衆議院

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第10号 平成26年4月16日(水曜日)

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平成二十六年四月十六日(水曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      石崎  徹君    越智 隆雄君

      大見  正君    勝俣 孝明君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      菅原 一秀君    田中 良生君

      武村 展英君    津島  淳君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      細田 健一君    三ッ林裕巳君

      宮崎 謙介君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山下 貴司君

      山田 美樹君    泉  健太君

      枝野 幸男君    岸本 周平君

      近藤 洋介君    辻元 清美君

      伊東 信久君    木下 智彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      三谷 英弘君    小池 政就君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力損害賠償支援機構担当)          茂木 敏充君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          黒木 理恵君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山脇 良雄君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            田中  敏君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          菅原 郁郎君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            鈴木 英夫君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          富田 健介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)    糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉基盤整備総合調整官)    藤原 正彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         大脇  崇君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            清水 康弘君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官)   竹内 大二君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     三ッ林裕巳君

  福田 達夫君     津島  淳君

  細田 健一君     山下 貴司君

  近藤 洋介君     泉  健太君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     福田 達夫君

  三ッ林裕巳君     石崎  徹君

  山下 貴司君     細田 健一君

  泉  健太君     近藤 洋介君

    ―――――――――――――

四月十四日

 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)

 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)(参議院送付)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官山脇良雄君、文部科学省研究開発局長田中敏君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君、資源エネルギー庁廃炉基盤整備総合調整官藤原正彦君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高です。

 この機構法の審議もかなり終局の方になってまいりました。先週来、参考人質疑も入れまして三度目でございます。少し、以前お伺いした点の深掘りを含めましてお話を伺いたいところを中心に、お時間いただきたいと思いますので、本日もよろしくお願い申し上げます。

 まず第一に、先日、いわゆるKUR、京都大学の原子力実験炉につきまして御質問させていただいた中で、定期点検の関係で原子炉がとまってしまう間等を含めまして、今般、新基準が適用される中で、その影響によって人材育成の問題や研究の促進の阻害にならないかどうか、ならないように文科省の方でしっかりやっていただければというお話をさせていただいて、文科省からも、しっかりやっていただけるというお答えをいただいた次第です。

 その後、参考人質疑におきまして、KURにお勤めの御経験のある山名参考人にお話を伺ったところ、山名参考人から非常に示唆に富んだ御意見をいただきました。それは、人材育成イニシアチブという形で文科省はやっていらっしゃるというお話をいただいて、私もお話をいただいてから調べさせていただいて、いろいろなところに予算をつけられていたり、補助的なところで後方支援されているのは非常によくわかるところなんです。

 一方で、そうした人材育成イニシアチブ等を含めまして、京大だけじゃないんですけれども、試験研究炉の政府施策において、根本的な部分ではなくて、どちらかというと短期的で、五年程度だという御発言もありました。もっといけば、バンドエイド的だという御発言をされていたのが印象的なんです。

 特に廃炉は必ず今後十年、二十年とかかっていく中で、本当に必要なものは、もっと根本的に研究教育基盤というのを将来にわたって残していくにはどうすればいいのかというところをもう少し長期的、根本的にやっていただきたいのに、一方で現状を見ると、先ほどお話し申し上げたようなバンドエイド的、まあ多分対症療法的だということだと思うんですけれども、そういう話じゃないのかなという御意見がありました。

 この御発言を受けまして、文科省としてはどのようにお考えになるのか、さらに、文科省としても、いやいや長期的にも取り組んでいますよということだとは思うんですけれども、このあたりをちょっと御説明いただくとともに、何か具体的にありましたらお話しいただきたいと思います。お願いします。

田中政府参考人 先生御指摘のように、原子力分野の人材育成、これは、先日、山名先生が御指摘されたというふうに思いますけれども、やはり長期的な視点に立ってきちんと取り組んでいくということが重要であるというふうに文部科学省としても認識をしてございます。この点については、先般閣議決定されたエネルギー基本計画においても、原子力発電所の廃炉あるいは安全確保のために高いレベルの原子力技術、人材を維持発展することが重要というふうにされたところでございます。

 文部科学省としては、産学官連携によって幅広い原子力人材の育成を行っております国際原子力人材イニシアチブは平成二十二年度から、また、中長期にわたる福島第一原子力発電所の廃止措置に係る新たな知見の創出や人材の育成、確保ということを行うための廃止措置等基盤研究・人材育成プログラムは二十六年度から実施をすることにしてございます。この廃炉のプログラムについては、山名先生にもお入りいただいていろいろな御指導をいただくというふうにしてございます。

 これらによって、原子力の基盤を支えるとともに、高度な安全性の追求を図るための幅広い取り組みということを文部科学省としても支援しているところでございます。

 これらの事業は、先生御指摘のとおり、プログラムでございますものですから、ある程度の期間を区切ってやる、集中的に人材の育成を行うということでございます。この事業成果を各大学においてその後どうやって展開していただくのかということについて、文部科学省としてもできるだけの知恵を絞り、支援をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

 また、原子力分野の人材を、大学がやはり主体的に取り組んでいただくということが極めて大事だというふうに思っておりますものですから、こうした事業を安定的に推進していくということはもちろんのことでありますが、原子力分野そのものを若い世代にとってやはり魅力的なものにしていくということが重要であろうというふうに思っております。

 こうした観点から、エネルギー基本計画において、国として技術開発を含め原子力に取り組む姿勢を明確に記述されたということは、原子力人材の育成にとっても極めて重要ではないかというふうに思っているところでございます。

 文部科学省としては、こういった原子力分野の研究開発、人材育成ということに責任を持っているという立場から、今後とも原子力人材の育成、確保が着実に進められるようしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思ってございます。

丸山委員 政策評価の観点から、ある程度短期的に見ていくということ、また、財務省を含め予算折衝の関係でどうしても三年、五年という単位になってしまうのはわかるところなんですけれども、一方で、こういったお声が現場の研究者、特にマネジメントをされている方から出ているというのは非常に問題だと思いますので、また同じような御発言がないように、むしろ少しよくなったと言っていただけるように、少し知恵も絞っていただきますようお願い申し上げます。

 続いて、同じ山名参考人からお話しいただいた件で非常にひっかかるところがありまして、現場において、法的な運営上の難しさを指摘されたところがございました。炉規法、原子炉等規制法、そして放射線障害防止法等で、いろいろな、もちろん放射線なり原子炉を扱っておりますのできちんとしたチェックが必要だということで規制をされておりますし、それに対して報告も含めまして対応されているところなんですけれども、一方で、規制対応に当たる人員やコストというものが非常に甚大で、かなり大変だという御発言がございました。

 具体的には、KUR、京大の原子炉の二十一名いらっしゃる教授のうち、四、五人の方々は兼任で、二十一分の四、五名ですからかなりの割合の方々が、研究だけじゃなくて、報告等の負担がかなり大きくなっているということでございました。

 この現状について文科省はどのようにお考えなのか。そして、できる限り事務と専門の研究は分けないと効率が悪いと思うんですけれども、このあたり、専門の人員の枠の話だとか、ほかにも何か手があるのかどうか、政府として何かフォローができないのか。お答えいただければと思います。

山脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の京都大学の原子炉実験所におきましては、御指摘のとおり、これまで原子炉等規制法、それから放射線障害防止法などの規制に対しまして適切な対応がなされ、研究用原子炉などを用いた原子炉の基礎研究でありますとか放射線を利用した学術研究が進められているところと承知しております。この実験所における研究におきましては、法に定める規制に係る対応といたしまして、京都大学におきまして、人員面等で研究の推進に支障が出ないように努めているところと承知しております。

 文部科学省といたしましても、この実験所におきます原子炉の基礎研究の推進に関しまして、引き続き、この実験所における安全管理に関する状況を十分に把握しながら、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

丸山委員 これは、どうしても兼任になってしまうというのは仕方がないところなんでしょうか。事前のレクのお話では、大学側からの御要望等も含めて検討しなければならないところはあるというお話はあったんですけれども、このあたり、もう少し踏み込んだ御発言をお伺いしたいんです。

山脇政府参考人 お答え申し上げます。

 研究と安全管理、両方にわたって実施しなければいけないという状況で、いろいろな御努力をなされている状況と我々も認識はしております。

 この原子炉実験所の人員に関する経費に関しましては、毎年度、京都大学に対して、国立大学法人の運営費交付金による支援をしているところでございます。この運営費交付金の措置に当たりましては、文部科学省としては、京都大学の要望の状況などを踏まえながら、人員面が十分かどうかということをしっかりと把握しながら、原子炉実験所の運営に関する支援に努めてまいりたいというふうに考えております。

丸山委員 しっかりと現場の方が、やはり長期的に見て日本の利益になるような研究開発を進めていただけますよう、バックアップをよろしくお願いします。

 文科省に対しましてはここで質疑は終わりますので、適宜退室していただいて構いません。ありがとうございました。

 続きまして、経産省に法案に関係してお伺いしていきたいんですが、先般質問させていただいたときには、実はエネルギー基本計画、先ほど文科省からもお話がありましたけれども、これがまだ閣議決定前でございましたので、今般、基本計画が出たことに当たりまして、関連してお伺いしていきたいところなんです。

 閣議決定された、オープンになったものを拝読しておりますと、特に目についたのは、やはり再生可能エネルギーのところでございました。大臣も、昨年の臨時国会でもそうですし、その前からも、もしかすると、エネルギー基本計画では、エネルギーのベストミックスも含めて、そこまで踏み込んだ明言はできないという形の御発言をされておりましたけれども、今般発表された基本計画を見ますと、再生可能エネルギーについてはかなり具体的に表現をされております。

 どのようなものかと申しますと、これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準をさらに上回る水準の導入を目指すと書かれておるんですけれども、この水準には下にただし書きが書かれておりまして、二〇年は一三・五%、そして三〇年は約二割。ということであれば、二〇三〇年の二割をさらに上回る水準の導入を目指すと、ほかにはない数字が書かれた、目標という形で既に出されているというふうに読めるんですけれども、再生可能エネルギーだけこのように書かれている理由、このあたりを政府から御説明いただきたいと思います。

茂木国務大臣 さらに上回る水準と踏み込んだ表現をしております。同時に、再生可能エネルギーにつきましては、昨年来、我々として、今後三年間、最大限の導入を図るということでありましたが、今回のエネルギー基本計画では、三年たったその後も導入を進めていくということで、積極的に再生エネルギーの拡大に取り組む姿勢は示しております。ただ、ほかのエネルギー源と同様、具体的なエネルギーミックスという形では書き込みはいたしておりません。

丸山委員 少し解せないとまでは言わないんですけれども、どういうあれかなというのがあります。

 というのは、ほかの部分は明記はされていない、しかしながら、再生可能エネルギーのみ導入目標が、ほかは原発も含めて先が見えないので書けないというたしか理屈だったと思うんですけれども、一方で、石炭とかも含めましてほかのところも出ていない中、再生可能エネルギーのみというところについては、どのような理由なんでしょうか。そのあたりをもう少し詳しく御説明いただきたいんです。

茂木国務大臣 例えば、再生エネルギーが二〇%とか、それから石炭が三〇%とか、こういう形ではなくて、再生エネルギーについても、これまでの水準をさらに上回る水準ということで、我々として積極的に導入をしていく、こういう姿勢を示しておりまして、ベストミックスという形でエネルギー基本計画に書き込んでいるわけではございません。

丸山委員 非常にいつも歯切れのよい大臣の御発言からすると、少しきょうは理解がしにくいところなんです。

 一つ大事な部分、国民からすると、原子力をどれぐらいの割合に持っていくかというのは非常に関心のあったところだと思います。一方で、今回のエネルギー基本計画には、再稼働という形では明記されたけれども、できる限り減らすというのも書かれておりました。一方で、明確な割合についてはお書きにならなかった。

 一方で、再生エネルギーのみ書けるというのでは、全体として、ここだけ目標を書いて、ほかは書かないのか、逆に言えば、この試算ができるのであれば、ほかも試算ができるんじゃないかと、国民の皆さんはお考えになるのが通常の感覚だと思うんです。

 大臣、このあたり、政府の方でも構わないんですけれども、どういう理屈でここだけ出せるんですか。

上田政府参考人 再生可能エネルギーにつきましては、今先生御指摘のような、これまでに示した水準をさらに上回る水準の導入を目指すと書いたわけでございます。

 これは、今大臣からも御答弁申し上げましたとおり、再生可能エネルギー、今回のエネルギー基本計画におきましては、それを最大限に加速していくということでございまして、その姿勢といいますか、そういった方向性を一層明確化する観点から、今のような記載をしたものでございます。

 ただ、御指摘のように、これは具体的に何年に何%にするとか、その内訳とかといったことではございませんで、大きな私どもの政策の方向性を一層明確化したということでございます。

 エネルギーのベストミックス、これは、具体的には例えば何年の時点で何を何%にしていくといったことが想定されるわけでございますけれども、そういうものにつきましては、この中では再生可能エネルギーも含めまして書いてはいないわけでございまして、それにつきましては今後の課題ということに位置づけている、そういう位置づけでございます。

丸山委員 わかりました。

 このただし書きで書いていらっしゃるのを見れば、二割にしても一三・五%にしても、どう見てもこれは割合の話だと思うんですけれども、今の御説明とちょっとそこは矛盾するように感じるところではあるんです。

 時間もありますので、続きまして、関連でお伺いしたいんですけれども、先ほど来のエネルギーのベストミックスのお話について。

 この基本計画でも、「政策の時間軸とエネルギーミックスの関係」という形で、特出しでお書きになっております。そこでは、読ませていただきますと、「エネルギーミックスについては、各エネルギー源の位置付けを踏まえ、原子力発電所の再稼働、固定価格買取制度に基づく再生可能エネルギーの導入や国連気候変動枠組条約締結国会議(COP)などの地球温暖化問題に関する国際的な議論の状況等を見極めて、速やかに示すこととする。」というふうに書かれております。

 その中で特出しされているのが非常に印象的でございまして、特に、COPの話も出ておりますけれども、COPといえば、COP21が来年にあります。そういうのも考えますと、また原子力発電所の再稼働の話等を踏まえますと、さらに重ねてエネルギー基本計画は三年後にはまた新しいものが出るということでございますので、「速やかに示すこととする。」とはなっておりますけれども、このCOPの言及等を考えましたら、読んでいる方からすれば、一、二年というイメージを持つんじゃないかと思うんです。

 三年後の次期基本計画までにできるのかどうか、これは一、二年という認識でいいのかどうか、この「速やかに」の時間軸をもう少し踏み込んでお伺いしたいんですけれども、御発言いただけますでしょうか。

上田政府参考人 エネルギーミックスの策定時期に関する御質問かと思います。

 エネルギーミックスにつきましては、このエネルギー基本計画の中で、先生御指摘のとおり、各エネルギー源の位置づけを踏まえて、原子力発電所の再稼働、それから固定価格買い取り制度に基づく再生可能エネルギーの導入、国連気候変動枠組み条約会議などの温暖化問題に関する国際的な議論の状況等を見きわめて、速やかに示すと書いているわけでございまして、原子力の再稼働がどういう時期になるか等々のさまざまな要因がございますので、今、現実的にそのベストミックスの目標をいつ具体的に示すのかということをお示しする段階ではないと考えておりますけれども、次のエネルギー基本計画の策定といった三年後、そういった遠い将来ということを念頭に置いているわけではないと考えております。

丸山委員 今の御発言、次のエネルギー基本計画の三年後のところまでを念頭に置いているわけではないということでございます。将来的なエネルギーのベストミックスは非常に関心事でありまして、今回の基本計画でも出てこなかったということで、いつなのか、どういうふうに出していくのかも含めまして、非常に国民の関心は高いと思いますので、このあたり、できる限りわかりやすいように御説明いただけるようお願いしたいんです。

 今回のエネルギー基本計画を拝読していて、わかりやすい部分もあるんですけれども、一方で、非常に、悩まれたんだろうなというか、書きぶりがわかりにくいところがございます。具体的に少しお伺いしたいところがございまして、どこかと申しますと、重ねて再生可能エネルギーになるんですが、固定価格買い取り制度の部分でございます。

 この基本計画の書きぶりを見ますと、「固定価格買取制度等の再生可能エネルギー源の利用の促進に関する制度について、コスト負担増や系統強化等の課題を含め諸外国の状況等も参考に、再生可能エネルギー源の最大の利用の促進と国民負担の抑制を、最適な形で両立させるような施策の組合せを構築することを軸として、法律に基づき、エネルギー基本計画改定に伴い総合的に検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じる。」と。拝読して、どっちに行くねん、どちらに行くんでしょうというふうに読まれるんです。

 固定価格買い取り制度はエネルギー関係の事業者の方からしても非常に関心の高いものでありまして、また、先般、三月末に、一四年度の固定価格買い取り制度も含めまして、経産省で新たなものをお出しになったと思います。

 そのお出しになったものを拝見していますと、どちらかというと、現在、聞いておりますと、太陽光発電はかなり過熱気味で、投資の対象にもなっていて、土地の転売なり権利の転売も含めまして金融商品化しているんじゃないかというお話もあるぐらい、かなり太陽光への投資が進んでいると思うんですが、そうした中で、今回、買い取りの価格も下げられるなり、もろもろの制度を見ますと、その他、太陽光以外の再生可能エネルギーとのバランスを逆に過熱しないように意図したものを、すごく拝読していて感じるんです。

 一方で、このエネルギー基本計画を拝読しますと、長期的にどの方向に行くのかなというふうに、今申し上げたような、非常に、いわゆる役所的といいますか、どこに行くんだろうというのがわかりにくい表現のように感じられるんです。

 このあたり、少し詳しく、どちらに行くんだろうという長期的な点と、先ほど申し上げた買い取り制度の今般の改正の意味づけも含めまして、解説を経産省からいただければと思います。

木村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、二〇一四年度の買い取り価格からお答えいたしますと、これにつきましては、そもそも法が、再生可能エネルギー電気の供給が効率的に実施される場合に通常要すると認められる費用というものを基礎にいたしまして、毎年度買い取り価格を決定するとしている、こういうまさに法の規定に従いまして、太陽光発電の発電コストの低下を現実にしっかりと反映するということとともに、例えば洋上風力につきましても、コストの想定等を踏まえまして買い取り価格を決定したものでありまして、あくまでも現行法の運用の結果であるというふうに考えてございます。

 また、非住宅用の太陽光発電につきましては、一定程度、運用の厳格化等についても図っているわけでございまして、こういったものも現行法の範囲でやっているということでございます。

 他方、エネルギー基本計画に明記をされました固定価格買い取り制度のあり方でございますけれども、これは、現行法の運用方針とともに、制度のあり方そのものについての記述でもございます。

 固定価格買い取り制度は、再生可能エネルギーの導入が進むにつれまして、買い取りを通じて賦課金が増加する関係にございますので、これが長期的に見て重過ぎるものとならないように、まずは、毎年度、買い取り価格をしっかり見直すということは当然なんですけれども、それに加えまして、制度としてもバランスをとっていくということが重要かなということでございます。

 そこで、導入促進と負担への配慮という両面はバランスする必要があるという表現をしているということでございます。また、再生可能エネルギーの推進や固定価格買い取り制度は非常に重要でございますけれども、これのみならず、送電網の強化でございますとか規制の合理化、あるいは研究開発といった、さまざまな他の取り組みと組み合わせることによりまして、より効率的かつ最大限の導入が図られる可能性があるということも示しております。

 いずれにしても、エネルギー基本計画に示された再生可能エネルギーの導入加速に向けまして、しっかり議論してまいりたいと考えてございます。

丸山委員 固定価格買い取り制度、再生可能エネルギーの割合を上げる上では、欧州等でも導入されておりまして、一定の効果が上がっているというふうに伺っております。

 一方で、ドイツ等も含めまして、電気代が非常に上がっているという話も聞いておりまして、このあたり、電気代に関しましては国民の皆さんも非常に気になるところでございます。市場のゆがみとまでは言いませんけれども、政府の介入によって電気料金というものに影響を与えるのであれば、しかもそれが過度であれば、非常に問題だと思います。

 このあたり、表現の書きぶりでは、再生可能エネルギー源の最大利用の促進と国民負担の抑制を最適な形で両立させるという、どちらともとれるような書きぶりをされているので、少し気になってお伺いしたところなんですが、きちんとこのあたりも御説明できるように、各政策をお出しになったときにまたお伺いしていきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 時間も迫ってまいりましたので、最後、お伺いしたいと思います。

 今回、原子力損害賠償支援機構法の改正ということで、いろいろな御質問をさせていただいてまいりました。

 今回、スキームとしましては、廃炉のプロセスを機構の中に仕組みを入れていくということでございまして、昨年来の、東電だけに任せる、事業者だけに任せるのは非常に難しいという御発言も政府の方から、大臣の方からもございまして、そうした中で、政府が前面に立ってやっていくという姿勢を新たにお出しになって追加されたものだというふうに感じておるところなんです。

 一方で、私、政府が前面に立つのが非常に大事で、ぜひやっていただきたいと思うんですが、これは事業者側の責務というものも非常にあるものでございますし、忘れてはならないところなんだと思います。

 改めて申し上げますのは、二月にお出しになったエネルギー基本計画の経産省の原案におきましては次の書きぶりがあるんですが、一方で、今回お出しになったエネルギー基本計画、閣議決定されたものでは落とされております。

 何という表現かといいますと、「原子力安全は、本来、事業者自らも安全向上対策を講じることによって確保されていくものである。事業者自身がこの重要な責務を担い、安全を競い合い、原子力安全文化を醸成する。国民のみならず世界中が厳しい目で注視していることを決して忘れてはならない。」という表現でございます。

 これは「はじめに」という形で序文でお書きになっている文章でして、今回、閣議決定に当たりまして、序文の「はじめに」の文章はかなり変更されております。中を拝見しておりますと、事業者自身の責務について触れられているところが全くなくなってしまったなというふうに感じております。

 一部マスコミから聞いておりますと、事業者の方からここの部分を削ってくれと言われたんじゃないかみたいなうわさまで、うわさだと私は思っていますけれども、流れている次第でございまして、このあたり、事業者自身にも責務があって、やらなければならないということは明確であるのかどうか、政府としてどうお考えなのか、そして、これはそういった意味で落としたわけじゃないということを明確にお答えいただきたいんです。

 これを落とした意味と、事業者にも責務があるということを政府はどう考えていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思うんです。

上田政府参考人 このエネルギー基本計画の中におけます事業者の責務の位置づけ、そこが変わっていないかどうかというお話でございました。

 御案内のとおり、このエネルギー基本計画の決定に至る過程で、いろいろな文章表現等々の変更はいたしております。事業者の責務におきましては、実は、「はじめに」の部分からは御指摘のようなことではございますけれども、別の部分にしっかり同じような表現ぶりを書かせていただいております。

 具体的には、四十三ページの中で、「原子力事業者を含む産業界は、自主的に不断に安全を追求する事業体制を確立し、原子力施設に対する安全性を最優先させるという安全文化の醸成に取り組む必要がある。」というふうに書いております。さらに、その後に、多岐にわたりますのでやや省略いたしますけれども、具体策といたしまして、PRAと申します確率論的リスク評価、そういったことにつきましても自主的にしっかりと取り組んでいく必要があるといったことを記載しておりまして、事業者の責務ということにつきましてはこういったところにしっかり書かせていただいておりまして、その責務がある、それについて事業者としてしっかり対応する必要があるという政府の姿勢については一貫したものであると考えております。

丸山委員 最後に、大臣からもコメントをいただきたいんですけれども。

 東電の発電所の事故に関する東電の責任と、そして、今後におきまして、安全向上対策を講じることに対する事業者の責務に関しまして、最後、大臣としてのお答えをいただきたいと思います。

茂木国務大臣 炉の設置者でありまして、実際に廃炉事業等々を行っていきます東京電力には、引き続き実施主体としてしっかりした責任を果たしてもらいたい。国としても、そのための指導をこれからもしっかりと続けていきたいと思っております。

丸山委員 ありがとうございます。

 東電の位置づけというのは非常に大事でございますし、この「はじめに」の文から抜けたということで、逆にそれがなくなったんじゃないかなんて言われるようなことがあってはならないと思いますので、このあたり、今明確に御答弁いただきましたので安心いたしましたけれども、しっかりと政府の方も全力で取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、私、丸山穂高の質疑を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 おはようございます。みんなの党の三谷英弘です。

 本日は、二十分、原子力損害賠償支援機構法の改正案についての質問をさせていただきます。

 法案の内容に入る前に、少しトピック的なところから伺いたいなというふうに思っているんです。四月十四日に発覚いたしました、いわゆるポンプの誤作動ということによって、汚染水二百三トンが本来流入するはずのない建屋に流入したというような事象が起きているということが報道されているところでありますけれども、この原因について、東京電力ではどのように分析をされておりますでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 たびたび御心配をおかけするような事象が続いておりまして、本当に申しわけございません。

 この事象は、私どもは、建物の中のたまった水の水位というのはもちろん常時監視しておるわけですけれども、四月十一日になりまして、その水位の動きといいますか挙動がおかしいというのに気がつきまして、それ以降、そこでどうしておかしな動きをするのかという調査をいたしました。その結果、本来動くべきでないポンプが動いて、本来行くべき建物でないところに水が送られていたということが判明いたしまして、もちろんそれですぐにポンプをとめております。

 現時点で、どうしてそのポンプが動いたかということについては、その近辺でそうした、間違えるような工事を行っていたかどうか、作業を行っていたかどうかも含めまして十分調査をしておるところでございまして、それを踏まえてしっかり対策、防止策を立てていかなければいけないと思っております。

 一方で、建物の外に出てしまったのではないかという心配が当然あるわけですけれども、動いてしまった先の水位についても全部その後ずっと状態を監視しておりまして、底から二十センチぐらいのところに水がたまってしまっておりますけれども、その水の動きについてはないということは確認しておりますし、それから、その水の水位と建物の周りの地下水の水位、これは地下水の水位の方が高いということですので、入ってくることはあっても、なかなか外へ出ていくことはないというふうに見ております。また、当然のことながら、その状態をしっかり管理して、今後外へ出ていかないようにということも見ていかなければいけません。

 ちなみに、その外側で水のサンプリングをしておりますが、今のところ特に有意な差はないということですので、現時点では外には漏れていないというふうに推定をしております。

三谷委員 今、お答えいただきました。

 今回のポイントは、汚染水が建屋の外に漏えいしたのかどうかということよりも、本来は動くはずのないポンプが動いていた、それがどうしてなのかということを突きとめることが極めて重要になってくる、そういう事案ではないかと考えております。

 実は、二月にも地上タンクの弁というものが何者かによってあけられたというような事象が発生しておりまして、これは直ちに汚染水のいわゆる漏えい事故につながっているというような結果でありますけれども、ここ二月、そして四月と、本来あるべきでない、人の力が加わって汚染水が漏えいし、または漏えいしかねないような状況になっているということが続いている。これが、わざとなのか、または作業員のミスなのかということをしっかりと分析していくことが極めて重要になってくるということではないかと思っております。

 今までは、三・一一の東日本大震災の発生、そして福島第一原発事故の発生の後、何とか事故を食いとめなきゃいけない、被害拡大を阻止しなければいけないということで、全国からそういう思いのある方々が集まって福島第一原発の事故に対処されていたということになるかとは思いますけれども、ここに来て、もしかしたら何らかの故意。以前から、この福島第一原発、これだけの事故が起きている中で、安全管理というものがほかの原発に比べると手薄になっている、まさにテロの対象になるのではないか、安全保障上の脅威にもなるんじゃないかというようなことを言われる方もいらっしゃいました。まさにこれからは性善説というものは通用しないのではないかというふうに考えているわけです。

 この前の、四月の事象というのは、まだ起きたばかりの事件だから、そういう意味では、今会社の中で原因を分析しているということは、それはそれで構わないんですけれども、二月の地上タンクの弁が何者かによってあけられた事案、作業を第三者が邪魔して結果を妨害したらこれは刑法犯にもなり得るのではないかというふうに思っておりますけれども、刑法犯になり得るかどうか、そして、仮になり得るとしたら、ある意味、捜査を依頼する、被害届なり告訴をするというような対処というのは東京電力においてされているのでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 二月の件につきましても、その後、関係者等々の聞き取り調査をずっと行っております。まだ有力な証言なり証拠なりはつかめておりませんけれども、これからも鋭意、しっかり調査を進めてまいりたいというふうに思っております。

 また、その調査の内容につきましては規制庁にも報告をさせていただいておりますし、そうした状況も踏まえて、今後の進め方についても検討していきたいというふうに思っているところです。

三谷委員 一点、事実確認ですけれども、警察に対して被害届なり告訴状を出すというような相談をする、またはそういった動きをされているということはありますでしょうか。

廣瀬参考人 規制庁を通じてお話を承っているというふうに聞いておりますけれども、それらも含めて今後の判断をしていきたいというふうに思っています。

三谷委員 今、されているということですけれども、それは、警察において被害届なり告訴の届けというのが受理されたという状況にあるということでしょうか。

廣瀬参考人 そういうことではなくて、私どもの調査の状況を規制庁に報告させていただいているという段階でございます。

三谷委員 とりあえずは、この点について経産大臣の御認識を伺いたいと思うんですけれども、福島第一原発の敷地内で仮に何らかの犯罪行為が行われた場合に、もちろん東京電力が社を挙げて原因分析をするということは、それ自体は非常に望ましいことだと思いますけれども、それでなかなか原因が解明できない場合には、場合によっては犯罪性を疑って何らかの被害届を出すということも、これは一つの手段としてあり得るのではないかと思います。その点について大臣の御認識を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 仮定のケースでありますので、なかなかお答えしにくい部分はありますが、犯罪としての蓋然性が高い、そういうふうに判断をされた場合には、当事者においてそういった対応がとられる可能性はあると考えております。

三谷委員 この点については、引き続き、前回の二月の件、そして今回の四月の件、これの対応をしっかりとこちらでも注視してまいりたい、このように考えております。

 それでは、法の中身について伺ってまいりたいというふうに思います。

 先日、参考人招致をしていただきまして、本当に最先端にいらっしゃる参考人の方々の御意見を伺う機会というものをこの委員会においていただくことができました。

 その中身に関して若干質問なんですけれども、これはまずは経産大臣に伺いたいと思います。

 参考人の御意見の中で、山名参考人が、IRID、技術を生み出していく機関と、技術を実証していく、実証実験等をしていってそれを形にしていくという機関との結びつき、関係性が弱いというような趣旨の発言をされておりました。

 この点について、この弱点をどのように解消されていくのかということについて伺えればと思います。

上田政府参考人 今の点、私の方から少し事実関係等を申し上げさせていただければと思います。

 確かに、東京電力は現場での廃炉オペレーションを担っております。それから、資源エネルギー庁が大きな廃炉戦略の構築、あるいは作業の進捗管理、研究開発の企画等を行ってまいりました。それから、IRID等々が実際の研究開発を担っているわけでございまして、これらは日々の情報交換あるいは連携をしてきたわけでございますが、御案内のとおり、なかなか、日々発生するトラブルへの対応ということで現場オペレーションは大変でございます。資源エネルギー庁という意味では、三十年、四十年に対する非常に専門的な知見の集約という点でも懸念が残るというわけでございまして、山名参考人のような御指摘もあったと承知しております。

 山名参考人の御主張というのは、基本的には、廃炉を成功させるためには、廃炉戦略をしっかり構築していくということ、現場のオペレーションをしっかりしていくということ、それから研究開発をしっかりしていくということ、この三つを相互に強くリンクをさせるということがその御主張の趣旨であったと思います。

 今回、御案内のとおり原子力損害賠償支援機構法の改正をするわけでありますけれども、この中で、具体的に言えば、支援機構が研究開発の企画立案を行いまして、それを踏まえて、IRID等々の研究機関やメーカーが技術開発を行う、さらに、開発された研究開発の技術の成果を機構の指導助言のもとに東京電力が現場で適用していく、そういう体制が整備をされることになりまして、そういった形の連携というものが現状に比べて一層強化されることになると考えております。

三谷委員 今、三十年、四十年という話がありました。前回の質問においては大臣の御所見を伺いましたけれども、今度は東京電力の改めての御認識を伺いたいと思います。

 廃炉に要する期間、これは、いわゆる三十年、四十年というふうに言われております。またその費用というのは、今までの積立金がほぼ一兆円で、さらに一兆円の積み増しということで二兆円ということですけれども、この三十年、四十年及び二兆円ということで果たして足りるのかどうか、その積算の根拠について伺いたいと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 まず、期間の方でございますけれども、御存じのように、中長期ロードマップにのっとって今まさに廃炉作業を進めておるわけですけれども、ステップ1、ステップ2の終わった第一期が、事故のあった年の十二月から始めて二年程度ということで、使用済み燃料の取り出しが始まるということで、昨年十一月に四号機が使用済み燃料を取り出しましたので、今第二期に入っていると認識しております。

 この中で十年ぐらいをかけて燃料デブリの取り出しの準備をして、さらに、その燃料デブリの取り出しに十年から十五年かかる。さらに、その後に、いわゆる建屋の取り壊し、そうしたものに十年か十五年かかるという計算ですけれども、燃料デブリの取り出しについては、スリーマイルアイランドの例を参考にさせていただいています。ここでは事故から約五年弱で燃料の取り出しが始まっておりますが、当然、福島の状況は、スリーマイルアイランドよりも厳しい状況ですので、これを踏まえて、十年から十五年ということで見積もらせていただいているというのがその根拠でございます。

 一方で、所要する金額でございますけれども、三谷先生おっしゃったように、まずは、私どもの引当金として認識しておりますものが、昨年の十二月末、平成二十五年の第三・四半期末ですけれども、この段階で九千七百億ございます。

 この内訳としては、千八百億が、先ほどのステップ1、ステップ2のときにかかった、まさに循環冷却をしていくようなための工事費でございますので、これはほぼ終わっております。加えて、六千億が、いわゆる中長期ロードマップ上で、例えば汚染水対策であるとか、あるいはALPSの話であるとかといったような、今まさに取り組んでいる金額でございます。さらに、建屋の、いわゆる廃炉のための解体等々が千九百億ぐらいあるということで、九千七百億というのを積み増しています。それが根拠でございます。

 一方で、一兆円の方は、積み上げた結果の一兆円ということではなくて、一部御指摘いただきましたが、予算的な制約なり資金的な制約でやるべき工事ができていないというようなことのお叱りをいただいたことがございますが、そんなことは決してあってはいけないわけでございますので、九千七百億というのは既に引き当ててございますけれども、そのうち使ってしまったのはまだ三千億ちょっとでございます。

 ただ、もっともっとちゃんとしっかり資金的な手当てをして、ゆめゆめそうしたことのないように、しっかりやるべき工事はやれるようにということで、これから十年間にわたって一兆円を用意していこうということですので、まだここについては、積み上げて、これに幾ら、これに幾らということで、合計一兆円ということにはなっておりません。

 以上でございます。

三谷委員 そういう意味では、とりあえずの二兆円ということなんだろうというふうに思います。その意味では、これから幾らかかるのかというのも不安は拭えないところです。

 それから、人材の確保について、参考人からさまざまな御意見をいただきました。中でも、懲罰的に東京電力に廃炉を委ねるというような状況の中で、本当に有為な人材が集まるのかという懸念も示されたところではございますけれども、この点について経済産業大臣の御意見を、本当に今の形のままで有為な人材が、若くて優秀な方々が集まるというふうに見通しをお持ちなのかどうかについて、お答えいただきたいと思います。

茂木国務大臣 やはり、若くて優秀な人材を集めていく、こういうことになりますと、例えば廃炉と一般的に言いますと、なかなか明るいイメージを持てない部分も率直に言ってあるんだと思います。

 しかし、これが新しい技術に対する挑戦であったり、まさに福島の再生という、日本が抱えている最大の課題への挑戦である、こういったことをしっかりと若い方々にも理解していただくということが極めて重要な問題であると思っております。

 さらに、東電で申し上げますと、東電という企業が、今後、民間企業としてしっかりと再生をして、電力の安定供給であったり、また企業としての価値を高める、こういう将来像が見通せるということが、優秀な人材を確保する上で極めて重要な課題であると思っております。

 決して楽観視をしているわけではありませんけれども、御指摘の点は極めて重要でありますから、東電としての取り組みもそうでありますが、国としても、そういった人材確保の中で、国が果たすべき役割をしっかりと果たしていかなければならない、このように考えております。

三谷委員 その意味で、経済産業大臣にもう一つ伺いたいんですけれども、いわゆる廃炉ビジネスというもの。

 今回、さまざまなお金が、税金を含めたというふうに言っていいのかもしれませんけれども、今回の廃炉に投じられるということで、世界で最先端の知見がまさに集まろうというふうな状況の中で、いわゆる廃炉というものがこれからいろいろな国で必要になってくるという中で、日本が廃炉ビジネスを世界で、各国の、税金なのか電気料金なのかわかりませんけれども、そこから払ってもらって、日本の廃炉ビジネス会社みたいなものに払ってもらう、そこで収益を上げてもらうということを考えたらいかがかなというふうに思うんですけれども、その点について、大臣の御意見はどうでしょうか。

茂木国務大臣 今、世界全体で四百基以上の原発が稼働をしている。そのうち一割は既に稼働から四十年を超える、それからまた四割近くにつきましては三十年を超える、こういう状況でありまして、今後、老朽化して廃止を決定していく原発をいかに安全に廃炉していくか、これは世界共通の課題であると考えております。福島第一原発事故の経験と教訓を国内外に共有して、世界の原子力の安全性の向上、そして原子力の平和利用に貢献していくことは、我が国としての責務であると考えております。

 円滑な廃炉を実施していくためには、高度な技術の維持、そしてまた高いスキルと安全意識を持った人材の確保が極めて重要でありまして、まずは我が国として、この福島第一原発の廃炉を適切に実施していくということが最優先の課題だと考えておりますが、そこで蓄積されたさまざまな技術であったりとかノウハウ、知見というものは、通常の廃炉、それも国内に限らず、国際的な廃炉にもつながっていくものである、こういうふうに考えております。

 若干、私、廃炉ビジネスということには、言葉として適切かどうかという思いがありまして、日本としてさまざまなインフラ輸出を進めるという中で、例えば鉄道であったりとか水ビジネス、こういったものは、トップセールスも含めて、まさに国際的に売り込んでいくということでもありますし、クールジャパンもそうだと思います。

 ただ、何か主要閣僚が海外に行って、我が国は廃炉がすぐれているんだ、ぜひおたくの国の廃炉はうちにやらせてくれという話というよりも、そういう廃炉についていろいろな課題を持っている国から相談を受け、その国の事情も勘案した上で、我が国としてでき得る国際貢献をしていく、こういったことが基本的なスタンスではないかなと考えております。

三谷委員 それこそ、ピンチをチャンスに生かしていただければというふうにお願いをさせていただきます。

 私の質疑の持ち時間が終了いたしました。以上です。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就です。

 きょうは、法案の最後の審議ということです。今回の法案というのは、機構に廃炉の役割を付加するということでございまして、その内容について何点か確認させていただきたいと思います。

 大臣にお聞きする前に、事務方から何点かお聞きさせていただきたいと思います。

 今回、この支援機構に廃炉の中心的な役割、包括的なプロジェクトマネジメント的な役割を加えるということで、これまで、人材がどのくらい必要かということが議論されておりました。五十名程度で、資金も数億から数十億程度という答弁があったかと思いますが、それでは、その資金の流れというのはどうなるんでしょうか。お願いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘があったとおり、新しい機構の内部組織というのは、現在精査している最中でございまして、確たる数は申し上げられませんが、現時点での経済産業省のあらあらの試算ということで申し上げれば、五十名程度の職員で、運営経費は、初年度は十二カ月ないでしょうから数億から十億弱程度で、平年度化するとそれよりは多くなると思いますけれども、できるだけこの数億から十億弱というところから大きく上回らないように、効率化に努めながら事業をしてまいりたいと考えております。

 この事業の運営に当たりましては、現在、機構は原子力事業者から負担金というものを徴収しております。この負担金を財源にして事業を運営する予定でございます。

小池(政)委員 それでは、賠償と同じように、今、負担金とおっしゃいましたけれども、東電に対する特別負担金とほかの原子力事業者に対する一般負担金という形でそれを賄うということでよろしいんでしょうか。

藤原政府参考人 委員御指摘のとおり、一般負担金、特別負担金、両方を財源にして行うことになります。

小池(政)委員 そうすると、事故炉の廃炉費用もやはり使用者負担という形になってしまうわけでありまして、そこの認識というのが果たしてしっかりと伝わっているかなということが心配であります。

 また、もう一点、今はこの機構における新たな人件費の追加分でございますが、今度は、廃炉全体におきましてもこの資金をどうするかということをちょっと確認させていただきたいと思います。

 東電のこれからの計画を見ても、廃炉については、積み立てである一兆円の三分の二ぐらいがまだ残っている、残りの一兆はこれから積み増していくということでございますけれども、積み増していく一兆円、これはどのような形で積み増していくということを考えているんでしょうか。

 この機構のスキームによれば、交付国債でないにしても、機構から東電に対して廃炉部分の資金援助は可能なわけでございまして、それも含めて検討されているのかどうか、お願いします。

糟谷政府参考人 東電がこれから十年間にわたって捻出します一兆円につきましては、東京電力が、経営の合理化、それから収益を上げる中で、本来ならば内部留保に当たる部分を充てて使っていくということであると理解しております。

小池(政)委員 本来はそうであると思いますけれども、これからの部分、それも全て経営の合理化、内部留保という形でよろしいんでしょうか。

糟谷政府参考人 経営の合理化もありますし、利益を上げていく、そういった経営も必要になってくると考えております。

小池(政)委員 そのときに、廃炉というのは一号機から六号機まであるわけでございまして、その区分をどうするのかなということをちょっとお尋ねさせていただきたいんです。

 今のスキームですと、一号機から四号機、五号機と六号機というのは少し扱いが違ってきているわけでございます。一号機から四号機というのはもう既に特損で落としている。ただ、五号機と六号機というのはまだ落ちていない部分もあって、さらにこれを、会計変更を去年行って、これから減価償却もしていって、それは電気料金で負担することができるようにしているわけであります。

 それも含めまして、これからの残りの一兆円部分、一号機から四号機、五号機と六号機、これ全部を経営の合理化で負担するということでよろしいんでしょうか。

糟谷政府参考人 経営の合理化だけではなくて、しっかりと利益を上げていくということが必要になると考えております。

小池(政)委員 そうすると、やはりこの部分も電気料金に含めていくということを考えているということでもいいんでしょうか。

糟谷政府参考人 現時点で、東京電力の電気料金ですが、たしか一昨年の夏に認可をいたしました、この時点では去年の秋の会計基準の変更には、その前でありますので、従来の考え方に従ったものになっております。今後、認可料金を上げる際には当然、東京電力から申請が必要になるわけであります。申請がなされた場合には、資源エネルギー庁において、最低限の値上げになるように、十分な経営合理化がなされているか等を十分見ながらしっかりと審査していくということになると考えております。

小池(政)委員 含めていくということで理解をさせていただきました。

 しかも、今回の分は今後十年間で一兆。二兆を、これから十年以上かかった場合、当然超える場合があるわけでございまして、その際に、その超えた部分、これが果たして一号機から四号機の廃炉の部分なのか、もしくは五号機、六号機の部分なのか、この区分というのも恐らく難しいんじゃないかと思います。

 その際に、この追加の部分が、今のお話ですと、中身がそのままもしかしたら電気料金に積み上がってしまうかもしれないという懸念が非常にあるわけでございますが、その点について何か、こういうことを考えているというのがあるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 廃炉の費用につきまして、一号機から四号機、それから五号機、六号機ということに関しましては、共通する経費もございますし、それぞれにかかる個別の経費もございますので、一概に区分は難しいと思っております。

 将来的に廃炉費用につきましてどういう形に見通していくかというのは、今後の廃炉の進捗に応じてさらに見直しが行われると思いますけれども、ただ、一方で私どもは電力システム改革ということを進めておりますので、将来的には、電気料金の自由化の中で競争的に、東京電力が効率化を進めながら、廃炉ビジネスと収益も上げていく努力を進めていくということだろうと考えてございます。

小池(政)委員 システム改革とおっしゃいますけれども、システム改革の際に、なおさら原子力事業がどうなるかということはわからないと思います。その話の中で、ちょっと大臣からお聞かせいただきたいと思います。

 今確認したように、今回の廃炉機能をつけ加えたことによって、その人件費分は電気料金でやはり負担しなくてはならないことになりますし、かつ廃炉費用につきましても、今の事故炉であります五号機、六号機、これもやはり事業者負担、結局、電気料金という形で、ほかの原子力事業者の一般負担金にも乗せられるわけでございます。かつ、この二兆円を超えた部分につきましても、今のお話ですと、中身が曖昧なままで、その部分がそのまま電気料金に加わって、さらなる負担というものが高まるという可能性があるわけでございます。

 当初、この機能だけをつけ加えるというような方針の割には負担が非常に大きくなる懸念があるわけでございますが、大臣、そのような認識についてどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

茂木国務大臣 今回の機構法の改正、これは賠償に対する資金援助のスキームとは違いまして、廃炉に関しまして総合的な調整であったりとか技術支援を行うことを基本とした法改正をお願いしているものでありまして、廃炉について資金援助を行う、そういうことを前提といいますか、中心にした法案の形にはなっておりません。

 廃炉につきましては、基本的に、事業者であります東電におきまして既に九千六百億円の積み立てが行われておりまして、今後、一兆円の積み立てを予定しております。

 二兆円を上回るかどうかと。先ほど廣瀬社長からも答弁があったとおりでありまして、今後の見通し、なかなか確たるものは難しい部分もありますけれども、しかし、基本的には、事業者において経営の効率化であったりとかさまざまな努力の中で捻出してもらうものだ、このように考えております。

小池(政)委員 資金援助を中心とはしていないということでございますが、ただ、法律のたてつけとして資金援助ができるような仕組みにもなっていますし、かつ、今のお話にあったように、必ずしも東電の経営合理化だけで負担するような仕組みにもなっていないわけでございますから、その点、しっかりと国民負担の低減に向けて対処していただきたいと思います。

 そこで、別の件でお伺いさせていただきます。

 東電の経営合理化に関してでございますが、今回、東電は総合特別事業計画というものを出しております。これに基づいてこれから合理化等を進めていくわけでございますが、当然この計画については、経産省または支援機構等も関与してその中身を精査していると思いますが、今度はその実施について、いかにこれをしっかりと確保させていくか。

 ここは、経産省はちょっと金融庁と違って、検査権の規定とかはないわけでございまして、だからこそ最大株主としての役割というのが大事になってくるかとは思うんですが、その点、どうやってこの計画をしっかりと実施させていくということを考えていらっしゃるんでしょうか。

茂木国務大臣 御案内のとおり、新総特は、昨年末に閣議決定を行いました「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」で示した方針も踏まえて、これまでの総特を全面的に見直したものでありまして、具体的に、簡潔に申し上げますと、廃炉・汚染水対策に万全を期すための十分な体制の整備、被害者賠償の着実な実施、電力システム改革を先取りした分社化などの東電改革によります企業価値の向上、さらに、金融機関への東電による前例のない取り組みに対する協力の要請とその同意の取りつけなどが盛り込まれているところであります。

 東電には当然この新総特をしっかりと履行していただきたい、そしてその状況を経済産業省としても監視していきたい、そのように思っております。

 計画の履行につきましては、東電の株主たる機構を通じて選任いたしました社外取締役が過半数を占めます東電の取締役会や、機構の運営委員会を通じて、東電によります日々の改革の進捗をモニタリングする、こういうことになっております。

 なお、その上で必要があると認められるときには、機構法の第四十七条を踏まえまして、国として、報告の徴収、そして措置命令を発動して、適切に履行を確保するということができるような仕組みとなっております。

小池(政)委員 また、その際に、経営合理化の結果としての料金の中身についての審査、申請に対する判断というものも経産省がされるとは思うんです。以前は、東電が支援機構を通さずに料金申請をして枝野元大臣を大変怒らせたということもありました。あれも東電側からいえば、これは自由料金だからいいじゃないかという話でありましたけれども。

 ただ、あのときも、計画を出した以上、自由料金であろうと、計画にしっかりと沿っているかどうかというものを経産省、機構がちゃんとそれを検査するんだという話にはなっていたと思いますが、それが現状もされているかということと、今後もそのようなしっかりとした体制を続けていかれるのかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。

上田政府参考人 東京電力が仮に料金改定をする場合に、どのように対応するのかという御質問かと存じます。

 料金改定そのものに関する申請は、基本的には、各電力会社がみずから判断された上で申請されるということになるわけでございます。

 ただ、その判断に当たっては、当然ながら、新・総合特別事業計画を履行する観点からしっかりしたものであるかどうかということにつきましては、この総特の共同作成者でもあり、また最大株主である機構ということが十分に相談にあずかりながら、そういった観点から判断していくことになるというわけであります。

 仮に東京電力が料金値上げの申請をされる場合には、政府といたしましては、電気事業法に基づいて厳正に審査を行っていきたいと考えております。

小池(政)委員 最後に、大臣にお聞かせいただきたいと思います。

 今回、廃炉機能を機構に乗せるということについては、今まで、東電の最大株主だからという話等はお聞きしているんですが、賠償においても、そもそもやはり汚染者負担というものが原則にあって、そういうことから、東電にその責務を果たさせなければならないというような思いからこのようなスキームになったんでしょうか。

茂木国務大臣 実施主体、これは炉の設置者であり、事故を起こした東電において責任を持って行う、この基本的な原則は変わっておりません。

 ただ、福島第一原発の廃炉は世界に例のない大変困難な作業でありまして、さまざまな英知、さまざまな能力を結集してこの作業を行う必要がある、その全体的な調整そしてまた企画を行う組織の強化が必要である、こういう観点から、今回、機構法の改正をお願いしているところであります。

小池(政)委員 そのような前向きな観点というのはぜひ大事だと思いまして、やはり、このスキームにおけます意義というのは、懲罰的な意味合いというのもそこにはあるわけでございまして、果たして、その状態の中で、これから何十年も続く、またしっかりと本当はやらなければならない廃炉でありますとか、汚染水対策というものができるのかどうかということを非常に心配してしまうわけでございます。

 これまでの審議におきましても、数年で千八百人が退職されている、しかも若い人ほどどんどんとやめているという中で、果たして、おっしゃるような技術の蓄積とか、これからの国際的な技術協力とかいうことに結びつくのかどうかと非常に懸念が残るわけでございまして、その点を最後に指摘して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 原子力損害賠償支援機構法の改正案について質問いたします。

 最初に、廃炉等技術委員会についてです。

 廃炉等技術委員会は、原子力工学など、廃炉に関する技術的知見を有する専門家の方などで構成し、廃炉等関係業務の意思決定機関として新たに法定する機関と承知しております。

 そこで、経産省にお尋ねします。

 廃炉等技術委員会が決定した廃炉関係業務について、運営委員会と食い違いがあるような場合、そういうときには技術的知見を有する廃炉等技術委員会の決定というのが優先されるのか。この点について、何らかの制度的な担保というのはあるものなんでしょうか。

糟谷政府参考人 廃炉等技術委員会でありますけれども、廃炉等技術研究開発業務実施方針の作成など、廃炉等技術委員会が特に必要と認める事項の議決を経なければならないということを法律上明確に位置づけているところでございます。

 他方で、運営委員会は、予算、定款、業務方法書の変更ですとか機構の組織全体の運営に関して重要な事項を議決する役割、これも法文上位置づけております。廃炉等技術委員会は廃炉等に係る業務の技術的判断に関して重要な事項を議決する役割ということでございますので、両者はそれぞれ基本的役割が異なるというふうに考えております。

 すなわち、廃炉等技術委員会で議決されるべきもの、つまり技術的判断に関するものについては、運営委員会においても廃炉等技術委員会の判断を尊重するべきものというふうに考えておりまして、政府としても、機構に対する指導監督という観点から、両方の委員会がそれぞれの職責をきっちり果たせるようにチェックしてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 運営委員会においては廃炉等技術委員会の技術的な判断について尊重するというお話ですが、ただ、技術的な判断の際に、当然、お金がかかる、経費が膨らむというような場合について、経営上の観点から運営委員会が物を言う、そういうことというのもあり得る、想定されるんですけれども、そういう点で、技術的な知見が生かされないような事態になりはしないのかという懸念も浮かぶんです。その点はどうですか。

糟谷政府参考人 これを別々の機関につくった場合には、まさに別々の意見が出て、それを誰が調整するのかという問題が生じたところでありますけれども、今回、同じ機構の中に二つの委員会で、技術的な事項については廃炉等技術委員会が議決して決定するということでありまして、その技術的判断を機構として尊重していくということになるというふうに考えております。

 東京電力も、資金が原因でやるべき廃炉がおくれてはならない、そういうことはいろいろなところで言っておりますし、特別事業計画にも廃炉をしっかり進めるということが大事だということを書かせてまいりますので、そういう中で、資金が理由になって廃炉がおくれる、そういうことは断じてあってはならないというふうに考えております。

塩川委員 断じてあってはならないということが本当に生かされるという点がどうなのかということが問われてくると思います。

 次に、機構法に基づく資金援助のスキームについて確認いたします。

 最初に、四十一条の資金援助の申し込みについてですけれども、この四十一条で定める資金援助のスキームには一号から五号まであります。これらについては、使い道、使途に制限というのがあるんでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、機構法第四十一条には五種類の資金援助の方法を規定してございます。

 このうち第一号のいわゆる資金交付と法律上呼んでいるものにつきましては、損害賠償の履行に充てるための資金を交付することという定義がなされておりますので、この資金は損害賠償のためのみに使われるということになっております。

 第二号から第五号までの株式の引き受け、資金の貸し付け等については、第四十一条の柱書きにおいて、原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施及び電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保に資するために行うということになっておりますので、第一条の賠償に限定するというのとは異なりまして……(塩川委員「一号」と呼ぶ)第一号は賠償に限定されておりますが、第二号から第五号につきましては、電気の安定供給、賠償の履行等の幅広い目的のために資金援助をすることができることになっております。

塩川委員 一号の資金交付は損害賠償の履行に限定されるということで、そういう点では、安定供給等々が含まれる例えば廃炉経費に対しても、一号は除いて、二号から五号については機構は東電に対して資金援助を行うことができる、そういう資金援助の種類があるということでよろしいですか。

藤原政府参考人 今回お願いしている法改正の中で、第二号から第五号までの資金援助につきましては何ら改正を加えていないところでございますが、法律の解釈として申し上げれば委員御指摘のとおりであります。

 他方、これまでの審議の中で御説明してまいりましたが、実需の問題としては、東京電力は、既に引き当てている約一兆円、それから今後引き当てる一兆円の枠の予定がある中で、廃炉のための資金援助を必要とする状況にはないと承知しております。

塩川委員 前回指摘したように、二兆円の枠でおさまるのかという問題が当然出てまいりますので、どこまで膨らむかわからないような廃炉経費についてこの四十一条を使った資金援助のスキームが行われ得るという点でも、今回、廃炉についてしっかりと明示的にも書かれたということも含めて、さらなる資金援助が行われ得るということは改めて問われなければなりません。

 次に、五十一条の資金の交付についてです。

 この五十一条に基づく資金の交付というのは、使途、使い道に限定というのがあるんでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の第五十一条には、

  政府は、機構が特別資金援助に係る資金交付を行う場合において、第四十八条第二項の規定による国債の交付がされてもなお当該資金交付に係る資金に不足を生ずるおそれがあると認めるときに限り、当該資金交付を行うために必要となる資金の確保のため、予算で定める額の範囲内において、機構に対し、必要な資金を交付することができる。

と規定されております。

 この中に資金交付という用語が出てまいりますが、これは四十一条第一項第一号と同じ意味で資金交付という用語を使っておりますので、第五十一条の規定によって交付されるものは、損害賠償の履行に充てるためというように、使途が限定されることになります。

 なお、実態として申し上げれば、これまで、第五十一条の規定に基づいて資金が交付されたことはございません。

塩川委員 賠償に限られるということで、五十一条を活用した事例はないということです。

 この五十一条に基づく資金の交付というのは、要するに、贈与といいますか、返さなくてもいいお金という位置づけということですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 機構法の中で、国庫納付の規定、機構が国庫に納付する規定がございます。第五十九条でございます。この第五十九条の解釈に照らしますと、第五十一条の資金の交付は交付国債を原資としておりませんので、機構は、第五十九条に基づいて国庫納付をする必要はないという解釈になります。

塩川委員 国庫納付を行わなくてもいい、そういうお金ということです。

 次に、六十八条、政府による資金の交付についてです。

 六十八条に基づく政府による資金の交付は、今もお聞きしましたけれども、返さなくてもいいお金。つまり、原子力事業者の負担金増額の軽減という形で、結果として原子力事業者の負担の軽減、免除となる、そういうスキームではないかと思うんですが、確認です。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の原子力賠償機構法六十八条は、

  政府は、著しく大規模な原子力損害の発生その他の事情に照らし、機構の業務を適正かつ確実に実施するために十分なものとなるように負担金の額を定めるとしたならば、電気の安定供給その他の原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営に支障を来し、又は当該事業の利用者に著しい負担を及ぼす過大な額の負担金を定めることとなり、国民生活及び国民経済に重大な支障を生ずるおそれがあると認められる場合に限り、予算で定める額の範囲内において、機構に対し、必要な資金を交付することができる。

と規定されてございます。

 この資金の使途でございますけれども、機構がその業務を適正かつ確実に実施しつつ、国庫納付のために必要な原資に充てることが想定されているものと考えてございます。

 また、この資金交付により、機構が交付を受けた資金を国庫納付に充てることによりまして、結果として、原子力事業者からの一般負担金及び特別負担金を原資として行う国庫納付額が実質的に減額されるということになろうかと考えてございます。

塩川委員 特別負担金、一般負担金が結果として減額、軽減されるということで、原子力事業者の負担金を軽減するという仕組みになるということです。

 昨年十二月の復興指針において、「中間貯蔵施設費相当分については、」一・一兆円ですけれども、「事業期間(三十年以内)にわたり、機構に対し、機構法第六十八条に基づく資金交付を行う。」としております。

 これはどういうものなのか、説明していただけますか。

上田政府参考人 御指摘のとおりでございまして、昨年末の「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」という閣議決定に基づきまして、中間貯蔵施設費用相当分につきましては、この六十八条に基づきまして、政府の電源開発促進勘定から予算をそこに支出しているという形になっているところでございます。

塩川委員 電気料金に上乗せ徴収されています電源開発促進税を今後三十年間にわたって流用するということです。

 二〇一四年度、今年度の電促税収が三千二百七十億円で、毎年毎年三百五十億円というのは、それの一割を超えるような額になります。こういった額について流用する。これは原発のない沖縄電力の需要家にも負担をさせるというものであり、いわば原発事故の後始末の費用をツケ回しするというのは私はおかしいと。こういう流用というのはあってはならないと思いますが、その点いかがですか。

茂木国務大臣 ちょっと、流用という言葉は適切ではない、私はそのように考えておりますけれども。

 中間貯蔵施設につきましては、国が土地を取得して早期に建設する必要があります。その上で、国が責任を持って長期の事業期間にわたって安定的に管理していくことが福島の復興にとって不可欠であるという観点から、今回のような措置をとらせていただいた次第であります。

 福島の復興は沖縄の方に関係ない、こういう御主張でありましたら、私の考えとは違う。日本国民みんなが福島復興のためにでき得る協力をしていくということは、極めて重要だと考えております。

塩川委員 事故の責任が問われる、その問題について、この点を曖昧にするやり方だということを申し上げているわけです。

 この六十八条については、衆議院の復興特別委員会で制定時の枝野大臣が答弁しております。六十八条というのは膨大な賠償額が生じている場合を想定しており、少なくとも今回の東電福島事故においてはこの条文に該当することを想定していないと答弁しているわけで、そういう点で、今回やったことは重大なそごがあるんじゃありませんか。

茂木国務大臣 そのやりとりがあった前提といいますか、当初の賠償支援のための交付国債の発行限度額は二兆円であったと承知いたしております。

 その上で、実際の賠償であったりとか除染の費用の推移等を踏まえまして、我々は、国が前面に立ってこれらの問題に取り組むことが福島の復興につながる、このように考えまして、平成二十六年度予算におきまして、今後の賠償に万全を期すべく、交付国債の発行限度額の上限を九兆円に引き上げさせていただいた。この中には、賠償の費用、除染の費用、さらには中間貯蔵の費用というのが入ってまいりまして、それぞれどういったスキームで返還するかということも決めております。

 そして、中間貯蔵につきましては、先ほど申し上げたような形のエネルギー特会からということで決めさせていただいた次第でありまして、二兆円、九兆円、状況が変わってきておりますので、そこにおきまして、二兆円の段階で私が違った発言をしていたらそごがあるということであると思いますけれども、前提そのものが変わっていると考えております。

塩川委員 二兆円が九兆円になって状況が変わってきているということです。

 ちょっと確認ですけれども、例えば二〇一一年の十月に枝野大臣の答弁がありました。でも、その直前でいわゆる下河辺委員会の報告も出されておりますけれども、その中の記述を見ても、「交付国債の発行枠については、政府において、現在の二兆円から、第三次補正予算で五兆円に拡大する方向で検討がなされている。」と。ですから、単に二兆円の話じゃないんですよ。そのときだって、もう五兆円というのは想定されているんです。そういうことでしょう。

上田政府参考人 その当時におきましてさまざまな議論があったということはそのとおりかと思いますが、実際問題といたしまして、交付国債の発行限度額は当時二兆円でありました。二兆円を前提とした、先ほどの枝野大臣の発言であったと承知しております。

 今回は発行限度額を九兆円に引き上げた、今回の事態ということで。この状況変化の前提の大きな違いということは、交付国債の発行限度額の引き上げという意味では、今回の、最近の事象であると考えております。

塩川委員 当時の経緯もよく承知もしないで、二兆円が九兆円なんてよく言えるのかと。そもそも、このときに、五兆円という話はもう既に出ているんですよ。だけれども、このような、この条文に該当することを想定していないという答弁なんです。

 そもそも、枝野大臣のその当時の答弁というのも、「今二兆円とおっしゃいましたが、これは現在の予算措置で二兆円としているものでありまして、当然、今後もし賠償額が大きくなっていった場合には、その都度、交付国債を予算措置でお願いする」ことになっている、こういうことを述べて、これは、だから、ふえていきますよということを想定した上で、しかし、今回の東電の福島事故においてはこの条文に該当することを想定していません、これを使うつもりはありませんと言っているんです。そういう点でいえば、二兆がもっと膨らむということを前提にした上でもこの六十八条は使わないというのが当時の大臣の答弁なんですから。そういう点でまさにそごがあるんじゃないですか。

茂木国務大臣 私がある時点において答弁をして、そしてそれが状況とともに変わるということであれば、そごがあるということになるかもしれません。さらに申し上げれば、同じ政権の中で、大臣の交代によりまして発言が変わるということであれば、そごということになるかもしれません。

 しかし、枝野大臣の当時に想定されておりました二兆円、また、ふえる額として想定されておりましたのが恐らく当時でいいますと五兆円ということであります。現状は九兆円、政権も交代いたしております。

塩川委員 いや、法律の執行の話ですから、それを踏み外すような形でやっているというのは、政権がかわった云々の話じゃないんですよ、法律そのものは同じもので続いているわけですから。それの執行をどうするのかという基本の立場というのが当時の法律を制定した時点での大臣の答弁にあるわけですから、そういったものを踏み越えて税金投入をするやり方というのはおかしいということを申し上げて、時間が参りましたので、終わります。

富田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 ただいま議題となりました原子力損害賠償支援機構法の改正案について、反対の立場から討論いたします。

 平成二十三年三月十一日の東日本大震災及び福島第一原発事故の発生から丸三年が経過したものの、福島第一原発の事故の処理に関しては、なお遠い道のりの緒についたばかりです。このような状況のもと、本法案は廃炉・汚染水対策を国として進めるための方策を定めるもので、一定程度評価することは可能です。

 しかしながら、以下の問題を看過することはできません。

 まず、本法案は、東京電力の存続を認め、そこで一義的な作業、負担を負わせた上で原子力損害賠償支援機構にさらに廃炉や汚染水対策を行わせるものでありますが、廃炉や汚染水対策についても際限のない公的支援の道を開きかねないものである上、そもそも東京電力を今の形のまま存続させているため、廃炉や汚染水対策または損害賠償に応じるために原発の再稼働をしなければならないなどというような、被害者の神経を逆なでする本末転倒な結果を認めかねません。

 また、廃炉・汚染水対策についての人材の確保は長期的な課題でありますが、東京電力で起こした事故なのだから自分で処理すべきという建前論で、ある意味制裁的に廃炉等を行わせたところで、若くて優秀な人材が集まるはずもありません。逆に、日本でもこれだけの額の資金が廃炉に投ぜられ、そこで世界で最先端の知見が集まることからすれば、今後世界における、言葉遣いはともかく廃炉ビジネスを担う組織を組成することも考えられますが、現在の東京電力やこの機構が廃炉ビジネスを担うことは期待できません。

 さらに、本法案によって、廃炉・汚染水対策については、政府、機構、東京電力が三層構造となることによって、IRIDの技術をどこで実証するかという点が一層不明になるおそれや、どこに人材や資金を投下すべきかという点も曖昧になる可能性が少なくありません。

 以上のことに鑑みれば、やはり東京電力の法的整理をすることで発送電部門をつかさどる電力会社とこの廃炉部門を切り離し、そこに資金や技術を集約して廃炉を担わせる等の対応をとるべきであって、その意味で、これに反する本法案については反対をさせていただきます。

 以上で討論を終わります。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案に対して反対討論を行います。

 反対理由の第一は、東電任せの根本にある、東電を絶対に債務超過にさせず延命させる機構法の枠組みを維持し、東電を廃炉・汚染水対策の実施主体にしたまま機構に廃炉業務を付加するものだからです。汚染水、タンク漏えい対策の経緯を見れば、東電が、経営優先、安全なおざりの場当たり的対応で当事者能力がないこと、結果的に機構が何らチェックできなかったことが明らかになりました。その検証と総括がなされていません。

 第二は、国が前面に出るとして、福島復興指針と一体に、無原則な国費、税金投入に道を開くものだからです。

 質疑で明らかになったように、廃炉費用がどこまで膨らむかはわかりません。今回、事故炉の後始末の費用を、出融資など機構法の資金援助の対象に明示的に加えました。これは、廃炉会計規則変更による東電救済とともに、中間貯蔵施設に法六十八条の返済義務のない税金投入が行われたように、際限のない国費、国民負担への仕組みとなりかねません。

 福島復興指針は、国と東電の役割分担を明確にするといいますが、実際は、原発事故被害者を分断し、その権利の回復、賠償を切り捨てる一方で、事故の原因者、責任者である東電と大株主、メガバンクなど利害関係者を国民負担で救済するものです。本法案はその一環を担うものであり、容認できません。

 国費投入には少なくとも二つの前提が必要です。一つは、実質債務超過の東電を破綻処理し、まず利害関係者の責任と負担を問うこと。二つは、原発を推進してきた国の反省を明確にし、エネルギー政策を転換することです。

 第三は、原子力損害賠償法、エネルギー政策、原子力政策の抜本的見直しにつき、期限を切って政府に求めた機構法附則及び附帯決議の見直しがなされておりません。検証抜きに、なし崩し的に機構の存続を前提とした本改正案は順序が逆さまです。

 三年前の原発事故によって、大量の放射性物質がまき散らされ、福島県では東京二十三区の倍の広さの地域が無人の地とされ、今なお十四万人もの方々が避難生活を強いられています。

 ところが、政府は、東電の新しい総合特別事業計画で、柏崎刈羽原発の再稼働を織り込み、また原発を重要なベースロード電源と位置づけるエネルギー基本計画を閣議決定しました。

 原発事故被害者の存在を忘れ去ったこれらの計画は直ちに見直すことを強く要求して、討論を終わります。

富田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、宮下一郎君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会及び公明党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。田嶋要君。

田嶋委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    原子力損害賠償支援機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、以下の点に留意すること。

 一 原子力損害賠償支援機構法制定時に国会修正によって追加された、原子力損害の賠償に関する法律の改正等の抜本的な見直しをはじめとする必要な措置(附則第六条第一項)、及び、本法の施行状況を踏まえ講ずるものとされる必要な措置(附則第六条第二項)に係る検討条項に関し、制定時の附帯決議の趣旨に鑑み、早急に結論を得るよう更に検討を進めること。

 二 福島第一原発事故発生後三年を経て、なお完了まで時間を要するとされる東京電力による被災者への損害賠償に関し、本年一月に認定された新・総合特別事業計画に従い、損害賠償の確実かつ迅速な実施を可能とするための万全の支援措置を講ずること。

 三 平成二十五年十月の会計検査院報告を踏まえ、私募債を利用する東京電力の資金調達形態に関しては、利害関係者の責任の明確化の観点から、新・総合特別事業計画で示された方針に沿って、可能な限り早期にこの形態によらないこととするよう指導・監督すること。また、将来、同事業計画に基づいて機構が東京電力株式の売却等によりその議決権の段階的な低減を実施していくに当たっては、東京電力による福島第一原発の廃炉作業の実施状況やそのための体制整備の在り方に関し、機構の運営委員会及び廃炉等技術委員会による適切かつ十分な検証・評価を踏まえて進めるものとすること。

 四 機構による廃炉関係業務の実施に関し、学術的・技術的信頼性のみならず社会的な信頼性も確保されるよう、廃炉等技術委員会には、委員への登用の検討を含め、国内の原子力関連業界等から独立性を保ち、かつ優れた実績を有する海外の研究者・技術者の積極的な参画を図ること。一方、機構に設置される予定の廃炉部門の人員の採用に当たっては、国内の叡智を結集する観点から、広く政府系研究機関や原子力事業者、原発機器メーカー等の関連する専門人材を招聘し、我が国における廃炉に係る人材・技術の集約を図ること。

 五 機構の業務に「廃炉等に関する情報の提供」が追加されることに伴い、機構は、廃炉関係業務の実施を通じて集積される技術及び知見が内外の原子炉の廃炉に際して積極的に活用されるための体制を整備すること。また、損害賠償支援業務に係るものも含め、その業務に関し内外に対してこれまで以上に適時適切な情報の公開を進めること。

 六 福島第一原発において現在に至るまで汚染水の漏洩が相次ぎ、収束の兆しが見られない状況について、政府は、早急かつ確実に汚染水を封じ込む環境が達成できるよう、東京電力に対して厳しく指導監督を行うとともに、国費を投じて実施する遮水壁の構築等の施策を迅速かつ確実に行うこと。

 七 政府及び機構は、東京電力が自らの責任において福島第一原発の廃炉作業を確実に実施することができるよう、報告徴収権限等の行使を通じて作業の進捗状況及び作業員の作業環境に関する適時適切な状況把握に努めるとともに、高線量下の作業であるという特殊な労働環境を踏まえ、関係省庁と機構との十分な連携・協力により、現地労働基準監督署の職員の増員等、現場作業員の労働環境及び就労条件の改善が達成されるための監督体制の拡充強化を図ること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、茂木国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。茂木国務大臣。

茂木国務大臣 ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

富田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

富田委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府消費者委員会事務局長黒木理恵君、文部科学省研究開発局長田中敏君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君、経済産業省経済産業政策局長菅原郁郎君、経済産業省通商政策局長鈴木英夫君、経済産業省商務情報政策局長富田健介君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君、国土交通省大臣官房技術参事官大脇崇君、環境省総合環境政策局長清水康弘君及び原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官竹内大二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冨樫博之君。

冨樫委員 自民党の冨樫博之でございます。

 本日、質問の機会をいただき、本当にありがとうございます。

 私は、再生可能エネルギーと電力システム改革について質問をさせていただきます。

 政府は、四月十一日にエネルギー基本計画を閣議決定いたしました。この計画において、再生可能エネルギーは、二〇一三年から三年程度、導入を最大限加速していき、その後も積極的に推進していくとしております。

 民間事業者が今後、大規模な発電事業に踏み出していくためには、再生可能エネルギーの占める割合等を含めた具体的な数値目標を明確にしていく必要があると考えます。茂木経済産業大臣の見解をお伺いいたします。

茂木国務大臣 委員は秋田の御出身でありまして、私も野呂田先生には大変お世話になってきまして、自然環境の保護であったりとか、そういった中で、地域における再生可能エネルギーの重要さは誰よりもよく御認識をされていると思っております。

 再生可能エネルギーは、委員も御案内のとおり、国産エネルギー資源の拡大、さらには地域活性化にも資する分散型エネルギーの普及、そして低炭素社会の創出に加えまして、関連産業の創出、拡大という、特に地域における成長戦略の観点からも極めて重要だと考えております。

 先週の金曜日にエネルギー基本計画を閣議決定させていただきましたが、我々は、一昨年の衆議院選挙におきましても、三年間、最大限の導入拡大を図る、こういうことを自民党の公約として掲げまして、その方針で再生可能エネルギーの導入に取り組んでまいりました。基本計画におきましては、その後も積極的に推進していく、また、導入の水準につきまして、これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準をさらに上回る水準の導入を目指すとしてきたところであります。

 同時に、新たに再生可能エネルギー等関係閣僚会議を創設いたしまして、政府の司令塔機能の強化、そして関係省庁間の連携の強化を図ることとしたところでありまして、エネルギー基本計画の閣議決定をした直後に、早速、第一回目の再生可能エネルギー等関係閣僚会議の開催をしたところであります。

 将来のエネルギーミックスに関しましては、単なる一つの願望ではなくて、やはり現実性とバランスというものが重要でありまして、今後、省エネルギーの取り組みがどこまで進展していくか、また、再生可能エネルギーは最大限の導入を図っていきますが、その見通しがどうなるか、また原発の再稼働の状況、それからまた海外からの資源調達コストがどうなっていくか、そして日本が世界で最先端を誇ります高効率の火力の技術開発の見通しも見きわめながら、できるだけ早くベストミックスの目標といったものを設定してまいりたいと考えているところであります。

冨樫委員 大臣、ありがとうございました。

 ぜひ、私からもう一度お話ししますけれども、重要なベースロード電源を含め、再生可能エネルギーの導入目標については速やかにお願いをいたしたいと思います。

 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度について質問します。

 今年度の固定価格買い取り制度から、洋上風力の項目が新設されました。陸上と比べて発電能力が高い洋上風力についての期待のあらわれと考えますが、洋上風力の項目を新設した見解をお尋ねしたいと思います。

木村政府参考人 お答えいたします。

 洋上風力でございますが、我が国で再生可能エネルギーの導入拡大を図る上で、そのポテンシャルを大きく広げる重要な鍵を握るものというふうに理解をしてございます。

 洋上風力の買い取り価格の設定につきましては、従来から調達価格等算定委員会でも課題とされていたところでございまして、昨年度、北九州沖あるいは銚子沖での着床式の実証事業で実証機が設置をされるといったようなことがございましてデータが得られることとなった、そういったことを踏まえまして、調達価格等算定委員会におきまして価格区分の新設の要否について議論をした上で、そのコストデータを踏まえまして、あるいは陸上よりも高いリスクを勘案する格好で、税抜き三十六円という買い取り価格を設定したところでございます。

 経済産業省といたしましては、こうした価格区分の新たな設定によりまして、民間で検討中の案件、そういったものの事業化が促進されることを期待しておりますし、加えまして、環境アセスメントの迅速化あるいは送電網の増強といった洋上風力発電にとって重要な環境整備も含めまして、その導入が進むように、必要な取り組みを関係省庁とも連携いたしまして進めてまいりたいと考えてございます。

冨樫委員 どうもありがとうございます。

 洋上風力、このFIT三十六円は、これが最低限の価格かと思いますけれども、ぜひ、またもろもろの支援がやはり必要かと思いますので、ひとつそちらの方もよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 それから、北海道や北東北、特に私の地元秋田県では、風況に恵まれ、風力発電にはポテンシャルの高い地域とされております。ただ、残念なことに、送電網の脆弱な地域であります。この風力ポテンシャルを全国で活用できるよう、国は、秋田において地域内の送電網を増強するとともに、秋田から送電される風力の電気を首都圏等の大規模な消費地に送電するための地域間連系線の増強を進めていくべきではないかと考えますが、経済産業省の見解をお伺いいたします。

木村政府参考人 お答えいたします。

 我が国では、御指摘のとおり、風況がよく大規模な風力発電の立地可能な場所が北海道あるいは東北に偏ってございます。こうした電力の生産地と消費地を結びます送配電網の強化は不可欠な状況でございます。

 したがいまして、経済産業省では、風力ポテンシャルが集中しております北海道、東北で、地域内の送電網を整備する風力発電事業者を支援する補助事業を実施しておるところでございます。地域内送電線につきましては、現在、北海道で整備実証に向けた取り組みが進んでおりますけれども、秋田を含む東北におきましても事業化に向けた具体的な構想が進みつつあるというふうに承知をしてございます。本年度、これが円滑に立ち上がることを期待してございますし、これが立ち上がった暁には必要な支援を積極的にしてまいりたいというふうに考えてございます。

 また、昨年十一月には電気事業法が改正されまして、広域的運営推進機関というのが創設されることとなってございます。地域間連系線の増強につきましては、電力の広域的な運用を拡大する観点から、同機関が中心となって地域間連系線等の送電インフラの増強を進めるということになってございます。

 こうした取り組みを通じまして、送電網の整備にしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

冨樫委員 前向きな答弁、ありがとうございます。

 次に、洋上風力の港湾について伺いたいと思います。

 事業者によると、洋上風力発電では港湾や船舶等のインフラが課題になると言われております。秋田のような全国有数の洋上風力のポテンシャルを有する地域において港湾や船舶等のインフラを集中的に整備することにより、日本全国での洋上風力発電の導入拡大のための拠点として環境整備を進めるべきと考えますが、国土交通省の見解を求めます。

大脇政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、洋上風力発電の導入に当たりましては、ポテンシャルのある海域を有効に活用することが重要というふうに考えてございます。

 先行しておりますヨーロッパでございますけれども、この事例を見ますと、導入海域の設定、建設拠点となる港湾の活用、さらには専用作業船の導入などを効果的に組み合わせて導入拡大が進んでいるというふうに認識してございます。

 国土交通省といたしましても、そういった欧州の先進事例を調査してございまして、これをもとに、船舶航行を踏まえた適切な海域管理や港湾の効果的な活用方策等について検討しているところでございます。

冨樫委員 もう一点お尋ねします。

 港湾エリアにおける洋上風力発電に対応するために、国土交通省港湾局は、港湾への洋上風力発電の導入に関する技術ガイドライン等検討委員会を設置し、その検討を開始したと聞いておりますけれども、現在の検討状況等をお答えいただきたいと思います。

大脇政府参考人 国土交通省港湾局におきましては、本年一月に有識者と関係機関から成ります委員会を設置しまして、洋上風力発電の導入に当たって課題となります船舶の航行の安全性確保や構造の安定性等につきまして検討してまいりました。

 本年三月には、施設配置計画、構造設計及び維持管理計画などのガイドラインを構成します主要な項目を取りまとめまして、公表したところでございます。今後、引き続き具体的な内容の検討を進めまして、本年夏ごろを目途に洋上風力発電の導入に向けた技術ガイドラインとして取りまとめる予定でございます。

冨樫委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、洋上風力の推進には経済産業省との連携が必要不可欠でありますので、ひとつこの後もよろしくお願いをしたいと存じます。

 次に、環境省にお伺いいたします。

 洋上風力発電には環境アセスメントがどのような場合に必要になるのか、必要な場合はその迅速化に向けてどのように取り組みを検討されているのか、環境省の見解をお伺いいたします。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 一万キロワット以上の出力を有する風力発電所を新設する事業、それから既存の風力発電所に一万キロワット以上の発電設備を増設、リプレースする事業につきましては、陸上、洋上といった立地場所にかかわらず、第一種事業として、法律に基づく環境影響評価手続が義務づけられております。また、七千五百キロワットから一万キロワットまでの風力発電所の新設または増設の事業につきましては、第二種事業と位置づけられておりまして、電気事業法を所管する経済産業大臣が環境影響の程度が著しいものになるおそれがあると判定した場合には、法律に基づいて環境影響評価を行うこととなっております。

 迅速化についてでございますが、環境省といたしましても、洋上風力発電所の環境影響評価手続の迅速化については、大変重要な課題と認識しております。

 風力発電所の環境影響評価につきましては、環境省におきまして、経済産業省とも連携しつつ、審査期間の短縮や事業者による調査の簡素化などにより、通常三年程度を要する環境影響評価の期間を最大で半減するということを目指して、今取り組んでいるところでございます。

 特に、環境省におきましては、事業者による調査等の迅速化に資するよう、平成二十四年度から、環境アセスメント基礎情報整備モデル事業を実施しております。これは、風力発電のポテンシャルが高い地域として自治体に公募を行いまして選定されたモデル地域におきまして、環境省みずからが環境基礎情報を調査し、データベースを整備、公表する事業でございます。この整備した事業を事業者が活用することによって、事業者が行うべき環境調査の一部を代替することができる、そういうふうになっております。

 洋上風力のモデル地区につきましては、これまで秋田県を初め、陸上の二十倍以上に当たる五十二万ヘクタールに及ぶ地域を選定してきております。順次、環境調査を行っていく予定でございます。今後、さらに一層、洋上に対して力を注いでいく、そういう予定としております。

 また、洋上風力発電の環境影響評価の手法の確立に向けまして、環境省におきましても、長崎県の五島沖で浮体式の洋上風力実証実験を行っております。この事業から知見を集積しているところでございます。

 このような成果を自治体や事業者にうまく活用していただくことにより、環境影響評価手続の迅速化に結びつけていきたい、かように考えております。

冨樫委員 どうもありがとうございます。

 ぜひ、俊敏に、迅速にひとつお願いをいたしたいと思います。

 洋上風力の実証試験についてお尋ねします。

 風力発電については、着床式、浮体式での実証試験を進めていると承知していますけれども、特に、北九州沖や銚子沖での着床式の風力発電について、これまでのいろいろな状況についてお答えしていただきたいというふうに思います。

木村政府参考人 お答えいたします。

 北九州沖、銚子沖での着床式の洋上風力発電でございますけれども、新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDOと、電源開発、東京電力が共同で、沖合における洋上風力発電の実現に向けまして実証研究を行っているものでございます。

 当該実証研究におきましては、我が国の自然条件などに適合した洋上風況観測システムを確立するということ、それから環境影響評価手法を取りまとめるということを目標にしてございまして、風速あるいは風向を測定するような風況観測タワー、それから出力二千キロワット級の洋上風車というのを設置してございます。平成二十五年から実際に運転をしてデータをとっているということでございます。

 現在、風況あるいは海象観測、発電量、稼働率といった各種のデータの取得を進めておるところでございまして、本格的な洋上風力発電の事業化に結びつく実証事業となることを期待しております。

冨樫委員 もう一問、風力発電のイノベーションについてお尋ねいたします。

 現在、国内に設置されている風力発電機は、デンマーク、あるいはアメリカ、日本、ドイツのメーカーが上位を占めておりますけれども、日本の地形や環境に伴う気象条件、とりわけ雷対策に苦慮していると聞いております。さまざまな問題を克服し、日本型風力発電が定着するように、産学官が連携して取り組む必要があるかと思いますが、経済産業省の見解をお伺いいたします。

木村政府参考人 お答えいたします。

 日本での風力発電の導入でございますけれども、特に、日本海側で頻繁に見られます落雷、それから地形が非常に複雑な山間部等で風車が悩まされます乱流といったものが日本固有の問題として指摘をされてございまして、技術開発を進めていくということが重要かと考えてございます。

 そうした観点も踏まえまして、経済産業省といたしましては、まず、平成二十年度から二十四年度におきまして、NEDOの実証事業といたしまして、大学等の研究機関と連携をいたしまして、雷対策の技術開発あるいは山間部の乱気流に強い風力のシミュレーターといったようなものを開発してまいりました。日本の風土への対応のための技術開発に取り組んできたということでございます。

 引き続きまして、例えば平成二十六年度の予算でも、落雷対策を含む技術開発予算を計上してございます。風力発電の導入の拡大に向けまして、技術開発にしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

冨樫委員 北海道における風力発電のための送電網整備実証事業についてお尋ねします。

 平成二十五年度事業として二百五十億、北海道での実証事業が進んでおりますけれども、そのことについてお答えいただきたいというふうに思います。

木村政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年度予算の風力発電のための送電網整備実証事業でございますけれども、商社あるいは風力発電事業者などが出資をいたします二事業者を昨年十月に採択いたしました。現在、実証に用いる送電線の整備に向けまして、詳細な開発可能性調査を行っているところでございます。

 今後、早期にこの開発可能性調査を終了いたしまして、送電網の設計、整備の段階に取り組みを移してまいりたいというふうに考えてございます。

冨樫委員 その実証事業の予算、今年度はたしか百五十・五億円だと思います。昨年は二百五十億、ことしは百五十・五億。これは、そういう意味では、この予算の違いというのはどういうところが原因なのか、ちょっと教えていただければありがたいですが。

木村政府参考人 この送電網整備実証事業というのは、ある意味非常にリスクも高うございますし、それから、長期にわたって事業を継続するものでございます。

 私どもとしては、全体の事業規模そのものというのは、もちろん財政当局との調整はございますけれども、しっかり確保してまいりたいというふうに考えてございますけれども、現実の予算額につきましては、毎年の執行の状況、そういったものを念頭に置きまして必要額を計上したということでございまして、決してこの事業そのものを軽視しているというようなことは全くございません。

冨樫委員 ありがとうございます。

 しっかりと、今のお話を受けて、私ども秋田県あるいは北東北、北海道も含めてでありますけれども、頑張っていきたいというふうに思っております。

 次に、海外における電力システム改革の状況についてお尋ねいたします。

 諸外国においてもさまざまな改革が行われ、その結果、料金の上昇や、電力供給に問題が生じた事例などがあったと聞いておりますけれども、その事例を教訓に、どのように改革をなし遂げていくのかをお伺いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 電力システム改革は、大きな事業体制の変革を伴うものでございますので、先生御指摘のように、海外の教訓も踏まえまして、十分な準備を行った上で改革を進めることが必要だと考えてございます。

 幾つか例を申し上げますと、例えばイギリスでは、自由化と同時に料金規制を撤廃したことによりまして価格が上昇したということがございます。したがいまして、競争が働くまでは料金規制を残すことが必要だというふうに考えてございます。また、アメリカのカリフォルニア州では、供給力が不足する状況下で小売料金の凍結を行ったために発電投資が進まず停電を引き起こしたという事例がございますので、こういった点もよく考慮する必要がございます。

 電力システム改革におきましては、改革が先行しているこうした海外の事例なども参考にしながら、今の例で申しますと、例えば、競争の状況を見きわめた上で料金規制を撤廃するとか、自由化後の小売料金の凍結、あるいは規制料金と自由化料金を需要家の選択に任せる、こういったことが必要だと考えてございます。

 こういった点も含めまして、海外の事例をきちっと検証しながら電力システム改革を進めてまいりたいと考えてございます。

冨樫委員 持ち時間も五分余りとなりましたけれども、ここは、茂木経済産業大臣の思いのたけを少し聞かせていただきたいというふうに思います。電力システム改革についてのお尋ねであります。

 大臣の強いリーダーシップのもと、六十年ぶりの電力の地域独占を見直す電力システム改革の議論が始まり、昨年十一月には改革の第一段階として広域系統運用を拡大し、そして地域を越えて電気の安定供給を確保する体制を構築いたしました。

 また、先週の本会議においては電気事業法改正の趣旨説明と質疑が始まり、この委員会においても、改革の第二段階として小売の全面自由化についての審議が行われようとしております。

 また、これに続く第三段階として、送配電網の分離と小売料金の自由化等の改革が示されております。

 これら抜本改革を最後までやり抜いていく決意を茂木経済産業大臣からお伺いしたいと思います。時間はたっぷりありますので、ひとつよろしくお願いいたします。

茂木国務大臣 ありがとうございます。

 日本は、一九七〇年代、二度のオイルショックに直面をしたわけでありますが、さまざまな省エネの努力によりましてその石油ショック、危機を乗り越え、世界に冠たる省エネ技術、省エネ製品、そしてまた省エネ社会というのを構築したわけであります。現在、日本は、改めて、東日本大震災そして世界的なエネルギー需要の増大など激変する国際情勢の中、新たなエネルギー制約に直面をしている、そのように痛感をいたしております。

 電力システム改革、まさに委員おっしゃるように六十年ぶりの改革ということでありまして、新規参入の促進、競争環境の整備によりまして、電力の低廉かつ安定的な供給や、多様な電源の活用、そして料金メニューの多様化を実現する、すなわち、日本が今直面をしております新たなエネルギー制約上の課題を解決する上でまさに待ったなしの改革である、このように考えております。

 そして、改革のポイントは委員御指摘のように三つありまして、一つが広域系統運用の拡大、二つ目には電力自由化の推進、三つ目には送配電部門の中立性、独立性を高めることであります。昨年成立いたしました第一弾の改正電気事業法では、広域的運営推進機関の創設等の措置に加えまして、改革プログラムの全体像として、小売全面自由化、そして送配電部門の法的分離などの改革の手順についても明確にお示しをしたところであります。

 そして、この国会に、改革の第二弾となります、二〇一六年をめどとした電力小売参入を全面自由化するための改正法案を提出いたしているところであります。

 しかし、高い峰に登っていく、こういう観点からしますと、登山はまさにこれからだ、こんなふうに考えております。「辿り来て未だ山麓」、野呂田先生が書で残された言葉であります。改革は大胆に、スケジュールは現実的に。

 改革プログラムに沿って、電力システム改革、強い決意でやり抜いてまいりたいと考えております。

冨樫委員 茂木大臣の熱い思いを聞かせていただきまして、ありがとうございました。

 この大改革は成長戦略につながるものと思います。ぜひ、大臣、一緒に頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたしまして、挨拶にかえます。

 質問を終わります。

富田委員長 次に、枝野幸男君。

枝野委員 枝野でございます。

 前回の一般質疑のときに積み残しがありましたので、本来はそちらからやった方がいいのかもしれませんが、この間、四月五日に商品先物取引法の施行規則改正案が発表されてパブリックコメントにかけられている、これに対して四月八日には消費者委員会が意見を出している、こういう状況が出ておりまして、こちらの方が急ぐ案件かなということで、こちらをきょうは先に質問させていただきます。

 今回、経産省から発表された施行規則改正案では、法律の二百十四条九号で、商品先物取引について、不招請勧誘、これは、相手が求めていないのにこちらから売り込みをかけて、どうですかとやる、わかりやすく言えばそういうやり方での勧誘を原則禁止している、これに例外が認められている、その例外の範囲について拡大しようとするものでございます。

 まずこれは法所管の経済産業省にお尋ねいたしますが、商品先物取引法が不招請勧誘を禁止している趣旨をお答えください。

寺澤政府参考人 お答えします。

 商品先物をめぐるトラブルは、平成十六年ごろをピークに相当ございました。こうしたかつてあったトラブルを背景としまして、平成二十一年の商品取引所法の改正の際に、商品先物取引のうち、トラブルの生ずる危険性が高いと考えられる契約類型について不招請勧誘の禁止規定を導入したところでございます。

 なお、法律では枠組みを定めているだけでありまして、具体的な禁止される行為類型については、委託者等の保護を図ることが特に必要なものということで、政令で規定することになっています。また、その上で、省令によって不招請勧誘の禁止が適用されない行為が規定される、そうした法律構造になっております。

枝野委員 適用される商取引の類型も法の委託のもとに省令で決められるわけですが、一方で、その例外についても法の委託で決められる。

 では、その例外については、二百十四条の九号に基づく例外を求める範囲については、省令に自由委任されているんでしょうか、それとも一定の要件が規定されているんでしょうか。

寺澤政府参考人 お答えします。

 御指摘があったように、自由に委任されている、包括委任されているわけではございませんで、商品先物取引法に基づき、委託者等の保護に欠け、または取引の公正を害するおそれのない行為について省令で規定し、こうした行為については不招請勧誘の禁止の対象外となっております。

枝野委員 つまり、今回の施行規則改正案で提起されているものが、この法律で委ねられている消費者の保護に欠けない内容になっているかどうか、このことが問われることになるということだと思います。

 では、これに対して、四月八日、消費者委員会が意見を出しております。順次聞いていきますので、まず結論をお話しください。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者委員会が四月八日に公表した意見においては、商品先物取引法施行規則等の改正案は、商品先物取引の不招請勧誘禁止規制を大幅に緩和し、事実上解禁するに等しいものであり、このような改正案が消費者保護の観点から見て重大な危険をはらむものであることに鑑み、かかる動向を看過することができず、深く憂慮し、その再考を求めているところでございます。

枝野委員 深く憂慮しというのは役所同士で出す意見ではなかなか意味が深いのかなと思っておりますが、その中身をさらに問う前に、消費者委員会、これをつくるときには私どもも対案を出して、当時の政府・与党ともいろいろと協議して、そうした中でこの消費者委員会はつくられておりますので、私にとっては確認的ではありますが、この消費者委員会の法的根拠、存在意義や目的、機能について、ある意味では現行の憲法体制の枠内で、ぎりぎり強い権限を消費者委員会に与えてつくったというのが、あのときの立法に一緒に携わった趣旨だと思っております。そうした観点からお答えください。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者委員会は、内閣府設置法第三十七条及び消費者庁及び消費者委員会設置法第六条の規定に基づき、内閣府に設置された審議会でございます。

 その権限等といたしましては、消費者委員会は、消費者庁を含めた関係省庁の消費者行政全般に対する監視機能を有する独立した第三者機関として、第一に、消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策等に関する重要事項に関しみずから調査審議し、内閣総理大臣、関係各大臣または消費者庁長官に建議すること、また、内閣総理大臣、関係各大臣または消費者庁長官の諮問に応じ調査審議すること、さらに、消費者安全法四十三条の規定により、内閣総理大臣に対し必要な勧告をし、これに基づき講じた措置について報告を求めること等の事務をつかさどることとされております。また、消費者委員会がその所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し報告を求めることができるほか、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができることとされてございます。

枝野委員 今のとおり、法律上も、消費者委員会は、独立性を持って、各省庁の行うことが消費者保護に欠けることにならないようにしっかりとチェックしていく、そういう役割が与えられているというか、担わされているということだと思っています。

 私自身は、消費者行政あるいは消費者保護をずっとやってきたつもりでおります。経済産業大臣を仰せつかっていた一年三カ月、その経験とその意識は忘れないようにやってきたつもりではありますが、でも、経済産業省という立場で仕事をすると、消費者のことはやはり二番目、三番目になってしまう。これはいい悪いじゃなくて、逆に、常にあらゆることに気配りをしていたら、例えば経済産業政策とか、例えば農林水産省の農林水産行政とかは進みませんから、そのかわりに外部から消費者を一義的に考えてチェックする、こういう構造というのはやはり必要なんだろうし、大事なんだろうと思っております。

 そうした意味では、今回、消費者委員会からこうした意見が出ているということは、ぜひ経済産業省として重く受けとめていただかなければならないと思っています。

 先ほど、四月八日の意見について、理由についても若干お述べいただいたかと思いますが、さらにつけ加えて、どういうことでこういった意見が出たのか、御説明いただけることがあれば、消費者委員会の事務局からお願いいたします。

黒木政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者委員会が公表した意見においては、その理由として三点を挙げております。

 第一に、商品先物取引に対する不招請勧誘禁止規制の必要性と適用対象の範囲、これは国会における慎重な御審議を踏まえて定められたものであり、この経緯を重く捉えるべきであります。ところが、今回の改正案は、商品先物取引法及び同法に基づく政令により禁止されている不招請勧誘行為について省令で事実上解禁しようというもので、極めて不適切であるという点を挙げてございます。

 二つ目に、改正案は事実上七十歳未満の消費者に対する電話、訪問勧誘を解禁しようとするものであり、社会問題化してきた古いビジネスモデルを再び活性化させ、高齢者の命金や一般消費者の生活基盤である預貯金をリスクの高い投資に向かわせ、同時に、詐欺的投資勧誘を行おうとする悪質な事業者に格好のツールを提供する結果となります。したがって、改正案が実施されれば、再び商品先物取引被害が社会問題化する危険性が極めて高いという点を挙げております。

 最後、三つ目に、改正案による七日間の熟慮期間の設定というものがございますけれども、商品先物取引勧誘の局面においては、複雑でハイリスク・ハイリターンな取引にふなれな一般消費者の保護にはこれはほとんど機能しないものであるという点にも留意する必要があるという点を挙げてございます。

枝野委員 三つ挙げていただきましたが、一つ目は、経緯等からまずいんじゃないかという話であり、二つ目は、実質的に消費者保護の観点に欠けるのではないかと。その中で、多分三つ目は大きくはその中に入ると思うんですが、消費者保護のために設けたとされる熟慮期間の話は役に立たないので、こういうことだと理解いたしました。

 では、これに対して、経済産業省も当然、消費者の保護を考えて出しているはずであります。どういうような形で消費者の保護を図る中身になっているのか、まずそのことを経済産業省の見地からお答えください。

寺澤政府参考人 お答えします。

 御指摘がありましたように、昨年六月に閣議決定されました規制緩和実施計画の中にも、勧誘規制については、顧客保護に留意しつつ市場活性化の観点から検討を行うとされています。私どもは、顧客保護の観点に留意するということから検討してまいりました。

 過去のトラブル事例を見ますと、やはりどうしても高齢者の方が必ずしも商品先物の仕組みをよく理解されずに契約して、トラブルに巻き込まれている例が多くなっています。また、被害が発生した場合に、高齢者の方が一件当たりの被害額が大きくなるという傾向がございます。こうしたことを鑑みまして、七十歳以上の高齢者については不招請勧誘を通じた契約を禁止するということにしています。

 さらに、先ほどの消費者委員会の御意見にはなかったんですけれども、七十歳未満の方についても、例えば退職されて、もう定期的な給与所得がなくて、年金とか退職金に頼る、そうした方についてはもしトラブルがあった場合に影響が大きいものでございますから、七十歳未満の方であったとしても、年金等の収入に過半を依存するような方については不招請勧誘を通じた契約を禁止するという措置を盛り込んでおります。

 このほかにもございますけれども、また御質問があればお答えしたいと思います。

枝野委員 確かに、高齢者の場合の方が金額が大きくなる、あるいは既に収入を得る道を失っているケースが多いでしょうから、損失を自己努力で取り返すことがなかなかできないとか、被害がより大きくなるという側面は否定しません。しかしながら、では、消費者被害のリスクがあるのは、高齢者というところが類型的にそこだけなのかといえば、ここはやはりそうではないだろうと思います。

 例えば、日常的にビジネスをされていて、そうした中では広い意味での金融を十分に熟知されている方、あるいは、わかりやすく言うと、例えば日本経済新聞を毎日読んでいらっしゃるような方、現役世代でもそういう方ばかりではありません。例えば、ビジネスをされていない方もいらっしゃいますし、あるいは経済新聞とか経済ニュースとかとはほとんど縁がない生活をされている方も、現役世代でも、むしろその方が多いぐらいではないだろうかというふうに思います。

 そうした方については高齢者と同じようにリスクはあるだろうし、それは、高齢者の方が自分で収入を得る機会の可能性が低いという問題があるように、例えば現役世代でお子さんを学校に通わせていて、学費が物すごくかかるときにどおんと損をしてしまって大変なことだ、しかも、元本を失うぐらいだったらまだ相対的にはいいですけれども、元本を超えて借金を抱えてしまって子供の学費をどうしようかみたいなこと、このことによるリスクもやはり同じように高いのではないかというと、年齢を規制したからいいとはなかなか言い切れないのではないかと思います。

 その上で、今お答えがあったのでお尋ねしますけれども、年金等による生活者とは契約できない、これは省令には書いていない、監督指針ですよね。これは後のことに全部つながるんですが、監督指針に反したからといってどうなるんですか。つまり、これに実効性があるんですか。

 後でまたお尋ねしますが、取引のリスクを顧客が理解していることを確認するとか、いろいろなことを省令以外のところでやりますということがあるんですが、例えばこの監督指針でやりますと言っている、年金等生活者とは契約できないという話。もし年金生活者のような人と契約してしまったら、これは無効、取り消しになるんですか。そういうことにならないですよね。

寺澤政府参考人 お答えします。

 監督指針に書いてあることについて違反があったとしても、民法上の行為がそれによって取り消されるということでは必ずしもないと思います。

 ただ、監督指針は私どもが監督するルールを定めているものなので、規制の一環をなすということでございますので、監督指針に反して、例えば年金等の生活者に対して不招請勧誘を通じて契約をするということが立入検査等で判明した場合には、商品先物取引法に基づく行政処分の対象になってまいります。

 具体的には、例えば業務改善命令とか、あるいは事業を停止するという命令も含めて厳格な行政処分の対象になってくる、これによって履行を担保するという仕組みになっております。

枝野委員 ほかの部分のさまざまな弊害防止策のところとも共通するのかもしれないのですが、それでは、被害が出てしまった場合には、被害者にとっては何の救いにもならないんですね。契約の無効、取り消しではなくて損害賠償請求、不法行為あるいは契約不履行の損害賠償請求の場合に、監督指針に反していた取引だから損害賠償で損したものを返せということの根拠にぎりぎりなり得るかなと。これでもなかなか、多分、実際の民事裁判では主張、立証は難しいだろうと思いますので、実際に被害が出てしまったら、その人たちを救済する上では実は余り役に立たないわけですよね。

 それから、これはあえて申し上げますが、不招請勧誘を仮に認めても、真面目に一生懸命、普通にきちっとやられる業者さんが、いっときいろいろ弊害が言われましたが、今はそういう方が多いんだろうと思いたいと思います、期待したいと思います。でも、そうではない業者さんもいるから、可能性があるから消費者保護の仕組みが必要なわけでして、したがって、監督指針でちゃんと検査して、違反があったら厳しく監督しますということでは、それは、消費者を保護するために類型的に消費者被害を起こしそうなケースをやめさせたということの法の趣旨から考えると、消費者保護の施策としては足りないのではないかというふうに思います。

 今との絡みでいうと、例えば、年金生活していますよねという話とかって、どこまでどうやって確認させるのか、監督指針として監督するとして。納税証明書でも出せと、契約ごとに全部求めるんですか。でも、そうでないとすると、本当にその人がどういう収入を得て、どういう収入に基づいてなんということで取引されようとしているのか、あるいは、そのことをどこまで確認したのかなんということは事後的には実は余り残らない。いや、ちゃんと年金以外の収入がありますよと聞きましたよとか、そんなことになってしまうんじゃないかと危惧するんですが、もしお答えいただけることがあれば。

寺澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、被害者の救済、先ほど、民法上取り消しは、詐欺とかであれば別ですが、一般的に難しいと申し上げたんですけれども、まず、不法行為によって損害賠償を請求している事例はございます。また、自主規制団体を通じ、被害者の救済のためのあっせんの仕組みがございますので、そういう形を通じての、訴訟以外でも被害者を救済する仕組みがございます。

 次に、年金等に依存しているということをどう確認したんだということについては、私どもはきちっと、もしこのパブリックコメントに沿って省令が施行されることになった場合には、商品先物業者にそこを確認したと。具体的には、例えば顧客の方に自分の収入とか年金収入とかをちゃんと書いてもらって、そこで確認していただく、そういう書面をきちっと残してもらう、そうした書面による確認があったということを立入検査等々でチェックしていきたいと考えております。

枝野委員 ちょっとまとめてお尋ねしたいと思いますので、今のところは置いておいて。

 今回、パブリックコメントにかけている、例外を拡大し、でも被害が生じないように対応しますよということの中では、取引リスクを顧客が理解しているかどうかを確認するという自主規制がある、自主規制をちゃんとやらせるということが挙げられていますが、省令でない、なおかつ監督指針ですらない、自主規制でやっているからまあいいんじゃないかと。自主規制をちゃんとやっていただければいいんですが、取引のリスクを顧客が理解していることをどういうふうに確認するんですか。

 確認を怠った場合は、今の年金生活者かどうかという確認と同じで、結局、不法行為等で、これだと全く立証が難しいわけです。契約の無効取り消しみたいな話であれば非常に楽なんですけれども、不法行為を立証するというのは、実際の裁判実務からするとそう簡単なことではない。しかも、裁判所の判断によって、不法行為に該当するのかどうか、訴訟してみないとわからないところが実はある。それほど、こういったことでの不法行為の案件の裁判例が、もうこういうパターンなら不法行為でお金が返ってくるねと、そこまで実は蓄積されているものではない。

 そうすると、今の年金生活者かどうかということもそうですが、取引のリスクを顧客が理解していることを確認するというのはどうやって担保するんでしょうか。

寺澤政府参考人 お答えします。

 まず、パブリックコメントに出しています省令の案において、取引を開始するまでに顧客が書面でリスクを確認するということを求めているので、書面によるリスク確認自身は省令で求めることでございます。

 ただ、書面の中身については、委員御指摘のとおり、自主規制機関である日本商品先物取引協会が今後詰めていくという具体論になります。

 では、そうした中で、どういうリスクを確認すべきか。これは、委員の御指摘があったように、これはほかの金融先物取引と同じなんですけれども、特徴としては、比較的小さな資金で大き目の取引ができる、いわゆるレバレッジがかかる取引でございますので、もうかるときは確かに大きくもうかる一方で、損するときは当初の投資以上に損をし得るという、このリスクをしっかりと顧客の皆様に理解していただく必要がある。

 そうしたリスクのあることについて書面で読んでいただき、顧客におかれてはそれに署名捺印していただくということをまず最低限考えているわけでございますが、委員の御指摘のように、単に読んだだけでわかるのかということがございますので、私どもが今検討していますのは、例えば、質問を出し、あるシミュレーションをお渡しして潜在的顧客の皆様に計算してもらう。一定の場合にどれだけ損を出すのであろうということを計算していただく。その計算の結果がちゃんと合っているということを確認することも含めて、単に形式ではない、しっかりした理解ができるということを担保していきたいと思います。

 なお、これをどうやってチェックするのかですけれども、そうしてチェックした書面については先ほど申し上げたように保管を義務づけていますので、立入検査等々でチェックし、そこで不備があればきちっと行政処分をすることになります。

 また、被害者救済については、先ほど申し上げたように、自主規制機関を通じて、いろいろなあっせんを通じて救済するという道も裁判以外には用意しているところでございます。

枝野委員 書面でいろいろと消費者にあらかじめ告知しなきゃならないこと、それはいろいろな消費者保護の法制の中にたくさんあります。たくさんあって、間違いなく、そういうことをちゃんと確認して、確認しましたとサインをもらうということは、ないよりは大きく前進したと思います。

 ですが、では、これがどれぐらい実効性を持つのか、それによって消費者被害を本当に防げるのかということを考えたときに、これは私だけではないと思いますが、私も実はつい最近、生命保険の更新をしたんです。生命保険を更新するに当たっては、当然いろいろと事前に本人に御説明されて、確認をしてと。私自身も生命保険の仕組みについてはそれなりにわかっているつもりですから、大丈夫だろうと思って、斜めに聞きながらサインしましたが。

 一般的に、相当丁寧にプロセスを踏むことをやったとしても、そもそも、商品先物取引なんという話自体が複雑でわかりにくい。大部分の人はまだ生命保険だったら日常なじみのある契約ですけれども、全くなじみのない部分のところをどの程度書面を通じてちゃんとお伝えして、その書面上できちっと確認のサインなり判こなりをもらって、そのことで理解したことが確認できるのかというのは、私は実際問題としては相当きついんじゃないだろうかと思います。

 実際に、これは商売ですから、お客さんになってくれそうな人には、これはうまくいったらもうかりますよというビジネストークが使えなければ、逆に言うと、どんな規制緩和をしたってそれはそれで売れないわけですが、これはうまくいったらこんな大もうけをしますよ、そのかわり、うまくいかないと大損しますよ、どっちになるかはやってみないとわかりませんということを、セールスのときに両方言わないといけないだなんという話だったら、規制緩和をしたってお客さんはふえませんよ。ふえたら逆におかしいんじゃないかと思いますよ。

 そういう意味では、こういうやり方で、全くずぶの素人を、業者の側から働きかけて、でも確認したからいいじゃないかというのは、なかなか実態には合わないんじゃないのかなと私は思います。

 もう一点だけ。顧客に損失発生の可能性を、損失が生じる前に注意喚起する。先物取引の相場はまさに日々変動しますよね。株価の変動どころじゃない、急激な大きなぶれをしますよね。損失発生の可能性を損失が生じる前に注意喚起するというのはどういうことなのか、そしてこれまたどういうふうに担保するのかについてお答えください。

寺澤政府参考人 恐らく議員御案内のとおり、先物取引というのは、例えば六カ月先の価額を取引するわけでございます。最終的に損益が確定するのは六カ月先になります。そのときに大きな損を食らったというのでは、わかるのが遅過ぎるということもあるんだろうということで、一円でも損したということではないんだろうと思いますけれども、一定の範囲を超えて途中段階で含み損が出ているというときであれば、商品先物業者から顧客に対してそこを連絡するということで、アラート、警告を鳴らすということにしたいというふうに考えています。そういう警告を得ることによって、顧客は、それ以上投資をしない、あるいはそこで損を確定する、そういった行動が可能になると思います。

 具体的にどういう形で連絡するのかということについては、今後、自主規制機関で検討を進めていきますけれども、例えばメールとかあるいはファクスでアラートを連絡する。そうしたメールとかファクスの発信記録をきちっと保管してもらって、今度は自主規制機関が監査とかをやっていきますので、その監査を通じてチェックし、違反があれば自主規制機関による制裁、処分が科せられる、こういう仕組みを考えております。

枝野委員 これも、逆の立場、業者の側に立っても、相当危ないルールじゃないかなと思うんですよ。

 つまり、含み損が出そうだ、このままの相場でいくと六カ月先に損が出て、トータルとして含み損になりそうだというときは注意喚起しないといけない。恐らく、注意喚起がなされない、それでいろいろな事情をもろもろあわせると、それは、注意喚起をもし怠った場合は、注意喚起しなかった、だから損害賠償だみたいな話になり得ることになる。逆に言えば、そうでないと困るわけですね。

 こういうルールがあると、相場の変動状況で、多くの人々が、これは今後損をしそうだ、下がりそうだということを、業者としては十分理解しているべき状況であったにもかかわらず注意喚起しなかった場合も、民事上は不法行為になりかねないですよ。それは、これは形式的に含み損のときは注意喚起しろだけれども、含み損が出る可能性で注意喚起しろだったら、業界の人たちはみんな、これはこの先やばいね、下がりそうだね、含み損が出そうだねと。そのときに注意喚起を怠ったら、私が弁護士なら、それで裁判を起こせば勝てそうな気がしますね。

 ということで、業者にとってもこれはなかなか、本当にややこしいことになりますよ。そこまでして不招請勧誘を解禁、広げなければならないということが私には理解できません。

 これは具体的に通告していなかったので、もしお答えいただけなければいいのですが、熟慮期間、七日。七日じゃ足りないなら十四日にしようとかという声も一部にはあるのではないかという声も聞いていますが、熟慮期間というのは、七日間取引してみて損した、得した、なるほど、こういうふうに損することがあるんだから、じゃあやはりやめたではないですよね。十四日になったってそうですよね。契約して、逆に言えば、その間は実際には取引しないでじっと待っていて、七日だろうが十四日だろうがじっと待っていて、その期間が過ぎてから実際に取引して、それで損したとか、得したとか、こういうことですよね。

寺澤政府参考人 委員御指摘のとおり、熟慮期間というのは、仮に七日間だとすれば、その間、取引ができるわけじゃなくて、最初に口座をつくって契約してから少なくとも七日間は置いて、その間にゆっくり考える。契約した当日に取引しちゃうと、よく考えずに取引してしまう、こういうことだとよろしくない。そこで、一定の冷却期間を置いてじっくり考えていただく、その間に先ほど申し上げたいろいろなリスクについてしっかり顧客に確認していただく、その上で取引を開始する。したがって、七日間が終わってすぐ取引開始ではなく、七日間が経過し、さらにリスクを顧客が確認したということが確定して以降に取引がなされるということでございます。

 なお、委員の御質問にございませんでしたが、熟慮期間が終わった後に習熟期間というのを設けていて、パブリックコメントにおいては、取引をスタートしてから九十日間は投資可能金額の三分の一の範囲内で、低いレベルの取引ということで習熟というのを確保するという仕組みも今考えているところでございます。

枝野委員 大臣、いろいろお聞きいただいたと思います。

 この話は、日弁連なんかは、これは危ないからだめだと。私も、昔お世話になった組織がそれぞれ意見が違っている、なかなか複雑な立場なのでありますけれども、いろいろお話を聞いたら、パブリックコメントを求めて、そういった声も踏まえて、別にこれで押し切ろうとしているわけではないんだというふうには聞いておりますので。

 それこそ消費者委員会というのは非常に重要な役割を持って、法律上も大変重たい立場からの意見も出ていることでありますから、大臣のところでしっかり責任を持って、これは、消費者被害も防がなきゃいけないですし、先物取引に対しては、率直に言って、いろいろな昔の、必ずしも適切じゃなかった部分についてのイメージというのはやはりまだ残っていますから、この業界が健全に、そして、そういうところに関心を持っている人は安心して投資していただける、こういうことにするためにも、そのイメージをしっかりと守るというか、もっとさらによくしていくということも重要ですし、そうしたことからは、いろいろなところから危惧がある状況を無理に押し切ることは大臣はされないだろうと期待したいというふうに思っております。

 まさにパブリックコメントの途中ですから結論はおっしゃれないかもしれませんが、ぜひ、きょうの議論、あるいは消費者委員会の意見、あるいは消費者関連のいろいろな皆さんがこれに対して危惧の声を上げていらっしゃいますので、そうした声を踏まえて判断していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 御意見はよく聞かせていただきました。

 取引はもともとは物々交換であったわけでありますけれども、取引形態が非常に複雑化する中で、顧客の保護とビジネスとしての活性化をどうバランスしていくかは永遠の課題である、こんなふうに思っております。

 特に、先物取引等におきましては、リスクとリターンというのをどうバランスさせるか、そしてこのリスクやリターンというものが明確にされ、その理解、そしてまた取引能力がある人が参画するということが基本だ、私はそんなふうに思っております。

 パブリックコメントでお諮りしている案につきまして、四月八日の消費者委員会の意見、そしてまた本日の枝野委員の御指摘を初めさまざまな御意見を踏まえて、五月七日までに意見を整理した上で、勧誘等における禁止事項について、顧客保護に留意しつつ市場活性化の観点から検討を行う、このように定めました昨年六月の閣議決定、規制改革実施計画に従いまして、二点あるわけでありますけれども、ハイリスク取引の経験者に対する勧誘の方は、恐らくパブリックコメントでもそれほど大きな意見ではなくて、今御指摘いただいた熟慮期間等を設定した契約の勧誘、このあり方についての意見の方が圧倒的に多いと考えておりますが、それらも含めて慎重に検討を行いたいと思っております。

枝野委員 ぜひお願いいたします。

 先物取引の世界も、健全に、一定の規模を持って、こういった相場がないと経済にいろいろな不都合がある、そういうことはよくわかっていますが、そこが健全にいくためにも、不招請勧誘のところで無理をする必要はないのではないかとそちらの観点からも私は思いますので、ぜひ柔軟な対応をお願いしたいと思います。

 内閣府と寺澤さんはよかったらこれで結構です。残りの時間は短いですけれども、ガスのことだけ、積み残しを終わらせてしまいますが、逆に電力の方は結構です。ガスだけを残り五分でしたいと思います。

 東日本大震災の教訓で、エネルギーの分散化や多元化の観点からも、広域のガスパイプラインの整備が重要であります。ただ、ガスの広域のパイプラインというのは、個別のガス会社の利益、利害からすれば、別にそんなものを整備する必要性はない。ですから、非常に公益的な話であります。

 この広域的なガスパイプラインの整備をどのように進めるべきか、私が大臣をやらせていただいたときも検討させていただきました。最近は電力システム改革を横目で見ながらガスのシステム改革の議論が進んでいることは十分承知していますが、私は、公益的な見地からガスパイプラインをしっかりと広域的に敷くということを政府が一定程度関与して行う、そのことについての絵が描けて、それを前提にしながらガス供給のシステムについてどうするのか、むしろそっちが順番なのではないのかなと思っています。

 そうした意味では、お答えとしてシステム改革の中でということを御用意されているのだったら、私はそう思っていますので、その部分を除いて、広域的なガスパイプライン整備についての現状を短くお答えいただいて、その後、大臣からこれについての認識をお話しください。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 広域ガスパイプラインの整備につきましては、御案内のとおり、平成二十四年六月に報告書が取りまとめられておりまして、国が全体最適的な整備基本方針を策定する、それに基づいて民間事業者が整備を行っていくべきとの提言がございました。また、整備基本方針を定めるに当たっては、コストや事業採算性、社会的効果を精査すべきとされております。

 その後、有識者による研究会を開催いたしまして、昨年三月に、整備基本方針の基礎ともなります、パイプラインの事業採算性や社会的効果を実際に評価する手法の取りまとめを行っております。

 それから、御指摘のあったガスシステム改革におきましては、ガスパイプラインを含むインフラの整備がきちっとできるようなシステムをどうするかという観点からの検討を進めております。

茂木国務大臣 委員も御案内のとおり、昨年の十一月からガスシステム改革の検討を開始いたしました。この中で、御指摘いただきました広域ガスパイプラインの問題も含めて検討してまいりたいと考えております。

枝野委員 今の答弁はもう一歩踏み込んでほしかったんですが、時間ですので、引き続き。

 ぜひ、スピード感を持ってこれも進めていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 終わります。

富田委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 民主党の岸本周平です。

 今、私ども民主党の枝野元大臣の御質問は、消費者保護の観点からの商品先物ということでありました。これに対して、同じフィールドなんですが、むしろビジネスの面、成長戦略の面からもう一度引き続き商品先物の問題について、短い時間ですけれども御質問させていただきたいと思います。

 成長戦略の中で、これは民主党政権のときも今の安倍内閣、自民党政権のときも全く同じでして、総合的な商品先物の市場をつくって、金融・証券とコモディティーのデリバティブについては、アジアでナンバーワンの市場をつくっていこうじゃないかということでやらせていただいているわけであります。

 その一方で、一方でといいますか、その背景にはと言った方がいいかもしれませんけれども、もともと、東京商品取引所を中心とするコモディティーのマーケット、先物のマーケットが大変な勢いで停滞しております。十年間で五分の一ぐらいまで停滞する。一方で、アジアのマーケット、特に中国のマーケットとかはどんどんと拡大しておりまして、むしろアジアでは先物のマーケットが五倍になっていくような、五倍と五分の一ですから、ラフな言葉遣いで恐縮ですけれども、全く日本のマーケットはなっていないということでありました。

 ですからこそ、危機感を持って、むしろ経済産業省の皆さんの方から、これは総合的なマーケットにしていかなければもはや成り立たないだろうという問題意識で、何年かかけて統合することで金商法の改正も行い、そして、ことしの三月から施行される中でいろいろな政令も書かれてきたわけであります。

 まず政務官にお伺いしたいんですけれども、現状、東京商品取引所の取扱高はこの十年ぐらいで、ピークは十五年度だったんですけれども、どのような推移をたどっているのかということについて教えていただきたいと思います。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 東京商品取引所の二〇一三年度の出来高でありますけれども、当初は為替の変動が大きくて、裁定取引が増加したために、前年度比では増加いたしました。しかし、その後、証券に資金が流れたということもありまして、前年度比では低下した。結果といたしまして、二〇一三年度でありますが、約一割の減少となっているところであります。

岸本委員 今お聞きしたのは、十年間の推移をお聞きしているんですけれども。おわかりですか、数字があれば。

田中大臣政務官 十年間ということであります。

 二〇〇四年度から二〇〇八年度までの前半の五年間についてでありますが、累次の規制強化によりまして、五年間で約六割、出来高が大きく減少いたしました。そしてまた、二〇〇九年度からの五年間でありますが、国内投資家の取引が減少いたしましたが、海外投資家の取引がかなり増加したために、五年間では約一五%、減少幅が少なくなっております。結果として、十年間で約六五%の減少となっております。

岸本委員 私は十年と聞いているんですけれども。たしか、今、枝野前大臣が聞かれたように、消費者保護の観点から規制が入ったのは平成二十三年度ですよ。だから、二十三、二十四、二十五に取引が減っていったのは、そのせいである部分はあるかもしれない。私はそういうことを聞いているんじゃなくて、この十年間、確実に、平成十五年度を境に、着実に東京商品取引所の取引高が減ってきているんですよ。別にそれは消費者保護の観点から規制を入れたからじゃなくて、平成十七年だって十八年だって十九年だって、着実という言葉はおかしいですけれども、大変な勢いで下がり続けているんです。これは、十年間、監督官庁の経済産業省は一体何をされていたんですかということなんです。

 消費者保護とビジネスの両方をバランスをとる、それは結構です、大事なことです。しかし、それ以前の問題として、成り立たなくなっているという状況をどうお考えになっているのかという私の問題意識なのであります。

 それで、二〇一三年度の御答弁ですけれども、いろいろ形容詞をつけていらっしゃいましたけれども、まさに官僚というのはそういうふうに答弁書を書くんですよ。ちょっとでもいいような感じを出そうと思って形容詞を書くんですけれども、本質は一四%減なんです、前年度比マイナス一四%なんです。

 前半にそういう話があったとして、あえて二〇一三年度後半だけとれば、何と三〇%を超える。正確に言うと三六%のマイナスなんですよ、下半期だけとれば。それを官僚答弁では、上半期ががちゃがちゃ、海外投資ががちゃがちゃといって、わけのわからない答弁になりますけれども、ポイントは、二〇一三年度を一年でならしたって一四%減り、下半期ずつ比べれば四割減っているんです。今のようなマーケットの状況を、監督官庁として、成長戦略の旗頭である経済産業省としてどうお考えになるのかという問題意識であります。

 そこで、もう一つだけ事実関係をお聞きしたいんです。

 では、この東京商品取引所の企業経営としての成績。営業赤字でも経常赤字でも結構ですけれども、二〇〇八年度からどういう経営状況になっているか、大臣政務官、教えてください。

田中大臣政務官 委員御指摘のとおり、二〇〇八年度から六期連続しての赤字が見込まれるところであります。二〇一三年度に関してはまだ決算が出ておりませんが、やはり、九月末時点の中間決算報告書において赤字という状況にあります。

 これは、二〇〇四年度から八年度までの五年間においての累次の規制強化により出来高が大きく減少したという部分があります。それがいまだに回復に至っていない、これが一因と考えられます。

 一方において、二〇〇九年度に世界最先端の高速取引システムの導入を行いました。このシステムに係る経費が取引所全体の費用の過半を占めるというものであります。

 このために、営業費用の増加により営業赤字が生じているものと認識しているところであります。

岸本委員 確かに、平成十六年の再勧誘禁止から累次の消費者保護の規制が行われていることは事実でありますが、一番のポイントはやはり、枝野委員からもありましたけれども、不招請勧誘の禁止というのが、消費者保護という観点では一番厳しい規定、改正だと思います。そういう消費者保護の観点からの規制で平成十六年から十七年に一回ちょっと落ちましたけれども、その後は要するに着実に落ちてきているんですね。必ずしも消費者保護の規制だけでもないと私は考えております。鶏と卵みたいなところもありましょうけれども、ヘッジするために、ある一定の厚さがマーケットになければいけない中で、本当にプロがやっているところでもなかなか厚みが出てこないというようなこともあって、結局、悪循環なんです。

 例えば、商社の方々が実際に経済産業省の審議会等でいろいろな発言をされています。これは平成二十四年二月十日の産構審の分科会での発言でありますけれども、例えば住友商事の高井さんという方が、要するに、エネルギー関係の価格ヘッジをする場として自分たちは当時、東工取を使っていません、ニューヨークを使っています、あるいはDMEを使っていますと。なぜならば、マーケットの厚さが違うんだ、日本は流動性が低過ぎて話にならない、だから、自分たちはしようがないので海外の先物市場を使っているんですとおっしゃっているんです。これを打破するには、国内で我々がコモディティーの先物市場を使うためには総合取引所で一体化していただくしかないと住商の高井さんはおっしゃっているんです。

 そういうことに対して消費者保護だけで逃げるんじゃなくて、トータルで先物市場のマーケットを、もっと言うと、東商取、一つの取引所の運命というか帰趨も大事でしょうけれども、日本経済としてのコモディティーのデリバティブのマーケットをどのようにして育てていくのか、それをこの十年間、本当に責任を持ってなさってきているのか。その辺について、茂木大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 商品先物、そして金融商品、かなり専門的な議論で、二人の間では議論になるんですけれども、今傍聴の方なんかもいらして、もう少しちょっとイメージを湧かせるために企業の例で話をしてみますと、例えば、同じような事業形態の会社、A社とB社があります。A社は建設機械をやっています。B社は耕運機とか農業機械をやっています。A社の方が顧客がたくさんいます。そして、売れ筋の商品を持っています。B社の方は顧客も少ないし、商品につきましてもまだまだというところがある。

 さて、どうしましょうかという中で、A社とB社を合併すれば状況が決定的に変わります、こういうアプローチをとるのか。まずはB社について、なぜ今までこういう状況だったのか、どういうことが少なくともB社としては改善できるのかということをやった上で、その後の展開として、決してA社とB社の合併を否定するわけではありませんけれども、どうするかというアプローチをとるかということによって違ってくると思っております。

 もちろん、これまで取引が低迷してきた、これは平成十七年以来の規制強化の影響もあると思いますが、同時に我々が考えなくちゃならないのは、一つは、海外取引所との連携が不足していた、海外からの投資の促進というのが図られなかったのは間違いない事実だと思っています。さらには、事業者や個人の投資家が円滑に商品先物取引を利用できる環境が整備されていないから海外の取引所を使う、こういうことも起こってくるわけであります。また、金融商品取引業者の商品先物市場への参入促進、こういった取り組みも不足してきたのは間違いないわけでありまして、こういったことをどこまでしっかりやるか。さらに申し上げると、今後恐らくエネルギーの取引をどうするかという課題もやっていかなきゃなりません。

 ある程度厚いマーケットといいますか、取引市場をつくる必要がある、私はこんなふうに思っておりまして、そういったことを総合的に勘案しながら、どういったプロセスにおいて建設機械をつくっている会社と農業機械をつくっている会社のあり方を考えるか、こういう問題だと思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 さすが茂木大臣、上手な御説明をされますけれども、私が聞いたのはそのB社。B社が毎年毎年経営が低迷してきているこの十年間、経済産業省は何をしてきたんですかということを問うたわけであります。原因についてはおっしゃいましたけれども。規制強化だけに責任を転嫁するのはおかしいし、大臣もいろいろ理由を、海外との問題をおっしゃっている。

 まさにそういうことをこの十年間、経済産業省の、今、寺澤さんが座っていますが、先輩方が怠ってきたということですよ。そういうことでしょう、この十年間。あなたが今担当だけれども、あなたの前の前の前の担当、御先祖様は一体何をしていたんだということなんですよ。

 それを踏まえて、大臣はまさに二段階論をとっておられますが、私どもは一段階論、民主党政権のときから一段階論をとっておるわけであります。これはちょっと時間がありませんので、日を改めてまた、じっくりと経済成長のために議論したいと思います。

 今おっしゃいましたエネルギー、そうだとすると、実はこれも去年から私も議論させていただいていますが、LNG先物について、経済産業省の中の協議会で、どのマーケットかは書いていませんけれども、二〇一四年度中にLNG先物の市場をつくるべきである、推進すべきだということが書いてありますし、昨年の経済産業委員会での大臣政務官の発言で、二〇一四年度中にやりますという御答弁もあるんですが、その辺の進捗状況については今どうなっているんですか、大臣政務官、教えてください。

田中大臣政務官 委員御案内のとおり、LNGの先物市場協議会が昨年三月に公表した報告書におきまして、二〇一四年度中を目途にLNGの先物市場の創設を目指すべきという旨が提言されていること、これは事実であります。

 さらに、本年四月十一日に閣議決定したエネルギー基本計画においても、電力や発電用の燃料であるLNGなどの先物市場の整備をしていくことが期待されているところであります。

 このため、まずは、LNGのスポット取引価格に関する政府統計を今月分から公表し、価格情報の信頼性の向上を図ってまいりたいと思っております。

 また、本年夏を目途に、東京商品取引所と石油仲介会社の合弁会社におきまして、LNGの店頭取引を仲介する事業を開始する、そういう予定でおります。

岸本委員 これについてはまた、時間がありませんが、実はこれも同じ、さっき引用しました住商の高井さんがいろいろなところでオフィシャルにおっしゃっていることなんですけれども、LNGと天然ガスは違うんだとおっしゃっています。

 天然ガスは、アメリカではパーフェクトな先物商品として、大きな厚いマーケットがあります。アメリカの天然ガス、液化じゃないです、液化天然ガスがLNGです。液化天然ガスは、当然ですけれども、日本のマーケットの中で長期契約が主で、現状はスポットというのは余りない。だから、そもそもそういうものが、まずスポット市場から入るにしても今はない。

 ここは私は早くしろとも遅くしろとも言う立場じゃないんですけれども、協議会のはそう書いてあったからそう言いました。現場の商社の方々に言わせれば、ない、薄いものを慌ててやってもしようがないんじゃないの、準備されるのは悪くないけれどもと。

 つまり、いずれシェールガスが、これは多分経産省の皆さんの御努力もあって、アメリカから輸出されます。恐らく二〇一七、一八ぐらいになるとシェールガスが輸入されてくる、そこで初めて液化天然ガス、LNGのスポット市場がどっと出てくる、そのときでいいんじゃないですかというのがマーケットの人たちの考え方なんですね。

 そういうことでないと、軽油取引みたいになってもしようがないじゃないですか。一日に十枚か二十枚のマーケットをやっていてもしようがない。そういう意味で、やはりそこはもう少しトータルで、いろいろなことを考えながらやっていただいたらどうかと思うんですが、もう時間もありませんので、茂木大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 やはり議論が難しかったんだと思います。傍聴席の方は全員お帰りになってしまったという状況であります。

 アメリカは、当然、天然ガス、これはパイプラインがあるわけでありますから、日本とは状況が違うわけであります。日本の場合はLNGで輸入していかなきゃならない。二〇一七年というのは相当近い時期でありまして、最終的には千七百万トンでありますから、日本の総輸入量の二割近いものが入ってくるということでありまして、私はこの準備は速やかに進めたいと考えております。

岸本委員 笑っちゃったので次の質問を忘れちゃいましたけれども、そんなに難しいことは言っていないつもりなんです。

 そうしますと、実はこの後の電事法の改正で、電力についても制度を変えまして、要するに無体物でもこれをコモディティーとして認めるような改正も行いながら、将来は電力の先物市場も整備していく。これも、しかし、この法律が通って施行されてということを考えますと、常識的に二〇一七、一八ぐらいになってくるわけですね。

 そうすると、もうきょうはこれでとめますが、大臣のおっしゃるような二段階論でやっていって、まず総合エネルギー、LNGがあったり、あるいは電力先物があったりというのは、これを先にやりましょうといって、二〇一七、一八、一九と来てからさあ総合取引所ですということになっている間に、東京商品取引所は倒産するんじゃありませんか。そういうおそれだってありますので、そこも含めて今後きちんと議論させていただきたいと思います。

 きょうは御答弁ありがとうございました。終わります。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 きょうも、時間を三十分いただきましたので、質疑をしていきたいと思います。

 まず最初に、前々回のときに賠償法についていろいろ御議論させていただきました。その話について、そのときいろいろと口頭で申し上げましたけれども、きょうは簡単なポンチ絵をつくってきましたので、これをもって議論をしたいというふうに思います。

 まず、きょうは文科省は田中局長に来ていただいております。前回は同じ田中でも審議官の方でありましたが、こういう御答弁でした。

 いわゆる原賠法の三条について、これを適用するのはどういうものですかということを私の方からお伺いしましたら、昭和三十六年の法案提出時の国会審議におきまして、人類の予想していないような大きなもの、全く想像を絶するような事態であるなどと説明をされてございますと。中略しますが、例えば、二十世紀に入って以降でも、チリ地震マグニチュード九・五ですとか、アラスカ地震九・二ということで、今回の地震を超えるような地震を経験しておりますので、今回というのは東日本大震災ですね、今回のただし書きには当たらないという判断であったと聞いておりますという御答弁でした。文科省の考え方はこれで間違いないか、改めて確認させていただきたいと思います。

田中政府参考人 先生御指摘のとおり、原子力損害賠償法のたてつけというのは幾つかの特徴がございまして、事業者に対して無過失責任であること、責任集中であること、あるいは無限責任である、そういうことでございます。

 無過失責任ということにつきましては、やはり原子力事業ということの特徴を鑑みまして、極めて限定的な使い方として免責事項ということも設けてございます。

 免責事項というのは、先生が読んでいただいたとおりでありますけれども、損害が異常に巨大な天災地変または社会的動乱によって生じたものであることは、事業者が免責されることになっているということでございます。異常に巨大な天災地変というのは、法律の議論のときに、昭和三十六年当時、人類の予想していないような大きなもの、全く想像を絶するような事態、こういう定性的な説明がなされているということでございます。

 無過失責任というようなことを考えますと、この免責というのは極めて限定的な意味合いで使われることが適切だろうというふうに考えてございます。したがいまして、前回御説明申し上げたことと同様でございますけれども、被害者救済ということをまず第一義的に考えたとしても、社会的動乱、全く想像を絶するような事態というようなときにも、ただ、そこの場合には原子力事業者に責任を負わせることが余りにも過酷だろう、こういうことに限って免責をしているというのが法の趣旨でございます。

 今回の福島の地震というものは一体それに合わせてどうかということでありますけれども、余りにも過酷であるような事象ということには当たらないのではないか、そういうふうに考えているところでございます。

今井委員 長々答弁いただきましたけれども、端的にもう一回聞きますね。チリでマグニチュード九・五というのがあった、これは過去にあったことですね。これぐらいのものではこの三条は適用にならない、そういう答弁だったんですが、それでよろしいんですか。

田中政府参考人 具体的に例を出して前回御説明を申し上げたというふうに思いますけれども、この余りにも過酷な状況というのがどういうものであるのかということは、その時々のいろいろな科学的なデータ、あるいはそれまでに起こったいろいろな事象ということで判断されるべきでありまして、九・五のチリ地震、これはどうかというようなことについては一概にはお答えできないというふうに思いますが、九・五のチリ地震というのが起こった、それを人類が経験したというようなことは事実だというふうに思います。

今井委員 九・五は過去に経験があるという御答弁でした。

 先日のときに規制の話をしましたけれども、これは文科省は管轄ではありませんのでわかりません、ただ、そこは考え方が違うという御答弁でした。きょうは規制庁の方に来ていただいているので、規制庁としては、例えばある地区、どこかの原発、伊方でも川内でもどこでも結構ですけれども、そこの規制を考えるときに、最大の想定というのはどういうものを使っていらっしゃいますか。

竹内政府参考人 新規制基準におきましては、想定される自然現象が発生した場合においても安全施設が安全機能を損なわないことを求めておりまして、地震、津波などの代表的な自然現象につきましては、想定方法のガイドラインを示しておるところでございます。

 基本的な考え方としましては、敷地周辺の自然環境をもとに、最新の科学的知見を踏まえ、当該地域で発生し得る最大の自然現象を想定することを求めております。

 なお、新規制基準では、こうした自然現象に耐える性能の強化に加えまして、万一シビアアクシデントが発生した場合への備えも求めているところでございます。

今井委員 非常にクリアに御回答いただきました。そのエリアで最大発生するであろう災害を想定して基準をつくっている、そういうことですね。

 そこで、ポンチ絵をつくってきましたけれども、今の二つの考え方をあわせますと、実は大変な問題が起きるんです。空白のゾーンというのができるわけですね。

 もともと、この左にある無限責任ゾーンとの線のところ、空白ゾーンとの線のところ、これが今おっしゃられた、この地域で最大起こるであろう地震の基準です。ここの基準に合わせて各事業者がしっかりと安全対策をとっていなければ、これは事業者に責任があるのは当然ですね。無限責任を当然彼らは持たなきゃいけない。もちろん千二百億円を超えたら国は支援をするのはありますけれども、しかし、それはいずれ返す、つまり無限責任を持ちなさいということであります。

 一方、免責のゾーンというのは、今の御説明では、過去人類が経験した災害あるいは地震よりも、はるかに想像を超えるものであるということであるわけです。そうすると何が起きるかというと、例えば、そのエリアで想像していたもの以上のものがぼろんと起きてしまった場合、それはマグニチュード九・四だとか九・三だとしましょう。日本ではマグニチュード九・三とか九・四というのは起きていないでしょうから、そういうものがもし起きたとします、それがこの空白ゾーンに入ってしまうわけですね。

 そうすると、基準はそれよりも下でつくってあるんですね。事業者はそれに合わせて安全対策をしていますから、事業者からすれば完璧にやっているわけですよ。ところが、それを想定して超えてしまったものが起きたにもかかわらず、国は面倒を見てくれないと言っているんですよ。そのゾーンも無限責任だ、おたくらが責任を持ってくださいと。賠償法の三条の解釈はそういうことじゃないですか。

 これは、実は電力の自由化をするに当たって大変な問題になります。なぜかといえば、今までは実質的に事業者は独占でありましたから。東電だって今いろいろな議論があります、潰すか潰さないか、あるいはこのまま継続させるか。しかし、国はこれを継続させました。一番の問題は、安定供給ができなくなったら困る、だから守らなきゃいけない、これが本当の理由だと私は思います。それは一つの考え方だと思いますね。

 ところが、電力の自由化が始まりましたら、総括原価方式はなくなります。それぞれが競争をするわけです。その中で原子力をやっている事業者がもしこの空白ゾーンに入ったら、ほかの事業者がもっと安い電力を導入して、一発で破綻です、経営破綻です。救済方法はありません。

 こんな状況の中で、事業者は新規の原子力事業をやろうと思うでしょうか。大臣、いかがですか。

茂木国務大臣 非常にある意味でわかりやすい図をつくっていただいているんですけれども、何か松本清張の「点と線」を見るような思いがあるんですけれども、ちょっと解説をさせていただきます。

 これに沿って若干お話をさせていただきますと、最初、文科省から答弁があったわけでありますけれども、これは原賠法の第三条の免責事由ということでありまして、事故が起こった場合にどうするかということでありまして、異常に巨大な天災地変など事前に予想できない場合に、原子力事業者に賠償責任を全て負わせることが余りに過酷であるとして、原子力事業者を免責する、そういう趣旨であります。

 一方で、次に規制庁から答弁があって、これが左側になるわけでありますけれども、その地域で過去最大の地震と書いてありますけれども、新規制基準は、事故が起こった際ではなくて事故を起こさないために、こういう観点から、ただ、その上で、事故が起こらないという安全神話からは決別をして、百万炉年に一回以下という安全目標を念頭に策定をされているものであります。

 ここで言います新規制基準につきましては、地震等の自然災害の対策だけではなくて、設備の一層の安全性の向上であったりとか、大きな地震が来たときにそれに対する対策、どうやったら電源を喪失しないかといったことも含めたさまざまな内容、それから対策、基準を盛り込んでいるものでありまして、賠償の責任をどこまで負わせるかという観点よりも、原発の安全性をどのように確保するか、こういう観点から策定をされているものであります。

 そういった意味で、図を見ますと空白ゾーンがあるようでありますけれども、実際は、片やリンゴ、片やオレンジでありますから、なかなか、リンゴとミカンの大きさを比べて大きさに違いがあるのではないかといいましても、その点は、比べているものというかやっていることが違うわけでありますから、どうしてもこういう図になるんだと思います。

今井委員 いや、オレンジとリンゴは同じですね、立ち返れば、多分。

 もう一度繰り返しになりますけれども、事業者は、今回のことを教訓に、事故を起こさないように徹底的にやるわけです。それでもゼロになるということはあり得ないかもしれませんけれども、しかし、電源の問題も含めて、もうこの基準に従ってお金もかけて徹底的に防御していくわけですよ。それで、その中で何か問題が起きたら事業者に責任が行くのは、それは、仕方ないというか、あなたたちがちゃんとやらなかったからいけないんでしょうと。そこで責任をとってもらうのは私はいいと思うんです。私は、事業者の方の観点で物を申し上げているんですね。

 では、もし、このエリアで過去に起きた以上の地震が起きちゃったときに、私たちはちゃんと規制庁の皆様の言うとおりにやって対策をとっていたんだけれども、それ以上のものが起きてしまいました、どうしましょうかといっても、いや、それは、チリの方でそれぐらいの地震があったから、あんたが持てよと、そういうことなんですよ、この理屈は。そういうことですよね。(発言する者あり)いやいや、でもそうじゃないですか。では、そこの部分は国が賠償してくれるんですか。

茂木国務大臣 片一方は、賠償の責任をどこまで負わせるか、こういうことで、その天変地異というものに着目をしているわけでありまして、恐らく宇宙から隕石が降ってきたらそうなるんでしょう、これは間違いなく私はそうなると思います。一方で、新規制基準というのは、どうしたら事故を起こさないようにできるか、さまざまな角度から、それは単純に地震だけの話じゃないんです、天変地異だけの話ではなくて、設計上どうするかとか、例えば電源がとまったときにどうするのかとか、多重的な防御対策をどうするのかとか、全体として組み合わせて事故が起こらないようにする。ただ、安全神話とは違いますから、百万炉年に一回以下のレベルまで持っていく、こういう基準でつくってあるということでありまして、その天変地異と単純にここでいう地震を比べるというのはちょっと難しいのではないかなということを申し上げているんです。

今井委員 では、例えば、今回の基準で、過去に起きたもので津波二十メートルだ、では二十メートルに対策を打ちましょうということで電力会社は打ちました、我々は完璧にやっています、そこに三十メートルの津波がやってきました、でも、過去にほかの国で三十メーターの津波がありましたという場合には、三条は適用されるのでしょうか、されないのでしょうか。

 でも、この説明ですと、三条は適用されないので、これは事業者の免責事項には入らないということですよね。入らないんだと思うんです。入らないですよね。だって、免責ゾーンというのは、過去に人類が経験していないゾーンなわけですから。

 そうなると、別に私は嫌みを言っているんじゃなくて、単純に、原子力の基準をどこに置くかというのは、実はとても大事な問題なんですよ。だから、安全基準を、本当に世界最高なのかどうなのかということはもちろん、水をどうするかという問題もありますけれども、どれぐらいのものを想定するかということも当然あるわけですよね。では、想定以上のものが来てしまったらどうするんだという話を今申し上げているんです。

 私はこの間、川内原発の視察に行ってきましたけれども、事業者は本当に一生懸命やっています、基準に従って。真面目にやっていらっしゃいます。だから、あの基準に従って再稼働を申請しているのは私は本当に敬意を表するし、ちゃんとやっていらっしゃるわけです。でも、あの基準よりももっとすごいものがもし来てしまったときに、それでも事業者に責任が行ってしまうというのはどうなのかな、そこの部分はやはり賠償法の三条で救済してあげるべきだ、私はそう思うんです。

 だから、この空白ゾーンはつくらない方がいい、ここを合わせて、やはり想定以外のところはちゃんと助けてあげましょうということをすれば、事業者も安心してこれから事業をやっていけると思うんですね。それを申し上げているんですけれども、私の考えていることはおかしいでしょうか。

茂木国務大臣 別におかしいと申し上げているわけではなくて、文科省の答弁それから規制庁の答弁、そこについて空白ゾーンがありますねというお話でありましたので、賠償の観点から答えるか、事故が起こった際にということで答えるか、事故を起こさないようにどういう規制基準をつくるかという観点からやっていますので、そこの答えが違って聞こえる部分はあるんだと思いますというお話をしているわけです。

 では、規制基準が適正であるかどうかということについては、経済産業大臣としてはコメントできないという立場でありますので、津波が三十メートルとか、何かの想定について大丈夫なんですかという話でしたら、規制庁に聞いていただいた方が適切な答弁ができるんじゃないかなと思います。

今井委員 ちょっとほかの質問もありますのでこれぐらいでやめておきたいと思いますが、私が言いたいのは、この空白ゾーンというのは実は事業リスクなんです。事業者の事業リスクになってしまっているので、だから、ここは解消しておかないと、事業者としてはこのリスクをどうとるか、非常に難しくなっちゃう。ここを保険でカバーするのか、やり方はよくわかりませんが、明らかにここに事業リスクがあるんですよ。なので、ここをしっかり整理しておかないと、今後、原子力の事業をやるときにここはリスクになりかねませんよ、そういう御指摘をさせていただいたということで、きょうはこの話は終わりたいというふうに思います。

 続きまして、実は月曜日に岡山県の真庭市に行ってまいりました。御存じだと思いますが、真庭市は今、バイオマスタウンという取り組みをしておられまして、銘建工業の中島さんという社長さんが音頭をとられて大変すばらしい取り組みをしておられ、FITができる前から木質バイオマス発電に取り組んでおられて、現在は二千キロワットアワーのをやっておられます。今度、FITを使って一万キロワットアワーのを建設中だというのを拝見させていただきました。

 まず、参考人にお伺いしたいんですが、FITの導入後というか、それも含めて、現在、再生可能エネルギー、特に木質バイオマス、どういう普及状況あるいはどういう計画がされているか、少し教えていただきたいと思います。

木村政府参考人 お答えいたします。

 FITにおきます木質バイオマス発電ということのお尋ねでございます。

 木質バイオマス発電を含みます発電区分につきましては、現在、FIT法上三つございますが、平成二十四年七月のFIT制度開始以降、発電の認定を受けているものは二十八件ございます。合計約五十四万キロワットございます。

 このうち、運転を開始しているものはまだ五件でございまして、合計約四万キロワットということでございますが、その他のものも今後、順次運転を開始してくるというふうに期待をしてございます。

今井委員 五十四万キロということは、大体、普通の原発の半分ぐらいということでありますね。

 そこでいろいろお伺いをしてきたんですが、今度できる一万キロワットアワーの発電所でありますけれども、事業費が大体四十一億円で、年間の売り上げが二十一億円ぐらいで、経費が二十億ぐらいを見込んでいるということなので、一億ぐらい利益が出るという話でありました。

 一番すばらしいなと思ったのは、まず直接雇用、要するに発電所で働く人が十五人ぐらいおられます。さらには、どういうものを使っているかというと、かんなくずですとかチップ、それからペレット、要するに製材で使って残っていたものを燃やしてやるという取り組みをしておられます。

 普通の木を、実は私のところの地元にも白川町というところがあって、もともとバイオマス発電をやっていて、もともとは一キロワットアワー平均八円ぐらいでしか売れていなかったんですけれども、今回のFITによって少し上げてもらったんです。ところが、問題がありまして、木質の材が水分が多いもので、発電効率が悪いんですね。

 その問題があるんですけれども、製材のかんなくずというのは実は非常に乾燥していますから、これを燃やすというのは非常に理にかなっているんですね。それによって百八十人の間接雇用があると。つまり、合わせると二百人の雇用が直接間接でできている。これは試算ではありますけれども、二百人ぐらいできているということです。

 今、太陽光がもう九割以上進んでしまっていますが、では、太陽光はどうかといえば、これはパネルを張って、維持管理が多少ありますけれども、張った後は終わりですね、あとは機材をつないでおけばいいわけでありまして。しかも、ほかの産業との連携性も余りないわけです。ほかにも風力等いろいろありますけれども、実は、木質バイオマスが一番ほかの産業に間接雇用を生むんだと僕は思うんですね。

 特に中山間地、私も中山間地の出でありますけれども、こういうところはもともと林業で栄えていたのが、もう林業は材価が下がって大変苦しい思いをしております。製材所も大分減ってきたんですけれども、出ているくずを買ってもらえれば随分と変わってくるんですね。

 本来これは農水省に聞く話なんですけれども、ぜひ大臣に一つお願いというか御見解をいただきたいのは、やはりいろいろな再生可能エネルギー、もちろん大事なんですけれども、特に地方を活性化するもの、あるいは雇用を生むもの、そういうものをできる限り優先してというか、積極的に推進していただきたい。そうすると二次効果も出てくるというふうに思っているんですが、その点についての御見解をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 今井委員御指摘のとおりだと思っておりまして、バイオマス、特にそこの中でも木質バイオマス発電につきましては、安定的に発電を行うことができますし、各地域において燃料となる木材を確保する、これが間伐材であったりチップであったり、さまざまなものも出てまいりますが、林業の活性化であったりとか林業に関連するさまざまな事業の活性化にもつながりますし、雇用も創出をする、こういう観点から極めて重要だ、そんなふうに考えております。

 エネルギー基本計画におきましても、再生可能エネルギー、積極的な導入という話をしておりますが、木質バイオマスにつきましては、そこの部分でも、重ねて、積極的な推進、こういう話をさせていただいているところであります。

 どうエネルギーをつくるか。いわゆる原子レベルでの動きをエネルギーに変える、そして自然界での太陽であったりとか風であったり、そういうものをエネルギーに変えていく。それから、そこで生まれたいろいろな、木であったりとか、それが木のままの状態なのか、石炭になるのか、それともLNGになるのか、そのレベルで使うか、そういう違いはあるわけでありますけれども、森林資源に恵まれた日本、そこの中で地域を活性化する観点からも極めて重要なエネルギー源である、このように考えております。

今井委員 そういう認識を持っていただいて大変感謝しておりますし、そういう観点でいろいろ進めていただきたいと思います。

 その際に、これも一つお願いなんですけれども、いろいろお話を聞いておりまして、先ほど事業費四十一億円と言いましたけれども、この会社は、資本金は二億五千万。市が三千万出資しています。あと民間で集めています。補助金も出ているんですが、残りはいわゆる銀行調達をしなきゃいけないんですね。これは、中国銀行さん、あの辺の一番メーンの地方銀行ですけれども、ここから資金調達をしているんですが、審査に何と一年以上かかったそうです。

 なぜかかるかというと、審査をする能力がないんですね。かつてこの審査をしたことがないので、どう評価をしていいかわからないので、審査の担当、融資部か審査部かわかりませんが、こういう人たちがわからないんですよ。恐らく、地方でやる場合には、どこもメガバンクではなくて地方銀行がこれを担当しなきゃいけないということになると思うので、同じ問題が起きると思うんですね。

 これはぜひ、金融庁あるいは経済産業省の方と御相談をしていただいて、安定供給の仕組みさえちゃんとできれば、買い取っていただく価格は決まっているわけですから、ある程度キャッシュフローを描けるし、採算はとれるはずなんですよ。これで審査ができないというのは私は変だなと思うんです。そういうところのボトルネックをいろいろなノウハウを共有することで少し解決していただければ、こういう事業はもっと早く進むと思うんですね。

 ぜひ、そういうところを金融庁と一緒に、資金調達の簡便さというか、やりやすいようにできるという、そこの御配慮を御検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 金融機関のあり方は、先生の方が私より経験者としてよく御案内かもしれませんけれども、「半沢直樹」を見ても、それから「リーダーズ」を見ても、もう少しどうにかできないのかなと思うところはあるわけでありまして、もちろん個々の銀行の判断という部分はありますけれども、木質バイオマス発電の意義であったりとか仕組みであったりとか、そういったことについては経済産業省としても関係の金融機関等々にも説明をし、また金融庁とも、どんなことができるかきちんと相談をしていきたいと思っております。

今井委員 ありがとうございます。

 これは大変重要な点だと思いますので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。

 もう大体時間が参りましたので、最後に、行ってきた感想をもう一つ述べて、終わりたいと思います。

 施設を見せていただきましたら、例えば、林業の機械があったりとか、あるいはチップをつくる機械とかがいろいろあるんですけれども、あるものは農水省の補助金でできているとちゃんとプレートに張ってあるんですが、あるものは科学技術庁の補助金でできていて、あるものは経産省の補助金でできていてと、よくもまあ、いろいろな省庁の補助金がこんなにごった煮であるなと思ったんです。

 こういうものはエネルギー政策の一環で一括にできないものだろうかなと。いろいろな省庁に行って、いろいろなところへやって下がってくる、こういうのが目の当たりに工場を見学して見えたので、ぜひ、こういうところもできるだけ一括でやれるような形で検討していただきたいということを最後に御要望申し上げて、私からの質問を終わりたいと思いますが、何かありますか。

茂木国務大臣 大変重要な御指摘だと思っておりまして、このたび、エネルギー基本計画の閣議決定に合わせまして、特に再生可能エネルギーにつきましては、関係閣僚会議、こういったものも創設して、開催をいたしました。

 各省庁間の連携をさらによくしていく、こういったことを検討していきたいと思います。

今井委員 どうもありがとうございました。終わります。

富田委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 本日も時間を三十分いただきましたので、早速質疑をさせていただきたいと思います。

 午前中に原賠法に関して我が党の丸山議員が質疑をさせていただきました。先ほど我が党の今井議員が、前半は原賠法に関連した、後半は新エネルギー、再生可能エネルギーについて質問しておりました。

 私もその関連で質疑をさせていただきたいと思うんですけれども、新エネルギーの参入による問題についてまずは質問させていただきたいと思います。

 エネルギーと申しましても、従来のエネルギーがあって、科学技術の発展とともにいわゆる原子力エネルギーというのが存在しまして、その政策の中では、国が方針を決めて民間が営業する、国策民営の理念のもと、電気事業者には、適切な設備投資にかかわる、特に化石燃料に関しては地球温暖化対策、そして安全保障の面から重大な責務が過去にも課せられてきました。責務と義務、両方課せられたわけです。

 エネルギー基本計画ができてまいりましたけれども、その観点から、今度の再生可能エネルギーの参入事業者に対して、どこまでの責務、義務を求めるつもりなのか、その基本理念というのをまずはお聞かせください。

茂木国務大臣 電気の事業を営むということをやる場合に、大きく二つの義務、責務というのがあると考えておりまして、一つはやはり安全を確保する、そしてもう一つは安定供給に努めるということであります。

 まず安全。発電所を設置する者に対しましては、電気保安の観点から、設置する設備について安全を確保するための基準であります技術基準に適合するよう維持する義務、それから設備の保安管理の自主ルールであります保安規程の作成と届け出の義務、さらに設備の保安管理の責任者である主任技術者の選任義務等の保安規制が課せられておりまして、こうした規制は再生可能エネルギーの発電事業に参入する事業者にも課されております。

 一方で、安定供給の確保という観点からは、一般電気事業者や卸電気事業者については供給義務等の義務が課されておりますが、こうした規制は、現行の法律上は再生可能エネルギー発電を行う者が原則として電気事業者には該当していない、このために課されないということになっております。

 今国会に提出をいたしております電気事業法の改正案においては、一定規模以上の発電設備を用いて発電事業を行う事業者は、再生可能エネルギーで発電する場合も含めて発電事業者として位置づけることとしておりまして、これに該当する場合には供給計画の提出義務や緊急時における供給命令を受ける義務等を負うことになるということであります。

 最終的には発送電分離をするわけでありますけれども、小売参入の全面自由化等ありまして、一般電気事業者の概念を二回目の法改正で変える。これに伴いまして、一定規模以上の再生可能エネルギーの発電事業者にも安定供給の義務が、この法案を通していただいたらかかってくるということであります。

 ただ、再生可能エネルギーについて申し上げますと、自然エネルギーを利用しているために変動が避けられない場合があること、それから政策的にその導入拡大を図っていく、こういうことに政府としてもしているわけでありまして、これらの観点も踏まえて、適切な規制を行ってまいりたい、過剰な規制にならないようにしてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 原賠法に関しては、先ほど我が党の今井雅人議員が無限責任ゾーンと免責ゾーンとのギャップでそれは事業リスクであるという趣旨の質疑をしていたわけなんですけれども、いわゆる原発に関してのPRAも、確率論的評価なのでありますけれども、大臣の先ほどの答弁、内容は理解しています。

 であるならば、例えば真庭市の、私もバイオマスの視察に同行したんですけれども、地方銀行で審査が一年かかっているということです。一方では、この再生可能エネルギーで、太陽光、風力などのエネルギー事業の融資自体、要するにメガバンク自体の融資は拡大しております。二〇一三年にまとめた融資額は約三千九百億円です。三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、その三メガ銀行の融資額は三千九百億円と、前年度に比べて四倍にふえております。

 この原因となるのは、FITの、電力を固定価格で買い取る制度を導入して以来、建設が加速したということは間違いないことだとは思うんですけれども、とはいえ、計画どおりに進んでいない事業も多いわけですね。実際、太陽光発電の始動をしているのは二〇%ぐらいです。買い取り価格も二年連続で下がっていますし、あってはならないことなんですけれども、認定で得た権利を転売しているところもあると報道でございます。わざとおくらせている業者もあるということです。

 太陽光発電、例えば青森県の六ケ所村で、東京ドーム五十個分ぐらいのメガソーラーの建設がされておりまして、大体、一般家庭三万八千世帯分の電力を賄うことができ、来年秋に稼働予定ですので、当然期待は大きいものだと思います。

 再生可能エネルギーに関して、FITの導入以降、メガバンクが目ききをしたというか判断をした最大の理由は、やはり貸し倒れリスクが低い、そういう判断だとは思うんですね。ところが、先ほどの真庭市のバイオマスとかでは、審査で地方銀行であれば一年もかかる。風力に関しても、地熱発電にしても、やはりリスク把握が難しいところもありましょうし、洋上の風力発電であれば台風に弱いのではないか、そういった指摘もございます。

 そういったところを踏まえて、この再生可能エネルギーの事業融資が拡大して、FITにおいて建設が加速したものと思われるんですけれども、この事業自体の今後の展望というのはどのように捉えられていますでしょうか。

木村政府参考人 お答えいたします。

 再生可能エネルギーは、やはり発電コストが現状では火力等に比べまして高いものがございます。したがいまして、御指摘のとおり、固定価格買い取り制度を安定的かつ着実に運用することによりまして、発電に通常要するコストをカバーする価格でしっかり買い取っていく、それによって投資回収にしっかりとした見通しを与えていくということが今後とも必要であるというふうに考えてございます。

 それぞれの見通し等でございますけれども、メガバンク等の融資姿勢は電源ごとに多少違うのではないかというような御指摘もあったかと思います。例えば、バイオマスでございますと、安定的に燃料が調達できるのかどうかといったところにやはり慎重な融資の判断がなされるといったこともあるでしょうし、風力でございますと、例えば落雷ですとかあるいはさまざまな事故等で稼働が停止してしまう、そういった懸念も恐らく太陽光以上に高いものがあるのかなというふうにも思っております。

 もちろん、そういったところのリスクにつきましても、一定程度FITの制度の中できちんとコストとしてカウントはしておるわけでございますけれども、そういったところの懸念を払拭する必要というのが金融機関との今後の調整の上での課題になってくるのかなというふうに思ってございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 であるならば、最終的にもう一つ議論されることは、消費者の電気料金の負担が重たくなるかどうか、その懸念がやはりエネルギー政策では議論されると思います。

 私は、昭和三十九年生まれ、以前大臣が答弁で「ALWAYS 三丁目の夕日」の世代ということをおっしゃっていただきましたけれども、まさに明かりがだんだん明るくなっていくのを肌で実感したジェネレーションでございます。高度経済成長に伴い、一次エネルギーの供給というのが増加していくのを肌で感じました。

 一方では、エネルギー消費は二〇〇四年度をピークに減少もしておりますし、電気料金について見ますと、震災前、三・一一前は大体横ばいかやや下落している傾向であったんですけれども、実際、再生可能エネルギーの導入が進むことが予測される中で、消費者の負担というのはいかがなものかということの見解をいただければと思います。

木村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、再生可能エネルギーの発電コストはやはり高いということでございまして、その導入が進みまして買い取りが拡大いたしますと、賦課金が増大してくるということは事実だと思います。

 これが将来どの程度の水準になるかということを現時点で見通すということはかなり難しいわけでございますけれども、いずれにいたしましても、こういった賦課金の負担が大きなものになり過ぎないように、まずは、法律の規定に従いまして、コストの低減実績を踏まえて買い取り価格の見直しを毎年度やることになってございますけれども、しっかりと行っていくということが基本であろうと考えてございます。

 例えば、昨年度からでございますが、非住宅太陽光発電につきましては、コストの低下を反映いたしまして、二十五年度にはキロワットアワー当たり税抜きで三十六円だったところを、二十六年度には三十二円に下げたといったようなことに取り組んでございます。

 今後とも、家庭や企業など電気利用者の負担が過大にならないように、制度の運用に当たっては十分に留意してまいりたいと考えてございます。

伊東(信)委員 では、これも午前中に我が党の丸山議員が質疑したと思うんですけれども、エネルギー基本計画では、二〇一二年では再生可能エネルギーが一〇パーだったのが二〇三〇年には二〇%以上になる、いわゆるベストミックス、最適な電源構成の全体プランが実際示されていない、再生可能エネルギーの比率だけは示されているということなんですね。

 現実、例えば、住宅用の太陽光であれば開発するのに二、三カ月。メガソーラーであれば一年ぐらい。陸上の風力であれば四、五年。バイオマスであれば三、四年。しかしながら、地熱であれば九年から十三年ぐらいかかるということですね。私も、バイオマスは本当に地方活性化の効果があるということを、真庭市の太田市長を初め意見交換の中で実感したんですけれども、現実の一割でも、一〇%のうち水力発電が八・四%なので、他の再生可能エネルギーは一・六%にすぎないわけですね。

 では、二〇三〇年に二〇%ということなんですけれども、具体的な比率達成割合の内容というものと、達成までいかなる工程で進んでいくのかというのをお示しください。

上田政府参考人 御案内のとおり、再生可能エネルギーは、国産エネルギーでありまして、また低炭素のエネルギーであるし、地域活性化にも資するということで、その導入ということは、今の政権におきましても、最大限の導入拡大を図るという姿勢を示しているわけでございます。

 そういった観点から、エネルギー基本計画の中におきまして、導入の水準につきまして、これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準をさらに上回る水準の導入を目指すということにしたところでございまして、また、エネルギーミックスの検討に当たってはこれを踏まえることとするというふうに書かれているところでございます。

 それを具体的にどういうふうにやっていくかということにつきましては今後の課題ではございますけれども、今大臣も申し上げましたけれども、先般、私ども、新たに再生可能エネルギー等関係閣僚会議というものを創設いたしまして、それを政府全体の司令塔機能として、そこを強化しながら、関係省庁との連携を図りながら、再生可能エネルギーの一層の導入促進を図っていくということでございます。

 では、二千何十年のところで、例えば、太陽光が何%であるか、水力が何%であるか、地熱が何%であるかという水準の検討というのは、現時点ではその数字を持っておりませんけれども、こういった閣僚会議等を活用しながら、具体的で現実的なエネルギーミックスの策定というものを今後行っていきたいと考えております。

伊東(信)委員 エネルギー基本計画、計画というのはプランでございますので、やはり具体的なプランというのはお示しいただきたいなというのが正直な感想でございます。

 我々も一生懸命現場で、特に私は理系ですし、臨床医工学融合研究教育センター、私の所属するところではエネルギーのことも研究されている先生がおられますので、私なりにも僣越ながらプランは立てていきたいなと思っておる次第ではございます。先ほど二〇%ということを質疑しましたけれども、二〇%以上、この以上というのはどれぐらいになるのかということも、やはりこれからの課題であります。

 今まで原子力発電を、安全を確認しているということを前提に、ベースロード電源だと位置づけられまして、再稼働のことが明記されています。

 現在、震災後、三・一一後、火力発電の割合が六割から九割近くになっておるんですね。火力発電というのは、言うまでもなく化石燃料でございまして、輸入に頼っておるわけなんですね。今後、いろいろなエネルギーの議論をしていく上で、いわゆるエネルギー供給に関する、輸入燃料に頼る火力発電というのも、過度に依存するのは、エネルギーの安全保障の面からもやはり危惧されるわけなんですね。

 原発の問題点を指摘して、火力発電の問題点を指摘していけば、やはり新エネルギー、再生可能エネルギーに行き着くのかなというところもあるんですけれども、現実問題、再生可能エネルギーにも長所と短所があるということで、ではどうすればいいのかというのが、先ほどの、エネルギー基本計画のプランを政府として出してほしい、そういう趣旨もございまして、輸入燃料に頼る火力発電の安全保障の面の危惧に関してどういった見解をお持ちか、お聞かせください。

上田政府参考人 化石燃料に対する依存の課題、それにどう対応していくかという御指摘でございます。

 御指摘のとおりでございまして、海外からの化石燃料に対する依存度というものは、第一次オイルショック前の一九七三年には七六%でございました。それが二〇一〇年、震災の前でございますが六二%でございました。直近、二〇一二年度の数字で化石燃料の依存度が八八%、約九割という状況になっているわけでございます。御案内のとおり、化石燃料の圧倒的に多数の部分は中東から来ているわけでございまして、中東におけるさまざまな政治的あるいは経済的なリスクというものもあるわけでございます。

 そういったものに加えまして、原子力発電所がとまっていることに伴う、燃料費そのものが非常に増加をしていること、また、その結果、電気料金が上昇をしていること、さらにCO2の排出量も約一割程度増加しているといったさまざまな課題が生じているわけでございます。

 他方、非常に有望な再生可能エネルギーにつきましても、コストの面、安全性の面、さまざまな課題があることは先生御承知のとおりでございまして、そういう意味では、今の日本におきましては、全てのエネルギーの状況を考えますと、安定供給、コスト、環境特性等々あらゆる面でこれでいこうというような、一つに決められるエネルギー源はないという状況でございまして、現実的かつバランスのとれたエネルギーの需給構造をつくっていくということが重要であると考えております。

 私ども、今回のエネルギー基本計画の中では、大きな目標といたしまして、そういった各エネルギー源の強みを生かして、全体として弱みが補完されるような柔軟かつ多層的な供給構造、こういうものの実現を目指した政策が必要であると考えているところでございます。

伊東(信)委員 いかなる電力の作成方法、いわゆる発電の仕組みというのは、電磁石でありまして、タービンを回すわけですね。タービンを回すのに水蒸気。水蒸気をつくるためのボイラーシステム、熱を発生させないかぬわけですよね。ここに尽きるわけなんですけれども、E=mc2といいまして、光の自乗に比例する。

 原子力のエネルギー供給の力というのはわかっているんだけれども、さまざまな問題をクリアしなければ、本当に国民の皆さんが安心していけるのかということなんですね。やはり、再稼働を含め、原子力発電の最終的な課題になるのは、使用済みの核燃料に尽きると思うんですよ。

 半減期という話が出ますけれども、地元を回っていると、やはり年配の方に、先生、半減期って何なの、半分にしかならないのと聞かれるわけですね。半分にしかならないと言われると、それはそのとおりかなと。それが何万年とかかる。何万年となったら私が化石燃料になっているわと、そんなことも地元のお年寄りの方は、大阪ですので、おっしゃるわけなんです。

 結局は未来への責任なんですね。維新の公約にも掲げているように、次世代というよりも未来への責任という面で、使用済みの核燃料の最終処分地の候補、これは自治体の候補すら今あらわれていない状態です。

 余り私は好きなメタファーじゃないんですけれども、日本の原発はトイレのないマンションに例えられているように、再稼働しても、では、使用済み核燃料の問題では、数年後には運転停止になるということも予想されるわけです。地中に埋没する地層処分、オンカロもそうなんですけれども、最も有望とされているんですけれども、最終処分地の選定または処分方法に関して、政府としてどのような見解をお持ちなんでしょうか。

上田政府参考人 原子力発電所、これは、再稼働するか否かにかかわらず、現在、約一万七千トンの使用済み燃料があるわけでございまして、既に再処理された分も合わせますと、ガラス固化体にいたしまして約二万五千本相当の高レベル放射性廃棄物が既に存在するわけでございます。私ども、これを次の世代までに先送りすることなしにきちんと解決していかなければならない、こう考えております。

 それで、もう十年以上、この処分地の選定をどうしたらいいのかということで調査をしてきたわけでございますが、なかなかこれが進まないということで、私ども、今回のエネルギー基本計画の中にも書かせていただいておりますけれども、最終処分に関する取り組みの見直しということを検討してまいりたいと思います。

 具体的には、現時点で最も有望とされるような地層処分の信頼性について改めて評価を行っていく。また、将来世代が最良の処分方法を選択できるように可逆性、回収可能性を確保していく。また、今まで地方からそれぞれ手を挙げていただいて最終処分地の候補を募集していたわけでございますが、広く全国を対象に公募を行うだけでなく、国が科学的根拠に基づき適性の高い地域を提示していく。そういった方向で最終処分地の選定を加速化していく必要があると考えております。

 また、去年の年末には、最終処分に関する関係閣僚会議というのも創設をしておりまして、国が一歩前面に出る形で最終処分地の選定に取り組んでまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 私も、科学者の端くれとして、どちらかというと好意的に、そういった科学的な論拠に基づく安全性というのを理解しようとしていくわけなんですけれども、有識者会議も含めて、本当にきちっと、早く議論というのを進めていただきたいと思っておるわけです。

 いずれにしても、前回も申し上げましたけれども、原子力という科学技術自体が悪なのではないんですね。原子力技術というのは科学なわけですけれども、例えば、では日本がゼロにした場合、中国、韓国の原発に事故が発生したときに、日本がそれに全く対応できないというのは問題になるわけなんですね。

 これは誤解のないようにしたいわけなんですけれども、だから商業用原発において原子力技術を確保しなければいけない、そういうような理論じゃないですよ。国として、まず原子力技術を保有する、それと再生可能エネルギーを含めたエネルギー基本計画を立てる、これは別建てで問題提起をしなければいけないと思いますし、我が党の共同代表である橋下代表も、この原子力技術の保有の仕方はどうするのかということをしっかりと議論してほしいと言っております。

 質の高い原子力技術者の確保、午前中の質問で、人材の育成をどうするのかということを我が党の丸山議員も質疑していました。答弁の中で産学連携というのもございましたけれども、この質の高い原子力技術者及び技術力の保持について、今後の展望を改めて教えてください。

茂木国務大臣 我が国として、原子力の平和利用そして安全性の向上、これは世界とも共有すべき重要な課題でありまして、そのためには、当然、委員御指摘のような技術力、人材というのが必要になってくるわけであります。

 もちろん、依存度というものは低下をさせていき、また再生可能エネルギー、最大限の拡大を図っていきたいと考えておりますが、そこの中で、原子力について、確保していく規模というのはきっちりと見きわめていきたいと思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 よく医療の基礎と臨床のところで、私が例えで死の谷を越えてほしいと。産学連携のときも死の谷があるといいますけれども、やはり、各省庁間の死の谷というのが一番越えるべき課題だと思います。その死の谷を越えていただけると茂木大臣はおっしゃっていただいたので、引き続きよろしくお願いいたします。

 以上です。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日は、ダブルヘッダーの第二戦目ということで、これから二十分間、どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、中身について伺う前にというのも変なんですけれども、トピック的なところから一点伺えればと考えておりまして、この点については実は事前の通告もないので、お答えが難しいということであればもちろんその限度で結構ですけれども、ちょっと御紹介させていただきたいと思います。

 四月九日ということなのでちょっと前の話になるんですけれども、産業競争力強化法のグレーゾーン解消制度の活用ということを……(発言する者あり)

富田委員長 時計をとめてください。

    〔速記中止〕

富田委員長 では、時計を起こしてください。

 三谷英弘君。

三谷委員 それでは、仕切り直しをさせていただきまして、質問させていただきます。

 トピックということで、グレーゾーン解消制度について、簡単に大臣の御認識を伺いたいというふうに思っております。

 これは、四月九日に経済産業省がニュースリリースということで公表されている案件です。「本年一月二十日に施行された産業競争力強化法に基づく「グレーゾーン解消制度」について、経済産業省所管事業及び厚生労働省・経済産業省・環境省共管法令(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)に係る二つの事業者からの照会に対して回答を行いました。」といって、副題が「新規化学物質の製造等に係る手続が明確化されました」と書いてあるんです。

 中身を見てみると、何が起きたかというと、化学物質の製造とか輸入等々を行う事業者から、少量の場合だから製造とか輸入に係る設備の状況を示す図面とか詳細な書類というのは要らないんじゃないのかという問い合わせがあって、それについて調べを行った、各省庁で協議を行ったというようなことです。

 結果、どうなったかというと、詳細な書類は要るという結論ということにはなったんです。ただ、そうはいっても、「現行法令では製造予定数量が少量であっても、添付すると規定されている書類をすべて提出することが必要である旨の回答を行いました。」というようなことで、基本的にはゼロ回答だったわけです。

 もちろん、このグレーゾーン解消制度というのが必ずしもうまくいくというものではないだろうというふうに思っておりますけれども、今回、ある意味ゼロ回答になってしまった、これが一発目だったということに関して、みんなの党としてはこのグレーゾーン解消制度というのはうまくワークしないんじゃないかというようなことも申し上げていたわけですけれども、この点について、もし可能であれば、大臣の現在の御認識を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 四月九日に回答させていただいた大半につきましては、これは規制に該当しないと、ポジティブな答えをさせていただいていると思います。

 個々のところで、問題点につきましては、もしよろしければ参考人から答弁させていただきます。

菅原政府参考人 突然のお尋ねですので数字は持っていないんですけれども、これまでグレーゾーン解消制度は十個近く申請がございまして、既にそれについては大体一月以内で返事を返しておりまして、基本的には大体、事業者がやりたいことについては、いろいろ調整した結果、オーケーであるというような答えになってございます。

 個別具体的な今の化審法上の少量化学物質の取り扱いでございますが、現行の法令、実際は添付資料は省令その他で定められておりますけれども、現行のことを聞かれれば、現行の規定上は書類を出していただかなくてはいけないということになっているんですけれども、現在、三省の間で、今回の申し出をきっかけにいたしまして、ここまで過重に書類を求めるのはやはりちょっとやり過ぎではないかという論点がございまして、これを将来、書類を省くような方向で検討するということも、あわせて事業者の方にはお伝えしているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 この点についてまた改めて検討して、機会を改めて質問させていただきたい、このように考えております。

 それでは、本日の質問の中身に移らせていただきます。

 本日は、情報の取り扱いということについて伺いたいと考えております。

 大きく言うと二つありまして、一つはいわゆるビッグデータ、もう一つは営業秘密。この二つのテーマで質問させていただきます。

 まず、ビッグデータの取り扱いに関して質問させていただきたいと思いますけれども、例えば、TSUTAYAですとTポイントカードとか、セブンイレブンだとナナコとか、いろいろなポイントをつけるカードというのがあるわけでございます。

 ここでは、そういったカードをコンビニでの決済で使うと、百円につき一ポイントなり二ポイントがもらえて、百円につき一円ぐらいのバックがあるということで、みんなが喜んで使うということになるわけですけれども、実は、ただ単にポイントを返すということでなく、そこで得た情報を、この人はどういう行動様式をとっているんだということをしっかりと調べて営業に使っていく、そのことによって、事業者としてはより大きな利益を得ていくということをやっていることになるわけでございます。

 これ自体は別に目新しいものではありません。私がまだ弁護士として仕事をさせていただいたころにも、二〇〇八年前後でしたからもう今から六年前ということにはなろうかと思いますけれども、そういう情報、そのときにはビッグデータという名称はありませんでしたが、そういったものを何とか使えないかと聞かれて、使うためにはこういうようなことを措置すれば使えるんじゃないですかと回答させていただいたことが、自分の記憶には残っているところでございます。

 このときに、ビッグデータというのは、特に個人の情報に絡んで使われているものに関して言うと、二つの、法律ないし権利との抵触というものがどうしても気になってくるわけでございます。そのうちの一つが個人情報保護法というものになります。もう一つがプライバシー権との兼ね合いということになろうかと考えております。

 まず、個人情報保護法との関係というところについて伺いたいんです。

 個人情報保護法におけるいわゆる個人情報というのは、これは定義にも明確ですけれども、生存する個人の情報であって、特定の個人を識別できる、そういう情報だということでございます。とすると、ここのいわゆる個人情報に該当しない個人に関する情報に関しては、個人情報保護法上は全く問題にならないという理解でよいか。事実認識について伺いたいと思います。

富田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘いただきました個人情報、個人情報保護法上は二条に定義がございます。個人情報保護法自体は、個人情報がみだりに第三者の手に渡らない、そういうことをしっかり規定した法律でございますが、必ずしも特定の個人を識別できないけれども、例えば鉄道のカードでいうと、例えば移動の履歴ですとかあるいは購買の履歴、これは個人情報、特定することは必ずしもできませんが、それ自体は個人にかかわる情報でございますので、そういったものはパーソナルデータと私どもは仮に呼ばせていただいておりますけれども、個人情報よりもそれは概念が広いものだと思っております。

 今、個人情報保護法上は先ほど申し上げた個人情報の定義があってそこに限定されておりますけれども、昨年も、個人情報として識別できなくても、パーソナルデータの管理はしっかりやらなきゃいけないんじゃないかという消費者からのいろいろな懸念が高まってきていることも踏まえまして、現在、プライバシーの保護とビッグデータの利用の両立を図るための制度的な検討をIT総合戦略本部で進めているところでございます。十二月に基本方針を出させていただきましたが、その中で、個人情報には該当しないけれどもパーソナルデータとして保護の対象になるべきものはどういう範囲であるかというようなことも含めて、今検討を進めている状況と認識いたしております。

三谷委員 まさにそのあたりの認識というものが問題になってくる。特に、パーソナルデータの利用に関して問題になってくるだろうというふうに思っております。

 基本的には、日本、我が国は自由経済、自由国家でございますから法律で規制されている。法律だけではない、道義的なものも必要だというような話ももちろんありますけれども、ただ、基本的に、個人情報保護法に抵触しないということであれば、個人情報保護法上は問題ないということは明確に答えられるんだろうと思っております。

 先ほどまさに言及されました、パーソナルデータというのが何なのかという話なんです。パーソナルデータを使うときに、法律には違反しないんだけれども、その使い方について規制しなければいけない。これは法的な根拠が何なのかという話になってくるんだろうと思うんですね。

 例えば、個人情報、個人に関する情報を取り扱うときに、二つ先ほど申し上げた規制し得るものとして、もう一つはプライバシー権というものがあるんだろうと思います。プライバシー権というものに関してぜひともお答えいただきたいんですけれども、今まさに念頭に置かれているいわゆるパーソナルデータがプライバシー権を侵害するというようなことを認定し得るのかどうかについて、お答えいただきたいと思います。

富田政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど申し上げましたとおり、個人情報については法律上の定義が明確にございますけれども、プライバシーないしはプライバシー権ということについての明確な法的な定義というのは実はまだございません。

 過去のいろいろな裁判例その他で、従来は、私生活をみだりに公開されないという法的保障ないし権利という裁判例があったわけでございますが、これがだんだん最近は、自己に関する情報をコントロールする権利というような形でプライバシー権あるいはプライバシーというものが捉えられているという状況にあるかと思っております。

 先ほど御指摘いただきましたとおり、個人情報保護法上は保護の対象にならないわけでございますけれども、一般の消費者の間からは、やはり個人の情報に関するものであればそういうものを慎重に取り扱ってほしいという懸念が非常に高まってございますので、先ほど御答弁させていただきましたように、IT総合戦略本部の中で個人情報保護法の改正も視野に入れて保護の範囲を検討しているという状況だと認識いたしております。

三谷委員 今お答えいただきました、プライバシー権に関しては明確な定義がないと。

 それはもちろん、裁判の集積である程度は外延というのが明確になってきているという話ではありましょうし、自己に関する情報をコントロールする権利というように解する、そういうふうな判断をする、そういった例もあるだろうと思っておりますけれども、だからといって、裁判でもまだ否定されていないものについて、消費者から懸念されている、この一事をもって制約することが本当に適切なのかどうかということをぜひとも考えていただきたいと思います。事後紛争処理型の社会がいいのか、事前規制型の社会がいいのか、まさにある意味、国家観にもこれはかかわってくる問題なんだろうと思っております。

 法律に違反しているものはだめです。法律に違反していないものでも、これは許せないというものであれば、それはまず法律を変えていく。もしくは、裁判例というものが明確でないということであれば、プライバシー権というものに関して法律を定めればいい話なんだろうというふうに思うんです。

 そうではなくて、法律でもまだなくて、裁判例でも明確にだめと言われていないものに関して規制していく。これはどういう根拠に基づいてやろうとされているのか。お答えください。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 私の答弁がちょっと正確ではなかった部分もあるかもしれませんが、現時点ではまだ、パーソナルデータを規制するというところまで踏み込んでいるわけではございません。ただ、ビッグデータを今後利用していく際には、やはり消費者の理解、そういうものを得ていかないと利用が進まないという部分があろうかと思います。

 したがって、消費者の間でそういった懸念がある以上、パーソナルデータの保護のあり方と利用の促進のバランスをどうとっていくかという制度的な問題について今検討を進めておりまして、もし必要であれば個人情報保護法の改正まで踏み込むというところまで検討が進んでいるということでございまして、現時点で規制が行われているというわけではございません。

三谷委員 基本的には、どういう情報の取り扱い方をするのか、どういう規制をしていくのかということによって使い勝手が全く変わってくる。せっかくこれは一つの国家戦略の中に入っておりますから、ビッグデータというのをこれから利活用していくんだということを一方で言っておきながら、実際にふたをあけてみたら、ほとんど使えませんでしたということにならないように、これはある意味、国策とも絡む重要なテーマだと思いますので、ぜひとも慎重に御検討いただければということをお願い申し上げます。

 それから、続きまして、営業秘密の漏えい防止に関しての質問をさせていただきたいというふうに思います。

 営業秘密の保護に関しては、これは必ずしも営業秘密ではないんですけれども、先日、個人情報を暗号化するオープンSSLというソフトウエアに欠陥が見つかった。イギリスやカナダを初め、世界各国で情報漏えい、個人情報の改ざん等の被害が生じているということがあります。日本でもそういう欠陥があるサイトが全部で五百を超えているということで、現時点においてまだ実害は発見されていないということですけれども、個人情報が漏えいした可能性は否定できないというような状況です。

 もちろん、こういうインターネットを通じた情報漏えいだけではありません。先日も、日本の大手電機メーカーの情報が韓国の電機メーカーに漏えいしたという事件で、日本人の技術者が不正競争防止法違反、営業秘密開示の容疑で逮捕されたというような報道がなされております。

 情報の保管、保全というのは非常に重要なテーマになってくるというところではありますので、ぜひとも伺いたいと思うんです。

 国内における漏えい防止対策、そして海外への漏えい防止対策、二つの側面があるというふうに思っております。時間がちょっとないので少しはしょらせていただきまして、国内での漏えい防止対策、刑事責任を課すときに、公開原則というものがあるという中で、公開原則と営業秘密の保全を調和させる改正が以前なされたというところでありますから、その内容と、それが実際に運用された例があるかということについて、お答えいただきたいと思います。

菅原政府参考人 お答えします。

 委員も御案内だと思いますけれども、営業秘密の保護を規制しております不正競争防止法、これまで、最近でいいますと平成十六年、平成二十三年に改正しまして、直近でいいますと平成二十三年の法改正では、刑事裁判について、裁判所が営業秘密の内容を公開の法廷で明らかにしない旨の決定、いわゆる秘匿決定を行えば、その営業秘密にかかわる尋問の制限もしくは公判期日外における尋問を行えるという形で、営業秘密の暴露をある意味では保護している。

 民事でも同じように、これは裁判所が当然絡みますけれども、営業秘密の使用及び第三者への開示を制限する秘密保持命令をかけることができますし、あとは、尋問を公開しないで行うような制度、こういったものも平成十六年の法改正で行っております。

 実際の適用例ですが、現在裁判中のものが一件ございまして、実際にどう適用されたかというのは、まだ結果としては出ておりません。

三谷委員 昨年、いわゆる特定秘密保護法というもので裁判の公開原則とどう調和させるんだというような議論もあって、その意味では、この営業秘密の取り扱いというのは一歩先を進んでいるというところだろうと思っております。

 具体的には、刑事事件の中で無罪、まさにそういう情報は営業秘密に当たらないですとか、そんな情報は取り扱っていませんとか、そういった中でどういうふうに今の制度がたえていけるのかということをぜひとも見ていきたいと思っておりますし、ぜひともそこを分析していただければと思っております。

 それから、もうほとんど時間がないので、海外への漏えい防止対策について一点お伺いしたいんです。

 海外から営業秘密をとりに来る、いわゆる単なる領得行為というものについて、国外犯の処罰規定というものがあるのかないのか、そして、そういったものをこれから取り締まるのかということについて、お答えいただければというふうに思っております。

菅原政府参考人 海外の人が営業秘密をとってきたことに重罰をするのかどうかという議論だと思いますけれども、アメリカ、韓国、その他でいろいろ例がございますけれども、大分考え方が違うというふうに承知しておりまして、日本に合ったやり方としてどういうものがいいのか、慎重に検討する必要があると考えてございます。

三谷委員 事実上タイムアップなので、機会を改めてまた質問させていただきたいと思います。

 本日はどうもありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就です。よろしくお願いします。

 私もダブルヘッダーでありまして、大変だなと思っていたんですが、ただ、大臣はきょう朝から一日ずっとでありますので、さすが安倍政権のリーダーズの一人だなということを感じさせていただきました。

 私の一般質疑の最初の質問は賠償と廃炉についてでありまして、ダブルヘッダーだから質問の使い回しじゃないかと思われるかもしれませんが、ただ、今回は法律にも関連はしておりますが、そもそも改正しなくても大変重要な観点だと思いますので、ここで改めてまた確認させていただきたいと思います。

 午前中は、私からは、法案に関しまして、今回は廃炉の機能をつけ加えるということでありますが、その人件費のもともとの原資をどうするかという問題でありますとか、廃炉費用がこれから膨らんでいくということに際しまして、福島原発の一号機から六号機の扱いが一号機から四号機と五号機、六号機で違うので、そこをどうするのかということを確認させていただいたところでございます。

 今回確認したいと思いますのは、法案の中でなかなか明確になっていなかった、これからの電力システム改革との関係であります。

 午前中は、東京電力に対しまして、今回出された総合事業計画をどのように経産省がしっかりと執行させるようにしていくかということをお伺いさせていただきましたが、これは、システム改革が行われた後もそのようなことをずっと続けられる、そのような理解でいいのかどうか、まずお聞かせいただきます。

茂木国務大臣 原賠機構法におきましては、賠償に充てるための資金援助の決定に当たりまして、東電と機構が共同で特別事業計画を策定しなければならない、このようにされておりまして、本年の一月には、改定された新・総合特別事業計画について主務大臣として認定を行ったところであります。

 東電におきましては、二〇一六年をめどとして予定されております電力システム改革を先取りした東電の組織の自主分離であったりとか、御質問にもありました小売の全面自由化を経た後におきましても、原賠機構法に基づきまして、賠償のために交付した資金を回収するまでの間につきましては、特別事業計画の認定の仕組みは維持する予定であります。

 もちろん、全部返していただきましたら、それは必要なくなってまいります。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 回収するまでの間ということでございますが、今回は廃炉の機能がついているわけでございまして、回収するまでの間と、廃炉が終了するまでの間というのが必ずしも一致しないケースもあるかと思うんです。その際は、長い方という理解でよろしいんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 特別事業計画の認定の仕組みは、機構に対して資金援助したものについての返済が完了するということですので、廃炉の時期とは直接にリンクはしてございません。

小池(政)委員 そうしますと、またちょっとそれに関連する質問なんですが、今度は、料金についての政府側からの審査等の取り組みに関連してでございます。

 これも、自由化、それから発送電分離となった際に、通常の電力会社はそこで、最初は規制料金はありますけれども、やがては自由料金でやっていく中で、ただ、東電に関しましては、おっしゃったとおり、賠償の資金が入って、それを回収するまでの間、ずっと管理しないわけにはいかないわけでございまして、そのときに、料金に対しても政府側からそれをしっかりと審査または判断するような仕組みというのは続くのでしょうか。

茂木国務大臣 料金規制もしくは認可につきましては、東電だから、ほかの電力会社であるからということによります差は生じない、こんなふうに考えております。

 自由化後というのが小売の参入の全面自由化後のことでありましたら、この国会に提出している電気事業法の改正法案にも、東京電力も含めまして、現在の一般電気事業者に対して、当分の間、経過措置として料金規制を継続することになっております。したがって、料金の値上げをする場合には、現在と同様に、経済産業大臣として厳正な査定を行った上で認可を行うことになるわけであります。

 料金規制は残りますが、その間であっても、現在の一般電気事業者は需要家にとってメリットのある自由な料金メニューを許可なくつくれることになっておりまして、そういった意味で、経過措置の期間におきましても競争の効果というものは発揮されると考えております。

小池(政)委員 私は、そこはやはり東電に対しては自由な、フリーハンドで料金設定させるべきではないと思っておりまして、この賠償スキームの中で、経営の合理化から賠償の資金を、特に東電の場合は特別負担金を何とか拠出しなければいけないわけでもありますし、廃炉に関しましても、少なくとも一号機から四号機については東電が電気料金に入れることなく恐らく負担するものでございますから、ここをしっかりと、東電が合理化を計画どおり進めているかどうかということを、やはり政府の監視のもとで進めていくべきだとは思っております。

 その際に、ちょっと参考人にお伺いさせていただきますが、特別負担金の制度は、これから自由化、発送電分離とシステム改革が進む際にはどのように変わっていくんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 特別負担金につきましては、事故を起こした原子力事業者が原賠機構により資金援助を受ける場合に支払うものでございます。電力システム改革、法的分離を通じまして分社化された後でございますけれども、基本的には原子力発電所を保有する事業者が特別負担金を支払う主体となるということを想定してございます。

小池(政)委員 特別負担金の話を今させていただいていますので、一般負担金じゃなくて東電の方であるんです。東電が、今おっしゃったように、原子力発電の事業をやっているということからこれを負担し続けるということではありますが、例えば、原子力発電所が今後、廃炉に至るまで、もしくは賠償に至るまで何十年間も稼働できない、したとしてもそこまで続かないケースというのもあり得るわけでございまして、そういう際には、発電事業体ではなくて発電会社とか、そういうところにこの負担というものは移行されるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、特別負担金については原子力発電所を保有する事業者が支払う主体となることが想定されてございます。

 現行の東京電力について申し上げますと、ことし一月に認定いたしました東電の新・総合特別事業計画におきましては、二〇一六年四月を目途に導入する予定のホールディングカンパニー制におきましては廃炉を含む原子力事業は持ち株会社において行うという方向で検討しているということでございますので、そのことを前提とした場合におきましては、その持ち株会社の方で原賠法に基づく特別負担金を負担していくということになろうかと考えております。

小池(政)委員 いや、今聞いたことは答弁になっていないんです。原発を稼働していない場合に、おっしゃった持ち株会社というのは利益を生み出すような組織ではないですよね。そのときに負担金はどうやって賄われるのか、それについてお伺いさせていただいております。それが発電事業に移るとか、そういうことについてお答えいただけますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 持ち株会社は、東電の子会社になります発電会社等々の全社的な収益をもとに廃炉、賠償、原子力の事業を営むことが想定されておりますので、そうした全社的収益を使って対応していくということでございます。

 また、特別負担金につきましては、機構法に基づきまして、原子力事業者の収支状況等に照らしてこれを決めていくということになっておりますので、そういったことを前提としながら具体的な額が決められていくということでございます。

小池(政)委員 そうすると、分社化された後に再稼働されないとしても、例えば送配電の利益等を持ち株会社が使って、そこから賠償、廃炉等の費用が負担されるという理解でよろしいんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力の新・総合特別事業計画におきましては、ホールディングカンパニー制のもとに発電、送配電、小売の事業を持ちますけれども、廃炉、賠償につきましては全社的リソースを活用して行っていくということでございます。

小池(政)委員 今想定しているスキームとは大分変わってくると思っているんですが、その際に特に気をつけなくてはいけないのは、送配電のところでそれを負担させるといったときに、結局また送配電のコストに乗っけて新しい事業者の制約になったりとか、彼らの負担になったりとかいうことにも非常に気をつけなくてはいけないと思っております。

 また、今は特別負担金の話でありますけれども、そうしたら今度は、東電じゃない別の原子力事業者が負担する一般負担金については、このシステム改革の後はどうなるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般負担金につきましても、原子力損害賠償支援機構法に基づきまして、万一の原子力損害が起こった場合に、相互扶助のもと、原子力事業者が負担する制度となっております。電力システム改革で法的分離が行われた場合におきましても、基本的には原子力発電所を保有する事業者が支払い主体となるということを想定してございます。

小池(政)委員 そうしますと、確認でありますが、今、原子力発電所を保有している事業者が、保有の基数か容量かわかりませんが、それに基づいて配分等を多分決めていると思うんですが、保有数が変われば当然その負担の割合等も変わってくる、そのような理解でいいんでしょうか。これから何十年間続く中でそのこともやはり検討しなくてはいけないと思うんですが、その点はどうでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 負担金の額につきましては、原子力損害賠償支援機構の運営委員会の議決を経まして、その年々の支払い総額を決めた上で、各事業者の分担を毎年決めていくという形になっております。

小池(政)委員 今確認したとおり、毎年決めていくということですから、当然、そのときの発電事業の様子によって変わっていくという理解でいいと思いました。

 その際に、一般負担金については、ほかの発電事業者は、原発をやめればその負担がなくなっていくという理解だと思います。原発の発電事業がなくなれば、生み出す利益というのがなくなってきてしまうわけでございまして、だからそのようなスキームかとは思いますが、果たしてそれで、今予想されているような見積もりであるとか、四十年間、五十年間、それが本当に計画どおりにいくと考えているんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 負担金の金額につきましては、機構法に基づきまして、原子力事業者の収支状況に照らして決めていくという要件が課されてございます。

 具体的な算出につきましては、今御答弁申し上げましたとおり、機構法三十九条によりまして、年度総額に各負担金率を乗じて得た金額を算出する、それについては毎年度、機構の運営委員会の議決を経て決めていくという形でございます。

小池(政)委員 聞いても、収支状況ということをおっしゃっていましたが、原発の保有ということを前提にされているという話もあって、その先の負担割合でありますとか、負担期間とか、それぞれの負担の額でありますとか、そこは全くわからないテンポラリーな状態の中で、果たしてこれから、実際に技術を蓄積してそこでライフワークとして働いていく人たちにとって、本当にそれがエネ庁の長官がおっしゃっておりました夢のあるような会社になり得るのかなというのが、非常に疑問が残るところでございます。

 その点、ちょっと大臣に御意見を伺いたいと思うんです。やはりそこを考えてみますと、結局、今回の計画もやがてシステム改革に合わせて見直す必要が出てくると思いますし、逆にそうしなければ、この先のこと、おっしゃったような前向きな取り組みというのは必ず難しくなるとは思うんですが、どうでしょうか。

茂木国務大臣 先ほどから大変重要な御指摘をいただいておりまして、この電力システム改革を進める三段階目の改革でありまして、発送電分離によりまして送配電部門の独立性そして中立性を確保していくということになりますと、この負担金も含めて、それぞれの発電事業者に対してイコールフッティングでなければいけない、こういう観点からの検討というのが必要だ、そんなふうに思っております。

 同時に、一般負担金につきましては、今後の状況、それは原発の再稼働がどうなっていくか、今後のそういった状況が見えてくる中でさまざまな判断が事業者間でなされる問題だ、このように考えております。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 イコールフッティングは当然だとは思いますが、そもそもやはり、賠償、廃炉等の負担については当初のスキームの理念のごとく汚染者負担で、東電がその点はしっかりと負う、そんなようなことは続けていかなくてはならないとお願いいたさせていただきます。

 時間もやってきてしまいましたので、質問は幾つも余っているんですが、また次の一般質疑に回させていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは東電の廣瀬社長においでいただきまして、福島第一原発構内労働者の皆さんの労働条件の改善、特に危険手当の増額の問題と医療体制の改善強化の問題について御質問いたします。

 最初に、設計上の労務費割り増し分の増額の件ですけれども、先日もお伺いしましたが、その後、どうなっておりますでしょうか。具体的に賃上げの事例というのが生まれているのかどうなのか、この点について、廣瀬社長、お聞かせください。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先日の塩川先生からの御質問に対して、十二月発注分工事以降、今回の労務費増分単価の割り増しというのを始めますということで、現時点で対象の工事が四十八件あって、そのうち二月末までに三件の工事が完了したというふうにお答え申し上げました。

 その三件について、元請さんに、これは口頭ですけれども確認をいたしました。その結果、元請会社さんからは、しかるべき労務費が渡っているということを確認しております。ただ、これはまだ口頭だけですので、この後しっかり確認をして、しかるべき方まで行っているかどうかというのをチェックしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

塩川委員 元請から渡っているという話で、その増額分について元請から下請事業者の方に渡っている、あるいは元請から下請事業者に渡り、さらにはそれが現場の労働者の方の賃上げにつながっている、そこについてはどうでしょう。

廣瀬参考人 現在確認がとれているのは、元請から一次の方にちゃんと渡っているというところでございますが、繰り返しになりますが、ちゃんと下まで行っているかどうかというのは今後確認してまいりたいと思っています。

塩川委員 元請から一次下請のところについては、今言った事例のように増額分が渡っているという確認をされたということですが、これが実際に現場の作業員の方、労働者の方々の賃上げとなって、やはりこういう困難な作業の中で、しっかりとした賃金が上がる環境をつくるというところに引き続き取り組んでいただきたい。現時点では労働者の賃上げ事例の確認はされていないということでもありますので、引き続きこの点での取り組みを強く求めるものであります。

 そういう点でいいますと、これは重層下請のもとですから、発注者の東電が元請に契約上で求めたとしても、それが実際に下請を通じて労働者にどのようにきちんと担保されるのかという点では、必要な点検をしないとわからないということです。

 ただ、元請の中に東電のグループ企業もあるわけですね。そういう点では、関電工ですとか東京エネシスとか東京パワーテクノロジーなど、東電グループ企業の労働者への労務費割り増し分の増額が実際に賃上げとなってあらわれる、これはやはり東電のグループとしてできることじゃないか。だから、東電の本社として、しっかりとグループ企業の労働者の皆さんの賃上げに反映をする、こういう取り組みは直ちに行うことではないかと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

廣瀬参考人 今回の労務費の割り増しについては、東電グループの会社が元請であろうが、どこが元請であろうが、全くそうしたことでの違いはないと思っております。私どもは、とにかく、実際に作業されている末端の労働者の方のところまでに行き渡らせたいというのが我々の思いでございます。

 したがいまして、先生おっしゃったような関電工であるとか東京エネシスであるとかパワーテクノロジーであるとかといった会社が元請だった場合も、そこでしっかり調査をし、そこの会社が元請として一次、二次、三次と行くんだと思いますけれども、そこについてもしっかりチェックをしていきたいというふうに思っているところでございます。

塩川委員 現場の労働者の方のお話を伺うと、やはり期待はあるわけですよ。それが現実には賃上げという形であらわれておりませんので、そういう点で、落胆とか不満の声になっているというのが実態であります。そういう中で、例えば、プラントメーカーの系列の下請の労働者の方においては、この先上がるようだという話が聞こえてきたりとか、一方で、東京エネシスとかパワーテクノロジーの方は、どうも上がるような話が聞こえてこない、こんなことも現場ではうわさとして出ているそうです。

 そういう点で、こんなことであっては東電そのもののまさに親企業としての責任の問題も問われますから、これはしっかりと賃上げに反映するという取り組みをぜひ強めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

廣瀬参考人 もとより、うちの関係企業だけしっかりやればいいというものではもちろんないですけれども、率先垂範して、そうした会社がちゃんと私ども発注者の意図に沿ってしっかりとした賃金を渡していくということは必要だともちろん思っております。

 なお、前回お答えしたときにも申しましたが、今、各元請会社さんから、賃金がちゃんと渡っているかどうかをチェックする仕組みを伺っています。したがって、必ずしも全部の会社が同じようにやる必要はないと思っておりますし、工事の重層構造の状況にもよると思いますので、それぞれの会社さんがこうしたやり方でそれをしっかり担保する、確認するということを今ヒアリングしております。

 その過程で、我々もむしろしっかり突っ込むところは突っ込んで、こういうやり方だとここは残ってしまいますよねとか、こうやるとここはどうやって担保するんでしょうかということを今ヒアリングさせていただいているところですので、それぞれの会社さんがこういうふうにちゃんとやりますというのを今伺っていますので、まさに、それをはっきりさせた上で、それにのっとってちゃんとやっていないじゃないですかということがもしあれば、そのとおりにそれを確認していくということをこれから、これはグループ会社も、当社と直接関係のない一般の元請さんも同じようにやってまいりたいというふうに思っているところでございます。

塩川委員 具体的に賃上げに反映するような確認の取り組みをぜひ具体化いただきたいと思うんです。

 本来やはり、十二月以降、危険手当の増額という方向を打ち出したわけですから、それが実感できるような取り組みこそ必要であって、そういう点でも、私がこの間申し上げているように、一つは仕組みとして、重層下請のもとでなかなか末端まで行く際に確実にできるかどうかわからないということであれば、外出しでしっかりと支給する仕組み。それを作業環境の種類に応じて、この点について東電では装備に着目してやっていたわけですから、そういった形で、金額を一定示した上で外出しで支給するということが確実にそれぞれの労働者の方の賃上げにつながる、こういう取り組みこそ行うべきことではないのかということ。

 新規契約以降の話となりますと、現在、契約が継続しているような方には賃上げが及ばないという形になりますので、そういう点でも、私は、外出しという仕組みで、十二月以降にそれぞれの元請やそれぞれの下請に支給される、そういう取り組みこそ職場の士気を高めていく、こういうものにつながるということを改めて申し上げておくものであります。

 その上で、構内作業での死亡事故を踏まえた安全対策の問題であります。

 最初に、三・一一の事故後における一F構内作業での死亡事故例が何例あるのか、このことについてお聞かせください。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 三年一カ月前の三月十一日の私どもの発電所の事故以降、津波が来た当日に、三年前の三月十一日ですが、私どもの社員が二名、津波に巻き込まれて亡くなっております。それ以降は、先月の三月二十八日、はつり作業をしているときにお亡くなりになった方の死亡事例が初めての事例でございます。

塩川委員 そういう点でも、この三月二十八日の作業員の方の死亡災害を二度と繰り返さない、どう教訓としていくのか、対応策をしっかりととっていくということが求められているわけであります。

 この災害の概要をお聞きしますと、いわば、地上から掘り出した、そこの穴の中に入って、腰を落として斜め上で削岩をする、こういう環境での作業で、上からコンクリートが落ちてくる、土砂も落ちてくる、それに埋められるような格好で亡くなられた。

 そういった点でいいますと、そもそも作業環境として適切だったのかということも問われるわけです。ですから、座って斜め上で削れば、上から落ちてくる可能性というのは高いわけですから、そういった点でのしっかりとした作業環境の安全確保策がとれていたのか、こういうことがまさに問われるわけですけれども、そういうことについての実態の検証ですとか今後の対応策については今どのようにお考えですか。

    〔委員長退席、江田(康)委員長代理着席〕

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 三月二十八日の事故につきましては、先生御指摘のとおり、空の入れ物を置いておく倉庫の、地震等々が起きていますので、そこの基礎をしっかり確認しようということで、基礎のくいを確認するために工事を行っております。亡くなられた方は、ならしコンクリートと呼ぶんだそうですが、土の地面の上ですとでこぼこしていますので、それを一旦平らにして、そこの上に場所を決めるような絵を描いたりする、本当にそのための、本当に簡単に平らにするためだけのコンクリートがそこに挟まっておって、それをはつるというんでしょうか、少しずつ落としていくということの作業のところで、おっしゃったような事故が起こったということでございます。

 当然、関係の御当局が今原因を調査しているところでございますので、もちろんそれをしっかり踏まえて、私どもは今、その調査に対して全面的に協力させていただいておりますし、それがまずやるべきことだと思っていますが、それを踏まえて、事故原因をしっかり把握し、それに対してしっかりとした再発防止策をとっていきたいというふうに考えております。

塩川委員 その概要の図でも出ていましたけれども、実際には、ならしコンクリートがあって、その上に土もあったわけですけれども、空隙があったということでありますと、実際、ならしコンクリートの削ろうとしていた部分が下がっていた、既に落ちていたんじゃないのかということも考えられるわけです。そういった点でも、作業環境がどうだったのか、作業手法がどうだったのかということについて、本当に事故を繰り返さないという立場からの検証をしっかり行って、二度と繰り返さないという点での取り組みを強く求めるものであります。

 そもそも、事故を起こさない、そういう点での取り組みが重要であるわけで、発注者の東電として、元請に対してもしっかりとしたこういった作業安全の確保策を図っていく、こういう取り組みの具体化というのを改めて求めたいと思います。

 同時に、こういった重大な労災事故が起こったときの救急医療体制の整備強化が必要であります。現場では、やはり不安の声が広がっているわけです。もし自分も事故に遭ったときに本当に大丈夫なのかという声があるわけです。そういう点で、今、一Fの構内においての医療体制がどんなふうになっているのかについて、わかるところで御説明いただけますか。

廣瀬参考人 一Fには緊急医療の設備を持った施設がございまして、そこに緊急医師、救命士さん、それからいわゆる看護師さん、それと事務の方、四名に二十四時間体制で当たっていただいております。したがって、今回の事故もそうした方々の手をかりて事故対応に当たったわけでございますけれども、私どもの緊急体制としてはそういうことになっております。

塩川委員 二十四時間三百六十五日対応、土日も皆さんは働いておられるわけです。そういったときに、実際に東電として医師を確保している数というのは、二十四時間三百六十五日に対応するものになっているんでしょうか。

廣瀬参考人 二十名程度の方に登録をいただいて、当然、ローテーションをしていただきます。そのうちの一名は固定的な方でいらっしゃいます。

塩川委員 厚生労働省にお聞きしましたら、今言ったように、固定して東電として確保している方は一名で、あとは医師の派遣だと。労災病院や救急医学会からの派遣の医師で対応しているということであります。

 私、この点、医師派遣というのは、やはりそれぞれの医療機関が大変な努力をして派遣をしているわけですね。全国的に医師不足も問題となって、特に救急関係は大変ですから。そういったときに、東電として、しっかりとした医師を二十四時間三百六十五日体制で強化していく、医師そのものをさらにふやしていく、このことが必要じゃないかと思うんですが、この点はいかがですか。

    〔江田(康)委員長代理退席、委員長着席〕

廣瀬参考人 御指摘の点、私どもも考えておるところでございます。

 今、一名の方は固定させていただいておりますけれども、この方をふやすべく、今お願いを始めているところでございます。

塩川委員 公立病院の運営というのは、医師を確保するかどうかというのが経営上の一番の問題です。そういったときに、首長さんの一番の仕事が医師を確保することというぐらい医師確保が大変な状況という点でいえば、私は、東電で三千人、四千人の方々が働いている、こういう環境の中で、あってはならないような労災事故があった場合にもしっかりと対応できる、そういう医療体制の確保ということは、やはり東電の社長としてしっかりとこれに取り組む必要がある。

 実際に、二名、三名とふやすという具体的な話というのは進んでいるんでしょうか。

廣瀬参考人 まだ現時点では一名の方が固定しておるところでございますので、このあとの方をふやすようにお願いを申し上げているところでございます。

塩川委員 ぜひ、この点が本当にしっかりとした安全確保の対策を進める上でも大きな根幹的な部分であります。この取り組みの具体化を求めるのと同時に、あわせて、ドクターヘリにおける救急搬送の問題があります。

 お聞きしたところでは、もともと事故後はああいう高放射線量下でしたから具体の話がありませんでしたけれども、ちょっと前に二Fのところにドクターヘリのランデブーポイントを設ける。今は二キロ先ぐらいの双葉町の海岸のところにそういう場所を設置したということですけれども、もともと事故前は構内にドクターヘリのランデブーポイントもあったということです。そういった点で、改めて構内に確保するような取り組みが必要なんじゃないのか。

 あわせて、その際に、ドクターヘリは実際には県が民間の航空会社に委託をする形です。航空会社としての民間の判断もあって、そういった放射線量が高いような環境に飛んでくるという問題についての配慮も必要なわけで、私はやはり一歩踏み込んで、ドクターヘリの運用についても東電としてしっかりとした資金を提供するとかいうことを含めて、確保するということまで踏み込まないと、本当の意味で救急搬送体制は確立できないんじゃないのかと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、委託を受けていらっしゃるのは福島県立医大ですし、ヘリコプターの運航は中日本航空。この両者が判断をされていらっしゃるんですけれども、東京電力のためだけに使うヘリコプターではございませんので、一般の方々も普通の場合はお使いになるということで、ヘリコプターが汚染されてはいけないということも当然考えなければいけませんし、そこで働いていらっしゃる救命の関係の方々も、被曝のおそれがあるということから、今現状ではそうなっております。

 したがいまして、やはり問題は、福島第一の構内をなるべく早く除染して、そうしたヘリコプター会社、あるいは医療関係者の方々の御判断によって、ここならおりても大丈夫だという状態にしていきませんと、まずはそこが一番大事なところかなというふうに思っておりますので、今後も、除染を今我々は鋭意進めておりますので、そうした状況を見ながらまた御相談をしていくということになろうと思っています。

塩川委員 除染と同時に、東電がやはりドクターヘリの運航に積極的に関与して保障していく、こういう取り組みをぜひ求めたい。

 そういう点で、最後に大臣に一言、この構内労働者の作業環境の改善というところでの取り組みに万全を期していただきたい。その点についてのお答えをいただきたいと思います。

茂木国務大臣 きょうは、ダブルヘッダーで本当にお疲れさまでございます。

 九回の裏、ツーアウト、最後のバッター、最後の投球ということになるかもしれませんが、先日来、塩川委員から、作業環境の改善につきましてさまざまな御提案もいただいております。

 きょういただきました医療環境、この改善も含めて、現場で作業に当たる方々が安心して安全に働ける環境をつくっていく、このことを東電に強く求めたいと思います。

塩川委員 終わります。

     ――――◇―――――

富田委員長 次に、内閣提出、参議院送付、特許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。茂木経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 特許法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木国務大臣 特許法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 産業競争力の源泉となる、すぐれた技術や商品を生み出すイノベーションを促進するためには、特許、実用新案、意匠、商標の各分野での新たな知的財産戦略の推進が極めて重要であります。このため、災害時等における対応や既に成立した特許権の早期の安定化など、一層の国際調和を図ると同時に、地域の経済や雇用を支える中小企業、小規模事業者にとってもさらに使いやすい知的財産制度とすることが必要であります。

 以上が、本法律案を提案した理由であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、特許法の改正については、国際的な法制度に倣い、出願人に災害等のやむを得ない事由が生じた場合には手続期間の延長を可能とする等、手続面での救済措置の拡充を行います。また、特許権の早期安定化を可能とするべく、特許異議の申し立て制度を創設いたします。

 第二に、意匠法の改正については、意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づき、複数国に対して意匠を一括出願するための規定を整備し、意匠の国際出願に関するコストの低減を図ります。

 第三に、商標法の改正については、他国では既に広く保護対象となっている色彩や音といった商標を我が国商標法の保護対象に追加します。また、地域ブランドのさらなる普及、展開を図るため、商工会、商工会議所及び特定非営利活動法人を地域団体商標の登録主体に追加いたします。

 第四に、弁理士法の改正については、知的財産に関する専門家としての弁理士の使命を弁理士法上に明確に位置づけるとともに、出願以前のアイデア段階での発明に関する相談業務ができる旨の明確化を初めとした弁理士の業務の拡充を行います。

 これらに加え、特許の国際出願に関する手数料を一括で納付するための規定の整備等、所要の規定を整備します。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十八日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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