衆議院

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第1号 平成25年10月30日(水曜日)

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本国会召集日(平成二十五年十月十五日)(火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 渡辺 博道君

   理事 近藤 洋介君 理事 今井 雅人君

   理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      石崎  徹君    越智 隆雄君

      大見  正君    勝俣 孝明君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      菅原 一秀君    田中 良生君

      平  将明君    武村 展英君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      細田 健一君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 美樹君    枝野 幸男君

      岸本 周平君    田嶋  要君

      辻元 清美君    木下 智彦君

      重徳 和彦君    丸山 穂高君

      國重  徹君    青柳陽一郎君

      三谷 英弘君    塩川 鉄也君

平成二十五年十月三十日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 今井 雅人君

   理事 江田 康幸君

      青山 周平君    秋元  司君

      穴見 陽一君    岩田 和親君

      越智 隆雄君    大見  正君

      勝俣 孝明君    佐々木 紀君

      笹川 博義君    白石  徹君

      菅原 一秀君    瀬戸 隆一君

      田中 良生君    武村 展英君

      冨樫 博之君    中村 裕之君

      中山 展宏君    根本 幸典君

      福田 達夫君    福山  守君

      藤井比早之君    細田 健一君

      前田 一男君    宮崎 謙介君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      湯川 一行君    吉川  赳君

      枝野 幸男君    岸本 周平君

      玉木雄一郎君    辻元 清美君

      伊東 信久君    木下 智彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      青柳陽一郎君    三谷 英弘君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)

   (原子力経済被害担当)

   (産業競争力担当)    茂木 敏充君

   国務大臣         稲田 朋美君

   内閣府副大臣       後藤田正純君

   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君

   復興大臣政務官      小泉進次郎君

   内閣府大臣政務官     福岡 資麿君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   経済産業大臣政務官    磯崎 仁彦君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  渡辺 哲也君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            古屋 浩明君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           常盤  豊君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          菅原 郁郎君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            鈴木 英夫君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            宮川  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁汚染水特別対策監)       糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   森本 英香君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  山本 哲也君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力地域安全総括官)       黒木 慶英君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十五日

 辞任         補欠選任

  平  将明君     山際大志郎君

同月十七日

 辞任         補欠選任

  重徳 和彦君     伊東 信久君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     前田 一男君

  武村 展英君     岩田 和親君

  辻  清人君     藤井比早之君

  細田 健一君     笹川 博義君

  宮崎 政久君     青山 周平君

  八木 哲也君     湯川 一行君

  岸本 周平君     玉木雄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     瀬戸 隆一君

  岩田 和親君     中村 裕之君

  笹川 博義君     細田 健一君

  藤井比早之君     福山  守君

  前田 一男君     吉川  赳君

  湯川 一行君     八木 哲也君

  玉木雄一郎君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     宮崎 政久君

  中村 裕之君     武村 展英君

  福山  守君     中山 展宏君

  吉川  赳君     石崎  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  中山 展宏君     辻  清人君

同日

 理事石原宏高君九月三十日委員辞任につき、その補欠として山際大志郎君が理事に当選した。

同日

 理事近藤洋介君同日理事辞任につき、その補欠として田嶋要君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

十月十五日

 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、第百八十三回国会閣法第七二号)

 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(内閣提出、第百八十三回国会承認第五号)

同月二十五日

 電気事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

同月二十九日

 産業競争力強化法案(内閣提出第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電気事業法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事近藤洋介君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事の辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      山際大志郎君 及び 田嶋  要君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

富田委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 経済産業の基本施策に関する事項

 資源エネルギーに関する事項

 特許に関する事項

 中小企業に関する事項

 私的独占の禁止及び公正取引に関する事項

 鉱業等に係る土地利用の調整に関する事項

以上の各事項につきまして、議長に対し、国政調査の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

富田委員長 この際、茂木経済産業大臣及び稲田国務大臣から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。茂木経済産業大臣。

茂木国務大臣 おはようございます。

 第百八十五回国会における経済産業委員会の御審議に先立ちまして、経済産業行政を取り巻く諸課題及び取り組みにつきまして申し上げます。

 冒頭、相次ぐ台風や竜巻などによる被害に遭われた方に、心からお見舞いを申し上げます。政府一丸となって復旧復興に当たるとともに、経済産業省としても、電力、ガスといったライフラインの確保や、被災された中小企業への支援などにしっかりと取り組んでまいります。

 安倍政権が発足して十カ月が経過する中で、日本経済に明らかに回復の兆しが見え始めています。ことし四―六月期の経済成長率は年率三・八%のプラスと堅調な成長となり、本年九月の日銀短観の全産業業況判断指数はプラス二と、約六年ぶりのプラスになりました。まさに日本経済はマイナスからプラスへと転化したと言え、安倍内閣の経済政策の効果が着実に発現していると考えております。

 「被災地の復興なくして日本の再生なし。」本臨時国会の所信表明演説において、総理はこう明言をされました。経済産業省としても、まず取り組むべき課題は、福島、被災地の一日も早い復興です。この景気回復の兆しを復興の加速へつなげていかなければなりません。

 福島の復興に向けては、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策に全力で取り組むことが極めて重要であり、東京電力任せにするのではなく、国が前面に立ち、責任を果たしてまいります。

 具体的には、国として、汚染水問題の解決策を立案する、事業者による対策の進捗管理を行う、国の財政措置により事業を行うなど、さまざまな側面について対応してまいります。

 財政措置としては、陸側遮水壁の構築や、高性能な多核種除去設備の整備など、技術的難易度が高く、国が前面に立って取り組む必要のある事業について、予備費も活用しながら取り組んでおります。

 さらに、今後の予防的かつ重層的な対策の検討の中で、国として行うべき対策が明らかになれば、しっかりと対応してまいります。

 あわせて、東京電力による適切かつ迅速な賠償についても万全を期してまいります。

 本年八月、東京電力福島第一原発の周辺の全ての市町村で、避難指示区域の見直しが終了しました。福島に、いまだ避難を余儀なくされている約十四万人の方々がおられますが、今後は、帰還を望む住民の方々が一日も早くふるさとに戻られるよう、地域の実情を十分に考慮し、被災者の方々に寄り添いながら、早期の帰還に向けた取り組みを本格化させます。

 そのためにも、中小企業等グループ補助金や企業立地補助金などを効果的に活用し、被災地における新規産業と雇用創出、事業再建を推進します。

 先日、隗より始めよの精神にのっとり、福島産品を購入して福島を応援する福島産業復興フェアを経済産業省で開催いたしました。同種の物産展では過去最高となる一日の売り上げを記録し、福島の産品が持つ潜在力を再確認することができました。福島の産品や観光などに対する消費者の不安を払拭すべく、産業界にも福島産品を積極的に購入するよう働きかけを続け、復興を全力で支援していきます。

 本国会は、成長戦略実行国会であります。今後、景気回復の実感が一日も早く地方の隅々にまで行き渡るよう、アベノミクスの第三の矢、民間投資を喚起する成長戦略を推し進めます。

 日本経済再生には、日本経済の三つのゆがみ、すなわち、過少投資、過剰規制、過当競争を是正することが重要です。これにより、企業は投資し収益力を向上させ、これが個人の賃金や所得の向上につながり、消費が拡大し、再び企業の投資を呼び起こすという好循環を実現させていきます。

 このためのキードライバーとなる産業競争力強化法案を今国会に提出いたしました。本法案においては、成長戦略の確実な実行を図るため、政府一丸となって計画的取り組みを進める実行体制を確立するとともに、過剰規制を打破するための規制改革の推進や、過少投資、過当競争の是正につながる産業の新陳代謝の促進など、分野横断的な新たな制度を整備することとしております。

 また、経済の好循環を実現していくという目標を、政府だけでなく、経済界を含め全国レベルで共有していくことが重要です。経済界とは政労使会議などの場を通じて経済の好循環の実現に向けた認識を共有し、賃上げ等に向けた具体的行動を促してまいります。

 東日本大震災以降、我が国は新たなエネルギー制約に直面しております。いかなる事態においても、国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期すことが大前提であります。エネルギー基本計画については、原子力を含むエネルギー源ごとの位置づけについて、年内を目途に議論を取りまとめたいと考えております。

 原発については、安全性を最優先し、その安全性については、原子力規制委員会が世界最高水準の新規制基準のもとで判断していくこととしております。

 また、高レベル放射性廃棄物の処分は世界共通の重要課題であり、処分地選定に向け、国が責任を持って検討を進めてまいります。

 二度のオイルショックをさまざまな努力で克服したのと同様、震災後のエネルギー制約を克服し、低廉かつ安定的な電力供給を一層進めていきます。このための待ったなしの取り組みとして、自由な電力市場を創設する六十年ぶりの抜本的な電力システム改革を推進します。

 改革の第一弾として、広域系統運用の拡大に関する措置を定めるとともに、二〇二〇年までを目途に段階的に進める改革全体の手順を示した電気事業法の一部を改正する法律案を本国会に提出いたしております。

 一方、成長戦略を進める上でも、燃料調達費の削減は喫緊の課題であります。現在、国内全ての原発が停止しており、化石燃料の需要増と価格上昇により、一昨年、日本は、第二次石油ショック以来三十一年ぶりに貿易赤字を記録し、昨年度は赤字が八・二兆円に拡大しております。このため、シェールガスの生産拡大でガス価格が低下している北米からのLNG輸入の実現など、エネルギーコストの低減に向け、官民挙げた取り組みを推進します。私自身も、七月には米国、今月初めにはカナダを訪問し、直接LNG輸出の働きかけを行ってまいりました。

 海外の成長を取り込む国際展開戦略も、成長戦略の実現において重要な柱であります。このため、TPP、日・EU・EPA、RCEP、日中韓FTAといった経済連携交渉を推進し、世界に経済連携の網を張りめぐらします。また、WTOについては、十二月の閣僚会議に向けて貿易円滑化やITA拡大交渉などを推進します。

 同時に、成長著しい新興国の市場の獲得に向けては、それぞれの国の置かれた状況を考慮した取り組みが不可欠です。私自身、七月以降だけでも、ベトナム、ミャンマー、インド、インドネシア、タンザニア、ケニアなど計十一カ国を訪問する中で、日本企業の海外展開支援、インフラ・システム輸出、相手国からの資源供給確保を重点分野として、トップセールスを含めた戦略的な市場開拓などに取り組んでいるところです。

 さらに、日本の魅力を世界に発信し、クール・ジャパン戦略を展開していきます。二〇二〇年オリンピック、パラリンピックの東京開催決定に伴い、海外からの注目も高まっています。我が国が誇るべき文化やライフスタイルの魅力を付加価値に変えるため、株式会社海外需要開拓支援機構を十一月中にも立ち上げ、日本企業による旺盛な海外需要の獲得を支援してまいります。

 成長戦略の実行に当たっては、日本経済を支える全国四百二十万の中小企業、小規模事業者が果たす役割が鍵となります。地域経済と地域雇用を担うしなやかな中小企業の存在あってこそ、日本経済全体の足腰が強くなり、我が国経済が輝きを取り戻すことが可能になると考えられます。

 開業率一〇%、黒字企業の倍増、一万社の新規海外展開といった具体的な目標を目指し、創業支援体制の抜本的強化や設備投資支援策等を推進します。

 来年四月の消費税率引き上げに当たっては、中小企業の方々が不当な不利益をこうむることのないよう、全国に新たに四百七十四名の転嫁対策調査官を配置し、転嫁拒否行為の監視、取り締まりを行うなど、転嫁対策に万全を期してまいります。

 また、民間研究開発投資の対GDP比世界一位を目指し、研究開発投資促進税制を拡充するとともに、府省連携で世界に勝てる研究開発の加速に取り組みます。さらに、我が国のすぐれた技術で世界を制するべく、戦略的な国際標準の獲得や、審査体制の強化による審査の迅速化、世界最先端の知財システムの構築などの知財戦略の推進にも取り組みます。

 前回、東京でオリンピックが開催された一九六〇年代、アメリカでは月を目指すアポロ計画が進められていました。そのアメリカでロケットの父と呼ばれたゴダード博士は、何十年にもわたってロケット開発を続ける中でこう語っています。不可能とは言い切れないだろう、きのうの夢はきょうの希望であり、そしてあすの現実である。

 今こそ、成長戦略を実行に移すときであります。国民の皆様の期待に応えるよう、成長戦略を実行するため、富田委員長、理事の皆様、委員各位の御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

富田委員長 次に、稲田国務大臣。

稲田国務大臣 公正取引委員会の事務を担当する大臣として一言申し上げます。

 公正かつ自由な競争のもとで経済活動が行われることにより、経済社会の活力が生み出され、経済の成長力を高め、ひいては国民生活が豊かなものとなります。経済活動のグローバル化の進展や東日本大震災などの影響を受けて、我が国経済を取り巻く国内外の環境は大きく変化しております。

 このような状況下において、我が国経済の健全な発展を実現し、国民全体の福利を確保するためには、経済実態に即応した競争政策を展開することが必要です。公正かつ自由な競争を確保し、市場が適切に機能するための基盤の整備は、我が国経済の再生に向けて取り組むべき課題であり、政府の重要な役割であります。

 私は、その重責を担う者の一人として、全力で与えられた職務に当たる決意です。

 具体的には、厳正かつ実効性のある独占禁止法の運用、特に、我が国の景気は緩やかに回復しつつあるものの、中小企業の多くにとって依然として厳しい事業環境が続いている状況に鑑み、優越的地位の濫用行為や下請法違反行為など、中小企業に不当に不利益を与える行為の取り締まりの強化、これら行為の未然防止に努めてまいります。

 また、企業の独占禁止法コンプライアンスの整備のための施策の推進、政府規制、公的制度の見直しに向けた検討、調整等による競争環境の整備に努めてまいります。

 このため、これらの業務を担う公正取引委員会の機能、体制の充実強化にも努めてまいります。

 また、今後行われる消費税率の引き上げに関しましては、今月一日に施行された消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法を広く周知していくことにより転嫁拒否等の行為の未然防止に努めるとともに、転嫁拒否等の行為に対しては、同法に基づく迅速かつ厳正な対処に努めてまいります。

 さらに、継続審議となっている独占禁止法の一部を改正する法律案については、同法の手続面に係る公正さの外観に関する批判を解消する観点から、審判制度を廃止するとともに、排除措置命令等を行おうとする際の意見聴取のための手続の整備等の所要の改正を行うものです。何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますよう、お願いいたします。

 変化し続ける経済環境の中にあって、我が国が力強く成長していくためには、公正かつ自由な競争環境を適切に確保し続けることが不可欠です。よきものを守り、伸ばし、改めるべきは果敢に見直し、前進させる、伝統と創造の精神を持って諸課題に全力で取り組んでまいります。

 富田委員長を初め理事、委員各位には、一層の御指導、御鞭撻を賜りたく、何とぞよろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 次に、後藤田内閣府副大臣、田中経済産業大臣政務官、磯崎経済産業大臣政務官及び福岡内閣府大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。後藤田内閣府副大臣。

後藤田副大臣 このたび内閣府副大臣を拝命いたしました後藤田でございます。

 稲田大臣のもと、公正取引委員会の担当をさせていただくことになりました。

 富田委員長を初め理事、委員の皆様方の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 次に、田中経済産業大臣政務官。

田中大臣政務官 皆さん、おはようございます。

 このたび経済産業大臣政務官を拝命いたしました田中良生でございます。

 私自身、みずから起業した中小企業経営者の一人として、そうした経営ノウハウ、いろいろな経験を踏まえた上で、茂木大臣、また両副大臣をサポートして、日本の経済成長そして産業の振興に全力で取り組んでまいります。

 富田委員長を初め理事、委員の皆様の御指導、御鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 次に、磯崎経済産業大臣政務官。

磯崎大臣政務官 皆さん、おはようございます。

 このたび経済産業大臣政務官を拝命いたしました磯崎仁彦でございます。

 私は、三年前に参議院に当選をしましたときに、最初に配属されましたのが経済産業委員会でございました。そういった意味では非常に思い入れもございますし、成長戦略を担っていくのがまさに経済産業省だというふうに思っております。

 冒頭、茂木大臣の方からお話がありましたように、課題は山積をしておりますけれども、大臣のもと一丸となりまして、皆様方の御指導、御支援を賜りまして、前に向かって進めていきたいというふうに思っております。

 富田委員長を初め理事の皆様、そして委員各位の御指導を賜りますことをお願い申し上げまして、御挨拶とさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 次に、福岡内閣府大臣政務官。

福岡大臣政務官 このたび公正取引委員会の事務を担当させていただくことになりました福岡資麿と申します。

 後藤田副大臣とともに稲田大臣を補佐し、公正かつ自由な競争環境の整備に努めてまいりたいと思います。

 富田委員長を初め理事、委員の先生方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げさせていただきます。(拍手)

     ――――◇―――――

富田委員長 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣参事官渡辺哲也君、人事院事務総局給与局長古屋浩明君、文部科学省大臣官房審議官常盤豊君、経済産業省経済産業政策局長菅原郁郎君、経済産業省通商政策局長鈴木英夫君、経済産業省製造産業局長宮川正君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁汚染水特別対策監糟谷敏秀君、資源エネルギー庁資源・燃料部長住田孝之君、中小企業庁長官北川慎介君、環境省水・大気環境局長小林正明君、原子力規制庁次長森本英香君、原子力規制庁審議官山本哲也君及び原子力規制庁原子力地域安全総括官黒木慶英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉木雄一郎君。

玉木委員 おはようございます。民主党の玉木雄一郎です。

 きょうは経済産業委員会で質問の機会をいただきましてありがとうございます。委員長、また与野党の理事の皆さん、委員の皆さんに、まず感謝を申し上げたいと思います。

 先般の予算委員会に引き続きまして、きょうは福島第一原発の汚染水の問題を中心に質問させていただきたいと思います。揚げ足をとるような質問はいたしません。直球勝負で参りますので、ぜひ、正面から受けとめてお答えいただきたいと思います。

 私は二〇〇九年の初当選組でありまして、政治家のスタートである一期目に、歴史的な大事故であります東日本大震災と福島第一原発の事故という大きな出来事に向き合いました。それは、私の政治家としての、ある種、生きざまに大きな影響を与えたと言っても過言ではありません。その意味で、例えば廃炉には四十年かかるということであれば、私は、これから政治家を続ける間、あるいは生きている間、この問題と向き合っていかなければいけないという覚悟を持っております。

 その意味では、二つ、きょうは心にとめながら質問をしたいと思います。

 一つは、積極的な提案を常に申し上げながら質問をしたいということと、もう一つは、風評被害に苦しんでいる漁民の方や農家の方がいらっしゃいます。おかしな風評被害が広がるような質問はしたくないと思っております。事実に基づいて一つ一つ丁寧な質問を心がけていきたいと思いますので、ぜひ事実に基づいた答弁をお願いしたいと思っております。

 それでは、まず最初に、IOC総会での総理の、いわゆるブロックされている、あるいはコントロールされている、この一連の発言について質問したいと思います。

 予算委員会では茂木大臣にも質問させていただきましたけれども、きょうは田中委員長にぜひお答えをいただきたいと思っております。

 当委員会の閉会中審査の議論でもありましたけれども、今お手元に資料を配っておりますので、まず二の資料を見ていただきたいんです。〇・三平方キロメートルの港湾内に影響がブロックされているという、このエリアでございます。

 このエリアの水は、一日で半分、つまり二日間で全てが入れかわるということを、きょうお越しの東京電力の廣瀬社長もお答えになったと記憶しております。また、台風二十六号の影響で雨水が堰からあふれてストロンチウム等の値が基準値を超えたというようなこと、これは、ここに書いてありますけれども、赤の線であります。〇・三平方キロメートルの外に直接流れ込んでいるものもあるというふうに認識しております。

 こういったことを踏まえて、総理の発言に戻りますが、ブロック発言、あるいはコントロールされているという発言について、九月三十日の閉会中審査では田中委員長はこういうふうにおっしゃっています。コントロールできているかどうかを科学的に定義することは困難である。私はこれは正しいと思います。大事なことは、こういった汚染水の影響が環境、生活圏に影響しないようにすることが最も大事と。コントロールできるかどうかについての直接の言及は、ある意味、慎重に避けておられます。

 しかし、先般十月二十三日の参議院予算委員会では、環境への影響はきちんとコントロールされているといった趣旨の御発言をしておられます。

 田中委員長として、この現状についてどのように認識しているのか。コントロールされているのかどうか、このことも含めて、改めて委員長の御認識をお伺いしたいと思います。

田中政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 これまでも私はコントロールされているかどうかということについて申し上げてまいりました。厳密な意味で、科学的に、定量的にどこまでをコントロールされていると申し上げるのは大変困難であるということをまず申し上げたということでございます。

 今、福島の第一原子力発電所においてはさまざまなリスクがあります。こういったリスクをできるだけ顕在化させないような形で廃炉プロセスを進めていくということが最も重要なことだと思っております。

 汚染水対策につきましても、政府が総力を挙げて今取り組んでいるところでございます。

 他方、汚染水の影響ですけれども、港湾外のモニタリングは私どものある種所掌範囲に入りますが、これにつきましては、外部への放射性物質についてそれほど有意な影響は出ていない。特に最近は、カレイなどの底魚も含めまして、漁業資源への影響というのは、基準値を超えるような状況は見出されていないということで、漁業も再開されつつあるということ、私は大変安堵しておるところでございます。

 総理は、大局的な観点から、そういうことを踏まえて、コントロールされているというふうに表現したと私は理解しておりますが、規制委員会としましては、引き続き、東京電力のこういった状況につきましてはしっかりと監視を続けていきたいと思っております。

玉木委員 ちょっと曖昧でわかりにくかったんですが、もう一度お聞きをしますけれども、規制委員会としては、コントロールされているのかいないのか、明確にお答えいただけますか。

田中政府特別補佐人 コントロールというのをどういうふうに先生がお考えかということですけれども、基本的には、外への影響がきちっと抑制されているということが最も大事なことだと私は理解していますので、そういった点では、今抑制はきちっとされているというふうに思っています。

玉木委員 影響がきちんとコントロールされているということをお認めになられている、そこはそういうことでよろしいんですね。

 影響がコントロール、抑制されている、ちょっと違う言葉を使われたので、正確におっしゃっていただきたいんですが。

田中政府特別補佐人 いろいろ言葉は、私自身がそういう言葉の定義がどこをどうだということを定量的にお話し申し上げるというのは、今こういう状況の中では困難だと思っていますけれども、抑制されている、環境への影響を出さないようにするということが、今、福島第一のこういった状況の中、廃止措置を進める中では最も大事なことだと思っていますので、そういう意味ではコントロールされている、抑制されているというふうに申し上げた次第です。

玉木委員 揚げ足をとるつもりはないんですが、定量的な分析は今は困難だというふうにおっしゃいましたね。でも、定量的に、科学的データに基づいて何かを調べて、そのことに基づいて情報を発信していかれるのが田中委員長のお仕事ではありませんか。

 定量的なものが難しい、あるいは捉えにくいというふうに今感じたんですけれども、その点はいかがですか。

田中政府特別補佐人 もちろん、定量的にさまざま海水濃度も、それから海洋資源についても、さまざまな機関が測定しているのを私どもは集約して、評価しています。

 放射能というのは、極めて感度がいいと言ったらいいんでしょうか、一ベクレルとかという、言うなれば、普通の化学物質からいうと何億分の一、何兆分の一ぐらいのものまで測定できるような状況ですから、そういう測定をした場合には、どこに原因があるのかというのは、そのよって来るところまで明確にするのはなかなか難しいところがあります。

 ただし、現在の基準に照らしてみると、そういったものは十分に低い値になっているし、ほとんどの場合はそれでも検出できないレベルであるというふうに認識しています。

玉木委員 もうここでやめますけれども、委員長、独立した機関の長として、モニタリングした海水のデータが基準値以下である、このことは私は言っていいと思うんです。ただ、そのことにきちっとコントロールできているというある種の評価を加えるのは、私はやるべきではないと思っているんです。どこまでそれをきちんと独立機関としてやれるかどうかが、我が国から発せられる情報についての信頼があるのかどうかを決めていく大きな要素になると思うんです。

 今回の事故の一つの教訓は、これは国会事故調でも取り上げられていますけれども、規制する側とされる事業者との間のある種密着した関係、規制のとりことも言われましたけれども、こういったことが大きな事故の原因ではないかというふうに指摘をされた経緯もあるわけであります。

 そういった中で今の組織ができたことを考えれば、客観的な、まさに科学者としての知見に基づくものはどんどん出すべきだと思います、世界に対して、安全だということを。しかし、そのことに、とりわけ政治家なり行政の中から発せられる言葉を追認するようなことを、規制委員会としては絶対やってはいけないと思いますが、いかがですか。

田中政府特別補佐人 先生も御存じのように、私どもから公式に発表しているところでは、コントロールしているとか抑制されているというような表現はなしに、客観的なデータを国際的にも発信させていただいております。

 今、コントロールされているという総理の発言をどう思うかというお問い合わせがあったので、そういうふうにお答えしたものでございます。

玉木委員 最初に申し上げたように、九月三十日の委員長の発言は、非常に正しい、正確な、慎重な言いぶりで、私はよかったと思います。しかし、先般の参議院予算委員会でのお答えについては、まさにそこを少し逸脱して、きちっとコントロールされている、基本的にはコントロールされていると思いますがというふうに、委員長のお言葉としてそうおっしゃっています。

 こういったことは私は慎むべきではないかというふうに今御指摘を申し上げたんですけれども、いかがですか。

田中政府特別補佐人 御指摘はそのまま受けとめて、今後とも気をつけていきたいと思います。

玉木委員 正確に言えば、今はかっている海水を調べてみれば基準値以下、それはそのとおりだと思います。このことをいかに正確に世界に発信していくかは、これは与野党を超えた、国を挙げての責務だと思っています。

 しかし、はかったものが結果として低いからといって、今ある原子力発電所の現状が、一般の人が思うようなコントロールされている、あるいは汚染水の影響がブロックされているということの実態とは、私はこの言葉の意味と現状が少し離れているのではないかということの懸念の中でこういう質問をさせていただいています。

 その点に関して、次の質問、そもそもの汚染源の話に移りたいと思います。

 今、タンクから水が漏れています、台風が来たら堰から水があふれています、こういうことが連日のように報道されています。これももちろん大事です。しかし、そもそも海の中に汚染された可能性のある水が出ていくその根源は一体どこにあるのかということの正確な分析がまず必要だと思っているんです。

 これに関して、もう八月になりますか、原子力災害対策本部後の記者会見で、これは資源エネルギー庁のある幹部の方でありますけれども、一日当たり約三百トンもの汚染水が海に流れ込んでいるという発言を、記者に聞かれて答えています。これはオリンピックのあのIOCのずっと前ですから、余りこのことについて、それがブロックだどうだという議論にはならなかったと思うんですが、一日当たり約三百トンもの汚染水が海に流れ込んでいる。これは単にタンクから漏れたような量じゃありません。

 そういったことを発言していますけれども、そもそもこの事実関係はどうなっているのかということと、お配りしている資料の三を見ていただきたいんですが、汚染水はそもそもどのように発生し、流出しているのか。

 当事務所でさまざまな情報を集めて簡単な模式図を描いております。まず、地下水が山側から一日千トン流れ込んでいます。これは政府の資料ではいまだに千トンになっていますが、東京電力さんはもう閉会中審査の段階から八百トンというふうに言っていますが、ここでは政府の数字をとっています。千トンがまず流れ込みます。うち四百トンが建屋に入って、これをセシウムを除去し、塩分を除去して冷却水に回したりしてぐるぐる回して、毎日入ってくる追加四百トン分が押し出される形でタンクに入っていく、これが漏れていますということです。そこで漏れているのは、右上に書いていますが、一応セシウムは除去しているし、塩分も除去しているという水であります。

 しかし、問題は、千から四百を引いた残りの六百トン、ここの挙動がわかりません。一部、ここに書いてある、高濃度に汚染されたトレンチや、あるいは、溶けた燃料が一体どこにあるかわかりませんけれども、ここで言う六百トンの一部が汚染源に触れた形で海に流出している可能性が常に疑われるわけであります。このことに対して公式の数字を見たことがありませんが、調べてみると、八月に唯一、エネ庁の幹部の方が、三百トンの汚染水が海に流れ込んでいるということを外で発言しています。

 このことについて、今もう十月ですけれども、東京電力の廣瀬社長に伺いたいと思うんですが、汚染源に触れて海に流れ込んでいる汚染水の現状、あるいはそもそも地下水の挙動についての最新の試算について、その内容について教えていただけますか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 今先生のお配りになった資料の三のところで御説明いたしますと、私ども、これはあくまでも解析のモデルを使って地下水の挙動を推定するわけでございますけれども、私どもは今、先生の図で申し上げますと、残り六百トンと書いてある部分、これを、要するに建物よりも海側にどれだけの地下水が流れているかというのをモデルで計算しております。

 これは、以前六百トンと言っておりましたけれども、最新のモデルで、再現性の高いモデルを使いまして、今これを四百トンだとしています。したがいまして、水が建物の中に入ってくるのは一日四百トン、これは比較的正確に、四百トン入ってきて四百トン抜いている、水位が変わらないということで、ある程度推定できます。

 したがいまして、我々は、四百トン足す四百トンで地下水が八百トン山から流れているのではないかということを今考えております。八百引く四百が四百ではなくて、もともとは四百、海側のところで流れているのではないかというモデルでスタートしております。

 その四百トンが、先生おっしゃるように、どれほど汚れているのかということについてはわかっておりません。

玉木委員 ということは、この三百トンの汚染水が海に流れ込んでいるということは、東京電力さんのデータに基づいて、何か試算結果に基づいて発表されたものではないということなんですか。

廣瀬参考人 私ども、今、水ガラスというもので、その四百トンを余り外に出さないようにというのをやっています。そこの手前で水を抜いておりますので、その水を抜く量が、これは雨が降ったりで一日一日変わるんですけれども、数十トンから百トンぐらいを抜いておりますので、残りが三百トンという数字はございますが、それが全て汚染されているかどうかということについてはわかっておりません。(玉木委員「わかっていない」と呼ぶ)わかっておりません。

玉木委員 つまり、最も大量に汚染水が発生するかもしれない経路について、今現在においてもまだ全くわかっていないんですよ。

 そもそも汚染水が発生するメカニズム、あるいはそのもとになる地下水の挙動、こういったことについて東京電力さえ把握していない中で、ブロックしているとかコントロールされていると言うのは、私はやはり言い過ぎだと思うんです。結果として、はかったら海の水からは基準より上のものは出てきませんというだけであって、それはラッキーかもしれません。

 ただ、本来国が前面に出てやるべき、あるいは関係の東電とも協力してやるべきなのは、こうした汚染水が発生するそもそものメカニズムと、その根っこをきちんと抑えていくことをやらない限りは、それこそ茂木大臣がおっしゃったモグラたたきがいつまでも続いて、多分、モグラが出てこないための根っこを抑えるには、ここの分析を早急に進めないと、いつまでたっても後づけの、つけ焼き刃の対策にしかならないと思うんです。

 このことについて、早急に汚染状況の解析、分析をやる必要があると思いますけれども、このことについてはどうですか、大臣。

茂木国務大臣 地下水の流入の図をお示しいただきました。図の印象でいうと、地下水は大半の部分が阿武隈山系の方から流れてくる、こういうふうにとれるんですけれども、恐らく、雨水、雨が降ってそれが地下水になる、その量の方が多いのではないか、こういうふうに現在言われております。

 もちろん、その点についても解析が必要でありますが、今の地下水の流入量また流出量につきましては、先ほど東電の廣瀬社長の方から、東電としてのシミュレーションの結果の答弁をさせていただきましたが、現在、汚染水処理対策委員会におきまして、汚染水対策を検討する上で前提となります東電のシミュレーション解析の精査を既に行っているところでありまして、専門家によります検討を始めているほか、必要に応じて現地調査等も行う予定でありまして、地下水の流入量等についてより正確な共通認識を得た上で、今後の予防的、重層的対策にも生かしていきたい、このように考えております。

玉木委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃっていることは極めて重要でありまして、では、そもそもどの経路でこの地下水、汚染水が発生しているかを分析することは大事なんです。

 今、雨水とおっしゃいましたけれども、雨水が中心であれば、表面を覆う、フェーシングといいますけれども、こういったことが重要な対策になりますし、そうではなくて、もっと山側から流れ込んでくるのであれば別の対策が必要になります。

 それについて一つお聞きをしたいんですが、六番の資料をちょっと見ていただきたいんです。

 同じような図を描いていますが、先ほど大臣がおっしゃったような、予防的、重層的、いろいろなことを前もってやっていきます、そのとおりであります。

 そこで一つ問題を指摘したいのは、一番左に描いています地下水バイパス、これがそもそも地下水の流入を抑えるためのいわば第一の防御壁です。その後、建屋の周りに凍土壁を入れるとか、海側に遮水壁を入れるとかいろいろな方法がありますけれども、この一番左の、最初の地下水の流入を抑制していくための地下水バイパスですけれども、これは三月に完成しています。しかし、稼働のめどが全く立っていません。

 というのは、これよりもさらに山側にあるタンクから漏れているので、ここから地下水をくみ上げて海に出していくことについて、一部漁業関係者の皆さんの理解が得られないとかそういった理由があって、三月に完成しているにもかかわらず稼働のめどが立っていません。これは政府の掲げる緊急対策の一つとして行う措置として導入されたにもかかわらず、一番最初の流入を抑制するための地下水バイパスが機能していません。いつまでたっても機能しない、めどが立たないのであれば、そろそろ代替策を考えていかなければいけないんじゃないかと思うんです。

 この地下水バイパスの稼働のめど、あるいは、動かないのであれば代替措置が必要ではないかと思うんですけれども、廣瀬社長、いかがでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、地下水バイパスはもう随分前にでき上がっておりまして、設備的にはいつでも稼働できる状態になっておりますが、その後、私どもがいろいろ御心配をおかけするような事象を相次いで起こしてしまって、漁業関係者の方々に、とりわけ風評被害について御心配を惹起してしまっておるというところで、大変申しわけなく思っております。

 今、国も入っていただいて、一緒に御説明する機会などをたくさん頂戴しておりますので、丁寧な説明をこれからもして、ぜひ漁業関係者の皆さんの御理解を得たいというふうに思っているところでございます。

 もちろん、それ以外にも、サブドレーンの水抜きであるとかそうしたようなことで、一日四百トン入ってくる水をまずは抑えるという対策を重層的にやっていかなければいけないというふうに考えております。

玉木委員 これはもっと真剣に、深刻に考えていただきたいと思います。緊急措置としてやって、しかも装置ができているのに稼働のめどが立っていないということであれば、やはりその代替策をそろそろ考えるべきではないかと私は思います。

 これは一番最後に質問しますけれども、これからの支援のスキーム、汚染水対策における国と東京電力の役割分担の見直しにも関係すると思うので、最後にもう一度これへ戻りたいと思いますが、その前にモニタリングについて一点質問をしたいと思います。

 先般の予算委員会で、資料の四にあるとおり、福島第一原発から二十キロ圏内については東電しかモニタリングしていない、ここについて事故当事者である東電だけがはかっていたのでは信頼性に疑義が生じるのではないかということで、国が前面に出て、具体的に言えば、規制庁もここでモニタリングをして、データの信頼性を高めるべきではないかということを申し上げました。

 それに関して、一つ新たに提案を申し上げたいんですけれども、こういったことについてぜひ国が前面に出てやっていただきたいんですけれども、その際にはモニタリングの手法についても少し工夫をしていただきたいと思います。

 これは、今、海水をとってきてその都度はかってデータを出していっているんですけれども、ぜひ、特に近い海域には連続モニタリング装置というものを入れていただきたいんです。ドイツやフランスの例えば河川であるとかあるいは海岸線においてはこういったものを設置して、これが入りますと二十四時間三百六十五日データをとれます、二時間おくれのタイムラグだと思いますけれども。

 こうしたほぼリアルタイムで時間的な連続性の中できちんととれるものを入れれば、例えば、雨が降ったら降ったで、ではとりにいきましょうととったら、もうそのときは希釈されて基準以下になっている、こういう疑いが晴れるので、連続モニタリング装置の導入を含めて、国が、規制庁が前面に出て、近い海域でのモニタリングについては強化すべきだと思いますけれども、田中委員長、どうですか。

田中政府特別補佐人 これまでも、発電所の排水溝の近くでは連続モニタリングというのをずっとやっていますので、そういった技術がございますので、それを拡大する形で、今御指摘のようなことで、もう少しモニタリングの体制を強化していきたいと考えております。

玉木委員 ぜひここは積極的にやっていただきたいと思います。

 それと、五の資料を見ていただきたいんですが、前回第二回が終わりましたけれども、海洋モニタリングに関する検討会、第一回会合の議事録の一部抜粋があります。これは委員会の中村委員も入ってやっておられますけれども、ここを見ていただくと、かなり辛辣な意見がモニタリングについて並んでいるんですね。

 不確かさがついていないので学生のレポートなら零点ですとか、旧態依然のマニュアルを使って分析をしてどうしているんですか、あるいは、大変失礼ですけど東電のバックグラウンドの処理なんかは非常にお粗末でした、こういったことが言われています。

 もちろん、これはいろいろ主観的な意見もあるとは思いますけれども、モニタリングのあり方については、国内そして海外に向けてのデータの信頼性を格段に高めていくという観点から、今委員長がお答えいただいたことも含めて抜本的な見直しをぜひお願いしたいと思います。

 最後に、八の資料を見ていただきたいんですが、現在の汚染水処理を含む事故対策、そして廃炉についての基本的な枠組みの見直しが必要ではないかというふうに私は思っています。つまり、東電と国との役割分担、こういったものをいま一度見直してみるときに来ているのではないかというふうに思っております。

 自民党からも組織の分割案等々が出てきているというふうに伺っていますけれども、組織の分割案の前に、まず公平な費用負担をステークホルダーでどうするのか、ここを決めないと、組織論も最後で行き詰まってしまいます。

 そこで、少し参考資料につけていますけれども、これはスリーマイルアイランドの事故の際の、ソーンバーグさんというペンシルベニア州の州知事さんが政治的リーダーシップで出した費用負担の案であります。連邦政府が四分の一、原子力の関係事業者が四分の一、事故を起こした当事者であるGPUが三二%等々、こういったことを決めて、政治的リーダーシップで解決を図っていきました。

 その際に大切なのは、1に書いていますけれども、なぜ国が関与していくのかの基本理念をまずしっかり固めることです。そうじゃないと、例えば除染でお金が足りないから出しましょうということでは単にだらだらと国費の投入につながりますので、なぜ国家が関与するのかといったことを。

 例えば廃炉技術の蓄積、これは国益にかなうんだ、世界の利益にも貢献するんだ、こういった国家関与の哲学を明確にした上で費用分担の案をつくって、そして必要であれば組織論に入っていく。この検討の順序を間違ってはまたおかしなことになりますので、ぜひそういったことも踏まえて、根本的な機構法の見直し、原賠法の見直し、根っこの組織の見直しをぜひ行っていただきたい。このことを申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 民主党の辻元清美です。

 私も、玉木委員に引き続きまして、原発政策そして汚染水対策、今国会の最大の議題だと思いますので、質問をいたします。

 今、玉木さんとのやりとりで出てきました地下水の問題、ちょっと補足で幾つか確認をしておきたいと思います。地下水脈というのは、特に福島第一原発の場合、非常に複雑であるということが、ここに福島第一原発を建てたいと設置申請をしたときから問題になってきたということは、田中委員長も御存じだと思います。

 そこで、私は、福島原子力発電所の原子炉設置許可申請書、昭和四十一年ですからもう随分前、四十年以上前のものを点検いたしました。

 ここでは、最初に福島第一原発で使う水、途中からはダムをつくってそこの水を引いておりますけれども、二百五十メートルの井戸を掘って、ここの豊富な地下水を補給水として使うというところが福島第一原発の出発なんですね。利用できる主要な陸水としては地下水だけである。

 そして、地表面下百六十から二百三十メートルの砂岩層が有力な帯水層であることが判明したとか、地下流動水はほぼ三千立方メートル・パー・デー、かなりの量なんですね。径三十センチメートル、深さ約二百五十メートルの深い井戸を数本設置し、所要の水量約一千立方メートル・パー・デーを確保するということで、かなりの量の地下水を最初から井戸を掘って使ってきた。

 さらには、ここの地層は地下水の水圧で浮き上がってくる。建屋を建てたけれども地下水の水圧に押されて浮き上がってくるということを防ぐために、三月十一日の事故までの間に、建屋が浮いてこないように、一日八百五十トンもの水をくみ上げて建屋が浮上することを防いできたというような地層なんですね。

 廣瀬社長、これでいいですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、当初、ダムができるまで、昭和四十八年に坂下ダムというダムができておりますので、それ以降はそのダムから取水をして使っておりましたが、それ以前はおっしゃった井戸を使って、工業用水であるとか飲料水のためにそれを使っておりました。

 それ以降も、四十八年以降もその井戸は防火用水として使うというためにずっとメンテをしてきておりまして、これはもちろん事故までのことでございますけれども、そうした用途で使ってきてはおりました。

辻元委員 そして、ここに、福島原子力発電所土木工事の概要、当時、第一原発を建てたときの現場の方が書いた「土木技術」の中に、非常に水との闘いだったということが出てまいります。

 この中を幾つか御紹介しますと、いろいろな図があります。例えば、この部分は湧水が激しくて難渋した、さらには、いろいろなところ、ほかの部分でも水が出て、当所でも大いに悩まされたと。それから、いろいろな図の記号なんですけれども、EL二十六・五メートル付近から湧水が生じ、これが海岸の方へ向かって二・三%の勾配で走って、それをせきとめるのが、井戸を掘ってやったけれども非常にしんどかったとか、さまざまなところ、EL二十四メートル以下は湧水が全面的に地表に浸出してきてトラックの走行に支障を来した、敷地内に深さ六メートルの井戸を数本掘って何とか対応したとか、建てるときからこの地下水の問題というのは非常に深刻だった。

 田中委員長にお聞きします。

 二百五十メートルの井戸を掘って補給水に使っていたとか、当初から、福島第一原発の工事をするときから地下水との闘いであった、こういう資料が出ておりますけれども、こういうものを読んだり、御存じだったでしょうか。

田中政府特別補佐人 詳細までは読んでおりませんけれども、ずっと、発電の過程において地下水をくみ上げていたということは承知しております。

辻元委員 茂木大臣にお聞きします。

 特に福島第一原発については、私は、この地下水の問題が出たときに、多くの技術者の方から、ああ、やはりねという声を聞いたんです。それぐらい有名だった話なんです。

 茂木大臣は、土木工事のときにどうだったかとか、毎日八百五十トンの水をくみ上げないと地下水の水圧で建屋に影響が出るというような事実を御存じでしたか。

茂木国務大臣 そのレポート自身は拝見しておりませんが、地下水そして汚染水の問題、これは福島第一の事故収束を図る上で極めて重要な課題である。我々が政権に復帰させていただきまして、すぐに汚染水処理の委員会というものをつくらせていただきました。そして、五月の段階では、既に対策につきまして、緊急対策、抜本対策、こういったものもまとめさせていただきました。

 さらに申し上げると、恐らく地下水という中でも、先ほど触れられた中粒砂岩層、一番浅いところの地下水、それから互層といいましていわゆる粘土質に挟まれた間の水、そしてさらに深いところが阿武隈山系から流れてくる地下水、大きく分けてこの三つがありまして、前者の二つについては雨水由来のものが多いというのが最近の研究結果だ、このように承知をいたしております。

辻元委員 私は、八百五十トンくみ上げて建屋が浮上しないように、東京電力が三・一一の前までそういう対策までとらざるを得なかったというぐらいの地下水の場所であるという事実を御存じだったかと聞いているんです。

茂木国務大臣 先ほど申し上げましたように、東電の福島第一におきまして、地下水そして雨水の問題は重要な問題であるという認識を持っておりますから、そういった対策を我々に政権がかわってからはすぐにとったと申し上げているわけであります。

辻元委員 いや、知っていたかどうか。知らなかったら知らぬ、知らぬけれども大事だったというお答えをされたらいかがですか。聞いていないの。(茂木国務大臣「もう一回言ってください」と呼ぶ)

 福島第一原発がそもそも、この間の三・一一の事故の前まで毎日八百五十トンずつ水を抜かないと、後ろから出さなくていいですよ、あなた。八百五十トンずつ水を抜かないと、建屋そのものが地下水の浮力で浮くぐらい地下水が豊富であり、そしてさらに、水というのは、皆さん、一定方向にきれいに流れないんですよ。例えば、砂場。砂場に水をがばっとバケツで流しても、全体に広がるんですよ、水というのは。こっちに流れてくださいといっても流れない。

 特に、今おっしゃったような地層があることは私も存じ上げております。しかし、二百五十メートルの深さまで井戸を掘っていたわけです。これは、今掘って対策をしようとしている井戸の十倍ぐらいなんですよ。その間にいわゆるかたい地層があるから水は通さないだろうと言われる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、私はこの全ての、今、委員会で検討するんだと言っていますが、もともとこの地下水系がどうなっているかということ、そのものから調べ直さないと根本的な対策はできないと思うんです。

 茂木さんは、浮き上がっているから対策をしているということも知らなかったという理解でいいですね。

茂木国務大臣 三・一一の事故が起こる前から地下水のくみ上げが福島第一原発で必要であった、このことは経済産業省として把握をしておりました。

辻元委員 今、カンニングペーパーを見たでしょう。先ほど、最初にお答えになればいいじゃないですか、そのように。

 田中委員長、規制委員会としても、その前にちょっと廣瀬さんにお聞きしましょう。二百五十メートルの井戸というのは、今対応している井戸の十倍ぐらいだと思うんですよ。この井戸も、そこが汚染されていないかどうか。井戸があったわけですから。これは調査していますか。私は、しっかりそこをまず調査した方がいいと思いますよ。いかがですか。

廣瀬参考人 先ほども申しましたように、井戸は、もちろん非常に古いものでございますけれども、その後もずっと防火用水として使ってきておりますので、当然その間もしっかり調べておりますし、三・一一以降、何にも使っておりませんけれども、定期的にサンプリングをして、問題ないということを確認しております。

辻元委員 田中委員長、今回、私がいろいろ調べますと、日本というのは非常に地下水が豊富で、これは自然豊かということでいいことなんですけれども、さまざまな建物で、地下水をくみ上げて浮上するのを防いでいるというようなところがございます。

 他の原発も含めて、一たび事故が起こってしまえば、いや、そんな事故は、地下水に影響が出るような事故はもう二度と起こしません、想定外ですとは言えません。ですから、活断層については各原発について非常に厳しいチェックをされておりますけれども、各原発の地下水の水系が一体どうなっているのか、福島第一原発はさらに調査する必要があると思いますが、それも設置のときにきちんと調べるというようなことを、今回の教訓として、原子力規制委員会の基準の中にお入れになったらどうですか。いかがですか。

田中政府特別補佐人 一般的なことを申し上げますと、通常の原子炉の場合は、地下岩盤まで掘り進んで、そこに基礎を置いているということであります。

 福島第一の場合には、非常に地下水層が浅い、非常に複雑になっているということで、古いということもございますけれども、そういう対応をされています。

 ただ、今御指摘のことがありましたので、そういったことについては、今後、注意深く点検していきたいと思います。

辻元委員 注意深く点検というよりも、これは重い答弁だと思いますよ、ただ、今回の教訓から、私たちは二度と同じような問題を起こさないためにどうしていくかということなんです。

 ですから、点検というよりも、私は、これだけ日本は本当に地下水脈が豊かなところですから、基準に入れるというところまで御検討いただきたいと思います。もう一度答弁してください。

田中政府特別補佐人 新しい基準は、この七月八日に施行したところでございます。それに基づいて、今、申請等に対しては、変更申請等の審査をしております。その中で、今の御指摘の点については検討していくということでして、将来、そういう状況を踏まえまして、必要があれば対応も必要かとは思いますが、現時点ではそういう対応をさせていただきたいと思っています。

辻元委員 もう一度、先ほどお示ししましたが、私はこの二つ、設置申請書と建設したときの過程を点検しただけですけれども、ぞっとしました。よくこういうところに建てたなと思ったんですね。ですから、他の原発についてもやはりきちんと基準を示すべきだと思います。これは、ほかの原発の設置のときの様子やその他も調べて、委員長とまた引き続き議論したいと思います。

 次に、一昨日になりますけれども、田中委員長と廣瀬社長が会談をされました。これは異例のことだと思います。廣瀬社長にお伺いしますが、なぜ呼ばれたのか。異例の会談でした。そして、この中で、東電として何をするとお答えになったんでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 実は、私どものたび重なるミスであるとかエラーであるとかということにつきまして、規制庁の長官の方から私が、それよりも前にですけれども、二週間ぐらい前でございますけれども、呼び出しを受けまして、しっかりとした対策等々について報告しろという御指示をいただいております。

 それに基づきまして、私どもは、幾つかあったトラブルであるとかエラー、漏えい等々の事象につきまして原因と対策をまとめて、それを、十月十五日だったと記憶しておりますけれども、規制庁の方に御回答いたしました。その回答に対して、改めて今回、回答以外のことも含めてだと承知しておりますけれども、そうしたことについてお話を聞きたいというお申し出を承ったというふうに理解しております。

 それによりまして、一昨日、田中委員長と一時間ほどお会いをさせていただいて、田中委員長からは、社長として、今いろいろ問題が起こっていることについて、全く本当に忌憚のない、どういうふうに感じているのか、どういう対策をしなければいけないのか、何が必要なのかというようなことを正直にいろいろお話をしたいということで、私もこういうことについて、幾つかの事例を挙げながらですけれども、お答えをさせていただいたということでございます。

辻元委員 正直にどんなことを言ったんですか。

廣瀬参考人 ちょっと長くなりますけれども、私どもの方からは、まず設備に関しての問題、課題があります、それから業務のやり方、運営等々についての問題があります、それから、そこで働いている人たちの気持ちであるとかメンタル面であるとか、そういった三つの観点からそれぞれについてお話をいたしました。

 設備については、いわゆる急場でつくった仮設設備等々がまだまだやはり残っておるということ、そうしたようなことから、やはりそうしたものをしっかり整えていかないとまだまだいけないなということで、これから四十年やっていく場所ですので、そうしたものをしっかりやっていかなければいけないというお話を申し上げました。

 また、運用面につきましては、あそこの場所というのはまだまだ放射線量が高うございますので、事務所というのがございますけれども、免震重要棟、御存じと思いますけれども、あそこには二百席しか席がございませんで、大半の人間は八キロメートル離れた福島第二原子力発電所から通ってくる。

 ちょっと現場を見てみようといっても、四十分ぐらいバスに乗って、着がえてということですので、片道一時間、往復二時間かかってしまうというようなことがあって、やはりなかなか、現場といっても、現場をすぐに見て、これはこうしなきゃいけないというようなことができにくい環境にあるのは事実でございますので、できるだけ早く人間が、線量の問題があってなかなか難しいんですけれども、福島第一原子力発電所の中で執務ができるような建物をつくるということも必要です。

 また、全面マスクというものをしていますと、当然電話もできませんし、隣の人とコミュニケーションをとるのも、大きな声でどなるようなことでないとなかなか伝わらないというようなこともありますので、その全面マスクをするエリアをなるべく小さくして、つまり、あそこの発電所の中の線量を全体的に下げていくというような、職場環境の改善というようなこともあわせてしなきゃいけないということを二点目でお話ししました。

 さらに、気持ちの面でいえば、確かに、彼らなりに一生懸命やっているけれども、やはりいろいろなお叱りもメディアも含めていただいていますので、そうしたことについて、どうやって使命感なり責任感をしっかり鼓舞して維持してやっていかなければいけないかというようなことについて、社長として、あるいは会社として、コミュニケーション活動であるとか表彰制度であるとか、そうしたことをやっているというようなお話をさせていただきました。

辻元委員 甘いと思います。

 社長、私がことしの四月の予算委員会で、人の問題について質問したのを覚えていますか。このときに指摘いたしました、今みたいな問題を。

 労働環境が非常に悪い、偽装請負の疑いが指摘されて、六次下請まであるような構造の中で、人がやめていくじゃないか、続かないじゃないか、そのときの議事録ですけれども、通常の自然な状態であれば一年半かかる線量を一日で被曝とか、作業に手なれたベテランほど被曝して現場に出られなくなる、入ってくる人は未経験の若い人が多くなっているんじゃないか、でも、現場で丁寧に教えていると、教えている間に被曝するから教えられない、だから軽微なミスが起こるんだ、こういう点をどう改善するのかと、私は四月に社長に問いただしましたよね。しっかりやります、今と同じ答えですよ、おっしゃっていることは。後でもう一回質問します。

 田中委員長にお聞きします。

 田中さんも、社長に会おうというのは、相当の問題をお感じになっているからだと思います。

 先ほど、廣瀬社長が、レポートを提出して、それについての呼び出しがかかったと言いました。その東電が出したレポートについて、第二十八回の原子力規制委員会で議論されて、ここに議事録がございます。

 田中委員長の御発言、非常に深刻です。その中で、特に、柏崎刈羽の原子力発電所と福島第一原発が別々の問題のように論じられている、一方で大火事が起こっているというか、大問題が起こっているのに、こっちから人を回さないのかというような指摘をされています。

 これは田中委員長の発言。柏崎刈羽原子力発電所、さっき更田委員もおっしゃって、さまざまな委員がおっしゃいます、きちんとやっているのだったら、そういう職員を一F、福島第一原発の対応に充てるべきではないのかというのももっともな指摘だと思います、それがなぜできないのかということも私自身は大変疑問に思っています、結果的に、東京電力という巨大な電力会社の今までの体質からして、状況のひどいときに現場の管理問題がきちんとできていないという気がしますと。こういうような問題意識を持ってお会いになったと思います。

 二点お伺いします。

 柏崎刈羽原子力発電所から、専門家も含めて、福島第一原発にしっかりと回して対応するようにとお考えか。そしてさらには、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の申請が出ているけれども、福島第一原発、しっかり対応ができるまで、当面は凍結せざるを得ないと思っていらっしゃるのか。この二点、お答えください。

田中政府特別補佐人 先生御指摘のように、私自身の最大の懸念は、こういった非常時というか困難な状況の中で、トラブルを防いで事故を防ぐためには、そこで働く人の質とか量といったらいいんでしょうか、そういったものがきちっと確保できないと、なかなかこれを克服していくことは難しいだろうということで、廣瀬社長に申し上げましたのは、まず労働環境、働く環境、放射線だけではなく、そういったことをまず申し上げました。やはり、東京電力の社員みずからが、そういった非常にダーティーな仕事というか、非常に困難な仕事の先頭に立ってやっていただきたいと。

 そのためにはどういうふうにするかということについて、柏崎刈羽から来るのかどうかということだけではなくて、社長の方からは、東京電力にはいろいろな人材がいるので、その総合力を発揮して、できるだけそれに対応したいということでございます。

 そういったもろもろの返事をいただきましたので、その実施状況を見きわめて、今後、柏崎刈羽については私どもとしては判断していきたいというふうに思っています。

辻元委員 今の、実施状況を見きわめてというのは、見きわめるのは大体どういう感じになればということなんですか。

田中政府特別補佐人 福島第一のいろいろな課題は非常に複雑で難しいし、時間もかかります。ですから、その辺の判断は、今後、どこでどういう判断をするかということについては、また委員会で皆さんとよく相談して決めていきたいというふうに思います。

辻元委員 今、委員会で御相談してと言っていただきましたので、しっかり皆が納得するということが大事だと思います。

 委員長はこういう発言もされております。汚染水だけではないだろう、もっと難しい問題もあるのではないかという指摘も受けた、率直に、もっとありますと、使用済み燃料の取り出しもありますし、溶けた燃料の扱いもありますと。

 こういうことですから、これもしっかり対応ができるまで、柏崎刈羽を含めて、特にそこは、もう一つ原発を持っているわけですから、そこに技術者がいるわけですから、再稼働なんて私は難しいと思いますが、もう一回だけ答弁してください。委員長自身がおっしゃっているわけですよ、この二つもしっかりやらなあかんと。

田中政府特別補佐人 今御指摘のことは、まさに時間のかかる大変困難な仕事ですので、私は、ドラスチックで長期的な計画をきちっとつくってそれを提示していただきたいというふうに申し上げておりますので、そういったことも踏まえて判断させていただきたいと思います。

辻元委員 そういったことというのは、私が今取り上げた二点、四号機からの使用済み核燃料の取り出しや、溶けた燃料の扱いも含まれると理解いたしました。

 委員長、これで退席していただいて結構です。

 さて、そんな中で、もう一つ難しいのが、使用済み核燃料をどこにどう保管していくのかという問題です。

 きょうは、小泉政務官にお越しいただいております。

 きのう、小泉元総理が社民党の党首と会われたというニュースについて、父は父、私は私と答えていらっしゃいます。

 使用済み燃料、これは福島の被災者の皆さんも一番気にされている。特に福島の被災者の皆さんは、他の地域に比べて八〇%以上の方が、もう原発は再稼働すべきでないという感情をお持ちなんです。

 今、復興担当の政務官でいらっしゃいます。そしてさらには、将来にツケを残すことはならぬと予算委員会でもたんかを切っておられます。高齢者の医療費の負担についても切り込んだ発言をされました。

 私は、財政的なツケと同時に、この使用済み核燃料、核のごみというのは最大のツケだと思っております。そこを、かつては私は、総理、総理で、あなたのお父さんの小泉元総理とは激しく激論を闘わせましたけれども、改心されたのかなと。この点については、小泉さんは前は原発を進めていたけれども、核のごみを将来に残すわけにはいかぬということを発言され、私も同感だし、それこそかつては総理、総理でしたけれども、連携できるところはしたいと思います。

 父は父、私は私、私の意見を聞きたいんです。使用済み核燃料について、核のごみのツケをこれ以上残していくことは避けなきゃいけない。そのために、一日も早く脱原発に向けて国の政策の方向性を変えるということ、はっきりと意思を示すということについて、政務官はどのようにお考えですか。あなたの意見で結構です。お父さんの意見について言ってくれと言っているのではありません。

小泉大臣政務官 御指名ありがとうございます。

 辻元委員におかれましては、今お話がありましたとおり、父も委員会等で大変お世話になりました。

 私もきのう言いましたけれども、父は父、私は私であると。父の考えについて子供はどう思うのかと言われれば、原発のことだけに限らずいろいろな問題が、そう言われてしまえば、何だってここに呼ばれて答えなきゃいけないのかなと。父は歌舞伎も好きですけれども、私も落語や文楽も大好きでして、そういった父の考えを踏まえて辻元委員は御質問されていると思います。

 辻元委員もかつて国交副大臣をお務めになられて、政府の一員という立場におられたので、政府の一員ということがどういう意味かはよく御存じの上での御質問だと思いますが、私は、政務官という政府の一員として、福島の将来のために、福島にツケを残さないために、あしたも会津若松に行って大熊町の町長とお会いする予定でいますが、福島県全体が、県の方針として原発はもう要らない、そういうふうに県民の皆さんの方針を出されていることは理解していますので、何よりも、汚染水、廃炉、賠償、帰還の促進そして除染、これら四点について、復興政務官として全力を尽くしていきたいと思っています。

辻元委員 私は、それに関連して、要するに、私は私、あなたの意見で、使用済み核燃料が残っていくことは避けられない、そして、一日も早くストップしなきゃいけないんじゃないか、そのためにはその方向に国がかじを切るということについてどうかと聞いているわけです。あなたの意見を聞いています。

小泉大臣政務官 使用済み核燃料の扱いについて、これは誰もが、何とかしなきゃいけないという思いを共有していると思います。

 そして、辻元委員はかじを切るとおっしゃいましたが、使用済み核燃料の問題に対して何とかしなければいけないというのは、かじを切るという表現ではなくて、さらに努力をしなければいけない。脱原発をしようと、そうではなかろうと、使用済み核燃料をどうやって解決していくのかというのは必ず取り組まなければいけない、それが後世にツケを残さないための不可欠なことだというのを理解しています。

辻元委員 今の御答弁は、今まで、事故以前も含めまして、ずっと政府がしてきた答弁です。要するに、かじを切るのが怖いから。

 そうではなくて、かじを切らないと減らないということを私たちは認識したわけですよ。これについては、今、政府でも対策会議をスタートいたしましたので、引き続き質問していきます。

 私は、将来へツケを、政務官という立場もわかります、しかし、政府の中でどれだけ自分の思いを達成していくかということにも、実際に政務官としてチャレンジしていただきたいと思います。

 引き続き質問します。終わります。

富田委員長 次に、宮崎謙介君。

宮崎(謙)委員 自由民主党の宮崎謙介でございます。

 委員長、そして理事の皆様、本日は、御質問の機会をいただきましてまことにありがとうございます。

 私からは、前向きな、日本経済の再生に向けた、そしてデフレの脱却に向けた施策、今回掲げられています開業率一〇%という目標達成に向けて、どのような具体的な施策をやっていくのかということにつきまして、質問させていただきたいと思います。

 先日、十月十五日に、安倍総理の所信表明演説の中で、総理は、デフレからの脱却に向けて、そして日本経済再生に向けて、引き続き力強く推進していくことに臨まれているということをお訴えになりました。

 その中で、起業またはベンチャーという言葉を多用されていたのが非常に印象的でございました。これまでの我が国の経済政策の中で、ベンチャーまたは起業、創業にここまで力を入れてこられたことはなかなかなかったんじゃないかというふうに認識しているわけでございますが、今回のアベノミクスの三本の矢、成長戦略におきまして、開業率を上げていくというのは非常に意味のあることだと私は考えております。

 特に、雇用の促進につきましても、今の大企業が例えば雇用を二倍にふやすというのはなかなか難しいわけでございますが、新しく企業が誕生してきて、その企業が雇用を二倍、三倍、十倍にふやすという可能性を大いに秘めているわけでございますので、そういった観点からも、私は、ぜひ、このベンチャー支援さらには創業支援をしていただきたいというふうに思っております。

 日本再興戦略におきまして新陳代謝とベンチャーの加速というのが掲げられておりまして、その中で、開業率一〇%、今回、本当にドラスチックな、ダイナミックな目標を掲げられています。アメリカやイギリスは開業率が一〇%台になっているわけですけれども、我が国では現段階では四・五%の水準でございます。つまり、五・五%の開業率をふやさなければならないというわけでございます。現在の日本は、大体四百万社ぐらいだと思いますけれども、計算しますと、五%ふやすということは、二十万社の創業をふやさなければならないというふうになるわけでございます。かなり高いハードルであるというのは間違いないことは事実でございます。

 日本の経済の成長の妨げになっています三つのよどみ、過少投資、過剰規制、過当競争、これを解消すると茂木大臣もずっとお話をされているわけでございます。

 私も、ベンチャーの成長の妨げになっているこの三つの点を解消し、ふやしていくためにはどうすればいいのかということを投資家またはベンチャーキャピタリストの皆さんと意見交換する中で、もちろん、資金の問題さらには制度の問題というのは大きな問題であると言われていますが、今最も彼らが問題視していますのは、プレーヤーの数が極めて少ない。特に若い世代に、起業に対して志を持っている人が年々減ってきているという現状があります。この問題を何とか解決することが、開業率一〇%を達成する上で最も必要なんじゃないかというふうに言われているわけでございます。

 創業をふやしてベンチャーを大きく育てていくためには、人、知識、金を有機的につないでいく、ベンチャーのエコシステムを整備しなければなりません。アメリカのシリコンバレーやシンガポール、イスラエルなどと同様に、我が国においても、起業家や専門家そして投資家、大企業が有機的につながってこそ、その道は開かれると思います。

 今回、さまざまな施策を経済産業省は掲げていますけれども、起業を志す人材をふやしていくという意味で、人材育成または起業家の教育について、どういった施策をしていくのかということをまず最初にお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 宮崎委員御指摘のとおり、アメリカやイギリスは今、開業率が一〇%を超えるのに対して、日本は四%から五%と大きく後塵を拝している状況でありまして、その原因は、御指摘のように、まず、新しく起業を目指す人材が少ない、そして、そういった人材に対してさまざまな資金であったりとか経営ノウハウを提供する環境も整っていない、さらに言うと、社会全体として新陳代謝を進めるとか、産業の再編を進める、先生の言葉で言いますと、そういったエコシステムも整っていない。

 その全体をやはり変えていかなければいけないと思っておりまして、日本再興戦略におきましては、開業率、廃業率一〇%台を目指すという高い目標を掲げております。しかし、私は、できない目標ではない、こんなふうに思っています。

 例えば、アメリカはベンチャー大国のように見えますけれども、一九七〇年代までは余りアメリカでもベンチャーというのはなかったわけであります。一九七九年にエズラ・ボーゲルが「ジャパン・アズ・ナンバーワン」という本を書きます。日本が相当伸びてきまして、アメリカの産業が衰退する、国際競争力が落ちていく。

 そういった中で、アメリカとして新しい産業政策を考えようということで、当時のヒューレット・パッカードの会長でありましたジョン・ヤングを中心にしましてヤング委員会というのを立ち上げて、どうやったらアメリカの産業を再生できるか、こういう議論を行いまして、そこの中から出てくる一つの提言というのがベンチャーの育成であります。そしてもう一つがコアコンピタンス、集中と選択を進めるということでありまして、ベンチャーを育成する上でも、まずはベンチャーキャピタル、こういったものに対する支援策をしっかりしないとなかなかベンチャーは育たない、そういった方向で八〇年代以降のアメリカの政策はとられてきた、こんなふうに考えております。

 我々が今国会に提出しております産業競争力強化法においても、例えば、経営支援能力の高いベンチャーファンドを認定いたしまして、あわせて認定ベンチャーファンドに対する企業からの投資を促進する新たな税制措置を設けているわけでありまして、これらの施策は、各省の所管にかかわらず、業種横断的な創業を活性化するものにしていきたい、そう思っております。

 さらには、今回、一つの企業の中にいてはなかなか育たない、スピンオフする、カーブアウトすることによって新しく起業する、こういった事業者に対しても支援策を充実しているところであります。

宮崎(謙)委員 大臣、ありがとうございます。ぜひ、新規創業に向けて、ますます推進していただきたいというふうに思うわけでございます。

 経済産業省がこのように前向きに取り組んでいっても、なかなか限界があるというのが実態であるかと思います。特に、人材育成に関しましては文部科学省の御協力が不可欠であろうかと思います。

 起業を志すというのは、やはり、教育の現場で経営者の方々と触れたりですとか、さまざまな教育を通して芽生えてくるものでございますので、ぜひとも、きょうは文科省さんにもお越しいただいておりますので、起業家教育について、今の取り組みはどういうことをされているのか、そして今後どういうことをしていくのかということをお伺いしたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の経済活力を創造する上で、若い起業家の育成は不可欠でございます。また、大学におけるキャリア教育の一環として、若者に対し多様な働き方を提示するためにも、起業家教育は必要だというふうに考えております。

 このため、本年六月に閣議決定されました日本再興戦略におきましては、「ビジネスコンテスト等も活用しながら起業の促進を図るため、ポータルサイトによる情報発信、専門家によるサポート体制の整備を推進する」ということが記述されてございます。

 これまでも、一部の大学ではございますけれども、実際の起業家の方々による講義、あるいはケーススタディー等を通じた起業家教育というものを行っている事例がございますので、文部科学省といたしましては、経済産業省を初め関係省庁とも連携いたしまして、こうした大学における起業家教育の好事例をポータルサイトにおいて共有することなどを通じまして、起業家教育の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。

宮崎(謙)委員 ありがとうございます。

 この起業家教育というのはキャリア教育の一環であるというふうに位置づけられていると思うんですけれども、このキャリア教育の予算というのも、この前の予算では二桁億ぐらいついたんですが、その前の年はほぼついていなかったというような状況でございますので、ますますこれは加速していただきながら、予算も、そして施策も進めていただきたいというふうに思う次第でございます。

 続きまして、資金面、ソフト面についての支援に移らせていただきたいと思います。

 田中政務官と同様に、私も会社の経営をいたしておりました。ゼロからの立ち上げをいたしましたが、その私の起業の経験もそうなんですけれども、起業したばかりの経営者は資金調達が極めて難しいという認識でございます。中小企業白書でも、創業期の企業において最も大きな課題は資金調達となっています。

 このため、創業期では、資金面での支援を行い、少しでも負担を減らすことが重要だと思っています。そうすることで、企業の成長のスピードも、事業の幅も、事業展開の可能性も広がっていきますので、我が国の経済の再生を加速することにつながっていくと思っております。

 そのときに、私もそうだったんですが、先輩経営者または専門家の方のアドバイスというのが非常に重要になってまいります。たまたま私には信頼できる専門家、先輩経営者がいたから何とか助かったわけでございますが、そういった環境に恵まれていない起業家、経営者も多く存在する実態がございます。このことにつきましても、何とか人的なサービス、ノウハウのサービス、支援というのを推進していただきたいというふうに思います。

 そこで、創業期における資金調達、補助金、情報提供の支援についての対策についてお伺いいたします。具体的にどのようなことに取り組み、そしてどのように推進していくのか、お伺いできればと思います。

田中大臣政務官 まず、宮崎委員におかれましては、起業家を創出する、みずからがそうしたベンチャー企業として活動しておりました、その点に関して深く敬意を表する次第でございます。

 まず、創業期の支援対策というものに関しまして、やはり創業期というのは、何といっても資金調達が難しいものであります。もちろん、さまざまな支援情報も不足している。創業者に対しては、特にきめ細かく対策をしていくことが重要であると考えております。

 まず、資金調達についてですが、例えば、日本政策金融公庫からの無担保、無保証人での借り入れ、こうしたものが可能となる新創業融資制度というものを実施しております。また、平成二十四年度の補正予算におきましては、二百億円の措置をした創業補助金によりまして、既に、現在におきまして二千四百五十九件の創業の支援を行っているところであります。

 また、情報提供のあり方についてですけれども、これまで必ずしも、経営者や創業者の立場に立った情報発信がともするとなされていなかったのではないか、こうした反省もあります。

 そのため、オンラインで、時間や場所にとらわれず気軽に、専門家や先輩経営者とでもいうんでしょうか、そういう方と相談ができるように、国や公的機関の施策情報をわかりやすく得られる、そうしたポータルサイト、ミラサポというものを運用開始いたしました。今月の十七日から本格運用されているところでございます。

 加えて、今国会に提出した産業競争力強化法案におきましても、創業者にとって身近な地元自治体が民間の創業支援事業者と連携して、ワンストップの創業支援体制を整備する、そして国と自治体の一体的な施策の情報提供を行うように今取り組んでいるところでございます。また、支援を受けた創業者に対しまして、国が登録免許税の軽減措置などの支援も行うこととしているものであります。

 このようなさまざまな施策によりまして、とにかく創業期における苦しい時期への支援に努めてまいりたいと思います。

宮崎(謙)委員 ありがとうございます。

 今お話がありましたが、ミラサポ、これも非常に画期的なサービスであろうかと思います。ただ、アクセスが今二十万ぐらいだというふうに伺っているんですが、もっともっとそのアクセス数がふえて、本当に、会社を起こしてすぐの人たちが利用できるように、広報の面でも力を入れていただきたいというふうに思います。

 最後に、安倍総理が先日アメリカで講演されました際に、日本をアメリカのようなベンチャー精神にあふれた起業大国、起業立国にするというふうにおっしゃっておりました。私は、このビジョンに心から賛同するわけでございまして、この目標を達成するためにも、ぜひとも省庁を挙げて取り組んでいただきたいと思います。そして、日本が再び輝ける国になることを私も強く願い、協力することを心からお誓い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹です。

 きょうの質疑時間は十五分と限られておりますので、早速本題に入らせていただきます。

 茂木大臣は、先ほどの所信的挨拶の中で、企業が投資し収益力を向上させ、これが個人の賃金や所得の向上につながり、消費が拡大し、再び企業の投資を呼び起こすという好循環を実現させていく旨のことをおっしゃられました。

 賃金の上昇が重要な課題になってきますけれども、政府は政労使の会議などを通じて経済界に賃上げを強く要請した、これは非常に画期的なことだと思います。そのような追い風もありまして、一時金は上昇しました。また、昨日の上場企業の決算会見におきましても、賃上げを前向きに検討するという企業が相次いでおります。

 ただ、中小企業の多くにとって、一時金ではなくて将来企業を拘束することになる賃金の上昇というのはなかなか難しいのが現実です。一時金はできるけれども賃上げは難しい。私も弁護士で、労働事件も団体交渉も数多くやってまいりましたけれども、一回賃金を上げると、従業員の不利益変更というのは非常に難しいものがあります。

 過去を振り返っても、金融危機が起きた一九九七年から二〇一二年までの十五年間で実質GDPは九・四%成長しました。そして、雇用者も全体としてはふえましたけれども、正社員が減って非正規社員がふえています。正社員が四百七十二万人減って、非正規社員が六百六十一万人ふえております。そして、名目賃金は一二・一%減っています。実質GDPが九・四%成長しているけれども、名目賃金は一二・一%減っております。こういうことからすると、景気と賃金の連動性というのは、一時金を除けばそれほど強くはないんじゃないか、緩くなっているんじゃないかというような見方もできます。

 そもそも、賃金というのは、労働の対償として支払われるものであって、企業がその人の労働の価値を見出して決めるのが基本です。そうしますと、企業の収益を継続的な賃金上昇につなげるためには、従業員の付加価値を高めていく必要があります。付加価値が高くなることによって、企業の挑戦する力も強くなります。

 経済産業研究所等の調査によりますと、正社員への計画的なOJTを実施している事業所ほど、また、正社員へのオフJTを社内で実施している事業所ほど相対的に生産性が高くなる傾向があるというような結果も報告されております。教育訓練投資が生産性向上につながります。

 ところが、企業が人的資本の向上のために使うお金というのは年々減っております。ある調査によりますと、二〇〇八年の時点で、企業の研修費は、バブル崩壊直後の一九九二年のピーク時に比べて、その一二%の水準にまで低下しているという報告もされております。

 企業にとっての全ての源泉は人です。この国の将来を中長期的に考えても、人的投資への刺激策が成長戦略としても非常に重要になってくると思います。

 そこで、大臣にお伺いします。人的資本の向上について今後どのように取り組まれていくのか、見解と決意をお伺いします。

茂木国務大臣 我々としては、今の長引くデフレから一日も早く脱却して経済の好循環をつくっていかなければならない。そのためには、企業の収益の改善を賃金や所得につなげ、それが消費の拡大、そしてさらなる生産や投資の拡大につながる、こういう好循環を生んでいかなければいけない。

 三つぐらいのアプローチがあると思うんですが、収益が上がりつつある企業については賃上げ等を要請してまいります、我々として。

 今申し上げているのは、バンカーに入っているボール、これはパターでやっても出ない。だからサンドウエッジを持つんだ。そして、グリーンに乗ったら、今度は企業の方が、パットしてもショートしたらホールアウトできないんです。入らないんですから、ショートしたら。きちんと打ってもらうことによって不況から脱却をする、ホールアウトをしていく、こういう循環をつくっていきたいと思っています。

 ただ、中小企業、小規模企業においては、なかなかそういう環境が整っていない。そういった中で、賃上げができるような環境を整えていく。そのための中小企業、小規模企業対策をしっかり進めていくことは重要だと考えております。

 そして、三つ目が、まさに委員のおっしゃったように、人材の付加価値を上げる。このことがまさに最終的には賃金の上昇にもつながっていくものだ、このように考えております。このため、経済産業省では、新たなイノベーションを創造するため、付加価値の高い技術の創出をリードする人材、そして、真に市場ニーズを捉え技術を事業の創造につなげられるような人材の育成支援、これを中長期研究人材交流システム構築事業として進めております。

 また、グローバル競争が激化する中で、新興国市場の開拓を進めるため、若手社会人とか学生の新興国における海外職場体験、インターンシップの拡充も進めているところであります。インターンシップ事業として九億円行っております。

 さらには、ものづくり産業の競争力を維持強化するため、ものづくり小規模企業等における中核人材からの技術、技能継承の支援、こういったことも行っているところであって、さまざまな方面から人材のスキルアップを図っていく、こういうことがひいては好循環をつくっていくきっかけになる、こういう思いで取り組みをしたいと思っております。

國重委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 資料をお配りしております。一ページ目に不本意非正規の状況という資料がございます。

 非正規社員の方のうち約二割が、正社員になりたかったけれどもなれなかった人です。非正規には、例えば女性の方で短時間だけ働きたいという方もいらっしゃいますので、非正規の方全員が正規を望んでいるわけではありませんけれども、この総務省の資料によりますと、およそ二割の方が、正社員を望んでいるけれども非正規でいらっしゃいます。このような方たちに対して、職業訓練、社会人の学び等、キャリアアップのチャンスをもたらすような仕組みをつくることが必要だと思います。

 他方で、次の二ページ目の表をごらんください。

 これによりますと、企業は、例えば計画的なOJTに関しましては、正社員が大体六割ぐらい、非正規社員が大体三割弱、オフJTに関しては、正社員が約七割、非正規社員が三割五分ということで、正社員は非正規に比べて倍ぐらいの職業訓練のチャンスがあるということになっております。

 仕事を通じて能力を蓄積する二十代、三十代のときに、非正規として不安定な雇用で、能力を蓄積するチャンスを奪われているというのが実際です。やはり非正規から正規になることがスキルアップの一番の近道だと思います。こうなることで、約二割の方がいらっしゃいますけれども、希望が持てて、また経済的にも安定して、少子化対策にもつながるということで、問題は、非正規からどうやって正規への流れをつくっていくかということです。

 例えば、正規にした場合に租税減免制度といったものを設けるなど、企業にインセンティブになるような仕組みを強力につくることによって非正規から正規への流れをつくって、頑張ろうとしている人たちに希望が湧くようなメッセージを発していくことが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

赤羽副大臣 お答えを申し上げます。

 まず、この不本意非正規の方々がこれだけ高い割合を占めている。特に、二十五歳から三十四歳という恐らく社会人のスタートに当たって、約三割近い方が不本意非正規の状況にある。加えて、恐らく未就職の方がいるということで、これは個人においても大変不幸なことでありますし、社会全体にとっても、そういう意味では戦力が十分生かされていない、本当に重大な損失だというふうに、私たちも認識をしております。

 先ほど大臣の御答弁にもあったかと思いますが、まずは全体の日本の経済をよくする、円高、デフレ不況からの脱却、成長戦略を軌道に乗せるということが大前提であると思います。御指摘のように、非正規の若者、特に、就職氷河期に学校を卒業して、こういう不本意な非正規の状況の人たちが正規にキャリアアップというかキャリアチェンジできるような、これまで教育訓練給付金というのがございまして、これは厚労省の所管ですが、こういったものを拡充する。また、民間の人材派遣会社を利用した紹介予定派遣、一定の派遣期間を経過した後に、派遣先への職業紹介を予定して行われる労働者派遣、こういった非正規から正規への流れということも政府全体としてつくっていきたい、こう考えております。

 加えて、経済産業省といたしましても、新卒者就職応援プロジェクト、これは新卒の学生に対してのインターンシップ。また、主婦の皆さんで働きたい、こう言われている方については中小企業新戦力発掘プロジェクト。こういったものを平成二十四年度の補正予算では二百八十億近く計上しながら行っているところでございます。

 予算を計上したからいいということではなくて、経済産業省としても、こういったことが本当にどれだけ機能しているのかということもフォローを続けながら、人材の活用ができるようにしっかり努めていきたい、こう考えております。

國重委員 ありがとうございます。

 あと二問残っておりますけれども、時間の関係で、私の意見ということで言わせていただきます。

 三ページ目をごらんください。

 これは「社齢と存続企業および参入・退出による雇用創出・喪失の関係」という表でございます。これによりますと、社齢の若い企業が雇用創出の源泉になっております。創業間もない小さな企業がどんどん伸びていけば、市場に大きなインパクトを与えることができます。ただ、多くの企業が、創業してから数年が大変です。昨日の本会議の質疑で江田議員が述べたとおり、創業五年程度は赤字の企業がたくさんあります。ただ一方、先ほどの表でわかるとおり、創業五年から十年の雇用の純増率というのが非常に高くなっております。

 先ほど宮崎委員もおっしゃられました、創業支援も大事です。創業支援とともに、その後一定期間それを支援する仕組みをつくって、優秀な人材が、大企業だけではなくて、これからまさに伸びようとする企業に集まるような仕組みをつくっていくことが大事だと思います。

 次に移りたいと思います。これは時間の関係で回答はもうなしにして、私の意見として言わせていただきます。

 次は、女性の力の活用ということです。

 安倍総理は女性の活躍が成長産業の中核だというふうにおっしゃられております。さまざまな実証データも出ております。例えば、女性が管理職でいる企業ほど業績が高いとかいうようなデータも出ております。現在、政府もさまざまな取り組みをされようとしておりますけれども、きょうはその中身一つ一つについて議論する時間もございませんので、一点、ここは指摘しておきたいと思います。

 四ページ目をごらんいただけますでしょうか。私は、では政府の方は実際どのように女性の活用に取り組んでいるのかということを調べようと思いまして、この四ページ目にある資料は経済産業省の審議会委員の女性比率です。

 恐らく女性比率は低いんだろうなと思って見ましたら、驚きました。委員に占める女性の割合が平均二九%であるということで、本当に政府としても非常に積極的に取り組んでいるなという姿勢が見てとれます。

 その一方で、五ページ目。これは経済産業省の研究会の女性比率です。審議会に比べれば、もちろんその研究会の特殊性もあるんでしょうけれども、占める割合としてはまだ七・五%ということです。

 こういうところにこれからはどんどん女性も割合が高くなるように入れるとともに、例えば中小企業庁の“ちいさな企業”成長本部のように、例えば経営者、管理職の方、さまざま活躍している多くの女性の方の生の声を政府が直接聞くような本部なり委員会なり、こういうものを立ち上げていくことも必要だと思いますが、いかがでしょうか。

赤羽副大臣 日本の成長戦略を確かなものにするための一つの大きな柱が女性と青年の活躍ということだと思っております。

 おっしゃられたように、審議会も、経済産業省は、女性はちょっとなんという危惧は全くなくて、できるだけ女性の割合をということで、産構審などはもう半分ぐらいが女性でありますが、研究会になりますと、ナノ物質の管理に関する検討会とか、非常に専門性が高くそもそも女性の専門家が少ないような分野がありまして、その辺をどうするかというのは課題だと考えております。

 また、“ちいさな企業”成長本部はことしになって全国三十カ所以上で展開をしておりますが、必ず一定の割合で女性の皆さんに入ってもいただいておりますし、今回、日本再興戦略の柱でもありますので、女性経営者に来ていただいて御意見をいただいて、政務三役との生の交流の場もつくっていきたい、こう考えておるところでございます。

 加えて、先ほどの三問目の質問でありますけれども、開業支援というものも進めていかなければいけないわけです。創業時、一定期間というのはやはり不安定な状況が続いている。それは雇用の拡大にもつながるという御指摘も今ありました。これまでもさまざまな創業支援もございますので、しっかりとバックアップしていきたいということと、先ほど政務官からお答えが別の方にあったかと思いますが、ミラサポを立ち上げております。創業支援の補助金の申請もできるようになっていたり、先輩たちとのコミュニティーというか、創業に対するアドバイスみたいなものも、実は開設以来百九十五のコミュニティーもできておりますので、さらにミラサポもフルに使って、生きた支援制度ができるように頑張っていきたいと思います。

 ありがとうございます。

國重委員 ありがとうございました。

 これからも国民の皆さんが希望を持てるような力強いメッセージを次々と発信していただくことを念願しまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 質問の時間をいただきましてありがとうございます。

 先ほど、民主党の辻元委員から、福島原発の人材の問題で話がありました。私も実はこれは非常に問題意識を持っておりますので、きょうは廣瀬社長にいらしていただいておりますので、少しお話をさせていただきたいと思います。

 六月、七月に汚染水の問題が起きて、それからミスが多発しているわけでありますけれども、九月二十七日と三十日に衆議院で閉会中審査をして、社長にもお越しいただきました。その前日にもありましたけれども、実は、終わってその翌日、十月の一日、我が党の復興推進本部で福島の第一原発を視察させていただきました。丸一日かかりました。

 実はこの日も、ホースのところが取れて水が漏れていたということなんですが、我々は一日おりましたけれども、その報告を東電の方からはいただきませんでした、ずっと説明をしているときに。終わった後に事故が起きたということがわかりました。

 視察をしているときに、タンクを回っておったんですけれども、タンクの下に水がたまっておりまして、これは何でしょうかというふうにお伺いしましたら、これは雨水でありますと。それで、上の方から少しぽたぽたとこぼれているのがありましたから、これは何でしょうかというふうにお伺いしたら、雨水が上にたまって、おりてきているんですというお答えでした。翌日、見ましたら、タンクが傾いて水が漏れているというのがありましたけれども、ちょうど我々が説明を受けたあたりのタンクだったんです。

 これは一体どういうことなんだろうなと思って見ておりましたけれども、その後もいろいろなミスが発覚しております。

 私は、中を見まして、東電の皆さんは大変一生懸命やっていらっしゃるのはよくわかりました。免震重要棟の中に入って、管理をされている方は、週に一回か二回しかお風呂に入れないらしいですね。本当に、缶詰になって、タコ部屋のところで働いていらっしゃる、大変だなというふうに思いました。やはりあれだけの過酷な状況の中では、そういうミスも、起きても仕方ないということはないんですが、起きるべくして起きているんじゃないかなということを、行って本当に実感したんです。

 一連のミスは本当に人為的なミスなんですけれども、この辺はどういう原因で起きていると今東電の方は認識をしていらっしゃるでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 まず、十月一日、先生にお越しいただいた時点では、ホースのつなぎ間違いということから水が漏れているという状況が既に発生しておりました。それについて、しっかり情報開示も含めてお伝えできなかったことを本当に申しわけなく思っております。今後も、適宜、お越しいただいて視察をされていらっしゃる方々も含めて、タイムリーに情報公開をしていかなければいけないというふうに思っているところでございます。

 御指摘の、幾つか人為的なミス、ヒューマンエラーの類いが続発しておりまして、私どもも大変心配しているところでございます。一つ一つについてしっかりとした原因究明、それに対する対策というのを、一つ一つしっかり調べて対策を打っておるつもりでございますけれども、全体的に、やはり職場環境といいますか、先生御指摘のようになかなか厳しい環境であるということはあると思います。

 例えば、それは気持ちの面でも作用いたしますし、また一方で、物理的に、連絡がなかなかとりづらいとか、それから人と現場が離れているとか、そうした実際に仕事をする上でも大変な障害になっているというふうに思っておりますので、その辺についてしっかりとした手当て、作業環境の改善という意味で、幾つかの手を打っていかなければいけないというふうに考えているところでございます。

今井委員 もう一点お伺いします。

 先ほどもありましたけれども、今度は外で作業なさっている方です。年間一万二千人ぐらい必要だという見通しを前に立てられていたというふうに理解しております。偽装請負の話もいろいろありまして、昨年ですか、一度アンケートをとられていたんじゃないかと思いますけれども、人員の確保あるいは偽装の請負とか、労働環境でそういういろいろな問題が起きていないかを最近はいつ調査されたか、それをちょっと教えていただけますか。

廣瀬参考人 先生御指摘のように、いわゆる労働条件に関する作業員の方々のアンケートというのを定期的にやっておりまして、昨年十月にやりました。まさに今、ことしの分をやっているところでございます。それらを踏まえて、問題があれば新たな対策をとっていかなければいけないと思います。

 ちなみに、それは労働条件のお話でございますけれども、職場の労働環境というんでしょうか、そういうことについては年二回のアンケートをさせていただいています。

今井委員 人員の確保についてはいかがですか。

廣瀬参考人 確かに、地元の協力会社の方々の人員の手配と、それからいわゆるゼネコンさんの手配と、二つはちょっと違うかなと思っています。

 地元の協力会社の方々は、できるだけ地元で雇用することを我々もお願いしておりますので、人の確保という意味では、競争といいますか、例えば除染の作業であるとか、そうしたものとのとり合いになる可能性があります。

 したがって、我々としても、労働条件はお支払いの部分も含めてしっかりとしたことをしていかないと、これから周りの復興が進んで、除染の作業がもっとふえるであるとか、例えば住宅の建設がふえるであるとか、そういったようなことがありますと、とり合いになってまいります。今のところ特に大きな問題にはなっておりませんけれども、今後、そうしたことについても考えていかなければいけないなと思っています。

 また、ゼネコンさんはもっと広く全国からお集めになるので、アベノミクスの影響もあって全体的にそうした工事がふえてきておりますし、今後また東京オリンピックみたいなことも考えなければいけませんので、そうした大きな視点から人の確保ということをこれから考えていかなければいけないと思っています。

今井委員 一部、単価が下がって、除染の方とかあるいはほかのところに人が流れているというような報道もありますけれども、そういうことが起きているか。もしあるとすれば、単価の見直しということもあるんでしょうか。

廣瀬参考人 私どもとしましては、しっかりとしたものをお支払いしているというふうに思っておりますけれども、それが請負構造の中で、現場で働いていただいている方々のところまで届いているかどうかというのは確かにしっかり把握しなければいけないということで、先ほどもありましたようなアンケート等々を通じて、雇用条件と実際にそれぞれの方々がいただいているものとがちゃんと合っているのかどうか、そういったようなことは定期的に調べて、対策をお願いしていくということになると思います。

今井委員 ありがとうございます。

 今調査していらっしゃるということでありますから、その調査結果を見ながらまたお話をさせていただきたいと思います。

 今のお話を踏まえまして、私、そもそも論で大臣に一つお伺いしたいんです。

 今、安倍総理もそうですし茂木大臣もそうですけれども、この問題に関しては国が前面に立ってやるというふうにおっしゃっておられます。前面に立つということは私は意気込みとして非常にいいと思うんですが、国が前面に立つということは具体的にどういうことを指しておられるか、それをちょっとお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 この廃炉、汚染水の問題は福島の復興を進める上で最も重要な課題でありまして、基本的には、東電任せにしない、国としてやるべきことはしっかりとやり抜くということであります。

 我々としては、先ほども申し上げましたが、汚染水対策につきましては、我々が政権についてすぐに委員会も立ち上げまして、検討も進めてまいりました。ただ、夏前後に、貯水タンクからの汚染水漏れ等々の問題が起こる中で、東電任せにはできない、国としても前面に出ると。

 幾つかの分野がある、こんなふうに思っておりますが、その一つは、汚染水問題の解決策を提示するということでありまして、九月三日に、総理を本部長といたします原災本部を開きまして、汚染水問題に対する基本方針、三つありますが、これを示しました。そして、九月十日には、関係閣僚等会議を開催いたしまして、具体的なアクションプラン、こういったものもつくらせていただきました。さらには、予防的また重層的な対策について、今、内外の知見の結集も行っているところであります。こういった解決策をつくる。

 同時に、事業者、これは、炉の設置者でありまして、これまで現場に精通してさまざまな作業を進めてきた東電にも、やはり責任を持ってこの問題に取り組んでもらわなければいけない。その進捗管理といったものもしていかなければなりません。

 同時に、三つ目といたしまして、国自体が具体的な事業を行っていく。これは廃炉の部分もそうでありますが、汚染水対策につきましても、技術的に難易度が高いという、例えば凍土方式によります陸側の遮水壁の設置であったりとか、より高性能な多核種除去装置をつくることによって処理能力が上がっていきます。同時に、残ってきます固体の廃棄物も大幅に減量することができます。こういったより高度な多核種除去装置も国の事業として進めたい。

 こんなことも含めて国としてやり得るべきことはやっていきたい、今の段階ではこう考えておりますけれども、またこれから潜在的なリスクが出てくる、さらに今とっておりますアクションプランが十分な効果を発揮しない、そういう中で国がやるべき対策というものが出ましたら前面に出てしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

今井委員 ありがとうございました。

 国が前面に出るといっても、実際に作業をなさる方は東京電力なわけでありまして、私も現場に行って、肌感覚ですけれども、みんな大変で疲労しているし、モチベーションが落ちているなということを何となく感じました。

 考えてみれば、もちろん作業自体が困難をきわめるということも大変で、労働環境も過酷ですし、それもありますけれども、そもそも企業体にいて、この企業が先行きどうなるんだろうか、そういう先が見えないという状況は、人間にとってはやはり一番モチベーションが下がると思うんです。これは別に企業に限った話じゃありませんけれども。私は、東京電力というのは、今そういう状況にもう陥ってきているんじゃないかなと。ですから、ヒューマンエラーが起きるというのも、実はそういうことが原因になっているのではないかなというふうに思っているんです。

 先ほど玉木委員がいろいろなお話をされていましたけれども、私は全く同感でありまして、国が前面に出るということをなぜ今具体的にお伺いしたかといいますと、やはり現在は、やる作業自体は東京電力さんがやっていらっしゃる、それから、国も今度お金を四百七十億出しますけれども、これも先ほどから御答弁があるとおり、難易度の高い技術に出すという、少し知恵を絞った勘定科目というか出し方をしているわけであります。

 これから汚染水の解決策とかを国の方で決めていくということであっても、それにも当然、今度は費用がかかるわけです。ですから、その費用も出し方をまた考えないと出しにくいとか、そういう段階をもう過ぎているんじゃないかなと思うんです。

 ですから、自民党、与党でも議論をしておられるようですけれども、やはり先ほど玉木委員がおっしゃったように、まず国がどこまでやるのか、どういう理念でやるのかというのをしっかり決めて、その上で東京電力は今後どうしていくのかということをもう考える時期に来ていると思うんです。

 もちろん、大臣が何回か答弁で、例えば潰せとか破綻処理をすれば、賠償とかいろいろな方の債権の問題がありますから、そんなに容易ではないと。それは私は理解しておりますので、そういう乱暴なことを言うつもりはありませんけれども、ただ、東京電力がこれから前に向かっていく意味においても、この東京電力のあり方というのはもう本当に議論しなきゃいけない。例えば、よく言われているグッド東電、バッド東電に分けるとか、廃炉だけはもう国有化するとか、いろいろな考えがあると思います。

 今度また電力システム改革がありますけれども、この改革を進めるに当たっても、やはり東京電力というのは今関東でとにかく電力供給をしっかりしていただいている会社ですから、この会社がしっかりしていただかないとしっかりと移行ができないということもありますので、ここにもかかわってくると思うんです。

 ですから、ぜひ、東京電力のあり方それから国の基本方針、この辺をそろそろ明確にしていただきたいと思っておるんですが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 東京電力に限らず、あらゆる組織において、やはり職員の方、社員の方が使命感を持てる、責任感を持てる、さらには希望が持てるような職場環境をつくるといったことは極めて重要だと思っております。

 特に、私も福島の第一原発に夏にも伺っておりますが、あの防護服を着て、本当に過酷な中で作業をされている。そういった方が心が折れずにしっかりと難しい作業に取り組めるような環境をつくるために、国もできる限りの支援をしていきたい。

 東電にとって、今、この福島第一原発の廃炉、汚染水、事故処理は一番重要な問題であります。同時に、三・一一以降の新たな電力の逼迫の中で、エネルギー制約の中で、電力需給について事業者として万全を果たしていく、こういったことも必要だと思っております。

 今、東電におきましては、電力システム改革を先取りする形で、発電の部門、送配電の部門そして小売の部門、こういった本社を含めたカンパニー制を既にとられております。

 今後のことを考えますと、電力システム改革が進むという中で、競争環境は相当変わってくる、また変えていかなければいけないと思っております。そして、二〇一八年から二〇年をめどに発送電の分離、こういったものを行っていくわけでありまして、東電に限らず、電気事業者の経営環境といったものは私は相当変わってくると思っております。

 そういったものを見ながら、それぞれの事業者において、適切な組織体制、運営体制はどうあるべきかは検討すべき課題だ、このように考えております。

今井委員 時間も限られていますので、きょうはこの話はこれぐらいにしますけれども、各党からもいろいろな提案が出てくると思いますし、我が党からも提案をさせていただきたいと思います。いたずらに東電を潰せとかそういう議論ではなくて、この問題を解決するためにどういう形がいいかということをこの委員会も通じてまた議論させていただきたいと思いますので、ぜひ御検討をしていただきたいというふうに思います。

 続きまして、アベノミクスについて少しお話をしたいと思います。

 通常国会のときにも一度この話をさせていただいていますが、今回、三カ月、四カ月、国会が閉じておりましたので地元を回る時間が結構ありまして、いろいろな企業を回っておりました。

 私のところは、岐阜県の、ほとんど大企業はない、下請、孫請の多いところでありますけれども、皆さんにお話を聞いていると、アベノミクスなんて俺たち全然関係ないよと。

 何が起きているかというと、車とかそういうところの下請会社の方、あるいは製造会社の方、部品の会社の方もおっしゃっていましたけれども、単価が上がるどころか、受けている大企業からはもっとコストを下げてくれということを今も言われている。確かに量はすごくふえているんだけれども、やればやるほど赤字です、そういうふうにおっしゃる経営者の方はたくさんいらっしゃるんです。

 先ほど四―六月は年率三・八%のGDP成長率があるというふうにおっしゃっていましたけれども、地方と都市部では、あるいは大企業と中小企業では物すごく格差ができているというふうに感じますし、大企業で利益の出ている部分がそういうところに還元されていないという実態があるんじゃないかなと思いますけれども、その辺の御認識はいかがでしょうか。

茂木国務大臣 必ずしも、大企業と中小企業、小規模企業、もしくは東京と地方、こういう区分がいいのかどうかは別にしまして、まだアベノミクスの成果そして景気回復の実感が全国津々浦々まで行き渡る状況にはなっていない。一日も早く、地方において、また御指摘いただいたような中小企業や小規模企業にとって、この実感が得られるような状況をつくっていきたい。

 そのためにも、アベノミクスの三本目の矢、民間投資を喚起する成長戦略は極めて重要だと考えておりまして、この国会にも産業競争力強化法を提出させていただきまして、こういった政策を速やかにスピード感を持って進めて、景気回復の実感を行き渡らせていきたいと思っております。

今井委員 私は今感覚で申し上げましたけれども、ちょっと資料を皆さんにお配りしています。最初のところにありますのは、財務省の法人企業統計の一ページでございます。九月に発表されていますけれども、ことし四―六月までのものであります。右の表の真ん中あたりを見ていただくと、これは各企業の経常利益の前年同期比伸び率です。

 十億円以上の企業、一番右を見ていただきますと、前年同期比五五・三%と大変大きな伸びをしていますが、一億円から十億円の企業になると五・二%の増加です。そして、一億円未満の企業になりますと、経常利益はマイナスの一二・四%です。つまり、大企業だけもうかって、中小企業は損をしている、前年同期よりも利益が落ちているというのが、この法人企業統計にはっきりとあらわれております。

 先ほども申し上げましたけれども、今、安倍総理が大企業に賃金を上げてくれということを経団連を中心にいろいろとお願いされているのは承知しておりますが、それはそれで必要かもしれません。でも、それはいわゆる大企業の従業員の賃金を上げるだけであり、大企業の人たちはほとんど都市部に住んでおります。中小企業の人たちは、地方にあって、利益はむしろ減っているという状態にあるわけです。

 ですから、大企業の従業員の給料を上げる前に、下請の会社の人たちの単価をしっかりと上げてあげる、そのことを先にやるべきだ。それをやれば、大企業が円安とかいろいろなところでもうかった、その資金が還元して、アベノミクスの効果が都市部だけじゃなくて地方の方にも還元されてきているなということを皆さんが実感される、そういう環境ができると思うんです。

 ぜひそういう指導を、行政の指導がどこまでいいか、ちょっとそれは余り介入してはいけないので、ただ、問題意識としては、大企業の給料よりも、やはりこういうところが裾野が広いということをぜひ理解していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょう。

茂木国務大臣 基本的にはおっしゃるとおりだ、そのように思っております。

 その上で、先ほどお示しいただいた経常利益の推移でありますけれども、これは御案内のとおり、前年同期比ではかりますもので、二〇一二年の数字を見ていただきますと、一億円未満の小規模企業だと逆の数字が出ている、そういう側面はあると思っておりますが、いずれにしても、これは賃上げだけの問題ではない。

 十月十日に、経団連の会長を初め代表の方と私はお会いをいたしました。アベノミクスの成果を経済の好循環につなげていく、そのために、賃金の引き上げ、同時に取引先企業に対する取引条件の改善、こういったことに取り組んでほしい、明確にこの点は申し上げております。

 また、こういった状況もフォローしてまいりたいと思っております。

今井委員 ありがとうございます。

 アベノミクスがすっと浸透していくかどうか、私は足を引っ張るつもりはありませんで、ぜひ成功していただきたいんです。そのためには、やはり全国に広がってもらわないと、一部で終わってしまっては失敗をしますので、ぜひそういうことも、中小企業庁あるいは経済産業省、しっかりとフォローしていっていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 その上で、もう一点、これも前回の通常国会のときに申し上げた点なんですけれども、資料の三枚目にエクセルの表がありますけれども、私は、今アベノミクスは大企業と中小企業の格差の拡大、それから都市部と地方の格差の拡大という現象を招いているというふうに思っています。このエクセルの表は私がつくったんですけれども、二輪車を含めたいろいろな車を人口に対して各都道府県でどれぐらい保有しているかというのを持ってきています。

 見ていただくと、細かいのであれですが、一番低いのは東京で〇・三三、つまり三人に一人が車を持っているという状況です。私の住んでいる岐阜県は〇・八一であります。茂木大臣の栃木は〇・八四であります。総じて見ていただくと、神奈川も低いんですけれども、都市部の方が車を持っている人が少なくて、田舎の人たちは車をたくさん持っているというのが数字にはっきりあらわれています。

 以前お話ししましたけれども、結局、今コストが、いろいろな面がありますけれども、ガソリンが上がっていることによって影響を受けているのは、実は都市部の人よりも地方の人の方が負担が大きくなっているということなんです。

 先ほど、企業を見ますと、大企業の方だけ伸びて、中小企業は伸びていないということで、恐らく賃金もそうなっていると思いますけれども、となると、地方は賃金が上がらない、生活コストは上がる。都市部は利益が上がって賃金が上がる、生活コストは上がるんでしょうけれども地方ほどは上がらない。確実にこういう状況になってきているわけです。

 今ガソリンのレギュラーは百六十円を超えてきましたかという状況の中で、やはりこの部分も何らかの検討をしていただきたい。私はガソリン税を暫定にしていたものを下げるべきだというふうに思っておりますけれども、そのあたりのところの対策等を何か考えていらっしゃいますか。

茂木国務大臣 先生の岐阜県もそうでありますが、栃木県もまさに車がないと生活できない、私の選挙区は複線の鉄道が一本もありません、それから路線バスもほとんど通っておりません。そして、距離的には相当遠いですから、やはり車が人々の足になっている、こういう状況でありまして、買い物に行くのにも、それから病院に行くのにも、市役所に行くのにも、町役場に行くのにも、車がどうしても必要ということであります。これは軽が多いんですね。軽自動車に対する税率は一部で引き上げの議論等があるようでありますけれども、これ以上ユーザー負担がふえるようなことがあってはいけない、こんなふうに私は考えております。

 同時に、今ガソリン価格等々が高騰する中で、為替レートであったりとか、いろいろプラスの影響もマイナスの影響もあるので難しいところでありますけれども、できるだけ、地方にアベノミクスの効果が裨益しない、こういう状況は改善をしていかなければいけないと思っております。

今井委員 いみじくも軽自動車の話をしていただきましたので、資料を用意していますので、軽自動車の話をしたいと思います。

 もう一枚、二枚目は全国軽自動車協会連合会からいただいた資料でありますが、「軽自動車の普及と鉄道営業キロの関係」というものであります。

 まず、表を見ていただくと本当にわかりやすいんですけれども、軽自動車の世帯当たり普及台数が一番少ないところ、トップファイブぐらいを見ますと、東京、神奈川、大阪、埼玉、千葉、大都会ですね。一方で、軽自動車の普及台数が一番多い県は、鳥取、佐賀、島根、山形、長野、福井。稲田大臣はいらっしゃらないですけれども、稲田大臣の福井も入っています。明らかに都市部の方は軽自動車が少なくて、田舎の方は軽自動車がたくさんある。これは、軽自動車税が安いというのもありますし、燃費もいいということであります。

 この軸ですけれども、これもなるほどと先ほど私が申し上げたことそのままなんですが、千平方キロメートル当たり鉄道営業キロ数と軽自動車の普及台数の関係であります。軽自動車が少ないと言われた東京、大阪あるいは神奈川は、要するに鉄道網が非常にしっかりしていて、車の保有台数も全体的に少ないわけです。

 先ほど栃木は鉄道がないというようなお話もされていましたけれども、私のところも鉄道がないエリアがあって、車でしか行けないところがたくさんありますが、東京、大阪、神奈川などは車がなくても行けるということであります。左上の方に固まっている人たちが、結局、鉄道は余りないし車をたくさん持っているという都道府県の集合体であります。まさに、見ていただけば一目瞭然で、地方ということであります。

 もちろん、税というのはいろいろな公平性もあるし、そういう議論はあってしかるべきだと思っていますけれども、安倍政権が始まってアベノミクスでずっときている中で、私はきょう一連で話をしているのは、結局、負担がふえるとかあるいは検討をされるというものに地方の負担が大きくなるものが多くて、利益を享受するものはどちらかというと都市の方が多い、この一年の政策はそういう方向に向いていっているわけです、結果的には。

 私は、都市部がこうやって牽引してどんどん伸びていくのは大変すばらしいと思うし、第三の矢はどんどんやっていただいて、規制改革をどんどんやっていただきたいと思いますが、どうしてもそれをやれば格差は出てくるわけです。では、そこの部分をどうならしていくかというのが、これも政治の仕事でありますし行政の仕事でありますから、そのあたりのところをやはり頭に置いてぜひやっていただきたいということを繰り返し申し上げているんです。

 国会議員は都市部の方が人数的にどうしても多いので、こういうところで地方から出ている人間がやはり声を大きくして言わなきゃいけないと思ってあえて申し上げておりまして、先ほど軽自動車のことはしっかりやるというふうにおっしゃっておられましたので大変心強く思いましたけれども、もう一度、全体を踏まえまして、地方と都市部、あるいは大企業と中小企業、この辺のバランスをしっかりとっていただくということの御決意を最後にお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 まず、先ほど申し上げたのは、単線しかないというのは私の選挙区でありまして、栃木県は新幹線もきちんと通っております。

 その上で、中小企業、小規模企業は全国四百二十万。当然、地方に多いわけでありまして、この底上げがどうしても必要である。実は、我々が平成二十四年度の補正予算、最初に組みました。十兆円規模のものでありますが、経済産業省としても、一兆二千億、過去最大レベルの予算を組ませていただきましたが、その半分近い五千四百億は中小企業、小規模企業関係の予算でありまして、並べ出すと時間がないんですけれども、さまざまな手当てをしております。

 同時に、今回の投資促進税制の中でも、小規模企業については、資本金三千万以下については控除を七パーから一〇パーに引き上げる、そして、三千万以上一億についても七パーを適用するといった形で、税制についても、できるだけ中小企業に手厚く、そしてその底上げにつながるような対策をこれからもとってまいりたいと考えております。

今井委員 この問題はこれからもしつこくやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

    〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕

鈴木(淳)委員長代理 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会、大阪第十一区、枚方市、交野市で御支持を得て国会に送っていただいた、伊東信久と申します。

 私は医師免許を持っているんですけれども、医師、医療従事者として、そして法人の経営者として、患者様と日々向き合い、国民の健康増進の役を担ってまいりました。

 さて、冒頭、本日の質問にちょっと関連していますので、簡単に私の専門のことをお話ししたいんですけれども、PLDDという椎間板ヘルニアのレーザーの治療をしています。心臓とか脳のカテーテルと同じように考えていただいて、一・二ミリの針を、Cアーム、透視というんですけれども、レントゲンのモニターを見ながら押し進めていって、針の中に光ファイバーを入れて、患部である椎間板をレーザーで焼灼する、そのような手技です。

 今申し上げましたように、透視というのはずっとレントゲン下で手術をします。つまり、私も外部被曝の測定検査を受けている身としてお話をさせていただきたいと思うんですけれども、本日、資料として、私の毎月の検査のデータを持ってまいりました。

 資料の一は検査のデータを見るための説明書きでございまして、二枚目に私の外部被曝線量測定の個人報告書があります。説明書きはゆっくりと後ほど確認していただければいいと思うんですけれども、手術をする際に私も外部被曝を受けますので、約一キロの鉛のエプロン、鉛の帽子、鉛でコーティングされたサングラス、ゴーグルです。手袋にも鉛が入っております。そして、外と中の線量をバッジで測定したのがこの結果でございます。

 そして、ICRP勧告に従いまして、五年間で百ミリシーベルトを超えないように手術をしております。逆に言うと、これを超えるような手技になってきますとストップがかかるわけですね。元来、こういった線量に関して日々意識をしております。

 その際に、まずは講習会を受けるわけなんですけれども、シーベルトという単位は、人体に対する放射線の影響を定量的にはかったものだと理解しております。そして、放射線自体の力というのはグレイという単位があるんです。

 今回、まず質問に際してお聞きしたいのは、先ほどからの汚染水の問題はどうしても今まさに今回の臨時国会の一番の議題となるべきことなので、このことに関連して私も質問をさせていただきたいわけなんです。今さらながらの質問になるとは思うんですけれども、事故関連事象の発表時、いろいろな事象が起こるたびに、放射能レベルの表現がシーベルトとベクレルに分かれております。

 今申し上げましたように、私自身はそういったところで従事して講習を受けているので内部被曝と外部被曝の区別といったことは十分理解しているつもりなんですけれども、こういったシーベルトとベクレルを分けて発表する際の表現の基準、どのような意図で分けて発表されているのか、まずそのことについて御質問いたします。

    〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕

山本政府参考人 お答えいたします。

 放射線の値を調べる際には、ベクレルとシーベルトという二つの単位がございます。ベクレルといいますのは、一般的には放射線の強度、そこに放射線を出す物質がどれぐらいあるかといったものを示すのがベクレルというふうにお考えになられると思います。それからもう一つはシーベルトでございます。これは先ほど先生御指摘のように、人体でどれだけの放射線を被曝したのか、被曝線量、それをあらわす単位としてシーベルトを使っている、こういうものでございます。

伊東(信)委員 教科書に載っている御回答なんですけれども、要は、ベクレルというのは、物質があって、物質からどれだけの放射線を出すか、そういった能力ですよね。それが例えば水の中にまじっていて、人体が摂取する。もしくは食料品の中にあって、空気中にあって、それを人体が摂取する。そうすると、放射線を出す能力、これを放射能というんですけれども、それが体の中に入っちゃうから、そこから出てくるわけです。

 となると、ベクレルをシーベルトに換算できるわけです。例えば、セシウムの137でありましたら、換算しますと、この場合、積分の数式を使わなければいけないんですけれども、千ベクレルで〇・〇一三シーベルトになるわけで、数字だけ見るとおよそ十万倍でありまして、〇が五つぐらい違うわけなんですね。実際、私自身が選挙区で有権者の方から御質問を受けるときに、こういったところがわかりにくいと。

 つまりは、今回の質問のテーマになるんですけれども、国民の皆さんにわかりやすい表現、説明。先ほど東電の社長が、やはり丁寧な説明が必要だということをおっしゃっていましたけれども、こういった観点で説明されてはいかがかなと思うんです。ベクレルとシーベルト、マスコミの問題もあるんですけれども、例えば、政府の方でもっと詳しく、どういった違いがあるか、どういった人体への影響があるかということを説明してしかるべきなんです。

 先ほどちょっとお答えいただいたんですけれども、そのような意味で、どのような意図で表現の基準があるのかとお聞きしたんですが、もう一度お答え願えますか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 ベクレルとシーベルト、これをきちっと定義して、それの持つ意味を正確にお伝えするということは極めて大事でございます。

 特に、今回問題になりましたのは、タンクの漏えいがあるかどうかのところについて、東京電力が線量計で調査をしたわけでありますが、線量計は一定の距離ではかりますので、単位はミリシーベルトという単位で出てまいりますけれども、ただ、実際に問題になるのは、タンクの漏えいから放射性物質がどれぐらい出ているかということが非常に大きな課題でございます。ですから、そういった場合は、測定した結果をもとに、ベクレルで、どれぐらいの放射性物質が実際に出ているのか、これをきちっと把握して、情報発信をしていくということが極めて大事であろうということでございます。

 この点については、先般、九月の規制委員会のときにも、田中委員長が、そういう数字の持つ意味、それを正確にやるべしといったことを発言しているところでございます。

 私ども規制委員会におきましても、東京電力の測定方法は適切なものでやっていただくことが必要だというふうに考えておりまして、私どもの規制庁の方で、放射線の専門家の非常勤の職員を雇いまして、実際に福島第一の現場に入ってもらって、東京電力がいろいろなところで測定を行っておりますけれども、そういう測定方法の適切性、あるいは改善すべき点があるのならばそれを指導する、こういうような具体的な取り組みをやっているところでございます。

 いずれにしても、正確な情報をきちっと発信することが極めて大事でございますので、そういったことに努めてまいりたいと考えているところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 私はよくわかります。ただ、問題は、専門性を持った私だけがわかっても仕方がないので、これをどなたが見ても、万人が見ても、全国津々浦々という表現が安倍首相は大好きなんですが、全国津々浦々の方が現在の状況を把握できるような、ベクレルの後に括弧して、どれぐらいのシーベルトに相当するのかという親切な表現もまた考慮してもいいのじゃないかと思いますので、そのあたりの丁寧な説明を切にお願いします。

 そして、先ほど今井理事からの指摘があったんですけれども、本年の十月一日に、日本維新の会、福島第一原子力発電所の現地視察のまさにその日に報道された水漏れ事案についてお聞きをしたいわけです。

 確かに、私どももタンクの下に水が漏れているのを確認いたしましたし、我々が質問したところ、雨水ですという回答もされましたし、タンクの上から水が漏れているのも雨水だという回答もありました。

 実際、中のいわゆる安全保障とか警備の問題がございますので、カメラとか携帯電話とかスマートフォン、タブレット、PCは全部預けます。ちょうど、帰りのバスでそれらを受け取って今までのメールチェックをするときにまさにニュースの一面となって、さっきまで我々はそこにいたではないかという、感情的に言うと、非常に寂しい思い、悲しい思いでした。

 加えて、我々がJヴィレッジに入ったときの東電の方の御挨拶としましては、本当に国民の皆さん、国会議員の皆さん、政府にも御迷惑をかけております、そして本日も御迷惑をおかけしましたとおっしゃったんですね。そのときに把握していたのではないかという疑念がやはりあるわけですし、残念ながら、先ほど、寂しい思い、悲しい思いと言いましたけれども、これがもし会社としての、企業としての隠蔽体質としてとられても仕方がないというようなことになると、やはり信頼関係というのがこれからの復興に関して大事だと思うんです。

 事故後の東電の情報開示姿勢に関して、社長の方から御回答いただければと思います。

廣瀬参考人 私どもの情報開示のあり方あるいは開示そのものにつきましては、二年七カ月前の事故以来、たびたびお叱りを受けているところでございます。

 特に、これまでよく言われたのは、現場から数字を出すときに、しっかり原因であるとか経緯であるとかというのを整えてから出したい。というか、出しますと矢継ぎ早に御質問をいただくのはもちろんやむを得ないんですけれども、そうしたことから、あらかじめ整えてから、態勢をとってから発表したいというようなことがございました。また、早く発表しますと間違える、現状、推定ではこのぐらいですというような発表にどうしてもなりますので、その後、訂正したことも随分ございますけれども、そうしたことから、どうしても出す側が慎重になっていったということがあると思っております。

 現在は、県や地元の方にも入っていただいてですけれども、通報協定というのをしっかり定めまして、第一報という形ではとにかく早くお知らせするということでございます。

 先ほどの今井先生のお話にもありましたけれども、十月一日も、実は十三時の段階で、一斉メールということで外には出しております。したがって、まさに先生方がサイトに入ってこられるころだったと思いますけれども、その中でうまくしっかり、今こういうことが起きているということがお伝えできなかったということに関しては本当に申しわけなく思っております。

 今後、そうした臨機応変な、タイムリーな報道につきましても、先ほどの一斉の通知というようなこととは別に考えていかなければいけないというふうに考えております。

伊東(信)委員 恐らく、現場で働いている方にとってのいわゆる疲弊、疲労に関して、先ほど今井理事も質疑してくれていたわけなんですけれども、いわゆる肉体的な疲労、我々も視察して、現場での防護服を着ての大変さというのは重々承知しています。茂木大臣にも、先ほどそのことに関しては強調していただきました。しかしながら、やはり精神的な疲労もあるとは思うんですね、矢継ぎ早に批判を受けると。

 しかし、まずは、情報の開示というのはスピード感も大事であるということを重々にわかっていただきたいと思います。

 その意味で、汚染水の話に入ってくるわけなんですけれども、汚染水の問題に時間をとられていますので、簡単に御質問したいんです。

 エントロピーの法則というのが自然界にあります。自然界というのは、乱雑に広がるようにできているんですね。コップの水がここにありますけれども、インクを垂らすと、そのインクは広がります。これは、勝手に広がるように、自然界はエネルギーがエントロピーで動くようにできています。

 一方で、例えば食中毒のノロウイルスとかは海水にあるのがいわゆる二枚貝に集積するようになっています。そこに集積するようにできています。こういったバランスの中で、結局、汚染水の量も大事だと思います、それを防ぐのが第一義だと思うんですけれども、濃度も大事です。

 先ほど大臣に多核種の除去の話もしていただいたんですけれども、今、どういった状況で、どのようなことで、どのような対策で、どうなっているかという汚染水の海洋拡散防止対策、拡散による人体への影響などを国民にわかりやすく説明する必要があるんです。そのような認識に関して、政府の見解を問います。

糟谷政府参考人 汚染水の問題でございますけれども、三つの原則に従いまして対策を進めております。

 まず第一に、地下水を汚染源に近づけないということ、それから、汚染水を漏らさないということ、第三に、高濃度の汚染水の中から放射性物質を取り除くということであります。

 特に、最後の取り除くということにつきましては、ALPSという多核種除去設備を用いて、より人体への危険が大きいストロンチウムなど、いわゆるベータ核種などの放射性物質をおおむね検出する限界値以下まで除去するという考え方で取り組んでいるところでございます。

 人体への影響を最小化するということで取り組んでおるわけでありまして、他方で、日々、海洋のモニタリングをいたしまして、その数値を公表し、これはWHOの飲料水のガイドラインを下回る、もしくは検出もされない数値であるということでございますけれども、そういうことをお示ししておるところでございます。

 いずれにしましても、汚染水につきましては、安易な海への放出は行わないという考え方でありまして、ALPSで処理した後もトリチウムだけは残るわけでありまして、このトリチウムについて、普通の水素と分離することが容易ではありませんで、現時点でこれらのトリチウム水を大量に処理できる技術は見つかっておりません。

 したがって、技術的に困難性が伴う潜在的リスクへの対応策について、内外の英知を集めまして、トリチウムの分離技術、それから長期安定貯蔵方法等についても技術提案を募集しておるところでございます。

 こういうことを踏まえて、予防的かつ重層的な対策を講じることとしておりまして、委員御指摘のように、環境と健康への影響が極力ないように、またあわせてリスクも最小化できるようにという考え方で取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 今の御説明の中で気になったところは、実際、トリチウムの危険性に関して本当のところはどうなんだという説明があってしかるべきだったんです。科学者としてのコントロールと政治家としてのコントロールは違いますし、説明義務に対しての認識に関してお聞きしたかったわけです。

 茂木大臣、せっかく用意もしていただいているんじゃないかなと思うので、ちょっと寂しいのでお聞きしたいのです。

茂木国務大臣 別に用意はしておりませんけれども、先ほど質問がありましたのでお答えしようかと思ったんです。

 もちろん、放射性物質を全部除去できればいいわけでありますけれども、ALPS等々を使いましても、六十三核種のうちトリチウムだけは残ってしまう。

 ただ、例えばセシウムの134であったり137、さらにはストロンチウムと比べて、人体への影響というのは御案内のとおり低いという形でありまして、例えば、法令の濃度限度それからWHOの飲料水のガイドラインがあるわけでありますけれども、セシウムの134につきましては法令で六十ベクレル・パー・リッター、そして飲料水の場合は十ベクレル・パー・リッター。これに対しまして、トリチウムの場合は、法令が六万、そしてWHOが一万です。そのように私は記憶をいたしております。

伊東(信)委員 準備されているじゃないですか。しっかりとお答えいただいて、ありがとうございます。

 まさしくおっしゃるとおりで、それをやはり国民に広く理解してもらうところから始めましょうということなんですね。本当に、この問題に関しては、前向きに政府としてはここから対処していかなければいけませんので、情報の開示の説明責任として、常に国民の目線に沿ったものであるべきです。

 時間も大分来ているので、次の話題としては、今やまさに、TPP協定については国論を分ける議論がされております。

 TPP協定は、アジア太平洋地域における水準の高い自由化を目標に挙げた包括協定でありまして、物品やサービス、非関税分野を含め、二十一分野についての交渉が進められておるのですが、交渉参加国の総人口は八億人、世界人口の約一一%、GDPは約二十七兆ドル、世界全体の三八%に上り、広域な経済に及ぼす影響がある。

 その中でも、我が国の知的財産政策を所管する経産大臣にお聞きしたいんです。

 いわゆるアベノミクスの三本の矢の成長産業にも関係してくると思うんですけれども、ジェネリック医薬品の事例についてであります。厚生労働委員会じゃないので、ジェネリックに関しての細かいことをお答えいただかなくてもいいです。

 ただ、現状としては、米国は、データ独占権、特許リンケージ、特許期間延長などを含むTPPアクセスウインドーを提案しておりまして、加えて、生物学的製剤のデータ独占権も議論されていまして、医薬品の薬価の方に影響があるのではないかというようなことがございます。

 お聞きしたいのは、我が国の知的財産政策を所管する経産大臣としまして、こういった今の流れに関しての、情報を提示しろという意味じゃないです、ややもすれば国民なり産業なりいろいろなところに影響を及ぼすと思うんですね、この不安を解消する意気込みというか、御認識をちょっとお答えいただければと思います。

茂木国務大臣 TPPは、委員御指摘のとおり、アジア太平洋地域、まさにこれからの成長センターでありますが、そこにおけます二十一世紀型の新しい経済の統合のルールをつくっていく、そういう土台になるものだと我々は考えておりまして、それは、マーケットアクセス、物だけではなくて、御指摘の知財の分野、サービス、投資、金融、そして電子商取引、国有企業、さまざまな分野について新しいルールをつくっていきたいと考えております。

 御案内のとおり、TPP参加国は十二カ国、我が国は十二カ国最後の参加国でありますけれども、ここに来て、我が国として、このTPP全体の議論を引っ張っている、こんな自負を持っております。

 知財の分野は、御案内のとおり、今月の二十八日まで日本が主催する形でこの知財の分野の交渉が行われたわけでありまして、当然、意見の隔たりといいますか、各国にとってどうしても譲れない分野、さらには柔軟性が発揮できる分野、こういった分野もある程度整理されてきた、このように考えております。

 我々としては、国益を最大化する、そしてそういった中でアジアのルールづくりを先導していく、こういった立場から、しっかりとこれからも交渉に臨んでいきたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 加えて、所信表明の中でもおっしゃっていましたけれども、消費税率の引き上げに伴う価格転嫁対策関連について、もう時間もあと三分ぐらいなので、お聞きしたいんです。

 法人の経営者として、医療法人なので、医療費は現在非課税です。そのことに対して、中医協や厚労省で三%から五%へ上がるときに保険点数を一部引き上げするというこそくな措置もされたんですけれども、医療法人も実は中小企業なんですね、各開業レベルで一人医療法人というのもございます。そういった中小零細企業者にとって、迅速かつ効果的に課税対象物の転嫁拒否などの行為の是正というのを講じる必要がございます。例えば、医療費だったら、仕入れ税の控除のゼロ税率ということ。

 このことに対して、私は別に医師会にくみしているわけじゃないので、賛成しているわけじゃないんですけれども、できたら、実現はいろいろ問題がありますけれども、医療費にも消費税を導入すべきではないかというのが私の個人的な考えではございます。

 そのことは別として、転嫁対策に関して政府の御見解をお聞きいたします。

茂木国務大臣 十月一日に消費税五%から八%への引き上げを総理が決断されまして、翌日、十月二日に経済産業省は対策室を立ち上げました。そして、全国四百七十四名の調査官も配置しまして、この転嫁対策がしっかりと進むような相談窓口もつくっているところであります。

 御案内のとおり、消費税は転嫁を通じて最終的には消費される方にお支払いをしていただくということでありまして、立場が弱い中小企業であったりとか小規模事業者、ここにしわ寄せが来ないように、しっかりした転嫁対策をとってまいりたいと思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 通常国会において、私は厚労委員会に所属しておりました。私は、希望を持ってこのはえある経済産業委員会に来させていただきました。縦割りがどうのとかではなくて、例えば再生医療製品についても、TPPの問題についても、やはり全体で考えなければいけない時期に来ております。

 時間があればもっと多岐にわたって御質問したいところですけれども、時間も来ていますので、今後ともよろしくお願いいたしますということと、これからこの会議が充実することを願いまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

富田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 まずは、大臣、所信の中で明示的に知財戦略の推進ということに触れていただきまして、このたびはまことにありがとうございました。通常国会の際はその言葉がなかったということで、こちらから一言申し上げたことをもしかしたら覚えていただいていたのかなと、ちょっとうれしく思っております。

 さて、質問に移らせていただきたいというふうに思います。

 参院選後、今国会開会まで割と長い時間がありましたので、さまざまな読書をさせていただきました。その中で、今話題になっている本といえばというほどでもないですけれども、「原発ホワイトアウト」という本を読みました。これは現役の経産官僚の方が書いていると一説に言われている本でございます。

 小説なのでフィクションでございますとはいえ、この中に記載されていることが一部でももしかしたら本当のことをなぞっているということであれば、本当に末恐ろしいことだと思いますし、なるほど、電力改革がなかなか進まないというふうに言われているのも納得でございます。

 つきましては、大臣に一点伺いたいと思います。

 大臣はこの小説を読まれましたでしょうか。もし読まれたということであれば、その感想を伺えればと思います。

茂木国務大臣 申しわけございません、まだ読んでおりません。

三谷委員 ぜひとも読んでいただきたいなというふうに思うんです。それは、中に書いてあることはもしかしたら核心をついていると思われるかもしれないということ、そしてもう一つは、この小説の中では、茂木大臣と思われる大臣が、改革大臣ということで、参院選後に交代させられるという話になっているんです。そうではなく、引き続き大臣として仕事を続けていただいているところを見れば、この小説の結末よりはいい結論に導いていただけるのではないかというふうに私は信じております。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 先日、十月二十八日のことでございます。原子力規制委員会の委員長と東電の廣瀬社長のお二人が面談されたということが報道されておりますし、ホームページ等々でもその面談の内容、概要が公表されているところでございます。

 委員長にお伺いしたいと思います。

 今回、東京電力の廣瀬社長と面談をするに至った経緯について教えていただければというふうに思います。

田中政府特別補佐人 福島第一原子力発電所においては、御承知のようにたびたびトラブルが続いているということがありまして、先週になりますが、十月四日に、うちの規制庁長官から東京電力社長に対して、リスクを一日でも早く低減させるため、他の発電所から人員を回してでも早急に現場管理が適切に行われるように手当てをしていただきたい、それから、このような状況が続く中で柏崎刈羽原子力発電所の安全管理を適切に行うことが可能なのかどうかということの考えをただしました。

 この二点につきまして、十月十五日に東京電力から報告が提出されたところでございますが、その後、二十三日の原子力規制委員会においてこの報告書の審議をした結果、各委員から、納得いかないところが多々あるので、私が廣瀬東京電力社長と面談をして福島第一原子力発電所の安全管理等に関する東京電力の方針や状況を直接聴取することにしたらどうかという御提案がありまして、それを受けて、二十八日に廣瀬社長と面談をした次第でございます。

三谷委員 ありがとうございました。

 今お答えいただいた中で、不十分だと特に判断された点というのは具体的にどういった内容になりますか。改めてお答えいただければと思います。

田中政府特別補佐人 幾つかございますが、端的に言いますと、第一点、トラブルが続いている福島第一原子力発電所を一方に抱えながら、一方、柏崎刈羽ではきちっとした安全管理体制がとれていますという報告がありました。

 これにつきまして、同じ会社とは思えないというような意見もありましたし、福島第一と柏崎刈羽がそれはそれ、これはこれというようなことはとても委員会としては了承できない、そういったことがありましたので、そういった点について社長から直接いろいろな御意見を伺った次第であります。

三谷委員 ありがとうございます。

 私も、十月十五日に東電が委員会に提出された報告書を拝見いたしました。

 一つ一つの事象といいますか事故といいますか、そういったものに対してはこういうことをやっていきます、ああいうことをやっていきますという個別具体的な対応が書いてあったわけです。

 例えば、この前台風が来ました、非常に大雨が降りました。台風が来るんだったら大雨が降るということは当然ながらわかっているけれども、それを予測して堰から水があふれないようにするためにはどうしたらいいか、そういう事前の検討ですとか、何かあったらそれに対する対応を全部やっていきますというのはあるんだと思うんですけれども、それでは今のモグラたたき状態はおさまらないのではないか、私もそういうふうにあれを見て思いました。その一方、柏崎刈羽原発の方は特段問題ないというようなことが書いてありました。そういった御懸念、御指摘というのは、本当に全くもってそのとおりだなというふうに私も考えております。

 先日の十月二十八日に廣瀬社長と面談をされまして、では、そういったそれまでの懸念は払拭されたということなんでしょうか。

田中政府特別補佐人 私の方から幾つか大きな課題を申し上げました。

 福島第一原子力発電所の廃止措置に至るいろいろ大きな課題がございます。それは、現在問題になっています汚染水のこともありますし、労働環境のこと、それから使用済み燃料のこと、そういったことを申し上げました。

 それについて社長の方から、会社のリソースを集めて全力を挙げて福島第一を優先で取り組みますというお返事もいただきました。また、職場環境の改善についても取り組みます、必要なコストもそこに投入しますというようなお話がございました。

 午前中にもお答え申し上げましたけれども、まだ言葉でのお答えですので、状況を今後もう少し見きわめていきたいというふうに考えておるところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 そういう意味ではこれからの対応を見ていくという形になろうかと思うんですけれども、福島第一原発の対応に柏崎刈羽原発の人員を割いていくというような話もあったのではないかというふうに思っておりますが、その柏崎刈羽原発の再稼働というものについては現在どのようにお考えでしょうか。

田中政府特別補佐人 若干繰り返しになるんですけれども、やはり福島第一の対策が優先ですので、そのところの取り組み状況等を見きわめながら、柏崎刈羽についてはその状況を見ながら委員会でよく議論をして、今後その取り扱いについて決めていきたいというふうに考えています。

三谷委員 先日、十月二十八日に会われた際の面談概要というものがホームページ上にも公開されているんです。この中に廣瀬社長の発言ということで1から6までございますが、これを見ても、現場で実際に作業に当たられている協力会社の作業員についての言及がないように思うんですけれども、もし可能であれば、その面談の際に、本当に現場で作業に当たられている協力会社の方々がどういうような状況で働いている、それをどのように改善していくというような話にまで踏み込んだということはございますか。

田中政府特別補佐人 ございました。

 現在、現場で作業をしている方たちは、お昼も温かいお茶も飲めない、作業を終わった後、お風呂、シャワーも浴びることもできないというような状況、あるいは仮眠というか、作業の間にちょっとした休憩をとるような場所もないというようなこと、それから、そもそもあの作業環境が非常に放射線の線量のレベルが高い状況にありまして、また汚染もありますので、全面マスクをするとかタイベックスーツを着るとか、作業自体が大変疲労を伴うような状況にあるということであります。

 そのことについては私どもと同じ認識をされていまして、早急に改善に努めていきたいということはお約束していただきましたので、私は、その方向で早急に取り組んでいただけるものと期待しているところでございます。

三谷委員 もちろん、そういった職場の環境というのも大事なことではあります。誰しも働くときには就労環境というのはもちろん重要な点ではございますが、一方で働く条件、端的に言えば賃金が幾らぐらいもらえて、幾らぐらい手当がもらえて、そういったことまでしっかりと手当てできているかというのもまた一つ重要ではないかというふうに考えられます。

 先日はそういった就労環境という話だけで、具体的に作業員がどれぐらいの賃金をもらわれているですとか、そういった話までは踏み込まれてされなかったということでよろしいでしょうか。

田中政府特別補佐人 実際に賃金のことについてもお話を伺いました。さまざまなほかの業種がありまして、比較的、東京電力の中の除染作業等、排出作業等よりも高い賃金が払われているような状況もあるので、作業員の確保が非常に困難になっているということは大きな悩みの一つであるというお話は伺いました。

三谷委員 ありがとうございます。

 この先は東京電力さんにちょっとお伺いしたいというふうに思うんですけれども、東京電力さんにF一、福島第一原発の中で実際に作業されている方の就労条件について、事前にいろいろな形で質問をしますと、自分のところの従業員について、もちろんそれはわかるというふうにおっしゃられるんですけれども、協力会社さんで集められている方々の具体的な賃金、現場の作業員が幾らもらっているかはなかなか把握していないというふうに回答をいただくんです。これはそういう理解でよろしいですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、当然、元請の企業さんに工事を発注するわけです。その元請さんから下請さんとの、またそこはそこで契約関係がございます。したがいまして、直接、私どもはそこの契約関係にまで踏み込めません。

 ただ、御心配のように、途中の段階でどういうふうなことになっているのかというようなことを、当然発注者の責任として、我々としてもアンケート等をして、実態がどうなっているのかというのをしっかりお聞きしております。今、年に一回アンケートをやっておりまして、昨年の十月に一度、まさに今、二回目のアンケートを、就労実態ということではやらせていただいています。

 そのほかに、いわゆる労働条件ですね。大変かとか、疲れていないかとかといったようなことについては、年二回アンケートをさせていただいています。

 年一回の就労実態の方のアンケートに基づきまして、一番大事なのは働いていらっしゃる方が自分の条件というのをしっかりわかって、その条件どおりに払われるべきものが払われているかどうかということだというふうに思っておりますので、その辺も突っ込んで聞いて、さらに、その後、その結果によって元請企業の方をお呼びして、私もお願いを実際にいたしましたけれども、こういう実態なのでこういうことを改善してほしいとか、こういうことをやってほしいというようなことをお願いしている、そういう取り組みをしております。

三谷委員 そういう取り組みをされているということなんですが、その結果についてちょっと伺いたいと思うんです。

 それは何度事前に伺っても教えていただけなかったことなので、この場で初めて伺う形になるんですけれども、具体的な現場の作業をされている方々に対して払っている金額と、現場の方々がもらわれている金額というのは、どれぐらい差がありましたか。去年の十月の段階のアンケートの結果で結構ですので、教えてください。

廣瀬参考人 ここにアンケートの内容と結果がございます、これはまたホームページにも全部公開してございますが。

 今先生の御質問になった、直接的に幾らなんですかというような質問の仕方はしておりませんで、いろいろなケースを分けて聞いておりますけれども、今の御質問については、このアンケートの中ではお聞きしておりません。

三谷委員 結局はわからないということだと思います。

 現場でヒューマンエラーが起きている。九月の半ばから十月の半ばまでに上がっているもので五、六個あるわけです。そういったものは現場の士気の低下が原因だというようなことを本当に多くの方が言っている中で、例えば、現場で水が飲めるようにするですとか、休めるところを設けるとか、もちろんそういうのも大事だと思うんですけれども、働いたらそれに見合う賃金をしっかりと支払う、当たり前のことだと思うんですね。

 現場は非常に危ない。私も先日、F一、福島第一原発の敷地の中に入って、いろいろな汚染水ですとかそういったものを見てまいりましたけれども、幾ら防護服を着ても放射線被曝はどんどんしていくわけです。多分、放射線量の上限値を超えたんだと思うんですけれども、ベルが鳴っている状態で走りながら移動されている、そういう作業員の方々を見るにつけても、東電さんが支払われている金額とそういった方々がもらっている金額、そこを実際に一人一人しっかり管理していかないと、幾ら現場の士気を低下させないように頑張りますと言ったって、それは口だけじゃないかというふうに言われてもしようがないと思うんです。

 だから、そういった対策をしていただきたいというふうに思うんですけれども、現場で作業員に支払われている賃金を含めて、これから管理する御予定はございますか。

廣瀬参考人 現在のように、まず実態を一人一人にお聞きして、問題の事例がもしそうした調査の結果浮かび上がってくれば、当然それに対して私ども発注者として元請会社さんにいろいろなことをお願いして改善をしていただく、そういう流れになると思っております。

 したがいまして、引き続き雇用実態のみならず労働条件等々についてもいろいろお聞きして、しっかりとした実態把握に努めていきたいというふうに思っています。

三谷委員 そういう意味では、去年の十月のアンケートの内容と、これから確認する内容は違うということでよろしいでしょうか。念のため確認します。

廣瀬参考人 昨年十月に行ったアンケートは第一回目でございました。その結果を受けまして、幾つか私どもとして元請さん等々に対して働きかけをしております。これは本当に、かなりしばしばこの一年の間にやってまいりました。

 そうした成果がどのぐらいあらわれているのかというのを当然確認しなければいけないと思っておりますので、まさに今、改めて同様の趣旨のアンケートをしておりますので、それで改善結果を見て、まだまだもし至らない点があればさらなる取り組みをしていかなければいけない、そういう段階にあると思っています。

三谷委員 では、その結果を見て、また引き続き質問させていただこうと思います。

 それでは、次の問題に移りたいと思います。これはもういろいろな形でいろいろな方が取り上げられているので、繰り返しになってしまう部分もあるので、そういった部分は捨象して質問したいと思います。

 汚染水というものについて、安倍首相が招致の時点で完全にブロックしているというような話について、若干お伺いしたいというふうに思います。

 閉会中審査においてもさまざまな質問をさせていただきましたし、いろいろな方が聞いておりますけれども、そういったことで明らかになったことは、さまざまな形でいまだに汚染水が漏れ続けているということ。そして、港湾内の水が一日につき五〇%入れかわっているということ。そして、放射性物質というのはイオン化して、水の中に溶けて海水の挙動とともに移動するというようなこと。そして、先日、十月二十二日、これは報道でも明らかになっておりました。原発の沖合一キロの地点で、これはもちろん港湾外ですけれども、放射性物質が検出された。

 そういうことで、放射性物質の影響というのは、港湾内に完全にブロックされているようには見えないけれども、ここは見解の相違ということで、事実上、基準値に至っていないから影響は生じないということなんだと思いますけれども、この点、念のため大臣に伺いたいと思います。

茂木国務大臣 正確に申し上げます。

 このコントロール発言、もともと安倍総理がブエノスアイレスで、ザ・シチュエーション・イズ・アンダー・コントロール、こういう表現を使ったところから議論いただいているんだと思いますけれども、シチュエーションですから、これは全体の状況の話であります。

 我々は、個々の事象は何も起こっていない、例えば、ノー・インシデント・イズ・ハプニングとか、エブリマター・ハズ・ビーン・ソルブド、こんなことは言っていないんです。ザ・シチュエーション、全体の状況についてはアンダーコントロールですから、制御されていると。そして、汚染水の影響、ブロックをされている。これはきちんとモニタリングを行っております。

 そして、外洋におけるモニタリングの結果、これは福島県沖も含めまして、基準値以下もしくは検出できない数値である、こういうことでありまして、直近に福島第一原発の港湾口で行ったものが、二日前、十月二十八日の採取データ。これは〇・三平方キロメートルのあそこの出口のところで行った調査でありますけれども、セシウムの134が、NDですからノット・ディテクテッド、セシウムの137もNDであります。検出限界値一・一未満。そして、御案内のとおり、基準値は六十ベクレル・パー・リットル。

 これは、見解の違いではなくて、確かな、検出した数値であります。

三谷委員 ありがとうございます。

 今NDというふうにおっしゃいましたけれども、実は満ち潮のときと引き潮のときで明らかに挙動が違うわけでして、例えば引き潮のときですと、そこで何も検出されなかったということであればおっしゃるとおりなのかもしれないんですけれども、満ち潮で外洋から海水が中に流れ込んでいるときに、幾らそこで検出しようとしても検出されないのは当然のことでございます。

 そういう意味で、その時点でNDだからといって、もう全く大丈夫なんだということではないんだろうと予想しております。

 それはともかくといたしまして、先ほどの点について、もう一度プレゼンの方に戻らせていただきたいんですけれども、実は、ザ・シチュエーション・イズ・アンダー・コントロール、レット・ミー・アシュア・ユー、そういうようなことを言っていました。実は、その後の質疑の際に日本語で補足しておりまして、健康問題については今までも現在も将来も全く問題ないというようなことを言っているわけでございますけれども、これについて、大臣は同じお考えなんでしょうか。

茂木国務大臣 同じ考えです。

三谷委員 先ほど伺ったとおり、今回の汚染水の問題は、簡単に言うと漏れ続けているというような評価ができる。それはなぜかといいますと、海洋の水が一日に五〇%どんどん入れかわっていくということになると、単純計算して、この三角になっている港湾内のセシウムの濃度が一日につき半分になっていくというふうになるのが当たり前なんですけれども、検査しても検査してもほとんど同じ割合を示すということは、それだけ原発から放射性物質がずっと垂れ流され続けているということを意味しているわけです。

 その意味では、港湾から出たらその瞬間に膨大な水で希釈されますので、なかなか検出されにくくなるというのはそうだと思うんですけれども、それがずっと今後放射性物質が垂れ流され続けるとすれば、将来的に健康被害が生じる可能性が当然出てくると思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

茂木国務大臣 委員会での質問でありまして、先生も国民を代表される議員であります。垂れ流す、我々はこの汚染水の影響を最大限抑えようということでさまざまな対策をとってきております。昨年まではとられなかった対策につきましても、これは英知を結集して、どの党がいい、どの党が悪いということではなくて、国を挙げてこの問題について取り組まなければいけない、こういうふうに思っておりますし、その上での客観的なデータをお示ししているわけであります。

 もちろん、港湾内は御案内のとおり事故直後に大量の汚染水が出たわけであります。これによりまして、同じ〇・三平方キロメートルの湾内でもやはり敷地に近いところの濃度が高い、こういう状況が続いているわけでありまして、我々としては、垂れ流す、こんなことはとんでもないと思っています。汚染水問題、抜本的な解決に向けて全力で取り組んでおります。

三谷委員 垂れ流すというような状況だとは、客観的に見てそういう表現が適切ではないかという観点からそういった言葉を用いさせていただきました。

 ともかく、この問題についてはあと一点だけ質問をさせていただきたいと思いますけれども、シチュエーション・イズ・アンダー・コントロール、コントロールしていてほしいというふうな観点で聞いているということを理解していただきたいんです。

 では、事故の収束まで今後全部で何兆ベクレル、何京ベクレル、何垓ベクレル、何でもいいんですけれども、どれぐらいの放射性物質が外に漏れるか、外に放出されるかということを、予測値でも構わないですけれども持った上でそういったことをおっしゃっているのかどうかということについて、一点伺いたいと思います。

茂木国務大臣 先生もおわかりの上で聞かれているのかと思いますけれども、今後、何ベクレルなりが出る予測ができるか、恐らくどの専門家に聞いてもその答えは出せないと思います。できるだけ少なくする、それに向けて政府として最大限の努力をしていきたいと思っています。

三谷委員 ぜひとも努力はしていただきたい。そういう状況をコントロールしているという、それをどう評価するかの見解の相違かなというふうな気はしています。

 時間も限られておりますので、次の点に移らせていただきます。IRIDによる新技術の公募についてちょっと伺いたいと思います。

 先日、技術研究組合国際廃炉研究開発機構、IRIDを中核といたしまして汚染水対策の新技術を公募したという話があって、締め切りまでに七百七十九件が集まったという話がありますけれども、この七百七十九件の内容について、これを公表されるという予定はないでしょうか。

茂木国務大臣 IRIDに提案をいただいた案件、七百七十九件ということでありまして、予想を上回る多くの提案を内外からいただいたと思っております。

 応募していただいた提案につきましては、書類の確認等を行った上で、公表可能なものにつきましては速やかに公表する予定としております。公表した提案書を踏まえて、これがさらに内外から新たな提案を生む、そして、それを改善した提案を生む、そういったことも期待をいたしております。

三谷委員 今、先に大臣におっしゃっていただきましたけれども、これはまさにオープンソースの考え方でもいいのかなというふうに思っております。

 国内外から広く英知を結集していくということであれば、そういった七百七十九件をクローズドにしていくのではなく公表して、それについてもっともっとここを改善したらこうなるよというようなことを、これからもいろいろな形で公募をされたらいいのではないかというふうに考えておりましたので、そういう方向で検討していただけるということであれば、非常に喜ばしいと考えております。

 次の問題に移らせていただきます。最終処分地の問題について一点伺いたいと思います。

 先日の安倍首相の所信表明演説に対して、みんなの党渡辺代表が地層処分について聞いたところ、日本でも地層処分は技術的に可能だというふうにおっしゃっておりましたけれども、具体的にここだというような場所、それは地名を言うといろいろなハレーションがあると思うんですけれども、具体的な場所というのは想定できているのでしょうか。お答えいただければと思います。

茂木国務大臣 上田長官が答えたがっているようなんですけれども。

 地層処分にとって安定的な地質環境が我が国に存在し得ること、これにつきましては、二〇〇〇年の十月に原子力委員会において確認をされているところであります。その上で、具体的な候補地を選定していかなきゃならない。

 これまでの問題として、結局、地元の発意で、手挙げ方式で処分地を決めていくということで、なかなか地元の説明責任も大きい。このために、十年間、なかなか処分地が決まってこなかった。

 こういう現実を踏まえて、我々としては、しっかりこれまでの経過も反省しながら見直しの作業に入っているところでありますが、そういったプロセスを考えますと、現段階においてどこが適切であると、このコメントについては差し控えさせていただきたいと思います。

三谷委員 時間が参りましたので、最後の質問にしたいと思います。

 最終処分、地層処分ということを実際に今運用されている国というのは世界にありますか。

上田政府参考人 地層処分につきましては、スウェーデンとフィンランド、二カ国におきましてその作業が進んでいると承知しております。

三谷委員 今お答えいただきましたとおり、作業が進んでいるということで、実際に運用されているところはないということでよろしいでしょうか。一応そこだけ事実確認させてください。

上田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今の二カ国におきまして、場所が選定をされ、その建設の作業を行っている段階だと承知しております。

三谷委員 時間になりましたので、これで終了します。ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、議論が重ねられております福島第一原発事故の作業員の労働条件、待遇の抜本的改善を求める質問を行いたいと思います。

 福島第一原発の事故収束、汚染水対策は深刻であります。茂木大臣も大臣所信で、廃炉・汚染水対策について、東電任せにするのでなく、国が前面に立ち、責任を果たしていくと述べておられます。

 そこで、福島第一に人員を結集することについて、まず、東電の廣瀬社長にお尋ねをいたします。

 福島第一では、毎日約三千人、そのうち二百人ぐらいが東電の社員の方だと思いますけれども、作業しておられます。放射線量が大変高い中、全面マスクや防護服といった重装備で、急で頻繁な作業内容の変更など、大変困難な作業に従事しておられます。

 一昨日の田中原子力規制委員長と廣瀬東電社長との面談の原子力規制庁のメモを見ますと、廣瀬社長が、作業員の確保が困難と述べていると記載されております。

 そこで、この作業員の確保が困難というのはどのような状況を言っておられるのか、お尋ねいたします。

廣瀬参考人 これは、先ほど来御質問がございましたように、一昨日、田中委員長から、今、東京電力として、福島第一原子力発電所の中でのいろいろな課題、忌憚のない話をしてほしいということを受けて、私からお話ししたことでございます。

 少し正確に申し上げますと、労働市場で人を確保して従事していただくわけですので、ほかの職業、ほかの条件と競合するということも当然考えられます。

 今、除染等々で条件が違うところでの仕事もあるということを聞いておりますし、また、これから復興が進んでまいりますと、福島地域において、地元においても住宅の建設等々のことが出てくるということから、当然、人のとり合いになるということも考えていかなければいけないということから、今直ちに人が全く集まっていないというようなことで申し上げたつもりはございませんけれども、そうしたことも考えて、我々としても条件等々についても今後検討していかなければいけないということで申し上げたということでございます。

塩川委員 除染の作業との人のとり合い、また、全国で住宅建設等々が進めば、全国レベルでもゼネコンなどで人のとり合いになるだろう、今のところはそうではないにしても、将来を見通せばそうだという話をされておりましたが、それが実際には現在も進行しているのではないかと思います。

 先ほど、三谷委員の質問に対して田中原子力規制委員長が、面談のやりとりについて、除染作業に廃炉作業より高い賃金が払われているという話を廣瀬社長から聞いたという趣旨のことを述べておられましたが、それはそのとおりでよろしいですか。

廣瀬参考人 私どもの構内で働く、私どもの契約でお支払いしている賃金というのは、ベースのものに対して、どういう放射線レベルのところでどのぐらい働くのかといったようなこと、あるいはどういう装備をつけて働くのかといったようなことで、幾つもケースがございますので、にわかに除染の方が高いということではなく、そうしたところで競合して、あるいは除染の方の条件がいいということもあり得るという意味で申し上げたということでございます。

塩川委員 土木作業という点でいえば除染の作業でも廃炉作業でも共通する仕事、その点でいえば、除染の方が条件がいいという場合もあるという話でありました。そういうことでよろしいですか。

廣瀬参考人 私どもが、除染の一つ一つの作業で一体お幾らお支払いになられているのかということまですべからく把握しているということではないですけれども、巷間聞かれるところによれば、条件のよいものもあるというふうに聞いている、そういう意味でございます。

塩川委員 除染の作業の方が条件がよいところもあると聞いているという話です。

 そこで、廣瀬社長、では、汚染水処理などに携わる下請の作業員の方が一般的に日当で幾らぐらい受け取っているのか、日当の相場がどのぐらいかということについては御存じでしょうか。

廣瀬参考人 金額までは、私は正確には承知しておりません。

塩川委員 除染の作業の方が条件がいいというところもあると聞いているということでいえば、相場感が頭におありなんだろうなと思ったんです。除染の方について言えば、直接担当していないからという言い方ですけれども、少なくとも、発注している業務において、廃炉作業、汚染水処理などについての下請の作業員の方が日当で幾らぐらい受け取っているのか、その相場感といいますか、教えていただけますか。

廣瀬参考人 私どもは発注者でございますので、私どもからそれぞれのお仕事に対しての元請企業さんへのお支払いの内容というのは当然つかんでおります。したがいまして、それは、先ほどの繰り返しになりますけれども、いろいろなケースがございますので、本当にたくさんの種類の賃金がございます。

塩川委員 いろいろなと言いながら、具体的にお話をされなかった。本当に現場の状況を御存じなのかなということを疑問に思わざるを得ません。

 こういった日当について、どのぐらい支払われているか、この日当の額がわかるような調査というのはしておられるんですか。

廣瀬参考人 これは先ほど三谷先生の御質問にもお答えいたしましたけれども、アンケートというのをやらせていただいております。

 ただ、それは、直接、あなたは幾らもらっていますかということでなくて、それぞれの方に、御自分の賃金体系がどうなっているかわかっていらっしゃるのか、そうした説明を受けていらっしゃるか、そのとおりもらっているか、そういうアンケートをしております。

 また、ちょっと先ほどの質問に戻りますけれども、私どものお支払いしているものは、重機を動かす人とか、本当にいろいろな、技量によっても違いますし、働く場所によっても違いますので、本当にたくさんございますので、ちょっとなかなか私も全部、一つ一つの数字を申し上げられません。

塩川委員 人のとり合いになるということですから、ほぼ同職種の話として、実際に除染の方が条件がいいという場合があるということを趣旨としておっしゃっておられたわけです。

 アンケートのお話をされましたが、私もあのアンケートをいただきました。

 去年の作業員アンケートでは、賃金についての問いは、最賃額を下回るかどうかという問いなんですよ。沖縄の最賃の六百四十五円、福島の最賃の六百五十八円、東京の最賃の八百三十七円という数字を並べて、その上か下かという問いなんです。最賃を下回るような事例というのも、少ないけれども出ている。そもそも、最賃レベルの低賃金かどうかを調査していること自体、賃金水準が低いということを追認していると言わざるを得ません。

 しかも、ことしの作業員のアンケートでは、現場作業員の賃金額について聞く問い自体がなくなっています。これで実態がつかめると言えるのか。

 私がお話を伺った中では、汚染水処理などに携わる下請の作業員の一般的な日当相場は一万円前後。現場監督の場合は一万数千円という例もありますが、二次、三次またはそれ以下の作業員となると一万円前後ということで、ある二次下請の五十歳代の作業員の方は、日当七千円ということだったそうであります。一方、福島第一の作業をやめて除染作業に従事した人では、除染作業で日当一万五千円から一万六千円を受け取っているという話であります。明らかに除染の方が高いという状況です。

 そこで、廣瀬社長にお尋ねします。

 私がお聞きしているのはこういう実態ですけれども、除染より極めて放射線量が高い汚染水処理などに携わる一Fの作業員の方の対価が余りにも低い実態にあるんじゃないのか、この認識はお持ちですか。

廣瀬参考人 まさにそうしたことの実態をしっかりと把握しておく必要があろうということで、アンケートをさせていただいています。

 ただ、一つ一つが、幾らが正しいのかというのを私どもが決めるあれはないので、それぞれの労働条件をちゃんと一人一人の働いていらっしゃる方が認識して、また、実際に支払われるものも契約条件にたがわないしっかりとしたものが出ているのか、そういったものについては、しっかり我々としてもウオッチをしていかなければいけないというふうに思っています。

塩川委員 労働契約の書面がどうなっているとか、そういう話というのは手続の話として聞いているということで、実際に賃金額が幾らかという調査をしていないんですよ。今とり合いになっているという話をしているわけですから、労働条件を改善するのであれば、まずは賃金水準を上げるということが一番の作業員の確保の根本であるわけで、その実態すらつかんでいないということで、まともな対応がとれるのかと言わざるを得ません。

 この点では、昨年のアンケートを見ると、いわゆる危険手当、特別手当についての問いがあります。あなたの賃金には特別手当、線量の高さや特別な装備等に対する手当等が加算されていますかという問いがありますけれども、このいわゆる危険手当が賃金に加算されているという回答が、どのぐらいパーセントがあったかは御存じでしょうか。

廣瀬参考人 今、ホームページに載せてあります結果を持っておりますので、加算されているとお答えになった方が千六百三十人で五一・二%、加算されていないとお答えになった方々が千二十三人で三二・一%、加算されているかどうかわからないとおっしゃった方が四百七十四名で一四・九%、無回答が一・九%でございます。

塩川委員 加算されているという回答だけで見れば、半数でしかありません。

 廣瀬社長自身が除染作業と人のとり合いになっていると認めているように、労働条件や待遇の改善がなければ、福島第一の必要な要員の確保もできません。労働条件の抜本的な改善が必要で、その点では、労賃を上げる、そういう点と同時に、少なくとも、直ちにできることは、この危険手当をきちんと支給するということを求めていくことであります。

 そこで、環境省にお尋ねをいたします。

 除染特別地域における除染作業員に対する特殊勤務手当、いわゆる危険手当について、その支給の理由及び支給対象と支給額、その支給額の根拠について説明をいただきたい。

小林政府参考人 お尋ねの除染特別地域の特殊勤務手当でございますが、環境省が直轄事業として除染を実施している地域、これは避難指示が出ている地域でございます、ここの作業員にとっては精神的にも身体的にも負担が大きい地域であるということから、除染作業員に対して特殊勤務手当の支給をすることとしております。

 その金額は、除染作業に従事する作業員は一日当たり一万円、それから、その他の調査業務など、これはモニタリングなどでございます、これについては、地域に応じまして、例えば帰還困難区域ですと六千六百円云々というようなランクをつけて支給しているものでございます。

 この支給につきましては、除染も新しい仕事でございますが、開始した当時の賃金の実勢、また人事院規則などを総合的に勘案して設定したものでございます。

塩川委員 精神的、身体的負担が大きいということで、除染作業に従事する人には一万円の特殊勤務手当を支給する、その支給基準額については、実勢と同時に、人事院規則を念頭にということでのお話がありました。

 そこで、除染作業においては、環境省が特殊勤務手当を作業員に支給するように元請事業者と契約しております。その手当額が、人事院規則、つまり国家公務員の手当額を参考にしているということで、ただ、除染作業は福島第一の敷地内ではありませんから、では、福島第一の敷地内でどんな手当が国家公務員に支給されているのか、この点について人事院にお尋ねをいたします。

 人事院規則九―一二九第二条、災害応急作業等手当の特例を設けた理由、及び、原子炉建屋内等、福島第一原発の敷地内の作業に対する手当額は幾らかを教えてください。

古屋政府参考人 お答えいたします。

 福島第一原発に関連しまして、現在、御指摘の手当を支給しておるところでございますが、これに関しましては、給与法に基づきまして、その勤務の特殊性、今御指摘もございましたが、被曝の危険性でありますとか、高い放射線量下での作業を行うということの困難性、不健康性、さらにはこれに伴う精神的労苦を含む従来にはない著しい特殊性が認められるということで、手当を措置したところでございます。

 敷地内の関係でございますが、建屋内における作業につきましては、一日について四万円、それから、建屋及び免震重要棟以外の敷地内において、漏えいした汚染水等による放射線の被曝の危険性が生じている現場で初動的に行う作業という限定はついていますが、これにつきましては二万円、それ以外の敷地内において行うその他の作業につきましては、一日について一万三千三百円となっているところでございます。

塩川委員 環境省が除染の作業者に対して一万円というのは、今はない区域である警戒区域においての作業を想定して一万円、これが人事院の規則にもあったわけでありますが、今お話しいただきましたように、敷地内においては一万三千三百円、原子炉建屋内は四万円というのが人事院規則で定めた特殊勤務手当、いわゆる危険手当の額であります。

 そこで、廣瀬社長にお尋ねします。

 除染作業でも一万円を支給している、敷地内においては、国家公務員の手当の基準でいえば一万三千三百円、建屋内は四万円、それはやはり精神的、身体的、さまざまな負担が生じることによる手当の額ですから。私は、まさに福一で作業する作業員の方々に四万円とか一万三千三百円とか、しっかりと支給することこそ必要だと思うんですが、そういうことをきちんと行うという考えはありませんか。

廣瀬参考人 今お話にありましたような、いわゆる加算手当といいますか、特別手当といいますか、そうしたものの賃金体系における扱いというのは、会社によりまして、手当としてはっきり明示してお支払いをされている会社もございますし、基本賃金の中に、こういう仕事だからということで初めから割り増しをされている会社もあるというふうにお聞きしておりますし、基本賃金そのものが福島第一で作業に従事するということを前提に設定されていらっしゃる会社もあるというふうにお聞きしております。これは各社各様でございます。

 したがって、私ども発注者としましては、それぞれ御事情はあると思いますし、それぞれ各社各様の契約の仕方があるというのは尊重しつつ、そうした御自分の契約内容を、御自分の雇われていらっしゃる、契約を結ばれていらっしゃる会社からしっかり説明を受けて、お一人お一人が納得をした上でその作業に従事していただくこと、それが適切な労働環境の確保に一番重要だと思っております。

 作業内容や賃金の書面での明示、それぞれの作業者に、あなたはこういうことで、こういう格好で、こういう項目で払われているんですよというようなことの書面による明示、雇用主からの説明の徹底、作業員の御理解と納得、それから、合意したとおりに、書面どおりに実際に支払われているかどうかといったようなことについて、元請各社にしっかりとやってくださいということをお願いするとともに、私どもも私どもなりに、そうしたことの聞き取りといったようなことを元請会社にしているということで取り組んでいるということでございます。

 また、当然、そうはいいましても、なかなかそのとおりいかないケースもあろうと思いますので、弁護士さんに、相談所というようなものをもちろん無料で開設して、そこにいろいろなことで相談に行っていただくというような形をさせていただいているところでございます。

塩川委員 最後に大臣に伺います。

 東電廣瀬社長はそういうふうにおっしゃいますけれども、いろいろな各種各様の支払いの仕方と言うんですが、環境省がやっているのは外出しで手当という額で明示して、それを元請との契約の中に織り込んでいるわけですよ。それが下請でもきちんと作業員に渡るような仕組みとなっているんです。

 ですから、発注者の東電がやろうと思えばできることじゃないですか。現に、東電が発注する場合に、地元雇用を尊重してくださいとか、いろいろな物品についても地元調達を求めますとか、そういうことを契約の中でも要求しているわけですから、こういうことをまさに危険手当についてもきちんと外出しで明示して、一万三千三百円とか四万円とか、少なくともそういう額をきちんと支払わせる、こういうことこそ東電の責任じゃないでしょうか。

 ぜひ、茂木大臣、国が前面に出るというのであれば、まさに東電の福一の作業員を確保するためにも、除染を上回るような手当、賃金がしっかりと現場の作業員に支払われる、そういった危険手当などを外出しできちんと支給する、こういうことを東電に求めて、作業員の確保をしっかりと図る、これこそ経産省、国のやるべきことじゃないでしょうか。いかがですか。

茂木国務大臣 経済産業省としては、個別具体的な労働条件というよりも、作業員の方々がしっかりと賃金、そして仕事の内容、さらに作業環境などについて説明を受けて、納得した上でしっかりと仕事をしてもらう、こういったことが重要だと思っておりまして、その点、常に改善というのは必要だと考えております。

塩川委員 手当の面で除染を下回るような現状では、まともな作業員を確保できなくなる、これがひいては廃炉そのものをおくらせることになる、このことを強く指摘して、抜本的な改善を求めることを要求し、質問を終わります。

     ――――◇―――――

富田委員長 次に、内閣提出、電気事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。茂木経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 電気事業法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木国務大臣 電気事業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 低廉で安定的な電力供給は、国民生活を支える基盤であります。しかしながら、東日本大震災とこれに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故を契機として、一般電気事業者各社による電気料金の値上げが相次いでいることに加え、電力需給の逼迫時における需給調整の機能の強化や電気事業への多様な事業者の新規参入の必要性が増すなど、従来の電力システムが抱えるさまざまな課題が明らかとなりました。こういった現状に鑑み、電気の安定供給の確保、電気料金の最大限の抑制、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大を目的とする電力システム改革を着実に実施していくことが喫緊の課題となっております。

 電力システム改革の柱は、広域系統運用の拡大、小売及び発電の全面自由化、法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保でありますが、本年四月二日に閣議決定いたしました電力システムに関する改革方針においては、改革は大胆に、スケジュールは現実的にという基本的な考え方のもと、政府として、二〇二〇年までに実現すべき新たな電力システムの全体像に加え、その具体的な実施時期やこれを実現するための法案提出時期をパッケージでお示ししたところであります。

 こうした中、東日本大震災の影響による昨今の電力需給の逼迫状況を踏まえ、電力システム改革の三本柱の一つである広域系統運用の拡大などを実現することによって電気の安定供給の確保に万全を期すとともに、具体的な実施時期を含む電力システム改革の全体像を法律上明らかにするため、電気事業法の一部を改正する法律案をさきの通常国会に提出いたしましたが、残念ながら廃案となり、成立を見るには至りませんでした。しかしながら、電力システム改革は待ったなしの改革であり、一刻も早くこれを実行に移す必要があることから、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、電力需給の逼迫時において、電気事業者に対して、従来の一般電気事業者の供給区域を越えた電力融通を指示することなどをその業務とする広域的運営推進機関を創設することにより、電気の安定供給の確保に万全を期すことといたします。また、経済産業大臣による電気事業者に対する供給命令制度について、その発動要件を拡充するとともに、自家発設置者に対する供給勧告制度などを新たに創設することにより、電力需給の逼迫時に、電気事業者以外の者が保有する発電設備を有効に活用し得る環境を整備いたします。

 第二に、自家発設置者が保有する発電設備の有効活用を図るため、自家発設置者が他の場所にある自社の工場等に電気を供給する場合において、当該自家発設置者が一般電気事業者の送配電ネットワークを利用するためのルールを整備いたします。

 第三に、現在は罰則つきの命令しか規定されていない経済産業大臣による電気の使用制限措置を見直し、需要家に過大な負担を強いることがないよう、より緩やかな措置として、経済産業大臣による勧告制度を新たに創設いたします。

 第四に、電力システムに関する改革方針を踏まえ、本法律案の附則において、小売及び発電の全面自由化、法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保などの実施時期やこれを実現するための法案提出時期を規定するとともに、電力システム改革を進める上での留意事項などを規定いたします。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 電気事業法の一部を改正する法律案は、さきの通常国会においても審議が行われていることを踏まえ、何とぞ、速やかに御賛同くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十一月一日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時散会


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