衆議院

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第13号 平成26年4月25日(金曜日)

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平成二十六年四月二十五日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    池田 道孝君

      石崎  徹君    小田原 潔君

      越智 隆雄君    大岡 敏孝君

      大見  正君    勝俣 孝明君

      金子 恵美君    神山 佐市君

      神田 憲次君    工藤 彰三君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      菅原 一秀君    助田 重義君

      瀬戸 隆一君    田中 良生君

      高木 宏壽君    武村 展英君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      中山 展宏君    根本 幸典君

      福田 達夫君    細田 健一君

      前田 一男君    三ッ林裕巳君

      宮崎 謙介君    八木 哲也君

      山田 美樹君    枝野 幸男君

      岸本 周平君    近藤 洋介君

      辻元 清美君    伊東 信久君

      木下 智彦君    丸山 穂高君

      國重  徹君    三谷 英弘君

      小池 政就君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  二宮 清治君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房原子力災害対策担当室長)     黒木 慶英君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山本 哲也君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   参考人

   (株式会社日本政策投資銀行常務執行役員)     長尾 尚人君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     池田 道孝君

  石崎  徹君     秋本 真利君

  越智 隆雄君     前田 一男君

  福田 達夫君     神田 憲次君

  宮崎 謙介君     金子 恵美君

  宮崎 政久君     瀬戸 隆一君

  八木 哲也君     工藤 彰三君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     大岡 敏孝君

  池田 道孝君     神山 佐市君

  金子 恵美君     高木 宏壽君

  神田 憲次君     福田 達夫君

  工藤 彰三君     八木 哲也君

  瀬戸 隆一君     助田 重義君

  前田 一男君     越智 隆雄君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     石崎  徹君

  神山 佐市君     穴見 陽一君

  助田 重義君     三ッ林裕巳君

  高木 宏壽君     中山 展宏君

同日

 辞任         補欠選任

  中山 展宏君     宮崎 謙介君

  三ッ林裕巳君     小田原 潔君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     宮崎 政久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電気事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として株式会社日本政策投資銀行常務執行役員長尾尚人君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣参事官二宮清治君、内閣府大臣官房原子力災害対策担当室長黒木慶英君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君、原子力規制庁長官官房審議官山本哲也君及び原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻清人君。

辻委員 おはようございます。自民党の辻でございます。

 本日、トップバッターに立たせていただきます。久々の登壇です。委員長、理事、皆様、本当にありがとうございます。

 このたびの電気事業法改正案、昨年来の一連の自由化の改正案の第二段階目でございます。今回、経済産業委員会は重要法案がメジロ押しでございますが、特にこの法案は、私、重要性を認識しておりますので、十分な時間もありますので、頑張っていろいろと質問をさせていただきたいと思います。

 ちなみに、私の地元は東京の都心の台東区、文京区、中央区でございますが、日本初の発電所ができたのも私の地元の茅場町でございます。今の、東京証券取引所の近くに、東京電力の前身でございます東京電燈という会社が日本初の直流発電所をつくって、またその後に、電力需要が高まってもう一つ大規模な発電所をつくらなければという段に当たってつくったのが、私が今住んでいる浅草の浅草発電所ということでございまして、デンキブランなど当時できたカクテルもございます。非常に強烈なカクテルでございますが、大臣もぜひ御賞味いただければと思います。そういったえにしもかみしめながら、きょうは質問をさせていただければと思います。

 さて、最初の質問でございます。今回の電力システム改革、昨年来の一連の改革の第二段階目でございますが、このたびの小売の全面自由化、その意義と経済効果はどのようなものが想定されるかを大臣にお答え願えればと思います。

茂木国務大臣 先生の御地元のデンキブラン、私も何度も浅草のお店で飲んだことがございます。御地元は発電の最初の地ということでありまして、質問通告も早目に出していただけると大変ありがたい、こんなふうに思っております。

 小売参入の全面自由化は、電気の小売に関する供給区域や地域独占を撤廃するものでありまして、これによりまして、既存の電力会社同士の競争や異業種からの新たな事業者の参入を拡大することが期待をされます。

 具体的に申し上げますと、これまで一般電気事業者が独占的に電気を供給していた約七・五兆円の電力市場が開放されるわけであります。全国で八千四百二十万の家庭であったり小規模な商店等が潜在的な顧客になるということでありまして、企業にとって大きなビジネスチャンスが生まれてくるものと考えております。

 加えて、今回の改革を契機として、再生可能エネルギーであったりとか分散型エネルギーへの新たな投資が行われる、そして電気の地産地消によります新しいエネルギービジネス、さらにはスマートメーター等の関連の投資、そしてまた機材の開発等も進んでまいると考えております。

 さらに、全体で十六兆円の電力市場にこれまでにない変革というものがもたらされることによりまして、例えば、次世代の自動車、そして省エネ家電の普及、こういったかかわりのある分野におきまして、自動車メーカーみずからがその電気自動車に対して電気の供給を行うとか、オフピーク時に家電を動かすシステムを家電メーカーが導入する、こういったこれまでにないようなビジネスが生まれてくることも想定をされると考えております。

 このように、小売全面自由化により新規参入そして新たなサービスの提供の機会が拡大することによりまして、電力業界にとどまらない業種横断的な経済効果が生じてくるものだと考えております。

辻委員 ありがとうございます。

 力強いお言葉をいただきました。あと、質問通告に関しては、私の不徳のいたすところです。済みません。次回、地元にお越しの際は、すきやばし次郎は無理かもしれませんが、デンキブランをぜひ一緒に飲みたいと思います。

 まさに大臣がおっしゃったように、今のところ市場は大口需要家を中心に実は六割自由化をされている中で、今回は、その残りの四割ということで、小口需要家、そして家庭向けの電気ということで、私は非常に重要な局面を迎えていると思います。

 そこで、二問目の質問に入らせていただきますが、今回の新規参入者。

 一般の消費者、例えば私の地元の方々と一緒に今回の法改正についていろいろと話をしていますと、一般の方からすれば、全面自由化ということは、新しくさまざまな新規参入者が入ってきて、その中でどんどん価格が下がってメニューも豊富になるということを期待している方も多いんですが、今回、具体的に名乗りを上げている業者、業種や、参入の確実性、規模感はどの程度のものを想定されているのか、お答え願えればと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 新規参入がどのぐらいあるのかということでございますが、御案内のとおり、既に自由化が一部行われております。特別高圧、高圧分野でございますが、近年、再生可能エネルギー関連の事業者を中心にいわゆる新電力の数が増加しており、現在二百社が届け出を行っております。それから、これらの事業者のうち、実際に新電力といたしまして小売の供給を行っているのは約四十社ございまして、ガスや石油など他のエネルギー業種の企業であるとか、あるいは総合商社であるとか、エネルギー関連サービスを提供している企業など、多岐にわたっているわけでございます。

 そして、こうした事業者は既に電力市場に参入しているわけでございますが、小売全面自由化ということの実現を見据えまして、家庭向けの電気の小売業への参入に向けた動きが始まっております。例えば、東京ガスにおかれましては、家庭向け小売の可能性を最大限追求すると表明しておられます。JX日鉱日石の場合も、家庭向けの電力小売に参入する方向で検討する。あるいはソフトバンクが、全面自由化されれば家庭向けに販売することも視野に入れたい。こういったところが表明されたり、さまざまマスコミ等によって報道されているわけでございます。

 これがどのぐらいの規模になるのかというところにつきましては、時間の経過とともに自由化というものが進んでくるものでございまして、なかなか規模感をお示しするのは現時点では簡単ではございませんけれども、既存の電力会社が他のエリアの需要家に供給をするといった電力会社間の競争、あるいは、今申し上げました通信あるいは自動車など別の消費者サービスを提供している事業者の参入、こういった多様な事業展開というものが行われるわけでございまして、家庭向けの小売参入というものも確実に進むのではないかと期待をしているところでございます。

辻委員 ありがとうございます。

 それに絡めての次の質問なんですけれども、確かに新規参入事業者がこれからどういったタイミングで、どのくらいの規模というのはなかなかつかみにくい部分だとは思います。今回の改正で、次の三段階目で料金の全面自由化を目指すわけでございますけれども、その中で、実際に競争が進展していることを確認するまでの間、経過措置として料金規制を継続するということに現在なっていると思いますが、競争が進展しているという具体的な判断基準というのはあるのでしょうか。

 例えば、新規参入者へのスイッチ率ですとかシェア拡大等の数値目標などがなければ、なかなか料金規制の撤廃まで至らないのではないかという懸念があるんですが、この点についてお答え願います。

田中大臣政務官 料金規制に係る問いでありますが、委員御案内のとおり、今回の法案においては、小売事業への参入を全面自由化した後も、当分の間、現在の一般電気事業者に対しましては供給義務ですとか料金規制を課すこととなっております。

 この理由は、電力は他の財による代替が困難であります。今、全ての地域は一般電気事業者の供給区域となって、一定の料金水準で電力が供給されることを前提に国民生活も成り立っているということであります。既に自由化された大口需要の部分においても、競争が十分に生じているということは言いがたい状況に今あります。競争環境の整備、進展がなければ、これまでの地域独占のもとで供給を行ってきた既存事業者が価格決定権を握ることとなる、そういうおそれもあるということであります。海外においては、自由化と同時に料金規制を徹底したことにより料金値上げを招いた、こういう事例もあります。こうした点を勘案しながら、既存事業者による規制なき独占から需要家を保護することがやはり必要と考え、措置することとしたものであります。

 このために、経過措置の解除に当たっては、市場の実態等について慎重な判断が必要であると考えます。まず、新規参入の状況ですとか、既存事業者間の競争の状況、また規制料金ではなく自由料金を選択している需要家の割合、スマートメーターの普及状況、また卸電力市場の活用状況、こうしたものを総合的に勘案して、その撤廃時期を慎重に検討していきたいと考えております。

辻委員 政務官、ありがとうございます。

 確かに、今回の全面自由化に際しましても、安定供給を確保するのと同時に自由化を進展させなければいけない、そしてメニューもふやさなければいけないという、そこら辺のバランスに対しての配慮というのが非常に重要だと思います。

 また、それに絡めてですけれども、私の次の質問、卸電力市場に関してでございます。

 現在、卸電力市場での取引量は、日本においては全電力販売量の一%にすぎません。ただ、卸電力市場が活性化をすることによって新規参入事業者も安価に電気を調達できるということが、例えばヨーロッパにおいては卸市場の活性化がその地域、国々の電力供給に不可欠な要素となっております。

 今、日本の卸電力市場での取引量が少ないのはなぜでしょうか。そして、この市場活性化のために必要な具体的な対策等々はあるのでございましょうか。お答え願います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今、日本の卸電力市場での取引量は、全電力販売量の一%程度にとどまっているということでございます。

 この要因といたしましては、これまで、垂直一貫体制による地域独占、それから総括原価方式により投資回収を保証する電気事業制度のもとで、地域の需要に応じてみずから供給力を確保するという仕組みが中心でございまして、電源の大半を保有いたします一般電気事業者が卸電力市場の活用に余り熱心でなかったということが大きいと考えてございます。

 卸電力市場の活性化というのは大変重要な課題でございまして、これにつきましては、昨年の三月より一般電気事業者が余剰電力を卸電力市場へ売電する取り組みを開始しておりまして、その状況のモニタリングをしております。その結果、売りの入札量は前年と比較して約五倍程度、それから約定量は一・五倍程度にそれぞれ拡大をしてございます。

 また、今回の法案では卸電力の規制を撤廃することとしておりまして、これに加えまして、卸電力市場の活性化に向けまして、卸電気事業者と一般電気事業者の既存契約の見直しというのも取り組んでございます。

 私どもとしては、こういった取り組みのモニタリングを厳格に実施しまして、卸電力取引の活性化に努めてまいりたいと考えております。

辻委員 ありがとうございます。

 それに付随してちょっと質問させていただきたいんですが、例えば、卸電力市場でのそういったモニタリング等々も含めての効果がない場合、これは海外ではやられていることなんですけれども、強制的に卸市場で一般電気事業者に電気を売ってくれ、そういった措置をとることなどは検討されているんでしょうか。

 極端な例としては、例えば、私が長年住んでいたアメリカにテキサス州という州がございまして、ここでは発電所を既存の電気事業者が売却することを強制的にさせたり、これはちょっと極端だと思うんですけれども、そういった事例も自由化を促すためにあるということも踏まえて、そういった強制的な何らかの措置は検討しているのでしょうか、お答え願います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 まずは、今、一般電気事業者の自主的な取り組みのモニタリングということでございますが、その後、そのほかにも、スマートメーターの導入促進とか、あるいは電力会社の切りかえ、スイッチングのための情報提供といった取り組みを強化してまいりたいと思いますし、第三段階として法的分離による送配電の一層の中立化ということも進めていきたいと思っております。

 ただ、こうした取り組みを進める中で、今後、実質的な競争の実現を図っていこうと思っておりますが、そういうことが見込まれないような場合におきましては、制度的な措置を伴う卸市場活性化策というものも検討したいと考えてございます。

辻委員 ありがとうございます。

 これは本当に安定供給が必要な公共財でございますので、非常に難しいところだとは思うんですが、例えば、一九八五年に旧電電公社が民営化を実施した翌年には長距離通話の三割を新規参入事業者が占めていたというような、旧郵政省のときの例もございますので、そこら辺のバランスというのは本当に慎重かつ大胆にお願いをできればと思います。

 次は、料金に関してですけれども、既存の料金規制は、総括原価方式で、重要なインフラなので赤字が出ないように、一方で不当に値段をつり上げないような形で一般電気事業者には料金規制が課されているのですが、コストカット、例えば効率性が高まって安く電気を供給する際には、上げるときには許認可制ですが、下げる場合は届け出制で済むということです。

 例えば、今後、新規参入事業者がふえて、これは経済的に、ファンダメンタル的には当然のことなのかもしれませんが、入ってくる新しい業者の参入障壁になるような不当な安い値段でダンピングを一般の既存事業者がすることなどに関しては、何らかの措置などは考えているのでしょうか、お答え願います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一般電気事業者につきましては、小売参入の全面自由化後も経過措置料金が残ります。これについての不当な値下げを行う場合につきましては、ほぼ全ての需要家が料金値下げになりますので、経営的には収支が悪化しますので、そういうものは現実には想定しがたいと思っております。

 ただ一方で、一般電気事業者の自由料金につきまして新規参入者を排除するような不当な値下げというようなものが行われた場合、あるいは、それにより寡占化が進み小売料金の不当な引き上げが行われるような場合、こういったものにつきましては、一般的なルールであります独占禁止法による取り締まりに加えまして、これが電気事業の健全な発達に支障が生ずるおそれがあると認められる場合におきましては、経済産業大臣が業務改善命令を発動することが可能となっております。

辻委員 ありがとうございます。

 時間も結構迫っていますので、何問か飛ばして進みたいと思います。

 次に、送配電部門についての質問でございます。

 今後の小売の全面自由化の後も、その後の発送電分離の後も、送配電部門については地理的な要因もあって従来の地域独占が残存すると思うんです。今後、送配電部門における託送料等々、この部門の新たな仕組みづくり、送配電料金の見直し等を検討することというのは私は非常に重要なことだと思うのですが、この点に関して、何かそういった措置を今後できる広域系統機関等々も含めて検討しているのかどうか、お答えを願います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、いわゆる小売の自由化を中心とした法案でございますが、送配電部門につきましては、引き続き地域独占というのを認め、料金認可制度をとっているということでございます。

 送配電部門というのは非常に自然独占性が強い分野でございまして、発電あるいは小売で新規参入した人が、では自分で送電線を引く、そして電気事業を行うということはなかなか現実的ではないと考えております。

 したがいまして、送配電部門につきましては地域独占を認めます。そのかわりに、全ての発電事業者や小売事業者に公平に、かつ適切な料金で送配電網を利用させる義務を課すということにしているわけでございます。他方で、送配電の投資というのが非常に重要でございますので、送配電の投資回収ということを保証するということで、総括原価方式による料金規制ということを維持し、それを実施していこうということでございます。

 他方、先生御指摘のとおり、独占ということでありますので、コスト低減のインセンティブが働きにくいということでございまして、法律上は、託送料金の値上げにつきましては経産大臣の認可制とするということにしておりまして、この中で厳正な査定を可能にしておりますし、値下げにつきましては届け出制ということにいたしまして、これによりまして一般送配電事業者に対しまして経営効率化のインセンティブを付与することとしているところでございます。

 ただ、値下げは届け出制でございますので、十分な値下げが行われないんじゃないかというような懸念もあるわけでございますけれども、こうしたことを避けるために、私ども、送配電部門の収入とコストを行政が定期的にチェックいたしまして、必要な場合には変更命令を出せる仕組みを導入しております。こうした新たな託送料金の仕組みづくりを具体化してまいりまして、託送料金の値下げということがしっかり行われるよう監視をするということでございます。

 御案内のとおり、さらに今後、第三弾の法的分離の方式による中立性の確保ということも想定しているところでございまして、こうした取り組みを通じて、送配電部門についても、自由化に対応した新たな仕組みに移行するということを検討してまいりたいと考えております。

辻委員 ありがとうございます。

 小売が全面自由化をしたとしても、こういった送配電、いわゆるネットワークの部分のインフラ整備というのは非常に重要でございますので、これは頑張って、しっかりと行っていただきたいと思います。

 次に、これは自由化が進んだ後の、一般消費者側からの目線での質問なんですけれども、私も、アメリカのニューヨークですとか、自由化がある程度進んだ地域に住んでいた経験上、新しく引っ越したにせよ、どの電気会社を使おうかということで、例えばインターネットで電力会社の比較サイトみたいなのがあって、そこにおいて、いろいろな電力会社の、携帯電話を変更するときのような、サービスを自分で選ばなければいけないというような局面も想定できるんです。

 今の段階で一般家庭の方々は、ほぼ全員が、東京だったら東電の管轄内ですので東電から電気を供給してもらっているんですが、新たに新規参入の方々が入ってきて、よりお得なシステムに乗りかえようかというときに、今まで東電側としてはそういったサービスを行ったことがないので、実際にスイッチするときに、かなり混乱が予想されるのではないかと思うんです。

 そういったカスタマーサービスセンター等々、しっかりと人員も確保して、例えば私が東電ではなくてほかの業者にスイッチしたいというときに、しっかりと電話で対応して、すぐに、何月何日から切りかえられますねと、そういったアフターフォローも含めてのバックアップというのがないと、最終的に混乱して、なかなかスイッチできない、全面自由化なんてするんじゃなかったというふうな、間違った方向での当てつけにもとられかねないので、そこら辺を含めて、何かそういった措置というか、対応策というのは検討しているんでしょうか。お答え願います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、小売電気事業者を需要家が自由に選ぶということが小売全面自由化の最も重要な政策目的でございます。

 今回の法案におきましては、小売電気事業者が登録を申請する際に、事業を適正かつ確実に遂行する体制の整備について書類の提出を求めることとしておりまして、その際、消費者へのサービスに関する業務体制についても確認を行える仕組みとしてございます。

 また、法案におきましては、小売電気事業者に対しまして、消費者への契約条件の説明義務、それから苦情や問い合わせへの対応義務を課しておりまして、消費者が契約締結時に料金プラン等について必要な情報を得ることができるように、あるいは需要家のニーズに応じて必要なアフターサービスを選択することができる仕組みとしてございます。

 仮に、こういう義務を果たさない事業者がいる場合には、必要な改善措置を命ずるということになろうかと思います。

辻委員 ありがとうございます。

 この点は、一般家庭の需要家にとっては非常に重要な部分なので、重ねてこれはしっかりと対応していただければと思います。

 余談ですけれども、私がアメリカにいるころに契約をしていた電気会社の料金というのは格安でございまして、ただ一方で、一年未満の契約にはかなりの額の違約金がございました。あと一年ぐらいいるから大丈夫だろうと思って切りかえたら、そろそろ選挙があるんじゃないかということで急遽帰国することになりまして、泣く泣く違約金を払って日本に帰国した思い出があります。

 確かに、携帯電話とかほかのサービス等々を含めて、ユーザー側にそういった選択肢があるということは、私は非常に重要なことだと思います。さまざまなライフスタイルを送っている中で、そういったさまざまなメニューを提供する中で、ある程度自分で主体的に選択をして、責任を持って選ぶということは非常に重要なことだと思います。

 もう時間も残り少なくなってきていますが、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 実際、電力の小売が全面自由化されたら、ほかの自由化が進んでいる諸外国においてはそうなんですけれども、外国資本が日本に小売のセクターで入ってくることが想定されると思うんです。先ほどからお話が出ているとおり、これは商品であると同時に重要な国民生活の根幹をつかさどるインフラですので、このことから安全保障上の問題を惹起しないのかという懸念がございます。

 例えば、二〇〇八年の例ですけれども、英国のヘッジファンドが外為法に基づいて行ったJパワーの買収の事前通告に対して中止勧告が出されたりしています。今後も、それこそ日本のインフラの根幹を危ぶませるような投資案件に関しては、外為法によって規制されるのか、それともほかの措置等々、これで十分なのかどうかも含めてお答え願えればと思います。

茂木国務大臣 確かに、委員御指摘のように、平成二十年に、海外の投資ファンドの投資案件につきまして、公の秩序の維持を妨げるおそれがあると認められたため、外為法に基づきます中止命令、これを行った事例がございます。

 電気事業への外資の参入につきましては、従来から、外為法に基づきまして、公の秩序の維持を妨げるおそれがないか、すなわち、我が国の電気の安定供給の確保、まさに委員おっしゃるように国の基幹となるインフラでありますから、この確保に支障を生ずるおそれがないかといった観点から個別に審査を行っていくことになります。

 もちろん、小売の全面自由化を実施した後においても、引き続き、我が国の電気の安定供給の確保等の観点に問題がないと認められる限り、再生可能エネルギーなどのさまざまな発電事業や小売電気事業に多様な事業者の参入を認める方向で対応してまいりたいと考えております。

 ただし、一般論として申し上げますと、我が国の例えば原子力事業者であったりとか一般送配電事業者に対する外資の参入申請があった場合には、公の秩序の維持の観点から慎重な検討を行う必要がある、このように考えております。

辻委員 ありがとうございます。本当に大臣のおっしゃるとおりだと思います。

 今後、それこそ排他的にならずに、一方で国の根幹をつかさどる重要なインフラを守っていくということで、うまく国際的に日本の経済市場を活性化する一助になればと思っております。

 そろそろ質問を終わらせていただきますけれども、昨年、第一段階の法案が無事に通過しまして、これが第二段階でございます。まだ次に最終的な発送電分離も含めた第三段階が待ち受けているわけですが、これは、東日本大震災を経験した今の日本に鑑みて非常に重要な改革だと私は思っております。これが滞りなく第三段階まで行き着いて、そして、これから日本の経済が活性化する起爆剤とまでは言いませんけれども、日本の企業が、日本の需要家が、しっかりと国際競争力を持って海外と対抗し得るような電力体系を構築する。私はこれは非常に重要な法案だと思います。

 今月制定されたエネルギー基本計画におけるベースロード電源、この電源のしっかりとした確保も含めて、茂木大臣を含めて皆様の今後の御尽力を心からお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

富田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 本日は、電気事業法等の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今回の改正法案は、電力システム改革の第二段階として、電気の小売業参入の全面自由化を実施するために必要な措置を講じるものとなっております。第一段階の改正は広域的運営推進機関の設立で、これについては昨年の十一月に成立した電気事業法等の一部を改正する法律で既に定められております。

 そこで、まずお伺いいたします。

 この広域的運営推進機関は平成二十七年度をめどに設立するとなっておりますけれども、現状はどうなっているのか、これについてお伺いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年成立いたしました第一弾の電気事業法改正を踏まえまして、現在、広域的運営推進機関の設立準備を進めているところでございます。

 具体的には、総合資源エネルギー調査会のもとに設置されました専門家によるワーキンググループにおきまして、その詳細設計のあり方について検討しております。例えば、その運営に関する組織構成、それから東西の周波数を変換する設備、あるいは地域間連系線などの広域的な送電インフラの整備、そのためのルールづくりなど、その設立に向けて整理が必要となる課題につきまして、学識経験者の方々にも参加いただきまして議論を進めてございます。

 また、広域的運営推進機関は、電気事業者が発起人となりまして設立の認可申請を国にするという仕組みになっておりまして、その設立に向けまして、本年一月には、電力会社、それから新電力、再生可能エネルギー事業者などの事業者から成ります設立準備組織が発足をしております。法律の趣旨を踏まえまして、専門家を交えた議論をしながら設立の準備を進めているというふうに承知しております。

國重委員 それでは、広域的運営推進機関が設立されて、地域間で電源をシェアして全体の経済性を高めるという広域メリットオーダー、これによってどれだけの経済効果が出ると見込まれているのか、お伺いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもで行った試算でございますけれども、広域メリットオーダーが実現した場合のコスト削減効果として約一千百億円、これは連系線の制約を前提とした試算でございまして、さらにこの連系線の制約が全く解消したという前提で計算いたしますと、追加効果として六百億円、合計千七百億円の効果があるというふうに試算をしてございます。

國重委員 今、一千百億円、一千七百億円の経済効果があるということでした。

 それでは、この広域メリットオーダーを実効あらしめるために、東日本と西日本の周波数の変換を伴う東西連系線の送電容量の限界、地域間の連系線の送電容量の限界など、克服しなければならない幾つかの課題があると思いますけれども、これらについてのこれまでの政府の取り組み、また今後の政府の取り組みについて、大臣にお伺いします。

茂木国務大臣 広域メリットオーダーを実効的なものとし、また全国レベルでの取引を進めるためには、地域間の連系線の容量が十分でない、こういった課題があることは委員御指摘のとおりである、このように考えております。

 このため、総合資源エネルギー調査会のもとの専門委員会が昨年二月に取りまとめました報告書におきましては、周波数変換設備については、まず二〇二〇年度を目標に、現行の百二十万キロワットから二百十万キロワットまで増強し、それ以降できるだけ早期に三百万キロワットまで増強すること、そして、北本連系設備につきましては、現行の六十万キロワットから九十万キロワットまでの増強を早期に実現することが提言をされておりまして、これらの実現に向けて検討、準備を進めているところであります。

 北海道で電力が不足をする、特に冬の北海道で電力が不足をしますと、相当深刻な状況というのが生まれるわけであります。そして、ことしの東西の需給のギャップといいますか、夏季のギャップというのを考えますと、東西の変換の容量も今後相当進めていかなきゃならない、こんなふうに考えております。

 先日閣議決定をされましたエネルギー基本計画においても、政府が示す政策方針であったり、広域的運営推進機関が策定する計画に基づいて、東西の周波数変換設備や地域間連系線等の送電インフラの増強を進めるということを書き込んでおりまして、これらを通じて地域間連系線の一層の増強にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

國重委員 ありがとうございます。本当に連系線の整備というのは大事になってくると思いますので、またよろしくお願いします。

 ただ、連系線の送電容量、この限界をこれからしっかり、これまで以上に拡大していくということになると、やはりコストがかかってくると思います。電力システム改革の目的の一つに電気料金の抑制ということも入っておりますけれども、連系線を強化することによって、かえって電気料金が高くなっては余り意味がなくなってしまうということで、どれぐらいのコストが今回の連系線等でかかると見込んでいるのか。また、これによって、かえって電気料金が高くなるんじゃないかという懸念の声もありますが、これについての政府の見解、取り組みについてお伺いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 広域メリットオーダー、連系線の実現に必要な費用ですけれども、これは規模とかによって変わりますけれども、例えば、周波数変換装置を百二十万から二百十万に増強する費用につきましては、総合資源エネルギー調査会のもとの研究会におきまして、約千三百億円の費用がかかる。それから、将来的にはこれをさらに九十万プラスするということになっておりますけれども、これについては一千四百億円から二千二百億円かかるというふうに試算をしてございます。

 こういったコストもかかりますので、地域間連系線の整備に当たりましては、費用対効果を十分勘案しつつ、電気料金が過度に上がることのないように留意しながら進めてまいりたいと考えております。

國重委員 ありがとうございます。

 バランスが大事だと思いますので、しっかりと慎重に検討しながら進めていっていただければと思います。

 では、次の質問に参ります。

 諸外国、例えばイギリスとかフランスでは、電力システム改革を行った結果、かえって電気料金が上昇しちゃったというような弊害も散見されますけれども、こういった弊害が生じた原因について、どこにあると分析されているのか。また、諸外国の先行事例、弊害事例を踏まえて、今回の法案ではそういうような弊害にはこのように対応すると盛り込んでいると思いますけれども、それについての見解をお伺いします。

茂木国務大臣 委員も御案内のとおり、電気料金、さまざまな要因によって変動してまいります。資源価格であったりとか、エネルギー諸税、賦課金など、いろいろな要因に影響を受けるわけでありますが、自由化により競争が進展すれば、基本的には電気料金を抑制する効果があると考えております。一方、委員御指摘のように、電力制度の改革で先行しております海外の事例を見ても、電気料金がかえって上昇しているケースというのも見られるわけであります。

 具体的に申し上げると、委員からもお話のあったイギリスにつきましては、自由化後、一旦電気料金は低下をしたわけであります。ただし、参入の自由化と同時に料金規制を撤廃いたしましたために、競争が十分に行われない中、電気料金が上昇に転じる、こういう現象が発生いたしました。

 また、ドイツでは、自由化後、電気料金が一・五倍に上昇いたしました。ただ、これは、資源価格の変動であったりとか、エネルギー諸税、再生可能エネルギーと関係の大きな賦課金の問題、そしてインフレなどの外的要因を除いてみますと、自由化前に比べて電気料金としては四%程度減少している、こういうことになるわけであります。

 日本の電力システム改革においては、このような海外の経験を踏まえた制度設計にいたしております。これは料金面だけではなくて、安定供給で、例えばカリフォルニアで起こった停電の問題であったりとか、資金調達上の問題が起こらないか、さまざまな海外の事例、ほぼ全ての事例について検証して、今回の三段階の我が国の改革においてそういった問題が起こらないかどうか検証した上で、今回の一連の法改正を行っているところであります。

 具体的に、英国の経験ということで申し上げますと、競争環境が整うまでは、これまでの地域独占の電力会社に対する料金規制を継続することとしております。この仕組みのもとで、規制料金より安い電気料金での新規参入はあっても、規制料金より高いものを出してきても売れるわけがないですから、高い料金での新規参入は一般的には考えにくい、このように思っております。

 また、既存の電力会社も、規制料金は残しますけれども、自由な料金メニューもつくれるようにすることによりまして、経過措置の期間においても電気料金を規制料金以下に引き下げる効果、こういったものも期待できるのではないかな、このように考えております。

國重委員 よくわかりました。ありがとうございます。

 続きまして、我が国において、電気の小売参入の全面自由化、また電力システム改革によって電気料金がこれまで以上に安くなると考えているのか、もしそうであればその根拠を示していただきたいと思います。

 また、仮に電気料金が上がった場合、政府として何かこのように取り組んでいこうというようなお考えはあるのか、お伺いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 電力システム改革での料金の引き下げの効果ということでございますけれども、大きく四つの観点から考えられると思います。

 一点目としては、今まである意味高コスト構造の要因だった地域独占、総括原価方式を見直すということ、コスト競争力のある新たな事業者の参入、ディマンドレスポンスを可能とするさまざまな料金メニューの拡大、地域間連系線の増強や卸電力市場の活性化によります全国レベルでの低廉な電源の活用、こういったことによりまして電気料金の最大限の抑制を目指しているところでございます。

 この取り組みによります具体的な効果というのは、今後競争がどのように進展するかにもよりますので一概には申し上げられませんけれども、一つの例で申しますと、経済産業省がやっておりますスマートな需要抑制というような実証実験では、二割のピークカットを実現し、支払う電気料金も、家庭の平均的な電気料金の支払い額より三割程度安くなるという事例がございます。

 自由化した後、料金が上がったらどうするのかという御下問もございましたけれども、これにつきましては、小売参入の全面自由化後も現在の一般電気事業者については当分の間、規制料金を残すということが用意されております。それより低い価格での参入は見込まれるけれども、それより高いものはなかなか入ってこられないだろうということでございます。

 さらに、その料金規制が撤廃された後につきましては、市場監視などを通じまして適切な市場価格が形成されるというふうに期待しておりますけれども、例えば、市場の寡占化が進んで小売料金の不当な値上げがあった場合につきましては、必要な業務改善命令を発動するということを考えてございます。

國重委員 ありがとうございます。

 では、ここから、電気の供給予備力の確保について、幾つか集中的に質問をしたいと思っております。

 供給予備力の確保は、今後非常に重要になってくると考えております。今回の改正法案二条の十二では、小売事業者に対して電気の安定供給を確保するために必要な供給力の義務づけ、空売り規制がされております。私が質疑に立ちました昨年六月五日の電事法改正法案の審議において、供給力だけではなくて供給予備力についても小売事業者が確保することを想定している、このような答弁がありましたけれども、それで間違いないでしょうか。

高橋政府参考人 御指摘のとおり、今回の法案では、小売電気事業者に供給力確保義務を課しております。供給予備力につきましては、この供給力確保義務の枠組みの中で確保されるものと考えてございます。

國重委員 今、予備力の確保も小売事業者がやっていくんだというような旨の答弁がございました。

 改正法案二条の十二を読み上げますと、「小売電気事業者は、正当な理由がある場合を除き、その小売供給の相手方の電気の需要に応ずるために必要な供給能力を確保しなければならない。」と書かれております。「必要な供給能力を確保」と書いてあって、供給能力と予備力が違うという概念だとすると、これは条文上なぜ予備力の確保というふうに明記しないのか、その理由についてお伺いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度におきましては、一般電気事業者に対しまして、電圧、周波数の維持義務及び供給義務を課すことによりまして、供給区域内の需給バランスや周波数維持といった送配電サービスを提供するための供給予備力、それから一般の需要に応じて供給を行う小売サービスを提供するための供給力及び需要の上振れ等のリスクに備えるための供給予備力というものが確保されてきておりまして、供給予備力の確保に特化した形での制度的措置は行われてございません。

 今回の法案におきましても、現行制度と同様、供給予備力の確保に特化した形の規定は設けてございませんけれども、小売電気事業者に対しましては供給力確保義務を課すこととしておりまして、この中で、小売電気事業者はその事業運営上必要な予備力も確保するということと考えてございます。

國重委員 ありがとうございます。

 今の答弁、よくわかりましたけれども、そうなると、今回の改正法案の二条の十二第一項の文言の解釈についてお伺いします。

 この「必要な供給能力を確保」の「必要な供給能力」の中に予備力が要するに含まれるという意味での答弁だったと私は理解しましたけれども、そういった解釈でよろしいんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 小売電気事業者はその事業の運営上必要な供給力を確保するということでございますけれども、例えば、需要家の需要が急に上昇して供給力が不足してしまうということになりますと、そういう意味ではその瞬間には予備力が不足していたということになります。そういう事態が頻繁に起こるようになりますと、これは、十分な供給予備力も確保せず、そういう意味では需要家に必要な供給力も確保できていないということに当たりますので、場合によっては、需要家の利益を害するおそれがある場合として経済産業大臣が業務改善命令をするということもあり得ると考えてございます。

國重委員 今、私は二項を聞いたんじゃなくて、一項の供給能力の文言、私は法律家なのでしっかり整理しないと気持ち悪いところがありまして、しかも予備力の確保というのは重要なところですので、ここだけはしっかり私も、与党ですけれども整理はしておきたいと思っています。

 この一項は、要するに、予備力の確保をしなければならない、小売事業者がそれは責務としてやらないといけないということですよね、これはきのうもお話を事前にしていたんですけれども。そうすると、この文言の解釈というか、この二条の十二の一項の「供給能力を確保」の「供給能力」の中に、二項はちょっと除いて、まず一項に予備力を含むという理解でよろしいんでしょうか。

上田政府参考人 委員御指摘のとおり、この法律の第二条の十二の「必要な供給能力を確保しなければならない。」の「供給能力」の中に供給予備力というものも当然含まれるものであると考えております。

國重委員 明快な答弁をありがとうございます。

 では、予備力を小売事業者が確保するということですけれども、どの程度の割合の予備力を確保しなければならないのか。新たなプレーヤーである新規参入事業者と、これまでの、現在の一般電気事業者、これは画一的に同じ程度の割合の予備力を確保しなければならないのか。新たなプレーヤーにとっては同じ程度の割合の予備力を確保するというのは結構しんどい、新規参入の制限になり得る、そういう意見もありますけれども、これについてはどうなんでしょうか。お伺いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 小売電気事業者に確保を求める予備力、供給力でございますけれども、これは、みずから電源を保有する以外にも、他の電気事業者との契約による電源の確保、それから卸電力市場からの調達も、その確実性がある限り認めるということと考えておりまして、新規参入者に対する過度な参入障壁にはならないと考えてございます。

 それから、その水準でございますけれども、小売電気事業者は、日々刻々変動する需要家の需要、天候、気候、電源の停止などのリスクを勘案しながら必要な供給予備力を確保するということが必要でございまして、これらのリスクはそれぞれの事業者の事業の内容によってさまざまでございますので、小売電気事業者が業務上確保すべき供給予備力の水準も一律には論じられないと思っております。そういう意味では柔軟な運用をしてまいりたいと考えてございます。

國重委員 ありがとうございます。

 基本的には、予備力の確保はしなければならないんだけれども、その割合については各小売事業者に委ねるんだというような趣旨の答弁だと理解しました。だから一々細かい、予備力を八%確保していないからどうのこうのと注意するとかいうことではないと理解しましたけれども、そうなると、予備力を例えば五%確保していないとかいうことで、改正法案の二条の十二の二項に基づいて、経済産業大臣は小売事業者に予備力の確保その他必要な措置について命ずることができないというようなことになるんでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げたいと思います。

 小売電気事業者が確保すべき供給力、それから、まさに先生御指摘の供給予備力というものは、一体どういうものであるかということでございます。

 今、少し答弁もございましたけれども、単なるみずからの電源以外にも、他の発電事業者との契約による電源の確保等々も含まれるということでございますけれども、さらに、供給予備力を考えるに当たりましては、小売事業者の需要家がどんな人であるか。例えば、需要家の需要が、工場のように非常に安定した需要であるかとか、あるいは家庭その他のやや不安定な需要であるかといった、需要の安定度ということもかかわってきます。それから、もちろん天候の変動に伴う需要の確保というのが必要であるといったこともそうでございますし、あるいは、小売事業者が供給力として確保している電源の停止リスクといったものも勘案してくるわけでございます。

 小売事業者が確保する予備力というのは、今のような、需要家の状況、自分の持っている発電所の状況、停止リスク等々を踏まえた上で確保すべきものであるということです。したがいまして、私どもといたしまして、一般的に何%といったことを決めるわけではなくて、むしろ柔軟な運用を行うということを想定したい、こう考えております。

 他方で、今申し上げましたように、頻繁にトラブルを起こす電源、こういうものを供給力として確保している小売電気事業者がいたと仮定いたしまして、それが十分な供給力を確保していないために需要家への電気の供給に支障を来すような場合には、今の法律に基づく需要家の利益を阻害するおそれがある場合に該当するといたしまして、経済産業大臣からこうした小売電気事業者に対しまして供給予備力を確保するよう命令するということもあり得るというふうに考えております。

國重委員 ありがとうございます。

 そうすると、予備力を確保はしなければならない、ただ、具体的な割合等については特に定めるものではないということですけれども、この二条の十二の二項にどのように書いているかといいますと、ちょっと要約しますと、「経済産業大臣は、小売電気事業者が」云々「必要な供給能力を確保していないため、電気の使用者の利益を阻害し、又は阻害するおそれがあると認めるときは、小売電気事業者に対し、当該電気の需要に応ずるために必要な供給能力の確保その他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。」

 この「必要な供給能力を確保していないため、」の「必要な供給能力」に供給予備力は含むという解釈でよろしいんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 供給予備力がないことによりましてこのおそれが生ずる場合には、それは命ずることになりますので、含まれるということで結構でございます。

國重委員 ありがとうございます。私もこれですっきりしました。

 きのう、いろいろ議論していたときに何か、一項は予備力が含まれる、二項は含まれないようなニュアンスで、もし議論を詰めていくとなってしまうと、結局、同じ条文の中で、一項、二項で文言の統一性がとれない、整合性がとれないということになるので、やはりここに関しては両方とも供給予備力というのも含むんだというふうにするのがすっきりすると私も思いまして、本当はあと倍ぐらいの質問を用意していましたけれども、ちょっとここで時間をとらせていただきました。

 それで、今回、電力の自由化が進んでいきますと、予備力の確保は何%とかということを各事業者に任せると、経済合理的に考えて、発電事業者が余分な発電設備を持つことをやめてしまうというようなおそれもあるかと思います。これでは、予備力を含めて中長期的な安定供給力の確保が難しくなって、電力システム改革の目的の一つである電力の安定供給の確保ができなくなるんじゃないかというような懸念の声もございます。

 発電能力を保有して必要な供給能力の確保に貢献した発電事業者は対価を得ることができるようにして、投資回収の予見可能性を高めて、全ての小売事業者が公平に負担する仕組みをつくるなど、こういったことを検討することも必要じゃないかと思うんです。これは先ほどまでの予備力の確保と関連する質問なんですけれども、これについてはどのようにお考えでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、発電所の能力が需要に応じてきちっと整備されるということが重要でございます。

 今回の法案におきましては、今申しましたように、小売電気事業者に供給力の確保義務を課すということで、発電事業者が発電所をつくるということのインセンティブになるような制度的仕組みにしておりますし、また、将来的な電源の不足が見込まれるような場合には、広域的運営推進機関が電源の入札をいたしまして、ある程度の投資回収を保証した形での電源の設置という措置も盛り込んでおりますので、発電事業者がきちっと、競争的な条件でという前提ですけれども、発電事業に参入し、投資が回るようにということで、この制度もつくっているところでございます。

國重委員 ありがとうございました。

 あと十問弱ぐらい残しましたけれども、またこれは次のときに質問したいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私からも、続きまして、電事法の改正につきまして質疑させていただきます。

 今回の改正、三段階の中の二段階目ということで、また、経産省の皆さんのお話を伺っていても、この電力システム改革、非常に難しいと言われる改革の中で、茂木大臣が非常に熱意を持ってこの改革に取り組まれているということをお伺いしております。非常に大事な改革だと思いますし、御努力されていることに対しまして、野党ではございますけれども、敬意を表したいと思います。

 そうした中で、細かい部分も多くなってまいりますし、今回の電事法の改正は恐らく審議時間もある程度は確保されてくるんじゃないかと思いますので、少し細かい点も含めまして御質問させていただきたいと思っておるんです。

 まず第一に、一番気になる部分なんですが、先ほど國重委員からも少し御質問がございましたが、少し重複してしまう部分がありますけれども、必ずお伺いしたいと思っていたところが、やはり電気料金の部分でございます。

 政府としては、何より供給の安定性の問題、そしてどういうエネルギー源から電気を生んでいくかという部分もありますけれども、国民の皆様にとってみれば、一番大きいのはやはり料金の部分でございます。今回の話を地元で、難しい改革の話なので、なるべく皆さんにわかりやすいように御説明する中でも御質問が出るのが、電気料金はどうなるのかなというお話でございました。

 先ほどの大臣の御答弁だと、カリフォルニアの話が出ましたし、英国の話も出ましたが、いろいろなところの研究をして、今回の改革の目的にも明示的に書かれて電気料金の最大限の抑制を挙げていくというお話ですけれども、一方で、先ほど國重委員からもお話がありましたが、海外の例を見ても、なかなかそううまいこと低下していると言えないところも多々あるということでございます。先ほど例も出されましたけれども、具体的にもう少し、どのような検討をされて政府として大丈夫だとおっしゃるのか、そのあたりをお伺いしたいと思うんです。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、電気料金につきましては、自由化に伴いましてこれが逆に上がってはいけないということで、海外の事例について詳しく検討してございます。

 幾つかの例を申し上げますと、英国におきましては、自由化後、一旦電気料金が低下いたしましたけれども、その後、参入の自由化をしたと同時に電気料金の規制を撤廃してしまいました。その結果、競争が十分行われない中で逆に電気料金の上昇に転じているという例がございました。

 ドイツにおきましては、自由化後、電気料金が一・五倍に上昇しておりますけれども、これは、資源価格の変動、エネルギー諸税、再生可能エネルギーと関係の大きな賦課金等々の外的要因を除きますと、自由化前に比べて電気料金は減少しているということでございます。

 私どもの日本の電力システム改革におきましては、こういった経験を踏まえまして、例えば料金規制の撤廃は経過措置料金としてしばらく残すとか、あるいは安定的な投資回収ができるようなシステムにするとか、さまざまな工夫をしているところでございます。

丸山委員 規制の撤廃はすぐにはしない、経過措置だということと、ほかの国は外的要因もあって実質的にはシステム改革では下がっているという御指摘です。電気料金は、先ほど来申し上げているように非常に関心が高い、しかも国民の皆さんの生活に直結する部分でございますので、できればというか、もちろんおやりになるんでしょうけれども、ウオッチしていただいて、何かこれはまずいということであれば、その場その場で新たな御対応を適宜とられるという認識でよろしいんでしょうか。もう一度お伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 今回の電力システム改革の目的でありますけれども、三・一一以降の新たなエネルギー制約を克服するために、より安定的に電気を供給する、同時に新たな参入をもたらす、そしてまた新たな料金メニュー等々をふやす、こういったことによりまして電力価格を抑制する、同時に消費についてもスマートにコントロールしていく、こういったことを考えているわけであります。

 海外の事例等々も参考にしながら、三段階の改革を現実的に大胆に進めていきたい、そのように考えておりますが、当然、その途中の過程におきまして予見されないような事態が出てきた場合には、柔軟に考え、そしてそこの中で必要な見直し等々は行ってまいりたいと考えております。

丸山委員 しっかりとやっていただけるようお願い申し上げます。

 少し余談になってしまうんですが、大臣がお手を挙げられると何となく、どんな豆知識をおっしゃるのかなと思って、今気になっていたんですけれども、非常にお話がスマートに終わったもので、実は楽しみにしておりますので、教養をぜひまたいろいろと御指導いただきたいと思います。済みません、話が脇にそれてしまいましたが、別の話だったので、もとに戻したいと思います。

 先ほど電力の安定供給というお話が大臣からも出ましたけれども、一方で、今回、小売自由化で、外資も含めまして参入というものが予見されると思うんです。その中で、私も海外を回るのが好きで、ずっといろいろなところを回っていて、前の第一段階のときの質疑でも少しお話しさせていただいたんですけれども、日本ほどこれだけ、電力のとまらないというか、停電がない、そして良質な電気が安定的に供給される国はないと思うんです。これはやはりシステム面もあれば企業の努力の部分も大きいと思いますが、一方で、今回、自由化するということで、少なからず海外の事業者さんも入ってくるということになれば、日本のよき電力供給のあり方、安定性という意味では、少し大丈夫かなという懸念の声も上がってくるところだと思います。

 このあたり、電力の供給信頼性につきまして損ねる可能性があるんじゃないかということと、安定性を保つためにどのような工夫なり制度設計を政府としてお考えなのか、御見解を伺いたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 電力の安定供給を保つために外資参入との関係をどう考えるかという御指摘だと思います。

 先ほども茂木大臣の方から御答弁申し上げましたけれども、電気事業への外資の参入は、基本的には外為法に基づいて、公の秩序の維持を妨げるおそれがないかということから個別に審査が行われるわけでございますが、恐らく今の委員の御指摘は入った後でもと。例えば外資が小売事業に入るということは私どもも想定しておりまして、むしろ発電事業あるいは小売電気事業につきましては、外資も含めた多様な事業者の参入を認めるということが一般的には方向性としては正しいのではないかと考えているところでございます。

 しかしながら、そうして外資が例えば小売事業に入ってきた後で、例えば供給力確保を満たさない等々の安定供給の確保に支障を生ずるような事態を起こした場合にはどのように対応するかということにつきましては、私どもは電気事業法に基づく業務改善命令ということをかけることができまして、供給力の確保等々を命ずることができるわけでございますし、仮に、さらにこういった業務改善命令を出してもなお、それに違反した上で公共の利益を阻害すると認めるようなときには、小売電気事業者の登録の取り消しということができることになっております。

 安定供給を阻害したような外資がいた場合には、申し上げましたようなことを通じまして対応してまいりたいと考えております。

丸山委員 今、参考人から外為法の御発言がありましたけれども、一方で、今回の私の質問に関しましては、電力供給の安定性という意味で、それが阻害された場合には、外為法ではなく事後的な、外為法ではどうしても事前のチェックでございますので、事後的な部分に関しては、この電事法も含めまして、また最大には登録の取り消しも含めまして対処できるということでございますので、しっかりそれはやっていただけますようお願い申し上げます。

 一方で、懸念といいますと、外資でいいますとやはりもう一つあるのは、まだ皆さんも記憶に新しいと思いますけれども、Jパワーの外資の件で、外為法の適用のお話が数年前にございました。そんな中で、今回の電力システム改革にしても、国家安全保障上の懸念も、観点としては電力供給の安定性だけじゃなくて安全保障上の問題もあると思うんですけれども、このあたりに関しましては引き続き、外為法は変わりなくしっかり適用していくということでよろしいんでしょうか。一応、念のため、御確認しておきたいと思います。

上田政府参考人 基本的には委員の御指摘のとおりだと考えております。

 外資が参入する場合につきましては、従来から、外為法に基づきまして、公の秩序の維持を妨げるおそれがないか、すなわち我が国の安定供給の確保あるいは安全保障といった観点から個別に審査を行っているわけでございまして、御指摘の平成二十年のザ・チルドレンズ・インベストメント・マスター・ファンドの件も、そういった観点から中止命令ということを行わせていただいたわけでございます。

 したがいまして、今後とも、電気事業への外資の参入につきましては、今申し上げたような国家安全保障上の観点から、例えば我が国の原子力事業への参入あるいは一般送配電事業への参入といった場合があった場合には、一般論として申し上げれば、外為法に基づき慎重な検討を行ってまいりたいと考えております。

丸山委員 非常にこの電力の問題では、それはもちろん原発なんかはまさしく直接の話でございますけれども、一方で、何か有事のときに電源をとめてしまってそれが混乱を生じさせるだとか、もっといけば、最近よくお話を聞くのは、特に電力関連でいえば、今、ソーラーパネルへの投資という形でかなり過熱感があると思いますけれども、そうした中で、土地の買収にかなり海外の企業さんが入ってきていると。しかも、それが実は、電源の確保という意味でも安全保障上の懸念がありますし、一方で、例えば自衛隊基地のそばで土地を買収して実は偵察しているんじゃないかとか、もっといけば、水源地のところにそれをやって、そういったテロのおそれがあるんじゃないかという懸念等、いろいろな安全保障上の懸念の声もあります。

 一方で、外資をいつまでも拒んでいては日本の対内直投の伸びというのは見込めないところでございます。非常に難しいところでございますので、一義的に全て外資だからだめだというのは私はおかしいと思いますけれども、国民の安全を守るという意味では非常に大事な観点でございますので、引き続きここの部分はしっかりとチェックいただけますようお願い申し上げます。

 次に、料金のお話についてお伺いしたいと思います。

 先ほど来、料金規制を経過措置でされていくというお話でございました。需要家保護のための料金規制の経過措置についてお伺いしたいんですけれども、今回されるということで、ただ、いつごろ、どのような指標をもって。観点としては、競争が進展して規制を解除できるという判断ができる場合にはするというふうにお伺いしているんですけれども、このあたりの、いつごろ、どのような指標をもってこれを判断するのかということを、できる限り詳しくお伺いしたいと思います。

 というのは、企業さんの方も先が見通せないというお声もありまして、現時点において、ある程度の見通しとか目標という部分が政府として示されなければ、そういった意味では透明性、信頼性の部分で疑問符がつくんじゃないかなと思うんです。明確に言うのは非常に難しいと思いますけれども、現時点で、企業さん等も含めまして、御説明できる範囲で構いませんが、御回答いただければと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案では、御指摘のとおり、小売への参入を全面自由化した後も、今の一般電気事業者に対しまして料金規制を残すこととしております。

 これは、電力は他の財による代替が困難である、全ての地域が一般電気事業者の供給区域となって一定の料金水準で供給されることを前提に国民生活が成り立っている。それから、既に自由化された大口需要の部分においても競争が十分に生じているという状況にはない、今後、競争環境の整備、進展がなければ、これまでの地域独占のもとで供給を行ってきた既存の事業者が価格決定を握ることになる、いわゆる規制なき独占ということだと思います。三点目といたしましては、先ほど委員からも御指摘がございましたように、海外におきまして自由化と同時に料金規制を撤廃したことによって料金値上げを招いた事例がある、そういった海外の事例の反省も含めまして、既存事業者に対する料金規制を残しているところでございます。

 この規制、経過措置の解除でございますけれども、こういった理由による導入でございますので、市場の実態等に基づきまして慎重な判断が必要だと考えてございます。その判断の材料となりますのは、例えば、新規参入者がどれだけ入ってきているのか、あるいは既存事業者間の競争がどのように進展しているのか、料金につきましては規制料金以外の自由料金を選択している需要家の割合がどうなっているのか、スマートメーターの普及状況がどうなっているのか、卸電力市場の活用状況がどうなっているのか、こういったことを総合的に勘案してその撤廃時期を決定すべきものと考えてございます。

 先生御指摘のように、透明性あるいは信頼性というのは重要だと考えてございまして、この判断基準につきましては、公開の委員会で議論をして、新規参入者も含めまして、どういう議論が進展しているのか、それがどの程度の状況で進んでいるのかというのをわかるような形で検討を進めてまいりたいと思っております。

丸山委員 御回答ありがとうございます。

 先ほど来いろいろな指標をおっしゃいましたけれども、一方では、どうなっているのかというお言葉で全てを締めていただきました。このどうなっているかの部分が非常に企業さんの方では気になるところでございます。今、オープンな委員会の方で審議を重ねるということでございますので、このあたりがどうなっているか、具体的にどれぐらいの割合なのかがなるべく早い段階でわかるようにしていただくと、市場における透明性や信頼性というのは高まっていくと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次にお伺いしたいんですけれども、また話がかわるんですが、最近、私、携帯電話を買いかえまして、買いかえたときに思ったことがございます。というのは、御説明いただいたときに非常に混乱するんです。料金のプランが、何々プラン、何々プランというのが非常にいろいろなプランがあってわかりにくくて、こちらのプランとこちらのプランを合わせたらこれだけ割引されますけれども、でも、これを必ず一カ月つけてくださいねとか、非常に複雑な料金体系に携帯電話は今なっているような気もします。これはちょっと問題かなと私は思っているんですが。

 ただ、現状としては各社さんが競っていらっしゃる中でのプランだということだと思うんですけれども、一方で、この料金プランのあり方というのが電気料金についても問題となってくるんじゃないかというお声を聞いております。というのは、海外の事例で、自由化した国、英国なんかはまさしくそうだと思うんですけれども、電気料金の料金プランが乱立して、消費者も混乱しているという事例があるというふうに伺っているんです。

 確かに、携帯電話は特に、通話するという機能以外に機種の性質とか、アイフォンだと、アイフォンが欲しいから買うというのがあるんです。ただ一方で、最近はドコモもauも、そのほかのいろいろな会社さん全部がアイフォンを出してから、どこでも一緒だという話になれば、結局、最後は料金のところでの差別化になってくるんだと思うんです。

 電気なんかはまさしく同じで、電気という性質自体は基本的には変わりがない部分でございますので、そうすると、安定供給性とかいろいろな観点もないとは言えないですけれども、一方でやはり値段というのが一番、差別化の最たるものになるんだろうなというのが容易に予想できるところでございます。

 こうした段階で非常にわかりにくい状況が生じた国ではいろいろな対策に取り組まれているというのも勉強する中でお聞きしておりまして、例えば料金メニュー数の制限をされているところもあるとかいうお話も伺っておりますけれども、こういった同様の規制等、政府として現段階でこれをどのようにお考えなのか。そして、的確な料金の情報がきちんと需要家サイドに入らなければ、それこそまた混乱を生じるところだと思いますけれども、このあたりにつきまして御見解と対策をお伺いできればと思います。

茂木国務大臣 今後、需要者、消費者に正確な情報が三十分単位ぐらいで入る、このためにもスマートメーターの導入というのは極めて重要だ、そのように考えております。

 そこの中で、料金プランでありますけれども、確かに今の携帯はさまざまな複雑な料金プランというのが出ておりますけれども、これは通話だけではなくて、さまざまな機能の使い方がある。同時に、誰と通話をするかとかによって家族割であったりとかいろいろなものも出てくるわけでありまして、その組み合わせというのはかなり複雑なのではないかなと思っております。

 それに対しまして、電力の場合は、基本的にはピーク時とオフピーク時をどうするか、こういうメニューであったりとか、想定されるものは幾つか出てくると思います。

 さらには、例えば、若干高くても再生可能エネルギーを自分は使いたいという、エネルギー源を選択される方というのも出てくる可能性はあると思いますけれども、現段階で今、携帯電話で起こっているような、スマホで起こっているような、ああいう複雑な料金体系が出てくるかというと、そうはならないんじゃないかな、そういうふうに考えているところであります。

 これは通信と電力の基本的な違いみたいな部分もあるかと思うんですけれども、要するに、電力を使用するためには、どうしても何らかの形でエネルギーを起こさなきゃいけないわけです。これに対しまして、通信手段は、若干のエネルギーはかかったりいたしますけれども、通話を何回したからそれによって圧倒的にコストがかかっていく、こういうものではありませんので、その点も大きな違いがあると考えております。

丸山委員 ありがとうございます。

 現時点ではならないんじゃないかという御回答をいただきました。ただ、やってみないとわかりませんので、出たときには出たときでまたお考えになると思いますけれども、そのような事例もあるということで、気をつけていただきたいというところでございます。

 一方で、今大臣のお話で、スマートメーターのお話が出ておりまして、非常に大事なところだと思います。特に料金に関しましても、恐らく複雑な料金体系になっても、スマートメーターが高機能であれば、例えば自動的にその家にとって一番安い料金になるようなものを選び出してきたり、一方で、先ほどお話のあったような、再生可能エネルギーを私は使いたいんだというところはそういう設定をすれば料金にかかわらずできるようなことが、非常にやりやすく、オートマチックに消費者が判断できるようになってくるんじゃないかなというふうに感じますので、このあたり、スマートメーターの普及に関しまして大臣は力を入れられていると思いますけれども、同時に進めていただくことで私の今の懸念というのは少し緩和されていくんじゃないかなというのを感じました。ありがとうございます。

 次にお伺いしたいのは、卸の電力市場のお話をさせていただきたいと思います。

 現在、卸電力の取引所での取引量を拝見していますと、全電力販売量の中でもかなり少ないんじゃないかなというところでございます。

 前回、ちょっとタイミングを忘れてしまったんですが、数値目標を導入されるとか、また相対融通の市場への移行みたいなことの取り組みも行っているという話もレクだったかどこかで伺ったと思うんですけれども、現在、卸の電力取引所における取引量というのがどうなっているのか、ふえているのかどうかという点。そして、今回の改正で、大臣の指定制にする、国の監督下でやるという仕組みに改められるようですけれども、こういった中で電源調達の円滑化というのは非常に重要で、そのためにもこの取引所の活性化というのは一番大事な肝の一つだというふうに思うんです。

 現状についての見解をお伺いした上で、取引が薄いということであれば、そのあたり、理由だとか、どうやればより活性化していくのか、対策につきましてお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 卸電力取引所の取引量が少ない要因でございますけれども、これは、垂直一貫体制による地域独占、それから総括原価方式により投資回収を保証する電気事業制度のもとにおきまして、その地域の需要に応じて供給力を確保する仕組みが中心であった、このため電源の大半を保有する一般電気事業者が卸電力取引市場の活用に余り熱心ではなかったということが一番大きな原因と考えてございます。

 このため、卸電力取引市場の活性化につきましては、電力システム改革の一環といたしまして、昨年の三月より、一般電気事業者が余剰電力を卸電力取引所に売電する取り組みを開始してございます。その状況についてモニタリングも行ってございます。現状までの結果でございますけれども、一般電気事業者の売りの入札量は前年と比較して五倍程度、取引所での約定量は一・五倍程度にそれぞれ拡大しております。

 今回の法案におきましては卸電力規制の撤廃をすることとしておりますけれども、こうしたことに加えまして、卸電力市場のさらなる活性化に向けまして、卸電気事業者と一般電気事業者が既存の卸契約を結んでおりますけれども、これを見直すということとか、卸電気事業者の電源の売電先の多様化を図るというような取り組みも進めているところでございまして、そういった取り組みのモニタリングも厳格に実施してまいりたいと考えております。

 こういったところから、卸市場の活性化の状況をさらに見きわめたいと考えてございます。

丸山委員 今、前年度の五倍程度という御回答がありましたけれども、これは全電力販売量の中ではどれぐらいの割合なのかというのを、もしデータがございましたら。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、全体の一%程度でございます。

丸山委員 ありがとうございます。

 全体の中の一%ということで、五倍にふえてもなかなか厳しいところがあるかなというふうに思います。

 一方で、今、できる限りふやしていきたいということで活性化に向けてされているんですけれども、卸市場としての能力として、これは、劇的に上がると、例えば十倍、二十倍に上がっていくと対応できなくなるものなのか。それとも、非常に余力があって、ふやしていくことが可能なのか。このあたり、お答えできれば。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 取引所の活性化に向けて、取引が活性化しない大きな原因は、足元では電力会社の原子力発電所がとまっておりまして、電源の余裕が非常に少ないということが一つの大きな理由になっております。

 今後、原子力発電所の再稼働等が進みまして、一般電気事業者に対しての余剰電力が多くなれば、その分、売りの入札量はふえてくるんだろうと考えてございます。取引所自体にキャパシティーの制約があるということではないと考えてございます。

丸山委員 非常によくわかりやすかったです。原発の再稼働がどうなるかというのは予断を許さないと思いますけれども、そのあたりを含めまして総合的に見ていく必要があるということでございますので、しっかりと見ていただけますようお願いを申し上げます。

 そして、卸と別に、先物市場も今回創設されるという話でございます。この先物市場についてお伺いしたいんです。

 やはり先物はリスクヘッジという意味では非常に大事な観点だと思いますけれども、一方で、実需、実際の需要とは少し離れたところで、それこそマネーゲーム的、投機的な話が入ってくるというのもまた先物市場の特徴でございまして、そうした中で、先ほど来お話ししている電気料金の上昇につながるような、電力価格が先物市場で投機的に上がってしまうような懸念もあるんじゃないかなというふうに考えるところでございます。

 このあたり、政府としてどのようにお考えなのか。そして、この市場、流動性の確保と同時に健全な市場であること、健全性というのが非常に両輪として重視されると思うんですけれども、どのように制度設計をお考えなのか。また、スケジュール感等ありましたらお教えいただければと思います。

寺澤政府参考人 お答えします。

 今委員から御指摘がありましたように、マネーゲームみたいなことがあってはいけない、これは大変重要なことでございます。

 こうした観点から、電力先物にいきなり上場するのではなくて、その前に、現物取引である電力の卸取引市場の厚みが十分あるかどうか、そこを確認します。また、先物市場に参加するプレーヤーの過半数が実際に電力を需給するいわゆる当業者であるかどうかを確認し、マネーゲームに至るようなおそれが少ないかどうか十分見きわめた上で、電力先物の上場をまず認可します。

 次に、認可後も、相場操縦について厳しい罰則等、監視体制を整備します。また、金融機関などの投資家については取引量の上限を設定するということも考えております。

 第三に、マーケットが異常な動きを示した場合に、サーキットブレーカーという一時的な停止に加えて、マーケットの異常な動きが激しい場合はマーケット全体の取引量を制限したり、あるいは特定のマーケット参加者の取引を停止させる、そうした強力な介入権限を持っています。いわばこの三段の構えによって、御指摘があったようなマネーゲームを防止すべく万全を期してまいりたいと思っております。

 次に、流動性の確保とかスケジュールについて御質問がございました。

 先物市場の流動性の確保については、当たり前のことかもしれませんけれども、現物の取引市場の厚みが必要です。したがって、電力の卸売市場の厚みを増すということが電力先物市場の流動性につながってくる。そういう意味では、先ほど委員から御指摘があった電力の卸売市場の流動性を、いろいろな電力システム改革を進めながら高めていくことが重要でございます。そうした電力の卸市場の厚みを見きわめながら、適切なタイミングで電力先物市場に向けて上場の認可をしていきたいと思います。

 それまでの間、マネーゲームが起きないような具体的な詳細設計であるとか、あるいは取引者が取引しやすいような商品設計とか、そうした準備をしっかりと進めていきたいと考えておる次第でございます。

丸山委員 これは一年、二年で考えればいいのか、五年、十年で考えればいいのか。そのあたり、相場観みたいなものが、もし御発言できるのであれば。

寺澤政府参考人 重要なのは、電力卸売市場の厚みが一番重要でございますので、あらかじめ何年ということは申し上げにくいんですけれども、今回の改正法案が成立すれば、たしか公布後二年半以内に施行するということで、そうした電力システム改革の動きを見ながら、さらにより重要なのは、実際の電力卸売市場の厚みがどうなっているのかを見きわめて、適切なタイミングで上場の認可を図っていきたいというふうに考えております。

 ただ、委員御指摘のように、そう長い期間を待つ必要はないと思っていますし、またそれは適当でないと思います。いろいろな電力システム改革と電力の先物市場の整備というのは、諸外国の例で見ると一体となっています。その意味では、電力システム改革と合わせて電力先物市場の整備も、可能な限り現実を踏まえながら進めていきたいと考えております。

丸山委員 三段の構えでやっていただけるということでございますが、非常に気になるのは、卸電力市場の厚みという表現をされましたけれども、一方で、今お話があったように、一%という現状でございます。原子力の再稼働がもし達成したとして、厚みというのが、どれぐらいのイメージをされているのかというのが非常に今伺っていてぼやっとしている部分があったんですけれども、このあたり、詳しくお伺いしたいんです。

寺澤政府参考人 お答えします。

 これもなかなか一概に決めづらいんですけれども、諸外国の例を見ますと、先物市場がスタートした時期というのは、その時点で、卸売市場のウエートというのは、電力全体の取引のうち、少ないところは二%、多いところは一〇%、この幅で、卸電力市場のウエートが成長した段階で先物市場が整備されているということでございます。

 これは結構幅があるものですから、日本について一律に、二がいいのか一〇がいいのかと一概に言いづらいんですけれども、イメージ的には、諸外国の事例でいうと、そのぐらいの幅の中で、電力卸売市場の厚みも見ながら電力先物市場の整備をするということが恐らくは妥当なんだろうと考えている次第でございます。

丸山委員 非常にわかりやすい御発言、ありがとうございます。

 諸外国においては二%から一〇%ぐらいで、幅があるけれども、この間でということでございますので、バランスを見ながらやっていただく難しい政策だと思いますけれども、大事な観点だと思いますので、こちらに関しましても適宜、詳細はこの後、施行までにやられるところだと思いますけれども、よろしくお願い申し上げます。

 時間もなくなってまいりましたので、最後、お伺いしたいことを聞きたいと思います。

 今回の法改正を見ていますと、一つ気になるところが、一般担保つき社債を特に法的分離の段階までに検討を行うとはされていますけれども、今回の改正で一般電気事業者にのみ一般担保つき社債の発行を認めて、どちらかというと一般電気事業者にのみ安定的な資金調達の便宜を図っているように思われるんです。

 今回の改革の趣旨の大もととしては、やはり新規参入者をふやしていく、事業者の事業機会の拡大というのももちろん挙げられておりますし、今回の優遇策において、新規参入者にとってみれば著しく一般電気事業者の方が有利なんじゃないかというふうにとられかねないと思うんですけれども、このあたり、どのように政府としてお考えなのか、お答えいただきたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 電力債に関する一般担保をどういうふうにしていくのか、一般電気事業者のみ有利ではないかという御指摘かと思います。

 まさに委員御指摘のとおり、本件につきましては、第一弾の電気事業法附則のプログラム規定におきましても、第三段階たる法的分離の実施に際して、金融市場の動向を踏まえて検討を行い、電力の安定供給に必要となる資金の調達に支障を来さないよう必要な措置を講ずると規定されているわけでございます。

 今回の第二弾の法律改正の趣旨は、御案内のとおり、小売の自由化ということを中心としたものでございまして、一般電気事業者という概念は確かになくなるんですが、発電、送配電、小売というそれぞれの事業にライセンス制をしいて、しかし、従来の一般電気事業者の方は兼業を認めるという形で、従来の一般電気事業者がそのままの形で当分の間は業務を行える、こういう趣旨になっているわけでございます。

 したがいまして、現存している一般電気事業者が引き続きさまざまな設備の多くをそのままの形で保有しているという実態も踏まえまして、第二弾という形でなくて、第三弾の段階で検討するということにしたものでございます。

 今回の第二弾の法律の附則におきましても、一般担保を検討するときには幾つかの観点があるわけでございますが、一つは、電気の安定供給を確保するために必要な資金の調達に支障を生じないという観点、それからもう一つは、事業者間の適正な競争関係を確保していくという観点、いわゆるイコールフッティングの観点というものがございまして、そうした観点をも踏まえまして、今後、第三の段階までに検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということを今回の附則の第四十一条の規定に書いているわけでございます。

 この一般担保のあり方につきましては、委員御指摘の事業者間の競争関係、イコールフッティングの維持という観点も含めまして、今後ゼロベースで検討していきたいと考えております。

丸山委員 今回の改革、検討事項が多いなというのが思うところでございます。非常に難しい改革でございますし、何より、経済学的にも言う規模の経済で市場にはなじまないものに対して今回自由化を進めていこうという非常に意欲的な内容だと思いますが、不明な点が多ければそれは一方で市場の不安をあおるところもありますので、しっかりとこのあたりは引き続きまして審議の中でもお伺いしていきたいですし、施行までの間にしっかりと詰めていただけますようお願い申し上げまして、私、丸山穂高の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。

 本日も、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 電事法改正第二弾ということで、先日、本会議場でも登壇させていただきまして、お話をさせていただきました。その中の項目を少しきょうはおさらいをさせていただきたいなと。ですから、内容については、もう既に質問に対して御答弁いただいたこと、それから、先ほどのうちの丸山委員も私がきょう話そうと思っていたことを大分話しているのでかぶる部分もありますけれども、御容赦いただきまして、よろしくお願いいたします。

 では、まず最初なんですけれども、私ども維新の会としましても、今回の電事法改正を進めていくということには非常に賛同しておりまして、第一弾のときも賛成させていただいたので、これから先、第二弾、第三弾と、ここで賛成しますということは言えないですけれども、ぜひともしっかりと進めていっていただきたいなという強い思いを持っておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 前回の登壇でもお話しさせていただいたんですけれども、一番重要なところは、電事法の改正、そのもとにあるのは我が国のエネルギー政策をいかに進めていくのか、この根幹が一番重要なことだろう。今回のエネルギー基本計画を念頭に置いた電事法改正、そういうリンクがあるべきだというふうに思っております。その中で、私どもも、今回のエネルギー基本計画を見ていて難しい部分が相当あるんだろうなと思いながらも、やはりまだまだ明確になり切れていないところがあるのではないか、これは当然な話なのかもしれませんが、そういうふうに思っております。

 その一番の最たる部分というのがエネルギーのベストミックスだというお話を前回もさせていただきました。私の方からお話をさせていただいたのは、やはりエネルギーのベストミックスというのをある程度明確に出していくことが一番重要だろう。これは、二カ月ほど前にも私は資料でマトリックスのブランクの用紙を出させていただいて、マル・バツであるとか五段階評価をつけてもらえるように最終的には、最終的にはというか、今の段階でもそういうことをしていただければなというような感じのお話をさせていただきました。

 ただ、最終的にはどういう形がやはり望ましいかというと、各エネルギー源に関して何%ぐらいを何年後には目指していく、それが、ただ口で言うだけ、一応数値として出しているだけではなくて、しっかりと分析がされた中で、いろいろな要素が検討された上でパーセンテージが出ていくことが必要なんだろうということを私は思っておりまして、そういう観点で今まで何回か質問させていただきました。

 これは総理に御答弁いただいたんですけれども、ここで言われているのが、一番大きなところが原発依存度のお話だということで、総理の方から、原発依存度を含む日本の将来のエネルギーミックスに関しては、新たなエネルギー基本計画を踏まえ、再生可能エネルギーの導入状況、原発再稼働の状況を見きわめ、できるだけ早くエネルギーのベストミックスの目標を設定していきたい、こういう御答弁がありました。これはわかるといえばわかるんですけれども、果たしてこれでいいんだろうかなというのが一つ懸念でございます。

 というのは、これから先、下げていくんだ、当然のことながら、経済の状況等々も踏まえたら、私も、今の時点で再稼働、それはしっかりとした規制基準をクリアしていればいいんじゃないだろうか、そういう考え方も理解はできます。ただ、そうはいいながら、それをやっていって、再稼働しました、再稼働はしたけれども、計画はまだつくれていませんという状態が起こり得るんじゃないかなということをまず一つ懸念しているんですね。これは、次の質問のところでもう少しお話をさせていただきます。

 それともう一つは、先ほど丸山委員も話をしていたんですが、今回の法案にも絡んでくると思うんですけれども、これから先、参入の自由化をしていく。

 今回は小売の自由化で、もともとは発電の部分についても一部自由化されているというふうにいいながら、これから先、我が国がどういうふうな発電方法に対して力を入れていこうとしているのかということを、一般の参入しようとしている事業者は見きわめながらやっていくんだ。そのときに、ある程度、どういう形のベストミックスを我が日本国は考えているかという指標がなければ、新たな参入というのはそこにリスクも出てくるので、なかなか難しい問題があるんじゃないかなというふうに思っております。

 その辺について、まずちょっと余り長くならないうちに御見解をいただければなと思います。

茂木国務大臣 まず、この電事法の改正、電力システムの改革とエネルギー基本計画の関係でありますけれども、三年前の三・一一、それ以降の新たなエネルギー制約を踏まえてという意味で共通する部分があります。

 ただ、目的ということでいいますと、今回の三段階にわたります電力システム改革、木下議員の方からも、維新の会として我々も力強く進めたい、大変心強いお言葉もいただいたところでありますけれども、電気の安定供給、こういったものを全国レベルでしっかりと進めていく。同時に、三・一一以降の電気料金の値上がりといったことも踏まえて、いかにエネルギーコスト、発電コストというものを落としていくか、こういう観点も必要であります。そして、需要家の選択肢を広げる、また事業機会、新たな参入者を広げる、これによりまして成長戦略としても重要になってくる。こういった観点から、電力システム改革、六十年ぶりに地域独占の形を壊していくということでありまして、大改革になってまいります。

 一方で、エネルギー基本計画、これは基本的に三年ごとにつくっているものでありますけれども、今回は、三・一一を踏まえつつ、どういった形で今後の日本のエネルギーの方向性を中長期で考えるかということでありまして、そこの中では、それぞれのエネルギー源が持つ特性というのをきちんと見きわめなきゃならない。

 電源としてエネルギーを使っていくということになりますと、安定供給が極めて重要であります。そして、コストは安ければ安いほど誰が考えてもいい、安全性は高い方がいいに決まっている、環境負荷は低ければ低いほどいい。全てを満たす電源というのはないわけでありますから、いかに現実的に、またバランスを持ってこの需給構造をつくっていくかということが極めて重要だ、そのように考えておりまして、今回、ベースロード電源、ミドル電源、ピーク電源、こういう区分けをさせていただきました。これを踏まえながら、今後、ベストミックスの目標というのをできる限り早くつくっていきたい。

 ただ、目標をつくりましても、デーワンからそのとおりになるわけじゃないわけですね。それから何年かやはりかけないと、再生可能エネルギーにしても、一年でそれが一〇%になる、二〇%になるという話ではありませんから、ある程度、十年以内くらいの期間の中で達成できる、こういった目標をできる限り早くつくっていくんだ、このように考えております。

 さまざまな分野への新規参入を進めていかなければならないということでありまして、小売についてはそれほど、ベストミックスが決まらないから小売について参入が進まないということではないと思っております。一方で、発電の部分、恐らく、一般的に考えますと、分散型電源であったりとか再生可能エネルギー、こういったことを中心に新たな参入というのは進んでくるというふうに考えておりますが、これらにつきましては、今後三年間、最大限の導入を図り、それ以降についても積極的に導入していくということをエネルギー基本計画の中で明確にさせていただきました。

 さらには、石炭をどうする、LNGをどうするということも書いてありますので、ある程度、新規参入を行う方にとっては、例えば、自分のところで全国レベルで二割の発電能力を一気にふやそう、こんな事業者でも出てくれば別でありますけれども、そうでない限り、ベストミックスの目標が決まらないから参入できないという状況ではないのではないか。

 ただ、おっしゃるように、目標が見えた方が予見性は高まるわけでありますから、できるだけ早くこのベストミックスの目標については設定してまいりたいと考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 非常にこれは難しい問題だと思いますので、そう簡単にできるものではない。

 私は、ああいうふうに企業はリスクが低い方がいいといいながら、実は企業も高いリスクに挑戦してこそ大きな利益が生まれるというところも理解できますので、すぐにつくれるものではないのかもしれませんが、今御苦労されていると思いますけれども、なるべく早期に、理屈のちゃんと通ったベストミックスを示していただければなと思います。

 この話は話すと尽きないんですけれども、次の、原発依存度低減に向けたロードマップというお話につながってくるのかなというふうに思っております。というのは、ベストミックスの中で原発依存度はどの辺ぐらいまでにしていくべきなのかというようなお話を突っ込んでしていかなければならない。

 実は、内々のことを話して申しわけないんですが、きのう、我が党の共同代表の橋下徹がやってまいりまして、総務委員会で参考人招致されておりましたので、その後に党内で、私どものもう一人の共同代表の石原共同代表と二人来てもらって、党内のエネルギー調査会というのをやっておりまして、その中でも相当な議論がされておりました。

 石原代表が言うのは、原発、原子力のこういった技術については、人類の英知だ、英知を結集したものだ、だからどんどん、安全性を確保しながらも、これを捨ててしまってはいけないんじゃないかというような感じの話をされていたんですね。

 私も、ぺいぺいでありながらちょっと手を挙げて言わせていただいたんですけれども、そこと同じように、再生可能エネルギーであるとか新たなエネルギー源に関しても、日本の英知を結集することによって新たなビジネスを生み出していくようなものにしていくべきだと思いますし、そういうことをして世界の中でトップランナーになっていくということは重要なことなのではないかなということを少し話させていただきました。

 ただ、余り言うとあれなんですが、石原代表がよく言われるのは、例えば、原発反対というふうな人たちがいる、その人たちは割とヒステリックに何でも原発反対だというふうに言うんだ、だから、それは間違っているんじゃないか、それを理論的にちゃんと、こうこうこうだからということが示されなければならないんじゃないかというような感じのことを言っていたんです。

 逆に、再生可能エネルギーをどんどんやっていくんだというところも、ある程度、言葉は悪いかもしれませんが、ヒステリックにやっていかなければいけないところはあるのかもしれない。これも同じように、例えば風力でやるとか太陽光でやると、太陽光は夜になると発電量が減ってしまう、それをどうやって補っていって、どういうことをやればうまくやっていけるのかという理論的なことがちゃんとなければ、ただ単にクリーンなエネルギーだから再生可能エネルギーを進めていくんだというだけでは、どうしてもなかなか賛同者は得られないんじゃないか。だから、賛成、反対とかという問題ではなくて、そういうことを考えて、理屈をしっかりとつけた上でベストミックスを考えていくべきなんだろうというお話をしておりました。ちょっと長い余談で申しわけございません。

 その中で、脱原発依存のロードマップという点について、これも前回お話をさせていただきました。一番私が懸念するところは何かというと、たとえ世界最高水準の規制基準をクリアしたからといって、再稼働していいのかどうかという問題なんですね。

 これはなぜかというと、それよりも先によく言われるのが、廃棄物の処理方法が最終段階まで決まっていない中で、このまま推進していくのはどうか、そういう議論もあります。

 そういう観点もあるんですけれども、もう一つは、今の状態の中で再稼働していくといったときに、我が国のこれからのエネルギー計画、要はベストミックスが決まっていない状態の中で再稼働をしてしまう。それで、再稼働した後に具体的なその割合が出てくる。これをやっていると、その計画値、何%ぐらいの依存度にしようというときに、もうその時点で再稼働している状態になっていれば、必ずその計画作成に影響を与えることになる。これは避けられない事実だと思っているんです。

 だから悪いというわけではないですけれども、その意味でも、再稼働する際には、どういうふうなものがベストミックスというのか、依存度何%ぐらいまでのことに抑えていこうじゃないかということを示した上で再稼働もやっていくべきではないだろうか、そういう思いで前回質問させていただきました。

 そこについては余り、これは総理に聞いたんですけれども、明確なお話はされていないのかなと。先ほど言ったように、原発依存度を含む日本の将来のエネルギーミックスに関してはという形ではお話をされていたんですが、もう少しちょっとその辺を、どういうふうにこれから先、再稼働と計画の作成という部分について、関連性を考えていらっしゃるかということをお話しいただけますでしょうか。

上田政府参考人 今、委員のお話を大変興味深く聞かせていただいておりました。

 ベストミックスをつくるのか、再稼働を先に進めるのかということでございまして、まずベストミックスを出して、その後でそれを踏まえて再稼働を進めていくというやり方もあるのではないか。これはいろいろなやり方があると思いますけれども、ベストミックスをつくるに至っても、実は原子力発電所の再稼働がどの程度動いていくのであろうかと。

 御案内のとおり、私どもは、原子力発電所の再稼働につきましては、安全性を第一に考えて、規制委員会の安全性の適合性審査に合格したものにつきましては再稼働を進めるというポジションでございますが、全ての原子力発電所が安全性基準に適合するかどうかはもちろんわからないわけでございますし、申請するかどうかもわかりません。廃炉になっていくものもあるかもしれません。

 実際問題として、どの程度、原子力発電所の再稼働が進んでいくのか。現在ゼロであるわけでございますが、なかなか、そういったものを見きわめないことには、現実的なベストミックスをつくっていくという上でも、やはりそのあたりを少し見きわめる必要があるのではなかろうかということでもございます。

 他方、委員御指摘のように、それではいわば既成事実化してしまって、なかなかベストミックスとの関係が難しくなるのではなかろうかということもありますけれども、他方で逆に、何%に原子力をするんだということを決めると、ではそこまで原子力発電所は動かすのかというような、インプリケーションと申しますか、意味合いが起こっていくこともございます。

 いろいろな兼ね合いがあるわけでございますが、私どもといたしましては、先ほども申し上げました、原子力再稼働の状況を少し見ながら、その状況も踏まえた上で、しかしできるだけ早くベストミックスをつくっていきたい、こんなふうに考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 やはり難しいんだなということは改めて理解させていただきました。それは難しいんですよね。ただ、難しいんだけれども、やはり今の世の中の状況、世論を考えてみても、今お話をされたようなこと、数値が出せなかったとしても、今はそういうことなんだということを理解していただいている国民がどれだけいるのかということ、そこが私は問題だと思っております。

 そういう意味でも、相当いろいろな要素があるのかもしれませんが、それを順序立てて一つ一つ国民の理解につながるような御努力を、今までされていなかったとは思いませんが、これから先も続けていかなければなかなか前へは進めないと思っておりますので、私たちもそういうところは努力、協力させていただきますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 次に、本法の一番肝の部分になる、小売参入の全面自由化について。これも先ほど丸山委員から少しお話がありましたけれども、どうしても難しい、わからない部分というのが、どういうふうになったら本当の意味で自由化ができるのかということなんですね。

 一般電気事業者は、料金は今の時点では据え置きにします、新規参入についてはそうではないという形は言っていながら、ある程度の規制が残り、競争できる環境が整ったということを見きわめた時点で自由化に持っていくんだというようなお話をされているんです。先ほども少しお話をいただいていましたけれども、果たして、誰が、どのように、どの時期に判断ができるのかということなんですね。

 その内容についてもう一度お話をいただければなと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正では、現在の一般電気事業者に対しましては、経過措置として料金規制を残すこととしてございます。

 この規制の撤廃につきましては、いわゆる規制なき独占を防止するという観点から、需要家の利益の保護ということを考えまして、昨年成立いたしました第一弾の改正法の附則、プログラム規定におきましても、事業者間の競争関係が確保されているかを見きわめた上で、法的分離の実施と同時か、それ以降に行うというふうにされてございます。

 こうした趣旨を踏まえまして、この料金規制の撤廃時期につきましては、例えば、新規参入の状況がどうなっているのか、既存事業者間の競争の状況、規制料金ではなく自由料金を選択している需要家の割合、スマートメーターの普及状況、卸電力取引所の活用状況などを総合的に勘案いたしまして検討していく必要があると考えてございますけれども、この判断を行うためのより具体的な基準あるいは時期につきましては、総合資源エネルギー調査会のワーキングで公開の議論を経て、引き続き検討してまいりたいと考えてございます。

木下委員 ありがとうございます。

 いろいろな要素があるんだということなんですけれども、最後におっしゃられていた、ワーキンググループをつくってという、これをもう少し、もっと突っ込んで特別な委員会制度にして、よりオープンな状態で理解していってもらえるようにしなければならないんじゃないかなと私は思っているんです。

 それはなぜかというと、今のお話ですと、基準というのが今の時点では示しにくい。一つ一つの要素については、どれぐらいの普及率になったとか、そういうことを数値化することは私はできると思っているんですけれども、ただ、その一つ一つだけでは当然だめで、総合的な判断が必要になってくる。

 総合的な判断というのは何かといったときに、これは言うとあれですが、理屈になってしまうんだと思っているんですね。理屈というのは何かというと、さまざまな要素を検討した上で十分に競争環境が整ったということが判断できた、多分そのような形になるんだと思うんですけれども、それって言葉で言うのはすごくわかりやすいんですが、周りが見ていて理解できるかというとなかなかできない。そういう意味では、それを判断するという過程を全てフルオープンにして、より大きな、ワーキンググループというよりも委員会的な形でやっていくことが重要なのではないかなと思っておりますので、これはちょっと提言として聞いていただければなというふうに思います。

 次に、お話をさせていただきます。

 これも本会議場の登壇でお話しさせていただいた話で、先ほどの普及状況を見てというところでスマートメーターというお話が出ておりました。このスマートメーターの導入というのは、恐らく私が思うに、ほかの委員もお話ししておりましたが、自由化をしていく中で大きなキーワードになるんだと思っております。

 前回のところで、二〇二〇年代の前半ぐらいを政府としては目標にしているという形のことを言っている中で、前回の私の登壇の際には、少しおくれているんじゃないですかというような話をさせていただきました。

 その後、改善状況を持ってきていただいたんですね。これはすばらしいなと思っておりまして、北は北海道から南は沖縄、沖縄は少しおくれますけれども、ほぼ、もともと目標にしていた年次よりも前倒しでスマートメーターの普及が完了する、そういう計画が出されているということで、これは本当にうれしい限りだなと思っているんです。

 ここで、きのうもちょっといろいろな方々に来ていただいて、政府の方々とお話をさせていただいたんですけれども、そうはいいながら、スマートメーターの設置をどうやってやるのかというと、どうしても、今の一般電気事業者、独占的な一般電気事業者、そこが当然ながら送配電網を持っていますので、そこに対して一般の業者が入札という形で、入札して工事を行いますよ、機械自体は認定されたものを入れていくんですよという形になっていて、今の制度の中ではこれはある程度限界なんだろうというふうには思っているんですけれども、私は、それではまだまだ生ぬるいんじゃないかなというふうに思っているんです。

 これはなぜかというと、もう少し大きなところからいうと、今回の電気事業法の改正、電力システム改革というところは、電気を発電して送配電して売りますという、それだけを変えていくだけではなくて、また新たなその周辺のビッグビジネスを生み出す要素を持っているんじゃないかと思っていますし、そういうマーケットをつくっていくことを助長することがすばらしい世の中をつくっていくんだというふうに思っているからなんです。

 何を言っているかというと、例えばスマートメーターは、どうしても今の状況だと、工事業者が行って今のメーターからかえますよというふうに言っているんですけれども、今、基準もそういうふうな基準をつくりますというふうに言っているんですが、最終的に私がやってほしいなと思っているのは何かというと、その辺の電気のプラグみたいなところに、例えば、そこのビックカメラとかああいうところに行ってスマートメーターを買ってきて、ぽんと差し込めば、それだけでいいという状態をつくれるようにしたいということなんです。

 当然、そういうふうにすると、ちゃんとしたメーターが設置できているかどうか、ちゃんとしたデータが流れるかどうか、そこはちゃんとした認可制度にするとか、あとは、誰かにその情報を見られないようにするためには暗号化してやるとか、今の技術で十分できることなんだろうというふうに思っていて、そこまでオープン化すると何が起こるかというと、私たちが考えもつかないようなビジネスが生まれてくるんじゃないかなと思っているんです。

 先ほど大臣が丸山委員への答弁の中でもおっしゃられていましたけれども、携帯電話と電気とはなかなか違うから、料金の設定についてはそこまでさまざまにならないと思いますというふうなお話をしていたんですけれども、私はもっとさまざまな料金体系が出てきてもいいんじゃないかなと思っているんです。

 例えば、きのうもお話ししていましたけれども、買ってきたスマートメーターがどこかと契約しているもの、例えば、ある携帯電話事業者がこういうところに新規参入で入ってきましたとした場合に、個別のお宅を全部集約して、送配電事業者とボリュームディスカウントをとってくるという形のことも、これはやろうと思ったらできると思うんですね。そして、そこの利益をその会社は得ていく。当然、それだけじゃなくて、そこに付加サービスとして、例えば携帯電話の回線も持っていたらそこに対していろいろなデータを飛ばすことができますよ、アプリケーションを使ってまたさまざまなアイデアが出てくる。

 こういうことをやっていくと料金体系がすごく複雑になっていくだろう、ただ、しっかりとそれが管理さえできていればそこに新たな市場が生まれていくんだ、私はそう思っているんです。こういうことこそ我が国が進めていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに私は思っています。

 以前にもちょっとお話しさせていただきましたが、ちょっと携帯電話に飛んでしまいますけれども、よく言ったのが、昔の通産省の方々とかは我が国発の基準を世界にと言って、なかなか日本の、日本で標準化されたものが、海外に行って結局普及しなかったというようなものも出てくる。ただ、これは、しっかりと日本の国内でワークするようなものをつくっていって、すばらしいサービスであれば、そういうものがつくれれば海外にも持っていって普及するんだと思っているので、そういうベースをつくるのは何かというと、スマートメーターを今の電気事業者が認可して一般入札して工事しましたよ、この発想をもう少し変えていってほしいというふうに思っているんです。

 今ここの中でそういう話をそこまで飛躍してするというのはちょっと難しい話なのかもしれませんけれども、そういうことも考えた、頭の中に入れたような電力システム改革というものを推進していっていただきたいなという思いで、スマートメーターの話をしつこくちょっとお話しさせていただいた次第なんです。

 今ちょっとここで切らせていただきますが、もし大臣もお話があれば。

茂木国務大臣 今後の電気事業におきまして、さまざまな料金メニューがさまざまな事業者から提供されるということは極めて好ましいことだと思っておりまして、それを進めこそすれ、促進させこそすれ、とめようとは全く考えておりません。

 先ほど申し上げましたのは、同じようなライフラインといいますかネットワークビジネスの中でも、恐らく情報通信の場合は極めて固定費の部分が高くて変動費が少ないんです。それに対してどうしても電気事業であったりとか水、水道等々のビジネスの分は使った分だけ変動費が出てくるということで、メニューのつくり方というのも違ってくる。固定費がかかっちゃいますから、その後の料金というのは、極端に言えばただでもいいようなメニューというんですか、そういうのもつくれると若干違うのではないかな、そんなふうに思っています。

 ちなみに、水道で思い出したんですけれども、カリフォルニアは結構水というのが大変なようでありまして、レイモンド・チャンドラーのハードボイルド小説に出てくるんですけれども、フィリップ・マーロウという探偵が怖い人におどされて、俺はおまえの家の水道をとめる力を持っているんだ、それに対するフィリップ・マーロウの答えは、自分はウイスキーはストレートでしか飲まないという答えでした。

木下委員 水商売はなかなか厳しいようでございます。

 今のお話なんですけれども、カリフォルニアで、思い出されたということで、私もちょっとふっと今思い出したんですけれども、海外でおもしろいのは、電気事業だけじゃなくて、ビジネスとしてはこれはユーティリティーというくくりなんですね。電気であるとか水道であるとかガスであるとか、同じ会社が全部一緒にやっていたりする。その管理をするのに、こういうスマートメーターだとか、いろいろなセンサリング技術というのがまたビジネスとして広がっていって。

 もう一つ、私もちょっと絡んでいたんですけれども、それを今度はビッグデータとして扱って、需要予測をしていくとか、次の燃料輸入をどうしようかとか、そこまでの分析をする、そういう研究、それから、それ自体がビジネスソフトウエアとしてでき上がっているのも見せていただいたことがあるんですね。

 そういうのを考えると、やはり、センサリング技術であるとか、そういうベースをつくっていくことというのが新たな市場をつくっていくことだというふうに思っていますので、きょうは電力システム改革といいながら、その先の部分もちょっとお話をさせていただきましたけれども、ここまで考えてぜひともやっていっていただきたいなということで、きょうのお話は終了とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

富田委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東です。

 いつもはトップバッターであることが多いんですけれども、今回は三番手として質問させていただきます。

 三番手ですし、午前中の最後ということで、かぶる部分も多いと思うんですけれども、その場合は直球の質問ではなく、ちょっとツーシームのように、揺れたりするような、そんなムービングな質疑になるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

 さて、先ほど大臣がフィリップ・マーロウの話をされていたんですけれども、今調べようと思ったんですけれども調べ切れなくて、大いなる眠りだったか静かなる眠りだったかちょっと忘れたんですけれども、そのフィリップ・マーロウのせりふの中に、男はタフでなければいけない、そして優しくなければ生きていく資格がないというせりふがありまして、私も非常にハードボイルドが大好きです。

 ただ、やはりタフさも我慢できるところと我慢できないところがございまして、前回の質疑でも聞かせていただいたんですけれども、ことしの夏もまた暑くなりそうです。夏季に向け、電気の安定供給に関してはやはり万全を期していただきたいわけです。

 原発事故以降、国民の間に、今まで三・一一前は原発に電力を依存していた消費社会の構造というのはなかなか維持できないんじゃないかというような認識も広まっております。これは、まさしく私自身、きのうエネルギー調査会が我が党であったんですけれども、だからといって原発を再稼働も含めて推進しているというわけじゃなく、さてどうするかということです。現在の供給力で中長期の安定供給が確保できるかということなんですね。

 前回、関西経済連合会の会長の話もしたんですけれども、では、企業側も足りない足りないと言っているだけじゃなく、企業側の省エネの節電対策というのを後押しするような施策も同時にするべきではないかと思うんですけれども、そのあたりの御見解はいかがでしょうか。

    〔委員長退席、江田(康)委員長代理着席〕

田中大臣政務官 現在、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会のもとの電力需給に関する検証小委員会におきまして、二〇一四年度夏季の需給見通しの検討を行っているところでございます。

 委員御指摘の関経連会長からの言及があったとおり、ことしの夏は、余力のある東日本から西日本への電力融通がなければ、中部及び西日本においては昨年度の夏以上に電力需給に関してはかなり厳しい状況になる、こういう見込みであります。

 政府としては、電力需給検証小委員会の検証結果を踏まえた上で、厳しい状況に対応した相当な需給対策を講じていかなきゃいけないと考えているところでございます。

 また、夏冬といった需要のピーク時期を含めまして、企業における省エネ、節電の取り組みは電力の安定供給を確保するために重要であるということに関しまして、政府としては、省エネ補助金等によりまして、企業の省エネ設備への入れかえを継続的に今支援しているところであります。また、省エネ、節電の専門家を企業に派遣する診断事業も実施しているところであります。

 引き続き、電力の安定供給に万全を期していきたいと考えております。

伊東(信)委員 田中政務官、ありがとうございます。

 何でありがとうございますと言ったのかといいますと、先ほど専門家の話をされていましたけれども、例えば、節電というか省エネ対策としてLEDというのも考えられるわけで、LEDは、もちろん導入コストとしては高いわけなんですけれども、私、前に申し上げましたけれども、椎間板ヘルニアのレーザー治療というのをやっていまして、NdYAGレーザーというのを使っているんです。今、大阪大学で私自身が開発研究しているのがLEDを使ったレーザー治療ですので、専門家じゃないですけれども、政府として、省エネ対策として、そういった後押しをしていただけるのはありがたいお話だと思います。

 しかしながら、どうでしょう、この夏は省エネだけで乗り切れるのでしょうか。超高齢化社会を迎えようとしている現代、やはり家庭内では熱中症とかも問題になってくると思いますし、省エネだけで乗り切れるものなのだろうか。

 私自身は、非常に夏というのが大好きでして、夏になるとかえって元気になってくるわけなんです。ちょっと余談ですけれども、私は夏と海が好きで、夏と海を合わせて夏海という名前を自分の息子につけたぐらい、夏が大好きでございます。けれども、やはり今申し上げましたように、異常なる暑さというのは、ことしの夏もちょっと予感できます。このスーツ、実はスリーピースなんですけれども、余りの暑さにちょっと今ベストを外している、そんな状態です。

 この夏を乗り切るのに、電力だけの問題ではなくて、例えば真庭市のバイオマスを使った冷暖房、これは真庭市の市役所が実際使っているんですけれども、省エネ対策としては、建材であるとか、先ほど私が申し上げましたLEDであるとか、もしくは熱そのものという考え方もあるわけなんですけれども、そのあたりの御見解はいかがでしょうか。

上田政府参考人 委員御指摘のとおり、この夏の厳しい状況を乗り切っていくためには、さまざまなことを行っていく必要があると思います。

 先ほどお話しされました例えばLED電球につきましては、経済産業省はトップランナー制度というものを省エネ法に基づいて運用しております。これは、その当時、市場に出ているものの中で最高の、効率のいいものを指定させていただいて、市場にあるもの全てが、五年先なら五年先までに、その効率になるようなものにしていくというような仕組みでございまして、省エネの効率をどんどん上げていくということで、自動車、テレビを初めさまざま行っているわけでございますが、実はトップランナー制度にLED電球というものをつけ加えさせていただいたところでございます。

 それから、建築物につきましても、これもまた非常に重要でございまして、エネルギー基本計画に書いてもございますけれども、省エネ基準を満たした住宅というものを、これは国土交通省とも協力しながら、二〇二〇年までに日本の省エネ住宅の普及をできるだけ促進していくというような目標を立てております。

 それから、熱を初めいろいろなこともあるわけでございますが、これらにつきましても、例年、省エネに関するさまざまなキャンペーンを行っております。御指摘のとおり、例えば室内の温度を二十八度に保つ試みであるとか、あるいはクールビズといった試みであるとか、機械だけではなくて意識を変えていく取り組みというのが非常に重要であると考えておりまして、そういった観点から、省エネに関しましてさまざまな努力を行っていきたいと思っております。

    〔江田(康)委員長代理退席、委員長着席〕

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、どんな部分でもそうなんですけれども、決めつけないことなんですね。やはり発想の転換、いろいろな方向に道筋はあると思っていただきたいわけで、きのうのエネルギー調査会、先ほど我が党の木下議員が紹介していましたけれども、原子力というのは、燃料と捉えますとこれは人類の英知だという、もう一人の共同代表の意見もあるわけなんです。

 科学技術のイノベーションというのは、いわゆる不連続から生まれる。つまり、火が起こって、石炭による燃料ができて、化石燃料の中でも石油が起こって、その石油から原子力に行くところに至っては、これは一つの連続線ではなくて不連続だ、そういったお話をされていまして、私は科学者として非常に興味深く思ったわけです。

 ですので、きょうはここで、どのエネルギー源かというお話をせずに、電力販売の自由化に関して質疑を続けさせていただきたいわけなんです。

 二〇一六年に全面自由化を控えまして、電気事業に、外資などの新規参入業者に道を開く、そのことによって消費者にとって価格競争が進んで電気料金の抑制も図られるだろう、そういったメリットも生まれます。外資も含めていろいろな異業種も入ってくるわけですけれども、この新規事業者の電力の供給という面に関しての安定性に問題が生じる懸念があります。午前中も幾つか質疑がありましたけれども、そのあたりの御見解はいかがでしょうか。

茂木国務大臣 答弁させていただく前に、先ほど委員が引用されたフィリップ・マーロウの言葉、男は強くなければ生きていけない、優しくなければ生きていく価値がない。たしか、私の記憶が正しければ、グッド・バイ・マイ・ラブリー、日本語のタイトル「さらば愛しき女よ」に出てきたんじゃないかな、こんなふうに思っているところでありますけれども、答弁に入ります。

 電気事業への外資の参入につきましては、従来から、外為法に基づきまして、公の秩序の維持を妨げるおそれがないか、すなわち我が国の電気の安定供給の確保等に支障を生ずるおそれがないかといった観点から、個別に審査を行うことになっております。

 もちろん、小売の全面自由化を実施した後におきましても、引き続き、我が国の電気の安定供給の確保の観点から問題がないと認められる場合に限り、再生可能エネルギーなど、さまざまな発電事業や小売電気事業に多様な事業者の参入を認める方向で対応したいと考えております。

 ただし、一般論として申し上げますと、我が国の原子力事業であったりとか一般送配電事業に対する外資の参入申請があった場合には、当然、公の秩序の維持、こういう観点が重要になってまいりまして、その観点から慎重な検討を行う必要があるものと考えております。

 ちなみに、エネルギーの世界、イノベーションということでありますけれども、これが不連続である。概念的にイノベーションというのは不連続なものでありまして、連続なものでありましたらインプルーブメントだと思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 グッド・バイ・マイ・ラブに始まり、最後はインプルーブメントのお話をしていただきまして、本当に、午前中の丸山議員ではないですけれども、大臣の豆知識は大したものでございまして、豆知識と言うと本当に失礼に当たるぐらいのうんちくの量です。

 先ほど、一般送配電事業者の周波数の維持の話もされていたんですけれども、この送配電事業者の周波数の維持に関して、これは、しわ取りの義務を今までの一般電気事業者から一般送配電事業者に周波数の維持を含めて課すということなんですけれども、これはどちら側の立場に立っての維持でしょうか。ユーザー側の立場に立ってなのか、発電側の立場に立ってか、お答えいただきたいんですけれども。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のように、一般送配電事業者に周波数維持義務が課されております。周波数が変動する要因といたしましては、需要側の需要が急に伸びたり減ったりという場合と、発電側の電源が脱落したりと両面ございまして、その両方に対して周波数の維持義務がかかっているということでございます。

伊東(信)委員 それを監視する体制として、送配電事業者が監視してやっていくということだと思うんですけれども、周波数は、もともと西日本と東日本、西の六十ヘルツ、東の五十ヘルツ、静岡県浜松市のあたりを境として変わっております。

 そもそもの交流電源のメリットというのは理解しているつもりです。電圧を変換しやすいのは交流電源にほかならない。直流の場合は、一度交流にかえて、またインバーターを通してとかいう形になると思うんです。ただ、いずれにしても、ケーブルで交流電源を通す場合、一度直流電源にする必要があるんですけれども、そうした場合、直流電源のロスを考えれば、かなり長距離にまで電源を送ることができます。

 外資等の新規参入という質疑の連続なんですけれども、外資の新規参入を認めるのであれば、直流電源の長距離ケーブルを通じて、ドイツのように電気ごと海外から輸入するというような発想も考えられるわけなんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、日本におきましては、島国ということもございまして、外国と送電線の連系がつながってございません。事業者の中ではそういったいろいろな構想を検討されている向きもございますけれども、私ども今具体的に想定しているわけではございませんし、現在の電気事業法も海外から送電線をつなぐということについて想定している規定はございません。

 ただし、一般論といたしましては、送電線を接続するということに関しましては、送配電事業の許可ということが係るということでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、外国からいわゆる直接輸入することのメリットとしましては、要するに時差があるからピーク時が避けられる、そういう発想からだと思います。

 先ほど、与党からの質疑、答弁の中にもありました。電気というのは国の根幹を担う重要なインフラであって、外資等の新規参入と両立させていかなければいけないとおっしゃっていたんですけれども、この両立の方法は具体的にそう簡単なものではないとは思うんです。これはどういった観点から両立させていこうというお考えでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 電力市場に参入するのはいろいろな形態がございますが、例えば発電部門ですと、再生可能エネルギーとか分散型電源として外国の資本が参入する場合ということでございますが、これにつきましては、現状では、再生可能エネルギーをこれからさらに拡大していくという状況にございますので、例えば外国の事業者が突然撤退したからといって日本の安定供給に直ちに影響を及ぼすものではないということです。

 一般論といたしましては、そういった部門についての参入はできるだけ多く認めていくということでございますけれども、先ほどもお話がございましたように、一般送配電とか、あるいは原子力事業とか、こういったことについては慎重な検討が必要だと考えてございます。

伊東(信)委員 今の答弁で、再生可能エネルギーに関して外国資本の企業が撤退した場合の話をしていただいて、その場合、影響がないようにと。割合の問題になると思うんですけれども。

 しかしながら、我が国の新規参入事業者も、コストの面から考えて、先ほど我が党の丸山議員の質疑にもありましたけれども、商品に付加価値がないのが電気でございますから、価格競争になる場合もあります。

 では、その場合、設備に安定した投資を継続的にできるのかどうかも含めまして、新規参入事業者が将来市場から撤退した場合、その発生状態が多かった場合も含めて、政府としてはどのような対応なりプランを考えておられるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 小売事業者が市場から撤退した場合でございますけれども、今回の法律では、ネットワーク全体で一般送配電事業者によりまして需給バランスが維持されるということでございますので、停電するということは想定されないと考えてございます。

伊東(信)委員 本日の質疑の中で、個別の再生エネルギーがどうとか、原子力がどうかということに関して個別にお聞きする趣旨ではないんですけれども、やはり新規の参入業者の立場に立って考えますと、我が党は既得権益の打破ということを言い続けていますので、新規参入業者の立場を考えますと、なかなか可能ではない、困難だとは思うんですけれども、電源構成の目標をある程度設定して見通し参入というのも考えれば、経済自体の活性化にもなると思うんです。いつまでに具体的工程表というか電源構成というのを出せるか、その見通しというのはいかがでしょうか。

茂木国務大臣 全体のエネルギー構成につきましては、各エネルギー源ごとの特性というのを考えなければならない。何度かお答えをしているんですが、その特性ということでいいますと、安定供給にどこまで資するか、コストは安い方がいい、環境負荷は少ない方がいい、安全性は高い方がいい。全ての条件を満たすエネルギー源というのはないわけでありますから、いかに現実的に、またバランスを持ってエネルギーの需給構造をつくっていくかということが極めて重要であります。

 それをやっていくために、では、今後、再生可能エネルギーがどこまで進んでいくか。FITを入れてまだ一年半であります。この見きわめも必要であります。また、ベースロード電源の一つであります石炭火力につきましては、今後、相当、環境負荷を少なくするような高効率化の技術というのも進んでまいります。ミドル電源で申し上げますと、LNG等について、米国からのシェール革命によります、より競争力の高い価格でのLNGも入ってくる。さらには、原発の再稼働がどうなっていくか。

 こういう全体の状況をある程度見きわめる必要があると思っておりますが、できるだけ早く、まずベストミックスの目標については設定したい。ただ、目標を設定した時点ですぐベストミックスができるわけではありませんから、ベストミックスにつきましては、十年以内くらいでそれが確立できるような状況に持っていきたい、そのように考えているところであります。

 新規参入業者、新規参入を促すという観点からできるだけ予見性を高めることが必要だというのは、委員おっしゃるとおりだというように考えておりますが、ベストミックスが決まらないから、例えば特定の太陽光発電であったりとか風力発電、今全体でも二%は残念ながらいかない状況でありますから、そこに参入するのをちゅうちょする事業者が多いという状況ではないのではないかなと思っております。

 ちなみに、最後に一言。先ほど、私の発音が悪かったのかもしれないんですけれども、「さらば愛しき女よ」、グッド・バイ・マイ・ラブリーですから。グッド・バイ・マイ・ラブですと、アン・ルイスになっちゃいますから。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 実は、私のレーザー治療の患者さんに亡くなった桑名正博さんもおられて、桑名正博さんが歌うグッド・バイ・マイ・ラブを聞いていましたので、これは別れた奥さんというふうにおっしゃっていたので、アン・ルイスであることは間違いないです。豆知識三つ目で、ありがとうございます。

 それで、せっかくですから、まだちょっと時間があるので、もうちょっとお待ちください。

 個別のエネルギーのことを聞かないと言いましたけれども、先ほど、いわゆる十年以内のベストミックスということをおっしゃったわけです。大臣自身も一番わかっていられての御答弁だろうとは思うんですけれども、ベストミックスという言葉はついているけれども、何がベストミックスかというのは非常に難しいお話です。できるだけ価格も安く、できるだけ安定で、できるだけ安全な、そういったエネルギーであれば、それがその時点のベストミックスなのだろうということになるんですけれども。

 十年以内というお話をされたんですけれども、であるのならば、例えば地熱発電とかであれば、先ほど環境の話もされましたけれども、環境に対するアセスメントだけでもやはり三、四年かかります。そこからの手続でまた二、三年かかって、最終的な工事は三年ぐらいででき上がるわけなんですね。例えば地熱発電に期待をするのであれば、なかなか十年ということも難しいわけですね。だから、そこでやはり見通しというところになるわけなんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

上田政府参考人 御案内のとおり、地熱発電を初め、特に大規模な電源の場合は、どうしてもアセスメントの期間が必要であり、その後の建設期間というのが必要であるわけでございまして、現在、固定価格買い取り制度を始めましても、実際問題、非常に導入が進んでいる再生可能エネルギーは太陽光が中心であるという現状であります。

 こういった、事業者に対して予見可能性を持たせることは非常に重要だと思っておりまして、そういう意味におきまして、委員御指摘のようなベストミックスの方向性が示されるということは非常に重要な課題であると思います。

 ただ、再生可能エネルギーに関しましては、固定価格買い取り制度というものがございます。今回、エネルギー基本計画の中でも、再生可能エネルギーは非常にチャレンジングな課題であるということで、過去の目標をさらに超えるような水準にしようという目標を立てさせていただいたわけでございますが、買い取り制度の価格が一度決まると、その価格で十年、十五年という形で固定的に買うことが決定されるわけでございますので、再生可能エネルギーに関しましては、固定価格買い取り制度の中で投資判断というのが非常にできやすい環境が今整備されているわけでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 FITのお話をしていただいたわけなんですけれども、FITにも関連するわけですけれども、電力市場の自由化によって、電気料金が果たしてどのように安定していくかというのがこれからの課題になると思うんですね。やはり上昇も見込まれるわけです。

 大臣おっしゃるように、選択の自由ができますので、再生可能エネルギーという、燃料というか電源というか、それを選ぶ時代も出てくるわけなんですけれども、電気料金というのはみんな均等に払う。全く電気を使わないで現代の生活を送るというのは、なかなか不可能なことでございます。もし電気料金が上がることになれば、弱い立場の低所得者に与える影響というのは大きいと思うんですけれども、政府としてはどのような対応を考えておられますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、電気というのは生活必需品という性質がございますので、正当な理由がないのに電気の供給が行われないということは避けなければならないと考えてございまして、今回の電気事業法改正におきましても、一般送配電事業者は、正当な理由がなければ、最終保障供給を拒んではならないというふうに規定しているところでございます。

 また、今回の小売参入の全面自由化は、いろいろな事業者が入ることによって、電気料金の最大限の抑制というのを目指しているものでございます。

 ただ一方、電気は全ての需要家が公平にその費用を負担するものでございまして、電気の使用方法が同等である場合に、特定の方の電気料金を安価に設定するということは、他の需要家にその負担がかかるということでございますので、そういったことについては適当ではないのではないかと考えております。

伊東(信)委員 そうですね。ただ、ぜいたくで使う分の電気料金と言うとちょっと語弊がありますけれども、家屋の構造とかを考えて、いわゆる換気が悪かったり、湿気が多い地域であるのならば、熱中症とかのリスクもございます。しかしながら、電気料金が著しく高くなると、やはり健康とか生命に対する危険性もあるので、そのあたりは考慮していただければいいかなと思います。

 その中で、電気料金が自由化されていくというか、競争原理が働きますと、原子力発電による電気というのが果たして自由競争で生き残るのかどうかというのも私は甚だ疑問視しています。もちろん、今、原子力発電所というのはまだ存在はしているわけですね。

 しかしながら、原価計算というのはきっちり、いわゆる経費というのを考えなければいけなくて、廃炉にかかったお金、賠償にかかったコスト、除染にかかるコスト、復興にかかったコスト、どこまでを入れるのかということは、いわゆる商業においてはここで切るというのはいいかもしれないですけれども、政府の予算として、政府の方策としてコストで入れるべきである、そういったネガティブな要因もありますので、自由競争で原子力は果たして価格面で生き残るかどうかということに関して、見解をお聞かせください。

茂木国務大臣 最終的にどのような電源を使っていくか、これはまさに、発電する事業者であったりとか、また小売を行う事業者であったり、事業者の判断ということになってまいりますが、これまでの試算結果によりますと、例えば事故対応費用であったりとか廃炉費用を含めましても、原子力発電は比較的安い電源、このようにみなされている、そのように考えているところであります。

 そういった中で、例えば地熱等についてもそうでありますけれども、立地自治体等の理解を得る、こういう努力が必要でありますので、電源特会等々からさまざまな交付措置も行っております。

 一方で、再生可能エネルギーについては、FIT等々によりまして、コストがどうしても高くなってしまう。そこの中での導入を促すような制度というのをつくったり、また、LNG等々になりますと海外からの調達ということになってきますので、そういった資源権益を確保するために、海外に進出する企業に対してさまざまなリスクについて国が保険を掛ける等々、それぞれのエネルギー源ごとに違った課題について国としても支援策をとってまいりたい、このように考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 電気料金が平等なように、時間というのもこの三次元の世界において平等に流れていきますので、本当は、送電線網についてもう一問お聞きしたかったんですけれども、質疑時間は終了いたしましたので、時間は守らなければいけないということで、最後、アン・ルイスさんの言葉で、ああ無情ですけれども、終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

富田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十八分開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、茂木経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。茂木経済産業大臣。

茂木国務大臣 午前中の答弁に関しまして訂正をさせていただきます。

 伊東議員の質問で、フィリップ・マーロウの言葉でありますが、出典「さらば愛しき女よ」と申し上げましたが、昼に調べてみたら、違う小説、「プレイバック」でございました。

 さらに、「さらば愛しき女よ」、原題は「フェアウエル・マイ・ラブリー」でありまして、別の小説の「長いお別れ」、「ロンググッドバイ」と混乱をいたしておりました。

 それから、伊東委員のおっしゃった、男はタフでなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない、意味はほぼ同じでありますけれども、この言い方は、一九七八年の角川映画の「野性の証明」のキャッチコピーとして有名になった言葉だと承知をいたしております。

富田委員長 質疑を続行いたします。田嶋要君。

田嶋委員 民主党の田嶋要でございます。よろしくお願いします。

 きょうは、システム改革第二弾でございますが、省エネの状況に関しての御質問からまず入らせていただきます。

 大臣、我が国は省エネを一生懸命やってきたということはみんなわかっておるわけでございますけれども、現在の日本のエネルギー効率に関して、先進国の中で今どういう位置にあるという御認識をお持ちか、そのことをまず御答弁いただきたいと思います。

茂木国務大臣 現在においても、日本の省エネレベルはトップレベルにあると思っております。

 我が国は、一九七〇年代のオイルショックを官民の努力により乗り越えることによりまして、一次エネルギーの消費のGDP比較、すなわちエネルギー効率の国際比較におきまして、世界に冠たる省エネ技術、商品、社会をつくり、経済成長と省エネを同時に達成してきた。

 ただ、一九九〇年以降ということでいいますと、日本の場合は雑巾でいいますとかなり絞った状態ということでありまして、日本のエネルギー効率の改善度、これは英国等と比してみますと必ずしも九〇年以降は高くないという事実はあると思っておりますが、現在でも、冒頭申し上げましたように、世界トップレベルのエネルギー効率は維持をいたしていると思っております。

 ただ、オイルショックのときは全体的に省エネを進めるということが極めて重要な課題でありましたが、現在の三・一一以降の新たなエネルギー制約、これは、ピークコントロール等を進めることにより全体として供給力を上げなくても済むような状態をつくるということでありまして、その意味では、オイルショック時に取り組みました省エネとは若干違った形のディマンドコントロール等々の努力が必要だ、このように考えております。

田嶋委員 ありがとうございます。

 お配りした資料で最後につけてありますが、八ページでございますけれども、ちまたでそのように、今大臣がおっしゃったようにずっと言われてきて、私も、基本的に日本はすばらしい成果を上げてきたというふうにずっと理解はしてきております。

 今御指摘ございましたとおり、オイルショックという物すごい危機感を受けながら、当時頑張った結果として、九〇年代、九〇年前後までは大変な成果を上げたというのがこのグラフ、三つございますけれども。しかしながら、今大臣もお認めになられたように、伸び率という意味での改善度は日本はいろいろなところでとまっている、足踏み状態にあるというのも、こういう三つの切り口から各国間の比較あるいは産業分野での比較を見ますと、やはりこれはもう認めざるを得ないのではないかなというふうに思います。

 やれることを全部やってきているのかということを考えますと、トップになった、よく例では、我が国の製鉄産業はすごいんだという話、私もそれは誇りに思っております。しかし、それが本当に中小・小規模企業まで分野を超えてやれることをやり切っているかというと、ここにも書いてございますが、例えば設備更新などをすることによらないと、もうここから先、省エネが、本当にやれることをやり切っている状況には日本は今ないのではないか。

 そういう意味で、私たちは改めて、第二の危機感を持った省エネを、この三・一一以後、新たな国民運動としてやらなければいけない、そういうような、オイルショックと同じような危機感を持って、もう一度、ゼロから何ができるんだということ、そして国の支援のあり方を見直していかなきゃいけないというふうに思っていますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 田嶋委員がおっしゃるとおりだと思っておりまして、国を挙げて、もう一度危機感を持って、今回のエネルギー制約の克服にチャレンジしていかなければいけないと思っております。

 御案内のとおり、運輸部門であったりとか家庭部門についてはまだ省エネの余地があるということで、トップランナー制度につきましても、新たに窓とか壁、こういったものも追加するような措置をとりました。さらには、補助金等によりまして最新鋭の省エネ型の設備に入れかえる、こういった企業努力に対しても国としても後押しをしっかりしていきたいと思っております。

田嶋委員 この機会に改めて、どういう予算措置あるいは税制措置で省エネを応援しているかということを確認させていただきました。省エネ以外も含めていろいろあるのはあるんですが、どうも、省エネに関して本当に最大限の国としてのバックアップができているのかということになると、私はまだ少し足りないような印象を受けました。

 具体的に一つお伺いしますけれども、いただきましたエネルギー基本計画の中でも、LEDに関して表記がございました。そして、それも含めた高効率照明の導入に関して具体的に期限と数値目標を立てていると思いますが、どういうふうに立てておりますか。

木村政府参考人 御指摘のとおり、業務部門、家庭部門の省エネには、LED照明といった高効率照明の導入が効果的であると理解しております。

 エネルギー基本計画におきましては、高効率照明については、二〇二〇年までにフローで一〇〇%、二〇三〇年までにストックで一〇〇%の普及を目指すという目標が設定されてございます。

田嶋委員 明確に示していただいたことは大変結構ですし、LEDは、皆さんが注目している消費財といいますか、導入しなきゃいけない、みんなそういうふうにやっていっていただきたいと思いますが、それがまさに、今回の電力システム改革、特に需給がかなり逼迫している中で、これから第二段階、第三段階とやっていく中で、やはり総量としてのキロワットアワーを減らしていくというのがこれからの日本の方向であろうというふうに思います。

 では、今のLEDで、現在との比較で、具体的にどのぐらいの消費電力量が実現すると見ておるのか、数字を教えてください。

木村政府参考人 今申し上げました目標が実現した際の省電力量につきましては、二〇一〇年度を基準として、二〇二〇年度において約三百三十億キロワットアワー、二〇三〇年度において約六百九十億キロワットアワーという試算がございます。

田嶋委員 だから、現在との比較においてどのぐらい節減できると考えていますか。

木村政府参考人 割合で見ますと、二〇一〇年度実績の全消費電力量に対しまして、二〇二〇年度においては約三%、二〇三〇年度において約七%に相当すると考えてございます。

田嶋委員 今からおよそ六年後の話でございますが、政府から提出された今回のエネルギー基本計画では、LEDをフローベースで、つまりその年に売れる照明器具を全てLEDにしていきたいというのが二〇二〇年でございます。そして、二〇二〇年にそれを果たすことによって、全電力消費量の三%を減らすことができる。これ一つ見ても、これは私はすごく大きな結果、三%減らせれば電力システム改革にも寄与するところ大ではないかなというふうに思います。

 そこで、大臣、もしおわかりでしたら、二〇二〇年度三%とか二〇三〇年度七%、これは民間の、一般の人たちが購入する話でございますね。しかし、それを今回、エネルギー基本計画の中で、期限と、そこでフローを一〇〇%にすると言い切っています。どうやって民間が行う選択の中の話を言い切れるんですか、政府として。どういう手段でそれを実現しようと考えられておるんでしょうか。

木村政府参考人 まず、一つの手段といたしましては、省エネルギーに対する補助金でございます。設備投資等に対する補助金というのが一つございます。

 それから、トップランナー制度によりまして、LEDのそもそもの効率向上ということもあわせてやっております。LED照明自体の効率の向上というのに取り組んでまいります。

 あわせまして、事業者に対しましても、LED照明への切りかえといいますか、そういったものの促進について呼びかけ等を行っておるところでございます。

田嶋委員 今のはフローの一〇〇%というふうにエネルギー基本計画に書いていますから、大手の事業者だけの話じゃないですね。一般の消費者が購入する電球、電灯も全部LED。これはひょっとしたら、裸電球販売禁止とか、そんなことまでしないと実現しないんじゃないかなと思うんですが、恐らくそういうことをする考えはない。補助金だけでそんなふうにいくんですか。どうやってフローで一〇〇%、二〇二〇年、あと六年後ですよ。今、事業者はわかりましたけれども、いかがですか、消費者に対して。

上田政府参考人 委員御指摘のとおり、照明の省エネを進めていく、これは極めて重要な課題であります。

 ただ、思い起こしていただけるといいんですが、もともと照明というのは、ついこの間まで、裸電球に代表されるいわゆる電球型照明であったわけでございます。これをまず蛍光灯にかえていこう。蛍光灯になりますと大変省エネが進むということで、まず電球を一時、蛍光灯型の電球にかえていくということを推進いたしました。さらにそれが今はLED照明という形になってきているわけでございますが、そのときにさまざまな手段を導入いたしまして、例えば、業界に対しましてこういった通常の電球の生産をどんどん減少していくようにということをお願いし、消費者に対しまして蛍光灯型の電球を使うということを奨励いたしまして、いろいろなPRをさせていただきました。

 さまざまな努力の結果、現状では、電球型の、通常の裸電球みたいな販売は非常に減少していることでございまして、規制、助成、さらにはPRといった手段を通じまして、このLED照明についてもその普及拡大をしていきたいと考えております。

田嶋委員 今のお話だと、要は、裸電球を禁止するわけではないけれども、供給サイド、それから需要サイド両方にさまざまな働きかけも行うことで、補助金等も加えて、二〇二〇年、あと六年後には、その年に販売されるものの全体を高効率照明にしていきたい、それをエネルギー基本計画で明確にされたんですね。私は、それは決して反対しません。この国はそのぐらいやらないといけないと思っています。

 であれば、ここでもう一つお伺いしたいのは、照明ともう一つ私どもが注目しているのは、高断熱性のサッシであります。

 これは、先ほど窓ということをおっしゃいました。我が国の省エネで非常に弱点は、住宅が、申しわけないけれども、経産省がこれまで頑張ってきたトップランナー制度の外に置かれました。最近、少し中に入れられるようになりました。しかしながら、非常におくれてしまっているというのが率直な評価であります。

 そこでお伺いいたしますが、高断熱性のサッシについては導入目標はどのようになっておりますでしょうか。

木村政府参考人 高断熱サッシそのものの導入目標というのはエネルギー基本計画にはございません。

田嶋委員 なぜでしょうか。

木村政府参考人 サッシにつきましてはトップランナー制度の対象にするという制度改正をしたところでございますけれども、サッシは断熱性のみで市場で選択されているわけではございませんで、もちろんコストでございますとか強度、それから防火性といったさまざまな要素が絡んでおります。したがいまして、サッシだけにつきまして、例えば一〇〇%高断熱性にするというような目標はなかなか立てづらいということが事実でございます。

田嶋委員 LEDの照明は裸電球の何倍もしますね。蛍光灯も何倍もする。そして、光っている色が違いますよ。私も家に両方つけていますけれども、LEDは青白い色ですよね、白っぽい色。裸電球はもうちょっと温かみのある色。いろいろな好みはありますよ。しかし、そういう中で、二〇二〇年、フローで一〇〇%というふうに決めているんです。そのぐらいの覚悟がないと、日本のこの苦しいエネルギー事情の中で社会の転換は図れない。だからこそ、断熱性に関しても同じぐらいの野心的なターゲットセットをしていただきたいというふうに私は思いますが、大臣、お話を聞いていていかがですか。

 この点は、久しぶりに出てきたエネルギー基本計画、これは国民、民間、みんなが注目して、日本の政府がどういう旗を立てるかということはやはり極めて重要。先ほど確認させていただいたとおり、一つのLED、高効率照明を導入するだけで、全体のエネルギーの三%、あるいはストックで七%も減らすことができるということでございます。

 資料をごらんください。資料の一ページでございます。

 これは、断熱に関してはどのぐらい効果が出るか、一つの研究の結果なのでございますけれども、夏には窓から六九%の熱が入ってくる。冬には窓から五一%が出ていく。

 そして、窓といったときに大事なのは、窓そのものよりも窓の周りのサッシなんだと。アルミサッシか、それ以外の樹脂とかいろいろあるようでございますが、比較すると、今、日本だけが先進国で圧倒的にアルミサッシですね。日本以外の先進国ではどこもアルミサッシは主流ではないんです。しかし、日本では圧倒的に使われているアルミサッシを切りかえていくと、この調査によれば冷暖房費は半分以下になるんです。

 LEDも確かに大きな効果がある。しかし、この三%、七%、ここでどういう数字になるか私は知りませんけれども、恐らくそれは試算されていないと思いますが、大きな効果が出ると思いますよ。だから、トップランナー制度で頑張ってもらった経産省ですけれども、こういうところが、私は、オイルショック後の危機感を持って国を挙げて取り組むというときに、ここはできていないと思うんです。

 大臣、こういう一つの結果をごらんいただいて、何で今回、基本計画にこういうのを入れていないんですか。

茂木国務大臣 基本的な考え方というのは田嶋委員と共有いたしております。

 そこの中で、住宅全体として省エネ化を進める、極めて重要だと思っております。目標数値が設定できるかどうか、これは国全体として、幾つかの省庁にもまたがりますけれども、検討したいと思います。

 あともう一つは、日本人の意識というのも変えていかなきゃならない。物に対する意識はあるんですけれども、住宅に対する、これをいい形で使おうという意識というのは、ヨーロッパなんかと比べるとやはり劣っていると思うんです。

 例えばドイツですと、温かいものは夕飯でも余り出てきません、相当ぜいたくなんですね。食事よりもお皿にお金をかける、マイセンのお皿であったりとか。そのお皿よりも食器棚にお金をかける、その食器棚よりも家にお金をかける、家よりも町にお金をかけて、ケルンの大聖堂を二百年かけて改修する、こういったことがある意味国民性としてあるわけでありまして、私は日本も委員がおっしゃるような方向に持っていきたいと思います。

 具体的に、高い目標数値が設定できるか否かも含めて、余り低いところだったらどうなんだろうという話もありますから、現実性も踏まえながら、数値目標を出すことが妥当かどうかも含めて検討したいと思いますが、御指摘につきましては共感する部分が多いと非常に思っております。

田嶋委員 私もそんなに昔からこういうことを知ったわけじゃないんですが、我が党の調査会の中でこのサッシの問題というのを一つ学びました。愕然としました。

 ただ、経験として、海外に茂木大臣も住まわれたことがあるかと思いますが、海外に住んで、アルミサッシというのを見かけないんですね。私も、アメリカにも住んでいました、フィリピンにも住んでいましたが、見かけないんですね。何でかなと思っていたんですけれども、こういう事実を知って、やはりこういうことだったのかと。そして、日本が何となく家が寒い、ドイツとかだとそうではないという話も聞きましたので。

 これから検討するというのは、私は、エネルギー基本計画を出したんですから、そこにいろいろな要素、考え得るもの全てをやはり盛り込んでいただきたかったし、LEDに関してあそこまで野心的なゴールセットをしていただいているんですから、やはり同じような目標をぜひとも、検討いただくという御答弁をいただきましたので、お願いしておきたいというふうに思っております。

 それでは、電力システム改革そのもののお尋ねをいたしますけれども、今回、第二弾の自由化でございますが、まず前提として、大臣に御確認をいたしたいと思います。

 それこそ四半世紀以上前に、茂木さんとはある意味一緒の場所でテレコムの方のことをやらせていただきましたけれども、一つ共通点は、用意ドンでベンチャーがみんな新しい産業をクリエートするのではなくて、特定の独占会社がまず一〇〇%のシェアがある中からだんだん計画的に減らしていかなきゃいけない、片一方でこれから入ってくる新規参入は極めて非対称な情報の中で闘っていかなければならないという、極めて難しい動作がお互いに必要になってこようと思います。

 そういう中で、私の言葉で使わせていただいた非対称の規制ということが、恐らく当面の間、当然必要になってこようかと思いますが、まず、基本的な考え方を大臣も共有していただいているか、その点を確認させてください。

茂木国務大臣 田嶋委員とは長いおつき合いになるわけでありますが、コンサルタントを、どこの企業を担当した、こういうことは申し上げられませんので、特定の企業についてやったような形だけはちょっと避けたいなとは思っているところであります。

 その上で、改革の第二弾であります小売の全面自由化の実現に向けましては、これまでの部分自由化では競争や参入が必ずしも活発に行われてこなかったことを踏まえまして、実質的な競争の拡大につながるようなことをやっていかなきゃならない。発電余力の売買によります卸電力市場の活性化とその実施状況のモニタリングであったりとか、スマートメーターの導入等によります需要家が選択しやすくするための基盤整備、こういったことを行うことによりまして、今まである意味、電力会社が圧倒的に強い力とか圧倒的に多い情報量を持っている、こういった状況をイコールフッティングに変えていくということが必要だと思います。

 それから、非対称性という言葉が適切かどうかは別にいたしまして、競争環境が整うまでの間は既存の一般電気事業者に対しましては料金規制を継続するということでありまして、これにつきましては、新規参入者はそういう規制はかからないということを考えますと、既存の一般電気事業者が持っている強みというのは若干残る部分もありますけれども、新規参入者にとってメリットがある、優位に立てる、そういう側面も持ちつつ改革は進めていきたいと思っております。

田嶋委員 言葉はともかく、大事なことは、まさにこの改革をしようとしているんですから、国民全体にとって利益になると考えているからこういうステージを踏んで、改革に今取り組んでおるわけでございます。

 私は、そういう中で、既存のドミナントな、この業界でいえば一般電気事業者が被害者意識に立ったり、守りの姿勢に立つ必要はない、環境が変わっていく中で彼らも想像力を働かせていろいろ挑戦してほしいし、と同時に、やはり競争相手をある一定程度は育てないことには本当の意味で国民の利益につながるような結果をつくれないわけでございますので、その点はぜひ大臣にも共有していただきたいというふうに思います。

 そこで、本会議の中でも御答弁をいただきましたが、では、なぜこれまでの部分自由化はわずか三・五%のマーケットシェアしか実現できなかったのか。それは中途半端な改革だからこれから第二ステージだ、大臣はそのようにおっしゃっておりましたが、最大の問題点はどういうところにあったというふうに御理解されていますか。

茂木国務大臣 大きく四つぐらい問題があったんじゃないかなと思っております。

 一つは、電源の大半を保有しております一般電気事業者が区域を越えた競争や卸電力市場の活用に余り熱心ではなかった、そして、それを促進するための仕組みも不十分であった。二つ目には、発電分野にも参入規制とか料金規制があること。三つ目には、送配電網へのアクセスの中立性の確保に課題があること。四つ目には、これもかなり大きいと思うんですけれども、家庭等の小口部門は小売が自由化されていないために、一般電気事業者は自由化分野で積極的な競争を行わなくても一定の独占市場が確保されていた。

 恐らく、最初の、区域を越えた競争をしない、これも、自分のところで少なくとも家庭部門についてはある程度の収益は上げられるというところから、やはり守りの経営というか、そういうところに入っていたという部分が大きいのではないかなと。

 理由はさまざまあると思いますが、大きな理由として申し上げると、今の四点ぐらいじゃないかなと思っております。

田嶋委員 そういう今の理由四つを御認識される中で、やはり中途半端はいけないということで、残りの七兆を超える小口の市場の自由化に今回取り組むということでございますが、今冒頭、一個目の理由の中で卸取引のことがございました。

 そういう現状の課題、こういうところが理由だということが明確になっているのであれば、その卸電力市場の活用、強化、特にその中でよく言われるのは、新電力に聞きますと、売るものがないんだと。いわゆる業界用語でしょうか、玉出し、玉出しの義務化、こういうことをやらないと、自主性に任せているから何年たっても三・五%ということに結果的になった、そういう反省はおありでしょうか、それとも義務化はやはり難しいというお考えですか。その辺はどうですか、卸電力市場に関して。

茂木国務大臣 玉が少ないというのはそのとおりだと思っておりまして、既に電力システム改革の一環として、昨年の三月から、現行法の枠組みでありますが、既存の電力会社が余剰電力を卸電力市場へ売電するよう国としても促しているところでありますし、卸電気事業者と一般電気事業者との間の既存契約の見直しを国としても促すことによりまして、売電先の多様化を図っております。そういった取り組みを国としてもモニタリングを実施しているところであります。

 今回の法案におきましては、卸電力取引所を法定化いたしまして、経済産業大臣が卸電力取引所に対して報告徴収等を行うことができるようになったわけでありまして、単にモニタリングをしていく、自助努力に任せるだけではなくて、どこまで進んだかということについてきちんと管理監督していくという方向に持っていきたいと思っております。

田嶋委員 それでも結果が出ない場合は、義務化もあり得べしということでいいですか。

茂木国務大臣 まずは、そこの中でどれだけ市場が大きくなっていくか、きちんとフォローしながら、その先の検討につきましては、その状況でまた検討させていただきたいと思います。

田嶋委員 午前中の質問者の指摘の中に、テレコムでは二年目に新規参入のシェアが三割だったという話もございました。もちろん、同じ商品、サービスではないので直接の比較は難しいかもしれませんが、しかし、この三・五%というのは実に残念な結果であろうというふうに思いますので、今答弁はそれが限界かもしれませんが、第二ステージ以降、ぜひしっかりと力を入れていただきたいというふうに思います。

 それでは、ディマンドレスポンスに関してお尋ねをいたします。

 これも同じく本会議での御答弁の中で、小売全面自由化に先立って、今も御指摘ありました適正な競争環境が整備されるようスマートメーターの導入促進等に着手ということで、本会議で答弁されております。

 確認は、このスマートメーターですけれども、もう既に今つけ始めているわけでございますが、これはディマンドレスポンスを導入するためには必要不可欠な存在なのか、すなわち必要条件なのかという点。それから、本会議答弁の中で、適正な競争環境を整備するためにスマートメーターを導入促進していると。つまり、スマートメーターというのは既存の一般電気事業者よりはむしろ新規の参入者にとってこそ必要になるものなのだ、そういう認識がおありかどうか。大臣、御答弁いただきたいと思います。

上田政府参考人 ディマンドレスポンスの導入にスマートメーターがまず必要条件であるかどうかという点でございますけれども、電力需要の大きい夏場の昼間の時間帯などの料金を高くするということで、ピークシフトやピークカットを需要家に促すメニューそのものは既に電力会社が導入しておりまして、必ずしもスマートメーターの設置が必要条件というわけではございません。

 他方、よりきめ細やかな時間帯別の料金メニューや実際の需給状況を見ながら料金単価を細かく調整していくような料金メニューの提供、あるいはリアルタイムでの電気の使用料の見える化を行うためには、三十分ごとに電気の使用量が把握できるというスマートメーターの設置というものは、御指摘のとおり、特に新規参入者においては、スマートメーターを活用したさまざまな新しいサービスあるいは新しいメニューということを提示することを可能とするものでありまして、既存の事業者等との競争を一層確保するということでございまして、その普及の意義は新規参入者にとっては極めて大きいものと考えております。

田嶋委員 適正な競争環境の整備にとって、スマートメーターの中の情報の果たす役割というのは極めて大きいというふうに思います。

 資料をお配りしておりますが、三ページ目に、いただきました資料でございますが、昨年十一月時点でのスマートメーターの導入計画。そして、お尋ねしたところ、次の四ページ、昨年度末のスマートメーターの導入計画というのももう既にありました。これはわずか四カ月の差でございますが、大分前倒しになっておりまして、これは第一弾のシステム改革のときにも大分議論があったということで、一生懸命やっていただいているあかしではないかというふうに評価をしたいと思います。

 しかし、それでも、この四ページのスマートメーターの導入計画を見ていただくと、電力会社によって大変なばらつきがある。そして特に、一番大きい、そして原発事故を抱えている東京電力が、二〇二〇年度末までに大変多い世帯数を全て完了する。世帯数の比較は五ページをごらんいただきたいと思います。二千八百万世帯を東京電力は持っている。片や、その規模の十分の一の四国電力、二百八十四万世帯、この四国電力は具体例としては二三年度末ということでございます。

 私は、今の答弁でも確認できました、スマートメーターがどれだけ早くつくかということが、このシステム改革の成否を分ける一つのポイントではないかなというふうに考えております。同じことを全国でやっていくのであれば、東京電力ができることをほかの電力会社も足並みそろえてやっていかなければいけないし、今日まで経産省が前倒しを言ってきたんだろうと思いますが、今なおこれだけ差があるというのは私は問題であろうと思いますし、さらに一層力を入れてもらわないと、結局、新規参入会社が育たない。

 それは、とりもなおさず、一般電気事業者にとっていい競争関係ができないわけだから、自分たちにはね返ってくる問題でありますから、私はそこはもっと大臣に問題意識を持っていただきたいと思いますが、この現状をどのように御評価されますか。

茂木国務大臣 スマートメーターの導入、各事業者においてぜひ積極的に、さらに前倒しで進めてほしい、そんなふうに思っております。ディマンドレスポンスを実現していくためにも必要でありますし、同時に、それによりまして、新規参入者にとっては、スマートメーターを使うことによりましていろいろ新たなメニュー等々が提示できる、また、需要家の立場に立ちましても、そういったもののよさが評価できるという意味から極めて重要だ、そんなふうに考えております。

 ただ、スマートメーターを入れるというのは手段でありまして、それそのものが目的ではない。例えば、健康サプリメントの商品、恐らく、体脂肪とかがはかれるような体重計があって初めて、どれだけ効いたかがわかるわけですよね、体脂肪が落ちているとかいろいろなことが。その体重計は重要なんですけれども、問題は、健康な体をつくること、競争環境がきちんとできていくということが重要なんだと思います。

田嶋委員 おっしゃるとおり、あくまでスマートメーターは手段だと思いますが、その中にある情報がいかに平等に新規参入者にも入手できるかということが私は一番大事だというふうに思います。

 その点を確認させていただきますが、本改正が施行される前、後を含めて、こうしたクリティカルな情報の提供というのは平等になされるのか。そして、それを担保できるような、義務化のようなものはこの法案の中に反映されているのでしょうか。御答弁いただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、新規参入者でございますけれども、この法律の施行前に小売事業者の登録ができますので、その段階におきまして、需要家本人の承諾を得ることを前提に一般送配電事業者から需要家の情報が得られるような仕組みを構築するよう検討してございます。

 また、平等なアクセスでございますけれども、今回の法案におきましては、一般送配電事業者が特定の小売電気事業者を差別的に取り扱うことを禁止しております。これに違反した一般送配電事業者には国が罰則つきの是正命令を発することができることになっておりますので、こういった規定を使いながら、顧客情報への平等なアクセスが確保できるよう努めてまいりたいと思っております。

田嶋委員 時間の関係がございますので、またさらに詳しく質問していきたいというふうに思います。

 最後に一問、直接は関係ございませんが、データカタログサイトに関して御質問をさせていただきます。

 電力システム改革にとって非常にクリティカルなのは、新規参入、情報をどのようにして、非対称な情報の中で情報をしっかりと見せていくかという見える化、これは恐らく今の政治、行政にとって大きな共通のテーマではなかろうかというふうに考えております。

 そんな中で、昨年の十二月二十日、日本は今の安倍政権においてもあと二年先の世界最先端のIT国家の創造宣言をされておりまして、日本再興戦略の中でもそのことをはっきりとうたっておるわけでございますが、きょうは初めて経済産業委員会でこの点をちょっとお伺いいたします。きょうは内閣官房にもお越しいただいてございますが、しかしながら、鳴り物入りで始まった行政情報の公開、オープンデータカタログサイトの試行版、始まっていきなりストップしているということでございます。

 資料の七でございますが、「データカタログサイト試行版の休止のお知らせ」ということで、今、パソコンの画面を見ますとこういうのが出てくるということでございます。

 一体なぜこういうことになっているのかということ、そしてまた、これを再発防止していく。これは一事が万事、やるといって、鳴り物入りでやっておきながらいきなりこういう状況が起きていて、民間では非常にびっくりしています。今、民間のお世話になって、ミラーサイトで何とかつないでいるという状況でございまして、若干お粗末な印象を拭えません。

 これは茂木大臣にはお伺いしませんが、こういう状況があっては、経産省は一番それに詳しい役所でもございますので、ぜひ役割を発揮していただきたいと思いますが、なぜこういうことになっているんでしょうか。御答弁ください。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 政府のオープンデータのデータカタログサイトにつきましては、平成二十五年十二月二十日に試行版を立ち上げたところでございます。

 この試行版サイトにつきましては、平成二十四年十二月から始まった電子行政オープンデータ実務者会議の議論等により立ち上げることとなったものでございますので、平成二十五年度は調査事業の一環として立ち上げたものでございます。昨年度末でこの調査事業が終了いたしましたことに伴いまして、試行版サイトも停止したところでございます。

 平成二十六年度の事業といたしまして、試行版サイト再開のため改めて契約を行う必要があるところでございますが、その調達手続に時間がかかり、四月初めからの試行版サイトの再開ができなかったものでございます。

 これにつきまして、再発防止に向けまして、調達関係部署との連携強化を図るとともに、IT総合戦略室内においても、適切な業務分担を工夫するなど、円滑な業務執行のための体制を整備することとしているところでございます。

田嶋委員 調査費で上がっているかどうかなんということは世の中ではどうでもいいことでございまして、IT、オープンガバメント、そういう大きなテーマで、二年後に世界ナンバーワンを目指すと日本再興戦略にうたってあるわけでございます。今回のシステム改革においても情報を開示していくことが極めて大事でありますから、こういうことが繰り返されないようにぜひお願いをしたいと思います。

 茂木大臣、経産省は一番近い分野でございますので、ぜひ、大臣にはとりわけ深い御理解をいただいていると思いますが、こういうことが繰り返されないように、日本全体のオープンガバメントを率先して推進していただけますようお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介です。

 きょうは、電力システム改革法案の第二弾の質疑であります。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、大臣にお伺いしたいと思うんです。

 電力システム改革は、その原点は何かということだろうと思うんですが、我々民主党政権の時代にこれは検討をし、自民党政権で第一弾の法案が提出をされ、そして第二弾、現在に至っているわけでありますけれども、そのスタートラインは、基本的には私は三・一一の東日本大震災だったんだろうと思うんですね。

 この東日本大震災を受けて、やはり日本のエネルギーというものをもう一度見詰め直すということに至ったんだろうと私は考えますし、そういうことで政府は検討してきた。もう一度日本のエネルギーを考え直してみよう、こういうことで、エネルギー政策自体も大幅に見直しを迫られ、電力システム改革もその柱の一つに位置づけられている、こう思うわけであります。

 その際、三・一一のときに電力がどうだったかということをまず冒頭申し上げて、大臣の御認識を伺いたいと思うんです。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますけれども、一ページ目なんですが、三・一一のときに電力及び各インフラの復旧状況はどうだったかということであります。

 東北電力、東京電力は大変な被害を受けたわけでありますし、同時に停電をしたわけでありますが、御案内のとおり、東北電力は震災後三日で八〇%の停電を解消、八日後には九四%の停電を解消。六%残っていますが、この六%のほとんどはいわゆる津波で流された地域でありますから、実質的にはほとんど停電を解消している、こういうことであります。東京電力も七日目で全ての停電を解消。

 これに対して、ガスでありますけれども、ほぼ同時期でありますが、復旧はわずか九%にとどまっております。一概に、簡単には比較できませんが、通信は、固定電話で七〇%、携帯は七五%。上水道は三八%。すなわち、電力の復旧のスピードの速さというのは図抜けているということは明らかであります。

 しかも、東北電力においては、全体の七〇%が停電をした。かつ、被災企業であったわけでありまして、社員も、多くの社員が犠牲になりながらも懸命の復旧作業を行って、原発を冷温停止させて、送配電網を復旧させた。これは私は世界に誇ることであろうと思うわけであります。

 実は、大臣、このことについて最近ある本が出版されました。「電力と震災」という本なんですが、この著者は町田さんというジャーナリストで、私が実は昔、机を並べていた元日経新聞の記者で、当時から大変怖い、敏腕記者でありまして、企業の不祥事を鋭く描くことでは有名な記者でありました。例えば日興コーディアル証券の不正経理、粉飾決算等々を暴いたりして、大変厳しい記者で有名なんですが、彼が東北電力について取材を重ねて、最近出版をされている。まさに、東北電力が現場で何をしてきたかということを、淡々とドキュメントで書いております。

 この本にもそうした現場の努力というか思いを淡々とつづっているんですけれども、大臣、私は、電力改革を考える際に忘れてはいけないというか大事な視点は、世界に誇る復旧力も含めた安定供給というもの、三・一一を経験した我々としては、これが電力システム改革の結果、後退するということがあっては決していけない、こう思うわけでありますけれども、大臣としてはどうお考えでしょうか。まずお答えいただけますか。

茂木国務大臣 三・一一の東日本大震災を契機といたしまして、これまでの電力の供給体制、需給体制、これを抜本的に変えていかなければならない。こういったことで、電力システム改革、民主党政権で検討を進めていただき、我々がそれを引き継ぐ形で、今具体的な法案でこの改革の道筋をお示ししているところでありますが、委員おっしゃるように、全国レベルでいかに安定供給というものを図っていくか、極めて重要な視点だと思っております。

 同時に、三・一一以降、エネルギーコストが非常に上昇している。このエネルギーコストを抑えるためにも、どうしてもやはり競争の導入が必要だと考えております。同時に、今までは需要というものを所与のものとして供給を積み上げる、こういうやり方から、需要そのものを、ピーク時等を動かす、こういった体制にしていかなければいけない。こういったことを踏まえて今改革を進めているところでありまして、そういった意味で、電力システム改革の大きな柱は安定供給の確保にある、このように考えております。

近藤(洋)委員 大臣、最後におっしゃっていただきましたが、いずれにしろ、いろいろな目的があります、もちろんコストを下げなきゃいけない、資源のない我が国において、そのために競争原理、当然でありますが、やはり三・一一を起点にしたときに、危機に際してきちんと対応するこの仕組み、我々は少なくとも電力の供給ということに関して、結果でいうと他のインフラ、通信であるとかガスと比べて圧倒的に素早い供給を実現したということは事実としてあって、世界最高水準の復旧力を含めたものについては後退させる必要はないということの問題意識は共有をしたい、こう思うわけであります。

 さて、大臣にお答えいただいた供給なんですが、この夏の電気の供給について、さてどうなるかということであります。

 二ページ目をごらんいただければと思うんですが、きょうの総合エネ調の検討会合で正式にこの数字が固まるということですが、もう既に事前に報告書は公表されていますので、この数字であります。

 結論的に言うと、昨年よりも非常に厳しい数字が有識者の間から出ております。とりわけ、この表の上の方、ことしの夏、中部及び西日本は予備率二・七%、昨年は五・九%でありましたから、その半分ということであります。東日本は六・九%、昨年が六・七%ですから何とかかんとかということでありますが、西日本は、御案内のとおり、関西電力の大飯原子力発電所が停止、さらには長崎の火力発電所も停止ということもこれあり、大変厳しい状況にある。

 したがって、下の、周波数変換装置を当初から使うことを見越して、何とかぎりぎり三・四%を確保するということが数字で明らかになっております。皮肉なことに、東京電力が関西と九州に電気を供給している。大変皮肉な数字になっておるわけであります。

 この状況を見て、大臣、これは天候の状況にもよりますけれども、昨年は節電に対して特段大きな動きをしないで乗り切ることができました。考えてみますと、これまで三・一一以降は、計画停電を東日本においては行った、これはしない、その次に電気事業法に基づく使用制限令を使った、そしてその次の年は数値目標を出した、こういうことであります。

 私は、この使用制限令まで必要かどうかということはちょっと疑問符はつくわけですけれども、さはさりながら、昨年同様のような対応で果たして乗り切れるのかどうか、現実、大変厳しい状況ではないかと思うわけであります。この数字を見る限り何らかの対応が必要かと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 需給状況についてはまだ検討の途中でありますが、非常に厳しい状況である、これは間違いないと思っております。四月中には電力需給検証小委員会の検証結果を出したいと思っております。

 委員がおっしゃったように、電気の使用制限、これは二〇一一年、つまり三・一一の事故が起こった直後の夏でありますけれども、このときは、電力融通を行っても、予備率が東京電力でマイナスの一〇・三%、東北電力でマイナスの七・四%と供給力が大幅に不足する見込みであったために、電気事業法の二十七条に基づきます電気の使用制限を行ったわけでありまして、これはかなり異例な措置ではあったと思っております。

 ただ、昨年と比べてみましても、厳しい状況にあるのは間違いない。正式な見通しが出された段階で検討を行いまして、相当な対応をしていく必要がある、このように考えております。

近藤(洋)委員 ぜひ正式な見通しを受けた段階で対応を打ち出していただきたいと思うわけであります。

 御案内のとおり、中身も相当老朽化をした火力発電所を稼働させているという現実もあるわけでございまして、昨年よりも数字だけじゃなくて実態も厳しい状況にあるのではないかということでありますし、こういう状況の中でのシステム改革なわけであります。

 そこでもう一つお伺いをしたいのですけれども、原子力発電についてであります。

 我々は、民主党政権、野田政権のときには、電気の需給が大変逼迫するということで、党内もさまざまな議論がありましたけれども、大飯原子力発電所の再稼働を行ったわけであります。

 現在は原子力発電所は全部停止しているわけでありますが、結果として、今、規制委員会の審査を受けている、こういうことであろうかと思いますけれども、いずれにしろ、当初の見込みよりも審査の結果がおくれている、こういうことは間違いないわけであります。

 さて、大臣にお伺いしたいのは、原子力発電について、政府はエネルギー基本計画などで、安全が確認された原子力発電所は再稼働する、こういうふうにうたっておりますし、総理自身も発言をされております。では、安全を確認できなかった原子力発電所については、どのように処分をするのかということを、やはりシステム改革を議論するについてお伺いをしたいわけであります。すなわち、安全が確認できなかった原子力発電所は、誰が責任を持って処分、廃炉をするのか。

 すなわち、安全性を確認するのは規制委員会です。しかし、その廃炉をする指示、いつ、どのような形で廃炉にしなさいということを決めるのは、監督するのは資源エネルギー庁なのか。もちろん、実施主体は電力会社、発電会社、発送電分離の後は発電会社だとは思います。しかし、いつ、どのような形で処分をしなさいという指示をするのは、それを監督するのは規制委員会なのか、それとも資源エネルギー庁なのか、どちらなのか。誰が責任を持っていくのか。

 当然、基本的には費用は発電会社が負担する、こう思われます。しかし一方で、一度に複数基の原子力発電所が廃炉である、安全性が確認されていない。一気に四基、五基のものが、一つの会社で複数のものが発生した場合、その廃炉コストを一社でとても見られないという状況も当然想定されるわけでありますが、そのようなことに陥ったときの対処は現時点で果たしてどこまでできているのか。その処分策について、現在どういう検討状況なのか。そのことも含めてお答えをいただけますでしょうか。

上田政府参考人 原子力発電所の廃炉についてのお尋ねでございますけれども、原子力発電所の廃炉は、炉の設置者でありまして個々の原子炉の設備等について最も知見を有している原子力事業者が実施すべきものであると考えております。

 個々の原発の廃炉の判断につきましても、エネルギー政策あるいは新規制基準への対応、あるいは地元のさまざまな御意見等を総合的に勘案しながら事業者が行うものであると考えております。

 政府はどういうことをするのかということでございますが、基本的には、そういった廃炉が円滑に進むようなさまざまな支援、環境整備といったことを行っていく必要があると考えております。

 例えば、廃炉に関する人材の確保、あるいは廃炉技術につきましては、人材育成等々さまざまな支援あるいは必要な技術開発に努めているところでございます。先般も原賠機構法を改正いたしましたけれども、廃炉に関する情報提供というのが追加されておりまして、通常の廃炉に対しても有効な情報や知見を提供できるようになっております。

 それから、費用負担の点につきましても、これは基本的には発電を行ってきた事業者が負担すべきものであると考えております。実際、廃炉一基当たり五百億円から六百億円と言われるわけでございますが、この廃炉につきまして事業者が廃炉費用を毎年度一定額積み立てるような、原子力発電施設解体引当金という制度を準備しております。また、先般、廃炉中の維持費用を料金原価に含め得るといった会計制度を整備させていただきました。

 今後とも、必要な環境整備ということにつきましては検討を行ってまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 長官、必要な環境整備と最後におっしゃいましたけれども、では現時点で完全に廃炉の手当てというのはもうでき上がっていると御認識をされているんですか。お答えください。完全だと思われていますか。

上田政府参考人 廃炉につきましては、既に事業者の方で廃炉引当金といったものの制度を使いながら、多くのお金を引き当てるといったことが行われているところでございます。

 また、技術開発について、政府も、先ほど申し上げました形でさまざまな支援を行っているところであります。

 ただ、今後、エネルギー基本計画に記述されておりますけれども、電力システム改革によって競争が進展した環境下におきましても、原子力事業者が今後増加すると見込まれます廃炉を円滑に進めるようなことにつきましては、海外の事例なども参考にしながら、事業環境のあり方について検討を行っていく必要があると考えております。

近藤(洋)委員 大臣、これは通告しているのでお答えいただきたいんですが、少なくとも現時点で規制委員会が、この炉は不適格だというものが幾つか指摘をされた場合に、円滑にというか、電力会社の立場に立ったときに、きちんと廃炉を行えるだけの財源的な手当ても含めて、会計上の若干の見直しは確かに昨年資源エネルギー庁でしていただいたのは私も認識をしておりますけれども、きちんとした手当てがとられているとはとても私は思えません。

 例えば、個別の会社のことはこの場では差し控えたいと思いますけれども、仮に三基、四基、一気に償却をしなければいけないとなったときに、現時点で二期連続赤字、さらに来年は三期連続赤字が予想もされる状況の中で、企業が一気にその償却をするといったらどういう状況になるのか。これは火を見るよりも明らかなわけであります。会計上の手当ても含めて、私は体制が整っているとはとても思えないわけであります。

 エネルギー基本計画では、私の理解では、原子力は低減させていく、もちろん安全が確認されたものは活用する、しかし方向は低減させる、こういうことをきっちりおっしゃっているわけですから、低減させるということは、廃炉のことをきちんと認識した手当てというのをスキームとして再検討する必要があるのではないでしょうか、エネルギー基本計画を出された以上は。

 もう一点言えば、核燃料サイクルの第二工場をどうするのかといったことについても、まだきちんとした負担金、これは電力各社は無税じゃなくて有税で引き当てをしておるわけでありまして、これについてもどうするのか不明確。一つ一つ挙げたら切りがないぐらい、不明確な点がございます。こういった点をきちんと整理して、廃炉及び原子力を行うに当たっての論点を整理して対処を考える必要があろうかと思いますが、いかがでしょうか、大臣。

茂木国務大臣 まず、廃炉について誰が実施をするか、また、誰がその廃炉の判断をするか。

 先ほど政府参考人の方から答弁もさせていただきましたが、これはそれぞれの炉ごとの判断ということになってまいります。そして、その判断を炉の設置者が行うに当たりましては、全体のエネルギー政策であったりとか、新規制基準への対応であったりとか、地元のさまざまな意見、こういったことも踏まえることになりますが、当然、廃炉を責任を持って進めるとなりますと、それに対する財政的な手当てができるかどうか。炉ごとに引当金も積んでおります。別にざっくりと積んでいるわけではなくて、炉ごとに積んでいるわけでありますから、きちんとできるかどうかも含めて、事業者において判断をしていくということになります。

近藤(洋)委員 私が申し上げたのも全くそうです。しかし、それを事業者で判断したときに、一気に来たときに、とても事業の継続ができないような状況になるのではないか。特に、発送電が分離されたときに、これまでであれば大きな会社でしたからそれものみ込むことができたけれども、発電会社というふうになったときに、それをのみ込むだけの体力があるのかということを危惧しているわけであります。

 電力システム改革で発電、送電分離をするのであれば、やはり、今までの大きな一貫体制の会社じゃなくなるわけでありますから、発電、送電分離の方針を決めているわけですから、少なくとも、例えば、二〇一六年、第二弾の結論が実行されるとき、二〇一八年以降、最終結論が出るとき、そのときまでには一連の対策を最低でも同時並行でつくらなければいけないのではないかと思いますが、いかがですか。そういう期限を区切って対策を出すべきだと思いますが、いかがですか。

茂木国務大臣 発送電分離はきちんと進めてまいります。発送電分離はいたしますが、その上で、では、例えば発電事業といいますか、原子力の事業を、それぞれの、今の一般電気事業者がどこで持つかという判断は、送電部門、送電会社では持てません。当然、発送電分離でありますから、発電は。ただ、違ったさまざまな組織運営の形態というのは考えられる、そのように思っております。

 そして、電力システム改革、これは全く赤字になるような電気事業者をつくるためにやっているわけではないんです。競争は促進をさせる、そこの中でより合理化を進め、そこの中で適正な利益も生んで、新しい設備投資であったりとか、安全対策であったりとか、人材の確保もきちんと事業者においてできるような形をとっていく、このことが望ましいと考えております。

近藤(洋)委員 また議論させてもらいたいと思うんですが、大臣、しかし、実際の電力会社は今そんな状況じゃないということをこれから伺っていきたいと思うんです。

 三ページ目、新聞記事の抜粋であります。

 四月一日、日本経済新聞一面、「北海道電力に資本支援 政投銀が優先株五百億円」と一面の頭記事で報じられております。政策投資銀行が支援をする、こういうことであります。北海道電力は大変厳しい経営状況に陥り、このままであれば債務超過になる、したがって政投銀が五百億円の資本増強をするといった記事であります。

 続いて、ページをめくっていただければと思います。

 昨日、NHKが報道しておりますが、九州電力に対しても政策投資銀行が一千億円支援をする、同様の趣旨の報道を流しております。NHKも、北海道電力が同様のことをするということを報じております。

 現実は非常に厳しい状況にある、債務超過を回避するために資本増強をしなければいけないというところまで、先ほど大臣がいろいろおっしゃいましたけれども、現実の電力会社の経営はそこまで追い込まれている、こういうことが報じられております。

 まず、政策投資銀行、参考人、長尾常務に来ていただいておりますが、この二つの報道について、事実でしょうか。そして、本件はエネルギー政策とも非常に密接にかかわりある案件でありますが、資源エネルギー庁と協議の上行われたかと思いますが、いかがでしょうか。

長尾参考人 先生御質問の件でございますけれども、個別のビジネス案件の内容について、ここの場で答弁することについては差し控えさせていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 資源エネルギー庁と、少なくとも政策投資銀行は政府の金融機関でありますから、電力の経営支援について万全を期すようにといったような協議は行われているんでしょうか。お答えください。個別の案件ではございません。

長尾参考人 個別の案件については答弁を差し控えさせていただきますけれども、一般論で申し上げると、当行の重要顧客である電力会社との関係でいえば、例えば、現行の電力制度の考え方の問題とか、今後どうなるのか、それから原子力の再稼働がどうなるのか、そういった点について、常日ごろから政策御当局と意見交換することは当然のことでございます。

 ただ、それを背景にして、個別の案件についての個々具体的な投融資の中身について協議をするという立場にはないのではないかというふうに理解しております。

近藤(洋)委員 個別の投融資というふうに常務はおっしゃいましたけれども、事はそんな単純だとは思わないですね。

 実際、この四月の報道を受けて電力各社の株は下がっております。何となれば、これは北海道電力の個別の話ではなく、電力九社全体に共通する問題であるからです。

 原子力発電所が稼働できない中で、かつ値上げ申請をしようとしていた北海道電力が、値上げ申請がなかなか認められない中でそのかわりとして、世間はどう見たか、マーケットはどう見たかということを申し上げれば、その見返りとして、出資が資本増強だ、こういうふうに受け取られたから、したがって各社の株が下がったということも市場では言われているわけであります。

 したがって、個別の案件の一々を私が聞いているわけではありません、エネルギー政策そのものにかかわるから常務に聞いているわけであります。

 エネルギー庁長官、本件について報告は受けましたか。

上田政府参考人 お答えさせていただきます。

 北海道電力それから九州電力からは、それぞれ、日本政策投資銀行と資金調達に関して相談を行っているとの報告を受けておりますが、現時点で、具体的に何かが決まったというふうには承知をしておりません。

近藤(洋)委員 いずれにしろ、近々決算発表がございますから、それはきちっと発表されるんだと思うんです。ですから、別にその事実関係を私はつまびらかに聞こうとは思いません。ただ、これはエネルギー政策なんですね。個別の案件の話ではありません。重要なエネルギー政策であります。

 大臣にお伺いしたいのは、私は、とても政策投資銀行が一つのビジネスとしてこれをやっているとは思えないわけですね。何となれば、北海道電力に仮に優先株を五百億増資しても、北海道電力は一千億の赤字を出しておりますから、値上げが仮に認められないとするならば、すぐに資本は食い潰してしまいます。

 北海道電力の何らかの、もしかしたら、来週、この資本増強とあわせて、世の中をあっと驚かせるような大がかりな業務提携か何かが発表されれば別でありますけれども、もし政策投資銀行がそうしたことを考えていらっしゃるならば、ディールをされているならばいいとは思いますけれども、もしそういうことがないまま、ただただ資本増強をするというのであれば、これは早晩、何のための資本増強なのかというふうに思うわけであります。要は、経営再建策がないまま優先株だけを注入するというのは、何の意味も持たない、極めて不健全な姿であるとしか言いようがないわけであります。

 こういった展望なき増資というのは一体何なのか。料金の引き上げを先延ばしするということのためのつなぎ増資として政投銀が判断をしたのか。だとすると、政策投資銀行の意図は全くわからぬわけです。ただ、政策投資銀行の株主は政府でございますから、政府の意向に沿ってそういうことをやるというのは、政策投資銀行の理屈としてはわからないわけではないのであります。しかし、私ども国会としては、そうした投資行動はよろしくないと改めて指摘をしなければいけなくなります。

 いずれにしろ、所管大臣として、こうした展望なき増資というのは安易に認めるべきではないと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 コメントしにくいことをたくさん、大切な意見だとは思うんですが、おっしゃっていただいたんですけれども、例えば新聞報道が出たから株価が下がったということに対して、私として、そうですと言うわけにいきませんし、例えば株価が上下する原因につきまして、私の立場でコメントはできないということはよくおわかりいただけると思います。

 そして、私としては、各電力会社、値上げ申請をする前に最大限の経営の効率化を図ってもらう、同時に、それによりまして財務体質、財務基盤の強化を図ってもらいたいと考えております。

 実際、お話のありました北海道電力につきましても、平成二十六年度の収支改善に向けまして二百十億円のコスト削減策にめどをつけた、このように承知をいたしております。

 さまざまな形でのコスト削減努力であったりとか、財務体質をいかに強化するか、これは企業として当然やってもらう活動だと私は思っております。そこの中で、個々のどういった資金調達手段をとるかとか、どういったコスト削減を行う、これはまさに企業の経営判断になってくる、このように考えております。

近藤(洋)委員 大臣、時間も迫ってきたので、もう最後のお伺いをしてまいりますが、私は、現実、規制委員会がきちんと安全基準で審査する、これは大事なことだと思っています。そういう中で各社の経営がどんどん悪化をしていく、懸命のコスト削減努力は当然だと思います。

 しかし、その上で値上げ申請をせざるを得ない状況に今追い込まれている、この事実もやはり目を背けることはできないんだろう、こう思うわけであります。値上げを是とするつもりはありませんが、これは事実として受けとめなければいけないんだろう、こう思うんです。

 そこで、あえて、この最後の六ページをごらんいただければと思うんですけれども、こういう指摘があるんですね。

 「電力と震災」という町田氏の本の記載に、

  政府は、あっさり、福島第一原発事故を受けて電力会社批判を強めていた世論に迎合した。電力会社に甘いと受け止められて批判を招くのを嫌ったのは明らかだった。

  政府の逃げの姿勢が際立ったのは、東日本大震災後の電気料金値上げラッシュの先陣を切った東京電力に対する査定を基準にして、他社の値上げを査定したことだ。本来、国有化したうえ、多額の資金支援をしており、「厳密な査定」というよりは「懲罰的な査定」が必要だった東京電力と、単に原発の再稼働停止で原油などの燃料代が嵩んだだけの電力会社、そして被災企業の東北電力では三段階に分けて査定方針を構築するのが筋だったはずである。にもかかわらず、政府は、そうしたきめ細かい対応をしなかった。

云々と。

 私は、そもそも懲罰的な査定というものが必要だったかどうかということ自体も疑問なんですが、ですからこの町田氏の指摘そのものをどうと言うつもりはないんですが、あえて言うと、三・一一以降、電力というものに対しての懲罰的な空気がないわけではなかったというのは世の中全体にあったと思うんです。ただ、ここは私は、懲罰的な行政、懲罰的なものというのは、あえて申し上げます、電力システム改革論においても、そこは慎んだ方がいいと思うんですね。

 資源エネルギー庁を私もずっと見ておりますし、長尾常務が経産省で活躍をされていた時代から見てきていますけれども、電力会社に対しての複雑な思いを経済産業省が伝統的に持っていることも知った上で申し上げたいんですが、懲罰的な行動がもし行政の中にあったとしたら、これは大問題だ、こうも思うんです。料金査定等も含めて、そういうものは一切ないというふうに、大臣、断言をしていただけますでしょうか。よろしいでしょうか。

茂木国務大臣 東京電力の値上げの申請、これが平成二十四年五月でありまして、認可が七月ということでありまして、ちょうど枝野前大臣がいらっしゃらなくなったときに申し上げるのは欠席裁判みたいで私大変恐縮なんですが、決して枝野前大臣が懲罰的な査定をされたのではないと考えておりますけれども、これは前政権下の判断でありました。

 その上で、それ以降の値上げの申請につきましては、電気事業法や、同法に基づきます規則、審査要領など、あらかじめ定められたルールにのっとりまして、電気料金審査専門小委員会におけます中立的、客観的な検討を踏まえ、消費者庁との協議、物価問題に関する関係閣僚会議での了承を経て査定方針を策定してきておりまして、懲罰的な査定を行ったことは、少なくとも私はございません。

近藤(洋)委員 それを聞いて安心をいたしました。議論を公平に進めるために、民主党政権下のことも記した町田氏のことをわざと私は申し上げたわけであります。その後もないということですね。ぜひそういうことでお願いしたい。

 ただ、最後に、あえて申し上げます。これは意見だけでありますが。

 政治的な判断で料金値上げを抑えたという事実は、少なくとも私が議員のときは一回ありました。燃料費が異常に上がったときに燃料費調整制度に基づいて上げようとした際に、当時は二階大臣でございましたが、私は経済産業委員会で既に指摘をしておりますし、議事録も残っております。そのときに議論をしましたけれども、本来値上げすべきところを、あえて値上げを見送った時期がありました。私は当時、参議院選挙を直前に控えて、まさか参議院選挙を目の前にして、上げるべきところをわざと下げたんじゃないですねということは執拗に迫りました。

 何を言いたいかというと、電気料金値上げというのは、増税と一緒で非常に嫌なことであります。嫌なことでありますから、政治はやりたくありません。しかし、現実をきちっと見据えて、そういったものをきちんとやるということもやはり必要なのであります。過去において、あえて申し上げます、そのときはたまさか自民党政権でありましたけれども、原料費が上がった際に値上げを見送ってしまったということを、事実、私は指摘しておるものですから、申し上げた次第であります。

 ぜひ公正な行政を期待して、時間ですので、質問を終えたいと思います。

富田委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 引き続いて、民主党の岸本周平でございますが、三人目のバッターとして質問をさせていただきます。

 私どもは、政権の経験のある中で、第一次、第二次、第三次の電力システム改革については、基本的には考え方は同じくするものであります。前回の第一段階のときも、私どもは賛成に回らせていただいております。

 その上で、この電力システム改革は、しかしながら大変難しいものであるということも申し上げておきたいと思います。これはもう発想を根っこから変えるわけであります。

 これまでは、電力会社に対して過剰な設備を持たせてまでも絶対停電はしないように、供給力の義務づけといいますか、きちんと供給してくださいねということを前提に、例えば、今も御議論ありましたけれども、総括原価主義に基づく価格の設定、あるいは、最初のころですね、地域独占、さらには電力債に係る一般担保制度などによって、一方では厳しい供給義務を課しながら、一方では政府全体として一つの枠組みをつくってやってきたわけであります。これである意味うまくいっていた時期があったわけであります。

 そして、送電、配電も一つの会社で縦型の統合をしていたわけでありますけれども、今回はこういう仕組みをやめて、まさに市場メカニズムを使って、電力需給を自由な価格変動で調整されることを前提にしてうまく動かしていこうじゃないか、こういうふうに大胆に大きくかじを切るわけであります。

 これにはいろいろな背景もありますし、また後ほどファイナンスの問題で触れたいと思いますけれども、実は、電力会社というのは本当にファイナンスが命のようなところがあるわけですけれども、そのファイナンスの問題についても、恐らく、世の中の状態が変わってきたことで今回のような判断をしなきゃいけないということもあろうかと思います。こういう中で、私たちも電力システム改革には方向としては賛成をしながら、議論をさせていただきたいと思います。

 そこで、まず、これまでの政府内の議論、るるありましたけれども、例えば、電力の自由化といいますと、何といっても電気料金が下がります。これは教科書的に、自由な競争が起きればいろいろな人が参入してきて競争が起きますから、当然価格は下がっていくでしょうというようなことが喧伝されまして、何となくイメージとして電力システム改革をすれば電気料金は下がる、政府も一時期そういうことに割とウエートを置いて説明されていた時期もありますけれども、最近、余りそういう議論はなかなか聞かないわけであります。

 それは、もちろん原子力発電が今再稼働していないというような点もありますし、そのかわりにガスとか原油を高い値段で買わなきゃいけない、コストは上がってくる、そういうこともあるのでしょうけれども、そんな単純な話でもないということがこれまた世間ではわかってきているわけだろうと思います。

 例えば、ヨーロッパあるいはアメリカでシステム改革が進んできた、電力自由化が進んできた。電力自由化をしたからといって料金が下がったわけでもないし、それは上がる場合もあれば、下がる場合もあるだろうし、それが国によって、州によって、成功している場合もあるだろうし、失敗している場合もあるだろう。これは、システムのつくり方であったり、あるいは経験の問題であったり、いろいろなことがあろうかと思います。

 ただ、今回のエネルギー基本計画の中でも余り触れられておりませんけれども、やはりそうはいっても、競争によって電気料金を抑制するんだというお立場はとっておられると思うんですね。これは、私たちは海外の先行事例を学ばなければいけませんし、これまで随分学んでおられます。いろいろなデータをいただいています。

 その中で、例えば日本エネルギー経済研究所の委託調査、これは経済産業省の予算でなさった調査ですけれども、二〇一三年三月にできております。諸外国における電力自由化等による電気料金への影響調査、読ませていただきましたけれども、ここでは非常に詳細に先行事例を分析されていますので大変参考になりました。

 ここの総括として、日本を除く調査対象国では、電力自由化開始当初に電気料金が低下していた国や州もあったが、しかし、二〇〇〇年代半ば以降は、燃料費が上昇しているわけですけれども、燃料費を上回る電気料金の上昇が生じているというふうに説明をされておられます。

 必ずしも自由化したから電気料金が下がるわけではない、むしろ燃料費よりも上回る場合もあるんだということでありますけれども、我々が、二段目、三段目の電力自由化をしていく中で、さらなる電気料金の引き下げあるいは抑制というのは可能なのかどうか、大臣政務官にお答えいただきたいと思います。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 電気料金は、資源価格、エネルギー諸税、また賦課金など、改革以外のさまざまな要因にも影響を受けるものでありますが、自由化によって競争が進展すれば、基本的には電気料金を抑制する効果があるものと考えております。しかし、一方において、電力制度の改革で先行している海外の事例、委員御指摘いただきました、例えば英国ですとかドイツのように電気料金が上昇しているケースが見られるのもやはり事実であります。今般の日本の電力システム改革におきましては、このような海外の経験も踏まえた制度設計としているところでございます。

 具体的には、英国の経験も踏まえまして、競争環境が整うまでは、これまでの地域独占の電力会社に対する料金規制を継続していく。この仕組みのもとでは、規制料金よりも安い電気料金での新規参入はあっても、高い料金での新規参入というのは一般的に考えにくいのではないか。また、既存の電力会社も、規制料金は残すものの、やはり自由な料金メニューもつくれるようにするということ等によって、経過措置の期間においても電気料金を規制料金以下に引き下げる効果が期待できると考えております。

 なお、電力の安定供給ですとか適切な設備投資等の面でも、諸外国の反省を踏まえながら、今回の改革に措置を盛り込んでいるということであります。

岸本委員 そこが一番難しいところだろうと思うんですね。そもそも電力というのは、本当に普通の商品と違いますから難しいんです。

 しかし、ともかく、市場のマーケットメカニズムに任せましょうという基本があって、それが見えざる神の手とまでは言いませんけれども、市場の力を使いましょうといいながら規制を残す。これは諸外国でもそうでして、実は、自由化しても規制しているところがあります。規制しているところは無理やり上げませんので、実は、電気料金が下がっている例として使った人もいるぐらいで混乱しているんですけれども、自由化して規制するというのはなかなか相矛盾することであります。

 今回、一般電気事業者に規制を残すということですが、これはともかく需要家のために引き上げないような規制なんでしょう。電力小売の新しい参入者は安い料金で出てくるということを想定されているんでしょう。あるいは、一般電気事業者が引き下げ過ぎることに対しても。つまり、今でも大変な装置産業の中で莫大な資本を持っている大会社であります。競争のために、これは議論のための議論ですけれども、新規参入者が勝てないぐらい安い値段で供給するということだってないことはない。この規制というのは、大臣政務官、引き下げ過ぎるときにも規制はできると考えてよろしいんでしょうか。

田中大臣政務官 この規制という部分に関しては、引き下げ過ぎる部分にもできるものと考えております。

岸本委員 そうしますと、一様に予定調和的な電気料金の設定になっていくわけなんだろうと思うんですけれども、一方で、それは競争の状態を見ながらの規制だと思うんですね。今は総括原価主義ですから、申請があって、総括原価に基づいて料金が決まっていく。それは基本的になくなる。そして、新規参入者がどんどん入ってくれと。まさにテレコムのときと同じような形で、既存のものを少し我慢してもらって競争を激しくするということなんでしょうけれども、本当にそれがうまくワークするのだろうか。

 つまり、本当に競争が進むのであれば、いわゆる電力の小売ブローカーばかりがわんさとふえても、設備を持って本当に発電する人がふえなければ、本当の意味の競争にはならないだろうと思うんですね。送電と配電、発電を分ける。発電は大変な装置産業ですから九電力がやっている。しかし、新しく、いや、私は電力を発電します、発電までしてつくりますと。その人が売ってもいいし、それをまた小売が売って、九電力以外のどんどん発電する人たちから買って、供給がふえればまさに競争が起こるわけでしょう。

 そういうときに、実は小売のマーケットが規制されている、ばちばちに値段が規制されているところで莫大な設備投資をして、それは今、少しだけですけれども、事務方から資料をいただきました、ごくごく一部ですけれども、発電してみようかという会社が新たに出てきております。

 例えば、百万キロワット以上だと神戸製鋼所とか西部ガス、鉄屋さんとガス屋さんが圧倒的に多いですけれども、そういうところはもう既に具体的に動き出しておられます。あとは、十万キロワット以下のところは、済みません、これは量的には問題にならないので外しましょうか。五十万キロワット以上としても二社ぐらいです。その程度の方々が、この電力の自由化を前提に発電もしてみようと。

 一方で、自家発は徐々にふえていますけれども、自家発はあくまでも自分のところでやって余ったものを売りますかということですから、全体に大きな影響を与えることにはならないと思います。

 東京電力だけ考えても六千万キロワットぐらいですよね。六千万キロワットの事業規模があるのに対して、百万キロワットがちょぼちょぼ、五十万キロワットがちょぼちょぼでは、これは発電の世界では競争は起きないということを意味するわけであります。

 それで本当に我々が目指すべき電力自由化が競争メカニズムを使ってうまくいくんだろうかということについて、批判をされる方もおられますし、私どもは、それに対して、いや、そうじゃないんですよということも言わなければならないんだろうと思うんです、進める側からすると。そういう意味で、少し茂木大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 まず、安定供給、こういう立場からしますと、最終的な責任は送配電事業者が持つわけでありまして、ここにつきましては、御案内のとおり、料金といいますか、総括原価も残す形で、資金調達もできるという形で、安定供給については万全を期していきたいと思っております。

 同時に、小売の事業者につきましても、小売ブローカーという言葉を使われましたけれども、空売り規制はかけるわけでありますから、きちんと発電と売電が対応するような形はとってまいります。

 幾つか例を、ガス会社であったりとか、そしてまた製鉄会社のお話をいただきましたけれども、ある程度の資本力を持っている会社でこのビジネスに関心を持っているという企業は、私は非常に多いと思います。単に再生可能エネルギー、太陽光等々にとどまらず、さまざまな事業への参入というのがこれから進んでいくと思いますし、さらに申し上げると、既存の電気事業者の発電部門の中でも地殻変動が起きるのではないかな、こういったことも考えております。

 もちろんこれを、行政的にどことどこが組めとかいう話ではありませんけれども、そういったさまざまな大きな事業再編を進めるためにも必要な変革だと考えておりまして、ある意味、全く動いてこなかったんですよ。物すごく大きな事業、市場でありながら動いてこなかったものを動かすわけでありますから、ここには大きなポテンシャルがある、そのように私は考えております。

岸本委員 そこは理解します。まさにエネルギー基本計画でも今大臣が説明されたことが主に目的として書かれているので、それは理解します。

 一方で、安定供給のこともおっしゃいましたけれども、例えば、本当に百万キロワット、二百万キロワットの発電所をつくろうと思うと、計画をして、決断をして、立ち上がるまで十年ぐらいのスパンの話ですから、それはそう簡単なものでもないと思いますし、その規制の問題が、これも悩ましいと思います。

 これは、行政側に私がいれば、当然その規制についてはやむを得ないと思うわけですけれども、まさに競争がうまくいっているときまで規制しますというたてつけですから、競争がうまくいっているのを判断するのは経済産業大臣なわけですけれども、その基準は何なのか。いつになったら、競争がうまくいって、役所が一々料金を規制しなくても市場メカニズムでうまく回りますということになるのだろうか。

 実際に競争が進展する時期だとおっしゃいますけれども、これは本当に難しい。それは十年なのか二十年なのか。三十年たっても競争が進展しないときは、料金規制は残るということになるんでしょうかね。大臣政務官、いかがですか。

田中大臣政務官 料金規制の経過措置の解除ということでございますけれども、これは市場の実態等について慎重な判断が必要であるということはもう言うまでもありません。例えば、新規参入の状況ですとか、既存事業者間の競争の状況、規制料金ではなくて自由料金を選択している需要家の割合、またスマートメーターの普及状況、卸電力市場の活用状況など、こうしたものをやはり総合的に勘案して、その撤廃時期を慎重に決定すべきものと考えております。

 この判断基準については、やはり、公開の委員会等において、透明性等も十分配慮しながら検討を進めていきたいと考えております。

茂木国務大臣 理論的には、規制料金というのは何年でも、競争環境が整わなければ残ることになります。例えば第三弾の改革は二〇一八年から二〇年ということで行って、改革そのものとしてはそこで完結をして、そこから本来的な競争といいますか、最終的な競争が始まっていくわけでありますけれども、その後十年、二十年も規制料金が残るようだったら、改革としては失敗ですよ。その前にきちんと改革が完結するというような思いで取り組んでいきたいと思います。

岸本委員 最後にその覚悟を聞こうと思っていたんですが、早い段階で御覚悟を示していただきましたので感謝を申し上げたいと思います。大変いい御答弁でしたので、資源エネ庁の役人が規制をおもちゃにして何年も裁量行政をしないように、不透明な、灰色の行政をしないように、ぜひ今の御決意を生かしていただきたいと思います。

 あと、第三段階の二〇一八年以降のことも触れられましたので、ちょっとその世界を想定させてください。

 完全自由化しました、小売全面自由化です。そうなると、一般電気事業者の電力供給義務はその段階ではありません。そして、小売事業者が逆に供給力の確保義務を負うということになるたてつけです。したがって、大臣が何度も答弁されていますように、空売りはさせないんだ、空売り規制をするんだから、小売電気事業者は供給力をきちんと確保してそれを売るんだということだから大丈夫ですよ、こういうことなんだろうと思います。

 そこのロジックはそうなんですけれども、しかし、当然、小売電気事業者は資本の大きい人もあれば小さい人もある。それぞれが自分で供給力を持って買ってくる中で、それは卸電力の市場もありますけれども、身の丈を超えたものは多分売れないわけですから、空売り規制があるわけですから、そうすると身の丈に合ったものを売っていく。それは、合計していくことによってしか日本全体の供給力はわからないわけであります。そういうことであります。そうすると、それで大丈夫なんだろうか。

 今は、一般電気事業者に供給義務がありますから、最大ピークのところに合わせて必死で、もちろん節電もお願いしていますけれども、ピークに合わせて彼らがやっている。しかし、ピークに合わせた小売電気事業者の総和が実は全然、全然というのは言い過ぎですし、実は、これは改革が成功して小売電気事業者のウエートが広がった世界です。改革が成功して小売電気事業者がふえてきて、その総和が本当に供給力を満たすのか。この辺については、理屈で言うとそれは難しいのではないかと思うんですけれども、大臣政務官、この辺はどう考えたらいいですか。

田中大臣政務官 委員御指摘のとおり、今般は、従来の一般電気事業者の供給義務というものを撤廃するということであります。そして、小売事業者に供給力確保義務を課すということとしております。

 ただし、今回の法案に関しては、小売事業者に対して供給力確保の義務を課すということのみならず、まず、各小売事業者が需給バランスを確保できなかった場合にも、一般送配電事業者がエリア全体で需給バランスを維持することを義務づける。

 また、一般送配電事業者がみずから維持、運用する送配電網を用いて需要家に電気を送り届けることも義務づけをしております。

 そして、需要家が誰からも電気の供給を受けられなくなるというようなことのないよう、セーフティーネットとしての最終保障サービスを一般送配電事業者に義務づけております。

 また、例えば離島の需要家に関しても、一般送配電事業者により、本土と遜色のない料金水準での供給を受けられるよう義務づけるということもしています。

 そして、発電側ということでありますが、将来的に日本全体として供給力不足が見込まれる場合に備えたセーフティーネットとしまして、広域的運営推進機関によりまして、発電所の建設者を、設置者ですね、公募する仕組みを創設しております。

 さまざまなこうした義務づけ等において、安定供給の確保に万全の措置を講じてまいりたいと思っております。

岸本委員 御説明はそのとおりだと思います。そういうたてつけになっているんです。しかし、発電と送配電を分けてしまうと、送配電の事業者に義務づけしても、根っこの電力が発電されなければ、義務はいいんですけれども、売るものがなかったら、送るものがなかったらどうしようもない。これがいわゆるカリフォルニアで起きるような停電ということになってくるので、そのリスクは高まるんですね、どうしても。

 それは、今おっしゃったようなことで、ともかく絶対漏れがないようにやるんですけれども、しかしそうはいっても、物すごくリスクがあるということも私たちは踏まえてこの改革に取り組んでいかなければならないのではないかということを申し上げたかったんですけれども、これは本当に難しいだろうと思います。カリフォルニアの例は特殊な例だといって切って捨てるのは簡単かもしれませんけれども、やはり、自由化した国々ではどうしても停電のリスクが高まったことも事実でありますから、そこは本当によくよく我々は心しなければいけないんだろうと思います。

 実際、ビジネスをやる側からすれば、多分、大規模な停電による社会的なコストまで入れてビジネスモデルをなかなか構築はしないだろうと思うんですね、普通のビジネス。それはまさに、いろいろな義務づけがあって、何十年も公益事業としてやってきた電力会社のマインドセットと少し違うのではないかとも思うものですから、逆にそれを社会的コストとしてビジネスに織り込んでいくような仕組みがあるとは思いますけれども、さらに指導していただくということが一つには大事なのかもしれません。

 その上でさらに申し上げますと、さっき田嶋委員からもテレコムの例がありましたけれども、例えば、余り一般電気事業者に対して、おまえらは大きいんだから新規参入者のために一肌脱げというのを言い過ぎますと、これはこれでまたビジネスがゆがむというところもあるんだろうと思うんです。

 例えば、今言いましたように、今現在は少ししか手を挙げていませんが、本当に発電をする人がふえていくのかどうか。ふえればいいと思います。ふえないとなると、小売電気事業者はともかく、場合によったら一般電気事業者からも買わなきゃいけないということになってくるわけです。また、いろいろな卸電力にも、余っているものは出しなさい、そのときのコストをどう考えるか、固定費まで入れて買っていただけるのか、何か一般電気事業者が過分な負担をするようなイメージがあるわけです。

 実際、総合エネルギーの会社を育てようという中で、ガス会社はやはり参入したがっていると思います。ガス会社が参入したがっている中で、ガス会社の中で、やりますという人もいれば、そうでない人もいますが、彼らの議論を聞いていると、これは公の場の議論ですけれども、どうも、最後、なかなか全体で電力がうまくつくれないときは、やはり一般電気事業者の発電設備を買わせてもらうとか、そういうのを利用させてもらうとかというような声も出ているわけですね。

 そうすると、それを仮にさせてしまうと、新規参入する人たちの設備投資意欲は一切なくなってしまうぐらいのことかもしれません。そこの競争が本当にうまく働くのかどうか、設備投資を新規参入者がどんどんしていくようなインセンティブを持たせられるのかどうか。だから、そこが今後、経産大臣のハンドリングが非常に難しくなってくるんだろうと思います。そのことを一つ指摘しておきたい。

 最後に、卸電力市場についてだけお聞きしたいと思います。

 卸電力市場、なかなか利用されてこなかったんですけれども、今後、この法律改正で積極的に使われるようになると思いますが、ここで、よく言われるミッシングマネープロブレムという問題が指摘されています。

 結局、卸電力市場を使って、安い電力の順番に使っていきましょうというたてつけなんですけれども、可変費ベースでの安い順番で買われていくという中で、本当に固定費までカバーさせてもらえるのだろうか、卸電力市場が、電力自由化を進める結果として、ある意味やはり一般電気事業者に過分な負担を与えてしまうようにならないか。

 ミッシングマネープロブレムについて、これはどんな手だてがあるのか、大臣政務官、お答えをいただきたいと思います。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 卸電力取引所、卸電力市場に関してでありますけれども、今回の法案においては、卸電力取引所に法律上の位置づけを与えるということであります。不正取引の防止ですとか市場の監視、卸電力取引所の運営の適切性の確保について、国が一定の関与を行うことを可能としております。

 具体的には、例えば、不正取引防止のためのルールですとか、市場への参加要件などについて、卸電力取引所がみずから業務規程で定めて、国はその認可を行うことにより、間接的に関与するといった仕組みをとるということであります。事業計画の決定ですとか役員の選任に当たっても、国の認可を必要とするとしております。

 こうした措置は、電力システム改革専門委員会において、現状では私設、任意である取引所の運営の公平性について指摘する意見があったことなども踏まえたものであります。国が一定の関与を行うということは、取引所の信用力の向上ですとか健全性の確保にも寄与できるものと考えております。

岸本委員 今の御答弁でも明らかなように、電力自由化をするということは物すごく難しいんですね。国の関与をどうしていくのか。自由化といいながら、国の関与は相当残るし、残らざるを得ない。

 今までのやり方、総括原価の料金規制、地域独占、あるいは社債のあり方、さらには発電、送電の一体化というもの、それはよくないんですよ、しかし、ある意味それはそれでワークしてきたところがある。うまくソフトランディングするためには、大変な道のりだと思います。

 ただ、今言った三点セットは、高度成長で電力需要が伸びていく時期にとてもフィットしたやり方でしたよね。そうやって、まさに電力会社はファイナンスが命ですけれども、うまくファイナンスして、設備投資をして、電力需要がふえていくのに合わせた三点セットだった。

 しかし、これは伸びないと思いますね。まさに経産省のこのシステム改革の背景にはそういうことがあったと思います、もう伸びない中で。では、本当にいいのは、ひたすら市場原理で賄って、よその電力会社の設備をうまく使った方がいいんじゃないか。どんどん設備投資をしていく場合でもないだろうというのも少しはある。

 そうなると、恐らくファイナンスがすごく大事になってきて、やはり一般電気事業者がかなり主流に残ると思います。彼らの財務ファイナンス戦略というのが恐らく相当この自由化の中で着目されてくるし、それはもう経産省もおわかりの上だと思います。

 つまり、MアンドAも起きてくるでしょう。送電、配電が従来の垂直型の統合であるならば、それを外したときに、水平的な横の統合が、財務ファイナンス力によって、恐らくMアンドAという形で起きてくる。起こしていきたいということかもしれません。そのことは、私はプラスだと思います。

 発電会社がMアンドAで三つになれば、例えばLNGとか原油の価格交渉力は大変強くなるはずです。恐らくそこまで見込んだ電力システム改革を私たちはやっていかなきゃいけないということですから、足元で、できるだけつまらないことで足を引っ張られないように、これはぜひ国会も行政府も、ともに理想を目指して頑張っていきたいと思います。

 私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日は、少し落ちついて質疑をさせていただきたい、このように考えております。

 まず、本日は三十分間、質問の時間をいただきました。

 電気事業法改正案、大きな三つのステップの中で二つ目ということで、我々みんなの党といたしましても、基本的には、電力の自由化ということについての大きな方向性というものは、全くもって同じ方向を向いているんだろうというふうに考えております。ただ、もちろん、大きな方向性は一緒なんですが、そうはいいましても、神は細部に宿るという言葉がございますけれども、つくり方一つで、それが本当にうまくいったり、なかなかうまくいかなかったり、そういうような問題があるかというふうに考えております。

 きょう既に、民主さん、そして維新さん、自民党さん、公明党さんもさまざまな質問をされておりました。多少質問の中身というのはかぶるところはあるだろうと考えておりますけれども、どうか御容赦いただきまして、御質問させていただければ、このように考えております。

 それでは、中身に移らせていただきます。

 一つ目でございます。まずは、小売事業者の参入の自由について質問させていただきます。

 今回の法案では、小売事業者による空売りを防ぐために、供給力確保義務が定められております。この点、本会議でも質問させていただきましたけれども、この条件が厳し過ぎれば新規参入を妨げるということにもなってしまいます。

 参入の自由というもの、一方で消費者の保護というものは規制緩和をするときには必ず議論がなされる、そういう意味ではジレンマと言うことが可能であろうと思います。一方を重視し過ぎると、他方がないがしろになってしまう。もちろん、参入の自由というのは進めるべきだというふうに考えておりますけれども、でも、消費者の方がどうなってもいいわけではないということがありますし、かといって、消費者の保護を進めれば、結局絵に描いた餅で、参入の自由が損なわれてしまう。この点、評価はいろいろあるかと思いますけれども、今までの霞が関の体質を考えると、どうしても保護や規制というものに重点が置かれ過ぎてしまう、その意味で参入の自由が一般的に妨げられてきた、そういう嫌いがあるのではないでしょうか。

 その点で、先日の茂木大臣の本会議の答弁におきましては、こういうお答えをいただきました。他の発電事業者との契約による電源の確保や卸電力取引所からの調達もその確実性がある限り認める予定でありまして、参入の妨げとならない、過度な規制とはならないと考えておりますということですが、確実性がある限り認めるというこの中身について、もう少し具体的にお答えいただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 小売電気事業者が参入しようとする場合には本法律案では登録を求めることとしておりまして、この登録の際に、国が、事業開始当初の需要の見込みと、自社保有電源あるいは他社の電源との契約、それから卸電力市場からの調達などによる電源の供給力について確認することとしております。

 確実性ということでございますけれども、例えば、卸電力取引所からの調達につきましては、その事業者の需要想定に対しまして卸電力取引所の過去の約定実績に比べて著しく乖離があるといったものは確実性がないと思いますけれども、過去の約定実績に照らして妥当なものであれば確実性があるというふうに考えてございます。

三谷委員 そこで言う、過去の約定実績に基づいて妥当性があるというところですけれども、著しく乖離があるものと、妥当であるというものは、その言葉だけでは、どれぐらいの割合になればそれが著しく乖離しているのか。どれぐらいの取引があって、どれぐらいの約定があるんだったら妥当なものだ、その辺のもう少し具体的なお答えというのはできるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 供給力確保の確実性でございますけれども、これは今後の登録の基準ということになってまいりますが、例えば、繰り返しになりますけれども、過去の約定実績に照らして調達が困難と見られるような量の電気を卸電力取引所から調達して供給力を賄うといったものは、恐らく確保が不十分だろうというふうに判断できると思います。

 より具体的な内容につきましては、それぞれの要件に照らしまして、この法律の施行前に先立ちまして早急に決めたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 今、およそ困難というような言葉もありました。そういった文言から推察される基準というのは、かなり緩い基準になる、その意味では参入の自由を妨げないような義務になるというふうな理解をすることはできるんじゃないかと、そのように聞いて胸をなでおろしているところでございます。

 この点、ちょっと大臣に見解を伺いたいと思うんですが、いわゆる参入の自由と消費者の保護というものの両立なのか、片方だけ取り上げるというわけにはいかないでしょうけれども、その点について、どのような哲学に基づいて電力の自由化を進めていらっしゃるお考えか、お聞かせください。

茂木国務大臣 今回の電力システム改革は、全国レベルで安定供給を進める、同時に、需要家にとっても事業者にとってもさまざまな選択肢が広がり、参入機会がふえていく、それによりまして電力コストが低下し、さらには需要側においてもスマートな需要の抑制が図られる、さまざまな目的を目指しているわけであります。

 そこの中で、安定供給につきましては、先ほど来答弁させていただいておりますように、空売り規制等々もかけてまいりますけれども、最終的な責任につきましては送配電事業者に持ってもらうという形になります。これにつきましては既存の事業者であります。

 一方で、新規参入につきましては、全てできるような状態だったら、もともといる事業者になるわけでありますから、ある程度自由に市場に参入できるような環境を整えるということが最終的には消費者、需要家にとっていい結果を生むものだ、このように考えております。

三谷委員 お答えありがとうございます。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 今いみじくもおっしゃった既存の事業者それから新規の事業者というところの兼ね合いでもありますけれども、現在の電力市場におきましては、東電などの一般電気事業者が地域独占体制の中で圧倒的なシェアを占めているということでございます。こうした寡占状態においては、小売専門の事業者が市場に参入しても、東電など一般電気事業者から、既にさまざまな施設、発電所を持っているところから供給力を確保してもらう契約を拒否されてしまえば、事実上参入が困難になってしまうというような状況になってしまいます。

 先ほど岸本委員の方からは、小売業者ばかりふえるということについて懸念をするというような声に私には聞こえましたけれども、そうはいっても小売業者がふえることがまず重要なんじゃないかなというふうに考えているわけでございます。

 といいますのも、発電所というものをつくるには、岸本委員ももちろんそういう指摘もされておりましたけれども、莫大な費用、コストがかかるということで、そうはいっても簡単に参入することはできないという中で、まずは、今ある発電所の既存の設備というものをどれだけ使って小売の自由化を実質的なものにつなげていくのかということ、それを一生懸命考えることが一つ重要な視点ではないか、このように考えているわけです。

 一般電気事業者、もう既にさまざまな発電所を持っているようなところにおいては、小売業者、新規参入業者、いわゆる売電ということしかしませんよというような会社に対して、そこに電気を供給するという契約を不当に拒否できないような義務というものを課すことも必要なのではないかと考えておりますけれども、この点について政府の方針をお答えいただければと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 自由化を進めていく中で新規参入者がふえていくことは重要だと考えてございますけれども、既存の電力会社が、卸電力市場の活用などによりまして、新規参入者たる小売電気事業者への電気の販売を経営判断として行われるということをまず期待したいと考えてございます。

 一方で、御議論がございましたように、私どもとしても卸取引市場の活性化というものを進めてまいりたいと考えてございまして、現在、既存の電力会社が自主的に取り組みとして行っております余剰電力の市場への供出、あるいは一部電源の切り出しということは新規参入者による電源確保の機会拡大につながるものと考えてございますので、こういった動向について継続的なモニタリングを行うことで、既存の電力会社の取り組みを促してまいりたいと考えてございます。

三谷委員 卸電力市場はまた後ほど時間によって触れたいというふうに思いますけれども、そうはいっても、まだまだこの市場が大きく育っているような状況ではないという中で、この卸電力市場の中身だけを見れば、実質的にうまくこれが運用されていくということが判断できるかどうかというのは、ちょっとその点については疑問だ、このように考えております。

 といいますのも、今回の電力システム改革、電力の自由化、三段階ありますが、この三つ目で出てくるものはいわゆる発送電の分離というものであります。発送電の分離は、我々みんなの党としては、所有権分離というところまでこれをしっかりと進めていくということが本当の意味での自由化には必要なのではないか、このように考えているわけでございます。

 もちろん、それについては大臣からも、以前、憲法の財産権上の制約というものがあって、言うのはいいけれども、本当にできるのかというような厳しい御指摘もいただいているところではございます。

 ただ、そこに関してできればこれは考えていかなければならないんですが、これからの電力市場、電力業界というのは、発電所を持って発電をしていく会社、そして送電をする会社、それから小売をする会社と、大きく三つのレイヤーに分けられるという中で、今回すごく問われているのが、発送電の分離というのがまだされてはいないけれども、実際上、発電する事業機能、会社の中での一部門というところですけれども、仮に発送電分離がされた後に、発電部門がどれぐらい利益を上げられるかということを見ていく。

 これは、簡単に言うと、発電事業部門が自社の送電網の部門に売って、そこを通じて小売をさせるということを選ぶのが、会社としてはそっちの方が利益が大きいということは当然あるとは思いますけれども、もしかしたら、この発電部門ということだけを見れば、そこで流すよりは、新規の参入してきた小売の事業者、そっちに売った方が、そういったところに小売を任せた方が、発電事業部門としては利益が上がるような仕組みというのはできるかもしれない。

 今までのように、発送電が分離されていない、そして小売まで全部一気通貫でやってしまうというと、どの部門がどれぐらいの利益を上げるということがなかなか見えてこなかったというところがあるわけです。でも、これからは、将来的には発送電の分離というところまでを進めていくことになるわけですから、やはり、より多くの利益を上げるところに発電部門としては電気を流すというのは、当然の経営判断なんだろうというふうに思います。

 そういう意味で、しっかりと電力の自由化を進める意味では、やはりこの第二段階のところから、卸電力市場にこだわらずに、しっかりと、より発電事業部門として利益が上がる方向というものを選んではどうかというようなアドバイスを省庁としてやってはどうかと思うんですけれども、この点について御見解をお聞かせください。

茂木国務大臣 電力システム改革でありますけれども、最終的に発送電分離、これは法的分離を行ってまいりますが、もちろん事業者の判断として所有権分離を選択することを妨げるものではないということは、何度か答弁で申し上げてきております。

 そこの中で、恐らく、発電部門、送配電部門、そして小売の部門と、なかなかきれいに分かれないんだと思うんです。どういう方かといいますと、例えば、発電もやりながら小売もやる、こういうビジネスモデルというのも出てくるかもしれない。また、新規参入者によりましては、発電が得意であったりとか、ある条件によって顧客に近くて、例えばマンションの経営をしたりとかいうことでリテールに強い、こういう事業者等々も出てくるということで、どこで収益を上げるか、そしてまた、そのために玉というのをどういう形で調達するか、こういったことも違ってくるのではないかなと思っております。

 かつては、農業でもマーケットというのはなかったわけであります。物々交換の時代から、今ほとんどのところが、農業でも、家で消費するものでなければ、マーケットを通じてそういったものが消費される。

 また、例えば家電のビジネスを見てみると、かつては圧倒的にメーカーが強くて、しかも、メーカーの系列ごとにショップがあったわけですよ。いろいろな、どこどこの系列のショップというのがそれぞれの町にあったわけでありますけれども、今は大型の家電量販店というのが出て、価格もそこが決める、メーカーよりも強いような形で決めるといった状況も生まれているわけでありまして、さまざまなビジネスモデルが育つような環境整備をするということが政府としては必要なことだ、そのように考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 今まさに大臣がいみじくもおっしゃった家電ですと、系列のところが小売をしていくというようなことではなく、最近は大手の業者というものがむしろリーディングカンパニーというか、実際のマーケットの製品の価格を決めていくというようなことがあるわけでございます。その中で、これからは消費者の選択の自由というものが今まで以上に重要になってくるのではないか、このように考えております。

 そうはいっても、町の電器屋さんというのは今でもあるわけでございまして、安く買えればいいというような方はインターネットでただ単に安いものを探して、インターネット通販で買うということをするんでしょうし、そうはいってもアフターケアまで非常に必要だということであれば、町の電器屋さんで家電を買うというようなことはもちろんあるわけでございます。

 大事なことは、家電業界ということであれば、幾らで買うのかということと、安心、どういったケアがなされるのか、そこが比較的、明確な基準というものはそれぞれもう既に我々消費者の中には根づいているというところではないかと思います。ただ、今回のいわゆる小売の自由化が進められたとすると、やはり新しい概念というものを我々自体が理解していかなければならないので、それはそれで、しっかりと消費者に対して情報提供なりなんなりをしていくことも必要になってくるのではないかというふうに考えております。

 この点、小売業者というものを簡単に比較できるような、例えばわかりやすい情報開示というものが必要ではないかというふうに考えておりますし、また、乗りかえに必要な手続、時間もできるだけ少なくなることが必要ではないか、このように考えております。この点、本会議においても茂木大臣から、契約条件の説明義務や、苦情への対応義務、乗りかえ手続の標準化などの方策を講じるというような答弁をいただきました。

 この点、非常に似通っているのがいわゆる携帯電話の通信業界というところでございます。今の携帯業界というものでは、本当にさまざまなプランがあってゼロが並ぶ、これはただなのかと使ってみたら実は高かった、そういった、ある意味、消費者からすればわかりにくいプランがあるというふうに思っております。自分も今携帯電話を使っておりますけれども、果たして本当に一番安いプランで電話を使っているか、甚だ自信がないわけでございます。大臣もそうではないかというふうに思っておりますけれども。

 電気料金というものに関して、先ほど大臣のお言葉でありましたけれども、情報提供というもの、必要な情報を得られる仕組みに関して、例えば、A社、B社、C社を一覧で比較可能なフォーマットというものを提供する義務というのを課すことも必要ではないかと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 小売全面自由化の後に需要家の多様なニーズに応じたさまざまな料金メニューが生まれると想定されておりますけれども、そのこと自体は、需要家の選択肢が拡大するということで、好ましいものと考えてございます。その観点から、メニューそのものを一定の型にはめてしまうということは、事業者の創意工夫や参入意欲をそぎかねないということで、現時点では考えてございません。

 ただ一方で、御指摘のように、メニューが複雑化して需要家が理解できないということであれば、正しい選択もできないということでございますので、今回の法案では、小売電気事業者に対しまして、消費者への契約条件の説明義務、契約締結後の書面交付義務、需要家からの苦情や問い合わせへの対応義務というものを課しておりまして、需要家が電力会社や料金メニューを選択しやすい仕組みとしているところでございます。

 御指摘も踏まえまして、需要家にとってわかりやすいメニューが普及するよう検討を進めてまいりたいと考えてございます。

茂木国務大臣 恐らく最終的に、国が一元的に、A社、B社、C社ですということで、この会社はこのメニューを持っていますという形は、やはり私は、かえって自由な発想であったりとか自由な競争というものをそぐのではないかなと。一方で、御指摘のように、ゼロ円プランとかいって実際には物すごくかかっていた、こういったことでも困るわけであります。白い犬を使うかどうかは別にして、各事業者が工夫して適切な説明を行う、こういう状況が生まれることがいいと思います。

三谷委員 ありがとうございます。

 非常にわかりやすいお答えをいただきまして、それをぜひともと思っております。参考にさせていただきます。

 それで、料金のプランということ、消費者の保護ということですが、例えば、小売の自由化が進められている国というのはもう既にあろうかと思っておりますけれども、そういった消費者の観点から、どのようなわかりやすい情報提供をするのかということに関して、参考にしている国というのはあるんでしょうか。お答えいただければと思います。

高橋政府参考人 既に自由化を行っている諸外国におきましては、供給事業者あるいは料金メニューの検索、評価に係るコストを低減する手段といたしまして、消費者向けの小売料金の価格比較サービスが提供されている例がございます。

 例えば、ドイツでは、郵便番号を入力することによりまして、その地域に供給を行っている小売事業者と、その事業者の提供する料金メニューの一覧が表示されるウエブサイトが民間事業者により運営されてございます。

 また、アメリカのテキサス州におきましては、民間事業者のみならず、州の委員会が独自に、州内で事業展開している小売事業者の提供する料金の比較サービスを提供しているところでございます。

 こうした比較サービスに対するニーズというのは我が国でも存在しておりまして、電気ではない分野では一部それは出てきておりますので、今後、電力システム改革の進展に応じて新規参入がふえてくるとそういうニーズも高まってまいると思っておりますし、そういう民間サービスも出てくるのではないかと考えてございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間の関係もありますので、多少質問を飛ばさせていただきまして、電力の融通の点について質問させていただきます。

 現在、東日本と西日本、北海道と本州との間においては電力融通に関して容量上の制約があるということは、この前の震災のときにこういう問題があるんだということを知った方も多いのではないかと思っておりますけれども、電力の自由化の後も、東日本と西日本、北海道と本州で融通の容量に限界があるというところが制約になる可能性があるということをまずは指摘させていただきたいと思っております。

 東日本と西日本では、現在百二十万キロワット、将来的には二百十万キロワットというふうに送電容量が上限として予定されておりまして、本州と北海道では、今は六十万キロワットですけれども、将来的には九十万キロワットというふうに言われております。

 この状況では、例えば、東京の人が西日本からいっぱい電気を買う、電力会社と契約したいといっても、送電の容量以上は契約できないということになってしまう。これは小売の自由化という観点からすると大きな制約になってしまうのではないかという懸念がありますけれども、この点についてお答えいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 連系線の強化は大変重要な課題でございます。

 御指摘のございました、例えば西日本の小売電気事業者が東日本の需要家に電気を売る場合、仮に送電容量が十分でなくても、西の事業者が東側の電源を用いて商売ができるということもございます。

 また、電気の性質上、西日本の電源から東に売るという電気と、東から西に売る電気というものが双方ある場合については、その差分が連系線に流れるということになりますので、そういう意味では送電容量以上の電気の行き来が行われるということでございます。

 ただ、いずれにしても、御指摘のように、この融通、連系線の強化というのは大事な課題でございますので、広域的運営推進機関の設立を待ちまして政府としても取り組んでまいりたいと考えてございます。

三谷委員 確かに、東日本、西日本ということであれば、西日本の会社から買うといったって、東日本側に発電設備を置けばそこはクリアできるというところ、それから、差分のみが問題なんだというところはもちろん理解しているところではあるんですけれども、ただ、例えば北海道と本州の間というところで、北海道で自然エネルギーを使って電気をいっぱいつくるんだというようなところが、こぞってみんな北海道から電気を買いたいなんということだって出てくるだろうと思っているわけでございます。

 本州と北海道では、たかだかという表現がこの場合に適切かわかりませんけれども、六十万キロワットと現状はなっているわけでございますから、送電容量を超える契約がなされてしまうという場合に、どのようにコントロールするのか、またはコントロールしないで、事実上、それ以上は契約できないというような形でもう放任するのか。また、そういった事態が出てきたときに、経済産業省としてどのように対処しようとしているのか、もしくはされないのか。その点についてお考えを伺えればと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 連系線等、あるいは北本連系線の強化のお話でございますけれども、地域を越えた電力取引の拡大が進みますと、この連系線の強化の必要性が出てくると思います。

 現在、北本連系線につきましては、二〇一八年度末までに六十万から九十万キロワットに増強するということで電力会社が取り組みを進めてございますけれども、今後、電力システム改革の進展によりまして地域を越えた取引がふえてまいりましたら、さらなる増強も含めて検討すべき課題だと考えてございます。

三谷委員 世界的にも電力の自由化を進められている国は幾つもありますけれども、その中で、送電事業というものについては実は国有化のまま、国が持っている、そういった国も少なからずあるわけでございます。発電と小売については広く認めても、やはり送電というものが重要だということは認識されているところではないかと考えております。

 この前、茂木大臣もドイツの例を挙げて、北部の発電所から実際に電気を使うところまでの送電網の話をされておりましたけれども、そこについて、もっともっと送電網をふやしていくことが必要だということはある。これをしっかりとまずは経済産業省において、将来的には各発電所なり電気事業者というところに任せていくことになるかと思いますけれども、そこをしっかりと見ていただくということをお願いさせていただきたいと思います。

 送電事業というのは、とにかく電気を流せば一定の割合で利益がもうかるという意味では安定した収益源がある会社になるわけですから、もちろん莫大な設備投資というものが必要ですけれども、そういう意味では安定した収益が得られるところですので、そこに対して設備投資をさせる、小売の自由化を絵に描いた餅で終わらせないような配慮をぜひともしていただきたい、このように考えております。

 本日は、ちょっとしっとりと質問させていただきました。次回からまた元気に頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 本日はどうもありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就です。どうもお疲れさまでございます。

 私はいつも下位バッターなんですけれども、きょうはついに十番バッターになってしまいまして、もう一試合終わった感じで、お客さんもいない状態ではありますけれども、では、延長戦を頑張ってまいります。よろしくお願いします。大事な法案ですので、頑張ってやらせていただきたいと思います。

 今回は、皆さんから、安定供給でありますとか価格の抑制というのが本当にできるかどうかという確認があったところでありますが、自由化のもう一つの大きな意義といたしましては選択肢を消費者にふやしていくということがありまして、そのためにも、現在なかなか新規の参入が妨げられていたりとか、技術的なところから、新しく再生可能エネルギーをやろうとしている人たちが残念ながら断られたりしているというのが改善できるかどうかという点にも非常に着目しなければならないところでありまして、まずは、私はそのような観点からきょうは御質問させていただきたいと思います。

 そこで、広域的運営推進機関が昨年法案で審議されたところでございますけれども、昨年、その詳細、中立性が確保できるかどうかということを私もこの委員会で確認させていただこうとしたんですが、ただ、そこら辺の詳細がまだ決まっていなくて、今回の法案もしくは細則で決められるということでありましたので、そのフォローも含めて少し御確認させていただきたいと思います。

 これは参考人で結構でありますけれども、現状の見通しとして、この広域的運営推進機関、大体の規模と人員の確保、ここら辺はどうなっているんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 広域的運営推進機関は、発電所の建設計画や送電インフラの増強計画を取りまとめる、あるいは日々の需給状況を日常的に監視する等々、重要な役割を果たす機関でございます。

 こうした業務を行うために必要となる規模感ということでございますけれども、今後の業務の詳細の検討によって変動し得るわけでございますけれども、現時点では百名から二百名程度の規模ということで考えてございます。

小池(政)委員 百名から二百名ということでございますが、今のESCJが五十人ぐらいということで、その人たちは移行してくるかとは思うんですが、あとの人はやはり電力会社から出向という形で受け入れることになるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 広域的運営推進機関は中立性も重要だということでございまして、一方で業務も専門的でございますので、こうした業務の性格に応じまして、高度な専門的、技術的知見を有する、かつ実務に精通した人材を、中立性を確保しつつ人員を集めてくるということが重要でございます。特定の事業者からの出身者に偏った構成とならないよう、留意が必要であると考えてございます。

小池(政)委員 運用をわかっているのは大体が電力会社の系統部門にいるということから、恐らくそういう人たちが中心にはなってくるかとは思いますが、ただ、やはり中立性は大事でありますし、今回、これをつくるメンバーとして、新電力の皆さんとか電気事業者の新しい方も入ってくるわけでありますから、そういう人たちをぜひ取り入れていただいて、かつ、やはり情報公開という面からも、事業者じゃない、第三者的な、専門家等も含めた機構の運営をお願いさせていただきたいと思います。

 また、従業員だけではなくて、運営機関の総会、一番重要な機関であります総会の議決についても、昨年、内容がなかなかはっきりしなかったところでございますが、それもちょっと確認させていただきたいと思います。今の状況というのは多分、設立準備組合とかでこれから考えていくということではあると思いますけれども、当面、議決についてどういう予定になっているか、お聞かせいただけますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 広域的運営推進機関の総会の議決権ということでございますけれども、これにつきましては、総合資源エネルギー調査会のもとの専門家によるワーキンググループの議論におきまして、総会の議決権について、小売参入全面自由化時点での発電、送配電、小売の事業者区分ごとに、議決権が対等となるように設定するという方向が示されてございます。

 これを受けまして、既存の電力会社、新電力、再生エネルギー事業者等が参画して発足しております設立準備組織におきましても、発電事業者グループ、送配電事業者グループ、小売電気事業者グループの議決権を対等とした上で、特定の立場の事業者が突出して大きな議決権を有することがないように配慮しつつ、議決権を設定するということが検討されているところでございます。

小池(政)委員 発電、送配電、小売という形で、グループで分けるということであると思います。

 そうした際に、送配電、小売というのは今わかっている事業者の人たちが入ってくるんだとは思いますが、発電事業者については恐らく、ある程度の規模要件等を決める必要が出てくるかと思います。ただ、そのときに、やはりこの機関の重要な意義として、なかなか接続がされないということを防ぐためでもありますし、そういう小規模の人たちの声をぜひ取り入れる必要があるとは思っております。

 そこら辺の規模感、発電事業者がどの程度大きければこの機関に入ってくるのか、そこら辺をお聞かせいただけますでしょうか。

上田政府参考人 発電事業者の規模要件に関するお尋ねかと思います。

 今回の改正法案におきましては、発電する事業であって、発電用の電気工作物が経済産業省令で定める要件に該当するものを発電事業と定義しています。

 これは、一定規模以上の発電設備を用いて行う事業を発電事業者とする趣旨でありまして、発電事業者は、例えば、供給計画の提出義務や、あるいは緊急時におきましては広域的運営推進機関あるいは国からたき増しの指示あるいは命令を受ける義務等々がかかってくるわけでございまして、極めて小規模な事業者はむしろ除外した上で、一定規模以上の事業者について規制対象とすることを想定しています。

 では具体的にどの程度かというところにつきましてはなお検討させていただいておりますけれども、設備の利用実態も含めながら勘案していきたいと思いますが、一定規模以上と言う以上、メガソーラーであるとか大規模な自家発ということにつきましても、やはり、電気の安定供給の役割を果たしていただくという観点から発電事業者として位置づけるということは十分想定されるのではないかと思っております。

 ただ、他方で、太陽光発電を設置しておりますような例えば一般の住宅といったものにつきましては、ややこれは、非常に小さな存在でございまして、発電事業者として義務をかけるというのは適当ではないということで現時点では想定していない、こういった状況でありますが、こういったことも踏まえながらさらに検討していきたいと考えております。

小池(政)委員 余り進んでいないように聞こえるんですが、そろそろここら辺は明らかにしておいた方がいいかと思います。

 設立の際に機関に、発電事業者から今後十年間の計画を出してもらうわけであります。ですから、そういう人たちがある程度準備する必要があると思いますし、また、それに基づいてこれから早く系統に対して取り組みをしていかなくてはならないわけでございますから、できる限りそこら辺は前倒しにしていただきたいと思います。

 それから、ESCJと違う点で確認させていただきたいんですが、ESCJの際には、発電、送配電、小売、また専門家のグループがあって、一対一対一対一という形で議決権が分かれておりました。

 今回、有識者の人たちが抜けられているわけでございます。確かに、評議会というのがあるのは承知しておりますが、評議会というのはあくまで客観的にアドバイス等を述べる役割でございまして、議決権に比べたら大変弱い立場かとは思うんですが、ここはなぜ有識者グループは抜けたんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 ESCJにつきましては事業者の加入が任意でございますけれども、今回の広域的運営推進機関は法律上位置づけられます全ての電気事業者が加入するということとされておりまして、そういったことを考えまして、電気事業者の全体が参加するということで、会員で決めていくという形にしております。

小池(政)委員 全体を見て、しかも客観的に長期的に考える際に、その上に経産省、経産大臣がいるとはいえ、やはり事業者だけの観点ですとかなり偏ってしまうかもしれませんし、有識者が中立的な立場で物事を述べようとする、そのような、今まであったような機能がなかなか発揮できないかもしれないということから、ここがちょっと心配な点だと思っております。

 また、この機関がこれから設備投資を促していくということではございますが、では果たして本当にそれが担保されていくのか、確保されていくのかということでございます。ほかの電力会社の事業計画等とすり合わせながらそこら辺を進められるのかどうかということであります。

 例えば東電、今回、新総特を出されました。私たちもこの委員会で原賠機構法のときに東電の経営合理化という審議はしてきたところでありますけれども、その総特の中にも、できる限りの設備投資を削っていくということもあるわけでありますし、また、ほかの電力会社、例えば東北電力、設備投資関連費用を抑制しますという中で、本当に送電部門の設備投資というものをしっかりと遂行することはできるのかということに少し懸念を持っているところでございます。

 ちょっとこれは大臣にお伺いさせていただきたいんですが、今の仕組みの中で本当に送電がしっかりと設備投資できるんですかという質問をすると、今までの答弁ですと、地域独占であったりとか総括原価方式があるので投資回収が保証されているという答弁になるかとは思うんですが、ただ、それはあくまで単なる必要条件であって、インセンティブを高めるものではないと思います。電力会社にとってみれば、接続を許して新しい人たちが入ってくれば自分たちの売り上げが下がってしまうわけでございますし、また一方では、今少し御紹介したような、経営合理化に向けた、設備投資を抑制しなくてはいけないという圧力も働いているところでございます。

 この中で、いかに送電の設備投資を促しながら新規参入をしっかりと担保することができるのか、その点についてお伺いさせていただけますでしょうか。

    〔委員長退席、江田(康)委員長代理着席〕

茂木国務大臣 小池委員、きょうは十番バッターということなんですけれども、セリエAのACミランに移籍しました本田圭佑の背番号も望んで十番ですから、悲観をされないのがいいんじゃないかなと思います。

 地域間の連系線等の広域的な運用に資する送電網の整備というのは極めて重要だと思っておりまして、特に地域を越えるような送電網の整備をどうしていくか、御指摘のように大きな課題だと思っております。これは、広域的運営推進機関が中心となりまして整備計画を策定して進めることとしておりますが、この検討に当たりましては、一般送配電事業者も広域的運営推進機関の会員として検討に参画するということになります。

 また、広域的運営推進機関は一般送配電事業者の送電網の整備計画を含む供給計画を取りまとめることとしておりまして、仮に一般送配電事業者が供給計画に適切な送電網の整備計画を反映していない場合は、この広域的運営推進機関が送配電事業者に対して指導、勧告等を行うことができる仕組みとしております。

 このような仕組みを通じまして、広域的運営推進機関が主導して策定する送電網の整備計画と各一般送配電事業者の整備計画の整合性が保てる、このように考えております。

小池(政)委員 ぜひ、整合性を保った上で、しっかりと整備をお願いしたいと思います。

 また、送配電に係るところでございますが、託送料が新しい事業者にも当然かかるわけでございまして、いかにイコールフッティングをしっかりと担保していくかということも重要であります。これから送配電事業者に供給義務を課すということで、供給義務ということは、供給力を新たに確保するためのコストがかかるわけでございます。このコストも、今回の法案によりますと、託送料金に乗せられるということであります。

 また、先ほど近藤議員が廃炉の話をずっとされておりましたけれども、私もさきの法案の審議のときにお話をしましたように、今のスキームで原発が存続する、もしくは再稼働するというベースで決められた今の賠償でありますとか廃炉、この費用負担というのは必ずどこかで行き詰まってしまうということから、考えたくはないんですが、この託送料金ということももしかしたら出てくるかもしれない。そのときに、やはりしっかりと透明性を高めなくてはいけないということが特に重要になってくるわけでございます。現在も重要なんですけれども、自由化のときには特にそれが重要かと思っております。

 自由化の後、発送電分離されればそこら辺は明確になるかとは思うんですが、自由化の際に託送料の透明性をいかに高めるか、その点についてお伺いさせていただけますでしょうか。

    〔江田(康)委員長代理退席、委員長着席〕

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の第二弾の法律におきまして、現在の一般電気事業者は今度は一般送配電事業を営むことになりますけれども、この一般送配電事業者が特定の小売事業者を差別的に取り扱うことや、業務上知り得た情報を目的外利用することを禁止しておりまして、これに違反した一般送配電事業者には、これは第二弾では今の一般電気事業者がやることになりますけれども、国が罰則つきの是正命令を発することとしてございます。

 また、現在の一般電気事業者に対しましては、一般送配電事業について独立した会計整理を求め、送配電部門の取引の透明性を高めることによりまして、送配電網の利用において新規参入者とのイコールフッティングを図ってまいりたいと考えております。

小池(政)委員 会計等は区分されるということでよろしいんでしたっけ、いいんですよね。

 会計は区分されるということでございますが、それも、確かに法案を読みますと、二十二条二項、「経済産業省令で定めるところにより、同項の整理の結果を公表しなければならない。」ということがありまして、その区分された結果の公表というのはどのような形でされるんでしょうか。

高橋政府参考人 具体的には、経済産業省令で定めるところによりということになりますけれども、きちっと他の新規参入者にもわかるような形での公表という手続を考えたいと思います。

小池(政)委員 ここはしっかりと、本当に客観的にわかるようにしてください。発送電分離の前に、グループの中で本当にしっかりと託送料がほかの事業者と同じようにかけられているかどうかということは、今の状態ですとかなり不透明なところがありますので、この点をしっかり明確にしていただきたいと思います。

 また、接続に関しまして、新規参入、特に再生可能エネルギーの事業者がしっかりと自分たちの発電したものが買われるかどうかということも大事な観点であると思っておりまして、固定価格買い取り制度について、自由化の際にどう変わるかということについてお伺いさせていただきたいと思います。

 今義務づけられている一般事業者から、今度は小売事業者が固定価格買い取り制度によって再生可能エネルギーを買い取る義務が付されるということであると思います。その際に、小売事業者が、例えば二十年間続くかどうかということもまだわからないわけでございます。また、小売事業者が、今までのような、買い取りを拒否することができるのかどうかということ、ここもちょっと確認をさせていただきたいと思います。今の二点、お伺いさせていただけますでしょうか。

木村政府参考人 御指摘のとおり、今回、電気事業法の改正によりまして電気事業者の区分が見直されるということで、これに対応するために、再生可能エネルギー特別措置法につきましても、再生可能エネルギー電気の買い取り義務を負う者につきましては、電気の需要家に電気を販売する事業を営む小売電気事業者とするという整理をいたしております。これは現行法の整理と同様ということで私どもとしては考えてございます。

 長期にわたって実際に買い取りをするわけなので、小売電気事業者の安定性といいますか、そういったものが大丈夫なのかという御指摘かと思いますけれども、万々が一、小売電気事業者が市場から退出するといったようなことが起こりましたときに、再生可能エネルギーの特別措置法に基づきまして、制度上、買い取り期間自身は保証はされております。したがいまして、別の小売電気事業者に対して速やかに固定価格買い取り制度に基づいた買い取りを求めるということは十分可能であるというふうに考えてございます。

 現行制度におきましても、現在、一般電気事業者のみならず、自由化市場において電気を販売する事業を営んでおります新電力に対しまして再生可能エネルギー電気の買い取り義務が課されております。したがいまして、この点につきましても現行の整理と基本的には同じということで考えてございます。

 それから、御指摘いただきました買い取り拒否の要件の部分でございますが、これは法令に明定されておりまして、現在、みずからが需要家に供給すべき量を超えて電気を受け入れなければならないといった場合は買い取り拒否ができるということで規定されております。これを大きく変更するということは現時点では考えてございません。

 他方、電力システム改革の詳細な制度設計の中で、実情でございますとか、あるいは買い取りの予見可能性をさらに高めるためにどうしたらいいかといったようなことも踏まえまして、丁寧に検証はしてまいりたいと考えてございます。

小池(政)委員 今、買い取り拒否はあり得るというお話だったと思うんですが、ただ、前段の話ですと、小売事業者は集合体として考えるわけでございまして、二十年たたなくなった小売事業者の分は、ほかの人がこれを負担するということでありました。

 そうすると、では、その買い取り拒否のところは集合体じゃなくて個別に、例えば事業者がこの分は買えないというような判断をすることができるということでいいんでしょうか。

木村政府参考人 再生可能エネルギー電気を現実に買い取りをすることができるかどうかということにつきましては、やはり個別の小売電気事業者ごとに判断するべき問題だというふうには考えてございます。その意味で、買い取り拒否が適用されるかどうかということにつきましては、その事業者一件一件について具体的な成否というのを考えなくてはならないというふうに思います。

 他方、実際問題として、買い取りをしてもらう権利が特定供給者の側にはあるわけでございまして、小売電気事業者は市場にたくさんおるということが前提でございますので、その中で、買い取り拒否をされないような小売電気事業者との関係で買い取り義務を履行してもらうということが起こるということでございます。

小池(政)委員 ちょっと心配なんですが、きのう聞いた説明ですと、あくまで再生可能エネルギーの事業者は、まず送配電の方で接続がされるかどうかということを確認された上で小売の方に契約を持ち込むということでございますから、原則は買い取り拒否というのはないんじゃないかという話だったわけでございますが、きょうの話は少し何か違うなという感じがいたしますので、またこれから確認させていただきたいと思います。

 小売がこれから買い取り義務を課される際に、今度は今のサーチャージの算定根拠がどうなるかということでありますけれども、今の固定価格買い取り制度というのはエネルギー源ごとに価格が決まっていて、それに対して回避可能費用があって、その差額はサーチャージとして、賦課金という形で計算されているわけであります。

 現在でもこの回避可能費用が非常に不透明で、本来であればもう少しこれを高い費用にすることが適正じゃないかということでありますとか、また、今、年に一回たしかサーチャージを決めていると思うんですが、ただ、電力会社は期中にもこの価格の引き上げをしているわけでございます。それはイコール原価が上がったということを示しているわけでございまして、それに対して対応できていないというような状況があるわけでございます。

 その際に、これから小売になっていくわけでございますが、小売の際にはこの算定根拠はこれからどうなっていくのでしょうか。

木村政府参考人 基本的に、小売電気事業者が買い取り義務を履行する場合におきましても、当然、調達のためのコストそのものというのは観念はし得るわけでございまして、今までと基本的な考え方にそごはないというふうに考えてございます。現在も、新電力が買い取りを行う場合も、回避可能費用というのを定めて、それをもとに適用しているということでございます。

 回避可能費用につきまして不透明という御指摘をいただきましたけれども、これにつきましては、御指摘に対応するような形で見直しを私どもとしても行いまして、これまでは全電源の平均、変動費を見ていたということでございますけれども、これにつきましては太陽光あるいは風力といった電源につきましても一定の供給力として認められるという実態がございますので、その部分につきましては固定費としてしっかりカウントしようということ、それから、変動費相当分につきましては火力平均に置きかえるということで今後運用してまいりたいというふうに考えてございます。

 したがいまして、そういった電源の全体のコストをきちんと用いるような形で、今後、小売電気事業者の回避可能費用というのも決定してまいりたいということで考えてございます。

 それから、サーチャージの決定のタイミングでございますけれども、これは法律上、年に一回、年度の見込みでやるということが法定されておりますので、基本的にこれを大きく変える必要性は現時点ではないかなというふうに考えておるところでございます。

小池(政)委員 時間も近づいてきましたので、最後に、大臣にお伺いさせていただきたいんです。

 今の固定価格買い取り制度につきまして、賦課金の透明性の向上でありますとか、もともと回避可能費用というのは、それを自分が購入しなかった場合に、自分でどこから買い取ってくるかといったら、それは市場から多分買い取ってくる費用になるかと思うんです。

 ですから、小売の際には、今度は卸電力市場ができるわけでございますから、そういう価格をしっかりと参考にしながら私はここを決めるべきだと思っておりますし、今、年一回でいいじゃないかという話もありましたが、やはり、電力会社が料金を上げるということでございましたら、そこに合わせてここは見定めていかないと、変に国民負担というものが高くなっていくということを私は非常に危惧しているわけでございます。

 この点について、大臣の方針、思いというものをお聞かせいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 固定価格買い取り制度につきましては、委員も御案内のとおりの見直し期限も決めております。その見直しを行うに当たりましては、関連するさまざまな制度等々につきましても、今のものが適正であるかどうかを含めて検討したいと思います。

小池(政)委員 ちょっと時間は早いですけれども、延長戦ということで、これで終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうお時間をいただきました。エネルギー基本計画を含む電気事業法、エネルギー政策全般にわたっての質疑ということでもあります。

 本会議におきまして私が新規制基準の問題についてお尋ねをした際に、安倍総理の答弁は、「新規制基準については、原子力規制委員会において、国会事故調などにより明らかにされた情報を踏まえ、米国を初め海外の規制基準も確認しながら、我が国の自然条件の厳しさ等も勘案した上で、世界で最も厳しい水準の規制基準を策定したところです。」このように述べております。これを踏まえて、経済産業省、大臣及び原子力規制委員会の田中委員長にもおいでいただきましたので、質問をさせていただきます。

 資料をお配りしております。ここでは、九州電力の川内原発一、二号機の重大事故等対策の有効性評価ということで掲げられている重大事故シナリオの一つの例を取り上げております。

 新規制基準は、重大事故として想定し得る代表的な幾つかのシナリオに対して、その対策の実効性を明示することを要求しております。そのような想定シナリオの一つとして、格納容器の破損防止対策に関する、大破断LOCAプラスECCS注入失敗プラス格納容器スプレー失敗というのがあります。

 この一枚目の資料の左上、黄色く塗られて赤い枠で囲まれている、ここが重大事故のシナリオの設定でありますけれども、原子炉に直結している一次冷却水配管などの大口径配管が破断をし、かつ、何らかの原因で交流電源、外部電源及び非常用交流電源が失われた場合が相当するものです。電気が来ないために、緊急炉心冷却装置、ECCSのポンプが動かず、格納容器スプレー装置も動かないという想定であります。

 こういった事態が生じた場合の事故シナリオを描いた図になるわけですけれども、この図を見ますと、一番左側のところに解析上の時刻というのがあります。ゼロ秒というところからスタートをして、炉心溶融が約十九分、そしてそれから三十分を仮定して、常設電動注入ポンプによる格納容器スプレー開始が行われて、それは約四十九分となります。それでも、約一・五時間後には原子炉容器の破損に至るという想定のものであります。

 九州電力のシナリオはこのとおりだと思うんですけれども、この点について確認だけしていただけますか。

櫻田政府参考人 御説明いたします。

 この資料の位置づけ、あるいはここに書いてある重大事故シナリオの概要については今議員のお話のとおりだと思いますが、少し補足させていただきますと、これは議員のお話にもございましたとおり、格納容器の破損防止対策の有効性を説明するということでございます。

 格納容器の破損防止対策を考えるに当たっては、やはり、炉心が溶融をして、それがその格納容器に影響する可能性があるような事故の進展を想定する必要があるということで、このような、全交流電源が喪失をする、さらに大破断LOCA、ECCSの注入失敗、格納容器のスプレーの注入も失敗するという想定をしているということでございます。

 それで、事故の進展も、十九分で炉心が溶融をする、それから約一・五時間で原子炉容器が破損するに至る、こういうことなんですけれども、一方で、今回の新規制基準に対応するために、新たに常設電動注入ポンプという重大事故対策設備を設けておって、この作動をして格納容器にスプレーを開始することが四十九分に至るまでにできるだろうということです。

 そうすると、その後、約一・五時間で原子炉容器が破損する、この時間になりますと原子炉容器の底から溶融した燃料が格納容器の下の方に落ちていくわけですけれども、その約一・五時間に至るまでの間に常設電動注入ポンプによるスプレーによって格納容器の下の方に水をためることができて、これは九州電力の想定、評価によると深さ約一・三メートルというふうになってございますが、水がたまるということによって格納容器に溶融した炉心が落下しても影響を与えることがない、そういうようなシナリオになってございます。

 また、もう少し下まで行きますと、二十四時間というところに書いてございますが、移動式の大容量ポンプ車を使って海水を格納容器再循環ユニットという機械に通水することによって格納容器の中の熱を下げる、自然対流冷却と書いてございますが、そういうことによって格納容器の健全性を維持することができる、こういう評価でございます。

塩川委員 炉心溶融、原子炉格納容器破損という事態でも、格納容器スプレー開始によって、水がたまることによって、深刻な事態に至ることを避けるというシナリオだということであります。

 その上で、やはり、炉心溶融で約十九分ですとか、原子炉容器破損に約一・五時間、そういう時間の妥当性ということも問われてくるわけで、この点では、事業者の解析だけではなくて、規制委員会としてのクロスチェック解析も必要だと思うんですが、この点は実際にはどうなんでしょうか。

櫻田政府参考人 こういう評価を、電気事業者、九州電力は、彼らの使用している解析コードを用いて解析しているわけでございますが、時間そのものが、厳密にどのくらいの時間になるかということよりも、この程度の時間でこういう事態に至る、それから、例えばここでは、先ほど議員の御指摘もございましたけれども、炉心溶融から三十分の時間を仮定して常設電動注入ポンプによるスプレーが作動できる、こういうようなことも含めて、こういった時間間隔で実際に作動させるような体制がとられているのか、人員がいて、実際に人が動いて機械をうまく機能させることができるかといったソフト面の対策も含めて、有効性が本当にあるのかという、この評価についての妥当性を全体的に評価している、こういうことでございます。

塩川委員 直接のお答えはありませんでした。

 三十分の仮定のところでも、人為的に本当に水を入れられるのかどうなのかという判断というのは、当然事業者として、妥当なものがあるのかどうかということも問われるわけですけれども。

 私がお聞きしましたのは、資料の二枚目にお示しした、これは東電福島第一原発一号機事故時の炉心状態評価のクロスチェック解析の資料であります。

 表の一の一を見ていただきますと、いろいろな初期の設定があるわけですけれども、「福島第一原子力発電所一号機に係る事業者解析ケースでの結果と比較」ということで、事業者が行った解析の結果に対して、原子力安全・保安院が独自にクロスチェックで解析を行っている、その表に当たるわけであります。

 表の一の一でいえば、二つ目の枠にありますように、炉心損傷開始時間というのが、一番右側の事業者の解析では地震発生後約四時間となっているのに、保安院の解析では地震発生後三時間と、違いが出ている。その下の枠、原子炉圧力容器破損時間を見ると、事業者解析は地震発生後約十五時間に対して、保安院の解析は地震発生後約五時間、三分の一ということであります。

 これは、事業者の解析はマープという手法で、保安院の解析はメルコアというものだというふうにお聞きしておりますけれども、このように、解析の方法によって大きく時間が異なる。

 そういうことになりますと、要は、先ほど示した資料の一にあるような、炉心溶融ですとか原子炉容器の破損の時期というのも大きく異なるとなれば、対応そのものが異なってくるのではないのかということがあって、こういった解析上の時刻というのがクロスチェック解析で妥当なものという評価を、事業者の解析とは別に規制委員会として行っているのかどうかということをお尋ねしたんですが、改めて、いかがですか。

櫻田政府参考人 事業者の対策の有効性を評価するに当たりましては、時間間隔をきちんと把握した上でということが大事だということは御指摘のとおりでございます。

 一方で、十九分が二十分なのか二十五分なのかとか、そういうことというよりも、実際に全交流電源が喪失して大LOCAになってというような事故が起こったときに、どういう挙動を原子炉なり冷却水の設備が示すかというその全体的な動き方、それから、例えば、ここでは四十九分という時点で常設電動スプレーポンプ、水を注水するポンプの電源を作動させることができる、そういうことになっていますけれども、そこに至るまでの事業者の中での人の動きとかいったところで、おくれた場合にこれがどうなるのかとか、感度解析みたいなことになりますけれども、そういったさまざまな不確かさみたいなものを組み合わせて考えたときに、しっかりとその対策が有効に働くのかというところを審査する必要がございまして、今、そういう観点でこれまでの審査を進めてきている、そういうことでございます。

塩川委員 ここにも解析上の時刻とあるので、事業者は解析をしているわけですよ。

 そうすると、今のお話ですと、事業者の解析上の時刻は、それを所与のものとして審査を行っているということですか。つまり、この解析の時刻について、規制委員会の方でクロスチェック解析は行っていないということでよろしいんですね。

櫻田政府参考人 私どもの審査の中でも、今はもう既に統合していますけれども、原子力安全基盤機構、JNESの中にこういった事象に対する専門家もおります。そちらの方でも、このシナリオでやってきたかどうかというところはまた別ですけれども、事業者の解析におかしなところがないか、本当に一分一秒とかそういう話ではなくて、全体としておかしなことになっていないか、そういうようなことを評価するということも、必要に応じてやるということはやってございます。

 繰り返しになりますけれども、ここで大事なことは、十九分なのかとかいう話ではなくて、時間間隔、一時間と二時間とかいうことではなくて、このくらいの時間でこの事態に至るという想定の中で、炉心溶融が起こった後に、格納容器の破損を防止するために必要な水をきちんと圧力容器が完全な間に注入することが可能なのかどうか、そのために必要な対策が講じられているのかどうか、そういうところの妥当性を確認するということであるというふうに考えてございます。

塩川委員 今のお話を聞いても、この事象に合わせた、このシナリオでの解析上の時刻に対応した形でクロスチェック解析を行っているというお話はございませんでした。そういう点でも、全体はどうなっているのかということについての妥当性をどうやって評価するのかという問題があります。このことが一つ。

 あと、我が党の笠井議員の質問に対して、原子力規制庁に回答の中身を書面で寄せてもらいましたけれども、そこの中では、今般の適合性審査で実施しているクロスチェック解析については、新規制基準における重大事故等対策の有効性評価に関して実施しているものです、また、原子力安全・保安院等が実施してきたクロスチェック解析については、設計基準事故等に係る解析を検証するために実施してきたものと承知しておりますという書き方で、今般の適合性審査で規制委員会が行っているクロスチェック解析というのは、重大事故等対策の有効性評価に関して行うと。

 これまで原子力安全・保安院が行ってきたクロスチェック解析というのは、当然、重大事故の想定がありませんから、設計基準事故に係る解析を実施するということですから、現行の規制委員会のこの解析においては、設計基準事故に相当するような部分についての解析というのは特段行っていないということなんでしょうか。

櫻田政府参考人 現在行っております適合性審査、これは新しい規制基準の適合性を見ておりますが、今回申請されているものの中では、新しい基準に対して適合するために設計を変更した、そこのところの審査でございますので、これまでの要求事項が変わっていなかったところについて、特に申請の中で変更がありません。

 ということは、これまでやってきた設計基準事故に対する解析を行う必要のあるようなものの変更がないということでございますので、今回やっているのは、新しく追加された重大事故対策の妥当性を確認する、そういう審査に重点が置かれているということでございます。

塩川委員 重点を置かれている重大事故のクロスチェック解析が全体としてもどうなっているのかというのは不鮮明だという点でも、しっかりとした別のプログラムでも解析を行うクロスチェック解析を実施すべきでありますし、これを伴わないような審査というのは世界最高水準などと言えないのは当然のことであります。

 次に、コアキャッチャーについての質問をいたします。

 資料の三枚目に参考までにお示ししましたが、このコアキャッチャーというのはどういうものなのかについて、エネ庁でも規制庁でもいいんですが、簡単に説明してもらえますか。

櫻田政府参考人 委員がお示しされたこの三枚目の絵でございますが、これは欧州型PWRと書いてございます、略称でEPRと呼ばれる一つの原子炉の型式がございまして、その中に設計されている設備というふうに承知をしています。

 これは、原子炉容器の中に存在する核燃料、炉心が溶融をして、原子炉容器の破損に伴って下部に溶融炉心が落下したときに、その落下してくるところに備えられている設備というふうに承知をしてございます。

塩川委員 このコアキャッチャーを設置した海外の原子炉の事例、稼働には至っていないんでしょうけれども、建設中のものとか、御存じのことがあれば御紹介いただけませんか。

櫻田政府参考人 済みません、私どもの手元で確認できたところは少し古い時点の情報でございますが、二〇一一年十月現在、三基建設中だというふうに承知をしてございます。フィンランド、フランス、中国というふうに承知をしてございますが、その後の情報についてはちょっと今手元にございません。

塩川委員 フランス、フィンランド、中国で建設中というお話でありました。

 このEPR、欧州型PWRは、上の表に紹介しておりますように、コアキャッチャーの設置や、コアキャッチャーに水冷設備を設置することや、さらに大型航空機衝突に耐えるような二重構造、こういうのを要求していると承知しておりますけれども、それでよろしいでしょうか。

櫻田政府参考人 今委員がお話しされたのは、この配付された資料の三枚目の上の方に書いてあるところの話だと思いますが、このEPRの中でこういう設計でつくっている、EPRという型式はこういう設備を備えている、こういうことだとは承知してございますが、これが日本の規制基準に該当するような、それぞれの国の基準で要求されているかどうかということに関して申し上げると、そういうことかどうかというところまでは承知してございません。私どもは、そういう要求がなされているということは聞いてはおりません。

塩川委員 こういった機能を持つEPRが建設されているということであります。

 資源エネルギー庁にお尋ねします。

 二〇一二年度に、資源エネルギー庁は、薄型コアキャッチャーの開発に向けた基盤整備の事業募集を行っています。さらなる安全性向上の技術として、シビアアクシデント発生時に溶融炉心を受けとめる、施工性の高い薄型のコアキャッチャーの技術開発に向けた基盤整備を行うことを目的とするとなっています。

 この予算措置は、その後、どのようになり、どのような成果が出ているでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力につきましては、事業者がみずから自主的に安全性を高めていくということが大変重要と考えてございまして、経済産業省といたしましても、事業者の自主的安全性向上のための努力、技術開発を含めまして支援をしているところでございます。

 御指摘の薄型コアキャッチャー開発に向けた基盤整備の事業でございますけれども、これは二〇一二年より、研究の事業、技術開発の支援の事業を行っているものでございます。二〇一二年から始めておりまして、今年度も継続をしてございます。

 これは、薄型コアキャッチャーの開発に向けた基盤の整備ということでして、具体的に申し上げますと、熱流動の実験、それからコンピューターによる解析を行うことで基礎的なデータを収集するというものでございます。

塩川委員 重ねてお尋ねしますが、こういうコアキャッチャーの必要性というのは、早くから事業者においても認識されていたんじゃないでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力の安全性の向上につきましては、終わりがないということで、今事業者がいろいろな取り組みを進めてございまして、この事業は、十ある事業の一つのテーマとして、事業者の自主的な安全性を向上する一つの研究テーマとして採択したものでございまして、これにつきましては、現在、熱流動の実験を行う等、コンピューター解析ということで基礎的なデータ収集を行っているという状況でございます。

塩川委員 例えば東芝など、特許におきましても一九九〇年代から出願もしておりますし、直近でも二〇一一年での特許出願の例があるということも承知しております。

 そこで、規制委員会としては、新規制基準をつくるに当たって、このような、海外で実際に安全確保の立場から実施に移されている、既に建設中の炉に取り込まれているコアキャッチャー、これを求めるというふうなことはお考えにはならないんでしょうか。

田中政府特別補佐人 コアキャッチャーを設置するという炉は、先ほどお答えしたように、EPRという新しい炉、新設炉について、コアキャッチャーがあった方がいいということで、そういう設計になっております。EPRはフランスの炉でありますけれども、フランスにもたくさんの炉がありますけれども、既存の炉でコアキャッチャーのあるものはありません。

 今後、日本でも、もし新しい炉がつくられるときにはそういったことも具体的に検討される可能性はあると思いますけれども、今回は、既存の炉にコアキャッチャーをつけるというのはもう不可能でございますので、それに相当するような性能があるように、先ほど櫻田からも御説明申し上げましたけれども、炉心が溶けたときにも格納容器の方に水をきちっと入れて、格納容器を突き破って下に抜けるようなことのないような方策を求めているということでございます。

塩川委員 エネ庁の先ほどの事業、薄型コアキャッチャーの開発に向けた基盤整備というのは、既存の炉に対してどうしていくのかという観点での事業でありますよね。ですから、既設炉への導入を念頭に置いて、どういう課題があるのかということを明らかにする、そういうものだと思うんですが。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 薄型ということでございますので、可能性として、既存の炉への適用というのも視野に入ってございますけれども、その薄型のコアキャッチャーという概念が成立するかどうかということの基礎的なデータを収集しているものでございます。

塩川委員 ですから、今後どうするかという点も当然あるでしょうし、既設炉についても、つけるのは不可能ということではなくて、やはり、技術的に最先端のもので、本当に安全を確保するということであれば、世界最高水準ということを政府がおっしゃっている、そういう中での規制基準において、こういうコアキャッチャーなどの仕組みについてしっかりとした対応をとるということこそ行うべきことじゃありませんか。

 改めて、委員長、いかがですか。

田中政府特別補佐人 一番避けなければいけないことは、炉心が溶けて、下に抜けて、それが格納容器のコンクリートとか何かと反応して、それでさらに悪い事態に行くということを避けるという意味で、そういったコアキャッチャー的な機能を持たせるということが大事です。

 今、エネ庁がどういった研究をしているかということについての詳細は私も承知しておりませんけれども、基本的に私どもが求めているのは、格納容器といわゆる溶けた炉心との反応によって格納容器が破れるようなことのないような方策を今回の規制基準では求めているということでございます。

塩川委員 同等のということではなくて、コアキャッチャーという仕組みをつくってきているわけですから、そういうのを生かした規制基準こそ求められているわけで、そういう点でも、世界で最も厳しい水準の規制基準と政府が言うような中身が伴っていないということも指摘せざるを得ません。

 残りの時間で避難計画について若干お尋ねします。

 規制委員会の規制基準には、避難計画を含む地域防災計画に係る事項は含まれていないと承知しておりますが、そういうことでよろしいでしょうか。

黒木政府参考人 そのとおりでございます。

塩川委員 含まれていないということです。

 一方で、アメリカのNRCの基準がどうかということですけれども、NRCの元委員長のグレゴリー・ヤツコ氏は、避難計画が不十分なら、アメリカでは原子力規制委員会が原発停止を指示すると述べております。ですから、アメリカのNRCは避難計画というのを一連の規制の中に取り込んでいるというふうに思いますけれども、この辺の事実関係についてお答えいただけますか。

黒木政府参考人 米国の例に関しましては、たしか、イニシャルと申しますか、一番初めの稼働段階においてはそのような形の規制がなされているように聞いております。ただし、アメリカの場合は、さらにそれから原子力発電所は継続しているわけですけれども、その段階においては、FEMA等がいろいろ援助しながら、そういった避難計画がより実効的なものになるような形で不断の努力がされているというふうに聞いております。

 また、アメリカはそういうふうなシステムでございますけれども、フランスあるいはイギリスにおきましては、そういった形で避難計画が作成されていることが稼働の条件にはなっていないというふうに聞いております。

塩川委員 スタートのときには対象となるという話です。そういう点で、最後、大臣にお尋ねします。

 本会議の総理の答弁で、世界で最も厳しい水準の規制基準というふうにおっしゃいました。しかし、今お話ししてきましたように、クロスチェックのあり方そのものについてもはっきりとお答えいただけない、コアキャッチャーについての規制も盛り込まれていない、避難計画についても規制対象としない、これでどうして世界で最も厳しい水準の規制基準などと言えるのかと思うんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 先ほどから塩川委員のEPRのコアキャッチャーの話を聞いていますと、まるで原発の新設を進めろという話をされているように聞こえてくるんですけれども、先ほどから答弁をしておりますように、これは設備というか設計上の問題でありまして、基準の問題ではないということであります。

 しかも、世界で最も厳しい水準の規制基準というのは、個々のものではなくて、私は全体として決まってくるものだと考えておりますけれども、では、規制基準がどうあるべきかにつきましては、規制委員会にお尋ねいただければと思います。

塩川委員 こういう規制基準のもとで原発を推進するということは大問題だ、本来、規制基準に基づく計画では原発が日本に立地できないじゃないか、こういうことこそ問われているわけで、そういうことについては引き続きまた質問していきたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次回は、来る五月七日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十六分散会


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