衆議院

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第7号 平成26年4月4日(金曜日)

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平成二十六年四月四日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      越智 隆雄君    大見  正君

      勝沼 栄明君    勝俣 孝明君

      神田 憲次君    小林 鷹之君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      菅原 一秀君    鈴木 憲和君

      田中 良生君    武村 展英君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      藤井比早之君    細田 健一君

      宮崎 謙介君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      吉川  赳君    枝野 幸男君

      岸本 周平君    近藤 洋介君

      玉木雄一郎君    辻元 清美君

      足立 康史君    伊東 信久君

      木下 智彦君    丸山 穂高君

      國重  徹君    柏倉 祐司君

      三谷 英弘君    小池 政就君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          茂木 敏充君

   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   原  敏弘君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        野口 文雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岡   浩君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           田中 正朗君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           広瀬  直君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中山 泰則君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           森   清君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          菅原 郁郎君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          横尾 英博君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          片瀬 裕文君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            宮川  正君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          富田 健介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         大脇  崇君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月四日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     藤井比早之君

  冨樫 博之君     鈴木 憲和君

  宮崎 謙介君     小林 鷹之君

  宮崎 政久君     神田 憲次君

  近藤 洋介君     玉木雄一郎君

  伊東 信久君     足立 康史君

  三谷 英弘君     柏倉 祐司君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 憲次君     宮崎 政久君

  小林 鷹之君     宮崎 謙介君

  鈴木 憲和君     冨樫 博之君

  藤井比早之君     勝沼 栄明君

  玉木雄一郎君     近藤 洋介君

  足立 康史君     伊東 信久君

  柏倉 祐司君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     吉川  赳君

同日

 辞任         補欠選任

  吉川  赳君     石崎  徹君

    ―――――――――――――

四月三日

 原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)

 原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案につきましては、去る二日質疑を終局いたしております。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表し、中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。

 大型店と商店街、中小商店の商業機会の調整役を担ってきた大店法が一九九八年に廃止され、そのかわりにまちづくり三法が制定されました。都市計画法によって大型店の出店場所の適否を市町村が判断し、立地場所が決定した後の大型店には大店立地法により周辺環境への影響についての配慮を求め、あわせて中心市街地活性化法により町の中心部のにぎわいを取り戻すというものです。

 ところが、都市計画法によるゾーニングを活用できるのは、国土面積のわずか三割弱。郊外に行くほど規制が緩い、欧米とは似て非なるゾーニング手法では、幾ら市町村が独自の施策を講じ、都道府県が広域的に調整を行おうとしても、その効力には限界があります。

 質疑の中で、大店立地法による商業調整の禁止が地方自治体の取り組みを阻害している実態を明らかにしました。この条項は、日米構造問題協議以来アメリカが対日規制改革の中で要望してきた大店法の緩和、撤廃を、将来にわたって担保するための極めていびつな規定です。今や、まちづくり三法を抜本的に改正し、大型店の身勝手な出退店を規制することなしに、にぎわいある商店街も住民が暮らしやすいまちづくりも実現できないことは明白です。

 これらの問題を放置したまま、本法案によって民間投資の喚起を口実に中心市街地の開発を促進したとしても、住民不在の再開発など町の無秩序な開発を招くものにしかなりません。大店立地法のさらなる規制緩和も、住民本位のまちづくりに逆行するものだと言わざるを得ません。

 自分たちの町は自分たちでつくる、これがまちづくりの基本です。

 二〇〇六年の本法改正により、国が支援対象の自治体を選別する仕組みが盛り込まれました。その結果、規模の小さい町や村は中活法の支援対象から排除されました。今後、認定要件の緩和が検討されていますが、国が選別するという本法の問題点を解消するものではありません。

 まず行うべきは、地方自治体が大型店に対する独自の規制を行うことを禁止した大店立地法十三条を撤廃し、地方自治体の創意工夫を凝らしたまちづくりを支援することです。

 日本共産党は、まちづくり三法の抜本的な改正のために今後も全力で取り組むことを表明し、討論を終わります。

富田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、宮下一郎君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び結いの党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。田嶋要君。

田嶋委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    中心市街地の活性化に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 中心市街地活性化基本計画の実施に関しては、計画の実効性を確保するための定期的なフォローアップを十分行うとともに、評価指標についても検討し、必要に応じて基本計画の変更等を求めるなど、PDCAサイクルを確立すること。

 二 少子高齢化社会が進展する中、真の中心市街地活性化を実現するために、子育て、介護等を含む幅広い施策の実施に注力していくこと。その際、それぞれ固有の課題を抱え、それに応じた対応策を必要とする全国の中心市街地に対し、各地の取組の実例等幅広い情報の提供に努めること。また、計画づくりや事業の実施等に時間を要することを勘案し、中長期的な制度継続と財源確保に万全を期すこと。

 三 施策の実施に当たっては、関係各省が連携を密にして市町村の取組及び民間の事業を支援することとし、各省所管の施策を積極的かつ効果的に実施するとともに、各省の連携体制に関して市町村側のニーズを十分把握し、連携不足が指摘されるような場合には迅速な改善を行うこと。また、各省の連携に当たっては、中心市街地活性化本部が明確なビジョンを示し、施策の総合調整を行うとともに、実効性のあるワンストップサービスの構築等の具体的な対応を行うこと。特に、施策を推進する人材の育成・確保に向けた支援措置を検討すること。

 四 中心市街地特例通訳案内士の制度運用に当たっては、通訳案内士を依頼する訪日外国人の満足度を低下させることのないように、中心市街地特例通訳案内士の語学能力や基本的な日本社会・文化に対する理解等の水準を十分に確保するとともに、地域における通訳案内士に対するニーズにも考慮しつつ国家試験に合格した通訳案内士の活用が図られるよう指導すること。また、中心市街地特例通訳案内士の名称については、国家試験に合格した通訳案内士と混同が起こらないよう十分に配慮し、両者の区別が明確になるような略称の使用に努めること。

 五 空き地、空き家、空き店舗など、計画区域内の遊休資産の有効活用が重要であることに鑑み、流動性の向上や合意形成を促すため、税制措置を含む施策を早急に検討すること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、茂木経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。茂木経済産業大臣。

茂木国務大臣 ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

富田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

富田委員長 次に、経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長原敏弘君、公正取引委員会事務総局審査局長野口文雄君、外務省大臣官房審議官岡浩君、文部科学省大臣官房審議官田中正朗君、経済産業省大臣官房審議官広瀬直君、経済産業省大臣官房審議官中山泰則君、経済産業省大臣官房審議官森清君、経済産業省経済産業政策局長菅原郁郎君、経済産業省貿易経済協力局長横尾英博君、経済産業省産業技術環境局長片瀬裕文君、経済産業省製造産業局長宮川正君、経済産業省商務情報政策局長富田健介君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、資源エネルギー庁資源・燃料部長住田孝之君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君、中小企業庁長官北川慎介君、国土交通省大臣官房技術参事官大脇崇君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻元清美君。

辻元委員 おはようございます。

 本日は、再生可能エネルギーの促進、そして、その阻害要件が何なのかということを中心に質問をさせていただきたいと思います。

 それに先立ちまして、大臣にきょうの報道から二、三お伺いしたいんですが、大間原発について、函館市が国と事業者のJパワーを相手取って、建設差しとめを求める訴訟を東京地裁に起こしたと大きく報道されております。こういう裁判が出てまいりまして、大臣としては、なぜ訴えられたのか、そしてこれをどう受けとめていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

茂木国務大臣 函館市が昨日付で大間原発の原子炉設置許可の無効確認等を求める訴訟を東京地方裁判所に提起したことは、承知をいたしております。

 内容は無効確認ということでありますが、現段階では、訴状が送達されておりませんので、詳細、当然把握ができておりませんので、きょう段階でのコメントは控えさせていただきます。

辻元委員 これは、大間は函館市に非常に近くて、青森市などよりも近接していて、三十キロ圏内であるということで、建設の許可が出ていたのは福島第一原発の事故の前であるので、やはり周辺自治体の意向をしっかり反映してほしいということの是非をめぐっての裁判になるかと思います。

 大間の場合は福島第一原発の事故の前に許可が出ておりましたけれども、今後、この大間のケースだけではなくて、再稼働に当たっても同じようなことが国会でも問題になってきておりますし、周辺自治体の意向を一体どこまで聞くのかということを、裁判の推移を見守るという御答弁でしたけれども、経産省としてはしっかり方針を定められた方がいいと考えております。いかがでしょうか。

茂木国務大臣 辻元委員は訴状をごらんになってお話しされているのか、想定でお話しされているのかわかりません。訴状をごらんになった上でこうであるということでありましたら、それについてお答えをいたしたいと思います。

 一方、大間原発につきましては、民主党政権時代に既に原子炉の設置許可を受けたものと承知をいたしております。

辻元委員 それを踏まえて今私は、他の自治体も含めて、周辺自治体の意向をどこまで反映していくのかという問題は今後さらに出てきますので、しっかりと対応を決めていくことが大事だということを申し上げたんです。

 そんな中で、もう一つきょうの大きなニュースは、「再生エネ数値明示せず」という、エネルギー基本計画の問題も出ております。これに沿って幾つか質問してまいりたいと思います。

 昨年の予算委員会で、安倍総理は私の質問に対しまして、自然エネルギーの促進についてこうおっしゃっています。「三年間において徹底的に国家資源を投入して新しい再生可能エネルギーを見出していきます。そこでイノベーションが起こってくれば、もっと原発依存度は低減していくだろう、こう思います」ということで、最大限自然エネルギーを、再生可能エネルギーを促進していくということをおっしゃっています。

 数値を明示しなかったということ、あわせて、これを見ますと、同じように、原発依存度は再生可能エネルギーの導入などで可能な限り低減すると。しかし一方、安定供給などの観点から確保する規模を見きわめる、こうなっているわけですね。普通は、目標を定めて、最大限三年間やってみようということが普通だと思うんですが。

 ここで、大臣にこれに関連してお聞きしたいんです。ベースロード電源というのに再生可能エネルギーは入っていませんが、まずベースロード電源というので電源を確保した上で、その足りない分を再生可能エネルギーで足していこうというお考えなのか、そうではなくて、再生可能エネルギーは最大限伸ばしていって、再生可能エネルギーの伸びに従ってベースロード電源を原発なども含めて減らしていこうというお考えなのか、順番でいえばどちらでしょうか。

茂木国務大臣 まず何点か正確を期したいと思うんですが、エネルギー基本計画につきましては、さまざまな報道がなされているかと思いますけれども、今与党でさまざまな議論が行われておりまして、丁寧なプロセスを経た上で閣議決定をしたいと思っております。

 それから、確保する規模とおっしゃいましたけれども、確保していく規模というのが政府原案での表現でありますので、若干そこのニュアンスのところは違っていると思っております。

 それから、ベースロード電源の中には、一部の再生可能エネルギー、具体的に申し上げますと、一般水力そして地熱が含まれております。

辻元委員 そうしますと、ベースロード電源、今一部の再生可能エネルギーが入っているということもお伺いしましたけれども、再生可能エネルギーは最大限頑張って伸ばしていくと。

 ということは、再生可能エネルギーを伸ばしていくということを政府としては第一義的にエネルギー政策としては重視し、その伸びた分をベースロード電源、再生エネルギーも中に入っているというお話でしたけれども、その他、太陽光や風力というのは非常にポテンシャルが高いと思っておりますが、その分をベースロード電源は減らしていくというか、再生可能エネルギーで賄えるものが出たら、そちらを優先していくという理解でよろしいでしょうか。

茂木国務大臣 今の日本、三・一一の事故以来の新たなエネルギー制約に直面をしているわけであります。エネルギーの安定供給を図っていく、また、今エネルギーの調達コスト、発電コストが非常に高くなる中で、いかにコストを下げていくかということも重要な課題であります。

 また、省エネを進めなければならない。特に、これは単純に一九七〇年代の石油ショック時の省エネとは違いまして、ピーク時の電力需要をいかに抑えていくか。こういう観点からただいま電力システム改革を進めているわけでありますけれども、さまざまな料金メニューが提示をされる等々によりまして、ディマンドレスポンスな需要の形をつくるということによりまして、特にピークを抑えるような省エネも進めていきたいということでありまして、省エネを進めることも必要であります。

 再生可能エネルギー、これは、今後三年間にとどまらず、それ以降も積極的に導入をしていきたいと考えております。同時に、エネルギーの特性を考えたときに、あらゆる面、すなわち、安定供給、そしてまたコスト、環境負荷、安全性、全てにおいてすぐれたエネルギー源というのは残念ながらございません。ですから、現実的にバランスのとれたエネルギーの需給構造をつくっていく、このことが何よりも重要だと考えております。

辻元委員 今の御答弁ですけれども、そうすると今までとどこが変わったのかというのがわからないんですね。東日本大震災の教訓、福島第一原発の事故の教訓だけではなくて、やはり世界じゅう、エネルギーの構造を変えていこう、化石燃料に頼るのもやはり限界が出てくるしということで、国の新しい大目標を出して、変えていく方向で進もうとしているんですね。ですから、今の大臣の御答弁を伺っていましても、十年ぐらい前の答弁と同じような答弁のニュアンスを受け取るわけです。

 そこで、具体的に幾つかお聞きしたいんですが、先ほど、大間の設置許可は二〇〇八年ですので、これは民主党政権下ではございませんで、自民党政権下で設置許可がなされているということはちょっと確認させていただきたいと思います。また後でお聞きしますので。具体的に、自然エネルギーを導入していくに当たって、政府でも調査されておりますけれども、阻害要件が幾つか指摘されております。これをまず取り除いていくということがとても大事だと思っています。

 その阻害要件の一番大きな、例えば太陽光の場合を例に挙げたいのですけれども、民間のシンクタンクなどが、固定価格買い取り制度以降、どういうことが再生可能エネルギーの事業を展開していくに当たって困っているかというアンケートをいたしました。その一位が系統連系。やはり電力会社の送電線にコネクトしていくということが、非常に工期が長くかかったり、それからコストが高いというようなこと、これが第一位に挙がっております。

 この系統連系の工期の問題からまずお聞きしたいと思うのですが、これは担当の方で結構ですので、系統連系の工期が非常に長いというかおくれている、この原因についてはどのようにお考えでしょうか。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましては、昨年九月以来、法令上の認定要件でございます、発電設備を設置する場所及び当該設備の仕様が決定していることというのが現に満たされているかどうかということにつきまして報告徴収を求めまして、満たされていない場合、その理由をあわせて確認したわけでございます。

 その中で、報告徴収の結果からは、発電事業者が場所及び設備の確保に時間を要している理由といたしまして、電力会社との接続協議に時間を要しているという御回答が相当程度あったということは事実でございます。

 この点に関しましては、やはり再生可能エネルギーの導入が固定価格買い取り制度によって非常に進んでいるということで、これまでに電力会社としても経験したことがないような、非常にたくさんの系統の申し込みが殺到しているということは事実でございまして、これの処理に相当程度苦慮しているということが背景にあるものというふうに承知してございます。

辻元委員 この工期、これもそれぞれの電力会社によって対応が違うようなんですけれども、政府としても、やはり再生可能エネルギーを促進していくという方針であるならば、スムーズにいくように支援をした方がいいのではないかと考えております。

 そしてもう一つ、高コストであるということも指摘をされてきております。

 高コスト、これも民間のシンクタンクが調べたデータですけれども、電力会社に系統連系整備を頼んでいるのが大体七割で、自社で行っているよりもはるかに電力会社に協力を求めてやるということが多いようなんですけれども、この接続費が、自社で工事をした場合は七百五十七円パー・キロワット、電力会社に頼んだ場合は二千九百五十九円パー・キロワットということで、四倍近くの差が出ているんです。

 なぜ電力会社に頼んだら高いのかというのが、再生可能エネルギーを促進していこうという人たちからいろいろ意見が出ておりまして、私自身も聞き取りをして、この点を指摘する人が多いんですね。

 構図を調べていくと、行き当たったのが、残念ながら、電力会社による送電線などの架設をめぐりましての談合まがい、または談合のような形で関連会社に丸投げしているというような事案が幾つも見受けられるわけです。そして、残念ながら東京電力も、福島第一原発事故の後、実質国有化という中でも、このような談合事案が出てきております。

 具体的に申し上げますと、これは昨年問題にされましたけれども、送電線を引くに当たって、特定事業者だけを工事の参加募集の対象にして、説明会の終了後に参加者間で談合が行われ、そして、その中に東電の退職者等が多数いて、そしてさらに、違反行為を認識していたけれども、これを看過した上、ばれないように、違反行為が発覚することがないように東電みずからが注意喚起を行っていた、こういうことをやってコストが上がっているんじゃないかという指摘がされています。

 廣瀬社長にお伺いしたいんですが、再生可能エネルギーの促進に電力会社は協力しないと利用者から何だと。東電だけではございません。やはりそこも頑張って協力して、できるだけ業者が参画しやすいようにしているんだという電力会社じゃないと、これから生き残れないと思うんです。このような談合事案があったのか、これをどう改善していくのか、そして非常に高コストと言われております系統連系について東電としてどうしていくのか、お答えください。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 まず、先生が例としてお挙げになりました太陽光発電事業の連系線のレポートでございますけれども、数字が同じなので恐らくこの自然エネルギー財団のレポートを引用されていらっしゃるんだと思いますが、私もこれを拝見いたしまして、幾つか指摘したい点がございます。

 これの比較は、先ほどの七百五十七円と二千九百円というもの、これはそもそも、太陽光発電事業者さんが工事を行うケースと、それから東京電力等の電力会社が工事を行うケース、それぞれございますが、それを比較していらっしゃいますので、同じ工事を太陽光発電事業者さんがおやりになったケース、我々がやったケースの比較ではございません。そもそも工事の内容が違うケースを比較されています。

 一般的に、送電線を引く場合に、一番大きく工事の値段が変わるのは距離でございます。一方、このグラフは、お引きになったものは、キロワット当たりの単価を示されておりますので、設備の規模によって幾らかというものの比較はされておりますけれども、工事の距離によっての比較はされておりません。

 工事の距離によって大きく金額が変わってまいりますのは自明の理なんですけれども、その間に、送電鉄塔を何基かつくらなければいけないケースもありますし、つくらなくてもいいケースもございます。また、架空線といって要するに鉄塔で引いてくるケースと、地面を掘って送電線を引く地中のケースというのがございます。したがいまして、工事の内容によってかなり金額が変わってきてしまいまして、東京電力だけでやるケースでも、工事の内容によって十倍以上の差が出てくるというのは普通に存在してまいりますので、その辺のところをもう少し考量して比較してみないといけないのかなというのは、そもそも私が感じたところでございます。

 一方で、談合に関してでございますけれども、この送電線の接続工事も含めて、これからしっかり競争を導入して、そうしたことのないように適正、的確な工事をしていかなければいけないというのは全くおっしゃるとおりでございますし、公正取引委員会の指摘を受けまして、私どもも再発防止の改善を幾つかさせていただいております。それの徹底を今図っているところでございます。これまで随意でやっていたものを二十四年の四月から原則全部競争発注にいたしましたので、その過程で至らぬところが多々出てきてしまったんだろうということで大変反省しているところでございますので、今後とも十分に指導をしっかりして、適正、的確な工事をしていきたいというふうに思っております。

辻元委員 私もちょっとこのコストの点は、今社長がおっしゃったことや、いろいろな試算があるわけですけれども、この談合の案件に関しては、東電が実質国有化と言われる中で、国が支援している中でも起こっているわけです。他の電力会社の案件も最近指摘をされているわけですね。改善していくとおっしゃったわけですが。

 東電の場合は、実質国の税金が入っているということで官製談合だと、ちょっとしたパーセンテージが国のお金の入れ方で低いので官製談合と言われていないんですが、これは実際、同じような案件がほかの実質国から五割資金が入っている組織や団体の場合は、刑事事件に問われるような案件なんですよ。

 社長にお聞きしますけれども、改善していくということでしたが、これはコストも下がっていくと思います、競争入札ですれば。この点、とにかく送電線に接続すること。それからさらには、一定の制限があって、その制限を超えた再生可能エネルギーの接続が来た場合に、それを頭打ちとして認めないとか、いろいろなことがあって前に進まない。ですから、今、改善されていくということでしたけれども、今後、改善プラス系統に連系していくことを促進するに当たって、どのような方策があるか、または協力していこうということをお考えなのか、お聞きしたいと思います。

廣瀬参考人 工事の発注におきましては、私ども、外部の専門識者を入れた調達委員会というのをつくっておりまして、そこの御指導をいただきながら、東京電力の調達慣行、その辺を抜本的に見直すべく、いろいろな御指導をいただいておりまして、その成果としては、コストダウンが図られてきて、実際問題として一割近くコストダウンの成果が得られております。今後とも、これらをしっかりグループ会社、関係会社まで入れて、全体的なコストダウンをしていかなければいけないというふうに思っております。

 一方で、接続のお話については、これは先ほどの御答弁にもありましたように、相当な今申し込みをいただいておりまして、正直なところ、現場は大変な状況にあるのも事実でございます。

 とはいいながら、そうしてばかりではいけませんので、私どもとして、とにかく可能な限り対応していくということでございますし、ただ、ケースによっては、新たな線を引いただけでなくて、線を引いた場合、その上位系統の変電設備であるとか変圧器であるとか、そうしたこともかえていかなければいけないケースがどうしても出てきてしまいますので、そうしたケースにおいては、よく御説明をして、御理解いただいた上で、私どもとしても素早い、迅速な工事を心がけていくということだというふうに思っております。

辻元委員 私は、先ほど申し上げましたように、東電の場合は特に再生可能エネルギーの促進にこれだけ積極的だということを一方でやらないと、今、福島第一原発の汚染水の処理とかいろいろな点で、国民の関心が非常にネガティブです。ですから、そこは特に東電が率先して、協力してやっていくという成果をきちんと数字で見せていただきたいと思います。

 そう思っているにもかかわらず談合事案みたいなことが出てくるわけで、ちっとも体質は変わっていないじゃないか、内輪だけでやっていて、高コスト体質で、そして退職者が談合を率先しているというようなことでは、この後またいろいろ廃炉の機構についても議論いたしますけれども、国が支援をしているという点において、私たちも率先して再生可能エネルギーの促進をやっているという、数字で成果を見せていただきたいと思います。この点は、また引き続き質問してまいりたいと思います。

 委員長、ちょっと中のやりくりで、枝野委員から五分間いただきましたので、枝野委員の分をちょっと調整していただくということで、もう一点質問をさせていただきたいと思います。

 社長はここで退席していただいて結構です。

 再生可能エネルギーの中で、各国、国を挙げていろいろな新しい取り組み、競争状況になってきています。日本の場合、電力もやっとFITが導入されたという状況なんですが、熱について幾つか質問をしたいと思います。

 熱について、木質バイオマスの活用です。これは、先日から私は幾つか、長野県の事例とか、それから地元大阪でも、大阪は都会と思われがちなんですが木質バイオマスの活用の取り組みが幾つも出てきていまして、現場にも行ってきました。この取り組みを簡単に紹介させていただいて、各国、再生可能エネルギー、電力と熱をどう活用するかという点においていろいろな取り組みを競っていますので、今後、政府としてはどう取り組んでいくのか、お聞きをしたいと思います。

 この事例なんですが、大阪府の森林組合が、森林整備に伴い発生する間伐材などの木質バイオマスを原料に、近畿大学の先生と共同開発した次世代バイオリサイクル燃料、バイオコークスを製造する拠点として、大阪府森林組合高槻バイオコークス加工場を建設いたしました。

 従来から間伐などの森林整備促進による森林の活性化や高付加価値化を模索して、二〇〇一年度より、まず最初に、間伐材のペレット化による未利用のバイオマスの推進や、製材利用などの再利用を進めてきました。しかし、森林整備コストが再利用収益を大きく上回るため、結果として間伐が進まず、森林の経済価値の向上や未利用材の付加価値化などの課題を抱えていた。そこで、新しい展開としてバイオコークス事業に取り組むことになった、しかし、一方、石炭コークスの価格の引き下げで非常に苦戦していると。

 こういう事例が、この大阪の事例だけではなくて、取り組もうと思っても非常に厳しい状況になっている。これは長野でもそうですし、北海道でもそうですし、これから東北の被災地でも熱利用ということが非常に重要になってきていると思います。

 お聞きしたいんですが、政府は今年度予算で約四十億円のバイオマス利用などに対する支援策というのを打ち出しました。しかし一方、私は、制度についても検討を始めた方がいいのではないかと思っております。

 イギリスなどはよく例に出されますけれども、熱利用に対して固定価格の買い取り制度をしっかり定着させて、大きく熱利用も進んでおります。また、デンマークなどでも、火力発電所のバイオマス混焼義務ということで、石炭の火力発電所の場合はバイオコークスを混焼するという義務をつけたり、それから、ドイツでも、コージェネレーションの利用だけではなくて、一定の床面積を超える冷暖房にはバイオコークスの利用を促進する、義務づけるというような、再生可能エネルギー熱法というものをつくったりしております。このほかにもオーストリアとかさまざまなところで、制度を変えていくということによって大きく促進している。

 日本も、電力についても大分遅かったわけです。ですから、この熱に着目して、固定価格買い取り制度、熱を対象とした制度の新設ということも検討した方がいいのではないか。これは日本の将来にとって非常に大きなプラスになるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 一つの考え方である、そんなふうに思っております。

 詳細な答弁の前に、一つ訂正をさせていただきます。二〇一〇年の設置許可についてでありますが、同じ青森県でありますが、東京電力の東通一号でありました。訂正をさせていただきます。

 それから、過去のエネルギー基本計画と何の変化もないではないかという御指摘をいただいたんですが、二〇一〇年、前回の第三次のエネルギー基本計画を踏まえた原発比率、これは増加をさせて五〇%ということであったと思います。それから比べますと、依存度をできる限り低減させていくと、大きな変化があったのではないかな、こんなふうに考えております。

 その上で、太陽熱、地中熱、バイオマスから生じる熱など、自然界から得られる熱の有効利用は極めて重要でありまして、最近では、こうした熱を、年間を通じて、冷房であったりとか暖房など、さまざまな用途に活用する事例というのも増加をいたしております。

 ただ、日本の場合ですけれども、熱は電気と異なりまして全国レベルの流通ネットワークがないため、買い取り主体を誰にするのか、また、買い取った熱を需要地に効率的にどう運んでいくか、こういう制約、課題もあるわけであります。また、買い取る熱の量を正確に測定するためには、新たに熱量を計測するためのインフラを全国的に整備することが必要となりますので、電気の場合と比べてもそのコストが追加的にかかってくることになります。

 確かに、英国など欧州の一部の国においては、熱利用に係ります固定価格買い取り制度が導入をされておりますが、欧州では、例えば昔からアパートなんかもスチームパイプを使って暖房を行う等々ございまして、熱供給のネットワークインフラの普及が既に全国的に進んでいる、こういう状況が我が国とは違うんだと思っております。

 こうした中で、我が国においては、まずは、買い取り制度ではなくて、予算措置を中心に熱利用の普及に対する支援を進めているところでありまして、平成二十三年度に再生可能エネルギー熱利用設備の導入に対する補助金制度を新設いたしまして、これまでに全国で五百四十九件の設備の導入を支援してまいりました。今年度も、委員御指摘のように、四十億円の予算を手当てしておりまして、その普及をしっかりと支えていきたい。

 また、今年度の予算では、効率的な熱交換技術の開発であったりとか、課題となっております熱量評価技術の高度化に向けて、新たに技術開発を行う予算として五億円を手当ていたしております。

 こういった全国的な再生可能エネルギー熱利用設備の普及状況であったりとか技術開発の動向も踏まえながら、今後の熱利用に対する支援の制度がどうあるべきか検討してまいりたいと考えております。

辻元委員 私は、制度の問題を御提案いたしまして、小規模分散型の、地域おこしもあわせた熱の固定価格買い取り制度のようなものの検討をまず始めてもいいのではないかと思っておりますので、引き続きまた提案してまいりたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、枝野幸男君。

枝野委員 枝野でございます。

 前回に引き続いて、この一年三カ月ほどの動きと大臣の決意を中心にお尋ねをしたいと思うんです。

 せっかく今辻元さんが熱の話をされて、大臣も十分おわかりだとは思うんですが、今の御答弁は、基本的には、ヨーロッパのように熱を中心にして何か全国的にがっとやるに当たってはインフラが大分違う、確かにそのとおりです。

 多分、辻元さんの御指摘もそうだと思いますし、地域を限って、特に再開発地域であるとかそういったところでは、いろいろな意味で、熱を初めから組み込んでまちづくりとかができるし、あるいは地域の再生につながる、全体としての規模は大きくならないかもしれないけれども個々には非常に役に立つ、そういった視点は、御理解いただいているとは思うんですけれども、ぜひしっかり持ってやっていただきたいと思いますが。

茂木国務大臣 分散型エネルギーとしての熱の利用であったり併用は極めて重要だと考えております。

 御質問の中で、固定価格買い取り制度、全国レベルの制度の話がありましたので、全国レベルで展開するとなるとこういう課題があるのではないかな、こういう視点からお答えをさせていただきました。

枝野委員 今のお答えにも若干言いたいことはありますが、きょうのテーマではありませんので。

 まず、女性の経済分野における活躍の促進についてお尋ねをしたいと思います。

 これは、男女共同参画政策とか女性政策とか、どちらかというと、従来、社会政策とか人権政策のカテゴリーの中で受け取られがちでありますが、経済政策としても、あるいは産業政策としても大変重要な課題である、我が国の経済の活性化のためにも重要かつ不可欠な課題であると思っております。

 また、現実に経済分野での女性の活躍を進めていくための環境整備という観点でも、もちろん厚生労働省などがやる保育所等の子育て支援、これは大変重要である、不可欠なインフラだというふうに思いますが、そうしたことと同時に、産業界の意識改革、協力というと、実は協力じゃなくて、自分たちのためにもやらなきゃいけないだろうということで、協力という言葉は正確ではないと思いますが、そうした観点、あるいは、産業政策全体における女性の活躍を推進するための視点といった、経済産業大臣の担うべき役割も大変大きいと、私は在任中、強く思いながら仕事をさせていただきました。

 そうした観点から、特に重要なのは、これは私も在任中、ああ、なるほど、こういう数字があるんだということを聞いて、私自身も率直に言って驚きもございましたが、女性が活躍している企業ほど収益力等の実績あるいは社会からの評価が高いという、非常に明確な相関関係があるんだということがきちっと調査されているということでございます。このこと自体が必ずしも広く周知をされておりませんので、改めてこの機会に、これについて政府参考人から御説明いただきたいと思います。

菅原政府参考人 女性の活躍の経営効果についてはさまざまな調査研究が行われていまして、いずれを見ましても、女性の活躍推進が進む企業ほど経営指標がよく株式市場での評価も高まる、もしくは、人材活用の観点からワークライフバランスに取り組むことで生産性がむしろ上昇するといった傾向が示されております。

 例えば、米国のカタリストというNPOでございますが、フォーチュン五百企業を対象とした調査をしたところ、女性役員比率の低い下位四分の一企業グループより、女性役員比率の高い上位四分の一企業グループの方が、株主資本利益率、ROEが五三%、売上高利益率が四二%、投資資本利益率が六六%と、かなり大きくそれぞれ上回っているというような調査結果が出ております。

 また、日本でも、大和証券キャピタル・マーケッツの金融証券研究所が、厚労省の均等推進企業表彰を受けた企業百五十二社を対象とした分析をしたところ、女性の活躍推進に積極的に取り組んでいる企業は、五年間で株式パフォーマンスがTOPIX平均を一五%程度上回る水準で安定している傾向があるというような調査結果が出ております。

枝野委員 今の具体的な例も、海外と国内、お示しいただいたとおり、女性が働きやすい環境をつくり、実際に女性に活躍をしていただいている企業は、明らかに統計上有意な数字になっているというふうに思います。

 残念ながら、なかなか社会全体にそのことが知られていない。あえて言えば、お上がうるさいから女性も役員にしておかなきゃいけないかなとか、世間の目がうるさいから女性を働きやすくしておかなきゃいけないかなとか、せいぜいあっても、安くて便利な労働力という観点からうまく使おうとか、やはりどうしてもそういう傾向がまだまだ残っているというふうに思います。

 やはりここは産業界に、もちろん資本主義、自由主義経済ですから介入をしてはいけませんが、産業政策という見地から、経済産業大臣が先頭に立って、今のような客観的な事実を、企業の特に経営者、そして社会に広く伝えていく。そのことが、もちろん保育所などの整備がちゃんと進まないと、そうはいってもということはあるんですが、それと並行して同じぐらい重要なことではないかと思っているんですけれども、大臣の認識、決意をお聞かせください。

茂木国務大臣 私の前任者であります枝野前大臣と全く同じ考えでありまして、今政府参考人から紹介させていただいたデータもございます。さらには、縦軸、横軸に企業の収益性そして女性幹部の登用割合をとりますと、きれいな相関関係、右肩上がりのプロットができる、こういった状態でありまして、まさに女性が活躍するほど、国としてはGNIが上がり、企業としてもパフォーマンスが上がってくるということは間違いないんだろう、こんなふうに思っております。

 ただ、現実問題として、今、日本の管理職に占めます女性比率、これは一一%ということでありまして、残念ながら先進国でも最も低い比率ということであります。もちろん、仕事をしながら子育てができる、こういった環境整備もそうでありますが、成長戦略、こういう観点から、きちんと女性の活躍、そのための環境整備ということを位置づける必要があるのではないかな、こんなふうに考えております。

 枝野大臣時代も、ダイバーシティ経営企業百選、また、なでしこ銘柄、こういった取り組みを進めていただきまして、現在、それを引き継ぎつつ、女性活躍推進の成果を企業のベストプラクティスという形で幅広く周知するようにしたい。

 特に、やはり経営者の皆さんが、周りから言われるからとか、何かそういう外からの理由で、ある程度形をつけるために何人か使うということではなくて、むしろこれが経営のパフォーマンスを上げるために、また新たな価値観を経営の中に持ち込むために必要なことなんだ、こういう意識改革をしてもらうということが必要だ、こんなふうに考えておりまして、そういった観点も含めて、女性が活躍できる日本の企業、そういったものをつくってまいりたいと考えております。

枝野委員 これは恐らく粘り強い活動が必要で、役員比率がばんと急に倍になったりしたら、それはそれでまたおかしなことなので、結果が出るのには時間がかかることですが、しかし、繰り返し発信をして、認識の共有化を図っていただくことが重要だというふうに思いますので、ぜひそういった努力を続けていただくようにお願いをしたいと思います。

 二つ目のテーマは、天然ガスの調達であります。

 化石燃料の中でも、原油と天然ガス、そして我が国の天然ガスの問題については、LNGの国際価格というか我が国の輸入価格が原油の価格と連動している、あるいはしてきたということが大変大きな問題であります。

 これによって、いろいろな事情で、例えば中東以外からLNGを輸入している先は分散化によってたくさんあるわけですけれども、中東のいろいろな政情によって原油価格が上がると、自動的に天然ガスも上がってしまう。このことは我が国のエネルギーの輸入の不安定性を高めている一つの要因であるというふうに思っていますし、後でシェールガスの話も申し上げたいと思いますが、シェールガスがたくさん入ってくるようになったとしても、それが原油価格連動では、エネルギーの輸入価格を押し下げる効果にはなりません。

 私の在任中には、初めてのLNG産消会議を開催させていただきました。つまり、産出国あるいは産出側と、消費側の国あるいは企業が、日本に、東京に集まっていただいて一堂に会する会議を開催させていただき、原油連動を外していく、簡単ではありませんけれども、そこに向けた一歩を踏み出すことができました。

 また、先ほど申しましたシェールガスについても、何とかアメリカからの輸入に向けた努力を示させていただきましたが、政府参考人に、まず、LNG産消会議のその後を含めて、原油連動を外す方向に向けた動きについて、その後の取り組みと現状についてお聞かせください。

 それからもう一つ、シェールガスのアメリカからの調達を中心にして、これについての進行状況を御報告ください。

住田政府参考人 御指摘のLNGの調達価格でございますけれども、これは震災前の二〇一〇年の段階では単位熱量当たり十・八ドルでございましたが、東日本大震災以降、二〇一一年には十四・七ドル、二〇一三年時点では十六・一ドルということで、非常に高い状況が続いてございます。

 この天然ガスの安定的かつ低廉な調達に向けまして、枝野委員にもお立ち上げをいただきました産消会議は、昨年の九月に第二回の会議を開催したところでございます。この会議では、昨年五月の、アメリカのLNGプロジェクトとして初となる、日本企業が参加をするプロジェクトの輸出許可の獲得も踏まえながら、茂木大臣から、高過ぎるLNGからの脱却に向けた消費国間の連携強化といった取り組みに加えまして、供給者側がやはり魅力的な価格あるいは取引条件を競う時代になっているんだというような御指摘をしていただいたところでございます。

 御指摘のとおり、原油価格リンクということによって現在のような原油価格が非常に高い状況になっているという中では、LNGの価格も現在のような水準になっておりますので、こうしたことも踏まえまして、事業者間においても天然ガスの価格に連動したような価格決定方式について議論が始まっているところでございます。

 特に、アメリカからのLNGにつきましては、原油価格連動ではないような、天然ガス価格指標にむしろ連動したような、あるいはそれらを組み合わせたような、そういった調達契約についての検討が進み、実際に天然ガス価格指標に連動したようなLNGの売買契約も締結をされてきているところでございます。実際には、二〇一七年以降、日本にこれらが入ってくるということになります。

 それから、もう一点御指摘のございましたシェールガスの調達の状況でございますけれども、ただいま申し上げましたとおり、これが非常に安価な天然ガスの調達の一つの有効な方策であるわけでございますが、この輸出については、アメリカの政府の許可が必要となっているところでございます。

 昨年五月に第一号案件、日本が関連するプロジェクトの第一号として承認が行われましたが、その後、九月、十一月、そして本年二月と順次、四件目になりますLNGプロジェクトからの輸出承認を得たところでございます。この許可の獲得に当たりましては、これまで、枝野委員も含めまして首脳、閣僚レベルでのハイレベルな資源外交を通じてアメリカ政府に対する働きかけを行ってきた成果だというふうに考えてございます。

 引き続き、これらのプロジェクトが順調に生産開始に至るということを期待しまして、政府としても必要な支援をしてまいりたいと思っておりますし、また、カナダにおけるシェールガスのプロジェクトにつきましても、日本に向けた輸出が実現していくことを期待しているところでございます。

枝野委員 着実に努力を進めていただいているというふうに受けとめさせていただきました。これも時間のかかる、粘り強くやっていかなきゃならない案件でございます。

 と同時に、足元では、例のウクライナの情勢が、日本の天然ガス、特に今後、シベリアからの天然ガスに対しては、日本側の期待というよりも、むしろ、ロシア側から日本に売りたいという期待の方が大きいかなと私自身は在任中思いましたけれども、いろいろな意味で影響を与えるだろうということは容易に想像できるところでございます。もちろん、これは、西側の一員としてというよりも、国際社会の秩序をしっかり守るという観点からも、天然ガスのために、領土のことについて、日本は直接ではないにしても、安易な妥協をしてはいけないというふうに思います。同時に、その影響を将来にわたって見越しながら、全体を組み立てていかなきゃならないとも思います。

 このウクライナ情勢によるロシアからの天然ガスの調達に与える影響、あるいは、それ自体がまだ具体的でないとしたら、これを踏まえた大臣の認識も含めて、今後の天然ガスの安定的かつ安価な調達に向けた決意をお尋ねいたします。

茂木国務大臣 ロシアからのLNGの輸入でありますが、現状でも我が国の輸入量の一割を占めるということでありまして、極めて重要な供給元の一つであります。一方、最近の動向を見ますと、クリミア半島の動きにつきましては、力による現状変更については日本として断固反対をする、こういった姿勢を貫いております。ただ、現時点でロシアからの資源調達について影響が出ているというわけではございませんで、今後の国際情勢をしっかりと注視しながら、資源の安定的な供給確保に万全を期していきたいと思っております。

 供給源の多角化、これを図っていくということが極めて重要だと思っております。枝野大臣時代に進めていただきましたLNG産消会議、こういったものを通じて消費国間のバーゲニングパワーを強めていく、極めて重要な取り組みだと思っておりまして、引き続きやっていきたいと思っております。

 同時に、先ほど政府参考人からも答弁を申し上げましたが、シェール革命によりまして北米からのLNGの調達が二〇一七年以降可能になってくるということであります。フリーポート、コーブポイント、そしてキャメロン、日本企業が参画をしております四つのLNGのプロジェクトにつきましても、輸出許可が全てこの二月までにおりたということであります。最終的には、二〇一七年以降はアメリカから、そして二〇一九年以降はカナダの太平洋側から、こういった形で、今までよりも競争力のある、競争的な価格でのLNGの調達も図っていきたいと思っております。

 そして、最後、三番目は、日本企業はさまざまな地域におきまして資源開発のプロジェクトに参画をしております。これに対しましてJOGMEC等々が支援をすることによりまして、調達先の多角化、さらに資源権益、こういったものを確保していく。もちろん、ロシアもその一つでありますが、同時に、カナダであったりとかモザンビーク、そういったところで進行しておりますプロジェクトにつきましても支援をしてまいりたいと考えております。

枝野委員 残りの時間を見ながら進めさせていただくと、多分これで最後のテーマになるかもしれないので、ちょっと順番を変えて、ほかのテーマはまた次回以降で申しわけないんですが、ミャンマーについて取り上げたいと思います。

 二国間、いろいろな関係がありますけれども、私の在任中には、特に私自身の思い入れと、ちょうど客観的にミャンマーの民主化が大きく前進したタイミングが合いましたので、ミャンマーの経済開発に向けて我が国の協力、そして、これはひいては我が国とミャンマーとの二国間の、将来大きなビジネスに展開していくということを期待した動きを努力させていただいたところでございます。また、これは単に経済の問題だけではなくて、地政学的にも歴史的にも、日本とミャンマーとの関係というのを、あちらが軍事政権の時代はなかなか困難でしたけれども、民主化が進む中では大変重要である、大事にしていかなきゃならないというふうに思っています。

 私自身も、平成二十四年の一月に訪問する機会をつくっていただきました。注目されているティラワの経済開発特別区の予定地も見せていただきました。率直に言って、まだその段階では、こんなところが本当に工業団地になるんだろうかというような状況でございましたが、その後、茂木大臣のもとで、着実に日本の関係機関によるティラワ開発の工程が進んでいるというふうに認識をしております。

 ぜひ、官民連携のしっかりとした取り組みの中で、まずはミャンマーと日本との経済関係の象徴としてティラワの開発を成功させなければならないというふうに思っておりますが、この現状と、それから今後についての認識、決意。大臣、あるいは、もしよければ現状は政府参考人でも結構ですが、お願いいたしたいと思います。

茂木国務大臣 ミャンマーでありますが、アジアの最後のフロンティア、こういう言い方もされたり、さまざまな意味で大きな可能性があるわけでありますし、二〇一一年の民政移管以降、テイン・セイン大統領の強い指導力のもとで、民主化、国民和解、経済改革が着実に進んできております。

 また、一連の改革を受けて日本企業のミャンマーに対する関心も高まっておりますが、依然として、日本企業を初めとする外国企業は、会社設立など手続面での心配から、ミャンマーへの本格的な進出に二の足を踏んでいる部分もあったわけでございます。こういった状況を打開して、本格的な海外進出を実現するためのシンボリックなプロジェクト、これがティラワ開発だ、こんなふうに考えております。

 このティラワの開発、日本とミャンマーの協力にとっても象徴となるものでありまして、ミャンマーにおける雇用創出の鍵となる事業であります。枝野大臣の御尽力によりまして、開発の青写真となりますティラワ・マスタープランを経産省の予算で作成して、二〇一二年末に日・ミャンマーで開発を行うことに合意をしたわけであります。その後、昨年の五月に供与を決定した円借款を活用して、電力、港湾といった周辺インフラの整備も迅速に進めてきました。

 私も、昨年実際にティラワの開発区に行ってまいりました。恐らく枝野大臣が行かれたときよりは相当進んできている、こういう状況も感じたところであります。昨年末からスタートいたしました早期開発区域、これが四百ヘクタールぐらいでありますけれども、そのうち第一期の造成分、この半分であります二百ヘクタールにつきましては工事はほぼ完了いたしました。多くの日本企業から進出の関心表明がありまして、来年の開業に向けまして順調に進んでいると認識をいたしております。

 また、先月にはジェトロ主催の投資ミッションが行われまして、我が省からも石黒経済産業審議官が出席をさせていただきました。私もその報告を受けましたが、実に四十六社が参加をするということでありまして、そのうち数社から既に早期進出の関心表明があったと聞いておりまして、今月にも正式販売開始の予定であると聞いております。

 経済産業省としても、ティラワ開発の成功、これはまさに日本とミャンマーのかけ橋になるものでありまして、官民一体となってしっかりと進めていきたいと考えております。

枝野委員 ぜひ着実に進んでいくように、政府としても民間の努力を後押ししていただきたいと思います。私も、可能ならばゴールデンウイークに実際またティラワに行かせていただこうかなと思って、準備、検討しているところでございます。

 残りの時間が少しなので、多分、大臣も御認識、あるいは役所としても認識されていると思うんですが、ミャンマーの皆さんは、本当に多くの皆さんが非常に日本に対してはシンパシーを持っていただいているし、日本人にとっては、少なくとも私は、現地、ティラワに限らず行かせていただいて、日本人にとってほっとする風景というのか、非常に親近感が湧くような風景、本当に日本にとってはいいパートナーになれる国であると思っております。

 皆さん真面目に一生懸命努力をされているんですが、やはり、非常に長い軍政と非常に鎖国的な政策をとってこられたがゆえに、なかなか我々の、日本の国内にいるときの感覚からすると、行政などの動き、対応が大変鈍い、遅い、何かやる気があるのかなとつい思ってしまいがちなことが私の在任中も何件かありました。

 しかし、決してそういうわけではなくて、なかなか行政を我々の感覚のように進めていく経験やノウハウがまだ十分ではないということで、逆に、一生懸命、真面目にやっておられる方が多いと思いますので、しっかりとしたそういったところのサポートを進めていくことで、あちらにとってももちろんプラスですし、進出をしていく日本企業にとっても、日本と余り違った感覚で仕事が進んでいくとやりにくいでしょうから、日本にとってもプラスになると思います。

 現場で担当されている職員の皆さん等は大変だろうと思いますが、大臣の方でぜひ気配りをしていただいて、ミャンマーが、今のような点も含めて健全に、そして日本にとっていいパートナーとして発展していくように御尽力いただく決意を最後に一言述べていただいて、終わりたいと思います。

茂木国務大臣 ミャンマーは、私も何度も訪問させていただいておりますけれども、極めて安全な国、そしてまた親日的で真面目な国民性を持っている、そんなふうに訪問のたびに考えております。

 それは、これからまさに本格的な国づくりを進めるわけでありますから、日本と同じようなスピードで物事が進まない部分もあると思いますが、ティラワにしても着実に進んできているのは間違いない、こんなふうに考えておりまして、しっかり連携をとりながら、一つ一つ着実に進めていきたいと思っております。

枝野委員 終わります。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 おはようございます。日本維新の会の今井雅人でございます。

 きょうも質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。きょうは三十分ということであります。

 本日は、直近でいろいろ行われました政策の影響、あるいは最近話題になりましたさまざまな事件、これに対しての政府の対応についてそれぞれお伺いしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、先週、一般質疑をさせていただきまして、そこでビットコインの話をしましたけれども、ちょっと尻切れトンボになりましたので、最初にちょっとこの話をしたいと思うんです。

 先週、私がこのビットコインの問題を取り上げた理由は、これはネガティブな話で実は取り上げたわけではありません。むしろ、私はこのビットコインに対して非常に将来性を感じていますので、だからこそ国が対応しなければいけないんじゃないかなということを申し上げたわけであります。

 当時、FXのお話をちょっと例に出させていただきましたけれども、やはり、業界を健全に伸ばしていくためには、しっかりとしたルールをつくってさまざまな不正を防いでいく、そういう環境を整えることで市場が伸びていく、大体そういう流れになっていくことだと思うんですね。

 このビットコイン、まだ皆さんよく状況がわからないというところで、どう対応していいかわからないような様子なんですけれども、日本は、旧態依然の産業に何とかしがみついてやってきて、産業構造の転換がおくれたわけです。ですから、少しいろいろな萌芽が見えるものに対しては、やはり先に先にいろいろと研究して対応していくということをしていかないと、新しい産業というのは生まれないと思うんですね。だからこそ、このビットコインというのを一つの問題提起として挙げさせていただいたんです。

 これは国のそれぞれの対応によって実は非常に温度差がありまして、日本はどちらかというと、倒産した、お金が返ってこなかったということが非常に社会問題としてわあっと取り上げられていますけれども、実は、アメリカを見ますと、全く逆の反応をしています。

 おととい四月二日の日経新聞の夕刊ですけれども、そこに、「ビットコインが映す「強気」」という記事がありました。幾つか書いてありますけれども、例えば、三月二十七日、伝説のファンドマネジャーとして知られるビル・ミラーが、ビットコインの保有を始めたとテレビでおっしゃっています。あるいは、米投資会社のフォートレス・インベストメント・グループが、ビットコイン関連の企業に投資するファンドへの出資を公表しています。あるいは、ほかのヘッジファンド、ベンチャーキャピタルが、ビットコインあるいはビットコインに近いようないろいろな決済機能を持った仕組み、こういうものに、今もうしゃかりきになってそういうものを探して投資しようということで、大変積極的な動きになっているんですね。

 私は、先日、最後にちらっと申し上げましたけれども、ビットコインは投資商品としては疑問が若干あります。そういうのでいいのかなと思いますが、先ほどの、ヘッジファンドの人たちが投資しているのは、実は、ビットコインが意外と倒産した後も価格が下がりませんで、四百八十ドルぐらいまでしか下がらなかったんですね。きのうも私は日本の投資家の人たちとちょっとお話をしてきましたけれども、意外と下がらない、これはおもしろいんじゃないか、そういう話もしておられました。

 そういう面もあるんだと思いますが、それより何よりもやはり決済機能です。これは匿名性が高いということでまだ課題も残っているんですけれども、何せ手数料が非常に安いんですね。とても安い。これはひょっとすると、クレジットカード会社なんかには大変な脅威になるかもしれません。それぐらいの可能性を秘めているものだというふうに私は思っていまして、ですから、前回の委員会でこの問題を取り上げさせていただいたんです。

 大臣、ぜひ、今どうこうというわけじゃないんですが、やはりこれは一つの新しい産業になり得るツールでありますので、政府の中でもこの研究をしっかりしていただきたいというふうに思っておりますが、その点についての御見解をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 確かに、ビットコイン、コインといいましても、強制通用力を持っておるわけじゃありませんから、通貨とは言えないわけでありますけれども、御指摘のように、送金にかかる手数料、コストが圧倒的に安い、さらには手続に要する時間が本当に短い、こういうメリットがあって、新しい決済手段として今後広く普及していくという見方も一部にはあるんだろうと思っております。

 ただその一方で、現在のビットコインの全流通量ということでいいますと、最近の相場で換算しまして五千から九千億円程度ということでありまして、日本円の流通量が一千百七十三兆円ということでありますから、千分の一以下ということになるんだと思います。その普及は限定的でありまして、現時点で将来性については、いろいろな見方はあると思いますが、確たる方向性を見通すというのはなかなか難しいかなと思っております。

 そして、このビットコインについてさらなる普及が進んでいくという観点で考えますと、幾つかの課題がある。

 その一つは、御指摘がありましたように、匿名性の問題からして、これがマネーロンダリングに使われるのではないか。また、価格の変動幅が余りにも大き過ぎる。それからもう一つは、今回の事件にもつながったように、情報のセキュリティーをどう確保していくか。こういった課題についても検討しなければいけないと思っております。

 一概にこれを全て否定するというものではありませんが、政府としては、国際的な動向を含め、実態把握であったりとか、今後の動向を見きわめながら、対応については検討していきたいと思っております。

今井委員 確かにさまざまな問題があるんですけれども、今、例えばグーグルなんかはビットコインに大変注目していまして、これをどういうビジネスモデルにできるかということでいろいろ社内でも検討しています。ほかのヤフーとかそういうところでも、私の承知している限りでは、興味を持って、どういうことができるのかなということを今研究し始めています。私もまだ調査不足ではありますけれども、ビットコインのような仕組みをいろいろ研究して、こういう新しい決済手段というのができないかということを、各ベンチャー企業が今シリコンバレーでわあっと始めているという話を最近もよく聞くんですね。

 何を申し上げたいかというと、例えば、インターネットの世界でも、日本のビジネスモデルというのは結局、インターネットを使って何かをするというモデル。楽天でもそうですね。インターネットの仕組みそのものをつくったわけではないわけです。ですから、結局、外国でつくられたものを日本は使う、そういう産業しかできてきていないわけです。基盤になるエンジンをつくる、その産業をつくっていかないと、日本はやはり国際競争に勝てないと思うんですね。

 せっかく産業革新機構とかいろいろなベンチャーに投資するファンドというのをつくっているわけですから、そういう動きを捉えて、少しでも、芽が出てくるのを掘り起こしていただきたい、そういうお願いなんです。これは国際会計基準でも何でもそうなんですけれども、基盤をとっていかないと結局負けちゃうんですね。だから、そこの萌芽の一つだと私は思いますので、きょうは御提言でありますけれども、ぜひ今後の動向をしっかりと見て、今問題があるのはわかっていますが、それをクリアしてどんどん伸びていくかもしれませんので、そこはぜひとっていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 次に、この四月一日に消費税が引き上げになりまして、八%になりました。私は以前から、日本の財政を立て直すためには消費税の引き上げはしっかりやっていかなきゃいけないというふうに申し上げていますけれども、その消費税を上げるに当たって、やはりさまざまな光と影があるので、そこの部分は対応していただきたいということをお願い申し上げてきました。

 今、与党の方でも、一〇%に引き上げるときに軽減税率を入れるのか入れないのかということを御議論しておられるようでありますけれども、私がこの委員会でずっと取り上げていますのはガソリン税の問題であります。

 前回、軽自動車の件は大臣にも大分頑張っていただきましたが、最後は軽自動車税の引き上げということで大変残念だったんですけれども、今回、消費税が引き上がったことで、皆さん御存じのとおり、ガソリンの一リットル当たりの値段が五円ぐらいぽんとはね上がりました。きょうも為替は百四円台近くまで上がっていますので、傾向的には仕入れの値段も恐らく上がる、消費税も三%乗りました。これは常々私は御指摘してまいりましたけれども、タックス・オン・タックスの問題があるわけです。ガソリン税に消費税をかけるという問題が起きていて、これも税の仕組みとしてはやはり大変問題であるというふうに思っております。

 繰り返しになりますが、私は大変田舎のところに住んでおりますので、田舎のお年寄りの方たちはことしから、マクロスライドで年金が切り下げになりました。月一万円ぐらい下がった方がたくさんいらっしゃいます。入りは減っているわけです。自動車というのは、栃木もそうだと思いますけれども、本当に地元の人の足なんですね。これがなかったら生きていけないんですよ。お医者さんへ行くのもそうですし、うちの実家でも、買い物に行くのに十五キロ行かないといけないんです。お店がありません。

 本当にそういう中での足なんですけれども、軽自動車の税金は上げられるわ、消費税でまたガソリンの値段は上がるわ、もう大変苦しいんです。ですから、軽減税率でそういう低所得者の人たちの生活を守るというのであれば、田舎の人たちは大変所得が低いんですね、その足であるこういう自動車にかかわる税金をこのまま上げておくというのは大変問題だと思いますし、それと、何よりもやはりタックス・オン・タックスの問題です。これは税の考え方として、この問題は解消しなきゃいけないと思うんですね。

 ですから、少しでもそれを解消するように、ことしはできませんでしたけれども、来年度の税制改正に向けて、この軽減税率の問題も当然議論されると思いますけれども、このガソリン税の問題、それにかかる消費税の問題、タックス・オン・タックスの問題、ここをぜひ経済産業省としてもしっかり議論していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 まず、先ほど今井委員から御議論のあった、トランザクションの基盤をやはり日本でつくっていかなければだめだ、これについては全く同じ意見であります。

 それが通貨の部分になるかどうかは別にしまして、通貨を考えましても、もともとは物々交換であった、それが物々交換では大変ですから、一部の石であったりとか貝殻であったりというものを交換の手段にかえ、それが金や銀になる、そして兌換性のある紙片というのが生まれて、兌換性のない紙幣にかわり、そして紙幣そのものをやりとりしないような、介さないような商取引が行われるというところまで、この通貨という商取引の歴史を見ても進んできているわけでありますから、さまざまなこういうトランザクションの基盤というのは起こり得るんだろうと。

 そこのときに、でき上がってきたものに乗っかっているということでは、やはりなかなか日本として競争力のある産業等は生み出せない、こういう思いについては全く同じ思いであります。

 まさに、私も栃木県でありますから、軽自動車を含め、地域住民の皆さんにとりまして本当に自動車というものが日々の生活の、経済活動の足になっている、この思いは強く持っております。

 昨年の税制改正、全体としては取得税の軽減であったりとか大きな進展があったわけでありますけれども、軽自動車に関しましては、来年からということではありませんけれども、負担が重くなるということにつきましては、今後さまざまな、そこの中でのエコカーの深掘りであったりとかを進めていきたい、そんなふうに思っております。

 そこの中で、揮発油税等の税率の水準についてでありますが、地球温暖化対策の観点、そして厳しい財政状況を踏まえて、平成二十二年度の税制改正大綱におきまして、当分の間、維持するというふうにされました。

 揮発油税に対する課税については、その一方で、タックス・オン・タックスの問題。私も、業界の皆さんからタックス・オン・タックスという言葉を、何百回聞いたかわからないぐらいお聞きいたしております。おかしいだろうと言われると、それに対して反論できない問題だな、こういう思いを持つところであります。

 一昨年の八月に成立いたしました税制の抜本改革法において、個別間接税を含む価格に消費税が課されることが国際的に共通する原則であることを踏まえ、国及び地方の財政状況、課税対象となる品目をめぐる環境の変化、国民生活への影響等を勘案し、引き続き検討するということにされているわけでありまして、さまざまな経済に対する影響等々も踏まえながら、今後検討をしっかり進めていきたいと思っております。

今井委員 ぜひお願いしたいと思います。秋口からまた本格化してくると思いますけれども。

 前回も申し上げたと思いますが、アベノミクスというのは基本的に方向は間違っていないと思いますけれども、結果的には富裕層とそうじゃない人の差は開きます。それから、都市部と地方の格差が広がります。そういう副作用というのはどうしても出てくるんですね。その副作用があるからやめろという問題じゃなくて、副作用はできるだけ緩和していくということがやはり政策ですから、その部分をぜひ見てやっていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 では、次に、今度は、東芝のデータ漏えいの件についてお話をしたいと思います。

 これは皆さんも御存じの話でありまして、東芝の社員の方が韓国の企業に移るときに情報を持っていったということで、大変大きな問題になりました。そこのときに、メディアもいろいろ報道しておりましたが、その中で一つあった指摘は、日本の不正競争防止法、これはだんだん段階的に強化してきましたけれども、依然としてこの罰則がまだ十分じゃないんじゃないかという指摘があります。

 個人の罰金も、これは経済罰だということで最高一千万ということでありますし、ほかの国では、国外に持ち出す場合と国内の企業に持ち出す場合では罰則が違っていて、海外に日本の技術を持ち出した場合はさらに罰則を厳しくする、そういう国もあるというふうに伺っております。そのあたりについて、まず、海外と比べて日本はどうなのかということをお伺いしたいと思います。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の営業秘密保護法制についての御質問でございますけれども、経済産業省が所管する不正競争防止法の累次の改正によりまして、委員御指摘のとおり、営業秘密漏えい罪の創設、その罰則の強化ということによりまして営業秘密の漏えいに対する刑事罰を厳格化してきているところでございます。

 その結果、例えば、営業秘密を不正に漏えいした場合の懲役刑につきましては、我が国の場合、流出先が国内であろうと海外であろうと、ひとしく十年以下の懲役というふうになっておりまして、この水準は、国際的に見ても、ほとんどの国よりも高い水準または同等の水準となっているなど、我が国の保護水準は諸外国と比較しても遜色のないものとなっていると認識しております。

 もちろん、諸外国におきまして日本にはない制度があることも事実でありまして、参考にすることは有用であると思いますけれども、例えば、アメリカにおきまして、委員御指摘のとおり、海外への流出について国内よりも重い刑罰を科しているというのがございますけれども、これも重罰化する対象が実は外国政府機関が関与する情報漏えいに限られておりまして、そういった意味で、それぞれの国の事情を反映して、そもそもの制度の趣旨が違う場合があるなど、単純な比較には必ずしもなじまない面もあると考えております。

 したがいまして、一部の国の法制度との違いだけをもって直ちに日本の営業秘密保護法制が緩いという指摘は当たらないと認識しております。

 肝心なことは、とにかく重大な営業秘密の漏えいに対しまして刑事罰による抑止力を有効に働かせることでございますので、我が国における営業秘密保護法制のあり方につきまして、真に有効な抑止力を働かせるために必要な要素は何なのか、諸外国における法制度の実態、あるいは他法令とのバランスなども十分考慮しながら慎重に検討してまいりたいと考えております。

今井委員 全体的には日本の罰則は他国と比べて遜色はないということでありましたけれども、実際に、国外に出る場合というのは厳しいという国もあるわけですから、日本の技術が特にアジアの一部の国に出ているというケースが多いと思うんですね。これからもやはりそういうことが起きると思いますから、国内にその技術を残すのか、海外への流出を防ぐという、それが本当に同等でいいのかという問題も含めて、ぜひこれから検討していただきたいと思います。

 今の御説明の上で、では、この問題が起きて、この法律の改正ということとは別に、経済産業省としては、現在どういう不正防止の取り組みをされているかを教えていただきたいと思います。

田中大臣政務官 やはり、我が国は技術立国であるということであります。その上で、製造ノウハウですとか、こうしたものはブラックボックス化して、守るべきものはしっかり管理する、その流出防止、適切な保護にしっかり取り組むというのは極めて重要なことだと思っております。

 これまでも、不正競争防止法の改正を通じまして営業秘密の保護を強化してきたところでありますが、産業界全体としては企業間の意識ですとか管理水準にばらつきがあるという状況、ここが現状の問題としてあります。まずは、企業側の全社的な取り組みとしての情報漏えいへの対策をとっていくということがやはり重要であると認識しております。

 その上で、あわせて、営業秘密漏えいの事例とそれに対する対策といったベストプラクティス、官民が連携した取り組み、制度での対応を含めた国の取り組みのあり方について、産業界のまずは実態、あと課題、こうしたものを踏まえつつ、現行制度の見直し、追加、こうしたものを踏まえて今後検討を進めていきたいと考えております。

今井委員 ぜひお願いしたいと思いますが、大臣、最後にちょっと御決意をお伺いしたいんです。

 事前に資料をいただきまして、この営業秘密漏えいというのが、どういうところに漏れているかということなんですが、実は、一番出ていっているのは国内の競業他社なんですね。それが四六・五%ということであります。それに比べて、外国の競業他社は一〇・八%ということで、国内の方が多いんですという御説明でありましたが、ちょっと中身を見ますと、製造業の三百一人以上の従業員のいる企業、つまり製造業の比較的大きいところを見ますと、国内の競業他社は二九・四、随分減ります。海外の競業他社が二七・五%ということであります。

 つまり、製造立国である日本の製造業の技術が海外に漏えいしているというのが非常に突出しているということなんですよ。日本の製造業の技術が海外に出ていっているリスクが非常に多いということなんですね。やはりこれも国益の一つですから、民間といっても国益なので、そこをしっかり守るような整備というのをする必要があると思うので、最後に、大臣の御見解をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 一九八八年にソウル・オリンピックがありました。当時、私は、韓国の電機メーカーのラインを見まして、日本に追いつくのは三十年は確実にかかると思っておりました。しかし、十数年でキャッチアップした。もちろん、企業努力もあったんだと思います。しかし、さまざまな形でそういった企業が情報収集をした、逆に言いますと、日本の企業からすると本来守るべき営業機密についてしっかりと守れてこなかった、こういう部分もあるのではないかなと考えております。

 三つのアプローチ。一つは、それぞれの企業が、この営業機密の重要性について、トップみずからが先頭に立って、これをきちんと守るような体制であったり仕組みをつくるということ。それから、業界全体として、また日本の経済全体として、ベストプラクティスであったりとか、そういったものを共有してセキュリティーレベルを上げること。三つ目には、国として、そういった動向も踏まえながら、制度としてどんなことができるのか検討する。この三つの方向からの対応が極めて緊急かつ重要である、そのように考えております。

今井委員 問題意識は持っていただいているということだと思いますので、しっかり対応していただきたいと思います。

 五分を切りましたので、最後に、もう一問だけやらせていただきたいと思います。

 三月二十二日、こういう事件がありました。NEDOから助成金に絡んで約一億五千万をだまし取ったとして、町田の電子機器開発会社の方が詐欺の疑いで逮捕されております。この件について、これは警察の事案でありますけれども、当然、経済産業省の助成金をもらっている事件でありますから、内容を調べていらっしゃると思いますので、まず概要についてお伺いしたいと思います。

片瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 NEDOは、平成二十一年度補正でイノベーション実用化助成事業というのをやっておりますけれども、その中で、ユー・ディ・テック社のプロジェクトを採択いたしました。このプロジェクトは、平成二十一年八月から二十三年二月まで行われまして、約二億二千六百万円が支払われております。

 しかしながら、平成二十五年七月に、NEDOが同社に対して特別検査を実施いたしましたところ、成果物を偽装したり、あるいは契約相手方の協力を得て領収書などの証憑類を捏造するという形で、不正に補助金を受給していたということが判明いたしました。

 このため、NEDOは、平成二十五年八月に交付決定を取り消しまして、不正額が国庫に回収されるよう、補助金全額の返還請求を行いました。また、ことし一月には、補助金適正化法違反及び詐欺罪で、警視庁に対し同社及び同社社長を告訴いたしました。

 警視庁は現在、本件を捜査中であると承知しておりまして、今後の捜査を見守りたいと考えております。

今井委員 一つの事案でありますけれども、これは実は大変大きな問題提起だと思うんですね。

 私は、民間にできることはとりあえず民間に任す、余り国が関与するべきじゃない、基本的にはそう思っておりますので、こういう助成事業についても極めて限定的にすべきだというふうに思っていますが、仮にやるとしても、これはやはり税金でありますので、こういう不正な事件が起きると、こんな制度を本当にやっていていいのかということがやはり問われてくると思うんですね。ですから、こういう不正をとにかくしっかり管理していかないといけない。

 個別論は申し上げませんけれども、私も幾つか見ている中で、これは本当にちゃんとやっているのかなというような企業も正直あります。ですから、そういうところのチェックを監督官庁である経済産業省がしっかりやっていくことによって事業の信頼性というのはやはり高まるんだと思いますので、最後に、大臣、このところをしっかりやっていただきたいということをお願いして、その御見解をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

茂木国務大臣 現在、国として、また経済産業省として行っておりますさまざまな補助事業、例えばものづくり補助金のように、中小企業、小規模事業者の皆さんから大きな評価をいただいているものもあります。その一方で、不正事案が出てまいりますと、それ全体で補助金が、全体としておかしいのではないか、こういう疑念を国民の皆さんから持たれるということでありまして、極めて遺憾だと思っておりますし、再発防止に努めていかなきゃならない。

 もちろん、補助事業として行う事業でありますから、全部を国が監視して、手とり足とり、何から何までチェックするという形にはすべきではないと考えておりますが、必要な検査であったりとか、銀行の振り込みの用紙であったりとか、さまざま確実に、補助金が不正に使われていないということを確認する手段というのは、企業の自由度を保ちながらもあるんだと思います。そういったことはしっかりやりながら、こういった事案が起きないような対応をとってまいりたいと考えております。

今井委員 どうもありがとうございました。終わります。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私、丸山からも、引き続きまして、経済産業省及び幾つかの省にまたがりますけれども、一般質疑をさせていただきたく存じます。

 本日は、エネルギー関係も含めまして三十分いただいていますので、後半はエネルギーの話をさせていただきたいんですけれども、まず前半、少し違う観点からお話を伺いたいんです。

 まずは、この四月から消費税が上がりまして、私も買い物をしておりますと、若干、五%から八%ということで、三%なんですけれども、ただ、単位は大体十円単位とかいうお店も多くて、そういった意味で、思ったより上がっているなという認識を自分自身はしているところでございます。

 これまでの数字的に見ましても、アベノミクスで目指していらっしゃるデフレからの脱却ということで、特にCPI、消費者物価指数も九カ月連続で上がっているということではございましたが、一消費者としては物価が上がっているなという実感が余りなかったんですけれども、この消費税は直撃で、何かこう急激に上がったような気になっておりまして、その辺の動向は非常に気になっているところです。

 一方で、今回、特に八%に上がる段階で、この委員会でも昨年の通常国会のときに価格転嫁の問題で公正取引委員会の担当大臣も含めまして議論させていただきましたけれども、この価格転嫁の話が直近にまず今起こっているところでございますので、確認も含めてお伺いしたいと思います。

 新聞記事等報道では、三月二十八日までに実施した政府としての改善指導件数が一千百五十七件にも上るという報道がありました。非常に多いな、とはいいつつ多分、氷山の一角なんじゃないかなというのが自分の思いなんですけれども、まず、政府として、現状認識、どういう状況にあるのか、そして今後、この四月以降も含めましてどのように対策をとっていかれるのか、このあたり、改めてお伺いしたいと思います。

原政府参考人 公正取引委員会と中小企業庁の指導件数を合わせた数でございますが、平成二十五年十月の消費税転嫁対策特別措置法の施行から平成二十五年十二月までにつきましては五件、平成二十六年一月に入りまして六百二十四件、二月には二百二十四件、三月には三百四十六件ということで、先ほど先生が御指摘されていましたのは三月二十八日までの件数でございますが、三月三十一日、三月末までの件数のトータルでは千百九十九件ということになっております。

 具体的な指導の例としましては、例えば、消費税率引き上げ後の取引価格について、消費税率引き上げ分を上乗せすることなく据え置くとした事例につきましては、消費税引き上げ後の取引について、消費税引き上げ分を上乗せした取引価格に設定するよう指導しております。また、取引先から本体価格による交渉の申し出があっても交渉に応じないということとした事例につきましては、本体価格で交渉を行うよう指導しているところでございます。

 公正取引委員会は、本年四月一日の消費税率引き上げ後、転嫁拒否の行為に対する監視を強化することとしております。平成二十六年度において、中小事業者を対象とした悉皆的な書面調査や、大規模小売業者等の大企業等に対する書面調査を中小企業庁と合同で実施するほか、大企業等に対する立入検査等の調査を積極的に実施していくこととしております。

 今後も、引き続き、転嫁拒否等の行為に対して迅速かつ厳正に対処していくこととしておりますけれども、重大な転嫁拒否等の行為に対しましては、勧告を行うとともに、事業者名等を公表し、厳正に対処していく所存でございます。

丸山委員 三月末までで千百九十九件ということで、特に企業の方々からすれば死活問題だと思います。特に、これから需要が少し落ち込むと多くの方から言われていますけれども、その折にこうした価格転嫁の拒否の問題がさらに生じてくるんじゃないかというのは皆さん懸念されているところでございますので、今お話ありました、きちんと勧告していく、そしてなおかつ、ひどいところは公表していくということでございますので、しっかりと引き続きお願いします。特に、人員も足らないと言われておりますので、このあたりは国の方でもしっかりバックアップして、しっかりとやっていただければと思います。

 次に、先ほど、CPIも含めまして物価が少し上がってきているというお話、そしてアベノミクス、大臣も含めましてしっかりと経済運営をやられていく中で、少しずつ景気がよくなってくるんじゃないかという数字も実感も出てきている中で、特に、うちの地元も関西で田舎でございますので、東京だけじゃなくて、指標を見ますと近畿の方もじわじわと上がってきているというのは、数字はわかるんです。大阪市内は少し活況がようやく出てきたというお話も伺うんですけれども、一方で、うちの地元なんかはこの間の審議でも申し上げました和歌山県境のあたりでございますので、まだまだやなというお話を依然として強く伺います。実感というところでは、地方と東京の経済格差というのがますます広がっているんじゃないかなという懸念を強く持っているところではございます。

 そうした中で、やはり地元の産業を興していく、また、先般の中活法の議論でも、地元からどんどんアイデアを出していくということが非常に重要で、各自必死に頭に汗をかいてさまざまなアイデアを出している状況でございます。特に、東京オリンピックも決まりましたので、海外から来られる方をどれだけふやしていって、それがなおかつ東京や大阪の中心部だけじゃなくて、その周辺地、もっといけば日本各地で、来ていただいて、そこでお金を落としてもらえるような、そんなアイデアをどんどん出していくというのが非常に各地でも盛んになり始めていて、そして非常に重要なところになっているんです。

 例えば、うちの地元の話で少し恐縮なんですけれども、大阪の一番南の南、岬町というところでございます。かつては、海側の、深日という港から淡路島の方に定期航路がありまして、往来していて、商店街もかなりにぎわっていたところでございます。しかしながら、実は、利用客が人口減少も含めまして減ってきたところで、その定期航路がなくなった途端に商店街も衰退して、商店街が衰退することでさらにそこの経済全体がどんどん落ちていく状況で、何とか人を呼び込めないかということで、先ほど申し上げたような観光の事業に取り組んでいるところがございます。

 具体的には、国交省の方で今、みなとオアシスみさきという取り組みをされておりまして、これは、観光等で人に来てもらいやすいような、港中心にそのようなイベントをして人を呼び込んだり活性化させようとしている事業の申請があれば、登録して国としても応援していこうという事業でございます。先ほど申し上げた深日や淡輪のあたりのところも、みなとオアシスみさきという形で今仮登録をさせていただいて、非常に地元でも、しっかりやっていこうという形で出ているところでございます。

 こうしたいろいろな国の事業があります。今、具体例として国交省のものを挙げさせていただきましたけれども、非常にこういう取り組みは大事ですし、すばらしいと思いますが、少し教えていただきたいのは、このみなとオアシスみさきも含めまして、みなとオアシスの事業の現状と、今後どういう形で国交省は考えていらっしゃるのか、この辺、詳しくお伺いしたいと思います。

大脇政府参考人 お答え申し上げます。

 みなとオアシスとは、港を核とした地域住民の交流促進や観光の振興を通じた地域の活性化に資するために、国土交通省の地方整備局等が一定の要件を満たす施設を認定、登録しているものでございます。

 現在、全国で七十六港、うち近畿地方では四港が登録されておりまして、それぞれのみなとオアシスの運営主体と地方整備局等が一体となって、地域のにぎわいの創出に取り組んでいるところでございます。

 平成二十五年七月に仮登録をされましたみなとオアシスみさきは、大阪府の南部に位置します深日港と淡輪港を含みます、自然環境と観光資源に恵まれた地域を対象としております。

 現在、地元の岬町では、両港を連携させて、にぎわい交流の拠点、さらには防災、減災の拠点となることを目指して、さまざまな取り組みが進められているというふうに聞いてございます。

 国土交通省といたしましても、引き続き、みなとオアシスみさきも含め、全国のみなとオアシスを拠点として、それぞれの地域の活性化が図られるように取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。

 以上です。

丸山委員 中活法の議論のときもそうなんですけれども、地域でアイデアを出していく、そして、もちろんPDCAは大事なんですけれども、それをいかに国の方でできる限りバックアップできるかというところが非常に重要でございますので、まずは、この点、国交省も含めまして、観光関係なので、全省体制でやる必要があると思いますので、引き続き、しっかり港の方もよろしくお願いいたします。

 海の方とかわりまして、どうも山の方も気になることがございまして、少し離れた部分でございますが、どうしてもお伺いしたい部分なので、伺いたいと思います。

 うちの地元の泉州は泉という字がつくので、昔から、古代から水がきれいだと言われているところでございます。先ほどの海の話もそうなんですけれども、雨が山に降って、そこから川へ流れてきて、多くの湖や池を通って、そしてそれが海に流れていくというこの国の、特に山がちな日本において、水のあり方、水資源のあり方というのが非常に重要なんです。そういった意味で、観光資源としても、うちの地域だけじゃなくて、あらゆるところで水というのは非常に重要な要素だと思います。

 一方で、うちの地元を回っておりまして気になる国政上の点があります。うちの地元の泉州は、水源は和歌山県側の山のところに、もちろん接しているので、あるんですけれども、大体、県境というのが山頂であったり水源の分水嶺のところで分かれていれば、基本的には、大阪府であれば大阪府側の土地の水源から流れていくという形なんですけれども、地元の阪南市というところの水源の分水嶺が実はちょっとずれておりまして、和歌山市側に降った雨や、たまった地下水が大阪側に流れているところがございます。

 しかしながら、そこに今、具体的には和歌山市の山口地区の滝畑というところなんですけれども、産廃の最終処分場がつくられる計画がありまして、和歌山の方で計画されているんです。一方で、今申し上げたように、水資源として大阪の方にもかなり流れてきている中で、大阪側の地元の人からは、ちょっと説明が足らないとか、もっといけば、十分な意見が聞かれていないという意見をやはり山側に行くと多く伺うんです。

 これは、法律を調べてみますと、現在の産廃処分の関連の法律には、先ほど申し上げたように、県境等が分水嶺にない場合に、そうした周辺地域の意見は聞くこととなっているんですけれども、ただ、最終決定をされるのは立地する都道府県、もしくは、保健所がある場合は市におりていくということなんです。

 そういった状態があって、また、地元の方のお話を聞いていても、一番懸念されているのは、設置時にも一応、生活環境影響調査という形で、まずきちんと環境に影響がないかどうか調査する決まりになっておりまして、定期調査も基本的にはすると法律上は決まっておるんですけれども、一方で、この調査をするのが業者さんなり、業者さんが選んだ業者ということで、このあたりに対してやはり非常に危惧を持たれております。

 法律を見ても、土地の財産権等いろいろな問題ももちろん絡んでおりますが、こうした環境問題は何か起きてからでは遅いというのが、過去の公害事例を見ても起こったところでございます。地元の方々、特に、立地地域だけじゃなくて周辺地域の皆さんにどのように理解いただくかというのが非常に重要な部分でございまして、その意見を無視して行うことは、原発もそうですし、水もそうですけれども、今後非常に重要な論点になってくると思います。

 この辺、私はちょっと法令が少し、瑕疵とまでは言わないですけれども、問題があるんじゃないかなと。環境省としまして、このあたりの法令の運用も含めまして、お考えをお聞かせいただきたいのです。

梶原政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、廃棄物処理法に基づきまして、産業廃棄物の最終処分場を設置しようとする場合については、その設置する場所を管轄する都道府県知事等、これは、等と申しましたのは、中核市以上の市の場合はその市がということになりますけれども、許可を受けなければならないとされてございます。

 許可申請に当たりましては、当然のことながら、最終処分場の構造とか施設に関する計画、あるいは維持管理に関する計画に加えまして、当該施設を設置することで周辺にどういったような生活環境に及ぼす影響があるのかといった調査の結果を示した文書、これは私どもは生活環境影響調査書というふうに申し上げておりますけれども、そういったようなものを添付して申請をしていただくことになってございます。

 今回先生が御指摘の事業につきましては、まだ現時点におきましては正式には許可申請に至っていないというふうに伺っておりますけれども、許可申請があった場合は、和歌山市が許可権者ということになります。

 この許可の手続でございますけれども、まず、許可に当たりましては、和歌山市は、設置許可申請書や、先ほど申し上げました生活環境影響調査の結果につきましては告示縦覧するという手続が定められております。その結果、その告示縦覧については、利害関係を有する方々は生活環境保全上の見地からの意見書を提出できるというプロセスも法定化しているところでございます。

 また、許可の手続の中では、生活環境保全上関係のある市町村から、生活環境保全上の見地からの意見を聞くといったようなプロセスも定められているところでございます。

 以上のことから、最終的には、先生が御指摘のように、許可権者であります和歌山市さんの御判断ということになりますけれども、県境を挟んだ隣接する市町村等からの御意見も聴取することは可能であるというふうに考えてございます。

 もう一点、生活環境影響調査につきましては、事業者さんが選んだコンサルタントが作成しているんじゃないかといった御指摘でございます。

 実際、こういったような調査につきましては、専門の業者が作成することがほとんどだというふうに思っております。しかしながら、この生活環境影響調査につきましては、先ほどの、関係する市町村の意見、あるいは生活環境保全上の見地からの利害関係を有する方々からの意見も含め、生活環境の保全に関する専門的な知識を有する方々が、そういったものを含め、大気質や水質等に与える影響について意見を言う、そういう意見を聴取しながら許認可を行うということにもしております。

 そういったようなプロセスを経て、和歌山市が、計画の内容が妥当であるか、あるいは生活環境保全上の影響がないかどうかということを審査する、そういったようなシステムになっておりまして、その中で環境の保全が図られるよう措置されるというふうに考えてございます。

丸山委員 関係の自治体も含めまして周辺地域に、生活環境保全上関係するところに対しては意見を聴取するということでございます。

 意見を聴取するというと、いろいろな幅広いことがあります。最終的には許可権者である和歌山市さんがお決めになることだと思いますけれども、やはり環境省としても、基本的にはきちんと周りの意見を聞いてくれということだと思いますので、その辺はしっかりと、法令上のたてつけもございますが、周知はしていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 時間がなくなってきますので、次のところに移りたいんです。

 一つ、先ほど消費者物価指数が上がってきているというお話がございましたが、一方で、電気料金という観点からも、この五月から値上げがされるということでございます。これは四カ月連続で、しかも全社そろって値上げだということでございます。

 一方で、昨今ニュースで出ているのは、特に北電は具体的には再値上げの話題も出てきておりまして、それに関しまして、茂木大臣から記者会見で、ありとあらゆる努力をして何とか値上げに行かないように、もしくは下げるようにという形で、そういうことが極めて重要だという御発言が述べられておりますけれども、このありとあらゆる努力というのがどういったものをイメージされているのか、具体的にどういったことを指していらっしゃるのかというのを少しお伺いしたいと思うんです。

 ニュースでは、政投銀から北電に対して五百億規模、優先株で引き受けるという報道もございます。ほかの、うちの地元の関電も含めまして非常に経営が厳しい電力会社がふえておりますけれども、そうした中で、今後、いわゆる国民の税金を入れている政投銀、一〇〇%政府出資なんですね、各社の政投銀からの資本増強という形で進んでいくという認識でいいんでしょうか。

 このありとあらゆる努力というのは、イメージとしてはもっと企業努力、もちろん今もされていますけれども、より一層の経費削減、そして特に内部留保を電力会社さんはいっぱい持っていらっしゃるので、それの吐き出しも含めまして、ありとあらゆる努力というものがどういったものなのかということの政府の御認識をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 ありとあらゆる努力、まさに言葉のとおりでありますけれども、大きく申し上げると、経営面での努力、それから財政基盤を強化するための努力ということになってくるかと思います。

 経営の効率化を進める、さらには、例えば燃料費の調達コストもまだ高いと言われております、こういったものも見直す、そして、今まで総括原価方式という中で、いろいろな資機材の調達についても本当に十分安い値段で買えていたのか、こういったことも含めて、さまざまな部門で、また事業者としての経営全体での効率化を進める、こういったことがあると思っております。

 同時に、資金調達の方法、まさに事業者においてさまざま考えることであると思います。さらには内部留保の取り崩し、こういったものを含めて、今後、安定供給を進めながら、同時にさまざまな設備投資も行っていかなければならない、こういった中で、財務基盤を強化するためにどういった取り組みが必要か、こういったことも含めた努力を不断に進めてほしい、このように考えております。

丸山委員 北電におかれましては、相談役のポストをなくすとかいろいろな情報はお聞きしていて、努力されているのももちろん存じ上げているんですけれども、一方で、政投銀のお金を百億円規模で各電力会社にどんどん入れていくとなると、国民の皆様から見ても、どうなっているんだ、ちゃんとやっているのかというのは非常に気になっていくところだと思います。もちろん茂木大臣は同じお考えで、ちゃんと見ていくというお考えだと思いますので、きちんとそのあたりは国の方も、所管省庁でございますので、しっかりと見ていただきますよう強く私からもお願い申し上げます。

 その関連で、何でこんなに電力会社は厳しいのかなというと、どうしてもやはり原発の話だと思います。そうした中で、先ほど辻元委員からもお話が出ていましたけれども、北海道の函館市から電源開発の建設差しとめの訴訟が起きております。

 そして、続けて、次の問いも関連なので重ねてお伺いしたいんですけれども、静岡県でも、知事からプルサーマル計画の件について白紙だというお話が出ております。各地で、結構この原発の問題、まだまだ各周辺自治体の不信感を拭えていないんじゃないかなと。この段階で原発再稼働にかじを切るのはどんどん難しくなってきている状況があると思います。

 私自身は、原発をいきなりゼロというのは難しいと思いますし、徐々に削減していく中でも、やはり今の経済状況を考えれば柔軟に対応すべきだとは思いますけれども、一方で、周辺自治体の理解を得られなければ、勝手に運営するというのは非常に問題だと思うんですが、いろいろな動きが出ている中で、経産省として今どのようにお考えで、これをどうやって理解を得ていこうとお考えなのか、このあたりをお聞かせいただきたいと思います。

田中大臣政務官 まず、函館の、大間原発の件でありますが、原発については、原子力規制委員会によって新規制基準に適合するということが認められた場合には、その判断を尊重して原子力発電所の再稼働を進めるということであります。

 もちろん、実際の稼働に当たっては、規制委員会で安全性が確認された段階で、立地自治体、関係者に対してしっかりと事業者が丁寧な説明を行う、国としてもしっかりとした説明をしていくということがやはり重要と考えております。

 また、その上で、周辺自治体を含めた自治体というのは、原子力災害に係る地域防災計画また避難計画を策定するということになっております。政府としても、引き続き、その充実に向けた支援というのは行っていきたいと考えております。

 しかし、原発の再稼働に当たっては、理解を得る地元の範囲、これは基本的には自治体の単位で考えることになっております。この際、自治体の考えですとか地元住民の意向、事情がさまざまであるということも言えると思います。

 このため、理解を得る地元の範囲、これについてはそれぞれの地域としっかりと相談して、個々に対応するということが私は重要だと思っております。ゆえに、一律に何キロ圏内とすることはやはり適当ではないのではないかなということであります。

 そして、中部電力の浜岡原発でありますが、浜岡原発の四号機については、プルサーマルも行うことを前提に今申請がされているところであります。今後、原子力規制委員会で安全性が確認されるということが前提ではありますけれども、この件に関してもしっかりと、立地自治体の理解を得るために事業者そして国としても説明していくということであります。

 いずれにしても、今後、使用済み核燃料の再処理、そして燃料としての再利用、こうしたプルサーマル計画については着実に進めていくということであります。エネルギー基本計画の政府原案においても、書かれてある文章では、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度の低減、資源の有効利用等に資する核燃料サイクルについては、これまでの経緯を十分に考慮しながら、引き続き、関係自治体ですとかもちろん国際社会の理解を得つつ取り組むこととしている、再処理やプルサーマル等を推進するということとなっております。

丸山委員 国として推進していくというお話、そして理解を得るように努力するというのもわかるんですけれども、現実面として、理解できないというお声が上がってきて、訴訟にまでなっているという状況でございますので、非常に私は危惧するところでございます。理解を得るというのは本当に難しい作業でございますけれども、この原発事故が起きた今こそ非常に丁寧にやっていく必要があると思いますので、このあたりは、やっていらっしゃいますけれども、より一層心がけていただけますよう、私からもお願い申し上げます。

 時間がなくなってまいりましたので、最後に伺いたいんですけれども、そういった意味で、原発がどうしても動きにくくなっている中で、再生エネルギーの重要性は政府としても認識されているところだと思います。

 一方で、これもニュースソースで恐縮なんですけれども、エネルギー基本計画政府案の与党協議の中で、再生可能エネルギーの目標値、二〇二〇年に一三・五%、三〇年に二〇%という目標値を「大幅に上回る」水準を目指すという書きぶりをされていたのを、経産省の方で、新聞記事では拒否という書き方をされていましたけれども、「さらに上回る」との表現に変えて提示されたということが出ておりますが、これは事実でしょうか、そうじゃないんでしょうか。このあたりも含めまして、政府として再生エネルギーの目標値をどのようにお考えなのか、最後にお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 エネルギー基本計画につきましては、二月二十五日に政府としての原案を取りまとめを行いました。国民生活等々に直結する極めて重要な問題でありますから、丁寧なプロセスを経て最終的には閣議決定したいと考えております。

 二月二十五日に政府の原案を取りまとめた上で、当然、プロセスとしては与党プロセスに入ります。これはさまざまな基本計画であったりとか法案であったりもそうでありますが、与党の方に御審議をお願いしている、この過程におきましては、基本的に、与党の中でさまざまな議論の積み上げをしていただく、そして最終的な結果が出ましたら政府に対して提示していただく。この最終的な結果がまだ出ていない。

 ですから、委員が御指摘されたような、どちらかが提示をして、どちらかが拒否をする、こういう段階ではないと考えております。

丸山委員 国会答弁としてはそうおっしゃるのはわかるんですけれども、一方で、こうやって経産省が再生エネルギーに後ろ向きだととられるのは非常に私としても心外でございますし、それは本意ではないと思いますので、そう言われないためにも、しっかりとこの再生エネルギーを推進していただきますことを強くお願い申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。

 私、いつもは厚生労働か文部科学で質問をさせていただいております。私は心臓を専門とする内科医でございまして、医療、社会保障の領域、また文教教育、そういったところを主に議論させていただいているんですが、常に思いますことは、経済活動と切っても切れない、どんな領域も、経済領域との協調、兼ね合い。これで、制約もそうです、成長も、やはりそういったところをしっかりと経済基盤で考えていかなきゃいけないんだなと、まだまだ短い議員活動ですが、つくづく思うところでございます。

 消費税が上げられました。当然、経済がよくなっていくから、消費税分の減り代もカバーできて大丈夫なんだというような安心感、これを現実のものとしていかなければいけないというふうにも期待をしております。

 そこで、まず最初に、懸念となります貿易赤字の拡大について大臣にお伺いしたいと思います。

 財務省が発表している貿易統計によれば、平成二十五年の貿易赤字が過去最大の十一・五兆円に達しました。円安によって伸びていくはずの輸出金額が六十九・八兆、前年比九・五%と余り増加しておりません。円安への転換が輸出数量の増加につながるまでには一定のタイムラグがあるというふうにされておりますが、為替が円安に振れ始めてから既に一年以上が経過をしております。しかし、輸出数量の増加ペースは想定されるよりも遅いと言えると思います。

 円安にもかかわらず輸出数量が伸びていない要因として、中小部品メーカーを含む国内企業が生産拠点の海外移転を進めていたり、企業が円安による輸出価格の引き下げを行っていないこと、さらには製造業とりわけ電機産業の国際競争力が低下していることなどが指摘されております。

 円安になれば輸出が増加をし、貿易収支が改善されて日本経済が上向くという従来の常識が徐々に揺らぎ始めているのではないかというような危惧も持ってきております。

 こうした貿易赤字拡大の背景にある日本経済の構造変化について、経産省はどのように分析、評価をしているのか。そして、こうした日本経済の構造変化に対応していくためにどのような政策を打ち出していくのか、大臣に御答弁をお願いいたします。

茂木国務大臣 柏倉議員の方からこの委員会で初めて御質問いただくということで、若干緊張もして心臓もばくばくしておりますので、何かありましたら、循環器内科の御専門ということで、よろしくお願いしたいと思います。

 二〇一三年の我が国の貿易収支は十一・五兆円と過去最大の赤字を計上したわけでありまして、この貿易赤字の背景には、御指摘のように、円安により輸入価格が上昇した、それに対して輸出価格が余り伸びなかった、こういう問題があると思っております。それから、輸入の方は量でもふえておりまして、一つは化石燃料の需要増というのがあった。もう一つは内需でありますけれども、高額な熊手が飛ぶように売れているかどうかは別にいたしまして、内需も大変好調でありまして、輸入額が大幅に増加をした。さらに、新興国の需要が減速したこと、そして、円安後も、企業によって違いはあるわけでありますけれども、日本企業が現地価格を余り下げなかったこと等から、輸出は数量の増加も弱目の動きとなった。これが全体的な動きであると思っております。

 そこの中で日本の国際競争力でありますけれども、例えば、スイスのIMDといいます研究機関の調査によりますと、一九八九年、二十五年前ですね、一九八九年から五年間、日本は国際競争力で世界第一位でした。現在何位になっているか。二十四位なんですね。こういう状況でありまして、やはり国際競争力の強化という意味でも相当大きな問題が出てきている。

 この背景でありますけれども、例えばエレクトロニクスの分野を考えてみますと、かつては、メーンフレームを中心にしまして、いわゆる垂直統合といった形で一つの企業群で全部をつくるという形でありましたけれども、今、この構造が全く変わりまして、水平分業、アメリカの企業にしても、自分が強いところだけを持って、ほかのところをうまく巻き込む形でのそういった分業体制をつくっている。こういう産業構造が変わっている面もあります。それから、業種によりましては、新興国等々が最新鋭の設備を導入してより低コストで生産できるような体制を整えて、日本以上のコスト競争力を持つようになった。さまざまな要因があって日本の国際競争力というものは落ちてきているのではないかなと。

 この状況は看過できないということで、昨年の臨時国会に産業競争力強化法を提出いたしまして、成立をさせていただいたわけであります。これは、日本経済が持っております三つのゆがみ、過少投資、過剰規制、そして過当競争を是正するための措置という形でありまして、ベンチャー企業を生み出す、さらには事業再編を進めるということで、日本経済の新陳代謝を進めていきたいと思っております。同時に、現在実施をしております大胆な設備投資減税、こういうものによりまして、設備の年齢も日本におきましては過去二十年で一・五倍にふえております、人口だけじゃなくて設備も高齢化している、この状況も変えていくようなことをしたい。

 こういった取り組みによりまして、もう一度日本の産業競争力を回復し、そして景気回復の実感が全国津々浦々に行き届くような状況、こういったものをつくってまいりたいと考えております。

柏倉委員 御答弁ありがとうございます。

 人口だけじゃなくて設備も老朽化しているというお話がありました。私、卑近な例であれなんですが、医療現場というと、CTですとかMRIとか、そういった医療機器も老朽化したり、いろいろな問題があります。

 私、医療の現場の人間から、今の経済状況でぜひ大臣にお願いしたいのは、医療そのものの領域の競争力といいますか国際競争力、いろいろな医療機器の問題、製薬の問題、こういった医療業界の競争力をつけていただけるような産業構造なり施策をぜひ推進していただきたいと思います。

 今回、消費税が上がるということで、診療報酬をほんの少しだけ上げていただきました。しかし、実際には、それだけではなかなか人件費、薬のお金を賄うことができません。そうなりますと、どうしても、介護の方々の賃金の引き上げが思うようにいかない等々、やはり医療業界そのものが地盤沈下を起こしてしまう可能性があります。

 だからといって、補助金等々をどんどん医療業界につぎ込めというわけじゃなくて、医療界そのものが、自立とまではいかないんですが、やはり経済競争力を身につけられるような構造転換といいますか、そういった後押しをぜひ経産大臣にもお願いをしたいと思います。

 あと、茂木大臣おっしゃるように、心臓は確かにばくばくしております。私、循環器内科なものですから、その辺はよくわかっております。カテーテルなんかの検査とか、私もやっておったんですが、心臓病というのはいつ起こるかわからないなというのが何年もやってきて思うところでございます。

 今ちょっと我が党も、大臣おっしゃられましたように若干不整脈が出ておる状況でございますが、そういった不整脈というのは、いつ、どこに起こるかわかりません。私、まずしっかりと自分の不整脈を治してから、またしっかりと政策も磨いていきたいと思います。その折には、ぜひ大臣にも御指導いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次は、中小企業の海外展開についてお伺いをいたしたいと思います。

 我が国企業を取り巻く事業環境が国内需要の縮小やグローバル化の進展による競争の激化等を背景に厳しさを増す中、大企業のみならず中小企業においても、アジア新興国等の成長著しい海外市場の需要を獲得していくことが喫緊の課題と言えます。昨年六月に閣議決定された日本再興戦略においても、二〇二〇年までに中堅、中小企業等の輸出額の二〇一〇年比二倍を目指すとされております。

 近年、海外展開を目指す中小企業は増加傾向にあるものの、海外に進出している中小企業の割合は高いとは言えず、常用雇用者三百人未満の中小企業では〇・三%にとどまっております。

 しかし、現在交渉中のTPPは、中小企業による貿易、投資の促進にも焦点を当てた初めての貿易協定であり、物品やサービスの貿易、投資における障壁の撤廃によって、我が国の中小企業の海外展開が一層促進されることが期待されます。

 この絶好の好機に、中小企業の海外展開について政府が適切な支援体制を構築することが必要と考えられる一方、現実的には中小企業にとって海外展開へのハードルはかなり高いものがあることから、政府の支援がそうした実情に即したものかどうかを検証する作業が常に必要であると思います。

 そこでお伺いしますが、経済産業省として、これまでの中小企業の海外展開について実施してきた施策及びその効果について、予算の執行状況も含めて、参考人からお答えいただきたいと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 中小企業の海外展開につきまして、中小企業白書によりますと、難しいとする理由として、必要な知識がない、あるいは対応できる人材を確保できないといった回答が多うございまして、中小企業にとりまして、情報の不足、あるいは海外特有のリスク、こういうことで国内に比べて海外展開に取り組みづらいという状況にあります。

 そのため、まず、情報という観点から、海外展開を目指す中小企業に対しまして、経済産業省といたしましては、中小企業基盤整備機構やジェトロと連携いたしまして、海外ビジネスの実現可能性調査、あるいは企業OBの派遣、こういったことを行っておりまして、知識、人材面での支援を実施しております。これまで、実現可能性調査では約三百二十社、企業OB派遣では千四社への支援を実施しております。

 次に、現地でのリスクということにつきまして、これに対しましては、現地での法務、労務、知財、こういった問題の解決のために、中小企業庁の補助事業といたしまして、ジェトロが中小企業海外展開現地支援プラットフォームを八カ国十カ所に設置したところでございます。これまで現地におきまして七百七十一社の支援を行っておりますし、またマッチングイベントなども行ってございます。

 一方、国内で海外へ出るためのブランドづくりということを考えておりまして、これは中小企業庁のJAPANブランド育成支援事業、例えば今治タオルですとか甲州ワインですとか、こういったものを考えておるんですけれども、中小企業の方が連携してみずからの持つさまざまな強みを踏まえた戦略をつくる、あるいは商品の開発、海外展示会出展、こういったことを支援してございます。これまでに三百十三件の支援を行っております。

 こうした施策の効果につきまして、別の数字を挙げさせていただきますと、各種支援機関と連携いたしまして平成二十四年ごろから本格的な海外支援を行っておりますが、平成二十四年度では、このような支援機関が関与したものといたしまして、三千百六十四件の商談が成立をいたしております。

 今後も、海外展開関連予算といたしまして、二十五年度補正予算では二十三億円、二十六年度当初予算では約二十九億円を計上させていただいております。このように、中小企業、小規模事業者の海外展開をさらに支援してまいりたいと考えております。

柏倉委員 やはり中小企業にとっては常に死活問題、そういった現状は景気が多少よくなったといっても変わっておりません。特に地方の小さな中小企業ですと、雇用の問題なんかも、やはり外国人労働者を積極的に取り入れないことにはやっていけないというような声がもう本当にあります。雇用の問題に関しては、これは厚生労働省の管轄かと思いますけれども、省庁横断的な取り組み、支援を、時間を置かずに、すぐに即効性のあるものをぜひ取り組んでやっていただきたいと思います。

 最後に、女性の人材活用についてお伺いします。

 私にも年ごろの娘がおるんですが、いつも憎まれ口をたたかれますが、やはり、将来しっかりと自立した女性として、仕事も家庭も大事にできるような女性に育っていってもらいたいなと思うわけでございます。ただ、女性の社会進出というところで、これは省庁から資料提出を受けますと、やはりまだまだ厳しいな、女性の立場から見ても、まだまだ自分が望むような職についたり、理想的な人生を送るには、チャレンジすることさえもためらってしまうような厳しい現実があるなと思うわけでございます。

 そこで、きょうは、ぜひ国にも、経済を活性化する上でも、女性をどんどん国の宝として活用していくための取り組みを後押ししてほしいということで、ただしていきたいと思います。

 政府は、先ほど申し上げた日本再興戦略で、女性の活躍推進を成長戦略の中核と位置づけております。女性の活躍が企業にとっても経営面でメリットがある。なでしこ銘柄というような形で構成するなでしこ指数はTOPIXのパフォーマンスを上回っているというような分析も出ておるわけです。これだけやはり女性を上手に活用すれば、当然、市場等々、競争力もどんどん増強していくということがわかっているわけでございます。

 ところが、現状ではなかなか、先ほども申しました、いろいろな制約、固定観念があります。業種別の制約もあって、女性の人材活用はなかなか進んでいない。

 女性の人材活用には、量の拡大、育児との両立等の環境整備、そして質の向上、企業のマネジメント層への登用を促進する、この両方をバランスよく進めることが必要であり、これに関してもやはり省庁横断的な取り組みが必要です。また、中小・小規模企業に対しては、実情に応じた女性人材の活用を後押しする支援も必要であると考えられます。

 女性人材の活用に関して、活用したくてもできないといった中小・小規模企業の実態も踏まえて、赤羽副大臣にお伺いしたいんですが、今後どのような取り組みを行うのか、ぜひ教えていただきたいと思います。

赤羽副大臣 女性の活躍推進は我が国の経済成長の鍵であるということは、まさに委員御指摘のとおりだと思っております。

 ただ、中小企業、小規模事業者におけます女性人材の活用については、大変極端に振れている。女性だけで大変なすばらしい起業をしているような実例もたくさんございますが、全く女性を採用していないというような中小企業も少なくございません。何か余裕がないと女性を採用できないという、その発想自体が、私は少し間違っているのではないかと。

 そういったことで、中小企業、小規模事業者の経営者に対して、委員御指摘のなでしこ銘柄の取り組みを通じて、女性を積極的に活用して成果を上げていらっしゃる企業の事例をベストプラクティスとして広く発信すること等々で、また、ダイバーシティ経営企業百選というものも表彰しておりまして、これも実は受賞企業の約半数が中小企業、小規模事業者でありまして、こういったこともメディアに取り上げられて、その企業自体の知名度もアップされておりますし、いかに女性が活躍すると企業にメリットがあるかということも周知徹底をしているところでございます。

 また、育児等々で一度退職をして、再就職を希望されている主婦の皆さんに対して、そのブランクを埋めるためのスキルアップを目指す職場実習、インターンシップを支援しておりまして、昨年一年間で三千二百五十二名の職場実習を行っているところでございます。

 また、創業支援につきましても、その中で、地域の需要に対応するような女性の起業を優先的に支援しているところでございまして、女性の活躍推進が本当にしっかり前に進むように経済産業省を挙げて取り組んでいきたい、こう考えておるところでございます。

柏倉委員 やはり、女性ならではの感性、感覚、そういったものも、これから広がる市場を見越して活用していかなきゃいけません。そして、単純労働力としてもやはり日本に貢献していただくというところを考えて、積極的な政府の取り組み、施策をぜひお願いしたいと思います。

 きょうは、大臣、どうもありがとうございました。

富田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

 本日は、一般質疑ということで、まず、四月から消費税が増税されました。消費税の転嫁対策の政府の取り組み、また見解についてお伺いしたいと思います。

 消費税が五%から八%へ引き上げられましたけれども、ここをどう乗り越えていくか。これが現下の大きな課題であり、日本再建に向けての大きな焦点であると考えております。

 先ほど、転嫁対策については丸山委員からも冒頭若干触れられておりましたけれども、消費税転嫁対策特別措置法が昨年十月から施行され、価格転嫁を拒否する行為が禁止されました。また、いわゆる転嫁Gメンも新設されました。

 公正取引委員会及び中小企業庁が、消費税の転嫁拒否行為に対して行った調査件数というのは、平成二十六年二月までで千七百七十七件ということのようですけれども、この調査に入る端緒となったものは何なのか。まず、これについてお伺いします。

北川政府参考人 調査の端緒のお尋ねでございます。転嫁拒否の被害を受けているおそれがある方、これをどのように調査していくか。端緒を得るということでさまざまなことをやっております。

 一つは、事業者の方から中小企業庁あるいは各経済産業局、こういったところへの御連絡、情報提供というのが一つ。それから二つ目が、昨年十一月に公正取引委員会と合同で十五万事業者を対象といたしました消費税転嫁円滑化に関する書面調査、下請代金法に基づきます二十五万事業者に対する書面調査、こういったことを行っております。さらに、消費税転嫁対策調査官、いわゆるGメンというものでございますが、彼らが中小企業、小規模事業者への電話調査を行っております。その結果、先ほど委員が御指摘になったような調査着手件数に至っているものでございます。

國重委員 今、中小企業庁からさまざまな調査の端緒があるということをお答えいただきました。

 では、次に、本年二月末までに調査をした千七百七十七件のうち指導したものが八百五十三件ということのようですけれども、指導とは具体的にどのようなことをされてきたのか。指導の具体的態様と、その指導を受けて当該事業者がどのように対応したのかについてお伺いします。

北川政府参考人 指導についてのお尋ねでございます。

 まず、その疑いのある情報というものを精査した上で、法違反が認められるような事業者に対しましては、違反行為の是正を求める指導書を出しております。

 この指導書の発出に当たりまして、事案によりましては、いわゆるGメンが訪問して直接手交しているものもございます。その上で、間違いなく違反行為が是正され、再度違反行為が行われることがないように、Gメンがフォローアップするということをいたしております。

 具体的には、例えば買いたたきというものが疑われる場合には、契約内容を消費税を適正に転嫁した内容へと変更するということで原状回復措置を求めておりますし、消費税を適正に転嫁することについて社内で徹底するということ、あるいは取引先に対してもその旨を周知するということで再発防止措置を求めております。このように指導いたしましたところ、指導に基づいて措置した内容につきまして、速やかにそれを書面で結果を報告するということにつきまして、迅速な対応を求めております。それを改めてGメンが確認するということを行っております。

 万一、再度違反行為を行った場合には、事業者名が公表されるという可能性があることについて、これを明示的に伝えるということによりまして、指導内容を確実に実現することとしております。

國重委員 今、中小企業庁から答弁いただきました。

 事前に公正取引委員会からも話を聞いておりますけれども、指導書を送る場合、また実際に来庁してもらって面会してそこで指導する場合、さまざまあるということです。一般的な感覚では、指導書だけ送って本当に実効性があるのかどうか、若干の疑念がないわけではありませんけれども、ケース・バイ・ケースで対応されているということですので、本当に適切な実効性のある指導をぜひともお願いしたいと思います。

 それらの指導の際に、調査の端緒、先ほど御答弁いただきましたけれども、事業者から報告が上がってくる場合も結構ある。書面であれ、実際に口頭の報告であれ、そういうことで上がってくる場合がある。

 そのときに、指導の際に転嫁拒否の報告をした事業者が誰なのか明らかにならないような工夫は当然されていると思いますけれども、これまでに、報復行為として、転嫁拒否行為に対する指導をした後、指導を受けた業者の取引先である事業者が取引を打ち切られたりとか、取引を減らされたりとか、そういった事例があったのかなかったのか、これについてお伺いします。

原政府参考人 私ども、調査及び指導に当たっては、情報提供者が特定されないよう細心の注意を払って行っておりますので、現在、そういった事例は生じていないというふうに承知しております。

 万が一、仮にそういったようなことがあるのであれば、これは勧告、公表する旨もガイドラインに明確に記して公表しているところでございますので、今後とも、そういったような事例が起こらないように細心の注意を払って適切に調査、指導してまいりたいと思っております。

國重委員 わかりました。

 子供たちのいじめの世界でも、いじめがあったということを先生に相談したらかえっていじめがエスカレートするというようなこともありますので、今回も、単に指導書を送ったり、一回限りの指導ではなくて、これからいろいろとまた指導件数もふえてくるかもしれませんけれども、その継続的なフォローをしていただいて、監視の目を光らせて、もしそのような報復行為があった場合には、今おっしゃられたような厳正な対処、勧告、公表をしていただきたいと思います。

 続きまして、今回の特措法の六条では、事業者に違反行為があると認められるときには、公正取引委員会が当該事業者に対して、速やかに消費税の適正な転嫁に応じることその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとし、勧告したときはその旨を公表すると定められております。

 二月末までに指導した件数というのは八百五十三件ということですけれども、これまでに指導した八百五十三件の中で勧告、公表したものは一件でもあったのかなかったのか、公正取引委員会に伺います。

杉本政府特別補佐人 お答えさせていただきます。

 現在までのところ、公正取引委員会が消費税転嫁対策特別措置法に基づきまして勧告した事例はございません。

國重委員 今まで一件もないということですが、ことしの二月までに八百五十三件指導している、でも一件も勧告、公表していない。これはなぜなのか。どのような場合であれば勧告、公表するのか。

 新聞等では悪質な場合には公表等もするというふうに書いておりますけれども、では、この八百五十三件のうち悪質というものはなかったのか、一体この勧告、公表をどのような場合であればするのか、これについて公正取引委員会にお伺いします。

杉本政府特別補佐人 公正取引委員会といたしましては、納入業者などの特定供給事業者が受ける不利益の程度が大きい場合など、こういった重大な案件について積極的に勧告、公表を行うこととしてございます。

 これまでの調査の結果、転嫁拒否等の行動が判明したものにつきましては、消費税率の引き上げ前に速やかに是正指導を行っているところです。指導した事案はいずれも本年四月一日の消費税率引き上げ前のものであったこともありまして、特定供給事業者に与える影響が必ずしも大きくなかった、こういったことを考慮した結果、現時点では勧告、公表するに至った事例はないということでございます。

國重委員 ありがとうございます。

 今の答弁ですと、三月までは、増税前なので、いわゆる未遂のようなものであるので悪質性は低いというふうに捉えましたけれども、四月の増税後、経営が逼迫した小売業者が、自分のところが苦しくなったので納入業者に対して買いたたきを迫るようなことがこれまで以上に考えられると思います。

 消費税の増税後、四月以降は、増税前と違い、具体的な損害が発生している、既遂になっているので悪質性の程度が高くて、これまで以上に勧告、公表の確率が高まるのかどうか。公正取引委員会に伺います。

杉本政府特別補佐人 公正取引委員会といたしましては、納入業者などの特定供給事業者が受ける不利益の程度が大きい場合には、重大な事案について積極的に勧告、公表するということでやっておるところでございます。

 本年四月一日に消費税率の引き上げが実施されておりますので、同日以降、引き上げ後の税率に基づく実際の取引や支払いが行われ、特定供給事業者に与える影響が大きい事案が生じるおそれがあるのではないかと考えております。

 このため、公正取引委員会としては、今後このような重大な事案が見つかりました場合には、積極的に勧告を行うとともに、事業者名を公表し、厳正に対処してまいりたいと考えておるところでございます。

國重委員 よろしくお願いします。

 転嫁拒否を恐れている中小企業はたくさんいらっしゃいますので、一罰百戒で、やはり事前の、今回の転嫁対策措置法が成立する以前のさまざまな聞き取りの中でも、増税後できるだけ早期の段階でそういった悪質な企業の企業名を公表してもらうことがほかの事業者に対する戒めにもなるので、ぜひそういった思い切ったことをやっていただきたいとありましたので、不利益の程度が大きい場合は、ぜひとも厳正な処分、公表、よろしくお願いいたします。

赤羽副大臣 今回の消費税増税、それに係る転嫁対策ということは、日本の経済全体にとっても大変大きなインパクトがありますし、また、そもそも今回は社会保障の財源を確保するということでありますので、そこに不正はみじんも許されてはならない。

 一方で、恐らく、これまでも、法定化して、対策Gメン等々のパトロールも行っておりますが、消費税の部分はちゃんと転嫁しても本体の商品価格でたたくとか、多分相当巧妙な、なかなか脱法的なことで、実質的に中小零細のところが痛めつけられるような例も私は必ずあるというふうに思っております。

 ですから、これまでも、経済産業省本省だけではなくて、地方の経済局、また商工会、商工会議所等々を通しましてセミナーを全国で十三カ所行いまして、今後も開催をしていくところでございますが、セミナーをすると同時に参加者からの声を丁寧に拾ったり、また、我々も“ちいさな企業”成長本部という会合を全国で展開しておりますので、ありとあらゆる場面で現場の声を拾いながら、おかしな話があれば、それは不利益が生じないようなことを最大に配慮しながらも、まさに一罰百戒、しっかりと取り組んでいけるように、政府を挙げて、責任を持ってやっていきたい、こう考えております。

    〔委員長退席、江田(康)委員長代理着席〕

國重委員 ありがとうございます。

 今まさに赤羽副大臣がおっしゃったとおり、単なる形式的な消費税の転嫁拒否ではなくて、本体価格等を使いながら、さまざま巧妙な、実質的な転嫁拒否行為というのがばっこすると思いますので、今、力強い答弁をいただきました、しっかりと対策を打っていっていただきたいというふうに思います。

 今後も、中小企業庁と公正取引委員会、全国の中小企業約四百万社を調査するということを聞いておりますけれども、業者からの情報提供を受けるだけではなくて、みずから聞き取り調査を行うなど、積極的な実態調査をすべきであるというふうに考えております。

 時間の関係上、ちょっとここの質問を割愛します。さまざま、中小企業庁も公正取引委員会も、三%から五%に引き上げたとき以上に細やかな対策を打たれていると思いますけれども、本当に、またさらなる対策をよろしくお願いいたします。

 次に、石炭火力発電についてお伺いしたいと思います。

 石炭火力が我が国において占める発電電力量というのは、震災前の二〇一〇年も、また震災後の二〇一二年も二五%を超えております。また、世界に目を転じてみても、お配りしました資料の中で、例えば資料の一にも書いてありますとおり、石炭火力が発電電力量に占める割合は二〇一一年で四割以上、また二〇三〇年も四割以上の見通しとされておって、安定供給上、今後も重要な位置づけとなっております。また、石炭の可採年数というのは、石油や天然ガスの約二倍、価格も安定しております。

 きょうの質疑の中でも天然ガスとかLNGが出ておりましたけれども、資料の五にも書いてありますとおり、石炭火力とLNG火力のコスト比較の表ですけれども、石炭火力はLNG火力と比較して経済性で優位なんだ、生涯年コスト、この生涯年とは四十年ですけれども、生涯年四十年のコストでは、石炭火力が約一兆一千八百億円のコストの減であることがここに記されております。また、政情が安定した国を中心にこの石炭というのは世界じゅうに広く分布しているために、エネルギー安全保障上のメリットもあります。

 ことしの二月十七日に、我が党公明党の経済産業部会といたしまして、横浜市の磯子区にある磯子火力発電所を視察してまいりました。そのときに、石炭というと、一般的に黒い煙がもうもうと上がっているようなイメージをするんですけれども、全くそのような黒い煙は見られませんでした。世界トップクラスのクリーンさで、酸性雨の原因となる硫黄酸化物は九九%以上、ぜんそく発症の原因となる窒素酸化物は九〇%以上、ばいじんはほぼ一〇〇%除去されております。これらの排出率は、これも資料四で用意しましたけれども、これにあるとおり、欧州各国など主要先進国の火力発電所と比べても圧倒的に低い数値で、日本の石炭火力の環境性能は世界最高であります。

 磯子火力発電所では、蒸気の圧力とか温度を、超超臨界圧、いわゆるUSCというみたいなんですが、その極限まで上昇させることで、高い発電効率を実現しております。

 日本の石炭火力発電所は、この磯子火力発電のようなUSCのプラントの導入率が高いために、世界トップクラスの熱効率を誇っております。これは資料二のとおりであります。一番上のラインがJパワーであって、この下の点線が日本ですけれども、本当に欧州とかよりもはるかに上に行っております。日本の石炭火力技術が世界で普及すれば、温室効果ガスの大幅な排出削減という国際貢献もできますし、また、日本企業の海外展開という国益にも資することができます。

 ただ一方で、今、中国企業も、日本とかヨーロッパの先進国企業からの技術供与を通じて、超超臨界圧、USCのプラントを国産化しております。中国では、政府が非効率な小規模プラントを強制閉鎖して、大規模な高効率のプラントに置きかえる政策を推進したために、USCプラントの導入が二〇〇六年以降急拡大しておって、将来、日中の企業が第三国市場で競合すると見込まれます。

 そこで、まず、前提事実として、日本、中国それぞれにおけるUSCプラントの総出力の数値はどうなのか、これについてお伺いします。

    〔江田(康)委員長代理退席、委員長着席〕

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の一般電気事業者及び卸電気事業者の超超臨界圧石炭火力発電、USCの総出力でございますけれども、二〇一三年度末時点で約一千四百八十万キロワット、十八基でございます。これは、先生御指摘のように、蒸気圧力が水の臨界圧である二十二・一メガパスカル以上であり、かつ主蒸気温度が五百六十六度を超えるものという定義でございます。

 一方、中国国内でUSCとされている石炭火力は、今私が申し上げた定義とは必ずしも一致していないようでございますけれども、中国の電力企業連合会の統計によりますと、総出力は二〇一二年度時点で六千百五十二万キロワット、七十四基ということでございますが、私どもで今私が申し上げた定義に合わせてちょっと精査をしてみますと、日本の定義で見ますと、出力が千七百三十六万キロワット、二十一基ということでございます。

國重委員 わかりました。

 中国は国土も広いですし、人口も多いのでそれは仕方がないかもしれませんけれども、今USCの総出力は中国の方が上だということがわかりました。

 それでは、USCの日本企業による設計、調達、また建設は中国企業よりも割高であるというふうに聞き及んでおりますけれども、どの程度中国よりも割高なのか、また、その原因はどこにあると考えられているのか、お伺いします。

宮川政府参考人 お答えをいたします。

 個々の機器の条件はさまざまでございまして、一概に比較はできないんですけれども、企業ヒアリング等を通じましてわかったところでは、日本企業と中国の製品を比較した場合に、一般的にイニシャルコストで日本製は二割ほど高いというふうに伺っております。

 その理由といたしましては、先生御指摘のように、日本のタービン、ボイラー、こういったものは、発電所の立地条件、それから使用する石炭、炭種の性状に合わせまして顧客にとって最適となる設計がなされている一方で、中国企業の機器というのは非常に低廉、安いものでございますけれども、これは同一モデルの大量生産によってつくられたものでございまして、その製造コストが抑えられているというのが一点挙げられると思います。

 さらに、建設段階でございますけれども、中国の場合は、中国から現地に派遣される技術者そして現場監督を含めた中国人の人件費が、日本勢の場合、これは日本人の派遣費、現地の労働者の方々、それから第三国、東南アジアのほかの国の方々からの派遣労働者が日本勢になりますけれども、この人件費と比較して中国勢の方が大幅に安い。これもコスト差につながっているというふうに承知しております。

國重委員 ありがとうございます。

 今御答弁の中で、日本製の方が中国よりも二割程度コストとして高いということで答弁いただきました。ただ、日本企業のUSCの方が割高であったとしても、電力インフラにとって重要な性能である信頼性、この信頼性というのは発電プラントを計画外に停止してしまうトラブルの発生率の低さ、これは日本が中国を格段に上回っております。

 中国企業と価格競争というものに陥るのではなくて、日本のUSCの高い信頼性が発電所建設の入札で評価されるように、USCを導入する国有電力会社とか相手国政府に対して官民が連携して働きかけていくことが重要であると思いますけれども、これについての政府の取り組み、見解についてお伺いします。

赤羽副大臣 今御指摘がありましたようにタービンやボイラーなどの製品価格は確かに日本企業の方が割高でありますけれども、実際に発電所を建設して長期間運転するということまで勘案した場合に、それは、発電効率の高さですとか、運転開始後の性能の劣化の程度ですとか、また工期の遅延による損失の発生等々といったことも勘案すると、中長期的にはライフサイクルコストが逆転するケースも十分あるというふうに考えております。

 日本の製品は、今言ったような諸点におきましては明らかに中国よりも秀でていると考えておりますので、こういった長期間運転した場合のライフサイクルコストを評価してもらうような入札のあり方、入札条件に例えば発電効率は何%以上だとか、劣化の程度はどのくらいだとかというようなものを組み込むことが、実は入札における日本企業の有利性を発揮できるのではないか、こう考えております。

 そういった観点を持ちながら、政府としてもトップセールスを強力に展開するとともに、そもそも案件の発掘とか形成を民間企業だけに任せるのではなくて、政府も頑張って、そして公的金融制度も活用しながら、日本のすぐれた発電機器の輸出をしっかりと促進してまいりたい、こう考えております。

國重委員 残り三分ぐらいですが、最後に一問だけして、質問を終わりたいと思います。

 御答弁ありがとうございました。このUSCプラントに限らず、中国企業とか韓国企業は政府と一体となって海外インフラプロジェクトの受注攻勢をしかけてきていると聞いておりますので、日本政府もしっかりとした、今、赤羽副大臣が御答弁いただきましたそういう取り組みをよろしくお願いいたします。

 中国というのは、USCプラントをふぐあいがあることを承知で営業運転を開始して、その後、半年くらいかけて運転してから調整するというふうに聞いております。半完成品を使いながら完成品に仕上げていく中で、初めはトラブルがあっても、徐々に学習能力を高めて、初期のUSCのプラントと最新のプラントは、やはり性能が違うということになってきております。

 今、まだまだ日本の方が信頼性は高いですけれども、いずれ中国にキャッチアップ、追いつかれる可能性もあります。そういうときのために、石炭火力のさらなる効率化のための新技術の開発について、政策支援を強化する必要があると考えますが、政府の見解をお伺いします。

赤羽副大臣 まさに大変厳しい競争状況の中で、技術のさらなる高効率化をしっかりと国を挙げて支援していくことが大変大事だ、こう考えております。

 USCを上回る、アドバンストUSCと呼ばれる、石炭火力の蒸気温度、現状六百度C程度のものを七百度C以上の高温にすることで発電効率を高める技術、これにつきましては、平成二十六年度の予算に二十一・二億円を計上いたしまして、関連の十社以上で今要素技術の開発を行っているところでございます。

 また、IGFCと呼ばれる、石炭をガス化して、ガスタービンと蒸気タービンでの発電と燃料電池を組み合わせることで発電効率を向上させる技術につきましても、平成二十六年度の予算に六十二・七億円を計上いたしまして、Jパワー、また石炭の比率が高い中国電力を中心に、しっかりと今技術開発に取り組んでいるところでございます。

 こうした技術開発競争に負けないように、しっかりと政府を挙げて、官民協力しながら頑張っていきたい、こう考えております。

國重委員 以上で質疑を終わります。ありがとうございました。

富田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時二十四分開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就です。お疲れさまでございます。

 時間よりちょっと早く始まりまして、文科省の担当の方にはせかして申しわけないんですが、時間の都合上、もしかしたらちょっと質問できないかもしれないので、事前にお伝えさせていただいております。必ず来週は質問しますので、御安心ください。

 きょうは、午前中からの一般質疑ということで、前経産大臣も立たれて茂木大臣とお話をされた中で、ミャンマーの話が印象的でありました。最後のフロンティアという話もされましたけれども、非常にこれからの可能性があるということで私も共感しておりましたが、少しちょっと気にかかるところがございます。

 大臣も恐らく大勢のお知り合いがいるとは思いますが、私も留学のときに、かなり長い期間ミャンマーの留学生とともに住んだこともありまして、彼らは、人は大変いいんですが、日本に対する印象としては、必ずしも一〇〇%友好的かというと、そうでもなかったりするわけなんです。

 話を聞くと、ちょっと今は違うかもしれませんが、日本は最初の方では軍事政権を認めてそれを経済的にも支援してきたんだという話をされたりとか、また彼らは、私たちはミャンマーと普通に呼んでしまうんですが、なかなかその国名を使わずにビルマ、ビルマと言うんですね、そういうことをずっとおっしゃっていまして、たしか数年前まで少なくとも、アウン・サン・スー・チーさんもミャンマーという国名を使っていなかったかと思います。

 その中で、確かにフロンティアではありますけれども、一〇〇%親日的なフロンティアかというと、ちょっと市民感情的にはそうじゃないところもあるんじゃないかなということを留意して取り組む必要があるんじゃないかなと思いました。

 今回は一般質疑ということで、今までもエネルギー基本計画等につきまして幾つか質問がされておりますが、その関連で一つお伺いをさせていただきたいと思います。

 基本計画の中身を見ますと、バイオマスエネルギーにつきましては、読んだところですと、かなりちょっと曖昧な書きぶりになっておりまして、数値目標は出しにくいという答弁はずっと伺っているんですが、もう少し具体的な目標でありますとか、また現状の課題について、どのような取り組みをされるのかということをちょっとお伺いさせていただけますでしょうか。

茂木国務大臣 ミャンマーのお話をいただきまして、当然、歴史がありますから、それぞれの時代で、日本とミャンマーの間は、非常に緊密だった時代、例えばビルマの竪琴に象徴されるような時代もありますし、例えば軍事政権下でミャンマーが欧米諸国と非常に緊迫感、そういう中で日本もその一員であった時期もあるわけであります。そのときに例えば中国がさまざまな支援を行う、そういう過程を経る中で、今また新しい時代に入ったな、こんなふうに私は考えております。

 さまざまな感情がそれぞれの国にありますが、そういったものも乗り越えながら、基本的には私は、同じ仏教国といいますか、さまざまな、家族であったりとか地域であったりとか、そういったものを大切にする風土であったりとか人間性、共通するものはあるな、こんなふうに思っているところであります。

 さて、バイオマスでありますけれども、地域に存在いたします森林の間伐材を初めとしましたバイオマスは、分散型エネルギーとして非常に重要な役割を果たし得るものでありまして、中でもバイオマス発電は、安定的に発電を行うことが可能でありますし、地域活性化にも資するものであると考えております。

 日本の中でも、エネルギー資源、限られている場所というのは多いわけでありまして、例えば風力でいいますと、発電ができる場所というのはどうしても北海道とか東北の一部に限られてくる。これに対してバイオマスというのは地域的にも、かなり多くの地域で発電が可能なエネルギーということになってくると思っております。

 我々としては、バイオマスも含みます再生可能エネルギー、今後三年間、最大限の導入を行うということでさまざまな施策をとってきておりますが、今回のエネルギー基本計画におきましては、その三年以降についても積極的な導入を図っていく、こういった形で施策を進めてまいりたいと考えているところであります。

 そういった中にあって、ベストミックス、これはどうしてもエネルギーの特性全体を考えて、安定供給、コスト、さらには環境負荷、安全性、現実的にバランスをとって全体の需給構造を組み立てていかなきゃなりませんので、スペシフィックにバイオマスだけ何%と今の時点で規定するのはなかなか難しい側面もあるのかな、そんなふうに考えているところであります。

 もう一点、小池先生からお話のありましたバイオマスの導入に当たっての課題ということでありますけれども、まず発電の分野において申し上げますと、発電設備の設置コストがまだ高いという問題があります。また、原材料の安定供給の確保が必要であります。同時に、熱利用の分野ということで申し上げますと、まだ十分な需要が顕在化していない、こういう課題が挙げられると思っております。

 こういった課題に対応して、発電分野においては、固定価格買い取り制度、これはバイオマスも対象にしております。しかも、同じ木材を原料とするものであっても、間伐材、端材、そして廃材、調達の違いに応じてコストが当然違ってまいりますので、三つの価格区分を設定して、投資回収がしっかりできる制度にしております。また、木材の安定供給を確保するために、林野庁において、木材を供給する林業関係の事業者に対する相談サポート体制を充実しているところであります。

 そして、熱利用の分野でありますが、経済産業省におきましては、バイオマス熱を含みます再生可能エネルギー熱の設備の導入についての補助制度も設けておりまして、こういった取り組みを関係省庁一丸となって進め、バイオマス、さらには再生可能エネルギーの最大限の導入を図ってまいりたいと考えております。

小池(政)委員 ミャンマーの件も含めて、かなり丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございました。これで多分、文科省さんには御質問ができなくなると思いますので、済みませんけれども、また来週お願いいたします。

 バイオマスの件はおっしゃるとおりでございまして、地域戦略としてもバイオマスというのは非常に重要でございます。

 私たちは、きょう午前中の委員会で中心市街地活性化法の採決を行いましたが、そのときにも、やはり影響する郊外それから中山間地域というものをどうするかという視点も大事だということを前からお伝えさせていただいておりますし、市街地が活性化して中山間地が過疎化したらそれはどうするんだという話になるわけでございまして、その意味でも、このバイオマスというのは一つの可能性があるものだと私は思っております。

 ただ、そのときに、現地の置かれた環境また特性を生かさないで、上の方からあめばかり降らせてもコンパクト化は進まないばかりか、残った中山間地に対して補助金を多く投入したり、またインフラも非常に効率が悪くなっていく一方になってしまうということからも、やはり現地の自分たちの強みというのを生かすような環境づくりも大事なのではないかなということを考えております。

 その中で、きょうの午前中には、あめではありますけれども、例えば熱の固定価格買い取り制度の話というものが提言されておりましたが、ただ一方で、電力の方も少し考えなくてはいけないと思っております。

 電力について、これから自由化が進んでいくわけでございますが、そこでちょっと一点、確認でありますけれども、自由化の際に、過疎の地域におきまして、送電義務というものは多分送配電会社につくとは思うんですが、価格等についてはどのように考えているんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 電力システム改革を進める上で、安定供給を確保した上で、需要家の選択肢の拡大とか電気料金の抑制という自由化のもたらす効果を、都市部であれ、過疎地であれ、広く国民が受けられるようにすることが重要だと考えてございます。

 このため、今回の電力システム改革では、小売の全面自由化によりまして、一般家庭でも電力会社を選択できるようにするということでございまして、当然のことながら、先生御指摘のように、送配電網につきましては、送配電事業者に対しまして料金規制、投資回収をするということで、安定供給にも万全を期してまいりたいと思います。

 また、送電料金につきましては、山間部あるいは発電所から遠い地域でありましても、これまでどおり域内の送電料金は統一ということで考えてございますので、こういった制度設計をすることによりまして、過疎地におきましても電力システム改革の恩恵が及ぶように、私どもとしても手当てしてまいりたいと考えてございます。

小池(政)委員 中山間地それから過疎地域も均一ということでありますが、それはちょっと一見いいようにも聞こえるわけでございますが、果たしてそのままで本当にいいのかなというところもあるわけでございます。

 例えば、ガスの自由化におきましては、中山間地はLPガスで、あっちは配送料も当然乗っかりますので、中心市街地よりもちょっと高い値段をかけてガスを購入しているわけでございます。

 電力も、送電はまだいいにしても、配電の方はやはりコストがかかっているわけでもありますし、そのコストを負えということだけでもないんですが、そのような環境をつくっていかないと、自分たちの身の回りにあるバイオマスで本来は熱も電力も生かしながら活性化していく、そういう取り組みのインセンティブというのもなかなか生まれない、そういうことを考えているわけでございます。これはまだこれから電事法の関係で議論するところだと思いますけれども、ぜひそういう観点も持っていただけたらと思います。

 また、大臣もよく御存じの藻谷浩介さん、前に「デフレの正体」の件でお話をさせていただきました。大臣もよく知っていらっしゃる方ということで、お友達とは言っていなかったんですが、最近は里山資本主義ということをよくおっしゃっております。やはりそういうインセンティブを与えて、使ってみて初めてそこに価値があることを発見するということをよくおっしゃっているわけでもありますから、そういう観点からも、熱それから電力、地域にあるものを地域で生かしていくという取り組みをぜひ促すような姿勢で臨んでいただきたいと思うんですが、どうでしょうか。

茂木国務大臣 先ほども、バイオマス発電等々の課題、そしてまたその課題を克服していく上でも、固定価格買い取り制度につきましても三つの区分での制度設計を行っている等々の話もさせていただいたところでありまして、里山資本主義、きのう私はシューマッハーの「スモール・イズ・ビューティフル」を使ってお話をしたかと思いますけれども、そういった考え方は一つの考え方であると思っております。

小池(政)委員 またちょっと別のテーマに移りますけれども、武器輸出三原則の見直しという形で今般新しい方針が発表されました。閣議決定がされました。その所管は経済産業省ということでございますから、幾つかその中身についても確認させていただきたいと思います。

 今回は、案件等について決定したりとか、そもそもその重要性というものをある程度線引きして重要なものを決めるということはNSCでやるということでございます。この方針によりますと、特に慎重な検討を要するものということは書いてあるんですが、特に慎重な検討というものは何を指しているのか、どんなものをNSCで重要とみなして、そのほかはそうじゃないという形で取り組もうとされているのか。お願いします。

横尾政府参考人 今般閣議決定されました防衛装備移転三原則において、これまで明らかでなかった審査基準や手続等についても明確化、透明化が図られたところでございます。

 国家安全保障会議での審議でございますが、防衛装備の海外移転に関しまして、まず、同様の類型について、過去に政府として海外移転を認め得るとの判断を行った実績がない案件については、全て国家安全保障会議の幹事会で審議するということにしてございます。

 さらに、その中から特に慎重な検討を要する案件ということでございますが、具体的には、移転を認め得る条件の適用、仕向け先の適切性、安全保障上の懸念の程度等を勘案して、特に慎重な検討を要する重要な案件については国家安全保障会議、閣僚レベルの会議で審議するということになってございます。

小池(政)委員 まだ、そこら辺がちょっとはっきりしていないようでございます。私がこれを聞いているのは、それによって公開の制度というものも変わってくるということでございますから、NSCの取り扱い案件については、その案件が決まったかなり早い段階で、官房長官談話かわかりませんが発表されるけれども、そのほかについては年次レポートという形で、その情報公開のレベルもちょっとまだわからないところでありますが、かなりまとまって、今、報道等によりますと、件数程度しか出てこないんじゃないかということも言われているわけでございますから、ぜひちょっとそこら辺を明確にしていただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってきましたので、また同じ案件で、最後になると思いますが、今回非常に懸念されるのは、輸出先の移転等についてどう管理していくかというところであります。

 事前同意が必要だとは原則で言っておりますが、ただ、そうじゃない特例というものも六つ認めているわけでございまして、かつ、相手先国が例えば国際レジームに参加しているかどうかというようなことも、これを見る限り、条件づけをしていないわけでございます。

 それを厳しくして国際レジームへの参加を促したとしても、御存じのとおり、今のレジームというのは紳士協定でありますから、なかなか強制力を持っているわけでもありませんし、今日本が参加しようとしているATTという、この条約ができてようやく少しは規制が強まるところでございますが、これ自体もまだまだ参加国が少なくて、発効には遠いわけでございます。

 その中で、かなりこの管理体制というものには気をつけていかなくてはならないと思っているんですが、そのような取り組みについて、いかがお考えなんでしょうか。

横尾政府参考人 管理体制でございますが、原則として、国際約束により、目的外使用及び第三国移転について、我が国の事前同意を移転先の政府に義務づけるということでございます。また、一定の場合については、今委員から御指摘のありましたとおり、仕向け先の管理体制の確認をもって事前同意の義務づけにかえるということにしております。

 仕向け先の管理体制の確認の具体的内容でございますが、輸出者経由で最終需要者から最終用途誓約書の提出を求める、あるいは最終需要者の内部管理体制についての文書による確認を行う、それから、今委員御指摘のとおり、移転先国政府の貿易管理体制が国際レジームを遵守しているかどうかといった点を確認して行うということにしてございます。

小池(政)委員 時間になりましたので、また確認させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 先週に引き続きまして、福島第一の構内労働者の賃上げを初めとした労働条件改善問題について、大臣と東電の廣瀬社長にお伺いいたします。

 先週もお示ししました東電の取り組みについて、最初に確認ですけれども、先週金曜日の答弁で、装備等の違いにより異なる設計上の割り増し額の具体例として、全面、半面マスクをつけている場合には一万円から二万円に、また、ボンベをしょったりアノラックを着ている場合は二万円から三万円に、このように増額についての明記をしているということでしたが、現場の方のお話を伺いますと、タングステンベストを着ている、つまり放射線量が高いような場所で作業しておられる方がいる。重さが十五キログラムになるような大変重いもので作業しておられるわけですが、こういった装備において作業している方については、実際に手当てしているのはどのぐらいの額としているのか、この点についてまず教えていただけますか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、タングステンベストというのは、かなり線量の高い場所での作業のときに着用するものでございます。最近ではもうほとんどございませんが、仮にそうしたことということになれば、当然三万円以上になっていくのではないかというふうに思っております。

 また、状況等々、条件等々、その辺をしっかり見て決めていかなければいけないと思っております。

塩川委員 三号機の建屋カバーの建設作業の現場でタングステンベストを着用しているというお話を伺いました。非常に線量が高いということもあって、一日平均にするとそれこそ一ミリシーベルトに当たるような線量だということで。

 しかし、実際にもらっている賃金は幾らかといいますと、いわゆる日当相当分で一万円があって、危険手当相当分というのが三千五百円で、その上に出張手当、遠くから来ているということで五百円、ですから、合わせて一日一万四千円だと。これではいわゆる環境省の除染作業の日当、賃金よりも低いという状況が、あの三号機の高放射線量のところで実際に作業している方の賃金だということでは、実際に作業している方は、危険できつい仕事で割が合わない、もうやめようかと思っている、そういう声も上げているということをお聞きしているところです。

 労働条件改善あってこそ、安全で確実、迅速な廃炉作業が進むと思います。この点でしっかりとした対応を求めたいと思います。

 その関連で、四月二日の参議院で、我が党の井上哲士議員が廣瀬社長にお尋ねしました。そのときの答弁で、二万円が三万円になったり、三万円が四万円になったりという話があったんですけれども、四万円という額というのも示しているものがあるということなんでしょうか。

廣瀬参考人 四万円という額も、実際の問題としてはお示ししてございます。

塩川委員 それは具体的にどんな装備によるものを指しているわけなんでしょうか。

廣瀬参考人 これまでになかった、これからの新しい作業ということで、非常に厳しい条件の中でやっていただく作業ということでございます。

塩川委員 あわせて、井上議員の答弁のときには、マスクを着用される作業は三万円にしますと、この例の挙げ方なんですけれども、三万円という数字があったんですが、たしか先週の私のときには一万から二万という言い方をされているんですけれども、それはどっちなんでしょうか。

廣瀬参考人 一万円から二万円というのが正しい数字でございまして、ちょっと参議院の原子力問題特別委員会のときにどういうふうにお答えしたか正確には覚えておりませんけれども、一万円から二万円でございます。

塩川委員 わかりました。

 それから、構内で大型の搬送作業に従事しております宇徳についてですけれども、四号機の使用済み燃料の取り出し作業を請け負っているとのことです。使用済み燃料を取り出してキャスクに入れる、それをクレーンで運んで置いて、そこからふた閉めをして、キャスクの除染作業をしてトレーラーに積み込むという作業については宇徳が請け負っているというふうに伺っております。

 そういう点でいえば、非常に線量が高いような環境だと思うんですけれども、こういった宇徳の四号機使用済み燃料取り出し作業の請負については、設計上の割り増し額というのはどんなふうになっているんでしょうか。

廣瀬参考人 お答えいたします。

 四号機の使用済み燃料の取り出し作業は、基本的には、皆さん、いわゆるタイベックと呼んでいる白いつなぎを着てやっていただくものでございます。したがって、そうしたことで単価を決めておりますし、プール際で万が一にも水をかぶる可能性のある方々にはアノラックを着ていただいておりますので、アノラックを着ていただく場合は先週もお答えした金額を示すということになると思います。

塩川委員 タイベックを着ている、その点は当然、全面マスク、マスクをしている環境ということですから、二万円相当ということでよろしいんでしょうか。

廣瀬参考人 通常の方は二万円になると思います。

塩川委員 汚染水がかかるような環境であればアノラックも着るということで、三万円にという話であります。

 それで、東電の「設計上の労務費割増分の増額に関する取組み」では、新規契約開始時期によって作業員の割り増しの時期も変わることになります。

 そうなりますと、どこかで切れば、賃金が上がっている作業員の人と、上がっていない作業員の人が混在するような状況に当然なるわけで、作業環境とすれば、厳しい環境は変わっていない。そういう中で、当然、その厳しい環境に見合って上がっている人もいるんだけれども、もとのままという方もいるというのは、かえって現場でのいろいろな不満も強くなるのではないのかと思うんですが、こういう点についてどう考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

廣瀬参考人 この問題につきましては、先週も先生から御質問いただきましたが、基本的にはこれからの契約ということで、十二月発注分以降のものについて、新しい割り増しの考え方を取り入れて今始めております。

 契約行為でございますので、当然、どこかで契約を変えていかなきゃいけない、どこかで線が引かれるということになりますが、万が一にもそういうケースがございました場合には、先週もお答え申し上げたところでございますが、元請の会社さんと協議させていただいて、しかるべき対応をしていきたいというふうに思っているところでございます。

塩川委員 東電の取り組みの中で、元請会社に対して、末次の下請会社までを網羅した施工体系図の提出を要請するとしております。従来から施工体系図というのは把握しておられるのではないかと思っておりますし、以前も施工体系図をいただいたことがございます。

 今回、こういう形で取り組みとして書かれているというのは、これまでの把握が不十分だったということなのか。また、この間、東電は、重層下請は余りよろしくないということで、三次より多い多重下請については認めないという方針をお持ちだということを耳にしたことがあるんですが、これは事実かどうか。今回、施工体系図の把握を通じて、重層下請について何らかの改善、是正措置をとる考えがおありなのか。この点についてお聞かせください。

廣瀬参考人 施工体系図につきましては、これまでも、工事が始まる際に、どういう会社の方々がきょう作業に入っていらっしゃるかということをしっかり把握し、安全に工事管理を行っていくというために、現場で施工体系図をいただいておりました。

 今般の取り組みは、まさに契約行為をする際に、契約の見積もりの中で、私どもが割り増しした分が最後のお一人まで届いているかどうかということをしっかりこれから把握していく必要があるだろうということで、契約方でも、同じものになってしまうのかもしれませんけれども、いただいてしっかり把握して、今後の調査なり取り組みの徹底に生かしていきたいという考えで、いただいておるところでございます。

 それから、三次以上の多重構造についてというお話でございましたけれども、私どもはそうした方針は今持っておりません。

 これはいろいろ考え方があるとは思いますけれども、四次、五次となっていくものを、どこかのところでこれ以上はだめだというふうに区切った場合、それよりもまた下流にいらっしゃる方々が無理にそこに入って、例えば違法な請負になったり、偽装請負になったりというおそれもございますので、今、三次でくっきり切って、もうこれ以上はだめだという方針は今持っておらないということでございます。

 むしろ、何次の契約構造になっていようと、施工体系図でしっかり把握し、最後の方までちゃんと、労働条件が適切に行われているかどうかを把握しようという考えに今立っておるところでございます。

塩川委員 一人親方の方なんかも現場に入っていたりするというのは結構あるものですから、そういった場合にもしっかりと、実際上は労働者でありますので、必要な労働条件の改善の対象として対応するということこそ求められているということでも。

 実際の賃金が上がるように、全体を把握する上での施工体系図の把握という趣旨だということはわかりました。本当に、現場の最先端の方の賃上げにつながるような働きかけに結びつくことを求めたいと思います。

 それと、「設計上の労務費割増分の増額に関する取組み」の中で、「作業員の方の賃金に反映させる施策の検討・進捗状況についての報告を元請へ依頼(一月二十四日)。現在、集約中。」とあります。これがどういう中身なのかの御説明をいただきたいのと、集約中の中身がもしわかれば教えてもらえないでしょうか。

廣瀬参考人 これは、元請会社さんから、今後、私どもの割り増し金がちゃんと下まで行くかどうかということをこういう方法で徹底させます、そういうことを今求めておりまして、今まさに集まってきておりまして、それを私どもの方で確認して、これからもしっかり調査して、やっていきたいというふうに思います。

 それをお示しするということに関しましては、当然、いい取り組みであれば、これはほかの会社さんにも、ぜひこういう取り組みを、某社でやっているので、おたくでもやってほしいというようなことの水平展開といいましょうか、共有についてはぜひ考えていきたいというふうに思っているところでございます。

塩川委員 わかりました。

 それと、アンケートの実施の問題なんですけれども、現場がどうなっているのかをしっかり把握するという点で、現場の方の声として、現場の労働者の方にアンケートを東電としてお願いする、それは元請、下請経由で届くわけですけれども、それが返ってくるときには、元請経由で返ってくると、結局、アンケートの中身について元請がいわば目を通すような形になると、本音が書けないという声が労働者の側にあるわけです。

 そういう点では、労働者から直接回収する、こういった方法が必要だと思うんですが、この点はどうでしょうか。

廣瀬参考人 御指摘のように、まさに正直に記入をいただくということでの工夫はしていかなければいけないと思っております。

 私どもは現在、御記入いただいた回答用紙を、別途封筒を御用意しております、その封筒に入れていただいて、封をしていただいて、当然、請負の体系図、そこに基づいて上がってきて、最後には元請さんが一括まとめて私どもが受け取るわけですが、その段階でももちろんしっかり封はしてあります。

 したがいまして、できる限り正直なところを御記入いただけるような工夫はしていきたいと思いますし、また、例えば、投函するときの箱を直接私どもが用意して、封はしたままでいいと思いますけれども、そこに直接していただくというようなことも考えていかなければいけません。

 ただ、元請さんを通じてアンケートをするためにアンケートの回収率が高いということもございますので、その辺もうまく組み合わせていく必要があるなというふうに考えております。

塩川委員 要するに、本音が書けるという環境での取り組みということでお願いしたいのと、あと、賃金の実額を把握するというアンケートが必要だと以前もお尋ねしたわけですけれども、この点はどうでしょうか。

廣瀬参考人 これについては前回もお話し申し上げたと思いますけれども、まさに労働条件がそれぞれ非常に違うケースがございまして、私どもの設計上のとおりにそれぞれの会社さんが工事をするかどうかというのは、それぞれ工夫していただいて、ぜひ、効率的に被曝量を下げてやっていただくという意味からも、幾らの絶対額の多寡でどうしたこうしたということはなかなか判断できにくいということがあると思っていますので、しっかりその辺の契約構造それから契約の中身を把握して、そのとおりいっているかどうかというようなチェックをしていきたいというふうに思っています。

塩川委員 環境省の発注の除染作業について言えば、いわば危険手当相当分の一万円に加えて、福島の最低賃金の額が上乗せされて一万五千円強とかというのが日当で出るわけですけれども、実際にはそれを下回るような環境になっている。それは余りにも、劣悪、危険な環境の中での作業においては割に合わないという声が出るのは当然であって、その実額をつかむということこそ必要だということを重ねて申し上げておきます。

 大臣にお尋ねします。

 要するに、除染作業を下回るような福島第一の作業員の賃金では、本当に安全に確実に作業を進めていく、そういう環境が整わないと率直に思います。そういう点でも、この東電の取り組みがしっかりと実るような働きかけこそ必要だと思うんですが、現状の東電の取り組みについてどのように受けとめておられるのか、その点についてお聞かせください。

茂木国務大臣 廃炉・汚染水の問題への対処には、高い放射線環境下における高度な技術を要する作業でありまして、また、専門性の高い人材が安心して、しかも相当長期間にわたって働けるような労働環境を整備することが不可欠だと考えております。

 もちろん、個々の賃金につきましては、労働契約の中で決まっていく問題でありますので、私は、ボンベを背負っているから幾らとか、マスクをしているから幾らと申し上げる立場にはございませんが、それぞれ作業環境が違っているわけでありまして、そういった作業環境の中で、それぞれの作業者の方に対してきちんと作業内容を説明する、そして、この作業内容であるからこういう賃金になりますと納得して仕事をしてもらう、このことが極めて重要なんだろうと思っております。

 今回の労務費の割り増し分の増額につきましても、こういった取り組みを通じて、作業員の方々のモチベーションの向上につながるという観点から東電でも進めてもらっている、このように理解いたしております。

塩川委員 作業環境や作業内容によって、やはり支給額を定めて、外出しで作業員に支給する、そういう取り組みにした方が確実で早く公平に支給できるんじゃないか、そういう点での取り組みの具体化というのを求めていきたいと私は思っております。

 現地では、いわき市などの住民の方々が原発労働者を励ます会というのをつくりまして、Jヴィレッジのところで、原発労働者の方にバナナを配ったりとか、アマナツを配ったりとか、入浴剤を配ったりとかというので非常に喜ばれているということをお聞きしました。これも、NPOの方々が音楽や講演の集いをやって、そこで募金を訴えた、そのお金でそういったものを購入して原発労働者の方を励ます、こういう取り組みというのは、やはり一日も早い廃炉、これがやはり共通の願いだということを示していると思います。

 まさにそういう作業に従事しておられる原発労働者の方がしっかりと取り組んでいけるような労働条件の改善、作業環境の改善、この取り組みについても、ぜひ、政府としても全力を挙げていただきたい、当事者の東電にしっかりと頑張っていただきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

富田委員長 次に、内閣提出、原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。茂木国務大臣。

    ―――――――――――――

 原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木国務大臣 原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故炉について、溶融燃料の取り出しや汚染水の処理など、その廃炉に向けた取り組みは、完了までに長い期間を要する極めて困難な事業であることから、国内外の英知を結集し、予防的かつ重層的に取り組みを進めることが必要であります。

 具体的には、東電任せにするのではなく、国が前面に出て、汚染水の処理を含めた廃炉に関する研究開発、技術的指導や、必要な監視機能を強化する新たな体制の構築に取り組む必要があります。その際、廃炉と賠償の関連性も考慮し、東電に対して賠償円滑化のための資金援助を行い、その経営全体を監督している原子力損害賠償支援機構が、福島第一原発の廃炉に関する技術支援等を総合的に行うことが適切です。このため、原子力損害賠償支援機構を改組して事故炉の廃炉関係業務を追加すること等により、福島第一原発の廃炉を着実に進める体制を構築することを目的として、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、廃炉関係業務の追加に伴い、組織の名称を原子力損害賠償・廃炉等支援機構に変更し、機構の目的に廃炉等の適正かつ着実な実施を追加します。また、事故炉の廃炉に関する重要事項を審議するため、機構に廃炉等技術委員会を設置します。

 第二に、事故炉の廃炉に関する研究開発を着実に推進するため、機構の業務に廃炉等を実施するために必要な技術に関する研究及び開発を追加します。

 第三に、機構が、事故炉の廃炉の状況、課題を把握し、技術的観点から適切な助言、指導等を行えるよう、業務に廃炉等の適正かつ着実な実施の確保のための助言、指導、勧告を追加します。

 第四に、事故炉の廃炉に関する資金、人員等を十分に確保する観点から、事業者の廃炉の実施状況や実施体制等について、主務大臣による確認、監視を確保し、不十分な場合には是正命令を行えるよう、機構が東電と共同して作成する特別事業計画の記載事項に、事故炉の廃炉の実施状況や実施体制等に係る事項を追加します。また、毎事業年度、機構が主務大臣に対して廃炉業務の報告を行い、それを主務大臣が公表する規定を追加します。

 その他、廃炉業務を通じて得られた最新技術等の知見、情報を国内外へ提供する業務を追加する等、所要の規定を整備いたします。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

富田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る十一日金曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時九分散会


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