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第8号 平成26年4月9日(水曜日)

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平成二十六年四月九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      青山 周平君    秋元  司君

      穴見 陽一君    石崎  徹君

      越智 隆雄君    大見  正君

      勝沼 栄明君    勝俣 孝明君

      菅家 一郎君    工藤 彰三君

      今野 智博君    佐々木 紀君

      笹川 博義君    白石  徹君

      田中 良生君    武村 展英君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      福山  守君    藤井比早之君

      細田 健一君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    村井 英樹君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      吉野 正芳君    枝野 幸男君

      菅  直人君    近藤 洋介君

      辻元 清美君    馬淵 澄夫君

      伊東 信久君    木下 智彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      三谷 英弘君    小池 政就君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          茂木 敏充君

   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   厚生労働大臣政務官    高鳥 修一君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 上村  進君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 広瀬 行成君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           田中 正朗君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     加藤 洋一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)    糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉基盤整備総合調整官)    藤原 正彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山本 哲也君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          大村 哲臣君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     菅家 一郎君

  越智 隆雄君     吉野 正芳君

  佐々木 紀君     今野 智博君

  辻  清人君     藤井比早之君

  福田 達夫君     笹川 博義君

  細田 健一君     福山  守君

  宮崎 謙介君     勝沼 栄明君

  宮崎 政久君     青山 周平君

  枝野 幸男君     菅  直人君

  岸本 周平君     馬淵 澄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     宮崎 政久君

  勝沼 栄明君     村井 英樹君

  菅家 一郎君     石崎  徹君

  今野 智博君     佐々木 紀君

  笹川 博義君     福田 達夫君

  福山  守君     細田 健一君

  藤井比早之君     辻  清人君

  吉野 正芳君     越智 隆雄君

  菅  直人君     枝野 幸男君

  馬淵 澄夫君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  村井 英樹君     工藤 彰三君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     宮崎 謙介君

    ―――――――――――――

四月七日

 福島原発事故の収束に責任を果たし、原発推進政策の中止、再生可能エネルギーへの転換に関する請願(笠井亮君紹介)(第五八五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として総務省大臣官房審議官上村進君、外務省大臣官房審議官広瀬行成君、文部科学省大臣官房審議官田中正朗君、厚生労働省大臣官房審議官大西康之君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官加藤洋一君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君、資源エネルギー庁廃炉基盤整備総合調整官藤原正彦君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君、原子力規制庁長官官房審議官山本哲也君、原子力規制庁長官官房審議官大村哲臣君及び原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉野正芳君。

吉野委員 おはようございます。自由民主党の吉野正芳でございます。

 茂木大臣そして田中委員長を初め、ここにおられる皆様方、本当に福島の原発事故対策について並々ならぬ御努力をいただいております。そのことに対し、まず感謝の言葉を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 さて、おととい、四月七日です、双葉町の幼稚園、小学校、中学校が三年ぶりに再び学校が開かれました。実は、私の生まれたいわき市南部に学校をつくったんですけれども、幼稚園から中学生まで総勢十一名でありました。双葉町ですから、なかなか帰還が困難な区域です。新しく入学された子供たちに私も御挨拶をさせていただきまして、まずは、双葉町の歴史そして文化、伝統、そういうところをきちんと学んで、勉強してほしい、そういう御挨拶をさせていただいたところであります。

 今、広野町、川内村は、もう足かけ三年目になります、帰っていいよというところで。広野町は千二百名が帰還しました。これは約二割であります。除染とか原発の作業の方々が約二千二百名、広野町に住んでいます。帰還した住民よりも多い方々が今広野町に住んでいるわけです。どうして帰還しないのという原因の一つに、原発が今の状態ではどうしても帰還できないという意見も多数ございました。

 私も、最初の予算委員会で、この事故処理、事故対応については、国と東電で連帯して責任があるということを質問させていただきました。きょう、菅元総理も質問に立つわけでありますけれども、当時の菅総理は、連帯して責任があるということを答弁で言っていただきました。でも、菅総理は、全部、一義的に東京電力、東京電力と。それで、国は一つも前面に出てこなかったというのが現実の姿であります。

 私は、東電と国が一体となってこの廃炉、特に汚染水問題については対処しなければならない、こう常々言ってきたわけであります。今度の原賠・廃炉機構法案については、まさに私が常々言っていた、東電と国が一体となって取り組む組織という形でできたというふうに私は理解をしているところであります。

 大臣、この私の理解に対して、大臣の理解はどういう理解でいるのか、お尋ねしたいと思います。

茂木国務大臣 双葉町の幼稚園、小学校、中学校がいわき市において再開できた、本当によかったと思っております。

 復興に向けてまだ道半ばという中で、あらゆる事業を東電に任せることはできない、国も一体になり、研究開発であったりとか困難な汚染水対策に、国が前面に出てこの作業、事業に取りかかっていかなければならない、こんなふうに思っております。

 吉野先生には、御地元ということもありまして、事故発生当時から、復興の問題、そしてまた除染の問題、廃炉、汚染水の問題等においてもリーダーシップを発揮していただいて、さまざまな立場で御提言等々もいただいてまいりました。

 そういったものも受けながら、しっかりと国としても今後対応してまいりたいと考えております。

吉野委員 ありがとうございます。

 大臣の認識も私の認識と全く同じであって、特に廃炉、汚染水については東電と国が一体となってこれから対処していく、そういうことでございます。ありがとうございます。

 ただ、心配な点が一つあります。

 これは、現在、東電の株式を機構は五〇・一%保有しております。このことによって、機構の子会社ということは国がきちんと関与した子会社ということで、東電と国は一体化されているというふうに私は思うわけでありますけれども、新・総合特別事業計画の中で、将来は東電の株式を手放していく、こういうスケジュールになっていると思います。

 東電の株式を過半数以下に手放すことで、国と東電が一体化しているという部分が少し薄れるのではないか、こういう心配を私は持つわけでありますけれども、政府はどのような形でこれに対応していくんでしょうか。

茂木国務大臣 将来的には、東電には、民間事業者として、きちんと付加価値を高め、そしてできる限り国民負担を少なくする形でさまざまな事業を進めてほしい、そのように思っておりますが、現状におきましては、機構が最大の株主として、東電に対する監督、支援に当たるということであります。

 当然、どれぐらいの割合で株を持っていくか、これにつきましては一定の方向性は出されておりますが、廃炉であったりとか汚染水対策、こういったものの進捗ぐあいを見ながら関与の度合いを決めていくことが適切であると考えております。

吉野委員 事務方からもこれについてちょっと御意見をいただきたいと思います。

上田政府参考人 御指摘のとおりでございまして、新・総合特別事業計画におきましては、原子力損害賠償支援機構は、二〇一六年度末から、いわばみずから保有する東電の議決権というものを段階的に引き下げていって、東京電力を自律的な経営ができる体制に持っていこうという大きな方向を出しているところでございます。そして、この適否を判断するために、三月三十一日に、経営評価の基準というものを機構が公表しております。

 その基準におきまして、廃炉の着実な実施ということが目標の一つとして掲げられておりまして、機構は、廃炉の実施状況を確認しながら、それも踏まえて経営評価を実施していくことになるわけでございます。具体的な廃炉の実施状況につきましては、機構に置かれます廃炉等技術委員会が中心となって確認を行うわけでございます。

 したがいまして、東京電力が自律的な運営体制へ移行する、これ自身は、東京電力を健全な企業体に戻していくというプロセスの中で非常に重要なことであると考えておりますが、そのプロセスの中でしっかり廃炉の実施状況を確認しながら、廃炉等技術委員会の審議、意見も尊重しつつ、その適否を勘案していきたいと考えているわけでございます。

 もちろん、将来的に東京電力が自律をしていき、政府の議決権が減っていくという場合におきましても、廃炉に対する実施状況も含めて定期的な評価は行っていくところでございまして、仮に問題があれば、主務大臣による命令等々のさまざまな措置を考えているわけでございます。

 私どもは、東京電力が健全な経営体に戻っていくということと、この廃炉作業を一体となってやっていくということ、今のこの機構のスキームを通じましてしっかりと対応していきたいと考えております。

吉野委員 原子力賠償機構法の四十一条に、資金援助の申し込み規定がございます。

 東電にお金がなくなった場合、東電は、まず、賠償に使うためにお金を下さい、貸してください、出資してください、申し込みができるわけです。これは当然であります。次は、電力の安定供給のために資金の申し込みができるという規定。もう一つが、原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保に関するもの、これは私は、廃炉について適用できるのかなというふうに理解するわけです。

 まず、電気の安定供給についてということであれば、いわゆる電力需要が大きくなって、東京電力で新規の発電所をつくらねばならないといった場合、お金がない場合にはきちんと申し込みができるのかどうか、確認をしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の原子力損害賠償支援機構法第四十一条においては、原子力事業者が負う損害賠償の額が千二百億円を超えると見込まれる場合には、賠償の円滑な実施や電気の安定供給などに資するために、事故を起こした事業者が、原賠機構に対して、賠償に充てる資金交付、株式の引き受け、資金の貸し付け等の資金援助の申し込みを行うことができると規定をされております。

 この資金援助の中で、交付国債の資金を用いて行われる、事故を起こした事業者に対する資金交付につきましては、用途が損害賠償の履行に充てることと明確にされておりますが、御指摘のように、株式の引き受けあるいは資金の貸し付けといったそのほかの資金援助の手段につきましては、電気の安定供給のために新規の発電所の建設や大規模修繕などを行う場合であっても、法律上の、法文の解釈の問題として申し上げれば、事業者が原賠機構に対して資金の援助の申し込みを行うことができる、そのようになっております。

吉野委員 ありがとうございます。

 この法案の一番のポイントである廃炉、汚染水についても、この資金の申し込みができるわけでありますか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の原子力損害賠償支援機構法第四十一条に書いてある「原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保」という言葉でございますが、これは、原子炉の運転や、廃止措置、いわゆる廃炉などに関する事業の円滑な運営の確保を想定しているものと考えております。

 なお、御承知のとおり、平成二十四年七月には、事故処理や廃炉を担う東電の会社としての財務基盤の強化を行うということで、原賠機構として、この機構法の規定に基づいて約一兆円の東電株式の引き受けを行ったところでございます。

 他方、ここで一兆円の出資をしたわけでございますが、いわゆる廃炉の費用ということについて申し上げますと、東京電力では、これまで約一兆円の資金を引き当てております。また、今後十年間のコストダウンや投資抑制によってさらに一兆円、合計二兆円程度の廃炉のための資金を確保するということになっておりまして、追加的な資金援助を行う必要性は実態の問題としては生じているとは承知をしておりません。

吉野委員 実態は別として、法解釈上、きちんと廃炉にもお金が出るという理解でよろしいでしょうか。そこの確認です。

上田政府参考人 御指摘のとおりでございます。廃炉に対しても、この機構は資金援助を行うことができると考えております。

 ただ、今申し上げましたように、現状においては、約二兆円の資金を東京電力が準備しているということでございまして、当面、そういったことは想定をしておりません。

吉野委員 次が私のきょうの質問の一番のメーンになるんですけれども、事故処理が進んではいますけれども、本当に考えられないようなトラブルが発生しています。

 これは、例えば斜めのタンクをつくっちゃいました。そして、気がつかなくて、汚染水を入れて、上から漏れて初めて気がついたんです。技術立国、技術大国の日本国で、斜めのタンクをつくって、上から水を入れて、上から漏れて初めてわかるなんというのはあり得ないはずです。でも、福島の事故のあのサイトの技術レベルは、今この状態なんです。

 もう一つ。ボルト締めのタンクをつくった作業員の作業を見ていた方なんですけれども、一本目のボルトをかたく締めて、はい、こっちのボルトを締め終わったよ、そっちのボルトを入れてくれと言ったそうです。入らなかったです。タイヤ交換と同じく、満遍なくきつく締めて初めて全部締まるわけです。一本のボルトをきっちりかたく締め切ってから、そちらのボルトを入れてくれ、でも入らなかった。これが現実の姿なんです。

 どうしてこのような最低限の作業しかできないのが、世界一の技術力を保って廃炉作業に行かねばならないあの福島の現場でこんなことが現実に起こっているというのは、私は、コストカット、いわゆる従来の原賠機構法に基づいて経営の合理化、先ほど、一兆円は自分でつくった、これからコストカットで一兆円つくるんだという、ここに原因があるのかなというふうに思っているんです。

 田中委員長は、二回、東電の社長にお会いしました。作業環境をよくしろ、当然です、そしてもっと賃金を上げろ、これは一回目の会合です。金をけちらないで廃炉についてもっとお金を投資しろ、これは二回目の東電とのお話し合い。実際のところ、この技術レベル、能力の低下、そしてやる気、マインドの低下を招いた背景はどの辺にあるのか、田中委員長にちょっとその辺の思いを聞かせていただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 先生御存じのように、毎日、一Fの廃炉作業には四千人から五千人ぐらいの作業員の方が従事している状況にあります。

 しかし一方、一Fの状況、環境ですけれども、放射線量が高いということで、いわゆるベテランの作業員、中核になるべき作業員の方々が、線量限度を超えて途中でリタイアしていくというような状況が続いています。そうした中で、次々と、まさに今御指摘のような考えられないようなトラブルが続発してきました。

 昨年十月の末に、私は、廣瀬社長と相澤副社長においでいただきまして、まず、安心して継続的に安定した作業ができるように、そういう環境をつくってくださいということを申し上げました。そのためには、まずその作業環境を、放射線をきちっと下げて、安心してできるようにするということです。つまり、全面マスクでタイベックスーツを二枚も着て作業するような状況では、やはり非常に大変な作業になります。特に夏場なんかはもう本当に大変です。

 それから、賃金も、今もありましたように、何か、これは私は確認したわけではありませんけれども、そういったことをお願いしました。

 それから、作業を続けるに当たっては、いろいろな廃棄物が出てまいります。汚染水もそうですけれども、伐採木も山のように積んであります。それから、瓦れきもありますし、いずれ溶けた燃料も取り出すことになりますので、こういった廃棄物をいかに処理して安全に管理するか、そのことが見えないと、福島の今避難されている方が安心して帰れるようにならないだろうというようなことも申し上げまして、そういった対策もお願いしました。

 それで、十一月八日にそれを受けて東電の方で対策をつくって、対策を進めてまいりました。その報告を今回受けるということがまず第一点です。

 それから、第二点としては、三月にお会いしたのは、廃炉カンパニーということで、社内分社化をして廃炉を効率的に進めるというお考えがあるということで、その御説明も承りました。

 その結果、それはそれとして、やり方の問題ですから私たちが申し上げることではありませんけれども、やはり一Fの廃炉をいかに安全にきちっとやるかということが東京電力の安全に対する考え方の鏡になるんだ、だから、決して廃炉はお金がもうかるものではありませんが、そういうことでお金を節約するとかそういうことでは困るということを申し上げまして、それについては、そういうことはありません、全社挙げてやりますという御確約をいただきました。

 今後とも引き続き、我々としては、その社長の確約、約束をきちっと見守っていきたい、そのように考えております。

吉野委員 ありがとうございます。

 東電の社長が確約をしてくれた廃炉をきちんと進めるには、やはり作業環境をきちんとよくしていく、そして一人一人の作業員のマインド、心を高めていく。このためにはどうすればいいかということなんです。安定的に継続的にお仕事ができねばならない、今委員長がいみじくもおっしゃってくれました。まさにここだと思うんです。

 廃炉でコストカットはしないと廣瀬社長は約束してくれましたけれども、現実には、私の友達がタイベックスを納入していました。最初は一着千八百円です。今は百六十八円です。問屋さんだから納入できるんです、百六十八円でも。でも、あれは紙でできていますから、防水機能がないんです、百六十八円は。だから、彼はもう納められないと。納めれば納められるんです。でも、納められないと言って、タイベックスの納入をやめました。このくらい廃炉についてもコストカットしているんです。

 これはやはり廃炉については絶対コストカットしてはいけない、私も思います。

 実は、ことしの三月十一日、現場からこういう声が出ています。競争入札、これは競争ですから、赤字受注をせねばならない。だから、安定的に人を雇っておくことができない。とれなかったら、もう首にするしかない。

 競争入札というのは、Aという物件をとれなかったらB、Bという物件をとれなかったらC、どれかをとれる、だから人材は首にしなくていい。選択肢がたくさんある場合に競争入札は有効なんです。人をきちんと継続して安定的に雇用し、高い能力のある人を雇っていくことができる。

 今回、廃炉の問題は、除染もそうですけれども、とれなかったら、社員を首にするしかないんです。だから能力の低い人しか集まらないというのが、私が思った、そして地元の声もそこにあろうかと思います。

 ですから、廃炉に関しては、今委員長がおっしゃった安定的に継続的に仕事ができる状態ということは、競争入札は廃炉にはなじまない仕掛けかな、私はこう思うんですけれども、御所見を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 基本的には同じ考えを持っておりますが、その前に、三・一一前の東京電力の経営については、私は、やはりコスト意識に欠ける、そういう部分があったんだろう、そのように思っております。

 そして、現状におきましても、廃炉や汚染水対策にあらゆる資源を最優先でつぎ込むためには、東電全体としては、コストカットできる部分、経営が合理化できる部分、こういうことについてはしっかりやってほしい、こういう思いは持っているところであります。そこは恐らく吉野委員とも意見は一致をするのではないかなと思っております。

 御指摘の福島第一原発の廃炉作業、汚染水、タンク問題対策の加速、信頼性向上のために、東電が昨年の十一月八日に福島第一原子力発電所の緊急安全対策を取りまとめ公表いたしております。

 その中で、労働環境整備に関する施設工事の早期完成及び中長期の作業員確保等に配慮し、随意契約も可能とすることとしておりまして、現在、この方針に沿って随意契約を中心とした契約を行っている、このように承知をいたしております。

 東電の経営効率化の観点からは、必ずしも随意契約のみを推奨するというものではありませんけれども、契約期間を長く設定した形で技術力の向上や人材の育成に取り組むことは、今後の三十年から四十年と言われます長い廃炉作業の中で極めて重要であります。今後も、工事の内容や工期、そして緊急性等を総合的に判断して、契約の相手方の選定方法を含めて、最善の契約形態を選んで、廃炉・汚染水対策が着実そして円滑に進められるよう、引き続き、東電を適切に指導してまいりたいと考えております。

吉野委員 ありがとうございます。

 今度の新しい機構になった場合、特別事業計画にも廃炉についての事業計画が盛り込まれる、そして、それをもし東電がやらなかったら国は命令をする、ここまで今度の法案には書いてありますので、ぜひ、廃炉についてきちんと、今大臣が答弁で言ったとおりに実行していただくことをお願いしたいと思います。

 最後に、赤羽副大臣、本当にありがとうございます。赤羽副大臣が今中心となって、福島県の浜通りをどういう町にしていくかというイノベーション・コースト構想、私は大いに期待をしております。

 ただ、余りにもすばらしい、すばらし過ぎて絵に描いた餅になっては困るなというのが私の心配なんですけれども、その私の心配を吹き払うような形で、今どういう形で取り組んでいるのか、お聞かせ願いたいと思います。

赤羽副大臣 浜通りは従来、原子力関連の産業に支えられた地域でございます。それが、三・一一以来、その産業基盤がなくなってしまった。ふるさとに帰還していく大前提の一つに、なりわい、雇用の創出というものが必要だという思いで、このイノベーション・コースト構想研究会を立ち上げました。

 しかし、これはもう、まさに先生言われるように絵に描いた餅では何の意味もない、期待だけ膨らませて失望が大きくなるだけなので、これを具体的にどう構築していくのか。

 まずは、この六月を目途に、今精力的にこの研究会を行っておりまして、さまざまなことの絵柄をつくっております。そして、六月に構想ができてから、それをどう実現を図っていくかということが重要でございます。

 ただ、ゼロから全てつくるのではなくて、例えば、楢葉にモックアップ施設を、これは今年度中に形となって出てくるわけでございますが、いろいろな具体的な事案をそれぞればらばらにやるのではなくて、このイノベーション・コースト構想の中で肉づけをしていきたい。モックアップ施設もそれだけに終わらずに、その周辺の土地をさらに充実させていくですとか、そういったことを現実のものとしていくのが正しいのではないか、こう考えております。

 また、福島第一原発の五号機、六号機、これは廃炉することが決定をしておりますが、ただ廃炉するのではなくて、あの施設を使って、高い放射能の状況の中で遠隔のロボットの実証フィールドにしたい、そういった構想もございます。

 こうしたものを現実化すると、実は、この構想研究会で一月にアメリカに出張いたしましたが、テキサスのA&M大学の災害用ロボットの研究チーム、これは世界一のところなんですが、そうした施設が確保されるならば自分たちも必ず参加をしたい、こういった具体的な話も数多く来ておりますので、一つ一つばらばらではなくて、一つの構想の中で浜通りの再生を目指していきたい。

 これは、二〇二〇年の東京オリンピックを一つの目途として着実に進めていきたいと思っておりますので、何よりも地元選出議員の皆様のお力添えが必要だと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

吉野委員 ありがとうございます。

 福島頑張れバッジをつけているのは赤羽副大臣ただ一人でありまして、本当にありがたく思っております。

 文科省の方でも、この赤羽構想について、共同研究施設について一つの施策をやっているということを伺いましたので、共同研究施設について、文科省の方で何かありましたら。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 現在検討が進められてございますイノベーション・コースト構想におきましては、研究開発拠点の整備や研修・教育拠点の配置の必要性が言われているところと承知してございます。

 文部科学省では、大学等が行う廃炉等に必要な基盤的研究及び人材育成の取り組みを支援するために、平成二十六年度から、廃止措置等基盤研究・人材育成プログラムを実施するところでございます。

 本事業では、中核となる大学等が拠点となって、参画する他の共同研究機関とともに、技術研究組合国際廃炉研究開発機構、IRIDと連携を図り、現場のニーズに対応した研究を実施するとともに、廃止措置の現場で活躍できる人材育成のための取り組みを実施していくということとしてございます。

 現在、新規公募開始に向けて準備を進めているところでございまして、文部科学省としましても、こうした取り組みを通じて、東電福島第一原発の廃止措置に必要な人材が継続的に確保され、廃止措置が安全かつ確実に進められるように、適切に対応してまいりたいと考えてございます。

吉野委員 ありがとうございます。組織総力を挙げて、この廃炉、汚染水に取り組んでいただくことを心からお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 我が党は、震災発生直後から、国会議員の担当地域を決めまして、被災地に毎月のように入り続けて、現地の地方議員の皆様と連携をとりながら、復旧復興また生活再建に取り組んでまいりました。

 私も、議員になるまで弁護士をしておりましたけれども、弁護士時代、震災発生からほどなくして、大阪から南相馬の方に行きまして、無料法律相談を担当させていただきました。一昨年、初当選させていただいて以降、福島県の担当となりまして、私も毎月のように福島の方に足を運ばせていただいております。先月も、双葉町、大熊町、いわき市の方を地元の地方議員の皆様と一緒に回らせていただきました。

 先ほど、福島県選出の先生でございます吉野委員の方からもありましたけれども、福島県はこれまで、汚染水対策を初めとする廃炉に国が前面に立って総力を挙げて取り組んでいってほしいというようなことを求めてまいりました。しかし、タンクからの汚染水漏れ等、トラブルが依然として発生し続けて、国の汚染水対策が後手後手に回った感は否めないと思います。

 廃炉・汚染水対策が遅々として進まないと、地下水とか海への汚染が拡大いたします。国民の生命、安全を守ることは政治の使命であり責任です。総理が約束したとおり、国が前面に出て、しっかりとした廃炉・汚染水対策を講じていく必要があります。

 そこで、茂木大臣にお尋ねします。

 これまでの廃炉・汚染水対策の主たる問題点はどこにあったのか、本改正案の成立によって廃炉・汚染水対策がどう具体的に強化されるのか、お伺いします。

茂木国務大臣 公明党におかれては、それぞれの議員の先生方が担当地域を決めて、さまざまな御要望を聞いたり支援に当たられる。さすが自民党よりシステマチックだな、そんなふうに思っております。やはり何度もお会いする、そうしますと、課題についても深掘りができ、顔の見える支援ということで、極めて大切な問題だな、こんなふうに感じたところであります。

 御質問いただきました福島第一原発の事故炉の廃炉・汚染水対策については、事故直後から、やはり緊急的そして臨時的な体制のまま物事が進められてきたということが否めないと私は思っております。

 これまでの現場の支援・監視体制は、どうしても、何かトラブルが起こると、汚染水の問題が起こると、当面の課題に集中をしてしまって、なかなか中長期的な廃炉戦略の検討に十分注力できる状況ではなかった。大きく申し上げれば、私はそこに一番大きな問題があったのではないかなと考えております。特に、燃料デブリの取り出しであったりとか廃棄物の取り扱い等、終了までに三十年から四十年程度かかる廃炉の着実な実施に必要となります専門的、持続的支援を行う体制の構築が大きな課題なんだ、そんなふうに考えてまいりました。

 こうした状況を踏まえて、国が前面に立って、より着実に廃炉を進められるよう支援体制を強化する必要がある、このように考えまして、今回、原子力損害賠償支援機構に、事故炉の廃炉支援業務を追加させていただくことにした次第であります。

國重委員 では、今、茂木大臣の御答弁の中に、今回、廃炉・汚染水対策をこの機構の中に盛り込んだということですけれども、今回の改正法の目的に廃炉等の適切な実施というのが追加されて、先ほどおっしゃったように、原賠機構を拡充して、これまでの賠償業務とは世界の異なる、事故炉の廃炉・汚染水対策を行うとされています。

 この賠償業務と性質の違う廃炉・汚染水対策を入れ込んだ意義というのはどこにあるのか、茂木大臣にお伺いします。

茂木国務大臣 確かに賠償それから廃炉は業務としては違っておりますが、廃炉につきましても、また賠償につきましても、事故炉の設置者であります東電が主体的に行っている事業であります。そして、賠償円滑化のために東電に資金を援助して経営全体を監督している、これが原子力損害賠償支援機構ということであります。この資金支援そして監督等におきまして東電を見ている支援機構が、賠償支援に加えて、事故炉の廃炉に関する技術支援等を総合的に行うということが適切である、このような判断をしたわけであります。

 実態面を見ましても、原賠機構は東電の最大の株主ということで、日ごろから実質的に強い監督ができる立場にございます。さらに、原賠機構法に基づいて作成されます特別事業計画に、廃炉の実施状況や実施体制の整備に関する記載を新たに追加することによりまして、必要な場合には主務大臣によります命令も発動できるようになるわけであります。

 このように、原賠機構のスキームを活用することで、国が廃炉・汚染水対策により積極的に関与でき、実効ある対策の実施と監督が可能になる、このように考えているところであります。

國重委員 よくわかりました。ありがとうございます。

 では次に、今回、機構の中に廃炉・汚染水対策の部門ができたとしても、やはり人材確保が焦点になってくると思います。原子力規制委員会でも、人材確保というのはそう簡単にできるものではなくて、原子力安全基盤機構、JNESを統合したということですし、また、東電自体も、人材確保に非常に今躍起になっておって、平成二十七年度の新卒採用は二十六年度実績の約二倍の七百人とするということを発表しております。特に、事故後、人材流出が加速していて、原子力部門などの退職者が多く、九割近い六百人を技術職にするということを聞いております。

 新機構は、廃炉等の専門技術的助言、指導、勧告を行うとされておりますけれども、そのための専門知識や経験を有した専任職員の確保の方法、専任職員の配置を含めた体制はどうなるのか、お伺いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原発の廃炉を適正かつ着実に進めるためには、原子力工学、土木工学その他の廃炉等を実施するために必要な技術に関して専門的な知識や経験を有する人材が必要であります。まさに、きちんとした人材を集めないといけないというのは、委員御指摘のとおりでございます。

 このため、メーカー、ゼネコン、研究機関などからの採用または出向によって、今申し上げたような知識と経験を持つ人材をしっかり確保していくことにしたいと考えております。

國重委員 ありがとうございます。

 今、メーカー、ゼネコンまた研究機関等から人材を確保するという答弁がございましたけれども、それらの方というのは出戻りが禁じられているのか、片道切符なのか往復切符なのかどうなのか、また、廃炉等技術委員会は改正法に規定されておりますけれども、廃炉部門は例えば法律じゃなくてもどこかに何か文言として規定されるのかどうなのか、お伺いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 まだ法律も通っていない中で、専任職員の具体的な確保方法というのがどうなるのかというのは、現在、機構の発足に向けて検討中の状況ではございますが、優秀な人材を短期間で確保するためには、採用に限らず、出向による人材の確保というのも重要な選択肢だと考えております。今、出向者について片道か往復かという御質問がございましたけれども、このような出向者が出向元へ戻ることを禁止するということは現在考えていないところでございます。

 廃炉等技術委員会は法律の中に規定がございますが、その下の機構の職員の配置というのは法律には書かれないものでございまして、内部の組織というのは、別途、内規的な形で決められていくことになると考えております。

國重委員 人材確保が焦点ですので、さまざまな確保の方法というのは考えないといけないと思いますけれども、今言われましたゼネコン、メーカー等もございますので、この出戻りを安易に許すと、さまざまな癒着の危惧というのも考えられます。その点もしっかりと考慮に入れていただきながら、いかに優秀な人材を確保するか、検討していただきたいと思います。

 続きまして、機構の業務費用に充てるために原子力事業主は負担金を機構に納付するものとされております。この負担額は、年度総額に事業者ごとの負担金率を乗じて得た額とされております。

 例えば、実際の負担金額を見ますと、平成二十三年、二十四年、二十五年で総額が異なっております。徐々にこの金額が上がっております。また、負担金率に関しましては、平成二十四年と平成二十五年、各原子力事業者の負担金率が違っております。

 このような違いが生じておりますけれども、この負担金率はどのような基準によって決められているのか、また、総額はどのような考えに基づいて決められているのか、お伺いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、一般負担金の算出につきましては、機構法第三十九条の規定によって、年度の総額に負担金率を掛けて算出した額ということになっております。

 まず、全体の年度総額につきましては、機構法の第三十九条第二項、それから機構の業務運営に関する省令の第四条の規定によって、第一に、機構の業務を適正かつ確実に実施するために十分であること、第二に、各原子力事業者の収支の状況に照らし、電気の安定供給などの事業の円滑な運営に支障を来さないこと、第三に、電気の利用者に著しい負担を及ぼすおそれのないものであること、こういった基準を持って、その要件を踏まえて、原賠機構が運営委員会の議決を経て定めることになっております。

 こうして得られた年度総額に掛け算をされる事業者ごとの負担金率につきましては、先ほど申し上げた省令の第五条の規定によって、第一に、原子炉の運転などに係る事業の規模等に照らして相応な比率であること、第二に、特定の原子力事業者に対して不当に差別的な取り扱いをするものでないこと、こういった基準を持って、同様に、機構が運営委員会の議決を経て負担金率を定め、両者の掛け算をした数字がそれぞれの事業者の負担金になるということになっております。

國重委員 よくわかりました。

 それで、機構の業務費用に充てるために原子力事業主は負担金を機構に納付するものとなっておりますけれども、今回、廃炉・汚染水対策の業務が追加されることによって、本改正によって、機構において新たに発生する費用というのは一体どれくらいなのか。負担金の増額、これは当然あると思いますけれども、一応確認の意味で、増額があるのかないのか、あるとすればどれくらいの規模になるのか。また、その負担金が増額された場合、それは利用者の電気料金に転嫁されるのかどうなのか。見解をお伺いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から、費用発生がどのぐらいになるのかという御質問がまずございました。

 先ほど申し上げたところでございますが、業務を追加するに当たって、新しい機構に人を何人入れるのかという部分をまだ精査中というのが現状でございますので、今回の法改正によって見込まれる機構の運営経費について、現状では一概にはお答えできない状況にございます。

 その上で、現時点での経済産業省としての想定を申し上げますと、今回追加する業務に関して、五十名程度の職員を想定しております。業務が追加された最初の年は十二カ月に比べますと期間が短い、また発足当初から先ほど考えているような体制の人数が一気にそろうとも限らないというようなことを考えますと、大まかな数字で申し上げれば、数億円から十億円弱の経費になるのではないかという見立てをしているところでございます。

 将来的に先ほど申し上げた五十名程度の体制が完成することになれば、逆にその金額よりはふえるということが想定されるところではございますが、この点に関しましては、詳細な組織設計をしていくのと並行いたしまして、新しい機構が既存の業務を含め業務の効率化などによって経費の抑制を行っていくように、監督する立場の政府としてしっかりと指導をしてまいりたいと考えております。

國重委員 御答弁ありがとうございました。

 今できるだけ経費を圧縮していくというような趣旨の御答弁がありましたけれども、ただ一方で、いい人材を確保しようと思うと、やはりそれなりの好条件の待遇がないと本当にいい人材というのはなかなか集まってこないと思いますので、そこに関しては、私は個人的には、しっかりとした給与面等の措置というのは講じるべきではないかと思っております。それが、総合的に考えて、福島にいらっしゃる方、または全国の皆様のお役に立てることになると思いますので、また、しっかりと精査して、実行していただきたいと思います。

 続きまして、機構法の五十五条の二で、事業者からの委託によって機構が廃炉等に関する業務の一部を実施できることになっておりますけれども、これはどのような場合を想定しているんでしょうか。東電ができない業務を機構がやるということが、五十名ぐらいしかいないのに果たしてそんなことができるのかという疑念があるんですけれども、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の法案においては、事業者からの委託を受けて、機構が廃炉事業の一部を実施することを可能にしております。

 これは、廃炉等に関する専門人材が集まった機構が研究開発の企画などの業務を行うことによって、より高度な専門的知見を蓄積したそういう暁には、原子力事業者側の判断で、機構に対して廃炉事業の一部を委託できるようにするための規定でございます。

 この規定に基づきまして実際に委託をするかどうかというのは、原子力事業者、今回のケースでいえば東京電力側の判断でございまして、現時点で具体的な委託の内容はこれだというふうに明らかにするのは難しいところでございますが、あえて想定される事例を申し上げますと、例えば、第三者的な視点あるいは実施機関の信頼性が重要となる、放射線環境下での困難な放射性物質の調査分析、あるいは最先端の遠隔操作技術の安全性、信頼性の評価といった、事業者の側に必ずしも十分な知見がなくて事業者みずからが実施することが困難であったり、あるいは事業者が自分でやっているということでは信頼性が問われたりするようなものを、専門的知見が蓄積した時点で機構に委託をするといったことが起こり得るのではないかと考えている次第でございます。

國重委員 ありがとうございました。

 続きまして、昨年夏に、国内外の英知を結集するために、国際廃炉研究開発機構、IRIDが設立されました。また、政府においては、廃炉・汚染水対策に係る司令塔機能を廃炉・汚染水関係閣僚等会議に一本化されましたけれども、廃炉に向けて、機構はこれらの組織とどのように連携して取り組んでいくのか、お伺いします。

赤羽副大臣 福島第一原発の廃炉に対する政府の体制は、今御指摘のありましたように、昨年十二月に、原子力災害からの復興加速に向けてというものが決定をされまして、司令塔機能を整理して、廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議に一本化をしたところでございます。この会議で、中長期ロードマップに関する重要事項の審議そして決定等を行っていくこととしております。

 他方、新機構におきましては、中長期ロードマップ等の政府の方針、決定された政府の方針に基づきまして、廃炉・汚染水対策を適正かつ着実に推進するために、先ほど御答弁もありましたが、廃炉等に関する専門的また技術的な助言、指導、勧告、また、企画、推進、また、知見ですとか情報の国内外への提供等々に取り組むこととしております。

 一方、IRIDにつきましては、新機構の企画、推進のもとで廃炉研究開発を担う研究開発の実施主体として頑張っていただきたい。機構は、このIRIDが行う研究開発に対しまして必要に応じて助言を行うなど、連携をよくしながら、適切な研究開発を推進していこう、こう考えております。

國重委員 ありがとうございました。

 若干関連するかもしれませんけれども、廃炉技術に関して、複数の研究機関で同じような研究を重複して実施していたケースがあったということで、具体的には、経済産業省が、平成二十三年度に、財団法人エネルギー総合工学研究所に対して、燃料デブリの組成及び存在量等を定量的に把握するための解析に必要なコード、これはSAMPSONコードといいますけれども、このSAMPSONコードの改良等の業務を委託費一億一千四十八万円余りで委託しました。一方、JNESは、同じ年度に、同じ財団法人に対して、SAMPSONコードによる福島第一原発の炉心損傷事故進展解析等の業務を二千四百十五万円で請け負わせております。

 この両方の研究開発というのは、目的は違いますけれども、SAMPSONコードを用いた業務の内容が同じで、同種の作業が業務の内容に含まれておりました。

 このような研究を重複して実施することを防止していくことを考えないといけないと思いますけれども、このようなことをどう整理、調整して、回避、防止していくのか、その役割はどこが担っていくのか、新たな改正法に基づく機構が担っていくのか、これについてお伺いします。

赤羽副大臣 まず、御指摘の件についてちょっと一言だけ申し上げますと、経済産業省とJNESは、それぞれ、規制と推進の分離の観点から、研究の計画から完了までの間、互いの研究について実は関知していなかった。しかしながら、二〇一三年の会計検査の報告において御指摘のとおりの報告がなされたのは事実でございます。

 今回は、今、國重委員言われるように、さまざまな事業が重複して非効率にならないようにということは大変大事な観点だと思っております。

 IRIDですとかJAEA、また東電廃炉カンパニー、こういったものがさまざまここにかかわってくると思います。基本的な整理につきましては、まず、基礎、基盤的な研究はJAEAが行う、実際の廃炉に用いる実用的研究につきましてはこの四月一日から発足しました東電廃炉カンパニーが実施をする。

 この実用的研究のうち技術的難易度が高いものにつきましては、これまでも国が予備費や補正予算を活用して研究開発を実施しているところでございますが、IRIDは、こうした技術的難易度が高い研究開発について、公募によって選定された実施者として、炉内調査等に必要な遠隔操作ロボット等の研究開発を実施しているところでございます。

 私は、こうしたことをしっかり監視していくのは、この機構がその業務の一つとして、政府が担っている廃炉に関する研究開発の企画、推進を行って、事故炉の廃炉の研究開発が円滑に進むように総合的に調整をしていかなければいけない、さまざま試行錯誤はあるかと思いますが、しっかりした機能が発揮できるように取り組んでいきたい、こう考えております。

國重委員 ちょっと時間が押し迫ってまいりましたので、いろいろと質問を予定しておりましたけれども、質問ができないものがあるかもしれません。それは失礼いたします。

 次に参ります。

 今、福島第一原発の廃炉作業の現場で、一日約四千名が働かれているということをお聞きしております。三月末、協力企業の男性作業員が事故でお亡くなりになったということを福島民報で読みました。廃棄物貯蔵庫近くで発生した事故で、地面に深さ約二メートルの穴を掘って建物の基礎部分の強度を調べていたときに、崩れたコンクリートや土砂の下敷きになって犠牲になられたということでございます。

 今、一日当たりの作業員数は昨年四月に比べて約千人増加しております。また、人の入れかわりが激しく、ふなれな作業でトラブルもなくならないと聞いております。また、熟練作業員が減ってきているとも聞いております。四千名の安全をいかに確保するのかも大事でございますし、また、汚染水漏れの背景に東電の甘い作業管理体制があったことも事実でございます。

 政府は、廃炉・汚染水対策で、総理が言われたように前面に立って総力戦で挑むということを約束したわけですから、技術的な支援にとどまらず、東電の作業管理体制等の改善についても厳しくチェックする必要があると思いますけれども、政府の見解についてお伺いします。

糟谷政府参考人 まず、先般の事故によって亡くなられた方、御遺族の方に対しましては、深くお悔やみの気持ちを申し上げたいと思います。

 その上で、福島第一原発の廃炉・汚染水対策について、廃炉を安全に着実に実施するための体制整備が非常に大事だというふうに考えております。

 これまでも、政府として、現地に事務所をつくりまして、そこで現場に密着をして、状況を把握して必要な指導等を行うということを進めてまいってきたところでありますが、今回の法律におきましては、特別事業計画の記載事項に、新たに、廃炉等を適正かつ着実に実施するための体制の整備に関する事項というのを追加いたしたいと考えております。

 この措置に基づきまして、特別事業計画に記載された廃炉の実施状況また実施体制の整備が適切に行われているかどうかを、現場の状況、体制も含めてさらにしっかりと確認してまいりたいと考えております。

 万一、東京電力の取り組みに不十分な点がございますれば、機構による指導、助言、勧告、さらには主務大臣による是正のための命令等といったことを行うことによりまして、現場の作業員の労働環境の改善を初めとして、厳しい環境下で実際の作業に当たられている現場の方々の環境、体制の改善をさらに図ってまいりたいというふうに考えております。

國重委員 ありがとうございます。

 もう時間が参りましたので、私の言い切りで終わりたいと思います。

 先ほど吉野委員の質疑の中で、赤羽副大臣が御答弁でイノベーション・コースト構想ということをおっしゃられましたけれども、私も、先月、福島へ行きましたときに、今回、廃炉とかもやりますから、国内の研究施設とか研究機関を福島県に誘致して、移設して、国内の研究機関と、福島県にさまざまな技術のある地元企業もありますので、そういうところがさまざま結びつきを図って、将来に向けての新たな技術の創出を図っていきたいとか、また、人の交流をずっとそれで盛んにして、福島の復興を後押ししてもらいたいというような御要望がございましたので、また政府としてもしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 以上で、本日の質疑を終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 質疑の機会をいただきました。昨年九月の二十七、三十日と、当経産委員会での閉中審査、福島第一原発の汚染水問題に関してでございました。その両日で質疑をさせていただいて以来ということでございます。

 この汚染水問題は、当時、深刻化してきた理由の一つに、いわゆる東電、この事業会社が直面する課題、事故処理があります。一方で、事業会社として事業を継続させていかなければならない。この事故処理やあるいは廃炉に向けての投資というのはいわゆる利益をもたらさない投資、こうした中で、事業継続と事故処理のジレンマに陥っているのではないか、これが、私が昨年の閉中審査でも提示したテーマでありました。

 この指摘のテーマに関しては、その後も予算委員会等々で我が党の仲間、同僚議員も質疑を繰り返しさせていただいたわけでありますが、今回、原賠支援機構法の改正案ということで、この法案審議に当たって、費用の負担を恐れる東電が、いわゆるリスクの過小評価に陥らない、あるいは多重防御というものを行わないことによって対策が場当たりあるいは後追い的にならないように、しっかりとこの法律によって前に進めさせていかなければならない、このように考えているところであります。

 そして、第一原発の問題は、再三私も、昨年、常任委員会としてここで質疑をさせていただきました。遮水壁の設置などの議論もございましたが、いわゆるエンジニアリングの問題だけではないということであります。ガバナンス、特にマネジメントの課題、これが非常に大きいというふうに思っております。

 こうした問題意識をもとに、私どもは党内での議論も行っておりました。汚染水問題のみならず、廃炉に向けてということで、特に廃炉の仕組みに関しましては、東電から切り離すことによって、事故処理と事業継続のジレンマから解き放つことができるのではないかといったことから、党内において、私どもでは福島第一原発の対策本部、こういうものを設置し、私の私案を提出して議論を行ってきたところであります。

 そして、昨年十一月十九日には、民主党として、廃炉機構に関する設置の提言を取りまとめました。また、取りまとめに基づいて、衆議院の法制局に協力をいただきまして、議員立法に向けた作業も進めてきたところであります。

 委員長のお許しをいただいてお配りした資料、これは私どもの案についてのポンチ絵でございます。資料1は、廃炉機構設置ということで、第一原発の廃炉、事故処理については、このような公法人、新組織をつくり、そこで廃炉、事故処理を行う。東電においては、賠償をしっかりと行っていただきながら、人材、あるいはまたその他の事業者からも人材、技術、これらを拠出していただくというこの仕組み。第二段階では通常廃炉ということも含めて、この案をつくって提示をしてきたところでありました。

 一方、政府におかれましても、当初は分社化という議論が中心をなしていたと思いますが、その後は、昨年末から検討を本格化され、原子力損害賠償支援機構を、廃炉業務を含む組織への改組という形で本法案の形に進めてこられた、この改正案の提出に至った、このように理解をしております。

 当時から、政府の検討状況というものを見つつ、我々といたしましても、福島第一原発の廃炉問題は、大臣も常々おっしゃっておられます、与野党を超えて取り組むべき課題である、そのように考え、いわゆる対決型ということよりも、むしろしっかりと政府案をブラッシュアップさせていただく、あるいは政府案に対して我々がしっかりと本来必要な課題というものを提示していかなければならない、こうした思いで、この皆さん方の取り組みに対しても、さまざまな形で検討段階から我々の考え方というものもお伝えをさせていただいてきたところであります。

 そして、ことしの二月二十四日には、茂木経産大臣にも申し入れを行わせていただきました。さらに、閣議決定前の二月二十六日には、官邸において、菅官房長官にも申し入れという形で文書の提出をさせていただきました。

 お手元の資料の2から3、4が、民主党として大畠幹事長が菅官房長官へということでお渡しをしたものでありますが、原賠法の一部改正法律案に関する申し入れということで、四項目を提示したものであります。

 この四項目の申し入れに対して、法案の条文について中身を見ますと、我々の主張あるいは問題意識というものをそんたくし、あるいは既にそのことに対して思いを持っていただいているということが十分感じられる法案にはなっているなと感じておりますが、今後に関しては、当然この条文の確認もあわせて、運用等は極めて重要です。まさに新たな組織に改組するということであれば、その組織体制に魂を入れる作業を、役所の皆さん、大臣がリーダーとして率先してやっていただかなければならない。

 その観点から、本日のこの質疑の中では、私どもの申し入れがどのような形で反映されているのか、あるいはどのような運用を行っていかれるかということにつきまして、少し細かい点も含めて確認をさせていただきたいというふうに思います。

 この資料2にあります申し入れの中で、一番として、「廃炉業務についての大臣による措置命令、機構による廃炉の専門技術的助言・指導・勧告の実効性担保」という観点から、情報提供義務あるいは調査権限ということにつきまして御提示をさせていただいたところであります。これについてお尋ねをしたいと思います。

 私も、再三この委員会でも申し上げていますが、三年前のあの原発事故発生以来、三月二十六日より総理補佐官として事故対応に当たっておりました。最大の課題、もちろん目の前に迫りくる事態の推移あるいは変化というものもありますが、やはり重要なことは、必要かつ正確な情報が常に対策の側に入ってくる、あるいは適時迅速に入ってくるということが極めて重要でありました。私が所管をしていたのは、当時、放射性物質の封じ込めということで、いわゆる政府・東電統合本部の中にあります遮蔽プロジェクトのリーダーでございました、後に中長期対策チームという形に変わっていくんですが。しかし、実態としては、適宜正確に迅速に情報が入ってきたかというと、実はそうではない状況がございました。

 一例を挙げれば、これも繰り返し申し上げていることでありますが、地下水への放射性物質の汚染拡大に関しては、当初、東電はその可能性を否定しておりました。しかしながら、私どものチームで過去の原発における不適合事象の洗い直しを行って、その結果、不適合事象と呼ばれる事故、トラブルの記録をつまびらかにしてまいりました。建屋に地下水が入り込んで、そして過去、繰り返し止水工事を行っている、こうした事実が明らかになり、そのデータを東電に突きつけることによって、ようやく地下水が流れ込んでいる可能性があるということを認め、浸透流解析という新たな施策の実施に入っていくわけです。

 こうした地下水の流れについてのシミュレーションを行った後に、結果、建屋が地下水で洗い流されているような状況が明らかになり、汚染対策が始まった、これも委員会の中で明らかにしてきたところであります。

 こうした教訓を振り返りますと、幾ら司令塔がしっかりしていても、そこに情報が入ってこなければどうしようもない、あるいはそれがおくれて入ってきてはどうしようもないということであります。したがって、司令塔として戦略的な判断をなしていくためには、情報の収集がきちっと上がってくるように義務化をさせる必要があるのではないか。

 この我々の考え方の中でも、本法案の準備段階におきまして、申し入れの中で言ってきたことは、主務大臣、大臣におかれて措置命令がなされます、また機構においては助言、指導、勧告の実施が行われます、この実効性を担保するためには東電から国、機構への情報提供の義務化並びに国、機構が東電に対して、事業者に対して調査の権限を持つ、これを法案に盛り込むことが必要ではないかということをこの申し入れの中に記したところであります。

 そこで、ここは事務方にお尋ねをします。

 今回の法改正で、事故を起こした事業者、すなわち東電でありますが、この廃炉に対するグリップというのは、政府から事業者に対して、また機構から事業者に対して、この二つのルートがあります。この政府から事業者に対しての情報提供の義務ということに関しては調査権限も含めて本法案で措置されたかということにつきまして、これらを拝見させていただきますと、四十五条二項一号、四十一条三項一号、二号、四十七条一項等にその趣旨の条文が見受けられますが、確認のために、簡潔にお答えいただきますようお願いいたします。

糟谷政府参考人 東電から国への情報提供義務でございますけれども、今回の改正法案では、第四十五条二項一号に基づきまして、四十一条三項一号、二号に規定する廃炉等の実施の状況、必要な経費の見通し、廃炉等を適正かつ着実に実施するための体制の整備に関する事項を特別事業計画に記載せねばならないとしております。

 特別事業計画の履行の確保のために必要があると認めるときは、法四十七条一項に基づきまして、主務大臣は、事業者に対して計画の履行状況について報告を求め、または必要な措置を命ずることができるとされております。報告に応じない場合または虚偽報告がなされる場合には、五十万円以下の罰金という罰則でも担保されているところでございます。

 こうした規定によりまして、廃炉の実施状況等について東電から国への情報提供を求め、国が調査を行うことが可能になっている条文であるというふうに理解をしております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 申し入れをまさに盛り込んでいただいたところでありますが、確認です。これは簡潔にお答えください。必要があると認めるときというのは、すなわち随時できる、いつでも可能だ、このように解してよろしいんでしょうか。

糟谷政府参考人 そのように解しております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 調査権限を付与したということで、随時こうした厳しい監督権限を持っているということを確認させていただきました。

 もう一つのルートであります機構と事業者の関係であります。こちらについてもお尋ねをいたします。

 我々としては、事業者から機構への情報提供義務、さらには事業者への調査権限、法案においてこれを措置していただく必要があるということを申し上げてきたわけでありますが、これに関してはいかがでしょうか。事務的にお願いします。

糟谷政府参考人 法第三十七条におきまして、「機構は、その業務を行うため必要があるときは、原子力事業者に対し、報告又は資料の提出を求めることができる。」とされております。

 今回、機構の業務に廃炉の支援業務というのを追加いたします。仮に原子力事業者が報告に応じない場合、また虚偽報告を行う場合、これについても罰則で担保をされております。この罰則の担保のもとに、求められた事業者は、「遅滞なく、報告又は資料の提出をしなければならない。」というふうにされておりまして、これによりまして、東電から機構への情報提供、機構の調査権限も確保されているというふうに考えております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 主務大臣並びに機構が、しっかりと調査権限並びに情報提供義務を負わせているということの確認をさせていただきました。

 これによって、遅滞なく適時迅速に情報を収集し、そして実際に廃炉に向けて進捗しているかということをしっかりと確認し、推進していただきたいということであります。

 この資料2の一ページ目と打ってあるところの「(2)機構によるチェック体制の第三者性確保」というところ、これにつきましても申し入れをさせていただきました、2、3にまたがっておりますが。

 機構の調査権限を今確認させていただいたわけでありますが、権限はある、しかしながら、その体制がどうなのかということが重要です。すなわち、その中身ですね。権限は付与されている、そして義務を負わせているけれども、果たしてその権限を行使するに足るような方々あるいはチェック体制となっているのかということであります。ここができていなければ、何の意味もありません。

 この機構のチェック機能を担保して、そして国内外の信頼を得るために、重要な意思決定機関、いわゆる参謀本部たる廃炉等技術委員会の委員が、それこそ東電の関係者で占められていたり、あるいは政府、さらには、これもよく巷間言われるような、いわゆる原子力村と称されるような方々、さらには利害関係も含めて、そういった方々で占められてしまった場合に、当然ながら、体制ができていても、幾ら権限を付与されても実際には実行しないということになりかねない。したがって、ここは極めて客観的な第三者性の確保ということが重要ではないかということを申し入れ書の中にも示しています。

 そこで、我々としては、具体的には、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなど、こうした廃炉関連の機関で経験を有する者あるいは有識者の方々を複数名入れる考えはあるかということで、この提言をさせていただいたわけであります。

 ちなみに、我々もさまざまところとの情報交換を行っておりますが、米国のシンクタンクの専門家からは、アメリカであれば、いわゆる武器関連施設が膨大なリソースを持っている、あるいは米国のエネルギー省のサバンナリバー国立研究所やハンフォード・サイト、このような施設で複雑なプロジェクト管理を請け負っていた大手企業、そのような組織の専門人材が挙げられるなどの御意見も頂戴をしています。

 そこで、大臣にお尋ねいたします。

 いわゆる廃炉等技術委員会の委員に、第三者的立場として、海外、外国ということでありますが、経験を有する者、有識者を複数名入れるというお考えはおありでしょうか。いかがでしょうか。

茂木国務大臣 この廃炉・汚染水対策については、まさに与野党はないという思いで、皆さんからのさまざまな御提言についても、よいものはできる限り取り入れたい、こういう思いでやってまいりましたし、特に馬淵委員には、事故後、この問題に深くかかわってこられた、こういう立場から真摯にさまざまな御提言をいただいておりますこと、改めて御礼を申し上げます。

 そして、今回の法改正に当たりましても、民主党から御提言、申し入れをいただきまして、基本的な認識については一緒である、このように考えております。

 福島第一原発の廃炉を適正に進めていくためには、国内だけではなくて、国内外の英知を結集することが極めて重要でありまして、例えば米国のスリーマイル事故、こういった海外の経験等に基づく知見を幅広く提供していただく観点から、海外の専門家の参画は、この廃炉等技術委員会にとっては必要不可欠であると考えております。

 そこで、具体的な関与の方法でありますけれども、これは廃炉等技術委員会の発足に向けて今後検討していくことになりますが、委員として御参加いただくことを排除するものではありません。

 ただ、実態として、そういう海外の第一線でおやりになっている方は十分な時間がとれるのかということも考えなければいけないかなと思っております。例えば、正規の委員になるというのも一つのオプションだと思いますけれども、そうでないにしても、特別委員であったりとかアドバイザーであったりとか、そういった形で定期的にこの委員会に参画をしていただいて、廃炉の技術であったりとか進め方に関して、海外の経験であったりとか知見を御紹介いただく、御助言をいただく、こういうやり方もあると思っております。

 そういう意見を結集するのにどういった形が一番いいか、こういう観点から組織のあり方を検討したいと考えております。

馬淵委員 海外の知見は必要不可欠だという認識もいただきました。また、今大臣からは、積極的に関与をいただく方法ということについて、位置づけについては検討していきたいという答弁をいただきました。

 おっしゃるとおり、私も、海外の人材、海外の英知を事故対処に向けていかに結集するかというのは、当時も悩ましい課題といいますか、幅広くといっても、専門性がある方というのを見きわめるのもなかなか大変です。また、言葉の問題もあります。さらには、海外に常駐されている方が適宜必要なときに来られるかということの課題もありました。

 おっしゃっている意味では、委員なのかあるいは特別委員なのかアドバイザーなのか、非常にさまざまな位置づけがあるということもよく理解をいたしますが、ただ一方で、懸念すべきは、いわゆるお飾りになってしまわないように、アドバイザリーコミッティーという形でつくったはいいけれども、それこそアリバイづくりのように御意見を聴取する程度に終わってしまって、何ら本来の議論がなされない、あるいは意見を出そうにもその場がないといったことにならないように、そこはぜひ考えていただきたいというふうに思うところであります。

 先ほど、委員としての登用を排除するものではないというふうに御答弁がありましたが、再度の確認です。委員への登用を否定するものではないということでよろしいでしょうか。知見を持った適切な方がいらっしゃれば、それも含めて今後検討していくということでよろしいでしょうか。

茂木国務大臣 それで結構です。そして、廃炉に対する支援業務が最も有効に働く、そのためにはどうしたらいいかという観点から、全てのことを考えていきたいと思っております。

馬淵委員 海外からも、専門家の方々がさまざまな形でこの廃炉に向けた取り組みというものについて関心をお持ちですし、また参画を要望される方も多数いらっしゃると思います。私のところにも、さまざまな御意見を頂戴しております。ぜひ、今おっしゃったことを含めて、前向きに考えていただきたいというふうに思います。

 一方、もとの資料に戻りますと、3をごらんいただきますと、この体制をしっかりとつくっていく、整備をしていく中で、もう一つ課題がございます。申し入れ書に書きました、3の「(3)機構の保有する議決権を低減する際の適正な評価の実施」というところであります。

 先ほどの御答弁でありましたように、機構は現在、法的な権限を持って、東電、事業者に対してグリップがきくということであります。一方、議決権ベースでは二分の一超の株の保有ということになります。東電を実質国有化しているという状況にある。そのため、機構は、法的な立場とあわせて、大株主として東電をしっかりとコントロールしていく、見ていくという立場があるということであります。

 ただ一方、ことしの一月ですが、新・総合特別事業計画、これは十二月二十七日にまとめ、大臣が承認されたのが一月ということで、この新総特において、公社債市場への復帰が見込まれる二〇一六年度末に、責任と競争に関する経営評価を行って、責任と競争の両立を図っていくということが示されました。

 この新総特を見ますと、先ほど私が冒頭申し上げた、昨年来の議論の中心テーマであるいわゆる事故処理と事業継続のジレンマ、このことには新総特としても思いを受けとめてくださったんだな、こう思っています。

 中身を見れば、まさにここに書かれているように、責任と競争の両立。責任とは事故処理であり、競争とは事業継続、そのジレンマに立つ中で、両立させなければならないんだということを真摯に受けとめていただいていると思いますが、この中身を見ていくと、責任と競争の両立を図っていく基盤が確認されれば、機構の保有する議決権を順次二分の一未満へ低減し、機構役職員の派遣の終了、役員構成の見直しを行う、このようにされております。

 また、責任と競争に関する経営評価というものが一方でございます。これは、三月三十一日、資料でお配りをしておりませんが、機構の運営委員会の決定として、責任と競争に関する経営評価、二〇一六評価ということで、目標が定められ、全体目標並びに部門あるいはそれぞれの細かな業務の立場の方々にまで明確に目標と項目を整理されておられます。

 目標三として「着実な廃炉の推進」というのもここに書かれているわけでありますが、しかし、この「着実な廃炉の推進」ということについて、客観的かつ専門的な知見を持って適切に評価できているのかということが極めて重要であります。お手盛りで、技術的に不十分なものを評価しはしないか等々、東電を公的管理から簡単に、でたらめな形で解放するようなことがあってはならないということであります。

 ここで大臣にお尋ねをしたいんですが、東電の公的管理からの解放の適否を判断する、今申し上げました二〇一六評価と呼ばれるこの中身につきまして、廃炉事業や体制整備に関する評価に関しては、それを適正に行うために運営委員会や廃炉等技術委員会の同意を要件とするということ、適正な評価が担保される体制を整備すべきだということも、もとの資料3のところに書いてあるように同意要件ということで申し入れをさせていただきましたが、大臣、これに関してはどのようにお考えでしょうか。

茂木国務大臣 結論から申し上げますと、廃炉の着実な推進につきましては、廃炉等技術委員会の適正な評価が担保され、そして運営委員会の議決を経た上でその適否について判断する、こういう形にしております。

 新総特におきまして、機構は、二〇一六年度末に、みずからが保有する東電の議決権の引き下げを通じて、東電を自律的運営体制へと段階的に移行させるということにしているわけでありまして、この適否の判断のために、機構は、三月三十一日に経営評価の基準を策定、公表したところであります。

 当該基準におきましては、委員御指摘のように、廃炉の着実な推進を目標の一つとして明確に定めておりまして、機構は、廃炉の実施状況を確認し、それも踏まえて経営評価を実施していくことになります。具体的な廃炉の実施状況については、機構の廃炉等技術委員会が中心になって確認をするということであります。

 このように、東電の自律的運営体制への移行に向けては、廃炉の実施状況をしっかりと確認して、廃炉等技術委員会の審査、意見等も尊重し、運営委員会の議決を経た上でその適否について判断することになっております。したがって、廃炉等技術委員会の適正な評価が担保される仕組みになっている、そのように認識をいたしております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 すなわち、我々の申し入れに書きましたように、廃炉等技術委員会及び運営委員会の同意を要件としていただいたという御答弁をいただきました。

 具体的には、今おっしゃったように、廃炉等技術委員会は、審議権を尊重、そしてそれを踏まえて運営委員会が議決を行うということで、これらの同意ということが要件として満たされている、このように理解をいたしました。

 まさに意思決定機関である運営委員会、そして実際の審査を行っていく廃炉等技術委員会が機能する体制をつくることが極めて重要でありまして、二〇一六評価を初め、いわゆる組織の体制整備、先ほど申し上げたように、体制をつくり、そしてそこの人材の客観性をしっかりと担保させることが極めて重要だということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。

 続いて、申し入れの中での確認事項ということで恐縮ですが、資料4の現場作業員の労働環境改善に関してお尋ねをしたいというふうに思います。

 先ほども國重委員が事故のことを触れておられましたが、現場の作業環境というのは過酷であります。高線量下の作業ということで、ふえ続ける被曝線量、さらには長時間労働、また多重下請構造という中で、賃金も含めて待遇面の課題というのもまだまだあるかと思います。

 こういう厳しい状況の中で、先月の二十八日、掘削作業をしていた下請会社の作業員の方が亡くなるという痛ましい事故、また昨年の十月には、浄化装置での作業時に誤って配管を外して、作業員六名の方が汚染水を浴びて被曝するなどという事故が起きています。また、先月の二十五日は、これは報道で出てきましたが、作業員百四十二名の方々が内部被曝量が過小評価されていたことが明らかになった、五年で百ミリシーベルトという国の基準限度を結果として超えていた人もいることが明らかになった、こういう状況であります。

 また、人為ミスというのもやはりふえているといいますか、原因と見られるトラブルも多発しているのではないか。ことしの二月だけでも、十九日には、地上タンクから汚染水約百トンの漏えい、また二十五日には、掘削工事で誤って電源ケーブルを切断して停電となってしまい、四号機の燃料プールの冷却が約四時間半停止するといったトラブル、まさに立て続けに起きているわけであります。

 やはり人為ミスというのは、もちろん管理の問題も問われるわけですが、一方、現場の作業に当たっている作業員の方々の労働環境がやはり大きく影響するものではないか、このように考えます。

 とりわけ、今後三十年あるいは四十年という長期にわたって作業を行っていかなければならないということになれば、単に短期間みんなで一生懸命頑張ればいい、そういった現場ではない、安全に、かつ健康面も含め、精神的な面も含めて、その労働環境につきましては改善を図っていくことが最重要の課題である、このように考える次第であります。

 そこで、この労働環境改善ということに関しては、これは事務方の方にお尋ねをしますが、申し入れ書にもありますように、先ほど確認をしました大臣の是正命令あるいは機構による助言、指導、勧告といったいわゆる事業者に対するグリップでありますが、この権限の中には作業員の労働環境改善というものは含まれるのか。主務大臣から事業者、機構から事業者、この二点について、事務方で結構ですので、お答えいただけますでしょうか。

糟谷政府参考人 現場作業員の労働環境改善につきましては、これまでも行政指導によってそれに取り組んできたところでございますけれども、今回の改正法案におきましては、それに法律上の裏づけを与えていただきたいというふうに考えております。

 具体的には、法律の四十五条二項一号におきまして、特別事業計画の記載事項として、新たに、廃炉等を適切かつ着実に実施するための体制の整備に関する事項というのを追加いたしたいと考えております。この体制の整備に関する事項の中には、現場の作業員の労働環境またはその改善の体制も含まれるというふうに考えております。

 この規定に基づきまして、特別事業計画に記載をされた廃炉の実施体制の整備がしっかりと行われているかどうかを確認いたしまして、仮に東京電力の取り組みに不十分な点がありますれば、機構による指導、助言、勧告、さらには主務大臣による是正のための命令等を行うことにより、現場作業員の労働環境の改善を一層図ってまいりたいというふうに考えております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 この点に関しても、申し入れのとおり、主務大臣による権限並びに機構の勧告の権限、これは労働環境改善を含むという整理をしていただいたということで、明確な御答弁をいただきました。

 こうした状況で、是正命令や機構の助言、指導、勧告というところで、皆さん方にしっかりと労働環境改善ということに目を光らせていただくことが極めて重要なわけでありますが、一方、その労働環境はどういう状況にあるかということについて、現場の声を吸い上げることが最も重要となります。情報として、作業員の方々から直接の声を聞く、これが極めて重要だと考えるわけであります。

 現在、東電は、作業員の皆さん方に年二回のアンケートの実態調査を行っていると聞いております。これは一部報道には出ているんですが、しかしながら、その回収方法について、元請企業を通じた回収を行っているということが報じられております。作業員の方がアンケートを所属する下請に提出をする、さらにその下請から上位下請に提出されて、そしてそこからようやく元請に行き、元請から東電に上がる。

 こうなりますと、当然、下請の中で作業員の生の声がある意味封じ込められる、内容をチェックされる、場合によっては検閲というような言葉も新聞には挙がっておりますが、こうした状況が起きているとの報道もあります。

 そこで、大臣にお尋ねでありますが、こうした労働環境改善を行っていく権限を持っていただきます。しかしながら、生の声をしっかりと吸い上げることが必要なわけでありますから、ささいなことであるかもしれませんが、私、このアンケートは重要だと思っておりまして、このような状況の中で、回収方法について、多層で上がってくるようなことで本当にいいのか、直接提出に切りかえるべきではないのかということ。大臣、これに関しては直接提出に切りかえる御意思はありますでしょうか、あるいはそのような御指導をなされますでしょうか。いかがでしょうか。

茂木国務大臣 基本的にはその方向で考えたいと思っております。

 福島第一原発のような過酷な現場での作業は、作業員の方々のモチベーションを維持して、少しでも働きやすい環境を整備することが何より重要だと考えております。

 東電も、これまでに、労働環境や就労環境の現状と改善ニーズを把握するために、作業員の方々を対象に、下請企業を経由したアンケートを四回実施してきておりますが、この回収方法につきましては、議員御指摘のように、下請企業が回収を行うのではなくて、直接東電が回収すべきという声があるのは確かであります。

 ゴルフ場に行って、いいゴルフ場というのは、終わった後、キャディーのいろいろな評価を直接マスター室に出すんですよ。だめなところというのは、キャディーさんが直接受け取るんですね。そうすると、やはり書きにくい。

 同じにはできませんけれども、やはりこういったことは客観性を保って、現場の作業員が率直な意見を出せるような形にできるということは大切だと思っております。

 今後、直接東電がアンケートを回収できるように、このアンケート用紙を直接東電が回収できる回収箱を設ける等の改善について、今現在、東電において検討させておりまして、次回のアンケートでは改善を図っていく、こういう予定であります。

 国としても、廃炉・汚染水対策現地調整会議等を通じまして、現場関係者からのあらゆる声を吸い上げて、作業員が抱える健康に関する不安の解消であったりとか労働環境の改善を含め、なかなか東電にも言えないこと、こういうものを国がしっかりと吸い上げて、東電に対して適切に伝える、また指導する、こういったことをやってまいりたいと考えております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 もう既にそのように取り組んで、次回のアンケートから直接回収できる方向で大臣が御指導いただけたということで確認をさせていただきました。

 こうした声を吸い上げながら、では労働環境をいかに改善しなければならないかということでありますが、申し入れ書の4のところでは、当然、そのような労働環境改善の中では、関係する各省がしっかり連携を強化しなければならないということを申し入れさせていただいています。

 発注者たる事業者を指導する立場は経産省であり、あるいは規制庁、機構。また、労働者の労働の安全状況をしっかりと監督する立場でいえば、労働安全衛生法並びに労働基準監督ということを所管するのは厚労省ということになります。それぞれの役所が連携をとることが極めて重要であります。

 先ほど来申し上げるように高線量の現場でありますので、特殊な労働環境を考えれば、厚労省、規制庁そして経産省、関係行政機関が連携を強化するというのは当然必要だと考えますが、その中で、現在、政府では、原子力災害対策本部というものが設置されている中で、大臣がチーム長となっておられる廃炉・汚染水対策チームがございます。そこの事務局会議や、あるいはその下に労働環境改善ワーキンググループというのがあります。

 今申し上げたように、連携を強化していく必要があり、かつ、今回、機構に廃炉業務が加わるわけでありますから、この労働環境改善ワーキンググループに機構を参加させるというお考えがあるかということも含めて、この二点、大臣からの御答弁をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 現在、労働環境の改善に向けまして、政府としても、経済産業省、厚生労働省、原子力規制庁等の連携を強化して、これら省庁が今御指摘をいただきました労働環境改善グループ全体会合に参加しまして、本件に積極的に対応するなど、政府一丸となった取り組みを進めているところでありますが、法改正後は、新機構とも連携しつつ、引き続き、東京電力の取り組み状況を確認し、適切に行われていない場合には、さらなる対応を東京電力に求める等、労働環境の改善に向け、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 グループへの参画の仕方は、今後検討してみたいと思います。どういった形がいいのかを検討して、いずれにしても、新しい機構に廃炉の部門ができるわけでありますから、そこの中でやはり労働環境の問題も出てきますから、そこの意見がどう反映されるかということを考えて、参画の具体的な方法については検討したいと思います。

馬淵委員 ありがとうございます。

 これも明確な御答弁をいただきました。検討していただくということで、ぜひ、役所のみならず機構も加わって、とにかく政府全体でこの労働環境改善に関してはしっかりと取り組むという姿勢を示していただきたいというふうに思います。

 こうした我々の申し入れをしっかりと重要な観点として取り入れていただいたわけでありますが、一方、労働監督体制に関しては、若干私は、まだまだ不十分ではないかということを感じております。この観点から少し質問をさせていただきます。

 きょうは厚労省の事務方に来ていただいておりますが、厚労省、現在の福島第一原発の労働監督の体制はどうなっていますでしょうか。端的にお答えいただけますでしょうか。

大西政府参考人 管轄の富岡労働基準監督署でございますが、監督及び労働安全衛生に係る体制といたしまして、労働基準監督官三名、放射線管理専門官四名となっております。

馬淵委員 福島労働局の中の富岡労働基準監督署ということを今答弁いただきましたが、七名なんですね。七名の体制で労働環境を監督しているということであります。

 では、一方でその作業現場はどうなのかということで、先ほどの質疑の中でも人数がございましたが、少し正確に確認をしていきたいと思います。

 経産省の事務方、福島第一原発の作業員数と作業会社数ということで、データの方を御答弁いただけますでしょうか。

糟谷政府参考人 福島第一原発における平日一日当たりの平均作業員数でございますが、二月の段階で四千二十人、現在ではそれよりもふえております。四千人を超えております。

 それから、作業をしている会社の数でございますが、元請会社が三十三社、下請会社は約千社程度あるというふうに承知をしております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 四千二十人、これは二月実績ですね。実際に従事した人数、少し表に出ているデータを見ますと、一カ月平均で約六千七百人というのが数値で示されておりますね。

 今、作業会社数に関しては、元請三十三社に対して下請千社。これは十二月末の数字だというふうに理解をしておりますが、重複カウントもあるということでありました。しかしながら、重複だとしても恐らく数百社、大変な数の方々が、それこそ千に近い会社の方々が作業に従事されているということであります。

 そこで、厚生労働省の政務官にお越しいただいておりますが、お尋ねしたいと思います。

 先ほど、富岡労働基準監督署の体制は七名ということであります。一方で、福島第一原発の作業員数は、先ほど答弁がありましたけれども、四千二十、さらにふえている。作業会社数も約千社。こうした中で、事故も起きています。あるいは、フェールセーフを必要とするような人為ミスが起きています。

 こうした状況で、現在の体制で労働監督の体制は十分と言えるんでしょうか。あるいは、そうでなければ、その改善を図るということについてのお考えはありますでしょうか。政務官、お答えいただけますでしょうか。

高鳥大臣政務官 馬淵委員にお答えをいたします。

 福島第一原子力発電所で働く労働者の労働条件の確保等は、重要な課題であると認識をいたしております。

 そうした中、必要な立入調査を実施するために、富岡労働基準監督署のみならず、福島労働局等からの応援によりまして、福島第一原子力発電所への立入調査の体制を確保いたしているところでございます。

馬淵委員 では、厚労省の事務方、端的な数値で結構です。応援を含めた体制、実績ベースで、立入検査時、直近の数値で何人の方ということでしょうか。お願いします。

大西政府参考人 応援体制についての御質問でございます。

 福島労働局の職員あるいは厚生労働省の本省などが加わりまして、これは調査の目的、対象等により若干幅がございますが、最近ですと、六名ないし十一名で立入調査を行ったところでございます。

馬淵委員 応援体制をとっていても、七名が十一名程度なんですね。非常に厳しい状況だと思います。

 私は体制強化をしていく必要があると思うんですが、厚労省の事務方、これも端的にお答えください。平成二十三年度補正予算から平成二十六年度予算に向けて、福島第一原発事故、放射線被曝による健康被害防止対策等に係る増員数はどうなっていますでしょうか。

大西政府参考人 増員の事項と、増員数についてでございます。

 平成二十三年度補正予算におきましては、被災地における電離放射線被曝等労働者の健康障害防止対策として、労働基準監督官二名。平成二十四年度におきましては、同じく電離放射線被曝による健康障害防止対策として、放射線管理専門官三名。同じく二十四年度におきまして、東日本大震災被災地等における復旧復興工事等に係る健康障害防止、労働災害防止対策あるいは電離放射線被曝等労働者の健康障害防止対策として、労働基準監督官八名の増員でございます。二十五年度、二十六年度につきましては、これの関連の増員はございませんでした。

馬淵委員 今、二十五年、二十六年は増員要求していないということでありました。二十三年は二人、そして二十四年は八名、三名と増員をしてきたが、増員要求していないということであります。

 総務省にお越しいただいていますので、これも確認ですが、定員要求を受ける側の役所として、要求があれば当然受けて判断するという立場でよろしいですか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 東京電力福島第一原発関連の労働監督体制のお話でございますが、厚労省から具体的な増員要求がございました場合は、総務省といたしましては、その内容をよくお聞きいたしまして、適切に対処してまいりたいと考えております。

馬淵委員 四千人、あるいは数千人に膨れ上がったときもあります。そこに対しての立入検査時でも、応援体制を含めて十名程度。そのような状況で、増員が図られていないんですね。

 手前みそではありません。事実としてはっきりと申し上げれば、民主党政権下で、二十三年度補正と二十四年度でこの増員を図ってきました。残念ながら、この二年間は、定員に対して増員要求をなされておられません。ぜひここは、厚労省、きょうは政務官がいらっしゃいますけれども、行革が叫ばれて厳しい状況ではあるかもしれませんが、やはり監督する側もしっかりと体制をつくって、本当に環境が悪化しているのかしていないのかを含めて、行政の立場でこれは必要だと思います。

 定員要求を含め、この増員に関して、厚労省として、来年度予算編成において福島第一原発に関しては増員を検討するということのお考えはありますか。明確に御答弁をお願いします。

高鳥大臣政務官 お答えをいたします。

 先ほどの答弁にもございましたけれども、電離放射線被曝等による労働者の健康障害防止のため、これまで、労働基準監督官二名及び放射線管理専門官三名を増員したところでございます。

 また、福島第一原子力発電所に対する立入調査等の際には、立入調査の目的、具体的な対象等を踏まえて、福島労働局等からの応援体制を組むなど、工夫を行っております。

 厚生労働省といたしましては、厳しい行財政事情を踏まえつつも、現場の状況を見きわめ、今後とも、必要な体制の確保に向けて検討してまいりたいと考えております。

馬淵委員 先ほど申し上げたように、定員を増員したのは民主党政権なんですよ。今の政権にかわってからは、増員要求されていないんです。総務省側も、要求があれば適時適切に判断するとおっしゃっています。

 この厳しい過酷な環境の中で、皆さんのお立場としては、やはりここは定員をしっかりと増員要求されていくべきではないか、私はこのように、ある意味皆さんを応援しているんですよ。お立場的に答えにくかったとしても、私はそういう思いで伝えているわけです。

 どうですか。端的にお答えいただける部分があったら、どうぞお願いします。

高鳥大臣政務官 委員の御指摘も踏まえまして、しっかり検討させていただきたいと思います。

馬淵委員 ぜひ、法的な整備もできたわけです、そしてそれに対するグリップをきかせると大臣の明確な答弁もいただいている中で、厚労省側としても、今後は、監督する立場として体制をつくっていただくことが極めて重要だと思いますので、廃炉に向けて人材確保をしていく中では、専門的技術の知見の集約も大事ですが、労働者の方々の作業環境をしっかりと確保していくことが最も重要だということを改めて申し上げておきたいと思います。

 こうした中で、お配りをした資料4の四番目の機構への人材・技術の集約、知見の国内外の通常廃炉への活用というところで、申し入れをさせていただいたところに関しましては、先ほど國重さんの質疑の中でもお答えがありましたね。答弁の中ではっきり出ておりました。JAEAやあるいはIRID、また国内外の重電メーカーや原発事業者、ゼネコン等、広く人材を集め、そして五十名規模という中で、いわゆる専門技術の開発やあるいは企画、こういったもの、遠隔操作技術の信頼性や安全性の評価など、こういったことも具体的に御答弁をいただきましたので、ここに関しては、まさにこの4につきましては、それを進めていただいているということで認識をいたします。

 その上で、この4の下のアンダーラインのところでありますが、将来について、少しここは大臣に御答弁をいただきたいと思います。将来的な知見、技術の通常廃炉への活用という観点であります。

 ここで廃炉が進んでいくという中で、世界にない、事故の収束という意味での技術がそこに集約されるわけです。こうした廃炉技術というものは内外に広く活用されるべきものであり、発信もしていただくということでありますが、この廃炉技術というものを将来は前向きなものに変えていく、廃炉ビジネスの展開といったことも、作業をしていく方々や、今後原子力技術を学ぼうとする方々の大変明るい、夢のある話に展開できるのではないか。

 これが実は、お配りをした資料の中で1に書きましたように、廃炉機構というものが将来的には通常廃炉にまで踏み込んでいく。第二段階としては、この廃炉機構は、通常廃炉部門を設置して国内外の廃炉事業を担うんだ、こうした仕組みが必要ではないかということで、我々は提言を取りまとめたところであります。

 そこで、大臣にお尋ねでありますが、この機構、ようやく改組で、これから福島第一原発の事故処理に当たるんだ、あるいは廃炉に向けて取り組むんだということで、まだまだ先のことは見通せないというところかもしれませんが、改めて、それでもあえてお尋ねをしたいと思います。

 通常廃炉への知見の活用、あるいは将来的には通常廃炉も視野に入れた廃炉支援組織への転換というものを、大臣はどのようにお考えになられますでしょうか。お願いいたします。

茂木国務大臣 まず一言、簡単に、機構への人材の集約でありますけれども、積極的に進めていかなければいけないとは思っておりますが、正直に申し上げますと、人材を集めるというのはなかなか大変な作業である、こういう思いも持っておりまして、国内外から、専門性が高くそして使命感も強い、こういう人材を一人でも多く集められるよう最大限努力をしていきたい、こんなふうに思っております。

 その上で、ここでのさまざまな知見を将来的に通常炉の廃炉にどう生かすかということでありますが、結論から申し上げますと、さまざまな知見がたまってくる、これに対しまして、通常の廃炉に対しても有効な情報や知見を幅広く提供できることになると考えております。その上で、廃炉ビジネスという言い方がどう捉えられるかがあるわけでありまして、ここのところは今後きちんと議論しなければいけないと思っております。

 まず、基本のところから申し上げますと、今回、原賠機構に追加する業務は、委員もよく御案内のとおり、事故炉の廃炉が対象になるわけであります。通常炉の廃炉につきましては、ある程度技術的にも確立をされておりまして、諸外国でも民間事業者自身で進めることが基本になっております。我が国におきましても、日本原電の東海発電所など、事業者による廃炉が既に進められている原子炉もあるわけであります。

 他方、福島第一原発のような深刻な原子力事故における廃炉・汚染水対策は、世界にも例のない困難な事業である。こういうことから、新機構におきまして、東京電力が行います事故炉の廃炉に対する助言、指導、勧告、必要な研究開発、そして資金や人員配分の確認などの支援、監督機能を一元的に担わせて、廃炉を着実かつ円滑に進めるものであります。

 この機構におきましては、こういった活動を進める中で、最新の技術情報であったりとかノウハウというのが集積されることになると考えております。それらの中には、今後原子力事業者が取り組みます通常の廃炉にとっても有益なものも当然含まれてくるだろうと考えております。このため、新機構の業務として、廃炉等に関する情報の提供、こういったことを追加させていただきました。これによりまして、通常の廃炉に対しても有効な情報や知見を幅広く提供できるようになると考えております。

 さらに、こうした廃炉に関する知見、技術の蓄積というのが将来の我が国の廃炉事業の基盤になる、このように考えております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 将来の我が国の廃炉事業の基盤になるということで、将来に向けての展開ということについての前向きな御答弁をいただけたと受けとめさせていただきます。ぜひこれも、私どもが案としてまとめて御提言申し上げた中の重要な観点でありますので、しっかりと推進をしていただければというふうに思います。

 そこで、最後の質問になりますが、この申し入れの中にはありませんが、国民負担の最小化、あるいはステークホルダーの責任、負担ということについて、少しお尋ねをしたいと思います。

 さきの機構法を民主党政権下でつくったときに、附則の六条一項、二項というのがつくられました。この附則の六条一項、二項で、いわゆる見直し規定が記されたわけであります。

 今回の法改正というのは、六条一項の、できるだけ早期に、原発の事故が生じた場合におけるその収束等に係る国の関与及び責任のあり方等についての明確化に関するものとして改正がなされた、このように理解をしておるところであります。

 一方、六条二項は、早期にとされて、これは二年以内ということでありました。もう既にたっておりますが、ここでは、株主その他の利害関係者の負担のあり方等を含め、国民負担を最小化するための必要な措置を講ずるということが、六条二項の示された課題でありました。

 今回の法改正は六条一項の該当である、こう理解をするところでありますが、この六条二項、すなわち株主あるいは利害関係者、ステークホルダーの負担のあり方に関して、国民負担を最小化するという観点から、少し課題となっていることについてお尋ねをしたいと思います。

 それは、昨年の十月に会計検査院の報告書で指摘をされた、東電の私募債のスキームについてです。これに関しましては、国会でも取り上げられておりました。この私募債、東電が信託会社に対して私募債を発行。これは、社債である以上は、電事法の三十七条の一般担保つき社債の適用となります。したがって、いわゆる電力債という位置づけになるわけであります。これを事実上の担保として、金融機関から信託会社を通して融資を実施するというスキームが二〇一二年度から利用されてきた事実が会計検査院の報告で明らかになった。

 これは、過去においては、政投銀以外の金融機関の東電に対する融資は、従前、無担保で実施されておりました。したがって、現実、私募債スキームにおいて、三月末時点で既に七千二百六十四億円という規模のいわゆる融資が行われているわけですが、担保つきということになります。

 この会計検査院の報告書の中でも指摘をされてきているのは、果たしてこれが適切なのかということであります。当然、電事法三十七条の定めによるいわゆる電力債、一般担保つき社債ということであれば、全ての債権に優先するわけですから、いわゆる賠償債権が劣後することになるということに問題があると指摘をされてきたわけであります。

 さらには、従前は無担保であった借入金がこのような形で私募債スキームによって一般担保つきに切りかえられているということは、六条二項で示されてきたステークホルダーの責任、負担のあり方ということに対して、趣旨としては反するものではないかといったことが当然問われることになります。

 そこで、これに関して大臣にお尋ねをしていきたいんですが、一月に策定をされました、先ほど申し上げた新総特、新・総合特別事業計画におきましては、「今後新規に契約される融資について、出来るだけ早期に私募債形式によらないこととするよう、機構及び東電との間で真摯に協議すること。」とされています。

 これが新総特で示されたわけでありますが、大臣として、この私募債方式はやめさせるという立場をとっておられるということでよろしいでしょうか。そして、この新総特に書いてある「出来るだけ早期に」とは、具体的にいつまでのことだとお考えでしょうか。御答弁いただけますでしょうか。

茂木国務大臣 この問題は金融機関との問題でありまして、私も金融担当大臣を経験しておりますが、個々具体的な融資の形態について、国として金融機関に対して強制をするということはなかなか難しい側面があるわけであります。

 当然、金融機関の方も、株主との関係等々も考えながら物事を進めなければいけないということでありまして、昨年の末に閣議決定をいたしました「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」におきましては、国から金融機関に対して、東電による前例のない取り組みに不可欠な一段の関与、協力を要請したところであります。

 新総特に書いてあります内容につきましては、馬淵議員よく御案内でありますから、私の方からあえて繰り返すことはございませんが、それに沿ってしっかり履行が確保できるように、国としても、厳しく注視をし、また必要な対応をとってまいりたい、そのように考えております。(馬淵委員「できるだけ早期には」と呼ぶ)

 私募債方式の見直しにつきまして、実際、足元におきましても、東電と金融機関の間でそのための協議が行われておりまして、私から、確たる時期について、いついつまでと申し上げることはできませんが、これはできるだけ早い時期が望ましい、そのように考えております。

    〔委員長退席、江田(康)委員長代理着席〕

馬淵委員 経産大臣という立場での御発言ということで、なかなか難しいとは思いますが、先ほど申し上げたように、まさに附則の六条二項で確認をされてきたのは、当時野党であった自民党の皆さんも、特に塩崎さん初め、この附則を策定するというところについては大変な強い思いを示していただきました。我々政府側としてもそのことは重く受けとめて、附則の六条一項とあわせて二項を加えたんですね。この二項というのは、よく御案内のとおり、株主、貸し手責任なんです。この六条二項の履行、措置ということが極めて重要だということを附則に書いた。当時の野党自民党の皆さん方の強い思いを受けたということであります。

 それに反するようなスキームとなりはしないかということについて、新総特でも示され、かつ会計検査院の指摘もあるということでありますから、もちろん、立場的になかなかおっしゃりにくいのかもしれないんですが、やはりここは、先ほど、履行の確保の観点から、東電が取り組んでいくようしっかり注視していく、こういうふうにおっしゃっていただきましたので、そこは極めて強い思いでごらんになっているんだという発信をしていただけたと思います。

 できるだけ早期にというのは、一つの考え方としては、東電は二〇一六年度に公募社債の発行というのも検討されていますね、新総特の中で。となりますと、そこでの新たな公募社債の発行は二〇一六年度ということを目指しているのであれば、当然、それも一つの時期となるのではないかと思いますが、大臣、これはいかがでしょうか。

茂木国務大臣 確たる時期はなかなか申し上げられないんですが、今委員の方から御指摘のあったタイミングは一つのめど、タイミングにはなってくるものだと当然考えられると思います。

馬淵委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、東電におかれては、電力システム改革を先取りした改革を通じて企業価値を高めていくということは当然やっていかれることだと思いますが、一方で、このような形で株主、貸し手責任を回避するような行動がより顕在化していくようなことになれば、まさに六条二項の本来の趣旨に反するわけですから、もともとあったいわゆる法的整理の議論もまた再燃するということだって当然出てくるわけですから、私は、これはしっかりと注視をいただく、また一つのめどだということで確認もさせていただいたところであります。

 そこで、大臣、一つ、これは報道によってで大変恐縮なんですが、今月末、金融機関の東電への担保つき融資、例の私募債スキームが、一千四十億円規模で、いわゆる借りかえといいますか、返済期限が到来だということで、四月四日の日経新聞でも出ております。四メガプラス二信託、一千四十億円の私募債スキームの融資であります。

 これを注視していくということですから、会計検査院も、六条二項の本旨にのっとれば、当然、これは無担保融資に切りかえていくべきもののはずです。既に、これに関しては、三井住友銀行と三菱UFJフィナンシャルグループ、これらの方々が無担保融資とする方向で調整に入った、このように新聞では報じられています。

 逆に言えば、二メガ一信託は調整に入ったとされて、それ以外、あと二メガ一信託に関しては何らここには出ておりませんが、このような状況で、調整に応じない金融機関を含めて、今月末、この一千億円の借りかえについて、注視をしていく、民間に対してなかなか物を言いにくいんだというお話ではありますが、改めて、それでもお伺いをしたい。

 やはり、この四月末でどうなるかということが、この私募債スキームを今後どのようにしていくのかということの一里塚になりますので、これに関して、大臣、お考えを改めてお聞かせいただけますでしょうか。お願いいたします。

茂木国務大臣 私募債方式の見直しは、極めて重要だと思っております。同時に、主力行初め金融機関に対しては、東電に対してしっかりした与信を与える、こういったことも重要でありまして、その両方の側面から考えることになりますが、当然、新総特に記載されている事項でありますから、それに沿って、今、東電におきまして金融機関と調整が行われている、このように承知をいたしております。

馬淵委員 東電に確認しても、当然、事業継続の中では機密情報だ、民民のことでもあるということでお答えいただけないというのも承知をしているところでありますが、今大臣から、新総特にもそのような記載があるんだということで、厳しく注視していくということの意味を、ある意味、今の御答弁の中では言っていただけたのかなというふうに思います。

 繰り返しになりますが、この四月末のこれら金融機関の行動によって六条二項というものがより明確に、これをしっかりと措置する方向に持っていかなきゃならぬのか、あるいは少し状況を見るのかということ、やはりこれで見えてくる部分だと思います。

 当時、野党におられたお立場でこの六条二項を盛り込まれたわけですから、私は何も法的整理をやれという立場でもありません、こうした法定したことに対して、国民の注視の中で、今後、税金投入なり、さまざまな公費を投入するということの中で、貸し手責任、株主責任というのは、今までもJALや、りそな含めて当然問われてきたことでありますから、この六条二項の意味というものを決して私たちは忘れてはならない、このように思っております。

 したがって、大臣におかれましては、この点につきましては、厳しく注視でありますから、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、また、私も、経産省を初めとする関係各位の皆さん方の取り組みついてはよく拝見をさせていただきたいと思います。

 今申し上げたように、我々が提言をさせていただいた廃炉機構の趣旨にのっとった形で今回の法改正ということでの提出をいただけたというふうに確認もできました。もちろん、将来的な通常廃炉への踏み込みということについてはまだまだこれからの検討課題だということではありますが、ぜひとも、廃炉あるいは事故の収束に向けて、オール・ジャパンと常々おっしゃられるように、与野党一致して取り組めるように率先して進めていただきますことを心からお願い申し上げ、この原賠支援機構が新たな、事故収束におけるある意味大きなメルクマールとなっていくような組織として運営いただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    〔江田(康)委員長代理退席、委員長着席〕

富田委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 本日は、原子力損害賠償支援機構法の一部改正について質問をいたします。

 この改正に先立ちまして、先日、大臣が法律案提案理由というのを説明されました。ちょっと基本的な御認識をまずお伺いしたいと思います。

 この中で、廃炉と賠償の関連性も考慮し、この機構で福島第一原発の廃炉に関する技術支援等を総合的に行うことが適当であると。

 機構法は、もともと被災者の皆さんの賠償ということで発足をいたしました。そして今回、廃炉、汚染水の対策なども国が強化するということで、もともと被災者の賠償だった機構に役割を追加したということになるんですが、私は、この提案理由説明をお聞きしたときに、廃炉と賠償の関係性というのがどうもしっくりこなくて、何か性質の違うものが二つ、接ぎ木のように機構の中に入っているというような印象を持ちました。

 そこで、最初に、被災者賠償支援、それから汚染水、廃炉という質の違う問題を一つの法律にまとめる合理的な理由はどこにあるのか、どうして一つにまとめたのか、お聞きしたいと思います。

茂木国務大臣 賠償、そして廃炉・汚染水対策、業務としては当然違う業務であります。ただ、その業務を主体的に担っているのは、事業者であります東京電力という形になるわけであります。そして、賠償に必要な資金等々の提供を行うということから支援機構法がつくられ、支援機構というものが立ち上がったわけであります。

 まさに東電を、賠償の立場から、しかも最大の株主として管理監督しております機構が、この廃炉の問題についても一段の関与を行うことによって廃炉・汚染水対策をしっかりと進める、こういう趣旨から、今回の法改正をお願いしているところであります。

辻元委員 今の御答弁ですと、東電の最大の株主として機構が監督しているということに着目して、今、最大の難関である廃炉や汚染水の問題にも取り組んでいくということで機構に一本化したという御答弁でした。

 先ほど民主党の馬淵議員の方からも、私どもは、廃炉機構というのを別に立ち上げて、廃炉や事故にまつわることは別機構でというような御提案もしておりましたけれども、将来的にその知見も生かしていただくという先ほどの御答弁もございましたので、今はそういう体制でいっておりますけれども、将来的にはまたさらなる検討も加えていただきたいなというように思っております。

 今の御答弁は、東電の支援ですね、大きく言えば。東電だけではなく、事故を起こしてしまった原子力事業者、これは原子力事業者だけでは到底対応できないということがこのたびはっきりいたしました。

 そこで、次に、機構法ができたときの、先ほども取り上げられましたが、附則の問題を一、二、質問していきたいと思います。

 といいますのは、今後、廃炉や汚染水は、どれだけ費用がかかるのか、そしてどれだけ長期にわたる支援をしなければいけないのかということがはっきりしません。そこで出てくるのが、やはり東電の責任はどこにあるのか、そして国の責任は一体どこまで関与するのか、税金でどれだけの支援をすることができるのか。

 私は、国がしっかりとした対応で支援せざるを得ないし、していっていいと思うんですが、その際に、やはり支援に対する国民の問題意識の中に、東電にまずしっかりやってもらわな困る、そして関係している人はきちんと責任をとった上で国がしっかりと支援してほしい、これは機構法が成立したときにも多々議論されました。

 そして、先ほど指摘されました附則の六条二項では、もう一度確認したいんですが、「この法律の施行後早期に、」「資金援助を受ける原子力事業者と政府及び他の原子力事業者との間の負担の在り方、当該資金援助を受ける原子力事業者の株主その他の利害関係者の負担の在り方等を含め、国民負担を最小化する観点から、この法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。」と。先ほども指摘がございましたが、参議院の附帯決議でさらに、二年をめどとするということが決められております。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、この施行後早期に株主や関係者も含めて負担のあり方を検討するようにと。二年以上たっております。どのような検討がなされたのか、お答えください。

上田政府参考人 原子力損害賠償支援機構法附則第六条二項に基づく見直しの状況いかんという御質問かと思います。

 御案内のとおり、この原子力損害賠償支援機構法というものは、原子力損害賠償法十六条におきます「原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行なう」という観点から、それを具体化すべく制定された法律でございまして、その賠償の円滑化という形を行っておるわけでございます。

 さらに、政府におきましては、廃炉・汚染水対策等々が非常に困難な事業であることから、中長期ロードマップ等の政府の方針を踏まえまして、さまざまな研究開発あるいは汚染水対策に関する財政支援等を行ってきているわけであります。

 この制度そのものの見直しにつきましては、例えば去年の十二月にも、国民負担の最小化、新しい東京電力の問題、福島の復興の加速化に向けてという関係から、廃炉・汚染水対策、東京電力のあり方、あるいは中間貯蔵施設のあり方、さまざまなことについて政府が前に出る姿勢を明らかにしたものでございます。

 この法律そのものの見直しにつきましては、こういったことも踏まえながら、また、現在策定中でございますエネルギー基本計画における原子力の位置づけ等も踏まえながら、早期に検討を行っていく、そう考えております。

辻元委員 もう一度お聞きしたいんですが、特に国民の間で問題意識が高いのはここだと思うんですね、「株主その他の利害関係者の負担の在り方等を含め、」。これを検討してください、しましょう、なので国も支援しましょうということだと。ここの点については、具体的にどのような検討がなされておりますか。

上田政府参考人 株主と金融機関についても、そういったことを検討すべきであるという御指摘かと思います。

 株主につきましては、御案内のとおり、相当程度、株式の価値そのものが希釈化をしているという現状があります。それから、金融機関につきましては、先ほどの新・総合特別事業計画の中におきまして、先ほどの一般担保の総量を継続的に減少していくこと、あるいは主要行を中心として私募債形式についてできるだけ早期に見直していく、こういうことを書いているところでございまして、こういったことに対応することによりまして、株主あるいは金融機関に対する責任を果たしていきたいと考えております。

辻元委員 この附則は、当時、支援するに当たって、事故を起こしても、結局国がさまざまな支援をする、お金も出すということで、余り損をしないと言ったら言葉は語弊がございますけれども、関係してきた者がしっかりリスクを負わなくても何とか国がしてくれるんじゃないかというふうになったらモラルハザードを起こすという議論が多々ございました。

 今回、廃炉というのは非常に長い御支援をするということになります。それに当たりまして、私も、先ほどちょっと話が出ましたが、JALの再建のとき事務局長で一番頭を痛めたのはここだったんです。しかし、ここはきっちりやらないと国民の皆さんに御理解を得られないということで、かなりしんどい作業を積み重ねた経験がございます。

 そこで、この見直しの検討の中に電事法の見直しも入るのかどうか。これはどういうことかといいますと、東電の破綻処理の議論のときに、電気事業法第三十七条の規定で、会社財産に対して事故被害者の損害賠償権が社債に劣後するとされているということで、結局、事故の賠償よりも社債が先だというところで、破綻させると、社債が先でその後賠償なので、これがネックになるんだという話が多々出ておりました。

 今回、これは、原発は事故を起こさないというときの法体系だと私は思います。これだけ大きな事故を起こして、そして国を挙げて、国民を挙げて支援しなければならないということがはっきりした後の電気事業者とステークホルダーのあり方として、私は、事故を起こした場合は損害賠償が何よりも優先するという方向への見直しの検討もやはりすべきではないか。そういう検討も同時にしていますよということがあって初めて、廃炉も支援しましょう、これからのさまざまなことも支援しましょうと。

 今すぐ結論が出せなくても、そういうことも含めて検討していくということについてはいかがでしょうか。全くできないということであればちょっと話にならないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 先ほど来の議論の中の原賠機構法の附則六条第一項、第二項の見直しでありますけれども、政府参考人の方からも答弁申し上げておりますように、賠償というのは現在進行形であります。この状況も見ながら進めなければならない。

 そして、支援機構法を制定したときに、これを制定するんだから国民負担はできるだけ少なく、こういうお話でありましたけれども、その前に、御案内のとおり、原賠法の第十六条におきまして、国は「原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行うものとする。」、こういう規定がございまして、この規定を具体化するために機構法ができた、こういう時系列であるということはぜひ御理解いただきたい、そう思っております。

 そして、電力債に係ります一般担保の取り扱いにつきましては、電力システム改革の一環としてきちんと取り組みをしたいと考えておりまして、この一般担保は何のためにということでありますけれども、基本を申し上げますと、電力事業というのは大きな設備投資等を伴うわけであります。それに必要な資金というのをいかに確保するか、こういう観点から一般担保というものがつけられてきたということであります。

 当然、福島第一に限定をした問題というよりも、電力事業としてのそういった資金調達のあり方は、今後、発送電分離等を行う中でどういうふうにしていけばいいのか、また自由化等々が進む中でどういう形にしていけばいいのか、こういう観点から検討されるべき課題である、そのように考えております。

辻元委員 今、大きな設備投資が必要、それは私もわかります。事故を起こさなければいいんです。事故を起こした際に、国民も含めて支援をしなければいけないということがわかってきたので、どのように見直していくかという観点での御議論をぜひお願いしたいと思います。

 それと同時に、大きな設備投資は続くと思いますけれども、やはり小規模、中規模の地域分散型のエネルギー供給体制にも移行せざるを得ない時代に入ってくると私は思いますので、そういう観点からも、電事法そのものも、事故を起こした際にどちらが劣後するのかということについてはぜひ御検討いただいた方が、長期にわたっての御支援、国民の理解が得やすくなると思います。

 附則は、もう一つ、六条一項がございます。この中で、原賠法についても触れられています。原賠法の「改正等の抜本的な見直しをはじめとする必要な措置を講ずる」と入っております。これも、見直しが必要だと思うんです。

 というのは、今まで事故を想定しない中での電力供給また原子力の取り扱いについての法体系だったと思うんです。しかし、大きな事故を経験したことを踏まえて、今までの体系そのものをやはり事故を想定したものに変えていくということ、そしてそれを私たちの今の経験から生かしてトータルに見直していくということが、この機構というものを非常に円滑に運営していく上でも国民の理解なしには進められないわけですから、この六条一項の附則についても、私は、原賠法の見直し、特に原賠法の第八条、原子力事業者に対して、これはずっと議論がされてきましたけれども、一サイト当たり一千二百億円の賠償措置の確保が命じられております。今回の事故で明らかになったのは、桁違いの賠償費用だけではなく、廃炉についても、民間の試算だと、十五兆円ぐらい要るんじゃないかという試算まで数字が出ております。国は、一兆一千五百十億円とかいう試算ですね。

 ですから、附則でも原賠法の抜本的な見直し、そして必要な措置を講ずるということで、議論の過程でも多々指摘されてきたこの八条の問題も含めて、この二年間で、原賠法については、どのような見直しの議論が行われ、どのような措置が必要であるかという指摘が出ているか、教えてください。

冨岡大臣政務官 辻元委員の質問にお答えしたいと思います。

 委員御指摘のように、国がしっかりと前面に出て被害者の救済をしたい、また制度見直し等も必要に応じてやるということは省としても考えているところでございます。

 しかしながら、これまでも、原子力損害賠償紛争解決、ADRセンターの整備や、時効特例法の制定などの所要の措置を行ってきたほか、福島第一原発の廃炉・汚染水対策をより着実に進められるよう技術支援等を行うために、現在、原子力損害賠償支援機構法改正案を審議していただいているところであります。

 原子力損害賠償制度等のさらなる見直しについては、今後、閣議決定するエネルギー基本計画における原子力の位置づけ等も勘案しつつ、現在進行中の福島の賠償等の実情を踏まえながら、総合的に検討を進めてまいりたいと思っております。

辻元委員 私が質問いたしましたのは、これから検討していきたいという話ではなく、この二年余り、附則で検討しろと出ているわけですから、具体的に、先ほど私が指摘した点も含めて検討されたのかどうか、そして何を検討してきたのかということをお聞きしたいんです。

冨岡大臣政務官 先ほどお答えしましたように、それなりに対応をしてきております。したがいまして、現在のところ、抜本的な改革あるいは抜本的な見直し等は考えておりません。

辻元委員 現在のところ考えていないというのは、先ほど私が指摘した八条の件ですか、それとも原賠法そのものの抜本的な改正は検討していないということでしょうか。どちらでしょうか。

冨岡大臣政務官 原賠法に基づいて補償を一千二百億円までするようにして、それで十分対応できなかったから、機構法を今度、それを利用して今やっているところでございますので、その枠組みについてはしっかり運用がされていると考えております。

 したがいまして、今申しましたように、見直し等の具体的な方策については、現在のところ検討はしていないということで御理解いただければと思います。

辻元委員 そうすると、この二年間、原賠法については、これは見直しして措置を講ずると附則に出ていますので、何を見直すということなんでしょうか。

茂木国務大臣 実際には文部科学省の方からこの後お答えいただけると思うんですけれども、六条の一項は、原賠法の中で、御指摘にもありましたように、国の責任であったりとか事故収束に係ります国の関与のあり方、さらには紛争の解決組織、ADRセンター等々について。ADRの話は先ほど文科政務官の方からもお話がありましたが、事故収束に係る国の関与につきましては、廃炉の問題であったり、そしてまた汚染水対策の問題であったり、国が前面に出るという形で、廃炉に関します研究開発は国の予算によりまして措置をし、また汚染水対策につきましても、技術的に難易度の高い問題につきましては国として行っていくということで、御案内のような形の凍土方式によります遮水壁の設置であったりとか、そういったことも進めております。

 この二年間といいますか、我々が政権に復帰をしてから、この問題についての国の関与、事故収束についても相当な検討が進んでいる、このように考えております。

辻元委員 今、ちょっと違う答弁だったと思います。

 原賠法の見直しの一千二百億円問題について私は指摘しているわけで、それで、原賠法は見直さない、では何を検討してきたのですかと、原賠法の見直しは文科省の所管ですから、聞いたんですね。

 これはどうして申し上げているかというと、例えばチェルノブイリの事故から二十八年たっているわけですね。チェルノブイリも、国は違いますけれども、世界じゅうからいろいろな支援を求めて対応しておりますけれども、今現在も、核燃料がそのまま残り、人が近づけば即死すると言われるような状況のままなんです。

 廃炉に向けて機構を立ち上げましたけれども、ロードマップでは、三十年から四十年というのは、私はちょっと甘いと思うんですね。百年オーダーでかかるかもしれない。そうすると、福島第一原発事故のツケというか、未来に残していくわけです。当時電力で恩恵を受けていない未来の世代に、連綿とこのツケを残していくわけです。

 そうすると、私たちの責任としては、廃炉について機構に入れて、英知を進めて汚染水や廃炉の対策を進める、国が力を尽くすということも必要です。やらなければいけない。ただ、同時に、事故前の法体系全部を、ここははっきり思い切って見直すということもやらないと、将来の世代に責任がとれないと思うんです。それが、この機構法ができたときに議論され、附則で、しっかりとそれも同時並行的にやりなさいよということが盛り込まれているわけです。

 そういう意味では、今後全く事故が起こらないとは言えないわけですから、新たな事故も起こるかもしれない。また、東電に対しての追加のさまざまな国の支援も出てくる可能性もございます。人命が失われる可能性だってあるわけです。そんな中で、やはりこの附則の一項、二項をしっかり遂行していく。そのためには、電事法や原賠法を含めて全ての法律を見直すという必要がありますので、ぜひ大臣、これはさらに力を入れてやっていただきたいと思います。最後に答弁をお願いします。

茂木国務大臣 一般担保等々の問題につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、電力システムの一環として取り組みをしてまいりたいと思っております。

 そして、若干議論はかみ合わなくなっちゃいますが、六条の一項、二項の見直し規定というお話をしながら、後段になると全体の見直しということになるので、一項、二項の見直しにつきましては、先ほど答弁をしたとおりであります。

辻元委員 これは単なる附則ではない、しっかり両輪でやることが私たちに課せられている使命だと私は思います。

 終わります。

富田委員長 次に、菅直人君。

菅(直)委員 今回の改正は、廃炉の支援をこの機構に加えるということで、私も廃炉についていろいろと調べてきました。

 先月、ドイツのオブリッヒハイム原発という、これは事故を起こした原発ではありません、普通の原発ですが、これの廃炉作業を現場に行って見てまいりました。格納容器を全部水でまさに冠水させて作業をやっていましたけれども、ちょっとした部品を移動させて何かに入れるだけでも物すごく大変な時間がかかる、そういうことを現場で見てまいりました。

 と同時に、そういう廃炉、世界でも初めてのメルトスルーの事故を受けた一号、二号、三号ですから、その一号、二号、三号がどうなっているのかな、どういう段取りでやるのかなと。

 皆さんのお手元にも、これは東電がつくられた資料そのものですけれども、廃止措置等に向けたロードマップの全体イメージというものをお示しいたしました。

 このとおりにいったとしても三十年ないしは四十年かかるわけですけれども、いろいろなところで、時間的な問題もありますけれども、本当にこれが順調に進むのかなということで、今の状況をまず改めてお聞きいたしたいと思います。

 これは東電の方に答弁していただいた方がいいかと思いますけれども、一号、二号、三号、それぞれありますが、私が一番気になっているのは今のところ二号ですね。二号について、現在のプラントの状況、つまり格納容器の中の線量とか水の量とかあるいは温度とか、どういう状況にありますか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 一号、二号、三号、全て原子炉に注水を行っております。したがいまして、安定的な状態で温度等をしっかり管理できていると思っております。

 二号機につきましても、格納容器の中は二十七度ぐらいでございますので、適切に注水が行われて、燃料デブリにしっかり水がかかって、しっかりと安定的な状態にキープされているというふうに認識しております。

菅(直)委員 線量と水の深さはいかがですか。

廣瀬参考人 格納容器内の線量は七十シーベルト程度と見ております。

 それから、水の深さは、これは推定でございますけれども、二号機の場合は六十センチぐらいの深さになって、デブリがちょうどひたひたになるぐらいではないかというふうに解析しております。

菅(直)委員 私、これを東電の資料で見て、改めてちょっとびっくりしたんです。

 七十シーベルト、ここには七十三シーベルトと書いてありますけれども、皆さんよく御存じのように、マイクロシーベルトでも結構高いなとか言っているのが、ミリシーベルトどころか、七十ないし七十三シーベルトというと、少なくとも、一時間も当たったら確実に死にますよね。

 極めて高い線量だということに加えて、わずか六十センチしか水がないということは、今やっとひたひたかぶっているという言い方でしたが、何十トンもの炉心の燃料が溶けて落ちて格納容器の下にたまっているわけでしょうが、六十センチより頭は出していることはないんですか。

廣瀬参考人 その辺のところは、正直なところ、まだはっきり確実なものはつかめておりません。

 ただ、先ほども御説明いたしましたように、格納容器の中の温度等からして、十分に冷えた状態が安定的に維持されているという認識でございます。

菅(直)委員 ですから、客観的なことを言わないで、認識だけを言われても困るんです。

 多分、一号、三号はもっと水があるでしょう、深さ三メートルとか。六十センチというと、何トンという量が落ちているはずですから、もっとでしょうかね、本当に大丈夫なのかなと。温度も二十七度と言われましたが、私がいただいている三月二十四日の廃炉・汚染水対策チームの資料だと五十度と書いてありますよね。

 次に、この作業日程の中で、燃料デブリを取り出すには、冠水させた状態で取り出す方法が被曝低減の観点から最も確実な方法だと。先ほど申し上げたように、若干状況は違いますけれども、ドイツの廃炉作業でも冠水をさせていました。

 ただ、一号、二号、三号の場合は、冠水させるといっても、今水が漏れているんですよね。水はどんどん入れているわけです。しかし、二号だと六十センチしかたまっていないんです、入れていないんじゃなくて。ということは、冠水させるといっても、まずは水が漏れないようにしなきゃいけない。線量の物すごく強いところで、多分、内部は大変な瓦れきといいましょうかいろいろなものがある中で、どうやって止水するのか。どうですか。

廣瀬参考人 御指摘のとおり、とても人間が入れる線量ではございませんので、まずは遠隔装置でやらなければいけないということになると思います。したがいまして、遠隔装置をまず開発しなければいけません。

 その前に、水を冠水させる必要がございますので、先生御指摘のとおり、漏れている箇所を発見し、そこを塞いで冠水をする。水の遮蔽効果によって、かなりの遮蔽がございますので、その上で、機器を開発して、それを取りに行くということになると思っています。

菅(直)委員 もう一つ、冠水させると三千立米ぐらい水が入ると聞きましたが、格納容器はその重量なり圧力にもつんですか。

廣瀬参考人 これは、もちろん、冠水した状態で、その状態で耐震がどうなるかというような解析をする必要があると思っておりますので、まさにその解析をこれからやっていくということになると思います。

菅(直)委員 つまり、これから解析をやるということは、私が聞いている話では、少なくとも、そんなに水をいっぱい入れるようなことを前提として格納容器はつくられていないと東電の皆さんからも事前に聞いていますけれども、だから、それが可能かどうか。場合によったら補強が必要なのか。私が感じるところでは、極めて難しい作業があるだろう。

 先ほど止水ということを言われましたけれども、それは、今だって止水できればいいですよね。どんどん漏れているものだから、汚染水がどんどん出るわけですから。今だって止水できたら、あるいはそんなに入れなくてもいいかもしれない。今だって止水できればいいわけでしょう。例えば、今できない理由は何ですか。

廣瀬参考人 繰り返しになりますが、当然線量が高うございますので、ロボット等で入って箇所を見つけるというようなことを今始めてきているところでございます。

菅(直)委員 ロボットが圧力容器の上から実際に入っているのかどうか。外からいろいろ写真を撮ったというのはこの間もテレビで見ましたけれども、圧力容器の上から入れているんですか。格納容器の中に入っているんですか。

廣瀬参考人 圧力容器ではなく、格納容器の横からになります。(菅(直)委員「横」と呼ぶ)はい。

菅(直)委員 ということは、格納容器の中に入っているんですね。その七十シーベルトのところにロボットが入っているんですね。

廣瀬参考人 ロボットはもちろん入れませんが、カメラを入れて見ているということでございます。

菅(直)委員 余り細かいことは申し上げませんが、この図を見ていただいても、これを見ると、一番左の下が今の状態で、それを、まずは水どめをして全部冠水させて、上にクレーンをつけて、上から燃料デブリを取り出すための装置をつけると。

 この一番右の図で、上部からデブリのあるところまでの高さというのはどのくらいあるんですか。

廣瀬参考人 これは四十メートル弱ぐらいになると思います。

菅(直)委員 これは、大臣も今からいろいろ御苦労されると思いますけれども、本当に大変なことです。四十メートルといったら、十階建ての上から、しかも中はぐちゃぐちゃですからね。だから、止水するといったって、そう簡単に作業はできません。これだけ線量が高いと、ロボットでもそう簡単には、誤動作しますから、大変な状況です。ですから、だからだめと言っているわけじゃなくて、相当のことが必要だということは、私はこれほど楽観はできません。

 そこで、もう一つだけ。

 まず、せっかくですので大臣にお聞きしたいんですが、私は、この組織図を見てどうしても一つわからないのが、これは法案の説明図ですね、いわゆる廃炉部門というものが、廃炉作業のヘッドクオーターなのか、つまり司令塔なのか、それとも支援のためのサポート隊なのか。

 私は、特に今回の廃炉は、事故炉の廃炉ですから、世界で初めてですから、相当しっかりした司令塔が必要だと思うんです。先ほど来、政府、東電一体と。一体であることを超えて、私は新しい機関が必要じゃないかというのを持論としては持っていますが、いずれにしても、この提案の中の廃炉部門というのは、事故炉の廃炉という問題の司令塔なんですか、それとも何か頼まれたときに支援する、そういう立場なんですか。

茂木国務大臣 司令塔という言葉がなかなか、どういうものを意味するかということにもよると思いますけれども、基本的には、廃炉そのものの事業というのは今後東電の廃炉カンパニーが担う、こういうことになると考えております。

 それに次いで、経営全体を監督する、そして技術問題も含めて必要な支援を行う、これが原子力損害賠償支援機構に新たに追加をされます廃炉部門、このような位置づけになってくると考えております。

菅(直)委員 非常に曖昧なんですね。お役所からもらった説明図を見ても、逆に東電の方から廃炉業務の一部実施の委託を受けてみたり、お金はどこから出るかというと、全体としては支援機構がお金は出すと言ってみたり。つまり、東電と支援機構の関係は、端的に言えばどっちが上なのか下なのか。お金を出すのは支援機構だけれども、委託をするのは東電だとか。

 これはぜひ茂木大臣に、御存じかもしれませんが、例えばイギリスには原子力廃止措置機関という、通常炉の廃炉とかいろいろなことをやっているヘッドクオーターとまさに呼べるようなものがあります。それそのものはせいぜい千人単位の組織です。しかし、そのもとにいろいろな企業がぶら下がっていまして、十万人単位の組織になっています。

 多分、ロボットの開発だけでも、電力会社がロボットの開発に向いているとは全く思いません。やはりそれはエレクトロニクスとか機械の会社がより専門ですから。そういうことを考えると、どういうロボットをどう開発するかというのは、もちろん東電と一緒になって考えるのは当然ですけれども、東電が中心になるというふうには私には思えないんですね。

 だから、そういう意味で、私は、大きい意味でのヘッドクオーターを置くのなら、ちゃんとどこかに置いた方がいい。それがこの機構なのかどうか、今の答弁も含めて、はっきりしないんですね。

 そこで、ちょっと話はそれますが、先日の予算委員会の分科会で、こういうすさまじい事故が起きたわけですけれども、事故の検証がまだ必ずしも十分でないところがあるということで、規制委員会の方でもさらに検討会等を設けられていると聞いています。

 そこで、一つ具体的なことをお聞きします。

 消防車で水を圧力容器に注水した、これは吉田所長のある意味で大変すぐれた判断であったと私も思っておりますが、ただ、そのせっかく入れた水が、ある配管を通って復水器の方に半分ぐらい流れていたという指摘があります。せっかく今、いろいろな原発に消防車を配置しても、配管がもし二号炉、三号炉と同じような配管だったら、必ずしも何百トン入れても入らないわけです。全部入っていたらほぼ満水になっただろうと、当時の吉田所長と元副社長の間で、テレビ会議でそういうやりとりもありますけれども。

 こういう知見は、これからの新規制基準のチェック、つまりは審査にきちんと反映されるんでしょうか。例えば、川内原発が優先審査に入っていると聞いていますけれども、川内原発の場合に、多分消防車が配置されているでしょう、そのときに、その消防車があるところにホースをつないだら、本当にきちんと一〇〇%圧力容器に行くのか、今回の事故のように半分ぐらいが抜けてしまうことがないのか、そういうチェックも規制委員会として審査においてやるのかどうか。具体的に、今のケースについて、川内原発についてお聞かせください。

櫻田政府参考人 現在行っております審査の基準は新規制基準でございますが、これにつきましては、国会事故調を初めとする各種の事故調査報告書で示された東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえまして、またIAEAの安全基準や諸外国の規制の基準なども確認しながら定めたものでございます。

 この新規制基準におきましては、重大事故等が発生したときに炉心の損傷を防止する、あるいは格納容器の破損を防止する、こういったことのために、炉心等を冷却することができるような対応を求めているということでございまして、今般の審査においても、事業者によって構成された設備あるいは手順が機能するのかということを審査することにしてございます。

 具体的には、今お話がございましたような状況、例えばもともとプラントに設置されている冷却設備が使えない場合に代替の注水設備、これはポンプもありますし、水を送り込む配管を構成するといったこともありますが、こういったことによって炉心等の冷却が確実に実施できるかどうかという視点で審査をしてございます。

 個別具体的な御質問をいただきましたが、現在審査中でございますので、詳細についてお答えすることはこの場では差し控えさせていただきたいと思いますが、引き続き、科学的、技術的観点からしっかりと適合性について判断をしてまいりたいと考えてございます。

菅(直)委員 細かいことは控えさせてもらいますと言われますが、まさに審査をする中身に入っているんですかと聞いているんですよ。一般論として、炉心に緊急時に水を入れる方法、ちゃんと行っているかどうか。まさに緊急時にやったわけですよ。ある意味では普通なら考えられないことで、消防車を使ったわけですよ。それである程度は入ったようですけれども、後になってみると、入っている量がどうも、入れた量に比べていやに少ない。それを調べてみたら、別の配管に行っていた。

 では、まずお聞きします。こういう事実関係は、規制委員会は把握しているんですか。

櫻田政府参考人 委員御指摘の問題は、報道機関によって報道されたということを規制委員会としても承知してございます。

 繰り返しになりますが、先ほど申し上げましたように、規制基準の中では、重大事故等が発生したときに必要な設備、先ほど申し上げましたように、例えば代替の設備で炉心等に冷却水を注水する、そういった設備を設けること、これが重大事故等の状況下においてもきちんと機能すること、機能させるために必要な手順等が整備されていること、こういったことを求めておりまして、今の審査の中で、実際にそういった設備が構成されるのか、それを動かす手順があるのか、手順を動かす組織、体制、人員等があるのか、こういったことを一つ一つ確認している、こういうことでございます。

菅(直)委員 もう一回聞きますけれども、報道機関が報道していたことは承知していると言われましたが、報道機関だけじゃないんですよ。テレビ会議の記録は読まれましたか。テレビ会議で吉田所長と当時の副社長が、水がどこかへ抜けている、どこへ抜けたんだろうと。それから、実際の検証でも、復水器にたくさんの水が入っていたというのがわかっているんですよ。そういうことをちゃんと規制委員会は把握しているんですかと聞いているんです。

櫻田政府参考人 御指摘の問題は、炉心に冷却水を注水するということを現場である種緊急措置的に行ったのであるけれども、構成していた配管から別の配管の方に水が流れていって、そこにポンプがあって、ポンプのシールといいますが、軸から水が漏れないようにする、それが機能しなかったために水が漏れてしまった、こういうことだと承知をしてございます。

 今申し上げましたのは、水をきちんと炉心の中に注水するために必要な配管から水が漏れる一つの形態というふうに考えてございまして、例えば炉心に注水をするためにふだん使っていないような配管をつないでいく、こういうような手順が必要になりますし、その場合はバルブをあけ閉めすることになりまして、きちんと閉めないと別のところから漏れていくことにもなりかねません。

 そういった意味で、先ほど申し上げましたように、設備があるのか、これを使うために必要な手順等が定められることになるのか、それを実際実行する組織、体制、人員があるのか、こういったことを総合的に見ている、こういうことでございます。

菅(直)委員 今の答弁は少し前向きになって、まず事実関係の認識は基本的にあると。ただ、もちろんいろいろな場合がありますよね、ほかの理由でほかに漏れる場合もあるでしょうし。

 しかし、よく抽象的に、事故の教訓を生かしてこれからの審査に当たるんだと言われるわけですが、結局は、そういう抽象的な言葉では国民はわからないわけですよ。だから、具体的に指摘があったものについて、単にそれが報道機関が言っていたという話で、ああいうのをするのか。規制委員会に検討委員会を設けているでしょう。四号の水素がどうやって出たかという検討をこの間からずっとしているでしょう。全部ネットで見られますから。例えば、そういう問題もきちんとやって、今から審査をするときにはそういうことのないように、本来圧力容器に入れようと思った水がほかに流れたりしないようにするというのもチェック項目の中にきちんと入っているかどうか、そういうことを聞いているわけです。

 先ほどの答弁であれば、入っているというふうに聞いていいんですね。うなずかれましたので、質疑時間が終わりましたので、これで終わります。

富田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 昼食後の魔の時間でございますけれども、元気にやってまいりたいと思います。よろしくお願いします。

 午前中に各党の質疑がありまして、さまざまな議論がありましたが、実は私はきょう、質問を六問用意してきておりますが、この六問とも全部午前中に議題に上がりました。逆に言いますと、それだけこの法案のポイントは明確である、皆さんが問題であると考えているところが同じなんだなということを午前中の質疑を聞きながら感じておりました。もう少し答弁も、深掘りをしながらいろいろお伺いをしてまいりたいというふうに思います。

 二月二十七日の予算委員会で、エネルギーの集中審議をやらせていただいて、私もバッターで立たせていただきました。そのときは、私の方からは、今度、週末にも出てくる、金曜日に閣議決定で出るというふうにお伺いしていますけれども、エネルギー基本計画の中の燃料費が三・六兆円ふえているということに対して、そんなにふえていないんじゃないかな、そういう指摘をさせていただきましたところ、大臣の方から、ユニークな計算だとお褒めの言葉をいただきました。

 これにつきましては、来週以降、またこれも深掘りをしながら、エネルギー基本計画と今後の日本のエネルギー政策について議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 私の後に、我が党の足立委員が質問に立ちまして、原子力賠償法についていろいろ質問させていただきました。

 我が党のエネルギー政策は、正直言いまして、考え方がいろいろ違う方もいらっしゃって若干幅がありますけれども、原子力政策に関してはっきりしていることは、今後、再稼働をするに当たっても原子力政策を推進するに当たっても、やはりどうしても明確にしておかなきゃいけない部分が三点はあるというふうに常に申し上げております。

 一つは、世界最高水準の安全基準をしっかりつくって、それを満たしているものでないと動かしてはいけない。

 これは、原子力規制委員会をつくって、今、安全基準で審査をしております。一部ではこの安全基準自体もまだいろいろなものが入っていないので決して十分ではないという意見もあるようですから、そこのところの議論も必要なのかもしれませんが、一応こういう基準をつくったということで、これは震災以降の新しい基準ということでありますから、ある程度評価できるんじゃないかなというふうに思っております。

 二つ目は、これはこの委員会でも何度も議論させていただいておりますが、核燃料サイクルと、そして核のごみの最終処分をどうするかという問題であります。

 各委員の皆さんからの質問で大体明らかになっていますとおり、全部が稼働し始めますと中間貯蔵地もあと数年でいっぱいになってくるというところで、いよいよその最終処分地をどこにするかというところが、次世代に送ればいいという問題ではなくなってきているということですね。もう本当に場所を決めないと埋めていけないという問題も出てまいりました。

 そして、燃料サイクルの件ですけれども、聞くところによりますと、「もんじゅ」に関しては、今度のエネルギー基本計画では今までと違う表現になって、焼却も含めていろいろな、要するに、プルトニウムを減らす焼却炉のような使い方ができないかとか、そういうような検討もするという表現が入っているというふうに伺っております。それはあさって確認させていただきたいと思います。

 さらに申し上げれば、もう一つの方法でありますMOX燃料ですね。これも御案内のとおり、今、大間の原発のところは函館市が訴訟を起こしておりまして、この問題がどう進むかというのも非常に難しい問題になってきたわけであります。

 いずれにしても、核燃料サイクルというのをはっきり決めておかなきゃいけない。

 さらに申し上げれば、四年後の日米原子力協定の更新のときにもこの問題は大変大きな問題になると思いますので、ここははっきりしておかなきゃいけないというのが私たちの考え方であります。

 そして、もう一つは、今からお話をさせていただきたい、賠償の問題です。

 つまり、国と事業者の責任関係をもう少しはっきり明確化するために、原子力賠償法も含めていろいろな見直しをして責任と権限をはっきりさせよう、再稼働をするのであれば、これをやった上でした方がいいということをずっと申し上げてまいりました。

 その観点で足立委員の方から下村大臣の方に質問させていただきまして、先ほどもありました附則の六条の一項のところで、今の原子力賠償法、原子力賠償のあり方について早期に検討をするというふうにあります。

 まずお伺いしたいんですが、衆議院の附帯決議の方でも、これに関しては一年以内ということが書いてあります。参議院の附帯決議の方では、六条の一、つまりこれに関しては一年をめど、それからもう一つ、六条の二に関しては二年をめどというふうに書いてあります。

 先ほどもちょっとどなたかがお伺いされましたが、まず、原子力賠償法について一年をめどに見直すということでありますが、見直しを具体的にされておられるか、今の原子力賠償法に何か問題があるとお考えであるか、その点についてお伺いしたいと思います。

冨岡大臣政務官 今井委員の質問にお答えしたいと思います。

 これは午前中にもお答えしたことになりますけれども、改めてお答えしたいと思っております。

 福島第一原発事故の対応では、福島復興に係る閣議決定等も踏まえ、国がしっかりと前面に出て、被害者の救済及び事故収束に万全を期することとしております。今それをやっているところでございます。

 これまでも原子力損害賠償紛争解決、ADRセンターの整備や時効特例法の制定などの所要の措置を行ったほか、福島第一原発の廃炉・汚染水対策をより着実に進められるよう技術支援等を行うために、今般、原子力損害賠償支援機構法改正案を審議していただいているところであります。したがって、これも機構法附則で検討すべきと定められた事項の一環として位置づけられている取り組みだとお考えいただければと思います。

 原子力損害賠償制度等のさらなる見直しについては、今後閣議決定するエネルギー基本計画における原子力の位置づけ等も勘案しつつ、現在進行中の福島の賠償等の実情を踏まえながら、必要があれば、総合的に検討を進めてまいりたいと考えております。

今井委員 今の御答弁ですと、まだ原賠法については検討していないというふうに聞こえるんですけれども、もう事故が起きましてから三年たっているわけですね。エネルギー基本計画が出た上で今後検討していきますというお答えでありましたが、この三年間はこの原賠法、賠償のあり方については何も検討してこなかった、そういうことでよろしいですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど冨岡政務官の方から申し上げましたように、原賠法についてもそれなりにこれまでさまざまな取り組みをしてきたところでございます。

 今申し上げましたように、例えば原子力損害賠償紛争解決センターの整備でございますとか時効特例法の制定といったことがございます。そういうものも、ここの機構法附則の中で定められております検討すべき事項の一環というふうに我々は考えてございますので、そういう意味で、全く検討されなかったということではなく、そういった部分については検討が進められてきたということでございます。

今井委員 では、もう一度お伺いします。

 賠償に関しての民間事業者と国の責任の線引きについてはこれまで検討はされてきたんですか。

田中政府参考人 今回の東電の福島原子力発電所の事故に関しましては、基本的に損害賠償の責任については東京電力が負うということで整理してまいった次第でございます。

今井委員 今のお答えでいうと、今の原子力賠償法の、国と事業者の間での責任のすみ分けの仕方は妥当であるというふうな御回答であったと思います。

 であるとすれば、これも足立委員の質問のときにここがはっきりしなかったんですけれども、今、川内原発が先行して審査が行われていて、報道ベースによると春先ぐらい、春の間に大体審査が終わり、早ければ夏には再稼働が行われるかもしれないということでありますけれども、仮に再稼働するに当たっては、現行の原子力賠償法をこのまま継承して再稼働するということでよろしいですね。

田中政府参考人 原子力損害賠償法は、原子力事業者が無過失でも全ての損害賠償責任を負うということとともに、賠償を行うための措置として、一万キロワットを超える原子炉については千二百億円の損害賠償措置を講ずることを原子力事業者に義務づけてございます。

 また、これに加えまして、原子力事業者が原子力損害賠償責任を負う額が千二百億円を超えると見込まれる場合は、原子力事業者からの申し込みによりまして、原子力損害賠償支援機構が原子力事業者に対して、損害賠償の履行に充てるための資金交付などの資金援助を行うことができることとされてございます。

 万が一、再稼働後に原子力事故が発生した場合は、こうした現行の原子力損害賠償法等の制度のもとで、賠償の迅速かつ適切な実施がなされることとなってございまして、国としても、果たすべき役割をしっかりと果たしていきたいと考えてございます。

今井委員 ちょっとわかりにくいんですけれども、いずれにしても、今のお話であると、現行法で、現在の原子力賠償法の仕組みの中で再稼働していきます、そういうことでよろしいんですか。イエスかノーでよろしいですか。

茂木国務大臣 まさにこの安全審査、適合審査につきましては、規制委員会において行われている問題でありまして、その時期等々について政府として予断を持ったコメントはできないということでありますから、法の見直しと、それから再稼働の時期がどうなるのか、これはなかなか難しい問題があります。

 若干整理をさせていただきますと、責任といったときに、事故責任と賠償責任の問題が出てまいります。

 事故責任につきましては、どの国におきましても事業者が負うという形であります。一方で、賠償責任につきましては、それを全て事業者が負う、そういった無限責任、それから、一定の額までは事業者が負い、それ以上については何らかの措置をとるという有限責任、国によって考え方が違ってきている部分であります。

 我が国におきましては、基本的には無限責任という形になるわけでありますけれども、同時に、原賠法の十六条におきまして、国は原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行うものとすると。これに沿って機構法というのができ上がり、そこの中で最終的に必要となってきます資金につきましては、一般負担金それから特別負担金、こういったことで賄うことにしておりまして、まさに今そのスキームが進んでいるわけであります。

 先ほど来、政府参考人、文部科学省等から答弁を申し上げておりますのは、今後、全体として、エネルギーミックスの中で原子力がどうなっていくか、こういうものが決まらないと、さらに言いますと、電力システム改革も含めて、原子力事業をやる人が何人になるかということによって、この一般負担金というのも当然変わってくる。それから、同時に、今、この賠償は、終わったものではなくて現在進行形として福島において進んでいるものでありますから、この状況等々を見きわめた上でできるだけ早く見直しを行う、こういう方向での検討が進められていると承知をいたしております。

今井委員 では、今の点については、基本計画にリンクするんだとおっしゃっておられましたので、基本計画が出たらまた深掘りしていきたいと思います。

 それに際しまして、ちょっとそもそも論なんですが、私は、ここの考え方を整理しなきゃいけないなと思っているんですが、それは原賠法の三条でありまして、どういう書き方がしてあるかというと、「ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。」。つまり、免責事項があるわけですね。ありますね。

 これは事業者の免責ということが書いてあるわけでありますが、「異常に巨大な天災地変」と書いてあるんですけれども、三年前に起きた東日本大震災は異常な天災地変ではなかったんでしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の原賠法第三条第一項ただし書きの適用についてでございますが、異常に巨大な天災地変の場合に原子力事業者は免責されることになってございます。

 これにつきましては、昭和三十六年の法案提出時の国会審議におきまして、「人類の予想していないような大きなもの」、「全く想像を絶するような事態である」などと説明をされてございます。

 これは、原子力事業者に責任を負わせることが余りにも過酷な場合にのみ原子力事業者を免責するという趣旨であると理解してございまして、異常に巨大な天災地変かどうかの判断は、常に最新の知識に基づいてもなお到底予想し得ないような天災地変であったか否かが基準となると考えてございます。

 特に今回、東日本大震災について御質問がございましたけれども、今回の東北地方太平洋沖地震は、マグニチュードでいいますと九・〇ということで、確かに巨大な地震ではございましたけれども、例えば、二十世紀に入って以降でも、チリ地震マグニチュード九・五ですとか、アラスカ地震九・二ということで、今回の地震を超えるような地震を経験しておりますので、今回のただし書きには当たらないという判断であったと聞いております。

今井委員 今、とても大事なことをおっしゃいました。

 そもそも、その三十六年のときの答弁の表現がどうなのかなと思います。今回の震災は千年に一度と言われたわけですよね。千年に一度というのが予想可能なものなのかという問題がありますね。

 もう一つ申し上げたいんですけれども、今、九・五のマグニチュードもほかではありましたというふうにおっしゃいましたが、だとすれば、これからの原子力の安全を確認するには、そういうものを、過去人類で最大のものを想定して、それをもとに基準をつくらないとおかしいんですけれども、それで正しいですか。

田中政府参考人 先ほど申し上げましたように、異常に巨大な天変地変といいますのは、現在の科学的知識に照らして考えた場合にということでございまして、このたびの東北地方太平洋沖地震の大きさは、過去に世界で発生した地震と比較して、人類が到底予想し得ない、全く想像を絶するものと言うことはできないというふうに考えたところでございまして、そのため、今回、第三条第一項のただし書きではなかったということでございます。

 ただ、この損害賠償法のただし書きの考え方と、原子力の規制、規制庁あるいは規制委員会の規制の考え方というのが必ずリンクしているものではございませんので、我々の今申し上げた点が直ちに規制委員会あるいは規制庁が判断する上での基準になるものではないということでございます。

今井委員 今の答弁はおかしいと思いますよ。だって、人類が予想できる最大のもので賠償の基準を切るとおっしゃっているんでしょう。であれば、安全基準も予想できる最大のもので考えるべきじゃないんですか。そこが何で違っていて、必ずしも同じじゃないとおっしゃられるんですか。それはおかしいと思いますよ。

田中政府参考人 規制の考え方につきましては私は答弁する立場にないと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、原子力損害賠償法の場合は、原子力損害が発生した場合において、本来、原子力事業者が、被害者による過失の立証を要せずに、無過失により賠償責任を負うというのが大原則でございますが、そういうような大原則をもってしても、およそ原子力事業者に責任を負わせることが適当とは言えないような事態という場合に免責させるということでございます。

 そういう意味で、規制でどの程度のものを想定するのかということと、原賠法の事業者の免責をどうするのかということは、別の次元のものだと考えてございます。

今井委員 私、この質問はするっと流すつもりだったんですけれども、ちょっととても流せないですね、今のお話では。

 規制をすることと賠償の考え方は別だと今おっしゃいましたね。これは原子力行政にかかわるトータルの問題でしょう。あるものはこっち、あるものはこっちと、そんなことでいいんですか、本当に。今の答弁はおかしいですよ。やはり、それは政府として原子力政策をトータルで考えるんですから、そこに一貫性がなきゃおかしいじゃないですか。

 賠償は物すごく大きいものにして、基準はそれよりも低いものでいいんです、そういう考え方は成り立つんですか。

田中政府参考人 原子力損害賠償法は、あくまで、万々が一に事故が起きた場合の、その場合の賠償責任をどのように負担させるかという観点でつくられたものでございます。

 原子力規制の方は、当然ながら、規制庁あるいは規制委員会が行われる規制というものは、事故が起こらないようにどういうことを合理的に規制するかという観点でつくられているものでございます。

 我々の方は、普通に考えますと事故ができるだけ起こらないように原子力施設というのは設置されていると理解してございますが、その上で、万々が一事故が起きた場合の責任を誰にどのように負担させるかという観点で整理したものでございます。

今井委員 全くおかしいです。

 だって、まず、どんな天変地異でも今回のような事故を起こさない、福島のような事故を起こさない、これがまずやらなきゃいけないことじゃないですか。そのための最大のものをつくるわけですよ。だから、そこまでは事業者の責任があるんです。事業者がそこまでやらなかったら、そこは不備だったということで全部面倒を見なさい。わかりますね。しかし、到底想像がつかなかったということが起きてしまった、これは、事業者にさすがにそこから先は全部責任を持たすのは酷だから、そこは免責してあげましょうと。

 これは全部つながっているじゃないですか、考え方。それを賠償と規制の問題は別々ですとおっしゃるのは、それはおかしいですよ。

田中政府参考人 繰り返しになりますけれども、規制は、あくまで事故を起こさないために、さまざまな科学的、技術的あるいは合理的な観点から、どこまで最大限事業者に求めるかという観点でなされているもの、私自身は規制庁ではございませんので、そういうふうに理解をしてございます。

 原子力損害賠償は、当然ながら、特に今回の場合、世界最高水準の安全基準で規制されるというふうに聞いておりますので、そういった中で、事故は基本的には起こらないという前提でお考えだと思いますけれども、我々、原子力損害賠償というのは、その上でもさらに万々が一事故が起きたときのケースを想定して責任分担を明らかにしているものでございますので、規制の基準の立て方と我々の方の原子力損害賠償の責任分担の考え方が一致していなければいけないということはないと考えてございます。

今井委員 今の御答弁を聞いて、大臣、どうお考えですか。

茂木国務大臣 三・一一の東日本大震災原発事故前は、例えばシビアアクシデントに対する対策が不十分であったりとか、規制機関の独立性が欠ける、さまざまな意味で安全神話に陥っていた、こういう反省に立ち、新たな独立した規制委員会というものをつくりました。

 そして、この規制基準は、世界で最も厳しい規制基準ということでありますけれども、事故を起こさないためにつくっております。ただ、絶対に事故は起きないということではなくて、これは規制庁において答弁すべき内容だと思いますけれども、百万炉年に一回以下、こういう形での基準がつくられている、このように承知をいたしております。

 先ほど申し上げたのは、規制につきましては事故を起こさないということでありまして、もう一つ、事故責任と賠償責任というのが出てくる。

 事故責任というのは、起こさない責任もありますし、起きた場合の責任というのも生まれてくる。これにつきましては事業者みずからが負うものである、これが世界の共通認識であります。

 一方、賠償責任につきましては、先ほど来答弁がありますように、天変地異とか予想できない場合は、これを事業者に全て負わせるということは無理があるのではないかなということから、法律の三条というものがつくられていると思っております。ただ、これについては、海外におきましては有限責任の国もあるわけですから、今後、一つは、全体のエネルギーミックスにおけます原子力の位置づけ、さらには、現在行われております福島での賠償の状況等々、これを見ながら原賠法の見直しを進めていくということになると考えております。

今井委員 もちろん、事業者が何か過失を起こして起きる場合もありますから、ここが全く同じというふうにはならないかもしれませんけれども、しかし、基本的にはまず事故を絶対に起こさないような想定で基準をつくるということであって、それは人類が想像できる最大のものを想定して考えるべき。そこに例えば人為的なミスがあったら、それはもう事業者が悪いです。でも、やることを全部やったんだけれども、それでも防げなかったという外のゾーンというのは、基本的に想像がつかないゾーンでありますから、これは免責事項にしてあげるゾーンだと思うんです。

 つまり、この二つのラインというのは限りなく近くないと本来はおかしいんですね。それはまた別問題ですと今おっしゃられたので、そこはやはり、政府ですから、きちっとそれは考えていただきたいということを僕は申し上げた。

 この一問で終わっちゃいましたけれども、これからまたやりたいと思いますが、ちょっと頭出しだけしておきますけれども、これから電力の自由化をするときに、どういう形で最後集約するかはわかりませんけれども、この原子力をどうするかというのは実はとても問題なんですね。

 一つの考え方としては、管理も全部含めて、事業の運営も含めて、原子力にかかわるものは国が全部面倒を見て一つに集約してしまって、ほかの事業者は別の電源でやる。そうすれば、全部責任も国が、明確になるということはできるかもしれません。分散をしていることによってそこの管理がちゃんとできなくなるという問題もあります。

 あるいは、原子力のこの賠償の問題をはっきりさせておかないと、事業者の人たちは、これはこれでいろいろな競争をしたときに、どれぐらいコストが将来かかるのかということで非常にやりにくくなるという面もある。特に、総括原価方式のときはこういうやり方である程度やれたんだと思います。料金である程度できるということができましたけれども、今後それを廃止していくときにおいては、この原子力の位置づけというのは本当にはっきりさせておかないと、電力の自由化自体が大変支障を来す。

 多分同じお考えでいらっしゃると思うので、これは大変難しい問題でありますから、きょうあしたで答えが出る話ではありませんけれども、今後、基本計画が出た後にもこの話をしたいと思います。

 やはり、原子力政策をどうするかというのはきちっと整理する必要がある。この賠償の問題も実はそれの一環であるということをぜひ御認識いただきたいということを申し上げて、最後に大臣から御見解をいただいて、私からの質問を終わりたいと思います。

茂木国務大臣 もし文部科学省と委員の議論の中でかみ合わない部分があるとすると、まさに賠償につきましては天変地異という問題で想定できない、一方で、安全基準に関しましては、そういった地震の問題もありますけれども、オペレーション上のリスクであったりとかさまざまなリスクであったりとか、そういう観点から規制基準というのはつくられるわけでありまして、ただ地震さえ防げればいいという問題ではないということで、そういう安全基準の問題と賠償にかかわる天変地異の問題は一緒ではないということが多分言いたかったのではないかなと私は思っております。

今井委員 それはまた今度やりたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東でございます。

 本日、原子力損害賠償支援機構法、そのままフルで読ませていただきましたけれども、この一部を改正する法律案に関して御質問をさせていただきます。

 さて、先ほど原子力損害賠償支援機構法と読みましたけれども、今回、法目的の追加といたしまして、廃炉などの適正かつ着実な実施を追加ということでございます。廃炉というのは、核燃料の冷却、取り出し、加えて汚染水の処理というのもございます。

 本法案は、廃炉に関して技術的側面から対応策を講じるというのも追加されておりまして、事故対策というのは、言うまでもなく、午前中からの質疑にもございましたように、経済的側面と技術的側面と両建てでやっていかなければいけないんですけれども、国民が願っているのは、廃炉・汚染水対策、そして賠償や除染について、国と東京電力、支援していくというのはわかるんですけれども、まずは役割分担を明確にして、何よりも迅速な対応ということです。

 迅速という言葉もどうかと思うほど三・一一から年月はたっているのですけれども、まずは、大臣、現時点で率直に、復興の現状を見てどのようにお考えになっておられるか、お聞かせ願えればと思います。

茂木国務大臣 福島そして被災地の復興、まだまだ道半ばだと考えております。

 現実に、大変厳しい避難生活を余儀なくされている方はたくさんいらっしゃるわけでありまして、そういった方々がもとの生活に戻れるような状況を一日も早くつくる、こういったことが必要であると思っております。

 もちろん進んでいる部分も出てきておりまして、今月の一日には、田村市で避難指示区域としては初めて避難指示が解除されるなど、福島の復興、再生を軌道に乗せていく、こういう道筋が一つ一つ見えてきていると思っております。

 もちろん産業等の復興も、被災直後から比べるとかなり回復している部分がありますけれども、では生産が完全に戻ったかといいますと、まだ三・一一前には戻っていない。さらには、さまざまな産業において風評被害等々に苦しんでいらっしゃる皆さんがいらっしゃるわけでありまして、こういった皆さんの思いを思いとして、さらに復興を加速化していかなければいけない、このように考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 本法案ではその中の国の責務が定められておりまして、その中に、福島第一原発事故に起因する放射性汚染水の流出の制御が喫緊の課題であることに鑑み、国内外の不安が早急に解消されるように万全の措置を講ずると書いております。

 先ほど大臣の産業の話、特に福島というのは、海産物、漁業その他、汚染水に関する水の問題というのは非常に喫緊の課題だと思うんです。今申し上げた規定に、経済的な側面と冒頭申し上げたんですけれども、まず、予算を伴うものを考えておられるのか、もしくは、今後、予算を伴う措置が発生した場合はどう対応されるのか、お教えください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、法改正の中で国の責務の規定、あるいは附則においても汚染水対策に関する規定を盛り込んでいるところでございますが、これは、東京電力が廃炉の実施責任を有するということを前提に、従来から行ってきた汚染水対策などに関する国の取り組みを法律上国の責務ということで明確に位置づけたものでございまして、今回の法改正によって国と東京電力の間の役割分担を変えるものではございません。

 したがいまして、この条文を追加したから、この条文の規定に基づいて具体的な予算措置を新たに講じる、そういう意図はございません。

 他方、技術的な難易度が高く、国として前面に立って取り組むべきものにつきましては予算措置を講ずるというのは別途行っているところでございますし、今後とも、必要があればそのような取り組みを進めていくという点は変わらないところでございます。

伊東(信)委員 この法律が直接的に予算を伴わないものであるということは理解できました。今後、予算を伴う措置が発生した場合は別途対応になるとは思うんです。

 予算的なことはわかりましたけれども、技術的なことなんです。それを促進するいわゆる諮問機関、有識者のために、廃炉等技術委員会というのがあると思うんです。委員の人選、副理事長を含め役員の増員が盛り込まれていると思うんですけれども、これは、確認なんですけれども、どなたが、どのような方法で決めていかれるのか、教えてください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正によって、委員御指摘のとおり、廃炉等技術委員会という組織が機構の中に新設されます。この委員につきましては、今回の改正法案第二十二条の五の規定に基づきまして、原子力工学、土木工学その他の廃炉等を実施するために必要な技術に関して専門的な知識と経験を有する者のうちから、機構の理事長が主務大臣の認可を受けて任命するという手続を定めてございます。

 また、今回役員の増員をしているところでございますが、機構の役員につきましては、法第二十五条第二項の規定に基づきまして、機構の理事長が主務大臣の認可を受けて任命するという手続になっております。

伊東(信)委員 手続についてはよくわかりました。

 さて、このような委員会、機構が実質的に機能しているか否か、技術的な側面を支える科学的なバックボーンが否かということに関して質問させていただきたいと思うんです。

 昨年の茂木大臣の所信表明に関しての私の一般質疑で一部を資料として提示させていただいたんですけれども、今回は正確な資料を持ってきました。

 三枚写真が載っていると思いますけれども、一番上の右側に写っているのは、モデルは私じゃなくて、うちの男性看護師なんです。

 上から帽子をかぶっています。この帽子は鉛でつくられております。ゴーグルをかけております。このゴーグルは放射線をカットするものであります。襟巻きみたいなものをつけております。これにも鉛があります。エプロンをしていますけれども、このエプロンにも鉛が入っていまして、エプロンだけで一キロの重さがございます。手袋をしています。この手袋にも実は鉛が入ってございます。言ってはなんですけれども、これだけの設備は結構高いです。手袋はディスポーザブルなんですけれども、何万円もします、鉛が入っていますから。

 私自身、整形外科医なんですけれども、透視下といいまして、エックス線を見ながらカテーテルのように手術をしなければいけないので、このような状態で手術をしています。でも、これだけでは怖いので、左側の、凸の形をしたようなシールドがございますけれども、これはガラスの部分も鉛のコーティングをしておりまして、主に二センチぐらいの分厚さがございますか、この防御盾に守られて、そこから、上のちょっと狭くなっている部分から手を出して手術操作を行うようにしています。

 下に、私の持っているバッジがあります。習慣的にフィルムバッジと言いますけれども、フィルムじゃなくてクイクセルバッジというもの、ガラスバッジなんですけれども、これで放射線量をはかっています。黒いのが胸、赤いのが頭と書いてありますけれども、現実は、人間の形をしている黒いバッジを衣服に直接つけて、赤い方の頭と書いてあるバッジをこのエプロンの上につけております。

 これで一カ月はかっているのが、次の外部被曝線量測定報告書というものです。

 このことによって、エックス線、ガンマ線が〇・〇二ミリシーベルト、Sの三、すなわちエプロンの外は〇・五一ミリシーベルトになっているんですけれども、実際、累計でいくと二十二ミリシーベルトになるわけなんですね。

 年間の放射線量から五年の放射線量となるんですけれども、放射線作業者の安全のために線量限度を決めているのがICRP勧告でございまして、一九七七年は放射線作業者は年間に五十ミリシーベルト以下であらなければいけない、一九九〇年は五年間で百ミリシーベルト以下であらなければいけないという基準ができておりますので、私も、仕事ができなくなると困るので、このように手術をしているときは、もちろん国会中は無理ですから、日曜日にたまに今でも手術することがあるんですけれども、はかっております。

 下のところを隠しているのは、これはうちのスタッフのデータが載っていますので、個人情報なので、私の情報だけを流させていただきました。

 さて、私はこのような環境下で手術しているんですけれども、これはわかった上での質問ですけれども、タイベックではこのように放射線、外部被曝をカットすることはできないですね。今、廃炉の仕事に従事されているスタッフの皆さんはタイベックだけ着て仕事をされているわけなんですけれども、この方々は一体何の目的でタイベックを着用されているんでしょうか。

糟谷政府参考人 福島第一原発のサイトの中の放射能を帯びた粉じんが衣服等に付着をして、それにより被曝することを避けるためにタイベックスーツを着ておるものだというふうに理解をしております。

伊東(信)委員 済みません、技術的な質問なので。ということは、外部被曝を防ぐためのタイベックという意味でしょうか、衣服についているというのは。外部被曝ということですか。

糟谷政府参考人 直接的には、衣服につくということを防ぐものであります。それから、全面マスク等のマスクをすることによって、空気中の粉じんを吸い込む、もしくは衣服についた粉じんを再度吸い込むということを防止する。そういうことでいいますと、最終的には内部被曝も含めて防止をするためのものであるというふうに理解をしております。

伊東(信)委員 そうですね。内部被曝ですね。

 では、外部被曝と内部被曝で、外部被曝はシーベルトという単位を使っております。内部被曝になるとベクレルになります。例えば、セシウム137で、成人が千ベクレル、ベクレルというのは放射線を出す能力という意味なんですけれども、千ベクレルであれば、成人へ影響を及ぼす実効線量は〇・〇一三ミリシーベルトでございます。

 さて、今回、汚染水の問題が入っていますけれども、汚染水の処理というのは、内部被曝、外部被曝、どちらを基準にされているのか。確認ですよ。ベクレルなのかシーベルトなのか、どのような基準で今まで進めていったのか、今後も考慮されていくのか、教えてください。

糟谷政府参考人 作業員の方々は線量計をつけておりまして、ガンマ線による外部被曝、それから、タンクなんかに余り近づきますとベータ線の影響も出てまいります。そういう意味で、外部被曝の観点からの線量管理をしております。

 それから、放射線業務従事者の方は必ずしもそうではありませんが、そうでない場合には、ホールボディーカウンターを受けることで、内部被曝についても、サイトに入る前、入った後について確認をするというような手続をとっておるというふうに承知をしております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 放射線従事者に関する御答弁は今のとおりでいいと思います。

 それでは、今回の法案の汚染水の処理というのは、地域の住民の皆さん、もしくは日本全体の国民の皆さんは、今おっしゃられた外部被曝というのは当てはまらないという理解でよろしいでしょうか。

糟谷政府参考人 御質問の趣旨を正しく理解できていないとちょっと間違った答弁になるかもしれませんけれども、原子力規制庁、規制委員会におきまして、敷地境界の線量を下げるようにという規制を先日定められております。

 現在、タンクの中にためております汚染水によって、敷地境界の線量が非常に高うございます。これを、今年度末まで、つまり来年の三月末までに境界で二ミリシーベルトに下げる、さらに、もう一年後、つまり再来年の三月末までには一ミリシーベルト以下に下げる、そういう規制を定められ、それに従ってさまざまな取り組みを始めておるというふうに理解をしております。

伊東(信)委員 このあたりの問題は非常に大事なところでございまして、先ほど大臣の答弁の中にあられました産業にもかかわってくる話なんですね。

 汚染水というのは、現実、海洋へ今も流出しているのでしょうか。これは避けられないものなのでしょうか。しかしながら、いわゆる汚染水の基準というのはどのように決めますか。何分の何という何分のは、海全体のことを言っているのか、すくい上げた水のことなのか。何ベクレル以下ならば大丈夫だとエネルギー庁の方では認識されているのでしょうか。

糟谷政府参考人 これは原子力規制委員会の所掌に属するところでございますけれども、従来、告示濃度基準というのが定められておりまして、水中の排出時における放射線濃度については、その水を通常毎日二リットル飲んで、一年間飲み続けた場合、七百三十リットル飲むことになるわけでありますが、その場合でも被曝量が一ミリシーベルト以下に抑えられる数値ということで、告示濃度基準が定められてきたというふうに理解をしております。

 ただ、先ほど申し上げた規制委員会の規制におきましては、気体による敷地境界での放射線量、固体廃棄物から出る敷地境界での放射線量、それから液体廃棄物から出る放射線量、これを合わせて最終的には一ミリシーベルト以下にするように規制されているというふうに理解をしております。

 その意味で、気体廃棄物、固体廃棄物、液体廃棄物合わせてのカウントでありますので、液体廃棄物だけ取り上げてどうこうということではなく、トータルとして敷地境界で一ミリシーベルト以下になるようにという規制を受け、それに従うように最大限取り組んでおるところでございます。

伊東(信)委員 ということは、基準としては、外部被曝をやはり基準にされるというような理解になるんですけれども。

 先ほどちょっと御答弁いただけなかったんですけれども、まず、言いにくいかもしれないですけれども、海洋へは今も汚染水は流出しているのでしょうか。その場合、その汚染水からどれくらいの内部被曝をすればどのような影響が出るのか。先ほど、お水の話はよくわかりました。逆に、どれぐらい内部被曝すれば健康被害になるかというような基準は認識されておるのでしょうか。

 まずは、海洋に今も流出しているのか。それともう一つは、逆に、健康被害になる限界量というのは、内部被曝の場合、幾らになるかというのは認識されていますでしょうか。

茂木国務大臣 詳しい数値等々につきましては、この後、政府参考人の方から答弁をさせていただければと思っておりますけれども、汚染水の港湾への流出は主に三・一一の事故直後に起こったものでありまして、そしてこの汚染水の影響は港湾の内、大体〇・三平方キロメートル以内に限定をされている。定期的にモニタリング検査を外洋等々で行っておりまして、福島県沖を含めまして、外洋におきましては、この汚染水の影響は、定められた基準値以下、もしくはND、測定できない値にとどまっている、このように承知をいたしております。

糟谷政府参考人 汚染水についてですけれども、まずタンクの中の汚染水は、漏れないようにしっかりと管理をいたしております。ただ、事故の後、爆発によって出た、フォールアウトといいますが、放射性物質が地表等に残っておりまして、これが、雨が降ったりしたときに排水路などを通じて出るということがございます。したがって、今、排水路の清掃とかそういうことをやっているところでございます。

 どういうことになるとどういう影響が出るかということにつきまして、資源エネルギー庁の立場でお答えするのが余り適当とは考えておりませんが、我々としては、少なくとも、規制委員会を初めとした規制当局で、こういう規制をしっかりと守る、守るべきであるということにされた規制をしっかりと守っていけるように促してまいりたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 特に茂木大臣に答弁していただきましたけれども、政府参考人は要らないんじゃないかというぐらいの正確な、そのとおりです、〇・三平方キロメートルでモニタリングをするわけです。

 ここに、コップに水が入っていますけれども、インクをぽたっと落とすと、まずインクの固まりがありますけれども、まぜることなく、ほっておいてもこのインクというのは薄まりますね。薄まるのは、なぜ薄まるかというと、拡散するわけです。何で勝手に拡散するかというと、自然界というのは、エネルギーの高い方から低い方に流れる以外に、もう一つ、エントロピーの法則というのがあります。つまり、乱雑な方に乱雑な方に満遍なく広がるという法則がありまして、これが自然界の二大法則のうちの一つなんですね。

 それが海洋に入った場合、海洋全体に広がるように出てきます。その場合、事故直後のものは、申しわけないことに、広がります。だけれども、そういう自然界で、それは人体への影響がどれだけあるのか。つまり、海洋物、二枚貝とかだったら、例えばノロウイルスとか、カキを食べると集積するのは、海に広がったノロウイルスを二枚貝が集めるからなんですね。だから、そういったところで、海洋物への影響があったりするか否かを、この内部被曝も含めて、大丈夫だよということを政府が科学的に検証してあげることが産業への後押しになるのではないか、そういった御質問でした。

 今も海洋へ汚染水は流出しているんでしょうかという質問は、事故後の核の廃棄物というのは、核燃料の廃棄物というかデブリとかは過去のことなので、今後出ないような対策というのが必要だと思います。

 先ほど御答弁の中で、今後、医療的なこと、人体への影響、いろいろな技術的なことが課題であるとお答えいただきましたけれども、近年、原子力関係の学科、特に大学、大学院では減少しておりまして、やはり研究者や技術者が減っていくことが懸念されております。

 原子力という科学は、そもそもの理論はアインシュタインが発見したんですけれども、原子力の技術、理論は悪ではないんですね。原子力発電、発電という技術も悪ではないんですね。事故を起こした原子力発電所が、人類への、人体へのいろいろな悪影響を及ぼす、そういったことでございまして、では、それを、国を挙げて、民間を挙げて何とかしていこうということなんです。今回は特定原子力施設の廃炉ということでございますけれども、原子力の技術、研究自体とはまた別問題なんですけれども、そのことを踏まえて、グローバルな人材が育っていく環境を整える必要があると思うんです。

 今後の原子力専門の技術者の確保について、政府としての、本当は文科省に聞くべきなんですけれども、何か所見はございますでしょうか。

茂木国務大臣 エネルギー基本計画、まさにこれから最終的な閣議決定を行う、こういう段階に入ってきておりますけれども、そこの中で、この原子力を安全に使っていく、さらには廃炉を進めていく、さまざまな意味で技術の蓄積、そして人材の確保ということが必要でありまして、そういったものに必要になる確保していく規模、こういうのを見きわめる、こういったことを今回の計画の中にも書き込ませていただいたところであります。

 ちなみに、ヴィヴィアン・ウエストウッドのネクタイ、大変似合っていると思います。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 このヴィヴィアン・ウエストウッドのネクタイ、一見惑星のように見えるんですけれども、実は違うんです。これは原子核と周りを回っている電子というイメージで、さすが茂木大臣というところで、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

富田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。

 始まる前にちょっとお話しさせていただきまして、どうも済みません。

 全然話は別なんですけれども、今のヴィヴィアン・ウエストウッドの話で、小保方さんがつけていらっしゃったのはヴィヴィアン・ウエストウッドの指輪だったので、きょう、今ぐらいに多分会見されているんだろうな、どういうふうな行方になるのかちょっと気になるところでございます。

 話をもとに戻しまして、原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 まず最初になんですけれども、この法案の中身を見ていると、今まであったところから何が変わっているのか。一番大きなところは、廃炉それから汚染水対策も含めた部分が明記されるということで、より範囲を広げるというのか、実態に即したような法案にしていくんだというところが入っているということで、非常にそこは評価すべきところなんだろうというふうに私は思っております。

 そこで、まず質問させていただきたいんですけれども、では、その廃炉をここでこういう形で規定するということで、今現在、実際に福島第一原発で廃炉作業に対して政府がどういう形で取り組みをされているのかということを具体的にまず、ちょっと漠としておりますが、聞かせていただきたいので、お願いいたします。

糟谷政府参考人 九月に、廃炉・汚染水対策を東京電力任せにせず、国も前面に出て取り組むということを決めましたときに、廃炉・汚染水対策現地事務所というのを設立いたしました。ここに関係省庁から職員を配置いたしまして、現場レベルで迅速な対応が可能となるように設置をしたものでありまして、現在十七名の職員を配置しております。

 福島第一原発の免震重要棟ですとか、第二原発にある安定化センターにも拠点を確保いたしまして、現場の状況を把握、確認しております。また、定期的に福島第一原発のサイト内を巡回いたしまして、現場の作業の進捗ですとか課題の把握、解決に努めております。また、貯水タンクからの汚染水の漏えいなどのトラブルが発生した場合には、速やかに現場に入りまして、必要な対策について指導等も行ってきております。

 それから、赤羽副大臣が議長を務める廃炉・汚染水対策現地調整会議などの場も活用しながら、現場で起きます課題への対応策を検討したり、その工程管理を現場の視点できめ細かく行ってきております。

 加えまして、福島第一原発で作業に携わる関連企業の声を直接聞くという取り組みもしております。これは、元請、ゼネコン等の事務所を定期的に回りまして、現地事務所だけじゃなくて、私も出張しましたときにうまくアポが入れば回るようにしておりますけれども、作業環境などの課題を現場で作業に携わっておられる関係企業の方々から直接お伺いして必要な対応を促していく、そんな役割も果たしてきておるところでございます。

木下委員 ありがとうございます。

 いろいろな役割をされている、十七名いらっしゃるというお話、それから、いろいろな形で、巡回をしたり、課題を把握するようなことをしたりと。もう一つやはり評価できるところは何かというと、現場の作業員の声を直接聞く。そのためには、何があってもやはり現場にいて、そういう役割を担っていく人たちが政府としているというのは非常に大きなことだなと思っていますので、私は、これをこれから先も徹底していってほしいなというふうに、せっかくこういうふうな形で法案を修正して、余り言うとあれですが、もっと大手を振ってできるようになっていくんだと思っておりますので、ぜひともお願いしたいんです。

 その上で少し聞かせていただきたいんですけれども、そうはいいながら、昨年来、私がこの経産委員会の中でいろいろとお話をさせていただいておりますが、ミスがやはりなくならない。そのミスがなくならない一つの原因は何かといいますと、予想されることとしては、やはり現場の環境が余りよろしくなかったという部分。

 これについても、東電の廣瀬社長が常々ここで御答弁いただいておりますが、徐々に徐々にではありますが環境が整備されてきて、働きやすい環境にしていこうということで、大変厳しい環境ではありますけれども徐々に進捗はしている、ここも非常に評価されるべきことだと思っています。ただ、それに甘んずることはやはりあってはいけない。

 それを考えたときに、ことしになってからもいろいろなミスがあります。報道されているベースで私がさあっと見てみますと、二月二十日も、「二・三億ベクレルの汚染水」「基準の三百八十万倍 百トンも」という形で、これは共産党さんの赤旗の報道で、よく調べていらっしゃるなというふうに思ったんですけれども、そういうことが書いてあった。

 あと、二月二十五日は、電源ケーブルを掘削している際に傷つけてしまった、それによって四号機のプールで冷却が一時停止というふうな形が起こっていた。

 ALPSにふぐあいがあって全系統を一旦停止した、これは三月十八日。

 それから、四号機の燃料を移送するクレーンが故障して作業が停止した、これは三月二十六日ですね。

 あとは、港湾外のセシウムの濃度が急上昇したというような話。これは四月になってからのお話です。

 ミスというものもあれば、現象が特定されていないものも含めて、いろいろな問題が起きている。

 私が最初に、政府はどういうことを取り組まれていますかと言ったのはここで、特に、人為的ミスがあったときにどういうことを政府の方々があのサイト内でやっているのか。

 一番大きなものが、最初に言いました百トンも汚染水が流れ出していたというところ。これを見ていると、警報が鳴りました、東電の方がただ巡回をして目で確認したけれども漏れているところは見えなかった、後で見てみたら物すごく水が流れていた、警報は誤報だったという判断をしたと。

 私が疑っているのは、これは本当にそうだったらちょっと悲しいんですが、そこの現場にいる政府関係者が、その報告を受けて、それだけで判断しているのではないか。今首を振られていますけれども、では、どういう形のことをやって、どう判断したのかということだと思っております。

 本来は、何かがあったときに、二重チェック、それ以上の徹底チェックを行うために人がいるべきだと思っているんですが、実際にはどういう感じのことをやられているのかということを、もう一度御答弁いただけますでしょうか。

糟谷政府参考人 二月十九日夜の百トンのタンクの漏えいについては、弁が二つ、本来閉まっているべきものがあき、あくべきものが閉まっているという操作が一定の時間になされていて、その間に、本来汚染水を送る予定になっていないタンクに汚染水が送られたために上からあふれたというものでございます。

 この漏えいの事故の後、すぐ翌日に現地事務所の所長を初め現場に入りまして、操作をされたという二つの弁、この二つが一体どういう位置関係にあるか、どれぐらい離れているのか、そういうところも確認をし、また弁の管理がどういう形になっているか、弁というのは手であくわけじゃありませんで道具であけるわけですけれども、その道具がどうなっているか、そういうあたりを確認しました。

 そういうことを踏まえて、弁の管理の徹底ですとか、それから警報が鳴ったときの対応策も、水位を確認するということだけ手順書には書いてあったんですけれども、どういう形で確認をするかということが書いてありませんでした。本来、タンクの上から水位を見ればそれが上がってきているということは確認できたはずでありました。昼間の時間に警報が鳴りましたのでそういうことはできたはずでありましたけれども、下から見上げて漏れていないということで、誤報だというふうに判断をしてしまった。それは手順書の水位を確認するという確認の仕方がまずかったんじゃないか、そこを改めるべきじゃないか、そういう指導をいたしております。

 本来、こういうことは一つ一つ全部前にできればいいんですけれども、今回、事後的になってしまったところは痛恨のきわみでありますが、可能な限りそういうことに気を回して、ここはどうなっているか、これは大丈夫ですか、こういうリスクにはどう対応しますか、そういうことを問いかけることによって、こうした汚染水の漏えいということを二度と引き起こさないように対応してまいりたいというふうに考えております。

木下委員 これ以上追及するような話ではないのかなと思っているんですが、今の御答弁を聞いた上で、私はそういうふうな判断をさせていただきます。

 ミスをすることによって、次にミスを重ねないということを今お言葉で示されたんだというふうに私は判断させていただきましたが、そうはいいながら、物理的に本来あいていてはいけないところがあったりした場合に、警報が鳴っているのにそこまで確認しないというのは余りよろしい話じゃないのかなというふうに思っていて、ここはそういうことを余り追及してもしようがない。ただ、しようがないと言ってはまたこれはしようがないんですけれども、これから先も、こういうことを経験しながらも、次につながるように、改善されるようにやっていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 なぜこういうふうな話をするか。これも以前からちょっと私はお話しさせていただいているんですけれども、やはり責任が明確ではないからそういうことが起こっているのではないだろうかというふうに私は思っております。責任がないというわけではなくて、それぞれがそれぞれの持ち場に応じていろいろな役割があります。それを徹底していくということは、必ずやっていかなきゃいけないこと。

 ただ、これも前回からずっと言わせていただいていますが、本来的に、自分のものであるものはしっかりと見ていくんだと。ただ、自分のものでないものはどうしてもおろそかになってしまう。間に、例えば今回の場合であれば、政府の関係者の方々がチェックをするより先に、東電の方にそもそもこれは責任分担があるんだというふうな考え方があるからこういうことが起こってしまうのではないかなと私は思っているんです。

 そこで、話を少し飛ばしますと、前にちょっとお話しさせていただいたのは、廃炉・汚染水対策といったときに、今よく言われている、前々から話があるのは、凍土壁であるとか多核種除去装置であるとか、そういうものを今回の法案の中でうまく規定していって、しっかりと政府として支援していくんだ、お金を出していくんだというふうなことが書かれていると私は思っているんです。

 これは前々からお話しさせていただいているんですけれども、私は、これこそが政府がみずからの資産として、これはなぜかというと、政府が事業としてやっていくというふうに言っているわけですから、これも何度も繰り返し同じことを言わせていただいておりますが、やらなければ、今起こったようなものというのは、その部分にとってみてですけれども、なくならないんじゃないかな。この責任の分界点というのは非常に重要なことなんだろうと私は思っておりまして、そういうお話を前々からさせていただいています。

 それについて、二重の答弁になってしまっては申しわけないので、前回から大臣がどういうふうにお話しいただいているかというと、大きく言うと、まずは全体を挙げて今の状況を打開するんだ、責任分界というふうなことよりも、まずは食いとめるんだということが重要だから、それについては、何がどうこうというんじゃなく、一丸となってやっていくんだというお話を以前にはされていたかと思います。

 ただ、今回こういうふうな法案で改正部分が入ってきたということは、そういうことも含めて、もう少し突っ込んだ形で、政府としてバックアップできることは何なのかということも含めて明らかに言及されていると思っているんですけれども、今後を考えたときに、やはり支援のままであるものなのか、それとも、事業としてやるというからには資産として政府がそれを持ってやっていくべきなのか、私はそう思っているんですが、その辺について、もう一度大臣の御答弁をいただければと思いますが、よろしいですか。

糟谷政府参考人 東京電力は、福島第一原子力発電所の炉の設置者でありまして、原子力発電所の中を非常に熟知しております。法律上も一義的に廃炉を進めていく責任を負っておりますし、そういう人々が今までの知見を生かしながらしっかりと責任を持ってやっていくことが基本であるというふうに考えております。その上で、国も前面に出て東京電力のそういう取り組みを一体となって支援していく、進めていくということでございます。

 今回の法律案によりまして、ともすると、汚染水問題などの短期的な対応に追われて、中長期的な廃炉戦略の検討に必ずしも東京電力は十分注力できる状況にはこれまでありませんでした。特に、燃料デブリの取り出しや廃棄物の取り扱いなど、終了までに三十年から四十年程度かかる廃炉の着実な実施に必要となる専門的、技術的な支援を行う体制を構築したいというふうに考えているところでございます。

木下委員 確かにそういう側面もあるということを私は否定するものではないんですね。ただ、先ほど言われたように、今、福島第一原発についての知見という意味では、当然のことながら東電があるということは確かですし、そういうやり方をやっていってもおかしくはないと思うんです。

 ただ、先ほど来言っています、環境が整備されていって、もう少し体系的に知見を全体で集積していくということが必要になってくる。そうなったときに、福島第一原発、これは実際に収束させなければいけないことなので東電なのかもしれませんが、全体的な利益を考えたときには、政府が知見を集積していく部分も出てくるのではないかと思っているんですね。

 そこの一つ一番大きなところというのが、やはり廃炉作業のプロセスという知見は政府が最終的には持たなければならないのではないかと思っているんです。

 というのは、これから先、日本国内であり、もしくは日本国内ではなく周辺国であったとしても、同じような事象が起こらないとも限らないわけです。

 例えば、あす、どこかの原子力発電所が同じような状況になった。そうなったときに、日本は福島第一原発でこういうふうな経験をされている、では、どういうふうにして対応するのか教えてくれと言われたときに、今の状態で何かしらの知見を持って協力することが本当にできるのかどうか。

 これは、私はいろいろな面ではやり得るとは思っていますが、体系的に整理されていて、しかもその知見を政府が持っていなければ、いや、東電が持っていますから東電を派遣しますというふうなことには絶対ならないですよね。一部の人間はあるかもしれないですが、東電は今それだけの体力がない状態にあるというふうに、先ほど来、午前中の答弁等々でも、お話を聞いていてそう思ったんです。

 そういうことを考えたときに、やはり今の廃炉のプロセス、廃炉作業についての知見というのは政府が持つべきであって、そういうことから考えても、今行われている作業というのは、ここで書いてある支援金、支援事業だというふうなことを超えて、我が国が政府として知見をためるべきではないかというふうに思っているんですけれども、この辺についてもう一度御答弁、もしくは御所見等々がございましたら。

茂木国務大臣 木下先生はこういった問題について、書籍だけではなくてDVD等々も駆使をされて、よく勉強されているというように承知をいたしております。

 政府として、全体のプロセス管理であったりとかさまざまな技術等々について知見を持つことは必要だと思っております。そこの中で、実際に現場で作業する知見といいますか能力であったりとか、それがどうしても事業者の方に現在ある中で、全体の管理監督であったりとかさまざまな助言を行う、こういうことについては、国としてといいますか、知見を蓄積していかなければいけない。

 今始まったばかりの作業でありまして、本当の意味で全体のプロセス管理ができるまでの知見というのにはある程度一定の期間はかかるかもしれませんが、そういったものがまた海外での原子力の平和利用であったりとかにも利用できる、共有できる、こういった状況はつくってまいりたい、このように考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 きのう、実は大臣とDVD屋さんでお会いしたので、それをお話しいただいたんです。そういうお話です。普通のDVDでございます。きょうの質問に際して、何かいい書籍等々があるかなと思ってお互いちょっと見ていたというところでございます。ありがとうございます。

 少し話が飛躍してしまうのかもしれませんが、きょう、文部科学省の方からもお話ししていただけるということで、ここに陪席いただいております。

 この流れの中でやはり一つ大きな問題というのは、もともとの原子力損害賠償法という部分だと思っております。それは、今の話で、支援金にするのか、それとも資産にするのかということも含めてだと私は思っているんです。

 これも前回お話を聞かせていただいているんですけれども、廃炉、汚染水などの対策というのをどの法律に基づいてやっているのかというふうなお話をさせていただきました。それは、この機構法ではなくて、原子力損害賠償法の中で何かしらの条文を解釈しているのかというふうな話を聞かせていただいたときに、文科省の方からは、原賠法自体は被害者の損害賠償を定めたもので、違うんだというふうなお話をされていました。

 ただ、そういったことが、今回の機構法の中でこういう廃炉とかいうことを明記したことにつながったんじゃないかなというふうに私は思っているので非常にうれしいんですけれども、もともとこの機構法の中にも早期に見直していくんだというふうに書いてあるにもかかわらず、いまだに手つかずの状態。先週も、原子力発電の輸出に関しての対外的な条約を結んだり、それからCSCという条約を結んだりというふうなことをしていったときに国内法の整備というのは必ず必要になってくる、これも前にお話をさせていただいたところなんです。

 これを踏まえて、今後、原賠法を改正していくおつもりはあるのかないのか。あるとすれば、どういう点について、どういう形で変えていこうと思っていらっしゃるのかということをお話しいただけますか。

冨岡大臣政務官 木下委員の質問にお答えしたいと思います。

 これも午前中そして午後からの質問でお答えしているつもりなんですけれども、被害者の救済をやはり第一義に考えなくてはいけない、その法律でございますので、随時、附則にあるような見直しを文科省としては行っているつもりでございます。

 つまり、原子力損害賠償紛争解決、ADRセンターの整備も行っています。また、時効特例法の延長もその延長線上にあると解釈していただければと思います。また、当委員会での法案の審査も、その一環として私たちは取り組んでいるところだとお考えになっていただければと思います。

 すなわち、原子力損害賠償制度のさらなる見直しについては、今後、閣議決定するエネルギー基本計画における原子力の位置づけ等を勘案しつつ、現在進行中の福島の賠償等の実情を踏まえながら、総合的に必要があれば検討を進めてまいりたいと思っております。

木下委員 総合的に必要があれば検討を行うと。これは必要がありますよ。あればじゃなくて、ある。あるから変えていただきたいということなんです。これはなぜか。先ほどもそういう理由をしっかりとお話しいただいたんだと思うんですけれども、これは全てにかかわってくる。

 先ほど大臣が御答弁いただきましたが、エネルギー基本計画がこれから出てきます。そういうことも含めて考えたときに、これはうちの維新の会の足立委員が予算委員会でも話をしていたんですけれども、これから先、原発を再稼働するといったときに、必ずそれまでの間に明確にしておかなきゃいけないのは、この原賠法だと私は思っております。原賠法だけではないです。当然、総合的に何がどういうふうになっているか。

 この機構法だけで全てが網羅されているわけではないと思っているので、ここは明確に必要があるんだということで、これは文科省だけでやるのは正直苦しいんだと私思っているんです。うなずいていらっしゃいますが。それも含めて、経産省だけでも無理でしょうし、文科省だけでも無理。政府一丸となって、これをどういう形で変えていくのかということを明確にしていっていただきたいと思っております。

 大臣、何か御所見がありましたらお願いいたします。

茂木国務大臣 附則六条一項、二項におきまして見直しが求められているわけでありますから、それに沿って、関係省庁とも協議しながら検討を進めたいと思っております。

木下委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 時間がもう少しだけあるので、もう一つだけ。

 これも午前中からお話があったので深くはお話ししませんが、一般担保つき債券のお話、私募債のお話です。

 これは馬淵委員が午前中、相当詳しくお話をされていたので余り言及はしませんけれども、本当に将来的にはなくしていくおつもりがあるのかどうかということなんです。この一点だと思っております。やはりしっかりとこれは政府として明確にしていくべきだと思っているんです。

 確かに、今の状態の中でどうこうというふうに言ってしまうと、金融機関に対する関係とかそういうものも含めて相当難しいところだと思うんですが、まず、本当であればスケジュールも含めて線引きをしていくべきだと私は思っているんです。

 そこができないにしても、将来的には、やはりこういう一般担保つき債券があった場合には、大臣が目標とされています市場の自由化といったものの妨げにも当然のことながらなるでしょうから、その辺についてどういうふうなお考えをされているかということ、これは繰り返しになりますけれども、最後に一言お願いできればと思います。

茂木国務大臣 将来的には、一般担保がなくても事業者が資金調達に支障を来さない、こういった状況が望ましい、これは誰が考えてもそういうことになってくると思っております。

 今、東電におきましては、私募債の見直し、主力行を中心に要請を行っているところでありまして、実際に協議が進んでいる、このように承知をいたしております。

木下委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 きょうは私的な話も少しまぜましたけれども、これからもよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高です。

 引き続きまして、機構法の一部改正法案、私からも質疑させていただきたく存じます。

 きょうは、東電の方にもお越しいただきましたので、まずは東電の方にお伺いしていきたいんです。

 我々経済産業委員も、昨年、福島第一原子力発電所の方に視察に伺いまして、ずっとニュースになっておりますいわゆる汚染水が漏れたタンクにつきましても、我々、現地を案内いただいて、この目でしっかり見させていただきました。

 あのとき見させていただいた感想としまして、私としても、かなりの量のタンクがふえてきているなというのは、あの場でも、去年の段階でも感じたところでございますが、一方で、汚染水はどんどん今とめどなく流れているところで、必死にとめようと努力されているということではありますけれども、ただ、やはりふえている。

 そうした中で、この汚染水の貯蔵タンクの建造をどうやってしていくかというところは非常に大きな、東電さんとしても悩ましいところであり、そして課題だと思うんですが、報道ベースでございますけれども、来年の三月末までに八十万トン分を確保するという報道が出ておりましたけれども、これは事実でございましょうか。

 そしてまた、やはりこの問題、ふやしていくのはいたし方ないんですけれども、周辺の土地を見ても、土地はもちろん限りがありますし、一方で、処理をされても、あのときの説明だと、トリチウムに関しては最終的には除去できない、残ってしまうということでございました。

 そのトリチウムが含まれている水自体の取り扱いについても、やはり最終的にどうするのかというのを長期的視点で考えていかなければ、報道を見ていても、どんどんふえていく、先の見えない、出口の見えない戦略のように捉えられてしまうと思うんですけれども、このあたり、東電さんとしてどのようにお考えなのか、お答えいただきたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のタンクの容量でございますが、今、急ピッチで建設する計画をつくっておりまして、一年後、来年の三月末までに、汚染水をためる、貯蔵容量として八十万トンのタンクを用意する、そういう計画で進めておるところでございます。

 もちろん、今後これをどうしていくかということでございますけれども、一つ、まずはそのタンク、毎日四百トン流れ込んでいると言われている部分について、これを少なくすれば、極端に言えばゼロにすればそこの段階で量はスタティックな状態になりますが、今はまだふえておりますので、どんどんつくっていかなければいけないということです。

 まずは、いかにその四百トンを減らすかということで、地下水バイパスのくみ上げをきょうから始めさせていただきましたが、地下水バイパスも一つですし、これから、凍土壁等々も含めて、いかに四百トンを減らしていくかというのが一つの大きな課題だと思っております。

 一方、多核種除去設備を通した後、いわゆるALPSを通した後の水は先生御指摘のようにトリチウムが残りますので、このトリチウムをどうやって取っていくかというのも大きな課題の一つでございます。

 御存じのように、なかなか難しい技術であるとは思っておりますけれども、これも、今、経済産業省さんの方で公募をやっていただいておりますし、また汚染水処理対策委員会の方でもタスクフォースを組んでトリチウムの今後についても御検討いただいておるところでございますので、そうしたものを含めてしっかりやってまいりたいというふうに思っております。

茂木国務大臣 今の廣瀬社長の答弁で間違いないんですけれども、一番大切なことは、汚染水をふやさない、抑制をするためのさまざまな対策をとっていく。

 こういった中で、今回、地下水バイパスにつきまして、大変厳しい状況の中で、地元の漁連の関係者の皆さん初め、苦渋の決断をしていただいた。我々として、敬意を表し、しっかりした管理体制をしきながら地下水バイパスの事業を進めていきたいと考えておりますけれども、こういった、汚染水をふやさないということが一番重要であります。

 同時に、発生してしまった汚染水も、これは六十三核種ありますけれども、最終的にはトリチウムが残ってしまうにしましても、ALPSを通す、多核種除去装置を通すことによりまして、より危険度の高い六十二核種につきましては除去できるといいますか、検出値以下に抑えることができるということでありまして、同じ汚染水でありましても、危険度からいいますとかなり低減された状態に保てるという形になってまいります。

 このトリチウムにつきましては、残念ながら、今のところこれを除去する技術というのは開発できておりません。このトリチウム水について、今後どういう保管の方法をするか、また処理の方法をするか、これは今後の課題としてしっかり検討してまいりたいと考えております。

丸山委員 しっかりやっていただきたいところなんですが、少しスケジュール感のイメージを国民の皆さんに、このスケジュール感はどれぐらい、五年なのか十年なのか、二十年なのか五十年なのか、このあたりをお聞かせいただきたいのです。

 一方で、同じような流れとしまして、これも報道ベースで伺ったところなんですが、今後、この発電所の廃炉作業を進めていく中で、十三年後までに発生する瓦れきの量を試算されたというのも伺っております。瓦れきを最終的にいろいろな方法で、濃度が低いものはアスファルトにされるとかいうのも伺ったんですけれども、一方で、最終的には保管する施設が二十五メートルプール二百杯分ほど足らないんだという形の話も聞きました。

 汚染水の話もそうですし、今後の廃炉のときに出てくるこの瓦れきの話も、汚染されているものが残ってきたときに最終的にどうするのかというスケジュール感も含めて、このあたりは非常に国民の皆さんも関心のあるところだと思うんですが、あわせましてお答えいただきたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘は、今週の月曜日に現地調整会議というところで私どもからもお示しさせていただいたものでございます。

 瓦れきの貯蔵についてですが、もちろん今、当面の貯蔵について鋭意進めておりますが、一方で、これから長く廃炉、廃止措置がずっと続いていく中で、地元の皆さんたちも含めて将来像をお示ししておく必要があろうということで、御指摘のように、十三年後の二〇二七年までに五十六万トンの瓦れきが出るだろうというのを試算してございます。

 そのうち、御指摘のように、汚染の少ないものはリサイクルしたり減容化したりということをして当然減らすわけですが、十六万トン分についてはどうしても保管していかなければいけないということで、今おっしゃったプールの容量に匹敵するのがそれでございます。ですから、それは何とかつくっていかなければいけないということで、今現在、発電所の中にレイアウトを検討しまして、それをまずはとにかく保有、保管していくということです。

 それを将来どうしていくのかということは、これをまた分別する必要もあるでしょうし、それぞれの濃度、そのほか形状によってこれからの最終処分の方法についても検討していかなければいけないということで、そこについては実はスケジュール感はまだ持ち合わせておりませんけれども、それをこれからやっていくということだと認識しております。

丸山委員 東電さんの方ではスケジュール感は現在では持ち合わせていないということですけれども、このように数字で明確に出されることは非常に国民の皆さんにとってはわかりやすいことで、よいと思うんですけれども、一方で、数字が出てくると逆に、ではこれをどうするんだというのが自然に、やはり人の感情、気持ち、考え方として、そちらの方が気になるところです。こちらも、やはり計画は大事だと思いますので、なるべく早目に計画を、ずれることももちろんあるのはわかりますので、わかりやすいように国民の皆さんに東電さんの方でもお示しいただきますようお願いします。

 政府としまして、最終処分のスケジュール感、先ほど大臣に少しお話を聞きましたけれども、一方でスケジュール感に関しましては御言及がなかったように思うんですが、このあたりはどのようにお考えですか。

糟谷政府参考人 廃炉につきまして、昨年六月に改訂をいたしました中長期ロードマップにおきまして、スケジュールについての考え方を示しております。

 もちろん、生じます廃棄物については、分別した上で、資源として再利用できるものは再利用し、再利用できない廃棄物も、減容化を行った上で、まずは敷地内で安全に保管をするということが基本であります。それから、適切に遮蔽をして放射線の問題が起きないように、また飛散を抑制するために地下ですとかカバーの下に保管をするとか、そういう対策は当然必要になるわけであります。

 その上で、この瓦れきも含むさまざまな廃棄物について、その性状とか特性を把握した上で、処理処分のための調査とか技術開発を行いまして、二〇一七年度までに処分の考え方について見通しを得たいというふうにロードマップ上定めております。

丸山委員 今のお話ですと、二〇一七年度までということは、政府としては、三、四年ほどである程度の見当が出てくるということでございます。

 東電としては、これに大体合わせるようなイメージということでよろしいんですか。

廣瀬参考人 一七年ごろまでに、そうした研究開発をどうやってやっていくのかというようなことを踏まえて、それを決めていただいて、それに基づいて、我々としても、しっかり管理をするなり、ためるなりということをやっていきたいと思っています。

 それから、先ほど私、一部、何万トンというふうに申し上げたかもしれませんけれども、これはいろいろな形状のものがございますので、万立米でございます。済みません、訂正させていただきます。

丸山委員 二〇一七年、三年後、四年後という意味でも、非常に遠いようで近いと思いますので、このあたり、それまで非常に御苦労もされると思いますけれども、しっかりと道筋をつくっていただいてやっていただきますよう強くお願いします。

 もう一つ東電さんにお伺いしたいのは、あのとき、汚染水の問題で視察させていただいてとても印象的だったのは、廣瀬社長に御案内いただいたときにお話しされていたことで、起こったことに対して対応がかなりいっぱいいっぱいになってしまって、どうしても東電単独では限界があるという形のお話もされていて、それが非常に印象的で、それを伺った後の臨時国会の委員会でも、やはり東電単独では限界があるというお話をさせていただきました。また、受けて、政府の方でも、国が全力で、前面に立ってやっていくという話が出てきたところでございます。

 一方で、この汚染水の問題は、ずっと次から次と出ているのが現状で、この原発の汚染水について国民の皆さんのお話を聞いていると、どうなっているんだろうとおっしゃるのが現実でございます。

 そういった意味で、一番昨今で大きかったものにおきましては、本年の二月に百トン程度の高濃度の汚染水がタンクからまた漏れたというお話がありました。

 あのときのお話を伺っておりますと、たしか委員会でも触れられたと思うんですけれども、人為的なバルブの操作等が原因の可能性があるというお話がありましたけれども、これはそのような認識でいいのかどうか。そして、あれから少し時間がたっておりますけれども、これは原因究明が非常に大事でございます。再発防止の点もそうですし、もし人為的な問題であるのであれば、やはり特別な話なので、より特別な対応もとらなければならないと思うんですけれども、このあたりの原因究明について、東電の現状をお伺いしたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 二月の十九日に発生した事象でございまして、本当に御心配をおかけして申しわけございません。

 その後、先生御指摘のように、弁の操作について、私ども、社内で、その場にいた人間、あるいはそうした操作をする人間、延べ百六十九名、七十二時間にわたっていろいろ事情を聞かせていただくというようなことをやっております。また、ビデオの映像等々が残っているものにつきましてはそれを確認するというようなことをやってまいりましたが、ただ、残念ながら、今のところ、これだという確定的な証言や証拠が得られていないのは事実でございます。引き続きまして、今後もそうした調査をやっていくという考えでおります。

 ただ一方で、今回の事象を振り返ってみて、やはり根本的な問題は、アラームが鳴って見に行ったのにふたをあけて見なかったであるとか、あるいは、本来行くべきタンクの水量がふえていかなければいけないのに、途中でとまって水平になっちゃっているものについて気がつかなかったというようなこと、幾つか課題が残っておりますので、それをしっかりやっていくということで、皆様方に、こうしたことを二度と起こさない、少しでも御安心いただけるようなことはやっていかなければいけないと思っております。

 モニターをちゃんとダブルチェックするであるとか、アラームが鳴ったら自動的にまずは送っているポンプがとまって、そういうインターロックをかけてまずはとめるであるとか、もちろん、パトロールに行って何をしなければいけない、ちゃんとふたをあけて水位を見ろとか、そういったマニュアルの類い、手順書の類いもしっかり整備しなければいけませんし、何より、弁に鍵をつけて、簡単に弁の操作ができないようにするなど、そうした対策をハード面それから気持ちの面も含めてしっかりやっていくことによって、まずはそうした対策を打って、こうしたことが二度と起こらないようにということをあわせてしっかりやってまいりたいというふうに思っております。

丸山委員 今、具体的に、原因と対策、モニターのダブルチェックの話、そしてインターロックの話、パトロールのマニュアルの話、鍵の話もされました。

 原因究明される中で、二度と起こらないようにというのが非常に大事なんですけれども、現状として、これはもうやられているということでよろしいんでしょうか。

廣瀬参考人 鍵はまだ全部つけ終わってはございませんけれども、もちろん計画的につけておりますし、その他できることはもう既に始めさせていただいております。

丸山委員 原因究明を進めていただくとともに、特に人為的な部分に関しましては、国民の皆さんはニュースを見るたびに何でやねんというふうにお思いになると思いますので、二度とこういうことがないように、しっかり取り組んでいただいているとは思いますけれども、引き続き、しっかりとよろしくお願い申し上げます。

 東電の皆さんに関しましてはここまでで、お聞きしたいことは大丈夫でございますので、御退席いただいても構いません。

 引き続きまして、今回の機構法の関連で、次に進めたいと思うんです。

 きょう、先ほどほかの委員の方からもお話がありましたけれども、ちょうど小保方女史が会見をされておりまして、気になっていらっしゃる方もいらっしゃると思うんですけれども、実は小保方女史は私と同学年、同じ三十歳でございまして、そういった意味で、若い世代の方が特に理系の分野でああやって出てこられるというのは、我々同世代としても、非常に頑張っていただきたいと思います。

 論文の捏造の話だとか流用の話に関しては、しっかりチェックしなければいけないし、反省すべきところはしなければいけませんが、ぜひ、STAP現象に関しましては、御本人は存在すると強くおっしゃっているので、そういうことを証明できるようにしっかり頑張っていただきたいのは、私としても、同世代の人間の一人として強く思うところなんです。

 一方で、こうした若手だけじゃなくて、研究者の人材は原子力の分野もかなり多うございます。特に、私の同期でも原子力を研究している者がおりますし、またうちの地元にも実は原子炉の研究施設がございます。

 現在、日本に十数基ほど、十四か十三だったと思うんですけれども、商業用じゃない研究用の原子炉があるということでございます。

 私の地元、大阪府の泉南郡熊取町にも京都大学の研究用の原子炉がございまして、この原子炉は、出力が大きい方と小さい方と二つあるんですけれども、実は片方がこの三月に停止、とまりまして、この五月にもう片方がとまるということでございます。というのは、定期点検のためにとめなければいけない。そして、点検が終わればもちろん再稼働という形で研究が進められるんですけれども、とまっている間は研究ができないという状態になるんです。

 一方で、今回、三・一一の原子力発電所の事故を受けまして、研究用原子炉にも新規制、新しい規制が適用されている状態で、そうした中で、この研究炉がいつまた復活できるのかというのは、申請はもちろんお出しになっているんですけれども、まだわからないという話を、地元の研究者のお話でも少し耳に挟みました。

 実は商用炉のお話はこの委員会でもたびたび出るんですけれども、一方で、原子炉に関しては、この京大の原子炉に関しても、エネルギーというよりはむしろ医療用の技術開発だとか、また農業用だとか、既に臨床段階まで進んでいる有意義な実験もございます。

 実は、先般、政府の方で国家戦略特区に関西地区を選んでいただきまして、そういった意味で、この熊取の原子炉も、医療用という分野におきましてはかなり重要な位置を占めるところでございます。

 そうした中で、今般、この新規制によって今とまっている状態で、もちろんきちんと安全を確保しなければいけないんですけれども、一方で、では、いつもう一回開始できるのか。また、余りこういった規制が厳しいと、逆にできなくなってしまって、さまざまな技術開発促進の上で足を引っ張るような形になるんじゃないか。もっといけば、人材がそちらへ来なくなってしまう、また既存の、いらっしゃる方が実験できないなどの研究の推進の支障になる、人材育成の支障になる、そんな状態が危惧されるところなんですけれども、このあたりを文科省さんの方でどのようにお考えなのか、お答えいただきたいと思います。

冨岡大臣政務官 丸山委員の質問にお答えしたいと思います。

 委員御指摘のように、現在、我が国においては、十四基の試験研究用原子炉施設が存在しております。現在、そのうち二基が運転中であると承知しております。

 一方、運転中の二基についても、御指摘のように、次回の定期検査時においては、新規制基準に適合することが必要となってまいります。

 今、二つと申しましたけれども、原子炉安全性研究炉と京都大学の研究用原子炉でございます。

 これら試験研究用原子炉施設については、今後の原子力の安全性向上や放射線利用等によるさまざまな研究活動等に重要であるとともに、直接、原子力施設において原子力人材育成ができる等の貴重な機会の提供につながっていると考えております。これは委員の御指摘のとおりでございます。

 私たち文部科学省としては、これら試験研究用原子炉施設の停止により原子力人材育成等に支障がないよう、産学官連携による幅広い原子力人材の育成を行う国際原子力人材育成イニシアチブ等の実施により、しっかりとこの人材育成も継続してやっていきたいと思っております。

 また、これら施設が、新規制基準に対応した措置がなされ、早期に稼働されることを期待したいと思っております。

 委員御指摘のように、京大の原子炉は、中性子で、BNCTと申しまして、御存じとは思いますけれども、硼素を取り込ませて選択的に腫瘍を破壊するような、非常に世界でも注目されておりますので、ぜひ続けていきたいと思っております。

 ありがとうございました。

丸山委員 しっかり政府としてもそのあたりを見ていただきたいんですけれども、これがとまっている間の研究に関しては、ほかのところと相互の人材交流だとか、使い勝手ができるみたいなことは可能なんでしょうか。もし事務方の方でお答えいただけるなら。

田中政府参考人 ただいま政務官が答弁させていただきましたように、私ども、国際原子力人材育成イニシアチブという事業を実施してございます。この中で、機関横断的な人材育成事業ということで、例えば海外の他の研究所の施設なんかも使いつつ、原子力の人材育成の機会をつくるというような事業もやっているところでございます。

丸山委員 御説明ありがとうございます。

 しっかりと今ある、出していただいているイニシアチブを使っていただいて、研究がストップしないように、また人材が別のところに行かないように、しっかり文科省さんの方でもやっていただきますようお願い申し上げます。

 そういった意味で、我々維新の会としましては、最終的には、特に商業用の原子炉のエネルギーに関して、これは国民の皆さんの御意見を見ていても、できる限り少なくしていくというのを方向性として目指しておりまして、ただ一方で、研究用に関しては必ず必要であって、そしてまた商用炉と研究炉の規制のあり方というのは少し別なんじゃないかなというのを私自身は思っております。というのは、出力のあり方だとか目的、一方で安全性というのも非常に重要なので、このあたりをどう考えるというのは我が党内でもかなり議論しているところなんです。

 このあたり、政府として商用炉と研究炉をどのようにお考えになっていらっしゃるのか、違いも含めまして、政府の見解をお伺いしたいと思います。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月に施行されました試験研究用の原子炉施設に対する新規制基準におきましては、試験炉の構造等が多種多様である、それから異常時の影響もさまざまであるというようなことから、こういった型式や出力レベルに応じた措置を事業者に対して求めるということにしてございます。

 例えば、比較的出力の高い原子炉、今質問の中に言及がありました京都大学の研究原子炉、KUR等につきましては、福島第一原子炉の事故なんかを踏まえますと、従来想定した以上の事故による多量の放射性物質の放出、それによる周辺公衆への影響というものが否定できないということで、これらの事故に対応するための措置を求めているところであります。

 ただ一方で、出力が低い炉、先ほど御質問の中でもありました京都大学の臨界実験装置でございますが、これにつきましては、同様の事象が発生した場合においても、敷地外へ放出する放射性物質が非常に影響が小さいということで、こういうような対応を求めていないということでございます。

 原子力規制委員会としましては、このような規制基準の趣旨を踏まえまして、新規制基準の適合に関する申請がなされた場合には、科学的、技術的な観点から厳正に審査を行ってまいるという所存でございます。

丸山委員 しっかりと科学的に見ていただいて、違いを明らかにした上で、特に、小さい方は恐らく審査がスムーズに進むと思うんですが、大きい方は商用炉と同じようにかなり長引く可能性もありますので、そのあたり、先ほどお話しになったしっかりとしたバックアップ、人材、研究に対するバックアップ体制をしっかりとやっていただきますよう重ねてお願い申し上げます。

 次の質問は、通告では附則の話を入れさせていただいているんですけれども、ずっと委員会でお話しされています。ただ、ADRセンターの整備だとか時効特例法の整備等、具体的に挙げられておりましたけれども、我々維新の会としては、法改正の方も含めまして、大枠の改正は必要ないんじゃないかというふうに考えております。また今後の委員会質疑を含めまして話はさせていただきますので、割愛させていただきます。

 続きまして、今回の機構の運営資金について、もう少し詳しくお伺いしたいんです。

 少しほかの委員からもありましたけれども、今回の改正について、もちろん、部署が発生するので、追加的に費用が発生すると思うんですけれども、このあたり、どれぐらいの見込みで、特に電力会社さんは負担金を負担されているので、どのように増額されるのか。そして、国民の皆さんがさらにお考えなのは、恐らく負担金は、それは直接考えれば電力料金から来ているというふうに考えるところなので、電力料金に対する影響を含めまして、政府の見解をお伺いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回提案をしております法改正は、あくまでも機構の機能を追加するものでございまして、新たな資金援助を目的としたものではございません。

 他方、御指摘のとおり、廃炉関係業務の追加をするわけでございますので、廃炉の支援業務を行う機構の職員の人件費等が追加的にかかるだろうというのは御指摘のとおりであります。

 では、それを何人でやるのかといった機構の新しい体制について、現在精査中の段階でございますので、本日の段階で、幾らふえそうですということを申し上げる段階には至っておりません。

 いずれにせよ、新しい機構の業務の効率化などによって、こうして生じる費用の増加が一般負担金の増加につながらないようにしていくことが重要であると認識をしておりまして、私どもとしては、廃炉支援業務を含めて拡充される新機構に対しまして、引き続き業務の効率化を図るように指導してまいりたいと考えております。

丸山委員 そのあたり、しっかり指導の方をよろしくお願いします。

 そして、最後、時間がなくなってきましたので、お伺いしたいことがあります。

 今回、機構の業務に廃炉の技術研究開発が追加されるんですけれども、これは、経産省さんの予算やJAEAさん、東京電力さんもまさしくやっていらっしゃると思うんです。こういった研究開発の分野というのは非常にいろいろなところでやっていらっしゃると思うんですが、この研究の中心としてこの機構が位置づけられるのか。他の機関の研究を縮小、統合して機構に集中させるなり、司令塔としての役割を担うという認識でいいのか。このあたりにつきまして、事業の進め方やほかのところとの連携の話を最後にお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 今回御提案申し上げております法案が成立いたしますと、まさに機構が研究開発の企画、推進を行いまして、全体的な調整役を行っていくということであります。そのもとで、それぞれの研究機関であったりとかが明確な役割分担のもとで研究開発を進めていくことが必要である、そんなふうに考えております。

 JAEAは、新機構の企画、推進のもとで、具体的に申し上げますと、基礎、基盤的な研究を行う。そして、実際の廃炉に用いる実用的研究につきましては東電の廃炉カンパニーの方が主に実施をする。

 経済産業省は、そこの中でも、実用的研究のうち技術的難易度が高いものについて、予備費や補正予算を活用して、例えば遠隔操作ロボット、こういったものの研究開発を行うことにいたしております。

 機構が企画そして推進、総合調整のもとで、今申し上げたような役割分担のもとでしっかりと、研究開発を含め、円滑な廃炉の推進に努めてまいりたいと考えております。

丸山委員 時間が参りましたので、また委員会は引き続きございますので、続きは次の委員会でお伺いしたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 四月に入りまして、大分暖かな日が続いております。どうしても、そういう暖かい日の午後ということで、何となく春もうららというような雰囲気がこの委員室全体を覆っているんじゃないかというふうに思う、振り返って見るとそんな感じもしないではないんですけれども、いただいた時間、四十分間質問をさせていただきたい、そういうふうに思います。

 震災はいつ何どきどういう状況で起きるかわからないということでございます。何事もないこういう日に、突如として震災が起きる、予測不能なことが起きる。予測不能ということは基本的にあってはならないというふうに思いますけれども、どうしても人知を超えた、そういったこともあるというようなことでございます。

 本日の最初に自民党の吉野正芳委員が質問に立たれておりましたけれども、吉野委員の御地元の福島県いわき市、私も、三月十一日に震災が起きて、それから三月の二十五日前後だったかと思いますけれども、地元でいろいろな支援物資を集めて、お水ですとか食べ物ですとか、そういったものを車を走らせていわきに運んだということが思い出されます。その場で拝見したことは今でも忘れられないというものでございます。

 こういう何が起きるかわからないということ、本当にしっかりとそれに備えていく。そして、何か起きたときに、もちろん全てが全てこれを事前に予測していくということはできないわけですから、大事なことは、起きたことをどう収束させていくのかということなんだろうというふうに思っております。ある意味、これは、今私が所属している党のメタファーでも何でもないということを言いわけさせていただきたいというふうに思うんです。大臣に突っ込まれる前にお話をさせていただいたというような次第でございます。

 質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、汚染水の処理、その現状について、先日、私も東電の廣瀬社長にさまざまな質問をさせていただきました。また、本日も本当に多くの委員がこの汚染水の対策についてどうなっているんだというような趣旨の質問をされているわけですけれども、やはり、汚染水の流出事故が相次ぐですとか、いわゆるALPSの処理がなかなか進んでいない、とまってしまっているというような状況が続いているということです。これは、はたから見ても、もちろん専門家が見ても、または一般の人が見ても、なかなか汚染水処理というのが順調に進んでいるとは思えないというような状況にあるんだろうというふうに思っております。

 この状況について政府においてどのように認識されているのか、そして、もし現状問題があるというふうに考えられているとすれば、そこの根本的な原因というのはどこにあるというふうにお思いなのか、お答えいただければというふうに思います。

糟谷政府参考人 福島第一原発の汚染水対策でございますけれども、これまで経験したことがない課題への対応が次々と求められる中で、去年の夏まで、東電任せで、モグラたたきのような状況が続いてきたわけでございます。

 昨年の九月に国が前面に出て取り組むことといたしまして、三つの基本原則、すなわち、汚染源を取り除く、汚染水を近づけない、汚染水を漏らさないという基本方針に従って、予防的かつ重層的な対策を進めてきております。

 また、廃炉・汚染水対策現地事務所を設置しまして、現場で日々発生するさまざまな問題点等を把握するとともに、廃炉・汚染水対策現地調整会議において、課題への対応策の検討や工程管理等を現場の視点できめ細かく行っております。

 トラブルが発生していることについてはまことに遺憾であり、じくじたる思いでございますが、トラブルという中にもさまざまな種類のものがございます。先ほどALPSという話はありましたが、多核種除去設備など初めての設備において、初期段階の機器トラブルはある程度やむを得ない面もございます。ただ他方で、予防的、重層的対策を始めておりまして、着実に進展をしております。

 いずれにしても、人的なミスがあっても、それが汚染水の漏えい、特に外部への漏えいにつながらない、そういうフェールセーフのしっかりときいた体制を早く確立してまいりたいというふうに考えておりまして、その観点から、既に進めております予防的、重層的対策をさらに進め、スピード感を持って全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

三谷委員 改めて申し上げますと、本日、吉野委員がおっしゃった、ボルトを締めるときに、一方だけきつく締めて、それが終わってから、では反対側のを締めるよみたいなことを言ったと。事ほどさように、それだけ技術力、そういった現場なれしていないというにもほどがある、そういうような状況があるんだということであれば、やはり根本的にそれは見直していくということも必要になってくるのではないかというふうに思うんです。

 これは、一貫して私も、昨年の九月、十月以来、現場の作業員の就労条件を何とか改善するということをしていただきたいということは何度も申し上げさせていただいておりますし、本日も吉野委員も同じような趣旨でおっしゃっていたかと思います。また、この論点については、共産党さんともまさに共闘できるようなそういうテーマだとも思っております。これは、党派を問わず、しっかりと現場で頑張られている方々に報いることができるようなそういう仕組みをつくらないと、やはり、いつまでたっても、そしてどんなにすばらしい体制を整えても、現場でミスが起きてしまうということはなくならないんじゃないかなというふうに思っているんです。

 そういう観点で、前回も私、東京電力の廣瀬社長にさまざまな質問をさせていただきました。現場はどうなっているんだ、どういうふうに認識しているんだと言ったら、これからヒアリングをしますというような話に徹底していた。そういうやりとり、このやりとり自体の再現はもちろん正確ではありませんけれども、そこの様子を茂木大臣にも見ていただいたんだろうというふうに思っております。

 現場の作業員の方々の就労状況、そういった環境について大臣がどのように今お考えなのかということをお伺いできればというふうに思います。よろしくお願いします。

茂木国務大臣 私が大臣になって初めてあの福島第一を訪問しましたのが昨年の一月になると思います。寒い季節でありましたけれども、現場の作業員の方の宿舎を拝見しまして、それぞれのプレハブごとに例えばトイレがないとか、こういう状況でありまして、これは生活環境の意味でもいろいろな問題があるなということで、そういった面での改善も東電の方に要請をしたところであります。

 同時に、これは非常に長い期間、しかも過酷な作業環境の中で安全に確実に仕事を進めていかなきゃならないということでありますから、処遇も含めて作業員のモチベーションをきちんと維持していく、こういうことは何よりも大切だ、そんなふうに思っております。もちろん一義的には東電におきましてそういったことをしっかり進めてほしいと思っておりますが、政府におきましても、現地の調整会議等々を通じまして、さまざまな意見を吸い上げて、それをしっかり東電の方に伝え、指導することもやってまいりたいと考えております。

三谷委員 今、非常に前向きなお答えをいただいたというふうに思っております。

 もう一つだけ突っ込ませていただきたいと思うんですが、現場の方々が実際手にされる賃金、そこの金額を把握して、それがしっかりとこれだけの危険に見合う分だけ支払われているということを政府において確認していただきたいというふうに思うんですけれども、そこについて取り組みを進められるという方向をお持ちかどうか、お答えいただきたいと思います。

茂木国務大臣 個々の労働契約そのものにつきましては、まさに民民の問題でありますから、それぞれの作業について幾らと政府が査定するという問題ではないと思っております。

 大切なことというのは、各作業員の方に対して、こういう仕事である、それに当然支払われるべき報酬はこういうものである、こういう説明がきちんとされ、そしてまた作業員の方がその説明に納得をして作業に当たるということが必要だと考えております。

 東電におきましても今さまざまな改善努力をしていると思いますが、過去を振り返りますと、そういった形の十分な処遇であったかというと、必ずしもそうでない面もあったと思っておりまして、しっかりした改善に取り組んでほしいと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。まさにそのお言葉、それを現地の方々に伝えたいなというふうに思うところでございます。

 さて、今回の法律の改正によって、機構の名前がいわゆる賠償・廃炉・汚染水センターという通称になるということなんですけれども、機構の仕事には、廃炉と並んで汚染水に関することも含まれるわけです。この汚染水の処理に関して今までと何がどう変わるのか、この具体的な変化の内容についてお答えいただければというふうに思います。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 これまで、廃炉・汚染水対策に対します政府体制については、司令塔機能を廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議に一本化して、政府が一丸となって取り組みを進めてきたところであります。

 しかし、汚染水問題に関しては、これまでの政府の支援あるいは監視体制では、トラブル対応等の日々の短期的な対応に追われている状況にありました。例えば、原子炉建屋の止水など、地下水を汚染源に近づけない、こうした中長期的な重要な課題の検討には必ずしも十分注力できる状況にはなかったのではないか。

 こうした状況を踏まえまして、国が前面に立ってより着実に廃炉を進められるように、今回、この支援体制を強化することとしたものであります。原賠支援機構に事故炉の廃炉支援業務等を追加し、例えば、今言った原子炉建屋の止水などの中長期的な課題に取り組んでもらうことによりまして、政府と機構が一丸となって、日々の短期的な対策、そして中長期的な廃炉戦略の立案、この双方を漏れなく進めることができるようになるものと考えているところであります。

三谷委員 今のお答えに関連してですけれども、附則の第三条では、「国は、」というふうにありますが、「国内外の不安が早期に解消されるよう、万全の措置を講ずるものとする。」というような内容になっております。まさに、短期的なもの、中長期的なもの、そういったものをしっかりと対策を立てていくんだという趣旨だというふうに思います。

 ただ、本当の意味で国内外の不安というものが解消されるのは汚染水の流出というものが完全にとまったときではないかというふうに考えられるんですけれども、それまでに一体どれぐらいの時間を要するというふうにお考えでしょうか。

糟谷政府参考人 汚染水の流出をとめるために、重層的、予防的な対策を次々と講じてまいりたいと思います。

 例えば、海側の遮水壁、これを九月に完成させるべく今取り組んでいるところであります。それから、昨年の六月に改訂をしました中長期ロードマップにおきましては、二〇二〇年をめどに、建屋のドライアップといいますか、建屋の中に水のない状況を実現するように取り組むということとされているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 ただ、私が聞いているのは、そういう措置を続けていって、具体的にどれぐらい先に汚染水の流出がとまるということをめどに作業をされているのかということを伺っているんです。お願いします。

茂木国務大臣 汚染水を漏らさない、さまざまな予防的、重層的な対策を重ねるということになるわけでありますけれども、一つのメルクマールは、今政府参考人の方からもありましたように、いわゆる敷地内のドライアップをするということであります。今回の地下水につきましても、雨水由来のものがかなり多いということでありまして、ドライアップを行いまして、フェーシングをするということで地下水の流入がかなり抑えられるといいますか、相当の抑制がされるということであります。

 そうはいいましても、それまでの間、汚染水を漏らさない万全の対策をとってまいりたいと思っておりますけれども、そういったドライアップであったりとかフェーシングが終わりますと、そこにつきましては、格段の改善、こういったものが望める、そのように考えております。

三谷委員 なかなか具体的にはいつというのはお答えいただきにくい部分だとは思いますけれども、できるだけ早期にやっていただきたいということをお願いさせていただきます。

 続きまして、廃炉について少し伺っていきたいというふうに思います。

 廃炉については、菅元首相が本日こちらで質問をされておりましたけれども、その中での資料にもありました、これは東京電力さんがつくられた資料、ロードマップですけれども、大体三十年から四十年廃炉にかかるというふうな予定で今つくられているということです。

 ちょっとここで見方を変えた質問をしたいと思うんですけれども、今、チェルノブイリの事故からおよそ三十年たっているという状況は、きょう辻元委員がおっしゃっていたことですけれども、その中で、今のチェルノブイリというのは、ある意味、廃炉が完了した後の姿として考えることができるのか、それとも、チェルノブイリの今の状態は廃炉されていないというように認識するのか、どちらでしょうか。

糟谷政府参考人 チェルノブイリの場合は、溶けた燃料があるまま、それを石棺という棺で覆って閉じ込めるという形をやっております。福島第一の場合は、まずは今は使用済み燃料プールにある使用済み燃料を取り出し始めておりますけれども、その上に、溶けた燃料、つまり燃料デブリを取り出すということを想定しておりまして、そういう意味では、チェルノブイリとは違った形での対応ということを想定していることになろうかと思います。

三谷委員 そういう今のお答えを前提にしますと、廃炉が終わったということは、福島第一原発のあの敷地内には、基本的にはそういう放射性物質のいわゆるいろいろなごみですとか溶けた燃料というものが完全にない状態というふうに理解をしてよろしいということでしょうか。

糟谷政府参考人 今、格納容器の中で溶けた燃料デブリを取り除くということを計画しております。

三谷委員 そのデブリを取り除くということですが、それに対して三十年から四十年というような見通しなんですけれども、これはどういう根拠でこの三十年から四十年というのを立てられているでしょうか。

糟谷政府参考人 これは、ロードマップにおきましては、まずは使用済み燃料プールから燃料を取り出します。その上で、炉内の溶けた燃料を取り出すわけですけれども、このためには、まず溶けた燃料がどこにどのような形であるのか、それからどんな性状なのか、そのあたりを確認しないといけません。それから、取り出すための具体的な作業工程を設計して、そのための設備なり機器なりを研究開発してつくるということが必要になります。

 そういう技術開発を行った上で具体的な燃料デブリの取り出しの作業を行うことになりますので、そういうことを総合的に考えますと、三十年から四十年ぐらいは必要であろうというふうに考えて、計画をしておるところでございます。

三谷委員 今のお答えですと、具体的にはなかなか算出の基準はない、ざっくりつくったんだというような答えだということなんです。

 一方で、廃炉に要する費用としては、これからどれぐらいかかるんだというふうに予定をされているでしょうか。

上田政府参考人 廃炉に関する費用の見通しでございますけれども、御案内のとおり、東京電力におきまして、廃炉費用につきましてこれまでに手当てをした一兆円、今後十年間でさらに一兆円、約二兆円程度の廃炉のための資金を確保するという現状にあります。

 他方、中長期ロードマップにおきましては、除染の可能性あるいは建屋の強度に応じて幾つかの選択肢となっている項目、あるいは代替工法を検討することとなっている項目等々がございまして、廃炉に関する費用について具体的な見通しを立てるという段階には至っていないと考えております。

三谷委員 そういう意味では、今、東京電力さんにおいて九千六百億円が積み立てられている、それから、これから十年間でいろいろなコストカットを行ってそれを一兆円積み増していくというような話がありますけれども、二兆円で終わるというふうには政府としては思っていないということでよろしいでしょうか。

上田政府参考人 今申し上げましたとおり、廃炉に関しては現在東京電力が二兆円の資金を予定しているわけでございまして、基本的には、この資金の範囲内で廃炉に関する事業を行っていくというふうに考えております。

 しかしながら、今申し上げましたように、廃炉そのものはかなり技術的にも困難な作業でございまして、この範囲内に長期的に見ておさまり切るかどうかということにつきましては、今後の課題であると考えております。

三谷委員 一応一点だけ、この点についてはこれで質問を終えたいと思いますけれども、政府としては二兆円でこの廃炉が終わるというふうに考えていると今おっしゃいましたけれども、その認識でよろしいでしょうか。

茂木国務大臣 廃炉の実施主体は東電であります。東電におきまして、九千六百億円既に積み立てが終わっておりまして、あと十年間で一兆円の積み立てを行う。当然、実施主体でありますから、どれくらいの費用がかかるか、もちろん今後の作業工程、ロードマップも見直しをしていくことになると思いますけれども、それによっても変わってきますけれども、ある程度の前提なりを置いて二兆円の範囲でということで現状においては作業を進めている、このように理解をいたしております。

三谷委員 今の質問は、今回の支援機構法の改正で廃炉に要する費用も含めて恐らく政府がどんどんお金を出していくということになるというふうに理解をしているんですけれども、そういう意味では、そこが青天井とならないようにするために、今回の法改正によってどれぐらいの金額を政府が負担することを覚悟すればよいか。これは、基本的には、こういう法律をつくろうがつくるまいが、いろいろな形で政府が東京電力さんにお金を入れていくという現状のスキームはなかなか変わらないんだろうとは思うんです。ただ、今回の法律を通すということによって、ある意味、スキームというか仕組みをつくるわけですから、その影響というものをあらかじめ伺った次第でございます。

 なかなかこれもまたお答えは難しいとは思いますけれども、ぜひともこれから、そのときそのときにあと幾らぐらいなのかということを考えていただければということをお願いさせていただきたいと思います。

 また、今回、廃炉によって生じる廃棄物の量とか保管場所ということについては、これは相当な量があるんですけれども、廃炉によってできた瓦れきですとかそういったものの最終的な保管場所というのは決まっているんでしょうか。

糟谷政府参考人 廃炉によって生じた廃棄物につきましては、当面、原発敷地内において、種類それから放射能のレベルに応じて可能な限り分別して、適切に保管を行うことにしております。

 これら廃棄物についてその処理処分をどういう形でやるかということにつきましては、廃棄物の性状とか特性をしっかり把握した上で、処理処分のために必要な調査それから技術開発を行いまして、二〇一七年度までに、処分の考え方について見通しを得ることとしております。

三谷委員 これは、福島第一原発のあった場所ということであれば納得感はあるのかもしれないんですけれども、今のお答えですと、当面はというお答えでしたから、そこで完全に最終的に処分するというわけでもないかもしれないということでございます。

 これは、私もいろいろな場所を見ておりますが、被災五県と言われておりますけれども、例えば宮城県とか千葉県もそうですし、福島県も栃木県もそうです、放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場というものの選定については、どこも物すごい争いになっているというか、自分の町が最終処分場になるといったら、当然ながら相当の反対運動が起きてなかなか決められないというような状況があるわけでありますから、今回の第一原発の瓦れきというものがまだ決まらないということでは、これは決して決められないんじゃないかなというふうに思うんです。

 そこら辺について大臣の御見解を伺いたいと思います。福島第一原発から出た瓦れきの最終処分場、それから、各県に広く散らばっている放射性物質を含む指定廃棄物の処分場、そこについてどういうふうにこれを決めていったらいいのか、そこの選定のプロセスについて、もし御認識があればお答えいただきたいと思います。

茂木国務大臣 栃木県を含めまして福島県以外におきましては、最終処分場をやはりそれぞれの県で御負担いただかなければならないと私は思っております。たとえ福島の原発事故に由来するものでありましても、各県におきましてできる限りの負担をお願いしなければいけない。そこの中で、国において、候補地について地元に対して明確な方針を打ち出し、しっかりしたプロセスを踏んで御理解を得るようなことをやっていくということが極めて重要だ、こんなふうに考えております。

 いずれにいたしましても、三谷委員もよく御案内のとおり、説明責任というのは極めて重要な問題だと思っております。

三谷委員 基本的には同じ認識を共有できていると思って、非常に心強く思っております。ありがとうございます。

 それでは、質問を続けさせていただきたいというふうに思うんです。

 今回の機構というものですけれども、これは先ほど辻元委員が質問されていたこととも関連しますけれども、この法律改正の趣旨のところで、廃炉と賠償の関連性も考慮して原賠機構が廃炉の支援等も行うことにしたというふうにあります。そもそも、賠償という作業と廃炉というのは全く別の業務だというふうに思っております。

 これは改めてちょっと伺いたいんですが、別の業務に見えるものを一つの機構で行うということにしたメリット、そしてもしあるとすればデメリットというものをお答えいただければというふうに思います。

茂木国務大臣 賠償と廃炉そのものは、業務としては違った業務でありますが、実施主体は東京電力ということになります。そして、賠償につきましては、支援機構におきまして現在行っております。同時に、支援機構は、東電の最大の株主でありますから、強い監督権限も持てる。

 こういった中で、廃炉・汚染水対策を加速化するために、東電につきましてこれまでも賠償といった形でさまざまな監督等を行ってきた機構が、業務を追加して、廃炉の支援業務を行っていくことが適切であろう、こういったことから今回の制度改正をお願いしているわけであります。

 それから、一点、先ほどの御質問にも関連しまして、機構法をつくりましたときは、賠償に関しまして、資金援助といいますか、支援のスキームということでつくっております。しかし、今回は、廃炉に対して、資金支援のスキームではなくて、むしろ、監督であったり、さらにはさまざまな技術的な助言であったり、こういったことを中心にしながら機能の追加というのを行うわけであります。それによりまして、国において相当な、大きな資金負担が生じる、このようには考えておりませんし、また、人的機能の強化等々につきましては、さまざまな合理化努力等々の中で賄っていく形がとれれば、こんなふうに考えております。

三谷委員 さすが大臣だと今思いました。先ほどしれっと進んだところを訂正していただいて、ありがとうございます。

 ただ、今のお答えの中で、私も、そこの部分をどういうふうにお考えなのかなというふうに考えている部分がありまして、ちょっと今質問を飛ばした部分に戻らせていただきたいんですけれども、今回のスキームの中で、東電が機構に資金援助を申し込む場合には、廃炉の状況とか経費の見通しについても書類を提出するということを求めているわけでございます。そういう意味では、資金援助というものの対象には廃炉費用というのも当然含まれてくるというふうに理解をしているんですけれども、そういうことではないんでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 法律の解釈として申し上げますと、現在の原子力損害賠償支援機構法第四十一条において、原子力事業者が負う損害賠償額が一千二百億円を超えると見込まれる場合には、賠償の円滑な実施や電気の安定供給などに資するために、事故を起こした事業者が、原賠機構に対して、資金援助の申し込みを行うことができるというふうになっております。

 具体的に、四十一条の中では、「原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保」という文言がございまして、これは、原子炉の運転や、廃止措置、いわゆる廃炉などに関する事業の円滑な運営の確保を想定しているところでございます。

 資金援助の方法としては、第四十一条に何通りか書いてございまして、この中で、交付国債の資金を用いて行う、法律の方で資金交付と言っているものにつきましては、用途が損害賠償の履行に充てるというふうに限定をされておりますけれども、そのほかの手法については、提供された資金の使途については限定がございません。

 こういう中で、平成二十四年七月には、事故処理、廃炉などを担う東電の財務基盤強化のために、原賠機構として、この法律に基づきまして約一兆円の東電株式の引き受けを行っているところでございます。

 制度上は以上のとおりでございますが、先ほど来の答弁に出ておりますとおり、東京電力は既に約一兆円の資金を引き当てておりまして、今後一兆円の資金の枠を用意するという方針でございます。そういう状況の中で、実態として、追加的な資金援助を行う必要性は生じていないというふうに考えております。

三谷委員 今お答えいただきました、交付国債の用途については明確に制限されているということですけれども、廃炉についても事業の遂行というものに含まれるということですから、基本的には、廃炉に要する費用というものを交付国債という形ではない形で提供することができるという法律のたてつけなんだろうというふうに思います。

 その意味では、今、交付国債の上限金額というものが九兆円に引き上げられているという中ではありますので、今のところ交付国債によって三兆七千億円ぐらい資金が提供されている、これからあと大体五兆円さらにお金が入る、それは賠償目的ではありますけれども。

 一方で、廃炉については二兆円で、基本的には自社の中でお金が間に合っていく予定ではあるけれども、足りない場合には株式引き受け等々でお金を提供することが、ある意味、たてつけとしてはできるということですから、そういう意味では、資金の負担、費用の負担というのが政府において青天井になってしまうという可能性が拭えないのではないかというふうに思います。

 その点について何らかの制約を課するですとか、何らかの上限を設定するとか、そういった予定というのはありませんでしょうか。

茂木国務大臣 法律のたてつけとしては委員おっしゃるような形でありますけれども、賠償については、東電として十分な資金の当面の手配ができないという形から、支援機構法のスキームというのをつくりまして、交付国債によりまして五兆円、今度は九兆円になったわけでありますけれども、その枠というのを設定いたしております。

 一方で、電力の安定供給、事業基盤の確保、事業の運営等々から、規定上はできるという形になっておりますけれども、今回の改正におきましても、廃炉に関する資金援助を目的とした改正とはなっておりません。そして、東電におきまして既に積み立てがされている分、そして今後十年間で積み立てをする分、それで基本的に賄ってもらいたい、このように考えておりまして、緊急の事態等々が発生した場合には、当然、それについて政府としての判断をするということは将来的に否定をするものではありませんが、現段階におきまして、そういった多額に上ります廃炉の資金援助、こういったものを想定はしておりません。

三谷委員 ぜひともその方針どおりに、廃炉に関して国が費用負担をしないで済むというような結論になることを祈念しているところでございます。

 先ほどの質問に戻らせていただきますけれども、今回、賠償と廃炉を一つの機構で行うことにしたということに関してですけれども、ほかの委員も、これは國重委員だったかと思いますけれども、IRID、国際廃炉研究開発機構でも研究開発というのを行っているというところではございます。

 この中で、汚染水対策ということについてアイデアを募集しますといって、七百八十件集まったというような状況でありますし、その一方で、燃料デブリ取り出しの代替工法についての情報依頼というのも今そうやって求めているというところでございますけれども、汚染水対策に関して集まった七百八十件のアイデアというのは今現状どうなっているんでしょうか。

糟谷政府参考人 七百八十件寄せられた情報につきましては、それぞれ技術分野ごとに整理をいたしました。これは、今後、廃炉を進めていく上でも、もしくは汚染水対策を進めていく上でも、常にそこに立ち返って見る、照らして、どういう技術が使えるか、どういう技術を使うべきかということの参考になる非常に貴重な提案、七百八十件の一件たりとも無駄にはならない、非常に貴重な情報をいただいたものだというふうに考えております。

 その中で、もしうまくいけば非常に効果が見込まれるんだけれども、研究開発、実証が必要だというものが幾つかございます。そういうものについては、現在、昨年度の補正予算を活用しまして、内外から実証をやってくれる人というのを公募を始めたところでございます。

 こういうことを通じて、実際に本当に使えるというような技術を確立することができますれば、現場に適用して、汚染水の対策をさらに進めてまいりたいというふうに考えております。

三谷委員 ぜひとも、集めるだけ集めてそれで終わったということのないようにお願いしたいと思います。

 昨年の秋にこのIRIDについて質問させていただいたときには、大臣には、この集まったアイデアというのは公開をして、さらによいアイデアがあればそれに付加するというような形で、ある意味、オープンソース的な形でそのアイデアを使っていただきたいというような話で、そういう方向でというお答えをいただいたというふうに認識をしております。

 ぜひとも、集めたものをしっかりと活用する、今のところ四つの分野に分けてあるということしか見えませんので、しっかりと対応、それを現場で使っていただければというふうにお願いをさせていただきます。

 そして、最後に、今回、政府、そして今回の機構、そして東電、三層構造というものになっている。これは、賠償ではなく、廃炉・汚染水対策についても三層構造になっているというような状況ではあります。

 やはり、我々みんなの党としては、今回の賠償というところは、それはいろいろなやり方があるにしても、廃炉に関しても、これはもう廃炉の部分はある意味切り出して、東京電力さんは東京電力さんで、前回も申し上げましたけれども、ニュー東京電力というような形で法的に分離をして、そっちはそっちでやってくれというような形で進めることが、アイデアとか労力とか、そういったものを一番分散しないで済むというような形になるのではないかというふうに思っておりますけれども、そういったことについて最後に大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 三谷委員そしてみんなの党としての御意見は、何度も承ってまいりました。

 廃炉・汚染水対策に、東電としても、また国としても資源を集中できるような体制、こういったことを築いていくということは極めて重要だと思っておりまして、今回もそのための法改正をお願いしているわけであります。あるべき組織の姿とか運営体制のあり方、これは不断の見直しというのが必要でありまして、御意見も参考にさせていただきながら、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 最後にと申し上げましたが、ちょっと時間を間違えておりまして、あと二分ぐらいありましたので、もう一つ質問させていただきたいと思います。失礼しました。

 あともう一つ質問させていただきたいと思うんですが、今回の法律の三十五条の六号に、廃炉等に関する情報の提供というものがありまして、これは、最新技術の知見とか情報というのを国内外に提供する規定というふうに説明されています。

 これは、情報公開ということではなく、情報の提供という言葉が使われている理由というのは何かあるんでしょうか。

糟谷政府参考人 情報公開というのは日ごろの業務について必要な情報を公開していくということでありますが、それだけではなくて、廃炉等に関する最新技術などの知見とか情報を国内外に提供するということ、また、廃炉対策に対して国民の皆さんも大変御関心を持っておられる場合があります、それに応えて情報を積極的に提供していく、そういうものを含めたものであります。

 具体的な情報提供のあり方については、今後、組織設計を進める中で検討していきますけれども、能動的に情報の提供を行うということを想定しているものであります。

三谷委員 ありがとうございます。

 みんなの党としては、情報公開というものが今まで以上に積極的になされるような法律案というものを今準備しているところではございますが、事このような国民の関心が集まっている事項に関して、今まで以上の情報公開ということに努めていただきますようお願いさせていただきまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 小池政就です。よろしくお願いします。

 きょうは、前回質問できなかった文部科学省さんにも来ていただきまして、しっかり質問させていただこうと思ったんですが、ただ、質問が全て前の方とかぶってしまいました。残念ながらということなんですが、ただ、せっかく来ていただいておりますので、頑張ってというわけではないですけれども、今までの答弁を踏まえて、いろいろ確認をさせていただきたいと思います。

 といいますのは、今回の原賠支援機構のスキームでありますけれども、そもそもは原賠法がありまして、そこを基準として、どうやって積み重ねていけばいいかということの経緯から決まっていったものでありますから、その原賠法について、まず幾つかお聞きさせていただきたいと思います。

 今までの質疑の中では、今のところは原賠法の見直しというものはまだそれほど考えていないということでありましたが、それでは、震災とか今回の事故を経て、特にこの原賠法について課題がなかったということをお考えなんでしょうか。

冨岡大臣政務官 小池委員の質問にお答えしたいと思います。

 本日の午前中にも午後にも同じような質問をいただいたんです。その都度、原賠法を少しずつ、附則の項目に従って変えていったというふうにお考えいただければと思います。

 すなわち、原子力損害賠償法は、原子力事業者が無過失でも全ての損害賠償責任を負うとともに、賠償を行うための措置として、一万キロワットを超える原子炉については一千二百億円の損害賠償措置を講ずることを原子力事業者に義務づけておるのは周知のところでございます。これに加え、原子力事業者が原子力損害賠償責任を負う額が一千二百億円を超えると見込まれる場合は、原子力事業者からの申し込みにより、原子力損害賠償支援機構が、原子力事業者に対して、損害賠償の履行に充てるための資金交付などの資金援助を行うことができることとされております。

 今般の福島第一原発事故についても、このような制度のもとで、迅速、公平かつ適正な賠償を行っていると私たちは考えております。万が一、原子力事故が発生した場合には、こうした現行の原子力損害賠償法等の制度のもとで、今後も賠償の迅速かつ適切な実施がなされることになるものと考えております。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 それでは、少し具体的な中身についてお伺いさせていただきたいと思います。

 今回の事故を経て、今までのスキームに至る経緯の中で、この原賠法について幾つか議論された点もあったかと思いますが、その中で、まずお聞きしたいのは、天変地異による免責事由というものがございます。実際、これの適用ということを事業者の方から最初のときは要求があったということではありますけれども、結局それが適用にならなかったという経緯の中では、この免責事由というのが、あってもなかなか機能しないものということが後でわかったわけでございます。

 今まで議論があった、災害の巨大さの定義がどうなのかということだけではなくて、実際に検討した際に、これは使えないなということになったわけでございます。例えば、東電側は、これを適用した際に、裁判によって免責事由をかち取れるかどうかということになるわけでございますが、それも時間がかかって、ではその間の賠償責任をどうするのかとか、それから、勝ったとしても、被災者また被害者のことを思うとなかなかこれは難しいということを考えたと思います。また、政府側も、これを免責事由だということで受け取った場合に、財政負担が非常に大きくなるんじゃないかというような懸念もあったかと思います。

 その中で、果たして、今のこの免責事由はこれからもこのままでいいんでしょうか。これは参考人でも結構ですので、検討の状態を、もし今わかれば教えてください。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 原賠法第三条第一項のただし書きにつきましては、先ほども委員会でお答えしたとおりでございます。この異常に巨大な天変地変というものにつきましては、この法案の当時の国会審議におきまして、「人類の予想していないような大きなもの」あるいは「全く想像を絶するような事態」ということを想定してつくったということでございます。

 今回の事故に関しても、非常に巨大な天災地変かどうかということについて、常に最新の知識に基づいてもなお到底予想し得ないような天災地変であったか否かということを基準としたものでございますが、この点については、現時点においても特に変更すべきというふうに考えているわけではございません。

小池(政)委員 私が今指摘したのは、あくまで、定義の話だけではなくて、やはりそれを実際に実行しようとした際になかなか難しいんじゃないかということがあるからこそ、検討を必要とするんじゃないかということを指摘させていただいているわけでございます。

 それでは、別の観点でありますけれども、日本の原賠法に流れています理念、事業者は無過失・無限責任で、国は援助という形で千二百億円のその先を支援するということであります。これも、そもそもは国策として原子力をやっている国が義務として賠償責任というものは負うべきじゃなかったのかという議論もあるわけでございますが、そのような点についての検討はどうでしょうか。

田中政府参考人 原子力事故が起きた場合の損害賠償の責任を誰が負うかということにつきましては、これもこれまでの委員会の中でもその議論があったかと承知しておりますけれども、基本的には、原子力事業をやってきている事業者が一義的に責任を負うというのが国際的にも一般的な考え方だと承知しておりますので、日本におきましても、基本はその考え方に基づいてやっているということだと理解しております。

小池(政)委員 いや、そこの対象の話じゃなくて、無限責任とそれから援助というところです。その点についてはどうでしょうか。

田中政府参考人 無限責任につきましては、これは現在の原子力損害賠償法が事業者に無限責任を負わせるという体系になってございますし、それに対して、賠償措置額千二百億円を超える部分についてはさまざまな形で国が援助をするというスキームになってございます。

 今回、この福島の原子力事故につきましては、御承知のとおり、原子力損害賠償支援機構というものを新たにつくりまして、この原賠法に定めます国の援助の一つの形態として置かれたものでございまして、それによって、現在、福島第一原発事故について迅速かつ公平、適正な賠償が行われているというところでございます。

小池(政)委員 いや、原賠法はそうだからこうですよという、それは答弁になっていないんですが。

 それでは、ちょっと別の観点からお聞きしますが、今回、日本は、国際的な賠償の相互条約ということでCSCというものを予定しております。まず、CSCについて、外務省さん、来ていらっしゃいますか、CSCをなぜ日本が選ばれたのか、その経緯を教えていただけますでしょうか。

広瀬政府参考人 原子力損害賠償条約といたしましては、三系統の条約がございます。まず第一がパリ条約、それから第二がウィーン条約、それから第三番目がCSC、原子力損害の補完的補償に関する条約。この三系統が存在する中で、被害者の救済、それから我が国法制度との整合性等の観点から、CSCを最も有力な候補として検討を行ってきたところでございます。

 今般、我が国政府といたしましては、国際的な原子力損害賠償制度の構築に参加することの重要性を認識し、福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策に知見を有する外国企業の参入の環境を整えるために、CSCを締結することといたしました。

 具体的に申し上げますと、被害者の救済につきましては、最低賠償限度措置額について、他の原子力損害賠償条約、ウィーン条約及びパリ条約と比較したこと、また、拠出金制度をあわせて設けていること等にも鑑み、被害者の救済に資するものと考えております。また、我が国法制度との整合性の観点について申し上げますと、例えば、CSCは、異常に巨大な天災地変を原子力事業者の免責事由として認めることが挙げられると思います。

 このような観点から、CSCを最も有力な候補として検討を行ってきたところでございます。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 それでは、そのCSCへの加盟に向けて、日本側は原賠法の改正等の必要があるかと思いますが、具体的にどの点をこれから変えられるおつもりでしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 CSCの加盟に当たりまして、国際的な原子力損害賠償の条約としてのCSCの基本的な仕組みでございますけれども、これは先ほど御答弁がありましたように、我が国の原子力損害賠償制度と整合性があるというふうに認識してございます。

 詳細なCSCの規定と我が国国内法との関係につきましては、他の締約国などにも照会をして、現在、精査を進めている段階でございます。その精査を進めた上で、CSCを我が国において実施するために必要な関係法令に係る措置を検討するということになってございます。

小池(政)委員 昨年からずっと聞いているうちから、CSCには早期に加盟する、そのために国内的な環境を整備していくということをずっとおっしゃっているわけでございます。

 もう少し具体的に教えていただきたいんですが、これからCSCの加盟に向けて、原賠法のどの点を実際に変えられるつもりですか。

田中政府参考人 具体的に原賠法のどの条項をCSCの加盟によって変更しなければならないかということにつきましては、先ほども申し上げましたように、まだ少し、締約国等に照会をしつつ、詳細なところを詰めないといけないと思ってございます。

 ただ、例えば日本の国内にそもそも仕組みとしてないものとして申し上げれば、拠出金の仕組みが、今回例えばCSCに加盟した場合は、CSCの場合は、加盟国のどこかで事故が起きた場合に加盟国間で拠出金を出すというような仕組みがございますが、これは現在日本の国内にはそういう仕組みはございませんので、そういったものについては新たな仕組みとして何らかの形でつくる必要があるのかなというふうには考えてございます。

小池(政)委員 なかなか進んでいないように見受けられるんです。

 CSC自体は、恐らく、アジア諸国向けに原発の輸出を考えていらっしゃって、その整備という形で今整えようとされているとは思うんですが、その前段階の国内の環境づくりというものをしなければならないわけでございますから、今おっしゃった点だけではなくて、さっき外務省さんが国内法との整合性があるということで天変地異の免責事由というのもおっしゃいましたが、先ほど私が指摘したように、果たして、今の日本の原賠法の中の免責事由というのが、文言としてはありますけれども、これは本当に機能するものなのかどうかということもしっかり検証する必要があると思います。

 また、CSCとのこれからの整合性でいえば、例えば、原子力損害の定義でありますとか、国の公的負担の義務でありますとか、そういう点が課題になってくるわけでございますから、早急に検討をお願いいたします。

 では次に、今度は支援機構法についてお伺いさせていただきたいと思います。こちらは経産の方にお伺いさせていただきます。

 今回、このような機構のスキームに至った経緯としまして、幾つか確認をさせていただいておるんですが、その中に、東電を債務超過させないということがありました。

 これは、債務超過によって非常に社会的に混乱が起こるんじゃないかということを想定されているとは思うんですが、大臣にお伺いさせていただきたいのが、東電が債務超過、倒産等になった場合に、何かシステミックリスクのようなことが想定されるんでしょうか。これは、JALとはどこが違うんでしょうか。

茂木国務大臣 前政権時代の二〇一一年の六月に、原子力損害賠償支援機構法を制定する際、あわせて、賠償に関する政府の支援の枠組みを閣議決定しておりまして、その中において、「損害賠償、設備投資等のために必要とする金額のすべてを援助できるようにし、原子力事業者を債務超過にさせない。」こととした、このように承知をいたしております。

 そこでは、原子力事業者が債務超過になることで、電気事業全体の資金調達に支障を来す事態を回避することも重要と認識されていた、このように考えております。

 一概に、さまざまな産業を、何が重要で何が重要でないとか、そういった形で比較するのは難しいと思いますけれども、国民生活そして日本の経済活動を行っていく上で、電気の安定供給、また、それに必要となります事業者の資金の調達であったりとか事業運営は極めて重要な課題である、このことは現在も変わっていないと思っております。

小池(政)委員 確かに、当時、現在の原賠法の基準でスキームを考えた際に大変苦労されたということはよくわかっております。

 その際に、このスキームで達成しなければならない基準として、債務超過させないという話はありましたが、やはり大事なのは、賠償をしっかりとやらなければならない。また、大臣おっしゃったような電力の安定供給、それから事故の収束、それから社債市場の安定でありますとか金融システムの安定でありますとか、そういうものを包含して達成するためにかなり尽力されたスキームだとは思うんです。

 ただ、ここで抜けているのは、やはり、債権者だったり東電の負担というか責任というか、そこをどうするかという話であります。それも当然考慮されて取り組んでいらっしゃるとは思うんですが、大臣にお聞きしたいのは、東電の現在のリストラ状況についてはどう考えていらっしゃるかということであります。

 二〇一一年十月に経営・財務調査委員会が報告書を出しておりますが、その後の取り組みに対して、今、大臣はどう考えていらっしゃいますでしょうか。

茂木国務大臣 東電の合理化、リストラをどう評価しているかということでありますけれども、日本語で言いまするリストラという意味でいいますと、前回の総合特別事業計画で目標として定めました人員の削減であったりとか資産売却等について基本的にクリアをした上で、本年一月に認定をいたしました新・総合特別事業計画において、前回の計画より一・四兆円のコストカットを上積みしまして、十年間で約四・八兆円のコストカットを実現してきている、このように考えております。

 その一方で、リストラクチャリング、これは単に合理化にはとどまらない問題である、そのように思っておりまして、これは東電の内部だけではなくて、メーカー等調達先まで含めた電力のサプライチェーン構造全体にわたって、コスト構造を抜本的に見直していく、今後ともこういった努力というのは私は極めて重要であると考えております。数土新会長のもとで、数土会長が民間で養ってきた経験であったりとか経営改革の経験といったものを、東電の大胆な改革そして経営再建にリーダーシップを発揮してほしい、こんなふうに考えているところであります。

小池(政)委員 それでは、同様に、このスキームの中で法的には進めることは規定されていない、株主でありますとか銀行等の債権者の責任についてはどう考えていらっしゃいますでしょうか。

上田政府参考人 株主と銀行の責任をどう考えているかというお尋ねでございます。

 原子力損害賠償支援機構法の中で、特別事業計画というものがございます。この中で、株主や金融機関等の関係者に対して、賠償の履行に充てる資金を確保するための協力要請に関する事項を記載するということにされております。

 ことしの一月に新しい総合特別事業計画を認定いたしました。その中で、東京電力は、まず、株主に対しましては、無配当を継続すること、それからホールディングカンパニー制への移行を了承すること、それから、機構保有の東電株式の売却がなされた際に一層の株式の希釈化ということが起こるわけですが、それの容認といった形で協力を取りつけることとしております。

 それから、金融機関に対しましてでありますが、まず第一に、電力システム改革の流れの中で、子会社が連帯債務を負うことなく、東電が分社化等の取り組みができるようにすること、また、主要行を中心といたしまして、一般担保が付されている私募債の方式につきまして、できるだけ早期に見直していくことなどの面で協力を取りつけることとしております。

 今後、東京電力が、株主や金融機関の理解と協力を得ながらこれらの事項を着実に履行していくよう、政府としてもチェックをしてまいりたいと考えております。

小池(政)委員 その点、非常に重要な点だと思います。

 今までも、銀行については、一般担保つきの私募債になっているということに対して、ほかの党の委員からも指摘はあっておりましたが、確かに大変重要な問題でございまして、それを減らしていくということも重要な取り組みだと思います。

 ただ、銀行は、何で担保をつけるようになっていったのか。一番最初の一・九兆円はたしか無担保だったと思いますけれども、それがだんだんと貸し出しをするときに担保をつけるようになっていった。それは、恐らく東電の信用力というものにも関連していると思っております。

 例えば、銀行側からの意見として、電力が何でほかの会社に比べて信用が高いのかという話の中に、一つは、さっきありました、原賠法の免責事由があるということがございます。今回の事故によって、この免責事由そのものが機能しないということがわかってしまったわけでございますが。

 もう一点あるのは、総括原価方式であるということなんですね。それがある限りは、薄いですけれども利益を積み重ねていって、無限責任であっても、何十年にもわたって資金の返済を行うことができるんじゃないかということがその前提にあるわけでございます。

 その信頼の根拠となっているのが今の二つなのでありますが、そこでちょっと経産省に聞きますが、この総括原価方式、原発の発電についてはこれから自由化を進めていくわけでございますけれども、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、電力システム改革を進めてございまして、今、第二弾の法案を提出させていただいていますけれども、将来的には、発電部門、小売部門の参入を自由化する。一方、送配電のところは地域独占を前提とするということで、送配電部門につきましては総括原価が残りますけれども、発電、小売の部分については総括原価方式はなくなるということでございます。

小池(政)委員 発電はなくなるということでございますから、特にこの原発の発電事業については、そこだけ見ると、これから信用力という面では大変厳しくなってくるんじゃないかなということを考えているわけでございます。

 その際に、債務超過させないということが前提でございますが、例えば、今までの会計処理等を見てみてもかなり厳しくなっているということを鑑みると、これからちょっと違った角度でも考えていかなくちゃいけないんじゃないかなということを思ってしまうわけでございます。

 例えば、東電が支援機構から受ける援助の分の資金が、東電のBSを見ますと資産計上されているわけであります。東電がそれを受け取って賠償に回すはずなわけでございますが、それをなぜか見込みという形で資産計上している。平成二十四年度末で見ますと八千九百十八億円、大きな金額が計上されております。本来は、融資でありますので、それを受けたときに債務計上するというものでございますが、なぜか資産計上している。

 これは、交付金と東電が負担する特別負担金、この関係をリンクさせないということから、何とかあえて債務超過を回避させるための会計だとは思いますが、このようなことを積み重ねていて本当に信用というものを維持できるのかなということを非常に疑問に思ってしまうわけでございます。

 そこで、さっき三谷議員が最後に分社化という話もされましたが、更生法についても調べてみました。必ずしも債務超過を要件としていないわけでございます。これは、会社更生法の第十七条におきましては、債務超過じゃなくても、例えば「その事業の継続に著しい支障を来すおそれがある場合」とか「破産手続開始の原因となる事実が生ずるおそれがある場合」とか、そういう場合についても申し立ての要件に当てはまるわけでございます。

 これは、果たしてこれからどうなるかということでありますけれども、また、大臣がおっしゃるように、それをやると、では被災者に対する賠償がどうなるんだということになりまして、電力債が優先されるということでもありますが、ただ、更生法では、弁済順位の調整も可能ということでございまして、当然債権者の合意は必要なのでありますけれども、まだその可能性というのもそこにはあるわけでございます。

 また、これは必ずしもマイナスな面だけを私は言っているわけじゃなくて、何か責任をとれということだけを言っているわけじゃなくて、やはり分社化という形で、前向きな会社という形で、例えば廃炉でありますとか、そのほかの部分というものを切り出さないと、これから何十年も続くその事業に対して、本来は結構海外に対しても展開できるような大変有意義な事業であるにもかかわらず、支援機構と一緒になって何かペナルティーでずっとやらされてしまっているような、そんな取り組みになってしまうんじゃないかということを大変危惧しているわけでございます。そのような観点からもぜひ一度お考えいただきたいと思うんですが、どうでしょうか。

茂木国務大臣 東京電力におきまして、電力システム改革を先取りしまして分社化を進める、持ち株会社のもとに燃料・火力、そしてまた送配電、小売の各事業会社を設置する、そして、持ち株会社がグループ全体のリソースを活用して賠償、廃炉・汚染水対策に責任を持って取り組む、望ましい方向だ、このように考えております。

 ただ、債務超過にならなくても破綻処理が申請できるというんですけれども、恐らく自分からされるという可能性は極めて少ないんじゃないかなと思っております。それから、債権者の利害調整、全くできない、絶対にできないという話ではありませんけれども、恐らく、実際に債権を持っている方、今度は株主との関係とか善管注意義務の問題が出てまいりますので、その調整がスムーズに進むかといいますと、これにつきましては相当難しい問題だ、困難を伴う問題だ、実際にはそのように考えております。

小池(政)委員 確かに難しいわけでございますが、例えば、その責任についても事故の前後で分けるということも可能性としてできないわけではないことでございますから、特に融資というのはそれができますし、また株も、二社をつくることによって株を分けて、それによって、一部は毀損するけれども、一部はこれからその株価が高まっていく、それによって回収できるんじゃないかというようなことも考えられるわけでございますから、ぜひ、これから長い期間になるわけでございまして、そこで働く人のことも考えてみて、しっかりと検討していただきたいとは思っております。

 その際に、発送電分離というのが電力の自由化の後に続くわけでございますが、当然、東電もその対象として、もしくはこれが主導して、発送電分離のモデルというか、これからこういう形もあるということを進めていかれるんじゃないかなと思っているんですが、その見通し、また予定、計画等、わかったら教えてください。

上田政府参考人 東京電力の自主的な発送電分離をどのように進めていくかというお尋ねかと思います。

 東京電力は、ことしの一月に認定いたしましたいわゆる新・総合特別事業計画の中におきまして、電事法第二弾改正の施行が前提となるわけでございますが、二年後の二〇一六年の四月を目途に、自主的に発送電分離を行い、持ち株会社をつくりまして、そのもとに、燃料・火力、送配電、それから小売、これらの事業会社を設置することとしております。また、持ち株会社が、グループ全体のリソースを活用いたしまして、賠償、廃炉・汚染水対策等に責任を持って取り組むこととしております。

 東京電力には、電力システム改革を先取りしていただきまして、分社化など従来の発想にはない改革や経営努力を行っていただき、電力の安定供給と新たなサービスを提供することで企業価値を向上させていただくということを私どもとして求めておりまして、これが廃炉や賠償の円滑化、さらに福島復興の加速化にも資すると考えているところでございます。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 そうすると、今おっしゃった燃料・火力、そこに原発の発電事業も入るという考えでいいんでしょうか。そして、そのときに特別負担金がそこの料金に乗っけられて、これから回収が続くというような理解でいいんでしょうか。

上田政府参考人 東京電力の持つ原子力発電事業といたしましては、福島の事業もございますれば、柏崎刈羽の事業もあるわけでございまして、こうした原子力の事業を、燃料・火力の部分に入れていくのか、あるいは本体において対応していくのかといったところにつきましては、今後、東京電力において検討されることとなるものと承知しています。

小池(政)委員 その本体というのはどこなんですか、分離したときの本体というのは。お願いします。

上田政府参考人 本体といいますのは、グループ全体の持ち株会社という意味でございます。

小池(政)委員 ちょっとわからなかったんですが、本体の中に、持ち株会社で原発の発電事業会社がそこにできるということでいいんですか。そこである程度利益を上げて、その中で特別負担金が回収されていくというようなスキームも考えていらっしゃるということなんでしょうか。

上田政府参考人 東京電力の原子力発電所、例えば福島第一原子力発電所は廃炉を行っていくわけでございます。こういった、ある種、原子力の発電事業というよりも廃炉事業を行っていくようなものを、燃料・火力カンパニーのもとに置くのか、それとも東京電力の持ち株会社とか全体を見るところに置きまして賠償、除染等をしっかりやっていくのか、そういったところについてなお検討の余地があるということでございます。

 また、人材の問題もございますので、その際、柏崎刈羽原子力発電所を含めました原子力の体制をどうしていくのかということにつきましては、なお今後、東京電力の中におきまして検討がなされるものだと承知しております。

小池(政)委員 また自由化の議論の際に確認をさせていただきたいと思います。

 あとは、現状、今国が東電の株式を持っている中で、少し懸念があるのは、国としては、一番大きな株主として東電に関与しているわけでございますが、一方で、国、特に経産省としては、東電から提出される電気料金について査定しなくてはいけないという立場でもあるわけでございます。

 ですから、立場としては、株主の立場としては利益を上げてこれから再生を図っていきたい、ただ一方で、国、経産省としてはなるべく電気料金を抑えて国民の負担を下げなくてはならないという視点も備えなくてはいけないわけでございます。

 そこら辺の相反する観点、どのようにこれからバランスをとっていかれるつもりでしょうか。

茂木国務大臣 今の質問の前に、先ほどの件で若干追加をさせてもらいますと、基本的には、燃料・火力の部門が発電事業を担う、そして、送配電、小売は名前のとおりの事業を行う事業会社ということになりまして、その上に持ち株会社がありまして、そこで各事業会社からの収益で例えば賠償、廃炉・汚染水対策を行っていく、こういう基本的な構造であります。

 東電の場合は、例えば福島第一の廃炉も抱えております、その費用、そして炉の設置者としての負担金の問題もあるわけであります。そういった福島の原発であったり、それから柏崎、これを一つの燃料・火力事業会社に持たせるのがいいのか、それとも持ち株会社で全体的にそこも含めて管理をした方がいいのか。これは、資金の問題それから事業運営の問題等々も含めて、二〇一六年の四月をめどに新しい体制ということでありますから、東電において検討されるべき問題であると考えております。

 その上で、国の立場それから株主の立場の利益相反にも関連した問題であります。

 国の立場としては、東電が分社化などの電力システム改革を先取りして企業価値を向上させることが、結果としては、例えば株価も上がったりとか、除染などの費用相当分の早期回収も可能になることでありまして、これが国民負担の抑制につながる、またつなげてほしいと思っております。

 一方、株主の立場で申し上げますと、当然それは収益が上がった方がいいわけでありますけれども、電気料金につきましては、電気事業法におきまして詳細に制度が設定をされておりまして、具体的には、電気料金審査専門小委員会におけます中立的、客観的な検討を踏まえて、最大限の経営効率化、合理化努力を踏まえたものであるかどうか、厳正に審査を行うことといたしております。

 そういった観点からしますと、普通の株主であっても、余り経営改善努力をしないで単に料金が値上げできるようなシステムにはなっていないということでありますし、また、国が株主として考えなければならないことは、経営効率化の努力もないままに単に料金の形で国民に負担を求める、こういった場合には、利用者の信頼の向上、こういった意味からも問題があると考えております。

小池(政)委員 株式の原資ももともとはやはり公金という形で国民から出ているわけでございますから、しっかりと公益の観点を持ち続けていただきたいと思います。

 もう時間ですかね。では、一点だけ。

 この法案に直接関係するところで、今回、廃炉の機能をくっつけるということでございますが、区分経理はどうなっているか、教えていただけますか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正で追加する廃炉関係の業務につきましては、現行の負担金で賄うということになっておりますので、法律上、区分経理は行わないこととしております。

 他方、新しい機構の業務の効率化等の観点から、支出の面におきまして、廃炉関係の業務、賠償関係の業務でそれぞれどの程度の支出があるかというのをいわば見える化するという努力はしなければいけないと考えております。

 今後、新機構の詳細な組織設計とあわせまして、このような工夫について検討していくとともに、機構の予算は毎年主務大臣が認可をすることになっておりますので、予算認可の際に当たっても、業務の効率化が図られているかという点をしっかり見てまいりたいと考えております。

小池(政)委員 賠償とは全く違う内容なので、しっかり分けて検証できるようにしておいてください。

 以上で終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 原子力損害賠償支援機構法改正案について質問をいたします。

 最初に、汚染水処理対策について質問いたします。東電の廣瀬社長においでいただきました。

 まず、地下水の挙動把握の問題ですけれども、私も当委員会でもこの問題を取り上げてまいりました。要するに、地下水の挙動把握、粘土層のさらに下の深い透水層において汚染がどのようになっているのか、調査が必要ではないのか、こういうことについても取り上げてきたわけですが、これまでより深い岩盤の中の中粒砂岩層の地下水からも比較的高い放射性物質が検出されたと聞いております。

 この下部透水層の水質調査状況について説明をしていただけますか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 秋の臨時国会の経済産業委員会で先生からその御質問を承りまして、そのときに、下部透水層についてはこれから調査だということを申し上げたと思いますが、それ以降、十二月から一月にかけて、いろいろな穴から下部の透水層の水をくみ上げようということで、何度もトライしてまいりました。

 その中で、はかるたびに多少のばらつきが出てしまいまして、そのはかり方をしっかり整えませんと、正しく下部透水層の水をちゃんと採取しているのかどうかというのがはっきりいたしませんで、いろいろな試行錯誤をしております。その間で得られた数値がばらついております。ただ、総じて、いわゆるトレンチから水が漏れているような、そうした高度な汚染の状況ではなくて、非常に低いレベルで、ただ、数字が少し一定しないという状況が続いております。

 そこで、採取の仕方等々について、専門家の先生方も含めて、どうやったらうまいとり方があるだろうかということで本当にいろいろ試行錯誤して、今やっと、こういう方法がいいのではないかという形が見えてまいりまして、近々、その方法でもう一度またトライをしようという状況に来ております。

塩川委員 経産省にお尋ねいたします。

 一定量の放射性物質が下部透水層から出ているということでもあります。もちろん、検査体制ですとか検出方法とか、いろいろ工夫はされるということですけれども、調査ポイントも二カ所ということでもありますし、やはり改めて、汚染の全体状況を把握するためには、ポイントをふやすですとか、あるいは深さについても工夫をするとか、より一層深層の地下水を含めた調査対策が必要ではないのか、私はこのように考えますが、この点についてはいかがですか。

糟谷政府参考人 一番上の透水層が中粒砂岩層で、その下が互層であります。互層の水質がどうかということについては我々も大変関心を持って見ておりまして、今、先ほどの十一月から一月にかけて採取をした井戸が二つなんですけれども、それ以外にも互層の水質を確認する観測井を掘ってもらうようにということを依頼して、それは進みつつあります。

 この二カ所以外にも、もっと海側で確認をするとどうなるか、護岸の際ではかるとどうなるか、そういうことの体制が整いつつありまして、互層の水質については引き続きフォローをしていきたいというふうに考えております。

塩川委員 ぜひ、全体的な把握と同時に、動的な把握ということが重要だと思いますので、こういう点でのしっかりとした調査等々を進めていただきたいということです。

 次に、地下水の流入抑制策の関係ですけれども、その点で凍土方式を進めているわけであります。

 ただ、タービン建屋そのものが、もともと削って、底に地下水がかなり流れ込むという場所でもありますし、一定のところ、埋め立ても含めて整地をしているという経緯で、当時の状況でいいますと、海側に盛り土をしたような部分というのがしっかりとした転圧などが行われているのか。

 そういう点でいいますと、凍らせるという場合においても、一定の均質な土壌など地質状況で可能ではないのかと思うんですが、塊を含んでいるような不均質な地盤のような場合に凍土方式ではなかなか凍りにくいのではないのか、こういう懸念もあるわけです。こういった不均質な地質状況においてこの凍土方式というのは有効なのか、この点についてはどのように受けとめておられますか。

糟谷政府参考人 凍土方式の遮水壁でありますが、これは設計をしていきなり施工するわけではございません。フィージビリティースタディーを行っております。

 具体的には、配管など埋設物がある場合、それによって不均質な地質になっている場合でも凍結可能であることは、実験槽において既に確認をしております。また、地下水の流速はサイトの中では一日当たり〇・一メートルというふうに考えておりますが、これを上回る流速、一日当たり〇・七メートルでも凍結が可能であるということも確認をしております。

 これは実験槽において既に確認をしたことでありますけれども、それだけではなくて、さらに、福島第一原発のサイトの中で、実際に十メートル四方の小規模の遮水壁を設置して、今凍らせております。こういうことで実際に凍結することを確認した上で、実際の本施工に入っていきたいと思います。

 この間、検証で得られた成果は、順次設計にも反映をいたします。また、施工に当たっては、先行ボーリングを行って地盤の確認も行いますし、必要に応じてグラウティング等を行って地下水の流速を抑えたり、または凍結材の温度を下げて確実に凍らせることができるようにする、そんな対策を講じるということにしているところであります。

塩川委員 凍土方式の有効性をしっかりと検証していただくと同時に、それだけに頼るというものではないということは、当然、東電も、経産省、政府としても取り上げていることであります。

 そういう意味では、敷地全体を視野に入れた、こういった遮水を図るような地下水流入抑制策、そういう点で敷地全体を周りの地域から隔離する、そういう取り組みが必要だというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

糟谷政府参考人 まさに敷地全体に対する対策ということで、凍土方式の遮水壁に対する重層的な対策ということで、表面遮水といいますか、フェーシングを検討しております。これは、建屋に流入をしている地下水の大半が、福島第一原発のサイト内もしくはそのサイトの周辺に降る雨水が地下水になったものだということが、地下水の動態、挙動を専門家によって把握していただく中で明らかになりまして、したがって、雨水が地下にしみ込んで地下水になるということを防ぐ対策が非常に有効であるということであります。

 これは非常に広範に、二平方キロメートルぐらいの表面遮水をやると相当効果がありますし、仮にそこまで広くやらない場合には、表面遮水をやり、その表面遮水の際に追加的な遮水を行うということで、二平方キロメートルより狭い場合であっても同等の効果が確保できるというようなことを専門家の検討により確認をしていただいております。

塩川委員 ぜひ、多重、多層の取り組みということで進めていただきたい。

 次に、トリチウム対策についてであります。

 やはりトリチウムの除去というのは大きな課題となっているという点で、いろいろ技術提案もされていると思うんですが、トリチウム除去に関しての技術提案でどのようなものが取り上げられてきているのか、その点について御紹介ください。

糟谷政府参考人 昨年の十月二十三日までIRIDが行った汚染水対策に係る技術提案の募集では、合計七百八十件の情報が寄せられたわけでありますが、このうち、トリチウムについては、トリチウムの分離技術でありますとかトリチウム水の貯蔵方法について、百八十件を上回る情報をいただいております。

 具体的に申し上げますと、トリチウムの分離技術につきましては、原子力分野で既に研究をされている分離技術、例えば電解法ですとか、CECE法という化学交換電解セル複合法等の技術、それから、原子力分野で研究をされているもの以外の分離技術も、凍結濃縮法であるとか、吸着材であるとか、そんなものが提案をされております。

 また、トリチウム水の貯蔵方法につきましても、鋼管を地下に埋設して鋼管内に汚染水を注水する方法ですとか、深度百メートルから五百メートル程度の地下の深いところに直接注水をする方法ですとか、二重殻、ダブルハルの構造のタンカーの技術を活用して、海から隔離した陸地に保存するという方法ですとか、大規模な地中タンクをつくってはどうかというような方法ですとか、こういう御提案をいただいております。

 いずれにしましても、トリチウム水については、この取り扱いを最終的にはきっちりと明らかにしなきゃいけないわけでありますが、分離技術だけではなくて、大量のトリチウムの貯蔵を長期間やる場合または放出する場合のリスク、それから環境影響、費用対効果なども含めて、総合評価を今行っているところでありまして、汚染水処理対策委員会のもとのトリチウム水タスクフォースで、きょう、第七回目を開いておりますけれども、これまで検討を進めております。

塩川委員 タンカーなどは非常に不安でもあるわけで、そういう点でも、安定的な貯蔵方法、同時に分離技術というところで大いに進めていただきたい。

 大臣にお尋ねしますけれども、やはりこれまでも大量の放射性物質で海が汚染をされているわけですから、もうこれ以上放射能で海を汚さない、こういう基本原則に立った対策に全力を挙げていただきたい。この点についての決意をお聞かせください。

茂木国務大臣 まず、汚染水問題につきましては、三つの基本的な方針、地下水を汚染源に近づけない、そして汚染源そのものを取り除く、そして汚染水を漏らさない、こういう原則のもとで、アクションプランを昨年の九月十日につくりまして、そういったアクションプランが十分に機能しない場合や潜在的なリスク等々を考えまして、より重層的な、予防的な対策も現在とっているところであります。

 そういった中におきまして、海洋の状況等々のモニタリングを定期的に行っておりますが、委員も御案内のとおり、外洋におきます汚染水の影響につきましては、基準値をはるかに下回る値、そしてまた検出できないほど低い値、こういう状況が継続的に続いております。こういった状況を維持するとともに、汚染水問題を抜本的に、先ほど申し上げたような大きな方向のもとで解決することが汚染水の影響を海に及ぼさない上で極めて重要だと考えております。

塩川委員 フローで数値が低いと言われても、ストックでもう大きくなっているということを前提での対策が必要だ。

 そういう点でも、トリチウムについては、放出が選択肢として挙げられているという点では、私は、そういうことをとるべきではないと。トリチウムの健康、人体への影響についてはまだまだ諸説あるわけで、安全サイドに立った対策をしっかりと行うと。ですから、トリチウムを含めて放射性物質を海に流さないという立場での取り組みをしっかりと行うべきだ、このことを強く求めておくものであります。

 次に、原子力規制庁にお尋ねをいたします。

 原子力規制庁から、福島第一原子力発電所における主なトラブル一覧表というのをいただいております。

 福島第一原発のトラブルの件数がどのくらいであって、そのトラブルの特徴がどのようなものか、この点について御説明をいただけますか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 まず、一覧表の全体のスコープでございますけれども、福島第一が事故を起こしました二〇一一年の三月十一日から本年二〇一四年の二月二十五日現在で取りまとめたものでございます。

 それで、トラブルあるいはトラブルに準ずるものという形で私どもは抽出しているわけでございますけれども、まず、全体件数としては百七件ございます。このうち、汚染水が漏えいしたものあるいは堰の亀裂など汚染水関係のトラブルは、この百七件のうち八十七件ということで、約八割程度、こういう状況になっているものでございます。

塩川委員 今御説明いただきましたように、主要なトラブルというのは汚染水です。

 ですから、そういう点で、言われているように、福島第一の事故というのは、廃炉に向けて何よりも困難なのが汚染水対策だということが改めて浮き彫りとなるわけであります。スリーマイル島やあるいはチェルノブイリにもない重大なトラブルであるのがこの汚染水問題です。

 東電においては、汚染水対策について後手後手に回るような対応だった。そういう点で、当事者能力がないということは昨年四月以来の対応で明白であります。

 本法案は、政府が昨年決定しました汚染水問題に関する基本方針及び福島復興指針に基づいて、原賠機構に事故炉の廃炉関係業務を追加し、新たな体制を構築するものですが、東電と一体となって経営を支えてきた機構がこの汚染水対策でどのような役割を果たしたのか、このことが問われるわけであります。

 経産省にお尋ねしますが、当委員会でも昨年来議論が行われましたけれども、二〇一一年六月の東電株主総会に向けた時期に、債務超過の懸念から約一千億円の遮水壁構想の公表が見送られ、結果としてうやむやになり、採用されなかった。このことが昨年議論となったわけですけれども、こういった時期に機構の運営委員会では汚染水問題についてどのような議論を行ったのか、どのような対策を東電に求めたのか、この点について御説明ください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力損害賠償支援機構法に基づきまして、特別事業計画というのが政府に出されるわけでございます。これは、原子力事業者である東京電力と原賠機構が共同して政府に申請をすることになっているものでございます。機構では、この政府の申請に先立って、運営委員会の議決を経るということになっているところでございます。

 直近のことし一月二十日に認定をした新・総合特別事業計画において、廃炉・汚染水対策につきましては、汚染水・タンク問題に対する反省と今後の取り組み、あるいは廃炉カンパニーの創設といったことが盛り込まれているところでございますが、このようなものが盛り込まれた特別事業計画は、機構の運営委員会において議論が行われて、議決を経た上で政府に申請されたものと承知をしております。

塩川委員 直近の話は聞いていないんですよ。

 そもそも、二〇一一年六月に議論があって、この遮水壁の問題、陸側をどうするかという議論があって、結果として、二〇一一年から一二年にかけて、海側はやるけれども陸側はやめておきましょうね、こういう話になった。そういうときに機構は既に存在をしていたわけですから、このときに機構の運営委員会ではこういう汚染水対応についてどういうことを検討したのか、そこが聞きたいんですよ。

糟谷政府参考人 機構は賠償資金の支援をするという役割を担っておりますので、その観点からの議論をしておったというふうに承知をしております。

塩川委員 その中身を教えてください。

糟谷政府参考人 申し上げましたのは、具体的に汚染水対策をどうするか、それから廃炉をどうするかということについては、東電と政府の対策本部で決定をしていたということでございます。

塩川委員 いや、機構の役割がどうか、つまり、今回機構も廃炉を請け負うわけですから、そういう点で、そもそも、この廃炉、特に汚染水対策の問題についてどういう議論を機構の運営委員会で行ってきたのかということを知りたいんですよ。そこについてのしっかりとした総括があってこそ、今後の問題につながってくるんじゃないですか。

 こういった遮水壁の問題、例の陸側遮水壁もつくりましょうという当時の馬淵補佐官の提案、東電の方もそれを受けたというふうに言われているわけですけれども、その経緯についてはどんな議論をされたんですか。

茂木国務大臣 当時は我々の政権でありませんでしたので、政府と東電のやりとりの詳細については、私個人としては承知をいたしておりません。

 一方、機構におきましては、主要な業務は賠償の支援ということでありまして、交付国債の枠を決めるということで円滑な賠償を進める、こういったことを重立った業務として進めてまいりました。

 廃炉支援、これは今回お願いしております法律の改正におきまして新たに機構の機能としてつけ加えたいと思っているところでありまして、そこの中に、特別事業計画における廃炉の実施状況、実施体制の整備について記載をすることに今後なっていくわけであります。そうしますと、それを見た上で、機構においても、さらには主務大臣におきましても必要なチェックができる、こういう体制になってまいると考えております。

塩川委員 どんな議論をしたかということの紹介がないんですよ。

 賠償支援ということでの機構の役割のお話がありましたけれども、先ほど藤原調整官の方からの説明もあったように、特別事業計画を東電と一緒に出すのは機構ですけれども、平成二十四年五月の総合特別事業計画を見ると、機構による一兆円の財務基盤の強化、その目的は賠償と着実な廃止措置と電力の安定供給を掲げているわけで、汚染水を含む廃炉、廃止措置に関与することが当然目的として挙げられているわけです。だからこそ、どんな議論をしたのかというのをはっきりさせてほしい。

 まともな議論もしていないんだったら、こういう機構が汚染水を含む廃炉を扱うにふさわしいのかどうかというのが問われているんだ、そのことを聞きたいんですが、いかがですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣の答弁にもありましたとおり、これまでの機構は、東京電力の経営全体をチェックしつつ、損害賠償の支援を行うという機能を果たしてまいりました。今回私どもが法改正で追加をお願いしているものは、廃炉につきまして、これは東電の経営上重要な事項であることはもとよりでありますが、その部分について技術的、専門的な支援を行うことにしたいという趣旨のものでございます。

 したがって、これまでの個々の運営委員会の場で廃炉について議論があったかどうかというのは、これは機構の内部の会議の問題でございますので、私どもとして承知する立場にないところでございますが、経営の問題の一つとして議論されていたものと考えております。

塩川委員 いや、経営の問題であれ何であれ、説明を求めても説明がないじゃないですか。それだから、そもそも廃炉を担うような資格があるのかどうかということが問われているんですよ。経緯として重大な問題で、前の政権のときであれ、継続しているわけですから、そういった機構が継続した業務の中でどんなことをやっていたのか、このことが問われているわけです。

 もともと機構の成り立ちを考えると、二〇一一年の五月十三日の関係閣僚会合や六月十四日の閣議決定にあるように、東電に対する機構の援助には上限を設けず、必要があれば何度でも援助し、原子力事業者を債務超過にさせない、こういう合意に基づいてつくられているのが機構であって、いわば東電は潰さないという約束に基づきつくられたものであります。

 そういう点では、当事者能力のない東電の汚染水対策を含む廃炉対策を機構が担う資格そのものがないということも重ねて申し上げておきたい。

 その上で、国は、技術的に困難ということを理由にして、廃炉や汚染水対策にこの間税金を投入してまいりました。復興指針では、国が前面に立って原子力災害からの福島の再生を加速する、国と東電の役割分担とあります。この復興指針に基づき機構法に廃炉等の業務を付加することで、資金援助の枠組みを利用できることになり、いわば際限のない国民負担、電気料金アップ等、税金投入の道を開くことになるのではないのか、このことが問われているわけであります。

 そこで、東電にお尋ねをいたします。

 この廃炉経費についてでありますけれども、福島第一の一―四号機の廃止措置完了までの費用総額について、これまでの一兆円の内訳についてはどのようなものかを御説明ください。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 現時点で最新の決算が終わっておりますのが、昨年の十二月末、いわゆる平成二十五年の第三・四半期末の決算値でございますが、その段階での計上額が九千七百億でございます。

 その内訳としましては、事故が起こった年の十二月までのいわゆるステップ1、2と言われていたときでございますが、そのときに要したお金が千八百億でございます。これはもうほとんど終わっておるところでございます。そのほかに、まさに今、中長期ロードマップで、これから、燃料デブリを取るとか使用済み燃料を取り出すとか、それから汚染水対策をする、タンクをつくる、こういったようなことで約六千億を計上しております。そのほかに、いわゆる解体費用というんでしょうか、最後の解体のために千九百億。以上で九千七百億を引き当てております。

塩川委員 今、六千億ということで御説明がありました中長期ロードマップ対応費用のその内訳についても御説明いただけますか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 これもちょっと細かいのですが、大きく四つのカテゴリーがあると思っております。

 プラントの安定状態の維持継続、これはずっと注水をして温度をしっかり保つというようなことでございますが、それで約千三百億程度。それから、発電所全体の放射線量の低減、汚染水の拡大防止対策、これで約四百億でございます。それから、使用済み燃料の取り出しで千六百億。それから、燃料デブリその他中長期的な課題で二千六百億強。合計で約六千億、これが中長期ロードマップの内訳でございます。

塩川委員 燃料デブリ取り出しなどその他の中長期課題に係るものが二千六百億強ということを含めて、内訳についての御説明をいただきました。

 追加の一兆円の部分についての使途はどのようになっておりますか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 今申しましたように、現時点で既に九千七百億を引き当てておりますが、実際に使っている、その中からお金として使われて取り崩されてしまったというのは、まだ三分の一程度でございます。

 したがいまして、まだ緊急的にお金が足りなくなるという状態ではございませんけれども、ただ、これからまた長い期間にわたってそうした対策をとっていく際に、例えば、万が一にも予算的あるいは資金的な制約から本当に必要な工事ができないというようなことがあってはゆめゆめいけないと思っておりますので、今回、特に、何に幾ら、何に幾ら、何に幾らということで一兆円と積み上げたものでなくて、今後の大きくかかるであろうというものに備えて一兆円というのをこれから積んでいこうということでございます。

 とは申しましても、ある程度、既にこれから使っていかなければいけないというのは出てきておりまして、それは、ALPSであるとか、それからタンクのリプレースであるとか、こうしたものは既に計上した九千七百億には入ってございませんので、今度積んでいくその一兆円の方から使っていこうというふうに考えているところでございます。

塩川委員 ALPSの増強やタンクのリプレースという具体の話がありましたけれども、もうちょっと全体に係る話で、丁寧な御説明を事前にもいただいているんですけれども、そういう丁寧な説明でお話しいただけますか。

廣瀬参考人 一兆円の使途ということでいいますと、現時点ではっきりしておりますのは、今申し上げたタンクのリプレースであるとかALPSの新しいものというようなことであります。

 それ以降については、これから経常的に出ていく、例えば、今、あちこちで穴を掘ってサンプリングをして、それを解析しておりますが、そうしたことの委託費であるとか、それから水をぐるぐる回していくための費用であるとか、そうした費用として出ていくものももちろんこの一兆円の中から使っていこうと思っておりますが、何か新しく建設して何かのためにということであると、今現在ではっきりしているものは先ほどの二つということでございます。

塩川委員 東電からファクスでいただいたペーパーによりますと、この追加一兆円について、汚染水対策を初めとした廃炉に向けた取り組みを着実に進めるため、これまで手当てしてきた一兆円と同程度の支出が必要になっても対応できるように、既存投資計画の削減や費用の抑制により一兆円捻出することとしている。

 主な使途は、投資関係、十カ年で七千四百億円程度。その中身としては、新事務棟など労働環境の抜本改善や、多核種除去設備の増強、フランジ式タンクのリプレースなど汚染水対策などとされています。費用関係については、十カ年で三千億円超。内容については、放射線管理業務委託費、汚染水処理装置運転委託費、汚染水処理装置の点検・保守費用などとなっております。

 これは、このとおりでよろしいですか。

廣瀬参考人 はい、そのとおりで結構でございます。

塩川委員 労働環境の改善や汚染水対策への投資ということで、汚染水対策のランニングコストなどを使途としているわけですけれども、これは一応、見積もりとすると十カ年ということですね。それより先のものについてはどうなんでしょうか。

廣瀬参考人 これは、今後十カ年で我々が一兆円を手当てしていこうということでございますので、その十カ年間に全てのお金が出ていくということでもございませんし、必要な場合には必要な額が出ていくということでございますので、十年目以降にもお金がまだ残っていれば、十年目以降の工事その他費用についても当然そこから出していくということになろうと思います。

塩川委員 残る場合もあるかもしれないし、足りなくなる場合もあるかもしれませんけれども、そういう意味では、一応この追加の一兆円の使途というのは十カ年という見通しですから、十カ年より以降のことについては新たな手当てが必要だということが基本にあるということであります。

 そういう点では、汚染水対策などに継続的に経費がかかるのは当然なわけで、いわば廃炉経費が二兆円におさまることはないということも今の東電の御説明の中にあったわけであります。

 そこで、その中で、経費の算定について一点お聞きしたいのが、燃料デブリ取り出し費用等の算出方法に対する検査院報告書を踏まえたものであります。

 会計検査院が一連の東電の会計上の問題について報告書を出しております。先ほどの東電の説明では、燃料デブリ取り出し費用等は二千六百億円強という御説明がありました。会計検査院報告によりますと、東電は、燃料デブリ取り出し費用等について、スリーマイル島事故の実績に基づき二千五百億円と算出、しかし、福島第一原発は、スリーマイル島と異なり、原子炉格納容器の気密性が失われていたり、原子炉圧力容器が損傷していたり、さらに損傷燃料が圧力容器外にも溶出していたり、放射線量が非常に高い状況となっていたりしていることなどから、上記の金額は不確実性の高い概算額であり、実際の燃料デブリ取り出し費用等は今後変動する可能性があると。

 つまり、このスリーマイル島事故などをもとに算出をした燃料デブリ取り出し費用等の二千五百億円、先ほどの二千六百億円強にも対応する部分ですけれども、もっとかかるかもしれないということの指摘です。燃料デブリ取り出し費用がもっとかかる可能性があるという指摘については、どのように受けとめておられますか。

廣瀬参考人 これは現時点での見積もりということでございますので、現時点で見積もった場合には今申し上げた金額に相違ないというふうに思っております。

 もとより、この引き当ては、御存じのとおり、毎決算ごとにいろいろな、工事が完了するものももちろんありますし、予想しない支出が必要になってくるものもございますので、毎期毎期見直していくものでございます。当然、そうした中で、今後とも必要があれば見直すことになっていくというふうに理解しております。

塩川委員 廃炉経費が二兆円におさまる見込みはない、こういった経費を誰が負担するのかというのが問われているわけです。

 経産省にお尋ねします。

 昨年十月、廃炉関係規則の省令改正が行われました。廃炉中も電気事業の一環として事業の用に供されるものとして整理されるものは、事故炉についても、運転終了後も引き続き減価償却費を料金原価に含め得るとしたわけです。つまり、事故炉の廃炉費用まで電気料金に上乗せをすると。

 これは、国民の理解が得られないんじゃないですか。

糟谷政府参考人 昨年十月の関係省令の改正でありますけれども、これは、現行の電力会社の会計制度が円滑かつ安全な廃炉を行う上で適切なものとなっているかどうかということを会計の専門家等によって審議をいただき、その結果、発電と廃炉は一体の事業であるとの考え方に立ち、ルールを見直すことが適当と整理をされたものであります。

 その中で、委員御指摘のように、減価償却について、廃炉中も電気事業の一環として事業の用に供される設備として整理されるものは、運転終了後も引き続き減価償却費を料金原価に含め得ることとするとされたものであります。

 まず、そもそも通常の廃炉作業においてでありますが、原子炉の格納容器ですとか使用済み燃料ピットなどが廃止措置資産に該当するというふうに考えております。これに加えて、事故炉においては、使用済み燃料プール内の燃料の取り出しですとか燃料デブリの取り出し等の作業に必要となる設備等が該当すると考えております。ただ、とりわけ事故炉の場合に、廃止措置に当たりどのような設備が必要となるかということは、あらかじめ、一概に規定することは困難であると考えております。

 いずれにしましても、これは、廃炉にすると残存簿価を一括損金計上しなきゃいけないために廃炉が進まないんじゃないかとか、そういう批判もある中で、廃炉を円滑に進めるためにどのような会計制度が最も適切かという観点から検討いただいて改めたものでございます。

塩川委員 いや、国民利用者は納得できないですよ。事故は別に国民の責任じゃないわけですから、原因者の東電の責任になるわけで、それを電気料金に転嫁するということに納得できないという声が上がるのは当然であります。

 パブリックコメントでも、国民の厳しい批判の声が寄せられております。事故炉の廃炉費用までも電気料金で回収できるものとなっており、無策のツケを電気使用者に回すものと言わざるを得ないであるとか、事故炉の廃止措置で発生した新しい設備の減価償却を電気料金で回収するのは虫がよ過ぎる、事故による廃炉の費用を消費者に負担させることには絶対反対だ、これは当然の声であります。

 こういった省令改正ですが、そもそも、平成二十四年七月に、経産省が、東電の供給約款変更認可申請に係る査定方針を示しております。その中を見ると、この福島第一原発事故に伴い、事故収束や、今後の廃止措置に向けて費用が発生することとなるが、特損として認識して処理した費用については、料金原価に含まれることはない、また、これ以外に新たに必要となる経費のうち、資本的支出、設備投資が生じた場合、当該設備は将来の収益を生むものではなく、資産性が認められないため、会計上、資産価値が特別損失処理され、減価償却費が発生しないことから、原価にも算入されない。こういう形で、当初は、原価算入を認める費用は、プラントの安定状態維持継続に係る経常費用に厳に限るということで、この設備投資分を上乗せするということを認めていなかったんじゃありませんか。

茂木国務大臣 御指摘の点は前政権において決めた方針でありまして、我々は我々として新たな方針を決定させていただいた。

 これは廃炉等を円滑に進める上でも極めて重要だ、そんなふうに考えておりまして、恐らく委員も、前政権下で汚染水対策や廃炉対策がきちんと進んでいたとお考えだったら別です、私はそうではなかった。だから、国が前面に出てこういった問題についてしっかりした取り組みをしていくというために、我々は一昨年の十二月に政権に復帰をいたしましたけれども、最初につくりました補正予算で九百四十五億円措置をいたしまして、廃炉に対する研究開発を進めることにいたしました。汚染水問題につきましても、昨年、新たな方針、アクションプラン等々も出しております。必要な関係閣僚会議もつくってまいりました。

 機構について、以前、この廃炉について十分な議論が行われていなかったじゃないか、こういう御指摘もあったところでありますけれども、国もそうだったんですよ。それをやはり変えていかなくちゃいけない。それが廃炉・汚染水対策の解決につながり、そして福島の復興の加速化につながる、そのための法案である、こんなふうに我々は考えております。

塩川委員 国が前面に出るという実際の業務の話と、その費用負担を税金や電気料金で負担するということは、イコールじゃありません。そういう点でも、しっかりと原因者の東電を初めとしたステークホルダーに負担を求めることが必要である、国民負担は最小化するという原則があってこそ国民の納得が得られる、こういう改革であるべきだということを申し上げて、きょうのところは終わります。

富田委員長 次回は、来る十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会


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