衆議院

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第11号 平成25年5月10日(金曜日)

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平成二十五年五月十日(金曜日)

    午前八時五十分開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 石原 宏高君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 淳司君 理事 宮下 一郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 近藤 洋介君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      石崎  徹君    越智 隆雄君

      大見  正君    勝俣 孝明君

      白石  徹君    平  将明君

      武村 展英君    辻  清人君

      冨樫 博之君    根本 幸典君

      福田 達夫君    細田 健一君

      宮崎 謙介君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      吉川 貴盛君    枝野 幸男君

      大島  敦君    馬淵 澄夫君

      木下 智彦君    重徳 和彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      井坂 信彦君    三谷 英弘君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            森 まさこ君

   国務大臣         稲田 朋美君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   財務大臣政務官      竹内  譲君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   政府参考人

   (内閣官房消費税価格転嫁等対策準備室長)     齋藤 哲夫君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  矢島 鉄也君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 唐澤  剛君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    鈴木 正徳君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    富田 健介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     日原 洋文君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 福富 光彦君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案(内閣提出第三六号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房消費税価格転嫁等対策準備室長齋藤哲夫君、消費者庁審議官菅久修一君、厚生労働省健康局長矢島鉄也君、厚生労働省政策統括官唐澤剛君、中小企業庁長官鈴木正徳君、中小企業庁次長富田健介君、国土交通省大臣官房建設流通政策審議官日原洋文君及び国土交通省政策統括官福富光彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。

 民主党の近藤洋介でございます。

 限られた時間でございますので、早速質問に入りたいと思います。

 まず、委員長のお許しを得て、資料を配付させていただいております。三枚つづりの資料ですが、ごらんいただければと思います。

 その一枚目のペーパーでございます。

 昨日の経済産業委員会の理事懇談会において、政府から、本法案の八条の解釈、すなわち本法案で禁止されることになる消費税還元セールに関して、「消費税の転嫁を阻害する表示に関する考え方」といった資料が、消費者庁、公取、総務省、財務省、経産省連名で示されました。

 この資料、ペーパーについては、新聞、テレビ等にも、政府の考え方、統一見解が示されたということで大変大きく取り上げられました。消費税還元セールといったものがどういう範囲なのか、禁止されるのがどういう行為なのかということは、国民の関心も非常に高いわけであります。

 本資料は、本委員会のこれまでの質疑を踏まえて政府が示した方針、いわゆる本法案の八条の解釈に関する資料と受けとめております。あえて申し上げますと、これまでの消費者庁の答弁を修正された内容ではないかと受けとめております。

 まず、森大臣、消費者庁担当大臣としてきょうはお越しいただいておりますけれども、各省連名で示されたこの紙は一体どういう性質の文書なのかということが一点。そして、この中身は、これまでの政府答弁を修正された、し直した内容であるということで我々は受けとめておりますが、いかがでしょうか。この点をまずお答えいただけますか。

森国務大臣 近藤洋介委員に初めて御答弁を申し上げますが、御指摘の政府の「消費税の転嫁を阻害する表示に関する考え方」という文書は、これまでの本委員会での御審議を踏まえ、政府部内で、第八条の規定で禁止される表示についての考え方を整理し直したものでございます。

近藤(洋)委員 整理し直し、修正したことだということでよろしいんですか。ちょっとこれは大事な点なので、お答えください。

森国務大臣 これまでの答弁に若干わかりにくい点があったことは確かだと思いますので、それを整理して、言い直したものでございます。

近藤(洋)委員 言い直し。ちょっと待ってください、いいですか。整理して、これまでの答弁内容を修正した文書だ、こういうことでよろしいですか。これは非常に大事です。お答えください。

森国務大臣 これまでの答弁の言い方をわかりやすく修正したものでございます。

近藤(洋)委員 修正したことなんですね。これが非常に大事なんです、大臣。

 この一連の答弁をめぐって大きく報道され、そして財務大臣が事実上その答弁を修正するような形で記者会見をされた。記者会見での発言もあり、大変混乱された部分があったかと思うんですね。ですから、きちんとした形で整理し、修正された文書であると確認がとれたと思います。

 さて、どこが修正されたのかということ、これもきちんと明らかにしていかなければいけないと思います。

 お手元の資料、二枚目をごらんいただければと思います。

 これまでの委員会の質疑、四月十九日の公明党の先生の質疑、また四月二十四日の私の質疑、みんなの党さん、維新の党さん、それぞれの質疑の中で、これまでの答弁では、消費税を還元するという明確な文言が記されたものは禁止、しかし、消費税という言葉がなくても、消費税を類推させる表現、例えば三%、また、全てにあまねくという意味では全品値下げという文言、また、引き下げ時期、四月に上がるわけですけれども、値上げの春だからこそ、こういう時期だからといった表現も禁止対象になり得るという御答弁でした。

 そこをまとめたものが、四月二十四日段階の質疑のときも委員会でお示ししましたが、1の還元セールはバツだけれども、残りの、三%還元、生活応援・全品据え置きとかいったものは禁止対象になり得る、したがって、春の生活応援セールというものも場合によっては禁止対象になり得るという御答弁でございました。

 しかし、この文書、統一見解によって、右側のマル、バツを見ていただければ、消費税還元セールというのは明確にだめだ、しかし、三%還元、全品値下げといったものは、消費税という、そのものずばりの言葉がないことからも、直接の、誰が見ても明らかに客観的な関連性がないというものは、原則としては許容されるという答弁に修正されたということでよろしいわけですね。お答えください。

森国務大臣 今までの消費者庁菅久審議官の答弁ですと、三%還元セール、全商品三%値下げ、価格据え置きセールといった宣伝等では消費税という文言は用いていないが、このような表現を含む表示全体から見て、事実上、消費税と関連づけて値引き等の宣伝を行っていると判断される場合には禁止されるというふうに答弁しておりました。

 この答弁の言いぶりは若干わかりにくいものであったと思いますが、今の委員の御質問のとおり、原則は禁止されない、原則としてということを申し上げておきますが、この文言そのものだけが表示されている場合に禁止されることはないということで、答弁をさせていただきます。

近藤(洋)委員 最初からそういう形で御答弁されていれば、何もこんなことにならなかったんです。そこはやはり、非常にあやふやな答弁を最初にされたということだと思うんですね。

 なぜこのようなことになったかというと、この価格転嫁法案、土台の部分については我々民主党政権下でも検討した内容ですが、ここの表示の部分については、自民党政権下において加えられた部分、あえて言うと、きちんと政府内で煮詰めて、きちんと議論して出したのかなという部分だと言わざるを得ないと思うんですね。ですから、あやふやな答弁になってしまったし、それをいろいろな議論を踏まえて修正された。

 修正されたこと自体は、私はよかったと思います。やはり、一般的な、春の生活応援セールまで禁止されかねないと伝えられてしまうと、非常に事業者も消費者も萎縮させてしまうということも含めて、私は、そういう意味では、この委員会質疑を通じてそういう部分が明確に修正されてきたということ自体、我々の考え方を受けとめてされたこと自体、その政府の姿勢は多としたい、こう思います。

 しかし、森大臣、これはやはり、言い間違いとか、わかりにくいのレベルじゃないんですね。考え方の問題なんです。

 その考え方を修正せざるを得なかったということ、これは大臣、責任者として、やはりここの部分というのは、この委員会に対してというか、国民の皆さんに対して、やや不完全なままで法案を提出されたということ自体に対して、一定の謝罪または遺憾の意を表明されてしかるべきではないかと思うのですが、いかがですか。そういったお言葉は一切ないのですが、いかがですか。

森国務大臣 八条で禁止する表示の考え方について、これまでの国会における事務方の答弁ぶりがあやふやだったと私も感じております。

 考え方については、さっき読んだ審議官の答弁を文字に起こしてゆっくり読めばわかるんですが、それをやはり、こういう国会の場で国民の皆さんに対してわかりやすく答弁するということがきちんとできなかったことについては、私も審議官にしっかり指導をしたところでございます。

 この法案の趣旨に沿ったものとして、きちんとこの解釈の仕方を国民にわかりやすく答弁すべきであったと思いまして、今回、わかりやすく理解をいただくための、全省庁と連名での文書をお示しした、そういうことでございます。

近藤(洋)委員 大臣、私も山形県で、大臣は隣の福島県ですから、同じ東北人ですし、余り厳しく言葉尻をつかまえることはしたくないんです。しかし、大事なことです。

 大臣は先ほど、修正とおっしゃったんですよ、考え方を修正されたんですよ。ゆっくり読めばわかる話だったとか、言い間違いだとか、表現ぶりとか、細かなことの違いじゃないんです。考え方を整理されて、修正されて、お示しされたんです。大きな違いなんですよ。何でもかんでも統制しようといったものではないと。最初の考え方は、全てを統制していこうじゃないかというふうにとられかねない考え方だったのを、修正されてきたんですよ。

 今、大臣は答弁で、修正したとおっしゃったじゃないですか。ゆっくり言えば理解できた話だという御答弁ぶりは、これまた全くちぐはぐじゃないですか。本質的にこの問題をわかっていらっしゃるんですか。いかがですか。非常に無責任じゃないですか。

森国務大臣 委員の今の御質問の中で、ゆっくり言えばわかるというふうに私が答弁したとおっしゃいましたが、ゆっくり読めばわかるというふうに先ほど答弁いたしました。

 すなわち、こういったところで答弁するときに、国民に対してわかりやすく答弁しなかったということについては、私どもも反省し、きちんと指導をしたところでございます。

 法律の解釈というものは、やはり国民にわかりやすくしていくことが大事でございます。一つの表示、それだけが看板に書いてあったならば、原則として禁止するものではないということが明らかでありますけれども、それ以外のところに消費税という文言が入っていたり、全体的なものを見たら禁止する場合もあるということについて、その答弁の言い方が非常にあやふやであって、国民に対してわかりにくいものでありました。

 そこで、考え方について整理し直して、その答弁の言い方を修正したものでございます。

近藤(洋)委員 大臣、言い方と読み方がどうだとかということを答えられる時点で、まず答弁としてなっていないと思うんです。

 そもそも、この八条の条文を、今委員長のお許しを得てお示しさせていただいていますけれども、きちんと読み込んできたのかということを言わざるを得ませんね。官僚に対しての指導じゃなくて、大臣そのものがこの条文の意味をどこまで御理解して、法として提出されたのかと言わざるを得ません。

 政府が統一見解を示さざるを得ない事態に至ったその責任というものを、担当大臣としてきちんと認識すべきだと思いますし、そのような無責任な姿勢で国会に臨んでいただきたくない。

 稲田大臣が本法案の担当大臣ですが、この条文については消費者庁ということでありますから、ぜひ、今後の質疑においても、衆議院もありますし、参議院もございますから、御出席をされて、きちんと答弁をしていただきたいと思います。

 もう時間が過ぎましたが、一点だけ。

 大臣、答弁を修正されるだけではなくて、この八条の条文そのものが非常にあやふやなんですよ。あえて言うと、消費税と関連するものだということが明確にわかるような条文に、まさに条文自体を修正すべきだ、こう思います。とりわけこの三項のところは、消費税との関連が明示されているという部分が、条文上もございません。

 この条文自体の修正が必要かと思いますが、大臣、いかがですか。もう答弁も修正されたんですし、この委員会質疑でも明らかになりました。条文自体を修正すべきとお考えですか。それこそ、役人の言いなりじゃなくて、大臣のリーダーシップでこれを修正し直すということをされるべきかと思いますが、いかがですか。

森国務大臣 今、委員が第八条三項とおっしゃいましたが、第八条の二号のことでよろしかったでしょうか。(近藤(洋)委員「二号、三号ですね」と呼ぶ)二号、三号のことでございますね。

 第八条二号、三号は、例えば二号は、「取引の相手方が負担すべき消費税に相当する額の全部又は一部を対価の額から減ずる旨の表示」というふうに記載をされております。

 このことについて、第一条は、法律の目的が、消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別の措置を講ずることにより、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保することである旨、規定しております。この目的を踏まえれば、第八条は、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、消費税分を値引きする等の表示を行うことを禁止するものであり、消費税と何ら関連しない値引き等の表示を禁止するものではございません。

 いずれにしても、委員の御指摘は大変重要でございますので、御指摘の趣旨を十分に踏まえて、明確な解釈を示してまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 時間が参りました。

 いずれにしろ、この八条の書きぶりが非常にあやふやだからこのような事態に陥ったんです。政府の中でもきちんと詰めた議論をしてこなかったということだと思います。

 この八条の部分は非常に問題が多いということを申し上げて、時間が参りましたので、私の質疑を終わります。

富田委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 おはようございます。

 消費税の転嫁円滑法案について、何問か質問をさせてください。

 当委員会での各委員の質疑の内容、そして先般行われました参考人の意見を聞きながら、私として、地元の会社の皆さんがどういうお気持ちでいらっしゃるのか、アンケート調査を行ってみたんです。ここにあるのがそのアンケート調査の結果でして、物すごく、地元の経営者の皆さんは、消費税が上がることに対して、深刻な問題、あるいは今後の経営に対して大きな影響を及ぼすということを示していただいております。回答率としては大体一〇%ですので、極めて高いと思います。

 お手元に、委員長の許可を得まして、そのアンケート調査の結果として出させていただいております。

 このアンケート回答者の業種、大体これは八十七社、九十社弱ですから、一定の傾向値はあると思います。おおむね、建設が二五%、製造が二三%、小売が一六%。新聞報道での景況感、あるいは各世論調査がありますので、私の知っている会社がどういう景況感を持っているかということについて聞かせていただきました。

 景気が好転したと実感できますかという問いに対しては、一一・五%が実感できる、景況感の今後の見通しはどうですかということに対して、よくなるというのが二六・四%、このよくなるも、よくなると期待したいとちょっと手書きで書いていらっしゃる会社も何社かありまして、変化なしが三七・九%、悪化するというのが三二・二%でした。おおむね、都市部を除けば、傾向値としては、稲田大臣の地元も多分こういう傾向値かなと思います。

 次に、消費税の転嫁対策についてということで、この間行われました参考人の皆さんの意見を踏まえて、これは丸をつけていただきたいということで、五つの項目について聞いてみたんです。

 販売価格に消費税増税分が転嫁できず価格が低く抑えられるということに丸をつけた方が五九・五%、取引上の立場が強い取引先から納入額の引き下げ圧力があるが二九・七%、消費者の負担額をわかりやすくするために外税表示も認めてほしいが四三・二%、国で買いたたき、転嫁拒否、不当な利益提供の要請なども取り締まってほしいというのが三九・二%、先ほど議論になっておりました、消費税還元セールなどを禁止してほしいというのが一八・九%でした。

 ただ、この一八・九%は、アンケートの回答業種のうち小売が一六・一%ですから、小売の皆さんの中で、消費税還元セールなどを禁止してほしいということを考えれば、もう少し割合は上がるのかもしれません。

 ということで、今回は、私が皆さんに伺った内容につきまして、特に日ごろ感じていらっしゃることをお聞かせいただければということで、各経営者の方から個別に多くの意見をいただいておりますので、そのことについて何点か御質問をさせてください。

 まず一点、現状認識について伺いたいと思います。

 消費税引き上げに伴う新税率を前提とした事業者間の価格交渉は既に始まっているが、中小企業庁さん、そして公正取引委員会さんでは認識しているかということなんです。

 こういう意見があるんです。取引上の立場が強い取引先から納入額の引き下げ圧力がある。円安傾向で原材料が高騰し、樹脂、金属の価格が売り手市場となっている。売り値に増額分が転嫁できず、中小企業にとって厳しい転嫁となっている。これは一般的な話だと思います。

 もう一つあるのが、これはまた違う製造業の会社なんですけれども、消費税増税分の値引き要請や単価の見直し、単価登録したものの改定について、最近、取引先から商談中に話題として取り上げられ始めているということ。政府としては、消費税を来年の四月から上げるかどうか、その決定は多分ことしの秋だと思うんですけれども、四月から消費税を上げることを前提に、この意見のように、消費税増税分の値引き要請や単価の見直しについて、商談中に話題として取り上げられているということなんです。

 このことについての政府の認識についてお聞かせいただければと思います。

鈴木政府参考人 ただいま委員から御指摘の点でございますけれども、私ども、本年二月の時点で、中小企業団体からは、例えば、取引先から、消費税の引き上げを見込んで、現在納入しております商品の再見積もりを求められるというような場合、それから、消費税額に相当する原価低減を話題として出される場合等々について、事例が出始めているということを伺っております。

 このような状況につきまして、現在でも、当然でございますが、下請代金支払遅延等防止法に違反する事例があれば私どもも徹底的にやらせていただきたいと思うんですけれども、このような声をできるだけ多く吸い上げたいと考えておるところでございます。

杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきます。

 私ども公正取引委員会といたしましても、既に消費税率の引き上げを見据えて、買いたたき等の行為が生じているのではないかという懸念が寄せられていると認識しております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 全体的に、恐らくもう四月、五月から、こういう動きが来年を見通して始まっております。ですから、どうやってこういう動きを抑止していくかということが必要だと思っています。

 今回の法案の中には、「今次の消費税率引上げの趣旨、転嫁を通じて消費者に負担を求めるという消費税の性格及び政府の消費税の円滑かつ適正な転嫁に関する取組について、徹底した広報を行う」と書いてあります。これは結構大切なところだと思っています。

 農業の方で、果物をつくっていて直販していらっしゃる方は、私ども農家の直売では消費税を転嫁することが難しく、今までの五%は価格転嫁できずに販売していましたが、八%あるいは一〇%になったときに価格に上乗せせざるを得ない状況です、お客様が理解していただくのを期待せざるを得ないと思いますということです。

 ここはこれから、消費税が上がるとすれば、この消費税は社会保障のために使うんですよということをしっかり国民に理解していただかないと、これから厚生労働省さんにも、美容業界あるいは理髪業の業界、価格の転嫁についてお話しさせていただくようになると、本当に大切になってくると思います。

 そこで、今回、徹底した広報を行うということについて、多分、内閣官房が中心となって広報戦略を立てていくのかなと思うんですけれども、そこについての御所見を伺わせていただければと思います。

山際大臣政務官 お答えいたします。

 今、委員御指摘のありました広報の重要性に関しましては、政府といたしましても非常に重たく認識をしてございます。

 そして、もちろん消費税が上げられる前からこれも準備をしなくてはいけない、そういう観点から、本年二月に消費税価格転嫁等対策準備室を設置いたしまして、転嫁等に関する広報活動の司令塔機能を果たすべく、準備を進めているところでございます。

 これからは、この準備室を中心に関係省庁が連携いたしまして、しっかり広報をしていきたい、そのように考えてございます。

大島(敦)委員 政務官、ありがとうございます。

 広報は、結構きめ細かな広報も必要だと思っています。多くの国民の皆さんに対して、電車の中づり広告あるいは新聞、テレビ、ラジオを通じて広報活動を行うことも必要なんですけれども、個別の業界ごとに、それぞれの商慣習が違いますから、そのことをしっかりときめ細かに行ってほしいと思っていまして、その点の取り組みも、この法律が通った以降は多分準備室が取れますので、政府の中にも対策本部ができているという話も聞いております、ぜひ政府全体としてそのことを進めてほしいと思っています。

 この中で、一つの意見といたしまして、政府の転嫁対策に対する事業者への周知徹底が不可欠だと思っていまして、経産省としての取り組み、あるいは公正取引委員会としての取り組みも聞きたいと思うんです。そして、特に国土交通省さんにも。

 ここについては、今まで中小企業庁そして公正取引委員会は、年に一回、二十五万社、二十五万社、合計五十万社に対して書面による調査を行っているというお話を伺っております。そのことについて、概略を手短に説明していただけると助かります。

 これは中小企業庁長官でよろしいですか。

鈴木政府参考人 私どもは、下請代金法に基づきまして、公正取引委員会さんは二十五万社、また中小企業庁としては二十五万社、合計五十万社の書面調査を毎年行っております。

 これは、下請企業の方々だけではなく、その下請企業に発注される親企業の方々にも書面調査をいたしまして、このような違反事例等がないかどうかについてチェックを行わせていただいているところでございます。

大島(敦)委員 私も、公正取引委員会からこの書面調査の内容を、発出されているものについて資料としていただきまして、非常にいい取り組みだと思います。

 独占禁止法あるいは下請法、役所の方に対して一般事業者から、おかしいぞという問い合わせというのは年間で百社もない、五十社ぐらいだという話を聞いておりまして、書面だと四千社の会社が回答して、これに基づいて、下請法を根拠に置きながら多分指導されていると思うんです。

 この書面調査というのは今後のキーだと思っています。これまでは、下請代金支払遅延等防止法に基づく書面調査です。今回は、消費税転嫁円滑法に基づく書面調査ができるようになると思うので、この内容も大分工夫されることと思うんです。

 先ほど申し上げましたとおり、四月、五月、今から来年に向けてこういう動きがあるわけですから、事前に調査した方がいいと思うんですけれども、その点についての御答弁をお願いします。

鈴木政府参考人 書面調査でございますけれども、一つには、今委員から御指摘がございました下請代金法に基づきます書面調査、これにつきましても、消費税の引き上げを踏まえまして、私どもは、書面調査の内容をぜひ変えさせていただきたいと思っております。

 やはり、五十万社を調査いたしますので、このような消費税引き上げの転嫁がしっかりとできているかどうか、また、先ほど委員から御指摘がございましたけれども、雑談でいろいろ出される場合もございます、そういうところにつきましても調査できるように、書面を改正させていただきたいと考えております。

 加えまして、この法律を成立させていただきましたら、私どもは、即座にまた書面調査を行いたいと思っています。これは、先ほどの五十万社に加えまして、十五万社につきまして集中的に調査を行わせていただきたいと考えております。その際に、できるだけ、現場で今起きていること、そういう事例があぶり出されてくるような書面調査の様式を考えたいと思っております。

大島(敦)委員 この書面調査というのは、私はディテールにこだわった方がいいと思っています。こういうことに気をつけてくれという文書ですと、多分、何も考えないでさっと黙読して、記憶に残らないんです。

 例えば、今回の法の三条の三号にこういう記載があります。「商品又は役務の供給の対価に係る交渉において消費税を含まない価格を用いる旨の特定供給事業者からの申出を拒むこと。」特定事業者は、これは大きな会社ですね、こういう行為をしてはならないということが掲げてあります。

 これは、相対で商談するときに、小さな会社、下請さんあるいは納入する方から、今回の価格交渉については、消費税込みの値段ではなくて、消費税を外して価格交渉してくれという申し出を納入先に対してしたときには、納入先はそれを拒否しちゃいけないということが書いてあるんです。

 こういうことを各事業者に周知徹底させるためにも、こういう規定について、このアンケートの中に私は書くべきだと思っている。その十五万社が、書くことによって、特に特定事業者側が認識するということが大切なんです。下請さん、納入元から今回からはお願いしますよといったときに、この間のアンケートで答えているから、そういう文案があったからしようがないなといって、すんなりこの三条の三号が生かせるとすれば、私はこれは非常に大切だと思っています。

 今回もこういう意見がございまして、希望売価から引かざるを得ない店では、大手と違って、仕入れ価格が上がり売価が下がると、対処方法のない売り上げ減を余儀なくされることになりそうだということです。特にBツーB、事業者間についてぜひお願いしたいんですけれども、その点に対する御所見が一つ。

 もう一つは、十五万社でいいのかという議論なわけです。

 一通これを発出したとしても、多分二百円かからないと思うんです。行って来いですから三百円だとしましょう。一万社に出したとしても、これは三百万円で済む話なわけですよ。十万社で三千万ぐらいですね。だから、五十万社に出したって一億五千万ぐらいの話であるので、できるだけ多くの事業者に今のうちからこういうことをしっかり気をつけてくれよというのは、十五万社をふやした方がいいと思っているんです。

 まずは、十五万社をふやした方がいいかどうかは稲田大臣に後で聞くとして、そういう内容について盛り込むべきだということについて、中小企業庁長官あるいは公正取引委員会の委員長さん、どちらかに御答弁いただければと思います。

杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきます。

 委員おっしゃるように、本特別措置法の第三条三号の税抜き価格での交渉の拒否の禁止というのは、非常に重要な項目だと思っております。こうした本法案で禁止されている転嫁拒否等の行為を事業者に対して周知し、違反行為を未然に防止するということも極めて重要だと思っております。

 したがいまして、今の御指摘等も踏まえまして、税抜き価格での交渉の拒否の禁止など、本法案で禁止されております転嫁拒否行動につきまして、調査票の記載を通じまして、事業者に対し周知徹底を図ることができるようにしてまいりたいと考えているところでございます。

茂木国務大臣 基本的な趣旨については理解をいたします。

 その上で、周知徹底活動とアンケート調査というのは完全に目的が一致するかという部分もあるわけですね。

 あと、サンプルのとり方。先生からお示しをいただいた消費税の転嫁価格の法案についてのアンケートの調査、結果については真摯に受けとめさせていただきたいと思うんですけれども、例えば景況感につきましては、我々がとっておりますデータといいますか、これとかなり食い違いがあります。恐らく、このサンプル数が八十七ということで、どうしても、アールスクエアをとっても、統計的にある程度の確度が出るのは五百以上、できれば二千ぐらいとなっておるので、そういうそごも出てきますから、我々としては、できるだけ多くアンケートはとりたいと思っております。

 ただ、例えば、今、尖閣について日中間で問題が起こっていますけれども、日本のことを好きですかと中国に聞いたら、確実に嫌いという答えがふえるわけでありまして、誘導にならないようなこと……(大島(敦)委員「大臣、ほかの質問があるものですから、申しわけないです」と呼ぶ)呼んでいただいたので。

大島(敦)委員 稲田大臣からお願いします。

稲田国務大臣 先ほど来御質問をいただいている、また、先ほど公取の委員長から答弁したとおり、この書面調査を機会に、三条三号等のことも周知徹底することは重要だと思います。

 そして、数の件についてお尋ねですけれども、平成二十五年度において、下請法の調査として二十五万件の書面調査を実施することに加えて、公取七万五千、中小企業庁七万五千、十五万社を対象に転嫁状況に関する書面調査を実施することを予定いたしております。

 これらの調査を活用して、適切に消費税転嫁拒否に関する情報収集に努めてまいりたいと思っております。

大島(敦)委員 茂木大臣のおっしゃっていることは、私もビジネスマンですのでよくわかっています。これはあくまで参考値の資料ですから、本当にアンケートするとすればビジネスマンとしては五百なり千なりですけれども、地元の声を聞いて、一つの傾向値として見るには、九十社ぐらいでもこういう傾向値かなと思いますので、その点はちょっと御了解ください。

 国土交通省さんと厚生労働省さんに聞きたいんですけれども、所管されている事業者も極めて広範です、今回の法律が通ったら事前の調査を行うかどうかについて、お答えいただければと思います。

福富政府参考人 まず、国土交通省といたしましては、所管業界団体等との意見交換の場におきまして、率直な御意見を現段階でも伺っているところでございます。

 今後の調査につきましては、ただいま御説明がございました、公正取引委員会、中小企業庁が相当な規模で行われます書面調査に対しまして、効率的に連携していけるように対応してまいりたいと思います。

 また、今後につきましては、公取、中小企業庁と相談しながら対応を決定していきたいと思っております。

唐澤政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省におきましては、先生御承知のように、生活衛生関係業界あるいは医療福祉業界がございます。

 私どもといたしましても、公取委や中小企業庁が実施予定の書面調査につきまして、これは非常に大規模でございまして、私どもの業界もカバーされるわけでございますけれども、こうした調査票の回収率の向上にまず御協力させていただきたいと考えております。

 その結果を見ながら、公取委や中小企業庁の方とも御相談しながら検討してまいりたいと考えております。

大島(敦)委員 検討ということで、中小企業庁、公取と違って、消費税が上がる前にそういう発出をするという御回答ではないと思います。

 山際政務官にお願いしたいのは、事前に、茂木大臣が先ほど御答弁いただいたように、調査票と広報活動は切り離すべきだという意見もわかるんですけれども、ある程度その中で盛り込んだ方が効果的だと思う立場もあるものですから、その点ぜひ御検討していただきながら、多くの中小・小規模企業が消費税のアップに伴ってその負担をしないようにしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 もう一つ、今回の法案の中で、消費税の税込み価格を表示することを要しないという十条の規定があります。財務省に、この規定のあり方について、ちょっと具体的に、どうしていくかについての御答弁をいただきたいと思います。

竹内大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生よく御存じのとおりだと思いますが、総額表示の特例に関するガイドラインにつきましては、各業界の実態、御要望を十分に踏まえて策定する必要があると考えておりまして、今後、各業界からの御意見を丁寧に聞いた上でガイドラインに反映させてまいりたいとまず考えております。

 その上でまた、本特例に伴う消費者の混乱をできるだけ防止するために、事業者など関係者の御意見を踏まえた上で、ガイドラインにおきまして消費者に誤認されないための値札表記の具体例などをできるだけわかりやすく示すとともに、事業者及び消費者への広報活動にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 ガイドラインにおきましては、消費者に誤認されないための表示の例として、例えば、値札やチラシなどにおきまして、百円括弧税抜き、百円括弧本体価格、あるいは百円プラス税といった表示を行う方法や、それから、値札には本体価格の百円とだけ表示した上で、商品の陳列棚や店内の目につきやすい場所に明瞭に、表示価格は税抜きです、消費税八%は別途いただきますといった掲示を行う方法なども含め、できるだけ明確に、わかりやすい形で示してまいりたいと考えております。

 このガイドラインにつきましては、法律が公布された後に、パブリックコメントなどの所要の手続を行った上で、可能な限り速やかに公表してまいりたいと考えております。

大島(敦)委員 茂木大臣、最後に手短に答弁いただきたいんです、時間も来ておりますので。

 やはり、消費税の転嫁については、中小・小規模企業は本当に今敏感に考えていらっしゃると思います。その点につきまして、茂木大臣として、しっかり取り組んでいただくことについての御所見。

 特に、需要の先食いによる反動減が非常に多いかと思いますので、そこの資金繰り等も、きょうは国土交通省さんに質問するまではいっていないんですけれども、いろいろな研究機関ですと、建築業界とか多分、ことしは一〇%先食いして、来年は一〇%減る、特に消費税の割合は大きいですから、運転資金が要はショートしてしまって、倒産の危機に陥る会社が多いということが想定されるわけです。その点につきましても、経産省さん、国土交通省さんが連携しながら対応をとっていただければと思いますので、最後に、茂木大臣からの御所見をお願いいたします。

茂木国務大臣 前回の引き上げ時の、どれぐらいの駆け込み需要が出るかとか、その後の反動減が出るか、そういったデータもありますので、そういったことを見ながらしっかりした対応をとります。

大島(敦)委員 終わります。

富田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。

 きょうは、引き続き、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案について質問させていただきます。

 まず最初に、前回の質問の際にも少し聞かせていただいたんですが、本法律案の施行に対応した各省庁の人員の任命についてということで、公取委員長に主に御答弁いただいたんですけれども、今の採用のめどについて少し質問させていただきたいんです。

 転嫁対策調査官という形で、前回の御答弁の中でも、公取から百十九名、それから中小企業庁からは四百七十四名を予定しているというふうに聞いております。この採用のめど、今御予定されているのが十月一日ぐらい、本年の十月一日をめどとして採用していきたいというお話を聞いているんですけれども、そのめどと、この人員の具体的な業務内容についてお話しいただければと思います。よろしくお願いします。

杉本政府特別補佐人 今般の消費税の引き上げに当たりましては、二段階にわたって実施される予定であることを踏まえまして、転嫁対策にしっかり取り組むということで、十分な監視、取り締まり体制を整備するということが重要だと考えております。

 このため、公正取引委員会では、消費税転嫁対策のための人員としまして、二十五年度予算案におきまして、新たに百十九名が手当てされております。このうち、正規職員が二十八名、非常勤職員が九十一名でございます。

 こうした人員につきましては、転嫁対策の調査官、それから転嫁カルテル、表示カルテル等の受け付け等の業務もございますし、そういった転嫁対策のための人員として措置されているところでございます。

 こうした人員には非常勤職員も含まれておりまして、非常勤職員につきましては九月もしくは十月、定員の方、正規職員につきましては七月もしくは十月というような予算上の措置になっておりますが、公正取引委員会といたしましては、この法案が成立いたしましたら、非常勤職員等につきまして速やかに採用手続を進めてまいりたいと考えているところでございます。

木下委員 ありがとうございます。

 先ほどお話しいただいたように、正規の方もいらっしゃるということなんですけれども、大半が臨時的に雇用するということです。その期間は大体ことしの中盤あたりから三年半ほどの間の雇用ということで、まさしくこれは非正規雇用ということになっている。

 今回、これは何回も審議をさせていただいているんですけれども、基準認識が、先ほどの近藤委員のお話もあったとおり、非常に曖昧と言わざるを得ない状況、その中で、政府の見解も変化があるというふうにみなしておりまして、契約職員、非正規の雇用をした人たちが一定の判断基準にのっとって判断、指導ができるのかと考えると、到底それは難しいんじゃないかなというふうに思わざるを得ない。

 しかも、前回、みんなの党の三谷委員からも御指摘がありましたが、全部で六百人程度、一年間で給与が五百万円程度というふうに考えた場合に三十億円程度かかってしまう。しかも、三年半というふうになれば、それを掛け合わせますと約百億円程度の給与を支払うことになる。

 その中でしっかりとやっていくためには、前回私もお話しさせていただきましたけれども、明確なガイドラインであるとか、具体的なケースを明記して、マニュアルというふうに言ってもいいかと思うんですが、これがないとしっかり判断することができないんじゃないかというふうに思っているんです。

 この整備状況、前回からいろいろとお話があったかと思うんですけれども、今の状況についてお話しいただければと思います。

杉本政府特別補佐人 公正取引委員会の場合においてお答えしたいと思っております。

 私どもで新たに採用する予定の職員は、類似の調査業務の経験がある方、法律や税務等に明るい方、事業者間の取引に精通している方などを中心に、十分に選考してまいりたいと思います。その際に、公正取引委員会の元職員なども一つの候補になるのかもしれないと思っております。

 調査マニュアルにつきましては、できるだけ速やかに作成することにしてございます。非常勤職員等の採用後は、このマニュアルに基づきしっかりと研修を実施するとともに、独占禁止法、下請法の検査に従事している既存の職員とともに調査を行うなどのオン・ザ・ジョブ・トレーニングによりまして、調査ノウハウの習得を図りまして、非常勤職員等が専門的な調査を実施できる、そういった形で取り組んでいきたいと思っております。

木下委員 精通した方々を雇っていくということなんですけれども、普通に考えたときに、三年半しか雇いません、それで、そういう人が普通に集まってくるのかどうか、ちょっと疑問を感じざるを得ないというふうに、これは感覚なのですが、私は思っております。非常に難しいんじゃないかなということでございます。

 時間がないのでどんどん進ませていただきますが、次に、本法案の実効性という部分についてお話を聞かせていただきたいんです。

 一つは、販売方法の規制。

 今までもいろいろと審議がありました。こういうセールはだめか、いいかとか。いろいろ話があったんですけれども、そもそも、消費税を取らないとうたって最終需要家に表示した状態で販売するということは、最終需要家に対して、消費税ですから税の負担は最終需要家に来る、その本質的な義務を否定するものだというふうに私は思っております。そういう書き方をした場合、例えば消費税は取りませんといった場合には、当然、これは公序を乱すような行為だということが明確だと思っております。

 それをこの法案で対処するということだと思うんですけれども、そもそも論として、こういった規制をしなくても、実際、国民が税を負担するということ、これは紛れもない事実であって、ここであえて言ってしまって、いろいろなケースが、こうはだめ、ああはだめというものではなくて、最終的に国民が消費税は負担するんだという認識があれば、こういう難解なパターンをいろいろと示して規制すること自体が私はおかしいんじゃないかと思っておるんです。

 その点について、森大臣にお聞かせいただければと思います。

森国務大臣 御通告がございませんでしたけれども、御通告いただいていたのは表示のガイドラインの部分だったと思うんですが、規制をすること自体がおかしいのではないかということで今御質問いただきましたので、お答えをいたします。

 本法案は、消費税という文言が入って、その増税分を値引きするという表示がされることによって、消費者が消費税を払わなくてもよいかのような誤認をする、または卸の方にその部分のしわ寄せが行ったり、周辺の小売店の方がやはり同調して値下げせざるを得なくなったりとか、そういう場合を防ぐために、消費税について値下げするという表示を禁止する、そういう趣旨でございますので、この趣旨で禁止していくということと理解しております。

木下委員 ガイドラインの整備の話を聞くつもりだったんですけれども、その先まで私ちょっと質問させていただきまして、申しわけございません。

 やはり、ガイドラインでいろいろと示していってという形になるのかと思うんですけれども、今の状態で、きょうまで審議している中で、このガイドラインの中でどう書かれるのかということがわからない状態で、ああじゃない、こうじゃないというふうな話が非常に長い間審議されている。これは非常に、余り言うとあれなんですけれども、不毛な議論になっているんじゃないかなというふうに私は思っていて、そもそも最終需要家、消費者の方々が税を負担するというのは当然の話であるので、そこをポイントとしてしっかりと政府が言うことが一番重要なことなんじゃないか。

 たまたまと言うとあれなんですけれども、前回、消費税を引き上げたときに、消費税還元セールだったりということをいろいろやる会社さんがあって、解釈が非常に曖昧になってきた、そのために改めてこういうふうな話をしたと私は思っているんです。政府としてしっかりと言わなきゃいけないのは、やはり消費税はちゃんと負担してもらうんだということさえ言っていれば、余り議論になるものではないんじゃないかと思っているんですね。

 もう時間がないので次に行かせていただきますが、もう一つ、この法案の中の目的として、中小・小規模事業者の保護というふうな観点でこの法案は書かれているかと思います。

 その中で、これも前回少しお話しさせていただいたんですけれども、商売をやる人たちというのは、どんな規制があったとしても、安い値段で仕入れて、ほかよりも大量に販売するということを目指している、そのためにはあらゆる工夫をしていくというのは普通の話だと思っているんです。

 卸売側も、大規模小売店というのは非常に大きな、一番の魅力なわけでありまして、そことのパイプがつながるか否かということで、特に中小の方々は自己の存亡に直結していると思っております。それが消費税分であろうがなかろうが、値下げを強いられた場合は最大限の努力をするのは通常のことで、そこに生き残りがかかっているんだろうというのが普通の構図だと思っています。

 名目的に消費税を取る取らないというふうな規制をしたとしても、それが卸売業者の保護につながるかと考えると、私は余りそこは関係がないんじゃないかなというふうに思っております。消費税相当分を名目上交渉の対象としないと規制することは、本体価格の圧縮であったりとか値引きということにつながって、実質利益率の低下を中小企業に強いるということにつながりかねないと思っておるんです。

 その点について、稲田大臣、少し御答弁いただければと思います。

稲田国務大臣 今、委員の質問を聞きながら、大変重要な点を指摘されたと思います。

 消費税というのは払うべきもので、その消費税は社会保障のために必要なんだということをやはり国民全員に知らしめるということ、これは私も非常に重要なことだと思います。

 そして、消費税をいただかないという旨は、先ほど委員は、それは公序に違反するんじゃないか、だから、こんな規定がなくても、それはだめなんだということをおっしゃいました。確かに、そういう面もあろうかと思いますけれども、それをやはりこうして確認的に書くことに意味があると私は思います。

 そして、消費税はいただきませんとか、還元セールということを契機に、中小の方々に、優越的な地位を濫用してということになるんでしょうけれども、買いたたきが起こるということは防止をしていかなきゃいけないんじゃないかと思います。

木下委員 ありがとうございます。

 そういう考え方もあるかと思うんですけれども、納税義務というのがしっかりあるんだということを政府がばしっと言うことが一番大きなところなのかと。

 例えば、余り言うことではないのかもしれないですけれども、やはり、ガイドラインであったり指針がちゃんと書かれたとしても、非常に曖昧な部分というのが残ると思うんですね。

 言い方でいうと、例えば卸売の人と小売の人が話しているときに、今度三%分上がるのでかなわぬのや、そのままやっていったら売り上げが下がっていく、そやからその三%分を、消費税が上がる分かどうかというのは別にして、その分ぐらいの値引きはしてくれへんか、そうやってくれたら今までよりももっとようけ売ったるで、そういうふうに交渉するのは普通だと思うんですね。

 そこの中で、あんたが消費税を全部持ってくれやというふうに言ったら確かに問題かと思うんですけれども、もうかなわぬのや、その三%上がった分ぐらいを下げてくれたらもっとようけ売ったるでというふうに言うと、それがだめなのか、いいのかというのは非常に判断が難しい。

 これは、例えて言いますと、セクハラを受けたときに、嫌な人からセクハラを受けたら訴えられるのと同じような感覚で、私は消費税分をかぶってくれというふうに言われて困ってしまいましたと訴えたときに、おまえ、そういうふうなことをしたらだめだろう、そういう話とすごく似ているんじゃないか。これは、判断基準がすごく曖昧なんじゃないかという一つの実例というふうに私は思っております。

 その辺について、もし何か御感想があれば。稲田大臣。

稲田国務大臣 今、セクハラのことを例に挙げて、わかりにくいということをおっしゃったんだろうと思います。

 おっしゃるように、自分の努力で価格を決めていくということはあろうかと思いますけれども、消費税に関連して、消費税はきちんと国民が負担すべきものでありますから、消費税をいただきませんとか、消費税分は値引きするんですということを許せば、それを契機に押しつけ的に買いたたきが起こるということはやはりあろうかと思いますので、今委員御指摘になりましたように、明確に基準を設けていく、ガイドラインも含めてということになるのではないかと思います。

木下委員 ありがとうございます。

 最後に、これも前回ちょっとお話しさせていただいたんですけれども、供給側というところで、特別供給事業者というふうな規定の中に大企業が入っていない。これは、公取委員長の方から、独禁法などによって取り締まるんだというふうなことを御答弁いただいたんです。

 あのときちょっと私は納得したんですけれども、よくよく考えてみたら、優越的な地位を使って不正な取引をしたことについて独禁法で取り締まれるとは思うんですが、供給側に回った大規模事業者が優越的な地位かというと、私はそうじゃないと思っているんですね。どうしてその優越的地位がつくられるかというと、この法案の中で大規模事業者を対象に入れていないことによって、卸売業者になっている大企業が優越的地位を持ってしまうことになるんじゃないかと私は思うんです。これは、ちょっとこの間の話を聞いていると、解釈的にはおかしいんじゃないかなというふうに思ったところです。

 最後に、言いっ放しになってしまいますけれども、もう一つ。

 先ほどの話じゃないですけれども、指針であるとかガイドライン、これがやはりまだ今の時点でしっかりとつくり上げられていない、そのせいでこういう審議がずっと続いていると私は思っておりまして、これが明確に示されなければ、本来の意味での審議というのはできないんじゃないか。先ほどの独禁法の話も含めて、実効性が乏しいというふうにしか判断できないというのが現時点での私の見解でございます。

 以上でございます。ありがとうございます。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法案に関しまして質疑させていただきます。

 まさしく、取引の公正を図るということと、消費税増税の影響で中小企業の収益が予想以上に悪化していく、それを避けなければならないという趣旨に関しては非常に賛同するところではあるんですけれども、やはり、先日来質問させていただいている、特に八条の関係、消費税還元セールの広告の禁止という点に関しましては、どうしてもちょっと筋がよくないんじゃないかということをずっと思っておるところでございますので、今回もこの点を中心に質問させていただきます。

 先日来理事懇で示された統一見解、お手元に先ほど近藤委員の資料でもお配りされたと思いますけれども、ここに示されている統一見解では、「宣伝や広告の表示全体から消費税を意味することが客観的に明らかな場合でなければ、禁止される表示には該当しない。」ということでございます。

 政府は最初、菅久審議官は、消費税の文言を用いていない場合も、関連した安売りと認識されるものは禁止するという答弁でした。三%還元セールも三角で、該当するかどうか、可能性もあるといった表現もありましたが、本委員会での我々維新の会、民主党さんも含めての質疑を経て、この「考え方」ということでございますけれども、見解を改めたという認識でいいんでしょうか。

 先ほど、近藤委員からも謝罪の要求がありました。私からは謝罪までは要求しません。むしろ、改めることに関しては改めるべきだと思いますので、謝罪というよりは、実質として、見解を改めたのかどうか。ただ、先ほどの役人答弁では、整理をしてわかりやすく修正したという、見解に関してはどちらともとれる御答弁でした。その見解、考え方を改められたかどうか、それについてお答えください。

森国務大臣 先ほどの政府文書におきましては、本委員会での御審議を踏まえまして、政府部内において第八条で禁止される表示についての考え方を整理し直したものであり、わかりにくかったと思われる答弁を整理して、わかりやすく言い直したものでございます。

丸山委員 委員の皆様からも苦笑が漏れていますけれども、非常にわかりにくい。今の言い方だと本当にどちらともとれる形になって、逆に理解すれば、考え方は間違っていなかったけれども、聞いている方が理解できなかったので、文言、言い方をもっとわかりやすく修正したともとれるような、非常にわかりにくい言い方をおっしゃっているように感じます。

 この問題ばかり追及するのも時間がもったいないと思いますので、もうこれぐらいにしておきますが、改めることに関しては恥ずかしいことではないと思いますので、やはり、おかしいということに関しましては考え方をきちんと改めていただくということが審議の意味でございますので、国会の意味でございますので、きちんとよろしくお願い申し上げます。

 そうした中におきまして、今回、統一見解を出されたということでございますけれども、増税時期において、三%の値下げセールという言い方は容認されるという書きぶりをされています。一方で、その消費税率上昇分の値引きセールという形は容認されないということでございますけれども、こうされた理由についてお伺いしたいと思います。

 三%値下げセールという表現が消費税という言葉を用いていないからでしょうか。五%から八%に変わるタイミングで、消費者が、もしくは一般の方が、三%という表示であれば消費税と認識せずに、消費税率上昇分と直接消費税と言わない限り誤認が生じないという認識を政府はお持ちなのかどうか。消費者は三%なら誤認しないんでしょうか。

 そのあたり、どのように政府として判断されているのか、御認識を伺いたいと思います。基準についてよろしくお願いします。

菅久政府参考人 お答えいたします。

 第八条の規定というものが、「考え方」の中でもお示しいたしましたけれども、消費税分を値引きする等の宣伝や広告を禁止するものということでございますので、消費税還元セールという表示、そういうもののほか、消費税は転嫁しませんでありますとか、消費税率上昇分値引きします、こういった表示は禁止されるということでございます。

 また一方、三%値下げセールといった表示でございますが、たまたま消費税率の引き上げ幅と一致するだけの三%値下げセール、こうした表示が行われているだけでありますと、消費税を意味することが客観的に明らかとまでは言えないということでございまして、そういう宣伝等がこの八条で禁止されることにはならないというふうに考えております。

丸山委員 先ほどの御答弁もお答えいただいていないと思うんですけれども、お答えいただきたいのは、政府の判断としまして、消費者は、直接消費税と言わない限り、三%という言葉であれば誤認しないという認識を政府はお持ちなのか、御見解をお伺いします。

菅久政府参考人 お答えいたします。

 広告からさまざまな認識が得られることかと思いますけれども、この八条では、消費税分を値引きする等の宣伝、広告を禁止するということでございますので、三%値下げセール、そういうものだけでは客観的に明らかとは言えないんじゃないかというふうに考えているところでございます。

丸山委員 言いぶりの問題だとは思うんですけれども、やはりちょっと消費者に対する不信感というか、きちんと見ていらっしゃらないんじゃないかなというふうに思います。普通の人が見たら、この時期に三%といえば恐らく消費税のことを指すんだろうというのは通常の感覚だと思います。

 そうした中で、本当に消費税ということしか規制できなくなってきているような、いわゆるざる法のような形になっている状態ではないかと今の答弁を聞いてまさしく思ったところなんです。

 まず、統一見解を出されたこの文書について、もう少し詳しくお伺いしたいんですが、この文書に関しまして、一体どなたの文責でお書きになったものなのかということについてお伺いしたいと思います。

 参考人の答弁とその後の政府の方等の記者会見でかなり見解が異なるという形で、我々としては政府の方針がかなりぶれているように感じられるところなんですけれども、そうした中でこの文書を出されてまいりました。

 この文書において、消費者庁さん、公取さん、総務省さん、財務省さん、経産省さん、各省連名で出されていますけれども、こういった形で連名で出すのは、非常に責任者が曖昧になっているんじゃないでしょうか。これは、逆に、各省大臣全員の責任、決裁で判断したということでよろしいんですか。

 連名ということは、もちろん、何か問題があったときに責任をとるということだと思うんですけれども、これは担当の方の問題なのか、課長なのか、局長級なのか、大臣なのか、それとも、そもそも全省大臣がとるのかどうかも含め、そのあたりの認識。

 誰が、本法案の、特に八条関係、この表示に関する統一見解を出されたときの責任者で、最後は責任をとるという御認識か、お伺いしたいと思います。

森国務大臣 御指摘の文書は、本委員会の理事会の要請を踏まえまして、本法案の提出に当たり、閣議を共同請議した関係省庁の連名でお出ししております。

 その趣旨は、この委員会におきまして、さまざまな関連省庁からの答弁があり、それが曖昧であったことから混乱を生じたということで、それは、全ての省庁が政府として統一的な見解を持っているという意味で連名にいたしました。

 そして、今御質問のある、誰が責任を負うのかということに関しては、本法案第八条の執行に関しては、本規定を所管する消費者庁、つまり、私、消費者大臣が責任を負うものでございます。

丸山委員 つまり、この「考え方」の文書はどなたのお名前もありませんけれども、この問題に関しましては、最終責任者はもちろん森大臣であって、森大臣のお考えでこれを変えることも可能だということでよろしいですか。

森国務大臣 この統一的な考え方を変えるつもりはございません。

丸山委員 変えるというのは少し言い過ぎかもしれませんが、つまり、この問題はどんどん変わっていく可能性があって、先ほど審議を受けて修正されたというお話ですけれども、この統一見解は、まだまだ審議が今続いているわけですから、それに基づいてさらに変わる可能性があると思うんですけれども、その修正は森大臣の方で最後は責任を持ってやられるということでよろしいんですね。

森国務大臣 仮定の質問に対してはお答えをいたしかねますが、この統一見解は、政府の統一の考え方であり、この八条の今後の解釈、そして執行に関しては、私、消費者大臣が責任を持つということをお答えしておきたいと思います。

丸山委員 わかりました。

 今回、消費税増税相当分還元セールといった広告に基づくセールのための卸の方との取引において、買いたたいているか買いたたいていないか、両方あり得るのが先ほどの委員の話であって、そうした中で、そもそも私は、広告の規制、表現の規制自体、本当に意味がないんじゃないかというふうな意見を持っております。

 そういった中で、消費税増税相当分還元セールという広告の禁止は、今回、三年間の時限立法で、平成二十九年の三月三十一日まで有効ということでございますけれども、例えばその期限である平成二十九年三月三十一日まで、卸売との関係で、買いたたいているか買いたたいていないかは関係なく、同じような取引内容をずっと続けている中で、期限までは三%値引きセール、今回、政府側の統一見解ではオーケーだと言っていたセールをやっていた。しかし、日付が変わった瞬間に、同じセールをやっているのに、ぺらっと外して、消費税分還元セール、今回、政府がだめだと言っているセールの広告が出ても、それは政府としては問題がないという認識でよろしいんでしょうか。なぜ三年なんですか。

 さらに、参考人質疑の折に、消費税分が買いたたかれている業者の方が現時点でもいるというお話でありましたけれども、このような時間軸を置くこと、また、こんな広告を禁止するということに何の意味があるんでしょうか。そのあたりに関しまして、御見解を伺いたいんです。

森国務大臣 消費税の転嫁を阻害する行為は、特に消費税率引き上げ時に集中的に生じることが懸念されるところでありまして、消費税率の引き上げがなされる時期の前後に限って特別の措置を講ずる、そういう政策目的でしたということでございます。(発言する者あり)

丸山委員 今、明快だというお話がありましたけれども、私にとっては全然明快ではないと思っております。

 というのは、前回の話でも、先ほど述べたような、こんな広告をする場合でも、実際の取引において、買いたたいている場合も買いたたいていない場合も必ずあるという状況で、では、こういった政策をつくるときに、どのような数字的、学術的な考察がなされているのか。実際、本当に多いのかどうかというのを調べるのが、きちんと政策を組む上で大事なことだと思います。

 そうした中で、前回、政府側の御答弁では、何々の声がある、そういう声があるんだというお話はされますけれども、では、一体それがどれぐらいの数字の割合なのか、そこに因果関係があるのかどうか、消費税に関連する形での安売りの宣伝、広告を規制することが、どうして買いたたきを抑えることにつながっているのか、全くそういった意味での科学的な学術的な数字的な御見解がなかったように伺いました。

 そのあたりに関しまして、どのような御見解をお持ちでしょうか。

森国務大臣 科学的な学術的な数字的な考察ということで、丸山委員らしい御指摘だなと思って伺っておりましたけれども、第八条の規定は、消費税の負担について消費者の誤認を防ぎ、納入業者の買いたたきや周辺の小売業者の転嫁が困難になることを防止するため、消費税分の値引き等の表示を禁止する目的であることは御存じのとおりでございます。

 この点については、経産省で検討されておりますので、平政務官からも補足をしていただきますけれども、小売業者が八条で禁止される表示をすることによって、過去の引き上げ時のときに買いたたきが行われた、そういう事実をもって、今回も、そういった動きを懸念する納入業者の方々の声がありました。消費税相当分を値引きせざるを得なくなり、円滑な転嫁が行えなくなることを懸念するという地域の商店街の方々の声も聞かれました。

 こういうことをもって、今回は、この転嫁を阻害する表示を禁止するというふうにしたところでございます。

平大臣政務官 経産省でございます。

 ちょっと補足をさせていただきたいんですが、まず、そういった宣伝を規制することは消費税の転嫁を円滑化していくということと関係ないじゃないか、要は、ちゃんと転嫁ができている場合とできていない場合があるという御指摘であります。

 前回、三%から五%に消費税が上がったときも、大手を中心に、消費税還元セールというのを大々的に行いました。なぜやるかというと、その量販店から見れば、それはもうかるから当然やるわけです。たくさんのお客様が来るわけであります。

 多くの場合、量販店と納入業者の取引の場合では、損した分を一〇〇%量販店が値引きをする、損をかぶるということは余りないですね、現実的な商慣習の中で。これはもう常識であります。経産省といたしましても、中小企業関係の四団体のアンケートなどをやってまいりました。やはり我々と同じ感覚であります。

 消費税というのは、そもそも最終消費者に税を負担してもらう。転嫁、転嫁、転嫁をしていくんですが、その間に強い人と弱い人がいるといったときに、価格交渉において消費税分が転嫁できないということが顕在化してくる。これは、構造的な問題であります。

 消費税が上がるときに、いわゆる消費税の還元セールをやると、ばあっと火が広がって、ありとあらゆるところにそういうようなセールが広がっていき、そして、結果として、中小企業の方の値引きが強制されるということになっておりますので、ぜひ、現場の声を聞いていただければ、こういう処方箋を組むのは非常に合理的だということは御理解いただけると思います。

丸山委員 私も、地元を含め、現場の声を聞いてきて、逆に、因果関係が薄いんじゃないかというふうに御質問させていただいております。

 つまり、お声があるのはわかっているんです。そういう声はあります。そもそも、その声がどれぐらいの割合なのかということをきちんと調べた上でやる必要があるということ。なおかつ、それを踏まえた上でも、そういう声があるけれども、そもそも、それが本当に、そのまま広告を禁止することが求める結果につながるのかどうかもきちんとチェックしていかないと、全くざる法になるのではないかというふうに考えます。

 今回の統一見解を見ても、役所用語で言う「等」、「ポイントを付与します等」の表示は禁止されるという形で、まだまだ、小売業の方にとっては、戸惑うこと、また、これはいいのかだめなのかとしてトラブルになることが容易に予想される中で、本当はその他の表現についても伺いたいところでございます。

 例えば、消費税分は適正転嫁済みの三%値下げセールとかいった場合はオーケーなのかどうか。消費税という名前があるのに、それは転嫁しているというんだから、それを規制するのはおかしいという話になったり、本当に細かいところも出てくる可能性があります。

 もう時間もありませんので、そこについては追及しませんが、どう考えてもいろいろな表現の可能性がある中で、抜け道も多くて、そもそも、広告の規制という手段自体も、消費税の価格転嫁を円滑化するという目的の因果関係の中でかみ合っていない。

 そうした中で、ざる法というふうに考えるんですが、政府としての認識。そして、なおかつ、先ほど最初に申し上げました、「君子は豹変す、小人は面を革む」といいます。大々的に改めること自体は何も問題のあることではなくて、逆に、少しだけ改めていく、面だけ改めてしまうようなことがより問題を生じることにもつながりかねません。

 今回、広告表現自体を規制することはやめて、その分の時間とか人員、予算を、実際の買いたたきのチェックの強化の方に充てていく方がよっぽど有意義だと思います。

 こうした中で、最後に政務の御認識を伺いまして、私の質問を終えたいと思います。よろしくお願いいたします。

稲田国務大臣 先ほど来質問もございましたように、やはり消費税はきちんと国民が負担をするんだということは知らしめていかなければならないと思っております。

 そして、その上で、委員御指摘のように、表現の自由もあるし、それから自己努力によって価格を決めるという試みも尊重しなきゃいけない。

 しかし、やはりこの消費税増税時に集中して起こる買いたたきや不当な転嫁拒否というものは取り締まっていかなければならないので、この八条の趣旨は、まさしく、消費税はいただいていませんとか、消費税の分を丸々値下げしますというようなセールを行うことによって、消費者に誤認を生じさせる、また、消費税を転嫁できない買いたたきを誘発するという意味において、私は、取り締まる理由があるのではないかと思います。

 と同時に、委員の御指摘のように、このような転嫁拒否の行為があった場合には、この法案を通じて、適正に監視、是正することを強化してまいりたいと思っております。

丸山委員 賛成したいんですけれども、このままではなかなかスムーズに賛成しづらいところがありますので、政務の皆様の御英断を期待しまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 おはようございます。みんなの党の三谷英弘です。

 消費税の転嫁に関する法案について御質問させていただきます。

 まず、「消費税の転嫁を阻害する表示に関する考え方」、これが五月八日に、突如としてというか示された形になります。

 以前、この経済産業委員会におきまして、本法案について質疑を行っている最中、なかなか内容がわかりにくいというような質問、本当に多くの委員からなされておりました。その際には、この内容がわからない、議論ができないじゃないかというような話に対しては、法案成立後、ガイドラインをしっかりとつくっていくから安心してくれというような話がありました。

 しかしながら、委員会の外で突如として、本法案の解釈そして運用についてコメントが出てきたということになるわけであります。ぜひとも、委員会の外でそういった基準、見解というのが突然示されたというその経緯について簡単に御説明いただきたいと改めて思います。

森国務大臣 委員会の外で発言があったということについては、麻生財務大臣の記者会見における御発言のことを御指摘なんでしょうか。

 四月二十六日金曜日の麻生財務大臣の記者会見での発言は、定例の記者会見の際に、本法案八条の考え方について問われたため、関係省庁間で共有されていた本規定に関する考え方に基づき発言されたものと承知をしております。

 いずれにせよ、このような発言も含め、これまでの本委員会での審議を踏まえたものとして、政府部内での第八条の規定で禁止される表示についての考え方を整理し直して、文書をお示ししたという経緯になります。

三谷委員 まだ、委員会の外でなぜという話については答えをいただいていないような気がしますけれども、時間が限られておりますので、続けて質問に移らせていただきます。

 まず、いわゆる「考え方」、この見解の内容について伺っていきます。

 この「考え方」の中では、「「消費税」といった文言を含まない表現については、宣伝や広告の表示全体から消費税を意味することが客観的に明らかな場合でなければ、禁止される表示には該当しない。」というふうにございます。

 この「考え方」を踏まえて、では、具体的に、本当にわかりやすくなったのかどうかということについて伺っていきたいというふうに思います。

 まず一つ目、この時期ですが価格据え置きですという表示は、これは恐らく問題ないというふうに思っております。

 次に、四月になって価格上昇した分はポイント全て還元いたしますというような表示についてはいかがでしょうか。

森国務大臣 ここで、個別の、今初めてお示しをいただいたことについてはっきりとお示しするのは控えておこうと思いますけれども、いずれにせよ、消費税という文言を用いている場合には禁止されます。そして、消費税という文言を用いていない場合は、全体的に消費税と関連づけて値引きの宣伝を行っていると判断される場合には禁止されます。

三谷委員 今の表現については事前通告させていただいておりますので、ぜひともお答えいただきたいところでございました。(発言する者あり)

 では、もう一度聞きます。他の委員の意見もあり、意を強くして改めて聞いていきます。

 四月になって価格上昇した分はポイント還元いたしますという表示、これはいかがでしょうか。

森国務大臣 失礼いたしました。通告をいただいておりました。

 四月になって価格上昇した分はポイント還元いたしますという御指摘の表現については、消費税といった文言を含んでおりませんので原則として禁止されませんが、もしも、それ以外の全体の表示で消費税分を値引きするという表示であると客観的に明らかになる場合には禁止されます。

三谷委員 それでは、これから二つ三つ、通告のない質問をさせていただくのですけれども、「「消費税」といった文言を含まない表現」、「消費税」というふうにあります。

 では、一つ、増税分は我が社が泣きますセールというような表現だってあるわけですが、それについてはいかがでしょうか。

森国務大臣 御通告がない具体的な文言については、この場で即答することは控えたいと思いますが、いずれにせよ、先ほど答弁をしたとおり、消費税といった文言を含む場合には禁止されますけれども、文言を含まない場合については原則として禁止されません。

 ただし、全ての表示を、全体を客観的に見て、消費税分を値引きするという表示であることが明らかな場合には禁止されます。

三谷委員 今の例は、消費税というような言葉がフルには入っていない、増税というような表現ではいかがかという趣旨でございました。

 そして、この「考え方」を前提にいたしましても、なお、実は、消費税といった文言を含まないものについては原則として禁止されないというような話ですけれども、では、具体的に消費税という文言が入ったら全部だめかというようなことについては全く触れられていないわけですね。

 例えば、消費税が懐を直撃しているけれども、我が社は今までどおり参りますみたいな表示が規制されるかどうかということだって判断できない。そういった、まだまだ中途半端な「考え方」というふうに言わざるを得ません。

 結局、こういった「考え方」、そして法案成立後ガイドラインを示すと何度も答弁をいただいておりますけれども、どういうガイドラインをつくったとしても、それをかいくぐることは可能というふうに言わざるを得ません。こういった努力は、どこまで本当に意味があるのかなというふうに思わざるを得ないところであります。

 そこで、本当に内容が不明確であるということを前提にいたしまして、これは実は表現の自由というものと関係があるということを改めて伺っていきたいと思います。

 先日も、この場で営利的言論の自由との関係を伺ったところ、憲法の問題ではない、社会通念上、消費税というものは平等に取らなきゃいけないんだというような回答が返ってきたんですけれども、実は、これは憲法の問題なんですね。

 商売のために、一生懸命商品を売っていくために価格を据え置くことは禁止されておりません。問題は、価格を据え置いたことをどのように消費者に伝えていくか。これは、まさに営利的言論の自由を制約していくという話になるわけですから、それが実際問題、憲法二十一条、表現の自由との関係上認められるかどうか、これは本当に考えていかなければいけないわけです。

 さて、この憲法の問題を考えると、二つ大きく論点があるように思います。

 まず、今のガイドラインを示すという話にも絡むんですけれども、まず、明確性の点で非常に大きな問題がございます。

 表現の自由が不当に制限されないようにするためには、一般的に、規制の対象となるものとそうでないものが明確に区別され、一般国民の理解において、具体的な場合に、当該表現が規制の対象となるかの判断が可能となる基準というものをその規定から読み取れない場合には文面上無効だ、これがいわゆる明確性の基準というものでございますけれども、この基準からすれば、本件の法案、何が規制の対象になるかわからないという話ですから、これは違憲無効となる可能性は十分にあるんじゃないでしょうか。

 御意見をいただきたいと思います。

森国務大臣 委員は、法学部出身で弁護士でもあるということで、憲法問題を指摘されました。

 事業者が広告等を行う自由、いわゆる営利的言論の自由は、憲法二十一条第一項で保障される表現の自由、あるいは憲法第二十二条第一項の保障する営業の自由として、保護されるものである。ただし、憲法は、これを絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであることは、最高裁の判例でも認められていると承知をしております。

 本法案第八条各号に掲げられた表示は、消費者が消費税を負担していないかのような誤認を生じさせるおそれがあり、適切な表示を前提に商品や役務の選択を行うという消費者の利益に反するものです。

 また、大手の小売事業者が消費税に関連するような形で安売り等の表示をすることにより、周辺の小売事業者が追従を余儀なくされ、消費税の円滑かつ適正な転嫁が困難になるおそれがあります。さらに、大手の小売事業者がそのような表示を行う販売行為を行うために、いわゆる買いたたき等の転嫁拒否行為を誘発するおそれもあります。

 以上のような理由から、消費税の円滑かつ適正な転嫁を図るという第一条に規定いたしました目的を達成するため、本法案第八条各号の表示を規制することは、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限であり、憲法に違反するものではないと考えております。

三谷委員 今大臣がおっしゃったことは、若干、実はミスリーディングでございまして、二十一条あるいは二十二条というような話でございます。憲法二十二条の制限ということであれば、今おっしゃった合理性の基準というのが当てはまるということにはなりますけれども、今私が問題にしておりますのは、営利的言論の自由、これは憲法二十一条の問題として伺っているわけです。

 この営利的言論の自由、これに含まれる、本来的には、表現の自由に関する制限というのは、いわゆるLRAの基準、より制限的でない、制限があり得るかどうかというようなことを判断していかなければいけないところであるけれども、一般的に営利的な広告物とかそういったものに関しては、それはより経済的な自由というところもあるので、そういったLRAの基準よりも緩やかでも構わないということで、厳格な合理性の基準というようなもので判断すると考えるのが憲法上一般的な考え方だというふうに考えておりまして、今大臣がおっしゃったことは多少ずれているのではないかと考えているわけでございます。

 その点、まず御意見をいただきたいと思います。

森国務大臣 三谷委員が、一般的な憲法上の解釈だとおっしゃったんですけれども、私は違う見解を持っております。いろいろな見解があるものなのだと思います。

 例えば、先ほど引用いたしました最高裁判例でございますが、この営利的言論の自由については最高裁判例が一つしかございませんけれども、あんま、はり、きゅうの判例では、直接的に表現の自由、二十一条そのものだというふうな認定がされていないものと解しております。

 また、芦部先生という憲法学者がいらっしゃいますけれども、その芦部先生の本には、やはり、営利的言論の自由というものが、表現の自由の中でも、政治上の思想の表明等のダイレクトな二十一条の表現の自由とは違うという解説を書かれております。

 いずれにしても、私は、そういう意味で、二十一条あるいは二十二条というふうに先ほど申し上げたんですけれども、公共の福祉のために必要かつ合理的なものであると認められる場合には制限をされることもあるというふうに解釈しております。

三谷委員 今のその二十一条、二十二条というところ、憲法上の権利がどのような基準で保護されているかということについて見解の相違があるところでございますけれども、いずれにしろ、これは判例がないところでありますので、実際つくってからどのような方が判断するかわかりません。しかしながら、少なくともこの立法の場では具体的に内容を正確にしていく、最初に私が指摘いたしました明確性の基準、これについてはしっかりと答えていただきたいというふうに思うわけです。

 これは、以前からずっと、ガイドラインで明確にしていくんだというような話もあるわけですけれども、中身がわからなければ、現時点で我々の手にはそのガイドラインというものがないわけですから、明確性の基準をこの法律が満たしているというような前提で議論することは一切できないわけです。

 正直な話、先ほど申し上げたとおり、一般的な小売業者がどのような表示をしていいかわからない、しかも、規制されたくないからこそ、萎縮的な表現をせざるを得ないというような状況にならざるを得ないのではないか、今の段階ではそういうふうに指摘せざるを得ません。その点、森大臣も弁護士でございます。指摘の内容を理解していただけるというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、この判断の方法について伺っていきます。

 実際、規制される広告かどうかというものを判断する、これは誰が何をきっかけに、どの程度の時間をかけて判断するものでしょうか。お答えいただきたいと思います。

森国務大臣 本法案では、消費税の転嫁を阻害する表示に対して、消費者庁だけでなく、公正取引委員会、中小企業庁のほか、事業を所管する省庁においても調査や指導を行う権限を付与することとしており、関係省庁と連携して、政府一丸となって対処していくこととしております。

 また、内閣総理大臣、公正取引委員会、主務大臣及び中小企業庁長官が相互に情報や資料を提供できるとの規定を設け、関係省庁間で情報共有を行うこととしており、これらにより、第八条に違反する表示については、迅速に判断し、対応することにより、違反行為の防止や是正に万全を期してまいりたいと思っております。

三谷委員 今、迅速にという言葉しか、どの程度の時間をかけてというのはお答えいただけなかったんですけれども、正直な話、こういうセールが行われて、今週末はこういうセールをやりますというような表示で終わっていくわけですよね。実際、そういうセールが行われたということを察知して、それが行われる前にとめるということはできないわけですから、事実上、やりたい放題にならざるを得ないのではないかというふうに思うわけです。

 実際、一旦やられて、ああそうですか、済みませんでしたというふうになって、次回から消費税という文言だけぽこっと抜けばいいわけですから、そういう意味で、どこまでこの法律の実効性があるのかということも考えざるを得ません。

 そういったところもぜひとも御理解いただいた上で、この法律の実効性を本当に検討していただきたいというふうに思います。

 時間もないので、次に移らせていただきます。

 買いたたきの問題、一点だけ伺いたいと思います。

 以前の質問の中でも、メーカーと卸と小売、三%増税されたら一%ずつ負担するというのは商取引上やむを得ない、よくあることじゃないかというような参考人の意見があったので、それについて伺ったんですけれども、それに対して、杉本委員長からは、本体価格において交渉するという申し出に対しては断れない、そういう形で売り手の方から交渉していくことも可能となっているというふうに回答をいただいたわけです。

 本体価格を一%値引いてくださいというふうに言われた、あるいは本体価格から、増税分とは言わないまでも、三%安くしてくださいということだけ言われたら、これは取り締まれるんでしょうか。

杉本政府特別補佐人 お答えしたいと思います。

 前回お答えいたしましたように、先生のおっしゃいます例、メーカーと卸と小売で一%ずつ負担するという商取引についてでございますが、具体的な例を勘案しないといけませんので、一般論としてということになろうかと思いますけれども、基本的には、消費税率が引き上げられた場合には、税率引き上げ後の取引価格は、特段の事情がない限り、税率引き上げ前の取引価格に税率引き上げ分を上乗せた額となると考えられると思っております。

 御指摘の例は、税率引き上げ前の取引価格に税率引き上げ分を上乗せた額としない、一部についてそういうことになると思いますので、特段の事情がない限り、問題になると思っております。

 他方、取引当事者間において本体価格について価格を決めるということは、価格交渉、それぞれの価格決定の判断ということだと思っております。

 ただ、本体価格の引き下げだからといいまして、いわば事実上は口実にすぎなくて、実態は消費税の転嫁拒否に該当するものもあり得ると考えております。そこは実態をよく見せていただいて、具体的には、調査したりいろいろな報告徴収をしたりすることになると思いますが、本体価格の引き下げだからといって、しかし、実態は消費税の転嫁の拒否ということになる事例もあるんだと考えております。

三谷委員 最後に、一点だけ質問をさせていただきたいと思います。

 取り締まりを行う際に六百名雇用するという話がありますけれども、この六百名に要する人件費は幾らなのか、そして、この法律を実施するための予算総額については幾らなのか、その点についてお答えいただきたいと思います。

齋藤政府参考人 お答えいたします。

 政府といたしましては、現在御審議中の法案を受けまして、転嫁対策にしっかり取り組むため、関係省庁において必要な体制整備を行うことといたしております。

 具体的には、例えば、転嫁拒否等の行為の取り締まり、監視強化などのために、公正取引委員会、中小企業庁合わせて六百名程度の増員を臨時的に行うものと承知しております。

 また、予算につきましては、平成二十五年度政府予算案におきまして、関係省庁が転嫁対策等にかかわる広報、相談、調査等のために必要な予算を計上しているところであります。

 例えば、主なものを申し上げますと、公正取引委員会におきましては、事業者に対する広報と転嫁拒否等に対する相談体制の整備、調査等の枠組みの整備等のための経費として四・三億円を計上しております。うち、先ほどの増員のための人件費として二・三億円。

 それから、中小企業庁におきましては、例えば、中小企業、小規模事業者が消費税を円滑に転嫁できるよう、消費税の転嫁状況に対する監視、検査体制を強化するための経費として十九・八億円を計上しております。うち、先ほどの増員のための人件費としては九・六億円を計上しているというふうに承知しております。

三谷委員 ぜひとも、その人員そして予算を効率的に使っていただきたいというふうに改めてお願いさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 消費税の転嫁を阻害する表示の禁止について、八条に関連して、お越しいただきました森大臣にまずお尋ねをいたします。

 この審議に当たりまして、ずっと見てみますと、やはり答弁の変遷があります。

 四月の十九日に國重委員がこの問題を取り上げまして、全商品三%値下げはマルかバツか三角かと、まさにフレーズをとった中でマルかバツか三角かと聞いたのに対して、消費者庁の審議官は、マル、バツ、三角と言われれば三角と答弁をしたわけです。

 しかし、四月二十六日に私が、全品三%値引きセールというのは大丈夫なのかだめなのかと聞きました。三%値引きのセールという私の質問に対しては、審議官の答弁というのは、基本的には禁止の対象となりません、マルと答えたんです。

 この答弁の線で今回の「考え方」もまとめられているわけであります。つまり、マルとしていたものが、四月十九日の答弁では三角だったんですよ。つまり、四月十九日の答弁が間違いだったということですよね。

森国務大臣 四月十九日の答弁で、菅久審議官はこのように答弁しております。

 三%還元セール、全商品三%値下げ、価格据え置きセールといった宣伝等では、消費税という文言は用いていないが、このような表示を含む表示全体から見て、事実上、消費税と関連づけて値引き等の宣伝を行っていると判断される場合には禁止されることになる、現時点でマル、バツ、三角と言われれば、三角ということになるが、先ほどのような基本的な考えについて、ガイドラインで今後明らかにしていきたいというふうに述べています。

 三%還元セールという、その表示だけが看板に書いて置いてあったら原則禁止をされませんが、その看板の、三%還元セールと書いたところの下に、吹き出しで、消費税増税でありますのでというふうに書いてあれば、全体の表示を見れば、もちろんそれは禁止されるのでございます。

 それをマル、バツ、三角で答えるということでいえば、原則マルですけれども、全体の表示で見た場合に法の目的に反する場合には禁止ですという、今回のこの統一見解に書いてあるものと同じことをもって三角というふうに述べたものであります。

塩川委員 オーバーな表現でも、答弁の中身が変わっているのは明らかで、國重さんが聞かれているのは具体的にその文言だけなんですよ。三%還元セール、全商品三%値下げ、価格据え置きセール、この文言を取り上げて、その一つの例示として、今私が示したような全商品三%値下げ、これについてどうですかと重ねて聞いて、マル、バツ、三角かと言われれば三角ですという答弁なんですよ。

 だから、余計なことは何もないんです。この文言のみをとって三角と答えているんですよ。実際、今答えたようにマルなのに、十九日の答弁は三角と言っているんですよ。間違っていますよね。

森国務大臣 表示の規制を執行するときに、その文言だけを見て判断するということはできません。常に、執行するときにはその全体の表示を見て禁止するんです。

 例えば、大きな広告チラシがあって、一番上に三%還元セールと書いてあったとしても、下の方に小さな字でほかのことが書いてあるかもしれません。消費者庁としては、常に、こういった表示の執行をする場合には全体を見て執行しております。そのことをきちんと正確に述べたということなんです。

塩川委員 違います。

 大体、宣伝そのものも、一九九八年、五%引き上げ時に、イトーヨーカドーが、消費税分五%還元セール、これを大きく表示で出しているわけですよ。それだけですよ。消費税分五%還元セールと。

 ですから、そういうような例示が具体的にあるわけで、ここに該当するような中身というのは、まさにそこだけ切り取った表示というのはあり得るわけですよ。そういう例として國重さんが聞いて、三角と言っていたわけですから。

 私の答弁にも、私もその表現だけ切り取って聞いたのに対して、マルだ、禁止されないと言っているわけですから、この点については明確に答弁の中身が変わっている、十九日の答弁が間違っている、修正が行われた、こういうことは明らかだと言わざるを得ません。

 そういう点でも、国会審議の場で間違った説明を行って国会審議や国民や事業者に対して混乱をもたらしたことは極めて重大だということを強く指摘しておかなければいけません。

 その上で、そもそも、当時、景品表示法を所管していた公正取引委員会は、それぞれ、消費税の導入に当たって、あるいは五%引き上げに当たって、手引、考え方を出しております。

 昭和六十三年十二月三十日で、公正取引委員会が「「消費税の転嫁と独占禁止法」についての手引き」というのを出している。これは消費者庁からいただきました。それから、平成八年十二月二十五日、五%引き上げの前の年の年末、公正取引委員会は「消費税率の引上げ及び地方消費税の導入に伴う転嫁・表示に関する独占禁止法及び関係法令の考え方」を出している。

 要するに、これは景表法の執行に当たって考え方をまさに整理したガイドラインであり、これそのものは今も生きているということですよね。

森国務大臣 先ほどの塩川委員の御指摘に誤りがありましたので、誤解しないように訂正しておきます。明らかにバツであるときには切り出したもので判断をしますが、マルかどうかということは全体の表示を見て判断するということ、消費者に誤解のないように今答弁をしておきたいと思います。

 御指摘の一九八八年のガイドラインについては、御通告がございませんでしたけれども……(塩川委員「そんなことはないですよ、やりとりしているじゃないですか、過去のガイドラインについて聞く」と呼ぶ)そうですか。

 今御答弁いたしますけれども、生きております。

塩川委員 ですから、当時、導入時や五%引き上げ時にもガイドラインが出されており、それが現在も生きているわけです。

 資料を配付いたしました。これがその部分の引用ですけれども、例えば、消費税導入前に出された手引、ガイドラインですね。

 「第三 消費税の導入に伴う表示に関する景品表示法の考え方」とあります。その後四行ほど読みますが、「消費税の導入に伴い、消費税の円滑かつ適正な転嫁が行われるためには、その転嫁等に関する表示が適正に行われる必要があります。景品表示法は、虚偽・誇大な表示など一般消費者を誤認させ、不当に顧客を誘引する表示を規制しています。このため、同法の規定にてらして問題となるおそれのある表示を例示し、消費税の導入に伴う表示の適正化を図ることとします。」。

 こういう趣旨は、五%引き上げ時のガイドラインにも書かれていることであります。

 こう見ていきますと、そういった点で、景品表示法上問題となるおそれのある表示について例示があります。(例)と真ん中あたりにありますけれども、1にあるように「消費税は転嫁していません。」とか、3には「消費税はおまけしています。」その下の行に「当店は消費税額分を値引きします。」こういうふうにも書かれているわけです。

 ですから、消費税の導入のときも、それから五%に引き上げたときも、事前にガイドラインをつくって、消費税に関して消費者の誤解を招くおそれのある表示は規制の対象としてきているんですよ。そのガイドラインが今も生きているんでしょう。それなのに、今回、屋上屋を架すようなことを行う必要がどこにあるのか。

森国務大臣 塩川委員にお答えをいたします。

 この景品表示法というのは、実際のものよりも著しく優良、有利と一般消費者に誤認される表示を不当表示として禁止するものであります。例えば、千円のものを五百円としますと書いてあるけれども、そもそも、もともと五百円だった。五百円のものが五百円なのに、千円のものを五百円としますというように、実際のものよりも有利であるというふうに誤認される表示を不当表示として禁止するものでございます。

 そのため、例えば、消費税分八%値引きしますと書いてあったとしますと、これが景品表示法に当たる場合は、実際に八%分の値引きをしていないのに、消費税分八%値引きしますというふうに書いてあった場合には、これは著しく有利であると一般消費者に誤認を与えるものというふうになりますけれども、今回の本法案の趣旨とは違ってくるということでございます。

塩川委員 いや、その説明自身もわかりません。だって、ガイドラインを過去つくったんでしょう。そのガイドラインをつくったというのは、景品表示法に反するおそれがあるような表示についてはこれを規制しましょうということでの例示なんでしょう。そういうことを現にやってきているわけじゃないですか。

 実際にそういう執行も行ってきているわけですよね。具体的に、八八年のこのガイドライン、あるいはその九六年末のガイドラインに沿って、当時公正取引委員会においては改善指導などを行ってきているわけですよね。

森国務大臣 公取についての質問でございましょうか。(塩川委員「景品表示法の執行についての質問です」と呼ぶ)

 公取が執行したかどうかについては、公取から今答弁をさせます。

塩川委員 景品表示法は消費者庁の所管なんですよ。当時公取がやっていたような仕事は全部消費者庁が引き継いでいるんです。だから、そういうことについて、執行状況はどうかと問われて答えるのは、森大臣の責務なんですよ。

 実際にこういう改善指導を行った例があると思いますけれども、そういうことについてはいかがですか。

森国務大臣 通告がございませんけれども、当時執行をしております。

塩川委員 改善指導した具体的な事例について承知していますか。

森国務大臣 具体的に改善指導した例については把握しておりません。

塩川委員 把握をしていないというのは余りにも無責任じゃないですか。過去の導入時、引き上げ時にガイドラインを出したんですよ。そのガイドラインの執行状況をいわば総括した上で、本来、今回のような法改正をするというのが大前提じゃないですか。過去の経緯についてもまともに調べていないんですか。そんなことも知らずに今回法案を出しているということですか。

森国務大臣 景品表示法に係る事件記録の保存期間を既に満了しているため、記録がございませんでした。

塩川委員 それは、極めて無責任な答弁だと思いますよ。

 今回、過去にガイドラインでやったものについて、いわばバージョンアップして、新たな法律も設けガイドラインをつくろうというわけでしょう。過去はどんなことをやってきたのか、その執行がどうだったのか、実際に機能したのかどうなのかということについて、いや、資料がないからわかりません、こんなことで話が通るんですか。

 大体、新聞について、報道されているというのも、これはとればわかる話なんですよ。

 例えば、一九八九年四月四日、つまり、四月一日から消費税が導入されたときですけれども、日本経済新聞の記事を見ても、「公正取引委員会は三日、消費税に関して消費者の誤解を招く恐れのある表示をしていたスーパーや小売店約二十店に対して改善指導したことを明らかにした。」ということで、実際に改善指導した表示として、「消費税は当店で負担します」とか、あるいは「当店は消費税相当分を値引きします」、「消費税相当分はいただきません」、こういう表示についてやめるよう指導したと。

 担当大臣はこういうことも知らないんですか。

森国務大臣 御指摘の新聞記事については承知しておりますけれども、役所にこの記事に掲載された改善指導があったという記録がございません。

 先ほどから答弁をしておりますとおり、景品表示法による表示は、他のものよりも有利であると誤認されるような表示でございますので、本法案の目的と異なる部分でございますので、そこは新たに今回はこの法案に則する目的での表示を禁止したということです。

塩川委員 資料でもお配りしているように、具体の例示を見てもらえば、今議論しているような話じゃないですか。ガイドラインとして同じような話をやっているんですよ。現に、当店は消費税額分を値引きしますとか、こういう表示についてはやめるよう指導を、当時、景表法を所管している公正取引委員会が行っているんですよ。こういう過去の経緯について調べもしないで、今回、この法律をつくる、ガイドラインをつくる、こういう作業を行っているということになりますよね。

 過去の経緯について知らないまま、今回の法案を準備したということですか。

森国務大臣 過去の経緯については調べましたけれども、役所にはその記録が残っておりませんということを先ほど答弁いたしました。

 この法案について、これからガイドラインをつくってまいります。さまざまな委員の先生から質問をされたような曖昧な表示についてどうなるのかということを一つ一つ判断していく上では、景品表示法の、ほかのものよりも有利になる、つまり、本当は五百円なのに、千円のものを五百円と言ったというような表示であるかどうかということと、それから消費税の導入に当たる、今回の法案の趣旨とでは違ってくる場合もありますから、それは表示から見たら重なる部分もあるでしょう、だけれども、やはりその細かい部分についてきちっとしたガイドラインをつくっていくという委員の先生方の御要望に応えるためには、私は、この法案で表示を禁止したということの意味があると思っております。

塩川委員 質問に答えていない答弁であります。

 私は、だから、今回法案をつくる際に、過去のガイドラインの執行状況について、評価、総括をしたのかどうかと聞いたんですよ。知っているかどうかの話じゃないんですよ。そもそもこういうガイドラインを過去につくったことが、うまく機能したかどうかについて調べもしないで法案を出したのかということを聞いているわけですから。

 その点について、そもそもこういう指導した状況についても知らなかったということですから、やっていないわけですよね。そういう意味でも、過去の経緯も調べないで出してきたというやり方そのものが極めておかしい。三月ぐらいに与党から言われてこういうものに仕上げるような、こういうやり方が結果としてこの混乱をつくっているということは極めて重大だと言わざるを得ません。

 そもそも、事業者が消費税に関連したセールを行おうとするのはなぜか。消費税の五%引き上げ後の一九九八年秋に消費税分の五%還元セールを行ったのは、イトーヨーカドーであります。セブン&アイ・ホールディングスの鈴木会長は、会社のホームページでこのように述べています。

 「以前、消費税が三%から五%に上がった時に、私はイトーヨーカドーで「消費税分五%還元セール」を提案しました。その際、社内の多くの人間は反対しました。理由を聞くと、「一〇%引きや二〇%引きのセールでもなかなか売れないのに、たった五%では効果が見込めない」と。そこで北海道に限定して実施したところ、前年比で四〇%から六〇%くらい伸びました。それで翌週に全国に拡大したら、ニュースなどでも大きく取り上げられ、一大ブームのようになり、他の小売業でも同様のセールが行われ、半年くらいブームが続きました。」と述べています。

 このことというのは、つまり、消費税増税がいかに消費を冷え込ませるのかということを意味しているんですよ。一〇%や二〇%の値引きよりも、消費税五%を還元しますという方が消費者が大きく購入意欲が湧くような状況というのは、まさに消費税増税そのものが消費を冷え込ませる、今の景気をさらに後退させることになりかねない、このことを言わざるを得ない。

富田委員長 塩川委員、申し合わせの時間が大分経過しております。御協力をお願いします。

塩川委員 私は、こういった消費税増税そのものをやめるべき、応能負担の原則に立った税制改革こそ行うべきで、下請いじめ構造を放置したまま消費税還元セールなどの宣伝、広告を取り締まるのは筋違いだということを申し上げ、茂木大臣においでいただきましたが、トヨタの質問については、また次の機会にしたいと思います。

 以上で終わります。

    ―――――――――――――

富田委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま審査中の本案に対し、内閣委員会、財務金融委員会及び消費者問題に関する特別委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明または意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会は、来る十六日木曜日午前八時五十分から開会いたしますので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四分散会


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