衆議院

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第17号 平成25年6月4日(火曜日)

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平成二十五年六月四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 石原 宏高君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 淳司君 理事 宮下 一郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 近藤 洋介君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      石崎  徹君    越智 隆雄君

      大見  正君    勝俣 孝明君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      白須賀貴樹君    平  将明君

      武村 展英君    辻  清人君

      冨樫 博之君    中山 展宏君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      船橋 利実君    細田 健一君

      宮崎 謙介君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      吉川 貴盛君    枝野 幸男君

      大島  敦君    岸本 周平君

      木下 智彦君    重徳 和彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      井坂 信彦君    三谷 英弘君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   参考人

   (東京大学社会科学研究所教授)          松村 敏弘君

   参考人

   (東京工業大学特命教授) 柏木 孝夫君

   参考人

   (慶應義塾大学経済学部教授)           金子  勝君

   参考人

   (公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任顧問)   辰巳 菊子君

   参考人

   (電気事業連合会会長)  八木  誠君

   参考人

   (全国電力関連産業労働組合総連合会長)      種岡 成一君

   参考人

   (株式会社エネット代表取締役社長)        池辺 裕昭君

   参考人

   (日本商工会議所中小企業政策専門委員)      清水 宏和君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月四日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     白須賀貴樹君

  辻  清人君     船橋 利実君

同日

 辞任         補欠選任

  白須賀貴樹君     佐々木 紀君

  船橋 利実君     中山 展宏君

同日

 辞任         補欠選任

  中山 展宏君     辻  清人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 電気事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、午前の参考人として、東京大学社会科学研究所教授松村敏弘君、東京工業大学特命教授柏木孝夫君、慶應義塾大学経済学部教授金子勝君、公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任顧問辰巳菊子君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず松村参考人にお願いいたします。

松村参考人 東京大学社会科学研究所の松村と申します。

 本日は、電力システム改革に関して私が考えていることを述べさせていただきます。このような機会をいただき、とても感謝しております。

 最初に、資料のスライド二のところをごらんください。私が言いたいことは、この一スライドに全て集約的に書いております。

 基本的に、電力システム改革というのは、日本じゅうの企業、日本じゅうの消費者の知恵を集めて、効率的で、低廉で、環境にも優しいエネルギーシステム、電力システムというのをつくるための基盤をつくるというものだと考えております。

 自由化というのが一つの大きな柱になっていますが、自由化するだけでは競争的な市場は生まれません。競争的な市場にするためには競争基盤の整備が必要です。競争基盤の整備のためには卸市場の改革とネットワークの中立化というのが不可欠だと思います。

 低廉で安定的な、環境にも優しい電力供給の実現のためにも、詳細制度設計というのは極めて重要です。この詳細制度設計さえ誤らなければ、電力システム改革は、価格の低下だけではなく、安定供給にも資するような、そういうものになると信じております。

 それから、今、競争基盤を整備して競争を起こすんだということを言いましたが、しかし、これが必ずうまくいくとは限らないので、その備えとして、一定の規制を残すということも必要だと考えております。

 ページをおめくりください。

 電力システム改革では、大きく分けて、家庭用の全面自由化、卸市場の活性化、ネットワークの中立化、それから広域機関の整備というものがあります。広域機関の整備というのが一番最初に行われる大きなステップではありますが、これだけではシステム改革の名に値しない、(1)から(3)までのところできちんとやらなければいけないと思います。

 自由化には大きな意義というのがあると思いまして、次の四ページのところで列挙しております。

 次をおめくりください。

 五ページ目のところなんですが、私が本来理想的だと考えるエネルギー市場というのは、個々の事業者が自分の顧客に対して最もよいものを供給する、消費者も自分にとって最もよい選択をするという部分最適の結果として、それが全体最適につながるような制度をつくるというのが本来の政府の役割だと思っています。

 政府の役割としては、電力市場には、環境価値だとかエネルギーセキュリティーだとか供給の安定性、あるいは資源外交上の戦略的な価値だとかというさまざまな価値というのがありますから、これらのさまざまな価値というのを、税だとか、補助金だとか、あるいはフィード・イン・タリフだとか、RPSだとかというさまざまな政策でその価値体系というのを明らかにした上で、その上で、公正な競争のもとで、消費者に支持される事業者というのが生き残ることによって、結果的に日本全体のエネルギーのベストミックスが実現する、こういう社会を築くというのが本来の究極的な目的なのではないかと考えております。

 おめくりください。

 消費者が支持をするというときに、特定の事業者から買うということは立派な支持表明なのではないかと考えております。

 例えば、再生可能エネルギーというのは非常にすばらしいということを仮に言ったとしても、それに伴うコスト増というのをちゃんと負担する覚悟があってそういう支持を言っているのか、単に言っているだけなのかということは、言葉だけではわからないのですが、実際の選択行動ということをすれば見せることができます。

 かつて、フィード・イン・タリフを最初に家庭用で、太陽光のところで導入したときに、ドイツに比べて極めておくれているものに追いつく非常にいい政策だということで全面的に支持していた人が、では、そのコストというのはどうやって回収しましょうか、サーチャージという格好で電力料金に広く薄くかけて回収しますと言った途端に、えっ、電気代が上がるんですか、一円でも上がるんだったら私は反対ですと急に言い出す、これは余りにも責任感がなさ過ぎるのではないかと私は思っています。

 私は、やはりコスト増というのもちゃんと引き受けた上でなお支持するという意思表明というのは、再生可能を主力とした電気事業者から私は高くても買いますというのは、それはもう立派な支持表明だと思っています。こういう機会を消費者に与えてほしいというのがシステム改革の大きな部分だと思います。

 事業者の方も、この電源というのは将来すぐコストが下がるんだということを盛んに言うわけですが、もしそうだったら、それを主力とした事業を立ち上げて参入して、本当にコストが低い、あるいは国民に支持されるということをみずから証明すればいいじゃないか、こういう機会を与えてほしいということを思っています。

 しかし、現状はこのようなことになっておりません。

 現状は、家庭用は自由化されていませんから、消費者はそもそもその意思というのを示すことはできないし、事業者も消費者に支持されるということを示すこともできないという状況になっています。

 また、自由化されている大口市場も、シェアは、十数年の自由化の期間というのを経ているにもかかわらず、まだ四%にも満たないという、ほぼ独占の市場というのがいまだに続いております。

 それから、公正で透明な競争環境というのが保証されていないので、自分のビジネスモデルというのがすぐれていると確信していたとしても、それでも、公正な環境でないという結果として、入れない。

 だから、なぜそれが普及しないのかというと、それがすぐれていないからだというのではなく、機会が与えられないからだ、こういう可能性があるわけですね。このようなことを払拭する状況というのを何としてでもつくりたい。それがシステム改革というものの基本的な発想だと考えております。

 おめくりください。

 スライド十一ですが、自由化をするのは必要条件ではありますが、しかし、自由化はするんだけれども、結局今の状況とほとんど変わらなくて、ほとんど独占という状況が家庭用でも再現されてしまうということになると、消費者は実質的な選択肢が与えられなくて、事業者に値上げする自由だけが与えられるという悲惨な状況になりかねません。

 このような悲惨な状況になりかねないということを十分に認識した上で、何をしなければいけないかというと、競争をちゃんと起こして、そのようなことが起きないようにする、これが一番重要なことだと思います。

 しかし、競争を起こすために、私たちは最大限の努力をするように制度設計を考えるべきですが、それでも起こらなかったときの備えのために、競争メカニズムがちゃんと働くということを確認するまで、一定の規制を残すということは非常に重要だと思っています。

 ちゃんと制度を改革するんだから競争は起きるはずだ、これは正しいし、そういうのを目指すべきだと思うんですが、ちゃんとやるんだから規制なき独占は起きないはずだ、だから、規制なき独占が起こったとしても、それは想定外だという類いのことは言ってはならないというのが震災の教訓だと私は思っていまして、最大限の努力をしてそれを回避するけれども、その回避するターゲットが絶対に起きないと決めつけないで、万が一起きたとしても、大きな被害にならないような備えをするというのがやるべきことだと思っており、そのために規制という備えが必要です。

 ただ、私は、これは無用の長物となって、実際には競争メカニズムが働くので、規制はやはり不要でしたということになるのが理想だと思いますが、そのための備えというのが今回のシステム改革でも考えられているということだと思います。

 おめくりください。

 十三ページのところ。現状は中立的かというと、現在の垂直一貫型のところでは、戦前からずっと営々と築いてきた、大規模な電源を遠隔地に建てて、これを大送電線で運んできて商売する、このビジネスモデルというのに反するようなビジネスモデルで入ってくる人たちというのを差別的に排除する手段も誘因も持っている、こういう仕組みだと思います。その例というのは下に列挙してあります。

 参入障壁として、次の十四のところでこういう懸念があるということを言っているのですが、このような懸念は、実際にやられているかどうかよりも、そのようなことはやろうと思えばできるということがあると新規参入者は入ってこられないということなので、やろうと思ってもできないという状況をつくらなければいけない。

 おめくりください。

 それをつくるのが、法的分離による送電部門の中立化という案が今回打ち出されているのだと思います。法的分離をしても、送電部門は所有権分離をされるわけではないので、まだ差別的な扱いをする誘因は残ります。

 しかし、法人格を分けるので、送電部門とほかの部門の取引というのは、全て契約関係になります。今と同じような、ある種、一括型、包括型の契約というのを結ぶことはできますが、いずれにせよ、契約という形で取引が定式化されるので、外部から監督して、検査というか、ある種の監視だとか検証だとかというのは可能になります。実効ある行為規制が可能となるためのほぼ唯一のやり方というのが法的分離だというふうに考えております。

 しかし、法的分離をするというのに対して、今回の工程では五年から七年かかる。ちょっとのんびりし過ぎているんじゃないかと思われる方はいらっしゃるかもしれませんが、これは、単に分離するだけではなくて、もっといろいろな詳細制度をつくり込まなければ機能しないということを前提として、このような仕組みをつくり込むためには一定の期間がかかるのですということでこうなっているというふうに理解しております。

 次に、安定供給ですが、このシステム改革では、諸外国に比べても、安定供給ということを十分に意識したものになっていると思います。

 おめくりください。

 十七、十八のところなんですが、現行の垂直一貫が安定供給のためには最適で、したがってシステム改革すると安定供給が不安だということを盛んに宣伝する人たちというのがいるんですが、私はそれは正しくないと思っています。現行の垂直一貫型は、世界に誇るべき安定供給という意味で、非常にすぐれた面というのはいっぱいありますが、一方で、極めて脆弱な面というのもあります。この脆弱な面というのを解決し、今までの日本の宝である部分というのを継承していくというのを目指すのがシステム改革だと思っています。現行の問題点だと思うところを列挙しております。

 おめくりください。

 逆に、現行で極めてすぐれていると思われているところというのを十九のところで列挙しております。こういうものを破壊しないようなシステム改革というのを、今後の詳細設計できちんとやっていくということになるのだと思います。

 電力システム改革によって、逆に安定性が高まるというのを列挙しております。(1)あるいは(4)に関するようなことは柏木先生が御専門ですので、この後、お話しになるのではないかと思っております。

 価格メカニズムをフルに使うということになるので、電源投資が不足するというような事態は基本的には起きないのではないかというようなことは諸外国でも考えられております。どういうことなのかというと、電源が不足するということになれば、価格が高くなる、価格が高くなれば、当然、それを目指して参入してくるということがあるので、これはむしろ安定性を高めると思っていますが、しかし、この価格メカニズムが本当にちゃんと働くのか。働かなくて、電源投資が足りなくて、大停電が起こるなんということになったら大変なので、したがって、仮に価格メカニズムが働かなくても、働くと信じていますが、そのような不測の事態というのを防ぐための対策というのは、このシステム改革では期間に応じていろいろ考えられております。

 これは、私は同僚からはむしろ批判されている、そんなことをしたらコスト高になっちゃうじゃないかと。でも、電気代が仮に一キロワットアワー当たり一銭上がるということがあったとしても、大停電だとか、あるいは今回のような無理な節電を強いられるだとか、そういうようなことがなくなることの方がはるかに価値が大きいじゃないかということを私は信じておりまして、このような対策をとることを支持しており、現在のシステム改革の案でも、このような万全な供給安定化対策というのがとられているということになっております。

 したがって、このようなシステム改革というのは、価格の下げというだけでなく、安定性にも資する、非常にすぐれた改革案だというふうに私は考えております。

 以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、柏木参考人にお願いいたします。

柏木参考人 柏木でございます。資料は、この日経ビジネスに連載している資料を出していただいています。決して手抜きをしているわけではありません。最も適切だと思ったものですから、後で御精読いただければと。

 まず一つ目のメッセージですけれども、インフラを伴う、例えば電力のシステム改革のようなものは、平時にやろうと思ってもなかなかできない。ですから、こういう有事にきちっと進めていくということが極めて重要であるというふうに思っております。

 今までの電力を考えますと、部分的ではありますけれども地域独占、それから総括原価、かかった額を積算してマージンを乗せて、キロワットアワーでとっていく。ですから、安全といえば安全。やはり何千億という投資をする場合には、こういう総括原価という方式を使わないとなかなか銀行も貸しづらいということがありましたので、工業化を進めていく過程においては極めて効果を発揮したわけですよ。

 ところが、ある程度工業化がマチュアになってきて、そうしますと、例えば中国なんかは今行け行けどんどんでいくのは構わない。それは、工場というのは電力の利用がフラットですから、大きなものをどんどんつくって安定供給していくということは間違いなくいい方向であるんですけれども、それをやっていきますと、結局、国民生活が楽になりますよね。国民生活が楽になると、今度は家庭部門でエアコンを入れる、あるいは快適な環境を味わう、そうするとピークが出る。そのピークに合わせて電源立地をしてくるということは、結果としてはオーバースペックのエネルギーシステムになってくる。

 ですから、現状において、大規模集中型の電源がほぼ九六%ぐらい占めているんじゃないでしょうか。四%が分散型。それも、一%が再生可能エネルギーで、三%が熱電併給システムと言われている。熱需要のあるところにエンジンを置くとか、六本木ヒルズのコージェネレーションのようなものはたった三%しかない。

 ですから、そういう意味では、原子力が一時的に今とまったとしても、どうにか需給はぎりぎりで、土台がなくなったとしても、ミドルがベースになり、ピーク電源であったものがミドルになって、需要をコントロールすればどうにか足りているという状況がある。すなわちオーバースペックなわけですよ。オーバースペックということは、稼働率五六%ですから、ある意味では、それをこれからどうやってダウンサイジングしていくかというところに日本の成長戦略があるんだと私は思っています。

 ですから、私は個人的に、科学者ですから、きちっとした計算のもとに、これからの日本のエネルギーのグランドデザインはどうあるべきか。大規模集中型の電源を決して否定するものではありません。大規模集中型の電源が工業国家としてはきちっと稼働して、稼働率がなるべく八十数%までいくような形に持ってきた上で、三割程度の電源をオンサイトに持ってくる。

 すなわち、需要サイドに、コージェネレーションだとか、例えばメガソーラー、ソーラー、それから風力、バイオマス、こういうものはオンサイトの電源として持っておって、トータル三割を分散型電源に、二〇三〇年のなるべく早い時期に実現させるべきだという強い考えを持っております。

 そうなりますと、これは例えば上位系の七割のうち原子力、私は一つ重要な電源だと思っておりまして、二〇%ぐらい、二〇三〇年に向けて走ってくる。それから、あとの五〇%のうち十数%、二%ぐらいなんでしょうか、大型水力、地熱、中小水力、こういう稼働率の高い再生可能エネルギーが上位系の大規模の中に属する。あとの残りが石炭、それから天然ガス、こういうことになってきて、それでオンサイトの方に分散。

 そうしますと、どうしても大規模集中型の電源が、この法律を今度改正することによってどういうメリットが生まれるかというと、広域性という、これは横綱同士で大きな電源は相撲をとってもらわないと、大きな電源と小さな電源が戦ったって勝てるわけがありませんから。ですから、プロ対プロの世界というか、横綱同士の大型電源をメリットオーダーでオール・ジャパンクラスで入れていく。

 ですから、地域独占になっていますと、どうしてもピークに合わせて自分の持っている電源をどんどん入れていきますから、そうすると、自分が持っているときに、一番ピークで、メリットオーダーで比較的効率の悪い電源でも動かさざるを得ない。ところが、隣の電力会社にはまだメリットオーダーで安い電源が残っている。ピークになっていないというときには融通してくる。

 すなわち、第一番目の問題というのは、五十、六十ヘルツの壁はもちろんありますけれども、百十万キロワットしか今融通できませんから、こういうのを、広域的なものでやはりそれを強くして、オール・ジャパンクラスで送配電システムを強固にするということを踏まえながら、オール・ジャパンクラスでメリットオーダーでいかに安い電源から使えるようにするかというのは、上位系の七割の中で戦いが生じる。

 これが一番目の広域性、この機関をまず二年後ぐらいにつくりましょうと言っているわけですから、これはやはりその間に、市場がきちっと、電力のポジワット市場、ネガワット市場、こういうものが機能してこないと、なかなかそう簡単にいかないものですから、そういう意味では、二年間の間にいろいろな市場整備をしながら、広域的なものをちゃんと担保できるような、メリットオーダーでの運用体制に入る。きちっとした規制機構をつくっていくというのが一番目の問題点。

 それから、二番目のキーワードが公平性。

 これは、分散型が三割入ってきますと、私は、三割のうち一五%が熱電併給システムだと言っているんですよ。だから、熱需要のあるところに電源を置けと。

 ところが、今までのシステムですと、排熱を全部きれいに使って余剰電力が出てきても、余剰電力がなかなか適切な価格でやりとりできない。電力会社としては迷惑電源になりますから、そんなに高くは買わないぞと。ついこの間の委員会で明らかになったことは、三円から五円だと。原価は十円くらいしますから、これを三円から五円、誰も出さない。よって、熱電併給システムは小ぶりなものしか入ってこなかった。それが日本の高効率化を妨げる一つの原因でもあると私は思っているわけですよ。

 そう考えると、分散型電源、特に、排熱をうまく使うコージェネレーションが一五%。内訳を言えば、三%が燃料電池、家庭用に入ってきます。それから、六%ぐらいが工場部門の排熱。低温の工場部門の排熱に今度は電源立地をしてくる、これは電力会社がやるかもしれません。出てくる熱を使った後の電力は系統に入れておく、あるいは市場で売り買いする、こういうことが六%。

 既に老朽火力の、老朽火力というのは一九七九年以降建っていませんからね、IEAの通達で。石油火力はもったいないからそういうものに使うなという通達が出て、七九年、もう三十数年たっているわけです。ですから、それをピーク対応で残している。これを、CHP、コンバインド・ヒート・アンド・パワー、コジェネにかえていく。

 こういうことをやりながら、今、三%、六%、あとの六%は病院とかオフィスビルとか、こういうところに入ってくるということになりますと、これはやはり、余剰がうまくやりとりできるような適切な価格での公平性、分散型の電力の公平性。三〇のうち、あとの残りの一五%というのは再生可能エネルギーですから、今はフィード・イン・タリフがあるけれども、そのうちフィード・イン・タリフも、国民負担で成り立っていますから、目的税のようなものですから、そういう意味では、そんなに長く続くものではないというふうに考えますと、再生可能エネルギーと分散型のコージェネレーションとがディマンドサイドでデジタル革命を起こす。

 ですから、要するに、エネルギーシステムとインターネットが一体化して、きめ細かな制御を行うことによって、なるべく上位系にピークを出さないような、ディマンドサイドをやる。そのためには、余剰電力が公平に扱われない限り、こういう事例はなくなる。よって、二番目のキーポイントが公平性だ。

 その公平性が担保できれば、この自由化論というのは極めて大きなビジネスモデルの多様化を促すことができる。例えば、今でも五十キロワット以上は自由化しているわけですよ。自由化しているけれども、大物が多いですから、新規参入者はなかなか入れない状況になっているというのが現状だ、これはデータが示すところだと思っています。

 そうなりますと、そのときに、例えば、インターネットの会社が、系列の新電力とセットでマンションの共同受電をしながら、今の五十キロワット、自由化の中に入るわけですから、共同受電をして、インターネットの競争力をつけていく。要するに、新電力で、うちの電力を入れれば一五%安くしますということになると、インターネットと新電力のチェーンビジネスで、新しい民間の力でビジネスモデルが生まれてくる。これが新規参入、全面自由化ということになります。これは三年後に一応予定しているということもこの法律では書いてあるということは、今度は家庭部門まで、ハウジングメーカー、インターネット、それから燃料電池、ガス、水、いろいろなものが、総合エネルギーサービスあるいは総合ライフサポートビジネスのようなものも、自由化とともに、家庭部門でも、余った電力が適切な価格でやりとりできるということになりますと、非常に多くのビジネスモデルが生まれてくる。

 ですから、これは、公平性、要するに分散型の余剰電力が適切な価格でやりとりできるような市場ができて、こういうルールができ得れば、必ずや、こういう新しいビジネスモデルが出てくる、この自由化。

 最終的に、そのときには、自由化といってもデジタル化しなきゃ自由化できませんから、デジタル化するということは、スマートメーターが入り、全部〇一パルスで、外からのトリガーもかかり、要するに、需要サイドの中で、需要地の中で需給のコントロールが行われる、俗に言うディマンドレスポンス。ですから、ピークになっているときは値段が高い。そうするとピークは落ちる。そうすると稼働率が上がってくる。いい循環を示すようになれば、ダウンサイジングのエネルギーシステムができるようになってくる。こういう公平性を担保する。

 それをより担保するために、市場ができて、ポジワット市場、ネガワット市場ができて、その後に来るのは何かというと、今度は、五年後ぐらいを目安にして、ネットワークの中立性。

 キーワードは、広域性と公平性とネットワークの中立性。この三つをうまくシリーズで適切な時期に持ってくるということが、これからのエネルギーシステム、特に電力システムの改革には必要不可欠じゃないか、私はこう思っているわけです。

 こういうことを考えると、今のを総称しますと、例えば電力は、もちろん、これから上昇する可能性は十分、シェールガスの影響が出てくると多少下がる可能性も秘めていますけれども、シェールガスも、アメリカ、カナダの場合は自分の国内のエネルギーですから、これは輸出量を抑えれば、総価格は安定化してきて、そう簡単に下がる保証はありません。

 よって、価格は上昇するけれども、こういうシステム改革を入れることによって、広域性、公平性それから中立性、この三つのキーワードをうまく機能させれば電力価格の上昇を抑制することができるということが一つ目の大きなポイント。

 それから二つ目が、この自由化あるいはネットワークの公平性を担保することによって新しいビジネスモデルが、電力という極めて良質な商品をベースにしながら、ほかを主業とする、例えばインターネットであるとか、ほかの事業者が、電力をチェーンビジネスのもう一つの柱とすることによって新たなチェーンビジネスモデルが生まれてくる。

 これは、エネルギーのデータをきちっと管理するということは、生活そのものをサポートするビジネスまで出てくる。安心、安全の暮らしを担保できるようになる。非常に多くの示唆を秘めているんじゃないか、こういうふうに思うわけでありまして、あくまでも、この法律自体は、これからのそういう成長戦略のかなめとして捉えていく必要がある。

 ただし、最終的な送配電システムの発送電分離、これは、ディマンドサイドがきちっとデジタル化をして、リアルタイムでやりとりができるような形で、きめ細かな対応ができるようになる、このスピードと合わせて、やはり発送電分離というネットワークの中立性を担保していくべきだ。これはどっちが先に行ってもなかなか機能しません。

 一応、委員会の中で我々が考えてきたのが、法的分離がわかりやすいんだということですけれども、いろいろな分離の方向はあると思っております。ただ、中立性を担保することは、ある意味では、これからの重要な電力システム改革の一つの大きな手段になるだろう、こういうふうに思うわけであります。

 以上です。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、金子参考人にお願いいたします。

金子参考人 慶応大学の金子でございます。

 今、お二方の参考人から理念的なことを含めて御意見が述べられましたので、私は、基本的に、法律案とそれを取り巻く環境について、もう少し具体的な問題について意見を述べたいと思っております。

 まず、発送電分離、再生エネルギーあるいは分散型エネルギーについては、長年私は主張してまいりましたので、基本的に、発送電分離を進めるという意味で、この電気事業法の一部を改正する法律案の方向性については賛成でございます。

 しかし、きょう申し上げたいのは二点ほどあります。

 一つは、この法律案にはなお不十分点があるのではないかという点が第一点です。

 第二点は、微妙な表現ですけれども、経営が非常に、事実上破綻状態に近いような日本原子力発電あるいは東京電力の問題、あるいは、安全性を軽視してきて、事実上動かせない原発が不良債権化しておりますので、電力会社の経営が著しく悪化しております。この問題を解決することなしには、この法律案の目指す発送電分離の改革を実現することは不可能であるという意見であります。

 まず、第一点の方から申し上げますが、広域的運営推進機関に関しては、現行の電力系統利用協議会及び日本卸電力取引所の問題点を十分に踏まえた上でできたものかどうかという点については、やや疑問を持っております。

 先ほど松村先生も実は触れておられましたけれども、企業向け電力の自由化とともに設けられたこれらの機関は、一部PPSが入っていますが、おおむね電力会社の出向者で占められているので、これまで系統接続に消極的であったり、あるいは接続料を高く設定したりして、PPSから一部抜けたりする事業者もいて、なかなか進んでこなかったわけです。うがった見方をすれば、電力会社が地域独占を守るためにそういうことをしていたのではないかという疑いを消せないわけですね。今回の広域的な運営推進機関も似たような展開にならないかということについて、もう一度、精査をしていただきたいというのが私のまず最初の意見です。

 その後の示されている工程表を考慮いたしますと、現状では、三年後に小売自由化が行われるということでありますが、そこにつなげることはなかなか難しいのではないか。あるいは、現状では、幾つかの電力会社が再生可能エネルギーの接続拒否ということを頻繁に行っております。こうした事態を防ぐことはできないのではないか。まずは、広域的な運営推進機関を第三者的な独立的な規制機関として、その人事について、国会の同意を含めてきちんとチェックできるようにしていくことが大事なのではないか。それから、電力会社の地域独占をしばらくの間は前提にして、これは多分、安定供給という名目だと思われますが、電力の需給逼迫の緊急時の利用に限って作動するようにできておりますが、平常時の広域的運用まで含めて広げるべきであるという点があります。

 さらに、系統接続に関しては、供給区域をまたがる自家発電のいわゆる託送供給が重視されてもおりますけれども、もし新たな規制機関というものをしっかりつくれば、現状で数多く存在する企業の自家発電を把握してPPSへの参入を促していくということをやっていかないと、次の小売自由化につながっていかないと思いますし、現状の日本卸電力取引所をより公平なものにするべく改革する方針というものをどこかできちんと担保しておかないと、工程表はこの法律案の延長上で進まないのではないかというふうに私は思っております。

 もう一点、非常に大事なのは、所有権分離ではなく法的分離にとどまって、なおかつ、EUではおよそ二年でしたけれども、五から七年、しかも時期が非常に曖昧にされて、長い期間が設定されている最大の理由は、私の考えでは、福島第一原発事故以降の電力会社の経営が発送電分離改革に耐えられない状況にあるということにあると思います。

 実際に、原発は、とめているだけで一・二兆円のメンテナンスコスト、減価償却がかかります。廃炉にすると、事実上、簿価上の残存価値が未償却の部分及び核燃料の簿価及び廃炉の引き当て不足額というのが合わせて四・四兆円出ますので、いきなり廃炉にすると、電力会社が次々と破綻をするという事態に陥ることになっております。いわば、一九九〇年代の不良債権問題と極めて似た構図になりつつあるというのが現状だろうと思うんです。

 まず第一に、日本原電は、残念ながら火力発電所がなく、敦賀第一、第二、東海第二の三基の原発しかない、そういう原発の専門会社であります。既に敦賀の二号機の真下には活断層が通っており、敦賀の一号は、もう四十年を超えた、四十三年の原発であり、活断層についてまだ調査が必要である。東海第二も、三十四年たっており、かつBWR型なので五年の猶予がききませんので、フィルターつきベントも含めて安全投資が必要になってきます。地元の自治体も反対しております。

 こういうふうに考えますと、日本原電はもはや、収入を得る、事業を継続する道が断たれている状況だというふうに考えられます。現状では、電力会社、つまるところ我々の電気料金で千数百億、基本料金を払い続けて、残念ながら破綻に近い状況にある原電を支え続けている状況になっている。この問題を放置して発送電分離をやった場合に原電はどうなるのかというふうに考えたら、我々は、ほとんどそれは維持することが不可能になる。

 それから、東京電力も既に一兆円の公的資金が入っていますが、既に原子力損害賠償支援機構法では、その制定の際には一年後の見直しの規定があるにもかかわらず、見直しが行われておりません。一兆円の公的資金が入った上に三・二兆円の交付金が出ておりますが、よく考えてみると、まだ二兆円を超えたばかりなんですね、賠償支払いは。除染費用に至っては、四月末段階で四十四億円しか払えない。なぜか。一兆円の公的資金に手をつけたくないから、自己資本。そうすると、現状では、ほとんど原発が動かない中で赤字が累積してまいりますので、事実上、東京電力が賠償支払いを遅延しながら、交付金で自己資本を積み増しして何とか生き延びている状況であるというのが現状だろうと思います。

 柏崎刈羽のうち、一号機と七号機は相対的に発電単価が低いものを動かそうとしておりますが、自前で一応フィルターつきベントをつけようとしているらしいですが、これの精査も含めてやって、仮に動かしたとしても、既に火力発電所の発電単価を大幅に上回っている状況でありますから、動かす意味がどういうところにあるのかということを厳しく問わなければいけない。しかも、現状では、柏崎刈羽を動かすことを前提にした経営再建計画になっておりますので、この再建計画は既に破綻をしておるので、早急に見直しをする必要がある。私は、正直言えば、東京電力の社員の方は極めてかわいそうな状態に陥っているというふうに考えております。

 さらに、ほかの電力会社についても、先ほど申し上げたように、維持をしていても一・二兆円、廃炉にしても四・四兆円の中で、動かない状態の原発の単価を仮に計算しておりますが、ちょっとこれはまだ精査が必要なので具体的な数字を申し上げられませんが、全て十円を超えて、十一円から十三円ぐらいの高さになっております。これは、おくれればおくれるほど、四十年廃炉を前提にすれば高い状況です。動かす合理性がもうなくなっているということであります。

 残念ながら、さらに、燃料プールを見ても、二年から五年以内で二十一基、十年以内にさらに二十一基ですので、ほとんど使用済み核燃料を入れるところがありませんし、その上で、さらに、残念ながら日本原燃が不良債権化しておりまして、全体で見ると、建設費で一・四兆円オーバー、それから今運転とメンテナンスだけで一・九兆円、それから使途不明の増資が四千億円ということですので、ほとんどこれはもう不良債権化しているというふうに考えてもいいと思います。動く展望がない、既にコストオーバーしているということです。

 その上で見ていくと、現状で発送電分離をして、法的分離なので、一定なぜ配慮がきいたかといえば、単体で発電会社を分離した場合に、とても発送電分離をしたときに耐えられないというのが現実です。

 では、どうしたらいいのかということなんだと思うんです。

 一つは、原子力損害賠償支援機構法に従って、東京電力をやはり新会社に移行しなければいけない。一〇〇%減資しないと、このままいくと、かつての不良債権問題と同じで、国民の負担がずるずるふえていくことになる。新会社に移行した上で、その株を売却することによって賠償費用を賄うような方式に変えなければいけないし、原発の残存価値と廃炉引当金に当たる部分については、銀行に残念ながら債権放棄をしていただく。残る新しい会社がよくなれば、電力債なり新株が上昇することによって、ある程度その損失をカバーすることができるだろうということだと思うんです。

 核燃料サイクルについても早急に見直しをして、今再処理料金の積立金がなくなる前に、早い段階でやらないと、日本原燃を処理するときに新たな税金の負担が発生し得る。電力料金が費消されてしまう。そこで、これを一度断ち切って、再処理料金も福島の除染や事故処理の費用に回していくというようなことも必要になってくるであろう。

 それから、その上で、電力会社を健全化して発送電分離改革をよりよいものにして実現を早めるためには、原子力発電を現行の電力会社から切り離してやる処置が必要だと思われます。そのためには、原発の未償却の部分、つまり簿価上の残存価値とそれから廃炉の引き当て不足分に当たる額について電力会社に新株を発行させ、それを国が引き受けて、そして持参金つきでもう破綻している日本原子力発電に移してやることが必要だと思われます。そうすることによって、破綻をしそうな日本原電も生き延びることが可能になります。それから、電力会社は、原発から切り離されて極めて健全な状態になります。そうすると、発送電分離の条件が整ってまいります。

 もちろん、国が引き受けたものは、そのまま負担ではなく、電力会社が買い戻すことも可能だし、将来的に言えば売ることも可能である。電力会社が健全な財政になれば電力債も株価ももとに戻っていく、その時期に売却することによって国民負担が発生しない。

 そうすると、電力会社の経営が健全化すると同時に、銀行も不良債権処理ができて、所有する電力債及び融資が健全化することにつながってまいります。トータルで二十五兆円余りの電力債及び銀行からの融資というものが、一部株主の負担と一部原発相当分の東京電力の部分の債権放棄だけで全体を健全に回すことができるようになってくれば、この発送電分離改革の全体の工程表をさらに早めることが可能になってくるんだろうというふうに私は考えております。

 これはもちろん私見でありますから、皆さん方がどのように判断するかはもちろん議員の方々にお任せするしかないわけですが、現状でもう一度、この法律案を全体の発送電分離に結びつけていくために、三年後の小売自由化に向けて広域系統運用機関をどのように本来するべきか、それから、五年から七年に先送りされている原発を抱えた電力会社の問題というのをどのように処理するかというもう一つの電力改革とをあわせてやっていくことによって、改革はさらに迅速化するだろうというふうに私は考えております。そして、それが最も国民負担が少ない道なのではないかというのが私の意見でございます。

 以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、辰巳参考人にお願いいたします。

辰巳参考人 おはようございます。

 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会の辰巳と申します。よろしくお願いいたします。

 私は、余り難しいお話はよくわからないんですけれども、毎日家庭で電気を使わせてもらっております消費者としてどんなことを考えているかということを、きょうはお話しさせていただきたいというふうに思います。

 簡単に書いておりますけれども、ファイルを見ていただきたいと思います。

 二ページなんですけれども、二年前の福島での東日本大震災があって、それ以降、消費者というのは非常に電気というものに対して関心が高くなりました。それでいろいろなことに気がついたということですけれども、まず、原子力発電所で事故があった。それまでは、東京で電気を使わせてもらっている人たちは、福島でつくられていることさえも余りわかっていないし、私の身近なところでなんですけれども、えっ、福島県の人たちは自分たちの県でつくっている電気を使っていなかったのなんというとんちんかんなお話まで当たり前だったんですね。それが、やはり今回のお話があり、報道もいっぱいありましたもので、ああ、そうだったのかということに気づいたわけです。

 それで、結局、自分たちの使う電気がどこでどうやってつくられているかということに無関心だったのに、非常に関心が高くなった。なおかつ、別に原子力にかかわらず、では、電気はどういうところで、どういうふうにつくられて、どういうふうに流れて自分のうちまで来ているのかということに対して非常に関心も高くなったということですね。

 皆様が家庭での暮らしというのをどういうふうになさっているのかよくわからないんですけれども、毎月家庭に届く電気のお知らせというのを見られたことはございますか。自分の家庭ではどのくらい電気を使っているんだろうかとか、今FITでどのくらい賦課金がかかっているんだろうかとか、あるいは燃調でどういうふうに変わっているんだろうかとかということに関しても、今は銀行振替が非常に便利になりましたもので、大抵知らない。

 電気料金を値上げしますということになって初めて、ああ、そうだというふうな気になるんだけれども、黙って順調に動いている限りは、口座から勝手に引き落とされているので、自分の払っている料金に対しても関心がないくらいというふうな状況だったんですけれども、東電のお話があって、電気が足りなくなって、計画停電というお話が出てきて初めて、ああ、大変だという話になり、では、どうすればいいのかということから、節電なんという単語も出てきましたよね。今までは省エネ、省エネと言っていたんですけれども、節電というお話も出てきて、非常に節電に関しても、自分たちの日常の暮らしの中でもっと工夫できることがいっぱいあるねということにも気づきました。

 それからあと、大口の人たちは自由に選べるのに、私たちが選べていないということに関しても、何かようやく気づくようになったというふうな状況です。

 私は、電気料金の値上げ審査という委員会にも入れさせていただいておりまして、その中で各電力会社さんの管内の消費者の声を聞く公聴会というものにも参加させていただいております。

 そんな中でですが、意見を言う人たち、陳述人の方たちは、ほとんどではないけれども、かなりの人が、必ず枕言葉みたいに、選びたくとも選べない電力会社という言葉を大抵おっしゃいます。なのにということで、それに対して、自分たちは値上げに対してこう思うというふうな御意見が出てきます。特に、原子力発電の電気を選びたくないというふうに思っていてもそれもできないし、そういうことが可能になるのならば値上げも必ずしも反対じゃないというふうな意見まで出てくるくらいの消費者もいるということですね。

 それからあと、委員会に常にオブザーバーで参加してくださっている消費者団体の方たちというのもいらっしゃいますが、そういう人たちは、電気というのは地域独占的に供給され、事業者の選択がない状況ですというふうなことは必ず言われております、だから電気料金値上げ云々という話になるわけですけれども。

 だから、そういう意味では、やはり、選べない消費者というのに対して潜在的に不満があるというふうな状況だというふうに思っております。

 それで、四ページに書いていますが、そういう選びたいという消費者の声というものは非常に重要だというふうに思っておりますし、それが実現することによっていろいろなことが考えられるというふうに思っております。

 ちまたで言われておりますが、電気が自由化されると電気料金が安くなるというお話なんですけれども、私は必ずしもそういうふうなことがうまくいくかどうかはわからないなと思っております。競争してうまくやってくだされば下がるということもあるかもしれないですけれども、しかし、もっと根源的に、消費者が選択するということに価値がある、意味があるというふうに思っております。それは、その下に書いていますけれども、さっきも言ったように、高くても再生可能な電気を買いたいんだという人もいるし、そのかわり、高くなる分は節電でバランスをちゃんととります、だから賢く電気を使うようになりたいんだというふうなお話が出てきていると思います。

 そういうふうなこともあるし、それから、自分が選ぶとなれば、今までのようにコンセントに差し込んだら勝手に電気が来るではなくて、やはり、電気というものはどういうものか、非常に重要というか、日本にとって大変なものなんだ、もったいないから私たちはもっと大事にしなきゃいけないとか、いろいろな見方が出てくるわけですよね。

 だから、そういう意味で、みずから選ぶようになりますと、エネルギーの電源も変わってくるでしょうし、それからあと、自分からつくるという考えもあります。もちろん、太陽光発電をつけるという方法もあるでしょうし、それから燃料電池と言われるものを置くことも可能でしょうし、いろいろな方法でできると思います。あるいは、地域でみんなで手をとり合って一緒に発電をするというふうなこともできると思います。

 それからあと、今、私は、マスコミのニュースとかを聞いておりましたら、産業界は、やはり原子力発電を動かすべきだというふうな御意見もあって、原子力発電を歓迎なさるかもしれませんけれども、これから消費者は、製品やサービスを選ぶ際に、それらがどういう電気でつくられているかというふうなところまで状況によっては見ていくこともあり得ると思うんですね。

 随分昔から言われているんですけれども、例えば、そこに書きましたが、風で織られたタオルなんということで、非常に、日本ではおくれてなんです、アメリカでそれが売れてしまって、それがその後、日本に戻ってきたというふうな状況なんですけれども、四国の池内タオルさんなんという、そういうものが市場に出ていって、ああ、そうか、製造工程でそういうこともあり得るんだというふうなことも気づく。

 それからあと、東京駅の真正面の新丸ビルさんなんかは、全部六ケ所で発電しているグリーン電力で賄っております。だから、その中に入っているレストランも全て含めてグリーン電力で運営されているんですよね。そういうことをアピールすることが、企業のCSRというか、企業の価値を高めるというふうな状況に今はなってきております。

 だから、そういう意味で、私たちがそれを選ぶということで、エネルギーミックスというものも変わっていくというふうに思います。

 それからまた、グリーンイノベーションというふうに書いていますけれども、現状、バランス上、例えばの話、再生可能エネルギーがまだまだ少ないですけれども、なかなか参入できない、だけれども、消費者が買いたいんだというふうな意思が見えてくると、事業者も力を得て、やはりそういう発電会社になっていこうというふうなことも起こってくるかなと思っております。

 ところが、次のページは、消費者の心配ということで、気にかかることを幾つか書いております。

 基本的に、消費者というのはわがままなものなんです。よく皆さん御存じだと思います。こうしてほしい、ああしてほしい、それが相反することであってもどっちも欲しいというのが消費者なんですけれども、やはりそういう気持ちもちゃんと考えていただきたいというふうに思います。

 選びたいと片方で言っていながら、だけれども、では、どうして選べばいいのというふうに言う人もいっぱいいると思います。だから、やはり消費者に対してちゃんと賢く選んでもらえるような情報の開示というのは絶対必要で、誰がするかというのは、いろいろな方がなさる必要があるんですけれども、やはり基本的に国が行い、事業者が行いというふうな形で、積極的に広報とか情報開示をやっていっていただきたいなというふうに思います。

 それからあと、松村先生も随分おっしゃってくださったんですけれども、選べる状態になっていないのに、自由化したんだから料金規制を撤廃するという話になったときには、今と同じか、あるいはさらにもっと悪くなる状態が起こるかもしれないなというふうに思っております。そういうふうなところで、料金規制もやはりある時期までは残っていくべきだというふうに思います。そういう意味では、料金規制の撤廃というのは、消費者が本当にちゃんと選べる状態になるまでちょっと待ってほしいなという気持ちがあります。

 それからあと、もし選ぼうという状態になっても、A社と契約していて、あ、やはりB社に変えたいやといったときに、スムーズに切りかえが行われないと、やはり電気は途中で途切れても困りますもので、そういうとこら辺の移行に関してもきちんと配慮していただけるといいと思っております。

 それからあと、もうかるところにだけ電気事業者が電気を送るというふうなことは決してあってはいけなくて、それは何か別の形で、ユニバーサルサービスという形で担保していただかないといけないなというふうに思います。

 それで、その次、六番なんですけれども、だから、消費者が選ぶということで社会が変わっていくんだということを、もう少し消費者を信頼してやっていっていただきたいなというふうに思っております。

 先ほど言ったように、一方ではやはり心配もありますけれども、守られるだけが消費者ではないんだということですね。だから、主体的に責任を持って選ぶというのが本来の消費者なので、ですから、的確な情報を提供してほしいし、さっきも言いましたが、選ぶことで消費者が関心を持つことができます。ですから、社会の危機感がもし起こったとしても、それは共有できるはずだというふうに思っております。

 これもさっき申しましたが、まとめになりますけれども、震災後、消費者のエネルギーへの関心というのは非常に高まっております。特に、省エネの話や節電というのは今共通の話題になっています。私は、消費者講座で省エネ講座というのを結構やらせていただいておりますけれども、やはりそういうところでも、主体的に私はこんなことをやっていますけれども、皆さんにお知らせしたいというふうな意見を言う方も結構大勢いらっしゃいます。

 だから、そういう意味では、今みんなの関心が非常に高まっているこの時期こそ、やはりこの電力システム改革というのは進めていっていただければいいなというふうに思います。

 それからあと、持続可能な暮らしというものをやはり私たちは望んでおりまして、ですから、将来世代のことも含め、長い時間軸とか地球規模で考えていく必要があるなというふうに思っております。だから、今目の前の話だけではなくて、ぜひ、本当にそのまま、例えばの話、原子力発電を続けていくことが私たちにとっての持続可能な暮らしにつながるのかどうかというふうなことも含めて検討いただきたいなと思います。

 消費者の選択でエネルギーというものはきっと変わっていくと思いますし、そうすることで、企業も変わるし、社会も変わるんじゃないかなというふうに思いますので、消費者の声というのをぜひお聞き届けいただきたいなというふうに思います。

 きょう、たまたま新聞で見たんですけれども、私の住んでおります地域の焼却場が、ごみ焼却をしながら発電をしているんですけれども、一部新しく建てかえて、そうすると、発電がたくさんできるようになって、それを新電力のエネットさんが買ってくださるということで、契約が済んで、二億何ぼとかと書いていましたけれども、年間の売り上げがあるというふうに書いたりした報道があったんです。そういうのを見ると、地域に住む者としては、ああ、では、そういう電気も使ってみたいなというふうに思ったり、やはり目線がすごく変わるわけですね。

 だから、そういう意味で、ぜひぜひ、いろいろな電力会社さんがちゃんと参入できて、私たちが望む電気を使えるような、そういうふうな形になっていっていただきたいというふうに思っております。

 以上でございます。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺博道君。

渡辺(博)委員 おはようございます。自由民主党の渡辺博道でございます。

 きょうは、参考人の皆様方に貴重な意見をお聞かせいただき、まことにありがとうございます。

 私の方から質問をさせていただきますが、まず、全員の参考人の皆様方にお聞かせをいただきたいと思います。

 今回の電力システムの改革、これについては五十年ぶりということでありまして、私どもとしましても、この電力システムの改革に全力で取り組んでいかなければならないという思いでありますが、一方で、先ほどお話がありました、電力会社の経営状況は大変厳しい、そしてまた、経済の状況も厳しい、こういった状況の中で、果たして電力システムの改革を今進める必要があるのかという意見もあるようであります。

 こういった意見に対して、まず、各参考人から考え方をお聞かせいただきたいと思います。

松村参考人 今、電力会社の経営状況が非常に厳しい、それから社会の状況も非常に厳しい、エネルギーを取り巻く環境は非常に厳しいというのは間違いないと思います。

 しかし、私は、だから改革をおくらせるべきなのではなくて、なおさら改革を今やるべきだと思っております。システム改革は、そのような外的な環境の変化だとか悪化だとかに柔軟に対応できる、こういうものをつくるという目標でやられているものですから、そのような状況であればなおさらやる価値が高いというふうに考えるべきだと思います。

 状況がよくなるまで待つというのは、やはり正しい選択ではないと考えております。

 以上です。

柏木参考人 このシステム改革をすることによって新たなビジネスモデルが多く出てくる確率は非常に高い、それはさっき私が申し上げたつもりなんですけれども、成長戦略をきちっと具現化するためには、このシステム改革を進めていくということが極めて重要だというふうに思っております。

金子参考人 電力会社の経営が厳しいので改革をやめるという方向は、先ほども出ましたけれども、分散型エネルギーを含めて、省エネその他新しい産業の成長を妨げることになるので、むしろ逆で、急がないと、昔のパターンの産業構造になってしまう。

 加えて、第二に、現状で考えると、どの原発も、相対的にコストの安いものから、発電単価が安くなるものから動かそうとしているんですが、四十年廃炉を原則にして、そして、残りの発電期間だけで安全投資を踏まえて、これがまた、フィルターつきベントが入っていたり入っていなかったりする値上げ申請の数字がかなり怪しいんですけれども、この怪しい数字を含めても、もう既にガスや石炭の発電単価を上回っております。これはおくれればおくれるほど、コストが高くなります。したがって、もはや動かす正当性がなくなりつつあるんですね。

 私は、三番目に申し上げたいのは、これを日本原子力発電に全部移せば、電力会社の経営に左右されずに、安全基準や追加の安全投資の状態を見ながら、どの原発を廃炉にして、どの原発を動かすかというのがきちんと冷静に判断できる環境が整う。そうじゃない状態で今のまま任せていくと、今の電力会社に、この状態で、仮に幾つか動かせたとしても、廃炉にできないです。廃炉のコストが高過ぎる。そうすると、維持したままになります。維持していても毎年コストがかかる、この状態が延々続きますから、電力改革はいつまでたってもできないことになると思います。

 したがって、原発についても、客観的に、冷静に、どれを動かし、どれをとめるか、廃炉のコストも含めて、みんなきちんと手当てをしてあげるためには、一旦今の電力会社から切り離して、日本原子力発電はもう潰れそうなのでここに移して、冷静に判断した方が、身軽になって、電力会社も経営が健全化して、より一層改革がしやすくなるというのが私の意見でございます。

 以上です。

辰巳参考人 私は、先ほども申しましたが、今、消費者が非常に省エネとか節電とかにも関心があるし、電力というものに対して関心を持っております。だから、この関心の高まっている時を逃すのはもったいないなと。

 やはり、私たちも忘れやすいですから、安定な状態になってしまうと、また今までのようにもとのもくあみで、コンセントを差せば電気が来るというふうに思っちゃいますもので、やはり今を逃すともったいないというふうに思っております。

 よろしくお願いいたします。

渡辺(博)委員 ありがとうございました。

 まさに私と同じ考え方、参考人の皆さん方はそのような方向性を持っているということに安心をさせていただきました。

 次に、松村参考人にお伺いをしたいと思います。

 今回の電力システムの改革については、松村先生、さまざまな会議の場でリードをしていただいたということに私自身も感謝を申し上げたいと思っております。

 その中で、これからの日本の姿をどのようにしていくのか、どのような形になるのか、この電力システムの改革が実際に成功した、また、なし遂げたときには、日本の姿というものは一体どういう姿になるのか、先生の頭の中で描いているその日本の姿をぜひともお聞かせいただきたいというふうに思います。

松村参考人 荒唐無稽なことを言うようですが、私は、インターネットの世界で起こったことをこのエネルギーのシステムでも起こす、それの先頭に立つのが日本だ、こういう世界が電力システム改革でできるのではないかと思っています。

 どういうことなのかというと、限られたプロだけが知恵を持って、その限られたプロの知恵だけでつくっていくシステムではなく、公正で効率的な料金体系のもとで、こういうアイデアがある、こういう節電のアイデアがある、こういうコスト削減のアイデアがあるという人が次々と参入してきて、そのアイデアが公正な基盤の上で公平に競争し、最もすぐれたアイデアの人が勝ち残ってくる、こういう世界を世界に先駆けてつくるチャンスになるのだと思います。こういう世界が築かれてくるというのが最も成功した状況、このような状況をつくり出していきたいと考えております。

渡辺(博)委員 同じ質問になりますけれども、柏木先生は特にコージェネレーションの部分について造詣が大変お深いというふうに思っております。日本のこれからの電力システム、そしてまたコジェネについてのお考えをもう一度お聞かせいただきたいというふうに思います。

柏木参考人 さっきちょっと申し上げましたけれども、私は個人的には、ディマンドサイドに三割、電源がおりてくる、それがディマンドレスポンス対応になってきて、デジタル革命が起きる。もちろん一五%がコジェネで、熱を使った、今はもうコジェネといっても、エンジンでも発電効率四九・五%ですから、排熱を使い切れば、それは大変な効率になる。

 ですから、発電効率が上がるということは、今まで熱需要の多いところにタービンだとかいうのを入れていた場合が多いですけれども、これは、熱需要が少ないところでも非常にマッチングしたコジェネが入ってきて、電力が余ってもそれが売れるようになるこのシステム改革をやれば、排熱を捨てている大規模集中型の電源に比べて、発電効率、全体効率が高い、日本全体のエネルギー効率が上がっていく、これは価格の低減につながる。

 それと同時に、このコージェネレーションからの余剰電力のアグリゲーションビジネスが出てくる。これが家庭まで膨らんでいって、新規参入、全面自由化ということになりますと、家庭部門の、例えば太陽光それから燃料電池、この二つの発電システムから出てくる電力をある市場で適切な価格で売買できる、それをアグリゲートする事業者が出てくる。

 そうすると、ある意味では、電力のシステムがデジタル化するということは、もう安心、安全の暮らしを提供できる。今度の被災で安心、安全というキーワードが出てきましたから、そういう意味で、電力情報の売買システムを行うことによって、安心、安全プラスある程度のキャッシュフローができてくる。

 だから、全員参画型のエネルギー需給システムを確立するということがディマンドサイドで三割行われれば、これは経済波及効果としては極めて大きなものが出てくるであろうと。それは普通の状況だとなかなか達成できないんですけれども、こういう参入自由化だとか市場の創成だとか、ネガワット、ポジワット市場、あとネットワークの中立性というものが担保できる、こういう世界がより早く実現する可能性があるだろう、こういうふうに思っています。

渡辺(博)委員 また、松村先生にちょっとお伺いします。

 先生の意見書の中に、自由化するだけではだめだというふうに言われております。競争的な市場は生まれない、競争的な市場をつくるためには基盤が重要だというふうに言われておりますが、この点について少し詳しく御説明をいただきたいと思います。

松村参考人 まず、大口の市場は自由化されているのですが、これも、十数年たってもまだ四%にも満たない、こういう状況で、需要家から選択の自由が実質的に実現されていないという不満が多く述べられています。

 それで、大口でさえ競争メカニズムが働いていないのに、小口の方では働くと考える方がどうかしているような気がして、やはり相当な対策をとらなければいけないだろうと思っています。

 このためのキーとなるものは、一つは卸市場の改革でして、卸市場の改革は、卸取引所、JEPXというのが今存在していますが、これだけに限らず、相対取引だとかというのも含めて、新規参入者が電源を公正な価格で調達しやすくするような改革というのがまず重要だと思います。そのためにさまざまな対策というのが考えられていまして、市場の流動性を高めて新規参入者というのが調達しやすくなるし、入りやすくなるということをいろいろ考えております。

 それからもう一つは、やはりネットワークの中立化でして、入ってきて公正に競争できるということを十分確信できなければそもそも入ってこれない、そもそも入ってこれなければ競争にならないということですから、ネットワークの中立化というのは、これ自体が目的なのではなく、競争基盤の整備として最も重要な項目の一つだと考えております。

 法的分離とそれに伴う行為規制、さまざまなルールの設計によって十分に新規参入者が信頼できる、そういうシステムをつくり、それによってまず新規参入を促し、それから、一方で、常時バックアップだとかという制度を変えるだとか、取引所の活性化のために両建ての取引というのを強力に推進するだとかということをすることによって、新規参入者も入りやすくなり、また既存の電源も手に入りやすくなる。

 さらに重要なのは、電力間の競争を促すということだと私は思います。電力間が本格的に競争してくれる、例えば、大阪地区で中部電力も売るし、名古屋地区で関西電力も売る、こういう形の競争というのも競争の促進に強力にきいてくると思います。

 そのために重要なのは、やはり連系線の整備、インフラの整備ということでして、このためにも、特に、五十ヘルツ、六十ヘルツのところで分かれている周波数変換所というのを大幅に増強するというのは、第一義的には、安定供給を高める、災害に強いシステムをつくるというためにやるものですが、競争促進にも大いに役に立つと思っております。

 以上です。

渡辺(博)委員 ありがとうございました。

 その中で、先生は、エネルギー調査会の方では、当初、発送電分離については機能分離を主張なさっていたというふうにお伺いしております。それが、今回は法的分離ということになったわけでありますけれども、この機能分離、そしてまた法的分離、さらに所有権分離というのがありますが、この三点について、どこがどういうふうに違うのか、どうして法的分離がいいのかという点についてお話をいただきたいと思います。

松村参考人 まず、機能分離というのは、ネットワーク部門が新規参入者を差別的に取り扱うという手段をネットワーク部門から切り離す、こういう発想でして、差別的な取り扱いをするインセンティブはあるかもしれないけれども、そのような手段がなくなるようにする。したがって、差別的な取り扱いをする、例えば接続の条件を決めるだとか、そういうような類いのことというのを全て送電部門から外に出す、今回設計される広域機関というようなものをISOという形で例えば衣がえし、その支部というのがそのような機能を担う、こういうやり方もあり得たと思います。

 それから、所有権分離というのは、所有権を完全に切り離してしまうことによって、そもそも、差別的に取り扱って、送電部門では損するかもしれないけれども発電部門で独占の利益を得るために意地悪をする、こういうインセンティブを丸ごとなくすというようなものです。

 法的分離というのは、監視によって何とかするというもので、法的分離の最大のメリットはわかりやすいということでして、機能分離だと、ある種プロでないとわからないようなブラックボックスのところで骨抜きになってしまうかもしれない、こういう懸念というのがあり、法的分離が選択されたということだと思います。

 もちろん、機能分離も、きちんと設計すれば同じように十分中立化できると思いますので、選択肢として完全になくなったわけではない。法的分離に大問題が生じればそちらに移るということはあり得ると思いますが、わかりやすさという圧倒的なメリットというのを考えて法的分離にしたのだと思います。

 所有権分離の問題なんですが、やはり一つは、憲法違反だ、私的財産権の侵害だという強い批判が出てくると思います。私自身はそう思いません。公益的な目的のための一定の企業分割というのは、それが憲法違反だと言ったら、独禁法の規定は全部憲法違反だということになっちゃうと思いますから、決してそんなことはないと思いますが、しかし、ほかの手段がないということを十分に尽くされた後でないとやはり難しい。したがって、法的分離をきちんと行い、これで十分中立化するなら問題ないが、これではうまくいかなかったということを踏まえた後でないと難しいということがあると思います。

 もう一つ、私、所有権分離でちょっと心配しているのは、経済学的にはうまく機能するはずなんですが、ひょっとすると、電力会社の人というのは極めて仲間意識が強いので、仮に会社の所有権が分かれたとしても、きのうまで同じ釜の飯を食ってきた人たちが、会社が分かれたからといって突然公正に扱うようになるか、あるいは仲間なんだから優遇するかというと、仲間なんだから優遇するということが働きそうな気がちょっとしていまして、この点の心配もあり、したがって法的分離の方を優先的にやるべきではないかということを支持した次第であります。

 以上です。

渡辺(博)委員 ありがとうございました。

 時間が大分迫ってまいりましたけれども、最後に、消費者の立場から辰巳参考人にお伺いをしたいと思います。

 小売の全面自由化というものが実現されていきます。これは、ある面では、消費者にとっては選択肢が広がる、大変重要な意味を持っているわけでありますが、時として、電力料金が上がっていったり、そしてまた、供給面で確保が困難になってくる場合もあるというふうに思うんですが、この小売の全面自由化に対するメリット、デメリットを消費者の立場からちょっと教えていただきたいと思います。

辰巳参考人 メリット、デメリットということで、今は、私が昔想像もしなかったことが起こって、例えば通信の話で、テレビのケーブル会社が、家庭のインターネット環境も家庭の電話も全部一括して面倒を見ます、そのかわり安くなりますよというふうなことが起こって、そういうものを選択している人たちも結構多くなってきているんですよね。だから、そういうふうなことをきっと日本の賢い企業の方たちは考えて、消費者にとって何と何をセットにしてやれば安くできるかとかというふうなことはきっと考えてくださると思うんですね。

 最初に申しましたけれども、私たちは安くなることだけが別に目的ではないかもしれないなというふうに私は思っておりまして、それで安くなれば最高にいいんですけれども、やはり、電気に限らず、自分が使うものは自分で考えて選びたいというふうなところが重要なんだなというふうに思っておりますので、それが大きなメリットだと思います。

 デメリットは何でもありますが、例えば文書で説明されたり、あるいは難しいシステムの話をたとえ口頭で説明されてもなかなか理解できないというふうなこともあり得ると思うんですね。だから、そのあたりをどういうふうにクリアしていくか。例えば、わからなくて非常に自分が戸惑うときはちゃんと相談をして、きちんとそれに対して受けてくださるような窓口をつくってくださるとか、何らかの対応でデメリットは抑えていくべきだというふうに思っておりますので、きっとうまくやってくださると私は信じております。

 以上です。

渡辺(博)委員 どうもありがとうございました。

 質問を終わります。

富田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹でございます。

 きょうは、参考人の先生方、御多用な中、ここにお越しいただきまして、貴重な意見を賜りまして、本当にありがとうございます。

 競争を通じて電気料金を安くして、しかも安定供給を保っていく、この電力システム改革の目的を達成するために、その実現のために、制度設計というのが非常に重要なんだというようなことがよくわかりました。私も学生になったような気持ちで聞いていまして、結構専門的な話も出ましたので、全部理解できたわけではありませんけれども、この制度設計に関して、私の立場でいろいろと御質問させていただければというふうに思います。

 まず、松村参考人と柏木参考人にお伺いします。

 電力が自由化されて競争が激しくなると、どの電力会社も余分な発電設備を持たなくなってしまう。それによって、いざ、どこかの発電所でトラブルが起こったり、また自然災害に見舞われたりして供給力が大きく失われた場合に、最後のバックアップ役を引き受けてくれる存在がいなくなるんじゃないか。これまで地域独占が認められて、料金も総括原価方式で規制されていた理由というのは、一つは、電力会社にこうしたバックアップ用の設備やサービスを確実に維持させることにあったというような声も聞きます。

 また、アメリカで最も自由化が進んでいるテキサス州では、電源予備率の低下が懸念されているということを聞きます。具体的には、二〇一三年には一四%を超える予備率があったものが、競争によって予想利益率が低下して、発電設備への投資が進まなくなって、年平均一・五%を超える減少幅が続いている。このままいけば、二〇二二年にはマイナスに転じるというふうに見込まれているそうです。

 さらに、ヨーロッパの中でも最も自由化を先進的に進めてきたイギリスでは、二〇一〇年時点で一五%を超える水準にある電源予備率が、二〇二〇年代半ばには二から三%まで急落して、電力不足になるおそれがあるというふうに懸念されています。

 電力システム改革をこれから進めていくに当たって、電源予備率をどのように確保していくかということが一つ重要になってくると思います。

 そこで、電源予備率の確保という役割を誰が担うべきなのか、また、そのためのコストは誰が担うべきなのか、これについての見解を両参考人にお伺いします。

松村参考人 まず、予備力の確保というところですが、これからのシステム改革で最も重要になる部分というのは、供給力で持つという発想と、もう一つは、需要側の管理で持つという発想。電気が本当に足りなくなれば大停電というのを引き起こしかねませんから、そのときに適切に需要をコントロールしてピークを抑えるという発想と供給力を持つという発想は、ある意味で等価であり、両方とも安定供給に資する。こういうことをフルに入れていこう、それによって安価で同じ安定性を保てるものをつくろうということをしております。

 例えば、テキサス州でも一部そのような仕組みというのが入っておりまして、需要側の方で、ある種の入札制度によって電源をとめるとかというようなことで、発電機が少なくてもある程度対応できるというようなことを工夫されております。

 しかし、それだけに頼るというのはどう考えてもよくなくて、一定の予備率は必要だということで、日本でも六%から八%ぐらいの予備率というのは当然持つべきだし、ピークにおいてもそれぐらい持っているわけですから、ふだんならもっと高い予備率というのを持っていたわけですね。

 これからもそのようなある種の予備というのは必要だという議論に関しては、自由化すれば、本当に電源が不足すれば価格が高くなるんだから、当然、投資するインセンティブがあるから自然に解消するでしょうというのが一番楽観的な発想なんですけれども、このような発想に今回のシステム改革では立っていない。立っていないというのは、そのような要素はきっとあるだろうけれども、それだけに任せるのでは消費者は余りにも不安ですよね。電源投資がどんどん小さくなっていって、予備が小さくなるというのは困るということで、予備率を確保するということをいろいろ考えています。

 そのために考えなければいけないのはタイムスパンですね。本当に電気が足りないというときなら、一番早くできるものでやればいいということですから、例えばガス火力発電所のような、四年ぐらいで立ち上げられるというようなもので対応するという対策。しかし、環境特性だとかいろいろなことを考えれば、一番早くできるものだけではだめですよね。十年後をにらんで、本当に適切な供給力というのが確保できるかどうかというのも見なければいけない。こういうスパンもありまして、それぞれのタイムスパンに応じて予備力をどう確保するかということを一つ一つ工夫しております。

 その意味では、十年とかを見るスパンでは、広域機関が最も重要な役割を果たすことになると思います。きちんと計画し、足りなければみずからが入札し、その料金は託送料金という形で広く薄く負担してもらって回収する、こういう形になると思います。

 もう少し短期のスパンに関しては、小売事業者に一定の予備力を持つということを義務づけるというやり方もあり得ると思います。ただ、短期的には余り現実的ではないので、ここは現在の一般電気事業者さんにお任せして、その料金というのもやはり託送料金できちんと回収できる。その意味では総括原価の部分がそこに残るわけですけれども、そういう仕組みでまず確保し、その後、徐々にある種の予備力義務づけという格好に移行していくというのが一番現実的なやり方だと思います。

 いずれにせよ、どれがベストかというのは、これからみんなが知恵を絞って考えていくということですから、現時点で考えられるものでもそういう対策がありますので、それよりもすぐれたものが導入されるということがあっても、これより劣ったものが導入されるということはないと考えております。

柏木参考人 発電を専門にする発電システム、これは全て認定をする。認定をしたときに、キャパシティーがありますけれども、そのうちの例えば五%は予備率で持っておくとか、パワーアップ、全部全開したとしても九五%までの入札しか許さないとか、こういうことをして最低三%は維持をするということは非常に重要なことだと思います。

 あと一つは、さっきさんざん言っていますけれども、ディマンドサイドでデジタル化が進んで、スマートコミュニティー、スマートグリッド、こういうコンセプトが本当に社会実装されてきますと、やはりピークのときに、供給サイドだけじゃなくて、松村さんもおっしゃっておられましたけれども、需要サイドでのディマンドレスポンスをさせる。これが市場と連動する。市場に今度はネガワット市場ができてくる。

 今、ピークのときに省エネをやれば、それだけ、今までの売り値よりも何倍かの値段で省エネ量を買ってあげます。省エネをやれば、今度はポジワットがふえてきますから、例えばオンサイトに電源が入っているとしますと、その電源がポジワットでも売れて、二重の効果が生まれる可能性もある。

 だから、そういう意味で、やはり上位系からの電力の一方通行的な方向からディマンドサイドにある一部が移って、それがうまく共存して、うまくインターネット化していくということがこういう予備力不足を解消する一つの大きな力になっていくだろう、こう思っています。

國重委員 ありがとうございました。よくわかりました。

 先ほど松村参考人の方から、広域的運営推進機関もその役割を担うというようなことをおっしゃられましたけれども、この広域的運営推進機関について、先ほど金子参考人の方が、中立性を確保するために第三者の規制機関とする必要があるんじゃないかということをおっしゃられました。

 この推進機関の会員は電気事業者のみがなるということになっておりますけれども、その上で、第三者規制機関とするんだという御意見で、その人事について国会の同意を必要とするというようなことをおっしゃられていますけれども、この第三者の規制機関とするために、こういうふうにしていけばいいんじゃないかとか、また、より詳しい御意見があれば教えていただければと思います。

金子参考人 先ほどから出ているように、ピーク需要のカットであるとか広域化をしないと、そういう一番ピークのところを抑えられない。

 この広域機関の役割が、当面が、いわゆる緊急時、足りないときだけで、相互の地域の独占状態を前提にしているわけですよね。より広域的に全体をコントロールできれば、局部的な問題はかなり解消できると思うんです。

 そのとき、電気事業者が一定の範囲で入っていないと協力が得られないという関係があることは確かなんですが、それだけに限ってしまうと、逆に言えば、現状を固定化させようとする力が猛烈に働いてしまうので、ドイツなんかでも第三者的な独立機関が設けられておりますので、一定の専門家も含めて、こういう機関に参加をし、なおかつ、消費者も含めてですけれども、第三者がそれにコミットできるような仕組みをつくっていかないと、これまでのいわゆる電力系統利用協議会のような弱点というか問題点が克服されないのではないかというのが私の意見でございます。

 もちろん、具体的に、どういうメンバーを入れたらいいかとか、そういうことについてはさまざまなパターンがあり得ると思いますので、一応幾つかの、そういう第三者的な委員になり得るような人たちを念頭に置いてお話をしたということでございます。

 以上です。

國重委員 ありがとうございました。

 また、松村参考人と柏木参考人にお伺いします。

 送配電部門の中立性をいかに保てるか、独立性を保てるか、ここが改革の最大のポイントではないかというふうに私は思っております。

 これについて、今、法的分離にしようというような話が持ち上がっておりますけれども、法的分離にして持ち株会社の下にぶら下がるというような形になりますけれども、そのときに、どのように中立性を確保すべきとお考えなのか。

 また、電力会社が送電網を保有する弊害の指摘に関しては、発送電分離よりも、むしろ、送電線が中立で公平に使用されていることを検証する独立委員会の導入こそが優先されるべきとの声もありますけれども、これについての見解もあわせてお伺いします。

松村参考人 まず第一に、独立委員会の形成が優先されるべきだと。

 それをつくるというのがいけないとは決して思いませんが、本来、その役割を果たすべきだったのがESCJだったのではないかと思います。しかし、申しわけありませんが、ESCJがこれだけ役立たずだった。この役立たずなものをこれだけずっと続けてきたわけですよね。今さら、そこを強化すれば十分中立的になり、公正になり、信頼性が高まるなんという議論は、およそナンセンスだと思います。それは、ある種の分離、ここで言えば法的分離ですが、これをした上でやる、さらに監視機関としてやるということであれば、十分意味があると思いますが、中立的にするということを証明する機会は今まで十分あったのに、それを今までこれほど怠ってきておきながら、何を今さら言っているのかと私は思います。

 それから、中立性を担保するために、大きなところとしては、フランスなどで行われているのは、送電部門のトップのマネジメントというのを持ち株会社に完全には自由にさせないということで、一定の公的な関与をするということが必要だと思います。

 それから、送電部門とそれ以外の部門の間の人事交流のようなものを一定制限するということも必要だろうと思います。

 ただ、人事交流を制限し過ぎると、今度は、発電のことを何も知らない系統屋さんとか、系統のことを何も知らない発電部門の人ばかりつくるということになっても、これは安定供給の点から心配ですから、このさじかげんというのはすごく難しいのです。こういうようなさじかげん、人事交流の制限も一定必要だけれども、交流も非常に重要だという両方をにらみながら、これから詳細に設計していくということになるのかと思います。

柏木参考人 電力というのはおもしろくて、例えば、送電線が一本あって、百の電力、発電所があって、百の需要があったら、これは、百、流れますよね。これが二百の需要になって、例えばここに百の需要地密着型の電源をつくると、これは百がこう流れて、百がこう流れるので、一本の送電線で二百の需要を賄うことができるわけですよね。

 だから、発電システムの周りに需要を置けば、ある意味では、この送電網はより多くの電力を使い尽くすことができるようになる。カンパニー制になるということは、送電ネットワークカンパニーの利益を最大限にして、既存のもので、より多くの電力量を輸送するような格好にするためには、潮流の開示をしながら、どこにどういう電源を設置したら最もこの一本の送電網が有効に利用できるかということを考えることにもなるわけです。そういう意味では、まず、カンパニー制にするということは、いろいろな電源の位置からあるいは潮流の開示、潮流をコントロールすることによって、既存のもので最大限の売り上げ、託送料を取ることができるようになる。これが一つ目です。

 ところが、やはり今度は電力会社間で中立性を担保するということになると、どうしても今の、最初につくるであろう、この法律の中で書いております広域運営機関。広域運営機関が上位から、それぞれのカンパニーが本当に中立性を持って運営しているかどうかをチェックする。さらに、それの独立系の規制機関をつくる。

 私は、独立系の規制機関というのは非常に重要だと思っていまして、これが透明性、中立性さらに専門性というものを有している必要があって、電力は生き物ですから、そういう意味では、専門性がなきゃいけませんから、まず、そういう機関を、エネ庁とは言いませんけれども、少なくとも経産省の中にきちっと置いて監視をしていく必要があるんじゃないか。

 ですから、二重、三重のプロテクションをかけていかないと、この法的分離という手段を使っても、本当にネットワークの中立性が担保できるということにはならないだろうと思っています。

 以上でございます。

國重委員 ありがとうございました。

 最後に、辰巳参考人にお伺いします。

 先ほど、自由化が進んだとしても、やはり消費者の立場に立った場合に、しっかりとした情報が来なければわからないというような御意見がございました。

 国または事業者の方で積極的な広報また情報提供が必要なんだということでおっしゃられましたけれども、消費生活アドバイザー、また女性の生活者の視点に立って、国または事業者として、どのような情報提供とか、また広報をしていけば、消費者にとってよりわかりやすいものになるか、御意見をいただければ幸いです。

辰巳参考人 ありがとうございます。

 とても難しい話です。例えばですけれども、今、電力料金の値上げの話があって、電力会社さんは個別に非常に見やすいパンフレットを各戸に配達しているんですね。でも、それを見て、すごくよくできているな、わかりやすいなと言う人もいれば、いっぱい書いてあってわからないと言う人もいるんですね。こういうふうに、非常に消費者というのは千差万別です。そういう意味では、広報というのはとても難しいと思うし、やはりそれぞれ人にわかるような伝え方が必要だというふうに思います。だから、そういう意味では、こういう方法がいい、ベストだという答えはないかというふうには思うんです。

 やはり、いろいろな数をいろいろな方法でいろいろやっていただいて、それで伝わらないときには、さらにそれを受けるサポート体制が必要だというふうに思っておりまして、私どもの団体のような消費者団体もありますもので、そういうふうなところが真ん中に立って、もちろん、国やら電力会社さんから情報が流れてきても、それをもう一度かみ砕いてさらに詳しく伝えるというふうなシステムも必要かもしれないし、そこのところで、わからないことをわからないまま、ほっておかれてしまうと困りますもので、それをちゃんと受けとめる仕組み、そういうものもぜひやっていかなきゃいけないというふうに思っております。

 なかなか難しいとは思っております。よろしくお願いします。

國重委員 ありがとうございました。

 先生方、皆様のお知恵をかりながら、課題を一つ一つ解決しながら、電力システム改革をしっかりと進めてまいりたいと思います。

 本日は、本当にありがとうございました。

富田委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 おはようございます。

 参考人の皆さんの御発言と委員会の委員の先生方の御質問あるいは御意見を聞きながら、気がついた点を何点か質問したいと思います。

 時間の方は二十分ですけれども、各先生方の時間を途中で切ることなく、思いのたけを語っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 先ほど御意見を伺う中で、柏木参考人だと思うんですけれども、工業化を進めるにはこれまでのシステムはよかったという御発言があったかと思います。なるほどだなと思いました。

 やはり今、私たちの当面の課題としては、戦後間もなく、高度成長期を含めて、昭和五十年、六十年の前半ぐらいまでは、政治に携わっている人たちは結構感謝された時代なんです。税収入がふえてきましたから、与党も野党も、頼めば、それに対して、それぞれの支援をされている方は、見返りと言ってはなんなんですけれども、ちゃんと得るべきものがあった時代。今の時代は、税収入が減ってきておりますから、国民の皆さんに負担をお願いするという時代でして、消費税の議論も、五年から七、八年の間に必ず一回は議論をする。議論をするたびごとに、私たちはもっとやることがあるだろうと怒られてしまうということで、結構大変な時代かなと。

 ですから、二十世紀型の経営から二十一世紀型の経営に変える今のタイミングでこの電力システム改革が行われているのかなということは、柏木先生のお話を聞きながら、そうだなと思いました。

 その速度の問題についても、松村参考人、柏木参考人、金子参考人、皆さん、そうだと思うんですけれども、できるだけ早くというお話だったと思います。これは、私たちの国に体力があるときに解決できる問題は解決をした方がいいよということかなというふうに理解をさせていただきまして、私も本当に勉強させていただきました。

 それで、皆さんのお話を聞きながら、特に金子参考人のお話の中で、原子力発電のお話を強調されておりました。

 私も、御発言を聞きながらそうだなと思ったのは、送配電の部門があって、発電部門は、水力とか火力、あるいは風力、そして太陽光、ここのところはそれほど難しくはない、技術的には安定している、原子力というと、国の核燃料サイクルを含めて、大きなシステムの中でマネジメントされているので、電力会社の中でも、多分、部門によっても社風が相当違うのかなというふうに思ったわけなんです。私、電力会社で働いたことがないものですから、恐らく、電力会社の中でその経営の皆さんの御関心がどこにあるかというと、今だと、ほとんど原子力しか関心がないかもしれないですよね。原子力が安定しているときには、送配電の部門とか、あるいはほかのところに御関心があったと思います。

 ですから、金子参考人にぜひお伺いしたいのは、繰り返しでもいいんですけれども、私も、一九八三年から八七年までドイツのデュッセルドルフに住んでいて、チェルノブイリのときにヨーロッパにいたものですから、その危機感というのを今でも思っていまして、三月十一日の震災のときにも、水素爆発を起こす前に、結構大変な事態に陥るおそれも多分にあるのかなと思っておりました。ですから、核燃サイクル等も含めて、原子力について、やはり国としての考え方を出して、一定の方向に進ませた方がいいという御発言だと思いますので、その点について、もう一度、お聞かせいただければと思います。補足の御説明をいただければと思います。

金子参考人 原子力に対しては、倫理的には私は余り望ましいと思っていないんですけれども、一応専門の立場からいうと、コストを軸にして考えていったときに、先ほど申し上げたように、現状で既に合わなくなってしまっている。

 多分、安全投資を怠ってきたことで事故が起きてしまった。この時点で起きちゃったので、残る残存期間の間に新たに安全投資をして、それをコストに乗せると非常に高くついてしまう。それから、廃炉のコストを、一部、活断層とか新しい基準でやると、その部分がまた新しく乗ってきてしまう。それから、原子力損害賠償支援機構で、今のところは、電力コストに入っているのは、一般負担金の一兆円と東京電力の特別負担金を含めた一・八兆円、約二・八兆円、もう超えちゃっているわけですけれども、新たに発生したものもコストに乗ってくるというふうに考えると、もうかなり割に合わなくなってくる。

 今のまま電力会社に任せておくと非常に危険だなと思うのは、コストがかかるんだけれども、廃炉にすると潰れてしまうので、無理やり動かしたくなる。そのために、ずるずるずるずる安全を無視して動かそうとするので、ますます多くの国民が不信感を持って、原発を、動かしていいものがもしかしたらあるかもしれない、廃炉にした方がいいかもしれないという、冷静な判断ができなくなる一種のパニック状態に入っている。

 それなので、もう新株を発行させて、持参金つきで原電に移して、冷静に安全基準だとかコストとかいうのを考えて、使用済み核燃料の容量も含めて、どこで切ったらいいかをそこで初めて電力会社と切り離して冷静に判断できる、これが最低限の条件なんだと思います。私自身の立場とは別に、きちんとした冷静な判断をしてこのパニック状態を収束させるにはそういう形がある。

 しかも、電力改革でいうと、原発を今の状態で抱えて発送電を分離して、法的分離にしても、電力会社がこの状況に耐えられるかというと、私はもう耐えられないと思います。だから、ほとんど机上の空論になっちゃうと思います、この電力改革の議論が。

 もう一度、改めて、こういう広域の系統機関なんかについても、私、意見を申し上げたのは、原子力村とか電力村という言葉があるように、仲間内だけで閉じている、経産省、資源エネルギー庁、そのシステムを今の状態で持ってくると、つまり、制度上フェアに考えたとき、一般論としてどうかということではなくて、現状ではそれを何とか外すことが必要になってきている。

 だから、両方を同時にやらないとこの改革はうまくいかないので、差し当たり、原発に賛成するか反対するかということを抜きにして、冷静に原発を判断するための条件を整備しないと、この状態では電力改革をやることは非常に難しいだろうと思うことで、先ほど言ったような解決策があるのではないかということをお話しした次第です。

大島(敦)委員 金子先生のお話をお伺いしながら、私も会社員としての経験が十九年あるものですから、一回転職しておりまして、会社の体質というのはなかなか変わらないと思います。会社の体質はいい面と悪い面があると思っていまして、三月十一日の震災直後の電力の復旧の状況というのは、私は評価をしています。これは、電力会社、東京電力さんあるいは北海道電力さん、全国の電力会社の皆さんが、お互いに危機管理をして、バックアップをとりながら早急に立ち上げた状態なのかなと思っていまして。ですから、緊急時に備えることと経済効率を、相反する利益をどうやって調整をとるのかが電力改革での結構キーかなと思っているんです。

 先日も当委員会で政府参考人にお伺いしたのは、南海トラフの巨大地震、この地震が、マグニチュード八から九クラス程度だと、向こう三十年で六、七割起きる可能性があると言われています。貞観の地震、慶長年間の地震、そして明治、昭和の三陸沖の地震の前後十年間には必ずここの首都直下型の地震も起きていますから、今、物すごくリスクの高い時代に私たちは生きている。内閣府の方に、では、どのぐらい電力が、最悪のケースとまるのかと伺ったところ、大体全国の四一%、二千七百万軒ぐらいの、要は関西を中心とした電力が落ちるわけなんです。

 ですから、私は、こういう想定されるリスクに対しても、この電力改革というのは、ある一定の方向あるいはシステムのバックアップを持っておく必要があるのかなと思っています。その点につきまして、四人の参考人の先生方に御意見を、質問通告していませんので何を聞かれるかというのはほとんど皆さんにとっては初めてかと思うんですけれども、皆さんの御意見がありましたら、お伺いさせていただければ幸いでございます。

松村参考人 予想される災害、しかも千年に一回とかではなくて、六十年とか八十年とかに一回起こる可能性が十分あるような、そういうものに関しては万全に備えをすべきだというふうに確かに思います。

 それで、そのためにある種のバックアップというのをきちんと備えるということは考えられているし、それから、それは広域機関の大きな役割になると思います。具体的にどのような災害があり得るかということを考えて、それに対してどう持っていくか。

 ただ、それが起こったときに、どんな大地震が起きても一瞬たりとも停電させないようにというと、すさまじいコストになってしまいますから、それは当然そのバランスを考えるわけですね。

 例えば、そのための一つの大きなものとしては、先ほど出ていた周波数変換所なんというのもあると思います。東南海地震で仮に西日本が大きな被害を受けたとしても、東日本の発電所はかなり残っている可能性があると思うんですよね。そうすると、これを大量に運んでこられるということがあれば、それだけで安定性はかなり高まります。

 想定は違いますが、例えばESCJが出している試算では、周波数変換所を百八十万キロ増設すれば、六十年から八十年に一度起こるような大災害が仮に起こったとしても、計画停電はかなりの程度避けられる、しかし、その増強を九十万に抑えたとすると、一カ月程度は計画停電というのが避けられないかもしれないとか、そういうような類いの試算というのも出ています。必ず計画停電になる、そういうことを言っているわけじゃないんですが。

 しかし、そういうふうに考えれば、普通なら、安定供給を今まで一番重視している電力事業者なら、百八十万までぜひ増強させてくれと言って、経済学者が、いや、それはしかしコストがすごくかかるので、例えば電気代とかが三銭上がるとか三十銭上がるとかというようなことになったとすればやはりコスト高なので、そう言うならまだわかるんですけれども、そういう事態も心配なのでぜひバックアップのためにつくるべきだということを言い、電力会社が見苦しく、そんなコスト高なものは消費者は受け入れられないとかと言って抵抗して、結局、増設を必死になって抑えようとする。

 こういう状況というのを考えれば、システム改革というのは、まさにおっしゃったようなバックアップというのに十分資する方向に持っていけるのではないか。必要なものならコストを負担してでもつくってくれということを広域機関がちゃんと言う、こういうシステムに変えていくということが計画されているんだと理解しております。

柏木参考人 原子力に関しては、私個人的には、もう選択肢はへずらない。もちろん、こういうシビアアクシデントを起こした当事国ですから、まず、技術的な観点からきちっと事故の究明をする責務があって、世界はまだ原子力を捨てていませんので、それを輸出産業としてひとつやっていこうということであれば、間違いなく国内できちっとしたものを動かしていくということが重要だ。

 価格、コストに関しては、例えば、二十兆円かかったとして、二〇三〇年度で十一円ぐらいで、火力のものとほぼ互角である、既存のものに関してはですよ。新しいものであれば、もう少し安くなる可能性もあるというふうに私は思っております。

 ただ、選択肢を減らさないということになったときに、この電力システム改革とどういう整合性をとっていくかというと、最終的には市場が価格を決めるということになるんでしょうけれども、国策として選択肢を残しておくということはバーゲニングパワーが発揮できることになりますので、化石燃料をもし高いスポットで買ってくることであれば、我々は原子力の比率を少し上げる、こういう戦略もできるわけで、選択肢を減らせば減らすだけ、それはもう高く買わざるを得なくなる。国内で資源が出ればいいわけですけれども、それがない状況だと、やはり選択肢はへずらない。ただ、選択する必要は十分ある。ただ、女川はとまったという事実もあります。

 ですから、そういう意味で、理学の延長線上できちっと活断層の問題等々はやるべきだと思いますけれども、それと同時に、疑わしきものはやはりちゃんと工学的なもので対応するということもあわせて、理学と工学が共鳴するような、こういう基準をつくっていく必要があるんじゃないか、こう思っています。

 仮に、日本がまだ原子力を捨てないという選択をするのであれば、これはオークションで、例えば発送電分離をしたとしてもゼロ円入札をしていく。それで、セカンド・プライス・オークションのように、幾つかの、三〇%なら三〇%、ベース電源は、例えば一年前に入札する。ゼロ円入札、原子力はゼロだ、あと幾らかこうやって、最後に石炭が九円で入札して、その前の八・九円になったら八・九円で全部上げてやるという手法もありますし、今のフィード・イン・タリフも同じように、やはり固定価格で買い取る、別格のものをやっていますから、国がそういう意味でエネルギーシステムをきちっと頑強なものにしていくということであれば、制度設計あるいは市場の原理、いろいろなものを考えたときに手段は幾らでもあるというふうに今思っています。

金子参考人 福島第一原発事故が示したのは、おっしゃるとおりに、集中メーンフレーム型の電力供給のリスクというのは全体のシステムを麻痺させかねないということも露呈したんだと思うんですね。その意味では、できる限り、EUもそうですけれども、全体がネットワーク化して、少なくとも日本国内が広くネットワーク化して分散型のエネルギーにすることが、リスクを局限化するという意味で望むべき電力のシステムの選択肢だと私は思っています。

 その意味で、現状で、四十年廃炉を外し、五年の安全投資の猶予をするというようなことをやりながら原発を無理くり動かそうとしているという背景が、実は電力会社が廃炉にすると経営がもたないというような理由で安全を無視していくと、恐らく同じことが起きかねない。それを防ぐことがやはりとりあえずは大事なことなのではないかというふうに思っております。

辰巳参考人 とても難しいなとは思っていますけれども、やはり、恐らく起こり得るだろうということを事前に考えておくというのは本当に重要なことで、実際問題、各家庭においても、もし地震が起こったらとか、もしどういうことが起こったらということを考えて、ある程度、例えば二日なり三日なり自分たちで生きられる何か、保存食とかを含めて考えていくというのは、今の社会、日本にあって、やっていくべきことだというふうに思っております。

 だから、そういう意味では、電気に関してもですけれども、やはり優先順位というのがすごくあると思うんですね。常に一〇〇%の安定供給というものを消費者が望んでいるわけではないと私は思っております。

 だから、先ほども申しましたように、自分で選ぶということは、それはイコールそのまま危機管理、危機感等も含めてやはり共有できるんじゃないかというふうに私は思いますもので、だから、もしもこういうことが起こったときにはどうなるということを事前に検討なされていることをちゃんと説明してほしい。こうなったときにはもしかして一日か二日間こういう状態になるかもしれませんけれどもとか、やはり、そういうふうな状況がわかった上で備えるのと、わからないままパニックになってしまうのとは随分違うと思います。

 それからあと、先ほど優先順位があると申しましたが、家庭においても、やはり同じ電気でも優先順位があると思うんですね。だから、テレビを見なくても済むけれども、例えば病気の方たちがもし家庭にいて、電気を使った治療をなさっている方とかはそれは困るしとかということがあるので、そのあたりもきちんと自分で選別できるように、絶対に、電気は暗くなっても構わないからというふうな発想でいると思いますので、そのあたりは信じて、そのかわりに、きちんと体制をとっているということを伝えていただきたいということですね。

 以上でございます。

大島(敦)委員 参考人の先生の皆さん、本当にありがとうございました。

 我が国は人口が今減少していまして、多分、四、五十年先には八千万人台になるものですから、それも選択肢の一つ。

 もう一つは、私は、家庭の燃料電池、ガス発電の燃料電池の効率がいいのかなと直観的には思っています。ですから、電力のシステムとガス発電のシステムを両方加味すると日本の電力は安定化すると思います。その点を一言述べさせていただいて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、質疑順序について御配慮をいただきまして、ありがとうございます。

 参考人の皆様には、大変お忙しい中、当委員会に御出席いただき、貴重な御意見をいただいたことに改めてお礼を申し上げるものであります。

 早速質問いたしますが、最初に、四人の参考人の皆さんにお尋ねしたいと思います。

 今回の電力システム改革の法案というのは、やはりその契機となっている一つが福島原発事故の問題であります。発電電力量の三分の一を担う東電、実質上破綻状況にある、そういった東電改革のあり方の問題や、発電ゼロでも電力会社を通じて電気料金の上乗せを強いるような日本原電のあり方の問題、何よりも国民的な議論となっています原発のあり方そのものをどうするのか、こういったことが今大きな問題となっているにもかかわらず、今回のこの電力システム改革の法案については、この東電のあり方、原電のあり方、原発のあり方というのが直接触れられるものとなっていない。これは、法案として極めてリアリティーに欠けているんじゃないのか。

 この点での皆さんの御認識、法案としての妥当性も問われているのではないのかと率直に考えるところですが、皆様のそれぞれの御意見を賜りたいと思います。

松村参考人 東電改革あるいはその東電の賠償スキームのあり方に関してまだ重要な問題が残っているというのは、そのとおりだと思います。原電のことをおっしゃいましたが、恐らくこれは料金システムのことをおっしゃったのではないかと思います。料金システムにも問題があるのではないか。あるいは、原発政策のあり方というのについてもまだ決まっていないじゃないか。そういうことがあるのに、それに一切触れないで電力システム改革がということに関しては、私は、それは極めて自然な姿だと思いますし、法案としての欠陥だと思っておりません。

 私は、そのようなものがどのようなものであろうと柔軟に対応できるようなシステムをつくるというのが今回の改革の目的であって、今御指摘になった点が重要でないとは決して思いませんが、並行に、あるいはシステム改革の後に、どのようなタイミングであったとしても、そのような重要な問題が残っているというのは事実だとしても、システム改革自身の内容に影響を与えるようなものではない。それがどのようなものになったとしても、効率的で柔軟に、安定供給と低廉な電力供給を確保するということのために行われているものだと思いますから、これらに触れられていないということが法案の問題であるとは私は思っておりません。

 以上です。

柏木参考人 先ほどもちょっと述べましたけれども、私は、原子力は選択肢の一つとして残すべきだという強い意思を持っています。

 ただし、この法律は、原子力の是非にかかわらず、メリットオーダーでの広域的な電源の運用と、それから分散型電源に代表される小規模の高効率な電源、これの公平性を担保するということになりますと、別に原子力が今後どうなろうと、進むべきシステム改革と原子力との整合性というのはそれほどリンクしたものではないというふうに私は理解をしております。

 もし、原子力を国策としてまだやるということであれば、これは先ほど言ったようなオークションスタイルでゼロ入札をやるとか、いろいろな手も考えていけるというふうに思っています。

金子参考人 先ほど来お話しさせていただいたように、この電気事業法の一部改正の法律自体の欠陥ではないんだと思うんです。本来的に言えば、原子力損害賠償法及び原子力損害賠償機構法の附則、当時自民党が野党でしたけれども、その圧力で民主党が受け入れた形で出てきた中には、一年後の見直し規定というのが入っているわけです。それが行われていないということに大きな問題があるんだと思うんです。つまり、幾つかの法律のやるべきことの要請が同時並行で進まないとそれぞれの法律が有効性を持たない、そういう関係なのではないでしょうか。

 そういう意味では、東京電力の問題でいえば、原子力損害賠償機構法の附則にあった一年後の見直し規定を早期に実施するということが求められているのではないかというふうに思っております。

辰巳参考人 ありがとうございます。

 自由化がもし進んだときに、やはりそれは消費者が選択することで決まるというふうに私も思っておりますもので、各電力会社さんがどういうふうな政策をおとりになっても、きちんと説明さえ受けていればそれを選択される。だから、原子力の発電を使いたくないという消費者がふえれば、もちろんそれは選択されない電力会社さんになるだろうし、それでも使いたいという人たちはそういうふうに選ばれるだろうしというふうなことで決まるんじゃないかなと思っておりまして、先にどうこうじゃなくて、選択が結果をつくり出すというふうに考えられませんでしょうかということです。

 以上です。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、金子参考人にお尋ねいたします。

 先ほどのお話にもありましたように、今回のシステム改革の問題と、原賠法、特に機構法の附則、これについてのしかるべき執行状況なしに、本来機能し得ないものではないのかというお話がございました。

 そういう点でも、この原賠機構のスキームそのものを改めて再検討することが必要だと思っておりますし、やはりメガバンクなどの利害関係者、債権放棄を求めることなどの責任と負担を求めて、何よりも原発事故被害者の皆さんの全面賠償や、あるいは除染の取り組み、生活再建支援、こういったことにつなげていくような取り組みが必要で、そういう点でも、東電とエネ庁のやり方に対して厳しい批判も寄せられているところであります。

 そういう点でも、東電の破綻処理等特別な公的管理が必要だと考えておりますし、こういった電力独占への民主的規制や国民的な監視、電力の民主化、これこそ今求められていると思うんですが、その点についての参考人の御意見をお聞かせいただけないでしょうか。

金子参考人 普通に考えればわかることで、今の東京電力の状態を三年後の小売の自由化までも延長してみた状態で、十分に期待に応え得る状況だろうか、それが五年後になったからといって改善するだろうかと。

 福島第一原発の一から四号機は一応廃炉が決定していますが、ほかは廃炉にできないんですね。なぜかといえば、廃炉費用、簿価上の残存価値とそれから廃炉の積立金の不足額とを含めて、一気に特別損失が表面化するために廃炉にもできないし、動かすこともできない。コストに当面見合うと考えている柏崎刈羽一号機、七号機でさえ、安全投資をすれば、恐らく十一円は簡単に超えてしまうし、事業報酬率を乗せて将来の安全投資をそこに含めようとしたら、とてもコストに見合う状況ではない。そうしたら、もう一度リセットボタンを押すことが非常に必要で、実は、そのプロセスで発送電分離をやっていくことも順番的に言えば可能になっていくんだろうと思うんです。

 形の上で新しい会社、新会社に移行するプロセスがありますので、そこでも、原発をどういう形で処理し、発送電をどういう形で分離する、誰が負担を負うかということは、附則の中にある、全てのステークホルダーが負担を負うときにどういう負担でやったら合理的にできるかということを、一応国会が議論をして決めていただくというのが大事なことなんじゃないかなというふうに思っています。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、小売料金の自由化の関係ですけれども、四人の参考人の皆さんにそれぞれお伺いしたいと思っているんですが、一つは、電力の小売料金との関係で、総括原価方式の問題と、やはり消費者、国民への情報開示の問題というのが重要だと考えております。

 総括原価が、一面では、地域独占のもとで利益確保の源泉となっていて、消費者、国民からブラックボックスじゃないかという批判も厳しく寄せられてきたところであります。例えば下河辺委員会の報告の中でも、東電は、販売電力量では六割以上を占める大企業等との取引である自由化部門を優遇していて、実質、東電の営業利益の九割を家庭などの規制部門で得ていた、こういうことが開示をされることで初めて明らかになりました。こういう点でのブラックボックスの中身の問題が問われてくるわけで、総括原価主義のあり方の問題が一つあります。

 一方で、総括原価の場合では、電力の独占のもとで、独占の横暴勝手に対して、これを抑止し、独占価格にメスを入れるという公益性を担保する側面もあわせ持っているのではないかという議論もあるところであります。

 そこで、こういった小売料金の自由化という場合に、総括原価の問題をどういうふうに考えるのか。その点でも消費者、国民への情報開示がしっかりと保障されなければいけないと考えますが、その点についての参考人の御意見をお聞かせください。

松村参考人 まず、下河辺委員会のことをおっしゃったんですが、恐らく東京電力に関する経営・財務調査委員会の報告書のことだと思うんですが、私も携わっておりますので、そのような引用の仕方は私は若干ミスリーディングじゃないかと思っています。

 それはどうしてかというと、結果的に、確かに、小売部門では大口からの収益が小さくて、小口、家庭用でほとんど稼いでいたというんですが、しかし、その要因を考えてみると、例えば今般の値上げというのを考えてみれば、東京電力もそうですが、関西電力も九州電力もほかの電力会社もみんな共通なんですけれども、自由化部門の方が値上げ率が高いんですね。

 なぜ自由化部門の方が値上げ率が高いかというと、燃料費が上がって、燃料費が上がった分の料金を転嫁する、こういうことになると、必然的に全てのお客さんに同じだけ上げるという形になり、もともと料金水準が高かった、つまり、大口では必要なかった固定費が幾つか入ってしまう、配電系統の固定費とかが入ってしまう小口の料金がもともと高かったので、上乗せしても値上げ幅が小さくなり、大口のところは大きくなる、こういう構造になっているんですね。

 東京電力の場合には、柏崎刈羽が中越沖地震でとまりました、その結果として燃料費が大幅に上がりました、しかし、値上げ申請はしませんでした。もし値上げ申請していたとすれば、恐らく自由化部門の方が高い値上げ率になった。家庭用もそうなったというのは、それを効率化でのみ込んでしまったということをした結果として、必要な値上げ率が、本来であれば高かったところというのは低く出てしまった。しかし、それは値上げを回避したという結果にすぎないと思います。

 恣意的なやり方で、独占力を行使して家庭用からたくさん取っていたということではなく、その点については、規制部門に対して、不利益をこうむらないようにちゃんとルールが定められていますから、そのようなルールを逸脱して独占的に取ったというのではなかったと私は認識しております。

 ちょっと横道にそれましたが、情報開示に関しては、規制料金に関して情報開示をするのは当然のことです。それは今まで以上に求めていかなければいけません。自由化した後でも一定の規制料金は残るだけでなく、託送料金のところは規制料金としてしばらく残りますから、このための情報開示制度というのはきちんと充実させていかなければいけないし、現在の料金値上げ申請の過程で出てきた消費者のいろいろな不満というのをきちんと取り込んで、情報開示がきちんとされることになるものだと思います。

 一方で、規制でない料金に関しては、例えばトヨタ自動車が、自分の原価というのがどうなっているのかというのを詳細に消費者に開示しなければいけないということがないのと同様に、十分な競争メカニズムが働いて、独占的な地位にあるという状況でなくなれば、そこの情報開示は普通の市場と同じものになるという形になると思います。

 あくまで情報開示は、規制料金の部分と、それから、十分な競争が働いていないという期間の限定的な話として充実させていかなければいけないと考えております。

 以上です。

柏木参考人 これまでは、安定供給という大きな目的のもとで大きな投資をする、それがきちっと回収できない限り事業者がなかなか経営ができないという話で総括原価方式がとられていた、公共性が高い電力だからこそというふうに思っています。ですから、これからは、公共性が高いところは依然、総括原価方式のようなものをやはり残していって、全てを市場に任せるということは極めて危険なものだというふうに私は理解をしています。

 例えば、送配電システムは公益性が高い、よってここは総括原価方式を導入する、ただし、きちっとした透明性と開示をしていく。特にまた、その潮流の開示をしながら、どこの位置に置いたら託送料が、発電システムの位置によっても託送料金が違うような形で、持てる送配電システムを十二分に使い尽くすようなことまでやはり開示していくということが、総括原価方式をとるに当たっても必要不可欠なものだ、こういうふうに思っているわけです。

 ただ、電源に関しては、これから大規模なものが新しく建っていくということはかなり厳しい状況になってくるだろうと思っていまして、そうなりますと、比較的リードタイムの短い分散型電源、これのネットワーク、こういうものに関しては、もう市場原理、熱をうまく使い尽くすとか。ただ、その中に、分散型の中にも固定価格買い取りという異常な、まあ劇薬が入っていますから、市場原理で競争できる電源に関しては市場がそれで決めていく。

 だから、公共性と、市場を重視するものと、やはり少しそこら辺のすみ分けをしていく必要があるだろう、こう思っています。

金子参考人 総括原価主義というものに対して、全ての規制を取り除けばいいというような議論、私もそういう議論には賛成ではありませんが、現状では、家庭用から高い収益を上げているというのも現実でありますから、こういう面もきちんと改善していくためにも、小売の自由化というのはある程度効果があるだろうと思うんですね。

 ただ、私は、今とても必要なことは、地域独占とこの総括原価が重なって作用しているということの問題があると思うんですね。それ以外に選択肢がないということが一つ重要だと思います。その意味で、この電力システム改革は非常に重要な意味を持つだろう。

 それから、もう一つ重要なことは、現状で燃料費の上昇を見ていると、シミュレーションの数字を見ていると、非常に石油火力をたくさん使っているんですね。どんどんふえているんですね。もちろん、ベース電力として石炭を使っているので、次にガスが来てという話なんですけれども。

 例えば、私の個人的な範囲で、きちんとした調査をしているわけではないんですが、多くの企業が非常に良質で効率のいい自家発電を持っているにもかかわらず何にも言ってこないと言ってくるわけです、PPSじゃないから。でも、かつては買ったこともあるわけです。先ほど申し上げたように、ある一定の規制機関でそういうものを掘り起こしていかないと、小売の自由化も有効なものにならないのではないか。人によってすごく数字に幅があって、資源エネルギー庁の人に言っても、十分に自分たちが把握しているとは思わないけれどもこれが数字ですみたいな言い方をしていて、現実には数字が、真っ当なものが出てきていない。

 その意味で、もう一度、そういう地域独占がゆえに、それを守るがゆえに燃料費もわざわざ高いものを使っているように私には見えているので、もっと改善の余地があるのではないか。今、ガスの調達価格等はやっていますけれども。そういう点でも、この改革が有効に働くように、もう少し配慮してほしいというふうに思っています。

辰巳参考人 どうもありがとうございます。

 うまくお答えできるかどうかわからないんですけれども、料金の審査委員会というのがありまして、今回の値上げに関してやはりその委員会が機能しているというふうに私はとても思っております。今まで総括原価方式で料金が決められていたということに関しても、全てが出てきたわけです、その総括原価方式で何が積み上げられていたかというのが。

 だから、それが見える形になったということはすごく有効なことであって、今もお話がありましたように、効率化等に関しても、家庭から日銭が稼げるから、だから少々のことぐらいいいかというふうな格好での、通常の企業がなさるような効率化をどこまでされていたかというふうなことも、非常に疑問な点がいっぱい出てきているんですね。

 だから、そういう意味では、こういう、料金をちゃんと、規制がゆえに審査されている仕組みというのは、非常にいいことだというふうに私は思っております。

 だからこそ、先ほどから話題になっております原子力発電に関しても、原子力発電がとまったから、燃料をLNGにかえるがゆえに、燃料費が上がったから値上げをお願いしますというふうに説明されますと、消費者というのは、ああ、じゃ、自分たちが一生懸命節電して、燃料費をたくさん使わなくすれば電気代もそんなに上がらないのかななんというふうに思いがちなんですけれども、それ以外に、働いていない、発電していない原子力発電のコストが随分かかっているから、少々の私たちの節電でも上げるのをとめられないんだというふうなお話をされると、とても理解が難しいんですよね。

 だから、そういう意味で、いろいろなことが表に出てきた、ああそうか、働かない原子力発電のお金まで料金で負担させられていたんだというふうなこともわかってきたということで、とてもよかったと思います。

 これがもし自由化になって、そういう話が全て隠れてしまって、例えばトヨタさんのお話も出ましたけれども、料金がどういう積算のもとに出ているかというのがわからなくなることは、やはり私たちとしては、知ってしまった以上、もう少し知りたいというふうに思いますもので。それは、もしかしてですけれども、声として消費者の側から出てくれば、答えざるを得なくなる、隠しておくことができなくなるというふうな状況も起こるかもしれないというふうに思いますし、その前に、そういうふうに声を出す消費者というのは非常に少ないです。

 だから、本当に競争が働くと、先ほどの効率化の話のようなことが起こりますもので、企業内でもどうしてもコストを下げざるを得なくなりますので、そういう意味では、そこまではやはりもう少しきちんと見ていく必要があるなと私もすごく思っておりますので、最初の意見陳述のときにもそういうふうに申し上げたつもりでおります。

 以上で、お答えになったかどうかわからないんですけれども、よろしくお願いします。

塩川委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 本日は、四名の参考人の皆さん、大変貴重な意見をいただきまして、ありがとうございました。

 最初に、松村、柏木、金子参考人にそれぞれお伺いしたいと思います。

 先ほど、松村参考人のところで、私の言いたいことというのがありまして、二番目、自由化するだけでは競争的な市場は生まれない、競争的な市場にするための競争基盤整備が重要である、そのとおりだと思います。

 それで、実は私は本会議でも大臣に質問させていただいたんですが、一つは卸電力取引所の問題なんです。

 御案内のとおり、今、卸電力取引所は〇・五%ぐらいしか取引がされておりませんが、欧米へいきますと、ヨーロッパが大体四〇%程度の取引量があるということで、これが非常に重要だと思うんですね。

 この点について、私が、ある程度、既存の一般電気事業者から電力を提供するように義務づけをしたらいかがですかということを質問したところ、いやいや、今、電力会社がそれぞれ自主目標で出すことで検討しているので、これで対応できますというような御答弁がありましたけれども、果たしてそれで十分なのかなという疑問がちょっとありました。

 その点についてと、そのほかにも、具体的に、こういう競争基盤を整備すれば競争が促進されるというものがもしあればお教えいただきたいというふうに思います。

松村参考人 まず、御指摘のとおり、JEPXは取引量が極端に少ないという状況にあります。これだけ流動性が少ないということだと、競争基盤としてはほとんど話にならないという状況だと思います。

 それで、これは売りだけじゃなくて買いの方もだと思うんですが、無理やり売りをふやして卸価格を下げて、こういうことを目標としているのではなく、取引全体を活性化したい。

 つまり、例えば新規参入者が入ってきたとして、自分が電源を立ち上げるということがあったときに、すぐにお客さんがとれない、だから、しばらくは取引所で売っていきます、こういうことが仮にあったとすると、このときに、極端に取引量が少なかったとすると、自分が売りに出したら急落しちゃうんですね。だから、電源を建てても全然もうからない。

 逆に、電源が建つまでの間にお客さんをとっていこう、しばらくは卸取引所で調達して、その後、自主電源に切りかえようとしたとしても、自分が買いに入ったら急騰しちゃうなんというような薄い市場だったら話にならない。

 したがって、取引全体を活性化するために、売りも買いも何とかふやさせたい。売りも買いもふやさせたいということで、両建ての取引というのをある種監視していくということが、流動性の確保に大きな力を発揮するのではないかと思っています。

 具体的に言うと、卸取引所の価格よりも、自社で限界的な電源を建てますよりも、そっちの方がコストが低いんだったら、そちらから買ってくる方がコストが全体として下がって電気代も下がるはずですから、そういうようなことについても、先ほど御指摘になった売りだけではなく、両方を監視していくということが非常に重要だと思います。

 それから、自主的に取り組みをしている。これは具体的に言うと、予備率を超えるような部分はちゃんと出せということを言う。それを出すことは安定供給に関して何の支障もないはずですし、出すときには限界費用で出していれば、約定するとすれば電力会社のもうけになるわけですから、悪いことは何一つない。

 だから、本来ちゃんとやるはずなんですね。ちゃんとやるはずなんですが、電力会社の強いインセンティブとしては、取引所が極端に薄くて、新規参入者がすごく入りにくいという状況になっていると一番もうかる構造になっているので、そこをちゃんとやっていないのではないかという問題意識がある。

 自主的にやるというわけですが、そうしないインセンティブがあるということを強く考えた上で、ちゃんと監視する。本当に自主的な取り組みだけでできたかどうかということを事後的にきちんと第三者が検証し、なかったとすれば、御指摘のとおり強制的に出させるという手段も考えるという二段構えでやる必要がある。したがって、強制的な手段というのは、手段としてちゃんとあるんだということをきちんと認識することが重要だと思います。

 それから、御指摘の、ほかのアイデアというのは、例えば常時バックアップを拡充するだとか、そういう形で今回のシステム改革でもいろいろな案というのが出てきております。このような策をフルに使って、何としてでも取引システムを活性化させたいというふうに願っております。

柏木参考人 例えば新規参入者が、電力会社間の競争はいいとして、この法律がもし通れば、新規参入者による新しいビジネスが生まれる。私は、三割が分散型だと言っているわけですね。分散型は、今までの老朽火力プラス効率の悪いものがオンサイトに入ってきて、三割というと、今の料金だけで十六兆円の三割ですから、毎年のフローが五兆円のマーケットが生まれる。これは分散型ですから、新たな市場です。もちろん、電力会社もおやりになるでしょうし、新規参入者もやる。

 ですから、そう考えると、自由化による経済波及効果というのは非常に大きなものがあって、ただ、新規参入者が分散型だけで小売まで出ていけるか。小売がやはりしっかりしていないと、幾ら分散型で余剰を出してもなかなかうまくいかない。だから、分散型を持っている事業者が新電力に同時に移行していくというセットアップが必要になってきて、そのときには、やはり市場の中に強制玉出しのような、大規模な、そんな何千億も新規参入者が投資できるわけがありませんから、総括原価であれば投資できたわけですけれども、それが投資できるわけがありませんので。

 そういう意味では、ベースの電源の一部を、前は三・五%、三百五十億キロワットアワーとか、今、大分自主的に電力会社がお出しになっているというふうに聞いていますので、ベース電源はアボイデッドコストに近い価格で市場に出していくということを最初のうちは強制的にでもやっていかないと、潤沢な市場創成、新しいビジネス創成にはいかないんじゃないかと。逆に言えば、早くいくためにはそういう制度設計もあわせて必要になってくる、こう思います。

金子参考人 普通の経済学で想定されているのは取引所みたいなモデルが多いんですけれども、経済というのは、あらゆるものを考えると、相対取引がかなりあるわけです。それと、取引所でやっている取引があるわけです。この二つが、実は、事実上、市場と呼ばれているものです、全く違う種類のものなんですけれども。

 さっきの広域の運用機関の問題で、すごく、新しい規制機関のように強くないと、あるいは新しい電気事業者を持ってこなきゃいけないと言ったのは、今はPPSで相対で取引して、役所なんかでもかなり拡大していますよね。その部分が一つあるわけです。もう一つが、おっしゃる取引所なんですよね。

 取引所は、さっきの松村先生の話にも共通しているんですけれども、例えば野菜の取引所であれば、複数存在すると、実は、どこかに自分で持っていく方が選択できますよね、買う方も選択できるわけですけれども。そういう仕組みになるには、今の状況では両方とも仲間内の、村の運営になっているわけですよね。それをどこかで風穴をあけて、自分たちの地域独占を守らせないように、むしろ第三者の規制、力や監視の目が働くような、誰かのチェックが働くような、国会の同意人事でも何でもいいんですけれども、そういう仕組みを入れていくことによってより機能させていくことをやらないと、一般論でそれを促進するというのはなかなか難しいんじゃないかというのが私の思っているところです。

今井委員 ありがとうございました。大変参考になりました。

 今度は辰巳参考人にお伺いしたいと思いますが、三・一一で、一般の人はキロワットとキロワットアワーの違いというのはよくわからなかったと思いますが、改めてそこでわかって、キロワットというのが要するに大事で、ピークカットをしないといけないんだなということが一般の人はよくわかったと思うんですね。

 ピークカットをすれば、要するに発電の稼働率も上がるわけですから、これは電力会社にとってもきっといいことだと思うんですけれども、そこで、では、ピークカットをするために、先ほどもちょっと御紹介がありましたけれども、料金を高くするとか、そういう方法もあるというふうにおっしゃっておられました。あるいはディマンドレスポンスで、スマートメーターを入れて見える化をするというものもあるでしょうし、いろいろな方法があると思うんですね。

 一方で、料金を上げると、では、そのときに子供のクーラーを切らなきゃいけないのか、いわゆる弱者にこんな冷たい政策をやっていいのかという意見もあるんですが、その点について、どうやったら、ピークカットというか、そういうところの消費を減らしていけるんだろうかという、何かそういう御意見があったらお聞かせください。

辰巳参考人 まさにおっしゃるとおり、キロワットもキロワットアワーも、全然みんなわかってなかったというのは事実だと思います。それは、そういうふうに恐らく学校でも習ってきていないんですよね。ただ、キロワットアワーだけは、何となく、自分の一カ月の電気代はこれだけだからというふうなイメージでわかってきた。

 ここに来て、ピークカットの重要性というのが、非常に理解が広がったと言っていいのかどうかわかりません、まだ、なかなかわかっていないかもしれませんけれども。だから、まず最初に、そのあたりをベースに、私はよく高さと面積という表現で講座なんかで話をしたりするんですけれども、やはり高さを減らすということに関しての理解がまずは重要です。それはもう間違いないです。

 先ほどもちょっとお話ししたんですけれども、そういうふうにベースが理解できると自分がやるべき行動というものも考えられてきて、節電というお話に対しても、では、自分はこの時間帯にはこうしたらいいとか、あるいは別の方法で、使わなくて済むような、すごく具体的な話だけれども、西日が当たらないような工夫をするとか、自分たちも協力しなきゃいけないという気持ちが湧いておりますもので、暮らしの現場ではいろいろ出ます。

 だから、ことしの広告なんかでも、今まで以上に、日陰をつくる植物、グリーンウオールですか、そういうものも非常に売れているというふうなことは、もう明らかにお昼のピークをカットしたいなという気持ちもあってやっているんだと思います。

 だから、そういう意味では、面積と高さのことをきちんと理解してもらうということと、それからもう一つ、ちょっと悲しいですけれども、お金で誘導する仕組みというのはやはりやむを得ないなというふうには思っております。

 そのためのサポートとして、やはり見える化、スマートメーターの設置だったり、私は太陽光発電をつけておりますもので、常時、そのときそのときの、瞬時瞬時の高さの消費電力がわかりますもので、それを見ることというのは、自分の日常行動を見るという意味では非常に意味があるというふうに思うので、そういうものの普及をサポートしていっていただきたいなというふうに思っております。

 以上です。

今井委員 ありがとうございました。

 まさに、そのスマートメーターの話を最後に皆さんにお伺いしたいと思います。

 先ほど、柏木参考人が、まさにそれをディマンドレスポンスの調整と一緒にやらないと意味がないとおっしゃっていて、そのとおりだと思うんです。

 先日、うちの党の木下委員が茂木大臣に質問しておりましたけれども、電力会社とすれば、電力会社はできるだけ電力を売りたいというインセンティブがあって、電力を、要するに節電させるようなスマートメーターを積極的に売るんだろうかという矛盾をはらんでいると。であるとするならば、例えば中のソフト、ソースコードを全部オープンにしてしまって、電力会社がある意味自分たちの都合のいいようにできないようにしてしまうとか、そういうことを促さないとなかなか広がらないんじゃないでしょうかということを質問しておりましたけれども、それも一つの案だと思います。

 スマートメーターあるいはスマートグリッド、いろいろなものを広げていくために、こういうことをしていった方がいいんじゃないかなという御意見がもしありましたら、そのことをお一人ずつお伺いしまして、私の質問を終わりたいと思います。

松村参考人 スマートメーターに関しては、まだまだいっぱいいろいろな問題が残っています。

 需要の制御というようなことをスマートメーターを使ってやる、いわゆる重いメーターを使うのか、あるいは、スマートメーターは計量の方に特化して、見える化だとかそういうところだけに特化して、そこは別のシステムでやるのかという選択があり、日本は後者の選択をするということに事実上決めた。

 つまり、制御に関しては基本的に民間事業者が普通に入ってくる、こういうことをしているので、それはまさに御指摘になったようなことを考えている。つまり、そういう、制御のインセンティブが最も強くあるのは電力会社じゃないかもしれないということをきちんと考えたということだと思います。

 それから、スマートメーターに関しては、恐らく、現状のままだと、これは配電部門の所有という形になり、配電部門はいわばこれからも地域独占が残る、こういうところになると思いますから、電力会社が資産として取りつけるということになると思いますが、制度の設計としては、例えば小売部分の所有にするという発想もあり得ますし、あるいは消費者が持つというような発想も原理的にはあり得ます。そうすると、消費者がメーターを選んでつける、こういうような制度設計も本当は可能です。

 したがって、これから、今現在のデフォルトではそうなってはいないけれども、その可能性も含めて、スマートメーターを集中的に議論するような研究会などできちんと議論していくということになると思います。

 以上です。

柏木参考人 人類七十億人で十六億人がまだ電気を使っていないということになって、彼らが使い出せば大変なことになるわけで、電力はこれからそんなには伸ばさない。

 ですから、電力会社が、売れて売れて困るというのでは、先進国としてはいい国ではない。だけれども、電力のデジタル化をきめ細かなマネジメントをするということによって、電力プラスアルファのビジネスモデルができてくる。これが、電波を通して電気の情報を常にリアルタイムでチェックできるということは、生きざまをそのままチェックできることになりますし、健康管理もできるようになる。

 だから、それはライフサポートビジネスみたいな形で、プラスアルファを膨らませて、電力の情報をきちっと管理することが付加価値革命につながっていく。それが、電力はパイが減ったとしても、全体のプラスアルファが出る。こういう法律を通さない限り、自由化とか、民に開いていかないと、電力だけが一握りという話になりますと、どうしてもそういう新しいビジネスモデルが閉塞してくる。

 だから、そういう意味で、イノベーションというか、スマートメーター、デジタル化するということは、新しいデジタル革命が起きてきて、第二のインターネット化ということになってきて、プラスアルファのビジネスによってビジネスサイズを大きくしていくという可能性があるんじゃないかと私は思っております。

 以上です。

金子参考人 多分、スマート化と言われるもののレベルが幾つかあって、今、GEなんかがやっている火力でもそうですし、日本でも、中部電力が水力でも始めていますけれども、水量のデータで、何を最適にすると一番コストが安くなるかというのをコンピューターが計算して、それで発電をするところ、御存じのように、スマートグリッドは、気象データから、極端に言うと、電力量に応じて、安いところから高い順にちゃんと電力を選ぶようなプログラム化がきちんとできていたり、さらに、一番末端のところで、スマートファクトリーとかスマートハウスという次元のところでいわゆるスマートメーターが機能するわけで、ここの部分の考え方はいろいろな考え方があると思うんです。

 やはり仕様を全部統一化しちゃって、みんなつけるようにしちゃった方が、逆に言うと、消費者が、自分たちが節電をするとか、省エネするとかいう意識が高まってくるので、私はそれがいいと思っているんですけれども、それは考え方の違いで、消費者自身が選ぶという考え方ももちろんあると思うんですけれども、そういう幾つかのレベルの中の最末端のところで、一番大きいのは意識、人が省エネしたり節電しなきゃいけないという意識が非常に高まるという意味で効果が高いと思うんですね、節電量そのものよりも。私はそういうふうに考えております。

辰巳参考人 電力会社さんが、売りたいわ、でも、節電も勧めなきゃいけないわというジレンマに陥られるというのは、日本に限らず、世界共通のお話だというふうに私は思っています。

 原料は、日本の場合は海外に依存している割合が非常に高いわけですから、日本としても、エネルギーはできるだけ省エネでやっていくべきだというふうに思っております。

 だから、そういう意味では、ちょっと聞いた話ですけれども、アメリカなんかでは、デュアルシステムというんですか、電力会社さんが節電をどんどん勧めても損しないような何か仕組みがあるとかというふうな話も聞いたことがあります、私はきちんと勉強しておりませんけれども。

 やはり、そういうふうなものもぜひ勉強していただいて、何か方法があったりすれば、考えていっていただけるといいなと思っております。

今井委員 大変参考になりました。ありがとうございました。

富田委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 みんなの党の井坂信彦です。

 本日は、お忙しい中、参考人の皆様、本当にありがとうございます。

 私どもは、震災の三・一一の四カ月後に、電力システム改革の工程表というものを、簡単なものですが、世に出させていただき、そしてまた、さきの衆議院選挙の公約にも電力システム改革ということを書かせていただいている立場です。

 今回の電力システム改革については、とにかくきちんと、そして、より実効性のある形で、しかも、強烈に進めていきたいという立場から、以下、皆様に御質問を差し上げます。

 まず一点目、四人の参考人の皆様にお伺いをしたいのですが、やはりこの電力システム改革全体を通して、骨抜きというようなことであったり、あるいはスピードダウンというようなことがあってはいけないというふうに考えております。

 そこで、お伺いをいたしますが、今回の電気事業法の改正案、また、附則にある今後のスケジュールなどなどをごらんになって、どの部分にそういったおそれや懸念があるのか、あるいは全くないということであれば、そうお答えをいただければと思います。そしてまた、骨抜きやスピードダウンということを今後の詳細制度設計も含めて予防するためにはどういったことが必要かということについて、順番に御教授いただきたいと思います。お願いいたします。

松村参考人 私は、スピードダウンというのがまさに骨抜きの一番典型的な形、国民の関心がなくなるまでずっと先延ばしをしてうやむやにしてしまおうというのが一番まずい骨抜きだと思いますので、それはきちんとやれということだと思います。

 それで、例えば法的分離に関しては五年ないし七年後ということで、こんなに遅くするというのが骨抜きの第一歩じゃないかなんということを言う人もいたんですが、私は全くそう思いません。

 先ほども申し上げたとおり、システムをつくり込んでいって、本当に実効性のある中立化というのをするためには、それなりの準備が必要です。そのためにきちんとやる。そうすれば、早くても七年後だと言っていれば、そんな速いスピードではできないなどというような言いわけを決して許さないような、地に足のついたスケジュールになっていれば、それはむしろ改革を進める方向になるのではないかと思ってます。

 それから、直近でいえば、広域機関に関して言えば、災害時、災害時と先ほどから繰り返されているんですが、災害時にちゃんと機能するためには平時からわかっていなければいけないわけですね。平時からきちんとインフラの整備にかかわり、系統の運用ということについてもきちんと情報を把握するということが必要だと思うんですが、つくり方を間違えると、今のESCJの看板を書きかえるだけ、基幹送電線や連系線についてはちゃんと関与していくという仕組みになっているのにもかかわらず、実際には、電力会社が上げてきた計画に判こを押すだけというのになってしまったら、これはまさに骨抜きだと思います。

 しかし、これを防ぐためにどうすればいいかというのは結構難しい問題でして、これから詳細制度設計のところできちんとやっていかなければいけないんですが、私たちがぜひ見ていかなければいけないのは、実際の仕上がりとしてそういう状況になってしまった、判こを押すだけのシステムになってしまったということだと、これはまさに骨抜きだということだと思いますので、そうなっていないかどうかというのをきちんと監視していくということが重要な点だろうと思います。

 法的分離に関しては、行為規制というのがきちんとなされるかどうかについてきちんと監視していくということをすれば防げるのではないかと思います。

 以上です。

柏木参考人 御存じのように、エネルギーシステムはインフラを伴っていますから、そうすぐにすすっと進むわけではない。特に、市場の創成だとか、あるいは自己託送の緩和だとか、制度だけで今ある電源をうまく融通するとかということは、ことしの国会でそれを今審議されているんだ、こう思っていまして、やはりできるところから着実に進めていくということが重要です。

 ただ、新規参入、全面自由化という話になりますと、市場が創成していないとなかなか表裏一体、うまく進みませんので、市場をこれから二年の間に活性化していく。市場が活性化するということは、やはり電源を持っている人たちが余剰を出すとか、あるいは、何らかの実際の電力を出していかない限りいけませんので、そういう意味では、時期的には、二年で広域運用、それは電力会社同士のぶつかり合い、競合をする、三年目で新規参入、市場をつくった上で新しいものを、さらに、徐々に規制を取り払って、完全自由化に行くのにさらにまた、一八年ですから、五年というぐらいのオーダーでここを進めていく。

 二〇二〇年度までにディマンドサイドのデジタル化が進んで、リアルタイム市場等々ができてきますと、発電、送電、配電という手段を使ってネットワークの中立化をしても、この制度自体はうまく回っていくんじゃないか。

 私は、技術的な観点からすると、時間的にはかなりスピード感があるというふうに思っています。

 以上です。

金子参考人 私は、かなり先送りしているというふうに考えております。

 それは、二〇〇二年から三年にかけて福島原発の事故隠しの後に、いわゆる企業の電力自由化が行われて、そのとき、あたかもこれで自由になってよくなるというふうに議論されたわけですけれども、結果は今日のような事態なので、その反省を踏まえると、やはり権限であるとか独立性であるとか第三者のチェックの入りようとかいうのを考えたときに、この広域的な運用機関に対しては危惧を持っています。

 というのは、先ほど来申し上げているように、電力会社の経営が非常に苦しいから、村の秩序を守るために必死だから、そういう状態なので、正常時であればそういうことは考えられると思うんですね。それから、法案の提出も、目指すという方向に何か表現が和らげられたというふうに報道されていますけれども、多分、電力会社の経営を配慮してのことだと私は思ったわけです。

 そういう意味では、確かに、松村先生がおっしゃるように、拙速な改革はろくな結果をもたらさないんですけれども、やはり現状の問題という意味では、原子力損害賠償支援機構法の見直しから始めて、基本的に電力会社の経営悪化の最大の原因になっている原発問題をしっかりと処理して、それを並行的にやりながら丁寧に制度づくりをしていくというふうにやっていただければ、法案に対しても随分信頼感が高まってくるんじゃないかなというふうに思っております。

辰巳参考人 先ほども申しましたように、やはり社会は機が熟しているんだと私は思っております。だから、一言、国会議員の皆様方がやるんだというふうに思って進めてくださることで進むんじゃないかと私は思っていますので、よろしくお願いします。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、所有権分離と法的分離ということについて、まず松村参考人にお伺いをしたいと思います。

 朝方の議論でも、所有権分離が憲法違反とは思っていないと同時に、法的分離でまず送電の中立性が確保されたかどうかを見きわめた上で、所有権分離に踏み込む判断をすることになるだろうというような御趣旨の発言をされたかと思います。

 しかし、法的分離でやって、その後で所有権分離という場合であっても、所有権の侵害というおそれは逆に残されたままなのではないかなというふうにも一方で思うわけであります。

 その場合、どのように対応することが考えられるかということについて、まず御意見を聞かせていただきたいと思います。

松村参考人 私的財産権の侵害だというふうに言われるが、私はそうは思わない、確かにそう申し上げました。

 それで、明らかな公益的な目的のためにやるのだということなのですが、しかし、相当強烈なことをやるわけですから、それをやるためには、ほかの手段は全て尽くしたけれども、この公益的な目的を達成するためにはこれ以外のことでは絶対にできないということを明らかにした後でないと難しいと考えております。

 したがって、現時点では、例えば法的分離をして十分中立化するという可能性はあると思いますから、その可能性というのをきちんとやることなしに行くのは問題があるというふうに考えております。

 したがって、ハードルが下がるというのは、法的分離をしたけれども、しかし、例えば電力会社がその制度設計を骨抜きにするということをした結果として全く機能しなかったということが明らかになった後であれば、ハードルははるかに小さくなるだろう。しかし、逆に、そこで十分中立的になったじゃないかということになってもなお所有権分離だということを主張すれば、それはむしろハードルは高くなったということになるんだと思います。

 その時点でもハードルが残っているかどうかというのは、これがどれぐらいうまくいくかということにかかっており、ぜひ電力会社も法的分離できちんと中立性を示すということをやっていただきたいと考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、所有権分離について、まだ松村参考人にお伺いをしたいんです。

 朝方おっしゃっていた中で、私も、ああ、なるほど、こういうお考えもあるのだなと少し目からうろこが落ちた話がありまして、私は実は、やはり最終的には所有権分離というのが資本関係もなくて一番すっきりしているのではないかというふうに考えている立場であります。しかし、朝方おっしゃった、逆に、所有権分離をしても、結局は同じ釜の飯を食った仲同士の会社なので、経済学的には全く関係がなくなっても、実は完全な独立関係にはならないのではないかというようなこともおっしゃいました。

 ああ、なるほどなと思ったわけでありますが、こういった懸念というのは、法的分離と同様の規制で所有権分離にした場合でも、解消はできないものなのかどうかをお伺いしたいと思います。

松村参考人 私が申し上げたかったのは、まさに御指摘のとおりでして、法的分離をしたとすれば、それは必然的にある種の行為規制がなければ中立化にはならないということです。そうすると、所有権分離したとしても、やはり同じような行為規制が必要になってくるかもしれないということでして、同じような行為規制が必要だとすれば、ハードルが低い方が合理的なのではないか、こう言うつもりでした。

 所有権分離さえすれば、一切の行為規制なく、透明に、クリアにできるということが口にされていれば、ハードルがどっちが高いという議論はあり得ると思いますが、どのみち必要になる可能性がかなりあると思っているものですから、こちらが優先だ、そういうつもりでした。所有権分離にしたら絶対に解決できないというつもりではありませんでした。

井坂委員 松村参考人にもう一問だけお伺いをいたします。

 逆に、所有権分離を法律で強制すると、いろいろ憲法上の問題があるとおっしゃる方も出てくるわけですが、強制ではなくて、何らかのインセンティブ制度設計によって所有権分離を促す、所有権分離にした方が得ですよという形に持っていくことについては、これは何も憲法上の問題はないのではないか、そして現時点で法案に書くことも別に問題ないのではないかというふうにも考えるわけですが、御所見をお伺いしたいと思います。

松村参考人 法的分離が機能しなかったときに、次に所有権分離というのを考えるときの、最も合理的なというか、リーズナブルな発想が、まさに今お示しになったことだと思います。強制的に分離するというだけではなく、分離するための強いインセンティブを与える。逆に言えば、兼営していると非常に不利になるということを埋め込むということもあり得ると思います。

 ただ、私自身は、それは今考えられている法的分離で機能しなかったときに考えればいいのではないかと思っていまして、私は、今の案の法的分離で十分に中立化する、今の案の足を引っ張るようなことを電力会社は決してしないで、前向きにやってくれた結果として、十分中立化するということを期待しておりますので、そこまでいかないで済むことを希望しておりますが、確かにそのような考え方というのは極めて重要で、もしうまく機能しなかったというときの備えとしていろいろ準備しておくうちの一つということで、理論的に整理することは非常に重要なことだと思います。

井坂委員 続きまして、金子参考人にお伺いをしたいと思います。

 同じく、所有権分離か法的分離かということについてお伺いをしたいと思います。

 参考人は、金融機関の貸し手責任ということを常々おっしゃっておられます。今回、この発送電分離の際の分離方法の議論の中でよく出てまいりますのが、金融機関のことも考慮して、やはり法的分離が無難なのではないか、最適なのではないかというような意見が出てくるわけでありますが、法的分離と所有権分離という手法を選択するに当たって、金融機関のことを考慮するという議論が出てくることについて、また、法的か所有権かということについてのお考えをお伺いしたいと思います。

金子参考人 多分、最大の問題になるのは電力債の問題だと思います、電気事業法の三十七条で優先弁済があるので。私は、先ほど公的資金と言ったときに、電力債はマイナス資産として事実上東電も引き継がざるを得ないと思います、法律を変えると金融が相当混乱してしまいますので。

 そのとき、所有権分離したときに電力債をどう割り振るかということについてのルールを決めざるを得ないと思うんですね。そうすると、過去の投資額に応じて電力債を割り振るのか、実際にどういう設備を建てたときにどういう電力債を使ったのかとかいうことを含めて分類をするということが多分必要なので、どっちのルールでもいいんですけれども、厳格なルールでやっていくことが必要だろうと思います。

 ただ、先ほどから出ている議論で、私の議論は割と簡単で、電力値上げが不当であるということで、電力会社の値上げ申請を受け付けずに、公的資金を入れて、原発を、株式を発行させて分離しますよね。すると、国が株主になりますから、その瞬間に所有権は分離することができるんですね。

 ですので、その際に問題になるのは、電力債をどう会社に割り振るかということで、送電会社の方に割り振ってもらった方が、多分金融機関にとっては安全な資産になってくる。そこのところが、多分いろいろな利害関係が絡むので、フェアなルールを立てないといけないというふうに思っています。

 以上です。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、柏木参考人にお伺いをしたいと思います。

 単に自由化するだけじゃなくて、やはり競争環境をいかにつくっていくかということが重要だと思いますが、例えば、四月末の電気新聞での記事も拝見をいたしましたが、分散型電源とか、あるいは再生可能エネルギー、こういった不安定電源を最大限取り込むためには、リアルタイム市場が不可欠だというようなことをおっしゃっております。

 ここで、リアルタイム市場についてお伺いをいたしますが、私は、これは早期に導入をしたいと思う立場なのでありますが、これはどういう段階じゃなければ導入をできないのか。仮に、第一段階で導入することはやはり不可能なのかということについてお伺いをしたいと思います。

柏木参考人 あくまでもディマンドサイドの中で、電源を持っている新電力、電源を持っている事業者は、既にもうデジタル化は終わっているというふうに考えています。

 ただ、自由化とともに家庭部門まで新規参入が入ってくる、あるいは家庭部門から自然エネルギー系のものがリアルタイムで売れるということになりますと、家庭部門の中にスマートメーターあるいはホームゲートウエー、あるいはエコーネットライトという言語を持ったスマート家電、こういうものが一式入ってきて、燃料電池ももちろん入ってくる。こういうことになりますと、リアルタイム市場というのはおのずから、整備されたところから参画できるということになる。

 ですから、全ての方々が、自由化という波のもとで、家庭部門まで含めて全ての需要家あるいは新規参入者がリアルタイム市場に乗れるわけではなくて、リアルタイム市場は、それを整備、デジタル化が終わっているところから参入できていくということになると、やはり家庭部門で電気を売ったり買ったりできるという話になりますと、それに参画する家庭というのは非常にふえてきて、極めてスピードアップしていく可能性がある。

 ですから、市場の創成というのは、あくまでも、デジタル革命が起こりつつあるときから、同時に創成していきながら、なるべく早く、全ての家庭とは言いませんけれども、多くの家庭にその享受があらわれるような形にすべきだというふうに思っております。

井坂委員 もう一点だけ、柏木参考人にお伺いいたします。

 地点料金制ということについて、先ほども、潮流、要は、発電地域と需要地域に大きな流れがあったときに、やはりこれを打ち消すような流れもつくった方が送電会社は有利だと。

 地点料金制、要は、地域によって送電網に入れるお金が違う、あるいは受電するお金が違うというようなことについて、その可能性についてお伺いをしたいと思います。

柏木参考人 今でも、需要地密着型の電源に関しては、託送料金が割り引かれる制度になっている。ただし、やはり潮流を開示するということは、送配電網にどれだけ電流が流れているか、これを開示するということは、サイバーテロ等もありますし、非常に安定供給に支障を来す可能性があるから開示されていない。だから、今度、一、二年の間に広域系統運営機構をつくるということは、潮流の開示を行うということにほかならないわけですね。

 そうすると、潮流の開示がなされると、では、今度電源をつくるのは、需要地密着型のここら辺のところにつくればこの系統にあきができるから、この系統はより多くの需要に対して一本の線で賄うことができるようになる。これが、ある意味では電源立地政策に極めて大きなインパクトを及ぼしてきて、さらに需要地密着型の電源に対する託送料金の低減化、こういうものにつながっていくと非常にいい循環が生まれていく、こういうふうに思っているわけです。

井坂委員 もう時間なので、終わりにいたします。本当に長時間、いろいろとありがとうございました。

 以上で終わります。

富田委員長 これにて午前の参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十五分開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、本案審査のため、参考人として、電気事業連合会会長八木誠君、全国電力関連産業労働組合総連合会長種岡成一君、株式会社エネット代表取締役社長池辺裕昭君、日本商工会議所中小企業政策専門委員清水宏和君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず八木参考人にお願いいたします。

八木参考人 電気事業連合会の八木でございます。

 本日は、このような機会を賜り、まことにありがとうございます。また、先生方におかれましては、平素、私ども電力会社の事業運営に関しまして多大なる御理解また御協力を賜っておりますことに、この場をおかりいたしまして厚く御礼を申し上げます。

 まず初めに、一昨年に発生いたしました東京電力福島第一原子力発電所の事故により、今なお、発電所周辺地域の皆様はもとより、多くの皆様に大変な御苦労と御心配、御負担をおかけしておりますことに、同じ電気事業に携わる者といたしまして、心よりおわびを申し上げます。

 加えまして、全国的に原子力プラントの再稼働のめどが立たず、火力燃料費の大幅負担増により電力各社の事業収支が厳しくなっております中、電力の安定供給に支障を来さないよう、関西電力を初めといたしまして、複数の電力会社におきまして電気料金の値上げをお願いさせていただいているところでございます。

 皆様の生活や産業活動に多大なる御負担をおかけいたしますことを、大変申しわけなく思っております。私どもといたしましても、引き続き徹底した経営効率化に努めてまいりますので、何とぞ御理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 私どもといたしましては、電力の安定供給や電気料金の維持の観点から、原子力発電の果たす役割は引き続き大変大きいものと考えております。

 今後、原子力プラントの再稼働に向けまして、本年七月に施行されます原子力の新規制基準を確実にクリアすることができるよう、引き続き安全確保に万全を期してまいりますとともに、立地地域を初めとする国民の皆様の不安の解消、信頼回復に向けて全力を尽くしてまいる所存でございます。

 それでは、今回御審議されております電気事業法の改正法案につきまして、私どもの基本的な考え方を申し上げたいと思います。

 本法案は、東日本大震災を契機として電気事業をめぐる諸課題が顕在化したことを受け、経済産業省の総合資源エネルギー調査会において検討されてきた改革の方針が規定されたものと受けとめております。

 私どもは、真に国民の皆様の利益につながる電力システムの実現に向け、これまで検討に協力してまいりました。今後もその姿勢に変わることはなく、本改革の趣旨を踏まえ、小売全面自由化やネットワークの広域化、中立化などの詳細検討にも協力してまいる所存でございます。

 一方で、電力の安定供給の実務を担う立場からは、とりわけ、改革の第三段階で措置されることとなっております発送電分離につきましては、いまだ懸念や対応が困難な点があると考えております。この点につきましては、後ほど御説明させていただきます。

 今回の制度改革は、国民生活や産業活動への影響等の観点から、極めて大きな改革でございます。真に国民の皆様の利益につながり、我が国にとってふさわしい電気事業制度となるよう、改革の実施に当たっては、各段階に応じた十分な検証と柔軟な見直しを行っていただくことが不可欠であると考えております。

 このような基本的な考え方のもと、改革の各段階において措置される主な項目について、私どもの考えを申し上げたいと思います。

 まず、改革の第一段階で実施されます、今回の法改正でも本則改正の柱となっております広域的運営推進機関についてであります。

 本機関の設立は、もともと私どもから、その必要性を提起させていただいたものでございます。

 本機関は、震災時の課題を踏まえ、電力会社間の広域的な協力等を円滑に進める仕組みとしてその役割が期待されるものであり、電気事業連合会におきましても、検討のための専任組織を設け、立ち上げに向けた協力を開始しているところでございます。まずは本機関を速やかに立ち上げることが重要であり、その上で、着実に機能を充実させる方向で進めていただくのが適切ではないかと考えております。

 次に、改革の第二段階で実施される小売全面自由化についてであります。

 私どもといたしましても、お客様選択肢の拡大等の観点から、小売全面自由化は望ましいものと考えております。今後、電力供給の最終保障をどうするかなどの公益的課題の検討にも積極的に協力してまいりたいと考えております。

 一方、経営としての創意工夫を促すという観点からは、一部の事業者に対してのみ非対称な小売料金規制がいつまでも残ることは望ましくないと考えております。したがいまして、その撤廃時期については、諸情勢を総合勘案した上で前倒しも含めた見直しがなされるよう、お願いしたいと思います。

 私どもといたしましては、そうした新たな競争環境のもとで創意工夫を重ね、お客様に選択していただけるよう、今まで以上に積極的に取り組んでまいる所存であります。

 続きまして、改革の第三段階として実施される発送電分離についてであります。

 発送電分離につきましては、これまで発送電一貫体制のもとで維持してまいりました安定供給を損なうことがないよう、分離を補完するルールや仕組みを慎重に整備していく必要があると思っております。

 例えば、電力の安定供給を維持するためには需要と供給を瞬時瞬時にバランスさせる必要がありますが、分離した場合には、みずから電源を保有しない送配電事業者が、この時々刻々と変動する需要に応じて調整用の電源を十分に確保できるよう、発電事業者との間のルールをしっかりとつくり込んでいく必要があると考えております。

 また、平常時はもとより、東日本大震災のような非常時の際にも安定供給が維持されるよう、発電側と送電側が協調できる詳細なルールを策定するとともに、実務上機能するかどうか、綿密に確認を行うことが不可欠であります。

 さらに、中長期的には、発送電分離により、電力会社の小売部門も含めまして、個々の小売事業者が自社の需要に応じて供給力を確保することとなりますため、将来にわたって地域全体の電力需要を満たす供給力を確実に確保できるよう、入念な仕組みづくりが求められるところでございます。

 今後、こうした具体的なルールの内容や仕組みを検討していかなければなりませんが、改革を失敗させないためにも、しっかりとした議論を積み重ねていく必要があり、その検討過程で問題が生じれば、分離の是非も含め、柔軟に見直しを行っていただきたいと考えているところでございます。

 その上で、本改革が安定供給の確保や競争の促進といった本来の目的を達成するためにも、次の二点の条件整備をお願いしたいと思います。

 一点目は、資金調達環境の確保についてでございます。

 現在、原子力政策が不透明なことなどを受けまして、電力各社の資金調達環境が非常に厳しくなっております。こうした事態を改善しないまま経営形態の抜本的な見直しが行われますと、原子力を引き継ぐ会社の事業運営には重大な影響が生じることが懸念されます。加えまして、このような先行きの不透明感が金融市場の不安心理を誘発し、足元の資金調達環境までも一層悪化するおそれがあります。

 こうした事態を避けるためにも、安定した資金調達環境の確保に万全を期していただくことが本改革の前提になると考えております。

 二点目は、責任あるエネルギー政策の確立についてであります。

 現在、足元では、原子力再稼働の時期が見通せない中、需給逼迫や財務状況の悪化があることに加えまして、中長期的にも、需要見通しや原子力の位置づけ、再生可能エネルギーの導入量など、全て不透明であり、このような状況では、事業者が長期的な電源投資の判断を行うことは極めて困難であります。

 事業者が巨額のリスクを伴う事業への投資判断に踏み切るためには、長期的視点に立ったエネルギー政策や原子力政策の策定が不可欠であると考えております。

 加えまして、こうしたエネルギー政策の策定に先立ち、現在、本改革が進められようとしていますが、今後、原子力・エネルギー政策が確立されたときには、その政策の実現に対し、今検討されている電力システムが十分機能するのか、危惧しているところでございます。

 今後、望ましいエネルギーミックスの姿をしっかりと描き、その実現に向けた道筋を明らかにしていただいた上で、電力システム改革が整合性を持ったものとなるよう、お願いしたいと思います。

 最後になりますが、低廉で安定した電力供給は政府の目指す日本経済再生を下支えするものであり、電力システムの見直しは失敗が許されません。以上の私どもの考えも含めまして十分な御審議を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、種岡参考人にお願いいたします。

種岡参考人 全国電力関連産業労働組合総連合の種岡でございます。

 本日は、こういう機会を賜りまして、心から御礼を申し上げたいと思います。

 私ども電力総連は、発電から送配電、設備、部材、部品の製造、そして、建設から保守メンテナンス、保安、お客様サービスに至るまで、電力関連産業に携わる労働者約二十二万人で構成する労働組合の組織でございます。私どもの加盟組合数は約二百四十組合ございますが、その約七割が従業員三百名以下の企業で働く者で構成されている労働組合の組織でございます。

 きょうは、電気事業法の改正の審議に際し、意見を述べさせていただくわけでございます。

 どのような政策であっても、それに携わる者が、その目的をしっかりと共有し、その達成のための方針を理解し、改革のための方策を推進していく、このことが重要だというふうに考えますが、このたび審議されております電力システム改革につきましては、現時点では、その目的と手段が私ども電力関連産業に携わる者としてわかりづらいものになっているのではないか、このように考えているところでございます。

 この改革案は、検討の段階からこれまで、直接携わる者が参画していない中で法案の作成まで進んでいるわけでございますが、携わる者全てが改革の方針をしっかりと共有し進めていく、このことがなければ目標、目的の達成はなし得ない、このように考えているものでございます。

 私たちは、長年、国民生活と産業活動に不可欠な電力の安全、安定供給に携わる者として、その使命感、そして自信を胸に持ち、また、そのことに誇りと働く喜びを感じながら、全職場、全部門が一丸となって取り組んでまいりました。

 平成七年以降、数次にわたりまして電気事業制度の改革ということも行われたわけでございますけれども、その社会的要請に対しても、安定供給と競争促進の両立を通じたお客様利益の拡大、こういう政策目標に前向きに対応してまいったつもりでございます。

 そして、現在、私どもの職場では、大震災を初め相次ぐ大規模自然災害による被災地の復旧復興、御迷惑をおかけしております福島原子力発電所事故の完全なる収束と賠償、支援、さらには、この事故を教訓とした原子力施設の安全対策の着実な実施、需給の逼迫が続く中での安全、安定供給の確保、そして節電のお願いや電気料金値上げのお願いなど、さらには徹底した経営効率化への対応など、非常に多くの喫緊課題に対しても極めて高い緊張感のもとで昼夜を分かたぬ努力を重ねている、このように感じているところでございます。

 本日は、お手元にお配りをさせていただいてございますけれども、私どもで作成をいたしました冊子にも、その職場の状況の一部を紹介させていただいているところでございます。五ページ目以降に私どもの職場の実態を掲載させていただいているところでございますので、御一読いただければ幸いに存じます。

 その上で、そこで働く組合員からは、自然災害の早期復旧や夏場の供給力確保にも懸命にこれまで取り組んできたが、電力システムの問題点が露呈している、このように言われている、我々が長年やってきたことは間違っていたのか。あるいは、燃料費をコストダウンで吸収するには限界がある、そして、大震災以降、節電に多大な御協力をいただいたお客様に電気料金値上げのお願いをせざるを得ないことがつらい、こんな声も届いているところでございます。

 また、こうした職場の実態も背景にいたしまして、誰が将来のこの国の電力の安全、安定供給を支えていくのかという人材にかかわる課題も懸念される、こういう意見も私どもの方に寄せられているのが現状でございます。

 今般の電力システム改革は、東日本大震災を受けまして、前の前の政権から論議がスタートをし今日に至っているというふうに承知をしておりますけれども、今日までの論議過程を振り返りますと、果たして、こうした職場の実態に思いをはせていただきながら検討が進められてきたのか、あるいは、現場、現物をしっかりと目で見ていただいて議論がなされてきたのか、疑問を感じざるを得ない、こういうのが働く者の率直な思いなのではないかというふうに考えているところでございます。

 こうしたことも踏まえまして、改正電気事業法の御審議、今般の電力システム改革方針などについて、三点の意見を申し上げたいと思います。

 まず第一点目でございますけれども、電力の将来にわたる安全、安定供給が確保され、真に中長期的な国民利益にかなう改革となるよう、今後の制度設計に万全を期していただきたいと思います。

 発電部門と送配電部門の相互連携による安定供給、人身安全も含めた安全の確保やお客様保護のための施策、将来の供給力確保策などは、今般の改革の成否を左右する根幹の事項だというふうに考えてございますが、これらの具体策は、いずれも、今後検討する、こういう位置づけになっているのではないかというふうに思います。

 この法案のもとになっております政府の審議会における検討の中では、単に全面自由化をし、発送配電を分離すれば、電気料金は下がり、供給力は増大し、再生可能エネルギーが普及する、そういう議論も見受けられたというふうにお聞きをしているところでございます。

 今後の検討を進めるに当たりましては、生じるおそれがある負の側面につきましても、ぜひとも丁寧な検証をお願い申し上げたいと思います。

 本日お配りをしております冊子の中でも若干御紹介をさせていただいているところでございますけれども、例えば、全面自由化や発送配電分離などを実施している諸外国におきましては、電気料金水準の高騰でありますとか、発電所や送配電設備など中長期的な設備形成の停滞、需給逼迫の常態化や供給責任の所在の不明確化など、さまざまな課題も生じているというふうに聞いているところでございます。

 今後の制度設計に当たりましては、改革に伴う諸課題についてしっかりと検証していただき、その克服のために必要な制度や措置を確実に講じた上で、ステップ・バイ・ステップで進めていただくことが不可欠だというふうに思います。

 また、働く者にとっては、あらゆる場面を想定した安全の確保策の確立は絶対に必要な条件でございます。発電部門と送配電部門、販売部門との連携の不備によりまして、設備事故、人身災害が発生するようなことがあってはならない、このように考えているところでございます。

 二点目でございますけれども、電力システム改革は、我が国のエネルギー政策が直面する喫緊課題をしっかりと解決した上で進めていただきたい、このように考えます。特に、需給逼迫と電気料金上昇の二重リスクが早急かつ根本的に解消されなければ、制度改革の成果を国民の皆様に享受いただくことはおろか、大震災からの復興再生や低廉で高品質な電力の安全、安定供給の基盤が揺るぎかねない、このように懸念をしているところでございます。

 私どもの原子力の職場では、大震災の直後から、福島原子力発電所事故を教訓といたしまして、ハード面、さらにはソフト面に至るまで、まさに寝食を忘れ、血眼になりながら安全対策を講じてきたというふうに思います。取り組んできた現場第一線の対策などにつきまして、ぜひとも科学的見地や技術的な実効性、そして国際的な視点から公正に審査をいただきたい。そして、その結果、安全性の確認がされた原子力発電所につきましては、立地地域の皆様の理解と信頼を得ながら、円滑に再稼働が果たせるようにお願いを申し上げたいと思います。

 また、大震災以降、揺らぎ続けてきております我が国のエネルギー政策につきましても、ぜひとも早急に策定をいただきまして、その上で、電力システム改革はこれと整合、同期を図りながら総合的に進めていく、このことが極めて重要だというふうに考えます。

 そして、この中で、原子力発電をどういうふうに位置づけ、その事業運営を誰が何に基づく責任において担っていくのか、こういったことにつきまして、原子力発電並びに原子燃料サイクルの位置づけを明確にしていただく、こういうこともあわせてお願いを申し上げたいと思います。さらには、原子力損害賠償制度につきましても、過去の法案成立時の附則や附帯決議などを踏まえまして、しっかりと御論議をいただくことをお願い申し上げておきたいと思います。

 最後の三点目でございますけれども、電力の安全、安定供給を担う現場の力について若干申し上げたいと思います。

 今般の制度改革は、戦後の電気事業の歴史上、かつてない大きな変革を実施するものでございますが、制度改革によって、電力の安全、安定供給を支える人材の確保や現場力の維持、継承に懸念を生じるようなことがあってはいけないというふうに考えます。何としてもそのようなことが起こらないように避けなければいけないというふうに考えているところでございます。

 制度改革のそれぞれの段階の検討に当たりましては、電力関連産業に働く者の労働の尊厳、雇用の安定や人材の確保育成、技術、技能など、現場力の維持、継承に支障が生じるようなことがないように、ぜひとも十分御配慮いただくことをお願い申し上げたいと思います。

 私たちは、大震災以降の国民の皆様の御期待もしっかりと受けとめて、引き続き、新たな課題にもチャレンジしていかなければなりません。そのためには、制度改革をめぐる諸課題について、それぞれの当該労使間の徹底した交渉、協議などを通じた職場の合意形成、これも欠かせないというふうに思います。このことにつきましても、ぜひとも御理解をいただきたいというふうに思っているところでございます。

 そして、憲法や労働基準法などに基づく労働組合の団体交渉権と労使自治を確実に保障していただく、このこともお願いを申し上げたいと思います。

 なお、今後、小売全面自由化を実施するということであるならば、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律、いわゆるスト規制法のあり方につきましても、労働者の労働基本権の観点から見直しが必要なのではないか、このように考えているところでございます。

 以上、今般の法案の審議につきまして、さらには今後の制度設計に当たりまして、ぜひとも対応いただきたい意見を三点申し上げたところでございます。

 法案で示されている電力システム改革のプログラムがこれらの課題に対するしっかりとした対応がなされないままに進められる、そのようなことは決してあってはならないというふうに考えます。それは中長期的な国民利益にかなうものではない、そのように考えているからでございます。

 最後になりますけれども、いついかなるときも、電力の安全、安定供給は、二十四時間三百六十五日、現場第一線で働く人の営みによって成り立っているというふうに思います。さまざまな制度の検討に当たりましては、その現場、働く者の実態をよく見ていただき、携わる者の意見も十分参酌をし、進めることが目標達成のために必要であることを再度申し上げまして、私からの御意見にさせていただきます。

 引き続きの御指導をよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、池辺参考人にお願いいたします。

池辺参考人 エネットの池辺でございます。

 本日はこのような機会を賜りまして、ありがとうございます。

 エネットは、二〇〇〇年の小売の自由化と同時に、NTTファシリティーズ、東京ガス、それから大阪ガスの三社によりまして設立されました新規参入小売事業者でございます。

 事業としましては、参考資料にございますけれども、全国の発電所から電気を調達いたしまして、託送料を払いまして、電力会社さんの送電網を利用しまして、お客様に電気をお届けするという事業をやっているものでございます。

 まず初めに、一年にわたって議論されてまいりました今回の電気事業法の改正に賛成いたします。その上で、今後の詳細設計や運用に当たりまして、今回の制度改革の趣旨を踏まえまして確実に実施していただきたいポイントがございます。それらを含めて御説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、一ページでございますけれども、我々の主張の要旨でございます。

 震災以降、以前に比べまして、お客様から十倍以上のお問い合わせをいただいております。たくさんの多様な選択肢を求めるお客様の声が急速に広がっていると思っております。

 この声に対しまして、今回の制度改正案では、競争によってサービスを向上させ、お客様の選択肢をふやすためのさまざまな改革案が織り込まれております。よって、本法案を早期に成立させ、可能なものからすぐにでも改革を進め、世間が実感できる競争状態の実現を図っていただきたいというのが我々の主張でございます。

 二ページでございます。

 これは、経産省の電力システム改革専門委員会で我々が提起させていただいた問題でございます。

 まず、供給力でございますけれども、これがないと我々はお客様のお問い合わせに答えることができないわけでありまして、供給力の確保というのが我々にとりまして最重要の問題でございます。新電力にとりまして、ベース供給力が不足している、あるいは卸電力取引所の取引量が少ないなど、供給力を確保するすべが乏しかったというのが我々の問題でございます。

 系統の利用につきましては、安定供給と競争促進のバランスのとれた議論が進まなかった、あるいは小売では、選択肢が不十分であった、このような課題があったと考えております。

 三ページでございますけれども、これは新電力のベース供給力の確保についてでございます。

 我々にとりまして、供給力を確保する手だてが少なく、中でも、国策として建設されました大型の水力発電とか原子力発電所、こういう大型発電所を利用できない新電力は、ベース供給力が少なく、夜間利用の多い、例えば産業用のお客様には、この図にありますように、夜間のところの電気が少ないわけでありまして、ほとんど供給できない、こういう実態になっております。

 今回の改革では、Jパワーなど卸電気事業者の電源の切り出しや、常時バックアップの料金と供給力の見直しなどが示されました。

 今回の改革では、我々の供給力の確保というのは、電力会社の自主的取り組みに委ねられております。その取り組みが確実に実行されることを期待しております。

 二点目は、全面自由化に向けては、電力システム改革専門委員会の報告書にも記載されておりますけれども、さらなる電源の切り出しも重要であります。

 三点目、今後、電力会社の取り組みをしっかりとモニタリングし、競争が十分に促進されない場合は、制度的措置を御検討いただきたいと思っております。

 四ページでございます。

 これは卸電力取引所についてであります。

 これにつきましては、ここでの取引量というのが小売市場全体の〇・八%程度でございまして、なかなか供給力として当てにできないというのが現状でございます。また、電力会社は、競争相手にシェアを奪われるために、ここへの積極的な売りは少なかったというのが実情でございます。

 今回の改革では、必要な予備力を超える電源の燃料コストベースでの取引所への投入などが示されました。これにつきましても、自主的取り組みが確実に実行されることを期待いたします。

 今後、電力会社の取り組みをしっかりとモニタリングし、競争が十分に促進されない場合には、電力会社による取引所への一定規模の売買の義務化などの制度的措置の御検討をお願いしたいと思います。

 五ページでございます。

 ここは小売の選択肢拡大についてであります。

 お客様からは、新電力から買いたいとか、あるいは多様なサービスが欲しいという声をいただくわけでありますけれども、これまでは、家庭向けが自由化されていない、あるいは、見える化や節電などのサービスメニュー、こういうものが不十分であったという課題があると思います。

 今回の改革では、全面自由化の実現、それからスマートメーターなどのインフラの早期整備、三点目、需給状況などの系統情報の公開などが示されております。今回の改革により、競争が促進されれば、次のページに示すような新しいサービスやビジネスが創出されると思います。

 次のページをお開きいただきたいと思います。

 これは弊社が御提供しておりますディマンドレスポンスサービスの実施例でございます。

 例えば、左は時間帯別の料金サービス、あるいは、右の省エネポイントサービス。この右の省エネポイントサービスというのは、例えばエネットの供給力が、あした気温が上がりそうで逼迫しそうだというときに、きょうお客様にメールを差し上げます、あしたの何時から何時、節電協力をお願いしますと。お客様が節電をされますと、節電された分に応じてポイントを差し上げて、それが月末の電気料金が安くなるポイントになる、こういう仕組みでございます。

 こういうサービスは、御利用いただいていますお客様からも大変な好評をいただいております。また、節電により供給力が生まれるわけでございまして、安定供給にも貢献するというサービスだと思います。このような取り組みを広げられるような詳細設計をぜひお願い申し上げたいと思っております。

 七ページでございます。

 次は、系統利用における中立性、公平性、透明性についてであります。

 これまでは、安定供給と競争促進のバランス、こういうものをもっと考えることが重要ではないかなと思っております。

 今回の改革では、広域的運営推進機関の設立や送配電部門の法的分離が示されました。

 今回の改革によりまして、発電、送配電、小売の各部門の役割分担が明確になり、中立性、公平性、透明性が確保されることを期待いたします。

 八ページでございます。

 系統利用ルールについてでございます。

 現在、新電力は、電力会社のエリアごとに需要と供給を一致させる同時同量義務が課せられております。

 また、同時同量の範囲を逸脱した場合に、インバランス料金というのを払う、高い電気を買わないといかぬということになっているわけでありまして、これが限界費用に基づいていないペナルティー的な価格設定になっている、こういう課題を我々は持っております。

 今回の改革では、計画値同時同量の導入、限界費用に基づくインバランス料金などが示されております。

 今回の改革により、役割分担が明確になり、合理的な需給調整の仕組みが実現されることを期待申し上げます。

 最後のページ、九ページでございます。

 これは安定供給に関するページでございます。

 安定供給というのは多くの意味合いを含んでいる言葉だと思います。供給責任では、我々は自社のお客様に対する供給力を確保しておりますし、緑色の部分に関して役割を担っていると思っております。

 今回の改革では、緑で色のかかっていない最終保障それから予備力確保に関する措置が示されたわけでありますけれども、新電力も、引き続き、安定供給に対する必要な役割を担っていきたいと思っております。

 今後の詳細設計におきまして、競争促進とのバランスをとりながら、各事業者、各部門の役割が整理されますことを期待申し上げます。

 説明は以上でございますけれども、新電力としましても、今回の制度改革を踏まえまして、供給力の拡大や新サービスの創出に対しまして、もっともっと努力をしていきたいと思っております。

 ぜひ早期に法案を成立していただきますようお願い申し上げまして、私の説明を終わらせていただきます。

 以上であります。ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、清水参考人にお願いいたします。

清水参考人 日本商工会議所中小企業政策専門委員を務めております清水印刷紙工株式会社の清水でございます。

 私どものところは、従業員が四十人弱という中小規模でございまして、特殊印刷とそのパッケージ加工を生業としております。東京文京区に本社がございまして、工場の方は群馬県の館林近隣にございます。

 本日は、貴重な機会をいただきましたこと、まずもって御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 私は、本日、中小企業の電力ユーザーという立場から意見を申し述べたいと思います。

 まず初めに、中小企業の現状に対する懸念について申し上げたいと思います。

 現在、多くの中小企業は、電気が足りるか足りないかということに加えまして、原子力発電の稼働がままならない状況下におきまして、電気料金が一本調子で上昇していくことを大変心配しております。

 東日本大震災後の一昨年夏に、多くの企業は、生産抑制、土日や夜間操業の拡大と並行しまして、大規模停電を起こさないために、一致結束して節電に協力し、その働きかけを現在も継続しているところでございます。

 そのような中で、電気料金の上昇が全国に波及してきており、価格転嫁を実施することが大変難しい中小企業は、主にコストや人件費の抑制で対応するという厳しい現実と向き合わざるを得ない状況に置かれております。

 さらに、今夏の電力需給の予備率を考えれば、安定供給が完全に担保されるという状態ではないことから、供給面で不安があり、また、近い将来に予定されている電気料金の再値上げが実施された場合、厳しい環境下にある中小企業にとっては、コスト面で大打撃となることは必定でございます。

 中小企業は、料金の上昇と不安定な供給を大変懸念しておりまして、コストの増加と利益の減少、これに直結する問題への対策が不十分な場合には、死活問題へと発展する危険性があると大変危惧しております。このことをまずもって申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、本題であります電力システム改革法案についてですけれども、まず申し上げておきたいのは、改革目的の一番目と二番目に掲げられている電力の安定供給の確保と電力料金の最大限の抑制は、現下の最優先課題であり、これらを確実に具現化させることが第一義であるというふうに考えていることです。

 改革目的の三番目としましては、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大が掲げられておりますけれども、これは安定供給と料金の抑制という主たる改革目的のための手段にすぎないというふうに思います。自由化や発送電分離が最終ゴールではないという前提で、ぜひとも議論を深めていただきたいというふうに存じます。

 三番目の目的に、広域的運用の推進が記されておりますけれども、特に緊急時の対応力が増し、効率的に、そして料金に転嫁されるコストを抑制しながら設備増強が図られるということであれば、これが進展することに何ら異議はございません。震災の教訓を踏まえれば、安定供給は、確保するだけではなく、強化しながら進化していかなければならないというふうに私どもは考えております。

 同じく、三番目の目的に記載のある小売の自由化、そして料金の自由化、発送電分離等々については、安定供給と料金抑制が必ず実現できるということが担保される仕組みであるということであれば、需要家としては大歓迎でございます。

 しかしながら、法律案、関係資料を拝見しましても、多くのことが今後の検討事項になっております。自由競争の中でもリスクに対応できる供給力を本当に確保できるのか、そしてまた、参入の自由化、料金の自由化が料金低下をもたらすことができるのかなどにつきまして、安定供給と料金抑制が担保できるというスキームが明確になっているというふうには思えません。また、もし担保できない場合には、何がなされるべきなのかについても明確にしておく必要があるのではないでしょうか。

 次に、電力の安定供給と余剰設備について申し上げます。

 まず、安定供給の確保については、附則において、送配電等業者に関する最終保障義務、地域独占及び電圧、周波数の維持を行わせるための措置、送配電等業者が費用を適切に回収することを可能とするための措置、そして小売業者に安定供給に必要な供給能力を確保させるための措置などを今後検討するとされておりますけれども、いずれにおきましても、極めて重要な部分でございますので、関係者の方々の衆知を集めて、実効性を必ず担保していただきたいというふうに考えます。

 私は、三月から四月の一カ月、資源エネルギー庁の電力需給検証小委員会に、日本商工会議所の代表として、出席をさせていただきました。

 検証過程の中で、現在の電力供給が、定期点検の繰り延べを行っている老朽火力の長期稼働に依存しているという極めてリスクの高い状況にあり、コストの増加や国富の流出を招きながらも、何とか電力供給を維持しており、これは電力各社さんが相当量の余剰電力設備を抱えてきてくれたことによるおかげであるということを知るに至りました。

 現時点でこれらの余剰設備が全くない状態で、さらに原子力発電も動かせないという場合に、現在の日本経済や国民生活が一体どうなっていたのか。大変な危機的状況に陥っていたことは明らかでございます。リスクにも十分に対応できる供給力をどの程度確保しておくべきかについて、事前に準備、計画をしておくことは大変重要であるというふうに考えます。

 次は、電力の品質についてです。

 電気が途絶えることがなくても、電圧が不安定では、製造業の品質にマイナスの影響を与えることになります。

 弊社の話で恐縮ではございますけれども、私どもの会社はプラスチック樹脂への特殊印刷をしておりまして、先ほど、何名かの先生と名刺交換をさせていただきましたけれども、ああいったプラスチック樹脂への特殊印刷を生業としておりますので、インキの強制乾燥というところに大変な電力消費を伴います。電力の品質がもし保たれていなければ、一定基準を満たすような製品を完成することはできません。

 多くの産業においても、低廉な価格はもとより、電力の品質が重要な製造業は数多く存在していると思います。一瞬の電力品質の低下により、予期せぬ多額のロスが生じることもあり得るということにつきまして、事例として申し上げておきたいと思います。

 次は、電力料金の抑制についてです。

 料金の自由化が確実に価格の低下へと誘導していけるのか否か、この点をまずは明確にしていただきたいというふうに思います。

 諸外国の事例を見ますと、自由化の促進が料金低下につながるということを明確に示す事例はございません。むしろ上昇している事例もございます。また、過度の競争により、余剰設備の確保が問題となっている事例も多くございます。

 安定供給と料金抑制が事業者の自由競争によってのみ実現するとは考えられませんので、法案の附則に挙げられている検討事項につきまして、十分な検証が行われて、必要な措置が講じられることを期待しております。その結果としまして、安定供給と料金抑制を担保する改革をぜひとも進めていただきますよう、お願いいたしたいと存じます。

 また、過疎地や離島が多い地域の商工会議所からは、原発の再稼働が進まず、需給のバランスが崩れた中での自由化をすれば、小口需要家を中心に割高な電気料金になるおそれがあるなどの懸念の声が多く寄せられてきております。この点も附則において検討事項となっておりますので、しっかりと御議論いただきますようにお願いをいたします。

 次に、原子力発電の再稼働についてです。

 安定供給と料金抑制を実現するためには、安全が確認された原子力発電の順次速やかなる再稼働が必要不可欠であるというふうに考えております。

 政府におきましては、料金査定の厳格化、化石燃料調達力の強化、環境面で高効率な石炭火力発電の活用、あるいは中小企業の省エネ支援など、さまざまな対策を打たれていることは承知いたしております。また、電力会社さんにおいて、人件費の削減を含め、経費節減に取り組まれていることも重々承知をしております。

 しかしながら、目下の最重要課題は、安全が確認された原子力発電の再稼働を早期に実現することだというふうに考えております。既に安全が確認された原発の再稼働の政府方針は示されており、新規制基準は七月までに施行されます。厳格な安全確認とともに、可能な限り迅速に、そして効率的に審査が行われますよう、万全の体制を構築していただきたいと強く要望をいたします。

 資源の乏しい我が国においては、安全の確保を前提に、原子力発電を含む多様な電源構成を維持し、安定供給、エネルギー安全保障、そしてコスト、経済性、品質、地球温暖化問題への対応等の総合的な観点から、実現可能なエネルギー政策を選択する必要があると考えております。安定供給と料金抑制を持続するためにも、安全性の向上を大前提として、一定程度の原子力発電の活用を図ることが望ましいと考えております。

 次は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度について申し上げます。

 私は、平成二十二年に設置された固定価格買い取り制度を検討する小委員会、こちらの方にも商工会議所の方から出席、参加をさせていただいておりました。再生可能エネルギーの意義、特に地球温暖化対策としての意義は十二分に理解をしておりますので、再エネの導入促進については官民を挙げて進められるべきという意見に賛成でございます。

 しかしながら、現在の買い取り制度は、賦課金により電気料金を上昇させる主要因となり、また、不安定性を補うための送電網の整備、火力発電整備などにより、国民負担の増加要因であることも事実でございます。

 本制度は、賦課金につながる買い取り価格、期間について、事業者の費用と利益を勘案して決定するということが基本となっております。検討段階では、賦課金が最大限上がっても、十年後に一キロワットアワー当たり〇・五円と説明がなされていたと記憶されておりますけれども、二年目で既に全国平均およそ〇・四円というふうになっていると聞いております。東京電力さんの自由化分野の値上げの幅が、ことし、我々の事業所でも約三円。その上昇額を考えれば、一キロワットアワー当たり〇・四円という額は決して小さな額ではございません。

 しかも、太陽光を中心に大量の設備導入が進むと同時に、賦課金の上昇も加速され、二十年間継続するということになると思います。再生可能エネルギーの導入については、適切な導入量、価格の見直し等を行い、国民負担の抑制を図る仕組みへの変更を検討することが必要であるというふうに考えます。

 原子力発電の稼働停止の長期化、再エネ買い取り制度、円安に伴う燃料価格上昇などによる電力コストの上昇は、中小企業の競争力をそぐ極めて深刻な問題として顕在化してきております。当面の電力供給をいかに確保し、電力料金の上昇をいかにして抑え込んでいけるのか、早急にお示しをいただきたいというふうに思います。

 最後に、低廉で安定的なエネルギーの供給は、国民生活、経済活動の基盤であります。東日本大震災は、多くのとうとい人命を奪っただけではなく、私たちが長きにわたり当たり前のものと感じていたエネルギーの安定供給を途絶させました。震災後の経験から、エネルギー政策が国民生活や産業の命運を握る極めて重要な基幹政策であることを痛感させられるに至りました。政府の皆様、そしてまた国会の先生方におかれましては、責任あるエネルギー政策を一日も早く構築していただきたいというふうに考えております。

 エネルギー政策における喫緊の最優先課題は、電気料金の上昇抑制と安定供給の確保の二点でございます。そのため、安全が確認された原子力発電の再稼働にしっかりと取り組んでいただきたいというふうに考えております。

 電力システム改革により、その安定供給と料金抑制、この二点をワンセットとして必ず実現していただきますよう心よりお願いを申し上げ、私の意見陳述を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。越智隆雄君。

越智委員 自由民主党の越智隆雄でございます。

 きょうは、電事法の改正案、この審議に当たりまして、参考人の皆様におかれましては、大変お忙しい中御出席を賜りまして、ありがとうございました。

 今、四人の参考人の皆様の御意見を伺いながら、きょう午前中は、学識経験者の方を中心に参考人の方に来ていただいて審議をさせていただいたわけでございますけれども、いわばあるべき姿について議論したわけでございますが、午後は、電力供給者、また需要者、現場で電気に直接携わっている皆様の御意見をお伺いすることができたということでございます。

 電気事業連合会の八木会長からは幾つか御要望をいただいたというふうに思っておりますし、また、電力総連の種岡参考人からは、労働組合の立場で、あるいは労働者の立場で懸念を表明していただいた部分があったと思います。エネットの池辺参考人からは、新電力の立場で、賛成と明言をされた上で、具体的な留意点を御指摘いただいたものだというふうに思いますし、そして、日本商工会議所の清水参考人からは、ある意味で唯一、利用者の立場で、そして特に中小企業の立場で、さまざまな御要望をいただいたというふうに思っています。

 まず、四名の方それぞれに御意見をお伺いしたいんですけれども、電事法の改正案、これから、プログラム法案ということで、第一段階から第三段階までかなりの時間をかけて進んでいくわけでありますけれども、その中で、この法律のもとで実際に電力システム改革を進めていく上で、今いろいろとお話をいただきましたけれども、最も留意してほしいこと、あるいは最も懸念をしていること、最も望むこと、もし一つ挙げてほしいというふうに言われたらどの点を強調されるのか、お伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

八木参考人 お答え申し上げます。

 電気事業連合会といたしましては、基本的に、今回のシステム改革全般につきましては、真に国民の皆様の利益につながるシステムとなるよう積極的に協力してまいりたいと思っておりますが、冒頭の陳述の中でも申し上げました、私どもとして、電力の安定供給という実務を担っております立場から、最も懸念しておりますところは、やはり第三段階の発送電分離の件でございます。

 これは陳述で申し上げましたが、いまだ解決すべき問題があると思っておりまして、特に技術的な対応の問題、これは先ほど申し上げましたが、発電部門と送電部門が分離することによって電力の安定供給はきちっと確保できるのか。今まで発送電一貫のもとで安定供給してまいりましたが、これを分離した場合の補完するルール、仕組みが具体的にどうでき上がってきて、それが本当に実務上機能するのか、この点の検討をしっかりやる必要があると思っています。

 加えまして、こうした真の利益につながるシステムの改革につながるためには、私ども電気事業をつかさどっております今の環境の面でまいりますと、経営環境の面が非常に見通しが立たないといいますか、具体的には原子力の再稼働が見通せない、あるいは、エネルギー政策の中での原子力の位置づけがはっきりしない、それがゆえに原子力にかかわる事業のリスクも高まってきている。したがいまして、こうした経営環境の整備をきちっとするということで、私どもが真に電力の安定供給、安定的に低廉でお客様にお届けするという使命が果たせると思っております。

 したがいまして、第三段階の法案提出に当たりましては、ぜひこの点の十分な技術的な検証、環境整備、そして、仮に問題があれば、見直しも含めて御審議を賜り、慎重に御判断いただきたいと思っております。

 以上でございます。

種岡参考人 電力総連の種岡でございます。

 私どもが一番懸念をしてございますのは、何といってもプログラム規定に書かれている日程の中で、日程ありきで進んでいく、こういうことがあってはいけないというふうに思います。

 それぞれのステップに進む段階で、進むに当たって何か問題点はないのかしっかりと検証をしていただきまして、必要に応じてしっかりと措置をし次に進んでいく、それぞれステップ・バイ・ステップで進んでいくことが重要だというふうに思っているところでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、諸外国の事例などもあるわけでございますので、そういうものにつきましてもしっかりと検証いただきまして、負の側面があるならば、それに対する対策をとっていただくということが重要かというふうに思います。

 それからもう一点、労働組合の立場で申し上げますと、改革が進むことによって働き方でありますとか働く条件が変わるということも懸念されるわけでございますので、次のステップに当たっては、十分な労使協議の期間をつくっていただいて、それぞれ働く者が納得した上で進んでいく、そういうステップが重要なのではないか、このように考えているところでございます。

池辺参考人 私が一番お願い申し上げたいことは、実質的な競争環境を整備していただきたいということでございます。

 電力自由化というのは、されて十三年目になります。先ほど申し上げましたように、市場も三分の二は開放されたということになっておりますけれども、我々が商売をしようというときに、やはりいろいろな制約があるということを感じております。実質的なシェアというのが、自由化されている部分で我々、トータルしましても三・六%しかシェアが広がっていないという数字が物語っているのではないかなと思います。

 ですから、形だけではない、それぞれの、発電もありますし、系統のところもございますし、小売の部分の具体的な競争環境を具体的な項目で、テーマでぜひ改善をしていただきたいというのが我々の最大のお願いでございます。

 以上でございます。

清水参考人 中小企業の立場から御回答を申し上げます。

 私の先ほどの意見陳述の中で何度も申し上げましたけれども、安定供給と料金の抑制、これが担保できるのであればということでございます。

 以上です。

越智委員 ありがとうございました。

 それでは、ここから、電事連の八木会長に、お考えがどういうことなのかということを、確認をさせていただきたいことが幾つかありますので、御質問させていただきたいと思います。

 お話の最後の部分で、二点、条件整備をしてほしいという御要望がございました。一つ目が資金調達環境の話、二つ目がエネルギー政策ということでございましたが、この中で、資金調達のところでお伺いをしたいというふうに思います。

 資金調達については、法案の附則の中でも資金調達に支障が生じないようにというようなことが書かれておりますけれども、この資金調達というのは、システム改革の枠組みの話だけではなくて、社債市場なり金融機関の融資の姿勢なり、ビジネス実態がどうなっていくのかということを想定して必要な対処を検討していかなきゃならないという類いのものだというふうに思っております。

 そういう中で、実際に現場を預かられている八木会長にお伺いしたいことは、安定した資金調達環境の確保に万全を期してほしいということでありますけれども、今後改革が進んでいく中で、その調達環境についてどんな変化、どんな懸念を想定されているのかということと、この万全を期すというのは何を求められているのかというところをもう少し具体的に教えていただきたいと思います。

八木参考人 お答えいたします。

 私ども電気事業者というのは多大な設備を持ってございまして、安定供給をするためにはこの設備の維持、改修等々の費用が必要でございまして、そのためには、当然のことながら資金調達というのが必要でございます。

 こうした中で、現在置かれている私どもの環境というのは、御承知のように、原子力の再稼働が依然として不透明な状況の中、あるいは円安の進行といったような状況にございまして、経営環境が大変厳しい状況になってございます。

 例えば、一例として申し上げさせていただきますと、私は関西電力の出身でございますが、関西電力でも資金調達の一つの有力な手段として社債を発行させていただいておりますが、震災以降、私どもの社債のスプレッド、いわゆる上乗せ幅は〇・一%程度でございましたが、現在は一%になっておりまして、既に十倍になっております。これは他の公益企業から見ても十倍程度ということで、大変厳しい状況になっております。

 それから、金融機関からのいろいろなお話を聞きますと、こういう原子力の不透明、政策の不透明の中で、なかなか先行き、長期的に電源投資をするにしても回収の見込み等も立たない、そういう中で、こうした、例えばいわゆる発送電分離のような形をとっていくと、なかなか金融サイドとしては資金調達の面でも厳しい判断をという声もいただいております。

 そういう意味で、私どもとしては、特に原子力というものを抱えておりますので、この原子力をちゃんとやっていくためのいわゆる資金調達といいますか、これがひいては安定供給にもつながってまいります。

 そういう意味で、まず一つは、今の質問にお答え申し上げるとすると、我々が円滑な資金調達をできる、社債も発行でき、金融機関からお金も借りることができる、そういうことの具体的な金融サイドでの措置、それから、それをもっと本当に可能にするという意味では、やはり原子力の活用といいますか原子力の位置づけ、これを国のエネルギー政策の中で明確にしていっていただくということが、この資金調達環境の改善に大きく寄与してくるのではないかと思っております。

 そういう意味では、こうした私どもの事業環境の整備に、改革を進める上で、ぜひいろいろと御検討いただきたいと思います。

 以上でございます。

越智委員 ありがとうございます。

 ちょっと別の角度からお伺いしたいと思うんですけれども、第二段階のお話でございますが、小売の全面自由化が行われる。この小売の全面自由化の話と、安定供給を確保する、この話のバランスについてちょっとお伺いしたいというふうに思います。

 どういうことかというと、お客様の選択肢の拡大などを達成するためという意味で小売の自由化に賛成だという御意見を述べられたというふうに思いますが、経営的に考えると、小売の自由化というのは、みずからの顧客が奪われるという状態も想定しなきゃいけないわけでありますが、このことについて賛成をしている、その思いを確認したいということ。

 あと、あわせて、小売の全面自由化が行われた後は、現在、一般電気事業者に課されている供給義務が解除をされるということになると思うんですが、そういう中で電気の安定供給をどう確保していくのか。また、いわゆる総括原価方式については送配電部門以外には残らないということになりますので、十分な発電設備が確保できるのかというような議論もあるわけであります。

 そういう意味で、小売の全面自由化という話と電力の安定供給の確保というところをどういう形で電事連さんの中で議論を整理されているのかということを確認させていただきたいと思います。

八木参考人 お答えを申し上げます。

 二点の御質問かと思いますが、最初は私どもの小売の全面自由化に対する事業者としての思いということ、二点目が安定供給との関係でございます。

 まず、小売全面自由化につきまして、私ども電力事業者としては、これはやはりお客様の選択肢の拡大ができる。例えば、今般、私ども関西電力でも電気料金のお願いをさせていただきましたけれども、規制料金のお客様からはやはり、電気の料金を選べないという、いろいろな声も頂戴いたしました。そういう意味では、お客様の選択肢が拡大するということ。

 それから、私どもといたしましても、いろいろなお客様への料金メニューを自由に設定できる、こういうことで、多様化ができるということがございます。

 したがいまして、私ども電気事業者というのは、基本的にはやはりお客様や社会のお役に立つという使命を持っておりますので、そういう意味では、この全面自由化というのはその目的にかなうものでございます。そういうことで、基本的には賛成と思っております。

 ただ、御指摘のように、そういう中で各事業者がこれから切磋琢磨するわけでございますが、事業者みずからとしては、やはり自分のエリアの中でお客様に自分たちの会社を選択していただけるような、これは料金の競争力のみならず、いろいろなサービスの御提供、例えば、私ども関西電力の場合でございますと、電気事業とグループ事業が一体となってトータルでのソリューションを提供することでお客様のお役に立つとか、そういうような努力によってお客様に選択していただく努力をしていくべきだというふうに思っておりますので、そういうふうに努めてまいりたいと思っております。

 それから、小売全面自由化と安定供給の関係でございますが、小売の全面自由化がだんだんふえてまいりますと、御指摘のように、いろいろな事業者が電気をそれぞれのお客様に送ってまいりますので、基本的には小売の事業者が将来にわたって予備力をきちっと持ってお客様に電気を送ることが義務づけられるわけですが、とはいえ、将来にわたってエリア全体の需要をきちっと本当に確保できるかどうかということをしっかりとやはり誰かが見ていかないといけないと思っております。

 そういう意味では、やはり、小売全面自由化がだんだん拡大していった節には、そういう電力の安定供給というような観点からの電源の確保ということについてきちっと担保できる仕組みといいますか、こういうことをきちっと検討していく必要があるのではないかと思っております。

 また、あわせまして、例えば電力系統側で事故が起こったときに、いろいろな事業者が同時に停電したときに、例えばどこから復旧するかといったときに、それぞれの事業者が我先になりますと、やはりトータルとしての復旧時間が遅くなるとか、そういうことも出てくるかと思います。したがいまして、そういう事故時の対応も含めて、きちっとルールを決めて、みんなが納得した上でトータルの安定供給を保つ。こういうようなことも懸念されます。

 いずれにしても、こういった仕組みをこれから十分検討していく必要があると思っておりまして、私ども実務に携わる者といたしましては、そうした検討には積極的に協力させていただきたいと思っております。

 以上でございます。

越智委員 ありがとうございます。

 それに加えて、もう一つ、関連しまして、経過措置の小売料金規制に関してというところでお伺いしたいんです。

 小売自由化は望ましいと。今おっしゃられたとおり、電力の安定供給という公益性もしっかり両立しながら担っていくということを果たしていかなきゃいけないということでありますけれども、経営的側面から考えるとということで、非対称的な小売料金規制は望ましくない、撤廃時期を前倒ししてほしいと、かなり踏み込んだ御要望があったというふうに思います。

 ここのところをちょっとお伺いしたいんですけれども、自由化の話と資金調達の関連なんですけれども、資金調達の環境を考えると、これまでの地域独占や総括原価方式などが廃止されるということで、一般電気事業者の資金調達環境は悪化するんじゃないかというような話が言われているわけであります。それに加えて、今回の小売料金規制の前倒しの撤廃ということで、そうしますと、調達環境を維持していくという話といろいろな意味での自由化を進めるということで、どういう形で電事連さんの中で議論を整理されているのかということを確認させてもらいたいと思います。

八木参考人 お答えを申し上げます。

 まず、非対称規制の早期撤廃ということでございますが、私どもとしては、今回の小売全面自由化というのが、家庭を含めたお客様も自由化の対象になるということでございますので、例えば、制度変更に対する趣旨とか情報をきちっとお客様にお伝えする必要があると思います。そういう意味では、そういった意識が浸透するまでの期間、料金規制を設けるというのは、これは十分理解できるところだと思っています。

 一方で、全面自由化ということは、それぞれの事業者が切磋琢磨し、お客様によりよきサービスを提供する、そういうことでございますので、やはり本来の自由化の趣旨にかなうためには、最初の一定の期間は必要でございますが、それはできるだけ早くという思いでございます。

 一方、資金調達環境との関係という御質問でございますけれども、資金調達というのは、どちらかというと設備投資を中心とした資金調達でございますので、自由化というところの環境でいきますと、例えば流通部門というのは、いわゆる送電部門というのは、これは当然、設備を持っておりますので、ここは将来の設備拡充のための費用が要りますので、そんなに問題はないといいますか、余り関係ないと思います。

 むしろ、御指摘のところは、発電部門と小売部門で、自分のところの需要がだんだん少なくなっていくのに、将来の電源に対して資金調達ができるかということだと思います。

 これはやはり、ある意味では、先ほど申し上げました、事業者の置かれている環境といいますか、事業環境がきちっとして、先行きの事業計画がきちっと見えてきますと、金融サイドもそういう判断がしやすいということでございますので、今その辺が不透明であるがゆえになかなか環境が悪いということでございますので、必ずしも、料金の前倒しをするとか、自由化自体が資金調達の環境に影響があるというふうには私ども思っておりませんで、むしろ事業者の先行きの計画が見える環境を早くつくっていくということが大事ではないかと思っております。

 以上でございます。

越智委員 ありがとうございました。

 参考人の皆様には、心から御礼を申し上げます。

 時間が来ましたので、これで終了いたします。

富田委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、大変お忙しい中で、この電気事業法の改正の審議に当たりまして、参考人の先生方には、御出席をいただき、そして貴重な御意見をお伺いいたしましたこと、心から感謝を申し上げます。

 我が国の戦後の経済成長、これは、皆様に安定した電気の供給体制を確保してきていただいた、そのことによって支えられてきた、そのことにまずは敬意を表するものでございます。

 しかし、エネルギーをめぐる世界の情勢の変化、また東日本大震災を契機とした我が国のエネルギーの供給体制の変化、こういうことから、電力システムの抜本改革については、もうこれは必要不可欠のものであると思っております。懸念点を払拭しながら前進していくということが大変重要であるかと思っております。その点から質問をさせていただきます。先ほどの委員の質問とも重なるところではありますけれども、重要な点ですので、視点を変えて質問をさせていただきます。

 まず、資金調達の懸念について、八木電事連会長にお伺いしますけれども、特に資金調達の懸念について御報告をされておりました。自公政権が与党としてまとめて閣議決定した電力システムに関する改革方針にも、また本法案の附則にも、その懸念については十分に配慮して、金融機関関係者とも協議を重ねながら、その対応策を盛り込んだところでもございます。

 基本的な考え方としては、電力システム改革の実施は十分な時間を保ちながら行うわけでありますから、その間に安全性の確認された原発の再稼働などが行われて、現在の電力会社の資金調達環境は改善しているとも思われますし、また、万が一のときには資金調達に支障を生じない措置を講ずることとしたところでございます。

 我々としては、足元の一般電気事業者の資金調達環境が厳しいことを十分認識してこの配慮事項を盛り込んだつもりでありますけれども、まだ欠けている点がある、また、これ以上のことがやはり具体的にはあるよというようなことが、先ほど来示されているかと思いますけれども、改めて八木会長の方からお話をお伺いしたいと思います。

八木参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、今回の法案の中で、資金調達環境の関係につきましていろいろと織り込んでいただいていることに、本当にありがたく思っております。

 あえて、その上でさらにということでの御質問でございましたので、先ほど申し上げましたように、私どもはやはり設備産業でございますので、円滑な資金調達を実現していくというのは大事でございます。そのための措置として、今電力会社の社債は、一般担保社債というんですか、担保つきの社債ということになっております。例えば、こうした一般担保つきの社債、これをずっと維持していただくとかいうこと、これをできればそういった形で、織り込んでいただいていますけれども、何か一応ある程度の期間を限定したような形になってございますので、できればこれを引き続きというような形でお願いできないかと思います。

 それからもう一つは、やはり原子力を活用できる環境という意味で、今先生御指摘のように、まずは、安全の確認された原子力発電所の早期再稼働、それから、エネルギー政策の中で原子力を引き続き我が国の重要な電源として明確に位置づけていただくということ、そして、今回の福島の事故も踏まえまして、今後の事業者と国の役割分担のあり方とか、あるいは、原子力を建設から廃炉まで事業者がしっかりとやっていく上での必要な制度の手当て等々、そうしたことを、これまでの議論もあろうと思いますが、ぜひ、しっかりと議論していただきまして、そういった事業環境の整備を進めていただけると大変ありがたいと思っています。

 以上でございます。

江田(康)委員 わかりました。

 続いて、これは八木会長と池辺参考人にお伺いをさせていただきますが、先ほどの、料金の全面自由化の、撤廃時期についてということでございます。ですから、お二人にお聞きをさせていただきます。

 電事連の八木会長も、全面自由化には賛成だとおっしゃいました。先ほどもありましたが、料金の全面自由化の、撤廃時期については、これは非対称な小売料金規制がいつまでも残ることは望ましくないと述べられたわけであります。自由な小売競争によって、電力会社や、さまざまな料金メニューが需要家に提示されること、まさにこの電力システム改革の重要な効果でございます。

 一方で、競争環境が整わない中で小売料金の自由化を行えば、急激に料金が上がるようなことがあったり、特に、家庭を初めとする需要家にとって問題が大きいという趣旨で、一定期間、料金規制を残すという、この競争と需要家保護のバランスの中での措置になっているわけであります。

 そこで、質問ですが、料金規制の撤廃について、諸情勢を総合勘案した上で前倒しも含めた見直しが必要と述べられましたけれども、どのような状況が実現すれば前倒しを含めた見直しが可能になると考えられているか、お伺いをしたい。

 池辺参考人の方には、それこそ新電力の新規参入者の立場から、この料金の全面自由化の、撤廃時期について、一定期間の規制を残す必要性について、あわせてお伺いをさせていただきたいと思います。

八木参考人 お答え申し上げます。

 先ほど料金規制の早期撤廃についてのお願いをさせていただきましたが、この撤廃の時期を判断する場合には、御指摘のように、競争の進展状況というのが大きなポイントになると思いますが、この競争の進展状況ということを何でもって判断するかというのも大きなポイントであると思います。

 例えば、具体的に、実際、供給者が切りかわった率とか、あるいは、区域外からお客様が電気を買っていただいているとか、そういうのは現実的にわかるわけですけれども、規制料金ではなくて自由料金をあえて、例えばその管内の料金を選んでいるケースもございます。ですから、いわゆる自由料金という料金を選んでいるけれども同じ電力から電気を受けているという場合も、競争の趣旨を理解した上で選んでいただいているわけであります。したがいまして、競争の進展状況というのは、そういったいろいろな要素を判断して、基本的には、やはりお客様に対して、この全面自由化の趣旨が十分理解できたと、ある意味では、一定期間、例えば、もうそれは十分に浸透して、あえて、お客様はそういうことを知った上で当該地域の電力を選んでいるんだということもあると思います。

 したがいまして、総合的な状況判断というのは、単なる競争の進展状況が、お客様が供給先を切りかえたとか、そういうことではなく、いろいろなトータルの判断を、いわゆる競争進展とそれからお客様の自由化制度に対する御理解、こうしたことも踏まえて判断していただければというふうに思っております。

 以上でございます。

池辺参考人 お答えいたします。

 料金規制が撤廃されたときに、いわゆる規制なき独占にまた戻る可能性があるというぐあいに感じております。

 先ほど八木さんのお話がございましたけれども、競争状態をどう定義するかという話になると思います。

 私が以前いましたNTTでは、現在、NTT以外のシェアというのは四割ぐらいになっております。現実は、いろいろなサービス競争で、すごい競争を今やっている状況になっているわけでありまして、やはり、二桁以上の競争状態になる、そういうレベルまで競争状態を持ち上げるまでは、そういう状態をつくり上げるということをまずは考えるべきではないかなと思っております。

 そうすると、そこから先はもうそれぞれの会社の実力の勝負でありまして、現状、私が思っておりますのは、なかなかそういう状況までいかない、それで象とアリの状態がずっと続いているということでありまして、それぞれがそれなりの競争で、いろいろなサービスでお客さんを獲得できる状態をつくる時期、そういう状況になる時期というぐあいに私は考えております。

 よろしくお願いします。

 以上であります。

江田(康)委員 両者のお考えを今お聞きいたしました。

 続いて、卸電力取引所における取引量の増大について、先ほど池辺参考人からもお話がございました。

 適正な自由競争のためには、新規参入者の電力の確保が必要だと思います。これまでの部分自由化では、私の認識では、電力が十分に確保できなかったがゆえに三・五%しか自由化できていない。既存の大きな電力会社に比べて、新規参入者は大きな電源を簡単には建設できないわけであると思います。

 この点、池辺参考人にお聞きをさせていただきます。

 こうした中で、卸電力市場での電力の取引が活性化されれば、これは、新規参入者は卸電力市場から一定の電源を確保して、みずからの電源と組み合わせて、そしてより多くの需要家を獲得できるようになるわけで、まさに適正な自由環境が初めて実現するというようなことになろうかと思います。

 本法案の附則十一条の第五項の第六号に、卸電力取引所における電気の取引量を増加させるための措置ということで、措置を講ずることと今回いたしました。

 池辺参考人の立場から、卸電力取引所における取引量を増加させるための措置として、何が一番必要だとお考えになっておられるか、そのことについてお聞きをさせていただきます。

池辺参考人 このたび、供給力を電力会社さんが出していただけるということになりましたことは、我々新電力としても非常に期待をしているところでございます。一応、数字がそれぞれの電力会社さんから出ておりまして、取引所でいうと、今まで〇・八%ぐらいのものが、現在電力会社さんから出されている数字をトータルすると四%ぐらいの数字に上がる数字でございます。ぜひ、その数字を確実に達成していただきたいというのが私のお願いでございます。

 以上であります。

江田(康)委員 この点について、さらに、自由化すると、総括原価方式はなくなるということから、発電の新規投資が進まないという意見があることについてどのように考えられるか。

 これは八木参考人と池辺参考人にお聞きをいたしたいんですが、八木参考人には、先ほどの同じ質問に対してどのように考えられるか、お聞きしたいと思います。それと、加えて、今言いましたように、自由化すると発電の新規投資が進まないと。新規投資を進めるために必要な措置があるとすれば何か、それについてもお伺いをさせていただきたいと思います。

八木参考人 お答え申し上げます。

 卸電力取引の活性化につきましては、今、池辺参考人からお話がございましたように、私ども、卸電力市場の活性化ということでは、今回の電力システム改革専門委員会の報告書においてもいろいろと記載されておりますが、これまで以上に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

 今現在、私ども、卸電力取引所に参加しております一般電気事業者九社が、活性化に向けて、まずは自主的な取り組みを行うということで表明させていただいておりまして、既に一部着手させていただいております。

 現在〇・八%程度のシェアでございますが、電力として、トータルで約三百七十億キロワットアワー以上の卸の取引所を使うということを表明させていただいております。私どもとしては、まずこれを確実に実施していくということが大事だと思っております。

 その上で、さらに活性化するということは、やはりこれは電力会社のそれぞれの需給逼迫の状況が解消されていかないと、正直なところ、今こういう需給状況が非常に厳しい中で卸電力取引所に我々が量を出していくというのはなかなか難しい、限界がございますので、そうした需給逼迫が解消した暁には、ぜひ、一層の活性化に貢献してまいりたいというふうに思っております。

 それから、自由化の市場の中で、発電設備の投資に少し意欲が湧かないんではないかということなんですけれども、私ども電力事業者としては、これまでもそうでございますけれども、仮に自由化の世界になったといたしましても、お客様にできるだけ低廉で安定した電気をしっかりとお送りするという、この使命は変わるものではないと思っております。そういう意味では、中長期的に、しっかりと安定供給という責務を果たすためには、電源を確実に確保する、これが大事だと思います。

 ただ、残念ながら、今ちょっと中長期的な見通しが見えないというところで、各社、少し、中長期の電源投資というところには踏み込めないところがあるわけでございますが、やはりこれはもう、先ほど申し上げましたエネルギー政策というのがはっきりした中で、事業環境の見通しがはっきり立ってくれば、我々としては、できるだけ低コストな発電所、また、できるだけ安い燃料を調達した発電所の建設、これはもうしっかりとやってまいりたいと思っております。

 以上でございます。

池辺参考人 先生の今の御意見のとおりで、大型の発電所をつくるというのは、大変なお金もかかりますし時間もかかることで、やはりそれの判断というのはなかなか大変だと思うんですね。

 我々考えておりますのは、例えば、ある発電事業者さんが百の電気をつくるときに、設備をリニューアルされますというようなときに、百二十の出力を考えていただいて、それには我々も資金を提供させていただいて、その二十のところに関しては我々が利用させていただく権利をいただくとか、新規のものに関しましては、そういうものを積み上げて供給力を確保していくのが一番今考えられる方法ではないかなと思っております。

 以上であります。

江田(康)委員 最後の時間でございますが、先ほど来、この電力システム改革に関して、第一の懸念ということでございました。電力総連の種岡参考人の方からは、日程ありきで進むな、しっかり検証して見直すべきは見直していく、そういう電力システムの改革が重要であるということが表明されましたし、また、商工会議所の清水参考人からは、安定供給と料金抑制であるということでございました。

 今までの意見交換を聞いていただいて、その点において、我々、国においてなすべきことについて、改めて思いのたけを、あと二分しかないんですけれども、最後に語っていただければ、しっかりと反映させてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

種岡参考人 お答えを申し上げます。

 私ども、これまで電力の安全、安定供給にまさに使命感と自信、誇りを持って取り組んできたわけでございますけれども、やはりその背景には、しっかりと、いついかなるときにも国民の皆さんに電気をお届けする、そのことが極めて重要なんだ、そういう思いで取り組みを進めてきたというふうに思います。

 例えば、九八%お届けできればよい、そういうような品物ではございません。常に一〇〇%、しっかりとお届けをしなければいけない。そうなると、そのためのさまざまな懸念事項はしっかりと検証して、仮に課題があるならば、その課題をしっかりと克服しながら進めていく、このことが重要だというふうに思いますので、繰り返しになりますけれども、日程ありきということではなくて、さまざまな課題についてしっかりと検証しながら、その中では、当然、職場の実態、現場もよく見ていただきながら、問題があるならばそれを克服しながら進めていく、このことをお願い申し上げておきたいというふうに思います。

清水参考人 私は、中小企業の社長でございまして、電力システム改革の詳細な制度設計についてはなかなか細かいところを申し上げる力はありませんけれども、何度も申し上げますとおり、とにかく電力が安定的に供給されて、価格が急激な上昇を伴うということがないようにしていただきたいというだけでございます。

江田(康)委員 まさに、電力システム改革の目的に沿って、そして三本柱の改革に沿って進むべきことであると思っておりますので、参考人の皆様のきょうの御意見をしっかりと反映させてまいりたいと思います。

 本当に、きょうはどうもありがとうございました。

富田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 四人の参考人の皆様には大変貴重な御意見をいただきました。特に、中小企業の立場を代表してということで、清水参考人から、料金の抑制と安定供給が目的ですということを強くおっしゃっていただきました。

 このシステム改革を我々も民主党政権下で検討に着手したわけでありますけれども、その際、私は副大臣でありまして、今思い出したわけですけれども、当時の資源エネルギー庁の次長に、さて、発送電分離をしたときに電気料金の抑制にどうかかわるんだ、どうプラスがあるんだ、答えてほしいということを聞きました。これについては、当時の次長は、これは明確な電気料金の抑制につながるかどうかはわかりませんという答えが当時あったんです。それではまずいだろう、こういう思いはあったんですが、その方はお役人ですから、今はその場所にいらっしゃいません。

 ただ、今我々はこの法案を審議するに当たって、議会人としては国民の皆さんにある意味責任があるわけでありまして、この電気料金の抑制と安定供給というのが目的で、そのための手段としてさまざまなことがあるんだということを改めて清水参考人の御発言で確認できたな、こう思っております。

 そういう観点から、やはりこの法案、そこの目的が本当にはっきり書き込まれているのかどうなのかという観点からも、我々議会人として、これはお役人も一生懸命制度設計されると思うんですけれども、お役人と我々議会人の違いは有権者から直接選ばれた責任がある、こういうことだと思っていますので、その責任性を持ってきょうの清水参考人の御意見をきちっと承らせていただきたい、こう思うわけであります。

 さて、そういう中で、午前中は学識経験者の方の話を聞きました。それぞれすばらしい御意見だったと思いますが、やはりエネルギーは現実だ、こう思うわけであります。現実に日々の電気を供給する、そして我々はそのサービスを受ける、現実だと。一種、机上の空論では困る部分もあるわけでありまして、そういう意味において、きょうは、特に現実の経営そして現実の現場を担うお三方にお出いただいていますので、ちょっとお伺いしたいと思うんです。

 まず種岡参考人にお伺いしたい、こう思うんです。

 先ほどの御発言でも、やや今回の大改革について、現場の、直接電気事業にかかわる者が、残念ながらシステム改革論に参加してこられなかったといった趣旨の御発言がございました。

 我々も前政権下においてこの検討に着手し、その後、今の安倍政権下でこの法案が出てきたわけですけれども、電気事業制度改革について、まさに現場の立場から、検討段階から、正直言ってどうかかわり合い、残念ながらかかわり合えなかったのか、また、その結果としてどういった問題が今、働く現場として生じているのか、お答えいただければと思うんです。

種岡参考人 電力総連の種岡でございます。

 先ほども申し上げましたけれども、平成七年以降の電力システム改革につきましては、私どもも、その目的とその達成のための手法、方策などをしっかりと検討の段階から理解しながら、それぞれの職場で自分たちは何を準備したらいいのか、そういうことをしっかりと理解しながら取り組みを進めてまいってきたというふうに思います。

 今回のこの改革論議につきましては、従来でございますれば、総合エネルギー調査会の電気事業分科会などで御論議され、その上で法案にされていくというようなステップだったというふうに思いまして、私どもも電気事業分科会などに参画をさせていただいて、目的とするところを十分理解しながら、我々の懸念材料もその中でお話をさせていただいて、そのことを現場の働く人たちにしっかりと伝え、自分たちがこれから求められている改革は何なのか、そのためにはそれぞれの現場現場、職場職場で何をしなければいけないのか、十分理解をしながら取り組みを進めてくることができたというのが今までの取り組みであったというふうに思います。

 今回は、そういう検討の段階から、私ども労働組合など、検討の場に参加をさせていただく機会がなかったということが一つございますし、それぞれの職場職場では、特に大震災以降、自分たちの目の前にある問題をどうやって処理していくのか、大きな災害からの復旧復興をどういうふうにしていくのか、あるいは、きょう、あすの電気をどういうふうにしていくのか、目の前の問題を処理することで手いっぱいになっていて、これから先の改革に伴って自分たちが何をしていかなければいけないのかということを十分考える、そういう時間的な余裕もなかったというのが今回の改革の論議だったのではないかというふうに思います。

 これから先、これらの目的、それから示す方針、方策をしっかりとみんなで理解し合いながら、それぞれの現場の段階から、こういうことならばみんなで一緒になってやろうじゃないか、そういう思いが湧き上がってくる、そういう中で進めていくことが重要なのではないか、こんなふうに考えているところでございます。

近藤(洋)委員 日本の今回の震災のときも、私は地元は山形県なんですけれども、東北電力管内でも奇跡的な、スピード感ある復旧作業を実現されてこられた。これはやはり、現場力の強さが証明されたんだろうと私もそこに住む者として実感するわけであります。

 そう考えると、システム改革に伴って現場の方々の士気が低下する、思いが低下するということは避けなければいけない、こう思うわけでありますが、改めて種岡会長にお伺いしたいと思うわけであります。

 今回、会社が分割される、これは大きな変更なわけですね。私は、これは大きなシステム改革の方向性としては必要だろう、こう思いますが、しかし同時に、そのことによって、例えば人材が流出してしまう、不安感を持って、電力会社から流出してしまう、いなくなってしまう、また技術がきちんと継承されなくなってしまうといった、不安感による士気の低下、人材の流出の懸念、さらには、いざという危機のときに、本当に会社が分かれたときに、やはり現場としてきちんと一体感を持って作業ができるのか、こういう懸念、こういうことが幾つかあろうと思うんです。この点について、もう一度御指摘をいただきたい。

 あわせて、働く環境が変わる際に、先ほども意見陳述のときにおっしゃいましたけれども、労使間の協議のルールが必要だということをおっしゃいました。この点についても、こうした働く現場の不安感を払拭するためのルールの構築について改めて御指摘をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

種岡参考人 お答えを申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、この制度の改革に伴って、人材の確保ということに不安が残るようなことがあってはいけないというふうに思います。

 現在、電力関連産業に取り組んでいる人たちは、何といっても、自分たちが今やっている仕事にしっかりと誇りを持っているわけでございますし、みんな自分たちが守っている設備が大好きで、自分たちの施設設備だからこそしっかり守っていこう、こういう意識が高いというふうに思います。

 そして、先ほども申し上げましたように、私どもでいうと二百四十の労働組合があるわけでございますけれども、その二百四十の労働組合に集っている二十二万人、非常にきずなが強いというふうに思います。例えば、東北の大震災で我々の仲間が困っているならば、全国から駆けつけて助けてやろう、こういう気持ちが極めて強い組織なのではないかというふうに思います。

 そういう意味では、今のこの現場力というものをぜひ皆さんからもう一度しっかりと評価していただきまして、それを引き続き残していくにはどうしたらいいのか、そのことも改革の中で御検討をいただきたいというふうに思いますし、この強いきずなということもぜひとも御理解を賜りたいというふうに思います。

 それから、労使関係の問題でございますけれども、さまざまな法律に基づいて、会社分割などのときに対応しなければいけない労使間の問題も当然あるわけでございますが、実際に仕事のやり方が変わる、あるいは、場合によっては会社がかわっていくということになるならば、新しい組織の中でどう仕事をやっていくことが一番効率的に仕事ができるのか、生産性を高めることができるのか、こういうことについてしっかりと労使で話し合って、生産性を高めて効率を高めていく方策を労使でしっかりと確認し合いながらその仕事に取り組んでいく、このことが目標達成のために必要なのではないか、そんなふうに考えているところでございます。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 改めて、また、私どもも問題意識として、今後の制度設計の中で、会社が完全に分割して公正な市場ができ上がる、こうなるとすると、やはりストの規制は、今現在、公的なものだからこそ課せられている、こういうことなんだろうと思うんですね。そこについて、さて今後どうなるのか。発送電会社が相当公的なものになるとすると、そこはどうなのか。では、発電会社はどうなのか。この辺は相当詰めなければいけない課題があり、また同時に、ここはやはり、システム改革の議論の中で若干抜け落ちた感があるなという印象を私どもは持っておるところでございます。

 あわせて、八木会長にお伺いしたいのですが、今回の改正によって、供給責任、先ほどエネットの池辺参考人から供給責任は我々も果たしていくというお話はございました。しかし同時に、今の状況ですと、供給責任は送配電会社が担う、こういうこととなっています。会長、私はどうもイメージがまだ湧かないんですね。どうもイメージが湧かない。供給最終責任というのは発電力を持っていなければ担えないのではないか、こう思うわけですが、たてつけは送配電会社が担う、こうなっております。

 これは、私自身はちょっとイメージがまだ湧き切れないんですが、事業者のお立場から見て安定供給上の問題はないのかどうか、いかがでございますでしょうか。

八木参考人 お答え申し上げます。

 今、先生の御指摘は、非常に大事な、重要なポイントだと思っております。

 結局、最終的に、今回のシステム改革では送配電事業者が最終責任を担うことでございますけれども、御指摘のように、最終責任を担う以上は、やはり電源をきちっと確保できるかというポイントが大きなポイントになると思います。

 そういう意味で、私は冒頭の陳述の中で三点の問題点をあえて申し上げさせていただきました。実は、これはいずれも、発電側と送電側の協調という意味では、いわゆる最終責任を担う送電側が発電側の電源をいかに確保するかということに絡んでいると思います。

 あえてもう一度申し上げますと、例えば、時々刻々、電力の需要と供給、電源と需要とは常にマッチしないといけませんので、これがずれますと、非常に品質のいい製品のむらとか、そういうところに影響が出てまいりますので、需要と供給を日々きちっと合わす。これを送配電事業者が合わす際に、最終的に、やはり発電側は発電事業者でございますので、これがちゃんと合うような形で送配電事業者がきちっと担保できる仕組み、このルールをつくっておかないといけないということです。

 それから、二点目の非常災害時の対応もまさにそうでございまして、これまでは、送電側と発電側が一体となって、停電を早期解消するために、電源を供給し、設備の復旧もしていっているわけでございますけれども、これが分かれてくるときに、送配電事業者が設備を直しただけでは、送る電気がないと送れませんので、やはり電気をどうやって確保するかというもの。

 それから、三つ目に申し上げました、中長期的に、小売の事業者が一応それぞれに予備力をきちっと確保する義務は負わされておりますけれども、エリア全体で本当に将来的にバランスできるかということは送配電事業者が責任を持ちます。したがって、これがちゃんと担保できる仕組みというのが大事であります。

 海外の事例では、それがゆえに送配電事業者が電源を持ってしまった例もあるんですけれども、これは本来のこの制度の趣旨とは全く異なることでありますので、私どもといたしても、やはり送配電事業者が供給責任を担うに当たって、いろいろな種々のケースでちゃんと電源を調達できる仕組み、これをきちっと押さえておかないとやはり安定供給に影響が出ると思っています。

 そういう意味で、今回の第三段階の発送電分離の中での安定供給をきちっと担保する。こうした技術的な検討をしっかりして、我々もその検討にはしっかりと協力してまいりたいと思いますが、ぜひ、この点が大事なポイントでございますので、しっかりと検証していただきたいと思っております。

 以上でございます。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 まだ大事な検討項目がたくさん残った今回の改革なんだろう、プログラム法なんだろう、こう思うわけであります。大きな方向感は一致をしつつも、具体的な制度設計になると相当な課題がある、こういうことはよくわかりました。これから、来年度の国会、また次の国会、法案が提出されるわけでありますけれども、どうなるか、かなりの実務的な知見が必要な作業なんだろう、こう思うんです。

 そこで、今回、これまでの制度設計においては、ややもすると、やはり率直に言って、政府側にも、電力会社、これは働く立場の方々も含めて、これまでのように総合エネ調で一体になって進めるというのは、いわゆる電力村の談合だと言われる、その懸念を非常に強く持っていたのは事実だ、こう思うんですね。

 しかし、これから実務的な作業になると、それは新電力の方も、既存の電力の方も、また働く立場の方も同等に制度設計に入っていかないと、この改革は、私は具体的な制度設計ができないんじゃないかと危惧するわけでありますけれども、八木会長、いかがでしょうか。

八木参考人 お答え申し上げます。

 確かに、御指摘のとおり、これまでの電力システムの改革全体の枠組み、大きな方向性という中での検討から、今度はこれを実際にワークするかどうかということになりますと、まさに実務の世界で、日々我々が仕事しているところの仕事の仕方をしっかりといわゆる仕組みとして確立していかないと、御指摘のような本来の目的がかなわないというふうに思っております。

 したがいまして、これからの詳細検討に当たりましては、ぜひ実務側のメンバーをしっかりと入れていただいて、実務サイドの意見もしっかりと聞きながら、本当に安定供給ということがワークするような、そういう検討をぜひお願いしたいと思います。私どもとしては、そうした検討にはしっかりと協力させていただきたいと思っております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 あと、もう一点、大事な点を伺いたいと思うんです。これは、エネルギー政策上重要な意味を持つ、核燃料サイクル事業であります。

 これまでは、九電力体制という大きな電力会社の中で、核燃料サイクル事業というのをまさに民営の中でやってきた。今度は、システム改革後は、発送電が分離されていく中で、私は個人的には、これは民間会社が持つには重た過ぎる事業ではないか、こう思うわけであります。

 エネルギー安全保障上も、まさにプルトニウムという特殊な物質を扱うということに鑑みても、私は個人的には相当限界があるのではないか、こう思うわけでありますが、いかがでしょうか。なかなか難しい話でありますけれども、発送電分離をされた後の民間会社が果たして核燃料サイクル事業を担うことができるのかという点について、現時点でどのようにお考えでしょうか。

八木参考人 お答え申し上げます。

 これまで、国の原子力政策及び原子燃料サイクルの政策、これは国の政策のもとで私どもは民営で進めてきたということでありまして、我々は創意工夫しながら推進してきたわけでありますけれども、私どもの思いといたしましては、民間のそういう創造性、自主性をうまく発揮して、これからも、全面自由化後あるいは発送電分離後も民間の事業者が担いたいという気持ちを持っております。

 ただし、そのためには、そこのいわゆる制度設計という面での国の役割をぜひお願い申し上げたいと思います。

 例えば、まずは原子力政策というものをきちっと位置づけるということ。それから、原子燃料サイクルを日本としてきちっとやるんだ、まずそういう政策面での位置づけ。それから、具体的には、そうしたことによってこれからいろいろな費用が生じてまいりますが、まだまだ制度面で十分手当てができていない面がございます。そうした制度設計をこれからきちっとやっていくという中で、国と事業者の役割分担というものの中で、私どもとして、ぜひとも事業者でやらせていただきたいという思いでございます。

近藤(洋)委員 会長には、事業者でやるという考え方を御表明いただきました。だとするならば、裏を返せば、この電力システム改革の議論とほぼ同時並行的に原子力政策そして核燃料サイクル政策についてきちんと結論が出ていかないと、やはりそれは不可能だと思うわけであります。

 最後に、清水参考人に一言お伺いしたいんです。

 ずっと、我慢の節電ということで、本当に中小企業の方々は我慢をされてこられました。先ほどの名刺も、すばらしい名刺をつくられていて、多分エネルギー多消費型の現場なのかななんて想像するわけですけれども、我慢の節電というのは中小企業の現場ではもう相当限界なんじゃないかなと思いますが、ことしも夏を迎えますけれども、いかがでしょうか。参考人に、最後にそれをお伺いして、質問を終わりたいと思います。

清水参考人 節電については、我々はピークカットを強要されておりましたので、大分間延びした生産になるんですね。そうすると、結局は、キロワットアワーで考えると、ちっともコストも下がりませんし、なかなか節電というのは、節電すれば何とかなるというふうに簡単にお考えになる方が多いと思うんですけれども、土日に出勤をしたり、夜中に働かせたり、やはり家庭のある従業員にとっては大変苦しい節電でございます。

 ことしの夏は一昨年ほどの節電ではないということですけれども、我々は、この節電については継続して頑張っていきたいというふうに思います。

近藤(洋)委員 質問を終わります。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 きょうは、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 三人の質疑の中で、皆さんの御懸念ですとか、あるいは思いとかをお伺いして、よくわかりました。私の方からは、ちょっと違う観点で、質問がかぶらないように質問させていただきたいと思います。

 まず、八木参考人と種岡参考人にお伺いしたいんですが、現在の仕組みでも、実際にその地域での電気の融通というのはできる状態になっているわけでありますが、現実は、中国電力の管内に九州電力の方が一件契約をされたというだけにとどまっているわけでありますけれども、どうして今、この地域独占という形が崩れないでこの状態が続いているのかということについて、何か御見解をいただきたいというふうに思います。

八木参考人 お答え申し上げます。

 電力各社の競争戦略については、個社の判断でございますので、なかなか全体としてお答えしにくいところでありますが、私は関西電力という立場を踏まえてお話を申しますと、各社においては、例えば新電力さんが出てこられること、あるいは他電力さんが管内に進出してくるということに関しては非常に意識をしておりまして、自分の管内のお客様がそういう他電力、新電力のお客様の方に行かないように、できるだけお客様に自分の会社を選んでいただくような、そういうビヘービアをしておりまして、例えばサービスの面とか、料金の面とか、いろいろな対応をしております。

 例えば、小売自由化後でも、関西電力でも二〇%ほど電気料金を下げてまいりました。今回、燃料費の高騰で料金値上げをさせていただきましたけれども、一応そういうふうな、自社管内で電気料金の値下げ、競争力を高め、お客様サービスを高め、できるだけ御選択いただくような努力をしておりまして、そういう意味では、各社はそういう努力をしておりますので、潜在的な競争という意味では働いているわけです。

 ただ、状況として、やはり、他電力さんに電気をお送りにいくよりも自分の足元を固めるというのが、どうしても、企業にとっては優先事項といいますか、そういうビヘービアになってしまいますので、特に今、三・一一以降のこの需給逼迫の状況の中では、まさに足元の需要を、やはりお送りするというところがどうしても中心にならざるを得ないというところでございます。ですから、どうしても電力会社としてそういうところがあろうかと思います。

 一方で、よく送電部門の中立性に疑義があって、そういったことが影響しているのではないかというような御指摘も多々耳にすることがございますが、我々としては、基本的には、設立しましたESCJのルールとか、適正取引のガイドラインで、やはり公平性、透明性、中立性というふうなところはしっかりとやっているところでございますので、そうした点は、今後の広域的な運営推進機関ができることで、さらにその辺は確保できるんじゃないかと思っています。

 そういう意味で、我々としましては、これから各電力の需給環境がまず改善されるということが大事でありまして、そうした暁には、電力会社がそれぞれ切磋琢磨して、お客様に選んでいただくためのサービスを提供する。

 そういう意味では、価格競争力でなく、例えば、お客様の本当にお役に立つためには、お客様の、私は、その安全、安心と快適、便利、こういったところにジャストフィットするような、電力プラス、例えば私どものグループ事業、私どもFTTHとかいろいろ持っておりますけれども、そういうようなトータルソリューションでできるだけお届けするということをこれから一生懸命やって、区域外供給を含めたあらゆる可能性については、今回のシステム改革の全面自由化を踏まえまして、しっかりとやっていきたいと思っております。

 以上でございます。

種岡参考人 お答えを申し上げます。

 経営にかかわる課題でございますので、八木会長からのお話のとおりかというふうに思いますが、働く者の立場で申し上げれば、私どもの組合員の中で、特に営業を担当している者などは、お客様のところに足しげく足を運びましてさまざまなことに御理解をいただく、そういう活動を真面目にやっているということが言えるかというふうに思います。

 それから、電力、電気をお届けするという立場では、繰り返しになりますけれども、安定した電気をしっかりお届けする、このことを日々一生懸命取り組んでいるわけでございまして、お客様からはそういうことについてもお認めをいただいているのではないか、こんなふうに思っているところでございます。

今井委員 ありがとうございました。

 次に、池辺参考人にお伺いします。

 先ほどの質問とややかぶりますけれども、これまでも企業のところの自由化が徐々に進んできたわけでありますが、先ほどもお話ありましたが、四%弱ということで、新規参入がおくれているわけでありますけれども、いろいろな点があると思いますが、新規参入がここまでなかなか進んでこなかった一番のボトルネックはどこにあるんだとお考えになっていらっしゃるか、御見解をお伺いしたいと思います。

池辺参考人 お答え申し上げます。

 なかなかシェアがふえない一番の理由は、やはり供給力にあると思います。

 日本の発電所で申しますと、八割ぐらいが電力会社さんの発電所でございまして、我々は、先ほど申し上げたようなベースの供給力を、いろいろお願いをするんですけれども、なかなか手に入れることができなかったというのが一番大きいと思います。

 それで、いろいろな自治体の水力発電とか、あるいはごみ焼却場なんかでも電気をつくっておりまして、そういうものもなかなか、今までは入札になっていなかったというのもございました。今度、入札の仕組みを、いろいろお力添えをいただきまして、変えていただいたというのがございますけれども、そういう電気を入手する手だてをなかなか我々は得ることができなかったというのが、最大の問題といいますか課題であったと思っております。

今井委員 ありがとうございました。

 そうですね。やはり、ある程度の供給力をちゃんと担保できないとなかなか難しいんだろうということは私も思います。

 それでは次に、清水参考人にちょっとお伺いしたいんです、今の話の延長線なんですけれども。

 今、シェアは少ないとはいえ、実質、新規参入の企業はあるわけですね。今も、御社あるいは商工会議所のメンバーの皆さんを含めて、電気を今いろいろ選んでみようという意識がそれぞれの企業の中にあるのか、あるいは、今般電気を自由化していくと、そういうコスト意識の中で電気をいろいろ選んでいこう、そういう動きが出てくるんじゃないかなと思いますけれども、商工会議所としても、いろいろな啓蒙活動等をしていかなきゃいけないんじゃないかなと思うんですけれども、そのあたりについてのお考えか何かがありましたら教えていただきたいんです。

清水参考人 電力の供給者を選ぶときに、やはりその安定性、それから価格、ここがいいとか悪いとかというのは全てそこが判断基準になるというふうに考えております。

今井委員 わかりました。

 もう一点お伺いしたいんですが、先ほど、ピークカットをいろいろと強いられて大変苦労しているという話を伺いましたけれども、もう一つ、自家発電をできる限り入れてくださいというような動きもあるんじゃないかなと思うんですが、大企業であればそういう負担は十分できると思うんですけれども、中堅、中小あるいは零細企業にとって、自家発電というものが導入可能なものなのかどうかということについてお伺いしたいと思います。

清水参考人 我が社の検討した結果で申し上げれば、例えば太陽光パネル、これは私ども工場が三十メートル、九十メートルぐらいの大きさなんですけれども、屋根の上に六十キロワットの五千万弱の設備をして、年間に七万キロワットぐらいしか発電ができない。でも、実際、工場では、年間百二十万から百三十万キロワットアワーを使っているわけですから、全体の中で五%から六%の発電しかできない。

 ですから、今言われている再生可能の導入については、もちろん反対という立場ではないんですけれども、住宅用と産業用というのは別にちょっと考えないといけないのではないのか。投資している分に対して全く見合わないというのが現状かというふうに思います。

 以上です。

今井委員 ありがとうございました。

 次に、八木参考人にお伺いをしたいと思います。

 先ほども少しお話があったんですけれども、卸電力取引所の件ですが、ことしの二月の電力システム改革専門委員会の報告書のところで、電力会社九社の自主的な取り組みというのが入っていたと思うんです。あの中では、二〇一三年の三月に試行して、同年夏までに本格導入をしたいというようなことが書いてありまして、全部で三百七十億キロワットアワー以上の売り入札、これは売りと買いと両方出すというのも合わせてだと思いますけれども、という取り組みをされるというふうに表明されておりますが、このあたりの実現性をどう考えていらっしゃるかについてお伺いをしたいというふうに思います。

八木参考人 お答え申し上げます。

 私ども、卸電力取引所の自主的な活用ということで、九社合計で三百七十億キロワットアワーの売り入札を目標ということで進めております。実は、三月からその取り組みを進めておりまして、三月段階で、例えば、それまで、二十五年の二月では十八億キロワットアワーだったのが、四十八億キロワットアワー、プラス三十億、もう既に三月で出させていただいております。

 したがいまして、我々としては、電力各社がシステム委員会の中で自主的に取り組むということで御報告させていただいておりますので、今後、具体的な先行きの計画まで、私は今ここでは把握しておりませんが、御指摘のように、この目標をきちっと積み上げていくようにしっかりやってまいりたいと思っております。

 以上でございます。

今井委員 ありがとうございました。

 私、本会議の質疑等、あるいはきょう午前中の参考人質疑のところでもお話をしたんですけれども、やはり卸電力市場の取引量がふえないとなかなか競争力が生まれない。先ほど池辺参考人もそのことをおっしゃっていたと思います。ふえる方法の一つとして、もちろん、自主的な取り組みをしてふえていくというのが一番すっきりするんだと思いますけれども、その実績が上がらないということであれば、やはり一定程度の量を義務づけして出すということも必要なんじゃないでしょうかというお話をさせていただいたんです。

 これは、御回答は結構なんですが、どういうものでもそうなんですけれども、まず自主規制とか自主目標というのがあって、それが効果が出れば、あとはもう行政というのはかかわらないというのが大体どこでもある話なんですが、自主的な取り組みが十分じゃないと、どうしても、そういう次の施策を打たざるを得ないというところに入ってくるんだと思うんですね。

 ですから、きょうはこのことをあえてお伺いしたのは、業界の方から積極的にこういうことに取り組んでいただくということで、行政の方もそういう意味では信頼感が生まれて、では、もうこのまま、通常であれば、そういう義務づけをするということは本来は余りやってはいけないことだと思うんですが、競争導入という意味で、やらざるを得ない状況にならないような御協力をしていただきたいということをここでお願いしておきたいと思います。

 では、もう一問、これは八木、種岡、池辺三名にお伺いしたいと思います。

 今回、発送電分離の話、先ほども少し出ておりましたけれども、法的分離ということで一応やっていこうと。法案の中には、もしいろいろな支障がある場合には機能分離も考えましょうというような規定もありますけれども、今は会計分離という形でやっているんだと思いますが、それぞれのお立場で、発送電分離をするに当たってはどういう分離の仕方が望ましいというふうに思っておられるかを御三名の方にお伺いをしたいというふうに思います。

八木参考人 お答え申し上げます。

 結論から先に申し上げますと、現時点でどちらが望ましいとちょっと一概に申し上げられないというのが答えでございます。

 といいますのは、法的分離それから機能分離が今回議論されておりますが、これはいずれもメリット、デメリットというのがございます。

 例えば、法的分離というのは、送電設備を保有し運用しておりますので、これは、いわゆる安定供給という面では、送電部門のトラブルに関しては、やはり設備を持っているところとその運用しているところが一体であるという方がいいと思います。

 一方で、今度、機能分離の場合は、運用の機能だけを切り離して、これは全国機能ですけれども、全国的ないわゆる需給調整といいますか、これが非常にやりやすいといいますか、ある意味では、こういうことをやることによって、再生可能エネルギーがかなり入りやすくなるという点もあります。

 そういうようなことで、それぞれにメリットがありますし、デメリットもそれぞれあります。

 したがって、メリットを生かしながらいかにそのデメリットの部分を、きちっと担保できるかということにかかると思いますので、現実には、その辺の制度の仕組みを十分検討してみないと、現時点では、どちらがいいということは一概にはちょっと申し上げられないという状況でございます。

 以上でございます。

種岡参考人 お答え申し上げます。

 特にネットワークにつきましては、さまざまな方が共通して使う、そういうことになるわけでございますので、ネットワークの中立性でございますとか、あるいはその託送料金が適切である、このことが皆から見てよくわかる、そういう仕組みが必要なんだというふうに思います。

 一方で、繰り返しになりますけれども、安定供給でございますとか、働く者の立場からしてみると安全ということもございますので、どういう仕組みになろうと、安定供給そして働く者の安全、設備の安全も含めてそうでございますけれども、そういうものがきちんと担保をされる、そういう仕組みが必要なのではないかというふうに思います。

 仮に、発送配電それぞれ会社が分かれるということになるならば、それぞれの中で設備全体の、ネットワーク全体の運用ルールをきちんと決めていただいて、誰が見てもわかりやすいものにしていって、問題のないような運用ルールをつくっていかないと、そのことに不備があることによって供給支障を起こしたりですとか、あるいは人身事故になってしまう、そのようなことが決してあってはいけないんだというふうに思いますので、そういう運用ルールがしっかりと決められて、みんなで運用することができる、そういう仕組みであることが望ましいのではないかというふうに思います。

池辺参考人 分離の仕方につきましては、いろいろなアイデアが生かされて、事業者が競争できる仕組みができるということが重要であろうと思っております。

 発送電分離というのも一つの手段であると私は思っておりまして、本質的には、競争の活性化ができる仕組みをぜひつくっていただきたいというのが私の考え方でございます。

今井委員 どうもありがとうございました。

 先ほど近藤委員もおっしゃられましたけれども、今回、プログラム規定がたくさんありまして、これから具体的な中身をしっかり詰めていかなきゃいけないということだと思います。

 やはり安定供給をちゃんとさせること、それと電気料金が低下していく、この二つをどうやって担保しながらやるかということが一番の問題点であるということは、ここにいらっしゃる委員全員の思いだと思いますので、それが毀損されないようにしっかりと取り組んでまいりたいということを申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 遅い時間までありがとうございます。みんなの党の井坂信彦です。

 本日、主に八木参考人と池辺参考人にいろいろとお尋ねをしたいというふうに思っております。

 まず一点目なんですが、今回の電気事業法改正では、先ほども議論がありましたが、基本的に法的分離ということが念頭に置かれております。

 一方で、この点に関して、附則の十一条二項では、法的分離の実施を困難にする新たな課題が生じた場合には、機能分離によって実施することも検討するというような記載がございます。

 ここで八木参考人にお伺いをしたいのですが、事業者の立場としまして、法的分離を困難にするような課題というのは、実際、どのようなことが想定されますでしょうか。まず、これをお伺いいたします。

八木参考人 お答え申し上げます。

 法的分離ということは、基本的に、先ほどから申しているように、送配電部門が独立いたしまして、この送配電部門が最終的な供給責任を担うことになります。

 ところが、送配電部門というのは、電力系統の運用、設備の保守をしている部門でありまして、電源は持っておりません。したがいまして、先ほどから申しているように、全体の需給調整、電力の需要と供給の調整をするためには、電源と需要が常にバランスする必要があるということだと思います。

 そういう意味では、いわゆる送配電事業者の最終供給の責任を担う部分が、安定供給のために電源をいかに確保できるかという仕組み、ここをきちっと担保することにしていかないと、今まで、垂直といいますか発送電一貫体制で、発電とネットワークの部門が一貫してやってまいりましたけれども、この部分をきちっと補完する仕組み、ここを十分検討し、また検証するということが一番大事ではないかというふうに思っております。

 以上でございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 要は、送電の会社が電源確保ができなかったというような場合には法的分離の実施が困難だというような状況に当たるのではないかというようなお答えかと思います。

 重ねて八木参考人にお伺いをいたします。

 一方で、利用者側の立場からすると、今回の全体のシステム改革ということで一番すっきりして見えるのは、所有権分離ではないかなというふうな思いもいたします。もちろん、これを強制的にやりますと、憲法上の問題があるのではないかという意見もよく承知をしているところであります。この所有権分離ということについては、どういうお考えをお持ちか。

 また、もう一点お伺いをしたいのが、これは強制はしないにしても、附則の中ででも、何かインセンティブ設計のような形で所有権分離への誘導政策を行うというようなことを記載した場合に、何か事業者側として不都合が生じそうでしょうか。お伺いをいたします。

八木参考人 お答え申し上げます。

 所有権分離ということになりますと、完全に、例えば私ども関西電力と別の事業体になるわけであります。

 これは、我々としては、民間企業の中の一事業を切り出してしまうということになるわけですけれども、これを完全に切り出すということになりますと、株主とか債権者とか、ステークホルダーの理解が必ず要ります。そういう意味では、そのステークホルダーの理解を得ることが簡単にできるのかどうかというのは、非常に私、今の段階ではよくわからないところであります。かなり難しいのではないかというのが一点あります。

 それからもう一点は、先ほど申しました法的分離よりもう一歩進んでおりますので、所有権分離になりますと、送電会社といわゆる発電会社との縁は全く切れますので、先ほど申しましたように、送電会社が供給責任を担うときに本当に発電会社が言うことを聞いてくれるのか。

 法的分離の場合はまだ同じ資本系列の中に入っていますが、資本系列が分かれてしまうと別会社ですから、それぞれの発電会社が独自のビヘービアを行うとなかなか難しくなるということで、いわゆる安定供給を確保するための仕組みというのは非常に、一段とハードルが高くなるというふうに思っております。

 そういう意味で、所有権分離というのは現時点では大変厳しいというふうに認識しております。これは、報告書の中でも将来的な検討課題というふうに位置づけられているというふうに認識しています。

 それから、誘導政策ということについては、残念ながら、私ども、今具体的なイメージがわかりませんので、お答えは差し控えさせていただきますけれども、現実的にそれをやっていこうとすると、相当なインセンティブがないとというか、逆に言うと、本当にそれだけをやることが国民の皆様にとって利益になるということを確実にそのステークホルダーに理解させることが大事じゃないかと思います。

 以上でございます。

井坂委員 どうもありがとうございます。

 ステークホルダーの理解と、あと、やはり、先ほど一問目でもお答えいただいた電源の確保ということで、完全な、もう資本関係すらなくなってしまうと、万が一のときの、あるいは送電側から発電側へのお願いがしにくくなるのではないかというお答えでありました。まさに我々が危惧している、関係が、要はお互い相思いやるようなのが時に競争環境をゆがめるのではないかという懸念の裏返しというか、逆に相思いやる場面も必要なのではないかというお答えではないかというふうに思います。なるほどという思いも一方でいたしました。

 続きまして、池辺参考人にお伺いをしたいと思います。

 いただいた資料の中でも、公正で透明な競争のための重要事項という中で、新電力の側から見た優先事項といたしまして、マーケットメークの義務化ということをおっしゃっておられます。このマーケットメークの義務化ということで、特に既存の電力会社が率先してマーケットメークということを行っていくのに対して、既存の電力会社側にはどのようなインセンティブを与えると、そういう既存電力会社側がマーケットメークをやろうというふうに動くとお考えでしょうか。そのことをお伺いいたします。

池辺参考人 マーケットメークにつきましては、どういう仕組みで需給をバランスさせるかという制度の問題だと思います。

 先ほど申し上げましたけれども、同時同量の制御というのは我々新電力だけに課せられた義務であります。

 マーケットメークというのは、系統部門が全体を、系統を見ながら需給を調整していきましょう、それで電源を、当然安い電源から順番に動かしていくわけでありまして、そのときに需給調整に使った電源のコストが、今度は事業者との間で需給調整のコストが精算されるという仕組みだと思っております。ですから、需給調整にかかる費用が明確になるというのが一番のメリットだと思っております。

 我々、先ほど申し上げましたけれども、プラマイ三%の同時同量義務がありまして、そこから外れますと、物すごく高い料金の電気を買わざるを得ない。その料金が本当にコスト的に見て正しいものなのかどうなのかというのは、我々も、情報がなかなかございませんので、判断できないという状況でございます。

 そういう意味で、オープンな仕組みで、なおかつ、個別にコントロールするよりも、全体をうまく合理的に同時同量を実現する仕組みが望ましいのではないかなと思っております。

 以上であります。

井坂委員 ありがとうございます。

 関連しまして、また八木参考人にお伺いをしたいと思いますが、今、例として挙げられました三十分同時同量制、いわゆる追従方式で、しかも、新電力側から見ると、余った場合にはただで売るというか、ただで差し上げなければいけなくて、足りなかった場合には非常に高い料金で不足を埋めなければいけないという、インバランスのアンバランスといいますか、そういう状況があるのではないかというふうに思います。これが、計画値方式が導入されれば、そもそもこういうことはなくなろうかというふうに思うのですが、その前段階として、三十分同時同量制のこの不公平なインバランス料金、これはすぐに廃止できないものかなというふうに思いまして、経済産業大臣に先日お尋ねをしたところであります。

 事業者側からごらんになって、この三十分同時同量のある種不公平なインバランス料金というものはすぐに廃止できるものなのでしょうか。あるいは、いろいろ理由があって存続しなければいけないものなのでしょうか。

八木参考人 お答え申し上げます。

 私どもというか、基本的な考え方は、電力市場の中で新電力さんが電力を供給するに当たって、やはりそれぞれが責任ある電力供給事業者であるべきだと思っております。

 そういう意味では、需要に対して電気を確保するというのはやはり原則として貫かないと、インバランスが生じた場合には、必ずインバランスを系統運用側で補填するといいますか調整する必要がありますので、系統運用側の負担というのがふえてまいります。

 したがいまして、ここは、野方図にするのではなく、基本的には、それぞれの責任ある供給事業者が三十分同時同量をやるという中で、インバランスができるだけ出ないようにやっていただくというのが原則だと理解しておりまして、そういう意味で今の制度が成り立っていると思っています。

 これは、今の経済産業省令の中で、料金の算定方法については合理的な方法ということで、認定されていると思っております。

 我々としては、御指摘のように、料金の算定の根拠とかその透明性はこれからやはりしっかりと御説明していく必要があると思っていますが、現時点でこれを廃止するということについては問題があると思っています。

 ただ、今回の小売全面自由化の際には、これは基本的には、いわゆる新電力さんも、それから従来の一般電気事業者も、それぞれ、計画同時同量という形になってまいりますので、全面自由化いたしますれば、こういうアンバランスといいますか、そういう問題は解消されるんじゃないかなというふうに思っております。

 以上でございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 今お尋ねしましたのは、確かにこれまでは、大手の電気事業者さんが何があっても必ず電力を確保する、その中で新電力さんが新規参入されて、当然、原則としては、お客さんの電気は新電力側が確保すべきだ、足りなかったときは、これはやはり、ある種のペナルティー的な考え方もあろうかと思います。

 ただ、最後におっしゃったように、これからは本当に競争環境をつくっていく、そのための追従方式から計画値方式という中で、競争環境の促進という意味で、今御質問したことを前倒しでできないのかなという考えを持っているところであります。

 同じ方向性で、これは八木参考人と池辺参考人に同じことをお尋ねしたいと思います。

 いろいろなインフラとか発電所の整備の際に、環境アセスの手続がございます。これは、現状では、やはり非常に煩雑だというふうに捉えておられるでしょうか。アセスの手続はさらに迅速化すべき、この部分が特に迅速化できるのではないか、こういうことがもし具体的にありましたら、御両名にお答えをいただきたいと思います。

八木参考人 お答え申し上げます。

 環境アセスメントにつきましては、通常、大体三年から四年程度かかるというのがこれまでの実例でございます。

 この件に関しましては、昨年の十一月に公表されました環境省と経済産業省からの中間報告の中で、審査期間の短縮等について、特に火力発電所のリプレース、新増設において、アセスメントに要する期間を短縮するということが示されております。私どもにとっては大変ありがたいことだと思っております。

 特にリプレースの方には、割と具体的に、日にちの短縮期間が書いてありますけれども、これから新増設もございますので、できるだけ新増設も含めて審査期間の短縮がまずは着実に実施されることをお願いしたいというふうに思っております。

 それからもう一点、環境アセスの手続の場合には、従来は、方法書手続というのが大変長いことかかるということでございますが、現時点では、本年の四月から、方法書手続の前に、約半年程度、配慮書手続というのが新たに加わってございます。したがいまして、そういう意味では、環境アセスに関する期間がその分は延びているわけでございますので、できればこの手続の部分においても短縮ということを今後御検討いただければありがたいと思っております。

 以上でございます。

池辺参考人 お答えを申し上げます。

 発電所の建設につきましては、今、八木さんからお話がございましたけれども、環境アセスに三年から四年、それから、大型の発電所になりますと、実際に建設に三年ぐらいかかるわけでありまして、スタートして大体七年から八年、大型はかかるというのが、我々もなかなかその供給力を持てないということになっているわけであります。

 それで、環境アセスにつきましては、例えばLNGというのは環境負荷が低いわけでありまして、コンバインドサイクル発電所なんかはいろいろなほかの発電方式と比べてCO2負荷が低いわけでありまして、そういうものに関しては、CO2の量に応じて環境アセスを、その期間を短縮するとか、項目を見直すとか、そういう対策を打っていただければ、より早い発電所の建設が可能になるのではないかなと思っております。

 以上であります。

井坂委員 ありがとうございます。

 また、競争環境ということで、もう一点、これは八木参考人に。済みません、八木参考人ばかり。

 地点料金制の導入ということを提案する専門家の方もおられます。いわゆる地域によって発電所が多い地域と需要家が多い地域で、送電線に電気を入れるお金とそれから送電線から電気を受電するお金にそれぞれ格差をつけて、偏在を正していこうという方向性、ある種のインセンティブ設計でありますが、こういう地点料金制ということについて何かお考えをお聞かせいただきたいと思います。

八木参考人 お答え申し上げます。

 どちらかというと、今、送電部分の託送料金の関係の御質問かと思っております。

 確かに、私ども、まず託送料金というのは、これまでは電力会社の間をまたぐ場合にはパンケーキということで足し算していったんですけれども、これは一律料金ということで、まずそういう低減化を図っております。

 この部分の料金を今地点別にということで御指摘だと思いますが、例えば電源が入ってくる場合には、いわゆる需要地近接性というふうなことで、電源の場合には電源線が短くなったりしますので、そういう意味で、あるいは需要の中心に電源をつくるということで、そういう配慮をしている料金制度はございます。

 今のお話の場合は、負荷が、いわゆるお客様がどこに出てくるかによって地点別でということになりますが、これは恐らく電力系統に流れる電気の量が、今は電気の量に関係なく一定にしているんですけれども、例えばここに入った方がこの電力の系統の電気がより運用しやすくなるからというふうなお考えかと思いますけれども、なかなか現実的には、これは今後の検討課題ではないかと認識しております。

 現実的には、そういう具体的な効果をどう見込むかとかいうのは、詳細に検討してみないといけないと思っておりますので、そういう問題については、今私どもとして認識はしておりまして、今後、国などにおいてもそうした検討が行われていくんではないかというふうに理解しているところでございます。

井坂委員 ありがとうございます。

 最後に一点だけ、電気事業連合会さんのことについてお伺いをいたします。

 三月末にちょっと新聞記事でいろいろと載っていたんですけれども、任意団体であって、いろいろないわゆる監督官庁への報告義務や情報の開示義務がないというようなことですとか、あるいは電力会社が電事連に会費を払っているんだけれども幾ら払っているかわからない、あるいは政治家のパーティー券を買っているようだけれどもその辺もよくわからないというようなことが指摘をされていたわけであります。

 お答えいただける範囲で結構ですけれども、まず一点は、新電力はやはり加入ができない仕組みなのかどうかというのが一点。それからあと、会費とかあるいはパーティー券、会費を電力会社が支払い、政治家の方のパーティー券もこの記事のとおりやはり現在でも買っておられるのかということを教えていただきたいと思います。

八木参考人 お答え申し上げます。

 まず、電気事業連合会というのはどういう目的かといいますと、電気事業の健全な発展を図るということで、それが我が国の経済の発展あるいは国民の生活水準の向上に貢献する、そういうことを目的として我々がつくった、つくられた団体でございまして、そういったことを使命に電気事業者がそういう活動をしているわけでありますが、一応、現在の規約では、一般電気事業者を会員とするということにしてございます。したがいまして、新電力さんは特定規模電気事業者ということだと思いますので、一応、お申し込みがあった場合にはお断りをさせていただいております。

 ただ、これからシステム改革が進展してまいりますと、こうした一般電気事業者という概念が今度はなくなってまいりますので、そういう意味では、いわゆる電気事業連合会のあり方そのものも検討していかないといけないと思っております。

 そういう意味では、例えば、同じ電気事業に携わる者同士の集まりというのも、今後の課題としては十分あり得るんじゃないかと思っておりますが、これは検討してまいりたいというふうに思っております。

 それから、電事連の活動につきましては、そうした活動を、加盟する電気事業者の会費のもとで運営いたしております。したがいまして、こうした最初の目的にかなうものについての出費といいますか支出につきましては、個々に、その必要性、重要性を判断しながら支出しているところでございます。

 以上でございます。

井坂委員 時間が来ましたので、終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、電気事業法改正案の審議に当たりまして、参考人の皆さんには、お忙しい中をお越しいただき、貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。

 最初に、池辺参考人にお尋ねいたします。

 池辺参考人に関してのコメントなど、当委員会の調査室が集めた中で、拝見して目にとまった一つに、日経ビジネスのインタビュー記事がございました。そこでは、通信自由化にあって電力自由化にないものとはという問いがありまして、これに対して池辺参考人が、非対称規制だ、この規制は、独占企業に対して規制を課すことによって他の事業者の事業を営みやすくするものだと述べておられます。

 この通信自由化に当たっての非対称規制とはどのようなものだったのかについて、まず御紹介いただけないでしょうか。

池辺参考人 お答え申し上げます。

 通信の場合の非対称規制といいますと、例えばでございますけれども、NTTのケーブルがございまして、それを新規参入事業者さんが借りたいというときに、基本的には、それは貸し出さないといかぬ。あるいは、建物、電話局がございますけれども、これも、やはり通信の場合は百年かかってそういう拠点のインフラ設備、電話局をつくってきたわけでございまして、新規参入事業者さんが急にそういう拠点をつくろうと思ってもなかなか大変なわけでございます。そういう場合に、我々はコロケーションと呼んでおりますけれども、いわゆるスペースを新規参入者さんが貸してくれと言われた場合に、それは基本的には貸さないといかぬ、こういうルールでございます。

 費用に関しても、将来コストダウンされるであろうという費用で貸さないといかぬということになっておりまして、これは、今まで独占的にやってきた事業者にとっては、本当につらいといいますか、ということでありますけれども、通信の場合は、そういう方法を導入しながら競争の活性化を図ってきたということが現状でございます。

 以上でございます。

塩川委員 ありがとうございます。

 このインタビュー記事でも、通信の場合、自由化から二十七年がたって、ようやくNTTグループのシェアが六割まで下がった、非対称規制を導入し、独占企業が占めるシェアをこれくらいまで落とさないことには、本物の競争は起きない、現在の電力市場には、当社の自助努力だけにはどうにもならない壁がある、本気で競争を起こすのかどうかは国の決断にかかっている、このように述べておられます。

 今回の電力システム改革の制度設計というのが、この点で、電力自由化に当たっての非対称規制について、国の決断というのはどうだったのか、率直に御意見をお聞かせいただけないでしょうか。

池辺参考人 このたびの制度改正でありますけれども、我々も、電力システム改革専門委員会で、オブザーバーとして出席させていただきまして、いろいろな我々の実情を、それから意見を申し上げさせていただきました。私の感じでございますけれども、我々の主張をキーワードとしてはたくさん取り入れていただいたと思っております。

 そういう意味で、今までよりも我々の事業をさらに成長させる施策が、今回、資源エネルギー庁さんによって考えられたのではないかなと思っております。

 電力事業というのは、六十年かかってこういう仕組みができてきたと思っております。そういう中で、やはり、急に一遍にということにはなかなかいかぬのじゃないかなと私も思っておりまして、そういう意味では、今回の制度改正のいろいろな項目を我々は活用させていただいて、まずは、お客さんの期待に応えられるような拡大に努力していきたいと思っております。

 以上であります。

塩川委員 ありがとうございます。

 重ねて池辺参考人にお尋ねしますが、この間、二〇〇〇年代での自由化範囲の拡大なども行われてまいりました。ただ、実際、新規参入の事業者が決して大きくふえているわけではないという現状にあります。

 そういう点で、やはり、発送電分離の問題、法的な分離ということで行うのを今回の法案として組み込まれているわけですけれども、この法的分離、つまり発送電分離をいわば先に行わないと新規の参入が大きく進まないんじゃないのかということなども思うんですが、こういうことについてはどのようにお考えでしょうか。

池辺参考人 先ほど御説明申し上げましたけれども、例えば系統の中立性、公平性、透明性というようなところは、やはりそこが担保されないとなかなか正常な競争ができないのではないかなと思っております。

 そういう意味で、外国の例を見ますと、いわゆる独立規制機関というものが、結構な体制で、全体が公平にされるかどうかというのを、きっちりと組織ができていると思っております。そういう中で、ヨーロッパにおいても、各国のエネルギー、電力の供給の公平性、透明性というのが非常にダイナミックに担保されているのではないかなと私は思っております。

 そういう意味で、工程表の中で、二年後にそういう機関が実現されるというのがうたわれております。新電力としては、そういう規制機関の中で、中立、公正、透明性がさらに担保されることを期待申し上げているということでございます。

 以上であります。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、八木参考人と種岡参考人にお尋ねいたします。

 今、電気料金につきましても、その内訳はどうなっているのかというのが、やはり大停電あるいは福島原発事故を機に、多くの需要家の方、利用者、消費者の方の関心となっております。

 午前中にも、消費生活アドバイザーの辰巳参考人から、電気料金の使用量のお知らせについて見たことがありますかというお話がありまして、実際になかなかそういうのに触れる機会がないということなんかもありまして、ああそうかと思って、私も手元にありましたこの電気料金、御使用量のお知らせ、これは東電ですけれども、関電ではございませんが、これなんかを見ますと、料金の内訳なども書かれているわけです。ここでは、再生可能エネルギー発電の賦課金等ということで、私のうちの場合、五月分は百六十九円なんですけれども、こういうふうに出てくるわけですね。

 そういったときに、原発に係るいろいろな経費というのがあるわけです。こういった経費についてもこのような料金の内訳として明示をするということが、消費者、需要家の皆さんにとってみても大きなプラスになるのではないのか。実際、原発関連の賦課金ということでいえば、使用済み燃料再処理等発電費とか、特定放射性廃棄物処分費とか、原子力発電施設解体費、電源開発促進税等々あるわけですけれども、そういう点で、需要家への情報開示として、電気料金内訳として明示することを行ったらどうか。こういう点での電事連、関電としてのお考えもお聞かせいただきたいと思いますし、また、労働組合としても、需要家、消費者の立場に立っての提言として、こういうことについてどのように受けとめておられるのか、このことについてお聞かせください。

八木参考人 お答え申し上げます。

 電気料金をできるだけお客様にわかりやすく御説明するという御趣旨だと思いますが、私どもも、関西電力といたしましても、このたびの電気料金の値上げを申請させていただいた節にも、公聴会等で多くのお客様からわかりやすい説明というようなことの御要望がございまして、私どもとしても、御指摘のように、まず電気料金をできるだけ御理解賜れるような形で説明していくということ。その中では、御指摘のような、御家庭にお送りさせていただきます料金の明細書、あるいは、今スマートメーター等を当社の場合では約二百万台ほど設置いたしておりますが、そうしたお客様はインターネットで御自分の御使用の状況とかが見える形とか、そんなことでいろいろやっております。

 そうした中で、御指摘のような、料金の中身を、できるだけ明細を詳しくしていくという方向性については、私どもとしても、考え方としては一定の理解ができるところでございます。

 ただ、どこまでの分をお見せしていくかというのは、いろいろと私ども、皆さんの御意見を伺いながら、今後の検討課題という形で検討させていただきたいと思います。

 以上でございます。

種岡参考人 お答えを申し上げます。

 電気料金の内訳、お使いいただいている皆様によりわかりやすく情報開示をしていくということは極めて重要なことだというふうに思います。したがいまして、さまざまな場面を通じて電気料金の内訳がわかるようなそういう仕組みをつくっていくということは極めて重要なことだというふうに承知をしておるところでございます。

 毎月お知らせをする検針のお知らせの中にどこまで情報として入れ込んでいくのか、これは一概に判断しかねるところもあるかというふうに思いますので、まさに総合的に経営の方で御検討いただくということが適切なのではないかというふうに思います。

塩川委員 はい、わかりました。

 続けて、八木参考人にお尋ねいたしますが、東電の電気料金の値上げ審査の際に、発電をしていない原発への多額の購入電力料が計上されていることが問題になりました。関電におかれても、日本原電敦賀の一、二号機や北陸電力の志賀原発の二号機について、合計で四百六十六億円ということが入っている、購入電力料を支払うことを原価に盛り込んでいるわけであります。

 これについて、内訳で、原電の方に幾ら、北陸電力の方に幾ら、そういう開示というのは少なくとも直ちにできることではないかなと思うんですが、この四百六十六億円を二つに分けるということなんかをぜひやっていただくというのはいかがでしょうか。

八木参考人 私ども、今の御指摘のように、関西電力といたしましては、敦賀発電所あるいは北陸の志賀発電所、これは停止しているにもかかわらず料金を払っているということに関しまして、これは、基本的には私どもが、例えば日本原電さんの敦賀などは共同で開発した電源でありますので、ある意味では一部自前の電源という理解もできますので、当然のことながら、これを停止していても、安全に維持するための費用、これは運転する燃料費は当然払っておりませんが、こうした費用はお支払いさせていただくということで今計上させていただいております。

 これは、合計で購入電力料という形で対外的にお示ししておると思いますが、個別の具体的な明細の開示については、たしかまだそこまではしていなかったと思います、ちょっと十分把握しておりませんが。そういったことについては、今後の課題ということにさせていただきたいと思います。

塩川委員 原電と北陸電力の二つに分けるぐらいはすぐできることだと思いますが、ぜひ具体的に、後でもお示しいただけないでしょうか。そのことだけ。

八木参考人 まだその点につきましては、ちょっと今後の課題ということで、検討は十分させていただきたいと思います。

 以上でございます。

塩川委員 電気料金の値上げの問題につきましては、昨年の東電の値上げに関しての西澤社長の発言というのが大変大きな反響となりました。

 昨年四月、東電は家庭部門の電気料金の値上げに先立って自由化部門の値上げを実施したわけですが、東電の西澤社長は、この自由化部門の電気料金の値上げ方針発表の際に、電気料金の値上げは事業者としての義務というか権利だ、このように発言をし、値上げに同意しない需要家には電力の供給停止もあり得ると表明をしたわけであります。

 平均一七%にも及ぶ一方的で大幅な値上げに、多くの需要家から困惑と批判の声が上がりました。五十キロワット以上は需要家が電力供給先を選択できる自由化部門だといいながら、実質、自由化とは名ばかりじゃないのか、需要家には選択肢がない、こういう声も上がっているわけで、こういう状況で値上げは権利と言われるというのは非常に需要家の皆さんからすれば心外だという声が上がっても当然のことだと思うんですが、こういうことについては電事連の会長としてはどのように受けとめていらっしゃいますか。

八木参考人 お答え申し上げます。

 東京電力の西澤社長がどういう思いでそういう御発言をされたかについては私は承知しておりませんので、その点についてのコメントは差し控えさせていただきますが、私ども電気事業者といたしましては、いずれにしても、電気料金のお願いというのは、大変厳しい経済情勢の中で、お客様の生活や産業活動に多大な御迷惑をおかけするという、これは大変苦渋の決断でございます。

 したがいまして、みずからの経営効率化の努力を徹底的にやった上で、なおかつ、引き続き私どもが電力の安全、安定供給という使命を果たしていく、そのためにどうしても必要な部分についてのお願いということで電気料金のお願いをさせていただいております。

 そういう意味では、私どもとしては、大変お客様に御迷惑をおかけするということについては申しわけない気持ちでいっぱいでございまして、改めておわびを申し上げたいと思いますが、そういう意味では、一方で、引き続き電力をしっかりと安定供給させていただくための必要なものという点での御理解も賜りますようよろしくお願い申し上げます。

 以上です。

塩川委員 清水参考人にお尋ねいたします。

 電気料金につきまして、大口の需要家と小口の需要家に差があるんじゃないか。例えば、特別高圧と高圧で単価が違う。これは、電力会社の方からすれば、変電設備の違いなどもあるからということもあるそうなんですが、需要家の方からすると、中身はなかなかよくわからない。

 そういう点でいいますと、大手と中小の事業者において差がついているんじゃないのか、こういう懸念の声なんかも聞くんですけれども、そういった現状についてどのように、受けとめとして、お考え、お感じのところがありましたら御紹介いただけないでしょうか。

清水参考人 私のところに限って言いますと、高圧電力の契約をしておりまして、小口の契約については、それぞれの会社の内容をちょっと把握しておりませんので、私どもとしてはわかりかねます。

 以上です。

塩川委員 電気料金の値上げの問題というのがそれぞれの経営に対して大きな影響を与えている。全体として、今円安の中で輸入原材料の高騰の影響もありますし、そういう中で電気料金が上乗せされるということは、経営としても深刻な状況にもつながってくるんだろうと思うんです。

 こういうものがきちんと実際に価格などに転嫁ができているのかどうか、こういう経営の実態について、今、御社あるいは同僚の会議所の会員の方々の声でお聞きになっているところがあれば御紹介いただけないでしょうか。

清水参考人 私の印刷業界に限ってお話を申し上げると、今回、私のところは一月から値上げになっていますけれども、電気料金でいいますと、単価でいうと二五%値上げです。基本料金は据え置きになっていますから、一七%値上げしているんですね。一般的に我々が買っている印刷の資材でいうと、いきなり一七%値上げするというものは私は経験したことはないんですね。

 ですから、これをそのまま、これがコストの全てではありませんけれども、お客様の方にすぐに転嫁するというのはなかなか理解が進んでいないということでございますので、私は大変厳しい状況に置かれているということであると思います。

 以上です。

塩川委員 時間でもありますので、終わりにします。

 貴重な御意見、ありがとうございました。

富田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、明五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十分散会


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