引き上げ分をいただきますといった表示が行われていれば、総額表示の特例として認められることになると考えております。

 ただし、本法案第十条二項にありますとおり、できるだけ速やかに税込み価格を表示するよう努めなければならないとございますので、ぜひとも御留意をいただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、具体的にどのような表示が可能になるかにつきましては、今後、ガイドラインにおいて明らかにしてまいりたいと考えているところでございます。

石崎委員 ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたように、小売業者の事務負担がなるべく発生しないような形でどうか取り組んでいただけたらというふうに思います。

 また、せっかく財務省の政務官にお越しいただいておりますので、一点、質問といいますか、ちょっとお話をさせていただきたい点がございます。

 次の質問にも関連するんですけれども、今回、自民党政権になりまして、目玉の税制ということで、所得拡大税制、また雇用促進税制という画期的なものを導入いたしました。雇用促進税制につきましては、これまでの制度の拡充でございます。

 私も先日、地元のハローワークに行ってまいりましたけれども、雇用がこれから伸びていく兆しが正直出ております。また、失業から就職という流れではなくて、既存の企業からもっといい条件のところに転職しようとされている方も非常に多いということ、私も実際ハローワークに行ってみて気づきました。こうした形で、これから経済成長の芽が出つつあるところでありますので、しっかりと税制の面でも財務省一丸となって取り組んでいただけたらというふうに思います。

 アベノミクスの成功は、一人一人に成長の実感を持ってもらうまでやり抜くことだというふうに思いますので、税制の方でもしっかりと後押しが必要でありますし、また、何よりこうした画期的な税制を導入したという点につきまして、国民各層また企業への周知徹底をお願いしたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 消費税増税に当たりまして、前提となるのが経済状況の好転というふうに消費税関連法案の附則の十八条に書いてありましたけれども、成長戦略をこれからどのように策定していくかにつきましてお聞きしたいというふうに思っております。

 私は、先ほどお話しさせていただきましたけれども、これまで財務省から内閣官房の国家戦略室というところで勤務をしておりました。実行力のある成長戦略をつくることが非常に難しいものだというのも、事務方として経験しておりました。

 過去に政府が策定いたしました国家ビジョンで、成功したビジョンを私も調べていたんですけれども、唯一と言っていいほど成功したと言われているのが、池田勇人総理大臣のときの所得倍増計画でございました。現在のアベノミクスにつきましても、総理大臣をヘッドに、実際に、大企業中心ではございますけれども賃上げを要請するなど、一人一人の所得、賃金の上昇まで含めてやり切るんだという非常にかたい決意を感じております。

 そういった意味で、アベノミクスの司令塔でございます日本経済再生本部、これは、国家戦略室の反省を踏まえながら、本当に強力な司令塔としてこれから機能していく必要があるというふうに思っております。

 先日、日本経済再生本部の事務局の体制が今どうなっているのかにつきましてお話を聞きましたところ、国家戦略室時代は民間と役人が大体半々おったんですけれども、この事務局につきましては、今のところは民間の方が少ないというお話を聞いております。

 私自身、民間の方といろいろ自由闊達な議論をさせていただきながら、役人ではわからない感覚ですとか、いろいろな知見をしっかり吸収できて仕事もできた、いい面もあったというふうに思っております。アベノミクスの司令塔でございます日本経済再生総合事務局、どのように民間の方々の知恵とか知見というものを吸い上げていくのか、これからの体制強化につきまして、山際政務官にお越しいただいておりますので、お聞きしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

山際大臣政務官 お答え申し上げます。

 アベノミクスの三本目の矢の、民間投資を喚起する成長戦略、これをどのように実現させていくかという中で、今二つお話がありましたけれども、日本経済再生本部、産業競争力会議、経済財政諮問会議、この三つで進めていくわけです。お話しのように、この三つがばらばらに動いていては全く成長戦略ができませんので、それを統合する形で、日本経済再生総合事務局という一つの事務局にまとめてございます。

 そして、民間の活力、民間の知恵というものをどういうふうにこれから生かしていくかという話でございますが、委員御案内のとおりに、産業競争力会議には、そもそも十人の民間の議員の方に入っていただいています。

 今、経営の現場にあられて、産業競争力をどのように高めていけばいいか、あるいは国際展開をどう進めていけばいいかということを自分自身の業を通して実際に行っていらっしゃる、そういう問題意識を非常に深く持っていらっしゃる経営者の方や、イノベーションや規制改革等々も含めて成長戦略に資する議論を深めることができる有識者、学識者の方々、十名に入っていただいております。まずここで民間の知恵というものが生かされます。

 一方で、今御指摘がありましたように、事務局の中にも民間の方が、五、六名というふうに聞いておりますが、入っております。ですから、事務局は数としては少ないかもしれませんけれども、全体としては民間の知恵がきちんと成長戦略に生かされる枠組みになっているというふうに理解しておりますし、また、委員御指摘のとおりに、きちんと民間の知恵が生かされる成長戦略になるように心がけてまいりたいと思っております。

石崎委員 ありがとうございます。

 しっかりと民間の方の知恵を吸い上げるような体制にしていただけたらというふうに思っております。

 次に、今度は事務方にお聞きします。

 先ほどお話しさせてもらいましたけれども、やはり個人の所得が上昇するようなところまで、このアベノミクスをやり遂げる必要があるというふうに思っております。そういった形でこれからつくっていきます成長戦略、どのように個人の所得が上昇するような戦略にしていくのか、今の検討状況を含めて、また、これからの政策の取り組み方につきましてお聞きしたいというふうに思います。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 日本経済再生に向けては、新たな雇用や市場の創出、意欲ある人が働くことのできるような環境の整備、それからグローバルに活躍できる人材の育成などにより、競争力の強化と所得の増大の好循環を生む、これが大変大切であると思っております。

 このため、日本経済再生本部は、経済政策の司令塔として、関係する会議等と連携しながら、所得の増大に貢献する施策に取り組んでいるところでございまして、例えば、産業競争力会議においては、まずは、成長関連産業を育成する、課題解決型産業が伸び伸びと育つような環境整備、次に、成熟産業から成長産業への失業なき円滑な労働移動などの議論がなされておりますし、また、若者・女性活躍推進フォーラムにおいては、若者の就職をいかに助けていくか、女性が働きやすい環境をいかに整備していくかなどの議論がなされております。

 また、先般開催いたしましたデフレ脱却に向けた経済界との意見交換会においては、首相みずから、業績が改善している企業に対する報酬引き上げの要請なども行っておりまして、こういったさまざまな取り組みをどんどんやっていく、それが成長戦略に盛り込まれていく、こういったことを通じて全体として所得の増大につながっていくもの、このように考えております。

石崎委員 ありがとうございます。

 先日の党首討論におきましても、失業なき流動性ある労働移動につきましては総理も決意を持って表明されておりましたので、その点についてもしっかりとやっていただけたらというふうに思います。

 あわせまして、私自身の経験といたしまして、内閣委員会の方はいろいろ所掌の広い委員会でありまして、経済部局もあるんですけれども、質問が分散してしまって、なかなか本質的な司令塔の議論というのが難しい委員会だったなというふうに思っております。その意味では、この経済産業委員会というのは、内閣委員会と連携しながらやっていくべきだというふうに思っております。

 その点につきまして、経済産業省も日本経済再生本部としっかり連携いたしまして、繰り返し申し上げております、一人当たりの所得、賃金が上昇するような成長戦略の策定につきましても責任を持って取り組んでいくべきだというふうに思いますけれども、経済産業省の政務の御決意をお伺いしたいというふうに思います。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、所得が上がっていくというところまでしっかりやり切ることが極めて重要でありまして、まずは経済成長、富は創造してからでなければ分配できないという基本に立ち、しっかりと経済成長を遂げていく。その次は、安倍総理などのリーダーシップで、大企業に対して、利益が出たところはしっかり賃金を上げてほしい、こういったことも、呼応する企業が出てきて、いい循環になってきている、そのように思います。

 あわせて、雇用のかなりの部分は中小企業、零細企業が持っておりますので、今般の消費税増税に係る転嫁がしっかりできて、お金が大企業と中小企業の取引のところで目詰まりしない、しっかりと中小企業にも利益が分配されるということが極めて重要である、そのように考えております。

 あわせて、日本経済再生本部との連携でありますが、茂木経産大臣も本部員を務めております。

 特に、例えば再生医療などは、動物実験のところは文部科学省、臨床実験になると厚労省、その間に大きな谷間があって、いい技術は持っていても、実用化、ビジネスまではなかなか行かない。そういうところはやはり経産省がしっかりと見てあげて、ロードマップみたいなものをつくってあげる。さらに、新しいイノベーションが起きると、法律が時代おくれになって、ピント外れの規制があって、それがビジネスの邪魔をし、民間資金が入ってくることを阻害しているわけでありますから、経済産業省はそういう視点を持って、日本経済再生本部とのかかわりの中で、いわゆるイノベーションをしっかりとビジネスにつなげていく、そういう役割を果たしてまいりたいと考えております。

石崎委員 ありがとうございます。

 今、平政務官からお話がございましたイノベーションの部分につきましては、それを政府がどこまで後押しできるかという点では、本当に難しい話だというふうに思います。

 民主党政権下でつくられておりました新成長戦略におきましても、かなりの部分がイノベーションの分野について重点的なものでありましたけれども、成果を出すことがなかなか難しかったのかなというふうに思っております。その点につきまして、自民党政権におきましては、成果を出せるような成長戦略となるように取り組んでいけたらというふうに思っております。

 中小企業の分野につきまして、次に質問をしようと思っていたんですけれども、今あわせてお答えいただきましたので、経産省に対しては、今のお答えで十分だというふうに思っております。

 今、中小企業が中長期的に成長をしていくような成長戦略も必要だというお話がございました。改めて、司令塔でございます日本経済再生本部事務局から、この点につきましてお聞きしたいというふうに思います。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 中小企業は、我が国の企業の九九・七%、雇用の約七割を支える極めて重要な存在でございまして、成長戦略に当たっては、我が国の立地競争力を強化して、中小企業がどんどん国内に投資できる、それから中小企業が海外に展開できる、こういったことを通じて業績改善をしていくということが極めて重要だと思っております。

 そういった観点から、イノベーション、これは中小企業に期待が大きいところでございます、あるいはITの強化、これが中小企業の成長に一番きくところであると思っております、それからエネルギーコストの低減、産業の新陳代謝などによってどんどんと中小企業を生み出していく、さらには、戦略的な経済連携を推進し、グローバルに競争できる人材力を強化し、中小企業の海外展開を後押ししていく、こういったことを通じて、世界で一番中小企業の活躍しやすい国、こういったものの実現を目指してまいりたい、そのように思っております。

石崎委員 ありがとうございます。

 今いろいろなお話を伺いましたけれども、これからスケジュール感というものも非常に重要だというふうに思っておりまして、先日、骨太の方針をこれからどのように進めていくのかにつきまして事務方にお話を聞いたところ、まだ具体的なスケジュールが決まっておられないというお話がございました。

 今、新しい成長戦略、年央に向けて策定を進めているところでございますけれども、骨太の方針との整合性をしっかり保ちながら、これからスケジュール的にも、しっかりと前に進んでいけるような形でやっていただけたらというふうに思います。

 私の尊敬しております、冒頭申し上げました池田勇人元総理大臣も、安定成長論争また高度成長論争の中で、総理のリーダーシップで押し切って、実際に所得の倍増というのをなし遂げました。先日の党首討論におきます安倍総理の御決意も、池田元総理に匹敵するような大きな決意と覚悟があったというふうに思っております。

 私も、このアベノミクス、もう一度世界で一番の国にというかたい決意で、我々経済産業委員としても一丸となって取り組んでいきたいというふうに思っております。先ほど申し上げましたが、内閣委員会、またこの経済産業委員会、しっかりと連携しながら取り組んでいきたいと思っております。

 私の資料の最後に配らせてもらいました平均給与の推移におきまして、私が生まれたのが一九八四年でございまして、物心ついてから、給料が伸び悩んでいるのが続いてきております。本当に最後のラストチャンスじゃないかなというふうに、今このアベノミクスに対して有権者の方々は思っているのではないかと思います。

 私も、選挙期間中、もう一度成長が実感できる日本を取り戻すんだということで、いろいろと訴えさせていただきました。若者がもう一度、きょうよりもあした、あしたよりもあさってと、本当に希望の持てるような国づくりをしていきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 ちょっと時間が余っておりまして、済みません、私の話ばかりで恐縮なんですけれども、成長を実感したことのない二十代の一員として、私もこれから精いっぱい経済産業委員として活動していきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

富田委員長 次に、佐々木紀君。

佐々木(紀)委員 おはようございます。

 自由民主党石川二区選出の佐々木紀と申します。

 紀元節の紀と書きまして、紀と申します。徹ではございません。よろしくお願い申し上げます。

 本日は、所属委員会での初質疑の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。一生懸命務めてまいりたいと思います。

 また、本日は、稲田大臣、そして平政務官にもお答えをいただくということで、大変光栄に存じております。稲田大臣には、お隣の選挙区ということで、これからも御指導いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速質疑に入らせていただきたいと思います。

 この法案が書かれた新聞記事を幾つか拾ってきたんですけれども、ちょっとタイトルを読みますと、消費税還元セール規制、禁止には疑問を感じる、自由競争で切磋琢磨が必要だ、還元セール禁止、とんでもないと。中には、小売業者を全く信用していない、不当なことをする業者がいるなら現行法で摘発すればいい、こんなような記事が、大手小売業者の代表のコメントとして挙げられておるわけですけれども、私は、この批判的なコメントを読むにつけ、これから法律に基づいて消費税を引き上げていくにもかかわらず、価格への適正な転嫁を我々はしませんよと最初から宣言をしているように受けとめました。

 確かに、価格を維持していこうという背景には増税による買い控えの懸念があると思うんですけれども、そもそも、なぜ消費税率を引き上げるかということの理解が不足しているのではないかなというふうに思います。

 増大する社会保障費を広く国民全体で負担していこうという消費税率引き上げの意義、それも国民的にも一定の理解があるというふうに私は受けとめておるんですけれども、単に安い価格で売りたいという大手の利己的な判断だけで、その適正な転嫁が行われなければ、税収を確保するどころではない。消費税率を負担するのは消費者であって、事業者はそれを徴収し納税する納税義務者にすぎない。値下げするにしても、還元セールなどという、誰が担税者かわからない、誤解を招くような表現はもとより、表現を変えれば値下げをしてもいい、価格を据え置いてもいいというような考えもどうかなと私は考えております。

 法律で消費税率の引き上げが決まっている以上、これまでの価格に適正な消費増税分を転嫁してこそ、消費税を増税した意義というものが出てくるように私は思います。国民、とりわけ大手事業者に理解していただくためにも、ここで改めて、消費税率引き上げの意義等についてお伺いをしたいというふうに思います。

竹内大臣政務官 お答え申し上げます。

 少子高齢化の進展や社会保障費の急速な増大など、経済社会の変化への対応が迫られる中、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度を確立することがまず必要であると考えております。

 今回の社会保障と税の一体改革は、こうした問題意識のもとで、消費税により、幅広く国民各階層に安定財源確保のための負担を求める一方で、社会保障につきましては子育て支援などの給付の充実を盛り込み、社会保障の安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指すものでございます。

 消費税率の引き上げを初めとする今回の改革を着実に実施することによりまして、国民の暮らしの安心を取り戻してまいりたいというのが今回の趣旨でございます。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 御説明いただいたとおり、社会保障の安定財源の確保と財政の健全化の同時達成のために、増税分が適正に価格に転嫁されて、期待どおりの税収が確保されなければ意味がないというふうに考えます。

 国が消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するためにあらゆる手を打つことは、当然の責務であるというふうに考えます。大手事業者におかれては、その地域経済に与える影響力を考慮した上で、もっと協力すべきではないかと思います。日本経済、とりわけ地域経済のプライスリーダーである自覚を持っていただきたいなというふうに私は強く考えております。

 そこで、消費税率引き上げの判断時期とその判断基準についてお伺いをしたいというふうに思います。

 買い控えの懸念が出てくる背景には、これまで景気が悪過ぎて、デフレ不況が続いてきたということが影響しているかというふうに思います。確かに、景気が上向かないままに消費税率を上げることには抵抗感があります。私も、さきの選挙で、消費税率の引き上げは景気が上向いたことを確認してから実施すべきだという立場をとってきました。消費税率引き上げの判断時期と判断基準についてお伺いをしたいと思います。

竹内大臣政務官 お答え申し上げます。

 消費税率につきましては、法律で来年四月に引き上げることが決まっておりますが、本年秋に、税制抜本改革法附則第十八条にのっとりまして、名目及び実質の経済成長率、物価動向など、種々の経済指標を確認いたしまして、経済状況等を総合的に勘案して判断するということになっております。その後におきましても、万一、経済財政状況の激変などが生じた場合には適切な対応を行っていくということになっております。

 いずれにいたしましても、三本の矢で長引くデフレ不況から脱却いたしまして、雇用や所得の増加を伴う経済成長を目指していくということに変わりはございません。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、まずは経済成長、景気回復が大事だというふうに思います。やはり、今はそれに向けて日本国民全員が気持ちを一つにして経済成長に臨んでいかなきゃいけない時期だろうというふうに考えます。

 それで、その経済状況の判断においては、都市部と地方では景況感にタイムラグがあるというのも事実です。したがいまして、都市部の景気判断だけではなくて、地方の景況感もぜひ考慮していただいた上で、総合的に引き上げ時期の判断をしていただきたいなと、ここで申し述べておきたいというふうに思います。

 続きまして、この特措法の、法律の目的とか意義についてお伺いをしたいというふうに思います。

 消費税率引き上げの判断時期はことしの秋ごろということで、実際に引き上げられるのは来年の四月ということになっております。であるならば、なぜ今の段階からこの法案の準備をしているのか。

 消費税率の引き上げが決まった後にこの法案をつくってもいいのではないかというような声もあろうかと思います。もしかすると、政府は総合的に判断するということを言っているんだけれども、もう既に増税ありきなのではないかというような一部の声も聞きます。

 一方で、現行法、独占禁止法であるとか、あるいは下請法という既存の法律でも監視や取り締まりができるのではないかという意見もあるようですけれども、ここで、この法律の目的と概要等について、稲田大臣に御説明をしていただきたいなと思います。

稲田国務大臣 委員と私は選挙区が隣ですので、今委員が御指摘になったところは本当に実感として感じます。

 アベノミクスの効果が出て、景気が回復しているといいながらも、地方に戻りますと、福井に戻りますと、先生は石川ですけれども、まだまだその実感は感じられていないのではないかなというふうに思っております。そういう意味におきまして、やはりこの法案で、中小企業、零細事業者の保護は非常に重要だというふうに認識をいたしております。

 先生の御指摘の、なぜ今この法案を成立させなければならないのかという点でございますが、民間事業者においては、もう既に来年の消費税の引き上げを見越して、さまざまな交渉それから準備活動が始まりつつあります。そんな中において、中小事業者等が買いたたきなどの被害に遭うおそれが既に始まっていると思います。

 この法案は、そのような転嫁拒否等の行為に対してあらかじめ対応ができるようにするためのものであって、しっかりと監視、取り締まりを行っていくという観点からも早期の成立が必要な法案であると考えております。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 地方の方は、アベノミクスへの期待はすごく大きいし、すごくにぎわいも出てきた、さあ、これからさらなる成長に向けて頑張っていこうという思いはあるんですけれども、実際にその手応えがまだつかめていない。確かに今からだと思うんですけれども、大臣も御理解があるということで、地方の方にとってみれば大変心強いと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 今ほど御説明をいただいたとおり、新税率を前提とした事業者間の価格交渉というのは、もしかするともう始まっているのではないかなというふうにも考えております。

 私もかつて中小企業の経営に携わっていたこともありまして、デフレ不況であるとか、下請、孫請の厳しさというものは本当に肌で感じてきましたし、実際に見たり聞いたりもしてきました。

 ずるい事業者ほど、国の動きを察知して、悪知恵を働かせてくるということかというふうに思います。悪知恵でなくても、この法律で規定されているような転嫁拒否等の行為、減額や買いたたき、購入強制や不当な利益提供の強制、税抜き価格での交渉拒否とか、こういったことは消費税率引き上げ時に限ったことではなくて、元請と下請との間ではもはや常態化していると言っていいのではないでしょうか。特に、元請が大手企業や大規模事業者などの場合は、その力関係の差が大きいゆえに、中小事業者は取引の継続を優先して、無理な要求でも断れない。

 例えば、通常の価格で見積もりをしたんだけれども、根拠のない、むちゃくちゃな値下げを要求された、これは買いたたきですね。あるいは、税抜き価格での見積もりだったのに、税込みにしてくれよと言われた、業者会や協力会と称して非常識な会費を徴収される、ディナーショーのチケットやクリスマスケーキとかお節料理の販売ノルマを課せられて大量に買わされる、元請企業がスポンサーをしている事業の協賛金を要求されるとか、例を挙げると本当に枚挙にいとまがないというふうに思っています。

 中には、喜んで協力している場合もありますし、苦しいのはお互いさまだからということで、嫌々でも納得して応じているケースもありますので、客観的に、これらの行為を全て違法性があるというふうに判断はできないと思います。

 一方で、大手事業者の地域経済への影響力は絶大であります。例えば、大規模小売店舗の出店規制を緩和した結果、中心商店街や地場の小売店は大変苦しんできました。これら中心商店街の店主や、地場の小売店、中小事業者のオーナーは、町内会のお世話役や各種行事のボランティア、伝統的な祭りや町おこしイベント、市民活動への協賛、協力など、地域の伝統や文化を守り、地域コミュニティーを支えてきた人たちです。大型店舗の進出のせいで、地域経済のみならず、地域コミュニティーの崩壊までもたらしたと思います。

 このような例はまだまだあります。ある地域では、大型ショッピングモールが進出を発表し、町を二分するような反対運動を起こしたあげくに、ようやく進出の環境が整ったかと思ったら、進出を延期し、土地の区画整理に協力した人たちや地域住民の期待を裏切り、結果的に残ったのは、住民の対立で生じた遺恨と、地域の将来への大きな不安だけだった。

 このように、大型小売店舗は、民間企業として営業活動の自由が尊重される反面、地域経済に与える影響、特に地方における影響力は絶大であるという認識を持った上で、責任を持った行動をしてほしい、そのように思っております。

 消費税率引き上げの際に、大手事業者が引き上げ分を転嫁しないとどうなるでしょうか。競合する中小事業者は太刀打ちできるはずがありません。また、これまでの利益を確保しようと、下請や納入業者に負担を強いることは目に見えています。ますます地域が疲弊します。大手事業者は、地域経済への影響力の大きさを理解し、自社の利益を追求する無用な価格競争をするのではなく、地域や国に協力していく姿勢を示すべきです。

 下請いじめは言語道断ですけれども、企業努力で販売価格を維持するという考えも、デフレ体質を強めるだけで評価できません。むしろ、増大する社会保障費を国民全体で分かち合うという消費税率引き上げの趣旨を理解してもらい、増税分を適正に価格に転嫁するよう大手事業者に国が強く指導しなければならないと考えますが、いかがでしょうか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、小規模事業者が多く存在します地域において大きな影響力を有する大規模小売事業者、この大規模小売事業者が消費税の転嫁拒否を行ったり、不当な安値販売を行うというようなことがあれば、納入事業者や、その周辺の競合している中小小売事業者に多大な影響を与えかねないというふうに考えてございます。

 こうした観点から、本法案におきましても、大規模事業者等による買いたたきなどの転嫁拒否等の行為を規制し、また、御指摘のあった、消費税還元セールといった不適切な表示を禁止する措置が講じられていると考えております。

 私ども経済産業省としましては、この法案の考え方、内容を周知徹底するということが大事かと考えております。

 最近では、三月十八日かと記憶しておりますけれども、私自身、チェーンストア協会やスーパーマーケット協会、百貨店協会といった主要小売業界十一団体のトップを一堂に集めまして、法案の考え方、概要について説明をいたしました。また、今週初めにも担当課長から、十団体の専務理事クラスを集めて、さらに詳細な説明などをさせていただいたところでございます。

 今後でございますけれども、公正取引委員会などと連携しまして、本法案に関するガイドラインの作成、これが今後の仕事にもなるわけでございますけれども、それを急ぎまして、百貨店やスーパーなどの小売業界に対してこれを周知するという観点から、説明会の実施やパンフレットの配布に努めたいと思っております。

 少し長くなりますけれども、さらに、当然のことながら、法の執行後でございますけれども、周知活動に加えまして、大規模小売事業者に対する指導や助言を行い、また適宜、公正取引委員会や消費者庁に措置要求を求めるなど、法律の厳格な運用に努めてまいりたいと存じております。

 よろしくお願いします。

佐々木(紀)委員 デフレ脱却に向けても、産業界、特に大手小売事業者に価格の適正な転嫁を強く求めていただきたいと思います。以前も賃上げの要求を産業界にされたように、ぜひ今回も適正に処理するように強くお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、法案の具体的な内容について御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 特定供給事業者が転嫁拒否等の行為をこうむったことをどのように捕捉するのか。中小事業者の中には、不当な取引行為を受けても、これまでも公正取引委員会や中小企業庁などの公的機関にはほとんど相談しなかったという調査結果もありますけれども、実効性のある調査を行う方法をお伺いしたいと思います。

杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘のように、消費税の引き上げに当たりましては、仮に立場の弱い中小事業者が消費税の転嫁を拒否されることなどによって被害を受けたといたしましても、みずからその事実を申し出ていただくことが期待しにくいという面があると思っております。

 このため、今回の法案におきましては、公正取引委員会や中小企業庁だけではなく、事業を所管する省庁にも調査の権限を付与させていただくとともに、転嫁拒否等の被害者からの情報提供を受け身的に待つだけではなく、書面調査を実施するなど、当方としても積極的な情報収集に努めることとしております。

 また、違反の疑いのある事業者に対しては、各種資料の提出を求めるに当たりまして、事情聴取、立入検査などの必要な調査を行いまして、違反行為の有無を確認することとしております。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 受け身ではなく、積極的に調査、情報収集をしていく、大変その姿勢はすばらしいというふうに思います。

 ただ、一つお願いをしておきたいのは、被害に遭っていることを直接申告する窓口もぜひ設けていただきたいなというふうに思います。というのも、報復が怖いからなかなか公的窓口に相談できないという方もいる一方で、もう我慢ならぬ、報復されてもいいから、相打ちでもいいから、とにかくきちっと取り締まってほしい、そうすることで自分が犠牲になっても、ほかの下請仲間が守られるのであれば私は申告するというような、大変勢いのいい事業家がおいでになるのも事実なんです。

 そこで、いわゆる駆け込み寺のような、とにかく通報窓口をつくってほしいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

齋藤政府参考人 内閣官房の齋藤でございます。

 ただいま、相談対応についての御質問をいただきました。

 消費税導入時及び前回の税率引き上げの際には、消費税の転嫁等にかかわる相談窓口は各省庁にそれぞれ設けられておりました。これに加えまして、今般、消費税率の引き上げが二段階にわたり実施され、かつ総額表示義務導入後初めて行われるということも踏まえまして、今回、初めて政府共通の相談窓口として内閣府に消費税の価格転嫁に関する総合相談センターを設け、転嫁に関する幅広い相談に対応することとしております。

 この総合相談センターは、ワンストップサービスとして、転嫁拒否、価格表示、広告宣伝、便乗値上げ等の相談に適切にお応えするとともに、寄せられた相談のうち調査が必要な事案につきましては、所管省庁に速やかに通知することとしております。

 これによりまして、全国から寄せられた違反被疑行為について、迅速かつ適切に対処が可能となるものと考えております。

佐々木(紀)委員 今ほどの御説明、総合相談センターを設けてワンストップの窓口をつくる、大変すばらしい取り組みかというふうに思います。

 とにかくそこに連絡すればしっかりと調査をしていただけるということで、決して看過することのないように、放置することのないように、しっかりと取り扱っていただきたいと思います。申告してくる人は相当追い込まれて申告をしてきますので、そこはしっかりと調査し、取り締まりもやっていただきたいなというふうに思います。

 この特措法を設ける一つの意味、実効性であるとか迅速性とか、そのような、これまでの独禁法や下請法ではなかなか行き届かなかった部分について、ぜひ取り上げていっていただきたいなというふうに思います。

 次に、転嫁拒否等の行為を認定した場合の対処方法についてお伺いをさせていただきたいと思います。

杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきます。

 公正取引委員会、中小企業庁長官、さらに事業を所管する省庁の大臣は、調査を行いまして、その結果、違反行為があった場合には、これを迅速かつ効果的に是正するために、基本的には、転嫁を拒否した消費税額分を支払うよう指導していくことで対応するということとしております。

 しかしながら、被害者が多数の場合、被害額が大きい場合、違反を繰り返す蓋然性が高い、こういったいわば悪質な場合におきましては、消費税の円滑かつ適正な転嫁を阻害する重大な事実があるということで、公正取引委員会におきまして勧告、公表により対処することが適当であると考えております。

 このような事案のうち、公正取引委員会において調査を行いましたものについては、公正取引委員会が直接、勧告、公表を行い、中小企業庁長官、事業を所管する大臣が調査を行ったものにつきましては、公正取引委員会に措置を求め、公正取引委員会が勧告、公表を行うということにしてございます。

佐々木(紀)委員 省庁間の連絡が非常にポイントかなというふうに思いますので、ぜひ、その辺はしっかりと連絡を密にして取り扱っていただきたいなと思います。

 繰り返しますけれども、これまでの独占禁止法や下請法で取り締まってもらえなかったケースでも、しっかりと捕捉して調査、取り締まりをしていただきたい、被害者を救済する、それを第一に運用していっていただきたいなというふうに思います。

 それでは、最後の質問とさせていただきたいと思います。

 消費税率の引き上げによって、せっかく上向いた景気が腰折れする懸念もあります。消費税率引き上げによって増大する社会保障費を確保しながらも、地域経済を下支えする中小企業への経済対策をしっかりと実行し、持続的な経済成長につなげていくという政府の強い見解をお伺いしたいと思います。平政務官、よろしくお願いいたします。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 佐々木委員の問題認識は全く私も共有するところでありまして、私も中小企業で、大手量販店、大手スーパーに納品をしてきました。冒頭御紹介いただいたお節料理とかクリスマスケーキとか、我が家も一人一個みたいな世界で、それが常態化しているんですね。これは既存の法律ではなかなかカバーし切れません。また、私の経験でいけば、消費税が三%から五%に上がったときも、やはり経営へのダメージが非常に大きかったというふうに思います。

 中小企業は、何が何でも助けてくれと言っているわけではなくて、ビジネスはビジネス、税金は税金で分けてほしいと言っているだけなんです。それを今回、この転嫁対策で、大手量販店の会長がくだらない議論だと言って切り捨てた、私はこの体質に問題があると思うんですね。こういう社長がいる、まさに企業体質ですから、しっかり監視をしていく必要がある、そのように思います。

 その上で、腰折れをしないように、まさにおっしゃるとおりで、アベノミクスをしっかり実行に移していく。そして、最も重要なのは三本目の矢、成長戦略、これから本番を迎えます。

 また、中小企業に関しては、既に補正予算で、例えば商店街に対しては三百億円、前政権の十倍近いさまざまなメニューを用意しました。また、中小企業のものづくりでは、一千億円、一万社の試作品の補助などもやっています。さらには、一千億円の予算を準備して、一万社のベンチャー企業、新たな創業を生み出そうといった政策なども準備をしているところでございます。

 中小企業といっても、大きなところから小さなところまであります。今回、特にまた小規模企業にもしっかりとフォーカスを当てて対応していくといった法律も今準備をしているところでございますので、委員の御指摘を踏まえてしっかり対応してまいりたい、そのように考えております。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 中小企業、小規模事業者の声がしっかりと政府に届いているということを確認させていただきました。

 ありがとうございました。以上で質問を終わります。

富田委員長 次に、白石徹君。

白石委員 自由民主党の白石徹でございます。当委員会では初めての質問になります。

 きょうはなぜか私で二人目の徹でございますけれども、四人中三人も徹を選んでいただきまして、ありがたいと思っております。

 先ほど来質問を聞かせていただいておりましても、我が自由民主党各委員のこの法案に対する熱い思いというものを強く感じましたし、私も同様でございます。私の地元であります愛媛県では、この十年間で小売業の売り場面積が倍以上になっておりまして、ところが、この十年間でその小売業の売り上げというのは二割もふえない、そういう状況であります。

 当然、大手スーパーやロードサイドのドラッグストア、また二十四時間スーパーやホームセンター、そういう出店が本当に多いわけであります。ただ一方で、町中に取り残されたような一店舗しか経営していないスーパー、そこは実はその周囲の高齢者の皆さんの人気がどんどん出てきて、高齢者の皆さんに憩いの場を提供しているような、一生懸命頑張っているスーパーもあるわけであります。

 そういう大手小売業から一店舗という弱小の小売業の皆様方、その全ての小売業の皆さんが今回の消費税の引き上げについてスムーズに導入できるような、そんな思いを込めながら質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、本法案を提出した背景やその趣旨について、稲田大臣、よろしくお願いいたします。

稲田国務大臣 今、白石先生のお話を聞きながら、やはりそういう中小企業、そして中小の店舗が地域のコミュニティー、地域社会、地域経済を支えるものだという認識、非常に重要だなというふうに思いました。

 平成二十四年の八月十日に成立した、いわゆる税制抜本改革法では、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、独占禁止法及び下請法の特例に係る必要な法制上の措置を講じることが規定をされております。

 また、今般の消費税率の引き上げに際し、中小事業者を中心に、消費税の価格への転嫁について懸念が示されております。消費税が上がったときに、その分をきちんと転嫁できなければ、中小企業、そして中小店舗、零細事業者いじめになってしまう、それを防がなければならないという観点でございます。

 このため、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、消費税の転嫁を阻害する行為の是正などの特別措置を講じることとして、本法案を提出したものでございます。

白石委員 改めて、その御趣旨をお伺いさせていただきました。

 この法案を拝見させていただきますと、四つの大きな柱ででき上がっているわけでありますけれども、私は、その四つの大きな柱それぞれについて、少しずつ質問をさせていただきたいと思います。

 まず、一つ目の柱であります転嫁拒否の行為に関する特別措置についてであります。

 もともと消費税は、事業者から事業者へ転嫁され、最終的には消費者の皆様方に負担をしていただくということでありますけれども、先ほど来話がありましたように、立場の強い事業者が、取引先である事業者に対して消費税の転嫁を拒否するといったようなことも十分考えられる、これはもう皆さんが懸念しているところでございます。

 今、大臣がおっしゃったように、これらの行為に対して、公正取引委員会の所管する独占禁止法や下請代金法でも対処できるものではないかなと思いますけれども、今回、あえて新法がなぜ必要だったのか、公正取引委員会委員長、よろしくお願いします。

杉本政府特別補佐人 お答えいたします。

 消費税の転嫁拒否行為については、委員のおっしゃるように、独占禁止法、下請法、こういった現行法の枠内で対処できるところもあると考えております。

 ただ、今回の消費税の引き上げにつきましては、転嫁拒否と考えられるような行動は集中的かつ多数生ずることが懸念されますことから、迅速かつ効率的な対応が要請されると考えております。

 独占禁止法といいますのは、排除措置命令や課徴金命令といった行政処分を課すものでございますが、その反面、要件が抽象的になっておりまして、法適用に時間がかかる。それから、課徴金の納付についても、国庫に納付されることから、被害者の直接的な救済につながらないといったところもございます。さらに、そういった排除措置命令等は、公正取引委員会だけが行うことになっております。

 下請法につきましては、独占禁止法に比べまして迅速に対処することができますが、一定の委託取引のみを対象としているため、通常の売買取引には適用がないといったこともございます。また、運用主体は、公正取引委員会と中小企業庁長官だけになっております。

 したがいまして、今回の税率引き上げの際に転嫁拒否行為等が集中的かつ多数生じるという懸念から、法律上の要件を形式的なものにいたしまして、被害者の被害を回復する措置をとることができるようにします。また、公正取引委員会だけではなく、中小企業庁長官、さらには事業を所管する大臣も法運用の主体としております。かつ、広く取引一般を対象とした制度を設けまして、迅速かつ効果的な対応が可能となるようにしているものでございます。

白石委員 ありがとうございます。

 今、委員長のお話の中で、阻害する行為についてはさまざまな行為が考えられるというお話がございました。

 具体的にどのような行為が今回の規制の対象になるのか、これについて改めて御説明をいただきたいと思います。

杉本政府特別補佐人 本法案では、転嫁拒否等の行為として四つの類型を示してございます。

 第一番目は、減額や買いたたきによりまして、消費税の転嫁を拒否する行為でございます。

 二つ目が、消費税の転嫁に応ずることと引きかえに、ある商品の購入を強制するといった行為、役務の利用を強制するといった行為、さらには利益の提供を強要する行為でございます。

 三つ目が、価格交渉におきまして、消費税抜きの価格を用いる旨の申し出を拒む行為でございます。

 四つ目は、公正取引委員会などに対し転嫁拒否等の行為に該当する事実を知らせた、そういうことを理由といたしまして取引を停止するといった報復行為でございます。

 こういった行為を禁止しておりますので、これらの行為を取り締まっていくこととしたいと考えております。

白石委員 今、お話の中にありました、いわゆる税抜きでの交渉拒否規制についてでありますけれども、この規制が盛り込まれることになったそのあたりの趣旨をもう一度御説明いただければと思います。

杉本政府特別補佐人 税抜き価格での交渉の拒否と申しますのは、売り手が買い手に対しまして、税抜き価格で価格交渉を行いたいという申し出をした場合にこれを拒むといった行為のことでございます。

 この行為につきましては、売り手が税抜き価格で交渉を行い、当該交渉で定まった価格に消費税分を上乗せした価格で取引を行いたい旨申し出た場合に、買い手がこれを拒否して税込み価格で交渉するということを認めますれば、買い手は、売り手に税率の引き上げ前の税込み価格を押しつけやすくなるということがございます。

 こうしたことを踏まえまして、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から規制対象としたものでございます。

白石委員 ありがとうございます。

 先ほど平政務官の答弁にもございましたとおり、このあたりを強化していただくことによって、今までの、いわゆる当たり前のように繰り返されていた商習慣というものも徐々に改正していけるのではないかなというふうに私も期待をしているところでございます。

 消費税は、現在、総額表示義務が導入されており、消費者に商品を販売する際には総額を表示することになっておりますけれども、この点、今回の特別措置により特例措置が設けられることとなっています。

 一方で、この総額表示は、いわゆるBツーB取引である事業者間取引では義務づけられていません。そうすると、事業者間取引では、総額表示の価格交渉を行っても構わないし、税抜き価格で交渉して、交渉結果に消費税分を一律に足すといった交渉も可能なわけであります。しかしながら、中小事業者の取引においては、先ほど申しましたように、なかなかそれが言いたくても言えない、そういう状況もあります。

 卸売業者と買い手である小売業者との間での取引についても同じことが言えますけれども、その点、消費税を別にして本体価格だけで交渉する、消費税は最終的に上乗せすればよいという、転嫁する側、売り手の中小事業者からすれば、消費税を転嫁しやすい環境が整備できるわけでありますから、今申しましたように、ぜひこれからも進めていただき、また、その実態を踏まえて対応していっていただきたいというふうに思うわけであります。

 その実態を踏まえて対応するときに、調査、また規制を進めていくわけでありますけれども、公正取引委員会や中小企業庁、各省庁が一丸となって取り組むということになっています。特に、各省庁でもその調査ができるということでは、非常に幅広く調査ができると思いますけれども、逆に、各省庁と公正取引委員会がばらばらになって対処するようなことになれば効果が思わしくなくなる。

 こういった消費税の転嫁拒否の行為に対する対処を、各省の司令塔役といいましょうか、どこかがそういう役割を担うべきだと思うんですけれども、それについて内閣府の方にお伺いしたいと思います。

齋藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、このたびの転嫁対策特別措置法案では、転嫁拒否等の違反行為につきまして、公正取引委員会、中小企業庁のほか、個別の業種を所管する主務大臣にも調査及び指導権限が付与されておりますことから、政府の各相談窓口に寄せられた情報が、調査、指導を担当する主務大臣等に速やかに通知され、迅速かつ適切に対処される必要があると考えております。

 このため、内閣官房に設置されました消費税価格転嫁等対策準備室におきまして、相談情報の集約等を含めた転嫁対策特措法等の運用にかかわる政府全体の処理スキームを検討しているところであります。

 これによりまして、転嫁拒否事案が所管省庁に適切に通知され処理されるよう、政府全体として効果的な連携体制の構築及びその運営に努めてまいりたいと考えております。

白石委員 ぜひとも、政府内部にそういった、統括的にそれを進めることのできる機能を有する部署というものを設置して、強力に進めていただきたいというふうに思います。

 それとは逆に、一般のいわゆる事業者の方から相談をさせていただきたいというときの窓口でありますけれども、これについては、先ほど佐々木委員も質問されておられました。特に今回の法律では、内閣府設置法の改正で、いわゆる総合相談センターを設けていただくようになっていると思いますけれども、この総合相談センターの役割、意義について、もう一度お伺いさせていただきたいと思います。

齋藤政府参考人 お答えいたします。

 消費税の導入の時点及び前回の税率の引き上げ時におきましては、消費税の転嫁等にかかわる相談窓口は各省庁にそれぞれ設けられておりました。これに加えまして、今般、消費税率の引き上げが二段階にわたり実施され、かつ総額表示義務導入後初めて行われるということも踏まえまして、今回、初めて政府共通の相談窓口として内閣府に消費税の価格転嫁に関する総合相談センターを設けまして、転嫁に関する幅広い相談に対応することとしております。

 この総合相談センターでは、消費税の転嫁拒否等に関する相談のほか、価格表示、広告宣伝、便乗値上げ等に関する相談について、そのアクセスが容易になるよう、全国共通の電話番号及びメールにより受け付けることで相談者の便宜を図っていきたいと考えております。

白石委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、多くのいわゆる中小事業者が本当に自分の思いを託せるセンターとしての機能を果たしていただきたいというふうに思うわけでございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、阻害する行為の柱についてはこの辺で終了させていただきまして、二番目の柱であります表示の是正に関する特別措置についてお伺いをさせていただきます。

 これも、先ほど佐々木委員のお話の中にありましたけれども、マスコミの方では随分大きく取り上げられておりますし、あたかも来年からは一切セールはだめよということが感じられるような、そんな表現が中にあるわけでありますけれども、表示の是正に関することについて、どういう趣旨でこれを設けることにしたのか、ぜひ、そのあたりをいま一度お伺いさせていただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答えいたします。

 消費税率の引き上げに際しまして、消費税の円滑かつ適正な転嫁が行えるようにするために、今般の法案におきましては、事業者が消費税に関連するような形で安売り等の表示をすることを禁止する規定を置いております。

 このような規定を置くこととした理由といたしましては、まず、この規定によりまして禁止される表示、これは消費者に消費税が転嫁されていないかのように誤認を生じさせるということによります。

 また、大手の小売業者などが第八条で禁止されている表示、これをすることによりまして、周辺の小売業者が追従を余儀なくされ、消費税相当額分を値引きせざるを得なくなる、このことによりまして、消費税の円滑かつ適正な転嫁が困難になるおそれもございます。

 さらに、大手の小売業者などがそのような表示を伴う販売行為を行うために、納入事業者に対しましてみずからへの納入価格を減額するよう依頼するなど、いわゆる買いたたきなどの転嫁拒否行為を誘発するおそれもございます。

 これらの点を踏まえまして、消費者の誤認を防ぐとともに、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保にも資するよう、事業者が消費税に関連するような形で安売りの表示をすることを禁止する規定を設けることとしたということでございます。

 また、この規定は事業者が消費税に関連するような形で消費税の転嫁を阻害する表示を行うことを禁止するものでございますけれども、事業者の企業努力によります価格設定自体を制限するものではございません。

白石委員 ありがとうございます。

 今、消費者庁がおっしゃった中で、いわゆる表示の規制調査について、各省が連携を進めながらこれを実行するというお話がありましたけれども、具体的に各省庁間でどのような連携をとりながらこれについて進められるのか、いま一度お伺いさせていただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、消費税の転嫁を阻害する表示に対しまして、消費者庁だけではなく、公正取引委員会、中小企業庁のほか、事業を所管する省庁におきましても調査や指導を行う権限を付与することにしておりまして、関係省庁と連携して政府一丸となって対処していくこととしております。

 さらに、第八条に違反する行為が繰り返し行われる蓋然性が高い場合などにおきましては、公正取引委員会、主務大臣または中小企業庁長官は、消費者庁に対しまして、勧告、公表等の措置請求を行いまして、消費者庁は必要な調査をして勧告を行うということになります。

 また、内閣総理大臣、公正取引委員会、主務大臣、それから中小企業庁長官は相互に情報や資料を提供できるという規定も設けられておりまして、関係省庁間で情報共有を行うことによりまして、違反行為の防止や是正を迅速かつ適切に行うこととしております。

白石委員 ありがとうございます。

 その場合に、私が気になりますのは、大手スーパーなどが、いわゆる消費税還元セールというのをずっと今まで続けてきていた経緯があるわけですね。そのあたりをいま一度、迅速に進めるためにどういうふうな指導を進めていくのか、特に全国のスーパーが効果的に迅速に進めていくについてどう取り組んでいくのか、経済産業省の方でお答えいただきたいと思います。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 流通、小売業を所管する立場の経済産業省としてお答えさせていただきます。

 経済産業省といたしましても、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するということが大事だと考えてございまして、これまでも、百貨店やスーパーなどの業界団体との会合で、消費税の円滑な転嫁の必要性や重要性について繰り返し説明してきております。

 先ほども申し上げましたけれども、三月には主要小売業界十一のトップの方々に一堂に集まっていただき、また、今週には専務理事クラス十団体を集めて、私や担当課長から、この法律の中身、とりわけ、御指摘の消費税還元セール等の不適切な広告表示のあり方についても説明を行ったところでございます。

 私ども経済産業省の今後の取り組みでありますけれども、消費者庁とも連携しつつ、転嫁対策法案に関するガイドラインの作成を急ぎまして、百貨店やスーパーなど小売業界に対して、法律の仕組みとともに広告表示のあり方に関するガイドラインについても周知すべく、精力的に説明会の実施やパンフレット類の配布を行っていく所存であります。

 また、当然のことながら、法の施行後は、こうした周知活動に加えまして、小売事業者に対する必要な指導や助言を行うとともに、適宜消費者庁等への措置要求を行う等、法律の厳格な執行により進めてまいる所存でございます。

白石委員 ありがとうございます。

 ぜひ、その強力な推進をお願いしたいというふうに思います。

 次は、価格の表示に関する特別措置の大きな柱についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 少しさかのぼるんですけれども、平成十六年に総額表示義務が導入されたわけでありますけれども、その総額表示義務を導入した理由をいま一度お伺いさせていただきたいと思います。

竹内大臣政務官 お答えいたします。

 平成元年の消費税の創設後は、消費者向けの価格表示は各事業者の判断に委ねられてきたところでございます。

 その後、平成十五年度改正におきまして、それまで主流であった税抜き価格では、レジで請求されるまで最終的に幾ら支払えばいいのかわかりにくいということが一点、それからまた、税抜き表示のお店と税込み表示のお店で価格の比較がしづらいといった消費者の方々からのお声がございまして、これらを踏まえて、消費者向けの価格表示につきましては総額表示が義務づけられることとされ、平成十六年四月から実施されているところでございます。

白石委員 ありがとうございます。

 実際に、来年の三月三十一日から四月一日の間でいえば、各事業者の皆さんは一斉に価格表示を変えなければならない、それを少し緩和していただくような法律になっていますけれども、逆に、今政務官がおっしゃったように、消費者の側から見ればそれはわかりにくいというような場合もある。業者側の立場と消費者側の立場というもののバランスというのが大変重要だと思うんですけれども、そのあたりのバランスをどのように財務省として考えておられるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

竹内大臣政務官 御指摘のとおり、価格表示のあり方を検討するに当たりましては、消費者からの視点と事業者からの視点の両面からの検討が必要と考えております。

 今般の法案におきましては、消費税の円滑な転嫁の確保や、事業者による値札の張りかえなどの事務負担への配慮の観点から、消費税率の引き上げ前後の期間におきましては、消費者に誤認されないための対策を講じていれば、税込み価格を表示しなくてもよいとしたところでございます。と同時に、消費者にも配慮する観点から、事業者はできるだけ速やかに税込み価格を表示するよう努めるとしているところでございます。

 政府といたしましては、今般の法案に盛り込まれた総額表示の特例に伴う消費者の混乱をできるだけ防止するために、事業者など関係者の御意見を聴取した上で、今後作成するガイドラインにおきまして、消費者に誤解を生じさせにくい値札表記の具体例などを明らかにするとともに、事業者及び消費者への広報活動にしっかりと取り組んでまいる決意でございます。

白石委員 ありがとうございます。

 価格表示については以上で終わらせていただきまして、四つ目の、最後の柱であります共同行為、いわゆるカルテル等についての規制措置についてお伺いをさせていただきます。

 この消費税の転嫁カルテルもしくは表示カルテルが導入されれば、具体的にどのような行為を行うことが可能になるのか、そのあたりをお伺いさせていただきたいと思うんです。特に、この措置によって事業者がどのようなメリットを得ることができるのか、ぜひ、公取委員長にお伺いをさせていただきます。

杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきます。

 転嫁カルテル、表示カルテルを立法措置にさせていただきましたのは、今回は二段階にわたる消費税の引き上げでございますから、特に価格交渉力の弱い中小事業者の方々から懸念があり、転嫁しやすい環境を整備するために、法律に盛り込ませていただいたところでございます。

 今回の立法措置によりますれば、例えば、事業者が共同して、また、事業者団体が、各事業者がそれぞれ自主的に定めております本体価格、これは消費税額分を転嫁する前の価格でございますが、これに消費税額分を上乗せすることを決定したり、従来、消費税込みの価格交渉を行ってきた業界が、今後は消費税抜きの価格を示して価格交渉を行うことを決定したりすることが可能になると考えております。

 この立法措置によりまして、中小事業者の方々が消費税を価格に転嫁しやすい環境が整備されるものと考えておりますし、前回、転嫁カルテル、表示カルテルを導入したときも、そういうものの転嫁に向けての環境を整備するものとして、評価されている声も多かったと考えております。

白石委員 ありがとうございます。

 ぜひ、事業者のメリットというものも、この法律の中から多くの人が見出していっていただければと思います。また、先ほど申しましたように、今回の法律をもとに、今まで繰り返されていた、いわゆる商習慣を変えることができるようなきっかけにもなる、そんな法律であってほしいと思っております。

 最後に、これは平政務官にぜひ力強く語っていただきたいと思うんですが、中小企業政策の所管である経済産業省として、いわゆる今回の法案をどのように評価しておられるのか。

 それと、もう一つ。

 私の地元、先ほど冒頭話しましたように、小さいスーパーの事業主の方が、今回の消費税の引き上げで、レジを三つ買わなくちゃいけない、それが五百万かかるんだけれども、どうも来年の三月三十一日までには買えそうにないんだわというようなことをおっしゃっている方もおいでます。

 私は、今回の消費税の引き上げをスムーズに進める意味、また、先ほど言いましたように、間違った商習慣を変える意味、それともう一つ、ぜひお願いさせていただきたいのは、スムーズに導入するために、経済産業省として、そういう弱小小売業者に対して手を差し伸べていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、そのあたりをよろしくお願いいたします。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 まずは、中小企業政策の観点から、今回の法案をどのように評価しているかということでございますが、先ほど来言っているとおり、私も中小企業をやっていて、消費税が三から五に上がっただけで、これはかなりきついものがありました。

 それは何かといえば、ビジネスと消費税が価格交渉の土俵にのっかってきてしまうということであります。しかも、今回は、さらに、短期間で三%、そして二%ということでありますから、これを放置してしまっては中小企業の打撃が極めて大きい、そのように考えております。

 そういった意味では、今回、既存の法律ではカバーをし切れなかったものの、ビジネスの現場では当然のように行われてきた、まさに商習慣、不公正もしくは不適切な取引について、それを未然に防止するという効果があるんだろうというふうに思います。

 恐らく、中小企業、小規模事業者の皆さんも、よくぞ我々の声を吸い上げて、法律という形にしてくれた、そのように思っていただけるのではないかと思います。

 特に、委員の御指摘をいただいた、税抜き価格で価格交渉をしたいといったときに、大企業側が拒否できない、これは極めて効果的であろうというふうに思っています。

 もう一つの観点からいけば、アベノミクスをしっかり成功させなければいけません。

 そういったときに、中央銀行の金融緩和でお金が流れてきます。それが銀行に滞留をしてしまってはいけないので、銀行からちゃんと企業に融資が行かなければいけない。また、その企業の融資が、投機的な土地や株じゃなくて、将来の成長につながるところにしっかりお金が行かなければいけない。それと同時に、業績が回復した企業、もしくはこれから成長してくる大企業と中小企業の取引において資金の目詰まりが起きてしまってはアベノミクスは成功いたしませんので、特に消費税を転嫁する局面、増税する局面では、そこの目詰まりをしっかり取ってあげるために、この法律は極めて有効である、そのように考えております。

 また、レジのお問い合わせでございますが、経産省として、二つのメニューを用意しております。

 まずは、平成二十五年度の税制改正において、それに対応する税制を用意しております。中小企業、小規模事業者などが、レジスターを初めとする器具、備品などを取得した場合に、取得価格の三〇%の特別償却、または七%の税額控除を認めるということを用意させていただきました。

 あわせて、中小企業の経営面のサポートをするということで、いわゆる認定支援機関のフォローアップが前提でありますが、日本政策金融公庫が低利で融資をする制度なども準備しておりますので、こちらも御活用いただけるのではないかというふうに思っております。

 さらに必要な取り組みがあれば、また委員から御指導いただきまして、検討してまいりたい、そのように考えております。

白石委員 ありがとうございました。よろしくお願いします。

富田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹です。

 きょうの質問者、三人目の徹、しかも同じ漢字、徹すると書いて徹でございます。日本再建のために、力を合わせ、徹して働いてまいる決意ですので、どうかよろしくお願いいたします。

 ラストバッターの宿命としまして、予定していた質問がどうしても重複せざるを得ないということもあります。一部重複するものがありますけれども、大事なことなので重ねて質問するということで、御容赦いただければと思います。

 新政権が誕生して四カ月、直近の月例経済報告によりますと、景気は、一部に弱さが残るものの、このところ持ち直しの動きが見られるというふうに報告がされております。

 私も、地元大阪はもちろんのこと、東京都内の中小企業、また商店街の皆さんのもとへも回っております。また、先日は、大阪の卸売市場の関係者の皆様からも御意見を伺ってまいりました。

 現場を回りますと、アベノミクスによる景気回復の期待の高まりというのを感じます。ただ、その一方で、期待、希望はあるんだけれども、まだ現実に景気回復を実感としては感じられていない、このような方もまだまだ多くいるということを感じております。

 デフレを脱却しないうちに消費税を増税すると、国民の所得が減少して、税収がかえって落ち込むんじゃないか、財政が悪化するんじゃないか、このようなことを指摘する識者も数多くいます。私もこのことを心配しております。

 消費税法改正法附則十八条において、消費税率の引き上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施すると規定されております。

 経済状況の好転なくして、景気の回復なくして消費増税なし、まずこのことを確認したいと思いますが、いかがでしょうか。

平大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今、委員御指摘のとおり、消費税率については、法律で来年の四月に引き上げることが決まっていますが、本年の秋に、税制抜本改革法附則第十八条に沿って、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案して判断することとなっております。

 先般の党首討論でも安倍総理が言及しておりましたが、とにかく、日本は構造的な問題を抱えて、二十五年間、経済は低迷をしていた。そこで、マクロ経済を統合的に運用して、政策を総動員して、今、日本の経済の再生に向けて、あらゆる政策を実行に移しているということだと思います。

 確かに、消費税を上げると、消費に影響いたしますし、景気回復の腰折れ要因になる。一方で、大胆な金融緩和をしている中で、それは中央銀行による財政のファイナンスではないかという懸念もありますので、消費税は上げないという選択が、かえって日本経済全体、もしくは財政全体、また金利などに悪い影響を与えるということも考えられるわけであります。

 我々といたしましては、とにかくできる政策を総動員し、そして、総合的な判断になりますが、景気回復の確認ができない限りは消費税を上げることはできないという今までの認識に変わりはございません。

國重委員 ありがとうございました。

 私自身も、経済産業委員としてしっかりと頑張ってまいりたいと思います。

 次に、消費税の転嫁対策に当たっては、何よりも国民の皆さんに、消費税の増税がなぜ必要なのか、消費税とはそもそもどのような税なのか、これについて丁寧に御説明して理解していただく必要があると思っております。

 この質疑の模様は、インターネットで生中継されておりまして、録画されて、後になって好きな時間に国民の皆さんが見ることもできます。現に見られております。

 特措法十四条一項に、消費税率引き上げの趣旨、また転嫁を通じて消費者に負担を求める消費税の性格などについて、国が徹底した広報をすることになっています。

 この消費税率引き上げの趣旨、消費税の性格、この二点についての御説明を、国民の皆さんにわかりやすく説明していただければというふうに思います。

竹内大臣政務官 お答えいたします。

 社会保障・税の一体改革におきまして、少子高齢化が展開する中で、厳しい財政状況にある我が国におきまして、社会保障の安定財源の確保を図るということがまず第一点、それから財政健全化の同時達成を目指すという観点が第二点、これらに取り組む改革であるということでございます。これが消費税率引き上げの趣旨でございます。

 そして、消費税率引き上げに伴う増収分につきましては、全額社会保障の充実、安定化に向けるということにしております。

 また、御指摘のとおり、消費税の納税義務者は事業者でございますが、転嫁を通じて最終的には消費者に負担していただくことが予定されている税でございます。こうした事項につきましては、国民の皆様に丁寧に説明していくことが、消費税の最終的な負担者である消費者に今般の税率引き上げを受け入れていただき、ひいては円滑な転嫁を確保していく上で重要なことと考えておりまして、しっかりと周知広報に取り組んでまいる決意でございます。

國重委員 特措法十四条一項には、今御説明していただいた内容を含むものについて、徹底した広報を行うものとするとありますが、具体的に、どのような方法で徹底した広報を行うのか、これについてお伺いします。

齋藤政府参考人 お答えいたします。

 消費税の円滑かつ適正な転嫁等を確保していくためには、転嫁拒否等にかかわる事案が発生しないよう、消費者や事業者の方々に転嫁等に関する理解を深めていただくことが非常に重要であると考えております。

 消費者の方々に対しましては、今般の消費税率の引き上げの趣旨、引き上げによる増収分は社会保障財源化し、国民に還元するといった一体改革の意義など、そういった趣旨、それから消費税の性格、消費税が価格への転嫁を通じて最終的に消費者に御負担いただく税であるという性格、それから、今回の法案に盛り込まれておりますような政府の転嫁対策の取り組み、こういったことを内容とするパンフレット等をさまざまな機会を活用して配布、周知するとともに、テレビ、新聞、インターネット等の各種メディアを活用して、効果的な広報活動になるように進めていきたいと考えております。

 他方、事業者の方々に対しましては、各省庁と連携しつつ、消費税の転嫁等に関するパンフレット等を作成し、幅広く周知するとともに、説明会の開催や中小事業者向けの移動相談会を実施するなど、積極的に周知広報を進めていきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、消費税の円滑かつ適正な転嫁等を確保するため、政府一丸となって、徹底した広報を進めてまいりたいと考えております。

國重委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 平成二十三年度の中小企業の売上高営業利益率は、二・三五%。平成二十六年四月に三%上がる消費増税分について、仮に、企業が価格に上乗せできないで自腹を切ることになれば、多くの企業で利益が吹き飛ぶことになります。そうなれば、従業員の賃金カット、リストラへとつながっていきます。消費税を上乗せすることは難しい、今でも経営がしんどいのに、増税分の自腹を切ることになったら会社がもたない、そう言われる中小企業、家族企業の経営者の皆さんがたくさんいらっしゃいます。

 平成九年に消費税が三%から五%に増税されたときには、価格転嫁できない中小企業も続出しました。このことは、先ほど石崎委員の方から客観的なデータを示してあったとおりです。

 平成二十六年四月以降に商品を納入する契約については、一年前、また数カ月前から契約が締結されるケースもあって、もう既に値引き要求が始まっているとも聞いております。増税前から監視の目を光らせる必要があります。

 そこで、お伺いします。

 転嫁拒否の特措法違反があるかどうかについて書面調査をするようですけれども、この書面調査の時期、規模についてお伺いします。

杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきます。

 消費税の転嫁拒否等の行為については、それによって被害を受けた事業者がみずからその事実を申し出てくることを期待しにくいという実態がございますので、公正取引委員会といたしましては、書面調査を実施することによりまして、積極的に情報収集に努めることにしてございます。

 消費税の引き上げは二十六年四月でございますが、先生御指摘のとおり、事業者間では、それよりも早い時期に取引価格の交渉、それから準備等が始まるという実態もございますので、平成二十五年度から書面調査を実施する予定にしてございます。

 平成二十五年度の書面調査は、法律施行後、可能な限り速やかに実施することとしておりまして、公正取引委員会と中小企業庁合わせて合計十五万社を対象に書面調査を実施することにしております。

 なお、これに先立ちまして、本年三月二十六日に、緊急調査ということで、大規模な小売業者等に対しまして書面調査の実施も既に行っているところでございます。

國重委員 ありがとうございます。

 では、その書面調査について、具体的にどの程度の期間で調査の結果を集約するんでしょうか。集約時期についてお伺いします。

杉本政府特別補佐人 お答えします。

 書面調査については、回答が参りますので、その回答に基づきまして、全部の集約前に、違反の被疑行為がある、違反するような行為の疑いがあるというような情報に接した場合には、順次調査に着手し、違反行為に対して迅速かつ適正に対処することとしたいと考えております。

國重委員 ありがとうございます。

 資金繰りが厳しい下請業者の皆さんもたくさんいらっしゃいますので、集約して、適切な対応をよろしくお願いいたします。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 中小企業、小規模事業の皆さんというのは、転嫁拒否の実態を報告したら、取引先にそのことがばれて取引を切られるんじゃないか、そうなったらたちまち経営が立ち行かなくなるということを非常に心配されています。先日行きました大阪の卸売市場の方でも、例えば、大きな企業が何千万円の罰金を払うことになったとしても、こちらが取引を切られてしまったら元も子もないというようなことで、非常に心配されておりました。

 そこで、お伺いします。

 現在、公正取引委員会による下請法の調査では、アンケート調査を一斉に行うことによって、どの事業者が違反を申告したかわからないようにしているというふうに聞いておりますが、下請法による調査の規模及びこの調査によって申告をした下請業者がどこであるかについて取引先にばれてしまった、明らかになったケースがあるのかないのか、これについてお伺いします。

杉本政府特別補佐人 下請法に伴う調査につきましては、毎年二十五万件程度調査させていただきまして、その結果、四千件にも上る行政指導を行っております。

 こうした下請法に基づく実際の調査に際しましては、情報提供者が特定されないように万全の注意をして調査を行うこととしておりますし、情報管理は徹底するなどいたしまして、情報提供者の保護に万全を尽くしているところでございます。

 具体的には、特定の情報提供に基づく調査につきましても、定期書面に基づく調査として実施する、それから、調査に際しましては、情報提供者のみならず、可能な限り多くの周辺の下請事業者との取引についてもあわせて調査するといったことをやっておりまして、調査の特定が情報提供に基づくものということを察知されないように努めているところでございます。

國重委員 下請業者が申告したかどうか察知されないように努力しているということはわかりました。

 現実に、これが明るみになったケースはないということでよろしいんでしょうか。

杉本政府特別補佐人 私どもの調査から具体的に特定されるようになったケースがあったとは考えておりません。

國重委員 これまでの調査で明るみになったケースはないということですけれども、ただ、やはり現場の方々は心配されております。

 特別措置法十四条二項には、国は違反行為に関する情報を国等に通報した者の保護等に関し万全の措置を講ずると規定されています。

 この万全の措置とは具体的にどのようなものなのか、答弁を求めます。

稲田国務大臣 委員御指摘のとおり、せっかくこの法案が成立をしたといたしましても、転嫁を拒否された、またそういったことを申告したことで、かえって、取引を中止されるとか、不利益をこうむることがあったのでは、せっかくの法案が成立しても何にもならないということになると思います。

 本法案においては、申告者の保護に関して、万全の措置を講ずるということにいたしております。実際に調査を行う際には、申告者が特定されないように注意して調査を行うほか、情報管理を徹底するなどして、申告者の保護に万全を尽くしていく所存でございます。

 また、本法案では、被害を受けた事業者がその事実を政府に申し出たことを理由として取引を停止するなどの報復行為を禁止いたしておりまして、万一、報復行為が行われた場合には、厳正に対処することといたしております。

國重委員 ぜひとも、万全の措置をよろしくお願いいたします。

 次に、転嫁対策の人員体制について、人員が本当に足りるのか、臨時に増員したとしても、公正取引委員会による専門性の高い業務をその臨時の増員した方で滞りなく行っていくことができるのか、このようなことを心配される方もいらっしゃいます。

 この転嫁対策の人員体制について、十分なものと言えるのか、答弁を求めます。

稲田国務大臣 今般の消費税率の引き上げに当たっては、二段階に実施される予定であることを踏まえて、転嫁対策にしっかりと取り組むためにも、十分な監視、取り締まり体制を整備することが重要であると考えております。

 このため、公正取引委員会では、消費税転嫁対策のための人員として、平成二十五年度政府予算案において、新たに百十九名が手当てをされております。これにより、転嫁対策にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 また、先ほど委員が御指摘のとおり、これらの職員に対して、法律の解釈や調査の方法など、十分な研修を行うことにより、実効性のある調査を実施することができるようにしてまいりたいと思っております。

平大臣政務官 今の稲田大臣の公取の体制とあわせて、中小企業庁でも価格転嫁に係る監視、取り締まり体制をつくっております。現在でも、下請代金支払遅延等防止法に基づいて、消費税分の価格転嫁に係る減額行為を含む違反行為について、全国で六十名の体制で厳正な取り締まりを行っているところでございます。

 今般の消費税率の引き上げが二段階にわたること、下請取引以外の、いわゆる流通面の取引なども対象になっていることなどから、これから監視、取り締まり体制をさらに整備してまいります。

 今の六十名の体制に加えて、このたび、消費税転嫁の監視、取り締まりに特化した転嫁対策調査官(仮称)、Gメンを全国に新たに四百七十四名配置し、抜本的に体制を強化してまいります。

國重委員 次に、本特措法案では、消費税還元セールや消費税相当分を次回のお買い物の際に使えるポイントとしてつけます、このような表示が禁止されています。この趣旨は、納入業者に対する買いたたきにつながらないようにするためだということですけれども、先ほど来ありましたように、小売業界等からは反発の声、不満の声が出ております。

 平成九年に消費税が五%に引き上げられたときには、還元セールが消費喚起の起爆剤になったのにこれをやめろと言うのか、消費の活性化にとって大切な販売促進活動を萎縮させることになったら消費の減少となって、ひいては、中小納入企業の経営を圧迫することになるんじゃないかとか、さまざまな声、指摘が出ております。

 転嫁対策は大事ですけれども、表示に関する過度な規制、これによって消費の冷え込みを助長することは避けないといけないと思っております。

 この表示の是正に関する特別措置と消費の冷え込み、これについての見解をお伺いします。

亀岡大臣政務官 委員が言われるように、まさにこれが景気の阻害をするような要因になってはいけないことは間違いありません。

 しかし、消費税の公平性から考えますと、消費税をしっかりと平等に取られているということが大事なことであって、消費税を価格に転嫁するのを阻害するような、安売りを宣伝にするようなことをしっかり禁止することが大事なことであって、企業者が努力して価格を設定する際に、それを阻害するようなものではありませんので、これはしっかりとガイドラインをつくりまして、価格を設定するときには堂々と自由にやっていただく。そのかわり、消費税は消費税として、しっかりと明示をしていただいて取っていただく。この平等性は、これは安売り合戦の中の題材にならないようにしていく。

 ですから、これはガイドラインでしっかりと、取り締まりではないですけれども、規制を、皆さんに理解していただいて、それぞれの企業が価格を設定する、その阻害にならないようにしていきたいと十分に考えておりますので、その辺はしっかりとやっていきたいと思います。

國重委員 よろしくお願いします。

 では、消費税の還元セールは禁止されるということですけれども、例えば以下のような表示は適法なのか違法なのかについてお伺いします。

 一つ目に、三%還元セール。二つ目に、全商品三%値下げ。三つ目に、価格据え置きセール。それぞれについて、今回の特措法案では適法なのか違法なのか、答弁を求めます。

菅久政府参考人 お答えいたします。

 今、御指摘いただきましたような、三%還元セール、それから全商品三%値下げ、それから価格据え置きセール、こういった宣伝等でございますけれども、これらでは消費税という文言は用いておりませんけれども、このような表現でありましても、それを含みます表示全体から見まして、事実上、消費税と関連づけて値引き等の宣伝を行っていると判断される場合もあろうかと思います。こういう場合には禁止されることになるというふうに考えております。

 具体的にどのような表示が禁止されるかにつきましては、事業者からのヒアリングなどもしまして、よくお話を聞いた上で、それを踏まえまして、ガイドラインなどにおいて明らかにしてまいりたいと考えております。

國重委員 そういうガイドラインをこれからつくっていくというようなこともわかりました。ある程度の基準というのはわかりました。

 今言ったその三つに関して、マルかバツか三角というのが今の時点でわかるでしょうか。

菅久政府参考人 基本的な考え方は先ほどのとおりだと考えておりますが、現時点で、マル、バツ、三角と言われれば、三角ということになろうかと思いますが、先ほどのような考え方に基づきまして、具体的な表示、想定される表示などを引きながら、ガイドラインなどで今後明らかにしていきたいというふうに考えております。

國重委員 ここの問題は、やはり還元セールと一般セールの線引きが曖昧な点だと思います。大手スーパーも、どこまでが違反かの線引きをしてもらわないと困るというようなことをおっしゃっています。

 具体的にガイドラインを引いて、先ほどおっしゃったように、線引きを明確にしないと、小売業者が萎縮して、本来できる販売促進活動もできなくなっちゃうということになってしまいます。また、現場が混乱します。

 早期にこのガイドラインを策定していく必要があると思いますけれども、このガイドラインの策定時期、いつごろになるでしょうか。

菅久政府参考人 ガイドラインにつきましては、今御指摘いただきましたとおり、円滑、適正な転嫁を確保するために、できるだけ速やかにつくりまして、周知徹底を図っていく必要があると考えております。

 これにつきましては、パブリックコメント等、所要の手続もございますので、そういうものを行った上で、できるだけ早く公表できるよう、準備を進めてまいりたいというふうに考えております。

國重委員 今審議中ですので、すぐには具体的には出ていないかもしれないですけれども、先ほどおっしゃったように、いろいろな現場の声をお聞きして、その現場が混乱しないように、早期に明確なガイドラインを引いていただきたいと思います。私も、しっかりと現場の方から、声を伺いに走ってまいりたいと思います。

 それでは最後に、消費税の増税に伴うシステム改修などの追加投資に関して、何らかの支援策を講じてほしいというような現場の声がございます。これについて、今の支援策、また、今後の支援策についてお伺いします。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど白石議員からもお尋ねがございましたが、現時点で用意をされているのは、平成二十五年度税制改革において、商業・サービス業・農林水産業活性化税制を創設いたしました。これらの業種を営む中小企業、小規模事業者が、レジスターを初めとする器具、備品や建物附属設備を取得した場合に、取得価格の三〇%の特別償却、または七%の税額控除を認めることとしております。

 また、先ほど御紹介した、認定支援機関などの、いわゆる経営改善や経営力強化などの取り組みで、公的支援の融資制度もありますので、御活用をいただければと思います。

 本法案については、公明党さんからも、円滑な転嫁対策を進めるための税制上の支援措置等についても検討し、事務負担の軽減を図ることとの御提言もいただいておりますので、追加的な措置が必要であれば、今後、また議論させていただき、対応させていただきたい、そのように考えております。

國重委員 ぜひともよろしくお願いいたします。

 私も、来年の四月、消費税の増税前までに何としても景気を回復していく、この決意で頑張ってまいりますので、よろしくお願いします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次回は、来る二十四日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二分散会


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