衆議院

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第20号 平成25年6月19日(水曜日)

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平成二十五年六月十九日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 石原 宏高君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 淳司君 理事 宮下 一郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 近藤 洋介君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      石崎  徹君    越智 隆雄君

      大野敬太郎君    大見  正君

      勝俣 孝明君    佐々木 紀君

      笹川 博義君    白石  徹君

      新谷 正義君    平  将明君

      武村 展英君    辻  清人君

      冨樫 博之君    根本 幸典君

      福田 達夫君    船橋 利実君

      細田 健一君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 美樹君    吉川 貴盛君

      大島  敦君    岸本 周平君

      馬淵 澄夫君    足立 康史君

      木下 智彦君    重徳 和彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      井坂 信彦君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   内閣府副大臣       寺田  稔君

   財務大臣政務官      竹内  譲君

   厚生労働大臣政務官  とかしきなおみ君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局長代理)      枝広 直幹君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      赤石 浩一君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           羽深 成樹君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   井上 源三君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            佐々木清隆君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            小野  尚君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            三井 秀範君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 星野 次彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           内田 俊彦君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           佐々木康雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西山 圭太君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           羽尾 一郎君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          石黒 憲彦君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          永塚 誠一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 高原 一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            守本 憲弘君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           高橋 和弘君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  櫻田 道夫君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房参事官) 田中  聡君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 前田  哲君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十九日

 辞任         補欠選任

  細田 健一君     笹川 博義君

  宮崎 謙介君     船橋 利実君

  宮崎 政久君     新谷 正義君

  山田 美樹君     大野敬太郎君

  丸山 穂高君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     山田 美樹君

  笹川 博義君     細田 健一君

  新谷 正義君     宮崎 政久君

  船橋 利実君     宮崎 謙介君

  足立 康史君     丸山 穂高君

    ―――――――――――――

六月十八日

 原発からの撤退とエネルギー政策の抜本的転換に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一二二二号)

 即時原発ゼロを求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一二二三号)

 直ちに原発ゼロを求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一二二四号)

 即時原発ゼロに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一二二五号)

 原発からの撤退を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一二五六号)

同月十九日

 今すぐ原発ゼロの日本の実現に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四〇四号)

 同(笠井亮君紹介)(第一四〇五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四〇六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一四〇七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四〇八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四〇九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四一〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一四一一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四六三号)

 原発からの撤退を決断しエネルギー政策の転換に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四一二号)

 同(笠井亮君紹介)(第一四一三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四一四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四一五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域活性化統合事務局長代理枝広直幹君、内閣官房日本経済再生総合事務局次長赤石浩一君、内閣府規制改革推進室次長羽深成樹君、内閣府政策統括官井上源三君、金融庁総務企画局審議官佐々木清隆君、金融庁総務企画局参事官小野尚君、金融庁総務企画局参事官三井秀範君、消費者庁審議官菅久修一君、財務省大臣官房審議官星野次彦君、厚生労働省大臣官房審議官山越敬一君、厚生労働省大臣官房審議官内田俊彦君、農林水産省大臣官房審議官佐々木康雄君、経済産業省大臣官房審議官羽尾一郎君、経済産業省大臣官房審議官西山圭太君、経済産業省経済産業政策局長石黒憲彦君、経済産業省商務情報政策局長永塚誠一君、資源エネルギー庁長官高原一郎君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君、中小企業庁経営支援部長守本憲弘君、国土交通省航空局安全部長高橋和弘君、原子力規制庁審議官櫻田道夫君、防衛省大臣官房参事官田中聡君、防衛省防衛政策局次長真部朗君及び防衛省地方協力局次長前田哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石崎徹君。

石崎委員 本日も、質問の機会をいただきましてまことにありがとうございます。

 本日は、先日閣議決定されました日本再興戦略の目玉でございます国家戦略特区、メタンハイドレートの採掘、商業化、そして民間研究開発投資の世界一復活目標の実現に向けた達成手段について、幾つか質問させていただきたいと思います。

 ただ、その前に、被害者数七万三千人、そして被害金額約四千二百億円と言われております、我が国史上最大の消費者被害でございます、今問題となっております安愚楽牧場の件につきまして、関係者が逮捕されてしまったということで、法律上どういった問題があって、そうした消費者被害に対して政府としてどのように取り組んでいくのか、まず最初に質問させていただきたいと思います。

 では、消費者庁、よろしくお願いいたします。

菅久政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁といたしましては、安愚楽問題を踏まえまして、消費者基本計画におきまして、預託法の政省令などで速やかに対応可能なものについて検討を行い、対応するというふうにされております。

 これを受けまして、まず、省令の見直しでございますが、安愚楽牧場の財務情報の開示が不適切であったということを踏まえまして、預託取引を行います事業者の財務情報の開示を強化するとともに、監査情報の開示も新たに行わせるというものでございます。これは六月三日に既に公布されておりまして、七月一日から施行されることとなっております。

 また、政令の見直しでございますが、現行の預託法の規制の対象となっていない物品につきまして、実態も踏まえ、預託法の規制の対象として追加するものでございます。これにつきましては、現在、改正案をパブリックコメントにかけまして、広く国民の皆様からの御意見を求めているところでございます。

 消費者庁といたしましては、預託者利益の保護という観点から、これらの政省令の見直しの効果を見きわめつつ、引き続き適切に対応してまいります。

石崎委員 答弁ありがとうございます。

 先ほど申し上げましたように、史上最大の消費者被害でございますので、まさに消費者庁の役割が本当に求められている案件だと思います。今お答えいただいた件につきまして、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 次に、国家戦略特区の質問をさせていただきたいと思います。

 ちょうど昨日、自民党のある部会で、JPモルガンのチーフエコノミストでございます菅野雅明さんから、アベノミクスについてお話を聞く機会をいただきました。また、マーケットもこの日本再興戦略に非常に注目しておりまして、きのう菅野さんからは、特に国家戦略特区が本当に鍵なんだというお話をいただきました。

 きょう配らせてもらった資料は、現時点で政府が考えております国家戦略特区の創設案でございますけれども、ミッションということで、世界で一番ビジネスのしやすい環境をつくるということを目指して、大胆な規制改革、税制措置、そして新しい技術でイノベーションを図っていくということでございます。

 五月二十四日に国家戦略特区ワーキンググループで出されました国家戦略特区の基本的な考え方には、「国家戦略特区は、大都市のみならず、広く、地域の個性を活かした農業等に係る地域振興策などについても、着実に検討を進める。」というふうに記載がされております。よって、国家戦略特区の選定に当たっては、全国津々浦々、いろいろな地域の個性を生かした形で進めていただきたいと思っております。

 私の地元、新潟市は日本海側の政令指定都市でございます。特に、私の新潟市でいえば、金属産業が盛んでありまして、高度な技術を有する中小企業が非常に集積している地域を後背地に持っておりまして、例えば、新たな航空機産業の集積地とするべく、従来の中小企業振興策だけではなくて、航空機部品製造拠点を形成するような設備投資の重点地域を目指して、現在、国の地域イノベーション戦略推進地域に申請しているところでございます。

 基本的には、この国家戦略特区は、国、地方、民間が目的を共有して三者一体となって進めていくというものでございますけれども、今申し上げました航空機産業のみならず、例えば食品産業ですとかエネルギー産業、全国でいろいろな地域の売りとなる産業、またこれから地域として育成していきたいものがたくさんあるというふうに思っております。

 ぜひ、国家戦略の観点から、日本再興の起爆剤となるような取り組みについて、積極的に国家戦略特区として選定できるように、これから制度設計をしっかりと進めていただきたい、また、選定地域の全国のバランスを図っていただきたいと思います。特に、太平洋側の大都市圏に限らず、日本海側もぜひ特区に指定していただきたいと思っております。

 まずは、国家戦略特区の司令塔となっております地域活性化統合事務局から、この点につきまして答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

枝広政府参考人 今お話のありました国家戦略特区でありますが、現在、ワーキンググループを立ち上げまして、具体的な制度設計等についての検討を開始したところであります。

 さきに閣議決定いたしました日本再興戦略でも、国の成長に大きなインパクトを与えるプロジェクトを対象とする、こういうふうに記述されておりまして、これを受けて、今後、特区にふさわしいプロジェクトの選定に向けた議論が重ねられていくものと考えております。

 なお、特区の区域数や具体の地域につきましては、これまでのワーキンググループでは議論はされておりませんが、先ほど先生がおっしゃっております、日本経済再生の起爆剤となるような先駆的な取り組み、こうしたものを中心に候補を絞り込んでいくものと考えております。

石崎委員 ありがとうございます。

 本日は、内閣府の政務の方はお越しではありませんけれども、ぜひ政務ともしっかりと意思疎通を図って進めていただきたいというふうに思います。

 本日は、経済産業大臣にお越しいただいております。今現在検討中の国家戦略特区にせよ、既存の特区にしましても、経済産業大臣の役割というものは非常に大きいものがございます。我が国地域経済の持続的な発展を図っていく上で、ぜひ、今申し上げましたように、日本海側は東アジアの成長を取り込める地域でございますので、経済産業大臣として、これから、日本海側を含めた国全体で特区を起爆剤に成長を図っていくということにつきまして、その決意をお聞きしたいというふうに思っております。どうかよろしくお願いいたします。

茂木国務大臣 さすがに、新潟出身で、田中角栄元総理を尊敬される石崎先生と思って、質問を聞かせていただきました。

 日本列島改造論が打ち出されたころ、非常に世間からも注目されまして、当時は表日本、裏日本、こういう呼び方であったのが、今は太平洋側、日本海側と変わってきたわけであります。

 当時は、言ってみますと、道路網であったりとか鉄道網、これをつなぐことによって全国の発展を図っていく、こういう基本的な発想でありましたが、今回の特区、そして新しくつくります国家戦略特区、こういったものは、規制緩和であったりとか民間の力を活用する、手法からいうと随分違うんだと思いますけれども、それによって地域の力を引き出していく、基本的な発想は同じなんだろう、そんなふうに思っております。日本海側地域、こういったところの地域の振興、また地域の発展は日本全体を底上げするものだ、そんなふうに思っております。

 私も、構造改革特区、そして総合特区の推進本部員として、また産業競争力会議のメンバーとして、しっかりこの問題に取り組んでいきたいと思っております。

石崎委員 裏日本というキーワードを、大臣はさすが、使っていただきましてありがとうございます。

 まさに裏日本と言われた日本海側の地域でございます。投資額も、例えば建設投資でいいましても、太平洋側と比べて五倍から六倍の開きが一九七〇年以降あったというふうに伺っております。

 今おっしゃったように、今回は規制の緩和という話でございまして、例えば新潟の話でいうと、国有地をもう少し使いやすくするとか、そういった形で規制緩和することで新たな産業の育成に取り組んでいくというような話もございます。ぜひ、今力強いお言葉をいただきましたので、どうかこれからよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 次に、日本再興戦略の中に、戦略市場創造プランということで、配らせてもらった資料の二枚目にございますけれども、二〇一八年度をめどにメタンハイドレート商業化に向けた技術の整備をしていくという記載がございます。

 ただ、基本的に、日本再興戦略のメタンハイドレートというのは、三重県沖で発掘されました、砂の下に埋まっておりますハイドレートを意味していると、きのう事務方からお伺いいたしました。

 今、日本海側で見つかりつつあるのが表層型メタンハイドレートと言われております。この実用化に向けて、これからまだ技術開発が必要なものでございますけれども、この表層型のメタンハイドレートにつきましても、ぜひ、これから商業化に向けた技術開発を迅速に進めてほしいと思います。また、商業化が仮に実現できそうな場合には、関連施設の誘致を含めまして、均衡のとれた地域経済の活性化につながるようにどうか取り組んでいただきたいと思います。

 その点につきまして、経済産業大臣の御認識を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

茂木国務大臣 メタンハイドレート、砂層型も重要でありますが、御指摘の表層型についても極めて重要だ、こんなふうに考えております。

 先般閣議決定されました新たな海洋基本計画、そして日本再興戦略におきましても、生産技術の開発、実証、資源量把握に向けた調査などを計画的に実施していくことになっております。

 まず、砂層型のメタンハイドレートにつきましては、本年三月に、海洋において世界初となりますガスの生産実験を実施いたしました。今回の生産実験の結果をしっかりと検証し、一つ一つまた課題を乗り越えて、平成三十年度までに、商業化に向けた技術開発、技術の確立をしてまいりたいと思っております。

 一方、日本海側で確認されております表層型のメタンハイドレートにつきましては、資源量の把握が最初の課題でありまして、本年度から今後三年程度で、資源量の把握に向けた広域の調査を集中的に実施する予定であります。

 本年度につきましては、六月八日から、上越沖及び能登半島西方の沖合での広域調査を開始いたしました。

 この調査結果も踏まえつつ、夏ごろには一部の地域で詳細な地質調査を行う予定でありまして、資源の少ない日本において、まさに自国の資源となり得るメタンハイドレートの開発をしっかり進めていきたいと思っております。

石崎委員 ありがとうございました。

 骨太にも書いてありましたように、地域の成長なくして日本全体の成長なしと言われております。このメタンハイドレートにつきましても、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 本日の大臣のお話、大変勇気づけられるものでございました。

 最後でございます。

 中小企業の設備投資につきまして、日本再興戦略では、設備投資の目標とはちょっと違う観点で、十年後に国民一人当たりGNIを百五十万円増加させるという、非常に夢を与える目標を掲げております。これは毎年三%程度の名目成長率を十年継続した場合に達成できるというふうに思いますけれども、この名目成長率三%、前政権含めてなかなか難しい目標でございました。

 きょうは、そういった中で、配らせてもらった三ページ目以降の資料なんですけれども、先日、興味深いニュースを見まして、四ページ目の日経新聞の記事を見ていただきたいと思うんです。

 国連の国民経済計算の新基準が導入されると民間企業の研究開発費をGDPの算出に加算できるというお話がございまして、例えば、日本の名目GDPは三・一%から三・四%押し上げられる。これが十五兆円規模でございまして、ベトナム一国のGDPを上回る金額でございます。一足先に新基準を導入いたしましたオーストラリア、カナダは、この加算によってGDPが一・一%から一・六%増加したというふうに言われております。アメリカも七月以降に導入いたしまして、二%程度のGDPのかさ上げがあるというふうに言われております。

 そこで、政府といたしまして、民間の研究開発投資をこれから増加させていくということは、マクロの目標を達成するという意味でも、ミクロの面でも非常に意義のあることだというふうに思っております。

 時間が来てしまったのであれなんですけれども、日本再興戦略で掲げております、民間研究開発投資を三年以内にGDP比で世界一に復活させるという目標につきまして、これから、秋には成長戦略実行国会ということで、産業競争力強化法案ということで具体的に中身を詰めていくところであると思いますが、特に、配らせてもらった私の資料の最後をちょっとだけ見ていただきたいんですけれども、民間研究開発投資、一年間で二〇一一年は十二・三兆円あったのでありますけれども、資本金一億円未満の企業の投資が三千億円に満たないということでございます。

 民間研究開発投資の目標を達成するためには中小企業の開発投資もまた一層拡大していく必要があると思いますので、特に中小企業の投資の増大を含めて、大臣の決意を伺いたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

茂木国務大臣 日本経済の再生には三つのゆがみの是正が必要だと思っております。過少投資、過剰規制、そして過当競争、こういったものを直していく。

 特に、過少投資を是正していくことが極めて重要でありまして、その中には、設備投資、それから先生御指摘の研究開発投資があります、中小企業の研究開発投資も含めて、しっかり取り組みをしていきたいと思っております。

石崎委員 ありがとうございました。

 特に、中小企業の研究開発投資が非常に少ないということでありまして、そこをしっかりと認識していただきまして、これからどうか取り組んでいただきたいというふうに思います。

 本日はありがとうございました。

富田委員長 次に、穴見陽一君。

穴見委員 本日も、質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。穴見陽一でございます。

 きょうは、三点、質問をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 先日、十四日、日本再興戦略が閣議決定されました。これは第三本目の矢。まず安倍内閣が第一の矢である金融政策を打たれて、これが的に当たって、今、円安、また株価が上昇する等々の効果が出ております。第二本目の矢は、先日、二十五年度予算が決まりまして、それによってようやく矢が放たれた状態であって、まだ中空を飛んでいる状態でありまして、これが実際に的に当たって効果が出てくるまでには、数カ月の時を待たなければならないんだろうなというふうに見ております。

 私も、経営をやっておりまして、これまで二度ほど、厳しくなった会社を立て直したことがございました。その一回目は父の事業を受け継いだときでありまして、二度目は、私が経営者から突然この政界に出まして、前々回の衆議院選挙前後の三年間、会社を離れた後に戻ったときであります。

 まず、立て直しをするときに大切なことは、短期的に目の前の業績を回復させるための対策、これがアベノミクスにおいては一本目の矢と二本目の矢であったと思っております。そして次に、短期的な業績が落ちついてきたところで、中期的また長期的な見通しをもとに、十年、二十年というような計画を立てていく段階に進んでいくんだろうと思います。私も今、二十年計画というのを会社で持って経営を進めていくわけなんですけれども、この第三の矢、日本再興戦略は、中長期的な方針というものを明らかにした、これからの日本の進むべき道を指し示したものであるというふうに思っております。

 ただ、私ども民間企業が中長期の計画を考えていくときには、ある程度将来の姿を見通した数字というものを組み立てていって、財務諸表なり、そういうものをつくって、その組み立てによって見通していこうとするわけでございます。日本の政府も、国家の経営を担当していらっしゃるわけですから、中長期的な見通しというのは、可能な限り変動要素の少ない、かたい数字を使って想像ができる未来予想というものも組み立てていかなくてはならないのではないかなと思います。

 私が特に気にしておりますのは、人口推計や従属人口指標推計等々もありますけれども、この中から、労働力の見通しや社会保障料の見通しもありましょうし、また産業の分野別の盛衰の見通しもあろうかと思いますが、それぞれのテーマ別の将来見通し等も示されてございます。しかし、そのような個々の将来推計や見通しはございますけれども、それらを横串で刺して、日本社会全体の姿がこれからどうなっていくのかということを長期的に予測した研究というのがなかなか見当たらないような気がしております。

 そのような中で、とりわけ労働力と社会保障のつながりというところの連関が見えてこないのが大きな不安でございます。

 雇用は産業社会の盛衰に左右されます。また、産業経済は、内需は少子高齢化に伴う影響を大きく受けますでしょうし、外需は世界の趨勢の変化に大きく影響を受けると思います。また、労働力は、納税や社会保障の負担をする力でございますし、年金や社会保障料も経済の影響を受けてまいります。社会のあらゆる分野はお互いに連関しながら動いていくわけでございますので、テーマごとの議論だけでは、全体像が本当にどうなっていくのか、なかなか見えてこないような気がしております。

 慎重な企業は、将来予測もかたく見ていくわけでございます。ワーストシナリオとは言いませんけれども、楽観的ではない予測をベースに、新たな行動と、またその効果についてもかたい見通しを積み上げていって、大きな目標への到達を目指していくのではないかと思っております。

 そういう意味では、国の経営も、楽観的でない、しっかりした、全体像を見通した見通しに立脚して、効果的な具体策を打っていくことができるのではないかと思っております。また、国がそのような見通しを示していただくことで民間企業も将来を見通した対策が打てるようになりますし、見通しがあるからこそ投資も活発化するのではないかと思っております。また、国民も、正しい見通しを知ることで、扇情的な情報に惑わされずに、政府の政策に対する理解も進むのではないかというふうに思います。

 日本再興戦略を成功させるためにも、日本社会の将来の見通しを可能な限り定量的に、また横断的に研究、議論する場が必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

西村副大臣 私の方からお答えをしたいと思います。

 日本再興戦略、策定いたしました成長戦略、これはまさに御指摘のとおり、将来を変えていこう、この成長戦略をやることによって我々の将来あるべき姿を想定してそれを実現していこうというものでありまして、重要政策分野ごとにその政策目標を明確化するための成果指標を、いわゆるKPIという言い方をしておりますけれども、定めております。

 例えば、今御指摘のあった雇用、人材の関係で申し上げますと、少子高齢化の中で、労働力人口の減少は確かに懸念されます。そうした中で、例えば、若者や高齢者も含めて働き手の数をやはり一定程度確保していこう、どんどん働いてもらおうということで、二十歳から六十四歳までの就業率を現在の七五%から二〇二〇年までに八〇%に上げる。

 あるいは、そうした中でも、特に女性の活躍を推進しよう。日本の場合はM字カーブで、結婚、子育ての時期にどうしても仕事から離れるケースが多いものですから、その時期の就業率、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率を、現在は六八%ですけれども、二〇二〇年までに七三%に上げよう。そのために、先般策定した成長戦略の中でいえば、保育所を四十万人分整備していこうというような政策があるわけです。

 あるいは、失業なき労働移動を実現していく、成熟分野から成長分野に失業なき労働移動をやってもらおうということで、今後五年間で、失業期間六カ月以上の者を二割減少させる、あるいは一般労働者の転職入職率を二〇一一年の七・四%から九%にするといった目標を掲げております。

 こうしたことを実現することによって、長い目で見れば、今後十年間で平均名目GDP成長率三%程度、実質GDP成長率二%程度を実現していこうということを目指しているわけであります。

 また、この成長戦略とか骨太方針、財政の大きな方針を踏まえて、将来の人口構造なども想定しながら、中長期の経済財政の展望をこの夏にも策定する予定にいたしております。そのために議論をさらに活発化したいというふうに思っております。

 いずれにしても、こういうことを実現するために、この成長戦略については、成果目標の達成に向けしっかりフォローアップをして一つ一つ着実にやっていきたいというふうに思いますが、もう三本目の矢で、一本ではありませんので、それが何百本、何千本とありますので、これがあらゆるところに飛んでいくわけで、今準備をしているものもありますので、着実に飛んでいって、それぞれが的に当たるように頑張っていきたいというふうに思います。

穴見委員 御答弁ありがとうございます。

 私も、そのような政策に大変期待しております。

 ただ、私がここで申し上げたいのは、根拠となる数字といいますか、例えば二〇二〇年までの予測、リクルートワークス研究所の結果によると、どちらかというと、成長戦略、三%の成長というのは織り込んでおりませんけれども、かえって、生産年齢人口は減少するのに失業率が上がっていくというようなことで、ではその先に延ばしていったときにどうなっていくのかというような予測がないものですから、その後の変化というものがちょっと捉え切れないでいるんです。

 今、生産年齢人口が減っていくということで、直観的に労働力が足りなくなっていくということをイメージとしては受けるんですけれども、実際に精緻に数字の連関を調べていくと、反対に職が失われていく姿も見えてくるというような姿がございましたので、そういう意味で、その根拠となるような数字が示されると、我々も非常に理解しやすいということかなと思っております。

 では、質問を移します。

 この四月から、高齢者雇用安定法の一部改正が施行されました。企業は労使協議会での継続勤務基準を設けられなくなり、六十五歳までは継続勤務を望む全ての正社員の雇用を継続しなくてはならなくなりました。グループ企業内での融通が許可されるようになったとはいえ、企業経営としては大変な負荷がかかることになります。

 これは本来、雇用維持という社会コストであり、政府なりの公共が責任を持たなければならないことを企業に押しつけていると言っても過言ではないと思います。この企業負担を解消していかなければ、日本企業の国際競争力の足を引っ張り続けることになります。

 これは、日本型雇用システムのはらんでいた矛盾が、少子高齢化が進展する中で顕在化してきた問題でございます。

 本来、労働基準法は、明確な職務、ジョブに対する雇用契約が結ばれるという欧米型のジョブ型雇用システムを想定した法律でしたが、その後の労働運動や判例法理の積み重ねによってメンバーシップ型の雇用システムとして運用され、新卒一括採用と定年制、そして生活給的賃金制度という形で続いてきております。

 そのモデルは、戦時中の産業報国会体制にあると言われております。特に、家長制度的家族モデルを想定した生活給的正社員賃金体系と、欧米ならノンエリート職務の部分を担うものとして、主婦や学生アルバイトを想定した非正規労働者の低賃金の有期ジョブ型雇用システムが併存する労働環境ができ上がっており、その正社員と非正規社員の断層に、定年後の雇用を企業から望まれないミドルや、結婚できない若年貧困非正規労働者が多数発生し、社会問題化しているのが現状ではないかと思っております。

 まずは、この雇用システムが想定しているモデルからこぼれて貧困状態となっている方々を救済する受け皿を早急に整備し、同時に、中長期的に日本型雇用システムの発展的解消を目指した対策を打っていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

山越政府参考人 委員御指摘のとおり、我が国の労働市場が抱える問題として、二極化の問題があると考えております。

 個々の企業における賃金体系などのあり方につきましては、当事者の労使が議論を重ねて決定すべき問題であると考えておりますけれども、政府といたしましても、多元的で安心できる働き方の支援はしていかなければならないと思っております。

 先日閣議決定された日本再興戦略で、そのための方策として多様な正社員のモデルが打ち出されておりますので、厚生労働省といたしましては、この方針に沿ってしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

穴見委員 ちょっと力み過ぎて時間がなくなりました。

 以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。

富田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 本日は、質問時間が十五分と限られておりますが、省エネの鍵を握るパワーエレクトロニクスの技術開発と、成長産業の担い手である女性の力を引き出すための待機児童解消、大きくこの二点に関して質疑をさせていただきます。

 電力会社から送電線を通じて送られた電力というのは、そのままでは使えません。それぞれの機器に合うように、電流、電圧、また周波数を調整する必要があります。そのための技術がパワーエレクトロニクスであって、私たちの身の回りの製品にも数多く使用されております。

 現在最も多く使用されているのがシリコンを使ったパワエレですが、次世代の材料として注目されているのが炭化珪素、SiC、また窒化ガリウム、GaNです。これらの材料の最大の特徴は何かといいますと、シリコンに比べて大電流、大電圧に耐えられる、しかも電力損失を大幅に削減できる、このような特徴があります。国内のシリコン製のパワエレを仮に全てSiCに置きかえた場合、二〇二〇年時点での省エネ効果は、何と百万キロワットの原発七基から八基分に上る、こういう試算も出ております。

 ただし、普及を阻むのはコストの厚い壁です。専門的な話になりますけれども、SiCは、シリコンよりも結晶をつくるのが難しくて、高品質の基板を製造する技術の確立がおくれています。それが実用化やコスト削減の壁になってきました。

 そこで、政府として、次世代パワエレの技術開発をこれまで以上に強力に後押しして、省エネを一段と推し進めていくことが重要だと考えますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 まさに委員御指摘のとおりだと思っておりまして、次世代のパワーエレクトロニクス、次世代デバイスとしては、これまでのシリコンを用いた半導体ではなくて、炭化珪素、シリコンカーバイドを用いた半導体が現在最も有力である、このように考えております。これを用いますと、従来と比べ電力の損失が百分の一以下にできる、こんなふうに見込まれておりまして、エアコンなどの省エネ製品、次世代の自動車で広く使用されることで大幅な省エネルギーを図ることができる革新的な技術である、このように考えております。

 経済産業省といたしましては、大きな省エネ効果が見込まれる次世代のデバイスの早期実用化に向けて、平成二十二年度から、新材料を高品質にしていく、同時に、コストの課題がありますから、コストの低減、安定化を図っていく、こういった関係の研究開発を、今年度の予算は十九・八億円でありますが、実施しているところであります。

 先週取りまとめが行われました日本再興戦略においても、二〇二〇年までに新材料等による次世代技術の本格的な事業化を目指す、このようにされておりまして、一層の省エネルギーのためのキーテクノロジーの一つとして、次世代デバイスの研究開発をしっかりと支援してまいりたいと考えております。

國重委員 半導体の分野でも、特にこのパワー半導体というのは日本も世界のトップクラスにあると聞いておりますので、またぜひとも強力な支援をよろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 少子高齢化社会において成長産業の鍵を握っているのが、生活実感のある女性の力です。

 働きたいのに働けない女性というのは、三十代を中心に約三百四十二万人います。この現状を打開するために、まずは八十万人以上とも言われている潜在待機児童を解消する必要があります。

 今般、政府は、待機児童ゼロを目指すことを成長戦略の中に位置づけて、待機児童解消加速化プランを示されました。待機児童対策のためには、箱施設の整備とともに人、保育士の確保が非常に重要になってきますけれども、現場を歩きますと、保育士が足りないというような声を聞きます。

 お配りさせていただきました資料一にもありますとおり、実際、厚生労働省の平成二十一年度の試算でも、平成二十九年度末には全国で約七万四千人の保育士が不足する、こういう見込みが出されております。幾ら認可保育所を整備したとしても、保育士が足りないために待機児童ゼロは解消できないんじゃないかというようなことも言われておりますが、これについての認識はいかがでしょうか。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、保育の利用拡大を図るためには、まず保育士の確保が大変重要と認識しております。

 特に、平成二十四年度の補正予算におきまして、現在勤務していない方々が六十万人以上、資格をお持ちの方のうち約七割が潜在の保育士と言われておりますけれども、この方々に一日も早く現場に戻ってきていただいて仕事をしていただくことがとても重要でありますので、保育士・保育所支援センターを創設して保育士の確保に積極的に取り組んでいこう、このように考えております。

 また、総理の方からこの四月に待機児童解消加速化プランも発表させていただきましたけれども、この中に、保育士の人材確保策ということで五つ盛り込ませていただいております。

 まず一つは、養成施設を卒業した皆さんをしっかり確保していくこと、そして、今現場で働いていらっしゃる皆さんに継続して仕事をしていただけるようにすること、そして、今お話ししましたように、潜在的な保育士の皆さんに再就職を促していくこと、さらに、資格をなるべく取っていただけるような環境を支援していく、さらに処遇改善、このようないろいろな方法に取り組みまして、保育士の確保を図っていきたい、このように考えております。

國重委員 現在働いている保育士の方のパイには限りがありますので、今御答弁の中にもありました、資格を持っている人の七割が潜在保育士である、この潜在保育士の確保が急務になってくると思います。

 この潜在保育士が発生している理由の一つとして、保育士さんというのは、私の子供も保育所に預けておりますけれども、小さい子供はなかなか目が離せない、休憩時間もない、肉体的にも精神的にもハードな仕事であるのに、介護士さんなどと同じく、給料が低い、労働条件が悪い、待遇面での悪さ、この課題が挙げられます。

 お配りした資料二の、平成二十四年の賃金構造基本統計調査によりますと、保育士の平均給与は月額二十一万四千二百円、全職業平均の三十二万五千六百円とは十万円以上の格差があります。

 平成二十四年度補正予算で保育士等処遇改善臨時特例事業を行って、私立保育園の給与は平均七千円から最大一万円程度上昇する見込みとなっておりますが、もともとの待遇が悪いので、このような手を打ったとしても、それでも十万円の格差が残ることになってしまいます。

 保育士不足はもう既に顕在化しております。平成二十七年度に新制度がスタートするということですけれども、これを待たずに、今年度中にも、保育士等処遇改善臨時特例事業の拡充、また上乗せをすることなどによって保育士の一層の待遇改善を行っていくことが重要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、保育士のこういった処遇については非常に多くの声が現場から上がっておりまして、平成二十四年度の補正予算で、保育士の処遇改善に取り組むということで、三百四十億円を計上させていただきました。

 そして、二十七年度には子ども・子育て支援新制度をスタートさせていくわけですけれども、これによって量的拡大を支えていくために、加速化プランも踏まえながら取り組みをどんどん継続していきたい。

 三百四十億円を計上したんですけれども、今後も続いていくのかという不安の声も上がっておりますので、これをきちっと継続させていって、処遇を改善していくこと、これこそが保育の環境を整えていく上では非常に重要だと考えておりますので、しっかりと優先順位をつけながら、子ども・子育て会議で、保育の環境をどういうふうにしていったらいいのかを今後検討していきたいと考えております。

國重委員 どうかよろしくお願いいたします。

 次に、全国的な保育所の量の問題のほかに、地域的な偏在の問題もあります。例えば、郊外のベッドタウンよりも、東京都内や大阪市内といった大都市部の方が保育士の給与や労働条件がいいので、ベッドタウンに住んでいる保育士が大都市部に流出して、子育て世帯が多いベッドタウンの保育士さんの確保がままならないというような状況もあるようです。

 大都市部の給料水準が高いことは一般的なことですけれども、保育士の場合は、運営費の単価が大きく影響していて、県や市を境に数万円単位で異なることもあると言われています。

 その背景には、いわゆる級地区分があるとされています。保育所運営費の国庫負担の地域区分は人事院規則の級地に準じて定められておりますが、これは国家公務員の地域手当を定めるためのものであって、必ずしも物価水準や生活圏等の地域の実態を反映したものではないとも聞きます。このようなことから、全国市長会の主張として、地域間格差が生じないよう、保育単価表における地域区分を見直すことが要望されております。

 そこでお伺いします。

 保育所運営費の国庫負担金の地域加算については、現行の国家公務員給与の級地区分に準じて定めるのではなくて、地域の実情を勘案したものにすべきと考えますが、いかがでしょうか。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 保育所運営費の保育単価につきましては、保育所児童一人当たりの月額の保育費用として、地域ごとに設定させていただいております。これは、委員御指摘のとおり、国家公務員の地域手当の支給地域に準じて設定させていただいております。

 委員の御地元は大阪市ですから一五%ということで、東京都内は一八%です。そして、大阪でも地域差がいろいろありまして、一五%の下は一二%から三%まで、これは確かにおっしゃるように、都心部から少しずつ離れれば離れるほど加算が少なくなってきているのが実情であります。

 御指摘のような問題点もございますので、平成二十七年度からスタートいたします子ども・子育て支援新制度におきまして、こちらの方で、設定に当たりましては、もう一度、地域別の価格設定を行うという方向で検討させていただいております。

 関係者の御意見を十分に踏まえて、今後、方向性を定めていきたい、このように考えております。

國重委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 最後に、この加速化プランの中にある職員用宿舎借り上げ支援については、今回、月額一戸当たり八万円の補助を行うとされており、思い切った支援であると思います。ただし、例えば一カ所だけ運営しているような、人員もいっぱいいっぱいの、余裕もない保育所に、宿舎の借り上げ、また不動産業者、保育士本人とのさまざまな事務作業を負担させるのは負担が大きいと思われます。物件は保育士が探してきて、手当的に支給する方がうまくいくんじゃないかとも思います。

 せっかくの支援制度ですので、より多くの保育士さんが利用できるようにするために、民間賃貸住宅を保育士が賃貸した場合にも住宅手当に相当する費用として本事業を適用するなど、柔軟な適用が必要になってくると思いますが、いかがでしょうか。

とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。

 待機児童解消加速化プランの中におきまして、保育士宿舎借り上げ支援事業を創設させていただきました。

 これは、人材確保を図るために、宿舎の借り上げを行う場合の支援を行うということで、より柔軟な取り組みをしていこうということになりまして、保育所の利用だけではなく、認定こども園の方だとか、認可保育園への移行を目指す認可外保育施設についても幅広く利用ができるということにさせていただいております。さらに、新卒者の方だけではなくて、五年以内の方についても対象にしていくということで、このように、いろいろな形で利用しやすい制度を今継続させていただいているところであります。

 一戸当たり八万円ということで、国の補助が二分の一、自治体が残り二分の一を持つ場合、さらに、施設が四分の一、自治体が四分の一と、いろいろな形で取りまぜて制度をつくらせていただいております。

 委員御指摘のように、民間のという御指摘もありますので、それも議論を踏まえまして、どういうふうにしたら保育士の皆さんの確保ができるのか、いろいろな方法を組み合わせながら知恵を絞っていきたいと思いますので、またいい御提案がございましたらよろしくお願い申し上げて、答弁とさせていただきます。

國重委員 また前向きな検討をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 日本再生に向けて、これからが正念場。三本目の矢である成長戦略でしっかりと決定打を打っていく。そのためには、成長産業の担い手である女性、若者、中小企業を支援する支援策を強力に打ち出すメッセージを強く発信していくことが重要になってくると思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 本日はありがとうございました。

富田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 今国会も、いよいよ終盤というか、もう本当にいよいよ最終局面、こういうことでございますが、当委員会においては、これまで、閣法、与野党間で、政府に対してさまざまな質疑をさせていただきました。提案もさせていただきました。政府においては、その提案を受けとめていただいて、閣法の修正も含めて審議を進めてこられたこと、委員長を初め、感謝申し上げたい、こう思います。

 その上で、きょうは一般質疑でありますが、きょうは成長戦略を中心にお伺いをしていきたい、こう思っております。

 日本の成長戦略の中でも、人、物、金を呼び込むという考え方、これは我々も、政権時代、同様の問題意識を持っておりましたし、現政権下の成長戦略も、人、物、金、技術も含めて呼び込んで成長させようという大きな思想に基づいてつくられている、こう認識しております。最初は、まず、その呼び込みの中のお金の話をお伺いしたいと思います。東京マーケットというか、市場の話であります。

 きょうの東京市場は、株式市場でありますけれども、やや持ち直して、一万三千円台をキープ、こういうことでありますが、為替相場はやや動いているようであります。ここしばらく、特に株式市場、為替もそうですし、債券も、金利もそうでありますが、非常にぶれの激しい市場、こういう動きがございました。

 マーケットというのは、さまざまな思惑や要因で動くとはいうものの、基本的に、やはり市場が大きく乱高下するということは余り好ましいことではない、こう思うわけであります。その乱高下しないというか、安定した市場をつくるという意味では、やはり東京の金融市場というものを厚みのあるものにすることが非常に大事であろう、こう思うわけであります。

 こうした観点から、我々、民主党政権時代も、成長戦略の一環として、現物から先物、デリバティブ、そしてさまざまな商品市場も含めて、あらゆるものを一括して取り扱うことができる、いわゆる総合取引所構想というものを志向していこうではないか、その上で、アジアナンバーワンの市場をつくろうではないかということを提言してまいりました。そのことにより世界のお金を呼び込む、こういうことであります。

 そもそも、この構想は、二〇〇七年の第一次安倍政権のときに最初に打ち出された構想であり、それを民主党政権に移っても引き継いで、成長戦略の柱に据えて、金商法も、自公の御協力も御理解もいただいて改正をした、こういうことであります。

 そこで、まず茂木大臣にお伺いしたいのです。

 大臣はもう金融担当大臣もされておりますから、金融についても大変広い御見識をお持ちだろう、こう思うわけであります。アジアナンバーワンの市場を目指す、総合取引所をつくる、こう考える以上、その母体となるのは、東証と大証が合併してできた日本取引所グループがこの総合取引所のまず母体になるべきであろう、こう思うわけでありますが、いかがでございますでしょうか。

茂木国務大臣 この通常国会も残すところあと一週間となってまいりまして、経済産業委員会、富田委員長を初め委員各位には大変お世話になってまいりましたが、特に野党の筆頭理事であられる近藤委員にはいろいろな形で御指導いただきましたこと、改めて御礼申し上げる次第であります。

 取引所の厚みを増していかなければならない、そういったことから、総合取引所について、我々の政権の時代もそうでありましたが、前政権の当時も重点的に取り組んでこられた、このように承知をいたしております。

 そして、改正金商法成立後の昨年の九月に、金融庁、そして農林水産省、さらに当省の方から、日本の取引所を構成する東証、大証、そして東京金融取引所、さらに当時の東京工業品取引所に対しまして、総合取引所実現に向けた協力を要請しているように、この四つの取引所の連携、統合が総合取引所の重要な要素になると考えております。

 もちろん、総合的な取引所のあり方については、取引所みずからが経営判断上の問題として決めていくということになるわけでありますけれども、現実的に申し上げますと、委員御指摘のように、二つの取引所を有し、最大の取引量を有しております日本取引所グループを中心に議論がなされる、これがやはり有望なんではないかな、このように考えております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 全くその御見識のとおりなんだろう、こう思うわけであります。

 そこでお伺いをしたいのです。

 大臣からもお話がございましたように、昨年、各省で認識を共有して、当時の東証、大証、また今の日本取引所、当時の工業品取引所等々に対して、取引所構想を進めるように、こういう要請をしてきた経緯があるわけであります。

 東証と大証が大同団結した。これも、二〇〇七年当時はとてもそんな状況じゃなかったわけですね。お互いに覇を競い合う状況でしたけれども、政府の動きを受けて、安倍政権の動き、そして我々の政権の動きを受けて、東証、大証が大きく統合した。これは、大きな一歩だったわけであります。

 そこで、残すところはとなると、やはりコモディティーデリバティブの九九%のシェアを持つ東京商品取引所、旧工業品取引所がやはり日本取引所グループと連携を強化するというのが残された大きな課題になろうかと思うわけであります。

 ところが、一方で、今、東京商品取引所は海外の取引所との連携も模索している。とりわけ、シカゴの商業取引所とのシステムの連携、さらには、場合によっては、資本連携も進めようと考えているという報道がなされております。

 ここは大変大きな問題で、システムをもし連携してしまうと、これは御案内のとおり、取引所というのは大きなシステム産業ですから、システムを変えることには大変巨額な投資が必要なわけであります。

 現在、東京商品取引所は、今のシステムが非常に古くなってきて、新しいシステム投資をしなきゃいけない状況に追い込まれています。新しいシステムをつくるとなったときに、もしシカゴと連携すると、これはシステムが大きく変わる。今の商品取引所は、日本取引所と同じシステム、ベースが同じものを使っていますから、比較的統合しやすいんですが、シカゴとシステム連携すると、今度はまた全く違う状況になってしまうわけであります。事実上、これは統合が不可能になるんではないか、こうも思われます。資本連携をすると、これまたますます話が難しくなる、こうなるわけであります。

 大臣、商品の先物というのは大きな分野でありますし、世界の取引所が、ロンドンにしろ、シンガポールにしろ、各地が、やはり商品と現物と株式なり等と連携しようという大きなうねりの中で、日本の商品取引所だけが外れるとなると、日本の取引所の統合について、やはりここは少し先行きが不透明になるんじゃないか、こう思うわけであります。

 先ほど大臣から御答弁があったように、取引所の株主の判断とはいうものの、やはりここはひとつ、取引所統合については、やはり日の丸連合でやるべきではないかということを、指導するというんでしょうか、促す、役所言葉でいうと慫慂するというんでしょうか、わかりませんが、すべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

茂木国務大臣 恐らく、さまざまな分野で、十年前には考えられなかったような状況というのが生まれているんだと思います。東証と大証が一緒になる、十年前は考えられませんでした。さらには、財閥の違う三井と住友が一緒の銀行になる、考えられなかったと思いますし、日立とGEが一緒に仕事をする、こんなことも考えられなかった状況なんだと思います。

 そういった中で、今、新しい動きが国内的にも国際的にも起こっているわけでありますが、今御指摘のありました、海外の取引所とのシステムの連携であったり資本の提携、これが仮に国内における総合取引所の実現を阻害するような事態を生じさせることがあれば問題である、このように考えております。

 ただ、その一方で、法律が許容する範囲で、取引所が、経営の効率化や取引量の拡大のために内外の取引所と連携を模索することはむしろ自然な動きでもある、このように考えておりますし、国際的な動向、こういったものを見ると、激しくなる取引所間の競争に対応するため、同じ国内の取引所間のみならず、海外からの取引参加者を拡大することを目的として、国境を越えた商品取引所の多様な連携が行われているのが実情であります。

 そもそも、総合取引所構想そのものも、我が国の取引所の国際競争力を高める、こういう観点から打ち出されたものでありまして、こういった国際的な動向も踏まえて推進していく必要がある、このように考えておりまして、国際的な連携を否定するものではありません。

 しかし、その一方で、やはり日本の取引所としての、金融としての、また商品としての厚みを増す、こういう基本的な流れを阻害することがあってはいけない、このように考えております。

近藤(洋)委員 ぜひそういう考え方で商品取引所についてもごらんいただきたい、御指導いただきたい、こう思うわけであります。ゆめゆめ、自身の取引所が変な形で延命をするととられないように、きちんと国際競争力を持つ、先ほど大臣が御答弁いただいた厚みを増すマーケットをつくるという観点からの連携なら連携という形を指導していただきたい、こう思うわけであります。

 続いて、もう一つ取引所についてお伺いしたいんです。

 この間も、今参議院で審議をされておりますが、電力のシステム改革が起きる、その際に、やはり電力というものも、商品市場として、取引所に電力取引というものが上場される可能性も出てくる。さまざまな商品が上場されるということがこれから想像されるわけであります。

 その際、今度は、商品取引所ではなくて、日本取引所グループが、改正金商法のもとでいわゆるコモディティーを上場する場合、この場合、基本的に経産省が同意をすることが求められるわけでありますが、逆に、日本取引所グループがコモディティー、商品を上場したいといった場合に、これはだめだという場合というのは余り想定できないわけでありますが、そういう場合というのはあり得るのかどうなのか、お答えをいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 委員御案内のとおり、最終的な認可、これは金融の担当大臣が行うことになっておりますが、商品所管大臣、農林水産大臣もしくは経済産業大臣の同意を得た上でという形になっておりまして、どのような場合に同意をするのか、またしないかは、上場する商品の商品特性、それから産業構造などによって事情が異なりますので、あらかじめ画一的な基準等々をお示しすること、それは難しいかなと思っておりまして、金融庁の方から具体的な上場の申請について協議があった時点で、商品の生産や流通の円滑化という観点から適切に判断をしていくことになると思うんです。

 一般論として、この判断の際の基準について申し上げますと、商品先物取引法に定められました商品先物の上場基準を基本としながら、商品先物市場が特定の資源や穀物の価格変動リスクをヘッジする場として機能するようにすべきということでありまして、そこで先物取引が公正かつ円滑に行われ得るだけの十分な取引量が見込まれるのかどうか、それからまた、同種の商品が複数の取引所に同時に上場されることなどによって、商品の上場が現物市場に混乱を生じさせるおそれがないか、こういった点も含めて検討することになっております。

 さらに、エネルギー分野のように相互に関連を有する商品群については同一の取引所で扱われる、こういったことが基本的には望ましいことだと思っております。

近藤(洋)委員 今、大臣の御答弁は、基本的には同一の取引所が望ましいと。こうなると、逆に言うと、電気は多分、上場した場合、本来なら、日本取引所の方が規模は大きいし、マーケット参加者もここでやりたい、こう思っていても、商品取引所になる、こういうことも想定されてしまうわけですね。

 ですから、そこはなおのこと、くどいようですけれども、最初の話に戻りますけれども、やはり取引所の統合というのを急ぐ必要があるのではないか。商品取引所市場、これは釈迦に説法ですけれども、ずっと連戦連敗というか、日本の地位がどんどん落ちているのは残念ながら現実でありますし、やはり今のままだと、私は、この日本の商品取引、先物取引、大変な状況になってしまうんじゃないかと危惧しておりますので、ぜひそういう観点からもやはり取引所の統合を急ぐべきではないか、こう思うわけであります。

 次に、話は、成長戦略のもう一つの柱というか本丸に近い話だと思いますが、設備投資についてお伺いをしていきたい、こう思います。

 委員長のお許しを得て、資料を配付させていただいております。一ページ目に、先般、六月十四日発表された「日本再興戦略 ジャパン・イズ・バック」の抜粋を記載させていただいておりますが、ここに、設備投資、成長への道筋ということが記載をされております。

 私は、やはり成長戦略の成否を左右するのは、これは完全に国内の設備投資がどうなるかによるんだろう、こう思っております。

 最近、大臣、日本の工場、マザー工場、こういうふうによく言われるわけでありますが、新聞紙上では、またメーカーの方も自嘲ぎみに、グランドマザー工場だ、こういうふうに言う声も聞かれます。

 グランドマザーと英語で言うと何となく格好よくて、何かおいしいクッキーでも食べさせてくれそうな工場、こんなイメージですが、実はそんなことはなくて、おばあちゃんということですから要介護だ、要するに、母なる工場ではなくて、介護が必要な、くたびれた工場をグランドマザー工場だ、こういうふうに自嘲ぎみにメーカーの方々がおっしゃるようになってしまいました。

 これはやはりわかるんですね。ここ十数年間、設備投資をしていなかったから、どんどん、マザーじゃなくてばあさんになってきた、じいちゃんなのかばあちゃんなのかわかりませんが、こういう状況であります。

 何としてもこの設備投資を復活させなきゃいかぬということで、政府において、この総論の前段のところですけれども、こういう記載をされております。

 「生産設備や事業の新陳代謝を促す枠組みを構築し、思い切った投資減税で法人負担を軽減すること等によって積極姿勢に転じた企業を大胆に支援していく。」こう記載をされました。また、ほかにも、民間投資の活性化ということで、「税制を含めた支援策を検討し、」ということを書いている。事業再編の促進のところにも税制ということが出ています。

 私は、これは大変、政府・与党は頑張られたんだろう、こう思います。というのは、この手の文書にこの六月の時点で税というのを書かせるのはなかなか容易じゃない。私も成長戦略、旧政権時代、携わってきましたが、財務政務官に来ていただいていますが、やはり財務省の厚い岩盤がこの時点ではあるわけであります。税は我々のものだ、成長戦略は勝手にぱらぱら書いていいけれども、税には触れるな、こういう財務省は非常にかたいディフェンスを張るわけであります。ですから、ここに税ということが書いてあるということ自体は非常によくやられたな、こう率直に評価をしたいと思います。

 では、その中身であります。

 この件については、何か麻生財務大臣も、設備投資をした企業に対して一括償却を認めよう、こういう御講演をされているようであります。

 これについてきのうちょっと財務省に聞いたら、これは政務の講演なので財務省は関知しない、こういうお話だったので、そんなことはないとは思うんですが、そこは、経産大臣、今現在、せっかくここに税ということを書いたわけですから、相当思い、またアイデアもあろうかと思うのですけれども、現在の検討状況についてお答えいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 なかなか言葉というのは使い方が難しくて、マザーはいいけれども、グランドマザーになると古い。ワインですと、プルミエクリュよりグランクリュの方がよくなってくるんですけれども。

 確かに、日本の経済、先ほど近藤委員御指摘のように、人、物、金、三つのよどみがあるんだと思います。そして、その三つのよどみを解消するためには、三つのゆがみを是正していかなきゃならない。その一つが過少投資の問題であります。二つ目が過剰規制の問題でありまして、三つ目が過当競争、こういう問題であります。

 中でも、過少投資の問題、つまり、投資が少ないから設備も古くなっていく、これは深刻な問題だと思っております。直近のGDPの成長率、一―三月期、年率に直しますとプラスの四・一%まで回復をおかげさまでいたしました。輸出が改善をする、そして個人消費についても伸びが見られますが、残念ながら、マイナスサムは少なくなっておりますけれども、設備投資についてはまだマイナスであるということから、いかにこの設備投資に火をつけるか、これが民間主導の持続的な経済成長にとっては必要不可欠だ、そんなふうに考えております。

 そこの中で、我々としては、今後三年間の集中期間を通じて、設備投資を、リーマン・ショック前の七十兆円超、今が六十三兆ぐらいでありますから、一〇%拡大していく、こういう目標に向けてさまざまな政策手段を使っていきたい、その大きな柱の一つになるのが税であると考えておりまして、国内に思い切った設備投資を行うような企業への即時償却制度のような大胆な、これまでと次元の異なる減税措置について、秋に向けてスピード感を持って検討を進めていきたい、このように考えております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 一括償却制度のようなものも含めて検討したい、こういうことでございました。

 大臣、ここはせっかくなのでもう一歩思い切ってやっていただきたい、こう思うわけであります。

 一括償却制度もいいと思います。ただ、これは、複数年でやるものを設備投資した翌日にどんと認めるよ、こういうことでありますから、トータルの減税額は変わらないわけであります。利益がどっと出たものをその年償却できればよし、こういうことでありますけれども、トータルでは減税額は変わらない、こういうことです。これでも、大変大事なことですし、今までできなかったことですから、ぜひ、と思うわけであります。

 そこで、しつこいようなんですが、ちょっと一ページめくっていただいて、ぜひとも御検討いただきたいと思うのは、償却資産に対する固定資産税の見直しであります。

 これは、以前の一般質疑の際も御提案申し上げて、大臣からも、貴重な提案だと思うという趣旨の御答弁をいただきましたが、改めて申し上げます。

 償却資産に対する固定資産税、企業の償却資産、工場内の機械や設備に対して課税をしている国は日本だけであります。アメリカのごく一部の州とかカナダのごく一部の州は機械設備に対して税をかけていますが、ほかの国はかけていない、こういうことであります。日本だけが機械設備に対して課税をされている。摩訶不思議な税であります。

 先ほど、公明党の國重先生からパワー半導体の話がございました。これも本当に大事な話で、今、半導体の四分野、いわゆるセンサー半導体、メモリー等々の四分野で、このパワー半導体は技術的には日本が非常に世界でリードしている。

 今、企業がここに設備投資するかどうか、量産化するかどうか悩んでいる。このパワー半導体をつくる工場もほとんど機械の塊ですから、これをやるかやらぬかというのは、機械設備にかかるかかからぬかというのが非常に大きいわけであって、ここの分野でやはり思い切って、機械設備に対しての減税ないしは非課税化をここは思い切って打ち出す、これが一番きくのではないかと思いますが、改めて、経産大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 企業が保有しております機械装置に係ります固定資産税については、委員がお示しいただきました資料のように、課税の対象となっていない国がほとんど、こういう状況でありまして、日本の産業界からも、国際競争の観点からも、見直しを求める声が強く上がっております。

 実は、経済産業省としても、平成二十五年度の税制改正におきまして、機械装置への新規投資に係る固定資産税の廃止、これを要望させていただいたんですが、地方の税収に与える影響が大きいということで要望の実現に至らなかったということであります。

 今回の日本再興戦略、まさに、これから三年間で、七十兆円規模の設備投資を実現していく。それによって国際競争力をつけ、さらに省エネを進め、やはり新しい技術を獲得していく。こういったことを考えると、これまでと異次元のことをやっていかなければいけない、そんなふうに思っておりまして、御指摘の固定資産税の見直しも含めて、効果的な民間投資の拡大策となるよう、検討をしっかり進めていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 ぜひ検討していただきたいですし、この七月の要望について、理論武装してまたチャレンジをしていただきたい、こう思うわけであります。

 そこで、財務省にお伺いしたいんです。

 先ほど大臣からも御答弁があったように、例えば固定資産税の見直しにしても、地方税の話、こうなるわけであります。そもそも、今回の設備投資促進税制を進めるに当たって、三年間で一〇%ふやそう、こういう計画なんですね。ところが、いつも税の議論をすると、ペイ・アズ・ユー・ゴーというか、単年度で財源を見つけてきなさいと。

 私も、政府時代に、減税要望はいいけれども、あんたら経産省の中で財源を見つけてこい、こういうことを財務省さんは常におっしゃるわけであります。これでは、とてもとてもこの設備投資減税などということはできないわけでありまして、政府が成長戦略で三年間かけて復活させようというのであれば、単年度じゃなくて、せめて三年、五年を見越して、どうだという枠組みにしないと、とてもこの税の組みかえというのはできないのではないかと考えるわけであります。

 ペイ・アズ・ユー・ゴーについては、もし政府が成長戦略のど真ん中に設備投資を掲げていて、そしてこれを三年間でというのであれば、これはもう、当然、ここの分野については、単年度じゃなくて、少なくとも三年、四年で物事を考えるというふうに税務当局も考えを改めるべきかと思いますが、いかがかということ。

 あわせてもう一つ。固定資産税の話になるとどうしても総務省が出てくるわけであります。常に、これは国税の話でございます、地方税の話、こんな話になってしまうと、どうもスタックしてしまって議論ができなくなるので、ここはもう、国税、地方税と分けずに、一体となってどう考えるかということもしないと、これまたきちっとしたものができない、こう思います。

 所管官庁として、政務官、いかがでしょうか。

竹内大臣政務官 お答えを申し上げます。

 近藤先生、よく御理解しておられる上で質問されておられるわけでございますが、先般、六月十四日に閣議決定されました骨太の方針におきましては、三本の矢により強い経済を実現し、経済再生が財政健全化を促し、財政健全化の進展が経済再生の一段の進展に寄与するという好循環を目指して、持続的成長と財政健全化の双方の実現に取り組むこととされておるところでございます。

 こうした方針も踏まえながら、御指摘の点も踏まえて、今後、税制対応の具体的な内容の検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

 いずれにしても、どこかから財源を引っ張ってこないといけないということには変わりがないというふうに思っておるところでございます。

近藤(洋)委員 竹内先生、やはり財務政務官になると口が重くなられて、お気持ちもわかるんですけれども、ここは、やはり設備投資を進めるという観点に立つなら、ペイ・アズ・ユー・ゴーということだけ言っていたら、なかなか、設備投資というのは卵が先か鶏が先かの話でありますから、卵を産む前に鶏の肉を食べるということになっちゃうと産めないということはもう釈迦に説法なので、ぜひ政府内でと思うのです。

 先ほどちょっと政務官からも、税制改正の決定を目指してというお話がございました。茂木大臣、ちょっと伺いたいんですけれども、先ほども、これについては秋ぐらいには決定しなきゃいかぬ、考えなきゃいかぬという御答弁もございました。

 この設備投資減税の考え方は、これは六月に、私は本当によくやられたと思うんですよ、再興戦略に税ということを書いたということは。これは、六月に書いたんだから、十月ごろには設備投資減税の政府方針というのをやはり決めた方がいいんだろう、こう思うんです。ちょうどそのときには消費税の判断もあるわけですね。消費税の増税の判断も十月ごろにある。そうなってくると、じゃあ、設備投資の減税についてもやはり考えた方がいい。

 というのも、やはり、設備投資というのはいきなりできるわけじゃありませんから、消費税が四月から上がる、そのときの景気のてこ入れ等々も含めて考えると、四月からスタートさせようと思うと、年末の、十二月の決定プロセスを待っているということはちょっと遅いんじゃないか、こう思うわけであります。

 確認でございますが、先ほど大臣の秋ぐらいにはというのは、少なくとも政府の設備投資減税の考え方、方針は、政府の十二月の決定を待たずに秋には政府方針、与党のプロセスもあるんでしょうけれども、考え方を決めるということでしていただいた方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 まず、ペイ・アズ・ユー・ゴーといいますか、税率の問題なんですけれども、数学の発展、いろいろなプロセスがあるんですが、一つはやはりゼロが発見された、極めてこれは数学の発展上大きな問題であります。同時に、足し算の世界から掛け算の世界に入った。これは非常に大きくて、財務省の方々、足し算は非常にお上手です。しかし、何%掛ける何社という世界ですから、掛け算のこともやはりこれからはきちんと考えていかなきゃいけないな、そんなふうに思っているところであります。

 今後、産業競争力強化法、この方針につきましては、本年の夏までに固めて、速やかに国会に提出し、あらゆる政策資源を集中的に投入することとしております。

 総理も明確に述べているところでありますけれども、税制改正は年末に決めるという従来のスケジュール感にとらわれず、投資減税の具体化については、スピード感を持って、秋に向けてしっかりと検討を進めてほしいということでありますから、その方針に沿って検討を進めてまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 竹内財務大臣政務官、秋に向けてということでよろしいですね。

竹内大臣政務官 お答えいたします。

 今、茂木大臣からもお話がありましたが、この夏には、企業や産業の新陳代謝を促進する枠組みを定める産業競争力強化法案の方針が固まることとなっております。

 こうした関係省庁の取り組みを踏まえて、スピード感を持って成長戦略を実施していくとの方針のもと、税制対応の具体的な内容の検討を進めてまいりたいと考えております。秋に向けて検討してまいりたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 政務官、ありがとうございます。

 やはり、財務省がきちっと、この秋に向けてと言うのが大事なんです。私もまだ、議員をやらせていただいて、たかだか十年、十一年ですけれども、日程づくりというのは、これはやはり財務省なんですね。財務省がきちっとそこを認識すると物事が動くというのは、これまでも、財務省に阻まれたということもありますし、それぞれ、財務省と一緒にやって成功したということもありますが、いずれにしろ、その日程感を財務省と共有して、政府内でまた茂木大臣の掛け算をぜひ受けとめていただきたい、こう思うわけであります。

 次に、お金と設備投資ということで、人についてお伺いしたいと思います。

 資料の三枚目でありますが、技能五輪というものがございます。全国技能五輪大会というのが毎年行われておるわけであります。資料にもありますように、若者の、いわゆるものづくりを中心に、技能五輪は二十三歳以下の方々が出られる、こういうことでありますけれども、全国の大会がある、二年に一回は世界大会がある、こういうことであります。

 大臣、済みません、山形県で平成二十八年に全国大会が行われる、また大臣のところにもいずれと思うわけでありますが、山形県が誘致をさせていただくことに相なりまして、地元は大変盛り上がっているところであります。

 この技能五輪、ちょっと一ページめくっていただきますと、世界大会は、二〇一一年はロンドン大会、十一の金メダルを獲得しました。日本が参加したのは一九六二年、スペイン大会からであります。一九五〇年から始まって、日本が参加をしてなかなかいい成績を常におさめていますが、最近はちょっと韓国勢が頑張っている、こういうことであります。

 次のページを見ていただきますと、ちょっと字が小さくて恐縮ですが、金メダルを獲得した方々と種目が出ております。デンソーさん、日産自動車さん、トヨタさんと、やはり自動車産業を中心にメダルが多い。また、もちろん、小規模、中規模企業の方々も出ています。床屋さんとかパーマ屋さんとか造園屋さんといった、さまざま多岐にわたりますが、基本的には、板金であるとか溶接であるとか、ものづくりの大会であります。

 この大会、すばらしい技能五輪、意義があるんだろう、こう思っているわけですが、改めて、厚労省、この技能五輪の意義、特にものづくり人材の育成にかかわる効果について御答弁をいただけますか。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、技能五輪は、おおむね二十三歳以下という若者を対象とした、競技種目に関する技能を競い合う全国大会でございます。

 三十八年から毎年、厚生労働省が単独、あるいは地方公共団体と共催で開催させていただいているものでございます。昨年も、長野県で開催されました第五十回大会では、四十競技種目、約千百人の選手が参加して、延べ約十一万四千人の来場者がございました。

 こうした技能五輪大会は、若年技術者に技能競技の機会を与えることで、効果的な訓練の実施を促し、技能向上に結びつけるとともに、広く一般の方々にも、技能への興味、関心を喚起するという役割がございます。ものづくり分野における産業活動や競争力の基盤として極めて重要なものと私どもは認識してございます。

 こうした観点から、厚生労働省としても、技能五輪全国大会の開催経費とか選手育成について予算措置等を行っておりますし、自治体、業界団体、企業等関係者の連携ネットワークを構築するなど、大会の意義が最大限発揮されるようにこれからも努力してまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 これは大事な大会だと思うんですね。ただ、意外に、それほど多くの人が知っているとも言えない大会でございまして、山形県でも、やるということが決まって、それは何なの、こういうふうに聞かれる方も結構多くて、こういうことなんですよと説明すると、ああそうかとなるんですが、まだまだ一般の国民にそれほど多く知られているわけでもございません。

 ただ一方で、これはものづくりのオリンピックですから、聞くところによると、金メダルをとった方々は、ものづくり大賞の受賞者として総理大臣からも表彰を受ける。また、各企業においても、例えばトヨタさんなどは、金メダルをとった人は、やはり当然、社長表彰を受ける。これは大変、それぞれ名誉なことになるわけでありますが、まだまだ一般の方にはそれほど知られていない。

 ここはもうちょっと知らせるようにということと、やはり、技能五輪を目指す運動をする、技術者の熟練工からの技術の伝承、指導とか、そういった取り組みも必要だろう、こう思います。それは政府にぜひやってもらいたいと思いますが、いかがかということ。

 もう一点、この成長戦略の中でちょっと気になるのは、いわゆる若者の技能もそうなんですが、自分のキャリアを公正に評価をして、次の転職なり就職活動のプラスにもなる、いわゆるジョブカード制度、これを普及する。この成長戦略のペーパーだけを見ると、少しそこが、我々の政権のときよりはちょっと気持ち弱くなっちゃったんじゃないかな、この記載を見る限りはそうなんですね。

 そうでないというのなら、そうでないというふうに御答弁いただきたいですし、技能五輪も含めて、技術の伝承とあわせて、そういう技術を持った人々がきちんと評価されて転職ができる、ないしはそれなりに評価されるという、このジョブカード制度を強く打ち出すことが人材活用のベース、インフラになるのではないか、こう思いますが、厚生労働省、いかがですか。それをお伺いして、質問を終わります。

内田政府参考人 お答えいたします。

 先生のおっしゃるとおりでございまして、五輪に関しましても、例えばこの七月にライプチヒで国際大会がございまして、これにもうすぐ出発するということでございます。こういう機会も捉えて、ぜひ広報等を広めていきたいところでございます。

 また、もう一つ、ジョブカードについての御質問をいただきました。

 若者の技能の向上の必要性というのが高まる中で、フリーターや若者などを対象として、安定的な雇用への移行や技能の向上等を図るために能力開発の取り組みを推進していく、これはもう重要だと考えてございます。このために、きめ細かなキャリアコンサルティングでありますとか実践的な職業訓練、訓練修了後の能力評価、これらを通じて、特に非正規労働者等の安定的な雇用への移行等を目的としておりますジョブカード制度につきまして、現在も厚労省として積極的に推進しているところでございます。

 引き続き、ジョブカード制度に力を入れていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

近藤(洋)委員 ぜひ、審議官、ジョブカードの制度などというのは、やはり厚労省とまた現場の産業を持つ経済産業省ともしっかり連携をして進めていただきたい。石黒産政局長もお見えでありますけれども、産政局と厚労省、経済産業省は他省庁から警戒されていますけれども、そんなことはございませんから、連携をして、いいものはいいといって、つくり込みを、前へ進めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

富田委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 民主党の岸本周平です。

 先週、電気事業法の改正案の審議で、関連する先物取引の御質問をさせていただきました。それで、今、近藤委員からも、かなり大所高所からの観点で、総合取引所の早期の導入の重要性について指摘がありましたので、近藤委員の補足という形で、引き続き総合取引所について、きょうは三十分お時間をいただいておりますので、質疑をしていきたいと思います。

 先ほど、近藤委員にまさに総論的なお話をしていただきましたので、少し各論に入らせていただきたいと思います。

 その前に、実は、近藤委員の質問に対しても、茂木大臣の前向きな御答弁をいただきました。これは民主党政権からなんですけれども、経産省の政務三役の御答弁は非常に前向きであります。今、金融庁担当の寺田副大臣にも来ていただいておりますけれども、もちろん前向きなんですね。ところが、経済産業省の事務方の動きといいますか、反応がやや後ろ向きのように私は感じております。

 それはいろいろなところで感じるわけですが、もともと、先ほど近藤委員からもありましたけれども、金融庁の資料によれば、約十年間で日本の商品取引が五分の一に本当に減ってきているということの中で、二〇〇七年から始まった議論の中で、私の記憶では、当時、経済産業省は非常に前向きでありました、事務方が。

 このままだともう商品取引所は消滅しますよ、ならば、もちろん天下りの先輩がいるかいないか、そんなことは関係ないんだ、そこまでおっしゃっていました、事務方は。個人名は言いませんけれども、今活躍されている立派な方々がおられて、そんな省益じゃないんです、岸本さん、これはもうやらないかぬのですと。それが今日までずっと続いてきたわけです。

 ところが、ここへ来て事務方の反応が非常に後ろ向きだ。これは後で具体的に申し上げます。これが、ちょっとした想定問答の表現、それから、例えば産構審の報告書とかそういうところに、微妙に表現を変えてきているんです。私はそれをやっていましたのでよくわかるんです。微妙なところをちょっとずつちょっとずつ変えて、これを積み重ねて内閣の方針まで変えてしまう、これが官僚の有能さを物語るわけでありますので、後ほどそれを御紹介したいと思います。

 まず、十二日の御答弁がありまして、茂木大臣が、商品先物は、商品の受け渡しを伴うので、金融とは若干事業の性格が異なるというような答弁をされています。これも役所の方がお見事に答弁書に書かれたわけであります。

 先物、すなわちデリバティブというのは、現物の価格変動をヘッジするために取り引きされるものであります。原資産がコモディティーであろうと証券であろうと金融商品であろうと、これは全く関係ない、リスクヘッジするための手段という意味では実は関係ないんだと思いますし、世界的にも、商品先物市場は完全に金融市場だと認識されているわけであります。

 金融監督当局以外が監督している商品市場というのは、基本的にないと私は思っています。インドは、確かに海外からのデリバティブ取引を禁止していますので、グローバル競争には加わっていません。インドはどうも金融当局が監督していないようであります。あるいは、アメリカも、先物市場と現物市場は分離していますけれども、しかし、商品先物市場の監督はあくまでも金融当局であるCFTCであります。世界標準では、ともかく受け渡しがあろうとなかろうと、コモディティーも含めて、デリバティブは金融として規制され、市場が拡大し、世界のマーケットは日本が五分の一に減る間に五倍になっているわけであります。

 そこで、大臣にお聞きしたいんです。

 インドだけなのかどうかというのはどうでもいいですけれども、世界標準では、コモディティーのデリバティブが証券・金融のデリバティブと同じ金融規制のもとに服しているわけです。御答弁のように、事業の性格が異なると金融の規制下にあったら何か困るんでしょうか、お答えいただきたいと思います。

茂木国務大臣 各国において若干制度は違うわけでありまして、インドはおっしゃるとおりだと思います。また、アメリカの場合は、もともとの取引所単位の監督、こういうのを基本にしておりますので、商品の先物取引についてはCFTCがやり、そしてまた金融デリバティブについてはSECがやるという分担をしておりますけれども、英国、中国、ロシア等は同じ機関が監督をしている。そして、日本につきましても、総合取引所、これができた場合には、その規制権限、これは金融担当大臣に一元化する、こういう制度が構築されたわけであります。

 若干の事業の違いについて先日答弁を申し上げました。恐らく、もう一つ違うとすると、一つはやはり、取引に参加する者といいますか人が、どうしても、商品先物の場合、商社であったりとか、それから石油の元売、こういった人たちがリスクヘッジということで、その点は証券・金融の事業とは若干の異なる部分というのはあるのではないかなと思っております。

 恐らく、先週来議論をさせていただき、またきょう近藤委員とも議論をさせていただく中で、やはり取引所を厚いものにしていかなきゃいけない、こういう思いは同じなんだと思います。それを一段階でやるのか二段階でやるのか、このことについてはよく詰めなければいけない、こんなふうに思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 もう一つ、十二日の御答弁の中で、総合取引所にした国、韓国とかシンガポールでも、一つになると、どうしても資金が株の先物に集中するので、コモディティーの方が薄くなってしまうんですよということで、流動性の低下を御指摘されています。

 それはそうなんです。そういう部分もあります。これも役所の答弁の書き方でありまして、いいんですけれども、やや不正確であります。もともと流動性のない分野があって、取引所が合併したって流動性はないんですから、それは合併したって流動性はないんです。だけれども、流動性があるものが合併すると、それはそれで広がっていくということであります。

 これは、念のために、政務官にお聞きしたいんですけれども、例えば総合取引所になったシンガポールでも、ゴムのようなコモディティーについてはどういう経過があるのか、ちょっとだけお願いしたいと思います。

平大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員の御質問は、二〇一一年の五月に総合取引所ができたので、その前後の取引高ということであろうと思います。

 シンガポールのゴム市場については、二〇一一年五月前後の出来高を月別に見ると、二種類のゴムがあるわけでありますが、まず、シート状のゴム、これが二〇一一年の五月の前後ということで、三月が約千八百枚、四月が七百枚、五月が千九百枚、六月が二千五百枚、七月が三千五百枚と推移をしています。

 ブロック状のゴムであるTSRについては、三月が一万六千八百枚、四月が一万四百枚、五月が一万六千九百枚、六月が一万八千四百枚、七月が一万七千九百枚と推移をしております。

 前後を見るとふえているようでありますが、現実をしっかり見ると、中長期的には、シート状のゴムの方は、最初の六カ月はがっと盛り上がりましたけれども、その後、低迷しているというふうに思います。ブロック状のゴムは、全体的に取引の数字は高くなっているんだと思います。

岸本委員 ありがとうございます。

 いずれにしましても、役人が想定問答を書くときには、その気持ちがあらわれるんですよ。ですから、事実関係をできるだけ公平に書けと政務三役の方で御指導をいただきたいと思います。

 それで、本題に入りたいんですけれども、今、本当に現場は困っておられます。コモディティーだけ現状は別規制でありますから、参入するには、コンプライアンスの関係の人件費というのはばかになりません。これは二本立てにしないといけないものですから、コンプライアンスの人件費がかかります。資本力のない会社はなかなか参入しにくいわけであります。

 しかも、これは二〇一二年二月の産構審の分科会での発言です。これはマーケットの方だと思いますが、誰が言ったかというのはホームページに載っていませんけれども、ホームページを見せていただくと、東京商品取引所は、流動性が低下して、当業者のヘッジニーズを満たすには実力不足、数年のうちに市場消滅の危機に瀕しているというのが、産構審の分科会でマーケット関係者らしき方から発言がなされている。本当に皆さん危機感を持っておられます。これはホームページで見ることができますので、二十四年二月十日であります、ぜひごらんいただきたいと思います。

 そして、本当に、これは経緯があるので質問にはしませんけれども、東京商品取引所で、例えば、軽油は一日平均四十枚ぐらいのマーケットになっていまして、なかなか流動性がないところもあるというわけであります。

 そこで、取引所で流動性を高めるということがともかく重要であります中で、これまでもずっと議論がありました。そういう意味で、総合取引所以外に、この商品市場の流動性を増すような方策はないと思います。

 その上で、二〇〇七年の安倍内閣からこの議論が行われ、そして、近藤委員も指摘したように、二〇一二年九月に、自公の、自民党の御協力も得て金商法が改正されたわけであります。

 しかも、今月五日の規制改革会議では、諸外国では金融商品取引所と商品取引所の一体化が進んでいる状況において、アジアナンバーワン市場を構築し、産業インフラとして機能する取引所の国際競争力を維持強化する観点から、証券・金融・商品を一体的に取り扱う総合的な取引所を創設することが重要であり、そのための整備をタイムリーかつ着実に進めると決定され、さらに、その上、六月十四日の閣議決定、規制改革実施計画でそのことが明確に決定をされているということであります。

 そこで、金融庁の寺田副大臣にお聞きしたいんです。

 このタイムリーかつ着実に進めるというのは、具体的にどういうことを意味しているのかということをお聞きしたい。

 さらに、実は、本年四月二十五日に開催されました規制改革会議のワーキンググループで、寺田副大臣はこのようにおっしゃっています。要約します。国際化の議論に全く隔絶した世界に東京商品取引所がいるから商品市場が衰退し、その出来高が約十年間で五分の一に縮小したという旨の御認識を示されています。

 それを含めて、御所見をお伺いしたいと存じます。

寺田副大臣 お答えをいたします。

 まず、規制改革会議の創業ワーキング、確かに私は、その前後の文脈でも同様の趣旨を申し上げております。

 実は、私が参加をしておりました国際会議で、これも総合取引所の議論が始まる大分前の一九九〇年と九一年、アメリカのボカラトンで、もう当時から大変大きなうねりとして、市場を統合して、金融の世界と商品の世界を統合していこうという流れがありましたが、規制のあり方についての議論が行われ、各国の金融関係、証券関係、また商品関係、これは、規制当局も取引所関係者もSROも、また市場参加者もみんな参加をする会議があり、当然TOCOMも案内状が行ったのに、TOCOMだけがその国際会議に欠席をしていたのであります。

 当時、何と、オブザーバーでインドの代表すら来ていた。それにもかかわらず、TOCOMがそうした国際会議に一切招聘があっても来ない、そうした議論にも参加をしないという実態をまさに私、目の当たりにしてきたわけでありまして、そうした今後の市場活性化に向けた大きな国際化の議論の中で、なぜTOCOMが離れてしまったのか。当時、私、みずからもお声かけをしました。私、当時もアメリカの大使館の財務アタッシェとしていたわけですが、残念ながら参加を得なかったわけであります。

 やはり、そのような態度が市場の活性化の一つの大きな、隔絶された中で自前でやっていこうという意図が見え見えでありましたので、まさに隔絶された世界で、取引量も細っているというふうな認識を強くしたもので、実は規制改革会議でもそのような発言をさせていただいた次第であります。

 これは委員も御指摘のとおり、強力に総合取引所を進めていくということ、今、我々はそれに向けたタイムリーな、具体的な取り進めを行っておりまして、次の三つをやっております。

 一つは、海外事例も含めて、取引所統合の実例があります。その具体的な海外の手順、これの調査、サーベイを行う。

 二番目に、非常に重要な共通基盤でありますところの取引システム、このシステムについても、当然統合した利用を前提として、共有化ですね、共同利用の具体的な取り進めについてどういうふうにしていくか、こういうふうな議論もしております。

 三点目で、いろいろちょっと規制のふつり合いもあります、不招請勧誘の問題を初め、取引規制の異なる部分、これをちゃんと、さまざまなルールもすり合わせて、統合への地ならしを行ってまいりたい、そのように考えております。

岸本委員 ありがとうございます。

 寺田副大臣にはぜひ、その長い経緯の中でこの総合取引所の実現に御尽力をいただきたいと思います。

 そこで、先ほど申し上げましたけれども、私も経済産業省で二年間出向して働かせていただいて、本当に敬愛できる、尊敬できる同僚、上司、仲間の皆さんと働いてきまして、物すごく誇りを持っています。本当に経産省は霞が関の中で最も改革派で革新的な、それはもう政務三役の方はおわかりだと思います、一緒に働いていて。その彼らが、後ろ向きでサボタージュしている。それが、ひょっとしたら天下りのせいじゃないかと言われるのが腹立つんですよ。悔しいんです、私。本当に悔しいんです。悲しいんです。

 何でそう言うかというと、例えばLNG先物市場について、十二日の答弁では、大臣は具体的な取引所は決めていないとおっしゃっていましたけれども、それは誰が見たって東京商品取引所しかないわけで、これに対して、二〇一四年度中に上場するという方針を協議会の報告書の公表で、一般的に、年度まで伝えているわけですよね、LNGについては。これも、マーケット関係者からは、本当にうまくいくんですかねという声もありますけれども、しかし、そこは言っておられる。

 一方で、二〇一三年度の実現を目指すという三省庁の合意、閣議決定までされています。そういうのがありながら、経産省は、総合取引所については具体的な何らかの、そういうことをきちんと業界の人に通知するとか、していらっしゃらないですね。

 一方で、二〇一二年の産業構造審議会の報告書においては、総合取引所については、すごいですよ、総合取引所ができればいろいろうまくいくことが期待される。期待されるという表現なんです。一方で、別のところで、これは東京商品取引所を念頭に置いていると思いますが、国際的な連携を、資本関係を含めて模索、追求すべきであると書いてあるんです。物すごく強い表現です。

 大臣、さっき近藤委員の質問のお答えの中でいろいろおっしゃいましたけれども、こっちは模索、追求すべきで、総合取引所はうまくいくことが期待されるんです。ひょっとしたら期待される。それは明らかに官僚の筆が、そういうふうに本心が出ちゃっているということであります。これは、まさに寺田さんとか私は役人時代は一緒にやっていましたから、これはもう本当にそうなんです。

 これは、二十四年八月二十一日の産業構造審議会商品先物取引分科会の報告書に事務方の意図が出ている。これは多分政務三役までは上がらない、文章は細かくは上がらない、要約しか上がらない。これは我々の政権のときでありましたから、反省はいたしますけれども、そういうことであります。

 そこで、次に御質問をしたいんですが、茂木大臣、この前、茂木大臣からは大変心強い御答弁をいただきました。天下りの問題です。

 天下りの問題について、前に言いました、三十一年間、五代続けて東京商品取引所の社長が経産省の天下りだ、子会社を入れて三人天下っておられる、六人目はないですよねと。これは当然、前の社長が、民間ですから、後輩を指名するんです。もちろん委員会です。委員会会社ですから、委員会でなんですけれども、それはあうんの呼吸で選ばれる。六人目はないですねと申し上げたら、李下に冠を正さずととても前向きな強い答弁をいただきました。さすが改革派の茂木大臣だと思います。

 そこで、本当に六代目はいろいろな意味で経産省から出さない、これは平政務官も別の答弁でなさっていらっしゃいます。そのことを明快にここで表明していただきたいのと同時に、規制改革会議で六月五日に決まった、タイムリーに導入するんだ、そして閣議決定までされています、これについてこの場で、大臣として断固として、そこは事務方の反対があろうとサボタージュがあろうとやるんだと明言をしていただきたいと存じますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 まず大前提として、民間企業の役員等々につきましては株主総会で決定をされる、委員御案内のとおりであります。そしてまた、役所からのOBがあることによって、総合取引所、これを進めるということが阻害されることがあっていけない、こういう前提の上で、先日申し上げたように、立場が高い人間ほど李下に冠を正さず、こういう姿勢が重要であると申し上げました。そのように対処していきたい、そんなふうに考えているところであります。

 それからもう一点、恐らく岸本委員は役人時代、これは寺田副大臣もそうだと思うんですけれども、非常に優秀な役人で、想定問答のつくり方等々、もう手のひらで政治家を使うようにやってこられた、こういうところがあるのかもしれませんけれども、基本的に私は想定問答をつくっておりません。ほとんどつくっておりませんで、基本的な資料はもらっておりますが、方針は自分で言った上で、それを書いてもらっています。その部分は違うということは御理解をいただきたい。

 そして、先ほど寺田副大臣の方から御説明のありました三つのポイントは極めて重要だと思っておりますが、同時に、今、日本が直面している新たな問題、エネルギー制約をどう克服して、エネルギーの安定供給、そして安価な供給を図っていくかということを考えたときに、LNGと電力をどうしようかということも私は同時に考えなければいけないんではないかな、やはりこれは上場させていきたいと思っております。

 そういった意味で、ワンステップでやるのがいいのか、ツーステップでやるのがいいのか、こういう議論はどうしても残りますということで、今後、検討させていただきたいと思っています。

岸本委員 ぜひ、政治的リーダーシップを発揮していただきたいと存じます。

 残り少なくなりましたので、寺田副大臣にお聞きしたいんですが、先ほど近藤委員も実は取引所のシステムの関係を経産省側に聞かれましたので、金融庁側に聞きたいと思います。

 今の商品取引所の参加企業は、基本的にOMXの取引システムを使っておられます。これは当然、来年三月に合併する大証と東証のデリバティブの方は大証のシステムを使いますので、大証はOMXですから、移行のコストはほとんどかからないわけであります。そういうふうにしてもらったわけですよね、ある意味、東証と大証が合併するときに。

 その上で、仮に、今、近藤委員も言ったように、報道によって、例えばCMEのグループと連携するような場合は、CMEグループはグローベックスというシステムですから、これは膨大なコストがかかるわけです。その辺についてどのような御所見をお持ちでしょうか。

寺田副大臣 先ほども申し上げましたとおり、取引システムは、総合取引所をつくる上で共通基盤であり、非常に大事な要素であります。我々といたしましては、そうした中で、三つの検討の中の非常に根幹的な部分がこのシステムの問題というふうに認識をいたしております。

 御指摘のとおり、もしTOCOMがCMEのグローベックスを使うということになると、非常に多くの問題が出てまいります。一つは、コストの問題ですね。非常に大きな取引コストを市場参加者に課すことになってしまいます。

 二番目の問題といたしまして、そうなると、総合取引所の実現の非常に阻害要因となってくる。具体的には、デリバティブ取引、これは、今現在、日本取引所全体で見ても約八割がデリバティブ取引でありまして、JPXもTOCOMも委員御指摘のとおりOMXを採用しております。ところが、TOCOMがグローベックスを使うと、これが分断をされてしまって、全体の日本総合取引所の実現が非常に困難になる。これは非常に大きな問題だと認識をしております。

 さらに申し上げますと、売買注文の突き合わせが、実は、グローベックスの場合、自分の本拠にヘッドクオーターを置いて、そこでやりなさいというふうなシステムであります。たとえほかの国がそのシステムを採用しても、グローベックスの方に価格形成の場が流れてしまう。これも日本市場の活性化から見ると大変大きな問題であるというふうに認識をいたしております。

岸本委員 ありがとうございます。問題点が明確になったと存じます。

 最後に、寺田副大臣にお聞きしたいんです。

 先ほどの答弁の中にも入っていましたけれども、今後、日本総合取引所の創設に向けて、これはもう政治的リーダーシップを発揮していただく一方で、マーケット参加者のことを考えますと、恐らく二つの制度改正が必要になってくると思います。

 一つは、投資家の税制に関するところであります。これはまさに長年の課題ですけれども、デリバティブと現物の損益通算について、これはぜひとも総合取引所実現を契機にやっていただきたいというふうに思います。これが一つ目。

 それからもう一つが、これも副大臣もお触れになりましたが、総合取引所の取引に関して、行為規制が異なって証券会社などに迷惑をかけないようにということでありますから、ともかくコモディティーの取引についても、先物取引についても、不招請の勧誘を禁止しない。これは本当に、証券会社の方々もおっしゃっていますし、斉藤代表もおっしゃっているわけなので、この二つについて、ぜひ寺田副大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

寺田副大臣 お答えをいたします。

 まず、税の問題ですね。金融商品間の損益通算範囲、これは、デリバティブ全体も含めることによって、全体の市場の活性化、金融取引の活性化が期待できるわけでありまして、我々は既に、金融庁といたしましては、税改要望でこれまでもその推進のために改正要望いたしております。

 当然その方向で、二十六年度の税改要望、これから具体案を策定いたしますが、推進をしてまいりたい、そのように考えております。

 また、市場取引ルールについても、やはり、特に不招請勧誘のところ、これは規制改革会議でも指摘がありまして、今現在、商品取引の方はこの規制がかかっている、禁止になっている状態であります。したがって、これを金融と同様に不招請勧誘の禁止を解除して、取引所取引については行えるようにする、そのような方向で推進をしてまいりたいと思います。

岸本委員 ありがとうございました。

 きょう、経済産業省と金融庁の政務三役の方に御答弁をいただきました。ぜひ政治的リーダーシップを発揮していただいて、経産省と金融庁と密に連携をとっていただいて、一日も早く規制改革実施計画が進みますようにお願いをいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 本日も、質問の時間をいただきましてありがとうございます。

 早速、質問したいと思います。

 お手元に資料をお渡ししています。これは六月十五日の中日新聞、こちらですと東京新聞の二面の記事であります。沖縄県の官民ファンドで私的流用がされているのではないかという疑惑の記事であります。

 きょうは、内閣府の方に来ていただいておりますので、お伺いしたいんです。

 この中に、国の補助金二億五千万円がおきなわ新産業創出投資事業組合に入っているということが書かれておりますけれども、これは事実であるかどうか、そしてこの補助金はどういう性格の補助金であったか、まずは教えていただきたいと思います。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 今お尋ねの新聞報道にかかわりますおきなわ新産業創出投資事業というものでございますけれども、これは二十一年度内閣府補助事業でございまして、今委員は二億五千万と申されましたけれども、五億を、沖縄県に対して内閣府から補助を行っておりまして、事業主体は、沖縄県と、沖縄県の関連団体でございます沖縄県産業振興公社でございます。

 このファンドによりまして、沖縄における民間主導の自立型経済の構築に向けまして、情報通信、バイオ、環境といった成長産業における技術革新を図るべく、ベンチャー企業の育成を支援しようというものでございます。

今井委員 ありがとうございます。

 実は、この記事を書いた記者の方からもヒアリングしましたけれども、聞き取り調査の部分で記事を書いておりますから、これが本当に事実かどうかということはまだ確証がないということで、私はそこのところをきょうは議論するつもりはないんですけれども、今おっしゃられたように、国の補助金が入っているわけですね。

 この記事によりますと、本来、県内に投資しなきゃいけないものが県外に投資されていたりとか、あるいは当事者である人が借り入れをしているような企業に投資している。さまざまな疑問点というか、不可思議な資金の流れがあるというのがこの記事の内容だと思います。

 このことに関して、ここにコメントがあります。内閣府担当者は、詳細がわからず、コメントできないということでありますが、真偽はともかく、こういうことが問題となって提起されているのであります。これは税金を出しているわけであります。ですから、これがどうなっているかということをやはり内閣府としてしっかり調査する必要があると思うんですけれども、いかがですか。

井上政府参考人 今御質問のとおり、しっかりと調査することが必要であると考えております。

 報道が出たわけでございまして、私ども内閣府から、本事業の実施主体であります沖縄県に対しまして事実確認の報告を求めておりまして、まず、沖縄県から報告がございます。

 この報告によりますと、沖縄県としては、これまでの調査では、現時点において、本事業の資金の流れについて特段の問題はないという見解でございました。詳細については割愛させていただきますけれども、ただ、私どもといたしましては、今委員のおっしゃられたとおり、国民の税金の使途にかかわる問題でございますので、引き続き、沖縄県からしっかりと話を聞きながら、さらなる事実関係の把握に努めてまいりたいと考えているところでございます。

今井委員 結果が出ましたら、委員会の場か、あるいはどちらになるかわかりませんけれども、その詳細をちょっとまた聞かせていただきたいと思いますから、しっかりと調査してください。よろしくお願いします。

 この話を持ち出しましたのは、この間のクール・ジャパンのときに何度も申し上げましたけれども、不正の温床になりかねないので、ガバナンスを本当にしっかりしていただかないと、こういう類いの話が出てきかねないということなんです。

 あの場でも申し上げましたけれども、これは国民の税金ですから、出して、あとは知らないというわけに私たちはいかないわけです。国会議員として、やはりそこはしっかりチェックする必要があるということをここで改めて申し上げさせていただきたいんです。

 先週の金曜日に、先ほどから出ておりますけれども、日本再興戦略が出ておりまして、中身をちょっと見せていただきましたが、官民ファンドについて記述があります。官民ファンドによる公的支援の指針というところに五つ書いてありますけれども、その三つ目に、「ファンドの投資決定は、国が透明性の高い支援基準を設定し、行政機関に所属しない者が主体となり専門的・客観的な見地に基づき行う。 また、政治・行政による個別案件への介入を遮断すべく、独立・専門的な第三者機関による審査又は監視・牽制の仕組みを導入する。」とあります。

 要するに、政治家が政治介入しちゃいけないので、第三者で牽制しようということをおっしゃっているわけでありますけれども、これは今、具体的には何か動いていらっしゃいますか。

赤石政府参考人 お答えいたします。

 産業競争力会議における議論を踏まえまして、日本再興戦略の中では、御指摘のありましたとおり、官民ファンドによる公的支援の適正なあり方について、大きな方向性を指針として示したところでございます。

 この仕組みについては、いろいろな形が考えられると思います。例えば、株式会社形態をとっている場合は社外取締役を主体とした委員会を設けるとか、あるいは、独立行政法人の運用におけるファンドにおいては外部有識者から成るアドバイザリーボードを設けるなどが考えられるわけでございますが、いずれにせよ、個別の公的支援スキームにおいて、政治、行政による個別案件介入排除を確保するという視点から、それぞれ検討がなされていくものというふうに考えております。

今井委員 ちょっと、わかったようなわからないような答弁なんですけれども、今後そういう機関をつくってチェックするということでしょうから、またそこで私もいろいろと内容を明らかにさせていただきたいと思います。

 その上で、大臣にもう一度お伺いしたいんです。

 もちろん、例えば政治家が、自分と関係のあるところにちょっと投資してくれよとか、こういうことをしては絶対いけないので、政治介入させないということはとても大事です。しかし一方で、適切にその資金が運用されているか、あるいは、先ほどちょっと疑惑がありましたけれども、どこかに私的流用が行っていないか、こういうことをやはり国会としてしっかりチェックする必要があると私は思うんですね。

 ですから、あの場でも何度も申し上げたんですけれども、どこがいいかわかりません、決算委員会なのかどこなのか、内閣委員会なのかわかりませんが、そういうところで、クール・ジャパン・ファンドも含めて、やはり国会がある程度定期的にちゃんと、税金がどこかに逃げちゃっていませんね、変に使われていませんねということをチェックする、そういう機能を持たせる必要があると思うんです。

 その点について、もう一度認識をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 先日、クール・ジャパン法を成立させていただいたわけでありますけれども、クール・ジャパン機構の運営のあり方、まさに先ほど委員がお読みいただいた方針のもとで、答弁もさせていただきましたが、そういった運営をするつもりですし、していかなければいけないと思っています。

 同時に、中日新聞の記事を拝見したんですけれども、記事だけですから、内容について、これが本当に事実かどうかわかりませんけれども、もし事実とすると問題があると思っております。

 ただ、では、官民ファンド全部が悪いのか。例えば、国の補助金で女性の創業を支援する、ある女性の経営者の企業で不正経理があったとすると、では、女性の経営者に補助金を出すのはいけないのかということになると、私はそれは違うと思うんです。やはり、それぞれの性格に応じて、一つの事例だけで官民ファンドは全ていけないということにはならないということはぜひ御理解いただきたい、こんなふうに思います。

 その上で、このクール・ジャパンの推進機構、政府の出資を受けて経営を行う以上、その経営状況について可能な限り情報を開示させ、政府としてチェックしていく、こういうことが必要だと思っております。

 ただ、政治の介入というお話もあったわけでありますけれども、例えば、機構が出資する個別の事業の経営状況まで全てつまびらかにする、こういうことになりますと、当然、出資先企業が他企業との競争上の条件で不利になるということもありますし、また、機構からの支援を伴った事業の組成そのものにも支障が出る可能性もあるのではないかなと思っております。

 では、どんなことをやっていくかということでありますけれども、機構は、会社法等に基づきまして、財務諸表の公表などの経営状況の開示を行ってまいります。

 同時に、海外需要開拓支援機構法に基づきまして、経済産業大臣が、機構の事業を監督する立場から、毎年、事業実績を報告させ、評価を行い、その結果を一般に公表することとしております。

 これらを通じまして、国が機構の経営状況をチェックし、適切に管理し、また、国民や国会に対する説明責任を果たしてまいりたいと考えております。

今井委員 きょうはもうこれぐらいでやめておきますけれども、私も別に、官民ファンド一つで不正が起きたから全部だめと言うつもりはないんです。ですから、先ほどガバナンスということを申し上げたんです。ガバナンスをしっかりしておかないと、こういうことが起きかねない。

 この記事は、私も事実かどうかはまだわからないです。これは投資している先の中身を見ないとわからないんですね。わからないんです、外で見ているだけでは。

 ですから、同じようなことが起きないように、防止策をぜひしっかりと講じていただきたい。そうじゃないと、また何か起きて、ここの場でそういうことを追及しなきゃいけなくなってしまうので、そういうことがくれぐれもないようにしていただきたいというお願いをしておきたいと思います。

 次に、これもずっと議論しておりますが、原発の政策についてのお話をしたいと思うんですが、原発の話をしますので、きょうは、ちょっと通告はしておりませんが、最初に一つだけ御質問します。これは考え方の問題ですから。

 十七日に御党の高市政調会長が発言されておるのが今大変問題になって、報道を見ますと、きょうの午後、陳謝しておられるようであります。

 東日本で死者が出ている状況でもないので原発を動かしましょうというような趣旨の話をされておりますので、これは多分、ここにおられる皆さんは、ちょっとやはり幾ら何でも不適切だなというふうに思われると思いますし、そのことを大臣としてどう御認識か、ちょっとお伺いしたいんですが、私は、同じ場面でおっしゃっていることに、もう一つ問題があると思うんですね。

 原発は廃炉まで考えると莫大なお金がかかるが、稼働中のコストは比較的安い、だから原発は動かしていくんだという論調で話しているわけです。稼働中のコストは比較的安い、廃炉は物すごくかかるけれども、それは関係ありません、そういうふうにこれはとれるんです。

 もう一回読みますね。原発は廃炉まで考えると莫大なお金がかかるが、稼働中のコストは比較的安い、東日本で悲惨な爆発事故を起こした福島原発も含めて、死者が出ている状況にない、そうすると、最大限の安全性を確保しながら活用するしかないのが現状であるということをおっしゃっておられるわけです。

 廃炉の費用は見なくて、ランニングコストが安いから原発を使う、この言葉だけを見るとそういうふうにとれるんですけれども、まさか大臣はそういう御認識じゃないとは思いますが、そのことを政府としてどうお考えか、確認させてください。

茂木国務大臣 まず、一点だけ、中日新聞に戻って恐縮なんですけれども、クール・ジャパン推進機構では、新しい投資委員会をつくる、そして、投資の決定を行うに当たりましては、委員であっても、投資先に対して利害のある方は決定から外れるということを行っております。

 したがいまして、この新聞の記事が事実としましても、こういった事象は起こらない、基本的にはそのように考えております。

 その上で、福島の原発事故の問題は、今もって十五万人以上の方々が困難な避難生活を送られている、一日も早い福島の復興に政府を挙げて取り組んでいかなきゃならない、これが基本的な方針であります。その上で、政府としては、原発事故により避難を余儀なくされ、避難生活中の健康状態の悪化等により亡くなられた方がおられる、このように承知いたしております。

 そして、エネルギーのコストの問題でありますけれども、単純にコストだけではなくて、その安定供給、安定調達がどうできるか、環境に対する負荷等々の問題、いろいろな要素からエネルギー源のあり方というのは考えていかなきゃなりませんけれども、当然、例えば一つのエネルギーをとったときに、それが稼働中のものを含めて、その後、例えば廃棄する、トータルコストでキロワットアワー当たりのコストを計算する、これが基本的な考え方だと思います。

今井委員 ありがとうございました。

 我が党でも問題発言をしている方がいらっしゃるので、余り追及はいたしません。

 でも、やはり福島の方のことを考えると、それは物の言い方というのはあるし、こういう言い方をなさるのはちょっと政治家としては慎んでいただきたいということを、この場でもう一言申し添えさせていただきたいと思います。

 その上で、先日も電気事業法のときに少し討論でもお話ししましたけれども、この委員会でも何回かお伺いしていますが、核燃料サイクルの話と最終処分場の問題なんです。これは大臣のこの国会での所信表明から始まっているんですけれども、所信表明で、今までのことを反省しながら、国が責任を持ってこれから取り組んでいくということをおっしゃっておられまして、国の今までの反省というのはどういうことでしょうかということもいろいろお伺いしながら、ここまで議論してきました。

 それで、おととい、エネルギーに関する年次報告、閣議決定されたものです、私、ちょっと見せていただきまして、二十三年度の分と読み比べをしながらいろいろ見ておりました。

 エネルギーに関する年次報告は、今回は三部構成になっておりまして、第一部が「エネルギーを巡る課題と対応」、第二部が「エネルギーの動向」、今の現状ですね、第三部が「平成二十四年度においてエネルギーの需給に関して講じた施策の概況」、こういうことをやってきましたということで、三部の構成になっています。

 実は、国の方針として一番大事な部分が書かれなければいけないところは、この一部なんですね、エネルギーをめぐる課題と対応をどうするかということの章です。ここに今後の対応が書かれなければいけない。その第二章、東日本大震災と我が国エネルギー政策のゼロベースからの見直しということでありまして、ここはメディアも取り上げている項目です、ゼロベースで考えるんだというところが非常にいろいろなところで取り上げられているんです。

 その中身をいろいろ読んでいるんですが、核燃料サイクルの問題と最終処分場の問題は、ここの部分には書かれていないんです。二部のエネルギー動向のところの原子力の部分には多少ちょろちょろと書いてあります。それから、三部の現在まで講じてきた政策はどうだったかというところにも、今までのことが書いてあります。しかも、二十三年度分と読み比べると、一言一句変わらずそのまま書いてあります。

 私は、今までのことを反省して新しいステージに行くのだということを大臣はおっしゃったと理解しているんですが、大事な一部のところにも何も書いていない、二部、三部には書いてあるけれども前と全く同じ記述というふうに現実はなっております。これは、今までと変わらないということなんでしょうか。

糟谷政府参考人 御質問いただきましたエネルギー白書でございますけれども、この第一部の第二章は、昨年の八月から本年の三月末ごろまでの期間における、さまざまな、原子力発電所事故関連の取り組みですとか、東日本大震災後のエネルギーに関する主な施策、エネルギー政策の見直しについて記述しております。

 もちろん、核燃料サイクル政策や高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題は非常に大事な論点だと思っておりまして、したがって、第二部、第三部には、それぞれ三ページ、五ページにわたって記述しておるところでございます。

 それで、第一部のタイトルが課題と対応ということでありますので、課題と対応なのになぜないのか、そういう御質問だろうと思うんですが、この課題のところは、エネルギー全般について、非常にちょっと抽象度の高い形でまとめております。

 例えば、白書の五十六から五十七ページについて、「生産施設の事故・自然災害」ですとか、「供給国の政策変更による輸出削減」ですとか、「輸送ルートの封鎖」とか、「流通システム・制度等の不備」とか、「エネルギー価格の高騰・地球環境への影響」とか、エネルギー全般に共通するこれぐらいの抽象度で課題をまとめて、その対応ということを整理したために、原子力について、非常に大事な問題ではあるんですけれども、核燃料サイクルとか最終処分の問題について、ちょっとここで記述するまでには至らなかったということでございます。

 ちなみに、この第二章の中で、総合資源エネルギー調査会の総合部会で、二〇一三年の三月十五日に第一回部会を開催した後、「エネルギー政策の変遷と最近のエネルギー情勢、主な論点等について議論が行われました。」ということで、議論しておるということを書いております。

 もちろん、これから議論して、その成案を得るにつれて、今後の白書に書いていくことには必ずなるというふうに思っておりますけれども、現時点では、ちょっと課題のまとめ方が、そういうレベルのものにまとめたということと、まだ検討の途上であるということで、実際、去年の八月からことしの三月末までに行ったことを書く白書において、総合部会で検討しているというぐらいの議論になってしまったということで、ちょっと不十分じゃないかという御指摘はしっかりと受けとめて、今後、反省も含めて、取り組むべき課題にはしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

今井委員 では、ちょっと大臣に、今のをお伺いしての所見をいただきたいんです。

 読んでいたら、あっと思ったんですが、先日、今までの反省は一体何だったんでしょうかということをお伺いしましたら、まず、国がもう少し前面に立って地域の皆さんに説明するとか、そういうことが足らなかった、情宣活動も足らなかった、それから、安全を確保する手法とか、そういうものについても十分じゃなかったというか、そこの部分にも問題があった、そこをしっかりやっていきますということを答弁しておられたんですけれども、ここには、「二〇〇七年十一月には、総合資源エネルギー調査会原子力部会放射性廃棄物小委員会において、処分事業を推進するための取組の強化策がとりまとめられました。」「(ア)処分事業の必要性等に関する国民全般の広報の拡充、処分の安全性や処分地選定手続き、地域振興等に関する地域広報の充実、(イ)国が前面に立った取組として、NUMOの公募による方法に加え、地域の意向を尊重した国による文献調査実施への申入れを追加、(ウ)都道府県を含めた広域的な地域振興構想の提示、(エ)国民理解に資する研究開発及び国際的連携の推進」と書いてあるんです。

 今まで十分じゃなかったというふうに答弁されていることと、この二〇〇七年十一月にこういうことを強化していきましょうと言っていることはほとんど同じなんです。ですから、今までの反省に立ってと言いながら、今まで強化策として言っていることをもう一度繰り返し答弁していらっしゃるということになります。

 要は、強化策をつくっていたんだけれども、今までそれができていなかったから、これからもう一回ゼロベースでやりますということでこれはよろしいんでしょうか。

茂木国務大臣 今井委員に基本的なことを御理解いただきたいと思うんですけれども、白書と基本計画とかいうものは違います。

 白書というのは、どちらかといいますと、過去に実施してきた、特にこれまで一年ぐらい実施してきたことをできるだけ客観的に、羅列的に書き上げる、これが基本的な性格になっております。刊行する日にちによりまして、本当は五月いっぱいまでのことが書ければいいんですけれども、三月になってしまったり、そういうことでありますので、政策として方向性が出ているかというと、それは白書ではなくて、基本計画であったりとか施策の中で打ち出すというのが基本的な政府の考え方だ、そのように思っております。

 今引用いただいた部分、ちょっと私は具体的に拝見しておりませんのでわかりませんけれども、少なくとも、やっていることは、これまでとは違った取り組みをやっていきます。十年間できなかった、その反省はちゃんとあって、その理由もあるわけですから、これまでと同じやり方はいたしません。

今井委員 ありがとうございます。

 では、もう一度確認します。

 年末に向けてエネルギー基本計画をつくると伺っておりますけれども、その中には具体的に出てくるということでよろしいですか。今、これは白書であって、そういう方針はここには出てこないけれども、エネルギー基本計画の中にはそういうものが入ると。ですから、核燃料サイクルの問題とか最終処分場はどうするかということは、基本計画の中にはしっかり入ってくるということでよろしいですか。

茂木国務大臣 エネルギーのベストミックスについて、具体的な数字を盛り込むことをミッションとしているわけではありません。それぞれのエネルギー源ごとの特徴であったりとか位置づけ、これについてはしっかりした議論をしていただきたいというお話をしております。

 恐らく、同時に、核燃料サイクルの問題であったりとか処分場の問題であったりとか、書ける範囲で御議論いただくということになりますけれども、では、その段階で最終処分場はここになりましたということが書けているかというと、なかなかそれは難しい問題だと思います。

今井委員 場所をここにするということまで決めていただきたいということではなくて、要するに、最終処分場の問題もサイクルの問題も一緒になって動く問題ですし、直接処分するのかという問題もありますから、その辺の大きな方向性がどこに向くのかということをぜひエネルギー基本計画に書き込んでいただきたい、そういうお願いでありますので、またそれは議論させていただきたいと思います。

 もう時間がないので、ちょっと一つだけお願いがあるんです。

 今、地元を回っていますと、私の南の方は実は自動車関連産業が多いんです。大手の自動車メーカーさんの下請が多いんですけれども、そういうところを何社か回って、今回、円安になって大手の方たちは大変もうかっているようですけれども、そういうところから何か恩恵があるんですかと言うと、いや、全くありませんと、親会社さんはもうかっているみたいですけれども、うちは全然関係ありません、仕入れ値も別に上がっているわけじゃありませんしという声がほとんどなんです。

 そのことをどうこう言うわけじゃないんですが、やはり、上からずっと下にダムのように流れていかないと経済は伸びていかない、裾野に広がっていかなきゃいけないわけです。だから、大手の人の給料、ボーナスがちょっと上がったぐらいだけではだめなんですね。裾野にずっと行かなきゃいけませんから、そういうところがしっかりと流れているのかどうか、ぜひ経産省としてこれから随時チェックしていっていただきたいということをお願いしたいんです。

 その点について、最後にちょっと御見解をお伺いして、終わりたいと思います。

守本政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省、中小企業庁では、定期的に中小企業、小規模事業者の方々に聞き取りを行っております。

 少し御紹介させていただきますと、直近の本年三月時点の調査では、業況の判断指標が、前回、昨年十二月時点から四ポイント上昇してございます。

 中小企業、小規模事業者の中には、原材料価格の上昇によって厳しい状況が続いているとおっしゃる事業者もいらっしゃいますけれども、全体としては、緊急経済対策、大胆な金融政策の効果等を背景に、製造業の多く、サービス業、卸売業、小売業、さまざまな業種で業況判断DIの持ち直しの動きが見られてございます。

 自動車業界におきましても、自動車メーカーはもとより、下請中小企業の中にも、業績は回復基調にあるという声が聞かれております。

 他方で、例えば、受注はやや増加しているものの収益面では依然厳しいといったような声があることも承知してございます。

 引き続き、こういった調査については詳細に行ってまいりたいと存じます。

今井委員 ぜひこれはお願いしたいんですね。

 数量がちょっとふえているというのはどうもあるみたいなんですけれども、円安になってもうかっているということは、利潤が高まっているわけです。この利潤の部分も当然下請とかそういうところに還元されなければ、親会社、大会社がひとりだけいいとこ取りになっちゃいますから、そういうことにならないように、また政策の手当てをしっかり、光を当てていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 この経済産業委員会、私は初質疑になります。

 十二月の初当選以来、半年間、厚生労働委員会で仕事をしてまいりました。会期末でございますが、古巣というか、以前経産省におった関係もあって、本日は若干、私にとっては棚卸し的な意味で御質問させていただきたいと思います。

 一つは、疑惑というか、五月十三日、予算委員会で福島みずほ議員から、民間提言を経産省が自作自演したのではないか、こういう質疑がございました。この点について確認したいということと、もう一点は、関西電力に関係して、日本原電敦賀原発の再稼働をめぐる議論、これを申し上げたいと思います。

 まず、一点目の自作自演疑惑でございます。

 私は大変これは驚きました。五月十三日の予算委員会で福島みずほ議員が、これはちょっとお配りをあえてしていませんが、経済産業省が自作自演した緊急提言という紙を予算委員会にまいて、民間の懇談会の原子力に関する提言を、あたかも経済産業省がつくって、やらせですね、それを茂木大臣と安倍総理に提出したんじゃないかというお話をされた。

 私は、これが事実であれば、もう徹底的に追及というか、事実を明るみにしていく必要がある、このように思いましたが、一方で、もしこれが事実でないのであれば、とんでもないぬれぎぬでありまして、私は元職員であったこともあって、この疑惑については早くはっきりさせておこう、ぬれぎぬであれば、ぬれぎぬだということをしっかりと明らかにしておいた方がいい、こういう思いでこの問題をきょうは取り上げさせていただくわけでございます。

 資料を配付させていただいております。

 限られた時間で、この経済産業委員会の時間を使うにも値しないテーマである可能性もありますので、私の方でざっと調べた限りの整理をいたしております。

 これはもともと、一番最初は、私が承知している限りは、四月二十一日に毎日新聞が、有識者緊急提言の素案をエネ庁職員がつくったと報じておりますが、このときの証拠として言及されているのは骨子案の電子データだということで、この電子データについて詳細を報じているわけでございます。また、その後、朝日含めてさまざまな報道が繰り返されておりますので、この証拠と言われている電子データは一体幾つあるんだということでございます。

 私が確認した限り、間違いがあったら御指摘いただいたらいいと思いますが、当初、清書なるもの、望月座長代理がメモを清書してもらった、このファイルが最初にあって、その後に毎日等が報じ、予算委員会で福島みずほ議員がそのプロパティーの写しを配った骨子案がある。それで素案があって、最終案なんですね。

 大臣のお手を煩わすのも申しわけないので、こっちでもうちょっと説明しますと、四つあるわけですが、真ん中のグレーにしてあるところの骨子案、これについては、経済産業省の事務方は知らないということだそうです。よくわからないと。素案と最終案のファイルは、そのとおり、これは経済産業省のサーバーにございますと。

 なぜこのファイルを見てマスコミが飛びついたかというと、プロパティーにある会社と作成者のところに経産省の名前があるからです。そう書いてあります、新聞記事には。

 ところが、私の方で、私はこんなことはないと思っていますよ、ないと思っているので、いろいろ聞いてみたら、確かにこれはおかしいんですよ。

 何がおかしいかというと、一月二十一日に経済産業省はシステムを入れかえているんです。だから、一月に経産省でつくったファイルは確かに経産省情報システム厚生課と記録が残るんですが、二月以降に新たにつくったファイルにはMETIと出るんです。それが証拠に、最終案のファイルを見ていただくと、前回保存者のところがMETIとなっています。METIで手を入れると、METIとつくんですね。

 では、上の作成者のところに何でこれが残っているかというと、これは最終案の段階でついた記録じゃないんです。あるいは、素案についても、素案をつくった段階でついた記録じゃないんです。一月以前、一月か、あるいはそれ以前についた記録がそのまま残っているんです。

 この骨子案は置いておきましょう。経産省の方々もよくわからない。私もよくわかりません。これは、福島みずほ議員の配られた資料に基づいて書いてあるだけです。私は持っていません、何も知りません。

 清書というものは、ここに経産省の説明と勝手に書かせていただいていますが、勝手ではなくて、あらあら経産省から伺ったことでありまして、望月座長代理から手交された二、三枚の紙に手書きがあったので、それを幹部に上げるために清書したんだ、それを参考送付しただけなんだと。

 ざっと眺めると、経産省が清書したものを参考送付したファイルを、向こうの懇談会の事務局がそのままそれをベースにその後の作業を全部やっていって、報告までたどり着いたように見える。私なりに見えるだけですが。

 私は、全体を説明するにはそれぐらいしかできないように思いますが、本当に、茂木大臣、恐縮なんですけれども、ちょっと本件はきょうのこの三十分、四十分でもう終わりにしたいので、ぜひ、簡潔で結構です、特にこの清書のところ、この点を中心に大臣の御理解を教えていただければと思います。

茂木国務大臣 まず、エネルギー・原子力政策懇談会の提言につきましては、本年の二月二十五日に有馬会長から私がお受け取りをしております。

 足立委員が御存じかどうか知りませんが、有馬会長は、見識の高い、そしてまた高潔な方であります。その提言書をお渡しいただくときに、有馬会長は、この提言は、産業界や学者など、有識者メンバーとして活動を行ってきた懇談会の有志がまとめたもの、このように有馬会長御本人が述べられております。

 幾つかの指摘がありましたので、内部で調べてみましたが、清書を中心に申し上げます。

 まず一点として、本年の一月、原子力政策課長が意見交換の一環として、懇談会の望月座長代理を訪問した際、先方から二、三枚の提言のたたき台を手交され、コメントを求められた。

 次に二番目として、そのたたき台は手書きの書き込みが多数ある文書でありました。

 三番目に、このため、そのたたき台を内部報告の文書に打ち直しました。

 四番目、その打ち直した文書の内容を検討した結果、コメントの必要なしと判断し、そのこと及び念のため打ち直しに間違いないかも含め先方に返送したということでありまして、ここで初めてメールとなるような文書ができるわけですね。手書きのないこの文書が、結果的に、メールでやりとりできる最初の文書になっているのではないかなと思われるわけであります。

 五番目として、その後、有馬会長の来訪に先立ち、先方から提言の素案が送付されてきたことから、清書の必要がなくなり、サーバーから削除した、このように報告を受けているところでございます。

 そういった意味におきまして、受け取りました、その中には手書きの部分がありましたので、それをワープロで打ち直して手書きのない文書にいたしました、それはただ、先方がつくったものでありますから自作ではありません、そして、別に経産省の人間が有馬さんに変装してこれを持ってきたわけではありませんから自演でもない、このように考えております。

 こういった、いろいろな民間の皆さんの提言に対して、一般的に公開している資料を提供したり、意見を求められたりした場合に、コメントを経産省として、また政府として行うことは一般的にあり得ることだ、このように考えております。

 何か機密情報を漏えいした、もしくは圧力をかけることによってその民間団体の提言をねじ曲げた、そういうことがあるんだったら問題であると思いますけれども、内部調査の結果、一切そういう問題はない、そのような認識を持っております。

足立委員 茂木大臣、ありがとうございます。

 まさに、今おっしゃったようなことであろうと私も思っております。大体そういうことだなということがわかりまして、私も安堵しているところでございます。

 ただ、事務方で結構なんですけれども、もう少し確認をしておきたい。

 この表にありますとおり、今大臣もおっしゃったように、清書したというところが、若干、人によっては、不自然だと思っている人もいるようであります。

 しかし、私は、本件、五月十三日の予算委員会は本当に変なやりとりだったなと。変なと言ったら失礼なのかな。大臣はそれに対して、永田メール事件にも言及されて、確実な証拠をちゃんと示して議論してください、こうおっしゃった。私もごもっともだと思います。

 そういう意味では、私、きょうは、何が証拠として確実で、何がわからないのかということを、こうやってレイアウトしてお示ししている。大変、我ながら誠実な姿勢だなと思っているわけでございますが、一点、骨子案のところが不明というのは、私は関心がないです。よくわかりませんから。

 ところが、今大臣が清書したんだとおっしゃったこの清書について、もとになった文書や、清書したところの電子ファイルがないんですよ。物がないのも不思議ですけれども、もし調査をされたということであれば、その電子ファイル、あるいはもとになったメモ、その内容、分量みたいなことについて、簡単で結構です、概説をしてくださいませんでしょうか。

高原政府参考人 御指摘のいわゆる清書でございますけれども、このワープロ打ちをした者に確認いたしました。

 分量は、A4で三、四枚程度であり、内容は、最終的に取りまとめられた提言と共通することが多かったとのことでございました。手交された提言のたたき台は、ワープロ打ちの方に手書きのような書き込みがたくさんあったために、内部の報告時に見苦しくないように打ち直したものというふうに聞いております。

 ただ、先ほど大臣からもお答え申し上げましたとおり、その後、有馬会長の来訪に先立ちまして、先方から提言の素案が送付されてきたということから、いわゆる清書の必要がなくなって、サーバーから削除したというものでございます。

 以上でございます。

足立委員 今の長官のお話ですと、調査をされたときに、三、四枚というのは、ファイルを確認されたのか、当事者の方から、三、四枚という数字の話があったのか。

 発言と物は違うと思うので、これは物ではないと思うので、ちょっと確認だけ。

高原政府参考人 物はもう存在しておりませんでした。記憶によりますと、分量は、A4で三、四枚程度だったということでございます。

 以上でございます。

足立委員 私も事務的にそう伺っておりますが、五月十三日、新聞報道、テレビ、あるいは予算委員会、これで終わっていれば私もこんなところで取り上げないんですけれども、まだまだ、マスコミを初めとして、まだ追及するぞという人たちがいるものですから……(発言する者あり)議員はへえとおっしゃっていますけれども、まだいるんですよ。

 例えば、このファイルというのは懇談会事務局に要は参考送付されたわけですから、そのファイルなりについて、あるいはそのやりとりのメールについて、発信した側、経産省側にはそのファイルもメールももうないということですが、懇談会事務局側にはあるんじゃないかと思うんです。

 この点をお調べになったか、なっていないか、あるいはなられる御予定があるか、ちょっと教えてください。

茂木国務大臣 何らかの問題のあることだったら調査もいたします。

 ただ、申し上げたように、経過については申し上げて、恐らくそれが間違いのない経過であろうと思っております。何らかの秘密情報が外部に漏れているか。漏れていないと思います。それから、民間団体の名前をかたって勝手に経産省がつくったものでもございません。それから、提言内容を、経産省が何らかの圧力をかけて変更を強制したものでもございません。そのように我々は承知をいたしております。

 もし、委員でも結構です、マスコミの方でも結構です、こういう問題がある、秘密の漏えいがある、経産省からの圧力があってこの部分が変わったと具体的に御指摘をいただけましたら、幾らでも調査をさせていただきますが、そういうものがない段階で、マスコミが何か考えているらしいということで質問されるのはいかがなものかなと私は考えます。

足立委員 マスコミが動いているから質問しているんじゃないんですよ。もうマスコミも経産省も私たちも、エネルギーがもったいないから早く終わらそうと言っているんですよ。その疑惑を終わらせるために、必要なことは早く終わらせましょうと言っているんです。

 懇談会事務局と経産省は、事務的にメールのやりとりを何回もしているわけでしょう。そうですよね。大臣レク、総理レクに当たって、さまざまなメールのやりとりをしています。しているでしょう。当たり前です、私だって役人をやっていたんだからわかりますよ。それだけ密に経済産業省の事務方と懇談会の事務局がやりとりしているんだったら、聞いたらいいじゃないか。おっしゃったように、別に何か事件性があるわけでもないと思いますから。

 それだけ一緒になって議論してきたんだから、あるいは、ふだんからメールのやりとりをしているんだから、私はこの問題を終わらせるために、大臣、さっきちょっと本当に誤解をされていると思う。マスコミが騒いでいるから私はここで取り上げているんじゃないんですよ。(茂木国務大臣「そう言ったじゃないですか」と呼ぶ)いや、違いますよ。マスコミが騒いでいるのを終わらせるためにやっているんですよ。これで終わればいいですよ。

 大臣は、もう終わっているのに私がここでまた騒いでいると思っていらっしゃるかもしれませんが、それは大臣のお考えですから仕方ありませんが、私は、この問題は早く終わらせよう、そういう思いで、この表だって、私がつくらなくても経産省の事務方でつくればいいんですよ、こんな表は。そう思いませんか。(茂木国務大臣「あなたの質問なんだから」と呼ぶ)

 では、大臣、何でこのファイルとメモを、一番大事な核心的証拠ですよ、核心的証拠を何で出せないんですか。ちょっとおっしゃってください。

高原政府参考人 今御指摘のものが、いわゆる清書に関するものについて御質問でございますれば、それについては、先ほど申し上げましたとおりの経緯で、これは経産省には今存在いたしておりません。

 以上でございます。

足立委員 ごめんなさい、存在していない理由はわかりますか。

高原政府参考人 これは先ほど申し上げたと思いますけれども、その後、有馬会長の来訪に先立ちまして、先方から提言の素案が送付されてまいりました。この提言の素案が送付されてきたことから、いわゆる清書の必要がなく、サーバーから削除したということでございます。

 先生が御提出された資料の中の素案、最終案、これにつきましては存在いたしております。

 以上でございます。

足立委員 高原長官にも、お手を煩わせるほどのことでないのであれば本当に結構なんですけれども、ただ、恐らく、素案ファイル、素案の前に清書ファイルがあるんです。表題もわかりません。ここには骨子案の表題、素案の表題、電子ファイルの名前、それから最終案の名前も書いてありますが、一番核心的な、茂木大臣が五月十三日の予算委員会で確実な証拠を示せとおっしゃった、その証拠の中でも、恐らくこの事案の核心的部分に該当するその証拠を、疑惑を少なくとも予算委員会で喧伝された経産省が出せない状況に今あるんですよ。

 だからどうというつもりもないんですが、これはぜひ懇談会事務局の協力を得てはっきりとさせた方がいいと私は思います。大臣がおっしゃったように、それに値しないからやらないということか。そこは懇談会事務局に確認してみようということか。それだけお答えください。

高原政府参考人 先ほど大臣から御答弁申し上げたとおりだというふうに承知をいたしております。

 以上でございます。

足立委員 ありがとうございました。

 もう終わりますが、私は、これについてのさまざまな、報道を含めていろいろな関係各所からの疑いというものが経産省に寄せられていくとすれば、これから、成長戦略のど真ん中の大切なエネルギー政策、その中の電力、原子力、この問題について、こんなしようもない疑惑をもし引きずるようだったら、これは経済産業省のエネルギー政策、そして安倍政権の成長戦略にも傷をつけかねないことだと思うので、僣越とは思いましたが、本日は取り上げさせていただいた次第でございます。

 大臣のお考えでは、そういう疑惑、いわゆる国民の資源エネルギー庁に対する疑いはもうないんだ、説明する必要はないんだということであればそれはそれで結構ですが、私は、それはまだあるよな、こう本日は申し上げたわけでございます。

茂木国務大臣 まず、御提起をいただき、事実関係といいますか、どうしてこういうシステムができるかということにつきましても解明していただいたことについては、心から御礼を申し上げます。

 その上で申し上げたいのは、いろいろな民間の皆さんからの提言、率直にお受けいたしておりますけれども、それによって現在の国のエネルギー政策に変更があったということは全くございません。そして、先ほど申し上げたような、何らかの問題が起こるような事象というのは発見されていない、このように考えております。

 証拠の提出という話も、先日もいただきましたが、私は、証拠を提出するというのは、何らかの問題がある場合、もしくは何らかの問題があると指摘される方がそれを証明する証拠を提出されるのが本来の姿であると思っております。

足立委員 予算委員会でも、茂木大臣の方から、相手の求めによっては二つのことはやるとおっしゃっています。

 一つは、関連する一般的な資料を出すことはある、もう一つは、相手側の求めによって、民間から、こういうものをまとめたんだけれども意見はあるかと聞かれたらコメントすることはある、こうおっしゃったわけでございます。

 大臣、本当にきょうはお手を煩わせましたが、この懇談会報告書については今の二点以上のことはないということを断言いただいたので、私も、この問題についてのある種の疑惑、晴れたのであれば結構ですが、これは私が決めるというよりは国民の皆様がお決めになることでございますので、今後の推移をまた見守りながら、私なりにフォローしていきたいと思っております。

 ただ、最後に、私も二十一年経済産業省で仕事をしてきましたので一言申し添えますが、私は別に茂木大臣に、ここで経産省に何か泥を塗りたいとかそういうことでやっているんじゃないんです。あの予算委員会の場で、福島議員が、自作自演だと大書きした紙をばらまいてその疑惑を喧伝したわけですよ。私は、それをほっておくわけにいかぬだろう、はっきりしようときょうは申し上げているわけで、その点、ぜひ私の思いを、茂木大臣におかれては、その旨を御理解いただければと思います。

 残り十分ほど、若干時間がなくなってきましたが、もう一点、冒頭申し上げました敦賀の話でございます。もう時間がないので、ちょっと簡潔に私の趣旨を申し上げます。

 敦賀については、規制委員会が活断層についての報告書を出しています、五月十五日。その前の三月に開かれた総合エネ調、電気料金の審査専門委員会、ここで、配付資料の4、これは報告書の五十二ページでございますが、こういう検討結果になったわけでございます。

 これは何を議論しているかというと、敦賀原発について議論はあるが、日本原電、今、敦賀原発がとまっている中において、関電の原価への算入をどうするんだと。関電は日本原電と受給契約を結んでいます。この料金について議論したときの結論の紙であります。

 この真ん中に、まだ敦賀原発の活断層の問題については最終的な結論は出されていないという前提で、一〇%減額するという料金についての審査結果を導き出されているわけでありますが、その後、五月十五日に結論が出たわけでございます。

 これを受けて、料金の審査、これは今後どういうふうに推移するのか御教示ください。

糟谷政府参考人 関西電力の料金認可申請に当たりまして、日本原子力発電株式会社の電力を購入しておる費用を原価に入れるかどうかという議論でありまして、これは、契約の相手方、すなわち関西電力が日本原電と共同開発したものだということを認定した上で、減価償却費などの維持管理費用や安全投資などに要する費用についても、自社電源同様、負担する義務があるというふうに認定したものであります。

 その際、破砕帯の調査が行われているということに触れて、現時点で最終的な規制委員会としての結論を出されていないというふうに書いているところについての御質問でありますが、実は、五月二十二日の原子力規制委員会では、確かに、十二、三万年前以降の活動が否定できない破砕帯があるので、耐震指針における耐震設計上考慮する活断層である旨判断できるとする評価が報告、了承されたというふうに承知しております。

 その報告書では、今後、新たな知見が得られた場合、必要があれば、これを見直すこともあり得るというふうにされておるわけでありまして、他方で、現在、日本原電株式会社は、追加のボーリング調査等をみずから行っておりまして、今月末までに調査を終了し、最終報告書を原子力規制委員会に提出する意向であるというふうに承知をしております。

 その調査の結果、提出される最終報告書はどうなるのか、そういうこともございます。したがって、現段階で、これを受けて何らかの対応ということには至っていないところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 すると、五月十五日の規制委員会の結論、これは、さっきあったように、今後、新たな知見が云々ということで、ある種のただし書きが書いてあるから、最終的な結論ではないんだという理解ですか。確認まで。

糟谷政府参考人 いずれにしても、料金の認可をした際には、敦賀の発電所について、発電設備としては健全な状態であり、発電再開に向けた準備を実施中であるという認定をした上で、これを原価に算入したということでございまして、その状況は現段階で変更されたものとは考えておりません。

足立委員 すると、これはいつ最終的な結論が出るんですか。

 これは、経産省、規制委、どっちでもいいんですが、経産省はまだ最終的な結論が出ていないからこのままでいいんだ、こういう御説明なんですが、最終的な結論はどこかで出ると思うんですね。それは、五月十五日でないとすれば、六月末なのか、いつなんでしょう。

櫻田政府参考人 規制庁からお答えいたします。

 委員御指摘の報告書、五月十五日付で出たものは有識者会合の報告書でございまして、またそれを五月二十二日に規制委員会として了承した、こういう経緯になってございます。

 そして、その五月十五日の報告書の中にどう書いてあるかというのは、先ほど経産省から答弁があったとおりでございまして、その中で、今後、新たな知見が得られた場合、必要があれば、これを見直すこともあり得るという形になっているわけでございますので、実際に事業者が調査を進めているというような事実もございますし、その結果、もし何らかの新たなデータというものが得られて、それが報告されるということになりましたら、見直しが必要かどうかということも含めて検討するという状況に規制委員会としてはあるということでございます。

足立委員 これはちょっと大事なところで、きょうは質問する時間もないので、趣旨だけ申し上げておきます。

 この原子力発電事業をめぐる経営の問題というのは、やはり大変大きな問題だと思っています。一番大きな議論があったのは東京電力です。これは、一昨年の三月の東日本大震災と福島第一原発の事故、こういう特別な、あってはならないことがあったことに対して、東京電力の経営をどうしていくんだということで、さまざまな法体系の中で国がお金を入れたりしているわけでございます。

 これから、この新しい規制体系のもとで日本原電そして九電力が事業を行っていく上で、規制委員会の判断のもとに、安全でないという判断が下れば再稼働できないわけですから、いわゆる経営的にいうと特損が立っていくわけであります。これを一体どういうふうに処理していくんだということについては、この委員会でも議論があったそうでありまして、ワーキンググループをつくって検討を始めたということなんですが、日本原電の敦賀原発については、五月二十二日に、十五日の報告に基づいて一旦決定されているわけです。

 今御答弁にあったように、確かに、原子力規制委員会の報告書には、今後、新たな知見が得られた場合には、見直すこともあり得ると書いてあります。これは当たり前ですよ。新たな知見が得られたのに見直さないなんということはあり得ないわけで、当たり前のことが書いてあるだけだと思うんです。

 すると、規制委員会が今おっしゃったことでポイントになるのは、日本原電がまだ調査を続けているからということなんですよ。では、電力事業者当事者が調査を続けていたら、これは確定しないんですか。どちらでも結構です、エネ庁でも規制委でも。

櫻田政府参考人 規制庁、規制委員会としての考え方でございますが、いずれにしても、その時点において得られた情報に基づいて原子力施設が安全なのかどうかということを判断するのが、規制庁の立場あるいは規制委員会の役割であると考えてございます。

 したがいまして、現時点においては、先ほど委員が御指摘されたように、この発電所の原子炉建屋の下にある破砕帯が考慮すべき活断層であるという結論を出したわけでございまして、そのため、安全上の問題があるのかどうかということを検討した上で必要な評価を行うように、既に日本原電には指示したということになってございます。

 これが、もし、その結果、何か支障があるということであれば、規制庁としては、またさらに対策を求めるというようなことになろうかと思いますが、現状は、報告を求めるということで、その報告が提出されるのを待っているという状況でございます。

足立委員 私が申し上げている問題の趣旨はおわかりいただけているかと思いますが、こういうふうに、調査をしているからということで、どんどん結論を繰り延べていくと、これはいつまでも結論が出ないんです。原発はずっととまっている、少なくとも今はとまっている、とまっているけれども、実は、お配りしたこの紙にもあるように、九割方、この受給契約というのは基本料金なんですよ。関西の一般の利用者に電気が行っていなくても、関電が日本原電から、敦賀原発から電気を買っていなくても、お金は、料金は払い続けているんです。その料金は、関電の仕組みの中で処理されるわけですが、究極的には電気料金に上乗せされていく可能性もある、私はそういうおそれがあると思っています。

 これから原子力規制委員会が、新基準で、全国の原発の再稼働について、あるいはその安全性について判断していく、その判断によっては、それぞれの電力会社は速やかに廃炉の決定をして、そしてそれを経営に反映させていく。そのためにも、前回おっしゃっていただいたような会計上の、要すれば財務基盤を、財務基盤に関するワーキンググループの検討をとにかく急いでいただいて、顕在化した場合にも大きな影響はないようにぜひしていただきたいと思うんです。

 ただ一方で、財務基盤が安定していないからといって、これを繰り延べて繰り延べて先延ばしすれば、この原子力の問題は、かつての不良債権の問題と同じように、封印して封印してどこかでどんと出て壊れるというカタストロフィーにつながる可能性がある問題だと思っているんです。

 この七月以降、新しい規制体系のもとで、電力の供給体制、経営の問題、しっかり安定して供給していただけるように、資源エネルギー庁、経済産業省におかれては、茂木大臣のリーダーシップのもと、ぜひその点についてしっかりと行政をつかさどっていただきますようお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 みんなの党の井坂信彦です。

 本日は一般質疑ということで、中小企業政策について主にお伺いをいたします。

 イギリスの話でありますが、二〇〇〇年にブレア政権がシンク・スモール・ファーストというものを発表いたしました。これは、中小企業のことを真っ先に考えようということで、当時の政権の中小企業政策に対する取り組みの姿勢と具体的な中小企業施策の課題を示したものでありました。

 その後、このシンク・スモール・ファーストという考え方は欧州小企業憲章に引き継がれて、そこに書かれているのは、小企業は欧州経済のバックボーンだ、そして雇用の源だ、さらにはビジネスアイデアを育てる大地だということが高らかに宣言をされたわけであります。

 日本でも、民主党政権時代に、いわゆる中小企業憲章が閣議決定をされたわけですが、本日お尋ねいたしますのは、安倍政権として、中小企業政策の全体を貫く基本方針をどうシンプルに力強いメッセージで伝えていくのか、大臣の中小企業への思いとあわせてまずお伺いをいたします。

茂木国務大臣 恐らくイギリスという国は、成り立ちからしても、必ずしも大きくなくとも意思があれば貫ける、こういう伝統を持っているんじゃないかなと思います。

 十字軍、第一回から第八回まで行われますが、第三次の十字軍を率いましたリチャード一世、獅子心王と呼ばれたわけでありますけれども、小さな軍でありながら、当時のイスラムのサラディンの大軍を破る、こういったところもやはりイギリス人のスピリットなのかな、こんなふうに私は感じたりもいたします。

 御指摘の、トニー・ブレア政権におきましては、二〇〇〇年に、シンク・スモール・ファースト、全政府機関が小規模企業のことを政策形成の念頭に置く、こういうビジョンを掲げまして、小規模企業政策を重点的に推進してきたわけであります。

 我が国においても、今月の十七日に成立をさせていただきました小規模企業活性化法の中で、中小企業基本法の基本理念の中に、まず、中小企業の意義として、地域経済の安定と経済社会の発展に寄与する、こういう規定を新たに持ち込みまして、当該意義を踏まえて、小規模企業に対する施策の方針を規定したところであります。

 また、ことしの二月から、“ちいさな企業”成長本部、これは民主党政権時代から“ちいさな企業”未来会議というのを開催していただきましたが、それを継承、発展させて、全国二十一カ所にわたりまして地域の生の声を聞いてまいりました。

 そして、行動計画をつくりました。国がこういうことをやります、こういうのを書くことが一般的なんですが、今回のアクションプランは、中小企業、小規模企業にはこういったことをやってほしい、支援機関にはこういったことをやってほしい、国はこういったことをやりますと、それぞれのミッション、そういったものを書き込んだ行動計画もつくらせていただきまして、この行動計画のエッセンスは、十四日に決定をされました日本再興戦略、そして骨太方針の中にも反映をさせていただいているところであります。

 もし、予算の細かい点等々ございましたら、この後お答えをさせていただきたいと思います。

井坂委員 十字軍の話から入りましたので、なかなか壮大なお話になるかなと思ったわけですが、御答弁の中で、やはり、全政府機関が同じシンプルな方針のもとにやっていくんだとイギリスがやったという話は、これは私はとても大事なポイントだというふうに考えております。

 その中で、ちょっと今から個別の話に入っていくわけですけれども、次に、中小企業を強化するためのミドルリスク金融ということについてお伺いをしたいと思います。

 ミドルリスク金融の一つでありますメザニンファイナンス、メザニンというのは中二階ということだと思いますが、このメザニンファイナンスについて、経済産業省の委託研究で、三菱総研が実態調査というものを行いました。

 その報告書の中で、メザニンファイナンスの現状の課題として、利息制限法を根拠とした一五%の上限金利が障害となり、ニーズがあるにもかかわらず資金提供ができないケースがあるということが書かれております。

 もちろん、利息制限法というのは、主に個人の借入金を意識した制度だというふうに思うわけですが、本日お尋ねをするような、投資先が法人で、そして、特に細かいいろいろな条件をきちんと契約書にして締結をするようなビジネスにおいては、この利息制限法の金利上限一五%という枠を限定的に引き上げてもよいのではないかとも思うわけであります。

 利息制限法の例外を設けて、企業の資金調達により幅広い選択肢を用意するミドルリスクの金融ということにさらに道を開くことについて、大臣の見解をお伺いいたします。

茂木国務大臣 メザニンファイナンス、劣後ローンであったりとか優先株出資など、投資リスクでいいますと、通常の融資より高くて出資よりは低い、中位に当たる資金ということで、オペラ劇場の中二階からメザニンという言葉が来ているんだ、こんなふうに思います。

 経済産業省が平成二十四年度に実施いたしました調査において、メザニンファイナンスを普及させる上での課題の一つとして、委員御指摘のように、現在一五%が上限となっている利息制限法の金利上限の引き上げが必要である、こういう指摘が確かにございました。

 しかし、現在、メザニンファイナンスの実例、全体の融資残高でいきますと一%未満、こういう段階でありまして、どのような措置がその普及に有効であるか、必ずしもまだ明らかではない部分が多いと考えております。

 対象を限定した上での利息制限法の金利上限の引き上げについては、企業の規模であったりとか形態、貸付期間等による線引きというのがなかなか難しく、慎重な検討が必要だと思っております。

 ただ、メザニンファイナンスはやはり基本的にはふやしていく必要がある、このように考えておりまして、例えば日本政策金融公庫が行います資本性の劣後ローンの貸付実績も着実に伸びてきておりますし、日本政策投資銀行においてもメザニンの供給に力を入れるなど、政府系金融機関を中心に、メザニンファイナンスに積極的に取り組んでいるところであります。

 まずはメザニンファイナンスの認知度を上げる、こういったことも必要ではないか、活用事例等々も普及することによって、拡大策も図っていきたいと思っております。

井坂委員 メザニンファイナンスということに限れば、もちろん、そもそも現状は普及していないという問題があろうかと思います。その手法として、おっしゃるように金利上限を撤廃すれば、これは一気にみんながわあっと使うようになるかというと、メザニンファイナンスだけに限って言えば、確かにおっしゃるとおりかもしれませんが、この利息制限法の一五%というものが、要はあらゆるファイナンスのキャップになってしまっているという現実が私はあるというふうに思っております。

 御答弁の中で、企業規模や形態あるいは期間の線引きが難しいと。要は、高利貸しで個人が大変な思いを、あるいは個人事業主や小企業が大変な思いをしてしまう、こういう保護は一方で必要ですから、そこの保護すべき対象と、より規制を緩和して、自由にミドルリスク金融でさらに体質強化してもらう対象、線引きは当然議論の余地があるわけですが、しかし、これはやはり、メザニンに限らず、ミドルリスク金融というもののキャップを外すという意味で、私は検討する必要があるのではないかと思います。

 メザニンに限った御答弁はよく了解をいたしましたので、今申し上げたミドルリスク金融のキャップを外すということについて、その検討ぐらいは始めてよいのではないかということについて、御見解を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 ミドルリスク金融をどうやったら拡大していけるか、その検討は必要だと考えております。

井坂委員 どうやったらという中に、金利上限を撤廃したらというものもきちんと選択肢として入れていただきたいと思うところであります。

 メザニンあるいはミドルリスク金融に関して、もう少しお伺いをしたいと思います。

 先ほど、金利のキャップを外す以外にも、まず認知度の問題なんだという御答弁がありました。実は、同報告書には、ある企業の声ではありますが、例えばシンジケートローンの普及においては、日本ローン債権市場協会という団体が果たした役割が大きかったから、こういう団体をメザニンでもつくってはどうかというような声がございました。

 この団体の目的を見てみますと、市場の健全な拡大、それから標準的契約書の整備、標準的取引方法の整備、さらには広報活動というふうにされています。このような団体をつくる必要があるかどうかは別といたしまして、まさに大臣がさっきおっしゃったように認知度、あるいはそのやり方の例、そういったことを広めていくというのは一つの有効な手段だと考えます。

 メザニンファイナンスの分野で、契約書の標準化、書式の標準化、あるいは標準的な取引方法のガイドラインなどはあった方がよいのではないでしょうか。お伺いをいたします。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 金融機関が融資などの契約を締結する際、借り手とどのような契約書などを交わすかにつきましては、契約当事者間の合意に基づきまして、個々の契約内容に応じた適切な様式が決められているものと承知しております。

 特に、今委員御質問のメザニンファイナンスに係る契約に関しましては、一般に、他の契約に比べましても個別性が強いとの指摘等もあるところでございまして、このようなメザニンファイナンスに係る契約書などの様式を標準化することにつきましては、現時点におきましては、民間当事者間におきまして、必ずしも十分な見解の一致が見られていないものと承知しております。

 いずれにいたしましても、融資等の契約書等の様式やその標準化につきましては、民間当事者間の契約の実態などを踏まえ、まずは民間当事者間で決められるべきものであると考えているところでございます。

井坂委員 今答弁にありましたように、メザニンファイナンスというのは、より一対一のオーダーメード性が高い取引、契約ということになろうかと思います。

 確かに、そういう意味では、もうこの形だけという一本化は、おっしゃるように非常に難しいんだろうというふうに思うわけです。オーダーメード性が高いこういう契約だからこそ、セミオーダー的な、標準類型、Aパターン、Bパターン、Cパターン、Cダッシュパターンというようなやり方も逆にあるのではないか、あるいはフルオーダーではなくてセミオーダーにすることで一気に敷居が低くなるのではないかというふうにも思っておりますので、また今後、私も研究をしてまいりたいと思います。

 メザニンについてもう一点、貸金業登録の問題についてです。

 メザニンファンドを立ち上げるときに、劣後ローンを組み込む場合はファンドごとに貸金業登録をしなければならないという仕組みになっているようです。さらには、ファンドごとに貸金業主任者も用意しなければならない。こういう形になると、これまた一つの面倒くささ、ハードルであろうというふうにも思うわけです。

 この場合に、これも先ほどのキャップの問題と一緒で、やはり借り手の保護のためにもともとできた制度でありますから、むやみやたらに撤廃はできないわけですが、こういった対象、状況を限定して、貸金業登録をより簡素化できないのかどうかということについてお伺いをいたします。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 貸金業法上の登録ないし貸金業務取扱主任者の御質問でございます。

 この登録並びに主任者の設置は、営業所ごとに貸金業務取扱主任者の設置が義務づけられてございます。この趣旨でございますけれども、貸金業を営む者の業務の適切な運営、それからもう一つは、資金需要者である借り手の利益の保護ということから、貸金業者については登録制とともに主任者の設置の義務づけを行っておる、こういうところでございます。

 したがいまして、このような貸金業法の趣旨に関しますと、メザニンファンドも含めまして、特定の貸金業者を貸金業務取扱主任者の設置義務の例外にするということについては慎重な検討が必要なのではないかと考える次第でございます。

井坂委員 本日は、ミドルリスク金融の中でも、特に、せっかく経済産業省が委託研究されたメザニンファンドの課題ということについて、そこから引用してお伺いしました。

 事前の事務方とのやりとりで私が少し感じましたのは、せっかく経済産業省として委託研究をされたわけですから、その結果をやはり政策の改善につなげようという意思を持ってより動いていただけたらなというふうに感じたところです。

 課題は、本当に割とはっきり書かれております。ところが、ソリューション、解決策のところには、やはり他省庁への気兼ねもあってだとは思うんですが、経産省内でできるソリューション、要は認知度を上げるとか、そういうところに割とソリューションが矮小化されてしまっている嫌いがありましたので、貸金業のこと、もちろん他省庁の話ですけれども、これは単に、報告書が公開されていますから、金融庁側がこれを見て動いてくれたらいいんですわという話ではなくて、動いていただきたいなということを期待申し上げるところです。

 続きまして、デット・エクイティー・スワップ、債務の株式化ということについて伺います。

 中小企業の財務改善、それから資金調達の方法を多様化するという趣旨で、これまでもデット・エクイティー・スワップに関する五%ルールの緩和などが行われてきたところです。デット・エクイティー・スワップを行いやすくするための必要条件ではあったというふうに私も評価をするところでありますが、ここまでの規制緩和で、デット・エクイティー・スワップを促進するという十分条件をしっかり満たしたというような御認識でしょうか。あるいは、十分でないとすれば、デット・エクイティー・スワップ促進のためにほかにどのような規制緩和が考えられるでしょうか。また、あわせて、デット・デット・スワップ、DDSの促進の規制緩和についてもどのようにお考えでしょうか。参考人にお伺いをいたします。

三井政府参考人 まず、DES、デット・エクイティー・スワップについて私の方からお答え申し上げたいと存じます。

 先生御指摘の五%ルールの見直しでございますけれども、先週国会で成立いたしました金融商品取引法等の一部を改正する法律の中で、銀行法等の法律の一部改正をしていただきまして、この五%ルールの見直しが行われているところでございます。

 この中では、デット・エクイティー・スワップに伴いまして、銀行の有する貸付債権がその議決権を伴う形でのエクイティーに入れかわる、こういう場合につきまして、一般的な経営改善計画の期限が三年、中小企業においては五年ぐらいであろうというような実務を踏まえまして、このような企業再生における実態と整合的なものにする観点から、銀行本体等によって保有される年限を延長する等の緩和措置を講じたものでございます。

 こうした法律を先般成立させていただいたばかりでございまして、これから鋭意関係者と議論をし、施行に向けた準備をしてまいりたいと思っているところでございます。まずはこの措置につきまして、銀行界あるいは中小企業の皆様方からの意見やニーズを踏まえて行ったところでございますので、これらの取り組みがこの改正法にのっとって進められていくことを期待しているところでございます。

佐々木(清)政府参考人 デット・デット・スワップにつきまして、私の方からお答えを申し上げたいと思います。

 デット・デット・スワップ、DDSのうち、いわゆる資本性借入金、具体的に申し上げますと、金融機関が債務者の状況等を判断するに当たりまして資本とみなすことができる借入金、これにつきまして、平成二十三年十一月に金融検査マニュアルの運用の明確化を図ったところでございます。

 具体的には、デット・デット・スワップのうち、資本性借入金として認められる条件といたしまして、一つは、償還条件が長期間償還不要である、五年超の期限一括償還であるということ、二つ目に、金利設定が業績連動型、すなわち赤字の場合には利子負担がほとんど生じない等の条件を明記いたしまして、金融機関に対しまして活用を促しているところでございます。

 こうした明確化措置につきましては、これまでも金融機関及び中小企業等に対しまして説明会を実施し、周知徹底に努めているところでございます。また、こうした説明会で出されました御質問事項なども踏まえまして、金融検査マニュアルに関連いたしますよくある質問、FAQと言っておりますけれども、これに質問、回答を追加しておるところでございます。

 金融庁といたしましては、引き続き、こうしたDDS、資本性借入金の明確化措置につきまして、金融機関、中小企業等に対しまして周知徹底を図り、その積極的な活用を促してまいりたいと考えております。

井坂委員 資金調達の方法の多様化のために、また引き続き、細かくても具体的な改善をお願いしたいと思います。

 次に、中小企業のソフト面への投資促進ということでお伺いをいたします。

 昼の一番に、石崎議員の質問に対して、大臣はこうおっしゃいました。中小企業の研究開発投資は確かに少ない、この問題はきちんと取り組んでいくんだと決意表明をされたところであります。

 設備投資をする中小企業を優遇し、投資を促進させるという方法はこれまでもいろいろと考えられ、実施されてまいりましたが、それらは主にハードの面ばかりであるように感じます。ソフト面での投資を行う企業を優遇する制度が必要ではないでしょうか。

 海外の先進事例で、例えばイギリスでイノベーションバウチャー制度というものがあります。中小企業に、大学などの専門知識を利用するのに用いる三千ポンドのバウチャー、いわゆる利用券を支給して、当初必要な、要はソフト面での投資の資金に充ててもらうという趣旨で、生産性向上や競争力強化などのため、通常はなかなか中小企業は大学などの専門的知識にアクセスできない、あるいは利用しようということに思い至らないわけですが、そのきっかけを与えることを主な目的にしているわけです。

 同様の制度がオランダやアイルランドにも広まって、成果を上げているということであります。

 イノベーションバウチャーは、中小企業が必要な専門知識を得るためのコストの一部を負担するもので、日本でも大いに参考にすべきものだと考えます。

 ここで大臣にお伺いをいたします。

 この例のように、中小企業のソフト面への投資を促進するバウチャー制度について見解をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 制度としてバウチャーという形がいいかどうかは別にして、設備に対するハードへの支援だけではなくて、ソフト面の支援、もしくは、最近はハードとソフトが一体になっているようなものもありますので、そういった支援については極めて重要だ、このように考えております。

 例えば、研究開発を行う中小企業、小規模事業者を集中的に支援するために、平成二十五年度予算において、ものづくり中小企業連携支援事業、予算額でいいますと百十九億円でありますが、これを実施いたしまして、研究開発から試作までの取り組みを一貫して支援する、こういった施策も推進をさせていただいております。

井坂委員 支援の方法は、もちろんいろいろあるというふうに思います。例えば、今も、コンサルに相談するのに最初の三回は無料になるとか、いろいろやり方はあると思うんです。

 私は、バウチャーというやり方が特にこの面ですぐれていると思いますのは、まず利用券が配られてしまうものですから、これまでの支援策というと、そういうソフト面に投資しようともうはなから思っている企業は優遇策を受けるわけですけれども、まずバウチャーが配られると、金券が来たので、これは使わな損やなという形に必ずなるわけですね。そこで初めて、じゃあ、どこかの大学に、ふだんはとても敷居が高くてできない研究開発を頼んでみようかと。

 あと、私が本日お伺いしたいのは、研究開発だけでなくて、ITソフトウエアの投資、あるいは会社のデザイン全体をブラッシュアップするような投資についても、中小企業は、ふだん、なかなか敷居が高いのではないかなと考えているところですから、こういった中小企業が、研究開発、それからIT、デザインなども含めた投資をしようと思うきっかけになるようなバウチャー制度をぜひ検討いただきたいというふうに思います。

 最後に、設備投資の自由償却についてお伺いをいたします。

 みんなの党は、かねてから、民間の自由な設備投資を促進するという目的で、租税上の償却期間はもう事業者に任せよう、即時償却も自由にできる自由償却制度というものを訴えてまいりました。今般、政府も設備投資の即時償却の検討を始める流れになっているようですが、私は、ここまで来れば、もう自由償却も認めてはどうかというふうにも考えるところであります。

 例えば、何でもかんでも認めるとこれはもう大混乱になるわけですが、今回の設備投資の即時償却を検討されるのと同じように、政策目的や対象品目をしっかりと絞った上で、自由償却税制、これをなぜ導入できないのかということについて、参考人の御意見を伺いたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 有形固定資産の減価償却につきましては、公平公正な課税の観点から、統一的な取り扱いをするために、使用実態を踏まえて資産別に税務上の耐用年数を定めているところでございます。

 こうした原則の例外として、投資を促進するために特別な償却を認める政策税制がございますけれども、その場合においては、特別な償却ができる事業年度や償却率を定めているところでございます。

 今先生御指摘のございました即時償却の制度でございますけれども、これは、特別な償却を認める政策税制の一つでございまして、現行制度で申し上げますと、例えば、太陽光、風力発電設備などを対象として限定的に認められておるわけですが、これは、設備等の投資を行った事業年度において、その取得価額全額を償却費として計上できる仕組みでございます。

 他方、いつ、どの程度の減価償却を行うかということについて企業の自由に任せるということにしてしまいますと、仮に政策目的や対象品目を絞ったとしても、これは恣意的な利益調整を許すということになりますから、やはり慎重な検討が必要ではないかと考えているところでございます。

井坂委員 即時償却になりますと、それは強制的にもう全企業が即時償却をさせられるわけではないんでしょうから、やはり、即時償却をするかしないか、そこに、要は利益調整という恣意性が私は生まれるのではないかなというふうに思うところです。

 ちょっと時間があれなので、また日を改めて議論をしたいというふうに思います。

 あと、もう一点、設備投資だけでなくて、ソフトウエア投資についても、自由償却でなくてもいいですけれども、これから検討する即時償却の対象に、耐用年数が三年ないし五年とされるソフトウエアの投資も含めて、先ほど申し上げたような企業のソフト面での生産性向上と投資促進ということに寄与できないかということについてもお伺いをしたいと思います。

星野政府参考人 今先生の御指摘されたソフト面の設備投資につきましては、償却制度の趣旨を踏まえて、どのようにやっていくかということについて今後いろいろと検討してまいりたいと思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 本日、中小企業についていろいろとお伺いいたしましたが、私は、巨大企業であっても多国籍企業であっても、もともとは中小企業であった、あるいは、前回お尋ねしたような起業でも、それをやれば最初に生まれてくるのはやはり中小企業だという意味で、子供が育たない国は滅ぶのと同じように、中小企業が伸び伸び育たない国というのもこれまた滅ぶというふうに思っております。

 シンク・スモール・ファーストといういわば当たり前のメッセージをいま一度政治が力強く発信をして、経済産業省や中小企業庁の守備範囲だけでなく、税制や金融や、あるいは雇用労働制度など、あらゆる分野で中小企業第一ということをぜひ貫いていただきたいということをお願い申し上げまして、本日の質疑を終えます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、オスプレイを含む米軍機の飛行と原発問題について質問をいたします。

 危険なオスプレイの配備、訓練について、住民、自治体から厳しい批判の声が上がっております。意見書等の採択を行った自治体が全国で二百を超え、沖縄では島ぐるみの反対運動となっております。

 ことし三月以降、本土においても岩国基地を拠点にオスプレイの訓練飛行が繰り返されております。岩国基地を拠点にして、愛媛県、高知県などのオレンジルートでの訓練飛行などが実施をされております。その中には夜間訓練も含まれています。

 そこで、高知県は繰り返し、オスプレイを含む米軍機の低空飛行訓練、特に夜間の低空飛行訓練を即時中止することを国に要望しております。そして、少なくとも訓練飛行前に飛行に関する情報を提供することを求めています。

 例えば、高知県の要望書で、米軍機の訓練飛行に関する情報提供について、三月十三日に出されたものがありますが、ここでは、「飛行訓練の情報は、消防防災ヘリやドクターヘリの航行の安全性を確保するため大変重要であり、関係機関に対して周知を行う時間も必要なことから、オスプレイに限らず他の米軍機による訓練につきましても、ルートや飛行日時など可能な限り詳細な情報を、時間的な余裕を持って提供するように、米側に対し求めていただきますよう、あわせてお願い申し上げます。」このようにしております。

 そこで防衛省にお尋ねをいたします。

 防衛省は、高知県が求めているこのような米軍機訓練飛行のルートや飛行日時など、可能な限り詳細な情報を訓練飛行前に提供するよう米軍に働きかけておりますか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のございました米軍の飛行ルートでございますが、米軍が飛行訓練の目的達成、あるいは飛行の安全確保、さらには住民の皆様への影響抑制等の必要性を安定的に満たすという観点から、一定の飛行経路を念頭に置いて飛行することがあるというふうに承知しておりますけれども、その具体的なルートについては、米軍の運用に係る事項であり、防衛省として必ずしも承知しておらないことから、お答えすることは困難なわけでございます。

 他方で、オスプレイの飛行訓練等に関する地元の皆様からの御懸念の声があること、これは踏まえておりまして、オスプレイの訓練等に係る情報が得られた場合には、速やかに関係自治体にお知らせをしてきたところでございます。

 今後とも、米側から得られた情報については速やかにお知らせをしてまいりたい、かように考えてございます。

塩川委員 例えば、三月一日に小野寺防衛大臣は、今後、飛行ルートを含めて自治体にしっかり説明していきたいということから、このような飛行ルートなど、米側には情報提供を求めていきたい、このように述べているのは、そのとおりですね。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今も申し上げましたとおり、私どもも地元の皆様方の御懸念については十分承知しておるところでございまして、可能な限り情報が得られるような努力は常日ごろから行ってきているところでございます。

 大臣がお答えしたのも、そのような趣旨を踏まえて、日々努力しているという趣旨をお答えしたものというふうに承知しております。

塩川委員 防衛省として、飛行ルートなど、米軍機の訓練飛行についての情報提供を米軍に求めているということです。実際には、地元自治体が要望するような情報は提供されておりません。

 国交省にお尋ねします。

 航空法に基づき、米軍機も、国交大臣に飛行計画、フライトプランの提出が義務づけられております。その飛行計画には、運航開始時間とか出発地とか飛行ルートとか目的地などを記入することになっていると思いますが、相違ありませんか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘のとおりでございます。

塩川委員 重ねて国交省にお尋ねします。

 在日米軍基地からの米軍機の飛行計画はどのように国交省に提出をされているんでしょうか。その仕組みを説明してください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 在日米軍基地から出発します米軍の飛行計画につきましては、当該基地近傍の自衛隊の部隊を経由して国土交通大臣に提出されることとなっております。

 具体的には、自衛隊の飛行計画を取り扱うコンピューターシステムを経由して私どものシステムに提出されているところでございます。

塩川委員 在日米軍基地の近傍の自衛隊の部隊を経由して国交大臣に届けられる。その際に、自衛隊の中にあります飛行管理情報処理システムというコンピューターシステムを介して国交省の方に届けられているということでよろしいですね。確認です。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊におけるシステムの名称については私ども承知しておりませんけれども、コンピューターシステムを介して私どももいただいております。

塩川委員 例えば、米軍岩国基地から米軍機が訓練飛行する場合に、その飛行計画は自衛隊のどこの基地に提出されているんでしょうか。

高橋政府参考人 私は、具体的な基地の名称については存じ上げません。

塩川委員 在日米軍基地から出発する米軍機の飛行計画は、米軍から自衛隊に提出をされ、国交省に通報する仕組みになっております。その飛行計画には、答弁にありましたように、飛行開始時間や飛行ルートも記載されています。

 防衛省にお尋ねします。

 防衛省は、米軍に訓練情報の提供を求めているが詳しい情報が得られないとしていますけれども、そもそも、米軍の訓練飛行情報は、飛行計画という形で既に防衛省・自衛隊自身が保有しております。防衛省が飛行ルートなど、米軍機の訓練飛行についての情報提供を米軍に求めているというのであれば、みずから保有している米軍機の訓練情報を明らかにすればいいのではありませんか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今先生の御指摘、また国交省の方からお答えのございました点でございますが、実際には、国土交通省の窓口が置かれていない米軍の飛行場を離陸する米軍機の飛行計画について、米軍から国土交通省に対して通報するわけなんですけれども、そういうケースにおいて、便宜上、自衛隊の部隊が飛行計画の入力作業をするという場合がございます。

 なお、そういった飛行場でない米軍基地の場合には、離陸する情報、飛行計画を直接国土交通省に通報するケースもあるというふうに聞いております。

 したがいまして、いずれにしても、米軍機の飛行計画全てが防衛省を経由しているということではないということを御理解いただきたいと思います。

塩川委員 答えていないんですけれども。

 ちょっとその前に、では確認です。米軍の岩国基地から飛び立つ米軍機の飛行計画については、空自の春日基地に提出されると承知していますけれども、そのとおりでいいですか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 岩国について申し上げますと、今申し上げました飛行計画の入力作業をする場合には、これは春日の部隊が行うというふうに承知をしております。

塩川委員 空自の春日基地に提出されて、それが自衛隊のコンピューターシステムに送られ、そこから国交省のコンピューターシステムに提出されているという経緯であります。

 つまり、地元自治体は、少なくとも事前に訓練のルート、時間を教えてくれと言っているわけですよ。防衛省も、防衛大臣を初めとして、飛行ルートなどについては米軍に情報提供を求めていきたいと言っているわけです。しかし、実際には、米軍の訓練飛行、オスプレイを含む米軍機の訓練飛行などが岩国から行われるときには、その飛行計画が事前に空自の春日基地に届けられておるわけですから、防衛省・自衛隊の中に既に事前に情報があるわけですよね。

 だったら、それをしっかりと出すということこそ地元自治体の要望に直ちに応える道であるわけで、あたかも訓練情報が手に入らないかのように振る舞っているというのは余りにも対応としてはおかしな話でありまして、地元自治体の情報提供要請に応えないというのは極めて不誠実な対応だとは考えませんか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 少し繰り返しになってしまうかもしれませんが、私どもが行っておりますのは、国土交通省の窓口が置かれていない米軍の飛行場を離陸する米軍機の飛行計画につきまして、便宜上、自衛隊の部隊がこの飛行計画の入力の作業をするという実務を担当いたしております。

 したがいまして、当該飛行計画の受理者は国土交通省であるということになりますので、その内容について防衛省が申し上げる立場にはないのではないかというふうに考えております。

塩川委員 フライトプランには、飛行の経路について、ルートを書くようになっているんですよ。ですから、そういう情報が防衛省・自衛隊の中にあるんでしょう。それを地元自治体の要望に応えて答えるということが何でできないんですか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになって恐縮でございますが、防衛省といたしましては、そのような際の飛行計画は、入力作業を国土交通省にかわって行っている立場でございますので、そこで知り得た情報をどうするかという問題についても、これは防衛省としては申し上げる立場にないということを御理解いただきたいと思います。

塩川委員 政府全体として対応していくということで言っているわけですから、そもそも情報を事前に持っているのに出さないということ自身がおかしい。そういう点でも、地元自治体の要望に応えないという姿勢は極めて不誠実だと言わざるを得ません。

 高知県など自治体が求めているこういったルートとか飛行日時など、可能な限り詳細な情報を事前に明らかにしてくれ、こういう要望に対してしっかりと応えるべきだし、そもそも、こんなこともできないのであれば、危険なオスプレイの飛行について、それこそドクターヘリや防災ヘリと接触するんじゃないか、そういう懸念があるから自治体が要望しているわけで、こういうのに応えられないようなオスプレイを含む米軍機の低空飛行そのものは認められないということを強く言わざるを得ません。

 この間、こういう米軍機が原発上空を飛行している事例というのが明らかになっています。

 防衛省にお尋ねします。

 防衛省が作成をしている「米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表」における原子力施設上空の米軍機飛行の記録はどのようになっておりますか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今先生お尋ねになりました原子力関連施設上空の飛行についてでございますが、平成十九年度以降においては、そうしたケースで計六件の苦情がございます。苦情の内容といたしましては、施設上空の飛行を避けてほしいという旨の内容でございます。

 なお、防衛省といたしましては、これらを受け、米軍に対してその内容を通知するとともに、配慮を求めたところでございます。

塩川委員 資料を配らせていただきました。そこの一枚目と二枚目が、今紹介しました防衛省が作成しています「米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表」です。

 一枚目、この左から二つ目の枠、「苦情等申出者」のところを見ると、東通原発。つまり、東北電力の東通原発。その右側、「飛行日時」平成十九年四月三日において、二つ飛ばして「苦情等の概要」を見ると、ジェット機二機が来たと。「苦情等の内容」のところ、最初の三行だけ見ますが、「本日の昼と夕方の二回、戦闘機が原子力発電所上空を通過及び旋回した。」ということで、一番右側の「備考」欄に、防衛省が米軍に確認をしています。米軍から回答があって、「第三五戦闘航空団所属F16戦闘機は、苦情発生場所の北部上空におりました。」というので、米軍自身が飛んでいるということを認めています。

 二枚目は日本原燃です。「飛行日時」が平成二十一年の十月二十六日の九時四十八分ごろということで、右側から二つ目の枠のところ、「苦情等の内容」を見ると、本日九時四十八分ころ、グレーのジェット機が原燃施設、再処理施設の上空を通過したということで、一番右側の欄、「備考」欄にあるように第五空軍から回答があって、「同時刻、当該地域に米軍機がいた。遺憾です。」こんなふうに出てくるわけです。

 このように、米軍機が現に原子力施設上空を航行しているということを米軍自身も認めています。

 それと、原子力規制庁が作成しております原子力施設付近上空の航空機飛行確認連絡票というのがあります。これは資料の三枚目ですけれども、原子力規制庁は、前身の原子力安全・保安院時代から、原子力事業者にこの施設付近上空の航空機飛行確認連絡票の提出を求めてきました。

 そこで防衛省に確認します。

 資料の三枚目で出てくる平成二十五年三月三十日の伊方発電所上空を南方向から北方向へ飛行したこの航空機について、これは資料ではお配りしていませんが、写真が掲載されております。この伊方原発上空を飛行した航空機は米軍機ではないかと思いますが、その機種、所属部隊がどこかを教えてください。

前田政府参考人 お答えいたします。

 防衛省におきましては、米軍機の飛行に伴う地方自治体あるいは住民の皆様方からの苦情を受けた場合に、米軍に対してその内容を通知いたしますとともに、飛行の有無などの事実関係を問い合わせ、その結果について地方自治体等に情報提供しているところでございます。

 今先生の御指摘のありました件でございますが、三月三十日の航空機の飛行につきましては、地方自治体あるいは住民の皆様方の苦情は受けておりませんでした。実は、先生からの御指摘もいただきましたので、米側に改めて確認いたしましたところ、当該機は米海軍所属のP3Cであったという回答を得ております。

塩川委員 米海軍のP3C対潜哨戒機ということであります。ですから、ことしの三月三十日にも伊方原発施設上空を米軍機が飛行しています。

 伊方原発周辺というのは、沖縄の米軍基地と米軍の岩国基地間の航空機飛行ルートになっております。また、岩国から高知県沖の米軍の訓練空域、自衛隊の訓練空域への移動経路にも当たり、オスプレイも飛行しているルートであります。つまり、頻繁に米軍機が通過する空域です。

 そこで、このような原子力施設との関係で、この伊方におきましては、一九八八年の六月二十五日に、米海兵隊のヘリCH53が伊方原発からわずか八百メートルの距離で墜落事故を起こしております。

 国交省でも防衛省でもいいんですが、そういう事実があるということだけ、確認で、お答えいただけますか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の件につきましては、一九八八年、昭和六十三年六月二十五日、愛媛県西宇和郡伊方町の四国電力伊方原発付近の山中におきまして、米海兵隊普天間基地所属のCH53ヘリコプターが岩国基地から普天間基地へ向けて飛行中に墜落し、乗員七名が死亡した、こういう事実を承知いたしております。

塩川委員 伊方原発のほぼ真上に当たる佐田岬半島の北側斜面に激突し、機体は強い衝撃ではね返って、山頂を越えて、南側斜面を二百メートルほどずり落ちて大破した、乗員七人が全員死亡した。機体がはね返らなければ原発の敷地内に落ちて大惨事になっていたんじゃないかと言われております。

 こういった原子力施設周辺においては、航空機の飛行についてのさまざまな制限を設けています。

 国交省にお尋ねします。

 伊方原発周辺の航空図を見ると、民間訓練試験空域KS2が設定されていますが、伊方原発周辺の空域が半円状に切り取られております。それは、どういう理由からでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 当該訓練試験空域におきましては、原子力施設の性質でございますとか、訓練試験空域で行われる試験飛行等の特性を考慮いたしまして、施設から半径二マイル円内の区域の直上二千フィートまでの空域を除外する措置をとっております。この措置は、英国でございますとかデンマーク等における飛行の規制方法を参考にしたものでございます。

塩川委員 外国の例を参考にして、原子力施設周辺についての航空機、特に訓練飛行を制限しようという趣旨で設けられているものであります。ですから、原子力施設を中心とする半径二ノーティカルマイル、約三・七キロぐらいの空域においては、民間訓練試験空域からは除くことになっています。

 防衛省においても、例えば、二〇〇〇年に、空自の松島基地に所属する練習機が女川原発の付近で墜落事故を起こすということがありました。その後、部隊の規則を改正することによって、松島基地と自衛隊訓練空域との移動の経路としては、女川原発の周辺二マイルの範囲の外側を飛行することを定めているということであります。つまり、自衛隊機が自衛隊訓練空域に移動する場合でも、墜落事故が発生したような女川原発周辺では飛行しないようにしているということであります。

 そこで原子力規制庁にお尋ねします。

 原発立地道県のつくっております原子力発電関係団体協議会が原子力規制庁宛ての要望書を出しておりますけれども、その要望書には、原子力施設周辺上空の飛行禁止の法制化を求めています。

 このように、女川ですとか、あるいは伊方など、近傍での自衛隊機、米軍機の墜落事故ということが背景にあるわけですけれども、こういった原子力施設周辺上空の飛行禁止の法制化という要望に対して、正面から応えた措置を行うべきではありませんか。

櫻田政府参考人 お答えいたします。

 原子力規制庁におきましては、原子力施設に対する安全を確保するという目的の規制を行ってございます。

 その中におきましては、お尋ねのようないわゆる航空機の墜落事故、こういったものについてどういうふうに対応するかということについて、従来から、航空機の墜落の可能性、いわゆる落下確率ということでございますけれども、そういった問題をきちんと考慮した上で、防護設計が必要なのかどうかということを確認する、必要があれば求めるということでございますが、そういった対応を求めてございます。

 また、これは今、新規制基準を定めようとしておるところでございますけれども、その中においても変更はございません。さらに加えまして、新しい規制基準の中では、万が一航空機が墜落する、これは例えばテロ対策などもございますけれども、そういった場面においても、プラントが大規模に損傷するというようなことが仮にあったとしても、消火活動とか、あるいは炉心、格納容器の損傷の防止、こういったものの対策を求めるということにしてございます。

 以上のようなことで、今、規制としては、原子力施設に対する航空機の墜落事故に対する備えはできているのかなというふうに考えてございます。

塩川委員 いやいや、ですから、原発立地自治体そのものがこういう要望を出しているんですよ。

 最後に大臣にお尋ねします。

 このように、原発立地の自治体からは原子力施設周辺上空の飛行禁止の法制化という要望が出されています。伊方原発周辺あるいは女川原発周辺での墜落事故を考えた場合に、米軍機による原子力施設上空の飛行が繰り返されていることも含め極めて重大で、原発の安全というのであれば、原発上空の米軍機飛行はやはり禁止すべき、こういうことを政府全体として行うべきではありませんか。

茂木国務大臣 原発については、安全性第一に考えたいと思っております。

 規制委員会において本日策定した規制基準におきましても、航空機落下等によりプラントが大規模に損傷した状況において、消火活動の実施や、炉心や格納容器の損傷を緩和するための対策を求めていると承知しております。

 その他の対策につきましては、政府全体として検討してまいりたいと考えております。

塩川委員 米軍機を含めて事故が起こっているわけですから、原子力施設周辺での飛行禁止をする、こういうことはやはり直ちに行うべきですし、オスプレイを含む危険な米軍機の訓練飛行そのものを中止すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

富田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時八分散会


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