衆議院

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第2号 平成26年2月21日(金曜日)

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平成二十六年二月二十一日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      安藤  裕君    石崎  徹君

      越智 隆雄君    大見  正君

      勝俣 孝明君    佐々木 紀君

      白石  徹君    菅原 一秀君

      田中 良生君    武村 展英君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      根本 幸典君    橋本 英教君

      福田 達夫君    福山  守君

      細田 健一君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 美樹君    枝野 幸男君

      岸本 周平君    近藤 洋介君

      辻元 清美君    伊東 信久君

      木下 智彦君    丸山 穂高君

      國重  徹君    三谷 英弘君

      小池 政就君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   内閣府副大臣       後藤田正純君

   経済産業副大臣      松島みどり君

   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 青木 信之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     加藤 洋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西山 圭太君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          菅原 郁郎君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            鈴木 英夫君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          横尾 英博君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          片瀬 裕文君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            宮川  正君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          富田 健介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)    糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (特許庁長官)      羽藤 秀雄君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 三好 信俊君

   参考人

   (日本銀行理事)     雨宮 正佳君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     安藤  裕君

  白石  徹君     橋本 英教君

  冨樫 博之君     福山  守君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     穴見 陽一君

  橋本 英教君     白石  徹君

  福山  守君     冨樫 博之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行理事雨宮正佳君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣参事官吉川徹志君、総務省大臣官房審議官青木信之君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官加藤洋一君、経済産業省大臣官房審議官西山圭太君、経済産業省経済産業政策局長菅原郁郎君、経済産業省通商政策局長鈴木英夫君、経済産業省貿易経済協力局長横尾英博君、経済産業省産業技術環境局長片瀬裕文君、経済産業省製造産業局長宮川正君、経済産業省商務情報政策局長富田健介君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、特許庁長官羽藤秀雄君、中小企業庁長官北川慎介君及び環境省大臣官房審議官三好信俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大見正君。

大見委員 おはようございます。自由民主党の愛知十三区の大見正と申します。

 私の地元は自動車産業が集積をしている地域でございますので、地元のことも含めまして、一昨日の茂木経済産業大臣の所信表明演説の中から、経済の好循環と景気回復の実感を全国津々浦々までに届けるために、産業競争力を一層強化する成長分野の一つの柱であります次世代自動車の開発や、高度道路交通システム、ITSの進展と、国際展開戦略などについて伺ってまいりたいというふうに思います。

 初めに、電気自動車、EV、プラグインハイブリッド車、PHV、燃料電池車、FCVなどの次世代自動車の開発について伺います。

 昨年開催をされましたITS世界会議や東京モーターショー、私も見てまいりましたけれども、次世代自動車の開発に世界のメーカーがしのぎを削っているのを目の当たりにいたしました。

 EVでは、国内外の各メーカーが販売を前提とした車の展示を行っており、開発から販売、普及の本格段階に入ったように感じられ、この分野での一層の競争の激化と、充電スタンドなどの社会インフラの充実と整備、それから料金の設定などの社会システムの整備、こうしたものが急がれるように感じられました。

 他方、FCVの分野では、トヨタ自動車が来年販売を開始すると発表いたしましたFCVを世界初公開するなど、世界に先駆けた動きがあり、こうした技術開発をさらに加速していくことが我が国にとっても非常に重要であるというふうに感じたところであります。

 また、こうした革新的な技術開発というのは多額な開発費がかかるということもありまして、現在は大手企業中心に行われているのが現状でありますけれども、製品化によりまして技術や部品が確立し量産体制に入った折には大手企業から中小企業の方へ技術移転を行って、部品の製造などでも中小企業も参入しやすい環境づくりを早い段階から整えておくということも大切になってくること、あるいは技術移転だけではなく、開発の際の性能試験などの分野でも中小企業の技術支援を行う体制を整えておくということは、融資制度や税制面の措置とは別に、足腰の強い我が国の産業構造をつくる上で極めて重要なことであるというふうに認識をしております。

 一方、世界の最先端をリードするすぐれた技術やイノベーションを促進するためには、技術開発の促進だけではなく、これらの技術をいち早く特許や意匠として世界各国で登録して保護する知的財産の戦略と、それぞれに普及をしてきた技術のうち、どの技術が世界の標準になっていくのかという、国際標準をかち取る戦略が重要になってくるとも考えております。

 知財分野では、特許をめぐる訴訟が起きる事例や、意匠や商標が侵害される事例がたびたび散見をされ、国際標準規格の取得では、戦略的に欧米が優位に立っていると聞くこともありますので、我が国もこれまで以上の対応が求められるというふうに認識をしております。

 そこで、お尋ねをいたしたいと思います。

 EV、PHV、FCVなどの次世代自動車の開発の加速と、普及を加速をしていくためにどのように取り組んでいくのか。また、次世代自動車だけにかかわらず、広く一般論として、先端技術の中小企業への技術移転や性能試験などの開発支援をどのように行っていくのか。また、全体論として、知的財産の保護、活用の対応と国際標準の獲得に向けてどのように取り組んでいくのか。それぞれ御答弁をいただきたいというふうに思います。

田中大臣政務官 大見委員の質問にお答えいたします。

 まず、次世代自動車は、先進国を中心に今開発競争が激化しております。その普及に向けた取り組みも今加速しているところでございます。引き続き、我が国が次世代自動車技術におきまして世界をリードしていく、こういうことを目指しまして、経済産業省といたしましては、来年度政府予算案に総額百億円超を計上いたしました。次世代自動車のコア技術である電池あるいはモーターや燃料電池等の高度化に向けた研究開発を促進していくという考えでおります。

 次世代自動車の普及のためには、やはり初期需要の創出と、充電器や水素ステーション等のインフラの整備も不可欠であります。初期需要の創出については、車体価格の低減のために車両購入補助も実施しております。平成二十六年度政府予算案に三百億円を計上しているところでございます。また、インフラの整備についても、自治体、民間企業とも連携して整備を推進しているところでございます。

 このほかにも、普及には、消費者に実際に乗車していただいて体感していただくことも有効な手段と考えております。このため、今年度、自動車メーカーの協力を得つつ、複数の自動車教習所において、教習生を対象としたEV等の試乗会も開催いたしました。

 EV、PHVの普及は今着実に進展しているところでございます。先月末時点での累積販売台数は約八万台まで増加をいたしました。二〇三〇年における新車販売台数に占める次世代自動車の割合を最大七〇%にする日本再興戦略の目標を目指して、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

茂木国務大臣 後半の部分についてお答えしたいと思うんです。

 自動車産業に限らずあらゆる産業におきまして競争力の源泉となります、すぐれた技術であったりとか商品を生み出すためのイノベーションの促進には、世界に勝てる研究開発の加速化、そして国際標準戦略の推進、特許、意匠、商標分野での新たな知財戦略の推進によって、技術で稼ぐための環境を整備する、こういったことが極めて重要だと考えております。

 このため、研究開発等の成果の取り扱いについて、幾つかのやり方があるかと思うんですけれども、まずは特許によって収益を確保する。

 二つ目には、製造ノウハウなど秘匿すべき技術や営業秘密をブラックボックス化する。率直に言って、これはどちらかというと欧米の方が日本より上手なところがあるんですけれども。日本でも、例えばデジカメの世界。世界で高いシェアを持っておりますけれども、これは、製造プロセスの中の、CCDといういわゆる画像を鮮明にするもの、そのプロセスを日本のメーカーはブラックボックス化することによって極めて競争力の優位を保っている。こういったブラックボックス化。

 さらには、三つ目に、標準化戦略によりまして市場規模、市場シェアを拡大する、こういった取り組みを一つだけではなくてうまく組み合わせる、いわゆるオープン・クローズ戦略、こういったものが重要になってくる、こんなふうに思っているところであります。

 経済産業省といたしましては、新たな知財戦略の推進に向けて、世界最速かつ最高品質の審査を実現するとともに、国際調和を図りつつ、中小企業、小規模事業者にとっても一層使いやすい知的財産制度とするため、この国会に特許法等の一部を改正する法律案を提出したいと考えております。あわせて、産業界が一丸となって、海外のさまざまな取り組み例も参考にしつつ、営業秘密保護に関する情報の共有であったりとか、効果的なあり方を検討することとしております。

 また、企業が自社技術を国際標準化、スタンダードもしくはデファクトスタンダード、こういうことができれば、自社製品のスペックを変更することなくそのまま市場投入することが可能になってまいります。技術力はもちろん重要でありますけれども、いかに広く使ってもらえるか、このことが重要なのはもうビデオ戦争のときに明らかだった、こんなふうに考えているところでありますが、顧客や市場から国際的な信頼を獲得することもできて、グローバル市場での我が国企業の競争優位に直結するという観点で、国際標準化は極めて重要だ。

 さまざまな反省はあると思います。これまでの日本の携帯、機能的にはすぐれていた、しかし、国際標準になったかというと、そうならないために普及が進まなかった、こういう反省も踏まえながら、それぞれの分野で国際標準化にしっかり取り組むことが必要だと思っております。

 このため、産業界のトップが参加をいたします標準化官民戦略会議を開催いたしまして、官民で総合的な標準化戦略に合意し、新市場の創出と国際競争力の強化、こういったものをオール・ジャパンで実現してまいりたいと考えております。

北川政府参考人 中小企業への技術移転、性能試験の支援、こういうことでお尋ねがございます。

 ものづくり中小企業の、大企業のニーズを踏まえた研究開発は大変重要だと考えておりまして、産学官によります技術移転、共同研究の機会の確保に努めてございます。

 具体的には、サポイン事業と称しておりますけれども、戦略的基盤技術高度化支援事業ということで、中小企業、産学の連携で新しい技術を広げていく、こういうことをやってございます。また、それのもととなりますガイドラインの指針につきましても、今般見直しまして、大企業側のニーズの視点、こういったものを踏まえた新しいものにしてございます。

 さらに、中小企業が全国で利用いたします公設試験研究機関につきましても、試験研究・検査設備を整備する事業を実施してございまして、このように、さまざまな面から先端技術に関しますものづくり中小企業支援というものを行ってまいりたいと考えております。

大見委員 さまざまな分野で、特に、企業の努力が世界のスタンダードとなるような、そしてまたその技術が大企業だけではなくて中小企業にも広く普及するように、しっかりと取り組んでいただければというふうに思っております。

 次に、ITS社会の実現について伺ってまいりたいというふうに思います。

 次世代自動車、これは、ただ車に乗って走るだけではその性能というのを十分に発揮することができないほど、いろいろな機能、可能性というものを秘めているものだというふうに感じております。ICTを駆使いたしまして道路交通や駐車場などの社会インフラと結びついたときに、さらなる効率化、利便性、安全性、快適性、こうしたものが発揮できるのではないかというふうに思っております。

 折しも、二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックが開催をされることに決まりました。オリンピック・パラリンピックでの自動運転などの先端輸送システムの実現を初め、プローブ情報をもとにした交通ビッグデータの活用によります渋滞緩和や駐車場対策、あるいは駐車場での自動駐車や、公道での車間距離の維持や速度調整など、快適性と安全性の研究などが、ICTを利用したITSの今後の方向性として考えられるのではないかというふうに感じております。

 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの際には、東京だけではなく日本の幾つかの地域で次世代自動車とITS技術を使った新しい社会システムとライフスタイルが始まっていることが世界に発信できるようにしていかなければいけないというふうに考えております。

 そこで、お尋ねをいたしたいと思います。

 まず、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催までに、政府としてITS社会の実現に向けてどのような決意で取り組んでいくのか。そしてまた、自動運転技術の発展に向けまして、経済産業省としてどのように取り組んでいくのか。それぞれお伺いをいたします。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 ITS社会の実現に向けて、政府としての取り組みについてでございますけれども、昨年六月に閣議決定をいたしました世界最先端IT国家創造宣言では、自動車単体のシステムと車と車、道路と車との情報交換等を組み合わせて運転支援技術の高度化を図ることなどにより、二〇二〇年までには、世界で最も安全な道路交通社会を実現するとともに、道路交通渋滞を大幅に削減することを目標として掲げているところでございます。

 この目標を着実に実現するために、内閣総理大臣を本部長とするIT総合戦略本部のもとに道路交通分科会を設置しまして、安全運転支援・自動走行システムの早期実用化と交通データの利活用の推進を柱として、各府省の具体的な施策及び実施スケジュールを含む官民ITS構想、ロードマップを年度内に作成することとしております。また、目標の実現には官民の連携強化が不可欠であるため、官民により構成される推進母体を年度内に設置することとしております。

 世界最先端IT国家創造宣言の目標年次は、まさに東京オリンピック・パラリンピック開催時と同じでございますので、二〇二〇年に世界に向けて我が国のすぐれた取り組みの発信ができるよう、取り組みを強化してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

田中大臣政務官 自動運転技術の発展に向けた取り組みということでございます。

 自動運転の実現に関しましては、交通事故の削減あるいは渋滞の緩和、ドライバーの負荷軽減などにつながるものと期待されているところでございます。昨年六月に閣議決定されました日本再興戦略におきましては、関係省庁が連携して研究開発等の環境整備に取り組むこととされているものでございます。

 経済産業省としましては、例えば、運転経験の少ないドライバーでも、子供の飛び出しなどの危険を予測できるようにコンピューターがサポートする技術、また、悪天候のときでも広い範囲を高精度に認識できる、こういうセンサー技術等の研究開発予算、これも平成二十六年度予算に八億円ほど盛り込んだところでございます。

 また、産業競争力強化法において創設しました企業実証特例、グレーゾーン解消制度の活用、こうしたものを促すなど、制度環境の整備を図ることも重要であります。既に、本年一月、緊急時における自動走行機能を備えた自動車の公道走行について、グレーゾーン解消制度の申請があったところでございます。昨年十一月には、安倍総理、茂木大臣とともに、私も日本初の一般公道における自動走行技術の実証で車の試乗体験をしたところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、自動運転技術の発展を促進して、安全、快適に移動できる社会の実現に貢献してまいりたいと思います。

大見委員 それぞれありがとうございました。

 もう一点、CEMSですとかBEMS、HEMSのことと次世代自動車についてお伺いをしたいところでありますけれども、ちょっと時間が経過をしておりますので、次の項目に移らせていただいて、国際展開戦略について伺ってまいりたいというふうに思います。

 こうした先端技術を世界に売り込んでいく、そのための国際展開戦略というのは非常に大事だというふうに思っております。茂木大臣また総理は外国を訪問されたときにはトップセールスをされておりまして、そうしたことは我が国の熱意を感じてもらうためにも非常に有意義だというふうに思っております。

 また、そういうこととは別に、海外で開催をされます国際的な会議、展示会などのいわゆるMICEで日本のすぐれた製品や生産物をセールスするということも非常に大事だというふうに思っております。

 また、特に近年は、日本を取り巻く東アジア情勢の変化に伴いまして、領土、領海、領空に係る主張や歴史認識の違いが殊さら喧伝される事態も見受けられますことから、こうした機会に、我が国への正しい認識の場としてもぜひとも活用していかなければいけないというふうに思っているところであります。

 そうした中、来年、二〇一五年にイタリアのミラノ市でミラノ国際博覧会が開催をされ、我が国もパビリオンの建設や出展準備をしているというふうに承知をしております。ミラノ万博は、「地球に食料を、生命にエネルギーを」という、食と文化がテーマの万博になるというふうに伺っております。

 クールジャパンの国際展開には、和食が、昨年暮れ、ユネスコの無形文化遺産に登録されることが決定したこととあわせて、またとない絶好のPRの機会だというふうに感じております。

 また、日本の農産物を紹介し、輸出の機会をつくるばかりではなく、お酒や陶磁器、陶器あるいは漆器など、輸出の機会の少ない伝統的な日本の地場産業の製品を紹介する場にしていかなければならないというふうに感じております。

 さらに、ヨーロッパでは、日本を初めとする東洋文化への憧れもあることから、日本の最先端技術の紹介と並んで、文化や技術の伝承によって磨かれましたすばらしい日本の伝統工芸品の新しい市場開拓の機会として、中小零細規模が多いさまざまな分野の地場産業、伝統産業の方々にも出展や参加の機会をつくっていくべきだというふうに考えております。

 そこで、最後でありますけれども、ミラノ万博では、経済産業省として、クールジャパン戦略のもと、日本の魅力やコンテンツをPRする場とすべきだというふうに考えておりますけれども、ミラノ万博の概要と、我が国の取り組みと意気込みについて伺いたいというふうに思います。

松島副大臣 まさに大見委員のおっしゃるとおりでございます。

 そして、ミラノ万博日本館、農林水産省は全中とともに全力を挙げておりますけれども、我が経済産業省としましても、アニメコンテンツなどをアピールしていくとともに、伝統工芸品、これは地方の、地域の中小・小規模事業者がつくっている。

 私、今つけているバッジが、ミラノ万博、赤い祝い箸を三つ重ねたような、そしてMであるような、これは大きなポスターがございますので、皆様、委員のところにお届けしますので、ぜひアピールしていただきたいと思っております。

 五百日前ということで、昨年の十二月に、日本パビリオンの、これから頑張るぞというイベントがありました。そのときにも、お土産として若狭塗、福井県小浜市の四百年続いた塗り箸を提供した次第でございます。

 ヨーロッパにおける、日本のそういった食器、つまり食をかたどる食器に対する人気というのは古くからございまして、例えば一八六七年、江戸の最後の年ですが、パリ万博におきまして佐賀藩から出された有田焼が出展されたり、あるいは一九〇〇年のパリ万博でこの有田焼が最高賞をとったりいたしました。

 日本の各地のすばらしい伝統工芸の食器を、このミラノ万博に出展するだけでなくて、日本食レストランでも使いたい。同時に、おっしゃるように、アニメなども、新進気鋭のクリエーターにアレンジしてもらった伝統工芸品の展示というのもやってまいります。

 なお、この十二月の五百日前のイベントの際に、きゃりーぱみゅぱみゅさん、かわいい系の代表選手の彼女と、それからさかなクンなど、こういった方々に日本館のサポーターをお願いして、アピールを進めていってもらうところでございます。

大見委員 以上、終わります。

富田委員長 次に、根本幸典君。

根本(幸)委員 おはようございます。自由民主党の根本幸典でございます。

 私の地元は、豊橋市、田原市、日本のものづくりの産地でございますので、きょうは中小企業の話をぜひお聞かせいただきたいなと思っております。

 安倍政権が発足して一年二カ月がたちまして、地元を年末年始ずっと歩いてきたんですけれども、安倍政権に対する期待というものは非常に高いものがあります。

 また、経済産業省においても、茂木大臣を先頭に、日本の産業再生に向けて確実に成果を上げていることに改めて敬意を表したいというふうに思っております。

 しかし、国民の中には、アベノミクスの果実を既に得ている多くの国民がいる一方で、今後の果実をまだかまだかと期待を寄せている国民がいらっしゃるのも事実であります。

 安倍総理の口癖であります全国津々浦々までアベノミクスの効果を届ける、この言葉を信じ額に汗して働く中小企業の皆さんの声を年末にしっかり聞いてまいりましたので、きょうはその中小企業政策を中心にお伺いさせていただきたいと存じます。

 実は私、毎年恒例で、年末、十二月二十八日から三十一日まで、豊橋で魚市場というのがありまして、そこで毎日三時間、四時間立って、話を聞かせてもらっています。仲買人の方もいらっしゃいますし、魚屋さんもいらっしゃいますし、料理屋さんもいらっしゃいますし、個人の方もいらっしゃいます。昨年の年末は、おととしやその前に比べると大変いい、ぜひこのまま頑張ってほしいという声がたくさんありましたので、勇気をいただいてまいりました。

 その中で、私がずっと中小企業の皆さんと話をしていて、大変関心を持っていただいたのが経営者保証に関するガイドライン。これに対して大変関心を持っていただきまして、多くの方から資料が欲しい、こういうふうに言っていただいたんですね。本当にそんなことができるのかと。今まで多くの中小企業の皆さんがこれを外したいと思っていたんですが、なかなかうまくいかなかった。それを今回、経済産業省がしっかりやってくれる。

 その一方で、まだ十分認知がされていなくて、知らなかったという声もあります。景気が上向いている今こそ、この経営者保証に関するガイドライン、しっかりと実効性を高めていくことが大切だなというふうに私は思っています。

 そこで、経営者保証に関するガイドラインの実効性を担保するために、経済産業省としてどのように取り組んでいかれるのか、まずお伺いをしたいと存じます。

茂木国務大臣 根本委員には、まさに今月から運用を開始いたしました経営者保証に関するガイドライン、注目していただいて本当にありがたいなと思っております。画期的な内容だと我々としては考えておりまして、法人と個人とが明確に分離されている場合など一定の条件を満たす場合には経営者の個人保証を求めないこと、こういったことがこのガイドラインの中に定められておりまして、これまでの個人保証に依存をしてきた融資慣行、こういったものを改善する画期的な取り組みである、こんなふうに考えております。

 このガイドラインに基づきます対応によりまして、中小企業、小規模事業者の思い切った事業展開が促されるとともに、金融機関によります健全な融資慣行を構築して、借り手の事業内容に対する目ききを重視する、担保を重視するのではなくてきちんと目ききを重視する、こういった融資が促進されるものと考えております。

 本ガイドラインにつきましては、本年一月から二月にかけて、金融庁と共同で、中小企業、小規模事業者及び金融機関などを対象にいたしまして全都道府県で説明会を開催するなど、周知に努めているところであります。

 さらに、金融庁におきましては、金融機関等による本ガイドラインの積極的活用を促進する観点から、監督指針、金融検査マニュアルを改正いたしました。これは結構きくんですよ。私も金融大臣を前にやっておりましたけれども、この指針が出るということによりまして、金融機関というのは認知度というのが相当高まる、こんなふうに考えております。

 また、経済産業省におきましても、中小企業基盤整備機構等によります相談窓口の設置や事業者に対する専門家の派遣を通じまして、本ガイドラインの利用促進を図っていきたいと考えております。

 ぜひ、中小企業の皆さん、そして小規模事業者の皆さんに、こういった制度ができたんだということをしっかり知ってもらって活用してもらう、そういった形で、融資に当たっても金融機関といろいろな相談ができる、こういった体制をしっかりとつくっていきたいと思っております。

根本(幸)委員 ありがとうございました。

 担保主義から、事業内容をしっかりと見て融資していく、特に金融の監督指針、これをつくって明確にしていただいたということは大変ありがたく思っていますので、私も、しっかりと地元で、経営者保証に関するガイドラインができたということをさらに積極的にアピールして、応援をしていきたいなというふうに思っております。

 次に、中小企業の賃金についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 今申し上げたように、地方でも景気が少しずつよくなってきているという感じがしまして、特に、昨年の年末、自動車関連の賞与等々は大幅に上がりまして、大変元気が出ている。もちろん、残業もふえまして、手取りもふえておりますので、大変期待感があります。

 一方で、自動車関連以外の中小企業の経営者の話を聞くと、上げたいんだけれども、なかなか今の状況ではまだまだ上げられないという声もありますし、また、従業員の皆さんは、僕たちにはいつアベノミクスが来るんだということで、何とかしてくれという声もたくさんあるんですね。

 その意味においては、これから特に中小・小規模事業者の賃金上昇をどういうふうに実現していくのかというのは非常に大切な要素になってくると思うんですが、経済産業省として、中小企業の賃上げにどのように取り組んでいくのか、そして、実現の時期はいつぐらいをめどに実現していこう、こういうふうに考えているのか、ぜひお伺いをしたいというふうに思います。

茂木国務大臣 アベノミクスの成果というのをきちんと賃金の上昇、所得の上昇につなげ、それが消費の拡大を生み、さらなる投資を生み出す、こういった経済の好循環をつくる。まさにこの国会も好循環実現国会と位置づけて、さまざまな施策を推進してまいりたいと思っております。

 今、春闘が進んでおりますけれども、自動車産業を初め主要な企業でベースアップ、これまでになかった前向きな動きも出ているようであります。また、昨年冬のボーナス、相当ふえた企業が多いということです。

 ちなみに、日本で最初にボーナスを出したのは、三菱グループの創始者の岩崎弥太郎さんであります。ボーナスの語源なんですけれども、これはさらに古くて、古代ローマのボヌス・イベントス、これは成功と収穫の神なんですね。まさに、成功と収穫ですから、企業収益が上がる、それが収穫、賃金や所得につながり好循環を生み出す、こういったことが必要だと思っております。

 我々として、主要企業に賃上げの要請を行いましたときに、賃上げ、それから取引先中小企業、小規模企業との取引条件の改善も図ってほしい、こういった要請も行っております。

 さらには、賃上げをした企業に対する優遇税制を行う。そして、投資促進税制につきましては、御案内のとおり、資本金三千万以下の企業につきましては、よりインセンティブの高い制度、こういったものもとっております。

 さらに、ものづくり補助金、平成二十五年度の補正予算におきまして、二十四年度の一千七億円から一千四百億円に拡充をしていただきました。この中で、対象も、これまでの製造業から流通、サービスにも拡大するということにいたしました。そして、この採択に当たりましても、賃上げであったりとか人材の育成、こういったものに積極的に取り組んでいる中小企業、小規模事業者を前向きに評価して採択を行っていく、こういった形もとっております。

 さまざまな努力を通じまして、大企業と若干やはりタイムラグが出る部分はあるかと思いますが、一日も早く賃上げが中小企業、小規模事業者でも起こってくるような環境をつくってまいりたいと考えております。

根本(幸)委員 ありがとうございました。

 大臣から一日も早くという力強い御答弁をいただきましたので、私もまた、地元の中小企業の皆さん、そしてそこで働く皆さんに、しっかりと好循環をつくって、一日も早く皆さんの期待に応えられるよう頑張っていくとお伝えができるというふうに思っております。

 続いて、今度は、製造業の生産現場が国内生産に回帰することについて少しお伺いをしたいというふうに思っています。

 今大臣の答弁の中にもありましたが、前向きな投資を支援していくということがあるんですが、投資をそれぞれの中小企業がしていく前提の中で、国外生産から国内生産にしっかりと回帰をしていくかどうか、ここが投資をしていく判断の大きな要素になるというふうに思っているんです。

 私のところにありますトヨタ自動車の田原工場も生産ラインが減ったんですけれども、トヨタ全体で考えれば、ほかの工場で生産ラインをふやしたということで、全体としてはうまくいっているんですが、それでも電機等々はまだなかなか国内に生産が帰ってきていないというものがありまして、そういう意味では、中小企業の皆さんがこれから投資をしていくという判断には、どうしても国内生産というのが非常に重要な要素になってまいるというふうに思います。

 そこで、製造業について、海外生産から国内生産へ回帰するために、経済産業省としてどのような取り組みをしていこうというふうに考えられているのか、お伺いをしたいと存じます。

田中大臣政務官 我が国の製造業にとって、グローバル市場の拡大に伴う海外需要の取り込み、これはやはり必須なものとなっております。海外での現地生産の拡大が不可避である、その一方において、裾野の広い産業集積と広範なサプライチェーン、これは我が国製造業の強みでもあります。雇用確保につながる国内での生産活動の活性化は、引き続き重要なものと考えております。このような中、過度の円高の是正に伴いまして、一部の企業におきましては、新規工場の設立あるいは国内生産の増加など、国内での生産活動を活性化させていく、そういった動きも今見られてきております。

 こうした企業の動きを確実なものとするために、国内での投資あるいは技術開発を促すべく、今、アベノミクス第三の矢であります成長戦略をやはりスピード感を持って実行していくことが必要と考えております。

 このために、日本経済の三つのゆがみ、すなわち過剰規制、過少投資、過当競争、この是正に向けたキードライバーである産業競争力強化法がさきの国会で成立をいたしました。そして、一月二十日から実際に施行されたところであります。あわせて、過少投資の解消のために、これまでにない大胆な設備投資減税ですとか、研究開発税制の拡充など、一兆円規模の税制改正を決定したところであります。こうした法律ですとか税のインセンティブを通じまして、国内での新たな投資を後押ししていきたいと思っております。

 また、我が国の製造業の中で大きな役割を果たしているのが中小企業、小規模事業者であります。この中小企業、小規模事業者の試作品の開発ですとか、今回新たに、生産プロセスの改善など、こうしたものも支援していくために、二十五年度補正予算におきまして、ものづくり補助金、前回の一千億を大きく上回る千四百億円を措置いたしました。さらには、中小企業投資促進税制も、資本金三千万円以下の小規模事業者に対しましては、税額控除の割合を、通常七%のところを一〇%まで拡充したところでございます。

 こうした予算あるいは税制などの制度を通じて、ぜひとも全国の企業に活用していただきたく、取り組んでまいります。

根本(幸)委員 ありがとうございました。

 税制面さらには法律面で、しっかりと国内生産ができるよう、応援をしていただきたいなというふうに思います。

 続いて、景気がよくなってくると、あとは人材面を中小企業はどうしていくんだというのが非常に大きな問題になってくると思います。なかなか新卒が採れない中でいくと、やはり中途採用、特に高齢者であったり女性の活用というのは私は大切だなというふうに思っているんです。

 私の地元に西島さんという会社がありまして、定年のない企業ということで、勤続六十年、十五歳から働いて、七十五を超えてもまだ熟練工として働いて、社会に、そして企業に貢献してくる、こういう会社もあるんです。

 そういう意味では、これから中小企業を考えるときに、こういった高齢者及び女性の活用をどういうふうに促すのか、このことは非常に大切だと思っていますので、経済産業省としてどう取り組んでいくのか、最後にお伺いしたいと存じます。

松島副大臣 根本委員がおっしゃるとおり、景気がよくなると人が採れないという、中小企業はそういう悩みも抱えてまいります。特に成長分野に参入する中小企業では、人を確保するのが本当に重要な課題となっていると思います。

 そういった意味で、例えば介護分野。一般に、四十代、五十代の女性、私の周りを見ておりましても、ホームヘルパーの二級をとりあえず取っておくという方がたくさんいらっしゃる。景気の悪いときは介護の施設で勤めるんだけれども、スーパーの時給が上がってくるとそっちへ移動してしまう、そういう現象が見られます。そして同時に、そのホームヘルパーの方々も、年齢が高くなると、非常につらい、お風呂に入れるとかいうのがつらい。

 そうしたことも解決できるように、先ほど来出ておりますものづくり・商業・サービス革新補助金におきましては、一般には三分の二の補助で上限が一千万円ですけれども、こういう医療とか介護、今成長戦略の分野として特定しているところにつきましては、上限を一千五百万円にいたしまして、例えば介護の補助をするロボットを生産する、そういうことを支援しております。こうすることによって、年齢の高い方やあるいは女性が、体格にかかわらずこういった仕事にもついていくことができると思っております。

 いろいろな分野で、また、中小企業の経営とかものづくりの中核となる人材、そのためにも、経産省で、女性や経験豊かな方々、お年寄りの活用を促進するためのマッチングなどをやっていきたい。そしてまた、厚生労働省でも、六十歳以上の方々を採用したときには雇用主に対して補助をする、そういったような仕組みをつくっていますから、これも経産省のホームページで一緒にわかるような、そんな仕組みをつくってまいりたいと考えております。

茂木国務大臣 西島は、極めて優良企業だと考えておりまして、日本だけではなくて、ドイツを含め、国際的な取引もある。実際に、現場の旋盤、切ってすぐにさわっても全く熱くなっていない。高度な技術を持っていると思います。しかし、その現場の監督をされている方は七十代以上。こういった形で、まさに、今の日本の高齢化社会の中で人材を生かすモデルになる企業だ、こういう企業が全国に広がっていけばと思っております。

根本(幸)委員 ありがとうございました。終わります。

富田委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸です。

 本日は、時間も限られておりますので、我が国のエネルギー政策に絞って質問をさせていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、エネルギーは、もう御承知のとおり、国民生活や経済活動の根幹を支える財であります。その大部分を海外に依存する我が国にとりまして、資源エネルギーの安定供給は必要不可欠の課題でありますが、原発の停止後に、電力についての海外からの化石燃料の依存度は、オイルショック時の七六%を超えて八八%まで高く上昇してきている。また、産油国に有事があれば、直ちに我が国への供給に支障を生じる事態となっております。

 さらに、原発停止で燃料費が三・六兆円も増加している。電力料金もこれにより二割程度上昇しているわけで、特に中小企業や低所得者など、弱い立場の人が厳しい状況に置かれている状況であります。

 さらに、地球温暖化問題への強力な対応が世界的に求められている中で、一般電気事業者のCO2排出量は一・一億トン増加して、日本全体の排出量の九%も占めている状況にあります。COP19でも批判を浴びたように、地球温暖化問題でこれまで築き上げてきた我が国の国際的信頼も危機に瀕している状況にあるかと思います。

 このように、現在、我が国はエネルギー面で大きな課題を抱えております。この問題を解決して、将来に向けてエネルギー問題にどう対処していくか、明確な方針を示していくことが今まさに求められているわけでございますが、現在、政府においてエネルギー基本計画の検討を進めていることと承知しておりますけれども、実現可能で責任のあるエネルギー政策をどのように構築していくのか、まず大臣の決意をお伺いいたします。

茂木国務大臣 委員御指摘のように、三・一一以降、我が国は新たなエネルギー制約に直面をしておりまして、化石燃料に対する依存度、これは八八%まで増加をしております。また、原発停止による燃料費の増加、二〇一三年度でこれが三・六兆円、国民一人当たり三万円の増加、こういったことが見込まれております。また、電気料金も平均しますと二割上昇ということになりますし、御指摘いただいたCO2の排出量にいたしましても一・一億トン増加ということでありますから、日本の総排出量の九%分増加という極めて大きな問題である、こんなふうに考えております。

 そこの中で、今後のエネルギーの構成を考えていく意味で、エネルギー源ごとにそれぞれ特徴がございます。そして、安定供給、コスト、環境負荷、安全性、あらゆる面ですぐれたエネルギー源は残念ながらないということで、現実的かつバランスのとれたエネルギー需給構造をつくっていくことが必要だと考えておりまして、そこの中では、各エネルギー源ごとの強みが生き、全体として弱みが補完される、柔軟かつ重層的な供給構造の実現を目指していく政策が必要だと考えております。

 まさに今、エネルギー基本計画、政府において検討中でありますが、エネルギー源ごとの特性というのを今回明確に位置づけたい、こんなふうに考えているところでありまして、パブリックコメントも一万九千件国民の皆さんからお寄せをいただきました。これを百数十項目に累計いたしまして、それぞれどうエネルギー基本計画の中に反映させていくか、こういった膨大な作業も進めております。

 できるだけ早くこの政府原案というものを決定いたしまして、与党プロセスも経て閣議決定に持っていきたい、このように考えているところであります。

江田(康)委員 まさに今大臣がおっしゃられましたように、エネルギー政策は日本の将来を決する最重要課題でございます。今後、このエネルギー基本計画においては、原子力の位置づけやその依存度を下げることも含めて、十分に与党としてしっかりと議論を詰めてまいりたいと思っております。

 総理の施政方針演説におきましては、徹底した省エネルギー社会の実現と再生可能エネルギーの最大限の導入を進めて、原発依存度は可能な限り低減すると明確な方針が示されました。この方針は、一昨年末の自公政権合意事項でもございます。

 再生可能エネルギーに関しては、二〇一二年度の我が国の総発電量に占める割合は一〇%、特に水力を除けば一・六%しかないわけですね。太陽光、風力、地熱を中心に最大限の導入を図るということは、まさに喫緊の課題だと思っております。

 政府では、一昨年七月から固定価格買い取り制度をスタートして、火力に比べてコストが高いのが再生可能エネルギーでありますので、その電気を高い価格で買い取ることを保証することで再生可能エネルギーの導入を大幅に拡大する取り組みを進めております。この結果、再生可能エネルギーの導入量は制度開始前と比べて三割以上増加しているわけで、固定価格買い取り制度の効力は証明されたと言えます。

 一方で、太陽光発電への導入が集中していること、また、認定を受けたまま運転開始に至らない案件が増加している、さらには、これからの国民負担増への懸念、こういうような制度上の課題も顕在化しているものと思います。

 その固定価格買い取り制度につきましては、平成二十四年度に認定した事業四千六百九十九件のうち、運転開始に至ったものが千四十九件、二二%にとどまっておりまして、場所も設備も決めていない案件が六百七十一件もあると聞いております。どのような理由で進んでいないのか。

 再生可能エネルギーの導入を着実に進めるためには認定要件を強化する必要があると考えますが、今後どのように対応していく考えかをお尋ねいたします。

 また、諸外国の事例を見れば、ドイツでは、二〇一四年においては、月三百キロワットを使用する平均的な家庭でその賦課料金が月額二千四百円にも上っており、制度のあり方についてまさに議論が進められているところであります。

 このように、固定価格買い取り制度は、再生可能エネルギーの導入拡大のためには必要不可欠の制度であります。今後は、ドイツなどの諸外国の事例も踏まえて効果的な活用を行うことが重要になってくると考えますけれども、経済産業大臣として、固定価格買い取り制度の現状と課題、そして今後の重要な対応についてどのように見解をお持ちか、お伺いをいたします。

茂木国務大臣 自民党と公明党の政権合意によりまして、我々としては、省エネを徹底する、また再生可能エネルギーを最大限導入する、さらには火力発電の高効率化、こういったエネルギー源の多様化を進め、一方で需要についてもスマートに需要の抑制を図る、こういった取り組みによりまして原子力への依存度をできる限り低減させていく。こういう合意をいたしまして、この方針のもとで今政策を進めているわけであります。

 そこの中で、御指摘のとおり、再生可能エネルギー、特に太陽光であったりとか地上風力は発電コストがどうしても高くなるということから、そのコストをカバーするという観点で、固定価格買い取り制度を今後とも安定的かつ着実に運用していくことが重要だと考えております。

 この再生可能エネルギーの中でも、開発期間が比較的短い太陽光に導入実績がこれまで集中してきているのは事実でありますが、風力などその他の再生可能エネルギーについても今後導入がしっかりと進むよう、系統の強化であったり、またアセスの迅速化など、事業環境整備に着実に取り組むことが大切であると考えております。

 また、御指摘をいただきました、認定を受けたまま運転に至らない案件、用地の確保ができない、また系統の方につなげない、幾つかの理由があるわけでありますが、制度の趣旨に反するような太陽光発電設備につきましては、昨年の九月から行ってきました報告聴取の結果を踏まえて、その認定の取り消しも含めて適切に対応してまいりたい、このように考えております。

 また、ドイツ、確かに再生可能エネルギーの普及が進んでいるわけでありますが、家庭での賦課金、日本が今百二十円に対しまして、ドイツでは毎月その二十倍、二千四百円近くにも達しておりまして、家庭や企業への負担が大きくなっている、こういう現状であります。我が国においても、太陽光発電のコストの低下を毎年度の買い取り価格にしっかり反映させるなど、家庭や企業など電気利用者の負担が余りにも大きくなり過ぎないように留意していく必要があると思っております。

 再生可能エネルギー、これからも最大限導入をしていかなきゃならない。そのためには、今申し上げましたような課題と同時に、例えば風力、火力等によりましても、発電の適地というのがどうしても限られてまいります。そうすると、送配電網を強化していかなきゃならない。さらに、再生可能エネルギーの電源としての安定性を高めるためには、電力系統内に大型の蓄電池を入れる、こういった技術開発が必要でありまして、さまざまな課題にしっかり取り組むことによりまして、今後とも再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組んでまいりたいと考えております。

江田(康)委員 再生可能エネルギー導入の大きな柱となっている固定価格買い取り制度については、そのさらなる強化を含めてしっかりと進めていただくように、特にお願いを申し上げます。

 この再生可能エネルギーの導入拡大の中でも大きく重要なのが送電網の整備でございます。

 風力発電、これは発電コストも低くて、再生可能エネルギーの大幅な導入拡大のためには、風力発電の導入拡大は必要不可欠である、これは従来から申し上げているとおりでございます。

 北海道、東北の一部は、風況がよくて大規模開発が可能な、風力発電のポテンシャルが大きい地域でございます。しかし、これらの地域には送電網が十分に存在しないため、そのポテンシャルを十分に活用できていない、これが現状でございます。風力発電の導入の鍵を握るのは迅速な送電網の整備であると、従来から主張してまいりました。政府は、このような課題を克服するために、平成二十五年度から北海道において送電網整備実証事業を開始したと承知しております。

 これまで送電網整備は一般電気事業者により総括原価方式で行われてきたわけでありますけれども、風力送電網の整備を進めるために、一般電気事業者以外による大規模な送電網整備を行う、これは今回が初めてだと思います。この総括原価方式でない方法で一般電気事業者以外による投資を促すためには、送電網の利用を優先的に認めるなど何らかの投資インセンティブが必要だという意見、また一方では、国費を投入する以上、送電網の利用は一般に、公共に開放することが適切であるという指摘もあります。

 今後、再生可能エネルギーの導入に向けて、この送電網の整備は、これが一つのモデルとなって大変重要な事業になるかと思っておりますが、両者のバランスをどのようにしていくのか。このバランスを慎重に検討すべきだと私は思いますけれども、風力発電の整備推進に強力に尽力しておられます赤羽副大臣に、政府の見解をお伺いいたします。

赤羽副大臣 大規模な風力の開発を進めるためには送電網の整備が不可欠であるというのは、御指摘のとおりだと思います。

 また、国費が投入されて整備される送電網の利用につきまして、今委員御指摘のように、両者のバランスを慎重に検討するということは大変大事だと思っておりますが、一般に開放することが原則であるというふうに考えております。他方、現実には送電網の利用者はまずこの送電網整備事業に出資する風力発電事業者となることが想定されるものの、基本的には、他の事業者からの利用希望があれば、先着優先の考え方によって公平に扱われるべきものであると考えております。

江田(康)委員 平成二十五年度から実施される送電網の整備実証事業は、先ほども申しましたように、今後の風力発電並びにほかの再生可能エネルギーに必要不可欠な送電網整備、この送電網整備が一般事業者に任せておればなかなか進まないところを、政府の知恵をもって強力に進めるということで実現したものでございます。その事業において、関係者が納得し、また、最終的に再生可能エネルギーが強力に進められるように制度をつくっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 もう一つ、電力システム改革が今まさに進んでおるところでございますが、この電力システム改革と電気料金の上昇の抑制について、きょう議論をさせていただきたいと思います。

 冒頭申し上げましたように、今年度の電力会社全体の燃料費の負担は三・六兆円も増加しておりまして、貿易収支は過去最大の十一兆円の赤字に達する予測となっております。このような状況下で、一昨年の東京電力の申請以降は、既に電力会社七社が電気料金の値上げを申請しておりまして、さらに原発の停止により収支が悪化していけば、さらなる電気料金の値上げの可能性が懸念されるわけであります。電気料金の上昇は、家庭の負担、企業の経済活動に直結する大問題でございます。

 電力システム改革では、こうした中にありまして、改革の目的の一つとして電気料金の最大限の抑制を掲げておりますけれども、これはどのような方策により実現されるものか、お伺いしたいと思うんです。

 電気料金は各種のコストや企業努力などによって決まるものでございますけれども、特に新規参入や競争の促進が重要な要素となると考えます。

 総理は、施政方針演説において、今般の小売の全面自由化によって、ベンチャー意欲の高い皆さんに参入してもらい、ダイナミックなイノベーションを起こしてほしいと述べられましたけれども、単に自由化するだけでは一部の大手事業者しか参入できない。このことは、かつて自由化を行ってきた段階の中でも低い参入率であったということからも言えます。

 したがって、本当の競争やイノベーションを生むためには、多様な事業者の参入と競争を促す、これまでにない取り組みが必要と考えますけれども、どのような方策を考えられているか、副大臣にお聞きをいたします。

赤羽副大臣 今国会、御承知のように、電気事業法の一部改正法案の提出を予定させていただいているところでございます。

 まず、江田議員の最初の質問で、電気料金の最大限の抑制ということにつきましては、その改革案の中で、一つ目には、これまでの地域独占ですとか総括原価方式を見直すことによって高コスト構造への対応をしていく、二つ目には、コスト競争力のある事業者が参入しやすい環境整備、三つ目には、自由な料金メニューの設定を可能としてピーク対応の発電コストの削減を図っていく、四つ目には、卸電力市場活性化や地域間連系線の増強等による広域的、効率的な電源利用などの要素を通じて、電気料金を最大限抑制することを目指しております。

 また、単に自由化するだけではなかなか本当の競争やイノベーションは生まれないという御指摘はもっともでございまして、これまでの部分自由化では必ずしも活発に自由競争が行われなかったという反省を踏まえて、一つ目には、既存の電力会社の発電余力を卸電力取引所で売買するといった、卸の電力市場の活性化をしっかりと図っていきたい。二つ目は、スマートメーターの導入等によりまして、需要家が電力会社を選択しやすくするための基盤整備を進めていく。三つ目には、新たな制度や電力会社を切りかえる具体的な方法などについて、まず消費者の皆さんへの情報提供の充実強化。そういった取り組みを順次進めていく方針でございます。

江田(康)委員 大変ここの部分は大事なところでございまして、今、赤羽副大臣が申されましたように、総合的に進めていくことによって電気料金の抑制を目指すわけでありますけれども、総括原価方式を見直して新規参入の促進、また、ディマンドレスポンスで需要の抑制を図りながら広域的な電源利用もしていく、こういうような方針のもとでやられることと承知しております。

 その中で、先ほども御指摘ございましたけれども、やはり、卸電力市場にどれだけ多くの余剰電力が投入されてくるかというところが大変重要で、それを左右するところになるかと思います。

 このような施策が着実に進みますように、今国会でも、電力システム改革の第二弾である小売の全面自由化に入るわけでございますけれども、そのような制度構成がなされているものと思いますので、しっかりと取り組んでまいっていただきたいと思います。

 最後に、石炭火力の件につきまして、高効率石炭火力の推進が大変重要だと申してまいりましたが、先日、電源開発、Jパワーが行っております横浜の磯子火力発電所を視察いたしました。世界最高水準の高効率発電である超超臨界圧火力発電、USCというものでございまして、硫黄酸化物のSOxや窒素酸化物のNOx等を極小に抑えて環境負荷を低減、また、エネルギー効率も四二%と高く、低炭素化も図られている。まさに世界最高水準である火力発電でございます。

 このような我が国の世界に勝てる最先端の技術をさらに用いて、我が国が直面しています大きな課題、すなわちエネルギーの安定供給のためには現状は火力発電にも頼らざるを得ないところがありますし、また、温室効果ガスを削減するというその一方で大変重要な課題もありますし、これらを同時に実現していくのが石炭火力の高効率化であるということで、これを強力に進めていくことが重要であることを主張してまいりました。

 政府において、これからさらなる技術開発、石炭ガス化複合発電、IGCCとか、石炭ガス化燃料電池複合発電、IGFC、そういう技術開発も進めていくと思いますが、どのように対応をしていくのか。また、海外への輸出、この最高効率の石炭火力を海外へ、今後電力需要が伸びていくアジアに対して輸出を拡大していく、これを大きく進めて世界に貢献すべきだと思っておりますが、この具体的な取り組みについても最後にお聞かせをいただきたいと思います。

赤羽副大臣 国内外ともにまだまだ石炭火力が占める割合というのは高い、そういった現状を考える中で、高効率の発電技術の利用等によって環境負荷を低減していくというのは大変重要な取り組みだというふうに認識をしております。

 政府としても、石炭火力に関する最新鋭の技術開発、具体的には石炭火力の蒸気温度を七百度C以上の高温にすることで発電効率を高める技術等の開発に取り組んだり、また、環境アセスメントについても、環境省とも調整を行いながら、従来三年程度かかるところを一年強程度に短縮するといったことも決定をしたところでございます。

 また、海外に目を転じても、特に成長著しいアジア、ASEAN地域はまだまだ石炭火力が中心でございますので、ここを効率化していく。高効率のものをプラント輸出していくということは大変重要でございまして、昨年五月の経協インフラ戦略会議でも取りまとめておりまして、日本の高効率火力発電設備の輸出は重要分野であると位置づけを行ったところでございます。

 なかなかコストの面等々で難しい、まだ簡単ではございませんけれども、官民を挙げて、公的金融支援をしっかり活用しながら最大限のサポートをしていきたい、こう考えております。

江田(康)委員 時間です。終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、枝野幸男君。

枝野委員 きょうは、私が在任中に幾つか取り組んだ政策について、その後の状況、きょうお尋ねする点については茂木大臣におかれてもおおむね前向きに進めていただいていると思っておりますが、特に問題意識や実施方法などについて、進みぐあいについてお尋ねをさせていただきたいと思っております。

 まずは、何といっても原発事故への対応でございます。特に賠償の話でございます。被害者の皆さんに寄り添った親身、親切な対応が必要であるということでございます。

 私も、在任中、東電社長に何度か来ていただきまして、請求書の簡略化であるとか迅速な対応、それから特に原子力損害賠償紛争審査会の判断を尊重するようにと、いろいろなことを直接求めてまいりました。

 現場で賠償の対応に当たっておられる東京電力の皆さんの多くはこうした趣旨を踏まえてやっていただいているものというふうに思っておりますが、何しろ大変大きなずうたいの組織でございます。若干、最近、報道では、必ずしも被害者に寄り添ったものとは言いがたい、問題が生じているなどという報道もございます。きょうはその個別は伺いません。国として、この賠償の状況をしっかりと把握し、そして必要に応じてしっかりと大臣において指導しておられるか、この点についての大臣の認識と決意についてお尋ねをしたいと思います。

茂木国務大臣 枝野委員から経済産業大臣の引き継ぎを受けましたときに、特にこの賠償の問題、そして枝野大臣のもとで立ち上げられた“ちいさな企業”未来会議、これは特にしっかり進めてほしい、こういう引き継ぎをいただいたことを鮮明に覚えております。

 枝野委員は経済産業大臣在任時に、東電に対しまして、請求書の簡素化、被害者の実態に即した損害賠償の柔軟な運用などの要請をされておりまして、私も、東電の賠償については、被害者に寄り添った親身、親切な対応が必要である、こういった委員の御指摘と全く同じ考え方であります。

 東電によります賠償の対応については、個別にいただいてまいりました。また、今いただいているさまざまな御指摘について、個別の問題が発生するごとにその内容であったりとか問題点をしっかりと把握して、必要に応じて、再発防止も含めて、東電に対して指導を行っているところであります。

 被害者それぞれに状況が違っている部分もあります。丁寧に、そして迅速に被害者に寄り添った賠償が進められるように、これからも努めてまいりたいと考えております。

枝野委員 先ほど申しましたとおり、私は、多くの現場の東京電力の担当者の皆さんは被災者に寄り添ってやっていただいているものと信じたいと思っておりますが、何しろ大きなずうたいでありますから、個別には問題が生じることはあり得るんだと思います。そうしたときに国がしっかりと見ているんだ、対応しているんだということが、特に一般的に広く被災者の皆さんに伝わっていくことが大事だと思いますので、引き続き、大臣においては、目に見える形でしっかりとした指導を進めていただきたいと思っております。

 二つ目に、今自宅に戻れない被害者の皆さん、もちろん一番の問題は放射能、放射線の問題でございますが、それと同時に、例えば、既に避難指示の解除、あるいはそこに向けた動きが具体化している場合であっても、自宅に戻っても生計を立てられない、仕事がない、こうした問題がどうしても横たわっております。

 私の在任中には、ふくしま産業復興企業立地補助金であるとかグループ補助金などを措置して取り組んでまいりました。こうしたこれまでの取り組みの成果について、まずお答えいただきたいと思います。

赤羽副大臣 今、枝野委員御指摘のように、十四万人とも言われる、不自由な避難生活を余儀なくされている被害者の皆さんがふるさとに帰還するための一つの大きな要因が、やはり雇用の創出、産業の再生ということは、おっしゃるとおりだというふうに思っております。

 今御指摘がありましたふくしま産業復興企業立地補助金、これは、新規立地とか雇用創出を推進する場合においてということで、これまで四回にわたりまして公募をいたしました。三百八十件の採択を行い、福島県内において約四千億円の新規投資及び約四千六百人の新規雇用の創出が見込まれているところでございます。まだ、五次、六次とさらなる公募も予定をしております。

 一方、被災した施設設備の復旧を支援する中小企業等グループ補助金につきまして、これまで十三回の公募を行いまして、福島県内の二百グループを採択し、三千社以上の事業者の復旧、事業再開支援を行ってきたところでございます。

 しかし一方で、私も毎週二日間、現場を歩いておりまして、再開をした事業者の皆さんからさまざまな御意見を聞かせていただいておりますが、なかなか使い勝手の悪いところもあったり、採択はされたけれども年度内に事業ができないというような御要望もございます。

 ややもするとこういうものは、厳格に運用しなきゃいけないというのは当たり前ですけれども、そうすると、やらせないみたいな変な話になって、それは柔軟になるべく使っていただこうというのがこの趣旨でございますので、翌年度への繰り越しですとか、一度失効してもすぐ再交付して、簡易な形で継続していこうというようなこととか、あと、グループがつくれないようなところもございまして、それは既存の採択されたところに追加して実質上認めていくというような、被害者の立場に立った、前に進むようなことを心がけているところでございます。今後も頑張っていきたい、こう考えております。

枝野委員 もちろん、税金を使うわけですから、不正、不当なことがあってはいけませんが、お話しのとおり、柔軟な対応ということは本当に重要だと思っておりますので、ぜひ副大臣におかれても、今後ともそうした柔軟な対応を進めていただきたいと思っております。

 今後でございますけれども、特に、今まで避難をお願いしていた地域について、そこに戻ってというときに、なかなか農林畜産業などについては、人は戻れても、すぐにそういったところで生計を立てられるかなど、本当に深刻な問題、いよいよしっかりとした取り組みが重要だと思っております。

 今後についての決意、あるいは方向性などについてお話しいただければと思います。

赤羽副大臣 多分、同じ問題点は私も共有していると思います。

 本年一月に、原子力災害の現地対策本部長を今務めさせていただいている私が座長となりまして、いわゆる浜通りのイノベーション・コースト構想研究会というものを立ち上げました。これは、地元、当該自治体の代表者、学識経験者、またそれぞれの専門の方にも入っていただいて、この浜通りをどう再生していくのか。三十年、四十年かかる廃炉一つをとりましても、遠隔用のロボットですとか、世界じゅうの災害対応のロボットの開発と人材の育成が必要だ、その大拠点をつくらなければいけないというのが一つ。

 同時に、今、枝野さんが御指摘のように、農業とか酪農業従事者の皆さんがもともとなりわいなので、私は実はアメリカのハンフォード地域に一月にこの研究会で視察に行きましたが、あそこはワシントン州立のハンフォード校という大学があって、そこにワインの専門科を立ち上げて、学究的にも師事しながら大変すばらしいワインを事業化しているようなこともありまして、やはり農業などにつきましてもそういった取り組みができるような、まだこれは構想段階ではありますが、特区みたいな形で、日本で一番近代的な農業が展開できるようなことも考えていかなければいけないのではないかというようなことも考えております。

 あとは医療の面とかということも、大変な未曽有の災害で一番御苦労されてしまっている福島県の被害者の皆さんが一番幸せになる権利があるという思いの中で、私はやはり二十一世紀をリードするさまざまな柱が必要だと思いますが、国を挙げて、責任を持って新しいまちづくりというか都市をつくっていかなければいけない、地域をつくっていかなければいけない、そういう決意で国を挙げて取り組んでいくということでございます。

枝野委員 お話しのとおり、今度のことで福島の特に浜通り、飯舘あたりまで含めて被災地域の皆さんには大変な御苦労をおかけしているわけですから、本当に未来に希望の持てる、今の質問だと先端のといいますか、そうしたことで雇用の場をつくっていくというというのは大変重要なことですし、特に若い人に戻っていただくなどについては重要だと思います。

 そのことと同時に、やはり高齢化のもともと進んでいたところであろうと思いますので、先端の産業が起こっても、自分たちとは直接かかわりないというような高齢者の皆さんなども少なからずいらっしゃると思います。

 そうした意味では、先端の地域にしていくんだということと同時に、そうした高齢者の皆さんなどにとっても、生計の場、あるいは収入そのものより、もしかすると生きがいとしての働く場のようなものがしっかりつくれるように、御努力をいただきたいとお願いを申し上げたいと思います。

 では、次に、小さな企業。

 先ほど大臣からもお話をいただきましたが、何といっても地域経済そして地域の社会を支えているのは、中小企業の中でも特に規模の小さな企業であるというふうに思っております。私自身そうした問題意識で、“ちいさな企業未来会議”を開きまして、現場の生声を聞く。中小企業団体などを通じてしまいますと、地域によっても、同じ小規模な企業といっても事情が違いますし、業種によっても全然違います。生の声を直接聞かせていただくということをさせていただきました。また、中小企業政策の中で、特になかなか光の当たりにくかった小規模企業ということをピックアップする、焦点化するということを進めさせていただいたつもりでございます。

 大臣においてもこの点については積極的にやっていただいていると認識しておりますが、その後の、大臣就任以降の小さな企業対策の進捗についてお答えをいただければと思います。

茂木国務大臣 委員御指摘のように、全国三百八十五万の中小企業、中でもその九割を占めます小規模事業者の地域経済、雇用における役割は極めて大きい、こんなふうに考えております。

 枝野大臣時代に立ち上げられました“ちいさな企業”未来会議、これを引き継ぐ形で、現在、“ちいさな企業”成長本部を開催いたしまして、全国の小規模事業者の生の声、団体を通した声ではなくて生の声を聞く、こういった活動を続けております。

 そして、これも受けまして、昨年の六月に行動計画、ここの中には、地域のリソースの活用、二つ目に新陳代謝の促進、三つ目に戦略市場への参入、四つ目に国際展開の支援、この四つを柱とします行動計画を取りまとめたところであります。この行動計画を着実に実施していくため、全国各地でまた成長本部を開催して行動計画のフォローアップを行っているところでありまして、昨年二月から現在まで全国四十二カ所で開催してまいりましたが、引き続きこういった活動を続けてまいりたいと考えております。

 同時に、法制面におきましても、昨年の通常国会におきまして、小規模企業関連の八本の法案、これを一括して改正する小規模企業活性化法を成立させていただきましたが、この国会には小規模企業振興基本法を提出させていただいて、さらなる施策の充実に努めてまいりたい、こんなふうに考えているところであります。

 税制面、それから予算面におきましても、御案内のとおり、中小企業の投資促進税制であったり、さらにものづくり補助金、これも流通、サービスにまで範囲を拡大するといった形で、新しい補助金としてつくったわけであります。

 特に、小規模事業者の皆さんにとっては、申請書類を書く、これも大変でありまして、事業者の皆さんには書類を書くことに時間を使うのではなくて事業に専念してもらう、こういう観点から、これまでの申請書類を約三分の一に簡素化する等々、現場のニーズに応じた対応をこれからも進めてまいりたいと考えております。

枝野委員 積極的に取り組んでいただいていることを大変評価したいと思いますし、感謝もしたいと思います。

 一点だけ。多分、この国会に出てくる法案などでも、決してずれていない、趣旨は十分共有してやっていただいていると思っているんですが、名前だけ、成長本部となっておられる。

 もちろん、小さな企業の潜在力を引き出して、伸びていっていただく小さな企業をたくさんつくらなきゃならないと同時に、もう高齢だけれども、地域を支えているんだから、伸びなくてもいいんだけれどもちゃんと食っていきたいという方もたくさんいらっしゃる、そうしたところも対象になっているんだということ。法案の方はしっかりなっていると思いますが、若干、名前が成長本部だと誤解を招くおそれもあろうかと思います。ぜひ、その点のところは今後も十分留意していただきたいと思います。

 小規模な企業にとって、今、書類を書く手間というようなこともお話がありましたが、特に、今のような点も含めて、経営に関する知的なサポートが十分でない。これは、私が“ちいさな企業”未来会議を行ったときにもそうした声が多々ございましたし、この部分のところのサポートをどうやって進めていくのかということが、お金の面などについてはいろいろ出せる部分に限界がありますので、知的なサポートの重要性というのはますます高まっていくんじゃないかと思っております。

 私の在任中には、経営革新等支援機関を認定する制度を創設させていただき、知的なサポートを進めていくことの充実を図りました。この認定支援機関は着実にふえているというふうに聞いておりますし、それぞれ成果、力を発揮していただいていると思っておりますが、この制度を生かすためには、各認定支援機関に対する支援、あるいは特に情報の提供が重要であるというふうに思っています。

 これは大臣も共有していただけると思いますが、小規模な企業の経営実態を一番よくわかっておられるのは税理士の先生方が多い。この税理士の先生方を通じてさまざまなサポートの仕組みなどについての情報を提供すれば、それぞれの企業に即した支援策が伝わっていく。こうした税理士の先生方などに対して、中小企業庁などの施策がきちっと伝わっていくことが重要だと私は思っております。

 各認定支援機関に対する支援や情報提供についての状況や認識についてお尋ねをいたします。

松島副大臣 枝野委員と全く同じ考えでございます。

 この認定支援機関制度、枝野先生が大臣のときにつくられたこの制度、確かに非常にふえておりまして、現在の時点で、税理士、弁護士、金融機関など合わせて二万四百四十機関までふえております。金融機関の場合は一つの信用金庫で一つとみなしますから、そこでいろいろな支店が、いろいろな職員の方が頑張っていらっしゃるので、人数としたらもっともっと多く、そういうわけでございます。

 そして、この人たちに対する情報提供と支援という意味におきましては、経産省の補助金だとか税制だとか、中小企業に関する部分のパンフレットをおよそ三百万部用意しまして、認定支援機関を多く抱えていただいている税理士会などの団体や中小企業団体、自治会、そしてさらに自治体の機能というのが非常に大きいと思いますが、ここへも配付している次第でございます。

 さらに、こういうところがポイントだという中小企業、小規模事業者の支援施策については、四十七都道府県全部で、四十七都道府県の職員の方及び支援機関の方々にそこの場所に集まっていただいて、政策の説明をいたしております。

 そして、今、申請書類を三枚以内にするとか、何とか努力を、中小企業政策審議会の皆さん方からもとにかく書類が多過ぎてかなわないということを言われるので三枚以内ということを心がけておりますけれども、それでもやはり、なれない方、小企業の場合は、社長さんが配達にも行っている、そして銀行にも行っている、現場にもいる、そうやって汗だくになって働いていらっしゃる方々は、とても全部自分ではやり切れない。

 そこで、例えば二十四年度補正予算でやりましたものづくり補助金、これは一万五百十六件採択されましたけれども、この多くの部分におきまして各認定支援機関の方々がサポートしていただいたり、創業補助金に関しても、四千百七十四件の中でも数多くサポートしていただいたりしています。

 私どもは、ミラサポという、未来をサポートする中小企業向けのホームページをつくっております。その中に、いろいろな政策、経済産業省だけでなくて、ほかの厚生労働省や何やらを四月から織り込んで、さらに各都道府県及び市町村、自治体の中小企業政策もそこに載せることにしておりますが、そういうものをごらんになった中小企業、小規模事業者の方が、これはいいな、でも自分では難しそうだなと思ったときに、かかりつけのドクターであるような税理士の先生や、あるいは取引先の信用金庫の方に、これを何とかしたいんだけれども詳しく教えてくれ、そういうアピールをしてもらって進んでいけばいい、そのように考えております。

枝野委員 ぜひ、しっかりとした支援機関に対するサポートと情報の提供をお願いいたします。

 今お話があったとおり、中小企業、小規模企業に対する支援は経済産業省の施策だけとは限らない。そこの部分についても、この認定支援機関制度は経済産業省でやっているわけですから、他省庁からの情報もしっかりと流していく、そういったこともよろしくお願いをしたいと思います。

 もう一つ、支援体制がしっかりと機能していくためには、各認定支援機関がばらばらに支援するのではなくて、税理士さんなら税理士さんの知見と、金融機関が持っているいろいろなパワーというのがうまく組み合わさることによって、より大きな成果につながっていくというようなことがあります。総合的に各認定支援機関が連携してサポートをしていくということに向けた認識や取り組みについて、お尋ねをいたします。

茂木国務大臣 昨年の六月から、御指摘をいただきました、税理士会等、各士業団体の皆さんや地銀等の金融機関団体等を構成員といたします認定支援機関連絡協議会を開催するとともに、地方経済産業局におきまして、認定支援機関向けのケーススタディー形式のワークショップ等々も開催することによりまして、多様な支援機関の間の連携強化、連携促進といったものに今努めているところであります。

枝野委員 ぜひ、さらに積極的な取り組みをお願いしたいと思います。

 大きな三つ目のテーマとして、クールジャパンについてお尋ねをしたいと思います。

 クールジャパンで、日本的よさをしっかりと生かして海外で稼いでいくということは今後ますます重要になっていくかと思います。私の在任中ですと、クールジャパン官民有識者会議を開催し、また、クールジャパン関連のネットの生中継番組の討論会に直接出たり、それから、海外に会議等で出張したときも、それぞれの地域で日本からのさまざまなクールジャパン関連の製品が現場でどう売られているのか、そうした現場をできるだけ見たいということで、合間を縫ってそうした場なども幾つか見せていただいたりもしてまいりました。

 そうした中で、まだまだこれには潜在力がある、相当桁違いで、大きな規模でこれはビジネスになるというふうに意を強くしているところであります。

 ただ、このクールジャパンはセンスが問われる世界ですので、何が売れそうなのかとか、どうしたら売れるのかというのは、どちらかといえば、政治も行政も苦手な分野であるというふうに思います。まさに官民交えて議論し、特に知恵、アイデアの部分はやはり民間の主導で進めていかなければならないというふうに思っています。

 クールジャパン機構も設立されました。具体的なここまでの成果や今後の戦略について、特に、民間の知恵やアイデアを生かさなければならないという視点から、お答えをいただければと思います。

茂木国務大臣 クールジャパンとも関連いたします世界の文化産業全体の市場規模は、二〇二〇年には九百兆円にも上る、このように言われております。この巨大市場におきまして、日本は、二〇〇九年の時点でありますが、まだ二・三兆円の市場しか確保していない。その一方で、日本の文化や伝統に根差したさまざまなサービスであったりとか商品、コンテンツ、日本のポテンシャルは極めて大きい、こんなふうに思っております。

 クールジャパン機構を昨年十一月に設立させていただきましたが、新しいロゴマークをつくりました。大体こういう公が絡むところでつくると、ろくなロゴマークにならないんですよ。なかなか今回のものはよくできているんですよ。基本はピンクになりまして、Jのマークになっているんですけれども、いわゆる折り紙をモチーフにいたしまして、折り紙を畳む形でJのマークをつくるということです。

 これは、ジャパンでもありますし、きちんと片づける、折り畳んで片づける日本的なよさ、こういったものもあらわしておりまして、なかなか珍しくいいロゴだったな、こんなふうに感じているところでありますが、そういった民間の知恵といったものを、クールジャパンを展開していく上では最大限生かしていくということが何より重要だ、こんなふうに考えております。

 そこの中で、直近の成果でありますが、まず、民主導でアジアに、日本のコンテンツを放送します専門のジャパンチャンネル、こういったものを立ち上げつつあります。今月インドネシアで開設されておりまして、今後もマレーシアやタイなどで開設が予定されております。

 政府としましては、こうしたチャネルで放送いたしますドラマやアニメなどの番組に字幕であったりとか吹きかえをつける、現地ローカライズ費用などを補助することといたしております。そういうことによりまして、民間主導の放送ビジネスを支援し、コンテンツ輸出を一気に加速させていきたいと考えております。

 また、このクールジャパン機構におきましては、民間ファンドの経験者であったりとか、ファッション業界に精通した人物等々を採用しております。やはり、すぐれたバイヤーはいい目ききがあるんだと私は思います。そういった目ききも含めまして、個別の投資事業につきましては、現地マーケットに通じた、事業を見きわめる能力であったりとか、冷静な投資判断を行う能力などを持った、海外需要開拓委員会にて判断するということにしております。

 民主導で、それを国も全面的に支援するという立場から、クールジャパンをしっかりと進めていきたいと思っております。

枝野委員 ありがとうございます。

 このクールジャパンなんですが、もちろん秋葉原や原宿が世界に売れていくというのも大事だと思いますが、同時に、特にいろいろな意味で疲弊している地方にも、クールジャパンで売れる潜在的な力というのはたくさん眠っているのではないだろうかと思っております。

 これをどうやって掘り起こすのかというのは、実はなかなか簡単ではない。そうした皆さんには海外の方と直接接触したりという機会の多い方が余りいらっしゃらない中で、自分たちでいいと思っているものと海外から高く評価されているものとの間にずれが出たり、ここを、海外の視点からは、ちょっと手を入れてくれれば物すごく海外に売れるのになというようなことについて、そうした地方、地域に眠っているクールジャパンの芽を掘り起こすところの、きっかけとか知恵とかというものはなかなか難しいというものは私も在任中に感じましたが、でもここをやっていかなきゃいけないというふうに思っております。

 これについての成果や、今後の取り組みについてお答えをいただければと思います。

松島副大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 そこで、今やっている二つの事業の概要と成功例を申し上げたいと思うんですが、プロデューサー人材派遣事業というのをやっております。また、地域の伝統的工芸品のためにジャパン・ブランド確立の事業もやっております。

 プロデューサー人材派遣事業は、派遣する人の人件費などを役所が持つということなんですけれども、例えば成功例といたしまして、山口県の獺祭という日本酒が有名ですが、地元ではそれほど売れていないようなんですけれども、これがパリに打って出ます。パリのシャンゼリゼ通り、凱旋門のすぐ近くにことしの前半ぐらいまでにお店を構えて、これも目ききのプロデューサー人材派遣事業で出した人がうまく結びつけたんですけれども、お酒だけではなくて、日本料理のレストラン、さらにその食器ということで、日本料理店は青柳さんが手がけて、店舗の内装は建築家の隈研吾さんがやって、本当に、ぜひ行ってみたくなるようなぐあいでございます。

 そこに日本のいろいろなものを置く。置くというのは、つまり売り出すということです。それも、目のきく方々が、例えば、石川県の九谷焼やあるいは福井県の越前塗、そして江戸切子、そういったもの、これならパリで売れるぞというものを選んできて並べて、売り上げはこれからの話ですけれども、これはいい事業になるんじゃないかと思っております。

 もう一つは、二月にドイツのフランクフルトで開かれました国際展示会に、これもそういうプロデューサーが絡んでいるんですけれども、東京の墨田区と江東区の江戸切子が出品した、その切子の製品について、デザインのトップブランドが目をつけて、その名前で本店で売り出すというようなことを始めることになっております。

 そういう形で結びつけていって、ここへ持っていけばこの品ならば売れるだろう、そしてまた向こうのどの一等地のお店を借りようとか、そういう計画を人材派遣したプロデューサーが考えてくれるというものです。

 もう一つの、伝統的工芸品に対してジャパン・ブランド確立というのは、成功例の一つは石川県の山中漆器ですが、伝統的なものをそのままつくっていたのでは外国で売れない。どこの国で、ヨーロッパ向けにはこういうものが売れるんだということを見きわめた方の指導によって、それを目指すグループが若手の中にできて、そういうタイプのものをつくっている。京都の場合は、西陣織と友禅染とか、そういう異業種が一緒にまとまってという形なんですけれども、そういったことによって海外への進出を図っていくというわけです。

 伝統工芸に関しましては、まさに地域地域の活性化にもつながる。毎年二月に、ことしも東武百貨店の池袋店で開かれたんですが、既に終わりましたけれども、伝統的工芸品展WAZAという形で開催いたしました。二十七都府県から九十三品目が出品されて、会期中の半分ぐらいが雪だったにもかかわらず、十万人近い人が来られた。

 これを、日本のファンが集まるだけでなくて、私が始めましたのは、観光庁に声をかけて、旅行代理店を通じて、その時期、二月に外国から来るお客様、外国人の観光客に、ここへ行けば日本のいろいろなものが一挙に買えると。そうやって目覚めていただいて、さらに日本の各地にまで足を運んでいただこうと。

 とにかく、ビジネスとして結びつけて、売れて、もうけて何ぼのものですから、それをしっかりと後押ししてまいりたいと思っております。

 日本のものが本当に高く評価されている。さっきアニメのコンテンツの話もありましたけれども、きのう、サウジアラビアの皇太子殿下が来られて主宰する晩さん会が迎賓館でございました。七十八歳の皇太子殿下は非常におすしが好きだと。ヨーロッパへ行っても日本料理屋に入る、とにかく日本料理が好きである、その前の日に首相公邸で開かれたパーティーでもおすしが出て、非常にうれしかった、そういうことがずんずん中東社会に広がればいいなと。

 さらに、その人の御子息であるムハンマド皇太子府長官という人は、漫画の「ワンピース」、自分が運営しているサウジアラビアの学校でそれを素材にして、アラビア語なんだけれども、「ワンピース」を読むことによってサウジアラビアで読書の喜びを子供たちに広めていくのに使っているというお話でして、いろいろなところに芽があると思っておりますので、経済産業省を挙げて頑張ってまいります。

枝野委員 伝統工芸展は、私も在任中に見せていただきまして、大変すばらしい、立派なものを毎年やっているんだなと思いましたし、それを観光庁とつないでというアイデアは大変すばらしい。いいことについては、私もちゃんと褒めたいと思います。ただ、さすがに長過ぎます、答弁。

 きょうは、内閣府から後藤田副大臣にも来ていただいております。

 今のお話も、観光庁との連携。そして、例えば、私の地元大宮には盆栽村があって、今度、盆栽博が来ますが、盆栽などはどちらかというと農林水産省との関係も深い。省庁挙げてこのクールジャパンをやっていかなきゃならないということで、推進室というんですか、それが内閣官房に置かれて、後藤田副大臣が担当だということで、おいでいただいているんだというふうに思います。

 官民一体、そして政府一体となった取り組みが重要であるという意味では、そうした位置づけをして省庁横断的にやっていただくことは大変重要であると思っておりますが、その一方で、気をつけなきゃいけないことがございます。

 どういう視点で日本の文化や伝統を世界に伝えるのかというときには、経済産業省の立場からのクールジャパンというのは、まさにビジネスにしてお金を稼いでもらうということでやっていくわけですが、例えば外務省であるとか、例えば文化庁という立場に立てば、銭にならなくても、日本のいい文化や伝統を世界に知っていただく、これは広い意味では必ず国益につながることですから、そのこと自体が必要ないということではないんです。

 ただ、銭にならないけれども伝えなきゃならない、広めなきゃならないことを広げるための戦略というか位置づけと、これはビジネスになるから、そのビジネスにつなげていくために何をするのかという視点というのは、混在してしまうと、どちらにとってもよくないことになってしまう。しっかりと、これはまさにビジネスとしてしっかりやるんだ、これはちょっとビジネスとは違うねということの切り分けをやっていくことが大変重要ではないだろうかというふうに思っております。

 そうした点についての、まさに全体を見る内閣官房の立場からの後藤田副大臣の御認識と、まさにそういうところでごちゃごちゃにならないように、これはビジネスにしていくためにやっているんだ、そこをしっかりやるんだということについては経済産業大臣がしっかりと見て、言っていかなきゃいけないと思いますので、大臣の御決意をお尋ねしたいと思います。

後藤田副大臣 枝野委員におかれましても、まずクールジャパンの積極的推進をしていただいた経済産業大臣というお立場と、今まさにオール・ジャパンで総合調整をやるという内閣官房長官をお務めになったというその視点から、本当に我々も今、日々悩み、そしてまたこのクールジャパン、まさにジャパン・ブランディングを継続的に進化させていくという、まだ私はその途上だと思っておりまして、まさに今の御指摘のとおりでございます。

 先ほど来の経産省さんのいろいろな取り組みも大変すばらしいものがあると思いますし、農水省さんも和食のいろいろなイベントを開かれたり、総務省さんも放送コンテンツといういわゆる切り口、手段を使って、日本のコンテンツのみならずいろいろな物、文化を発信していく、こういうことをやられておりますが、ともすれば各省が、俺が俺がという形になりかねません。

 そこでやはり、相乗効果といいますか、横串を刺して、シナジー、また効率的かどうか、効果的にやっているか、そして各役所と情報共有しているか、もし共有すればもっと付加価値が上がる、もっと化学反応が高いものになるとか、こういう点を我々でチェックしていきたいと思います。

 まさに成長戦略としての経済効果ということだけじゃなくて、ビジット・ジャパン、さっきの観光庁の話もそうですし、また、日本を好きになってくれる人をふやすことによって、先ほど委員がおっしゃった外交戦略、そういった部分も、文化、イメージ戦略、そういったものは最終的にやはり国益全体につながる、こういう視点で我々は見ていきたいと思います。

 ただ、何でもかんでもやろうとすると、幕の内弁当みたいなもので、全く記憶に残らない、印象に残らない、インパクトがない。こういうふうになってもいけませんので、そこの点におきましては、まだまだ我が内閣官房の部局も、組織的にも人員的にも、これからまた皆様方にも御意見を伺いながらしっかり強化する。TPPが専属で二十五人ぐらいですか、専属でまさにこの事業をやっているわけでございますから、クールジャパンはもっと専任で、そしてまた予算もしっかり獲得して、戦略的に、国益、経済と、まさに日本のブランドイメージの向上に向けてしっかりと組織を強化していきたい、このように思っております。

茂木国務大臣 経済産業省としては、このクールジャパン戦略、まさに日本の成長戦略、そして国際展開戦略の一環として、民間ビジネスを中心に進めてまいりたいと考えております。

 その上で、役割分担はしっかりしつつも、それぞれの省庁が相互に連携をとりながら、文化庁は文化庁の役割、外務省は外務省、国土交通省、それぞれの役割はありますけれども、全体としての国のイメージアップであったりとか、どういった形で国益の増進につなげていくか、こういったことについては共通認識を持ちながらしっかり進めていきたいと思っております。

枝野委員 後藤田副大臣におかれては、恐らく、奥様の代表作である「スチュワーデス刑事」なんかは、コンテンツとしてアジア各地で売れるんじゃないかなと思っております。そういった意味で、政治や行政は余りこういったところは得意じゃないという中では、どちらかといえば親和性のあるお立場にいるんじゃないかと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思いますし、経済産業大臣初め経済産業省においては、売れるものをしっかりと掘り起こして、地域の活性化にぜひつなげていただきたいとお願いを申し上げます。

 終わります。ありがとうございます。

富田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 きょうは、経産委員会の所信に対する質疑、枝野前大臣の後のバッターでございます。今国会初めての質疑でございますから、気持ちを込めて質問いたしたいと思います。

 早速質問に入りたいと思います。

 まず、大臣にお伺いしたいと思います。

 先日、政府が発表いたしましたいわゆるQE、二〇一三年の十月―十二月期のGDPの速報値が発表されました。最初に、全体の経済をどういうふうにごらんになっているかというのを経済の重要閣僚たる茂木大臣にお伺いしたいと思うわけでありますけれども、速報値では年率換算で実質一・〇%成長、こういうことでありました。この数値をどう見るかということだろうと思うんです。率直に言って、民間の事前の予測を下回る数値が速報値として出てきた、こう報道されております。

 茂木大臣は、所信の演説において、デフレは解消に向かい、明らかに日本経済はプラスからマイナスに転じつつある、こういうふうに宣言をされております。これは政府の基本的な今の立場なんだろうと思うわけであります。

 確かに、一・〇%というのはプラスはプラスでありますが、しかし、これは見ようによっては、早くもそのプラス傾向が減速しているのではないかとも言えるわけですね。この十―十二月期が非常に落ち込むといいますか弱くなっている、弱含んでいる、今後のことを考えますと、そうも見られるわけであります。

 茂木大臣は、このプラスに転じつつある日本経済、プラスはプラスかもしれないけれども、しかし、この速度についてどう受けとめているのか、この数値についてどう受けとめ、分析されているのか、まずお答えいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 まず、最近、私はQEという言葉はできるだけ使わないようにしています。恐らく、QEということを聞いたときに、ほとんどの方が、アメリカの金融緩和、こういうふうに思うんだと思います。

 四半期の成長率の話でありますが、確かに、昨年の十―十二月期、年率にしてプラス一・〇%。これは御指摘のように民間の予測を下回る数字ということなんだと思いますけれども、四四半期連続でプラスが続いているわけでありまして、早くも景気が減速傾向に入った、これは若干悲観的な見方なのではないか、こんなふうに私は思っております。

 日本経済の現状は、雇用・所得環境が改善する中で設備投資も持ち直しておりまして、好調な内需がプラスに寄与している、景気は引き続き上向いている、このように認識をいたしております。

 ただ、好調な内需があるということは、その分輸入がふえるということにもなってまいります。過度な円高が是正される中で輸入がふえる、さらには燃料費についても調達コストがふえるということでありますから、かなり輸入が大きく伸びたこと、これは、輸出も二四半期ぶりに増加したわけでありますけれども、それ以上の輸入の増加ということで、全体として外需についてはマイナスとなっている。また、内需につきましても、建設労働者の確保の問題、資材の問題等々の課題があって、公共事業については伸び悩みの傾向が見られる、これは事実であると思っております。

 しかし、この好調な日本経済をさらに発展させていく施策を矢継ぎ早に我々としてはとっていかなきゃならない、こういった思いから、投資促進税制を初めといたします大胆な税制改正、一兆円規模になります。それから、さきの国会で成立をしていただきました産業競争力強化法、これも速やかに的確に執行していく。さらには、五・五兆円の緊急経済対策、こういったものも速やかに執行することによりまして、この流れをより確かな景気回復につなげていきたい、そう考えております。

近藤(洋)委員 大臣の分析のとおりなんだろうとは思うんですが、ただ、大臣がおっしゃったことで一点加えるとすると、私は別に心配性ではないんですけれども、外需というか、輸出が弱い。要するに、輸出の力が弱まっているということは明らかだと思うんですね。先日の貿易統計でも大幅な貿易赤字、それは数量でも伸びていない。円がこれだけ安くなったにもかかわらず数量が減ったというのは、輸出の力が弱まっている、一月の数値が先日発表されましたけれども、これが懸念材料。

 内需においては、この四半期の調査のデータにもあるように、一つ気がかりなのは、自動車は売れているけれども住宅はそれほど、住宅も伸びているけれども。何を言いたいかというと、一般の消費というよりも、自動車だけだ。一般の消費の中でもやはり自動車が、もちろん駆け込み需要というのもあるんでしょうけれども、自動車頼りの内需構造、こういうことなのかなという気がするわけであります。

 そこでちょっと気になるのは、いずれにしろ、二〇一三年度の成長率がどうなるか。もう既に十―十二月期が出たわけですから、あと一―三月期を残すのみであります。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますけれども、この一枚目をごらんください。

 一枚目、これは政府見通しでありますけれども、実質GDP、左側の表であります。二〇一三年度、平成二十五年度の政府の見通しでは二・六%成長というのを見込んでおります。

 しかし、これを実現しようと思うと、一―三月期、駆け込み需要は多少期待はできるところもありますけれども、年率換算すると一〇%以上の成長をしないと、はっきり言って、この二・六というのは達成できないわけであります。この四半期の十―十二月期の一・〇%、速報値ですから、確定値になると若干修正があるかもしれませんが、まだこの速報値を前提とすると、この二・六の政府見通しを実現するためには年率換算で一二%の大変な急成長を遂げなければいけない、こういうことであります。正直申し上げて、これは実現不可能ではないかと思うわけであります。

 これは旧経済企画庁、内閣府が担当しておりますので、この実現、私は不可能な数値と思いますけれども、修正をすべきかと思いますが、政務官、いかがですか。

小泉大臣政務官 御指摘の経済見通しでありますが、確かに、残り一四半期での経済見通しの達成には一〇%程度の成長が必要となるというのは、近藤委員御指摘のとおりだと思います。その上で、当面は、各種政策の下支え等もありまして、消費や投資が増加して、景気の回復基調が続くことが期待をされています。

 こうした中で、二〇一三年度の経済成長率については今後の経済動向を見きわめてまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 政務官、特に旧経済企画庁、内閣府は景気の番人、経済のウオッチャーなんですね。要するに、経済がどういう状況になっているかというのをきちっと政府において見る役所なわけです。どう見ても不可能な数値だと思うんですよ、もうあと第四コーナーしか残っていないわけでありますから。

 民間の予測も、この予想外の十―十二月期の数値を見て下方修正に入っています。大変見にくいので恐縮なんですけれども、この一枚目の右側、二〇一三年予測、実質で二・四七。二・六に対して二・四七、民間の各調査機関の予測はこう書いてありますが、これは前の数字ですから、今回の四半期調査の速報を受けてさらに下方修正をしているんですね。やはり、現実をちゃんと受けとめて、それに合わせて対応するということが、政務官、必要なんじゃないでしょうか。

 さらにお伺いします。

 足元の二〇一三年は、恐らく二・六%は不可能だろうと思います。もっと重要なのは、四月から始まる二〇一四年度の見通しなんですよ。この二〇一四年度の見通しですが、この表にあるとおり、政府は実質で一・四%成長すると出しております。日本銀行も一・四%。政府、日銀は一・四%成長というのを見越して出して、それに基づいて予算をつくり何をつくり、こういうことであります。しかし、民間の調査機関の予測は、この右側にもございますとおり、〇・八二ということです。随分差があるんですね。半分近くの差がございます。

 一体、何をもって政府はこれほど強気なのか、政務官、お答えいただきたいんです。輸出が大幅に伸びるのか、内需が大幅に拡大するのか、それとも設備投資なのか、大幅な賃上げを見込んでいるのか。一体、何をもってこれだけ強気の一・四%が実現できると積算されているのか、お答えください。

小泉大臣政務官 確かに、御指摘のとおり、民間機関の平均的な見方は政府よりも低目な数字になっていると思います。もちろん、消費税の反動減のことなどしっかりと留意しなければいけませんが、好循環実現のための経済対策や、政労使の共通認識に基づく取り組みなど、さまざまな政策の推進等によって、年度を通して見れば、前年度に続き堅調な内需に支えられた景気回復が見込まれるのではないか、そういった認識のもと、来年度の実質GDPの成長率は一・四%程度、そして名目は三・三%程度と見込んでおるところでございます。

近藤(洋)委員 ぼわっとしたお答えしかないので、一体何がというのを。一つ一つ因数分解していくと、どうも合理的なお答えになっていないと思うんですね。

 恐らく、後で申し上げますけれども、これは、賃上げをかなり見込んでいるとしか言いようがないのが政府の資料でも明らかなんです。賃上げを見込んでいるということなんですが、それについても後ほど伺います。設備投資は若干上振れておりますし、これはこれでいいんですけれども。

 そこで、日本銀行の雨宮理事にお越しいただいています。

 どうもやはり、今の安倍政権は、困ったときの打ち出の小づち、日銀頼みというか、困ったときに黒田さんが政策を出される、こういうことなんです。今回も、政策決定会合で新たな金融措置を打ち出されました。成長融資支援と、融資拡大をする貸出基金制度の延長、その規模を二倍にするといった政策であります。黒田日銀総裁が好きな二倍、二倍というキーワードで説明されています。

 総裁いわく、昨年四月の黒田緩和でエンジンの馬力を引き上げたので、性能を生かすためのタイヤを強化したと説明されておりますけれども、どういう効果が今回の政策によってあるのか。

 配付資料の四枚目に、貸し出し増加を支援するための資金供給、成長基盤強化を支援するための資金供給、この日銀のペーパーをお示しさせていただいておりますけれども、何を期待されているのか。そして、もっと言えば、GDPを押し上げる効果が実際にこれであるのかどうか。お答えいただけますでしょうか。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 委員御案内のとおり、日本銀行はこれまで、量的・質的金融緩和のもとで、大量のマネタリーベース、いわば卸売市場にお金を大量に供給してきているわけでございます。この効果が日本経済の隅々まで浸透するためには、卸売市場で供給したお金が末端で使われていくということが効果波及のために必要でございまして、こうしたお金が金融機関の貸し出し増加や成長力強化の取り組みに利用されるということが非常に重要なわけでございます。

 今回、御指摘のございました見直しも、こうした量的・質的金融緩和の効果、波及メカニズムを強化するという観点から実施したものでございます。実際に、これまで銀行貸し出しは、緩やかでございますけれども、次第に伸び率を高めてきてございまして、このところ前年比二%台半ばの伸びまでになってきております。

 今回の見直しでございますけれども、こうした金融機関の一段と積極的な行動ですとか、あるいは企業、家計の前向きな資金需要の増加を促すということを期待してございます。このことは緩やかな回復を続けております我が国の経済をさらに後押しする、ひいてはGDPを押し上げるという方向に働くということを強く期待しております。

近藤(洋)委員 雨宮理事がおっしゃったように、卸売市場にあるものをさらに小売に供給すると。非常にわかりやすく御説明をいただいたわけでありますが、成長基盤融資を三兆五千億から七兆円に引き上げるのと同時に、いろいろ二つの柱で手を打たれた、こういうことであります。ただ、この政策自体は、白川総裁時代にも、基本的なことを出してその規模なり使い勝手をよくした、こういうことだろうと思うんです。

 ただ一方で、幾ら小売に出すように工夫しても、買い手がいなければ、すなわち成長企業が見つからなければ、要するに銀行の借りかえにかわるだけ。本当に末端まで、意味のある資金として供給されるのかというと、日本銀行から地方銀行、都市銀行までは行くけれども、そこから先には行かない、結局、借りかえだけに終わっちゃうんじゃないかという懸念もこれまたあるわけですね。

 そこで、日本銀行にお伺いしたいんですけれども、この政策で効果が余り出なかったとなった場合は、さらなる緩和というんでしょうか、大がかりな金融緩和に踏み切るお考えはあるのかどうか、こういうことだろうと思うんです。

 私は、さらなる緩和には大きな副作用も伴うのではないか、こうも思っております。日本銀行は異次元の金融緩和をもう既にされているわけで、その異次元をさらに異次元にというか幅をふやす、こうなると、別の意味での副作用というか懸念材料、リスクも日本全体が抱えることになるのではないかと思います。

 日本銀行として、いずれにしろ、さらなる緩和をする御用意があるのかどうか、また、その場合のリスク、日本経済が抱える、マーケットが抱えるリスクについてどのように認識しているのか、お答えをいただけますか。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 私どもでは、今回の量的・質的金融緩和導入当初から、経済物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行うという方針を示してまいりました。

 現在、我が国経済は二%の物価安定の目標の実現に向けた道筋を順調にたどっているというふうに考えておりますけれども、今後、何らかの要因によりまして見通しに変化が生じまして、二%の物価安定の目標ということを実現するために必要ということであれば調整を行うという方針でございます。

 御質問いただきました副作用との関係でございますが、一般論としては、やはり金融緩和措置についてはさまざまな効果なり副作用があるわけであります。それは認識してございますが、もっとも、この十五年にわたってデフレが続いてきました日本の現状を踏まえますと、金融緩和がもたらすさまざまな影響には目配りしつつも、ここは、二%の物価安定の目標の実現に向けて、現在の量的・質的金融緩和を継続していく、デフレ脱却を実現するということが何よりも重要というふうに考えてございます。

近藤(洋)委員 日銀にはもっと聞きたいんですが、時間も限られているので終えたいと思いますが、先ほどの話にも私は余り、金融に頼るべきではないと思うんです。

 そこで、先ほどの成長の話なんですが、政府が見通している一・四%、何を根拠にこの数字がたたき出されたかというと、それは、雇用者報酬が大幅にふえるということを織り込んでいるんですね。

 政府が発表している経済財政運営の基本的態度、こういうペーパーの中に、非常に小さな数字ですけれども、雇用者報酬、ここのところの数字があります。ここだけを抜き書きした一覧表が資料の二ページ目であります。ちょっとこれは私どもの事務所のミスプリで、一九九〇年から二〇一四年までの数字、これは実績と書いてあるんですが、実績見込みの間違いでございます。要するに、二〇一三年は一・一%、そして政府の二〇一四年の実質経済成長のベースになっているのは名目で二・〇%の雇用者報酬増、こういうふうになっているんです。

 この二・〇%というのがどれだけの水準かというと、大変高い水準でありまして、二%を超えたのは一九九三年、バブルの余韻がまだ残っている二十年も前の数字、こういうことなんですね。

 この雇用者報酬の名目の推移を見ますと、民主党政権下の二〇一〇年から〇・四、〇・七、〇・一と若干ふえていますけれども、これも安倍政権は、我々の代になってふえた、ふえたと。これはいろいろな統計のとり方があるので、自民党政権になってからふえたとこれ見よがしに言っていますけれども、そんなことは決してないので。いろいろな数字のとり方で、民主党政権時代から若干ふえてはいるんですけれども、しかし、この低水準。

 そして、二〇一三年は名目一・一%、だけれども二〇一四年は二・〇もふえる、こういうことを前提に、この成長率、数字はつくられているんですね。九三年の数字までふえる、果たして本当にそうか、こういうことであります。

 確かに、国民所得がふえる、雇用者所得がふえるということは極めて重要です。ですから、我々も可処分所得なりをどうやってふやすかという政策を次から次へと打ってきたんですが、賃上げがどこまでできるかというのは極めて重要です。そして同時に、大企業だけではなくて、中小企業にも利益が還元される仕組みは極めて重要であります。

 そこで、大臣にお伺いしたいんです。

 労使交渉等々で政府が御要請をされている、こういう話も伺っております。これも、これまでにない措置だったと思います。また、大臣が所信でもおっしゃっているとおり、中小企業との取引条件の改善というところにも取り組んでいる、これもぜひやっていただきたいと思います。

 ただ、同時に、名目二・〇の雇用者報酬を実現するには、これだけでは到底実現できないのではないかと思うわけであります。日本銀行が異次元な政策を打ったのであれば、経済産業政策として、異次元の政策にさらにもっと踏み込む必要があるのではないか。報酬をふやした企業に対して促すさらなる政策、大企業が得た利益を中小企業、取引先のサプライチェーンが得るためのさらなる仕組み。

 私の地元に聞くと、部品メーカーの皆さんはみんな言いますよ。赤字ぎりぎりでやっている、だけれどもその利益は全部東京本社の大手に吸い取られているんだよな、大手企業はいいけれども部品メーカーは。こういう声が本当に聞こえるわけです。ですから、そういうサプライチェーンを守るためのどういう施策があるのか。

 これは我々民主党も知恵を出したいと思いますけれども、もう一歩踏み込んだ政策がないと、とてもこの二・〇は実現できない。この二・〇が実現できなければ、実質GDP一・四成長は到底できない、民間の言うとおり、〇・八%しか実現できないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 雇用者報酬をふやしていくということは、大きく言えば二つの要素、一つはやはり、いかに雇用がふえるかということであります。そしてもう一つは、個々の給与所得者等々の賃金水準がどうなっていくかということであります。

 まず、雇用につきましては、この一年間で九十一万人増加という形であります。そして、その八割近くが女性ということでありまして、まだまだこれから日本において、女性を含めさまざまな活躍の機会をつくっていくということは極めて重要だ、こんなふうに考えております。

 その一方で、賃金水準の問題でありますけれども、もちろん政府として、これまでも、企業収益の改善を賃上げや取引先中小企業との取引条件の改善につなげてほしい、政労使の会議においても、また私からも、主要な団体等々について直接要請もしてきております。前向きな回答もいただいておりますが、最終的には賃金水準は、御案内のとおり、個々の企業の労使間の交渉によって決まっていくものであります。

 我々としては、企業が賃上げしやすいような環境をつくっていかなきゃいけない、そういう意味から、御指摘のように、賃上げ企業の人件費増加分の一定割合、一〇%につきまして控除する所得拡大促進税制を拡充いたしております。

 それから、予算の面でも、ものづくり補助金、平成二十四年度の補正におきまして一千七億円措置をいたしまして、全国一万五百社の企業の試作品、ものづくりの三分の二の補助ということで支援してまいりましたけれども、平成二十五年度の予算におきましては、これを一千四百億に拡大いたしました。そして対象も、製造業だけではなくて、流通やサービス業にも拡大し、試作品だけではなくて、これを生産プロセスの改善等々にも適用するという形をとらせてもらいました。そして採択においては、人材育成であったりとか処遇の改善に積極的に取り組んでいる企業を前向きに評価する、こういった形での採択を行い、今回は一万一千社を超える企業の採択を目指していきたい、こう考えております。

 同時に、賃上げにつきましては、単に要請するだけではなくて結果も見たい、フォローアップをしていきたいと思っております。企業業績がどう改善しているか、そしてそれが給与水準にどう反映されているか、主要企業、大企業につきましては、企業名も含めて、適正な形で公表させていただきたいと考えております。

 中小企業になりますと、全国三百八十五万の中小企業個々について公表というのはなかなか困難になってまいります。アンケート調査等々によりまして、全体の傾向等について公表するような形をとってまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 ぜひ、さまざまな知恵と政策を総動員してこの分野はやっていただきたいと思うんですね。そうしないと、とても一・四%GDP成長は不可能だろうと思いますし、〇・八%という数字になったのは、私は、別にこれは安倍政権云々の問題ではなくて、日本全体にとって大変困った事態になると思います。

 そういう中で、大臣、もう時間があれなので最後の質問になるかもしれませんが、残念なことが一点あったんですね、昨年末の税制改正で。自動車諸税見直しの中で、軽自動車に関する増税の方針を出された、こういうことであります。

 私たちは一貫して、この増税に反対をしてまいりました。大臣もそうだったはずであります。その理由はもう言う必要もございませんが、軽自動車増税というのは、まさに地方の足を直撃する、地方の中小企業を直撃する、生活の足を直撃する。同時に、国内での主要産業である、まさに一本足で国内の産業を今支えている状況である自動車産業も直撃する。我々が政権をとったときも、何とか八ケ岳構造とかいって、自動車に頼らない構造といいながらも、残念ながら、いまだ自動車頼りの状況なんです、我が国経済は。

 そういう中で、自動車産業を直撃する、生活者にとっても、産業にとってもよくないこの増税を政府において決められてしまった。なぜあのようなものを結果として受け入れてしまったのか、その理由をお答えいただきたい。こういうことと、今後の自動車税制のあり方について、大臣、お答えいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 自動車諸税に関しましては、取得税の引き下げが先行する形になるのは御案内のとおりであります。

 その上で、軽自動車税の引き上げにつきましては、対象を平成二十七年度以降に取得する新車に限定いたしまして、実際に増税されるのは平成二十八年度以降となっております。また、環境性能の高い軽自動車への軽減措置についても検討を行う、こういうことにもなっているわけであります。

 この軽減措置の具体的な内容を含めて、車体課税の見直しにつきましては、自動車産業がまさに日本の基幹産業のフロントランナーである、同時に、自動車が国民生活において果たしている役割の重要性等々を踏まえて、ユーザー負担の軽減、そして税制の簡素化、グリーン化を図る、こういう観点から、全力で今後とも取り組んでまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 時間ですので終わりますが、この自動車関係諸税の今回の軽自動車増税は、いずれにしても問題だったということを申し上げなければいけない、私はこう思っています。

 本来ならば、急騰する灯油、ガソリン問題についてもお伺いしたかったのですが、これはまたの機会に譲りたいと思います。

 時間ですので、終わります。

富田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 民主党の田嶋要でございます。

 大臣所信に対する質疑を順を追って行っていきたいんですが、少し順番を変えまして、最初に、原子力のことに関して茂木大臣にお伺いしたいと思います。

 所信の九ページに、「原子力については、いかなる事情よりも安全性を最優先し、」そういうくだりがあるわけでございますが、そこで大臣に、トルコへの原発輸出との関係をお伺いさせていただきたいというふうに思っております。

 今、日本は、原発が全てとまっている状況でございまして、安全性の確認というのは専門家の御判断に委ねている、そういう状況であるわけでございますが、我々が与党時代からこの原発輸出というのはインフラ輸出の一つの大きな柱でございまして、当初、私たちも、これは非常に大事だという思いでやっておりました。そこへああした大惨事が起きまして、これはどう考えても、日本にとっては原発輸出は非常に難しくなってきたな、そういうことを痛感しておったわけでございます。

 それから大分月日が流れまして、安倍政権になっても原発輸出は基本的には推進という方向でやっておるわけですが、私もそこに対しては非常に複雑な気持ちを持っております。

 きょうは特に、トルコという我が国にとって非常に大事な友好国、エルトゥールル号という昔のことがございました以来の本当に親日の国でございますし、そして何よりも地震大国であるということ。

 実は、私も覚えておりますが、チェルノブイリに三・一一の後、視察に行きまして、その帰りにトルコに寄って、かつて一九九〇年代の大震災の教訓、その後どのように復興を遂げてきたかということを学んでまいりました。そして、帰国して一週間後にまた大地震がトルコで起きたという経験もしておりまして、やはり日本と同じようにそれに苦しめられているなということを改めて痛感したわけでございます。

 大臣、そのトルコに関して、私はやはり、ここに書いてある、いかなる事情よりも安全性を最優先する、そのこととトルコに原発を輸出するということはどのように折り合いをつけておられるのかという点をお聞かせいただきたいと思います。

茂木国務大臣 我が国の国際展開戦略は、単に原発だけではなくて、インフラ・システム輸出、さらにはクールジャパン初めさまざまな分野で展開していきたい、そこの中の一つとして原発も位置づけられている。これは委員も御案内のとおりだと思っております。

 そこの中で、原発につきましては、いかなる事情よりも安全性を優先して、その安全性につきましては、日本国内では、独立した原子力規制委員会が世界で最も厳しい新規制基準のもとで判断していく、一方、輸出される原発の安全確保は当該原発が立地する国が行うことが国際的に確立された考え方である、このように思っております。

 もちろん、東日本大震災、福島第一原発の事故を経験した我が国としては、事故から得られた知見と教訓を世界と共有するとともに、我が国との原子力協力を求める新規原発導入国に対して原子力安全条約に適合する行動を求めるなど、輸出先国における安全確保を促していくことでその責務を果たしていきたいと考えております。

 エルドアン首相は、日本の地震に関する先進技術に大変高い関心を示しておられまして、日本からの技術提供を受け、日本と共同プロジェクトを進めていきたい、こういう意向を持たれているということで、日本企業を中心とした企業連合が排他的な交渉権を得たわけであります。

 いずれにいたしましても、日本としては、世界最高水準の最も厳しい安全基準を守りながら、世界の原発の安全性の向上にも貢献してまいりたいと考えております。

田嶋委員 国際的な慣行と申しますか、当該国での原発の安全性はそちらの国の責任だというのは私も承知しておる前提でございます。そうはいいながらも、情報の非対称性といいますか、トルコには原発がないわけでございますので、いろいろこちらに頼ることになるわけでございます。そして、トルコが、日本の高い技術に加えて、三・一一から得た教訓に大いに期待を寄せているのも、私もそのとおりだと思います。

 私どもが与党時代からもう気持ちは前のめっていたわけでございますので、両側の経済界もなかなかとまらない状況も大変よくわかるわけでございますが、しかしそれでも、倫理面の感覚で、どうしても私は、本当にこれでいいのだろうかというふうに思えてならないわけでございます。

 現に、東京電力は途中まではこの話に入っておったわけでございますが、あの事故後に離脱もしたというふうに聞いております。本来、事故の教訓を情報の非対称の中でトルコにしっかりと教えていくということだったら、東京電力も一緒になって、こういうことがいろいろ苦しかったと、いろいろなことを共有する役割もやはりあるのではないかと私は思います。

 そういいながら、本当に一番大事なことは、どうやったらトルコが原発なしで、我々が目指すような再エネと省エネの方向、国として新たな産業を起こしながら、日本が経てきたような道のりではなくて新しい国づくりができるかということを全力で応援するのが、友情のあるトルコに対する日本の使命ではないかなというふうに私は感じるわけでありますが、私自身も正直、こう申し上げて、大変今ジレンマを持ちながら、日々考えあぐねておるところがあります。

 大臣に改めて、その辺の、倫理面から本当にこれでいいのだろうかという私の気持ちをどのようにお思いになるか、御所見をもう一度いただきたいと思います。

茂木国務大臣 まず、東京電力については、私は今、福島第一原発の廃炉・汚染水対策に全力を集中してほしい、そんなふうに思っております。同時に、電力の安定供給の役割を担っているわけでありますから、そういった仕事をしっかりするのがまずは東京電力として大切なことでありまして、トルコで今事業をする状況にはない、こんなふうに考えております。

 その上で、各国のエネルギー政策、それは国の根幹にかかわる政策でありまして、それぞれの国におきまして、それぞれの事情を考えながら安定供給をどうしていくのか、また、経済に対する負荷であったりとか国民に対する負担をどうするのか、そういった中から決められる、すぐれて重要な国としての意思決定なんだ、こんなふうに私は考えております。

 その中で、トルコが原発計画を進める、これに対しては、当然日本として、事故から得られた教訓、知見等をしっかりと提供もしてまいりたい、また、安全性の向上に向けまして最大限の支援もしていきたいと思っております。

 同時に、我が国は、世界に冠たる省エネの技術もあります。そして今、再生可能エネルギー、こういった分野も最大限の導入に向けてさまざまな政策をとっているところでありまして、こういったことにつきましても、トルコだけではなくて、世界に我が国のすぐれた技術、ノウハウをしっかりと提供していく、こういった努力も続けてまいりたいと考えております。

田嶋委員 JICA等を通じて、省エネや再エネの協力もトルコに対してしてきているのも承知をいたしております。そういいながら、我が国に比べたらいろいろな資源もある国でございますし、そういう天然資源を生かす。それから、現在のトルコのGDPパーキャピタ、そういうような数字を見ても、私は、願わくば、原発に頼るステージ、経済ステージを経ずに新たなステージに行くことも可能なのではないかなと。

 そして一方で、大分日本から物理的、地理的に離れた国でありますので、安全性ということに関して、少し、まあいいやという感覚を持たれては本当に困る。逆に、ヨーロッパの方々からすれば、まさにトルコのような大地震が起きるかもしれない国、そのように言われている国にこれから原発が来るということには、大変大きな不安もあるのではないかというふうに思っております。

 ぜひとも大臣には、そういう意味で、この九ページの書かれ方は日本国内のことを主眼に書いておられるとは思いますけれども、しかし、原発を輸出する場合にも安全性最優先ということ、そして、ほかの国への輸出とはちょっと事情が違うんだ、したがって、断層の大変多い国とも聞いております、そういったところにこれまで以上にしっかりと支援をしていくということも明記していただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。

 それから、冒頭の質問に戻りますけれども、安倍総理は、この大臣の所信の中には書いてございませんが、内閣総理大臣になられて以来今日までに、世界一企業が活躍しやすい国日本、こういうことをよくおっしゃるわけでございますが、私は、これは最初から少しひっかかりを覚えるわけでございます。なぜかと申しますと、人を中心に考えるのがやはり一番大事ではないかというふうに考えるからであります。

 こう申しますのも、あるとき、あるビジネスマンの方からこのような話を伺いました。企業法人税をどれだけ下げても、日本にはなかなか地域のヘッドクオーターは来ない。なぜならば、それは、企業の法人税じゃなくて、そこに働く人たちが大変な個人所得税を、エキスパットですね、駐在する外国人の方が大変持っていかれるから、だからシンガポールに比べても全然魅力的じゃないんだ、あるいは周りの学校の施設、インターナショナルスクールとか、そういうことを言われました。なるほど、どんな企業でも、企業は器でありますから、そこで働く人々が快適に仕事ができて、かつ暮らせるような環境がなければ、やはりその国は評価されない。

 私は、なぜ安倍政権が人に着目せずに、世界一企業が活躍しやすい国というふうにスローガンを打ち立てておられるのか、そして、民間でいろいろと経験されてきた茂木大臣はそのことに共鳴されておられるのかどうかを確認したいと思います。

茂木国務大臣 一昨年、昨年と、我々は選挙を戦っております。一昨年末の衆議院選挙におきまして、自民党の選挙公約の中で、世界で一番企業が活動しやすい国、個人の可能性が最大限発揮され、雇用と所得が拡大する国を目指しますと、並列で書いてございます。それから、昨年の参議院選の公約におきましても、世界で企業が一番活動しやすい国、民間の活力と個人の能力が常に最大限発揮される社会を実現します、こういったことでありまして、前段の部分だけではないということをまず御理解いただきたい。

 我々は、もちろん、器に注目をしているわけではありません。例えば、サッカーでも、なでしこジャパン頑張れと言うと思います。何で沢頑張れと言わないんだ、個人に注目しろと。それは、違和感を感じるということじゃなくて、なでしこジャパンというのはそれぞれのメンバーによって構成されている、こういったことをそれぞれの人が認識しているから、いろいろな人の顔が浮かぶ中で、なでしこジャパン頑張れということになってくるのではないかなと私は思っているところであります。

 世界一企業が活動、活躍しやすい国、その後に当然、個人の話も公約の中では書いてありますけれども、それは、一人一人が重要であるということは間違いないわけでありますが、チームとして取り組んで、それぞれの能力が最大限に発揮されるためには、企業、組織、こういう器であったりとか、結節点をそれによって持つような媒体も必要なんだ、こんなふうに思っているところでありまして、特に日本はそういったチームプレーが得意な国なんだと私は思います。

 企業にもそれぞれ独特の文化がある、そしてそういったものを向上させていく、そういった中から日本ならではの国際競争力、強みというものも発揮される、このように考えております。

    〔委員長退席、江田(康)委員長代理着席〕

田嶋委員 後ろがあるという話はよくわかりましたけれども、問題は、前半しか言われないんです。一年間で十三回総理が発言しているんですが、後ろがないんです、前だけ言われるんです。それは、そういう思いがあるにしろ、当然そうでなきゃおかしいとは思うんですよ、なでしこの例を引くまでもなく。しかし、世界一企業が活躍しやすい国です、それだけ言うと、聞く人によっては、先ほどは一つ例を挙げましたけれども、もう一つ言えば、やはり、人が駒として使われる国のような聞こえ方もするんですよ。

 今、非正規雇用のいろいろな問題がクローズアップされてきています。この国会でもそういう議論もあるでしょう。そういう中で、人に着目する前に企業に着目しているんだというメッセージは、私は、批判をしているというよりもむしろ建設的に、損をすると思うんですよ。これが英語に訳されて、世界に向けられて発信されます。安倍総理の目指す国は、企業にとってベストな国を目指しているんだ、こういう発信になるんですよ。

 最近も、英語の誤訳とかでいろいろ問題が起きていますね。ここはやはりメッセージをどう発していくかが大事で、後ろはこう書いていますと言ったって、本人が読んでいないんだから。だから、そこはやはり気をつけていただきたいということを改めて申し上げたいというふうに思います。よろしいですか。

茂木国務大臣 御提案は承りました。

 恐らく、英語にした場合には、カンパニーとかコーポレーションではなくてビジネス、こういう使い方になりますので、企業という限定ではなくなると思います。

田嶋委員 次の質問に入ります。

 三本の矢というふうにアベノミクスは言われておりますけれども、私は、一本目と二本目と三本目の矢の太さは全然違うと思っておりまして、先ほど茂木大臣がおっしゃったとおり、この委員会で産業競争力強化法も成立させました。ことしが本当に、そういう意味では全て正念場だというふうに考えております。

 そういった中で、所信の中にも行き過ぎた円高という言葉がございます。これを少しお伺いしますけれども、私が学生時代には、一ドルは二百五十円近くでございました。恐らく茂木さんのときもそうだったと思います。当時から比べると今はもう、五年前も十年前も常に相当厳しい円高なわけでございますが、行き過ぎた円高というのは、大臣の中ではどういう円高をおっしゃるのか。そして逆に、行き過ぎた円安というのは、これからどのように考えていかれるのか。その点をお答えください。

茂木国務大臣 委員御案内のとおり、政府の立場としてどの為替レートが適正である、これにつきましてはコメントを差し控えたいと思っておりますが、この数年間続いてきたことは、為替レートが日本の企業にとって不利になるという中で、本来日本において生産し、輸出をして、雇用も生み出すべき企業が海外に出ていく、こういった状況が続いてきた。日本でマザー工場を持って、サプライチェーン等々を展開するはずが、日本のマザー工場そのものが古くなってしまって、グランドマザー工場になっているんじゃないか、こんなことまで言われるような状況になってきたわけであります。

 それぞれの企業によって、為替レートにとって、メリット、デメリットがあると思いますが、一般的に、一昨年までの状況は行き過ぎた円高、こういう評価が多かった、このように感じております。

田嶋委員 そういう状況で、今、円安の方に動いてきておるわけでございます。しかし、今、大臣もおっしゃったとおり、輸出ということがどうしても、この日本の国の経済を議論するときには、最初の議論になるわけでございます。

 お配りした資料の四ページをごらんいただきたいと思います。

 これはよくある比較で、よく言われていることでございますが、加工貿易、輸出で日本は頑張っているといいながら、実は、その国の経済規模に比較して、例えばお隣の韓国やドイツなどと比べても、輸出の割合というのは対GDP比で相当小さいということがよく言われます。韓国はおよそ半分の数字、そしてドイツも半分近くあるのに対して、我が国の輸出額七千七百六十六億ドルというのは、GDPのごく一部、二割もいかない、そういう状況にあるわけであります。

 それが、恐らくは、地元を歩いていて、多くの皆さんが、今のような円安は本当に、みんなにとって喜ばしい状況をつくり出してくれるのだろうかと。むしろ円高が続いていたときの方がうれしい会社もたくさんあったわけですね。例えば、ユーティリティーの会社とか、あるいは旅行関係でもそういうことはあり得ると思います。

 したがって、町のクリーニング屋さんや、いろいろなそういう方々も含めて、果たして、輸出をしていない関係の会社、例えばトヨタ自動車のような自動車関連のそういう会社と、そしてその下請の会社のような、輸出にかかわる会社じゃないところまで、どのようにして今の円安がじわじわと明るい結果をもたらしてくれるのか。そのメカニズムに関して、簡単に御答弁をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 お示しいただいたこの主要経済指標を見ますと、確かに、韓国、ドイツは、人口、GDPと比較して貿易量が多い。恐らく、ドイツなんかの場合、陸続きの国でありますから、どうしても日本とは違った事情等々も出てくるのだと思います。

 確かに、収支でプラス、マイナスというのはありますけれども、日本だけが極端に、輸入だけが多くて輸出だけが少ないとか、韓国、ドイツと比べてみてもそういう構造にはなっていないのは確かなのではないか、こんなふうに思っております。

 あと、よく、大企業が輸出をして、中小企業、小規模企業が輸入をして、だから、円安になると大企業はもうかるけれども中小・小規模企業はもうからない、こういう構図ではないというのは、今委員も自動車産業でおっしゃっていただいたように、それぞれの産業、そしてそれを支える裾野の企業、これがどの業種に属すかということによって相当変わってくるのではないか、こんなふうに思っております。

 今、日本の企業の業績は御案内のとおり大きく改善しておりまして、今年度の第三・四半期の企業業績発表では、東証の一部上場企業千二百社中、七割の企業が昨年度比で増収増益を見込んでいるというところであります。

 では、中小企業の業況感が悪くなっているかといいますと、昨年十二月の日銀短観におきましても、中小企業の業況感は、製造業では六年ぶり、非製造業では実に二十二年ぶりにプラスに転じたということであります。

 もちろん、景気回復の実感が全国津々浦々まで行き渡る状況には至っていない。それから、今の為替レートによりましてコスト高等々になっている中小企業、小規模事業者が存在するのも確かでありまして、これから、状況の推移についてはしっかりと見守っていきたいと思っております。

 同時に、価格転嫁の問題についても、特に中小企業にとっては大切でありまして、下請代金の減額、買いたたきなど、違反行為については厳正な取り締まり、こういったことも行っていきたいと考えております。

    〔江田(康)委員長代理退席、委員長着席〕

田嶋委員 今の御答弁、そして所信の二ページに、「日本経済は明らかにマイナスからプラスに転換」、こういうふうに書かれてございます。

 しかし、これは何を指すかにもよりまして、明らかにプラスからマイナスになったものもあるというのが先ほどの近藤先生の御質問でもございました。これは貿易赤字でございまして、そしてなおかつ、この直近の数カ月は経常収支もついに赤字になっているというふうに聞いてございます。

 お配りした資料の一ページでございますけれども、過去の安倍総理の答弁をコピーさせていただきました。

 昨年の五月の参議院予算委員会、鈴木寛委員の質問に対して、この下線はちょっと無視していただいて、すぐその下でございますが、そこで、将来どうなっていくかということでございますが、円安効果による輸出増については、少し時差があるわけでございまして、プラスは大体半年後ぐらいから出てくるだろう、そして、内閣府の調査によれば、半年、一年後からむしろその結果によってプラスに転じていくと、貿易収支も黒字になっていくし、再来年は、すなわち来年ですね、今からいえば、さらに逆に大きく貿易収支も黒字になっていくということをちょうど昨年の五月におっしゃっている。

 その根拠となる内閣府からの調査が次の二ページでございます。ここで、円安の貿易収支への影響というのが、茂木大臣もメンバーとしておられる場所で、約五分程度と聞いておりますけれども、内閣府から解説があり、Jカーブ効果のような話も頭に入れながら、先ほどの総理の答弁になった。

 半年から一年ということは、安倍内閣になってからもう既に一年以上たっておるわけでございますので、昨年の秋から冬にかけてそうした貿易の黒字がまた戻ってくる、そんなことをおっしゃっておったのではないのかなと思います。

 そして、次のページをごらんください。

 三ページでございますが、これが、つい先日出された同じ調査の結果でございます。その左上の貿易収支というところをごらんいただくと、この点々点々と描いてあるのが、もともと内閣府が予想していたいわゆるJカーブ効果でございます。それに対して実績値は、この直近までの実際はどうだったかということでございますので、これを見る限り、とてもJには見えず、Mかなという感じでございます。

 そこで、茂木大臣、当時、昨年の五月時点で総理はそのようにおっしゃっておりました。しかし、少なくとも今日まではその気配すら見えない、非常に甘い見積もりで、こういう結果になっている。もちろん、それが悪いというふうに非難するつもりはございませんが、少なくともファクトとしては大きく予想を外して、貿易赤字は最大の数字だということできのうも発表されました。状況は決して改善していないんだ、そして、あのときの総理の発言の中身は実現しなかったということを、大臣の口からお聞きしたいと思います。

茂木国務大臣 輸出につきまして全く効果が発現していない、これは事実としては違うと思います。

 御案内のとおり、輸出の数量は二四半期ぶりにプラスになりました。そして、現在、米国向け等に好調な動きが見られます。

 ただ、その一方で、新興国の需要が予想以上に減速したこと、それから、円安後に、企業によって違いがあるものの、日本企業が現地価格の引き下げを余り行わなかったこと等々から輸出数量の増加が弱目の動きとなった、これは確かである、こういうふうに考えております。

 一方で、輸出以上に輸入が、日本におきましては今、燃料等々はふえている、このことから貿易収支の赤字が拡大している、こんなふうに考えております。

 御案内のとおり、輸出入の動向は、為替レートだけではなくて、内外の経済を含めた諸情勢であったりとか資源価格の動向、さまざまな要因によって変わってまいるものでありまして、今後も動向については注視をしてまいりたいと考えております。

田嶋委員 それでは、最後の質問でございます。

 今の大臣の御答弁の中にも、この貿易赤字の話になると、マスコミも含めて、エネルギーの費用の結果というようなことが必ず出てくるわけでございますが、少なくとも、昨年、二〇一三年の一年間、なぜこれだけ貿易赤字、輸入が広がっているかということの根拠の最大の理由は為替の変動である。安倍内閣が実行した、為替の円安によって貿易赤字は大きく広がった。

 確かに、原発事故の後の数量的な増というのはそのときが一番大きかった。しかし、二〇一三年に関して言えば、圧倒的に大きな原因というのは、為替が大きく円安に振れたことが、エネルギーのことも含めて全ての貿易赤字の最大の原因であると私も認識しておりますし、そのような報告をいろいろ読んでおりますけれども、大臣はそのような認識に立たれておりますか。

茂木国務大臣 三・一一以降、原発の停止によります燃料費の増加は、二〇一一年度では二・三兆円、十二年度で三・一兆円と試算されておりまして、これが二〇一三年度には三・六兆円に増加すると見込まれております。

 為替の影響について申し上げると、二〇一〇年度から二〇一二年度で、為替は一ドル八十六円十銭から八十二円六十四銭へ約三・五円円高となっておりますが、それでも三・一兆円増加する、こういうふうに試算をされております。一方、二〇一二年度から二〇一三年度にかけて、為替は一ドル八十二・六四円から九十八・八七円へ円高の是正が進みましたが、燃料費はさらに三・六兆円増加すると見込まれております。

 これらを勘案して考えますと、燃料費の増加は、化石燃料の輸入量の増加が大きな要因となっておりまして、同時に、石油、LNGの国際価格の変化や、為替によります変動も加わっていると分析するのが妥当であると考えております。

田嶋委員 もう少しよく分析をしていただきたいと思いますし、少なくとも直近一年間の最大の要因は量的にふえたということではない、そうではなくて、為替の原因でふえているということにあるんだ、そういうふうにしっかり御認識をいただきたいと思います。

 というのは、原発再稼働の非常に微妙な問題もある中で、いつもエネルギーの量がふえたからだということばかり言い続けるのは、メッセージとしては、私は、皆さんにとっても、今の内閣にとっても、自分の都合のいいように話を持っていっているんじゃないかというふうに思われてもやはりよくないと思います。それは、客観的な事実として、量がふえたインパクト以上に、為替の動きによって今これだけの貿易赤字になっているんだということをぜひ御確認いただきたいと思います。

 以上でございます。

茂木国務大臣 もう一度申し上げます。

 二〇一〇年度から二〇一二年度は円高になったんですよ、それで三・一兆円増加しているんです。(田嶋委員「去年のことを質問した」と呼ぶ)ええ。それで、今年度はこれが三・六兆円まで来たわけですよ、逆に円安になって。三・一兆円ふえて、〇・五兆円ふえているわけです、円安の部分。それを考えていただきましたら、どういう要因かというのはおわかりいただけると思います。

田嶋委員 以上で終わります。ありがとうございました。

富田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会、伊東信久です。

 質問の時間をいただき、ありがとうございます。

 本日は、経済産業大臣であります茂木大臣の所信に関する質問をさせていただきます。

 早速なんですけれども、大臣が所信表明の中で最後にオリンピックのことに触れられておりまして、そのときにこのようにおっしゃいました。今こそ、バブル崩壊以降、長く続いたデフレによって失われた自信を取り戻し、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本が再び飛躍していくときですと。

 私、昭和三十九年、一九六四年の一月の四日生まれでして、東京オリンピックの年に生まれまして、ちょうど一月で五十歳になりまして、東京オリンピックからもう五十年たったんだなということです。

 私、最初は大阪の公団に親子三人で住んでおりまして、うちの父親は、船に乗っていまして、タンカーに乗っていました。その会社が潰れてしまいまして、ゼネコンに再就職しました。

 私の住んでいた公団というのは、お風呂もなく、銭湯に通っていまして、周りは割とそういった経済状態の家庭がいてたわけなんですね。ただ、幼稚園のころぐらいからテレビが、まだ白黒テレビでしたけれども、当時、テレビで「仮面の忍者 赤影」とか「リボンの騎士」を見ていた記憶がございます。

 決して今に比べて裕福な時代ではなかったのかもしれません。町中も、今のようにネオンが輝く、そういった都市では、都市部と地方部の違いもありますけれども、大阪の市内においてもそういった明るいところではなかったです。だけれども、人々は非常に希望に満ちあふれていました。日本の経済に対する、日本に対する何かしら期待感というのを子供ながらに持っていたように感じます。

 そこで、大臣は東京オリンピックに向けて日本が再び飛躍していくときとおっしゃられましたけれども、大臣のお気持ちとして、どのような手法やイベントで日本の新たな飛躍につなげようとされているのか、教えてください。

茂木国務大臣 委員には、まず、不惑の年を迎えられたこと、心からお祝いを申し上げる次第であります。

 昭和三十九年、東京オリンピック、まさに日本が高度成長期真っ盛りでありまして、きのうよりもあすがよくなる、「ALWAYS 三丁目の夕日」の世界に展開されるようなものが見られ、十月十日に始まりましたオリンピック、重量挙げの三宅義信の金メダルに始まりまして、レスリング、柔道、そして女子バレー、東洋の魔女の活躍、大松監督さらには河西キャプテンのもとで金メダルを獲得した。やはり、日本に大きな勇気、そういったものを与えたのではないか、こんなふうに思っております。

 二〇二〇年、オリンピック・パラリンピックの東京開催が決まりまして、日本が長引くデフレから脱却をし、もう一度、勇気、そしてまた感動、さらには自信を取り戻す、こういうきっかけにできればまさにアベノミクスにとっても四本目の矢になる、こんなふうに我々は考えているところであります。

 二〇二〇年には、恐らく、世界各国から多くの皆さん、アスリートの皆さん、競技関係者の皆さん、観客の皆さん等お越しをいただけるのではないかなと思っておりまして、東京だけではなくて、観光であったりとか関連行事、さまざまな好影響が全国各地に広がる、こういったことを期待いたしております。

 そういった中で、日本のすぐれた生活文化であったり、都市インフラ、さらには新たな産業、きめ細かなサービス、こういったものを全世界に発信していく機会にしていきたいと思っております。

 ぜひそういった日本のコンテンツ、さらにはサービス、日本食等のクールジャパンに直接触れて、そのよさを世界の皆さんに実感していただく機会にしたい。

 同時に、委員御専門の医療の分野におきましても、日本はこれから健康長寿を目指していく。日本にとりまして少子高齢化というのは大きな課題でありますが、その課題を乗り越える中で、さまざまな医療技術であったり、サービスであったり、また関連します機械であったりとか、発展の可能性があるものも世界に展開できればと思っております。

 同時に、ICT、ITの活用によりまして、さまざまなコミュニケーションの機会、こういったものも拡大できるような機会にできればと思っておりまして、六年後に迫ってまいりました東京オリンピック・パラリンピック、もう一度日本が輝きを取り戻す、こういうきっかけにしていきたいと思っております。

伊東(信)委員 私の年齢に触れていただいて、ありがとうございます。ただ、実は今からのお話にも関係してくるのですけれども、たしか不惑は四十歳であって、私、もうちょっと年上でして、五十になりまして……(茂木国務大臣「失礼しました」と呼ぶ)いいえ。

 実は、不惑の惑という名前を二文字重ねて、惑惑クラブという四十歳以上のラグビークラブがありまして、そこに私は所属しています。四十代までは白パンなんですけれども、五十歳から紺色のパンツを着てやりまして、私、一月から紺色のパンツになったわけなんです。(発言する者あり)赤くなります、六十歳から赤くなります。七十歳は黄色になって、紫になって、金色。

 そんな話はさておきまして、私自身、今もラグビーをやっているんですけれども、ワールドカップ成功議連とオリンピックの成功議連、二つのバッジをつけさせていただいておるのです。二〇一九年にワールドカップがございまして、二〇二〇年に東京オリンピックがあるのですけれども、東京オリンピックの競技の中に七人制ラグビーというのがございます。

 ラグビーというのは、御存じの方も御存じじゃない方もおられると思うんですけれども、十五人でやります。十五人から七人に、半分以下に減ったところでそんなに違いはないと思われる方もおられるんですけれども、このスポーツはサッカーとフットサル以上に違いがございます。ラグビーの盛んな南半球もしくはヨーロッパの世界では、国の代表選手も、全然違う教育であったり、もちろん両方の能力を兼ね備えた選手もいますけれども、少し違ったトレーニングをしたりします。日本ラグビー協会においても、七人制ラグビーの選手の強化に向けて、また別のプロジェクトが動いております。

 くしくも、私の選挙区でありますところの大阪十一区、枚方市、交野市は、非常にラグビーの盛んな都市でございます。もちろん大阪は花園という高校ラグビーの聖地があるのですけれども、高校ラグビーフットボール大会におきまして、ことしの一月、幸いにして、東海大仰星高校という枚方市のラグビーチームが全国優勝しました。東海大仰星のライバル校はたくさんあるのですけれども、同じ枚方市内にもまた、常翔啓光学園という二十年間に十度ほど優勝したラグビーチームもございます。

 こういったところで、なぜこの枚方の地がラグビーが強いかというと、ラグビースクール、中学校の子供たちのラグビー教育が非常に充実しております。毎年六月にラグビーカーニバルという、お子さんから社会人までのラグビーの試合のイベントがあるんですけれども、この間の地元のラグビー協会の理事会におきまして、オリンピックに向けまして、思い切って高校、大学、社会人の大会から七人制ラグビーの大会にシフトしていこうというプロジェクトが始まりました。

 この試みというのは、恐らくラグビーカーニバルの中でも新しい試みだと思うんですけれども、これはやはり一つは、少子化に向けて、十五人でやるというのはなかなか困難なスポーツであるということもあるのです。もう一つは、潜在意識の中で、七人制のラグビーを子供たちの中に、教員の中に、もしくは御父兄さんの中に、市民の中に浸透させていこう、そういったプロジェクトがありまして、枚方市、交野市では、各国の選手が来られるわけですけれども、特に七人制ラグビーの代表の方はウエルカム、そういった体制が整っておるんです。

 冒頭の御質問の中で、茂木大臣、しっかりとお答えいただいたんですけれども、そういったイベントとか、我々はラグビーというツールを通じての広報活動みたいなものなんですけれども、そういったイメージで、このオリンピックに向けて、日本の新たな飛躍につなげようとされている具体例など何かおありでしたら。

茂木国務大臣 組織委員会の委員長はラグビーもやられていた森元総理が務めるということでありまして、やはりスポーツの祭典でありますから、それにふさわしいような環境も整えていかなければいけない。同時に、さまざまな練習であったりとか、東京に限らず、コンパクトな競技ということでありますけれども、全国の施設も活用できる、こういった形で、この東京オリンピック・パラリンピックが全国に波及効果をもたらせれば、こんなふうに考えております。

 東京都が試算をしましたオリンピックの経済波及効果三兆円のうち、ちょっと数字が確かじゃありませんけれども、東京都が一・七兆に対して、その他の地域は一・三兆の経済波及効果が見込まれる、このような試算であったと思っておりまして、地域にもこの効果が十分発揮されるよう、最大限努めていきたいと思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 ぜひとも本当に政府と各省一丸となりまして、オリンピックに対してのレクなり通告をするときに文科省の方が来られるんですけれども、やはり経済産業省としても、政府一丸となって、オール・ジャパンで、このオリンピックに向けて、私が幼少期を過ごした日本の社会のように活気を取り戻していただけたらと思っております。

 さて、質問はまたがらりとかわりまして、同じく大臣の所信表明の冒頭で、東日本大震災について触れられました。その中で、大臣は、「地元の皆様と十分に協議をし、福島復興の道筋を具体化していきます。また、新たな住宅確保や精神的損害にも賠償範囲を拡大するなど、迅速かつ適切な賠償を進めます。」と。

 またという接続詞は、オアでもアンドでも、英語にすると両方に捉えられると思うんですけれども、この場合はアンドの方だと思うんです。

 この「精神的損害にも賠償範囲を拡大」というのがちょっと私自身わかりにくかったんですけれども、精神的損害の定義を具体的にお答えいただけたらと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会というところで、中間指針の第四次追補が出ました。その中で、今回の精神的損害の一括賠償というものの追加という考え方が示されたわけでございますが、精神的損害ということにつきましては、「長年住み慣れた住居及び地域が見通しのつかない長期間にわたって帰還不能となり、そこでの生活の断念を余儀なくされた精神的苦痛等」、こういう形で、それに対して一括して賠償するという方針が示されたところでございます。

伊東(信)委員 長年住みなれた場所において生活できない精神的苦痛、これに対しての損害賠償というところなんですけれども、一つは、帰還困難区域といっても範囲が広くて、区域内での分類もありますけれども、まずは一律の算定額にするのでしょうか。もしくは、精神的損害に対して認定基準というのをつくられるのでしょうか。お答えいただければと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、そもそも原子力損害賠償紛争審査会というものの役割でございますが、これは原子力損害の賠償に関する法律に基づいて事務を行っております。基本的に、紛争審査会は、当事者による自主的な解決に資する一般的な指針の策定というのがその業務になっているわけでございます。

 その一般的な指針の策定という業務の中で、今回、先ほど申し上げました精神的損害ということに対しまして一括七百万円というものの追加が示されたわけでございますけれども、これはそういった一般的な指針ということでございますので、当然ながら、個別の具体的な事情により上回るということもあり得るものだと理解をしております。

伊東(信)委員 被災者の皆様に対するお気持ちの面というのは本当にお悔やみ申し上げますし、その御苦労というのははかり知れないものだと思いますし、我々政治家もそのことは真摯に受けとめなければいけないと思っております。

 しかしながら、損害賠償という範囲において、精神的損害という言葉は非常にあやふやな定義でございまして、やはりお気持ちを察するということと精神的損害という言葉は非常に慎重に使わなければいけないというのが、医療の現場にいます私の思いでございます。

 司法の先生、五名の方とヒアリングしたんですけれども、それに加えて経産省のレクの中で、いわゆる交通事故の死亡の損害賠償を基準にして算定されたということで、今回、医療における自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書というのを持ってきました。

 1から10まで、「各部位の後遺障害の内容」というのがございまして、1のところが「精神・神経の障害 他覚症状および検査結果」になります。ところが、これがほとんど神経学的でして、手が動きづらいとか動きにくいとか動かないとか、感覚が鈍くなっているとか、もしくは、脳波の検査も具体的に記入してください、精神的な面、知能的な面では、知能テスト、心理テストなどの検査結果を記入してくださいということです。

 心労という言葉でいうと、これは自覚的症状になります。「自覚症状」というのは、「各部位の後遺障害の内容」の一つ上の狭い空欄の中だけです。交通事故におきましては、例えば眠れないとか不安を感じるとか、そういったこともこの「自覚症状」の中に書いてあります。

 もともと法的基準がない中で精神的損害というお言葉を使われるというのは、やはり、収束を加速させるというか、きちっと損害を賠償するのであれば、もっと物質的なことの方がいいのではないかと思っております。

 判例におきましてこういった精神的損害を賠償するのですけれども、この精神的損害というのは一回にしまして大体数十万の値になります。交通事故とは関係ないような判例でありましたら、例えば離婚訴訟の場合は、一番高くて精神的損害が二百万ということです。

 しかし、このことも明確な法的基準はないということで、政府が使う場合でありましたら、やはりこういった損害賠償も国民の皆さんの税金を使うのでありますから、この精神的損害というお言葉は慎重に使われた方がいいのではないかというのが私の考えですけれども、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 さまざまな問題に対しまして、言葉というのは極めて重要だと思っておりますし、また、その意図するところが正確に伝わらなければいけない。御意見を真摯に承りたい、そんなふうに思っております。

 その上で、ロシアの文豪のトルストイも「アンナ・カレーニナ」の中で、幸福は平凡で同じようだ、しかし、悲しみはそれぞれに異なる、このように述べております。まさに精神的損害につきましても、それぞれの事情に合った形できちんと対応する、こういったことが大切だと思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。本当に賢明なる茂木大臣のお言葉、深く受けとめました。

 では、また話題をかえまして、同じ段落の中で、「迅速かつ適切な賠償を進めます。」とおっしゃった後、「甚大な被害を受けた地域の再生に向けて、商業機能の回復や、成長が見込まれる分野における産業の誘致による雇用の創出を図り、また、廃炉研究や」、ここまではいいんですけれども、午前中の答弁の中にも再三出ていたんですけれども、「ロボットの開発実証のための拠点整備などについても検討を進めます。」ということで、復興とロボットの開発実証のお話をされたのです。

 これはどのような種類のロボットですかというような御質問で適当かどうかわかりませんけれども、このロボットの開発実証のための検討を進めますとおっしゃった真意を教えてください。

茂木国務大臣 福島第一原発におけます深刻な原子力事故、この廃炉・汚染水対応、これは御案内のとおり世界にも前例のない困難な作業でありまして、技術的に難易度の高い対策、研究開発については、世界の英知を結集しながら国も前面に立って取り組みたい。

 そこの中で、廃炉に向けて、遠隔で建屋内を調査するロボットや除染を行うロボットなど、さまざまな遠隔操作ロボット、これは放射能の関係でどうしても開発が必要だと考えておりまして、例えば、昨年十一月には、水上ボート型のロボットによりまして、一号機の格納容器の下部から水が漏れているのを実際に確認する等の成果も得られているところであります。

 こういった遠隔操作ロボット、研究開発拠点と申し上げたのは、いずれにしても、まずは福島第一原発の廃炉における活用を最優先課題として取り組むべき、こんなふうに考えておりますが、その上で、廃炉のために開発された技術が、例えばレーザーメスのように医療の分野であったりとか、さまざまな産業分野に今後将来的に幅広く応用される、こういったことも期待をしたいと思っております。

 アポロ計画、これは、人類を月に送る、壮大な一九六〇年代の計画でありました。アームストロング船長の、自分の一歩は小さな一歩だけれども、人類にとっては大きな一歩である、こういう言葉が印象に残っております。そこで開発をされました素材の技術であったりとか、またLSIの技術であったり、燃料電池の技術、こういったものは、その後、幅広く産業分野、民生分野にも応用されたわけであります。

 まずは廃炉をしっかりと進める、そのために必要な技術を開発する、それが将来的にはさまざまな分野に応用される、こういったことについても期待をしたいと思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 ロボットについて、遠隔操作ロボットだということなんですけれども、もう一枚差し上げている資料の中の三番目のところの、救助活動のロボットの応用だと思うんです。しかし、一見して、これはやはりロボットというには、まだリモートコントロールするデバイスという感が否めません。

 やはりロボットというイメージは、人型ロボットというわけじゃないんですけれども、そんな中で、ちょっと時間もなくなってきているんですけれども、科学技術・イノベーション特別委員会で、昨年、筑波大学の山海教授の開発しているロボットスーツのHALを見てきたんです。これは、いわゆる人間の機能を倍増させるサイボーグ型ロボットという言葉の方が正しいのかどうかもわかりませんけれども、実際にそのスーツを着ることによって、力が倍増するし、放射能が内部に入ってくるのも防ぐことができる。そういったことも考えていただきたいということです。

 これは、今はハイリスクの研究ではあるけれどもハイリターンな研究であるところの資料を欲しいと文科省に言ったところ、この資料が出てきました。しかし、このような既存の資料だけだったら、インパクトにはならないと思うんですね。

 なぜ文科省の話をするかというと、去年の産業競争力強化法案のときに茂木大臣にお願いしたように、シーズからニーズにというのが科学技術にはあるんですけれども、やはりニーズの世界を、応用する、茂木大臣がリーダーシップをとってこういった産業とか新しい科学技術を引っ張ってほしいという思いを込めて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 ことしもまた経済産業委員会が始まりましたので、大臣、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。

 きょうは所信に対する質問ということでありますので、細部にわたってはまた後日ということで、本当に大臣の基本的なお考えについていろいろお伺いをしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 昨年、経済産業委員会のメンバーで九州の方に視察に行ってまいりまして、八丁原とかいろいろなところの地熱発電とかいろいろ見てきたんです。熊本で商工会議所を初めいろいろな商工団体の方と、知事も御一緒でしたけれども、いろいろお話をしている中で、熊本がいかに元気かという話をお伺いしたんですが、ちょっと一つ気になることをおっしゃっていたんですね。

 それは、昔、高度成長期のころに、熊本、九州から東京を中心に人が、どんどん若い人が出ていって、空洞化みたいになっちゃったんだけれども、その後、人が少し落ちついたんだけれども、アベノミクスで景気がいいのはいいし、オリンピックが来るのもいいけれども、そうするとまた昔のように東京に人が行っちゃうんじゃないかなと思って心配しているんですよ、こういうことをおっしゃっておられて、それがちょっと気になっていまして、戻ってきていろいろ見ていたんです。

 総務省から住民基本台帳人口移動報告というのが出ています。ここで首都圏にどれぐらい人が入るかという推移がありまして、これを見ていましたら、実はおっしゃるとおりなんです。

 高度成長期、東京に物すごい人口が入っていて、それから一旦おさまっているんですけれども、バブルのころにまた流入がふえて、バブルが崩壊した後ぐっと減ったんです。その後、小泉・竹中改革のときにまたどんどん流入がふえまして、ピークの時期で年間十五万人ぐらい首都圏に行っていますけれども、リーマン・ショックが起きたら、きゅっとまた人口の移動が減りまして、年間六万人まで減りました。十五万人から六万人まで減りました。

 昨年、約十万人に一気にふえています。つまり、アベノミクスで景気が上がったことによって何が起きているかというと、人口が都市部に集中しているんですね。

 私は、実はこれは非常に光と影の部分だと思っていまして、我が党も基本的に経済政策は同じような考え方でいますけれども、この政策で景気がどんどん回復すればするほど、過疎化が加速する、都市化が加速する、間違いなくそういうことが起きると思います。ほっておけばそういう流れができてきてしまうので、ですから、やはり地方に対する施策を打っていかないとまずいなというふうに思っているんです。

 そこで、ちょっとお伺いしたいのは、今回、小規模基本法が出てきますし、商工会や商工会議所を応援する法案も出てまいります。もちろんそういうことも大事なんですが、それと、今いろいろ新しい産業を生み出そうということで全国展開をされている、これも方向としては間違っていないとは思いますけれども、そうではなくて、地域ごとの産業政策というのを少し考えなきゃいけないんじゃないかなと思っているんですね。

 こういう地域にはこういう産業を興させるんだ、都市部にはこういう産業を興させるんだというような、産業別じゃなくて地域別の産業政策。地域のお店の方を応援するだけじゃなくて、例えば山間地にはこういう産業の政策をとったらいいとか、やはりそういう細かい政策のすみ分けをしていかないと、景気が回復するほど過疎化がどんどん進むということが起きるんじゃないかなということを非常に私は思っておりまして、その点について大臣がどうお考えか、まず御意見をいただきたいと思います。

松島副大臣 今委員がおっしゃるとおり、景気がよくなるとどんどん首都圏に人がふえていく。しかし、それぞれの地域ごとの特色を出していかなければいけないというお話だったと思います。

 去年の秋以来、内閣官房が主導いたしまして、日本再興戦略に基づいて、全国九つの地域ブロックごとに地方産業競争力協議会というのを開催しております。国と地方が一体となって全国各地の生の声を伺って、その地域ブロックごとに、どのような活性化策を立てるか、そういうことを検討している次第でございます。

 経済産業省といたしましても、例えばこれは北海道の例でございますが、北海道は、もう御承知のように農林水産業そしてまた観光といった魅力を持っております。そこで、北海道経済産業局が今月の二十六日から、中東、ドバイとカタールに、経済産業局として局長が引っ張っていく形で、北海道のお菓子工業とか農業、水産業の方々、四十二人、一緒に売り込みに行く。そして、現地で商品をアピールすると同時に、中東の方々は甘いものが好きなので、お菓子でも、どういうふうにするとか知恵を絞って、一回行くというだけでなしに、そこで販売のルートを見つけてくる、そういったことを行う。同時にまた、観光、雪に対する憧れが非常に強い地域ですので、それをアピールしてくるということをいたします。

 また、それの国内版としましては、北海道が六月の初めに、在京の、東京にいる中東六カ国の大使を北海道のスキー場でありますルスツに招いてまた魅力をアピールする、そういうこともやって地域としての特性を生かしていく。

 また一方、その対極にありますのは沖縄ですけれども、沖縄では、国際物流拠点、那覇空港に貨物の航空便が全国から集まったのを、ここへ集めたら東南アジアなどに速やかに飛行機で送る、そういう拠点をつくって沖縄の特性を生かす。そうやって雇用を生み出す。

 そしてまた、さっきの北海道との関連でいいますと、北海道と沖縄で相補って、北海道のお菓子のメーカーに石垣島の黒糖を使ってもらったり、宮古島産のマンゴーを活用したゼリーなどを北海道のメーカーがつくる。そういったような形の地域間の連携というところも進んでいる次第でございます。

 これは単なる例示でありますけれども、各地域ごと、ブロックごと、そういった産業の振興を図ってまいりたいと考えております。

今井委員 そういう類いの取り組みをされているのも承知しておりますけれども、人口移動を見ながら、またここのところは小まめにやっていただきたいと思うんですね。

 今回の予算を見ても、公共事業の金額が、補正も入れるとかなりふえています。もちろん、地方の公共事業、建設業界というのは雇用の大きな柱の一つでありますから、そういう人たちを守るという意味で、しかも、今回、雪の被害もあったりして、やはりそういう意味においては建設業界というのは大事なんです。ただ、建設業界を維持することは大事ですけれども、実際にそこで雇用をふやしていくのは、もうこれからは限界があるんですね。

 ですから、それはそれとしながらも、やはり新しい産業をつくっていってもらわないと、どうしても公共事業にかかわる雇用に依存して、地方がそこから脱却できないと、ますます地方は疲弊する。だから、私は、そこのところは大きく考え方を変えないと、道だけできて人がいなくなっちゃうということになりかねないという本当に危機感がありまして、ぜひまた議論させていただきたいんですが、そこのところをぜひこれからも御認識いただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 次に、先ほど近藤委員が少しお話をされていましたが、日本の産業構造について大臣の御見解をいただきたいんです。

 御案内のとおり、去年一年間で経常収支は三兆二千億という黒字でしたけれども、十年前は十八兆円黒字でありましたから、急激な減り方をしております。それで、ことし一月の貿易収支がこの間出ていました、二兆八千億円ぐらいの赤字でしたけれども。今のペースでいきますと、二〇一四年は経常収支が赤字になる可能性が非常に高いです。

 これは予算委員会でもいろいろ議論がありまして、甘利大臣も答弁されていましたけれども、一つは、価格が向こうで下がっていない、つまりJカーブ効果がきいていないということなんです。でも、一年たっていますから、そういう意味においては、Jカーブ効果は半年ぐらいで起きるというのが今まで定説でしたので、それが依然として起きていないということは、これはもう少し分析する必要があると思っています。

 みずほ総研がレポートを出していますけれども、みずほ総研が計算したら一年半ぐらいかかると。なので、Jカーブ効果はこれから出てくるという楽観的な見方も実はあるんですが、でも、ここの部分はこれからよく分析しておかないといけない。

 もう一つ、これはちょっと違和感がありまして、海外の景気が余り伸びていないので伸びないんですとおっしゃっていました。ちょうど同じときに、黒田総裁も、そうなんです、東南アジアが伸びていないので、そこへの輸出が伸びていないのでこういう現象が起きているというふうにおっしゃっていました。

 東南アジアの成長率も確かに前年よりは多少落ちています。全体でいうと〇・二、三%ぐらい落ちていますが、成長率の幅でいったらほとんど同じなんですね。ですから、前年からそんなに大きく下がっているわけではありませんし、事前予想とも余り変わっていないんです。だから、それを伸びない理由にしてしまうのは、これはちょっと無理があります。

 安倍総理が、参議院の本会議の代表質問に対する討議で、この現象をどう思われますかと問われましたけれども、これは一時的な現象だと捉えているというふうにおっしゃられました。私は、この問題意識は、ちょっと危機感が弱過ぎるんじゃないかなと思っているんですね。

 先ほど申し上げたように、十年前は十八兆円の経常収支の黒字でした。当時の為替レートは今よりも円安です。今、この一年間で円安になったことによって貿易収支が赤字になっていったということも言われていますけれども、もちろん輸出の数量が余り伸びていないという問題もありますが、そもそもは、やはり自動車なんかはもう三分の二が海外でつくっているわけですね、こういう産業構造に変わってしまったことによって、円安になればなるほど実は日本は交易条件が悪くなるし、あるところから円安というのは日本にとって非常に悪い効果を出してくる。

 私は、ずっと為替相場をいじっていましたので、為替が経済に与える影響というのはある程度わかっているつもりですけれども、ここまではいい影響でありましたが、恐らくここからは、この産業構造を変えない限り、ここから極端な円安になっていきますと、日本にとっては実はマイナスになるんじゃないかなと思っているんです。

 さらにまずいと思っていますのは国債市場なんですが、トレジャリーの話です。今日本は、国債の消化が、日本人の保有率が大体九割を超えていますし、日銀がほとんど買ってくれているので安泰であります。しかも、日本はホームバイアスが強い国ですから、お金を国内で投資する、こういうこともありますけれども、もう一つ、日本の国債が安定している理由は、経常収支が黒字だからなんですよ。これで日本の信用があって、国債というのは非常に安定しているわけです。

 ですから、これから経常収支が赤字になっていくということが常態化すると、日本の国債市場が壊れてしまうリスクが顕在化しかねないということになるんですね。これはマクロにとって非常に危険な状態でありまして、この状態は回避しなきゃいけないと思っているんです。済みません、僕ばかりしゃべっていて。自分の問題意識なんですけれども。

 そうすると、今後、景気が落ちたときに、景気を浮揚させようと思ってさらなる金融政策に頼ると、円安が加速して、しかも最終的には国債市場に影響を及ぼすということが回り回って起きかねないというふうに思っていまして、だからこそ、ここからは余り金融政策に頼るべきではないというふうに考えておるんですね。

 この辺も含めて、今の日本の産業構造、それと為替相場が日本に与える影響、今後円安になっていくことへの懸念。この辺について大臣はどうお考えか、お答えをいただきたいと思います。

茂木国務大臣 委員御案内のとおり、安倍政権として、金融政策だけに頼るわけではない、三本の矢、これを力強く射込むことによって日本の景気を回復していく。一本目が確かに大胆な金融緩和、二本目が機動的な財政運営でありますが、今強調させていただいておりますのは三本目、民間投資を喚起する成長戦略、ここに力点を置きながら日本の経済の再生を図っているところであります。

 日本の産業構造のあり方についてということでありますけれども、産業構造といいますと、例えば造船業を持っていたり鉄鋼を持っていたりという感じなんですけれども、それぞれの産業で事業構造が大きく変わってきているんだと思います。

 例えばエレクトロニクス、こういった業界を見てみますと、八〇年代まではメーンフレームの時代でありました。それが九〇年代からパソコンの世界に入り、そしてまたインターネットの世界に入っていくという中で、かつての業界における垂直統合、こういったビジネスモデルが壊れて、水平分業の中で強い部分を持ったところが勝つような、グローバル競争の時代に入っている。自動車は若干違うんだと思いますけれども、この組み立て全てを国内でやる、サプライチェーンが国内で完成をするというものから、サプライチェーンがアジアを含めてグローバルに広がるという構造に変わってきていると思います。

 恐らく、新興国を初めとする景気の減速、全体としての数字で例えば〇・数%ではないかということでも、日本として、輸出をする品目であったりとか分野、こういったことをもう少しきめ細かく分析して、為替レートの影響もはかっていく必要があるのかなと思っております。

 その上で大切なことは、そういったキーコンポーネントであったりとか、核になる技術であったりとかソフトをきちんとやはり日本が押さえられるか、それで競争力を維持できるか、こういうことにかかってくる。まさに昨年成立をいたしました産業競争力強化法、これも、日本経済が持っています三つのゆがみを是正することによって、そういった意味での日本の競争力の回復を図っていきたい、こんなふうに考えております。

今井委員 きょうは、ぜひ私の問題意識を共有していただきたかったということでお話ししたんですけれども、二〇一五年のプライマリーバランス、五年前のGDP比半減、恐らくこれはできる。数字を私も計算してみましたけれども、よほど成長率が落ちなければ達成できそうだなという感じはいたします。

 ことし、八%から一〇%に消費税を引き上げることを判断されるとおっしゃっておられましたけれども、これはやらないといけないと思いますよ。ここでやらないという選択をすると、国債市場から本当に信頼を失う。歯を食いしばってもやはり僕は上げるべきだと。よっぽど金融危機が起きて世界がおかしくなっている、それはしようがありません。ですけれども、成長率が少し見込みより低いからといって上げないでいると、将来に禍根を残すと私は思いますから、ここはやはり毅然として決断していただきたい。これは日本国のためだと思っているんですね。政局ではなくて、財政再建というのは非常に重要であります。

 先ほども言いましたように、やはり経常収支の動きは本当によく見ていただきたいんですね。そうしないと、最終的には国債市場にもかかわってきます。

 それと、黒田総裁は日銀の出身でありますからよく御存じだと思いますけれども、これは出口が非常に難しいんですね。出口というのは、これはもう御案内だと思いますけれども、インフレになって金融引き締めになったら、やはり国債を売らなきゃいけないときが来るわけです。そのときにどうしておかなきゃいけないかといったら、財政を締めておくことなんですよ。

 財政を締めておけば、金利の上昇は一定程度でとまります。でも、そこを緩めておくと、本当に際限なく金利が上がるという最悪の事態になりかねませんので、別にきょうあしたという話ではありませんが、その辺の全体観をぜひやはり政権を担う方はしっかりよく考えてやっていただかないと。

 僕は変なあおりをするつもりはありませんが、日々日々そういういろいろな指標が悪化の方に向かっていることは間違いないんですね。いつかそういうことが起きかねませんので、それをぜひ、またこういう場でもお話しさせていただきたいと思いますけれども、やはりよく数字を、本当にJカーブ効果が上がってくるかどうか、いろいろなことも含めて、よくデータを見て確認していただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってしまいましたので、あと、先ほど車の話がありましたから、これも、私もこの委員会で大臣に軽自動車税を上げるのはいけませんよということを申し上げて、大臣も負担がないように頑張るとおっしゃっていただきました。たしか民主党の大西健介さんの質問のときにも同じことをおっしゃったんじゃないかなと思いますけれども、いろいろなほかの省庁との関連もあってそうならなかったのは残念であります。

 ですが、ひとつぜひ考えていただきたいのは、先ほど都市化の話をしましたけれども、都市化をすると人が都市に集まってきますね。今、都市に集まっている若者は車を持たない。それはいろいろなライフスタイルの変化もありますけれども、やはり駐車場代が高いし、コストが高いんです。

 どっちかを下げるのでどっちかを上げるという車の税の中だけでやりくりをしていると、国内での自動車の需要が恐らくどんどん減っていってしまいます。ですから、輸出だけじゃなくて国内の販売を伸ばそうと思ったら、今までたくさんある自動車にかかわる税、この中での入り繰りではなくて、やはり純減をしてユーザーの実質的な負担を下げてあげる、このことをやっていくことが非常に重要だと思っておりますけれども、その辺について、最後に大臣に御所見をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 自動車は日本の産業としても極めて重要でありますし、国民生活上も、自動車の存在、地方も含めて極めて重要な役割を果たしている。そこの中で、取得、保有、そしてそれを運転、さまざまな段階で複雑な税制が絡んでいるということであります。

 幅広い視野から、車体課税全体の見直し、ユーザー負担が軽減される方向でしっかり検討していきたいと思っております。

今井委員 今の点は、とにかく、田舎の人たちに余り負担を、特におじいさん、おばあさん。いつも私は申し上げるんですけれども、東京で車を見ていても軽自動車というのはほとんど見ないんですね。まして軽トラックなんて見たことありませんよ。でも、私のところに行ったら軽トラックが当たり前ですから。自分のもうほとんど足です。軽というのは実は地方にとって大事ですけれども、東京を見ていただいて、軽トラックなんか本当に走っていないんです。走っていませんよ。見たら、宝くじが当たったぐらいのもので、なかなか当たらないと思いますので、やはり、そういうところの配慮ということと、それから、自動車産業全体を伸ばすためには、所有負担あるいは使用負担を減らしてあげるということもぜひ考えていただきたいと思います。

 まだ一分ほどありますけれども、ほかの質問をやると一分過ぎてしまいますので、これで終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。よろしくお願いいたします。

 昨年に引き続きまして、今通常国会も何とぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、大臣の御所信にかかわる質問ということで、お話をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、午前中に枝野委員から質問があったんですけれども、中小企業対策、小さな企業対策ということで大臣の方からコメントがあって、その中で四つほど重要視されているところがあると。その中で、私、二つは本当に重要だなと思っておりまして、一つが新陳代謝、それから国際展開。この二つは特に私は重要なんじゃないかなと。

 特に新陳代謝に関しては、雇用の流動化、人々がしっかり自分の特性に適した職場で働けるようにして、産業全体を盛り上げていくということ。それから国際展開。これは、当然のことながら、先ほどもお話がありましたが、経常収支、三兆二千億ほどの黒字ということで、どんどん下がっている状態、こんな中では、やはり外貨を獲得していくような方策が非常に私は重要なんじゃないかなというふうに思っております。

 特に国際展開のお話を少しさせていただきたいんですけれども、私の地元でございます大阪の豊中市は、大阪国際空港、いわゆる伊丹空港のある地域でございます。ここで、よく地元で言われることがあるんです。大阪国際空港という名前がつきながら国際線は既にもうほぼ飛んでいない状態になっている、何とか国際線を飛ばすようにするんだというお話をされているんですね。

 私もそういうふうになればいいなとは思っているんですけれども、心の中にあるのがどういうことかというと、とにかく国際線が飛べば地域の産業が発展するんだというような考え方が結構多いんです。私は、ただそれだけじゃだめなんじゃないかなと。

 まずは、その地域周辺の産業がしっかりと、海外に向いた形の仕事ができる、そういう環境をつくって、しかも、経済がある程度発展していかなければ、海外の人たちは誰も見向きもしませんし、そういう中で、まず最初に空港だけ、国際線を飛ばすんだといっても、なかなか実現しないというふうに私は思っております。これは、鶏が先なのか卵が先なのかというふうなお話があるのかと思うんです。

 そう頭の中で考えながら、大臣の先日の所信表明を見せていただいていて、非常に頼もしいというか、うれしい思いをしておりました。

 というのは、しっかりと中小企業対策を打っていくんだ、それから、国際特許であるとか、そういうこともやりやすくしていくんだというようなお話であるとか、あとは産業競争力強化、これは去年私ども審議させていただきまして先月施行したものですけれども、世界に羽ばたいていけるような、そういうものを後押しするような国の政策がどんどん出てきたことが私としては非常にうれしいなというふうに思っております。

 まずここで切らせていただいて、今、私が考えていた、地元の話になるんですけれども、そういう空港の話であるとか、大臣が思われているところというのを少し、通告で詳しくはお話ししていませんでしたが、もしよろしければお話しいただけますか。

茂木国務大臣 私の地元には、木下先生の地元と違って空港がございません。新幹線も通っておりません。地元選挙区内の鉄道は全て単線です。しかし、地元には、世界の航空機メーカーに部品を提供するすぐれた中小企業もあります。やはり、世界から求められるような技術を磨く、こういったことが日本のものづくりの基本になるべきだ、こんなふうに私は考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、やはり地元の産業をどんどん振興していく、これを後押しするということが非常に重要になるのだろうと思います。

 ただ、私は、そこでもう一つ、この御所信に関して注文をつけさせていただきたいなと思っていることがございます。

 それは、日本国内の企業の国際展開。これについては、非常にわかりやすく、ああ、すばらしいなと思ったんですけれども、先ほど言いました貿易収支の話であるとか、そういうことを考えると、これは他省庁でもお話がされていますけれども、逆に、外資をどんどん呼び込んでくるようなことをやっていかなければならない。

 これは、政府としてはいろいろなことが叫ばれておりますけれども、国家戦略特区であるとかそういうお話はあるけれども、できれば、経済産業省、経済産業大臣として、所信の御表明の中で一言でも触れていただければよかったかなというふうに思っているんです。その点についてもう一度お話しいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 限られた時間の中での表明でありましたので、足りなかった部分もあるかと思いますが、今委員御指摘のような観点は極めて重要だと考えております。

 午前中の質疑では、日本を世界で一番企業が活躍しやすい国にと。その場合の企業、日本企業だけではなくて、海外から日本に投資をする、こういった企業についても活躍しやすい国にしていきたいと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 外資の話、もう少し突っ込んでお話をさせていただきますと、先ほどの産業競争力強化法、その中に日本のベンチャーキャピタルに対する税制優遇措置というのが書いてあります。

 私は、ちょっと手元で調べてみました。あと、経産省から資料などをいただいたんです。ベンチャーの投資動向ということで書いてあったのが、国内のベンチャーキャピタル九十社より回答ということで、年間の投融資額の推移というのを資料でいただきました。それを見ていると、二〇〇六年度には二千八百億ぐらいあった投資額が、二〇一二年度はもう千二十六億円と、相当下がっているということでございました。

 やはり、これをどんと底上げしていくんだというお話だと思うんですけれども、私は、一つ重要なのは、ベンチャーキャピタルは、日本の中で動いていくということも重要だけれども、同じように海外のベンチャーキャピタルが日本のベンチャー企業に対して投資をしていける、そういう仕組みをつくっていかなければならないんじゃないかなというふうに思っているんです。

 なぜそういうふうに思うかというと、私は、昔仕事をしていたときに、イギリスで同じように、ベンチャーキャピタルにお金を入れている、それを管理する仕事をしておりました。それはどうやってやっているかというと、お金を入れるだけじゃなくて、そのベンチャーキャピタルが持っているポートフォリオ、そこの会社を側面的に育てるような仕事をしていたんです。

 というのは、イギリス国内の要素技術であるとかそういったもので、これは先々いいなと思うようなものがあれば、そのポートフォリオの中から私がアプローチをかけていく。アプローチをかけて何をするかというと、日本の企業と結びつけていって、代理店契約を結ぶ。そうすることによって、私の仕事としては利益が上がるし、そしてそのベンチャーキャピタルの中のポートフォリオ自体も利益を上げていって、ベンチャーキャピタルの成績がよくなっていくという状態がつくれる。これを考えると、ただ単に投資だという以上に、これは最終的に貿易収支によい影響を与えるものになるんだろうと思っておりまして、当時もそう思っておりましたし、今回、これを見ていて非常にそう思う。

 では、その海外のベンチャーキャピタルから日本に対してどれぐらい投資しているのか、その辺の推移などについて資料はないかというふうに経産省にきのう聞きました。そうしたら、ちょっと資料がなかったようでした。

 私はこれは重要なことだと思うんですね。こういうことをしっかりと統計をとるようにして、どんどん日本に投資をしてもらう、そういう環境をつくるようなことを経産省として進めていっていただきたいと思っているんですけれども、その辺について御見解はございますでしょうか。

西山政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、まず、そもそも日本のベンチャーキャピタルに回る資金がそう太くない、特にアメリカと比べて太くないという実態はございます。

 ただ、私どももさまざまな統計を入手しております。足元では、特に昨年、二〇一三年には国内のベンチャーキャピタルも、全体のこういうマクロ経済環境の改善もございまして、相当程度新しいファンドが立ち上がってきているというのもまた事実でございます。

 そうした中で、これもまた今先生おっしゃられましたとおり、まず、ベンチャー企業そのものも、起業、業を起こす中で、やはりグローバルな視野というのがないとなかなか事業の発展が描けないということでございまして、ある意味では、ベンチャー企業そのもの、あるいはベンチャーキャピタルも、グローバルな視野を持つことが必要になってきているというふうに考えております。

 他方、例えばシリコンバレーのベンチャーキャピタルも、これはむしろあちらの事情でございますけれども、伝統的には、まさにシリコンバレーという言葉があるように、ベンチャーキャピタルから車で三十分以内のところにしか投資をしないというモデルがあったのも事実でございます。

 今手元に数字はございませんけれども、十年ほど前に幾つかのシリコンバレーのベンチャーキャピタルが日本に進出してまいりましたが、その後の状況の中で、残念ながら業容を縮小してきたのもまた事実でございます。

 そういうことの中で、シリコンバレーの中でも、日本に限らず、やはりベンチャーの発展はグローバルに考えるべきだということもだんだんふえてきているように考えております。したがいまして、私どもとしても、ベンチャー支援に当たりましては、常にグローバルな視野、ベンチャー企業そのものの発展、それから資金の流入についても考えたいというふうに思っております。

 先ほど御紹介いただきました産業競争力強化法のベンチャーファンドに関する税制につきましては、あれは日本の税制でございますので日本の中にファンドをつくっていただくことが必要になりますけれども、その資金の出し元、出元はもちろん国内の資金に限りませんということでございますので、そうした中で、ぜひそうした税制も活用してまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

木下委員 ありがとうございます。

 やはり今のお話のとおりで、どんどんこれは進めていっていただきたいなと。目線をやはりそういうところに持っていくことが日本の発展につながるんだろうというふうに思っておりますので、今回はあれですけれども、いつもそういう目線を、大臣は一番そういう目線を持っていらっしゃると私は信じておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、これも先ほど私の同志の伊東委員からお話があった中で大臣がお話しいただいていたんですけれども、言葉の重要性というのが非常に大きいというふうに茂木大臣がお話をされておりました。その点で、昨年も言わせていただいたんですけれども、私、この経済産業委員会のメンバーになりまして非常に幸せでございまして、いつも大臣の御博識をいろいろとシェアいただきまして、本当にうれしい限りでございます。

 そんな中で、所信表明の最後の方に出てくるんですけれども、昔の池田内閣の時代の所得倍増計画のお話を出していらっしゃいました。その中で、下村治博士が、「数年後に東京オリンピックを控え、高度成長への自信と不安が交錯する中で、日本経済の弱点を指摘する人々に対して、」というところで、日本経済をアヒルの子と思っているのではないか、実際の日本経済は美しいハクチョウとなる特徴を幾つも備えているにもかかわらずというふうに述べられたというお話を御披露いただきました。

 これから先、同じように、二〇二〇年に東京オリンピックを迎える。その中で、いかにしてあの当時と同じ、まあ同じであってはだめだと思うんですけれども、また違った意味で、何を目指して、どういうことを目指していこうというふうに、ここを捉まえて大臣が思っていらっしゃるのかというところ。それから、では、今の日本の経済として、美しいハクチョウとなる特徴と思われているものは何なのかということ。すごく大まかなお話で申しわけございませんが、その辺を大臣にお話しいただければと思います。

茂木国務大臣 美しいハクチョウ、ハクチョウが美しいかどうかはいろいろな考え方があるかと思いますが、少なくとも、アンデルセンはハクチョウを美しいものとして「みにくいあひるの子」を書いたのではないかな、こんなふうに思っております。もちろん、生物学的に何をもって美しい、こういう定義があるわけではありませんけれども、例えばクジャク、雄の方が色が鮮明でありまして、いわゆる目玉模様の数が多いほど雌を引きつける、こういうふうに言われております。広げたときに目玉模様が多い方がやはり魅力的に見える。

 では、このクジャクの目玉模様に当たる日本の強みであったりとか特徴は何か。

 さまざまなものがあると思うんですけれども、まずは私は、いろいろな意味で正確さというものはあると思います。例えば電車の発着時間にしても、さまざまなことが時間だけではなくて正確に行われる。さらには飽くなき向上意識。町工場においてもそうであります。常に品質改善しよう、こういった向上意識を持つ。それが集約された形で、日本の技術力であったりとか、そういう強みにつながってきているのではないか、私はそんなふうに思います。

 同時に、今日本は新たなエネルギー制約に直面をしておりますけれども、一九七〇年代、二度のオイルショックを乗り越える中で、世界に冠たる省エネ技術、省エネ製品、そして省エネ社会というのをつくってきた。まさに課題を乗り越える力、こういったものも日本は持っていると考えております。

 同時に、先ほども答弁を申し上げましたけれども、チーム力というのが極めて重要だ、こんなふうに思っておりまして、ソチ・オリンピックで銅メダルをとりましたスキーのジャンプ男子団体四人のきずなを見ても、感動を覚える人が多かったのではないかな。日本が持っているさまざまな強みが生きるような形にしなければならない。

 同時に、なかなかまだ、例えば先ほどのベンチャーの話もそうでありますけれども、大企業からのカーブアウトであったりとかスピンオフ、本来であったら潜在力があるんだけれどもその力が生かされていないもの、こういったものに光を当てたり、そういった能力が十分発揮できるような環境をつくっていくことが極めて重要だ、私はそんなふうに考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 クジャクのお話、非常に御博識があるところを御披露いただきまして、ありがとうございます。

 時間があと五分ほどしかないので、次に行かせていただきます。

 もう一つ、御所信の中であったお話で、私、これも言葉の重要性というのが大きな焦点になるのかなと思っているところ、これは来週に出てくると言われていますエネルギー基本計画の話につながるんだろうと思うんですけれども、その一文、ここの中で大臣がお話しされているところは、各エネルギー源にはそれぞれの特徴があり、安定供給、コスト、環境負荷、安全性のあらゆる面ですぐれたエネルギー源はないことを踏まえ、実現可能かつバランスのとれたエネルギー需給構造の実現を目指すというふうにおっしゃられています。

 ここで私が指摘したいところなんですけれども、どうもきょうの委員会の理事会でも物議を醸してしまったというふうに聞いておるんですけれども、皆さんのお手元に資料を一枚だけつけております。何を書いているかというと、横軸に、石油火力、石炭火力、天然ガス、LPガス、水力、原子力、地熱、太陽光、風力、バイオマス、その他というような形。縦軸に、大臣がおっしゃられていた安定供給、それからコスト、環境負荷、安全性。そこに私、一つ国民感情というのをつけさせていただいておりまして、その中、升目に何も書いてありません。

 これ全部を、マル・バツぐらいならつけることはできるかもしれないんですけれども、私が思っているのは、五段階評価ぐらいのものを最終的にはつくるべきなんじゃないかなというふうに思っております。なぜこれが必要なのかというと、やはり国民がわかりやすい形の、最終的にはエネルギー基本計画、エネルギーの方向性というのを政府が示さなきゃいけないんじゃないかというふうに思っているからでございます。

 聞くところによりますと、自民党さんの中でも、今回の原子力のお話で、もともとは重要なベース電源というお話で、先日予算委員会でも大臣から私の質問に対してお答えいただいているんですけれども、ベース電源ということと、それから、なるべく原子力の依存度を下げていくんだというところの整合性については明確に御答弁いただいたんです。

 ただ、そのかわり、今自民党内でお話しされているところでいうと、ベース電源というところから、今度はベースロード電源というお話をされるということで、きのうのテレビの報道を見ていても、専門用語だというふうに言っているコメンテーターもいたんです。

 聞けばわかるんです。聞けばわかるんだけれども、一般の人たちがもっとわかりやすい形で全てを網羅できるようにしようと思ったときに、最終的にはエネルギーミックスということを出されるということでしょうが、それのためにも、この私が配らせていただいた資料を、最後は五段階評価でつけていって明確にできるようにして、ああ、こういうことなんだということがあれば、国民に対しては明確に示せるんじゃないか。

 最終的に、原発再稼働になるのかどうかとか、そういうお話もあるかもしれませんけれども、まず議論の対象にするべきことは、これをみんなが共有しながら、本当にいいエネルギーのバランス、エネルギーミックスを示していくことなんじゃないかと思っておるんですけれども、大臣の御所見をいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 今後、エネルギーのベストミックス、エネルギー基本法を踏まえて、例えば、再生可能エネルギーがどれだけ導入できるか、また原発の再稼働がどうなるか、こういったものもにらみながら最終的に目標を決定していきたいと思っておりますが、それに当たりましては、委員がおつくりいただいた、これはブランクになっておりますけれども、このマトリックス、こういった考え方は極めて有益だと思っております。

 五段階評価、できるかといいますと、例えば、安全性、それから国民感情、これをそういう五段階で、いや、何で風力は五だけれどもバイオマスは四だとか、ちょっとなかなか難しいところもあるのと、環境負荷につきましても、今は、石炭火力、大きく高効率化によって変わってきております。動かないものと動くものというのはあるんだろうと思っております。

 それから、量と安定性というのがまた違った概念として出てくると思っておりまして、例えば、安定供給を考えましても、LPガス火力であったりとか、風力、バイオマス、限界もあると思いますし、太陽光のエネルギー源、電源としての安定性をどう考えるか、こういう視点も必要だ、そんなふうに思っております。

 基本的には、そういったエネルギー源ごとに違った性格、強み、弱みがあるということを踏まえながら、ベストミックス、バランスのとれたものをつくっていきたいと思っております。

 同時に、ベース電源という話でありますけれども、このベース、正確に言いますとベースロード電源でありまして、それが専門的であるのは確かかもしれません。ただ、ベースといいますと、そのこと自体が、性格づけなんですけれども、重要性か何かが付加されているという誤解を招かないためには正確な用語を使った方がいいかということで、今検討を進めております。

木下委員 ありがとうございます。

 五段階は難しい部分はあると言いながら、今大臣がお手元でマル・バツをつけていらっしゃるのが見えておったんです。ありがとうございます。

 最後、一つだけあれだとしたら、国民感情。国民感情は、結構こういうものに左右されて、またまた変わってくるものだと思っているんです。それで、国民感情といったらあれですが、国民が納得するようなことをするためにコストをかけることもありますので、これについては、またこれから先いろいろなところで質問させていただきますけれども、そういうことも含めて考えなければいけないんだろうということで、一つ追加させていただいたということでございます。

 またこれからもよろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 維新の会、四人目としまして、私からも、一般質疑の各内容につきまして大臣に質問をさせていただきます。

 まず第一番目、TPPに関してお伺いしたいんです。

 実際は甘利大臣が御担当ということで、交渉に今当たられているところだということと、そしてまた、交渉の中身が、外交の交渉でございますので、なかなかオープンになりにくいという中で、お答えづらいというのは十分承知しております。ただ、与党の一員ということで、そして何より閣僚の一員ということで、大臣の御所見を伺いたく、一番目に少しTPPのお話をさせていただきたいと思います。

 大臣所信でも、TPP、日・EU・EPA、RCEP、そして日中韓FTA等の経済連携交渉を推進していくという旨を述べられておりました。

 さきの参院選の公約で自民党さんは、いわゆる聖域重要五品目について、具体的には「特に、自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要五品目等」、以下ちょっと長いので中略させていただきますが、「の聖域(死活的利益)を最優先し、それが確保できない場合は、脱退も辞さない」と、かなり強目の書きぶりを政策集でされております。そうした中で、特にその五品目、今出ている報道では、なかなか政府から出てきませんが、政府ではなく報道の方で出ている話によりますと、聖域の中でも特に牛肉や豚肉そして乳製品というところで米国からの譲歩を求められているという報道がございます。

 こうした中で、改めて、この公約との関係、そして特に、確保できない場合には本当に脱退するということでいいのか、閣僚の一員である大臣からお言葉を賜りたいと思います。

茂木国務大臣 まず、先ほどの木下議員の質問の中で、マトリックス、私がマル・バツをつけていたとありましたけれども、バツはつけておりませんので、そこは一言申し上げておきたいと思います。

 その上で、我々、このTPP交渉に参加するに当たりまして、米国との間でも、日本は農産品について、アメリカは一部の工業製品についてセンシティビティーを持っている、こういう認識のもとで参加をし、これまでも交渉に当たってまいりました。

 我が党としての公約、また、衆参両院での決議、そういったものも重く受けとめながら、まさにあすから、閣僚会合、シンガポールで行われるわけでありまして、国益を最大化する、こういう観点からの交渉を進め、判断をしてまいりたいと考えております。

丸山委員 まさしく国益のお話、大臣から話がありましたけれども、党益よりも国益という形で、きちんと国の未来について子供たちにも責任を持ってお話しできるように、きちんと交渉を政府の方でよろしくお願い申し上げます。

 先ほど木下委員からもお話のありました、エネルギー基本計画につきましてお伺いしていきたいと思います。

 大臣のお言葉では、重要なベースロード電源につきまして、以前、経産省の原案で、「基盤となる重要なベース電源」という書きぶりをされていたのを、先ほどの大臣のお言葉でありますと、重きを置いているように聞こえるということで、正確な用語を使った方がよいのではないかという形で、ベース電源からベースロード電源に今変更の可能性がある、変更を検討しているところだというお言葉がありました。

 このもともとの部分から変更にかけて、まず、「基盤となる」という言葉が落ちる方向に今向かっているということ。そして、ベース電源からベースロード電源という言葉に変えて、ロードという言葉を挿入するということでございますけれども、事務方でも構いませんが、このあたりの書きぶりが変わることでどのように意味合いが変わってくるのか。法律というわけじゃないので、白書等、文書の書きぶりということになると思いますけれども、このあたりの御回答をよろしくお願いします。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギー基本計画そのものにつきましては、先ほど大臣からも申し上げましたとおり、まさに現在、政府部内において検討中ということでございまして、政府原案を作成して閣議決定ということになろうかと思います。

 ただ、今お話をいただきましたそれぞれの言葉についてでございますが、現在あるものは、去年の十二月に総合資源エネルギー調査会基本政策分科会が取りまとめましたエネルギー基本計画に対する意見というものでございます。その意見の中で、原子力については、「エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源」と表現されております。

 今委員から、基盤となる重要なベース電源、こういうようなお話をいただきましたけれども、この基盤となるという意味は、何かすごく重要なことというよりも、エネルギー需給構造の安定性を支える基盤である、そういう意味づけでこの原案ができていると考えております。

 それから、ロードという言葉そのものにつきましては、これは英語でいわゆる負荷という意味でのロードでございますので、ベースロード電源あるいはベース電源といった場合については、原子力、石油、地熱などもそうでありますが、一般的に、低廉で安定的に発電することができまして、昼夜を問わず継続的に稼働できる電源、そういう特性を示しているものでございまして、必ずしも電源としての規模の大きさ、構成比率の大きさということを示すものではないと理解されていると承知しております。

丸山委員 先ほど我が党の木下委員からもお話があったように、やはりわかりにくいというのが国民の皆さんの正直なところだと思います。書きぶりはやはり皆さんにわかるように書かなければ、基本計画でございますので、基本の基本の部分でございます。そういった意味で、少し、書きぶりにつきましては、もっと慎重に考えていただきたいというふうに思います。

 一方で、今回の基本計画、報道等を伺っておりますと、原発依存度に関しましては、可能な限り低減させるということと、その方針のもとで確保する規模を見きわめるという書きぶりになるんじゃないかというふうに聞いております。臨時国会も含めまして、大臣のお言葉を聞いていますと、その期限や、いわゆる電源のパーセントといいますか、割合につきまして、必ずしも明記しようとは考えていないというお言葉をいただきましたけれども、ずっといつまでも決めないというか、いつまでもどういう状況か未来を描かないというのは、かなり不健全な状況だと私は思います。

 そうした中で、大臣としまして、このあたり、原発依存度の数字にしろ規模にしろ、どのようなスパンの時間軸で考えていらっしゃるのか。これが今回明確にならなかった理由とともに、大体いつごろには国民の皆さんに、その割合にしろ、イメージをお伝えすることができるのか。このあたりにつきまして、大臣の御所見、御見解をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 まず、先ほどいただいた、エネルギー基本計画、国民にとってわかりやすい形でと。そのようにしていきたい。基本政策分科会の意見、これは昨年の三月から十七回にわたって専門的な議論を進めていただきまして、大変いい議論の取りまとめをいただいた、こういうふうに思っております。

 例えば、先ほどの中でも、読み方によっては、「基盤となる」から読み出しちゃうと「基盤となる重要なベース電源」なんですけれども、そうではなくて、「エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる、」で点を入れると全く違った形にもなってくるということであります。

 例えば、ベースにするか、ベースロードにするか、どういう形が国民の皆さんにとって正確に伝わるか、また立法府の皆さんにとってもそうであるか、そういったことを慎重に見きわめながら、できる限りわかりやすい、しかも正確な言葉遣いを行っていきたい、こんなふうに思っております。

 この基本計画、原案をまとめまして、最終的には閣議決定をするわけでありますが、この基本計画を踏まえて、今後、例えば再生可能エネルギー、これを最大限導入していくということでありますけれども、同時に、原発については安全性を最優先して、そしてこの安全性については独立した原子力規制委員会において判断を行うということになっておりまして、まさにその判断というのが、今その審査が行われているところであります。

 例えば、どれだけ動く、いつから動き出す、このことを経済産業省の立場から申し上げるのは、原子力規制委員会の言ってみますと独立性とも関連してくる問題であると思っております。ただ、その上で、エネルギーのベストミックスにつきましては、エネルギー基本計画を踏まえて、できるだけ早く目標数値、目標値、こういったものを設定してまいりたい、このように考えております。

丸山委員 大臣は、そのベストミックス、割合の話につきまして、できるだけ早くというお言葉を臨時国会でも使っていただいて、意気込みももちろんわかりますし、そして、なおかつ規制庁さんとの関係での難しさというのも重々承知しておるんです。

 一方で、国民の皆さんのお声、特に、地元に帰っても、原発のお話を伺うと、大体いつごろまでにそれはわかるんだということがわかりにくいと。継続なのか、それとも、今すぐやめるというのはもちろん安倍内閣では言っていないのであれですけれども。依存度を下げるという話だけれども、どれぐらいまでに、ではどうなっているんだ、百年後なのか、五十年後なのか、十年後なのか、五年以内に大体見えてくるものなのか。

 そのあたりはやはり、原発の割合という点では、スケジュール感があるのかないのかというのは一番国民の方が気にされるところだと思いますので、国会での発言とまた内部での議論は違うとは思いますけれども、きちんと議論していただいて、できる限り早い段階でスケジュール感も国民に示していただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、景気対策、特にまずは中小企業政策について、所信の中でおっしゃったことに関しましてお伺いしたいと思います。

 中小企業・小規模事業者政策においては、大臣が、開業率一〇%、黒字企業の倍増、そして一万社の新規海外展開ということを目標にされるというお話をされておりました。先ほどの原発はなかなかスケジュールも数値も明確にならない中で、一方で、これはかなり明確に目標の数値を出されているのが印象的でございました。

 一部いただいた資料で、海外の例や、また、過去の日本の開業率等の数字を並べられて、そこからこの目標を出されたような形のポンチ絵を拝見はしているんですけれども、これにつきまして、目標値という形で置かれた根拠といいますか、どのようにしてこれを出されたのかということと、そして、これまでにもこうした目標値を置いてこられたことがあったのかどうか。

 私は、いわゆるPDCAを回すのが政策において非常に必要だと感じておるんですけれども、過去との関係でどのようになっていて、過去、どうしてこれの達成なり目標値が、ふやしていこうということには変わりないと思うんですけれども、それがなかなかうまいこといっていなかったのか、そのあたりにつきまして御見解を賜れればと思います。

北川政府参考人 中小企業政策の目標値についての件でございます。

 御指摘の、開業率一〇%、黒字企業の倍増、あるいは一万社の新規海外展開ということにつきまして、開業率につきましては、米国、英国が一〇%前後でございますので、これをまず目指そうということでございます。

 黒字企業の倍増ということにつきましては、一九九一年ごろは中小法人の半分が黒字でございました。現在二七%ぐらいが黒字比率でございますので、これを半分を目指していこう、したがって倍増ということでございます。

 それから、海外展開につきまして、今、海外展開は輸出それから直接投資合わせて一万一千社強でございます。これをまた今後五年間ぐらいで新たに一万社というものを目指しているわけでございます。

 過去につきましては、開業率につきまして、二〇一二年の日本再生戦略におきましては、大幅な増加を実現するという規定ぶりになっておりまして、特に数値目標を設けてございませんでした。

 それから、黒字企業につきましては、これは初めて設定した数字でございます。

 海外展開につきましては、かつて二〇一二年の再生戦略におきまして、中小企業の海外売上比率、これを中堅企業並みにしていこうというのを掲げておりました。これは四・五%という売上比率を目指しておったんですけれども、実現しておりません。これはやはり、輸出だけではなく、今般、海外投資も含めた数値目標を設定したということでございます。

丸山委員 数値目標を置かれて、また、今のお話であれば、開業率や黒字企業の倍増につきましては初めての試みだということでございますので、非常にすばらしいことだと思います。

 まずは目標を置いていただくとともに、それが現実的であることということでございますので、ただ、やはり、目標を置いて、そしてそれをどうやって実現させるのか。そして、過去、今のお話であれば一つ海外展開の関係で目標を置いたけれども達成できなかったものがあるという御答弁でございましたので、その反省といいますか、次に生かすために、今回の目標をいかにして達成させるかということに関しましてきちんとやっていただく。

 特に、またこの委員会でもお伺いすることもあると思いますので、時間の関係できょうは細かいところまでお話は聞けませんけれども、そのときにはお伺いできるように、ぜひしっかりやっていただけますようお願い申し上げます。

 そして、同じく中小企業政策にかなり関係してくるんですが、景気関連につきましてお伺いしたいと思います。

 内閣府からこの十七日に発表されました、昨年の四半期、十月―十二月期のGDPの数値が出ておりまして、先ほど少しほかの委員の先生からもお話がございましたが、かなり市場予測を下回る、前期比プラス〇・三%、年率換算でプラス一%ということでございます。いろいろな予測の方がいらっしゃいますけれども、市場の平均的な予測ではプラス〇・七ぐらいだろうかと、特にそれに比べて低い数字になっているということでございます。

 細かい数字を見れば、消費税の駆け込み需要で自動車や住宅等が大体好調のようでございます。一方で、ほかの商品につきまして、増税前の駆け込みの需要が期待されたほど伸びていないんじゃないかというお話や、また、各地でお話を聞いていても、特に、建築関係の方は景気がいいとおっしゃる方は多いんですけれども、公共投資がふえている中で、人材が現場で不足していて、それによって効果が薄れているんじゃないかというエコノミストの方、また、先ほど少しお話がありました構造的な貿易赤字の関係、また輸出の下落傾向においてかなりこれがマイナスに響いているんじゃないか、さまざまな御見解、いろいろな方がおっしゃっております。

 大臣は、この四半期が少し予想より下回っているんじゃないかという声に対して、どのように分析されて、それをどのように今後に生かされるのか、御見解を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 年率にしてプラス一・〇%、数字として率直に受けとめたいと思っております。安倍政権になりまして四四半期連続でプラスが続いている、このことは評価できると思っております。

 そこの中では、当然、よい面それから今後さらに注視をしていかなきゃならない面、そういったことがあると思っております。設備投資は持ち直しておりまして、好調な内需というものがプラスに寄与しているわけでありますが、内需の中でも、御指摘いただきましたように、公共事業に関しましては人員さらには資材の不足といったことによって伸び悩んでいるというのも確かだと思います。

 一方、外需につきましては、輸出が二四半期ぶりに増加したものの、内需が堅調である、また、燃料費が増加する、こういったことで輸入がそれ以上に増加するということから全体的にはマイナスになっているということであります。

 今後、昨年末に決定しました大胆な税制改正であったり、五・五兆円の経済対策、さらには産業競争力強化法、こういったものをしっかりと進めることによって、日本経済の回復というものを確かなものにしていきたいと思っております。

丸山委員 この通常国会があけるまで地元におりましたので地元でお話を伺っていると、在京の、東京の方に比べてやはり地域に行けば行くほど景気の回復の実感がまだまだないんやというお声がすごく多いように感じます。

 特に東京は、オリンピックも決まって、明るい話題も多くて、そして公共投資も含めインフラの投資の話がすごく盛んに出ております。一方、そうした中で、ほかの地域はどうやねんというときに、どんどん、関西弁で言う、あかんようになっていく、だめなようになっていく。そして、どんどん地域間の格差が開いていくんじゃないかという不安また不満も地域に渦巻いているような、その萌芽が出始めるんじゃないかという懸念をしているところがございます。

 このあたり、アベノミクスにおいて、地域間格差と申しますか、地域においてどのような効果が今出ているのか、そして今後はどうやっていかれるのか、御見解、対策等ありましたらお伺いしたいと思います。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 景況でございますけれども、確かにいろいろな御議論がございまして、必ずしも一方方向的ではない、このような認識を持っております。景気の地域的な裾野でございますけれども、これは他方で、明るい面では、やはり着実に拡大してきているのではないかというようなことも考えてございます。

 具体的に見てまいりますと、生産面で見ますと、特に自動車関連を牽引役といたしまして、関東、近畿、東海、中国、このあたりで堅調に推移しておりますし、それを受けまして設備投資面では、従来の維持・更新投資だけではなくて、やはり一部、能力増強といったところが関東や中国の方で出てきているというふうなことでございます。

 非製造業に関しますと、小売業を中心にしまして、新規出店あるいは既存店舗のリニューアルの動き、これは割と各地にて起こりつつあるような状況かと思います。

 個人消費につきましては、生活必需品につきまして引き続き節約志向というのが非常に強うございます。一方で、百貨店につきましては、一昨日も日本百貨店協会から統計が出ておりましたけれども、高額商品の販売が三大都市圏中心だったわけでありますが、地方圏も含めまして少しその動きが出てきたというようなこともございます。

 観光につきましても、一部、テレビ放送の影響などがございましたので、少し復調傾向にございます。また、北海道、沖縄に関しましては、外国人の観光客が増加しているといったようなこともございます。

 ただ、御指摘のとおり、景気回復の実感が全国津々浦々まで届いているかということに関しましては、まだそういった状況には至っていないというふうに認識をしております。力強い経済再生の実現に向けましてこれからが正念場というふうに感じておりますので、きめ細かい対策をしてまいりたいと思います。

 特に、日本再興戦略に基づきまして、昨年秋以降、全国九つの地域ブロックごとに地方産業競争力協議会を開催しておりまして、地方版の成長戦略を策定するという作業をしております。

 今後、この地方版成長戦略も踏まえまして、中小企業への支援策、あるいは地域関連の政策資源を他省庁とも連携をいたしまして地域の戦略産業にめり張りをつけて投入して、地域産業の振興に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

 あわせて、こうした取り組みに加えまして、企業収益の上昇が所得あるいは雇用の拡大につながりますとそれがやはり消費の拡大、さらに投資を生むという経済の好循環につながってまいらなきゃいけないというふうにも思っておりまして、現在、各地域の経済産業局におきまして、地方の主要経済団体あるいは企業に対しまして、賃上げあるいは関連中小企業との取引条件の改善などの要請を行っているところでございまして、こういうようなことを通じまして、地域におきまして景気回復が実感できるように取り組んでまいりたいと考えてございます。

丸山委員 まさしく実感が大事だと思います。数字は役所の方がきちんと追っていただく必要がありますけれども、国民の皆さんは数字よりはやはり実感を、一番肌で感じて重視していただいているということでございますので、よろしくお願いします。

 最後、もう時間がなくなってしまいましたので、福島の原発の汚染水の話をしたかったんですが、また次回に回させていただきます。

 いずれにしましても、アベノミクスとしまして、なるべく民間でできることは民間でという方針だと思いますけれども、一方で、国としてやらなければいけないことがふえてきております。しっかりとこの国の経済産業政策のかじ取りを大臣によろしくお願い申し上げまして、私丸山穂高の質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 先日、大臣の所信の中で下村博士の言葉を引用されて、日本経済を、ハクチョウのようだというようなことをおっしゃっていたかと思います。連日、ソチにてオリンピックが開催されておりますけれども、ハクチョウといえば、けさは浅田真央さんが非常にすばらしい演技を披露されて、前日の失敗を乗り越えて、大変すがすがしい表情をされていたのが印象にあります。

 日本のよさは、失敗や挫折をけなすのではなく、失敗しても、なお頑張って努力していくということを称賛するところにあるというふうに理解をしています。これは日本経済においても同じです。失敗しても、なお立ち上がろうと努力される方々を日本全体として支援していく。先ほど根本委員も指摘されていたと思いますけれども、中小企業の経営者の個人保証を減らすということも、万一のことが起きた後の再起を促すという意味では非常に重要だと認識しています。

 長い不況の後、ようやく立ち上がろうとしている日本経済の足腰は、まだ非常に弱いところもあります。その本当の意味での経済の復活に向けて、私も、昨年に引き続きまして、経済産業委員として、全力で活動させていただきたいというふうに思います。

 先日の大臣の所信に感銘を受けましたので、私も、一経済産業委員として、ささやかな所信をまず述べさせていただきました。

 さて、質疑に移らせていただきます。

 日本の経済を支える重要な要素は何かといえば、エネルギーでございます。エネルギーに関して、この所信の中でも冒頭にかなりの分量を割いて取り上げられておりましたけれども、まず、福島第一原発の問題にどう取り組んでいくのかということも、昨年に引き続き重要な課題というふうに認識をしております。大臣も、所信の中で、福島第一原発の廃炉・汚染水対策については、国が前面に立って支援体制を強化する必要があるという旨指摘をされております。

 この決意自体は非常にすばらしいと思いますけれども、昨日、一昨日からは、福島第一原発においては、汚染水の貯蔵タンクから百トンもの汚染水が漏出したという旨報道されております。報道を見る限り、故障と人的ミスの複合要因によるということですが、昨年から全くもって進歩がないなというのが率直な感想です。

 昨年、臨時国会において行われた本委員会において、原子力規制委員会の委員長と東京電力の社長が面談をされたという、そこに至った理由が、東電は、何かあったら今後は繰り返さないように対処するということは言うんだけれども、今後何か起きるかもしれないと事前に想定して、そういったことに対して対処を進めていくというような発想が余りにも乏しい、だから本当に、汚染水対策、廃炉対策に向けてどれだけの体制があるんだということを確認する必要があるという旨おっしゃっておりました。

 今回の事案を受けまして、本来は東京電力の方に話を伺いたいと思ったんですけれども、本日は所信に対する質疑ということでございますので、今の汚染水対策、東京電力の対策について、大臣の御意見をまずは伺いたいと思います。これは事前の通告にはありませんけれども、昨日、本日起きたことなので、御理解いただければと思います。お願いいたします。

茂木国務大臣 福島第一原発におけます廃炉・汚染水対策は最優先の課題でありまして、国も前面に立ってこの問題の解決に当たっていきたいと考えているところであります。

 十九日に、汚染水の貯水タンクの上部から水の漏えいを確認いたしまして、その一部は雨どいを通じて堰の外に漏えいしている、こういう報告を受けました。今回のタンクからの漏えいはまことに遺憾でありまして、改めて廃炉・汚染水対策に気を引き締めて対応させたいと思っております。

 東電には、昨日、原子力規制庁の指示も踏まえまして、水、土壌の回収をまず急ぐこと、そして水位上昇時の警報への対応の改善、弁の開閉の確認方法の改善に適切に取り組むよう指導しているところであります。引き続き、万全の体制をとれるように指導してまいりたいと考えております。

三谷委員 ぜひともよろしくお願いをいたします。

 それでは、本題でございますテーマに移らせていただきます。

 まずは、クールジャパン政策についてお伺いをいたしたいというふうに思います。

 昨年の所信では、このクールジャパン、それなりの分量が割かれていたのかなというふうに理解をしておりますけれども、ことしは、昨年法律が通ったからか、非常にあっさりとしていたということでございます。ただ、お金の使い方というのは非常に難しいし、もしかしたら何かと間違えかねないというところでもございますので、この点について幾つか質問させていただきたいというふうに思います。

 本日は、後藤田副大臣にもお越しいただいております。

 まずは、クールジャパンの戦略的意義について伺いたいと思います。

 日本の国益を考えると、クールジャパン戦略というのは、単なる産業戦略ということにとどまらず、いわゆるパブリックディプロマシー、文化外交の側面があるということも忘れてはいけないのではないかと思います。日本はこんなにすばらしい国なんだということを、コンテンツの力を使って知らしめるということも重要かと思います。アメリカではハリウッドの映画をこういう意味で文化外交の一つのツールとして使っているというのは、一般に知られていることでございます。

 そもそも、このクールジャパンというものをどういうふうに位置づけられているか、戦略について伺えればと思います。お願いします。

後藤田副大臣 三谷委員におかれましては、エンターテインメントコンテンツ、知財の専門家ということでお伺いしておりまして、また、クールジャパンにつきましても大変な御理解をいただいていまして、ありがとうございます。

 今委員がおっしゃったように、これは国全体、オール・ジャパンとして、いかに国益を最大化するか、そしてまた日本のアイデンティティーをどのように発信していくか、具体的には日本のファンをいかにふやしていくかという、外交ツールとしても大変重要だと思います。

 当委員会では、経済産業の効果、経済効果といいますか、そういった点が中心的に議論されるところでございますが、やはり我々は内閣官房として、各省の連携、またその強化を、触媒的な立場でそれを最大化していくというミッションを持っております。

 と同時に、観光庁のやられているビジット・ジャパンとの相乗効果もそうでございますし、今、留学生だとかこういった人たちにも、日本を本当に好きになってもらって母国に帰っていただく、こういう意味でのいろいろな施策も打っております。先般も、EUの在日の大使館のメンバーを昼食に呼びまして、日本のクールとは何ぞやということで意見を聞いたところ、やはり、母国に持って帰りたいのは、おしぼりだとか、定時に配達される宅急便だとか、目に見えないものも含めて、日本人が当たり前だと思っているものが海外では非常に評価されていると。こういうこともしっかりやっていきたいと思います。

 きのうは、内閣官房、山本大臣の副大臣も私は担当していますが、放送コンテンツにつきましてしっかりやっていこうと。しかし、日本の場合は予算が非常に限られておりまして、外国の予算に比べると本当に大変少ない額でございまして、そういう放送コンテンツを各国で流して、コンテンツというのは、対象という意味でのコンテンツもありますが、結果、それが手段になる場合もございます。韓国のKポップなんかは、ベトナムで、全国で大会をやって、それが番組で放映されていますが、視聴率が五〇%である。そのテレビにサムスン、LGが乗っかってくる、こういう国家戦略を打っております。

 こういったことも含めて、外交の戦略もそうでございますし、産業の戦略もそうでございますし、引き続き、まだまだ途上でございますので、委員のいろいろな御意見も賜りながら、これを深化、発展させてまいりたいと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 まさにクールジャパンというものを、ほかの産業への波及効果も含めてしっかりと進めていくべきだということは、私もまさに同感をしているところでございます。

 続きまして、大臣に伺いたいと思います。

 このクールジャパン戦略の中での、昨年の法律制定によって設立されましたクールジャパン機構の位置づけについて伺いたいと思います。

 一般に文化外交ということを考えますと、直接的な投資効果が低くても、文化外交という面の効果が大きければ、それはそれでいいじゃないかという意味で予算を使いたくなるというようなインセンティブは、どうしても生じてくる部分だとは思います。クールジャパン機構が五百億なり三百億なりといった巨額の予算をこれから持っていくという中で、リターンは二の次でお金を投じたくなるというのも、これもまた人情ではあるかもしれません。

 ただ、本日枝野委員もまさに指摘されていたところだと思いますけれども、ビジネスなのかどうなのかというところをしっかりと切り分けていかなければならないんだろうというふうに考えております。クールジャパンのための予算なんだから赤字でも仕方がないということは、昨年制定された法律のファンドというたてつけからすると、そういうわけにはいかないだろうというふうに思います。

 そういう意味では、このクールジャパン戦略の中でのクールジャパン機構、これはどういうふうにお考えなのか、お答えいただければというふうに思います。

茂木国務大臣 日本には、すぐれたコンテンツを初め、これから国際展開できるポテンシャルを持っているさまざまなすばらしさというのがあります。

 ただ、その一方で、それを国際展開していくとなりますと、例えばコンテンツにつきましても、小さな企業等がやっていると、なかなかそこまでの体力もない。そして、かなり長期にわたる投資も出てまいります。そうなりますと、例えば資金面の問題も出てくる。こういったことについて、民間投資の呼び水となるような機関も重要だと思っております。

 そしてそこに、目ききであったりとか、海外のマーケット、投資についての専門的な判断のできる人材を集約しまして、こういったクールジャパンの積極的な思い切った展開を図っていく、この触媒になる機関である、このように考えております。

三谷委員 触媒になる機関だというところですけれども、もう一歩踏み込んで、リターンをどう考えているのか。しっかりとリターンを上げていくことをもちろん考えられているというふうに理解をしているんですけれども、そういう認識で間違いないでしょうか。

茂木国務大臣 投資でありますから、全ての案件についてリターンが確実ということではありません。

 しかし、同時にビジネスとして展開するわけでありますから、きちんとしたリターンを考えた上で出資は行っていくということになります。

三谷委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、いわゆる官民ファンドというような言葉ではございますけれども、しっかりと、ファンドの一つということで収益を上げていく。収益を上げていく上でのファンドですから、お金を出す側からは、利益が上がっていないじゃないかとか、お金の使い方を間違えているじゃないかというような声が当然上がる、これはもちろん理解をされているんだろうというふうに思います。

 ところで、みんなの党は従来から、いわゆる官民ファンドの問題点というものを訴えてまいりました。理由は幾つもありますけれども、民間のビジネスと競合するというようなことだけではありません。資質に関するチェックというものがききにくくなる。自分のお金じゃないからということで、損してもいいやとまでは言いませんけれども、一種のモラルハザードが起きやすくなるということもあります。そういう意味では、このクールジャパン機構というものも、そういった同じようなことがないようにしていただきたいと思うわけでございます。

 ここで質問させていただくんですけれども、このクールジャパン機構というものは、昨年は予算五百億、ことしは予算三百億という巨額の金額が計上されておりますが、この会社が収益を上げるのはおよそ何年後というふうに計画されているのか、また、それまでの収入というものは何によるのかということをお答えいただきたいと思います。

富田政府参考人 クールジャパン機構の収益の見通しについてお尋ねがございました。

 クールジャパン機構については、昨年の十一月二十五日に設立させていただきまして、今、投資の判断をする職員、役員、そういった人選を一通り終えまして、これからの具体的な案件の組成に向けて鋭意取り組んでいるところでございます。

 機構の運営の方針につきましては、国から支援基準というものを出させていただいておりまして、この支援基準の中におきましては、その案件に具体的な収益性の見通しがあること、波及効果があること、それからイグジットの蓋然性があることといったような基準がございます。こういった基準に照らして、案件をしっかりチェック、判断しながら組成をしていくということになります。

 委員お尋ねの、どのぐらい収益が上がるのかということにつきましては……(三谷委員「期間です」と呼ぶ)期間につきましては、実は、クールジャパン機構の存続期間は一応二十年と定められてございます。したがいまして、この二十年の間にしっかりとした案件を組成し、またそれをフォローアップしながら、しっかりとした事業を立ち上げていくということで進めてまいりたいと思います。

 それから、具体的な収益の見通しについては、先ほど申し上げましたように、今案件を組成している段階でございますので、そういったものがある程度出てきたところで具体的な判断をしてまいりたいというふうに思っております。

三谷委員 もちろん、二十年ということで、それぐらい先に収益が上がればいいというようなことだとは思いますけれども、先ほど伺った点で、収益が上がるまでの収入というものは何によるのかという点をちょっとお答えいただいていないので、その点を若干追加でお答えいただきたいというのと、今まだ全くもって収益を上げていないという会社でありますし、二十年後に収益が上がるだろう、上がるかもしれないような会社であるというところでございますけれども、この会社が今どこにオフィスを構えているかということ、この二点についてお答えいただきたいと思います。

富田政府参考人 収入の見通しでございますけれども、私どもとしては、今、国から本年度で五百億円、民間の出資百億円、これを原資にして事業の運営、出資というものをこれから進めていくということになります。

 収益につきましては、投資をした事業が実際に事業運営で利益を上げて、それがいずれ、一定期間後にリターンとして配当、あるいはイグジットの場合ですと株式の売買益、こういった形で利益が上がっていくというふうに考えてございます。

 それからもう一つ、このオフィスの場所でございますが、場所につきましては、六本木ヒルズの中に事務所を構えてございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 いつ収益が上がるかわからない、そして、具体的な収入という意味では、税金、そして一部の民間企業からの出資ということでございます。

 今、六本木ヒルズにオフィスを構えられているということなんですけれども、少し私の方でも手元で調べてみました。ゴールドマン・サックスですとかフェラーリ、ノキアとかアップル、レノボ、コーチ、そういった本当に世界を代表するような企業が数多く入っている、そういうビルでございます。

 そういったところにオフィスを構えるなとか、そんなけんらん豪華なところにどうこうというようなつもりは私にはありません。私自身もこの政治の世界に入る前は六本木ヒルズの中で働かせていただいておりましたので、そういう意味では、それ自体がどうこうということではないんです。

 ただ、そういう企業とこのクールジャパン機構は何が違うかといえば、全然違う。二つ大きくありまして、一つは、片や自分で収益を上げていて、そして自分で収益を上げた範囲の中で、従業員なりに最高の労働環境を提供するという経営判断をされているわけです。

 一方で、クールジャパン機構に関して言うと、まだ収益も上げていない、まだ海のものとも山のものともわからないという中で、そういうところにオフィスを構えるということについては、本当に自分のリスクでこのビジネスをやっているんだよというような気概があるのかどうかということが非常に見えにくいんだろうと思うわけでございます。

 その意味では、全ての企業には株主がいます、その株主が別にそれでも構わないよということであれば、それはそれでいいわけです。自分のお金をどう使おうが、自分のリスクなわけですから。ということで、今回のクールジャパン機構、これは株式会社形態をとっておりますけれども、その株主は誰でしょうか。

茂木国務大臣 クールジャパン機構を、海のものとも山のものともわからないと。ちょっとそれは私は、政府としてもしっかりと検討した上で、この法案も国会に諮って設立させたものでありまして、言葉はきちんと選んでいただきたいなと思っております。

 先ほど、エネルギー源について、ベース電源ということについて、それが例えば比率とか量の大きさをあらわすものでもないと私は申し上げましたけれども、所信も一緒なんです。行数が多いから私が重視しているとか、行数が少ないから必ずしも重要でないと考えているというわけではない。

 さらに、六本木ヒルズのお話がありました。最初にゴールドマン・サックス、フェラーリという名前が挙がりましたけれども、あそこには森ビルも入っています、テレビ朝日も入っています。それから、コーチの話をされましたけれども、恐らくコーチよりも、シャネルであったりとかルイ・ヴィトンの方がバッグとしては高いと思います。いろいろな比較というのはあるんじゃないかな。

 さらに申し上げると、クールジャパンですよ、こういうことをやっていくときに、例えば、この六本木ヒルズは、国際映画祭を初めさまざまな文化関連のイベントが毎年たくさん開催される、まさに文化の発信地でありまして、周辺にクールジャパンに関連するさまざまな企業も立地しております。賃料水準についても、きちんと周辺のビル等々も勘案した上で立地を決めたというふうに承知いたしております。

 収益化をまだしていないと。それをフェラーリと比べるか、ゴールドマン・サックスと比べるかはあると思いますけれども、例えば、では、収益が出るまで、これは案件によって違ってくると思うんですけれども、どこかの、荻窪か何かのアパートに入っているとか、それとも合同庁舎の一室を借りてやる、そんなことではクールジャパンはできないと思いますよ。

 やはり大胆な発想というのがこの分野では必要だと思っています。

三谷委員 まさにそういうお答えをいただきたいというふうに思っておりまして、私も、しっかりとした環境を提供することで、そういったしっかりとした結果を出すことができるということは当たり前のことなんだろうと思うんですけれども、そこを勘違いされないような情報発信をぜひともしていただきたいというふうに、これはもう心からお願いをさせていただくわけでございます。

 その意味では、誰が株主なのかということを伺いましたけれども、株主というのは国、それは具体的には財務大臣だというふうに承知をしておりますけれども、そこはその財務大臣の責任で、これはしっかりと結果につなげるんだから、責任を負って、いいところで働いてもらうんですよ、これは当たり前じゃないですかというような覚悟というものが必要なんだろうと思うんですね。

 とはいえ、財務大臣というのは、もちろん経産大臣としてもこの予算について認可されていくという意味では、経営に対してしっかりと監督されていくというふうに承知をしております。ただ、もちろん、二十年間、茂木大臣が経産大臣を続けられるとは思いません。もしかしたら五年後ぐらいに総理大臣になっているかもしれません。そうではなくて、二十年間しっかりとその責任を負うことができるかどうかという、継続性なりなんなりが必要になってくるわけです。

 できれば、このクールジャパン機構に、経営者の誰でも構いません、もしくは省庁の担当者でも構いません、みずからのお金を一部出資していただく。そのことによって二十年後の責任を、そういう意味で、一部でもそれに関心を持っていただくというようなことはできないか、お答えいただければと思います。

茂木国務大臣 確かに、出資は財務大臣ということになっておりまして、事業を所管する経済産業省として、長期的な視点からしっかりとやってまいりたい。

 そこの中で、どういった形で責任をとるか。私が出資をしても構わないんですけれども、これは大臣規範上問題になってしまうということもあります。さらには、関連する役所の人間がそこに出資をしましたら、やはり公務員法上問題になってくるということでありまして、ただ、気持ちとしては、これが自分の事業だという思いで、省を挙げて取り組んでいきたいと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 今、ちょうど質疑の持ち時間が終了したということで、きょうは準備していた半分も聞けなかったわけでございますけれども、今後ともこのクールジャパンについて、そして、それだけではありません、さまざまな経済産業省が抱える諸課題について私も取り組んでまいりたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。

 きょうはありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就です。ありがとうございます。

 当委員会では、新会派で、また、今国会より正式な委員としてお世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは大分委員が少ないので、歓迎されているのかなとちょっと心配はするところでございますけれども、昨年も私は、一年間ずっと財務金融委員会に所属させていただきまして議論してきたわけでございますけれども、こちらの委員会でも質疑に立たせていただいたことがあります。

 そのときに、大変高尚な議論がされているなという印象を持たせていただきました。ちょうど来たときに、たしかベンチャー投資の話をされておりまして、大臣から、日本には昔から旦那衆というのがいて、その旦那がお金を出して商売を新しく生み出しているんだ、旦那というのはサンスクリット語のダーナから来ているんだという大変貴重なお話を伺いまして、覚えております。きょうの午前中には今度はボーナスの語源までお聞かせいただきまして、本当に勉強になるなということを今思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 また、質疑におきましても、きょうは午前中から大変重要な指摘もございました。例えば、企業だけではなくて個人にも目を向けるべきだという指摘もございましたし、また、午前中の最後には、田嶋委員から、よく政権がおっしゃる、燃料費が上がっているのは原発がとまっているからじゃないか、果たしてそうだろうかという重要な指摘もございました。田嶋委員が為替のせいじゃないかということをおっしゃった際に、大臣からは、円高のときもあったけれども、燃料費は三・一兆上がっていったというようなお話もございました。

 その中身は、確かに、二〇一二年まで円高が続いていて、そのときは燃料の消費が重油またLNGは大分ふえまして、かつ燃料価格も上がったということで、その傾向はおっしゃるとおりでありますけれども、ただ、その後は燃料消費もだんだん落ちついてきて、燃料価格も落ちついてきて、けれども為替はかなり円安になったということで、田嶋委員のそのような指摘というものも正しいところでございます。そういうものをこれからぜひ具体的に議論させていただきたいと思います。

 具体的な施策とか法案についてはこれからその是非、採決も含めて議論を重ねていくわけでございますが、最初ということもありまして、きょうは本当に大きな大臣の考え方といいますか、プリンシプルといいますか、そういうところから中心的にお聞かせいただきたいと思います。

 政権交代がなされまして、安倍政権は、一番重要な課題としてデフレの解消というものを挙げていらっしゃいます。それが最重要であり、最も優先すべき課題だということは私たちも同じように考えているわけでございまして、当然そのための施策を打っていく必要があるということも認識しております。

 その中で、今国会は経済の好循環を実現していくということでございますが、その好循環の実現につきましても、まず、デフレに対する認識というものをお伺いさせていただきたいと思います。

 大臣は経営者のデフレマインドというお言葉をよく使われますけれども、その経営者のデフレマインドというのがデフレの要因の大きなところなのか。また、デフレマインドというのはどこからこういう由来ができてきているのかということも含めて、デフレの要因についてお伺いさせていただけますでしょうか。

茂木国務大臣 まず、小池委員には、新会派の結成、まことにおめでとうございます。

 デフレマインドもしくはデフレが、どこら辺から企業にとって恒常化してきているか。恐らく、九二年のバブル崩壊、この当時、企業がバブル崩壊によりまして、過剰債務、過剰設備等々、こういった問題を抱えるようになりまして、それをどうにか整理しなければならない。新規の投資よりも、そういった過剰債務であったり過剰人員であったり、この整理に追われる中で、社会全体としても、お金と物の価値、結局、物の価値が下がっていくという状況が進む中で、デフレマインド、縮み志向というのが生まれ、さらに言うとこびりついてしまった。

 そのために、本来だったら産業、設備の新陳代謝を進めていかなきゃならないのに、新しい設備であったりとか人材に対する投資というものが進まず、お金が眠ったままになってきた、こういう状況でありまして、これを改善しない限り日本経済の再生はない、こういった思いからアベノミクスの経済政策を進めております。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 この質問をさせていただいたのは、大臣の基本的な考え方をお聞きしたいということとともに、大臣の身近にいらっしゃる方の中でも少し違う意見もあるんじゃないかなということを踏まえて、印象をお伺いさせていただきたいと思っております。

 安倍総理大臣は、昨年私も財務金融委員会で直接お伺いさせていただいたんですが、デフレというのは貨幣的現象であって、基本的には金融政策で解決できるということをおっしゃっていらっしゃいます。

 それは確かにそういう側面もあって、私たちも金融緩和というものは非常に重要だということを思っているわけでございますが、ただ、それを重視する余りに、一本目の矢の金融緩和を非常に強力に進める一方で、第二本目の矢、財政政策は従来どおりの公共事業であったり、第三本目の矢はまだなかなか、市場が待っているにもかかわらず出てこなかったり、きのうはアメリカの財務長官からも、成長戦略は大事だよというような指摘があったところでございます。

 また、別の意見といたしまして、これはリフレ派の反対という形でよく取り上げられるんですが、藻谷浩介さんという方がいらっしゃいます。予算委員会でお聞きしたら、大臣は十数年来のお知り合いということでございましたので、ぜひお聞きしたいんです。

 藻谷さんは、「デフレの正体」という非常にベストセラーになった本におきまして、この日本は少子高齢化がずっと進んでいて、生産年齢人口が減っているのがそもそもの問題なんだということをおっしゃっているわけでございます。

 大臣はこのお二人に大変近い立場でありまして、多分、私たち以上にその本意をよく御理解されていると思いますので、このお二人の意見を踏まえて、先ほどの意見をもう一度お聞きするような形になるかもしれませんけれども、大臣がデフレに対してどのようにお考えになっているか、聞かせていただけますでしょうか。

茂木国務大臣 デフレそのもの、これは経済学的に言いますと、貨幣現象であるのは間違いありません。

 ただ、その一方で、藻谷さんの言っているデフレ、これは単純にいわゆる経済学的なデフレだけではなくて、今の、少なくともこの二十年ぐらい日本が置かれてきた経済の状況、これを総体として“デフレ”といった形で言って、その正体、この根本的な部分というのは、生産年齢人口というのが減って、人口構成が逆ピラミッド形といいますか、これになっているところから起こってきている、こういう話をされている。ですから、地方都市を見ましても、ドーナツ現象が進み、若いファミリーも少なくなっていきますけれども、そういった人たちが周辺に出て、中心部の方はかなり高齢化というのが進んで空き店舗もある、こういった状況も起こってきている。

 ですから、どちらの言っていることが正しいかというよりも、狭義で経済学的にデフレを捉えるか、それとも一般的に、この日本が悪くなってきた、沈滞してきた状況というのをデフレとしてその原因を捉えるかによって、見方が違ってくるんだと思っております。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 私も、このお二人の意見は相反するものではなくて、大臣がおっしゃったように、狭義か広義か、もしくは短期か長期かという見方の違いであるとは思っておりまして、ただ、藻谷さんがおっしゃるように、需要を構造的にふやしていかなくてはならないということもやはりおっしゃるとおりだと思います。

 そこで、では、どうやってこのデフレを解消して持続的な成長に結びつけていくかということでございます。

 大臣は、企業収益を上げて、結果として所得、雇用がふえて、それで消費がふえて投資に回っていくだろうというような御発言をずっとされておりますけれども、その中で、今現在の構造的課題といたしましては、藻谷さんもおっしゃったように、需要自身がなかなかふえない。また、グローバリゼーションの中で同じものをつくっていけば、当然賃金も平準化されて落ちていくということもあるわけでありますし、また株主も、非常にコストに対して厳しいような、関心も高まっているわけでございます。

 その中において、確かに経産省は、設備投資でありますとか、イノベーションでありますとか、中小企業対策ということに対して取り組みをされているわけでございますけれども、この構造的な課題に対して、どうやって企業が高コスト構造を改善して、付加価値を高めて、また市場を拡大していくことができるのかということについて、お伺いさせていただけますでしょうか。

茂木国務大臣 需給ギャップを埋める、もしくは、需要をいかにふやしていくか。違った側面からいいますと、ビジネスチャンスをどうつくっていくかということにも関連するんですけれども、やはり、日本は今、三つのゆがみ、過剰規制、過少投資、そして過当競争、これを解消していくことが極めて重要だと考えております。

 さまざまな分野でまだ規制が残っております。そういった規制を解消することによって、企業が、例えば昨年の産業競争力強化法でも取り入れさせていただいた企業実証特例であったりとかグレーゾーンの解消、こういったことを通じて、新しい分野にチャレンジできるような環境もつくってまいりたいと思っております。同時に、設備投資減税を初め、新しい省エネ型の、そして最新の設備に入れかえることによって、企業としての収益性、競争力も高まってくる。

 過当競争ということでいいますと、分野によりましては、欧米と比べても企業数が相当多いとかいうものがあります。そこが、国内で予選でもうくたくたになっていたら、オリンピックに出てもなかなかメダルがとれないんですよ。やはり、オリンピックに出てメダルがとれるような産業構造、こういったものも必要だと考えております。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 国内の規制改革も確かに大事だと思いますし、また、これから海外に目を向けて市場を開拓していくということも非常に大事だと思います。

 そこで、大臣は最近海外も歴訪されておりますので、それも踏まえてちょっとお聞かせいただきたいんですが、特に、これからの市場の拡大が期待できる資源国に対しての取り組みであります。

 資源国は、人口もふえて、また当然消費もふえて、オイルマネーという形でかなりお金もたまってきているわけでございます。そこに対してどう日本が切り込んでいくかということが大きなこれからのチャンスでもあり課題でもあると思うんですが、私も実は大学で働いていたときに、特に中東に対して、大学同士の協力とか研究開発等を一緒に進められないかということも含めて、実際に交渉を重ねてきたこともあります。その際によく思うのは、日本がこれだけのエネルギーの輸入国でありながら、残念ながら関係がなかなか構築できていないなということを強く感じてきたわけでございますし、これから彼らが新しい取り組みをされていく際にも、やはり、日本ではなくてアメリカであるとか欧米であるとか、そういうところがどんどん切り込んできているわけでございます。

 その中で、果たして、今までのこの取り組みの課題というものを踏まえて、どうやってこれからそのようなところに取り組んでいかれるのか、お聞かせいただけましょうか。

茂木国務大臣 私も、国会の開会中を含めまして、国会のお許しもいただきながら、昨年一年間で十七カ国、海外を訪問いたしております。サウジアラビアから始まりまして、アブダビ、委員も大変詳しい地域であると思います。そして、今シェールガス革命が起こっております米国、カナダ、年末にはロシアの方にも行ってまいりました。

 御案内のとおり、今、資源をめぐります国際環境は大きく変化しております。米国でシェールガス革命が起こるということで、アメリカがガスの輸入国から輸出国に変わる、そうすると今度は、本来北米に出るはずだったカタールのガスがヨーロッパに入る、そしてヨーロッパに出ていたロシアのガスが今度は極東に向かうという形でありまして、多くの国が、今成長著しいアジアということに資源国も注目しているんだと思います。

 日本にとりましても、エネルギー制約のもとで資源の調達先の多角化を図っていくということは極めて重要だと考えておりまして、米国訪問も、シェールガスによりまして国内価格が低下しているアメリカからLNGの輸出許可が必要でありまして、この働きかけを行うということも重要なミッションとして行ってきたわけであります。

 また、資源国におきましても、新しい産業をこれから、エネルギー源に単一に依存するのではなくて、育てたい、こういう日本との間の産業協力に対するニーズも強いわけでありますし、医療であったりとか人材育成、さらには中小企業の育成、こういった分野につきまして、日本の技術、ノウハウに対するニーズも非常に高いといったことから、日本と資源国の間で、まずは、従来からの資源供給先との関係もしっかりいたしますけれども、総理を筆頭に、トップセールスによりまして新たな資源国との関係をつくっていくということによりまして、日本としてのバーゲニングパワーであったりとかいったものをふやしながら、逆に日本からもビジネスチャンスにつなげていく、こういったことを進めてまいりたいと考えております。

小池(政)委員 ぜひ、持続的な関係をつくっていただきたいと思います。

 大臣は最近アブダビに行かれたと思いますけれども、アブダビのマスダールというプロジェクト、本来は日本が得意な分野であります再生可能エネルギーとか、そういうところで新たな町をつくろうという、そのプロジェクトにおきましても、やはり中心はアメリカのMITであったりとか欧米が入ってきてしまっているという中で、そもそも、人的な関係とか、そういうところのインフラというのがまだまだ不十分なのではないかなということを特に強く感じます。

 私も、先ほどちょっとお話ししましたサウジとの取り組みの際に大変印象に残っているのが、サウジの王立の科学技術大学というのができまして、そこと今度新しく共同開発をやろうという取り組みをしようといった際に、当然日本の領事館に寄ります。領事館の人にもぜひ一緒に行ってくださいとお願いするんですが、領事館の方は、自分が行くと、かえって足を引っ張ってしまうかもしれないということをおっしゃるんですよ。

 聞きましたら、その直前に実は、住友化学が、サウジのサウジアラムコという大きな会社があるんですけれども、そこと共同で大きな化学プラントを一兆円ぐらいの規模でつくって、完工式典を開いたんですが、そこに対して日本の政府からの特使として岩国哲人さんという、国内では確かに大変尊敬される方なんですけれども、国際的には無名で、人脈も特にあるわけでもなくて、かつ、そのときの閣僚でもないし国会議員でもないという方を送ったことによって、向こうで出席するはずだった国王が出席をキャンセルしたということがあったわけでもあります。

 また、その政権だけでもなくて、その前には、イスラム国であるにもかかわらず、日本から、大変優秀な方だと思いますけれども、女性の閣僚が特使で送り込まれたりとかいうこともあって、なかなか関係がうまくいっていないということをよく聞いておりました。

 ですから、これからは施策として、例えばODAの連携とか技術連携というのも大変大事なんですけれども、そのような相手のニーズとか文化というものを踏まえた人的関係の構築というのが非常にここは大事だと思いますし、大臣も元商社ですから、そこら辺はよくわかっていると思います。きょうの午前中にも、おすしとか、漫画が現地で浸透しているとかいう話もありましたし、ぜひそういう取り組みをこれから積極的に進めていただきたいと思いますので、もう一度、その決意をお伺いいたします。

茂木国務大臣 私も、アブダビは昨年、ことしと二度にわたりまして訪問させていただきまして、先日は、アブダビの皇太子殿下とお会いしまして、日本企業が参画しております石油権益、十五年の延長ということで両国間で合意をしたところであります。

 現在、サウジアラビアの皇太子殿下が日本訪問中でありまして、おととい、官邸での晩さん会で、私も隣の席でさまざまなお話をさせていただきました。また、昨晩はバイの会談も持たせていただきました。

 委員御指摘のとおり、中東の地域は、その地域の宗教であったりとか習慣に根差したさまざまなやり方というのもあるわけでありまして、そういったものも尊重しながら、ハイレベルの交流であったりとか、さらには企業レベルも含めて、重層的な交流の中でしっかりした関係をつくっていくことが極めて重要だと考えております。

小池(政)委員 そのような資源国というのは、実は日本と課題が共通するところがありまして、彼らも、資源がこれから未来永劫続くわけではないということを考えている中で、次のエネルギー源だったり次の産業をどうするかということを非常に深刻に考えておりますから、ぜひ、ウイン・ウインの関係というものを積極的につくっていただきたいと思います。

 時間もなくなってまいりましたので、最後に、市場の開拓というところには関連するんですが、少し別の話といたしまして、所管の一つであります武器の輸出についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回、国会の閉会中でしょうか、韓国軍への銃弾の提供というものがありました。その是非というものを別にここで問うわけではないんですが、そこの判断におきまして、官房長官の談話では、武器輸出三原則の例外的な措置として行ったというようなお話があったわけでございます。

 この武器輸出三原則というのはそもそも法律で規定されているわけではないものでありまして、かつ、この例外的な措置というのも何かしら法律的なものでその定義が決まっているわけでもなくて、調べたら、官房長官の談話の積み重ねでこれまで広がってきていると。二十一回あったということでございますけれども。果たしてそのパッチワークのやり方でいいのかなということを非常に心配しているところでございます。

 その中で、最近の報道におきましては、その可否の審査も含めて、今度はNSCの四大臣会合において、これから方針を決めていくと。その方針の内容については、非公式に自民党さんには提示されているそうであります。

 では、四大臣会合で決めるということでありましたら、外為法の所管である経済産業大臣とか財務大臣がどうやってそこに関与していくかということも非常に見えないわけでございますし、また、それが閣議決定という形で決まってしまいましたら、ここでの議論というのはほとんどされないまま進められてしまうわけでございます。

 その点に関して、大臣に、今の状態、これからの見通し、また今私が申し上げたような懸念について、どうやってその線引きをしていくかということも含めてお伺いさせていただきたいと思います。

茂木国務大臣 武器輸出三原則等につきましては、昨年閣議決定されました国家安全保障戦略において、これまで果たしてきた役割にも十分配慮した上で、移転を禁止する場合の明確化、移転を認める場合の限定及び厳格審査、さらに目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保等に留意しつつ、武器等の海外移転に関して、新たな安全保障環境に適合する明確な原則を定めるということになっております。

 経済産業省といたしましては、この戦略に示された方針に従いまして、委員御指摘の点も含めて、さまざまな御意見を踏まえて、外為法に基づく輸出管理を経済産業省は所管しているわけでありますから、武器等の海外移転に関する新たな原則の策定を検討してまいりたいと考えております。

小池(政)委員 ぜひ、当委員会でその方針をお示しいただいて、議論させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 東電の福島原発事故の対策に係る費用負担のあり方の問題について、きょうは質問をいたします。

 最初に、環境省にお尋ねをいたします。

 放射性物質汚染対処特措法に基づいて講ずる措置は、原賠法の規定により、原子力事業者、東電の負担のもとに実施するとされておりますが、その理由は何でしょうか。

三好政府参考人 いわゆる除染特措法につきましては、これは議員立法でおつくりいただいたものでございますけれども、先生お尋ねのとおり、特措法の第四十四条第一項で、原子力損害賠償法の第三条第一項の規定により東電の負担とされております。

 これは、これまでの環境行政のいわゆる汚染者負担の原則と整合的なものというふうに考えているところでございます。

塩川委員 原発事故を起こした東電が、汚染者負担原則に基づいて除染経費を負担することになっているわけです。東電は、求償があった場合には、速やかに支払うよう努めなければならないとされております。

 次に、経済産業省にお尋ねいたします。

 東京電力に寄せられた、除染に関する自治体の賠償請求の現状がどうなっているか。市町村などが除染を行っています。これは、いわゆる除染特措法などによって措置されるものもありますし、この後聞く特交や復興特交で財政的に措置されるものもあるわけですけれども、それ以外も含めて、東電に直接賠償請求をしている事例があります。その自治体の請求金額と自治体数を教えていただけますか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力からの報告によりますと、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う除染経費を東京電力に請求している地方公共団体は、全国で十三都道府県、百四十一団体ございます。それらの地方公共団体から除染費用として請求された額は、約九十六億円であると承知しております。

塩川委員 百四十一団体、九十六億円ということです。この請求に対して、東電が自治体に支払った額というのはあるんですか。

上田政府参考人 現時点では、東京電力からは、先ほどの百四十一の地方公共団体からの除染費用請求に対して、同社がお支払いをしているものはないと聞いております。

塩川委員 支払った例はないということです。

 除染経費について、多くの自治体が東電に賠償請求をしております。汚染者負担原則に立ち、事故を起こした東電が負担する責任があるからであります。原賠法において、原子力損害の賠償責任は原子炉の運転等に係る原子力事業者にあると規定されております。

 総務省にお尋ねいたします。

 復興特交や特交において措置された除染経費というのがあります。市町村などが除染を行った場合について、それは特別な財政需要として、復興特交の対象地域であれば復興特交で、そうでないところでは特交措置ということが行われているわけですけれども、このような復興特交や特交で措置した除染経費は、汚染者負担原則に立って東電に負担を求めるのが筋じゃないでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省は、地方団体が地域の実情に応じて、環境省の国庫補助の対象とならない地方単独事業として実施する除染について、震災復興特別交付税または特別交付税により財政措置を講じております。

 このほか、災害復旧事業として、文科省や厚労省所管の除染に係る事業も実施されておりますし、また、除染以外にも関係府省でさまざまな対応がとられているところでございます。こうした対応のうち、除染特措法に基づく除染と中間貯蔵施設の費用以外の費用の求償につきましては、政府の方針がまだ決まっていないと承知しておりまして、政府全体として検討していくべきものと考えております。

塩川委員 政府方針が決まっていないということなんですけれども、賠償の担当でもあります茂木大臣は、この件についてはどんなふうにお考えですか。

茂木国務大臣 除染に係る賠償といいますか、費用負担、私は担当いたしておりません。

塩川委員 政府方針としては決まっていないということでありますから、そのことについては追ってまた質問します。

 東電に求償しないまま復興特交や特交で措置するということは、加害者の東電が除染経費を負担せず、いわば被害者である住民や被災者の方に負担を転嫁する。結局は地方共有の財源であります地方交付税を充てているわけですから、それは当然のことながら、住民の負担ということにつながるわけで、汚染者負担原則から逸脱するということにならざるを得ないわけで、この点でもきちんとした対応を求めることが必要ではないかと考えます。

 そこで、昨年十二月二十日に閣議決定いたしました「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」ということで、いわゆる復興指針の原発事故に係る費用負担に関する部分についてお尋ねをいたします。

 まず、その復興指針の中では、これは茂木大臣ですかね、避難指示解除準備区域それから居住制限区域の除染実施後のさらなる取り組みは、復興のインフラ整備、生活環境整備という公共事業的観点で実施とあります。ですから、いわば戻ることを前提にして、除染はするけれどもさらなる取り組みが必要だという場合については公共事業的観点でとあるわけですが、この費用というのは国費を投入するものなんでしょうか、それとも東電に負担を求めるものなんでしょうか。

上田政府参考人 昨年の十二月二十日に閣議決定がなされておりますが、先生御指摘のとおり、現在計画されている除染を実施した後のさらなる取り組みについては、復興インフラ整備、生活環境整備という公共事業的観点から、帰還者、移住者の定住環境の整備等、地域再生に向けた取り組みとして実施するということが決定されているわけでございます。

 具体的にどのような形でどういう事業を行っていくかということは今後のことでございますので、その事業の性格等を見ながら、負担の観点を検討していくことになると考えております。

塩川委員 事業の性格等を見てからということですけれども、公共事業的観点といいますと、まさに公共ですから、国費、公費ということが想定されるような文言ですが、この点についてはいかがですか。

上田政府参考人 御指摘のとおり、これは、公共事業的観点から、定住環境の整備等、地域再生に向けた取り組みとして実施すると書いてございますので、除染とその後のさらなる取り組みが、さまざまな観点、特にインフラ整備、生活環境整備、まさに地域再生という観点からの事業であれば、それは公共事業としてなるということも当然あり得ると考えております。

塩川委員 インフラ整備、生活環境整備といっても、何でそんな事業をしなければいけないかというと、原発事故が起こったからであるわけで、そういう点では、原因者であります東京電力のまさに責任、負担が問われてくるわけで、その場合の最終的な負担は東京電力に求めるということについては、この中ではどのように位置づけておられるんですか。

茂木国務大臣 まず明確にさせていただきたいのは、除染特措法に基づきます現在計画されている除染、これについては当然、法律上、求償させていただく。さらなる取り組みというのはその後の話でありまして、そこの中で、公共事業的観点から、帰還者、移住者の定住環境の整備等、地域再生に向けた取り組みとして実施するということです。

 前政権の時代、全て東電の責任だと。福島の復興は進んだでしょうか。極めておくれてきたのは間違いないんですよ。やはり、福島の復興をしっかり進める、そのためにはどういった事業における、また費用負担における役割分担がふさわしいか、こういう観点から、今、復興のさまざまな事業を進めさせていただいております。

塩川委員 まさにその点を議論することが大事だと思っております。

 福島の復興ということを大いに前に進める、同時にやはり、こういう事故が、結果がなぜ生まれたのかということを前提とした、しっかりとした費用負担のあり方について整理をするということが重要だ。いずれにせよ、東電に負担を求める云々のところは、はっきりしないままの中身になっているわけです。

 それと、この復興指針の中では、実施済みまたは現在計画されている除染、中間貯蔵施設事業の費用は東電に求償としています。

 環境省にお尋ねします。

 それでは、計画のない帰還困難区域の費用はどうしていくのか、除染、あるいは中間貯蔵施設を設けるような場合等々、その費用は東電に求償するということなんでしょうか。

三好政府参考人 お答えいたします。

 今先生お尋ねの帰還困難区域における除染、これは現在除染が計画されておらない地域でございまして、私どもとしては、除染モデル事業の結果などを踏まえまして、放射線量の見通しでございますとか、今後の住民の方々の帰還意向でございますとか、将来の産業ビジョンや復興の絵姿を踏まえて検討することとしておるところでございます。そういう中で、この除染をどういう形で進めていくのかということも、地元とともに検討を深めていくべきものと考えているところでございます。

 先ほど来御答弁がございますとおり、さまざまな形での取り組みが進められると思っておりますけれども、私ども、改めて、放射性物質汚染対処特措法に規定する除染という形で実施するという部分がございますれば、これにつきましては、その法律に基づいて求償していくということになろうかと考えているところでございます。

塩川委員 放射性物質汚染対処特措法で措置すべきような部分については当然東電に求償するということですけれども、それ以外の部分もあると想定されるということですか。

三好政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁をさせていただきましたとおり、帰還困難区域における除染の方針につきましては、今後、地元とともに検討を深めていくということでございます。

 さまざまな取り組みが進められるというふうに考えておるところでございます。

塩川委員 まだ決まっていないところがあるということです。

 それから、実施や計画段階の除染費用について、機構保有の株式売却益で回収するとしておりますけれども、これが想定の株価で売れないような場合、不足が生じた場合は、負担金の円滑な返済のあり方について検討するとありますが、これはどのようなことを考えておられるんでしょうか。

上田政府参考人 今回の閣議決定は、できるだけエネルギーの安定供給を図りつつ、国民負担を抑制するということを目的としているわけでございます。

 この除染費用、約二・五兆円程度と想定されているものにつきましては、改革を前提としながら東京電力が再生していく、その中で賠償もしっかり行い、除染等についての支払いも行っていくんだ。そのことを前提といたしながらまずは東京電力がしっかり改革し、株価を上げていく、株価の収益が上がれば、その費用をもって除染費用に充てていくんだ。したがって、そこで重要なことは、東京電力がしっかりと成長していく、その上で株価を上げていくということであると考えております。

 今御指摘の点につきましては、仮にそういったことが十分行われなかった場合、その不足分については、先ほどの費用負担の考え方に基づいて、今後どのようにしていくのかということを総合的に検討していくことになると考えております。

塩川委員 東電がしっかり成長することを前提にということがいわば復興指針の基本にあるということで、そのことはこの後また少し話すとしても、総合的に検討していくということで、決まっていない部分もあるということです。

 それで、除染費用二・五兆円というのがありますけれども、例えば、産総研の研究グループが試算を出しておりますね。その中では、帰還困難区域の部分も入れているところもあるのかもしれないけれども、最大五兆円とかという数字なんかも出ているんですよ。

 そういう点では、この二・五兆という推計そのものが妥当かどうかというのもあるんですけれども、そこは、経産省か環境省か。

三好政府参考人 二・五兆円と申しますのは、いわゆる除染関連の経費とか汚染廃棄物処理関係の経費、それから中間貯蔵施設の関連経費がございますが、そのうちの除染関連経費と汚染廃棄物処理関連の経費で二・五兆円ということをおっしゃられているのではないかというふうに考えているところでございます。

 この試算につきましては、現在の除染の方針でございますとか労務単価等を前提として算出させていただいておるところでございまして、そのような条件が変わった場合には増減の可能性があるというふうに考えておるところでございます。

塩川委員 ふえる可能性もあるということです。

 経産省にお尋ねします。

 復興指針では、機構法に基づく交付国債の発行限度額を五兆円から九兆円へと、これは予算の総則にも出てくるわけですけれども、この九兆円の根拠というのはどんなふうに示しているんでしょうか。

上田政府参考人 この閣議決定の中に記載されておりますけれども、先ほどの環境省の試算というものをベースといたしまして、これによれば、現時点におきまして実施済みまたは現在計画されている除染費用が約二・五兆円程度、それから、中間貯蔵の施設費用は約一・一兆円程度と見込まれております。これに賠償の五兆円程度を加えまして、さらに若干の余裕を見て、交付国債の発行限度額の上限を五兆円から九兆円に引き上げるということにしたものでございます。

塩川委員 中間貯蔵施設の一・一兆円という数字も出してまいりました。

 中間貯蔵施設費用の一・一兆円について、電気料金に上乗せ徴収されている電源開発促進税を流用するということなんですが、これをちょっと説明していただけますか。

上田政府参考人 中間貯蔵施設の費用でございますが、中間貯蔵施設は、長期にわたって安定的に管理し、国がその費用の確保に万全を期す必要があると考えております。

 中間貯蔵施設の費用は、先ほどの除染特措法に基づきまして、環境省から東電に対して求償される。その資金繰りにつきましては、国から原賠機構への交付国債の交付により支援することとなるわけですが、その場合は、電力会社による負担金などを原資として、原賠機構から国庫納付するということになるわけでございます。

 しかしながら、従来の考え方そのものに従いまして、被害者の方々への賠償に加えまして、この中間貯蔵施設の費用相当分ということも電力会社の負担金で回収するという場合には、負担金の年間支払い額が非常に大きくなる可能性がある等々の理由から、国民負担の増大を抑制する、かつ電力の安定供給に支障を生じさせないようにするという観点から、機構法の六十八条に基づきまして、必要な資金をエネルギー特会に計上することといたしました。

塩川委員 電促税ですから、電気料金に乗せられているわけで、利用者の皆さんが負担しておられるわけですけれども、閣議決定した復興指針というのは、こういう点でも国費の投入の部分も含まれているわけであります。

 この復興指針を踏まえた新総特、東電と機構がつくりました新総特では、いわば東電がダイナミックに再生しようということを掲げております。それは、先ほど経産省からの答弁にもありましたように、復興指針においても、東電はしっかり成長するということで、株価も上げて、その売却益で回収する云々という形になっているわけです。つまり、事故を起こした東電が生まれ変わるということを前提としているわけです。

 しかし、いまだに十三万人を超える方々が避難生活を強いられておりますし、その一方で、株主や金融機関の責任が十分問われていないという現状はおかしいという声が上がるのも当然であります。政府が国が前面に出ると言って、国費投入の仕組みをつくろうとしておりますし、負担が曖昧なところも含めて、さらに国費投入がふえることになりかねません。

 大臣にお尋ねします。

 復興指針では、国が前面に立って原子力災害からの福島の再生を加速する、国と東電の役割分担とあります。国が前面に出て、廃炉ですとか、汚染水対策ですとか、除染や復興に主体的に取り組む。この点は重要だと思いますけれども、主体的に取り組むということと、その費用を国が負担するということはイコールではないわけで、これはきちんと区別して考え、対応するということが必要じゃありませんか。

茂木国務大臣 なかなか、こういった難しい事業を進めるに当たって、口は出すけれども金は出さない、これではやはり済まないんだと思います。

 では、実際にどうだったか。事故が起こってから二年半、廃炉の問題についても、汚染水の問題についても、ほとんど手がつかないような状態というのが続いてきた。

 一日も早く福島の復興を進めるためには、これはもちろん、炉の設置者であり、これまでさまざまな作業の経験も積んできた東電には、実施主体としての責任をこれからも引き続き果たしてもらわなければいけないと思っております。

 しかし、例えば、廃炉に係る難しい研究開発であったりとか、汚染水を、地下水を含めいかに防御していくか、制御していくか、難しい課題もあるわけでありまして、それを全部東電に任せて、うまくいってきたのならそれでいいんです、いろいろな問題が生じてきた、これをもうストップさせようといったことで国も前面に出る。事業をやる以上、資金面でも役割分担は当然必要になってくると考えております。

塩川委員 国が負担するというのであれば、国の原発事故に当たっての責任ということも問われなくちゃいけないんじゃないですか。やはり、原発を推進してきた中でこういう事故につながったということへの反省が本来あってこその国費の投入というのがある。

 そういうときに、私は、原発の再稼働なんて進めるのはおかしいと。そういうところこそ改めるべきだということが、本来、国費を投入するというのであればやるべき、教訓、反省を踏まえた政府の、国の対応じゃありませんか。

茂木国務大臣 塩川先生、いい議論をされるんですけれども、時々論理が飛躍するんですね。

 お金を出すからにはその責任をとれ、そういうことではなくて、今一番大切なことは、誰の責任だからどうだ、こういう後ろ向きの議論ではなくて、きちんと一つ一つの課題を解決することによって、十三万人とおっしゃいました被災者の方々がふるさとに一日も早く、明るい表情で帰れる、そういった環境をつくるというのが国の責任だ、そのように思っております。

塩川委員 もともと費用負担のあり方の議論をしてきているわけですけれども、冒頭、環境省から答弁がありましたように、原発事故に伴う汚染について、汚染者負担原則をやはりしっかりと据えなければならない。また、国民負担を最小化するという立場に立つのであれば、負担の順番というのがあるだろう。私は、そういう点では、事故を起こした東電が真っ先にあり、その株主があって、あるいはメガバンクを初めとした債権者があって、電気を利用する需要家があって、最後に国民というのが本来の基本じゃないかと。

 こういうような負担の順番について、しっかりとした整理こそ改めて必要なんじゃないですか。

茂木国務大臣 負担の順番、これは法律上決まっているものもあるわけであります。電力債についてどうなるか、よく御案内のとおりだと思います。法律を過去に遡及して変えるということはなかなか難しいと私は考えております。

 そういった中において、それぞれの立場の人間がそれぞれの役割を果たすということが何より大切だと考えております。

塩川委員 交付国債五兆から九兆円へというのも、もともと一昨年に東電の下河辺会長からの要望もあり、そういう流れの中で行われてきているものでもあります。そういう点では、機構法そのものが東電延命の仕組みとなっているわけですから、機構法の抜本見直しが必要であるわけで、機構法の附則の三条にあるように、ステークホルダーに負担を求めるとか、こういう観点での措置こそ行う必要がある。

 私は、また改めて議論しますけれども、事実上破綻している東電の法的整理や、また、国が責任を認めた上で費用負担をするということであれば、その反省の上に、原発の再稼働などは行うべきではないということを申し上げて、終わります。

富田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十九分散会


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