衆議院

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第4号 平成26年3月26日(水曜日)

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平成二十六年三月二十六日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    石崎  徹君

      小田原 潔君    越智 隆雄君

      大見  正君    勝俣 孝明君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      田中 良生君    辻  清人君

      冨樫 博之君    中谷 真一君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      細田 健一君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    武藤 貴也君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      枝野 幸男君    岸本 周平君

      近藤 洋介君    玉木雄一郎君

      辻元 清美君    伊東 信久君

      遠藤  敬君    木下 智彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      三谷 英弘君    小池 政就君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           広瀬  直君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          横尾 英博君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)    糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山本 哲也君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十六日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     秋本 真利君

  菅原 一秀君     小田原 潔君

  武村 展英君     武藤 貴也君

  宮崎 政久君     中谷 真一君

  岸本 周平君     玉木雄一郎君

  伊東 信久君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     穴見 陽一君

  小田原 潔君     菅原 一秀君

  中谷 真一君     宮崎 政久君

  武藤 貴也君     武村 展英君

  玉木雄一郎君     岸本 周平君

  遠藤  敬君     伊東 信久君

    ―――――――――――――

三月二十六日

 中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 貿易保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、貿易保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官広瀬直君、経済産業省貿易経済協力局長横尾英博君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君及び原子力規制庁長官官房審議官山本哲也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。白石徹君。

白石委員 おはようございます。自由民主党の白石徹でございます。

 経済産業省が今国会に提出しております七法案のトップバッターとして、今回の貿易保険法の改正案が提出されているわけでありますけれども、そのトップバッターとして質問の機会を頂戴させていただきましたことを富田委員長初め理事の皆様方や委員の皆様方に心からお礼を申し上げつつ、質問に入らせていただきます。

 一昨年の十二月にアベノミクスがロケットスタートしてから、我々経済産業委員会でも、日本の魅力を世界に売り込むクールジャパン法や、電力システムの抜本的な改革のための電気事業法改正など、日本を元気にする法律を仕上げてまいりました。

 その国会審議の中で茂木大臣が話された言葉が私の脳裏にいまだに焼きついて残っています。それは、過去と自然環境は変えることはできません、しかしながら、未来と社会システムは使命感と多くの人の共鳴感によって大きく変えることができるのですという言葉でありました。私は、これをこれからも自分の信条として頑張ってまいりたいと思っておりますし、大臣がおっしゃるように、私たちは輝く未来の日本を創造していくためにも社会システムを改革していかなければならないという使命を課せられたものだと思っております。

 そのためにも、早期にデフレを脱却しなければならない。また、これから進めていかれる成長戦略を効果的に進めていくことのできるような環境をつくっていくためにも、今後の日本経済を後押ししていくシステムの整備が急務であります。

 また、基本的には、技術革新を図るか、もしくは競争力を増すことによって市場を拡大する、もしくは新しい市場を創造することによってこれからの成長を醸し出していかなければならない、そういうところでありますけれども、我々が仕上げてきたクールジャパン法は、まさに、市場拡大を図る企業を直接的に支援する新しい仕組みをつくりました。また、電事法の改正は、新たな市場を創造することのできる改革につながっていくと私は思うわけであります。そして、今回の貿易保険法の改正もまさに市場拡大への強力な原動力、パワフルなスクリューエンジンとなるものと期待をしております。

 そこで、茂木大臣、お伺いさせていただきます。この貿易保険法は、前回の改正からはや十五年がたっているわけでありますけれども、今回の改正の根本的な目的というか、大局観に基づいたこの法案の意義というものをお伺いさせていただきたいと思います。

茂木国務大臣 この国会で七本の法案の御審議をお願いしておりますが、その最初の法案の最初の質問バッター、私にとっても最初の答弁ということでありまして、初めよければ全てよし、心して答弁をさせていただきたい、こんなふうに思っております。

 我が国、貿易立国であります。そして同時に、今後は、産業投資立国、双発型のエンジンを持つ新たな成長を目指していくということであります。そこの中で、貿易保険制度は、民間の保険では引き受けられない、対外取引を行う者が例えば戦争であったりとかテロ等の発生によってこうむる損失を補填する制度でありまして、日本企業の国際展開には必要不可欠なもの、このように考えております。

 今後、我が国が経済の持続的な成長を実現していくためには、クールジャパンのお話もいただきましたが、著しい成長が見込まれる新興国、これを初めとします海外の旺盛な需要、そして成長市場を獲得していくことが極めて重要だと考えております。

 しかし、ここに来て状況というのが大きく変わりつつある。例えば、昨年一月、アルジェリアで発生したテロ事件に見られるように、近年、日本企業が海外で事業を行う際に直面するリスクは大きく増大をしております。また、企業活動のグローバル化、こういったものが進展することによりまして、海外の子会社であったりとか海外の拠点を使った取引、また、外貨建てでの借り入れ、こういった取引形態であったりとか資金調達方法、これも多様化しております。さらに、白石委員よく御案内のとおり、最近では地方に拠点を置きます中小企業においても積極的な国際展開が図られつつあるわけであります。

 こういったビジネス環境の変化、国際環境の変化というものを見たときに、今の国際取引そして融資に際して生じ得る損害リスクを保険でカバーする適切な民間の保険制度は極めて少ない。これは、日本だけではなくて、全体的にそうであると思っております。このような状況に対応できるよう貿易保険の機能を拡充する必要がある、このことから十五年ぶりに貿易保険法を大きく改正させていただくということで、この改正案を提出したわけであります。

 日本企業のグローバルな事業展開を後押しすることで我が国経済の持続的な成長につなげよう、これが大局から見たこの法案を提出させていただいた趣旨でございます。

白石委員 ありがとうございます。

 大臣がおっしゃいましたように、産業創生立国、まさに、我々日本がへさきを向けていく方向性がその言葉の中にあったように思いますし、また、地方の中小企業も今、海外進出をどのように図ろうか、そのような活動が活発化していっているというのも事実であります。逆に、私の地元は造船業界が随分あるわけですけれども、政権交代前の円高の真っただ中では、受注をしても赤字になる、そして、赤字を余儀なくされながらも受注活動するけれども、円高のために受注にも至らない。結局、ことし二〇一四年は、受注ゼロになるというような危機的な状況であったわけでありますけれども、アベノミクスのおかげで今急激に好転をしている。

 そしてまた、まさにこれから受注を海外において伸ばしていかなければならない、そういう状況にあるわけであります。私の愛媛県の東予地域というのは非常に中小企業の多い地域でもありまして、造船業界だけではなくて、いわゆるプラント業、さらには医療も、さまざまな中小企業者が今まさに、これから海外に進出していきたい、そんな思いを高めているところでありますけれども、ぜひ、海外進出の機運が高まっているこの時期だからこそ、田中政務官にお伺いさせていただきたいんですけれども、今回の貿易保険法の改正というものは、これから頑張ろうという企業もしくは中小企業に対してどのようなメリットがあるのか、お聞かせ願いたいと思います。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 この貿易保険制度は、白石委員御地元の愛媛県で盛んな造船業界におきましても今大きな役割を果たしているところでございます。

 具体的には、我が国の造船会社が海外の船会社などに船舶を輸出する際には、例えば、その代金が回収できないリスクをカバーするために貿易保険が利用されているところであります。年間での保険引き受けの実績は既に一兆円規模に達しております。さらに、船舶を購入する外国企業に対しまして銀行が資金を融資する際に、資金回収リスクをカバーするために貿易保険が利用されております。年間での保険引き受けの実績は二百億円規模と今なっております。このように、船舶代金の確保、また購入資金の提供を通じて、貿易保険は船舶の輸出の促進に一役買っているということであります。

 また、今回の法改正におきましては、地域の企業が貿易保険を使いやすくする、そうした措置も講じているところであります。

 具体的には、日本貿易保険が損害保険会社の対外取引向けの保険に対して再保険をつけることができるように措置をいたします。そして、損害保険会社がより充実した対外取引向け保険を提供できるようにするというものであります。これによりまして、日本貿易保険の引受能力と民間の損害保険会社の全国的な販売網という両者の長所をあわせて、効果的かつ効率的に貿易保険を提供できる、こういうことが期待されているところでございます。

 今後とも、この貿易保険制度を通じまして、造船業及び地域で頑張っている企業を強力に支援してまいりたいと思います。

白石委員 ありがとうございます。

 政務官おっしゃっておられましたように、この法改正では、日本貿易保険が最も重要な政策金融機関としての役割を担っていくことは間違いないと私も思っておりますし、その反面、NEXIに対していろいろな企業から、これから忙しくなるから、だけれどももう少し早く進めてもらいたいというのと、人員をもう少しふやしたらどうかというような声も漏れ聞こえてくるわけであります。

 この法案を運用する上で大変重要な役割を担う日本貿易保険の今の課題というものをどのように捉えておられるのか、また、その課題に対して今後経済産業省としてどのように進めようと考えておられるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

横尾政府参考人 委員御指摘のとおり、昨今、対外取引に係るファイナンス形態の高度化、複雑化の進展などにより、貿易保険の審査というのがなかなか難しくなってございます。そのため、利用者から、審査のさらなるスピードアップ、あるいは人員の増員という要望が寄せられているところでございます。

 こうした声に応えるべく、日本貿易保険では、現場への権限移譲による意思決定の迅速化、あるいはプロセス、体制等の業務全般の見直しなど、八十項目の効率化すべき業務を洗い出して、業務見直しに着手をしてございます。これによって業務効率を三割改善しようという目標で取り組んでいるところでございます。

 さらに、昨年末閣議決定されました、全額政府出資の特殊会社に移行するということで、より保険事業にふさわしいガバナンス構築、あるいは柔軟な体制整備が可能となるよう、今後、詳細な制度設計に取り組んでいきたいと思っております。

 貿易保険のユーザーに対してさらに質の高いサービスを提供できるように、今後とも、私ども経済産業省と日本貿易保険で緊密に連携をしながら、業務の見直し、効率化に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

白石委員 ありがとうございます。

 今お答えいただきましたように、質の高いサービスをぜひともお願いさせていただきたい。そして、企業のグローバルな活動の後押しをこれからもどんどん進めていっていただきたいというふうに思います。

 また、いわゆる貿易といえば、これまでは物販、物を売ることを中心に考えてきたわけでありますけれども、日本の持ち味、日本の強みというものをさらに世界に向けて発信していく、もしくは、全産業が世界での受注競争の中でそれを勝ち抜いていくことのできるような環境をつくり出していくためには、この法改正というものは非常に有意義な時宜を得たものだというふうに考えております。

 最後の質問ですけれども、赤羽副大臣にぜひお答えいただきたいのは、そのような全業界、特にこれからインフラ輸出を日本として図っていくために、そのインフラ輸出に対する副大臣の御決意というものを改めてお伺いさせていただきたいと思います。

赤羽副大臣 私は、実は以前、三井物産の社員でありまして、二十年前ぐらいまでは貿易が主力でありましたが、今は先生御指摘のように随分その状況も変わっている。インフラ輸出は、日本の成長戦略にとっては大変大きな鍵だというふうに認識をしております。

 政府といたしましても、昨年の五月にインフラシステム輸出戦略を策定いたしまして、閣僚を挙げて、トップセールスですとか、円借款の制度改善による支援強化を実施しているところでございまして、ミャンマー等々で具体的な成果も上げているところでございます。

 経済産業省といたしまして、今回の貿易保険法の改正を契機に、あらゆる施策を総動員いたしまして、我が国企業による海外プロジェクト受注やインフラ輸出の促進ということにしっかりと取り組んでいきたい、全力で取り組んでいくということを決意しているところでございます。

白石委員 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

富田委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、この国会の成長戦略関連法案として重要な、貿易保険法の改正案について質問をさせていただきます。

 早速質問に入らせていただきます。

 総理は今国会を好循環実現国会と位置づけられておるわけでございますが、まさに、景気回復による企業の収益を、雇用の拡大、また所得の向上につなげて、消費の増加を通じてさらなる景気回復につなげなければならないわけでございます。

 そのためにも、企業の収益の確保をどのように支援していくか、特に、この貿易保険法との関係では、企業の国際的な事業活動をどのように捉えて、どのように支援していくのかが大変重要な課題になっております。企業の国際的な事業活動といっても、さまざまなケースがあるわけでありまして、言うまでもなく、従来の日本からの輸出に加えて、日本から外に出て海外拠点でビジネス競争に勝ち抜くというようなケースが最近は非常に大きくふえているところであります。

 そこで、我が国経済の持続的な成長を実現していく観点から、本法案の趣旨、特に、我が国経済政策における位置づけについて改めて大臣にお伺いをさせていただきます。あわせて、本法案の内容について、簡潔にわかりやすく説明をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 アベノミクス三本の矢の三本目、まさに民間投資を喚起する成長戦略ということでありまして、そこの中で国際展開戦略、大きな柱を占めてくることになります。

 当然、企業が国際展開をする、これにはリスクが伴うわけでありまして、大航海の時代からいかにリスクを分散するかということが大きな課題でありました。例えば、今の株式会社の原型というのも、大航海時代に、船に対して、荷主といいますかいろいろな人が出資をしまして、それを株という形で持って、帰ってきたその船の貨物といいますか船荷を分け合った、こういったことから今の株式、ストックというものが生まれているわけであります。

 いずれにしても、今、日本にとって、旺盛な需要のある新興国であったりとか成長市場を取り込んでいくといったことは、極めて重要な課題だと考えております。

 そういった中で、昨年の一月にアルジェリアで発生したテロ事件のように、近年、日本企業が海外で事業を行う際に直面するリスクは大きく増大をしております。また、企業活動のグローバル化に伴いまして、海外の子会社であったりとか販売拠点、こういったものを使ったビジネスであったりとか、外貨建てでの資金の調達といった形で、取引形態も、そしてまた資金の調達方法も多様化をしてきております。同時に、最近では、大企業だけではなくて地方の中小企業も含めて国際展開を図る、こういった動きが顕著に見られるようになってまいりました。

 しかしながら、こういった国際取引や融資に際して生じ得る損失リスクを保険でカバーする適切な民間保険は極めて少ないのが現状でありまして、このような状況に対応できるよう貿易保険の機能を拡充する必要があるということで、今回、貿易保険法の改正をお願いしているところであります。

 今回の法案の概要について御質問いただきましたが、大きく四つの措置を盛り込んでございます。

 まず一つは、日本企業が海外でプラント建設を行う際に、テロや戦争によって事業が中断された場合に、これまでの制度では、建設代金が回収できないことによる損失を対象としておりましたが、これに加えて、当該企業がこうむる人件費であったりとか貨物の保管費等の追加的な費用を新たに貿易保険の対象とすることにしました。例えば、テロ事件等々によって工事が中断をしてしまう、しかし、人夫は雇ったままでいなくちゃならない、さらには、持っていったいろいろな機材をどこかに保管しなくちゃならない。こういった追加の費用もカバーできるようにさせていただきました。

 また、二つ目には、現行の制度では、日本企業から海外への輸出を対象としておりますが、これに加え、先ほど申し上げたように、日本企業の海外子会社であったりとか日本製品を扱う現地販売会社によります輸出などの取引を新たに貿易保険の対象とすることといたしました。

 そして、三点目でありますが、日本企業が参画をいたします資源開発等のプロジェクトに対する資金調達に関して、現行の制度では、本邦の銀行からの長期の融資を対象としておりますが、これに加えて、本邦銀行の海外拠点や外国銀行からの融資及び短期のつなぎ融資を新たに貿易保険の対象とすることといたしました。

 そして最後、四点目でありますが、日本企業が国内において外国企業にサービスを提供する取引を貿易保険の対象とするとともに、日本貿易保険の再保険の対象、これを国内の保険会社が引き受ける対外取引向け保険にも拡充する。

 これによって地方の中小企業の海外展開も相当支援できるのではないかなと考えておりまして、大きくこの四点について改正をお願いしてございます。

江田(康)委員 今大臣に具体的に説明をしていただきましたが、まさに日本企業の海外進出、国際取引の重要性が非常に増している中で、日本の海外現地法人が貿易保険を利用できるようにするということは、まさに時宜にかなったことだと評価しております。

 次に、赤羽副大臣に、今度は、本法案における中小企業の立場からの支援についてはどうかということについてお伺いをさせていただきたいのであります。

 日本再興戦略を見ますと、このインフラシステム輸出戦略を迅速かつ着実に実施するためには貿易保険のような公的ファイナンススキームを充実するということがうたわれておりまして、現状の十兆円を三十兆円にする目標が掲げられております。その主要分野を見ますと、電力、石油・ガスプラント、また鉄道建設などであります。

 貿易保険もこのような分野をターゲットとしているのだと思いますけれども、インフラシステム輸出あるいはプラント輸出というと、これは大企業中心の支援であるかのように聞こえてくるわけであります。しかし、国際展開しようと頑張っている地方の中小企業はたくさんあります。大企業が外に出ていってビジネスをしようとした場合、それを支える中小企業も一緒に出ていくというようなケースもあるわけであります。

 そこでお伺いをしたいわけでありますが、貿易保険は大企業のみではなく中小企業も支援すべきではないのか、この法律は中小企業に対してどのような裨益があるのか、政府の見解をお伺いしたいと思います。

赤羽副大臣 まず、貿易保険の現状は、インフラ輸出等々ばかりではなくて、物品の輸出支援についても活用していただいておりまして、現在、加入者の半数は実は中小企業でございます。中小企業の皆さんは海外に展開しようという意欲が大変旺盛でありますので、より貿易保険の利用を促進していきたい、こう考えておりまして、手続等を簡素化した商品を提供するですとか、地銀と連携をしまして地方の中小企業の皆さんに貿易保険の販売委託を行う等の取り組みを行っているところでございます。

 また、それに加えて、今回の改正では、地域の中小企業への貿易保険の普及という観点から、日本貿易保険の引受能力に加えて、民間の損保の全国的な販売網という両方の長所をあわせるということが効果的、効率的と考えまして、日本貿易保険が民間の損害保険会社の対外取引向けの保険に再保険を付することができるよう措置をいたしまして、民間の損害保険会社がより充実した対外取引向け保険を提供できるようにしたところでございます。

 この貿易保険法の改正のみならず、もう御承知のように、ジェトロですとか中小企業基盤整備機構と連携しながら、中小企業でもより安全に、また、より積極的に海外展開ができるようにしっかりと経済産業省挙げて取り組んでいきたい、こう考えております。

江田(康)委員 さらに茂木大臣にお聞きさせていただきますが、貿易保険と民間保険との違いについて明確にしていきたいと思うわけでございます。

 貿易保険は、民間では引き受けられないようなリスクを引き受けて、企業が安心して国際展開できるような環境整備をする、こういう目的で設立されておるわけでございますが、今回の改正で、今、赤羽副大臣からも申されましたように、NEXI、日本貿易保険が国内の民間保険会社から再保険を引き受けることができるようになるわけであります。このことは、先ほどもありましたように、幅広くその販売網を通じて地方の中小企業の国際展開も支援していくことになるというお答えでございましたけれども、一方で、NEXIが提供する保険と民間損害保険会社が提供する保険との違いや関係性がどうなっているのかということであります。

 私が申し上げたいことは、今回の改正が民業圧迫にならないようにすべきであると思いますが、その点について政府はどのように考えておられるのか、お聞きをいたします。

茂木国務大臣 まさに委員御指摘の点、極めて重要だと考えておりまして、この貿易保険制度、民間ではカバーできない大きなリスク、例えば、戦争、テロ、外貨送金規制のようなポリティカルリスク、さらには相手先企業の破産であったりとか債務の遅延等の信用リスクの引き受けを行うものでありまして、これらのリスクについては、保険事故の発生が集中したり、また巨額の保険事故が起きたりして、支払う保険金の額が平準化しないことから、なかなか民間の損害保険会社の保険では引き受けを行うことが困難でありまして、国の制度として保険引き受けをすることとしているものであります。したがいまして、民間保険でカバーできるものを貿易保険の対象とすることは基本的にない、こういう方針で臨みたいと思っております。

 今回の法改正におきましても、企業の貿易保険に対するニーズや、民間の損害保険会社が提供する保険サービスの現状を踏まえた上で、適切に貿易保険の引き受け対象を設定したいと考えております。

 こういった切り分けが極めて重要でありますが、同時に、民間との連携というのも御指摘のように図ってまいりたいと考えておりまして、今回、日本貿易保険の再保険の対象を、国内の民間保険会社が引き受ける対外取引向け保険にも拡充することとしておりますが、これは、日本貿易保険と民間の損害保険会社とが協調して、より充実した対外取引に関する保険サービスの提供を可能にするものであります。ちなみに、民間の損害保険会社からも今回の法改正に当たりましていろいろ御意見をいただいておりますけれども、本規定の創設を歓迎している、このように承知をいたしております。

江田(康)委員 時間が来たので終わらせていただきますが、今の大臣の、民業圧迫にはならない配慮をされている、またその評価もされているということでございますので、しっかりと取り組んでいただきますようによろしくお願いを申し上げまして、この質問とさせていただきます。

 ありがとうございます。

富田委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 おはようございます。民主党の玉木雄一郎です。

 きょうは、経済産業委員会で質問をさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。与野党の理事の皆様、関係の皆様にまず感謝を申し上げたいと思います。

 まず、貿易保険法の改正について質問をしたいと思います。

 私自身、実は、与党時代に特別会計の改革に携わりまして、全ての特会の見直しを平成二十二年に行いました。その見直し結果を踏まえて、約一年間かけて閣法として特会改革法案をつくっていったわけでありますけれども、残念ながら、我々の政権のときにはそれを通すことができませんでした。政権交代して自民党政権になった後、ほぼ同じ内容でその特会改革法案を通していただきまして、これは行革担当大臣の稲田大臣を初め関係の皆様には感謝を申し上げたいと思いますが、ただ、特別会計改革法案の中に、貿易再保険特会はいろいろな調整が間に合わずに漏れてしまっていた、積み残し案件だったという経緯がございます。

 今回、貿易保険法の改正を行うわけでありますけれども、当時の議論を少し振り返りたいと思うんです。お手元に配っている資料の中に、当時、平成二十二年の特会見直しをしたときの論点が少し整理をされているんですが、大きく三つあります。

 一つは、貿易保険というのは極めて大事なので、NEXIの経営の自由度、効率性、あるいはサービスの向上が図られるような組織形態の見直しを行うべきではないかということがまず一点です。二つ目は、支払い債務に対する保証など国の一定の関与は残しつつも、特会については廃止し、業務をNEXIに統合した上で、いわゆる二重構造をなくしていくべきではないか、これが二点目。三つ目は、そもそもの貿易保険の商品性、これを改善して、よりユーザーにとって使い勝手のいいものに変えていくべきではないか。大きくこの三つの論点だったと思います。

 今回の法改正は、時代の変化あるいは具体的なニーズを踏まえて貿易保険の商品性、内容を見直していく、こういう方向に沿ったものなので私は大変評価をいたしておりますし、日本の企業の海外進出を支援していくというこれからの成長戦略においても極めて重要だと思っております。

 そこで、最初に質問したいのは、今申し上げた三つの論点のうち前半にかかわるんですけれども、NEXIの組織形態、そして特別会計を含めたお金の流れについての見直し、このことについてお伺いしたいと思います。

 我々の政権のときの平成二十四年の一月二十日に、まず、独法見直しの基本方針というものを決めまして、NEXIについては全額政府出資の特殊会社に移行するということが決まりました。閣議決定です。その四日後のまた閣議決定で、今度は特会の改革の基本方針というものが決まり、貿易再保険特会については平成二十七年度末までに廃止するということが、それぞれ閣議決定のレベルで決まりました。

 こういった組織形態の見直し、特会の見直し、この方向性については現在どうなっているのか。今回の法律改正も踏まえて、今後どういうスケジュールで行っていくのか。組織形態の見直しと特会のあり方、この点についてお答えいただきたいと思います。

茂木国務大臣 民主党政権時代に進めていただいたさまざまな改革、電力システムについてもそうでありますが、我々として、前政権でやっていたことだから自分たちは違う方向に行くんだ、こういったことはいたしません。いい改革についてはきちんと引き継ぎをしたい、そのように考えております。

 そこの中で、御指摘いただきました三つの論点のうちの三番目の、貿易保険の商品性を高める、これを今回措置させていただいたわけでありますが、最初、そして二番目の論点、貿易再保険特会の廃止及び独立行政法人日本貿易保険の特殊会社化につきましては、昨年十二月に閣議決定されました独立行政法人改革等に関する基本的な方針におきまして、独立行政法人日本貿易保険について、国の政策意図の反映など国との一体性を高めつつ、経営の自由度、効率性、機動性を向上させるため、全額政府出資の特殊会社に移行すること、そして、貿易再保険特別会計については、平成二十八年度までに廃止し、その資産及び負債は日本貿易保険に継承することと決定をさせていただきました。

 その際、日本貿易保険の保険金支払いの確実性を担保する制度等の所要の制度設計や、委員もよく御案内のように、法人税の減免等所要の税制措置についての検討を行うこととしております。今後、可及的速やかにこれらについて検討を行いまして、次期通常国会に法案を提出することを検討いたしております。

玉木委員 茂木大臣、明確な答弁をありがとうございます。私も、ぜひその方向で進めていただきたいと思います。

 ちなみに、議論の過程で、国家の関与のありようをどうするのか。完全に民間の保険会社にしてしまえば、それはそれで一つの考えなんですが、いざというとき、湾岸戦争であったりとか中南米の債務の問題があったときに、かなり相当支払いがあり、そして債務を抱え込んだというときに、やはり国家のバックアップが適切にあるということが大事だと思います。その国家関与のあり方についても、例えばアメリカのUS―EXIMであれば、政府保証という形で、そっと寄り添うというような形でやっていく形態もあると思いますので、いずれにしても、よりよい組織形態になるように御検討いただきたい、そんなふうに思います。

 次に、今大臣もおっしゃっていただきましたけれども、経営の自由度、効率性、こういったことを高めていく上で、先ほども質問がありましたけれども、中小企業の観点から見た貿易保険ということで質問させていただきたいんです。

 先ほど副大臣から答弁がありましたけれども、利用者の半分ぐらいが中小企業ということになっていますが、これはよくよく見ると資本金三億円以上が半分ぐらいなので、いわゆる我々のイメージする中小零細企業に限っていうと少ないと思うんですね。地方の中小企業が世界に羽ばたいていくためには、やはりなかなか、見たこともない、行ったこともない国だったりするとちゅうちょもあるわけでありますから、そこをいかに支援していくか、これは極めてこれから大事だと思っております。

 その意味で、実は、NEXIは窓口が東京と大阪にしかないんですね。ちなみに、海外にはもっとあるんです。ニューヨークとパリとシンガポールにあるんですね。私はいろいろな行革も進めてきたので、やたらめったら国内に窓口を持てとは言いませんけれども、東京と大阪にしか窓口がないと、地方の中小企業は、相談に行こうとかそういったときにやはり使いにくい。実際、役所に聞いてみますと、東京と大阪の企業が六六・七%で、利用者の大体三分の二は、東京、大阪周辺の企業なんです。

 これをこれから広げていくことは、先ほどの、サービスを向上させていく。せっかくいい商品設計になったわけですから、今度はそれをある意味営業して、より多くのやる気のある地方の企業に使っていただくことが非常に大事だというふうに私は思うんです。今、大都会中心になっているこの利用のありよう、このことについてもっと地方に広げていくべきだと思うんですけれども、大臣の方針、お考えをお聞かせいただければと思います。

茂木国務大臣 日本経済全体を見ても、今、玉木委員御指摘のような方向に行くんだと思います。

 今まで輸出の主流というのは、やはり東京や大阪の大企業、もしくは、中小企業といいましてもかなり大きな、地方に行きますと、例えば栃木とか香川から見ると大企業と思えるような中小企業が海外展開をしたわけでありますが、これからは、例えば資本金三千万円以下の、本当の意味での中小零細企業も海外展開していく、それに対しまして、この貿易保険でもそういった海外展開を支えていきたい。

 二つの考え方があるかと思うんですけれども、一つは、貿易保険そのものとして拠点を全国に張りめぐらす。ただ、これはやはり、行政の肥大化といいますか、そういった観点から問題があるのではないかな。

 そうなりますと、これまでも、地銀との連携ということで、地方の中小企業に貿易保険の販売委託を行う等の取り組みを行ってきたところでありますが、今回の改正案では、これに加えまして、地域の中小企業への貿易保険の普及という観点から、日本貿易保険の引受能力及び民間の損害保険会社の全国的な販売網という両者の長所をあわせることが、効果的かつ効率的に運営できるということから、日本貿易保険が民間の損害保険会社の対外取引向けの保険に再保険をつけることができるように措置をいたしました。

 これによりまして、民間の損害保険会社がより充実した対外取引向け保険を提供できる、そして、それに対して日本貿易保険がバックアップをしていく、こういう連携の姿がつくれるのではないかなと考えております。

玉木委員 そういったこともぜひ進めていただきたいのと、私は、これはどこまでできるかあれなんですが、せっかく経産省は全国に組織を持っています、経産局もそうですし、あるいは商工会議所とか商工会、こういうところに貿易保険のパンフレットを置いていく。こういうことも実は非常に大事なのかなというふうに思っておりますので、地銀経由もいいんですけれども、そういった経産省が既に持っているネットワークもうまく使って、貿易保険になじみを持ってもらうということも、あわせてぜひやっていただきたいなと思います。

 これに関して二点、提案だけして次の話題に移りたいんですが、一つは、先ほど申し上げたように、海外拠点はニューヨークとパリとシンガポールにあるんです。ただ、貿易保険の内容を見ますと、ほとんどがアジア向けの短期です。では北米はどれぐらいあるかというと、実はアジア向けの十分の一もないんですね。

 半分嫌みで言いますけれども、経産省の職員が課長補佐で一生懸命働いて、ちょっと休んでもらおうと思ってニューヨークへ行ってもらう、パリへ行ってもらうためにあるのはやはりまずいと私は思うんですよ。しっかり働いてもらうためにあるとしたら、シンガポールにあるのは評価しますけれども、この量からすると、もうちょっとアジア拠点があってもいいと思うし、パリもニューヨークも華やかな都ですよ、ただ、やはり実態に合わせた事務所の設置、運営。南米にも要るかもしれません。これからは、アフリカあるいは中東、こういったところにも仮に共同事務所をコストを抑えながら設けるとしたら、こういう戦略的な事務所配置もぜひ考えていただきたいなということが一点であります。

 二つ目は、農業の六次産業化との関係です。この六次産業化ということによって、経済産業省が持っている仕事と、農林水産省が持っている仕事が今すごく近接してきています。経産省の方が元気なので、いろいろパワーを持ってやれるところもあると思うんですね。

 何を申し上げたいかというと、今大体四千八百億ある農林水産物の輸出を倍増して一兆円にしようということで進めております。余り今までイメージされませんでしたけれども、農林水産物の輸出に関してもこの貿易保険を積極的に使っていく。これは省庁をまたがるような話になってくるんですけれども、林大臣ともよく連携をとって、農林水産業あるいは食品加工業といったものとの連携、そこに戦略的に貿易保険を入れていくということもぜひやっていただきたいと思うんです。これは通告はないんですけれども、大臣、もし感想があれば。

茂木国務大臣 まず、経済産業省の国内のネットワーク、さらには全国の商工会議所、商工会等にパンフレットを置いて、貿易保険を地方の中小企業、小規模事業者の皆さんによく知っていただく。よい御提案だと思います。どういった形ができるかわかりませんが、ぜひ何らかの形でそれは具現化していきたい、そんなふうに思っております。

 そして、海外拠点でありますけれども、ニューヨークとパリに遊びに行くためにつくっているんだとは思いませんが、やはり、日本企業が今世界のどこでどういう活動をしているのか、それに合った実態、恐らくこれはビジネスもあると思いますし、金融ということもあると思います、これも含めた実態を踏まえて、中期的には拠点のあり方を検討しなければいけないのではないか、このように考えているところであります。

 そして、三点目は何でしたか。(玉木委員「農業との関係」と呼ぶ)林大臣とよく調整をしたい、農産品であっても工業品であっても貿易は貿易だ、そのように考えております。

玉木委員 ありがとうございます。

 中小企業の観点、特に地方の中小企業の観点ということで、私は、貿易保険は非常にいい制度なので、地方の企業が本当にこれから新しいマーケット、フィールドを求めていくために、ぜひこれを活用してもらえればというふうに思っております。

 その意味で、中小企業に関して一点、外国人実習制度について質問したいんです。

 実は、私の地元の東かがわ市というところは、手袋の国内シェア九割を誇っているんです。今ちょっとここにサンプルを持ってきたんですが、これに関して一つ言うと、これはニット製の手袋、これは革製の手袋なんですが、このニットの手袋を製造しているところに外国人研修生を受け入れると、最大三年まで受け入れが可能です。でも、同じ手袋なんですけれども、素材がかわって革手袋になると、外国人研修生は一年しか受け入れられないんです。同じ手袋で、皆さん、不思議だと思いませんか。(発言する者あり)そうなんです。これは、話せば長い話なんですが、大臣はよく御存じだと思うんですけれども、いろいろな制度の中でそういう制約があるわけであります。

 今、特にこういうマニュファクチャリングの比較的単純な作業についてはもうどんどん海外に出ていっているんですが、やはり、国内のものづくり、産地を国内に一定程度残すというのは政策として極めて大事だと思っているんです。ただ、労働集約型の産業であると、日本国民を雇ってやると、どうしてもこれは難しくなるし、競争力が落ちていくということがあります。

 素材によって外国人の方々を研修で受け入れることが三年だったり一年だったりするのは、私は、これは少し現行制度の運用を柔軟に見直して、革手袋であっても三年間の実習生の受け入れが可能になるようにすべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の、外国人を研修で受け入れる制度、外国人技能実習制度というふうに申しますけれども、これは、技術移転を通じた開発途上国への国際協力を目的とした制度でございます。繊維等々の製造業で多く活用されておりますけれども、最大三年間の技能実習期間のうち、二年目以降の技能実習を可能とするために、技能実習二号対象職種の追加というものがございます。これに追加されますためには、まず、一年目の技能実習生が一定水準以上の技能を習得したことを確認するために、技能検定などの公的な評価制度が職種ごとに設けられているということが前提となってございます。

 いまだ技能検定などの公的な評価制度がない職種につきましては、業界団体が新たに作成した評価制度について、厚生労働大臣の公示であります技能実習制度推進事業運営基本方針に基づきまして、技能実習制度推進事業の実施機関として厚生労働省が委託しました公益財団法人国際研修協力機構、JITCOと申しますけれども、ここが妥当か否かの判断を行うといったことになっていると理解しております。

 御指摘の革の手袋業界でございますけれども、御承知のとおり、業界団体が作成した評価制度は用意されておりますが、その運用実績がないために、本当に一定水準以上の技能を習得した者を評価する制度として認定していいかどうかの判断がまだなされていない段階というふうに承知しております。試験を実際に実施して、その判断を行った上でなければ、技能実習生に対して二年目以降の技能実習を可能とする公的な評価制度として認定できないというのが、新たな職種についての公的評価制度の認定について担当している厚生労働省の見解だというふうに理解しております。

 したがいまして、まずは、この業界におきまして本制度をしっかりと運用していただくといったことが重要であるというふうに理解しております。

 なお、経済産業省といたしましては、平成十七年度にこの公的な評価制度の作成に対して支援を行っておりまして、引き続き、この制度の目的も十分に踏まえながら、産業を所管する立場から、より柔軟な制度運用を図るために何らかの工夫ができないかも含めて、所管であります厚生労働省と相談してまいりたいというふうに思っております。

茂木国務大臣 事実関係につきましては今政府参考人から答弁させていただいたとおりでありますけれども、技能検定そしてまた技能評価制度につきましては、きちんとした技術を習得した人が必要な期間、日本で研修が受けられる、そのためにあるべき制度であって、その人に対して門戸を閉ざしてしまう手段として検定とかこういった評価制度があってはならない、こういう観点から、必要な見直しがあったら進めることが重要だと考えております。

玉木委員 ありがとうございます。

 今、最初に広瀬審議官からるる御説明をいただいたのは、担当の厚生労働省や、あるいは場合によっては法務省が従来言ってきたことだと思います。茂木大臣から比較的前向きな、検討という方向性は今いただいたんですけれども、私は実は二つ問題点があると思っているんです。

 一つは、これは先ほど見せましたけれども、何でニットの手袋だったらオーケーで革ならだめかというと、オーケーな業界が六十八種類指定されておりまして、実は、手袋のニットの場合は丸編みニット製造作業ということで包括されております。例えば靴下とかも丸編みニットでやるとそこで全部読めるので、そういう業界があるところは制度があって既に認定されているということでオーケーなんですが、革の手袋という、つまり手袋縫製というカテゴリーでは試験ができていないということで、ある種、素材ごとになってしまっているということなんですね。

 では、やろうとしたら、どういうふうにやるかというと、さっき言った、まず業界が試験制度をつくるということだと思うんです。例えば、手袋業界も何十社とありますけれども、あるタイプの素材を使って、ある縫製をやるというのがそのうちの数社しかないという場合は、業界にあまたある中で特定の数社のために試験をつくるのはなかなか腰が重いというようなところも実際やはりあるということが一点と、場合によっては業界のない会社もあると思うんです。業界がつくりますといっても、そもそも業界団体がないような、これから出てきたときにそういうところは受け入れが難しいということですね。

 二点目は、先ほど審議官からお答えいただいたように、補助を一定程度もらって、試験は実はできているんです。何がネックかと思って調べたら、研修制度の建前をとっていますから、試験制度をまず日本人向けに一回やる必要があるんですよ。日本人向けにその研修制度をやってみて、それをもって今度は外国人に適用する。試験制度をつくったけれども、日本人で研修するかというと、例えば手袋の縫製とかだと、かなり高齢の方、例えば中学校を卒業してもう何十年とプロとしてやってこられて、そもそもそういう方に、座学の研修を受けて、試験を突破してくれというようなことはなかなかやりにくいというような実態もある。

 試験はつくります、その補助も出ます、でもまず日本人で一回テストをやってみてから外国人というのは、私はちょっとここは、過剰な規制というか、もう少し柔軟な対応ができるのではないのかなというふうに思っております。

 ですから、繰り返しになりますが、一番最初に言った貿易保険のように、地方の企業が外にどんどん出ていく、これを支援するのも大事なんですけれども、やはり一定程度、地場で産地を維持して、技術や伝統や能力を地元でしっかりと伝承していくということも大事なので、そういうことを支えていく制度として、この技能実習制度については柔軟にぜひ対応していただきたい、産地を守るという観点からもぜひこれをお願いしたいと思います。茂木大臣にも、厚生労働省を初め、関係の役所や大臣ともぜひ積極的な検討と議論を行っていただきたいということをお願いしたいと思います。

 最後に、残った時間で汚染水の問題を少しお伺いしたいと思っております。

 資料を配っておりますが、予算委員会で一度、茂木大臣ともやりとりをさせていただきました。本当に我が国として、与野党を超えてしっかりと取り組んでいかなければいけない問題が、この福島第一原発の汚染水の問題だと思います。いろいろな対策が講じられております。

 質問したいのは、昨年の九月三日でありました原子力災害対策本部決定で、汚染水に対する幾つかの基本方針が決まりました。今回はあえて、そのうち、当時、緊急対策として位置づけられた幾つかの対策があったと思います。資料二を見ていただきますと、緊急対策として丸を打っている。

 一番最初は地下水バイパスです。これは、汚染源に触れる前に地下水をくみ上げて、海に放出して、流入を防いでいく。一番左に書いているものが一つです。もう一つは、その右に行きますと、二の、水ガラスによる地盤改良、あるいは、フェーシングというんでしょうか、アスファルトの舗装、こういったことを緊急にやりましょう。三つ目は、トレンチ内の高濃度汚染水を除去して汚染水の発生を防ぎましょう。この大きく三つが緊急対策、当時、いろいろやる中でとりわけ急いでやらなきゃいけないというものだったと思うんです。

 この実態なんですが、ちょっと役所からもらった資料をもとに、資料三、四でまとめています。今私が申し上げた、昨年九月三日時点のスケジュールが上です。いろいろ書いていますけれども、緊急対策と銘打っているところには丸をつけております。それに対して下側が、最近もらった進捗状況なんです。

 例えば、一番上に書いている、トレンチ内の高濃度汚染水のくみ上げ、浄化でありますけれども、去年の八月二十二日から始めることだったんですね。そして、二号機トレンチ、三号機トレンチ、それぞれ、三号機は今月、平成二十六年三月に止水する、二号機トレンチは来月、四月に止水するということになっているんですが、下を見ると、止水の完了めどというのは特に書かれなくなっているんです。

 いずれにしても、いろいろ書いていますが、この緊急対策の進捗状況についてちょっと教えていただければと思います。

茂木国務大臣 貿易保険とは直接関係ないかもしれませんが、御質問いただきましたので、お答えさせていただきます。

 昨年の九月三日に決定いたしました基本方針、この中で、緊急対策、委員の資料にお示しをいただきましたように、地下水のバイパス、そして二つ目に、水ガラスによります地盤改良、フェーシング、三番目に、トレンチ内の高濃度の汚染水の除去ということで取り組みを進めております。書かれた時期とは一カ月、二カ月ずれる部分はありますけれども、基本的には着実な取り組みが進んでいる、このように考えております。

 まず、一番下にあります、トレンチ内の高濃度の汚染水の除去の関係でありますが、これについては、昨年の十一月以降、移動式の処理装置によりまして、トレンチ内のセシウムやストロンチウムの浄化が進んでおります。さらに、トレンチ内の汚染水をくみ上げ、トレンチを埋め立てるために、現在、トレンチと建屋の連結部を止水するための凍結工法によります準備工事が計画どおり進んでおりまして、これが終わりますと、最終的なトレンチの埋め立てというものが行われる。恐らく一年、こういうスパンで工事が完成するのではないかなと思っております。

 それから、水ガラスによります汚染エリアの地盤改良についてでありますが、既に、海側の地盤改良につきましては、私も現場を見てきましたけれども、全て完了いたしております。

 また、建屋海側の汚染エリアの地表の舗装、フェーシングにつきましては、昨年の十一月より順次実施してきております。

 一、二号機の取水口の間は今月末、すなわち来週の月曜日には完成する予定でありまして、降雪など天候不良等によりまして一部の作業について工程におくれが生じました二、三号機の取水口、それから三、四号機につきましては来月末、四月末に完成予定である、このように承知いたしております。

 それから、地下水のバイパスにつきましては、昨年の三月に設置を完了いたしました。その後、地元の漁業関係者の皆さん初め関係者の御理解を得るべく、地下水バイパスの意義、運用目標、そして運用方法について丁寧に御説明を続けてきたところでありますが、まさに昨日開催されました福島県漁連の組合長会議におきまして、納得できる、正式な文書による回答が提出される、これをもって地下水バイパスを容認することが了承されたわけであります。

 大変難しい決断をしていただいたと思っておりまして、関係者の皆さんに敬意を払いつつ、今後、誠意を持って着実に厳正に作業を進めてまいりたい、このように考えております。

玉木委員 九月三日に基本方針を決定した際に、進捗確認を行って、そしてまた可能な限り前倒しを行っていくということになっておりますので、ぜひ、予定したことが、仮におくれることもあると思います、ただ、どういう状況になっているのかということについては適宜適切に発表、御説明を、これは東電の責任かもしれませんけれども、行っていただきたいなというふうに思っております。

 確認したいんですが、地下水バイパスに関しては、もう近々行える状況になっているのか。実施のめどと、仮にこれを行ったらどれぐらいの地下水の流入が防げるのか、もしわかっている数字があれば教えていただきたいんです。

糟谷政府参考人 福島県漁連からは要望書の提出を受けております。これに対する正式な文書での回答を求められておりまして、それをまず行うことになります。その上で、全漁連、全国団体でありますとか、その他自治体を初めとする関係の皆様方に御説明をした上で、まずはくみ上げた水の水質を厳正に測定して、それからということになろうかと思います。

 したがいまして、今の段階でいつということがまだ決まっているわけじゃありませんけれども、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、着実に、円滑に、速やかに実施につなげていきたいというふうに思っております。

 これによる効果でありますけれども、山側で地下水をくみ上げます、ただ、建屋から少し離れておりますので、くみ上げたことによって地下水の流入がゼロになるというものじゃありません。具体的には今、一日四百トンぐらい建屋に入っているというふうに考えておりますけれども、地下水バイパスでくみ上げる量にもよるんですが、数十トンから最大百トンぐらいの地下水の建屋への流入量の減少が期待できるんじゃないか。

 もちろん、これと並行しまして、凍土方式の遮水壁の実証、それから工事も進めつつあります。さらに、追加的な地下水の流入抑制対策ということで、凍土方式の遮水壁に加えて、表面を遮水するということですとか、もしくは、また新たな遮水を、凍土壁の外側につくってその内側を表面遮水するとか、そんなことも今準備しつつあるところであります。

 そういった対策を重層的に積み重ねることによって、汚染水の増加を可能な限り早い時期にとめていきたいというふうに考えているところでございます。

玉木委員 ぜひ早急にやっていただきたいなというふうに思います。

 それに関して、汚染水でもう一点質問したいのは、先月の十九日だったと思いますが、H6エリアのタンクからの百トンの汚染水の漏えいが明らかになりましたけれども、これは一部報道ではテロではないかとか、いろいろな報道がなされましたけれども、この原因の解明というのは既にもう進んでおるんでしょうか。実態を教えていただければと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、二月十九日に発生いたしましたタンクからの漏えい事象につきましては、私どもは、規制委員会としまして、まず法令に基づく報告を受けてございます。特に、その原因の検討状況とかあるいは再発防止対策などにつきましては、規制委員会に設けました汚染水の対策ワーキンググループ、これは専門家が入った検討チームでございますけれども、そちらに東京電力から具体的な報告を受けて、その内容の確認を行っているところでございます。

 今御指摘のような問題点でありますけれども、特に今回の大きな問題点として私どもが考えておりますのは、一つは、送水先のタンクの水位計が全く変動していなかったにもかかわらず送水を続けてしまったこと、もう一つは、誤ったタンクの方の水位が上昇していたわけでありますが、その際に警報が鳴ったにもかかわらず、この警報が故障であるというふうに、誤った判断をしてしまったということが大きな問題だったと思っております。それからもう一つは、弁の操作が適切に行われておらず、誤った方向に設定されていた。この大きな三つの点があったのではないかと思っております。

 この三つの点のうちのこういう異常な兆候を見出した場合については、これにきちっと適切に対応いたしまして、その異常の拡大防止に努めていくということが大変重要でございます。そのためには、送水先の水位の監視の強化でありますとか、警報が鳴った場合については天板まで上って水位がきちっとあるかどうかというような確認をすること、弁の操作に関しましては、誤った操作が行われないように施錠の管理をする、要は、錠前をつけて容易に動かせないようにすること、操作実績をきちっと記録する、こういったような対策が東京電力から報告がなされておりまして、そういう異常の兆候が見出された場合の対応策としては一定の効果があるものではないかというふうに考えておるところでございます。

 ただ、委員御指摘の、弁の開閉操作が誤ったものだったのか、あるいは故意に行われたものか、これについてはまだ東京電力において調査中でございまして、原因といいますか、実際にどうなったのかといったことについてはまだ解明できておりません。大事なことは、先ほど申しましたように、仮に故意であろうと、過失であろうと、あるいは機器のトラブルであろうと、異常が発生した場合については適切に対処いたしまして、その異常の拡大を防止していく、こういう対策をしっかりやっていくことが極めて大事ではないかというふうに考えておるところでございます。

玉木委員 今説明をいただいた中の最後の、弁の話、ちょっと細かい話なんですけれども、これは大事だと思っていまして、今回、閉まるべき弁があいていて、あくべき弁が閉まっていて、その結果、違うところに水が流れていっているということだと思うんですね。処理した後の汚染水が日々ふえていっているんですけれども、配管の、それこそスパゲッティのように複雑になっていると思います、それをつなぎ合わせていく弁の数も膨大になっていて、それを適切に管理しない限り同じようなことが起こると思うんです。

 質問したいのは、そもそも、今現在、今おっしゃったような、適切に管理をしなければいけない弁の数が幾らあるのか。そして、タグづけというか、この弁はどうですということが、銘板というタグがついていると思うんですけれども、弁の管理そのものが、きちんとタグづけされて、どれだけ行われているのか。この点、ちょっとまず事実を教えていただけますか。

山本政府参考人 今御指摘のありました弁につきましては、汚染水を処理した後、タンクに移送するわけでございますが、タンクの数が千とか、大変多うございます。

 基本的な考え方は、タンクに汚染水なり処理水を送水して満杯になった後、そのタンクの手前に弁がついてございますが、これを閉めて、要は、送水系統から分離する。タンク内の水がよそへ流れていったり、外に出ていかないように弁でしっかり隔離するというのが基本的な考え方でございます。

 そのために、タンクの数以上に弁の数がございますので、御指摘のように、千、数千のオーダーでこの弁がございます。(発言する者あり)はい、正確には五千ぐらいあるというふうに承知してございます。(発言する者あり)はい、失礼いたしました。(玉木委員「五千ですね」と呼ぶ)はい、五千の弁があるというふうに承知してございます。

 それで、タグの件につきましては、その弁が一体どういう弁なのかということを現場でも確認できるように、形がほとんど同じなものですから、タグという表示板を弁にくくりつける、こういう作業をやってございます。また、これは全部できているわけではございませんけれども、全数取りつけていくという作業を今現在進めているところでございます。

 大事なことは、今回こういう事象が起きましたので、今の弁の位置が適正な位置であるかということを、まず全数を一度確認いたしました。その上で、送水が終わりましたら、弁を閉めた後は施錠管理をする、それから、操作を途中で行う必要がございますので、その操作につきましては、記録という形で弁が今どういう状態にあるかということをきちっと把握する、こういう対策を現在実施しているというところでございます。

玉木委員 済みません、お答えいただいていないので。

 五千あって、今現在、適切にタグが取りつけられているのは幾らで、それがちゃんと全部、きちんと取りつけられるのはいつごろのめどになっているのか、この点。

山本政府参考人 弁の数は全体で五千でございますが、そのうちタグが取りつけられていないのがまだ千五百程度残っているというふうに聞いております。これについては順次計画的にやっているところでございますけれども、できるだけ速やかに実施をいたしまして、管理が適正にできるような体制に持っていきたいというふうに考えておるところでございます。

玉木委員 これはすごく大事なことだと思いますよ、先ほどまさに答弁されましたけれども。

 弁はぱっと見て、わからないですよね、同じ形をしていますから。問題は、何か起こったときに、速やかに判断しなければいけないときにきちんとしたものがなければ、人間というのは慌てますから、あけるべきところをあけなかったり、閉めるべきところを閉めなかったりすることがあるわけですよ。だから、弁の開閉管理の前提として、きちんとした銘板を付していく。そのことをちゃんと管理していくということがなければ、弁なり、その弁によってコントロールすべき汚染水の流れというのはコントロールできないと思うんです。

 本来は五千あって、千五百がついていないということで今お答えいただきましたけれども、全体のまだ三割ぐらいがついていないわけですよね。私は、こういうことも実は汚染水対策が進まない一つの理由になっていると思いますし、また、何かあったときには、速やかで適切な対応を阻害している要因の一つにもなっていると思っているんです。ですから、これはぜひ早急にタグづけをして、弁の開閉操作が的確に行える前提をきちんと整備していただきたいなと思います。

 これは一義的には東京電力、そしてまた委託している業者の仕事かもしれませんけれども、大臣、これはまさに国が前面に出て行う仕事の一つかなというふうに私は思いますので、経済産業省としても、規制庁とのいろいろな関係、役割分担はあるとは思うんですけれども、タグをきちんと正確に、早く振っていくことについては、茂木大臣のリーダーシップもぜひ発揮をして進めていただきたいと思います。いかがでしょうか。

茂木国務大臣 やはり、さまざまな問題が今現場で起こる中で、御指摘いただいたようなタグの問題につきましても、これが問題発生を防止するという意味では重要だと考えておりまして、適切にタグの取りつけが進むようにしたいと思います。

 その一方で、根本的な問題の解決、これがなされない限り汚染水の問題というのは解決をしないわけでありまして、冒頭委員から御指摘をいただきましたような緊急対策を含めて、しっかりまずは、汚染水をつくらない、地下水を汚染源に近づけない、そしてまた汚染水をふやさない、汚染水を漏らさない、こういう基本的な問題の解決に国としても正面から取り組んでまいりたいと考えております。

玉木委員 ぜひしっかりと取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

富田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。貿易保険法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。

 まず最初に、この法律案、海外展開をしようとしている日本企業にとっては切望していたと思われる、非常にいい法案だというふうに私は評価しております。

 なぜならば、日本の企業が海外に展開していく、今の実態でいうと、日本の企業というふうにいいながら、実際には彼らが海外の現地法人を持っておりまして、そこで展開されているということで、現行法ではその部分の手当てがしっかりとできていなかった、そこをしっかりと見定めて、それに見合ったような改正がされるということは、非常にこれは評価できるんじゃないかというふうに思っております。

 ましてや、今本当に、さっきお話しさせていただきましたが、海外展開しようとしている企業は、こういう実態があるということで、政府から後押しをもらいたいというお話がいろいろなところから聞かれてきたという意味では、非常にすばらしいものではないかというふうに思っております。そうはいいながら、全て網羅的に実態に即しているかという部分について、少しきょうは検証させていただきたいというふうに思っております。

 まず最初に、この法律案は、先ほど私、お話しさせていただきましたが、日本企業の海外展開を促進するという大きなキーワードがあるかというふうに思っております。

 ただ、私は前職で、やはりこういう海外展開をしている企業に勤めておったんですけれども、実態を見てみると、日本企業の海外現地法人といったところが出資する案件であるとかというのが出てきたときに、海外の現地法人というのはどこまで対象になっているのかというところが一つあるんです。

 というのは、今考えているのは、日本企業という一つのくくりがあるというふうに言われていますけれども、果たして、企業側が日本企業というふうな認識を、国籍を日本に有している会社だということを心の中に思って活動しているかどうかということなんです。

 これは、今までの企業が、大概のところは日本の国籍を有している会社だというふうな形で海外でもやってきました。ただ、これは逆に、これから先、私の前職の会社もそうだったんですけれども、そういうやり方をしていては世界の中では勝っていけない、そういうジレンマに陥り出しているということが一つあります。

 例えば、私も最初に、イギリスに赴任したことがあるんですけれども、その際に、ちょっとおかしいなと思ったことがあるんです。というのは、海外の現地法人に行ったときに、GM、ゼネラルマネジャーの九割以上を日本人が占めているという状態、それでは現地で商売するのはなかなか難しいというふうに思っていた。

 それからもう一つは、ほとんどの日本企業がそうなんですけれども、現地法人の中で話されている言葉はやはり日本語なんです。これでは現地で採用した人間とかもなかなか育っていかないということがあって、育っていかなければどういうことが起こるかというと、やはりその現地の有力企業とのパイプができない、こういうジレンマに陥ってきた。

 二十年ほど勤めていく間にだんだん雰囲気が変わってきまして、何とか海外のGMをつくっていこうというふうな話であったりとか、企業の形態自体も変えていこうという努力がいろいろとなされていった。

 そういうふうな形をとっていって、今どういうふうな形になっているかというと、例えば、世界で拠点をたくさん持っています。その中で、例えばアジア、中国とかシンガポールであるとかタイであるとか、ああいうところを一くくりにまとめているのは、日本の本社がまとめているのではなく、シンガポールに地域本部というのを一つつくって、そこの中で、あたかも一つの企業体であるかのように活動している。

 それから、ヨーロッパなどでも、フランスであるとかイタリア、スペイン、その他たくさんありますが、ヨーロッパの拠点はロンドンにある。そこであたかも一つの企業という形の活動をしているという状態になっています。

 これを考えると、本当の意味で日本企業の海外展開を後押しする、こういうふうな形になっているけれども、そのメリットを享受できるような会社がこれから先、日本企業として、日本の国籍を持った企業として活躍していけるのかどうかという点については、今まではそうだったかもしれませんが、これから先は、そういうことを考えていては、本当の意味での海外展開、海外で成功していくという形にはなかなかならない、困難な部分が出てくるのではないかというふうに私は思っております。

 そこで、少し御所見をいただきたいんですけれども、まず最初に、海外現地法人に対して、日本の企業の海外現地法人という形になっているんですけれども、この枠組みというところは、どこまでの企業にそういう措置が講じられるのか。

 すっと考えられるのは、日本の会社法によって、出資比率であるとか、実際に常勤の役員を何人入れているとか、そういうふうな形で、あとは連結利益を上げるような会社であるかどうかとか、ある程度の線引きが必要だと思っているんですけれども、どこまでのものなのかというのを、冒頭に私がお話しさせていただいた点も含めて、お答えいただければと思います。

 よろしくお願いします。

茂木国務大臣 まず、企業の国際展開といいますか、グローバルな展開をしていく。恐らく、マルチナショナルコーポレーション、こういう言葉が使われ出したのが一九七〇年代だと思いますけれども、マルチナショナルですから多国籍であるわけですね。一方で、企業なんですね、コーポレーションですからエル・コーポラテ、フォーム・ザ・ボディーですね、ラテン語で始まりまして。一つの一体をなしているというところから企業というものが成り立つわけでありまして、それぞれがばらばらであったら、それはコーポレーションにならないわけであります。

 恐らく、だからそれは商事会社にしてもそうだと思いますし、メーカーにしてもそうだと思いますけれども、企業としての一体性を保つということと、現地においていかに現地化していくか、このはざまで、企業経営としては非常に悩む部分があるのではないかなと思っております。

 一方で、貿易保険ということになりますと、当然、日本としての貿易を振興する、そして日本企業の製品を海外に展開する、こういったことを支援していくというのが中心になるわけでありまして、全く違う国の全く違う貿易についてカバーする、これは基本的な趣旨からいうと外れてしまうのではないかなと思っておりまして、海外子会社とそれから現地の販売会社に分けて考える必要があると思っております。

 海外子会社につきましては、やはり一定の範囲というのを定めなければいけないと思っておりまして、具体的には、日本企業が株式の総数の半数以上を所有していること、また、半数未満の場合でありましても日本企業が半数以上の役員派遣を行っていること、こういった方向で定める方針です。

 これは、冒頭申し上げたように、現地化として、そういうことがいいのかどうかという問題よりも、日本企業を応援する、支援していくという立場であります。

 一方で、海外の現地の販売網、販売拠点を使う、こういう企業もあるわけでありまして、海外の販売拠点につきましては、一年程度の期間以上継続的に日本製品を販売する外国法人、こういった形で、これは外国法人との取引についても対象とする、こういったことで考えたいと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 キーワードがやはり日本発のものを取り扱うんだというところで、これは非常に明確なお話かなと思っております。

 中で私ども議論していたときに、そういう形のキーワードがなければ、例えば法人税をどこの国に払っている会社なのかと。海外に払っている会社に対して保険を担保してあげるような話であるとかというのは少しおかしいのではないかというような意見もあったんですけれども、今のお話ですと、日本発のものを海外に広めていくことが根底にあるというふうに理解をさせていただきましたので、その意味でも、非常にしっかりとした法案になっているのではないかなというふうに理解しております。

 ちょっと先ほどの余談なんですけれども、やはり企業が海外展開するときに非常に苦しんでいる部分というのが、一つは、日本企業としての文化というのをやはり重んじてきていた、それが今まで成功してきた一つのポイントだったというのは、ほとんどの日本企業が自負しているところではあります。

 ただ、これから先、なかなかそうはいかない。例えば、能力のある外国人を雇い入れて、ある市場で大きくシェアを伸ばしていこうというふうにしたときに、やはり能力ある人間は、海外の場合は、ある程度仕事自体をキャリアと考えていて、一つ一つの経験を積み重ねていくこと自体が自分を大きくしていくすべだというふうに考えている部分があります。

 そう考えると、例えば、日本企業の海外のプロジェクトに参画しましたといっても、そこである程度の地位で仕事をしたとしても、下手をすると三年、四年でいなくなってしまうというところがあります。ただ、それで海外の場合は新しい人材がどんどん回っていくというところが、海外の企業が大きく発展していく一つのパターンだと。

 ただ、日本は、見ていたら、今叫ばれているような雇用の流動化という部分ではなかなかまだ進んでいない。私もそうでしたけれども、一つの企業に勤め、新人から研修を行い、十年、二十年たってやっと一人前のGMクラスになっていく、そして仕事を切り盛りしていく、その中で企業の文化をしっかりと心の中に刻み込んでやっていく、それが企業の発展につながっていったというところで、日本企業と今海外で大きく展開しているような外国企業との差というのがどうしてもまだまだある。

 どちらがいいかということは、これは一概には言えないと思います。ただ、これから先、世界の中で活躍していく企業を育てていくためには、雇用の流動化が進むような施策をどんどんとっていただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

茂木国務大臣 恐らく、企業形態がグローバル化すると、それぞれの国に合った雇用形態というのを考えていかなくてはならない。同時に、逆に日本の雇用の形態は、終身雇用制度、こういったものが続いてきたわけでありますけれども、現在は、過剰な雇用の維持から失業なき円滑な労働移動へ、こういう方向で考えております。それは、活躍できる人材が成長産業等に円滑に移っていく、そのためのマッチングであったりとか、さらにはスキルアップの手段、こういったことを制度的にも提供することによりまして、もう少し日本の労働市場にも流動性が出てくるということが極めて重要だと思っております。

 さらに、日本企業がこれから国際展開していく上では、コミュニケーションも重要だと思います。やはり英語の問題であったりとか、さまざまな形でコミュニケーションの手段をどうとっていくか。

 例えば、クールジャパンの中でも、今、海外で日本のアニメ等々を放映するに当たりまして、スーパーをつける、吹きかえをする、こういったことをすることによってローカライズを進めるということをやっているわけでありますけれども、これは旧約聖書の時代からなんですね。イン・ザ・ビギニング・ワズ・ザ・ワード、ザ・ワード・ワズ・ウイズ・ゴッド、ザ・ワード・ワズ・ゴッド、初めに言葉ありき、言葉は神とともにありき、言葉は神である、マタイ伝の最初でありますけれども、こういう、言葉をやはり大切にするということが重要なのではないかなと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 今のお話、実は通告にない部分をお話しいただいたので、準備なく、頭の中に入っていらっしゃることを述べていただきまして、非常に感銘を受けました。ありがとうございます。

 たくさん用意していたんですけれども、申しわけございません。では、どんどんお話しさせていただきます。

 この中で、海外のプロジェクトなどに関して、テロであるとか紛争が起こったときに、その解決に至るまでの人件費であるとか、輸送のコストであるとか、そういった部分について、この保険の中で担保していくということを考えられている。これは、この間起こりました不幸な事故、日揮のアルジェリアでのお話も含めてこういうふうな改正がされているということで、非常にすばらしいことだなと。

 そこで、私、思い起こすのが数件ございまして、私の前の会社、赤羽副大臣も御在籍いただいていた企業なんですけれども、一九七〇年から九〇年ぐらいにわたって、イランのIJPCという問題を抱えていた企業でございます。二十年の間に、中東戦争が起こり、イラン革命が起こり、そして最後にイラン・イラク戦争に発展する、その中で石油化学工場をつくっていくという形のことをしていた。

 そこの総投資額は、私が見ていると、大体六千億から七千億程度。そして、最後に、そのプロジェクトから日本側が抜けるために、千三百億円の和解金を払っております。何で千三百億円の和解金を払ったかというと、御案内のとおり、どんどん空爆が起こっていく、ただ、イラン側は契約を盾に事業を継続したいというふうに言ってきた。ただ、実質的には何もできない状態の中で、そういうことはできないということで、最終的には千三百億円。全部合わせて、恐らく、七千三百億と言っていますけれども、金利であるとかその他経費を考えると、もう今の貨幣価値でいうと二兆、三兆円ぐらい、そういうふうなお話でありました。

 こういうものについて、これは損害にかかわる部分であったりとか、そういうものが貿易保険の中で当たるかというふうな話はありますけれども、ある程度手当てができるようなことも中ではあるのではないか。

 実際、IJPCの中でも、日本政府自体が数百億円ぐらいの負担はしているというふうなことが出てきておりました。これは紛争にかかわる部分。それ以外でも、例えば、先ごろの、アメリカでハイブリッドカーの急発進のお話であるとか、そういうのを見ていても、言っては申しわけないですけれども、ある程度お金のあるところに、被害者救済のためにお金を取りに来る。

 もっと言うと、メキシコ湾で原油が流出しました。その際に、環境保全であるとか周辺住民のために、損害賠償金等々は、これはもうはかり知れない、どれぐらいかかるかわからないという中で、それに孫会社が関与していた日本企業が結局、和解金を全部合わせて七百億か八百億ぐらい払っているという状態になっています。

 そこの中で考えられることというのが、一つは、和解金を払っているわけですから、公的機関、トヨタの場合は司法省に対してお金を払っているということなんですけれども、公的機関が認定する前に和解金を支払っているという形になります。そうなった場合に、こういう貿易保険に適合するような、担保されている部分について求償が行えるかどうか。というのは、公的機関の認定がない状態で、和解金、莫大な金額を払っている形になります。それに対して求償を行えるような形になっているかどうかということが一つ問題になってくる。

 それからもう一つは、例えば、メキシコ湾のお話もそうですし、トヨタのお話もそうですけれども、アメリカのすごいトップクラスの弁護士団を雇って、その金額も相当なものになっていると思われます。そういったときに、これが、なかなか難しいと思うんですけれども、こういう貿易保険法の中で手当てされるようなものなのかどうかという点について、お答えいただければと思います。

赤羽副大臣 よく御承知だと思いますが、現状の貿易保険につきましては、あくまで日本企業が支払い代金の債権を有しているにもかかわらず支払いがなされなかったというリスクをカバーするものであります。IJPCのときに一部の金額が支払われたのもこの部分に該当すると思います。仮に、日本企業が輸入者と和解して代金債権が削減された場合には、その部分の保険金は支払われないこととなっています。

 しかし、一方で、今木下委員御指摘のように、国際社会の中でさまざまな事象が起こり、今回の法改正もそうですが、日本企業の海外展開をバックアップしていこうということでの法改正でありますので、今後も、さまざまな事象の発生とともに、どう対応したらいいかということは経済産業省としても前向きに考えていかなければいけない、こう考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 時間が少ないので、ちょっと用意していた部分を一つ飛ばさせていただきますが、概要だけお話ししますと、今のお話に連なる部分で、一つはそういう形でどんどん検討していただきたいということなんです。

 例えば、日本政府がこういう形でバックアップをある程度しておりますということが対外的にわかっていた場合、この場合には、一番大きな問題というのが、賠償の話になったりしたら特にそうなんですけれども、弱者救済という意味では、お金のあるところから取ろうというふうな考え方が非常に強い。そうなると、保険を付保することによって逆に潜在的なリスクが増大していく可能性も高いということですので、この取り扱いについてはしっかりとこれから先やっていただきたいと思っております。

 最後に一つ。

 これは事務的なお話であれなんですけれども、今までこういう貿易保険が掛けられなかったようなもの、例えば海外現地法人が取引する、相手先に物を売る、その際に、ここの中で書いているのは、民間保険会社が類似したような保険をやっていて、それで付保するという一つの方法があります。もう一つは、よくやられているパターンとして、LC、銀行の保証状を入れるというふうな話があります。

 ただ、これは私も経験があるんですけれども、相手側の取引銀行のLCを持っていたとしても、例えば、こういうふうな形で紛争が起こりましたとなったら、その企業だけではなくてその取引先銀行も同一国にあるということを考えると、もうそのLC自体、紙切れになってしまうということがあります。会社に入ったときに、LCの発行銀行はどこだということをしっかりと見ておけ、そうでなければこんなの紙切れと一緒なんだというふうによく教えられたものです。

 そのときに、この保険が、例えば、LCが開かれているからという形があるので、それに対して、LCを持っていることによって保険が付保されないというふうなこと、もしくは掛金などに多寡があるというふうなことはないかということを少し私は心配しておりまして、LCがあるからといっていいものではない、網羅的にやはり保険を掛けていただきたいと思っておるんですけれども、これについて今どういうふうな検討をされているのか、最後にお答えいただければと思います。

横尾政府参考人 お答え申し上げます。

 日本貿易保険では、輸出契約の決済の方法が委員御指摘のLCによるものであっても、そのLCを発行する銀行の信用状態を確認した上でございますが、貿易保険の引き受けを行っております。また、引き受けに際して保険金額を制限するということはございません。

木下委員 ありがとうございます。その辺も抜け目なくしっかりやられているということでございます。

 これ以外にもいろいろと網羅的にやるのは難しい部分がさまざまあるかと思いますが、これがいい法律になって、実際に実効性の高いものにしていただきたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 木下委員に続きまして、私、丸山からも、今回の法改正につきまして、多少細かいところもございますけれども、質疑させていただきます。

 近年、戦争やテロがふえてリスクがふえている。そして、企業の資金調達方法も含め、取引形態も大きく変わって多様化がかなり進んでいる、そうした環境においてこの改正をやられるということは十分に私も理解するところでございますが、今回は、NEXI創設以来初の改正、そしてなおかつ久しぶりの法改正ということでございますので、法案の中身の詳細とあわせて、NEXIのあり方、役割についても少しお伺いしていきたいと思います。

 まず、大きな点からお伺いしたいんですが、今般よくニュースで出るようになりました、経常収支が大きく日本において構造変化しているということが多々取り上げられているところでございます。また、国民の皆さんにおいても非常に関心があるところじゃないかなと思うんです。

 経常収支を見ますと、貿易収支が大きく変わってきて、特に赤字が進んでいるということでございますけれども、そうした中で今回、貿易保険法の改正ということでございますが、この貿易保険のあり方というのはどのように変わってくると、変わってくるのか変わってこないのかも含めまして、政府としてどのように考えていらっしゃるのか。

 まず、外部環境としての影響がある中で、もう一つ、内部環境としましても、よく海外にも同じような機関がいっぱい各国にあると思うんですけれども、その中で、日本においてはNEXIの体制が少し弱いんじゃないか、人員も足らないんじゃないかというお話もよく伺うんです。一方で、過去を見ますと、特殊会社化の閣議決定もあるというふうに聞いておりますけれども、こうした人員や体制、また外部環境の影響も踏まえまして、NEXIが今後どのような方向に行くのか、そのあたりにつきまして、まず政府の見解をお伺いしたいと思います。

横尾政府参考人 まず、最近の経常収支の構造でございますが、輸入の急増の一方で輸出が伸び悩んでいるということで貿易収支の赤字が拡大している。一方で、企業の海外展開によって所得収支の黒字はふえておりますが、貿易収支の赤字の拡大に必ずしも追いついていないという状況かと思います。

 そういう中で、今後、輸出の拡大ということと、海外の事業での収益を上げて所得収支を拡大していくということが重要になっているわけでございまして、まさに今回の改正によりまして、貿易保険制度がインフラ輸出の関連あるいは地方の中小企業の海外展開も含めて海外市場を獲得してそこで収益を上げることを応援する、そうした活用が期待されるわけでございまして、その意味では、引き受けの額は今後増加していくだろうというふうに考えております。

 そういう中で、今後の引き受けのニーズの増大に対応するべく、まずは既存の業務のさらなる効率化を図ること、それによって生み出される人員を、新しい商品の設計部門、あるいは海外拠点も含めた国際的な営業、フォローアップ体制の整備に充てていく、さらには、特殊会社化によってより柔軟な組織運営ができるようになればそれを活用していくというふうに考えてございます。

丸山委員 貿易を拡大していくために今回の改正があるということでございますけれども、今回の法改正によってどれほど輸出に影響を与えるのかとか、また、どれぐらい貿易保険業務が拡大されるかというのは予想されているところでございましょうか。

横尾政府参考人 どのぐらい拡大するかというのはなかなか難しいのでございますが、今回の改正によりまして、特にインフラ分野を中心に二千億円程度の増額があるのではないかと思っております。これは、現在日本貿易保険が引き受けているインフラ関連部門の約二〇%程度ぐらいではないかというふうに考えてございます。

丸山委員 二千億円程度という予想だということでございますけれども、やはり経産省はすばらしいなと思うことは、予想を立てて政策を立てられていることが多くて、この間の起業の目標値にしましても立てられておりますけれども、今回の貿易保険に関しても、どこまで伸ばそうとしているのか、そのためにこの部分が足らないのでというアプローチをぜひいま一度、もちろんお持ちだと思うんですけれども、考えていただけるようお願いします。ただふえればいいというのでは、国としては少し方向性を誤る可能性がございますので、よろしくお願い申し上げます。

 と同時に、やはり、特に国内の企業、大きな企業というよりは、中小企業も含めましてそうなんですけれども、産業がどんどん海外に転出していく可能性について懸念されるお声もよく伺うんです。今回の法改正によって、このあたりに対する懸念の声に対してどのように政府としてお応えになるのか。国内産業への影響の分析の点だとか、また対策があるのかどうか、それも含めまして、そのように懸念をおっしゃる方に対して、もし政府の方で御見解、そしてお話がありましたら、お答えいただければと思います。

茂木国務大臣 まず、先ほどの政府参考人の答弁とも関連するんですけれども、貿易保険そのものを増加させることが目的ではありません。あくまで日本企業の国際展開等々を支援する、その結果として貿易保険もふえていく、これが本来の姿なんだと思っておりまして、そこの中で、インフラ関係等々で二千億等々の増額を見込んでいるということであります。

 そして、御質問いただきました、これから日本企業が海外展開を進めると、国内での製造であったりとか雇用にマイナスの影響が出るのではないかな。確かにそういう懸念を持たれる方はいらっしゃると思います。

 実際のデータで見ますと、逆の傾向が出ておりまして、例えば二〇一二年の中小企業白書、これが一番新しい白書でありますけれども、ここで調べておりまして、二〇〇二年度に国際展開を始めた企業が、七年後の二〇〇九年度に国内の雇用をどうしているか。全体でいいますと、国内の雇用が一三%増加しております。これに対して、国際展開をしていない中小企業、これの雇用増は三%にとどまっているということでありまして、国際展開しているところは一三%ふやしている、していないところは三%にとどまっているということであります。

 これは、国際展開をすること、それもやはりメード・イン・ジャパン、メード・バイ・ジャパン、こういったものを広げていくことにつながると思っておりまして、要するに、元気な中小企業、小規模事業者をつくる、こういうことが大切なんだと考えております。

 日本製品の輸出支援、これは今後も貿易保険の重要な役割であることに変わりはないと考えております。従来どおりこういった日本からの輸出といったものを支援していくと同時に、今回、本邦の製品を販売する販売拠点も支援の対象に加える、こういった形をとらせていただいております。

丸山委員 しっかりやっていただきたいと思うところです。

 私も選出が大阪でございまして、東京と大阪を往復しておりますと、私もそうだったんですけれども、大阪と東京に企業が多くて、また人口も集中しておりますので、そこが全てだとまでは言いませんけれども、都会なんだと思ってしまうところがあるんです。一方で、実は私の地元も、大阪といえど和歌山との県境のところでございまして、端の方に行けば本当に山奥で、真っ暗なところもございます。

 そうした中で、東京や大阪だけじゃなくて、企業は地方にももちろんいっぱいあるわけで、そして、先ほど大臣もお話しされたように、中小企業もたくさんあるわけです。そうした観点での海外進出をどうやって後押ししていくかというのは、ここにいらっしゃる委員の先生方は地方選出の先生も多いと思いますので、非常に気になるところだと思います。そうした中で、これに対してどのように政府の方でお応えになるか伺いたいんです。

 特に、私は大阪、関西の方でございますので、例えば、大阪に本社のある企業の貿易保険の利用状況、割合というのはどの程度のものなのか。できれば東京と大阪を合わせた形も教えていただくとわかりやすいです。また、そうした中で、中小企業における割合はどれぐらいのものなのか。そして、輸出をふやしていくというお話をされましたので、保険適用をふやすだけではなくて、輸出をふやすためにどのように政府としてされていくのかという点の見解を伺いたいと思います。

横尾政府参考人 まず、大阪に本社のある企業の利用の割合でございますが、全体の約二割強が大阪に本社のある企業でございます。それから、中小企業の利用割合は全体で五割強でございますが、中小企業に限って言いますと、大阪に本社のある中小企業の割合は三割弱ということになります。

 東京、大阪以外も含めて中小企業の利用をより円滑化するために、これまでも中小企業の皆さんに、使いやすい商品の開発とか、地銀との提携によって販売委託というのを行っておりますが、今回の改正によりまして、国内の損害保険会社の保険に日本貿易保険が再保険をつけることができるということにしましたので、日本貿易保険は東京と大阪にしか支店がないということで、損保会社の全国的な販売網を通じて、地方の皆さんにもより質の高い、こういった対外取引に関する保険のサービスが提供できるように措置をしているところでございます。

丸山委員 NEXIが東京と大阪にしか支店がないということでございますので、このあたりは、何もインフラで店舗を建てろというわけじゃなくて、知恵の使い方だと思いますので、ぜひ、しっかりと地方にも使いやすいように、よろしくお願い申し上げます。

 次に、独法としてのNEXIのあり方について少しお伺いしたいんです。

 いわゆる独立行政法人といいますと、やはり国民の皆さんの目線はどんどん厳しくなっているところだと思います。

 天下りや随意契約、随契についてお伺いしたいんですけれども、現時点で、NEXIの役員における元公務員、いわゆる官僚の皆さんの割合と、そして、ホームページを拝見すると、平成二十年度だと思うんですけれども、随意契約の割合が示されていて、随契をできれば減らしたいと御努力はされているという形なんですけれども、最新年度がもしありましたら、このあたり、きちんとさらに進んでいるのかどうかも含めまして、この辺の改革についてお伺いしたいと思います。

横尾政府参考人 日本貿易保険の役員は、非常勤監事を含めまして五名おりまして、うち元公務員は公募で選任をされた理事長のみでございます。なお、現役出向の理事が一名でございます。

 それから、随意契約の割合でございますが、平成二十四年度は件数ベースで三三%、金額ベースでは七%になっております。ちなみに、平成二十年度は件数ベースで三九%、金額ベース九二%でございますので、大幅に減少してございます。

丸山委員 こういった情報も、二十年でストップするんじゃなくて、適宜きちんと更新いただきますよう、NEXIさんの方、よろしくお願いします。

 そして、元公務員の方が一名、そして現役の方が一人、二名ということで、五名中二名でございますので、若干違和感を感じるところでございます。私も役所出身なので、何も役所の方が悪いというわけではないですし、むしろ精通された方も多いと思いますけれども、この辺、きちんと御説明できるようにやっていただきたいと思います。

 時間がないので次の質問に行きたいんです。

 NEXIの業務実績を拝見していますと、少し気になるところがございました。それは、輸出保証保険と前払い輸入保険に関しまして、経年のデータを見ておりますと、これの契約等、支払いも含めてほとんど行われていない様子ですけれども、どうしてこの実績が少ないのか。そして、こんなことであれば、廃止も含めて検討、もしくは改善というものが必要なんじゃないかと考えるのが普通なんですが、政府としてこれはどのようにお考えでしょうか。

横尾政府参考人 まず輸出保証保険でございますが、これは、プラント建設など大規模なプロジェクトの入札に際して、工事の履行を保証する旨の保証状を求められることがございます。この際、銀行等がその保証状を発行するわけですが、この履行ができなかった場合に銀行が支払う保証金を補填するのがこの輸出保証保険でございます。現状においては、プロジェクトの規模に比しまして、こうしたプロジェクトに参画をするエンジニアリングなどの日本企業の信用力が比較的良好であることから、この保険を利用しなくても保証状が提供されているという状況かと思います。

 それから、前払い輸入保険といいますのは、代金を前払いすることを条件とする輸入契約を締結した後に、前払い金を払ったにもかかわらず、輸入が実際にできなくなったということで前払い金が損失をしてしまう、これを補填する保険でございます。現状において、これも、輸出をする日本企業の信用力が比較的良好で、輸入者である外国企業から前払いを求められるケースが少ないということが、利用実績が少ない原因というふうに考えられます。

 両保険とも利用実績が大変少ないのは事実でございますが、今後の経済情勢いかん、とりわけ、大規模なインフラプロジェクトから地方の中小企業の海外展開まで、これからさまざまな形でグローバルな事業展開の必要性が高まる中で、ニーズが出てくる可能性もあることから、こうした保険メニューを置いてございます。今後、特に地方の中小企業の皆さんも含めて、こうした保険メニューの紹介と普及に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

丸山委員 今後ニーズがある可能性があるということでございますけれども、先に関しては非常にわからないことでございますけれども、できれば、民間でできることは民間で、できない部分を政府で補うというのが基本でございます。もうないものであれば、国としては縮小してみる、ニーズが出たらまたやるということでも構わないと思いますので、そのあたりは、国民の皆さんに御説明ができるように、しっかりと改革、改善というものを進めていただきたいと思います。

 次の質問、通告させていただいたのは、先ほど木下委員からも重なった質問がありましたので、簡単にさせていただきたいんですけれども、貿易保険の対象に、日本製品を扱う現地販売会社を含めるということでございます。

 先ほどのお話だと、一年以上日本製品を扱った会社だというお答えがありました。伺っていてもう一つ気になったのは、この日本製品というものの定義が非常に難しいなというふうに思うんですけれども、これは単純に、メード・イン・ジャパン、つまり日本国内でつくられたという感覚でいいのか、それとも、日本企業が海外でつくったものももちろん含まれているのかどうか、そのあたりに関しまして、いま一度、明確にお聞きしたいと思います。

横尾政府参考人 今回の支援対象とします海外の販売拠点に関しましては、日本企業と資本関係のない外国企業を支援対象といたしますことから、販売拠点の範囲というのは、日本企業の輸出促進に資するかどうかという観点から考える必要があろうと思っております。

 したがいまして、この対象とするものは、日本企業が輸出した製品を外国企業が販売拠点としてそのまま販売する場合、日本企業による輸出と同等とみなせるという観点で、貿易保険の対象としているということでございます。

丸山委員 まだ通告させていただいたのもあるんですが、少し時間が押しておりますので、時間になりましたのでこれでおしまいにさせていただきますけれども、貿易保険の分野は、各国とも特にウクライナ情勢も含めまして国際情勢のリスクが上がっている中で、しっかりとやるべき分野だと思いますので、国としても、監督責任を含めまして、引っ張っていくリーダーとしての役割をよろしくお願い申し上げまして、私、丸山穂高の質疑を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日は、貿易保険法の改正案について質問をさせていただきます。

 この貿易保険法というのは、戦後、今回で十八回目の改正ということでございまして、改正のたびにいろいろな目的があって、その中で改正されていくということです。もちろん、一個一個の改正をしっかりと見るというのも大事ですけれども、大きな流れをつかんでいくのもまた大事ではないかというふうに考えております。その前提といたしまして、まず確認をさせていただきたいというふうに思っております。

 貿易保険法の趣旨を伺いたいと思いますけれども、まず、第一条におきまして、通常の保険によって救済することができない危険を保険する制度を確立することによって、対外取引の健全な発達を図るというふうにあります。

 この貿易保険制度というものが設けられた趣旨はどのようなものでしょうか、お答えいただきたいと思います。

横尾政府参考人 貿易保険制度は、当初、輸出保険制度ということで、戦後、昭和二十年代に、日本の輸出促進の一環で、これをファイナンス面から応援するということで設けられたものでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 ただ、それだけではなくて、この通常の保険によって救済することができない危険を保険する制度を確立するというのはどういう趣旨でしょうか。

横尾政府参考人 民間の損害保険会社は、主として物的損害を填補するというのを業としてございます。

 昭和二十年代に始めたころに、民間でもこういう対外取引に関する保険を担えないかという議論があって、委託をしてやるという議論もあったのですが、これは必ずしもうまくいかないということで、やはり国が運営しなければいけないということで、当初は国みずからがこの貿易保険制度を運営するということで始まったものでございます。

 といいますのは、取引に関するリスクというのは、保険事故の発生が集中したり、あるいは巨額の保険事故があったりして、言ってみれば平準化をしないということで、必ずしも民間の保険会社ではできないということで、国がやることになったという経緯がございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 なかなか民間の保険会社では対応できないと。もちろん、平準化という意味では、それは全部の保険について言えることでしょうから、それだけではないというふうに思いますけれども、額が大きいですとか、そもそも性質において民間の保険会社では到底賄い切れない、質と量が違うんだというような説明を事前に経済産業省から伺っているわけですけれども、そういったところに対応するような保険としてこの貿易保険をしっかりとつくっているんですということではないかと理解しております。

 ただ、一方で、平成十七年三月二十五日の閣議決定で、規制改革・民間開放推進三カ年計画というものがあります。この中で民間参入が認められておりますけれども、先ほど、なかなか民間では難しいと。貿易保険について民間の参入を認めるというのは、具体的にどういう趣旨でしょうか。御説明いただきたいと思います。

田中大臣政務官 委員御存じのとおりです。十七年の閣議決定にあります。

 国は、民間保険会社が参入した貿易保険分野につきまして、利用者から見て民間保険会社から十分かつ安定的にサービスが提供される見通しが明確になった場合には、その分野から撤退するということとしております。これは委員今御案内のとおりでございます。

 現状では、民間の損害保険会社が提供する貿易保険類似の保険、取引信用保険は、その保険期間が短期であるということ、引受金額が少額にとどまるということ、また、保険金の総支払い限度額が設定されているほか、経済環境が急変した際には保険会社が一方的に保険金額を引き下げる条項があること等の点で限定的なものであることから、依然として日本貿易保険が貿易保険サービスを提供する必要があるということであります。

 損害保険業界からは、日本貿易保険の再保険によりまして、みずから販売します取引信用保険をより充実させたものにしたい、こうした要望があるということもあります。まずはこれを実現していきたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 今まさにおっしゃっていただいたことがその肝ではないかというふうに思っておりますけれども、民間でできることは民間でと先ほど丸山委員もおっしゃっておりましたけれども、まさに規制改革を進めていくという中で、民業、民間のビジネスとはできるだけ競業しないようにしていただきたいということをまずはお願いしたいと思っております。

 その中で、一つ伺いたいというふうに思っております。

 貿易保険の取り扱いというものは、平成十七年だったかと思いますけれどもNEXIというものが設立をされまして、今まで、まずNEXIが一般企業に対して貿易保険を提供します、その裏では国が再保険というものを行いますよというふうなたてつけになっておりました。その中で、国が行う再保険というものについては、特別会計というものの中でそこに対して再保険料を支払って、場合によっては損害を填補するというような形で、特別会計の中でお金が循環をしていたというような状況がありました。

 ただ、この特別会計が民主党政権下のいわゆる事業仕分けというものの中で、特別会計自体をなくしていこうというような動きになりまして、そのような方向での閣議決定もなされておりますが、現政権下において、貿易保険の特別会計に関する今後の方向性についてどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

茂木国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、この特別会計につきましては、平成二十八年に廃止、こういう基本的な方向のもとで、今後検討を鋭意進めまして、来年の通常国会にそのための法案を提出できるように準備を進めてまいりたいと考えております。もちろん、我々として、民間でできる分野、これについては民間でやっていただく。

 保険は何のためにあるのか。インシュアランスと。エンシュアですから、安心を確保する。アラビア語で言いますと、インシュアラーというのは、これは若干違うんですね。インシュですから、何々のもとへ、神の御加護、おぼしめすままにということになってくるわけであります。

 リスクがあるから安心を確保しなければならない。そこの中で、先ほど政府委員の方からも、また政務官の方からも答弁しておりますように、民間ではなかなかカバーできない規模であったりとか変動の大きなものについて、国としてしっかり安心を確保することによって、日本全体としての貿易であったりとか国際展開、こういったものを支援してまいりたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 先ほどに引き続いて非常に御造詣の深い答弁をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本当に、まさに民間でできないというところをぜひともこの質疑の中で明確化していきたいというふうに考えているわけでございます。

 特別会計について何でこういう確認をさせていただいたかといいますと、今までは特別会計の予算の中でいわゆる再保険というものが行われてまいりました。再保険料を支払って再保険を受ける。それが一つの、別途貿易保険を提供する際の、保険料の一つの制約というか基準というか、その下限というふうになるわけでございます。

 これから特別会計というものがなくなるという形になりますと、これは一般的に政府保証がつくんだというような形でNEXIが運用されるという形になりますと、では果たして幾らで貿易保険を提供することが適切なのかという、担保というか裏づけがなかなかわかりにくくなってしまうということがあります。

 その中で、民間が同じようなサービスを提供しているという状況がもし仮に出てきた場合に、民間のビジネスとNEXIのビジネスというものがまさに競業してしまうということになりかねない。それはまさに民業圧迫ではないかという指摘もあるところではございます。

 そこで言う適切な保険料というのは、特別会計がない中で、これからどのようにお考えになっていかれるのか、それについてお答えいただきたいと思います。

横尾政府参考人 貿易保険の保険料率は、リスクの見合いで、長期的に収入と支出がバランスするように定めるということになっております。現在は再保険特会がございまして、リスクを日本貿易保険が一〇%、国の貿易再保険特会が九〇%負うということで、再保険料は、九〇%に見合うリスクをということで再保険料を設定しているということでございます。特会が廃止されますと、基本的に一〇〇%日本貿易保険がリスクを負うわけでございますので、理論的には保険料は変わらないわけでございます。

 この特会の廃止の際には、いずれにせよ、経済産業大臣による指揮監督のための措置を設ける方向で今後具体的な制度設計を検討していきますので、委員御懸念のような過大な保険の引き受けないしは保険料率の引き下げといった事態は想定をしていないところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 先日、日経新聞に一つのニュースが出ておりました、これは三月十七日だったかと思います。電子版だと三月十七日です。貿易保険金の上限を三倍にするんだ、四月から中東、アジア市場の開拓を支援する目的だというふうに言われております。

 これは、もちろん海外でビジネスを行いたいということを後押しするという意味では、貿易保険の上限額がどんどん大きくなればよいというようなことは、まさしく、日本の製品なりサービスというのを世界にどんどん売っていくという方向性には合致をしているんだろうというふうには思うんですけれども、逆に言うと、これから特別会計というものがなくなるということとの絡みで、実は弊害にもなり得ることではないかというふうに一部懸念をしているところでございます。

 つまり、今までは特別会計というものがあった、特別会計自体がすばらしい、いいものだというふうに言うつもりはありませんが、少なくともこの貿易保険という制度の中では、再保険料を払って、それに対して何らかのバックアップをしてもらえるというものが、日本貿易保険、NEXIがとれるリスクの、ある意味、最大値だったというふうに考えることもできるんだろうというふうに思うんです。

 ただ、これからは、その特別会計がなくなるということになれば、幾らでもリスクは引き受けるんですよ、NEXIが破綻をしてしまったというときには政府が何らかお金を出してくれますよという形をとっていくと、ある意味、民間がどう考えるかはともかくとして、とにかくリスクはとっていきます、どうぞどうぞ、日本の製品、サービスを海外へ出してくださいということになりかねないというふうに思っております。

 その意味で、ちょっとこの点で確認をさせていただきたいんですけれども、改めて、今の貿易保険金の上限を三倍にするというニュース、これが事実に基づくものなのか、そして、先ほど申し上げた、この特別会計がなくなるということで、NEXIが負うことができるリスクの範囲が不明確になるのではないかということについてどういうふうにお考えか、この二点についてお答えいただきたいと思います。

横尾政府参考人 まず、三倍になる点につきましては、これは、現在、NEXIが企業に対しての与信枠というのを設定しております。その総与信枠を格付しているわけですが、格付に応じた与信枠を三倍にするということで、これは企業のニーズに基づくものでございますが、これによって直ちに引受額が増加するということではなくて、枠の拡大ということでございます。

 それから、特会廃止の後でございますが、現在の制度でも基本的にはNEXIと貿易再保険特会で運営をしてございますが、過去、巨大な保険事故が集中して発生をして、巨額の赤字が一時的に発生をしたときには、再保険特会、当時はまだ国が全部運営をしてございましたが、この保険の会計だけでは全部回らなくて、したがって、財投の借り入れなり一般会計からの繰り入れというのを臨時的に行いました。現在はそれは全て返済をしてございます。

 政府の保証というのは、まさにこうした事態に伴う、最後の、まさにインシュアするためのものでございますので、今度はNEXIが全部一〇〇%の引き受けを行う、NEXIの中でリスク管理をしていく、それを経産大臣がしっかり指導監督するという構造になります。

三谷委員 まさに、一般の企業もNEXIもそういう意味では同じだといえば同じなわけでして、例えば、一般の保険会社が持っている資産の中でリスクテークをしていく、保険を提供していくということ、そして、NEXIだって、特別会計にあったお金というのは基本的にはNEXIがこれから管理していくんだというような御趣旨でしょうから、その中でお金を管理していくんだというようなことだとすれば、それ自体は同じように見えるんですけれども、唯一違うのが、一般の損害保険会社の場合は、持っている資産を超えてしまうと基本的には破綻をしてしまう、要は潰れてしまうということになるわけですけれども、NEXIの場合は、政府によって、破綻をしない、保証されるということで、より安心なのはやはりNEXIを使った方かなというふうに思いがちなんだろうというふうには思うんです。

 もう一つ伺いたいんですけれども、今回の保険法の改正によって、これからいわゆる再保険というものがより広く認められていくという形になります。まさに、一般の保険は除くというふうに書いていますので、必ずしも全部の保険ではないんですけれども、この再保険について、しっかりと普通の保険会社でも引き受けていこうというような民間での動きがこれから、まあ、今までもですけれども広がっている中で、同じような形で再保険をNEXIでも引き受けていきますよというときに、やはり再保険というのは最後の最後の、とどのつまりの保険だと普通は思うわけですから、より安心な方をとりあえず使っておこうかなというふうに思いかねない、しかも必ずしもそれが高くないということになると。

 そういう意味では、民間がこれからいわゆる再保険ビジネスというものにどんどん参入していこうという中で、NEXIが今回の改正によってできる範囲が広がるということになれば、まさに民間の参入というのを圧迫してしまうんじゃないかというふうに思います。

 その意味で、そこで一番大事になるのは保険料率なんだと思うんです。

 再保険というものを認めていく中で、民間が提供する再保険、それからNEXIが提供する再保険、保険料率はどう違うように設定される予定なのかということをちょっとお伺いできればというふうに思います。

横尾政府参考人 民間の損害保険会社におきましては、こうした対外取引に関する保険というのは極めて限定的でございます。したがいまして、今回は、言ってみれば民間保険会社の御要望も踏まえまして日本貿易保険が再保険をするというスキームを導入するということでございます。

 保険料率でございますが、これは補填する損害の範囲などとの兼ね合いで今後決まっていくものでございますので、範囲を広くすればリスクが大きくなって保険料率も高くなりますし、そうでなければそうでないということで、今後、範囲等とのバランスをとって、NEXIにおいて適切に設定をしていくということになると思います。

三谷委員 今お答えいただいた中で、もちろん再保険全部が悪いというふうに言うつもりはありませんで、民間の保険会社が求めるような、再保険をやってくれという部分もあるでしょう。ただ、もちろん、民間の再保険ビジネスというものをやろうとしている範囲にもかぶってくる部分については、ちゃんと一歩引いていただくというふうな姿があるべきではないかという観点から質問させていただいているわけでございます。

 この貿易保険については、今まで、規制改革が進んできた中でNEXIというものがつくられて、その中で、特別会計で再保険を運用していく、そして、そのお金の中で普通の貿易保険を提供するんだというような仕組みがありました。

 これは渡辺喜美代表が規制改革の担当大臣だったときに、特殊会社化、特殊法人化ということを進めまして、その中で民間のことは民間でというような方向にしていくということではございましたけれども、今回の改正というものは、使い方を誤ると、民間でやろうとしている、その業界の中で、政府の保証がある強力な保険会社が市場を席巻するというような形にもなりかねないという危機感があるわけでございます。

 これはまさに、海外からすると、保険分野における参入障壁だといってまたたたかれかねない内容もはらんでおりますので、今後の運用というものはこれから具体的には省令なりで決められていくというふうに考えておりますので、そこの設定についてはぜひとも十分に御配慮いただきたいということをお願いしたいと思います。

 私の持ち時間は終了いたしましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就です。

 きょうも、大変ためになるお話をありがとうございました。ストックはわかりやすかったんですが、アラビア語の方はまた教えてください。よろしくお願いします。

 きょうは、貿易保険法の改正ということでありまして、まず、内容についてお伺いさせていただく前に、少し貿易保険に関連したことについてお聞かせいただきたいと思います。

 現在、貿易保険に関しまして、エクスポージャーといいますか、責任残高といいますか、ウクライナ向けのリスクというものはどのくらいあるか教えていただけますでしょうか。

横尾政府参考人 ウクライナ向けの貿易保険の引受残高でございますが、平成二十六年一月時点で四百十億円でございます。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 昨日、政府が支援として決定されましたのは、貿易保険の枠の拡大ということで、二年で三百億ということでございましたが、これは今の金額にプラスという形になるんでしょうか。

横尾政府参考人 昨日発表いたしました一千五百億円のパッケージの中の、貿易保険の二年で三百億円というのは言ってみればクレジットラインでございまして、現在のフローでの引受実績が約百十五億円ぐらいでございます。したがって、今後リスクが高まることも考えますと、年間百五十掛ける二の、二年間で三百億円というクレジットラインを設定したということでございます。

小池(政)委員 わかりました。

 この件は、多分、大変難しい判断が必要だと思われます。

 ウクライナは、御存じのとおり、国としては今まで経常赤字、貿易赤字というのが常態化しておりまして、今回の件に至る前からも、昨年から特に短期の国債の金利が急騰して、またその保険でありますCDSの利率も上がっているという中で、リスクをかなりとらなくてはならないことにもつながるわけでありまして、普通にとれば、相当な保険料率が必要だとは思います。ただ、今回は支援という形でありますから、余り高過ぎると、今度は民間がなかなか保険を使うことができずに、また、当初目的としている輸出ですとかサービスの提供というものもなかなか進められないという、かなり難しい中での判断というものが必要だと思います。

 その際に、適正でない保険料率というものを決めてしまいますと、民間を誤解させてしまって、その呼び水によりまして、民間がかえって思わぬ巻き添えにされてしまうかもしれない。結果としてカバーされるにしても、その期間の手間でありますとか、結局大変なコストを背負うわけであります。

 国の政策判断としても、これは支援ということで決定されていることでありますが、当然、国からの再保険ということも前提として考えてはおります。ただ、これは保険という形で、税負担が発生するかもしれないというリスクを抱えての判断ということでございますから、大臣にお伺いさせていただきたいんですが、貿易保険という形で行う以上は、やはり、今述べたような原則を踏まえて、しっかりとした取り組みをしていただきたいと思うんです。いかがでしょうか。

茂木国務大臣 貿易保険としての取り組みは、委員おっしゃったように、しっかりと規律を持って進めていきたいと思っております。

 同時に、今回のウクライナに対する対応でありますが、まず、クリミア半島につきまして、力による現状変更について我が国としてG7とともに断固反対する、この姿勢は貫かなきゃならないと思っております。

 一方で、クリミア以外のウクライナを考えたときに、ここをいかに安定させるか、これは国際社会にとっても極めて重要な課題だ、こんなふうに我々としては考えておりまして、今回、貿易保険のクレジットラインの引き上げ、さらにはODAを含めまして一千五百億円の、日本としての支援を発表させていただきました。

 政情が安定するのはなかなか難しいところもあるわけでありますけれども、御案内のとおり、ウクライナはポテンシャルとしては、極めて肥沃な、ヨーロッパの穀倉地帯の中心でもありますし、鉄鋼、石炭、さまざまな資源も持っておりまして、この地域が発展するポテンシャルもあるということで、主要国がさまざまな形で支援することによってこの地域の安定をつくっていく、このことがひいては世界経済全体にもプラスになる、こういう視点から支援を決定させていただきました。

小池(政)委員 意義は重々わかっているつもりでありますが、保険という性質上、やはり民間を巻き込んでという形の支援になりますので、そこら辺のリスクというものもしっかり留意していただきたいと思います。

 法案の内容についてでありますけれども、今回は、特にアルジェリアの事件を経てというようなところは大変意義は理解できるわけでありますが、ただ、少し懸念は残っておりまして、大きく二点あります。

 一点目は、今までも何度か指摘されておりますけれども、民間との競合、民間に対する抑制というところであります。

 これまで政府は、今まで見てきたところ、平成十六年に民間からヒアリングをして、その現状を取りまとめて、民にできることは民に委ねるという形で、翌年にその指針を示して今まで来ているわけでありまして、それによって、二〇〇五年には八社、二〇〇八年には十一社という形で、特に短期だと思いますけれども、そういうところで参入が今進んでいるところかと思います。

 ただ、それ以降は、情報としても私たちの方ではなかなか把握することが難しくて、アニュアルレポートというのを見ても、そこだけを見ることができないわけでございまして、なかなか現状が今わからない状況の中で、かつ、果たして政府は民間が育つ余地をつくってきているのか、また、これからつくろうとしているのかも今までよくわからなかったわけであります。

 その際に、今回の法案についても、民がいないから国がやるということをよくおっしゃるんですが、ただ一方で、国が居座り続けるから民がふえないんじゃないかという視線も私は大事だと思っております。

 特に、NEXIを調べますと、大体七、八割が貿易保険の短期を占めているところでありまして、一部は先進国向けもあるということであります。また、今回の法案の中身でも、例えば、今まで長期貸付金としていたものが、長期が外れて、つなぎ融資を想定しているということであります。この短期こそ民間でどんどん促進すべきだと思いますし、既に海外においても、民間企業は短期において今導入されているわけでありますから、そういうところについても、今回、なぜここまで広げたのかなというところは少しちょっと心配するところであります。

 また、海外でも、海外子会社からの輸出サービス、銀行の海外拠点、それから外銀も含めた融資についても、これも地域、期間を問わず、つまり先進国も含めた対象の拡大というものを進めているところであります。これは、今まで言われてきたのは国内だと思いますけれども、国外についても民間に対する圧迫につながりかねない、そういう要素を抱えているかと思います。その点について、どのように、そのようなところをしっかりと、そうならないように取り組んでいくのか、また、民間に対する育成というものをどうこれから進めていこうとされているのか、お聞かせいただけますでしょうか。お願いします。

茂木国務大臣 当然、民間とのすみ分け、そこの中で、将来を見据えて、民間ができる分野については民間にやってもらう、こういう基本方針については御指摘のとおりだ、こんなふうに思っております。

 例えば、今回、昨年一月のアルジェリアの事件等を受けまして、戦争やテロによって事業が中断した場合のプラント建設企業にかかわる追加的な費用、これにつきまして貿易保険の対象にすることにしたわけでありますが、その際、追加的費用の全てを対象にするわけではなくて、あくまで民間保険会社が引き受けることがなかなか難しい人件費や貨物の保管費用のみを対象にいたしまして、民間保険会社が引き受けることが比較的容易であります修繕費や取りかえ費用、こういう物的な損害については対象としないということにいたしております。

 また、輸出の仕向け地や海外子会社の所在国を限定しない。これは恐らく、これからふえてきますのは発電プラントや交通システム、かなり巨額な投資であったりとか巨額な融資を受けるという案件で、なかなか民間として引き受けにくい、こういう分野に対象を絞るようにしたいと思っております。

 ただ、今後、いろいろな意味でビジネスの形態等も変わってまいります。民間の保険会社等々ともよく意見交換をしながら、どういったすみ分けが日本全体として企業の国際展開を図る意味で望ましいか、こういう観点から検討はさらに進めていきたいと思っております。

小池(政)委員 大臣は今おっしゃられなかったんですけれども、今回の育成の方針の一つとして、今までの答弁でも、再保険を民間に行うことによって、民間が育成していくんじゃないかということも多分意図されているとは思います。だからこそ、今回、例えば短期でありますとか先進国とか、そういうところには踏み込まない方がよかったんじゃないかなということも考えているわけであります。

 また、お願いといたしまして、民間からの声を聞いているということでありますけれども、今までの政府からの資料を拝見しても、最近ですと平成二十二年に現状というものが確認されて民間はこうですよという報告はされているんですけれども、今回の法案に至るときに、もう少し最近の状況というものを、ぜひヒアリング結果を示していただけたらと思います。お願いいたします。

 二点目であります。

 懸念の二点目としましては、今回は、先ほど三谷議員も指摘しておりましたが、法案ではなくて運用の方で例えば補償金額の上限を三倍に拡大するとか、これから法案の方では対象とか期間を拡大していくということを進めようとされているわけでありますが、果たして、このような対象、それからリスクが拡大していく際に、それに対して体制の方はどうなんですか。リスクの管理とか、審査できる人員とか、ノウハウというのは備わっているんでしょうか。

田中大臣政務官 日本貿易保険は、平成十三年に独立行政法人化されてから、職員のプロパー化ですとか保険業務の専門家の育成を進めて、今、貿易保険の引き受けに係るノウハウ、こうしたものは蓄積されてきていると認識をしております。

 さらに、今回の改正内容を着実に実行していくための体制を確保していきたい。そのため、新たな利用者ニーズに対応できるように、三割を目標といたしまして、既存の業務の効率化も図ってまいります。また、新商品を設計する企画部門の拡充ですとか、海外拠点を含めた国際的な営業、フォローアップ体制、こうしたものも整備していきたいと考えております。

 加えて、昨年の十二月に日本貿易保険の特殊会社化が閣議決定されております。これによりまして、保険事業にふさわしい、会社法に基づくガバナンスの構築、そしてまた柔軟な体制整備の実現をぜひとも目指していきたいと思っております。

小池(政)委員 よろしくお願いいたします。

 決して、何でもかんでもやってその人員をふやせということを言っているわけではなくて、まず現状を鑑みていただいて、余り無理にやらなくてもいいんじゃないかという観点を持っていただきたいと思います。

 というのは、今回の件については、信用力の問題だけでなかなか民間が入れないというところだけでもないんですね、そういう分野を少し含んでいるというところも少し懸念が残るところでありまして、例えば、技術提供契約というのがあります。これまでは外国においてだけでありましたが、今回、国内においても行われるということであります。国内の外国企業が対象となるということであります。

 これも、民間の方にお話を聞くと、これは信用力とかの問題だけではなくて、瑕疵保証と言うらしいんですが、瑕疵の認定というものが非常に難しい。つまり、技術が契約どおり提供されたかどうかということを認定するのが非常に難しくて、ニーズはあるんだけれども、民間としても余りやりたくない保険なんだという声を聞いております。

 ここを、信用力があるからといって、能力はそれほどないのにがんがんいったとしても、ここはやはり国民のリスクを増大させてしまうことになります。ましてや、対象は外国企業ということでありますから、例えば社外秘とかと言われたりしたときに、ただでさえ難しい認定というのが非常に大変ではないかなということを感じてしまうわけであります。

 そのようなことも踏まえて、リスク管理、それから能力等、これは大臣にお聞かせいただきたいと思うんですけれども、今までの取り組みを見て、今回、これから行うことにつきましても自信を持って取り組んでいけるということを言えるかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 今回、法改正をお願いしているわけでありまして、それにふさわしいような体制であったりとか人員を整えること、これは必要不可欠だと思っております。さまざまなグローバル展開であったり、今お話しいただいたような技術の進展、こういったことに対してきちんと評価できる人材、人の数というよりもスキル、これを常々向上させていく努力を続けたいと思っております。

小池(政)委員 貿易保険は手段でありますから、大臣がおっしゃられたように、しっかり目的を見定めて、手段が目的化しないように取り組んでいただきたいと思います。

 もう時間ということでありますので、きょうは、特別会計とか、玉木議員がおっしゃっていました二重構造の問題等も触れる予定でありましたが、またこれからやらせていただきますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 貿易保険法の質問をいたします。

 最初に、経産省に確認をいたしますが、貿易保険のユーザーの上位企業三十社、これは資本金の規模で見るとどういうような分布になっているのか。ユーザー上位三十社で保険の引受額というのは全体の何割を占めるのか。この点についてまず教えてください。

横尾政府参考人 まず、貿易保険の保険金額の引き受け上位三十社の資本金の規模区分ごとに見た場合でございますが、三億円以上十億円未満の企業が三%、十億円以上百億円未満の企業が七%、百億円以上の企業が九〇%となっております。

 それから、引き受けた保険金額の多い上位三十社の保険金額の合計額は、日本貿易保険が引き受けた保険金額全体に占める割合でございますけれども、過去五年間で見ますと約八割でございます。

塩川委員 資本金の大きいところの話がありましたけれども、例えば、一兆円以上については三社、これはメガバンクということに当然なるでしょうし、一千億円以上が十三社とか百億円以上が十一社、こういう中には当然、大手のメーカーですとかあるいは損保会社が加わっているわけで、リスク軽減のために使われているわけです。

 今回の法案で、海外の子会社や販売拠点からの輸出やサービスにまで貿易保険の付保を拡大する。全体の九割を上位三十社が占めるわけですから、特定の大企業に対して大きな貢献をするということにもなるわけです。

 続けてお聞きしますが、日本及び欧米主要国における輸出額全体に占める保険金額の貿易保険分の割合がどのぐらいになっているのかを教えていただけますか。

横尾政府参考人 輸出全体に占める貿易保険金額の割合でございますが、日本は一〇%でございます。英国が一・二%、フランスが二・三%、ドイツが二・〇%、アメリカが〇・四%となっております。

塩川委員 今お聞きしたとおりで、欧米の国々が一%とか二%、それに対して日本が一割ということです。

 大臣にお尋ねしますけれども、欧米諸国に比べて日本の公的保険がカバーする範囲が随分広いんじゃないかなと思うんですが、そういう現状についてはどのように受けとめておられますか。

茂木国務大臣 それぞれの国の企業の国際展開のあり方によって、貿易保険としてカバーすべきエリアというのは変わってきますので、一律に日本だけが広いということにはならないと思っております。

 それから、先ほど政府参考人から、上位三十社で全体のボリュームの八割という答弁をさせていただきましたけれども、一般のビジネスの世界でいいますと、特にBツーBのビジネスであったりとかは、例えば、売れ筋のお客さん、それから売れ筋の商品、これはエイティー・トゥエンティーというんですよ、二割の客が八割なんです。これが一般的であります。もちろん、これから、中小企業に対する貿易保険、こういったものをふやすための努力、現在でも半数を占めておりますけれども、続けていきたいと思っております。

 今回は、地方の中小企業への貿易保険の普及、こういった観点から、日本貿易保険の引受能力及び民間の損害保険会社の全国的なネットワーク、販売網という両者の長所をあわせることが効果的かつ効率的と考えられることから、日本貿易保険が民間損害保険会社の対外取引向けの保険に再保険をつけることができるよう措置いたしまして、これによりまして民間の損害保険会社がより充実した対外取引向け保険を地域の中小企業、小規模企業に提供することができるようになる、このように考えております。

塩川委員 ヨーロッパ、EUでは、民間市場によってリスクをカバー可能な、短期の公的輸出信用保険の付保は認められないという方針を示し、二年以内の短期保険は民間損保会社が商業ベースで対応し、国は、リスクが高く、国策と連携した中長期保険について公的保険を実施するという役割分担を行われております。

 一方、日本では、NEXIが短期及び中長期双方の貿易保険を取り扱い、国が再保険を引き受けているわけで、短期保険分野もカバーしているという点でいえば、メーンユーザーの大手企業にはリスクを負担する体力も資金力もあるわけで、公的保険がカバーする範囲が広い、そういう点でも、諸外国にはない特定大企業への優遇策ではないのか、このことを指摘しておきます。

 そこで、原発輸出について質問をいたします。

 経産省にお尋ねしますが、NEXIが引き受けを行った原子力案件の件数と付保実績はどうなっているでしょうか。

    〔委員長退席、江田(康)委員長代理着席〕

横尾政府参考人 日本貿易保険が原発に関連する案件について引き受けた件数と金額でございますが、二〇〇一年度から二〇一三年度までの累計で、件数では五十三件、金額では千七百十六億円でございます。

塩川委員 続けてお尋ねします。

 昨年五月に政府がまとめましたインフラシステム輸出戦略においては、インフラシステム輸出の原子力分野における日本企業の海外受注額について、現状と将来推計を示しております。

 二〇一〇年の現状と二〇二〇年の将来推計はそれぞれ幾らとしているのかについて、お答えください。

上田政府参考人 インフラシステム輸出戦略でございますが、二〇二〇年の海外受注額の将来推計というのをしております。エネルギー分野全体で九兆円程度と見込んでいるわけでございますけれども、そのうち原子力分野については二兆円程度と考えて推計をしております。

 推計につきましては、IAEAの将来における原子力発電に関する予測というものの設備容量を勘案いたしまして年当たりの設備容量増加分を算出し、二〇二〇年時点における海外市場規模を推計する、また、日本企業の割合といったものを乗じながら、今申し上げたような数字を推計しているところでございます。

塩川委員 二〇二〇年の推計は二兆円ということですが、二〇一〇年の現状は幾らで、どんなふうに出したのか、簡単に説明してもらえますか。

上田政府参考人 このインフラシステム輸出の推計におきまして、二〇一〇年の数字は約〇・三兆円というふうに考えております。

塩川委員 〇・三兆円ということ、これは日本の原発のメーカー三社に聞き取りをしたということでお聞きしております。この十年間でいわば〇・三兆円が二兆円ですから、七倍程度に大きく原発輸出を拡大しようとしているわけです。これを後押しする取り組みの一つが今回の法改正でもあるわけです。

 今紹介しましたインフラシステム輸出戦略には、日本貿易保険、NEXIなど公的金融による支援強化として、公的信用付与の条件の一つとなる、原子力関連の十分な安全確認制度を早急に整備するとあります。これはどのようなことを検討しているのか。現時点で措置されていないと承知しておりますが、その理由は何かについてお答えいただけますか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 原子力発電所の安全確保でございますけれども、基本的に、当該発電所の立地する国が安全確保を行うということが国際的にも確立した考え方でございます。

 他方、OECDのガイドラインにおきまして、融資や保険などの公的な信用を供与する場合には、プロジェクトの環境、社会への潜在的な影響を事前に評価するということが決まっているわけでございます。

 いわゆる原発輸出の安全確認というものには、このOECDのガイドラインも踏まえまして、原発関連の輸出に公的信用を供与する場合に、株式会社国際協力銀行あるいは独立行政法人日本貿易保険からの照会ということに基づきまして、経済産業省が輸出相手国の原子力の安全規制体制等々について確認するということにより、安全確保に関する配慮を確認する手続がございます。

 これ自身につきましては、原子力規制委員会の設置後につきましては安全確保の配慮の確認が必要となる案件はなかったということもありまして、安全確認を実施していないわけでございまして、原子力規制委員会設置後の安全配慮の確認手続の詳細につきましては、現在政府において検討を進めているところでございます。

    〔江田(康)委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 原子力安全の規制等について確認をする仕組みだということです。詳細については検討中ということなんですけれども。

 これは、今答弁にありましたように、これまでは経産省にありました原子力安全・保安院で確認を行っていたわけです。その確認の中身というのは、安全規制を適切に行える体制の整備とか、安全確保等のために整備されている国際取り決め等を受け入れ、それを遵守していることとか、こういう確認というのをするわけですが、実際にその調査票を拝見しますと、要するに、イエス、ノーのチェックリストなんですね。ですから、そういう点でいえば、何でこんなのがいまだに検討課題なのかというのがわからないんですけれども、それは、何が足りないから、あるいは何を加えると考えているのか。その辺の背景について、もう少し説明してもらえますか。

上田政府参考人 原子力発電所の安全確保に対する配慮の手続をどのようにしていくかということでございますけれども、従来のところは、先生御指摘のとおり、例えば、その国における体制が整備されているかどうかとか、国際的な取り決めを受け入れてそれを遵守していることであるかどうかとか、製造業者が積極的に対応していく、こういったことを確認項目といたしまして、チェックリストという形でそれを確認してきたところでございます。

 しかしながら、御案内のとおり、原子力規制委員会の設置後、これらの確認手続を、どういった項目について、どういうふうにしていくのかということにつきましては、例えばその体制の問題、国内の規制基準の進捗、進化というものを踏まえまして、どのような項目にすればいいか、そういうことについて検討を行っているところでございます。

塩川委員 ですから、従来のチェックリストのままであれば、別に、経産省がやるというのは当然すぐできる話だと思うんです。

 今、原子力規制委員会が発足して、旧原子力安全・保安院がやっていたチェックについては規制委員会は引き受けませんよということを言ったというお話があったわけですが、それは、そもそも原子力規制委員会というのが、推進と規制を分離する、その規制を担うという立場から、推進にかかわるような原発輸出についてはその事務、業務には当たらないということで、規制委員会の仕事ではありませんという整理になっているからですよね。

 そういう点で、推進の経産省がチェックをするということについての妥当性というか、信頼性の問題、それはそれであると思いますけれども、原発推進を図ろうという経産省として、まさにインフラシステム輸出戦略に課題として挙げられている、原子力関連の十分な安全確認制度の整備について、いまだに対応していない理由というのがわからないんです。

 これは要するに、現行の調査票、イエス、ノーで聞いているような、原子力安全条約に入っているとか入っていないとか、公開情報で、すぐわかるような情報に加えて、新たな確認制度、安全確保策を盛り込むことを考えているということですか。

茂木国務大臣 まず、日本のインフラシステム輸出ですけれども、これは、高効率の火力発電、鉄道、水システム、こういったものも含めて、ニーズの高い分野について、日本のすぐれた技術であったりとかノウハウを積極的に展開していきたいということであります。

 そこの中で、原子力についてでありますが、御案内のとおり、昨年の夏に、原子力規制委員会によります新たな規制基準が定められたわけであります。

 そして、先ほど政府参考人からも答弁させていただきましたように、あくまで原発の安全性の確保につきましては当該立地国が責任を持って行う、これが国際的な共通の理解であると思っております。そういった体制とかそういったルール等がその国で整備をされているかどうか、このことにつきまして、安全確保の確認といった形で政府としても行っていくという形でありまして、当然、新しい規制基準というのも日本でつくったわけであります。

 そして、新しい規制委員会というのもできたわけでありますから、そういったものも踏まえながら、まさに、世界で最も安心、安全な原子力発電をいかにつくっていくか、同時に、それによりまして世界の原子力の安全の向上、原子力の平和利用に貢献していく、これが我が国としても責務である、このように考えております。

塩川委員 質問に答えてもらっていないんですが、その新規制基準について、できましたと言うけれども、大臣がおっしゃるように、原子力の安全というのは相手国が責任を持つわけですから、日本の規制基準をそのまま相手に押しつけるという関係ではないということをおっしゃっておられるわけで、そういったときに、この安全確保、安全確認について、では規制基準を踏まえて何かやるんですかというのが、そこのところが不透明なままですよね。

 ですから、現行の、簡単にマル・バツ、イエス、ノーでチェックできるようなこの調査票に加えて、何を入れる作業をしているからいまだに表に出ていないのか、そこのところがわからないんですけれども、現場の方ではどうなんですか。

上田政府参考人 今大臣からも御答弁申し上げましたけれども、原子力規制委員会の新しい規制基準がさまざまな形で進化をしているわけでございます。

 また、新しく原子力規制委員会というのが設置されたわけでございまして、その中で、中立的で公平な手続ということについては、どういった項目について、どういった形でその詳細な確認手続を定めていくのかということについてさまざまな角度から検討している、それにややお時間をいただいている、こういう状況でございます。

塩川委員 いや、その中身がわからないんですけれども。

 では、例えば、安全確認制度の中には、シビアアクシデント対策とか、あるいは住民避難計画について確認をするとか、そういうことが入るということなんですか。

上田政府参考人 この安全配慮手続、先ほども御答弁申し上げましたけれども、基本的には、安全性の確保というものは、原子力発電所の立地する国においてどういうニーズがあるかということでございます。

 先生御指摘のシビアアクシデント対策、人材育成、あるいは制度整備につきましては、今の配慮手続ということではなく、例えば、原子力利用国におきましても、安全の確保の観点から、先方の御要請があれば、人材育成、あるいは私どもの事故や廃炉の経験、こういう面でも我々は貢献していきたいと考えておるわけでございまして、具体的に、ベトナム等々、さまざまな国におきまして、専門家の派遣、あるいは現地における人材育成等々に関するいろいろな協力を行ってきているわけでございます。

 私どもは、こういったさまざまな努力を通じて、立地国における原子力安全の確保ということに貢献していきたいと考えております。

塩川委員 結局、いろいろ言うけれども、規制基準云々の話というのは、相手の話だから、こちらからどうのということではないということであるわけで、要するに、今の原子力産業の要望、動向が変わってきたというのが背景にあるということなんじゃないですか。

 つまり、個別の部品の輸出というところから、プラントの輸出ですから。そういうプラントの輸出に対応した、しっかりとした取り組みが必要なんだ。より一層前向きに、前のめりに原発輸出を進めるといった際に、内部的に必要なチェックが求められていますねと。そういう意味では、原子力産業のプラント輸出に大きく踏み込んでいく、こういう支援策の一環として行うことが課題となっているということなんじゃないでしょうか。

 私は、大臣にその点をお聞きしたいのと、そもそも福島原発事故は終わっていません。いまだに十四万人の方々が避難生活を強いられているわけですし、原発立地地域の避難計画もつくられていないところが多数という状況の中で、原発事故の原因も究明されていない。原発輸出に対する国民の理解は得られていないと率直に思いますけれども、その点についてお聞きして、終わりたいと思います。

茂木国務大臣 前のめりというのは当たっていないと思います。前向きと表現していただいたので、そこで意見が一致する部分もあるかな、こんなふうに思っております。

 東電の福島第一原発事故の経験と教訓を世界と共有していくことは、世界の原子力安全の向上や原子力の平和利用に貢献していくということでありまして、我が国の責務としてしっかりと果たしていきたいと考えております。

塩川委員 原発輸出というのは、原発事故リスクの輸出にしかならないということを申し上げて、質問を終わります。

富田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、貿易保険法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。

 我が国の貿易保険は、諸外国の制度に比べて国がリスクを負う範囲が広く、しかも、特定の巨大商社、大手メーカー、メガバンクや損保会社などの多国籍企業が専ら利用しています。本法案は、このゆがみをさらに拡大し、多国籍企業のリスクを一層軽減しようとするものです。

 反対理由の第一は、海外の子会社や販売拠点からの輸出やサービスにまで貿易保険の付保を拡大することが、多国籍企業のリスクを際限なく公的保険に転嫁するものとなるからです。

 日系企業の海外子会社等から日本以外の国への輸出額は、今や日本から海外への輸出額に匹敵する規模にまで拡大しています。しかし、多国籍企業が海外シフトを進展させ、世界じゅうから利益を上げても、それが国内経済や国民生活には還元されてきませんでした。多国籍展開に伴うリスクは本来、親企業が負担すべきであり、多国籍企業にはその体力も資金力も十分にあります。国にそのリスクを転嫁することは認められません。

 第二は、インフラシステム輸出戦略、とりわけ原発輸出を推進するものになるからです。

 この間、国際協力銀行の融資と貿易保険の付保が両輪となり、原発を初めとしたインフラシステムの海外展開が進められてきました。福島第一原発事故から三年たった今もなお、福島県では十四万人もの方々が困難な避難生活を強いられています。原発事故原因の検証もないまま、原発輸出を進めるなど、無責任きわまりありません。

 反対理由の第三は、損保会社へのNEXIの再保険の問題です。損保業界の長年の要求に応え、損保会社のリスクを国にツケ回しするものであり、容認できません。

 最後に、法案提出の契機として挙げられている、アルジェリアでの邦人拘束事件について一言申し上げます。

 昨年一月に発生した人質事件に際し、日本政府初め関係各国はアルジェリア政府に対し、人命最優先での対処を求めてきました。しかし、アルジェリア軍による性急な軍事制圧作戦の結果、日本人十人を含む三十七人のとうとい人命を失ったことは残念でなりません。いかなる理由があろうとも、テロは決して許されません。同時に、再びこのような事件を招かないためにも、フランスによるマリへの軍事介入などの背後関係をも含む、事件の全容解明が重要です。

 事態の泥沼化を招く軍事的対抗ではなく、非軍事的対処の充実こそ進む道であることを指摘し、討論を終わります。

富田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、貿易保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、塩谷立君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び結いの党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。小池政就君。

小池(政)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    貿易保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 独立行政法人日本貿易保険が行う貿易保険事業については、「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」との考え方に基づき、民間保険会社が引受け困難な分野を対象とするよう、詳細な制度設計を行うこと。また、独立行政法人日本貿易保険は、民間保険会社の参入を妨げないよう配慮するとともに、再保険の引受けなどを通じて民間保険会社のサービスの提供を充実するよう配慮すること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、茂木経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。茂木経済産業大臣。

茂木国務大臣 ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

富田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

富田委員長 次回は、来る二十八日金曜日午後二時理事会、午後二時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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